葉鍵サバイバル　公開７日目

1 ：名無しさんだよもん：02/11/25 02:19 ID:rS5rsnDf

リアルリアリティを求め、暴走を続ける超先生。
その一方で参加者の魂と魔力を集めようとする天使、ユンナの目的とは？
様々な思惑と迫り来るモンスターの中、果たして島に残された彼等は無事脱出する事ができるのか？
ジュ○シックパーク　各種漂流モノを元ネタとした葉鍵キャラによるリレー小説。
ようやく事件の全貌が見えてきて、物語は第７スレに突入！

・書き手のマナー
＊　これはリレー小説です。特に、キャラの死を扱う際は１人で殺さず上手くストーリーを誘導しましょう。
＊　また過去ログを精読し、NGを出さないように勤めてください。
＊　同人作品からの引用はキャラ、ネタにかかわらず全面的に禁止します。
＊　マイナーモンスター、武器を登場させる場合は話の中か後に簡単な説明をなるべくつけて下さい
＊　投稿の最後に、【】で簡潔にキャラクターの現状を簡単にまとめて下さい。
＊　初心者の方は作品を上げる前に誤字脱字や文法の間違いが無いか確認しましょう。
　
・読み手のマナー
＊　キャラの死に不満がある時は、あまりにもぞんざいな扱いだった場合だけ、理性的に意見してください。
＊　頻繁にNGを唱えたり、苛烈な書き手叩きをする事は控えましょう。

編集サイト
http://www23.tok2.com/home/hakasaba/
葉鍵リレー小説総合スレッド　第５巻
http://wow.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1036804700/

2 ：名無しさんだよもん：02/11/25 02:21 ID:/XOkY+ni

立ったんだ。
お疲れ。

3 ：RTO：02/11/25 03:09 ID:Y8AlqrKE

スレ立てお疲れっす。圧縮猶予が三十分て……
深海ドラゴンまわりの話が把握しきれないうちに落ちてしまってプチ鬱。

前スレ　葉鍵サバイバル公開六日目
http://wow.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1037377869/l50

4 ：名無しさんだよもん：02/11/25 04:34 ID:LGpy8NvT

もう落ちたか・・・
ＶＳスレも久瀬スレもドラえもんスレも落ちるし・・・

5 ：名無しさんだよもん：02/11/25 12:26 ID:7tYu1h8X

全身を痙攣させてイキそうになる現役コンパニオン！感じちゃって乳首も勃起してマ
ス！
http://www.hamedori.net/video.html

6 ：名無しさんだよもん：02/11/25 12:40 ID:xg3nudwP

乙。

7 ：孫悟空 ◆yGAhoNiShI ：02/11/25 13:36 ID:E1Z7s7GU

ドラゴンボールＺ
フジ（関東）で毎週月曜１６：３０～放送中！！

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と～けたこおりのな～かに～♪恐竜がい～たら～たまのりし～こ～みたいね～♪

8 ：孫悟空 ◆yGAhoNiShI ：02/11/25 13:50 ID:azd6EZ5y

9 ：孫悟空 ◆yGAhoNiShI ：02/11/25 14:08 ID:/UPhA0FB

10 ：孫悟空 ◆yGAhoNiShI ：02/11/25 14:23 ID:Im2/O7NC

11 ：名無しさんだよもん：02/11/25 17:18 ID:4xcp5j6n

age

12 ：名無しさんだよもん：02/11/25 21:37 ID:WaicBAe0

とりあえず、前スレ最後の方の展開をどなたか解説お願いします～

13 ：名無しさんだよもん：02/11/25 22:00 ID:qyeVdyYA

14 ：雲丹：02/11/25 22:36 ID:90sr5/bB

なんだっけか。
ドラゴン編と、大志編が動いてたんだったかな。
それから天界のユンナ辺りに、編集希望が出てたんだっけ。

大志編は確か、武装したモンスター（不明）が出てきて、舞が飛び出していったところで終わってた気がする。

15 ：名無しさんだよもん：02/11/25 23:12 ID:P2bvRuSv

ぶっちゃけた話、総合スレにここのこと書くなら全部こっちに書いた方がいいことが分かった。
なんか知らないが、ファンタジーの奴にまで今回落ちたことを叩かれてるし、なんなんだろうねまったく。

16 ：名無しさんだよもん：02/11/25 23:27 ID:kf+3LV2J

ファンタジーの奴ってのはどうでもいいだろう。対立させんな。

17 ：名無しさんだよもん：02/11/25 23:49 ID:P2bvRuSv

じゃあ、鯖に参加してるわけでもない他スレの奴とでも言い換えておこう。

18 ：名無しさんだよもん：02/11/26 00:09 ID:ZZMY6wm4

３０分しか猶予が無かったのを叩かれてもねえ

19 ：名無しさんだよもん：02/11/26 01:01 ID:d2J12vvl

保守

20 ：名無しさんだよもん：02/11/26 03:07 ID:Z7vOETaN

保守しておいて損は無いし、保守。
にしても、結局色々議論はあったが全部とおしでOKってことか？

21 ：名無しさんだよもん：02/11/26 20:06 ID:MqjMUpXo

新作は全通しで問題ないかと。
ただ、過去の一部改変をどうするのって話は
まだついて無いかも。

22 ：名無しさんだよもん：02/11/26 21:16 ID:x78zD4if

以前の話の改変なぁ。
書いた本人が「矛盾を直すために修正してほしい」というなら、読み物とすれば修正すべきだが。
が、リレー小説としてはふざけたやり方この上ないな……。

とりあえず、二度目は無い、ということで今回は修正OKでもいいのでは？
次にまたそんな甘えたこと誰かが言い出したら、容赦無く叩き出していいと思うが。

23 ：名無しさんだよもん：02/11/26 21:26 ID:IqdMtU0I

先人の知恵を生かして
「後続SSに影響が無い程度ならOK」
というのはいかがか？

24 ：名無しさんだよもん：02/11/26 21:44 ID:f8SaQvP8

どこの知恵？

25 ：名無しさんだよもん：02/11/26 22:04 ID:IqdMtU0I

あんまり名前出したくないんだけど、ハカロワ。

紙媒体化に当たって文章の修正意見が出たのよ。
結構揉めたんだけど結局>>23の案で落ち着いた。

まあ、今回の修正意見とは状況が違うけど、参考までにということで。

26 ：名無しさんだよもん：02/11/26 22:11 ID:w6MM/kVF

うー、誰か６日目のログ持ってない？
ネタが浮かんだのはいいんだけど、そのグループの最後がどうなったか、忘れてしまったよ…

27 ：名無しさんだよもん：02/11/26 22:53 ID:Z7vOETaN

紙媒体の場合、一応完了した作品だからなぁ。
現在続行中でそれを許すのはまずいだろうと思うんだが。
まぁ、参考程度か。

28 ：Ｒ１２００：02/11/26 23:02 ID:sgOXJ3qa

すいませんでした、もう「修正して」なんて言いません。「修正して」発言取り消させてください…
ただ話が大きくなりすぎてしまったに対して責任を感じてしまって、言い出してしまいました…

遅筆ですが作品で挽回できるように頑張ります。申し訳ございませんでした…

29 ：名無しさんだよもん：02/11/27 04:16 ID:ufxeolgy

まあ、結論らしきものが出た以上、そんなに気にしない方が。
と言いつつ寝る前の保守。

30 ：名無しさんだよもん：02/11/27 23:36 ID:NDvTprlm

もうすぐ５００突破ホシュ。

31 ：名無しさんだよもん：02/11/28 12:32 ID:diaDCndI

真昼のメンテ

32 ：名無しさんだよもん：02/11/28 15:21 ID:zrxnS7C+

ときに、今の所一番久しく登場してないキャラってだれだ？清水な(略)とか河原崎夫人みたいなネタ話は別として。

33 ：名無しさんだよもん：02/11/28 15:39 ID:xuGiFY5W

氷上・美汐・芳晴・コリンの所…だろうか。

34 ：雅也 ◆yGAhoNiShI ：02/11/28 16:17 ID:JSX7F3qI

俺はスコールよりかっこいい中３なんだけど、
うちの学校にすげーユウナに似てる女子がいるんだ。
うらやましいだろ？>>1 >>1 >>1 >>1 >>1 >>1 >>1 >>1 >>1 >>
>>1 >>1 >>1
http://game2.2ch.net/test/read.cgi/ff/1037430276/l50

35 ：雅也 ◆yGAhoNiShI ：02/11/28 16:30 ID:S5P+lUT/

36 ：名無しさんだよもん：02/11/28 17:34 ID:B4c/tZyq

全スレ荒らすバカの危険性を考慮した緊急メンテ。

37 ：名無しさんだよもん：02/11/28 19:53 ID:U7t3gW+D

このあたりで新作が一本欲しいな

38 ：名無しさんだよもん：02/11/28 21:37 ID:R23+zp7q

よーし、パパ新作書いちゃうぞー

39 ：軋む心（１）：02/11/28 22:21 ID:R23+zp7q

「本っっっ当に、こっちであってんの？」
「大丈夫よ」
　すでに３度目の梓の台詞に、千鶴は何の根拠もなく頷く。
「けどさぁ、この森の中に入ってから、もう２時間もさ迷ってんだけど……」
「大丈夫と言ったら、大丈夫なの！」
　くるりと振りかえって言った瞬間、目の前に巨大なムカデが落ちてきて、千鶴は悲鳴を上げた。
「きゃあっ！」
「……はぁ……」
　梓は大きく溜息をつくと、枝葉に覆われた空を見上げる。
　梓の脳裏を過っていたのは、岩切とすばるを追いかけていた時に感じた、眩い閃光だった。
　何の変哲も無い、ただの太陽の光の反射だったはずだ。
　だが、あの光を浴びた瞬間、全身が総毛立ち、体内に潜む何かがいっせいに恐怖した。
　幸いにも、今はその衝動は収まってはいるが、それが光の少ない森の中だからか、それとも一時的なものに過ぎないのかは、わからなかった。
「あ、梓っ、ムカデ、ムカデ！」
「あー、はいはい」
　梓は千鶴の悲鳴混じりの声に、面倒くさそうに地面を這うムカデを踏み潰した。
　３０センチはあろうかという巨大な蟲は、あっさりと胴体を両断され、のた打ち回る。
「………あ、梓？」
「ん？　なんだ、千鶴姉」
「……え……いいえ、何でもないわ」
「あ、そう」
　もはや、のたうつムカデには見向きもせず歩き出す梓に、千鶴はこっそりと溜息をついた。

40 ：軋む心（２）：02/11/28 22:23 ID:R23+zp7q

　しばらく黙々と森の中を歩いていた梓が、急に顔を上げた。
「……千鶴姉、何か聞こえないか？」
「え？」
　草を踏み分けていた千鶴は、周囲に目をめぐらせる。
「……私は何も聞こえないけど……」
　梓が感じている筈の何かを、自分が捉える事ができず、千鶴は唇を噛んだ。
　仙命樹の力によって、確かに梓は並の鬼以上の力を得たのかもしれない。
　だが千鶴には、その力があまりに危険なものに思えてならなかった。
「……近いっ」
　その時ようやく千鶴にも、梓の言っていた音を捉える。
「ええ、私にも聞こえたわ……どうやら、狙いは私達みたいね」
　切れ長の目を鋭く森の奥に向け、千鶴はその正体が現れるのを見た。
「猿！？」
「いいえ、あれは狒狒（ひひ）……！」
　千鶴の言葉が終わらない内に、真っ白い狒狒が、疾風の早さで二人に跳びかかってくる。
「迅い！？」
　驚きの声を残し、跳び退がる千鶴の目の前に、白狒狒が追いすがった。
　その時ようやく千鶴は、目の前の敵を見誤っていた事に気付く。
　あまりの速度から、せいぜい相手は小柄なモンスターだと思っていた。
　何より、地面から発せられた音が、あまりに小さかった事が、余計に千鶴の判断を誤らせていた。
　だが、今目の前に立ちはだかった狒狒は、ゆうに五メートルはありそうな巨躯だ。
「千鶴姉！！」
　梓の叫びと共に、千鶴のウェストより太い白狒狒の腕が振り下ろされる。
　千鶴は何とか巨腕の下をくぐると、梓の傍まで大きく跳び下がった。

41 ：軋む心（３）：02/11/28 22:26 ID:R23+zp7q

　白狒狒はゆっくりと振り返ると、猿がそうするように、唇の端をめくりあげる。
　まるで、白い顔面に紅い亀裂が走ったような笑みだ。
「千鶴姉、下がってな。こんな奴、あたしひとりで充分だ」
　だらりと長い両腕を下ろし、亀裂のような笑みを浮かべている白狒狒の前に、梓は立ちはだかった。
「そのニヤニヤ笑いを、今すぐ潰してやる！」
　瞬間、地面が軋む異様な音と共に、冷たい風が吹きつける。
　梓の瞳が紅に染まり、全身に力が漲る。
「ッおおおおおおおおおおおぉぉぉぉっ！！！！！」
　喉の奥から獣の咆哮が響き、怒号となって森を揺るがした。
（いけるっ！！）
　梓は内心で歓喜の声をあげていた。
　ざわりと体の中で蠢く“何か”が目覚め、凄まじい熱を伴って全身を駆け巡る。

　―――だが。

　次の瞬間、焼けつくような乾きが、梓の意識を襲った。
「……ッ！！」
　喉を掻き毟り、梓は崩れ落ちるように地面に膝をつく。
　同時に脳裏に閃いたのは、あの洞窟で感じた光への恐怖だった。
　木々の間から漏れる、小さな木漏れ日……たったそれっぽっちの光にすら、梓の中の仙命樹は反応するのだ。
「梓っ！？」
　千鶴の悲鳴が、そして白狒狒のけたたましい笑い声が森中に響いた。
　まるで、ぶつり、とテレビの電源を切るように。
　梓の意識は闇に沈んだ。

42 ：名無しさんだよもん：02/11/28 22:27 ID:R23+zp7q

【千鶴＆梓　森の中で遭難中、白狒狒（ひひ）に遭遇】
【梓　意識不明】

43 ：名無しさんだよもん：02/11/29 01:41 ID:PoZcgvd9

必要かどうか迷いつつメンテ。

44 ：まかろー：02/11/29 02:14 ID:3aywKud5

まとめを出すと言ったのですが、
過去スレが読めない状況なので手のうちようがありません。
そこで編集サイトに出ている作品まではまとめられるのですが、
出した方がいいでしょうか？中途半端だけど

45 ：名無しさんだよもん：02/11/29 03:42 ID:QyxsieiL

＞軋む心

何てこと無い敵に何かの間違いで負けそうな予感。
ちょっと心配なだけに、先が気になる展開だと思います。
ただ、確かに無敵モードに入るよりは弱点があったほうが良いけど
木漏れ日一発で気絶ってのは、ちょっと極端過ぎるような気もしました。
っても読んだ感じだと普段は平気だけど、力の使用量とかでダメんなるのかな。
それとも、人魚とかイカと戦ってた頃は、そこまで光に弱くなかった気もするんで
どんどん症状が悪化してるのか、とか色々考えると何か楽しいかも。
てか、ムカデの描写を見る限りでは
そっちより精神状態が未だ不安定な方がマズそうかな。

46 ：名無しさんだよもん：02/11/29 14:35 ID:hujZwI7k

梓はまだいろんな意味で不安定だな。
書き手ごとの解釈のちg……もとい、仙命樹がまだ体に馴染みきってないのかな。

ときに、ヒヒって確か猿の化け物だよな。
漏れが読んだことある漫画では、姿を消して襲いかかる巨大な猿、『錐』に弱い。
とかだったけどしょせんは漫画知識しかないので、よく知ってる人の解説きぼんぬ。

47 ：名無しさんだよもん：02/11/30 12:48 ID:8do+iTsw

保守しとこう。

48 ：名無しさんだよもん：02/11/30 20:49 ID:Hsm4ouRy

保守。
ちなみにまかろー氏、編集サイトにある分だけでもあるだけでずいぶんマシなんで、もし大丈夫ならばまとめきぼんぬ。

49 ：玉座：02/11/30 22:05 ID:eB7ofIdt

　神は世界の数だけいるという。
　世界は人の数だけあるという。

　ならば、私は何者か。

　私は神か。世界か。人間か。

　私は何者か。私は何者か。

　Who am I?

　一人の男が、呆然と部屋の中央に佇んでいた。
　周りには主を失った機械類が、それでもなお自分に与えられた命令をこなしている。

「……つ……っ……」

　男は定まらぬ視点のままフラフラと一つの端末へと歩み寄り、キーに振れる。
　瞬間、画面にいくつもの窓が生まれ、膨大な量のデータが流れるように表示されていく。
　しかし男の頭は、それらを全て飲みこんでいった。

「ここは……ここは……？　私は……？」

50 ：玉座：02/11/30 22:07 ID:eB7ofIdt

When?
　―――――西暦200*年*月*日*時**分
Where?
　―――――人の作りし島。
Why?
　―――――『超先生』の狂気。
What?
　―――――『化物ども』が暴走。
Who?
　―――――？？？
How?
　―――――？？？

『何時』『何処で』『誰が』『何をしたか』
　男はその場でこれだけは把握することができた。
　だが、肝心の……己が何者か。何をするべきか。
　それを解することができなかった。
「……私は、一体……？」
　……さらに詳しくデータを調べていく。すると、その中にただ一文字、『D』と銘打たれたファイルを発見した。
「……ディー……？」
　そこを開こうとすると、パスコードを要求される。なぜだろう。彼はそれを知っていた。
「コード……『D.R.A.G.O.N._.L.O.A.D』………」
　キーボードを叩き、一文字一文字ゆっくりと入力していく。
　そして、最後の文字を打ち終えたとき……

【 Project "D" 】

　その文字が画面を埋め尽くした。

51 ：玉座：02/11/30 22:08 ID:eB7ofIdt

「D……ディー……D……ディー……」
　中に隠されていたいくつもの秘匿ファイルを読み進めていく。
「……ディー……ディー……そうだ。それが私の名前。私の名前は『ディー』……」
　書かれているものが何を指し示しているのかわからない。だが、その中にいくつも出てきた
『ディー』という単語。それが自分の名前であることはわかった。
「私は……何者だ……どうすれば……いいんだ」
　なぜだかわからない。わからないが、それを知らなければならないという強烈な使命感が疼く。
「私は……何者だ……どうすれば……いいんだ。誰か……」
　同じ言葉を口にする。しかし、その視線はもはや端末の画面ではなく、地上へと繋がるエレベーターに向けられていた。

　ゴポ……
　命の水たる羊水（を模したモノ）の中に浮かびながら、竜王ディーはその背中を見送った。
　薄目を開けていた目を再び閉じる。

　我ノ創造セシ人間。我ノ精神ヲ与エシ人間。我ノ分身タル人間。
　彼ハ我デアリ、我ハ彼デアル。
　我ニ比ブレバソノ存在モ、力モアマリニ卑小ナリ。
　サレド彼ハ見ツケ出スダロウ。我等ノ産マレタ意味ヲ。存在ノ価値ヲ。
　生キル訳ヲ。
　ソレマデシバシ眠ロウ。我ガ目覚メルハ我ノ終ワリノ始マリ。
　我ガ生命ヲ燃ヤシ尽クスコトトナル、ソノ時マデ……

【竜王ディー　再び眠りにつく】
【ディーの分身『ディー』　地上へと向かう】

52 ：名無しさんだよもん：02/12/01 18:47 ID:vRq9/AXR

保守

53 ：名無しさんだよもん：02/12/01 21:35 ID:xgv+xGjG

核弾頭が眠ったかわりに原爆が発射されましたか。よく分からんたとえですが。
登場人物達にとっても書き手にとっても非常に厄介な存在になりそうな展開だと思います。
いや別に叩いてるわけじゃなくね。

54 ：名無しさんだよもん：02/12/02 02:24 ID:K1jGV/MM

名前の時点である程度は予想してましたが
彼が人間サイズで島に乱入ッすか。
うたわれのディーそのまんまかどうかは微妙な所ですが
この期に及んで新キャラを増やすのはどうかと少し思ったり。
賛否両論分かれそうだけど、自分はわずかに否派より。
敵・味方・中立どこに付けるにしても、余程気をつかないとバランス崩壊させそうだし。
いや、正確には竜王の分身ってだけで、強いとも弱いとも書いて無いんだけども
どうしても名前の影響でうたわれのディーが連想されて無茶強そうに見えるんで。

何か叩いてるっぽいけど、上手く動けば手の平返した様に
絶賛するんで書き手の皆さん頑張ってください。ｗ

55 ：名無しさんだよもん：02/12/02 03:04 ID:Q76mwWwY

逆に澪やみさき先輩より弱かったりしたら笑えるが（w

56 ：名無しさんだよもん：02/12/02 03:06 ID:Vkq11KtU

竜をわざわざ人間化して島に送り込むってのはどうかと思うんだが。
なんでそうなったのかの理由がわからんし。
しかもそれがうたわれキャラとなると……なぁ。

正直、これ以上話を混乱するだけの方向にもっていかないでほしい、というのが漏れの感想。
竜なら重要なモンスターで済んだが、人間サイズとなるとまた話を広げるだけの登場人物が増えただけかと。

57 ：孫悟空 ◆yGAhoNiShI ：02/12/02 14:23 ID:hDO/Odag

ドラゴンボールＺ
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58 ：名無しさんだよもん：02/12/02 14:46 ID:qs/L4C6R

スクリプトがまたきたので緊急保守しとこう

59 ：孫悟空 ◆yGAhoNiShI ：02/12/02 14:47 ID:hDO/Odag

60 ：孫悟空 ◆yGAhoNiShI ：02/12/02 15:12 ID:hDO/Odag

61 ：名無しさんだよもん：02/12/02 15:20 ID:K1jGV/MM

また爆撃かよ。
ちょっと早いかもしれないけど、念の為の保守。

62 ：名無しさんだよもん：02/12/02 17:00 ID:TsED2Bsh

しかし、この島ってどのくらいの広さなんだろう。
日本のじゃない本場のディズニーランドくらい？
漏れもよく知らんがな。

63 ：名無しさんだよもん：02/12/03 02:37 ID:DqhytlJU

本場のディズニーは知らんが、５０ｋｍ四方ぐらいかな？
あくまで俺のイメージだけど。

64 ：名無しさんだよもん：02/12/03 03:02 ID:28KbtuuD

少なくとも、本場ディズニーもこの島も無茶苦茶広いことだけは確かだが。

65 ：名無しさんだよもん：02/12/03 15:14 ID:2ewH9LoD

メ

66 ：名無しさんだよもん：02/12/03 18:58 ID:SEteenq+

ン

67 ：名無しさんだよもん：02/12/03 21:41 ID:khNCz3gX

東京ＤＬも相当大きいけどな。
ただ、ジープで移動するぐらいだから、少なくとも数キロ四方って事はないだろう。

時速３０キロ前後で移動して、島を一巡り３～４時間。
……かなり大きい島かもしれん。

68 ：名無しさんだよもん：02/12/03 21:42 ID:u0uIzSxk

一巡りって言っても別に海岸線をずーっとなぞるように走るわけじゃないから、
もうちょい小さめかもね。

69 ：名無しさんだよもん：02/12/03 21:55 ID:oPOzuH0v

ドラゴンボールＺ
フジ（関東）で毎週月曜１６：３０～放送中！！

70 ：名無しさんだよもん：02/12/03 22:23 ID:28KbtuuD

実は浩平が、サトリをジープでたしか三時間追跡した描写があった。
サトリがあっちこっちにうろちょろとしていたのならともかく、直線的に追っていって三時間だったとするならかなり広いと思われ。

71 ：名無しさんだよもん：02/12/03 22:31 ID:khNCz3gX

よく考えたら、この島ホテルまであるんだよな。
ってことは、ＤＬ並に一日じゃ回り切れないぐらいのサイズなのかもしれないぞ。

72 ：名無しさんだよもん：02/12/04 02:14 ID:xXRaWu2l

だからそうなんだっていう話をしてるんだが。

73 ：名無しさんだよもん：02/12/04 12:58 ID:RLWBAoxL

５日目が落ちてしまい、その後から見てない漏れは
今話がどうなってるかわからない
RTO氏編集サイトの更新のほう頼みますぅ

74 ：名無しさんだよもん：02/12/04 13:33 ID:UgXfNO14

俺も更新して欲しい

75 ：まとめ１：02/12/04 16:52 ID:btTy+DhO

メンバーと最終話

○緒方英二　他　Ⅴ（１２６～１３０）
　　緒方英二　　月島拓也　　宮内レミィ　　雛山理緒　　イビル
　　縦王子鶴彦　　横蔵院蔕麿

○犬飼俊伐　他　Ⅰ（３９１～３９３）
　　犬飼俊伐　　中尾佳祐　　下川直哉

○ラミア　Ⅴ（１２６～１３０）

○石原麗子　他　Ⅴ（３８８～３９１）
　　石原麗子　　江藤結花　　桜井あさひ　　柚木詩子

○氷上シュン　他　Ⅱ（３８０～３８３）
　　氷上シュン　　城戸芳晴　　コリン　　エビル　　天野美汐

○霧島聖　Ⅳ（４７～４８）

○鹿沼葉子　他　Ⅳ（５０～５２）
　　鹿沼葉子　　名倉友里

○セバスチャン　Ⅳ（９０～９２）

○長瀬主任　他　Ⅴ（３３４～３３５）
　　長瀬主任　　橘　　マルチ

○セリオ　Ⅳ（１６８～１７０）

○高槻　他　Ⅴ（５４９～５５２）
　　高槻　　霧島佳乃　　桑嶋高子

76 ：まとめ２：02/12/04 16:54 ID:btTy+DhO

○天沢郁美　他　Ⅴ（５４９～５５２）
　　天沢郁美　　水瀬名雪

○沢渡真琴　Ⅴ（１３９～１４２）

○長瀬刑事　Ⅴ（４０～４３）

○少年　Ⅴ（５４９～５５２）

○牧部なつみ　Ⅱ（２９４～２９８）

○坂神蝉丸　他　Ⅴ（４８６～４９２）
　　坂神蝉丸　　美坂栞　　美坂香里　　住井護　　立川郁美
　　柳川祐也

○水瀬秋子　他　Ⅴ（６９～７２）
　　水瀬秋子　　来栖川芹香

○柏木楓　Ⅴ（４６１～４６５）

○月島瑠璃子　他　Ⅴ（４６１～４６５）
　　月島瑠璃子　　観月マナ

○藤田浩之　他　Ⅴ（３９８～４０１）
　　藤田浩之　　長瀬祐介　　新城沙織　　神岸あかり
　　ティリア　　ウィル　　エリア　　ピッケ

○九品仏大志　他　Ⅳ（１５８～１６１）
　　九品仏大志　　千堂和樹　　川澄舞　　みちる

○高瀬瑞希　他　Ⅱ（４７９～４８３）
　　高瀬瑞樹　　大庭詠美　　倉田佐祐理　牧村南

77 ：まとめ３：02/12/04 16:54 ID:btTy+DhO

○矢島　他　Ⅴ（４８０～４８２）
　　矢島　　太田香奈子

○里村茜　Ⅳ（６５～６９）

○保科智子　他　Ⅳ（１７２～１７５）
　　保科智子　　神尾観鈴　　神尾晴子　　月宮あゆ
　　杜若きよみ（白）　　上月澪　　藍原瑞穂
　　巳間良祐　　子ドラゴン

○御堂　他　Ⅴ（３５０～３５４）
　　御堂　　長岡志保　　柏木初音　　杜若きよみ（黒）
　　岩切花枝　　御影すばる

○久瀬秀一　　他　Ⅴ（８４～８６）
　　久瀬秀一　　相沢祐一　　北川潤

○柏木千鶴　他　Ⅴ（３５０～３５４）
　　柏木千鶴　　柏木梓

○藤井冬弥　他　Ⅴ（３４～３７）
　　藤井冬弥　　七瀬彰　　松原葵　　たま

○アレイ　Ⅳ（１７７～１８０）

○ルミラ　Ⅳ（１７７～１８０）

○川名みさき　他　Ⅳ（２２４～２２８）
　　川名みさき　　篠塚弥生　　座敷童（さちこ）　　澤倉美咲

○光岡　Ⅴ（８４～８６）

78 ：まとめ４：02/12/04 16:55 ID:btTy+DhO

○リアン　Ⅳ（８５～８８）

○国崎往人　他　Ⅳ（２０７～２１１）
　　国崎往人　　塚本千紗　　ぴこ

○立川雄三　Ⅳ（１５～１７）

○折原浩平　他　Ⅴ（４８～５２）
　　折原浩平　長森瑞佳

○佐藤雅史　他　Ⅳ（２７～２９）
　　佐藤雅史　　ソフィア

○ヨゼフ　Ⅳ（１０～１３）

○清水なつき　Ⅱ（２８７）

○安全保障理事会職員等　Ⅰ（５０８～５１２）

○メイフィア　Ⅳ（１４３～１４７）

○河原崎　Ⅰ（６４７～６４８）

○天界の一角　Ⅱ（１５６）

○ユンナ　Ⅴ（３８８～３９１）

○朝鮮製　Ⅳ（１８３）

○七瀬留美　Ⅳ（１４３～１４７）

79 ：まとめ５：02/12/04 16:56 ID:btTy+DhO

時間表と現在地

○雨前チーム
　緒方英二他（地下室）　犬飼俊伐他（本州某所）　ラミア（地下室）

○雨中チーム
　石原麗子他（倉庫）　氷上シュン他（休憩所）　霧島聖（不明）
　鹿沼葉子他（飛行場）　セバスチャン（不明）　長瀬主任他（ホテル）
　セリオ（ホテル）　高槻他（ホテル）　天沢郁美他（ホテル）　沢渡真琴（川の中）
　長瀬刑事（ホテル）　少年（ホテル）

○２日目雨後チーム
　牧部なつみ（不明）　坂神蝉丸他（小高い丘の上の施設）
　水瀬秋子他（舗装されてない道）

○２日目朝チーム
　柏木楓（第一コントロールベース）　月島瑠璃子他（第一コントロールベース）
　藤田浩之他（武器博物館）　九品仏大志他（トレント）　高瀬瑞希他（洞窟）
　矢島他（ワクチンのある研究所）　里村茜（ワクチンのある研究所）
　保科智子他（病院）　御堂他（森の中）久瀬秀一他（不明）
　柏木千鶴他（森の中）　藤井冬弥他（島のはずれの高原に建つ屋敷）
　アレイ他（高原に立つ屋敷の近く）　ルミラ（どこかの部屋）
　川名みさき他（トレント）　光岡（破壊された小屋）　リアン（不明）
　国崎往人他（海岸）　立川雄三（湖）　折原浩平他（コロシアム）

○２日目昼チーム
　佐藤雅史他（不明）　ヨゼフ（エルフの住家）

80 ：まとめ６：02/12/04 16:57 ID:btTy+DhO

○３日目朝チーム
　清水なつき（自宅）　安全保障理事会職員等（踏切）

○不明
　メイフィア（コロシアム）　河原崎（不明）　天界の一角（不明）
　ユンナ（不明）　朝鮮製（第一コントロールベース）
　七瀬留美（額縁の中）

○確認されている場所
　ホテル　　竜の巣　　武器博物館　　売店　　白い壁　　休憩所（多数）　　病院（医務室）
　島のはずれの高原に建つ屋敷　　　　恐竜公園　　公衆便所　　管理センター　港
　人形のいた建物　　本州某所　　国分寺駅　　みやげ屋　　コロシアム
　海岸（人魚のいる）　　生物と古美術の資料館　　スライムの池　　妖精達の森
　大蛇の棲む沼　　西洋怪物館　　Ｔ－ＲＥＸゾーン　　古代生物園　　トレント
　古代動物の檻　　地下室　　廃屋　　湖　　洞窟人魚の園　　見えざる塔
　飛行場(ヘリポート）　　ワクチンのある研究所　小高い丘の上の施設
　鍾乳洞　　倉庫（ガレージ、物置）　　モニター室（神の玉座）　　サービスセンター
　総括管理室（コントロールタワーまたは第一コントロールベース）←地下にある
　倉庫（サトリのいた）　　ルミラがいる部屋
　武器倉庫（大半がモンスターの大移動によって使い物にならない）

81 ：まとめ７：02/12/04 16:58 ID:btTy+DhO

怪我、病気＆持ち物

○緒方英二　他
　レミィ：弓矢、ＭＯディスク

○石原麗子　他
　ジープ、手斧、電動釘打ち機、マチェット、　麗子：ショットガン
　結花：ショットガン（弾なし）
　あさひ：左腕ちぎられる

○氷上シュン　他
　氷上：サバイバルナイフ　食料、　コリン：ダウジングペン（石）、ノート、インク、自作地図
　便利リュック　　美汐：タオル、生徒手帳　　エビル：死神の鎌
　美汐：足に怪我（重い打撲。最悪骨折）

○霧島聖
　聖：メス
　聖：全身煤だらけ＆髪ちぢれ？、首に傷

○セバスチャン
　セバス：武器、治療品
　セバス：足に怪我＋何かしらの怪我

○長瀬主任　他
　さまざまな武器を所持、ジープ、銃器、　橘：銃　　長瀬主任：ホテルの地図

○セリオ
　セリオ：右目損傷、右腕切られる

○高槻　他
　高槻：銃、トランシーバー、ホテルの地図
　佳乃：全身煤だらけ、髪ちぢれ？、切り裂かれる（命に別状なし）、出血

82 ：まとめ８：02/12/04 16:59 ID:btTy+DhO

○天沢郁美他
　天沢：背中に裂傷、右足負傷（骨が見えている）、右肩脱臼

○沢渡真琴
　真琴：ハンカチ(血がついている）

○長瀬刑事
　長瀬刑事：ニューナンブ、コルトガバメント、手榴弾１個

○少年
　少年：トランシーバー
　少年：深手

○坂神蝉丸　他
　パソコン、栞：ハンカチ（血がついている）、パンフ、常備薬　蝉丸：Ｈ＆Ｋ　ＵＳＰ
　柳川：右肩負傷（問題なく動かせる)　　蝉丸：怪我＋かすり傷　　郁美：意識不明
　栞：左半身損失

○水瀬秋子　他
　ジープ

○柏木楓
　楓：パンフ
　楓：右腕負傷、出血多量

○月島瑠璃子　他
　マナ：ハンディープレイヤー、数日分の下着、小さなカバン２つ、大きなカバン、ポッキー
　瑠璃子：頬に切り傷(血が滲む）

83 ：まとめ９：02/12/04 17:02 ID:btTy+DhO

○藤田浩之　他
　ティリア：フィルスソード、エチュードストーン、他
　エリア：ウイングスタッフ、魔法のサークレット、ネイクリアスローブ、他
　浩之：クロスボウ、パンフ（地図つき）　沙織：モーニングスター　、（ＬＦ９７の）写真
　食料等（紅茶、麦茶、乾パン、砂糖、食器、こんぺいとう、コーヒー、たばこ、他）
　祐介：パンフ、小ぶりのナイフ　ウィル：マルボロライトメンソール、セーラムピアニッシモ
　クール、ライター
　沙織：ショートヘア　　浩之：両腕負傷(傷は深くない)　　祐介：側頭部軽傷（浩之にやられ）
　ウィル：電車に轢かれるほどの怪我→目立つ傷は治してもらった

○九品仏大志　他
　舞：剣　　みちる：リボン
　みちる：頬に深い傷、美凪と魂融合

○高瀬瑞希　他
　詠美：ハリセン　南：ハンカチ

○矢島　他
　矢島：コンバットナイフ、デザートイグル、シルバージッポ
　矢島：重傷＋烏により少し傷　　香奈子：狂気に墜ちる、腕に傷

○里村茜
　里村：３つの薬品
○保科智子　他
　ジープ×２　澪：スケッチブック、何か書くもの、　あゆ：帽子　　瑞穂：包帯　　
　保科：レーダー、アレイの名刺　晴子：パンフ、澪のバッグ（銃、ナイフ、地図→
　スタングレネード＜閃光手榴弾＞）
　良祐：右肩裂傷、昏睡　　
　子ドラゴン：傷だらけ（流血）＋烏により傷口開く　　きよみ（白）：烏に抉られ流血、気絶
　あゆ：首筋に２つの傷跡　瑞穂：首筋に２つの傷跡

84 ：まとめ１０：02/12/04 17:02 ID:btTy+DhO

○御堂　他
　食料（乾パン、干し肉、カップ麺、コンビーフ、さんまの缶詰、ビスケット、他）
　御堂：ライフル、手榴弾、おこめ券？　　初音：雨合羽　　チラシ（大雑把な地図がついてる）
　志保：全身煤だらけ、髪ちぢれ？、首から背中にかけて負傷、ティーレに指をかまれる
　御堂：両足砕ける→歩けるようになる、出血　　すばる：左手負傷
　岩切：ウエストが細くなるほど締めつけられる、仙命樹増える

○久瀬秀一　他
　食料、武器(銃、ナイフ）　久瀬：アサルトライフルＭ１６、ベレッタＭ８０００超先生ライター→
　スタングレネード（閃光手榴弾）、救急セット（消毒、包帯）、武器の説明書
　北川：ＳＰＡＳ１２（散弾銃）、コルトガバメントＭ１９１１Ａ１　
　祐一：ライター、たばこ、グロック１７　　　島の地図
　久瀬：腹部軽傷＋左腹部刺し傷　祐一：足に負傷（深手）→処置

○柏木千鶴　他
　千鶴：手を負傷(血がふきだす)　梓：人魚の肉を食べる、精神を侵蝕される、弱点は光、意識戻らず

○アレイ　他
　アレイ：アクリルの鎧・盾、巨大クレイモア
　アレイ：片目つぶれる、死霊化

○ルミラ
　ルミラ：装置に繋がれていて身動きが取れない

○川名みさき　他
　美咲：布
　座敷童：足負傷

○光岡
　光岡：跋扈の剣、わずかな武器
　光岡：生死不明

85 ：まとめ１１：02/12/04 17:03 ID:btTy+DhO

○リアン
　リアン：銃
　リアン：気絶、眼鏡をしていない

○国崎往人　他
　往人：ハンカチ、リボルバーＳ＆ＷＭ８６、サバイバル用具一式、河田のＩＤカード、地図
　千紗：財布？
　往人：一度法力を使い果たしている

○折原浩平　他
　浩平：銃
　浩平：重傷

○佐藤雅史　他
　雅史：全身煤だらけ、髪ちぢれ？

○安全保障理事会職員等
　高圧電流が流れる

○メイフィア
　メイフィア：七瀬の肉体を借りている：

○河原崎
　河原崎の夫：倒れる

○朝鮮製
　メイドロボ（ダミー人格データの実験により何らかの影響あり）→
　残り２体or１４体→一体破壊される

86 ：まとめ１２：02/12/04 17:04 ID:btTy+DhO

○七瀬留美
　七瀬：額縁の中

○死者
　スフィー　　超先生　　しのさいか　　砧夕霧　　森川由綺
　猪名川由宇　　柏木耕一緒方里奈　　深山雪見
　三井寺月代　　芳賀玲子　　高倉みどり
　シンディ宮内　　坂下好恵　　宮田健太郎
　河田スタッフ　　遠野美凪　　椎名繭
　名倉由衣　　巳間晴香　　　広瀬真希
　河島はるか　　来栖川綾香　　姫川琴音　　長谷部彩
　サラ　　フランソワーズ　高橋スタッフ　陣内スタッフ
　はるか：リュック（コーヒー牛乳、ハーシーズのチョコ、包帯、
　　　　ペットボトルの入りの飲み物→飲料水等）

　彩：パンフ（地図つき）

　サラ：オーラウィップ、他

※怪我に関しては治ったという描写がない限り継続してるものだと考えています。
　重傷なのにぴんぴんしてる奴もいるし、仙命樹や鬼なんかはどこまで回復してるのか
　わからないのであくまで参考です。

87 ：まとめ１３：02/12/04 17:06 ID:btTy+DhO

参考に…

　○島には結界が張られており、進入は簡単だが、脱出は難しい
　○夜明け前近くに雨が止むので、雨中チームでも２日目はいる可能性あり
　○雨は夕暮れ近くに降り始める（予想）
　○ジープは屋根なしと屋根ありがある
　○朝鮮製が通信機器に細工をする
　○武器セキュリティー解除
　○モンスター制御装置解除
　○全防犯システム解除
　○セバスのいる建物のセキュリティーシステム全部解除
　○セバス、制御室周辺の防犯システムを完全破壊
　○島の場所は南国
　○御堂達のジープ（転倒。食料、武器の入っているリュックあり）
　○冬弥達のジープ
　○なつみたちのジープ（路肩はまっている）
　○高槻のジープ（その場で暴走）
　○本州の季節は夏
　○本州では学校がある
　○このテーマパークでは、モンスターが５つに分類されている
　　①　魔術によって召喚された下級のモンスター達で、妖精やスライム等がそれに当たる
　　②　①よりも上級で人間並の知能を持ち、何らかの形で無理やり働かされているメンバー
　　③　魔術と科学を融合させて作ったもの達で、グリフォンやキマイラ等がそれに当たる
　　④　純粋に科学によって作られたモンスター…と言うより動物達
　　⑤　モンスター管理・監視用のロボット
　○島の滞在期間は３泊（参照２６話）ｏｒ２週間（参照１３９話）
　※最高滞在期間が２週間であり、途中で島から抜け出していいとという可能性もある
　　その場合は個人で滞在期間が異なる

88 ：まかろー：02/12/04 17:12 ID:btTy+DhO

今回は前と違いゆっくりやったのでより完璧だと思います。
それでもミスがあると思いますので、ミスがある場合は指摘よろしくお願いします。
ちなみにこのまとめはハカサバ５日目の552スレまでまとめてあります

89 ：まかろー：02/12/04 17:15 ID:btTy+DhO

「参考に…」につけたしで
ジープは放置されていて、なおそれでも使えるジープをまとめました。

90 ：名無しさんだよもん：02/12/04 17:22 ID:oS37ibkK

すげー長いな……
まかろー氏お疲れ様。

91 ：名無しさんだよもん：02/12/04 18:56 ID:/3fD9WTz

目標の１００人切った？

92 ：名無しさんだよもん：02/12/04 22:40 ID:UgXfNO14

生存者９９人のはず。
やっと二桁ｗ

93 ：名無しさんだよもん：02/12/05 03:23 ID:2ZtaNOe/

あくまで今の時点で編集にあがってる話で、DAT落ち中の部分も入れたらもっと死者多いかな？
……それともキャラが増えてる可能性もあるってのが凹むんだがな。

94 ：雅也 ◆Njc4/uXbuU ：02/12/05 03:25 ID:C8l3cxpV

俺はスコールよりかっこいい中３なんだけど、
うちの学校にすげーユウナに似てる女子がいるんだ。
うらやましいだろ？
http://game2.2ch.net/test/read.cgi/ff/1037430276/l50

95 ：名無しさんだよもん：02/12/05 04:07 ID:au969AAr

メンテ要るかな。
と、まかろーさん乙。

96 ：名無しさんだよもん：02/12/05 16:51 ID:ysaPH6DQ

メ

97 ：名無しさんだよもん：02/12/05 20:43 ID:D/dnMZZ1

ここはまだ無事。

98 ：名無しさんだよもん：02/12/05 22:57 ID:iAjfWsNo

で、龍は通すの？

99 ：名無しさんだよもん：02/12/05 23:13 ID:2ZtaNOe/

竜はともかく、それが人間化（＝うたわれキャラ、らしい。やったことないのでよくわからん）は漏れてきには却下したいところだ。
いいかげん、後から文句言うくらいなら強気にNG唱え出してもいい気がするんだがな。

100 ：名無しさんだよもん：02/12/06 02:18 ID:MvKtg0C1

しかしそれをやると、ただでさえ少ない投稿を潰す罠。
ＮＧは出切る限り無し、は厳守したいが。

101 ：名無しさんだよもん：02/12/06 03:12 ID:hLtC+EFp

とは言っても、結局それで「話がでかすぎる」「キャラおいてけぼり」「減るどころかキャラ増えすぎ」と、
あとになってから色々言われてるわけだからなぁ。
確かにNGは出したくはないけど、そういう問題を孕んだ作品はあまり通して欲しくないという思いもある。

ど　う　す　れ　ば　い　い　ん　だ

102 ：名無しさんだよもん：02/12/06 14:07 ID:/wc2sgf2

キャラじゃなく作品で歯止めをかけたらどうだろう。
はじめに紹介された作品以外のキャラは出さないとか

103 ：名無しさんだよもん：02/12/06 15:34 ID:fa4yrgGB

作品か……。しかし、

妖狐、サトリ、ラミア、座敷童やエルフの娘さん(名前わすれた)、etc…

と、どの作品にも属さないいわゆるオリジナルキャラがかなり増えてきてるのはどうしたもんだろう。
トレント程度の登場頻度ならともかく、キャラに同行したり、独自でチームを組んだりしてるのはもはや一人前の追加登場人物だと思う。
今回のディーにしても、仮にうたわれとは無関係としたところで、キャラがまた増えたことには変わり無い。

そりゃ話の内容を考えれば知能をもつモンスターが出るのはしかたないが……。
どうしたもんだろうな。

104 ：名無しさんだよもん：02/12/06 21:58 ID:hLtC+EFp

たしかに、追加登場人物を含めれば100人切ったどころか、増えてたりするかもな。

105 ：名無しさんだよもん：02/12/07 00:55 ID:IKtDBCn8

流し読みして確認してみたが「人間なみの知能を持った」モンスターをキャラカウントすると
妖狐、サトリ、ラミア、座敷童、ソフィア、吸血鬼、あと微妙だけど天界の刺客と……

まあ、先は長いってこった……漏れも頑張る、漏前らもがんばってくれ……

106 ：名無しさんだよもん：02/12/07 17:31 ID:uNRcGR5c

で、話はまた嫌な方向に戻ってしまうんだが。
龍出現までは全通しでＦＡだよな？
それで、ディーの人間化がマズそうな雰囲気を漂わせてるけど
ＮＧを出さない方針により、これも通しになりそうだが、異存は無いだろうか？

107 ：名無しさんだよもん：02/12/07 20:56 ID:M7iqgkbZ

というか、ＮＧを出さない方針があるなら書き手が自分からNG発言しないかぎり何書いても通しってわけだし。
異義もなにも……。

108 ：名無しさんだよもん：02/12/07 21:23 ID:IX1n5TGh

判断の足しになるかどうか判らないが、これだけは言っておこう。

　ハ　　ク　　オ　　ロ　　は　　N　　G　　に　　な　　っ　　た　　よ

109 ：名無しさんだよもん：02/12/07 22:38 ID:LxADawmN

というか、うたわれキャラは出さないはずだったんじゃあ？

110 ：名無しさんだよもん：02/12/07 23:07 ID:M7iqgkbZ

うたわれキャラって部分も問題なんだけど、
ただでさえキャラが増えてるのにこれまた人間化してキャラ増やしてどうする、っていう方が問題かと。
いや、どっちも問題か……。

111 ：名無しさんだよもん：02/12/07 23:09 ID:BYcvqTzy

あえて本体でなく人間体出す意味がわからん

本体だけなら設定から外れず収束に持ってけるっつ意味では良いけど
人間体にしてしかも名前をハクオロの時と同じことがおこりかねないディーってのはな

まだまだ現状でなんとかする余地があるんだし
これ以上話を広げてもしょうがないしNGのがいいんじゃないか。

112 ：名無しさんだよもん：02/12/07 23:59 ID:uNRcGR5c

ＮＧ境界線が曖昧な以上、作者さんの判断を待つしかないのかな。
現実問題、作者が通したいという意を表明したらＮＧにならなさそうだし。

ただ、大変心苦しいのですが
判断材料として俺もＮＧに１票とだけ。

113 ：件の作者：02/12/08 01:56 ID:s0DwsUt7

はてさて皆様、意見は出尽くしましたでしょうか。
少々私としましても述べたい部分があるのですが、残念ながら只今出先で、端末は携帯のみ。帰るのは明日の夜になると思われます。
そこで一つお願いがあるのですが、どなたかお暇な方、NGを推す理由を箇条書きか何かにまとめておいていただけませんでしょうか？

私の意見は明日帰り次第、述べさせていただきたいと思います。

114 ：名無しさんだよもん：02/12/08 02:20 ID:sTQ7LlwC

晒し上げ

115 ：名無しさんだよもん：02/12/08 02:35 ID:KvM++30w

まとめ能力のない私は、こうするしかできません。

<<ハクオロがNGになったから>>

みなさんも保全カキコ代わりにNG理由とか通しでいいじゃんとか投票しませんか？

116 ：名無しさんだよもん：02/12/08 02:47 ID:rv/e+cTA

作者さん来られましたか。
何だか大変な事になっていますが頑張ってください。
で、少しまとめて見ます。

・キャラクター過多の現状で、さらに人間系キャラを増やすのはいただけない。
・話が複雑化（大きすぎ・置いてけぼり）するかもしれないリスクを背負ってまで、人間化する必要があるのだろうか。
・名前の酷似性から『うたわれるもの』のディーが連想される。
　（これは前話までの設定が忠実にリレーされた事によるもので
　　あなたの責任で無いのは承知しているが、かなりの人間が問題と感じている模様）
・上に関連して、『うたわれるもの』のディーだとすると話のバランスを明らかに崩すほどの力・影響力を持ちそうである。
・同上、『うたわれるもの』は世界観が他作品と馴染まない為か、本作では使用は見合わされている。
　（これについてはあまり詳しく無い。間違ってたらスマン。　事例としてはハクオロがＮＧ）

取りあえず叩き台。
間違ってたり、足りない所があったら訂正よろ。
文章も洗練してくれると助かる。

>>115
投票にするのはどうかと思う。
通し・ＮＧな理由を書くのは凄く良いと思うけど。

117 ：名無しさんだよもん：02/12/08 05:27 ID:tDmFDM0K

今回の件を通しちゃうとうたわれキャラが後々出現しそうだ。
サバイバルがどんどん死んでいく状況で新キャラを増やすなら
それはそれでいいけど。
死なず増える一方はいただけない。

118 ：名無しさんだよもん：02/12/08 22:47 ID:c79bhoAr

とりあえず、この「ディー」はそもそも、登場時の段階でイロイロ揉めてたわけだしなぁ。
それを更に……となると、こういう議論になることは予想出来たような気もしないでもないんだが。

119 ：名無しさんだよもん：02/12/08 23:05 ID:WnzZ59Wb

なし崩し的に通すのはｲｸﾅｲという見本だな。
そもそも竜の時点で一考の必要があったんだよなぁ。

120 ：玉座を書いたんだよもん ◆GNlrJ2pZUs ：02/12/08 23:53 ID:n2mR/Pkk

>>116に対する意見を只今まとめております。
ここで注意があるのですが、私の意見はひょっとすると後の書き手の方々の想像力を狭める内容が混ざっているやもしれません。
場合によってはここではなく、リレー総合の方にでも投下しようかと考えておりますが……いかがしましょう？

121 ：玉座を書いたんだよもん ◆GNlrJ2pZUs ：02/12/09 00:29 ID:PL8CwLZM

んん……悲しいナァ、誰も答えてくれない。
じゃ、先に前提を述べておきましょか……

別に私としても、意思に齧りついてでも通せなどとは言いません。
しかしかと言って、

『NGにしろ』
『そうですか、わかりました』

といとも簡単に自分の作品を捨てれるほど人間出来ておりません。
ま……意見交換の上決めましょか、ということで……

122 ：名無しさんだよもん：02/12/09 01:02 ID:/TgECPj1

どっちでも構わないが……総合の方はあんまり人いないから、こっちでいいんじゃない？

123 ：玉座を書いたんだよもん ◆GNlrJ2pZUs ：02/12/09 01:31 ID:PL8CwLZM

　始めに。『ハクオロがNGだから今回もNG』という意見がありますが、私的にゃ『だからどうした？』と返したいところがあります。
　前がそうだったから今回もこうすべきという前例主義に凝り固まった意見はどうかと思うので。
　しかしそうも言ってられないので、前回ハクオロがNGになった根拠を調べてみようかと思いました……が……過去ログが見当たりませんでした。
　すみません。
（私はログの編集してある分はRTO氏のサイトで読みました）
　もしルールの中に『うたわれと取られかねないキャラは無条件に禁止』という項目があるとしたら問答無用でNGになりますが、確認が取れなかったので
　以下その可能性は意図的に排除して述べようかと思います。

・本作では『うたわれるもの』キャラの使用は見合わせてある。
・上記に関連して、彼が『ディー』だとすると話のバランスを明らかに崩すほどの力・影響力をもちかねない。
・名前の酷似性から『うたわれるもの』のディーが連想される。

　連想するな。……てなわけにもいきませんな。
　これら問いに答える前に一つ。
『キャラクター』とはなんでしょうか？
　彼が彼であるだけで『キャラクター』たりうるか？　答えは否ではないかと思います。
　彼は彼であると同時に彼の元となったゲームの世界・他キャラクターとの絆、それらを背負った上での彼ではないかと。
（特に、クロスオーバー式のSSの場合は）

124 ：玉座を書いたんだよもん ◆GNlrJ2pZUs ：02/12/09 01:34 ID:PL8CwLZM

　わかりにくいですな……では国崎往人を例にとってみましょう。
　例えば……本作において、導入部の描写を見る限り彼はある程度AIR本編が進んだ時点の国崎往人でしょう。つまりは、今の国崎往人は『AIR』において、神尾家に居候し、
　神尾母子との関係を持った（あるいは数多くの二次創作における全員と関係を持った）国崎往人』と言い換えることができ、仮に今回参加している国崎が
『あの海辺の街に訪れる前の、観鈴と出会う前のただの旅芸人であったころの国崎往人』であったとしたら、それは『国崎往人』ではあっても『国崎往人（AIR）』ではないでしょう。
（彼は海辺の街という世界も、そこに暮らす人々との絆のいずれも持ち合わせていないため）
　つまり、私が何を言いたいのかと申しますと、今回のディーが『ディー（うたわれるもの）』であるか否か。それは大した問題ではないのではないか、ということです。

　上げられた問題点によると、問題なのは主な葉鍵ゲームが現代日本を舞台にし、解釈の仕方によっては多くの世界観が同居できる反面、ある種ファンタジーな世界が
　舞台となる『うたわれるもの』世界はここに同居できないということでしょうか。
　それは確かにそうでしょう。ここにトゥスクルの面々がいきなり介入するとしたら、それはあまりにも突拍子が無さすぎます。
　ですが、ここにおける『ディー』は一切そういった背景世界は背負っておらず、ただの『竜王の分身・ディー』でしかありません。
　確かに私も人間ディーを書く際、『うたわれるもの』のディーをイメージとして書きました。ですが、それはただのオリキャラを描くよりは書く方としても、
　また、読む側としてもキャラクターとしてのイメージを掴みやすいかと考えてのことです。
（具体的に言えば、喋り方や私の脳内における『ディー』の容姿、あたりでしょうか）
　実際、最も重要になると思われる『強さ』は『竜王本体＞ディー』としか設定されないよう書いたつもりですが。
『＞』の部分が実際どれほどかは後の書き手に任せるという形で。

125 ：玉座を書いたんだよもん ◆GNlrJ2pZUs ：02/12/09 01:35 ID:PL8CwLZM

　まぁ長々と私の脳内妄想を垂れ流してしまいましたが、要約すると

★このディーが『ディー（うたわれるもの）』となるか『ディー（オリジナルキャラクター）』となるかは後の書き手による。

　てなところでしょうか。
　というか、『竜→ドラゴン→Dragon→Project "D"→「ディー」』ってのは嫌らしいですねぇ（w

・キャラクター過多の状態で、さらに人間系キャラを増やすのはいただけない。
・話が複雑化（大きすぎ・置いてけぼり）するかもしれないリスクを背負ってまで、人間化する必要があるのだろうか。

　はいはい、確かにそうですね。そこかしこで問題になっていますが、この作品の進展を遅くしている要因の一つに『あまりに生存数が多いこと』がありますね。
　それはわかっております。
　ですが、２つ目の話の複雑化に関して。私は、ディーの人間化はここに対する解決策になるのではないかと思って書きました。
（要するに、私の脳内で前者と後者を天秤にかけ、後者側に傾いたわけです）
　ええと……過去の話を見るに、この島の『天界』『冥界』、さらには強烈なモンスターをいとも簡単に作りだし、しかも十数体も自身を存在させている『完全無欠な朝鮮製』といった
　あまりにも強烈な存在に対し、参加者側には戦略上有用と思われるカードがあまりも少なすぎます。
　ですが、ここに竜王を上手く絡めれれば主催者側と参加者側の大きな溝を埋められるのではないか？　と私は考えました。
　しかし、ただ単に竜王に暴れられるだけだと面白味がありませんし、かといって竜王が何かしらのロジックを持った行動を取るには根拠が薄すぎます（産まれたばっからしいですから）
　さらに、今竜王を動かして島に上陸させる話の収集がつかなくなる可能性が高いです。
　故に、外界との窓口として『人間・ディー』という存在を作りました。
　そうすれば、行動指針の理由付けもし易くなるのではないか……と。
（細かいことに言及すると私的な構想まで垂れ流すことになりますので、この程度に）

126 ：玉座を書いたんだよもん ◆GNlrJ2pZUs ：02/12/09 01:37 ID:PL8CwLZM

　そうですね。通しか否かの判断は他の書き手さんが『こんなモン書けるか（ﾟдﾟ)ｺﾞﾙｧ!』と匙を投げるようでしたら
　残念ですがお蔵入りにするしかないかなとか思っております。

　それと別にNG食らったって尻込みはしませんぜ。

　最後に。

『最強の力（かもしれない）と最弱の自我が同居した存在……面白そうだとは思わないか？』

　乱文失礼。

127 ：名無しさんだよもん：02/12/09 01:40 ID:zKhufbZN

晒し上げ

128 ：名無しさんだよもん：02/12/09 01:43 ID:VkMrykxA

◆http://yahooo.s2.x-beat.com/linkvp/linkvp.html◆

129 ：名無しさんだよもん：02/12/09 01:53 ID:rZsa8wg4

＞そうですね。通しか否かの判断は他の書き手さんが『こんなモン書けるか（ﾟдﾟ)ｺﾞﾙｧ!』と匙を投げるようでしたら
なにか癇に障る物言いだと思ったら……あなた、他の書き手さんバカにしてない？

130 ：名無しさんだよもん：02/12/09 01:57 ID:4pY+d2aE

＞『最強の力（かもしれない）と最弱の自我が同居した存在……面白そうだとは思わないか？』

ここまで酔っ払われるとむしろ清々しい…わきゃねぇかｗ

131 ：玉座を書いたんだよもん ◆GNlrJ2pZUs ：02/12/09 01:58 ID:PL8CwLZM

少々堅苦しい文面が続いたんで最後はちっと２ｃｈ的にしてみたのですが……
癪に障ったのなら申し訳ない。

『他の書き手さんの意見に任せる』

とでも読み替えてほしい。

132 ：名無しさんだよもん：02/12/09 02:17 ID:OYhO0Q9T

ディーが誰にもあわない、放置されたままでこの物語が終了する確率ってあります？

133 ：名無しさんだよもん：02/12/09 02:32 ID:gpbtlr53

件のハクオロはＤＡＴ落ち中の５日目だね。
以下少し長いけど当時のスレ内容。

174 名前：凍れる男投稿日：02/09/09 02:20 ID:mvf8BgzA
数年前、行方不明になっていた考古学者と思われる
仮面をつけた男が某遺跡において日本人調査団によって発見された。

不思議な事に同行していたと白人と思われる遺体は既に腐敗していたのに対し
男の体はまるで凍結保存されているかのように原型を留めており微弱ながら生命反応も存在した。

日本政府はこの事実を公表せずこの奇怪な現象を解明すべく男の肉体をあらゆる角度から研究た。
その結果遺伝子配列が常人とは全く違っている事までは発覚したが
それ以上は現代の科学力では手におえぬと言う事で研究は凍結した。
男の肉体は現在都内某所の施設内に保存されている。

事になっていた。

だが現実には当時研究員の一人であり最終輸送を行った超先生が摩り替えて
現在モンスターパーク地下研究施設の一室に保存されている。

その男がこの島内の未曾有の混乱の中覚醒しようとしていた。

【仮面の男　覚醒】
【人格が考古学者のものであるかは次の書き手に委任】

175 名前：ななしれるもの投稿日：02/09/09 02:31 ID:mvf8BgzA
　まともにやったら絶対誰も出れない作品から一人引っ張り出してみました。

　あの主人公と同様の人格を持つと見なして扱っても
　あのボスと同様ジョーカーとして敵味方問わず使うのもよしかと。

134 ：名無しさんだよもん：02/12/09 02:34 ID:gpbtlr53

176 名前：名無しさんだよもん投稿日：02/09/09 03:16 ID:6EC5dhXf
＞凍れる男
うたわれキャラなのか？
正直、うたわれ知らないから何とも言えない。
っていうか、本音を言えば、これ以上無意味に葉鍵ゲーキャラを増やさないでほしかったんだが……。

177 名前：名無しさんだよもん投稿日：02/09/09 04:12 ID:uvy+wXPy
＞凍れる男

えーと……ハクオロ出すの？
現状でも終わりが見えないのにキャラ増やすのはどうかと。
それにその書き方だと「お前そのキャラ出したいだけちゃうんか？」と問い詰めたい。
つまらないとかそういう以前にやめてくれ

178 名前：ななしれるもの投稿日：02/09/09 05:52 ID:vO6QKYrA
ならいいですよ。取り消します。

179 名前：名無しさんだよもん投稿日：02/09/09 07:24 ID:S2c/OBHI
まぁ、せっかく書いてくれた氏には申し訳ないがタイミングが悪かったとしか言いようが無いな。

180 名前：ななしれるもの投稿日：02/09/09 07:31 ID:vO6QKYrA
>>179
自分でもそう思います。
ますます書き手が減ってきてるから
一石を投じてみようかと思って書いてみたのですが。
何か別なの考えてみます。

181 名前：名無しさんだよもん投稿日：02/09/09 11:12 ID:QObVXTRP
一石を投じる方向を間違えたんだな（w
話を広げるよりも、今は話をまとめる方向の一石が欲しかった……。
まあ、今後もがんばてくだちい。

135 ：玉座を書いたんだよもん ◆GNlrJ2pZUs ：02/12/09 02:56 ID:JjgEVKBd

>>130
　これは失礼。
　この言葉と性格は性分なもので。生暖かく見守ってほしいところです。

>>132
　そんなことになるくらいならここでバッサリNGにすることを望みます。
　私自身としても。

>>133-134
　サルベージありがとうございます。
　…………。

＞180 名前：ななしれるもの投稿日：02/09/09 07:31 ID:vO6QKYrA
＞>>179
＞自分でもそう思います。
＞ますます書き手が減ってきてるから
＞一石を投じてみようかと思って書いてみたのですが。
＞何か別なの考えてみます。

　ははははは！　似たようなこと考える奴はいるものですね。
　…………って笑ってる場合じゃないか。
　一晩頭冷やして考えてみることとします。

136 ：名無しさんだよもん：02/12/09 03:06 ID:3bQJaWq7

それがいい。
あんた自分に酔ってるように見えるからな。

その後にまた批判なり同意なりするから。

137 ：名無しさんだよもん：02/12/09 03:15 ID:gpbtlr53

で、何か読んだ感じでは世界観が云々とかより
純粋に、キャラを増やすな・話を広げるな、の方向の様です。
まあ、あくまで前例だからあんまり関係無いかもしれないけど。

＞玉座さん
『キャラクター』についてなんですが、ディーが出て来るのも問題でしょうけど、
正確にはディーですらない半オリキャラが、重要人物として出て来るのも問題かと。
葉鍵キャラ以外にあまりに重要な役を振ると、どうしても反感は出るものだと思います。
かと言って、まんまディーにしてもＮＧ言われるのが、今回の面倒な所だとは思いますが。

あとは個人的な意見で、主催者側と参加者側の溝ですが
確かに埋めなきゃマズイのかもしれません。
ですが、その為にバランスを崩しかねない新要素を投入して
一度に挽回しようとするのはどうかと思います。
今回のギャラリーの反応を見るに、既存のキャラを上手く立ち回らせる等の方法で
話を繋げて行くのが好まれているのではないでしょうか。
例えば、龍の方のディーが出てきた時点なら、投入ではなく配置といった感じだったので
キャラ主導になり、まだ受け入れられたのかもしれません。
そもそも、溝が深くなってしまったのも色々と新しい勢力を追加していったのが原因ですし。

って書いてたら今更なレスになってしまった。

138 ：名無しさんだよもん：02/12/09 03:33 ID:wfnWncfs

>>玉座を書いた～
いろいろと説明ありがとうございます。
説明を聞けばこれもありかなと思うところはあります。
しかし、今の一番の問題点は人数が多すぎるという点だと思います。
複雑化に傾いたとありましたが、大半の人が「それよりも多人数のほうが深刻だよ」と
意見した場合は考えくれるですか？そこのところが気になりました。

それと質問なんですが、『最強の力（かもしれない）と～』という言葉ですが、
あきらかに竜王の分身ディーがこの件に関してキーポイントとなるといったいい方ですよね。
例えば、このディーが序盤で死んだとしましょう（最強だけどとりあえず死んだとして）。
あなたはこれもまたリレー小説の面白さとして納得できますか？
できないのだったら、この作品はＮＧにしたほうがいいと思います。
俺としては先の見える話のほうが逆につまらなく、
今だって脱出に関するいくつかの伏線があり、その中のいったい何が正しい方法なのか？（あるいは全滅）
その先が知りたくて読んでいるのに、ディーで解決となったらはっきり言ってさめる。
ディーを一つ方法としてみるならいいかもしれないけど、
さっきも言ったように必要不可欠のキーポイントとしてとらえてるのなら、
結局、ディー殺しもＮＧとなってつまらないものとなる

139 ：138：02/12/09 03:38 ID:wfnWncfs

解決しかかてるのに意見してｽﾏｿ。
いろいろ考えながら書いてたから遅れしまった

140 ：孫悟空 ◆yGAhoNiShI ：02/12/09 16:07 ID:46jvaZJK

141 ：孫悟空 ◆yGAhoNiShI ：02/12/09 16:50 ID:46jvaZJK

142 ：玉座を書いたんだよもん ◆GNlrJ2pZUs ：02/12/09 16:58 ID:nvANo75y

　むぅ……色々考えてはみたのですが

＞今回のギャラリーの反応を見るに、既存のキャラを上手く立ち回らせる等の方法で
＞話を繋げて行くのが好まれているのではないでしょうか。

　と言われてしまうと要はどちらに重点を置くかという事になってしまうわけで……

　そういうことで

143 ：裸の王様：02/12/09 16:59 ID:nvANo75y

　闇の中、『ディー』は目を覚ました。あっけない位に、彼の脳は覚醒を果たした。
　それは彼の『誕生』だった。
　ゴポ……
　羊水の中、鎌首をもたげる。
　始めに彼が行ったのは『探索』、現在の自分が置かれた状況を知ることだった。
　
　呪われた生ゆえに。
　
　驚異的に発達させられた五感により、それ自体は問題なく終わった。
　……そう。状況の把握は完了した。だが、『己の把握』をすることができなかった。
　外は知ることはできても、内を知ることができない。
　
（私は誰だ？）

　悲しきかな。あるいは彼が完璧なる『我』を与えられいたのなら。
　悲しきかな。あるいは彼が己の本能のままに生きる『獣』だったのなら。
　悲しきかな。あるいは―――彼が―――生まれなければ。
　
　こんなに悲しい気持ちにはならなかったのに。
　
　歪んだ知性は彼を苦しめた。
（誰だ。私は誰だ。なぜ生まれた。なぜ存在する）
　生を呪い知を呪い世を呪う。
（なぜだ。なぜこんなに苦しいんだ。なぜこんなに……悲しいんだ）
　やがて堰が切れたように……彼は……泣いた。

「オオオ………オオオ………」

144 ：裸の王様：02/12/09 17:00 ID:nvANo75y

　全知全能の竜が泣く。仄暗い海の底、ただ声を上げて泣く。
　それはぶ厚い海水を抜け、島に響き渡った。
「………これは！？」
　だがそれに気づく者は少ない。
　
　なぜならそれは産声という名前の呼び声だからだ。
　
　幼子は泣く。母を求め。己を己たらしめる母を求め。
　ただ、泣く。
　
　祝福された生ゆえに。
　
【竜王ディー　産声を上げる】
【島の上の全員に聞こえるわけではない】

145 ：玉座を書いたんだよもん ◆GNlrJ2pZUs ：02/12/09 17:01 ID:nvANo75y

　……を代替案として投下してみるテスト。

　さて、いかがでしょうか？

146 ：名無しさんだよもん：02/12/09 19:06 ID:tRqP852l

一部とはいえ複数のキャラに聞こえるとなると、時間的なものが問題かと。
まだ他のキャラに竜の声を聞いた奴がいないのを考えると（当然だが）、この話は今の所一番時間が進んでるわけだ。
要するに、遅れてるチームをどうにかしないことには竜とかをこれ以上進めるわけにはいかないんで。

竜とかの新要素よりも、他の人の書いた展開の続きを書いていって欲しい、と思ってみるテスト。

147 ：名無しさんだよもん：02/12/09 19:16 ID:/TgECPj1

これを機に……竜王の存在そのものを……ｱﾎﾞｰﾝしたかったというのは……
心の奥底に……沈めておくとして……（だって動かし辛そうだし）……
＞他の人の書いた展開の続きを書いていって欲しい
に……烈しく同意……

でもまぁ……竜王を繋げるなら……最善かとも思う話だ………
俺は特に……文句のつけようがない……

148 ：名無しさんだよもん：02/12/09 19:20 ID:/TgECPj1

時間軸の問題については……雨の前例があるが……
この程度なら……“イベントに関わるキャラ以外はスルー”で……問題ないかと……

149 ：kamoc●：02/12/09 19:23 ID:k1vMTiL7

葉鍵サバイバル公開６日目、リクエストがあったのでサルベージしました。
ttp://serico.hp.infoseek.co.jp/1037377869.html
要望がありましたら、またどうぞ。

●寡黙な復帰工房in葉鍵板●
http://wow.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1039228347/

150 ：名無しさんだよもん：02/12/09 20:13 ID:DGhfLfZa

ハカサバにおける定時放送みたいなもで、全キャラでなくとも聞こえる資質のあるキャラはどの場所・どのチームにいても聞こえるんじゃないかと。
あくまで漏れのイメージだが。

それに、葉鍵キャラ以上に島にいるモンスターにも聞こえるだろうし、そんな描写きぼんぬ。
獣型モンスターとか、サトリ妖狐タッグとかなんかは一番第六感強そうだしな。

151 ：名無しさんだよもん：02/12/10 02:53 ID:g+UTO13i

>>Kamoc氏
助かりました。
できれば５日目の編集されてないところもお願いします

152 ：kamoc●：02/12/10 18:10 ID:9xIveF+P

…五日目、アドレスはここで正しいです？
http://wow.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1028295933/l50

153 ：kamoc●：02/12/10 18:15 ID:9xIveF+P

…ログ625まで確認、復帰。
ttp://serico.hp.infoseek.co.jp/1028295933.html
不備あったら、また連絡下さい…出来れば、向こうのスレで（ｗ

154 ：名無しさんだよもん：02/12/10 19:10 ID:s0PxHXdR

助かった。
これで書ける・・・。

155 ：名無しさんだよもん：02/12/10 22:00 ID:OmixZaMN

サルベージｷﾀ━━━━━━(ﾟ∀ﾟ)━━━━━━ !!!!

