テンプレ終了。抜け等あったらよろ。
乙です
7 :
23スレ476:2008/06/07(土) 11:40:56 ID:xoyztqKX
>>1乙です
即死回避&新スレ祝いにガンガンいくよ
と言っても続きものですが…… 前スレ>481より
8 :
雪の墓標:2008/06/07(土) 11:42:39 ID:xoyztqKX
気がつくと、湯飲みの陰は机の縁まで届いていた。看板娘は最後まで絶好の聞き役であり
続け、「まあ、こんな感じかな」と、良太が締めると、小さな拍手までしてくれた。
それに若干の照れもあって、餡蜜の残りをかき込む良太に、娘は言った。
「それじゃ、お客さんのこの話も、例年通りって訳なんですね?」
「いや、違うよ」 匙を止めて、言われてみれば、と彼は思った。「そういや、この話を人にするのは
初めてかな」
「ええっ?」
「うん、確か初めて、のはず」 それから、少し唇の端を上げて、良太は言った。「ほら、何たって
俺は、雪女に他言無用と口止めされてるわけだし?」
「ううぅ……、何だか悪いことしちゃった気分です。いいんですか、そんな大事な思い出を一番に
話すのが私なんかで」
「それも、ほら。俺は一応、彼女の話を信じてる訳だから。するていと、彼女と君は同一人物に
なるはずで、問題はないんじゃないかな?」
「なるほど。そういう考え方もありますね」
ぽむ、と娘が手を打って、それから二人は大いに笑った。
その日、良太の他に同じ宿を取ったのは、老夫婦が一組だけだった。この時期にしては随分と
少ない気がしたが、何でも無い平日だと、割にそんなものだと主人は言った。
食堂で彼らと一緒の夕食を済ませ、ゆっくりと長風呂を楽しんで上がると、ちょうど八時を回った
ところだった。先程まで、ロビーのソファーで主人と歓談していた婦人は、もう部屋に引き揚げた
ようである。
玄関でしばし逡巡した後、良太は星を見ようと外へ出た。空気のきれいな高原の星空は圧巻の
一言だ。が、わざわざ湯上りに放射冷却で冷え込んだ外へ出るのは、それだけが理由でも無い。
小屋の外には、ベンチが二つ置いてあった。一つはロッジ風の雰囲気を出した木の造りで、
もう一つは錆びだらけの鉄製である。だが、良太はあえて後者を選んで腰を下ろし、ゆっくりと
空を仰ぎ見た。
十八年前と同じように。
ふと、何故自分は娘に雪女の話をしたのだろうと、良太は考えた。勿論、あの時は、それが
さも自然な流れだと思ったからなのだが、後になって考えると不思議でもある。記憶も不確かな
子供の頃の夢の話、それも大部分はきっと、後の記憶で上書きされた幻だろう。そんなものを、
酒も入らずスラスラと調子よく喋れる人間だとは、自分でも思っていなかったのだが。
いや、もしかしたら、自分はずっと話したかったのかもしれないな。そう思いつつ、良太は
ベンチの上に寝転んだ。それを今年に限って行動に移してしまった理由と言えば……。
あまりぱっとした答えは見つからなかった。強いて言えば、就職が決まって、来年からはそう
気軽に山へ来れなくなるからだろうか。彼は一人で遊びに出かける歳になってからは、毎年の
ようにこの山小屋へ足を運んできた。だが社会人になって貴重な休みを使ってまで、この巡礼を
続けるかどうかは、自分でもちょっと分からなかった。
寝転んだまま考え事をしていると、いつぞやのように再び瞼が重くなってきた。初夏とはいえ、
この山の夜はそのまま眠っていい気温では無い。だが、何となく起き上がるのが億劫で、この
物思いに一区切りつけてから、などと愚図っていると、ますます体は重くなる。
霞の掛かってきた頭の端で、良太は一つ、思いだした。そうだ、多分、就職のせいだ。
子供の頃、将来の夢は山小屋の主人になることだった。あの後、家に帰って必死に雪女の
言葉の意味を調べた自分は、結局殆ど理解できなかったけれど、とりあえず一つの結論を
得た。
あの娘は、なんだかわからないが、とてもさびしがっている。
そんな彼女に、自分が出来る事は何だろう。自分なら、さびしい時は、誰でもいいから傍に
一緒にいて欲しい。働きに出た母親の帰りを一人で待つのは、とてもとてもさびしいことだ。
そうだ、なら大きくなって、自分があの山小屋の主人になろう。そうすれば、朝から夜まで、
自分は娘と一緒にいられるし、彼女もさみしくなくなるし、こんな幸せな事は無い──
9 :
雪の墓標:2008/06/07(土) 11:43:39 ID:xoyztqKX
だが、そんな夢は、結局叶う事は無かった。現実的に難しい話、という以前に、彼自身が、
その志望を明らかに出来なかったのだ。母はこれといって何か言う事は無かったけれど、
彼女が山にいい感情を抱けなくなった事は、幼い良太でもはっきりと分かることだった。
"貴方は、私を赦さないでしょう?"
朦朧とした意識の中で、記憶にある雪女の声が反響する。それは、娘の難解な言葉の中で、
当時の良太でも知っていた数少ない語彙の一つだ。同時に、きちんと理解出来たのは、最も
遅い部類の言葉。
もちろん、ゆるすよ。そう、幼い良太は強く思った。だが、親の死を赦すという意味が、そう
容易く一人で出来ることでは無いことを、彼はこの十八年をかけて学んできた。
「過ちは人の常、赦すは神の業」
そんな言葉を呟いて、いっとき、彼は目を閉じる。
そこでふと、彼はいつの間にか発電機の音が止まっていることに気が付いた。慌てて首を回らす
と、小屋の電気は消えていて、辺りは真っ暗になっている。山荘の主人は、発電機を落とすのは
十時過ぎだと言っていた。すると、自分はいつの間にか眠り込んでいたのだろうか。
閉めだされたら大変だと体を起こしかけた時、玄関の扉が開く音がした。暗い中、灯りも持たずに、
誰かが良太のベンチへ向かってやってくる。
何となくそのままの体勢で待っていると、上から娘の声が降ってきた。
「発電機、今日は早めに落としたいって店長が言ってるんですけど、いいですか?」
「もう、落ちてない?」
「ええ。臼井さん、お部屋にいらっしゃらなかったのでしょう。そしたら店長、鳩羽さんご夫婦の
OKさえ貰ったら十分だって言い出して。さすがに悪いと思って私は探してたんですけど」
もう、落とされちゃったみたいですねと言って、娘はくすくすと笑った。全くあのオヤジときたら、
と良太も半笑いで身を起こし、
そして娘の姿を見て固まった。
真っ白な着物に、真っ白な帯。後ろで一つに束ねていた髪は、今はまっすぐに下ろしている。
顔は、月の光を前髪に遮られてぼんやりとしか分からない。
その身に纏う雰囲気は、記憶にあるどの看板娘とも違っている。それでも、良太にははっきりと
分かった。
これは、間違いなく、彼女だ。
「今日も良く晴れてますね。お星様は相変わらず綺麗。昔を思い出しません?」
そんな事を、本当に何気なく言って、娘は固まっている良太の隣に腰を下ろした。それから
ぽんぽんと膝を叩き、にっこり笑って彼女は言う。
「はい、どうぞ。そんな格好じゃ疲れちゃいますよ。もう前みたいに抱っこして上げるわけには
いかなそうですし、これで我慢して下さいね」
「あ……ああ」
掠れ声で返事して、良太は言われるままに頭を落とした。ほとんどフリーズした思考の中で、
これは夢か、一体何の冗談なんだ、と常識的な言葉がバラバラのまま浮き沈みしている。
だがそれも、頭が娘の柔らかい膝枕に落ち着くまでのことだった。
「首、痛くないですか?」
「いや、大丈夫」 落ち付いた声で良太は答え、そして一旦目を閉じる。頭の後ろから湧き上がる、
どうしようもない郷愁が、彼の全てを一瞬にして押し流した。瞼の内では知らぬ間に涙が溢れ
かえり、頬を伝って真っ白な布地に染みを作る。
記憶通りの満天の星、山風の音、冷たい空気に娘の肌の温かさ。それが、夢か幻か、などと
いうことは、既に良太にはどうでもよかった。懐かしさの塊を、体いっぱいにため込んで、彼は
ゆっくりと深呼吸をする。
10 :
雪の墓標:2008/06/07(土) 11:44:41 ID:xoyztqKX
ただいま。久し振り。どうして今まで黙ってたんだい。もしかして、今日まで忘れてた?
かける言葉が、色々と思い浮かんでは消えていく。けれど、その結果沈黙が続いても、良太は
気不味いと思わなかった。こうして静かに身を横たえていても、不思議と全然気にならない。
そうしている内に、彼の目元を、娘の袖がそっと拭いた。これには、ごめん、いいよと慌てて身を
起こしかけた良太だったが、雪女のそんな男の手を優しく制す。それでも彼がズボンのハンカチへ
手を伸ばそうとしていると、少し意地悪そうに、彼女は言った。
「だーめ、じっとしてなさい」
これには、流石に苦笑いで、良太はまいったと身を倒す。娘は、頬についた二本の水痕まで
きれいに拭ってから、はい、いいですよと肩を叩いた。
「すいませんねえ、大きくなっても御面倒かけてばっかりで」
「いえいえ、立派になられて元お姉さんはびっくりですよ。もう、普通に私が年下ですね」
結局、そんな軽口を漏らした良太に、雪女も笑顔で応じる。
「ついこないだまで、膝下に纏わりつかれてたのに。男の子は、いざとなると本当に成長が
早いです」
「いやあ、そう来るかって言いたいところだけど。き…あ…、あなたの場合はそれでいいん…」
「ほら、そんなところも。普通に君でもオマエでもあんたでもいいのに。お姉ちゃんと呼べとは、
さすがに言いませんけどね」
そう言ってころころと笑う娘。良太はいい加減、頭の後ろ辺りがむず痒くなってきて、娘の膝枕
から逃げるように体を起こした。
錆びたベンチに二人並んで、彼らはしばし、思い出話に花を咲かせた。内容は実にたわいない
ことばかりで、良太の就活の苦労話、あるいは山小屋に来る変わった客のこと等々。だが、
肝心の雪女に纏わる色々な疑問は、良太は口にしなかった。子供のころ、聞かされた分で、
何が分かったというわけでは無いが、それで十分な気がしていた。
そしてどれくらい時間がたったか、外に出た際は傾いていた月がかなり高くなった頃。不意に
会話も途切れて、二人で静かに天の川を眺めていた時、良太が出し抜けに大きなクシャミをした。
「ぶえっっくしょいっ!」
その音は、静まり返った夜の山に小さく木霊し、二人は思わず顔も見合わせて笑う。
「大丈夫ですか?」
「大丈夫。いいから、いいから」
良太の傍へにじりよって、再び着物の袖を上げる娘に、今度は彼も先手を取った。素早くちり紙
で洟をかむと、はい、終わりと娘の手を取り自分の膝へと押し下ろす。
後手に回った彼女は、少し悔しそうな素振りを見せた後、体をぴったりと寄せて言った。
「残念。ちょっと前なら、抱いて温めてあげるところなんですけど」
「雪女に抱き温められるってのも不思議な話だね」
「あら薄情な」咎める様に言って、彼女は良太を覗き込んだ。「ほんの二十年前の話なのに、もう
忘れちゃったんですか?」
そして男の腰に手を回すと、やや強引に抱き上げようとする。
「んん゛〜っ」
「わわ、無理だって」
やや声を上ずらせながら、良太は慌てて娘を制した。しかし、大の男を大きくぐらつかせたのは、
彼女の筋力というよりも、その柔かさの方である。
二三度、抱きついたまま身体を揺するようにして、ようやく彼女は諦めた。そこで一つ、溜息を
吐いて、良太は誤魔化す様な早口で言う。
「無茶だって。体格差考えてよ」 けれど、
「なら、あなたが抱いてみます?」
素早く言い返されて、結局彼は言葉に詰まった。
11 :
雪の墓標:2008/06/07(土) 11:45:19 ID:xoyztqKX
そんな彼を、拗ねたような目を作って見据えていた彼女は、やがて耐えられないというように
吹き出した。それも、いつものころころとした笑い方では無く、少し声を大仰にあげる、初めて
見た笑い方。
さすがに憮然となった良太は、一つ、深呼吸すると、素早く娘の膝に手を回した。山男の鍛え
られた両腕は、見た目通りに軽い彼女の身体をひょいと膝上に抱き上げる。しかし、良太の上で
横抱きになった彼女の両手が、ごく自然にその首へ回ると、男の二の腕も僅かに震えた。
抱きとめた柔らかい温もりへ、腕は独りでに沈み込んでいく。娘のつむじが良太のあご下に
収まると、甘い髪の匂いが彼の鼻腔をくすぐった。太股に感じる娘の弾力が、急に鮮明に
なってくる。
勢いで抱き締めたはいいが、その後の処遇にいよいよ良太が困り始めた頃。雪女はぽつりと
言った。「懐かしい熱」
「熱?」
「ええ」 聞き返す彼の胸に、娘は顔を埋めたまま答えた。「外見はとても変わったけれど、体の
芯の奥にある熱は変わらない。懐かしい」
「それは……」 数瞬迷ってから、結局良太は訊いた。「俺に、人に、固有のもの?」
「うん」 雪女は相変わらず顔を上げない。「でも、なくしてしまう人もいる。こっちが融かされる
かと思った熱が、別人かと思うほどに、ふっと消えてしまう人もいる」
その言葉をどう解釈すべきか悩んでいると、娘はますます身を寄せてきた。腰を捩じって体の
全面を良太に押し付け、さらに首も曲げてその胸板をゆるく頬擦りする。まるで、自分を溶かし
付けるかのような動きに、彼は少し鼻を掻きつつ、言った。
「ここまでされて、体の芯に余計な熱を持たない男もいないと思うけど」
「あらら」 語調を戻して、娘は言った。「大変。じゃあ雪女の芯で冷やしてみます?」
「あのね、冗談じゃなくて、ちょっと……」
「どうして、冗談だと思うの?」 ついと、娘は顔を上げた。しっかりと合わされた瞳は、しかし
今度は悪戯の色が差す気配も無い。「なぜ、そう思うの?」
上を向いた雪女の顔が、初めて月明かりにしっかりと照らされる。それは、昼間、戯れに昔話を
した山男共憧れの看板娘であり、そして同時に良太の記憶の中の初恋の娘のものでもあり。
なぜ冗談と思うかだって、と良太は心内で言った。そりゃそうだろう。突然、こんな脈絡も無い、
都合のいい状況に放り込まれて、そりゃ夢か冗談と疑うほか無いじゃないか。
やはり、これは夢なのか?
娘は相変わらずこちらを見ている。その瞳に吸い寄せられるように、良太は顔を近付けた。
「んく……」
何の予告もなしに、彼はそのまま娘の唇を奪った。しかし男の強引な接吻に、彼女は僅かな
吐息を漏らしただけで、後は何の抵抗も無く受け入れる。
「ん……んちゅ…あむ……」
何度か、啄ばむような口吸いをしてから、良太は早々に娘の唇を割った。肩を抱いていた右手を
頭に回して、その傾きを調整しながら、彼女の中に自分の舌を押し入れる。
「はっ……んん……んぶ…」
口の中で男と絡むと、娘もすぐさまそれに応えた。差し込まれた舌は迎えるように吸う。逃げる
様に引けば、自らも縋るように追いかける。そして首に回した手の片方をうなじへと擦り上げ、
自分から顔を良太の方へ押しつける。
おかげで、右手は不要になった。なので、男は掌を娘の肌に這わせつつ、再びゆっくりと下げて
いく。元いた場所まで戻ると、そのまま肩は抱かずに、脇の下に差し入れた。体を支えるという名目
のついでに、その指先が娘の右の膨らみの端を捉える。
「は…んんっ……ふ…あむ……」
乱れた吐息は、ほんの僅かだった。口付けしていなければ分からない程、小さくを息を飲んだ後、
彼女はまた何でも無いように良太の唇を求め始める。だから、彼も何も言わずに、右手を奥へと
伸ばしていく。
だが、娘を横抱きしたこの体勢では、それ以上の事は無理だった。帯を解いて、正面から抱き
直そう。そう思って、一旦口を離したとき、ふと思考が素に戻りかける。
さっきから、自分は何をしている? 誘われたのは事実だし、据え膳と言われればそれまでだ。
だが、こんな脈絡も無く成り行き任せで、思い出の女を抱く人様な間では──
12 :
雪の墓標:2008/06/07(土) 11:46:08 ID:xoyztqKX
だが、その感情は長続きしなかった。顔を離して、初めて合った焦点の先に、再び映し出された
娘の顔。その蠱惑的な表情が、彼を再び曖昧な興奮の沼へと引き戻す。
裏膝に回していた左手を抜いて、襟元をやや性急に寛がせる。きっちりとした見た目に反して、
娘の着物は男の手に従順に従った。女物の着付けなど門外漢もいい所の良太だが、和服って
こんなに簡単に脱がせるものだったかと、少し不思議に思いつつ帯を緩める。
やはり、ここは全てが都合のいい夢なのか。
肩を一方づつ抜いて引き下ろし、ようやく娘の乳がまろび出た。月明かりの下で初めて見た
膨らみは、良太の掌にすっぽり収まる程度で、思ったよりは豊かだ。右手で背中の地肌の
感覚を味わいつつ、彼はその美しい曲線美でしばし瞳を楽しませる。
その間、雪女は同じように、じっと男の方を見詰めている。
「ふっ……ぁ…」
やがて自由な左手が、娘の同じ側の膨らみを捉えた。良太が指を沈めると、その真っ白な
乳房は、見た目通りに慎み深い弾力を持って押し返す。そして、沈み込む指を丁寧に包む
柔肉は、やはり人肌に温かかった。
この娘が雪女だというのなら、世の女性は須らく氷女であるに相違ない。いささか火照って
きた頭の中で、良太はそんな莫迦なことを考え笑う。
「ん…っ…、楽しい?」
「もちろん。こんなきれいな子を抱いていて、楽しくない、わけがない」
答えて、良太はすぐさま娘の口を吸い上げた。そんな、彼のやや強引な誤魔化しにも、娘は
無論、素直に応じた。舌と一緒に流し込まれる男のものを、喉を小さく鳴らして飲み込んでいく。
ひとしきり楽しんだ後、良太は一旦左手を胸から離した。代わりに、肩を抱いている右手を、
先ほどと同じように脇から差し込む形にして、横に流れた膨らみをふよふよと指先で躍らせる。
ついで左手を裾から差し入れた。襟元と同様、布地は思ったより簡単に滑って、その手は
順調に娘の脚を遡って行く。膝裏、内腿と所々で遊ばせながらも、その終点にたどり着くのに、
さしたる時間はかからない。
「んちゅ…ふ……ぅあ」
脚の付け根に到着すると、流石に少し反応があった。絡んでいた舌は痙攣するように引っ込み、
首も竦んで二人の唇は久しぶりに離れる。合間に架かった水橋は、一瞬月の光に煌めいてから、
すぐに自重でぽたりと落ちた。
指を潜らすと、娘は既に十分に濡れていた。外襞を割って縦に指を滑らすと、貯まっていた蜜は
すぐに外側へ溢れだす。泥濘を手探りに進んでいくと、その源泉は簡単に見つかった。
上気した顔色で、娘がぼんやりとこちらを見ている。その瞳を見つめ返しながら、男はゆっくりと
中指を沈めた。
「ぅあ……はんっ……」
熱い泉は、きつく狭い。そのくせ、彼の侵入を拒むことも無い。潤沢な蜜に滑らされて、良太の
指は容易く中へ埋められた。入口の肉輪をくぐり抜けて、少しざらついた天井を擦ると、娘の
吐息にしっかりと色が混じって来る。
「ひゃ…ふ……あくっ…」
興が乗って、つい奥の方を引っ掛くと、まだ少し堪える声音が漏れ出した。しかし、彼女自身は
それに何の文句も言わない。良太の顔を見つめながら、彼の責めを受け入れている。
だが、良太の方はいい加減限界だった。指を戻し、敏感な実を刺激しながらも、その表情は、
彼の方がよほど余裕の無い色をしている。時折、娘が洩らす嬌声を除けば、吐息の音は男の
方が目立つくらいだ。
一度、娘の乳房に吸いついてから、良太は一旦左手を抜いた。それから力任せに娘の着物と
裾除けを払って、腰元までを完全に露わにする。月明かりに青白く浮かび上がる、ほっそりとした
両脚は、そのまま見ていた欲望と、すぐに押し開きたい欲望を、同時に良太に掻き立たせる。
だがそんな葛藤は、すぐにもっと切実な劣情に押し流された。男はベンチに深く腰掛け直すと、
すっかりいきり立ったものを、もどかしげに取り出した。そして娘に向かい合って自分の膝を
跨がせると、対面座位でやや強引に娘の中へ押し入った。
13 :
雪の墓標:2008/06/07(土) 11:46:56 ID:xoyztqKX
「はんっ……んああぁっ!」
元々動くのに適さない体位なので、挿入の際に娘は少し苦しげな声を上げる。だが、それに
構う余裕が良太の方には残っていなかった。何度か、腰を揺するようにして、強引に奥まで
分け入ると、娘の息が戻るのを待たずに抽送を開始する。
「あうっ……ひゃっ…やっ……あんっ」
尻と腰をがっちりと掴み、娘を腰の上で跳ねさせる。雪女の体は、想像以上に熱かった。
体勢的にきついこともあるのだろう、すぐに暑苦しさが勝って来て、良太は上着を脱ぎ捨てる。
そして、錆びかけのベンチに敷き込むと、彼女の体をその上に横たえた。
側位になると、動きは大分楽になった。体を支えていた手は自由になって、娘の膨らみや柔肌
の上を這いまわる。それは、彼女の喘ぎをより艶やかなものにもしたが、同じくらいに男の興奮を
深く煽った。体中の熱はやがて腰奥に集まって行き、彼に終わりが近い事を伝える。
娘はついてきていなかった。それは分かっていたものの、良太は本当に限界だった。一人だけ
終わるのに忸怩たるものを感じたのは後の話で、今は娘に覆いかぶさると、彼は残りの数段を
駆け上がるべく、猛然と腰を振るう。
「はあっ…やんっ……ぅう……あう゛うっ!」
古ベンチにその身体を折り畳むようにして、良太は最後に思いっきり、娘の奥に突きこんだ。
全身の硬直に一拍遅れて、彼女の体奥で男の傘が大きく開く。きつく押さえ込まれたまま、
男の熱を胎の中に注がれて、雪女は小さくその身を震わせた。
四度、五度と吐き出して、良太はようやく一息ついた。繋がったまま、再び彼女を抱き上げて
ベンチに座り、対面座位の形に戻る。娘の荒い息を、体の内と外の両方で感じながら、自分も
呼吸を整えていると、夜風で体が急に冷えて来た。
思わず、娘を抱きしめる手に力が籠る。それに、ん、と小さな声を漏らし、彼女はまだ少し赤い
顔で、良太を仰ぎ見た。そして、彼がまだ何も言わない内に、全身を良太に巻き付け直すと、
ぎゅっ、ぎゅっ、と自分から温かい女体を押し付け始める。
「湯たんぽ係が寒い思いさせちゃ、面目ないです」
「んん、十分温かいよ」 言って、良太は少し笑った。「でも何だ、君は雪女じゃなかったっけ」
「雪女が冷たいなんて、一体誰が言ったんでしょうね。本人にちゃんと聞いた人はいるのかしら」
「そんな無茶苦茶な」
「だって、私は冷たいですか?」
言って、彼女は再び息むように力を入れた。中に収めたままの男のものが、胸板同様、娘の
柔らかい熱に抱き締められる。
その刺激で、良太の熱もすぐに戻ってきてしまった。娘を腕の中に閉じ込めたまま、胸元や
秘部に手を伸ばす。先ほどは余裕が無くて出来なかった愛撫を、じっくりと施して楽しんだ。
今度は、娘もきちんと感じているようで、上目遣いに見上げる瞳が、すぐにトロンと潤んで来る。
その唇を吸いながら、ふと悪戯心を起こして、良太は胎の中のものを跳ねさせた。
「ふむぅっ!……むー。」
接吻に応じたところを邪魔されて、少し恨みがましい目をする娘。我ながらガキ臭い事をしたと
思って、良太は素直に彼女に謝った。
「ごめん」
「昼間といい、最近ちょっと意地悪なとこが出て来ましたよね。昔はあーんないい子だったのに」
痛い所を突かれて、苦笑しながら彼が言う。
「昔大人しくし過ぎてたせいで、今になって好きな娘をいじめたくなる病が出たのかな」
「なるほど」 それに、娘は柔らかい笑顔で応じた。「それじゃ、仕方ありません。存分に、いじめ
ちゃって下さいね?」
たまらず、その口を吸い上げて、良太は娘への攻めを再開させた。背中を片手で抱き締めたまま、
無理な抽送は行わずに、ゆったりと腰を上下に揺する。そして空いた手を体の間に差し込むと、
敏感な実を探って、秘所の滑りを塗りつける。
娘の息が上がってくると、唇は離して胸を吸った。荒い呼吸と、心の鼓動が、膨らみ越しでも
しっかりと分かる。たわわな裾野をきつめに吸って跡を付け、また頂きの蕾を舌先でころころと
転がすと、彼女はたまらず良太の頭を掻き抱いた。
14 :
雪の墓標:2008/06/07(土) 11:48:00 ID:xoyztqKX
腕の中で、軽く気をやる様子を楽しんでから、良太は再び彼女をベンチに押し倒す。そして今や
しとどに濡れそぼる娘の秘所で、ゆっくりと抽送を開始した。今回は一度、終わらせているだけ
あって、彼にも少しばかりの余裕がある。だが、劣情に突き動かされて、がむしゃらに腰を振って
いた先よりも、彼をしごく襞の蠢きまで感じられる今の方が、気持ち良さでは上だった。
腰を使うと、全身にじっとりと汗をかく。それでも、夜の山は風が吹けば身震いするほどに冷え
込んでいる。だが、娘の身体はそんなものとはどこか無縁な温かさがあった。汗が冷えて身震い
しても、雪女の肌を抱き寄せさえすれば、寒さそのものがどこかへ行った。
やがて、二度目の限界が来る。娘の息は、さっきからずっと上がったままだ。そんな彼女を、
実を弄って再び高みに押し戻すと、良太は最後に少しだけ激しく腰を使って、自分も終わりに
導いた。
「はあっんっ……ふぁっ…やっ……ふうぅうんっ……!」
二度目にしては随分と多い量が、雪女の中に流れ込む。それを一滴も漏らすまいとするように、
良太は娘をきつく抱き締めたまま身を震わせた。圧倒的な快感に、視界が少し白んでいるように
すら感じる。おまけに、普段ならそれで一区切りつく興奮の波が、今日はまるで収まる気配を
見せようとしない。事後の満足感と、事前の渇望感が、一緒くたになって、理性を溶かす。
じっとしていると、夜風が寒い。その冷気から逃げるように、良太は娘の肌に自分を埋めた。
雪女の方も、そんな彼に何も言わずに身体を合わせる。二度目を終えてほんのいくらもしない
うちに、再び彼らは動き始めた。二人の体液で溢れかえっている秘所が、すぐにくぐもった水音を
立て始める。
前から、後ろから、ベンチに寝かせて、岩に手を突かせて。様々な格好で、良太は娘を抱き
尽くした。すればするほど、快感の度合は上がっていき、そして性欲も高まっていく。初めの頃に
感じていた寒気は、もう全く気にならなくなった。娘の中はいつでも熱く、そして肌は温かい。
それから、一体どれほど交わった頃か。ちょうど、初めと同じように、対面座位で娘を抱き締め、
その奥へと存分に注ぎ込んでいる真っ最中。ふと目を開けると、うっすらと明るい視界は、何故か
白く濁っていた。先ほどまで、娘に手を突かせていた岩どころか、今座っているベンチまでもが、
ぼんやりと滲んで見える。
不思議に思って、目をこすってみても、視界は元に戻らない。やり過ぎで、とうとうおかしく
なったかと頭を振り、そして次の瞬間。それまでバラバラだった感覚の言葉が、ほんの一瞬、
意味ある文脈に整列した。
鈍る五感。歪む視界。あいまいな多幸感。ホワイトアウト。
──雪ハ、温カイ。 氷ハ、熱イ。──
反射的に、良太はズボンの外側にあるファスナー付きのポケットに手を伸ばした。そこには、
ニンニクとアルコールを合わせた気付薬が入っている。肌身離さず、いつでも手元に置いて
おく事。それは、一人で山に向かうようになった時、母親と交わした約束の一つだ。
だが、薬を手に取る事は出来なかった。彼は、とっくにズボンなど脱いでいた。伸ばした右手は
むなしく自分の太股をさすり、それから一体何してんだっけと、再び娘を抱き直した時。
「大丈夫ですよ」
腕の中の娘が、平調で言った。
「今は入山の許された夏。私が貴方を凍らせることは、どうやったって無理なんです。ちょっと、
夏風邪ぐらいは、ひいちゃったかも知れませんけど」
そこでくすりと笑うと、胎の中も微かに震える。その刺激で再び噴き出した男の精を、目を閉じて
受け止めながら、雪女は続けた。
「ん……。でも、たとえ冬でも、うまく凍らせられたかは疑問だな。やっぱり、貴方の芯は熱いです。
母君は本当に頑張られたのね。貴方は今でも、家族思いの優しい人」
15 :
雪の墓標:2008/06/07(土) 11:49:09 ID:xoyztqKX
いつぞやと同じ口調で、娘がとうとうと語り出す。今の良太は、それをキチンと理解するだけの
頭があるはずなのに、しかしそれを働かせてはくれなかった。娘は、力の抜けた男の手をとり、
自分の胸に導くと、上から重ねて一緒に揉んだ。たったそれだけで、良太のものは再び力を
取り戻す。
「でも、それだけ頑張れない人もいる。どんなに家族を愛していたって、人間ならちょっと気を抜く
瞬間もある。父君は、たまたま運が無かっただけのこと」
白みゆく思考の淵で、なぜ、と良太は言葉に出した。何が何故なのかは、自分でも分からない。
しかし、それでも雪女は答えた。
「約束したでしょう。父君の死の、本当の事を話すって。あの頃の貴方には、伝えきれない部分も
あったから。貴方はこれから、中々山には来れないだろうし、私もずっといられる保証は無い。
でも、それは半分。もう半分は、貴方を父無し子にしてしまったお詫びと……それから、やっぱり
捨てられちゃった事への、逆恨みかな」
最後の一言の口調だけは、悪戯っぽい看板娘のそれだと、呆けた頭の端で良太は思った。
*
ふと気が付くと、やはり視界は真っ白だった。起き上がると、体の節々がやたらと痛い。筋肉痛
にしては早過ぎるぞと思ってさすると、服はしっとりと湿っている。
あれ、と思って見回すと、きちんと彼はきちんと昨日の服を着て、錆びついたベンチの上に座って
いた。時計を見ると、朝の五時を回ったところ。
視界を曇らす正体は、すぐに分かった。朝靄だ。この季節、気温差が激しい高地の平野には、
毎朝のように霧が出る。これが濃いほど、その日は良く晴れるのだ。
しばらく呆然とベンチに座って、良太はようやく状況を理解し始めた。昨日、星を見に外へ出て、
自分はそのまま眠ってしまい、そこでやたらと不健全な夢を見た。そういうことか?
「……あっ!」
そこで、ある事に気づき、彼は慌てて下着の中を確かめた。が、幸いなことに、そしてちょっと
意外な事に、妙なものを漏らすような事はしていない。
ん? と再び思考が絡まり始めたところで、突然、鼻がムズムズとする。
「ぶえっっくしょいっ!……やべ、こんなことしてる場合じゃねえや」
言い聞かせるように独り言をつぶやいて、彼はベンチを立ちあがった。気温が余裕で一桁の
場所で、一晩ジャージで寝てしまったのだ。ちょっと無事とは考えづらい。鼻風邪で済んだら、
御の字だろう。
娘の言葉は、布団の中でじっくり考えることにして、彼は一旦、自分の客室へ引き上げた。
16 :
雪の墓標:2008/06/07(土) 11:50:44 ID:xoyztqKX
それから、およそ四時間後。荷物をまとめて、良太は山荘の受付に立っていた。会計を
済ませて、ついでに一番近くのバス停の時間表を譲ってもらう。
「おや、もう下りるのかい」 二十年近い付き合いの主人は、さも意外そうに、そう言った。
「山に入ったの昨日だろ。もっと向こうの方へ回るのかと思ってたけど」
「ええ。でもちょっと、都合悪くなっちまいまして」
「勿体無いねえ。ゆっくり回れるのは学生のうちだけだよ。多少の用ならこっちを優先すべき
だと思うがなあ」
「はは、まあ俺もそう思うんですけどね。実は、体調崩しちゃったみたいで」
父のこともありますし、と付け加えると、さすがに主人も少し気不味そうな顔をした。だが、
普段の良太は、わざわざそんな無遠慮なつけ足しをする人間でも無い。
主人の反応を盗み見しつつ、良太はそっと座敷の方も窺った。今日は客の入りもいいようで、
この山一の看板娘は、忙しそうに客の間を飛び回っている。
山靴を編み上げ、ザックを背負ったところで、彼は言った。
「まあ、でも何とか暇を見つけてまた来ますよ」
「そうか」
「ええ。それじゃ、"おかみさん"にも宜しく」
「ああ……っえ?」
そこで、さっと後ろを向いて、良太は玄関の外に出た。山は最後の五月晴れといった感じで、
雲一つなく真っ青に晴れ上がっている。
けれど、歩き出して早速、良太はちり紙で洟をかんだ。だから、主人が玄関を閉めつつ苦笑を
漏らしていたとしても、当然耳には入らない。
「ぶえっくしょいっ!」
下る途中、出し抜けにでかいくしゃみが出た。それが山彦になって返ってきたので、良太は
大いに笑った。
17 :
23スレ476:2008/06/07(土) 12:10:05 ID:xoyztqKX
以上です。
今度は一応、終わりっぽくなったかと
何と言うか、ノリと勢いだけで投稿すべきでないと、前回投下後強く思いましたw
プロット0だと続きが書けないorz
終盤のアレは黒澤映画版の雪女です。偶然、うまい具合に十八年前だったので盛大にパクリました。
>>17 終盤の元ネタなんて知らないけどGJ!!
ネタは思いついても書く気になれない無常の罠
>>17 GJすぎるじゃないか
おかげで息子は元気です
>>17 GJ!
