☆☆狩野すみれ兄貴の質問コーナー☆☆☆
Q投下したSSは基本的に保管庫に転載されるの?
A「基本的にはそうだな。無論、自己申告があれば転載はしない手筈になってるな」
Q次スレのタイミングは?
A「470KBを越えたあたりで一度聞け。投下中なら切りのいいところまでとりあえず投下して、続きは次スレだ」
Q新刊ネタはいつから書いていい?
A「最低でも公式発売日の24時まで待て。私はネタばれが蛇とタマのちいせぇ男の次に嫌いなんだ」
Q1レスあたりに投稿できる容量の最大と目安は?
A「容量は4096Bytes、一行字数は全角で最大120字くらい、最大60行だそうだ。心して書き込みやがれ」
Q見たいキャラのSSが無いんだけど…
A「あぁん? てめぇは自分から書くって事は考えねぇのか?」
Q続き希望orリクエストしていい?
A「節度をもってな。節度の意味が分からん馬鹿は義務教育からやり直して来い」
QこのQ&A普通すぎません?
A「うるせぇ! だいたい北村、テメェ人にこんな役押し付けといて、その言い草は何だ?」
Qいやぁ、こんな役会長にしか任せられません
A「オチもねぇじゃねぇか、てめぇ後で覚えてやがれ・・・」
4 :
名無しさん@ピンキー:2009/07/17(金) 07:29:29 ID:KkzufAnK
6 :
ニセドラ!8:2009/07/17(金) 11:41:49 ID:kCPGOxpI
それに気付いても当たる勇気が持てない癖に、相手には強いる。
『みのりん』と『竜児』の為ぇ?
嘘付くな『自分』の為の間違いでしょうが。
「竜児の考えも気持ちもガン無視?大河ちゃんが全部決めてあげるから逆らうなってか?
自分の事は棚にあげといて何を言ってんの!!!
自分は大層な事を吐かしてる癖に"告白"する事から逃げて、相手からも逃げて……押し付け合ってっ!!
竜児は物じゃないんだ!!
なんで一番大切な人の事を考えてあげれないのよ!!!」
私は大河に詰め寄り、猛り狂う。
彼女自身から聞いた訳では無い『憶測』で物を言った私も同類なのだろう。
だけど…事実だよ。
「っ!アンタに何が解る!何度も言うけど、竜児はずっとみのりんの事が好き!私は上手く物事が運ぶ様に協力するって約束した!
なのにっ…このバカ犬は勝手に判断してみのりんから逃げ回ってるんだ。情けない。
一回位で諦める位なら初めから好きになんかなるなっ!
ふんっ!第一に発情バカチワワがでしゃばる意味が分かんない!さっさと失せろ!」
大河が私と竜児を交互に睨み付けながら猛る。
この前まで『傍観者』だった私には耳が痛い。
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yyyhujgyhfgyytgghjytghjfgjuyityjghjyityhjhjyhjkukyitguyuyiyuiujk
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ttghgjjghjhhkjkhghjghjhjhjkuthxxftgghfghghjghjhjgyuityiuyiuukk
☆☆狩野すみれ兄貴の質問コーナー☆☆☆
Q投下したSSは基本的に保管庫に転載されるの?
A「基本的にはそうだな。無論、自己申告があれば転載はしない手筈になってるな」
Q次スレのタイミングは?
A「470KBを越えたあたりで一度聞け。投下中なら切りのいいところまでとりあえず投下して、続きは次スレだ」
Q新刊ネタはいつから書いていい?
A「最低でも公式発売日の24時まで待て。私はネタばれが蛇とタマのちいせぇ男の次に嫌いなんだ」
Q1レスあたりに投稿できる容量の最大と目安は?
A「容量は4096Bytes、一行字数は全角で最大120字くらい、最大60行だそうだ。心して書き込みやがれ」
Q見たいキャラのSSが無いんだけど…
A「あぁん? てめぇは自分から書くって事は考えねぇのか?」
Q続き希望orリクエストしていい?
A「節度をもってな。節度の意味が分からん馬鹿は義務教育からやり直して来い」
QこのQ&A普通すぎません?
A「うるせぇ! だいたい北村、テメェ人にこんな役押し付けといて、その言い草は何だ?」
Qいやぁ、こんな役会長にしか任せられません
A「オチもねぇじゃねぇか、てめぇ後で覚えてやがれ・・・」
こんなところで、僕が出て来てすみません。
公開の件については、非常に残念だと思います。
原因は、この僕にあると思います。
そうだとしたら、すみませんでした。
文が短いのも、僕だと思います。
すみませんでした。
最初の頃は、皆様の足ばっかり引っ張って・・・
皆様の迷惑だと思います。
でも、
文は短くても、『仮面ライダー』は、好きです。
どんなに、短くても・・・
色々迷惑かけてすみません。
リーダーの、リュウタロスさん、サブリーダーの、仮面ライダーNACSさん
そして、それ以外の皆さんすみませんでした。
それと、お疲れ様でした。
皆さん、個人のブログで頑張ってください。
2009-07-15 22:47:15 posted by climax0128rider
脱退の真相。
テーマ:日記
先ほど、MASKED RIDER CLUB-Ameba form- の方に、脱退したという旨の報告をアップしてきました。
昨日に限って、アクセス数がいつもの10倍以上。
ランキングも特撮で13位だったというのは秘密(笑)
一応、昨日脱退したという報告は、このブログでもしましたが、その真相を、落ち着いた今、語ろうと思います。
真相と言うより、詳しい経緯ですね。
一番の原因は、何度も書いているように「メンバーとの意見の不一致」です。
この一番の原因について、僕個人のブログで、僕の心情も交えつつ、詳しく説明したいと思います。
結論から申し上げますと、僕の「マニア度」と、メンバーの「ファン度」には、埋められない差があったということです。
事の起こりは、何人かのメンバーからの提案。
「ライクラに活気を取り戻すために、テーマとは別に、グッズのレビューを取り入れてはどうか?」と。
ライクラに活気がなかったのは事実。
創設時は、みんな勢いに乗って更新していたものの、次第に収束…
放置状態となっていました。
更新したと思っても、その内容は「見ていないからよく分からない」、「覚えていない」など、ライダーファンとしてあるまじき文面。
これには、失望に近い感覚を覚えました。
しかし、それを何とか改善し、記事の質向上を図ろうと、そうなった原因を、メンバーに聞いてみました。
すると、多くは「テーマとして作品を語るのは難しい」とのこと。
僕からすれば、それで逃げているだけとしか思えません。
分からなければ、調べて書こうとは思えないものでしょうか?
そんな状況でブログが放置状態に。
そして、あの提案。
レビューを取り入れること自体に、異論はありませんでした。
しかし、僕は「記事の質を上げることが出来るなら」と条件を出しました。
僕は「作品のレビューもロクに書けない者が、グッズのレビューなど書けるわけがない」と思っています。
作品を語る上では、多方面から語ることが出来ます。
ストーリー、キャラ、デザイン、キャスト・スタッフ、その作品の特徴、商業面 などなど……
実際、僕がライダーを語るときも、これらを意識して書いていました。
話は若干それますが、僕がテーマを決めてそれぞれが語るようにしたのも、「10人で運営する」という、ライクラの特徴を考えてです。
10人いれば、10通りの感じ方・考え方がある。
それを比較しながら欲のも面白いのではないか、と思ってのことです。
そして、その比較対象として、最初に選んだのが「平成ライダーを語ろう!」
平成ライダー好きが集まって運営するブログなのですから、それぞれの平成ライダーに対する思いを語ってもらおうと思ってこのテーマにしました。
話を戻します。
グッズのレビューとなれば「商業面」に該当するでしょう。
これは「作品」という大まかな括りから、細かく枝分かれしていったうちの一つ。
作品という大きな括りだからこそ、様々な切り口があって、それぞれのカラーが出るのであって、分化していってしまえば、アプローチの方向も限られてくる=10人のカラーが出ず、10人でやる意味がなくなります。
だから、作品についてでさえ満足のいく文章にはなっていないのに、グッズのレビューなど書けるわけがない。
故に、「作品について語る記事の質が上がったら」という条件を出したのです。
しかし、レビュー派は断固として主張を曲げず。
聞いていれば、質なんかどうでも良いという口調。
これは、許せませんでした。
実は、ライクラ運営に当たって、数人の方から多数アドバイスをいただいていました。
その中に、「記事の質の向上」がありまして。
それには、僕も共感できたので、メンバーに訴えかけていました。
メンバーもそれを知っているので、終いには「あなたは数人の言いなりになっている」、「その数人のためのブログじゃない」とも言い出しました。
これには、もうどうしようもない絶望感を抱きました。
救いようがないなと。
やはり、僕の目指す「理想のブログ像」と、メンバーの目指す「理想のブログ像」は、かけ離れていたのだなと痛感しました。
僕は、コアなライダーファンでも、そうでない方でも、どちらにも楽しんでいただけるよう、中身のあるブログにしたかった。
しかし、メンバーにその気はなく、新しい企画ばかりを提案してくる。
彼らに、高いことを要求しすぎていたのだなと思いました。
自分が、何故ライクラにいたのかさえ、不思議に思ってしまいます。
前スレ
>>680 GJ!大河切なすぎて竜児に殺気を覚えた。
よし!大河、嫁に来いよ!
結局は、その対立は収まらなさそうでしたし、僕自身、ライクラには「これ以上何を言っても無駄だ」と見切りを付け、諦めました。
対立を収めるためには、圧倒的少数の僕がライクラを脱退すれば良いだけのこと。
龍騎のセリフにもあるでしょ、「多くを助けるためには、一人の犠牲は必要だ」と。
自分自身、ライクラを立て直すことが出来なかったことに、悔しさを感じています。
リーダーという立場でありながら、自ら脱退するという結果も。
しかし、もう仕方ないと諦めています。
ライクラに、レベルの高いことを要求したことが、そもそもの間違いでしたから。ライクラは脱退しましたが、このブログは当然続けていきます。
今後は、このMASKED RIDER LIFEで、僕の理想とする「質の高い」ブログを目指していきたいと思っています。
今後も、変わらぬ応援をよろしくお願いいたします。
触る人もNGですよ〜
>>14 その台詞、そっくりそのままお前に返してやる。
>>とっとと巣に帰れよクズ。
バーカ、バーカ、バーカ、バーカ!wwwwww
富士 演舞 代案 鰤 匙 文章
1111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111234
gfgfgfggffgfgfgfgfgfgfgfg
新宿
ふぁs
該当者なし
魔梨沙は大変なものを盗んでいきました。
キヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ
うわ語彙乏しいwww
流石に頭使わずに書き込んでるだけあるわ、スゲースピード。こりゃ叶わんわ。
で? 文盲がタイピングの練習してどーすんの?
また日本語でおkな恥ずかしいSS投下すんの?
やれよ、やれるもんなら、また晒してやっからよwwwwwww
おい、頭の可哀相な子なんだからほっとけって
>>27 分かったよ。30分経ったしな。
秋田市、帰る。
……しかしお前らも、つまらんの飼ってるなあ……
このスレ怖い
他人の書いたSSの乗っ取りって削除ガイドラインの何にあたるかな
この荒らしに触ってる奴、スレ住人じゃなくて最初から荒らし目的だぞ
他の住人を荒らしに触らせるのが目的
それを突いてるのがスレ住人か荒らし目的かはちとわからん
>>26 うわ語彙乏しいwww
流石に頭使わずに書き込んでるだけあるわ、スゲースピード。こりゃ叶わんわ。
で? 文盲がタイピングの練習してどーすんの?
また日本語でおkな恥ずかしいSS投下すんの?
やれよ、やれるもんなら、また晒してやっからよwwwwwww
>>26 晒したから何?
痛くもないし、なにも感じないわw
☆☆狩野すみれ兄貴の質問コーナー☆☆☆
Q投下したSSは基本的に保管庫に転載されるの?
A「基本的にはそうだな。無論、自己申告があれば転載はしない手筈になってるな」
Q次スレのタイミングは?
A「470KBを越えたあたりで一度聞け。投下中なら切りのいいところまでとりあえず投下して、続きは次スレだ」
Q新刊ネタはいつから書いていい?
A「最低でも公式発売日の24時まで待て。私はネタばれが蛇とタマのちいせぇ男の次に嫌いなんだ」
Q1レスあたりに投稿できる容量の最大と目安は?
A「容量は4096Bytes、一行字数は全角で最大120字くらい、最大60行だそうだ。心して書き込みやがれ」
Q見たいキャラのSSが無いんだけど…
A「あぁん? てめぇは自分から書くって事は考えねぇのか?」
Q続き希望orリクエストしていい?
A「節度をもってな。節度の意味が分からん馬鹿は義務教育からやり直して来い」
QこのQ&A普通すぎません?
A「うるせぇ! だいたい北村、テメェ人にこんな役押し付けといて、その言い草は何だ?」
Qいやぁ、こんな役会長にしか任せられません
A「オチもねぇじゃねぇか、てめぇ後で覚えてやがれ・・・」
☆☆狩野すみれ兄貴の質問コーナー☆☆☆
Q投下したSSは基本的に保管庫に転載されるの?
A「基本的にはそうだな。無論、自己申告があれば転載はしない手筈になってるな」
Q次スレのタイミングは?
A「470KBを越えたあたりで一度聞け。投下中なら切りのいいところまでとりあえず投下して、続きは次スレだ」
Q新刊ネタはいつから書いていい?
A「最低でも公式発売日の24時まで待て。私はネタばれが蛇とタマのちいせぇ男の次に嫌いなんだ」
Q1レスあたりに投稿できる容量の最大と目安は?
A「容量は4096Bytes、一行字数は全角で最大120字くらい、最大60行だそうだ。心して書き込みやがれ」
Q見たいキャラのSSが無いんだけど…
A「あぁん? てめぇは自分から書くって事は考えねぇのか?」
Q続き希望orリクエストしていい?
A「節度をもってな。節度の意味が分からん馬鹿は義務教育からやり直して来い」
QこのQ&A普通すぎません?
A「うるせぇ! だいたい北村、テメェ人にこんな役押し付けといて、その言い草は何だ?」
Qいやぁ、こんな役会長にしか任せられません
A「オチもねぇじゃねぇか、てめぇ後で覚えてやがれ・・・」
o○zタワーを使わないあたり、荒らしも脳がないな
>>36 oh no!
大野さーーーーんwwwww
Here is the eighth part of the fanvid series using the video game engine Mugen. everything within this video is part of the program mugen.
note: This is strictly a fanmade video game vid and is intended for only entertainment to those who enjoy fanfictions, fanart, mugen, etc.
please leave comments and rate the video so I know how everyone likes it. Enjoy!
jlh重l食いkt具hhjhjgひゅうゆじゅgfghfgjhgjっゆjhjghjghfh
hm重jkt具gyhjfghfghtyf6gjhぐjfxtぐdfhjjxyfjkyk
【STORY】現代の地球のどこか。今日もヤッターマン1号と2号は4つ揃うと願いが叶うといわれる伝説のドクロストーンを巡り、泥棒の神様ドクロベエ率いるドロンボー一味と週に一度死闘を繰り広げていた。
考古学者の海江田博士もまたドクロストーンの魅力に虜になったひとりで、発見したドクロストーンのひとつを娘の翔子に託したまま行方不明になってしまう。
その頃、世界では異変が起きはじめる。
様々な場所から大事な物が次々と消えていくのだ。
この異変にはドクロストーンが関係し、そのすべてが集まると、時間の流れが狂い、地球そのものが消えてしまうかもしれないのだ。
その危機を察知したヤッターマンは、ドクロベエの計画を阻止するべく翔子と共にヤッターワンでドロンボー一味に立ち向かう
ほうほう
MUGENとは
PCでプレイするフリーの格闘ゲームです
海外のエレクバイト(現在閉鎖)が開発したもので
いくつかバージョンがあるようです
「どこ向かって走ってんだぁ電王は一体」
「未来です」
「あ、そうか」
どうせ普通に道歩いてるだけで笑われてるんだろ?お前。
ネットでもみんなが笑ってるよ?
>>44 自宅警備に忙しくて外なんか歩けません。
親はいます。
46 :
名無しさん@ピンキー:2009/07/17(金) 21:46:10 ID:T26MVpC9
なんで[伝えたい言葉3]が
保管庫にないの?
「あのさっニセドラ…」
実乃梨はベッドの中央にあぐらをかき、竜児(犬)はそのあぐらの上に座っていた。
「わたしね。失恋したの。ん〜、ちょっと違うな。好きなヒトをね。諦めたの。
そのヒトはね。わたしの大切な友達の彼氏なの。わたしが好きになった時には
もう…なんだろ。絆…かな。ふたりは強い絆で結ばれていたの。だから…うぐっ」
竜児(犬)の頭の上を、ポツ。ポツ。実乃梨の心の深層に秘めていた想い、が濡らす。
実乃梨は言った。わたしは見えているモノに突き進むと。夢を追うと。
しかし今はっきりした。見えているモノは、夢ではなく。竜児だった。
「もっ…、もう泣きゃないって決めたのひっ…ふぐっ…いいの…あの二人が幸せなら。
わたしはぁっ…っ遠くから…見ている…だけで…」
止まらない涙。聞いてしまった。そう、修学旅行のときもそうだった。思い出す。
聞かなかったで済ますのか?俺はどういう選択をすればいいのか?
また傷つけ、過ちを犯すのか。
***
実乃梨は寝てしまった。泣きながら寝てしまった。
もし。もし一生に一度くらい、魔法が使えるなら。どうするだろう。
今日の昼休みには、漠然としか考えていなかった。バカな事しか浮かばなかった。
でも。間違っているかも知れない。
でも。今は強く願う。
…実乃梨を愛したいと。
その昔。犬は夜行性だったらしい。その証拠に竜児(犬)は眠れない。
今日一日、いろいろな事がありすぎて、事案事項が多いからかもしれないが…
窓から月が見える。綺麗な月だ。竜児(犬)は、実乃梨を太陽のようだと思った。
しかしそれは、まわりを楽しくしよう、明るくしようという、彼女の外郭だった。
実乃梨の核の部分は。とても華奢で、脆弱で、繊細だった。今日の月のように。
それが解ってしまった今、彼女のために何か出来ないだろうか?しかし…犬だぞ。
まあ犬でも、出来る事あるだろう。とりあえず、思ったよりイビキが大きい彼女に、
掛け布団を掛けてあげる事に決めた。
ベッドであぐらをかいたまま、俯いて寝ている実乃梨。竜児(犬)は、掛け布団を噛み、
テーブルクロス抜きの要領で、掛け布団を引っこ抜く。むりゅああ!!上手くいった。
次はあぐらをかいている実乃梨を横向きに寝てもらおう。ベッドにピョンッと乗り、
実乃梨の背中にまわる。ゆっくりと上半身を倒そうと、前脚を実乃梨の肩に掛ける。
髪の毛の細さが解る。実乃梨の旋毛の部分に、竜児(犬)は、口で触れた。うなじにも。
そして耳たぶに。そうしているうちに、竜児(犬)は後ろから抱きしめていた。体温が心地よい。
おっと、何やってんだ俺…。はっと気付き、竜児(犬)は、ゆっくりと実乃梨を寝かせた。
最後にあぐらを解いて、ベッドに真っ直ぐ寝てもらおうとする。 竜児(犬)は、
実乃梨のスウェットパンツの裾を口にくわえ、ゆっくり引っ張る。おっ重い…
ふんぐっ、ふんぐっ!無理かーっ。そこで竜児(犬)は、さっきの掛け布団テーブルクロス抜き
の技を使う事にした。一気に、思いきり引っ張る!と、
ビリッ!失敗した。
竜児(犬)の目の前には、パンツ丸見えで横たわるの実乃梨の姿があった。
やばい、やばいっ!どうしよ、どうしよっ。竜児(犬)は、混乱していた。
部屋中をグルグル回る。人間の姿であれば…裁縫セットがあれば…今はどうにもならない…
竜児(犬)は動きを止め、ベッドに顔を向けた。実乃梨が寝返りを打つ。ムニュムニュ…
かっ…かわいい〜っ!!パンツ丸見えの下半身の太ももを、クネクネっとした。
ムフォッ!ミョホホーン!日本語だったらとんでもない淫艶な言葉を発した竜児(犬)。
ジャイアントさらば。いつか実乃梨が言った言葉だ。その後に元ネタのマンガを知った。
言葉の発せない竜児(犬)は、心の中でつぶやいた。
覚悟完了。
>>47 笑うべきなのか泣くべきなのか・・・
ひとつわかったのは、俺は実乃梨に恋してる竜児が好きだということだ
段々となりつつあるシリアス展開に期待は高まるばかりです
fjxryiftyu6ezmsejryWSERTNWSrgynhWSEthnsewthnrseyntghjtykiud7ukio8u
ifyifluikyuiku.ufyukfyujlytyuokuyjlkyhujlyhujygujkgctyiotyikty
>>50 メ蘭にfushianasanと入力するとIDがランダムで変わる
支援
親はいます
>>47 題材にも文章にもクセがあるけれど、読んでみたら意外に面白かった。
慌てて前スレの投下分を読んできたよ。
惜しむらくは1回当たりの投下量が少ないことか。
保管庫でまとめて読めるようになったら、もっと評価は上がると思う。ていうか上がって欲しい。
続きに期待。
…………つーか、まさか獣姦?
>>47 文の雰囲気や投下の仕方が黒×実の人に少し似てたが……違うかww
ムチャクチャな設定だが最後まで考えて書いてそうなので期待できる
竜児(犬)は、横たわる実乃梨を見下ろしていた。こういう体勢を、マウントポジションとか言うのか。
実乃梨の頬には、涙が流れた跡が解る。その流れた涙の訳を竜児(犬)は、知っている。
そっと。キスする。はたから見れば、獲物を喰らう獣に見えたかもしれない。
実際、違う意味で喰らおうとしている訳だが。
実乃梨の体臭。一億倍を誇る犬の臭覚は、竜児(犬)に充分すぎるほどの興奮を与えてくれている。
覚悟完了していた竜児(犬)は、実乃梨の着ているTシャツを剥ごうと試みる。
ゆっくりと、Tシャツを口にくわえ、捲りあげる。紫外線を免れた、実乃梨のきめ細かい肌が露出する。
女性らしい、ゆるやかなカーブを描く、ウエストラインだ。ブラは…付けていないように見える。
丁度、…下乳あたりまで捲し上げたが、バストが邪魔をして、それ以上捲る事が出来ない。
ええいっ!もどかしい!竜児(犬)は、実乃梨のTシャツをその鋭い犬歯で引き裂きにかかる。
その時、
「んっ…?、ニセドラぁ?」
実乃梨が自分の異変に気付く。竜児(犬)は、我に帰り、後ろに飛ぶ。そして、ベッドから転げ落ちる。
ガッシャン!勉強机にぶつかり、卓上のモノをブチまけた。
「ん〜ん…、なにぃ?どちたぁ」
まだ半覚醒のようだ。上体を起し、実乃梨はまだ赤みがかった目を擦っている。
辺りを散らかしてしまったまま、平気なほど、竜児(犬)は、理性を崩していなかった。
一つづつ、口に咥え、机に戻していく。そして、竜児(犬)は知らない、実乃梨が、今日ファミレスで、
玉井伊欧から貰った…緑色の液体が入った小瓶が付いているペンダント。それをを口で拾ったその時、
「ありゃりゃ!スウェットがやぶけてる!」
おパンツ全開っ!と、大声を出した実乃梨。驚いた竜児(犬)は、その口に咥えていた小瓶をガリッと噛んでしまい…
中身の緑色の液体を…飲み込んだ。
「ななな、何で?…あたしって……あれっ?ニセドラ?どした?苦しいの?」
自分の異変より、竜児(犬)の異変を優先する実乃梨。ベッドから飛び降り、竜児(犬)素早く駆け寄る。
竜児(犬)は、カラダからビキッビキッという音を聞いた。その音が聞こえる度、息が詰まる。苦しい…。
グオグオオオオオオッ…
呻き声が漏れる。竜児(犬)の苦痛を少しでも和らげようと、実乃梨は懸命に背中を擦る。
「ニセドラぁっ!大丈夫?ねえっ、しっかりっ!おねがいっ」
実乃梨は涙目になる。それを見た竜児(犬)は、苦しい中でも、またも実乃梨を泣かしたと、歯痒さを感じる。
「ぐっ…ぐううっ、くっ櫛枝…、すまんっ。俺のせいだ…」
そして。その肉体は、ヒトのカタチに変っていった。
「え?」
実乃梨は、しばらく動けなかった。ニセドラが。犬が、目の前で人間になった。高須竜児になったからだ。
「はあっはあっ…、櫛枝。心配かけてすまねぇ。いつも、その…いろいろすまなかった…」
俯いていた竜児は、さっきまで背中を擦ってくれていた実乃梨に顔を向ける。実乃梨は大きな瞳を瞬く。
竜児のカラダは、完全には戻っていない。体毛が、かなり残っている。爪も鋭いままだ。
「ええっ?たっ、高須くん?あれっ?なんで?」
実乃梨に理解させる時間を与えないまま、竜児は今まで言えなかった言葉をぶつける。
「櫛枝。お前が好きだ。お前の明るいところ、優しいところ、…そうじゃないところも…とにかく全部だ」
瞬いていた実乃梨の瞳が、ゆらりと揺れた。動揺して、いつもの軽口が出せない。
「でっ、でも高須くんには…」
次の言葉を竜児は許さなかった。実乃梨の顔を、自分の、毛深い胸に埋めさせ、抱きしめた。
「グルルッ、俺の幸せは、俺が決めるっ、もうお前に涙を流させねえっ、泣くなっ」
興奮し、身震いする。まだ完全には人間に戻っていない。
「そして俺は」
竜児はよくいう、草食系男子だったが、今は違う。
「お前を抱きたい」
犬は、肉食だ。
>>54 こんな時に使う、便利な言葉があるよな。
わっふるわっふる
( ゚∀゚)o彡゜
はっはっは。
大河を大切にしない竜児に用はねぇ
だが続き楽しみにしてるよ。虎ENDキボン
ここまで言って大河のもとに戻るようだったら殴らにゃならんな
つーわけでみのりんENDきぼ
てか何気原作後のこの二人が一番書きにくい気がする
「こっ。これは…夢?」
実乃梨は竜児の胸の中で呟く。竜児は実乃梨の両肩を掴み、夢なんかじゃあっと、言おうとする。
「そう。これはわたしの夢。だ…だから、言っちゃう。…夢だから言っちゃうんだ。高須くんっ」
息がかかる距離。実乃梨の涙腺が再び緩み、ピンクに火照っている顔が歪む。
その顔を泣くなと言った、竜児に見られたくないのか、おでこをくっ付けてきた。
「…わたしを抱いて」
実乃梨は竜児に自ら飛び込む。そして竜児は飛び込んできた実乃梨の、ピンクの唇を奪う。
***
竜児は、実乃梨を抱き上げ、やさしくベッドに降ろした。日頃、泰子の介抱をしているが、
手に伝わる張りのある感触は、泰子とは違い、十代のそれだった。
「櫛枝…実乃梨…」
頬を撫でながら、実乃梨を名前で呼ぶ。思えば彼女と初めて会話を交わしたその日以来だ。
竜児の呼び掛けに実乃梨は頷く。
「…おねがい、もう一度言って…」
好きだと言った事なのか、名前で呼んだ事なのか。
「実乃梨。好きだ」
まだ、完全に獣から戻っていない夜目が効く竜児は、実乃梨の表情の変化を見逃さなかった。
「わたしも…あなたが、好き」
その言葉を皮切りに、ふたりはお互いの肉体を確かめ合う。腕、胸、背中の順に。
はぁっんと実乃梨は、吐息を洩らす。竜児は、実乃梨の無垢なカラダを、唇でなぞる。
竜児の息が荒いのは、まだ、獣のせいだからではない。
吐き出す息は強く、実乃梨のやわらかい肌をくぼませている。
「ありがとう…」
その言葉の意味がわからぬまま、竜児は、愛し続ける。
竜児の唇は、胸から腹部へと、次第に下降し、実乃梨の敏感な箇所に辿り着く。
「あっ」
本能のなせる業なのか、竜児は、甘い蜜を見つけた獣のように、むしゃぶりつく。
竜児は力が入り、両手で触れていた乳房が、激しく歪む。
実乃梨は、その行為に反応し、快楽の声を出すまいと、竜児の少し長くなった髪を掴んだ。
「…実乃梨。お前が欲しい」
竜児は、顔を上げ、実乃梨と眼を合わす。実乃梨は、承諾の合図を送る。
「うん。その前におねがい。もう一度キスして…」
お互いの背中をまさぐるようにして、激しくキスを始める。
そして実乃梨の手は、硬直した竜児を、握る。
竜児の舌が、停止する。実乃梨はさらに、握っている手に力を込める。
そして竜児の舌は、さっきより激しく、実乃梨の口内をまさぐる。
そして…唇と唇が離れる。
「して」
実乃梨は竜児を求めた。
保守
( ゚∀゚)o彡゜
yhjxtfgyjtfgyjcfghjcfyjjxytytyurturttumghfgjykdtgyjdtyjyhdtkktjg
>>62 自宅詰所待機乙
fusianasanがみてました
親はいます
実乃梨は、握っていた手を緩めず、竜児をエスコートする。竜児は、実乃梨の太ももを掴む。
五指が柔らかい太ももに埋まる。そして実乃梨の両足は、大きく開かれていく。
竜児の先端が、実乃梨に触れる。エスコートを終えた実乃梨の両手の五指は、竜児の五指と絡まる。
無言で見つめ合い、確かめ合った後、ゆっくりと竜児は実乃梨に入ってゆく。暗闇をすすむようにゆっくり。
実乃梨は目を瞑る。竜児の先端。頭の部分だけ、実乃梨の中にニュルっと挿れたその時、
「ううっ!」
…竜児はたとえ先端だけだったとしても、絡み付くような実乃梨の刺激に耐えられず、
…果ててしまった。
実乃梨の中は、予想より熱く、予想より潤沢で、予想より至極であった。竜児はうなだれ、実乃梨に落ちる。
「っす…すまねえ…俺」
ちょっとびっくりした様子の実乃梨だったが、自分の腹上に撒かれた竜児の出した熱い流体に触れ、
「うふっ、本当に白いんだねぇ。…ん〜、変なニオイ。ねっ竜児…くんっ」
別に呼び捨てでもよかったのだが、そういう状況じゃあない。弁解しようと、いつの間にか正座になる。
そんな竜児の唇に、実乃梨は人差し指でタッチする。
「いいよっ竜児くん。なんかね。おかしかったし。なんか違う」
竜児は動揺する。実乃梨は何を言いたいのか。
「いや〜、危なく竜児くんにわたし、ヤラれるトコロだったよ〜」
「どっ、どういう…」
実乃梨は竜児の唇を、今度は自分の口でタッチする。放す瞬間に、チュッと音が響く。
「ん〜っ、竜児くんはっ、わたしにヤラれるのっ」
正座している竜児の正面に、実乃梨も正座する。
「わたしね。初めてなの。でもねっ…竜児くんと、その…エッチする事。想像した事あってさ…
それと違うの。なんか。もっとわたしの方が…だから、これは夢みたいなもんだし…だから」
じっとしてて…と言い、真っ赤な顔の実乃梨は、またもや、矮小化した竜児を握る。
見慣れぬ竜児をしばらく見つめ、意を決したように、今度は、それを口に含んだ。
「くおおっ!」
未知の刺激に、混乱する竜児。愛する相手を、悦ばしたい実乃梨は、ネットや、本で知った知識で、
懸命に竜児を、自分の舌や唇で、愛撫する。矮小化していた竜児が、むくむくと充血し、硬化した。
実乃梨は、竜児の表情を確かめるため、行為を止めずに竜児を上目遣いで見つめる。
竜児の理性が薄くなる。実乃梨の指が、竜児の周辺を刺激する。電気が流れるようだ。
「実乃梨…俺も。足をこっちに…」
竜児は体勢を変えさせる。実乃梨の下に潜り込み、お互いを、愛撫し始めた。実乃梨の腰がうねる。
「んっ、あはっ!あはんっ!」
実乃梨は、声を出す事に躊躇しなくなっていた。その喘ぐ声が、竜児を奮い勃たせる。
口での愛撫を止めた実乃梨だったが、その長い指先が、その役目を引き継ぐ。竜児も声を漏らす。
「っはあっ!はっ、実乃梨…俺、もう…」
我慢が出来ないのは、実乃梨も一緒のようだった。
実乃梨は、竜児を握ったまま、振り返り、再度、軽くキスする。
「竜児くん…入れるよ」
仰向けの竜児に、実乃梨は股がる。実乃梨は強がっているが、恐る恐る腰を落としてゆく。
「んん〜っ、ぐっ、くっ」
竜児を挿入する。ミリミリッとする感触。実乃梨は思ったより大きな痛みにハッとするが、
そのまま体重を乗せ、竜児の先端を、実乃梨の最奥まで送り込む。痛みに耐え、しかし
竜児の為に、少しだけだが腰を動かしたした。絡めた指に力を込める。
竜児は、さっきの失敗のおかげで、なんとか耐えられたが、付け根まで挿入した竜児が
感じる快感は、やはり熱く、潤沢で、至極で、長時間は愛し合えないと悟る。
竜児は上体を起こし、実乃梨の乳房を揉みしたく。そのまま実乃梨にキスする。
そうして懸命に奉仕する実乃梨の腰の動きを止めさせた。竜児は実乃梨に語りだす。
語る度に、お互いの唇が触れる距離で。
「俺。お前とひとつになれて、うれしいっーか感動している。だからこのまま、
お前と出来るだけ長くこうしていてえ…」
挿れたまま、抱き合ったままの体勢。実乃梨は竜児に答える。
「ん…。わたしも…うれしい。竜児くんがうれしいって…感動してるって言ってくれて…」
強く抱き合う。実乃梨はキスしたまま、腰を動かしだす。さっきより激しく。
竜児はその刺激に、快楽に驚愕。感電したようにピクッピクッと反応、快感に堪えるが…
「はあっ、はああっ、実乃梨…好きだ…くううっ!」
堪えきれず竜児は全てを出し尽くす。実乃梨を見ると、愛し合えた事を本当に感動していたのか、
実乃梨の瞳は涙ぐんでいる。その涙は、犬の姿をしていた時に見た涙と、温度が違っていた。
「えへへっわたしも竜児くん好き。大好き。でも…ごめんね。だってさ。結構痛かったんだよっ」
おわびに実乃梨はおでこにキッスした。
(;´Д`)ハァハァ
ハァハァ……
これは期待できる
>>65 一応確認しておきたいんだが……この竜児は大河と原作エンドを経て付き合ってるんだよな?
こ れ は 許 せ ん な
竜児死ねって言っていい? 主に誠死ね的な意味で
早漏竜児……
わっふるわっふる
わっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふる
わっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふる
わっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふる
わっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふる
わっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふる
わっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふる
わっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふる
わっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふる
わっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふる
わっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふる
わっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふる
わっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふる
わっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふる
わっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふる
わっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふる
わっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふる
わっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふる
わっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふる
わっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふる
わっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふる
わっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふる
わっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふる
わっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふる
わっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふる
わっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふる
わっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふる
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わっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふる
わっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふる
わっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふる
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わっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふる
わっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふる
うn
わっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふる
わっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふる
わっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふる
わっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふる
わっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふる
ちょっと荒らしとか勘弁してくれマジで
完全に元に戻っていない竜児の身体で、おかしい箇所を、実乃梨はチェックしていた。
「ふむふむ…黒ティクビが二つある。おかしい!」
「普通だろ…あと、ここはどうだ?自分だと見えねえ」
竜児は大きく口を開ける。八重歯というにはあまりにも鋭利な犬歯がのぞく。
「あ〜、こりゃすっげえ。知ってたらキスしなかったかも…ありゃ?うーそ。うっそっさ!」
ちょっと表情を曇らせた竜児の肩をパンッと叩く。一通りメモしたのでノートを閉じる。
「あした…もう今日かっ、忙しいね。脱毛クリーム買ったり、代わりの犬探しに行ったり…」
一番困難な事があるな〜っと、実乃梨は一枚のタロットカードに似た名刺を取り出した。
それを指で挟んで、シュッっと投げるふり。キャッツアイ!と言った後、
「涙夜…黒大河ちゃんを探さないとねえ…」
竜児は実乃梨の口走った『大河』という言葉に強い反応するが、名刺を本当に投げて、
ぬいぐるみに刺してしまって慌てている実乃梨には、悟られなかったようだった。
***
「竜児くん平気?途中まで送っていこうか?」
実乃梨は心配そうな顔を竜児に向けた。大丈夫だっ…と、さらりと言う竜児には、
心配よりも、もっと一緒にいたいという、実乃梨の本心を見抜けていないのだろう。
「じゃあ、明日な。実乃梨」
軽くキス。お互い、離れがたい衝動に駆られるが、持ち堪える。
帰路の途中、月を見上げながら竜児は、考えていた。大河の事を。
実乃梨との事を知ってしまったらどうなってしまうのだろうと。
丁度同じ時、パソコンをいじりながら実乃梨も考えていた。やはり大河の事だ。
竜児との事を知ってまったら、どうなってしまうのだろうと。
そして、違う場所にいるふたりは同じことを考えていたが…
…それぞれ違う結論を出した。
日曜日の昼前。竜児のカラダには昨晩の余韻が残っていた。まだ爪は鋭い。
竜児は、手際よく家事を済ませる。泰子の出勤時間まで、まだ時間があったのだが…
「竜ちゃ〜ん、おはよ〜☆昨日は、遅かったから先に寝ちゃったぁ、ゴメンね☆」
おうっと、平然と返事をするが、泰子は竜児の微妙な変化に気づく。覗き込む。
クンクンしている。しまった。オンナの匂いがする。
「あんまりオイタして、大河ちゃん泣かしたら、ヤっちゃんも泣いちゃうんだからぁ…」
ふぇ〜〜ん、と、泰子は、泣き出す。まだ訳も何も知らないのに…
「変な事言うなよっ。いつになく春田がヤル気出してさ。あいつんちに泊まる事にしただけだ。
夜食貰ったり、風呂借りたりさ。ただ、迷惑だと思って、まぁ、帰ってきちまったんだけど…」
そっか!と、泰子の表情が明るくなる。実乃梨とスドバで待ち合わせしている竜児は、
仕度を終わらせ、インコちゃんに餌をやり、泰子に朝食の解説をし、玄関を出る。
竜ちゃんの嘘つきっ…という言葉は、急いでいた竜児の耳には、届かなかった。
***
「ちょっと、待ちなさいよ」
丁度、竜児は、最初の曲り角を過ぎた時、後方から、聞き覚えがある声を聞いた。
「大河っ」
そこには手乗りタイガーの異名を持つ、逢坂(元)大河が、ビシッと、仁王立ちしていた。
竜児とは、非公式ながら結婚を約束した、唯一の存在だ。竜児は、前髪をいじくる。
「…竜児、あんた、昨日、みのりんと何かあったの?」
いつかは話さなくてはならない事だが…突然すぎる。だいたい何故、知っているのか?
「何かあったのね、いいわ。みのりんから、今からあんたを引き連れて、
スドバに来てって言われたの。ほらっ!いくわよっ。竜児」
竜児の脳裏には、修羅場の文字が浮かぶ。
((((; ゚д゚))))
今日も乙!続き超期待してます
ついに大河が
修羅場か……!?おお、恋愛ってコワイコワイ
続き期待しとります
>>69 このスレは竜児x大河オンリーじゃないから、肌に合わないようならここは見ない方がいいよ。
竜児x大河オンリーのスレがキャラ板にあるからそちらだけを見ていれば良いんじゃないかな。
>>68=62
自演乙。
自宅警備員は、すべてのジョブに転職可能なスーパージョブ。
ドラクエは進んでいるかね?
名前欄にfusianasanと入れると良くないことが起こります。
親はいます。
大河を幸せにしないだけでなく
大河を不幸にするところまできたか
死ねよ竜児
>>84 嫌なら読まなきゃいいんじゃないか?
好きなカプだけ読んでる人はたくさんいるんだし
作品内のキャラ叩きは職人さんにも失礼な気がするし……
まあとらドラ!は好きになるヒロインによって見方が変わるのは仕方ないんだが
本スレじゃなくて二次創作の所まで来てKY発言しないでくれよ。
俺も大河厨だが、さすがにここ数日の発言は痛い。
はっ!これは高度な釣り針か?やっちまったのか〜俺は〜
まだ二次創作ならいいじゃないか
寧ろ原作竜児に憤りを感じた俺のようなみのりん厨はどこに怒りや悲しさをぶつけたらいいのか・・・
なんてマジレスしてみたが、つまりニセドラ!にはかなり期待しているわけですよ
>>82 いや、その、分かりにくかったかもしれんが
>>69はネタですから!
俺としちゃ「 こ れ は 許 せ ん な 」と書いて、
「 い い ぞ も っ と や れ 」って、見えないルビを振ったつもりでいましたから!
……語尾に「w」の一つでも付けておくんだったかorz
89 :
69:2009/07/20(月) 00:54:52 ID:+LuVCCah
ああ、すまん。
sageをしくじった。
>>88 どんだけ遠回しなんだよww
思わず吹いちまったわ
なんという修羅場ブームw
このスレの流行なのか?
相変わらず読み手のレベルが低いな
キャラを叩くと作者に失礼、とか頓珍漢にも程がある
ここは竜児と実乃梨に逢坂陸郎の所業を重ねて憎むのが正しい反応だろうが
そういう方は竜x大のキャラスレへどうぞ
ここはいろいろなカプありなんです
既に実乃梨は、スドバにいた。実は、開店時間から居座っていたのだった。
実乃梨は、2人がけの席で、向かいに座る相手から、オレンジ色の液体の入った小瓶を渡される。
「…そう。とっても強い魔法が込められているわ。取扱厳重注意よ。間違ったら…死ぬよ」
「ほうほう、解りやんした!ありがとねっ。でも本当にお礼はそんなんでいいのかい?」
実乃梨は、涙夜こと、玉井伊欧に問いただす。
「そうよ。…できたら、チョコレートソースを思いっきり頼むわね」
「おうよっ!チョコパルフェ、黒大河スペシャルを進ぜよう…っ。超超盛るぜ〜っ」
伊欧の目がキラキラする。上機嫌になった伊欧は、スペシャルサービスを提案した。
「櫛枝さん、特別に占術を施してあげるわ」
伊欧は、オリジナリティー溢れる呪文を唱える。さらに踊り出した。そして喝っと一言。
「よしっ、見えたり!」
実乃梨は、身を乗り出す。
「汝、虎に気を付けなさい」
***
須藤バックスへようこそ〜という、女子大生の言葉と共に、大河と竜児が現れる。
「…来たか」
実乃梨と大河は通常、出会った拍子に、竜児が嫉妬するほど抱擁を交わすが、そんな空気ではない。
ゴゴゴゴゴッという擬音が聞こえるような雰囲気。実乃梨はイスの上にあぐらをかいている。
「みのりん?どうしたの?このアホ竜児が何かしでかしたの?」
実乃梨は口を開く。
「大河よ。とりあえず飲み物を買ってくるが良い…マンゴーフラペチーノがお薦めじゃ…」
う…うんっと頷き、竜児の手を取り、大河は注文口へ向う。竜児は何か言いたげな顔を
実乃梨に向ける。実乃梨は悟りきった静かな表情を保っていたが、一回だけウインクしてくれた。
「おまたせ、みのりんっ」
大河は実乃梨お薦めのマンゴーフラペチーノを買って来た。竜児はこの暑い日に、ホットだ。
「大河よ。心して聞くのだ…一言一句、聞き逃す出ないぞ…」
ゴクリッ、大河は息をのむ。緊張に堪えられず、買ってきたマンゴーフラペチーノに口をつける。
あっそれやっぱり美味しそうだねっ!みのりん飲む?っと大河からマンゴーフラペチーノを貰う。
竜児は見た。実乃梨は素早く、オレンジ色の液体をマンゴーフラペチーノに混ぜた。1km先の
動体をも捉える犬ならではの目のおかげだろう。うめーよ!これ!と言い、大河に返す。
「こほん…では改めて…。大河よ…」
両目を閉じている実乃梨。何かに憑依されたように話しだす。
「人は皆、迷える子羊…迷いながら、進むべき道を見つけてゆく…」
ドキドキして、チューチュー飲んでいる大河。それを確認する実乃梨。
「だから…。わたしは…みのりんはね…」
竜児は、覚悟完了…したくせに動揺している。…そろそろ目が開く…
「高須竜児が好きだぁ!やっぱり諦めたくない。たった今から、あんたの宿敵になるっ!」
ビシッと、実乃梨の指先は、大河へ真っ直ぐに伸びる。マンゴーフラペチーノを吸いながら硬直している大河。
「ふっ…わたしは手強いわよ。竜児くんの初恋の相手なんだから。これがわたしのやり方。行こっ!竜児くんっ!」
うわわっと、竜児は実乃梨に強引に連行される。しかし竜児も、やっと覚悟完了したのか、一緒に走り去る。
残された大河は、突然の出来事にカオス状態。そして…、ヒクッ、ヒクッと肩が揺れる。ひっそり覗いていた
ストバの店長、須藤さんが、ありゃ〜、泣いたかな〜?っと心配した、その刹那。
「おん…もしれえぇぇぇぇぇっ…じゃねえかっっ!!」
マンゴーフラペチーノは、無惨にも地面に叩き付けられ、さらに踏みにじる。
「櫛枝、実乃梨ぃぃ!!くっっそがぁぁぁぁぁああっ!!」
実乃梨は大河を知っている。大河の全てを知っている。それで、その上で竜児を奪うというのか…
大河の小さい身躯に、虎が宿る。激情に、大河の髪の毛が沸く。虎はもちろん、肉食だ。
「まぁて、くぅおるあぁぁぁっ!!!」
ズドンッと、大河の拳はテーブルを叩き、二人を追おうと立ち上がる。 しかし…
一歩も脚を動かす事も出来ず、電池が切れたように、大河はその場に崩れ落ちた。
毒 殺 完 了
実乃梨www
竜児死ね
せめて大河を不幸にはさせないでくれよ
ちょ!コーヒー吹いたw
何という覚悟完了&したたかな罠w
昼ドラばりにドロドロするより、ずっといいな
もっとやれ
魔法の正しい効果はなんなんだ?
この展開は予想外すぐるww
せめて4月以降の大河の記憶全部削除くらいの効果だったらまだ救いがあるな
須藤さんは一部始終を見ていた以上、救急車と警察を呼んでくれ
あとはよろしくやればいい
竜児死ねな感想荒らしみたいに言ってる奴多いが
別に作品否定的な意味でいってないんじゃね?
俺もみのドラ好きで作品は楽しませてもらってるが
感想としては竜児死ねだしw
竜児も変身したわけだし、この薬の効果って、もしかして変身か…
つーか、虎になったら大河射殺されちゃうじゃんかよ!
いや、そもそも猟友会がくる前に実乃梨と竜児が喰い殺される
そこはお前さん
女子の場合は、ケモノ耳と尻尾が生えるだけという・・・
なん…だと……
>>105 それは、盲点だった!
お主、天才か!?
誰か、にせドラを安価でまとめてくれないか?
志ねの発言で竜児好きが不快な思いをしないとでも思っているの?
「はあっ、はあっ、大河、追って来ないね」
大橋駅前。大河に宣戦布告した実乃梨は、後方を振り返る。表情が緩み、竜児を見る。
「ねえねえっ、竜児くんっ!このままデートしようよ。一緒に行きたい所あるし。初デートだっ」
初デート前に竜児は実乃梨と既に結ばれて…まあ順番はどうでも良いか。竜児は答える。
「おうっ!そうだなっ…で、どこに行きたいんだ?」
「ふれあいこどもどうぶつえん」
***
「もう1年くらい前だねっ、さくらちゃん…」
「うん、その時はヤギや羊に襲わたけど…でもっ、でも楽しかったぁ!!ねっ幸太くんっ」
大橋高校の生徒会のラヴラヴなカッッポゥ、富家幸太と狩野さくら。おたがい両思いなのだが、
幸太の特殊な体質のため、ふたりの仲は全く進展しない。そう。不幸体質なのだ。
ここはふたりの初デートの場所。その日同様、今日も快晴だ。
さくらが持っていたジェラートが、太陽の熱線に堪えられず、溶け始めた。
「はぁぁんっ…、グチュグチュに…なっちゃったぁ…」
「…さくらちゃん…グチュグチュに…なっちゃったの?」
「んっふううん…うん。すっごく…」
「……さっ…くらちゃん…」
相変わらずのふたりは、去年、ゆっくり見れなかった暗闇動物館に入って行く。
動物園の係員、吉田・モルダー・孝義は、そんな見覚えのあるふたりを、微笑ましく見送った。
***
「へええっ、入場料400円なのか。良心的な価格だな」
財布をしまいながら、竜児は感嘆の声を漏らす。
「ま〜、小さい動物園だからかねえっ。おっし!では参ろうっ!」
大股歩きで元気よく実乃梨は先導して行く。しっかり竜児の手を握って。
***
「ねェ、知ってる?カンガルーのお腹にある袋の中は、すっごい臭いらしいよ…」
豆しばーっ!。と、物真似をし、ワラビーを撫でながら、実乃梨は、竜児 に眩しい笑顔を贈る。
強力な日射しを物ともしないハツラツさで、実乃梨は、竜児を魅了する。
実乃梨が好きだ。改めてそう感じた竜児の恋心は、本物だ。もう悲しい涙は流させない。
ワラビーに別れを告げ、実乃梨は、竜児の傍らに戻り、ギュッと腕を絡める。
「実乃梨が、楽しんでくれて…動物園、来てよかった」
「うん!楽しいぜっ!竜児くんも一緒だし、最強コンボだぜぃっ!」
温かい気持ちで満たされ、竜児は、昇天しそうになる。いつかふたりで北村の家に行く道すがら、
キラキラ…と囁いた実乃梨の本心を、やっと正確に理解したのだ。
「でもさ、これだけ人がいると、知ってる人に会っちゃいそうじゃん?」
と実乃梨が言った矢先、うわあっと言う、不幸を絵に書いたような男子と、
ええっ!と言う天然フェロモン全開の女子のスウィートカッポゥに、バッティングした。
「あっ、あの、僕たち何も見ていませんからっ!大丈夫です。問題ないですっ!」
焦る幸太。…ヤンキー高須は、たしか手乗りタイガーと付き合っているはず…
だが、その隣には、ソフト部の部長…こんな所に遭遇してしまうなんて、やはり不幸体質だ。
「ウィーッス!!偶然極まりないねぇ。おふたりさんっ!いま丁度、誰かに会いそうだね〜
って話してたトコロなんだぜっ!うふふっ、相変らず…ホッティだねぇ」
さくらは、ハッとし、そのふくよかな胸に抱いていた、幸太の腕を解放する。
「はあっん、いえっ、そのっ…、おふたりもデートなんですかぁ?」
つい、ヤバい事を聞いてしまったと気付き、恐縮するさくら。
「うんっ!そーだよ。どっかお勧めある?」
幸太とさくらは、顔を見合わせ、暗闇動物館を勧めた。
脇キャラの扱いが絶妙すぎるwwwww
暗闇の中でちゅっちゅといちゃつく実乃ドラに対し、
虎に化けた大河が影から
┃#゚皿゚#)
て感じで覗くんですね、分かります。
「こりゃあ、涼しくていいなっ」
暗闇動物館に入ったふたりは、ふうーっと一息つく。
「うははははっ、おばけ屋敷みたいで、テンション上がりまくるねぇ…」
多分、真っ暗だと思うのだが、まだ、獣目の竜児には、潜んでいる全てのモノが見えていた。
もちろん、竜児と腕を組む実乃梨もハッキリと。
「…実乃梨、スゲー言いにくいんだが…」
暗闇の中、実乃梨は、なーに?っと、くりんとした瞳を竜児に向けた。
「動物園って、何つーか、ケモノ臭くてさ、フェロモンっつーか…知らねえうちに、その…
反応しちまうっつーか、もよおすっつーか…」
竜児は、股間を抑える。
「げっ、マジ?…もとおすって…それはまさか、大とか小とかじゃなく…」
恥ずかしくなり、真っ赤になっている竜児の顔は、実乃梨には見えたのだろうか?
「…ねぇ、竜児くん…なんとか我慢出来ない?あとその…自分でするとか…あの…痛てーんだもんよ…」
「…いや、今まで我慢して来たんだけどよ…限界だっ」
実乃梨は、最後の抵抗をする。
「…オッパイ触る位ならいいから…。自分で出来ない?」
竜児は、承諾するが、オッパイで済む訳がない。
館外。係員の吉田・モルダー・孝義は、異常に気付く。
館内から、あんっ、という声が聞こえたからだ。
「またあの高校生か…」
さっきも、教育的に良くない声をだして、注意したばかりだ。
「仕方ないか…」
吉田・モルダー・孝義は、気を利かせて、入り口に閉館の札を付けた。
***
大橋駅前。幸太とさくらの姿があった。不幸には予兆がある。幸太は身に沁みて判っている。
ヤンキー高須と、櫛枝部長のデート現場に遭遇したのだ。これ以上の予兆があるだろうか。
という訳で、まだ夕方の時間帯に、ふたりはデートを切り上げてきたのだ。
「さくらちゃん…ごめんね…この埋め合わせは絶対するから…」
「ううん、幸太くん…充分楽しかったし、またデートに誘って」
さくらちゃん…幸太くぅん…見えない結界が出来る。完全にふたりの世界に入ってしまい、
今、目の前に現れた不幸に気付かなかったのだ。
「…おい、バカップル…。櫛枝実乃梨と、高須竜児のふたりを見なかったか?…万が一
隠しやがったら…剥ぐぞ。」
そこには臨戦態勢の猛虎が、闘気を放っていた。
***
「ちょっと、竜児くんっ!触るだけって…あはっ…もうっ…」
「…だめだっ、やっぱ我慢出来ねえ…そのっ…してぇ」
懇願する竜児に、実乃梨は受諾する事にした。なぜなら実乃梨は竜児が大好きだからだ。
初デートするつもりだったから、女子っぽく、頑張ってスカートにしてみたのが失敗か。
「しょーがないねぇ…竜児くん…いいよ」
実乃梨は竜児の首に手をまわす。竜児は揉んでいた乳房から手を離し、実乃梨の尻を掴む。
そして尻を手前に引き、竜児は、自らを、実乃梨に押し付ける。グリグリ音がしそうだ。
欲望のままに熱いキスを交わす。竜児は溶けそうになり、唇を離す。
「はあっ、はあっ、実乃梨…好きだ…」
何回言われてもうれしい。実乃梨はそう想った。竜児の手が、尻から、正面に滑り込む。
「!…んはぁっ、竜、児くん…さすがに恥ずかしい…ぞ」
実乃梨は、かなり潤っている。脳ミソが、キューッとなるほど竜児は興奮した。
「ちょっ…あっ…そんっ…ン、ン、ン、ン」
竜児の指が、湿った場所を滑る、いやらしい音が聞こえる。その音が速くなっていく。
「ン、ン、んはっ…やべっ、んはっ、キモチ…あはっ…いっ、いっ」
竜児は動きを止めず、やがて実乃梨は、竜児の名を呼びながら、脱力する。
あと、3レス位で終わります。投下の仕方が連日で、他の職人さんにご迷惑をお掛けしたと思います。すいませんです。
お読み頂いている住人の方も有難うございます。もうすぐ終りにしますので、最後まで読んで欲しいです。
また夜に投下させて頂きます.
もしかして書きながら投下してるの?
迷惑だと自覚してるならせめてもう少し書き溜めてから投下して欲しい
あと内容に関する注意書きも欲しかった
ニセドラ!なんてタイトルつけられたら回避できない
>>116 話面白いんで、こちらこそ最後まで読ませてくださいな
連日の投下は続きが早くよめていいんだけど、個人的には
1レスづつ投下されると、SS投下するタイミングがなくなるんでちと困る
まとめて投下してくれるとありがたい
>116-117
ちゃんと完結させてくれるんなら別に構わないでしょ
自分のペースで投下してくれい
hhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhh
yhtdんcty時t、xdtりゅrt5むえ57う、ぜえyhむjtghbj
一気に投下してくれたら確かにありがたかった
つわけで次回からそうやって頑張って欲しいです
しかしニセドラ!も終わりか・・・
個人的には大河補正もしつつみのドラに幸せになってほしい
最近の流れは大河好きには心が折れる……
そうでもしなきゃ絆が切れないのかもしれないけどさ
だったら見るなといわれりゃそうなんだけど
注意書きがないと回避できない場合もあるしさ
たまーに竜虎モノが投下されるから見てるけど
もう誰も竜虎投下しないならテンプレに「竜虎は竜虎スレへ」とでも書いておいてくれ
そしたらここ見ないですむもん
「なんか…くやしいー…」
負けず嫌いなのか、実乃梨はぷーっと膨れる。その手は脈を打つ竜児を握っている。
「俺は、実乃梨に悦んでほしくてだな…キスしてぇ…」
実乃梨はキスが好きだ。昨日わかった事だ。そしてまた、竜児に熱いキスをする。
竜児はスカートを捲り上げ、実乃梨の片足を持ち上げる。場所がわからず迷っている竜児を、
実乃梨がリードする。湿っている実乃梨に挿れるのは容易だった。にゅるんという音がする。
「…はぁぁっ、竜児…くん」
スイッチが入ったように、竜児は実乃梨を突き上げ始める。
「はあっはあっ、くっ、実乃っ梨…」
突き上げられる度に、あんっあんっと声が漏れる。実乃梨は竜児の顔中、至る所に短いキスをする。
「竜児くんっ、すっきっ…」
そして、痛みに耐える為なのか、竜児の首に長いキスをした時、実乃梨はその首を噛んだ。
実乃梨っ!…それが合図のように、竜児は実乃梨の中で愛を出し尽くす。
***
実乃梨は時計を気にしていた。疑問に思いながら竜児も時刻を確認する。
今は午後6時だ。園内の時報の音も聞こえる。
「風が出てきたねっ」
売店の屋上。本当は入れないのだが、こんな鍵…ちょろいゼッと実乃梨が
解錠してしまったのだ。おかげで気持ち良い風に出会えた。
ここからだと園内のほとんどを見渡せる。竜児は実乃梨に目線を移す。
「そうだな。いい風だ」
竜児は返事をし、実乃梨のなびく髪に見惚れるが、様子がおかしい。
「そ、だね…」
実乃梨の返事が曇る。何か言いたいようだ。竜児は実乃梨の顔にかかる、
髪の毛を指で払う。現れた実乃梨の綺麗な瞳に、涙があふれている。
「実乃梨…どうした?」
「今日は楽しかった。本っ当に楽しかった…わたし、この想い出だけで…生きて行ける」
「はあ?実乃梨っ、お前何を…」
実乃梨は竜児の正面を振り向く。
「ありがとう。わたし、あなたを好きになってよかった。ほ…ほんっと…くっ」
柵を握っていなかったら、倒れていたかもしれないくらい、一瞬、ガクッとふらつくが…
実乃梨はなんとか持ち堪えた。竜児は、一気に実乃梨との距離をゼロにした。肩を抱く。
「実乃梨っ!楽しかったのに…何故泣くんだ?俺は、お前に泣いて欲しくねぇよ!」
うん…うん…そだよね…実乃梨は、そこまで言うのが精一杯だったが、心配する大好きな…
愛する竜児の為に、実乃梨は顔を上げ…告白する。
「竜児くん…あなたにかかっている呪いは、24時間で解けるの。黒大河ちゃんに貰った、
緑の小瓶は、呪いを和らげるだけのクスリで…だからもうすぐ完全にカラダが元に戻るの…」
「そっそうか、じゃあ、昨日、実乃梨がポテトをくれたのが6時だから…あと数分だ…
で、なんで実乃梨は泣くんだ?何か関係あるのか?」
突然実乃梨は竜児に抱きつき、子供のようにワンワン泣きだす。真意が解らない竜児は、
愛しい実乃梨の小振りな頭を、やさしく撫でる事しか出来ない…
「たのむっ、お前が悲しむと、俺も…心が壊れそうだ…お前が大好きだから…」
「竜…児くんっ…竜児く…ん…わたしも大好き、竜児くん大好き…でもっ…うううっ
あなたの…あなたの…カラダが元に戻った時…完全に戻った時っ…うっわあああん…」
「実乃梨っ」
「あなたの記憶も、呪いがかかる前に戻るの…」
「なっ」
竜児は固着する。記憶が呪いがかかる前に戻る?
つまり、この24時間の記憶が無くなるという事だ。その記憶は、竜児には、
とってもとっても大事な宝物だ。無くしてはならない大事なモノだ。
実乃梨が、竜児に似ているというだけで、犬だった竜児を拾ってくれた事…
犬でしかない竜児を労い、いっしょにお風呂に入ってくれた事…
まだ、竜児の事を想ってくれていると、泣きながら話してくれた事…
動物園で、初デートしてくれた事…竜児に純潔を捧げてくれた事…
その記憶が全て無くなるというのか。やっと泣かさないと誓ったのに…やっと愛し合えたのに…
「竜児くん…もう優しくしないで…あなたは記憶が無くなるけど、わたしには残るの…おねがい…」
「…そんなっ、そんなの駄目だっ…」
もし一生に一度くらい、魔法が使えるなら。どうするだろう。今の竜児には愚問だった。
「忘れねぇ!俺は絶対忘れねぇーからっ!実乃梨、ゼッテー忘れてやるもんかっ!俺はっ、
俺はっお前を愛してるんだ!うまく…伝えられねえけど、俺はお前を離さねえっ!」
その叫びに実乃梨の中で、何かが一線を越えた。竜児の耳元で、実乃梨も叫ぶ
「わたしだって…わたしだって嫌だようっ。竜児くん、大好きだもん、わたしだって、
愛してるもんっ、離れたくないっ、竜児くんとずっと…竜児くん…」
「実乃梨、大丈夫だ。俺は忘れねえから…ずっと一緒だから」
竜児の目にも、涙が溢れる。この記憶…熱い愛情を、俺は忘れてしまうのかっ。
パーンッ
花火があがった。抱き合っていた二人の頭上に。流した涙が花火の色になる。
「…竜児くん。今日ここの花火大会でさ。しょぼいけど…ここに来たのは、
あなたと一緒に観たかったの。花火を。」
「…そっか…綺麗だな…実乃梨」
竜児は、花火に目を奪われている。実乃梨は亜美の別荘で観た花火を憶えている。
もう一度、竜児と一緒に観たいと思っていたのだ。その願いが叶った。
…実乃梨は、戸惑う。しかし一瞬だ。ポーチの中から、そっと、
オレンジ色の液体が残る小瓶を取り出す。もういいや…ううん、全然いい。
だって、これは夢。夢だったんだ。現実だけど、夢なんだもん…
実乃梨は、それを口に含んだ。そして無言のまま、竜児の手を取る。ギュッとする。
振り向いた竜児に目を閉じ、ピンクの唇を捧げ、竜児との最後のキスをした。
「実乃梨…んっ!」
伊欧から貰った眠り薬は、即効性はあるが、長くは保たない。その薬の力で竜児は、
糸の切れた人形のように実乃梨にもたれかかってきた。
実乃梨は大河の全てを知っていたと…思っていた。しかし、この瞬間、初めてわかった事。
クリスマスイヴの日。大河のマンションの前で目撃した時。その時の大河の気持ちが…
頬を流れる涙を拭わぬまま、この24時間の記憶を消し飛ばすように、実乃梨は叫んだ。
「りゅううぅ、じいいいいーーーっっつ」
昇り始めた月に届くほど…その咆哮は天を貫く。
…やがて目の前の竜児のカラダに異変が起こる。体毛が、牙が、爪が、元に戻る。
もう泣かない。…もう一度決意する…花火に目を向けた。うん。平気。
これは夢だったんだ…もう一度確認する…
そして竜児は目を覚ました。
「…櫛枝?」
それは、夢の終焉を知らせてくれた。
>>124 ちゃんとテンプレ読んでるの?