156 ：151：02/12/10 23:16 ID:g+UTO13i

マジでサンクス。
これでまたハカサバが読めます

157 ：名無しさんだよもん：02/12/11 21:21 ID:h8HWwMa7

そろそろ、自分の脳内設定でない、人の書いた話の続きにあたる新作を期待。

158 ：名無しさんだよもん：02/12/12 00:25 ID:n3yOXGLS

保守ル。

159 ：伏兵の役目（１）：02/12/12 02:05 ID:0E/k5DzR

「……まぁ、結果オーライというヤツか」
　ディスプレイを睨みながら、高槻はらしくない溜息をついた。
『高槻？』
「いいか、郁未はそこにはいない。ヤツは10階に上がってる。歩けないみたいだから、助けに行ってやれ」
『わかったよ』
　自分に都合の悪い事は全て省いて、高槻は事実だけ少年に告げる。
　後ろでは高子が何か言いたげだったが、いちいち指摘しても無意味だと思ったのか、何も言わなかった。
「……さて、こっちの仕事はこれで終わりか？」
「もう生き残ってる人は……いないんでしょうか？」
　伏目がちに呟く高子に、高槻はふんと鼻を鳴らす。
「さぁな。例え生きてようがいまいが、ここに映ってない以上、探しようが無い」
「………」
　突き放した言い方ではあったが、間違いなく正論だった。
　高子はやるせなさそうに肩を落とすと、椅子のひとつに寝かせている佳乃の様子を見る。
　呼吸も安定しているし、郁未のように、いつ目を覚ましてもおかしくなかった。
　ただ、川に落ちた所を拾い上げたので、びしょびしょになっていた服は着替えさせていた。
　白い手術着のまま外に出すわけにもいかないので、高子は佳乃が着れそうな服を探して、周囲を見回す。
「何をしている？」
「いえ、霧島さんの目が覚めたら、このままの格好をさせておく訳にもいかないですし……」
　高槻はちょっと肩を竦め、顎でロッカーの方を指した。
「警備員の制服か何か入ってるだろう。……そうだな、ヤツらが来たらすぐ脱出したいし、何か物色しておくか」
　高槻は一人で納得すると、壁にあるロッカーを開けようとする。
「……鍵が掛かってますよ」
「ふんっ、こんなもの！」

160 ：伏兵の役目（２）：02/12/12 02:07 ID:0E/k5DzR

　がこんっ、と高槻の蹴りが炸裂し、ロッカーのドアは見事にひしゃげた。
　それをさらに数度繰り返して、高槻はドアを無理やり引っぺがす。
「むちゃくちゃしますね……」
「どうせ誰もいないホテルだ。構う事なんかない」
　ごそごそと中身を引っ張り出してから、高槻はひゅう、と口笛を吹いた。
「屑ばっかりかと思ってたが、案外いいもんが入ってるな。ほら、非常食パックだ」
「それは嬉しいですけど、霧島さんの服はありませんか？」
　高子のリクエストに、高槻は青い制服を引っ張り出す。
「霧島さんは、身長１６０くらいですよ」
「でかすぎるか……じゃあ、次のロッカーを……」
　高槻が隣のロッカーを蹴破ろうとしたその時、いきなりがぎょんっ、とモニタールームの部屋のドアが軋んだ。
「っ！？」
「なんだああぁぁっ！？」
　驚きに目を見開くふたりの前で、スチール製のドアが激しく外から揺さぶられる。
　頑丈な筈のドアがまともにへこんだのを見て、高槻はとっさに銃をドアに向けた。
「たっ、高槻さんっ！」
「落ちつけ……来るぞおおおおおぉぉぉっ！！」
　高槻の叫びが終わらない内に、スチールのドアは呆気なく外側から吹き飛ばされる。
　次の瞬間、ドアから突き出した異形の姿を見て、高子はくぐもった悲鳴をあげた。
「ひっ……！」
　蛇のような頭に鋭く曲がった角、細長く鱗に覆われた胴体には、獣の前足がついている。
　驚くべきはその体格で、ドアに隠れて見えない下半身を合わせれば、７メートルを遥かに越えるだろう。
　メソポタミアの神話に出てくる聖獣、ムシュフシュであった。

161 ：伏兵の役目（３）：02/12/12 02:10 ID:0E/k5DzR

　ムシュフシュは部屋の中を見まわすと、血のように真っ赤な口を開き、威嚇するように呻き声を上げる。
「……どうやら、俺達を食う気満々のようだな」　
「そんなっ！？」
　あまりに大きすぎる体が災いして、ムシュフシュはドア枠を潜り抜けられないでいたが、首を伸ばせば部屋の半分近くまで届く。
　転げるようにして後ずさった高子は、声にならない悲鳴をあげた。
「心配するな、こうやって持久戦に持ち込めば、郁未や奴らが帰って……なにいいいぃっ！！」
　余裕を持って高子を安心させようとした高槻は、彼女の視線の先を追って、絶叫した。
　蛇科の生物は、押しなべて舌が長い……それはムシュフシュも例外では無かった。
　ムシュフシュが伸ばした舌が、椅子に横たわっていた佳乃をぐるりと掴んだのだ。　
「駄目えっ！」
「ばっ、ばかかああぁぁぁぁっ！！！」
　まさに佳乃が飲み込まれそうになる寸前、高子が舌に跳びつく。
　だがそれは、ムシュフシュの前に、二つのご馳走を並べる行為でしかなかった。
「……！！」
　目の前にぞろりと並んだ、ヤスリのような細かい歯を見て、高子はふぅっと血の気がさがるのを感じた。
　だが、凶悪な歯が並んだ顎が高子と佳乃を飲み込もうとした瞬間、乾いた破裂音がそれを阻止する。
「ゲエエエエエエエェェェェェェェッ！！！」
「ぐずぐずするなああっっ！！」
　高槻がふたりを助けるために、ムシュフシュの目を狙って撃ったのだと……高子が知ったのは、後になってからだった。
　間一髪で噛み砕かれるのを逃れた高子は、佳乃を引きずって、転がるように高槻の元に駆け寄る。
「たっ……たかつ……」
「……月代の二の舞はゴメンだからな」
　ぼそり、と呟いた高槻の言葉に、高子ははっとした。
　高子の脳裏に、上半身をティラノサウルスに食べられた、月代の無残な姿がフラッシュバックする。
「……高槻さん……！」

162 ：伏兵の役目（４）：02/12/12 02:12 ID:0E/k5DzR

　だが、片目を奪われたムシュフシュの怒りは、凄まじかった。
　耳を覆いたくなるような絶叫が響き、がむしゃらに体を捻って、モニタールームに抉じ入ろうとする。
　そしてそれは、ドア枠の崩壊をもって、達成されそうであった。
「……どうやら、年貢の納め時のようだな」
　高槻はムシュフシュに全ての銃弾を撃ち込んでしまうと、溜息き混じりに手を下ろした。
　ちらりとモニターに目をやれば、少年や郁未らは、ようやく７階に辿りついた所だった。
「高槻さん……ごめんなさい……」
「ふん……まぁ、どうせ俺はロクな死に方はしないとわかってたがな」
　原始的な生命の怒りの咆哮にさらされ、さすがの高槻の顔にも、諦めの色が混じる。
「……ううん、うるさいなぁ……」
　その時、佳乃が目を擦りながら、顔を上げるのを見て、高槻と高子は顔を見合わせて苦笑した。
「貴様もよくよく運が無いな。人生の最後を楽に死ねんとは」
「へ？」
　きょとん、と佳乃が目をぱちくりさせた瞬間、凄まじい轟音が響き渡る。
「んな！？」
　弾けるような衝撃波に薙ぎ払われ、とっさに高子と佳乃を庇って倒れた高槻は、信じられない光景を目の当たりにした。
　ムシュフシュが背後から粉々に吹き飛び、肉片がばらばらと飛び散る。
　衝撃波で馬鹿になった耳を押さえながら、高槻はズタボロになったムシュフシュと部屋の中を見まわし、絶叫した。
「………な、何が……何が起きたんだああああぁぁぁぁっ！？」
「おーい、無事か？　…って、それだけ大声出せたら、無事みたいだな」
　ぱらぱら、と崩れたドア枠から、とぼけた声が返ってくる。
　眼鏡を掛けた、馬面中年の男……その手には、軍用の長大なマシンガンが握られていた。
「だ、誰だ、貴様は」
「……あぁ、長瀬源三郎って者だ。一応、刑事などやってる。よろしく」
　ひょい、と片手をあげる長瀬刑事を見ながら、高槻は何となく頭を抱えたい気分だった。

163 ：長瀬なんだよもん：02/12/12 02:17 ID:0E/k5DzR

【高槻、高子、佳乃　ムシュフシュに遭遇、源三郎の手によって撃破】
【佳乃が目を覚ます】
【長瀬刑事と合流】

物凄い勢いで久しぶりです。
かなり間が開いたので、雰囲気とか流れとか、かなり忘れてますた…
ムシュフシュなんてマニアックなモンスター出した割には、すぐ殺しちゃいました。

では、おかしな所とか誤字脱字修正ありましたら、指摘よろ。

164 ：名無しさんだよもん：02/12/12 04:19 ID:jQQFgdJy

新作ｷﾀ━━━━━━(ﾟ∀ﾟ)━━━━━━!!

今回は会話がやたら上手いと思いました。
何かテンポ良く読めます。
展開の方も、少年サイドが動いてたり
長瀬刑事と合流したりで次にも繋げ易いと思います。
高槻と高子のコンビも良い感じになんで
これから先が別の意味で楽しみ。

で、ホテル編も大分進んで来た様子。
ここが片付くと他の関連してる所も進められそうなので
これからの書き手さんにも期待。

165 ：名無しさんだよもん：02/12/12 11:47 ID:MnWp6MNV

やった！新作ｷﾀｯ!!

なんか高槻がやたらかっこいいなぁ(笑)面白い。これからの展開が楽しみ。
少年側の話(郁未と合流)も読んでみたい気がします。

あと高子さんは佳乃の名前を知ってたんでしたっけ？
(自分の気のせいだったらごめんなさい)

166 ：名無しさんだよもん：02/12/12 18:38 ID:mN/rLgEo

これこそハカサバだ……感動。
やっぱり、ジャンプの某漫画みたいにどんどん強い奴出していくんじゃなくて、弱い人間なりの強さとか、覚悟てか、そういうのが好きでつ。

それはそうと、ホテルの戦いは時間的にはどうなってるんだろう。
時間的に考えて、二日目の午後にはホテルに向かうチームのいくつかは到着しそうなもんだが。
……ときに、ホテルに向かってるチームってどこらへんがいたっけ？

167 ：名無しさんだよもん：02/12/12 19:59 ID:iUPBfwk8

166に激しく同意

168 ：名無しさんだよもん：02/12/13 20:53 ID:pGQEHEcx

なんとなく保守

169 ：名無しさんだよもん：02/12/14 16:27 ID:gh2dOY2E

あ、生きてた

170 ：クロコダイン ◆yGAhoNiShI ：02/12/14 16:47 ID:Xrh+endx

　　　　　　　　　＿＿＿＿＿＿
　　　　　　,;i|||||||||||||||||||||||||||||||ii;､　　　　　　　　　＿／
　　　　　／||||||||||||||||||||||||||||||||||||||ii;､　　　　　　　＼
　　／￣￣＼||||||||||||||||||||||||||||||||||||ii;ﾞヽ,　　　　　　／
'"￣ヽ　　　　　ヽ!!||||||||||||||||　　||||||||||!!"ﾍ　　　　＜　ひろゆきが出るらしいよ明日（朝）
ヽ　　　　　　　　　ﾞ!!!||||||||||||　　|||||||!!　　 iヽ──　/
|||ｌ　　　　　　　　　　　ﾞﾞヽ､ｌｌ,,‐''''""　　　　 | ヽ|||||||||　(;´Д｀)ﾊｧﾊｧ
|||ｌ　　　　　＿＿＿＿　　　ﾞｌ　　　＿＿　　　＼|||||||||　↓放送時間
||!'　　　／ヽ､　　　　 oﾞ＞┴＜"o　　 /＼　　 |'"￣| 　大阪テレビ大阪（日）9：30～10：00
＼　　／　　|ミﾐヽ──‐'"ﾉ≡- ﾞ'──''彡| |､　|　　 |　東京テレビ東京（日）9：30～10：00
　￣|　　　　|ミミミ／"￣､,,／|ｌ￣"'''ヽ彡|| |､/　　 /　　名古屋テレビ愛知（日）9：30～10：00
　ヽ､ｌ|　　　　|ミミミ|　 |､────ﾌヽ |彡ｌ| |/　　／＿福岡ＴＶＱ九州放送（日）9：30～10：00
　＼/|ｌ　　　 |ミミミ|　＼_/￣￣ﾌ_/　 |彡|ｌ/　　　￣／札幌テレビ北海道（日）9：30～10：00
　　＼　ﾉ　　ｌ|ミミミ|　　＼二二､_/　 |彡|　　　　　　ﾌ
　　　￣＼　　ｌ|ミミミ|　　　￣￣￣　　|ﾒ/　　　　　　＼　絶対見てくれよな！！！
　　　　|　＼　ヽ＼ミヽ　　　￣￣"'　　|/　　　　　　　　/
　　　 /　　＼ヽ､ヽﾞ''''ヽ､＿＿＿＿_／/　　　　　　　／＿
　　／　　ヽ　ﾞヽ─､──────'/|　　　　　　　　￣／
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　　　───'''"￣￣￣ﾞﾞヽ､__,,/,-'''"￣　　　ﾞ''─

171 ：クロコダイン ◆yGAhoNiShI ：02/12/14 16:50 ID:ehFGu2sZ

172 ：クロコダイン ◆yGAhoNiShI ：02/12/14 17:14 ID:UVLoNJaN

173 ：クロコダイン ◆yGAhoNiShI ：02/12/14 17:18 ID:rrsUhJHd

174 ：クロコダイン ◆yGAhoNiShI ：02/12/14 17:44 ID:UVLoNJaN

175 ：クロコダイン ◆yGAhoNiShI ：02/12/14 17:48 ID:UNqw9BIr

176 ：名無しさんだよもん：02/12/14 23:59 ID:SpsWm5Gf

さて、どうしたものか。

177 ：名無しさんだよもん：02/12/15 19:58 ID:dcJUmixm

すっかり進行がとまってしまいました……。

178 ：名無しさんだよもん：02/12/15 21:30 ID:Js4VciCw

止めたくて止まってるわけでもなかろう。
漏れも今ちゃんと書いてるから安心(かどうかわからないが)しる

179 ：名無しさんだよもん：02/12/16 01:20 ID:3+bfV3tO

俺も書いてるぞ
みんな頑張ろうぜ！

180 ：悲哀なるモノ：02/12/16 17:30 ID:wYr4Cbav

＿＿＿＿グオォォォ・・・・・・・・

竜王が、産声を上げる

その声にどのくらいの参加者が気づいたのかは知らないが、その姿を見るものはもういないだろう。

あまりに無理をして作られた「ディー」の体は予想以上にもろかった。
陸に上がった「ディー」の半身が消えるのと生まれてすぐの竜王がその気高き命の炎を散らすのとはほぼ同時だった。

だか危機が去ったわけではない。まだ恐ろしい生き物は沢山いるのだから｡｡｡

181 ：悲哀なるモノ：02/12/16 18:20 ID:wYr4Cbav

【ディー　消滅】
【同時に地上に出た「ディー」の半身も消滅】

182 ：名無しさんだよもん：02/12/16 18:50 ID:MLQwi3KM

＞新作
すさまじい展開だな。
NGを唱える理由はないでつが……また議論呼びそうな気がするな。

ユンナの絡みがなけりゃ、河原崎夫人と同程度(最初から書かなくていいじゃん、てなレベル)に扱えたんだが……。

183 ：名無しさんだよもん：02/12/16 20:25 ID:3+bfV3tO

いや、いくらなんでもこれは駄目だろ。

184 ：297：02/12/16 20:35 ID:JumoaUfa

>>183
確かに展開が無茶すぎ。
だけどもともとアレな存在だっただけにこのまま消滅したほうがいいのかも。

185 ：名無しさんだよもん：02/12/16 20:41 ID:8Jxyu6Rc

ネタですか。

＞＊　キャラの死に不満がある時は、あまりにもぞんざいな扱いだった場合だけ、理性的に意見してください。
これに抵触するんだろうか？
まぁしかし、ここまで来ちゃうと、リレーでも何でもないな。

186 ：名無しさんだよもん：02/12/16 20:44 ID:Zh8WlPq6

あ、やはり駄目ぽか。
んでも、勝手に呼ばれもしない強キャラ作る話が通って、それが突然(寿命なんたらの複線はあったが)死ぬ話が通らない……ってのもおかしいと思う。

とか反論してみるテスト。

いや、単に、ディーはこれを機に最初からなか(中略)というのは秘密。

187 ：297：02/12/16 20:45 ID:JumoaUfa

まぁﾏﾀｰﾘいきましょ

188 ：297：02/12/16 20:49 ID:JumoaUfa

＞勝手に呼ばれもしない強キャラ作る話が通って、それが突然(寿命なんたらの複線はあったが)死ぬ話が通らない……ってのもおかしいと思う。
確かに三ヶ月(だったか？)の寿命が生まれてすぐ死ぬのもありえなくはないと思うけど・・・
研究員が急ピッチで作ったものなんだし。。。

189 ：名無しさんだよもん：02/12/16 21:10 ID:4mwrxrTs

ストーリー的にはユンナが竜を殺しに行く手間が省けただけという罠w

190 ：名無しさんだよもん：02/12/16 22:46 ID:QaJKyQ29

ディー退場でいいよ。

191 ：名無しさんだよもん：02/12/17 00:18 ID:jVuxmyV4

いや、そのシンプルさにﾜﾛﾀｗ＞新作
新作ッツーか、風刺っぽく感じるのは精神的疾（略　なのか？

192 ：名無しさんだよもん：02/12/17 01:16 ID:vg9iTMFh

個人的には通して欲しいですね。
竜がいると話がおかしくなるような気がしますから。

193 ：名無しさんだよもん：02/12/17 01:29 ID:qhjMV1/r

漏れはこの新作でいいと思うが。

ていうかさ、少しキツい言い方かもしれんが、竜以前に多数出てきた伏線はどうなるの？　と言いたい。
はっきし言って、もう忘れられてるような伏線だって多数あるしさぁ。
そういうのを全く無視してこういうキャラ出すのは迷惑以外の何者でもないってのがわからんかな。

194 ：名無しさんだよもん：02/12/17 02:16 ID:fCY+q/vW

だったらその前に出たところからアナザーにしろよ。
完成した時こういう手抜きな話があるとはっきりいって萎えるし。

195 ：名無しさんだよもん：02/12/17 04:16 ID:BABBRsa/

竜の登場自体は、「ルール的には」何の問題もなかったから無理言ってアナザーにするわけにもいかなかったんだよ。

とは言っても、ハカサバはそんな甘いことばかり言ってて結局崩れてきたわけだからな。
アナザー唱えるタイミングっつ～のは難しいね。

196 ：名無しさんだよもん：02/12/17 13:19 ID:RvI3YqHP

昔の話からうまいこと伏線を発掘したと思ったのは狩猟者登場の話だったなぁ。
まあ、そのあとあっさりと(略

昔の伏線を使おうとしたり折角伏線を活かしても
後に続く話がアレだと駄目になってしまうからな。難しい。

龍に関してはもうこの話を竜の存在ごとあぼーんにしてもいいんじゃなかろうか。
この話を通すと龍があぼーん、この話をアナザーにするとわだかまり。それならいっそ。

197 ：名無しさんだよもん：02/12/17 21:04 ID:y0Qw1A8d

残念だが、ユンナの話に竜のことが出ちゃってるし、いまさらあぼーんてなわけにもいかんだろ。
ユンナの部分もろとも……というやり方も無くはないが、あの話は無責任に広がりすぎた天界関係の話に釘をさす意味では必要だと思うし。
ほかに誰か、あれに代わってユンナの野望をまとめてくれるならアナザーでもいいとは思うが……。

198 ：名無しさんだよもん：02/12/18 15:39 ID:/le1V/eE

そうだ。いっそのこと、広げすぎたユンナ関係の話をすべてあb

199 ：名無しさんだよもん：02/12/18 21:45 ID:+VlWV3Bv

んで結局どうするの？

200 ：名無しさんだよもん：02/12/18 23:59 ID:z6BCDyfX

この展開を見た次の作者次第

201 ：名無しさんだよもん：02/12/19 00:22 ID:g/DALEmc

ん～、このまま進めていいんじゃないか？
竜が消えたのはあくまでストーリー上であって、まだ今後の展開になごりが残る可能性だって大きいわけだし。
竜関係の以前の話まであぼーん、っていう例を作るのも正直好ましくないしさ。

202 ：デッドライン：02/12/19 14:04 ID:b4wF4gUF

「……？」
　ピピピ、と電子音を発しているモニタをじっと見つめながら、ユンナは首をかしげた。
(この波動……ウィル……？)
　微弱。それでいて、確かに以前感じた事のある波動。懐かしい波動。
　その気配は、モニタの電子音が止まると同時に少しずつ遠ざかり、やがて消えた。
(まさか、ね)
　少し首を振ると、ユンナはあらためてモニタに目を通す。モニタの画面はエラーを示す赤のままだ。
　ユンナのしなやかな指がキーボードを叩き、エラーの詳細がモニタ上に出力される。
(……えっ？)
　霊的波動の多大な消失……島一帯の霊的磁場の弱体化……モニタに現れているメッセージは、大凡そのような内容の物であった。
(どういうこと……？　捕らえた魂やルミラには異常はない……そうでなければ、磁場がこんなに弱まるはずが……)
　この島に来てからのユンナの顔に、はじめて動揺の色が浮かんだ。
(いきなりこんなに島自体の霊力がなくなったんじゃ、最悪「結界」が維持できなくなる……まずいわね……それになんで突然……？)
　そこでユンナはふと思い当たり、地下の様子をモニタに出した。

203 ：デッドライン：02/12/19 14:10 ID:b4wF4gUF

　地下に在るものは封印ばかりではない。ユンナ自身「プレゼント」と称したあのモンスターもまたねむっている。
　まずは「封印」の確認が先だ。ユンナはコンソールを操作する。
(やっぱり……「封印」そのものの波動が弱まっているの……？　よりにもよってそんな……)
　ユンナの顔に明かな焦りが浮かぶ。
　収集した魂の波動と、封印の門の波動を共鳴させてゲートを開く……それがユンナの計画だ。
　ところがその目論見が一気に破綻してしまう可能性が出てきたわけで、その反応は当然といえた。
(門の波動が消失してしまったら……あの門を開く事は絶対に不可能になる……)
　ユンナの疑念は消えない。なぜ突然封印の門の霊力が弱まったのか……その原因がわからない。

　ユンナの張っている「結界」の霊力は、実は封印の門の霊力を少し拝借しているものだ。
(それにしたって微々たる量よ……あの門の霊力全てを吸い上げるほどの力で結界を張ったわけじゃない)
　疑念を頭にのこしたまま、ユンナは次の課題を消化する事にした。あの「竜」の存在だ。
　考えられる可能性はいくつかあるが、その中でもっとも有力だったものがこの「竜」の存在だった。
(あの竜が波動を吸収してしまった……考えられない話ではないわね)　
　それなら、竜を殺してしまえばそれでこの問題にけりがつく……ユンナはそう考えていた。
　その推測が当たってさえいれば、ユンナの導き出した解決法は決して間違ったものではなかったのである。

204 ：デッドライン：02/12/19 14:11 ID:b4wF4gUF

(いない……！？)
　モニタに映るのは、時折ポコリと泡を放つ水と、どこまでも続く闇。
　竜の姿は、そのかけらすら確認できなかった。
(どうして……!?　逃げる事なんて絶対に出来ないはずなのに！)
　策士ユンナは、自分の知識を総動員して考える。今までに起こった自体と、竜の消失を繋ぎ合わせる解法を導き出すために。
(消失……魂もろとも……霊力過多……霊力枯渇……どちらか、ってことかしら)
(そういえばあの竜……封印の真上に位置していた……)
　だから「竜が霊力を吸収していた」という推測は、あながち外れていない事になる。霊力を吸収するにはベストの位置どりだ。
(ひょっとして、朝鮮製は……はじめから知っていた……？)
　朝鮮製はこの門に狂わされたのでもなんでもない、むしろその門の霊力を利用しようとしていた……？
　それが何らかの封印とはわからねど、その地域一帯が特殊な波動を有している事を知っていたとしたら……？
　その波動を、竜の「延命」に割り当てていたのだとしたら……？
　この地域に満ちている高濃度の霊的磁場の発生源が封印の門ではなく、封印から波動を吸収しつづけたあの竜だったのだとしたら……？

　門の霊力を吸収し尽くしてなお、竜の体を満たすには霊力が足りなかったのか……
　それとも吸収した霊力が竜の体のキャパシティを越えてしまったのか……

205 ：By RTO：02/12/19 14:16 ID:b4wF4gUF

（どちらにせよ、竜がその霊力及び魂ごと消滅してしまった説明はつく……わね）
「してやられた……というわけ？」
　あの門の霊力が完全に消失するまで……それが、タイムリミット。
「……40時間……もっと短いかしら……あれがなければ、天界を混乱させられない……ウィルが救えない……」
　40時間以内に、あの門を開けるだけの魂を集め、同時に天界直通のゲートを開くための魂も収集する……
「とんだ時間制限ができたというわけね……」

「これは……私も魂を「集めに」行った方がいいのかしら……？」

【封印の門霊力低下　霊力完全消失まで40時間前後(見積もり：ユンナ)】
【霊力が消失した場合、冥界とのゲートを開く事が不可能になる】
【以上　二日目　某時刻】

「ディー」消失後の展開を想定しています。「悲哀なるモノ」がNGとなった場合は連鎖NGで構いません。

206 ：RTO：02/12/19 14:18 ID:b4wF4gUF

その他、突っ込み等御座いましたらよろしくお願いいたします。

ここ3週間ほど帰宅できていない所為でサイト更新が滞っておりますが、一周年までには何とかしますので。
……できるとおもう……多分。

207 ：297：02/12/19 17:15 ID:zEibXrP+

>>206
うまい具合につなげてて（･∀･）ｲｲとおもいます。
ディーも無理やり消した感じがしないのでこのまま通していいんじせゃないでしょうか？
これ以上増えて欲しくないし･･･

208 ：名無しさんだよもん：02/12/20 22:40 ID:0MWkxmSX

209 ：名無しさんだよもん：02/12/21 02:45 ID:/J+D7CFj

ディー消滅の理由をつけておざなりでない内容にして
代わりにユンナにも制限時間を設けて終局を見出しユンナにも動く理由を付加
個人的には朝鮮製は狂わされたわけではないという設定に溜飲を下げた
これまでの荒れを一作品でほとんど無理無く解消する手腕はさすがだなぁ、と思う。

ここの住人は荒れた話がうまくまとまると途端に静かになるんだなぁ、とも思う。
これだけの話についた感想が一つだけってどうなのよ実際。
そらー人も離れる罠。

210 ：名無しさんだよもん：02/12/21 03:05 ID:O4OFOj4x

すんません。
数日おきにしか来て無いもんで、今やっと見て感動したところです+*
ていうか、あれだけ色々荒れてたのをよくもこんな……先が楽しみな展開にしてくれたなぁと素直に思うですよ。
RTO氏に感謝！

211 ：名無しさんだよもん：02/12/21 13:18 ID:lb8yvsKt

話の展開上、説明台詞が多いものの
あのゴチャゴチャな伏線を上手く消化してるのは
素晴らしいと思います。
ラストの時間設定も全く先が見えなかった
作品全体にとって良い指標になりそうな気がします。

あと、個人的に超先生がヘボくなかった事になってて嬉しかったり。

>>209
スマソ。
ここ２日間、家に帰れば廃人の様にＵサガやってますた。

212 ：名無しさんだよもん：02/12/22 09:49 ID:GQL+XapU

位置的にヤヴァイんでアゲます

213 ：名無しさんだよもん：02/12/22 14:42 ID:NfYlLkNW

位置は関係ない罠

214 ：名無しさんだよもん：02/12/23 01:58 ID:TgMergoZ

あかん停滞か……
作品ｶﾓﾝﾇ（他力

215 ：アシベ ◆yGAhoNiShI ：02/12/23 05:25 ID:HUpnX5n4

ドラゴンボールＺ　フジ（関東）で毎週月曜１６：３０～放送中！！
　　　　　　　　　　 | ］下ﾐ─-｡､_|_, ｡-―ﾃ「［ l
　　　　　　　　　　ゝ_,. lﾐミi＝´<_,.｀＝ｉ=ｦ､__ﾉ
　　　　　　　　　ヽlミ| 「‐､=ラ7 |ヲ'´
と～けたこおりのな～かに～♪恐竜がい～たら～たまのりし～こ～みたいね～

216 ：名無しさんだよもん：02/12/23 05:55 ID:N+xxqDbS

メンテ

217 ：アシベ ◆yGAhoNiShI ：02/12/23 06:33 ID:tim4r+gd

218 ：アシベ ◆yGAhoNiShI ：02/12/23 07:29 ID:HUpnX5n4

219 ：アシベ ◆yGAhoNiShI ：02/12/23 08:35 ID:eI292REV

220 ：アシベ ◆yGAhoNiShI ：02/12/23 12:09 ID:eI292REV

221 ：アシベ ◆yGAhoNiShI ：02/12/23 12:18 ID:HUpnX5n4

222 ：アシベ ◆yGAhoNiShI ：02/12/23 13:52 ID:0qzQPh4U

223 ：アシベ ◆yGAhoNiShI ：02/12/23 14:33 ID:tim4r+gd

224 ：名無しさんだよもん：02/12/23 15:04 ID:Ot2Nkfmb

保守

225 ：アシベ ◆yGAhoNiShI ：02/12/23 15:47 ID:oteC4KgG

226 ：アシベ ◆yGAhoNiShI ：02/12/23 16:40 ID:0qzQPh4U

227 ：名無しさんだよもん：02/12/23 17:03 ID:laVL9EjE

>>211
あんな糞ゲー二日も良く出来るな。
家ゲーじゃ叩かれまくりだ。

228 ：名無しさんだよもん：02/12/23 17:38 ID:Ot2Nkfmb

>>227
家ゲ攻略では真面目に攻略されてますが、何か？
てか、ハマるとマジで面白いって。

229 ：名無しさんだよもん：02/12/23 21:30 ID:vNmpNUc3

ごめん、本気でつまらなかったアレ

230 ：RTO：02/12/24 02:13 ID:kCM2Oks/

PS2が煙を吹いた人間だっているんです。ﾏﾀｰﾘしませう。
初期型め……！

今現在仕事場です。今日明日と貫徹で仕事になりそうなので一周年までにサイト更新は
無理っぽいです。申し訳無い……

231 ：名無しさんだよもん：02/12/24 22:44 ID:QMaYiAvC

数レス分の話なんて、数十分あればできそうなもんだが……。
やる気でないんだよなぁ。
どうするぽ。

232 ：名無しさんだよもん：02/12/25 01:26 ID:ARz29uuf

やる気を出す

233 ：名無しさんだよもん：02/12/25 04:28 ID:ekHsHakD

>>232は神。

234 ：共闘：02/12/25 15:49 ID:hE2SNRyH

「……判ったよ、もういい」
矢島はそう言うと香奈子から目をそむけ、再び所員の事務室へと足を向ける。
そのまま振りかえらずに、矢島はすたすたと所員室へのドアに向かって歩いていく。

彼とて、香奈子に愛想を尽かしたわけではないし、彼女を見捨てようというつもりも無い。
今の自分には彼女にかける言葉はないし、かといって言葉を捜して動きを止める、その時間すら惜しい状況だった。
彼はとりあえず、「脱出」の二文字に全てを傾けるつもりでいたのだ。

矢島がドアに手をかける。そのままノブを回してドアを押し、中に-----------

鈍い、だが強烈な存在感の在るその「音」と、矢島の悲鳴。
先に香奈子の耳に届いたのはどちらであったろうか--------

235 ：共闘：02/12/25 15:50 ID:hE2SNRyH

たっぷり三秒は無重力を味わうと、矢島の体は廊下に思いきり叩きつけられた。
……今のは、なんだ？　吹っ飛ばされた？　何に？敵？　いつ？　どんな？
「や……矢島くん……？」
「下がってろ、太田さん」
わけがわからない、といった表情の香奈子に、矢島はそれ以上の問いを封じるかのような口調で言う。
同時に、彼の頭に確信めいたものがよぎる。ゲームソフト。見えない敵。まさか----------

「い痛ぅッ……」
ナイフに手をかけながら、矢島は体の調子を探る。
……俺は胸を殴られて吹っ飛ばされたらしい……かなりの力の持ち主、ってわけか……
通路を見据える。はじめから何も無いかのように白い廊下がドアまで伸びている。
しかし、そこに姿の見えない異形が待ち構えている事は矢島の全身の細胞が告げていた。同時に、正攻法では勝ち目が無い事も。
その上……
『エマージェンシィ　エマージェンシィ　本施設爆破まで残り15分--------』
相変わらず無機質な女性アナウンスが、残された時間がいよいよ少ない事も教えてくれた。逆境としては申し分無い。
矢島はわずかに臍をかんだ。15分。15分でこいつをのして、解除コードを探さなくちゃ行けないってことか……
流石にそれは--------
「矢島くん」

「敵はあたしが引きつけるから……矢島くんはコードを探して逃げて」

236 ：共闘：02/12/25 15:50 ID:hE2SNRyH

その言葉があまりにも意外で、矢島は思わず香奈子を見た。
昨日……いや、この施設に来てすぐまでの香奈子が持っていたまなざしが、そこに少し宿っている気がした。
「……冗談がうまいな、香奈子さんは」
矢島は「敵」に向き直り、改めてナイフを握り締める。
「難しい事はもう、いいさ。俺は香奈子さんを、引き摺ってでも藍田さんのところに連れ帰る」
靴紐と体の包帯のチェック。肩が軋むが仕方ない。
「晴香さんに続いて香奈子さんにまで死なれたんじゃみんなに何を言われるか判らない」
とくに晴子さん親子だ。晴子さんは言わずもがな、観鈴ちゃんは観鈴ちゃんで天然気味にひどい事を言ってくるかもしれない。
「俺があいつを引きつけるから、香奈子さんはあの部屋でコードを見つけてくれ。……頼むよ」

しばらく香奈子は何か言いたそうな顔をしていたが、やがて観念したかのように微笑んだ。
「……そうね。『ここをでるまでは言う事を聞く』って約束もあることだし」
「決まりだな」
言うなり矢島は走る。もとより200%不利な状況なのだから、今更じたばたしたところでひっくり返る事も無いだろう。
話をしている間に敵はかなり近づいていたらしく、走り出して3秒たたないうちに、矢島は首元が手に捕まれるのを感じた。
やばい、そう思ったときにはもう、矢島の体は高々と掲げられてしまっていた。
それでも、声を絞り出す。
「今だ……香奈子さん、早く……！」
行け、とまでは言えなかったが、意を決した表情で香奈子は部屋に滑り込んでいった。
「……さて」
完全に首にキまっているわけではない。絞め殺される心配は無いが……動けない。
「どうすればいいんだ？　ここから……」

なんだか、昨日も同じような経験を味わった気がする。不意に、矢島の脳裏にあの「人体標本」の姿が浮かんだ。

237 ：名無しさんだよもん：02/12/25 15:51 ID:hE2SNRyH

【施設爆破十五分前】

諸々突っ込みありましたらよろ。

238 ：名無しさんだよもん：02/12/26 13:20 ID:n3r3zREE

矢島はロクな目にあわないな･･･････

239 ：都市伝説：02/12/26 23:58 ID:AG5ntDok

　彼女を間近で見た瞬間、美咲の心臓が跳ねあがる。
　容姿、問い、そして何より直感が、“彼女”が何かを教えていた。
　“彼女”は普通の人間では……ましてや参加者では……ない。

「私、綺麗？」
　それが流行ったのは、かなり昔の話……だった。
　整形手術に失敗した女のひとが、口元が耳まで裂けてしまい、以来マスクを深く被っているという。
　そして、見かけた子供に自分の容姿を問いかけては、手にした鎌でその子の口を自分と同じように裂いてしまうのだ。
　僅か１秒にも満たない時間で、口裂け女の伝説が美咲の脳裏を駆け巡った。
　普段なら、もはや笑い話として、過去のものとなった伝説だろう。
　そう、普通ならば。

「ねぇ……私、きれいいぃぃぃ？」
「え……あ…」
　顔の殆どを覆ったマスクの下から、くぐもった囁き声が聞こえる。
　ゆらゆらと頼りない足取りで、“彼女”は美咲に近付いてきた。
　今は昼まで、日の光も照っていて、ここは街中でなく森の中だ。
　だが、しんと静まりかえった木々の間から現れる“彼女”の姿は、恐怖を掻き立てるのに充分だった。
　“彼女”が一歩進めば、美咲は一歩さがる。
　だが、やがて美咲の背が、どんっ、と太い木の幹にぶちあがった。
「………！」
「ねぇ、キレイかって聞いてるでしょおぉぉぉおおっ！？」
　焦れた“彼女”は、やおら己のマスク手をかけ、がばっと剥ぎ取った。　
「わたし、きれいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃっ！？」
（やっぱりいいぃぃぃっ！！）

240 ：都市伝説：02/12/26 23:58 ID:AG5ntDok

　生々しい赤黒い舌、てらてらといやらしくぬめる歯、そして耳まで裂けた口。
「きゃあああああああ！！！」
　恐怖、驚き、そして何より生理的嫌悪が、美咲に絶叫を上げさせていた。
　その瞬間、口裂け女は弾かれたように美咲に跳びかかる。
　だが、叫んだ事で金縛りが解け、美咲は間一髪で口裂け女の鎌から逃れた。
　木立の間を必死で走りながら、美咲はこれまでにないほど頭を回転させる。
（た、た、確か弱点……口裂け女には弱点があったはず……）
　もはやどのくらい昔の事か、とっくに忘れてしまっていた過去の怪談を、必死になって記憶の中から呼び覚ます。
（えっと……そうだ、べっこう飴が好きで……小梅ちゃんも好物だった筈……）
　そこまで思い出して、思わず美咲は頭を抱えそうになった。
　今時そんなもの、コンビニにだって置いてない。ましてや、ここは孤島である。
（あと、後もうひとつ……思い出せないっ！）

「ねぇ」

　ざらり、と耳元に生臭い吐息が吹きつけられ、甘ったるい囁きが美咲の耳をくすぐった。
「私、きれいよねぇ？」
　口裂け女は、１００メートルを３秒で駆け抜ける。
　その事を思い出した瞬間、振り返った視界の隅に、錆だらけの鎌の鈍い輝きが見えた。
「や……！」
　がくん、と足が何かに取られ、美咲はまともに地面に倒れ伏す。
　おかげで、口裂け女の鎌は美咲の頬を浅く裂いただけに終わった。
「つうっ…！」
　だが、地面にまともに転がり、頬から垂れた熱い雫が首元まで流れるのを感じて、美咲は苦痛に喘ぐ。

241 ：都市伝説：02/12/27 00:00 ID:igP4aTzf

「きれい……ねぇきれい……きれいきれいきれいきれいきれいきれいきれいいぃぃっ？」
　唾液でぬめる口を耳まで裂けさせ、彼女は壊れたレコーダーのように、同じ言葉を繰り返す。
　だが、彼女はすぐさま襲いかからず、ゆっくりとした足取りで美咲に歩み寄る。
　今まで自分を追いかけていたとは到底思えない、よたよたした仕草に、美咲は恐怖よりも哀れを感じていた。
「……ひょっとして……本物の人間、だった……？」
　改造され、妖怪にされてしまったのだろうか。
　それとも、生まれつき醜い化物だったのだろうか。
　どちらにしても、美咲は呆然と彼女を見詰めるしか無かった。
「ねえぇぇぇぇ………」
　元は……もし、元の顔というものがあるならば……確かに美人だったのだろう。
　それがわかるだけに、尚更哀れだった。
「わたしいぃぃ………きれいぃぃぃいぃ……」
　手にした鎌が大きく振り上げられる。
　その瞬間、美咲は痺れた頭の奥底で、迫る死よりも別の事を考えていた。
（………可哀相………何とか、できないのかな……）

「ポマードっ！！」

　突然耳を打った叫びが、全てを中断させる。
　驚きに顔をあげる美咲だったが、“彼女”はそれ以上の驚愕に包まれていた。
「ポマード、ポマード、ポマードぉっ！」
「くうぅぅぅうあああああああああああぁぁぁぁ……」
　ガクガク、と“彼女”は痙攣し出したかと思うと、頭を抱えて身悶えしはじめる
　だがやがて、彼女は血の涙を流しながら、物凄い速さで森の奥に駆けて行った。

242 ：都市伝説：02/12/27 00:01 ID:igP4aTzf

　その後姿を呆然と見詰めてから、美咲はのろのろと自分の背後に目をやった。
「間一髪、だったわね……」
「……弥生さん」
　乱れた髪もそのままに、弥生はふと苦笑する。
「大丈夫、立てる？」
「え……ええ、何とか」
　そう言いながら、美咲は弥生の手を取って、何とか立ち上がった。
　まだ震える膝を押さえていると、弥生の肩に、心配そうな座敷童がいるのが見えた。
「あ…」
「この子が、あなたがどっちに逃げたのか、教えてくれたのよ」
「そうだったんですか……」
　美咲は複雑な笑みを浮かべながら、座敷童の頭をそっと撫でる。
「でも、口裂け女の弱点なんて、よく知ってましたね」
「一時期、テレビでも特集を組んでたりしたから……それよりも、早くみさきさんと合流しなきゃ」
　そう呟いた時、肩の上の座敷童が、くいくい、と弥生の髪を引っ張った。
「……あ……見た事があると思ったら、さっきの所みたいね。どうやら、ぐるっと回ってきてしまったみたい」
　弥生は苦笑しながら、美咲と共に大きな木の根を乗り越える。
　瞬間、目の間にみさきがいた。
　弥生があの場から離れた時と、まったく同じ姿で。
「………あ゛」
「………え？」
　しゃああぁぁぁぁぁ、とみさきのあそこからきれいな弧を描いて、おしっこが地面に降り注ぐ。
　その最後の一滴が地面に落ちるまで、両者とも凍りついたようにその場に佇んでいた。
「ひょっとして…………弥生さんと美咲さん……」
　ぽつりと呟くみさきの目の端には、ちょっぴり涙が浮かんでたりした。

243 ：長瀬なんだよもん：02/12/27 00:03 ID:igP4aTzf

【美咲＆弥生　口裂け彼女を何とか撃退】
【みさき　放尿見られ】

どうすればいいんだ

244 ：名無しさんだよもん：02/12/27 01:00 ID:h1/hJbdK

ｷﾀ─wwﾍ√ﾚvv~(ﾟ∀ﾟ)─wwﾍ√ﾚvv~─ !!!

245 ：名無しさんだよもん：02/12/27 01:26 ID:G25v5mMH

うーん、この三人はｲｲ!

246 ：名無しさんだよもん：02/12/27 23:03 ID:PozsWHVI

＞共闘
透明な敵は二回目だけど、今度の方が相手に油断も無いし強そうだな。
真面目に考えてしまうと、矢島が生き残れるかどうか結構不安。
制限時間も危険そうだし。
あとは、太田さんがまともに戻って一安心でした。

＞都市伝説
口裂け女は妖怪っぽく、モンスターより常識が通じなさそうで怖かった。
てか、逃げる時の描写が一番怖かったッす。
後、バラバラなパーティー全員を文中で違和感無く出してるのは上手いと思った。
ポマードについて美咲さんが殆ど覚えて無いのに
弥生さんはしっかり覚えてるのは年のせいｄ

247 ：名無しさんだよもん：02/12/29 00:41 ID:kMomYIN2

ほ

248 ：名無しさんだよもん：02/12/30 09:02 ID:c5RhLAnW

syu

249 ：離反者の葛藤：02/12/31 01:49 ID:b0XVVHcC

幸い、未だ一度もモンスターにはあっていない。
このままこの幸運が続けばと願いながら、茜は息を切らせて駆けていた。
走りながら、もう一度マニュアルを頭の中で復唱する。

『……吸血鬼化の再現は一種のウイルスによって行われる。
便宜上D-Vと名付けるこれに感染した者は身体能力、新陳代謝及び肉体の自己再生が激しく活発化、
その上で神経細胞を徐々に侵蝕し、被害者の思考能力を低下。最後にはドラキュラの意のままに操られる眷属と化すのである。
D-Vに感染した場合の二つの対処法として、ワクチンの使用、または吸血鬼本体の死亡が在る。
このワクチンの使用による副作用としては今のところ報告例が無いものの、何らかの作用があってしかるべきと考えた方が良い。
特に身体能力に関しては、ウイルスの効果が完全に消滅するか否かという点で不確定要素が強い。
また、吸血鬼本体の死亡という点においても、万が一一般客に感染者が出てしまった場合我々の手で確実に仕留める事が出来るかといえば、
これにも疑問符を呈せざるをえないだろう。
以上の理由により【シュベスト】の一般公開は見送った方が良いものと思われる。

ワクチンは三つの薬品を組み合わせて処方する。
正式名称……は長ったらしいので割愛するが、「液剤」「錠剤」「粉末剤」の三つであると考えてもらう。
まず錠剤を感染者に飲ませ、続けて粉末剤と液剤を1:3の比率で混合し、それを煮沸消毒した水で2倍に薄めたものを飲む。
以上の手順により、ワクチン使用後参時間以内にD-Vは感染者の体内から完全消滅するものとする。
それから、このワクチンの存在は【シュベスト】本人には伏せてある事を追記しておく。

第弐モンスター研究所長……』

むやみに分厚い医療班員マニュアルではあったが、暗記した甲斐はあったようだ。
それでも、そのマニュアルの無いようを完全に果たすまで安心は出来ない。茜は慎重に、三つの薬品を手に駆け続けた。

250 ：離反者の葛藤：02/12/31 01:50 ID:b0XVVHcC

「……お母さんはな、観鈴のことが心配やねん」
「……うん」
翻って、なにやら話しながら歩いている母子が一組。
「お母さんだってあの連中の事を頭っから不審に思っとるわけやあらへん。でもな、『その』可能性だけは消しておきたいねん」
「……うん」
観鈴と呼ばれた少女は、何やら浮かぬ顔のようだ。
「……(矢島の兄ちゃんが戻ってくるまでは、あそこに居った方がよかったんかな)」
その母……晴子は、今になって少し自分の行動を後悔する。
(せめて兄ちゃんと一緒にあそこを出れば……いや兄ちゃんは梃子でもあそこは動かんやろ……観鈴もな……うん？)
視界のはるか彼方、走ってくる人影が一つ。一瞬、矢島かと期待した二人では在るが、人影が近づくにつれて二つのおさげが眼に入り、それが矢島ではないと判る。

両者の距離が縮まっていく。50m……25m……10m……5m……

そして、無言ですれ違う。

「……何も言わへんのやな」
晴子が足を止め、茜に話しかけた。
「大体、事情は飲み込めますから」
振りかえらずに、茜は応える。
「ウチらは間違うとるか？」
「それは私の決めるべき事ではありません。施設に留まっても、どこかに逃げようと、今の状況では常に1%以上危険がついて回ります」
「安全地帯なんてあらへんか」
「ですから、その判断が正しいのかどうか……」
「生き延びるか、死ぬかしてから判断せえと」
「そういう事です。では」
「ちょい待ち。他のはどうしたんや」

251 ：By　RTO：02/12/31 01:52 ID:b0XVVHcC

「……」
「まさか……」
これまで、じっと二人の話を聞いていた観鈴も、思わず声をあげる。
「……矢島さんと太田さんは今のところ無事です。ですが、晴香さんは……」
「……そか」
晴香のことには心を痛めたが、それでも矢島が無事である事にとりあえず二人は安心する。
「ですが……お二人は今、その施設に閉じ込められています。一時間ほどで爆発するそうです」
晴子の顔色が変わる。
「な……た、助けにいかへんのか？」
「……外部からの救出手段はありません」
「そ……それで、見殺しにしたんか、二人を！？」

「そうですね、そうなります」
「……！」
「あのお二人は自分達の脱出よりも、私にワクチンの原料を託すことを優先していました。
それと同時に、先に行ってくれ、と。俺たちも必ず……とも言っていましたね。
……今の私の命は、私一人のものではないんです、晴子さん」
「……」
茜は振り向かない。晴子には、その表情が伺えない。
「あのお二人は死ぬかもしれません。その上、私までもがもたついたらさらに二人死者が重なります。
それは、矢島さんたちの本意ではないでしょう……今の私に出来る事は、矢島さんたちを信じて、自分の役目を果たす事だけです。それでは」
言い終えると茜は再び走り出す。晴子も観鈴も、かける言葉が見つからずに、ただそれを見送るばかりだった。

もう少し晴子が視線を下に送っていたなら、茜の握り締めた手がわなわなと震えているのが、もしも茜が振りかえったなら、唇を噛む彼女の思いが少しは汲み取れたかもしれない。

【以上　施設爆破45分前】

せめて新作を、というわけで。
吸血鬼化回りの設定を詰めてみましたが……如何なもんですかね。
サイト更新は年明けに……という事で。皆さん、良いお年を。

252 ：名無しさんだよもん：03/01/02 00:35 ID:IBkdci+J

あけましておめでとうございま保守。

253 ：死者の遺産（1/4)：03/01/03 00:48 ID:7HxG4lH9

「全く、あの二人は何回同じ場所を歩いているのかしら…」
　浩平と瑞佳の二人を、七瀬の体に憑依したメイフィアが少し間を取って尾行している。
　なお、メイフィアのぼやきから分かるとおり、前の二人は道を迷っている。
「浩平～さっきもここ通ったよ～」
　かなり疲れた口調で、瑞佳は浩平にもらした。
「そうか？全部、同じ光景にしか見えないけどな」
「だから、さっきから同じ場所を通っているんだよ」
　こんな感じで本人たちには自覚のない夫婦漫才が繰り広げられているのだ。
（出るタイミングが掴めない…）
　実のところ、メイフィアは繭の埋葬のあたりからこの二人を見ているのだが、どうも二人の前に現れるタイミングが掴めない。
　出たところで、二人になんと言っていいのか判らない、『本体が死んじゃって、体借りてます』なんて言える筈もなく、かといって七瀬（本体）の真似してばれたら話がややこしくなる。
　なんとか、事の次第をうやむやにできる方法を模索しないといけないのだ。
（よく似たソックリさんって手は…だめねぇ…。じゃあ、魔法で記憶操作しちゃうとか…本体が怒りかねないわぁ…）
　などとメイフィア本人は前の二人が堂々巡りしてるように、彼女もまた頭の中で堂々巡りしているのである。
　突然、前の二人が歩みを止め、気の木陰にもたれ掛かった、小休止を取るのであろう。
　メイフィアも少し離れた木の陰に隠れて様子を伺う。
（って、二人揃って寝てるじゃん…、出るとしたら今しかないかなぁ）
　面倒臭そうにメイフィアは、木陰から二人に近づいていった。

254 ：死者の遺産（2/4)：03/01/03 00:49 ID:7HxG4lH9

「あーあ、完全に熟睡ねぇ、この子が浩平君ね、近くで見たら可愛いじゃない」
　自然と口元が歪む、続いて瑞佳の顔を覗き込む。
「こっちも可愛いじゃない。何年もしないうちにもっと綺麗になれるわ」
　うんうんとメイフィアが頷く、不老不死といえど何百年も生きていると少しはおばさん臭くなってしまうのだろう。
「ん～よく見たら、浩平君ぼろぼろじゃない。よっし少し手当てしてやるか」
　とは、言ってもＴＶでやってる程度の応急処置と活力を与える魔法だが。
　手当てもどきが終わって、少し調子の乗ったメイフィアはタバコをふかしつつ満足そうな顔して、
「終わったぁ…そうだ、ちょっとサービスしてあげちゃお」
　この行動がまずかった、七瀬という人物には考えられないような行動を起こしてしまったのだ。

255 ：死者の遺産（3/5)：03/01/03 00:51 ID:7HxG4lH9

～～～２行あけてください～～～
（あ…寝ちまった…この感覚は…誰かに膝枕してもらっているのか）
　寝起きの浩平にふと疑問点が生じる。
（…？これは誰の太腿？長森じゃないなぁ？つーか固っ！！）
　耳を澄ます、すぐ自分の頭のてっぺんから聞こえる寝息。
（…長森…だよな？この寝息は…じゃあ真面目に誰？）
　次に匂いをかいでみる、シャンプーの匂いでわかるかもしれない。
（ヤニ臭っ！！）
（だんだん…目をあけるのが怖くなってきたな…徹夜で寝てないからって寝るんじゃなかった）
　暫く考えたものの埒があかないので浩平は目をあけることにした。
「おや、お目覚め？」
　やる気のなさそうな声…焦点が合ってくるにつれ、今一番会いたかった人間の顔が映し出されていく。
「うわぁぁぁぁ！！」
　慌てて飛び上がる、会いたかった…が会いたかった以上に、浩平的にはありえないことが目の前で展開されていた。

256 ：死者の遺産（4/5)：03/01/03 00:52 ID:7HxG4lH9

　『七瀬留美』が『折原浩平』に『膝枕』しているという現象だ。
「何そんなに驚いているのよ？生きてちゃ悪い？」
「いあいあいあいあ！！それも驚いてるけど、もっと違う！！」
　首をぶんぶん振って否定する。
　このやり取りで瑞佳も起きてしまった。
　目をあけて硬直する瑞佳。
　今、彼女の中で記憶と目の前にある事実が牛乳一気飲み競争をしているところであろう。
「何で、七瀬が膝枕なんて母性豊かなことをしている！お前は母性より父性の強く、自分の子を千尋の谷へ突き落とすような人間だろう！？」
「どんな人間よ！」
　思わずメイフィアはつっこみをいれる、なおメイフィア越しに中継された本体の方は怒り狂っている。
「七瀬！この一夜で何があった！？っというかお前ホントに七瀬か！？」
　この一言、浩平は七瀬というキャラ面について問いただしたのである、中身がメイフィアであることはまだ感づいてない。
　メイフィアはこの一言によって、自分自身が疑われていると勘違いしてしまった。
（…完全にばれちゃったねぇ…本物の言う通りに乙女らしいことをしたつもりなんだけどなぁ…）
　これは七瀬自身のとんでもない事実誤認である。
「七瀬さん…煙草くさいよ…」
　瑞佳が頭を抑えつつ起きあがった、未だに現実を直視できないようだ。
（う～ん…大人しく事実を言った方がいいのかな…）
　浩平達とメイフィア、微妙に認識の違いがあるが、しかたなくメイフィアは事実を言うことにした。
「うんと…浩平君、全部言うから大人しく聞いてね」

257 ：死者の遺産（5/5)：03/01/03 00:53 ID:7HxG4lH9

　メイフィアはアレイやモンスター製作などの自分に不利になることを省いて全てを伝えた。
「…というこは、七瀬が死んでメイフィアさんが死んだ七瀬の体に乗り移った…という訳なんだな？」
　浩平は七瀬が死んだことを知った時は、少し泣きそうになったが、事実を受け止めようとし感情を殺した。
　一方、瑞佳は泣いてしまったが。
「まあ、大体そんな感じかな？」
「じゃあ、全てが終わったら七瀬は元の体に戻れるのか？」
　浩平は一握りの可能性を見出すが、メイフィアは渋い顔する。
「…正直…可能性は無いに等しいわね…」
「だって、傷が治ってるし、心臓も動いてるんだろ？」
「浩平君…人間の魂と体って、わかりやすく言うと鶏の卵の殻と黄身と同じようなものよ…一度割れると復元できない…」
「……」
　浩平が絶句する。
「私は魂が体みたいなものだから、なんとでもなるけど…ただの人間の魂では絶対に綻びがでてくる」
（くそ！七瀬のやつ…一人で格好つけやがって…）
　浩平が毒づく、そんな彼に心中を察してメイフィアは一つの提案をした。
「全てが終わったら、額縁越しでよければ本人と会えるわ…でも、最後の別れだと思うけどね」
「終われば…会えるんだな？」
　最後になるとはいえ、浩平には救いだった。
　別れを言えない別れよりは、別れが言えるわかれの方がまだよかったからだ。
「長森…いつまでも泣くな…」
「浩平～…？」
「メイフィアさん…とりあえず仲間を探したい、近くに人間かあんたの仲間はいないか？」
　メイフィアは七瀬の表情でにんまり笑った。
「ＯＫ～じゃあ、ついて来て。あと七瀬って呼んで、ユンナにばれると額縁がヤバイんだわ」

258 ：Ｒ１２００：03/01/03 00:57 ID:7HxG4lH9

【メイフィア、全てを浩平と瑞佳に話し合流をする。その後、人間か仲間のいる場所へ移動】
　久々の新作です…
　どうも、説明的になって文章が長くなってしまいますね…。
　今後、気をつけます。（～～；
　

259 ：名無しさんだよもん：03/01/03 01:03 ID:tpZdTX8q

＞離反者の葛藤
そういえば吸血鬼は他チームでもあばれてましたな……。
正直、晴子の行動力は飛び抜けてるような気がするので（勝手な思い込み）、
今後の格好いい見せ場に期待。

＞死者の遺産
悪くはない……んだけど、浩平たちがなつみタンと合流した話がなんか、あぼーんされてる気が。
どうしたらいいんだ。

260 ：Ｒ１２００：03/01/03 04:10 ID:7HxG4lH9

すいません～～！！
上のまとめをしっかり読んでませんせんでした！！
この話アナザーにしてください！！
機会があれば書きなおしたいです…（ＴＴ）

261 ：名無しさんだよもん：03/01/03 14:29 ID:e8qt9gx5

なんかただアナザーにするのも勿体無く思ってしまった・・・
なつみがいる状態の描写を加えつつ、本筋は変わらないという修正をお願いしたいです・・・

262 ：名無しさんだよもん：03/01/04 03:38 ID:up4rj0ZG

たしか、なつみと再会してからの新たな目的が「魔術に詳しい人を探す」だったから……
メイフィアってその場合一番の適任だな。

263 ：雲雀：03/01/04 05:00 ID:up4rj0ZG

　このサバイバルが始まってから２日目の午後。
　森を出てすぐ、ホテルへと続く道のり沿いに、数人の男女が腰を落ち着かせていた。

「きよみさん、志保さんの様子は大丈夫ですの？」
「大丈夫……とは言いがたいわ。正直なところ、ここが病院だったらすぐにでも入院が決定してたでしょうね」
　芝生に横たわる志保を覗きこむようにして、きよみとすばる、そして初音が不安に顔を曇らせている。
　横たわる、というよりは寝かされているのであろう、志保の上着は脱がされ、血で真っ赤に染まった包帯だけが存在感を強くかもし出している。
　医療の知識がないものでも、彼女の背を見ればわかるであろう。
　かなりの重症だ、と。
　それほどまで、志保の背中の怪我は深刻な状態になっていた。

「御堂、いつから志保の怪我をしっていた」
「……すまん。志保の奴があまりに飄々としてたもんだから、ちと気付くのが遅れた」
「遅れたもなにもないだろう。ずっとそばにいて倒れるまで気付かないとは、お前の目は節穴か？」
「それを言うならお前もだ、岩切」
「…………」

　そして、そこから少しだけ離れた場所で、御堂と岩切も表情を曇らせていた。
　千鶴たちと別れて森を出てすぐのこと。
　今まで背中の怪我を皆に隠していた志保が、無理がたたって突然倒れてしまったのだ。
　岩切も御堂も、己の迂闊さを呪っていた。
　強化兵ともあろうものが、こんな少女の演技によって、この怪我を見逃していたのだ。
　それと、２人とも言葉にこそ出さないが、自らに戸惑っていた。
　人を殺す技術を鍛えてきた自分が、今さらになって少女１人の怪我を心配している、ということに。

264 ：雲雀：03/01/04 05:01 ID:up4rj0ZG

「まあ、なにはともあれしばらくは無理に動かすわけにはいかんだろうな」

　切り株に腰を降ろし、御堂が続ける。

「待ってればそのうち千鶴たちもくるだろうし、梓や俺たちの『特性』を考えれば、日が暮れてから移動したほうが安全かもしれん」
そして、きよみやすばるに目を向け、続ける。
「志保の心配もいいが、お前らも休めるうちに休んでおけ」

　志保の怪我は、やはりせめて、ホテルの医務室並の対応を必要とする状況だった。
　逆に言えば、今の状態では彼女にできることはなにもない。
　ならば、千鶴たちと合流するまでは彼女を休ませ、全員合流して安全を確保してから、自分が志保を背負っていく。
　それが御堂の結論だった。
　志保に付き添っていたきよみも、小さく「そうね」と呟くと、志保のすぐ横の木の根元に腰を降ろし、目を閉じる。
　初音も、志保を見守ってはいるが、きよみに習って木の根に腰を降ろし、仮眠をとる。

　そしてしばらくの後。

「御堂、私は千鶴たちを迎えにいってくる。すでに１時間以上はたっているし、こちらに向かってきているだろう」
「あ、すばるも行くですの！」
「……勝手にしろ。足手まといになるなよ。初音は駄目だ、千鶴たちがすれ違いでここに戻ってくるかもしれないからな」

　そう言うと、岩切とすばるの２人は志保を一瞥すると、今まで歩いてきた森にUターンするかたちで、森へと戻っていった。
　御堂は当然のように、眠る少女たちの横で、周りを警戒しながら、静かにただ、座っていた。

265 ：雲雀：03/01/04 05:02 ID:up4rj0ZG

　岩切とすばるが木々の中へと消えていくのを見て、呟いたのは御堂だった。

「……気にいらねえな」
「え……何が？」

　口に出すつもりはなかった呟きなのだろう、横にいた初音にきょとんとした顔を向けられ、多少にバツの悪そうな顔をする。
　そして、御堂が口を噤んでも、初音はやはり不思議そうな、申し訳なさそうな表情で、御堂の顔を見上げる。

「あの……何か気に入らないことがあるな…」
「わかった、話すから少し静かにしろ、きよみと志保が起きちまう」

　どちらかというと御堂の方が声が大きいのだが、初音は言われたとおり、口を閉じて御堂の様子を伺う。
　今まで殺伐とした人生を送ってきた御堂だが、初音のようなタイプは苦手なのだろうか。
　そっぽを向くように顔を背けて、言葉を続ける。

「さっきの見たろ、岩切とすばるの２人。あいつらぬかるみも残る森ん中をひょいひょいと歩いていきやがる」
「えっと、それが、気に入らないの？」
「……岩切は、それくらいできねえと強化兵としてやっていけないからな、気に入るもなにもない」
「え、じゃあ、すばるさんが……？」

　初音は、どのような表情で自分を見ているのだろう。
　自分は、何故こんなことを話しているのだろう。
　微かな自問自答を頭の片隅に追いやり、御堂は続けた。

266 ：雲雀：03/01/04 05:03 ID:up4rj0ZG

「世の中には、天才ってもんがいるのさ。何をするにも人より上手くできる奴、例えば……」
　少し間をおいて、御堂は、悔しそうに、何かを思い出すように語る。
「たった少しの時間だけで、岩切の技術を吸込むような天才がいる。俺は……そういった奴が気に入らねえのさ」

