>>570 まあそういう手もあったのかもしれないが、今となってはもう手後れなのは確か。
今じゃもう肉片になってビーカーに浮いてるし。
577 :
名無しさんだよもん:02/11/09 10:19 ID:345YyRpw
ごめんなさい。ageてしまいました。
>新作
とりあえず明らかなツッコミどころが見つかったので一つ。
>別の角度から俺に向かって飛びかかってきた首を、鬼が天井に打ち上げて。
森林で戦闘しているのに天井って表現はおかしくない?
揚げ足取りみたいで悪いけど。ちょっと気になった物で。
580 :
寂滅作者:02/11/10 00:35 ID:vLwSQupg
>>579 仰せのとおりです。すいません。
「天井」を「上空」に置き換えてください。サイト収録時もそのように訂正お願いします>RTO氏
お手数ですがお願いいたします。
581 :
寂滅作者:02/11/10 00:36 ID:vLwSQupg
油断…ageてしまいました…
実は、楓死亡の後、耕一の種と楓の卵を使って体外受精、
最強の鬼の血統を作ろうと企んでた。
ずっと2ch離れしてたからなあ。
ていうか、今いる「狩猟者」で十分だろ。
クローンだしたら? もなにも、狩猟者は耕一のクローンなんだがな。
それにそもそも、ただでさえキャラが減らないでいつまでもだらだらやってるのに、ここで生き返りや新キャラ加入は正直やめてくれって思う。
一気に1パーティ潰すくらいでいいのかなぁ?
>>570 文章中に凍死って書いてあったから、生きかえすのは無理なんじゃない。
それにユンナが耕一の魂を捕獲してたから、そこに矛盾が生まれるし
>>585 それもまたサバイバルでいいと思う。
ただ今はどうかわからないけど、昔は一人死ぬだけでも騒がれてたし、けっこう難しいかも。
それにそういうのばっかりになるのもつまらないしね
狩猟者、耕一のクローンとしては弱すぎるよなあ。
ほとんどやられ役だしな。
まあ、真の狩猟者ってのに期待しよう。
文章から凄みが伝わってくるようなのキボン。
いや、最初は問題無く強かったよ。
セフィロスを雑魚キャラの如くあしらってた。
ただ、その後 何かする暇も無く柳川にあっけなく瞬殺される。
パワーダウンでもしたのだろうか。
合掌。
もしかしてその書き手って光岡を雑魚キャラだと思ってたんじゃないか?
みんな忘れ去っていたであろう伏線を使って無理なく
ラスボス的な存在が出てきたなと楽しみにしていたのだがなぁ狩猟者。
初登場時の描写も漏れは「あの光岡が」と…
まあ いまさらだけどね。アノ話をNGにって雰囲気でもなかったし。
ときに朝鮮製はまるでホイポイカプセルでも持っているかのように
鬼やら仙命樹系異形うやらを量産しているが いいのか?
真・狩猟者のあとに覚醒・狩猟者とか次々とクローンが出てくる気がするのだが。
あたかもメタルクウラのように…ってこれは前に誰かが言ってたか…
最強の一角である耕一が、序盤で退場したのは結構良い感じだな。
どんな強キャラも油断できないっていう緊張感が出た気がする。
今の最強は梓っぽいが、それも弱点ありだし。
個人的に戦闘シーン大好きなので、先が楽しみだ。
やっぱり単純な強さで言えば、鬼×仙命樹の梓or狩猟者が最強なんかな?