黒澤映画は天国と地獄くらいしか観たこと無いな
ひとつ、聞きたいのだ。
SSは書きたいが、エロはあったほうが良いのだろうか。
エロがあったほうが設定の幅が広がって楽しそうなのは確かだが、
ソコノトコロヲミンナニキキタイ。
>>21 あるかないか。無条件にどちらかを選べるならばある方が良い。
ある方がいいが、必須条件ではない。
まあ、興味があるなら頑張ってみたらいいんじゃないかな。
ここの板の名前をもう一度思い出すんだ。
あとエロ無しは専門のスレがあるよ。
エロい続きがあるとかシリーズ物でエロも有りそうだとかだったら
此処でやればいいと思うよ
完全に単発でエロがないなら
>>27の言ってるとこでやれば良いと思う
>>21 あるに越したことは無いが、楽しめれば無くても別に構わない
実際、エロ無し作品なんて相当数あるしな
エロがないからって弾くと、過疎化に貢献してしまうから
ありでもなしでもいいから投下して欲しいッス…というのが本音
では、そのうち一ノ葉の続き書きます。
エロなしだけど
一ノ葉というだけでwktkがとまらないwww
エロパロのスレって妙にスレ違いとかに敏感だよな
まぁ、難しい話なんだが・・・
35 :
21:2008/06/11(水) 23:29:45 ID:qp11uPXW
賛否両論アルノネ。
ここはエロパロ板だしな。野暮なこと聞いてしまってスマンカッタ。
前、九十九神の話をブログで書いたんだけど、ブログがR18厳禁な感じだったので、
ドウシヨウカナとか思ってるうちに流れにry
時間が出来たら続きか別作品投稿、頑張ってみるよ!
そりゃエロパロ板で「エロ無くてもいい?」って聞けば
「何しに来たんだお前」って反応も出るに決まってるわな。
>>34 幾つかスレチな話題をスレ通りに持ってくパワーのあるスレもあるな。
「エロ無くてもいい?」って聞いて、スレ趣旨に合った萌えがあるならOKって答えるスレも多いんだがな。
>>36,38
そこはぶっちゃけ人それぞれだからね。
そういう人ばっかりなスレもあれば、そういう人ばっかりじゃないスレもある。
できるだけ入れる努力はしてもらいたいけど、
入ってなくても面白かったり萌えたりで身もだえしちゃうSSもあるわけで。
ようはまあ、投下してから判断してもらえ、と。
そういう事ですな。
エロが無きゃ嫌だいと駄々こねる連中のために
冒頭にエロはありませんと断り書きしとけばおk
エロは重要な要素でありそれを希求するのは正当な意見のはずなのに
「駄々をこねる」などとエロを見下すかのような物言いはやめにして頂きたい
言い訳程度のエロシーンさえあれば
ほとんど非エロであっても堂々と投下できるはず。
ここはエロパロ板だ。
エロ無しなら余所でやってくれ。
良い悪い以前に板違いだろ。
エロパロ板にやってきて「エロが無きゃ嫌だいと駄々こねる」なんて
寝言を吐ける奴が見世物級の勘違いだってのは同意だな。
一発ネタとかならまあ、ありじゃないか、貴様。
この手のスレだと
シチュエーションにこだわった結果本番無しで終わったり
シリーズモノの合間や単純な小ネタとしてエロ無しの話やる人もいるからな〜
俺個人の結論としては
どうしてもエロ無し作品が投下される事を許せないなら
ほのぼの萌ぇ〜な半端なブツしか書けないボウヤが「こんな萌え作品はスレ違い過ぎる!」って全裸で逃げ出すくらいに
激エロな作品を自分で書きまくって投下し、スレの空気を変えるくらいすればいいと思うんだ
>>43 というわけで何か書いてくれ
実はこういうのってスレによって結構違いがあって、
>>1に堂々と「エロなしでもOKです」と謳ってるところすらある。
ここはそうでないにせよ、どこでも
>>43-44みたいな態度だと
無用な軋轢を招くかもしれないよ?
ここは「エロパロ板」だって言う奴って、
ここが「エロパロ&文章創作板」だって知らない奴が多そう。
そしてローカルルールもまともに読んでないんだろうな。
>>47 そうは言うがな。
【この板の趣旨】
一般向け作品(漫画/アニメ/ゲーム/小説/ドラマ等)のエロ妄想・萌え談義、
およびオリジナル・パロディを問わないエロ小説創作等を行う板です。
「エロ妄想・萌え談義、エロ小説創作等を行う板です。」と書いてあるんだ。
エロ抜きなら文章創作板……はちょっと堅いか。別に適切な所があるんじゃないか?
> 「エロ妄想・萌え談義、エロ小説創作等を行う板です。」と書いてあるんだ。
「等」じゃん。
まあそれぞれのスレの住人次第なとこはあるけどさ。
あんま堅苦しいと人が寄って来なくなるよ。
だからまあ、投下されたものでもって判断すればいいじゃないか、
と個人的には思うわけだが・・・
PINKBBSで何を言ってるのやら・・・
そもそも何でよりによってエロパロ板でエロ無し作品書こうとしているのかが意味不明
一般向け作品なら他にいくらでも書く所があるだろうに
>>51 そう思う気持ちは十分にわかる。
だからこそ、そういう言葉はもうちょっと
オブラートに包んで言うようにした方がいいぞ。
ぶっちゃけ、今のこの状況だと、エロ有りだろうが
無しだろうが、SS自体が非常に投下され辛いと思うw
そこら辺まで考えて、ある程度許容範囲を大きく取って置いて、
エロ無しで連載とか始める人がいたらやんわり注意して
エロ無しスレに誘導するとか、そのくらいにしておいた方がいいと思うぞ。
こんなのは駄目! ではなくて
こんな話が読みたい。
そう意思表示しないと、書き手逃げるぞ
で、ラミアさんの出てくるSSはまだかね?
えっと確認、エロを入れるのは必要事項として・・・・・・・
例えば、起・承・結の全三話で順番にアップしてゆき、最後の三話にエロシーンが入る。
ってのはOKと考えていいよね?
おkに決まってるじゃないか
エロ入るんならみんな納得するでしょう
↑でそんな話題出てるから
>>55が怯えてるじゃないか
エロはあれば良いが、絶対必要なワケでもない
三つか四つ前のスレに投下された18-314氏の『A girl's wish』だって全くエロシーンは無かったけど、面白かったしスレ住人からの評判も良かった
>>57 そもそもエロが必要か否かと投げかけられたのだから
わざわざ「いらん」という回答をする奴の意図がわからん。
投稿者の自由だぞこんなの。
首輪付きが出現したと聞いて飛んで来ました
エロが無いのはいいけど、三流萌えラノベモドキばかりを投稿するのは勘弁な。
この板のエロ無し作品はそういうのが多いからなあ。
正直
エロなしで叩かれるのを恐れて誰も投下しないんだったら
エロなしでも何でも投下してもらってスレがそれなりに盛り上がった方が嬉しい
みんな我が儘だなぁ
巨乳と貧乳の問題みたく各個人の好みだからこういう話は決着つかないと思ふ。好みに合わないならスルーの方向でよいんじゃ?
狐耳巫女の話が読みたいです…
一ノ葉かもーん
吸血鬼が食べた…いや読みたいなぁ
付喪神を愛でたいし読みたい
自治厨と穏健派が双方暴れて、長く続いたスレが廃れる
2chではよくある事
そしてこのスレは盛り上がりと過疎の間を何度となく行き来している。
これも2chではよくある事。
俺は彼女いない歴年齢
これまた2ちゃんねらーではよくある事
さすが人間以外スレ
ドッペルゲンガーが何人もいるようだな
>>74 そんなに急ぐことはないと思う。
急ぐと文章粗くなるし
>>65 物語上100%狐耳巫女とはいかない(いつも巫女装束を着ているわけではない)が、頑張ってみよう。
狐娘であることは間違いない……ただし、幼女じゃないぞ?
>>76 俺は年上好きなので、むしろ色気たっぷりの美熟女(例:かのこんの玉藻)でお願いします
ごめ〜ん、設定年齢17歳くらいで進めちゃったよ。
チッチッチッ、甘いな。
狐なら化ければ老若男女自由自在じゃないか!
けどアッー!だけは勘弁なっ!
>>74 おねだりしといてなんだけど、焦らないでー。書いてる人がいたというだけで、もういくらでも待てるから……っ!
設 定 年 齢 1 7 歳 !
マーティン・ジグマール隊長のような感じで言い切ってしまえば、外見と実年齢の差は埋められるよ、きっと。
「アッー!」って?
オーガスムス?
老若男女で男になられても困る、という事ですがなw
TDNを知らない世代か……
>>83-84 なるほどわかった。「真夏の夜の淫夢」のハイライト版で漢を見てしまったぜ orz
「やらないか」なら分かったのだが・・・・・
>>83 それやっちゃうと多分 スレ違い になるのかな?
一晩中寝ずに書いてみたヤツ投下する。
エロ描写薄くても文句言わない。
夢を見ない夜を過ごした朝、7時ちょうどくらい。俺は違和感を感じ、目を覚ました。
起きようとして布団をもぞもぞすると、股間の辺りが生温かい。
…いや、別におもらしとかそういうもんじゃなくて、何か生物的な湿り気のある温かさ。
俺はなんか膨らんでいる布団を捲る。するとそこには小さな手で俺のモノをしごく妹の姿が。
「…何してんの、お前。」「何って、ごほーし。」
妹はまるで当然のことをしているかの様にすっとぼけて?返事をする。
「いや、だから人が寝ている最中になぜそんなことをしちょるか。」
「ゆーにぃ起こそうと来てみたら、勃ってたから。」生理現象ですねわかります。
とりあえず妹なんかにこのままこんな不真面目なことさせるわけにゃいかないだろう、と布団を出ようとするが
からだが うごかない くそっ、金縛りかけやがったなこいつ。
「ああっ、もう途中なんだから動かないでよねっ!」
返答しようとするが、口もうまく動かない。どうやらほぼ全身が金縛り状態のようだ。
妹は相変わらず、俺のモノをしごいている。
「どう、ゆーにぃ気持ちイイ?」正直、あんまりうまくないから射精感はない。
と、俺の顔を見た妹は頬をプーッと膨らませて不機嫌そうな顔をした。
「私がこんなにがんばってるのに、感謝の言葉の一つも無いんだぁ。」
あの、金縛りなったままなんですが。妹は不機嫌そうな顔をしている。
唐突に妹の眼に眼光が走る。
「ありがとうも言ってくれないゆーにぃには…こうしてやるっ!」
妹はにやけたまま、その手の指を俺のモノを突き立てる。
…いや、訂正しよう。その手の指は俺のモノを透けた。
「ていっ♪」妹は指をくいと軽く曲げ、内側から尿道を刺激する。
俺の神経とかに軽い電撃が走り、ついビクッとしてしまう。妹はにやけ顔をますますにやけさせ、指の動きを早める。
「ゆーにぃなんて早く逝っちゃえ!ていていっ♪」
刺激は少しずつ激しくなり、俺の欲圧は高まり象徴は張り、ついに限界を突破した。
俺のモノはビクビクッとしたかと思うと先っぽから精液を噴出し、妹の顔にかかった
が、妹はすり抜けて回避。
俺の布団にかかった。
洗濯めんどくさそうだなぁ。
あ、妹にさせればいっか。ずっと家いるんだし。
「ゆーにぃ、ご飯はもうできてるよーぅ。」
妹産の目玉焼きを食べ、身支度の後先に家を出る。現時刻7時20分。家から高校まで徒歩20分、門限8時30分。余裕。
家から数分程度歩いた場所にある公園の傍を通ったとき、横の小道から現れた同級生の女の子―――理沙にであった。
「あら、ゆーくんじゃない。おはよ。」俺は挨拶を返す。
俺の返事に軽く頷くと、理沙は周りを見渡し、人の気配を確認する。辺りはまだ早朝だったせいか、全く人の気配は無い。
「…誰もいない、か。」理沙は悪戯好きの子供のような微笑を顔に出し、俺に目配せをする。
俺が縦に頷くのを見ると、公園の木に囲まれたところへと向かう。
公園の木々の中で、いつもの事かのように俺と唇を交わす。
「んっ…くちゅ……ぅ…ふぅ…」俺は理沙と舌を絡め合わせ、唾液を交える。
と、理沙の犬歯が俺の舌を甘噛する。「プツリ」否。噛んだ。
「ッ!」舌にできた傷口からあふれ出る血を彼女が舌で丁寧に舐め採る。「んふぅ……」
俺と彼女は、長いキスをした。
「今日もご馳走様、なんてね♪」理沙はお茶目っぽく振舞うかのように言った。
腕時計を見ると、7時40分くらい。
うわ、けっこう時間使ったのか。
ちょっと急ごうかな。
おれは理沙を急かし、高校へと軽く走る。
われらが壬快高校に着いたのは、8時15分。すごく…ぎりぎりかもです。
違うクラスの理沙とは玄関で別れ、教室へと入ると同時に予鈴がなる。8時25分。ぎりぎりくらい。
「よおゆーた。今日も彼女さんとラブラブに手を繋ぎながら登校したんだって?」
教室に入ると、俺の姿を眼にとどめた、数少ない友人未弦が早速話しかけてきた。
「だから俺の名前はゆーたじゃないって何度言えば分かるのかと。
第一、別に理沙は彼女じゃないし、手なんか繋いでなかったっての。」
いくらなんでも俺が教室に来るより早く情報が飛んでくるなんてありえないように思えるが、こいつの情報網はそんな甘くない。
テストの問題をテスト前に手に入れるという、夢のようなありえない技術を発揮したことがあるからな。
覚えるのが面倒、とかいう理由で結局意味を成さなかったが。
ちなみに俺は問題を少し教えてもらったぜ。まあ満点ではなく、いつもの平均点より少し上程度に抑えたが。
さらに追記すると、その事があってからテストの警備体制がさらに硬くなったとか。しかし相変わらず手に入れるこいつ。
「ま、お前が何人の彼女を作ろうが、俺には奈々ちゃんがいるもんね〜」「はいはいワロスワロス」
奈々ちゃんとはこいつの溺愛するふぃぎゅあのこと。まじ溺愛。
てか早速胸ポケットから取り出して頬ですりすりする。ちなみにもはやいつものことだから、周りは反応しない。
カーンコーンキーンコーン。授業開始の鐘がなる。俺達は席につくことにした。
91 :
名無しさん@ピンキー:2008/06/16(月) 06:20:09 ID:p1+m7foR
さあ昼食時間残り59分26秒だ。どこへ行く。ああっ、今58分になった。
みんな購買へ向かう流れのご様子。俺は妹に作って貰った弁当を俺の机に広げようと弁当を鞄から取り出すと同時に、りさの強襲。
「さあゆーゆーよ、例のいつもので一緒に食おうではないか。」りさがえらそーに話しかけてくる。
「お前……懲りずにまた来たか。まあいいけど」
俺は承諾し、人がいなくて椅子のある穴場、図書館先のベランダへと向かう。
一度図書館の中へ入り、カウンター前を見事にスルーし横切ってベランダへと入る俺達。
そして誰もいないベランダの図書館から見えにくい位置にある椅子に俺が座ると、りさは俺の前で四つんばいになった。
「んじゃ、弁当を広げる前に、っと。すてぃっきぃぎんがぁーずッッ!!」
などと意味不明の奇声を発し、りさは俺のジッパーを引きおろす。いてて、パンツ挟まった。
事前に別に何もなかったため萎えたままの俺のモノを引きずり出して、りさは俺のモノを銜え、舐める。
俺の欲望は高まり、立派?な姿を見せる。
りさは、俺のモノが勃つのを見届けると、今度は筋を丁寧に舐める。
その撫でるような感覚が、俺のモノをゾッとさせる。
でもこんだけじゃつまらないな、と思い、俺は手を伸ばしてりさの制服スカートとぱんちゅの上から秘所を触る。
「ふぁ…」一瞬夢見顔になったりさだが、眼の焦点があったかと思うと、行為を再開した。
俺はますます指の動きを激しくする。りさもただされるだけじゃなく、手に腰を押し付けるような動作を交えてきた。
そろそろ俺のモノも本日2度目の限界だ。俺は限界と同時にりさの秘所を強く刺激する。
「ひっ、ひゃぁ、ぁぶふぁッッ!!」
喘ぎ声の最後に変な音がしたのは俺の精液が口の中に入ってきたから。
「ん…苦い。けどご馳走様、なんてね♪」俺の出したものを飲み込み、今朝と同じような言葉を言うと、
りさは近くの物陰に入ってまた姿を見せることは無かった。
ま、どーせ明日来るだろうけどね。
俺は弁当を広げて食べはじめた。
…昼食時間中に食い終われるかな?
思ったよりよゆーで食えました。食い終わって残り30分くらい。
また図書室を横切って校舎内へ行こう、しかしふと脇を見ると、もう片方の結構な丸見えな位置で
未弦が女の子と同席しつつ昼食らしきサンドイッチをほおばっていた。
「奈々ちゃん、この我が高校名物”たらこといくら、その他複数の海鮮物サンド”はおいしいかい?」
「うん♪ちょ〜おぃしぃよっ!未弦君♪もう一口ちょうだい!あ〜ん♪」
未弦は女の子と馬鹿ップルぶりを発揮していた。意識して手から直接食わせてあげるとか。
「お前らの馬鹿ップルはだからほどほどにしろと何度言えば以下略」
「どうしたゆーた、まともに愛してくれない女の子ばかりで寂しいのか?」
「そーそー、いっそのこと誰か一人と本気で付き合っちゃえばいいのに、ね〜♪」
…なんか少し図星のような気がしてムカつく。
「その分俺は奈々ちゃんがいr」
やっぱ相手するのも面倒なんで、会話せずにさっさと教室に戻ることにした。
と、廊下の曲がり角を曲がろうとすると、誰か背の高い女性の胸に激突。
うわっ、なんかふっくらした弾力のある物体がお出迎えのクッションに…
「…また一段と係数値が上昇している…」「って、うわ、すいません蔡葉先輩!」
同じ部活の先輩・蔡葉先輩だった。いや、先輩じゃなくてもマジごめんなさい。
蔡葉先輩は俺をジーッと見渡す。 俺を上から下まで吟味する。
「ゆー君、今日の放課後もまた来てくれる?ちょっと測定してみたいから。」
別に断る理由も用事もないし、俺は行くよと返事をした。
##あげちまったごめんなさいorz
あっ!
放課後。俺は蔡葉先輩の待つプログラミング部へと向かった。
すでに蔡葉先輩は謎の錠剤と水、その他聴音機などの機材を数個用意して待っていた。
「んじゃ、早速測るから、この薬飲んで。」
俺は薬を水と飲み下す。…何か変化あったかな?
「ON−R正常、しかしP−Rなし、P−EGあり。」
蔡葉さんは俺をジッと見つめる。
……訂正。俺の股間をジッと見つめている。いつの間にかテントが出来ていた。
(少々お待ちください)
ああ、また本日だけで3回も俺の股間をさらけ出してしまった。
蔡葉先輩は俺のモノを人差し指だけですぅっとなぞる。そのくすぐったいような感覚に俺のモノは過剰に反応する。
「P−R測定開始、(2)〜(6)同値、(1)と(0+)は測定値不明…」
先輩は反対側の人指し指も使って俺の急所を確実に狙うような筋をなぞってくる。
そのあまりの上手さに耐え切れず俺は射精してしまう。ほぼ全て先輩の顔にかかってしまった。
「P−R(1)(0+)は前回よりも低下…しかし、まだ正確な値は不明。」
…あら?なんかまた俺のモノがムクムクと起き上がってきました。
「再測定開始…」二次戦タイム。
〜〜〜〜〜
前半として終了してみるかも。
本当はエイプリルフールあたりに思いついていた
どっかの妹大量を元にした?小ネタを我流に書いてみた。
誰がどんな人外なのかは考えてみよう。
人の形じゃない人外出してないけどね!!1111多分。
> どっかの妹大量を元にした?小ネタを我流に書いてみた。
ストーリーを進めずに、延々妹を登場させ続けるアレか!?
妄想コラボSS『百鬼夜行』
※後編の冒頭ですが、狐娘の話題が出てましたので投下します。
「ま、まぁええやんか。そんなら次は私。主様の家に初めて行った時の話な」
ヨーコは小鬼が天囀をさんざんからかい、真っ赤になって反論する天囀に向かって行った。
「うるさい外野は気にするな、どうぞ始めてくれ。」
盃を煽りながら竜が言った。
「うぃ〜ただいまぁ」
「お邪魔します」
ヨーコは着物姿で大工の棟梁、小林 孝の家へと上がった。
棟梁とは言っても妻帯はしておらず、平屋の一人暮らしだ。
小林 孝、(36)独身。男やもめに蛆がわき…とはよく言ったものだ。これでもかと言うほど、
散らかっている。
「あ…主様は大工と兼業してゴミ量産の内職してるんですか?」
「そんな内職あるか!失礼なやっちゃなぁ……ここが俺ん家じゃ」
脱ぎ捨てられたシャツやら雑誌やら、ラーメン袋やら…水場には山のように食器が突っ込まれているし、部屋中から野生の狐の巣でもしないような異臭が漂っている。
ヨーコは脱ぎ捨てられたシャツを拾って、クンクンと鼻で嗅いでみた。
その途端に嗅覚が破壊されかねない程の強烈な臭気が脳を直撃する。
「これが人間の巣?私の御社より酷いですね、さっさと片づけましょう。」
「え、ええ…面倒やな…」
大工の棟梁は買い物袋と道具箱を置き、やれやれと草履を脱いだ。
そして2時間後、ようやく人並みになった平屋に上がったヨーコ。
「改めて、御社の新築ありがとうございました。この御恩は忘れません。」
「そんなんええって。あの古い御社、気になっとたんや。役場に修復許可の申請出したら
『勝手にやれ』言うてたしな。それやったらって…なかなか精巧な作りやったし、
若い衆の経験にもなったわ。そしたら、狐が住んどるとはなぁ…」
「コンコン、本当に感謝してます。主様。」
「んで、俺ん家に来たんは何で?恩返しって何かしてくれるんか?」
買い物袋からペットボトルのウーロン茶を取り出し、ぐびぐびと煽る棟梁。
「は………?」
ヨーコは眼が点になった。古来より日本では鶴やら狐の恩返しなるものといえば
決まっているではないか。と思った。
もっとも世間一般に知られている『動物の恩返し』類の話は、生々しいので部分的に
割愛されたり、改変されているのだが…そんな事、ヨーコは知ろうよしもない。
そしてヨーコはそこでしばし考えた。
いや、この大工の棟梁はヨーコが九尾の狐だと聞いても『ああ、尾っぽが九本ある狐か。
こりゃどうも。』と言って、人語を話そうが人間になろうが一向に気にしなかった。
そういう人間もいるのだ。と割り切り、ヨーコは言った。
「あのー主様さえよかったら…私と交尾してくれません?」
「んー交尾って何なん?」
孝はウーロン茶を片手に古代日本建築物なる写真集をめくりながら、生返事を返した。
この人間はワザと言ってるんじゃないのか?実に羞恥プレイだと思いつつ、ヨーコは言った。
「あのね……私とHしてくれませんかって言ってるんです!」
「ぶはっ!?」
孝はヨーコの言葉にぶはっと盛大にウーロン茶を吹き出した。
「何やってるんですか、汚いなぁもう…」
「ゲホッゲホッ……な、何やねんそれは…」
「そういう習慣があるんですよ。私は嫌じゃないし、御社を新築してくれた恩は返さなきゃ。
主様は嫌ですか?」
「い、いや…嫌ちゃうけど…。いきなりやろ、びっくりしたわ…
それに……お、お前みたいな和服美人と…何や、その…してええんかな?って思うて……」
「ふふふ、いいんですよ。好きにして、主様」
そう言ってヨーコは孝の唇に己の唇を重ねた。
「はぁ…はぁ…ん、あっ…ええで。そ、そこ…あ、あはっ」
ヨーコは孝によって柱に押しつけられるようにして、着物の間から手を突っ込まれ
濡れそぼった股に愛撫を受けていた。
「もう濡れて…手に絡みつくみたいや」
「あ、主様…ソコばかり触らないで…胸も…」
孝はゴクリと生唾を飲み込み、ヨーコの襟を一気に押し開いた。
反動で、お椀方の美乳がぷるんと、零れ落ちてきた。
更に襟を開くと白いうなじに生肩が顕わになった。
「き、綺麗や……めっちゃ綺麗やで……あ、あー…えーと九尾の狐さん」
「ヨーコって呼んでくれます?」
「あ、す、すまんヨーコ。もう我慢できへん」
孝はそのごつごつした手でヨーコの白い乳房を揉みし抱き、乳首に食らいついた。
手の中で淫らに歪む乳房は、つきたての餅のように柔らかくその先端の桜色の突起は
硬く、勃起し始めていた。
「あっ…あふん…はああっ」
「はあはあっヨーコ、ヨーコッ」
貪るように乳房を吸い、舐め、揉みしだく。そして腕を一方ずつ抜いて、襟を完全に帯びまで
引き下ろすと、今度は股間に頭を埋め、ヨーコの秘所を愛撫し出した。
両腕でがっちりと尻を掴み、腰を引くヨーコを固定する。
「あっあああっダメ、そこはまだ…主様っ」
「和服やから下着つけてないんはそそるな…」。
「あんっ…ああっあっ…ダメ、ダメです…ってそこ…舌入れ…ん、んんんんっ」
狐色の長い髪が乱れ、白い喉が仰け反った。孝の頭部を両手で押さえつけヨーコは達した。
「はああ…ああ……んっ…」
くたぁと脱力したヨーコはそのままズルズルと腰を下ろし、孝と対面座位の格好になる。
「何か悔しいわ…先にイってまうなんて」
「俺かて久しぶりやで…押さえがきかへん、勘弁してや。」
「えっ?あっ…ちょっと」
それからヨーコは対面座位、正常位、駅弁…と様々な体位で孝に尽くした。
何度も何度も精を膣内に、口に、顔に受け止め、今は後ろから突かれていた。
「はっはあっ…あ、主様…も、もぉ…限か…私…ちょっと休ませ…」
着物を捲り上げられ、小振りな尻を掴まれ激しい剣突を受けながらヨーコは弱々しく言った。
「はっ…ん…あかん…まだや…ん、んんっ」
背後から抱きつかれ、うなじにしゃぶりつかれ、背後から揺れ踊る乳房を揉みくちゃにされる。
何百年ぶりの交尾は何ともいえないほど甘美で、淫らで、獣のような性交だった。
途端にピクンとヨーコの背が跳ね上がる、快感に侵され、
身体に掛けている変化の術の効果が切れたのだ。
「はあああ!ああっ…ダメ、出ちゃう!」
「あっ…ヨ、ヨーコ?」
ヨーコが一際大きく鳴くと、ぴょこと頭髪の間から狐色の耳が飛び出た。
続いて、ぽんと尻から生える九本の尻尾。
「あっはああ……我慢してたのに…出ちゃった」
「何や…隠さんでもええのに…可愛ええで…ヨーコ」
「や、やあっ!み、耳は…耳はダメです!」
毛に覆われた耳を甘噛みする孝にヨーコは叫んだ。
「何や、耳弱いんか?そんならコッチは?」
孝はゆらゆらと揺れる尻尾の根元をきゅっと抓った。
「ひゃん…し、尻尾も…やっやめて!」
涙目になるヨーコに孝の『雄』はますます高ぶった。
「ヨーコ、ヨーコ…あ、あかん…押さえがきかんわ!おおおッ!」
孝が再び尻を掴み、ズンッズンと前より強く腰を打ち付ける。
尻尾がゆらゆらと踊り、耳が弱々しく揺られる。
「あっんあんっあっ、主様ぁ…くはっ…わ、私…も…あっ」
既に体力の限界を超えていたヨーコだが、孝はヨーコの腰を掴み、尻を高く突き出させる。
「よ…妖狐より…体力があるんなんて…あ、主様…本当にに、にんげ…あんっ!」
「大工の棟梁を舐めたらアカンで、最後のスパート、きばりや」
ズン、ズン、ズンと突きあげられる度に、背が仰け反り、嬌声と共に乳房が乱れ踊る。
瑞々しい汗が飛び散り、ヨーコの脳に霞が掛かってきた。
「あんっはっ…奥が…奥がコンコン突かれて…ああっ…」
床に突っ伏し、頭を擦りつけるようにして快感に身悶えるヨーコ。
「うっうう…出るで、出るで…ヨーコ、はああっ、んっ…んうううう」
ヨーコの背に折り重なり、両手で乳房を鷲掴んだ途端、ヨーコの最奥で孝の分身が爆ぜた。
「かは…ん、んんんっ…あ、熱い熱いのが…中に広がって…あ、主様ぁ…」
「ん…くうう…おおお……さ、最高や…んんん」
未だにヨーコの背に折り重なり、盛り上がった尻肉を鍛え上げられた下腹部で
ぐにゅっと押しつぶし、挿入したまま離れない孝。
尻尾は逆流した精液によってべたべたに汚れ、下腹部のしたでよたよたとうねっている。
「あ…主様…お、重いんですけど…どいてくれませんか?」
「はぁ…はぁ……何言っとるんじゃ…コレから第7ラウンドやで…」
「え、ええっ!?」
ヨーコはその言葉に絶句した。散々やって、次は第7ラウンドだというのだ。
「今夜は寝かせへんからなヨーコ…」
「あ、主様ぁ…もう…もうやめて」
この言葉が第7ラウンド開始のゴングになった。
その夜を境に小林宅からは狐の甘い鳴き声が聞こえるようになったという
狐娘の話題関連の方々、ウチの狐娘はこんな感じです。
口調が始めと話中違うのは長い間社で寝てたからと言う事でお願いします。
GJ!
一体この後、何ラウンドまで続いたのやら。
よっぽど溜まってたんですな、この棟梁。
\ _n グッジョブ /
\ ( l _、_ /
\ \ \ ( <_,` ) /
\ ヽ___ ̄ ̄ ) /
_、_ グッジョブ \ / / / _、_ グッジョブ
( ,_ノ` ) n \∧∧∧∧/ ( <_,` ) n
 ̄ \ ( E) < の グ >  ̄ \ ( E)
フ /ヽ ヽ_// < ッ > フ /ヽ ヽ_//
─────────────< 予 ジ >───────────────
∩ < ョ >
( ⌒) ∩ グッジョブ < 感 ブ > |┃三 話は聞かせて
/,. ノ l 'uu /∨∨∨∨\ |┃ ガラッ もらった
/ / / /" / \ |┃ ≡ _、_ グッジョブ
/ / _、_ / ノ / グッジョブ \ |ミ\__( <_,` )
/ / ,_ノ` )/ / /| _、_ _、_ \ =___ \
( / /\ \/( ,_ノ` )/( <_,` )ヽ/\≡ ) 人 \
ヽ | / \(uu / uu)/ \
17歳狐娘マダー?