>Q見たいキャラのSSが無いんだけど…
>A「あぁん? てめぇは自分から書くって事は考えねぇのか?」
ん?終わり?
純粋に疑問なんだが
大河を呼び出した意味は何?無駄に大河を傷つけたかっただけ?
コレが私のやり方だ!
みたいな事いいながら騙して薬飲ませて大河の意見は聞かずに逃走しただけじゃん
あ、それが実乃梨やり方ってこと?
>>127 そのテンプレ機能してなくね?
主にこのあたり
>Q続き希望orリクエストしていい?
>A「節度をもってな。節度の意味が分からん馬鹿は義務教育からやり直して来い」
普通に考えてあと1レスはある……
実乃梨は売店の屋上から大河を確認した。大河も実乃梨を見つけ、店内に入って来た。
メールを送ってから3分と経っていない。誰かに聞いて、園内に来ていたのであろう。
バタンッという音と共に、大河が屋上に現れる。
「櫛枝実乃梨!」
獲物を目前に捕らえた大河。見上げた顔は、ワナワナと怒りに震えている。
「大河っ、来いっ!」
大河は、一瞬で実乃梨との間合いを詰め、鉄拳を繰り出す。速いっ。対応が遅れた実乃梨は、
低い体勢のまま、頭から突っ込む。
ガンっ!
低い音。実乃梨は額で拳を受け取め、素早く大河のバックに廻る。大河は、地面に両手を付き、
後方の実乃梨に蹴り込む。腹部に直撃すると思われた大河の足は、実乃梨の腕にガードされた。
バランスを崩した実乃梨。大河は態勢を整え、一気に追い込み、打撃を連打で撃ち込む。
ギリギリでかわす実乃梨。着地した軸足で踏ん張り、大河の首を狙い、腰を回転、踵を振り抜く。
大河は危機一髪、後ろに飛び、実乃梨の足技を逃れた。そしてまた、間合いが保たれる…
こいつ…強っ!大河は本能で理解する。実乃梨は、本気だ。闘気を燃やす灼熱の太陽だ。
虎は、器の違いに、動揺する。しかし…
「竜児はわたしのだっ!誰にも譲らねえーっ!!」
決死の想いで大河は叫ぶ。ここで負けたら…負けちゃったら…このやろおおおっ!!
「すまねえ大河っ!俺が櫛枝に頼んだ事だ。すまねえ!」
竜児は、ふたりの間に割って入る。しかしタイミングが悪く、大河の渾身の一撃が竜児に食い込む。
***
「…つまり、竜児と付き合いだしたのに、付き合う前と全くわたしの態度が変わらないから
真意を知りたいと、みのりんに相談したと…そんで、ひと芝居打った…そうなの?」
「そうだ!…多分な…実はイロイロあって、記憶が無えんだ。今の話は櫛枝に聞いた」
そうなの、みのりん?…おうよっ大河っ!…竜児は二人の仲が戻って、安心していた。
「で。なんで記憶無くしたの?イロイロってなんなのよ?」
「やっぱり憶えて無えんだが…櫛枝が言うには、風で飛んで来たバケツにぶつかって、
驚いた自転車に突っ込まれて、ヨロめいた拍子に、溝に落ちて、犬に噛まれて、
鳩のフンが掛かって、ネコに引っ掻かれて、街路樹の太い枝が、頭に落ちてきた…らしい」
あんたらしいわっと吐き捨てられる竜児。ニコニコ笑顔の実乃梨。これで…いいの…
***
「竜児ぃ…だ〜いスッキ…」
「気持ちわりい…」
「ほほほほれ見ろ、あんたはそういう奴なんだからっ!だいたい今さら…」
大河は真っ赤になって、竜児と痴話げんかしている。
「じゃあ、おふたりさんっ、サラバじゃっ」
大橋駅で、竜児と大河は実乃梨と別れる。実乃梨は走る。振り返る事は…無かった。
「あっ☆、竜ちゃんと、大河ちゃ〜ん☆」
気がつくと、泰子のお店、弁財天国の前だった。店は日曜の夜で忙しそうだ。
「今日、大河ちゃんとデートだったんだぁ☆あれ?もしかしてぇ…ケンカした?」
「ううん。やっちゃん。竜児とはさっき会ったばっかり。ケンカはしてないけど、
間違って、わたしのグーが、当たったくらい。遺憾よねっ」
お前なあっと、竜児が大河に文句を言うが、それを聞いた泰子の顔色が真っ青になる。
「…って、あれ?やっちゃんどうしたの?具合悪いの?」
ハッとする泰子。急にお腹を抱える。
「うーんっ、ちょっと具合悪いかもぉ…竜ちゃ〜ん…早退するから、ちょっと待ってて、一緒にかえろーっ」
具合悪い割には1分も経たずに泰子は支度して来た。そして竜児の右腕に絡み付く。
そうやって泰子は、大河から必死に隠した。竜児の右首に残る、実乃梨の歯形を。
「わぁー、今日は月がキレイ。ねっ竜児っ」
大河に言われ、竜児は月を見上げる。月を見ながら、竜児は誰かの事を考えた。
「ほんと…月。キレイだ。」
竜児は苦笑いする。なんで月を見てあいつの事を…
だってあいつは太陽だ。
おしまい
「おっまち〜っチョコパルフェ、黒大河スペシャルだぜっ、心して喰いなっ!」
玉井伊欧は、卒倒しそうな面持ちで、チョコレートソースたっぷりのパフェに手をつける。
すると、またもや『御用の際はボタンを押してください』ボタンを押すチャイムが…
あれ?この席はっ
「みのり〜んっ…ごめんね…こぼしちゃった」
大河のテーブルだ。一緒にいる竜児がいない。
「あれ?高須くんは?いずこ?」
「竜児はトイレなの。そういえば長いかもっ、あのさー、みのりん…」
竜児がいなくて暇なのか、実乃梨に世間話をする大河。なんか店内が騒がしいな…
ちょっと見てくると言ったトイレから、痛たーっと、涙目で出てくる伊欧の姿。…あれ?
窓の外に、一匹の犬が駅前に向って走って行くのが見えた。 …まさか…
実乃梨は無断で早退して、犬を追いかけて行った。
GJ!ただただGJ!
>>132 何となくこうなる気がしてたけど……やっぱりか
長いことここにいるが、ここまで泣いたSSは初めてだった
乙、そして夢をありがとう
後味悪っ!
って書いたら荒らし認定されそうw
>>135 お前は俺か。
…よく分からん。よく分からんが、どこかスッキリしねぇ…何だよ、この拭き残し感。
ともあれ書き手さんには、乙の一字を捧げよう。
良く頑張った!
バレンタイン前だったら別にいいんだけど
本編完結後の竜児が取っていい行動じゃないからな
ギャグっぽくすりゃいいってもんじゃない
まあいいや
最後に一つだけアドバイス
ここでは「褒め殺し」がデフォルトだから
ダメな奴を褒めて調子付かせて落とすパターンが存在する
褒める奴と落とす奴は別かもしれないけど同じことだ
中身のない賞賛レスより
批判レスの方が貴重だぜ
純粋に竜児と実乃梨が結ばれるやつのssを読ませてクレーーー!!
荒らしちゃんがいた中で書いてたことは良い事
ぶつ切り投下は忌避されるべき事
内容は好き嫌いが分かれるものだから仕方ない
スイーツ(笑)と馬鹿にされてるものが中高生には人気だったりするのと同じ
まぁコレについては書いてる自分が一番皆が皆絶賛してくれるような作品ではないってことを分かってるだろうし
技術とかは本人が磨いていくだろうし投下の際のマナーとかそういうものは知っていってほしいな
>>137 以前も話題になったが批判にも言い方があるだろう。「これはダメ。」より「ここはこうした方がいい」って言い方の方が書き手もうけいれやすいし改善が効く。
あんたの言うアドバイスからは「周りと違って批判する俺カコイイ」な批評家気取りって感じしかしない。まぁ偏見かもしれんが。
ん?作品の感想?初期の方で設定が嫌だったんで読んでません
要fy不男lyh8有為男py8ういおyふおyふjyhこうjkgヴyjhkljklj
周りと違って〜なんて思ってないよ
キャラ個別スレでもないのに批判レスが抹殺されることが異常っていうか気持ち悪いとは思っているけど
批判したらどうしたって上から目線になるし「GJ」は変だろ
「お疲れ様」も結局上から目線だしさ
言い方なんて何でもいいじゃん
中身のない賞賛レスなんかよりは
おっと
>>140の意味を取り違えていたかも
>>137のアドバイスの真意は
「賞賛レスだけ受け取って腐心しないで欲しい。精進することを忘れないで欲しい」ってことだ
書き手のためにも、このスレのためにも
偉そうに言うことが間違ってるとか言われたらもうどうしようもないがな
ニセドラ!はオチが微妙だったので、続編を書いてほしい。
今度は竜児と大河がお互いを忘れるような薬を黒大河に用意させてほしい。
ニセドラ!は設定とか時系列とかで、評価がわかれても仕方ないと思うんだよな……
俺的にはこの話は原作後だからこそ意味があったと思うし、一番書きにくい題材をよく書き切れたたなぁ、とも思う。
それにこの手の話を期待してた奴もいると思うんだ、俺みたいにww
だから……文体とかマナーまでのアドバイスはともかく、内容については感じ方人それぞれだから
それぞれの感想(あまりに不快なものはよくないだろうけど)でいいと思うんだ
長文スマソ
俺は好きだよ、この話
それは多分俺がみのり好きって理由が大半を占めているからなんだろうけど
あっはっは
何がなんだか
147 :
名無しさん@ピンキー:2009/07/22(水) 09:26:15 ID:vfMVxvxT
作者はVIPでやれば良かったのにな
こんなネチネチ言われないで気軽に書きたいの書いてオナニー出来たのに。
この板はオナニーには厳しいぜ?
大変貴重なご意見有難うございました。
私が前スレで投下させて頂いた黒×実の続きをベースに
作ったので、強引に体裁を整えるような内容になった
気がしますので、本当に参考になりました。自分的に
頑張ったのですが、マナー、実力不足を痛感しました。
反省します…また投下させてください。失礼しました。
>>148 そう思うなら書くんだ、さらなる新作を!
設定としては、大河が存在しない世界での竜×実でたのむ。
櫛枝のどこがいいのかがわからん
>>150 みのりんの魅力が分からないあなたは可愛そう・・・。
152 :
名無しさん@ピンキー:2009/07/22(水) 11:39:00 ID:+o7ufodl
>>150 大河の方がわからん
あんなの今までのツンデレキャラと一緒だろ
153 :
名無しさん@ピンキー:2009/07/22(水) 11:45:46 ID:2yHwLBc3
>みのりんの魅力が分からないあなたは可愛そう・・・。
>大河の方がわからん
ゴメン…おれ亜美の魅力しかわからんかった
でも最近は奈々子さまも…
竜虎専用妄想スレもあるくらいだし一番人気は大河。
みのりん×竜はDat落ちするくらいのクソスレ
あーみんに至ってはかける言葉もない
みのりんみのりんみのりんみのりんみのりんみのりんみのりんみのりんみのりん
みのりんみのりんみのりんみのりんみのりんみのりんみのりんみのりんみのりん
みのりんみのりんみのりんみのりんみのりんみのりんみのりんみのりんみのりん
みのりんみのりんみのりんみのりんみのりんみのりんみのりんみのりんみのりん
みのりんみのりんみのりんみのりんみのりんみのりんみのりんみのりんみのりん
みのりんみのりんみのりんみのりんみのりんみのりんみのりんみのりんみのりん
>>「なんか…くやしいー…」
負けず嫌いなのか、実乃梨はぷーっと膨れる。その手は脈を打つ竜児を握っている。
「俺は、実乃梨に悦んでほしくてだな…キスしてぇ…」
実乃梨はキスが好きだ。昨日わかった事だ。そしてまた、竜児に熱いキスをする。
竜児はスカートを捲り上げ、実乃梨の片足を持ち上げる。場所がわからず迷っている竜児を、
実乃梨がリードする。湿っている実乃梨に挿れるのは容易だった。にゅるんという音がする。
「…はぁぁっ、竜児…くん」
スイッチが入ったように、竜児は実乃梨を突き上げ始める。
「はあっはあっ、くっ、実乃っ梨…」
突き上げられる度に、あんっあんっと声が漏れる。実乃梨は竜児の顔中、至る所に短いキスをする。
「竜児くんっ、すっきっ…」
そして、痛みに耐える為なのか、竜児の首に長いキスをした時、実乃梨はその首を噛んだ。
実乃梨っ!…それが合図のように、竜児は実乃梨の中で愛を出し尽くす。
さあ、こっから書き直すんだ!!
>>157 自分で自分のノートに自分の理想的な続きを書けば良いと思う
>>158 イヤです、あの作者が書いてこそ意味があるんだ!
それに自分のノートに書けというあんたの物言いが気に食わない。
中学生は帰れ
>>160 失敬な!
れっきとした自宅警備員です!
親はいます
>>162 お前こそとっとと氏ね
そのほうが親も喜ぶ
このバカたれ!!
>>163 黙れ、屑が!
死はお前にこそ相応しい。
何でいい作品が投下された後なのに荒れてるんだ?
誰好きかはエロパロで話題にしても荒れるだけだろう
痛い子2人はアニメ本スレにでも池
済まんな
落ちこぼれのガキをおちょくると楽しくて、つい…
>>167 誰が、落ちこぼれのガキだ、この掃き溜めの糞ゴミ野郎が!
ホント、マジ死んでくんない?
やべぇ、盛大な釣りだと分かってても吹いてしもうたwww
さて、それじゃ他の書き手さんが投下してくれるのをwktk待機するか
>>167 誰とも言ってないのに脊髄反射する被害妄想&自己レス乙w
自覚があったとは恐れ入谷の鬼子母神
>>166 落ちこぼれとはシツレーなw
自宅警備員だと何度言えばry
いかんいかん、またいらんことを言ってしまった
高校もロクに行っていないようなバカな息子をもった、かわいそうな両親の立場も考えてあげるべきだった
rtっいぇdmk是rzyじゃswらhnQWえ4jんryl、。いい・¥@おouiofvy
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rftgujfghjghjyjhfgjyhjyhjhjfghjftgudfghhtugjhjyhiffgghjhjygfgjhgjgh
>>170 お前,とっとと氏ね
そのほうが 世の中の為になる。
この糞バカが!!
自宅警備員な落ちこぼれのガキ、お前のような高校もロクに行っていないようなバカな息子をもった、親御さんがかわいそうだな。
ホント、死ねばいいよお前なんか。
>>169 「お前は人間のために怪獣の体を変えた。
我々は我々の為に怪獣の体を変えた。
それと…どこが違う?それの…どこが悪い!?」
jk;ぶjlhjljlkl;kl;jklhjklhjhjkhjkjlkkh
hjfyひfyひkhkjcgひkghjfghjfgjfyhyhjkgh
jyhhjkghjfgjghjfgjfgjfghjfghjfjfgひkfj
gふjkghhkghghkfghjghkghkgjhkg
頭の中に藁でも詰まってんのか
>>179 うるせえぞ、ミジンコ
お前、痴呆で痴呆でなおかつ池沼だな!
本当に駄目な奴だなお前こそ。
>>178 詰まってるのはカオスなんぢゃねw
>>176 出典を明示しない引用は明確な著作権侵害なので円谷プロにツーホーしときますた。
>>180 語彙の殆どが俺のカキコからの引用じゃねえか。
少しは頭使えよ。
で? 俺の指摘は否定しないわけな。
無能で駄目で恥知らずな奴だなお前。
>>182 おいおい、俺のオモチャで遊ばないでくれよw
なんか意味解らんレスが多いなと思ってたら
透明あぼんと連鎖あぼんが作動してたことに気付いた
…NGを追加する作業に戻るか
>>183 うん、スマン。
ただあの厚顔無恥なリクエストはちょっと黙っておれんくてな
上手くまとめてくれた所でPINK規制に
親からも教師からも見離され、誰にも相手してもらえない寂しい人生を送ってきた荒らし君でしたが、
このスレの皆さんのお陰でようやく居場所が見つかったようです。皆さんありがとうございます(笑)
188 :
名無しさん@ピンキー:2009/07/22(水) 23:23:18 ID:rp+8SVzc
どうした
いつものように発狂して楽しませろよ
今年も夏厨の季s(ry
荒れすぎだろ、、お前らかまってやりすぎ
そう言うなよ
勉強もだめ、運動もだめ、友達いなくていじめにあって学校が嫌いになって家に引きこもって
進路や将来のことで毎日毎日ずぅ〜と母ちゃんに小言を言われ続けて
夏休みの季節だというのに遊ぶ相手がひとりもいなくて
このスレだけが社会とのただひとつの接点
かれにとってここはゆいいつのせかい
とてもちいさなせかいにいきているんだ
自己紹介乙
荒らし・叩きはスルーが原則です。
嫌な書き込みを見るとむっとするかもしれませんが、そこはぐっとこらえて無視しましょう。
レスをすると「構ってあげている」とみなされて削除・規制依頼がスルーされる恐れがあります。
わかりました 止めましょう
ストレス解消にちょうど良かったものですから
>>192 何知った事いってんの?
あんたバカァ?
にしても、ちょっと俺が来なくてもこの有様、ここはもうただの掃溜めにしかなってないよね。
マジ終わってるわ、このスレ。
どうせ終わってんだから、最後に一アバレさせてもらう、悪く思うな。
最後に一言、この掲示板にはロクな奴がいないな。
自分を棚にあげて他人を罵倒してばかり、ホントうザイね。
おまいらと同類と化すのはゴメン蒙る。
じゃ、アバヨ、ゴミ屑どもwwww
>>192 勉強もだめ、運動もだめ、友達いなくていじめにあって学校が嫌いになって家に引きこもって
進路や将来のことで毎日毎日ずぅ〜と母ちゃんに小言を言われ続けて
夏休みの季節だというのに遊ぶ相手がひとりもいなくて
このスレだけが社会とのただひとつの接点
かれにとってここはゆいいつのせかい
とてもちいさなせかいにいきているんだ
いっそ、死ねばいいよ。
お前なんか死んでも誰も困らんし。ww
yfcxgyjfgyjfgyhjtfgyhjghkjfghjfghjfgvjfghjfgyhuirtyujrftgjfghjfghjfgj
gjfgjfgjhxfrjxfryjfgjfghfghfghxtfgujyghjfghjghjfghjfgjfgjtufgjfgjghjg
gjtgjujhfdfrttgjyhikytyggjhkuyhghfghjujkurttyhghhjyfrghgjhkyujfghfghg
gjfgujtgjdfghdth
klhjlcuyhhjgyhjfghjfyuyutriyrfyfghfgjhjyutyujgjgyhjyutfghytyututyutu6
hftguertdfghrtyujtujtjgjfghtyurtutthfgjyutyurftghghfgjhhjjjkltuyytyk
jhjyuyjjfghjgujtgujrtyurtughfghyurtfghfyirtgyhghfghftghftghytututut
あーみんに至ってはかける言葉もない
本当に駄目な奴だなお前。
>>179 親からも教師からも見離され、誰にも相手してもらえない寂しい人生を送ってきたお前は本当に駄目な奴だな。
一辺、死んで来世からやり直せ、このフナ虫が!
拳児は最後のおねだりに応え一際強く引き、引き寄せるように深く突く。激しい痙攣。厳つい亀頭が膨れ、子宮口に当たって止まる。
勃起を螺旋状に絞り上げられ、睾丸までせり上がるような勢いを受けこれまでにない逞しさで脈動し――
「好き…大好きです、播磨さん…愛しています。例え……あぁっ!!」
何かを言おうとした八雲の意識を淫楽に染め上げ断ち切ると同時、怒涛の勢いで精を放った。
どぷ、どぷっ、どぷうぅっ―――!
「ぅあ、はあああぁっ………っ!」
同時に達し、突き上げる白い奔流。三度目にも関わらず、大量の精子が蜜壺に放出された。
連続して打ち込まれる牡の弾丸をくぴくぴと蠢き飲み込む八雲の子宮。もはや胎内に子種の味を知らぬ場所などない。
それどころか行き場を失った以前の遡りが蜜口との隙間から零れ落ちている。
びゅるるるっ ぶしゅう――
なおも止まらぬ吐精。八雲の吐き出す噴水のような絶頂潮と激しくぶつかり混ざり合う。
膣内を炎に焼かれ頭の回路まで包まれて、先程の余韻が消えない状態で八雲は拳児の中出しを放心のままに受け入れ、魂までを沸騰させる。
「あぁ……イ、イ…ク……っ…! ぁ…ああぁっ……っ!」
精液で溺れてしまいそうな錯覚に八雲は恥声を発する虚ろな口を半開きにし固まった。
何度登りつめても飽きない絶頂。気が狂わされる喜悦。最後の最後まで搾り取ろうとヒクヒク動く内壁。
いつしか自ら揉みしだき、千切れんばかりに上下させていた、先端は天を向きそうな迫力が有る二つの乳房。
カラダもココロも、牡棒の存在感に女として屈服させられてしまう。自分を埋める部分から電流を流し込まれて脳幹を痺れさせる。
頭の中が真っ白になって何も分からなくなっていく。
「あ……あぁ……ぅ……ぁ…」
しっとりと濡れた声。新しい自分が目覚める魂の産声。拳児に支配されたまま八雲は再び彼の上に倒れ込む。
二人分の荒い息。皮膚越しの心音。それさえも二人には心地いい余韻として感じられた。それは快楽というより幸福感として――。
「玉稿……」
白い靄のかかった意識の中、八雲はそれを最後に満足げに微笑んですぐさま寝息を立てだす。
褒めの言葉がらしいというか何と言うか。拳児はどうにも気恥ずかしく、汗で滑るピンクの柔らかい肌をきゅっと抱きしめてしまう。
初体験で激しすぎるほどに乱れたその体からは女神の神々しさと娼婦のような淫蕩さが匂い立つ。
顔には涎や涙の後が残っていたが、それはむしろ美しさを引き立たせるアクセント。
(…例え……俺がまだお姉さんを好きでいても……か?)
少し冷めた頭で拳児は八雲の言葉の続きを考える。正しいかもしれないが、少し悲しい。とことん猿だった自分が言えた話ではないが。
八雲と自分は明日からどうなるのだろう。忘れたようにいつもの関係に戻るのかそれとも――
二階から足音がする。天満がそろそろかと降りてきたのだ。聞こえてきたかもしれないし、無性に気恥ずかしい。
心の整理もつけただろう彼女を(さすがに自慰をしていたとは思っていないが)拳児は同衾の格好のまま迎えることにした。
幸いにしてその後天満も何か後ろめたいことがあるのか何も言わず、三人は今度こそ眠りにつくこととなるのだが……。
204 :
名無しさん@ピンキー:2009/07/23(木) 22:58:23 ID:ANJC1C3H
賢者様「その…したい」
騎士「!!!!」
高2のときのクラスに所謂腐女子といわれる子がいた。名前は晴美。別にブスで
はないがクラスに話し友達はいないようでいつも独り、休み時間はたまに他クラ
スの子といた。俺は別にいやなタイプじゃなかったので話してみると意外に楽し
かった。周りからはやめなとか言われたが気にせず偏見をもたずに接しメアドも
交換して俺からすればふつうの友達になった。
期末テストまで2週間を切った6月末,晴美が勉強を教えてほしいとのことで家
へ呼ばれた。俺はクラスで上の下あたり,晴美は中の下あたりの成績であった。
ちょっと困ったが嫌いではないので約束の日,晴美と一緒に晴美の家に向かった
。
晴美は一人っ子で共働きなので家には誰もいなかった。晴美の部屋に案内され部
屋には机、ベット、本棚(予想どおり漫画が多く番号もしっかり揃っていた)など
ごく普通であった。晴美は別の部屋から折り畳み式のテーブルを持ってきて部屋
の真ん中に立てた。2人で勉強するのに机は向かないからだ。
テーブルを挟んで向かい合うように床に座った。すると晴美は着ていたセーター
を脱いだ。雨は降っていなかったが蒸し暑かった。今まで意識していなかったが
晴美の胸は大きくピンクと白のブラが前からでもわかるくらいに透けていた。は
じめて晴美の身体にエロさをかんじた。興味がないふりをしながら数学の勉強を
はじめ彼女に教えるために隣にいきはじめた。
206 :
名無しさん@ピンキー:2009/07/23(木) 23:00:17 ID:ANJC1C3H
藍堂「うかつに血吸えないから、普段はオナニーしてがまんしてるんじゃないか?」
瑠佳「枢様は、オナニーなんてしないわっ!!」
暁「そんなこと大声で…」
登場人物はカッコイイ男性とヒロイン。どちらを主人公にしても自由です。
男性はヒロインと出会い、二人は次第に惹かれていきます。そして、
ある日、とうとうヒロインは勇気を振り絞って男性をを求めました。
しかし、切なくもある事情と判断により、男性は彼女の求めを断りました。
本当はとても愛している。けれど、今はそれに相応しくない。男性が彼女の
気持ちを受け止めた上で、彼女の求めをカッコよく断るシーンを書いてください。
少し色香を漂わせながら・・・
32 :名無しさん@ピンキー:2009/05/17(日) 02:29:24 ID:rR0k2+iF
ヒマだったら、「ツンデレ魔界プリンセス・アリサ」でググって見れ。
金髪ツインテツンデレで名前もなんか似てる
33 :名無しさん@ピンキー:2009/05/17(日) 22:14:40 ID:CA7VrtZ4
アニメ版何気にファルディオとフラグ立ててないですか!?パン屋さん
34 :名無しさん@ピンキー:2009/05/18(月) 00:53:36 ID:txIkWD7q
ファルディオとウェルキンに犯されてるアリシアが見たい
35 :名無しさん@ピンキー:2009/05/18(月) 02:27:23 ID:2e9ezx4n
ターリスがアップを始めました
36 :名無しさん@ピンキー:2009/05/24(日) 21:19:17 ID:fv5w+49g
アリシアレイプまだー?
37 :名無しさん@ピンキー:2009/06/01(月) 21:04:43 ID:wbIGATwu
殿下とセルベリア、いいと思います
38 :名無しさん@ピンキー:2009/06/05(金) 23:29:53 ID:/V2GvIAq
殿下とロリベリアもありだと思いますage
公園でお姉ちゃんと鉄棒をして遊んでいた時のことです。
私はあまり運動が得意ではないのですが、鉄棒だけはクラスのみんなよりも上手くできます。
お姉ちゃんと遊ぶ時はよく鉄棒をするからです。
でも最近のお姉ちゃんはあまり私に鉄棒を教えてくれません。いつの頃からか、
一緒に公園へ行っても、お姉ちゃんは一人で鉄棒に跨ったままボーッとしていることが多くなりました。
鉄棒に跨っているのもそれはそれでけっこう疲れるんです。
だからお姉ちゃんはいつも荒い息を吐いていました。顔もちょっと赤くなっています。
お姉ちゃんはしきりに私にも同じ姿勢を勧めてくるのですが、私はいつも断っていました。
けれども、その日ばかりはお姉ちゃんの誘いを受けることにしました。
いつもいつも断ってばかりではお姉ちゃんに悪いと思ったのです。
断られた時のお姉ちゃんの残念そうな顔はなるべく見たくありませんでした。
私はお姉ちゃんが大好きでしたから。
明るくて優しいお姉ちゃんは私の憧れでした。
だから、お姉ちゃんと同じことをするのならそれもいいかなと思いました。
お姉ちゃんは私の股間が痛くならないようにと自分のハンカチを鉄棒に掛けてくれました。
私はスカートを履いていたのですが、お姉ちゃんのお陰で、
下着に直接冷たい鉄棒を当てることにならずに済みました。
促されるまま鉄棒に足を掛けてハンカチの上に跨ると、
お姉ちゃんも私の正面で同じ格好になり、私にしばらくジッとしているように言いました。
ハンカチと下着を挟んでいるとはいえ、やっぱりちょっと冷たい感触がしてきて、
私は十秒も経たないうちにもぞもぞと動くようになりました。
そのせいか段々股間が痛くなってきたのですが、まだ降りちゃ駄目だとお姉ちゃんに言われてしまいました。
我慢できないほど痛いわけではなかったので、お姉ちゃんの言う通りにして動かないでいると、
今度はなんだか股間がムズムズしてきました。なんか疼くんです。不思議な感覚でした。
オシッコをする時みたいな変な感じです。
私は本当にお漏らしをしてしまいそうな気がして腰をくねくねと動かしました。
前を見るとお姉ちゃんも同じように動いていました。でも私とは少し違います。
頬を赤く染めて、一生懸命に腰を前後させているのです。息も私より熱いです。
お姉ちゃんを見ているとなんだか胸がドキドキしてきます。
私はお姉ちゃんに向かって言いました。
「わっふるわっふる」
レオ好きだよ。ムキムキに鍛えあげた肉体、特にがっしりした下半身がイイ!!
惚れっぽいくせにちょっと初心な感じがしてそそる。
「ね、先生」
廊下を歩いていると一人の女子生徒が俺の腕に抱きついてきた。
「昨日のWBC、凄かったね。圧勝!」
「あんなの相手がわざと勝たせてくれたに決まってるだろ」
彼女の腕から自分の腕を取り返して応じると、俺を見上げていた笑顔が膨れっ面に変わった。
「先生のバカ。せっかく人が先生と野球の話しようと思ってあんなよく分かんないスポーツ見たのにさ」
可愛いこと言うよな。
これがこいつの作戦だって分かっていても、ぐらっと来そうになる。
だが、俺も教師のはしくれ。
生徒に手を出す訳にはいかない。
と思いはするが、こいつはそんな俺にお構いなしに話を進めてきた。
「やっぱり、先生のうちに行って一緒に見たかったな。
そしたらルールなんて分からなくても、楽しく見られたのに」
「おまえね、勘違いを招くようなことを言うんじゃありません」
すれ違った女性教師の冷ややかな視線に内心びくつきながらも、俺は努めて冷静に返す。
「だ、か、ら、勘違いじゃなくしちゃおうよ」
「俺は犯罪者になるつもりはないの、って何回言わせたら気が済むんだ」
職員室の前で立ち止まって毎日口にする台詞を言うと、むこうもいつもと同じ台詞を返してきた。
「先生が私相手に犯罪犯しちゃうまで」
(了)
今まで、寝てる間に何かされている様な気がしてきた女が、
その真偽を確かめるべく寝たフリをしていると、
夜中に同居人(父、兄弟、居候など)が部屋に侵入。
男は、手馴れた手付きで服を脱がせ、身体中を愛撫する。
あまりのショックと恐怖に動けず、寝たフリを続ける女。
しかし、的確に性感を刺激する手に、身体は素直に反応してしまう。
男は、用意していたコンドームを装着し、
既に受け入れ準備の整った女の中心に、いきり立ったモノを侵入させる。
男は、やはり慣れている様で、寝たフリをしている女の中を隈無く味わい発射。
事後、ウェットティッシュで全身を拭き、女の着衣を整え出ていった。
再び1人になった部屋のベッドで女は…
正に口は禍の門ってヤツだな
腐女子認定なんて余計な事言わなきゃこんな事にはならなかったのに
まぁ作品は乙です
バトー女体化のバト素読み直してからの疑問なんだが…
義体は男でも女の義体に、女でも男の義体になれるわけだから、
どっちも味わいたいという人のためにふたなり義体が発売されててもおかしくないよな?
くるたんが物足りなさそうだから、やっぱり男の体のがいいのかしらと悩んだ少佐が、途中で一物ありの素子の義体に乗り換えてしてみるとかいうのはどうだろう
>>197 >悪く思うな。
バロスww
掲示板なんてなければないで実生活にはなんの影響もないものをww
やはり
>>192の指摘の通りでここだけが世界だったんだなwwww
…ん?
どうぞ、続けて
良いスレだったんだけどなー、良心あるやつの多いとこだったが・・・
まあ夏が終わったら元に戻るんじゃね?
かなりのスローペースで
以前にss投下して、保管庫で読み返しては、ちょっとした小説家気分を味わっていた頃より、
こうやって若者の傷つきやすいこころを遊び半分でずたずたに傷つけているほうが数百倍楽しいなんて、
…消えるべきは俺のほうだな、たぶん
>>221 何書き散らしたのかカミングアウトしてから消えてくれ
>>222 言ってみたかっただけの偽物だから無理なんじゃないかな?
キチガイはみんな規制されればいいのに。
>>216 別に、色んな意味でこことここに書き込んでいる奴らが気に食わない(特にお前)
やっぱ
>>197で言ったとおりだな。
このスレに書き込んでる奴らはみんな死ねばいいよ、俺以外はww
可愛いコちゃんとHなゲームをすることで、合法的に明るくエロスを楽しむスレです。
王道の野球券、王様ゲームはもちろん、秘部に触りまくるだるまさんがころんだ、全裸で
ツイスターゲーム、などなど、もちろん自作のオリジナルゲームもありだゼ!
脅し、陵辱ではなくあくまで合意の元からHな流れで。可愛いあのコとゲームスタート!!
次回、仮面ライダーディケイド―「我が名はアボロガイスト…大いなる大組織、大ショッカーだ。」
「俺はすべてを破壊する…」「仮面ライダーブラック!RX!」―全てを破壊し、総てを繋げ!
―次回・ディケイド・2009・07月26日・第26話 『RX!大ショッカー来襲』―
ブエッヘッヘッヘッヘッヘッヘッヘッヘッヘッヘッヘッヘッヘッへ!!
津jんういぇdtyrrつzsrtmsrtsgんsrtrつsr6つr6つr6つr6いyrtfryつ
ydtりゅtfry6trふゅtyるr中rつr中r中jstr6うyrつrftgじゅjjっくtgyhjh
jty受注jdっつyつgjgjぐjysぃりぃいいこ7sxrtfghgj
ghrつつtgjhxfrghxfrtghtghfgrftrftghtgh
tghxrつtgghjggfgひゅjるr6いsxrちゅいいyhjkyhjxrちゅjjj
jつy6つjhジィyghgftgちゅうっゆy6うrt6う6うfghgじゅっいいいいい
jhjty
wreeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeee!!
才能の無い、哀れな職人の末路だな
あぼんするか
ギコナビには連鎖あぼんがないから困る
そろそろ専ブラ変えるかなぁ
何かオススメある?
>>232 早瀬SIC電王10話「10人ライダー」
クライマックスフォームとゼロフォームの技を一切受け付けない岩石大首領。
良太郎はライナーフォームに変身しデンカメンソードで攻撃するが、
やはり傷ひとつ付かない。
そこに「さっき岩石大首領を倒してきたばかりの」7人ライダーが駆け付ける。
ライダーマンがロープアームを岩石大首領の足に巻きつけ全員で引っ張り、岩石大首領を倒す。
岩石大首領が足を突っ込んだ位置にショッカー首領がおり、
ショッカー首領は階下に落ちる。
1号の号令で一斉に岩石大首領の口の中に飛び込もうとするが、
岩石大首領が火球を吐くため近づけない。
火球と火球を発射するわずかな隙を突くことになり、
良太郎がその役を志願。1号と2号が囮になる。
ライナーフォームは電車斬りを発動させ、
レールを岩石大首領の口の中へ繋ぐとそれに飛び乗り、
口の中に突入。するともう一人、電王の後ろから口の中に飛び込む。
それは甦ったこの時代の本郷猛が変身した旧1号だった。
100万HIT記念代理公開キャラ、ぶよんさん製作の『橘右京』。KGenjuroさん作成の右京にぶよんさんが大幅なアレンジを加えた作品。(KGenjuroさんより、改変・公開の許可は得ています)肝心のアレンジ部分については、かなり長くなるので付属の差分.txt参照
見てもらえれば分かりますが、OPとEDの懲り方が半端じゃない。ストーリーを自分で構成しつつも、サムスピキャラを余すことなく出演させている。なおかつ中間デモというmugenには珍しい演出も施されています。
また、最後の画像の技『右京さんに謝れ!』は最大の目玉技。ランダムで16人(?)のサムスピキャラが登場するというファンには嬉しい仕様。(詳細は付属の覚書.txt参照)
トータルで約30MBと大容量ですが、それゆえに細部に至る演出、こだわりなども凄まじいです。右京一筋のぶよんさんだからこそ製作できたキャラかと。
夕べ、これが最後とかいってなかったか
JaneのNGIDで一日は平和
240 :
落合祐里香:2009/07/24(金) 22:03:28 ID:Q+aOla/I
いつもありがとうございます。July 23 [Thu], 2009, 20:19
みなさんに、お知らせしなければならないことがありますが、
まだ、お知らせすることができません
ブログを更新しない間、決めなければなたないことがありました。
今まで落合祐里香を応援してくださったことを感謝しています。
土曜日のダレットにも出演しますし、
8月のファンクラブイベントも開催しますので、ぜひ参加してくださいね☆
それと、このブログに関するお問い合わせを、番組に送るのは控えてください。
よろしくお願いいたします
何のお知らせかは、しばらく待っていただけるとありがたいです
>>236-237 ヴぁい???????????????????????????????????????????????????????????????????
????????????????????????????????????????????????????????????
そしてラカン。「免許皆伝だ」「ラカン3級をやろう」「男だったら女を守れ そして世界を救え」などと大ゴマで見せ場を作ってます。あげくは告白とも言える「俺もちょい惚れてたぜ」との言葉。
もう死亡フラグが立ちまくってる気がしてなりません!
そもそも主人公でないのに敵の大将と一騎打ちをする行為からしてほぼ100%負けが確定。つーか、脇役が大将を倒して主人公の見せ場を作らない漫画なんて存在しないでしょ!?
深夜、マガジン34号発売。ネギま258話目載ってます。この回は28巻
のラストに相当しますので、引きを強めにしてみました。
2009年3月8日(日)、千葉・幕張メッセイベントホールで行われたゆかりんこと田村ゆかりのライヴツアー『田村ゆかりLOVE ? LIVE 2009 *Dreamy Maple Crown*』最終公演を収録したBlu-rayとDVDが8月7日に発売されます。
定価はBDビデオ版【AA】が7,000円、DVDビデオ版【AA】が6,000円。
そのライブBlu-ray/DVDの各店舗の予約特典をゆかりんスレの住人さんが一覧表にまとめてくれています。
これは分かりやすい!早速ありがたく転載させていただきました
2009年3月22日に、パシフィコ横浜国立大ホールにて行われた、茅原実里のライブ映像のダイジェスト。
Paradeツアーの追加公演でした。すでにDVD【AA】が発売中。
そして、Blu-ray【AA】が、2009年8月26日に発売!
Blu-rayには、特典として、「5.1chサラウンド」、「オーディオコメンタリー」、「ライブツアーメイキング映像『Message2.5』」が付きます!
影山死なす必要は無かったと思うんだけどな。無理してラストバトルに
参戦させろとは言わんから、後日談の時に適当に町を歩いてるとか、
そんな最後にしてほしかったかも
247 :
名無しさん@ピンキー:2009/07/24(金) 22:13:53 ID:Q+aOla/I
DC版のジャケ裏には「天に通じる愛を」って書いてあったよな
俺、誕生!は、モモタロスのイメージが、良太郎が子供(小太郎)の時に見たモモタロスだってことだからだろ?
劇場版3D映画 牙狼<GARO> RED REQUIEM
2010年公開決定
制作費6億ってのが少し不安だけど・・・
キィーンキィーンキィーン・・・・契約してないモンスターで
ファイナルベント出してみたい
モンスターの名前を言いなさい
(スレ画の奴は契約したことがあります)
このスレには何が起きてるの?
空気を読まずに油を注いでみよう。
俺は腹黒さまでもななこいでもなく、元祖ななどら。が読みたいんだ。
正直全部読みたい
俺は日記がよみたい!
奈々子ものはどれもまた読みたいなー
そうめん版奈々子も例外的にアリw
あえてのKY発言をすると竜と姫の24時が読みたい
しかし夏だな
「ほらほら、早く脱いでよ〜」
人気のない路地裏に男を連れ込んだプリシラは、無邪気な笑顔を見せた。
自分から服を脱ごうとしない男に歩み寄り、シャツのボタンをひとつひとつ外して胸板を露にさせると、乳首を口に含みコロコロと舌で転がしてみた。
「乳首立ってるよ?」
少し舐めただけで乳首を尖らす男をクスクスと笑いながら、下半身へと視線を移す。
男の股関はすでに膨張していて、ズボンに不自然なふくらみを作っていた。
「あれー、もうこんなにおっきくなってる」
プリシラは男の反応を見ながらズボンを脱がしていく。
下着の上から撫で回し、ペロリと舐めてみせた。男がうっ…と呻くとあははと笑いながら下着を剥ぎ取った。
男の勃起したモノを直に手に取ると上下に扱き始めた。
「ねぇ、気持ちいい?」
訊きながら今度はソレを口に含む。じゅぽじゅぽいやらしい音をたてて口内で犯していく。
男の息が荒くなりプリシラの口内でピクピクヒクつくと、
「まららしひゃらめらからねー(まだ出しちゃダメだからねー)」としゃぶりながら釘を刺すように告げられた。
喉の奥まで突っ込んだり、先っちょをヘビのようにチロチロ擽ったり。
当然男は我慢出来るはずもなく、プリシラの口いっぱいに精液を吐き出した。
「ちょ、ちょっとぉ!まだダメって言ったじゃなーい。も〜」
慌てて全て飲み干すと、まだしゃぶり足りなかったのか不満そうにぶつぶつ呟く。
だがその不満はすぐに消し飛んだ。まだ足りなければ下の口で味わえばいいのだ。
プリシラの体は、男のソレを求めていた。
プリシラは、イッたばかりでまだ息の荒い男に顔を近づけてニコッと柔らかく微笑みながら言った。
「じゃ、そろそろ入れちゃおっか」
ななどら読みたいなぁ
全くの新作でもいいぜ
ななこいも続きが読みてぇな
今はとにかくこの嵐が去ることを祈っておとなしくしていることしかできない・・・。
数多くいた書き手も同様であることを祈ってます。
久々に来てみたらカオスになってんな
ここはもう、荒らしを隔離しとくスレでいいんじゃね
264 :
ユートピア:2009/07/25(土) 12:04:29 ID:i1MiI45P
今って、投下していいんですか?何か変なのが色々といて邪魔されそうなんですが……
是非投下して欲しい。
でも、悪意あるコメントがきても心を折られないようにだけ気をつけて。
266 :
ユートピア:2009/07/25(土) 12:45:46 ID:i1MiI45P
分かりました、そこら辺の心構えはしておきます。
では、4時ごろに投下させていただきます。
267 :
名無しさん@ピンキー:2009/07/25(土) 13:46:54 ID:UsqYeVFg
全裸待機してます!
>>266 もし余裕があるなら、トリップを作っておいた方がいい。
連載形式なら特に。
乗っ取りを防げる。
機体wktk
ユートピアさんかぁぁ!
超期待wktk!
271 :
ユートピア:2009/07/25(土) 15:56:38 ID:i1MiI45P
少し事情があって、少し遅れて16:30から「太陽の煌き」の最終話である「太陽の煌き〜Vの下〜」を投下します。
カップリングはみのドラ!です。前の投稿からかなり期間が空いているから、保管庫で前の話を見ていた方が分かりやすいと思います。
あまり過大な期待はしないで下さい、プレッシャーになってしまいます(汗
>>268 すみません、2chには疎いんで、「トリップ」の意味や用法を教えてもらえないでしょうか?
>>271 名前欄に
ペンネーム #ab01Cd
みたいに#に続けて特定の文字列を入れて書き込むと
ペンネーム◆1ApWcg9OTs
のように、ランダム生成された文字列が名前の後について同一性を保証できる
◆1ApWcg9OTsのほうから#文字列を判別することはできないので
◆1ApWcg9OTsのような文字列がついてるのは全部同一人物の書き込みだと保証される
それでは、少し遅れましたが、今から連投したいと思います。量は分かりませんが、少し長いです。
題名は「太陽の煌き〜Vの下〜」、カップリングはみのドラ!です。
少し文章が変かもしれませんが、受け入れてください。
NGワードとかは特にありません。
あと、投稿が止まったら連投規制に引っかかったと思ってください。
それでは、次スレから行きます。
太陽の煌き〜Vの下〜
「一体なんだったんだ……?」
若干疲れた声を出す竜児。その理由は明白だった。
つい先ほど、想い人である櫛枝実乃梨に告白をされかけた、と思っている。なんでそんな曖昧なのかというと、その告白が途中で第三者に
無理やり止められたからだ。
その人物は、現生徒会長の狩野すみれ。
まるで嵐のようにやってきて、事情の説明は一切なく実乃梨を連行していった。
したがって、実乃梨を追いかけてさっきの続きを聞こうにも、居場所が分からない。仮に分かっていても、こっ恥ずかしくて聞きに行くこ
とは出来ないが。
しょうがなく竜児は、ミスコンが行われる体育館に向かった。
◇ ◇ ◇
ざわざわ、どよどよ、と体育館内はどよめきに満ちている。
それもそのはず、今から行われるのは実質文化祭で一番大きなイベントだ。
ミスコンテスト。
可愛い女の子が出てきて、その中から誰が一番可愛いか決めるという、なんとも男にとって都合のいいコンテストである。
大橋高校のミスコンは、たいていはコスプレした女子が出てくるのが伝統だ。その種類は様々だが、いつも物凄い盛況を見せる。
今体育館に集まっている皆も、それを楽しみにしている。
もちろん、竜児も楽しみにしている。なにせ大河のために衣装を用意した。元は大河のクローゼットにしまわれていたワンピースを、竜児
が細工を施した。
その衣装には大河の化粧担当の亜美や周りの女子も絶賛していて、用意した竜児も満足していた。
「そろそろ始まる、か?」
そんな竜児の一言がきっかけになったのかは定かではないが、体育館の証明が落ちた。窓も黒いカーテンで覆ってあるから、体育館内は薄
暗くなった。
それと同時にステージの幕が上がり、ステージの袖にスポットライトの光が注がれる。
そこからは、体育館内はすばらく混乱の渦と化した。
理由は明々白々。
スポットライトに照らし出された場所には、一人の人物が立っていた。
それは、女王様と表現するのが一番正しいか。網タイツにガーターベルト、胸元が大胆に開いているビスチェ、手には鞭まで握られていた
。
そんなトンデモ衣装に身を包んでいるのは、ミスコン司会進行役の亜美。モデル体系の亜美がそんな格好をすると、色々と高校生には刺激
が強いというかなんというか。
要するに、亜美の姿に興奮した男子学生が狂ったように叫び、今体育館内は凄いことになっている。
どのように凄いかというと、「こんなに騒いだら死んじゃうんじゃね?」と竜児に思わせるほど、凄かった。
そんな声の嵐の中、亜美が綺麗に騒ぎを収め、遂にミスコンテストが開始された。
「やっとか……川嶋のヤツ、余計なことしやがって」
実際に、亜美のせいで始まるまで10分ほどかかってしまった。全く、司会進行役と聞いて呆れるほどだ。
そして次々とミスコンは進行していく。
メイド、チャイナ、ナース、軍服、スーツ、堕天使エロメイド、大精霊チラメイドなど、普通のコスプレやどこぞの科学と魔術が交差する
物語に登場するコスプレがなぜか登場したが、どれもこれも可愛かった。
しかし、未だに会場が沸き立つような女の子は出てきていない。強いて言えば亜美だけだろう。
「そろそろ大河の番かな」
そう呟く竜児。
「ううん、私じゃないわよ。ウチの代表はみのりんに変わってもらった」
そんな竜児の背後から、今聞こえるはずのない声が聞こえた。
勢いよく振り返ってみると、そこにはミスコンに出場するはずの大河がいた。
「た、大河!?お前何やってんだ!ミスコンは!?もう順番じゃないのか!?」
「あーもう、キャンキャンうるさいわね。さっき言ったでしょ、みのりんに変わってもらったって」
「か、変わったって……」
そこで竜児は、あることに思い至る。
ミスコンの主催は生徒会、その生徒会のトップは狩野すみれ、その狩野すみれに連れ去られた実乃梨。
複雑に絡み合っていた糸が解けるように、謎が解けていった。実乃梨が連れて行かれた理由。それは、大河の代打でミスコンに出てもらう
ためだった。もっとも、何故実乃梨なんだという最大の疑問は解決されてないが。
「どうしてそんなこと……そんなにミスコンに出るのが嫌だったのか?確かに見世物になるのは嫌だが、それを櫛枝に押し付けるのは……
」
「うるさい駄犬。これはご主人様から送る最大のご褒美よ。もっと尻尾を振って大喜びしなさいよ」
「はぁ?」
竜児は訳が分からなかった。
何故大河ではなく実乃梨がミスコンに出ることが竜児のご褒美になるのか。
その傍から見れば凶悪な顔を疑問のせいで更に歪ませる。
「顔面凶器を振り回してないで、ちゃんとステージを見ておきなさい。次がみのりんの番なんだから」
「お、おう……」
大河の言葉に素直に従い、竜児はステージの方を見る。
そこでは、司会進行役の亜美が次のミスコン候補者、つまり実乃梨の紹介をしているところだった。
「さて、次の候補者は2年C組、大橋高校女子ソフトボール部の救世主にしてキャプテン、表彰式でもお馴染みのパワフルガール、櫛枝実
乃梨さんでーす!」
亜美の言葉と共に亜美に注がれていたスポットライトは消え、ステージのライトだけが体育館内を照らし出す。
「櫛枝って、あの櫛枝?」「表彰式でいつも無駄に元気な先輩だよな?」「確かに可愛いとは思うけど、あんまり華やかさがないな」「体
育会系の女だしな」
ボソボソとそんな声が聞こえてくる。
意外なことに、実乃梨のことは全校の生徒が知っていた。
その理由は簡単。女子ソフトボール部は、大会では多くの優秀な成績を収めており、表彰式で全校生徒の前に出ることが多かった。そのと
きに、普段の彼女の高すぎるテンションで表彰を受けていたので、自然とみんなの頭に残っていた。
しかし、聞こえてきたのはマイナス方面のことばかり。そんな声を聞いて竜児は怒りを覚えたが、そんな怒りが消し飛ぶほどのことが起こ
った。
突然のことに戸惑っているのか、はたまた単純に恥ずかしいだけなのか、実乃梨はステージ上に出てくるまでほんの少し時間がかかった。
そしてカラン、と涼しげな下駄の音が体育館に響く。それから、実乃梨が姿を現した。
「っ……」
竜児は息を呑む。そして、視線は実乃梨に釘付けになった。比喩でもなんでもなく、実乃梨から目を離せなくなった。
それまでがやがやしていた体育館も、さーっと静寂が伝染していく。
数秒後、体育館内には息遣いの小さな音以外、全ての音が無くなった。
それほど、皆は衝撃を受けたのだ。
実乃梨は浴衣を着ていた。
白に近い淡いピンク地にチューリップ模様の浴衣、帯の色は鮮やかなオレンジ色。手には黄色系の巾着を持っていた。
可愛い。全力で可愛い。
そう思っているのは竜児だけではない。気味が悪いほど静寂に満ちた体育館。みんなの目線はもちろん、実乃梨に注がれていた。
「うそ、だろ?」「あれが、櫛枝?」「可愛い……」「表彰式のときとはぜんぜん違う……」
ポツリポツリと、そんな声が上がってくる。誰も彼も、そう思った。
今いる実乃梨は、いつもの実乃梨ではない。
衆人環視の環境が恥ずかしいのか、いつものデタラメなテンションはなりを潜め、しゅんとして大人しくしている。それが実乃梨の女らし
さを引き出していた。
そして実乃梨の顔には、本当にうっすらと化粧がされている。恐らくは亜美が化粧をしたのだろう。普段は全く化粧をしない実乃梨。それ
でも充分に可愛いのだが、化粧をすることによって「女の子」という印象から「女性」という印象が強まり、それも実乃梨の魅力を引き出
している。
「……ぁ」
か細い声を出す竜児。そんな竜児に、ある光景が浮かび上がる。
心の奥底に眠っていた大切な記憶が、今の浴衣姿の実乃梨を見て、フラッシュバックのように蘇ってきた。
◇ ◇ ◇
時は、昨年の夏休み。
まだ竜児が、櫛枝実乃梨という少女に恋をしていない、ましてや会ったこともない、そんな時。
竜児は、初めて実乃梨に出会う。
「高須、何やってるんだ?早く行くぞ!」
「待てって北村。そんなに急がなくても出店は逃げないって」
子供のようにはしゃぐ北村を宥めながら、竜児は後を追う。
ここは、竜児たちが住んでいる町にある大きな神社、大橋神社だ。
加えて今日は夏祭り。神社の境内には数多くの出店が並んでいる。焼きそば、たこ焼き、お好み焼きなどの屋台から醤油やソースが焦げる
食欲をそそる匂いが漂ってくる。
他には綿あめやリンゴ飴、チョコバナナなどの定番的なものもある。
射的や輪投げなどのアトラクション的なものも数多くある。
そんな祭りに、竜児は北村と二人できていた。
男二人ってどうよ?とも思ったが、自分の顔が原因でまだあまり友達が出来ていない竜児にとって、このような祭りに誘ってくれたのは北
村ぐらいだ。
少し悲しいが、誘われないよりはマシだろう、とポジティブに考える。
「で、北村、まずはどこから行く?」
「そうだな……まずは腹ごしらえでもするか?」
「おう、そうだな。俺も腹が減ってるからな。輪投げとか射的は後でいいだろ?」
「俺はかまわないぞ。では、早速行くか!」
そう言って小走りになる北村。
その北村についていく竜児。
本当に仲が良さそうな二人だ。
「結構回ったな」
「そうだな。どうする、もうそろそろ帰るか?」
「うむ、そうするか。祭りの空気の後押しのせいか、俺も必要以上に使ってしまったからな」
「確かに、俺も久々に結構使っちまったな」
お互い、苦笑いしながら財布の中身を確認する。
祭りには、人にお金を使わせる独特の空気がある。それに加えて友達などと一緒に遊びにくると、ついつい遊びすぎてしまう。その結果、
残りの夏休みのお金のやりくりが大変になるのだ。
そんな例に漏れずに、二人はかなり遊んでしまい、そろそろ帰ろうかという考えに至ったのだ。
「じゃ、帰るか」
「おう」
北村の言葉に頷き、二人は歩き出す。
しばらく歩いていると、隣を浴衣を着た女の子二人が通り過ぎた。
ボフッ
「ん?」
そのとき竜児の隣に、可愛らしいオレンジ色の財布が落ちた。
落ちた音に気づき、足を止めて足元に落ちた財布を見る。
「どうした?高須」
「いや、今通り過ぎた女の子だと思うけど、財布を落とした」
「本当か?すぐに持って行ったほうが良くないか?」
「いや、だけど……俺が持ってってもまた不良と間違われて大騒ぎになるんだが……」
「まだそんなことを気にしてるのか?高須の悪い癖だぞ?」
「いや、そんなこと言ってもだな……」
昔から、親切にしても顔のせいで返って裏目に出る。
そんなことが日常だったので、今更善行することに抵抗がある。
もっとも、根は完全な良い人なので、このように困っている人を見逃すなんてことは竜児には出来ないのだが。
「はぁ……しょうがねえ。悪い北村、ちょっと行ってくる」
「ああ、分かった。頑張ってこいよ」
北村の言葉に頷いて、竜児は先ほどの女の子を走って追いかける。
幸い向こうは浴衣を着ていたし歩いていたので、すぐに追いついた。
「あ、あの……」
財布の持ち主であろう女の子の肩を指で叩きながら呼びかける。
「ん?」
二人のうちの一人が立ち止まって振り返り、もう一人も立ち止まる。
浴衣姿の似合う二人だと、竜児は思った。
「えっと、何かな?」
「そ、その……」
竜児が言いよどんでいると、二人のうちの一人がズイッと前に出てきた。
背丈が極端に小さい子だった。それなのに態度はどことなく威張っているような感じだ。
「ねえみのりん。こいつナンパ?だったら殴って追い返そうか?」
開口一番、小さい女の子はそんなことを言った。
そんな女の子の頭を、もう一人の女の子がチョップをした。チョップと言っても、威力はなく、ペシッっという効果音が似合いそうな優し
いチョップだった。
「ダメだよ大河、初対面の人にそんなこと言っちゃ」
まるでイタズラした子供を叱るような、しょうがないな、といった感じで言った。
そして、再び竜児に顔を向ける。
「で、何の用かな?あ、本当にナンパだったら他を当たってください」
「え?い、いや、違う!ナンパじゃねえ!」
手を前に出して首と一緒にブンブンと振りながら、否定する。
「俺は、これ。この財布を届けにきたんだ。君のだろ?」
スッと、女の子にオレンジ色の財布を差し出す。
そうすると、女の子はそれを受け取って目を丸くして驚いた。
「あ、本当だ、あたしのだ。アブねー、落としてたんだ」
そう言って、財布に向いていた視線を、今度は竜児に向ける。
「ありがとう、拾ってくれて。ホント、助かったよ」
満面の笑みで、そう竜児に告げた。
「……」
その笑顔に、竜児は目を離せなくなった。口をポカンと開けて、バカみたいにその女の子の顔を見つめていた。
「じゃあ、あたしらはこれで」
そんな竜児の視線には気づかないで女の子はそう言って、祭りの雑踏の中に消えていった。
「……」
しばらく、その場所でボーっと竜児は立ち尽くしていた。
「おい、高須、どうした?」
言いながら肩を叩かれ、竜児はハッとする。
「い、いや。何でもねえ」
「? そうか、ならいい。それでは、帰るか」
「お、おう」
そう言って二人は、祭り会場を後にした。
祭りからの帰り道も、家に帰った後も、竜児の頭からあの浴衣姿の女の子の笑顔が離れなかった。
◇ ◇ ◇
竜児は、思い出した。
どうして自分が櫛枝実乃梨に惹かれるようになったのか。どうしてあの笑顔が輝いて見えていたのか。
きっかけは、何気ないことだったのだ。ただ笑顔を向けられただけ。友達に向けるような、ごくごく当たり前の笑顔を向けられただけ。
しかし、当時の竜児にとっては太陽の輝きのように写ったのだ。
純真無垢で穢れがなく、一片の恐怖も抱いていない素の笑顔。
それが竜児の心を鷲掴みにしたのだ。
その女の子が一緒の高校、それも同じ学年だと知ったときは本当に驚いた。それ以来、姿を見つければ目で追っていた。表彰式に出ていて
、そのテンションに驚いたこともある。帰りが少し遅くなると、実乃梨が部活をしている姿を見た。
そうしていく内に、どんどん実乃梨のことを好きになっていった。
その想いの根幹の出来事を、今竜児は思い出したのだ。
「……」
「ん?どうしたのよ竜児。ボケーってしちゃってさ」
「え……?あ、いや、何でもねえ……」
「ふーん、変なの。まあいいわ。それより、みのりんの浴衣姿どうだった?可愛かったでしょ?」
そこから大河は竜児に色々と聞いていたが、竜児の耳には入ってこなかった。時折「おう……」や「ああ……」と気のない返事をするだけ
だった。
そんな竜児でも大河は気づかない。実乃梨の自慢をすることでテンションが上がって周りのことが見えてないのだ。
そしてそのまま、夢うつつの状態でミスコンは終わっていった。
正直、竜児の頭には浴衣姿の実乃梨しか残っていなかった。他にも数多くの候補者がいたが、それすら忘れさせるほど竜児にとって実乃梨
の登場は衝撃だった。
後残っているのは、ミスターコンテストだけだった。
今はミスコンの投票が終わり、生徒会が開票作業を行っているところだ。
この後に、投票結果が発表されるのだ。
「今年のミスコンの優勝者は、2−Cの櫛枝実乃梨さんでーす!」
体育館に亜美の澄んだ声が響く。
厳正に行われた投票の結果。ミスの栄冠は実乃梨に渡った。
会場は拍手の音で包まれている。
実乃梨自身は、万が一にも自分が選ばれることは無いだろうと思っていたのか、ポカンとした間抜けな表情をしている。しかし、実乃梨以
外の2−Cの生徒は自分の事のように喜んだ。
大河も本当に嬉しいのか、満面の笑みでステージ上に立っている実乃梨に手をブンブン振っている。生徒会なのでステージの脇で待機して
いる北村も笑顔だ。周りに目を向けると、能登と春田が嬉しそうにハイタッチしていた。それに他には、木原と香椎が手を取り合いながら
喜んでいた。司会進行役の亜美は生徒会とは反対側で笑顔で拍手をしていた。他の2−Cの生徒も同じく近くにいるクラスメイトと喜びを
分かち合っていた。
勿論竜児もその一人。好きな人がミスコンのグランプリに選ばれて喜ばない人間はいない。
だが。
「さあ諸君、ラストゲームの時間だ」
この後のすみれの言葉によって、竜児の顔は驚愕に変わる。
◇ ◇ ◇
大橋高校のグラウンド、その外周コースのスタート地点に、目つきが尋常じゃない高校生が揃っていた。
なぜこのような所にいるのかというと、それは先ほどのすみれの言葉が原因だ。
すみれの言ったラストゲーム。
それは、ミスターコンテストのことだった。ミスコンと違い、毎年毎年違う競技がなされるだけでなく、今の今まで参加者すら決まってな
かったし、今の今までどんな勝負をするのかすら知らされていなかったミスターコンテスト。それがついさっき、すみれの口から聞かされ
たのだ。
今年の競技内容、それは「ミスター福男」。簡単に言えば、徒競走だ。コースはライン伝いにまず直線、続いて旧校舎の裏を通り抜けて昇
降口の脇から再びグラウンドに戻って、そこからはゴールまで一直線、だそうだ。
そのコースを走りぬけ、一番にゴールした人がミスター福男、つまりミスターコンの勝者なのだ。
だが、大層なことを言っても徒競走だ。文化祭で疲れているからか、最初は生徒の大部分が不満をこぼしていた。そんなやる気ゼロな生徒
を立ち上がらせたのは、すみれが提示した勝者に送られる賞品だ。
ミスター福男に送られる賞品、それはこの後に行われるキャンプファイヤーで今年度のミス・櫛枝実乃梨にダンスを申し込む権利。それと
、すみれの三年間の各教科の教科書やノート、テストの問題、回答などだ。
すみれのノートやテストの回答には、すみれの一言メモや教師にした質問とその答えなどが書かれていた。
その二つの賞品を聞いて、ブーイングの嵐だった体育館はどよどよと揺らめき始めた。
そしてある男子の「お、俺出る!ノート欲しいし、く、櫛枝にダンスの申し込みをしたいし!」となんとも勇気のある言葉がきっかけに、
数多くの生徒が参加の意を表した。
その中には勿論、実乃梨をダンスに誘いたいという男子も多かった。それほどミスコンでの実乃梨は可愛いかったのだ。
最終的には男子だけで四、五十人、女子も参加OKなため十数人参加していた。
それで、今に至るわけだ。ちなみにスタートはあと少し。
皆横一列でヨーイ、ドン!が出来るわけなく、少しでも有利な立場を得ようと、前に出て行く。
「押すなよ!」「押したのはソッチだろ!?」「女子は邪魔だ。後ろに下がってろ」「はぁ!?なにその言い分!」「あ〜もうっ!痛いな
〜!」
そこで繰り広げられる罵倒と小突きあい。これがスポーツをする前の姿か!とスポーツマン精神を持った紳士は言うかもしれないが、生憎
とこれはスポーツではなく勝負。勝つか負けるかの真剣勝負なのだ。そこにスポーツマン精神など無駄以外の何ものでもない。
そんな中で、参加者一向にどよめきが走った。
「うおっ!?」「ひゃあ!?」「え、高須君も参加!?」「ってか何あの顔!?阿修羅か、阿修羅なのか〜!?」「あんな高須くん、見た
ことない……」
そのどよめきを作り出した張本人は、高須竜児。
一気に人垣が二つに割れて、その真ん中を竜児は静かに歩いていく。最前列に辿り着き、そのぎらつく眼光を辺りにばら撒く。まるでここ
は俺様だけの領域だ、と主張するように。
その威嚇に怯んで竜児の周りには人がいなくなる。「よし……」と低い声で一人呟く。
竜児も、福男レースに参加する一人だ。
その理由は単純明快。実乃梨にダンスの申し込みをするために。
今なら分かる。大河が言った「ご褒美」という言葉。それは、この福男レースに参加して死んでも勝って、実乃梨と幸せな時間を過ごしな
さいということだったのだ。
竜児は嬉しく思っていた。こんな機会がないと、面と向かって実乃梨にダンスを誘えない。しかし、同じくらいに焦っていた。
もし、このレースで一位になれなかったら……という考えが頭をよぎる。他の男子と楽しそうに踊っている実乃梨の姿を想像してしまう。
(そんなの、絶対に嫌だ……)
頭を振ってその考えを外に押し出す。しかし、不安は時間が過ぎると共に竜児の心を侵食していく。
「用意は出来たか、野郎共?おっと、女子も混じっていたか、失礼。じゃあ改めて、用意は出来たか、みんな?」
竜児はすみれの声でハッとなり、考えをやめる。
(とにかく、今はやれることをやるんだ)
そう、心に強く誓った。
「大丈夫そうだな。じゃあ、今から福男レースを始める。ルールとコースはさっき説明したとおり。まあ、ルールなんてほとんど無いがな
。一応最終確認だ、何か聞きたいことはあるか?」
すみれが参加者をずらっと見渡す。
反応する者はいなかった。
「いないみたいだな。それじゃあ、始めるぞ?」
そう言って、すみれはスタート合図用のピストルを高く頭上に上げる。
それと同時に、参加者は各々が走り出しやすい格好を取る。
竜児も重心を低くし、いつでも全速力で走り出せる体勢を取った。
ほんの少しの間、グラウンドに静寂が満ちる。
「位置について」
静寂の中響くのはすみれの掛け声。その言葉が放たれると同時に、ピリピリと緊張感が高まっていく。
「ヨーイ」
あと少し。あと少ししたらスタート。
グラウンドを包む緊張が、最大限に膨らんだ。
「ドン!」
言葉が放たれるのと同時に、パァァン!!という銃声が響き渡る。限界まで膨らんでいた緊張感が一気にはじける。
それと同時に、弾丸のように走り出すレース参加者。
これから高須竜児の、今までの人生で最大の勝負が、今始まった。
竜児は一番先頭を走っていた。
それも当然。スタート時は一番前にいたのだから。徒競走なら、これは大きなアドバンテージになっただろう。
だが。
「おうっ!?」
後ろから誰かに肩を掴まれ、そのまま地面に倒された。
「くそっ、誰だ!?」
「おい、いいのか?」
「こんなに大人数なんだぞ?バレやしないって」
そんな声が竜児に聞こえてきたが、声の主は分からなかった。後から後からたくさん走ってきて、だれが竜児を倒したのか分からないのだ
。
「チッ!」
舌打ちをし、立ち上がって走り出そうとする。
「うおっ!?」
しかし、再び後ろから走ってきた参加者に突き飛ばされた。
地面に頬と身体が擦り付けられる。痛みに涙が出そうになる。
そんな自分を叱咤して、再び立ち上がる。
だが。
「せいっ!」
「うがっ!?」
竜児は、二度あることは三度ある、という諺をこれほど体感したことも、恨めしく思ったのも初めてだった。
三度、後ろから走ってきた参加者に、今度は蹴り飛ばされた。
今度はさっきよりも衝撃が強かったため、痛みですぐに起き上がることは出来なかった。
「く、くそ……!」
奥歯を噛む。力いっぱい噛み締める。それでしか、怒りを表すことが出来なかった。
「くそ、くそ、くそ……!俺が何をしたっていうんだよ……!」
あまりの仕打ちと自分の情けなさに涙が出そうになる。
だが、ここで泣いて何になる、と竜児は自問する。
悔しくすれば速く走れるのか?泣けばレースで一位になれるのか?倒れていればどうにかなるのか?
