【田村くん】竹宮ゆゆこ 19皿目【とらドラ!】

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652ニセドラ!5
実乃梨の全裸は拝めなかったが、なんのなんのっ、今竜児(犬)は至福の刻を過ごしていた。
「うっしゃらららっ!!うっしゃらららっ!いやー泡立つねえ。どう?ニセドラ!」
最高です…初恋の相手に、お風呂場で洗ってもらえるなんて、これ以上、何があるというのか。
「せっけん流すよ〜、放水開始っ!うりゃああああっ」
竜児(犬)は想像した。ちょっと不謹慎な事だ。もし実乃梨と付き合っていたら…
大河と付き合ってなかったら…こんな風に一緒に…おおうっ!熱ちぃ!!
「ごっめーんっ!熱湯出しちまったよ。今日は暑かったし、水の方がいっか。なっ、ニセドラっ!」
水でキレイに濯いでもらった竜児(犬)は、無意識にブルブルっと水切りする。飛沫が飛ぶ。
「つおおおおっ!ペッペッ!ニセドラ!おぬし、いつの間に、オーロラエクスキューションを会得したのだ…」
なんてなっと、実乃梨は、犬の自分にでも、ずっと話かけてくれている。ずっと気を使ってくれている。
すっごくかわいくて、明るくって。一緒にいて楽しい…。俺、やっぱり…櫛枝の事…
「ではでは、あっしも体を洗おうかねぇ」
おもむろに実乃梨は、ビキニに手をかけ、脱ぎだした。
おうっ!犬になっても、それぐらいは、言えるようだ。焦った竜児(犬)は、前脚で目を覆う。
「なんだいニセドラ。照れてるのかい?えへっ、憂いやつじゃ、近うよれいっ」
近うよれる訳ない。前脚が塞がっている竜児(犬) は、ぴょんぴょん飛び跳ね、…またスッ転んだ。
そんなアホ犬に、実乃梨は、後ろから抱きしめる。もちろん、全裸で。
「よしよし…洗ってくるから待ってて。 お・す・わ・り。 ね?」
ピタッと、動きを停めた竜児(犬)。背中に感じた、想像より大きく、柔らかい温もり。
このまま死んじゃうかもしれない。心臓がバクバクする。鳥肌が起つ。犬だけど。
そんな気も知らず、♪抱っきしめた〜♪こっころのコッスモ〜♪実乃梨は唄い出す。
竜児(犬)は、精一杯の理性で我慢していた。抱きたい。そう思っているのだ。しかし…苦悩する。
でも…実乃梨が全裸で至近距離にいる。こんな状況で、自制心を保てる男、オスがいるだろうか?
イネーだろっ!無理無理!絶対イネー!
意を決して、竜児(犬) は、実乃梨に襲い掛かるっ!わお〜〜ん!
ガンッ!
いつの間にか洗い終えていた実乃梨は、湯舟に浸かりながら壁に激突するエロ犬を見た。

***

気絶していた竜児(犬)は、いつの間にか実乃梨の部屋に運ばれていた。
「気がついたかい?ニセドラ。もぅ!お風呂キライなの?心配したぜよ〜」
超アップで、実乃梨に話し掛けられ、ビクッとする。屈託のない笑顔に罪悪感でいっぱいになる。
「ニセドラ…もしかして、わたしの事キライなのかな?」
竜児(犬)は、ブルブルと全力で首を横に振る。ヨダレが出るくらい全力で否定。
「汚ねェ!…ってお前…人の言葉、解るの?」
今度はコクコクっと首を縦に振る。ヨダレは…出ない。
「凄っげー!凄げーよ、ニセドラ!もしかしてミュータント?XーMEN?ウルヴァリン?」
言葉を理解する犬なんて、普通は拒絶反応を起こすだろうに、実乃梨はすんなり受け入れた。
そういうトコロも、竜児(犬)は好きなんだ。三白眼なんかもそうだった。

「じゃあさ…。わたしの事。…好き?」
急に真剣な眼差しで、ゆっくりと問いかける実乃梨。
竜児(犬)は、目をそらさずに、ゆっくりと肯定した。