　初音は、すばるの行動を思いだした。
　そういえば、熊と戦っていたときから、彼女は岩切に常に付き従っていた気がする。
　自分は気付かなかったけれど、もしかしたら彼女は岩切の動きを、無意識にでも観察していたのかもしれない。
　でも、それが気に入らないとはどういうことか……。

「別にあの小娘が気に入らないわけじゃないが……ああいう奴を見ると、どうしても思い出す男がいてな」

　初音は、静かに独白する御堂の横顔を眺めていた。

「俺が何をしても、一歩先に行く奴だ。何もしらないような顔で、俺に背中ばかり向ける奴が……」

　そして初音は思う。
　御堂は似ているのだ。
　過去にしばられ、自分の運命を、自分と正反対の耕一を、憎み、妬んでいた、でも本当は……きっと優しい、自分の叔父と。

「御堂さん……ダメだよ。御堂さんは御堂さんなんだから、駄目だよ……」
「ちっ……辛気くせぇな、気にすんな。今のはたんなる戯言だ」
「御堂さん……」

　そう言うと、御堂は目を閉じて、黙りこくってしまう。無論寝たフリにすぎないのだが。
　初音は思う。
　この、御堂のことを。豹変してしまった梓のことを。消えてしまった耕一のことを。そして、叔父の……柳川のことを。
　彼等に、自分は何をできるのだろうか。しかしいくら考えても答えはかえってこない。

　ただ、遠くで雲雀が、鳴いていた。

267 ：名無しさんだよもん：03/01/04 05:04 ID:up4rj0ZG

【志保、無理がたたって倒れる。】
【きよみ、初音、御堂、休息中】
【岩切、すばる、千鶴たちを探しに森へと戻る】

スレ間は二行空きでおながいします。
ちょっと前半と後半で要点がバラバラになってしまいました。ごめんなさい。

268 ：手負い：03/01/04 06:43 ID:CC194HSu

（……まずは状況を確認しましょうか）
　千鶴はチラリと目の端で梓の様子をうかがいながら、それでも戦闘体勢は崩さない。
（梓は気絶……おそらく「あれ」の副作用。気絶しただけでしょうけど、戦闘は無理……ッ！　チィッ！）
　空気の揺らぎが感覚に響いた瞬間、千鶴はその場を飛び退いた。
　一瞬遅れ、そこには白猿の巨体がどぉぉ……んという地響きとともに降り立った。
　少しでも反応が遅れたら下敷きにされていただろう。
（こちらのお猿さんは見逃してくれそうにない……）

　ならば、
「シィッ！！」
　歯の隙間からの空気を低い唸りとして吐き出し、千鶴は近くの木を蹴った。
　反動で瞬間的に狒狒との間を詰め、必殺の一薙を振るう、が……
「クケーーーーケケケケケ！！！！！」
　耳障りな笑い声。
　それと共に白猿は先ほどと同じく目にもとまらぬスピードで飛び退くと、木々の間へと姿をくらました。
　千鶴の右腕は空気を切り裂くに終わった。
　
（……あのスピード……梓を連れて逃げるのは無理……）
「ケーケケケ！　ケーケケケ！　ケーケケケ！」
「くっ……」
　辺りの藪がガサガサと蠢く。同時に笑い声は四方八方から響いてくる。
（つっ……位置が、特定できない……どこに……）
　ガサリ！
　その時、千鶴の正面の藪が鳴った。
「そこっ！」
　反射的に藪ごとそこを切り裂く。
　ぱっ、と裂かれた葉が舞うが……それだけだった。『葉だけ』だった。
「しまっ……ぐっ！！！！」
　気づいた時にはもう遅い。
　千鶴の体が先ほどの葉っぱと同じように空に舞った。
　体の側面に特大の丸太を叩きつけられたような強烈な衝撃が走り、踏ん張ることもできずに軽々とはじき飛ばされる。
　それでもさすがは鬼の血、生まれついての狩猟者の勘か。

269 ：手負い：03/01/04 06:45 ID:CC194HSu

『攻撃』をもらう直前、無意識のうちに体の脇に添えておいた左腕……がわずかながら防御の役目を果たし、致命傷までは至っていないようだった。
　だが大ダメージなのには変わりがない。
　地面に落ちた千鶴は意識を朦朧とさせながらも近くの巨木の影へと隠れた。
　あばら、鎖骨、その辺りの痛覚神経が脳への情報をビンビンに伝えている。
　今はそれが助けになった。その痛みのおかげで意識を瞬時に回復させることができた。
「つ、ゥ……ッ……狒狒、は……？」
　木の陰からそっと敵の位置……先ほどまでの自分の位置をうかがう。
　いた。
　狒狒はすでに勝利を確信しているのか、千鶴に向かってその真っ赤な唇を眉間近くまで裏返し、にやにやと笑っていた。
　その顔に千鶴は生理的な怒りを覚えたが、彼女の『理性』と『痛み』はそんな感情を抑え込むのには十分だった。
「幸い……というべきなのかしら？　あの方は私をターゲットとしてくれたみたいですね」
　今の梓は『獲物』としてはこの上ない。気絶した状況で放置されている。
　猿と千鶴、二人の位置関係、そしてスピードを鑑みれば今は猿の方が早くそこへ到達できるであろう。
　だが猿はそれをしなかった。あくまでも今の狙いは千鶴だけのようだ。
「けど……」
　状況はベターというにはあまりにもキツすぎる。
　所詮はワーストではない、その程度だ。
「どうにかして、活路を見いだすか……あれを倒す方法を……」
　……考えをまとめる時間はくれなかった。
　狒狒のめくった唇が元に戻ると、その下から現れたのは先ほどまでの嘲笑とは違う……『狩猟者』の顔だった。
　目をギラギラと光らせ、白い歯を剥き出しにし、体毛を峙たせ、これでもかというほどの殺気を空気中にぶちまける。
「クッ……」
「クキャキャキャキャーーーーー！！！！」
　種としての猿特有の鳴き声。否、叫び声。
　全く同じ音を立てながら、白狒狒は一直線に千鶴へと向かう。
「ふぅ……ッ！」
　千鶴は大きく息を吸い込むと転がるように横へ飛び、振るわれる狒狒の豪腕の軌跡から逃れた。
　そして予想通り、それまで千鶴が身を隠すのに使っていた木は猿の一撃でなんなくへし折れる。
　すぐさま地を足に敷き、蹴ると同時に猿へと襲いかかる千鶴。

270 ：手負い：03/01/04 06:46 ID:CC194HSu

　だが彼我の決定的な……『体の大きさ』の違いは圧倒的なリーチを敵方にもたらしており、猿が無茶苦茶に腕を振り回す
　それだけでも千鶴の接近を許さない程であった。
「近づけない……攻撃可能距離に差がありすぎる……どうにかして……
　向こうに隙を作るか……あるいは、こちらもリーチの長い攻撃手段を用意しないと……」
　そこで千鶴は近間にあった先ほど狒狒が壊した木。その切れ端を手にとった。
　手頃な大きさで、特に尖った部分が多いものだ。
　そのまま狒狒の顔面に向かい、投げつける。
　防御なり回避なりをすれば隙ができる。直撃すればダメージを与えられる。
　どちらにしても……
「シェギャァッ！！」
「なっ！？」
　だが、狒狒の行動は千鶴の想像を……予想を超えたものだった。
　狒狒は回避も防御もせずに、木をはじき返した。……千鶴に向かい。
「チィッ！」
　千鶴は反射的に木を弾く。それだけで精一杯だった……いや、落ち着いていればもっとやりようがあったのかもしれないが、
　不意をつかれた今の状況ではそれが精一杯だった。
「……なっ……？」
　跳ね返された木に気を取られた一瞬。その一瞬の間に
「狒狒が……消えた……？」
　猿の姿は忽然と消えていた。おそらくは先ほどの一瞬のうちにまたしても藪の中へ身を潜ませたのだ。
「……なるほど……持久戦に持ち込むつもりですか……」
　藪の中からの急襲を繰り返し、自分の体力の消耗を図る……
　千鶴は、狒狒の作戦をそう予想した。
　……負けの込んだ人間のやることは、何につけても裏目に出るものだ。
　千鶴はこの言葉の意味を再確認することに、否、させられることになる。
　
　それは『熱』だった。
『熱いもの』が弾けた。
　千鶴の肩の辺りで熱いものが弾けた。
『熱』は頬にも飛んできて、やはりそれも『熱』かった。
　そっと熱源を伺う、と、そこには……

271 ：by R.E.D.：03/01/04 06:47 ID:CC194HSu

　……自分の右肩に牙を食い込ませる狒狒の姿があった。
「あぁぁぁぁぁあぁあぁああああぁあぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁあ！！！？！？？？！？」
　己でも信じられぬ程の叫びとともに、闇雲に左腕を振り回す。
　自分の体に赤い筋を刻むのも気にせず、遮二無二爪を振るう。
　やがて爪の先が狒狒の鼻先を引っ掻き、ひるんだ狒狒はようやく千鶴の体から歯を引き抜いた。
　だが離れると同時に肩ごと千鶴の右腕を持っていき、ある程度距離を取ると不味そうにペッと吐き捨てる。
　そして……またしてもあの笑い。にやにやとしたあの笑い。
　
　一方千鶴はそんなものを見ている余裕はなかった。
　痛みというよりも熱が激しく肩から流れ出ていく感覚……それは彼女の体から流れ出る血を指していたのだが。
　大量失血により意識に急速に霞がかかっていく。さらに同時に片腕を損失したことにより、体のバランス感覚も薄れて足下も徐々に定まらなくなっていく。
　傷口は『腕』というよりも『肩』をやられたというべきもので、ほとんど鎖骨まで到達しかかっている状態だ。
　少しでも意識が揺るげば自分の体は地に伏し、二度と起きあがれることはできない……
　確信とともにそんな予感が千鶴の脳裏を駆け抜けた。
　ひょっとしたら致命傷かもしれない。すぐに治療しなければ命にかかわるかもしれない。
　逃げなければ……逃げなければ、自分が、死ぬ。
　
　……だが千鶴はそうしなかった。考えたわけではない。もはや何かを考えられる状態ではない。
　心に刻みつけられているのは、梓。自分の妹。守るべき妹。
　先ほどまで……憎まれ口を叩きながらも、自分の前で静かな寝息を立てていた妹……
　梓が、ここにいるのだから。
　
　キッ！
　己の血に塗られた顔で、千鶴は狒狒を睨みつけた。
　笑っていた狒狒も一瞬動きを止める。
　そして千鶴は、静かに言い放つ。
「あなたは……私が、必ず、殺します」
　……たとえ、この身にかえても。
　
【千鶴　右肩、及び腕損失。大量出血。あばらと鎖骨に多少のダメージ】
【梓　引き続き昏倒】
【千鶴 VS 白狒狒　戦闘続行】

272 ：名無しさんだよもん：03/01/04 12:48 ID:uVKoNMxL

ｲｲね！最近戦闘話なかったから特にそう感じるよ

273 ：RTO：03/01/04 21:52 ID:inLV3ICj

新年明けましておめでとうございます。
編集サイトともども、ハカサバを今年もよろしくお願いいたします。
……と、いいたいところなのですが。

まだ少し先の話になりますが、当方転居により編集サイトの更新が
3月末をめどに停止となる見込みです……
転居後のネット環境の整備が済み次第再開ということになりそうです。
サイトのほうは現在6日目終盤の編集にかかってます。

274 ：ノーマッド ◆NNxGyhVTyo ：03/01/05 04:01 ID:q/sQAMoF

モナーがテレビアニメ化！！！
祭りだ！！！！
参考画像：http://www.bj.wakwak.com/~naruto/img-box/20030105031020.gif
<<放送時間>>
1/5
大阪テレビ大阪（日）9：30～10：00
東京テレビ東京（日）9：30～10：00
名古屋テレビ愛知（日）9：30～10：00
福岡ＴＶＱ九州放送（日）9：30～10：00
札幌テレビ北海道（日）9：30～10：00
岡山・高松テレビせとうち（日）9：30～10：00

275 ：ノーマッド ◆62IWBozqOg ：03/01/05 04:05 ID:q/sQAMoF

276 ：ノーマッド ◆OY3pebmKKY ：03/01/05 04:19 ID:q/sQAMoF

277 ：ノーマッド ◆vGZZXbr9Pc ：03/01/05 04:26 ID:q/sQAMoF

278 ：ノーマッド ◆/HPq4mSsdY ：03/01/05 04:38 ID:q/sQAMoF

279 ：ノーマッド ◆MmGo4oCId2 ：03/01/05 05:01 ID:q/sQAMoF

280 ：ノーマッド ◆euFjXo8sjU ：03/01/05 05:21 ID:q/sQAMoF

281 ：ノーマッド ◆mVskblzGg2 ：03/01/05 05:22 ID:q/sQAMoF

282 ：ノーマッド ◆lFjvqmFLtA ：03/01/05 05:40 ID:q/sQAMoF

283 ：ノーマッド ◆yR02n1TYPE ：03/01/05 05:43 ID:q/sQAMoF

284 ：ノーマッド ◆7JxrbguDSs ：03/01/05 05:58 ID:q/sQAMoF

285 ：ノーマッド ◆CmEW8w8Y6I ：03/01/05 06:29 ID:q/sQAMoF

286 ：ノーマッド ◆BHMb/z05DY ：03/01/05 06:29 ID:q/sQAMoF

287 ：ノーマッド ◆t4cqDBcM6o ：03/01/05 06:47 ID:q/sQAMoF

288 ：ノーマッド ◆lTv3P8ayfc ：03/01/05 06:50 ID:q/sQAMoF

289 ：ノーマッド ◆gbc5wsCo1g ：03/01/05 07:17 ID:q/sQAMoF

290 ：ノーマッド ◆k1DOMhNhPw ：03/01/05 07:20 ID:q/sQAMoF

291 ：ノーマッド ◆4eq5Z7UCHM ：03/01/05 07:39 ID:q/sQAMoF

292 ：ノーマッド ◆3lYMzvrHBo ：03/01/05 07:41 ID:q/sQAMoF

293 ：ノーマッド ◆Vlq6/mopYA ：03/01/05 08:00 ID:q/sQAMoF

294 ：ノーマッド ◆boLZLxByj2 ：03/01/05 08:03 ID:q/sQAMoF

295 ：ノーマッド ◆boLZLxByj2 ：03/01/05 09:22 ID:0kIHcqhJ

296 ：ノーマッド ◆0zKqGCiEgk ：03/01/05 09:27 ID:0kIHcqhJ

297 ：ノーマッド ◆lzl.94j/v. ：03/01/05 09:49 ID:0kIHcqhJ

298 ：ノーマッド ◆qnxUOGqQ6g ：03/01/05 09:53 ID:0kIHcqhJ

299 ：名無しさんだよもん：03/01/05 12:25 ID:WMM9a72x

メンテ

300 ：297：03/01/05 14:52 ID:578iw+rG

>>273

ﾏﾀｰﾘ待ってます。こちらも紙媒体化になるといいですね。
HP閉鎖だけは勘弁してね

301 ：名無しさんだよもん：03/01/06 16:55 ID:b1G9y/8h

この状態で紙媒体化までいったらマジで神だな

302 ：名無しさんだよもん：03/01/06 20:11 ID:whLf8Qx9

「紙媒体化させる」自体は難しくないさ。

303 ：名無しさんだよもん：03/01/07 18:50 ID:VyMrIapt

しかし、進まないパーティはホントに進まないなぁ……。
ある程度は一人リレーでもいいから、書ける人は遅れチームを二日目までひっぱらん？
とか言ってみるテスト。

漏れは新しめのキャラしかしらないので……ｽﾏｿ。

304 ：一書き手：03/01/08 00:23 ID:BTOIHarr

本音としてはそうしたい…が
いまだに二日目に進めないメンバーってのは大抵複線関係がごちゃごちゃしてるとか
人数が多いとか知らないゲームだとかで進めるのに躊躇してしまう…
コリンとかのチームなんて漏れには無理ぽ…

305 ：Sword & word：03/01/08 03:01 ID:vX01KaCy

（……さて、と）
　浩之は考える。
（まずは状況を整理しなきゃな）
　目の前の黒フードに、クロスボウを向けながら。
　
「よっ、く、も……サラを！」
「つっ……」
　隣ではティリアが泣き叫びながら、それでも剣線はゆるめず黒フードに斬撃を浴びせかけている。
　しかし敵もさるもの。余裕、というわけでもないが全ての攻撃を受けきっている。
　
（あっちは膠着状態……んでこっちは）
「…………」
　自分に相対する黒フードは、両手をその外套の下に隠したままこちらを睨みつけてきている。
　武器がクロスボウ……飛び道具だというのを警戒してのことだろう。
（けどまぁ……戦闘技術は向こうさんが圧倒的に上。間合いを詰められたらまず間違いなくやられる……）
　確かにクロスボウは射的距離はあちらより勝っている（フードの得物が飛び道具でなければ）。
　しかし、初手をかわされたら、次弾装填までは時間が……銃と違い、かなりの時間がかかる。
　矢のないクロスボウなど、中途半端な鈍器以外の何者にも使えない。
（イコール、死、か）
　こちらも変わらず膠着状態であった。
　
　いや……違った。黒フードは待つつもりはなかった。
「奴は奥か……行け」
　浩之の正面のフードが小さく顎をしゃくる。
「はい」
　命令を受けたさらに別の黒服は瞬間、『まるで飛んでいるかのような身軽さで』博物館天井に吊されているプロペラ戦闘機に飛び乗り、
　そのまま博物館の奥へと消えていった。
「ま、まちやが……！」
　慌てて矢を上へと向ける浩之。だが
「甘いな」
「な！？」

306 ：Sword & word：03/01/08 03:02 ID:vX01KaCy

　正面のフードがその隙を見逃すはずがなく、一瞬で浩之までの間合いを詰めた。
　同時に、初めてそいつの右腕が外套の下から露わになる。
　そこに握られているのは……鍔部分に豪華な装飾がなされた極細の剣。人によっては、レイピアと呼ぶ。
『突き』専用の剣だ。
　ガキッ！
　……固い物どうしがぶつかり合う鈍い音が響く。
　必殺の突撃はクロスボウに当たり、わずかに浩之の体を逸れた。
「チィ……アンタに恨みはないけどな！　こっちだって仲間に手ぇ出させるわけにはいかないんだよ！」
　そのままバックステップで一歩下がりながら、矢の照準をフードへと定める。
　この距離なら、確実に……
「ふん！」
　しかし黒服はまだ隠していた左腕を振るうと……一本の革紐を浩之へと投げつけた。
　浩之はそれに多少面くらいながらも、なんとかかわす。そして、改めて男に矢を……
　バチンッ！！
「がっ！？」
　だが……黒服が腕を軽く動かすと、紐はまるで生き物のように軌道を変え、浩之の喉へと絡みついた。
　さらに一瞬体がフワリと浮く感覚があったかと思うと、頭にドゴと強烈な衝撃が走る。どうやら投げ飛ばされたらしい。
「ツッ……」
　朦朧とする意識の中、浩之の目は自分を強制的に起きあがらせながら迫り来る黒服の姿を見た。
（こりゃ、ヤバイな……）
　そして……
（ええい！　こうなったら！）
　
「スマン！　俺たちが悪かった！　参った！」

　両手を上げ、クロスボウは足下に落とした。
　

307 ：Sword & word：03/01/08 03:02 ID:vX01KaCy

「な……？」
　さすがに黒服も一瞬面食らったようだ。
「降参する。参った。とりあえず捕虜になるから……話し合おう。な？」
「……………」
　黒服は（たぶん）憮然とした表情のまま浩之を立たせると喉元に剣を突きつけ……ティリアに向き直る。
　ティリアと、サラを殺した黒服は未だにすさまじい剣風の中にいた、が、浩之のその姿を認めたティリアの動きが一瞬止まった。
「浩之！？」
「！　もらった！」
「つっ！？　しま……！」
「やめろ！！！」
　……隙をつき、ティリアに必殺の一撃をたたき込もうとした黒服だが、その動きは浩之を捕らえた黒服の怒号で止まる。
「とりあえずはこいつを捕虜にした……女、こいつの命が惜しくば剣を下ろせ」
「浩之……なんで……」
「早くしろ。こいつがさっきの女と同じ姿になってもいいのか？」
「ぐっ……」
　その言葉にサラの姿を思い出し……怒りが再燃しかけたティリアだが、目の前の浩之を見殺しにするわけにもいかない。
　大人しく、切っ先を下げた。
「いい判断だ……俺たちとて、お前らと戦いに来たわけではない。……お前たち、ここにウィルという」
　だが、その時
　
　ガシャァァン！！
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ！！！！」

　博物館の奥から、何かが割れる音、それに合わせての甲高い悲鳴が聞こえた。
「ッ！？　これは！？」
「動くな！」
　ビクリと反応する浩之だが、喉元に突きつけられた刃で動くことができない。
　それはティリアも同じだった。
「……おい、奴を止めてこい」
「……御意」
　これまでのやりとりを見る限り、どうやら浩之が相手にしたのは一行の長らしい。
　その男の言葉に従い、それまでティリアと戦っていた黒服が博物館の奥へと消えた。

308 ：Sword & word：03/01/08 03:05 ID:vX01KaCy

　そして、ここから浩之の『第二の勝負』が始まった。
「さて……では改めて聞こう。ここにウィルという男がいるな？」
（やっぱりか……こいつらが『追っ手』みたいだな。ということは、完全に俺らの敵というわけでもない……）
　浩之はしばらく悩んだ、が……
（中途半端な嘘は逆効果だな）
「ああ、来た」
「浩之！」
　ティリアが非難の声を上げる、しかし二人とも無視して話を続ける。
「どこにいる？」
「奥の部屋だ。あんたのお仲間さんが出会ったと思う」
「そうか。で、お前らは奴の仲間か？」
「いや、違う。怪我をしていたから保護して、治療した。……それだけだ」
「……それだけか？」
　浩之は、一つだけ嘘をつくことにした。いや、他の全てを正直に答えたのはこれ一つを隠し通すためだと言ってもいい。
　あの『ディスク』だけは渡してはならない……そんな気がしたからだ。
「……そうだ。それだけだ」
「ふむ……」

　……そこに、最初に奥へと行った黒服が戻ってきた。
「奥に奴がいるらしいが……見つけたか？」
　黒服（頭）は部下に問いかける。
「はい。ですが……逃げられました。居合わせた人間に邪魔されまして……」
「チッ……ということは、『アレ』を持ったままか」
「おそらくは。奴の荷物は散乱していましたが、それらしき物は見あたりませんでした」
「……そういえば、奥の人間はどうしてる？」
「はい。あいつが見張っております。一人殺してしまいましたが……」
「「！！」」
　浩之とティリアの表情が一瞬にして青ざめる。
「……詫びはせんぞ。俺たちもお前らに仲間を殺されたのだからな」
　黒服（頭）は静かに言い放った。そして……
　
「さあ、続けようか」

309 ：by R.E.D.：03/01/08 03:06 ID:vX01KaCy

【浩之　捕虜に】
【ティリア　動けず】
【ウィル　脱出】
【黒服（頭）、黒服B　浩之への尋問を続行】
【黒服A　奥の部屋で見張り】
【『奥の部屋のメンバー』　一人死亡】

310 ：名無しさんだよもん：03/01/08 03:08 ID:C9DCZQ76

うわぁ…久々に緊迫の展開…

311 ：真なる存在：03/01/08 03:14 ID:+UQeEE0Q

「先の狩猟者の敗因は、力しか持たなかったことだ」

　巨大な水槽や、複雑にからみあった管、そして物々しい数々の機械類。
　暗いその室内ではまさにいま、朝鮮製によって『真の狩猟者』が誕生しようとしていた。
　すでに真の狩猟者の身体は完成し、水槽内の培養液を排出するだけである。

「知恵を持たなければ、自分より明らかに劣る生物にも負けてしまう。それが先の狩猟者の弱点だった」

　コポコポと音をたてて、薄く濁った培養液が排出されていく。
　それにつれ、その水槽の中にはっきりと、一体の影が、浮かび上がってくる。

「しかし……ならば、その最強の肉体に、最高の知恵を与えれば良い。そうだろう？　真の狩猟者よ」

　朝鮮製は、満足そうにその姿を眺める。
　水槽内にはすでに培養液は無くなり、真の狩猟者のその巨大な躯があらわになっていた。
　それは、鬼。
　恐らく、今は亡き柏木耕一の鬼としての身体に、勝るとも劣らない巨大さであろう。
　無論、仙命樹の力によって、通常の鬼とは比べ物にならない強さを持っているはずである。

「聞こえるか？　真の狩猟者。私は今、貴様に今世紀最高の頭脳と力を与えた、いわば貴様の親だ」

　コツ……コツ……と、足音をたて、水槽に近付く。

「その私が貴様に命名してやろう。そうだな……貴様の素晴らしき名は、リアル・リ……」

　…ガシャーンッ…！！！

　結局、その素晴らしき名は永遠に語られることは無いだろう。
　なぜなら、名付け親である朝鮮製の身体は、水槽の分厚いガラスごと、吹き飛ばされてしまったのだから。

312 ：真なる存在：03/01/08 03:14 ID:+UQeEE0Q

　砕けたガラス片のシャワーを浴び、ゆっくりのその巨躯が水槽から外へと踏み出す
　その瞳は、血を求める狩猟者のそれでもあり。
　また、高度な知性の光をも合わせ持っていた。
　なぜならば……。

「お目覚めになったのですね。お身体にあうかどうかは分かりませんが、特大サイズの白衣を用意いたしました」
「ふむ……すまないな、超セリオ。ついでのそこに散らばったゴミも片付けておいてくれ」
「かしこまりました」

　超先生、そして朝鮮製に使えるメイドロボ、超セリオがその巨躯に合う白衣を持ってくる。
　まるで、前々から準備されていたように。

「しかし、私の計算より少し遅れたな。所詮は朝鮮製など、ただの機械だったと言うことか」

　朝鮮製は、狩猟者の弱点が、知性の不足だと言った。
　そして朝鮮製は、新たに知性を作り出す以外の手、脳移植をすることにした。
　その移植された脳とは、彼の知る限り今世紀最高の頭脳を持つ人物の脳。

「ところで、私は貴方を何とおよびいたしましょう？　以前の通り、超先生でよろしいのでしょうか？」
「構わん。……いや、今後は私のことは、真・超先生、と呼んでくれたまえ」

　朝鮮製は知らなかった。いや、知る必要もなかったのかもしれない。
　あくまで、朝鮮製は『つなぎ』だったのだ。
　計画通り、自分が真なる生命体へと生まれ変わるための、道具にすぎなかったのだ。

　そう。全ては、超先生の計画通りだったのだ。

313 ：真なる存在：03/01/08 03:15 ID:+UQeEE0Q

「さて、超セリオ。私がいない間、この島のリアルリアリティはどうなっていたのかね？」
「あまり進行具合は芳しくありません。ここに表として記しておきましたので、御覧ください」
「ふむ、すまない。……ふむ、そうか、なるほど」

　超セリオの作った表には、この２日目午後までの死者、負傷者、死因等、島の監視システムで判明していることの全てが記されていた。
　その表を見ながら、小さく頷き、そして独り言を呟いて……。

「超セリオよ、どうやらこの島の連中には、この私自身がリアルリアリティをふるう必要があるようだ」
「と、いいますと？」
「決まっているだろう。この力とこの知性で、生き残りの連中に、真のリアルリアリティを味合わせてやろうというのだよ」

　ククク……と笑い、立ち上がる。

「そうですか。では真・超先生。残りの朝鮮製の処分は、どういたしましょう？」
「そうだな、適当に機能停止でもしておいてくれたまえ」
「了解しました」

　そして、真・超先生はゆっくりと、階段を昇っていく。
　その新しい力で、まずどの参加者に真のリアルリアリティを体験させようかと、考えながら……。

　真・超先生の去った研究室では、超セリオが無表情のまま、残りの朝鮮製の処分を進めていた。

314 ：名無しさんだよもん：03/01/08 03:16 ID:+UQeEE0Q

【真・超先生、出陣】
【残りの朝鮮製、処分決定。処分内容は不明】
レス間は二行空きで御願いします。
あと、通常のセリオとの区別で超セリオと呼んでます。……センス悪くてｺﾞﾒｿ。

315 ：名無しさんだよもん：03/01/08 12:36 ID:9VGXKCsu

　　　ま　　た　　最　　強　　キ　　ャ　　ラ　　か　　よ

316 ：297：03/01/08 13:27 ID:lfkxByS4

最強キャラおもしろくない・・・・

317 ：悲哀なるモノ作者：03/01/08 13:32 ID:lfkxByS4

だから新しいキャラ出す暇あるなら遅れてる所書けってんだよ。
まぁべつに俺が殺しちゃえばいいんだけどね。ディーみたいに。

318 ：名無しさんだよもん：03/01/08 13:38 ID:pEfUWeW2

先輩ホントでした！マジでぶったまげました。
２００の作品が無料で見られました。とっても興奮しました。
思わず２発抜きました！とっても気持ち良かったです。
http://www.pinkonion.net

319 ：名無しさんだよもん：03/01/08 14:20 ID:6rK+S+73

ん？　おいおいおまいら、真の狩猟者は以前から出てる話だぞ？
他の話からの流れをふまえてるわけだし。
すくなくとも、いつかのぱっと出の竜とちがってこれは出すべきして出たもんだと思うが……。

個人的には、なんだか何体もいてややこしかった超先生がひとりにもどってすっきりする。

320 ：名無しさんだよもん：03/01/08 14:53 ID:lfkxByS4

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321 ：名無しさんだよもん：03/01/08 14:53 ID:GUGXGDet

http://kanaharap.tripod.co.jp/deai.html
　　　　　　　
http://k-server.org/kabu423/h.html
　　　　　

322 ：名無しさんだよもん：03/01/08 14:54 ID:ILB36w9A

>>317
あれをちゃんとまとめたのＲＴＯ氏じゃん。
ディーが厨房設定だからあんな無茶が通っただけで、批判も多かっただろうが。

323 ：名無しさんだよもん：03/01/08 14:55 ID:C9DCZQ76

あげてる時点で愉快犯だということがわかる。
感想は>>319とほぼ同じ。

324 ：名無しさんだよもん：03/01/08 14:56 ID:ILB36w9A

なんだ、荒らしだったのか。やれやれ。

325 ：名無しさんだよもん：03/01/08 15:09 ID:JoNAcuwS

祐介、沙織、あかり・・・
誰が死ぬんかね？

326 ：名無しさんだよもん：03/01/08 16:45 ID:BTOIHarr

エリアという選択肢もあるな。言い方はおかしいが。

327 ：名無しさんだよもん：03/01/08 18:42 ID:msIwiaud

これこれ、先の展開を考えるのも楽しいが、書き手の選択肢をすぼめることになりかねないしほどほどにな。

328 ：名無しさんだよもん：03/01/08 20:39 ID:P3RaxG1q

>>325
沙織>あかり>祐介
の確率で死亡しそう･･･
皆好きなキャラなんだけどな･･･

329 ：名無しさんだよもん：03/01/08 21:06 ID:SNZ3WEXp

いまさらだけど、サバでもロワでも栞はあっさり死ぬな……。
あのキャラだから仕方ないかｗ

次にこういうのがあったら生かしてやりたい。
書ければだけど。

330 ：名無しさんだよもん：03/01/08 23:33 ID:lfkxByS4

沙織が死ぬと見た

331 ：名無しさんだよもん：03/01/09 00:59 ID:h0pZRWY2

>>330
なんだlfkxByS4よ、次はさおりんをディーみたいに僕が殺してあげますってか？

332 ：書いてる奴：03/01/09 01:12 ID:KgS8KPAb

た…たのむよ、先読みはそのへんにしてくれぇ
誰を殺しても確実に荒れてしまうような状況を作らないでくれ…などといってみる。

333 ：名無しさんだよもん：03/01/09 01:46 ID:ZsOhyN02

展開が不自然じゃなければ、誰も文句は言わないと思うが。
阿呆は放置しとき。

334 ：名無しさんだよもん：03/01/09 13:44 ID:27XR91ik

いつ死んでもおかしくないというこの島の状況で
キャラが死んだら荒れるというのはどういうことだろうか

335 ：名無しさんだよもん：03/01/09 17:58 ID:LrnVetBM

キャラの氏に必然性が無いからだろ

それで原作が同じキャラが固まりやすい訳だしな
こみパなんか生存してて別作品キャラと同行してんのなんて
すばると千紗ちぃと縦横位じゃなかったか？

今回にしたって
戦いのさなか見せ場を貰って倒れるならまだしも
とりあえず一人氏んだことにしたっていうのはなー

救いは後付けとはいえ見せ場を用意出来ることくらいだし

336 ：名無しさんだよもん：03/01/09 18:37 ID:/JHVKVXS

後付けかどうかは判らないさ
別視点でストーリー書けばいいんだし。こういう展開もごく稀にあっていいと思うよ。

337 ：名無しさんだよもん：03/01/10 03:51 ID:0UCA/vB0

久々に来てみたら結構進んでるな。
というか矢島も千鶴さんも浩之も大ピンチだな。

338 ：名無しさんだよもん：03/01/10 03:58 ID:9K24KkJw

そのあたりが死んだら大荒れだなw

339 ：名無しさんだよもん：03/01/10 04:10 ID:YxInQyLd

ストーリー的な大荒れであって、スレが荒れるのとは別と思いたい……。
ところでごめんなさい、ぶっちゃけて恥を忍んで聞きます。
矢島ってそもそもだれだっけ？

340 ：名無しさんだよもん：03/01/10 06:23 ID:8T0IaReN

◆◇◆◇◆最新情報◆◇◆◇◆
http://yahooo.s2.x-beat.com/linkvp/linkvp.html

61.209.213.38 , gd2-213038.gd.kcn-tv.ne.jp ,

341 ：名無しさんだよもん：03/01/10 06:30 ID:qorftauB

>>339
矢島はTo Heartであかりに告白した奴かと。
バスケ部だったような。

342 ：名無しさんだよもん：03/01/10 07:05 ID:nbjDjGiy

http://123sesso.com/cgi-bin/top25/altro/topsites.cgi?ID=718

343 ：名無しさんだよもん：03/01/10 19:47 ID:zZFUUdHx

矢島編を書いてて思った。

ヤツにオフィシャルで名前はあっただろうか…？

344 ：名無しさんだよもん：03/01/10 21:11 ID:1eJMFbPJ

>>343
折れはWin版の方はやってないので知らないが、PS版では確かに出てきたと思う。

345 ：Suspension bridge：03/01/11 23:18 ID:7owmWetk

「だあああっ！　あいつら予想外に速いぞ！　どうすんだよ久瀬！」
「考えてる！　とにかく今は走れ！　追いつかれたら最後だぞ！」
　肩を貸してやっているにもかかわらず、ギャーギャーわめく相沢を放り出したい気分になりながら久瀬は
　迫りくる蟻から必死で逃げる。
「でもよ、このオッサンとと相沢を抱えたまま逃げるってのは絶対無理だぜ！　なんとかしねぇと！」
　その声の主は、倒れていた男を担いで走っている北川だ。
　その顔には疲労の色が濃く、息切れも激しい。

（北川はかなりキツそうだな。それに相沢の足ももう限界か･･･････くそっ！）
　心の中で毒づきながら、首と腕だけを後ろに回し、Ｍ１６を無造作に蟻の群れに撃ち込む。
　何度か繰り返してる威嚇射撃だが、せいぜい数匹が肉塊と化すぐらいで、
　すぐにその屍を無数の蟻が這いずる。まったくもって効果ナシだ。
　そして中には、息絶えた仲間の肉に貪り付く蟻までいる。

（腹に入れば何でもいいのか、こいつらは･･･････）
　食い千切られたその蟻を見て、一瞬、無残な姿になった自分を連想する。

　――嫌だ。そんなに死に方は、絶対にお断りだ。

　頭を振し、その考えを脳裏から吹き飛ばす。
　まだ自分は生きている。死ぬことを考えるにはまだ早すぎるのだから。

346 ：Suspension bridge：03/01/11 23:20 ID:7owmWetk

　そうこうしている内に森の終わりが見える。
　最初に狸を撃退した場所とは反対方向に走っているはずなので、それが吉と出るか凶と出るかだ。
「さぁて、これで行き止まりだった日にゃあ目も当てられないな･･････」
　と、北川が軽い口調で森を出て、急にその足が止まった。
「北川、どうしたんだ？」
　そういいながら北川と足を並べた時、疑問は氷解する。
　そこには、高さはだいぶ違うが同じように切り立った崖と、下には雨のせいで流れの激しくなった川。

　そして、吊り橋。

　しかもボロい、足場なんて見た目からして崩れ落ちそうだ。

「だが、迷ってる暇はない」
　自分に言い聞かせるように言い、呼吸を整える。
「渡るぞ」
「マジ？」
「マジだ、とにかく全員向こうまで行って、この男の持ってるコレで橋を切り落とす」
　と、いまだ目を覚まさない男の腰から日本刀と思われる剣を外し、ベルトに鞘ごと捻り込ませる。
「わかった。んじゃまぁ、行くぜ」
　男を担いで北川が一番手に吊り橋を渡る。
　なんとも言えない不安げな音が聞こえるが、特に危険はなさそうだ。
「相沢、先に行け･･････僕はここで蟻を食いとめる」
「いいのか？」
「さっさと行け。この作戦は足に怪我をしているお前が最大のネックなんだ。
　お前達のために殿を務めるの不本意だがこの際仕方ない。お前が渡り終えたら僕もそっちに走る」
　本音を話す。ここで議論をしている時間はない。
「わかった、すまん久瀬！」
　そのまま相沢もおぼつかない足取りで橋を渡っていく。

347 ：Suspension bridge：03/01/11 23:20 ID:7owmWetk

　それを確認した後、今度は森から僕達を追ってきた蟻に向き直り、銃を構え、
「正直ムダ弾は避けたいんだが･･････仕方ない、か」
　フルオートと呼ばれる機能で撃つ。
　セミオートの時とは桁違いに吐き出される弾に蟻は次々とひしゃげ、飛び散っていく。
　だが一向に勢いと数は減らない。むしろ増えている気さえするようにも思える。
「い、いい加減にしろって･･････」
　凄まじい数の蟻に恐怖しながら、久瀬自身も橋を渡り始める。
　半分進んだところで、すでに北川は橋を渡り終え、相沢もあと少しといったところまで進んでいた。
　――上手くいった。
　だれもが、そう思った瞬間、
　ギシッ！　ギシギシッ！

　急に橋全体が軋む音が聞こえ、目に見えて揺れだす。
（なんだ？･･････橋が急に不安定に･･････）
　あわてて辺りを見回すと、すぐに原因は特定できた。
　それは獲物、を逃がすまいと、追いかけてきた蟻。
　普通の蟻が一匹や二匹ならなんら問題ない。だが、実験か何かのせいだろう。
　中には指一本程度のものから、ネズミぐらいの大きさのもちらほら見かける。
　そんな蟻が、何百何千という群れで橋を渡ったら、どうなるかは明らかだ。

「二人とも早く渡れ！　ヤベェぞ！」

348 ：Suspension bridge：03/01/11 23:21 ID:7owmWetk

（解ってる！　今すぐに･･････）
　と、渡る足を速めようとした時、無情にも、

　ブチッ。

　懸命に橋を支えていた縄が切れる音が響く。
「げっ･･･････」
「しまっ･･･････」
　途端、足場がスッポリと落ち、同時に二人の体も重力の理に適った落下を始めだす。

「相沢ーッ！　久瀬ーッ！」
　全身に水を被る瞬間、自分達に向かい、北川が何かを叫ぶ。
　だが、そんなことはどうでもいい。
　
（問題は何故、今日はこうも所構わず体を打ち付けてばかりなのかと言う事だ）

349 ：へタレ書き手だよもん：03/01/11 23:25 ID:7owmWetk

【久瀬秀一　相沢祐一　共に川に転落】
レス間は２行空けでお願いします。

お久しぶりです、何とか殺人的スケジュールも一段落し、
何とか書き手としてまたやっていけそうです。
今回のはリハビリもかねてだったんでいろいろとボロがでそうですがよろしければ感想など。

350 ：名無しさんだよもん：03/01/12 03:16 ID:a+VDZwEN

ここでお笑いトリ（ｒｙ;y=ｰ( ﾟдﾟ)･∵.　ﾀｰﾝ

･･･男3人+1人は別れましたか。

351 ：名無しさんだよもん：03/01/12 06:02 ID:EgxhTBRM

正直、このチームは久瀬が人気あるけど北川のいい奴っぷりのが漏れ的には好きだなぁ……。
とりあえず、せっかくのチーム分離だし、今後は他ゲームキャラとの合流に期待。

ときに。
強化兵の血って、男が触れたらどうなっちゃうんだ？
背負ってるからには、北川も光岡の血に触れてるんだろうと思うが……。
正直、北川の発情は見たくないでつ。

352 ：名無しさんだよもん：03/01/12 14:48 ID:yKUE2Np6

見たくなくても仕方ないよ。男の子だもん。オナーニしちゃってそこを敵に（略
男が触れたらどうなるのか、実は自分も知りません。

353 ：名無しさんだよもん：03/01/12 18:57 ID:rThW4GgO

やっぱあの人に見られるのが一番おいしいと思う

354 ：名無しさんだよもん：03/01/12 21:08 ID:C/7XkPvv

新作どうも乙。
祐一＆久瀬・・・この２人、いろんな意味で目が離せない！

355 ：名無しさんだよもん：03/01/12 22:52 ID:5+NoFDl+

最近調子いいな。先月は新作が６つしかあがってなかったのに
今月は12日でもうそれに並んでるぞ。

356 ：名無しさんだよもん：03/01/13 15:52 ID:ThplXs3E

油断するとこれから一気にさめるかもだし、
読み専は読み専できっちり感想書こうじゃないか。

357 ：名無しさんだよもん：03/01/14 01:13 ID:Oa87Y3Mo

仕事はじめ保守。
仕事さえなけりゃ漏れだって話書くさ……さっきまで自宅作業で明日から仕事なんて（遠い目

てなわけで書き手の方々は頑張ってくだちい。

358 ：研究者の独白：03/01/14 04:30 ID:Oa87Y3Mo

　英二、エビル、拓也の三人。そして、彼の首をいつでも締め上げられる状態の、ラミア。
　彼等が囲むは、この研究室の主任であった、初老の男。
　ラミアに腕を折られ、小さく震えるばかりの男の白衣には血が滲み、履き物はすでに惨めに濡れていた。
「さて、あなたには聞きたいことがあるのだが、正直に答えてくれるだろうか？」
　冷たい視線で、そして冷たい声で、英二が男に声をかける。
「もちろんその答え次第では、あなたの命を救ってやることもあるかもしれない」
　それは嘘だろうと、その場にいた誰もが感じた。
　しかし、男にとってはその嘘さえも、一本の光る命綱に見えたのかもしれない。
「わ、わかった、私の知ってることは何でも答える！　だ、だから命は……ぐぎゃぁああ」
　ラミアが少し力を込めた。

359 ：研究者の独白：03/01/14 04:30 ID:Oa87Y3Mo

「まず１つだ。抽象的な質問で申し訳ないが、この島はいったいどうなっているんだ」
「ど、どうと言われても……っぐぁぁああ！！　わか、わかった！！　やめ……！！」
　ラミアが少しその手に力を込めるだけで、男は悲鳴をあげる。恐らくはすでに骨にヒビでも入っているのだろう。
「はぁ……はぁ……本当に、私たちは何も知らされていなかったんだ……。あの放送まで、ここが普通のテーマパークだと、皆が思っていたんだ……」
　英二たちは、そしてラミアは、何も言わない。
ただ、冷たい視線を送るだけ。
「あの放送と共に、実験体たちの檻のロックが、自動的に外れた。そして、あとはお前も知っている通りだ……」
　男は、弱々しくラミアを見上げる。
　そして、男の代わりにラミアがそれを続ける。
「自由になった私たちがまず何をしたか、説明はいらないでしょう。ここの研究員たちに対する、復讐。皆殺しよ」
　英二が、この惨劇のストーリーを理解し、小さくため息をついた。
　モンスターたちは研究員を皆殺しにしようとし、研究員たちは己を守るために、モンスターたちを殺した。
　そして生き残った２人が、このラミアと、男の２人だったというわけだ。
「だから……本当に私は何も悪くないんだ……」

360 ：研究者の独白：03/01/14 04:31 ID:Oa87Y3Mo

「すまないが、次の質問をしていいかな？」
　沈黙を破ったのは拓也だ。
「この研究施設にある、この、能力を阻害するような力、結界とでもいうのだろうか、これはあなたたちが仕掛けたものか？」
　そう。通常の人間である英二にはピンとこないものかもしれないが、ここには特殊な結界が張られてあり、『毒電波』を始めとした、さまざまな精神的能力を阻害していた。
　しかし。
「わ、分からない。少なくとも、私はそのようなものは知らない……本当だ、信じてくれ……」
「そうだろうと思ったぜ。この結界は人間ごときが作れるもんじゃない、もっと魔力を持つやつが作ったんだろうな」
　横からエビルが口を挟んだ通り、この結界は少なくともこの男程度にどうにかできるものではないだろう。
　超先生か、はたまた別な何者かがいるのか。
　それはこの場ではエビル以外、英二たちには知る由もないのだが。

361 ：研究者の独白：03/01/14 04:32 ID:Oa87Y3Mo

「では、あなたに聞きたいことはもう無い。出口はあっちだったかな？」
「ま、待ってくれ！　助けて……助けてくれるんじゃなかったのか！！」
　拾ったMOに付いて聞くことも考えたが、そんなものは中身を自分で確かめればいい、この男に聞く価値もないと判断し、英二は話を切り上げることにした。
　ラミアは男の首を抱え込み、少し力をいれれば軽くその首を折れるだろう。
　しかし英二、エビル、そして拓也は、それが当然の酬いだと言いたげな視線を返すのみ。
　その背後にいるレミィたちも、何も言わない。
「英二、だったか？　私はこの男を殺して、仲間たちを弔おうと思う。また、地上で会うことができたらな」
「ああ、生きていれば、な」
　軽く挨拶をかわし、男を抱えたまま、ラミアが背を向け、滑るように奥へと移動していく。
　そこに響くのは、哀れな男のすすり泣きだけ……。

　しかし、そのすすり泣きが突然変わった。

「そっそうだ！　ま、まだ生き残りがいるんだ！　女の妖狐が……コールドスリープされているんだ！！　私が死んだらそいつは生き返れない！」

「妖狐……まさか、あの親子が生きているのか！？」
　その叫びに、ラミアが足をとめ。
　
「まったく……ラミアの次は妖狐か」
「この島にモンスターを増やすだけかもしれないが、それでも聞いてしまった以上はつき合うしかないかもしれんな」
　英二たちは、別れてたった数十秒でラミアと再会した。

362 ：名無しさんですもん：03/01/14 04:33 ID:Oa87Y3Mo

【英二一行現在位置　地下施設地上連絡口前】
【理緒　廊下の惨状のショックで気絶中】
レス間は二行空きで御願いします。
会話だけで前回から進展はさほどないのですが……。
とりあえず、妖狐関係とリンクを持たせてみました。

363 ：山崎渉：03/01/14 09:43 ID:FmtD77xg

（＾＾）

364 ：名無しさんだよもん：03/01/14 13:06 ID:RWgImrZM

(；´Д｀)／　先生!!　新作ご苦労さんです。
でも……名前間違ってます。そこにいるのは、エビルじゃなくってイビルです。
よくある間違いなんで、エビルはエビだから髪が赤い方、青い方はイビルだと覚えてください。

365 ：研究者の独白書き手：03/01/14 13:12 ID:fnZhfFiN

うへぇ、ごめんなさいっ
というわけで、「エビル」を「イビル」に修正お願いできるでしょうか。
ｵﾚｯﾃｱﾎﾀﾞｳﾂﾀﾞｼﾉｳ

366 ：名無しさんだよもん：03/01/14 19:23 ID:SWorHzrZ

>エビルはエビだから髪が赤い方、青い方はイビルだと覚えてください。

なんつー覚え方や…（w

367 ：名無しさんだよもん：03/01/14 19:32 ID:31XRZwPg

ちょっと確認。
犬飼って島内にいるんだよな？

368 ：名無しさんだよもん：03/01/14 21:46 ID:UtLXEqrF

エビルはエビだから赤、イビルはイビだから青っていうのは
タカハシミナヅキのどっちかのコメントだったと思われ

369 ：名無しさんだよもん：03/01/14 21:56 ID:8vvNVVGA

俺の初見はＬＦＴＣＧビジュアルファンブックの、あずまきよひこのコメントだったのだが。
エビルと並んで（というか、コンビで）密かに大好きなキャラである。イビルビームは熱光線。

370 ：小ネタ：03/01/15 02:27 ID:+UIjNnGP

イビル（´-`） .｡oO（もしもこのスレが、葉鍵サバイビルだったら……あたいが主役!?）
エビル「何を考えているんだ？」
イビル「べっ、別になんでもねえよっ！」

371 ：名無しさんだよもん：03/01/15 05:46 ID:SknRTP6r

>>367
島には居ない。
本州某所で超の暴走を知り、この島に向かおうとしている所。（５８話）

372 ：氷の領域：03/01/16 04:49 ID:KLV4hb87

　　白い、世界。

　　白い雪。白い息。

　　そして、いつしか。

　　
　　わたしの意識も、雪のように白く……。

373 ：氷の領域：03/01/16 04:49 ID:KLV4hb87

　それは、今からたった数十分前の出来事だった。
　雨が止み、太陽が昇るのを待ってから、石原麗子たち四人はジープでホテルへと向かっていた。
　ガレージを出てやみくもに進むよりは、他の参加者たちも集まるであろうホテルへと向かう。
　その麗子の提案に異を唱えるものはいなかった。

　運転席に麗子が、そして助手席には結花。後部座席に詩子とあさひを載せ、ジープは順調に進んでいた。
　あのときまでは……。

「ねえ、なんだか寒くなってきた？」
　今まで、昨日の事も忘れたかのようにあさひとアニメの話題で盛り上がっていた詩子が、最初に気が付いた。
　いや、最初に気付いたのは麗子であろう。ただ、口に出さなかっただけ。
　この少女達が異変に気付く前に、この敵をまいてしまおうと思っていたのだ。
　だが、どうやらそう上手くはいかなかったらしい。
　麗子だけが感知出来るその気配は、猛スピードで４人に迫っていた。

「……三人とも、何が起きても慌てないで。私がなんとかするから！」
「え……」

　そして麗子がうしろを振り向かないままハンドルを切った瞬間！

「キャアァァァァッッ！！！！」

　あさひの悲鳴とともに。

『白』が、ジープを取り囲んだ。

「くッ……エンジンがやられたわ……」

　どこか遠くから、麗子の声が聞こえた気がした。

374 ：氷の領域：03/01/16 04:49 ID:KLV4hb87

　柚木詩子は、たった今、何が起きたのか分からなかった。
　あさひの悲鳴が横から聞こえたと思ったその瞬間、目の前が真っ白になり、そして全身につきささるような痛み。

「みんな！　車から降りなさい！　こっちよ！！」
　前方から、風の音に重なって麗子の叫びが聞こえる。
　ああそうか、ここは車の後部座席なんだ。じゃあ、この痛みは、白い景色はなんだろう。
　その答えはすぐに出た。

　これは、雪。そして、この痛みは冷気。
　そして麗子さんが呼んでいるのは誰？　麗子さんが呼んでいるのは……
　それは、自分たち。

　思考がまとまるかまとまらないかのうちに、詩子は行動にでた。
「！！　あさひちゃんこっち……ッ！　麗子さんの方に……」
「は……は…いッ！」
　詩子はとっさに右のドアを空け、あさひを引っ張るように車から飛び下りる。
　そこには、麗子が震える結花を抱きかかえ、２人を待っていた。

375 ：氷の領域：03/01/16 04:50 ID:KLV4hb87

「いいこと、よく聞きなさい」
　吹きすさぶ吹雪の中。
　麗子は、寒さに震える三人を抱きかかえるように、大きな、それでも優しげな声をあげる。
「今から…私が敵の本体を叩く！　だからあなたたちは逃げなさい……！！」
「ぁ……れ……いこ…さ……」
　結花が首をふりながら言葉を紡ごうとするが、唇がうまく動かない。
　しかし麗子はそんな結花を一度強く抱き締めて、はっきりと言葉を紡ぐ。
「この吹雪、半径はせいぜい100メートル。早く行かなければ、あなたたちは死ぬわ」

　死ぬ。
　その言葉だけが、この轟音の中、妙にはっきり聞こえた。
　生きるためには、もう考えている暇はないのだろう。
　そして同時に、三人は確信した。
　この女性は、自分達にない力を持っている。この人なら、なんとかできる。
　そして今、自分たちは足手まとい。
　ならば何をするべきか。

　結論は出た。

「……約束……麗子さ…ま…た会お……！！」
「……わかったわ。三人とも、いきなさい！！」

　麗子は、白い雪の中に消えていった。

376 ：氷の領域：03/01/16 04:50 ID:KLV4hb87

　詩子たちは震える体を寄せあいながら、その雪道を進んだ。
　白い息と、白い風。
　もう、先程まで感じていた痛みも、あまり感じなくなってきている。

『はぁ……こんなことなら、防寒着でも着てくればよかったね』

　たった数分で、雪とはこうもつもるものなのか。
　すでに足元には雪の層が出来上がり、まだ数十メートルもしないうちに、進むこと自体が困難になってきていた。

　突き刺さる痛み。
　そして、容赦なく襲い掛かる白い雪。

　それでも詩子が進んだのは、他の何ものでもない。
　その両手に感じる、友のぬくもりだけは守りたかったから。

　しかし、現実は酷で。

『そういえば、あさひちゃん……昨日あんなに血を流してたんだ……』

　詩子は、朦朧とする意識の中で。

『ねえ、茜。……神様って、いないのかなぁ』

　あさひの手が、次第に重くなっていくのを感じていた。

377 ：だよもん：03/01/16 04:52 ID:KLV4hb87

【麗子、雪妖（詳細不明）本体を叩きに向かう】
【詩子、結花、あさひの三人。吹雪からの脱出を試みる】
【あさひ、危機】
【武器は、ショットガンを麗子が所持。手斧・電動釘打ち機・マチェットは不明】

レス間は二行空きでおながいします。
関係ないけど、新しくコテハンにしたけど別に新参じゃないですので……（聞かれてないけどね）

378 ：名無しさんだよもん：03/01/16 13:21 ID:hdYVc0Ix

>>377
話は別にいいんだけどさ。
本文中に「吹雪を起こす」以外は詳細不明な敵を「雪妖」と決めたり、
本文中に欠片ほども出てきてないショットガンを麗子に持たせたり。
「あとがきで情報を追加する」のはリレー小説じゃルール違反だ、って、
今まで何度も言われてきてると思うんだけどな。

379 ：名無しさんだよもん：03/01/16 15:03 ID:BvL9Rr/m

そうか？　この程度なら別にいいんじゃ？
今回の話でふれてなくとも前後の話でふれてればいいんだし。
逆に、浩平の銃みたいに何も説明がなかったことで後から混乱するほいが問題だろうが。
そういう意味で、書き手から書き手へのやりとりとしては問題ないと思うんだがどうよ。
そもそも、最後の【】での補足自体が次の書き手・あるいは編集者へのメッセージにすぎないわけだしな。

ちなみに、雪を使うモンスターって意味で雪妖で構わないと思うんだがなにか？

380 ：名無しさんだよもん：03/01/16 16:00 ID:BvL9Rr/m

てか、リレー小説以外で各話ごとに後書きが入る小説がどこにあるのかと小一時間(略

まあ少し落ち着いて考えてみたんだが要するにこういうことじゃないか？

後書きに情報を追加するのは、表現力の低さ、少なくともリレー慣れはしていないのを物語っているのであって、リレーならではのそういった手法に甘えない方が、結果的に良い文章になる。
が、何も書かずに混乱を呼ぶよりは、後書きでも書いてくれたほうが幾分マシ。

ちなみにこれを「ルール違反」とするならば、結果的に技量の低い書き手はくるなということになると思うが……。

381 ：名無しさんだよもん：03/01/16 17:15 ID:78sP849Y

ショットガンはちゃんとジープにあったのを持ってきた上に
「不死者の領域」では麗子と結花が思いっきり撃っていますが何か？
そもそも>>1に
＊　投稿の最後に、【】で簡潔にキャラクターの現状を簡単にまとめて下さい。
とあるのも見えないのかと。

382 ：名無しさんだよもん：03/01/16 18:41 ID:LxC2xAJa

要するに問題点は

・雪妖？
・荷物描写が少し足りない

こんだけ？
いや、話自体は良かったと思う。
余談だが、相当な血を流している状態にも関わらず楽しそうにアニメの話をしているのが、なんとなくあさひっぽいというか。

383 ：名無しさんだよもん：03/01/16 20:03 ID:pFexbxfM

雪妖って、氷属性の妖怪とかモンスター全般を表す単語だろ？
……って、もしや地方ルール？

荷物描写については、「荷物について全然ふれていない作品」が多いことを考えれば、めくじらたてることでもないだろう。
まぁ、書くなら文中で書いた方がもっと良くなるってのはあるけど。

リレーのルール発言は勘違いも甚だしい。
ルールを作るなら「作中で触れてなくとも所有武器について後書きでまとめるべし」というルールを定めた方が幾分やりやすくなる。

ちなみに個人的には、麗子チームの「～～の領域」が続いてるのにﾜﾗﾀ

384 ：名無しさんだよもん：03/01/17 00:04 ID:+5LWarDW

んー、荷物に関しては「忘れるなよ」って感じで書いてくれたんだろ思うが。

それより麗子はもっとどっしりとしてて余裕見せてるキャラだと思う。
しかし、この展開は……下手すりゃ全滅しそうだなぁ。

385 ：山崎渉：03/01/17 00:10 ID:J0yEIeUJ

（＾＾）

386 ：だよもん：03/01/17 00:45 ID:FviC4AU0

あわわ……なんか帰ってみたら自分の作品が議論の元になってしまったようで、申し訳ないです。

＞雪妖
他の方もおっしゃっている通り、雪や冷気を使うモンスター全般をさしたつもりで、固有名詞ってわけじゃなかったんですが……。
普通に「敵」とでも書いておけばよかったですね(´･ω･`)

＞武器
ルールかどうかはさておき、これは自分の表現力不足が悪いんであって……今後も努力します(´･ω･)

＞麗子どっしり
…………誰彼やったことないので、他の作品とかからのイメージで書いてたんですけど、どうやら違かったようで、すまんです(　´･ω）　ｺﾞﾒﾝﾅｻｲ　

387 ：分かたれた道：03/01/17 00:48 ID:EwYJzhVH

　ドサリ。
　シュベストは気を失った葵をホールの端へと無造作に投げ捨てると、食卓の上を三人へと歩み寄っていく。
「さあ、どうして殺してほしい？」
　ガシャ、ガシャ、ガシャと彼の足の裏で食器が割れていく。
「ぼろ雑巾のように引き裂いてやろうか？」
（冬弥……）
　彰はたまを抱えたままの冬弥にそっと耳打ちをした。
（なんだ……？）
「カラカラに干涸らびるほど血を吸い尽くしてやろうか？」
（…………）
（な……葵ちゃんは！？　放っておくって言うのか？）
（仕方ないだろう！　ここで僕たちがあいつと戦って勝てると思うのか！？）
「はたまた逆に生きているのが嫌というほどに苦しめてやるのも面白いかもしれんな」
（……仕方がない……）
（それじゃいくよ。……せえ、の……っ！！！！）
「「てえぇぇぇぇぇーーーーーーいっ！！！！！！！！」」
「なっ！？」
　一瞬。冬弥と彰は二人がかりで巨大なその食卓をひっくり返した。
　上に乗っている調度品・食器の類が派手な音を立てて床へと散らばる。
「逃げるよ！」
「くっ……ごめんよ葵ちゃん！」
　彰は壁近くに置かれた甲冑からハルバートをもぎ取り、そして冬弥は未だ気を失ったままのたまを抱きかかえると、部屋を飛び出した。
「おのれ小癪な！」
　一瞬面食らったシュベストだが、すぐさま立ち上がると三人を追う。
　
　ガチャガチャガチャ！　ガチャガチャガチャ！！
「何してるんだ冬弥早く！」
「わかってる！　わかってる！！　わかってるわかってるわかってるからそう急かすな！！！」
　先ほど自分の手で開いた錠前。『自分が開いた鍵』。
　その手順を逆に辿れば難なく開くはず。はずだった。
　だが……真剣になればなるほど指先が震え、簡単なその作業すらこなす事ができなかった。
「くそっ！　くそっ！　くそっ！！！」

388 ：分かたれた道：03/01/17 00:49 ID:EwYJzhVH

「チッ……下がれ！　冬弥！」
「なっ！？」
　業を煮やした彰は、ハルバートを振りかぶって錠前に叩きつける。
　バキィィィィンと強烈な金属音がエントランスに響き、同時に錠前が弾け飛んだ。
　そのまま体当たりをかまし、扉を開こうと試みるが残った金具が中途半端に留め金に引っかかっており、扉はわずかな隙間を開くに留まった。
「チィ、ならもう一発……！」
　と彰が再度斧を振りかぶったその時
「無粋な……！　人間とはどこまでも無粋な……。何でも壊せば解決するとでも思っているのか……」
　二人の後ろから、声が聞こえた。
「！」
　同時に振り返る。……そこには、食堂の扉を開き、こちらを睨みつける吸血鬼の姿があった。
「……食間の運動にもならぬが、遊んでやることとするか！」
　
「冬弥！　早く開けて逃げろ！」
「なっ！？　彰！」
　言うやいなや、彰は斧を構え直し、迫り来る吸血鬼を迎え討った。
　疾走する吸血鬼に合わせ、遠心力で加速した斧を叩きつける。
「甘いわ！」
　だがシュベストはわずかに身をひねって一撃をかわすと、そのまま回し蹴りを無防備な彰のテンプルに叩き込んだ。
　馬鹿でかい鈍器で頭を思い切り殴られたような、おおよそ人の身のみでは作り出せない強烈な衝撃が彰の頭を襲い、体ごと壁へと叩きつけられる。
「開いたぞ！　彰！」
　金具と悪戦苦闘すること数秒。わずか数秒で外すことに成功した冬弥だったが、振り返ったところでちょうどその光景が目に入った。
「あ……き……ら……？」
　冬弥が見たのは、頭から夥しい量の血を流しながら壁際にうずくまる彰の姿だった。
「……友人は死んだぞ？　次はお前の番だ！」
「ヒッ……！」
　冷気のような吸血鬼の視線が冬弥を射抜く。
　冬弥の足は、固まった。頭では逃げよう逃げようと体への命令を発するが、肝心の足が凍り付いたように動いてくれなかった。
「さて……」
　吸血鬼はそんな冬弥の状態を見透かしたかのように、先ほどとはうって変わってゆっくりと歩み寄る。
「せいぜい私の食欲をかき立てるような悲鳴を上げてくれ。今宵の客人はどうも手応えがなさすぎてつまらん」
「あ……あ……」

389 ：分かたれた道：03/01/17 00:50 ID:EwYJzhVH

「ん？　なんだ？　聞こえんなぁ？　もう少し大きな声で頼む」
「あ……あ……あ……！」
「聞かせろ。お前の悲鳴を。絶望に歪む声を。私に！」
「彰ァ！！」
「！！！」
　ドゴッ！！！
「なにィ！？」
　冬弥が叫ぶと同時に、いつの間にか背後に立っていた彰がその斧を振り下ろした。
　あやまたず吸血鬼の体を肩口から腰の近くまで、斜めに引き裂く。
「逃げろ……冬弥……逃げろ……」
「ッ！？」
　消え入りそうな、彰のその声を聞いた瞬間、冬弥の体が金縛りかたら解き放たれた。
「……わかった！　彰！」
　転がるように、冬弥は外へと飛び出した。
　
「……よかった、冬弥……」
　もはやほとんど見えない目で、彰は冬弥の後ろ姿を見送ると力無くその場に倒れる。
　流れ出た血はあまりに多く、体の望みを満たすことはできない。
（美咲さんを頼むぞ……）
　そして、目を閉じようとした……その時……
「ククク……クククク……」
　……声が、聞こえた。
「クククク……なんとも麗しい友情だなぁ、『アキラ』君？」
　……仲間を殺した、忌むべき、自分が殺した、死んだはずの……
「そんな武器で『ヴァンパイア』を殺せるとでも思ったのか？」
　……吸血鬼！

「面白い余興を思いついた……」
　吸血鬼は人間ならば確実に致命傷のその傷を凄まじい速度で『再生』させながら、彰の胸ぐらを掴んで立ち上がらせた。
　すでに彰の体に抵抗の力は無く、その四肢はダランと伸ばしきったままだ。
「貴様は『喰』ってくれる。喰屍鬼（グール）にしてくれる」
　カッ、と長い牙の光るその口を開く。

390 ：分かたれた道：03/01/17 00:51 ID:EwYJzhVH

「我が下僕としてくれる。貴様のその大切な友を喰らわしてくれる」
　そしてそのまま、彰の首筋に食らいつく。

（……ああ、冬弥……）
　自分の『生命』が流れ出る感触を首に感じながら、彰は声にならない呟きを漏らした。
（ボクが、汚される……）

「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ……」
　一方、冬弥は屋敷を飛び出し、森の中をあてもなく走り続けていた。
　坂道を転げ落ち、木の根に躓き、泥だらけになりながら、それでもたまは抱いたまま、どこまでも走り続けた。
　どれほどの時間が経ったのかわからない。冷静に考えてみれば、モンスターに出会わなかったことが奇跡のようだ。
　……不意に、たまが口を開いた。
「とう……や……」
「！　気がついたのか！」
「あっ……ち……」
　プルプルと震える手で、森の一点を指さす。
「あっちに……行っ……て……」
　それだけ言うと、再度気を失った。
「あっちか？　わかった！　あっちに行けばいいんだな！」
　行動の指針が無い以上、その言葉に逆らう余地はない。いや、この時すでに冬弥に考える余裕があったかは疑問だ。
　ともかく、冬弥は示されたその方向に走り出した。
　
「それにしても、思ったよか暇よねー」
　先頭を歩いていたコリンがやる気なさげに呟く。
「ユンナがいる……かもしれない場所にはまだまだ距離があるしー
　全然他の人と会わないしー
　暇つぶしに戦おうにもモンスターの類も全然出ないしー」
「こらっ」
　芳晴はちょっと咎めるような口調で
「距離があるって言っても、確実に進んでるんだからいいじゃないか。
　他の参加者っていっても、こんなのに巻き込まれてる人は少ない方がいい。
　第一、モンスターが出ないってのはいいことじゃないか。怪我人でも出たら洒落にならないぞ」

391 ：by R.E.D.：03/01/17 00:52 ID:EwYJzhVH

「ンなこたわかってますよ……言っただけでしょ。相変わらず糞真面目ね……」
　つまらなそうにブツブツと。
「だいたいねー、こっちには稀代のエクソシストと死神、それにこの聖天使コリン様がいるんだから。そう簡単にやられるわけないでしょー」
　と言いながらスキップして前へと進む。
「こらコリン、あんまり離れるな。どこから敵が出てくるかわからないんだぞ」
「だーから大丈夫だって言ってるでしょー。どこから敵が来たって、この天使銃で……」
　がばあっ！！！
「って、きゃーっ！　きゃーっ！　きゃーーーーっ！！！」
　その時、突如脇の茂みから飛び出してきた人影がコリンへと覆い被さった。
「コリン！」
　叫ぶ芳晴だが、真っ先に動いたのはエビルだった。
「たま！」
　コリン＆覆い被さった人物の横に倒れているたまを抱きかかえる。
「ひどい怪我だ……どうした！　何があった！」
「ふ、フランソワーズ、が……き、吸血……鬼……」
　そのままぷっつりと気を失う。
「江美さん！　何事ですか！」
「わからん！　だがただごとでないことは確かだ！　ともかくいったん休憩だ。早く怪我の治療をしなければ！」
「ちょ、ちょっと！　無視してないでこいつを何とかしてよ！」
　コリンに覆い被さったままの冬弥もまた、完全に気を失っていた。
　
【冬弥＆たま　屋敷から脱出、芳晴一行と合流】
【彰　『喰』われる】

392 ：R.E.D.：03/01/17 00:59 ID:EwYJzhVH

修正。

>>391の

＞「たま！」
＞　コリン＆覆い被さった人物の横に倒れているたまを抱きかかえる。
＞「ひどい怪我だ……どうした！　何があった！」

を

「たま！」
　コリンに覆い被さった人物の横に倒れているたまを抱きかかえる。
「ひどい怪我だ……どうした！　何があった！」

にお願いします。

393 ：名無しさんだよもん：03/01/17 01:25 ID:3THazMrL

オマイラ最近頑張り過ぎです。

＞氷の領域
突然の危機がなかなかにいい感じです。
よくわからんイチャモンは気にすることはないかと。
＞分かたれた道
ＲＥＤ氏はＷＡ未プレイでしょうか？･･････なんか彰のキャラが思いっきり違うような。
俺の知っている彰はこう･･････ハルバートを振り回す力などなく、弱弱しいイメージが。
そこら辺を考えてくれるとうれしいです（難癖くさくてスマソ）。

しかしシュベスト。
女は『吸って』、男は『喰らう』のねｗ

394 ：名無しさんだよもん：03/01/17 01:36 ID:tCkdGrVI

「チッ」とかもね。ハカロワ彰だったりして。
てゆーかそこの吸血鬼。テンプルを回し蹴りなどというお茶目な行動は許容しても、
葵ちゃんを「無造作」に投げるのは許さん。誰か天誅を下せ（他力本願）

395 ：名無しさんだよもん：03/01/17 13:23 ID:kTXKyO0e

一番知らないキャラが多いであろうチームがきたか……。
だれか、雫以前のキャラの簡単な解説とかしてくれないでしょうか……。

396 ：想いと出会いと：03/01/17 23:48 ID:ucrdjlZD

「あの…　岩切さん。　お願いがあるんですの…」
　森の中に足を踏み入れて、まだ間も無い。
　すばるは前を行く岩切に、少し躊躇いがちな声をかけた。
「なんだ？」
　岩切は振り向かずに訊いた。
　二人の歩みは止まっていない。
「その…」
　すばるは次の言葉を口にする前に、また躊躇った。
　岩切は怪訝な顔をしたが、急かさずに待つ。
「…教えて欲しいんですの」
「何をだ」

「…強くなる…　方法を」

　今度は岩切もぴたりと足を止め、首を巡らしてすばるの顔を見詰めた。
　そこに在ったのは、ぐっと唇を噛み締め、拳が裂けるかと思う程に強く手を握り締めた、ひどく思い詰めた様な少女の姿だった。
　岩切の口から、ふう、と溜め息が漏れる。
「意味がよく分からん」
「ぱ、ぱぎゅう…」
　一転して情けない声になるすばる。
　おかしな娘だと、岩切は内心で少し笑った。

397 ：想いと出会いと：03/01/17 23:48 ID:ucrdjlZD

「岩切さんや初音ちゃんと会う少し前に…　友達が死んじゃったんですの」
　ややあって、すばるはまた暗い顔で語り始めた。
「…誰だ？」
「名倉由衣さんって言って…　会ったばかりだったけど、可愛いくて優しそうな人で…　お姉さんを探してるって言ってましたの…」
　言いながら、すばるは鼻をすする。　目尻に涙が浮かんできていた。
「それなのに、名倉さん…　あの大きな熊に…」
　すばるの嗚咽はいよいよひどくなる。
「きっと、名倉さんのお姉さんも、友達も、家族の人も…　すごく悲しむんですの…　なのに、あたし、何も出来なかった…！」
　搾り出す声は、まるで神の前で自分の罪を告白するかの様に。
「その後も、熊に追いかけられて…　岩切さんに助けてもらって…　あたしの柔術なんて、何の役にも立たなくて…」
「で、あたしに教えを乞おうと言うのか。　もっと強くなりたいから、と」
　すばるは涙を拭いながら、こくりと頷く。
　
　岩切は暫く彼女の様子を眺めていたが、また深い溜め息をついた。
「無理だ」
「ど、どうしてですの…！？」
「兵士のあたしがお前に教えられることなど何も無い。　それとも仙命樹でも囲って、柏木梓のようになりたいのか」
「…あ、あたしが欲しいのは、力じゃないんですの！　岩切さんや御堂さんみたいに、その、強い心がまえが、ほしくて…！」
「躊躇せずに人を殺す冷酷さも、お国の為に死ぬ愛国心も、お前を強くするとは思えん。　お前とは方向が違うのだ」
　すばるは押し黙った。
「焦るな。　あの熊など普通はどうにもならん。　柏木梓が特殊すぎるのだ。　お前は自分で考えるほど力不足ではない。
それでも精神を養いたいと言うなら、知り合いに真っ当な剣術を学んだ男がいるから、生きて会えたなら紹介してやる」

　岩切はそれだけ言い切ると、再び足を進めた。
　すばるはもう何も言わなくなって、大人しく後に続いた。

398 ：想いと出会いと：03/01/17 23:49 ID:ucrdjlZD

　すばるに背を向けた岩切は、その顔を苦々しく歪めていた。
（強くなりたいだと…？　あたしがどうにかして欲しいところだ）
　自分の無力に思い悩んでいるのは、決してすばるだけではなかった。
　岩切もまた、この島に来てからは水戦試挑躰の限界を思い知らされてばかりいるのである。
　
　太陽の光の下、水分を取り続けねばいつ倒れるかも知れない脆弱な身体。
　もし全力を出せていれば、あの熊を倒すとはいかないまでも、すばるを連れて身を隠すのは容易いことだったろう。
　それどころか昨夜は、水挑躰のホームグラウンドである水中においてでさえ巨大イカに不覚を取っている。

　力が欲しいと、岩切は痛切に思った。

（水挑躰ではもはや足りんのだ…　炎に包まれようと水中にいようと、昼だろうが夜だろうが真価を発揮できる、本当の完全体になりたい）

　元より、岩切がこの島に来た目的は御堂と全く同じものであった。
　その御堂はかつて野性の仙命樹を取り込んで完全体になろうとし、あと少しで惨めな死に様を晒すところだった。
　岩切はその失敗を見ている。
　大きな力を得ようと思えば、相応の代価を支払うことになるのはよく理解していた。

　だがそれでもなお岩切は、完全体への道があると信じたかった。

　目指すところは、あの時の御堂の様な醜い姿になることではない。
　頭の中には一人の女の姿がちらついている。

　白衣を纏ったその女は岩切と御堂を軽くあしらい、その実力は蝉丸や光岡であろうと歯が立つものではないだろう。

（安宅、いや、石原麗子…！　あたしは必ずお前を超えるぞ…！）

399 ：想いと出会いと：03/01/17 23:49 ID:ucrdjlZD

　岩切とすばるはそれぞれの想いを抱いて柏木千鶴の元へ急ぐ。
　彼女達の前に一人の女が現れたのは、それからすぐのことだった。

（何者だ？）

　岩切は警戒した。
　すばるも女の様子から察するところがあるのか、その顔に緊張の色を浮かべている。

　女の目は赤く血走っていた。
　まるでこの世の全てに敵意を持ったような、鋭い視線。
　身体のそこかしこには痣が見られ、衣服を千切って包帯代わりにしたらしい箇所もある。
　その手にあるのは、本来なら人間の治療に使われる道具である数本のメス。
　しかしそれもこの女が持っていると、まるで危険な凶器の様に見えてくる。

「…佐藤雅史という男を知らないか」

　その女、霧島聖はそう訊いてきた。

【岩切とすばる、聖に遭遇】

400 ：396-399：03/01/17 23:51 ID:ucrdjlZD

名無しですが、数ヶ月ぶりに書いてみますた。
編集の時は各レス間を二行空けてお願いしますだ。

401 ：名無しさんだよもん：03/01/18 00:37 ID:IoAqh5kk

怖い女たちｷﾀｰｰｰ(ﾟ∀ﾟ)ｰｰｰｯ!!

