しかし祐介あれだけ強力な電波放ってたから月島兄妹にも影響でそうだな。
はっ、月島兄ってあの緒方英二組だっけ?
これだけ時間軸ばらばらじゃ、他のチームに対する影響なんて考えるだけ無駄かと思われ。
保守
829 :
迫る影:03/02/21 02:45 ID:Nyn3r47g
高台の屋敷の奥。それが彼―――吸血鬼シュベストに割り当てられた住処だった。
彼は今、極上の酒を手中に収めたところである。
担いでいるものを、純白のベッドに横たわらせる。尤もこれは誰かの睡眠のために用意されているわけではなく、つまるところ食卓である。
ここに獲物を横たえて、その珠肌、息遣い、顔のラインの一つ一つに酔いしれながらゆっくりと血をすすることが、彼の至上の楽しみだった。
そして食事を終えた後、ゆっくりと特別誂えの棺桶に向かい、次の夜まで緩やかな睡眠をとるのである。
それが彼の―――高貴なる吸血鬼シュベストの、千年以上前から繰り返されている日常だった。
惜しむらくは、それも含めて彼のすべて、いでたち、性格、記憶に至るまでがすべて、この島の研究者による創作だったということだろう。
「……ぬ……ゥ……ッ!?」
だから彼には、自分の体の異変には気づいても、その原因にまで考えを巡らせる事が出来ない。
彼の「食事」が彼自身に危害を及ぼすことなど、彼の知識にはないからである。
だが彼の細胞……造られた物とはいえ、彼の吸血鬼としての本能は、その原因が何であるかかすかながら悟っていた。
830 :
迫る影:03/02/21 02:46 ID:Nyn3r47g
ひとしきり作業を終えた智子と茜、その他診療所にいるおよそ全員が、とりあえずの安堵の表情を浮かべていた。
「ワクチンっても注射とかするわけやないんやな」
「ええ。私のようなバイトでも扱えるようにと、皮下注射などを要する薬類は極力必要ないようにしてあったようです」
ベッドとソファに分かれて、それぞれあゆと瑞穂が寝息を立てている。
―――診療所に帰った茜は、待機していた智子やきよみ、良祐などと協力して驚異的な速さでワクチンを作り上げ、
つい5分ほど前に出来上がったワクチンを二人に与え終えたところであった。
「……」
良祐の顔は冴えない。それは、茜の口から聞かされた彼の妹……晴香の死が原因であることは、誰の目にも明らかだった。
「……すみません」
茜がわびる。良祐は首を振った。
「いや、君が謝る事はないさ……晴香は自分の意思で薬を取りについていったんだからね……とはいえ」
言いながら、良祐は立ち上がると奥の病室に向かって歩いていく。
「やっぱり……思うところがあるものでね……悪いが、少し一人にしておいてくれないかい? 食事はいいから。
それと矢島君たちが帰ってきたら呼んでくれるとありがたい」
「わかりました」
頼むよ、と言って良祐はドアを閉めた。そのドアに耳を近づければ少なからず嗚咽なり聞こえたかもしれないが、そんな悪趣味はこの中の人間は持ち合わせていなかった。
「まだ安心できるわけではないんですね」
「ワクチンが効き始めるのがいつか……もっとも既に効き目は現れているのかもしれませんが……それに副作用があるかもしれません」
「……」
智子は二人の顔を覗き込む。瞼をめくって目の色を確認してみようかとも思ったが、今そんなことをしてみたところで白目が除くだけだろうと思いたち、やめた。
無意識に、皆ドアのほうを見つめていた。そう、待っているのだ。
今も研究所の中で、自分たちの考えの及ばない不幸に見舞われているであろう少年と、友人思いの少女のことを。
831 :
迫る影:03/02/21 02:47 ID:Nyn3r47g
体が熱い。十字架に触れたとき、銀の弾で体を貫かれたとき、くいを心臓に打ち込まれたとき。
そのどれとも違う嫌な感覚。体が3つに分かれて、そのうち二つが焼け崩れていくような。
「……ぐうう!」
本能的に理解する。原因が昨夜「眷属」となるべく烙印を施した二人の女であること。
どのような術を施したのか分からないが、そのときに埋め込んだ自分の―――吸血鬼の因子に何かが起こっていること。
それが、連鎖的に彼の身に異変を及ぼしているのではないかということ。
「……エクソシストめ……時代が変わっても我の邪魔をするか!」
彼はその原因を、彼をはじめとした人外の魔物を苦しめる聖職者「エクソシスト」と関連付けた。その推測が正しいのかどうか、これから彼はその目で確かめに行くところだ。
日の光は今頂点にあるところだが仕方がない。あの施設までの距離なら蝙蝠に姿を変え。なんとかたどり着けるはずだ。
折角の美酒を目前にして、彼は一つ仕事を片付けなくてはならなくなった。仕方がない。
彼はマントをはためかせると、一瞬にその姿を巨大な蝙蝠に変え、高台の屋敷を飛び立った。
あとには、ベッドの上に横たわる葵の姿のみが残された。
【ワクチン効果によりシュベスト本体に異変 シュベストは診療所に向かう】
【ワクチンはあゆ 瑞穂両名に投与済み】
Whatcha gonna do,Whatcha gonna do?