不可視の力とか電波も勿論強いが……。
もともと強い強化兵が更に鬼になって瑠璃子さんor少年ともHしたら最強なんだろうか(w
キャラ強化は、全くするなとは言わないが、最小限にして欲しいな。
インフレがおきそうだし。
フッフッフ…
強くなりすぎたキャラがいれば、そいつを味方にすればいいのさ…
洗脳系のモンスターも当然いるだろうから、そいつを使ってチョチョイと…
…それではハカロワのマーダーと何にも変わらない罠。
いや、強い奴が敵か味方かじゃなくてさ。
強いはずのキャラと弱いはずのキャラの区別がついてないのは困る。
梓は話の展開上で手に入れた強さだからまだいいが、一部のキャラはノリだけで強く描写されてるからな。
その逆に、最強であるべき狩猟者が単なるやられ役だったりとか……。
書き手の理想の力関係を押しつけられてる気がする。
関係ないけど、鬼連中は身体能力こそ凄いが、戦いにおける技術においては強化兵の足元にも及ばないはずだと思うんだがどうよ?
結局は一般人……温泉屋姉妹や警官だし。
>>595 うーん、どうだろ?
体系化された技術はたいした事ないと思うが、
エルクゥ連中は気配を殺したりできるので、野生の勘というべきものには秀でてると思うな。
まあ正面から戦えば、強化兵最強クラスと初期梓が互角くらいでない?
>>596 野生の勘はともかく、気配を殺すのはちと疑問。
鬼化しただけで周囲の体感気温が三度下がったり
自重で地面が凹んだり、山中の野生生物が尻尾巻いて逃げたりする連中に
隠密行動が出来るとは思えない。
どっちかつーと比較スレとか最強スレ向きの話題だね。スマソ。
鬼は戦闘力は最強だが、強化兵みたいに頭の中までソルジャーではない…って感じかなぁ。
強い弱いとは別に、あくまで思考回路の違いとして。
とりあえず、書き手にはそういう所の差別化をはかってほしいと思う。
英二たちは、無言のまま通路を進んでいた。
先頭には、両の手は言うに及ばず既に全身を人の血で紅く染めつつある異形、ラミア。
ふと怪物が足を止めた。が、後続の英二たちがそれに倣って足を止める間もなくラミアはまた前進を始める。
「『いた』のかい?」
英二がラミアに問いかける。ラミアは、それには答えない。
彼女のあたりに立ち込める気配がうっすらと殺意をまとい始めたことが、
英二の問いに対する答えを代弁しているかのようだった。
通路を進むにつれ、この施設の狂気の度合いがだんだんと増してくる。
そこいらにあふれる、惨殺された研究員。ラミアの仕業であることは、聞かずともわかったことだった。
加えて、おそらくはラミアの仲間のものなのであろう異形の屍。
通路内の色の比率の大半を赤い色が占めるまでに、長い時間はかからなかった。
「頭が痛くなりそうだ」
拓也が少し顔をしかめた。この思念、けして人のものばかりではない。
むしろ、思念の強さという点では研究員のものよりも人ならざるモノ……怪物達のほうが勝っているといっていい。
「君の言うことにも、それなりに筋が通っているようだね……見る限りでは」
ときおり通路の両脇にのぞく、ガラス窓の向こう側。
いかにも悪の研究室然とした室内。そこに鎮座する肉、肉、肉……
「趣味が悪りぃや」
言葉少なに、エビルが悪態をついた。
「ま、待ってほしいんだな」
間延びした声が一行の後方から聞こえ、ラミアを除く全員が立ち止まり、振り返る。
「みんなおかしいんだな、普通こんなところを真顔でなんて歩けないんだな」
涙目になりながら、小走りに横が追いついてきた。その後ろには、理緒を背負った縦が続く。
「どうかしたネ?」
理緒の方に目を向けながら、レミィが聞いた。
「この有様を見て気絶してしまったでゴザル。というか、お主が何故この状況下、平気な顔でいられるのかが不思議でならないでゴザル」
「映画で見たネ」
さらりと言ってのけたレミィに対して、縦横はもう何も言わなかった。
「や、ずいぶん彼女と離れてしまったな」
言うなり英二は歩みを始める。先ほどよりも幾分、歩調を速めた上で。
「も、もう行くでござるか……?」
「い、生きていたのか、貴様!?」
ラミアを追って通路の曲がり角に差し掛かったころであろうか。