やっぱりリレーはこういう夢の競演があるところが良いですね。
そしてすばるがまたトラブル作りそうなヨカソ。ｲｲｺﾅﾝﾀﾞｹﾄﾞﾅｧ…

402 ：名無しさんだよもん：03/01/18 03:18 ID:BiuTRSl1

聖ｷﾀ━━━━━━(((( ;ﾟДﾟ)))━━━━━━ !!!!!

403 ：Cogito ergo sum：03/01/18 04:55 ID:TLvPqrQb

　彼は。いや彼女は、いや……『それ』は暇を持て余していた。
「……退屈だな……」
『他』では色々と事態が動いているらしい。それらは、部屋を埋め尽くす数々のモニタが余すところなく映し出している。
　柏木耕一の捕獲、柏木楓の侵入、そして実験、戦い……
　だがここには何もない。島の端の一監視施設。近くを歩く参加者の姿もない。
「全くついてないな……こんな場所に配置されるなど……」
『それ』は独りごちる。最早、数少ない、いや唯一の楽しみはモニタの中で繰り広げられる『リアリティ』でしかなかった。
「しかし……これは私の求めるところではないのだよ……」
　モニタ越しのスペクタクルなど、アメリカ製の安っぽい娯楽映画と大して代わり映えしない。
『それ』が求めているのは、もっと高等な、もっと身近な、自分の目の前で繰り広げられる人間の生の戦いであった。

「やれやれ、少々『私』を作りすぎてしまったようだな」
　そう。『それ』の名前は朝鮮製……超先生が用意した、数ある自分のコピー、その一体だった。
　何体かは参加者によって破壊されたようではあるが、それでもストックはまだまだある。いや、ありすぎる。
「これでは本末転倒だ……」
　椅子の上で、何度目かの伸びをした。その時……
−−−ブブ……、ブブ……ッ−−−
「ん？」
　不意に、モニタの画面が歪むと同時にスピーカーから雑音が漏れる。
「何事だ？」
　手元の端末でいくつかの指令を出してみる……が、状態は一向に改善しない。
「ソフトの異常ではない……ということは、どこかの接触が悪いのか……」
　とにもかくにも、このままでは唯一の楽しみすら潰されてしまう。やれやれ……と面倒くさそうに椅子から立ち上がると、メインコンピュータの裏に回り、基盤部分を開いた。
「ええと……出力部分の異常ということは……おそらくこの辺り……」
　……と、複雑に絡まるコードを調べる途中、朝鮮製は見慣れぬ部品がそこに混じっていることに気づいた。
「ん？　これは……？」
　それは小さな受信機のような形をしており、一本の線でマザーコンピュータ部分へと接続されていた。
「母体部分に繋がっている……？　ならば相応の重要な部品のはずだが、こんなものは……」

404 ：Cogito ergo sum：03/01/18 04:56 ID:TLvPqrQb

　自分の知るところではない。自慢ではないが、自分はこの島のシステムはおろか機械すらほぼ全て把握している。
「これは、一体……？」
　朝鮮製が部品を手に取り、調べようとした、その時
　ピピッ！
『Compulsory Command from Central Control Base......』
「なっ！？」
　部品が小さな電子音を発し、さらに部屋中に無機質な合成音声が響いた。
「中央からの命令……まさか！」
　即座に端末を操り、状況を確認する。
「……自立自爆……！？　そうか！　あの機械は！」
−−−コマンドの強制インタラプト！
「なんだ！？　中央で何があったというのだ……チィッ！」
　状況はわからないが、ここにいては爆発に巻き込まれる。
　朝鮮製は部屋の脇のロッカーの戸を引っぺがし、中から巨大なトランクを取り出すと、そのまま窓から飛び出した。
　
　ガシャァァァァァン！！
「つ、ゥ…………ッ！！」
　ガラスを破り、長い土手をトランクを抱えたままゴロゴロと転げ落ちていく。その間にも、朝鮮製の頭脳は必死に状況を推測していた。
（中央だ……！　中央で何かあった……何があった！？
　そうだ。中央で……中央の『私』は何と言っていた？　何をするつもりだった？
『狩猟者』だ！　そうだ。真の『狩猟者』を作ると言っていた……！
　狩猟者に知恵を与える、と。そう言っていた……
　知恵……究極の知恵……『私』が与えた究極の……私なら、どうする？）

405 ：Cogito ergo sum：03/01/18 04:57 ID:TLvPqrQb

　ドゴォォォォォォ……………ン！！！！！
　
　後ろで巨大な爆発が起きた。爆風と熱波と高速の瓦礫が朝鮮製を後ろから襲う。だが朝鮮製は思考を止めない。
（究極の知恵……持つ者……そうだ。それは私だ！　『超先生』そのものだ！
　中央には私の脳もある！　なればこそ……『私』は『狩猟者』に『超先生』を与えたのだ！
　ハハッ！　素晴らしいぞ！　さすがは『私』だ！
　その上必要がなくなったら『自身』すら切り捨てる。『私』すら処分する。
　はははははは！！！　さすがは『私』じゃないか！）
　朝鮮製は笑った。声を出して笑った。機械の身に笑う機能があったとは、自信でも驚きだった。
　ザザザッ！！！
　やっと平らな地面にたどり着き、朝鮮製は転がりながらも両足で綺麗に着地した。
「だが……！」
　遙か彼方、中央の監視室の方向を睨みつけながら朝鮮製は叫ぶ。
「リアルリアリティを完成させるのは、そして見届けるのはこの『私』だ。紛れもないここにいる私自身だ！
　真なる超先生、もう一人の『私』よ。お前ではない。私だ！
　その往く道に立ちふさがるのならば……たとえ貴様だろうと容赦はしない。
　勝負だ！　『私』と『お前』、どちらが真のリアルリアリティに到達するのか。勝負だ！」
　同時に、島のそこかしこからドォォォン、ドォォォン、ドォォォン……と爆発音が連鎖して聞こえた。
　……それは、他の朝鮮製……『彼女』の姉妹たちが爆破処分される、その音だった。
　
【朝鮮製一体　脱出、"大きなトランク"を所持（中身は後の人に任せます）】
【他の朝鮮製　施設ごと爆破処分】

406 ：R.E.D.：03/01/18 05:02 ID:TLvPqrQb

＞−−−コマンドの強制インタラプト！

"−−−"部分は『ダッシュ×３』です。
使用しているのがMacゆえ、ひょっとしたらWinで見ると違うものになっているかもしれません。
その時は、修正お願いします。

407 ：名無しさんだよもん：03/01/18 05:13 ID:RrSCJRMu

＞Cogito ergo sum
ん？？　なんだかよくわからないけど、文字は一般的なものだけを使った方が良いのではないかと……。

んでもって、本編ですけども。
朝鮮製をこんなに格好いいと思ったのは、実は始めてでした（w

408 ：傀儡：03/01/18 05:28 ID:RrSCJRMu

　　……チリ…チリ……

「なんだ貴様、その表情は。ん？　そんなに仲間が死んだのが悲しいのか？」

　黒服のその男は、浩之の喉に刃を食い込ませながらも、静かに問いかける。
　そして、男は浩之の顔を覗きこみ……。
「ふむ。人間の一人や二人死んだ所で私は構わないのだがなぁ」
　ニヤリ、と口元をゆがめる。
「この糞野郎が……！！」
「ふん、どうとでも言え。下等な犬にいくら吠えられようと、何とも感じぬわ」
　そう言い放つと、怒りに震える浩之をいとも簡単につかみ。
　そして、実に軽々と床に押し倒す。
「ぐぁッ！」
「浩之ッ！？」
　ティリアがすかさず浩之に駆け寄ろうとするが、それより男の方が早かった。
「おっと、貴様もさっさとその物騒なものを捨ててもらおうか？　この男の泣きわめく声が聞きたく無ければ、な」

　倒れた浩之の横にしゃがみこみ、手に持った剣の切っ先を、浩之の『眼球』手前に合わせて、男はまたもや唇をゆがめる。
　ティリアは、悔しさに手を震わせつつも、男に従い武器を捨てるしかなかった。

　　……チリ…チリ…チリ……

　空中を静かに舞う『電波』には、三人はまだ気付かない……。

409 ：傀儡：03/01/18 05:29 ID:RrSCJRMu

　その部屋には、５人。
　両手をうしろに縛られた浩之たちと、黒服の長と、見張りが一人。
　それに加え、外に待機していたらしい新手の黒服が一人、建物の出入り口の前に立ち、巨大な斧を構えている。
　黒服の長は縛られた二人を見下し、感情の籠らない声をあげる。
「ウィルの奴めが貴様らに何を話したかもしれん。それを確認させてもらう」
「だから！　何も知らないって言ってる！！」
「虫けらごときの嘘が見破れないとでも思ったのか？」
　ニヤリ、と男は笑い、浩之の前に立ち。
　浩之の腹部に、蹴りを放つ。
「貴様らさえいなければ、ウィルを逃がすことはなかったというものを……！！　くそッ！！」
「浩之ッ！」
　そして、浩之に向かって声をあげるティリアにはすかさず、剣の切っ先を突き付ける。

「いいか貴様ら。わかっていないようだが……奥にいる貴様らの仲間の命は、私が握っている」
　刃をティリアに向けたまま、怒りに歪む、浩之の顔を見て。
「そうだな。貴様らが私に敵対するごとに、一人づつ殺していくことにしようか」
「……！！」
　男はそういうと、奥の部屋の前に立つ部下に歩み寄り、こう言った。

「さっき一人殺したと言ったな。そいつの首を持ってこい。見せしめだ」

　しかし、帰ってきた言葉は……。

「残念だけど、こっちにいるあなたの部下は二人とも、僕がとっくに『壊し』ました」

　その声とともに、奥へと続く扉が静かに開き、そこから出てきたのは、声の主である少年。
　そして、その肩に乗る、小さな生物。
　長瀬裕介と、コロボックルのピッケだった。

410 ：傀儡：03/01/18 05:29 ID:RrSCJRMu

「……き、貴様等一体！？」
　それは一瞬だった。
「僕達は虫けらなんかじゃない！」

　男が剣を構える隙も与えず、裕介が念じ、ピッケがその笛を吹く。

　……チリチリチリチリチリチリチリチリチリ……
　『ヒュ～～～・・・ルルルル』

「ぐ……ぐッぐぁぁああッ！！　せ…精神能力者どもかぁぁあああッ！！」
「今のうち、二人ともこっちへ！！」
　突如頭を抱え苦しみだす黒服の長と、そして二人を促す長瀬裕介。
　その光景にわけがわからないまま唖然としていた浩之とティリアだが、この隙にと、裕介たちのいる奥の部屋へと駆け出す。

「浩之ちゃん、ティリアさん……大丈夫？」
「えへへっ、裕くんの超能力はすんごいんだから！」
「あかり！　それにみんなもなんで……って、あんた逃げたんじゃないのかよ！」
　浩之とティリアが奥へと駆け込むと、そこにはエリア、あかり、沙織の三人。そして、逃げたはずのウィルまでもがいるではないか。
「外に見張りもいるのに逃げられるわけがないだろう」
　苦笑を浮かべつつ、浩之たちの腕を縛る縄をナイフでとくウィル。

　そう、全ては裕介の傀儡と化した部下の、虚言だった。
　つまり、死者はまだ、いなかった。
　しかし、そんな小さい安心感はすぐに消えて、縄を解き終わったウィルが、真面目な顔で皆を急かす。
「ともかく、説明はあとだ！　上位の天使が精神攻撃に耐性が無いとは思えない！　すぐにここを…」

　ド……ンッ！！

　しかし、ウィルの言葉は、轟音に遮られた。
　それは、長瀬裕介が、石壁に叩き付けられた、衝撃音……。

411 ：傀儡：03/01/18 05:30 ID:RrSCJRMu

「……ぅ……ぁ……」
「ゆ、裕くん！！」

　裕介は、叩き付けられたときに傷ついたのか、それとも敵の斬撃をくらったのか。
　彼が倒れたその床には、みるみるうちに赤い色が広がっていく。
　ピッケが必死にその肩を揺するも、小さく呻くだけでそれ以上の反応は、無い。
　そして、倒れた裕介にゆっくりと迫る影。
　それは、扉の前にいた最後の一人。巨大な斧を掲げた、黒服。

「くそッ！　エリア、彼を御願い！」
「あかり、下がってろ！！」

　裕介の体を乗り越え、ティリアと浩之がその黒服に立ちふさがる。
　ティリアが手に持つそれは、すでに廃人と化した黒服の部下が所有していた片手剣。
　浩之は、沙織が持っていたモーニングスターを受け取り、構える。
　そして二人は、ゆっくりと、実にゆっくりと迫りくる黒服を睨み付けていた。

「気をつけろ！　恐らくそいつは……岩の傀儡！　ゴーレムだ！！」

　ウィルの叫びを合図に、再び、戦闘が始まる。

412 ：だよもん：03/01/18 05:31 ID:RrSCJRMu

【浩之、ティリア、ゴーレムと対峙】
【裕介、重傷】
レス間は二行空きでお願いします。
一人死んだ、との展開でしたが、精神操作系が二人いてむざむざやられはしないだろうと思い、このような展開にしてみました。
問題あったらごめんなさい。
前回の投稿で問題があった所とか、自分なりに気を付けてみたのですが……どうだろ（汗

413 ：名無しさんだよもん：03/01/18 07:33 ID:JMLq9NIg

>>412
(･∀･)イイ!!

414 ：名無しさんだよもん：03/01/18 10:41 ID:BiuTRSl1

電波の存在を忘れていたね。さすがに精神系が2人いれば何とかなるってのもわかる。

415 ：名無しさんだよもん：03/01/18 21:26 ID:aqm8dPVf

惜しむらくは名前が違っていることか。

416 ：名無しさんだよもん：03/01/18 22:02 ID:3XLfWc92

もはやどれがあっててどれが正しい名前なのかよくわからない罠。やったゲームが少ないだけだけど。

417 ：名無しさんだよもん：03/01/18 22:34 ID:fT60u7Zu

しかし最近の新作ラッシュは凄いな
手前の作品貼った後に二つも続いてくるとはﾋﾞｸｰﾘだ

このままのペースでラストまで行けたらなあ…

418 ：だよもん：03/01/18 22:44 ID:RrSCJRMu

ぎゃ～～！！！

グーグルで「長瀬裕介」で検索していくつかヒットしたので、てっきりそれが正しいもんだと思ってました……（←過去話見て確認すればよかったのに……と今さらながら反省）
祐介、ですね。ごめんなさい

>>RTO氏
もし可能なら、編集の際に「裕介」を「祐介」に修正していただけますでしょうか。
……って、こういう御願いは通るんだろうか。

とりあえず次こそはミスしないように気をつけまつ（遠い目

419 ：名無しさんだよもん：03/01/18 23:40 ID:9bku7n2I

ま、名前は間違って使われてても気づかない事が多いからなー
特に祐と裕は変換間違いも気づきにくいし

葉鍵で一応言っておくと
祐なのは長瀬祐介、柳川祐也、巳間良祐、相沢祐一、倉田佐祐理、芳野祐介
裕なのは杜若裕司一人だけだな

本名で同じ間違いされる事が多いので一言言いたかたのよ
俺もとっとと続き考えるわ

420 ：加速する悪夢：03/01/19 04:14 ID:stI2V5Iu

「いやぁぁぁぁぁぁ！　いやぁぁぁぁぁ！！　いやぁぁぁあぁぁあぁあぁぁぁああああ！！！！」
　薄暗い森の中を、ただただ悲痛な絶叫のみが支配する。
「え、詠美……さ……落ち着いて……くだ……さ……私は、大じょ……ぶ……ですから」
　その悲鳴の元凶である南が、泣き叫ぶ詠美を必死になだめる。
　だが……その顔は青い。血の気が全くない。
「しゃ、喋っちゃダメです！　い、今治療を……」
　手をさしのべる瑞希。だが、その手は南自身によって振り払われる。
「いいんです。私はいいんです……それよりも、詠美さんを連れて、早く逃げてくだ……うっ！」
　ドグッ！
　……吹き出た血の飛沫が、詠美の顔へと降りかかった。
「……………いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ！！！！」
　
　全ては一瞬の出来事だった。
　大志一行を待っていた南たち。その前に、鎧と、巨大な斧を担いだ『少女』が現れたのは。
「な……何よ、アンタ……」
　ちょうど近くにいた詠美が話しかけた。あるいは少女の姿に少々の油断があったのかもしれない。
　……そして、少女は話すまでもなくその斧を振り下ろした。
『……たましい……あつめる……ルミラ……さま……』
「え？　え？　あ……？」
　回避はおろか、反応することさえも満足に出来ず、脳天を分割されようかというその時……
「詠美さん！　危ない！」
「え……？」

　ザクッ
　
　間に、南が割って入った。
　

421 ：名無しさんだよもん：03/01/19 04:17 ID:stI2V5Iu

　南の背中に刻まれた赤い線はあまりにも深く、心臓の鼓動に合わせて血を噴水のように吹き出す。
「く、倉田……さんが……和樹さんたちに、助けを呼びに……行きまし、た。あ、あなた方も……急いで……行って……ください……。
　坂を……の、登れ……ば、すぐに合流……できる、はずです」
「そ、そんな……」
「いやいやいや！　いやいやいや！　もういやぁぁぁぁぁぁぁ！！！！」
　瑞希、詠美、両者とも示した反応は『拒絶』だ。だが明らかにその状態には雲泥の差がある。
『にんげん……ころす……たましい……ルミラさま……たすける……』
　そうこうしている間にも、体中を真っ赤に染め上げたアレイは、一歩一歩三人へと近づいていた。
「いやぁ！　いやぁ！　もういやぁ！　どうして！？　どうしてみんな死んじゃうの！？　どうしてあたしがこんな目に遭わなきゃならないの！？
　ねえどうして！？　どうして！？　どうしてどうして答えてよぉ！！」
　詠美は我を忘れたように南の肩を掴み、ガクガクと揺さぶる。
　状況も、怪我のことも忘れたように、ただひたすらに問いつめる。
　
「なんでなんでなんで！？　なんであたしはこんなところにいるの！？　なんでみんな死ななきゃならないの！？
　これは夢じゃないの！？　夢のはずでしょう！？　ただの悪い夢でしょう！？
　もうすぐ目覚ましが鳴って、ちょっと気持ち悪くなりながら朝ご飯食べて、学校いって、よくわかんない勉強して、
　家に帰って、ポチが来て、勉強を教えてもらって、原稿を描いてこみパへ行く！
　パンダがぶーたれて、オタクどもが狂喜して買って！　あたしは女帝！
　こみパの女帝！　みんなが認めるこみパの女帝！　みんなが褒めるこみパの女帝！　そして悪い夢なんて忘れちゃう！
　これは夢ッ！　ただの夢ッ！　悪い夢ッ！　終わる夢ッ！　もうすぐ終わる夢ッ！　夢ッ！　夢ッ！
　夢ッ！　夢ッ！　夢ッ！　夢ッ！　夢ッ！　夢ッ！　夢ッ！　夢ッ！　夢ッ！　夢ッ！　夢ッ！　夢ッ！
　夢ッ！　夢ッ！　夢ッ！　夢ッ！　夢ッ！　夢ッ！　夢ッ！　夢ッ！　夢ッ！　夢ッ！　夢ッ！　夢ッ！
　夢ッ！　夢ッ！　夢ッ！　夢ッ！　夢ッ！　夢ッ！　夢ッ！　夢ッ！　夢ッ！　夢ッ！　夢ッ！　夢ッ！
　夢なの……」
「詠美ッ！」
「！？」

422 ：名無しさんだよもん：03/01/19 04:18 ID:stI2V5Iu

「逃げてどうするの？　忘れてどうするの？　捨ててどうするの？
　これは現実。いまここにある現実。私たちがここにいる現実。確実な現実。
　夢じゃない。絶対夢じゃない。断じて夢じゃない。
　これは現実。
　私たちは進まなきゃいけない。私たちを生かそうと、死んでしまった人たち。私たちを生かそうと、戦っている人たち。
　私たちを生かそうと、生きている人たち。
　みんなのために。私たちは生きなきゃいけない。現実と向き合って、生き抜かなきゃいけない。
　たとそれがどんなに辛くても。
　逃げることは許されない。なぜならこれは現実だから。
　私たちが諦めるというのは、今まで私たちのために死んでしまった人たちの命を無駄にするということだから。
　違う！？」
　詠美の肩を掴みながら、いっきにまくし立てる。
「え？　あたし……え？　けど……あたしは……パンダは……」
　ハリセンをきゅっと握りしめながら、詠美は自分に問い直す。
（あたしは……）

「……ありがとうございます」
　力無い声で、南が呟いた。
「南さん……」
「私がいいたいことは、あなたに全て言われてしまいました。……お二人とも、逃げてください。
　私の命を……無駄に、しないでください……」
　声に力はないが、言葉に力があった。
「……はい」
　そして、瑞希もうなずいた。
「さあ、行きましょう……」
　肩を詠美に貸し、立ち上がらせようとした、その時
　
　ヒュオ……ダグンッ！
　

423 ：名無しさんだよもん：03/01/19 04:20 ID:stI2V5Iu

　……鈍い音が響き、塊が綺麗な放物線を描いて詠美の手の中にスポッと収まった。
「え……？」
　詠美は、それを見つめる。……『それ』と『目が合う』。
「ヒッ……！！」
『それ』は南の頭。首から下の消えた、南の頭。
　虚空を見つめる生無き瞳。詠美は、自分の命がそこ吸い取られる感覚を覚えた。
「あ……う……」
　そして、そのまま白目を剥いて気を失う。
　
　南の首が『あった』位置から刃を抜き、改めてアレイは二人へと向き直った。
『まだ……まだ、たりない……たましいを……もっと、もっとにんげんのたましいを……』
　そのまま、あまりの出来事に自身を失っている瑞希の脳天目がけ、クレイモアを振りかぶる。
　　
　刹那。
　
「てぇぇぇぇぇぇぇぇぇやぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーっっっっっっっっっ！！！！！！！」
　鬨の声に似た叫びとともに、舞が現れた。
　坂を全力で駆け下りる速度そのままに、蹴りを見舞う。
『！？』
　いかな鋼鉄の塊であろうとも、加速のついた跳び蹴り。しかも攻撃動作の真っ最中。
　アレイは斧を振りかぶったままもんどり打って倒れ、斧はわずかに二人を逸れた。
「こいつは私が相手をする！　二人とも早く逃げろ！　坂の上にみんながいる！」
　
　舞は剣を抜き放つと、幽鬼のように起きあがろうとするアレイに対し、構えをとった。
　
【牧村南　死亡】
【詠美　恐慌状態を通り越して失神】
【南の首　詠美の手の中】
【舞VSアレイ　戦闘開始】

424 ：名無しさんだよもん：03/01/19 04:22 ID:stI2V5Iu

……名前欄がおかしいな……

>>421-422の名前欄に『加速する悪夢』
>>423の名前欄に『by R.E.D.』

をお願いします。

425 ：からまわり：03/01/19 05:21 ID:n53Jl9xH

「倉田さん、武器を持ったモンスターって……そうだ！　下のみんな、みんなは無事なのか！？」
「こら千堂和樹落ち着けッ！！！　このお姉ちゃん疲れてるだろッ！！」
　佐祐理の肩を揺すろうとする和樹を、みちるがたしなめる。
「う……そうだな。すまない」
「はぁ…はぁ……佐祐理は大丈夫、ですから……」
「お姉ちゃん、せめて息を整えようよ……」

　下にモンスターが出現した。
　佐祐理がそれを報告しにきてすぐ、舞と大志は和樹を置いて、下へと向かっていった。
　和樹自身、この二人を置いていくわけにはいかないということは、十分理解している。
　だがしかし、下にいる『仲間』のことを考えると、やはり不安な気持ちというものは抑えられるものではない。
「俺……だめだな。さっきからからまわりばかりだ。本当に……すまない」
「いえ、佐祐理は……大丈夫ですから。それよりも……それ…より…も……」
　突然声を途切らせた佐祐理を心配し、みちるが顔を覗き込む。
　そして、ハッと、息を飲む。
「お姉ちゃん、泣いてるの？　なんで……」
　なんで泣いているの？
　それだけは、口に出して聞けなかった。
　聞いたら、最悪の事態を招いてしまいそうで。
　でも、佐祐理は涙を拭いて、続ける。
「牧…村さんが……斧で斬られて…なのに……佐祐理は…何も……」

　和樹はその言葉を聞いて、何を言うわけでもなく。
　ただ、天を扇いだ。

426 ：からまわり：03/01/19 05:21 ID:n53Jl9xH

　それから、どれくらいたったのか。
　数分か、数十分か、それとももしかしたら数時間か。
　実際には佐祐理が息をととのえる程度の間しか要していなかったのだが、三人にとってはその沈黙は途方もなく長く、辛いものだった。

　そして、その沈黙を最初に破ったのは、佐祐理。
「……千堂さん、佐祐理は大丈夫ですから、だから彼女たちのところに行ってあげてください！」
「そうだ千堂和樹、このお姉ちゃんはみちるが守るから早くいってこい！！」
　みちると佐祐理の視線が、天を扇いだままの和樹にそそがれる。

　数秒の間。

　和樹は静かに佐祐理とみちるの顔を見て、口を開く。
「俺は、君たちを守らなければならない。それが大志との約束で、舞さんからの信頼なんだ」
「千堂さん……今はそんなことを言ってる場合ではないですから、佐祐理は大丈夫ですから…」
「そうだよ、みちるたちは大丈夫だから！」
　佐祐理も、そしてみちるも、本当は大丈夫などではなかった。
　佐祐理はこの坂を駆け上がる際に足を負傷し、すぐには動けそうもない。
　みちるも、この一晩の出来事によって、いくらか休息をいれたとはいえ満身創痍であることには変わりない。
　今もし、この二人が敵意あるモノに襲われでもすれば、事態は最悪の方向へ向かうだろう。
　だから、和樹は決断した。
　それはもしかしたら、今、もっとも辛い決断。
「俺は、大志を信じてる。舞さんを信じてる。だから、俺があの二人からの信頼を裏切るわけには……」

　しかしその言葉は、新たな悲鳴でかき消された。

427 ：からまわり：03/01/19 05:22 ID:n53Jl9xH

『きゃあああああああ！！！』

　和樹は、そして佐祐理は、みちるは。
　その悲鳴に、自分の耳を疑った。

「……い、今の悲鳴は……女性の悲鳴…でしたか？」
　佐祐理が、空耳でないことを確認するように、和樹たちに顔を向ける。
　みちるも、和樹も、その問いに小さく頷き。
「せ、千堂和樹ッ！　今の声誰なのッ！？　上から聞こえてきたよ！！！」
「ああ、確かに上から聞こえた。間違いない」

　上。
　奇しくもそれは、先程和樹たちが、広瀬真希の亡骸を埋め、別れを告げた場所。
　しかし、その時は上には誰もいなかった。少なくとも、生きた人間はいなかった。
　ならば、今の悲鳴は……。

「千堂さん……！」
「千堂和樹ッ！」
　和樹に注がれる２つの視線。
　それは先程と違い、信頼の視線だった。
「ああ、わかった！！　……二人とも、どうか無事でいてくれよ！！」

　和樹は、二人の言葉なき信頼を受け、坂を駆け上がった。

428 ：からまわり：03/01/19 05:23 ID:n53Jl9xH

　思えば、この島に来てから、自分は『からまわり』ばかりしていた気がする。
　由宇のこと。
　真希のこと。
　その全てにおいて、自分はからまわりばかりしていた気がする。
　だが、今は違う。
　今は、自分にしかできないことがある。
　それが分かっていたから、和樹は迷わずに坂を駆け上がった。

　しかし、『からまわり』というものは。

　時に、自らの意志とは無関係に現れるもので……。

「おい！　大丈夫か！！」
　和樹が、その女性の姿を見つけたのは坂を駆け上がってすぐのこと。
　木々の間を、苦しそうに、そしてふらふらと駈けてくる、確かにそれは、女性のシルエットだった。
　和樹が迷わずその女性の元へと駆けつけ、肩に手をあてたのは。
　普段なら、当然の行為かもしれない。
　もしかしたら、最善の行為だったかもしれない。

　だが。

「……ねぇ……わたし……きれい…？」

　和樹が再び、自らの『からまわり』を理解したのは。
　肩に突き刺さった、鎌の痛みを理解したのと、ほぼ同時だった。

429 ：だよもん：03/01/19 05:24 ID:n53Jl9xH

【和樹、口裂け女と遭遇。肩に負傷】
【佐祐理、足に怪我。みちると二人で待機】

レス間は二行空きで御願いします。
時間・場所が一致してるからには、和樹たちにも美咲の悲鳴は聞こえるだろうということで。
執筆途中でR.E.D.氏の新作に気付き、慌てて修正をいれたりしましたが（w
ちなみに、和樹に恨みがあるわけではないですので、念のため。

430 ：R.E.D.：03/01/19 06:41 ID:3v0RfLyG

しまった……漏れてた。

>>421-422の間に

＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝

　パチィィィィ……ン！

　詠美の頬が高らかに鳴った。
　瑞希の平手が打ったのだ。
「え……？」
　
＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝

を追加。

431 ：名無しさんだよもん：03/01/19 15:22 ID:X2vFqEjb

連作ｷﾀ━━━━━━（ﾟ∀ﾟ）━━━━━━ !!!!!
こういうのって結構珍しいような･･･

432 ：名無しさんだよもん：03/01/19 17:01 ID:xlkQgjxv

氏は執筆ペース速いな･･････
＞加速する悪夢＆からまわり
アレイVS舞の剣技対決と和樹の危機。
どちらも面白いです。次も期待。

433 ：名無しさんだよもん：03/01/19 17:39 ID:dKhEn9SE

というより、今までが遅すぎだったんだろ。

434 ：名無しさんだよもん：03/01/19 18:51 ID:idY8+zN6

みんな実は大学生でテストが終わったとかじゃないよなあ。

435 ：名無しさんだよもん：03/01/19 19:58 ID:n53Jl9xH

社会人でつ。
仕事が無茶苦茶忙しくて、現実逃h（略

436 ：RTO：03/01/20 00:09 ID:TIDX0i53

あああああ追いつかん！　まるで追いつかん！
新作の影さえ踏めぬ状況……うれしい悲鳴

>>R.E.D殿
祐介の件了解いたしました。しかし本当、文章巧くて執筆速いですね…
爪の　垢を　くだs（ry

437 ：名無しさんだよもん：03/01/20 02:50 ID:MyjYAvaM

RTO氏てんぱってるてんぱってる。

祐介の件はだよもん氏で、R.E.D.氏は詠美の追加文の方ですよ？w

438 ：名無しさんだよもん：03/01/20 05:44 ID:P1pcTkdg

いくつか質問。

・今一番時間軸が進んでいないパーティーは？（ホテル・英二組除く）
・二つのチームが合流する話を書く場合、片方が自己リレーになっても可？
・麗子先生の秘密は『野生（人類初）の仙命樹』でファイナルアンサー？
・転んでも泣かないよな？

あと、質問じゃないけど。

・英二組、ホテル組の状況を誰か整理きぼんぬ。状況が錯綜しまくりでワケわからん。

439 ：鉄の処女：03/01/20 08:03 ID:htooxWaG

　バチッ、とセリオの右目が火花を咲かせる。
　
「私を排除するのは結構ですが、人間に対する攻撃行動はお控えください」
　セリオは静かに言い切った。それは普段の彼女と何ら変わりない、稟とした姿。
「半分承諾しよう。だがもう半分は聞くことはできんな……貴様を排除し、全ての人間もまた排除する」
　しかしドッペルゲンガーがその言葉を受け入れる気配は微塵もない。
「……そういうわけだ。ロボット、私と同じ人間にあらざる者よ。お前をここに、排除する」
「！！！」
　瞬間、ドッペルのシルエットが『うねる』と、螺旋を描きながらその右腕が鉄杭と化し、セリオを襲う。
「私のデータには無い機能です」
　冷静に分析しながら、右に飛んで一撃をかわす。杭は壁へと深く食い込んだ。
「当然だ。私の体は科学のみに構成されているわけではない。……こういうこともできる」
　ドッペルは右腕を抜こうとはせず、そのまま腕から新たな『枝』を生やした。
　太さこそ腕に比べるまでもないが、凄まじき速度でセリオの残った左腕を絡め取る。
「これは……」
『枝』が伸びるに従い、『幹』である右腕が次第に萎んでいく。そしてそれはドッペル本体にも同じことだった。
　ドッペルの体が次第に、セリオへと移っていく。
「私には『上』も無ければ『下』も無く、『右』も無ければ『左』も無い。そして、当然のごとく『前』も『後ろ』もだ」
　……その言葉を言い終わるころには、ドッペルの体は一本の長い……蛇のような形と化しており、完全にセリオの体に絡みついていた。
「どうだロボット？　お前の全ての部品がギリギリと悲鳴を上げているぞ？　このままだとお前の体は砕け散るぞ？」
　事実、蛇が獲物を絞め殺すように……セリオの体を締め上げる。

440 ：鉄の処女：03/01/20 08:04 ID:htooxWaG

　しかしセリオは臆さない。
「……仕方がありません。実力行使に移らせていただきます」
「何をふざけた……ぐぉぉぉぉぉっっ！！！！」
　バチチッ！　と奇妙な擬音が二人の間から聞こえたかと思うと、反射的にドッペルはセリオからその身を引きはがした。
　いったん、元の人間の姿に戻る。
「ロボット、貴様……！」
「あくまでも護身用にですが……私には、こういった機能も備わってありますので」
　セリオの手首から一本の棒が突き出ていた。……軽く先端を振るたび、バチバチと火花をちらつかせる。
　
　……スタンガン。
　
「さすがにあなたの体は液体金属で構成されているだけあって、効果は覿面のようですね」
「……貴様……」
「それと、先ほどからのあなたの言葉……一つだけ訂正させていただきます」
「……なんだ？」
「私は、ロボットではありません」
　同時にセリオが床を蹴る。
「メイドロボです」

441 ：鉄の処女：03/01/20 08:05 ID:htooxWaG

　そこからは一方的だった。
　セリオが電撃を振るうたび、ドッペルは炎におびえる獣のように逃げまどう。
　鉄杭を打ち付けようとも、相手にふれることすらままならないのではどうしようもない。
　数回の交錯の内に……ドッペルは、階段の踊り場へと追いつめられた。
　
「く、クッ……」
「それでは、お引き取り願います……」
　最大限の電力を込め、スタンガンを高々と掲げる。
「ま、待て！」
　しかし、その時になってドッペルは情けない声を上げた。
「す、スマン、俺が悪かった。……もう俺は人間を襲うようなことはしない。だ、だから見逃してくれ……た、たの」
「お断りします」
　取り付く島もなく、セリオはきっぱりと断った。
「私の計算によると、あなたのその約束は……120%の確率で破棄されます。……では、失礼して……」
「そ、そんな……！」

　……だが
　
「せ、セリオさんっ！　大丈夫ですかっ！？」
　……その時、セリオの背後に、マルチが現れた。
　震える体で、しっかとモップを握りしめている。
「マルチさん……なぜ？」
　一瞬。ほんの一瞬。セリオの気が後ろに逸れた……その一瞬。
「バカめが！」
「！！！」
　ドッペルは『右腕』を巨大な鉈へと変え、力任せに振り下ろした。
　
　ガキィッ！！

442 ：鉄の処女：03/01/20 08:06 ID:htooxWaG

　金属同士のぶつかる鈍い音が響き、セリオの腕がスタンガンごと高々と宙を舞う。
「せ、セリオさんっ！」
「マルチさん、お逃げくだ……うっ！」
　ドッペルはさらに鉈を杭へと変化させ、セリオの胸のど真ん中を貫き、壁へと打ち付けた。
　同時に『枝』を四本作り、セリオの両膝、両足首を壁と縫いつける。
「せ、セリオさ……」
「動くな小娘ェ！」
「ひっ……！」
　ドッペルの怒号に、マルチは完全に固まる。
「ははははは！　バカな女だ！　貴様が来なければあるいは勝てたかもしれないものを！」
　完全に勝利を確信したドッペルは高らかに笑う。
「そ、そんな……」
「悔しいか？　悲しいか？　あははぁ安心しろぉ！　この女のそっ首落としたら……次は貴様の番だ！　二人仲良く並べてやる！
　寂しくないようになぁあははははは！」
「……先ほどの私の発言、少々撤回させていただきます」
　セリオは状況を気にしないかのように、変わらぬ声で呟いた。
「はははどうしたぁ？　ロボットでも命乞いをするのか？　いいだろう、言ってみろ。無駄だがなぁ！」
「……私を排除するのは一向に構いません。これは変わりません」
「ははは何を言うか。だから今ここで貴様を排除するんだよ！」
　ドッペルは左腕を掲げると、鋭利な剣へと変化させる。これでセリオの首を落とすのだろう。
「人間への攻撃行動だけではありません。……マルチさんへの攻撃行動も控えていただきます」
「はははそれは聞けないなぁ！　大人しく……死ね！」
　剣が空を切り裂く。……そこで、セリオが一言。

「あなたが今貫いている場所……そこは、私の動力源です」
　
　バチチチチチバチバチバチバチバチィィィッッッ！！！！！！

443 ：鉄の処女：03/01/20 08:07 ID:htooxWaG

「なぁぁぁぁぁ！！！　なんだとぉぉぉぉぉ！？」
　一際大きい火花……いや、最早稲妻と見まごうほどの強烈な電撃がドッペルを、そしてセリオを焼いた。
「……私はどうなってもかまいません。あなたには、ここでご退場いただきます」
「おぉぉぉぉぉのぉぉぉぉぉれぇぇぇぇぇぇ！」
　最後の力を振り絞り、ドッペルはその刃を振るう。
　しかしほとんど狙いは定まらず、セリオの胸部分を切り裂くに終わった。
　セリオの顔及びチェスト半分がドサリと床に落ちる。
「のぉぉぉぉぉぉぉあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ！！　この……人形がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ！！！！！」
　セリオは床に倒れながらも、悶えるドッペルに向かい、一言だけ浴びせた。
「何か仰いましたか？　……この、鉄クズが！」
「……うぉあああああああああああああああああああああああああああ！！！！！！」
　一際大きい断末魔と共に、ドッペルは『活動停止』した。
　体は形状を保つ力を失い、ただの銀色の水たまりと化し、バシャリと階段を濡らす。
　
「……せ、セリオさんっ！」
　そこまで見届けたところで、やっとマルチの呪縛が解ける。慌てて、床に転がるセリオの頭を拾い上げる。
　もうそこにいるセリオはいつものセリオではない。表皮はほとんどはげ落ち、金属部分が完全に露出している。
　しかも所々で火花が散っており、活動停止が目前なのはマルチにも一目瞭然だった。
　だが……それでも、マルチにとって、彼女は『セリオ』だ。
「だ、大丈夫ですかセリオさん！　い、今すぐ主任のところに連れて行ってあげますからね！　
　しゅ、主任にかかればこのくらいの故障、ちょちょいのちょいです！」
　駆け出そうとするマルチだが、それをセリオは制する。
「いいんですよ……もう」
「け、けど！」
「先ほど、セルフチェックを行いました……主演算装置・内部記憶装置・外部記憶装置すべて致命的なダメージを受けています……もうすぐ、『私』は消え去るでしょう」
「そ、そんな……！」
　メモリの喪失。それは、『セリオ』の消滅を意味する。
　
　しばし、ただ静寂のみが空間を支配した。
　

444 ：鉄の処女：03/01/20 08:07 ID:htooxWaG

　先に口を開いたのはセリオだ。
「私は……私は、人間のお役に立てたのでしょうか……？」
　ぶしつけな質問。
「はい、もちろんですセリオさんは……セリオさんはすごいです。主任や……橘さんや……わた、わたし……を……しっかりと……
　守って……ください……ました……」
　マルチはまっすぐに答える。だが、すでににその目には涙がたまっていた。
「そうですか……よかった……」
　セリオは安心したように目をつむる。
「せ、セリオさんっ！」
　慌てたマルチの呼び声。それに答えたのかどうかはわからないが、もう一度目を開く。
「では……私は、よきメイドロボでしたでしょうか……？」
「は、はいっ！　もちろんです！　セリオさんは、立派なメイドロボです。私なんかより、ずっと……」
「………………」
　もう一度、目をつむる。
「それは、違いますよ……」
「え？」
「やはり、私はマルチさんにはかないません……マルチさんこそ、『本当のメイドロボ』です」
「そ、そんな……私なんか……」
「いいえ……あれを見てください」
　セリオが視線を向ける。その先には、階段にぶちまけられた水銀のような水たまりがあった。
「……私も本質的には『あれ』と同じ……人間に作られた者に、心はありません……ただ、与えられた命令を忠実にこなすのみ……
　ただ『あれ』は『殺す』ことが目的で、私は『守る』ことが目的だった……それだけの違いです」
「……………」
「けれど、あなたは違います……あなたは、人と同じように笑い、人と同じように悲しみ、人と同じように……人と、同じ時を生きることができます。
　私には、それがありません。ただただ冷たい、凍り付いた時間……その中を『過ごす』のみ。私は、ただの『機械』です。
　機械は『死に』ません……ただ『壊れる』のみです」
　諦めたような、悟ったような、そんなセリオの言葉。

445 ：by R.E.D.：03/01/20 08:08 ID:htooxWaG

「……違いますっ！」
　だがマルチは、彼女には珍しく声を荒げ、叫んだ。
「セリオさんはセリオさんですっ！　私が私であるように、セリオさんでしかありませんっ！
　機械でも、ロボットでも、メイドロボでもある前に、セリオさんはセリオさんですっ！　私の……私の妹です！　あなたは私の可愛い妹ですっ！
　よくできた、立派な、私の、私の自慢の妹ですっ！　日本一の妹ですっ！！！！」
「ああ……」
　セリオは感嘆を漏らす。
「私を、妹と呼んでくださるのですね……」
　次第に、瞳の光が薄れていく。
「ありがとうございます……」
「セリオさんっ！　セリオさんっ！　しっかりしてくださいセリオさんっ！！！」
　マルチの必死の呼びかけ。しかし、それもむなしく……
「その、お言葉を、聞けた、だけで、私、は、もう、悔い、は……」
　そして消える。
　
（……ありません）

「セリオさーーーーーーーーーーーーーーーーーーんっっっっ！！！！！！！！」

　セリオは死んだ。
『壊れた』のではない。
『死んだ』のだ。

『セリオ』として。

【セリオ　死亡】
【ドッペルゲンガー　破壊】

446 ：名無しさんだよもん：03/01/20 19:10 ID:xmVHuS0V

ホテル組はこれでひと段落してるのかな？
二日目午前中には秋子組あたりは(なにごともなければ)ホテルにつきそうなもんだが。

447 ：名無しさんだよもん：03/01/20 20:52 ID:xmVHuS0V

てーか殺しまくりだな。誰もなにも言わんのか。
なにやっても文句垂れるあの鯖住人はどこへ行った。

晒しage

448 ：名無しさんだよもん：03/01/20 20:59 ID:MyjYAvaM

>>447
ﾌﾟｯ

449 ：名無しさんだよもん：03/01/20 21:10 ID:7LTpEqCn

「日本一の妹」万歳！

450 ：名無しさんだよもん：03/01/20 21:40 ID:bXhX48+9

いかん、日本一の妹で笑ってもうた。
おのれ超先生！！

451 ：名無しさんだよもん：03/01/20 21:52 ID:QBO0Y4a7

世界一と言ってやれよマルチ

452 ：名無しさんだよもん：03/01/20 23:31 ID:yxY8bE45

いいシーンなのに笑いが込み上げるｗ

453 ：覚醒する力（１）：03/01/21 00:10 ID:KEPNcsjH

　身体から流れ出していく血が、瞬く間に千鶴の体力を奪っていく。
　人間であれば、すでに致命傷に達しているほどの傷である。
　それでも意識を保ち、立っていられるのは、彼女の持つエルクゥとしての生命力に他ならなかった。
「……はあああぁっ！！」
　今にも途絶えそうになる意識を何とか保とうと、千鶴は狩猟者としての叫びをあげる。
　崩れそうになる足を堪え、千鶴は目の前に立ちはだかる狒狒に、鬼と化した左腕を振り下ろした。
　だが、狒狒は軽々と後ろに跳んでそれをかわすと、亀裂のような笑みを浮かべる。
「このっ……！」
　２度、３度、豪腕と化した腕を振り下ろすが、その全てがぎりぎりで届かなかった。
　狒狒はまるで鬼ごっこでもしているかのようにぴょんぴょんと飛び跳ね、ケタケタと気味の悪い声で笑う。
　無傷だった時でさえ、まともに捉えられなかった相手を、これほどの傷を負って倒せるはずがない。
　遊ばれている、そう思った瞬間、千鶴の頭に血が上った。
「っぐ……！！」
　狒狒はまるで踊るかのようにふざけながら、倒れている梓の元に歩み寄った。
「さ、せる、かっ……！」
　必死で足を引きずり、全身を血に染めた壮絶な姿のまま、千鶴は梓の元に駆け寄る。
　そして、まるで誘うかのようにじっとしている狒狒に向けて、渾身の一撃を振り下ろした。
　だが、ひょいと狒狒が身体を逸らしただけで、千鶴の爪はまともに宙を掻く。
　全力を込めた一撃をかわされ、バランスを崩した千鶴は、体重を支えきれずに地面に倒れた。
　倒れた瞬間、柔らかいものに頭が当たり、千鶴はうめいた。
「あ……あず…さ……」
　こんな状況でさえ、梓はぴくりとも動こうとしない。
　残った左腕だけで何とか身体を起こそうとしたその時、狒狒が無造作に梓を掴みあげた。
「………！！」

454 ：覚醒する力（２）：03/01/21 00:12 ID:KEPNcsjH

　だらりと力を失った梓の身体は、狒狒の片腕だけで、軽々と宙吊りにされてしまう。
　反動で地面を転がった千鶴は、苦痛に喘ぎながら、必死で梓に向けて手を伸ばした。
「あずさぁぁっ……！」
　狒狒は千鶴の方に醜悪な笑みを浮かべ……無造作に梓の左腕に食らい付いた。
「……！！」
　もはや身動きひとつできない自分の前で、この狒狒は梓を弄って遊ぼうというのだ。
　大切なものを守る事すらできない千鶴を、嘲り笑う為に。

　ぞぶりっ、と湿った布を引き裂くような音が、森中に響いた。

「……あは、あはははははははははっ！！」
　そして……狂気のような笑い声をあげたのは………梓だった。
　腑抜けた笛のようなひゅうひゅうといった音が、狒狒の喉から漏れる。
　それもそのはず、食らい付いた筈の梓の腕に、顎の下半分を引き千切られたのだから。
「水だぁ……水……水がいっぱい……あはははは」
　声も出せずに転げ回る狒狒の血を全身に浴び、梓は嬉々として笑い声をあげる。
　その様子を、千鶴は声も無く見ていた。
「水、もっと水を頂戴よ……ねえ」
　梓はくすくすと笑いながら、無造作に狒狒の身体を掴んだ。
　狒狒は悶えるようにして梓の腕を振り払い、逃げようと飛びあがる。
　だが次の瞬間、それすらも上回る速度で動いた梓によって、地面に叩きつけられていた。
「水だ……この中に水がいっぱいあるみたい」
　無邪気な微笑みを浮かべながら、梓は狒狒の身体を引き裂く。
　腕を引き抜き、内臓を撒き散らす……まるで子供が玩具で遊ぶように。
　やがて“小さく”なった狒狒の身体を投げ捨て、梓は満足げに笑った。

455 ：覚醒する力（３）：03/01/21 00:14 ID:KEPNcsjH

「……はあ……お腹いっぱい」
　髪から脚の先までずっぷりと血に染まった姿で、梓は口元の血をぺろりと舐めた。
「あ……あずさ……」
「あ、千鶴姉。そっか、千鶴姉だったんだ、最初にあたしに水飲ませてくれたの」
　梓はくすりと笑って、食い千切られた千鶴の腕の切断面を覗き込む。
　その言葉でようやく、千鶴は事態を飲み込んだ。

　水戦試挑躰と呼ばれた岩切、彼女はこう言っていたではないか。
　恐らく梓の身体に取り込まれた仙命樹は、水に親和性を持つよう調整されたものだろう、と。
　岩切自身、水の中でこそ最大の力を発揮し、陸上では光を恐れ、水を求める。
　その梓に、千鶴の“血＝水”が与えられた事で、眠っていた仙命樹が覚醒したのだろう。

「ん、随分酷い傷だなぁ……よし」
　そう言って、梓はいきなり自分の掌に牙を当てる。
　全身血塗れで分かりにくいが、掌から梓自身の血がぽたぽたと滴った。
　その血を、梓はひょいと千鶴の肩の切断面に押し当てる。
「ぐうっ……！！」
　ずりずりと無造作に傷を擦られ、千鶴は激痛に身を捩った。
　だが、涙の滲んだ目で、梓が触った場所を見ると、まるで肉が溶けたかのように、血が止まっている。
「……これは……」
「これでだいじょ……う……ぶ」
　にっこり笑ってそう呟いた瞬間、ぐらりと梓の頭が傾いだ。
「！？」
　どすん、といきなり梓に寄り掛かられ、千鶴はぎょっと目を見開く。

456 ：覚醒する力（４）：03/01/21 00:15 ID:KEPNcsjH

「あ、梓っ！？」
「……すー……すー」
「ね……寝てる？」
　呆然と呟いてから、千鶴はがっくりと肩を落とした。
「まったく…もう……心配ばっかり、かけ……てっ……」
　思わず漏れそうになった嗚咽を、千鶴は必死で噛み殺す。
　今更ながら涌き上がって来た安堵と恐怖に、千鶴は声もなく泣いた。

　危機は去った。
　決して本意な結果では無かったが、梓共々生き残れただけで、幸運を感謝するべきだろう。
「っく……こ、ここじゃいつまた、血の臭いに惹かれて、モンスターが来るかわからないわね……」
　涙を拭い、千鶴はふらつきながら立ちあがった。
　大量の出血のせいで、今にも気を失いそうではあったが、このままここで梓と仲良く眠るわけにはいかない。
　千鶴は片方だけの腕で不器用に梓を背負うと、よろよろと歩き始める。
　微かに聞こえる水音が、川が近い事を教えていた。
　血を洗い流す事に加え、梓の能力を考えれば、水辺にいる事に越したことはないだろう。
「梓……もう少しだから……」
　ゆっくり、息を切らしながら歩を進め……ようやく、森の中を流れる川原に辿りつく。
　急に開けた視界に目を細めながら、千鶴は周囲を見回す。
　その目の端に、灰色の石以外のものを認め、はっと息を飲んだ。
「あれは……！？」
　川原の石にしがみ付く様にして、倒れている人影。
　あちこちに傷をつけながらも、胸がかすかに上下している所を見ると、その男はまだ生きているようだった。

457 ：長瀬なんだよもｎ：03/01/21 00:18 ID:KEPNcsjH

【梓＆千鶴　狒狒を何とか撃退。　千鶴の肩の傷は止血される】
【？？？　川原に倒れている所を、千鶴に発見される】

｜-｀）……今回も推敲無しでｽﾏｿ……誤字脱字修正あったら指摘よろ。
｜-｀）……毎度へたれで申し訳ない……

458 ：名無しさんだよもん：03/01/21 00:31 ID:dCCn53Of

長瀬氏乙～、です。
ところで、誰彼やってないんでわからないんだけども、仙命樹の能力がどんどんわからなくなってきた罠。
誰か説明プリーズ。

んで、川原に男ってことだけど、このチームって今一番進んでると思うから、
まだ今後あの二人以外にも川に転落する男が出てくるかもしれないし、深読みしないほうが良いですかね～。

459 ：友の領域：03/01/21 01:58 ID:Ac84i7K7

「クッ……凄い吹雪ね。１Ｍ先も見えやしないわ」
　猛悪なる吹雪の中、ショットガンを片手に麗子は進む。
　冷気自体は問題はない。地球上のあらゆる環境に適応した麗子の中の『仙命樹』は当然のごとく寒さへの耐性も持っている。
　しかし、空から振る、そして一度積もった雪が再度宙に舞う「地吹雪」のダブルキャストで塞いでくれる視界は、どうしようもなかった。
「吹雪を起こすってことは……雪女あたりかしら。全く、返す返すも気の利いたアトラクションだこと」
　焦る己を押さえるかのように独り毒づく。
「早くしないと……あの子たちが……」
　……自分は問題ない。『本体』を叩くことなく放っておいてここから逃げることも出来る。
　だが、あの子らは無理だ。この吹雪の中を、逃げ切ることなどできはしない。
「ちょっとだけ……我慢、しててね……」
　残してきた三人に思いを馳せると、麗子は再度雪の中を歩み始めた。
　
「ああ……」
　重い。
「あさひちゃん……」
　重すぎる。
「歩こうよ……進もうよ……」
　鉛のように、ズンとして動かない。

　吹雪の中を、結花、詩子、あさひの三人が手を繋いで進む。
　だが、中心である詩子は前と後ろ両方から引っ張られる形になっていた。
　目立つ怪我もほとんどなく、水泳が得意というだけあって基本的な体力がある結花。
　……大怪我を負い、かなりの血を失い、ただでさえ半死半生であった……あさひ。
　この二人に挟まれている詩子。事情を伝えようにも、声など、この吹きすさぶ嵐の中では
　数十センチも進まないうちにかき消されるだろう。
　
「あさひちゃん……歩いて……歩いてよぉ……」
　実際のところはわからない。ひょっとすると、ゆっくりながらも歩いているのかもしれない。
　しかし、詩子の手に伝わるのはただただ重みだけで……それが急速に詩子の体力を奪っていった。
　結花と、詩子との間にも同じことが言えた。
　
（ああ……このままじゃ……私や……結花さんまでも……）

460 ：友の領域：03/01/21 01:59 ID:Ac84i7K7

　足手まとい。
　あさひは今、確実に足手まといであった。
　
（おかしい……）
　一方麗子は困惑していた。
（どこからも『本体』の気配がない……？）
　ショットガンを、そして自身の『能力』をいつでも発現できるよう準備しながら、雪の中に立っていた。
（いや、多数の『気配』が空間を支配している……？）
　つかめない。どこにもつかめない。この吹雪をコントロールしているであろう『本体』の位置がどこにもつかめない。
（どういうこと……？　『誰か』がこの雪を使っているのではないの……？　それとも、気象兵器？
　……そんなことはない。確かに、この『気配』は意志ある者にしか有しえない……けど、全方向から気配がするとはどういうこと？）
　考えている最中にも、どんどん雪は麗子の体に積もっていく。
　しかしそんなものは麗子に髪の先ほども影響を与えることは出来ない。

「……………ん？　この雪……何か変？」
　わずかな違和感。雪の中。いつか歩いた雪山と、何かが違う雪の感触。
　麗子は無言のうちに、自分の体にまとわりつく雪を握りしめた。
　たっぷり30秒ほど待つと、ゆっくりと拳を開く。そこには……
「！！　……これは！」
　そこには、全く姿を変えない白い雪があった。
　36.5度の中にあるにも関わらず、全く融けない雪。いや……
「しまった！　これは……雪じゃない！」
　慌てて麗子は来た道を戻る。
「全く、超先生とやら！　面白いものを作るじゃない！」

「この辺りね……」
　ものの数分で、麗子はもの言わぬジープの場所へと舞い戻った。
「吹雪の中心……けど、ここにはいない……ということは、上ッ！」
　銃口を真上に向ける。

　バァァァァァァーーーーン！！！

461 ：友の領域：03/01/21 02:00 ID:Ac84i7K7

「………………………」
　銃声から数十秒。
　全ての雪は活動を『停止』し、力無く地面にばらまかれていた。
　麗子の足下には雪の結晶の形をした、巨大な水晶の塊のようなモノが転がっている。
「全く、私としたことが……裏をかかれたわ」
　懐から手斧を取り出す。
「この雪は、『雪』なんかじゃなかったのよ」
　高々と掲げる。
「いえ……『雪』ではあるかもしれない。けど、私たちの世界の雪とは全く異なるもの……」
　一気に振り下ろす。
　バキィン！
「結晶の一つ一つが全て『生命』。集団で獲物を取り囲み、『捕食』する全く新しい生命……」
　バキィン！
「例えるなら、それは『蟻』のようなもの『蜂』のようなもの」
　バキィン！
「その集団を統率するのは、あなた。……言うなれば『女王雪』」
　バキィン！
「気配なんてしないはずよ。全てが『生命』で全てが『気配』を持っているんだから」

　バキィン！！　バキィン！！　バキィン！！　バキィン！！　バキィン！！　バキィン！！　バキィン！！
　
　数分後、そこには粉々に砕け散った『女王雪』の姿があった。
　
「う……」
　詩子が目を開く。
　同時に……懐かしい、暖かい太陽の光が目に入った。
「え？　私……」
　少し頭をもたげ、辺りの状況を確認する。
　地面は雪に覆われているが、大した寒さは感じない。
　自分の左手には、結花の右手が握られている。彼女も気絶はしているが、どうやら大丈夫なようだ。
「あさひちゃん……」
　そして、右を向く。自分の右手を握りしめる。

462 ：友の領域：03/01/21 02:01 ID:Ac84i7K7

　
　スカッ。
　
　……何も、無かった。
　
「大丈夫？」
　見上げるとそこには麗子の顔が。
「あ……私……？」
「大丈夫よ。安心して。『敵』は私が倒したわ」
「は……はい。けど、あの……あさひちゃんは……って、あさひちゃん！」
　あさひのことを尋ねようとしたその時、詩子は麗子の腕の中で眠るあさひの姿を見つけた。
「よかった……無事だったんだ。あの中、あさひちゃん歩けなくなって一時はどうなることかと……」
　力無く垂らされたあさひの手に、自分の手を重ねる。
　
　ヒヤリ。
　
　……冷たかった。命が吸い取られるような冷たさだった。
　
「……彼女は、私が発見した時には、もう……」
　麗子は顔を伏せながら、口惜しそうに呟いた。
「え……？」
　状況が飲み込めない詩子。
　……詩子は、一つ一つ、記憶を整理してみた。
　
（……私は、吹雪の中……結花さんと、あさひちゃんと手を繋いで進んで……
　あさひちゃんの手がだんだん重くなってきて……結花さんはグイグイ引っ張っていって……
　このままじゃみんな死んじゃうと思って……
　それで……
　それで……
　それで……）
　