「違う……」
小さく、確認するように呟く。
そうしている内にも、倒れている竜児には目もくれないで何人も両側を走り抜けていく。
(こいつらは、どこに行く?何のためにこんなに必死に走っている?)
答えは、実乃梨の元に。実乃梨にダンスの申し込みをするために走っている。何人かはすみれのノート目当てだろうが、そんなこと竜児に
は関係なかった。
参加者全員これ自分の敵。竜児はそう思っている。
ノートが目当てであろうと、勝者には実乃梨にダンスを申し込む権利がある。
「その権利を掴み取るのは、俺だぁっ!」
そう叫び、立ち上がろうとする。
そのとき。
( ゚∀゚)o彡゜私縁
「その意気だ高須!ホラ、掴め!」
「高っちゃんカッコイイ〜!高っちゃんってさ、そんな熱血キャラだったっけ?」
立ち上がろうとする高須に伸ばされる、二つの手。
竜児にかけられる、二つの温かい言葉。
竜児が顔を上げると、そこには能登と春田がいた。
「お、お前ら、どうして……」
「それはだね〜、高っちゃん―――」
「話は後だ、二人とも!とにかく早くしろ高須!もう最後尾ぐらいだぞ!?」
説明しようとした春田の言葉を遮り、能登が大きな声で言う。そして同時に、高須の手を取って立たせる。
「混乱してるだろうが、今は福男レースのことだけを考えろ。必ず一位になれ、高須。それが、助ける俺たちへの最高の恩返しになるから
な」
「そうだよ高っちゃん。高っちゃんが一位になることが、俺たちの願いなんだからさ」
真剣な顔で高須に告げる二人。その顔は、今まで竜児が見たことが無いほどの真剣な顔だった。全幅の信頼を寄せることが出来るほど、頼
りがいのある顔だった。
未だに竜児は混乱している。二人の行動にも、二人の言動にも。だが、やることはさっき確認も決意もした。二人からの激励の言葉も、竜
児の身体に力を漲らせていた。
「おう。未だにお前らの行動には混乱してるが、確かにこんなことしてる場合じゃねえな」
力強く二人に頷く。
二人も、頷いてくれる。
今やるべきことは、実乃梨の元に一番で辿り着くこと。
その為の道を、竜児は見据える。実乃梨のところまで続く、道を。
「行くか」
「ああ」
「お〜!」
竜児の言葉に二人は思い思いの言葉で返す。
そして、三人同時に走り出す。その背中は、いつもの三人の背中より、一回り大きく見えた。
しばらく走っていると、三人の前方に人だかりが出来ているのに竜児が気づいた。
「何だあれ〜?」
「旧校舎裏だ。あそこは片側フェンスの道で極端に狭い、詰まってるんだろう」
春田の疑問に能登が答える。
そうこうしている内に三人は人垣に辿り着いた。だが、一向に進まない。出口が極端に狭く、並んで走れるのは精々二人。そんな狭い道を
何人もの人が一気に通り抜けようとしたのだから、出口のあたりで詰まっているのは当たり前だ。
「だったら……!」
言うと同時に、竜児はフェンスに掴みかかりよじ登る。そしてフェンスの上に乗り、立ち往生している参加者たちを見下げて走っていく。
「うお、高須、マジか!?」
「高っちゃんスゲ〜!」
驚いている二人も高須に続き、フェンスをよじ登りフェンスの上を走っていく。
先に行っていた竜児は一足先に旧校舎裏を抜ける。勢いよくフェンス上からジャンプ。そのまま前を見据えて走り出す。
一気に参加者をごぼう抜きにしたが、まだまだ前には何人か人がいた。足を速める竜児。実乃梨の元に辿り着くために、自分に出来ること
を精一杯やろうと頑張っている。
あとは昇降口脇の階段を駆け下り、そのままグラウンドに出てグラウンドを一周したらゴールだ。
必死に走る竜児の目に、恐らくは先頭集団だろう、数人が走っているのが見えた。それを見た竜児は、更にスピードを速くする。
(踏ん張れ!あと、あと少しなんだ!ここで頑張らなかったら、一生後悔することになるぞ!)
心の中で自分を叱咤する。足に力を込めて力強く大地を蹴る。
そして一気に階段を下りて、グラウンドへの入り口を目指す。先頭集団はもう目と鼻の先だ。このまま追い抜いてやろうと、竜児は走る。
だが、突然。
先頭集団が全員止まった。
「おう!?」
突然のことでブレーキが出来ず、先頭集団に突っ込む形になってしまった竜児。
何なんだ、と顔を上げると、そこには驚くべき光景が広がっていた。
「ここから通っていいのは竜児だけ。他は大人しくしてなさい。痛い目にあいたくなかったらね」
そこにいたのは、逢坂大河。傍若無人な態度は誰が相手でも不変らしい。腰に手を当て、あごを上げ、見下すように参加者を見る。実際に
は大河は背が小さいので見上げているのだが。
「た、大河!お前―――」
「あ、竜児。話は後!事情は後で説明するからアンタは早くみのりんのもとに行きなさい!」
「で、でもだな……」
「つべこべ言うな駄犬!ご主人様が命令してるのよ!素直に従うのが犬ってもんでしょ!?」
「……分かった」
納得はしていないが、能登や春田も竜児を助けるために動いてくれた。きっと大河も同じことなのだろうと、竜児は考える。
大河の脇を抜けて、竜児は走り出す。
「あ、こら待て……!」
そんな竜児を止めようとある男子が手を伸ばそうとするが、
「行かせないわよ」
大河が間に割って入る。
「クソ、どけっ!」
「どかないわよ。アンタなんかにみのりんを渡さないわよ。みのりんの隣にいていいのは、竜児だけなんだから!」
「このっ」
痺れを切らしたのか、男子生徒が手を硬く握って拳を作った。そしてその腕を後ろに引いて、勢いよく拳を突き出してきた。
もちろん手を出されることを予想していたのか、大河は冷静に対処しようと重心を低くして拳を握る。相手の拳をよけてカウンターで相手
の顔面に一発入れる予定だった。
しかし。
「ッ!?」
その男子の拳は、第三者によって阻まれた。放った拳を手のひらで受け止められ、受け止められた相手を見て、男子生徒は二重の意味で驚
いた。
「て、てめえは!」
「き、北村くん……」
その第三者は、北村祐作。今は本当は生徒会役員として、ゴール付近で待機していなければいけないはずだった。
「誰であろうと、逢坂に手を出すことは、俺が許さない」
静かに、忠告するように言う北村。その顔はいつもの笑顔はなりを潜めて、真剣そのもの、怖いぐらいだ。
北村登場に男子生徒は驚いていたが、それ以上に驚いていたのは大河だった。
「き、北村くん……どうして……」
「ん?おぉ、そうだ忘れてた」
そう言って、北村は受け止めていた拳を放して大河に向き直った。
「逢坂、お前は福男レース失格だ」
「え……?えええぇぇ!?」
「会長命令だ。すこし妨害があからさま過ぎたぞ。やるならもっと見えないところでやらなくちゃな」
すこしズレたことを言いながら、北村は「ははっ」っと笑う。
「でも、よかった」
北村は笑顔を引っ込めて、真剣な顔になって言った。
「え、よかったって?」
「逢坂を守れたからだ。逢坂が殴られそうになったとき、頭の中が真っ白になって、気づいたら止めに入ってた。本当に、逢坂に怪我が無
くてよかった」
心底嬉しそうな顔をしながら、北村はそんなことを言う。
「っ!?」
そんな北村の言動に大河は今自分の顔が真っ赤になっていると自覚している。それと同時に、胸に温かい喜びが広がっていくことも自覚し
ていた。
結局、大河の足止めはほとんど意味を成さなかった。結果的には竜児が一位に躍り出たが、大河が足止めした先頭集団から大して差は開い
ていない。隙を見て他の参加者は大河の妨害を抜け出したのだ。
あとのコースは、グラウンドを一周するだけだ。あと少し、そう思い、竜児は足を速める。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
ここまで全力疾走を続けてきたのだ。息が切れて当然だ。だが、竜児は一向に速さを緩めない。偏に、実乃梨の元に辿り着くという固い決
意。それが竜児を前に前に走らせていた。
だが。
「うおっ!?」
これまでの頑張りと前半での三回の妨害が身体に響いていた。足が縺れて盛大に転ぶ。
「はぁ、はぁ、は、あぁ……」
激しく息切れしているせいか、すぐには立ち上がれなかった。
しかし、後ろから聞こえてくる足音に、急いで無理やり立ち上がる。
無理に立ち上がったからか、軽い眩暈がして身体をグラつかせる。だが、構わずに竜児は走り出す。
しかし、徐々にスピードが落ちていった。身体は今すぐ休めと言っているようだし、心臓ももっと酸素が欲しいと暴れている。
それでも、必死に走る、走る、走る。諦めることは、絶対にしたくないから。
あと半周。
そこで、後続の一人に並ばれてしまった。
「っ!?」
必死に付いていこうとする。しかし、ほんの少しずつではあるが、引き離されていく。
「く、そ……!」
もっと速く、もっと速くと思うが、焦る気持ちに身体の方が伴わない。
(もう、ダメなのか……?)
竜児は気持ちが、折れそうになった。
ほんの少しだけ、時間は遡る。
実乃梨はゴール付近にあるパイプイスに座っていた。夕方にもなると結構肌寒くもなってきて、毛布を羽織っていた。
「全く逢坂のヤツ、あんな場所で堂々と妨害するなよ。無視できないだろ」
額に手を当てながら盛大なため息をもらし、そんなことを言うすみれ。
「北村、逢坂に失格ということを伝えて来い」
「はい、分かりました」
北村がすみれの命を受け、苦笑いしながら大河の方に向かっていった。
それを、ぼんやりと実乃梨は耳で聞いていた。
目は、ある男子生徒に釘付けになっていた。
先頭を走る、顔が怖い男子生徒に。
何度かこけたのだろう。身体には擦り傷が何箇所もあり、頬には一際大きい擦り傷がある。
「何で……」
何で、そんなに頑張るのだろう。そんなに傷だらけになり、息も絶え絶えになりながらも、瞳だけは熱く燃えている。
胸が締め付けられる。涙が出そうになる。
何故?そんなの簡単だ。
「私は、高須君のことが好きだ……」
ここ数日でその気持ちを実感していた。
竜児と話すと実乃梨はドキドキするし、竜児が他の女子と楽しげに話しているところを見ると、胸がモヤモヤして嫌な気分になる。
そして、それが「好き」という感情なのだと気づいた。
好きな人が、自分のために必死になってくれている。そのことに嬉しさを抱かない人はいないはずだ。
この胸を締め付ける思いは、竜児への想いの強さ。涙が出そうになる感情は、自分のために必死になってくれている竜児に対する嬉しさ。
応援したかった。
声の限りに叫びたかった。
今すぐ駆け寄りに行きたかった。
まさか、北村と大河にフラグが!?
だが、それは出来ない。
自分はミスター福男にダンスを申し込まれる立場、言わば主催者側の人間だ。主催者側の人間が誰か一人に肩入れするなんてことは出来な
い。それはスポーツに携わる実乃梨なら痛いほど理解している。
しかし。
「あ……!」
思わず立ち上がってしまう。
足が縺れたのだろう、竜児がこけた。
それでも諦めずに、再び立ち上がって走り出す。しかし、先ほどよりも遅い。こけたことによって気持ちが折れかけているのだろう。
それに、後ろから参加者の一人が追いついてきて、遂には竜児と並んだ。
竜児も必死に付いていこうとするが、ほんの少しだが離され始める。
竜児の顔に、諦めの色がほんの少しだけ見えた。
「頑張れ……」
知らず知らずのうちに呟いていた。
それと同時に、コースの方にゆっくりと歩いていく。
「頑張れ……」
実乃梨の頭の中から、自分は主催者側の人間だからとか、誰か一人の参加者に肩入れしちゃいけないとか、そんな考えが吹き飛んだ。
「頑張れ」
ただただ無駄な感情を無くしていった。そして頭の中に残ったのは、竜児に対する想いだけ。
ゆえに実乃梨は声を出す。
「頑張れ!」
客観的に見て、実乃梨のすることはいいことじゃない。だが、それが何だっていうんだ。
恋というのは客観的な考えや理論などに左右されない。
あくまで恋をするのは自分自身。主観的な感情や思いからくる、優しく、熱く、そして激しい、相手に自分を認識させる自己主張。それが
恋なのだ。
「頑張れ!!」
ゆえに、実乃梨は叫んだ。自分の立場など関係なく、ただただ己の感情に全力で素直になった行動。
恋する相手に頑張って欲しい、自分のために頑張って欲しいと思う一種我が侭と言える思い。
「好き」という感情が大きくなり、自分の心に収まらなくなり、溢れ出た感情を思いのままに口にする。
「頑張って、高須くん!!頑張ってー!!」
気持ちが、折れそうだった。
今まで頑張ってきたが、頑張ったヤツが必ずしも報われるとは限らないと、竜児は思う。
ここまで頑張って、それでもダメなんてバカみたいだと思う。
次第に遅くなる速度。重くなる身体。今では完全にもう一人の参加者の方が先行している。
(もう、ダメか……)
気持ちが折れそうになる。あと何か一つ、外的要因が加われば、簡単にポキッと折れてしまいそうなほど今の竜児の心は弱っていた。
そこへ。
「頑張って、高須くん!!頑張ってー!!」
声が、聞こえた。凛としていてよく通る声。何度も何度も聞いた、愛しい人の可愛い声。
声のした方を見てみると、実乃梨が精一杯の声で叫んでいる姿が目に入った。その目には薄っすらと涙も浮かんでいた。
竜児には、何で実乃梨がそのような行動をしているか分からなかった。だが、実乃梨が口にした言葉だけで説明は充分だった。
『頑張って』
実乃梨が、そう口にした。竜児がそれを耳にした。
それだけで、竜児の折れそうだった気持ちが、元通りに修復された。
感情を力に変える。想いを速さに変える。
今まで以上に力強く大地を蹴り、今まで以上の限界のスピードを出す。
「うおおぉぉ!!」
身体に活を入れるために吼える。
竜児のスピードが再び上がる。前を行っていた参加者と並ぶ。そして、そのまま並走。
並んだまま、後残り約100メートル。
(もっと、もっとだ!走った後に足が動かなくなっていい、だからもっと速く!!)
ほんの少し、竜児が先行し始めた。思いが身体を凌駕している。身体は限界のはずなのだが、そんなことを感じさせない。そんな身体を動
かすのは、ゆるぎない思い。実乃梨への思いだった。
「おおおおお!!」
そして。
遂に福男レースに終止符が打たれる。
竜児が、先にゴールテープを切った。
竜児が、福男レースの勝者、今年度のミスター福男だ。
竜児がゴールした瞬間、レースを見ていた生徒たちから歓声が上がった。そんな歓声を、竜児は頭の隅で認識し、頭の大部分で勝ったこと
を認識した。
今竜児には、勝ったことへの嬉しさしかなかった。
(やった……!)
ゴールテープを切った竜児は、そのままドサッと座り込む。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
乱れた呼吸、乳酸が溜まりまくった足、全体的に気だるい身体。すぐに動くことは出来そうにない。それどころか今すぐ寝っ転がりたいと
思う。本当に無理をしたんだなと竜児は苦笑いをしながら感じた。
だが、勝った。竜児が勝ったのだ。どんなに身体がガタガタでも、勝負は勝った者が全てだ。
「や、やった……」
肩で息をしながら、手を握り締めてガッツポーズをする。勝った喜びに身体が震える。
そんな勝利の余韻に浸っている竜児の耳に、ザッザッザッという走る音が聞こえた。そしてその音は、どんどんと竜児の方に向かってきて
いる。
「……?」
何だろうと顔を上げてみると、竜児の目に実乃梨が走り寄ってきている姿が写った。下駄で走りにくいだろうに、一生懸命に竜児の下に走
っている。
そして竜児の傍まで来たら、そのまま竜児に抱きついた。
「おう!?」
ギリギリで倒れずに受け止めることが出来た竜児。しかし、その頭は今日一番のパニックをみせていたし、その顔は今日一番赤くなってい
た。
周りには数多くの生徒たち。そして竜児はミスター福男。実乃梨はミスコン優勝者。必然、全校生徒の視線が集まる。
「く、櫛枝、ななな何を!?」
「……こんなに、無理して」
「え……?」
「……足も腕も顔も擦り傷だらけで、頑張ってくれて」
「……」
「本当に、本当に嬉しかった」
竜児の胸に顔をうずめて、実乃梨は話していく。次第に、声が震えて上ずってくる。
「う……うぅ……本当に、本当に嬉しかった」
「……ああ」
声に嗚咽が混じり始める。泣いているのだろう、時折肩が上下する。
そんな実乃梨の身体を抱きしめ、竜児は優しく頭を撫でていく。壊れ物に触るみたいに、優しく優しく撫でていく。
パチパチパチパチッ。
自然と、周りの生徒から拍手が上がってきた。二人を祝福する拍手の合唱。しばらく、拍手は続いた。
その拍手の中、竜児と実乃梨は話し続ける。
「頑張らないといけない理由があったからな」
「うん、うん……」
「ここで頑張らないと、一生後悔するって思った。だがら、多少の無茶は覚悟の上だった」
「それでもっ……心配しちゃうよ……」
「……悪い」
「許さない……」
「え?じゃ、じゃあどうすれば?」
予想外の実乃梨の言葉に、竜児は動揺する。
「……」
そこで実乃梨が黙り込んでしまう。
そして少しして、ポツリと言った。
「もう少しだけ、このままで……」
言っている実乃梨の耳が真っ赤に染まる。相当恥ずかしいのだろう。
もちろん竜児も恥ずかしい。恥ずかしいのだが、実乃梨の願いも無下には出来ず、竜児は衆人環視の中でしばらくの間実乃梨を抱きしめ続
けた。
◇ ◇ ◇
辺りには、夜の帳が下りている。だがそんな暗い中でも、グラウンドは煌々と輝いていた。その光源は、グラウンドの中央に設置されたキ
ャンプファイヤー。勢い良く燃えている炎が辺りを照らし出していた。
そしてキャンプファイヤーより少し離れているところで、多くの生徒がダンスを踊っていた。
元々恋人同士だった人もいれば、今日思い切って告白して恋人同士になった人もいる。いろんな人がいるが、同じなのはその笑顔。
心の底から楽しいと分かるような満天の笑顔だった。
そして、そのダンスをしている人の中に、ある二組の男女がいた。
一組目は竜児と実乃梨。
二組目は北村と大河。
何故このようなカップリングでダンスをしているか。真相は、少し前に遡る。
キャンプファイヤーが始まって、少し経った頃。
大河は遠目から竜児と実乃梨を見ていた。今二人は抱き合っておらず、校庭の隅のほうで二人して話していた。
「何やってんのよ竜児のヤツ。もうここまできたんだから告白なり何なりしなさいよ。ほんっと、ヘタレなんだから」
そんな文句を言っていると、大河に北村が近づいてきた。
「逢坂、今いいか?」
「え?き、北村くん!?」
突然の北村の登場に驚く大河。
そんな大河に畳み掛けるように、北村が話していく。
「なあ逢坂、突然で悪いとは思うんだが、俺と踊ってくれないか?」
「え?そ、それって、ダンスの申し込み?」
「ああ、そういうことになる」
「……」
少しの間、大河が逡巡する。心の中で嬉しさが広がるのと同時に、疑問も沸いて出てくる。
その疑問を、大河は口にする。
「生徒会の仕事とか、もういいの?」
「今日まで頑張ってきたんだ。たまには羽を伸ばそうと思ってな。なに、生徒会のことは心配要らない。会長がいるからな」
「……」
「もう一度聞くぞ、逢坂。俺と、踊ってくれますか?」
「……私なんかでいいの?」
内心はとても嬉しい。北村からダンスの申し込みを受けて本当に嬉しいと大河は思っている。
だが、自分なんかでいいのだろうか、自分は北村には分不相応なのではないか。そう思ってしまい、北村に恐る恐る確認を取る。
「俺は逢坂がいいんだ」
迷い無く、考える素振りも無く、間髪いれず即答する北村。
そんな北村に、大河の心配や不安は吹き飛ばされた。
「……ありがとう、北村くん」
そう言って、照れて赤くなった笑顔で自分の手を差し出す大河。
「ダンスの相手、お願い」
「ああ、任せろ」
差し出された大河の手を、こちらも照れて赤くなった笑顔で北村が手に取る。
「ダンスなんて、どうやればいいのかな?」
「俺もダンスの経験は皆無だ。だが、手を取り合って、見詰め合って、飽きるまで踊る。それでいいんじゃないか?」
「ふふっ、そうね」
スピーカーから流れる音楽に乗って踊る二人。その姿はまるで恋人同士のように思えた。
そんな二人の姿を遠くから眺めている人が一人。
狩野すみれだ。
すみれは二人の姿を見て、フン、と鼻を鳴らした。
「村瀬、後のこと、頼めるか?」
「? ええ、構いませんけど。何かあるんですか?」
「少し、な」
そう言って、すみれは校舎の方に向かっていく。
その途中。
「こんなときに校舎に行くんですか、狩野先輩?」
「川嶋、か」
亜美が、すみれを呼び止めた。
「何の用だ?」
「いえ、先輩が祐作とちびトラを見て校舎に向かったのが見えたもので。あたしも付き合いますよ、先輩。愚痴でも何でも聞きます」
「フッ、お前も振られたクチか?」
「ええ、まあ、そんなとこです」
すみれの言葉に、苦笑いを浮かべながら答える亜美。その視線は、校庭の隅に実乃梨と一緒にいる竜児に注がれている。
「いいだろう、来い川嶋。今日はとことん愚痴を聞いてもらうぞ?」
「先輩こそ覚悟してください?あたしもただ聞くだけじゃないですから」
「ああ、望むところだ」
そう言って、二人は校舎の中に入っていった。
「結局、全部大河たちの思惑通りになったわけだな」
「そうだね」
校庭の隅で並びながら、竜児と実乃梨は二人で話していた。
「今考えると、スゲェ不安要素満載の作戦だったな。まあ、そこが大河らしいっちゃ大河らしいが」
大河の作戦。それは、ミスター福男で竜児が勝利して、実乃梨にダンスを申し込む、という作戦だった。捻りなんて一つもない、力ずくの
作戦だ。
その無理やりな作戦には、やはり不安要素が満載だった。まずミスコンで実乃梨が優勝しなければならなかったし、その後も竜児が福男レ
ースで勝たなければいけない。そもそもよく実乃梨がミスコンに出てくれたもんだなと竜児は思う。
無理やり連行されて、それでミスコンに出ろ、なんて言われたって意味が分からないだろう。
「でも、結果上手くいったじゃん?終わりよければ全て良し、だよ」
「それもそうだな」
実乃梨の言葉に笑顔で応える竜児。
そこで、言おうと決めた。今の今まで言えなかった、自分の胸の内の迸る想いをを全て実乃梨に話そうと、竜児は決心する。
「それでさ、俺、櫛枝に言いたいことがあるんだけど……」
「……うん」
二人とも真剣な顔つきになる。二人の周りだけ、空気が変わったように張り詰めている。
「回りくどい言い方はしない。福男レースが、俺の気持ちの全てだから」
実乃梨のために頑張った。自分のために頑張った。一生懸命走った。結果、見事一位になることが出来た。
偏に、実乃梨への想いの強さが、竜児をここまでさせたのだ。
なら回りくどい曖昧な言葉など必要ない。口に出して言うのは、単純だけど、心のこもったかけがえの無いもので充分すぎるほどだ。
「櫛枝、俺はお前が好きだ。もし良かったら、俺と付き合ってください」
実乃梨の目を見ながら言う。
告白された実乃梨の目に、再び涙が流れる。しかし、その涙は悲しいから流れる冷たい涙ではない。嬉しいから流れる、とてもとても温か
い涙なのだ。
「ずるいよ、高須くん……私から言おうと思ってたのに……」
「え?ってことは……」
「うん、私も高須くんのことが好き。だから、これからよろしくね」
指で流れる涙を拭いながら言う実乃梨。
竜児の胸に叫びだしたいほどの嬉しさがこみ上げる。だが同時に、同じくらいの恥ずかしさがこみ上げてくる。
「お、おう。よろしくな櫛枝……はは、な、なんか照れるな」
頬を人差し指でかきながら言う竜児。その顔は真っ赤になっている。相当照れているのだろう。
「う、うん。なんかちょっと変な感じ」
実乃梨も同じなのか、顔を真っ赤にしている。
そしてしばらく、何を話していいか分からなくなり、黙り込む二人。
「な、なあ櫛枝」
沈黙を破り、竜児が話し出す。
「な、何かな高須くん?」
「せっかくキャンプファイヤーもやってるし、俺はミスター福男で、櫛枝はミスコンの優勝者だ」
ここまで言われて、実乃梨は竜児の言いたいことに気づく。
「だからだな、その……俺と踊ってくれないか?」
実乃梨に向き直って、真摯な気持ちを伝える。
そんな竜児に実乃梨は、笑顔になってこう言った。
「勿論だよ、高須くん」
手を取り合い、グラウンドの方に向かって歩いていく。そして踊ることが出来る場所に来ると、向き合ってリズムに乗って踊りだす。
「俺はダンスなんて分からねえが、これでいいのかな?」
しばらく踊っていると、そんなことを竜児が言い出す。
「そんなの関係ないよ、高須くん。私は高須くんとこうしているだけで嬉しいんだから」
そんな竜児の言葉に、実乃梨は心の底から嬉しいと分かるような優しい笑顔でそう返した。
「櫛枝……」
少しだけ、二人の間の空気が変質する。少しだけ爽やかな空気から、桃色のような空気になる。
実乃梨の瞳が潤み始める。竜児の目線は実乃梨の艶のいい唇に注がれる。実乃梨も竜児の瞳を真正面から見据える。
「高須くん、私たち、付き合うんだよね?」
「ああ、そうだ」
「でもさ、私イマイチ実感できないんだよね。だからさ、高須くん。私たちが恋人同士だって証、示してくれない?」
そう言って、実乃梨はゆっくりと竜児の顔に自分の顔を近づけてくる。
ここまでされて気づかないほど竜児は鈍感ではない。
実乃梨にキスしようと、自分の顔を近づける。
「櫛枝……」
「高須くん……」
ある程度距離が縮まったら、目を閉じる。視界が遮られて、少しして唇に柔らかいものが触れる。
世界にはこんなにも柔らかくて気持ちの良いものがあるんだな、と竜児は思った。
「ん……」
漏れる実乃梨の吐息。それに興奮しながら、実乃梨の唇の感触を確かめる。
少しして、どちらともなく離れる。
「高須くん、足りないよ……もっと……」
甘えるように、実乃梨はトロンとした表情で呟く。
「分かった、櫛枝」
そう言った時、実乃梨が静かに首を振った。
「名前」
「え?」
「名前で呼んで、竜児くん」
「……分かった、実乃梨」
少しだけフッと笑いながらそう言い、顔を近づける。実乃梨も目を閉じる。
そして、再び触れ合った唇。
今度は確かめるように二人は相手の唇をついばむ。
「ん……んん……」
さっきより長く、そしてほんの少しだけ官能的なキスが終わった。
「キスって、こんなに気持ちがいいんだね……」
「少女」の顔から「女」の顔になった実乃梨が言う。
竜児には、耳から入ってくるその声に、全身を蕩けさせる媚薬のような効果を感じていた。実際に、心も身体も実乃梨を求めて止まない。
「そうだな。初めてだが、いつまでもしてたいな……」
「そうだね、竜児くん。あたしも、いつまででもいいからキスしてたい。だから、もっと……」
「おう……」
実乃梨はなおも竜児にキスの要求をしてくる。そのことを内心で喜びながら、再びキスをする。
今度は実乃梨の口内に自分の舌を入れて、実乃梨の舌に絡ませる官能的なディープキス。
初めは少し驚いて抵抗していたが、次第に力が抜けて、実乃梨も負けじと自分の舌を竜児の舌に絡めてくる。
「んむ……!?あむ、ちゅ……ん、んんっ……」
二人はディープキスに夢中になり、次第に激しくなっていった。
辺りには二人の奏でる官能的な声と音が流れている。周りに他の生徒がいるなんて関係ない。今二人は、二人だけの世界に旅立っているのだ。認識できるのは目の前の二人と舌から送られてくる快感だけ。
その後しばらくの間、二人のキスは続いたのだった。
その後、何度も何度もキスを交わす二人。多くの生徒が見ている中で、大胆にもディープキスまでしてしまうバカップルさ。
そしてそのことを後から大河と北村に聞かされて、二人は顔から火どころか地獄の炎さえ出そうなほど真っ赤にして恥ずかしがっていたが
。やはり人並みの羞恥心は持ち合わせていたのだろう。今頃恥ずかしくなってきたのだ。
そんなこんなで、文化祭は終わっていった。
数々の運命が交錯した、本当に色々なことが起こった文化祭。
そして、この文化祭は、竜児と実乃梨が付き合うようになった、記念すべき日となった。
◇ ◇ ◇
月日は流れ、大橋高校の卒業式から十年がたった。
竜児と実乃梨の仲は順調で、五年前には結婚、その一年半後には子供にも恵まれた。
竜児はその料理の腕を生かして調理師の専門学校に進学、卒業して今はとある有名なホテルの厨房で修行中だ。その腕はみるみる上達して
いて、あと2、3年すれば自分の店がもてるほどの腕前になっている。
実乃梨は体育大学に進学し、自身の夢であるソフトボール選手を目指し、そして見事掴み取った。今はある企業のソフトボールチームに所
属しているが、次のオリンピックの選手として選ばれていた。今はオリンピックに向けて猛練習中だ。
「うん、こんなもんかな」
とある日の朝。
味噌汁の味を確認しながら、竜児は満足そうな声を出す。
「そろそろ起きてくると思うんだが……」
それを言うのと同時に、リビングのドアが開いてある人物が入ってきた。
「おはよー、竜児くん」
「おはよう、実乃梨。よく眠れたか?」
「ばっちりぐっすり!眠気なんてこれっぽっちも無いぜ!」
元気いっぱいに言う実乃梨。眠気が無いのは本当なのだろう。
試演(゚∀゚)
「おはよー……」
そんな元気な実乃梨の後ろから、小さくて外見の可愛い女の子が入ってきた。実乃梨とは裏腹に、寝ぼけ眼で足元もフラフラとおぼつかな
い。
「おはよ、龍実。って、まだ半分眠ってそうだけどな」
「うみゅぅ……パパー、抱っこー……」
「しょうがねえな。よ、っと」
そう言って両手を挙げて近づいてきた女の子を、竜児は優しく抱き上げる。そして抱き上げてから少しして、女の子は再び眠ってしまった
。
この寝起きの悪い女の子は、竜児と実乃梨の間に出来た子供だった。名前は龍実(たつみ)。竜児の「りゅう」と実乃梨の「実」を掛け合
わせて生まれた名前だった。そして今の年は五歳だ。
「おいおい、龍実。寝るなって、起きろ」
「うゅー……」
身体をゆすって起こそうとするが、聞こえてくるのは意味不明な言葉だけで一向に起きる気配は無い。
「しょうがねえな」
そう言いながらも、顔は緩んでいる。娘のことが本当に可愛いのだろう。
龍実の頭を撫でながら、しばらく愛娘の顔を見る。
「……」
そのだらしなく緩んだ顔を見て、実乃梨は胸にチクリと痛みが走る。
そして本能の赴くまま、竜児に抱きつく。
「お、おいおい。どうした?」
「……竜児くん、顔がだらしない」
ジト目で唇を尖らせながら竜児を睨み付ける実乃梨。
「いや、流石に娘に嫉妬するのはどうかと思うぞ……」
「いいじゃない……」
そう言いながら、抱きしめる力を強める実乃梨。
そんな実乃梨を見て、やれやれといった感じに首を振り、実乃利の身体も抱きしめる竜児。そんな嫉妬深くて独占欲が強い実乃梨も、竜児
はとても愛しいと思う。嫉妬深いとは、それだけ相手のことが好きだという証だからだ。
竜児に抱きしめられたことにより、実乃梨の顔にも明るい笑顔が戻る。
そんな実乃梨の顔を見て、眠っている幸せそうな龍実の顔を見て、竜児は思った。
幸せだ、と。とても幸せだ、と。
実乃梨がいて、龍実がいて、自分がいる。月並みだが、こんな幸せな日々がいつまでも続けばいいな、と竜児は思う。瞳を閉じて想像する
。そんな、幸せと喜びに満ちた輝ける未来を。
頑張ろうと思う。そんな未来を、現実にするために。その為には、竜児はどんな努力も辞さないと心に誓い、瞳を開ける。
そして再び目線を実乃梨と龍実に向ける。そこには、竜児にとって何ものよりも大切な、光り輝く、『太陽の煌き』のような眩しい笑顔が
二つある。
この輝きを、いつまでも守っていこうと、竜児は自分に再び決意した。
「太陽の煌き」〜完〜
乙!
夢に向かって走るみのりんとサポートに徹する事ができる龍児はやっぱり愛称がいいね
以上で投稿終わりです。初めて小説を完結できたことに喜びを覚えています。内容と出来は置いておいて。
途中で支援してくださった皆様、ありがとうございました。凄く助かりました。
途中で書き込みがありましたが、本当はこの小説の中で北村と大河をカップルにしようと思ったのですが、精根尽き果てて断念しました。
一応、時間が無い中急いで作ったので。
やはりと言っては何ですが、心残りがあります。もっとみのりんのデレを描けば良かったなと思っています……そこは反省点で、次回策に生かして生きたいと思います。
では、今回はこの辺で。
自分の拙作を読んでいただき、ありがとうございました。
>>312 全校生徒の前で……なんてバカッポーww
最強のニヤニヤにGJ
おkおkwwwwww
北村と大河のカッポーなんて見たくないから全然おkwww
竜虎好きだけど普通に面白かった!最初の読んでないから読んでくるわ
投稿お疲れ様 & ありがとう
完結、おみごとです。
>本当はこの小説の中で北村と大河をカップルにしようと思ったのですが
それはいらねぇよ
マジでムリ
PSPでもあれがなけりゃいいED、で済んだのに
あれのせいで最悪の気分になったもん
>>316 だよな
俺そのせいで北村大嫌いになったもん。
竜虎スレでとらPの大河が北村に告白するシーンのSS見てから
もう無理、とらPは誰の100%も見ずにプレイするの辞めたよ
あ、youtubeで亜美100%は見たか。
北村はもういらね
>>312 これは良いみのドラ。GJ!
何かこういう青春してるぜ!ってSSいいよね〜
また書かれる機会がありましたら、楽しみにしてますぜ
>>319 原作者には悪いが、このカップリングとあの結末は俺の望むものではない。
とらPのみのりんENDとみのドラssこそが真の「とらドラ!」のストーリーだ、誰が何と言おうと絶対に!
>>320 俺もそう思っているがここで言うとたまに荒れる原因になるから、みのりんスレ行こうぜ、な?
みのキチうぜえ
>>319 男子か詰襟なら女子はセーラー服だよな。
詰襟とブレザーだとなんか違和感がある。
いつもの子だからスルー汁
SSなら色々な結末があって然るべきだあな
みなさん今日は SS投下させ頂きます。
概要は以下です。よろしくお願いします。
題名 : Happy ever after 第2回
方向性 : ちわドラ
とらドラ!P 亜美ルート100点End後の話、1話完結の連作もの
連作ものですが、1話1話は独立した話になっています。
Happy ever after 第2回
朝の時間はとても貴重だ。
私、川嶋亜美にとってもそれは例外では無い。
8:30から始業だと言うのに律儀に早めにやって来るあいつの為に8:15には校門に
到着しなくてはいけない。
早くても、遅くてもいけないので、時間管理はシビア。
6:00には起床し、シャワーを浴び、髪を整える。その後は30分かけてメイクをする。
ベース、ファンデを手早くすませ、チーク、グロスには少し時間をかける。
勝負所はアイメーク、自分の武器は最大限に生かさなければならない。
目をなるべく大きく見せる為に、イメージを固めたら、ぶれないようきっちり一気に引く。
ライナーが濡れているうちに目を開けるとよれてしまうので、鏡の前で目を半開き。
直立状態で乾くまで待つ。こんな姿、絶対他人に見せられないな。
朝ぱらから、なんでここまで気合いれてるんだろとふと思うこともしばしば。
一番重要なのは自然に、けっして恣意的なメイクになってはいけない事。
なぜなら、それはまったくの逆効果だからだ。あのおばさん体質男には。
高須くんは不自然を嫌う。なんでも、上辺を装ったり、誤魔化したりしない私の方が魅力的だとか、
高校生なんだから必要以上に化粧なんてする必要ないんだって。
馬鹿みたい。それは嘘じゃなくて、自分をどう魅力的に見せるかの技術なんだって。
その証拠に、念入りにメイクすれば気づか無いくせに。何を見てるんだか。
まぁ、仕事が押して寝ないで学校に行った時は気づいてくれたから、ちょとは見てくれてるのかな?
心配するかと思って、いつも以上にメイクに時間かけたんだけど・・・・
「今日は体調完璧、お肌ピカピカ、お化粧の乗りも良いから気分いい♪ 攻略準備は万端」
登校時は不自然を感じさせず、高須くんにモーションを駆けられる数少ないタイミングなのだ。
高校3年ともなると、どうしても進路によって、クラスが分かれる。
文型・理系は元より、学力によっても編成が分かれてしまうのだ。
高須くんは理系選抜クラスのいわば学力トップクラス、私は文型クラスA、ノーマルな人たちのクラス。
さすがに再転校の際、芸能人だからと言ってそのトップクラスに入れてもらう事は出来なかった。
高須くんのくせに生意気だ と少し思うけど、まぁ能力が高いことはそう悪いことではない。
けれど、クラスが違うという事はなかなか不便なもので、なかなか高須くんと一緒の時間を取れない。
せいぜい登校時、下校時、後は廊下ですれ違ったり、偶然、自販機スペースで会えるぐらい。
後は難癖つけて蜂蜜金柑を飲む時程度。
という訳で高須くんを口説き落とす機会は限られてしまう。
毎日、登校、下校のタイミングを計ってるなんて、これじゃ私がストーカーみたいじゃない。
軽く自己嫌悪。
「ただ、いくら準備したって、高須くんと会えるかは運次第なんだよね」
結局、学校までの道ゆきで高須くんに会うことは無かった。
軽い失望感を内側に押さえ、笑顔で周りの挨拶に答えていく。
なんで、私はこうも非生産的な朝を繰り返し、無駄な労力を割いているのだろう。
その声を掻き消すように、騒がしい話し声が聞こえてきた。
今日は当たりだったようだ。もっとも当然の如く余計なこぶがついているが。
「何であんたもっと早く迎えに来ないのよ。」
「いつも通り迎えに行ったぞ。何度起こしても起きなかったお前が悪い。」
我侭天性お嬢様こと、逢坂 大河(くやしいけど、あれこそ天然)と、その保護者兼下僕
(こっちも生まれつきに違いない)の高須 竜児だ。
「なによ、この時間に来れるなら、朝ごはんもっとゆっくり食べれたじゃない。」
「で学校まで長距離走な、めざせ日本記録っていう絵が想像出来るぞ。俺は」
ちびトラ、お前のせいで時間が読めないっての。
あーもう、タイガー >>> 肉親の絆(偽)>>> 川嶋亜美 ってのをすごく感じる。
なんだかんだ言って、高須くんの優先順位は常に、ちびトラが第一位だ。
そしてタイガーも本当は高須くんの事を・・・
違う、違う、そんな事解かってた事、その上で私はスタートラインに立ったんだ。
たとえ出遅れているとしても。
「竜児、お・は・よ・う。朝から飼育員は大変だね!ついでに逢坂さんもおはよう↓」
「お!....おぅ。川嶋か」
「うわバカチーだ。朝から発情犬の無駄フェロモンに当てられる。気持ち悪い。」
「大河、お前のは朝飯食いすぎなだけじゃねえか」
相変わらず、にぶちんの高須くんに、憎まれ口言いのタイガーめ
「いいのよ、わざとフェロモン振りまいてるんだから、ねぇ、竜児」
「....まぁ、朝は平和でいたいよな」
縄張りを主張するように唸るタイガーに、目の前の現実から逃れるように目を逸らす高須くん。
「それにしても、竜児、相変わらず毎朝タイガーの朝食用意してるんだ〜、へ〜」
何となく高須くんを苛めたくなった。
「当たり前でしょ、家事は馬鹿犬の数少ない取り柄なんだから、
飼い主様に食事で奉仕するのは当たり前のことよ」
「あのな、お前一人じゃろくな食事をとらないからじゃねえか」
私の朝食は殆どがサプリメントだけ。ろくに食事なんか取って無いっての、
何でこの女は三食手料理を食べてるのよ。
「いいな、私も忙しくて朝ごはん最近食べれてないんだ」
ふと、本音が口から漏れてしまう。
「川嶋、朝食はしっかり取らないと駄目だろ。1日で一番大切なエネルギー源なんだぞ」
え、興味持ってくれてる?それも心配そうな顔で。これってチャンスじゃん。
「だったら、本当、たまにでいいんだけど、私も.....」
「いいのよ、太りやすい体質の女優(ハート)様は、コンビニ神拳によって
脂肪しないように、ダイエットを宿命付けられているのよ」
高須くんと話してるのに、横槍を入れるなタイガー
「秋肥りしたあんたに言われたくないわ。竜児、逢坂さんが酷いよ」
「う〜ん、秋肥りは俺にも責任があるわけで、だからこそ健康的で、
美味しく美しいカロリーコントロールをだな」
「だから私のコントロールもして欲しいな。竜児、身も心も」
上目遣いでおねだりモードを全開してみる。高須くんは、ちょっと引き気味で少し寂しい。
それに対し、タイガーのイライラは明らかだ。
しょうがない、いつも通り、大河をからかう事にするか。
「ね、逢坂さんもいいと思うでしょ」
「・・・・・ねぇエロチワワ。さっきから、その猫なで声で竜児、竜児鳴くの止めてよね。気色悪い」
「あら〜?どうしたのかな?もしかして認めたくないの?逢坂さん以外が竜児って呼ぶの?」
「な、お前、妙な言い方するな」
「ふ、ふん、あんたのイヤらしい言い方にサブいぼがたつだけよ」
「ふふ」
タイガー可愛い反応。とりあえず勝ち誇った笑顔でもしてみるか。
余計、撫すっとした顔になるタイガーと、おろおろする高須くん、楽しい♪
「逢坂、亜美、なんだ朝からレクリエーションか?」
「北村くん!」、「祐作」
そこに、腐れ縁の幼馴染、北村祐作がやって来た。こいつは朝からいつも元気そうだ。能天気な事で。
「うん、うん、仲良きことは美しけり だな。お、竜児もいたか。怪獣大集合って所か」
「怪獣って、俺の事は否定せんが、自分もはいるのか?」
ここまでくるとグダグダ.....、高須くんにアプローチ出来る雰囲気じゃないし、
友達同士としての会話でも楽しみますか。それにしても祐作の奴。
******
朝の数少ないチャンスを潰された亜美ちゃんは奥の手を出すのでした。
高須くんのクラスにいる女の子で、麻耶ちゃんの友達を紹介してもらったのだ。
これで、高須くんのクラスに行く大義名分を獲得!
名前は覚えてない、とりあえずA子ちゃんとしとく。
チャンスは待つものではなく作るもの。覚悟してね、高須くん。
さて、まずは確認、高須くんは教室にいるようね、ふ〜ん、祐作と話してる所か
私は教室に入ると、取り合えずその子の所にいった。
「こんにちは、A子ちゃん」
「え、亜美ちゃん? どうしたの?」
「ほら、この前、すごく似合うリップ持ってるって言ったでしょ。
今日持って来たんだ。はい。」
「そんなすぐに持って来てくれるなんて、亜美ちゃん、話通り本当いい人だね」
「そんなことないよ。ほらこれ、A子ちゃんすごく可愛くなると思うよ」
なんて、どうでもいい会話をしつつ、高須くんの様子を伺う。
「・・・・という訳なんだ、竜児」
「北村、その場面でなんで裸になるんだ?」
「そうでもしなきゃ収まらんだろ」
高須くんと祐作の会話に入っていくタイミングを伺っていると
能登君と春田君が入って来た。
「大先生、さっきの体育の時話した件どうだった?」
「能登か、まだ逢坂たちにしか話してないが、OKのようだぞ」
「さすが大先生、竜児は?木原たち3人には声かけた?」
「いや、すまん。木原や香椎と会うチャンスか無くてまだだ」
「え、亜美ちゃんから誘ったら一発じゃん。竜児頼むよ」
「川嶋にか?う〜ん、もう一回木原たちの所行って来る」
高須くんが立ち上がろうとするのを、肩に手をやって止める。
「あ〜れ、竜児、亜美ちゃんに何かお誘いする事があるの?」
川嶋!と驚きの表情を浮かべる高須くん、
対照的にうれしそうな顔をしてくれる能登くんと春田くん
「お、おぅ、えーと、春田」
「竜ちゃん、俺が言うの? えーとね亜美ちゃん、クラスも分かれちゃって寂しいから、
久々に元2-Cプチ同窓会集まろうって話してたんだ。
ぶちゃっけカラオケ行かない?」
「もちろん。麻耶ちゃんと奈々子には私から言っとくね」
なんで、こんな事くらいも言ってくれないんだろ。
高須くんの方を見るがこっちを見てくれずじまいだった。
それにしても能登くん、春田くんまで。
******
「あれ,次って誰の歌?入れた人誰?」
麻耶ちゃんが周りを見渡す。
「俺が入れた、UNDER THE COUNTERってアーチスト、知らない?
「能登の入れたのマニアックでわかんないんですけど、
ねぇ、奈々子、なんか通ぶってて嫌だよね」
「もうちょっと解かりやすい方がいいかな」
「そんなマイナーじゃないよな、な、竜児」
能登くん、ちょっとがっかりした顔、見せ場だったのかな?
でも駄目だよそんなんじゃ。自分が歌いたい曲じゃなくて、麻耶ちゃんが聞きたい曲を
選ばないと意味ないよ。
高須くんは一生懸命、能登くんをフォローしてるが、あまり効果はないみたい。
「ねぇ、竜児、次デュエットしようよ」
能登くんとの友情もいいけどさ、私の事も気にか掛けてよ。
「一緒に歌うのか?俺はいいよ」
高須くんは明らかにその気がない表情。
なんでよ、だってさっきは
「え〜、タイガーとは歌ってたジャン」
「しょうがねえだろ、あいつは一人じゃ歌えないって言うんだから」
何時だってタイガーの事は特別なんだ。その含みのない顔が余計腹立つ。
「じゃあ、亜美ちゃんだって恥ずかしくって一人じゃ歌えねぇ」
「じゃあって何だよ。大体乗り乗りで歌ってたじゃねえか」
「あ〜あ〜、歌って損した」
私は倒れこむようにソファーに腰掛けた。但し、高須くんの隣に
背もたれに体を預けると同時に右回転、高須くんの耳元に唇を寄せる。
「でもさ、私の歌聞いてくれてた?」
「そりゃ、聞いてたが」
固まってる、固まってる。ふふ。
「ねぇ、上手かった?可愛かった?」
「ま、まあな」
私は笑ってみた。ううん、自然と笑顔をする事が出来た。
伝わってるかな?この気持ち。
「この曲、だれ?」
「おう、それ俺だ」
高須くんが手を挙げる。タイミングの悪い。でも逃がさない。
「えー、この曲、私も好き」
「さすが亜美ちゃん。この曲の良さを知っているのはここじゃ俺と竜児だけだと思ってた」
能登くんごめん、初めて聞いた。本当は。
「うん、実はちょっと聞いただけで、あんまりよく知らないんだ。だからね」
マイクをもらって、再び高須くんの横にちょこんと座る。
「竜児、私よく知らないからリードしてね」
「だからって、わざわざ横で歌わなくたっていいだろ」
「だってよくわからないんだもん。横に居た方がタイミングとれるし」
イントロが流れ出す。緊張してる顔かわいいな。
その時勢いよくドアが開いた。
「おくれてすマンモス,みんなやっとるかね」
「みのりん、やっと来てくれた。歌いたい曲たくさんあるんだよ」
実乃梨ちゃんだ。歌いだすタイミングを逃して、曲だけがただ流れる。
「悪い悪い大河、おいらを待っていてくれるなんて泣けるね、友情だね。
お、竜児くんが熱唱中だったか、いいね、それ竜児♪竜児♪」
え、なんで実乃梨ちゃんまで。
高須くんを見るが、私の時みたいに、キョドったり、顔を背けたりしていなかった。
******
実乃梨ちゃんが来た時から、高須くんにアクションを取る元気が無くなっていた。
もちろん、それなりに盛り上がってるような態度は取っていた。私、大人だし。はぁー。
そしたらカラオケからの帰り道、高須くんが声を掛けて来た。
「川嶋、なんか急に元気なくなってたがどうした?体調悪いのか?」
だから言ってみた。
「蜂蜜金柑が飲みたい」
で、日を改めて、高須くんの家に来ている。当然二人きり。
高須くんが2杯の蜂蜜金柑のお湯割りをもって来てくれた。
とりあえず、不満げな顔を作って、顔を上げてみた。
「今度は何を心配したんだ?」
「なんで、祐作も、能登くんも春田くんも、竜児って呼んでるの?」
「お、おぅ?そんな変な事か、お前だって、大河だって」
こいつしらばくれるつもりなの?なんかスイッチ入っちゃった。私の声の高さが1つ上がる。
ていうか感情的になりやすいな、高須くんに対しては。
「実乃梨ちゃん」
「櫛枝がどうした?」
「実乃梨ちゃんも竜児って言ってたよね。それで竜児はニコニコしてた」
「ニコニコなんかしてねだろ。至って普通だったと思うが」
被っていた不満の仮面は、いつしか本物に変わっていた。
「その普通ってのは何、じゃ、私の時は普通じゃないよね、顔背けたり、
まともな返事してくれなくなったり。2年の時とは大違い。
私がどんだけ無理して竜児ってよんでるか解かりもしないくせに」
高須くんは少し思案顔、その後、子供をあやすような顔をして話しかけてくる。何様だろう?
「川嶋、あれは俺が頼んだんだ。竜児って呼んでくれって」
「・・ゆっくり忘れるって言ってくれたけど、やっぱり実乃梨ちゃんの事好きなの?」
すこし覚悟をして聞いてみた。
「そういう意味じゃねえよ。聞いてくれ川嶋。
お前に名前で呼ばれると、確かに緊張しちまうんだよな。それは悪いと思ってる。
だから、その慣らしというか、普段から竜児って呼ばれれば、それが普通に
なるんじゃねえかと思って、みんなに協力してもらってたんだ。」
何言ってるんだろう?一瞬言葉を失った。
それが高須くんなりの思いやりと気づいて笑いがこみ上げてくる。
「極端、それって極端、私に竜児って呼ばれるの、どれだけ大変なの?、
ふふ、あはは♪ 呆れる、けど面白い、本当、高須くんて馬鹿」
で優しいな。本当、無駄な事に労力を割く奴。
声を出して笑ったらすごく落ち着いた。
改めて高須くんを見ると、まだ子供を見守るよな顔で見つめているって....
笑ってた間ずっと見てたって事?羞恥心がこみ上げて来る。ドキドキする。
苦し紛れに強く出てみた。
「それで努力の結果はどう?慣れそうなの?高須くんとしては」
「いや、みんなに名前で呼ばれてるのと、お前に言われるの、なんか違うんだよな。
川嶋の言い方が他のやつとは違うのか?お前はどんな気持ちで名前を呼んでるんだ?」
こいつ、私に何を言わせようとしてるんだろう。もしかして逆襲?
「亜美ちゃん、解かんな〜い」
と澄ましてみたが、自分がかなり動揺してる事が解かる。
感情のふり幅が大きすぎてコントロール出来てないみたい
「そう言えば、川島も無理して竜児って呼んでるとも言ってたよな。だったらお前...」
高須くん、まだ追い詰めてくるの?私に正面から心情を告げろって?
胸が苦しい。声が出ない。
ただ、ただ、自分の指をギュッと握り締め、次の言葉を聞く準備をする。
彼が発するかもしれない言葉が、もし私が、怖がり期待するものだったら、
もう偽りの自分を維持する事は出来ない。私は高須くんに改めて告げなければならないだろう。
「無理しないで今まで通り 高須くんって呼び方でいいんじゃねえか」
「全然わかってない!」
握り締めた拳は高須くんの頬を正確に捉えていた。
END
以上で、メインのお話終わりです。
エピローグ的な話を続けて投下させて頂きます。
題名: Happy ever after 第2回 追伸
方向性:起承転結なんてありません。
Happy ever after 第2回 追伸
「じゃ、はじめようか,竜児♪」
「おう、覚悟は出来た。やってくれ」
川嶋のでかい目が俺を見つめてくる。その唇が俺の名を告げる時、艶まかしく動く。
と言っても、これ以上の進展は無い,ただ川嶋が俺の名前を連呼するだけの展開
ただ、それだけでしかない。
俺と川嶋は一つの賭けをした。賭けの内容は呼び方についてだ
俺 :昔のように、高須くん でいいのではないか
川嶋:絶対 竜児 の方がいい、でも不自然な態度の竜児は嫌だ。
川嶋の言い分は、俺は名前で呼ばれるのを慣れてないからだそうだ。
それも他の誰かに言われるのではなく、川嶋の言い方に慣れなければならないとの事だ。
なので、今日一日、川嶋が俺の名前を呼んで、俺が自然な態度に向かった
(と川嶋が判断した)ら、竜児を継続、駄目だったら、高須くんという言い方に戻る事を
前向きに検討する。
事になった、どう考えても俺の方が不利な条件に思えるが。
「いくよ?大丈夫、恥ずかしい事じゃないんだから、ただ名前を呼ばれるだけなんだよ」
「解かってる」
「じゃあいくよ、竜児。どう?」
「お、おぅ」
「竜児、かわいい、体がちがち」
「竜♪児♪」
「目見開きすぎ。名に身構えてるの?それも可愛いけど」
俺はなんでこんな拷問OKだしちまったんだろう
「ねぇ、でもなんで竜児って言い方抵抗あるの?大河とか泰子さんには
いつも呼ばれてるジャン」
「しょうがねえだろ、あいつらは家族ってかんじなんだから」
にやにやしながら、川嶋が問いかけてくる。そうかと思えば今度は泣きまね。何だ?
「亜美ちゃんより、タイガーの方が大切なのね」
「だから、そういう比較の問題じゃねえ」
「私の事気に掛けてくれてる?」
ああ、もちろんだ と答えてみる。こいつは俺をからかうのが趣味なのか。
と、泣きまねをした手の間からこっちを見て、どれくらい と問い掛けて来た。
「んー、あ、そうだ。大河と同じくらい、お前の事を気に掛けてる」
「・・・・高須くん、その言い方で私が喜ぶとでも」
やばい、こっちをガン見してやがる。
「すまん、気の利いた言い方とか苦手でな、お、そう、お前に気を掛けすぎてるから、
言葉まで回らん」
それなんてとんち?とお姫様は呆れ顔
「まぁいいわ、普通の男だったら、一発レットカードものだけど、朴念仁の竜児の事を
加味して、執行猶予を付けてあげる。
はやくいい男に成長してくれないと、執行猶予きれちゃうよ」
「よく解からんが悪かった。ま、なんだ。それよりな続きしないか」
「竜児が続けたいんならいいよ、付き合ってあげる」
しまった、立場逆になってるじゃねえか。
「・・・・竜児」、「りゅうじ」、「リュウジ♪」
「もう、やだ顔真っ赤。それに体がピクって。竜児で言葉攻めに弱いタイプ?」
「しょうがねえだろ、体が勝手にだな」
「体は正直よのう、ふふ、本番が楽しみ」
何だそれは と川嶋に問いかけてみた。こいつ、けっこう下品なネタすきなのか?
「べ〜つに♪なんでもないよ竜児
ふ〜ん、今度は体は動かなかったね。むりやり力入れてる。でも鼻の穴大きく
なってるよ、 そっちの方が笑える。ねぇ、竜児」
「・・・・・・」
「は〜い、耳が動きました。次はどこがピックとするのかな、竜児」
「・・・・・・」
「息止めない。死んじゃうよ。ねぇ、タカスキュン!」
「ばか、変化球なげんな、声真似までして。駄目だ、限界、ちょっと休憩させろ」
「え〜、つまんないな」
「すこしは休ませろ、本当に死んじまう」
深い息をして呼吸を整える。これはいつ終わるんだ?
いっそ竜児て呼ぶのOKするか って、これからずっとこんな状態か?
と考えてると川嶋は、いつものにやり笑いをした、これ以上、悪い事にならなければいいが
「亜美ちゃんいいこと思いついちゃった」
思わず嫌だなという気持ちが顔に出ちまった。
当然、いつも顔色を伺ってる気弱なお姫様はそれに気づく。
「だって、亜美ちゃん意地悪っ子だもん、高須くん的には素直じゃない子?
で〜も〜、外面用の亜美ちゃんじゃなくて、素の亜美ちゃんが竜児の好みなんでしょ
生まれながらの亜美ちゃんがすきなんて、このす・け・べ ふふ」
「変な言い方するな、川嶋は川嶋だろ」
「あ、悪いと思った?だったら、ちょっと付き合ってよ、簡単な事。
竜児ばっかりは悪いから、私の事も呼んでみて、私が求める名前で」
川嶋が呼ばれたい言い方?