「さあ矢島、お前はどうするんだ? どうするつもりなんだ?
体はボロボロ、時間は切迫、ライフラインは一切無し、己の力のみでこの不条理な問題を解かなければならない……!」
改めて希望の道の前に立ち、絶望の閂を見据える。
Whatcha gonna do,Whatcha gonna do?
「ナンバーキーとはまたイカした仕掛けだよな。まるで脱出者を試して楽しんでるみたいだ」
(試して楽しむ? 誰が? あの超先生とかいう奴がだ!)
「はてさてコードはどこにあるものか。これがゲームか何かならこの近くにヒントが書いてあるんだろうがな」
Whatcha gonna do,Whatcha gonna do?
「さあどうする、さあどうする?
そもそもこんな大切なコードが人目に付くところに書かれているか? 答えは否だ。
勘で適当に入力するか? はっはっは、それで開いたら世の泥棒どもは苦労しないな」
Whatcha gonna do,Whatcha gonna do?
『本施設爆破まで残り3分………』
「うれしいな! 死への秒読みが開始されたぜ! これで覚悟が決まるってか………………?
クソッタレめ! ふざけるな! 俺は諦めないぞ!!!!」
Never give up!
ひとしきり盛大に毒づくと、ヒラリと踵を返し、矢島は先ほどの所員室へと舞い戻った。
そこでは既に香奈子が片っ端の机の引き出しを漁り、扉の解除コードを探している。
「香奈子さん! コードは!?」
「ダメ! 見つからない!」
「チィッ!!!!」
矢島もそれに加わる。だが悠長に引き出しを一つ一つ調べるような真似はしない。
デスクの端に手をかけると、えいやと一気にひっくり返す。
「や、矢島……君?」
「急げ急ぐんだ! 時間が無い!」
床にまき散らされた書類を手に取り、斜め読みですらない壮絶な速度で目を走らせる。
数字だ! 数字! 数字の羅列! それらしい数字の列を────!
……もし、そのまま書いてなかったら? 暗号化されていたら? 隠されていたら? 別々の場所に書かれていたら?
いや、そもそも何もメモされていなかったら? パスコードは、己の頭で覚えるのが常識だろう……?
そんな疑問が頭をかすめる。
「……知ったことか!」
コードはある! ここにある! 絶対に……ある!!!!