463 ：by ：03/01/21 02:02 ID:Ac84i7K7

「………え？」
　その『事実』を思い出した時、詩子は恐怖した。己の行為に恐怖した。
「わた……わた……わた……し……？」
「……大丈夫」
　麗子は、さらに悔しそうな声で言った。
　

「あなたは何も、悪くない」

　決定的だった。

【麗子　『女王雪』を撃破】
【桜井あさひ　死亡】
【詩子＆結花　生還】
【詩子　あさひを見捨てたことを思い出す】

464 ：by R.E.D.：03/01/21 02:03 ID:Ac84i7K7

世間一般の生活時間とはかけ離れた生活を送っております。

465 ：名無しさんだよもん：03/01/21 02:24 ID:yEBD2Zik

乙ですー。
作品増加と一緒に死亡者も増えてきた様な…

それと、>>458氏の為に仙命樹に関して知ってることだけ書いてみますた。

466 ：名無しさんだよもん：03/01/21 02:25 ID:yEBD2Zik

仙命樹は基本的に日光と水を苦手とするが、
人間が色々と品種改良したのでその点も様々になっている。

基本：蝉丸・光岡
夜に真価を発揮し、太陽の下でも常人以上の能力が出せる。
水中では人並み。
蝉丸はいちおう「完全体」らしい。

火戦躰：御堂
日光に弱いという弱点を克服し、昼夜を問わず全力を出すことが出来る。
御堂は業火に包まれても水ぶくれ程度で大丈夫という火への耐性を持つ。
水に弱いという点は悪化しており、誰彼本編では小瓶一杯の水をかけられた御堂が悲鳴をあげた。

水戦試挑躰：岩切（・梓）
水中、またはそれに相当する状況（雨・水気の多い場所など）では脅威的な力を発揮する。
こちらは日光への耐性がさらに低くなり、岩切は直射日光を避ける為にいつも黒いコートを頭まで被っていた。
火にも弱いらしいが、本編でそれらしい展開は無し。
太陽の光を浴びた梓がいきなり気絶するのは流石に極端じゃないかと個人的に思うでつ。

他に本編で見られたことは、
仙命樹を含んだ血が異性の身体にかかると、強力な媚薬的効果が現れる。（自分で鎮めたりできない）
死んで間も無い者に仙命樹を大量に飲ませると、生き返ったりした。（奇跡的なことらしい）
等々。

仙命樹を他人にちょっと分けてやったら傷が治った、ていう話は実は無い。

467 ：名無しさんだよもん：03/01/21 02:27 ID:yEBD2Zik

ちと追加。
仙命樹を大量に囲った者はその身体が老いることはなくなり、何らかの外的要因が無い限り永遠に生きる。
しかし仙命樹は血液の中に潜む為、大量出血による死亡の可能性は常人と変わらない。

468 ：名無しさんだよもん：03/01/21 02:41 ID:dCCn53Of

R.E.D.氏、乙です。
ってか、なんだか死者のペース的に、サバイバルっぽくなってきていいと思います。
キャラが死んでいくのがいいことなのか悲しいことなのかは微妙ですけどw

んで、話はいいんだけども、ちと最近、一回あたりの作品の展開のペースあげすぎかなぁ、と少し。
今回のはこないだ出たばかりの敵だからそう思うだけかもしれないけど、もう少し描写を細かくして、戦闘の途中あたりまで書く、とかのが個人的には好みです。
なんか一時期の、敵が出て数週で死ぬジョジョを思い出してしまって……w

＞466氏
これまたすさまじく乙です。参考にさせていただきます。

469 ：名無しさんだよもん：03/01/21 04:40 ID:aoLrYImw

>>466
>太陽の光を浴びた梓がいきなり気絶するのは流石に極端じゃないかと個人的に思うでつ。

確かエルクゥ+仙命樹じゃあまりにアレなんで抑止措置のペナルティーとして設定されたのではなかったろうか。
エルクゥ+仙命樹の副作用ということで水戦試挑躰のそれより程度が酷くなってる訳ですな。

470 ：名無しさんだよもん：03/01/21 04:58 ID:sGkTKQnB

真の狩猟者(鬼×仙命樹)の水戦試挑躰ってとこかね。
その場合は真・超先生が完全体ってところか。

471 ：名無しさんだよもん：03/01/21 10:28 ID:K+WsjC+Q

でも何かしら弱点はあってもいいかもね。
それを見抜くって感じで。
完璧だと誰も勝てなそうだし。

472 ：名無しさんだよもん：03/01/21 12:38 ID:KShGoX+N

べつにガチンコ勝負が全てでもないんだから、「強さ」にばかりこだわるのはどうかと。

473 ：名無しさんだよもん：03/01/21 14:14 ID:aBelOuMJ

このスピードはなんなんだ？
いつになったら戻るんだ？
どうしてこうなったんだ？

戻ろうよ、あの日に…あのハカサバに……

474 ：名無しさんだよもん：03/01/21 21:13 ID:Lf1yLrXD

スレッド自体がサバイバルだったからなぁ…

475 ：名無しさんだよもん：03/01/21 21:46 ID:GeufF/RP

>>473
お前そんな事言って本当に戻ったらどうするんだよ。

476 ：名無しさんだよもん：03/01/21 22:18 ID:cXzCVkVX

荒らしはほっとけって。

477 ：名無しさんだよもん：03/01/21 22:52 ID:kk8dqFt8

まあでも、ペース早くなったとは言っても人数的には2、3人ががんばってる程度だし。
見てるだけじゃまた廃れるぞ？
いや、煽りでなくて。

478 ：名無しさんだよもん：03/01/22 15:47 ID:+Qrwg9/B

わがままを言わせてもらえば、そろそろ人間関係とか絆とかの、心にジーンとくる話ほしいなあ。
七瀬チームの一連の話は好きでした。
なんかどうも、誰と誰が戦闘した・誰がどこに合流して誰が死んだ、みたいなシミュレーション的な話が多いから……。
魔物相手じゃ心理描写をいかすのは大変なんかねえ。

479 ：名無しさんだよもん：03/01/22 15:53 ID:XCOuXP+U

確かにそれもわかるが、今は人数を減らすのも必要なんじゃないか？
いやあんまいい言い方じゃないが、実際大した役割も担ってないキャラがいい感じのキャラの動きを邪魔しているような
感じのところもあるし。

それに、サバでは相手がモンスターだからな。
心理描写を与えるってことは人格持った「オリキャラ」になっちまうし、オリキャラにそこまでの味を出すのもまた大変。

いろいろ矛盾点があって大変なことは確かなんだよな……
（ハリウッドとかの娯楽映画もただただパニックシーン流すのも多々あるし）

480 ：名無しさんだよもん：03/01/22 16:16 ID:hHPcyfcj

その辺の描写はRTO氏がなかなかうまいと思っていたが
あの人は今設定屋と化しているからな
決してけなしているわけではないぞ　ないが　なぁ

481 ：名無しさんだよもん：03/01/22 16:18 ID:2AKoph2+

設定消化役・・・その気苦労は如何ばかりのものか・・・

482 ：名無しさんだよもん：03/01/22 18:35 ID:2dVpOn+c

でもまあ、そういうキャラ同士の関係とかは、単一の話でどうこう変わるものじゃないしな……。
なんか評論くさくなるが、書き手みんなが意識していかないと変わらないと思われ。(書ける人が一人リレーという手もあるが)

個人的には、岩切×すばるとか、妖狐関係とか、期待してたりする。

483 ：名無しさんだよもん：03/01/22 22:04 ID:hHPcyfcj

漏れはベタだが矢島たちに期待sage

484 ：名無しさんだよもん：03/01/22 23:07 ID:t6WDPB7F

さらに言うならばやはりお笑い担当も（ry

485 ：名無しさんだよもん：03/01/23 00:09 ID:epFwdD4H

俺は久瀬と祐一コンビだな

486 ：ブレイクタイム：03/01/23 09:52 ID:L2GbU+yf

「先ほどの口裂け女も完全に撃退したわけではありません。
　それにいつ新たな怪物が襲ってくるかもわかりませんし、一刻も早くここを離れましょう」
　弥生のその言葉に反論する理由もなく、三人は即座にその場を離れた。

「確か、武器博物館の方へ行くんだったよね？」
　手を引かれながらみさきが問いかける。
「はい。なんらかの施設に行けば人がいる可能性が高いですし、少なくとも屋外を歩き回るよりは怪物の類に襲われる確率も減ると思われます」
「それに、もし誰もいなくても……待ってると同じように考えた人と会えるかもしれないし」
「はい。とにかくどなたか、他の参加者の方と合流するのが急務……おや？」
　先頭を歩いていた弥生がはたと足を止める。それを見て、美咲、そして手を引かれるみさきもそこに立ち止まる。
「……どうしました弥生さん？」
「この建物は……何でしょうか」
　弥生が指をさす。そこには、日本人である彼らに馴染み深い、しかしそのせいで最早ほとんど見かけなくなった純和風の日本家屋が佇んでいた。
　森の中に漂う霧と相まり、幻想的な雰囲気を醸し出している。
「看板がありますね……ええと……『BUKEYASHIKI』……『武家屋敷』？　しかしまたなぜローマ字で……」
「ええと……あ、これじゃあないでしょうか」
　パンフレットを覗き込む美咲が弥生を呼ぶ。そこには、武器博物館の横に小さく書かれた家のマークがあった。
「……おそらくこれでしょうね」
「ひょっとしたら、外人さん用の施設じゃないかな？」
　それまで黙っていたみさきも口を開く。
「外国人？」
「うん。よくわからないけど、武家屋敷とか忍者屋敷とか、そういうのって日本の人そのものよりかむしろ外国の人に人気があるらしいし。
　そういう施設があってもおかしくないと思うよ。ローマ字で看板とかが書いてるんならなおさらじゃないかな……」
「なるほど……そういう考え方もありますね」
「それで……どうしますか弥生さん？」
　美咲に尋ねられ、考え込むことしばし、弥生は答えた。
「入ってみましょう。ひょっとしたらどなたかいるかもしれません、。それでなくとも何か役に立つものがあるやもしれません」
「うん。そうだね」

487 ：ブレイクタイム：03/01/23 09:53 ID:L2GbU+yf

　ギシギシと鳴る板張りの廊下を三人は進む。
　壁のいたるところには『FUJIYAMA』やら『切腹』、『忍』と書かれた趣味の悪いペナントが張られている。
　日本人の彼女らからすると、いささか感覚のズレたレイアウトだ。
「やっぱり……外国の方はまだ日本をこういうイメージで見てるんですね……」
「無理からぬことでしょう。おそらく私たちの持つ海外文化への認識にも相当の誤解が混じっていることと思われますし」
「けど、今アメリカじゃ日本の忍者が結構ブームらしいよ。この間テレビでやってた」
　……などと話ながら歩いていると、少し開けた空間に出る。
　土間にいくつものガラスケースが設置され、その中には色々な展示品が入っているようだ。
「展示場、みたいですね……」
「……少し調べてみましょう。何か役に立つものがあるかもしれません」

「……なかなかの収穫でしたね」
　十数分後、三人は手に手に使えそうな道具類を持ち、畳の間に車座に座っていた。
「あちらの方には色々な薬、あとは縄とかの小物類がありました。ガマの膏みたいな古い物、あとは薬草の類が中心でしたけど、役に立つんじゃないでしょうか」
「奥には食べ物があったよ。乾燥したのとか携帯食が多くてあんまり美味しそうじゃないけど……贅沢は言ってられないよね」
「お二人ともご苦労さまでした」
　２人を労いながら、弥生は後ろから大きな袋を取り出す。
「弥生さん……それは？」
「はい。どうやら幸い、と言うべきか……ここにはまだどなたもいらっしゃっていないようです。数多くの武具が残されていました」
「武具、ですか……」
「はい。その中でも使えそうなのは、こちらです」
　と言いながら弥生が取り出したのは三着の黒装束。
「こ、これは……？」
「忍装束。しかもちょうど良いことに『くの一』用……要するに女性用ですね。生地自体は薄めですが、その分動きやすそうです。
　しかも鎖が編み込んであるので、防御力も高そうです」
「そ、そうですか……け、けどこれは……」
　忍装束の一着を手に取った美咲。しかしその表情は複雑だ。
（た、確かに……便利そうではあるけど……こ、これって……胸元と太股がかなり露出しているような……）

488 ：by R.E.D.：03/01/23 09:54 ID:L2GbU+yf

「それと、あちらの部屋の方には釜風呂がありました」
「えっ？　本当ですか！？」
　弥生のその言葉を聞いた瞬間、Ｗみさきの表情がパアッと明るくなる。
　なんだかんだ言っても２人とも若い女性。シャワーも浴びれないこの状況は辛かったのだろう。
「はい。屋敷の裏手には薪も積んでありましたし……少し手間はかかりますが、入浴も可能そうです」
「やったぁ！　一緒に入ろうねみさきちゃん！」
「うん！」
「見つけたものはこれだけではありません。次は————————」

　それは、ほんの少しの……休み時間。

【弥生・美咲・みさき　武器博物館近くの武家屋敷で休憩】
【薬草類・携帯（保存）食・いくつかの武具　発見】
【入浴可能な釜風呂　発見】
【ちょっとえっちな忍装束（実用性は高そう）×３　発見】

489 ：名無しさんだよもん：03/01/23 09:55 ID:L2GbU+yf

sage忘れスマソ

490 ：bloom：03/01/23 09:56 ID:zci3CZss

http://www2.leverage.jp/start/

491 ：名無しさんだよもん：03/01/23 22:47 ID:GZTXaXw5

この島はもはやなんでもテーマパークだな……。
浩之たちが二日目朝の時点で武器博物館かなにかにいた気もするが、となりの建物とやらなんだろうか。

どうでもいいが、この話により和樹がまた一歩不幸に近づいた気がしまつ。ﾀｽｹﾉﾉｿﾞﾐﾊﾄｷﾞﾚﾀ…

492 ：名無しさんだよもん：03/01/24 19:01 ID:wnW8zgBS

>>438に誰か答えてあげてください、とか。

493 ：名無しさんだよもん：03/01/24 19:17 ID:g3t1SS59

>>492
今読み直して調べてるからもうちょっと待って。

494 ：超先生からの宿題：03/01/25 00:30 ID:5chQK/LM

　仄暗い水の底から、泡がポコリと浮かび上がる。
　それはだんだんと大きくなっていき、やがて水面へと到達する。
　解放された空気は大気と入り混じり、同時に小さな波紋を形作る。
　波紋は真円状に湖を走り……
　　
「う……っ……？」
　……頭が……
　頭が……痛い……？

　ズキズキと痛む頭を押さえながら、久瀬は体を起こした。
　目に入る色は白、白、白。先ほどの夢とは全くの正反対な情景だった。
「なんだ……？」
　起きあがると体にかけられていた真っ白なシーツがはらりと床へ落ちる。
　そこも白。一面の白。床も白壁も白天井も白。
　扉がどこにあるのかもわからない。ただ唯一……他と区別できるのは、見上げるような位置に存在する長方形の窓がただ一つだった。
　だがそこには誰の姿もない。
「ここは……どこだ？」
　体を確認してみれば、真っ白い……入院患者が着るような寝間着が着せられてある。
　裾を捲ってみれば、腹の傷には綺麗な包帯が巻かれており、完璧な処置がなされていた。
「ようこそ久瀬秀一君。私の研究室（ラボ）へ」
「！！」
　不意に久瀬は後ろから自分の名前を呼ばれ、反射的に振り返った。
「あ、あんたは……？」
　そこには、巨大な……ただただ巨大な。そして凶悪な面相の、一人の男がこれまた巨大な椅子に腰掛け、こちらを伺っていた。
　いや、『一人』という形容が正しいのかはわからない。ひょっとすると人間ではない可能性も高い。
「目覚めはどうかね？　一応、ここで出来る限りの処置はしたのだが……？」
　しかし、姿に似合わず『それ』は、理知的に久瀬に話しかけてきた。
　それでようやく久瀬も落ち着くことが出来る。
「ああ。悪くないね」
「そうか。それは結構」
　相手が話が通じる相手だとわかると、俄然久瀬の調子が出てくる。
「ここはどこだ？　あの『島』じゃないのか？　なぜ僕はここにいる？　あなたは誰だ？」

495 ：超先生からの宿題：03/01/25 00:31 ID:5chQK/LM

「ああ、ああ、ああ」
　一気にまくしたてるが、『彼』は困ったような嘆息を漏らした。
「あまり一気に質問攻めにしないでくれ。君の状況は一つ一つ説明しよう」
「……お願いする」
「よし」
　コホン、と一つ咳払いをして
「まず、ここは先ほどまで君がいた『島』だ。ただ、我々が今いるこの場所は先ほども言ったように、私の研究所……
　島の中央管理室に付属の、私の研究室だ」
「……な……だとすると！？」
「落ち着きたまえ。質問はまた後で受け付ける」
「……………」
　憮然とした態度をとりながらも、久瀬は出かかった言葉を飲み込んだ。
「そして次に君がここにいる理由だが……覚えているかね？　君は『フレッシュ・アント』に襲われ、相沢祐一君共々川へ転落した。
　川下へ流される途中、相沢君はなんとか岸にしがみつくことが出来たが、君はそのまま気を失い、溺死寸前だった」
「……………」
　覚えている、かもしれない。
　確かに蟻の大群に襲われ、自分は相沢祐一とともに川へ転落した。
　そして……その後……
「苦し……かった……？」
「その通り。君ほどの人材をあんなつまらない事故でなくすのは惜しい。ゆえに、私が助けたのだ」
「……と言うことは、やはり……あなたは……」
『彼』は足を組みながら、変わらぬ声の調子で、きっぱりと言い切った。
「そう。私の名前は『超先生』……君らをこの島へと放り込んだ『超先生』とは多少違う存在ではあるが、まぁ君の認識では『超先生』と把握してもらって構わない」

496 ：超先生からの宿題：03/01/25 00:32 ID:5chQK/LM

「……なるほど」
　事実を突きつけられても久瀬は動じず、いやかえって落ち着き払い、今まで自分が寝かされていたベッドへと腰掛けた。
「で……その超先生が僕に何の用かな？　なぜ僕らをこんな目に遭わせたあなたが、今になって僕を助けたりする？」
「言っただろう？　私は君が『気に入った』んだ」
「どういうことだ？」
「君は素晴らしい。私の『リアルリアリティ』をまさしく地で体現する存在だ。
　人として、人のみの力で、武器を手に、知恵を巡らせ、機転を利かせ、仲間と協力し、いくつもの危機を乗り越えた。
『鬼』や『仙命樹』などといった邪道な力、あるいはそれを持った存在の助けを得ることなく、ただ『人』の力で、だ。
　それこそが私の求めたもの。私が見たかったもの。『リアルリアリティ』そのものだ」
「へぇ」
　久瀬は眉毛を片方つり上げながら
「僕はそんなご大層なことをしでかした覚えはないんだけどね。僕はただただ生き残りたかっただけだ。こんな島で、僕の人生を終わらせたくなかっただけさ」
「そう。それだよ」
　超先生は嬉しそうに
「『生きたい』『生き残りたい』『死にたくない』君が感じているその感情こそが生命の最も原始的なもの……人間の生の想い。それが重要なのだよ」
「それはよかった。だがあんたと問答をしている暇はない」
　久瀬は話を切り上げると、改めて超先生を睨みつけた。
「僕にとって重要なのは、これから僕がどうなるのか。あんたがこれから僕をどうするのか、だ。
　僕を気に入ったというのなら、僕をここから脱出でもさせてくれるのかい？」
「残念だがそれは出来ないな。そうそう簡単にここを出られては興も冷めるというものだ」
「ああそうかい。だったら僕はとんだ無駄足を喰ったわけだ」
　踵を返し、部屋を出ようとする久瀬。だが超先生はその背中へと声をかける。
「そう。簡単に君を出すわけにはいかない……だが、君が最後に特上のリアリティを私に見せてくれるというのなら話は別だ」

497 ：超先生からの宿題：03/01/25 00:34 ID:5chQK/LM

「……話を聞こうか」
　改めて、久瀬はベッドへと腰掛けなおした。
「まぁまぁそう慌てるな。時に久瀬君、君は母校では生徒会長を務めているらしいね？」
「……確かにそうだ。だがそれが何か関係でもあるのかい？」
「ということは、勉強もそれ相応に出来るのだろうね」
「……確かに、他の遊びほうけている連中よりはそこそこ出来るつもりだが、ね。あくまでも僕の努力に見合った『程度』でしかない」
「宿題、課題、レポートの類を忘れたことは？」
「あるわけないだろう。生まれてこの方、全ては期日までにキッチリ仕上げ、提出した」
「結構結構、大変結構」
　パチ、パチ、パチ……と超先生は軽く手を打つ。
「それがどうしたと言うんだ？」
「なぁに……私からもちょっと宿題を出させてもらおうと思ってね。宿題というのは、これだ」
　言いながら、超先生は一枚の紙を久瀬に差し出した。
　久瀬はそれを受け取り、広げる。
「これは……」
「そう。君が先ほどまで持っていた地図だ。一箇所に赤で×印がされているだろう？」
　超先生の言うとおり、久瀬には見覚えのない×印が地図に書き加えられてあった。
「確かに。ここに何かあるのか？」
「なに、不肖の部下の後始末をしてもらおうと思ってね……」

「×印のその場所。そこには部下が秘密裏に作った特別施設がある。一見は普通のアトラクションだが、奥へと進むとエレベーターが……
　この島の海底へと続いているエレベーターがある。君に行ってもらいたいのは、その奥だ」
「行けばいいのかい？」
「いや、そこで一仕事して、ここへともう一度戻ってきてもらいたい。仕事というのは……これだよ」
　超先生は一枚のMOディスクを取り出す。
「エレベーターの奥には、秘密実験場があり、その最深部には部下が作った『何か』のデータが眠っているはずだ。
　あいにくその施設はスタンドアロン……ここからは完全に独立して構築されているため、手が出せない。
　そこで君にその『何か』データをこのディスクへと保存して持ってきてもらいたい。簡単なお使いだろう？」
「なるほど。確かにわかった。だが、なぜあなたが自身、あるいは自身の部下に行かせない？　すでにこの島はあなたのものだ。
　いくらシステム的に独立しているとは言っても、大して難しくはないだろう」

498 ：超先生からの宿題：03/01/25 00:35 ID:5chQK/LM

「確かに。大して難しくはない。だが、手間がかかるのだよ」
「なぜだ」
「言ったとおり、そこのシステムは島内でも独立している。ゆえに、私のセキュリティ解除もそこまでに効果は及ぼさないのだ。
　まだその施設内では侵入者迎撃システムが稼働している。なんとかならんこともないが、『なんとかする』には少なからず手間もかかる。
　そこで君だ。君の働きをもう一度見たい。方法は問わない。君の装備も全てメンテナンス済み、ガタが来ていたものは新品と交換がしてある。
　弾薬類も全て補充しておいた。私からの『プレゼント』もある」
「それはありがたいね。……一つ聞きたい。相沢祐一や北川潤はどうしている？」
「聞いてどうするつもりだね？」
「彼らも無能なりに使える。連れて行くのも構わないだろう？」
「なるほど。確かに構わない。だが一つだけ注意がある。
　仲間を集めるのもいいだろう。しかしその場合でもこの『宿題』を成し遂げて島の外へ出れるのは『君一人』。そこを忘れないように。
　たとえ百人動員して『宿題』を成し遂げても、報償を得れるのは『久瀬秀一』君、君だけだ」
「なるほど。となると使えそうなのは僕の脱出のために身を粉にして働いてくれるお人好しか……」
「騙して使う、ということになるな」

「久瀬様。こちらが久瀬様のお荷物になります」
「ありがとう」
　中央監視施設裏口、久瀬は超セリオから黒のディパックを受け取る。
「その中に君が持っていた装備が全て入っている。そして、これは私からのせめてもの心付けだ」
「……一応、感謝しておこう」
　さらに超先生の差し出した小箱も受け取る。
　すでに久瀬は先ほどまでの入院服から着替えている。サバイバルに適した、迷彩服だ。
「……最後に、一つ聞きたい」
「なんだね？」
　裏口の戸に手をかけようとしたその時、久瀬は振り返り、超先生に最後の疑問をぶつけた。
「僕がこの『宿題』を拒否した場合は……？　僕があなたを裏切った場合は、どうなる？」

499 ：by R.E.D.：03/01/25 00:37 ID:5chQK/LM

「気にする必要はない」
　超先生は冷静に言い切る。
「これは君にのみ許された『特別枠』の脱出権だ。これを拒否するということは、自動的に君は『本来の脱出手段』に可能性を託したことになる。
　まぁどの道この『宿題』に期限は無いんだ。気楽にやるがいい」
「……なるほど」
「もちろん、この『宿題』を逆手にとることも構わない。『宿題』を済ませた振りをしてここへ戻り、私を討ち倒そうとするのも構わない。
　ま、その時は私も精一杯の抵抗はさせてもらうがね。ともかく、私が求めているのは『結果』ではない。君がいかなる道を選び、どう行動するかの『課程』だ」
「……了解した。それじゃあ、そろそろ僕は行くよ」
　久瀬が扉の『パネル』に手を触れると、音もなく自動ドアが開いた。
　
「久瀬様、御武運を」
「君とまた会う時を楽しみにしているよ」
　深々とお辞儀をする超セリオと、手を振る超先生。
「……フン」
　久瀬はそれに答えることなく、２人に背中を見せたまま去っていった。

【久瀬　中央監視施設裏口よりサバイバルへ復帰】
【久瀬の装備　全てメンテナンス済み、あるいは新品と交換】
【久瀬　迷彩服へ着替える】
【久瀬　超先生より『MOディスク（ブランク）』を入手、『プレゼント』入手】
【超先生　久瀬へ宿題を出す。内容は『海底施設へと侵入、そこの機密データを持ってくる』。報酬は『島からの脱出』】

500 ：名無しさんだよもん：03/01/25 00:52 ID:9tijQQCw

ああ、やっぱ分かれちゃったか。
結構好きだったんだがなあの組み合わせ。
今後久瀬にも運命の選択があるわけだ。

501 ：名無しさんだよもん：03/01/25 01:06 ID:5unhuo/3

>>438
とりあえず調べてみた。
一応読み返して確認したけど、ミスもあるかもしれんのであったら指摘よろ。

・今一番時間軸が進んでいないパーティーは？（ホテル・英二組除く）
鹿沼葉子と名倉友里のパーティ（２２７話「希望」にて１日目深夜・雨中）

・二つのチームが合流する話を書く場合、片方が自己リレーになっても可？
自分は構わないと思うが、他の人がどう思うかは解らない。

・麗子先生の秘密は『野生（人類初）の仙命樹』でファイナルアンサー？
『野生』の仙命樹の摂取者、かつ人類で初めて仙命樹を摂った人間（２８１話「心理戦」）

502 ：名無しさんだよもん：03/01/25 01:06 ID:5unhuo/3

・英二組、ホテル組の状況を誰か整理きぼんぬ。状況が錯綜しまくりでワケわからん。
英二組の足跡
１３話「シスコンズ」→２２話「シスコンズ」→６５話「天より降り来るもの」→
１５３話「地下へ……」→１６２話「移植者」→１８２話「禁呪」→２５８話「感情」→
２６８話「精神外傷」→５スレ・599～602「コリドーア」→７スレ・358～362「研究者の独白」

ホテル組の進行状況
１９８話「死の館」→２００話「懺悔」→２２５話「クノッソス」→２３４話「機械」→
２３５話「狩猟者である前に……」→２４３話「ヤミ」→２４４話「Ｔ２」→２５３話「鬼の心は」→
２６０話「老獪」→２６９話「生存手段」→２７０話「表裏」→２７７話「ちっぽけな勇気」→
２８０話「巻き起こる風」→２８３話「運に命を任せる、それが運命です」→２８４話「目覚めは最悪」→
５スレ・508～513「ひとつの決着」→５スレ・549～552「伝達」→７スレ・159～163「伏兵の役目」→
７スレ・439～445「鉄の処女」

彩、はるか、セリオ→死亡
真琴、柳川→脱出
長瀬博士、橘→西棟２Ｆ（２７７話「ちっぽけな勇気」）
長瀬刑事、高槻、高子、佳乃→１Ｆモニタールーム（７スレ・159～163「伏兵の役目」）
郁未、少年、名雪→７Ｆ（７スレ・159～163「伏兵の役目」）
マルチ→西棟１Ｆ（７スレ・439～445「鉄の処女」）

503 ：名無しさんだよもん：03/01/25 01:19 ID:6OiyP/Fo

乙

504 ：名無しさんだよもん：03/01/25 09:28 ID:N63GvN8d

>>501-502
どうも乙彼～。ホテル編完結まであとどれくらいだろ？

＞超先生からの宿題
この会話聞いてて、ある種の戦慄感を覚えた・・・
久瀬のこれからの行動にいっそう期待。

505 ：北川潤は思案する：03/01/25 12:39 ID:QYtsCRrk

　北川潤は思案する。あの後、川に落ちた二人を助けようとしたが、どうしても下に降りられるような場所が見つからなかった。もちろん、自分はロッククライミングなんてできないし、ロープも持っていない。要はお手上げである。
「…まぁ、あの二人のことだ。死ぬタマじゃないと思うが」
　そう言って手に持ったＳＰＡＳを肩にトンと乗せる。
　川の流れは急であり、かなり危険と想像できるのだが、北川はそのようなことを欠片も思わない。そういう意味では、二人に絶対の信頼を置いているのだろう。
「オッサンは目を覚まさねぇし」
　背負っていた男は、いまだ自分の隣で意識を失っている。男を担いで一人でうろうろするのは得策ではない。地図の類は久瀬が持っていたため、今自分が居る位置もよくわからない。
　なぜか、男の傷は（不思議なことに）もう殆どふさがりかけていたのでもうしばらくしたら目を覚ますだろう。
「今は休息、と」
　そう言って、煙草に火をつける。

506 ：北川潤は思案する：03/01/25 12:42 ID:QYtsCRrk

（二行開け）
　北川潤は思案する。
　あぁ、何だかとっても厄介なことになってしまったな、オイ。この厄介ごとと比べたら亡国との問題も余裕のヨッちゃんだな。考えてみれば、ここに来る前から不運は始まっていたなぁ…。

　ある日の朝、毎朝の日課である太極拳をつつがなく終え、郵便ポストを覗いてみれば、テーマパークに御招待と来たもんだ。
　この幸運に小躍りしながら、自慢の癖毛にスーパーハードのワックスを塗って、たとえ風速30メートルの風が吹こうが、牛が飛びそうな
竜巻に巻き込まれようが、崩れることは無いようにきっちりとセットする。そして、身支度を整えて、ただいまドッキンマイハート中の憎いアンチクショウに会いに行く。そして

「美坂ー！　俺と一緒にテーマパークに」
「私は栞と行くから結構よ」

　もうね、即答ですよ。馬鹿かと。アホかと。お前ら19分かけてセットした癖毛の立場はどうなるかと。とりあえず、泣きながら180度ターンしてその場から去りましたよ。で、結局一人寂しく来てるんですよ。で、たまたま会った相沢と一緒のジープに乗ったら…
「これだもんなぁ…」
　大きく吹かした。あぁ、そう言えば美坂はどうしてるかなぁ。俺が居ないから、あの黄金の右と幻の左に誰が犠牲になっているのだろうか。そういえば、栞ちゃんは体が弱かったなぁ…。
　心配、だった。ついさっきまで忘れていた感情だったが。ちょっと気分が沈んだ。運命の出会いに備えて23分かけてセットした癖毛だけだ高々と天を突いている。
「うぅ…あっ」
　その時、男が声を上げ、目を開けた。
「お目覚めかい？　オッサン」

507 ：北川潤は思案する：03/01/25 12:44 ID:QYtsCRrk

【光岡　目が覚める】
【北川　ただいま休憩中】

　さり気に初投稿です…矛盾が無いかチョイ心配

508 ：名無しさんだよもん：03/01/25 13:07 ID:wom6WX4+

一瞬、昔を思い出した・・・。

509 ：名無しさんだよもん：03/01/25 16:54 ID:5m5l0/Dc

同じく昔の北g(略
そういや鯖では一人称話は珍しいね。いいと思う。

510 ：名無しさんだよもん：03/01/25 20:04 ID:dlKVlM3p

やはりこの手の一人称話は北川の独壇場なのか？（ｗ

511 ：名無しさんだよもん：03/01/25 20:51 ID:wvf/pEcC

ロ○の北川一人称話は、下手なSSとかにありがちな「脇役男＝駄目キャラ」という考えが臭ってきたからあまり好きでないのは秘密だ。
今回は勢い余ってそういうことにならないようにして欲しいと願うのです。

512 ：ノーマット゛ ◆yGAhoNiShI ：03/01/26 01:35 ID:+2wEG//Q

　　　　　 l､､_　　　　 _,／'}
　　　　　 |ヽ''~￣￣￣~`ヾ
　　　　／＿,,,..　　　..,,,＿.`v_'`､　　　
　　　　/:　 ━　　　　 ━　　| ニ_｝　　／￣￣￣￣￣￣￣￣
　　　　|::　　　　∈∋　　　　ヽ　　| ＜　まったく糞の役にも立たない人たちですね（怒）
　　／/::　　　 -=,=.ヮ.　　　　|ヽ､|　　＼＿＿＿＿＿＿＿＿
　 /'../::　　　　／∠.._　　　　　|､.ﾉ　　この素晴らしき番組を見て
　/':::|:::　　　　￣￣　　　　　　|./　　少しは社会に貢献しなさい（怒）
　!-'L|::.　　　　　　　　　　　　　v'　＝＝＝放送日程＝＝＝
.　　　ヾ:::..　　　　　　　　　　　/　東京テレビ東京（日）9：30～10：00
.　　　 , ゞ､､;;;,,＿,,,..._;;;;;__,,..ノ､　名古屋テレビ愛知（日）9：30～10：00
　　　 'ｰ┐,,..､_ ﾉ　 l_,,,...､ _,,一`大阪テレビ大阪（日）9：30～10：00
　　　　　 ~　　~　　　　　~　　　福岡ＴＶＱ九州放送（日）9：30～10：00
実況：http://cha2.net/cgi-bin/test/read.cgi/choanitoku/1042918215/l50

513 ：太古の王、遭遇：03/01/26 01:58 ID:VrEpGWxC

ジープを運転してどの位経つのだろう？時間の感覚も麻痺してきている様だ。
だが秋子は時間等気に掛けず、無言で運転をする。隣に座っている芹香も、何も喋らずに流れる風景を見ている。
路面の隆起も幾らか収まって大分走りやすくなり、今では平坦な道へと変わっていた。
「……」
さっき芹香に言った言葉。自分は実行するであろう。愛娘の名雪の為なら、何をしてでも……。例え今隣に乗っている、何の罪も無い少女を犠牲にする事でさえも躊躇わないだろう。
そんな事を考えてしまう自分の愚かさを憎みながらも、秋子は決意を固める。
しかし同時に、人の命の重みも分かっているつもりだ。あの人を失って、気が狂いそうになった事も覚えている。
それを考えると、助手席に座っている芹香の胸中は想像がつく。堪らないだろう。実の妹が目の前で焼死したのだから。もし名雪が同じ状態にあったらと思うと……と考えて思考を中断する。そんな事にはさせない。誰にも。その為に今を生きていると言っても過言ではない。
そんな考えを他所に、風景は変化を続ける。さっきから当ても無く走っている訳ではない。どこか休憩する場所が必要だった。
「………」
不意に芹香が何かを言う。小さい声なので聞き取り辛い。ジープを運転しているので尚更だ。
「…あそこに……建物が見えました…」
北北東を指す。ジープを一旦止めてその方向を見ると、確かに白っぽい建物が木々の間に見える。休憩所かどうかは判別できないが、何かしら道具があるだろう。
芹香に視線を送ると、静かに頷く。一応の目的地が決まり、ジープを発進させた。

目的地に辿り着いた秋子はジープを降りて周りを見渡す。小高い木々に覆われて、決して視界良好とは言えないが、悪いとも言えない。この分なら何か接近すればわかるだろう。

514 ：太古の王、遭遇：03/01/26 01:59 ID:VrEpGWxC

続いて芹香がジープを降りる。同じ様に周りを見るが、どこか元気が無い。注意力散漫になっているのが分かる。
「随分と長い間ジープに乗ってるから疲れたでしょう？ここで少し休憩しましょう？」
無言で頷く。この子には休息が必要だろう。幸い、建物を見ると木々で作られた装飾品等が飾り付けられており、休憩所と分かる。
ドアを開けて中に入ると、予想はしていたがやはり無人だった。太陽の木漏れ日が差し込む店内とは裏腹に、無人の店はどこか寂しい。
店内を物色して、ナップザックと飲料水入りのペットボトル５本を拝借した秋子は、カウンターである物を見つけた。見本品なのであろう、ガラスで覆われた木箱の中にあるサバイバルナイフだ。大小２つある。
護身の為にと思い、そのナイフを取ろうとした時、微かに、ほんの僅かに何かを感じた。それは外に居た芹香も同じだったのだろう。二人共周りに神経を集中する。
秋子は店内を見渡すと、カウンターに置いてあるウイスキーに目が止まった。段々と、波紋が広がってきている気がする。
即座にナイフの入った木箱を床に叩きつけ、二つのサバイバルナイフを拾う。
「芹香さん、ジープに乗って！」
言うまでも無く芹香はジープに乗り込む。続いて秋子も急いでジープに乗り、荷物を芹香に渡す。
何故か嫌な予感がする。だんだんと震動は近づいきているみたいだ。しかし周りを見ても何も変化は無い。だが震動はだんだんと大きくなっている。
無言でジープを発進させる。そしてその直後、木が潰れる様な音が響いたかと思うと、休憩所が半壊していた。
バックミラーで確認する秋子は信じられないモノを目にする。当然芹香もだ。

515 ：太古の王、遭遇：03/01/26 02:00 ID:VrEpGWxC

T-REX

映画でしか、見た事は無い。実物は遥か昔に滅んだはずだ。目の錯覚かと思うが、「それ」は秋子達のジープに向かって突進してくる。地面を揺らし、咆哮を上げつつ。
冗談。そんな考えが浮かぶが実際直面している。これは真実なのだ。
「……」
芹香はT-REXから視線を離さずに何かを呟く。
「え？何？」
「血が…付いてます…」

その巨大な口の周りには、赤い塗料が、否。血が付着している様に見える。
「もしかして…」
誰かを食べた？まさか？しかし不自然なまでに赤く染まった巨大な顎を見ると想像せずにはいられない。
私は、死ねない！絶対に！と、心の中で思いながらもジープを疾走させる事しか出来ない自分が歯痒かった。

【ナップザック１、清涼飲料水の入ったペットボトル×５、サバイバルナイフ×２を入手】
【ジープに乗った秋子、芹香T-REXに遭遇。振り切れていない】

516 ：M.O.E：03/01/26 02:08 ID:VrEpGWxC

葉鍵サバイバルに書くのは初めてです。いきなり長い文章、見辛い構成申し訳ありません。
誤字脱字等、もしありましたら修正お願い致します。
楽しく読ませてもらってます！＞ALL
頑張りましょう！

517 ：ノーマット゛ ◆yGAhoNiShI ：03/01/26 02:49 ID:Qr6CcaIf

518 ：ノーマット゛ ◆yGAhoNiShI ：03/01/26 03:40 ID:XtaecPG0

519 ：ノーマット゛ ◆yGAhoNiShI ：03/01/26 03:57 ID:m4XYed/u

520 ：名無しさんだよもん：03/01/26 04:45 ID:LPbB90KT

『休憩所』はともかくとして、『秋子チームがティラノに襲われる』というのは俺が書こうとしていた展開と全く同じだった。

……やはりジープ持ちは追われる姿が映えるのだろうか？

521 ：ノーマット゛ ◆yGAhoNiShI ：03/01/26 04:52 ID:XtaecPG0

522 ：ノーマット゛ ◆yGAhoNiShI ：03/01/26 06:09 ID:jnRHDmmr

523 ：ノーマット゛ ◆yGAhoNiShI ：03/01/26 06:12 ID:+2wEG//Q

524 ：ノーマット゛ ◆yGAhoNiShI ：03/01/26 07:00 ID:jnRHDmmr

525 ：ノーマット゛ ◆yGAhoNiShI ：03/01/26 09:06 ID:Qr6CcaIf

526 ：ノーマット゛ ◆yGAhoNiShI ：03/01/26 09:10 ID:jnRHDmmr

527 ：LastManStanding　（総合よりのコピペ）：03/01/26 21:26 ID:7L8aXZho

「く…は、離せって…この…」
　吊り上げられる身になると、以下にこの体勢が辛いかがよくわかる。今後はヒーローに胸ぐら捕まれる悪役に対する認識を改めることにしよう。
　それも生きて帰れたら、の話だが。

　ズダン！　という音がして、矢島は地面にたたきつけられた。今日は本当によく地べたに倒れこむ。
「～～～～ェ～～～～～ェェェ～～～～～！！」
　おそらく怪物の発したものであろう、叫び…というよりは超音波…が、びりびりと周囲の壁と、矢島の鼓膜を振るわせた。
　爪で黒板を引っかいた音のような、脳に直接突き刺さりそうな音だ。
「……ッ！！」
　矢島は耳を押さえてうずくまった。これはまずい。この手を離したら間違いなく耳がやられる。しかし…
　耳を押さえていては、反撃ができないんじゃないか……

　敵の「叫び」がぴたりとやむと同時に放たれた爪による斬撃で壁に思い切り吹き飛ばされてから、矢島は考えを改めた。

(この調子だと、反撃がどうのこうのとか言う前に殺される……！)

528 ：LastManStanding　（総合よりのコピペ）：03/01/26 21:27 ID:7L8aXZho

　これまでにわかったこと。圧倒的な力の差、あの「叫び」がシンプルかつヤバい攻撃であること、敵が鋭い爪を持っていること、残り時間が少ないこと。
　これまでにされたこと。殴り飛ばされて背中を打った。掴みあげられて苦しかった。たたきつけられてまた背中を打った。爪で頬をぱっくりと切られた。
(いてて……随分抉られたなこりゃ)
　頬の傷。これまで負ってきた傷の通り浅くは無いが致命傷には至らない。昨日からどうも、俺の傷はどれも中途半端に終わる。
　左頬を縦方向に中途半端に浅く、中途半端に長い傷。ああ、それと中途半端に滴る血。
　死なないだけましなのかもしれないが、と矢島は考えた。同時に、ここにきて奇妙なくらい落ち着いている自分に安堵と驚きを覚えた。
　オレが死ねば、香奈子さんも死ぬだろう。この怪物に殺されないまでも、施設から逃げられない。
　その事態だけは、避ける。

(……香奈子さん、か)
　いつのまに、「太田さん」ではなく「香奈子さん」と呼ぶようになっただろう。多分それほど時間はたってはいないと思うが、それはともかく。
「……」
　それならそれでもいいさ、と矢島は思った。今は二人だ。「二人」で生き残る。
　このことについては生き延びてから、ゆっくり考えればいい。

　また敵の「叫び」が襲う。また耳を押さえる。が、彼の双眸は先ほどと違い、なんとか打開策を発見しようとせわしく周囲を見渡した。
　所員室から裏口までの一本道。窓は一つとしてなく、あるのは蛍光灯と、憎い裏口。カードリーダーと……

「……！！」

　矢島の頭に閃光のようなアイデアが浮かんだ。心が躍る。この怪物を倒せるかもしれない。その考えが、にわかに矢島を元気付ける。
「それ」までの距離は……5～6メートルといったところか。
「……」
　[ヤツ]のほうに向き直る。姿は見えない。見えないが、その威圧感が嫌でヤツが存在していることを教えてくれる。
　矢島は、慎重に、ゆっくりと、あとずさっていった。

529 ：LastManStanding　（総合よりのコピペ）：03/01/26 21:28 ID:7L8aXZho

　気がつけば、矢島は追い詰められていた。
　背中が壁に触れる。もうこれ以上は下がれない。退路は、失せた。
　心臓が早鐘のように鳴っている。冷や汗が伝う。ポケットに突っ込んだ手が小刻みに震えている。
　きっと今頃、こいつの見えない顔は俺を見下ろしてほくそえんでやがるんだ。矢島は心の中で毒づいた。
　状況は至って最悪。これ以上最悪な状況になる前に、一発逆転を図りたい。そのために……
　矢島は彼の「とっておき」ポケットの銃に伸ばした手を走らせた。

　彼のとっての計算外は、彼が銃を抜き放つよりも早く、敵の手に首元をわしづかみにされたことだろうか。
(し…しまった…作戦失敗かよ…！)
　そのまままたしても、彼は宙に掲げられた。今度はやばい。首にがっちりと敵の手が食い込んでいる。このままだとマジで折れて死ぬ……
　頭部への血液の供給もストップし、彼の意識は急激に麻痺していく。
(やべぇ…気が…指がうごかね…)
　矢島は、自分の口元から魂が抜けかけているのを感じた。そんなことあるはずが無いが、ともかく彼にはそう見えたのだ。
(やば…これ以上は…もう…)
　最後の抵抗とばかりに、彼は足元をばたつかせる。意識を、少しでも引き戻すために。
　彼の足は、捕獲された最後の瞬間まで、むなしく空を切るばかりだった。

　本来、体力の温存を第一に考えるならば、矢島の取った行動は決して賢い行動とはいえないだろう。
　なぜなら、下手に抵抗せずに機を待ったほうが温存という面で秀でているからだ。
　尤も……

530 ：LastManStanding　（総合よりのコピペ）：03/01/26 21:29 ID:7L8aXZho

グシャ

「……～～～～～～～～～～～～～～～！！！！！！」

　結果的にその行動は、彼にまたしても生存という幸運を授けることになったのだが。

　急に手を離されて地面に落下した矢島は、ゴホゴホと咳き込みながら敵に起こった事態を推理する。
(今、つま先に何か当たったぞ……こう、グニュッと)
　そこまで考えて、彼は直感的に理解する。それはいわゆる、男が男であるためのシンボルだ。
　それを、朦朧とする意識の中で放たれた純度百まじりっけなしの蹴りで刺激されたのである。その苦しみは、矢島には少し理解できた。
　矢島はすぐさま廊下を見渡す。あった。これを手に取るために、わざわざ壁を背負うリスクを抱え込んだのだ。
「……俺の勝ちだ！」
　彼は銃を抜き、左壁、ひざの高さに備え付けてあるもの……消火器に向かって発砲する。
　規格外の場所に穴を開けられた怒れる深紅の消化缶は、本来の目的をはずれた勢いで小麦粉似の粉を撒き散らした。
　その粉によって、うずくまって苦しんでいる見えない怪物の輪郭がくっきりと現れる。
「悪かったな、思いっきり蹴っちまった」
　最後に、男同士としてのマナー違反をわびた。

　廊下にもう一発銃声が響いて、しばらく後に消火器の暴走が止まり、続いて怪物の精米活動が停まり、最後に矢島が深いため息をついた。
「……つ、疲れた」

【矢島　透明な怪物撃破】
【施設爆破残り時間　僅か】

531 ：名無しさんだよもん：03/01/26 21:29 ID:7L8aXZho

誰かしらんが総合の方に壮大な誤爆してたんで、おせっかいかもしれないがコピペさせてもらいましたっす。

532 ：名無しさんだよもん：03/01/27 01:28 ID:Jq2+dL8L

い・・・いいのか・・・それは・・・
本当にいいのか・・・？

話は面白かった。

533 ：LastManStanding誤爆犯：03/01/27 07:18 ID:SOnFds20

こちらでもお詫びを。
スレを複数開いていた当方の不手際での誤爆、まこと申し訳ないです。
転載してくださった方に感謝。

修正を。
＞廊下にもう一発銃声が響いて、しばらく後に消火器の暴走が止まり、続いて怪物の精米活動が停まり、最後に矢島が深いため息をついた。

「精米活動」→「生命活動」でおねがいします

534 ：名無しさんだよもん：03/01/27 23:19 ID:HTTleBgI

>>533
あ、なんだ。体中から白い液体が噴き出してるっいう意味だと思ってたわｗ　
なんか急に恥ずかしくなってきた・・・

535 ：名無しさんだよもん：03/01/28 00:44 ID:HNfxSfCy

>>534のセンスは是非リレーに活かして欲しいと思う。

536 ：名無しさんだよもん：03/01/28 03:33 ID:PowqwwuH

537 ：名無しさんだよもん：03/01/28 23:50 ID:CZy1U2N4

今月の終わりごろにはまとめがいるかな？
簡素なものでよければ俺が作って張るんだが。

538 ：名無しさんだよもん：03/01/29 02:11 ID:sKfibRLz

>>537
余裕があればお願いします

539 ：名無しさんだよもん：03/01/29 14:12 ID:DcXWOzzs

>>491
さて、和樹にもたらされるのは初の見せ場か、それとも死か。
ちなみに俺は見せ場を与えようと思い、初の執筆に挑戦したが
あまりにも駄目な物しか書けずに断念、後はただ祈るのみ。

540 ：名無しさんだよもん：03/01/30 12:31 ID:NFiuSqbx

保守がてらそろそろ新作の告知。

……さて。

541 ：Badly Worst：03/01/30 18:43 ID:AIUG1YzB

「主任！」
「ん？　なんだね」
　白衣の若い研究員が、主任を勤めていた頃の超先生へと声をかける。
「新しい依頼書が入ってきたんですけど……？」
　研究員の差し出した書類に目をやる。
「ふむ、これは……ああ、口裂け女か」
「はい。今までの妖怪・モンスターの類とは明らかに方向性が違いますが、これはどういうことですか？」
「そうだな……君は、口裂け女世代……だったかな？」
「いえ、私は少し違いますね。一番激しかったらしいのは家の兄くらいの年代だと思います」
「なるほど。確かにそのくらいだろうな。……ということは、君は当時の混乱ぶりは知らないのだね？」
「ええ。話に聞くだけは聞いたことがありますが……」
「いつの間にか子供たちの間に蔓延している些細な怪談。いつの世もどこにでもあるものだろう。ある時それが一気に爆発した———
　それがこれ、口裂け女なのだよ」
「はぁ……」
「誰もが馬鹿らしいと思いながらも、思いながらも捨て去ることが出来ない些細な『恐怖心』。特に子供の身にそれは顕著に現れる。
　それまでは押し込めて押し込めて……いつしか忘れ去られていたもの。しかしこの時は違った。黄昏の狂風は子供たちの心の閂を
　いともたやすく取り去ってしまった。暴走せし感情は行き場を失い、ただ恐慌のみが支配する。
　学校すらこれを看過することができず、日本各地で『噂』が原因による集団下校が執り行われる異常事態へと陥った。
　当時の日本の混乱ぶりはそれを体験した人々にしかわからない。だが、体験した人々の心の深遠には確実にこの時の記憶は刻まれている。
　子供心ならなおさらだ。小学生時代の記憶は一生に渡ってその人間の精神構成に影響を与えると言うからな。
　……当時小学生だった世代。彼らは今どうなっている？」
「そうですねぇ……就職して、結婚して、そこそこの役職について、子供がそれなりの歳に……あっ！」

542 ：Badly Worst：03/01/30 18:45 ID:AIUG1YzB

「そう。そいういうことだよ。彼らも成長し、そして家族を持つ世代へと成っている。それこそ我らが狙うグループだ。
　子供を連れてこの島へと来た親たち。彼らが『展示』の中に……その中にかつて己が畏怖せし『それ』があるとしたらどうする？
　好奇心がそそられるだろう？　姿、形、能力、行動、そして弱点。誰もが聞いたことがある……聞いたことだけが、ある。
　しかし誰も実物を見たことがない。そんなものがここにあるとしたら……」
「なるほど……」
「というわけだ。これは子供というよりは、むしろ親の世代の観覧を狙った物だ」
「わかりました。ではスペックはいかほどに？」
「Unlimited,Real-Reaity」
「了解ッ！」

「チィ、口裂け女だって！？　そんなんアリかよ！？」
　憎まれ口を叩きながらも、和樹は今まで助けようとしていたその女から距離を取った。
　肩の傷はズキズキと痛み、血を垂れ流しているが見た目ほど傷は深くないようだ。腕を動かすのに支障は無い。
（ええっと、口裂け女っていったら……）
　記憶の底にある目の前の存在のステータスを思い出そうとする。しかし、対象は待ってはくれず、
　一瞬で間の距離を詰めると、錆の浮いた鎌を振るってきた。
「ねぇぇぇぇ！？　私ィ、綺麗でしょぉぉぉぉぉ！？！？！」
「ええとォ！　美しさの基準というのは個人の時代のまた文化の価値観によって色々変わるものでってチィッ！！！」
　口裂け女は自分から疑問を投げかけてくる割には、答える暇もなく鎌を振るってくる。
　その速度は女性とは、いや、人間とは思えないほどだ。
　サーベルで何とか受け止めては行くが、明らかに……というよりも、圧倒的に和樹の方が分が悪い。
「た、た、た、確か！　確かアンタには弱点があったよなぁ！　ええと……」
「私は綺麗よねェ！？　綺麗でしょぉ！？　綺麗なはずよねぇ！？　綺麗って言いいなさぁぁぁぁぁいッッ！！！！」
　昔聞いた話を必死に掘り出そうとする。しかし記憶の糸は手を伸ばせば伸ばすほどほんの少しずつ離れていってしまう。
「ええと……ええと……そ、そうだ！　べっこう飴！」
「私綺麗でしょぉぉぉぉぉ！？」
「………………」
　少しの沈黙。
「この島のどこにそんなモンがあるんだよ！！！」
　ああ、状況は限りなくバッドだ！

543 ：Badly Worst：03/01/30 18:45 ID:AIUG1YzB

「千堂和樹……大丈夫かな？」
　場所は少し変わり、こちらは倉田佐祐理とみちる。
「大丈夫……ですよ、きっと。千堂さんもやる時はやる方ですから」
　佐祐理の脚の怪我のこともあり、２人は近くの大木のうろへと隠れていた。
「うにゅ……お姉ちゃん、どうしてそんなことがわかるの？」
　佐祐理はみちるの質問に対し、うーんと少し唸った後
「そうですね……似てるんですよ」
「似てる？　誰に？」
「佐祐理の、お友達に」
「ふーん……」
「その人はいつもは仏頂面で、見た感じはちょっと取っつきにくい印象もあるんですけど、芯はすごくいい人なんです。
　やる時をちゃんとわかってて、その時がくればきっちりとやる。困っている人は放っておけない。そんな人なんです」
　みちるは佐祐理の表情に何かを読みとったのか、ちょっと意地悪に
「その人……ひょっとしてお姉ちゃんの、彼氏？」
　みちるからしてみれば、佐祐理の反応は狼狽したものを期待した……のだが
「……違います……よ。佐祐理は、そんなことはできません」
　返されたのは、冷めたものだった。
　居心地の悪い空気が狭い空間に満ちる。
　……と。
　
「人間……いる。近くに……」
　そんな声とともに、近くの茂みがガサガサと鳴った。
「おや？　今のは……人の声でしたか？」
「う、うん……」
　空耳でないことを確かめるかのように、２人は顔を見合わせる。
「ひょっとしたら他の参加者の方かもしれません……ちょっと佐祐理が様子を見てきます」
「だ、ダメだよっ！」
　立ち上がろうとする佐祐理を、みちるが止める。
「お、お姉ちゃんは脚を怪我してるんだからっ！　み、みちるが見てくるからっ！　お姉ちゃんはここで待ってて！」
「けど……」
「みちるは千堂和樹と約束したんだからっ！　お姉ちゃんを守るって……だから、ここで待ってて。いいねっ！」
　言うだけ言うと、みちるはうろを飛び出した。

544 ：Badly Worst：03/01/30 18:46 ID:AIUG1YzB

　そうされては佐祐理も動くに動けず、仕方なくその場に腰掛け直す。
（ダメですね……あんな小さい子にまで世話をやかれては……）
　いつもは自分が世話をしている舞がここでは自分を守り、また小さい子に世話を焼かれてしまう。
　そのギャップに佐祐理は一人で苦笑した。

　……それは、ほんのわずかな差。
　
「……こんにちは」
「え？　えっ……！？」
　一人回想の世界に浸っていた佐祐理を、誰かの声が呼び戻した。
「こんにちは」
「あ、は、はいっ！　こ、こんにちは！」
　見れば目の前……この小さな穴の入り口部に女の子が立ち、こちらを覗き込んでいる。
「え、ええと……参加者の方ですか？　あ、と、え、さ、佐祐理は……じゃなかった。私は、倉田佐祐理といいま……」
　あまりの突然のことに、佐祐理は慌てふためきながらもなんとか自己紹介だけはすまそうとする。
　……しかし、少女はそんな佐祐理の様子など意に介することもなく。
「引き裂かれるのと焼けこげるのはどっちがお好み？」
「え？　え？　え？」
　目の前の少女の言葉がわからない。いや、言葉はわかるが意味がわからない。
　引き裂く？　焼く？
「５秒前。４，３，２，１……」
「ど、ど、どういうことですか？」
　言えたのは、それだけだった。
「あなたは死ぬのよ」
　そして少女はパチン！　と指を鳴らす。
「はい時間切れ」

　瞬間、佐祐理の体は大木ごと真っ赤な炎に包まれた。
　
　状況は限りなくワーストだった。
　

545 ：by R.E.D.：03/01/30 18:47 ID:AIUG1YzB

【和樹　口裂け女と交戦中。状況は限りなくバッド】
【佐祐理　妖狐に襲われる。火だるま】
【みちる　佐祐理から少し離れる】

546 ：名無しさんだよもん：03/01/30 20:23 ID:Whm988wu

激しく全滅の予感。
綾香や琴音に対する炎の殺傷能力を見る限り佐祐理さんの生存率は限りなく０に近いな。

547 ：名無しさんだよもん：03/01/30 23:09 ID:4tHxNWjx

主軸のストーリーに関わりつつもマーダーの仕事はきっちりと。
ある意味鯖の善意。

548 ：名無しさんだよもん：03/01/31 00:37 ID:Jdp9jifU

ここで妖狐登場か、意外だ。
出てきた時はもっと悲劇系のキャラになるかと思ったんだが、完全に殺人機械と化してるな。
果たして真琴か祐一の所まで辿りつく事ができるのか。
まぁ、先読みすると書き手が色々書き辛いから控えるが先が気になる所。

549 ：名無しさんだよもん：03/01/31 01:10 ID:pueAyp+M

祐一は久瀬と例の仕事の件で面白そうだから
真琴の方に行ってもらいたいと個人的には思うわけだが。

550 ：名無しさんだよもん：03/01/31 02:33 ID:uV4rgcvj

どうしようもなくキャラが死にそうな展開燃え。
機転利かせて逃げたり勝ったりするのも面白いけど
圧倒的な戦力差で蹂躙されるのも良いものです。
ただ、佐祐理さんの方はどう転ばしても次回で死にそうなんで
ここで切るのはちょっと半端かなって気もした。
まあ、次で良い意味で裏切ってくれると嬉しいかな。
てか、このチームは分散して各個撃破されるという
この手のパニック・ホラー作品の王道を見事に踏襲してるな。（ｗ

後どうでもいいが、Unlimited,Real-Reality がとてつもなくツボにハマリますた。

551 ：それぞれの光景：03/01/31 03:59 ID:xV/RyvHg

　千堂和樹は、焦っていた。
　目の前には、錆びた鎌を振り回す口裂け女。少し木々を抜けた先には、守るべき存在。みちると、佐祐理。
　ここで自分が遅れをとれば、次はあの二人が襲われる。
　それだけは、絶対に阻止しなければならない……。

「くそぉぉぉおお！！」
「ふふふ……綺麗でしょぉぉぉ！」

　しかし、手に持ったサーベルを力まかせに振り回すが、漫画のようにはいかないのが現実で。
　じわじわと、鎌による切り傷が増えていく。
　右から、左から。
　鎌の切っ先が自分の腕を、腹を、顔を掠める度、和樹の心はより一層追い込まれていく。

『由宇……力を貸してくれよ！！　こいつに負けたら、俺はまた……』

　だが、和樹の思考はそこで止まった。
　彼は、見てしまったのだ。
　視界の隅で、紅蓮の炎が燃え上がるのを。
　そしてその一瞬のスキを逃すことなく、彼の胸に熱いものが突き刺さる。

「ねぇぇえ、私綺麗でしょぉぉぉ…………ぉ……ぉ……？」
「……綺麗ってのはな、人を守れるやつのことを言うんだ……」

　自分の胸に鎌を突き立て、ニヤリと笑う口裂け女に、おもむろにサーベルを突き立てる。
　不思議と、刺された痛みはあまり感じない。
　代わりに、心の痛みが突き刺さる。

　その痛みに急かされるように、痙攣を起こして横たわる口裂け女を後目にして、和樹は木々を抜けていった。
　燃え盛る、紅蓮の炎へと向かって。

552 ：それぞれの光景：03/01/31 04:01 ID:xV/RyvHg

　倉田佐祐理は、自分に何が起きたのかわからなかった。
　目の前に立つ少女が指を鳴らすと同時に、突然の炎。

　熱い。
　逃げなければ。

　その咄嗟の思考に任せ、燃え盛る大木の中から逃げ出そうとするが、先の少女が佐祐理の前に立ちはだかり。
　そして、自分の腹に、何か熱いものをつきたてる。

「……ぇ……？」
「すぐに殺してあげるから、ジッとしてなさいよ！」

　熱いもの、と感じたのは、自分の腹部に突き刺さる少女の右手。
　いや、その右手から生えた、鋭い鍵詰めが腹部を抉っている、と説明したほうが正しいだろう。
　佐祐理がそれを頭で理解したのは、その爪が腹部を大きく抉り、燃え盛る大木のうろに自分の身体が倒れこんだ後だった。

『あぁ……よくわからないけど、佐祐理はここで死んじゃうんだ……』

　失血のためか、薄れ行く意識の中で、佐祐理が最後に見たのは、燃え盛る炎と。
　紅蓮の炎の向こうから、自分を見つめる、一人の少女。
　不思議と、恨みは感じなかった。

『舞なら…祐一さんなら……こういう時はどうしたのかな。この子のこと、許してあげるかな……』

　薄れ行く中での、とりとめの無い思考。
　そして佐祐理は、せめて最後くらい忘れないようにと、愛しい人たちの名前を呟く。

「一弥……舞……祐一さ…ん……ごめ………ね……」

　そのとても小さい呟きに対する、目の前の少女の反応を見ることなく、佐祐理の意識は途絶えた。

553 ：それぞれの光景：03/01/31 04:03 ID:xV/RyvHg

　みちるは、その光景を見て、立ち尽くすしかできなかった。
　轟音に驚き、振り返り、そして駈け戻ってきた時には、すでにもう手後れに見えた。

　燃え盛る木々。
　炎にまかれた大木のうろには大きい血溜まりと、そしてそこに倒れているのは佐祐理。
　そして、炎を挟んで向こうから歩いて来るのは、お腹に鎌がささったままの千堂和樹。
　二人とも、出血量が尋常ではない。

　しかし、それよりもみちるの時間を止めたのは、燃え盛る木々の中心に立つ、ひとりの少女。
　その少女の中に、みちるが見たのは、みちるだけに見えてしまったものは……。

「……きつ…ね……？」

　それは、実験動物の成れの果て、と言った方が正しい姿で。
　本来あるべき美しい毛並みはなく、継ぎはぎだらけの皮膚から、ところどころ管や電極が飛び出していて。
　しなやかな曲線を描いているはずだった、後ろ足はすでにひとつ減っていて。
　そして、ひとつだけ残ったその瞳はとても……。

「なによあんた……人間の味方なら殺してやるわよ！」

　しかし、そこでみちるを現実に戻したのは、その少女の憎しみのこもった瞳と。

『……逃げなさい。お嬢ちゃんは、逃げなさい……』

　いつか聞いた、おじいさんの声。

554 ：それぞれの光景：03/01/31 04:04 ID:xV/RyvHg

　その森の主トレントは、三人の娘たちが魔物を撃退し、逃げ去っていくまでを見ていた。
　一人の勇敢な青年が、必死で戦う様子も見ていた。
　たった今、一人の少女に起こった悲劇も見ていた。
　そして、次々と炎が燃え広がる、この森の姿も……。

　森。
　鬱蒼と茂るそれは、トレントの領域であり、そしてトレントの身体でもあった。
　森の主トレントが一番苦手とするものが、魔力のこもった炎であったのは不運としか言い様がないだろう。
　次々と森が燃えていくのはすなわち、トレントの、死。

『ユンナに呼び出されてから今まで、全てが運命と思い、流れに身をまかせていたが……』

　トレントは、自らの最期を感じながらも、静かに思案していた。

『……わしらのような存在も、戦っていくべきだったのかもしれんなぁ』

　トレントの核である大木の横には、広瀬真希の墓。その墓を見つめて、トレントは思う。

『今さらかもしれんが、せめて最期は……あの小さいお嬢ちゃんの未来のために、戦ってみるのもいいかもしれん……』

　そしてトレントは、残された力をつかい、お嬢ちゃん--みちる、のために道をつくる。

『……逃げなさい。お嬢ちゃんは、逃げなさい……』
『わしが道をつくるから、お嬢ちゃんは行きなさい、そして生きなさい……』
『その子狐の相手は、わしが引き受けるよ……』

　そして、みちるの背後に広がる光の通路。
　トレントは道を開いた。

　みちるだけならば、確実に逃げられる道を。

555 ：だよもん：03/01/31 04:06 ID:xV/RyvHg

【口裂け女、死亡】
【和樹、重症】
【佐祐理、失血で意識不明。木のうろでかまど状態】
【トレントの森、炎上】
【みちる、逃げるか残るか、二者択一】

レス間は二行空きで御願いします。
上のUnlimited,Real-Realityを見て、ついつい書きたくなってきてしまい、いきなり書いてしまいました。
ちなみに、時刻は２日目昼or午後ごろだと思うです（←自然災害は他の話に影響を与えかねないので、確認程度に）

関係ないけど、最近連続投稿がなんかエラーでかき込みできなくなります。不便な世の中になったもんだ……。

556 ：名無しさんだよもん：03/01/31 04:08 ID:xV/RyvHg

……Unlimited,Real-Realityを見て書きたくなったってなんだよ自分。
訂正。

Unlimited,Real-Realityは自分も笑いました。
んで、Badly Worstを見て、続きを無性にかきたくなりました！　ってことで。

557 ：名無しさんだよもん：03/01/31 05:21 ID:TLkoA0TO

どう見ても佐祐理は燃えていたようだが…

ここでトレントまで持ち出して延命処置を図るとはID:xV/RyvHgやるなぁｗ

558 ：名無しさんだよもん：03/01/31 05:36 ID:Ap6OST4Z

解釈の違いととるか、単なるキャラ保護とみるか･･････。
まぁ10人中9人は後者を選ぶだろうがな。

559 ：名無しさんだよもん：03/01/31 06:47 ID:Jdp9jifU

まぁ、前の話の注釈で【佐祐理　妖狐に襲われる。火だるま】と書いてあるのを見た上で書いたんだろうから、もう故意犯だろうが……。
（これを見ずに書きました、と言ったらそれはそれでアレだが）
歯に衣着せぬ言い方をすると、まぁ無理矢理な感は否めないよなぁ、と。
個人的に無理矢理な延命処置は理不尽な死に方と同じ位萎えるというのもあるが、それをさっぴいてもこれは拙いだろう。

和樹を勝たせてみちるを逃がすだけなら問題無かっただろう。
逆に、トレントの最後の力で燃えた佐祐理を救済する、という話でもまぁ、展開次第じゃ受け入れられたはず。
正直、欲張ってやりたい事全部詰め込んで破綻するという典型という印象を受けた。

560 ：名無しさんだよもん：03/01/31 09:18 ID:3Ra8X/8s

詰め込み過ぎってな感じはあった。情報である【】が多い事からもね。

561 ：作者：03/01/31 11:31 ID:BE+u55Uu

すみませんこちらのミスなんでなかったことにしてください。

562 ：それぞれの光景作者：03/01/31 11:44 ID:xV/RyvHg

ごめんなさい、明らかに自分のミスですね。
上の話はどうか無かったこと、NGだかアナザ－だかということで御願いします。
お騒がせ申し訳ないです……。

563 ：名無しさんだよもん：03/01/31 11:53 ID:GI4ljNQL

あげ

564 ：名無しさんだよもん：03/01/31 12:02 ID:yyH1H4CA

なら初めから書くな
ぱっと出でコテハン名乗るな
下手なんだから書かない方がいいよホント(藁

そして鯖はなにごともなかったように再開

565 ：名無しさんだよもん：03/01/31 12:07 ID:3Ra8X/8s

>>564はさすがに傲慢が過ぎる。
NGになってしまったのは残念だが、作者には改めて頑張って欲しい。

566 ：名無しさんだよもん：03/01/31 12:11 ID:16NNJPh3

>　瞬間、佐祐理の体は大木ごと真っ赤な炎に包まれた。
> 【佐祐理　妖狐に襲われる。火だるま】

燃えてるのは大木で、佐祐理そのものにはまだ火の手が回っていない、
っていう解釈でも特に問題なさそうだがなぁ。
それに、延命措置っていっても、数秒生きながらえたくらいで、どの道死にそうだし。

別に没喰らわすほど悪くないと思うが…
NGになっちゃったみたいだけど、ワシは面白く読ませてもらったよ。
作者さん、これからも頑張ってね。

567 ：名無しさんだよもん：03/01/31 12:27 ID:RCc3mCWz

>>564の中の人も大変だな

568 ：名無しさんだよもん：03/01/31 13:10 ID:T8NLdFHt

>>566
ん〜、そうかな？　俺にはその文面だと佐祐理＆木が燃えてるようにしか取れないのだが……。
どの道死にそうってのはわかるけど、場合によっては某Ｓ保みたいに不思議な方法で生き残るかもしれんし。

>>567
中の人など以下略。

569 ：名無しさんだよもん：03/01/31 13:21 ID:z+tqJARk

コテハンを名乗ろうとする以上多少たたかれるリスクは背負うべき。
めっきり減ってしまったコテハン作者の一人だけにがんばっていただきたいものであるが…

さて。

570 ：名無しさんだよもん：03/01/31 14:23 ID:Mmn4Emyp

そもそもロクな作品あげられない香具師に限ってコテハン名乗って自己主張してるのがヤバいんじゃ？
それなりのものを書けば叩かれないはずだろ？
ところが今残ってるコテハンなんてロクなのいない。

編集しない編集者、いきなり竜とかを出して場を荒らしてくる奴、そして今回みたいな日本語読めないDQN、あとは序盤書き逃げの厨が多数って感じか。(まあそれ以外の名無しもひどいが)
こぞって文章力は(ry

いいや、ハカロワ読んで寝るわ(藁

571 ：名無しさんだよもん：03/01/31 14:25 ID:R4irgJJx

>>570
何だお前

572 ：名無しさんだよもん：03/01/31 14:33 ID:DHmhuc1R

>>570
死ね。

573 ：名無しさんだよもん：03/01/31 14:37 ID:r2liPXpI

知障の>>570晒しage

574 ：名無しさんだよもん：03/01/31 14:40 ID:A9veH4nf

>>570
２１歳未満は来ないで下さいね

575 ：名無しさんだよもん：03/01/31 14:44 ID:ApULeOLN

http://www.media-0.com/user/gotosex/

　　　　　　　　モロ見えワッショイ！！
　　　　　＼＼　モロ見えワッショイ！！　／／
　+　　　+　＼＼　モロ見えワッショイ！！／+
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　+
.　　　+　　／■＼　　／■＼　／■＼　　+
　　　　　　（　´∀｀∩（´∀｀∩）（　´ー｀）
　+　　（(　（つ　　　ノ（つ　　丿（つ　　つ　)）　　+
　　　　　　ヽ　（　ノ　（　ノ　　）　）　）
　　　　　　　（＿）し'　し（＿）　（＿）＿）

576 ：名無しさんだよもん：03/01/31 14:46 ID:jIF/Lu/U

昼下がりの午後２時に睡眠ですか。いい御身分っスね。

577 ：名無しさんだよもん：03/01/31 14:53 ID:k5kpcrrt

ageてまで反応するのはよそうや。

578 ：名無しさんだよもん：03/01/31 14:58 ID:JpTAfuZt

そしてまた、みちるが背負う命の数が増えていく。
本人が戦えない分、なお辛い・・・

579 ：名無しさんだよもん：03/01/31 15:00 ID:BSP6xhp5

まぁ志保とか千鶴さんみたく仙命樹の超効果であっけなく回復(ﾟ∀ﾟ)ｱﾋｬ
なーんて展開を繰り返されちゃっていい加減萎えてるわけよ。

そういや回復魔法とか使えるのいたよなぁ。
奴らってどうなってたっけ?