式神馴らしの続き数日中に乗せます
ゴールデンウイーク開けの金曜日。
大学が終った夕方。初馬はアパートのドアを開けた。
「たいだまー」
靴を脱いで室内サンダルに履き替える。
白砂宗家。一応それなりの旧家だが、贅沢が出来る金があるわけでもない。
初馬が借りているのは簡素なワンルームアパートだった。お世辞にも広くない台所。風
呂トイレは別である。八畳間の洋間にはパイプベッドと机とテレビなどが置かれていた。
男の独り暮らし、散らかるのは一瞬なので、片付けは念入りにしてある。
「おう、お帰り」
窓辺に座った一ノ葉が一瞥を向けてきた。
先日式神にした大柄な狐である。床に投げ出された尻尾。ぱたぱたと先端で床を叩きつ
つ、本を読んでいた。前足で器用にページをめくる。
初馬はベッドに腰を下ろした。ややしわの付いた水色のシーツ。
「お前、朝からずっと読んでるのか?」
「ふむ」
初馬の問いに、一ノ葉が狐耳を動かす。傍らに置いてあるしおりの紐を口先で咥え、本
に挟んだ。右前足で表紙を持ち上げて閉じる。
図書館から借りてきた、気象現象入門という新書。
「テレビ見ててもつまらぬし、ワシには本を読むくらいしかやることがないのだ。昼寝す
るのも飽きたし、式神は飯を食う必要もないから、おやつを食う気にもなれぬ」
自分の前足を眺めてから、退屈そうに欠伸をしてみせた。
式神は太陽光などの自然エネルギーを糧に動いている。また、使役者の霊力も自分に還
元出来るため、よほどのことがない限り食事をすることはない。
初馬は窓の外を指差した。
「街に散歩に出掛けてもいいんだけどな」
「あいにくワシは一般人にも見えるからな。大狐が街中歩いていれば騒ぎになるだろ。ワ
シは無意味に注目を浴びるのが嫌いだ」
一ノ葉は本物の狐を素体に作られた式神。術の使えない一般人にも認識できる上に、普
通の狐よりも二回りほど大きい。しかも喋る。目立つだろう。
「人間に化ければいいのに。狐だし」
率直な初馬の意見に。
一ノ葉が目付きを険しくする。
「ワシは変化の術を使えん。ワシを作った奴らが使えるようにしなかったのだ。それに、
人に化けてもワシは歩けぬからな」
式神にしてから分かったこと。一ノ葉は法力が強いのに、使える術が少ない。本来なら
あらかじめ組まれている術の発動法が組み込まれていないのだ。もっとも、炎の術で家一
軒燃やすくらいは普通にできたりもする。特殊な式神なのだろう。
「あ、そうだ。思い出した」
ぽんと手を打つ初馬。元々一ノ葉に言うことがあったのだ。すっかり忘れていたが、今
の会話で思い出した。急ぐことでもないが、早い方がいい。
一ノ葉の目蓋が半分降りる。
「貴様、何を思いついた?」
胡乱げな呟き。腰を上げて逃げるように後退った。不穏な気配を感じたのだろう。
初馬はにっこりと笑い、
「ちょっと出掛けよう。ここじゃ場所が悪い」
「だから、何を思いついた!」
叫んでくる一ノ葉。再び後退ってから、お尻が網戸に当たる。ここから先には逃げられ
ない。振り返って網戸を開けるのでは遅いだろう。
窓の外に見えるのは、夕方の空と隣の駐車場だった。
初馬は両手で印を結びながら、宥めるように告げる。
「お前が心配するようなことじゃないから安心しろ……隠れ蓑の術」
放たれた霊力が、一ノ葉を包み込んだ。霞のような密度の霊力と、比較的単純な術式。
一種の幻術だった。初馬が使える数少ない幻術のひとつ。
数秒目を瞑ってから、一ノ葉は怖々と目を開けた。自分に異常がないか確認するように
振り前ってから、その場でくるりと回ってみる。
細い吐息を漏らしてから呟いた。
「認識力をぼやかしたのか……」
「そういうこと、これなら外にも出られるだろ」
認識をぼやかす簡易結界。平たく言えば、存在を思い切り薄くして、人に気づかれない
ようにする術である。姿を消すわけでないので相手に気づかれる可能性はあるが、普通に
街中歩くくらいで気づかれることはない。
一ノ葉は腰を下ろしてから、リズムを取るように尻尾を動かす。
「つまり、ワシをどこかに連れて行きたいということか?」
「近くの公園だ。おかしな所じゃない」
初馬はそう言って笑った。
「さて、何をする気だ?」
芝生に腰を下ろした一ノ葉が訊いてくる。
近所の公園の隅っこ。芝生広場。時々子供が遊んでいることもあるのだが、今日は人気
もなかった。午後六時過ぎだからだろう。一応人払いの結界も張ってある。
初馬はあっさりと答えた。
「歩く練習」
「歩く練習?」
訊き返してくる一ノ葉。どうやら言われた意味が理解できなかったらしい。自分の前足
を見つめてから……意味を理解する。
既に初馬は印を結び終っていた。
「式神変化」
「待て……!」
術式が発動し、一ノ葉の身体を組み替える。
一瞬で狐から人間の少女へと変化した。
年齢十六歳ほどで、すっきりした体付き。腰上まで伸びた長い狐色の髪に、やや生意気
そうな顔立ち。今回は裸ではなく、白い半袖のワンピースを着て、サンダルを履いていた
いた。狐耳と尻尾はそのままである。
「また、これかぁ……!」
芝生に突っ伏したまま、一ノ葉が呻く。
初馬は一ノ葉の前にしゃがみ、その頭を撫でた。艶やかな髪の手触りが心地よい。
「狐なんだから人に化けられないとちょっと頼りないだろ。しばらくは俺が変化の術使っ
てやるから、まずは二本足で歩く練習な」
「ただ面白そうだからやってるだけだろうが!」
右手を伸ばして掴みかかろうとするも、届かず空を掴む。
初馬は両手で一ノ葉の肩を掴み、その場に起こした。両足を掴んで前へと伸ばし、両手
を太股の上辺りに置かせる。芝生の上に両足を伸ばして座っている姿勢。下手に動くと倒
れるため、何も出来ないでいた。
「絶対に遊んでるだろ……?」
「お気になさらず」
涼しげに聞き流してから、初馬は左手で一ノ葉の肩を掴んだ。倒れないように固定して
から、右手でワンピースの胸元を引っ張り、中を覗き込む。
「って、何をしている!」
慌てて初馬を引き離そうとするが、腕に力は入っていない。契約のため主のすることに
積極的な反抗が出来ないようになっているのだ。
きれいな肌と胸を覆う白いブラジャー。余計な装飾はなく、簡素なものだった。大きす
ぎたり小さすぎたりということもない。
「こっちは問題なし」
頷いて手を放した。
「何が問題なしだ……このドスケベが……!」
頬を赤くしながら、一ノ葉は両手で胸元を押さえる。目付きを険しくして睨んでくるも
のの、起き上がって殴りかかることもできない。
初馬は答えずにワンピースの裾を持ち上げた。
「!」
きれいな太股と、大事な部分を覆う白いショーツ。一般的にビキニタイプと呼ばれるも
のである。よくマンガなどで見るものだった。ショーツの上には引き締まったお腹と小さ
なへそが見える。
「だから、何がしたい!」
慌ててワンピースを押さえる一ノ葉。
初馬は左手で一ノ葉の肩を掴み、ひっくり返した。元々座っているので精一杯だったた
め、苦もなくうつ伏せに倒される。
「ぬぐぐ……」
腰の後ろから尻尾がワンピースを突き抜けていた。尻尾抜きの術と言われる、獣族の基
礎術の応用。裾をめくると、ショーツの生地を透過している尻尾が見えた。
「こっちも問題なし」
「だからぁ……」
額に怒りのマークを浮かべて、険悪に唸る。
初馬は一ノ葉を仰向けにひっくり返し、肩を掴んで起き上がらせた。両足を伸ばしたま
ま座った、最初の姿勢に戻る。威嚇するように犬歯を見せていた。
「いや、術で作った下着がちゃんと出来てるか心配だったから。幸い術は上手くいったし、
そのうちもっときれいな服作ってやるから」
一ノ葉の着ているワンピース、ブラジャー、ショーツ、サンダル。これらは術で具現化
させたものである。変化の術で服などは作れないので、別に作る必要があった。
なお、これらを作るために本物の服や下着を一時間ほど念入りに観察した後、そのまま
死にたくなったのは秘密である。
「大きなお世話だ」
羞恥心に顔を赤く染めている一ノ葉。
狐の姿で裸を見られるのと、人の姿で下着などを見られるのでは恥ずかしさが違うらし
い。その辺りは女心とかいうものだと思う。
初馬はそう納得してから、一ノ葉の前に右手を差し出した。
「じゃ、歩く練習始めるか」
以上です
続きはそのうち。
では数日後楽しみに・・・ってフェイントだとぉっ!?
わっふるわっふる
術で下着作ってたのか
てことはどんなタイプにするか妄想してたんだろうか?
下着は白がいい
デパートかどこかの婦人服売り場とか下着売り場でうろうろしていたわけですね
わかります
いや、実物を眺めたり触ったり
実はコレクションで持ってたり・・・・
美少女のさー吸血鬼が好きなわけよ・・・
古代は動く死体だがある程度時代が立つと淫魔の属性が入った影響で
吸血鬼は美形化する。だから美少女吸血鬼は伝承としてもありなのだ
そんな10歳ぐらいの彼女に噛まれて吸血鬼になりたいそれで仕えたい
朝になったら「子供はもう寝る時間だぞー」とかいって「下僕のくせに態度が不遜〜私のほうが何百倍も生きてるのにぃー」とかいわれたい
そういう関係になりたい
なんとかならないものか?
↑なんか怪物王女イメージしてしまったよ。
怪物くんの女版って所か。だから、吸血鬼じゃないけどね。
ここでSS書いてる人って
どれくらい文章書いてるんだろ?
ちょっと、別の話を書きたくなった。
『山神狐巫女』のお話。
118 :
1:2008/06/22(日) 11:34:25 ID:DwWAC+wU
男の名は平賀譲、極一般的なサラリーマンである。
高校を卒業後は大学に行きたくないというだけの理由で地元の中小企業に就職した。
勉強が嫌いだという理由もあるが、早く親元から自立したいというのが一番の理由だった。
それから2年間、女っ気のない今の職場で事務職のような仕事をしている。
住処も親元を離れ、会社の寮で自炊すると言う毎日を送っていた。
趣味は登山。
富士山のようなメジャーな山も好きなのだが、人混みが嫌いな俺は余り行かず、
人の行かなそうな時期を狙ってマイナーな山に挑戦するのが俺の趣味となっており、
その日も、週のど真ん中に有休をもらって登山を楽しみに来ていた。
「お、社がある」
バス停から歩いて20分、登山口から少し入ったところに小さな社があった。
山というのは山岳信仰の舞台になる場合が数多く、登山道の入り口には社の類が建っていることが多い。
この手の建物があるときはいつもお参りしていくのが彼の決まりだ。
後々考えてみれば、彼の些細な信仰心が悲劇の発端になるのだが・・・
「さて、手でも合わせていきますか」
社の前で手をあわせ、目を瞑って道中の安全を祈願する。
辺りは静まり返り、木々が風で揺れる音だけが耳にやさしく入ってくる・・・はずであった。
「アッ・・・ンッ・・・」
突然、木々の音に混じって聞こえるはずのない音が耳に届く。
目の前を見ると、社の扉がわずかに開き、声はそこから聞こえてくるようであった。
「んっ、気持ちいいよぉ・・・ふぅん」
最初は地元のカップルが昼間から情事にふけっているのかと思ったが、聞こえてくるのは女の声だけ。
“山の社で昼真っから自慰にふける女”というのは非常に興味があったが、
面倒な事に関わるのは良しとしない性格であるため、
(よし、聞かなかった事にしよう)
そう心に決め、中を覗くことなく登山を続ける事にしたのである。
だが、山道へと消えて行く彼の背中を見つめる者がいた事に、気が付く事はなかった・・・
119 :
2:2008/06/22(日) 11:35:14 ID:DwWAC+wU
それから数時間は素晴らしかった。
辺りに人の姿はなく登っているのは自分だけ、降り注ぐ太陽の光が山の木々にさえぎられ、
木漏れ日となって俺に優しく降り注ぐ。
道はなだらかで息を荒げる事もなく、心を落ち着けるにはぴったりの山であった。
大自然の偉大さに癒されながら、俺は日々の社会での疲れを癒していた。
‘ガサガサッ’
木々の擦れる音に目をやると、登山道の横の茂みが動いた気がした。
山に登って動物と遭遇する事は良くある事だ。
まぁ、熊との遭遇は遠慮したいところであるが、小動物との出会いはいつも新鮮な刺激を与えてくれる。
今回はどんな出会いが待っているのかと茂みを見つめていると、そこから出てきたのは一匹の小さな狐だった。
金色の美しい毛並みと、先端に白みがかったふかふかのしっぽ。
一目で‘触りたい’と思わせる可愛らしい姿がそこにはあった。
その誘惑に突き動かされたのか、こんな所にもまだまだ狐が生息しているんだなぁ、なんてことを思いつつゆっくりと手を伸ばす。
子狐は身構えつつも逃げることなく彼の手を見つめ、次の瞬間。
‘ガブッ’
「・・・・・」
伸ばした腕に向かって一気に手に噛み付いてきた。
登山用の手袋をつけているために痛みはさして感じないが、子狐は親の敵のように必死に噛み続ける。
その姿もまたかわいらしく、猫を持ち上げるように首根っこを掴むとそのまま抱き上げ、
他の場所を噛み付かれないように注意しながら頭や体を撫でまわすと、
子狐のほうも落ち着いたようで、尻尾を揺らしながら彼の行為に身を任せる。
「ん?これは・・・」
揺れる尻尾を見ていたとき、腕の中の子狐に2本の尻尾が生えている事に気が付いた。
不思議に思ってその尻尾に触れた瞬間、子狐は体をくねらせて暴れ腕の中から逃走する。
‘グルルルルルルル’
どうやら、さっき以上に警戒している。尻尾に触れられるのは嫌いなようだ。
尻尾が2本、単なる異形か、あるいは妖怪の類か考えをめぐらす。
興味は尽きないが、本能的に関わらない方が良いという気がしてきた。
しかし、向こうは敵意むき出しでこちらを睨みつけ、今にも飛び掛ってくる勢いである。
「しょうがないなぁ・・・」
そういって背中のザックからオヤツに食べようと思っていた大福を取り出す。
動物相手であれば食べ物でどうにかなると考えたからだ。
狐が大福を食べるという話は聞いた事がないが、あいにく他に何も持っていなかった。
「俺が悪かったよ、あやまる、今回の事はコレで無かった事にしてくれ、なっ」
そう言って目の前の小狐に語りかけると、大福を目の前にして一瞬だけ齧り付こうとする動作を見せたが、
思い直したのかすぐに警戒モードに切り替わる。
(あと一息だな・・・)
「ふふふ、コイツはただの大福じゃぁないぞ、中に苺の入った苺大福だ、うまいぞぉー」
子狐のターゲットは、すぐに彼から大福の方に移った
手に持った大福を右に動かすと子狐の視線が右へ、左に動かすと左へと動くのが分かる
それを繰り返していると、今度は視線だけでなく首ごと大福の方へと動く
最後は手にした大福をゆっくりと子狐に近づけていき・・・
‘シュパッ’
次の瞬間、手に持っていたはずの大福が消失し、目の前にいた狐の姿も見えなくなっていた。
周囲を見回すと、2本の尻尾をゆらして茂みの向こうに走っていく狐の姿が一瞬だけ見え、
食い物に釣られるということは、ただの獣ということだろうと納得した。
「へぇー、狐って油揚げ以外も食うんだなぁ」
本日の大発見を振り返りながら、登山を続けた。そして・・・
120 :
3:2008/06/22(日) 11:38:10 ID:DwWAC+wU
「よっしゃぁー、頂上だぁー」
空には降り注ぐ太陽、眼下には光輝く緑、そして後ろを振り返ると、眼前には頬を膨らまして怒るかわいらしい巫女服の少女。
「・・・ん?」
自然な流れで一瞬流そうとしたが、いくら標高の低い山だって巫女服の女の子が山頂にいるのはおかしいと考える。
当然であろう。
登山道の入り口に社はあったが、人の手が入っているような気配は無く、
そんな所に巫女自体がいるはずはないし、いたとしても山頂にまで来るわけは無い。
なんかのイベント?宗教?様々な説が頭をよぎるが、答えは導き出せない。
しかも、その姿を良く見ると、頭の上には三角形のかわいらしい獣耳と、
うしろでは大きな尻尾がゆらゆら揺れているのが見える。
その状況から自分なりの答えを導き出し、勇気を出して尋ねてみた。
「いやぁ、どこの団体の方?どこ主催のイベントですかね?」
「ひとつ言っておくが、別に山頂でコスプレイベントとかではないぞ」
残念ながら彼の考えは間違っていたようであっさりと否定されてしまった。
「さっきは大福にのせられたが・・・今度はそうはいかんぞ」
大福・・・はて、大福といえばさっきの子狐が頭に思い浮かぶ
「大福って、もしかしてさっきの子狐の飼い主さんか誰か・・・」
「違うっ、私は‘その’狐本人だ!」
譲は、その発言を聞いた直後、自分の思考が一瞬停止するのを感じた。
(む、何か?今の発言から推測すると、さっきの子狐=目の前の娘と言いたい訳か)
妖怪の類は信じられんが、大福の話を知っているとなると嘘とは言い切れない。
だが、あいにくそんな人外の獣に追いかけられる理由が思い当たらず、
唯一あるとすれば、彼女(?)の身体、特に尻尾を触った事だろうか。
「私はこの山を治める山神だっ、おい人間、私の・・・を覗き見てただですむと想うなよ」
山神という言葉。てっきり妖怪かと思っていたが、まさか山神とは予想外である。
だが、覗き見たというのが理解できない。この子の何を覗き見たのであろうかを考える。
何か見たことを言いたいようだが、肝心な所だけ声のトーンが下がって聞き取れなかった。
「俺がいったい何を見たって?」
「だから私の・・・・だ!」
やはり、肝心なところだけが聞き取れない。
「だから何、はっきりいってもらわないと・・・」
「だから・・・その・・・」
さっきの勢いはどこへやら、一瞬顔を背けると、覚悟を決めたのか言い放った
「私が自慰にふけっている所だ!」
頬どころか、耳の先まで真っ赤に染めて叫ぶ狐娘
(あ〜かわいいなぁ)
顔の下のほうから耳の先まで順に赤くなっていくのが良くわかったが、
あいにく彼には狐少女の自慰シーンなんておいしい場面を見た記憶はない。
しかし、この山に入ってからの行動を思い起こすと、ひとつだけ適合する記憶があった。
登山口の社の中で、誰かがエッチぃ声を上げていた事だ。
「あぁ、登山口の社でエロい声を上げていたのは君か?」
「そうだ人間、ようやく思い出したか!」
真っ赤な顔のままビシッと人差し指を譲に突き出してくるが、彼は若干の疑問を感じた。
「まて、俺は声を聞いただけで中は見ていないぞ」
「嘘をつけ、だって姉様が中を覗き見たって言ったもん!」
(姉さまって誰だ、コイツみたいのがまだ他にもいるってことか?)
「いや、その姉さまがどういう人(獣?)なのか知らんが、俺は本当に見てないぞ」
「姉様はやさしい人(獣)です、そりゃぁ時々悪戯したり嘘もついたりもするけど・・・はっ」
何か気配を察したかのように狐っ子が後ろを振り向くと、茂みからガサガサ音を立てて何かが逃げていくのが分かった。
狐っ子は物音がした茂みにダッシュで近づくと、ヒクヒクと鼻を動かして匂いを嗅ぐようなしぐさをする。
それがまた可愛らしい。
だが、何かを確信したかのような表情をすると、そのままガックリ肩を落としてしまう。
「姉様・・・また、からかったのですか・・・」
おそらく、姉様とやらに譲が覗きをしたと偽の情報を吹き込まれたのだろう。
つまり、姉とやらにからかわれたわけだ。
121 :
4:2008/06/22(日) 11:39:48 ID:DwWAC+wU
事態を把握して落胆する狐っ子、しかし、すぐさま振り返って一言。
「しかし、私の痴態を聞いていたのは事実、貴様には・・・あれ?」
頭にクエスチョンマークを浮かべる狐っ子の視線の先には、誰の姿もなかった。
なぜなら、譲は狐っ子が茂みで落胆しているのをチャンスと見て、逃げ出していたのだ。
「にっ逃がさんぞぉー!」
山に、子狐の叫びが木霊した。
「ぜぇ、はぁ、ぜぇ、はぁ」
狐っ子がその場を離れた隙に下山道へと逃げ込み、ダッシュでそのまま下山。
狐耳のかわいらしい少女とのコミュニケーションは非常に魅力的では会ったが、
人外の獣やら山神やらに付き合っていたら色々とまずい気がしたのが逃げた理由だ。
自然や景色を楽しむ間もなく走り抜け、なんとか麓の茶屋まで到着し、
ここまでくればもう大丈夫だろうと思い、屋外のベンチに腰をかける。
「はぁ、今日は色々と大変だったなぁ」
「えぇ、そうですわね」
今日の出会いを思い返しながら感慨にふけっていると、隣から聞き覚えのある声がした。
譲にとっては、できる事なら二度と聞きたくない声。
額から急に汗がにじみ出て、ツーッと顔をつたって地面に落ちた。
視線を先行させながら恐る恐る首を横に向けると、山頂で出会った例の狐っ子がベンチの上で正座していた。
「さて、これからあなたをどう料理しようかしら」
狐っ子がそう呟くと、真っ白な巫女服から伸びる腕が変化を始める。
少女の白くて細い腕がビキビキと音を立てて太くなり、獣のソレへと姿を変える。
爪が伸び、金色の毛をまとい、一突きで熊をも倒せそうな腕が姿を現した。
・・・っていうかすでに狐の領域を超えている。
「この爪で八つ裂きにされたい?それとも、絞め殺してあげましょうか?」
変化した自分の腕を見せ付けると、伸びた爪をペロリと舌でなぞりながら言い放つ。
当人は殺されるような事をした覚えはないし、死にたくはないが、人外の獣に人間の理が通じるとも思えなかった。
「と、とりあえず、そこの茶屋で飯でも食いながらお話なんてどうです?」
この場を乗り切ろうと無い頭を使って考え、搾り出したセリフがこれであった。
なんとか穏便な話をしようと持ちかけたのであるが、狐っ子の逆鱗に触れてしまったようで、
「また食べ物で誘惑しようなんて・・・同じ手に引っかかるほど愚かではないぞっ」
瞳を真っ赤に燃やし、鋭い爪を喉元につきつける。
その瞳は青年を睨み殺そうとしているようだが、大福の事を思い出したのか若干恥ずかしそうな表情をしているようにも見える。
「わかったよ・・・俺の命もここまでのようだ、そこの茶屋のきつねうどんは美味いって評判だったんだがなぁ」
‘ピクッ’
彼は見た。
諦め半分でボヤいやセリフに、彼女の狐耳が反応する所を。
これはチャンスと直感した彼はさらに続ける。
「なんたって自家製の油揚げに、この山から湧き出た水で茹でた麺は最高だって聞いたぞ」
‘ピクピクッ’
「手打ちの麺のコシは素晴らしく、汁を吸い込んだ油揚げをすすったときの美味さといったら・・・」
やはり、表情と喉元に付けられた爪は動かないが頭の上の耳だけは正直に反応している。
「あぁ、山神様にもご一緒願って最後の晩餐にしようかとおもったのになぁ」
わざとらしいセリフだが、これが彼の今できる最後の手だった。
(さぁ、どうでる狐娘)
反応を待っていると、爪は相変らず突きつけられたままだが、ブルブルと振動を始めた。
鬼の形相で睨みつけていた瞳は急に潤み始め、何かをブツブツと呟いている。
さらに、口の端からヨダレが垂れてるのが見て取れた。
そして喉元に突きつけた爪を放し、プイッと背を向けると、
「ふんっ、そっ、そうだな、はっ話は食事の後でもいいぞ」
背を向けているのでどんな表情をしているのか読み取れないが、ジュルリとヨダレをすする音が聞こえた。
(ふっ、勝った・・・)
譲は、心の中で大きくガッツポーズをとった。
122 :
5:2008/06/22(日) 11:41:03 ID:DwWAC+wU
「おばちゃ〜ん、きつねうどん二つねぇ〜」
うどんが出てくるまでの間、ハシを両手に持ってうどんを待つ姿を見るとただの少女にしか見えない。
そして、出てきたきつねうどんを瞳を潤ませながら見つめる狐娘と、半ばあきれた表情でそれを見る譲。
だが、そんな彼の生暖かい視線に気が付いたようで。
「何を見ているっ!こっ、これはお前がどうしてもと言うから付き合っているだけで・・・」
などと言ってくるが、内心喜んでいるのが痛いほど伝わってくる。
「いただきまぁーす」
美味しそうにうどんをすすり油揚げにかじりつく様は、至福のひと時といった感じだ。
「ハフハフ、うん、おいしいっ」
「ふむ、狐の好物が油揚げっていうのは本当らしいな、そんなに好きなら俺のやつも・・・」
「本当!ありがと・・・ふんっ、しょうがない。もらってやろう」
‘シュバッ’
次の瞬間、彼のきつねうどんはただのすうどんに変化していた。
表情や感情の変化も早いが、行動も素早い。
そして、5分後にはどんぶりが空になり満足そうな狐娘を見て次なる行動を起こした。
「さて、それじゃぁおれは先に会計を済ませてくるから、ゆっくりしてってよ」
言葉通りに会計を済ますと、卓の前で腹をさする姿を確認して茶屋を出る。
(ここのおばちゃんは巫女服の狐っ子がいても疑問には感じないのだろうか・・・)
そんな事を考えつつ、そのまま家路に付こうとしたのだが、
「まてぃ」
その声と同時に、腰の辺りに先端の鋭そうな物が突きつけられる。多分彼女の爪だろう。
残念ながら『食事に誘って満足している間に逃げる作戦』は通じなかったようである。
「今度逃げようとしたら・・・容赦なく殺すぞ」
と脅しをかけられた上で、登山道の入り口近くにある社に連れ込まれた。
譲は子狐に生殺与奪権を握られていることを認識せざるを得なかった。
123 :
6:2008/06/22(日) 11:42:15 ID:DwWAC+wU
「粗茶ですが」
「あぁ、どうも」
小さな社の中、正座して対峙する男(譲)と女(狐)
なぜか足を動かせないのは狐っ子が何かしたせいで、足が痺れたせいではないだろう。
向こうは茶を飲んで和みつつも、その場にはなんともいえない緊張感が漂っている。
「互いに自己紹介がまだだったな、私はここの山神を務めている。雪風と呼べ」
「自分はごく普通の会社員で、名は譲といいます」
「ゆずる、ゆずる・・・そうか、そういう名か・・・」
男の名をブツブツとつぶやいていたかと思うと、急に予想外の質問をしてきた。
「お前、私を見てどう思った?」
唐突な質問に意表を疲れたが、この質問には何か裏があるのだろうか。
「どうって・・・かわいいと思ったけど?」
と、正直に答えてみると、
「そっ、そんなことを聞いているのではないぞっ」
再び赤面する雪風、それでいて耳と尻尾がうれしそうに踊っているのだからたまらない。
なんだかんだいってもうれしいのだろう。ついつい譲の顔もほころんでしまう。
だが、急にうつむき加減になり、神妙な顔つきになると、
「これから貴様を抱く」
「ブハァッ」
口にしていたお茶を吹きこぼしてしまった、何言い出すんだコイツは。
「我が一族は、男と情を交わすとその力が増すのだ。だから、これから貴様を犯す」
譲としても、(こんなかわいらしい狐っ子とヤれるなら喜ばしい限り)思った。
「姉さまは、元はここの山神なのだが、今は半人前の私が代役をしておる」
そう、その姿は出していないが、彼がこの状態になる原因を作った憎きヤツだ。
「山に独りで入った若い男を食ったことで、若くして力をつけたのだが、
そのクセがやめられなくて今は停職中、私が代務で派遣されたのだ」
怪しい、だが、逃げられる状況でない以上、断る事は出来ない。
「まぁ、お前は断れんぞ、なにせ、その茶には姉様特性の痺れ薬が入っているからな」
‘ガタンッ’
それを聞いたとたんに全身が動かなくなり、手にしていた湯飲み茶碗を落としてしまう。
「人間は我々を見ると脅えるだろうから、一気に押し倒せと姉様から教わったのだが」
雪風は自分の着ている袴に手をかける。
「お前は特別なようだ、姉様がくれた痺れ薬が役に立ったぞ」
(おい、それって確実に姉の陰謀じゃないか?)
譲は心の中で必死に叫んだ。
(頼む、気が付いてくれ、自分が今も姉に乗せられているということに・・・)
だが、それを指摘しようにも口を開く事ができず、気が付けば雪風が生まれたままの姿で目の前にいた。
しなやかな体のラインだが、やはり気になる頭の上の狐耳とゆらゆらゆれる2本の尻尾。
そして、若干小さめの胸がちょうど目の前にあった。
「さて、お前の方も準備せねばな」
そういうと、雪風は動けずに正座したままの彼を押し倒し、まず、ズボンを脱がしにかかった。
不器用な手つきでチャックをはずし、パンツとズボンを一気にひん剥く。
「ふふふっそう怯えるな、ちゃんとこれから気持ちよく・・・きゃぁ」
余裕の笑みで俺の下着を脱がしに掛かったとき、すっとんきょうな声が聞こえた。
なんとか首を動かしてみると、雪風の顔が自分のイチモツと接触しているのが見えた。
勢い良くパンツをひん剥いた結果、股間の真上にあった雪風の額にいきり立ったイチモツが直撃したのである。
124 :
7:2008/06/22(日) 11:43:23 ID:DwWAC+wU
「こっ、これがオトコのものなのか・・・ボソッ(はじめて見たぞ)・・・」
「えっ?はじめて?」
一瞬、自分の耳を疑う言葉が聞こえ、思わず聞き返す。
「ばっ馬鹿者、私は百戦錬磨の山神だぞっ!」
「代務だろ?」
「うるさいっ!・・・いいだろう、年上の余裕を見せてやる」
さっき飲んだ茶のせいもあってか、イチモツは天を仰ぎ、すでにやる気全開になっている。
いきり立った愚息を目の前に驚きの表情を見せるが、まじまじと眺められるとさすがに恥ずかしい。
雪風はゴクリとつばを飲み込むと、自分の震える手を俺の愚息に近づけてくる。
‘つんっつんっ’
「うぅ、思っていたより大きいなぁ、はじめてはもう少し小さい男の方が良かったなぁ」
つんつんと突っつきながらさらにじっくりと眺めると、今度は竿を握りこんできた
‘にぎにぎ’
「この姿の私に立たせるなんて・・・ふふっこのロリコンめっ」
別に彼のせいではないのだが、心にグサリと何かが刺さった気がした。
「と、とりあえず・・・舐めればいいんだったかな?」
チロチロと舌先で亀頭を舐める、さらに、その動きをカリから裏筋まで移動させ、満遍なく唾液を塗りつける。
「はむっ、ピチュッ、ンッ」
そして、チロチロと舌先だけで舐めていた動きが段々激しくなり、舌の全体を使ってペニスを包むように変化する。
「はぁ、はぁ・・・」
しばらくして口を離すと、自分の舌を口の中に戻して動かし、ペニスの味を感じている。
「ううぅ、変な味だぞ・・・だが、クセになりそうだ」
ニコッとかわいらしい笑顔を向けてそう告げられると、譲の心も熱く燃え上がってくる。
そして、今の一連の流れから、彼女が初心者である事を確認した。
無論、口には出さないが。
そうこうしているうちに、今度は小さな口をいっぱいに開き、ペニスを口に含むが、
わずかな部分しか口に含む事ができない。
だが、怪しい薬を飲まされた彼にはそれだけでも十分すぎる刺激である。
カリ首を甘噛みしてペニスを固定し、舌を激しく動かして尿道口を攻め立てる。
そこから染み出るわずかな体液を全て舐め取られ、はやくも限界が訪れていた。
そして・・・
‘ドクッ’
目の前の幼い狐っ子の口内に向かって盛大に射精してしまった。
「んっ、んぐぅ・・っ」
突然の爆発に、男のモノを口に含みながら目を丸くして驚きの表情を見せる。
そして、喉をコクコクと鳴らして精液をゆっくりと飲み込んでいくが、
飲みきれなかった分が口の中に残り、端からこぼれている。
舌を転がしながら、味わうようにゆっくりゆっくりと残った精を飲み込む。
‘クチッ、ンッ、ンクッ・・・ンクッ’
あの小さな口の中に自分の精が入り、飲み込まれていると思うと、興奮が再燃する。
「ばっ馬鹿者!出すなら出すとはっきり言え!」
「いやぁ、百戦錬磨なら言わずに分かってくれるのかと」
「!!」
譲のセリフに対して返す言葉が見つからないようで、
「ふむ、良い味だったぞ、次はいよいよ・・・・」
若干誤魔化しながら、今度は69の体勢でペニスをしごき始める、挿入する準備のつもりだろう。
だが、譲は自分の両腕が動くことに気が付いた。
何とか抵抗を試みるために手を伸ばし、目の前でゆらゆら揺れるものに触れ、
出せるだけの力をこめてその目の前のものを握りこんだ
「ひやぁぁぁんっ」
突然、雪風が媚声をあげた。
彼が力の限り握りこんだもの、そう、雪風の尻尾である。
「ふんっ、はぁん、くっ、さっ、さわるなぁぁ・・・」
どうやらそこは雪風の性感帯のようで、彼女の意見は無視して愛撫を続ける。
強く、柔らかく、強弱をつけながら優しく触れたそこは、フサフサの毛がとても気持ちよく、
しばらくすると雪風のアソコからジュクジュクと愛液が染み出てくるのが見えた。
なぜかそれが面白く、尻尾にマッサージを続けていた・・・が、
125 :
8:2008/06/22(日) 11:45:02 ID:DwWAC+wU
「やめろといっとろうがぁ!」
‘ゴスッ’
鈍い音と共に顔面に思いっきり膝蹴りをかまされた。
「ふぅー・・・ふぅー・・・」
尻尾による快感の余韻に浸る雪風。
「まったく、油断も隙もあったものではない、貴様、もう2度と・・・あれ?」
不思議に思って自分の膝下を見ると、鼻血を出して意識を混沌とさせる譲。
(あれ?頭の上で星がいくつも回っている〜)
彼のペニスもいっきに萎え、その光景にさすがの雪風も慌てる。
「あっ、せっかく勃たせたのにぃ・・・頑張ったのにぃ・・・」
どうやら、心配しているのは譲の意識ではなく、ペニスの方らしい。
「ひっく、えっぐ」
自分の失態に、思わず涙を流し始める雪風。
譲のほうはというと、雪風の一撃によって未だに意識が朦朧としていたのだが、何かが風を切る音を聞いた次の瞬間・・・
‘プスッ’
(なんだ?何か針のようなものが俺の首筋に刺さった気がする)
そして次の瞬間、萎えていた俺のモノが再び天を突くように立ち上がり、頭も体も熱がこもった様になって、体全体が暑く煮えたぎりはじめた。
「あっ、なんか知らないけど勃ったぁ〜」
その様子を見て、喜びの声を上げる雪風。
明らかに外部からの介入であり、その場に第三者がいる明確な証拠であった。
それが何処の誰かというと、恐らくは例の姉なのだろうが・・・
喜ぶ雪風は針のことにも気が付かず、そんなこと考えもつかないだろう。
「よし、それじゃあ今のうちに・・・」
この期を逃すまいと腰を上げ、ペニスの先端と秘所の入り口を密着させる。
そして、腰を徐々に落とすと、ペニスに加わる力も強まっていき・・・
‘ツプッ’
「あっ・・・いっ痛いよぉー」
挿入の直後、何かの痛みによって体を硬直させる。
もしや、山神の類にも処女膜というものが存在するのであろうか。
目を見開いて体を硬直させるところを見ると、体の構造は人と同じのように思える。
愛液が染み出ていたので痛みも和らいでいるはずだが、その痛みは男にはわからない。
「ンクッ、ウグゥーー」
しかし、自分の膣に迎えたモノを抜くようなことせず、ひたすらに腰を動かし続ける。
わずかに見えるペニスの根元には、処女幕を破った証拠である血の筋を見て取れた。
「ンックッ」
痛みに耐えながら、腰を振る光景は、なんだか見ていられないほどだが、痛みにうめいていたのは最初のうちだけ、変化はすぐに現れる。
「ハァ、アァ、」
気が付くと雪風から発せられる声が痛みによるものではなくなっていた。
熱い吐息、うつろな目、明らかに快楽を感じ取っている。
「あっ、なにこれ?体の中から何かが昇ってくる・・・怖いよぉ」
おそらく、今まで感じたことの無い快楽に不安を感じているのだろう
「気持ち良い、あぁ、イイよぉー・・・」
直にそれに慣れ、好んで快楽をむさぼるように変化していく。
最初はわずかに動かすので限界だった腰の動きが大きくなり、グチュグチュと水音を立てながらピストンを続ける。
コレも獣の血の成せる技なのだろうか?