『施設爆破まで残り1分。カウントダウンを開始します────59,58,57............』
「矢島君!」
「まだだ! まだ1分ある! 30秒で探して、30秒で脱出すれば助かる!」
「……っ……!」
香奈子は息を飲む。どうやらこの部屋に詰めていた職員は整理が苦手なようで、床に広がる書類は番号も種類もごちゃ混ぜだ。
その上、量自体も半端でなく、2人で全力で探したこの2分でも全体の1/3にすら達していない。
『死』……その一文字が、脳裏をかすめる。
……しかし、その時。
「……これは……!?」
書類の隙間。今までデスクが鎮座していた床。そこに『切れ目』があった。
「矢島君! これ!」
片手で散らばる書類を押しのけながら、矢島の肩を掴んでそちらへ向かせる。
『46,45,44.........』
「これは……倉庫?」
切れ目の中央に揃って括り付けられている取っ手を手に取り、観音開きのそれを開く。
中には……
「……お酒?」
「……ハッ、どうやらここの奴、よっぽどの不良所員だったみたいだな。大方ここに酒を隠して、上役に隠れてチビチビやってたんだろ」
半地下になっているその隠し倉庫には、どこかで聞いたことあるような名前から、全く知らない銘柄まで、さまざまなワインが整然と置かれていた。
「ったく、書類もこのくらいキッチリ整頓しやがれ!!」
『30,29,28,27.........』
「や、矢島君何を!?」
矢島は叫びながら、中に置かれたワインを片っ端から外へ放り投げた。後ろの方で瓶が割れる音がするが、気にしない。
おそらく霊になっているであろうこれの持ち主が見たら発狂ものの光景だろう。
「ここだ! きっとここにある! 大抵暗号っていうのはこういう場所に隠されて……」
なかった。
『20,19,18.....』
「ははは……っ……」
力無く座り込んむ矢島の口から乾いた笑いが漏れる。
「……………………」
一方香奈子は、そんな矢島の肩に頭を預け、虚ろな瞳で空っぽになった半地下倉庫を見つめていた。
「参った……なぁ、ここまで来てゲームオーバーだなんて……。ゴメンよ香奈子さん、俺、君を守れそうにないよ……」
言葉の後ろには涙声が混じっていた。人前で、しかも女の子の前で泣くなんて初めてだ。そして、おそらく最後になるのだろう。
「……諦めるの?」
しかし、香奈子の言葉は意外なものだった。
「え……?」
「……まだ……希望は、あるかもしれない」
「な、何を……?」
と問いかけた矢島だが、言い終わる前に香奈子に突き飛ばされ、からっぽの倉庫に落とされた。
「つっ……香奈子さん、何を……?」
「……ごめんね、矢島君」
しかし香奈子は答えず、そのまま扉を閉めた。頭を打ち付けた矢島は狭い倉庫の中で這いつくばるような格好になる。
「か、香奈子さん!? どういうつもりだ!?」
壁に反響し、自分の声がくぐもって聞こえる。だが香奈子にも聞こえたようだ。この問いには答えがあった。
「……あなただけでも、助かって……」
「な!?」
その答えは、矢島の想像を超えるものだった。
『11,10,9....』
「ど、どういうことだ!!!」
無理な体勢ながら、四肢を踏ん張って扉を押し開こうとする……が、ビクともしなかった。先ほどまでなら苦もなく開いただろうに。
何度か試してみる。しかし結果は同じだった。何か……何かが取っ手に引っかけられているか、あるいは上に何か重いものが乗せられているようだ。
「香奈子さん! どういうことなんだ!? 俺だけ助かる……って!?」
「地下になっている……そこなら、あるいはあなただけでも助かるかもしれない……少なくとも、ここにいるよりかは助かる可能性が高いはず……」
「そ、そんな!? だったら、君も一緒に……!」
「……そのスペースに2人も入れると思うの?」
「ッ!?」
自分の状態を確認する。……確かに、この隙間は自分の体に対してすらかなり窮屈で、無理な体勢でなければ体が収まりきらない。
とても2人で潜むことなど不可能だろう。
「だったら……君が……ッ!!」
君だけでも生き延びれば……! と繋ごうとする矢島の言葉。だが、香奈子はそれを遮る。
「もう……もういいの。私は……もういいの。あなたは、私を十分守ってくれたから……」
「そんな……そんなッ! それじゃあ瑞穂さんはどうなるんだ? 彼女が助かるかもしれないんだぞッ! 会えなくなってもいいのか?」
「いいわけないでしょッ!!!!」
「…………………………」
「けど……けどね、私は……あなたを犠牲にして、誰かの犠牲で助かるのなんて……もう、もう嫌なのよ……
確かに、私の会いたい人はいる……けど、あなたにも会いたい人がいる……あなたと、あなたを待つ人……その人たちを、犠牲にするなんて……」