580 ：名無しさんだよもん：03/01/31 15:10 ID:k5kpcrrt

>>579
回復魔法は「体力」を回復するって解釈すればいいんじゃないの？

例：
浩之「ぜーはーぜーはー、ああ疲れた。もう一歩も歩けねぇ」
あかり「浩之ちゃん浩之ちゃん」
浩之「ん、なんだあかり」
あかり「ホ●ミ！」
（SE:きゅろろろろ〜ん）
浩之「おお！　体内の血行が促進され筋肉に溜まった乳酸その他の老廃物がみるみるうちに拡散していく！」
あかり「どう？　浩之ちゃん」
浩之「浩之様大復活だぜ！　あと10Kや20K、どんと来いだ！」

例２：
（SE:ズバアッ！）
浩之「うわあっ！　敵の凶刃にやられてしまった！　血が吹き出るゥ！」
マルチ「はわわ〜、大丈夫ですか浩之さ〜ん」
浩之「ま、マルチ！　か、回復魔法を！」
マルチ「わかりました〜……え〜い、ケ●ルっ！」
（SE:しゅりゅりゅりゅりゅ〜）
浩之「うぎゃあ痛え痛えちっとも治らねえじゃねえか〜」
マルチ「ダメなんです〜。回復魔法は『傷口』はふさげないんです〜」
浩之「うわー！　そんなー！」

581 ：さちこ：03/01/31 15:36 ID:daruoWjG

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582 ：名無しさんだよもん：03/01/31 16:16 ID:AS2SoJh1

>>580
いや治癒して良いでしょう回復魔法。
むしろ傷口は塞がるが体力は回復しないって方がらしい。
使い手もスフィーやサラ死んでティリアとエリアの二人だけだしね。
仙豆チックに万能回復でいいかも。
ってそういやサラの時はティリアのホネス(蘇生魔法)じゃあ間に合わなかったんだなぁ。
もののついでにおさらいティリア達の使える魔法一覧。
って、あぁこれって確かクリスクロスがあったころの資料…
まぁこんなことが出来ます程度の参考に。
ちなみにティリア達のこの世界におけるレベル限界が20。
最強魔法シャインクルスが使えるレベル16になってるとするとＭＰは200といった所。

聖属性
ライト　　　　　威力：小　範囲：敵全体　ＭＰ：３
ライトボウ　　　威力：中　範囲：敵単体　効果：麻痺　ＭＰ：７
ライトニクス　　威力：中　範囲：敵全体　効果：眠り　ＭＰ：10
ラインクルス　　威力：大　範囲：敵単体　ＭＰ：13
シャインクルス　威力：大　範囲：敵全体　ＭＰ：30
回復魔法
ヒール　　　　　回復：小　範囲：味方単体　ＭＰ：３
ヒーラ　　　　　回復：中　範囲：味方単体　ＭＰ：５
ヒールラ　　　　回復：中　範囲：味方全体　ＭＰ：８
フルヒール　　　回復：大　範囲：味方単体　ＭＰ：10
ポポイズ　　　　効果：毒回復　範囲：味方単体　ＭＰ：３
フロウ　　　　　効果：ステータス異常回復　範囲：味方単体　ＭＰ：５
ホネス　　　　　効果：復活　範囲：味方単体　ＭＰ：10
補助魔法
スリープ　　　　効果：眠り　範囲：敵全体　ＭＰ：４

583 ：名無しさんだよもん：03/01/31 16:17 ID:AS2SoJh1

で、エリア。こちらは推定ＭＰ280。
風属性
ウィン　　　　　威力：小　範囲：敵単体　ＭＰ：３
ウィンド　　　　威力：中　範囲：敵単体　ＭＰ：６
ウィンズ　　　　威力：中　範囲：敵全体　ＭＰ：10
ダルウィン　　　威力：大　範囲：敵単体　ＭＰ：13
ウィンドバーン　威力：大　範囲：敵全体　ＭＰ：20
炎属性
ヒダラ　　　　　威力：小　範囲：敵単体　ＭＰ：２
ヒダラド　　　　威力：中　範囲：敵単体　ＭＰ：５
ヒダラス　　　　威力：中　範囲：敵全体　ＭＰ：９
ダルヒダラ　　　威力：大　範囲：敵全体　ＭＰ：15
回復魔法
ヒール　　　　　回復：小　範囲：味方単体　ＭＰ：３
ヒーラ　　　　　回復：中　範囲：味方単体　ＭＰ：５
ヒールラ　　　　回復：中　範囲：味方全体　ＭＰ：８
フルヒール　　　回復：大　範囲：味方単体　ＭＰ：10
ポポイズ　　　　効果：毒回復　範囲：味方単体　ＭＰ：３
フロウ　　　　　効果：ステータス異常回復　範囲：味方単体　ＭＰ：５
ホネス　　　　　効果：復活　範囲：味方単体　ＭＰ：10
ホネスト　　　　効果：完全復活　範囲：味方単体　ＭＰ：18
補助魔法
スリープ　　　　効果：眠り　範囲：敵全体　ＭＰ：４
マインドウェーブ効果：攻撃力ＵＰ　範囲：味方単体　ＭＰ：６
リンクス　　　　効果：守備力ＵＰ　範囲：味方単体　ＭＰ：５
ハンサー　　　　効果：守備力ＤＯＷＮ　範囲：敵単体　ＭＰ：５
フィルター　　　効果：魔法封印　範囲：敵全体　ＭＰ：４
ノイーズ　　　　効果：混乱　範囲：敵全体　ＭＰ：６
コントラスト　　一定時間罠・障害地帯回避　ＭＰ：６
シュイン　　　　フィールドテレポート、ダンジョン脱出　ＭＰ：８

584 ：名無しさんだよもん：03/01/31 16:24 ID:nuOGxO03

死亡（回復不可）≠戦闘不能＝HP0（回復可）
だと思う。

585 ：名無しさんだよもん：03/01/31 17:14 ID:4qs3UrLF

１日目
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1009/10092/1009296019.html
２日目
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1011/10118/1011896511.html
３日目
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1023/10232/1023201795.html
４日目
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1023/10236/1023643520.html
５日目
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1028/10282/1028295933.html
６日目
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1037/10373/1037377869.html
７日目
http://wow.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1038158399/l50

586 ：RTO：03/01/31 19:07 ID:z+tqJARk

ども、編集してない編集者RTOでございます。
やっとまとまった時間が取れましたのでとりあえず前スレ分(ちょうど300話)までサイトに追加しました。

今回OSを変更した影響で愛用していたビルダ2001が起動しなくなりまして、泣く泣く秀丸で編集したと言う有様でして
どっかガタが来ているところがあると思います。報告していただけるとありがたいです。

587 ：名無しさんだよもん：03/01/31 19:42 ID:N2rtGfen

乙。
……しかし、リストには２８７話までしか入ってませんぞ。
アドレスを変えれば見れる事は見れますが。
修正よろしくお願いします。

588 ：名無しさんだよもん：03/01/31 19:47 ID:6yOsDx5L

ところで、>>579の
＞まぁ志保とか千鶴さんみたく仙命樹の超効果であっけなく回復(ﾟ∀ﾟ)ｱﾋｬ

志保はいつ仙命樹を注入されたんでつか？
つーか無理がたたって倒れてたはずだが……未読？

589 ：RTO：03/01/31 20:03 ID:z+tqJARk

秀丸がどうとかいえるレベルのミスではありませんでしたな、すいません。
リスト修正いたしました。

590 ：名無しさんだよもん：03/01/31 21:24 ID:IJS3EAzx

>>584
これは同意だな。
ＲＰＧにおいてイベントで死んだキャラが回復魔法で生き返るなんてほとんど皆無。

591 ：Mind over Madness：03/01/31 23:15 ID:18YrObI5

「精神……能力者……かッ！」
　黒服の頭は自分にまとわりつく波を振り払うかのように、頭を左右に振る。
　やがて徐々に瞳の焦点が定まっていき、憤怒の形相で浩之たちを睨みつけた。
「人間如きが……絶対の正義を行使する我らが天の使いに逆らうというか！」
　そのまま激昂とともに、配下のゴーレムに命令を飛ばす。
「容赦するな。捻りつぶせ！　一人残らず叩き殺せ！」
「……了解」
　どん、と一つ、地響きが建物を揺らす。
　命令を受けた黒服が、一歩を踏み込んだ衝撃だ。
「ってマジかよ！？」
　しかしその一歩はあまりに大きく、浩之たちとの間合いはたちまちゼロに等しくなった。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ！！！！」
　巨大な咆吼とともに、『ゴーレム』と呼ばれた黒服は巨大な槌を振りかぶる。
　とはいえ大工が仕事で使うような慎ましやかなものではなく、ほとんど『鉄柱の先端に大岩をくくりつけた』程度の大雑把なものだ。
　……だが、威力は想像だに固くない。
「危ない浩之！」
　一歩、ティリアが浩之をかばう形で進み出る。
　剣を横腹に構え……
　
　ガッ……キィィィィィィィン！！！！！
　
「がはァッ！！！」
「きゃあっ！！」
　しかしゴーレムの一撃の方が一瞬早かった。
　体制の整いきらないティリアと、その後ろに立っていた浩之をまとめて壁へと叩きつける。
「この……化け物がっ！」
　一方、ウィルはどこからか槍を取り出すと逆手に構え、跳躍とともにゴーレムの背中に突き刺した。
　ズズ……ッ……
「な！？」
　攻撃直後の硬直。あやまたず背中のド真ん中を貫くことに成功した。
　しかしまともな手応えはほとんどなく、粘土を突いたような柔らかい感触が返ってくるだけだった。
「馬鹿めが！」

592 ：Mind over Madness：03/01/31 23:16 ID:18YrObI5

　勝ち誇ったように黒服頭が叫ぶ。
「このゴーレムは天界における魔導工学の粋をこらして創造された最新型だ！　その程度の攻撃で倒せると思うな！」
「チィ、厄介な……っぐがあッ！！！！　
　邪魔くさげにゴーレムの裏券が飛ぶ。綺麗にウィルの頬を直撃し、彼の体をティリアと浩之の上に叩きつけた。
　
「つ、つええ……洒落ンなんないぐらい強ええぞ……」
「う……ウィル……あんた、あれが岩の傀儡だって言ってたわよね？」
「あ、ああ……だが、あれは俺の知っている現行機を遙かに凌駕するスペックだ。すまんが、有効な対策はわから……」
「来るぞ！　２人とも！」
「ヌゥッ！！」
　浩之の声に反応し、三人は左右へと散った。
　一瞬前まで倒れていたその場所に巨大な槌が叩きつけられる。
「何か！　何か弱点は無いの！？」
「弱点と言えるかどうかはわからんが……傀儡は操る者がいなければ何も出来ん！　あの男を……ゴーレムを操るあの男をなんとかできれば！」
　黒服頭を睨みつけながらウィルが叫ぶ。
「そうだ確かにその通りだ！　他の弱点は全て克服したゴーレムだが……傀儡である以上その弱点からは逃れられん！」
　弱点を看破されたにもかかわらず、相変わらず勝ち誇ったように黒服は答える。
「……だがどうやって俺のもとまで来るつもりだ……？　俺に刃を突き立てたくば！　ゴーレムの拳をくぐってくるがいい！
　そうしなければ俺を倒すことなどとうてい出来んぞ！」
「わかって言ってるだろテメェ！　だから俺たちはそのゴーレムを倒す方法を模索してるんだよ！」
　一応浩之もクロスボウをゴーレムへと向けてみるが、どう考えても効果はないので引き金を引くことはやめる。
「チッ……やばいな、こりゃ……」

「祐君！　祐君！　祐君しっかりしてよ！」
　ゴーレムに翻弄される三人。その少し後ろの壁。
「う……っ……沙織……ちゃん……。みんな……は……」
　祐介は沙織とエリアに挟まれていた。
「喋ってはダメです！　今……今回復魔法を！　……ヒール！！」
　エリアの呪文とともに、彼女の手のひらが淡い光を放つ。その光を優しく祐介の傷口へと当てるが、あまり効果はない。
「ダメなの！？」
「……すみません、やはり、こちらの世界では……私の魔法は……」
「そ、そんな……」

593 ：Mind over Madness：03/01/31 23:16 ID:18YrObI5

　しばしの沈黙。その後に、
「……２人とも、下がってて」
「祐君？」
　不意に、祐介が立ち上がった。
　体中から真っ赤な血を流しながら、壁へと手をつきながら、ゆっくりと……立ち上がった。
「僕が……いかなきゃ……アイツは……僕が……やらなきゃ……」
「ダメだよ！　祐君！」
「無茶です！　その怪我では……」
「僕が……僕が行かなきゃならないんだ……僕しか出来ないことがあるから……僕がやらなきゃならないことがあるから……
　僕が……僕の力を……僕が使わなくて……ここで使わなくて……どうするって言うんだ……」
　一歩、一歩、闘いの旋風へと近づいていく。
　
「祐介！？」
　最初に気がついたのは浩之だった。
　血の道を作りながら、祐介がゆっくりとこちらへと近づいてくる。
「馬鹿野郎！　来るな！　危ないぞ！」
「……………」
　しかし祐介はそんな浩之の言葉は耳に入らないかのように歩を進める。
「祐介？　どういうつもり！？」
　ティリアも叫ぶ。しかしやはり祐介は止まらない。
「どういうつもりだ？」
　ウィルもしかり。
「はははははは！　精神能力者のガキか。どうした？　お前から死にたいのか！」
　……ただ、黒服だけが笑っていた。
「……これ以上僕の仲間たちを傷つけることは許さない……」
　……初めて、祐介が答えた。
「何を言うかと思えば……お前にはこの状況がわからないのか？」
　槌を構えたゴーレムが祐介の眼前に迫る。
　そして、祐介は一言、呟いた。
「……………みんな、早く……逃げるんだ」

594 ：Mind over Madness：03/01/31 23:18 ID:18YrObI5

「……な？」
「何を言っている！」
　疑問を口にする面々。だが、祐介は答える気などさらさら無いように
「いいから！　早く逃げるんだ！　みんながここにいると『力』が使えない！」
「ははは……そうか。あの怪しげな『術』か。確かに先ほどは突然のことに不覚をとったが、貴様の『精神波』程度。俺に通用するとでも思うのか？」
　祐介は無視して続ける。
「浩之ッ！　ティリアさんっ！　ウィルさんッ！　早く！　沙織ちゃんたちを連れて逃げてッ！　逃げてくださいッ！」
「祐君！　何を言って……？」
　祐介に駆け寄ろうとする沙織を、ウィルが制する。
「……信じて、いいんだな」
　ウィルはただ祐介の瞳を見つめ、それだけ問うた。
「……はい」
「……わかった。行くぞ！」
「ウィルッ！」
　ティリアや浩之は抗議しようとする。だが
「祐介が。男が。死にかけの男が命を賭して頼み事をしている。……俺たちに出来るのは、黙って聞いてやることだろう。違うか！？」
「……っ……」
　その一言で黙り込む。
「……行くぞ」
「祐君っ！」
「さあ、行くぞ！」
　沙織はウィルに半ば引きずられるようにして奥の部屋へと消えていった。
「……ごめん、沙織ちゃん……」
「……祐介、お前……」
　死ぬつもりか……？　と浩之は問おうとした。しかし、振り返った祐介の顔は……
「浩之……ちょっと先に行っててほしいな……」
　あまりにも……あまりにも明るすぎるほどの……爽やかすぎるほどの笑顔で……
「……ああ、わかった……」
　と答えることしかできなかった。
　

595 ：Mind over Madness：03/01/31 23:19 ID:18YrObI5

　浩之が去り、あかりが去り、ティリアが去り、エリアも去る。
　そして、ホールの中には祐介とゴーレム、そして黒服頭のみが残された。
「……ハッ、自分を犠牲にして時間を稼ぐつもりか？　……無駄なことを。貴様など一瞬に捻り潰して、ウィルの後を追ってくれるわ」
　黒服が命を飛ばすと、ゴーレムは槌を掲げた。
　しかし、祐介は動じず
「……あなたは、ここで『落ちる』んですよ」
　一言呟くと、懐から小さなナイフを取り出した。
　……あまりにも頼りない。どう考えても目の前の巨大なゴーレムを倒せるとは思えない。
「ほぅ……そんな小さなナイフで、何をするつもりだ？」
「……こうするんだ……よッ！！！」
　祐介はそのままナイフを逆手に持つと
　
　ドスッ
　
　自分の左胸へ、刃を突き立てた。
「な……」
　あまりに予想外の出来事に、黒服も一瞬動きが止まる。
「気でも触れたか！？」
「『気が触れた』……か。それは正しいかもしれないな……」
　祐介は俯いたまま答える。その声には明らかに『楽しそう』な響きが聞いて取れた。
「な……お前……どういう……つもり……だ？」
　黒服は気づいていなかった。
　自分が『恐怖』していることに。目の前の存在に。今まで自分が相対したことのない存在に。『未知の存在』に。恐怖、していることに。
　
　祐介は静かに呟く。その間にも、彼の左胸からは夥しい血が流れ出る。
「僕は狂うだろう。全てを壊そうとするだろう。しかしそれは僕が許さない！　ならば僕は自分の命は自分で絶つ！
　だがその前に……あなたの……あなたの精神も道連れにする！　僕は、僕の仲間を守ってみせる！」
「く……あ……ッ！　い……行け！　行けゴーレム！　ぶち殺せ！」
　黒服は改めて命令を飛ばす。しかしそこには先ほどまでの余裕など微塵も無い。
「うぉぉぉおおおおおおおお！！！！！！！」
　ゴーレムは吠え、槌を祐介の頭へと振り下ろす。

596 ：by R.E.D.：03/01/31 23:20 ID:18YrObI5

　そして……祐介が顔を上げた。
　その瞳に映るものは……ただ、ただ『狂気』。

　————狂気の扉が音をたてて開いていく————

　ﾁﾘﾁﾘ……ﾁﾘｯ！　ﾁﾘｯ！　ﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘ…………………！！！！！！
　
　ピタリ、とゴーレムの動きが止まる。
「壊れろ……」
　ﾁﾘﾁﾘﾁﾘ………ﾁﾘﾁﾘﾁﾘ…………ﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘ！！！！！！
「みんな壊れちまえ………」
　ﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘ……ﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘ……ﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘ！！！！
「……ぶっ壊れちまえぇぇぇぇぇぇぇぇぇ！！！！！！」
　ﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘ！！
　ﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘ！！
　ﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘﾁﾘ！！
「ぐ……あ……あああああっっっっっっ！！！！！！　ば、馬鹿なァ！？　に、人間が……これ……ほど……の……」
　精神防護壁も貫いて、黒服の頭の中を電波の波が吹き荒れる。

「僕の中の爆弾よ！　狂気という名の爆弾よ！　爆弾という名の狂気よ！　暴れろ！　吠えろ！　怒り狂え！　迸れ！
　壊せ！　殺せ！　滅ぼせ！　全てを！　全てを壊せ！　この世界の全てを壊してやれ！
　夢！　希望！　理性！　壊せ！　全て壊せ壊せ壊してしまえ！
　呪え呪え世界よ呪われてしまえ！　滅んでしまえ！　全て消えてしまえ！　狂気の扉が今開く！　開け！　開け！
　落ちろ！　落ちろ！　落ちちまえ！　全て狂気に落ちてしまえ！！！！！」

【祐介　狂気の扉を開く。左胸にナイフを刺す。出血多量】
【それ以外のメンバー　博物館を脱出】
【ウィル　槍を装備】

597 ：名無しさんだよもん：03/01/31 23:33 ID:M07i1e0L

ああ、こっちにも死相バリバリの人間が・・・
さおりんを悲しませたらいかんぞ、祐介・・・・・

598 ：名無しさんだよもん：03/02/01 02:18 ID:NwlHAh2t

ＲＥＤ氏の作品の後だと話の内容が、自分にはどうしても重く感じて、軽いノリの話が中々書けない。
なんとか書けるようになるために俺も勉強せんとなぁ…

というか最近、ほぼ生存者の事態が悪化しているような…生きて帰れるのだろうか…

599 ：名無しさんだよもん：03/02/01 02:19 ID:NwlHAh2t

sage忘れ、真面目にゴメン…
メール欄空白なのを忘れていた…

600 ：BeutifulDay：03/02/01 02:42 ID:cQeAn/Yq

イメージする。
ガラス膜。フィルター。壁。それは、己の心を包み込む、盾。
少しの穴も許してはいけない、それは卵のからのような、もろく完璧な、防壁。

天界のエリートであるためには、任務を全うするための精神の強さが必要不可欠である。
だから、意思が強固になるように、外側から手を加える。それが精神防壁という技術だ。
「安全保障理事会」幹部クラスの者は、おおよそこの技術の恩恵を受けていた。

……それは、今まさに精神防壁を突破され、まるで免疫の無い「精神を直接掻き混ぜられる」苦しみに身をもだえさせている男も例外ではなかった。

暑い。熱い。アツイ。
頭が、胸が、脳が、チリ、チリ、する―――
眼球が蒸発してしまうような、脳が沸騰するような、はらわたが焼けて破れそうな痛み。
それは、かつてないインパクト。
(な……何故だ……奴は人間だ……魔族などではない……)
彼は、人間を知らない。彼は自分の知らないものを、少しばかり過少に評価する傾向があった。
彼は、人間がわからない。彼にあるのは人間についての紙のうえの知識だけ。

だから、彼にはわからない。

その胸元を鮮血に染め、彼をじっと見つめている少年の瞳の色が、どれほど沈んでいるものか―――

601 ：BeutifulDay：03/02/01 02:43 ID:cQeAn/Yq

　その衝撃の波及は、施設内に留まるものではなかった。
「うぐッ！」
　その場にいるほぼ全員を、頭を抱えて地面に伏せさせるだけの威力を持った強烈な思念。
「く……この感じは……」
　ウィルが顔をしかめた。
「とんでもねぇ……あいつはこんなダークなマインドを持ってたってのか……」
　ダークなどという言葉では生ぬるい。だが悪というには陳腐にすぎる。
　それは、世界のあらゆる負の波動、マイナスのイメージを寄せ集めたところで、それらが木っ端以下に思えてしまうような。
　あまりに圧倒的で、あまりに凶暴で、あまりにも、それは純粋で美しい―――

「……駄目」
　ふらふらと、沙織が歩き出す。思念の中心―――施設内に向かって。
「あっ馬鹿……止せ！　死ぬぞ！」
　ウィルが肩を掴んで止める。
「駄目だよ……止めなくちゃ、祐くん死ぬ気だよ……止めて、あげなくちゃ……」
「無茶です！　今あの中は……壊れに、壊されに行くようなものです！」
　エリアもそこに割って入った。
「……大丈夫。あたし、免疫があるから。……多分、大丈夫」
　そう言って、沙織は笑う。その顔だ少し引きつっているのを、ウィルもエリアも見逃さなかった。
「馬鹿ッ！　てめえ、ヤツが何のためにあんなことしてるのか分かってるのかよ！　てめえを助けるためなんだぞ！」
「そうですよ！　今ここで沙織さんまで死んでしまったら……」
「エリアッ！！」
　はっ、とエリアが口をつぐむ。

602 ：BeutifulDay：03/02/01 02:43 ID:cQeAn/Yq

「……やっぱり、そう思う？」
　聞こえるか、聞こえないか……そのくらいの小さな声。
「祐くんは、死ぬの？　あたしを、あたしなんかを守るために、死ぬの？」
　小刻みに、沙織の方が震える。ウィルは思わずその手を離した。
「死ぬな。ありゃ、無理だ」
　突き放すような口調で、ウィルが言った。
「……その通りです……まだあれだけの精神波が出せるのなら、今すぐに回復魔法で治療すれば分かりませんが、あれでは、もう……」
「……」
　そう、と呟いて、沙織はまた歩き出す。
「お、おい……！」
　制しかけたその手を、さらに強まった祐介の電波が押しとどめた。
「きゃあ！」
「ぐッ……！」
(精神防壁技術なしでも平気でいられる自信はあったが……さすがに辛いな……立ってられねえ)
「あたしは今まで、いっぱい祐くんに助けてもらったから。祐くんに、元気にしてもらったから」
　すたすたと、施設内に向かって沙織は歩いてゆく。多少、足取りがおぼつかないが。
「今度は、あたしが祐くんを助けてあげるんだ」
(マジかよ……こんな精神波の中を「ふらつく」程度で歩いていけるってのか……なんつう免疫力だ……こっちゃ)
　そろそろ耳をふさぎたくなってきたってのに。ウィルは歯噛みした。一方で、今の事態とはなんら関係ない思考が頭の片隅で立ち上がる。

(あたしが……助けてあげる……か)
なんだか、つい最近同じようなせりふを聞いた気がするな……

603 ：BeutifulDay：03/02/01 02:44 ID:cQeAn/Yq

「よぉ、来てくれたのか」
　穴の開いた天界謹製霊化ガラス越しの男は、来訪者に向かって、至って明るく話しかけた。
「ウィルッ！　あなた、どうして……？」
　青い髪をした女天使は、取り乱した余裕で問いかけた。
「まぁ……ドジ踏んじまったってことだ。ちょいと今回のヤマの根深さを見誤っちまってな」
　理事会の奴らは保身のこととなると優秀だねぇ、かっかっか。ウィルと呼ばれた男は笑った。
「ちょ……あなた、外でどんな報道されてるか知ってるの！？」
「まあな。【不良ジャーナリスト、取材中に気が狂って事件関係者一同皆殺し　犠牲者三桁!?】だとよ。休憩室の新聞で見たよ。
　これでお前の知り合いの……コリンつったけな？　あの嬢ちゃんにまーた嫌われっちまうな」
「そ……それじゃ、どうして……どうして笑ってなんかいられるのよ！」
　その言葉で、ウィルの笑いがぴたりと止まった。しまりの無い顔はなりを潜め、眼光の鋭い表情で女天使をにらむ。
「俺だって不安じゃないわけないさ。ただな。かわいいかわいい彼女の前でならどんな虚勢でもはろうってもんさ、なあユンナ。
　……なーに、最初からでっち上げの投獄なんだ。今頃は俺の家で必死で家宅捜索してるんだろーよ。あいつらの悪事の証拠を探しにな」
「証拠……」
　ユンナの顔つきが少し変わる。幸か不幸か、ウィルはそれに気づかない。
「どうした、ユンナ？」
　黙り込んでしまった彼女に、ウィルは不安そうなまなざしを向けた。
「……そうよ。いいウィル？　私があなたを助けるから。どんなことをしても……ね」
「おいおい、お手柔らかに頼むぜ。……もう行くのか？」
「ええ。あなたは期待して待ってて。あなたは私が助けるから。……絶対、助けてあげる」

　あの時。
　俺に背を向けて、ドアに向かって歩きながら言った言葉。
　あの時、アイツは……どんな顔をしていたんだろう？　何を思って……そんな言葉を言ったのだろう？
　この騒ぎのどこかにユンナがあるというのなら……それは「俺のため」の行動なのか？
　だったら俺は……どんな顔をすればいい？

604 ：BeutifulDay：03/02/01 02:45 ID:cQeAn/Yq

　ビジョンが重なる。去ってゆくユンナの背と、建物の中に消えていった分からず屋で純情な少女の姿。
　どんな顔をしていたんだろう？　何を考えていたんだろう？

　　　　　　　そんなに　　俺が　　大切　　なのか―――？
　　　　　　そんなに　　僕が　　大切　　なの―――？

「……さん、ウィルさん！　しっかりしてください！」
　ノイズだらけの映像。これだから安物のテレビはいけない。こういうときは、この側面のあたりを思い切り……
　―――いや待て。テレビ？　違うだろういくらなんでも。
「あ……エリア、お前か……」
　ピントの合わない思考と視界を、頭を振って調節する。そしてそのついでに逡巡する。
(なんだ今のは……「入って」きたぞ……俺の中……あれは……祐介の思考か……？)
「……ん？」
　喪失感、それに似た違和感。すぐに、その原因は分かった。
「止んだのか……」
　台風のような精神波の嵐。ウィルの思考が戻ってきたとき、それは既に影も形もなくなっていた。
　俺が別のことを考えていたのはどのくらいだ？　数秒？　数分？　数時間？
　いや、そんなことは後だ。いまは、それよりも、先。先に。

　相変わらず積み重ならない彼の思考を、浩之の張り上げた大声が強引にまとめた。

「祐介は、沙織はどうなったぁッ！！」

605 ：By　RTO：03/02/01 02:52 ID:cQeAn/Yq

【荒れ狂う電波　とまる】
【施設内の様子は不明】

この人たちを書くのは実に久々ですが長い上にまとまっとりませんな……
ウィル&ユンナのことを書くついでにナイトライターとも微妙に繋げてみましたが如何でしょう……

誤字脱字、突っ込み修正その他もろもろありましたらお願いいたします。

606 ：名無しさんだよもん：03/02/01 03:16 ID:DRqRYT1F

＞Mind over Madness
正直なところ、SSに半角文字とかよくわからない記号（漏れには変な文字列にしか見えないが）とかの乱用は正直さけて欲しいんだが。
そこが気になって気になって……。
内容は、つなぎとしては（つなぎ扱い失礼、見た時はすでに↓投下後でしたので）いいんじゃないかと思う。

＞BeutifulDay
ピッケは、ピッケはどうなったぁッ！
ってのはともかく、ちゃんとユンナのストーリー補足を入れてくれてるあたりはさすが職人かと。

607 ：名無しさんだよもん：03/02/01 03:25 ID:Lvthj6XT

>>606
スマヌ。
もしそれが>>596に大量にあるんだったら『チリチリ』が半角文字でたくさん。
原因はたぶん……囓りリンゴ。

608 ：名無しさんだよもん：03/02/01 13:34 ID:EUPcaEhJ

>>604
LF97の例をあげると浩之は沙織のことは新城と呼んでたっす。

瑞穂ちゃん新城月島太田月島兄

ちなみに痕組は

コーイチさん千鶴さん梓さん楓ちゃん初音ちゃん日吉柳川

フィルスや雀鬼は全員呼び捨て。

609 ：Brink of Madness：03/02/01 17:10 ID:MI9eLAA/

　一つの木に寄り添うように、志保、きよみ、初音の三人が静かに寝息を立てている。
　そのすぐ近くの岩に腰掛けながら、御堂は空を眺めていた。
　ゆったりと流れる雲を眺めていた。
　中天にさしかかる太陽を眺めていた。
　
　仙命樹は本能的に太陽を嫌っているという。なぜかはわからない。太陽光が仙命樹に何らかの不利益を与えるか、と問うならば
　答えはNoだ。
　だがしかし確実に、太陽の下では仙命樹は本来の力を発揮できない。言うなれば太陽を『畏怖』していた。
　それが本来のあるべき姿というならば。
　己の中に眠る『火戦体』は何なのか？
　火に、そして光に耐性をつけた仙命樹。
　それは、あるべき姿なのか……
　
　……思考はそこで絶たれた。
「オイ……いるんだろう。出てきやがれ」
　自分らから少し離れた茂みにライフルの銃口を向けながら、御堂は一言警告した。
「……出てこねぇなら、このまま蜂の巣にしちまうぞ」
（出来るかどうかわからないがな）
　心の中で一言毒づいた。
「……ほぅ、さすがは歴戦の勇士、強化兵だ」
　ガサリと茂みの中から出てきたのは……
「な……？　テメエは……？」
　巨大な男が……
「仙命樹……強化兵か！？」
　仙命樹の懐かしい臭いを漂わせながら……

610 ：Brink of Madness：03/02/01 17:11 ID:MI9eLAA/

「直接相対するのは初めてだね御堂君。Nice to meet you,私は超先生と呼ばれている者だ。こちらは私の助手、超セリオとでも呼んでくれ」
「お初にお目にかかります。御堂様」
　ライフルを向けられているにもかかわらず、超先生と名乗ったその男は、助手とともに至極冷静な自己紹介を済ませた。
「て……テメェ、強化兵……だったのか！？　いや、違う……？」
　御堂は焦る。強化兵が己ら以外にいるはずがない。だが目の前の男は明らかに仙命樹の気配を漂わせている。
　しかし己の仙命樹とは……わずかに、わずかに『何か』が違う。そう、これはまるで……
「鬼……鬼……千鶴たちと同じ、鬼の気配……そうか！　貴様は……梓と！」
　チャキと改めて銃口を向け直す。
「そうかなるほど……超先生とやら、テメェ、自分を改造しやがったな！？　鬼と、仙命樹を混ぜやがったな！？」
「ご名答」
　超先生は恭しく頭を下げる。
「さすがに鋭い洞察力だ。君が『一般兵』だったらさぞこのゲームを面白くしてくれたろうな」
「ケッ、何をほざくかと思えば……この腐れゲームは終わりだよ。ここでテメェをぶっ殺してな」
　御堂の体から殺気があふれる。撃つかと思われた、その刹那
「超セリオ」
「はい」
「な……？」
　ジャキッと超セリオが短機関銃を取り出し、構える。ただし銃口が向いているのは御堂ではなく……静かに眠る初音たち。
「て、テメェ……」
「おっと、誤解しないでもらいたい。私にその子らを殺すつもりなど毛頭ない……私が用があるのは、君だよ御堂君」
「どういうことだ！」
「……君たちは、あまりに邪道なのだよ」
「なにィ！？」

611 ：Brink of Madness：03/02/01 17:14 ID:MI9eLAA/

「そもそもこのゲームは『一般人』がこの極限状況の最中、いかなる道を取捨選択し、己の命を燃やそうとするのかを確かめる予定だった。
　それが私のリアルリアリティだ。
　だが……予定外のエラーが紛れ込んでしまった。それが君たち。『強化兵』『鬼』を初めとする人外の力を持った、『能力者』たちだ。
　全くゲームをつまらなくしてくれたよ。一般人たちは君たちに寄り添い、無意味なまでに生き残り続ける。
　己は何もせず、全て君たちに任せ、自分らはただのうのうと生を享受する。つまらん、全く持ってつまらん！
　生きたいのならば、生きたいのなら！　なぜ闘わない！　なぜ自分の力を信頼せんのだ！
　生かされるのと生きるのは違う！　人外に生かされる命などリアリティでもなんでもない！　Not Reality！　君たちは癌だ。このゲームの癌だ！」
「………………」
「おっと……少々興奮してしまったか。失礼」
　コホン、と咳払いを一つ。改めて御堂を見据える。
「これまでは黙って見てきたが、私がこの体を手に入れた以上、君たちの好きにはさせない」
「そうかいそうかい。で、俺をどうするつもりだ？　初音たちを人質にでも取ってなぶり殺しにでもするのか！？」
「……それではつまらん。人外には人外らしく散ってもらわねば、な……」
　超先生はニヤリと唇を歪ませ。
「君にはこれから私と闘ってもらう。一対一、何者の邪魔も許さん。君にはここでご退場いただき、同時に私は己のスペックを確かめる。
　この体が、『真・狩猟者』のこの体がどれほどの力を持つのか……君の命に確かめさせてもらおう」
「……初音たちはどうするつもりだ」
「このまま寝ていてもらう。ああ、心配する必要はない。私たちが闘っている間……彼女らの身の安全は保証しよう。セリオ、わかっているな？」
「はい。命令は承っております。全てに優先し、『彼女らを守れ』」
「よろしい……では御堂君、行こうか。ちょうど良いことにここから少し行った先に開けた場所がある……闘いの場には相応しかろう」
　それだけ言うと、超先生は踵を返し、御堂に無防備な背中を見せたまま、森の中へ向かっていった。

612 ：by R.E.D.：03/02/01 17:15 ID:MI9eLAA/

「……最後に一つ、聞きたい」
「ほぅ、何かね？」
「なぜ……俺を選んだ。岩切や千鶴でなく、この俺を」
「……君が一番参加者たちの『信頼』を集めているからさ。参加者たちは『希望』を君に託す。その君が無惨な死体となってくれれば……
　全ては一転、海より深い『絶望』へと変わる。楽しそうじゃないか」
　言葉通り、超先生は笑顔で……楽しそうに、言った。
「ケッ」
　　御堂はつまらなそうに吐き捨てる。
「言える義理じゃねぇかもしれねぇが、俺は一つお前に対して確信できることがある」
「ほぅ、何かね？　言ってみるがいい」

「テメェは、狂ってる」

【超先生VS御堂　タイマンへ】
【初音・きよみ・志保は超セリオ（サブマシンガン装備）が見張り】

613 ：名無しさんだよもん：03/02/01 17:22 ID:ZAcUwA98

ハカロワの申し子もここでさらばか？
激しく死にそうな予感。

614 ：名無しさんだよもん：03/02/01 18:54 ID:DRqRYT1F

やけに異能者が多いのは超先生にとっては予定外だったんかな？それにしては耕一とかの扱いがあまりに用意よかった気がするが……。
まあ、異能者を誘い込んだのはユンナの差し金ってことで考えていいのか。

超が選んだのは御堂ってのは意外だけど、スジは通ってるし先が読めないのでいいんじゃないかと思う。
が、強いていうなら、こいつら一番時間進んでるチームだから、時間描写をも少しはっきりしてくれたほうがよかったかと。
あと真・超先生とか超セリオとか、名称を変えるなら一応徹底してほしかった。別にいいけど。

615 ：あぼーん：あぼーん

あぼーん

616 ：あぼーん：あぼーん

あぼーん

617 ：あぼーん：あぼーん

あぼーん

618 ：あぼーん：あぼーん

あぼーん

619 ：あぼーん：あぼーん

あぼーん

620 ：あぼーん：あぼーん

あぼーん

621 ：あぼーん：あぼーん

あぼーん

622 ：名無しさんだよもん：03/02/02 12:46 ID:VWzZZ6PG

超セリオってやっぱりあの顔なのかな？

623 ：ノ―マット゛ ◆yGAhoNiShI ：03/02/02 13:32 ID:anX+Gbzg

　　　　　 l､､_　　　　 _,／'}
　　　　　 |ヽ''~￣￣￣~`ヾ
　　　　／＿,,,..　　　..,,,＿.`v_'`､
　　　　/:　 ━　　　　 ━　　| ニ_｝　　／￣￣￣￣￣￣￣￣
　　　　|::　　　　∈∋　　　　ヽ　　| ＜　ここは酷いhttpですね（苦笑）
　　／/::　　　 -=,=.ヮ.　　　　|ヽ､|　　＼＿＿＿＿＿＿＿＿
　 /'../::　　　　／∠.._　　　　　|､.ﾉ　　あなた達は愚行の数々を繰り広げる低脳で無知で強欲な生物です（激怒）
　/':::|:::　　　　￣￣　　　　　　|./　　しかしこの番組を見ればきっと神は御救いになられるでしょう（笑）
　!-'L|::.　　　　　　　　　　　　　v'　＝＝＝放送日程＝＝＝
.　　　ヾ:::..　　　　　　　　　　　/　東京テレビ東京（日）9：30～10：00
.　　　 , ゞ､､;;;,,＿,,,..._;;;;;__,,..ノ､　名古屋テレビ愛知（日）9：30～10：00
　　　 'ｰ┐,,..､_ ﾉ　 l_,,,...､ _,,一`大阪テレビ大阪（日）9：30～10：00
　　　　　 ~　　~　　　　　~　　　福岡ＴＶＱ九州放送（日）9：30～10：00
実況：http://cha2.net/cgi-bin/test/read.cgi/choanitoku/1043539326/l50

624 ：ノ―マット゛ ◆yGAhoNiShI ：03/02/02 15:43 ID:anX+Gbzg

625 ：確固たる、意志：03/02/03 00:09 ID:emM1TyJJ

　ピピピピ、という電子音が狭い小屋に鳴り響く。
「もうこんな時間かよ･･････っつたく」　
　二つの針がぴったりと合わさっている時計を投げ捨て、俺は奥の部屋にいる人物に声をかける。
「香里さん、行こうぜ」

　住井の声の先には、蹲っている香里さんの姿。
「そうね。私達も早く行かないと」

　その言葉を聴いた住井は、苦虫を潰した様な表情を見せ、視線を外す。　
（･･･････やりきれねぇよな、実際）

「いかん･･･････急がないと、手遅れになるぞ」
　あの出来事の後すぐに鬼は去り、呆然と立ち尽くす俺の意識を呼び戻したのは、
　焦りの色を多分に含んだ坂神さんの声だった。
「い、今なんて言ったんすか？」
「そのままの意味だ、見てみろ」
　言われるがままに坂神さんの隣に並び、目を閉じたままの郁美ちゃんを覗き込む。
　ヒュー、ヒューと耳を欹てて微かに聞こえる程度の呼吸音。それは明らかに先ほどより弱まっている。
　確かにマズイ。早いところ医者に見せないと。

626 ：確固たる、意志：03/02/03 00:14 ID:emM1TyJJ

（そういえば多分、急な病人の為の医療施設みたいなのがあったよな、この島）
　思い立ったらすぐ行動。ポケットからプリントアウトした地図を坂神さんに見せ、病院の所在を確かめる。
「大体１５キロぐらい有りますね。走れば二時間ぐらいでいけると思いますけど」
「よし、とにかく急ぐぞ、一分でも早く郁美を診せないといけない」
　方針も決まり、俺が香里さんにそのことを伝えようとした時、

「住井、君」
　その本人が、俺の背後に立っていた。
「な、何？･･････」
　その迫力、というよりは何処と無い異様な不陰気にに思わず声が上擦る。
　嫌な予感が――した。

「栞が･･･････目を覚まさないの。ほら、朝も言ったけどあの子、病気持ちなのよ。
　できるだけ早くお医者様に診せてあげないと･･･････確か病院みたいな施設がココにあったわよね？

　その瞬間、場が凍りつく。
　･･･････どうやら、俺の予知は大当たりのようだ。
　最悪の状況で。最悪の形だが。
「･･････先、行って下さい。坂神さん」
　そして俺は、小さく、低く呟く。　
　坂神さん本人にしか聞こえないように俺がその言葉を発した時、一体どれだけの時間が経っていたのだろう。
　時間にして数秒かもしれないし、何十分でもあったかも知れない。

627 ：確固たる、意志：03/02/03 00:15 ID:emM1TyJJ

「住井･･････お前」
「俺と香里さんは出発地点の港まで戻って、何とか逃げる方法を探してみます。
　流石に俺達が乗ってきた客船は無いでしょうけど、ボートやクルーザーの類はあるかもしれません。
　坂神さん達はできるだけ人数を集めて、郁美ちゃんの治療が終わったら来て下さい」
「しかし、彼女は･･･････」
　坂神さんが不安げに視線を香里さんのほうに向ける。
　だが、その議論の時間すら今は惜しい。
　俺は、出来るだけすばやく結論を出すために少々早口気味に言葉を続ける。
「今の彼女を連れて行って医療施設までいってたら、間違いなく郁美ちゃんはタイムオーバーですし、
　かといって俺達だけで坂神さんの後を追っても、１５キロの距離を歩くのは危険過ぎますよ。
　それなら、俺はいったん戻って脱出方を作っておきます」

　一気に言葉を終えた後、俺は黙って立っていた香里さんの方を向く。
「取り敢えず坂神さんが先に行って栞ちゃんを病院に運んでくれるから、
　俺達も皆の荷物を持って後を追う形にする事にしたんだけど、それでいいよな？」
「･･････坂神さん、栞をお願いします」
　上手く誤魔化せるか少し不安だったが、香里さんは気付かなかった。
　彼女は頭を下げ、坂神さんに一礼する。
「う、うむ･･････解った」　
　納得は行ってないようだったが、郁美ちゃんの容態を思い出したのか、坂神さんは渋々といった感じで頷き、俺に耳打ちする。

628 ：確固たる、意志：03/02/03 00:16 ID:emM1TyJJ

「血の匂いは不味い。栞の亡骸は何処かに置いていくぞ」
　その言葉に俺は、ギュッと唇をかみしめた後、言葉を発する。
「仕方、ないですよね。こっちも準備を終えたらすぐ港に行きます。
　病院に向かってないことに気づかれたらマズイけど、今の香里さんなら大丈夫でしょうし」　
「･･････住井、これはお前が使え。彼女を連れて怪物に襲われた時、何の武器も無しではどうしようもあるまい」
　そう言って女の子二人の体を担ぎ上げた坂神さんが、腰に差し込んでいた拳銃を俺に手渡す。
　途端、手に掛かるずっしりとした感触。その重さが、今は頼もしくもある。
「んじゃ、有難く頂いときます」
　坂神さんは満足そうに頷き、
「護。死ぬなよ」
「さ･･････蝉丸さんも、気をつけて下さい」

　――男が互いを名で呼び合うのは、信頼の証。

　蝉丸さんはそのまま、駆け出していった。

「じゃあ、俺たちも行きますか」
　膨れ上がったバッグを肩に掛け、俺は香里さんに手を差し出す。
「･･･････何のつもり？」
「いや、ひとつエスコートでも、と思いまして」
「バカみたい、早く栞の所に案内して」
　溜息をつきながら香里さんは早足で俺を抜かし、小屋の外に出る。

「まぁ、いいさ」
　ホルスターに仕舞ってある拳銃を軽く叩き、俺も早足でその後を追う。
（アンタは、必ず俺が守ってやるよ･･････）

　それが、この島でただ周りに流されるだけだった俺の、
　初めての、決意だった。

629 ：へタレ書き手だよもん：03/02/03 00:18 ID:emM1TyJJ

【坂神蝉丸　郁美を連れ、病院に向かう】
【住井護　美坂香里　脱出方法を探すためにスタート地点の港へ】
【柳川は姿を消す　香里は栞の死を忘却】
【Ｈ＆ＫＵＳＰ　住井の手に】
レス間はすべて一行明けで、ＲＴＯ氏お願いします。

630 ：名無しさんだよもん：03/02/03 00:29 ID:znKEM/ch

>>622
スプリクトに紛れて怖いこと言うな（ｗ

壊れた香里がどうなるのか……
気になる展開ですね。

631 ：名無しさんだよもん：03/02/03 02:17 ID:AEAr4e7d

原作では生きてる栞を脳内あぼーんしてたのが、死んだら全く逆に。
なんだか香里らしいなw

632 ：名無しさんだよもん：03/02/03 02:45 ID:269hwFVn

まあハカロワで祐一が茜を忘れたのと違ってこれは正直違和感無い。

633 ：交差する意志（１）：03/02/03 15:09 ID:rqot7kh4

　超先生に誘われるまま、御堂は森を抜け、拓けた場所に足を踏み入れていた。
　御堂は手にしているライフルをぶらりと下げながら、静かに草を踏みしめる。　
　その視線の先には、御堂より二回りも巨大な男の姿があった。
“超先生”
　御堂がジープの無線で聞いた時は、確か女の声だったはずだ。
　だが、今目の前にいるのは、２メートルに達しようかという厳つい男の姿である。
「さぁ、始めようではないか……両者の力関係を考えれば、挑戦者となるのは君だ。
君から攻撃する権利がある」
「そうかい」
　御堂は小さく唇の端を歪め、目の前の男を凝視した。
　鬼の気配と、仙命樹の臭いを持つ男。
　その全身から発せられる威圧感は、蝉丸や光岡以上である。
　今まで、手の中にある銃がこれほど頼り無く感じた事は無かった。
（どうする……ヤツが油断してやがる今しか勝機はねぇが……下手に傷を負わせて本気を出されちゃ、ひとたまりもねぇぞ）
「さぁて……どうしたもんかね」
　御堂は軽口を叩きながら、じっと相手の隙をうかがう。

　元々、御堂が得意としているのは遠距離からの狙撃だ。
　光岡や蝉丸、それに岩切のように、近接戦での特化した能力は持っていない。
　一応強化兵の持つ、常人を遥かに超える腕力や敏捷性はあるが、目の前の化物相手では頼り無い事この上ない。
　だが、今手にしているライフルを何発撃ち込めば、超先生のダメージに繋がるのか……

「……ふむ。そちらから攻撃するつもりがないのなら、私からいかせてもらうよ」
　ぴくりとも動かない御堂に苛立ったのか、超先生は無造作に一歩踏み出した。

634 ：交差する意志（２）：03/02/03 15:10 ID:rqot7kh4

　御堂は慌ててライフルを構えるが、そのままの姿勢で凍りつく。
（チッ……狙うなら目の玉が心臓ぐらいしかねぇが……当たるか？）
　超先生はまるで御堂の葛藤を見透かしたように、唇を吊り上げた。
「そうだ。私を殺すつもりなら、脳を狙うしかないな……まぁ、私の頭蓋骨は銃弾も弾き返せる強度を持っているがね」
「……化物め」
　御堂がそう呟いた瞬間、超先生が動いた。
　その巨体が、何の予備動作もなく宙を舞う。
「な―――――！！」
　上空から叩き下ろされる、狩猟者の一撃。
　考えるより先に、御堂の身体が動いていた。
　とっさに跳んだのは、後ろではなく前。
　跳び込むようにして超先生の真下を潜り抜け、反対側へと逃げ抜ける。
「むっ！？」
　目標を見失った超先生の爪は虚しく宙を抉り、着地の衝撃で大量の土砂があたりにぶちまけられる。
　その衝撃で地面を激しく転がった御堂は、樹の根にぶつかってようやく動きを止めた。
「っつ……糞ッ、なんて力だ……」
　口の中に入った砂利を唾と共に吐き捨て、ライフルを杖代わりに、御堂は何とか立ちあがる。
　もうもうと湧き上がる土煙の中に、超先生の巨体がゆらりと浮かび上がった。
「やれやれ……どうもパワーが有り余って困るな。この辺りの調整は今後の課題になりそうだ」
　どこか他人事のように呟くと、砂だらけの身体を払い、超先生はゆっくりと御堂に視線を戻す。　

　御堂の背中に、じっとりと汗が滲んだ。
　勝てない、という言葉が脳裏を過る。
（糞……駄目だ……こんな豆鉄砲じゃ奴を殺せねぇ……かといって、俺には蝉丸みてぇな剣もねぇ）

635 ：交差する意志（３）：03/02/03 15:11 ID:rqot7kh4

　思わず弱気になりかけ、御堂はぎり、と唇を噛み締めた。
　今の一撃を見れば、パワー、スピード共に強化兵を遥かに凌駕しているのがわかる。
　鬼の豪腕と化した右手をみれば、一発でも食らえば御陀仏だろう。
「……さて、どうやら完全に反撃する気も失せたようだし、君の処分を早く進めさせてもらうよ」
　勝手極まりない言葉を吐き、超先生はゆっくりと御堂に向けて歩きだした。
　御堂の額から、脂汗がじわりと滲み出る。
（考えろ……考えろ御堂。どうすればこいつに勝てる？　どうすれば……）
「………御堂君」
　唐突な超先生の呼びかけが、御堂の思考を中断させた。
「君は疑問に思った事はないのかね？　何故、君は彼女らを守らねばならない？」
「……何だと」
　訝しげに目を細める御堂に、超先生は出来の悪い生徒を諭すような口調で話しかける。
「君の事は若干調べさせてもらったよ。５０年数前、旧日本軍によって仙命樹を施された強化兵。
その性質は残忍にして冷酷。己の目的の為なら、平気で味方をも撃ち殺す……確かそう聞いていた。
だが現実はどうだ。愚かな人間に頼りきられ、君も平然と彼女らを守っている」
「………」
　超先生は嘲るように唇を歪め、静かに御堂を見下ろす。
「君はそんな存在ではないだろう？　見捨てたまえ。彼女らを。
自分の好きにすればいいではないか。目的の為には手段を選ばない―――それが君のはずだ」
「………！」
　超先生の言葉に、御堂ははっと顔を上げた。
　そのリアクションを眺め、超先生は満足げに笑う。
「―――確かにな。別にこの俺が子守りなんぞする必要はねぇな」
「だろう？」

636 ：交差する意志（４）：03/02/03 15:13 ID:rqot7kh4

　にやにや笑う超先生に、御堂も唇の端を歪め返した。
「目的の為なら手段をえらばねぇ……ああ、そうだ。俺はいっつもそうして生きてきた」
「それでいいのだ。この島に存在するモンスター……そいつらから逃れる人間。
これこそが真なるリアルリアリティなのだよ。
仙命樹や鬼の血なぞ……そんなものに頼って生き延びるなぞ、アンフェアもいい所だ。
まったく興醒めさせてくれる。
―――だが、君ならわかってくれると信じていたよ」
「おいおい、仙命樹があんふぇあだって？
この島のもんすたーどもには散々仙命樹を移植しておいて、向こうが使うのは反則なのか？」
　皮肉げな御堂の調子に、一瞬超先生は沈黙する。
「ケケ……化けの皮が剥がれてきたみてぇだなぁ？
要は、テメェは気にいらねぇだけなんだろ、人が死なねぇのが。
鬼だ、仙命樹だ、何てのは口実でしかねぇ。
何の事はない……テメェは人がもがき苦しんで死ぬのが見てぇだけなのさ」
「何が……言いたいのかね」
　目を細め、硬い口調で呟く超先生に、御堂は悪役面をさらに歪めさせた。
「『目的の為なら手段をえらばねぇ』……それはお互い様だ。
テメェの言葉を聞いて、ようやく目が覚めたぜ。
悪いが千鶴や梓にはまだ利用価値がある。その為に、初音や志保達をほったらかしにゃできねぇんでね」
「……残念だよ」
　僅かに怒りを滲ませて呟き、超先生の全身に力がこもる。
「君が私の側に来れば、好きなだけ仙命樹も鬼の力も与えてやれるのにね」
「犬飼に使われてわかった事がひとつだけある」
　御堂は半眼で超先生を睨み、皮肉げに笑った。
「他人に与えられた力なぞ信用できねぇ。俺の力は俺が自分で手にいれる。誰を利用してもな」

637 ：長瀬なんだよもん：03/02/03 15:15 ID:rqot7kh4

｜-｀）何も進んでないので、最後のまとめにすら書く事が無い罠……
では、誤字脱字修正ありましたら指摘よろ。

638 ：名無しさんだよもん：03/02/03 16:10 ID:W2qCClPS

もももももももももも。御堂燃え～～～～～～～！！！

スマン頭の悪い書きこみだな　でも燃え　サイコウ
マジカコイイ。戦闘描写もイイが、台詞回しの痛快さがなによりもツボ。

639 ：名無しさんだよもん：03/02/03 16:52 ID:CwNtMoiV

確かに燃えだ。
ロワの影響で何のフォローもなく最初から良い人路線だったのと違って
ちゃんと地に足がついた感じがする。
原作から色々引っ張ってきてるのも上手いしな。

640 ：名無しさんだよもん：03/02/03 17:37 ID:W2qCClPS

こういうのを見ると早く誰彼探さないとなとか思うんだけど。
まだやってねんだわ、フィルス＆じゃんき系と一緒で。ＬＦ知識しかない。

641 ：名無しさんだよもん：03/02/03 18:59 ID:a4mvUdad

ロワのがなまじ燃えだっただけにそのまま御堂燃えが定着してるけど
サバは御堂の燃えを一から再構築してるところがイイ
天才への劣等感とかね

642 ：名無しさんだよもん：03/02/03 19:18 ID:uquBTlSs

>>639
同意。
藍より出でて藍より青しというかハカロワ御堂へのアンチテーゼを経て鯖御堂のキャラ
はかなりいい具合に完成してきたようだ。
長瀬なんだよもん氏お見事、本当に御堂燃えたっす。

しかし2ch御堂がかなり燃えキャラになので脳内補正がかなりかかっている今日この頃。
2chダークヒーロー系御堂と原作かませ犬小悪党御堂とのギャップがひどくなってる罠。
久々に誰彼やったら御堂CGのあまりの貧相さにクラクラ来てしまった(´･ω･`)ｼｮﾎﾞｰﾝ

643 ：名無しさんだよもん：03/02/04 01:48 ID:/bY9D1aw

しかし、2chが春に閉鎖って話だが、閉鎖したらやっぱり鯖も終わりだな。

644 ：名無しさんだよもん：03/02/04 03:24 ID:K4ytQa+Q

>643
それはネタだ

645 ：名無しさんだよもん：03/02/04 18:35 ID:Eu2wOw9D

ところで御堂って梓の仙命樹関連どこまで知ってたっけ？

646 ：名無しさんだよもん：03/02/04 23:56 ID:pLpEtlHx

岩切から梓については聞いてるんじゃないか？
別に作中の会話だけが全てじゃないし、この場合は御堂が梓について何も聞いてないという方が不自然かと。
まあ、次の作者が「知らない」と書けば知らなかったことになるわけだが。

ところで一つ気になるのが、一番進みが早い強化兵&鬼チームがさくさく進みすぎるのは全体的な進行を考えると危険な気がするんだが……。

647 ：名無しさんだよもん：03/02/05 01:29 ID:UVwvrww7

一日目で足踏みしているとこはそろそろ考えないとな

648 ：ロード・オブ・ロード：03/02/05 18:56 ID:KDd9VDN1

　鬱蒼と繁る森の中、２人の男が相対していた。
「……一つ問う」
　片方は大柄な若者。もう片方は背広を着こんだ初老の男。
　若者が老人に問いかける。
「貴殿……まさか、『神の拳』長瀬殿か？」
「いかにも」
　落ち着き払い、老人は答える。
「そういう貴殿……よもや『拳王』立川殿か？」
「確かに。その通りだ。そういう名で呼ばれることもある」

　しばしの静寂が森を包む。
　
「「……なぜ、このようなところに？」」
　２人の問いが重なる。
「「……守るべき者が、いるからだ」」
　２人の答えもまた、重なった。
「……なるほど」
　
「正直、出来ることならばここで一つ手合わせと願いたいところではあるが」
「お互いその暇はなさそうだな。つくづく残念だ」
　言葉通りに、セバスチャンと立川雄三はかぶりを振った。

　これが、ほんの少し前の出来事である。

　

649 ：ロード・オブ・ロード：03/02/05 18:58 ID:KDd9VDN1

　ダン！　……ダン、ダン！！！
　巨大な瘤に乗り上げ、疾走するジープが２，３度と跳ねる。
「……っ！！」
「芹香さん！　しっかり捕まっていてください！」
　前方と、バックミラーを見据えたまま秋子は叫んだ。
　前方には森の中切り開かれた、いや、踏み固められたとでも言うべき道が。
　そして、後ろには……
『オオオオオオオッッ！！！　オオオオオオオオオオオッッッッ！！！！！』
　おおよそ、現代に置いては娯楽映画の中にしか存在し得ぬはずの『ティラノサウルス』。それが大口を開けて迫ってきている。
　まず間違いなく、自分らを食べるつもりだ。
「つっ……振り切れ……ませんかッ！！！！」
　時計を見ている余裕はないが、追われ初めてから既にそれなりの時間が経過している。
　当初はホテルへと向かう予定ではあったがこの期に及んでそんなことを言える余裕もドライビングテクニックも秋子にあろうはずがなく、
　ただ道の開くに任せて進み続けている。
　今自分らがどこにいるのか、それすらわからない。
　しかしそんなことより重要なのは、後ろの大食漢からいかにして逃げ切るか、ということだ。
　腹に収められたのでは現状把握も何もありはしない。
　確かに秋子は他人に料理をごちそうするのはやぶさかでない。が、自分をごちそうする趣味は無かった。
（まず……い……ッ！　距離が……だんだん迫っている……！）
　逃走当初はそれなりに離れていたジープ・ティラノの距離ではあるが、今ではその差はほとんど無い。
　いや、あるにはあるがティラノの歩幅を考えれば、ほぼ１，２歩でゼロになる距離だ。
　このままでは、そう遠くないうちに噛み砕かれるか踏みつぶされるのは予想だに固くない。
（なら……いっそ……！？）
　強烈に揺れる車内で、秋子はちらりと横を盗み見た。
　芹香は必死にドアとフロントの手すりにしがみつき、小さくなって震えている。
（この少女を……）
　振り落とす……囮に……餌にするか……？
（いえ……いえ！　ダメよ！）
　あくまでもそれは『最後の手段』だ。
　今ここでそれを成したとしても、どれほどの有用性があるかわからない。第一、正直言って振り落とすほどの余裕があるかどうかも不安だ。

650 ：ロード・オブ・ロード：03/02/05 18:58 ID:KDd9VDN1

（なら……一体どうすれば……）
　ギリと奥歯を噛みしめ、もう一度前方を見た。
　……その風景は、一瞬前とは一つだけ違った。
　それは……
　
「おじょうさまぁぁぁぁぁぁぁぁぁ！！！！！！　ご無事ですかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ！！！！！！！！！」

　やけに大きな声の救世主が、待ちかまえていたことだ。
　
「セバス！？」
　その声を聞き、普段は物静かな芹香も声を上げ、フロントから身を乗り出す。
「おぉのれこの大蜥蜴めが！　恐れ多くも芹香お嬢様に手を出すとはぁぁぁぁぁぁぁぁ！！！！！！」
　先ほどよりもさらに大きな叫びとともに男は飛び上がり、疾走するジープを越えてティラノとの間に立ちふさがった。
「芹香さん、お知り合いですか！？」
「は、はい……私の執事で……」
「それよりも……！！！」
　生身で恐竜に立ち向かうのはあまりにも無謀です……と秋子が言おうとした、その時
　
「……………かぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁつッッッッッッッ！！！！！！！！！」

　ビリビリビリ……！！！！
「つ……ゥ……ッ！！！」
「グォォオオオオオオオ……ッ！！！？？」
　一際大きい激が空気を、いや島を振るわせ、同時にその声に驚いたティラノはそのまま固まった。
「今ですぞお嬢様！　お逃げ下さい！！！」
「無茶です！　セバス！！！」
　たちまち遠ざかるその背中に向かい、芹香は悲痛な叫び声をあげた。
「ご安心下さいお嬢様！　敵も生き物我も生き物！　どぉこに負ける道理がありましょうか……ッッぬおおっっ！？」
「セバス！！！」
　芹香への言葉の途中に、バクリとセバスはティラノの口に消えた。
「いくらなんでも無茶すぎです！」
　しかし……秋子と芹香の声とは裏腹に……