川嶋っていうのはいつもの言い方だし、そう言う事じゃないよな
たぶんもっと距離を詰めた言い方を求めてるんだろう。
とすると、木原たちみたいな言い方か?亜美ちゃん?
川嶋が竜児で俺が亜美ちゃん? どんな下僕だ俺は。
これからの人生つらいだろ、60点くらいに。ん、案外高いな点。
そうでは無いとすると櫛枝の言い方か、あーみん?こえーよ。
となると残りは・・・・・
答えを決めて、川嶋を見ると
おい、こいつは何で期待した目になってるんだ、表情は斜に構えているが、
ばればれじゃねえか。これは外せねえ。意を決して俺は言った。
「バカチー?」
「ありえねえつーの!」
白い閃光が走った。
「いて〜、スカート姿で正面蹴りの方がありえねえと思うのだが、川嶋さん」
ちょっと恥ずかしそうにスカートを調えている川嶋
「高須くん、わりとサド?」じと目で告げる川嶋。
「大河とかかわるようになってマゾじゃねえかと怯えていたが、
お前といるとサドぽくなるな」
「解かってるよ、もう一回だ」
というか、あいつの弱い顔みて気が付いた。
「心配するなよ、亜美」
「・・・・!」
「どうした、川・・、亜美、顔赤いぞ」
「ごめん、高須くん、高須くんの言ってた事少し解かった」
顔を赤くして、顔を下に向ける川嶋
「ママにも、パパにも、祐作にだって、亜美って呼ばれてたけど、別に気にならなかったけど、
他の人に言われたらこんなに動揺するものなの?」
「俺の経験則からいうと、かなり動揺するものだと思う」
「え、マジで、これってやばくない、女優として致命的じゃね?たかが名前で呼ばれただけで」
「確かに、みんなはそんな事なさそうだが」
「私たちが異常なんだって、高須くん特訓しよう!」
「特訓?」
「高須くんじゃなかった、竜児、いいから名前でよんで、私がなれるまで」
「解かった、亜・・・・、亜美」
「竜児、その、その感じでお願い」
「いや、なんか・・・お前の特訓はかまわんが、俺の事は竜児じゃなくていいだろう」
「私だけ特訓するなんてずるいじゃない、竜児、ほらお願い」
「亜美」
「竜児」
なんで、二人で顔つきあわせながら、真っ赤になりあって、名前を呼び合ってるんだ?
しかもエンドレスで、こっちの方が異常な感じがするぞ。
インコちゃんまで、俺を馬鹿にしてる気がする。ほらあんな感じで
「バカ犬?バカチー?バ、バ、バ、バ、バカばっか!」
END
以上で全て投下終了です。
こんな世界観で、もうちょい続き書いて行きたいと思います。
お粗末さまでした。
亜美キターw
キャラ間の呼称がおかしいと思ったらネタだったかー。
面白かったです。
萌えた。
GJ!
さりげなく、60点ENDもいれてるとはw
GJ!
テンポ良くて読みやすかったです
いい感じ
GJ!
356FLGRです。拙作、きすして の続編(でも時系列的には逆)を投下します。
結構な物量になってしまったので三部構成(上、中、下)となります。
まずは(上)を物量13レスで投下します
題名:きすして2(上)
エロ:あるっちゃ、ある。
分類:原作アフター。基本カップリング:竜×虎
ちなみに大橋高校は進学校ってことで週六日制にしてます。
ゴールデンウィークのスタートを翌日に控えた四月末、本家某バックスからクレームを
付けられることも無く、今日も堂々と営業している須藤バックスの窓際のカウンター席で、
存在自体がサプライズな女子高生モデル川嶋亜美と妙に色気のある女子高生、香椎奈々子、
そしていつもの木原麻耶…、ではなく逢坂大河の三人がま〜ったりと話し込んでいた。
大河は竜児と一緒に下校するつもりでいたのだが、竜児から『すまん。担任から雑用を
頼まれた。すぐ片付けるからどこかで待っててくれ』というメールを受け取り、すかさず
『スドバで待つ。可及的速やかに処理せよ』と返信し、ここでミルクティーを飲みながら
竜児を待っていた。そこに、ふらふら〜っと川嶋亜美と香椎奈々子がやってきて、
なんとなく三人でお茶をすることになったのだ。いつも一緒にいる木原麻耶は北村祐作を
ストーキング中らしく、「バカバカしいから見捨てて来た」と亜美はあきれ顔で大河に語り、
奈々子は祐作の朴念仁ぶりにあきれ果て「やっぱり、あれは犯罪」と憤慨していた。
その話題が一段落すると、亜美と奈々子の興味は大河がここにぽつんと一人でいるという
ちょっとした異常事態に移った。
「あんた、なんで一人なの? ひょっとして破局?」と、冷やかす様に亜美が言った。
「うっさいわね、んなわけないでしょ。竜児はガッコで雑用中なの」
「な〜んだ。つまんねぇの」亜美は冗談っぽく言って外を見た。
二人の様子を見てクスクスと笑っていた奈々子が、
「ねえ、タイガー」
「ん?」
「高須君と一緒に登校してるじゃない。あれって待ち合わせなの?」
「へ? 待ち合わせって言うか、朝ご飯は竜児の家で食べてるから」
「どういうこと?」奈々子は首を傾げた。
「タイガーは毎朝、高須君の家に寄って、朝ご飯食べてからきてんのよ」
「へぇ、どうして?」
「ママがね、朝がダメなのよ。あたし以上に。それにパン食じゃパワーが出ないっていうか、
物足りないっていうか……。それに、やっちゃん、えと、竜児のお母さんと話しもしたいし」
「ふぅ〜ん。お姑さんとの関係もバッチリなのね」と、奈々子がいかにも冷やかしという
感じで言えば、
「もう、これがバッチリなのよっ!」と、大河も負けずに切り返す。
そんな二人の様子を見ながら亜美はふっと笑った。
「でもさぁ、あんた良く一月半ぐらいで母親と和解出来たね。バレンタインの時はババァ
呼ばわりしてたのにさ」
亜美はそれがずっと気にはなっていたけれど聞けずにいたのだ。けれど、最近の大河の
様子を見ていると、今はもう聞いてみてもいいように思えた。
「まあね……。離婚した時の状況も良く分かったしさ、少なくとも私が生まれた時はママも
ジジィも仲が良くて、望まれて生まれて来たんだって思えたらね、なんだか許せちゃった…」
そう言って、大河は穏やかに微笑んだ。
「…そりゃね、全部許せたわけじゃないけどさ、わだかまりが無いわけじゃないけどさ、
過ぎた事だし…昔の事を今のママに言ってもね…」
「ふうん、で、高須君はどう思ってるのよ? あんたのママの事」
「竜児には…許せないって気持ちもあると思うんだ。でも、あたしは戻って来れたから、
許そうって思ってるんだと思う。許して、それで仲良くなろうって思ってくれてる。
だから、私が戻ってすぐに、竜児は駆け落ちした時のことをママに謝ってくれたんだ」
「へぇ、高須君らしいわね」
「そんで、あんたのママは高須君のこと許してくれたの?」
「うん、ママも竜児には感謝してるのよ。でも、なかなか信じてくれなかったな。ずっと、
隣に住んでる同じクラスの男の子に養ってもらってたなんてね。最初に話した時なんか、
もう唖然としてたわ。まあ、あたしがママを許せる気持ちになったのは竜児のおかげだし、
それに竜児がいなかったらさ……」
大河はふっと外を見て口をつぐんだ。死んでたかも…とは口にしたくなかった。
「そう」亜美が呟く。
「良かったじゃない」
大河は微笑んで小さく頷いた。
「ただね……」
「ただ?」奈々子は大河を見た。
「顔が……」
ブッっとラテを吹き出しそうになる亜美。咽せる奈々子。
「毎日見てるのに慣れてくれないのよね。なんで、あたしとあーみんは最初っから平気
なんだろ」
大河は大橋に戻ってしばらくしてから、友達に『ばかちー』は無いかなと思い呼び方を変えて
いた。でもまだ不慣れで、たまに間違う。
「亜美ちゃんは平気だったの? 高須君の顔」
「んー、まあ、怖そうってだけなら業界にはいっぱい居るし…」
「あ、ちょっと待って。今、毎日見てるって言わなかった?」
「言ったけど」
ええ、言いましたけど、それが何か?とでも言いたげな顔で大河は奈々子を見た。
「高須君、毎日タイガーを送ってくんだ。甲斐甲斐しいねぇ〜。あ〜やだやだ」
手をひらひらと振り、亜美はもう勝手にやってろって感じのリアクション。
「まあ、送ってもらうっていうか、弟の世話を手伝ってもらうっていうか、一緒に晩ご飯を
食べるっていうか……」
「あんた、まさか作らせてるんじゃないでしょうね?」
「作らせてなんかいないわ」
大河はブンブンと顔を横に振ってから、亜美をキッと睨む様に見て、
「作ってくれるのよ!」と、言い切った。
亜美と奈々子はシンクロ率100%でカックンと項垂れた。
「とうとう、出前シェフかよっ」
「いかにも高須君らしいわね」
「大体、なんで高須君があんたの家で晩ご飯を食べてるのよ?」
「やっちゃんがお家で晩ご飯を食べられなくなったのよ。仕事が変わっちゃったから。
晩ご飯を一人で食べるの寂しいじゃない」
お好み焼き屋の店長が家で晩ご飯を食べられる筈が無かった。晩飯時は飲食店にとって
最大の書き入れ時なのだから。
「ああ、それ分るわ…」奈々子が頷いた。
「結構、堪えるのよね。特に続くとね」
「でしょ、そんなの竜児が可哀想だもん」
「ようこそ、須藤バックスへ」女子大生バイトの奇麗な声に迎えられ、開いたドアから顔を
出したのは地獄の三白眼の持ち主、高須竜児。ぎらつく眼光は、まさに今から流血の惨劇を
繰り広げんと獲物を探しているわけでは無く、悪い子や勉強しない子を出刃包丁片手に探し
回っているワケでも無い……
「おぅ、大河。待たせたな」
「ぅおっそいのよ! 竜児! じゃあね、あーみん、奈々子」
大河はカウンター席のスツールから飛び降り、振り回すみたいに鞄を肩に引っ掛けて
小走りで竜児の元に駆け寄った。
「じゃあな。川嶋、香椎。うわ、たいが、おい、ちょ……」
竜児は手を上げて挨拶しかけた格好のままで大河に腕を掴まれズルズルとスドバの外に
引きずり出されていった。
「へぃへぃ、御盛んなこってぇ〜。ちゃんと避妊しろよ〜」
その様子に亜美は完全に呆れて言いたい放題。バイトの女子大生や他の客が苦笑している
のもおかまいなし。奈々子は大河に引きずられていく竜児を笑顔で見送った。
「タイガーったら、文句を言いながら顔はニッコニコだもんね」
「ほ〜んと、やってらんねーっつーの」
亜美はカウンターに頬杖をついてトーンダウンした口調で言った。
「私にも、あんなふうに笑える日がくるのかしらね」
奈々子は寂しげに呟いた。
「え? なんか言った?」
「ううん、なんにも。なんでもない」
奈々子は冷めかけのミルクティーに口をつけた。
「ねぇ、亜美ちゃん。ちょっと家に来ない?」
「急にどうしたのよ?」
「お父さんが出張に出ててね、しばらく一人なのよ。一人で晩ご飯を食べるのも
つまんないし、ちょっと寂しいのよね」
「…ふうん、そういうことね。まあ、今日はヒマだし。いいよ」
***
夕食の片付けを終えて、竜児と大河、それに大河の母親はダイニングで緑茶を楽しんで
いた。大河の弟はリビングのベビーベッドですぅすぅと寝息をたてている。
娘の彼氏が来て夕食を食べていくというのは、良くある事なのだろうけれど、作るのも
片付けるのもやっていくのはどうだろうか、と大河の母は思っていた。でも、こんな風に
一緒に過ごしてみると、高須竜児という少年に娘がどこまでも惹かれていってしまう理由が
分る様な気がした。なんの代償も求めないで、ただただ大河を柔らかく優しさで包む様に
愛したのが高須竜児という少年なのだろう。自分や陸郎が互いを傷つけるための道具にする
ことで傷つけられた大河の心を、こんな風にゆるゆると優しい日常を共にすることで癒して
いったのだろう。
「大河、連休、どうするか決めたの?」母親が聞いた。
「…うん」
竜児は目を伏せて、湯のみの中を見ていた。
「ママと一緒にお父さんのところに行く」
大河は母親と生まれたばかりの弟と三人で暮している。借りているこの家とは別に
本当の家があって、新しい父親はそこで暮している。仕事の都合で父親がここで暮すのは
やっぱり無理だった。
この暮らしが母親と新しい父親にとって辛いものであることは大河にも良くわかっている。
それでも母親はこの生活を選んでくれた。それは嬉しかった。それが単純で純粋な愛情に
よるものじゃなく、贖罪や憐憫を兼ねたものだとしても、多分、そうなのだろうけれど、
やっぱり嬉しかった。
だから、ちょっと長い休みの間ぐらいは家族で過ごさなきゃいけないと大河は思った。
そのために、母親のところに戻ったのだし、自分だけが幸せだなんてあり得ない、とも
思った。
それに、母親と一緒に過ごせる時間は、この家族の一人として過ごせる時間は、実は
とても短くなってしまうかも知れないと大河は思っていた。この連休がこの家族とすごせる
最後の機会になるかも知れない。大河にはそんな予感すらあった。だから、竜児には連休は
本当の家で家族と過ごしたいと伝えていた。
大河の親権は母親に移ったけれど、大河は相変わらず逢坂大河だった。それが大河が
母親と過ごせる時間が短くなるかもしれないと考えている理由だった。母親ははっきりとは
言わなかったけれど、自分を入籍させることに再婚相手の実家が反対しているらしい事は
大河にも分っていた。自分の事で母親と新しい父親が揉めるのかと思うと辛かったし、
そんな事にはなってほしくない。
「大河、いいのよ。こっちに残っても」
「ママと行く。いいよね、竜児」
「おぅ。その方がいい。俺もじいちゃんのところに行かなきゃなんねぇし」
「本当にいいの?」
「…邪魔? ママ、お父さんとイチャつくつもりなのね。なら、遠慮するけど」
大河はジトっと母親を睨んだ。
「おいおい」竜児はあきれ顔。
「そんなんじゃ無いわよ。まったく、この娘は」
並んで座る母娘の仕草はあまりにも良く似ていて竜児は吹き出しそうになるのを必死に
堪えていた。
「高須君はそれでいいの?」
「へ?」不意に話しを振られて竜児は間抜けな声を上げた。
「あ、ええ、俺も家族揃って過ごした方がいいと思います」
「そう、ありがとう。高須君」
「いえ、そんな」
リビングのテレビ台に置かれている時計が八時過ぎを指していた。
「そろそろ、帰ります。すいません、毎日遅くまでお邪魔してしまって」
「あら、もうそんな時間?」
「え、ちょ、もうちょっと」
大河は慌てて立ち上がって、竜児の横で腕をばたつかせた。
「お前、何やってんだ?」
「デ、ディフェンス」
「はぁ?」
まあ、確かにバスケのディフェンスに見えなくも、いや、見えない。
「ここは通行止めよ」
「お前、明日の準備しなくていいのかよ」
「そ、それは何とかなるハズよ」
「意味がわからん」
「つ、つまり、そうよ、手伝いなさい。そうすれば何とかなるわ」
「大河!」
母親に強い語気で言われて大河の動きが止まった。
「ごめんなさい」呟く様な小声で言った。
「物には頼み方があるでしょ」
『そっちかよ!』と、竜児は心の中で思いっきりつっこんだ。
「そっか」
『納得するな!』と、竜児は心の中で更に思いっきりつっこんだ。
「…竜児、その、手伝って欲しいんだけど。あたし、ドジだから忘れ物するし…」
「…わかったよ。すいません、なんか、そう言う事なので…」
「仕方ないわね。九時までよ」
『やらせといて仕方ないとはこれいかに?』と竜児は思ったが、これも言わない。
「竜児、こっち」
恐縮する竜児の腕を大河は引っ掴んで竜児を自分の部屋に引きずっていった。
***
キスした。竜児とキスした。ついさっき、玄関で、彼の帰り際に、キスをした。
そのせいだ、こんなに辛いのは。
ベッドに寝転がって、自分の下唇を中指でなぞった。キスの感触が生々しく思い出されて
首筋が熱くなった。
明日の準備はあっという間に終わってしまった。竜児の言う通りにするだけで準備は
さくさくと進んだ。自分ひとりでやったらこの三倍は時間がかかったかもしれない。
きっと竜児には荷物が最後にどうなっているのか分っていて、そうなるように荷造りを
していくから手際良くできるのだろう。
持っていく服は竜児が奇麗に畳んでくれて、トランクの中にぴっちりと収まっている。
こっちに戻ってくる時に、同じ様に奇麗に収めるのは難しいかもしれない。
帰ろうとする竜児をなんだかんだと三十分近く引き止めた。玄関で竜児が靴を履こうと
する度に、もうちょっと、もうちょっと、と言って引き止めた。そんな事をしていると
余計に切なくなるのに。
「じゃあな、電話ぐらいしろよ。声、聞きてぇから」
照れくさそうに竜児が言った。
キュンとした。胸の奥が締め付けられるみたいに苦しくなった。
たったの四日間なのに、それがすごく長い様な気がした。眼が潤んで来たのが分って
竜児の顔を見ていられなくなった。だから、竜児の胸に頭を預けた。竜児の手が頭の上に
触れて、髪を撫でた。
「そうだ。夏休みにでも一緒にじいちゃんの所に行こうぜ。ばあちゃんが会いたがってる」
「ほんと?」
「ああ、俺なんかより大河の方が気に入ってるんじゃないか」
「へへ、あたしの方が可愛いもんね」
「そりゃそうだろ」
竜児の声を聞いていると、切なさが和らいでいく。
どうしたって、竜児が好き。だから、怖い。彼を失ってしまうことが怖い。そんな事、
絶対に無いって思ってるけど、絶対に無いって分っているけど、でも怖い。
だから、もっと、強く彼と繋がっていたい。なにがあっても離れない様に強く、強く
繋がりたい。自分が彼の物だという証拠を早く自分の身体に刻み付けて欲しい。そう思う。
きっと、その時はもうすぐ来るのだろう。
「ねぇ、竜児。やっちゃん、古いアクセサリーとか持ってないかな?」
「なんだよ、いきなり」
「無いかな?」
「まあ、聞いてみるけど。その、大した物はねぇと思うぞ」
「古ければいいの。おばあちゃんの物ならもっといい」
「よく分んねぇけど、聞いてみるよ」
「ありがと…お願い」
きっと、それは見つかる。そんな気がする。
「ねぇ、りゅーじ…キス、して」
「な、おま…」
竜児の顔を見上げた。少し潤んだ眼で彼を見つめた。竜児はちょっと慌てた感じで、
けど、優しくて、優しくて、本当に優しくて…
あたしは竜児の首に腕をまわして背伸びした。竜児は背中を少しまるめてかがむ様に
しながら、あたしの背中を軽く抱いて……キスしてくれた。竜児の少し乾いた唇が触れて
熱かった。唇が離れて、あたしの踵が着地すると竜児はあたしの身体をギュッと抱き締めて、
あたしの旋毛に「すきだ」って、言ってくれた。
その後、外に出て行く竜児を見送って、足音が遠ざかっていくのを確かめてから、
鍵をかけた。重く響く金属音が酷く悲しかった。せめて竜児に鍵が渡せたら、こんなに
辛くないのかもしれない。
自分の部屋に入ってベッドに寝転がった。
やっぱり、キスだけじゃ…全然、足りない。そのせいだ、きっと、こんなに怖いのは。
自分の腕で自分の肩を抱くと、涙の粒が頬を滑り落ちていった。
***
「亜美ちゃん、起きてる?」
「ん? もう、寝る気、満々なんですけど」
二人で過ごす夜は予想を超えて多いに盛り上がった。亜美に慣れない料理をやらせてみて、
出来具合のひどさに二人で大ウケしたり、落ちモノの対戦ゲームでこれまた意外なほどに
白熱したり。冷蔵庫にストックされていた缶ビールを一本くすねて、「にが」とか
「まず〜」とか言いながら二人で飲んで、飲み干したらちょっとだけ酔って、その勢いで
北村祐作の鈍さはリアルなのかポーズなのかについて討論してみたり、麻耶は北村を諦める
べきかあるいはもっと粘るべきか、独身は独身のまま三十一歳独神になってしまうのか、
などと、まあ、そんな話題で盛り上がった。
そんなこんなで、十一時をすぎて、亜美は帰るのが面倒になり、結局、奈々子の家に泊まる
ことにした。それから二人はさらにファッションネタやモデル業界裏話などなどで盛り上がり、
只今午前一時半。亜美は奈々子のパジャマを借り、奈々子の部屋に敷いた布団に収まり、
奈々子はベッドに収まっていた。
ベッドと布団では高さも違うからお互いの姿はまるで見えない。灯りも落として、
もう寝るだけなのに、それが何となく勿体なくて二人はポツポツと話しを続けていた。
「タイガー、幸せそうだったね」
「もう、デレデレだもん。見ててイヤになる。ほっとんど公害」
でも、その口調にはそれが本当にイヤな事だと言うニュアンスが無い。
「まだ一緒に居たりしてね」
「しかも、やってる最中だったりしてぇ」
「何を?」
「へぇ〜、奈々子そんなこと言うわけ?」
「ふふ、亜美ちゃんは、そういう経験あるの?」
「ふふん、それぐらい……、あるわけ無いじゃん? 奈々子は?」
「無いけど…」
「けど?」
「…無いわ」
「あ、そう」
「ねえ、ホントに、しちゃってると思う?」
「さあねぇ」
「知らないよね?」
「オラ、知らね」
亜美は素っ気なく応えた。でも、なんとなくまだそこまでは行っていないような気がした。
けれど、そうなるのは時間の問題だとも思う。竜児が我慢できないというよりも、大河が
必要とする、そんな気がする。
「高須君ってさ…」
「ん?」
「なんかやばそう…」奈々子がぽつりと言った。
「なにが? 顔?」
「ううん、ほら、高須君、手先器用だし…」
「だから?」
「上手なんじゃないかしら。基本的に優しい人だし」
「なにが?」
「愛撫」奈々子はさらっと言った。
「うわ、言っちゃったよ」
「なんか、やさしく隅から隅まで……的な」
「な、なに言ってんの。そんな、掃除じゃないんだから」
亜美の脳裏にモヤモヤとしたビジュアルが……
「俺が隅々までキレイにしてやるぞ、みたいな」
「や、やめて。こえーから。マジで」
「あぁ、キレイにされちゃうのか……タイガーちゃん…」
隅々までキレイにされて、くたっとしている大河の姿が見えたような……
「や、やめよう、奈々子。この話は危険が危なすぎ」
「そ、そうね……もう寝るわ」
「おやすみ。奈々子」
亜美は布団をかぶって目をつぶった。つぶったのだが……
(眠れないって。そんな、隅から隅までって)
心拍数がすっかり上がってしまって寝るどころの話じゃなかった。
(まったく。あんな幼児体形のどこがいいんだか…)
亜美は大河の水着姿を思い出した。
(でも、胸は小さいけど背中から腰のラインとか、きれいなんだよね。タイガー…)
つまり、大河は幼児体形じゃなかった。身体が小さいからそう見えるだけで、特に後ろ姿は
本当に奇麗だった。認めたくなかったけど。
(あんな、小さくて奇麗な娘が彼女だなんてさ…)
竜児の胸に収まる大河の姿が脳裏に浮かんだ。
(そりゃ、男の子的には堪んないよね…)
大河は竜児の腕に包まれて幸せそうに笑う。
(そりゃ、幸せだよね…)
大河は顔を上げて何かを竜児に囁く。
(…大好きな男の子に愛されてるんだから)
竜児は優しく大河の頬に触れて、そしてキス。
(そんな人に抱き竦められるのって、どんな気分なんだろう)
大河の身体を自分の中に埋めるように竜児は大河を抱き締めた。
(自分の体内(なか)に彼を受け入れるのって、どんな気分なんだろう)
『りゅーじ…きて』声が聞こえた…、気がした。
(でも、ホントに今頃……)
ぞくっとした寒気にも似たような感覚が首筋に走った。
(やばいって。こんなの)
そう思っているのに、自分の胸にさわさわと触れる手の動きを止められない。
(どうしてくれんのよ、奈々子)
パジャマのボタンを一つだけ外して、右手を中に滑り込ませて左の胸に当てた。
(ちょっとだけ)
軽く触れる様に、奇麗な乳房の形をチェックするみたいに指を這わせた。寒気の様な
感覚が背筋を駆け上がり溜息が漏れた。人差し指で敏感な突起の周りに輪を描く様に
撫でると、甘い刺激が声になって漏れだしそうになった。必死に奥歯を噛んで声が
漏れない様にしながら、それでも指が止められない。
(だめ…)
スッとパジャマから手を引き抜いた。
(だめだって…)
人差し指を舐めて濡らして、パジャマの中に手を滑り込ませていった。濡らした人差し指で
小さな突起を撫でると、理性を嬲る様な強い刺激に肩がビクンと大きく震えて、「んんっ」と
小さな喘ぎが微かに漏れた。
(やばっ)
亜美は手を止めて、奈々子の気配を伺った。
(だいじょうぶ…かな)
「うんん」小さく呻いて奈々子に背中を向ける様に寝返りをうった。
「亜美…ちゃん……眠れないの?」
ベッドの上から潤んだ眼をした奈々子が亜美の背中を見下ろしていた。
亜美は寝たフリ。ぴくりとも動かない。
『ドサッ』
亜美の背後に何かが落ちた。亜美が慌てて振り向くと、そこに奈々子がいた。
「亜美ちゃん、何してるの?」
奈々子のパジャマのボタンは殆ど外れていて、開けたパジャマの隙間から白い肌がのぞいて
いた。
「あんたこそ…」(何してんのよ?)と言いかけた時に奈々子の手が伸びて亜美の胸に触れた。
「奈々子…ダメ、やめ…っ」
びくん、と亜美の肩が揺れた。
ウォーミングアップ済みの亜美の身体はあっけないほど簡単に奈々子の指に反応した。
「手伝ってあげる」
「やめて」
亜美は寝返りをうって奈々子に背中を向けた。
「やめない…」
奈々子は後ろから抱く様に亜美の胸に触った。掌で乳房を包む様にして優しく刺激する。
耳元に顔を寄せて囁く。
「シテたんでしょ。分ってるんだから」
「ん、あっ」
長い髪から覗く亜美の耳は暗がりの中でも分る程に赤くなっていた。亜美の両手は情けない
声が漏れない様に口を必死に押さえつけていたけれど、奈々子の指はそれを馬鹿にするように
蠢いて亜美を壊していった。
「あ、ごめんね。亜美ちゃん。直接触って欲しいよね」
そう言って、奈々子はパジャマの内側に手を滑り込ませると、亜美の滑らかな肌に直に
触れて、ぐにぐにと柔らかさを確かめるように指を乳房に沈めた。亜美の口からは鳴く様な
喘ぎ声が漏れだして、それを押しとどめようとしていた手はもうすっかり役立たずになって
いた。それどころか亜美の手は奈々子の手が離れていかない様に押さえつけていた。
奈々子は人差し指で軽く転がす様に亜美の乳首をいじめた。
「はぅん、んくっ」声を漏らして、跳ねる様に背中を仰け反らせた。
「も…ぅ…だ…め……」
「そう」奈々子は小声でそっけなく言うとパジャマから手を引き抜いた。
「あっ…」
名残惜しそうに漏れた声がもれた。
「ふふ、もっと、気持ち良くしてあげる」
奈々子は亜美の下腹部に手をあてて指先を柔らかい部分におし付けた。亜美の肩が大きく
震えて、はしたない声が漏れた。奈々子は亜美のスリットの形を探る様に指を遊ばせて亜美を
追い込んでいった。
奈々子は身体を起こして亜美の肩をに手をかけて仰向けにさせた。息を荒げて顔を
上気させた亜美は抵抗できなかった。奈々子にされるまま、羞恥で増幅された快感に
溺れていた。
奈々子は右手を亜美のショーツの内側に滑り込ませていった。柔らかい部分に中指を押し
当てると、くちゅっという微かな音がして亜美のスリットは奈々子の指を飲み込んだ。
「あうぅっ…ん」
「あら、ぬるぬるじゃない」
奈々子が指をタップする度にくちゃくちゃと濡れた音がした。
亜美は喘ぎながら身体を仰け反らせた。
奈々子は亜美の中から漏れだしてくるぬめる体液をすくいとる様にして指を濡らして、
亜美の小さな入り口の周りを焦らす様に弄った。
「あ、やめ…て…おねがい」
「怖いの?」
亜美は小さく頷いた。
「しょうがないわね」
奈々子は人差し指と薬指でやわらかいスリットを広げて、中指を奥から前の方に擦り上げて
いった。亜美はわなわなと震えながらだらしなく開いた口から絞り出す様に息を吐いた。
たっぷりと濡れた奈々子の中指が亜美の陰核の周りをぬぷぬぷと嬲ると、亜美の背中が
びくんと大きく跳ねた。高い喘ぎ声を何度も漏らしながら、亜美の身体はひくひくと揺れた。
ショーツから引き抜かれた奈々子の指に、亜美の体液がまとわりついてぬらぬらと光っていた。
「大丈夫?」
不意に心配になって奈々子は間の抜けたことを聞いた。
「……ひどいよ」二の腕で顔を隠した亜美が言った。
「…えと、ごめ…」
「やりたい放題やってくれたわね。奈々子…」
亜美は勢い良く起き上がり、奈々子の肩をつかんで押し倒した。腰の上に跨がって奈々子の
大きな乳房を鷲掴みにした。鼻と鼻が付きそうな程に顔を近づけて、
「ナナコ、あんたにアノ世ってもんを見せてあげるわ」
「あ、亜美ちゃん?」
「ふふ、うふふふふふふふふふふ」
怪しく笑いながら、亜美は奈々子の乳房に指を沈めていった。
本日の対戦成績
第一ラウンド 勝者 香椎奈々子
第二ラウンド 勝者 川嶋亜美
第三ラウンド ドロー 両者同時ノックアウト
***
新しい朝が来た。希望の朝かどうかは知らないが、外では雀が鳴いていた。
とんでもない格好で朝を迎えた二人は、昨夜の出来事についてまるで話さなかった。
お互いに痴態をさらし合ってしまったその出来事は二人が共有する黒歴史の一ページと
なった。とりあえず、昨夜はどこかがおかしかったのだ。良く知った友人同士が愛し合う
姿なんてものを妄想するから、あんなことになったのだと亜美は思ったし、奈々子もそう
思った。
ダイニングで向かい合わせに座って、トーストと目玉焼きだけの簡素な遅い朝食を取り
ながら、亜美と奈々子はテレビを観ていた。朝のニュースバラエティは流行のファッションの
特集だった。それは今、流行っているから、つまり亜美から見ればもう遅れているものだ。
「ねえ、亜美ちゃんはずっとモデルだけでやってくの?」
「さあ、どうなんだろね」亜美は適当にはぐらかした。
ずっと芸能界でやっていくつもりだった。親も含めて周りが女優への転身を望んでいる
ことも分っている。自分もそのつもりではいる。けれど、それを口にして、期待されるのは
怖かった。
「奈々子は?」
「私? とりあえず大学に行って…。その先はどうなるのかしらね。結婚して、子供を
産んで、専業主婦になって、多分、亜美ちゃんから見たら呆れるぐらい普通の人生だと
思うわ」
「普通ねぇ…。いいんじゃないの、それで」
「そうかしら?」
「それだって、そんな簡単じゃないって…」
「そうね……」
奈々子は呟いた。実際、奈々子の両親は上手く行かなくなった。考えてみれば、何年も、
何十年も一緒に暮らすパートナーを見つけるの事がそんなに簡単な筈が無い。どんな人と
一緒に歩いていたいのか、今の奈々子にはぼんやりとしたイメージしかない。
「…高須君みたいな人に出会えるのかしら…」
「げっ?」亜美は眼を見開いて奈々子を見た。
「あ? ち、違うのよ。タイガーにとっての、っていう意味」
「ああ、そういう事ね。マジでビビった」
「ゴメン、ゴメン」と手を振りながら奈々子は笑った。
「まったく…」そして、小さく溜息。
ちょっとした沈黙があって、奈々子が呟いた。
「違うわ…」
奈々子の顔からは笑みが消えて、すっかりシリアスな顔になっていた。
「ちがうの、…高須君の事は…好きよ。私も」
「奈々子?」
「だって、あんなに優しい人、いないもの」
知ってる。亜美は心の中で呟いた。
「でもね、私はタイガーの邪魔はしないの。勝ち目も無いしね」
寂しげな表情で奈々子は言った。
「タイガーはね、希望なの。私にとってはね…」
「希望って?」
「彼女があんな風に笑える様になれたんだから、私にもそんな日が来るって…」
亜美には言葉が無かった。
初めて、奈々子の内側を見た気がした。逢坂大河がそうであり、高須竜児がそうである
ように、香椎奈々子の心にもやはり傷はあったのだ。
「だから、私は彼女の幸せを邪魔しないの。誰にも邪魔させないの」
奈々子は亜美を針で刺す様に見た。
亜美は、それが自分に対するメッセージであることを認識した。
「本当は昨夜話そうと思ってたんだけどね…」
「もしかして、その為に呼んだ?」
「ううん、寂しかったのも本当。昨日は本当に楽しかったわ。だから、言い出せなくて」
「ふぅん…」
「ねえ、亜美ちゃん。高須君の事、なんとも思ってないよね?」
「思ってねぇって。奈々子が心配してる様な事はひとっつも無い。ナッシング」
「そう、ならいいのよ。安心したわ。ごめんなさいね。変な事を聞いて」
奈々子はミルクティーを一口飲んだ。
亜美はバターを塗っただけの冷めたトーストの残りを口に放り込んだ。
確かに、高須竜児の事は諦めた筈だった。本当に男と女の間に友情が成立するのか
分らないけれど、そんな関係で良いと思っていた。なのに、諦めた筈なのに、どこかで
やはり惹かれてしまうのは、彼が川嶋亜美の、自分の本当の姿を分ろうとしてくれている
からなのだろうと思う。それは彼にとっては友情なんだろうけれど、それが愛情だったらと、
期待している自分がいる。それを奈々子に見透かされて、変な気を起こすなと釘を刺された。
そうすべきなのは分っている。高須竜児の友情が愛情に変質することは無いだろう。
それほどに、逢坂大河は高須竜児の一部になっている。でも、それでも、自分が彼に恋した
事実を、彼の心には刻み付けておきたかった。憶えておいて欲しかった。そして、その上で
友人でいてくれたら…、そう思った。
***
その頃、連休初日の高須家では、竜児と泰子が卓袱台を囲んでいた。
「大河ちゃんがいないとさびしいねぇ」
「しょうがねぇだろ」
卓袱台にはアジの干物をメインに生卵に漬け物、みそ汁、そして白飯がならんでいた。
竜児はもそもそと白飯を噛み締めながら、昨晩の事を思い出した。
「大河がさ…」
「うん?」みそ汁を啜っていた泰子が応えた。
「古いアクセサリーを持ってないかって」
「なんで?」
「さあ、古い程いいらしい。ばあちゃんの物ならもっといいらしい」
「アクセサリーねぇ。あったかなぁ」
泰子はおもむろに立ち上がって部屋に入っていった。
「あぁ、泰子、メシ食ってからでいいって」
言っても無駄。泰子の部屋からがちゃがちゃと部屋を物色するような音が聞こえた。
しばらくして、「うわ〜、なっつかし〜」という間の抜けた声が響いた。
部屋から出て来た泰子が指でつまむ様にして持っていたのは、少し表面が曇りかけた
銀色の細い指輪で、水色の小さな石が申し訳程度にはめ込まれたそれはどう見たって
高そうじゃなかった。
「家出した時にもってきたんだけど、値段がつかなくて売れなかったんだよね」
「へぇ、じゃあ、そればあちゃんのなのか?」
「そうだよ。これ大河ちゃんがつけるのかな?」
「そうだろうな。でも、それあげちゃっていいのかよ? ばあちゃんのだろ。元々」
「大河ちゃんにならあげてもいいんだよ。だって、おヨメに来るんでしょ」
「お、おぅ」竜児は耳をちょっと赤くして応えた。
泰子は指輪を眺めた。
「ちょっと大河ちゃんには大きいかな」
指輪を薬指にはめて具合を見ていた泰子は「そっか…」と呟き、
「大河ちゃんのサイズにリフォームしておいてあげる」と言った。
「え? 金、かかるんじゃねぇのか」竜児は申し訳なさそうな表情で泰子を見た。
「指輪のサイズ直しはそんなにかかんないんだよ」
「へぇ、そうなんだ」
「うん、そうなんだよ」
泰子は卓袱台に指輪を置いて、アジの干物に箸をつけた。
「干物、おいしいね」泰子が言った。
「おぅ、まあまあだな」と応えながらも竜児は物足りなさを感じていた。やっぱり、
大河がいないともの足りない。
朝食を終えて後片付けを終えた竜児は泰子と居間でお茶を啜りながらテレビを観ていた。
大して面白い番組でもないので、竜児はお茶を飲んだら勉強だな、と思っていた。掃除や
洗濯は泰子が仕事に出てからの方が良い。気を使わせないで済むから。そう思っていた。
「ねぇ、竜ちゃん」気怠く呼びかけた泰子だったが、目はマジだった。
「あん?」
「大河ちゃんと、えっちしたい? それとも…もう、しちゃった?」
「な、な、なんだよ。いきなり」
竜児の小さな黒目がゆらゆらと泳いだ。
「ねぇ、どうなの? 竜ちゃん」
「どうなの、って言われてもよ」
「ちゃんと答えて」
泰子は真剣だった。気圧されて竜児は小声で答えた。
「……そりゃ、してみたいけどよ。…してねぇよ」
竜児をじ〜っと見ていた泰子は、その答えを聞いて安心したのか、固まっていた表情が
ふにゃっと溶けた。
「よかったぁ」
泰子はおもむろに立ち上がって自分の部屋に入っていった。
「なんだよ? 意味がわかんねぇ」
竜児が呆気にとられていると泰子は紙袋と茶封筒を持って部屋から出て来た。
「竜ちゃん、これ読んで」そう言って泰子は茶封筒の中に入っていた薄紫色の便箋を取り
出して竜児に差し出した。
「なんだよ? これ」
竜児は便箋を開いて見た。最初に見て、自分の網膜に投影されている情報が信じられず
目をこすって見直したが、やっぱりそこに書かれているものは竜児の想定の範囲外だった。
(つづく)
以上で『きすして2(上)』の投下を完了します。
(中)の投下は28日夜の予定です。
>>357 ぐじょ。
虎が「あーみん」と亜美ちゃん様を呼称する姿が想像できん。
奈々子様と亜美ちゃん様とのくんずほぐれずとは、とは。
一度ぐらいの過ちで壊れるぐらいの友情ならば壊しちゃえYO
亜美ちゃん大活躍ありえますように。。。ナムナム
>>357 クソっ
続きが待ちきれねえじゃねえか
タイガーが可愛すぎる
ぜひ竜児の手によって甘くかわいく悶えさせてやってくらさい
>>357 GJ! あらためて大河かわいいなこんにゃろ。
>>359 個別キャラ板じゃない?
向こうのSS関連が全年齢、こっちが18禁って事で。
すまん、正確にはアニキャラ個別板のみのりんスレ、か。
>>357 文書が丁寧で読みやすかったです。GJ
個人的には亜美波なんだけど、違和感無くよめてしまった、切ね。
引きで出た便箋の内容が気になるな。続きを期待。
とてもGJ
GJ!久々の竜虎ものでよかった。
きすしての1では既にえっちしてたって事は2は1より前の出来事か。
続きが楽しみだぁぁぁ
皆さんこんにちは。
[言霊]の続きが書けたので投下させて貰いに来ました。
前回の感想を下さった方々、まとめてくれた管理人さん、ありがとうございます。
今回も申し訳無いですがエロ分無しです。
それでも良いなら、読んでやってください。
では次レスから投下させて貰います。
[言霊(5)]
『大河がくれたんだよ』
櫛枝が何気無しに言ったその一言は、俺の心を抉る。
やっと負った傷が癒えてきたのに。
短い髪に添えられたソレは、かつての自分の想いが詰まったヘアピン。
イブの晩に渡そうとして失敗した……ヘアピン。
まさか修学旅行で見るとは思いもしなかった、イブも修学旅行も学生の一大イベントだから意地悪な神様が準備してくれたんだろうよ。
櫛枝への未練は断ち切れそうで、亜美に自信を持って『好きだ』と言えるまで回復したのに……一番見たくなかった代物を見て傷口が開く。
好きだった頃の気持ちを否定する訳じゃないんだ、ただ…やっぱり複雑だよな。
心を占める『亜美』が限り無く100パーセントに近くなっても、ほんの僅かに残っていた『櫛枝』との想い出。
それを思い出にするには、まだ早くて……あのイブの日の激痛が甦った。
思考停止してしまう程の強烈な痛み、今は喰らってもそれほどでも無いが………やっぱり痛かった。
それは…『好きだった気持ち』を大切にしたいと願っているから痛いんだと気付いてはいるんだ、俺だって。
けど平気な顔なんか出来ない、なあ俺は今はどんなツラをしているんだろうな。
それは目の前の櫛枝の驚いた表情を見れば一目で解る。
「た、高須くん?どうしたの、その…私なんか酷い事を言っちゃったかい?」
その気遣う言葉も合わされば完璧。
妙に悲しい、ぶつけ様のない怒り、笑って誤魔化したい、すぐに痛みは引く筈。
喜怒哀楽…全てが交ざった表情なんだろうな。
でも櫛枝には『怒り』しか見えて無いから……こんな発言が出てきた。
亜美なら全ての感情に気付いてくれるだろうか、彼女は誰よりも感が鋭く、誰よりも強くて、誰よりも情が深いから…。
比べたくなくても比較してしまう自分への嫌悪……。
幽霊を見なくても良くなった…かつての想い人の亡霊に俺は墜とされた。
だから部屋に逃げ込み、布団に潜って瞳を閉じる。
逃げてしまった…。
亜美に『糸を紡ぎ直す』と偉そうに言っておきながら……そして大河に出血を強いて、いざ自分の番になると逃げ出す。
少しでも良いから……時間が欲しい。
何も考えずに、痛みを堪えて癒す時間が欲しい。
そうすれば…強くなって、亜美と歩む道へ進む為の痛みに耐えれるから。
.
こうなったキッカケは…能登と木原が喧嘩…まではいかないが、嫌悪な雰囲気になった事なんだ。
……誰かのせいにして逃げるのは弱い証拠か。
でも、だ。その事から続いて櫛枝のヘアピンを差した姿を見る事になった。
『このままだと木原さんと能登君…いつか喧嘩になっちゃうよ』
俺がたまたま席を立った事を勘違いして、櫛枝が追いかけて来て……『秘密の相談』ってヤツだと思ったらしかった。
ああ…でも遅かれ早かれ…だよな。
いつかは見てしまう事になるだろう。
そして、これからも見る事になるのだ。
櫛枝は『大河からのプレゼント』だと思ってて……身に着けない方がおかしい。
俺はそれを見る毎に、表面上は気付かないフリして…心の中では痛みに耐えないといけないんだ。
こればっかりは亜美には言えない、彼女に相談すれば…あいつは激昂して櫛枝に詰め寄る位の事はしそうだ。
大河と亜美が口喧嘩した時以上の修羅場が容易に想像出来た。
特に今度ばかりは状況が状況だ。
公の場で修羅場はマズいってのもあるが、何より『糸を紡ぎ直す』事が出来なくなる。
だから、こうして時が過ぎるのを待つ。
せめて同じ班の奴等が帰るまでは……こうしていたい。
だが…そう思ったのも束の間。
真っ暗な部屋の中に光が差し込んだ。
「おい高須、お前どうしたんだよ」
「寝てるの?大丈夫?」
「あ〜あれだ多分、高っちゃんにはココの晩飯が口に合わなかったんだよ〜」
そう。北村、能登、春田…いつものメンツだ。
櫛枝との件の後、夕食を再開する事無く立ち去った俺を心配している。
三者三様、それぞれに心配そうな口振りで布団の中で小さく縮まる俺に語りかけるのだ。
こうして鈍痛を残したまま…俺は現実に戻された。
ゆっくり布団から抜け出し、その上で胡座をかいて皆を見上げる。
『大丈夫』そう言えば良かったのだ。
「おぅ…悪かったな、………ちょっと辛い事があってな」
だが…弱ってたんだろうな。大河は勿論、亜美にも言えない、この痛みを抱いたままなのが辛くて……思わず呟いてしまう。
「え?何々?高須、何かあったのかよ?」
眉をハの字に下げた能登が口を開く。
「良かったら聞くぞ?」同様に北村も。眼鏡を指を押し上げて問う。
「足さみ〜布団にはいらせてよ〜」
春田……お前ときたら。
「いや、これは言い辛い……だから……」
「高須…お前は前に俺の話を聞いてくれたよな?それも言い辛い事だったし、恥かしい事じゃないぞ」
「そうだよ、俺ら友達じゃん?高須の事が心配なんだよ」
「ふぃ〜暖けぇ、高っちゃんコタツ最高っ!…で、どうしたのさぁ、話してみなよ〜」
能登と北村の言葉に俺は感動する。
アホの春田ですら、空気を読んだ。これもある意味で感動した。
もう話してしまおう、楽になりたい。
亜美に言えないなら、いや…誰かに聞いて欲しいんだろう。
事情を知らない人に話すのは初めてで怖い。が…こいつらなら安心出来る。
気心が知れてるから。
友人に相談したら…同性の立場なら…。
「じ、実はな、おぅ…。今まで言え、なかったんだが」
皆で車座し、俺はポツリポツリと語り始める。
「ク、クリスマスイブの晩、にだな…ぅおぅぅ」
俺は緊張していた。
「…続けて」
北村が頷いて先を促す。
「きゅ、く、くしえ、だに……」
その名を言おうとすると、舌が縺れて噛んでしまう。
「うん、櫛枝に?」
能登が目を見開く。
「ふぐぅ、うぅ……ふ、ふら」
その出来事の痛みを思い出すのは、今の状態では辛い事この上ない。
「ふ?ふ、ふ…富良野?」
春田に悪気は無い、ただ少しだけ気の毒なだけなのだ。
「ふ、…フラれ、た……」
一瞬で空気が固まる。
能登が口をあんぐり開け、北村は眼鏡がずり落ち、春田は……恐らくは理解出来ていない。
「そ…」
『それで色々あって今は亜美の事が好きで…』
そう言おうとした声は、絶叫に遮られた。
「「「えぇっ!!??」」」
同時に皆して、そう叫ぶ。
そして、思い思いに反応する。畳の上をゴロゴロ転げる者、何回も激しく布団を叩く者、何やら身体をかきむしってる者。
「うぉいいぃっ!!マジか!?マジなのかよ!!いつから!!いつから櫛枝が好きだったんだよ!!」
「櫛枝とは、あの櫛枝か!?お、おぉお!!た、高須!!そうだったのか!!」
「うひょひょ!!ひゃっはぁ!!く・し・え・だ…っすかぁ!」
俺は興奮した三人に詰め寄られる。
他の事情なら彼等も真面目な対応をしてくれたろう、だが恋バナは別。むしろ予想外で驚いたのだろう。
「だーっっ!!そうだよ!櫛枝だ!櫛枝実乃梨!!一年の頃から好きだったんだよ!!!」
何だか急に恥かしくなり、俺は大声で肯定する。
すると
『うはぁ!』だの『あば、ひゃ!!』だの『ぎゃあぁっっ!!』だの、それぞれに叫んで…また転がり、叩き、俺の肩を揺すぶり、……辺りは興奮の渦に飲まれる。
「でも!でも何でフラれたの!!櫛枝氏ってフリーじゃね?何でさ!」
「知らねぇよ!でも何か"ナシ"っぽく言われたんだよ!」
能登の質問を即座に返す。
「お前ら二人は仲が良さそうだったじゃないか!!信じられんぞ!!」
「俺もそう思ってたけど違ったんだ!」
北村の言う事は的を得ていた。俺も"あの日"はそう思ったさ
「他のヤツ?櫛枝は他のヤツが好きなの!?マジでぇ!!俺の事かも〜!!」
春田よ、大丈夫だ。ソレは有り得ない。
俺は様々な質問を矢継早に言われ、思うままに返す。
もうヤケだったし、俺も先程の落ち込みがウソみたいに気持ちが浮上していた。
そして、その内に皆の興奮が収まり…深刻そうな表情になる。
「で、櫛枝にプレゼントしようとしたヘアピンがあったんだが、さっき…そのヘアピンを櫛枝がしてて…今に居るんだ」
その頃には俺も落ち着き、再び墜ちていく。
「ん…なんでヘアピンを櫛枝が持ってたんだ?高須は渡してないんだろ?」
そう疑問を口にしたのは北村。
「うん〜確かに不思議だ。それって、告った後は高須が自分で持っていたんだよね?」
能登が迷いながら聞いてくる。
「おぅ、でも大河が"くれ"って言ったから渡したんだよ」
「あっ、じゃあタイガーが櫛枝に渡した訳?」
春田にしてはまともな事を言った。正解だ。
「みたいだな」
俺が呟くと、皆考え込んでしまう。
暫くは沈黙が続き、俺達は思案する。
「タイガーが櫛枝に渡したのはともかく、何だか納得いかないよね?てか酷くね?
告白を聞く事すら拒否とか高須が可哀相だわ」
その沈黙を破ったのは能登だ、同じ事を亜美にも言われたな。
まあ俺だってそう思ったし、自覚が薄かったとは言え、かなり傷付いたのは事実だ。
あの時、亜美が守ってくれなくなったら、今でも重症のままだっただろう。
「そうだよね〜、高っちゃんが可哀相だし〜。櫛枝ヤベェ」
おぉ…春田よ。俺は今、お前を見直したぞ。
「……聞きに行くか」
目を閉じていた北村が静かにそう言った。
すると全員の視線が彼に集まる。
「確かにこれじゃ高須も納得できんだろ。
櫛枝がそんな事をするヤツとは思いたくないが、親友が傷付いて黙っていられるか!」
「お、おうっ!北村よ!待て!その事は…」
『俺の中で踏ん切りが付きそうなんだ、俺は今、亜美に恋してるから』
そう続けようとしたら、またしても遮られて、俺の肩を力強く掴むヤツが居た。
「大先生よ!俺もその話に乗るぜ!!高須の為だ!そしてついでに俺も木原に言いたい事があっからな!!」
能登が親指をグッと立てて北村と俺を見ながら決意しやがる。
「なら俺も俺も〜!俺達は一日百姓、飛んで火に飛び込むカブトムシ〜だから!!」
やっぱりアホはアホ…か。一日百姓じゃなく一蓮托生だろ。残りはだいたい合っているから良い。けど使う所を間違っている。
「能登、春田…お前らまでっ…!」
『何を言ってるんだ、一緒に北村を止めてくれ』
そういう意味で俺は二人に言ったつもりだった。
「うんうん!!大丈夫!大丈夫だ高須!!俺達に任せろ!!櫛枝から納得出来る言葉を聞くまで引かないから!」
その願いはどうも違う方向に届いた様だ。
「高っちゃん、俺、バカだから良く分からないけど……なんでか今、すっごく怒りに燃えてるよっっ!」
そうか、それは俺も同感だ。
「よし!決まりだな!!能登、部屋の鍵は持ったか!?春田、部屋の電気を消してくれ!!」
北村がスッと立ち上がり、二人にテキパキと指示していく。
「あいよっ!!」「がってんでぃ!」
彼等は気持ちの良い返事を返し、俺は呆然としているだけ。
「高須っ!俺がグレた時にお前は助けてくれたよな、嬉しかったんだぞ。今度はこちらが助ける番だ!!」
「き、北村ぁっ!!」
違う……違うんだ。助けてくれるのは嬉しいんだが、違うんだ。
三人に俺の心の叫びは届かず、引き連れられて部屋を出ていく。
「さしずめ俺達は2-Cの治安維持の為に集いし者達って所だな!」
「おぉ〜あれっしょ?新選組だ、新選組だわ!!」
「新鮮グミ〜?」
妙なテンションが彼等を包み、ヒートアップしている。
武器は持って無いけど、気分は武装集団なのだろう。都の治安維持部隊、ただし見回りはしてない。
おぅ…なら俺は捕縛された不逞な輩か、失礼な。
壬生の狼と化した三人に連れられて女子の部屋に着く頃になると、俺は『どうにでもなれ』と諦めていた、色々と。
局長な北村が拳で強いて、ドアを一回叩き勢い良くノブを回す。
「む、鍵が掛かって無い……不用心な、まあ…よしっ!お前ら覚悟は良いか!?行くぞっ!!!」
「「おぅっ!!!」」
返事をしたのはもちろん俺では無い、能登と春田である。
「女子共、大人しくしろ!!御用改めである!!!」
ドンッ!と大きな音を発ててドアを開き、三人は部屋の中へなだれ込んでいく。
こんな状況では外で待ってる方が怪しい、仕方無い…腹を括ろう。
櫛枝が素直に応じてくれるとは思わないが、亜美との約束もあるし、……このまま止まってあぐねていても先には進めない。
亜美と『彼氏彼女』になりたいから…今みたいにコソコソしていたくない。
糸を紡ぎ直して先に進もう。
俺は辺りを伺い、遅れて部屋の中へ……。
「………って誰も居ないんかよ」
そう能登が残念そうに呟き、俺は返事を返す。
「おぅ…、うっ!」
『なら出直そう』
そう言おうとした俺は驚きのあまり、思わず身が竦み呻く。
何だ?…何?…なんだんだこの部屋は!!
汚い。いやそれは失礼か、……うん。言い方を変えよう。
オブラートに包むなら『乱れた花園』だな。
甘美な響だろ?…でも現実は違う。説明してやろうか。
まず目に付くのは部屋の四隅に散らばる旅行鞄とその中身。
コテに化粧道具、着替え。そこまでなら『さっき引っ張り出した』と言い訳出来る。
が、しかし…だ。濡れたスキーウェアやらニット…そういった物の水気を何故切らない?ハンガーに吊しても、これじゃ乾かないだろう、っうお!!
見てみろ、直下の畳は水浸しだ!カビが!カビが発生するぞ!!
片方だけ放られた靴下を見付け、俺は落ち着かなくなる。
一対で意味を成す靴下が片方しかない。歯痒い!俺なら如何なる場合でも束ねるのにっ!
「おぉ、女子達め…こんなに菓子を食い散らして…あ、踏んでしまった」
流石の北村でも顔をしかめ、散らばる菓子の袋や中身を避ける。が、グシャっと音がして落ちていたスナック菓子を踏み潰してしまう。
「うへぇ、ちょっと幻滅かも…」
春田ですら溜息を洩らし、対して俺はある衝動と葛藤していた。
『この汚部屋を掃除したいっ!』
元々くたびれて薄汚れた部屋なのだろう、けど…汚い!物が溢れかえっているじゃないか!
不要な物を旅行鞄の中へしまい、ウェアの水気を取って干す。水分とゴミを畳の上から取り除き、隅に固まった埃を掃除。妥協して洗濯物は一纏めにして置く。
最低限の整理整頓さえすれば、まだ見れる部屋になるんだ。
「う、ぐぅっ…!く…う!!」
だが女子の私物に触れる事が出来ない…触れた瞬間に俺は変態の烙印を押されてしまう、目の前の惨劇をただ見守るしか出来ない縛りが存在した。
「高須どうした?…はっ!いかん!!」
俺の心境を北村は即座に理解し、慌てて止めに入る。
だが一歩遅かった、俺に『掃除をするな』は『死ね』と同義。
座して死を待つ位ならいっそ…。
「北村よ!止めてくれるな!!頼むっ、この部屋を掃除させてくれっ!!」
この部屋は掃除のし甲斐がある、見逃す訳にはいかない。俺自身の名誉に掛けて綺麗にしてやる。
背後から北村に拘束されたくらいで、俺は諦めない!
「ちょっ!?た、高須マズいって、それは流石にマズいって!」
能登も北村に加勢し、俺の腹にしがみついて前身を阻む。
「お前らぁ!この部屋の状況の方がマズいだろうが!このままじゃカビる、生臭くなる、染み付くぞ!そして埃が舞って鼻炎になる!
今しか…今しか助けれねぇんだ!!くそっ!!は・な・せ!!!」
二人に押さえ付けられ、俺は猛り狂う。
「掃除なんかしたらバレちゃうよ!俺達が部屋に入ったのが女子達にバレるって!ヤバいから!」
能登にさっきの勢いは無い、目標が居ないから戦意喪失したのだろう。
相手が居ないのに部屋に居たら……不法侵入!?ああ、そうだ…そうだった。櫛枝と話す以前の問題、相手すらしてくれなくなるだろう、亜美にも。
「くぅっ……!ちくしょうっ!ちくしょう!!!」
俺は歯を噛み締めてうなだれる。彼等二人に支えられてなかったら、このまま床に崩れ落ちていた事だろう。
畳…スマン、俺はお前を救う事が出来ん。堪忍してくれ……。
「うっひょ〜お!見て見て〜俺いい物を見付けちゃったよ〜………って、あれ?どったのさ〜みんなぁ」
そんな状況なんか何処吹く風。アホな事に定評のある春田が何かを握り締めて俺達の元へやって来た。
「高須が、ちょっと…な。それで、だ。春田、何か見付けたのか?
何か、こう…重要な物とか」
この何とも言い難い空気を変えようと、普段通りな口調で北村が彼に問う。
「ふっふっふ…。じゃんっ!」
使い古された古典的な効果音と共に、ある物を春田が高々と掲げた。
…………おい。どう見ても、それは…ブラジャーじゃねぇか。
「なあ、春田。分かった…分かったから、ソレは元の場所に戻そう?なっ?」
能登が赤面しチラリチラリと『ソレ』を盗み見ながら諭す。
思春期の少年達にとって『ソレ』はまだ見ぬ『夢』を包む物。あの北村ですら、わざとらしく咳払いしながら盗み見ていた。
彼等の中であらゆる想像が渦巻いている事だろう。
『誰のだ?』『白のレース付は清楚で良いな』『アレが胸を…女子の胸を隠す砦』
誰も居なければ…一人であったなら、春田の様に手触りを確かめてみたりしたいだろう。
だが皆の前、ここで理性を保たねば人として大事な何かを失ってしまいそうなのだ。
「ゴホンッ!んんっ!そ、そうだ、能登の言う通り。それは駄目だ……今ならまだ間に合うぞ」
北村は闘っていた、焦がれた人は別に居る……しかし、身近な異性の柔肌に触れるソレの興味と誘惑に呑まれるのに抵抗していた……。
「えぇ〜何で?これがあれば分かるっしょ?」
「何が?」
「女子達の胸のサイズッ!」
「「っ!?」」
彼等が息を呑んだのを、俺は掴まれた部位に伝わる力が増した事で感じる。
「知りたくね?手の平に収まるタイガーサイズから収まりきらない奈々子様サイズまで、今なら調べれるじゃん」
くだらねぇ…、俺は亜美以外に興味無い。
「いやいやいや!そ、そりゃあ知りた……いよ、でも…あああぁっ!!駄目だ!駄目だ!!」
能登が頭を抱えて葛藤している、対して北村は冷静そうに装っていた。
「む、春田…お前の気持ちは分かるぞ、痛い程。が、生徒会長かつ学級委員長な俺が風紀を乱す訳にはいかん」
しかし俺は見た。中指で眼鏡を押し上げた時に鼻の下が延びきっているのを…。
「良いじゃん、今日は修学旅行だよ?これも良い思い出になるって、青春の1ページってヤツ?あっは、俺って天才」
ああ、バカと何ちゃらは紙一重だからな。安心しろ、変な方向に天才的な閃きを持ってるぞ。
「なぁ高須も止めてくれ、このままじゃ俺達………ただの変質者になるよ」
能登が最後の力を振り絞り、俺に懇願する。
そう、俺以外は欲望に負けて今にも『ピリオドの向こう』やら『スピードの向こう側』に行ってしまいそうだ。
一名だけ既に行っているヤツはいるが。
俺は亜美のサイズはおろか『それ以外』も知っている、だから落ち着いていられる。
だけど立場が同じなら負けちまうんだろうな。
だって男の子だもん。
「あ〜…春田、それは良い思い出じゃなく血塗られた黒歴史になるから考え直せ」
今は良い……さぞ楽しかろう。けど醒めた時に猛烈な罪悪感に駆られる。夢は夢のままにしておけ、下着なんかより、その中身…乳を揉む方が万倍楽しいからな。
「良い思い出…か、確かに青春ってのは甘いも酸いも経験しないと困るかもしれん」
そして境界線を越えてしまった男が誕生した。
北村である、言っている事は正しい。だが…煩悩に塗れていらっしゃる。
「よしっ!何事も経験だ、常識に捕らわれていては立派な大人になれんからなっ!!」
違います。常識をわきまえるのが立派な大人です。
「ぐうぅっ!!ええい、なら俺も!みんなで渡れば怖くない!!」
そして最後まで抗っていた能登も大切な何かを失って…春田の側に駆けていった。
「うわっ!な、何っすか?何っすか?なんかフワフワなんですけど!!でも硬いっす!」
能登が春田から下着を受け取り、その手触りを堪能し絶叫する。
直接当たる部分は…まあフワフワだな、種類にもよるけど。
で…硬いのはワイヤーだ。
俺はこの異常な状況を観察するだけにしておこう、耐性があって良かった。
そして亜美の下着だけは死守しよう、今の俺にはそれしか出来ん。
「へっへっへ…まだまだ有るよ〜」
続いて春田が発掘したのは濃紺で花柄があしらわれた一品。これは大人っぽいな…誰のだ。
「むむっ、これは背伸びした感じがとても素晴らしい、どれ…」
北村が春田からソレを恭しく受け取り、やらしい手付きで堪能する。
「これって奈々子様のじゃね?大盛りってか特盛りだし、ふひひ」
能登が十指をワキワキと蠢かせ、気持ち悪い笑みを浮かべる。
「はあはあ…そうか香椎か、確かにこの何でも包めそうなのは香椎だ。うん」
「たぶんだけど、木原のブラはっけ〜ん!」
その言葉に真っ先に反応したのは能登である。
「なにぃ!木原だと!?くそっ!こうしてやる!このっ、このぉっ!!」
こちらは、歳相応なキュートなピンク。余計な飾りも無くシンプル。
それに鼻息荒く顔を押し付け、グリグリと左右に擦り付ける能登は『もう帰って来れない遠くへ』と旅立ったんだと改めて思う。
春田がキッカケを作り、北村が地盤を固め、能登が昇華させる。
技術大国Japanを背負う若者達は、こうして身近な所から先人達の偉大さを学ぶ。
俺は絶対に真似したくない、しかし無駄無く動き、余す事無く堪能する彼等も日本人のMOTTAINAI精神を宿している。
それだけは評価したい。
「うひゃ、小せぇ。か〜わ〜い〜い。これってタイガーの?」
春田発掘隊の次なる発見、それは大河の下着。
純白、清楚、高級。三拍子そろった男の夢。
誰も知らんだろうが、大河の胸は異常に柔らかい。
大きさ自体は中学生並、しかし何かを纏えば押し潰されてしまう。
だから小さく見えるのだ、いや実際に小さいけど。
って……いかん、いかん。俺は何故、乳と下着の解説をしているんだ。
奴等三人が変態なら、俺はムッツリスケベじゃないか。
「ほう、逢坂の下着に俺は興味があるぞ。貸してくれ」
今回は北村が反応する。
「大先生!ヤベェよ、あんたマジ男だよ!!」
何を思ったか北村は大河の下着を身に着け様とし始める。
その様を見た能登が、木原の下着を握り締め感嘆の声を上げた。
「ん?んんっ?これは無理だ届かないぞ」
背中に手を回し、必死にホックを留め様とするが、ほんの少しが届かず諦める。
女子達の物を壊してはならない。彼等は紳士なのだ。
乱れた花園に集いし紳士達は甘い果実を堪能すると、在るべき場所へ戻す。丁寧に…。
「え〜と、これで最後だ〜。締めは我等2-Cの星、超美人モデル亜美ちゃんっ……って、あれぇ〜」
俺は春田が紳士達に亜美の下着を渡す前にひったくった阻止する。
「おいおい何だよ高須〜、一番美味しいのを盗るなよ」
「能登っち〜、良いじゃん高っちゃんも交ざりたいんだよ〜」
「ち、ちげぇよ!これは…あれだ!あれ!つい、だ!ついつい手が伸びたんだよ!」
ここで『亜美の物に触るな』と言えば、色々と大変な事になる。
部屋に戻ったら説明するから、今は黙ってろ。
そう伝えたいが為に鋭い目付きで能登と春田を睨む。
「ひっ!わ、わかったよ!うん!うん!あ、亜美ちゃんのには触らないから!!」
久々の凶眼に当てられ、能登が身体を震わせて首を縦に振る。
春田も同様に。ともかく俺はすんでの所から大切な物を守った。
と…ここで、何かを思案していた北村がゆっくり顔を上げ、俺達に振り返る。
「今のが亜美だとすると……一番最初に春田が見付けたのが櫛枝のか…、ふむ。薄々気付いてはいたが櫛枝もけっこう…」
真面目な顔をしていたから期待したのに…。
北村も不幸と踊っちまったか。
「はあ…、それより一旦出直そうぜ、誰も居ないんじゃ仕方無いし。
何より俺達は話に来たのであって、犯罪者になりに来たんじゃないからな」
この空気を変えるには今しかない、俺は溜息をついて語りかける。
余計な事は言わずにおくのが得策、変なキーワードを言えば彼等にどう作用するか未知数だから。
「まあ…うん、確かに今の俺達、逮捕もんだよね?…目的は硬派だけど」
熱が醒め、能登が腕組みして頷く。
「え〜?何も盗らなかったら大丈夫だよ多分〜」
いや春田、勝手に部屋に忍び込んだ段階から犯罪だ。
「…俺とした事がついつい。そうだな、ちょっと危ない感じに見えるが、あくまで目的は硬派なんだ。
その過程で良くないイメージを喚起させてしまうが…それはあくまで結果論、全てを元通りにすれば、どうという事は無い。
さあ女子が帰ってくる前に部屋を出て、また出直そうではないか諸君」
流石は生徒会長、北村の素晴らしい演説に、俺を含めた皆は揃って納得した。
しかしその瞬間。
ガチャリとドアノブが回る音がして、紳士達に電流が走る。
続く
今回は以上です。
続きが書けたら、また来ます。
では
ノシ
おれにも電流来る!