「違う! 違うッ! それは……それは俺だって同じだ! 俺だって、俺だって君を助けたい!」
「いいのよ……もう、いいのよ。……もう、時間もほとんど無い……2人で仲良く死ぬよりは、どちらかだけでも助かった方がいいでしょう……?」
「そんな……」
反論しようとする。とても納得できようはずがない。
しかし、矢島はそれ以上言葉を紡げなかった。何と言えばいいのか、言葉が見つからなかった。
「……けど……もし、もし……私を助けたいっていうのなら……私の言葉を……伝えて……ほしい……」
「…………………………」
彼に残された道は、香奈子の言葉を聞くことしかなかった。
「月島……月島拓也という人に会ったら……伝えてほしい……『大馬鹿野郎!』って……」
「……わかった……」
「そして……そして、瑞穂が……もし、瑞穂が助かったのなら……」
『5秒前』
「『ごめんね』って……」
「ああ……」
『4』
「……そして最後に矢島君、あなたに送る言葉……」
「………………」
『3』
「あなた……ちょっと……ちょっとだけ……」
『2』
「……………カッコ良かった、かも………」
『1』
「……さようなら、矢島君。陳腐な言葉だけど、あなたのことは、忘れない。ずっと、ずっと、永遠に」
『ゼロ』
「香奈子……さ……………………!!!!!」
無情な機械音による死の宣告と同時に、圧倒的な光と轟音が施設を包んだ。
衝撃と熱は全てをなぎ払い、そこには香奈子も例外ではなかった。
自分の体がバラバラになる感覚の中で、香奈子の唇が言葉を紡ぐ。
聞こえない。誰にも聞こえることなど無いことば。永遠に消え去ることば。だが、確かに彼女は言った。
『ありがとう』
【施設爆発】
【太田香奈子 死亡】
【矢島 隠し倉庫で爆発に巻き込まれる。生死不明】
「迫る影」は連鎖ダメージってのがちょっと強引な気が。
でも、ただの性格悪げな強敵っつーだけだったシュベストに
被造物の哀れさと滑稽さみたいなイメージが付いてきたのは上手いと思った。
あと、独りで泣いてる(と思われる)良祐が何か好き。
「Interloper」の方は現実的な悲惨さが良いな。
必死に足掻く矢島が燃え。 しかも、結局ダメな所が無性に好きだ。
しかし、わりとあっさり自己犠牲を選ぶ太田さんは
納得いかないとは言わないけど……微妙に納得いかない。
でもまあ、全体的に良い話だと思いました。
しかし今まで脱出させる方向に話が展開して、ナンバーキーまで用意したのにそれを無駄にするような話はちょっとと思った。
空気が湿っぽい。
ザァァァァ――――――。
そして、この音は川の流れる音。
「……水」
そう言って梓は目を覚ました。
「梓、起きたの」
「うん……」
千鶴の声に反応してそう答える梓。
意識がはっきりしてくると、体が上下し、足も宙ぶらりだということに気づく。
どうやら、おぶさっているようだ。
周りを見ると、さっき耳に聞こえてきた通り、木々に隠れて川が見える。
「千鶴姉がここまで運んできたの?」
「ええ、他に誰がいるってのよ」
千鶴がそう言うと梓はそっと背中から降りる。
いつもの調子で答えた千鶴ではあったが、どこか表情に疲れがある。
自分を背負ってどのくらい歩いていたのかはわからない。だが、疲れを隠しきれない千鶴を見る限り
きっと相当な距離なのだろう。
(しかも、片腕が無い状態で私を背負って…。なんかまた迷惑かけちゃったみたいだ)
「千鶴姉、ありがとう」
梓の顔に笑顔が浮かぶ。
「なによ急に、妹を助けるのはあたりまえでしょう」
梓の笑顔見て安心した千鶴は梓と同じように川原のほうに目をやる。
木々の間から見える川は日光が水面に反射して眩しかったが、川原の所々に木陰があるのを確認して一息つく。
「木の枝が川原までとどいてる。これなら梓1人でも大丈夫ね」
「?」
仙命樹によって日光に弱くなった梓に言った千鶴だったが、当の梓は千鶴の言った事を理解できないようすだった。
千鶴は梓の安否を確認し終わると、さっき見つけた人影の方を見る。その千鶴の行動に梓もつられて目線をやった。
―――十数分前の川原。
急な川の流れの中で身動きなんかろくにとれなかった。
しかし、その中で偶然にも石にしがみつくことができたのは幸運としかいいようがない。
「はぁはぁ、やった……助かった!」
つい、歓喜の声をあげてしまう。
一時はどうなるかと思った祐一だったが、偶然にも手をのばした先に石があり、
そのまま体をもっていくことができた。祐一はその状態のまま呼吸を整えると、そこから不安定な体勢を立て直し、
川から出ようと一気に上体を持ち上げようとした。
しかし、何か足につかまって、上体を持ち上げることはできなかった。
(なんだ。なにが起こったんだ。誰かが俺の足を引っ張っているようだが、一体誰が?)