651 ：ロード・オブ・ロード：03/02/05 18:59 ID:KDd9VDN1

「ぬ……うぐぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ！！！！！！！！」
　セバスは耐えていた。ティラノサウルスの、顎の間、牙の隙間で踏ん張り……その口が閉じられるのに己の力のみで対抗していた。
「わ……私のことは心配いりません……一刻も早く……お逃げくださぃぃぃぃぃぃ………ッッッ！！！！！」
「……クッ！！！」
　秋子はそのままギアをチェンジすると、落としていたスピードを一気に上げた。
「秋子さん！？」
「わかってください芹香さん！」
　芹香の非難の声を途中で遮る。
「私たちがここにいてもあの方の邪魔になるだけです！　なら……ここは、一刻もあの方の言うとおり逃げなければ！
　あの方は、そのために、あなたのためにああして身を挺して闘っているのです！！！」
「……………」
　芹香は言葉を飲み込み、そのまま自分の座席に座り直した。
　
「……言ったようですな……」
　ティラノの口の中で、セバスは遠ざかるジープを見送った。
　そのまま一際大きなため息を漏らす。
「ふふふ……まさか、『神の拳』とまで謳われたこの長瀬が……蜥蜴に喰われて終わるとは……」
　次第に、ティラノの顎の隙間が狭まっていく。セバスの体力も限界が近づいていた。
　いや、本来普通の人間がティラノサウルスの牙を耐えることなどできようあるはずもない。それは、ティラノの前歯に挟まっている
　女物の服の切れ端が示していた。
「どうやらどこぞのお嬢さんが先客で待っているようですな……これは退屈せずにすみそうだ。では、さらば……」
　体の力を抜こうとした、その瞬間。

652 ：ロード・オブ・ロード：03/02/05 19:00 ID:KDd9VDN1

「待たれい長瀬殿！　その程度で諦めるようでは『神の拳』の名が廃るぞ！！！！」
　ドッ……ゴォッ！！！！！
　誰かの叫びとともに、セバスの体にくぐもった衝撃が響いた。
「ぬっ……これは！？」
　そして一瞬だけ、ティラノの顎の力が緩む。
「ぬぅぅぅぅ……ッ！！！！！」
　その一瞬を逃さず、セバスは翻り、遙か下の地面へと着地した。
　ある程度ティラノから離れ、間合いを取ると……そこには、先ほどの男が。
「立川殿、今のは貴殿が……！？」
「いきなり駆け出すから何事かと思えば……そうかなるほど、先ほどの女が貴殿の守るべき者か」
「左様。芹香お嬢様こそ我が主。我が命すべてを賭しても、守らねばならぬ、その御方」
「……なるほど……ではッ！！！」
　気合いとともに、改めて雄三はティラノサウルスに向かい、構えをとった。
「ならば今の貴殿は我と同じ！　助太刀しよう長瀬殿！！！」
「かたじけない、立川殿！」

『神の拳』、そして『拳王』。２人は立ち向かう。
「グルルルル……」
　雄三の一撃から立ち直り、低い唸り声をあげる『太古の王』に。
　
【ティラノサウルスVSセバスチャン＆立川雄三　スタート】
【芹香＆秋子　逃走成功】

653 ：R.E.D.：03/02/05 19:09 ID:KDd9VDN1

立川兄と秋子組の時間軸が少し不安。

654 ：名無しさんだよもん：03/02/05 19:28 ID:yAlWVTOG

R.E.Dさん乙です！
秋子さん達も無事（？）に逃げ切り、尚且つセバス達を出して見せ場を作るとは！
素晴らしい構成力です。続きが楽しみですよ。

655 ：名無しさんだよもん：03/02/05 19:36 ID:7QfdSulw

立川兄が最後に出てきたのは221話「光差す彼方へ」。
この直前の202話では「頭上に照りつける、灼熱の太陽」という描写が有り、
かつこの時点で国崎達は朝起きてから数時間歩き回っているので大体昼頃のはず。

対して秋子組は265話「ただ愛しき娘のために」で夜明け。
その後「太古の王、遭遇」では「ジープを運転してどの位経つのだろう？時間の感覚も麻痺してきている様だ。」という描写のみで時間については明言されていない。

まぁ、立川兄が国崎と別れた直後にセバスに会い、秋子組のジープが夜明けから昼頃まで走っていた、と考えれば一応辻褄は合う……はず。

656 ：名無しさんだよもん：03/02/05 19:44 ID:9JhReSOc

時間軸は、秋子チーム&セバスが移動を始めたのが早朝。
兄貴はどうだっけ？
まあ、ジープで数時間うろうろしてて時間的には昼前とかじゃないだろうか。

んで、感想。
漏れの個人的なことで書き手に非はないけど、秋子さんの心理描写がちょいと嫌……。
確かに前の展開もあるし、いざというときは非情になれる、みたいなリアルルアリティを描写したいんだろうが。
正直それは、どうかなと。
個人的には、現実的思考と母性の間で苦しむ程度にしてほしい。
娘のために本当に冷酷になりきれるのはロワ秋子さんだけでいいや…。

657 ：名無しさんだよもん：03/02/05 23:15 ID:gCST1wj4

リアルルアリティ……

658 ：名無しさんだよもん：03/02/05 23:58 ID:du2/7EZR

どんどん進化していくRR。

659 ：名無しさんだよもん：03/02/06 00:17 ID:oI2u2MLL

いまさらなネタだが、『いざとなったら見捨てる』と口に出して芹香に話してたシーンの秋子さんはアブドゥル。

660 ：名無しさんだよもん：03/02/06 00:33 ID:hyYe3UiZ

↑違う。アヴドゥル。

661 ：名無しさんだよもん：03/02/06 00:51 ID:RAxVt3pz

イイと思うんだが芹香喋り過ぎだろ
せめて（）付なら納得出来るけどさ

662 ：名無しさんだよもん：03/02/06 23:50 ID:AmGminrW

一番遅れてるのは何処なんだろう？
そろそろサルベージせんとあかんのとちゃうのん？

663 ：名無しさんだよもん：03/02/07 03:00 ID:L+0yQVAi

ぶっちぎりで英二チームだろうまだ一日目しかも雨前。
このスレの>>358-361で妖弧との繋がりが出てきたが…
しかしこの面子改めて見てみると…

緒方英二　月島拓也　宮内レミィ　雛山理緒　イビル　縦王子鶴彦　横蔵院蔕麿

ラミアの存在もあるが、なるほど実に扱いにくそうだｗ

664 ：名無しさんだよもん：03/02/07 12:58 ID:dgRHTIT8

しかし真面目な話いくら強いといっても人外じゃ無いあの二人じゃ
ティラノサウルスに勝てるとは思えないんだが。

665 ：名無しさんだよもん：03/02/07 16:00 ID:cDkGVT/k

>664
そのへんは作者さんの裁量次第だろ。
思うところはあるが、面白ければいいはずだ。多分。

666 ：名無しさんだよもん：03/02/07 17:26 ID:3mXJqApr

選択肢スレだったなら問題ないだろうが、
ＲＲを目指すサバとしては人間が力勝負でティラノの勝つってのはなー。

まあ、今のところ面白いんだけど。

667 ：名無しさんだよもん：03/02/07 21:31 ID:cbFkQW0P

美意識があったらティラノには勝たせられんよなぁ
しぇんむー風にお読みください

668 ：名無しさんだよもん：03/02/07 22:40 ID:OsofP4g9

人類初の殖装体（ガイバー）を思いだしてしまった俺。

669 ：名無しさんだよもん：03/02/07 23:30 ID:+RU+4k6H

そもそもティラノだってリアリティが無いと
むちゃくちゃなツッコミをしてみる

670 ：名無しさんだよもん：03/02/08 00:05 ID:3gdMy1MO

それこそがリアルリアリティ

671 ：名無しさんだよもん：03/02/08 00:35 ID:2Ge+NsOg

ティラノサウルスの移動速度、時速１０～２０キロらしい。
人間の全力疾走にはついてこれなそう。
まあ体力持てばけど。
その辺を上手く利用すれば…

672 ：名無しさんだよもん：03/02/08 01:22 ID:wVHf81bf

>>671
それだとジープを追いかけられないのでは？
すぐ引き離されてしまうと思う。

673 ：名無しさんだよもん：03/02/08 01:45 ID:ZsKIAzZm

一応超先生が関わったものだから普通のよりは性能がUPしてるとか？（又は部分的に改悪させるとか）
でもそうすると前に出てきた恐竜達はどうなるか…。
それにしても普通の人間の攻撃なんて効かないとは思うけど。RRは難しい…。

674 ：名無しさんだよもん：03/02/08 01:49 ID:Nc3VFPGe

元々がテーマパークなわけですし、
「ジープを追いかけるティラノサウルス」というアトラクション用に調整された個体の可能性も
有るかも知れませんな。

長時間の高速移動能力を得る代償に、走行に不要な部位は極端に脆いとかなんとか…

675 ：名無しさんだよもん：03/02/08 01:56 ID:eKrLsdmr

しかし月代はしっかり食ってる。

676 ：名無しさんだよもん：03/02/08 02:13 ID:tfm3Zah1

しかし、場合によっては熊に勝てなかった岩切の立場がないな。

677 ：名無しさんだよもん：03/02/08 02:33 ID:3gdMy1MO

>>675
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!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

Σ（ﾟдﾟlll）食ってる！

678 ：名無しさんだよもん：03/02/08 02:46 ID:Cb2FUg3y

ティラノの足が遅いってのは昔の説じゃないんか？
結構速いみたいに聞いたけどなぁ。
だいたい４０～６０キロくらい？持久力がどれくらいかはわからないけど。

>>676
同意。

679 ：671：03/02/08 03:10 ID:fBgEhteR

>>678
スマン勘違いだ。
でも最新の学説ではどんなに速くとも４０キロくらいらしい。
カールルイスだと、しばらくは逃げれるっぽい。
ジープを追いかけれるスピードではなさそう。

680 ：名無しさんだよもん：03/02/08 03:13 ID:JRL6jKbZ

今の話題がすさまじくリンクしてるので紹介してみる。
葉鍵キャラVS○○○　ドリームマッチPART６
http://wow.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1043244122/l50

681 ：名無しさんだよもん：03/02/08 05:56 ID:9SvQePBR

恐竜かぁ。
脳が小さいから毒電波で操りやすいのは分かるが、よほど頭をつかわないとガチンコで撃退は難しそうだな。
……とか延々と話したところで、次の書き手を困らせるだけだが。

682 ：名無しさんだよもん：03/02/08 10:15 ID:8Yc6hTUT

岩切は強化兵とはいえ昼間じゃ力を出しきれないから、
身長７メートルの熊に勝てというのも無理なハナシ。

683 ：名無しさんだよもん：03/02/08 10:50 ID:Lt6Kakoa

え？熊さん７メートルもあったっけ？
つーかそれじゃ恐竜レベルじゃんか。精々３メートル位が関の山だろ。

684 ：名無しさんだよもん：03/02/08 14:02 ID:Dfn/Je0v

まあ、これ以上無駄にその場限りの強敵をだすのはやめましょう、ということで……。

685 ：名無しさんだよもん：03/02/08 14:38 ID:j/heqbLV

敵は別にいいんだけどな。知略を尽くして強敵を倒すのはある意味王道だし。
むしろ萎えるのは無駄にその場限り強い人間の方であって。

恐竜に生身で挑むなんて、勇気でも無謀でも、ましてや蛮行ですらない。
愚行以外なにものでもないだろ。

686 ：名無しさんだよもん：03/02/08 14:47 ID:Hc2spWsE

んじゃNGにでもするかい？

687 ：名無しさんだよもん：03/02/08 14:58 ID:bdu7iIPK

俺はＮＧでも良いと思うが。
後々問題残しそうだし。
生身でティラノの口の中で耐えられてもなぁ……。
めちゃくちゃでかい丸太でも、はめ込めば良かった気もする。
それでも砕かれるか？うーん。

688 ：名無しさんだよもん：03/02/08 15:46 ID:PbyymtpP

本当にティラノにそんな力があるのか誰も証明のしようがないし（化石からの検証だけだしねぇ･･･）
このくらいなら大丈夫じゃないかと思うのだが。

セバスだって口をこじ開けたわけじゃない。ギリギリの状態で少しの間耐えてただけだし。
これは奴の能力なら充分可能な事だと思った。

689 ：名無しさんだよもん：03/02/08 16:27 ID:dgXmcr1b

まあ要するに普通にぶちのめすのだけはやめてくれって事だろ。

690 ：名無しさんだよもん：03/02/08 16:58 ID:KFw+7DjY

ていうか、敵の強さとか言う以前に、いつまで映画の序盤のパニックシーンをループするのかな、と。
他のチームや全体的なストーリーとほとんど無関係なところでいくら死闘を演出したところで、もう正直言うとマンネリで薄っぺらいんだよな。
各チームの独立した展開を追うのに躍起になって、結果として進んでるチームと遅れてるチームが丸一日時間差がつく始末だし、全体的なストーリーもなにもあったもんじゃない。

総合見てない人は総合のログとか見ると、鯖についてそれなりに中身のある意見とかもでてるからログ見てみ。

691 ：名無しさんだよもん：03/02/08 17:02 ID:k+EdvGu+

>>689に同意。
RRを目指してるのなら尚更な。

692 ：名無しさんだよもん：03/02/09 00:26 ID:LAf6VNZs

最近はアンチ鯖の巧妙な煽りの影響で、読むだけの連中がささいなことに文句をつけまくるようになりましたね。

693 ：名無しさんだよもん：03/02/09 01:22 ID:5gJyrjRB

>>692＝アンチ鯖

694 ：名無しさんだよもん：03/02/09 01:28 ID:A5VEXdA2

文句言ってNG出させて勝った気になる読み手が多いのは事実なんだろうな……。

695 ：名無しさんだよもん：03/02/09 01:59 ID:ipkIAOHN

そして話題がずれていくと。

696 ：名無しさんだよもん：03/02/09 03:38 ID:aRj59rgv

ここまでこじれりゃあの人がうまくまとめてくれるだろうと不謹慎な期待。

697 ：名無しさんだよもん：03/02/09 14:51 ID:AKdpp1Og

こじれたんじゃなくてこじらせたように見えるんだが。

698 ：名無しさんだよもん：03/02/09 15:09 ID:465oIM3f

正直、鯖は読み手がこんなだから書き手がかわいそう。
普段は本当になにも書かないくせに、いざクレームがつきだすとうじゃうじゃ沸いてきて、挙げ句の果てに今回なんかは「人間が恐竜にかてるはずないから」「そのうち問題よびそうだから」と、書かれてもいない未来を勝手に予測してNG提案ときたもんだ。

そんな自分は元書き手。
もうこんな連中のためになんて書きたくもないが。

699 ：名無しさんだよもん：03/02/09 15:30 ID:kgCHTLwO

工作員の方ですか？
お疲れ様です。

700 ：名無しさんだよもん：03/02/09 15:42 ID:h9B+2H+9

まあ、そこまでにしようや。
読み手書き手の対立構造作るとスレがどうなるか、ハカロワの頃から延々と繰り返されてきて
みんなもうわかっているじゃないか。

見たことない恐竜のスペックを妄想で決め付ける読み手も読み手
わざわざ「書いてたのにもう書かない」とか垂れる書き手も書き手

701 ：名無しさんだよもん：03/02/09 23:01 ID:Vpk3Z78u

ＮＧもいいんじゃないかと言った奴なんですが
どうやら俺の判断のが間違ってたようで。

ただ、「勝てそうもないからＮＧ」って言ったわけじゃない。
生身の人間なら熊ですら死ぬ可能性があるのに
それの何倍もでかい恐竜相手してるってのに違和感を感じてしまっただけだ。

だが、レス見る限り問題ないという意見ばかりなので俺が間違っていたんだなと。

とにかく済まなかった。

702 ：名無しさんだよもん：03/02/09 23:18 ID:o727RVwQ

とりあえず参加者の時間軸を横一列にしようぜ

703 ：名無しさんだよもん：03/02/10 01:02 ID:HmDMsP5e

読み手は要望と批判以外にも書くべきことはあったはずなんだがなぁ。
いつからこんなスレになったんだ？

704 ：名無しさんだよもん：03/02/10 01:15 ID:L8Jd3oRv

最近コンスタントに真っ当な新作が出てるから
続きが出て当然ていう状況に慣れた香具師が多すぎるんだろ

705 ：凍狐：03/02/10 01:17 ID:g8x+uIfW

「……あんた」
「何だ」

「コールドスリープってな、凄まじい形相で妖気をだだ漏れにしている状態のことを言うのかい？」

「おい……主任様とやら、こいつはマジで危ないんじゃないか？」
　イビルが言う。心なしか足が震えているようだ。

　見た目には確かにコールドスリープといえたかもしれない。仰々しい設備に囚われ、血の気の無い肌で眠り続けるその姿は
　死んでいるようで、生きているようでもあった。
　もっとも、その目は憎しみの色で見開かれ、その所為か美しい顔は見る影もなく、そのうえ
　立ち上る妖気は、ともすれば目で見ることさえできたかもしれない。
　霊感のまったく無い縦横ですら、得体の知れないプレッシャーに既に半べそになっていた。

「もとよりこの国古来の妖怪変化というものは人の手に負える代物ではない……そのことに気づき、殺したと聞いていたが」
「ふん……いざ捨てるときとなると、急に惜しくなるものなのさ力ってのは。なあ？」
　イビルが主任の脛を蹴り飛ばす。彼はうぐっと小さくうめき、その場に震えてうずくまった。
「ご、拷問は、よくないのではござらんか……？」
　縦が、控えめに異議を唱えた。無論イビルはそれには答えなかった。
「本当に結界とやらで抑圧されているのか？　この威圧感は只事ではない」
　拓也。彼もまた無意識に足が震え、背中には服がぴったりと張り付いていた。
「もちろんさ。……だから、この程度で済んでるんだ」
「狐というのはもとより深い霊力を持つと聞く……それが全部、娘を奪った人間への憎しみへと向けられたら……」
「ゾッとするね……ん、娘？」
　肩をすくめた英二が、新たな疑問を口に出す。
「そうだ、娘がいたんだ。おい」
　英二の言葉に何かを思い出し、ラミアは主任の胸倉をつかみ上げる。
「ここには母親しか眠っていないようだが……娘はどうした？　まさか……」
「こ、殺してなどいない……娘もこうして、凍らせておいたはずだ……」
「逃げたって事か。厄介だね、会わなきゃいいが」

706 ：凍狐：03/02/10 01:17 ID:g8x+uIfW

「いや、ありがとう参考になったよ。それでは」
　英二が、感謝の言葉と同時に別れを告げる。
「なッ！」
　この男たちと別れる。主任にとって、この別れの言葉は死刑宣告に等しい。
「ま、待ってくれ？」
「何かまだ、隠し玉があるとでも？」
「……助けてくれ」
　喉の奥から、必死で言葉を搾り出す。英二以下審判員御一行は怪訝な顔で主任と、主任を締め上げるラミアの顔を見比べた。
「いや、いくらなんでもソイツはねえだろオッサン」
　呆れ果てた、イビルはそんな顔をしていた。
「ラミアにお前を殺す権利はあっても俺達にお前を助ける権利も義務も義理も無いな……」
　冷たく、拓也が言い放つ。ヒィと主任は悲鳴を上げた。
「それじゃラミア、もうあうこともないと思うが……」
「ああ。礼を言うのは門が違うかもしれないが……お前たちの無事を祈っていることにしよう」
「ま、待ってくれ！　待ッ」
　バタン、とドアが閉じられた。完全密閉型であるそのドアに阻まれて、以降どのようなやり取りが部屋の中でなされたか、英二たちは知る由が無い。
　ただ、骨の折れるような……グギリという振動が、壁を通じて聞こえてきた気がした。

「酷いことをした気がするんだな」
「だが、拙者に同情の余地は感じられなかったでござる」
「それでも、僕たちはあの男を見殺しにしたんだな」
「……それ以上は、言わないで欲しいでござるな」

「やっと外に出られるわけか。長居は無用、といいたいところだが既にどれだけの時間がたっていることやらね…」

707 ：名無しさんだよもん：03/02/10 01:19 ID:g8x+uIfW

【英二一行　施設地下を離脱】

経過時間を不明にしてお茶を濁してみるテスト。
妖狐についてももそっとやりようがあったかにも思えますが駄目でした。RTO氏にはなれんです。

708 ：名無しさんだよもん：03/02/10 01:48 ID:vpzRcvxv

意外とクールなメンバー構成だったからこその展開だね。
この中に一人でも普通の香具師とかいたら「見捨てるの！？」って揉めそうだし。

理緒は・・・多分気絶したままだったんだろうな・・・

709 ：Wait & Bleed：03/02/10 16:26 ID:w3q8BSt3

「ここか！」
　シャッターが開かないことには仕方がない。ともかく当初の目的を果たそうと最上階へと向かった長瀬主任と橘敬介の２人。
　その２人の目の前に、『コンピュータールーム』と書かれた扉があった。
　ガチャガチャガチャ！　ガチャガチャガチャ！
「クッ……鍵が掛かっています！　どうしますか長瀬さん？」
　ノブを回しながら敬介が叫んだ。彼なら、長瀬ならこの程度の鍵は造作もなく開けそうな……そんな予感がしたからだ。
　……間違ってはいなかった。少なくとも、間違っては。
「……貸したまえ」
　主任はめんどくさそうに敬介のベルトから拳銃を取ると、ぱん、ぱん、ぱんと３発ドアと壁の隙間に撃ち込み、
「蹴破りたまえ」
　にべもなく、言う。
「へ？」
「聞こえなかったのかい？　鍵は壊した、蹴破りたまえ。若い君の方が力はあるだろう」
「は、はぁ……わかりました」
　訝しげながらも、敬介は３歩ほど下がり、助走をつけてそのまま扉に……
　
　どっ……がっ！！！
　
「！　！　あ！　が、あ！　あ……！」
　右足を押さえながら、敬介がぴょんぴょんと飛び跳ねる。
　多少の銃弾を撃ち込まれようともさすがは金属製の扉。蹴破られながらも、多少のダメージを敬介の脚に与えた。
「なんだなんだだらしがない」
「そ、そ、そんなこと言いましても！　す、す、脛！　向こう脛！　弁慶の泣き所に……もろ……に……ッ……！」
　とうとううずくまってしまう敬介。一応人としてその痛みはわかるが、今はそんなことにかまけている場合ではない。
　敬介は置いたまま、主任は部屋の中へと入った。
　
　部屋の中は薄暗く、電源の落とされたいくつものモニタ類、コンソールが並んでいる。
　主任は近間に置いてあった電気スタンドの電源を入れると、しばらく辺りを見回した後、主電源と思しきボタンを押した。
　ブゥゥゥ……ンと聞き慣れた起動音とともに、全てのモニタに光が戻る。

710 ：Wait & Bleed：03/02/10 16:27 ID:w3q8BSt3

「高槻！　高槻どこだ！？」
「あんまり暴れないでほしいな……」
「ああもう、あんまり耳元で騒がないで。怪我に響くわ……」
　無事名雪や郁未と合流することに成功した少年が名雪に支えられながら、１Ｆエントランスに現れ、声を張り上げる。
「ああうるさい、そんな大声出さなくても俺はここにいるわ」
　いつも通りの不機嫌な面を下げたまま、長瀬刑事、佳乃、高子を引き連れた高槻がモニタールームから出てきたのも、ほぼ同時だった。
　
　そして、ちょうど電源の入ったコンピュータールームのモニタが映し出したのも、その光景だった。
　
「はてさて、これからどうしたものか……おそらくおおよその化け物どもは駆逐したと思うが」
　マシンガンを肩に担いだままの長瀬刑事が切り出す。一行はホールの中央で、これからの展望について話し合うことにした。
「とりあえずここを脱出するのが先決でしょうね」
「確か、『力』を使えるのがが２人いれば開くとか言ってたわね」
「ま、僕の見立てだけどね。たぶん僕らが２人いれば、何とかならないこともないと思うよ」
「それじゃ、さっさと済ましちゃいましょ」
「でも運ぶのはわたしなんだよね……」
　それは仕方がない。３人の中で一番軽傷なのは、名雪なのだから。
「おう、さっさとやってしまえ」
　尊大な態度で、高槻が命令を下す。
　ちょっとムッとした郁未が一言文句を入れようとした、それと同時に……
　
『あー、あー、もしもし、聞こえるかね』
　マイク越しの主任の声が、ホールに響いた。
「ほぅ、この声は……源五郎か」
『うむ、こちらは何とかなりそうだよ。現在我々は最上階のコンピュータールームにいる』
「ならば、そこからここのセキュリティを全て解除出来ないか？」
『何とかなりそうだ。とりあえず手始めに正面玄関の鍵を外してみよう。ちょっと待っててくれ……』
　そしてカチャカチャと乾いた音が聞こえた。おそらくキーボードを操作しているのだろう。
「なんか、僕たちの出番が無くなっちゃったね」
「ま、楽出来る分には構わないけど」
　そして待つことしばし。

711 ：Wait & Bleed：03/02/10 16:28 ID:w3q8BSt3

　……カチャ。
　
　ぶ厚い正面玄関の扉から何かが外れる音がした。
「ほぅ、さすがは源五郎。仕事が早いな。ではひとまずここを離れるとしようか……怪我人だけでも運び出さないとな」
　長瀬刑事がゆっくりと扉に歩み寄り、取っ手に手をかけ、その重厚な扉を開いていく。
　
「……ん？」
　キーボードを操作する途中、何気なくモニタに目をやった長瀬主任は不信に思った。
　源三郎が『ドアを開けている』。いや、もっと言うなら『ドアが開いている。鍵が外れている』。
　今その操作を自分が『やっている』のに、だ。
「……どうしましたか？」
　脛を押さえながら、何とか部屋に入ってきた敬介が尋ねる。
　しかし主任はそれに答えることなく、いくつもあるモニタを次々に確かめていった。
　各部屋、廊下、ホール、階段……そして、外。
　それを認めた瞬間、主任の顔が青ざめた。
　即座にマイクをひっ掴む。
「いかん源三郎！　開けるな！　下がれ！　下がるんだ！」

『……下がるんだ！』
　主任の声がホールに響いたと同時に、扉は完全に開かれた。
「ん？　源五郎、何か言ったか？」
　
「クフゥゥゥゥゥゥ……」
『それ』は『そこ』にいた。
　吐気は蒸気と化し、体中に腸管のような管が生えており、濁った粘液のような液体をトロリトロリと吐き出している。
　全高は有に長瀬の身長の二倍を超えており、一応シルエットは人間の形を成している。
　しかしバランスは著しく狂っており、その左腕は体にしてみればあまりにも小さく、せいぜい普通の人間ほど。
　逆に右腕は巨大な３対の爪とともに醜悪なまでに膨れあがっており、体と比べても遜色ないほどだ。
　両足はいわゆる人間のそれでなく、鳥のような逆間接の形をしている。
「……なッ！？」
　反応的にマシンガンを構える長瀬だが、振り下ろされる爪の方が遙かに早かった。

712 ：Wait & Bleed：03/02/10 16:29 ID:w3q8BSt3

　
　ガシャッ！
　
　派手な音とともにマシンガンが粉々に砕け散る。しかも爪の勢いは全く衰えず、長瀬の体を縦に引き裂いた。
　そのままいったん爪を体の後ろに構えなおすと、その逆間接に生えたかぎ爪で地を捕らえ、加速をつけて再度直線に繰り出す。
　弾丸のように弾かれたその爪と巨体は長瀬の体を貫き、ホールの反対側まで飛び、壁へと打ち付ける。
　
「がは……っ……」
　声とも吐血ともつかない音が長瀬の口から漏れ、それが彼の最後の言葉となった。
　つまらなそうに振りかえり、一行を見据える『モンスター』。
　不意に、それの真後ろのモニタに電源が入った。
　そこに現れたのは……

「お前は……超先生！」
　その映像は、ホールのモニタにも、そしてコンピュータールームの全てのモニタにも、映し出される。

713 ：by R.E.D.：03/02/10 16:30 ID:w3q8BSt3

『Congratulations!　ホテルの諸君、おめでとう！　君たちはいよいよこの無間地獄の終点へと指をかけた！
　しかしね、物事というのは常に最後の一押しが難しいものなのだよ。
　君たちの目の間にいる『彼』。彼がいよいよ最後の難関だ！
　見事打ち倒し、この地獄から生還してみるがいい！
　彼さえ倒せば、ホテルは君たちのものだ！
　参考までに教えておくと、今君たちと相対している『彼』。彼はいわゆる『合成獣』、『キメラ』とも呼ばれるものだ！
　だがね、ただのキメラとは違うよ！
　実は先だって、私は『狩猟者』とでも呼ばれる『鬼』のサンプルを手に入れてね。今それの量産化を計画しているんだよ。
　彼はその試作体でもあるのさ！　既存のキメラサンプルに、少々鬼の因子を加えてみてね！
　いわば『狩猟者強襲型・試作体』とでも言うべきなのかな？
　まぁいい。君たちの闘いぶり、しかと見せてもらうよ。
　それがさらに私の『鬼』の完成度を高めてくれるのだからね。クックックックック。
　では諸君、しばしの別れだ。ひょっとしたら永訣になるやもしれんがね。
　Good-bye! See you again!』
　
　ブツンッ。
　
　回線は、切れた。一方的に。
　
【長瀬源三郎　死亡】
【試作体狩猟者（キメラ）　ホテルを強襲。現在１Ｆエントランスホール】
【ホールのメンバー　郁未・少年・名雪・高槻・佳乃・高子】
【長瀬のマシンガン　破壊】
【長瀬主任＆橘敬介　最上階コンピュータールーム】

714 ：名無しさんだよもん：03/02/10 18:41 ID:o42Tw7va

>>707
よく進めてくれたと思う。
これでこのチームはかなり自由に動かせるわけだな。
ラミアは困った時に使えそうだな。使わなくても良さそうだが。

>>713
超先生の戦力は無限だな。
その試作体の存在はいいとして、狩猟者を作れる限界が欲しいところかも。
もしくは、何か致命的な弱点を完成体以外は持ってる等。

715 ：名無しさんだよもん：03/02/10 19:57 ID:SbUA5v+i

キメラはあくまで鬼の細胞を移植しただけであって、仙命樹は含まれてないんだよな？
ならまあ、普通に強いモンスターってことで、不可視の力使いがいればさほど戦力に差はないのかな。

716 ：名無しさんだよもん：03/02/10 20:13 ID:vpzRcvxv

ただ、少年も郁未もかなり深い傷を負っているから
キメラに機敏に動かれたら相当ヤバイかも。

717 ：名無しさんだよもん：03/02/10 21:39 ID:6POqaPHd

しかし躊躇なく殺すなぁ。

いや、文句言うつもりは無いけどね。

718 ：名無しさんだよもん：03/02/10 23:01 ID:sOz9yYgt

つーか、これぐらいの流れでないと

719 ：名無しさんだよもん：03/02/10 23:18 ID:HeOZInDS

俺はこの殺し方はいいと思うぞ。
強襲型なんだから不意打ち（？）で一人くらいあっさり仕留めてくれないとな。
これからどうやって勝つか。もしくは負けるか。期待。

720 ：名無しさんだよもん：03/02/11 14:17 ID:YqmOsryK

浮上してみる

721 ：名無しさんだよもん：03/02/11 15:35 ID:s56oGEOr

http://bbs.1oku.com/bbs/bbs.phtml?id=yasuko
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

722 ：名無しさんだよもん：03/02/11 23:49 ID:1TjKY9Tj

とりあえず全チーム二日目ということでよろしいのだろうか？

723 ：名無しさんだよもん：03/02/12 00:31 ID:eNYfKoDz

>>722
全然よろしくないです。

724 ：Spit It Out：03/02/12 17:23 ID:CBaDrirB

「……行ったか……」
　坂上蝉丸は、薮の隙間からそっと前方をのぞき見た。
　先ほど感じた「化け物」の気配は消え去り、後には巨大な足跡のみが残されている。
（太陽のもとではどうなるかと思ったが、どうやら幸いだな。隠行は化け物の類にも有効なようだ……）
　鍛えられた一兵士としての"勘"、そして強化兵特有の"能力"。それらのおかげで、幸いにも蝉丸は
　ここまでの間戦闘を回避し続けることができた。しかし、蝉丸の表情に余裕はない。むしろ焦燥感がつのっていた。
（……武器もないが、その上に……）
　原因は、自分の腕の中だ。
　そこでは、立川郁美が苦しそうにヒュウヒュウと息を立てている。
（今の彼女は非常に危険だ。大した医術の心得がない俺にもわかる。急がねば……！　そして、可能なら武器も手に入れなければ……！）
　……もう一度周囲の気配を探ると、音もなく蝉丸は移動を始めた。
　
「僕はついているのだろうか」
　今しがた蜂の巣にしたばかりの恐竜を足に敷きながら、久瀬は誰にともなく呟く。
「開始早々僅かな差で、ワニの牙から逃れることに成功した。さいかちゃん、砧ちゃん、君たちには感謝しているよ」
　木々の隙間の空を仰ぐ。
「しかもその後すぐに、武器の山を発見することに成功した。これが無ければおそらくとっくの昔に僕は死んでいただろう」
　すっかり手になじんだＭ１６を撫でる。
「蛇に喰われた名も知らぬ女性、嗚呼、あなたは不幸だ。だがあなたを見捨てたことは間違いではなかった」
　異様に腹部の膨らんだ蛇を思い出す。
「相沢祐一、北川潤。彼らを助けたのは一応間違っていなかった。彼らは役に立ってくれた、それなりに」
　つまりは助ける相手は選ぶ必要があるということだ。
「役立たずの女は見捨て、使えそうな男は助けた。この判断は間違ってはいなかった」
　そして……
「この、ディスク」
　先ほど『超先生』より譲り受けたMOディスクを太陽に透かす。
「これに『データ』とやらを入れ、持ち帰れば僕はさっさとこのふざけた島から脱出することができるようだ」
　超先生の力なら、それはたやすいことだろう。
「……だが、一つ問題がある」
　そう、それは……
「果たして超先生は信ずるに値するか、ということだ」
　それが問題だ。

725 ：Spit It Out：03/02/12 17:25 ID:CBaDrirB

「僕は超先生と会った。そして話した。そんな参加者は他にどのくらいいるのだろうか？
　大して多くないだろう、この島でそこまでたどり着くこと自体が難しい。
　しかも彼は割合僕に友好的だった。なぜか？　僕の生存術が気に入ったらしい。何が気に入ったのか？
　人間らしく？　己の力で？　機転を利かせ？
　なぜその程度のことで？　他の参加者はどうしているんだ？
『人の力』？　彼は人の力と言ったか？　ならば、他の参加者たちは『人にあらざる力』で生き延びているとでもいうのか？」
　そこまで独白すると、久瀬はかぶりを振る。
「いや、思考が逸れたな。まずは超先生の約束だ。彼は約束を守るだろうか？
　……信じる価値はあるだろうか。彼が僕を殺したいならば、いくらでも方法はあったし、可能だった。しかし僕を助けた。
　そして彼の言葉から推測するに、彼にとって僕は『自分を楽しませてくれるペット』だということだろう。ド畜生め。死んじまえ。
　ではペットに『報酬』を与えるか？　……よきブリーダーは、飼い犬が言うことを聞けばきっちりと褒めるらしい。
　良き犬を育てるにはそれが重要だそうだ。
　ならば、僕は犬になるか。彼の犬になるか。僕の自尊心はそれを許すか？
　もちろん許そう。こう考えればいいんだ。彼は僕を犬と見る。確かにそうだ、彼と僕の力の差は人と犬、いやそれ以上だ。
　そして僕は彼を何と見るか？　主人か？　君主か？　神か？
　どれでもいい、僕が彼を何と見るかなどどうでもいいことだ。……僕は、彼を、『利用』する。
　そうだ。彼が僕を見ようとそれすらどうでもいいことだ。僕は彼を利用し、この島を脱する。
　彼が僕を殺す可能性は無いわけではないが、低い。となると残る僕が考えるべきことは、各種道程のメリットと、そしてデメリット。それを確かめることだ」

　思考スタート。

726 ：Spit It Out：03/02/12 17:26 ID:CBaDrirB

「if(宿題遂行)、すなわちこれから僕はその秘密施設に赴き、数々の対人迎撃システムをかいくぐり、データを奪う。
　メリット、おおよそ現在考え得る脱出までの最短手段。しかも僕だけの特別枠だ。競争率は低い。
　デメリット、超先生が約束を違えた場合。だが先ほどこの結論は出た。もう一つ、システムの難易度だ。
　対人迎撃というだけあり、生半可なものではないのだろう。……だが、彼が死地に僕を赴かせるだろうか？
　信ずるならば、答えは否。攻略する糸口はあるだろう。あるいは……」
　久瀬はディパックに詰めた小さな箱を思い出す。『超先生のプレゼント』を。
（これが糸口か？）
「……次だ。if else(本来の脱出手段)。……本来の脱出手段？　なんだそれは？
　メリット、……なんだ？　何がある？
　デメリット、どこにあるのか、なんなのか、いつ見つかるのか、全く見通しが立たない」
（こんなものに一つしかない僕の命を賭けるのか？）
「ラスト。else……すなわち、『超先生の撃破』。僕が宿題をすませた『振り』をすれば、超先生の眼前に立つことは難しくない。
　彼のことだ、ディスクは僕の手から直接受け取るだろう。チャンスがあるとすれば、その時だ。
　だが……。勝てるのか？　この島を支配する、全ての化け物を使役する、いわばここでは『神』である、あの男に。
　もはや人間ですらない、あの化け物に。このライフルは、通用するのか？
　倒すなら、一瞬で、一撃で倒さねばならない。一発で倒さねば、僕の体は易々と引き千切られるだろう。僕がその『道』を選んだとわかれば、
　あの男は嬉々として僕を殺すだろう。それは間違いない。…………間違い、ない。
　……メリット、島のコントロールを握れる。ならば、脱出手段など楽に講じれよう。
　デメリット、そもそも勝ち目が薄すぎる。失敗すれば、即座にそれは死に繋がる」
　
「……決まった、な」
　久瀬はいったん俯き、再び顔を上げる。
　そこには晴れ晴れ、とまではいかないが、何かを決意した男の表情があった。
　そして……
　
「参加者か……助かった」
　近くの茂みから蝉丸が現れたのも同じ時だった。

727 ：Spit It Out：03/02/12 17:27 ID:CBaDrirB

「なッ！？」
　全く気配を感じなかった！　久瀬は振り向きざまにライフルを構え、銃口を向ける。
「慌てるな。俺は敵ではない。君と同じ、参加者だ」
　目の前の男は銃を向けられているにもかかわらず全く動じず、落ち着き払って久瀬の状況を確かめる。
「……この恐竜は……君が殺したのか？」
　久瀬の足下の死体を認めた蝉丸が、問いかける。
「そうだ」
　短く一言だけ答える。
「いや、そんなことはどうでもよかった。一つ、君に頼みたいことがある」
「なんだ」
「この子だ……」
　言いながら、差し出した蝉丸の手には小さな女の子が抱かれていた。
　顔は青ざめ、乾いた呼吸を漏らし、いかにも苦しそうだ。
　もはや久瀬はこの時点で、おおよそ目の前の男が自分に求めていることを悟った。
「この子は病気だ。一刻も早く病院に連れて行かねば、命が危ない。君が武器を持っているというのならばちょうどいい。手伝ってくれないか？」
　蝉丸の声には、もちろんやってくれるだろう？　という響きが明らかに聞いてとれた。
（やはり……か）
　久瀬は内心ため息を漏らし、
（たくましい男。それと、瀕死の女。彼らは僕に助けを求める。しかしいくら男だろうと、あまりにも大きな『コブ』だ。
　……久瀬よ、今までの経験から言って、答えは一つだろう？）
「断る」
　
「な……ッ！？」
　蝉丸は目の前の男の言葉が理解できないという様子で。
「お前は何を言っているんだ。目の前に瀕死の子供がいるんだぞ？　それを見捨てるとでもいうのか！？」
「別に見捨てるなんて言っていない」
　変わらず銃口を向けながら
「あなたがその子を助ける分には一向にかまわない。僕はそれに干渉する気などさらさらない。どこへなりといき、助けるがいいだろう」
「恥ずかしくないのか？　目の前の苦しむ女子を、放っておいて！？」
「僕にはあなたが何を言っているのかが理解できないね。その女の子と僕にどんな関係があるんというんだい？　僕にはこれから行かねばならない場所があるんだ。
　あなた方にかかずりあって、無駄な時間を過ごす暇はない。即刻立ち去ってもらう」
　クンッ、と一瞬銃口を明後日の方向へ向ける。

728 ：Spit It Out：03/02/12 17:28 ID:CBaDrirB

「……何と言うことだ……」
　蝉丸はうなだれる。深く、深くうなだれる。こんな男が……護と大して年も違わないだろうに、こんな男存在することが信じられないという様子で。
「……わかった。ならば仕方がない。しかしせめて、その拳銃を譲ってもらえないだろうか？」
　久瀬のベルトにささったベレッタを指す。
「君はそんな素晴らしい武器を持っているんだ。余っている武器を、一つでいい。分けてくれ。それだけでいい。……頼む」
「あなたは理解力に根本的な疾患があるようだね」
　にべもなく、言い切る。
「断る。断じて断るね。僕があなたに武器を与えることで何かメリットはあるのかい？　僕がこの銃をあなたに渡したことで、あるいは未来に弾切れで死んでしまうかもしれない。
　あるいは、この銃を使えない事態が来るかもしれない。……実際、僕はこの銃に助けられたこともある。だのに、僕があなたにこれを与える理由は？
　対価は？　報酬は？　何もない。何もないんだ。これ以上あなたと話す言葉はない。失礼するよ」
　ライフルをかつぎ直し、久瀬は踵を返した。
　そしてそのまま木々の間へと消えていく。
　……だが、蝉丸はそれを止める。
「待て！　待つんだ！」
　郁美を担いだまま、久瀬の背中へ駆け寄る。
「ふん」
　久瀬は振り向きざまにベレッタを抜き、銃口を蝉丸の脳天へと定める。
　蝉丸の足が、止まる。
「最後通告だ。僕はこれ以上僕の考えをわかりやすい言葉にまとめる自信はない。
　……『あなたの行く道の邪魔はしない。だから、僕の生く道の邪魔をするな』。
　『関わらないから、関わるな』。これ以上僕の邪魔をするなら、僕は容赦なく引き金を引くだろう」
　……水を打ったような静寂が森を包む。
「……一つ聞きたい」
　やがて、蝉丸が口を開いた。
「君の国は、どこだ？」
　久瀬は僅かな嘲笑とともに、答える。
「日本に決まっているだろう」
　刹那、蝉丸の瞳が憤怒に彩られた。

729 ：by R.E.D.：03/02/12 17:30 ID:CBaDrirB

　
「……お前なぞが日本人を名乗るな！」
　一歩踏み込み、必殺の手刀を久瀬の首筋めがけ、振り下ろす。
　手加減はほとんどしていない。死ぬことはないだろうが、確実に悶絶するほどの威力。
「馬鹿め」

　ぱん、ぱん、ぱん、と乾いた銃声が三つ、響いた。

「なぜだ。なぜみんなこんな簡単な理屈がわからないんだ」
　血だまりに倒れる蝉丸と郁美を尻目に、久瀬は去っていった。
　
（これが……これが、『現代』の男子なの……か……。護……お前……は……お前だけ……は……）
　薄れゆく意識。蝉丸が最後に想ったのは、先ほど別れた住井護のことだった。
　
【蝉丸　負傷。気絶】
【久瀬　立ち去る】

730 ：名無しさんだよもん：03/02/12 18:46 ID:rbB8X33g

いいねぇ、正しく『嫌な奴』だよ。

731 ：名無しさんだよもん：03/02/12 19:26 ID:fRGwLABY

正直ちょっとやり過ぎかな。
萎え

732 ：名無しさんだよもん：03/02/12 19:30 ID:+5z5KJZi

久瀬が歪んだ事より
セミーが色んな意味で
微妙にｶｺﾜﾙｲ事の方がショックだ…。

733 ：名無しさんだよもん：03/02/12 19:38 ID:x7/BN3N6

>>732
あるキャラを際立たせるために、他のキャラを貶める。
執筆技術としては初歩的だな。好まれるかどうかは別問題だが。

734 ：名無しさんだよもん：03/02/12 19:57 ID:9tKgpVjW

俺にはどっちも貶めてるようにしか見えないが。

735 ：名無しさんだよもん：03/02/12 21:22 ID:gSHmLfZX

蝉丸いくらなんでも弱すぎない？
いやNGとか言うつもりは毛頭無いが、気になったから。

736 ：名無しさんだよもん：03/02/12 21:37 ID:SpeZpMZZ

　意識を失ってからそれほど長い時間は経っていないのだろう。
　目覚めた俺の頭上には木洩れ日が降り注いでいた。
　すぐに郁美の様子を確かめた。　まだ息はあるようだが、俺が倒れていた時間も考えると状況はさらに悪化している。
　さっそく彼女を背負って歩き始めた。　もはや一刻の猶予も無い。
　自分の身体の方は大事無かった。　昼間なので傷はまだ完治していないが、強化兵にとっては大騒ぎする程のものではないのだ。
　
　そう、強化兵ならば。
　もし郁美を背負ってここに来たのが護だったならば、彼の命は無かっただろう。
　
　あの少年の言葉が、色々と頭の中に浮かんできた。

　お前のしていることは、確かに自分自身を守る為の手段としては正しい。
　それは俺も認めよう。
　だが名も知らぬ少年よ、全ての人間が打算と保身だけで行動している訳ではないのだ。
　己の事だけを考えて他人に手を差し伸べぬというのは、人心を離れさせ、結果的に身を滅ぼすことになりかねない。
　いつかお前が誰かの助けを必要とした時に、その事が解かるだろう。

『なぜだ。なぜみんなこんな簡単な理屈がわからないんだ』

　俺の理解力に疾患があると言ったな。
　あの時にお前が感じていた感情こそ精神的疾患の一種だと、そう祈っているぞ。

【蝉丸復活。　引き続き病院を探す】

737 ：名無しさんだよもん：03/02/12 21:38 ID:SpeZpMZZ

おお、題名を忘れてる。
『人とは』っていうのでおながいします。

738 ：人とは２：03/02/12 22:41 ID:jP2D99xr

　僕はあれから小一時間ほど歩き、ひとまず休憩しようと巨木の足下に腰掛けた。
　水の入ったペットボトルを取り出し、一口飲み込む。
「……ぷはっ」
　喉が潤うと、先ほどのことをまた思い出した。
　
　あの男は、何と言ったか。
『見捨てるのか！？』
『放っておくのか！？』

　僕がこの手で殺した、あの男。
　なるほど、あるいは彼の言ったこともあながち間違いではないのだろう。
　相沢や、北川たち。あるいは川澄さん、倉田さんならばあそこで迷わず手をさしのべたことだろう。
（そう考えるとあの２人と別れていて本当に助かった）

　助け合いの大切さ。そんなものを信じているのだろう。

「僕は、配られたカードを最良の方法で使っているだけだ」

　そうだ。僕は今までこうやって生きてきた。使える者は使い、使えぬ者は捨てる。
　そして今の僕がいる。
　助け合いか。ハッ、ふざけているな。
　あの生徒会室。あの四角く息苦しい小さな部屋。無機質な壁、無表情な役員たち。冷たい椅子。
　僕をあそこから引きずり下ろさんと画策する愚かな反生徒会の連中。
　何かにつけて横から口を出してくる無能な教師ども。
　
　あそこで信じれる者など、己以外に何がいるのだろうか。
　
「そうだ。僕は間違ってはいない。僕は今までこうして生きてきて、これからも生きるのだ。
　急ごう。時間が惜しい。僕の命を守るために、僕は僕の道を生こう」
　
【久瀬　先を急ぐ】

739 ：名無しさんだよもん：03/02/12 23:32 ID:3COlg56R

昼間とは言え、久瀬が蝉丸を返り討ちにするってのもアレだなぁ。
蝉丸は銃を突きつけられているとは言え避けるつもりで動いた訳でしょ？
それに反して見事頭に当ててみせる久瀬凄すぎ。
いやね、終わった話を蒸し返すのもなんだが蝉丸なめられてるなぁと思って。
仙命樹が便利アイテムと化してる一方、岩切や彼などの扱いを見るに…どうだろう。

740 ：名無しさんだよもん：03/02/12 23:39 ID:X5hted/r

正直ただ見捨てるだけで良かった。
発砲は久瀬側にしてもいくら何でもやり過ぎだし蝉丸は皆が言ってる通り。
まあＮＧにはならないだろうけど。

741 ：名無しさんだよもん：03/02/12 23:41 ID:rbB8X33g

･･････言い方が悪いかもしれんが、
急に水が零れだしたグラスを指で押さえたような話の流れだなぁと思ったよ。正直。

742 ：741：03/02/12 23:42 ID:rbB8X33g

各『人とは』の事な。

743 ：名無しさんだよもん：03/02/13 00:22 ID:f1V21B14

久瀬が好きだって意見が多かったからって……。
前の柳川のときもだけど、人気があるキャラなら強くしても良いなんて道理は本来ないんだが。

744 ：名無しさんだよもん：03/02/13 00:42 ID:aHpyEP6H

蝉丸の弱さが目立った。
久瀬に関しては’強い’のではなく’無理な格好付け’が過ぎていると思った。御堂とは対照的と言うか。
でもそれは致命的とはいえないし、NGとはかけ離れている。

745 ：名無しさんだよもん：03/02/13 00:58 ID:Yl2BuiCO

まぁ、蝉丸の弱さに関しては怒りで動きが曇っていたと解釈すれば納得する事もできる気がするが。
実際の所、R.E.D.氏が書きたかったのは久瀬の考えの方向性であって蝉丸の弱さじゃなかろうしな。
多少拙い所があったにしても過剰反応しすぎな気もする。
久瀬が鬼や仙命樹で一気に超人化したり、蝉丸がこの話で死んでしまったならともかく。

話の本筋自体は、久瀬がまた他の参加者の不興を一つ買ったという事でそこそこ面白かった。
一時は祐一や北川と一緒に居て善人化したと思ったんだが、やっぱ現実的な餌を出されるとこうなってしまうのかね。
はてさて、彼はこの先生き延びる事ができるのか。

746 ：名無しさんだよもん：03/02/13 00:58 ID:il0leXmD

蝉丸も昼だから負けるのは、まあ別にしょうがない。
相手は拳銃、こちらは徒手空拳だしな。
だが、あの程度で激昂するような奴だったかな…。
暴発までに到る問答が、何か違うと言うか。
それに、いくら怒っても郁美を放っといて
戦闘するようなキャラでもなかった気が。
弱さより行動の粗のほうが気になりますた。

ＮＧとか吹っかける気はないけど、これが感想です。
てか、ＲＥＤ氏の作品は当たり外れが大きい…。

747 ：名無しさんだよもん：03/02/13 01:55 ID:XsSRxIzQ

>>746
漏れも蝉丸の性格気になった。
状況も考えず激昂して襲い掛かるって言うのは違うよね。

でも久瀬のキャラ付けは問題ないと思ったっす。
銃の腕とかは別にして。

748 ：名無しさんだよもん：03/02/13 02:30 ID:Ee8gWbjU

ＦＦ４のカインの如く仲間のフリして土壇場で裏切るような久瀬にして欲しかったな。
夜こっそり郁美を捨てるか毒殺して、蝉丸の戦闘力だけを利用したり。

ま、純粋な感想だ。
良い人な脇役は矢島・北川がいるしな。これで丁度いいのかもしれん。

749 ：名無しさんだよもん：03/02/13 02:34 ID:lSEor3Si

最初ならともかく祐一達との行動で比較的性格が固まってきた所でやるから違和感が出るのかと。
ハカロワの祐一の悪夢の繰り返しだ。

750 ：名無しさんだよもん：03/02/13 02:40 ID:sS1W/WDy

>>748
久瀬は蝉丸の戦闘力を把握はしていないだろう。
武器も持たず、足手まといを抱えたただの男にしか見えまい。
毒殺（あるいは暗殺？）なんかしたら、かえって面倒なことになる。
効率主義者のこのスレの久瀬の性格には合わない。

751 ：名無しさんだよもん：03/02/13 02:45 ID:xUSA5Ubu

しかし……。
コテハンの書き手にこんなことを言うと個人たたきみたいになってしまうのであまり言いたくはないけども。
柳川のときとか彰のときとか、今までも性格が違うだの強さを考えてないだのっていう意見があった気がする。竜のときも。
でも、書き手からは何の返答もない。

反応がないだけなら、次から直してくれれば良いと思う。
が、また今回みたいな議論を呼んでるわけで……。

もちろん、良い話は本当に良いんだけども。
もう少し、そういう所も気を付けていって欲しいです。

752 ：名無しさんだよもん：03/02/13 02:47 ID:xUSA5Ubu

関係ないが、漏れのIDヤベエ！
蝉丸に斬られる……。

753 ：名無しさんだよもん：03/02/13 02:47 ID:Ee8gWbjU

ふむ、効率主義なんだからもっと正確に蝉丸についての情報を聞き出すなり
なんなりすると思うが。
細かい部分はさておき、もっと他人を「利用」する奴なんじゃないかなーって思ったんだよ。

754 ：R.E.D.：03/02/13 02:53 ID:gteyV9bf

>>751
＞竜
ごめんね。やりすぎた。
＞柳川
柳川の話は書いた記憶が無いのですが…？
＞彰
美咲さんルートのラスト、缶コーヒーで冬弥を殴打する彼の印象が強いもので。
＞今回
久瀬の心情に重きを置きすぎました。どうせすぐ回復するのだから、久瀬の行動を決定づけるために撃たせてもいいかなと。
手直しも考えましたが、速攻でリレーされたのでそれも出来ず。

755 ：名無しさんだよもん：03/02/13 03:00 ID:xUSA5Ubu

あ、すまそ。
柳川のは漏れの勘違いでした、ごめんね。

蝉丸か御堂かあたりにUSAのまわし者として頃されてきまつ……

756 ：名無しさんだよもん：03/02/13 04:13 ID:6KOloXIu

責任転嫁か。いい気なもんだ。

757 ：名無しさんだよもん：03/02/13 04:17 ID:dH2NalN8

>>756
「人とは」の作者でつかｗ

とまぁ冗談はさておき
＞手直しも考えましたが、速攻でリレーされたのでそれも出来ず。
この言い分についてなら禿同でつ。

758 ：名無しさんだよもん：03/02/13 06:46 ID:Tu4rB7so

久瀬はなぜ蝉丸たちを見放して、光岡は助けたのだろうか？
彼の中で何が起こったのだ。誰か教えくれ

759 ：名無しさんだよもん：03/02/13 09:36 ID:g4JX+gf9

>>758
＞（たくましい男。それと、瀕死の女。彼らは僕に助けを求める。しかしいくら男だろうと、あまりにも大きな『コブ』だ。
＞……久瀬よ、今までの経験から言って、答えは一つだろう？）

ここと少し前の独白から推測するに、蝉丸の有用性はやや認識しつつもそれ以上に
いくみんが足手まといだと判断したんじゃない？

760 ：名無しさんだよもん：03/02/13 10:53 ID:tsTssBFd

どうでもいいけど、今いる強化兵の中でUSAを斬りそうなのは岩切だけだな

761 ：名無しさんだよもん：03/02/13 16:25 ID:jxnQf1pr

祐一達との時の久瀬が面白かったからこういう風にされちゃったのは正直残念だ。

762 ：名無しさんだよもん：03/02/13 17:47 ID:avmT7o+0

俺は全体的には悪くないと思うがな。
今のところ大抵の参加者は協力してみんな生き残る方向で動いてるし、聖、アレイ、妖狐たちは人間見つけたら即刻狩ってる。
他人を利用、あるいは押しのけながら自分だけでも生き残ろうというエゴの強いやつがいてもいいと思う。

763 ：名無しさんだよもん：03/02/13 17:55 ID:B65uQudH

>>762それもRRか。一理あるな。

今まで出来なかった事を、極限状態の所為にして変態的な事をする奴とかな。
例えとしては、恐怖のあまり半狂乱になった男が、たまたま見つけた一人の女性に襲い掛かったりとか。
映画とかで稀に使われるネタではあるけどね。一応可能性の一つとして。

764 ：名無しさんだよもん：03/02/13 18:00 ID:vvVIzm5f

例えばハカロワ雅史

765 ：名無しさんだよもん：03/02/13 18:33 ID:+2mISavt

ハカサバ的にどの程度エロが許容されるのかが問題。
前例としては栞がいたわけだが。
ﾚｲーﾌﾟとなればまた話は別な訳で。

766 ：名無しさんだよもん：03/02/13 22:50 ID:G7oYWyBV

エゴが強いから問題ってわけじゃなくてさ。
他の書き手がとっさにフォローいれないのならないくらい唐突に、前回までの流れに逆流&キャラの力関係の逆転をされたのが問題だったのであって。
単体の話として見れば問題ないとしても、これだけ意見が出てしまっているのは、リレーのバトンの受け渡しに失敗した証拠かと思われ。

767 ：名無しさんだよもん：03/02/13 22:54 ID:DWRg6yj8

まあ同意

768 ：名無しさんだよもん：03/02/14 00:04 ID:Eq7LY4mR

ぶっちゃけ、英二パーティが崩壊した話や、ディーや新世界みたいなそれこそ全体のバランスが崩壊するような話ならともかく、今回は騒ぎすぎだと思うけどな。
最初に指摘した人間はともかく、その後の批判は目に付いた欠点に俺も俺もと文句つけてるようにしか見えないし。
NG申請したいならともかく、事後の反省を促すだけならそこまで騒ぎ立てる必要は無いだろうにって感じがする。
仮に拙い話が上がったからといって、読み手が拙い感想ぶつけていいという道理は無いんだし。

769 ：名無しさんだよもん：03/02/14 01:14 ID:fnGif6Cb

少し話を飛ばすようだが、これで進行が一番遅いパーティは氷上チームでFA？

770 ：名無しさんだよもん：03/02/14 01:16 ID:KxMgsjUb

なんだかんだで、久瀬がダークロード疾走気味なのが
みんなにとってショックなんだろうか？

771 ：名無しさんだよもん：03/02/14 01:41 ID:eTxjMyOb

トリオ結成から狸撃退まではかなり良かった。
書き手も上手く繋いでるって感じで。ヒールも嫌いじゃないが。

772 ：名無しさんだよもん：03/02/14 01:43 ID:eHXnbo9u

>>770
祐一たちと合流していた話での、時間・話数をかけて徐々に変わっていった部分がたったの一行でリセットされたことはショックだよ、確かに。
あと蝉丸が噛ませ犬になってるところも個人的にショック。
久瀬はもともと初期からダークだったから、いまさら久瀬がダークなのがショックなわけじゃない。そこんとこよろしく。

まあでも、>>754で作者本人が、今回のミスを認めた上での手直し無し発言があるわけだから。
これ以上読み手が同じ話題ループしてもしかたないんだが……。

773 ：名無しさんだよもん：03/02/14 02:42 ID:btuB8tGQ

>>772
同意。折角良い感じだったのにって感じだった。
まあ次にあんまり影響なけりゃいいけど。

774 ：名無しさんだよもん：03/02/14 03:18 ID:lEVf19Cn

＞今回騒ぎすぎ

それだけこのチームが人気あったんだろ。
売れっ子を扱うのは大変だーな。

775 ：名無しさんだよもん：03/02/14 05:30 ID:6etyJiNs

＞今回騒ぎすぎ
今まで他の書き手たちが何話もかけて築いてきた部分をたった一行でぶち壊されたわけだからなぁ。
性格が違うとかバランスを崩すとかの、NGにしたり後の話でどうにかしたりできない分、騒がれて当然かと。
リレーではあるが、大切なところをリレーしてない感じ。

776 ：名無しさんだよもん：03/02/14 06:52 ID:ODeE81qG

強化兵が引き立て役になってるな。
光岡、岩切、蝉丸。一応技能的には最強の面々だと思うが。
御堂も含めた強化兵の今後に期待。

777 ：727-729部修正案：03/02/14 07:37 ID:Z9Z8aqT0

「なッ！？」
　全く気配を感じなかった！　久瀬は振り向きざまにライフルを構え、銃口を向ける。
「慌てるな。俺は敵ではない。君と同じ、参加者だ」
　目の前の男は銃を向けられているにもかかわらず全く動じず、落ち着き払って久瀬の状況を確かめる。
「……この恐竜は……君が殺したのか？」
　久瀬の足下の死体を認めた蝉丸が、問いかける。
「そうだ」
　短く一言だけ答える。
「いや、そんなことはどうでもよかった。一つ、君に頼みたいことがある」
「なんだ」
「この子だ……」
　言いながら、差し出した蝉丸の手には小さな女の子が抱かれていた。
　顔は青ざめ、乾いた呼吸を漏らし、いかにも苦しそうだ。
　もはや久瀬はこの時点で、おおよそ目の前の男が自分に求めていることが予想できた。
「この子は病気だ。一刻も早く病院に連れて行かねば、命が危ない。君が武器を持っているというのならばちょうどいい。手伝ってもらえないだろうか」
（やはりか。いかにも当然だとでも言いたげだな）
　久瀬は内心ため息を漏らし、
（この男、確かにそれなりに使えるだろう。……だがわかる。こいつは僕とは根本的に考えの相容れぬ人間だ。
　どう考えても役立たずの、こんな女の子を連れていることからもそれがわかる。
　なら、答えは一つだ）
「断る」
　
「な……ッ！？」
　蝉丸は目の前の男の言葉が理解できないという様子で、
「お前は何を言っているんだ。目の前に瀕死の子供がいるんだぞ？　それを見捨てるとでも言うのか？」
「別に見捨てるなんて言っていない」
　変わらず銃口を向けながら
「あなたがその子を助ける分には一向にかまわない。僕はそれに干渉する気がさらさらないだけだ。どこへなりといき、助けるがいいだろう」
「恥ずかしくないのか？　目の前の苦しむ女子を、放っておいて！？」
「僕にはあなたが何を言っているのかが理解できないね。その女の子と僕にどんな関係があるんというんだい？　僕にはこれから行かねばならない場所があるんだ。
　あなた方にかかずりあって、無駄な時間を過ごす暇はない。即刻立ち去ってもらう」

778 ：727-729部修正案：03/02/14 07:38 ID:Z9Z8aqT0

　クンッ、と一瞬銃口を森の奥へ向ける。
「…………そうか」
　蝉丸はうなだれる。深く、深くうなだれる。こんな男が……護と大して年も違わないだろうに、こんな男存在することが信じられないという様子で。
「……わかった。ならば仕方がない。しかしせめて、その拳銃を譲ってもらえないだろうか？」
　久瀬のベルトにささったベレッタを指す。
「君にはその突撃銃がある。だが残念ながら俺には今この子を守れるような有効な武器は、ない。頼む。それだけでいい、分けてくれ」
「あなたは理解力に根本的な疾患があるようだね」
　にべもなく、言い切る。
「断る。断じて断るね。僕があなたに武器を与えることで何かメリットはあるのかい？　僕がこの銃をあなたに渡したことで、あるいは未来に弾切れで死んでしまうかもしれない。
　あるいは、この銃を使えない事態が来るかもしれない。……実際、僕はこの銃に助けられたこともある。だのに、僕があなたにこれを与える理由は？
　対価は？　報酬は？　何もない。何もないんだ。これ以上あなたと交わす言葉はない。失礼するよ」
　ライフルをかつぎ直し、久瀬は踵を返した。
　そしてそのまま木々の間へと消えていく。
　……だが、蝉丸はそれを止める。
「待て！　待ってくれ！」
　郁美を担いだまま、久瀬の背中へ駆け寄る。
「ふん」
　久瀬は振り向きざまにベレッタを抜き放ち、銃口を蝉丸の脳天へと定めた。
　蝉丸の足が、止まる。
「最後通告だ。僕はこれ以上僕の考えをわかりやすい言葉にまとめる自信はない。
『あなたの行く道の邪魔はしない。だから、僕の生く道の邪魔をするな』。
『関わらないから、関わるな』。これ以上僕の邪魔をするなら、僕は容赦なく引き金を引くだろう」
「………………………………………………」

779 ：by R.E.D.：03/02/14 07:39 ID:Z9Z8aqT0

　水を打ったような静寂。
　
「………………………………………………」
「………………………………………………」

　ただ、静寂。

「…………………それがお前の生存術（サバイバル）か」
「…………そうだ」

　静寂のみが空間を支配する。

「………………………………………………」
「………………………………………………」

　そして。

「………………………………………だがな」

　ぱん

　血だまりに倒れる蝉丸と郁美。２人を尻目に、久瀬は呟く。
「なぜだ。なぜみんなこんな簡単な理屈がわからないんだ」

【久瀬　立ち去る】
【蝉丸　負傷】

780 ：名無しさんだよもん：03/02/14 07:41 ID:Z9Z8aqT0

「人とは」に矛盾が出ないように修正案をトウカしてみるテスト。

さて……

781 ：名無しさんだよもん：03/02/14 10:51 ID:eHXnbo9u

蝉丸関係の部分の矛盾はなくなった（？）みたいなんで、それはそれでいいとは思うが……。

ぶっちゃけた話（以下は個人的な主観）
「祐一たちや光岡を助けたのは、あくまで自分のためである」というのは、前回までは『自分を納得させるための嘘』の要素もあったんじゃなかいかと思うんだよ。
傷ついた仲間を助けるなんて自分の理屈に合わない、しかし助けてしまう自分がいる。しかしそうだ、それはそうきっと、あくまで自分のためにすぎないんだ、だから自分は変わってなんかいないんだ。
……みたいな。ありがちだけど。
それが、今回の話で、本当に自分のためだけに人を助けてきていたことになっているのが、個人的には悲しかった。

……とはいってもこればかりは俺の想像の域を越えてないので、ひとそれぞれなのかもしれないが。

782 ：名無しさんだよもん：03/02/14 11:28 ID:nd7DAqhb

結局発砲させるのね

783 ：名無しさんだよもん：03/02/14 12:02 ID:rYKW25K9

書き手が書いたものがこの世界の真実だ。
もうこれが現実と諦めるしかなかろう。

784 ：名無しさんだよもん：03/02/14 12:07 ID:5abvhjkm

強いて感想を書くならば。
フォローとして書かれた話とのつながりを気にして修正するなら、一からフォローいらないように書き直して欲しい気もする。
ってところでした。

785 ：名無しさんだよもん：03/02/14 12:10 ID:nd7DAqhb

つーかフォロー無いように書いてくれればフォロー書いてくれた人も
アナザー逝きになっても文句は無いと思うんだが。
俺の勝手な想像かもしれないが。
書いてくれた人の意見聞きたい。

786 ：名無しさんだよもん：03/02/14 12:23 ID:pZyVooUF

自分が考えた話の展開の為にキャラを動かす、これ嫌われる話の典型アルヨ

787 ：名無しさんだよもん：03/02/15 00:55 ID:Dv8hIxcd

スタロワ再燃によりこちらが一時停止のｷｹｰﾝ

788 ：名無しさんだよもん：03/02/15 00:56 ID:Dv8hIxcd

コテロワの間違いか・・・

789 ：名無しさんだよもん：03/02/15 01:07 ID:8SC+8NEg

んまあお前らおちけつ。
RTO氏も譲歩したことだし、今後の書き手しだいでどうにでも転ぶようにはなったじゃないか。
これでよしとしてもいいと思うが。
大体今の状況じゃ読み手が何に期待しているのか分からんぞ。

790 ：789：03/02/15 01:09 ID:8SC+8NEg

・・・・・・すまん、間違えた。
RTO氏じゃなくてR.E.D.氏だったな。
R.E.D.氏にはマジですまん。読み手失格として吊って来る・・・

791 ：名無しさんだよもん：03/02/15 02:14 ID:ZglfRowI

「修正」されても結局久瀬に脳みそ吹っ飛ばされる蝉丸萌えｗ

792 ：路線変更・１：03/02/15 03:50 ID:+EwRLXeP

「スタッフ……この島の人間かよ？」
　北川の言葉に知らず棘が篭った。
　言われた目の前の男が明らかに罪悪感に満ちた表情をした事が、それになおさら拍車をかける。
「……そうだ」
　目の前の目覚めた男――光岡悟はただ短くそう答えた。

　現在の状況は、まずは自己紹介でも、と相手の出自を尋ねた折りに出たスタッフという言葉に、北川が自分でも過剰だと思う反応をしたのが始まりだった。

「アンタ達のせいでこんな事になっちまったんだろ？
　どう落とし前つけてくれるんだよッ……！？」
　北川の中の冷静な部分は、彼に当たっても栓の無い事だとは理解している。
　だが、今まで溜め込んできた行き場の無い不安が、捌け口を見つけて暴走してしまっているのだ。
　そうと自覚しつつも怒りは収まらない。
　もし、相手が無様な言い訳でも始めたら殴りつけてしまうかもしれなかった。
「……きっと、君が思っている以上にオレはこの島の惨事に深く関わっていると思う」
　しかし、北川の予想に反して、光岡の口から漏れたのは懺悔のような言葉だった。
「恐らく君達招待客には、その銃を俺に向かって撃つ権利もあるのだろう」
　光岡は相手の肩に担がれたＳＰＡＳを見ながら独白を続ける。
「だが、俺は自分が関わってしまった事の責任を最後まで取らなければならない。
　だから、それが終わるまでは待っていて欲しい」
　そう言って、光岡は真っ直ぐに北川を見据えた。
　それに対して、北川は無言で光岡の目を見る。
　見ると言うよりは、睨むと言った方が良いかもしれない。
　だが、相手の目の中には最初の悔いるような色だけでなく、固い決意が見て取れた。
　長い事二人は見詰め合っていたが、やがて北川が目を逸らし
「わかった……」
　とだけ言った。

793 ：路線変更・２：03/02/15 03:50 ID:+EwRLXeP

「すまないな。全てが終わったら好きなように裁いてくれて構わない」
　それでも光岡の言葉はあくまで真摯だった。
「ああ、そうさせてもらうさ。
　……それで、その、悪かったな。
　昨日から無茶苦茶な事が続いて気が立っていたみたいだ」
　そう言って、北川は軽く頭を下げた。

「それで、オッサンはこれからどうするつもりなんだ？」
　そして、重苦しくなった空気を払拭しようと必要以上に明るい声で問いかけた。
　それに、いい加減この右も左もわからない状況を脱出したいというのもある。
　何しろ相手はスタッフだ。自分より的確な判断をしてくれるに違いない。

　一方、聞かれた方の光岡の頭にはいくつもの懸念がよぎる。
　――まだ見ぬ招待客の保護。
　――目の前の少年。
　――散り散りになってしまった浩平たちの事。
　――先ほどの恐ろしい『狩猟者』。
　――事件の元凶たる超先生。
　気を失う前までは山のようにある事象の中から、するべき事を見出せていた。
　しかし、現在に到って事態は彼の当初の見通しとは余りにかけ離れてしまっている。
　そこで再び自分の進むべき道を見定めるべく、光岡は目を瞑り熟考に浸り始めた。

「……おーい、オッサン？　なあ、大丈夫なのか？」
　長く、北川が不審に思い始めるほど長く黙考した後、光岡は目を見開いて言った。
「超先生を倒す。それに賭けるしかあるまい」

794 ：路線変更・３：03/02/15 03:51 ID:+EwRLXeP

　口にこそ出さないが、今まで行動を共にした浩平達の事が気にならないと言えば嘘になる。
　だが、『狩猟者』との戦いの後では、自分が居た所でアレから誰かを守ることなど出来はしないという思いは拭えない。
　それどころか、あんなモノが何匹も何十匹も野に放たれてしまえば、この島の人間は比喩抜きに一人残らず殺されてしまうだろう。
　ならば、そうならぬように一刻も早く大元である超先生、そして現存する『狩猟者』を始末する事が今となっては他の何よりも重要だ、と光岡は考えた。
　例え命を賭ける事になっても、どんな卑怯な手段を使おうともだ。

「じゃあ、オレもそれに乗るわ」
　が、その悲壮な決意を知ってか知らずか、北川はヘラヘラと彼本来の顔で笑いながら言ってきた。
　その突然の申し出に、意外と言った表情と無言で答える光岡。
　流石にマズイと思ったのか、多少真面目な顔をして北川は続ける。
「いやさ、責任を取るって大見得切った以上はさ、それがオッサンに出来るベストなんだろ？
　じゃあ、それはオレにとってもベターなんだよ。
　少なくとも何の目的も持たずに島中をウロウロしてるよりは、ずっとな」
　そんでもってそれは結果的に美坂や相沢達を助ける事になるだろうから、と心の中で付け加える。
　だが、光岡はそれに難色を示した。
「……止めておけ。
　今までは余計な不安を与えないように黙っていたが、この島にはとてつもない化物がいる。
　俺と共に来るというなら、確実にそれと戦う事になるだろう。
　悪いが他人をかばう余裕などはない。下手をしたら死ぬかもしれないんだぞ」
「それを聞いたらには、なおさら放っておくわけにはいかなくなったな。
　アンタには最後まで死んでもらうわけにはいかないからな。余計に助けが必要じゃないか」
　そう言い合って、二人は再び向き合った。
　しかし、北川も今度は１歩も引かない。
　些かふざけたような表情こそしているが、目は真剣だ。
　先程の再現のように長く視線を交わす二人。
　しばらくして、根負けしたように光岡がフッと笑って軽く目を閉じる。そうして
「好きにしろ」
　とだけ言った。

795 ：路線変更・４：03/02/15 03:52 ID:+EwRLXeP

「おお、話がわかるね。
　んで、具体的にはどうするんだ？」
　嬉しそうに笑いながら、気安く光岡の肩をバシバシ叩く。
　少し前まで気まずい雰囲気だった男とこうも親しげに会話が出来るのは、ようやく道が見えてきたという事もあるだろうが、それ以上に北川潤という人間の一種の才能なのかもしれない。
　心中でそれに感謝しながらも光岡は答えを返す。
「そうだな、まずは犬飼……ある男の研究所に向かう」
　分かっているのか、北川はフンフンと相づちを打っている。
「そいつは本社においては超先生より上役で、有体に言ってしまえばそれほど仲が良くなかった。
　つまり、この島の関係者の中でもそれなりに独立色が強い存在で、その施設は超先生も完全には管理しきれていない可能性が高い」
「って事は？」
　中々結論を出さない光岡に焦れたように北川が先を促した。
「超先生に繋がる何かが残っている」
「おお！」
「……かもしれないな」
「かもかよ！？」
　期待を裏切る落ちに突っ込みをいれる。物理的にも。
「なに、そっちはついでだ。そいつの研究所にはな……」
　光岡もじゃれつくような北川の突っ込みを飄々と受け流す。
　そして声を重苦しく落として続けた。
「毒がある。それも、とびきり強力なヤツがな」

　六七式。
　旧軍部が強化兵の反乱に備え用意していた細菌兵器。
　血液中の仙命樹を食い荒らしながら増殖し、やがては宿主を死に到らしめる猛毒。
　犬飼はいざという時の保身の為か、それとも他に何か考えがあるのか、その存在を超先生どころか本社にさえも秘匿していた。
　あれならば『狩猟者』さえも、いや逆にこの島で産みだされた『狩猟者』だからこそ確実に倒せるはずだ。
　その事を思いだしながら、光岡は薄い笑みを浮かべた。

【光岡・北川……犬飼の私設研究所へと向かう】
【最終目標は超先生・狩猟者の撃破に変更】

796 ：路線変更・５：03/02/15 03:53 ID:+EwRLXeP

　

ＰＳ.