さて男たちの運命は‥
391 :
名無しさん@ピンキー:2009/07/28(火) 20:29:34 ID:WT8egcdC
北村と能登が下着を付け始めたところがやばかった
いつものどちらかといえば耽美な文章から、一転してこの楽しげな文章へ。
KARsさん、凄いです。
春田も北村も能登も紳士だが作者が一番紳士な件についてw
原作に沿うなら、次回から修羅場だよな?
ここから、どういう展開になるかwktkしてる。
gj
予告通り、きすして(中)の投下を開始します。
物量:14レス
題名:きすして2(中)
エロ:ない。全くない。申し訳ない
ゴールンウィークの最終日、川嶋亜美は機上の人だった。撮影地である沖縄からの便は
連休の最終日ということもあってほぼ満席で、さらに子供連れも多かった。旅慣れない客が
多い時期の飛行機の快適度はビジネス客しかいない時期に比べると数段落ちる。悪気は無いの
だろうが滅多に飛行機に乗らない人にとってはそれ自体が非日常体験だから興奮するのも
わかるし、旅への期待や思い出で話しが盛り上がるのも理解はできる。でも、仕事で旅する人の
立場で言わせてもらえれば、ぶっちゃけ、あいつら超ウゼーってのが亜美の正直な気持ちである。
それでも事務所が用意してくれたプレミアムシートは空間も椅子も少しだけたっぷりしていて
快適だし、周りの乗客も旅慣れている感じで快適度は低くない。ガキどもの喧噪の中で
二時間半も過ごす事を覚悟していた亜美にしてみれば、これは嬉しい誤算だった。
ベルトサインが消えるのを待って、亜美はバッグからiPodを取り出してカナルタイプの
イヤフォンを耳に埋めた。お気に入りのプレイリストを選んで再生する。女性ボーカルの
バラードが聞こえてくる。手にしていた雑誌をシートのポケットに押し込んで瞼を閉じた。
高須君のことはなんとも思ってない、そう奈々子に宣言した翌日に沖縄に移動して、
それからは早朝から夕方までひたすら移動、待機、撮影の繰り返し。日が沈んだらモデル仲間や
スタッフと食事に繰り出し後はホテルで爆睡、そんな毎日だった。忙しさと南国の気怠さに
かまけて、自分の事は全部保留のままだった。
ウソついちゃったな、と思った。正確には『なんとも思っていない』のではなく
『想わないように努力中』あるいは『諦めていく途中』だった。それが捗らない理由も
分っている。高須竜児が少しずつ魅力的になっていくから。大河というパートナーと
結ばれてからは特にそうだ。彼の中で私は友達に確定している。それは理解している。
逢坂大河にはかなわない。それも理解している。二人が互いを想い合う気持ちの強さは
普通じゃない。
それに比べれば自分が彼を想う気持ちは随分と中途半端な気がする。芸能界に身を置きながら
高須竜児と恋人として付き合うというのは、あの二人の駆け落ち以上にリアリティが無い様な
気がする。だから、この恋は封印しておくのが得策だとは思う。でも、それが出来なくて、
そうしたくなくて八方ふさがりの状況だった。
やはり、高須君に手伝ってもらわないとダメなのかもしれない。そんな事を考えていると、
いつもは聞き流しているバラードがしみた。
***
連休明けの初日はダルいものと相場が決まっている。午前中の授業を乗り切って今は昼休み。
教室では大河、亜美、奈々子が一緒に弁当を食べていた。大河の弁当はいつも通り竜児が作った
もので、なんとなく気合いの入ったおかずのラインナップは大河の顔を綻ばせた。亜美の弁当は
コンビニで買ったサンドイッチ。奈々子の弁当は自分で作ったものだった。
「奈々子、麻耶は?」亜美が聞いた。
奈々子は「特進」とだけ応えた。
それを聞いて大河の眉毛が少しだけ動く。
「ふぅん。気になる? タイガー」亜美は冷やかす様な口調で言った。
「…」大河はジトっと亜美を見て、視線で興味無しの意思表示。
「タイガーもあっちで食べたら。高須君だって喜ぶでしょ」と、奈々子。
「ケンカでもした?」得意の軽口で亜美が茶化す。
「してないわよ。昨日だって…デートしたもん」
二日前に大橋に戻ってきて、昨日は二人で映画を観に行った。
「ケッ」
「じゃあ、どうして?」
「自粛してんのよ。あたし達は。学校では自重することにしてんの」
大河は面倒くさそうに話した。
「なにそれ?」亜美は不思議そうな顔で大河を見て、奈々子は小さく頷いた。
「食べてからでいいでしょ。面白い話しじゃないし」
そう言って、卵焼きに箸を突き立てて口に放り込んだ。ほんのりとした甘さと出汁の
うまみが口に広がってちょっと幸せな気分になる。
「あんた、ホントに美味そうに食べるね」
「いいでしょ。美味しいんだから」
大河は箸を持ったまま腕を組んで、フン、とそっぽを向いた。
その隙をついて、奈々子の箸が大河の弁当箱から出汁巻卵をつまみ出した。
「ああっ! 何すんのよ!」と、虎は吠えたが既に手遅れ。卵焼きは奈々子の口に消えた。
ふんわりとした焼き加減。しみ出す旨味と甘みのハーモニー。
「ど、どうよ?」
奈々子はゆっくりと味わい尽くしてから飲み込んだ。
「おいしい。すごく、優しい感じ。まるで…」
まるで、おかあさん。言いそうになって奈々子は口を噤んだ。
どうしてあんな裏切り者の事を優しさの象徴として思い出すのだろう。
「まるで?」
「プロの仕業」
「あっそ。もう、盗むんじゃないわよ」
得意げに大河はそう言って、立田揚げに箸を突き刺して口に運んだ。
「そんなに美味いの?」亜美は奈々子に聞いた。
「ふふ、ホントに美味しいわよ。ほとんど反則」
立田揚げを頬張って幸せを満喫している大河を見ながら、二人は同時に『餌付け』という
言葉を思い浮かべていた。実際、大河の頭の中は『サクサク、じゅわ〜』だけだった。
食事が終わり、休み時間もあと僅か。気怠い一時。
「で、あんた達、なんで自粛なんてしてんのよ」
大河は一瞬きょとんとして、それから、面倒くさそうに、
「ああ、そのこと。だったら、秘密」と言った。
「はぁ?」
「言いたくない。だから秘密」
「ふん、まあ、いいわ。話す気になったらいつでも聞いてあげるから」
「そりゃ、助かるわ」
大河は目を逸らして外を見た。
「もう時間だね。解散、解散」
亜美は奈々子を連れて大河の席から離れていった。
***
翌日、二時限目の授業を終えた亜美は大好きな自販機の隙間に収まっていた。三年生に
なっても、やっぱりそこは亜美のお気に入りの場所だった。
「おぅ、川嶋」と、声をかけられ顔を上げると高須竜児がそこにいた。
「げっ。なんであんたがいるのよ」
「別に茶を買うぐらい好きにさせろよ」
「昼休み以外はダメなんじゃないの。優等生の高須君」
「ふん、どこの世界の皮肉だよ」
「そんなつもりはちっともねーんだけど」
「そうかい、そうかい」
廊下の方をチラッと見た亜美は数人の女子が竜児と亜美の様子を見ながら何かを話している
ことに気がついた。竜児はそんな視線には構わず自動販売機に小銭を入れてペットボトル入りの
緑茶を買った。
「ねぇ。高須君」
「なんだ?」
「あんたも気付いてるんでしょ? バカバカしいうわさ話」
「ん? あれか、俺とお前が付き合ってるってやつか?」
「そう、それ…」
それは四月の中旬にどこからか湧いて出て来た噂話だった。確かにこんな風に亜美と親しく
会話できる男子は北村祐作と高須竜児の二人だけだった。亜美に憧れる男子は山ほどいたが、
有名女優の娘にして女子高生モデルの超絶美人に話しかける度胸を持ち合わせている男子生徒は
殆どいなかった。
「なんでも俺は大河と川嶋に二股かけてるらしいからな」
「旦那は余裕ですなぁ」
噂話の筋書きでは、逢坂大河が不在の間に川嶋亜美と高須竜児は実は出来ていたのだが、
そこに大河が復学して三角関係ということらしい。確かに、大河が姿を消していた時期、
竜児と亜美は随分といろんな話しをしていたのは事実なのだが。
「俺はいいんだけどよ、変な噂されるの慣れてるし。けど、川嶋には迷惑だろうし、大河がな」
「あんた達がもっとバカップル感を出せばいいんじゃねぇの」
「お前なぁ」
「あ、そうだ。タイガーが自粛してるとか妙な事言ってたけど関係あんの?」
竜児は頬に手を当てて目を伏せた。
「あのよ、その事は大河には聞かないでおいてくれねぇか」
「かえって気になるっての。でも、まあ、いいわ…」
亜美はそう言って軽く溜息をついた。
「それによ、また面倒な感じだぜ」
竜児が廊下の方に視線を送ると、数人の生徒が一斉に目を逸らした。
「だね。いっとくれ」
「あいよ」竜児はペットボトルを片手にぶら下げて教室に向かった。
あいつらはきっと面白い方へ面白い方へと解釈するんだろうな、と亜美は思った。とにかく、
何かがあって高須竜児と逢坂大河は校内で目立つ事を避けているという事だけは間違いない。
そうしなければならない原因は大河にとって面白いことでは無い。それも分った。
***
大橋の全ての人々に愛されて絶賛営業中の須藤バックスに、今日も三人組の姿があった。
「まるおと高須君の話って聞いててもなんのことかさっぱり分んない時があるんだよね」
「そりゃ麻耶とまるおじゃ頭の出来がちがうもの」
奈々子はバッサリと一刀両断。
「ひっど〜い」
「で、何を話してるわけよ。祐作と高須君は」
一応、亜美は聞いてみることにした。
「勉強の事とか、あと、たまに進路のこととか」
「ふっつーだねぇ」
「あとは生徒会の事とか」
「普通ね」
「もうちょっとなんとかなんないわけ?」亜美は少し呆れ気味。
「そりゃなんとかしたいけどさー。話題が無いんだもん。亜美ちゃんと奈々子も一緒に来て
くれればさ、きっと盛り上がれると思うんだよね」
麻耶の北村攻略はすっかり頓挫気味だった。クラスが別だと本当に共通の話題がないのだ。
「パス」亜美はあっさりと。
「いいわよ。付き合っても。タイガーも連れて行こうかしら」
「やった。さすが奈々子」
「タイガーは行かないと思うけどね」
「自粛してるから?」
「自粛って何?」
麻耶は不思議そうに奈々子を見た。奈々子は昼休みの出来事をかいつまんで麻耶に説明した。
「へぇ〜。そんな事言ってるんだ」
「なんか思い当たる事ない?」亜美は麻耶に聞いてみた。期待はしていない。
「…関係あるのかな」麻耶がぼそっと呟いた。
「え? 何か知ってるの?」
「あのね、言っていいのかな…新学期が始まってすぐだったかな、高須君とタイガーが
説教部屋から揃って出てくるところを見ちゃったんだけど」
「すごい偶然ね」
「え、実は偶然じゃ無くて、私も学年担任に呼び出されちゃったの。成績がどうとか生活態度が
どうしたとか化粧がどうとか、もうウザイったらなかった」
「へぇ、そんな事があったんだ」
「で、二人は?」
「そう、高須君はまあ神妙な顔つきっていうか、まあ、いつも通りのヤンキーフェイスだった
けどタイガーがね、泣いてた。そんで高須君に何回も謝ってた」
「高須君が生活指導ってのがピンと来ないんだけど…」
奈々子が不思議そうに言った。確かにエスケープ事件なんてのも有ったけれど、とっくに
ケジメはついている。
「そうだよね。考えてみればそうだよね。成績も凄く良いし、真面目だし」
「生活指導に二人まとめて呼ぶのっておかしくね?」
亜美はブツブツと何かを呟いていた。二人一緒、高須君に謝る大河、生活指導…
「高須君、先生達に目を付けられてるのかもしれない」
「どういうこと?」
「思い出してみなよ。大河が狩野先輩に殴り込みをかけた時も、大河が遭難したときも、
そこには高須君がいたんだ。元々、あの見た目のせいで教師からもちゃんと見てもらえて
なかったからね。トドメは集団エスケープ事件だね。ゆりちゃんのお陰で停学には
ならなかったけど」
「でも、高須君が間違ってたとは思えないけど」
「奈々子、大人ってのはね、そういう見方はしないのよ。タイガーや高須君がこの学校に
いること自体が迷惑だって思ってる奴がいるんじゃないの。職員室には」
「そうかもしれない」
「それだけじゃないかも…」
「麻耶?」
「この前、お母さんが特進クラスに不良がいるらしいわねって聞いて来た。そんな人いない
から何かの間違いじゃないのって言ったんだけど」
「あーイヤだ。でも、それが高須君って可能性は高いね」
亜美は吐き捨てるみたいに言った。
「どうして、そっとしておいてあげられないのかしら」
奈々子は哀しげに呟いた。
「まあ、自粛するのは正解だろうね」
そう言って亜美は氷が溶けて少し薄くなったアイスラテを口にしながら、ケジメを付けるには
丁度いいタイミングなのかも知れない、そんな事を考えていた。
***
そして土曜日。授業が終わり、ホームルームも終わって竜児は帰り支度をしていた。
大河と待ち合わせるために竜児が教室を出るのはいつも少し遅めだった。同級生たちが
慌ただしく教室を出て行くのを尻目に、竜児は悠然と構えてのんびりと帰り支度をするのが
習慣になっていた。そうして少し時間を置いてからちょっとだけ閑散とした玄関で大河と
待ち合わせて一緒に帰るのだ。
いつも通り竜児がのんびりとバッグに教科書やらノートを詰め込んでいると、教室に
数人だけ残っていた同級生がざわつきだした。
「高須君、お客さん」
同級生に声をかけられて、そっちの方に顔を向けると教室の入り口に川嶋亜美が立っていて、
にこやかに手を振っていた。
あいつ、何考えてんだ? そう思いつつ、バッグに荷物を詰め込んで机のフックに引っ掛けて
から、竜児は亜美の待つ出入口に向かった。
「なんだよ? 川嶋」
「ちょっと話しがあるんだよね。付き合ってくんない」
ノーとは言わせないわよ、といった表情で亜美は竜児を見た。
「あんまり時間はねぇぞ」
「すぐ終わるわよ。きっと。いいから、こっち来て」
亜美は竜児の手首を掴んで教室から引っぱりだした。二人は階段を下りて一階へ、亜美は
強引に竜児を引っ張り上履きのまま外へ出た。そして竜児が連れてこられたのは一年前に
大河が北村に告白した、あの場所だった。つまり、来客用トイレの外の微妙な空間だ。
竜児はまさかここに連れてこられるとは予想していなかった。確かにここは人はいない。
いないけれど、二階から上の男子トイレに声は筒抜けなのだ。さらに靴は上履きのままで、
無理矢理とはいえ竜児的には気まずいことといったらこの上ない。
亜美は竜児の手首を離して竜児の正面に立った。
「なんだよ。話しって」
亜美は目を伏せた。
「あのさ、あんたに頼みたいことがあんのよ」
「おぅ、なんだ」
「コクるから…」
「へ?」竜児はひどく間の抜けた声を出した。
「ふって…」
「は?」
竜児は口を半開きにして亜美を見ていた。
亜美はそんな竜児の顔を見た。
「あんた、あたしが何を言ったか把握できてる?」
「んーとだな。一応、把握出来ているから理解出来ないんだと思うんだが」
「じゃあ、三十秒だけ待ってあげるから理解して」
「はぁ? お前、いきなり何言ってるんだよ」
「こっちはマジなんだから。逃げないでよ」
竜児の目を刺す様に見据えた眼差しは本当にマジだった。
「わかったよ。逃げたりしねぇよ」
言った時には竜児の胸は傷み始めていた。なんとなく、うっすらとは気付いていたのだ。
亜美の気持ちには。でもそれが本気だと思う程、竜児は自惚れている筈もなく、むしろ本気で
あって欲しくないと思っていたのだ。もし、そうだったら、竜児は亜美を傷つけなければ
ならないから。
そう、それでいいんだよ。そんな表情で亜美は竜児を見た。目を伏せ、ふっと息を吐く。
スッと肩が下がり顔を上げて竜児を見据えた。
「高須君。あなたの事が好き。本当に」
頬を微かに染めて亜美は言葉の一つ一つの音に思いを込める様に言った。少し風が吹いて
奇麗なストレートヘアがひらひらと踊った。均整の取れた奇麗な顔に埋め込まれた潤んだ
大きな瞳が竜児を捉えていた。どこか演技っぽい仕草を全て捨て去って、完璧に自然な
川嶋亜美がそこに居た。
「川嶋…。俺は…」
竜児は一瞬だけ考えて言葉を選んだ。
「俺はお前とは付き合えない。大河を愛してるから、俺はあいつが大好きだから」
竜児は目を伏せた。
「すまない」
「ふふ、ありがと」
亜美はやさしく微笑んだ。目尻に涙が浮かんでいた。
ああ、本当にふられたんだな、そう思った。胸が苦しかった。痛かった。それで、本当に
分った。川嶋亜美は高須竜児が好きだった。亜美が考えていた以上に亜美は竜児が好きだった。
彼にキチンとふってもらって、微笑みながら『ありがとう』、そう言って終わる筈だった。
なのに…
なのに、溢れ出した涙が止まらない。最初から分っていたのに、実らない恋だと分っていて、
ただ自分を納得させるためだけに告白した筈なのに。転ぶと分っていて転んだのに、
転べばやっぱり痛かった。
「はは、涙、止まんないよ。なんでだろ」
「そういうもんなんだよ」竜児は静かに言った。
「そっか。こういうもんなんだ」
「泣くしかねぇんだよ。ったく、無茶な奴だな」
「そうだね…」
「なあ、川嶋」
「なに?」
「俺は、お前とは良い友達でいられる様な気がする。ずっと…」
竜児は残酷だなと思いながら、でも、それは言いたかった。
「なにそれ。慰めてんの」
「そんなんじゃねぇよ。本当にそう思ってる」
「そう…。そうかもね。それが私たちの適切な関係なのかもね」
「そう思うよ」
亜美はスンと軽く鼻を啜った。
「ねえ、泣いてる友達に、泣く場所を提供するのは友達としてアリ? ナシ?」
それが中途半端と言われれば返す言葉も無いけれど、でも竜児は亜美をこのままになんか
しておけなかった。
「……ギリギリで有り」
「お人好しなんだから。そんなんだから、好きになっちゃうのよ」
亜美は竜児の肩に額をくっ付けて、でも身体は付けない様にして、自分のつま先と竜児の
つま先の間に落ちた涙の雫が染みを作っていく様子を眺めていた。奥歯を噛み締めても
漏れだす嗚咽は止められなかった。竜児は亜美の身体には触れず、両手はただだらんと
垂らしたままで、そこに生えている木の様に突っ立っていた。
***
一部始終を建物の影から見ていた奈々子は胸を撫で下ろしていた。奈々子が想像していた
より竜児の気持ちは強かった。亜美が本気になれば、高須君だって少しぐらいは心が揺れて
しまうかも、と奈々子は思っていたから、状況によっては飛び出していって亜美の告白を
妨害するぐらいのつもりでいた。結局、奈々子の出る幕は無く、亜美は失恋して大河の幸せは
守られた。あとは、適当なタイミングで二人に出くわしたフリでもして亜美を慰めながら帰れば
ミッション完了。そうなる筈だった。
「あれ?」
遠くで声が聞こえた。
「まさか?」
近づいてくるのは確かに彼女の声だった。
「りゅうじぃぃ! どこ!」
土煙を上げる様な勢いで校舎から飛び出して来たのはやっぱり大河だった。
「竜児! 無事なの?」
「え?」竜児は間の抜けた声を上げる事しか出来なかった。
無事かと言われれば無事なのだろうが、なぜ大河がそんな事を言っているのか分らない。
それはともかく、この状況はちょっと不味い。この後、無事じゃなくなるような、そんな気配。
「ど、ど、ど、どういうこと?」
大河は竜児の肩に額を預けて泣いている亜美の姿に気付き、キョトンとした表情が魔人の
ごとき怒りの表情に変わっていく。
「りゅうじぃぃ! あんた、一体なぁにやってるのよぉ」
「な、大河。ちょっと…」竜児は大河が何か根本的に間違っていることに気づき、
「タ、タイガー…」亜美は顔を上げて驚き、
「まって! タイガー」奈々子は思わず校舎の影から飛び出した。
鬼の形相で大河は一直線に竜児に突進した。そしてジャンプ。必殺の飛び蹴りが竜児の
脇腹にめり込んで……。亜美も奈々子もそんな展開を予想したのだ。
でも、竜児に近づくにつれて大河の速度は遅くなり、小走りになり、とぼとぼと歩く様な
速度になって、残り二メートル程のところでぱったりと足が止まってしまった。目から
ポロポロと大粒の涙をこぼしながら大河は立ち尽くしていた。
「りゅーじ…なんで? どうして? どーなってんの? わけわかんない」
「行ってやんなよ」
亜美は涙を浮かべたままで微笑んだ。
「言われなくても」
竜児はすっと大河に歩み寄り、うつむく彼女の前に立った。
「誤解だよ」
大河は顔を上げて竜児を睨みつけた。
「ウソ!」
「ウソじゃねぇよ」
竜児は左手を大河の頭に乗せて撫でた。
「今、川嶋と友達になったところだ」
「へ? 友達?」
「おぅ。友達だ」
「なんで? 今更?」
大河は本当に不思議そうに竜児を見た。
「高須君の言ってる事、本当だから」
「ばかちー」
そう呼ばれるのは久しぶりだな、と亜美は思った。
「あたし、高須君に振られたから」
「え?」
「コクって振られたから。大河が好きだから付き合えないって、はっきり言われたから」
「そう、なの?」大河は竜児を見上げた。
「ああ、そうだよ」
竜児は優しい口調で言った。眼差しは優しかった。大河にはそう見えた。
「けどよ、川嶋とは友達でいたいんだよ。俺は」
「竜児…」
「それは、いいだろ?」
「…なら、いい」
カクッと大河の膝から力が抜けて崩れそうになった。竜児はとっさに片膝をついて大河を
抱きかかえた。
「おい、大丈夫か!」
「ごめん、なんか、ホッとしたら腰抜けた」
「心配させるなよ」
「あたしの方が百万倍は心配したわよ」
「すまねぇ」
「いいわよ。結局、あたしの早とちりだったんだし。ホント、相変わらずドジだわ」
「大河、立てるか?」
「はは、まだ膝がガクガクしてる。思ったよりも効いてますよ。これは」
おどけて話す声も小さな肩も震えていた。
「保健室。すぐそこだし。貧血とでも言っとけば休ませてくれるでしょ」
亜美が言った。
「そうだな。大河、首に掴まれ」
「え? あ!」
竜児は大河を抱きかかえてゆっくりと立ち上がった。大河は竜児の首に腕をまわして
掴まった。お姫様だっこされて大河の顔はすっかり赤くなっていた。
「あたしも行く。あんた達だけじゃあらぬ誤解を招きそうだからね」
亜美は泣き腫らしたままの目で微笑んだ。
「おぅ。助かる」
「で、奈々子はここでなにしてんの?」
亜美の問いに奈々子は曖昧に引きつった様な笑みを浮かべる事しか出来なかった。
***
保健室の窓側のベッドで大河は横になっていた。ベッド脇の椅子には亜美が腰掛けていて、
竜児と奈々子は鞄を取りに教室に戻っていた。一応、貧血ということになっていた大河は
形式的な問診を受けさせられ、検温されたりしたのだが、健康上の問題が有ろう筈もなく、
養護教諭のしばらく休んでから帰りなさいという言葉に甘えてベッドの上で休憩中だった。
その養護教諭も今は職員室で雑務中、保健室にいるのは大河と亜美だけだった。
「ばかちー」大河は天井を向いたまま亜美を呼んだ。やっぱりバカだから『ばかちー』だ。
「ん?」亜美は外を見たまま応えた。やっぱり『ばかちー』の方が馴染む。
「なんで、あんな事したの?」
「好きだったから」
「そう…」
亜美は外の風景を眺めながら静かに話し始めた。
「高須君はさ、私の中身を知ろうとしてくれてた。それが嬉しかったのかもね。こいつと
一緒にいられたら素敵だなって思うようになってさ、でも、あたしが高須君を好きって気持ちは
全然中途半端でね…」
大河は黙って天井を見ている。
「…彼にはあたしなんかより大事な女の子が他にいてさ、その娘は彼のことがメチャクチャ
好きで、きっと二人でならどんな事でも乗り切っちゃえるんだろうなって。あたしはその娘の
事も結構好きなんだ。口喧嘩ばっかりしてるけどね」
「へぇ」
「だから彼の事を好きって気持ちを消そうと思ったんだよね。どうせふられるって分かってたし。
ふふ、なんだかどっかで聞いた様な話だね」
「初耳だわ」
「フン。でもね、あたしは我侭だから、あたしもあんたの事が好きだったんですよーって事を
高須君に知ってて欲しかったのよ。そんでスパッとふられて、ちゃんと友達になれたらいい
なって思ったのよ」
「もともと友達でしょ」大河はボソボソと言った。
「ケジメの問題よ」
「めんどくさ」
「でもね、もう、あっけないぐらいあっさりふられたわよ。秒殺あるいは瞬殺よ。亜美ちゃん、
こ〜んなにカワイイのに。失礼な奴よね。せめて一分ぐらいは悩めっつーの」
「そう…」
「そしたらね。予定通りだったのにね、予想通りだったのに、どうにも泣けてきちゃったのよ。
自分があんなふうになるとは思わなかった。もう、どうにも身動き取れなくて、そんで泣く
場所を借りたのよ。ロマンチックでしょ」
「まったく、貸す方も貸す方だわ」ブツブツと言った。
「あそこで見捨てて帰るような奴だったら最初っから要らねーって」
「そりゃ…そうだけどさ」
「で、そこにあんたがすっ飛んで来て、あとはもう…」
「わるかったわね」
カラカラと引き戸が開いた。
竜児と奈々子はそれぞれ二人分の鞄を持って戻って来た。竜児は鞄を床に置いて、大河が
横になっているベッドの脇に立った。
「大河、具合は?」
「うん、落ち着いた。もう大丈夫」
そう言って大河は身体を起こした。
「その…、悪かったな」
「ううん、竜児のせいじゃないもの。悪いのは全面的にばかちー」
大河は亜美を一瞥。
「あたしだって別にあんなみっとも無いところを見せるつもりなんてなかったのよ。あそこに
あんたが来たのは予定外」
「だって、竜児がボコボコにされるって聞いたから、もう、あたし真っ白になっちゃって
飛んでったのよ」
「俺がボコボコ? なんだそれ?」
「だってさ、竜児がなかなか来ないからさ、あたし探したのよ。そしたら能登と春田が竜児が
ボコボコにされるって言ってて、そんで、あたしは二人に『どこじゃ〜』って聞いたら場所を
教えてくれて…」
「なんだ、そりゃ」竜児は首を傾げた。
「あ〜っ!」亜美が声を上げた。
「それ、男子トイレの近くじゃね?」
「そう言えば、そうだったかも」
「はは、あはははは」突然、亜美は声を上げて笑い出した。
「チョー、おかしー。ぜってー笑える」
「な、なにがおかしいのよ?」
「だってさ、考えてみなよ。あの状況に出くわして高須君をボコボコにしそうなのは誰か」
「へ?」大河には分らない。
「あ!」竜児には分った。
「なるほどね」奈々子にも分った。
三人の視線が大河に集中。
「あ、あたしっ?」
「正解よ!」
「そりゃ、能登も春田もビビったろうな」
「タイガーに見られたら高須君ボコボコにされるって言ってるところにタイガーだもんね」
「しかもさぁ」
「どこじゃ〜、って」
大河の顔は赤く染まって耳の先まで真っ赤だった。
「はぁ〜もう、恥ずかしいからやめておくれよ」
竜児は大河の頭にぽんと右手を乗せてくしゃくしゃと撫でた。
「ありがとよ。助けに来てくれたんだな」
「そうよ。もう、ほんっとに真剣だったんだから」
口を少し尖らせながら大河は竜児を見上げた。
「ただの早とちりでホントによかったわよ」
優しい表情で見つめ合う二人を、亜美と奈々子は同じ様に優しい目で見ていた。
***
竜児の手の中でくるくるとシャープペンが回っている。宿題を終わらせた後、予習に手を
つけたのだが、これが一向に捗らない。宿題と違って予習には明確なノルマというものが
無いからやる気というものが必要なのだが、今の竜児の脳みそを支配しているのはそういう
勉学へのモチベーションなどではなく悶々とした感情と葛藤だった。
原因はシンプルだ。倒れかけた大河を抱きかかえた時のことを不意に思い出したのだ。
彼女を抱きかかえてベッドに運ぶという行為は否応無くセックスを連想させるものだったし、
そのとき両腕に感じた質量や、抱えた身体から伝わる熱にたまらない愛おしさを感じたのも
事実だった。そして感じた愛おしさは竜児の性的な衝動を燻らせていた。
気持ちは半々だった。
彼女と一線を越えてしまいたい。越えてしまえと思うこともある。より低レベルな欲望も
健在だけれど、それよりもうちょっと気持ち的なところで、もっと彼女と強く繋がるために
必要なコトだとも思う。
ただ、やはりどこか恐ろしいのだ。
泰子が自分を身篭ったのはどう考えたって事故みたいなものだったろう。泰子が自分を
愛してくれていることは疑う必要のない真実だけれど、勢い任せのデタラメなセックスが
彼女と彼女の両親の人生に多大な影響を与えたことは間違いなく、ゆえに竜児は自分が適切な
手順さえしっかり踏めば、まず大丈夫だと分かっていても、やっぱり大河を抱くのは怖かった。
もし、彼女を妊娠させてしまったら、そのときは出来る限りのことは勿論、無理だって
無茶だってするつもりだし、逃げ出したりするつもりだって更々無いけれど、でも、
今の自分に大したことが出来無い事も分かっている。そうなったときの代償の大きさは自分で
散々見てきたのだ。それでも、竜児は大河を抱きたかった。もっと、強く繋がってみたかった。
でも……。
そんな思考の無限ループを何回繰り返したのだろう。保留にしては蒸し返し、そんなことに
何時間も、いや何十時間も費やしているような気がした。そんな竜児のループ思考を強制中断
させたのは携帯電話の着信音だった。
「たいが?」
おやすみコールの時間にしては早かった。まだ、十時半だ。もう寝るのかよ。まあ、今日は
色々あったからな、などと考えつつ竜児は着信ボタンを押した。
「俺だけど」
「あ、竜児。あのさ、今から行ってもいいかな。ていうか、下まで来ちゃってるんだけど」
「へ?」
「だめ?」
「あ、いや、かまわねぇけど」
竜児が部屋を出ると外階段を駆け上がってくる音が聞こえた。玄関の鍵を開けてゆっくりと
扉を開けると、そこにはちょっとだけ申し訳なさそうな表情をした大河が立っていた。
「ごめん、来ちゃった」
「まあ、いいから入れよ」
「うん」
大河は靴を脱いで上がると居間のいつもの場所に座った。
「何か飲むか?」
「いい」
「そうか」
竜児もいつもの場所に座った。
大河はなにか思い詰めている様な感じでずっと黙りこくっていた。二分間程も続いた
沈黙に堪えられなくなった竜児が、「どうしたんだよ?」と聞くと、体育座りをしたふわふわ
コットンの大河はぽつりぽつりと話し始めた。
「あたし達さ、去年、ずっと一緒に居たじゃない」
「おぅ」
「夜遅くまで二人っきりで居たじゃない」
「そうだな」
いい若いモンが恥じらいもなくゴロゴロと一緒に過ごしていたなぁ、と竜児はその頃の
様子を思い出す。
「竜児はあたしのこと、ちゃんと女として見てくれてるんだよね?」
「あたりめぇだろ。でなきゃ、…嫁に来いなんて、言わねぇよ」
大河の口元が小さく微笑んだ。
「…じゃあさ、あんた抱きたい? あたしのこと」
竜児は眼をそらして頬を掻く。あまりにもタイムリーだった。
「だ、抱くって、なんだよ?」
「わかるでしょ、その、あれよ、えええ、えっちよ。なに言わせてんのよ!」
真っ赤な顔をした大河がべったりとまとわりつく様な視線で竜児を睨んだ。
「そりゃあよ…」
「うん」
「…してぇよ」
答えた竜児も耳まで赤い。
俯いた二人に沈黙がおとずれて、それが続く事約五十秒。
「よかった…てっきり女としての、その、魅力がさ、無いのかなって」
「んなわけねぇだろ」
「あんまりキスもしてくれないしさ」
竜児は自分の頬に右手を当てて眼を伏せた。
「俺は怖かったんだ。ブレーキがかけられなくなるっていうか、見境がなくなるっていうか、
それでお前を傷つけたくないし。それに、お前に泰子みたいな苦労はさせたくないし…」
「でも、ちゃんと、その、なに、あれよ、ナニはちゃんとしてくれるんでしょ」
「あ、あたりまえだろ」
大河は膝の上に顎を乗せて、まるで子ネコのように小さくまるくなって話す。
「あのさ、あたし、不安なんだ。今すぐじゃなくてもいいんだけどね。ちゃんと、竜児の
彼女になりたいのよ」
「今だってちゃんと彼女じゃねぇか」
「そうなんだけどね、もっとね…」
「そりゃ、俺もそう思うけどよ…」
「待ってるから。でも、早くしてくれないと待ちきれなくなって襲うかも…」
大河は天使の様に微笑みながら悪魔みたいなことを言った。
「う、なんか、リアルだな」
竜児は自分が大河を襲うより、大河に襲われる事の方がよっぽどリアルに思えてしまう
ことが情けなかった。彼女を組み敷いている自分よりも彼女に跨られている自分の方が
想像しやすい。情けない事に。
「でもさ、あたしドジだからとんでもない事になるかもね」
確かに大河はドジだ。筋金入りだ。今日もそうだった。
「そうかもな」
「じゃ、じゃあ、あんたがちゃんとしてよね」
「お、おぅ」
「あたしだって、こわいんだから」
入っていくより受け入れる方が何倍も怖いだろう。
「こんなカラダだし。見たら引くかも…」
段々声が小さくなり、最後にちいさく『ハァ』と溜息。
「ばぁか」
竜児は大河の頭をくしゃくしゃと撫でた。
「大河、見てもらいたい物があるんだ。ちょっと待ってろ」
竜児は自分の部屋に行き、すぐに居間に戻って来た。手には百二十パーセント事務的な
茶封筒。その中に入っていた薄紫色の便箋を取り出して大河に渡した。
大河は便箋を受け取って折り畳まれていたそれを開いた。大河の眼が便箋の上を
三往復程したところで動きが止まり、手入れの行き届いていないロボットみたいな動きで
カクカクと顔を上げて竜児を見た。さっきまで苺ミルク色だった顔はトマトみたいに赤く
なって、頭から湯気が上がっているのが見えるみたいだった。『ぽぉお〜』という効果音が
ばっちりハマる程だった。
「竜児、これって?」
「泰子だよ。母さんが書いてよこした」
「りゅ、りゅーちゃん、あんど、たいがちゃん、あ、あいのせいやくしょ…」
「いや、朗読しなくていい。恥ずかしいから黙読で頼む」
薄紫色の紙にまるっこいヘタ文字で書かれていたのはこんな文面だ。
『竜ちゃん&大河ちゃん 愛の誓約書 byやっちゃん
えっちしてもいいけど、ちゃんと約束守ってね。
・ちゃんとコンドームを使うこと。女の子に安全日はないんだよ!!!!
・大河ちゃんがしたくないときは絶対にしないこと!
・大河ちゃんがいやがることをしないこと! させないこと!
・生理中はだめ!
・竜ちゃんのお部屋か大河ちゃんのお部屋で(応談)
・竜ちゃんは朝まで大河ちゃんといっしょにいてあげること(基本よ)
・するときは朝までにやっちゃんに連絡(帰る時間を遅らせてあげるからね)
・何かあったらやっちゃんにすぐに連絡すること
・LOVE & ピース
そんなとこかな(はあと)
↓ここに署名』
竜児がこの怪文書を泰子から受け取ったのはゴールデンウィークの最初の休日の朝だった。
竜児も大河と同じように脳天から湯気を吹き上げながら、しかし泰子の真剣な表情に
『そりゃあ、泰子にしても気が気じゃないだろう』と思い、一つずつ丁寧に説明する泰子の
言葉を仔細漏らさず拝聴したのだった。全ての項目(LOVE & ピースは除く)を説明した後、
泰子は「やっちゃんからのプレゼント」と言ってコンドーム一箱を取り出した。外装フィルムを
剥がして、箱の中から個包装されたラテックス製のブツを取り出し、使い古しの化粧品か
なにかのボトルを餌食に、正しい装着方法と使用上の注意を説明した。そして、最後の
トドメに『大河ちゃんには竜ちゃんから説明してね』と、のたまった。
「それ、お前の母さんも知ってるんだと。大河ちゃんのママも分かってくれてるからね〜、
だそうだ」
「え、え?どぇぇ?」足をばたつかせ畳の上を転がり回る大河を見ながら、竜児は、まあ、
そりゃそうだろうと思っていた。自分だって泰子から聞かされた時は似た様なものだった。
「いいか、大河。俺はお前にきっちり説明するよう泰子から言われてる」
大河はふるふると小さく震えながらコクリと頷いた。
幾分偉そうに話し始めた竜児も首から上は真っ赤になっていた。恥ずかしい事この上ないが
泰子からの大マジなメッセージなのだ。役者不足も甚だしいんじゃ無いかと自問しつつ、
『俺がやらねば誰がやる』と無理矢理にテンションを上げて竜児は話し始めた。
「ま、まずはヒ、ヒ、ヒニンについてだ・・・」
もともと、過剰の上に超が三つ付くくらいの潔癖性。多少、マシにはなってきているが平然と
好きな娘の前で『こんどーむ』などと発声できるはずもなく、つっかかったり、声を裏返したり
しながらやっとの思いで十五分程かけて任務を完了した。
その後、便箋の下の方の余白に二人で署名した。そうするように泰子に言われていたのだ。
いかにも几帳面に丁寧に書かれた竜児の名前の隣に、少しを丸みを帯びた丁寧な文字で大河の
名前が書き込まれた。
大河は「婚姻届みたい、だよね」と小さく呟いて竜児に向かって微笑んだ。
その微笑みに竜児は背中を軽く叩くみたいに優しく押されたような気がした。
***
竜児と大河は家を出て鍵をかけた。外階段を下りていくとボサボサ頭の小柄な人影が
近づいてきた。今日もお好み焼き・弁財天国は盛況だったようだ。
「あれ〜、竜ちゃん、大河ちゃんどうしたの」
「ああ、大河を送ってくところ。すぐ戻るからよ」
「そう、遅いから気をつけてね」
「おぅ」
「あ、そうだ。竜ちゃん、ちょっと待って」
泰子はハンドバッグの中をごそごそと探り、小さい紙袋を取り出した。
「サイズ直し出来たから。大河ちゃんに渡してね」
そう言って竜児に小さい紙袋を渡した。竜児は袋から取り出した指輪を左の掌に載せた。
「泰子がサイズを直してくれたんだ。ちょっと填めてみろよ」
「本当!?」
大河は竜児の掌を眺めた。
「えーと、俺が填めてやったほうがいいのか?」
「いい、自分でつける」
大河は竜児の掌から指輪を取って恥ずかしそうに薬指に填めた。
「ぴったり」
そう言って、その場でくるっと身を翻して月に背をむけると、小さな水色の石が月明かりで
一番輝く角度を探して広げた左手をゆっくりと動かした。大河はそれが美しく光るアングルを
探し当て、本当に嬉しそうに目を細めて指輪を眺めていた。
大河があまりに嬉しそうにするものだから竜児はちょっと申し訳ない気分になった。
「ばあちゃんのだってよ。値段も付かない安物だけど、そんなんでいいのかよ?」
「いいの! だって、こんなに綺麗だもの」
そう言って、振り返った大河の笑顔は月明かりに照らされて白く輝いていた。
(つづく)
以上で『きすして2(中)』の投下を完了します。
(下)の投下は29日夜の予定です。
>>409 玉砕亜美ちゃん萌えw
亜美ドラ書いてる私が言うのもなんですが…
やっぱ亜美ちゃんは振られてこそ、亜美ちゃんですねぇ。
大河も可愛いし、GJです。
>>409 GJです。
みんな自分に真剣なところがいいよね。
続き期待してます!!
いや〜作品投下が少なくなってきてもしっかりチェックしてて良かったよ
亜美があえて振られるとか展開的にはありそうな話だけど
それをうまくとらドラ原作の雰囲気そのままに描けてて違和感なかった
奈々子は若干作者の思い入れが見えちゃったけど、このスレ的には奈々子はああだしね
いやGJでした
マジキチは来なくなったし、いい話の投下は続くし、おぢさんマジ嬉しいよ。職人のひと乙であります。
GJ!!
玉砕亜美ちゃん…。
続き楽しみにしてるよおお
良作が連投されていて嬉しい
KARs様は本能に訴えかけるような苦悩や葛藤の描写が抜きん出て上手いっすね
416 :
名無しさん@ピンキー:2009/07/29(水) 12:28:22 ID:duxisk9Z
みのみのみのみのみのみのみのみのみのみのみのみのみのみのみのみのみのみのみのみのみのみのみのみのみのみのみのみのみのみのり〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん!!
>>201は早く中学を卒業して大学でイタリア語を専攻すると良い
418 :
名無しさん@ピンキー:2009/07/29(水) 19:43:52 ID:ZrZYacC+
板語授業が単位認定されなかったでござるの巻
>>409 タイガーがやっぱり可愛い
あーみんもナイス玉砕だ
続きがたのしみ
なんだか急に竜児×会長物が読みたくなった。具体的に言うと竜児が高校一年のときに会長にスカウトされて〜的なものを
きすして2(下)の投下を開始します。
物量:13レス
題名:きすして2(下)
エロ:あるよ
今日、「とらドラの全て」発売だけど
書き中、もしくはプロットだけのSSが、明かされる新事実で駄目にならないか、すげー心配
反面、新たな燃料貰えそうで期待もしてるが
五月下旬の土曜日の朝、木造アパートの二階部分にある高須家の玄関と地上を結ぶ外階段を
カーマインのブレザーとブルーグレーのスカート、黒いニーソックスに身を包んだ少女が
軽やかに駆け降りていた。最後の三段ほどを一気に飛び降りて地上にタンッと着地を決めると
「竜児、早く! おいてくわよ!」と、玄関に向かってちょっとばかり近所迷惑な大声で
言い放った。
当の竜児はまだ玄関でちょっとくたびれてきたローファーに片足を突っ込んだところで、
そんな竜児の後ろ姿を泰子は笑顔で眺めていた。
「大河ちゃん、今日も元気だね〜」
「あぁ、どっから、あんな元気が出てくるんだか」
竜児はヤレヤレって顔をしながらもう片方の靴を履いて泰子の方に振り向いた。
「じゃ、行ってくるわ」
「いってらっしゃ〜い…」と、泰子は竜児を送り出したつもりだったのだが、
竜児の視線は小蠅でも追いかけているみたいにフラフラ〜っと彷徨っていた。
「…どうしたの?竜ちゃん」
竜児は不思議そうに尋ねる泰子の顔をチラッとみてから、またそっぽを向いて、
人差し指でポリポリと頬をかきつつ口を尖らせバツが悪そうに
「あ、あのさ、今日、大河が泊まってくから」と言った。
「…うん、わかったよ」
泰子は優しく応えた。竜児は肩で大きく息をして振り返り玄関から出て行った。
竜児が階段を駆け下りていく音を聞きながら、泰子は自分の表情が寂しさに染まっていくのを
感じていた。
「おっそい!なにやってんの!遅刻しちゃうじゃない」
「お前がいつまでも食ってるからだろ。ほら、いくぞ」
「あ、こら、ちょ、待ってよ…」
遠ざかっていく二人の声を聞きながら泰子は玄関のドアを閉めて鍵をかけた。
***
二人はいつもの通学路をいつもの様に袖が触れ合う様な近さで並んで歩いていた。ちょっと
湿り気を感じさせる空気は春がとっくに終わってしまっていて、梅雨という厄介な宿敵が
すぐそこまで来ていることを竜児に感じさせた。
「ねえ、ちょっと暑くない?」
「ああ、もう五月も終わりだからな」
「そっか、もう夏服か」
それっきり、二人は言葉もなく並んで歩いた。竜児の視界の隅で大河のステップに合わせて
粟栗色の髪の毛がふわんふわんと踊っている。髪が踊る度に優しい香りがして、それが
竜児の心をくすぐって、視線はどうしたって大河の旋毛の方に引っ張られる。
その気配に気付いたのか、不意に大河の顔が竜児の方を向いて目と目が合った。
「何見てんのよ?」
「いいじゃねぇか。減るもんじゃ無し」
「減るのよ」
「へぇ、そりゃ初耳だ?」
「教えてあげるわ。あんたの眼から放射される怪しいビームのせいであたしの質量は毎日
一グラムづつ減っているのよ」
「そいつは大変だな。あと百年もしたらお前の体重はほとんど無くなっちまうんだな」
「そうなのよ。失われる質量を補う為に肉が必要だわ」
「朝飯、食ったばっかりなのに肉の話しかよ」
「フン」
「つまり、肉が食いたいんだな?」
「違うわ。食べなければならないのよ」
「要するに肉なんだな」
「そういうことよ」
そしてまた沈黙。なんとなく途切れ途切れな会話。
「ねぇ」
「なんだよ」
「あんた、ビビってる?」
「お前は?」
「あんたはどうなのよ?」
「俺はビビってないぞ。どっちかといえばテンパってる」事実、竜児は寝不足だった。
「大差ないわよ」大河はあっさりと言った。
「お、お前はどうなんだよ?」
「あたしは…ビビってるかも…」
「怖いのか? だったら…」
「いいのよ。怖いだけじゃないから」竜児の言葉を遮る様に言った。
「…わかったよ。ちゃんと泊まるって言って来たんだよな?」
「当然よ」
「なんか言ってたか? お前の母さん」
「それが…がんばってね、と…」
「がんばる?」
「何を頑張るのかが分んないのよね。やってみれば分るわよってママは言ってたけど…」
「そ、そうか」
「と、とにかく、頑張る為には肉よ!肉」
「お、おぅ、そうだな。肉だな」
あまり考えず、いつも通りにするのがいいのだろう。考えたら、何も手につかない。
まあ、今日の授業は何も頭に入らないだろう。教師には申し訳ないがそれどころではない
のだ。二人ともそうだった。
***
いつもは大河と一緒に下校する竜児だったが、今日は別行動だった。スーパーで買い物を
済ませ、帰宅した竜児はそれはもう目一杯気合いをいれて掃除した。特に風呂場と自室は
念入りに、隅々まで、執拗なまでに、埃一つも見逃さない魔眼を光らせてゴミの方が逃げ
出す程の勢いで掃除をした。もともと、十分キレイなのだが、掃除せずにはいられなかった。
少しの休憩を挟んで竜児は夕食の仕込みを始めた。メインはハンバーグ。付け合わせに
野菜のソテー、レタスとプチトマトのサラダ。みそ汁にするかスープにするかは大河に
選ばせるつもり。すでに炊飯器は元気に稼働中である。
竜児が捏ねたハンバーグを小判形に整えていると、アパートの外階段を小さな足音が
上がってきた。バァーン、とドアが吹き飛びそうな勢いで開き、「たのもーっ!」という
大河の声が台所の窓をビリビリと振るわせた。
「お前は道場破りか!」と、軽く突っ込んだ竜児が見たのは、さながら家出少女みたいな
格好をした大河だった。大河は今日も見事なぐらいにフワフワなのだが、どうして一泊二日
なのにそんな大量の荷物になるのだ?というぐらいの荷物を抱えている。しかも、どこで
何を買ったのか、ぶら下げたエコバッグはパンパンに膨らんでいた。
竜児は大急ぎで手を洗い、大河からエコバッグを受け取って部屋に招き入れた。
「なんつー量だよ」
「しょーがないのよ。女の子の外泊は大変なのよ」
「ったく、こんなに買うんだったら呼べよ。運んでやったのに。で、何を買ったんだ?」
「シャンプーとか、リンスとか、ボディーソープとか、いろいろ」
大河はエコバッグからボトルを一つずつ取り出して卓袱台に並べていく。
「シャンプーとかリンスは泰子のでいいじゃねぇか」
「あんた、なんにも分かってないわ。こだわりよ、こだわり」
「はいはい」
言いながら竜児は狭い浴室がさらに狭くなるのかとちょっと憂鬱になる。
「こっちはいいから竜児は晩ご飯の支度をしてよ。ハンバーグでしょ」
「お、おぅ。そうだ、大河、スープとみそ汁とどっちが良い?」
「今日のソースは洋風? 和風?」
「今日は洋風のつもりだが……和風もできるが…」
大河は腕を組んで眼をつぶり眉間にちょっと皺を寄せている。首がゆ〜らゆらと左右に
動いたかと思うとカッと眼を開いて言った。
「ミネストローネだわっ。できるわよねっ!」
竜児は、お前のインスピレーションはどこの宇宙から来るんだよ? と思いながら、
「おぅ、まかせとけ」と応えた。
竜児は台所に戻りハンバーグの下ごしらえを再開し、大河は調子っぱずれの鼻歌まじりに
荷解きを始めた。
***
夕食の後片付けを終えた竜児が、いかにもカラスの行水でございます、といった感じの
入浴を終えて居間に戻ると、大河はまだ髪の毛を乾かしている最中だった。大河の身体を
包んでいる白いコットンのネグリジェはレースと刺繍で上品に装飾されていて、いかにも
大河が好きそうな感じだった。あまりに似合っていて可愛いものだから、竜児はボケッと
大河を眺めていた。髪の毛を乾かす不器用な仕草まで愛らしく思えてくる。
「はやっ。ちゃんと洗ったんでしょうね」
「ったりめぇだろ。男の風呂なんてこんなモンじゃねぇの」
大河はしげしげと竜児を眺めていた。竜児が着ているのはオフホワイトのリネン生地の
パジャマで、大河が持って来たものだった。
「まあまあじゃない。似合ってるわよ」
「そうか?」
「馬子にも衣装とは良く言った物だわ」
認めたくはないが竜児も自分でそう思った。なんとなくセレブでリッチな感じだ。
「ふん、好きなだけ言ってろ。でも、これホントに着心地いいな」
「気に入った?」
「おう。ありがとよ」
竜児は、畳の上にペタンと座って髪を乾かしている大河の後ろに胡座をかいた。ふわっと
した大河の香りが竜児を包み込み、それは竜児の胸の内側をくすぐった。
「やってやる。タオルとドライヤー貸せよ」
「へっへー」
竜児は大河の粟栗色の髪の毛をタオルで丁寧に拭いて水気を取ってから、熱を入れすぎない
ようにドライヤーを振りながら髪の毛を乾かしていった。大河はひなたぼっこをする
ネコみたいな表情で、竜児に毛繕いを任せてまったりとしていた。乾いて元の軽さを取り戻した
髪の毛がドライヤーの風に踊っていた。
「おっし、いいんじゃねぇか」
「じゃあ、これでまとめて」
大河は竜児にシュシュを渡した。シンプルなレースのリボンが可愛らしい。
「こんなの持ってたっけ?」
竜児は乾いた髪の毛を一つにまとめて、少し左側によせてシュシュで留めた。
「ママに借りたのよ」
「へぇ、なかなか良いな。似合ってる」
「でしょ」
大河は上半身だけひねって竜児に横顔を見せた。
「ありがと。あんた、ホントにこういうのは上手よね」
「お前はいっつも一言多いんだよ」
竜児は口を尖らせて言った。
「あら? どこが」
「もう、いい」そして、軽く溜息。
「ねえ、ここに座っていい?」
大河はあぐらをかいている竜児の左膝に右手を添えた。
「…お、おぅ」
「ん、しょっと」
大河はずるずる〜っと動いて竜児の左太腿に腰を下ろした。
竜児のすぐ目の前に大河の横顔がきて、髪をまとめてあらわになっている白いうなじに
微かに赤味が差していく様子が見えた。小さな身体はやっぱり軽くて、まるでネコが膝の
上で遊んでいるようだった。
「鼻息荒い」
「うっ」竜児は慌てて顔を横に向けた。
「思ってたほど座り心地よくない。でも…」
大河は竜児の胸にもたれかかり寝間着の薄い生地越しに体温が伝わる。
「…居心地はいいけどね」
その言葉でそっぽを向いたままの竜児の口元が緩んだ。
「ねえ、やっちゃんは?」
「毘沙門天国のヘルプだってよ」
「大変じゃないの?」
「ん、でも二時ぐらいで上がるって言ってたから大丈夫だろ」
「そう……無理させちゃダメだからね」
「わかってるよ…もう、無茶はさせねぇから」
「ねぇ、重くない?」
「ちっともな。もう、太るなよ」
「うっさい」トンと軽く肘鉄。
「あんなのは遺憾な事態はこりごりだわ」
「ふん、俺だってごめんだ」
「ちょっと暑い」
「しょーがねぇだろ、風呂上がりだし……」
「だね……ん、しょっと」
大河は竜児から背中を離して、身体を捻って竜児の方に顔を向けた。
竜児はそっぽを向いていた顔を大河の方に向けて彼女の顔を見た。小さな白い顔は薄らと
桃色に染まっていて、生命力を感じさせる瞳はちょっとだけ潤んでいるみたいだった。
まるで縛り付けられるみたいに竜児が見つめていると、大河の顔がすっと上を向いて二人の
視線がぶつかった。それに気付いた大河の唇が微かに動いて白い歯が微かに覗いた。
「なによ」
「見てるだけだろ。いいじゃねぇか」
「眼が血走ってる」
「ほっとけ、遺伝だ。見たくねぇなら見なきゃいい」
「そっか、そうだね」と言って、大河は瞳を閉じた。
瞼が閉じられると大河の顔立ちの美しさが鮮明になった。きれいに頬から顎に繋がる
ライン、小振りできれいな形の鼻、閉じた瞼の境界をくっきりと示す長い睫毛。そして
わずかに開いた桜色の唇。見慣れていても見入ってしまう程の美しさ。そして、見慣れて
いなければすくむ様な美しさがすぐそこにある。
「ね、きすして」
その小さな囁きに応えて竜児の顔が大河に近づき唇を軽く触れ合わせた。
竜児は、大河は、互いの鼓動が加速していくのを感じた。竜児は唇を離して右手で大河の
左の頬に触れ、もう一度、長いキスをした。
頬を包む竜児の右手にそっと添えた大河の左手の薬指で、泰子から貰った古い指輪が
光っていた。
「ずっと、傍にいてくれるよね?」
「おぅ、お前の傍が俺の居場所だからな」
「どんな時でも?」
「どんな時でも。楽しい時も、辛い時も、ずっと」
「うん、約束だよ」大河は竜児の肩に額を押し当てた。
「ああ、約束だ」竜児は言った。
***
竜児が電灯の消し忘れや火元の確認をしてから自分の部屋に入ると、大河はもう竜児の
ベッドにしっかり収まっていた。大河は顔まで毛布にもぐって、壁の方を向いたまま身じろぎ
一つしないで黙りこくっていた。
竜児の机に置かれているデスクライトが壁の方に向けられていて、それが間接照明になって
いた。天井からつるされた蛍光灯は消されていて、常夜灯の電球だけがオレンジ色に光っていた。
仄暗い部屋の中、弱い白い灯りに毛布の上に脱ぎ捨てられたネグリジェが照らされていた。
「脱いじまったのか」と、問えば
「脱いじまったわよ」と、小さな声が答えた。
竜児はパジャマを脱いで大河がそうしたように毛布の上に不本意ながら畳まずに置いた。
毛布の端をめくると大河の白い肩が覗いてそれが微かに震えた。竜児がベッドに入ると
そこはすでに大河の体温で暖められていて、それが大河の存在を竜児に強く感じさせた。
「怖いのか?」竜児は大河の白いうなじに聞いた。
「ううん」大河は毛布のなかで竜児の方に向き直った。
「裸……見られたくなかったのよ」
そう言った大河の瞳はちょっと潤んでいた。
「抱き締めて……くれるよね」
「……おぅ」
竜児は怖々と大河に手を伸ばし、そして触れた。多分、抱き寄せれば、抱き締めたら
もう止まれない。でも、かまわない。止まる必要なんて無いから、かまわない。
竜児はぎこちなく大河を抱き寄せた。裸の肌がふれあって何にも邪魔されない直の温もりが
伝わっていく。その熱に、肌触りの生々しさに、鼓動はどこまでも加速していくようだった。
抱き竦めた大河の身体はあまりにも華奢だった。
抱き締めた竜児の胸は厚くて熱かった。
二人は互いの愛おしさを言葉にすることができなかった。竜児はただ深いため息をもらし、
大河は熱い吐息を漏らしただけだった。
竜児は大河を片腕で抱きしめたまま、大河の身体が仰向けになるように身体を動かした。
大河に重さを感じさせないよう、片腕で身体を支えながら大河の小さな身体に覆いかぶさった。
閉じていた大河の瞳がゆっくりと開いて竜児を見た。
「すごいね」
「ああ、すげぇな」
「ねえ、りゅーじ」
「おぅ」
「…して」
大河は瞼を閉じた。唇が重なって少し濡れた音がした。唇が離れると大河は苦しげな
甘い吐息を漏らした。竜児は大河の右側に寝そべって大河の髪を優しく撫でた。
「大河、すきだ」
「うん……しってる。私も…」
大河の頬を竜児の手が包み、指先が耳に触れた。くすぐったそうに大河は微かに身を
よじった。微かに開いている大河の唇に吸い寄せられるみたいに竜児はキスをした。
ふっくらとした大河の唇の柔らかさを確かめるみたいにキスをした。
支援
頬を包んでいた竜児の手がすっと離れていった。竜児の右手は大河の肩にスッと微かに
触れてから、ゆっくりと大河の左胸のふくらみに触れた。大河の乳房は竜児の手で完全に
包めてしまう慎ましい大きさだけれど、そのふわふわとした手触りは何の経験も持ち
合わせていない竜児の理性をいとも簡単に蕩かしていった。竜児は指先で柔らかさを
確かめる様な、戸惑った指使いで小振りな胸をほぐしていった。
大河は切ない声を漏らして苦しげにも見える表情を浮かべた。竜児の指が動く度に僅かに
身体がよじれてシーツを握りしめている手に力がこもる。その様子に急き立てられて、
竜児はピンク色の小さな乳首に触れ、人差し指でそれをこねるように弄った。
「んっ、ちょっと、いたい…やさしく、して」
「あ、わるい。すまねぇ」
大河の声で竜児は自分を取り戻した。自分が走りすぎて、痛みや恐怖を感じさせたことに
胸が痛んだ。そんな竜児の頬に大河の左手が触れた。不意に触れた暖かさに竜児は大河の顔を
見た。
「大丈夫。気持ちいいから、つづけて」
「おぅ」と、応えて、そしてキス。やさしく。触れ合わせるように。
竜児の指が軽く撫でる様に触れていく。竜児の指が乳房をさわさわと撫でる度に
大河の口から甘い声が漏れた。竜児は敏感な部分には強く触れないようにしながら、柔らかい
肉の質感を探るように揉みほぐしていった。大河の息づかいは荒くなり、息が吐き出される
たびに喘ぎ声が混じった。
竜児は右手を大河の胸からどけて、指先で彼女の滑らかで無駄のない腹部のラインを
確かめながらなぞっていった。臍のすぐ傍を中指が通り過ぎ、そのすぐ後に竜児の指に
伝わって来たのは微かな段差。レースの感触、そして優しい布地の肌触り。その先のクロッチを
竜児は中指で触れる様に優しく擦った。
竜児の指の動きに操られるように、大河は歌うように喘いだ。竜児はそれに導かれるように
彼女が強く反応するポイントと触り方をじわじわと探り当てていく。徐々に自分の弱い部分を
探り当てられて大河の内側から熱い物が染み出していった。
「あっ、うくっ」
言葉にならない声を上げて大河は必死に竜児にしがみついた。
「だ、大丈夫か? 大河」
「…うん、ちょっと気持ち良くてビックリした」
「…触っていいか?」
「うん、やさしくして」
ああ、と言いながら竜児は大河の唇を自分の唇で塞いだ。竜児は薄い布地の内側に手を
滑り込ませた。さわさわとした細い毛の感触を通り抜け、明らかに肉質の違う部分に竜児の
指は滑り込んでいった。中指をあてがうと濡れた暖かい感触が伝わり、それを竜児が感じる
のと同時に大河は大きく喘いだ。
人差し指と薬指で柔らかい肉を押し開くと、くちっ、と濡れた音がした。そのまま中指で
濡れた部分を擦るように探ると指先が大河の内側にぬるりと吸い込まれ、大河は一層苦しげに
大きく喘いだ。
「痛かったら言えよ」
「……う…ん…だいじょうぶ」
竜児の中指は大河の入り口をゆっくりとほぐすように弄った。指が動く度に、ぬちぬちと
濡れた音が漏れて来た。竜児は指を出入りするように動かして大河の中を探った。ねっとりと
濡れて絡み付く様な感触に、彼女の身体が受け入れられる状態になっていることがなんとなく
分かった。
竜児は身体を起こして、大河の身体を隠していた毛布を捲って彼女の身体を露にした。
竜児は軽くうめき声を上げ、大河は堅く眼を閉じて横を向いた。劣等感にまみれた大河の
言葉や仕草とは裏腹に、竜児が目にした大河の裸身は恐ろしい程に美しかった。確かに胸は
小振りだったけれど、首から肩にかけての線、胸からくびれたウエスト、そこから腰骨に
むかってわずかにひろがり、そして細い足に向かって収斂していく全てのラインが繊細で
素晴らしい。
唯一つ身に付けている青い小さな刺繍とレースで装飾された白いショーツは清純な感じで
大河のミルク色の肌によく似合っていて、それも大河の美しさを引き立たせていた。
「…お前、ありえねぇぐらいきれいだぞ」
「…うそ。あんまり見ないでよ」
薄暗くて良く分からないけれど、上気して赤くなっている筈の顔にうっすらと涙が
浮かんでいた。
「いや、見る。ホントにきれいなんだよ」
「……ありがと。りゅーじ」
照れくさそうに、嬉しそうに、小さな声で大河は言った。
「あ〜、でも、俺を見るなよ。装着途中はかなり無防備でみっともないから」
「はいはい、さっさとして」
竜児は下着を脱いで用意しておいたコンドームをくるくる〜っと装着。
MOTTAINAIとは思いながらも二個ほど浪費して練習しておいた成果もあって装着は
スムーズに完了。
竜児は大河に覆いかぶさりキスをした。
「いいんだよな」
「うん、……いい」
大河は小さく頷いた。
竜児は大河の背中側からショーツに指をかけた。大河が腰を浮かせてそれをサポートする。
竜児は薄い皮を剥くように大河の腰からショーツを脱がせて脚から抜き取った。露になった
濡れている部分に竜児はもう一度優しく触れて、大河の入り口を湿らせていった。竜児の指が
動く度に、ちゅくちゅくと湿った音がして、その音を隠すように大河は喘いだ。
竜児は充血してわずかにふくらんだ唇を指でめくる様に開いた。濡れて光るその部分は
体内を想像させるピンク色で、竜児は微かに開いている彼女の内側への入り口に人差し指の
先を埋めた。
「あくっ…ん」大河の肩がびくっと動く。
「大河、膝、あげて」
大河はもそもそと膝を持ち上げるように足を曲げた。
「こう? なんか、すごく恥ずかしいカッコなんだけど」
「この方が痛くないと思う」
「そう…」
竜児は堅くなった自分の先の部分を大河の入り口にあてがった。
「いれるぞ」
大河は小さく頷いた。竜児はゆっくりと押し込んだ。ぬるっとした感触がつたわり先の部分が
大河の中に入っていった。竜児は小さく呻き、大河は一層大きく喘ぎ苦しげな声を上げた。
「痛かったか?」
「まだ…大丈夫…」
竜児は大河の脇の側に手をついた。さらに深く入っていくために。
「一気にいってくれたほうがラクかも」
「…わかった」
竜児はじわっと腰を沈めていった。大河の右手が竜児の左の二の腕をがっちりと掴み必死の
力がこもる。竜児は微かな抵抗を感じ、すこしだけ強く押し込んでそれを抜けた。
「っん、くふぅっ」大河の苦しげな声に竜児の動きが止まる。
大丈夫か、と言いかけて言葉を飲み込む。小さな入り口を押し広げるようにして、すでに
竜児の半分ほどは埋まっている。大河の眼がうっすらと開いて下から竜児を見つめる。
「だいじょうぶだから……きて」
「おぅ、もうちょっとだ」
竜児はさらに腰を沈め押し込んでいく。ぬるぬると滑り込んでいくのにキツく締め付ける
様な感触に竜児の背筋が粟立った。脳を焦がす快感にうなされながら、竜児は腰が当たる
ところまで押し込み、溜息をついた。
「大河…」
「うん……だいて、りゅーじ」
荒い呼吸を繰り返す大河の目はたっぷりと涙をたたえていて、それが目尻からこぼれ落ちた。
竜児は肘で身体を支える様にして大河の背中に腕をまわし、大河を抱き締めた。胸と胸が
触れ合い微かに汗で湿った肌と肌が解け合うように貼り付いていくようだった。竜児は身体を
丸めるようにして大河にやさしくふれるようなキスを何度もした。
竜児は身体を起こして内側に溜め込んだ熱を吐き出すように深く息を吐いた。自分を必死に
受け入れてくれた大河の表情が、痛々しさが愛おしくてたまらなかった。
「大河……」
「りゅーじ……すき、だいすき」
「ああ、俺だって」
大河は頷く。わかってるよ、そう言うみたいに。
「痛いんだろ?」
「うん、でも……大丈夫。少しなら動いても大丈夫……かも」
「じゃあ、ちょっとだけな。痛かったら言えよ」
「うん」
竜児は深く繋がっている部分をゆっくりと引き抜いていった。大河が苦しげな声を
上げたところで引き抜くのを止める。そこからまたゆっくりと押し込む。それを繰り返す。
熱い部分を馴染ませるようにゆっくりとやさしく大河の中をかき混ぜていく。
大河はうなされているように熱い息と喘ぎ声を交互に吐き出し、時折激しく首をふった。
ゆっくりと優しく何度も繰り返される抽挿に徐々に痛みが薄れていき、一番奥に竜児が触れる
度に痺れるような刺激が大河の中を駆け上がっていった。自分の内側から何度も何度も
押し寄せてくる脳を灼く様な刺激に、大河の呼吸は乱れ、開いたままの口からは竜児の心を
くすぐる様な声が漏れた。
ベッドが軋む音、大河の中から漏れてくる微かな匂い、苦しげな吐息と仄かな喜悦を
感じさせる喘ぎ声、竜児の絞り出す様な呻きと溜息が仄暗い狭い部屋を満たしていく。
今の二人にとってそこが世界だった。全てと完璧にアイソレートされて二人だけが存在する
世界で、お互いの存在を感じて歓び合うためだけの時間が流れていく。
竜児が動くたび、ぬちぬちと湿った音が漏れた。薄いラテックスの皮膜で隔てられている
筈なのに大河の肉の熱、やわらかさ、ぬめりが生々しく感じられ、繋がっている部分が
溶けて混ざり合っていく様だった。ぬるぬると柔らかく締め付けてくる内蔵を押し広げて、
奥へ奥へと沈めていく。竜児はその感覚に微かに呻きながら、誘い込まれるように押し込み、
そしてそれを繰り返すためにゆっくりと抜き取っていく。繰り返し、何度も。
熱く切なくなっていく大河の声に誘われるように竜児はほんの少しずつ動きを早めていった。
奥の部分が擦られるたびに、大河は大きく喘いで竜児の腕を握りしめた。痺れる様な感覚が
竜児に限界を知らせていた。
「大河……でちまう」
「……うん……いいよ……」
大河の一番奥に届いたそのとき竜児は呻く様な声を上げた。必死にせき止めていたモノが
吐き出されていき、大河は自分の中で竜児が脈打っているのを感じた。竜児は崩れ落ちるように
大河に覆いかぶさり、大河はそんな竜児の背中を優しく抱いた。竜児はずっとそうされて
いたかったけれど、その気持ちを振り払って身体を起こし、精一杯の慈しみの眼差しで
大河を見つめた。それに微笑みで応えた大河の瞳に涙があふれて一粒こぼれた。
「大丈夫か? 大河」
「うん。ちょっとだけ痛いけど。本当に、ちょっとだから。大丈夫」
そう言って大河は竜児の頬をなでた。
「そうか……」
「なんか……すげぇな」
「うん。なんかね、うれしいよ。ホントに、うれしい」
「俺もさ」
潤んだ大河の瞳に橙色の灯りがゆれていた。
大河の眼からこぼれた涙を竜児は指で拭った。
「じゃあ、離れるわ」
「うん、やさしく、ね。おねがい」
「ああ」
竜児は大河に深々と突き刺さっている部分をゆっくりと引き抜いていった。抜き取られるのを
惜しむような濡れた音がして、竜児が離れる瞬間に大河は小さく喘いでかすかに震えた。
竜児は大河に触れる様なキスをしてから大河の身体を毛布でつつんだ。
「見るなよ」
「わかってるわよ。さっさと外しちゃいなさい」
そう言って、大河は微笑んだ。
***
二人は裸のまま、毛布にくるまって緩く抱き合っていた。
「血、出てた?」
「ああ、ちょっとだけ出てた。もう、止まってる」
「汚しちゃった?」
「いや、大丈夫。そんなこと気にすんなよ」
「うん」
「まだ、痛む?」
「ちょっとだけ。それに、まだ、何か挟まってるみたいな、そんな変な感じ」
「大丈夫なのか?」
「普通、そういうもんらしいわよ」
「そうか。ま、無理すんなよ」
「うん…。ねえ、このまま寝る?」
「……むぅ、なんか落ち着かねぇな」
肌と肌が直に触れ合って、寝るにはちょっと刺激的すぎる。
「だよね」
「けど、こうやってくっついてるのも、なんか気持ち良いな」
「うん。あったかいよ……」
「けど、やっぱり落ちつかねぇし」
「なんか、スースーするし」
「刺激が強すぎて眠れねぇし、落ち着かねぇし」
「や、やっぱりさ、パジャマ着て寝ない?」
「そ、そうだな」
二人は毛布から這い出して狭いベッドの上で背中合わせで下着をつけた。大河はベッドの上に
立ち上がって真っ白いネグリジェを纏ってボタンを留めていった。竜児はベッドの下に降りて
パジャマを着た。それから二人は並んで狭いベッドに横になって毛布にくるまった。
「ねえ、りゅーじ。腕枕して」
「ん? あれって寝心地いいのか?」
「知らないわよ」
「そりゃそうだな」
竜児は左腕を大河の方に伸ばした。
大河は身体を起こして、無防備に自分を眺めている竜児に触れるようにキスをした。
「おやすみ、りゅーじ」
大河は竜児の二の腕に、ぽふっと頭をのせて眼を閉じた。
「おやすみ……たいが」
その言葉は呪文のように二人を微睡ませた。
初めての経験の疲労は二人をとろとろとした眠りに落としていった。
二人は寝息で囁き合いながら……
深く、深く、シーツに沈んでいくみたいに……
蕩けるように眠りに落ちていった。
***
大河が目を覚ますと、そこに竜児の姿は無かった。一瞬、全てが夢だったのかと疑い、
でも次の瞬間、そこが間違いなく竜児のベッド、竜児の部屋であることを認識した。
なにより股間に残るジンとした違和感は昨夜のことが事実だったことを証明していて、
大河はその鈍い痛みの様な感覚がまだ残っていることが嬉しかった。それはすぐに治って
しまうだろうから、大河はその痛みが愛おしかった。
居間から漏れてくる美味しそうな匂いや、気持ちいいリズムでまな板を叩く包丁の音は、
竜児がいつも通りそこに居て、いつも通り食事の支度をしていることを大河に教えた。
大河はバッグから服を出して着替えた。シンプルな七部丈のコットンのパンツに、かわいい
プリントのロングTシャツ。カーテンを開けて、窓も開ける。すぐ目の前に、自分が暮らして
いた部屋の窓が見える。向こうのカーテンや窓が開く事はどうせ無いから気にしない。
竜児は毎朝、きっとこんな風にあたしの部屋を見てたんだな、と思った。そして、今朝は
こんな風にあたしがその部屋を見てる。本当にこっち側にこれたんだ、そう思うと目が潤んだ。
いけない、いけない。泣いてる場合なんかじゃない。ちょっとぐらいは手伝おうと意気
込んで動きやすい服に着替えたんだから。嫁が寝坊じゃ立つ瀬が無いわ。
大河は襖を開けて部屋を出た。
「竜児、なんで起こしてくれないのよ」
「起こしたさ」と、ちょっとふてた感じで言った竜児の顎はちょっと赤くなっていた。
「どうしたのよ? その顎」
「やっぱり…」
「なによ?」
「憶えてないんだな。お前に殴られたんだよ。寝ぼけたお前さんに」
「げ!?」
「もっのすごぉく痛かったんだからな」
「い、遺憾だわ」
「もう、いい。俺が避けられる様に鍛錬すればいいだけだ」
「ほんと、ゴメン」申し訳なさと情けなさで大河の顔はすっかり赤くなっていた。
「もういいよ、大河。すぐ出来るから座って待ってろよ」
「…うん」でも、座らない。
「どうした?」
「あのさ、邪魔かもしんないけどさ、その、手伝いたいのよ」
大河は両手の指を組んで親指をくるくる回しながら照れくさそうに言った。
竜児は頬を微かに緩ませた。
「じゃあ、その布巾で卓袱台を拭いて、食器棚から茶碗と箸を出しておいてくれよ」
「うん」
「慌てるなよ。ゆっくりで良いから」
布巾を手にもって大河はこくりと頷いた。
「ねぇ、りゅーじ…」
「ん?」
「朝チューは?」大河は顔を上げて目を閉じた。
「今更だな」お玉を片手に持ったまま、竜児は屈んで軽く触れ合わせる様にキスをした。
(おわり)
以上で『きすして2』の投下は完了です。
数え間違いで14レスだった。こんなところで凡ミスとは・・・
G J !