その時、祐一の頭に一人の男が思い浮かんだ。
「そうか、落ちたのは俺一人じゃなかった……。久瀬か?久瀬だろ」
久瀬かどうかを確認するため祐一はすぐに足元に目をやる。
水面が揺れていて少し見にくくなってはいたが、それでもそこにいたのは川に落ちる前とは全く異なった
久瀬がいた。その容姿は全身が緑色で頭に白い何かをのせているものだった。
「久瀬…どうして、そんな急に禿たんだ?それにお前、顔が真っ青だぞ。……ていうか、緑。」
祐一は久瀬に話しかけるが、久瀬は足を引っ張るばかりで答えようとしない。
祐一の頭の中で足につかまっているのは久瀬だという考えがどんどんと失われていった。
「……いや、というより久瀬じゃねぇぇぇぇぇ!」
祐一はようやく相手が河童だと気づいた。
祐一が河童だと気づいてからすでに10分が経過している。
しかし、まだ祐一と河童の引っ張り合いは続いていた。
(くそ、あれからどのくらいたったんだ?けっこう時間たってるのにしつこけーな。しかも、長期戦のせいで
俺のほうは手が疲れてきてるのに、こいつはまだパワフルに引っ張りやがる)
祐一は腕に全神経を集中させるが、上体が徐々に川につかっていくのがわかる。
(なんとか、なんとかしてこの状況を打破しなければ)
そう思った瞬間、引っ張る力が弱まってそのまま足が持ち上がる感じになった。
思わず後ろを振り向く祐一のその先には2人の女がいた。
髪の短い女が河童の腕を片手で持ち上げ、もう1人の髪の長い女が河童の手首に手刀をくりだす。
すると、河童の手首はいとも簡単に切れてしまい、それとほぼ同時くらいに髪の短い女が河童の腹に一撃いれる。
祐一は目の前の意外な光景に見ることしかできなかった。
川原で待つ2人の女を見ながら、川から上がる祐一だが、突然のできごとに頭を整理する必要があった。
(一見すれば助けられたように見える。だが、問題は助けられた方法だ。1人は手刀で河童の手首を切り、
もう1人はボディブローで数メートル吹っ飛ばした。冗談抜きで人間技じゃない。
間違いなくこいつらはモンスターでだ。そして、今この状況、河童が捕獲した獲物[俺]を横取りしたのだろう)
じっと2人を見つめる祐一に対して、千鶴も梓もただ同じ行為をするしかできなかった。
さすがにあれだけの力を見せてしまっては理解に苦しむと思ったからである。
(けど、よく考えたらなんで人の形をしているんだ。そういうモンスターなのか?…いや、違うな。
こいつらたぬきと同じ類だな。こうやって人を騙して油断したところ食べる気だ。そうだ、そのとおりだ。
よく考えたら、こんな絵に描いたような美人さんたちが助けてくれるなんて、そんな都合のいい話があるか。
馬鹿めネタはばれてんだよ。この数々の死闘をくぐりぬけてきた百戦錬磨、相沢祐一をなめるな)
ようやく結論を出した祐一はにやにやと笑い始める。しかし、それが深読みしすぎの
単なる勘違いであることにはもちろん気づかなかった。
≪千鶴姉、なんかこっち見て笑ってるよ。あいつやばいんじゃない≫
小声で梓が言う。
≪えーと、たぶん助かって嬉しいのよ≫
フォロー入れる千鶴であったが、かなり無理があることに自分でも気づいていた。
(ん?なんか話し合ってるようだが、こっちは騙されてるフリをしておくか。正体に気づいたとわかったら
襲ってきそうだし)
【祐一 梓と千鶴に合う】
【梓 目覚める】
843 :
まかろー:03/02/21 13:46 ID:sJaz2Ft0
長い冬眠から覚めました。
誤字・脱字があれば指摘お願いします