一行の耳に、そんな言葉が響いたのは。
続いて、ダァンという銃声。先頭に立っていた英二の脇の壁に穴があく。
縦横が、ひっと叫んだ。
「お前は、ここの責任者……私の同胞が死んだのは、すべてお前の指示……」
バシンと何かを叩くような音。続いて、転がってくるなにか。
拾い上げてから、横はそれを拾ってしまったことを後悔した。護身用の銃だった。
「ち、違う! 私は!」
「……黙れ」
曲がり角越しに聞こえる、ラジオドラマのようなやり取り。
聞こえる。骨の軋む音。
「我らサーペントのみならず……」
ごきっ、という音が聞こえる。とどろく悲鳴。腕かな、とエビルがつぶやいた。
「……来たか。そんなところで見ていなくとも、こちらに来ればいいだろう」
ラミアが言う。どうやら、こちらに気づいたらしい。それとも、最初から気づいていたのか。
「地上への出口はこの先だ。そこがお前たちの望む場所であるかどうか、私は知らない」
言い終えると、ラミアは男の肩に置いた手に力を込める。ごりっという音がして、男が悲鳴を上げた。白衣の中年だ。
「案内ありがとう。ついでに、その男に少し質問がしたいんだが、いいかな」
ラミアが英二をきっと睨む。
「そいつの命を助けたいわけじゃない。その手は離さなくてもいいから、少しその男と話をさせてほしい」
ラミアは少し黙っていたが、やがて「はやくしろ」とでも言うように、視線を下に落とした。
「さて」
英二、エビル、拓也の三人が、男をじっくり見下ろした。
レミィはそれを興味深げに見つめ、残りの二人と気絶者一名は地上への出口側からそれを遠巻きに見つめている。
「この延命は、果たしてあなたにとってプラス、だったといえるだろうか?」
【英二一行現在位置 地下施設地上連絡口前】
【理緒 廊下の惨状のショックで気絶中】
【横 銃を拾う】
ホワルバはほとんどプレーしてないので英字の性格付けが……
誤字脱字、その他突っ込み等ございましたらよろしくお願いします。
603 :
名無しさんだよもん:02/11/12 01:43 ID:AGH1dCeL
晒し上げ
ところで、かなり前から思ってたんだけど唐突に今言ってみる。
>>1の
* 自分の贔屓しているキャラが死んだ場合、あまりにもぞんざいな扱いだった場合だけ、理性的に意見してください。
ってさ。『自分の贔屓しているキャラが死んだ場合』ってところ、おかしくないか?
あまりにぞんざいな扱いだったら、贔屓してなくても理性的に意見するべきだろうと思うんだがどうか?
>コリドーア
時間軸の遅れ以外は良いんじゃないかと。
個人的には、腐っても雇兵・博士である縦横に期待。(マイナーとはいえ設定は無視すべきじゃないと思うし)
しかしなんだな。
この肉辺の中に真琴の実母も含まれてるのかと思うと複雑だな。
ところで、感想も書かずに議論したがるのはおかしくないか?
少しは感想書いてからにしろよと思うんだがどうか?
>コリドーア
題名の意味はなんですか?
話の流れはいいんじゃないですかね。
ただ、ラミアと研究員(責任者か?)のやりとりがわかりづらいです。
>拾い上げてから、横はそれを拾ってしまったことを後悔した。護身用の銃だった。
これ余計じゃないかなぁ。無くすかもっと描写増やすかしないと混乱するような。
英二の性格は、そんな感じじゃないですかね。掴み所無い部分もある人ですし。
食 喰 食 喰 食 喰 食 喰 食 喰
喰 食 喰 食 喰 食 喰 食 喰
食 喰 食 喰 食 喰 食 喰 食 喰
喰 食 喰 食 喰 食 喰 食 喰
もはやその生物の頭の中には『それ』しかなかった。
本能の命令に従い、動き、噛み、貪る。
幸いなぜか今この島には腐るほど(文字通り腐ったものも多々あるが)餌がある。
だが、彼らに腐肉も生肉ものべつはなかった。
目の前の肉の塊を、喰らう。
それだけだった。
「チッ……仕方、ない……な!」
久瀬は舌打ちしながらも足元に転がる人間を担ぎ上げた。
普段の彼からすれば思いもよらない行動だった。実際、彼も自分のことながらその行動を不思議に思った。
――なぜ僕はいまさらこんな足手まといを助ける?