441 :
名無しさん@ピンキー:2009/07/30(木) 00:57:00 ID:4kgGrK1Q
ありがとうおつかれさん
GJ過ぎて他に何も言えない。
443 :
名無しさん@ピンキー:2009/07/30(木) 01:01:07 ID:06WPFN4X
GJ!
俺亜美派だけどデレ大河は悶えるほど可愛いかった!
色々な描写が素敵すぎて言葉が無い。
おつかれさまでした。
GJッ!
やっちゃんの誓約書だと大河ん家でも契っていいことになってるけど、そっちだと大河ママンに色々遊ばれそうだ。
受験勉強しにいってるのに、お茶とお菓子とサガミオリジナルが出てきたりして。
おお素晴らしい アニメはこういう可能性を自ら無くしてしまったことが
残念でならない 卒業させちゃったもんね
PSPのライターさんよりずっといいと思います
いい具合にネタ回収しつつ、ニヤニヤが止まらない展開にただただ脱帽です。もう、末永くお幸せに、としかいえないじゃないか、このふたりには。
さあ、次はまたみのドラを頼む!
タイトル『けいとらっ!』
内容 竜×実です。タイトルのわりに重めの内容です
竜×虎好きな方は絶対読まないでください。
主要キャラにオリジナルキャラを登場させています
大河は俺の嫁、竜児許せん…とお考えの読者様がモデル…という事にしてます。
時期 原作アフターの3年生の夏休みからです。
エロ いわゆる本番は物語後半、竜×実がくっついてからになります。
補足 けいおん!はバンド組む意外、関係ないです。タイトル半分借用したくらいです。
軽トラックも、物語に深くは関係ありません。
長編ですので、とりあえず8レス投下します。宜しくお願いします。
わたしは今…悩んでいる。相当悩んでいる。
ウチの娘、大河に恋人がいる事は知っている。たしか、高須竜児…、見た目はともかくとして、
まあ…好青年だ。若いのにちょっと、おばさ…大人びているのは、彼の家庭環境の影響なのだろう。
「ふう…どうやって別れさせようかねえ…」
近い将来、大河には望まない結婚をしてもらう事になる。
普通、結婚というやつは、一般の家庭では、個人と個人の縁組みで成就するもの。
でも、ウチは違う。竜児くんには申し訳ないが、社会的地位が違う。
ウチの結婚は、個人同士ではなく、会社同士の縁組みが重要になる。
会社が大きくなれば当然、とても個人の問題で片付かない。
政略結婚…は、会社を再建するため必要で、
わたしの家族の生活を守らなくれはいけない。さらには、社員、その家族もだ。
前夫の逢坂陸郎も、わたしとは政略結婚だった。しかし…夫婦関係は破綻し、離婚。
陸郎が愛人を作ったのだ。愛人を作ったくらいで離婚に合意した、わたしも悪かったのかもしれない。
男ってのは、そんなもんだ。バカだから。それくらい理解していたのに…
わたしは即、世間体を保つため、当時の部下と半年後の再婚を決めた。
離婚後、大河の親権は、陸郎に譲ったが、結局陸郎は、大河と同居もしないで、
さらにその後事業で失敗し、逃亡してしまう。最悪な男だ。
わたしの責任を果たしに、大河を引き取りに行った
…のだが、有ろう事か、すでに付き合っていた彼氏、高須竜児と家出しやがった…
「Like father,like daughter…」
この父にして、この娘あり…午前中、外国人との商談があったから、つい、英語でグチが漏れる。
それと、無意識に日本語で口に出す事をためらったのかもしれない。心が嫌悪感で満ちてしまうから。
浮気され、家出され…わたしって、そんなに…
…いや、間違っていない。夢や、愛でメシは食えない。
これだけの会社を担う者として、重厚な責任感、使命感がある。そしてそれがメシの種なのだ。
陸郎も行方不明だし、大河がわたしの判断に従わなくてはいけないのは、仕方ない事。
せっかく大河との関係に明るい兆しが…また嫌われるだろう。
もう一度、興信所からの資料に目を通す。
「よし…やっぱりこの娘ね…」
プーッ プーッ
おっと、内線だ。
「わかった、今行くわ。大河は応接室に通して」
女社長は、資料をデスクの引き出しに押し込み、社長室をでる。
机上に残ってしまった一枚の写真に、ソフトボールのユニホームを着た少女が写っていた。
「よっしゃ!いっくよ〜っ…ワン・ツー・サン・シッ!」
ダダダンッ!ドラムを叩く音が響くっ、しかし…誰も続かない…
ありゃ〜?みんなどしたどした?っと、ドラム担当櫛枝実乃梨は大きな瞳で周囲を見回す。
ここは公営図書館にある音楽スタジオ。今日は夏休みの初日だ。クーラーが効いているが、
さっきまでアップだというのに、激しいドラミングを披露した実乃梨は、汗ばんでいた。
スティックをクルクル廻し、太陽のような眩しい笑顔を振りまき、
曇りの無いクリアな声で、周囲を盛り上げる…そんな明るい活発少女なのだ。
「実乃梨ちゃんさ〜…最初のカウント、英語にするか日本語にするか、どっちかにしてくれない?
なんか…亜美ちゃん、萎えるわ…」
ボーカルを担当しているのは、川嶋亜美。中高生では知らない女子はいない、人気高校生モデル。
サラッサラの綺麗な髪、小さい頭に整った顔、長い手足、豊満なバストに華奢なウエスト…
最近ではグラビアのオファーも来ているほど、パーフェクトガールなのだ。外見。外見だけは。
「いや俺はだな…まだ慣れてなくて、最初のタイミングが掴めないんだ…」
ベースを担当している高須竜児のアンプから、ぼわわわわ〜んという間の抜けた音がする。
その悪魔のような眼差しは、ノーメイクだというのに、D・M・C!、D・M・C!という絶叫が
聞こえてそうだほど残忍。…なのだが天然クラウザー二世である竜児の怖いのは、顔だけだった。
もっと的確に指摘するなら、目だ。目だけが怖い。
「わははははっ!平気だぞ高須っ!タイミングが掴めなかったのは、俺も一緒だぞっ!
…それはそうと、逢坂遅いなっ…おっと、もう逢坂じゃなかったか…」
と言って、北村祐作は、1万円で購入した中古のフェルナンデスを構え直す。タイミングが掴めないと、
ビギナーの竜児に同意した北村だったが、実は、兄の影響で、ちょこ〜っとだけ、
ギターをかじった事があり、コードくらいは押さえられた。
竜児に気遣う、そんなナイスガイな北村は、大橋高校の生徒会長だ。
北村が名前を出した大河は、キーボード担当。今日の練習に遅れている。
その大河の容姿を一言で表現するなら、フランス人形…って見た事無いけど、多分そんな感じだ。
きめ細かい白い肌、エレガントな長い睫毛、薄いピンクの唇…そんな、小柄で可憐な美少女大河。
だがしかし、天は二物を与えず、そのキュートな外見とは裏腹に、大河はその、雄大な名前を凌駕する、
ハリケーンのような激しい気性の為、誰が呼んだか、手乗りタイガーの異名を持つのだった。
まだ2ヶ月くらい先の事だが、秋に大橋高校の文化祭がある。
その中でも、バンド演奏は人気もあり、集客の起爆剤になるのだが、
去年、ほとんどの部員が卒業してしまい、軽音楽部が廃部になっているのだ。
そこで文化祭を成功させたい生徒会長の北村は、元部員に土下座までして、なんとか頼み込み、
掻き集め、1組だけ再結成させたのだが、せめてもう1組。対抗バンドが欲しい。
校外からゲストを呼ぶ事も考えたが、どうせなら、ズバリ自分でやろう!!
…という訳で、北村は、竜児、実乃梨、亜美、あとまだ到着していない、逢坂(元)大河、
計5人で、即席バンドを結成したのだ。やはり持つべきモノは、なんとやらだ。
このスタジオは、3時間借りられるのだが、既に入館から1時間は過ぎている。
大河は、まだ来ない。母親に呼び出されたみたいなのだが…それにしても遅い。
「もーっ、せっかくの音合わせ初日なのにねえ。でも、大河はもともとピアノ弾けるし…
やあやあ!野郎ども!気合いで練習して!早く大河に追いつこーぜ!」
ドドンッ!と実乃梨はバスドラを踏み込む。
実乃梨はドラムセットなんか持っていないし、ちゃんと演奏するのは今日が初めてだ。
追いつこーぜとか言っているが、これだけ叩ければ、充分な気がする竜児。
スポーツもリズム感が必要というから、センスは良いんだろう。
実乃梨は、太鼓の達人や、リズム天国で練習したと話していたが、竜児は知らなかった。
「そういえば実乃梨ちゃん、オリジナル作るんでしょ?出来たの?わたしは唄うだけだし、
ぶっちゃけ、加藤ミリヤが唄えればなんでもいーわっ」
それを聞いた竜児が焦る。
「おうっ!?オリジナルだと!?加藤ミリヤも演るのか?俺は北村から1曲しか聞いてねえぞっ。
いま音合わせしてるプラネタリウムだけだ。だいたいそれもまだ微妙だ…」
北村は釈明をする。ちなみに北村がその曲を選んだのは、通称『兄貴』が、宇宙好きだからだろう。
「いや、高須にはまだ言っていなかったな。すまん。亜美をバンドに誘う時、
どうしても好きな曲歌いたいっていうから承諾したんだ。
その事を櫛枝に話したら、それなら、やりたい曲を、1人1曲やろうって事になった。
高須の希望曲は…まだ聞いてなかったな、ズバリ何にしようかっ、何でもこいっ!」
それを聞いた竜児はさらに焦る。いきものがかり1曲でも辛いのに5曲だと?
…でも、…せっかくだから、せっかくなんだし…好きな曲を演奏してえ…竜児はノってきた。
「そう、だな…」
竜児は弦を、ベンベンッ♪っとチョッパー風に弾きながら、目を瞑り、悩み始める。
ベースの竜児が、自分の世界に入ってしまい練習が中断。
実乃梨はカバンから1冊のノートを取り出し、ウチワのように振りながら、打ち明ける。
「いや〜、オリジナルって言ったはいいんだけどさっ。 実はまだ出来てね〜のよ。
コード進行は決めたんだけど、歌詞が…内容が、まだ、悩んじゃって…途中なんだよ」
「へえっ、ねえねえ実乃梨ちゃんっ、このノートに書いてあんの?ちょっと見せてよっ」
いつの間にか実乃梨の背後に回っていた亜美は、実乃梨からノートをスパッと取り上げる。
あわわっ!ちょっとっ!実乃梨は顔を真っ赤にして亜美を追いかけるが、亜美は逃げ足が速い。
実乃梨は、も〜っ!と、観念したが、仕返しにドラムスティックで、亜美の背中をパシパシ叩く。
「実乃梨ちゃん!痛てーって、それ!…ちょっとだけ。すぐ返すから…
…どれどれ……眠れない夜には…ふんふん…らしくないなんてね…
オレンジ…ほうほう…うわわわ〜〜、あはは〜〜っ、それはそれは〜っ」
読み終わった亜美は、にや〜っとした顔を実乃梨に向ける。うふっ…何を言おうか考えているようだ。
「あーみん、どう?やっぱ時間ないしオリジナル止めよっか。
そうしよっ!わたしアニソンが良い!GOD KNOWS…」
「この曲オレンジっていうんだね。いいじゃ〜ん、これって高須くんの事でしょ?」
ズバリ亜美は言い当てた。
耳からピーっと湯気が出そうな実乃梨。
竜児はハッと、顔を上げる。そして…
「俺…母親の…泰子の好きなクレイジーケンバンドに決めたっ!」
まったく周りの話を聞いていなかったようだ。
大河は車に乗っていた。母親の会社からの帰りだ。運転手は社長令嬢に気を使い、沈黙している。
「はあ…めんどくさっ」
溜息とともに本音が漏れる。…まあ仕方ないか…。大河はバンドの練習に出掛けようとしていたら、
ママから、大至急会社に来いって電話がかかって来たのだ。珍しい事なので、嫌な予感はしたけど、
やっぱりその通りで、ママの経営している会社の、吸収合併の準備の手伝いを頼まれてしまった。
手伝いと言っても、TOBやら何やら、具体的に何かする訳ではなく、合併相手の企業から、
少しでも有利な条件を引き出す為、今後大河に、パーティに出席して欲しいとの事だった。
それで…いきなりだが、1回目のパーティは明日の夜。
ママから、自分である程度準備するなら、これ使いなさい…と、現金を1束渡された。
明日のパーティーは、都内のホテル。
準備するって言っても、パーティドレス、小物、美容院の予約、あとは…
考えると結構やる事があった…明日の午前中は忙しくなりそうだ。
もちろん、恋人の竜児にも報告しなければ。
しばらくして、車窓が見慣れた町並みを写し出した。
もうすぐだ。やる事を整理しながら、虎柄の手帳に、スケジュールを記入する大河。
そして車は練習場所の図書館に停車した。
「わたし、ジュディー&マリーがいい」
「へぇ〜、あんたが?意外っ」
亜美は大河が、とてもロリータなアーティストな名前を吐いたので、普通に驚いた。
バンドの練習後、夕刻を過ぎ、お腹がすいた5人は実乃梨のバイト先のファミレスにいた。
「中学の時にピアノで弾いた事あんの。練習しなくても弾けるの。だから。そんだけ」
「ジュディマリなら何でも良いの?じゃあ何に唄おっつかな?でもあんま詳しくないんだよねッ」
すると、
「そばかす…」
亜美が思案中に、実乃梨がつぶやく。実乃梨ちゃん…?みのりん…?視線が集中する。
「ありゃ?あっ、いい、いいっ。言ってみただけっ…タラリララ〜ン♪」
ちょっと亜美が思惑ありげな顔になったが、すぐニッコリ。
「…そうねっ、実乃梨ちゃん、それにしましょっ、そばかす…知らないけど…」
知らないのかよっ!っと実乃梨がブーイング。知っている大河は、実乃梨の左耳を確認する。
やっとバンドの演奏曲が全て決まったが、竜児は増えた曲数に、ちょっとゲンナリ。
しかし、さっき練習した図書館で提案した、クレケンの『タイガー&ドラゴン』は、
亜美が、そんなの、わたしが唄える訳ねぇーじゃん!!っと全否定されたので、
合計4曲だ。まあ、文化祭の本番まで、夏休み挟むし、まだ時間あるし…大丈夫か…。
気分転換に窓に目を向けると、見覚えのある黒いポルシェを発見。おうっ、あのポルシェは…
竜児は大河に確認させようとしたが、ポルシェは発進。竜児は大河には伝えなかった。
そして1時間ほど、あれが駄目だのこれが何だのと勝手な意見を言い合い、ミーティング終了。
「散っ!」
と、5人はそれぞれ家路に付く。…のだが、その5人の内1人に、黒いポルシェが尾行を開始。
そのポルシェは、ちょっと赤めの髪の毛から匂う、ピーチの香りを追いかけて行った。
帰宅した竜児は、入浴し、練習曲をハミングしながら風呂から出て来た。
「あっれぇ〜?☆竜ちゃん、ごっきげ〜ん☆」
「おうっ、別にそういう訳じゃあねえけど…でも、結構楽器って楽しいなって思ってさ…
そうだ、インコちゃ〜ん、ベース上手くなったら、インコちゃんだけに1曲ギグるゼ〜っ」
タオルで頭を拭きながら、インコちゃんに夜のコミュニケーション。その破顔フェイスは、
どうみても奇怪なのだが、竜児にとっては、癒しの愛しのペットなのだ。
「イッ…インッ…」
ギグるなんて…そんなカビの生えた言い方に、インコちゃんは反応。
ついに自分の名前を…という淡い期待は、すでに竜児には無いようだった。
「イングウェイ=マルムスティーン」
自分の名前の方が遥かに簡単だろうに。わざと間違えたとしか思えない。
竜児は自分の部屋に戻り、ベースを取り出した。さっそく運指の練習を始める。
「くっ、ううっ、おりゃっ…こうかっ…はあああっ、ムズいっ」
ムズいっと言いうが、ここ数日で、竜児はフレット移動がとてもスムースになった。
指先が堅くなり、痛くなくなってきたからだ。1曲弾き終わり、ふうっと休憩。
ちょっと満足げに微笑む竜児。どうみてもデス系バンドの黒ミサで、悪魔が降臨!
てめえらの内臓エグり出してやるっ!!…という風にしかみえないのだが、
もちろん違う。上達して単純にうれしいのだ。
北村の希望曲は上手く出来そうだ。大河の希望曲は、大河のiPodから聞かせて貰ったが、
シンプルでなんとかなりそう。亜美の希望曲は…大河がキーボードでフォローしてくれるらしい。
そして、実乃梨の希望曲は…
「…オレンジ」
実乃梨が作った曲だ。楽譜が読めない竜児は、ファミレスで、押さえる弦と、
フレットだけ書いてもらっていた。実乃梨はまだ出来ていないと言っていたが、
実は曲は完成していた。コードだけではなく、きちんと楽譜に落としてある。
なんでも、実乃梨は、歌詞の内容が納得出来ないというか、マズいというか、
…って言っていた。
ちょっと唄ってみる。
「…オレンジっ色は、あの日見た夕焼けを思い出っさせてくれるっ…
2つの影が手を繋いでいるみたいだっ…た…」
すげえっ、竜児は驚く。櫛枝はなんでもスマートにこなすが、こういうのもセンスがある。
そういえば2年の秋頃に、ふたりで一緒に帰った事があった。たしか北村の家に行くときだ。
櫛枝が、この歌詞と同じ様な事を言ったのを思い出す…
……うおーっ、影なっげーっ!ほらっ高須くんっ、
あれ?よくみると、なんか手ぇ繋いでいるみたいに見えない?…な〜んてっ……
今の実乃梨とは、永遠の親友だぜっ…と誓ったのだが、当時の竜児は、実乃梨の事が好きだった。
ずっと片思いしていた。その時、竜児は、好きな人とのふたりきりの下校で、ドキドキしていた。
だから竜児は言ってやった。俺は、お前の事を分かりたいと。俺がおまえのことを見守ってやると。
そんな…『最後の救い』になりたいと。
竜児は、その時、心の中で確かに誓ったのだ。実乃梨には言えなかったが。
もし実乃梨がどんな奴でも、どんな事があっても、永遠に愛すると…確かに誓った。
「櫛枝……おうっ、俺っ…」
何分経ったのであろうか、どれくらい実乃梨の事を想ってしまったのであろうか…罪悪感。
竜児は大河に誓った。実乃梨の時とは違い、大橋の下で言葉に出して叫んだ。大河に誓った…
すくっと竜児は立ち上がり、決意する。押入れの奥から、少しくたびれた段ボールを取り出す。
「捨てちまおうっ…」
段ボールの中には、竜児が実乃梨を想って作ったポエム、プレイリスト、そして…
クリスマスイブに渡せなかった、オレンジ色のヘアピン…あれ?オレンジ?…
大河には大切に保管しておきなさいっと言われているが、駄目だっ。想い出しちまう。
その…情熱が。実らなかった初恋が。実らなかったオレンジを…櫛枝実乃梨への恋心を…
ビーッビーッビーッ!
その時、竜児の携帯が振動ッた。
ん? 支援
規制?寝落ち?
どちらにせよv6さんの話好きだから応援してますぜ
一瞬、軽トラを萌え化させたんかと思ったがなw
アクティーかわいいよアクティー
もう書かなくていいよ
幸せぶち壊す意味がわからん
書くならせめて大河の政略結婚だけはやめてくれ。北村のがまだマシだ
っていうかこれで実乃梨と竜児が結ばれても
みのりんスキーとしても後味悪いだろ
ていうかどのキャラが好きでもこんな設定では後味悪いよ
マジで誰得?
嫌なら見なきゃいいし、見てないなら文句言う筋合いない
書き手がわざわざ注意書きしてるのにさ
楽しみにしてる奴もいるわけよ
大河母の設定が安っぽいけど、俺は大河も大河母も嫌いだから、
両方とも死ぬとか不幸になるのなら許す
どうせなら全くのifにした方が良かったかもね
原作アフターにする意味がまるで無い
まあエロパロだし、二次だし、好きにやりゃ良いと思うけどこれは嫌われても仕方ない類の作品だよ
嫌われるのが仕方ないとしても、それを書き込む必要がどこにあるんだ
マンセーかスルーかどっちかにしろって事かい?
そりゃあ書き手の方はそれが気楽だろうね
469 :
名無しさん@ピンキー:2009/07/31(金) 12:28:39 ID:nYKvUmS9
ななこいの職人さんあとどれぐらいで落とせそうですか?
今までの流れでこのスレじゃ叩かれる事も覚悟しなきゃならない事は明白なんだから
それでもあえてこの設定にしたのはマゾか心臓に毛が生えてるかどっちかだろ
しかし叩かれないようにお前らの機嫌伺いながら
書くってのもなんかおかしな話だよな。
叩かれるのが嫌ならご機嫌を伺えば良い
そんなんどーでもえーわっつーならキャラ崩壊だろうが設定崩壊だろうが好きにやれば良いってことじゃね
まあ叩かれそうな要素を含む作品を投下するとスレ自体が荒れまくる事が多いしそういうのが嫌だっつー人も居るかもね
そもそもなんのために書き手は前書きを残してるか考えようよ…
一般受けでないことは承知の上で、それでも書きたい、読みたい人に読んでもらいたい
という意思があるから書いてるわけじゃないか
前回もちょっと荒れたからそれを防止するためにも書いただろうし
ここまで丁寧に前書きされているのに、わざわざ読んで設定を叩くわけ?
一般受けじゃないから叩いてもいいって思うわけ?
それっておかしい話だよ
マンセーかスルーだけしろって言うわけじゃないけど、嫌ならスルーすればいい
書くななんて意見はもっての他だと思う
別に書き手の方が立場上とか思ってるわけじゃないし、ただの読み手の俺が
言うのもおかしいけどさ
それでも書きたい意思がある人を読み手が潰そうとしてるのはおかしな話だよな
前書きあんだから叩くなよてめーらなんてままごとみたいなお約束事を
ネット上にいる不特定多数の人間みんなが守ると思ってるのか?
まあそもそもお約束事ではなくて「叩かないでくださいね」という書いてる側の免罪符的なものだけどな
書きたい意思があるんならどんなに否定されても書くだろうよ
だって自分が書きたいんであってマンセーされたいわけではないんだろ?
好きに書けば良いじゃないか
SS投下
以前投下した「NOET」の続きなんで、「NOET」を読んでからをお勧めします。
「NOET 2ページ目」
「まま〜、あんなとこにへんなのがいるー」
「シッ、見ちゃいけません。あれはね、病気みたいなものなのよ。病気してる人を指さしちゃ可哀想でしょ」
「はぁーい」
「わかったら早くお家に帰りましょうね、ママもうおなかペッコペコになっちゃった」
「うんー。おなかぺっこぺこー」
──────夕暮れの商店街──────
日が沈みきる前、夜の帳が下りる前の、世界が赤く染まる時間帯。
街中の街灯がポツポツと灯り出し、いたる所から聞こえてくる、どこか哀愁と懐かしさを感じさせる放送を合図にして
自宅へと駆けていく、今まで時間も忘れて遊びまわっていた子供達。
仕事という名の過酷な戦いを乗り切り、一日の疲れを落とし、また明日を乗り切るための英気を養おうと、飲み屋に繰り出す男共。
退屈な授業から開放され、放課後の自由な時間を親しい友達と、または恋人と一緒に過ごす学生。
手に手を取って家路を歩く親子。
明るくもなく、暗くもない束の間の一時に見られる、日常の一コマ。
黄昏時───そんな時間の、ありふれてはいるけれど穏やかな光景。
「そんな所に上って何してんだ」
「いや〜・・・高っちゃんがいきなしこっち向くもんだからつい・・・」
しかし、ことこの二人からしてみれば昼も夜も関係なく。
むしろ授業により動きが制限されない事と、屋外というイレギュラーが発生しやすい状況な分、気を引き締めてかからなければならない。
穏やかではないが、この二人からすれば最早これが当たり前な、ありふれた日常と化してしまっている。
「逆に目立ちまくりだったぞ。高須にバレなかったのが不思議なくらいだ」
「そりゃありえねーっしょ〜〜〜っハグゥッ!?」
グギリ と、妙に鈍い音を足首から立てた春田が、苦悶の表情と脂汗を浮かべる。
およそ10メートル程だろうか、ともかく電信柱のかなり上の方から飛び降りた春田は、微妙に着地に失敗してその場に蹲った。
普通はしがみついたまま地面まで下りるか、せめて適当な所まで滑り下りてから飛べばいい物を。
これでは3階建ての建物から飛び降りたのと大して変わらない。
そもそもどうやってそこまで上った。
「ちょ・・・おい、大丈夫かよ春田。今ヤバイ音してたぞ」
さすがに尋常じゃない高さから落下してきた春田と、着地と同時に自分の耳にまで届いた不気味な音に能登も顔を青くしている。
「いっでぇ〜〜・・・俺はもうダメだー。能登、悪いけど今日は先に帰らせ」
「自力で帰れるんなら問題ないな。さっさと立てよ、サボったってチクるぞ」
が、どうやら思ったほどのダメージは負っていなかったらしい。
春田は心配されたのをこれ幸いと、残りの仕事を能登に押し付けて帰ろうとする。
当然そんなもの能登に通じる訳がない。
心配してやったにも関わらずつけ上がった態度を取った春田のあのウザッたらしいロン毛を、
能登は最初は厚意から差し出した手で鷲掴みにした。
言い訳を並べては早退を懇願する春田を、能登は問答無用で引きずり歩く。
将来春田がワカメにも縋るようになったら、この時の事を思い出しては咽び泣くだろう。
「あの時素直に従っていれば、少しは残っていたかもしれない」と。
「な〜頼むって、もう体が限界なんだよ〜・・・ほら、お前のせいでケツまで腫れてきてるしよ〜・・・
いつも付き合ってんだから、今日は帰らせてくれよ〜明日は何でも言う事聞くからさー」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
往来で情けなさを前面に押し出した春田が恥も外聞もなく吐いたセリフに、何を勘違いしたのかたまたま近くにいた
中学生くらいの女子集団がリアルBLキタ───! と騒ぎ出す。
いささか過敏すぎやしないかとも思わないでもないが、これも時代の流行りか。
その集団につられて能登と春田に視線が集中するが、本人達は毛ほども気にしていない。
春田は単に気付いていないだけだが、能登はどちらが攻めで受けなのかという予想や物陰からの舐めるようなむさ苦しい視線にも気付いている。
それでも、そんなモノを物ともしないのは
(ここで高須を見失ったなんて事になったら、明日どう言えば・・・くそ、何で俺ばっかり・・・)
春田を引きずっているのとは反対の手にあるノート。
能登からしたら強迫観念が具現化した物として目に映っていることだろう。
いくらなんでも春田に持たせるのは色々と不安だという事で、相変わらず能登が後生大事に持ち歩いている。
春田は知らない事だが、ノートを持つ能登には監視した竜児の行動を記すという使命以外にも、もう一つの役割がある。
曰く「形だけなんだけどね、能登くんの方が春田くんより偉いっていうか・・・後は分かるわよね?」と───
そう、能登は監督責任すら負わされている。
竜児をつけ回し、何らかのアクションがあれば詳細にメモを取り、おまけに仕事量よりも足を引っ張る方が多い春田にも目を光らせ、
他諸々にも気を遣い、それらを完璧に遂行していても、もし一時でも竜児の行方を見失ったとあっては叱責される。
万が一竜児にこのノートの内容が露見した場合等は、考えもつかないが、とにかく責任の二文字が物理的な力を持って圧しかかる。
たとえそれらが100%春田のせいであろうとも、トチった春田を管理しきれなかったという理由でだ。
厚さ1センチ前後の紙の束が放っている、押し潰さんとする重圧に、毎日毎日気が気ではない。
書けば書くほど人間として大切な何かと寿命を切り詰めていく、能登にとっては正にデスノート。
そのデスノートを持たせた相手───香椎奈々子に、くだらない理由で竜児の行動を追いきれなかったという報告をしようものなら・・・
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「の、能登? お前歩くの早・・・熱い! ケツが熱いぃぃ! ケツが擦れて痛熱いんだよ! 歩く、歩くから止まって・・・ケチュがああああ!?」
夕焼けに染まる商店街のアーケードを全速力で駆け抜けていく能登は、ブチリブチンと抜け千切れる頭髪と、
臀部を地面で擦られる痛みに泣き喚く春田を無視し、夕日に照らされているはずなのに真っ青な顔で竜児の姿を求めて走り回った。
人一倍強い責任感を持った、今時珍しい好青年・・・としておこう、事実能登の仕事っぷりはマジメその物なのだから。
仕事を全うしようとする責任感の、その原動力が何なのかにまで話が及ぶのは、あまりにも酷というものだろう。
・
・
・
能登の全力疾走の甲斐あってか、文字通りお荷物だった春田の髪型が落ち武者スタイルになる前には、二人は何とか竜児を発見する事ができた。
冷たい汗を流して息を整えている能登の足元では、若干頭頂部が寂しくなったような気もしないでもない春田が膝を抱えている。
「・・・高っちゃんなんて刺されりゃいいんだ・・・」
ポツリと呟いた春田は、抱えた膝に顔を擦り付けて貧乏揺すりを始めた。
毛髪が抜けた事や、もみじおろしよろしく硬い道路の上を引きずられた事で真っ赤になった自身の尻から来る痛みよりも、
ものの数分目を離しただけで年上らしき派手目な女性と腕組みをして歩く竜児に、毎度ながら激しい嫉妬を感じているのだろう。
そんな春田の内心が手に取るように把握できてしまう自分と、汗を拭った手に付着していた髪の毛を見てしかめっ面を作った能登は
足元のダルマを蹴っ飛ばして乱暴に立ち上がらせ、竜児に悟られないよう間隔を空けて尾行を再開した。
(で、能登。誰だよあれ、なんか高っちゃんとえれー親しげだけど)
(さぁ・・・俺も今日初めて見たからなんとも・・・)
後をつける能登と春田の存在など少しも気付かず、腕を組んで歩く竜児と女性は商店街を進んでいく。
中睦まじいその様は完全に恋人同士にしか見えない。
と、竜児の肩にしな垂れかかる女性が、買い物客で賑わいを見せる八百屋に竜児を伴って入っていった。
店の外から様子を窺う春田と能登は、学生服のままの竜児と胸元の大きく開いた、際どい装いをした女性が連れ添って入っていくにしては
あまりに似つかわしくない店だと首を傾げる。
そんな二人が見守る中、他にも肉屋に魚屋、酒屋をハシゴしては、竜児は手に提げるエコバッグを肥やしていく。
学生カバンの中に常備していたらしいそれは随分な容量が入るようだ。
さすがにドラッグストアで買ったモノは一緒には入れられなかったのか、銀袋に包まれたソレは学生カバンにしまわれたが。
ここまでを踏まえ、更には銀袋で隠すような物の中身にも大体察しがついている二人は唖然とした。
(・・・まさかだけど、あれマジで彼女なんじゃね? つーかもう彼女じゃね?)
(・・・でも俺、それなりの間高須を見張ってたけどあのヒトはマジで初めて見たぞ)
(だってあの袋の中身ってアレ系だろ? 他はともかくあんなもん、普通彼氏でも何でもない奴と一緒の時に買うのか?)
(お、俺が知るかよ・・・けど、まぁ・・・少なくとも知り合い以上な関係なのは間違いないよな・・・)
能登と春田が竜児達の間柄について少ない情報から推測している間に、当の竜児達はまたも別の店へと入っていってしまった。
一先ずそのことは横に置き、竜児達が中へと消えた店の看板に目をやった二人は
『スナック 毘沙門天国』
「「 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 」」
今までやたらと所帯染みた店に肩透かしを食らっていた分、ガラリと雰囲気が変わった店に当たり前に入っていった竜児に絶句した。
(・・・ここって・・・そーゆー店だよな・・・)
(・・・見りゃ分かんだろ・・・)
能登も春田も、当然ながら飲酒が許される年齢ではない。
隠れて飲むくらいはしているかもしれないが、大っぴらに飲み屋───それもスナックという、キレイどころにお酌をされる店になんか
入れる訳がないし、入った事もない。
それはいくら高校生とは思えない鋭い目つきをしていようが、竜児も同じはずだ。
どれだけグラスを煽る姿が似合っていようと、ホステスを侍らせる姿に違和感がなかろうと、
そのホステスとどこかのホテルにしけ込むような肉食系のギラついた目をしていようと、そんな物はあくまで見た目だけ。
中身は自分達と同じ歳相応の男子高校生。
今の今まで能登と春田はそう信じていた。
「あいつは確かに見た目は恐いかもしれないけど、付き合ってみると全然良い奴だぜ? 普通だよフツー、見た目は恐いけど」と、
実際に竜児の人柄に触れて、偏見を捨てた2-Cの誰もが口を揃えてこう言う。
一部の女子は「は? 竜児(高須くん)が恐い? ・・・ごめん、イミわかんない」とも言い、
約一名は「高須が恐いだって? そんな失礼な事を言うのはその口か? よし、俺のボールを受けても同じ事が言えるか試してやろう」とまで言うが、
2-Cでの竜児の評判は概ねこんなものである。
なのに、まさかこんな学校のすぐ近く、それもまだ日も暮れていない時間からスナックに足を運んでいたとは・・・
(さっきのあれって、同伴出勤てやつかなー・・・ガッコが終わってすぐにとか、高っちゃんパネェなー・・・)
(そうだな・・・ん?)
ム゛ー ム゛ー ム゛ー
毘沙門天国とは違う店の壁にもたれ掛かり、半ば放心状態でノートにどう書くべきか悩んでいると、能登のケータイが振動して着信を知らせた。
慣れた動作でポケットから取り出すと、液晶画面にはメールが一通受信されているという文字が表示されている。
特に不思議がる事もなく、能登はメールの受信ボックスを開けた。
『Date **/** 17:03
Name ゴッド
Sub (non title)
どう? 』
(・・・・・・・・・・・・・・・・・・)
パタンッ・・・・・・
数秒、画面に目を滑らせた能登は、返信はおろかメール画面を終了もさせずにケータイを閉じた。
(・・・何で今日に限って・・・)
(あん? どした?)
(・・・・・・・・・・・・・・・・・・)
様子のおかしい能登に声をかける春田だったが、無言で差し出されたケータイをおもむろに開き
(・・・・・・・・・・・・・・・・・・)
パタンッ・・・・・・
能登と全く同じ動作でケータイを閉じると、そっとそのケータイを持ち主である能登に手渡す。
二人とも口を堅く噤んでいるが、間に流れる空気が如実に物語っている。
『メンドくせぇ事になっちまった・・・』と。
(どうしようこれ・・・)
(どうしようって・・・お、お前に来たメールだし、俺知ーらね)
(てめぇ・・・)
『ゴッド』───奈々子からの、おそらく気まぐれに送られたメールに二人は息を飲む。
たった三文字のメールからは、文面から相手の機嫌を知るということなどできず、かえって気を揉む。
「どう?」という事は、現在の状況を聞いていると解釈していい。
勿論竜児の、だ。
それ以外に奈々子からメールが来ることは滅多にない。
問題は
(す、素直に高須のこと言った方がいいか?)
(だから俺に聞くなよ。後で文句言われたりとかイヤなんだよマジで・・・)
こちらの返信一つで、奈々子の機嫌が変動するという事は十分考えられる。
今の竜児の居所と、一緒にいた女性の事を正直に奈々子に伝えることに、能登達には罪はない。
そうしろと言われてやっているのだから。
だが、バカ正直に報告して奈々子の機嫌を損ねるというのは避けたい。
何ら叱責される謂れもないし、まさか分かりやすいヒステリーを起こすという事もしないだろうが、機嫌を損ねられるのは確信できる。
そしてご機嫌斜めな奈々子を相手にして精神的なダメージを貰うのは他の誰でもない、能登と春田だ。
ご機嫌取りに奔走する事態になるのも目に見えている。
なら、取り立てて変わった事はないとウソを吐けばいいじゃないかと言われれば、それも得策ではない。
どう解釈されるように書くかは能登の匙加減次第だが、どの道手元のノートには嘘偽り無く竜児の行動を書き込まなければならない。
これも、そうしろと言われてやっているのだから。
楽観的に考えれば、今日くらいデタラメを書いても奈々子は気付かないかもしれない。
でも、もしノートの内容と実際の竜児の行動に食い違いがある事が発覚したら?
それだけならまだしも、故意に自分を欺いたと、そう奈々子が判断したら?
その時は・・・見せしめに能登か春田、どちらか一方の恥ずか死ぬムービーが『誰か』の目に触れるかもしれないのだ。
更には『誰か』から、廻りめぐって恥ずか死ぬムービーに共通して名前が出てくる『彼女』にも。
(( ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ))
散々悩んだ末、二人が出した結論は
『Date **/** 17:15
Name ゴッド
Sub Re:
高須が何だかいかがわ
しい店に入っていった』
大事な部分を不明瞭にして、それでも一応は真実を奈々子に報告した。
見上げた忠誠心と、自分達の恥ずか死ぬムービーが出回るような事にはならないはずという、自己保身根性。
どうせ機嫌を損ねられるようなら、取り返しのつかない物を曝されるよりかは、おべっかとヨイショと少しばかりの散財の方が
まだマシだろうと腹を括ったのだ。
後ろ向きな括り方にも程がある。
ム゛ー ム゛ー ム゛ー
メールを送信した直後、奈々子が一体どのような反応をするかを二人が想像しあう前に、またもやケータイが震える。
能登と春田も震えあがる。
いくらなんでも速過ぎる、ひょっとしたら別の誰かからのメールかも・・・そうであれと願いながら、震える手でケータイを開くと
『Date **/** 17:15
Name ゴッド
Sub Re:
能登くんと春田くんも
そのお店に入ってみて
軽く調べるだけでいい
の
そのお店がどういった
シュミってゆーか、雰
囲気のお店なのかって
ゆーのだけでも分かれ
ばいいから
で、言わなくても分か
ってるだろうけど、な
るべくなら高須くんに
バレないようにね
バレても、くれぐれも
あたしのことはヒミツ
だからね、おねがい
あぁ、それと
高須くんの傍に女がい
るでしょ?変なことし
てたら、速攻で連れ出
してね 』
(( ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ))
寒気を通り越し、怖気すら二人は感じた。
注目すべきは予め本文を打ち終え、待ち構えていたとしか思えない速さでの返信。
加えて、肝心のメールの内容。
色々とボカしているとはいえ、いかがわしい場所に躊躇なく行けという。
そして妙なところで切られている事に嫌な予感がしつつクロールしてみれば、
どこかで見てるんじゃないかと疑ってしまうような、奈々子の本心がビンビン伝わってくる一文で締められていた。
(・・・行くか・・・)
(・・・おう・・・)
奈々子にメールを送った時点で、どうせこうなるだろうと思って覚悟を、或いは諦めをつけていたのか。
立ち上がった春田は、能登が今の奈々子とのやりとりのメールを全て消去したのを確認すると
竜児が中に入ったまま、未だ出てこないいかがわしい店───毘沙門天国の扉に手をかけ、開く。
カランカラーン と、作りだけは重厚に見えるドアに付けられた鈴が、小気味良く鳴って来客を告げた。
「いらっしゃ〜い。でもぉまだ開けてないの・・・?」
オドオドした態度で店内に足を踏み入れた春田と能登。
入りたくて入った訳ではないし、初めてこの手の店に入った事に一種の恐怖心とも罪悪感ともつかない感情と、気恥ずかしさを感じている。
それは誰もが上る大人の階段の一つかもしれないが、二人が上るには少しだけ早い。
カウンターを拭いていた女性も、看板を点ける前に入ってきた気の早い客が、まだ酒の味も知らない高校生だと分かると手を休め
「ごめんねぇ〜、あと2〜3年したらたぁくさんサービスしてあげるから、今日はぁ」
申し訳無さそうに眉尻を下げ、それでも笑顔を作って、柔らかい物腰で大人の応対をする
「・・・春田? それに能登? 何してんだお前ら、こんな所で」
───つもりだったのだろうが、それはカウンターの奥、厨房から出てきた竜児に横割りされる形で遮られた。
制服の上着を脱ぎ、袖を捲くったシャツの上からエプロンを掛けた竜児は、手にこれでもかと洗い終えたばかりのグラスを乗せた盆を持っている。
いつものように熱心に洗ったのだろう、キレイに重ねられたグラスは暗めに設定してある照明でも反射してキラキラ輝き
「「 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 」」
意外な所から出てきた竜児を、ポカンと見つめる能登とマヌケ面な春田をも映し込んでいた。
「むぅ〜・・・竜ちゃんひどぉい・・・せっかくやっちゃんがこう、大人のお姉さん? をえんしゅつしてたのに・・・」
「あー・・・そんなのどうでもいいからこっち手伝えよ。これ終わんなきゃあ店開けらんねぇだろ」
入り口に突っ立ったままの能登と春田を気にしつつ、竜児はカウンターの中にある棚に一つひとつ手で丁寧に水気を拭ったグラスを並べていく。
そんな竜児に、ほっぺたを膨らませた泰子が愚痴る。
泰子からすれば背伸びをする子供をたしなめる、大人の余裕溢れる優しいお姉さんで通そうとしていた。
なのにいい所で水を差され、子供のようにふて腐れている。大人の余裕なんて微塵も感じられない。
竜児は竜児でクラスメートにこんな場面を見られているのがバツが悪いのか、泰子へのフォローもおざなりにテキパキと手を動かす。
そういう竜児の素っ気無い態度に泰子は
「ねぇねぇ、のとくん? と、さかたくん? 竜ちゃんってぇ学校でもあ〜んなに感じ悪いの?」
関心を引けるだろうと思い、ついでに学校での竜児の評判を同級生らしきメガネとロン毛に尋ねた。
「へ? え、えーっと、そんなことは・・・高須はああ見えて全然マジメだし、スッゲー気は利くし・・・
・・・俺なんて一年の頃からなら一番の付き合いだし・・・な、なぁ」
「お、おう。そうそう、高っちゃんは見た目と違ってチョー良いヤツだよな・・・そんで、あの・・・俺春田なんスけど・・・」
突然話題を振られたのと、露出の激しい服ですり寄ってくる、大人の色香漂う泰子にドギマギしながらも竜児を立てる能登。
まだ竜児と泰子の関係を知らないために、本気で竜児の交際相手かそこらだと思い込んでいる。
普段の能登ならば、二ヶ月も竜児に張り付いている間一度も目にした事がない泰子を不自然に思ったり、疑問視するのだろうが、
目の前数十センチ、目線より若干下にて揺れ動く二つの山に目が行って、そんな事を考える余地などありはしない。
春田も能登に倣いつつ、そして口では名前についてブツクサ言ってはいるが、凝視という言葉なんて生温い、
視姦の域にまで達するくらい泰子の胸と尻とふとももを見ている。
目は血走り、息は荒く、鼻の下はだらしなく垂れ、鼻血まで流しているというのに、春田は泰子から目を逸らそうとしない。
この映像を焼き付けるために、ただでさえ少ない脳みその容量を使い切る勢いだ。
能登と同じく泰子の事を竜児の彼女か何かだとは思っているのだろうが、よからぬ気配を体中から発している。
級友の彼女でというのも最悪極まる話だが、この調子では顔を綻ばせている泰子が竜児の母親だと分かった後でも孤独な遊戯に耽りそうだ。
「わぁ・・・そうなんだぁ・・・よかったぁ、やっちゃんちょびーっと心配してたんだけどぉ・・・そっかそっかぁ」
竜児が周囲と打ち解けているという話にホッと胸を撫で下ろし、気を良くする泰子。
親バカと言えばそれまでかもしれないが、泰子なりに竜児を心配していたのだ。
なにしろ泰子が目つきについていくら褒めても、竜児は「世界で一番目つきが悪いのはだーれ?」「お前とお前の親父」なんて
幻聴を耳にするくらい、持って生まれた三白眼を気にしている。
前髪を垂らしてもメガネを掛けてみても、色々と試しては何故か印象が良くなる事がないという現実を見せられるだけ。
徒労に終わる努力にうな垂れる竜児を「やっちゃんは竜ちゃん好きだよ。だからそんなの気にしない気にしな〜い」と慰めてはみるものの
竜児があんまり深刻に悩むものだから、泰子も内心相当気にかけていた。
大河が来るようになってからは学校であった出来事などが頻繁に話題に上るようになったとはいえ、やはり同性の友達から、
それも思っていた以上の竜児の褒められようを聞き、泰子は自分の事のように大げさに喜んでいる。
と、そこに
「・・・やめろよ、こっ恥ずかしい」
今までせっせと手を動かしながらも会話に聞き耳を立てていた竜児が、最後のグラスをしまい終えるとエプロンを外して泰子の隣まで歩いてくる。
途端、能登と春田が小さく悲鳴を上げた。
近づいてきた竜児の顔を見ただけで。
「あぁ〜竜ちゃん照れてる〜。さてはぁ・・・そんなに嬉しかったんだぁ」
「・・・そんなんじゃねぇよ・・・」
(( あれが照れ顔っ!? ))
能登と春田が驚くのも無理はない。
泰子に頬を突かれている竜児の顔は真っ赤だ。
それだけだが、それだけで、見た者にただならぬ何かを与えるインパクトがある。
「またまたぁ、んふふ〜・・・でも、ホントによかったねぇ竜ちゃん、こんなにいいお友達ができて・・・
・・・やぁん、やっちゃんまで嬉しくって泣いちゃいそう」
「だから、んな恥ずかしいこと言うんじゃ」
「また照れてる、まっかっかな竜ちゃんかっわいぃ〜」
「っ・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
泰子が口を開く度、余計に顔を赤くさせる竜児。
一方───・・・
(なにあれ? 見せつけてんの? ラブってんの? 当ててるのよってやつなの? ・・・俺も当ててやろうか)
(・・・ベルトなんかに手をかけて、お前は一体ナニを高須に当てるつもりだ)
照れてそっぽを向く竜児の腕に抱きついて、楽しそうに竜児をからかう泰子。
抱かれている竜児の腕は泰子の胸に挟まれ・・・いや、埋もれている。
竜児は否定するだろうが、バカップルさながらにじゃれあっているようにしか思えない。
しかも能登と春田が見ているのなんか意にも介していない。
いくらそんな気がなくても、見せつけられる方のストレスはどんどん溜まっていく。
主に春田の。
(止めんじゃねぇよ能登。ここは一発高っちゃんに天国と地獄を同時に味あわせるために、俺が捨て身で行くしかねぇんだ。
もし高っちゃんの彼女にも当たっちまっても、それは偶然なんだよ偶然。分かんだろ?)
(春田こそ、後半の言い分が痴漢と変わらないって自分で分かってるんだろうな)
竜児と泰子の甘い一時を引き裂くのに何故脱ぐ必要があるのかについて何の説明もせず、春田は制服という殻から己を解き放とうとする。
だが、能登に腕の関節を極められていて上着すら脱げていない。
「───・・・っと、こんな時間か・・・泰子、そろそろ」
「うん? ・・・ホントだ、もうお店開けなくっちゃ・・・」
グイグイ泰子に押されていた竜児がふと顔を上げると、壁にかかっている時計の針が思っていたよりも進んでいる事に気付いた。
泰子も開店時間が迫っているのが分かると、心底名残惜しそうに竜児から離れた。
能登と春田も、とりあえずは動きを止める。
「ありがとう竜ちゃん。ごめんね、急に無理言っちゃって」
「気にすんなよ、こんくらい。あぁ、仕込みのついでに軽く食えるもんも作っといたから。ちゃんと食っとけよ、もたねぇぞ」
「ほんとぉ? うれしぃ・・・そうだ、ちょっと待ってて」
ほんの束の間、一瞬の事。
能登と春田が思わずドキリとするような潤んだ瞳で竜児を見つめた泰子は、パタパタとカウンターまで歩いていく。
置いていたバッグから財布を取り出し、千円札を三枚引き抜くと
「はいこれ」
「はいって・・・いや、だけどよ」
再び竜児の腕を取った泰子が、軽く閉じられていた手を開いて、丁寧に折りたたんだ紙幣を握らせる。
そんなつもりで来た訳ではない竜児が、遠慮しようと口を開くが
「いいのいいの。い〜っぱいお手伝いしてくれた、お・れ・い」
そう言われ、両手でぎゅっと手を握り締められると、軽く息を吐く竜児。
しっかりと握られた手から伝わってくるものに、泰子は絶対に譲らないだろうと思い、素直に受け取ることにした。
「・・・悪いな、大した事もしてないのに」
「そんなことないよ、やっちゃん大助かりだったもん・・・けど・・・それならね、またお手伝いしに来てくれる?