まかろー氏おかえり。
ギャグとシリアス紙一重の展開が絶妙でイカしてますw
アホで良いなあ祐一。
ここはこのままギャグ路線で行って欲しいな。
状況的には下手すると悲劇的結末もありえるだけに。
てか、片腕が無い事にはノーコメントなのか。{w
いやむしろ正常な判断だと思うが
少なくとも俺は祐一の判断は間違ってないと思うぞ。
R.E.D.氏はいつまで「話の流れを断ち切った突発性理不尽による一撃死or重症or生死不明」
を繰り返す気なのか楽しみだ。
文章が巧い作品=面白い作品 ではないと思うのだが・・・
化け物2人と対峙して、正体見破ったくらいで、にやにや笑っている場合じゃないと思うが。
いいからすっ飛んで逃げたまえ。百戦錬磨の百戦は必ずしも勝ち戦である必要はないのだよ。多分。
それに柏木姉妹約二名、客商売に礼儀は大事だろう。率先して挨拶ぐらいはするべきだ。
得意の営業偽善スマイルを見せt
まぁそれはいいとして。
……俺は期待してたんだ。本当に期待してたんだ。
吸血鬼の牙を首筋に突き立てられ、流れ込んでくる痛みと違和感と快感とに翻弄され、
怯えながらもやがて恍惚として絶頂に達する葵ちゃんを!
というわけでシュベスト先生。早くかえってきて俺の願望を現実にしてください(;´Д`)ハァハァ
ついでといっちゃなんだが太田さんのご冥福をお祈りいたします(-人-)ナム
俺らってさ、いつのまにか書き手に求める要求を相当高くしているんじゃないかな?
>>849 要求が高いわけじゃないとは思う。
どっちかというと、要求できるほどこのスレに余裕がないってことを忘れてるだけかと。
書き手がロワみたいに沢山いれば、ひたすら『良作』を求めるのもいいだろうけどさ……。
848の事を言っているのだとしたら、あれは要求と言うよりは本人の言うように願望とか妄想だと思うがw
>>847 今回のはそんな酷く無いと思うけど。
ナンバーキーの存在その物を抹消したわけでもないんだし。
状況自体が元々カツカツだったんだから、この結果も流れとしては
そこまで唐突な物でも無いと思う。
逆に色々出したんだからそれを使って上手い事脱出させなきゃいけない
と言うのは、前の話からの縛りが厳しすぎると思う。
しかし確かに、停滞しているチームに一石投じるだけならともかく、
そうでない所にも石を投じすぎてる気がするなぁ漏れも。
あくまでリレーなんだから、事件を自分の番で無理矢理混乱させたり、或いは自分の話で解決を急いだり、そういうのはしないでもいいもんだが。
まあ、つまるところマターリ逝こうやって事だね。
855 :
名無しさんだよもん:03/02/22 03:25 ID:FPRSrGv3
昨日は大漁だったage
一番時間軸が遅いのはどこだ? ホテル組か?
ホテル組は一日目と二日目の境目ぐらい。
英二組と氷上・美汐に芳晴組とかがまだ一日目の前半っぽい。
英二組は時間の流れをぼかすような展開になってたから
ある程度融通が利くと思う。
英二組、融通が利くといっても日が暮れるほど時間がかかっているとは思えない。
長く考えても三時間程度のやりとりだろ。
わからん。展開しだいでは最大で一日ぐらい潰したのかもしれないし
まだ英二達は外には出ていない。
そうは言ってもやはり、さすがに今の時点では英二チームは昼過ぎ程度だと思うが……。
出てから何事もなく夜まで時間すすめるならともかく、あれで「出てみたらすでに夜」とか言ったらちと理不尽な気がする。
そう考えると英二組みは結構丁寧にやったってこと?