「見て、きっ、君のも奥まで呑み込めるくらい大人になったんだよ」
彼女が結合部をじっくりと見せ付けると、彼のモノが奥深くまで導かれているのが見えた。
譲はもう我慢の限界であったが、彼女はモノを離す気は無いようだ。
そして、彼女もその気持ちを敏感に感じ取る。
「あっ、出すの?中に、中に頂戴!」
「くっ」
‘ビュクッ ビュクッ’
中に射精した瞬間、彼女の体がわずかに光り輝いた気がした。
そして、ビクッビクッと体を痙攣させた直後
「ふみゅ〜ん・・・」
初めての行為に疲れたのか、譲の胸に倒れこんでそのまま眠ってしまった。
「できれば、俺のモノを抜いてから眠って欲しいんだが・・・」
腕はどうにか動かすことができるが、あいにく狐っ子一人を持ち上げる力も出ない。
「スー、スー、スー」
俺の体の上で安らかに眠る子狐の耳をなでつつ、彼もそのまま眠りに付いてしまった。
126 :
9:2008/06/22(日) 11:47:14 ID:DwWAC+wU
再び目が覚めると、全裸で布団の上に寝かされていた。
何かが体の上に載っている感触に掛け布団をめくると、雪風が胸に抱きついたまま眠っている。
(とりあえず、俺のペニスは解放されているようだな・・・)
その安らかな寝顔を眺めつつ、ふにふにと耳を触っていると、ようやく向こうも目を覚ましたようだ。
「おはよう」
「あっ・・・おはよう」
目覚めの挨拶をすると、雪風も気恥ずかしそうに目をそむけながら挨拶を返してくれた。
どうやら、敵対心は消えているようである。
しかし、自分の体に当たる硬い感触に気が付くと、顔をニヤつかせた。
「む、朝からこんなに立たせるとは、貴様はやはり変態だな」
何かというと、朝立ちしたイチモツが雪風の体に当たっていたわけだ。
それはオトコの生理現象だから仕方がないのだが・・・
‘はむっ’
言い訳をしようと考えていると、雪風が股間のモノにしゃぶりついてきた。
「おいおい、昨日の今日でもう我慢できないのか?」
からかうつもりで言ったが、気にすることなくおしゃぶりを続ける
「ふぉうふゅふほはへはほうはほは?(そういうお前はどうなのだ?)」
小さな口でペニスの先っちょをチロチロ舐められる快感に彼は・・・
・・・朝から一発抜かれてしましました。
バシャ−ン
「ひぃ〜つめてぇ〜」
社の横にある井戸水で行き風といっしょに体を洗う。機能の行為のために汗と愛液で体がべとべとだ。
ちなみに、雪風は狐の姿である。
ぱっと見が○学生である雪風と一緒に全裸でいるところを見られたら警察沙汰だろうし・・・
「コラコラ、あばれるんじゃない!」
暴れる雪風(獣型)を押さえつけ、手持ちのタオルで濡れた体をしっかりと拭いてやる。
服を着替えた後は、雪風に出してもらったお茶を飲みつつ、いろいろと考えをめぐらし、
今から帰れば明日の出勤には間に合う事が分かり安堵する。
「さて、お前のこれからの処遇だが・・・」
突然、人型に変化した雪風が真面目な表情でかたり始める。
そこでようやく思い出した。彼は今、雪風に生殺与奪権を握られていることに・・・
気が付いたら、なんか鋭いツメを出してペロリと舐めたりしてるし。
「我ら一族の真の姿を見たものが生かして返すのは掟に反する」
思わず、ゴクリとつばを飲み込む。
127 :
10:2008/06/22(日) 11:47:59 ID:DwWAC+wU
「だっ、だが、こっ、これからも来てくれると約束するなら逃がしてやってもいいぞ」
「えっ?」
予想外の展開に正直ビックリだが、どうやら命を奪う気は無いらしい。
しかしなぜ?と思う疑問に雪風は答えてくれた。
「これを見ろ」
そう言って、2本ある自分の尻尾を器用に曲げると、譲の前に突き出してきた。
「さわっていいぞ」
自分の性感帯であるしっぽを触らせるという意図が読めなかったが、彼は遠慮なく、
‘ムギュウ’
「ひやぁっ」
握るとやはりビクッと体が反応した。
いきなり握るとは考えていなかったらしく、目を見開いて体を僅かに振るわせる。
「誰が握れと言ったぁ!触れとは言ったが握れとはいってないぞぉ!」
怒られました。
握るのはだめだったようだ、ご立腹の雪風をなだめるように尻尾をなでる。
ああっ、ふかふかの尻尾の感触は何度味わっても良いものだ。
「どうだ?何か気が付かないか?」
何か・・・はて、何だろうかと考えていたが、あることに気が付いた。
最初に出会ったときよりも尻尾が大きくなっている。また、さわり心地も向上しているように感じる。
「尻尾が大きくなったとか、毛並みが良くなっているとか?」
正直な感想を述べると、雪風は喜びの表情を見せる。
「そうだ、貴様の精を吸ったことで私の妖力が増したようだ」
そう言って、差し出していた尻尾を引っ込めると自分の腕で優しく撫でる。
こいつの一族は尻尾が力のバロメーターということだろう。
なるほど、雪風が最初言っていた事は事実だったと言うわけか。
(だが、正直な所これ以上コイツに関わりたくない。死にたくないし・・・)
そんな彼の気持ちを知ってかしらずか、雪風は続ける。
「お前の精が私に染み込んで来た瞬間、何ともいえない感覚を受けた。どうやら、貴様とは相性が良いようだ」
「掟はどうするんだ?」
「なに、貴様は私専用のエサということにしておけば問題はない。最低でも月に1度は私に精を奉げるんだぞ、いいな?」
あまり良い待遇とはいえないが命には代えられないだろう。
かわいい女の子とイイコトが出来ると思えば、(まぁ良いか)と思えてしまう。
「わかった(納得はできないが)、これからよろしく頼むよ」
こうして、彼の運命の分かれ道である1日が過ぎていったのだった
「じゃあな、遊んでばかりいないで、お勤めはきちんと果たせよ」
非現実的な出来事にあいながら、譲はなんとか帰る事ができる喜びに浸っていた。
来いと言われたからには来ないといろいろ問題がおきそうで心配ではあるが、
かわいいコイツに会うためだと思えば悪くはない。
「まてっ、コレを渡すのを忘れていた」
帰ろうと歩みを進めたときに呼び止められて渡されたのは、綺麗な勾玉の付いた腕輪だった。
「もらっていいのか?」
勾玉の他にも色の付いた綺麗な石が幾つか並んだ腕輪。
「ここに来るときは必ず付けて来るんだぞ、いいなっ」
「ありがたく頂戴しておくよ」
そう言って自分の手首にかけると、お礼に彼女の頭を撫でてやる。
彼女の性格からして、「子ども扱いするな」とか言いそうだが、
「な、次はいつきて来てくれるのだ?」
と、期待に目を輝かせ、耳としっぽを嬉しそうに動かしながら言う彼女に、何も言わずそっと口付けをする。
そして、恥ずかしそうにしている彼女を背に帰途についた。
「お土産を期待しているぞぉ〜」
顔を上げ、手を振って俺を見送る雪風を背に、譲るは今度いつ来るかを考えていた。
・・・それと同時刻、同じ山中のある場所で
「ふふふっ、雪風があんなに淫らになるなんて・・・今度来たとき、お相手願おうかしら」
今回の黒幕が呟いた直後、悪寒がしたのは言うまでもない。
続きそうな終わり方ですが、多分ありませんのでご了承ください。
旅館の続きはまた今度。
GJ!
次は姉と?それとも二人まとめて?
次を期待してます。
姉www
>>128 GJ
こういう話大好物です!
しかし雪風と聞くと某ヤンデレAIを思い出してしまう・・・
>131
それがどうした
俺には関係ない
小学生ぐらいのころからおキヌちゃんとかの影響で
なんか幽霊と愛し合いたいのだがエロはいやなんだ
そういうのもここで書いていいの?ギャグ切ない系の
それとももう一つの幽霊スレのほうがいい?
>>133 絶対エロを入れなければならないということは無いらしい。
ただここは「エロパロ」だから、エロなしの場合、それを目的とする人に攻撃か要求される可能性がある。
多分、微エロ(寸止めエロ?)くらいは入れておいた方が無難な様な気が……
相手のおんにゃのこが人外ならOK。よって幽霊もOKだね。てか、タイトルにもろ【幽霊】付いてるじゃないかw
つか「妖怪」も「幽霊」も姉妹スレとかぶってるよなw
キャラの年齢層でなんとなく住み分けてるような気もしなくはないが…
>>133 エロ入っていないと絶対嫌だというのはいるけど
そういうのは相手にせず
気の赴くまま書くのが吉
小説は面白いが正義
>>133 エロが無いならBBSPINKのエロパロ板で書く必要性は全く無い。
エロ無しなら他に書く場所はいくらでもあるのだから、
変な子も多数生息しているBBSPINKは避けた方が無難かと。
エロがいやなのになんで18歳未満閲覧禁止のBBSを覗いているんだ
またこの流れかよ
自治スレとかでやってくれ
ちゃんとこのスレを読んでいるのなら、その質問はするべきではないって分かる筈
その程度も分からない子は作品なんて書かなくていいよ
また上から目線のエロクレクレ自治厨がいるのか…
「長々と続いて最後まで非エロ」じゃなけりゃなんだっていい
長々と、ってのは連載の事ね。
板違いに自治もクソもねーよ
ガキは18未満禁止の板にくんじゃねぇ
言い方がキツイなぁ。
せめて、コレくらい優しく言ってあげないと。
今日もいつものごとくお気に入りのスレを覗く。
最近はそれらに刺激されたせいか、自分でも何か書いてみたいと思うようになるが、今一歩が踏み出せない。
そんな悩みを打ち明けては見たものの、反応は意外と冷たい物ばかりであった。
落胆しつつ、カチカチとマウスをクリックして、レスの流していた。
その時である。
パソコン画面の中心に不思議な黒い点を見つけた。
虫かゴミでも付いたのかと思ってディスプレイを突っついたが変化は無い。
故障かと思い、顔を近づけてじっと黒い点を見つめると、異変が起こった。
黒い点の中心から強烈な光が噴き出し、顔面を直撃したのである。
あまりの眩しさに目を瞑るが、
光はまぶたを通り越して眼球の奥まで直に届くように感じるほど強烈だ。
両腕を目の前で交差させ、光を遮ろうと最大限の努力をするが、それも意味を成さない。
だんだんと意識が遠のき、このまま死を迎えるのではないかという恐怖に駆られるが、
スッと光が弱まるのを感じるのと同時に、誰かの両手が自分の頭を掴んだように感じられた。
消えない恐怖と不信感を抱きつつも眼前に突き出していた両腕を下げ、ゆっくりとまぶたを上げた。
・・・・・・困惑。
それ以外表現の仕様が無かった。
何故かと問われても、見知らぬ女性の顔がパソコン画面からニョッキリと飛び出ていたら困惑するのは当然だろう。
さらに、驚いて飛びのいたこちらの様子を見て怪しげな笑みを浮かべると、腕をディスプレイの枠にかけ、
ズルズルと全身を画面の外に現したのである。
「よい、しょっ・・・・・・ふぅ、久しぶりの‘外’はいいものじゃが、この部屋の汚さはなんだ」
その姿を見て、男は驚愕した。
なぜならば、その女性の容姿は、自分の‘理想’とする女性そのものだったからである。
突如現れたその女性は、何も言う事のできない男をよそに、一人で話を始めた。
ワシか?ワシは思えの欲望の化身・・・・・なんだ、その生暖かい視線は?
貴様の妄想に惹かれて現れては見たものの、この容姿はどういうことだ。
まったく、こんな姿がお好みとは、貴様の欲望は底が知れん。
ふふふ、それはこちらとしても望むところだがな。
ん?何をしようとしているのか・・・とな?
ふふ、言うまでもあるまい、貴様ここがどのような場所か知って見ていたのであろう?
ならばこれから自分がどのような目にあうのか分かるであろう?
・・・エロパロ板じゃぞ。ふふふっ。
むっ、そうか、貴様まだ18になっておらんのじゃな。
よいぞ、実によい。この世界のおいては年齢など何の意味も持たんから心配するでない。
己が理想とする姿かたちを思い浮かべるだけでよい。ほら、目を瞑って考えろ。
・・・どうじゃ、おどろいたかえ?
ほぉ、貴様は巨根願望があったのじゃな。いきり立ったイチモツが実に苦しそうじゃ・・・
ん?なぜいきなり二人とも裸になっているのかと?まさか、ワシの口から言わせるのではなかろうな。
さあ考えろ、どんな姿の者をどう攻めたい?責めて欲しい?
受けか
責めか
純愛か
狂愛か
体位は
年齢は
容姿は
口調は
服装は
・・・・・・ふふふっ、数え上げたらきりが無い。
さあ、貴様の考える全てをワシにぶつけるがいい。
ここでは全てが貴様の思うが侭じゃ、さぁ早く、さぁ・・・・・・さぁ・・・・・・
次に気が付くと、パソコンの前で座っていた。
さっきのは一体なんだったのか、夢のようにも感じるし、現実であったようにも感じられる。
『さぁ、目の前に自分の欲望をぶちまける舞台がある。
誰にも犯されない自分だけの世界を築いてみたいとは思わんか?』
どこからとも無く聞こえる声に導かれるように男は画面に向かい、我武者羅に何かを書き始めた。
誰にも犯されることの無い、彼だけの世界を・・・・・・
・・・・・・え、何が言いたいのか分からないと?ゴメン、思いつきで書いたから。
途中で何を書こうとしたのか忘れて自分の世界に入ってた。
149 :
どっかの人:2008/06/24(火) 22:05:33 ID:oiHJe3bM
アドバイスじゃないが、10分程度で思いつきのままに書いて投稿すると、
後で読み直して誤字脱字に気が付いて凹むから、みんな気を付けろよ。
(只今凹み中)
>>143 あー、すまん
某スレで非エロ連載してるわ。
時々同じネタでエロいのも書くけど
ここは書いたもん勝ちな部分があるから、
特に尋ねたりせずに無言で投下しちゃえば、
内心どう思っていても表面上は特に文句は言わずに賞賛してくれると思うよ。
>>152 大変参考になります。
単純な事ですが、・・・と・・・・・・なんかも。
三点リーダーは厳密なルールじゃないんだけどね
特に「…」でも「・・・」でも、本当は構わないんだよ。
だけど「……」ってやらないと、うるさく言う奴がいるんだよね
だから「……」ってやった方が無難ではある
別にネットのSSにとやかく突っ込む必要ないだろ
こういうスレッドに投稿する場合は、
必ずしも通常のSSの書き方が上手くいくとは限らないからなぁ。
改行のタイミングとかで結構悩む。
ネットの場合はネットだと割り切ってる
字下げも、!も?も一字空けしないでいいし、改行も多くていいし
絵文字のないケータイ小説という認識だしね
印刷用の投稿作品とはまた別な気がするんだよね
ネットのSSはモニターで見るけど、こういうカッチリした文章は普通、紙面媒体で見るものだしな。
まぁ、気になる人もいるよって話だろう。
表現豊かで、かつ読みやすい文章っていうのは少しでも文章を書く機会のある人なら
誰でも目指すところだろうし。
そのための目安にはなるんじゃないかな。ガッチガチに固めて書けば良いってもんでもないんだろうけど。
……あー、それにしてもネタはあるけど文章にならねぇ。
誰か俺にラヴクラフト並みの語彙をくれ。そしたら妄想を文章に書くから。
>>158 とりあえず全集を読み返してから執筆してみれw
名状し難き宇宙的エロ小説を狂おしく期待。
いあ! 駒形切妻屋根!
いや、俺が欲しいのは『ラヴクラフト並みの語彙』であって、『ラヴクラフトそのものの語彙』じゃないんだ
第一、『男根を飲み込んだ膣口は非ユークリッド幾何的に歪んで云々』なんて文章を読んで誰が喜ぶんだよw
>>160 俺が喜ぶ。ネタとしてw
まあもし書けたらクトゥルフスレ(というのが最近立ったらしいが)に
投下してみるのも面白いかもしれんぞ。
162 :
毛羽毛現の人:2008/06/26(木) 03:02:55 ID:q595Fi/t
誰もいない。
投下するなら今のうち……。
O incontestable Abyss,
What light in thine embrace of darkness sleeps―
――Clark Ashton Smith『Ode to the Abyss』
「……ここ、どこだろう」
白亜の中を、一人の少年が彷徨っていた。名を、夢路刹那という。
視界のすべて白く、前後左右はおろか、上下の区別さえ確かなものではない。
こうして足裏に感じる感覚がなければ立っているかどうかすらわからない、そんな空間に彼はいた。
とりあえず、歩いてみる。
なんとなく、その方向へ行くのが良いような気がしたからだ。
そうしてどれだけ歩いたのか。
ふと目を上げてみれば、目の前に山のように巨大な扉があった。
巨人でなければこんな扉、使いはしないだろう。
扉の真正面に立っていた刹那からは見えなかったが、扉を支える柱にはこう刻まれていた。
ここ過ぎて曲節の悩みのむれに、
ここ過ぎて官能の愉楽のそのに、
ここ過ぎて神経のにがき魔睡に。
刹那が扉に近づいてみると、扉は少し開いている。どうやら、子供くらいなら通ることができそうだった。
扉の隙間からは、暗黒が漏れ出している。
そのあまりの昏さに、刹那はごくりと生唾を飲み込んだ。なんだか得体の知れない背筋がぞくぞくする感じがあったからだ。
しかし他に行く当てもない。
とりあえず扉をくぐってみることにした。
「失礼しまーす……」
おそるおそる中へと踏み込む。内部は先ほどまでいた光しかない白亜の暗黒と対照的な、闇しかない漆黒の空間だった。
ビクビクと怯えつつも完全に中へ体を滑り込ませる。
その瞬間――
「ひっ!?」
扉が完全に閉まってしまった。これで完全に真っ暗闇だ。
――ど、どどどどうしよう。まさか僕ずっとここにいなくちゃいけないんじゃ……。
そんな不安が心を埋め尽くし、泣き出そうかという瞬間、唐突に薄ぼんやりと周りが見えるようになった。
それはわずかな反射光を水晶体で集めて見るといったものではなく、闇そのものを透過して見通すことができるような感覚だ。
周りが見えるようになったことでとりあえずの平静を取り戻した刹那は、再び闇の中を歩き出した。
どうやらここは、図書館のようなものらしい。
前後左右はおろか上にすら果ての見えぬ書架には大小様々な石や金属、陶器の板、それから葉や皮紙、パピルスなど
手に取るだけで崩壊しそうな本や巻物が所狭しと並んでいる。
銘板、断章、巻物、本など乱雑に入り乱れ、記録媒体の形態や文字にまるで統一性のないように見える並びであるが
見る者が見れば、関連する記録物が年代順に配列されていることが判っただろう。
刹那は知る由もなかったが、そこに収められた『記録』は読書家や書痴、オカルティストなどであれば一瞥しただけで
歓喜のあまり卒倒してもおかしくはないものばかりであった。
例を挙げれば、『エルトダウン・シャーズ』、『ナコティック・フラグメント』、『キタブ・アル=アジフ』、『妙法蟲聲經』、『ナインス・ゲート』、
『デロメラニコン』といった実在すら疑われていたものから、プラトンのアトランティス三部作のうち、未完であったはずの第二部
『クリアティス』の完全版と“書かれてすらいなかった”第三部『ヘルモクラテス』など、存在しない書すら鎮座していたのである。
「おや……客人とは…珍しいね……」
不意に声が聞こえた。
すぐ近くから聞こえるような、とても遠くから聞こえるような、不思議な響き方をしている。
「ひぃ」
その反響の仕方も不気味だったが、人気のないところで突然聞こえた声に驚き、思わず小さく悲鳴を上げる。
背筋を走るぞわぞわした感覚がいよいよ強くなる。
脊髄から伸びた神経叢がそのまま蟲の足になって皮下を這いずり回っているようだった。
「なにも…そんなに怯えることはないじゃないか……急に声をかけたのは…悪かったけれど、ね……」
背筋のぞわぞわが最高潮に達した瞬間、刹那の体に柔らかいものが絡みついた。
「ひゃあああああああああああんむぅっ!?」
とうとう悲鳴を上げた刹那の口腔を、湿った何かが蹂躙する。
何が起こっているのかわからない。とりあえず暴れて振りほどこうとするもののビクともしない。
――助けて、お姉ちゃん!
心の中で絶叫し、いつも黒髪シニヨンヘアーで気だるげな目の姉に助けを求めてみても、事態はなんら好転しなかった。
なすがままだ。
大きなナメクジのようなそれは歯列を撫で、舌に絡みつく。
「んっ、んんぅ……」
くぐもった悲鳴が、だんだんと気色の違うものになりはじめる。
糖分のような甘さではない。しかし甘いとしか言いようのない不思議な感覚が刹那を支配していた。
「ん、ぷは、ぁ……」
蹂躙が終わり、離れていく。
刹那はそれがとても残念だった。だから、蕩けはじめて焦点を失いつつあった瞳を凝らして相手が何だったのかよく見ようとした。
「…図書館では…静かに、ね……少々強引な手を…使わせてもらったよ……」
そこにあったのは、悪戯っぽく微笑む美しい女性の顔だった。
白皙の肌に、シニヨンに纏められた濡れたような黒髪。
美しい線を描く柳眉に、鋭くもどこか気だるげな目は紫水晶のようだ。
冠のような白い牙の飾りがついた真っ赤な大きな帽子をかぶっている。まるっきり魔女のとんがり帽子だ。
服は詰襟のロングコートとローブを合わせたような形をしている。ビショップスリーブのせいでそう見えるのかもしれない。
楕円形に開かれたコートの胸部から覗く服と、腰に拘束具のように何本も巻かれたベルトだけが黒い。
その女性の顔があまりにも美しかったので、刹那はしばし呆然とし――そして彼女の服にも負けぬくらい赤面した。
女性は笑みを深めると優しく、しかし力強く刹那を抱きしめる。
「フフ……君は、かわいい…ね……」
「あ、あうぅぅ」
刹那はより赤面し、そしてなんだかどうにも恥ずかしくなって女性の腕の中で身じろぎする。
それを見た女性がますます笑みを深め、抱きしめていく。
そんなループがどれだけか続いたころ、女性が口を開いた。
「ここは…どこでもあってどこでもない場所…夢幻(無限)図書館と、呼ぶ者もいる……。
夢でしか訪れることができない…限りない広さと本を持つ場所、ということらしい……」
本当は名前なんてないのだけれどね――女性は続けた。
「そして私は…ここの司書、だよ……」
「それって貸し出しとかしてる人のことですよね? ……あの、名前は……?」
名前、と女性はつぶやいて、考え込みだした。
――聞いてはいけないことだったろうか。
あんまり女性が悩んでいるので刹那は少し心配になる。
それが顔に出ていたのだろう。女性は悩んでいたわけを説明し始めた。
「私には…力がある……私の名を知っただけで…人が狂うくらいの、ね……だから…本当の名前は教えられないんだけれど……
それでは君が困るだろう…名前は有るが無いに等しく…無いに等しいが有る……そうだね…『無有』とでも…呼んでくれ」
刹那には女性――無有の言ったことの意味がよくわからなかったが、とりあえず名前を教えてもらったことだけは理解する。
「『ないある』さん、ですか……あ、えっと、僕は夢路刹那っていいます」
「ゆめじ…せつなくん、か……いい名前だね……」
あう、と言葉にならない声を漏らすと刹那は再びうつむいた。名前を褒められたのが恥ずかしかったのである。
無有は微笑を浮かべると、再び刹那を抱き寄せた。
「わぷ」
無有はどちらかというとスレンダーな体型をしているが、それでも胸は十分に豊かといえるだろう。
その豊かな双丘の谷間に刹那の頭は挟み込まれた。
なんだかひどく安心できる匂いだ。最近もこの匂いを嗅いだことがある……一体どこで?
そこまで考えたとき、すっと無有が体を離した。
やはり彼女が離れるのは名残惜しい。
半身を喪失するような感覚を感じながら刹那は無有の顔を見上げた。
「さて……私はどうして君がここへ来たのか……そしてここで何を願うのか……それをすでに視ている……けれどあえて訊こう……。
どんな願いもかなうなら……君は…何を願う……? 一つだけ…叶えてあげるよ……」
一つだけ、どんな願いでも叶えてくれる――?
それはあまりにも唐突な質問だった。
頭が混乱してなんと答えるべきかわからない。願い事、願い事、願い事……。
今一番かなえたい願いは――
「……えっと……僕の願い事は……無有さんに…お姉ちゃんになってもらいたい、です」
言った。言い切った。
刹那は、自分の顔が今まで以上に真っ赤なのが理解できた。
恥ずかしい。それでも無有がどんな顔をしているのかが気になった。
驚いているだろうか。呆れてるだろうか。もしかしたら――嫌がっているのではないだろうか。
おそるおそる顔を見る。
無有は――
――彼女は笑顔だった。
今までのような感情を隠すようなどこか遠い笑顔ではなく、もっと親近感を感じることのできる感情の宿った笑顔。
そこにある感情は――歓喜。
心の底から、刹那の願いを喜んで叶えようという笑顔だった。
「その願いは…受理、されたよ……さあ…契約を……」
やさしく刹那の頬を両手で包み込むように押さえると、そっと唇を寄せた。
「わ、んむぅ――」
しばし唇だけのキスを行ない――そのまま深い口づけに移る。
ああ、さっきの大ナメクジみたいのは舌だったのか――すでに茫洋としはじめた頭で、刹那はそんなことを思った。
静謐な闇の中に淫靡な音だけが小さく響く。
「ん…ふぅっ……」
どれだけの間、そうしていたのかはわからない。
途中から、刹那の意識は半ば飛んでしまっていたからだ。
ようやく唇が離れ、刹那は大きく息を吸った。
「んぷ、はぁ……」
「ふふ……それじゃあそろそろ…本番といこうか……」
気だるげな無有の瞳に、どことなくサディスティックな色が宿った。
それがとても恐ろしく見えて、刹那は少し怯えながら無有に尋ねる。
「ほん、ばん…?」
「そう…本番だよ……これから…もっと気持ちよくしてあげるよ……」
耳元で、そうささやく。吐息がくすぐったくてゾクゾクする。それもまた心地よかった。
無有が刹那を押し倒す。
しかし、刹那は頭を床にぶつけることはなかった。
浮いているのだ。
ふわふわした透明な空気のベッドに横たわったとしたら、きっとこのようになるのだろう。
そのまま無有は刹那のズボンへと手を滑り込ませた。
「ふぁ、ナル姉ちゃ…やめ……ひうんっ」
刹那のその言葉に、無有が反応した。
「ナル…姉ちゃん……?」
無有の手の動きが止まる。
――先ほどまで私のことは『無有さ』んと呼んでいたはず。ならば、ナル姉ちゃんとは誰だ?
この状況で“私の刹那”に名前を口走らせるのは一体誰なのだ――ゆらり、と無有の中に嫉妬の炎が揺れた。
それを察したのか否か、刹那があわてるように口を挟む。
「あのね…『ナイアル』だから略して『ナル姉ちゃん』って……そう呼んだら、ダメ……?」
まるで怯える小動物のような視線を無有――改め、ナルへと向ける。
刹那の言葉に、ナルは自分の心が打ち震えるのを感じた。
「いや…かまわないよ……君が私を呼んでくれるなら…なんだって、ね……」
そう言って再び刹那の陰茎を玩弄しはじめる。
「ひぅ、ぁひああ…や、だぁ……へんにぃ…へんになっちゃうよぉ……」
刹那ははじめての快感に喜びと恐怖を覚え、とうとう目尻に涙を浮かべはじめた。
「あ、あひ、あひゃあああああ、出る、オシッコでちゃうよお! ああ、ああああああああああ!」
ついに絶頂を迎え、射精する刹那。
陰茎をいじっていた繊手を青臭い白濁が汚した。
「あ、あふぅ…ぁぁ……」
はじめての射精に目の前にチカチカと星を飛ばす刹那。
「ふふ……その顔も…かわいいよ、刹那くん……」
ナルは指についた精液を舐め取っていく。
「…甘い…甘露、だね……」
そう言うと、いまだ息を荒げて状況をつかめなくなっている刹那の股間に顔を近づけた。
射精の余韻に脈打つ陰茎にそっと頬をすり寄せる。
「あ…っ」
キメ細かい絹のような滑らかな頬を何度も何度もすり寄せていく。
可愛らしさの残る陰嚢を揉み上げ、裏筋に舌を這わせる。
感覚が敏感になっていたところへの追撃である。萎んでいた刹那の陰茎は快感に耐え切れず再び屹立した。
それを確認するとナルはコートの前を開く。
露わになったのは胸の谷間を隠すタイプのホルターネックの黒い肌着、同じく黒のショーツにガーターストッキング。
透けるような白い肌も艶かしい光沢を放つ下着類も非常に扇情的で、刹那は思わず唾を呑んだ。
恥ずかしくて視線を背けたいが、それ以上に雄としての本能がナルの肢体を凝視させていた。
進退窮まり硬直した刹那の手をナルはやさしく包むと、そっと自らの乳房へと導く。
「あっ……」
「ぁふ……ん…触り心地は…どう、かな……?」
ナルはひどく愛しそうな表情でそう問いかける。
「え、と……すごくやわらかくって……気持ちいいです」
素直にそう答える。その間も手と視線は胸元から離れることはない。
一心不乱に揉みしだき続けている。
その懸命さがなんだか可愛らしく見え、ナルはふっと口元を綻ばせた。
「ねぇ、刹那くん……もっと…気持ちよくしてあげるよ……」
「え?」
きょとん、として思わず手の動きを止めてしまう刹那。
その間にもナルはショーツの股布部分をずらして陰部を露わにする。
うっすらとした繁りに覆われた秘裂は、すでに十分な湿り気を帯びていた。
「それじゃあ…挿入るよ……」
「え、あの、ちょっと」
困惑する刹那を置いてきぼりにして、ナルは嬉しげに、しかし淡々と屹立した男根に腰を下ろした。
「ん…んん――!」
「え、あ――い、いたい! いたいよぅ!」
挿入していくうちに、包皮がめくれて亀頭が露わになったのだ。
急にめくられたうえに敏感な粘膜をさらけだされた刺激が痛みとなって脳をガンガンと叩いている。
その感覚に思わず悲鳴を上げ、涙を流す刹那。
「だいじょうぶ……もうだいじょうぶだから……」
本当はこの台詞を言うのは逆であるべきなんじゃないかな――そんなことを考えつつ、そっと刹那を抱きしめ、頭や背中を撫でさすって
落ち着かせる。
よほど痛かったのだろう。目をぎゅっと閉じたまま、あううぅぅと小さく唸り続けている。
そんな様子もまた可愛らしくて、庇護欲と嗜虐心がそそられる。
「だいじょうぶ……だいじょうぶ……」
ナルは限りなく万能無敵に近しい存在だ。
たとえば自分の体液を麻酔性を持った媚薬などという都合の良いものに変えることもできる。
だから、刹那の目尻に溜まった涙を啄ばむように舐め取りながら、少しでも彼が楽になるように自らの愛液を媚薬へと変化させた。
そうしてしばらく経つと、媚薬が効いてきたのか刹那はだいぶ落ち着いてきた。
「…なんか……おちんちんがジンジンする……」
――訂正。別の意味で落ち着かなくなってきていた。
「…痛くしてすまなかったね……おわびに…すごく…気持ちよくしてあげるから……」
言うが早いか、腰をグラインドさせ始めるナル。
「ひぁ、あ、あ、あああああああああああああっ!?」
絡みつく膣粘膜。その襞一つ一つが亀頭をこすっていくたびに、例えようもない快感が走る。
怒涛のように押しよせる間隙のない快感に一気に絶頂へと押し上げられていく。
経験のない刹那には、そのなかば苦痛ですらあるような過剰な快感に耐えられようはずもない。
あっという間に絶頂を迎え、再び射精する。
「あ、かは、あああああああ! また…また出てるよぉ!」
「あったかい……刹那くんのが…私の膣内に……ああ……」
だが、ナルはこれで満足しない。まだ彼女が絶頂を迎えるには足りない。
それに先ほど痛い思いをさせた償いには一回の絶頂などでは十分ではないと彼女は考えている。
「それじゃ、あっ……もう一回…イこうか……?」
語尾こそ疑問系だが、体はすでにそのための行動に移っている。
有無を言わさず再び開始されるグラインド。
精液を潤滑剤にして行なわれるそれは、一回目よりもずっと激しい。
「い――ひぃ、い、あああああああ!」
射精し終えたばかりで感覚が敏感になった亀頭をすりあげられ、思わず悲鳴を上げる。
淫猥な、粘着質な水音が暗黒の静謐の中に響いている。
平衡感覚、視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚――その瞬間、刹那のすべての感覚が快楽を貪ることに集中していた。
快感は神経の閾値を越えて、まともな状態ではなくなっている。
ふわふわして気持ち悪さすら快感になりつつある平衡感覚、閃光に神経を焼かれたように視界は白い。
聴覚とて無事ではない。キンキンと耳鳴りがするほかはロクに音など聞こえない。
舌も唾の味すらわからず、あれほど濃密に漂っていた雄と雌の匂いも今では不確かだし、ナルが自分を抱きしめているかどうかすら
わからなくなりつつある。
だが、そんなメチャクチャになりつつある感覚すら今では快感だった。
正確には、どんな刺激も快感としてしか認識できなくなりつつあった。
心臓が早鐘を打ち血管が血圧で膨張と収縮を繰り返すことすら今では快楽として敏感に感じ取っていたのだ。
すでに身を焦がす快感は、刹那を発狂寸前のところまで追いやりつつある。
「い、いい…いいよぉ……刹那くん、刹那くん、刹那くん――!」
自失の域にあった刹那の手が無意識のうちにナルの乳房を揉み、まさぐる。
すでに肌着もめくりあげられ、美しい双丘が外気にさらされている。
その外気の冷たさが体の熱気を冷ますのが心地よく、また同時に『刹那を気持ちよくしてあげなきゃいけない』ということを
ナルに思い出させてくれた。
ぎゅっと刹那を抱き寄せる。刹那が右の乳房を咥えた。
軽く歯を立て、乳首を甘噛みする。
それは女を悦ばせようとする男の本能だったのか、それとも母を求める子供の本能だったのか――あるいは両方か。
絶妙な力加減で揉み、吸い、噛んでいく。
的確に行なわれる胸への責めに、一気にナルの絶頂感が高まっていく。
まず一回。ナルは軽く絶頂を迎えた。腰の辺りから背筋を電流が走ったように、ビクビクと小さく痙攣する。
まだ終わりではない。責めは続いている。
「ああ、私ももう…もうイく……ああ…ああああああああああああ!」
「かっ、はぁ……!」
嬌声とともにひときわ大きく痙攣し、絶頂を迎えるナル。
それと同時に刹那の陰茎に襞一つ一つが別の生き物のように絡みついていた膣がぎゅっと収縮する。
その強い刺激は大きな快感となって刹那を襲い、三たび射精を行なわせた。
どちらからともなくお互いを抱き寄せ、抱擁しあう二人。
絶頂の余韻の中、白濁した刹那の意識がまどろみに沈み始める。
「…ん、ふぅ……これで…契約は完了だ……約束どおり…私は君の姉になる……しかし気をつけておくといい……。
『わたしたち』はとても…いぢわるなんだ……もしかしたら…君を裏切る形で、契約を叶えてしまうかもしれない……。
だから…私との再会を…望むのであれば……この宇宙に…祈るがいいよ……。
千の『わたしたち』の中から…再び、この私と出逢えるように…ね……」
そう言って微笑むナル。
ふと、刹那は違和感を感じた。まどろみに消えようとする意識を振り絞り、その正体を探る。
そして突き止めた。
彼女の右目は、いつのまにか燃える炎のような真紅の虹彩となっている。
そして虹彩は三つ巴に別れており、それぞれの巴形に黒い瞳孔が存在していた。
そのことを認識したと同時に、刹那の意識は白い闇へと落ちていった。
あまりの夢に一気に眠気が飛んでしまった刹那は、バチッと音がしそうな勢いで目を開いた。
もし彼の寝顔を覗き込んでいる人がいたら、その人はびっくりして心臓麻痺を起こしていたかもしれない。
そんな目の覚まし方だった。
――ああ、『だからあの人は僕の姉』なのか。
夢を反芻しながら、少し寝ぼけた頭でつらつらとそんなことを考える。
寝ぼけた思考はどんどん飛躍していく。
それにしても、と思う。
呼び覚まされた記憶を見ているわけではなく、あれは間違いなく夢の中で現在進行形で体験を積み重ねていたのだと
刹那は感覚で理解していた。
――そういえば以前あの人は言っていた。『夢の中』では現世の法則は通用しない、と。
なら、あれはやはり現在起こったことなのだろう。そして願いは時空を超越して過去で叶えられているということ……
そこまで考え、刹那は気持ちを切り替えて起きることにした。部屋を出て一階へ降りる。
階段を下りる途中から、トントンという包丁の小気味よい音と味噌汁の香ばしい匂いが届いてきた。
これは刹那の毎朝のひそかな楽しみである。
リビングのドアを開けキッチンに目をやると、そこにはいつもどおり刹那の姉がいた。
白皙の肌に頭の後ろでまとめられた濡れたような黒髪。
袖をまくった白いブラウスに黒のロングスカート。そのうえにオレンジのチェック柄のエプロンをしている。
せわしなく動き、朝食の準備を整えていく。
ふと、その動きを止めて視線を刹那に向ける。
「……おはよう、刹那くん……いい夢が見れた…みたいだね……」
彼女は、今まで夢の中でしか見たことのない色気を帯びた瞳で笑顔を向けた。
その視線が持つ意味はすなわち、夢で結んだ『契約』が、あれで終わりではないことを意味していた――
オワリ
以上。投下終了。
ナルさんの正体?