その分も一緒ってことでどう? 竜ちゃんの時間が合うときでいいんだけど・・・それでもいい?」
「おぅ、そうだな。そん時ゃもっと手の込んだ物作ったり、しっかり掃除するからよ。これ、それまで前借しとくな」
「うんっ! 約束だよ、絶対だよ? 竜ちゃんが来てくれるの、やっちゃんすっごい楽しみぃ」
それでもどこか申し訳無さそうにしている竜児に、泰子が出した提案。
頷いてほしいという期待を込められた泰子の視線に気付いていたかはともかく、竜児はその申し出を二つ返事で引き受けた。
次の約束を取り付けられたことに、泰子も満足気に頷いて微笑む。
「じゃあ、今日のとこは帰るから。なんかあったら連絡しろよな」
「はぁい、お疲れ様でした。気をつけてね、竜ちゃん」
「泰子こそ、また飲み過ぎて転んだりすんなよ」
「なぁに〜? やっちゃん聞こえなーい」
「・・・お前なぁ・・・」
耳に手を当てて塞いでいるが、そんなのはポーズだけ。
繰り返ししてきた注意を、これもまたいつものように流した泰子に呆れる竜児だったが、それ以上しつこく言うこともなく。
終始蚊帳の外だった能登と春田を促すと、揃って毘沙門天国から出て行った。
「またねぇ竜ちゃん、ばいばぁ〜い。あ、お友達の子もぉ、おっきくなったらまた来てねぇ〜」
・
・
・
毘沙門天国を出ると、幾分薄暗さを増した帰り道を並んで歩く竜児達。
もう少し詳しく言えば、竜児を先頭に、少し遅れて能登と春田がついていってるという方が正しい。
(ヤ、ヤベーんじゃねーのこれ? 高っちゃんにバレるなって言われてんのに)
(んなこと、今更言ってもどうしようもねぇだろ)
大体からして、見つかるなという方が無理な話だろう。
(つってもさー・・・やっぱさー・・・)
(グチグチ言ってないで、お前もどう言えばいいか考えろよ・・・奈々子様にどう・・・どう・・・)
青褪めた顔に大粒の汗を貼り付けている能登。
今しがたの光景を頭の中で何度も思い出しながら、少しでも奈々子に刺激を与えないような言葉を探すのに必死になっている。
だが、腕を組んでの買い物や、毘沙門天国での竜児の行動と、泰子のあの態度。
それらを完全に誤解している今の能登にも、ましてや春田にも泰子が竜児の母親などと思い至る訳がなく
(・・・俺が悪かったから、そんな顔すんなよ・・・)
(・・・・・・・・・・・・・・・・・・)
春田の慰めも虚しく、上手い言い訳が出てこない事に、能登はどんどん前屈みになっていってしまう。
ここが道路ではなく人目もなければ、その場で頭を抱えているだろう。
「なぁ、何でお前らあんな所にいたんだ」
「うっへぇっ!?」
(・・・う・・・まずい、なんも考えてなかった・・・)
竜児からの質問に、能登と春田は完全に不意を突かれた。
元々奈々子からの命令で、場当たり的に竜児が入っていった店に飛び込んでいったにすぎない。
しかもすぐさま竜児に見つかり、その後はただ竜児と泰子のやりとりを眺めているだけで終わってしまった。
あった収穫は、竜児に彼女がいたという誤解のみ。
それでもそれが誤解だという事に気付いてない二人は、奈々子への報告で頭がいっぱいで、竜児を丸め込むようなセリフを何も用意していない。
「そ・・・れは、その・・・つまり・・・」
「あ、ああああのあの! お俺ら高っちゃんがあの店入ってくの見て、そんで・・・た、たたっ高っちゃんこそあそこで何やってたんだよ!?」
「バッ!? は、春田・・・」
何か、何か言わなければ───・・・そう焦る能登よりも、更にテンパった春田がキョドりながら捲くし立てる。
アホが先走りやがって、全然質問の答えになってねぇじゃねぇかと、足ばかり引っ張る春田にキレかかった能登だが
「俺? 俺は人手が足りないって言われて・・・まぁ、バイトみたいなもんか? 親の手伝いしただけでバイトっていうのも変だけど」
「・・・・・・・・・親?」
竜児のセリフの中から、すかさずある単語を拾い上げる。
「おぅ。いきなり呼び出されたと思ったら買出しに付き合ってとか、店でテキトーにつまみ作ってくれって頼まれてよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
あの場には誰が居た?
竜児と竜児を追ってきた自分達、そして───
そこから、能登はある答を導き出した。
「高須、ちょっと聞いていいか」
「おぅ?」
「間違ってたら笑ってくれていいんだ、いっそ俺を春田って呼んでくれてもいい」
「・・・? ・・・何だよ」
能登は一度深く息を吸い込むと、吐き出すと同時に竜児に言う。
「さっきの女の人・・・ほら、高須のことちゃん付けで呼んでたあれ・・・ひょっとして、あのヒトが高須の母さんか?」
毘沙門天国にいたのは四人だけ。
竜児と竜児を追ってきた自分達、そして───竜児とベタベタイチャイチャしていた女性。
親子というわりには妙に艶っぽい目で竜児を見ていたような気がするが、買い物中からずっと一緒だったし、多分あれが母親で合っているはず。
「「 はぁ? 」」
能登の言葉を聞いた竜児と春田が意味不明だと、素っ頓狂な声を上げた。
即座に能登に耳打ちを始めた春田が、アホな質問してどういうつもりだと能登に言いまくるが
「そうだけど、それがどうかしたのか?」
竜児の気の抜けた声に、ピタリと春田の口が止まる。
あんな深刻そうな顔をされ、あれだけ引っ張っておいてそんな当たり前な質問をされた竜児は、そんなこと聞いてどうすんだと疑問に思う。
それでも隠すような事でもないし、竜児は素直に質問に答えた。
その事がどれだけ能登達にとって重要な意味を持っているかも知らずに。
「・・・・・・うそだろふが!?」
「いや、ちょっと気になっただけなんだ。変なこと聞いたりしてゴメンな、高須」
陸にあがった魚みたいにパクパク口を動かしていた春田が、竜児を指差して大声を出そうとするのを、能登が口を手で塞いで止めた。
容姿や歳の差なども含め、まさかあの女がこんなヤクザ顔をこの世に生み落としただなんて信じられなかったようだ。
能登に抑えつけられたままでも、ふがふがと聞き取れない言葉で、竜児に向かって何事か吐き続けている。
そんな春田を無視する能登は、涎と湿っぽさに不快感を訴えてくる手の平を元凶である春田の顔面で拭くと、小さく安堵の息を吐き
(・・・・・・っしゃあ!)
心の中で盛大にガッツポーズをとった。
『何の事はない、高須は親の仕事の手伝いをしていただけだった』───・・・あれだけ追い詰められていたのが嘘のように
能登の頭にはノートに書き加え、奈々子にメールで報告する文が浮かんでくる。
「これで・・・これで・・・!」
「の、能登? どうした・・・泣いてんのか?」
「おっと・・・何でもないんだ、ただ・・・ありがとうな、高須。マジでありがとう」
「お、おぅ・・・?」
勝手に目元を濡らしていたものを袖で拭うと、能登はとてもいい笑顔で竜児に感謝を述べた。
そもそもの原因が竜児だなんて、完全に頭から消えているんだろう。
晴々とした、それはそれはスッキリとした笑顔で礼を言われ、訳も分からないままだが竜児は返事をしておく。
「・・・それで、何でお前らがあそこに」
「あら? 高須くん? 奇遇ね、学校の外で会うなんて」
竜児が再度毘沙門天国に入ってきた理由を尋ねようとすると、後方から声をかけてくる者がいた。
振り返ると、近所にあるスーパーのロゴが印字された買い物袋を提げた担任教諭(三十歳独身)が小さく手を振る姿が。
「ゆりちゃーん、奇遇にも俺らも一緒なんだけどー」
「お家のお手伝い? しっかりしてるのね、高須くんってきっといい旦那さまになれるわ」
「シカトとか仮にも担任のやることかよー」
いつからそうしていたのかは不明だが、ショックから何度もアスファルトに頭を打ち付け、自傷行為に走って現実逃避をしていた春田を
そこには居ないものとした恋ヶ窪ゆり(三十歳独身)は、自身が受け持つクラスの生徒達に歩み寄る。
竜児が毘沙門天国から出て以降も提げっぱなしだったエコバッグと、そこからはみ出ている食材から自分同様夕飯の買い物をしているのだと
察したゆりは、当たり障りがない言葉に、チラリと何かを臭わせる単語を織り交ぜて竜児を褒めた。
褒められたことに対して普通に謙遜している竜児を見て、能登と春田はげんなりとした顔になる。
こいつちっとも分かってねぇ───そう心でごちる二人の前では
「先生、自炊なんかしてたんですか」
「そりゃあ先生だって、人並みにはお料理とかするのよ。意外かしら?」
「あぁ、いや・・・そんなんじゃ」
「ふふ・・・謝らなくてもいいのよ、気にしてないから。それよりも高須くん、お夕飯はなににするの?」
竜児とゆりがそれなりに話に花を咲かせている。
というよりかは、竜児が必ず返さなければならないように、さっきからずっとゆりが会話を操作しているのだが・・・
案の定、竜児はその事にまったく気付かない。
(能登・・・)
(分かってる・・・)
このままの状態が続くのは、能登と春田からしたらあまりよろしくない。
毘沙門天国での事は泰子が竜児の母親ということからあまり問題にはされないだろうが、こんな所でゆりと出くわすのは由々しき事態と言える。
なんといっても大橋高校にその名を轟かせるヒトリガミは、結婚がしたくてしたくて堪らないのだ。
西に優良物件との縁談があれば飛んで行き、東で合コンが開かれたなら歳をサバ読みしてでも出席する。
最近では隠れて『これであなたもお母さん☆夜の男を手玉に取るオンナの必殺技百選』なんてイタイ書籍を購入し、
その著者が開く胡散臭いセミナーにまで顔を出す始末。
そんなゆりの照準が竜児に合わせられている。
それがどういうことかというと
「あっそうだわ。高須くんってお料理得意なのよね? なら」
「すいませーん、今日の授業分からない部分ばっかりで・・・スッゲー気になるんで今教えてください、今」
「勉強熱心なのね、能登くん。でも私の仕事はチャイムと一緒に終わってるの、今度にして。
で、先生最近肉じゃがみたいな、家庭の味っていうのかしら。そういうのに凝ってるんだけど」
「ああっ! あんなとこに適齢期っぽいイケメンがー!」
「春田くん? 男は顔だなんて女ばかりだと思ってるんなら、ちょっと了見が狭いっていうかぶっちゃけ器が小さいわよ。
それでね高須くん、話の続きなんだけど、やっぱり一人じゃよくわからなくって」
「「 生まれる前から好きでした! お願いですから俺と結婚してください!! 」」
「ぶしつけだけど、これから先生のお家で味付けとか見てもらえないかしら? もちろん、うんとご馳走するから」
強引に話を振られようと、話の腰を折られようと、いきなり求婚されようと。
ゆりは能登と春田なんて歯牙にもかけずに、竜児をお持ち帰りするべく口説きにかかる。
傍から見たら異様の一言に尽きる。
これでもゆりからすれば、まだ大人しめにお誘いしているつもりという・・・何がゆりをそこまで駆り立てているのだろう。
そして何故能登達が、ここまで懸命にゆりの邪魔をしているのか。
それはゆりに独り寂しく生涯を終えてほしいからという、陰湿な理由からではなく
(だああぁぁ!? このままじゃ高っちゃんが食われるー!? 『デザートはわ・た・し』とか言われてガッツリ食われちまうー!?)
(・・・・・・もし・・・もしもそんなことになったら・・・・・・)
自分達の失態を咎められるのなんて目じゃない不幸が訪れる恐れがあるからだ。
スタート地点から違う大河達ならいざ知れず、よりにもよって竜児があの独神やぽっと出の誰かの物になった日には・・・
今までの全てが泡となって消え、失恋の痛みを抱えた奈々子がどんな無茶をするか予測できない。
ヤケ食いなどのありきたりな憂さ晴らしで終わるとは到底思えない・・・最悪の場合、全国にイニシャルででも名前を売るかもしれないのだ。
『女子高校生、同級生と担任を刃物で滅多刺しに』等という、これ以上なく猟奇的な見出し付きで。
行きがかり上竜児と接触している今なら、竜児の貞操と一緒に奈々子が犯罪者になるかもしれない未来を事前に潰せる。
だが、邪魔な大河を連れていない竜児が表を歩いているという、狙っていたカモがネギを背負って目の前にいるこの好機を、
ゆりもみすみす逃しはしない。
最も重要かつ一番の目的である結婚───ゆりにとってのゴールまではまだ一年は時間がかかってしまうので、
今は確かな関係を無理やりにでも築こうとしている。
『これであなたもお母さん☆夜の男を手玉に取るオンナの必殺技百選』を実践できる、というところまで持っていければ確実だろうか?
ム゛ー ム゛ー ム゛ー
(うわあぁぁああ!?)
(ど、どうした!?)
(・・・ケ、ケータイが・・・メールだ・・・)
不意に、能登のケータイが震えた。
そういえばあの返信以後、まだ奈々子にはなんの連絡も入れていない。
痺れを切らしたのだろう。
そんな場合ではないが、このままシカトするのも何だか怖い気がする。
竜児もゆりからの熱い申し出をかわそうとしているみたいだし、とりあえず能登は読むだけ読もうと、ケータイを開けてみた。
『受信メールが 23件 あります』
閉じた。
このまま手の中の物体を投げ捨ててしまいたい衝動を、隣にいた春田をぶん殴ることで辛うじて抑え込む事に成功した能登は
2〜3件の見間違いだと自分に言い聞かせ、再びケータイを開く。
『受信メールが 23件 あります』
変わらずに液晶に浮かぶ文字を見ていると、背中を際限なく悪寒が駆け抜けていく。
いつの間にこんなに溜まっていたのだろう・・・そして何故こんなに溜まるまで気付かなかった。
これが自分にではなく、竜児に対して向けられている想いからだと分かってはいても腰が抜けそうだ。
能登はもう何度目か分からない諦めの溜め息を吐くと、意を決して受信ボックスの一番上、今届いたばかりのメールを開いた。
『Date **/** 18:02
Name ゴッド
Sub Re:
よくわかったわ
今スドバにいるんだけ
ど、麻耶だけじゃなく
て亜美ちゃんと櫛枝も
一緒なのよね 』
何が分かったのだろう。
他の22通ものメールに目を通せば、どういった経緯を辿ってこのメールになるのかが分かるのだろうが
(・・・・・・・・・・・・・・・・・・)
そんな勇気を、能登は持ち合わせていなかった。
───今スドバにいるんだけど、麻耶だけじゃなくて亜美ちゃんと櫛枝も一緒なのよね・・・彼女らに『アレ』を見せるぞとの、奈々子の脅し。
死刑宣告も同然だろう通告に、能登はもう閉じる気力すら失ったのか、開いたままのケータイを握り締めて硬直している。
まるで抜け殻だ。
ゆりの猛アタックに根負けして、とうとうオーケーを出してしまった竜児を虚ろな目で眺めている。
(・・・思えば短かったな、俺の人生・・・)
能登の頭に浮かぶのは、近い将来の新聞。
多発する未成年者による犯罪の中でも、一際凄惨な事件として世間を賑わせるそれを一面に出した新聞の地方欄に、
小さく小さく載る大橋高校に起こったもう一つの悲劇。
イジメによって追い込まれたメガネとロン毛の生徒が教室で首を・・・・・・
(ハハッ・・・死ぬ時までこいつと一緒かよ)
(は、はぁ? なんだよ気味わりぃ・・・それよか、今のメールって奈々子様からだろ・・・なんだって・・・?)
(べつに・・・ただ、スドバに居るってよ。それと)
(・・・の・・・と・・・スドバって・・・そこ・・・)
(ああ、今そこに櫛枝と木原と、亜美ちゃんまで居るってメールで・・・多分、俺達のあの動画を)
(だからスドバってそこ、そこ! 目の前じゃねぇか!)
(はぁ? ・・・・・・あっ・・・・・・)
ゆりに捕まった竜児が、ちょうど前を通り過ぎた店。
『須藤コーヒースタンドバー』───・・・その看板を指さす春田に、遅まきながら能登もやっと理解した。
すぐそこに奈々子が居る。
奈々子だけではない。麻耶も、亜美も、実乃梨も。
それだけいれば、ゆりを止めるのに十分すぎる。
そう思った時には能登はメール画面を終了させ、奈々子のケータイに電話をかけていた。
『・・・・・・なんの用かしら』
呼び出し音の後、店内のざわつきに混じって奈々子の冷ややかな声が鼓膜を震わせた。
反射で姿勢を正す能登の姿に、行き届いた教育が垣間見える。
「そ、その・・・連絡が遅れたのは謝る。でもまだ高須を・・・いや、ずっと高須と一緒だったんだけど」
『そぅ。それだけ? ならもう切るわね』
裏返った声でシドロモドロに経緯を話そうとする能登を突き放し、奈々子は手短に電話を切ろうとしている。
能登は慌てて用件を伝えた。
「待ってくれ! 高須がヤバイんだ、今スドバの前なんだけど独身に」
ブチッ ツー・・・ツー・・・ツー・・・
言い切る前に通話が終わった事を、耳障りな電子音が教えている。
直前に聞こえた回線を切る音が、能登には希望が断ち切られたように聞こえた。
緩慢な動作で役目を終えたケータイをしまうと、能登は横で見守っていた春田に向き直った。
「・・・ど、どうだった?」
「・・・すまん・・・」
その時
「どりゃりゃりゃりゃりゃりゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
バァン!! とスドバの扉が勢いよく開かれ、中から女子高生が一人飛び出てきた。
キョロキョロと辺りを見回し、ゆりが竜児を連れて歩いているのを発見すると一目散に駆けていく。
「楽しみだわぁ。先生男のヒトを部屋に上げるのなんて久々で、なんだかドキドキしちゃう・・・あ、変な意味じゃなくてね、言葉通り」
「おっととっと、体が滑っちまったあああああぁぁぁ──────!!」
ビシャア・・・ベチャア・・・
わざとらしいセリフを喚きながら女子高生───実乃梨が、手に持っていたミルク5杯、シュガースティック3本、ガムシロップ10個分が溶けた
アイスコーヒーを頭からゆりに浴びせ、次いで抹茶宇治金時クレープLサイズ、オプションでミントアイス乗せを顔面に目いっぱいこすり付けた。
甘ったるい臭いをプンプンさせているゆりは、突然すぎて悲鳴も上げられずに呆然としている。
抹茶と青みの強いミントによって斑のデ○ラーみたいなメイクの下は、総統に負けず劣らずの蒼白っぷりだろう。
「ふぃ〜あぶねがっだー・・・高須くんっだいじょぶ? なんか変なことされてない?」
手早くゆりから竜児を引き剥がし、さり気なく手まで繋いだ実乃梨はこの場から去ろうと歩き出した。
何がなんだか分からず、なすがままだった竜児がかけられた声にようやく我に返る。
「・・・えっと、お、おぅ・・・それよりも櫛枝、あれ・・・あのままじゃ、いくらなんでも・・・」
「んー? なぁにー・・・あぁ、あれ・・・」
お目当てである竜児の横でホクホク顔の実乃梨だったが、その表情が一変する。
ポイ ポ───ン ストッ
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ワナワナと体を震えさせるゆりを心配する竜児が面白くなかったのだろう。
実乃梨は手に持っていた空のカップをゆりに向かって放り投げる。
キレイなアーチを描き、狙い通り見事にゆりの頭に着地したカップ。
これが見世物だったら拍手喝采だ。
「これでオッケー。さ、行こうか高須くん」
「オッケーって・・・」
「・・・・・・ち・・・・・さい・・・・・・」
聞き取れないくらい小さな声で、ゆりが何事か呟いている。
頭上のカップを手に取り力任せに地面に叩きつけると、転がるそれを踵でグシャグシャにした。
俯いた顔からは、どんな表情かまでは分からない。
分からないが、デス○ーもガミラスを捨てて逃げ出すほど恐ろしい顔をしていそうだ。
「待ちなさいって言ってんでしょ・・・」
「うおぉっ!?」
いつの間にか背後に立っていたゆりに、竜児の背筋が凍る。
「・・・っ・・・櫛枝さん? 先生に一体なにしたか分かってるの・・・分かってるわよね。
いくら優しい先生だって、ここまでされちゃうとご両親と学校に相談せざるをえないんだけど・・・」
竜児に怯えられたことに軽くヘコむが、それでもゆりは実乃梨に向かって表向き冷静に、教師らしく語りかける。
某指輪的なタイトルをした、日本を代表するホラー映画に出てくる幽霊みたいなざんばら髪では教師らしくもクソもないが。
「なによ、まだやってんの?」
「か、川嶋?」
「おっ、あーみん・・・いや〜中々うまくは行かないもんですなぁ」
「やる事が温いんじゃないの、実乃梨ちゃんって・・・ヤッホ、高須くん。大変だったね、怖かったでしょ?
でももう大丈夫、あとはこの亜美ちゃんに任せて」
だが、実乃梨はゆりの事などどこ吹く風。
合流した亜美とハイタッチを交わすと、後始末を亜美に託して、実乃梨は竜児を連れてスドバに入っていった。
「ちょっと! まだ話は」
「さぁさぁ、先生はこっちこっち〜。そんなカッコじゃせっかくの良い女が台無しだから、とっととお着替えしましょうねー」
「なっ・・・川嶋さん、ど、どこへ・・・? 離してくれないかしら、先生櫛枝さん・・・うぅん、高須くんに用が」
「黙って歩きなさいよこの独身ババァ。ぶっ潰すぞ」
あれだけやっておいて一言の謝罪もせずに去っていく実乃梨と、せっかくお持ち帰り直前までいった竜児を追いかけようとするが、
亜美にガッチリと首根っこを掴まれたゆりはスドバとは反対の方向に引きずられていった。
「お、女ってこえー・・・」
「まったくだ」
見送る春田の独り言に、能登も同意して頷く。
狭い路地裏へと消えていった亜美とゆり。
逃げ出そうともがいてたのか、ゆりの断末魔じみた金切り声が時折したが・・・今はそれも聞こえなくなった。
ム゛ー ム゛ー ム゛ー
能登のケータイが、また着信によって振動している。
相手は奈々子だ。
実乃梨と亜美をけしかけたのも奈々子の仕業だろう。
高みの見物も済み、竜児もそこに居るのだろうに、まだ何か用があるのか。
「もしもし」
『あ、能登くん? 今どこ?』
「・・・? スドバが見える所にはいるけど、どうかしたのか」
『すぐにこっちに来てくれない? 高須くんがあなた達のこと探してるわよ』
「・・・・・・本音は?」
『・・・く、櫛枝がね・・・その、高須くんを・・・麻耶まで一緒になって・・・だから・・・・・・』
「・・・分かったよ」
『ありがと・・・それと、ごめんね。独身に捕まってたのに、あんなメール送って・・・
なんとかしようとしてくれてたんでしょ? それなのにあたし・・・』
「そう思うんだったら一杯くらい奢ってくれないか? こっちはもうクタクタだよ・・・」
『ええ、そのくらいはさせてちょうだい・・・能登くんも春田くんも、本当におつかれさま』
「それじゃ、今から行く」───・・・そう言って通話を終えると、能登は春田に事情を説明し、これから奈々子達の下まで行く旨を伝えた。
結局は巻き込まれるという事を骨身に染みている春田も、露骨に嫌そうな顔をしながらも能登に付き合う。
どうせなら一番高いものでも頼んでやろうぜ、とテンションを上げようと軽口を叩く二人が店内に入ると
「高須くん高須くん! 今度はこれ、スドバの新メニュー『DEATH NOTE(納豆、オクラ、ツナ、エリンギ)ケーキ』いってみよう!
この今更な健康志向といいB級感といい、しかもネーミングに合わせてケーキを辛くしちゃう須藤さんのセンスが光る一品!
食べなきゃそんそん! ミスマッチなんて気にしてちゃ男が廃るぜぇ」
「やめなよ櫛枝、高須くんイヤがってんじゃん。それより高須くん、あたしとこれ頼まない? カップルだと割引してくれるんだって」
「・・・俺、帰って飯作らなきゃいけないんだけど」
「おっとこっちも捨てがたいな〜『当店自慢のコーラになんと紫蘇を配合! 一口飲めば病みつき確実、紫蘇コーラフロート』だって。
ぜってー後悔しそうだけど、なぜだかすんげー飲みたくなってこないかい? こない? そっかー・・・ならお次は!」
「だからそんなゲテモンやめなって。ねぇ、それで高須くんはどれにする? あたしおんなじのにするね」
「・・・コーヒー4つで」
他の客が後ろに控えてるにも関わらず、竜児を挟んであれこれとメニューについて悩む実乃梨と麻耶。
かなりの時間そうしているが、それでも誰も注意することができないのは、苦笑いを浮かべる竜児が恐ろしいからだ。
怯えながら並んでいる他の客からも、泣きそうな顔で注文を待っている店員からも居心地の悪さを感じていたのだろう。
竜児は適当に注文を済ますと、そそくさと奈々子が待っているテーブルに歩いていく。
あれだけ悩んでいた実乃梨と麻耶も竜児に続く。
二人とも、要は何でもよかったのだ。竜児とお揃いなら。
(( ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ))
上げようとしていた倍はテンションが下がっていくのを感じながら見ていた能登と春田。
うんざりしながらも、手ぶらなのもなんだから、コーヒーでも頼んでいこうと順番待ちの列に加わる。
ム゛ー ム゛ー ム゛ー
するとまた能登のケータイが・・・開くと、奈々子からのメールが。
『Date **/** 18:14
Name ゴッド
Sub Re:
やっぱり来なくていい
かも 』
理不尽だとは思ったが、奈々子の方に目を向けた能登は納得した。
4人掛けのテーブル席、どちらかといえば狭いソファーで、竜児の隣にピタリと並んで座れていられる、あの空間を手放したくはないのだろう。
あそこに能登達が加われば、席を移動せざるをえない。
せっかく自然な流れで竜児と隣同士になれた奈々子からの、『かも』という控えめで弱気なお願い。
意を汲んだ能登は春田を引っ張ってスドバから出て行った。
もう日が沈み、残光の空に月が存在を主張し始めた頃。
自販機で買った缶コーヒーを片手に、能登と春田は竜児がスドバから出てくるのを待っていた。
こうまでしてるんだからせめて良い思いをしやがれと、そこには居ない奈々子を茶化しながら。
・
・
・
「遅かったじゃない!! 今までどこほっつき歩いてたのよ!」
──────高須家──────
三十分ほど経ってからスドバを後にし、早足で帰ってきた竜児が玄関を開けた瞬間、中から大河が飛び出してきた。
頭から竜児目掛けて抱きつくと、背中に回した手にぎゅっと力を入れて離れようとしない。
(うわっなにあれ)
(春田は初めてか。俺も三回ぐらいしか見てないけど、タイガーって高須の帰りが遅くなるとあーいう出迎えをして甘えまくるんだ。
最後は決まって『心配したんだから』って言うんだぜ。多分高須に頭を撫でてもらえるように誘導してんだろうな)
(ホントだ、高っちゃんタイガーの頭撫でてら・・・えぇっ!? なにやろうとしてんのあれ!?)
(知らないのか? お帰りのチュウって言うんだぞ)
(いやそれは知ってるから!?)
物陰から覗く二人の視線の先では、竜児に抱きついたままの大河が爪先立ちをして、目を瞑り心持ち顔を上げている。
が
(あれ・・・高っちゃんなんもしねーで家ん中入ってっちゃったけど)
(今までもそうだったからな。きっと高須からしたら、タイガーが変顔してるくらいにしか思ってねぇんだろうよ)
(それがマジだったら、俺タイガーに同情するわ・・・)
竜児は自分に引っ付く大河ごと家の中へと入っていった。
玄関のドアが閉じられると、能登はすぐに例のノートを取り出してペンを持つ。
春田は能登の横で大きく息を吐くと、その場にヘナヘナと座り込んだ。
しばらくは何事もなく、静かに時間だけが過ぎていく。
辺りはすっかり暗くなり、近所の家からこぼれる明かりと、漂ってくる夕食の香りが団欒を感じさせる。
自分達も早いとこ帰って温かい飯にありつきたい。
今日一日を振り返っては広げたノートにペンを走らせ、そう思う能登。
街灯に灯る明かりだけを頼りに何とか書き切り、抜け落ちた部分がないか読み返し終わると、春田同様に壁を背もたれにして地べたに座った。
張り詰めていた緊張が解れていくのを実感する。
それまでと比べても、中々に濃ゆい一日だった今日が、今ようやく終わった。
(・・・なぁ能登)
(ん? 行くか)
(ちがくて・・・高っちゃんとタイガーって、家ん中でなにしてんだろ)
(・・・・・・・・・・・・・・・・・・)
春田の本当に何気ない問いに、能登は答えられない。
知らないから。
(高校生の男と女がよ、毎日一緒の家に居てさ。一体なにしてんだろうなー)
(・・・さぁ・・・)
それについては能登自身も興味があったが、確かめたことはない。
校内と放課後なら背後霊の如く竜児の背中に張り付いていた能登だが、家の中まで覗き見した事は一度もなかった。
そんなマネをしている最中に見つかってしまったら、いくらなんでも言い逃れができない。
泰子の顔を知らなかったのも、そういう理由からである。
別段奈々子から命令された訳でもないし、自宅で竜児が何をしているかまでは、能登も詳しく調べようとはしていない。
春田と共に竜児の後を追いかけ回すようになってからも、それは変わらなかった。
今日までは───・・・
(もうちょっと奥行けねぇ? 俺からじゃ天井しか見えねーよ)
(ムリ言うな。これ以上近づいたらさすがに見つかるだろうが)
(でもカーテンかかってるしさ、俺らの事なんてバレっこねーって)
(分かったからそんなにくっ付くんじゃねぇよ、気色悪い・・・)
アパートを囲っている塀を足場にして高須家のベランダに忍び込んだ二人は、物音を立てないよう慎重に居間まで近づく。
窓の向こうから時折聞こえる声からすると、ちょうど夕食を始めるところらしい。
できたての食事を運ぶために台所と居間を往復している竜児を、空腹を訴える大河が急かしている。
一部、明かりがクッキリとしている箇所を見つけ、そこからなら中の様子を窺い知れるだろうと踏んだ能登はうつ伏せになった。
制服を擦らぬように注意して這うと、思った通りカーテンに隙間ができており、部屋の中が覗ける。
テーブルに着いている大河の横顔が見えるが、向こうはこっちには気付く気配すらない。
これなら大丈夫そうだ。
春田も慎重に慎重を重ね、うつ伏せになったまま移動して能登の横に並ぶ。
高校生男子が二人並んで寝転び、怪しさ満点で人様の家をウォッチングしているという、将来が激しく心配される絵面の完成だった。
(・・・これは・・・)
(思ってたよりも・・・)
気付かれぬよう、それでも攣る寸前まで首を伸ばしてカーテンの隙間から部屋の中を覗く二人は、信じられない光景を目の当たりにする。
「・・・それで、店ん中で洗い物とかしてたら能登と春田が入ってきてよ」
「ふ〜ん・・・ごはん」
「お、おぅ。ほら、あーん」
「あ〜ん・・・次、お肉ちょうだい」
「・・・なぁ、やっぱ普通に飯食おうぜ。疲れるんだよこれ」
「やだ。早くお肉とって」
「でもよ、これって何の意味が・・・晩飯が遅れたのが気に食わないってんなら、さっきっから謝ってんじゃねぇか。
だからもう許してくれてもいいだろ、な? 大河」
「おーにーくー」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・そんなにやなの・・・? ・・・そう・・・りゅうじ・・・やなんだ・・・そうなんだ・・・・・・」
「・・・ほら、あーん」
「あ〜ん・・・あつっ・・・もう、ひゃんとふ〜ふ〜してって言ってるじゃない」
食事の準備を終え、座った竜児の膝の上に陣取る大河。
自分がここに座るのは何も変じゃあないと、何度もどいてくれるよう頼む竜児にそんな事を言ってばかりで全く聞く耳を持たない。
仕方なくその格好で食事をしようとすると、大河は何故か食事に手をつけようとない。
嫌な予感に、まさかと思いつつ竜児が大河の前におかずを乗せた箸を近づけると、パカっと大河は口を開いた。
いやいやいや、冗談だろと思いつつそっと大河の口におかずを放り込むと、大河は口を閉じてモグモグしだす。
ジッと見ていると、口の中の物を咀嚼し終えて飲み込んだ大河は、まるで当然のように他のおかずも催促する。
それからは言われるがまま、竜児は大河にあーんをし続けていた。
(マジで何がしてーのあいつ・・・うぇ、胸焼けしてきた)
(知らねぇけど、タイガーは高須の膝に乗っかれて、しかもあーんまでしてもらってご満悦なんだろうってことだけは分かる)
(そんなん俺にも分かるっつーの・・・てか高っちゃん、あれは甘やかしすぎなんじゃね?
ふ〜ふ〜とか、タイガーのヤツ完全に幼児退行みたいなの起こしてんじゃん)
(お前にしては難しい言葉を知ってるな)
その後───・・・
「ごちそうさま。私お風呂入ってくるね」
「おぅ・・・何だったんだ、今日は・・・」
食事が済むと、大河は上機嫌で居間から出ていった。
ほどなくしてシャワーから流れる水音が聞こえてくるが、能登にしろ春田にしろ哀れ乳をわざわざ拝みに行こうとは言わない。
リスクとメリットに差が有りすぎる。
しばらくすると、流しで皿を洗っていた竜児も催したのかトイレに入っていった。
二人ともすぐには戻ってこないだろう。
(いや〜・・・なんかもうあれだな・・・ご住所さん、高っちゃんとしか・・・)
(ご愁傷さんって言いたいのか? ・・・で、どうする)
(なにが?)
(今なら多少音立てても平気だろ。今日はもう帰ろうぜ、腹減ったし)
(あぁ、そうすっか〜。これ以上見ててもなんもなさそうだもんな)
ここらが頃合だと、能登と春田は帰るために立ち上がった。
ベランダから塀の上へ、そして塀の上を伝い、通行人がいない事を確かめると道路に下りる。
そのまま何食わぬ顔をして、それぞれの自宅へと二人は歩き出した。
「ホントにタイガーは高っちゃんの前だと猫被るよなー・・・いや、脱いでるのか?」
「それを言うなら皆そうだけどな」
「ハハハ、ちげぇねーなぁ・・・はぁ・・・」
「なんだよ」
「・・・俺ら、いつまでこんな事すんのかなー・・・って考えるとさー・・・一生とか言われたらマジで死ねるかも」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
春田の冗談交じりの愚痴に、能登は沈黙をもって返事とした。
いつ終わるかなんて、そんなの能登が知りたいくらいだ。
しかし奈々子のあの様子・・・竜児が隣に座っただけで満足していた様を見ると、あながち一生ということも・・・───
・
・
・
「っくち・・・やだ、風邪かしら・・・もぅ・・・」
──────奈々子の自室──────
一足先にスドバから竜児が帰り、バイトに行った実乃梨とも、時間を潰してから麻耶とも別れた後。
帰宅してすぐシャワーを浴びてからは、奈々子はずっと自室に篭っていた。
父親には食事は外で済ませてきたので、そっちもそうしてもらうように連絡を入れてある。
今日はもう何もすることはない。
これ以外は。
「はぁ・・・二ヶ月、かぁ・・・我ながらずいぶんノロマよね、ほんと・・・」
制服の胸ポケットにしまわれていたあの小さな手帳に、今日の出来事が記されていく。
毎日何回も開いては読み返す以外、本当に久々に使われた手帳に、奈々子は嬉しそうにスラスラとペンを踊らせている。
気が付くと、もうそのページを使い切っていた。
捲って次のページに続きを書いていくと、まだ書き足りないのに、また隅までキチっと埋まってしまう。
実際には竜児とは他愛無い話しかしていないのだが、それでも書きたい事が多すぎるのだ。
「・・・こんなペースじゃ、次はいつになるのかしら・・・でも案外明日も、なんて・・・ふふっ、まさかね」
一通り書き終えると、閉じた手帳を枕元に、奈々子はベッドに体を預けた。
時間が時間なのであまり眠くもないが、なんだかいい夢が見れそうな気がする。
想いを伝えることができて、受け入れてもらって。
今日みたいに隣に腰を下ろすことが、当たり前になってて。
名前で呼び合うことも、手を繋ぐことも、寄り添うことも、抱きしめ合うことだって自然にできて。
それらが何気ない日常となっている。
そんな夢が、見れそうな気がする。
「ん・・・・・・」
そんな夢ならできるだけ長く見ていたい。
夢の中でだって逢えるなら、時間の許す限り傍に居たい。
夢の中にいる間なら、そんな夢みたいな願いも叶うから。
今はまだ、それだけでいい。
目が覚めたその時に、傍に愛しい人は居なくても。
今はまだ、それだけでもいい。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
そんな夢が、正夢になればいいのに
心の中でそう唱えると、明かりを消した部屋の中、布団に包まった奈々子はゆっくりと夢の世界に沈んでいった。
その夜奈々子がどのような夢を見ていたかは───
「・・・・・・・・・ふふ・・・・・・・・・」
───誰も、知らない。
・
・
・
「はぁ〜さっぱりした・・・竜児ー、冷たいお茶ちょうだい」
「おぅ・・・っお前、服ぐらい着てから出てこいよ!? なんつーカッコで歩き回ってんだ!」
「なによ、うるさいわねぇ・・・ここはもう私ん家みたいなもんなんだから、なにしようがいいでしょ、べつに」
「だ、だからってそんな・・・タオル一丁ってのは・・・」
「それより早くお茶出してよ。長湯しすぎたのかしら、体が火照っちゃって・・・あついったらないわ、もぅ・・・えいっ」
「ブッ!? た、大河!?」
「やっ・・・ど、どどどこ見てんのよ! そんなにジロジロ見ないで、このバカッ、エロ犬! 竜児の・・・・・・えっち」
「そう言うなら、なんでタオルまで取っ払って・・・」
「だってあついんだもん、しょうがないじゃない・・・竜児もあついんじゃないの? すごいわよ、汗。
・・・そんなにあついんだったら私みたいに・・・ねぇ、そうしなさいよ、ね? ・・・あつい時は薄着になれって、竜児が言ったのよ」
「いつだ!? 言ってたとしても、裸になれだなんてゼッテェ言ってねぇだ・・・そ、そんなカッコで寄ってくんなああああ!?」
「・・・変な竜児、逃げたりして・・・ほら、その暑っ苦しい服脱ぐの手伝ってあげるからこっちに来なさい。
汗まみれじゃ気持ち悪いでしょ・・・すぐに気持ちよくなるから・・・うぅん、気持ちよくしてあげるから」
「変なのは大河だろうが!? 俺は暑くねぇからやめ、ちょっマジで・・・い、インコちゃんが見てるぞ!
いいのか!? 泰子になに言い触らすか分かんねぇぞ!? 誤解されたらどうすんだ!」
「ほっとけばいいでしょ。いくら不気味なくらい喋るったって、たかだ鳥なんだから・・・それに誤解にはならないわ、だって───」
「よ〜〜〜っ! よよ、ようよっじ・・・よっうじ、よう・・・楊枝?」
「───あぁ!? どぅあれが爪楊枝みたいな体ですってぇ!?
もっぺん言ってみなさいよこのオシャレトサカでどんぐりまなこのキモブサインコ!!」
「ぐ、ぐえ・・・ぶっぶさ、ぶささ・・・ぶさ、ぶさぶ・・・ぶさたいがーっの、ようっじたいっこ」
「幼児体型!? この体のどこが幼児体型だってのよ! ねぇ竜児、竜児ならわかるわよね?」
「わ、分かった! 泰子のでいいなら着れそうなもん出してやるから、とにかくタオルかなんか羽織るなりして」
「ほらみなさいこのキショインコ! 竜児は私のすれんだーな体にむちゅーなんだから!」
「素っ裸でくっ付いてくんじゃねええぇ!?」
〜おわり〜
おしまい
このあと? 外にでも逃げたかなんかしたと思いねぇ。
>>474 不特定多数が守るわけないとか言ってるが、
スレの雰囲気を悪くする発言は差し控えればいい話。
注意書きまでしてくれてるんだから、せめてもう少し
攻撃的じゃない言い方をすればいいと思うんだ
まぁ474だけじゃないがな
途中で送ってしまった
最近の作者さん達の投稿全て読ませて頂きました
皆さんGJです
あと、最後まで投稿してくれ>軽トラ
> スレの雰囲気を悪くする発言は差し控えればいい話。
文句を付けたくなるような作品を投下するのは控えなくて良いの? って返されたらどうすんのさ
スレの雰囲気が云々って理由を盾にするならそれこそ作者側にも非があると思うよ
注意書きがあるからって理由で明らかに不愉快な話が来ても読み手は我慢やスルーを強制されてるような感じだし
実際問題ああいった設定だと我慢できない奴が暴れて荒れるのは目に見えてそうなもんだけどね
あ、あと174さんGJです
あなたの話はいつも面白い
夏だな
ああ
お前みたいな夏だな厨が湧くと特に実感するよ
>>502 そうだな。暴れるやつがでたら困るな。だから不特定多数の前に君からそのルールを守ることから始めてくれ
それと君が書いた文章の量をみればわかると思うが一般的に肯定意見より否定意見のほうが声が大きくなるんだ。気に入らないならスルーが一番穏便で建設的だよ
174氏GJ
>>502 その理論は理不尽としか言いようがないな
エロやらグロへの一般的な批判と言ってることは同じだわ
注意書きもしてあんだからスルーしないのが悪いだろうが
どうしても興味を持ってしまうからなんて言いがかりが通用するなら
日本国内のエロ廃止は何の問題もなく完璧に実現するだろうよ
忠告無視って暴れる馬鹿の責任を書き手に押し付けんなよ
>>506 お前の論理はズレ過ぎだろう……
>>502はスレの雰囲気を悪くしたくないなら
いちゃもん付ける奴もそういう奴らが湧きそうな作品書くのもどっちも控えるべきで
それを読む側だけの我慢に頼るのは無理って話じゃないのか?
つまり
作品が投下されても注意書きを読んでちゃんとスルーするか
それともそもそもそういうSS書かなければスレ荒れないじゃんって話かい?
ややこしいね
>>508 俺は全くその通りに受け取ってるけど?
読みたいヤツもいるってことを忘れんなっての
読み手がすべき我慢は読みたくない作品をスルーすることで
書き手がすべき我慢はそれでもいちゃもんつけるヤツをスルーすることだろ
>>499 GJ! 女って怖…
というか、特定のカプ意外は嫌いという人は嫌だからスルーしてるわけだろ?
逆にどうしてスルー出来ないの?って感じだわ
カプがどうこうじゃなくて恋人になってる竜虎を引き離すって所が気に入らないんじゃない?
キャラのみにハマったか
本編の物語全てにハマったかの違いなんだろうな
>>512 すまん、俺の日本語が少しおかしかった
例えばハーレム系が嫌いな奴は、そういう話が投下された時ウゼェ…と思ってもみんながGJGJ言ってたらスルーしなきゃいけない
つまり、一般受けする作品が嫌いな奴はスルーを余儀なくされるのに、一般受けしない作品が嫌いな奴はスルー出来ないなんて変じゃない?って思っただけさ
嫌悪感を抱くことに変わりはないのに
専ブラ位いれてPINKに来いというだけの話
テンプレに
・自分にとって明らかに地雷だと思ったら即NGもしくはスルー、書き手も注意書きはしっかり書くこと
とか入れた方が良いんじゃない?
馬鹿が湧いてもテンプレアンカーで済ませられるように
517 :
名無しさん@ピンキー:2009/07/31(金) 20:07:36 ID:eR6arOlt
というか専ブラ普及率低すぎるだろ
どんだけ初心者多いんだ
上げてまでいう事でもないだろ
けいとらっ!Bパートを投下させて頂きます。
9レス分です。
宜しくお願いいたします。
翌日の朝。竜児は、都内でも有数のホテルの前にいて、それを見上げていた。
「おうっ…でっ、でけえな…なんか…俺、場違いじゃねえか?」
Tシャツにデニムという、超シンプルな服装なのだが、眩しい日差しにギラリと光る三白眼。
担いでいるベースケースの中身がライフルであったら、国際A級のスナイパーにしか見えない。
しかしもちろん狙撃しにきたのではない。ホテルの会場を貸し切り、バンドの練習に来たのだ。
「おっはよーっスパーンク!!高須くんっ。早いジャマイカっ」
強い夏の日差しの中でも、輝く実乃梨の笑顔。動力源はソーラー発電なのかと疑ってしまうほど、
実乃梨は今日も明るく可愛らしい。
「実は、気合い入れすぎて1時間前に着ちまってさ、ホテルの周りを軽く30周しちまったよ!」
えへへ〜っと、Vサインをする実乃梨の額には、さわやかな汗が、粒になっている。
突然、ビュッと吹いたビル風に、実乃梨のショートヘアーがなびく。
その風は、実乃梨自身が醸し出す、甘酸っぱい匂いを、竜児に運んできてくれた。
無意識、だったと思う。その香しい風を、竜児は肺の中いっぱいに吸い込む。
当の実乃梨は、いつかトラネスを超えてやる〜っ!と叫んでいて、そんな竜児に気がつかない。
…罪悪感。結局昨夜は、例の段ボールを処分出来なかった竜児。
決意したその時、大河から電話がかかってきて、そのまま押入れにしまってしまったのだ。
大河の電話の内容は、なんでも大河の母親が、文化祭のバンド演奏を楽しみにしていて、
今夜のパーティーに使う会場を1日貸し切りにしてあり、もったいないので、夕方まで、
是非使って欲しいとの事だった。
「ねえ、高須くんっ、あたし達の出会いを憶えてる?
あたしは運命とか信じちゃうタチだから、
これはやっぱり運命だと思う。…笑ってもいいよ…」
実乃梨はお得意のパクリギャグを決めたつもりだったが、
元ネタを知らない、今の竜児には全く笑えなかった。
「おうっ…あっはっはっ…」
会話は成立しているが、ふたりの思惑は対照的すぎる。そこへ…
「おはようございます。高須様でいらっしゃいますね?今日はお暑いので、
館内へどうぞ。後から来られる方は私どもがお待ち差し上げます。」
ホテルの従業員の、そんな堅苦しい対応に、はい…と、返事するのが精一杯の竜児。
促されるままに亜美や北村を待たず、竜児は実乃梨と、ホテルの中に入っていった。
マジかよ…待ち合わせ時間ぴったりに到着したのに、誰もいない…
亜美は、今日の練習はホテルだというので、ちょっと頑張っておしゃれしてきたのだ。
バンドの練習だというので、アビー・ドーンのカットソーに、リーバイス606。
ミネトンカのフリンジブーツ…と、ロッキンに、セクシーにキメてきたのだ。
北村からは、夏休みなのに、学校に呼び出されて遅れるっとのメールはあったのだが。
「アホくさっ、帰〜えろ…」
クルッと踵を返す亜美に、呼び止める声がした。
「おはようございます。川嶋亜美様でいらっしゃいますか?お連れの方々は、
お先にご案内させて頂いております。こちらへどうぞ」
あらっと、亜美は大きめのサングラスを外し、その長いスリムな足を停めた。
そして竜児と実乃梨が案内された入り口とは違う入り口に、亜美は案内されていった。
亜美が案内されているホテル内は、適度にクーラーが効いていて、自然に汗が引いた。
背筋をピッと伸ばし、モンローウォークを決める。コブシ位の小さい頭に見事な八頭身。
つるっつるのミルク色の素肌の亜美は、ロビーにいる男達の視線を、独り占めする。
わったっしっはっ、美っ人っ!!今日この時に、偶然亜美ちゃんに出会えて、
お前達、もう死んでも悔いは無かろう〜っ…オーラを全開で放射している亜美に、
ひとりの紳士が近寄ってきた。亜美は気付く。あれ?この人…テレビで…マジ?
はじめまして…差し出された名刺には、誰でも知っている名前が書いてある。
亜美に、突然のビッグビジネスの話が飛び込んできた。
ホテルの最上階の会場から、練習を開始した竜児と実乃梨の奏でる音が聞こえる。
ダダダダ、ダダダダッ!一定のリズムで竜児はベースラインを弾き出す。
ツツタタ、ツツタタッ!その音にリードされ、寄り添うように実乃梨はドラムを叩く。
ハアッハアッ無我夢中の竜児。間違えないように、遅れないように、指先を交差させる。
くっ、んっ、実乃梨は、一生懸命の竜児に逆らわず、その指先のビートにシンクロする。
実乃梨は竜児と一体化した事に上気したのか、バスドラが速くなる。太ももが揺れる。
ハイハットが加わり、実乃梨は、陶酔した表情を作った。息が荒い。んっ!んっ!
Aパートに戻り、ちょっと余裕が出た竜児は実乃梨に歩み寄って来た。実乃梨と見つめ合う。
何度も頷くように動く度、実乃梨の汗は、竜児に降り掛かる。実乃梨のアタックが激しい。
サビに入り、複雑になるコード進行に、すでに竜児はその光景を楽しむ余裕がなくなる。
ふたりの音が止まる。サビまでの通してみたが、なんとか上手くいった。
「うおおっ!いいじゃん高須くんっ!結構練習したぞなもし?抜け駆けしよってからにっ!」
スタタンッとスネアを叩き、ビシッと、スティックで竜児を差す実乃梨。
「おうっ!そうか?でもまあ今のは、櫛枝に助けてもらった所が多いな。ありがとな。
実は俺、昨日遅くまで練習していたんだ。弾けるようになると面白い、ハマっちまったな」
広い会場にふたりきり。パーティまで7時間以上あり、たまにチラッと、
ホテルの従業員が現れる程度だった。実乃梨の荒くなった呼吸が聞こえる。
会場の音響は最高で、エフェクトを掛けても、全くハウリングしなかった。
ラックに設置してある機材は、よく分からないが、もの凄く高そうだ。
「しっかし…すげえな。大河ん家って、改めて…ブルジョアだったんだな…」
「だよね〜、持つべきものは、大河なりってね、大河は、今日は来ないのかな?やっぱ」
思い起こせば、大河の着ている服、持ち物全て、高級品ばかりだ。
あいつの母親だって、このご時世でポルシェだ。
だいたい竜児は、ポルシェの値段を知らない。
こんなの見せつけられれば、竜児だって、大河との経済的な格差を感じてしまう
「…なんか…俺…いいのかな…」
ふと、ロミオとジュリエットの物語を思い出す。あの物語の結末は…
「何がだい?高須くんっ」
竜児の心の揺らめきを感じ取ったのか、実乃梨は、いつの間にか竜児の傍らに近寄っていた。
「おうっ…いっ…言わねえ…」
実乃梨は、目を細め、優しく微笑む。
「なんだい高須くんっ、ツレねーなっ、らしくないぜっ!」
「そうか?俺、…俺らしく…、か。なあ、櫛枝。俺は、大河に相応しい男だと思うか?
その…あいつ…金持ちじゃっねえか、こんな、俺はっっおうっ痛てぇ!!」
ドンッと、実乃梨は、竜児の胸を叩く。俯いて、垂れた前髪で表情は、見えない。
「高須くん…それ以上言ったら、だめっだよ。言っちゃだめっ…分ってるでしょ?
大河は、高須くんの運命の人!今の話は、聞かなかった事にしてあげる…」
そうだな…っと、言わされた感いっぱいの竜児。実乃梨はゆっくり顔を上げる。
「でも…さっ、高須くんの言いたい事わかるよ。だけどさ。頑張ってよ。大河の為に。
わたしも夢に…前進したかもしれないし…高須くんも頑張ろっ」
いつもそう。実乃梨は、竜児を勇気づけてくれる。後押ししてくれる。
気後れする無く、真っ直ぐな実乃梨が竜児は好っ……ん?夢に前進?
「そうなのか?櫛枝の夢って、ソフトの全日本になるってやつ…前進って、何かあったのか?」
実乃梨は大きな瞳をパチクリする。
「えっ?そっ、そうなの。昨日さ、家に帰ったら、体育大から電話が…って私の事は、いいじゃん!」
「よくねえって、何だよ、聞かせてくれよっ」
竜児は食らいつく。竜児は実乃梨と、お互いの頑張る姿を伝えあうって誓ったのだ。聞いて当然。
「…この前、地区大会で。負けちゃったじゃん?…その試合、見てくれた人がいたみたいで、
ほんとはベスト8以上が条件なんだけど…スポーツ推薦っつーか、AO入試の話されて…
結構、大学代表選手もいる大学でさ…ぶっちゃけ志望校なんだ…」
「スっゲーな!俺、なんか嬉しいよっ!ほんとっ前進だな!やったな!おめでとう」
竜児は自分の事のように喜ぶ。実乃梨は照れて、柔らかな表情になる。
「えへっありがとうっ高須くん。まだ内緒だからっ。禁則事項だからっ」
「そうだなっ。…禁則事項って、また大袈裟だな…」
「最初に話したのが、へへっ、高須くんで…よかった…」
な〜に、してんの?おふたりさんっ…
手を取り合って、喜びを分ち合う竜児と実乃梨の前に、亜美がいた。しかも至近距離。
「ちっ違うのっ、あーみんっ、蟲…そう高須くんと、蟲捕まえて、手が離せないのっ」
「そうだぞへんな勘違いすんなよっ…え?蟲?マジかっ?」
「なにが違うの?まだ何も言ってねえんだけど…まあ、タイガーには内緒にしてあげる。
亜美ちゃん今、チョ〜機嫌が良いから!うふっ、ねえねえ、これ!この名刺見てよ〜っ!」
竜児でも知っている名前が書いてある…名俳優だ…なんでも初監督作品を撮るって
先週のズームインで紹介されてたけど…
「わたしっ。映画デビューするのっ、美しさも罪ねっ〜!」
「遅れてすまーんっ!いやー今日は暑いなっ!夏真っ盛りだ。実は学校に呼びたされてなっ。
文化祭に協賛してくれる企業がいて、先生方とご挨拶していたんだ。いやー助かったっ。
今年も1日だけの開催だが、黒字にしてみせるっ!お?コーラか?夏はコーラだなっ」
一年中コーラを飲んでいる北村は、パーティ会場に設置されたジュースディスペンサーを、
勝手に操作し、ドリンクバーよろしく、わははははっと、コーラを3杯連続で飲んだ。
正午を過ぎて、夜のパーティ会場の準備が、ちょっとづつだが始まっていたのだ。
「おいっ、北村!勝手に…飲んでいい…の…か?」
竜児は北村を制止しようとするが、すでに実乃梨と亜美も、勝手に飲み始めていた。
おまえら…俺にも飲ませろっ!と、竜児はベースアンプの電源を落とし、駆けよる。
「高須はコーヒーでいいな?こっちだぞ。…おっと、お菓子もあるじゃないか。ポッキーか?」
ポッキーにしては太いスティック菓子を、北村は口に放り込む。
「これは…うまいじゃないかっ!高須!お前も食べるんだ。これは強制だ」
コーヒーを注いでいる竜児の口に、無理矢理スティック菓子の残りを押し込む。
「おうっ!ぐふぉ、んぐっ、ぶはーっ!おいっ北村っ!旨めーけどっ死ぬって!」
禁断のメガネ剥がしを敢行し、プロレスごっこをはじめたふたりに、実乃梨が近づく。
「ねえねえ北村くん、高須くんっ、ホテルの人がお弁当くれたよっ。食べようぜ!」
「実乃梨ちゅあーんっ、そっちいっちゃちゃ、いやだあ〜っ、ヒクっ…」
はっ!酒の匂いがする…亜美を見る。…オンナの友情ってそんなもんにゃの〜…乱れている…
「ちょっと、あーみん、あんた何飲んだのさっ!うおっ…よくも短時間で…なんだこれ?」
スピリタスと書いてある瓶が空いていた。消毒液みたいな匂いがする。飲んだのか亜美は…
「…とりあえず昼飯にしようぜ…北村」
「そうだな高須っ。楽しいなあ、想い出さないか?去年の…」
「うおーーいっ!あたしゃあ、あーみんに捕われてるんだけどっ、離してくんないんだけどっ!」
亜美の長い手足が、実乃梨のカラダに巻き付かれている。これはこれでいいオカズになる…かも。
4人はちょっと長い休憩を取る事にした。
お弁当を食べながら竜児はふと、ここ一日で飛び込んでくる朗報に少し違和感を感じていた。
多すぎないか?ま…いいんだけど。それは竜児だけ、特になにも起こらなかったからかもしれない
その日の夕方。ドレスアップした大河は、ホテルのエントランスにいた。
社長令嬢という事で、シックな方と迷ったが、小柄で、…ぺったんこ…な体型を生かして、
プリンセスラインのドレスにした。大河はお嬢様というより、お姫様という言葉がぴったりだ。
まるでお城の舞踏会に招待されたみたいに、エレガントで、キュートで似合いすぎていた。
「うわ〜っ、遅くなっちゃった…」
エントランスを抜け、慣れないヒールで、カツカツ小走りの、動くフィギアのような大河。
それを見つけたホテルの従業員は、パーティの控室に案内しようと声をかける。
しかし大河は断り、バンドが練習をしている、最上階の会場にひとりで向かう事にした。
案内を断られたホテルの従業員は、誰かに無線で連絡、そしてその従業員はうなづく。
そんな事を知らずに大河は、目の前の最上階へのエレベータの扉が閉まっていくのを確認。
いけるっ!っと思ってしまった大河は、自慢の脚力で全速力。加速するっ!
カッ!カッ!カッ!とおおっ!!大河は扉に飛び込み、ギリギリ間に合うが、足がもつれて…
「あわわわっ、コケッ…あれ?」
確実にコケると思ったが、大河は宙に浮いたままだった。
「チッ」
という、舌打ちが聞こえた。大河に対してだろう。
大河はムカッとするが、その舌打ちの主は、大河を支えてくれていた。
確かに大河が悪いのだが…なんか気に食わない。
仮にも手乗りタイガーと恐れられる大河。しかも舌打ちは、大河の専売特許だ。
そのわたしに…大河はムカムカ度が上昇してくる。大河を降ろした後、男は背中を向けている。
竜児より、少し大きい。180cm前後か。こいつの延髄に飛びゲリでもカマしたろかっ、
完全な逆恨み、八つ当りとしか思えないが、大河が、強烈な殺気を、怨念を送ったその時
「舌打ちしたぐらいで、何しようってんだ?止めとけ」
背中を向けたまま、男は大河の殺気をよむ。ほお…こいつ…大河の戦闘本能に火がつく。
もう舌打ちの事はどうでもよかった。強さへの欲望、羨望、渇望…
髪をアップし、スワロフスキーのボンネが光っている。絵本から飛び出て来た、
お姫様のような大河。スカートの端をちょんっとつまんで、ふわっと広げる。
優雅にカーテシー…ではなく、大河は、重心を落とし、跳んだ。男の後頭部めがけて、
上段回し蹴りっ、履いているヒールが、ヒュッと、風を切る。ガスッ!!!
「じゃじゃ馬だな。嫌いじゃないぜ」
大河の足の指先が、じんじんするほど、光速に放った大河の回し蹴りは、
男の左手に捕らえられた。よく見れば、男の右手は、次の一手に備え、掌握されている。
「ひょおおっ!!すっ、すすすすいません…れす」
戦闘解除した大河。男は何事もなかったかのように、また大河に背を向ける。
…同種。大河そう思った。ただ手乗りとか可愛いモノではなく、大型の…虎…
ガタン
両虎を囲むエレベータが止まる。
「えっ?なんで?嘘っ、止まっちゃったっ!ふおぉぉっ!」
大河は、インターホン呼出ボタンを冷静に押す男の姿を見て、パニクる自分に恥かしくなる。
しかし…スピーカは、無言のままだ。
「…携帯」
「けけけけい?」
「携帯電話。俺は、持たない主義なんだ」
「あっ、けっ携帯電話!あるある、待っててっ」
ポーチの中身をバラバラ出して、大河は携帯を取り出す
「うっそっ圏外…」
男は、大河に振り返り、今度は優しく話してくれた
「さっきはレディーに対して無礼な態度をして、すまなかった」
ばらまいた口紅やらハンカチやらを拾いながら、その男は、大河に微笑む。
「…いえっ、…わたしこそ…ほんと、ごめんなさい」
いつの間にか、大河の耳は朱色に染まる。男は獣の匂いがした。嫌いではない。
「このクラスのホテルならすぐ復帰するだろう」
大河を安心させようとする男の言葉、牙を納めた虎…そんな感じがする
「実はいまから気が進まないパーティーに立席するんでな、悪かった」
「あっわたしもそうかも…面倒くさっ」
「ふっ、気があうな。つまらねぇ奴ばかりだと思っていたが…安心した。
おまえ…綺麗だしな。恋人いるのか?」
大河の目が泳ぐ。惑う。大河は竜児の顔を何とか想い出し、ゆっくりうなづく。
「そうか、大事にしろよ。望まない結婚をする奴もいるんだから…」
それは、自分の事を言っているのだろうか?よく見たら、かなり優しそうな男の横顔を見ながら、
この男と結婚出来るなら、その相手は、スゴイラッキーなんじゃないかなと、大河は密かに思った。
ポーッとしている大河を覚ますかのように、エレベーターはゴトッと動き出した
チンッ
最上階に到着すると、大河は逃げるように走って会場へ。
逃げないと、ここから、そうじゃないとヤバい。その…いろんな意味で…
キョロキョロ会場を探す大河。こっちかっ!再び走り出す。
大河に遅れて、エレベーターを降りようとした男は、拾い忘れた虎柄の手帳に気付く。
「お〜っ!大河っ!カッワイイじゃ〜んっプリプリプリティ〜だああっ」
実乃梨の声に全員演奏を止め、入り口の大河に視線が集まる。
「遅くなってごっめ〜んっ!ありがとうーっ!みっのり〜んぬふっ!」
実乃梨の胸に飛び込む、ピンクのドレスを纏う大河。まるで映画のワンシーンのようだ。
ただ、実乃梨が頭に巻いたタオルが残念だが…北村が、駆けつけ三杯!とコーラを持ってくる。
「おうっ、大河。すげぇ…似合ってるな」
大河は竜児に褒められたが、ちょっぴり気まずそうな顔になる。
その態度を見て、マイクをブンブン振り回す亜美。ゴーゴー夕張というよりか、宍戸梅軒の娘か。
「タイガーさぁ、高須くんが似合ってる〜って、言ってくれてるんだからさっ、
もっと喜びなさいよっ、例えば…竜児ぃ!あはっ、嬉しい〜って、感じっでっ!」
もうとっくに酔いが醒めているはずの亜美は、どさくさに紛れて竜児に抱きつく。
おいっ川嶋っ、と焦った竜児は、なかなか亜美を振り払えない。
「…竜児。わたし、時間無いの。もう控え室行くから、ちゃんとかたしておいて、じゃあね」
「あれ…タイガー怒っちゃった?」
亜美はそう言った後、違和感を感じてた。あの態度は…まさか、誰か…
おいっ大河っ!と竜児は大河に声をかけるが、大河は出ていってしまった。
北村は、結局自分でコーラを飲んだ。
***
控え室には、母親と父親が来ていた。幼い弟は、託児所だ。
「あら大河、あと1時間後よ。大丈夫?」
「うん…わかってる。大丈夫よ」
なんか…いつもと違う…大河に覇気がない。
大河の真っ白い肌は、吸い込まれそうなくらい綺麗で、体調は良さそうだ。
溜息なんかついて、悩みでもあるみたい。 それとも気付いたのか?