「……時に少年」
「あ、まだ言ってなかったか、北川潤だ。んで、何だい？」
「ああ、俺は光岡悟。改めてよろしくな。
　で、麒……俺の持っていた日本刀を知らないか？」
「日本刀？　うーん……　あ、あれか！」
「知っているのか！？」
「……久瀬と一緒に川に落ちた」
「…………」
「そ、そんなムンクの叫びみたいな顔するなよ……」

【光岡悟……跋扈の剣をなくして戦力激減ｗ】

797 ：Liberate：03/02/15 19:10 ID:ZJy6WWSM

　突如として目の前に現れた女。
　血走った目。憤怒に歪む顔。体に巻き付けられた白い布。申し訳程度に体にまとわりつく白衣。
　鈍い光沢を放つメス。血塗られた腕。噴き出す殺気。まともな人間でないことだけは確かだった。
　身構え、警戒する岩切らとは対照的に、その女はおもむろに一言だけ問いかけてきた。
「……佐藤雅史という男を知らないか」

「………………」
　すばるが不安げな視線を岩切に送る。岩切は視線を返すことでそれに答えると、もう一度聖を見据えた。
「知らんな」
「そうか」
　岩切の一言を聞くと、聖は踵を返して再度森の奥へと消えようとする。
「待て」
　しかし岩切は呼び止める。
「……なんだ」
「お前、そいつを見つけてどうするつもりだ」
「殺す」
「…………っ！」
　すばるが息をのむ。
「ほぅ……やはりか」
「『やはり』、だと？」
　フフン、と唇を歪ませながら岩切は、
「キサマの体からは死臭が漂っている。私には馴染み深い香りだ。間違えるはずがない。……キサマ、既に何人か殺しているな？」
「………ふむ、なかなか鋭いな。だがそれがどうしたというんだ？　君たちには関係のないことだろう」
「大ありだな。数多の化け物が闊歩するこの魔島、何があったのかは知らんが今は人間同士で争っている場合ではないだろう？」
　対する聖もニヤリと唇を歪ませ、
「成程成程、君の言うことは至極当然、全く持って正しい。正しい。正論だね。疑問を挟む余地はないよ。
　確かに確かに、冷静な観点から鑑みてみれば今私の成している行為は愚か極まりない行為なのだろう。愚行なのだろう。
　本来ならばあんな男は放っておいて、誰かと協力でもして脱出手段を講じることが最善の行動なのだろう」
「ほぅ、わかってはいるようだな？　ならばなぜお前はその男を狙う」
「復讐さ」

798 ：Liberate：03/02/15 19:13 ID:ZJy6WWSM

「成程復讐か。何ともはや単純かつわかりやすい理由だな。そしてあまりにも馬鹿げた理由だな」
「あはははは、馬鹿げた理由か。だからそんなことは私にもわかっているのだよ。だがね、君にはわかるまい。
　愛する者を奪われた悲しみを。衝撃を。怒りを。あの男は、己の身可愛さに私の妹を見捨てたのだ。……たった一人。
　たった一人の私の家族だった。私の全てだった。私の命だった。いや、それ以上だったのだよ佳乃は！！！！」
「…………で、死んだのか。そのお前の妹やらは」
「あの男は我が身可愛さに逃げた。スポーツをやっているのだか何だかはしらないが逃げ足だけは早かった。
　そして、佳乃は襲われた。化け物に襲われた。佳乃は……佳乃は、今、たった今見捨てられたにも関わらず、己の身を挺して友人を助けた。
　嗚呼せめて佳乃も逃げてくれればよかったのに、あの子にそんなことは出来なかった。あの子はいい子だからな、自分だけ逃げることなどできなかった。
　そして……落ちた。川に、落ちた。高い高い崖の上から、落ちた。落ちた。早い早い川の流れに、飲み込まれた。
　水の苦手なあの子。重傷を負ったあの子。あの子が、落ちた。……雅史だ。
　雅史が悪いんだ！　あの男が！　私の妹を！　佳乃を！　佳乃を見捨てたからだ！！！！！」
『その時』の情景を思い出したのか、独白のように聖は激昂していた。
　初めて目にする生の『狂気』の前にすばるは立ちすくんでいたが、岩切はやはり変わらぬ冷静な口調で
「やはり大馬鹿だな。キサマは」
「なんだと！？」
「目の前でお前の妹が八つに引き裂かれたのならともかく、川に落ちただけで死んだと決めつけるとは何事だ。
　お前の方が遙かに妹に対して失礼だ。勝手に殺してるのだからな。
　探せ。探してみろ。這い蹲って、土を掻いて、岩を囓ってでも探してみろ」
「は！　は！　なんとも安っぽい気休めだな！」
「お前は医者だろう？　医者が容易く命を諦めてどうするというんだ」
「！！！！」
　ギラァッ、と聖の瞳の色が変わる。
「ボロボロだがその白衣、血糊にまみれているがそのメスを見れば子供でもわかる。お前は医者だろう。
　医者がそんな簡単に人間の命を諦めてどうするというんだ。お前も医術を扱う者なら、最後まであがいてみろ」

799 ：Liberate：03/02/15 19:14 ID:ZJy6WWSM

「だが……だがなァッ！！！！」
「……なんだ」
「……あの流れで、佳乃が生きているとでも思うのか？」
　その表情は泣きそうだった。
「お前は何か勘違いしているようだな。水とはそんなに恐ろしいものでもない。水は私の友人だ。だからわかる。
　考えてみろ。お前の妹は崖から落ちたと言った。『もし、そこに水が無かったら？』、『もし、そこが岩場だったら？』
　……死んでいただろう。間違いなく死んでいただろう。こうは考えれないのか？
『川があったのは、幸運だった』と。水のおかげで、お前の妹の命はつなぎ止められたのだ、と」
「しかし……嗚呼、あああ、しかしッ！」
「一番弱いのはお前だよ。佐藤雅史とやらでもなければ、お前の妹でもない。お前は妹より弱いのだ。
　お前はただ恐れているだけだ。この島の異常事態を恐れているだけだ。追いつめられたお前の精神がわかりやすい『復讐』などに
　逃げ道を求めているだけだ。探せ。探してみろ。立ち向かってみろ。自分の妹を捜してみろ。己の弱さに立ち向かってみろ」
「うるさい……うるさいッ！　うるさぁぁぁぁぁぁいッ！！！！！！！　黙れ黙れッ！　黙らないかッ！
　ならば私はどうしたらいいんだッ！　佳乃を探して、佳乃の……佳乃の亡骸を見つけてしまったらッ！　どうすればいいんだ！」
「弔ってやれ。本来は坊主の仕事だが、医者でも問題なかろう。……お前の妹もそれを望むだろうしな。
　そして……もし、もしそうなっていたら……佐藤雅史という男への粛正、私も手伝おう。ただし、この島を脱してからだが……な」
「うるさいッ！　うるさいっ！　佳乃が死んでいるだと！？　何を言うんだキサマはッ！？
　佳乃は生きている！　生きているんだ！　あの子は……生きているんだッ！　キサマなどが……勝手に殺すなッ！」
　聖は激情にかられ、メスを振りかぶって岩切に襲いかかる。

800 ：buy R.E.D.：03/02/15 19:15 ID:ZJy6WWSM

「言ったな！　今言ったな！　確かにキサマは言ったな！　『妹は生きている』と！
　ならば……ならば！　探してみろ！　見つけてみろ！　己を克服して見せろ！！！！！」
「岩切さん！！！！」
「心配するなすばる！　……おおおおおおおおおッッッッッッ！！！！！！！！」

　岩切は短刀は使わず、限界まで握り固めた拳を繰り出した。
　足と腰と肩の回転の力が限界まで乗った強烈な右フックが、カウンターの形で聖の面に決まる。

「が……ッ！！！！！」
　血反吐と折れた奥歯をまき散らしながら、盛大に回転して大木へと打ち付けられる。

　木の足下に崩れる聖を見下ろし、一言。
　
「お前が探すべきは復讐相手ではない。妹だ」

【聖　いいのを一発もらう】

801 ：名無しさんだよもん：03/02/15 20:33 ID:nPeonDDv

＞【聖　いいのを一発もらう】
すげぇ最高の表現ですw

802 ：名無しさんだよもん：03/02/15 23:34 ID:EHMZ3lQZ

岩切に惚れてもいいですか？（ｗ

803 ：名無しさんだよもん：03/02/15 23:38 ID:K5Yv8ICt

ここの所強化兵連中の登場が続くが蝉丸以外はいかしてるなぁｗ

804 ：名無しさんだよもん：03/02/16 00:06 ID:ISkwWZKK

668 ：名無しさんだよもん：03/02/15 23:17 ID:xH1mniEb
鯖………正論だけど面白味が無い。
その矛盾には誰もが気付いてたが、敢えて目をつぶって狂気を演じさせていたのに。
あと二人の口調が何か変。
物語を面白くする為に説教をするのではなく、説教をしたいから話を書いたようにしか思えない。
別にいいけど。

>>667
その辺りの描写は、それこそ受け取る側次第なんだけどね。
ちょうど、シャツのボタンを一つずつ掛け間違えたような、居心地の悪さだった。
蝉丸にしろ久瀬にしろ、行動に必然性が無いというか、敢えて“ヘタレを演じさせられている”ような違和感があった。

805 ：名無しさんだよもん：03/02/16 00:23 ID:Eke+v/0t

>>804
そんなにマーダー聖が惜しかったのかｗ

806 ：名無しさんだよもん：03/02/16 01:04 ID:3mM/+Cpy

いまだにハカロワ気分が抜けんのであろう。
正直聖がトチ狂ったまま行動する方が面白くなったとは思えない。
んな展開こちとらうんざりしとるんじゃ。
ついでに口調が変とも思えないし二人がヘタレてるとも思えない。
不満があるならコピペじゃ無く自分の口で語れやと思うが大きなお世話であろうな。

807 ：名無しさんだよもん：03/02/16 01:22 ID:v2qlTbEI

聖はともかく久瀬は唐突すぎいて嫌だったね。

808 ：名無しさんだよもん：03/02/16 01:31 ID:BvIcsABM

state

809 ：名無しさんだよもん：03/02/16 02:48 ID:KKX29yk0

俺としては聖んは、佳乃が川に落ちたのなら川をせき止めたり、干上がらせたりしてでも探しそうなイメージがあったなぁ。

810 ：名無しさんだよもん：03/02/16 03:34 ID:3skioWFj

>>809
なんとなく同意ｗ

というか即座に助けに飛び込んだんじゃなかろうか。

811 ：名無しさんだよもん：03/02/17 23:55 ID:kIFvZt5m

保全。

聖か。漏れはまああれでもいいかなと。

812 ：名無しさんだよもん：03/02/18 04:55 ID:+rSWKr9a

いいんじゃない？
聖は実は弱い（精神的に脆い）キャラって描写も好きだし、
それでも結局佳乃が生きている事にすがってしまうひじりん萌え。

久瀬の話は正直萎えまくったが、こっちは燃えました。

813 ：名無しさんだよもん：03/02/18 11:32 ID:BvoMTetG

しかし赤氏は上下の波が無茶苦茶激しいな。

814 ：Tattered & Torn：03/02/18 19:21 ID:kGJFwcry

「水です！　そいつの弱点は……水！　液体です！！」
　マナに右肩を縛ってもらいながら、楓が瑠璃子に向かって叫ぶ。
「お水！？」
　巧みにトリケラトプスを操作しながら、瑠璃子は実験体を牽制している。
　しかし実験体も体の一角を溶かされたとはいえ未だ戦闘意欲は失っておらず、苦しげなうめき声を上げながら瑠璃子と相対する。
　体重差では恐竜であるトリケラトプスの方が有利であるが、それに乗っている瑠璃子は剥き出しだ。迂闊には攻めれない。
「そいつに真正面からぶつかる必要はありません！　水を、ひとすくいでいいんです！　水をかければ消滅します！」
　楓は考える。先ほどの実験体の反応。自分の体から血だけでもあれだけのダメージを受けている。
　これなら、ほんの少しでも水をかければ……おそらく。
「そんなこと言われても……」
　瑠璃子は困惑する。水とは言われてもここは実験場。手近なところに水道など見あたらない。
　その上今自分はあまり余裕がある状況とも言えず、のんびりと水を探している余裕はない。
「はぁ……どうすればいいんだ……って、こうするしかないよね」
　マナは腹を決める。楓の肩は自分の上着で縛り、一応の止血は済んだ。
　楓の体質ならば命に関わるほどのものではないだろう。しかし負傷は負傷。しかも血も相当量流れ出していた。
　瑠璃子は戦闘中。楓は負傷中。自分は特にやること無し。
「……水だね？　水を探してくればいいんだね！」
　己へ確認するように楓に叫び、マナは施設の奥へと……
「待ってくださいマナさん！」
　駆けだしたマナの足を、楓は捕まえた。
「へっ！？」
　バランスを失ったマナは、べちっ顔から床へと派手に突っ込む。
　
「つつつ……何するの楓ちゃん……」
「す、すみません……しかし」
　楓は天井を指さす。
「どうやらこの部屋にはスプリンクラーが設置されているようです。どうにかしてあれを作動できれば……」
「うーん、そんなこと言われても……」
　天井に設置されてるものを何とかしてくれと言われても、マナとしてはどうすればいいんだとしか返せない。
　ただでさえ同年代の少女らより体が小さいマナ。というか問題はそれ以前だ。生身で天井に手が届こうはずがない。

815 ：Tattered & Torn：03/02/18 19:22 ID:kGJFwcry

『オオオオオ……！！！』
　その時、２人の背後から悲痛な鳴き声が聞こえた。
　振り返ってみれば、トリケラトプスが実験体の血を浴び、額から白煙を上げている。
「し、しっかりして！」
　瑠璃子は必死に電波を送っている様子だが、すっかりトリケラトプスは目の前のクリーチャーにおびえてしまっている。
　無理もないかもしれない。体は大きくとも、まだほんの子供なのだから。
　トリケラトプスが引いて開いた道を、実験体がゆっくりと２人に歩み寄っていく。
「クッ……マナさん、後は……頼みますよ」
　楓は未だ血の乾ききっていない右腕をブランと下げたまま、立ち上がった。
　空いている左腕の爪を煌めかせ、実験体の目の前に立ちふさがる。
　その内に秘める感情は歓喜か憤怒か欲情か。あるいは狩猟本能か。
　誰にも窺い知ることは出来ない。だが残り時間も半時を切った実験体は、楓の目の前に立ち止まる。

「落ち着くのよマナ。落ち着きなさい……」
　そんな楓の後ろで、マナは必死に自分をなだめていた。
「まだ道が断たれたわけじゃない。ピンチピンチだと思っていても、必ずどこかに抜け道はあるもの……
　テストでも、受験でも、恋愛でも、諦めたらそこで全てが終わってしまうのだから、諦めさえしなければ、まだどこかにきっと……」
（活路が……）
　マナの目は薄暗い部屋の中を隅々まで見回す。
　そして……
　
　バチッ、バチッ……パチッ……
　
（……あった）

816 ：Tattered & Torn：03/02/18 19:23 ID:kGJFwcry

「行きますよ……この、『化け物』！」
　楓の体から冷気が噴き出す。それは背水の陣だった。もしくは捨て身だった。
　自分がここで倒れようとも、マナと、瑠璃子……仲間だけは必ず助ける。必ず、目の前の化け物は……
　楓としても、柏木の者としても、この身に代えても……倒さなければ、ならない。
「はぁぁぁ……ぁぁぁぁぁぁ…………ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ！！！！！！」
　左腕を一条の閃光とし、実験体の胴体めがけて繰り出す。
　過たず実験体の脇腹を貫き、一瞬遅れて強酸の血が吹き出した。
　返す刃ならぬ返す体（たい）でもう一度爪を繰り出し、続けて肩口をパックリと割る。
　だが……実験体も、やられてばかりではいなかった。
『オオ……オオ……』
　実験体からすれば、自分は大した攻撃行動をとる必要はない。
　自分の体そのものが既に一個の凶器として確立しているのだから。
　……本人がそう考えたとは思えないが、結果的に実験体はそのまま『倒れ込んだ』。自分の肩を通り過ぎた楓に向かい。
「……ッ！！！」
　着地点を狙われた楓はかわすことも出来ず、その肉塊を受け止めた。
　体中から噴き出す強酸が楓の身を焼く。
「が……ああああっっっ！！！　あああああああッッッッッ！！！！！！」
　降り注ぐ液体は楓の頭を、体を、腕を、足を焼き、たちまち部屋の中に嫌な臭いが立ちこめる。
（こ、こ、このまま……で……は……）
　体を蝕む灼熱感と闘いながら、それでも楓は考えていた。
　どうすれば、瑠璃子とマナだけでも助けられるか————————————
　しかし、結果的に楓を助けたのは、やはりその２人だった。
「で……で……で………ッ、ですとろーーーーーーーーーーーーいっ！！！！」

817 ：Tattered & Torn：03/02/18 19:23 ID:kGJFwcry

「ですとろーーーーいっ！！！」
　間の抜けたマナの叫び声。一瞬遅れ、ガシャンと何かがぶつかり合う音が聞こえた。
「ああっ、外したっ！」
「マナちゃん！　もう一回！」
　合わせるような瑠璃子の声も聞こえる。
「うんっ！　ぬぐぐぐ………ぐぐぐぐ………ううううう…………っっっっ！！！！」
　バチバチ、と何かの弾けるような音。ぶちぶち、と何かの引きちぎられる音。
　そして。
「もう一度……ですとろーーーーーーーーーいっっっっ！！！！！」
　ガシャン！！！
「あ……当たった！」
　次の瞬間、
　
　サァァァァァァァァァ…………………
　
　嬉しそうなマナの歓声とともに、たちまち部屋中に雨のごとく水が降り注いだ。
　
「こ、これは………！」
　水を浴びると同時に、たちまち実験体の体は崩れていった。
　恨みの言葉も、断末魔の悲鳴も、死に際の一撃も何もなく、塩を浴びたナメクジのように、波にさらわれる砂の城のように、
　日の出と共に霧散する雲海のように、全く自然に実験体の体は溶け、後に残ったのは……
　楓の体にまとわりつく、ぬめぬめとした粘液だけであった。
　
「楓ちゃん！　大丈夫……ああっ、酷い火傷……」
「マナ……さん……」
　薄れそうになる意識を必死でつなぎ止め、楓は自分を抱きかかえるマナに一つだけ質問をする。
「あなたは……一体、どうやって……」
「へへっ……あれだよ」
　と、少々誇らしげに指をさす。
　そこには、粉々に破壊された上に水をもろに浴び、かなり悲惨な姿となったコンピュータが鎮座していた。
「あれは……私が、壊させた……」

818 ：by R.E.D.：03/02/18 19:25 ID:kGJFwcry

「うん……あれがずっと火花をパチパチ咲かせてたからね。どうにかしてスプリンクラーにぶつけられれば、反応するかなって」
「しかし……どうやって天井まで……」
「それは私と、あの子だよ」
「瑠璃子さん……」
　瑠璃子もトリケラトプスから降り、楓のもとへ近づく。
　あの子、と指をさす方向を見てみれば、額に壊れたコンピューターの基盤を乗せたパキケファロサウルスの姿があった。
「私が、コンピューターの基盤を引っぺがして……」
「あの子が、天井に打ち上げたんだよ」
「火花に反応したのか、それとも衝撃を与えたからか、それはわからないけど……」
「まぁ、いいんじゃないかな。結果的にお水は降ったんだし」
「……そう、ですね……」
　自分の怪我は生半可なものではない。ほとんど身動きが取れない。これからのことを考えるなら決して明るい状況ではないだろう。
　しかし……それでも、それでも楓は、ほんの少し……このささやかな勝利に、感謝—————————
　
『Compulsory Command from Central Control Base......』

　—————————させてもらえる暇は、無さそうだった。
　
【実験体　撃破】
【楓　全身大火傷】
【施設爆破直前】

備考：>>404

819 ：名無しさんだよもん：03/02/18 23:31 ID:KN8LAWwo

うおっ、前回の話で戦略的撤退を決めたのかと思ってたら蹴り付けてるｗ

820 ：Good　Night：03/02/19 03:58 ID:jf/XETMs

　目の前で、男がのたうっている。
　無理もない、こんなに電波を発しているのは、あの夜の生徒会室以来の出来事なのだから。
　これに耐えられるのは……多分電波キャリアくらいのものではないだろうか。

―――さっき確かに扉を開いた。閉じることのない狂気の扉。
　それなのに、こんなに落ち着いていられるのは何故だろう。
　それとも、死の際で落ち着いている、そのこと自体が狂っているといえるのだろうか。

　男が、何事か叫ぶとこちらに駆け寄ってくる。
　多分その叫びは言葉にはなっていなかったのだろうが、とにかく男は叫ぶと、僕の左胸のナイフを抜いた。
　抜かれた傷口からさあ、と血が流れ出す。
　いい具合に赤く染まったナイフの先を、僕と男はじっと見詰めている。
　ありがたいことに痛みはまったく感じない。別に痺れているとか、麻痺しているというわけではないと思うのだが。

―――今になって振り返ってみると、僕の人生というのはなかなかに楽しかったんじゃないか、そんなことさえ思えてくる。
　それは、沙織ちゃんと出会ってからのこの半年間ばかりのことではなく。
　来る日も来る日もノートとシャーペンと僕の世界に引きこもっていた日々さえもが、とても楽しくて、幸せだったように思えてくる。
　それは、誰のおかげでもあって、誰のおかげでもなかった。

821 ：Good　Night：03/02/19 03:59 ID:jf/XETMs

　男は、そのナイフで自らの首を掻き切った。
　切れたホースか、暴走したスプリンクラーと見紛うくらいの血が、僕や壁のみならず天井までも、赤く生臭く染め上げた。

―――振り返る時間の一つ一つがあまりにも幸せなものだから、ついつい口元が緩んでしまう。
　さっきまでの狂気に満ちた、下卑た笑いなどではなく、きっと普通に、無邪気な笑いを浮かべていることだろう、僕の顔は。
　ちょうどそこには、これまでのどたばたで砕けた窓ガラスが散乱している。映った僕の顔を、覗き込んでみるのも良いかもしれない。

倒れこんだ男はしばらくの間、ぱっくりとあいた喉もとから血と空気を漏れさせていた。
それから暫くあとに空気が止まり、血の噴出も控えめになったがぴくぴくとした痙攣はまだ治まりそうにない。

―――ほらね。やっぱり、笑っている。
　僕の血と男の返り血で鏡に映る僕は地のかかっていないところを見つけるのが難しいくらい真っ赤だったけれど、そこには
　僕自身今まで見たことがないくらいに、笑っている僕がいた。

　それと、肩の上の妖精も。
「ああ……おまえ、いたのか」
　そこいらのモンスターなどとは精神構造が違うのか、未だに吹き荒れている電波もこの妖精……ピッケにはさしたる効果の現われはないようだった。
　よっぽどこの光景が不思議なのか、涙を目にためながら、それでもきょとんとこちらを見ている。
　そんなピッケを振り落とさないように、僕はそっと腰を下ろした。
　ふう、と息を一つつく。さすがに呼吸が苦しくなってきた。

822 ：Good　Night：03/02/19 03:59 ID:jf/XETMs

　そのまま、ごろんと横になる。
「……ふふふ」
　また、口から笑いが漏れる。走馬灯というのがこんなに楽しいとは知らなかった。
　この島に来てからも……そう、楽しかった。色々な事がおきて……仲間が、友達が出来た。
　……浩之たちはうまく逃げてくれただろうか。ひょっとしたらそう遠くないところで電波が収まるのを待っているかもしれない。
　先に行っててくれ、という言葉を彼はどう受け止めただろう。僕が死ぬことを、彼らは少しでも悲しんでくれるだろうか。

「……痛い、痛いよピッケ」
　さっきからちっとも意識が遠くならないのは、この小さな妖精が一役買っているからだ……と信じたい。
　僕の顔の上を走り回り、頬をつねったり、髪の毛を引っ張ったり、鼻を笛で叩いてみたり。
「ちょっと、疲れたんだよ……眠らせてよ、五分で良いんだ」
　やっぱりというか、当然というか、そんな言葉に耳を貸してはくれないわけだが。

　そんな状況だからか、僕は近づいてくる人影にはまったく気づいていなかった。
　気づいたのは、僕の顔をその人影が覆ってからだ。
　それは、絶対に見間違えることのないシルエットだ。

「泣かないでよ、沙織ちゃん」
　右手で、彼女の頬を拭ってみる。やっぱり、奇妙なくらいキビキビと動く。
「楽しかったんだ。僕は沙織ちゃんといられて、とても幸せだったんだ」
　ありがとう。それだけ言って、僕は目を閉じる。伝えるべきことは伝えた。これ以上、何を望むことがあるだろう。

「……結局、あたしは祐くんに何もしてあげられなかったね」
　沙織ちゃんが呟いた。
「いいんだ。それで僕は、楽しかったから」
　僕が、毎日に色を見出すことが出来たのは、瑠璃子さんや君に出会えたからだから。
「それよりも、ごめんね。昨夜の約束、いきなり破ることになっちゃって」
　守りきれなくて、ごめんね。
「ううん……いいんだ、祐くん。もう、いいんだよ」

823 ：Good　Night：03/02/19 04:00 ID:jf/XETMs

　こんな時なのに、胸が詰まって何も言えない。
　もっと、もっといいたいことはあるはずなのに。
　最後まで自分を守ってくれた恋人に対して、自分は何が出来るだろう。
　それとも、このまま静かに眠らせてあげることが彼の望みだろうか。
　彼と同じように、目を閉じる。涙が零れ落ちないように。

　ちゅっ、と、唇が重なった。
結局、できるのはいつもと同じこと。
「おやすみ、祐くん」
「うん、おやすみ沙織ちゃん」
体を重ねたとき、二人で眠るとき、いつも交わしてきた言葉。

これまでに幾度交わしたか分からない、寝る前のいつもの挨拶を交わしてから、長瀬祐介の意識はゆっくりと世界から切り離されていった。

【天界の男、自傷による出血多量で死亡】
【長瀬祐介、ブラックアウト】

824 ：名無しさんだよもん：03/02/20 00:42 ID:4n1u2hl6

age

825 ：名無しさんだよもん：03/02/20 02:02 ID:VEVab7M1

楓も祐介もｷｹｰﾝ

826 ：名無しさんだよもん：03/02/20 02:33 ID:yfzICw+X

しかし祐介あれだけ強力な電波放ってたから月島兄妹にも影響でそうだな。

はっ、月島兄ってあの緒方英二組だっけ？

827 ：名無しさんだよもん：03/02/20 02:41 ID:MblwOKCh

これだけ時間軸ばらばらじゃ、他のチームに対する影響なんて考えるだけ無駄かと思われ。

828 ：名無しさんだよもん：03/02/20 22:31 ID:JSgzp/A/

保守

829 ：迫る影：03/02/21 02:45 ID:Nyn3r47g

　高台の屋敷の奥。それが彼―――吸血鬼シュベストに割り当てられた住処だった。
　彼は今、極上の酒を手中に収めたところである。

　担いでいるものを、純白のベッドに横たわらせる。尤もこれは誰かの睡眠のために用意されているわけではなく、つまるところ食卓である。
　ここに獲物を横たえて、その珠肌、息遣い、顔のラインの一つ一つに酔いしれながらゆっくりと血をすすることが、彼の至上の楽しみだった。
　そして食事を終えた後、ゆっくりと特別誂えの棺桶に向かい、次の夜まで緩やかな睡眠をとるのである。
　それが彼の―――高貴なる吸血鬼シュベストの、千年以上前から繰り返されている日常だった。

　惜しむらくは、それも含めて彼のすべて、いでたち、性格、記憶に至るまでがすべて、この島の研究者による創作だったということだろう。

「……ぬ……ゥ……ッ!?」
　だから彼には、自分の体の異変には気づいても、その原因にまで考えを巡らせる事が出来ない。
　彼の「食事」が彼自身に危害を及ぼすことなど、彼の知識にはないからである。
　だが彼の細胞……造られた物とはいえ、彼の吸血鬼としての本能は、その原因が何であるかかすかながら悟っていた。

830 ：迫る影：03/02/21 02:46 ID:Nyn3r47g

　ひとしきり作業を終えた智子と茜、その他診療所にいるおよそ全員が、とりあえずの安堵の表情を浮かべていた。
「ワクチンっても注射とかするわけやないんやな」
「ええ。私のようなバイトでも扱えるようにと、皮下注射などを要する薬類は極力必要ないようにしてあったようです」
　ベッドとソファに分かれて、それぞれあゆと瑞穂が寝息を立てている。
　―――診療所に帰った茜は、待機していた智子やきよみ、良祐などと協力して驚異的な速さでワクチンを作り上げ、
　つい5分ほど前に出来上がったワクチンを二人に与え終えたところであった。
「……」
　良祐の顔は冴えない。それは、茜の口から聞かされた彼の妹……晴香の死が原因であることは、誰の目にも明らかだった。
「……すみません」
　茜がわびる。良祐は首を振った。
「いや、君が謝る事はないさ……晴香は自分の意思で薬を取りについていったんだからね……とはいえ」
　言いながら、良祐は立ち上がると奥の病室に向かって歩いていく。
「やっぱり……思うところがあるものでね……悪いが、少し一人にしておいてくれないかい？　食事はいいから。
　それと矢島君たちが帰ってきたら呼んでくれるとありがたい」
「わかりました」
　頼むよ、と言って良祐はドアを閉めた。そのドアに耳を近づければ少なからず嗚咽なり聞こえたかもしれないが、そんな悪趣味はこの中の人間は持ち合わせていなかった。
「まだ安心できるわけではないんですね」
「ワクチンが効き始めるのがいつか……もっとも既に効き目は現れているのかもしれませんが……それに副作用があるかもしれません」
「……」
　智子は二人の顔を覗き込む。瞼をめくって目の色を確認してみようかとも思ったが、今そんなことをしてみたところで白目が除くだけだろうと思いたち、やめた。
　無意識に、皆ドアのほうを見つめていた。そう、待っているのだ。

　今も研究所の中で、自分たちの考えの及ばない不幸に見舞われているであろう少年と、友人思いの少女のことを。

831 ：迫る影：03/02/21 02:47 ID:Nyn3r47g

　体が熱い。十字架に触れたとき、銀の弾で体を貫かれたとき、くいを心臓に打ち込まれたとき。
　そのどれとも違う嫌な感覚。体が3つに分かれて、そのうち二つが焼け崩れていくような。
「……ぐうう！」
　本能的に理解する。原因が昨夜「眷属」となるべく烙印を施した二人の女であること。
　どのような術を施したのか分からないが、そのときに埋め込んだ自分の―――吸血鬼の因子に何かが起こっていること。
　それが、連鎖的に彼の身に異変を及ぼしているのではないかということ。
「……エクソシストめ……時代が変わっても我の邪魔をするか！」
　彼はその原因を、彼をはじめとした人外の魔物を苦しめる聖職者「エクソシスト」と関連付けた。その推測が正しいのかどうか、これから彼はその目で確かめに行くところだ。
　日の光は今頂点にあるところだが仕方がない。あの施設までの距離なら蝙蝠に姿を変え。なんとかたどり着けるはずだ。
　折角の美酒を目前にして、彼は一つ仕事を片付けなくてはならなくなった。仕方がない。
　彼はマントをはためかせると、一瞬にその姿を巨大な蝙蝠に変え、高台の屋敷を飛び立った。
　あとには、ベッドの上に横たわる葵の姿のみが残された。

【ワクチン効果によりシュベスト本体に異変　シュベストは診療所に向かう】
【ワクチンはあゆ　瑞穂両名に投与済み】

832 ：Interloper：03/02/21 04:39 ID:vReWE3gd

　Whatcha gonna do,Whatcha gonna do？
　
「さあ矢島、お前はどうするんだ？　どうするつもりなんだ？
　体はボロボロ、時間は切迫、ライフラインは一切無し、己の力のみでこの不条理な問題を解かなければならない……！」
　改めて希望の道の前に立ち、絶望の閂を見据える。
　
　Whatcha gonna do,Whatcha gonna do？
　
「ナンバーキーとはまたイカした仕掛けだよな。まるで脱出者を試して楽しんでるみたいだ」
（試して楽しむ？　誰が？　あの超先生とかいう奴がだ！）
「はてさてコードはどこにあるものか。これがゲームか何かならこの近くにヒントが書いてあるんだろうがな」

　Whatcha gonna do,Whatcha gonna do？
　
「さあどうする、さあどうする？
　そもそもこんな大切なコードが人目に付くところに書かれているか？　答えは否だ。
　勘で適当に入力するか？　はっはっは、それで開いたら世の泥棒どもは苦労しないな」
　
　Whatcha gonna do,Whatcha gonna do？
　
『本施設爆破まで残り３分………』
「うれしいな！　死への秒読みが開始されたぜ！　これで覚悟が決まるってか………………？
　クソッタレめ！　ふざけるな！　俺は諦めないぞ！！！！」
　
　Never give up!
　
　ひとしきり盛大に毒づくと、ヒラリと踵を返し、矢島は先ほどの所員室へと舞い戻った。
　そこでは既に香奈子が片っ端の机の引き出しを漁り、扉の解除コードを探している。

833 ：Interloper：03/02/21 04:39 ID:vReWE3gd

「香奈子さん！　コードは！？」
「ダメ！　見つからない！」
「チィッ！！！！」
　矢島もそれに加わる。だが悠長に引き出しを一つ一つ調べるような真似はしない。
　デスクの端に手をかけると、えいやと一気にひっくり返す。
「や、矢島……君？」
「急げ急ぐんだ！　時間が無い！」
　床にまき散らされた書類を手に取り、斜め読みですらない壮絶な速度で目を走らせる。
　数字だ！　数字！　数字の羅列！　それらしい数字の列を────！
　……もし、そのまま書いてなかったら？　暗号化されていたら？　隠されていたら？　別々の場所に書かれていたら？
　いや、そもそも何もメモされていなかったら？　パスコードは、己の頭で覚えるのが常識だろう……？
　そんな疑問が頭をかすめる。
「……知ったことか！」
　コードはある！　ここにある！　絶対に……ある！！！！
　
『施設爆破まで残り１分。カウントダウンを開始します────59,58,57............』
「矢島君！」
「まだだ！　まだ１分ある！　30秒で探して、30秒で脱出すれば助かる！」
「……っ……！」
　香奈子は息を飲む。どうやらこの部屋に詰めていた職員は整理が苦手なようで、床に広がる書類は番号も種類もごちゃ混ぜだ。
　その上、量自体も半端でなく、２人で全力で探したこの２分でも全体の1/3にすら達していない。
『死』……その一文字が、脳裏をかすめる。
　……しかし、その時。
「……これは……！？」
　書類の隙間。今までデスクが鎮座していた床。そこに『切れ目』があった。
「矢島君！　これ！」
　片手で散らばる書類を押しのけながら、矢島の肩を掴んでそちらへ向かせる。
　
『46,45,44.........』

834 ：Interloper：03/02/21 04:40 ID:vReWE3gd

「これは……倉庫？」
　切れ目の中央に揃って括り付けられている取っ手を手に取り、観音開きのそれを開く。
　中には……
「……お酒？」
「……ハッ、どうやらここの奴、よっぽどの不良所員だったみたいだな。大方ここに酒を隠して、上役に隠れてチビチビやってたんだろ」
　半地下になっているその隠し倉庫には、どこかで聞いたことあるような名前から、全く知らない銘柄まで、さまざまなワインが整然と置かれていた。
「ったく、書類もこのくらいキッチリ整頓しやがれ！！」

『30,29,28,27.........』

「や、矢島君何を！？」
　矢島は叫びながら、中に置かれたワインを片っ端から外へ放り投げた。後ろの方で瓶が割れる音がするが、気にしない。
　おそらく霊になっているであろうこれの持ち主が見たら発狂ものの光景だろう。
「ここだ！　きっとここにある！　大抵暗号っていうのはこういう場所に隠されて……」

　なかった。
　
『20,19,18.....』
「ははは……っ……」
　力無く座り込んむ矢島の口から乾いた笑いが漏れる。
「……………………」
　一方香奈子は、そんな矢島の肩に頭を預け、虚ろな瞳で空っぽになった半地下倉庫を見つめていた。
「参った……なぁ、ここまで来てゲームオーバーだなんて……。ゴメンよ香奈子さん、俺、君を守れそうにないよ……」
　言葉の後ろには涙声が混じっていた。人前で、しかも女の子の前で泣くなんて初めてだ。そして、おそらく最後になるのだろう。
「……諦めるの？」
　しかし、香奈子の言葉は意外なものだった。
「え……？」
「……まだ……希望は、あるかもしれない」
「な、何を……？」
　と問いかけた矢島だが、言い終わる前に香奈子に突き飛ばされ、からっぽの倉庫に落とされた。
「つっ……香奈子さん、何を……？」
「……ごめんね、矢島君」

835 ：Interloper：03/02/21 04:42 ID:vReWE3gd

　しかし香奈子は答えず、そのまま扉を閉めた。頭を打ち付けた矢島は狭い倉庫の中で這いつくばるような格好になる。
「か、香奈子さん！？　どういうつもりだ！？」
　壁に反響し、自分の声がくぐもって聞こえる。だが香奈子にも聞こえたようだ。この問いには答えがあった。
「……あなただけでも、助かって……」
「な！？」
　その答えは、矢島の想像を超えるものだった。
　
『11,10,9....』
　
「ど、どういうことだ！！！」
　無理な体勢ながら、四肢を踏ん張って扉を押し開こうとする……が、ビクともしなかった。先ほどまでなら苦もなく開いただろうに。
　何度か試してみる。しかし結果は同じだった。何か……何かが取っ手に引っかけられているか、あるいは上に何か重いものが乗せられているようだ。
「香奈子さん！　どういうことなんだ！？　俺だけ助かる……って！？」
「地下になっている……そこなら、あるいはあなただけでも助かるかもしれない……少なくとも、ここにいるよりかは助かる可能性が高いはず……」
「そ、そんな！？　だったら、君も一緒に……！」
「……そのスペースに２人も入れると思うの？」
「ッ！？」
　自分の状態を確認する。……確かに、この隙間は自分の体に対してすらかなり窮屈で、無理な体勢でなければ体が収まりきらない。
　とても２人で潜むことなど不可能だろう。
「だったら……君が……ッ！！」
　君だけでも生き延びれば……！　と繋ごうとする矢島の言葉。だが、香奈子はそれを遮る。
「もう……もういいの。私は……もういいの。あなたは、私を十分守ってくれたから……」
「そんな……そんなッ！　それじゃあ瑞穂さんはどうなるんだ？　彼女が助かるかもしれないんだぞッ！　会えなくなってもいいのか？」
「いいわけないでしょッ！！！！」
「…………………………」
「けど……けどね、私は……あなたを犠牲にして、誰かの犠牲で助かるのなんて……もう、もう嫌なのよ……
　確かに、私の会いたい人はいる……けど、あなたにも会いたい人がいる……あなたと、あなたを待つ人……その人たちを、犠牲にするなんて……」
「違う！　違うッ！　それは……それは俺だって同じだ！　俺だって、俺だって君を助けたい！」

836 ：Interloper：03/02/21 04:44 ID:vReWE3gd

「いいのよ……もう、いいのよ。……もう、時間もほとんど無い……２人で仲良く死ぬよりは、どちらかだけでも助かった方がいいでしょう……？」
「そんな……」
　反論しようとする。とても納得できようはずがない。
　しかし、矢島はそれ以上言葉を紡げなかった。何と言えばいいのか、言葉が見つからなかった。
「……けど……もし、もし……私を助けたいっていうのなら……私の言葉を……伝えて……ほしい……」
「…………………………」
　彼に残された道は、香奈子の言葉を聞くことしかなかった。
「月島……月島拓也という人に会ったら……伝えてほしい……『大馬鹿野郎！』って……」
「……わかった……」
「そして……そして、瑞穂が……もし、瑞穂が助かったのなら……」
『5秒前』
「『ごめんね』って……」
「ああ……」
『4』
「……そして最後に矢島君、あなたに送る言葉……」
「………………」
『３』
「あなた……ちょっと……ちょっとだけ……」
『２』
「……………カッコ良かった、かも………」
『１』
「……さようなら、矢島君。陳腐な言葉だけど、あなたのことは、忘れない。ずっと、ずっと、永遠に」
『ゼロ』
「香奈子……さ……………………！！！！！」

837 ：by R.E.D.：03/02/21 04:46 ID:vReWE3gd

　無情な機械音による死の宣告と同時に、圧倒的な光と轟音が施設を包んだ。
　衝撃と熱は全てをなぎ払い、そこには香奈子も例外ではなかった。
　自分の体がバラバラになる感覚の中で、香奈子の唇が言葉を紡ぐ。
　聞こえない。誰にも聞こえることなど無いことば。永遠に消え去ることば。だが、確かに彼女は言った。

『ありがとう』

【施設爆発】
【太田香奈子　死亡】
【矢島　隠し倉庫で爆発に巻き込まれる。生死不明】

838 ：名無しさんだよもん：03/02/21 05:07 ID:ONT9Qlqz

「迫る影」は連鎖ダメージってのがちょっと強引な気が。
でも、ただの性格悪げな強敵っつーだけだったシュベストに
被造物の哀れさと滑稽さみたいなイメージが付いてきたのは上手いと思った。
あと、独りで泣いてる（と思われる）良祐が何か好き。

「Interloper」の方は現実的な悲惨さが良いな。
必死に足掻く矢島が燃え。　しかも、結局ダメな所が無性に好きだ。
しかし、わりとあっさり自己犠牲を選ぶ太田さんは
納得いかないとは言わないけど……微妙に納得いかない。
でもまあ、全体的に良い話だと思いました。

839 ：名無しさんだよもん：03/02/21 10:20 ID:wb+S93JD

しかし今まで脱出させる方向に話が展開して、ナンバーキーまで用意したのにそれを無駄にするような話はちょっとと思った。

840 ：大いなる勘違い：03/02/21 13:43 ID:sJaz2Ft0

　空気が湿っぽい。
　ザァァァァ――――――。
　そして、この音は川の流れる音。

「……水」
　そう言って梓は目を覚ました。
「梓、起きたの」
「うん……」
　千鶴の声に反応してそう答える梓。
　意識がはっきりしてくると、体が上下し、足も宙ぶらりだということに気づく。
　どうやら、おぶさっているようだ。
　周りを見ると、さっき耳に聞こえてきた通り、木々に隠れて川が見える。
「千鶴姉がここまで運んできたの？」
「ええ、他に誰がいるってのよ」
　千鶴がそう言うと梓はそっと背中から降りる。
　いつもの調子で答えた千鶴ではあったが、どこか表情に疲れがある。
　自分を背負ってどのくらい歩いていたのかはわからない。だが、疲れを隠しきれない千鶴を見る限り
　きっと相当な距離なのだろう。
（しかも、片腕が無い状態で私を背負って…。なんかまた迷惑かけちゃったみたいだ）
「千鶴姉、ありがとう」
　梓の顔に笑顔が浮かぶ。
「なによ急に、妹を助けるのはあたりまえでしょう」
　梓の笑顔見て安心した千鶴は梓と同じように川原のほうに目をやる。
　木々の間から見える川は日光が水面に反射して眩しかったが、川原の所々に木陰があるのを確認して一息つく。
「木の枝が川原までとどいてる。これなら梓１人でも大丈夫ね」
「？」
　仙命樹によって日光に弱くなった梓に言った千鶴だったが、当の梓は千鶴の言った事を理解できないようすだった。
　千鶴は梓の安否を確認し終わると、さっき見つけた人影の方を見る。その千鶴の行動に梓もつられて目線をやった。

841 ：大いなる勘違い：03/02/21 13:44 ID:sJaz2Ft0

―――十数分前の川原。
　急な川の流れの中で身動きなんかろくにとれなかった。
　しかし、その中で偶然にも石にしがみつくことができたのは幸運としかいいようがない。
「はぁはぁ、やった……助かった！」
　つい、歓喜の声をあげてしまう。
　一時はどうなるかと思った祐一だったが、偶然にも手をのばした先に石があり、
　そのまま体をもっていくことができた。祐一はその状態のまま呼吸を整えると、そこから不安定な体勢を立て直し、
　川から出ようと一気に上体を持ち上げようとした。
　しかし、何か足につかまって、上体を持ち上げることはできなかった。
（なんだ。なにが起こったんだ。誰かが俺の足を引っ張っているようだが、一体誰が？）
　その時、祐一の頭に一人の男が思い浮かんだ。
「そうか、落ちたのは俺一人じゃなかった……。久瀬か？久瀬だろ」
　久瀬かどうかを確認するため祐一はすぐに足元に目をやる。
　水面が揺れていて少し見にくくなってはいたが、それでもそこにいたのは川に落ちる前とは全く異なった
　久瀬がいた。その容姿は全身が緑色で頭に白い何かをのせているものだった。
「久瀬…どうして、そんな急に禿たんだ？それにお前、顔が真っ青だぞ。……ていうか、緑。」
　祐一は久瀬に話しかけるが、久瀬は足を引っ張るばかりで答えようとしない。
　祐一の頭の中で足につかまっているのは久瀬だという考えがどんどんと失われていった。
「……いや、というより久瀬じゃねぇぇぇぇぇ！」
　祐一はようやく相手が河童だと気づいた。

　祐一が河童だと気づいてからすでに１０分が経過している。
　しかし、まだ祐一と河童の引っ張り合いは続いていた。
（くそ、あれからどのくらいたったんだ？けっこう時間たってるのにしつこけーな。しかも、長期戦のせいで
　俺のほうは手が疲れてきてるのに、こいつはまだパワフルに引っ張りやがる）
　祐一は腕に全神経を集中させるが、上体が徐々に川につかっていくのがわかる。
（なんとか、なんとかしてこの状況を打破しなければ）
　そう思った瞬間、引っ張る力が弱まってそのまま足が持ち上がる感じになった。

842 ：大いなる勘違い：03/02/21 13:45 ID:sJaz2Ft0

　思わず後ろを振り向く祐一のその先には２人の女がいた。
　髪の短い女が河童の腕を片手で持ち上げ、もう１人の髪の長い女が河童の手首に手刀をくりだす。
　すると、河童の手首はいとも簡単に切れてしまい、それとほぼ同時くらいに髪の短い女が河童の腹に一撃いれる。
　祐一は目の前の意外な光景に見ることしかできなかった。

　川原で待つ２人の女を見ながら、川から上がる祐一だが、突然のできごとに頭を整理する必要があった。
（一見すれば助けられたように見える。だが、問題は助けられた方法だ。１人は手刀で河童の手首を切り、
　もう１人はボディブローで数メートル吹っ飛ばした。冗談抜きで人間技じゃない。
　間違いなくこいつらはモンスターでだ。そして、今この状況、河童が捕獲した獲物［俺］を横取りしたのだろう）
　じっと２人を見つめる祐一に対して、千鶴も梓もただ同じ行為をするしかできなかった。
　さすがにあれだけの力を見せてしまっては理解に苦しむと思ったからである。
（けど、よく考えたらなんで人の形をしているんだ。そういうモンスターなのか？…いや、違うな。
　こいつらたぬきと同じ類だな。こうやって人を騙して油断したところ食べる気だ。そうだ、そのとおりだ。
　よく考えたら、こんな絵に描いたような美人さんたちが助けてくれるなんて、そんな都合のいい話があるか。
　馬鹿めネタはばれてんだよ。この数々の死闘をくぐりぬけてきた百戦錬磨、相沢祐一をなめるな）
　ようやく結論を出した祐一はにやにやと笑い始める。しかし、それが深読みしすぎの
　単なる勘違いであることにはもちろん気づかなかった。
≪千鶴姉、なんかこっち見て笑ってるよ。あいつやばいんじゃない≫
　小声で梓が言う。
≪えーと、たぶん助かって嬉しいのよ≫
　フォロー入れる千鶴であったが、かなり無理があることに自分でも気づいていた。
（ん？なんか話し合ってるようだが、こっちは騙されてるフリをしておくか。正体に気づいたとわかったら
　襲ってきそうだし）

【祐一　梓と千鶴に合う】
【梓　目覚める】

843 ：まかろー：03/02/21 13:46 ID:sJaz2Ft0

長い冬眠から覚めました。
誤字・脱字があれば指摘お願いします

844 ：名無しさんだよもん：03/02/21 15:46 ID:nKp/M4O0

まかろー氏おかえり。
ギャグとシリアス紙一重の展開が絶妙でイカしてますw

845 ：名無しさんだよもん：03/02/21 17:20 ID:ONT9Qlqz

アホで良いなあ祐一。
ここはこのままギャグ路線で行って欲しいな。
状況的には下手すると悲劇的結末もありえるだけに。

てか、片腕が無い事にはノーコメントなのか。{ｗ

846 ：名無しさんだよもん：03/02/21 21:10 ID:1VppEB3v

いやむしろ正常な判断だと思うが
少なくとも俺は祐一の判断は間違ってないと思うぞ。

847 ：名無しさんだよもん：03/02/21 23:28 ID:Nyn3r47g

R.E.D.氏はいつまで「話の流れを断ち切った突発性理不尽による一撃死or重症or生死不明」
を繰り返す気なのか楽しみだ。
文章が巧い作品=面白い作品　ではないと思うのだが・・・

848 ：名無しさんだよもん：03/02/21 23:32 ID:1KhhoDDX

化け物２人と対峙して、正体見破ったくらいで、にやにや笑っている場合じゃないと思うが。
いいからすっ飛んで逃げたまえ。百戦錬磨の百戦は必ずしも勝ち戦である必要はないのだよ。多分。
それに柏木姉妹約二名、客商売に礼儀は大事だろう。率先して挨拶ぐらいはするべきだ。
得意の営業偽善スマイルを見せｔ

まぁそれはいいとして。
……俺は期待してたんだ。本当に期待してたんだ。
吸血鬼の牙を首筋に突き立てられ、流れ込んでくる痛みと違和感と快感とに翻弄され、
怯えながらもやがて恍惚として絶頂に達する葵ちゃんを！

というわけでシュベスト先生。早くかえってきて俺の願望を現実にしてください(；´Д｀)ﾊｧﾊｧ
ついでといっちゃなんだが太田さんのご冥福をお祈りいたします（-人-）ﾅﾑ

849 ：名無しさんだよもん：03/02/22 01:55 ID:dt5ACbkm

俺らってさ、いつのまにか書き手に求める要求を相当高くしているんじゃないかな？

850 ：名無しさんだよもん：03/02/22 02:02 ID:jlBBejjz

>>849
要求が高いわけじゃないとは思う。
どっちかというと、要求できるほどこのスレに余裕がないってことを忘れてるだけかと。
書き手がロワみたいに沢山いれば、ひたすら『良作』を求めるのもいいだろうけどさ……。

851 ：名無しさんだよもん：03/02/22 02:21 ID:tpztuJ6t

848の事を言っているのだとしたら、あれは要求と言うよりは本人の言うように願望とか妄想だと思うがｗ

852 ：名無しさんだよもん：03/02/22 02:31 ID:Htgdtjjx

>>847
今回のはそんな酷く無いと思うけど。
ナンバーキーの存在その物を抹消したわけでもないんだし。
状況自体が元々カツカツだったんだから、この結果も流れとしては
そこまで唐突な物でも無いと思う。
逆に色々出したんだからそれを使って上手い事脱出させなきゃいけない
と言うのは、前の話からの縛りが厳しすぎると思う。

853 ：名無しさんだよもん：03/02/22 02:35 ID:jlBBejjz

しかし確かに、停滞しているチームに一石投じるだけならともかく、
そうでない所にも石を投じすぎてる気がするなぁ漏れも。
あくまでリレーなんだから、事件を自分の番で無理矢理混乱させたり、或いは自分の話で解決を急いだり、そういうのはしないでもいいもんだが。

854 ：名無しさんだよもん：03/02/22 02:45 ID:sKPWH0gK

まあ、つまるところﾏﾀｰﾘ逝こうやって事だね。

855 ：名無しさんだよもん：03/02/22 03:25 ID:FPRSrGv3

昨日は大漁だったage

856 ：名無しさんだよもん：03/02/23 02:46 ID:Zfe4Dot6

一番時間軸が遅いのはどこだ？　ホテル組か？

857 ：名無しさんだよもん：03/02/23 19:03 ID:yTZWz0oW

ホテル組は一日目と二日目の境目ぐらい。
英二組と氷上・美汐に芳晴組とかがまだ一日目の前半っぽい。

858 ：名無しさんだよもん：03/02/23 21:25 ID:VS/A4bgv

英二組は時間の流れをぼかすような展開になってたから
ある程度融通が利くと思う。

859 ：名無しさんだよもん：03/02/24 01:34 ID:y1oyACFD

英二組、融通が利くといっても日が暮れるほど時間がかかっているとは思えない。
長く考えても三時間程度のやりとりだろ。

860 ：名無しさんだよもん：03/02/24 10:53 ID:hCD5ehuT

わからん。展開しだいでは最大で一日ぐらい潰したのかもしれないし
まだ英二達は外には出ていない。

861 ：名無しさんだよもん：03/02/24 11:31 ID:WlEvWD0z

そうは言ってもやはり、さすがに今の時点では英二チームは昼過ぎ程度だと思うが……。
出てから何事もなく夜まで時間すすめるならともかく、あれで「出てみたらすでに夜」とか言ったらちと理不尽な気がする。

862 ：名無しさんだよもん：03/02/24 13:31 ID:CkQpt3jT

そう考えると英二組みは結構丁寧にやったってこと？
作品数が少ないってわけじゃないわけだし

863 ：名無しさんだよもん：03/02/24 13:59 ID:SoTWZSyu

丁寧と言っても差し支えは無いが
序盤で引っ掛かった、とも言えるかも。
逆に国崎チームの時間の飛ばしっぷりは凄い。

864 ：名無しさんだよもん：03/02/24 22:32 ID:W4t83Cyz

国崎チームは展開が早いだけで飛ばしてるわけではないだろうと思うんだが。

865 ：名無しさんだよもん：03/02/25 02:44 ID:fCNyrKvC

矢島と香奈子の話、ノロノロ書いてたらR.E.D氏に
先を越されちゃったよヽ(`Д´)ﾉｳﾜｧｧｧｧｧｧﾝ
しかも漏れのよりずっと熱い展開だよヽ(`Д´)ﾉｳﾜｧｧｧｧｧｧﾝ
そもそも何日前の話をしてるんだよ漏れはよヽ(`Д´)ﾉｳﾜｧｧｧｧｧｧﾝ

つーか３００行越えちゃった…
SSってこんなに難しかったのか…

866 ：863：03/02/25 02:57 ID:CR4sb4EY

>>864
うん、今さっきガーッと読んだが全然飛ばしてない。
むしろ丁寧だな。
……つーか、スマソ。
何故か彼等が３日目に突入してると誤認してた。半年以上も。
久しぶりに自分の脳が心配になった。

867 ：目覚め、就寝：03/02/25 03:36 ID:UL7hA+l9

「ここも駄目か……」
真っ赤なエラー表示と共に吐き出されるMOを見ながら、英二はため息をついた。
「すぐにめっかっただけあってたいした情報は入ってないんじゃねーの？」
横からイビルが口を挟む。
「それにしたって一つぐらい開きそうな扉があっても良いようなものだが」

地上施設に上がってからも、英二たちの探索は続いていた。
「奇妙なくらい人の気配がしないな……」
何故か地上施設にはモンスターはおろか、職員の類の姿も見られることはなかった。
「ただ逃げた、というだけならいいんだがね」
職員の生活臭はなんとなく残っていた。あの放送からも結構な時間が経っていることだ、とうに所員は非難してしまった……
「そううまい話があるだろうか？」
職員にとっても、あの放送は想定外だったはずだ。ならばこうまで手際よく非難できるはずが……
「……ないでござろうな」
また別の扉にのディスクリーダーに英二はMOを差し込んだ。ピーっというエラー表示の後、MOディスクは吐き出された。

868 ：目覚め、就寝：03/02/25 03:36 ID:UL7hA+l9

「おっさん……夜になっちまったぞ」
つかれはてたイビルは、英二にそっと愚痴を漏らす。その英二は、先ほど手に入れた施設内の地図を片手に団体の先頭を歩いているところだ。
「おなかが空いたネ……」
「私もです……」
いつのまにか眼を覚ましていた理緒と顔を見合わせながら、レミィも抗議の声をあげた。
「ラミアと別れて以来生き物らしい生き物に出会っていないからな」
拓也の顔にもまた、些か疲弊の色が伺えた。
「まあまあ、ここで最後だ。もしここが開かなかったらイビル君に袋叩きにされそうだが」
一人笑いながら英二はMOを差し込んだ。MOを飲み込んだカードリーダーはしばらく画面に認証中という文字を映していたが、やがて
[UNLOCKED]
という表示とともにもを吐き出し、同時に扉の鍵を開けた。

そこはどうやら仮眠、休憩室で、ベッド、ソファのほか冷蔵庫、コーヒーなどが備え付けてあるのが認められた。
「いやっほぅ！　なんか食い物があるかもしれねーぜ！」
言うなりイビルは部屋に飛び込み、戸棚を物色し始めた。
「渡りに船とはこのことネ！」
「……違うと思うんだな」
「やれやれ……」

869 ：By　RTO：03/02/25 03:40 ID:UL7hA+l9

「……さて、今後の予定だが」
一通り腹ごしらえを済ませた後、英二は拓也達に切り出した。
「今日のところはこれ以上行動を起こさないほうがいいでしょうね。もっともまだどこか移動するなどと言ったら」
拓也はそこで言葉を切ると、ちらりとベッドやソファに眼をやった。
そこでは既にイビル、レミィら女性軍が静かに(一部うるさく)寝入っていた。
「……刺し殺されますね」
「間違いないでござるな」
「雛山ちゃんはなんであれだけ寝れるんだな？」
「睡眠と気絶は違うと言い残していたでござるが」
「……ともかく、今日のところはここで休むことにしよう」
「明日はどうします？　この調子ではこの上の探索が出来そうにありませんが」
「鍵が開かないのではどうしようもないからね。この島の詳しい地図も手に入ったことだ、明日はこれをもとにソレっぽい施設をあたってみようと思う」
「異議なしなんだな」
「同じく」
「……朝までに雨が止んでくれれば助かるんだがね」

【英二一行　地上施設1Fで就寝】
【英二　島の詳細地図入手】

すいません、何の変哲もなく繋ぎです。
時間の進め方がかなり強引になってしまいましたが如何なもんでしょうか。

870 ：名無しさんだよもん：03/02/25 11:26 ID:9MMXwbKT

んー、いいんじゃないでしょうか？

871 ：名無しさんだよもん：03/02/25 16:26 ID:bCdzAoXl

次スレは？

872 ：名無しさんだよもん：03/02/26 00:02 ID:tJiTmpST

葉鍵サバイバル　公開８日目
http://wow.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1046184899/l50

873 ：名無しさんだよもん：03/03/01 09:07 ID:wD30wq2C

葉鍵サバイバル　公開８日目
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874 ：名無しさんだよもん：03/03/01 09:07 ID:wD30wq2C

875 ：名無しさんだよもん：03/03/01 09:08 ID:wD30wq2C