名前が『無い有る』だったり、服装が『真紅の女王』だったり、右目が『燃え盛る三つの瞳』だったりするような方です。
やっぱSSって難しい。っていうか俺にはいろいろ無理。でもまた書きたいなぁ……。
できれば今度は『黄色い衣の王様』あたりで……
それではごきげんよう。ノシ
GJ!
姉属性持ちにはたまらんですわい
こんばんは
SS投下します
>>102-107の続き
差し出された右手を、一ノ葉が掴む。
色白で細い手を、初馬はしっかりと握り返した。
「まずは、立つことから始めるぞ」
「あ、待て」
制止も聞かずに、一ノ葉の腕を引き上げる。腰が持ち上がったところで、素早く両手を
腋の下に差し入れた。そのまま、腰を入れて身体を持ち上げる。
一ノ葉が両足で直立していた。
「は、放すなよ……」
震える足に力を入れながら初馬の肩を掴み、引きつった声音で言ってくる。怯えたよう
に下げられた尻尾。焦げ茶の瞳と狐耳を不安げに動かしていた。
両手に掛かる身体の重さに、初馬は口端を持ち上げる。
「どうだ? 初めて二本足で立った感想は」
「……分からぬ。視線が高くなって気持ち悪い。二本足で立つというのは、思いの外大変
なのだな。今まで二本足で立つなんて考えたこともなかったし、足が震えて倒れそうだ。
絶対に放すなよ……!」
泣きそうな顔で睨んでくる一ノ葉。不安を吐き出すようにまくし立てていた。初めてで
まともに立てるわけもない。初馬が手を放せば、倒れるだろう。
二度ほど首を縦に動かし、初馬は呟いた。
「でも、そう言われると放したくなるのが、俺の性格」
「って!」
一ノ葉が眼を丸くする。
初馬は一ノ葉から手を放し、肩を掴んでいた手を振り解いていた。
「待て待て、待て……うあ、ああ……!」
両手と尻尾を振り回しながら慌てる一ノ葉。支えを失い身体が傾く。反射的に傾いた先
へと足を踏み出すが、逆に踏み出しすぎて逆方向へと傾いた。
「おお、お……?」
口から漏れる気の抜けた声。重心を立て直そうとするものの、平衡感覚もままならない。
一歩飛び跳ねてから、膝が折れる。ぴんと伸びる尻尾。
「ほい」
両手を差し出し、初馬は倒れそうな身体を掴んだ。
慌ててしがみついてくる一ノ葉。両腕で初馬に抱きついたまま、額に怒りのマークを浮
かべている。普通は怒るだろう。
「……貴様は何を考えているんだ? ワシをからかって面白いとでもいうのか!」
「うん」
初馬は即答した。
左手で一ノ葉を抱きかかえたまま、右手で頭を撫でる。
「お前は反応が面白いから、からかい甲斐があるんだよ。可愛い女の子にイタズラしたい
というのは、男の本能であるからして、どうにも自制できなくて」
「貴様はぁ……」
口を震わせながら睨んでくる一ノ葉。
この反応が面白く、ついつい意地悪してしまうのだ。狐色の髪を指で梳きながら、初馬
はほんわかとした気持ちで頷いた。
「子供か、子供なのか……ひッ!」
言いかけた一ノ葉の口が止まる。
初馬の右手が狐耳を摘んでいた。髪の毛とは違う柔らかな獣毛に覆われた、大きめの三
角耳。外側が狐色で内側が白、先端が黒い。
「っ……ぁ……は……」
耳を弄る指の動きに合わせて、ぱくぱくと一ノ葉の口が動く。震える舌先、喉から漏れ
るか細い呼吸、引きつったように曲がる尻尾。
二十秒ほど狐耳を楽しんでから、手を放した。にへらと笑いつつ、
「あー、もう。癖になるなぁ、この手触りは」
「ッ、癖になるな!」
左手で初馬に掴まったまま、右手で頬を引っ張る一ノ葉。上がった呼吸と、紅潮した頬。
膝が笑っていて、腕にも力が入っていない。
初馬は一ノ葉の頭を撫でつつ、
「相変わらず敏感なヤツだな。要望があれば、いつでも可愛がってやるのに」
「セクハラも止めろ!」
犬歯を見せて威嚇しながら、一ノ葉が頬を摘む指に力を入れている。平静を装っている
ものの、爪を立てているためさすがに痛い。
初馬は腕を振りほどいて、一歩後ろに下がった。一ノ葉の両二の腕を掴む。細いながら
も引き締まった筋肉が詰まっている。
「さーて、緊張も解けたところだし、歩く練習始めるか」
「絶対本気だっただろ!」
初馬の両腕を掴みながら、一ノ葉が怒りの声を上げた。
実のところ、このまま押し倒してしまってもいいかな? とは思ったが、さすがに当初
の目的から外れてしまうので自重することにする。
「じゃ、まずは足踏みから。俺の真似をすればいい」
マイペースに言いながら、初馬は右足を上げて、下ろした。続けて左足を上げて、下ろ
す。その動作を繰り返し、その場で足踏みを始めた。
釣られるように、一ノ葉も足踏みを始める。
「うぅ、難しい……」
喉から漏れる呻き。爪先と踵を少しだけ持ち上げる、頼りない動かし方。片足を上げる
たびにバランスが崩れ、初馬の腕に重さが掛かった。
ワンピースの裾と狐色の髪が不安定に揺れ、尻尾が上下に動いている。
立つのでさえ無理なのに、足踏みはきついだろう。
それでも初馬は元気よく声を上げた。
「もう少し足を高くー。1、2、1、2」
「イち、にィ、いチ、にぃ」
かけ声に釣られて数字を数える一ノ葉。怯えたような擦れ声ながらも、足が徐々に上がっ
ていく。最初は五センチくらいだった高さが、十センチを越えていた。
「その調子その調子」
初馬は励ましの声を掛ける。
元々一ノ葉の身体能力は非常に高く、適応も早い。
そのまま一分、二分と続けるたびに、不安定だった足踏みも形になってきた。最初の頃
は足を上げるたびに左右に揺れていた身体も、しだいに安定してくる。
五分ほども続けると、足踏みも普通の形になっていた。
初馬は右手を持ち上げ、人差し指を立てる。
「じゃ、このまま歩いてみるぞ」
「待て、待て……! もう少し練習させろ」
必死に上腕を掴みながら、一ノ葉が反駁してきた。ぴんと立つ狐耳と尻尾。まだ足踏み
を出来るようになっただけだ。歩くのは早いだろう。
「お前なら大丈夫だ」
這い寄る混沌をおねーちゃんにしてしまうとは…GJ。
そいやちと前にあったクトゥルフスレって即死したのかね。
しかし、初馬は気にせず後ろに下がる。
まだ足踏みで精一杯の状況で、腕を引き戻すという動作ができない。一ノ葉の身体は引っ
張られるままに、前へと傾いた。
「と、っとぉ!」
咄嗟に右足を突き出し倒れるのを防ぐ。
「やれば出来るじゃないか」
「待てと言ってるだろうに! っお、ととと」
初馬は構わず後ろに歩いていた。
両腕を引っ張られて、半ば倒れるように前に進んでいく一ノ葉。視線が激しく動き回り、
狐耳があちこちに向いていた。必死に周囲の状況を確認しようとしている。
不安げに動く尻尾。狐色の髪とワンピースの裾が揺れていた。
「ええい、止まれ!」
初馬を睨み、声を上げる。
しかし、初馬は涼しげに言い放った。
「大丈夫だろ? 一応歩けてるし」
千鳥足めいた動きながらも、一ノ葉は歩いている。引っ張られていると言っても過言で
はないものの、前へと進んでいるのは事実だった。
「というわけで、とりあえず自力で歩いてみてくれ」
言うなり、初馬は手を放して数歩後退った。
支えを失い、眼を見開く一ノ葉。ぴんと立った尻尾と狐耳。
「ま、待て待て、待って……。お、あああっ」
ばたばたと腕を振り回して、平衡が崩れる。身体が前へと傾いていき、慌ててそちらへ
と足を踏み出した。この動きはさきほどと同じ。
「……うぐぐ」
しかし、今度はバランスを崩すことなく踏みとどまった。左手を頭上に振り上げ、右手
を斜め後ろに向けて、尻尾を左後ろへと伸ばした姿勢。かなり滑稽な姿。
「ぷ」
「そこ、笑うな!」
思わず吹き出した初馬に、怒声が飛んでくる。
「すまんすまん」
謝るものの、一ノ葉の注意は既に自分に戻っていた。
「よし、落ち着けワシ。このまま気を付けの姿勢に――」
両腕をゆっくり脇へと下ろしながら、尻尾も下ろしていく。奇妙な体操をしているようにも見え
るが、本人は至って大真面目なのだろう。
両足が並び、両手が下ろされる。尻尾も定位置へと戻った。
落ち着いたようなため息が吐き出される。
パチパチ、と。
初馬は思わず拍手をしていた。
「おー、上出来。じゃ、歩いてみようか」
「言われるまでもない!」
気丈に言い捨ててから、一ノ葉は左足を前に踏み出した。左足を持ち上げながら重心を
前方へと移動させつつ、五十センチほど前に足を下ろし倒れるのを防ぐ。人間が無意識下
で行っている極めて複雑な動作。
続いて右足を軽く後ろに蹴り込みながら、再び重心を前に移動させる。
「あ……」
一ノ葉の顔に浮かぶ当惑。蹴り込みが強すぎたらしい。対処できない速度で重心が前へ
と移動していく。人間なら咄嗟に歩幅で修正するのだが、そうはいかない。
何とか右足を踏み出してみるものの、蹴り込みの勢いを殺すには至らない。すがるよう
な眼差しを向けてくる一ノ葉。泣き笑いのような顔。
「ふべ……!」
そして、顔面から芝生に突っ込んだ。
両手を伸ばし、受け身も取れずうつ伏せに倒れる。
ぴんと伸ばされた尻尾。ふわりと跳ねたワンピースの裾が、尻尾をすり抜け背中まで捲れ
ていた。太股からショーツ、尻尾の付け根、後ろ腰まで丸見えになっている。
三秒ほどしてくたりと萎れる尻尾。
初馬は両腕を組み、沈痛な面持ちでかぶりを振った。
「痛そうだ」
「痛いに決まってるだろうが!」
顔を跳ね上げ、一ノ葉が叫んでくる。
以上です
次回はそのうち。
多分一週間後くらい?
あと質問
この文章形式は読みやすい? 読みにくい?
今回もGJでした。次回期待しています
読みやすいか読みにくいかは、人によるかと思う。
最近はたぶん、あなたの文章形式の方が読みやすいとする人が多いんだろうけど
正直、俺は読みづらい。
だけど気にする必要はないかと。書いた通り、人によるので。
ひでぼんの書を思い出した
雨がしとしとと降っている。 湿っぽい。
依頼を受けて来てみたものの、どうにもこうにも廃村というものは気味が悪い。
辺りに明かりらしき明かりはなく、いくつもの潰れそうな小屋やそこら中にぼうぼうと茂った草木。
聞こえてくる音は風の唸る音とそれによって擦りあう葉の音だけ。
小屋の一つ一つの窓からこちらを見られている気がしてどうにもこうにも落ち着かない。
依頼内容はこういうもの。
「最近、ある妖怪が人を騙しては八つ裂きにするという事件が多発している。〜〜という廃村は知っているか?
どうやらそこにそいつの『ねぐら』があるらしい。君にはそこに行ってそいつを退治・・
まぁ、殺しても良いが、どうにか人を襲わないようにでもしてきてほしいのだ」
よくもまぁ、簡単に言ってくれる。
人を騙せるほど知恵があり、尚且つ人を八つ裂きにできるほどの力を持った妖怪。
そんなものを『人を襲わないようにしろ』だなんて、どうすりゃいいのだ。
一回や二回、躾がてらに退治をした程度じゃ言うことを素直に聞いて貰えるとは思えない、
かといって単純に考えれば、殺すしかないのだろうか。
いやいや、殺すのは俺の性に合わない、ここは何とかトンチを利かせて・・。
かさっ。
「!」
確かに聞こえた。 何かが動いた音。
「・・・」
咄嗟に身構え、こちらを気取られぬよう息を殺すがそれ以降、相手の動きが見えない。
しばしの沈黙。
もしかしたら、ただのネズミの類だったかもしれない。
だとしたら、俺の勘も鈍ったものだ。
かさかさっ、がさっ。
「!?」
音がまた聞こえてきた。 今度は音が大きい。
それどころか近づいてくるような音。
がさがさがさがさがさっ!!
「(来るかっ!?)」
がさっ。
『にゃー』
「あらっ・・?」
拍子抜けである。どうやら、本格的に勘が鈍ったらしい。
ぼうぼうと茂った草の根元から、ひょっこりと顔を出したもの。
それはツヤツヤとした黒毛の猫だった。
かすかな月の光で目を爛々と光らせ、こちらを見ている。
「なんだ、驚かすなよ、ほら、チチチッ…。」
しゃがみ込んで、指を出しておいでおいでをする。
案外人懐っこい猫なのか、特に物怖じせずにこちらまでトタタっと駆け寄ってくる。
『にゃー?』
「ごめんな、今はオヤツなんて持ってないんだ」
『にゃー』
どうやらすごく人懐っこいらしい。
俺の足元にぐしぐしと頭をこすり付けている。
「ははは、可愛いなお前、ん…?」
気のせいだろうか、この猫から何か『気』のようなものが洩れている。
「(いや、気のせいじゃないっ!!)」
俺は転がるようにして『そいつ』から飛び退く!
「お前、もしかして『すねこすり』かっ!?」
体勢を立て直して、『そいつ』に問いかける。
『にゃー?』
「おおよその正体はわかっているんだ…、それ以上とぼけるようなら一度、術で…」
右手でぎっ、と「形」を作る。
すると、黒猫の形をした『そいつ』がこちらを見据えたまま口を開いた。
『勘は良いみたいですけどぉ、残念ですね、私は『すねこすり』ではないんですよぅ』
その流れで、あんな犬もどきと一緒にしないでください、と付け加える。
体は猫なのに人のように喋られると違和感がある。
「お前は一体・・」
何者なんだ、と聴こうとしたところで
『まずはご自分から名乗ってはいかがです?』
もっともなことを言われた。
妖怪(?)に対してでも礼儀は持つべきだ。
「俺の名前は・・『狗牙』(くーが)。 まぁ本名ではないが通り名みたいなもんだ」
『くーが…。 あぁ、わかりました! あの何だかっていう機関の人ですねっ!』
随分楽しそうだが、とりあえず名乗って欲しい。
『んふふふー、失礼しましたー。 私の名前は『コマ』と言いますっ。』
189 :
コマネコの人:2008/06/27(金) 01:22:19 ID:3ufy6tpG
九十九神のSSの得ろ部分を書こうとしていたんだ・・。
気付いたら、流れ込んできていた何かを書いていたんだ・・。
(とりあえず、続くよ)
ここに投稿した以上はエロまで書くよ。
正確にはエロまで書いてはいるけど、中途半端に止まっているから
書き下ろしたら投稿するよ。
がんばるよ。
>>189 投稿することで自らを追い詰め、より完成度を高めようというのか……なんという背水の陣。
続き期待してるぜ。
あと書いてる途中で別のネタが浮かんで、そっちに集中してしまうなんてロスじゃ日常茶飯事だぜ!
>>175 一の葉かわいいよ一の葉
個人的にはかなり読みやすいっす。PCから読んでると適度に空行があった方が一息いれつつ読めるので
>>186 わたし待つわ いつまでも待つわ
なぁに、自分の妄想でニヤニヤしてる俺キメぇで止まるよりはずっとマシさ!
この世のすべての乙とGJをあなたに贈ります
コマと聞くと足洗邸の住人を思い出すw
>>191 一ノ葉だ、一ノ葉!
「の」はひらがなでなく、カタカナで「ノ」だ!
>>193 ん、飴ちゃんやろ。
足洗邸は血の人もエロかったが、毛の人はもっとエロかったなぁ。
・清純派淫魔
・淫天使
・九尾の雪狐
・出血に弱い吸血鬼
・冷え性の雪女
198 :
保守小ネタ:2008/06/29(日) 20:15:39 ID:CTxU5czb
>冷え性の雪女
「……うー、さぶっ」
「何と言うべきか……お前って何だったっけ?」
「なによ。雪女よ。それがどうかした?」
「……いや、今6月だよな、って思ってさ」
「そうね。毎日ジメジメしてやんなっちゃう」
「……そりゃ、そんなのの中に入ってたらジメジメもすんだろ」
「何か文句あるの?」
「主に電気代的に文句はあるな。……とりあえず、出ろ、そのコタツから」
「横暴だー! 私が冷え性だって知ってての狼藉!?」
「冷え性の雪女なんか聞いたことねえよっ!? しかも冷え性って
レベルじゃねえ! なんだ六月にコタツに潜って『さぶっ』って
言ってる雪女って!?」
「……駄目よ、目の前の現実を受け入れなきゃ。ねっ?」
「『ねっ?』じゃねえっ! とりあえず、電気代かさむし、いい加減それは
片付けさせてもらうからな。寒いのは厚着とかで何とかしろ」
「酷いっ!?」
「……俺も、クーラーつけるのは我慢するから」
「……うぅ〜」
「な?」
「仕方が無いわねっ! ……じゃあ、とりあえず今日の所は」
「今日の所は?」
「人肌で暖めてもらいましょうか」
「……ったくしゃーねーな」
「んっ……やっぱりお前のここ、冷たいな」
「んぁぅっ! い、いきなり入れないでよ……もっと、ゆっくり……」
「こうやって繋がってる時じゃないと、お前が雪女だって事、
忘れそうになっちまうな」
「……じゃあ、たまに吹雪吹こうか?」
「いらんわっ!」
「冗談よ。私が雪女だとか、そういう事はどうでもいい事よ。
大事なのは……」
「俺がお前を好きで、お前が俺を好きな事、だろ?」
「……い、言われると恥ずかしいもんね、そういう台詞」
「言ってる方は恥ずかしくなかったのか? 俺、結構恥ずいぞ……」
「……恋は盲目?」
「じゃあ俺はお前にもう恋してないってことですかい」
「何言ってんのよ……恋は終わって、今はもう……愛して、くれてるから」
「……またそういう恥ずかしい事を」
「うん……今のはちょっと恥ずかしかった。えへ」
「じゃあ、お前も俺を愛してくれてるって事だな?」
「……当たり前じゃない」
「……そっか」
「……」
「……」
「そろそろ、動いても大丈夫か?」
「う、うん……もう大丈夫。っていうか前戯してから入れてくれたら
いつもこうやって待たせることも無いんだけど……」
「だって、それじゃ温くなって、よく冷えたお前のアソコを味わえないだろ?」
「……普通温かい方がいいんじゃないの?」
「俺は好きなんだよ……お前の冷たいアソコが、さ」
「変な人」
「そりゃ、雪女を嫁にしようってんだ……変人じゃなきゃ勤まらん」
「そうかもね……あんっ!」
「じゃ、しっかり温めてやるから……覚悟しとけよ!」
「う、うん……ひあぅっ、あっ、ひぃん……よろしく、ね……んっぁ!?」
こうして、夜は更けていくのであった。 おわりー
「俺がここに来た察しはついているな?」
念を押して聴いてみる。
『…なんのことですかぁ?』
くいっと首を傾けて?マークを頭の上に出すコマ。
「何度も言わせないでくれ、『とぼけるな』」
『そんなこと言われましても、知らないと言ったら…』
そこまで言ってコマが突如視界から消えた。
『知らないのですよっ!!』
声のする方向に振り向くと、猫の手には不釣り合いな大きさの爪をこちらの顔面目掛けて振り下ろそうとするコマの姿。
「ぬぉっ!?」
『あぁ、避けちゃ駄目ですよぅっ!』
間一髪、爪が鼻先をかすめたが、とりあえず避けることには成功したようだ。
「不意打ちは卑怯じゃないか?」
『列記とした戦術ですよぅ〜♪』
コマとまともにやりあってもやりづらい、動きを止めるか。
コマを見失わないよう、見据えたまま自分の腰についている呪符ホルダーに手を伸ばす。
伸ばす。 伸ばす。 伸ばす・・?
「あれ・・。」
しまった、どこかで落としたか…?
『お探しのものは、これですかぁ?』
コマが足で「ぽむっ」と踏みつけたもの、それはまさしく俺が探していた呪符ホルダー。
『これで私の動きを止めようって言うのですね〜』
コマが楽しそうな声で喋りながら、まるで毛糸玉で遊ぶ猫のように呪符ホルダーをぺしぺしと弄ぶ。
「くっ…」
まぁいい、武器はまだある。
なにかあったかなとウェストバッグに手を伸ばそうとした時、コマがその動きを静止する。
『あぁん、動かないでくださいよぅ?』
コマの体から「ガカッ!」と怪しい光が放たれ、目を眩ませられる。
『下手に動かれたら困りますから…んふふっ♪』
目が急な明るさに慣れて、周りのものが見えるようになった時、目の前にいたものは『黒猫』から『若い女性』に変化を遂げていた。
年齢は18ぐらい、背は160ぐらい、少し長めでツヤツヤと光る黒髪を下げ、白い和服を着ている女性。
頭に猫のような耳を生やし、着物から飛び出るように尻尾が生えている。
胸は少し大きいぐらいで総合的に見て中々良いスタイルをして…
『くーがさんはエッチなのですねぇ〜、私の人間体(にんげんたい)、そんなに好きになっちゃいましたか?』
言われて我に返る。
「くそっ、チャーム(魅了)か何かだな!?」
『失礼な、まだ使ってませんよぅ〜!』
猫の時からそうだったが、やけに楽しそうに喋る。
というか、使えるのか、チャーム。
『さぁて、どうでしょうかね♪』
手の内を探ろうとしても無駄のようだ。
『さてと、ど・れ・に・し・よ・う・か・な…?』
あの、なにをやられておられます?
『なにって、呪符を選んでいるのですよぅー、見てわかりません?』
「それはわかっている。その俺の呪符をどうするつもりなんだ」
『いやぁ、私、呪符って話には聞いていたり、使われたりしたことはあるのですけど』
「ふむ」
『いざ本物を手に入れてしまうと』
「ふむ」
コマが呪符の一枚を「ぴっ」と二本指で挟むようにして抜き出す。
『使ってみたくなっちゃって♪』
「!」
ドゴッン!!
呪符が光り、音が鳴ったと思った途端、俺の後ろにあった木造家屋がガラガラと音を立てて崩れてゆく。
あまりの破壊力に俺も驚きだが、一番驚いているのはそれを放ったコマ自身だった。
『す、すごいですね…コレ』
まずいものを敵の手に渡してしまったかもしれない。
呪符は札に術の簡略式が書いてあるものなので、ちょっと起因力を与えることが出来るヤツなら誰でも使用が出来る。
それに加えて、ここに来るために揃えた呪符は万全を期して強力なものを用意した。
あの初発を貰っていたら、完全にアウトだったな。
『えーと、じゃあ次の呪符は〜っと♪』
おいおい、待てよ、完全に味をしめてるよ。
「ちぃっ!」
三十六系、逃げるにしかず! 出直しだ!
『あ、待ってくださいよぅ、これなんていかがですかー?』
びかっ、チュインッ! ずざざざざざざっ!!
「おい、なんかレーザーみたいなの出てるぞ!?」
『すっごーい!』
びかっ、ゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!
「危ねぇっ! 地面が割れ始めた!!」
『んー、もうっちょこまかと!』
びかっ!! パシンっ!
「しまった!!」
ツタのようなもので絡め取られる手足。そのままX字(垂直方向)に固定されてしまう。
捕縛用の呪符!? 今までの呪符は完全に囮として使っていたというのか!!
『やったぁっ、ラッキーですよぅ〜♪』
割と適当に使っていたらしい。
『残念ですねぇ、もうちょぉっと楽しめるかなぁ、と思っていたのですけど…んふふ』
ふんふふ〜ん♪と鼻歌まじりにこちらに悠々と近寄ってくるコマ。
「来るなっ!」
『釣れないですねぇ…、結構私好みなのにぃ』
嬉しそうなのか、残念そうなのか微妙な顔をする。
『まぁ、どちらにせよ、ここで死んでもらうのですけどねぇ…』
コマが一枚の呪符を構える。
その呪符に記された文字、『破壊』。
「おい、よせ、その呪符はやめておけっ!」
『えー、なんでですかー、こんなに強そうなのにぃ…』
「そんなのを使ったら、俺の存在そのものが吹飛ぶ!!」
『好都合じゃないですかっ☆ んふふ♪』
コマが嬉しそうに呪符をこちらに向ける。
「お、おい、ほんとに、やめ・・」
『コレで…さよならですっ!!』
びか―――っ!!
・
・・
・・・
『あれ・・?』
中々発動しない呪符を疑問に思い、呪符に顔を近づけるコマ。
その時!!
ドゴンッ!!
『う、うにゃぁーっ!?』
呪符から出た衝撃波はコマの顔面に直撃した。
それと同時に俺にかかっていた捕縛用の『呪』が解ける。
「だから、言っただろ、『やめておけ』ってな」
コマの意識はここで飛ぶ。
――――30分後
『ん…んにゃっ…?』
むずがゆそうに目を覚ますコマ。
ぎしっ…!
猫特有の顔を洗う行動を取ろうとして腕を動かそうとするが全く動かない。
腕どころか足も動かない。
見れば、コマはさきほど自分が「してやった」、『X字で拘束される』捕縛用の「呪」にかかっていたのである。
「お目覚めかい、コマとやら?」
コマを覗き込むような形でわざとらしく語りかける。
204 :
コマネコの人:2008/06/30(月) 02:57:49 ID:WfNSUy6a
とりあえず、今日はここまで。
あんまり連投もよくないだろうしね!
察しの良い人はわかってるかもしれないけど、そろそろだよ!
GJ
ついコマネチと読み違えてしまう
GJ!
そろそろ服脱ぐか…。
>>205 ちょww不覚にもwww
投下いい?
>>176-182の続き
初馬は腕組みを解いてから、右手で顎を撫でた。
「いきなり歩けと言うのも、無茶な気がする」
「当たり前だろ」
率直な感想に、一ノ葉が率直な意見を返す。
尻尾を持ち上げてから、両腕を地面についた。足を引きながら上体を持ち上げ、その場
に腰を下ろす。最初の恰好。以前なら起き上がることもできなかった。これは十分に成長
と言えるだろう。
「まったく。もう少し考えてから行動しろ」
座ったまま、睨み上げてくる一ノ葉。
「そもそもワシが人間の姿でいることに、何か必要性でもあるというのか? 誰かに見せ
るわけでもあるまい。ワシは最初から狐なんだぞ?」
「うん。ないな……」
初馬は考えることもなく頷いた。人間の姿になった一ノ葉を式神として使うことは考え
ていない。当然だが、本来の狐の姿が最も力を発揮できるのだ。
一ノ葉が目付きを険しくする。
「ただの思い付きか?」
「うむ……。お前を買い物にでも連れて行ってやろうかと考えてたんだが。キツネの姿の
まま人前に連れ出すわけにもいかないし、ずっと家に籠もってるのも退屈だろ」
視線を逸らして初馬は答えた。
実家の式神は仕事の無い時、人間に化けて遊びに出掛けたりしている。しかし、一ノ葉
は自分で化けられないし、人間の身体の動かし方も知らないので、自由に外には出歩けな
い。ずっと家に閉じこもっているのも身体に悪い。
「何を企んでおる?」
狐色の眉毛を傾け、一ノ葉が胡乱げな眼差しを向けてくる。ぴんと立てられた狐耳と、
リズムを取るように左右に揺れる尻尾。一種の威嚇だった。
初馬は頭を掻きながら、苦笑する。
「信用ないなぁ、俺……」
「信用も何も――貴様がどうやってワシを式神したのか、まさか覚えていないわけではあ
るまい? 一週間も経っていないのだからな」
一ノ葉が不敵に笑った。挑発するような獰猛な表情。
あの時、本気で戦っていたらもう少し素直になっていただろう。しかし、冗談のような
罠にはまってあっさりと屈服してしまった。戦いはコミュニケーションであるという、誰
かの言葉を思い出す。
「分かったら、さっさと変化を解け」
一ノ葉の言葉に、初馬はぽりぽりと頬を掻いた。
ふと脳裏に閃いた思いつきにぽんと手を打つ。
「そうだ、アレやってみよう」
「……アレって何だ?」
囁くような問い。
初馬は数歩下がって、両手を向かい合わせた。両手で印を結んでいく。教えられてはい
たものの、今まで一度も使う機会のなかった術。
「だから、貴様は何をやろうとしている!」
声を荒げる一ノ葉。両手を地面に突いて起き上がろうとするものの、座った常態から立
ち上がる方法が分からない。膝を動かしたり腰を持ち上げたり。
「大丈夫だ。痛くはないから」
「ええい、思いつきで変なコトするのは止めろ!」
一ノ葉が声を上げた時には、術が完成していた。
右手の中指と人差し指を伸ばした刀印を一ノ葉に向け、
「式操りの術!」
「ッ……」
肩が跳ねる。
驚いたように自分の身体を見下ろす一ノ葉。
「式操りの術……?」
狼狽えた声。
自分の使役する式神との感覚共有を行い、自分の身体を動かすような感覚で式神を自在
に操る術。共有の度合いによって、使い道が色々変わる。知っていても意外と使わない術
でもあるのだが。
「何をするつもりだ?」
探るように眼を細める一ノ葉に対し。
初馬は人差し指を立てた。
「いちいち俺が教えるより、実際に歩いてみる方が手っ取り早いからな。習うよりも慣れ
ろとも言うし。それに単純に俺もこの術に興味がある」
告げてから右手で印を結ぶ。意識を集中させると、一ノ葉の感覚が流れ込んできた。そ
れほど強い共有ではないが、身体を動かすことはできるだろう。
一ノ葉がその場に両手を突いた。
「ん?」
眉根を寄せる。自分の意思による動きではない。初馬が式操りの術を通して、一ノ葉の
身体を操っていた。手を突いた感触が伝わってくる。予想はしていたが、他人の感覚は現
実味のないものだった。
「下手に逆らうと転ぶから、大人しくしてろよ」
初馬は一ノ葉を見つめた。
両手を突いて膝を折り、地面に足裏を付け、そのまま膝と腰を伸ばして立ち上がる。言
われた通り抵抗はしない。転ぶのは嫌だろう。
「なるほどな」
一ノ葉が頷く。不満そうに。
勝手に歩き出す足。右足と左足を交互に動かし、両手腕を振り、前へと進む。左右に揺
れる尻尾。それは今までとは違う慣れた動きだった。
足運びの感覚と、尻尾の左右に揺れる感覚、腕を振る感覚が伝わってくる。
六歩進んで、初馬の前までたどり着き、一ノ葉は足を止めた。両手を下ろした緩い気を
付けの姿勢。自分の意思ではないが。
「どうだ、自分で歩く感覚ってのは? 少しは理解できたか?」
「まあな」
一ノ葉は答えた。
「実際に動いてみると分かる。重心の運びは、ワシが思っていた以上に難しい。普段気楽
に歩いている人間も、かなり複雑な動作をしているのだな」
感心したように足を見つめてくる。
人間の足運びや重心移動は、それだけで論文が書けるほどの複雑さだ。人型ロボットが
歩けるようになるまで数十年の月日を要したのは、有名な話である。現在でも軽く走った
り、階段を昇ったりすることしか出来ていない。
初馬は印を解かずに左手を差し出した。
「このままアパートまで帰るぞ」
「いい加減、変化を解け。あと勝手に人の身体動かすな……」
半眼で呻く一ノ葉。他人に身体を動かされるのは気にくわないだろう。一ノ葉は他人に
干渉されるのを嫌う。ましてや身体を支配されるのは、もっと嫌だろう。
しかし、初馬は気にせず言った。
「アパートまでは歩いて十分くらい。お前は物覚えが早いから、歩くって感覚も理解でき
るだろうし、俺も女の子と手を繋いで帰りたいと思ってたし」
一ノ葉の右手が上がり、初馬の左手に重なる。
その手を握り締め、初馬は右手の印を解いた。直接触れて居れば印を結んでいなくとも
動かすことができる。芝生に張った結界を解いてから、並んで歩き出した。
「晩飯は何にするかなぁ」
そんなことを良いながら公園を横切り、道路へと出る。
日没前の薄暗い道。人のいなくなる時間には早いが、幸い人はいない。一ノ葉にかけた
隠れ蓑の術はまだ有効なので、見つかる心配はない。
住宅街の道を歩きながら、初馬はほんわかと笑った。
「あぁ、幸せ――」
左手でしっかりと一ノ葉の手を握り締める。暖かな人のぬくもりと、細く柔らかい女の
子の感触。足の動きに合わせて前後に動いていた。
呆れたような一ノ葉の呟き。
「女と一緒に歩くだけで幸せになれるとは、単純な男だな」
「可愛い女の子と手を繋ぎながら気ままに帰る――若い男として、これ以上の幸せがある
とでもいうのか? 今感動で泣きそうだぞ、俺」
初馬は真顔で言い切った。可愛い女の子と手を繋いで帰るという漫画のような一コマ。
このような体験を出来る人間は、それこそ一握りだろう。
「貴様は……」
目蓋と尻尾を下ろし、明らかに引いている一ノ葉。
初馬はこほんと咳払いをして、
「それより、尻尾って変な感覚なんだな」
術式を介して一ノ葉から流れ込んでくる感覚。足を進めるたびに左右に揺れる尻尾と、
狐色の毛に覆われた芯、根本に感じる尻尾の動き。
どれも現実味のないものだが、奇妙なものである。
一ノ葉が小さく鼻を鳴らした。狐耳が跳ねる。
「ワシにとっては人間の感覚全般が変なものだがな。まったく……。早く変化を解いて元
の姿に戻せ。狐の姿が一番落ち着くのに」
「それに胸も意外と邪魔なんだな」
初馬の呟きとともに、一ノ葉の左手が自分の胸を撫でる。そこはかとなくイヤらしい動
き。一ノ葉がそうしているのではなく、初馬が動かしているのだが。
現実感がないものの、手の感覚も伝わってくる。
手の平に感じる生地の手触りと、柔らかく張りのある膨らみ。歩くたびに微かに揺れて
いた。胸に重りを付けているという表現は、あながち間違いではないだろう。
「……喉笛噛み千切っていいか?」
犬歯を剥いて睨んでくる一ノ葉。
左手が降りる。さすがにやり過ぎたらしい。
「ははは」
初馬は明後日の方に向かって笑ってから、話題を変えた。
「しかし、式操りの術も成功してよかった。失敗することも覚悟してたんだけど、予想よ
りも上手くいったし、これなら色々と面白いことも出来そうだし」
「何を企んでおる?」
一ノ葉が眉を寄せる。他人の身体を自由に操ること。その気になれば、色々なことがで
きる。一ノ葉にとってそれはぞっとしない。
初馬は答えず、別のことを言った。
「晩飯何にするかな?」
「だから、何を企んでおる!」
一ノ葉が声を荒げた。
「秘密、秘密。あとそろそろいいかな?」
初馬は頷いてから、左手を放した。
「とりあえず、解除」
「ッ!」
操作を解除され、足をもつれさせる一ノ葉。狐耳がぴんと立ち、尻尾が伸びる。多少で
あれ歩く感覚を理解したためか、いきなり倒れることはなかった。
しかし、そのまま歩くことも出来ず、慌てて初馬の左腕にしがみつく。
「いきなり何をする! 転ぶところだったぞ」
「この方がいい」
左腕に掛かる一ノ葉の重さを味わいながら、初馬は答えた。手を握って歩くよりも、腕
を組んで歩く方が嬉しい。これは個人の好みだろうが。
諦めの表情で歩きながら、一ノ葉が呻く。
「貴様は……つくづくアホだな」
以上です
式神馴らし 2話 終了
3話、4話のネタは既に考えていますが、
投下は多分数週間後になります。
>>213 GJっした。次回楽しみにしてますよー。
一ノ葉の外見が俺の中ではすっかりシャオムゥだ…
俺の設定
一ノ葉=狐なホロ
初馬=日本人なロレンス
>>215 作者は違うと言ってるが
ホロとロレンスを意識しているのは明白
ホロとロレンスがわからんかった俺が恥ずかしい
ググってみたけどアニメのキャラなのね
母性全開の狐妖怪と狼妖怪と生活したい
式操りの術で何をするんだろう?
wktkが止まらない
wktk wktk
221 :
コマネコの人:2008/07/04(金) 23:57:38 ID:Lo77ax+r
他の人の小説でwktkしてるところに水をさすかもしれぬが、
続き投稿してもよかと?