――僕が彼を助けたところで得るものは少ないはずだ。
沸いた疑問に、彼は理由をつけることで自身を納得させた。
――そうだ。今の僕らには情報が足りない。
――この島の、他の場所の状況。一体何が起きているのか。
――このまま終わらぬ戦いを続けてもジリ貧だ。
――情報を聞き出そう。
――それにこの男、かなりいい体をしている。
――怪我さえ大したことがなければ、あの二人より戦力になるかもしれない。
「よし……ふぬ……ぬぅぅぅぐぐっ!!!!」
筋肉の鎧をまとった男。さらには完全に気を失っており、彼の体重は久瀬が全て背負い込む必要があった。
「……歩けないことも……ない、か……!」
よたよたと、だがなんとか足場を確保しつつ、久瀬は歩き出した。
……獲物だ。
それは感じとった。光岡の流した、多量の血を。
……肉がある。近くにある。
全ては本能の命じるままに、追跡を開始した。
ズズズズズ……
黒い地面を蠢かせて。
「偵察? 久瀬がか?」
目を覚ました相沢祐一が聞いたのは、意外な言葉だった。
「ああ。あいつは今のお前の足じゃ化物どもからは逃げ切れないって言ってな、今はこの辺を調べて……っと、焼けたぞ」
火にかけていた肉が程よい具合に焼きあがる。北川は串を一本取ると、祐一に手渡した。
「お、センキュ」
そのまま迷わずガブリとかぶりつく。ちなみに、何の肉かは教えていない。
「……信じられないな」
「だが事実だ。あいつはお前のためを思って今行動している」
祐一の知る久瀬という人間は、どうひっくり返っても『他人のため』などという言葉と結びつく男ではなかった。
「……あいつ、一人で逃げる気じゃねえのか?」
それは軽い冗談……でもないが、少なくとも本気で言ったつもりはなかった。
だが
「……相沢」
北川の声が低い唸りをあげた。
「いい加減にしろ」
「……っ」
普段の北川からは想像もできない、厳しい一言だった。
「今俺たちは仲間だ。俺も、お前も、もちろんあいつも。俺たちはなんとしても美坂や水瀬たちを助けだし、この島から脱出しなければならない。
そのためには今俺たちは協力しなければならない。もちろんあいつもそれはわかっている。……お前たちの間に何があったかはわからない。
けどな、お前がいつまでもそんなんでどうするんだよ。あいつは俺たちを信じたんだ。なら、俺たちもあいつを信じてやらないでどうする?」
「…………」
祐一は反論しようと思った。そんなんじゃない。俺だってあいつを信じている。
今は仲間だ……そんな言葉を使って。
だが、それを言う前に(あるいは言えなかったかもしれないが)少し離れた場所から久瀬の声が聞こえた。
「君たち……そこに、いるかい? もしいたら……少し、手伝ってもらいたいんだが……」
「久瀬か?」
立ちあがろうとした祐一だが、北川がそれを制する。
「お前は大人しくしていろ。声からするにそんな緊急の事態でもないようだし、俺一人で十分だろ」
祐一も、これには素直に従った。
「おい久瀬、どうしたんだ――――?」
近くの土手を登り、北川はその向こうにいた久瀬を見下ろす格好になる。
「まぁ……ちょっと怪我人を拾ってね。どうにもこうにも脱力した人間というのは重く……」
「伏せろ久瀬!!!!」
北川は叫ぶと同時にSPASを久瀬らのいる方向に構えた。
「ッ!!?」
状況が飲みこめない久瀬だが、ともかく言われたようにその場に伏せる……が、背中にかかる重みのせいで傍目からはつぶれたようにも見えた。
バァァァァーーーン!!!!