今日のパーティーで…大河に打ち明ける婚約の事を…
しおらしい娘の態度に、大河の母親は、心を傷めた。
「大河ちゃん遅いね〜☆」
竜児は休みの日には大河と、泰子の仕事場、弁財天国でお好み焼きを食べる事にしていた。
「大河は、今日は来ねえんだ。なんか、母親の会社のパーティーなんだと」
泰子はpiyo piyoと、ヒヨコの絵が描かれているエプロンで手を拭いた。
「え〜、それならやっちゃんのお店に来ればい〜のにぃ…
大河ちゃんの好きな、ブタ玉dサービスしちゃうのにな〜☆」
「まあ、そんな訳いかねぇだろ、人数多いし、それに…」
お姫様を呼ぶには、この店ではあまりにも大衆向け、庶民派過ぎる。
という言葉の続きを竜児は、泰子に告げる事が出来なかった…が、
「泰子さんっ!すいません、マヨネーズが無くなりましたっ」
北村も一緒だった。
「ちょっと!祐作っ!!マヨネーズ掛け過ぎだっつーの!自分の皿に掛けろ!」
亜美も一緒だった。
「高須くーん!こっちも焼けたよっ!もう1つヘラ取ってくれい!…よっサンキュ〜!
…究極まで燃え上がれ俺のコスモ…今こそ目覚めよっ!わが聖剣、エクスカリバーよ!!」
実乃梨ももちろん一緒だ。テキパキと、お好み焼きを切り分け分配する。
最近では泰子の店でもバイトをこなし、その手付きはプロフェッショナルだ。
「あいよ〜、喰いねえ、喰いねえ♪」
「櫛枝、3年は引退だけど、まだ部長だからソフト部の合宿いくんだろ?いつだっけ?」
「明後日。明日は図書館いくよ。バンドの練習に」
「でもさ、もう少しリズム隊がしっかりしないと唄いにくいんだけど…実乃梨ちゃん後半さ、
すごい走り過ぎて、高須くんが遅れちゃうのよね〜、そうだ、明日はふたりで練習しなよ!」
北村が何か言おうとするが、亜美はお好み焼きを北村の口に突っ込み、阻止した。北村は悶絶する。
「そだね…うん高須くんっ、明日はふたりで練習すっか…ついでに譜面買いに行こうぜっ!」
「おっ、おうっ、そうだな…」
竜児と大河は、ガチだし、あんなオレンジなんて未練タラタラな曲作っちゃう実乃梨に、
少しくらい良い思いさせてやるかっ!
…というこの亜美の軽いお節介が、竜児と実乃梨の運命を変えるとは、誰も予想出来なかった
終わり?
530 :
名無しさん@ピンキー:2009/07/31(金) 22:01:07 ID:eR6arOlt
>>518 ID強制のところでデフォルトsageとか頭おかしいだろ
お前のような奴が来ないためのsageだよ
鬱になりかねん作品なんざ見たくもないって気持ちも分からんでもないが・・・・・・。
自分は、一作品としてむしろ続き見てみたいドMだ。
533 :
名無しさん@ピンキー:2009/07/31(金) 23:09:58 ID:d6RO1DaC
>>531 巣に隠ってたいんですねぇ、分かりますよ
偶にはお外に出ようね
鬱好きとしてはなかなかに楽しみだ
とりあえず板自体のローカルルールに違反していなければどんな作品でもこのスレに書き込んでもよい。
(主だったところでは「この作品(とらドラ)の二次創作である」「エロが入っている」の二点を満たしていること)
それ以外の理由で特定のジャンルやカップリングの作品を排除しようするのは不適当。何を持ってそのネタが
荒れるかを定義するかがまず曖昧であり、理由なく荒らすこと自体を目的とする輩には関係ないし、
そもそも万人から文句を全く付けられない作品など存在しない。よって気に入らなければスルーが賢明。
そしてあまり関係ないことではあるが、普段からスルーに徹し、それ故に周囲に存在は分からないが、
スレが荒れる時もスルーを続ける諸兄に、この場を借りて敬意を表す。
もう書くな
うぜえ
539 :
名無しさん@ピンキー:2009/08/01(土) 12:03:36 ID:5uvAmksC
あばばばばばばばばばばば
これまとめ止まってる?
>>538 一々文句垂れてんじゃねーよ、塵が
書き手と読み手で言えば書き手の立場の方が上に決まってる
書き手がいなけりゃ毎日保守でスレが埋まるんだから文句垂れる馬鹿はその事自覚して黙ってろ
542 :
名無しさん@ピンキー:2009/08/01(土) 14:46:24 ID:W39G+6+R
はいはい物書きスポイル
アニメも終了して、モチベーションもいい加減低下ぎみな書き手さんたちには
こういう手厳しい意見は逆に、勇退するのにいい機会なんじゃないでしょうか
人によると思います
私はダメ
それ以前に、設定や展開が粗すぎる
好み以前に作品としてダメ
設定や展開が好きな奴もいるんだがな
おっと……スルースルー
設定とかがダメなら否定だけせずアドバイスをしてやればいい
文句だけ垂れるとスレの空気が悪くなるだけで何も生まれない
読みたくなければ読まなければいいんだし、
略奪愛やみのドラが嫌なのに読んでるのは自分の責任だから黙ってろ
作者さんの初めの注意読んで作品は読まないようNGしておいた
あとは静かにスルーすればok
>設定や展開が粗すぎる
これほど具体的かつ的確なアドバイスはないだろうが
それで改善できないようなら、書くなとしか言いようがない
間違いなく荒らすためだけに文句言ってるやつがいるなこりゃ
相手したら負け
>>549 どう改善すりゃ粗くないのかってのを言わんとなぁ……
そもそも設定の粗さ云々で言ったら原作も(ry
>>499 亀だけどGJ!
174氏のやっちゃんと、やってる事は黒いのにうぶくて可愛い奈々子様大好きだ
そして恋する女ってこえー…
×××ドラ!も楽しみにしてます
>>540 ミラーと補間はそうみたいだけど、本家はまだ動いてるはず
気長に待とうぜ、管理人さんだって都合があるんだろうし
嫌な作品を読みたくなく、さらにスルー能力がない奴はここに来なくてまとめで我慢すればいいだろ
>>551 > そもそも設定の粗さ云々で言ったら原作も(ry
原作の設定の粗さこそが、パロの源泉だろう。
>>551 言っても無駄なのは今更わかりきってる類の相手だからスルーが吉
職人の作品の改善点や気になる所を書く→OK
職人の作品をけなす→NG
作品にかこつけて職人をけなす→NG
書くな→NG、読みたくない物はあぼん、読むな
V6さん、遅まきながら今読ませて頂きました。
個人的にはすげーGJです。
特に、地文でしっかり物語の骨組みが書けてる事と
子ネタの豊富さが素晴らしいです。
賛否両論みたいですけど、ぜひ続きお願いします。
この流れで駄文を投下するのは気が引けますが、2レスほど投下します。
今後制作予定の短編のフリとなればいいかな、と。タイトルは「Rumor」ですので、スルーされる方はご対応頂ければ幸いです。
おう、おうおう、おう、おう、うわわ……
短い陽はすでに地平の彼方に沈まんという頃、とある高校の片隅に不可思議な奇声が響き渡る。
奇声だけではなく、水の流れる音や何かをこすったり磨いたりする音、果てはガシャガシャと不快な金属音まで聞こえてくることがあるという。
一日おきに発生する怪現象は、やれ近辺で不遇の最期を遂げた落ち武者の亡霊だ、いや大川の氾濫に呑まれて行方知れずになった農民の祟りだ、
現実的に見て実は語られていない夢破れしかつての先輩のさまよえる魂の絶叫だ、などと校内随所(主に下級生の間)で結構な評判であるらしい。
あるクラスではその正体を「春を憎む永遠の冬の使者」なるどこかの推理漫画にでも出てきそうな怪人であると断定、マイナスにはマイナスをぶつけるのが一番だ、
という非論理的数学的トンデモ理論から名前をよくよく見るとその本質を見事に現すハードラック持ちを生贄に捧げる腹づもりがあり、
その隣のクラスでは話を聞きつけて誤解を招きかねない嬌声を上げる者まで出てきているとか。
学年末試験を前にして、平和だった学校に魔の手が忍び寄りつつあった。
そして今日も……
上から下に、流れるように動く一つの影。
その手には大小様々な得物を持ち、目にした存在を片端から捕らえ、検分し、処断していく。
慈悲の欠片もないその行為に、影はこの世のものとは思えない昏い笑みを洩らしていた。
矮小な子供の想像など及びもつかない我が遠大な計画を理解したときには、お前達の世界は冥府の底に沈んでいるのだ!
と己が儀式の順調な進捗にこみ上げる喜びを隠せない邪教の大神官がそこにいる……のではもちろんなく。
「……よーし」
備え付けの用具に自前の装備をプラスした、いわばフルアーマー、パーフェクトな機動清掃員が満足げに一人ごちた。
その外見上の最大の特徴たるギラリと輝く三白眼が、本日の成果を見渡してさらにその光を強める。自分基準として完璧に近い仕上がりだ。
さすがに公共の、しかもあまり知り得ない人間が使う場所を舐めてしまおうとは思わないが。
「けど、明後日までにはまた元の木阿弥になっちまうんだろうな、まったく……」
愚痴というよりは世話の焼ける幼子に向ける喜び混じりの苦笑、といった色を帯びた声が発せられる。
そこには自分がしたことが結果として無に帰してしまうことへのいらだちはほとんど感じられない、どころか、そういう考えを持つこと自体が不遜であるという自覚すら漂わせている。
平時は決して立ち入ることのない教員用トイレを隅々まで点検して、やり残したことはないのか、本当に大丈夫かを改めて確認する。オーケー、問題なし。
新品同様にピカピカとまではいかなくとも汚れは跡形もなく消え去って、素人目にも見事な手際であることが分かる。
ローカル局のうさんくさい通販グッズでもこうはうまくいかないだろう。MOTTAINAIから実際に購入して比較したことなどないが、それくらいの自負はあるのだ。
560 :
Rumor:2009/08/01(土) 22:33:42 ID:ghYpnEaw
それでも、と己を護っていたゴム手袋、エプロンその他の防具を丁寧に外しながら機動清掃員から一介の高校生に戻った少年は表情をわずかに曇らせる。
その視線の先には換気用の窓。こことは別の場所にある、やはり同じ目的の窓から目にした光景が思い出される。
今はどこにいるか知れない少女が、一年近くかけて積み上げた想いを親友に正面からぶつけたあの時を。
あの時から始まったに違いない、少年をどこまでも強くしてくれる、胸を満たすものを見つけた日を。
すぐには気付けなくて、気付いたら気付いたで目を背けて。別のものだと解釈しようとして、他ならぬ自分の心がそれを否定して。逃げ場所を失ったことでそれと向き合って、向き合って思い切りぶつけてみせた。
若気の至りで済ませるにはあまりにもひどい話で、とても笑い事ではない。たくさんの人に迷惑をかけ、至る所に数え切れないほどの傷だって作ってしまった。
こうしてトイレ掃除をしているのは表面的にはその償い、ということになっている。しかし自分がしでかしたこととその対価、比較してみれば一目瞭然の不足分を思えば、
この程度は試練にすらならない。得意にしていることで失敗を補おうなどというのがそもそも虫のよすぎる話なのだ。
けれど、そうやってチャンスをくれた人が確かにいて、それに応えうる自分という存在がある。それならば。
「……やれなきゃ、ウソだよな」
バカをやらかして、そして得たものは確かに今の自分を照らしてくれている。重要なのはその先にあることだ。昏い水底から飛び出して、遥かなる大空を舞うのは何のためか。
孤独に涙し、心を引き裂かれる痛みの果てに思い描いた世界。
逃避でも、反発でもなく、ましてや絶望の先になどあり得ない未来。
ひとりぼっちでは届かないし、ふたりきりでも満たされはしない。
だから今、自分はここにいる。何よりも大切なもののない、この場所に。
立ち止まらず、あせらず、まっすぐに。必ず辿り着けると信じて。
だから、もう自分のことで誰にも心配をかけたくはない。俺は大丈夫だと、みんなに伝えたい。決して誤解されない、はっきりとした形で。
自分の目指す未来を言葉にするとどうなるのだろう。自分の希う世界を、あえて言葉に……
…………
よし、決めた。
思った以上に早くまとまった「答え」は、今の自分でも表現できるくらいに純粋なもの。
だからこそ、やすやすと口にしていいものではない。これは決意表明でもあるのだから。
どんなことがあっても揺らぐことのない想いだということを、この世界に発信する。
そうすることが、今の自分にできる最高の恩返しだ。
決意も新たに歩を進める少年は、今日の課題のまとめへと思考を振り向ける。報告も懺悔の一環だ。それだけにしっかりと、綿密に見たこと、感じたことを記さねばならない。
幸い、報告のタネには事欠かない。自分のしていることを客観的に見直すのにもぴったりだ。
さあ、もう一がんばりするか。
その熱意が、周囲を畏れさせるほどであることを少年自身が知るのは、もう少し先のことである。
完
済みません。1レス目にタイトルつけていませんでした。とりあえず以上です。
>>561 逃避行後のトイレ掃除&反省文ですね。
あれって原作のみだっけ?
> 今後制作予定の短編のフリとなればいいかな
楽しみに待っております。
けいとらっ!Cパートを投下させて頂きます。
7レス分です。
前半の締めです。
宜しくお願いします
パーティーって、華やかなイメージだったけど…あーあっ退屈…
もう何人だろう。大河は両親と一緒に、ただひたすらニコッと笑顔を作る。
あっち行ってウフッ、こっち行ってアハッ、そっち行ってエヘッ…
大河の完全無欠な美少女っぷりに、挨拶したほとんどの相手は、感銘していた。写メ撮られたり、
握手までした。もう何をに来たのか分らない。
もちろん肝心の合併相手の社長も、すごく気に入ってもらえたみたいだ。
大河が学年を答えたら、ちょっとビックリしていたけれど…
グオオオオオオオ…
あらやだ…、大河の母親は、大河の異変に気付く。どうやら、お腹が空いているらしい…
丁度、料理を運ぶワゴンが通り、お腹の轟音はごまかせた。危なかった。
肝心の婚約者は、まだ顔を見せてないが、この状態では逢わせられない…よしっ。
「大河。食事まだよね?休憩ついでに行ってらっしゃい」
「う、うん!」
ドバーッて、駆け出すと思いきや、大河は、キョロキョロと辺りを見回しながら、
しずしずと料理テーブルへ向って行く。
誰かを探しているように見えるのは気のせいか?見送る母親は首を傾げる。
「どっこいしょーいちっーっとぉ…」
パーティ会場に設置されたイスに、ドカッと座る大河。足をブラブラさせている。
大河は控えめに山盛りにした、ビーフや、ポークや、チキンを口に運ぶ。目がキラッ。
「うんまーーーいっ!旨さでビルが建ーつっ!」
タイミング良く、竜児達がバンドの練習していたステージで、ジャズの演奏が始まる。
おかげで大河の咆哮は聞こえなかったようだ。またもや危なかった。
虎は聴き取ったみたいだが。
「いい食いっぷりだな」
大河もその声を聴き取った。さっきの男の声だ。料理から顔を上げ、ふふんっ、とする。
「あげないからね」
人ごみから現れた男は、まるで旧友と再会したような、人懐っこい笑顔になる。
あげないと、大河に言われたにもかかわらず、男は大河の取り皿からひょいっと、
ローストチキンを摘む。暴れると思った大河は、特に何も抵抗もせず、受け入れ、
かわりにジャズに合わせて、エアーピアノよろしく、指をワキワキする。
「今度キーボードすんの。わたし上手いんだから」
「そうか…器用なんだな」
「そうよ。なんで?意外?見かけによらない?」
大河は男の顔をジーッと覗き込む。大河の瞳は大きく、キラキラして、星空のようだ。
「いや、そっちは見かけ通りだ。意外なのはあの蹴りだ。普通じゃねえ」
「あんたも、普通じゃないわよね。蹴り止められたの、初めて。ショックだったんだからっ」
プイーっと大河は膨れてみた。こうすると、少しは可愛いと思われるのかな…
「ほんと、面白いな、お前…なんでだろ、初対面でこんなに話した奴は初めてだ」
わたしも、なんでこの男とベラベラ仲良く話しているんだろう…でも居心地が、良い。
「ほんとうに?あんたモテそうじゃんっ」
「そうか?初対面の奴にはいつも恐がられてな…モテそうとか…初めて言われた」
ふうん。恐がられるのは大河も一緒だった。最近は大人しくしているのに…曲が変わる。
「あっ、この曲スキっ、なんだっけ」
「テイクザAトレインだろ」
「へーやるじゃん。即答じゃん。A列車って何?」
「ニューヨークの地下鉄だろ、クイズすんなよ」
「ううん、知らなかったの。あんがとっ」
さっき大河は、両親と愛想笑いを繰り返していたが、今の大河の笑顔は、
その百回分より、色彩が鮮やかだった。大河は、自分の頬の色に気付かない。
えへへっと、大河は声に出す。尻尾のように、アップした髪が揺れる。
「もしかして気に入ってくれたのか?」
大河は、男の質問に動揺してくる。動揺すると、普通、とんでもない事を言うものだ。
「かっ勘違いしないでよね!別にあんたの事っ…別になんでもないんだからっ…」
あれ?大河は、口走った言葉に、自分の気持ちに気付く。しかしなんてベタな…
「お前の恋人…退屈しないだろうな…」
「なにそれ褒めてんの?」
トランペットのソロが始まる。大河はステージに顔を向けると、大河の母親がいた。
母親は大河と目が合った瞬間、傍らにいる男を確認すると、驚いたような顔になる。
しかし、すぐニッコリして、手を振る。ご機嫌な大河は、ステーキが刺さったままのフォークを振る。
「おーいっ!…あっ、あの人、わたしのママなの」
大河の母親を見た瞬間に、男の顔色が変わった。
「一緒に来いっ」
男は大河の腕を取り、連れ去る。大河は、なんとか皿を落とさなかった。
「なななにっ?ねえっ、ちょっ、痛いんだけどっ!」
大河は、文句を垂らすが、やはり必要な抵抗はしない。男と一緒に会場を走る。
それは、男の腕っ節を知っているから、…だけでは無いだろう。
「話がある。あそこではマズい。みんな俺たちを…知っている」
ふたりは会場を出て、廊下へ出る。ただでさえドレスが目立つ大河は、
注目を集めまくりながら、男の控室に辿り着く。
ドアを閉め、ふうっ、と一息。
「…お前、あの女社長の娘か?」
「え?うん。そう。なんで?」
「お前、恋人がいるって言ってたよな?本当か?」
「そそっ…そうだけど…何っ?それが何なのさっ!」
頭を抱え、男は天井を見上げる。
「このままだと、お前は、俺のフィアンセになるんだぞ」
「へぇ?わわたしがあんたのフィ、フォ、フィ…フィアンセ?」
「やっぱりな…何も聞いてないんだな。おまえの母親の会社と、
合併する会社の社長は、俺の親父だ。…いわゆる政略結婚ってやつだ」
「結婚?そ、そうなの?政略結婚?わたしが?」
「…お前、恋人いるんだろ?今日はもう帰れ。会場で正式に発表されちまう。
後は俺に任せろ。上手くやる。会社の合併話も、何とか説得するから」
「か…帰るって…何処に?」
「恋人のところに決まってるだろ。しばらく、一緒に逃げてろ」
フロントに内線をしロビーに車を手配する男。今日あった事をしばらく大河は考える。
頭の中を整理する。そして正しく理解した大河は、コクッと頷く。ベルボーイが迎えに来た。
「じゃあね。またね」
控え室のドアがバタンと閉まる。
大河を見送った男は、テーブルの上に残る、虎柄の手帳を見つけた。
俺とした事が…大河に手帳を、返しそびれた事に気付く。
男は、そのかわいい手帳を手に取る。さて、こいつをどうするか…
「!」
手帳からハラリと落ちた、ラミネートされた写真。
その写真には、大河と、三白眼の若者が写っていた。竜児の顔を見て…三白眼を見て、男がワナワナ震える。
こいつっ!
見つけたっ!男はそう思った。何回も写真で見た、三白眼をした男…ヤツだっ!
しかし…若い。若すぎる。男は、自分の宿敵の相手の写真を出し、見比べる。
似ている…コピーしたみたいにソックリだ…。こいつ…間違いない。そうか、奴の息子か…
因果だな…よりによって、あの女の恋人か…くっそお。
手帳には竜児…と書いてある。竜児か。ヤツの、息子竜児に…ヤツの居場所を聞き出し…そして…
男の中の虎が覚醒した
殺すっ。
大河の母親は、夫と一緒に、合併相手の社長と歓談していた。
「ご挨拶が遅れて申し訳ございません」
控え室から出て来た男は、それを見つけ、合流する。軽い挨拶を済ませ、
大河の母は、辺りを見回し、大河を探す。
「そうそう、ウチの娘を紹介しますわ。先ほどお話しされてましたよねぇ…あら…
どこ行ったのかしら、…おほほほほ……もうっ…ぁのヴァカッ…」
「社長のお嬢様は、先ほどご体調崩されましたので、勝手ながら、お車のご用意させて頂き、
お帰り頂きました。ご報告遅れまして、誠に申し訳ございません」
「え?そうなんですか?それは…ご面倒おかけしました。そう…なら、良かった」
良かったのは、大河の所在なのか、自己紹介が終わっていた事なのか… 男が切り出す。
「あの…、ひとつ教えてください。…竜児くんってご存知ですよね?」
ワインを吹きそうになる
「りゅりゅるるうぢ…こほん…竜児くん。高須竜児くんね。存じておりますが…何か?」
「お嬢様の親しい友人でしょう。婚約前に、一度キチンと挨拶したいので。紳士的に…」
「はあ…紳士的に…」
どうやら婚約を承諾してくれそうだが、紳士的というわりには、何故か語り口に迫力を憶える。
「あの、住所なら…」
母親はつい、竜児の居場所を漏らしてしまう。
「おお〜!大河!こんな時間にどうした?おあがりっ」
「うわ〜ん、みのり〜んっ、ごめんねっ、どうしても相談したくて…」
夜9時、櫛枝家。実乃梨は突然の来訪者、大河を自分の部屋にあげる。
偶然なのか、必然なのか、弟のみどりが、甲子園出場を決め、親子は祝賀激励会に出席し、
学校にお泊まりで、実乃梨はお留守番だ。
ちょこんと正座し、黙っている大河。実乃梨は、大河が話し出すまで待っている。
「大河ぁ〜、茶受けに羊羹あるよ〜、よー噛んでな〜っ、…笑っていいんだよ〜」
「みのりん…あの、あのさっ、わたし…結婚するかも」
「え?結婚?ほんとう?いついつ?高須くんとは話しついたの?っていうか、おめでとうっ!、
…ゴホゴホッ!おっちゃんが〜死ぬ前に〜、早くおまいらの孫の顔見せとくれ〜っ」
寸劇を始めた実乃梨に、大河は打ち明ける。
「違うの、みのりん…竜児じゃ…ないの…今度ママの会社が、吸収合併するから、その…
相手の会社の、ひとり息子の人と。さっき話したけど…なんか、仕方…ないかも…」
「なっ…」
絶句する実乃梨。
「なんでだよ!?仕方なくってなんだよ!高須くんは?…高須くんは知っているの?」
「ううん、竜児にはまだ…どうしよみのりん…相手の人は事情を話したら、しばらく逃げてろって。
竜児と駆け落ちしろって。…でももう、ママに迷惑掛けたくないっ…わたし…どうしよっ」
「大河っ!なに言ってんの?そんなの決まってんじゃん、悩まないじゃん!あんたまさか…」
大河も気が付いていた
「その男の事…好きなのね…」
大河は黙ってしまった。
「許さない!認めない!大河と高須くんは運命の人!なのに、そんな…そんなんならわたし…
せっかく諦めて…せっかく、あんたに高須くんを譲っ……あっ」
吐き出しそうになった次の句に、実乃梨も言葉を失う。それは、傲慢で、ズルいから。
大河は…実乃梨の真意を確認し、安心する。みのりんになら…
「みのりん…わたしは、竜児が好き。だから竜児にも迷惑掛けたくないっ」
それを聞いた実乃梨は、拘束具を引きちぎる人造人間のように立ち上がるっ
「だから!大河っ!…んもぉ〜お前たちはふったりともぉ〜っ!いいっ!わかった!
いまから決着つけるよ!いくよ、大河!高須くんの所へ!」
「たのも〜!…ありゃ、いないみたい」
既に時計は十時を回っている。部屋の灯りが消えていた。こんな時間に何処へ…
「あれれぇ?大河ちゃんと実乃梨ちゃ〜ん!こんばんは〜☆」
「おうっ、どうしたっ?そうだ、丁度四つあるし、プリン食っていけ」
仕方ない事だが、事情を知らないふたりには、緊張感の欠片もない。
泰子と竜児は、風呂上がりにコンビニへプリンを買いに行っていたのだ。
「あっ、竜児っ!あの…あのねっ…」
竜児を呼ぶ大河の声に、通りの向こうから男の声がした。
「高須竜児か?」
外灯の明かりに照らされた男は、今にも襲い掛かりそうな野獣の表情をしている。大河が驚く。
「なな何で?なんでここにいるの?」
実乃梨は、大河の婚約者の男だと、気付く。この男…実乃梨のスカウターがグングン上昇し、
男の戦闘値の高さを理解…どうやら世間話をしに来たのではない…高須くんが、危険だ…
高須くんは…高須くんは、わたしが守る…絶対…。
実乃梨は、男が出す闘気に、死をも覚悟する。
「あんた誰だ。親父の知り合いか?」
竜児をかばう実乃梨の腕を、平気だ、っと引きそっと退ける。
「知り合いも何もっ…お前の父親は、俺の姉さんを死に追いやった…殺したっ!
だからっ!おいっ!教えろっ!お前の父親はどこにいる!答えろっ!!」
「どういう…事…?」
そう呟いた泰子の足元にプリンが転がっている。
「大変、御無礼な振る舞いっ…申し訳ございません」
泰子と竜児に土下座する男。
「もう…その、もういいです。事情も納得しましたから」
竜児がなだめる。泰子は…うなだれたままだ。男の話をまとめると、泰子が竜児を身籠った時に、
男の姉と、竜児の父親は逃げた。しかし、逃亡先で、男の姉を妊娠させ…また逃亡したのだ。
そして、男の姉は絶望し、自ら死を選んだ。まだ幼かった男は、復讐を誓った。
そう、ただ復讐のために、自分の体躯を凶器のように鍛え上げたのだ。
…そういう事だった。 …しかし…最悪な親父だ。
「今後、出来る限りの謝罪はする。そして、大河さんとの婚約の事も、俺が説得する。
いろいろ悪かった。竜児くん…大河さんと、幸せになってくれ」
再び、男は深々と、泰子と竜児にひれ伏す。猛省している。
そこに黒いポルシェが到着する…大河の母親だ。
「大河!やっぱり…ここだったのね…帰るわよ。あっ」
大河の母親は、男に気付く。男も会釈する。
「遅くまで申し訳ございません。竜児くんと、しっかりお話し出来たので…
どうも、ありがとうございました。では大河さん…お気をつけて」
「うん…じゃ」
実乃梨は大河の態度に、ちょっと不安を感じる。大河…それでいいの?…
ポルシェの助手席に乗る大河。ブロンッっと低い始動音がした。
竜児は昼間の疑問を実乃梨に聞く。
「…なあ櫛枝。ポルシェって、いくらするんだ?」
「ん〜、たしか前に大河が、イッセンマンくらいって言ってた、けな?」
イッセンマンか…訳分かんねえ金額だな…竜児はプリンを拾いながらそう思う。
そして、大河を乗せた2642万円のポルシェGT2は、暗闇に溶けていった。
「さてっ!わたしも帰るかねっ!じゃあ、高須くんっ、あしたっ、お昼に駅前ねっ」
「おうっ。櫛枝、もう遅せーし、俺が家まで送って…」
ポンッと、男が竜児の肩を叩く。
「竜児くん、櫛枝さんは、俺が送るから…君のお母さん、そばに居てあげて欲しい。頼む」
そうだ…泰子は放心状態のままだ。放っておけない。
じゃあ行きますか…実乃梨は歩き出し、男は追いていく。
竜児は泰子を抱きかかえるようにして、家の階段を上っていった。
実乃梨は、家までの道すがら、SPのように後ろを追ける、男に質問した。
「あの、大河と結婚するんですか?」
「いや、幸せを引き裂くような野暮はしない。彼女の母親は…世襲させたいみたいだけどな」
世襲?実乃梨は繰り返した。
「ああ。俺と大河さんを結婚させて、息子を次期社長にしたいんだろう」
「それって…大河の子供って事?」
「いや、彼女の弟だろう。純血で世襲させたいんだろうな。たいした母親だ。
実は俺は、勘当されて、最近まで外国にいたし、そういう事は興味ないんだ」
「へえっ…あの…外国でなんか…してましたよね、ブラジル?…雑誌で見ました」
弟のみどりが好きな、格闘誌を読んだ事ある実乃梨は、途中で男の事を思い出して、ちょっと、
サインが欲しかったが、とてもそんな空気じゃなかったので、我慢していたのだった。
「昔の話だ。俺見たいに、相手を潰す事を躊躇するような、軟弱な精神の奴は…
頂点に昇れない世界だ。例えば…好きな女を強引に奪い獲るくらい、強欲でなければ……
ま、俺の運命だな…」
実乃梨は男に振り返る。好きな女を強引に奪い獲るって、まさか…大河の事?しかし…
「運命って、自分で切り開くんだと思うんです。決まった人生なんて無いと思います」
わたし…何言ってんだろ…大河と竜児は運命の人。でも、運命が…
運命の人が、奪い取れるなら…実乃梨は、竜児を…
「いい友達だな。君は。家に着いたか、じゃあ、失礼する」
あの…実乃梨は言いにくそうだったが勇気を出す…
「あの…サインください」
***
助手席の大河は、まるで人形になったように、ピクリとも動かない。
当初の計画とはずいぶん違う展開だが、何故か首尾よく事が運んでいるようだ。
大河を攻めるなら周りからっ…と、実乃梨には、体育大の裏口入学を手配しようとしたが、
どうやら普通に推薦されるらしいし、亜美に至っては、グラビアデビューさせようと、
有名写真家を口説いてみたが、断られた。しかも亜美の所属事務所に聞いたらなんでも
映画デビューするらしい…。上手く行ったのは、文化祭のスポンサーくらいだった。
「…ママ」
突然人形が喋り出した時のように驚いた。
「話して…婚約する前に…あの男の人の事、わたしに話して」
「…ごめんなさい、大河…ごめん…ね」
涙ぐむ母親は、計画の全てを打ち明けた。
大河は迷う、竜児は苦悩する、実乃梨は惑う、男は独り、バーで、ショットグラスを呷る。
みんな、それぞれの思惑を胸に、夜は更け、また一日が始まる。
政略結婚がないなら続けても文句は言わないけど
竜虎の幸せをぶち壊すようならもう書かないでくれ
なんか筆者が大河が嫌いだから、って風にしか見えないんだけど
スルーしろよwww読みたくないならNGに突っ込んだらそれで終了だろ?
荒らしたいだけだから放っておいてやろうよ。
文章が下手過ぎて痛々しいな
書いてからすぐに投下しないで、一週間くらい経ってから
冷静に読み直すべきだな
またスレ荒れるのか・・・最近ようやく持ち直してきたのに
NGしてるから作品については何も言えないけど、はやく終わらせて欲しい
苦悩がないなら「とらドラ」にならないとおもうけどなぁ
(私も竜虎派だからつらいはつらいんだよぉ)
>>570 続けて書いていただきたいなぁ。
最終的にどう転ぼうと、泣くかもしれないけど、読もうと思う。
頑張ってください!!
大河を蹴落とすのはみのドラだし、しょうがないとしても、竜児の父の過去を黒くする事によって泰子が救われない。
そしてそれによって竜児も更に傷を負うだろう、それは櫛枝がしっかりフォローしてくれる流れになっている・・・んだよな?
これで本人同士がラブラブになりましたーめでたしめでたしなんて薄すぎるし、俺はイヤだぜ?
>>560 GJ
これは短編に続くんですね、wktk
>>570 個人的にv6さんが書く原作後のみのりんの描写がすごく好きなんだ
というわけで期待
いや、どんどん書いて欲しい。俺は色々な作品が読みたい。
竜児x大河しか受け付けない人はスルーすれば良いだけなんだから、
テンプレに沿ったものならどんな作品でもウェルカム!
今回まで読んでみたけどNGに決めますた
原作後って設定の所為で竜児が最高に可哀相なんだもんこれ
大河も大河であれ程の大恋愛の直後にあっさり他の人間に惹かれるってのも何だかなあだし
竜児と大河が付き合う前のifとか本編分岐の設定でやった方が無難というか
何故そうせずにあえて原作後にして竜児と大河を引き離すのかなって思ってしまう
これが正直な感想だなあ
作者さんには悪いけど今回ばかりはGJとは言えない
もちろんだから書くなとは言わんし上にも書いたように
次回からは悪いけどNGさせてもらうのでどうぞ続けてくださいな
大河が簡単に転びすぎでは?と思えなくも無いですけど
面白いです。
続き楽しみです。
>>570 メアリー・スー全開乙と謗られてもおかしくないオリキャラを出したり、
「原作後設定でみのドラ」なんて難しい題材を選ぶくらいだから、単純にGJレスだけが欲しいってワケじゃないんだろう。
叩かれる覚悟は完了していると判断した。
俺はNGにはしない。そのまま続けてくれ。
しかし何だな。この大河ママは駄目だな。
親のエゴを子供に押し付けるって点に於いて、陸郎と何ら変わらんじゃないか。
まして「この父にして、この娘あり」はねーよ。大河の半分はてめーで出来てんだろーがよw
大河のNTRって斬新だから続けるべし
あんまりつまらないからあぼーんした。
GJコメントがありなんだからこれもありだよな
>>587 ヒント:「NG」「あぼーん」はNGワード
ここだけ18歳以下も来てもいいのか?
しかも堂々と書き込んでるし
>>589 お前も以下と未満の違いを学校で習ってから来い。
>>570 GJ
キャッキャッウフフだけでなく、鬱要素が入ってるシリアスなとらドラが見たかった
書いてくれて有難う、頭に何か湧いてる奴らの言葉は無視してくれ
そういやそうだった
中学生に揚げ足取りさせちゃってスマソw
言い忘れてたけど、けいとらっ!の作者さんは注意書きは毎回投下時に入れた方が良いと思う
久しぶりにスレ覗いた人とかは普通に読んでしまうし
>>570 じっくり読んだ感想
原作後の(成長した)大河が舌打ちくらいで一般人に攻撃するのが不自然だ
政略結婚も迷惑かけられないと言うほど母親を大事にしてるなら、そのパーティでそんな行為しないと思う
蹴りを止められて惹かれるのも不自然。強い男が好きなんて・・・どこの尻軽女だよ
あーオリジナル設定か?もしくは大河の掘り下げが出来てないか、するつもりも無いのか
>>運命の人が、奪い取れるなら…実乃梨は、竜児を…
みのドラに期待していた俺はこれが一番違和感を感じた。夢に近づいてる設定だし尚更そう思う
奪い取るかもしれない男が現れたから自分もーみたいなのは軽すぎてみのりんに似合わない
長々と文句言うぐらいならNGしろよカス
職人さんがますます減ってしまうだろ
文句と感想は違うだろうよ
母親の会社の状況が思わしくなく、地元の名士からの融資話と並行して縁談が持ち込まれる。
母親は過去に逢坂との間で大河を争いの道具としてきたので、もう娘を巻き込みたくは無いの
だが…。でも、大河はその状況を知ってしまう。自分はどうすべきなのか悩む。
竜児と離れ離れなどにはなりたくない。でも、確立させたいと思っていた家族も守りたい。
竜児を心配させたくないので、それを表には出そうとしない。でも、どこかぎくしゃくしていく2人。
大河の様子がどこかおかしいことに気がつく竜児。
大河の身に起こっている事を知り、理不尽な大人たちに反抗しようとする竜児。それを助けて励ます櫛枝。
一方、婚約者として現れた男もいろいろなことを感じ、どんでん返しの手を打とうと画策していた。
母親の会社の問題には内部の勢力の乗っ取りといった側面も見え隠れしていた。果たして竜児と大河2人の運命は?
なんてのがありがちな展開だろうが、 予想外な今のままのが面白いかな? ま、頑張れ。
感想とかを自分の中で処理できないくらいなら書いたりしないだろう
そもそも投下終わったら一仕事終えたと感想はあまり重視しなかったり
ハイハイ書けないもしないのに長文で乙wと思ったり
あー確かにそうかもなーちょっと変えていこうかなと思ったりとかと
書き手も感想を選ぶ権利やそれをどう受け取るのかは自由だし
不必要に攻撃的なレスで投下が減るような空気にしなけりゃいいっしょ
そのくらいのスルー能力は必須だろう 頑張れよ
職人や作品をけなすな
だがマイナス評価な感想はありだろ
>>594 まあ大河の掘り下げとかは別にやらなくていいんでね?
そこは原作読めばいいんだし
602 :
名無しさん@ピンキー:2009/08/03(月) 01:30:22 ID:t/rAF1N2
みのりんとゆり先生の乳のサイズを掘り下げてほしいね
板的に考えて
なんでここまで騒がれて未だに書き続けるかがわからない
蹴りを止められる→野生の男の臭い→嫌いじゃない→惚れた!
今時のDQNでもあるまいし、それに大河はこんなに軽くねぇよカス。アンチスレにでも書いてろ
>>603 自分の気に入らないものごと(作品の投下)を排除したくて騒ぎ立てるって赤ん坊か
とんでもなところは目をつむろうぜ。かえって予想もつかない展開もありそうで期待してるぞ
606 :
名無しさん@ピンキー:2009/08/03(月) 08:45:41 ID:pYsN56TR
>>603 おまえが竜虎スレに行ってろよ。
そもそも作者がはじめに竜虎好きは見ないでって注意してんだろうが。
いい加減自分がおかしなこと言ってるって気付けよ。
触れたら負け
前作を見るかぎり期待は出来るな
夏厨がいたるところに
いちいち反応して余計に荒れる方向に持っていってる奴も馬鹿だろ
擁護派お得意のスルーをしろよ
良くも悪くも話題になる作品ってのは良いな
書いても一切反応されず終了する作品と比べれば何倍もマシだ
物語終了後ってのがかなりのチャレンジだな
固まった物を一度破壊するからそれ相応のエネルギーが必要だし
まあ作者の力量だけでどうこうなる題材じゃないのは確か
この板の職人様へ …投下しにくい状況にしてしまい申し訳ございません。
わたしの次回投下は金曜予定です。よろしくお願いします
読んで頂いた方へ …貴重なご意見ありがとうございます。結末は決めている
ので、最後までお願いします。因みにまだできてないです。
>>612 このスレだけで完結してくれ
次スレまで引っ張られると、他の書き手がいい加減キレるし、萎える
いや、竜x虎しか許容しない読者は虎以外のキャラと竜がくっつくと途端に荒らすから
最後まで構想を練っているなら次スレまで渡ったとしても構わず最後まで書いて欲しい。
作品を中途半端に切り捨てる方が印象は悪くなるよ。
SL66タンに早く帰ってきて欲しいお
616 :
名無しさん@ピンキー:2009/08/03(月) 13:48:35 ID:t/rAF1N2
<(^o^)>
( ) 竜児とみのりんの仲を取り持つわ
//
<(^o^)> 北村君好き好きー
( )
\\
..三 <(^o^)> みのりんは大切な親友!
三 ( )
三 //
.
ヘ(^o^)ヘ ねえパパ、もっとお金
|∧
/ /
(^o^)/ 北村くん?年上好きらしいし、もうどうでもいい
/( )
(^o^) 三 / / >
\ (\\ 三
(/o^) < \ 三 りゅーじぃ好き好きー
( /
/ く みのりん、竜児のことは諦めて。貯金は貰う
誰かこれをSSにしてくれ
>>614 原作ファンであるほど竜x虎しか許容しない読者になり易いのが
とらドラ二次創作を2chでやるのの難しい所だからな〜
そういう奴らは、竜x虎ではない別カプでやるって事に対し
「原作馬鹿にしてんのか?」って不条理なキレかたするからな〜
まあ今回の荒れ方は、単純な原作IFで別カプでなく
原作の続きで別カプってのもあるんだろうが
ま、アレだな
最後まで決着付かんハーレムモノが
二次創作をやる題材としてはとても優秀なのだと改めて思い知る
竜虎しか許容しない奴から叩かれてるわけじゃないだろ……
それなら竜虎モノ以外メッチャ叩かれてないとおかしいし
俺、原作をリアルで買い続けたファンだけど『とらドラ!』が好きであってキャラに拘ってたりはしないな
とらドラは原作afterにすると竜虎がしっかり結びつきすぎてるんだよな
だから恐ろしいレベルの腕と設定でもない限りは原作afterで無理に引き離すと
竜虎ファン以外からでも大抵よく思われない
この前のみのどらもそうだったが、わざわざ原作設定にしてるから評判悪いんだよな
原作の設定やキャラを完全否定するような作品は周囲の反応含めて恐ろしく高レベルな
設定と腕の両方がない限りはスルー能力高いスレでさえも大抵荒れる
しかもラストだけでなく最初からフォローがきちんと出来ていなくては条件を満たせないという
オプション付き。ついでにオリキャラは存在だけで作品を嫌う人も多い、そこが更に難易度を上げてる
けいどらも原作設定から開始して竜虎引き離すには設定と進行が無理やりすぎると感じた
上のほうでも何人か言ってるがやはりifかなにかで大河と付き合う前からにしとけば荒らし以外は
マイナス感想なんかもでなかっただろうし荒れもしなかっただろうから惜しいなと思う
622 :
名無しさん@ピンキー:2009/08/03(月) 17:31:21 ID:vivUVzbc
なたやたまやわだらあわたさはまゆちをはめ
にはさたにたみはたやなあはたやうなあなふ
抜かすな!
623 :
名無しさん@ピンキー:2009/08/03(月) 17:31:45 ID:vivUVzbc
ヤマハスタジアムのデザインには納得します。
624 :
名無しさん@ピンキー:2009/08/03(月) 17:32:14 ID:vivUVzbc
なやはよなやなはわやはわやはわやわやわになる
人それぞれ何だろうね、やっぱり
自分はけいとら好きだけどね
竜虎の幸せを壊すなと言っても数多くある二次創作の一つなんだし、平行世界の事だと思ってればいいよ
ゆゆぽが冷徹に鬱路線でとらドラアフターストーリー出した方がショックデカいんだろうけど
そこで出来のいいポータブル(ゲーム版)からの個別END派生ですよ。
奈々子様ENDないけど。
原作からひっぱると竜虎ENDがほぼ確定してる状況からの大逆転にしなきゃならんから
PSPのああいう設定や何巻までの設定で、ってやった方が長編は作りやすい罠
二次創作なんだから、なんでもいいよ
>>627 正直そこは配慮してほしいな
別にアフターでなくても、序盤から改変したパラレル的作品もすでに沢山あるわけだし
わざわざアフターで心変わりとかは、よっぽどの波乱の過程や理由を用意してほしいな
人の心なんて後になっていくらでもなんとでも変わるが
既に書かれてる事もあるけど、長文で感想失礼
とらドラの根底に流れるテーマって家族探し、もしくは再生みたいな感じだと思うんだ。
他の人がどう思うかは別としても、俺はその部分がすげー気に入ってる。
この作品が原作アフターの時点ってことは、とらドラが連綿と描いてきたその回答が出された後になるわけだ。
んで、逢坂家は原作以上に大河を理解していない母親によって再度破壊されている。
高須家は原作以上にフォロー不可能な父親の悪行のせいで竜児と泰子までが悲しみを背負ってしまった。
そして、今書いたような惨い扱いをしなければ作者が描けないものがあるから、
もしくはそういう惨い扱いを描く事で、後から来るであろう救いをより光り輝かせるために、
わざわざ原作で一度完成されたものを破壊して、そういう設定にしていると思うんだよ。
たからこそ、作者が本当に描きたいテーマってのは必然的に重くなるんだろうし、叩かれるのも分かる。
それってつまり、ゆゆぽの出した答えとは違う俺の答えを見てくれっていう作者の意思表示なんだと把握した。
俺はそれが見てみたいし、その答えを見ないと評価出来ないと思ってる。
でもさ、誰も鬱になるだけの話なんか見たくないし、
ここまで破壊した以上それに見合う幸せが訪れると信じてていいんだよな?
結末が決まってるって事だけど、竜児の家族である泰子も実乃梨の親友である大河もほったらかしで
周囲は不幸なんだけど竜児と実乃梨だけが結ばれました、なんて事になったら目も当てられない。
つーか、もしかすると何の問題もない実乃梨の家庭まで壊したりしないよな?
実乃梨の家庭を崩壊させて夢も諦めさせて、竜児の家庭に救いもなくて、大河は婚約者とどうにかなって、
何も無い二人が最後に辿り着いたのがお互いでした、なんてのは不幸にさせすぎで俺は耐えられないぜ。
最後に、前書きにあった「竜児許せんっていう読者がモデル」の意味がよく分からないんだけど、
これってオリキャラ婚約者の事を言ってるの?大河は嫁になるんだろうし、竜児の不幸の象徴だしな。
オリキャラ=読者がこの作品の憎しみを全て引き受ける格好になるんだとしたら、かなりの皮肉家だね。
・・・・かなり長いな。もうすぐ埋め立てだからちょうどいいか。
完全なるIFとして見れば問題ない気がするけどな
俺なんかは原作をIFと考えちゃってるくらいだし
みんな春田くらい軽いノリとアホな頭で生きようぜ〜
>>631 書き手を脅迫するなw
その長文を書く熱があるなら、自分が満足するSSを書くんだ
俺も満足出来るから
残り20kb
忌避される作品は。このスレで封印すべきだったが、
この分だと、次スレ持ち越しか?
作者に一言
思い切って本編後を書くなら、設定や情景描写をもっと丁寧にしろ
今のままじゃ、竜X虎云々以前に、設定も展開も文章も雑過ぎて読むに耐えない
俺としては本当に無理矢理な政略結婚をさせられる欝話の方がまだ分かるし受け入れられるんだよな
ただ原作後って事はあれだけのドラマを経て竜児を好きになった大河が蹴り止められたりしたくらいで
お手軽にオリキャラに惚れかけてる状況を見てると何か馬鹿みたいに見えてなあ……特に竜児が
大河も二年のときに北村から竜児に乗り換えたわけだから
三年のとき竜児から別の男に乗り換えても別に不自然には思えないけど。
竜虎以外ダメってんなら事故かなにかで大河殺すしかないけど
そっちのほうがいいのかなあ。
大河と竜児がずっとカップルでいるためには竜児が大河の犬として
仕え続けなければいけないと思うんだけど、どうだろ。
二人が結婚しても仕事は竜児がして、家事も100%竜児、
大河は家で飯食ってゲームして寝るだけ・・・みたいな。
今時の女の夢みたいなカップルになるわけで、それって幸せなのかなと。
大河アンチはスレ違いなので
>>630 それ認めちゃうと「とらドラ原作の結末など、ただのまやかしに過ぎん!」って主張にならんか?
実際、竜児も大河も当初惚れてた人とは違う相手とくっついたが
その心変わりから、二人が恋人になるまでを10巻かけてじっくりやったのも「後でいくらでも〜」って言うのは
ちょっとどうかなぁと思う
>>637 そのへんの描写は原作だと綺麗に展開されてるしな
きちんと段階を踏んで丁寧に描写してある
それが成功していたからこそ、ここにいる人もとらドラにはまった訳だ
>>630 現実はそうだが、物語と現実を一緒くたにするとだめだ
少なくとも物語でそれをやるとただの「なにこのへんなの・・・」
で終わる
事実それをやったせいでそれまでの評判は悪くないのに
ラスト2話で完全黒歴史にされた作品を知ってる
しかし、本当にスレが荒れると
622〜624みたいな荒しも、通用しないんだな。
誰も相手してない
とりあえず次スレ立ててくる
ok
スレ立ていかせてもらおう
>>641 普段反応してるのは反応してる奴自体が荒らし目的だしな
やらなくても普通に荒れてるのにわざわざ反応する必要がないってことだろ
結局職人の作品の設定が突飛で、読者が感想や指摘だけ書けばいいのに
過剰反応で書くなとか言い過ぎたのと
大河アンチが大河がゆるい設定に喜んで、大河嫌いから否定的意見に噛み付いてるだけか
_/⌒丶 ー:- 、
-く/__ : : `ヽ: : : : : :\
/:/´ ノ : : : : : : : : ヽ: : '.
// ∠: : : : : : : : : : : ': : :i
. _/ ノ , イ:.{ : : : /{.: : : : : : ! : |
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/::::::::::ヘY: {: :{:.リ─ \l──}: :/: :| :│ 乙であります
/:::::::::::::/ ∨|ヽト{ ' 厶: : :リ :│
ゝ、 ::::::: '´::`丶/_: l:个 、 ─ /: :./: : :八
`丶、 :::::::::::::::`ヘ: : : |>t‐≦7: : 厶、 : : : ヽ
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{: : : : : : :i ::::|∧{ { /|/:::::::::i:::::::::{: : j :
いい機会だから、大河好きな人に質問させて
過程書いてあったら、竜児が大河から乗り変えても容認出来る?
例1:実乃梨の事が忘れられずにふとしたきっかけで再燃
例2:大河が転校してる間、亜美が献身的なサポートをしたとして、心が揺れる
みたいな展開で、大河が悩むような心情なんかも書けてるとしたら
アフターでもOK?
>>650 俺はいけるかな・・・相当納得できる過程が欲しいけど・・・
>>650 人の心なんてちょっとしたキッカケで簡単に揺らぐもんだからな。
唐突に〇〇が好きになった!
じゃなくて、納得出来る状況・展開なら有りかと…
原作もそうであったようにな
>>650 むしろ竜児が男として微妙にならんかソレ
結婚しようと宣言し駆け落ちだなんだと騒いで
互いの家族巻き込んだ果てに恋人になったのに
その後で「やっぱ別の女の方がいいな」って言い出したら
大河がどうの以前の気がするが……
やっぱ、本編の続きでやるのは鬼門だろ
素直に竜虎が必要以上に仲良くならんかったIFモノのがいいんでないの?
同じく納得できる過程有りならば普通にいける
ただとらドラだと納得できるにはやっぱり相当難易度高そうだとはおもうな
原作後設定で心変わりに納得できるような物語って最早とらドラ!2だな
原作であそこまでちゃんと過程があったのに納得できなかったのだが
アフターだとOK?ではなくアフターでなければOK?じゃないかな。
それなりの筋道立てれば異論も出ないんじゃないかと。
原作後ってなると、例えば数年して破局後くらいに時間をおけば良いのかな?と思う。
>>650 過程云々以前に、原作アフターは竜虎以外のカップリングが思いつかんのだよね、竜虎派だと。
精々8巻クライマックスの告白あたりまでに止めておかないと、竜児が同一性を持たなくなりそうだからなあ。
竜と虎、それぞれの最初の恋が真剣だったという前提が作品の魅力でもあるわけだし、そこを活かしつつというのは悪くないと思う。
どのみち、受け入れられようという気持ちで執筆するのはやめた方が無難。カップリング論争は匿名掲示板の戦乱の火種だしね。
みなさん、回答ありがとうございます。
なるほど、ハードルかなり高そうですね
すごく参考になりました。
仮にもプロがエンディングが決めた後をアマチュアが違う展開にして続きを書くわけだからな
勝手に有名店の暖簾わけされた店みたいにしても料理人次第で味が全然違って問題になるか
味は本家並であくまで似た名前のフォロワーとしてそのまま続くか
前者だと夢小説レベルとして一笑される可能性もあるしその覚悟はして然るべきだろうから作者次第じゃないの
投下した後は暫くスレから離れる。
2日もすれば叩かれてたとしても流れは終わってるさ。
このスレは早いから気にもならんて。
自分の妄想を形にしたくて、形にしたなら晒しちゃおうって感じで落した。位で良いんじゃないかな。
俺はそうした。
>>661 それだけなら何故2chのスレに投下するん?
大なり小なり感想求めてやってる人のが多い気がするが
663 :
名無しさん@ピンキー:2009/08/03(月) 22:50:06 ID:jzfN8NmZ
>>660 VIPみたいなカオス名ノリでも良くね?
肩の力抜こうぜ
664 :
名無しさん@ピンキー:2009/08/03(月) 22:51:30 ID:dv/lefkB
うぅ
エロパロなんだから作者が好きに書けばいいじゃん。
読みたくなければスルーすりゃいいだけだし。
アフターで書くのは駄目とか読み手の都合押し付けすぎ。
こんなスレだから書き手がいなくなるんだよ。
>>650 10巻ラスト付近の竜児に聞いてみればおk
「実乃梨の事が忘れられませんか?」
「大河がいない間、亜美が献身的なサポートをしたとして、心が揺れますか?」
って
>>665 駄目とは言って無いじゃん
ただアフター設定でそれまでの過程ガン無視やられると萎えるわーって思う人が多いだけで
むしろエロパロだからこそ
シチュエーションとか深く描写せずに
「何かそういう雰囲気になったんでヤりました」的な話で十分でないの?
とも思うけどな
原作のストーリーからそこに至る過程の描写を入れようとするから
「だったらこうならないか?」的なツッコミが来る訳だし
眠れるわけなどの描写にヤッた派ヤッてない派がいるように
「そういう雰囲気になったんでヤりました派」と、「だったらこうならないか?」派がいるのです
みのりんとかあーみんとかさ、あんな可愛い子に迫られたら
普通本妻いてもおちる……のは俺だけか
なんでもない
こんな混沌とした状況を無視して奈々子様ものを希望する!
なんか、とにかく、たくさん書こうぜ。雑なのも精緻なのも
それだけがこのスレの、ってかとらドラ!好きの、意見の分かれないところだろ?
673 :
98VM:2009/08/04(火) 00:01:26 ID:qWumxaw+
三白眼の少年が、あたしを見下ろしている。
そこがどこかは分らない。
夕焼けの教室だったり、薄暗い体育館の倉庫だったり、あるいは家の別荘だったり。
ただ、少年は、あたしを気遣うような、しかし凶悪な目線を投げかける。
その手は、顔に似合わず繊細で、信じられないくらい美味しい料理を作り出す。
けれど、今その手がのびた先にあるのは、あたしのカラダ。
熱くなる。
内側から焼かれる。
肌の裏側をなにか虫めいたものが這いずり回る。
脳幹が焼かれ、下腹部が痺れる。
揺れる視界の中、何故か少年の顔だけははっきり見える。
完全な無音の世界の中。
唐突に声が響いた。
「お前には、いるのか? その…胸を、貸してくれる相手がよ…。」
埋めネタ 〜たとえばこんなプロローグ〜
覚醒する世界。
そこはいつも通り、伯父さんのマンションだった。
まだ部屋は薄暗い。
心臓の鼓動がやけに煩い。
小鳥の声さえ聞こえないことに気がつき、時計をみたら納得した。
まだ、朝というには気が早すぎる時間だ。
頬を何かが伝う感触。
手で拭えば、自分が汗びっしょりになっていることに気がついた。
気持ち悪い。
――― シャワーでも浴びよう。
ベッドから降りて、歩き出そうとして、股間の違和感に初めて気がついた。
自己嫌悪。
思わずベッドを確認する。 若干汗で湿気っぽくは有ったが、股の辺りが塗れているということはなかった。
最悪の気分だ。
どんな夢を見ていたのか、微かにしか覚えていない。
けれどそれは確かに、今は大橋高校を去って行った友人を愛する男の顔だった。
なんて、浅ましい。
シャワーに打たれながら自嘲する。
あたしは、あのチビを応援するって、決めた。 決めたのだ。
なのに、半年。
たった半年で、二人を助けるってことが、とても難しい事だって、思い知った。
簡単に自分の気持ちを消せるなら、きっと世界中で沢山の人が幸せになれるに違いない。
だって、それはこんなにも難しくて、こんなにも胸が痛いのだから。
そしてきっと、あたしや実乃梨ちゃんのような思いをしてる人は沢山、沢山いる筈なんだから。
そして……
674 :
つづき:2009/08/04(火) 00:02:27 ID:TSIze4AM
一週間ほど前だった。
あの朴念仁はいまだにあたしに優しくしてくれる。
けれど、それって、けっこう痛くって、あたしはついついキツくなる。
ちょっとした喧嘩だったけど、あたしがむちゃくちゃな事言ってるってのは自覚してた。
もうとっくに決着はついてて、あたしが彼にしてやれる事なんてたかが知れてて、でも、どこかで彼に認めて
もらいたいあたしがいて…
他愛の無いことだったのに、もう頭の中がグチャグチャになっちゃって…逃げ出した。
無意識にいつもの隙間に挟まった。
そこに居たら、簡単に彼に見つかってしまうなんて、そんなことも考えられないくらい、あたしは混乱してたん
だと思う。
実乃梨ちゃんとは仲良くなったけど、でもやっぱりそこはあたし一人の場所で。
そこに居る時はいつも、あたしは一人だった。
「おぅ…」
彼の口癖に俯いていた顔を上げた。
きっとあたしは今にも泣きそうな顔をしてたんだと思う。
ううん、もしかしたら泣いていたのかもしれない。
だから、彼はあんな事を言ってしまったんだろう。
酷く優しい声で。
「お前には、いるのか? その…胸を、貸してくれる相手がよ…。」
それは忘れられない言葉になった。
あたしの心を突き刺す、非情な言葉。 けれど、優しさに溢れた言葉。
どんな意味で言ったのかなんて聞けない。
きっと彼にもわからないだろう。
とまどったような、なんでそんな事を言ってしまったのか判らないというような、そんな顔だった。
きっと未来は変わらないだろう。
あたし自身が、二人をサポートすると誓ったから。 それを反故にするなんて出来ない。 プライドに掛けて。
けれど、少しだけ違った、新しい関係が生まれるとしたなら、
それを拒むのは難しい。
悲しみと、喜びと、寂しさと、希望を伴ってやがて訪れる明日が、どんなものになるのか、あたしには判らない。
けれど、そこから始まる物語もあるのかもしれない。
それは―――― たとえば、こんなプロローグ。
お粗末様でした。
GJ!
切ないがあーみんはいい女だ
>>668 あれはそういうスタンスの作品じゃないっしょ?
そういうスタンスのだったらあんなに色々言われんと思うよ
98VMさん
このタイミングでこのネタすか、しかもエピローグ
やっぱ意図的に?
あなたなら書ける気はする。良かったです。
678 :
677:2009/08/04(火) 00:11:03 ID:RMbyM5rI
ごめんなさい。タイプミス
プロローグね
ポロネーズね
炒飯たべたい
,' : . : .〃 ハ:. : . : . : .jl __ __
{ : . {{ / ∧:. : . : ./:| '.:´::::::::::::::::::` 丶
', : . ∨ー ":.:.. ∧:. : ./ | /::::::::::::::::::::::::::::::: . :: :: .ヽ
゙、 : . ∨:.:.:.:.:.:.:.. ヘ/ |゙. : . :.:::::/ヘ:::::、::::ヽ::::::::'; :: :`、
\、 : .X:.:.:.:.:.:.;.、‐´ |.:::::::l::::/ ヽ':ヽ::::`、:::::i:::::::::ハ
`ヾ、ー-- '┴ '''''"´ : . : |ハ:::W! ` ,> ヾ::|::l:::::l:::l
\ : . : . : . : . : 「7>!、、 ヽイイび゙犲V::::::l:::|
ヽ . : . : . : . : ノ|ィ7てカ` ゞつン 小:!::|:::|
丶. : . : . : ./ ゞ゙‐'" 、 イ::l:::ト}:|
`、ー- --:‐'''~ ハ |:::|:::|;!:|
/ ̄ ̄_\ ヽ,..、. リ 「7 ̄ ヽ !:::!:::l:::l
〈 .、-''" `く { [∧ { `, ,|:::l::::|:::|
} _,、-¬-、\〉 ヽ公.、 ゝ _ _ン .ィ|:|:::|::::!:::! _____
{ _、‐ 、 'く| ノ::::\> 、 _ <.:{:!:|::::!:::i::::! _/`{ _,.、- ゝ、
ヽ ゙´ ,r-、ン| /⌒ヽ::::Y'" ̄二≧z{;;;」::::{;;:1::1 〈′ :| ,.-‐'' ハ
∨ イ:.:.:. |′ `、::ヽ、 イ [l |:::::{;;::l:::l {`ー入{ ,、-‐ ハ
V 丿:.:. | `,::ヽ >ゝヘ、_|__ {:::::l;;::|:::{ ヽ .::廴{_ z‐ 1
,、‐''f´∨{'⌒\ } i ゙;::::', ', `, ';:::::ドi|:::}_ ヽ :/゙ ̄`ヽ{
/ ゙, \、:.:.:.:.ソ | : jハ::i ', '、 ';::::i, ``ヽ、 丶、ヘ. |
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_,、イ .: 丶、:;;_/.: .: ;ハ . .: .: .: .: :. . . 、 ゙、 ゙;:ハ 、、 ヽ ,'´\ ``ー' }
, '" :/ .: . . : .: .:.丿.: / .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: : ', . .゙, j;'リ. ヾ; ,〉-、 i ヽ、 _ _,リ,
/ .:/ .: .: .: .: .: .:/,: イ.: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .}.:..:}} : :. . . . Y \. ,j;.  ̄ }
会長が強引に梅