とりあえず30分後くらいに前の続き投稿します。
いや、駄目って言われても投稿しますけどね…。
おk
223 :
コマネコの人:2008/07/05(土) 00:29:54 ID:aD9dlPaN
したらば、投稿するよ。
ちょっと長いかも…。
『こ、ここここれはどういうことですか!』
「なにが?」
『さ、さっき私はトドメの一撃をあなたに使おうとして…!』
「あぁ、あれはだな」
簡単に話せばこうだ。
呪符(武器)を使う上において、それを奪われて相手に使われるという事態は強力な武器であるほど避けておきたい事態である。
そのため、呪符ホルダーにはあらかじめ3枚に1枚ぐらいの割合で自分だけがわかるような『ダミー』を潜ませており、その『ダミー』が使用されると、全ての「呪術的要素」がリセットされ、同時に使用者に気絶程度のダメージを与えるのである。
『な、ななな…ずるいですよ、卑怯ですよ!!』
「俺はちゃんと忠告していたんだからな?」
『う、うぐぐぐ、こうなったら…』
「変化すれば、猫に戻った分、小さくなれるから、その流れで捕縛から逃れられると思ったか?」
『ぇ、ぁ、ぁれ、変化できないですよぅ!?』
コマが目に見えて焦り始める。
「ちょぉっとばかし、お前の首に俺特製の『飼い猫の首輪』をつけさせてもらった」
『なんですかぁ、それぇ!』
コマが首を横にブンブンと振ると、首輪についた小さな鈴がチリチリと鳴った。
「それはな、お前の能力を制御するためにつけた。今のお前は俺がそれに許可を出さない限り人並みの女の子と同じ状態にあると言って良いだろう」
『はーずーしーてーくーだーさーいー!!』
チリチリチリリリチリリ。
コマがブンブンと体を動かそうとするが、がっちりと拘束されているため揺れ動く程度にしか動かない。
「まぁ、落ち着けって」
コマののど元を軽く、くすぐってやる。
『…んにゃっ、ごろごろ。…ってやめてくださいよっ!』
若干、目が細まっていたところを見ると、割と気持ちよかったのかもしれない。
「まぁ、兎も角として、一応、俺の立場上お前を退治せにゃならんわけだが…」
『や、やめてくださいよぅ! 私何も悪いことして…んにゃっ!?』
コマの体がビクンッとエビのように腰から跳ねる。
「どうした?」
『な、なんでもないですよっ! …あにゃぁっ!?』
また跳ねた。 絶対何かあるな。
隠し方も切羽詰っているように感じる。
「やっぱり何かあるな?」
『い、いま、私が変化してからどれぐらい経ちましたんにゃぁんっ!? 経ちましたかぁっ!?』
「ん、あ、時間? そうだな最初の変化からは大体40分くらいかな…?」
そう言っている間にもコマの体はビクン、ビクンと跳ね続ける。
ほんのりとだが、顔も赤らんでいる気がする。
『そ、そんなに長い時間…』
「どうしたんだ、事情を話してくれれば助けにならんでもないぞ?」
コマの顔が一層赤みを増した。
『そ、そんなこと私の、ゃぁぁっ…言えるわけ、んにゃぁ…』
な、なんだ、急に色っぽい声を出し始めた。
「へ、変な声出すな! また何か企んでるのか!?」
『ち、ちがっ、ごろごろ…わたひっ、わたひぃ…にゃぁぁ…』
色っぽいと思ったら、急に切なそうな声になり始めた。
『さわってぇ…、お願いですから、触って下さぃぃ…切ないんですぅぅ』
「ば、ばか、なに言ってんだ、おまえは! 少しは場っていうものをだなっ!」
『言いますぅ…正直に言いまひゅかりゃぁ…』
なんのことだ。
『わ、わたひ、長いこと人間になってりゅとぉ…』
ふむ。
『は、はっ、発情しちゃうんれすぅぅ…んぁぁぁっ!?』
あぁ、つまり今の状態は物凄く疼いてしょうがないのだけど、自分では動けないからどうしようもない、という状況か。
良いことを聴いたかもしれない。
これを上手く利用すれば『約束』ぐらいは結べそうだ。
『ひゃ、ひゃぅっ…うにゃぁぁっ!?』
ちょっと耳に息を吹きかけただけなのにこの反応。 いけるな。
「コマよ、何とかしてやっても良いぞ」
『ほ、ほんろれすかぁっ!?』
「ただし条件がある」
『にゃ、にゃんでもいいれふぅ、ひゃやきゅどうにかしてくらひゃぃぃ…!』
「その言葉、二言はないな?」
『ないれふ、ないれふきゃらぁぁぁっ! ひゃやきゅぅぅっ!!』
「心縛術・口約束!!(しんばくじゅつ・くちやくそく)」
途端にコマの体を光が包み込む。
『な、なんれふかぁっ、これ、なんれふぅぅぅ!?』
一瞬、物凄い勢いで光ったかと思うと、それはすぐに霧散してしまった。
『はぁっ…はぁっはぁっ…』
「少し収まったか?」
『な、なんとか・・んぁぅっ!?』
多少の制御術じゃどうにもならんな…。
かと言って相手の意思も尊重せにゃ…
『い、良いですよ…?』
え?
『くーがさん、気を使ってくれなくても…』
「いや、しかしだな、あまりこういう状況になれていないから…」
『い、いいのですっ、この疼きを止めて下さるならどんなことだって甘んじて受け入れます…』
「んーむ…」
『は、はやくしな・・いと・・また来ちゃっ・・来ちゃっ・・・ふにゃぁぁぁんっ!?』
「わ、わわわ、わかった、何とかやってみる!」
と言っても性的欲求による疼きを沈めるって言ったら、アレが最善策だろうが…。
『はやくぅぅ…』
ごくり・・・。
「えぇぃ、ままよ!!」
コマの着物の帯をしゅるりと外してやる。
帯をそのまま地面に落とし、着物の前をはだけてやると、コマの肌はほんのりと紅潮し、その上、うっすらと汗で濡れていた。
苦しそうに上下する胸、心臓の鼓動が強いのかコマの胸は一定のリズムでふるふると揺れていた。
出来るだけ気が迷わないように、俺はまっすぐコマの胸に手を伸ばした。
その手をコマは切なげとも懇願しているとも取れる目で今か今かと誘っていた。
『はぅっ…』
俺の掌がコマの胸に覆いかぶさったとき、コマはぴくりと体を揺らした。
コマの胸は心地良く吸い付くような手触りで、出来ることなら思いのままに堪能したいところだったが、俺は出来るだけ優しく、ゆるやかに、コマをいたわるようにやわやわと揉みこんでいった。
事情が事情だ、欲望のままに、なんて手荒なことはしたくない。
『ふにゃぁぁっ……はふっ、はぁぁぁっ…』
コマの体が俺の揉みこみに合わせて妖艶な舞いを見せる。
『だめですぅ…胸ばっかり、だめですよぅ……これ以上、切なくなったら、わたしぃ…』
コマの息遣いが荒くなっていく。
潤む瞳で俺を求めるようにして見つめてくる。
あまりそんな目で見られると、変なスイッチが…。
『…ふにゃあぁんっ!? あ、あ、あにゃっ…く、は、んんっ…!』
気付けば、俺はコマの乳首に鋭さのあるキスを何度もしていた。
『だ、だめです…変に…なっちゃぃ、にゃぁ…』
キスをそのまま、胸から首筋へ、首筋から口元へと運ぶ。
『んちゅっ…んんっ…ちゅぷっ…』
キスが恥ずかしいのか、コマはうっすらと目を閉じている。
口内へ舌を差込み、お互いの舌を絡ませあう。
コマの舌は猫独特のザラザラとした舌で、最初は違和感があったが舌を絡ませあううちにそれは心地良い感触へと変わっていった。
『んっ、んんぅっ…ぷはっ、んちゅぅっ…くちゅっ…くーがひゃん、ぷはっ…』
「なんだ?」
コマが何か言いたそうだったので、一旦キスを止めて至近距離で見詰め合う形となる。
キスが止まり、離れていくのが若干、名残惜しそうだったが、コマが口を開く。
『お願いです…、逃げないので、呪いを一旦解いてくれませんか…? 決して逃げないことを誓います…今はただ…切なくて…』
何故か、だが。
今、コマが口にしていることは信じられるような気がした。
コマにかかっている捕縛の『呪』を一旦解除する。
途端にツル状の拘束物はかき消えて、コマが解放される。
解放されたコマは重力に従い、俺のほうによりかかるように倒れてくる。
『ありがとうございます…んっんんっ…ぷちゅっ…』
間髪居られずにコマが俺の首と頭に手をかけ、さっきの続きと言わんばかりにキスを始める。
「?」
気付くと、俺の上半身の服が脱がされ始めていた。
『一緒に…気持ちよく…んちゅっ』
駄目だ、流されている、俺、流されている、コマのペースに、流されている。
どうにかして、一旦流れを俺の下に…。
『ついでに下も脱い…あにゃぁぁっ!?』
コマの背筋がぴぃんと伸びて俺の胸に飛びつくような形になる。
『ふゃぁっ、背中、背中だめですよぅっ…!』
コマの背中に上下に線を描くように指を這わせる。
「お前にばかり『してやられる』のも嫌なんでな…」
『そ、そんなっ、わたひっ、ふにゃぁん!?』
俺によりかかるようになり、崩れ気味の体勢のところに追い討ちをかける。
『み、みみっ、みみもだめっ、ですっ、だめえぇぇっ!』
軽く抱きしめてコマを逃げられないようにして、耳元に「ふっ、ふっ」と息を吹きかける。
勿論、背中を這わせる手は休めない。
むしろ、背中を這わせていた手をふとももにも伸ばす。
コマの体が俺の思い通りに体を震わせ、ぴくぴくと弾ける。
『ぅぁ、くっ、ぇ、ぁ、ぃっ…』
俺は這いまわせていた指をコマの秘部へと持っていく。
くちゅっ。
『ん、ふぁっ、ふぁぁぁっ!?』
コマの体が今までは違うほどビクビクッと攣縮を起こす。
「もしかして、今のでイったのか?」
俺はほんの一瞬、コマの秘部に指を這わせただけである。
それほどまでに上り詰めていたということなのか。
『はぁっ、はぁっ、はっ…まだ、足りないです…今のじゃ、まだ…』
228 :
コマネコの人:2008/07/05(土) 00:45:02 ID:aD9dlPaN
とりあえず、今日はこんな感じで。
物語そのものを短く書くのが難しい気がするのは私だけなのかなぁ?
簡潔にまとめられないだけかもしれないけど…。
GJ
欲を言えば地の文を増やしてほしい
GJ
投下するときは、とくになにも言わず投下していいよ
231 :
コマネコの人:2008/07/05(土) 20:30:45 ID:aDW2pN0g
色々と不慣れな部分がある自分にアドバイスをありがとごじゃます。
次からは唐突に投下しまs
質問です!
『地の文』とは?
@エロじゃない、日常会話のシーン(キャラクタのベースとなるシーン)
Aセリフ以外の状況説明文
Bエロシーン全般
ドノアタリデショウカ。
>>231 2番です。
1番はなんていうか知らないけれど、3番は濡れ場。
233 :
コマネコの人:2008/07/05(土) 21:00:34 ID:aDW2pN0g
素早い返事、どもなのです。
とりあえず、現在の作品はそのままの調子で続けて、
次あたりで実験的に色々やってみようと思います。
おそらくこの場合の地の文とは、
・舞台説明(場所や時間など、その場の状況の描写)
・人物説明(登場人物の表情や行動などの外的描写、および感情などの内的描写)
をもっと充実させてみては? というような意味難じゃないかな?
一人称、三人称でこのあたりの書き方がずいぶんと変わってくるから、とにかくたくさん書いて慣れることが大事だと思うよ。
キャラの萌えを描写するには、セリフだけじゃあ物足りなく感じるときがあるからね。
その為には1番も必要だし。
>>23 描写には会話文よりも地の文の方が重要。
一部を除いて、登場人物の特徴は行動に表れる
それを会話文で表現することはまず不可能
また、地の文を適当にすると背景や状況の描写が少なくなり
その場面をイメージしにくくなる。
本人は状況を想像できているのに、
読み手は全く想像できないのはよくあること
些細なものの描写をきっちり行うことにより、
文章にリアリティが出てくる。
一文章書きより
初心者SS書きの俺には
「地の文は大切」ってのよくわからなかったけど
>>233 のを見てとってもよく理解できた。
情報量が非常に少なくなるんですな。
ありがとう。
>>236 そりゃあ最悪地の文なけりゃセリフだけの対話形式になっちゃうわけで・・・
そえでもおもしろければ良いんだけど・・・ね
しかも厨房のネットSSなんかでよく見かけるからイメージ悪いしね>地の文が少ない
>>237 地の文って意外と大変なんだよな
会話文で続ける方が楽だから
つい楽しちゃう
>>237 そうなのか?
俺厨房のころ書いてたSS「地の文が多すぎていけない」って言われてたぜ?
まあその辺の話は書き手控え室でやろうぜ
241 :
コマネコの人:2008/07/06(日) 02:11:47 ID:YeYi1J6m
今、ちょっと全体的に書き終えた部分の文章を見直してきました。
あれですね、設定とか使いたいシーンとかメモしておいたノートがあるのですが
なるほど、今自分の文と比較して読むと、完全に自分の脳内で補完していて、
文章まで描写が回ってませんね…。
(要は脳内妄想で補正をかけてた)
最初のほうぐらいしかマシ(?)な情景描写してませんしね…。
とりあえず、
『読み手がとっぷり世界に浸れるけど、変な言い回しとかでくどくならない文』
っていうのを次回から書いてみようと思います。
色々と波風立ててすみませぬ。
教えて貰ったことを無駄にしないように頑張ります!
七夕ですよ
彦星(あれ? こいつなんかユルくなってね?)
織り姫(…いつまでたっても彦星はヘタクソねぇ…)
七夕は人外萌え的にはいまいちネタにしにくいな
橋となる鶴を擬人化して二人で可愛がるとか
彦星はどうみても天の川に沈んでるんだが。
丸一年天の川さんに囚われる彦星?
狐耳巫女キボン
>>248 こんなところでなにしてるんですか?
水ボッツダルバww
誰がイヤと言おうか。
じゃ、そのうち
水没メイド・・・いやなんでもない
>>257 擬人化した凶暴な♀動物が逆レイプするスレっていうのもあるけどどっちかと言えばこっちっぽい気がする。
>>251 狐の女子高生17歳はだめか?(注:かのこんをイメージしない様に)
実は相手を同年にするか、大学生にするか、美術の先生にするか迷ってる最中。
コマネコの人はどこに消えてしまったのだろう?
264 :
式神馴らし:2008/07/18(金) 20:28:37 ID:7IJkU89q
投下いいですか?
投下が被りそうですね。
私も投下準備完了しましたが、少し長いのでお先にどうぞ。
ではお先に失礼します
生木を蹴ったような、重く鈍い音。
伸ばした足に返ってくる、確かな手応え。
初馬の右足が、一ノ葉の腹へと突き刺さっていた。瞬身の術の踏み込みから、全身の捻
りと脚全体の筋肉を用いて放たれた蹴り。重い手応えがしっかりと伝わってきた。
それも一瞬。
悲鳴も上げずに一ノ葉が吹っ飛ぶ。十メートル近く宙を舞い、地面に叩き付けられ、二
度跳ねる。だが、意識を刈り取るには至っていない。受け身を取るように転がってから、
四つ足で立つ。大きく跳ねる尻尾。
「今のは効いた……。さすがは、白砂の跡取り」
震える脚で何度か足踏みしてから、睨み付けてきた。咥内の血を横に吐き捨てる。血と
泥で汚れた毛並み、焦げ茶の瞳に灯る殺気。
街外れの空き地。最初に一ノ葉の封印を解いた場所である。
初馬は持ち上げていた小太刀を下ろした。口元に浮かぶ苦い空笑い。
「間一髪……でもないか。まったく、予想以上の強さだ。こないだあのまま戦ってたら危
なかったかもしれない、ホント。準備期間あってよかったよ」
左胸から、左肩と左上腕に四本の創傷。焼けるような痛みと、流れ落ちる赤い血。前脚
の爪から放たれた高速高圧の空気、鎌鼬の斬撃だった。
「痛い……。長くは持たないかな? そろそろ決めるぞ」
右手で傷口の上辺りを撫でる。
狙いは首筋だったが、蹴りと小太刀の防御で辛うじて軌道を逸らしていた。それでも術
防御を施された鎖帷子を着込んでいなければ、傷は肺まで達していただろう。
「そうかい」
一ノ葉が妖力を練り込む。口笛のような鳴き声。
口を大きく開き――
咥内から膨れ上がった蒼い狐火が、爆ぜた。百本以上もの蒼い槍と化して飛来する。狐
火の槍。一発の威力はそれほどでもない。だが、この数。防がなければ危険だ。
躊躇はない。初馬は全身に霊力を流し込む。鉄硬の術の防御。
同時に右手を閃かせ、小太刀を投げ付けた。術による加速によって、回転しながら飛ん
でいく刃。当たれば無事では済まない。
「甘い……!」
一ノ葉は横へと跳んで、小太刀を躱す。
そして、目を見開いた。
「ッ!」
その眉間に、全体重を乗せた踵が突き刺さる。骨が軋む、確かな手応え。
真正面から槍の雨を突っ切り、縦回転の胴回し回転蹴り。七本の槍が、防御を貫いて身
体に突き刺さっていた。一ノ葉の目眩ましを、逆に目眩ましとして使ったのである。半ば
捨て身の賭けだったが――賭けには勝った。
受け身も取れず、一ノ葉が地面へとめり込む。
余力を全部絞り出したような一撃に、地面がえぐれた。緩く跳ね上がった一ノ葉に、もう
意識は残っていない。白目を剥いたまま、気絶している。
反動で跳ね返り、両足で着地する初馬。
「これで、トドメだ!」
駄目押しとばかりに狐火の槍を振り下ろした。途中で捕まえてきた一本。
蒼い槍が意識のない一ノ葉を貫く。腹から背中まで、硬度を持った炎が突き抜けた。一
度激しく痙攣し、口から細い炎を吐き出す。肉の焼ける独特の匂い。
妖力の支えを失い、狐火が消える。
一ノ葉は力無く地面に伏していた。全身に打撲と創傷、骨折も数カ所、腹に焦げた穴が
開いているが、これでも死なないのが人外である。
初馬は荒い呼吸を繰り返していた。痛みが強すぎて、痛覚自体がろくに働いていない。
全身から肉の焦げる臭いがしてる。
「決闘は、俺の勝ちだな……」
一ノ葉に告げるように、短く呟いた。
それから三日後の午後一時。
街外れにある月ヶ池医院。表向きは普通の開業医だが、退魔師や人外の治療も行ってい
る特殊な病院。秘密裏というわけではなく、この辺りでは有名である。見た目も普通の病
院と変わらない。決闘の直後に一ノ葉を抱えて訪れた。
「お前、もう治ったのか?」
初馬は病院から出てきた一ノ葉を見つめる。
尻尾を揺らしながら、四つ足でとことこと歩いていた。全身に傷を負っていたはずなの
に、今は元通りに回復している。むしろ、以前よりも健康そうだった。
「貴様はボロボロだな……。人間は傷の治りが遅いと聞いていたが、噂通りだな。それで
も、病院から出られただけマシと言うべきか?」
初馬の横を通り過ぎる。
それに並ぶように初馬も歩き出した。露出している場所だけで、湿布が三箇所。服の下
には、あちこち包帯が巻かれていた。一応動けるだけで、健康とは言い難い。心持ち身体
もやつれている。
応急処置を受けた後、初馬は院長の紹介で近くの市営病院に入院した。全身の重傷につ
いては適当な方便で誤魔化したらしい。一ノ葉はそのまま大月病院で入院。
今日お互いに退院したのだが、回復量には大きな差があった。
「あの怪我だ……普通なら数ヶ月入院だろ。三日でここまで回復したのは、我ながら凄い
と思うよ。回復の術って便利だな」
頭を抑えて、呻いてみる。
大学は一週間の休学を申し出ていた。怪我が目立ちすぎるため、完治するまでまともに
出歩くこともできない。今は隠れ蓑の術を使って外出している。
初馬は右腕を下ろし、微笑んだ。
「一週間前の約束覚えているよな?」
「一応、な……」
一ノ葉の返事。正面を見つめたままの硬い口調。
三日前の決闘よりもさらに五日前。初馬は一ノ葉に決闘を持ちかけた。一ノ葉が勝てば
契約を白紙にして解放する。再び式神にすることも考えない。
「俺が勝てば、俺を主人と認める。ついでに、しばらく俺の言うことを何でも聞く。録音もして
あるから、今更とぼけても無駄だぞ? さっそく実行して貰うからな」
「ああ……」
陰鬱に呻く一ノ葉。気分を表すように、尻尾が下がっている。
二つ返事で了承して決闘を行い、初馬が勝った。街外れの空き地での二十分にも及ぶ激
闘。あらかじめ父親とも相談してあり、病院への予約も付けておいたため、共倒れになる
こともなく治療を受けることができた。
諦めたように、そして腹を括ったような吐息。一ノ葉が顔を向けてくる。
「要求は何だ?」
「まず俺を『ご主人様』と呼べ」
初馬は真顔で告げた。きっぱりと、一分の迷いすらなく。
十秒ほどの沈黙。
諦観と覚悟を決めていても、実際に要求を突き付けられると躊躇が生じるらしい。視線
を泳がせてから、一ノ葉は改めて訊いてくる。
「……で、要求は何だ?」
「まず俺を『ご主人様』と呼べ。次に『よろしくお願いします、ご主人様』と言え。聞こ
えない振りしてると、要求は無制限に増えていくぞ? 語尾に『コン♪』付けろとか」
初馬は再び告げた。やはり、きっぱりと。
一ノ葉の表情が引きつる。無視すれば増える要求。以前なら絶対に嫌だと拒否していた
だろう。しかし、決闘に敗れたことにより、反抗心はある程度削られていた。
首を左右に振ってから、小声で呟く。
「ご、しゅじんさま……?」
「それから挨拶」
初馬は笑顔で促した。
しかし、一ノ葉は狐耳を伏せて尻尾を下ろし、無言のまま見つめてくるだけである。諦
めと呆れと困惑と苛立ちの混じった奇妙な表情。叱られた子供のような、バツの悪そうな
面持ち。気持ちは分からないでもない。だが、見逃す気もない。
初馬は足を止めた。釣られて足を止める一ノ葉。
その場にしゃがみ込み、初馬は一ノ葉の頭に手を乗せる。
「はい、どうぞ」
「………。よろしくお願いします、ご主人様」
視線を逸らしたまま、棒読みで言ってくる一ノ葉。
「まあ、よろしい」
初馬は一ノ葉の頭を撫でる。滑らかな狐色の獣毛。手の平に伝わってくる、非常に心地
よい手触り。以前よりも毛並みが良くなっていた。
「あと丁寧語で話してくれ。ご主人様と呼ばれても、もいつものタメ口じゃバランス悪い
からな。敬語喋れとは言わないけど、そんな雰囲気は出せるだろ?」
「はい……。分かり、ました」
かなり嫌々と頷く一ノ葉。
元々他人に命令されるのが嫌いな性格だ。しかし、罵声が飛んでこないことを考えると、
随分と従順になったようである。
ぽんぽんと頭を叩いてから、初馬は立ち上がった。
「じゃ、しばらく俺の世話を頼むぞ」
「世話?」
訝る一ノ葉。
「そう、世話。退院はできたけど、まだ歩ける程度にしか回復してないんだから、身の回
りの世話して欲しい。お前ももう二本足で走れる程度になったんだし。掃除洗濯しろとか
無茶は言わないけどね」
歩くことはできるが、走ると傷が染みるように痛む。体力もないため、一キロ歩くだけ
でバテてしまう。健康なら十キロくらいは簡単に走れたが、そこから考えればまだかなり
衰弱しているだろう。
「世話か……」
呻く一ノ葉。毎日の練習のおかげで、人間に化けても普通の人間と同じくらいに身体を
使いこなせるようになっていた。
「分かりましたよ、ご主人様……」
投遣りな言葉とともに、一ノ葉はかぶりを振ってみせる。
以上です
続きはそのうち
失礼、本文中で病院の名前修正するの忘れていた。
大月病院→月ヶ池病院
お久しぶりです。18スレの314です。
妖精をネタにして一本書いてみました。
計50レスほどお借りします。一括投下には多すぎるので、前後編に分けさせて頂きます。
エロは後編のみ。本番無し。ENDで少しグロ描写有り、です。
その手の描写が苦手な方はスルー、若しくは『幸運の条件』をNG登録するようお願いします。
妖精スレの方が適しているかとも思ったのですが、あちらは主にホノボノ系のようなのでこちらに投下します。
>272氏
GJ
次からの展開が楽しみですね〜。お世話!お世話!ご主人様をお世話!
275 :
幸運の条件:2008/07/18(金) 22:35:39 ID:gKc6RvOe
――1――
「もし、そこのお若いの…」
「んあ?」
世の中には、カクテルパーティ効果というものがある。カクテルパーティのようなざわめきに満ちた雑踏の中でも自分の名前などは自然と聞き取る事が出来る、というヤツだ。
だが今は、雑踏どころか、通りは寒々しいまでに閑散としており動く気配は一つっきり。名を呼ばれてもいない。
しかし、その声にはまるで魔力でも含まれているかのようで、ざわめき以上に思考を分厚く包み込んでいた霞みをするりと潜り抜けて、呼びかけは青年の意識を揺さぶった。
青年はよたつく足を止め、シャックリでもするかのように危なっかしげにぐるりと辺りを見回す。頭の旋回速度は大分遅い。
が、何も見つからない。
煌びやかに夜を飾っていたネオンも、そのあらかたが落ちた街。所々で落ち着いた雰囲気を纏って光るのは、青年からすれば高嶺の花ばかり。
最終電車は当の昔に終点へ辿り着き、バスは勿論、タクシーさえもほとんど走っていないような時刻。
しばらくの空白の後、青年の頭の中にようやっと戸惑いと疑問が浮かんでくる。
友人知人とも分かれ、あてどなく暗い街を歩いていた青年はこんな町中で自分が呼びかけられるなんて思ってもみなかった。
カタツムリ張りに遅くなった脳でも疑問点までは行くものの、誰に呼ばれたのかと言う答えには一向に辿り着かない。
トロンと澱んだ目は青年の頭が鈍りきっている事を物語っている。
それだけでなく、阿呆のように半開きになった口から漏れる匂いからも、青年がたっぷりと酒を飲んだ後だと言う事は明白だった。
「こっちじゃよ、お若いの…」
再び彼を呼ぶ声がして、そこでようやく青年は声の主の居場所に気付いた。
声の主は、青年を名前で呼んではいない。けして大きな声でもない。せいぜい隣に聞こえる程度の、独り言と勘違いしそうなほどの声量だ。だのに、何故だか青年は自分が呼ばれていると分かった。
「お〜?なんら、婆さん、占い師かあ〜?」
安い居酒屋でしこたま飲んだ後遺症は抜けかけているとは言え、まだまだその足は酔いから抜け出せていない。時々危なっかしくふら付きながらも、青年は老婆へと足を向けた。
互いに寄りかかるようにして建つ細い雑居ビルとビルの境界。
その僅かに出来た間隙にすっぽりと嵌まるようにして、一人の老婆が小さな卓を広げ、その後ろに腰掛けていた。
老婆の顔の上半分はフードが作る影に隠れ、他も暗がりに溶け込むようにして見え辛いが、高く突き出した鼻から日本人ではないと分かる顔立ちだ。
確かに彼の言葉通り、老婆は一見すれば辻占いにも見える。
暗い隙間に陣取り、およそ現代の日本には似つかわしくないたっぷりとしたローブを纏い、すっぽりとフードを被っている。老婆は、占い師と言う言葉のイメージ、そして夜と言う時間の魔力も相まってこれ以上ないと言うくらいに妖しげな雰囲気をかもし出していた。
もしも彼の脳がアルコール漬けで無ければ、きっと彼は違和感を覚えたかもしれない。
276 :
幸運の条件:2008/07/18(金) 22:36:36 ID:gKc6RvOe
辻占いと言えども客商売には違いない。街が賑わいを見せていた時とは違い、時刻が時刻だ。人気も消え失せた街角で、来る宛もない客を待とうとする者はそうそういないだろう。
実際、老婆は姿格好こそそれらしいが、占い師には見えなかった。
それらしい卓こそ広げられてはいるが、卓には筮竹やタロットや水晶球にその他諸々、一般的に占いに使われそうな道具が何一つとして置かれていないからだ。
「んん〜?婆さん、俺の事、占ってくれるってのか?」
そんな事すらもピントのぼやけ切った頭では気付けない。
卓上には占い道具に代わって、別の物が置いてあると言うのに。
老婆の前にある折り畳み式の小さな卓の上には、小さな鳥籠のような物がいくつか鎮座していた。
卓全体を足元まで被うように広げられた灰色のテーブルクロスの上にあるのは、絡み合う蔓草をモチーフにしたと思われる小さな鳥籠。
それは、生きた樹が意思を持って自ら絡まりあい籠になった、と言われれば信じてしまいそうなほど精巧な品だった。
細い蔓が寄り集まり、時には解けて半ば球形をした籠を形作るフレームになっている。フレームには切ったり継いだりした跡も見当たらず、まるで本当に一本の樹から出来ているかのようだ。
蔓のあちこちからは大小さまざまなサイズの葡萄のような葉が、青々とした姿でぶら下がっている。
この籠の製作者の趣味は徹底しているようで、持ちにくさを許容してなお造形に凝っていた。
籠の天辺のリング状の持ち手すらも撚った蔦で出来ている。実用性はともかくとして、創作物や美術品として見ればそれだけでも見事な物だ。
しかし、それ以上に見事なのは籠の中にいるモノだった。
籠の高さはせいぜいが二十センチをちょっと超える程度。さほど大きくはない。また蔓草のフレームが形作る網の目も粗い。その寸法からすると入れるとすれば、小鳥かハムスターのような小さな愛玩動物くらいなものだ。だが、それらは粗い網目の隙間から逃げ出してしまう。
籠の中にいるモノは小鳥でも、ましてやネズミの類いでもなかった。
そのいずれかでも、否、この世界には存在すらしない筈の物だった。
ソレを一匹と呼ぶべきか、はたまた一体と数えるべきか。少なくとも人ではないのだから、『一人』は妥当でないのは確実だ。
人間、それも見目麗しい異国の少女を十分の一に縮めた上で背中に翅を生やせば、籠の中にいるモノになるだろうか。
鳥籠の底の小さな円形の床の上、膝を抱えて丸くなりピクリとも動かないのは、一体の妖精だった。
(最近のフィギュアってのはすげーなー)
目を丸くしながら籠の中を見詰める青年の、それが最初に浮かんだ感想だった。
青年の目がそちらに集中し、鈍った頭でもソレが何かを把握した頃合を見計らう。もっと違う角度から良く見ようと青年が体を動かし始めた頃、老婆は口を開いた。
老婆は先ほどの青年の質問には答えず、にやりと大きく笑って見せる。
お伽噺に出てくる魔女みたいな笑いを見せながら、老婆は青年に話しかけた。
「どうかね?お若いの。見事なもんだろう」
人間誰しも自分のとっておきを自慢するとなれば、顔の一つも緩むものだ。
277 :
幸運の条件:2008/07/18(金) 22:37:06 ID:gKc6RvOe
肌はくすみ、皺だらけだが不思議と気力溢れる老婆の顔には、お客への愛想笑いと得意げな笑みが同居していた。
この時点になって、開店休業状態だった青年の脳味噌もようやく仕事をし始める。
いくつかの事柄を結びつけて、回答を出す。
「あー分かったぞー。婆さん、俺にコイツを売りつけようってんだろ?金なんかねーぞぉ?」
全部飲んじまったからな。
青年はそう言うや、げふぅっとアルコール臭を盛大に撒き散らしながらケラケラと笑った。
うざったい売り込みが始まる前にとっとと帰るか。
脳がアルコール漬けで働かないと言っても、その程度の感想は出てくる。が、青年が踵を返すよりも早く、老婆の言葉が彼の足を縛りつけた。
ほんの一瞬前まで思っていた事は、老婆の一言によってあっさり引っくり返された。
「いやいやいや、お代なんか頂戴しないさ。お若いの、アンタが欲しいと言うのなら差し上げるよ」
随分とおどけた口調の老婆。
両の掌が否定の形にヒラヒラ振られ、ついで青年に向かって差し出すようなジェスチャーをする。
ただでくれる、と言う。青年の側から無理に「ただでよこせ」と頼んだ訳でもない。
ならば断る道理はない。
「ふーん。くれるっつーなら貰わないでもないんらが……そいつぁ、販促かあにかか?」
隠そうとして隠れていない欲望丸出しの青年の問いにも、老婆は口元を歪め、曖昧な笑みを浮かべるだけ。
青年には老婆の意図がまるで読めなかった。
頭を捻ったものの、身体中に残るアルコールのお陰で物を考えるのがひどく鬱陶しく思える。頭の周りにまとわりつく小蝿を追い払うように、青年は考える事をあっさりと放棄した。
仮に青年が正常でも、彼は正解を言い当てる事は出来なかったろう。彼が取り立てて愚鈍だから、と言う訳ではない。それが誰であったとしても、老婆の思惑を見抜ける人物など人の世には存在しない。
「婆さん、それ、ほんろにくれるのか?」
数秒前まで感じていた薄気味悪さは、物欲の前に霞のようにすっかり消えていた。
「ああ、本当だともさ。可愛がってやっとくれ」
さあ、どうぞ。
どれか一つを選べ、と深い皺が刻まれ節くれ立った手が籠を指し示す。
老婆の手に促されて、青年は籠の一つを手に取ろうとする。しかし、籠の上空を青年の手は行きつ戻りつ。たっぷり数分も悩んだ末にようやく一つの籠に手をかけた。
老婆が肩を小刻みに揺らした。笑ったのだ。満足そうに仕草のみで笑いながら青年に語りかける。
278 :
幸運の条件:2008/07/18(金) 22:37:30 ID:gKc6RvOe
「確かに彼女をただで差し上げるがの、その妖精にはいくつか守るべき事柄がある。
それさえきっちり守れば、妖精はきっとアンタに幸運を授けてくれるだろうよ」
老婆の顔と声から笑みが消えた。
商売人の顔から一転、厳かに言いながら老婆は親指と小指を畳んだ右手を示して見せた。
立っている指は三本。つまり、守るべき事柄は三つ。
「一つ。妖精だって飯を食う。
毎日、指貫一杯分の牛乳と蜂蜜を与えてやる事。ちゃんと新鮮なやつをじゃぞ?」
老婆が薬指を折る。
お前さんだって飢えるのは嫌いじゃろう?、と老婆は青年を見上げる視線で語る。
青年は納得したのかしてないのか判断しかねる微妙な顔で、曖昧に頷いた。
フィギュア、それはつまり樹脂や粘土の塊に過ぎない。
模型が飯を食ってたまるか。
この老婆は人とは違う物が見える可哀想な人物なのか、それともそういう設定なのか。文句を言って返せと言われるのも嫌なので、青年は黙って聞く。
「二つ。彼女は飯を食うだけじゃ生きてはいけん。腹と同様に心も満たしてやらねばならん。
そうせんと、いずれ心が飢え死んじまうからの。そこらへんは人も妖精も似たようなもんじゃな。
その娘は風属の妖精、流れる空気の中でこそ輝く娘。だから、毎日一回は自然の風に当ててやる事」
中指がゆっくりと折りたたまれる。
青年の思案を置いて、老婆は淡々と先へ進む。
「最後に三つめ。こいつが一番大切な事さね。
彼女はまだまだ若い。無垢な心を鎧う術は未熟じゃ。妖精は人の世にあってはか弱い存在にすぎんのじゃよ。
……故に、絶対に怖がらせたりしない事」
ゆっくりと、それこそ幼児に聞かせるように噛んで含めるような口調で言う。
教えられている当の青年はと見れば、アルコールの後押しする無礼さで老婆の言葉なんかほとんど聞いちゃいなかったが。
籠を引っくり返す暴挙にこそ出ていないが、青年は籠を上から下から、試すがめつ眺めていた。
怖がる?フィギュアが?