林間に一つの銃声が響き、同時に久瀬の真後ろの地面が丸く削られた。
同時に、そこにいた『それ』も体液を撒き散らして死んだ。だが、その数は全体から見れば微々たるものでしかない。
「……ッッ!? これは!」
振り向いた久瀬が見たもの。それは―――――
「蟻!?」
地面を黒く覆い、今まさに自分らに迫る無数の……いや、そんな言葉すら生ぬるいほどの蟻の群れだった……
【久瀬 光岡を保護】
【肉食蟻 久瀬&光岡に迫る】
【祐一はまだ焚き火の場所に(足の怪我は簡単な応急処置のみ)】
乙。なんかシーンを想像しただけで全身にさぶいぼがw
613 :
RTO:02/11/13 01:42 ID:y+erJktC
どもRTOです。
>>新作
おお……巧い……描写のゾワゾワさ(?)がすばらしい。
話も面白いですな……蟻は盲点だった
>>607 その一文は推敲時の消し忘れでございます。
>拾い上げてから、横はそれを拾ってしまったことを後悔した。護身用の銃だった。
この一文は削除でお願いします。申し訳ない。
書き上げてみたら長くなってしまったので縦横の描写をバッサリ切り捨てまして……その名残で。
突っ込みありがとうございました。
コリドーア=Corridor 廊下、とか回廊とかの意味合いです。
あえてカタカナ表記にして奇をてらってみたのですが ビーンボールでしたか。
>>613 corridorはコリドー、あるいはコリドールだと思う。せめてコリドワ。百歩譲ってコリドアー。
コリドーアはちょいと無理矢理に過ぎるかと。ていうか素直にCorridorじゃダメだったのか?
615 :
RTO:02/11/13 02:11 ID:y+erJktC
>>614 イシターと遠藤雅伸とシャッタードスカイに騙されましたと言っておきます(何
発音記号みてみましたところ確かにコリドーアでは無理がありすぎるようです。勝手ながら、
サイト収録時には英字にさせていただきます。しかし申し訳ない……
ちと話を書いていてつまってしまったので質問。
国崎はいつ、S&Wを入手したんだ?
「な゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーー!!!!!!」
2階から自分たちを見下ろす―――たった今、己の仲間を引き裂いたその吸血鬼。
たまは今までの彼女からは想像も出来ないような震える声を上げると、その場に飛び上がった。
「ホォ、化け猫が! 腐っても我が同族というところか!」
吸血鬼はフランソワーズ『だったもの』をまるでゴミのように(空き缶でも捨てるかのように!)無造作に放り投げると、迎撃体勢をとる。
「殺した! 殺した! 殺したぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーー!!!!!」
……そう。それは、『殺した』だ。『壊した』ではなく。
天井に吊るされた豪華なシャンデリア。たまはいったんそこに手をかけ、とりつく。
そして改めて対象を睨みつけた。
「フーーーーッ、フーーーーーッ、フーーーーーッ、フーーーーーーッ………」
浅い呼吸を繰り返す。それは飛びかかる直前動作だ。
「クックックック……そうか。我が憎いか」
猫の血に流れるかつての狩猟動物としての血が騒ぐ。それが怒りと合いまり、彼女の体の中をかつてないほどの力が駆け巡っていた。
……しかし、それでもその戦力差は埋まらない。
……フランソワーズが生きていたなら、迷わずこう言っただろう。『逃げろ』と。
……だが、彼らにとって不幸なことは、今この場に彼我の戦力差を冷静に判断できる人間がいなかった、ということだ。
「ガァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーー!!!!」
咆哮。そして跳躍。シャンデリアを蹴り飛ばし、自分の斜め下で薄ら笑いを浮かべる吸血鬼へと襲いかかる。
両手の爪は鋭利な刃と化し、敵の肉を引き裂かんと欲す。
人より長い八重歯は牙と化し、敵の喉笛を噛みきらんと欲す。
……だが、その敵はあまりにも格が違いすぎた。
「ハ! 笑止!」
キャッチボールの球を受けとめるように……
戸棚の上に置かれた皿を取るように……
愛しい我が子の頭を撫でるように……
冬弥たちが受けたのは、そんな印象だった。それほどまでに吸血鬼の動きは滑らかすぎて、自然すぎて、そして……余裕があった。
パシッ
振るわれたたまの手首を、事も無げに受けとめる。
「なぁぁぁぁぁぁーーーーーーー!!!!」
それでも、たまは空いているもう片方の手を振りかざす。
「悲鳴を上げろ」
ミシィ!!!