作品数が少ないってわけじゃないわけだし
丁寧と言っても差し支えは無いが
序盤で引っ掛かった、とも言えるかも。
逆に国崎チームの時間の飛ばしっぷりは凄い。
国崎チームは展開が早いだけで飛ばしてるわけではないだろうと思うんだが。
矢島と香奈子の話、ノロノロ書いてたらR.E.D氏に
先を越されちゃったよヽ(`Д´)ノウワァァァァァァン
しかも漏れのよりずっと熱い展開だよヽ(`Д´)ノウワァァァァァァン
そもそも何日前の話をしてるんだよ漏れはよヽ(`Д´)ノウワァァァァァァン
つーか300行越えちゃった…
SSってこんなに難しかったのか…
866 :
863:03/02/25 02:57 ID:CR4sb4EY
>>864 うん、今さっきガーッと読んだが全然飛ばしてない。
むしろ丁寧だな。
……つーか、スマソ。
何故か彼等が3日目に突入してると誤認してた。半年以上も。
久しぶりに自分の脳が心配になった。
「ここも駄目か……」
真っ赤なエラー表示と共に吐き出されるMOを見ながら、英二はため息をついた。
「すぐにめっかっただけあってたいした情報は入ってないんじゃねーの?」
横からイビルが口を挟む。
「それにしたって一つぐらい開きそうな扉があっても良いようなものだが」
地上施設に上がってからも、英二たちの探索は続いていた。
「奇妙なくらい人の気配がしないな……」
何故か地上施設にはモンスターはおろか、職員の類の姿も見られることはなかった。
「ただ逃げた、というだけならいいんだがね」
職員の生活臭はなんとなく残っていた。あの放送からも結構な時間が経っていることだ、とうに所員は非難してしまった……
「そううまい話があるだろうか?」
職員にとっても、あの放送は想定外だったはずだ。ならばこうまで手際よく非難できるはずが……
「……ないでござろうな」
また別の扉にのディスクリーダーに英二はMOを差し込んだ。ピーっというエラー表示の後、MOディスクは吐き出された。
「おっさん……夜になっちまったぞ」
つかれはてたイビルは、英二にそっと愚痴を漏らす。その英二は、先ほど手に入れた施設内の地図を片手に団体の先頭を歩いているところだ。
「おなかが空いたネ……」
「私もです……」
いつのまにか眼を覚ましていた理緒と顔を見合わせながら、レミィも抗議の声をあげた。
「ラミアと別れて以来生き物らしい生き物に出会っていないからな」
拓也の顔にもまた、些か疲弊の色が伺えた。
「まあまあ、ここで最後だ。もしここが開かなかったらイビル君に袋叩きにされそうだが」
一人笑いながら英二はMOを差し込んだ。MOを飲み込んだカードリーダーはしばらく画面に認証中という文字を映していたが、やがて
[UNLOCKED]
という表示とともにもを吐き出し、同時に扉の鍵を開けた。
そこはどうやら仮眠、休憩室で、ベッド、ソファのほか冷蔵庫、コーヒーなどが備え付けてあるのが認められた。
「いやっほぅ! なんか食い物があるかもしれねーぜ!」
言うなりイビルは部屋に飛び込み、戸棚を物色し始めた。
「渡りに船とはこのことネ!」
「……違うと思うんだな」
「やれやれ……」
「……さて、今後の予定だが」
一通り腹ごしらえを済ませた後、英二は拓也達に切り出した。
「今日のところはこれ以上行動を起こさないほうがいいでしょうね。もっともまだどこか移動するなどと言ったら」
拓也はそこで言葉を切ると、ちらりとベッドやソファに眼をやった。
そこでは既にイビル、レミィら女性軍が静かに(一部うるさく)寝入っていた。
「……刺し殺されますね」
「間違いないでござるな」
「雛山ちゃんはなんであれだけ寝れるんだな?」
「睡眠と気絶は違うと言い残していたでござるが」
「……ともかく、今日のところはここで休むことにしよう」
「明日はどうします? この調子ではこの上の探索が出来そうにありませんが」
「鍵が開かないのではどうしようもないからね。この島の詳しい地図も手に入ったことだ、明日はこれをもとにソレっぽい施設をあたってみようと思う」
「異議なしなんだな」
「同じく」
「……朝までに雨が止んでくれれば助かるんだがね」
【英二一行 地上施設1Fで就寝】
【英二 島の詳細地図入手】
すいません、何の変哲もなく繋ぎです。
時間の進め方がかなり強引になってしまいましたが如何なもんでしょうか。
んー、いいんじゃないでしょうか?
次スレは?
872 :
名無しさんだよもん:03/02/26 00:02 ID:tJiTmpST