279 :
幸運の条件:2008/07/18(金) 22:37:57 ID:gKc6RvOe
彼としては、籠の中で妖精が本物で老婆の言葉が事実だ、なんて欠片も信じてはいなかった。
彼がそれなりに丁寧に扱っているのは、ただ単に下手に動かして中の良く出来たフィギュアが壊れると困ると言うだけだ。話を聞いているのだって、老婆が機嫌を損ねて折角くれると言っている物を「返せ」と言われるのが嫌で、最後まで付き合っているに過ぎない。
そんな青年の無作法にも、老婆は気を悪くした風でもない。
「ただし、気をつける事だね……お若いの」
囁くような声で老婆がボソリと呟く。
妖精に見入っていた青年が、ぞくり、と身を震わせた。
若いのか年老いているのか、男なのか女なのかすらもあやふやな不思議な声音。それもごくごく小さい。それは、どこからか緩く吹き始めた風音にさえ吹き消されてしまいそうな程だ。
だと言うのに。
青年には老婆の言葉が聞こえた。
老婆の口元がもごもごと動いて何事かを喋っているという認識しか出来ないのに、その癖、老婆が何と口にしているかはしっかりと理解できる。まるで耳を通りこして、脳に直接話し掛けられているような感覚。
知覚と認識の差がズレを産み、目眩となって青年を襲う。
はじめは真綿で絞められるようだった違和感は、あっという間に恐ろしいほど強烈になって精神を蝕む。
目に映る全てから急速に現実感が失われていく。
胃から何かがせり上がる。地面が頼り無く波打ち始める。
老婆の言葉は続く。
「約束を違えて妖精を裏切った時、アンタはとてもとても大きな代償を支払うことになるだろうよ」
「ば、ばーさん、あんら、らに言って…」
それ以上は言葉にならなかった。
鈍痛と眩暈が青年の意識を掻き混ぜてクラムチャウダーみたいに変えていく。
老婆の背後にわだかまる暗闇が、じわじわと領土を広げ、街灯の光を侵蝕し始める。
「その事を、ゆめゆめ、忘れんことだね」
ぐらりと一際大きく視界が傾いだ。
加速度的に広がり続ける暗闇は既に老婆を飲み込んでおり、ついで大波のように膨れあがり、青年に圧し掛かってくる。
老婆の言葉が終わるか終わらないかの辺り。
そこで青年の意識は闇に飲み込まれ、途絶えた。
280 :
幸運の条件:2008/07/18(金) 22:39:30 ID:gKc6RvOe
――2――
音楽が鳴っている。
携帯電話の安っぽいスピーカーから流れる音楽。好みの問題よりも、流行っているから、と言うだけの理由でダウンロードした曲だ。
いつもと同じ、どうと言うことのないアラーム。
だが今の二日酔いの頭には、地平線の果てまで鳴り響く割れ鐘のようにも思える。
「ぐっ……つーっ。あたま、が、いてぇ」
そんな青年の苦しみなど機械の知った事ではない。
青年の携帯電話は、事前に与えられていた任務をただただ淡々とこなす。血の通わぬ冷徹な機械は、青年の体調など気にかけずに彼を叩き起こそうとする。
無理やりに覚醒させられた青年が布団の中から身を起こした。墓場から蘇ろうとするゾンビのような動き。
動く死体のような青年の耳に、携帯電話の音楽に合わせて、もう一つの音が聞こえる。
突き刺さるような電子音とは全く異なる、心地良い鳥の囀りが聞こえる。
だが、スピーカーからの流行のポップスに合わせて歌う鳥なんかがいるものだろうか?
それに、なんか妙に女っぽい声色の鳥だ。
そんな事を体と同じくゾンビ同然の頭で考えながらも、携帯電話を捜し求めて動く。
昨晩はどうやって家まで帰ってきたのか、青年にはさっぱり記憶がなかった。記憶同様に放り出してしまったようで、彼の携帯電話もどこに置いてあるのかよく分からない。
記憶がない間に何かをやらかしてはいないか、と不安が青年の頭をよぎる。記憶を引っ張り出して確認したかったが、今はとにかく、二日酔いの頭の中に鈍痛を引き起こす音を止めたかった。
無造作に放り投げられたと見えて、部屋の隅にようやく求める騒音源を探し当てた。
拾い上げる。
ピッと言う短い電子音と共に延々とループしていた曲が止まった。
「Pyu?」
鳥の囀りは止まなかった。
気持ちよく歌っていた最中なのに不意に演奏を止められて、少し不満げな音を可愛らしい唇から漏らしながら伴奏相手を見やる。
伴奏者、つまりは青年の携帯電話を。
鳥籠の中から一対の視線が、青年の方向に向けられていた。
そこには文字通りの意味で小さな少女がいた。
小さく可憐で、無邪気そうな雰囲気をまとった、青年がフィギュアだとばかり思っていた小さな少女が。
まだアルコールに漬かった酔夢から抜けきっていないのか。そう自問する青年の顔が、少女が存在する事自体が信じられない、と如実に物語っている。
その視線の先、青年の心中を分かっているのかいないか。おそらくは何も考えていない態で、長く薄青い髪の毛の先端をくるくると指に巻きつけて弄びながら、少女は歌い続けている。
薄手のワンピースドレスから伸びる四肢は伸びやかで、若いが幼さを感じさせるほどふっくらとはしてない。かと言って成熟とも縁遠いようで、まだまだ熟しきっていない胸も腰も腕も太股も細い。
細いが脆そうな感じはせず、嵐が来れば柳のように柔軟に撓って彼女を攫おうとするあらゆる魔の手を受け流すだろう。
肌は白い。不健康な絵の具のような白さではなく、夏の午後の晴れ空に浮かぶ白雲さならがに透明感に溢れていた。
青年と止まった彼の携帯電話を見詰める瞳は、形の良いアーモンド型で、ほとんど白目の部分がなかった。眼孔ほぼ全てが薄青に染まり、そこだけ一際濃い青の瞳孔が、愉快そうな雰囲気を湛えて携帯電話を見ている。
少女のシンプルなワンピースは背中が大きく開かれて、やや露出度が高めになっていた。それは見る者にエロティシズムを掻き立たせる為のデザインではない。
純粋に物理的な理由であり――彼女が物理法則に拘束される存在なのか否かは置いておくとして――その背中の肩胛骨の辺りからはトンボのような翅が、二対四枚、伸びているからだ。
281 :
幸運の条件:2008/07/18(金) 22:40:29 ID:gKc6RvOe
ジョン・アンスター・フィッツジェラルドを初めとする幾多の画家がモチーフとし、彼らの描いた妖精絵画の中から抜け出してきたかのような存在。
絵の中にいるのが飽きたから抜け出して来た、と言われれば信じてしまいそうな存在。
そう、まさしく少女は妖精としか呼べない存在だった。
その御伽噺や幻想文学の世界の住人である妖精が、青年の部屋にいて、鳥籠の中で楽しそうにハミングしている。
さすがに全ては覚え切れなかったと見えて、ところどころ誤魔化すような途切れ途切れのメロディラインは、ついさっきまで青年の携帯電話から流れていた曲に間違いない。
歌う妖精を視界の端に収め、青年は顔を顰めた。
アルコールの所為でだいぶ途切れがちの昨晩の記憶を、疼く頭痛を押し退けて何とかサルベージする。ようやく、夜更けに交わした老婆とのやり取りがぼんやりではあるが浮かび上がってきた。
会話の一端を思い出せば、それに引きずられるようにズルズルと幾つもの記憶がぶら下がって這い上がってくる。
エア。
澄み切った大気の名。
それが彼女の名。
その内心の呟きは口から漏れていた。
「Lyuuu!」
自らの名を呼ばれた、と思ったのだろう。
破顔一笑。
美しい可愛らしい、などのおよそ考えつくポジティブな要素のみを切り出してきて、そのままギュッと人型に凝固させたかのような笑顔。
幻想の中でのみ咲く花が顕れた。
そう青年に錯覚させるほどの可憐な笑顔である。
その浮世離れした笑顔を前にしても、青年にできることはと言えば、ぽっかりと口をOの字に開けて間抜け面を晒す事だけだった。
青年は彼女がロボットなのかとも思った。
が、それを瞬時に自分で否定する。こんな精巧なロボットが実用化されているなんて聞いたことがない。よしんば実用化されていたとしても、タダで貰えるほど安くは無いだろう。
自分が幻覚を見ていたり、頭がおかしくなったのかとも思った。
思わず、拳固でごすごすと側頭部を叩いてみる。極めて古典的かつ原始的だが、少なくともこれ以上の確認手段は青年にはなかった。
ただでさえ二日酔いで痛いのに、さらに痛かった。
「Pyuluu?」
自傷に走る青年の様子を、鳥籠の中の少女が小首を捻って不思議そうな顔で見つめていた。
痛みに青年の精神が正気に戻って、鳥篭もろとも少女が煙のように消える気配はないようだ。
選択肢は次々と消去されいく。
残る可能性は一つだけ。あまりと言えば、あまりの事実。青年がそれを認めるには結構な勇気がいった。
「こいつは、本物の、妖精…だってのか……?」
ただ呆然と呟くのが青年の限界だった。
日常会話で口に出すにはちょっと恥ずかしい単語だったが、そんなことは気にならず、認めがたい事実を自分に言い聞かせるように青年はそれを呟いていた。遭遇した事態があまりに突飛だと、人間の感情は上手く働かなくなるらしい。
にわかには信じがたい事ではあるが、彼女が妖精であると、そして妖精は実在すると信じる他ない。
ただ淡々と事実を受け入れていた青年に、他の事実が襲い掛かる。
282 :
幸運の条件:2008/07/18(金) 22:41:13 ID:gKc6RvOe
時の神は誰に対しても公平だ。それが、およそ現実離れした状況に放り込まれて茫然自失状態の青年であろうとも。
携帯電話の時刻表示が瞬いて、青年に時を告げていた。
それは本来のアラームの時刻よりも、ずっと遅い時間を示している。青年が起きる切っ掛けとなったアラームは元々のアラーム時刻ではなく、延々とスヌーズ機能が働いて鳴り続けていたものだったのだ。
「って、うおぉ、やべぇ!もうこんな時間かよ!」
「Pyuii?」
そんな青年の突然の慌てっぷりを、籠の中の妖精は不思議そうな顔で見詰める。
この青年は大学生の身である。
そして今は長期休暇中ではない。無論、授業がある。それも、並み居る教授陣の中でも取り分け厳しい事で知られる教授の担当する授業が。
そんなに厳しい筈がないと高を括って遅刻や無断欠席をした連中は残らず泣く羽目になった。
その授業開始まで、あと僅か。
大学生活を、苦労した受験戦争の末に勝ち取った遊びの時間と考えている青年にとっても、こればかりはすっぽかす事は出来なかった。
件の教授の一存で留年した生徒の数は、先輩達から聞き及んでいた。数えるには一人分の両手足の指では足りないぐらいなのだ。
彼とて空気は人並みに読める。当の教授が、彼のような学生を眼の敵にしているのは気づいていた。遅刻程度でもやらかせば嬉々として理不尽な――世間的には至極まっとうな――ペナルティを突きつけてくるのは目に見えている。
「やっべーぜ!マジやっべえっつーの!」
奇声を上げて洗面台に突撃する。
「Kyuri?」
エアの訝しげな声が青年の背中に投げかけられるが、今の彼に相手にしていられる余裕はない。
ざばざばっと顔を乱暴に洗う。
壁にかかる半ば汚れたタオルで水気を拭いながら自分の服を確認する。
昨日と同じ服、着の身着のままだ。どうやら昨日帰ってきてそのまま倒れるように寝たらしく、服は皺だらけだが気になんてしていられない。
半分外した辺りで気力が尽きたようで、テーブルの上に乱雑に置かれたアクセサリをじゃらつかせて慌しく身に付ける。財布と携帯電話をポケットにねじ込んで、そのまま転がるようにして外へと飛び出していった。
ドアの乱暴に閉まる音。鍵がかかる金属音。
足音が次第に遠ざかっていく。
唐突に訪れた静寂の中。
「Pyuu?」
残された妖精が小首を傾げていた。
腕組みをし、くりっくりっと首を捻るその度、艶やかな髪がさらさらと左右に流れる。
如何にも『アタシ悩んでます』と言う感じで眉間に皺を寄せ、彼女の小さな頭の周りにクエスチョンマークが飛び回っているのが見えそうなほどの悩みっぷりだ。
そうして、彼女は彼女なりの結論へと至ったのだろう。
再び破顔一笑。
「Pyuruieeee!」
四枚の透き通った翅をピンと立て、妖精が可愛らしい囀りを立てる。
それはどことなく得意そうな雰囲気を持って、静かになった室内に響いた。
283 :
幸運の条件:2008/07/18(金) 22:41:49 ID:gKc6RvOe
――3――
大学構内に辿り着いた所で、始業のチャイムはとうの昔に鳴り終っていた。
どれだけ急いだとしても既に無駄な足掻きに過ぎない。むしろ、この勢いで教室に突撃でもしようものなら、当の教授のさらなる反感を煽るだけだろう。
それでも走った。
それが己のしでかした不始末のペナルティとは言え、この青年は座して沙汰を待つほど、潔くなかった。
構内をすごい速度で走る青年を、周囲の人間が不思議そうに、または焦った様子を対岸の火事とばかりに面白そうに見やる。
「あれー、健二じゃん。ナニ走ってんの?」
「う、お?」
息せき切って走る青年、健二を横合いから不意に飛んできた声が捕まえた。
「え……?!あれ、オマエ、授業は?」
いる筈の無い人物から声をかけられ、健二は急ブレーキをかけて停止する。
ぐるぐると最悪の予想がループする思考は狭窄し、目の前しか見えなくなっていて健二には、すれ違った学生が彼の友人の一人だとは気付けなかったのだ。
友人は彼と同じ講義を取っている。そいつがココにいると言う事は、友人も何かを諦めたと言うのだろうか。
戸惑いと、道連れが出来たという嫌な喜びを、友人の言葉が打ち消した。
「あぁ、カマタの授業な、今日は休講だってさ」
「き、休講?」
まさしく降って沸いた幸運。
急展開する事態に、青年は友人の言葉にただオウム返しに尋ね返すのが精一杯だった。
「なんでも通勤途中で車がパンクしたとか?そんでもってJAF呼んでも全然こねーから大学これねー、とか助手が言ってたぜ?」
無駄に急いで損したな。
焦りの表情から一転、ぽかんとした表情を浮かべる健二に、そう言わんばかりの軽薄そうなニヤニヤ笑いが投げかけられた。
「は……ははっ!なんだよ、休講かよ!ったく、急いで損したぜ」
安堵のせいで意味もなく発せられる乾いた笑い。
今更ながら額から頬から顔中をダラダラと伝う汗にようやっと気付き、それを拭い、照れたような仕草で頭を掻き、
「いやーラッキーラッキ……」
そこで凍りついた。
284 :
幸運の条件:2008/07/18(金) 22:42:25 ID:gKc6RvOe
健二が口にしたある単語が、彼の記憶を強く喚起する。それは彼の思考を凍りつかせるのに十分な威力を持っていた。
自分の発した言葉の意味と、自分の部屋にいる小さな妖精の姿の間に連想の糸が繋がる。
ついで可憐な妖精と老婆の姿が脳裏に繋がる。
そこまで来れば、後はすぐだ。
老婆の言葉が蘇る。
「……妖精は幸運をもたらしてくれる。あれはマジだったのか…?」
おっかなびっくりと言った様子で小さく呟く。
「ん?なんか言ったか?」
いきなり様子の変わった健二に友人が尋ねるが、健二は応えない。今の彼に、応える余裕は無い。
先ほどとは違った汗が一筋、たらりと顎を伝う。
信じる以外に現実と折り合いがつくような選択肢は無いのだが、口に出して確認でもしなければ信じられそうもない。
老婆と出会ったのが今日未明。エアと会ったのが今朝方。命拾いしたのが、ついさっき。
起こった事は常識ではいかにも考えられない事だが、それをただの偶然と切って捨てるには、あまりに作為めいたタイミングであった。
途切れがちな記憶に残る老婆の言葉。部屋にあった鳥籠。その籠の中で歌う少女、妖精のエア。
それらを一つ一つ思い返していく。
馬鹿な。
それが最初に健二が抱いた感想だった。心中、それを鼻で笑い飛ばそうとし、出来ずに終わった。
教授が乗っているのは抜群の信頼性を世界に誇る日本車だ。年式も新しい部類に入る。定期的にメンテナンスを受けている限り、そうそう壊れはしない。ましてや教授には車を乗り回す趣味などまったく無く、主な用途は通勤がほとんどだった。簡単にパンクなどしない。
たまたまエアを貰った日に寝坊して、たまたま教授の車のタイヤがパンクし、ロードサービスも手一杯で、たまたま致命的な遅刻をしそうになる事態を避けえた。
こいつはいくらなんでも出来すぎじゃないか。
「い、いや、なんでもない」
友人の言葉に、随分と遅れて健二は心ここにあらずといった感じで答えた。
じっとりと湧き出した汗で背中がやけに冷たい。
「ふーん。ま、いいけど」
そんな健二の不審げな様子を気にも止めずに、
「残りのコマはメンドっちい授業は入ってないし、どうよ?行かね?」
285 :
幸運の条件:2008/07/18(金) 22:43:04 ID:gKc6RvOe
左手を差し出して腰程度の高さに留め、右手を後ろに引いて見えない棒を握ってシュッと前に突付く仕草をする。
ビリヤード。健二と彼の友人達がハマッている遊びだ。
バイトの無い夜に、時には授業を放り出し昼から缶ビールを呷り、大学生向けの安っぽいプールバーで夜通し騒ぐのが彼らの常だった。
無論、酒の入った大学生がお行儀良く勝敗のポイントだけを競い、お互いのプレイを紳士的に称えあうのみで済ます筈が無い。
彼らの間では恒常的に一万円札が行き交っていた。酒の入り具合と興の乗り方次第では、一人につき一万円札が数枚飛び交うのも稀ではなかった。それも一プレイで、だ。
そんな風に破目を外し過ぎたとしても、眉をひそめたり押し留めようと何か言う者はいなかった。
馬鹿騒ぎをした挙句、金が手に入ればいい。ただ、それだけ。
いちいち、そんな"ウザッたい"事を気にするヤツは健二の交友関係の中にはいなかった。
「いや、俺は今日はいいわ…」
健二は、仲間内ではそこそこ強い部類に入るプレーヤーだ。
常ならば魅力的な誘いであるが、今の彼はとても球を突いて遊ぶ気にはなれなかった。健二にはもっと優先すべきことが出来ていた。
彼の胸を締め付けるのは、焦りにも似た、漠然とした不安感。
それを消したい。
だが、この不安感を消すには家に帰るほか、帰ってもう一度エアをこの目で見て、妖精の実在を確かめるしか術が無い。
「あー、悪い。ちょっと用事思い出したんで、家に帰るよ」
適当な理由をでっち上げて誘いを断る。
少々不自然だったが、まさか本当の事を言う訳にもいかない。言ったところで信じてもらえる可能性は欠片もなかったが。どちらかと言えば、医者に連れていかれる可能性の方が高いだろう。
「なんだよー、つきあいワリーなー」
友人は彼の理由を追求しなかった。
たわいない口先だけの悪態を少しこぼして、健二をあっさりと解放してくれた。
「まぁ、用があるんならしゃーないか。んじゃ、またな」
「お、おう…またな」
ぎくしゃくとした動きで手を振り、踵を返す。そのまま、何かに急かさせるように足早に立ち去った。友人からはもう見えなくなっていたが、その目には酷く真剣な光が浮かんでいた。
友人は去っていく健二を気遣う素振りも見せず、
「お!トッシーじゃん。オマエ、今日は暇?暇っしょ?どうよ、突きに行かね?」
通りかかった他の友人に、さっきと同じように声をかけた。
286 :
幸運の条件:2008/07/18(金) 22:43:57 ID:gKc6RvOe
――4――
ごくり。
知らず知らずのうちに湧き出した生唾を飲み込んで、深呼吸を一つ。
そこは自分の部屋だというのに、何故だか健二はドアを開けるのに随分と勇気を要した。
「Lyu?Pyaou hyapyaa?」
果たして、彼女はそこにいた。
「夢じゃ……なかった」
抱えられるくらいのサイズをした鳥籠の中からは、エアがわくわくした表情で健二を見上げていた。
大粒のサファイアのような、白目部分が無い人にあらざる双眸がきらきらと煌いている。
エアは日本語を話せない。唇からは小鳥の囀りにも似た音しか紡いでいない。そもそも、その音の連なりが妖精の言語なのか否か、は健二の手には余る疑問だった。
それでも、
(ねぇねぇ、どうだった?)