「が………」
吸血鬼は気にせず、掴んだたまの手首を握りつぶした。
手の中で水音と固いものがヘシ折れる嫌な(だが吸血鬼当人にとってはたまらなく甘美な)音が聞こえる。
「豚の様に」
そのまま、たまの体を階下の冬弥たちがいる場所へ投げ飛ばした。
ドン! バン!! ドゴォ!!!
何度かのバウンドを繰り返した後、ようやくその身は床に体重を預けることが許された。
慌てて冬弥たちは駆け寄る。
「た、たま! 大丈夫か!?」
「たまさん! しっかりしてください!」
彰は声が出せなかった。……たまの右手を見てしまったからだ。
そこはもう皮一枚で繋がっているというのもおこがましい……何本かの、腱の『ようなもの』血管の『ようなもの』。
そんなもので体との関係がギリギリ保たれている……それだけだった。
「ククククク……化け猫風情が。この高貴たる我に勝てるとでも思ったのか……身の程を知るがいい。低級魔族が」
吸血鬼がゆっくりと降り立つ。四人から見ると食卓を挟んだ反対側だ。
「……冬弥さん、彰さん……たまさんを、お願いします」
「お、おい葵ちゃん、何を……」
「ハァァァァァァァァ!!!!!」
葵は冬弥の問いに言葉ではなく、行動で答えた。
先ほどたまを子供扱いしたその魔族に、単身挑む。
「ほぅ小娘、次は貴様か」
「あなたは……許しませんッ!!!」
純白のテーブルクロスがかかった食卓の上を走る。長い長いテーブルの上を、反対側に佇む吸血鬼めがけて。
「下賎な……」
吸血鬼の体がふわりと宙に浮く。そしてそのまま食卓の上を滑空するように葵に迫る。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
だが葵は臆さない。すでに敵が人外なのは承知の上。ならば、敵の能力に惑わされるのではなく、いかにして己の一撃を叩きこむか。
重要なのはそれだ。人の形を成している以上、急所も同じと考えるが上策。
「……乳臭いが、一応処女のようだな……」
吸血鬼がポツリと漏らす。
そして、交錯。食卓中央部分で二人の影が重なった。
「葵ちゃんッ!」
冬弥の悲痛な叫び声がホールに響く。だがその声の中には一抹の希望もあった。
(ひょっとしたら……葵ちゃんなら……)
そんな希望だ。
見事に裏切られた。
吸血鬼と交錯した葵の体がグラリと崩れ、そのまま吸血鬼に担ぎ上げられる。
「安心しろ……この小娘はまだ殺しはしない……一応処女のようだからな。せいぜい楽しませてもらう」
そしてクックック、と下品な笑いを浮かべた。
「な、なんだと……」
「まぁお前たちには関係のないことだったか……」
不意に、吸血鬼はその笑いを止めた。
「お前たちは、ここで死ぬのだからな」
【葵 気絶。吸血鬼シュベストに囚われる】
【たま 瀕死、右手首が潰れる】
砂浜の適当な場所を選び、そこに枯れ枝を集め火をつける。
火が大きくなってきたら、小枝で作った即席の串にイカの切り身を刺し、その焚き火にくべる。
「そして、しばらく待てばイカの焼けるいい香りがしてくるわけだ」
と、イカを焼きながら説明しているのは国崎往人。
「にゃあ〜、国崎さんは物知り博士なんですね〜」「ぴっこり」
イカを焼けば香りがする、というだけの説明に拍手を送るのは、まだ幼さの伺える少女である塚本千紗と、謎の毛玉生物であるポテト。
彼等は、海辺で偶然発見した巨大イカを、焚き火であぶって食べている最中であった。
「しかしアレだな。お前も思ったよりタフだな」
イカの肉片を、サバイバルナイフで切り分けながら、往人は千紗に話し掛ける。
ちなみに、サバイバルナイフはスタッフ河田から受け継いだサバイバル用品のうちの1つで、先程火をつけるのに使ったマッチもその1つだ。
「ぴっこり?」「毛玉には聞いてない」
ポテトが返事をするが、それは軽くあしらって話を続ける。
「普通、あんな巨大なイカを見たら食べる気力なんてなくしそうなもんだが」
「そんなことないですよ、賞味期限が切れてないから、新鮮で美味しいですよ」
「……健康でなによりだ」
そしてしばらくは、イカの味はどうだ、醤油がどうだ、味噌がどうだとどうでもいい話を続けているのだった。
どれくらいそうして過ごしただろうか。
自分達では食べ切れないと判断し、保存食、或いは他の参加者たちへの食料として、袋に焼いたイカを詰め込んでいるそのときだった。
「あ、あの、国崎のお兄さん。あれ! あれッ!!」
「ぴこッ! ぴこぴこッ!!」
千紗が、往人の服の裾を引っ張って、しきりに浜辺の一点を指差している。ポテトも言葉こそはわからないが、千紗と同じようなものなのだろう。
何ごとかと往人が目を細めてそちらを伺うと、そこには……。
「ありゃあ、人か? 子供じゃないか? ……おい、ちょっと2人はここで待ってろ!」
言うが早いか、イカを詰めていた袋を無造作に千紗へと放り、その浜辺に打ち上げられた子供のもとへとかけていく。
「……息はしているな。見た所怪我もない、大丈夫だ」
その少女の年の頃は13、4だろうか。
栗色の髪をツインテールにしたその少女の、浜辺に打ち上げられていたという状態からいって、どこかで溺れかかったのだろう。
幸い命に別状は無いようで、今は濡れた衣服の代わりに、往人のシャツを羽織った姿で、焚き火の横に寝かせられている。
「お兄さん、この女の子、なんであんなところに溺れてたんでしょうか……」
「なんでってそりゃあ……」
魔物にでも襲われて、水に落とされたか、あるいは自分から水に飛び込んだか。
どちらにしろ、あえて千紗に答えなかった。この場に居もしない怪物のことで、無闇に千紗を怖がらせても意味がない。
「まあ、溺れた理由なんてのはどうでもいい。重要なのはこの子が無事だってことだ」
「ぴこ〜♪」
「とりあえずポテト、温めてやれ」
無造作にポテトを掴み上げ、気を失ったままの少女の胸元に押し込んでやる。
「…………ぴ……ろ……」
ポテトの温もりを感じた少女の寝言が、聞こえたような気がした。
624 :
ブッチー:02/11/14 02:41 ID:cGt53t/d
【国崎、千紗、ポテト 焼きイカで再び満腹。食事の貯えをゲット】
【真琴、命に別状はないが意識不明】
今まで名無しだったけど、気合いをいれるためなんとなくコテハンを名乗ってみたり。
レス間は2行空けで御願いいたします。
625 :
名無しさんだよもん:
晒し上げ