と、彼女が聞いているのくらいは分かった。そして、何について『どうだった?』のかが分からぬほど健二は愚鈍ではなかった。
小さな子供が自分で作った何かしらの出来栄えを見せて、それについての感想を求めている。
そんな様子を連想させる。
どの言語を使って、なんと返したものか。
とても難解な問題だったが、わずかに頭を捻りながらの思案の後、結局、健二は素直に慣れ親しんだ言葉で返した。
「助かったよ。ありがとう」
途端、エアの顔がぱあっと明るくなった。
褒められた。
と、知ったのだろう。
彼女が微笑んだ。まさしく、野に咲く花のようなと形容するのがぴったりの可憐な笑顔だった。
それにつられて、健二の口元も綻ぶ。同時に彼の顔には安堵も浮かんでいた。エアは日本語は話せなくても、こっちの意思は通じるらしい。
正確に言えば、エアは健二の言葉は良く分かっていない。ただし、彼の感情ははっきりと感じ取れている。
妖精達、特にエアのような種族は高い共感能力を有する。
エンパシーと呼ばれ、誰かの感情をそれがまるで自分の感情であるように感じ取れる――感じ取ってしまう――力。
テレパシーとは違うので他人の思考そのものは分からないが、感情は的確に共感出来るので、その誰かが考えている事はある程度の推測は出来る。
完全に感情を殺せるような無機質な人間はそうそういないし、常人が何とか押し殺そうとしても無駄なくらいに妖精のエンパシー能力は高い。
人間でもごくごく稀にこの能力を持つ者も表れるが、妖精はそれとは比べ物にならないほど力が強く、他者の感情に敏感だ。
誰かの抱く喜び、楽しみ、愛しみは妖精へと伝わる。
それは人が言語や行動を介さねば想いを伝えられないのに対し、遥かにダイレクトで濃密なコミュニケーションだ。
感謝されるのは心地良い、とエアは思った。
事実、健二の感謝の気持ちはエンパシーによってエアへと伝わり、彼女の心をふわりと暖かくしていた。
でも、それだけじゃ足りない。
287 :
幸運の条件:2008/07/18(金) 22:44:27 ID:gKc6RvOe
エアは、自分とは全く違う髪の色をした青年を見上げる。
早くくれないかな。
小さな妖精からすれば巨人にも等しい人間を見上げて、熱い眼差しを送る。
どうやって言語を介さずに自分の考えが伝わっているのか。具体的な事は何一つとして健二には分かりようも無かったが、僅かなやり取りでエアと意思の疎通が可能なのは理解できた。
そして、健二も彼女が何かを自分に期待しているのが分かった。目は口ほどにモノを言う、とはよく言ったものだ。
老婆も言っていたように、妖精の幸運とはけして一方通行な奉仕ではない。人間同士で交わすそれとは趣を異にするが、あくまで契約なのだ。契約の一方は既に成された。
ならば払われるべきは代価、報酬。それをエアは求めている。
エアのコケティッシュな容姿にあわせて、釣り合うように言葉を装うならば。
彼女はご褒美を求めている。
「あー、なんだったっけ。エロ漫画的な意味での『ご褒美』じゃないよな……」
酔いのヴェールのかかった記憶はおぼろげだ。
そんなアホな事をちらりと呟きながら、健二は途切れがちな記憶から老婆の言葉を思い出す。
「確か、蜂蜜と牛乳、だったかな」
今一つ不確かな自分の記憶を指差し確認するようにして、健二はわざと小さく口にした。
「Lyes!」
途端、エアの表情が先ほどにもまして明るくなった。
さらには開いた花のような小さな掌を打ち合わせて、パチパチと拍手まで送っている。
その仕草は、良く出来ました、と言わんばかり。
「ふぅ、良かった。当ってたか。で、だ。合ってたのはいいとして」
クイズ番組じゃないのだから答えだけ合っていても仕方が無い。
健二は、冷蔵庫と乾物などの食料品の入った棚の中身を脳内で再現しようとする。
彼は一人暮らしだ。その生活ぶりから外食で済ましてしまう事も多い。と言うか、確実に自炊する回数の方が少ない。
「蜂蜜は……絶対にねぇな」
自炊したとしても、普段の食卓に蜂蜜を使うようなレシピは稀だ。甘党だったり、お菓子作りが趣味だったりしないと、あまり縁は無いだろう。それは健二も例外ではなかった。
彼の呟きを聞いた途端、春の太陽のように温かだったエアの表情が少し翳る。
すぅっと薄雲が日を遮るように彼女が暗くなるのを見て、慌てて健二は冷蔵庫に走りよる。
何かを誤魔化すようにバカに明るい声と共にドアを開けて、
「えー、牛乳はっと」
あった。
冷蔵庫のドアポケットに刺さっていた牛乳の一リットルパックをひょいと取り出す。
牛乳パックに記載された消費期限の日付は、ちょうど昨日を示していた。
「Pyo……」
誰が好き好んで痛みかけた牛乳のような危険物を飲みたがるだろうか。
花が萎れるようにエアの表情がさらに曇っていくのを見るや否や。
数時間前と同様、いや、それ以上の勢いで健二は部屋を飛び出していった。
288 :
幸運の条件:2008/07/18(金) 22:44:53 ID:gKc6RvOe
――5――
引っくり返したペットボトルの蓋を盃代わりに、エアがとびっきりの笑顔を浮かべている。
伝統的に妖精への報酬と言えばコップ一杯のミルクが相場と信じられているのだが、コップ一杯だとエアの場合は牛乳風呂になりかねない。なので、彼女への報酬は指貫サイズとなる。
しかし何故にペットボトルの蓋かと言えば。
現実問題として指貫が手に入らないので似たような品で我慢してもらった結果だった。
指貫は、針仕事全般に疎い男の家にホイと転がっているような品ではない。それなりに専門的な道具なので、手芸品店でも行かねばなかなか手に入らない。第一、健二は指貫という単語の意味を知らなかった。
スーパーの袋をぶら下げて帰ってくるなり必死の言い訳を始めた健二を、エアは笑顔で許した。
器が指貫でなくペットボトルの蓋なのも、同じく笑顔で許した。
この場合、道具は大して重要ではない。
誰かの為を想い行動しようとする、その心意気こそが大切なのだから。
誰かが心の底から信じてくれる限り。たとえ何があろうと想ってくれる限り、エアはこちらの世界に在り続けられるのだから。
(ちょっと不安だけど……この人なら大丈夫かなぁ)
そして、こちらの世界に在り続ける事こそ彼女の望みなのだから。
指貫を手に入れるのが若干前後しても誤差の範囲と、母様も許してくださるだろう。
そう思いながら杯を傾ければ、トロリとした液体が喉を伝い落ちていく。
健二は良い品を買ってきてくれたようだ。
甘さはくどくなく、喉を落ちていく度に上品な香りはふわりとエアの鼻をくすぐる。
その甘さを堪能するかのように、エアは手中ならぬ懐中の杯に満たされた蜂蜜を舐めるように飲んでいる。
目は細められ、背の翅はリズミカルに震え、実に嬉しそう。もっとも、甘い物嫌いが見たらそれだけで胸焼けしそうな光景ではあったが。
蓋自体は小さいが身体のサイズの比率からすればエアには結構な量になりそうなものだが、人とは身体の構造が違うのか、エアが飲むのを止める気配は無い。
時折、杯を変えては、コクコクと喉を鳴らしてよく冷えた牛乳を飲む。
こちらも嬉しそうに目を細めて味わっている。
よほど美味いのか、可愛らしい鼻歌までこぼれる有り様。
そのあまりに嬉しそうな様子に、自然、健二の頬も緩む。
今は落ち着いている彼も、鳥籠に扉が無いと分かった時はどうやってコップ代わりの蓋を入れようかと焦りまくっていたのだが。フレームの網目は粗く隙間だらけで、それに気付くのに手間取った以外は別段、苦労せずに手渡せたけれど。
「鳥とかと違って、中から受け取ってくれるっていうのは助かるな」
そんな取り止めの無い事がポカリと思考の端に浮かんでは、ふわりと消えていく。
ぼーっと気の抜けた風にエアの方に視線をやりながら、ペットボトルを一口あおる。
「早めに指貫を買ってきてやらないとな〜」
彼女の為にも、自分の為にも。
蓋のためだけにペットボトル二本を毎度開けるのは、財布はともかく腹に辛い。
彼の独り言にも似た言葉に答える者はなく、呟きは宙に消える。
唯一、応えてくれそうなモノは他の事に夢中で聞いちゃいない。
控えめだった鼻歌は止み、いつしか心地良い声が弾むようなリズムを刻んでいた。
自分用のウーロン茶を片手に、幸せな様子で歌うエアの無邪気な歌声を聞きながら、健二はなんとはなしに幸せな心地に包まれていつまでも歌う妖精を眺めていた。
289 :
幸運の条件:2008/07/18(金) 22:45:39 ID:gKc6RvOe
――6――
エアが来てからと言うもの、健二の生活は大いに変わった。
とりあえず分かりやすい変化として、毎朝毎夜の食卓がにわかに華やかになった。
老婆の言葉ではエアの食事は一日に一回で良いのだが、
「こっちが飯食ってる時に『一日一回だから』つって食わせないのはバツが悪いしなぁ。エアも一緒に食べたいか?」
この健二の提案にエアが反対する理由は無かった。
朝夕、共に食卓を囲む。
たったのそれだけの事で毎度の食事が随分と美味しくなった。一人、テレビを見ながらコンビニ弁当を胃に放り込むように食べるのとは比べるべくもない。
健二はたまに自分の分を小さく切り分けて、エアに取り分けてやったりもした。彼女専用の極小のカトラリーには、削った爪楊枝が活躍した。
エアは蜂蜜とミルクは必須だったが、別にそれ以外の人間の食べ物が毒になる、と言うことは無いらしい。
色々と食べたり飲んだりする割に、不思議とエアが垢じみる様子は無かった。
彼女の住処は1LDKバストイレ付き床暖房完備、な訳が無く、けして優雅ではない。あくまで鳥籠は鳥籠。トイレは無いし、シャワーも無い。
にも関わらずエアはトイレは必要としなかったし、腰ほどまである青い髪はいつ見ても瑞々しく滑らかだった。
さらにエア自身と同様、彼女の服も汚れとは縁が無かった。
不思議に思った健二が、服が本当に汚れていないか確かめようとしたほどだ。
彼に他意はなかった。籠の隙間から指を差し入れ、ワンピース裾を少し摘まんでみるだけ。そのつもりだったが、寸法の差が災いした。彼にしたらちょっとズレた程度の動きでも、見た目は大きく増幅されてエアを襲った。彼女のスカートを大きく捲り上げる形で。
当然ながら、滅茶苦茶怒られた。
形こそ小さいが、彼女は立派に女の子なのだ。
頬を膨らませて怒るエアを静める為に、彼は近くで売っている中で最高級の蜂蜜を買う羽目になった。
この世の中のあらゆる汚濁から隔絶されているかのようなエア。
それがどのような不可思議な力が働いている結果なのか、健二には想像すら及ばなかった。
まぁ、トイレで踏ん張ったり、鏡の前でキューティクルに悩んだり、洗濯したり物干ししたりと生活感に溢れた妖精と言うのも、これまた想像し辛い絵面ではあったが。
290 :
幸運の条件:2008/07/18(金) 22:46:10 ID:gKc6RvOe
健二の生活に人外の音楽が彩りを添えた。
彼は老婆との約束を果たすべく、エアをきちんと風に当ててやろうとした。
ガラス窓を開けて籠を網戸の内側に置いたのだが、
「Pyo!Kuie Kuie!」
もっと高く、もっともっと風を受けられる所が良い。
籠の中で両手を高く掲げ、ぴょんぴょんと飛び跳ねて、全身でそう表現した。エアは空気のわだかまる低い場所よりかは高い所が好きなのだ。
「どこかにぶら下げろって事か。でもなぁ、落っこちそうで怖いんだよ」
僅かな逡巡の後、健二はエアの望み通りにしてやった。なにせ彼女の落胆の表情は結構な威力を誇るのだ。
結局、カーテンレールと籠のフックを適当な紐で結んであげた。
軒先に吊るのも考えたが、人目が恐いのでその案は止めた。『美少女フィギュアを籠に入れてベランダに吊るす男』としてご近所の皆さんに評判になるのは勘弁願いたい。
ほんの二メートル程度だが、床近くよりもはるかに風が通るようになる。
風の仔に挨拶をするように、伸びやかな四肢を緩やかな風がくすぐっていく。時折、悪戯っ気をだした風が短いスカートをふわりと持ち上げて、彼女の太股から尻にかけての絶妙な曲線を露わにしていった。
エアは満足げに笑った。ついで、すぅっと大きく息を吸う。
数瞬の間。
そこらの歌手が聞いた途端に裸足で逃げ出すような、およそ聞いたことの無いほど可憐で美しい歌声が紡ぎだされた。
心を満たす高揚の赴くままにエアは歌った。
異国ならぬ異界の旋律。聞いたことの無い言葉と、耳慣れないメロディ。
すぐにそこがエアの定位置になった。さすがに夜は窓を開けたままでは冷えるので、昼だけではあるが。
毎日毎日、エアは吹き抜ける風に合わせて歌った。
さらさらと吹くそよ風には、優しく静かな歌を。
びょうと巻くつむじ風には、明るく勇ましい歌を。
たまに突風が籠ごと彼女を転がしたりもしたが、慌てる健二とは対照的にエアは至って平気な顔でころころと笑っていた。
風属の妖精であるエアに、同胞たる風が悪事を成すものか。
健二が大学に通っている日中は窓を開けっ放しにしないといけないのが、難点ではあったが。
たまににわか雨にやられたが、それくらいは安い代償と健二も納得した。
エアにしても雨は不満の種では無いらしく、
「Lyuuu!」
と楽しげな声を上げて、きらきらと雨粒を弾きながら鳥籠のステージで踊ったりしていた。
291 :
幸運の条件:2008/07/18(金) 22:47:37 ID:gKc6RvOe
――7――
共に生活するうち、次第にエアも日本語を覚え、徐々にではあるが話が通じるようになってきた。
楽しいと言い切れる日々が続いた。
今までの健二の生活に何かが欠けていた訳ではない。エアの存在自体が彼の時間にちょっとしたナニカを上乗せしてくれていた。
妖精のもたらす幸運になど頼らなくても十分だった。
妖精がいる以外に取り立てて以前と変わりのない日々。
エアがいる事。たったそれだけの、ほんの些細だが決定的な差。
それが生む、幸せと呼ぶに足る時間と空間。
あっという間に数ヶ月が過ぎた。
しかし、好事魔多し、とは良く言ったものである。
切っ掛けは健二自身も覚えていないようなごく詰まらない事だった。ふと、何かの拍子に健二の心の中である二つが繋がってしまった。
一つは、エアのもたらしてくれる幸運。
一つは、運不運が結果に覿面に直結するモノ。すなわちギャンブル。
たわいのない好奇心は、妖精の幸運をソレに使ったらどうなるのか、と疑問を呈した。
それは悪魔の囁きにも似ていた。人の心の片隅に巣食うモノ。
まさしく魔である。
妖精のエアさえいなければ、思いついたコンマ一秒後に笑い飛ばすであろう妄想の類いに過ぎない。しかし、実際にその力を行使できるエアがいるのだから話は違う。
思いついた当の健二自身、最初はその考えを飲み込んだ。
あれだけのエアの幸運の力だ。無闇に使えば、どんなしっぺ返しを喰らうか分からない。
本能的に察し、考えないようにした。
そうして考えないように自制はするのだが、自制しようとすればするほど逆に意識してしまう。
真っ白の布の一部にぽとりと墨が落ちたようであった。水で洗えば洗うほど布地は白く、墨の黒は落ちず、コントラストは鮮明になり黒だけが目立つようになっていく。
ほんの一回だけ。一回だけ、試してみるだけだから。
健二が、そう言いながらエアに頼むまであまり時間はかからなかった。
「なあ?頼むよ、この通り!」
エアのもたらす幸運の威力を知っているだけに、この男も食い下がる。
卑屈な目ですがるように頼み、終いには両手を合わせ頭の上に捧げて拝み始めた。
いい年をした大の男が、鳥籠の中の少女に請うている。しかも理由はつまらない試みとさして大きくない金の為。あまりと言えばあまりに情けない健二の姿を、エアは見ていたくは無かった。
この神頼みならぬ、妖精頼みについにエアも折れた。
292 :
幸運の条件:2008/07/18(金) 22:48:13 ID:gKc6RvOe
結果は、大当たりであった。
パチンコはギャンブルだ。客ははずれもすれば当たりもする。けれど大規模な賭け事である以上、胴元がいる。その胴元が損をしては商売として成り立たないのだから、必ず客が勝つ事はありえないのだ。
それを真っ向から、エアの幸運は覆した。
熟練した職人でさえ分からないような釘の傾きと、釘一本一本の均質性のずれ。
複雑に絡まり合う個々の歯車の磨耗具合と噛み合わせ。
回路を駆け巡る電圧の微小な揺らぎと、半導体チップの中を流れる0と1の羅列のわずかな誤差。
それら一つ一つは誤差の範囲内にぎりぎり収まるか収まらないか、と言った小さな揺らぎであった。
全てが巧妙に重なり合い、影響を及ぼし合い、ブラジルの蝶の羽ばたきがテキサスでトルネードを巻き起こすかの如く。
一見無関係に見える事象がドミノ倒しのようになって、健二に勝利をもたらした。
当たる筈の無い台で当て続ける男に、店側も不審に思って監視し続けたが、当然ながらイカサマの種も仕掛けも見つけられなかった。
帰ってきた健二のはしゃぎっぷりと言ったら大変なものだった。
彼の興奮はなかなか冷めず、自分の勝ちっぷりを一方的に喋りまくり、エアの幸運を褒めちぎる。
無論、その晩は祝杯となっていた。
「なんだよ、エア。せっかく買ってきたのに嬉しくなさそうじゃん。気に入らないのか?贅沢だなぁ」
そんなんじゃないのに。
手中の指貫を見つめるエアの表情は暗い。
健二が買って来てくれた新しい指貫は蛍光灯の光を跳ね返し、キラキラと輝く。
彼女が手にしているのは、滑り止めのエンボス加工以外にも丁寧な彫金が施された本物の銀製品で、結構な値のついていた品である。
(アタシが本当に欲しい物はこんなのじゃない。アタシが本当に欲しい物を、健二は無くし始めてる)
そんなエアの想いは健二には伝わらない。
妖精と違い、人間には他者の感情を読み取る術など無いから。
エアの想いも空しく、彼は一人浮かれ、一から十まで他人の力による自分の勝利に祝杯を上げている。
彼女に出来る事と言えば、杯を満たす琥珀色の液体を見つめるだけ。
(お願い。気付いて)
切なるそれは祈りに等しい。
(健二がそれを無くしちゃったら、アタシは……)
そして祈りは空しかった。
そこから先は、まさしく石ころが坂道を転がり落ちるようだった。
293 :
幸運の条件:2008/07/18(金) 22:48:51 ID:gKc6RvOe
――8――
人間の想像力というヤツは、果てが無いように見えて意外に限られているものらしい。
現に健二の場合もそうだった。遥か古代から今に至るまで、金や力を手に入れた人間が良くやるパターンを彼もまたなぞった。
飲む打つ買うと見事に揃った三拍子。
加えて『飲む』と『買う』には酒池肉林という単語がオプションでくっついてきそうな勢いだ。それはもう凄まじいまでの使いっぷり。
彼は若く体力に溢れ、体力の許すままに、欲望に身を委ねきった。
それが自分の稼ぎでやったのならば、誰も文句は言わないだろう。
だが、健二の場合、彼の稼ぎを支える力を持っているのはあくまでエアなのだ。正真正銘百パーセント、他人の褌で相撲を取っている状態である。
だと言うのに、「エアの力は俺のもの」とばかりにエアの幸運を湯水の如く使うようになっていった。
幸運をもたらしてくれる当の本人の気も知らず、不調に気づく事すらなく。
もとより力を使うのがタダであるわけが無い。
如何に異界の存在であっても、それは同じ。無から有を生む事が出来るのは神のみだ。
エンジンがガソリンを供給されて力強く鼓動するのと同様に、妖精だって力の源が無くてはその人外の能力を揮う事は適わない。
エアには、毎日、指貫一杯分の牛乳と蜂蜜。それが彼女の力の源であり、契約の一つでもある。
そして、契約の一つは破られていた。
健二はしばしば酔っ払って家へ帰らず彼女への食事を忘れ、あるいは目先の欲望の為に――たいていが肉欲の為だ――意図的に忘れた。
十分なエネルギーも得られない状態で、細い身体から絞り出すようにして力を使い、幸運を健二に授け続けた。
そんな境遇に置かれても、エアは蜘蛛の糸よりもなお細く見える希望を手放さなかった。
(健二、お願いだから……気付いて。これで最後にするって言って。もうこんな事はしないって言って。
このままじゃダメになっちゃう。このままじゃダメにしなくちゃいけなくなっちゃう。
だから……気付いてよ)
手放せなかった、とも言える。彼女が他に頼る伝手は、この世のどこにもないのだ。
エアの前で分かれる道は三つ。そのうち一つはガラガラと崩れ去りつつあった。
暴走とも呼べる状態の健二を友人が諌める事はなかった。彼の友人達は、とうに健二の周囲から離れてしまっていた。
理由は簡単。彼が勝ち過ぎるのだ。
彼らの間のビリヤードはあくまで遊興の範囲を出ない。金も行き交うがそれはスリルを求めての味付けであり、プレイを楽しむのが第一目的である。
勝つだけの人間は、そのような場には不要だ。
勝利だけならばまだいいが、健二はついでに――彼にとってはそちらが主目的だったが――賭け金をふんだくっていく。その金で宴会を主催して、皆に還元するような事もしない。
賭け金は勝者の物。勝って手に入れた物を勝者が好きに使って何が悪い、と言う訳だ。
口にこそしていなかったが、悔しかったら勝ってみろと言う高慢極まりない態度が健二からは溢れていた。
エアの幸運を使って、周囲の目と雰囲気を鼻で笑い飛ばしながら勝ちまくる健二を、友人達が疎んじ避けるようになるのにそんなに時間はかからなかった。
健二としても、金ヅルにならないのであれば、そんな連中がいようがいまいがどうでも良かった。
294 :
幸運の条件:2008/07/18(金) 22:49:19 ID:gKc6RvOe
――9――
およそ手を出せる範囲のギャンブルを使い、小賢しくもなるべく目立たないようにして稼いだ金。
それを健二は車道楽や着道楽に金を注ぎ込んだりはしなかった。
格好良い車も着飾った一張羅も容易に他人の目を惹く。
同時に、褒め言葉と一緒に疑惑と不審の眼差しをも引き寄せるだろう。
どこで金を稼いだのか、と。どうやって金を手に入れたのか、と。彼は普通の大学生として周囲からは見られていた。尋常な手段では大金は入れられない地位と言える。
健二はそこを追及されるのを嫌った。
疑惑の果てに、誰かが妖精の力に辿り着く事を彼は極端に嫌がった。
いや、恐れたと言っていい。
一度得た特権が自分から離れていってしまう想像に、健二は強烈に脅えた。
故に、エアが他人の目に触れる機会を極端に減らそうとした。
大切な物品を金庫に入れようとする感覚が一番近いだろうか。
だが鳥籠は金庫に入れられない。エアの鳥籠が入るほど巨大な金庫は重すぎるし、銀行の貸金庫にいれるなど論外もいい所。
結果、鳥籠は中にいるエア諸共、常に部屋の奥、外から死角になる場所に安置された。
もう窓辺に吊るしてもらって、吹き渡る風を彼女がその翅に受ける機会は失われた。
契約の一つは破られた。
いつしか健二の記憶から、エアを託された時の老婆の言葉は忘れ去られていた。
部屋の隅では風は澱み、ついで引きずられるようにしてエアの心も澱んでいった。
エアコンの作る人工の風など、風属の妖精にとってはしごく詰まらない紛い物に過ぎない。そんな物では心は躍らない。
エアから持ち前の明るさが徐々に失われて、可愛らしい顔にはまったく似合わない暗い表情しか乗せないようになっていったが、健二は気にも留めなかった。
295 :
幸運の条件:2008/07/18(金) 22:49:46 ID:gKc6RvOe
――10――
それはいつもの如く、健二が出かけようとした時だった。
大学ではない。彼はとうに大学に通うのを止めていた。金を稼ぎに、だ。
ほんのちょっとした、近所までお遣いでも頼むような気軽さで彼女に幸運を頼んだ。いや、頼んだと言うのは正確ではない。言葉のみを切り出せば『お願い』ではあったろうが、その口調からはエアが幸運を自分に授けて当然と言う思考がありありと伺えた。
とうとう愛想が尽きたのか。それとも力が尽きかけたのか。
俯き加減で視線を逸らしながらも、エアはしっかりと首を振った。
健二の求めを拒んだ。
「ん?どうした、エア?」
絵を張りつけたような、にこやかな笑顔。
「おいお〜い、イヤだって言ったように見えちゃったよ。今日もお前の幸運、よろしく頼むぜ」
嘘っぱちの仮面の下、彼が本当はどんな感情を抱いているかなんてエアにはお見通しだ。否、彼女だって感じたくて感じている訳ではない。急速に膨れあがりつつある負の感情は、エアの脆い精神防壁を貫き、彼女に直に届いていた。
だがしかし、彼女はそれに屈しなかった。
脅えた様子を見せながらも、しかし再びはっきりと否定の形に頭を振った。
瞬間、
「ああ?!ふざけんなっ!なに言ってやがる!!」
健二が爆発した。
がしっとエアの居る鳥籠を掴み、鼻先まで近づけて怒鳴る。
「誰がオマエを拾ってやったと思ってんだ!
誰がオマエに毎日毎日餌ァやってると思ってんだ!ああ?!」
唾を盛大に飛ばしながら、あまりにも身勝手な台詞を喚き散らす。
眉間と鼻筋には凶暴そうな皺がより、口角泡を飛ばして罵り続ける。
それは控えめに言って狂犬のような有り様だった。
296 :
幸運の条件:2008/07/18(金) 22:50:20 ID:gKc6RvOe
イヤ。
ヤメテ。
シナイデ。
そう言いたかった。けれども唇は戦慄くのみで意味のある音を紡がない。ひぅ、と喉から悲鳴にもなっていないような声を出すだけ。
心を閉ざしたくても、恐怖は身体だけでなく心まで縛り付けて動かせない。
精神防壁を築けず、無防備になったエアを容赦なく罵声と敵意が打ちのめす。
エンパシーは他者の情動を共有するものだ。エンパシーを持つ妖精は、そばにいる人の喜び、嬉しさ、幸せを感じる。
だがそれは逆に、他人の憤怒悲哀も我が事のように感じてしまう事を意味する。
暗い負の感情はとても鋭い。
吹き荒ぶ寒風のような、身を切るように冷たい感情の嵐に見舞われれば、妖精にとっては鋭く尖ったナイフで全身を刻まれるのと同義だ。
もしも強烈な悪意や敵意に曝され続ければ、心優しい妖精にとっては恐ろしい事態になるだろう。
そう、今のエアのように。
心を苛む恐怖に怯え、かたかたと全身を震わせる。
胎児のように体を丸め、両の腕で守るようにしてぎゅっと頭を抱える。
痛い。痛い。痛い。嫌な感情が雪崩れ込んで来て心が裂かれるみたいに痛い。心に引きずられて身体が痛い。何もかもが痛い。
ぎゅっと硬く閉じた瞳からは、ぽろぽろと涙が零れ落ちる。
その姿さえも、もはや健二を踏み止まらせる事は出来なかった。
「誰がお前を養ってると思ってんだ!食わせて貰ってる分くらい、しっかり俺に運を寄越しやがれ!!
それとも妖精ってのはそんなに恩知らずなのかぁ?!」
このままじゃ、本当に殺されちゃう。
最悪の事態の予想図が、慄くエアに辛うじて首を縦に振らさせた。
「ふん、最初ッから素直にそう言えばいいんだよ。ったく!面倒かけさすんじゃねーよ」
がん、と乱暴にテーブルに叩きつけるような勢いで鳥籠を置く。
「Kyau!」
手荒くシェイクされ籠の底に叩き付けられたエアが短く悲鳴をあげる。
エアの答えに満足したのだろう、健二が出かける気配を見せた。
幸運を得た彼が行く場所など概ね決まっている。
ドアをくぐる健二が、静かに泣きはらすエアに欠片ほどの慈悲の心でも見せる事は、遂になかった。
契約の一つは破られた。
297 :
幸運の条件:2008/07/18(金) 22:51:19 ID:gKc6RvOe
――11――
運と不運は天秤の両方に載った錘のような物だ。
普通はどちらも似たような重さで、天秤自体は行ったり来たりしてはいるが大きく傾く事は少ない。時には緩く時には早く、常にゆらゆらと揺れ動いている。振れの大小こそ差があるが、じっとしている事はない。
天秤の動きそれ自体は、目玉に入ってくる情報しか見えない人間の認識外の事で、人の目にそれと見える形で訪れる事は極めて稀だ。
例えば、たまたま電車が遅れて乗りたかったバスを乗り過ごした時、人はそれを不幸と認識するだろう。たとえ、そのバスがたまたまスリップした車に突っ込まれる交通事故を起こしたとしても。
どちらが不幸でどちらか幸運か、などはそう易々と決められる事柄ではないのだ。
そういう意味では、エアの幸運をもたらす腕前は傑出していた。
実際に財布の重さとして表れる幸運を健二に授けたのだから。
それにしたって妖精のもたらす幸運など些細な物だ。彼の財布が多少重くなっても、それ以上の効果は周囲に波及せず、大勢の運命を変えてしまうような事態は起きていない。
それでも天秤が常に一方に傾いている状態は自然ではない。
幸運は、不運があるからこそ幸運足りえるのだ。
運と不運は相反する概念ではない。二つで一つ。片方の皿の壊れた天秤を、果たして天秤と呼べるだろうか。
そうして天秤は常にバランスを取ってふらつくのが、自然界の全ての事物にとって当然である。
その当然であるべき理をほんのちょっとずらして、ふらつきを自分の為だけにコントロールしてくれて、たまさか天秤の傾きを幸運の側に留めてくれる。
妖精の恩恵に預かる事それ自体が、望外の幸運と言える。
まさに恩をもって感謝をし、礼をもって報いるべき天の恵みなのだ。
ならば恩恵に浴した人間は、自分に与えられた恩恵を当たり前と思わず、それを与えてくれる相手に対してきちんと礼節を尽くすべきなのが筋と言うものであろう。
他者による恩恵を当然の理と勘違いし、果たすべき義務を怠る事。
人、それを増長と呼ぶ。
そうして増長し、思い上がり、己を律しきれずに我欲に溺れ、彼女らへの礼儀を忘れた者の末路を綴った書物で図書館の童話コーナーは一杯だ。
そのような本の中では、大抵、無礼者の末路は決まっていた。
分をわきまえ礼を知り己を律する事が出来る者には、人外の幸運を。
不徳の限りを尽くす愚者には、とびっきりの不幸を。
人々の間では、古くからそう信じられてきたからだ。
だから、健二の末路も、千年単位で信じられてきた通りになるのだろう。
298 :
幸運の条件:2008/07/18(金) 22:52:05 ID:gKc6RvOe
カーテンの隙間から差し込んだ陽光が、床に黄金の線を引く。
次第に線は長くなり、赤味を増していき、ついには輝きを失う。
いつの間にか、部屋には闇が訪れていた。
暗がりに沈んだ鳥籠の底、エアは膝を抱えて座り込んでいた。
今や、エアの前には二つの道しか残されていなかった。
一つは、このまま自分を維持出来なくなるまで力を使い続け、その挙句に一陣の風と消え去る事。
もう一つは、この鳥籠から出て妖精郷の母の許へと帰る事。
生死のあり方も価値観も人と妖精ではだいぶ違ったが、死を忌避する点については大差は無い。
前者は緩慢な自殺に過ぎない。
「アタシだって死にたくない……けど……」
その後の呟きは音には成らず、口腔の内で立ち消える。
生き延びるには後者を選ぶ他に道は無い。
いまや、エアの能力に絶対の制限となっていた誓約は破られていた。同時に母により彼女に課せられた呪いとも言うべき枷も既に外れ、帰還の手段はエアの手の内にあった。
残るはエア自身の決断のみ。
その意味をエアは頭の中でずっと転がしていた。
こつん、と広めのオデコを膝頭に当てる。
ゆっくりと瞼を閉じる。
どれほどそうしていただろうか。
再びサファイアの瞳が姿を現した時、そこから迷いの色は消えていた。
音も無く首を上げる。小さな胸を精一杯張って立ち上がる。
瞳の奥に決別の意志を秘め、口を開き、エアは歌を紡ぎ始めた。
その歌声は、不思議な音を帯びていた。
時に耳元で囁くように、時に殷々と木霊するように。
高く低く、うねるように。
妖しき力を秘めた、さやけき歌声。
清冽な妖歌が現実を蝕む。
歌が一フレーズ進むたび、徐々に現実感が失われていく。
視界に入るあらゆる物の輪郭がぼやけ、のっぺりとした一枚の絵のように変じていく。
まるでナニカがゆっくりと奥に引っ込み、入れ替わりにナニカが奥底から浮き上がってくるよう。
ふと、唄が力強さを増す。倍ほどに強くなる。
ソロがデュオに。
デュオはトリオに。ついでカルテット。クインテット。
ぐわっと大波のように不可視の力がうねり、最後の枷が弾け飛んだ。
連続投稿規制?
300 :
幸運の条件:2008/07/18(金) 22:54:43 ID:gKc6RvOe
――12――
「ったく、人が行ってやりゃーアヤメちゃんにずっと指名入ってるとか、ツイてねー。
フザケンナっつーの。他の客くらい時間ずらさせるとかキャンセルさせろよな。いままでに幾ら使ったと思ってんだよ」
ぶつぶつと自分勝手極まりない文句を垂れながら、健二がドアを開ける。
そういう態度だからこそ、彼がどれだけ店に金を落としても良い待遇にならないのだが。
「おい、エア!今日は全然ツイてなかっ……」
灯りのスイッチを点ける。
絶句した。
それを、爆発したような、と言っていいものか。
部屋の中は凄い有り様だった。
縦横高さを持つ三次元の物体から、無理矢理にどれかの概念を取り払ってやって、動かす方向に向けて押し潰す。
そうして、部屋の真ん中あたりにあった家具やら何やら一切合財が、積み重ねた紙のような状態になって四方の壁に向けて押し付けられていた。
やたらとだだっ広くなってしまった部屋の真ん中。
そこの床には、如何にも爆心地然とした様子で、同心円状に細かな波紋が刻まれていた。
爆発と思しき何がしかの、円状の効果範囲内にあった物だけが残らず平面になって押し潰されており、その外にあった物には微塵の変化もない。
唐突に訪れた静寂が、健二の耳に痛い。
何かが恐ろしく狂っているような、ずっと見ているとフラついてしまいそうな違和感に満ちた光景。
しかし異様でありながら整然とした有り様だった。
部屋の中には、爆発には付き物の破壊も、巻き起こる粉塵も無い。
壁や窓は彼が出かける前と全く同じであり、壁に張り付いた物体にしても、どれもこれも何一つ欠けたり砕けたりしていないのだ。
301 :
幸運の条件:2008/07/18(金) 22:55:16 ID:gKc6RvOe
「……なんだよ、これ」
ようよう、それだけの言葉が搾り出された。
「そ、そうだ!エア!エアは?!」
幸運を授けてくれる彼女は無事だろうか。
まず最初に思ったのがそれだった。エア自身の安否より、エアの幸運が無くなってしまうことを危惧する方がこの男にとっては先であった。
ほんの数秒探しただけで見つかった。
鳥籠はころりと無造作に転がっていた。
果たして、中にエアはおらず、どこにも扉はなかった筈の鳥籠には大きな開口部が出来上がっていた。蔦を模したフレームは内側から爆発したようにめくれ上がり、熟したアケビさながらの様子を見せている。
「い、いない?そんな、エア?!エァ……ぐげッ」
健二が言葉に詰まった。
オロオロと取り乱す動きが止まった。
今更ながら彼女自身の大切さに気付き、体を震わせるほどの後悔と別離の悲しみに襲われたとかではない。
彼が体を震わせているのは別の理由がある。
(く、か。い、息が……出来ない!)
ひゅう、とか細い悲鳴のような息が漏れる。
パクパクと酸欠の金魚みたいに開閉を繰り返すけれど、口から喉に全く空気が入ってこない。
急速に意識が遠のいていく。
容赦なく意識を刈り取っていく闇に抗いきれず健二の体は、どぅ、と床に倒れた。
辛うじて受身を取る。
ぐでんと放り出された頭。僅かに残っている視界が部屋の隅を向く。
そこかしこに存在する影。
その薄暗がりの中、幾つものサファイアのような青い光が浮かぶ。
それらを視界に収めたまま、何か思考する暇もあればこそ、健二の意識は暗転した。
『幸運の条件』 後編へ続く。
前編は以上です。
後編は明日か明後日にでも投下させて頂きます。
303 :
コマネコの人:2008/07/18(金) 23:17:38 ID:g1/Nliiu
お二方GJでっす。
報告までに、生きてます。
小説書く時間を削れなくなってきて欲求フーマンです。
今朝方、寝苦しさからか妖怪とプールで戯れる淫夢を見て更に欲求ふry
久々に休日っぽい休日が出来たので近々書きます。
多分・・。
俺からもGJを言わせて貰うぜ!
今日、仕事先でついつい居眠りをして、
何故か俺が狐(の化けた奴)で、女の子二人を誑かす夢を見た。エロありで。
起きたらパンツの中が以下略だった。
>>302 GJ
後編が楽しみです
しかし妖精スレの住人としてはあっちに投下していただきたかった・・・
過疎ってますから・・・('A`)
『幸運の条件』 後編を投下させて頂きます。
後編はエロ有り。本番無し。逆レ系です。
307 :
幸運の条件:2008/07/19(土) 19:38:39 ID:vrrNOcoG
――13――
どこかでダレカが話している。一人ではない。複数。それも結構な人数。
吹き抜ける風に林の梢がざわめくようなイメージ。
「ぐっ……う、くそ、なんだってんだ」
気絶から回復するというのはけして良い気分にはなれない。今も例外ではなかった。
どれほど意識を失っていたのか分からなかったが、大して過ぎてはいないのだろう。生理的な反応は何も起きていない。
気が付けば、健二は床の上に大の字で寝転んでいた。
無意識のうち、仰向けにひっくり返った体を起こそうとして。
出来なかった。
体どころか、腕すら持ち上がらない。手も足も指先まで感覚はしっかりあるが運動神経だけが抜き取られたみたいに、ピクリともしない。まるで縫いとめられた蝶だ。
「う?なんだぁ?!体が動か……ない?」
「目が覚めた?」
鈴を鳴らすような綺麗な声。そこで、ようやく初めて健二の知覚は辺りを認識した。
「え、ア……?うぁ……ひぃぃっ?!」
した結果、彼の口からは引きつった悲鳴が漏れた。
それも無理はない。
自分の周囲が恐ろしく現実感を欠いた、悪い夢の中にいるかのような部屋と化していたからだ。
エアの視線が健二を射る。
生き残っているテーブルの上、テレビの上、カーテンレール、照明のシェード、ラックの棚板。
座り、寝転び、肩を寄せ合い、ぶら下がり、あるいは背の翅を仄白く光らせながら宙に浮いて。
何体ものエアが、部屋の真ん中で大の字に寝転ぶ健二を冷たく見下ろしていた。姿かたちは言うに及ばず、全てのエアが浮かべる表情までもが酷似している。
いまや彼女達となったエアの眼からは、以前のような優しさや人懐っこい雰囲気はまったく窺えなかった。
強いて言えば、そこに浮かぶのは無邪気な残酷さ。幼い子供がこれっぽっちの悪意も持たずに昆虫の翅や肢をもいで遊ぶように、清々しい残酷さとでも言うべきものが浮かんでいる。この場合、どちらが子供でどちらが虫か。言わずもがなだ。
これが本当に同じエアなのか。健二にそう思わせるほどの変わり様。
健二の背筋を恐怖が駆け上がる。
恐怖は、いつの間にかエアが流暢に日本語を操っている事すら忘れさせていた。
308 :
幸運の条件:2008/07/19(土) 19:39:21 ID:vrrNOcoG
滑稽なくらいに狼狽する健二の視線が少し下がった。目は自分の胸の上空三十センチあたりに焦点を結ぶ。
そこにもエアがいた。
健二と距離を置く他のエア達と違い、そのエアが増えた彼女達の基となった最初の一体なのだろう。
周りを代表するような雰囲気をその身に帯びて、四枚の翅をいっぱいに伸ばし、一人、宙に浮く。
「な…なぁ、エア……これは冗談だよな?放してくれるよな?」
「イヤ」
さっぱりとした、いっそ爽やかと言っていいほどの声音。
エアはほんの一音節で、ばっさりと健二を拒絶する。
「ケンジ、キラい。ゴハンくれなかった。
風と歌わせてくれなかった。
イヤだったのに力を使わせた。すごくイヤだったのにアタシのこと、恐がらせた」
健二の背を冷たいものが伝い落ちる。
エアの言葉が感情に塗れた、激情が吐かせた言葉ならばまだマシであったろう。今のエアの言葉は、まるで鉄のように冷たく硬かった。くるくると吹く風そのもののように、気まぐれな感情を持つエア。それが今の彼女からは全く感じられなかった。
健二がただ事ではないと悟るには十分すぎた。そして、悟った所でもう何もかもが遅すぎた。
膨れつつある健二の不安を他所に、裁判の判決にも似た厳かな言葉が、狭い部屋に殷々とこだます。
「アタシも頑張ったのに……天秤を傾けてあげれば嫌な事しなくなると思ったのに。
いつか幸運の欲に負けないようになってくれると思ったのに。
でも、もう嫌い。ケンジなんか大嫌い。アタシ、母様のところに帰る」
最後通告が無情なまでにたんたんと突きつけられる。
エアのような妖精達。シーリーコートと呼ばれ括られる妖精は人を好む。
単純に人の立場から見て、人に利のある存在ならばこっち、と言うただそれだけの単純なカテゴライズであるのだが、シーリーコートは人間への奉仕や善意ある行いを好む。
それは、シーリーコートとはそういう存在だ、と信じられてきたからだ。
永の年月に渡り、数え切れぬほどの人間がそう信じた。
そういう存在であると認識され、無数の信じる心が妖精達を枠に嵌め、自然界で確固とした姿を与える。
良き妖精は良き者に幸運をもたらす。
古来から彼女らはそう信じられてきた。
それ故に、妖精は運の匙加減を調整する能力を身に付けていた。
309 :
幸運の条件:2008/07/19(土) 19:39:58 ID:vrrNOcoG
そして逆もまた然り。
信じる者がいなくなってしまえば、信じない者が増えていけば、妖精は自然界では存在そのものを保てなくなってしまう。
人間数世代分以上に相当する長い年月を経て確固とした自我のカタチを持つ妖精ならば、誰が何と信じようが信じまいが、こちら側に来ても存在は揺らがない。
しかし妖精としてはまだまだ若齢である、エアのような妖精は一溜まりもないだろう。
それは水を満たした巨大な水槽にインクを一滴垂らすのと同じ。
いずれ世界の法則によって捕らえられ、希釈されて薄くなり、儚く一陣の風となって消えてしまう。
この世の中に妖精なんている筈がない。
時代を超えて受け継がれる集合無意識とも言うべき数多の想いは、妖精の実在を否定し、精神的な影響が多分に肉体に表れる妖精達を根本から消し去ってしまう。
その為の鳥籠であった。
妖精郷に生える蔓草を加工して作られた鳥籠は、彼女を閉じ込める檻であると同時に結界でもある。
蔦で囲われた内側を妖精郷の飛び地に仕立て上げるのだ。
だが、いかに女王の作り出した鳥籠の魔力と言えども磐石ではない。
沈まぬ船がないように、自然界の法則は結界を乗り越えてじわじわと内部を侵蝕し、存在を信じてもらえない妖精はいずれは自己存在を保てなくなる時が来るだろう。
そうなる前にたとえ何があろうとも妖精の実在を信じ、己を信じてくれる者を探し出さねばならない。
ならないのだが、
「ケンジ、アタシを信じてくれなかった。
最初はアタシを信じてくれてた。でも、今は違う。
ケンジ、アタシの力だけを信じてる!アタシがあげる幸運の力だけを信じてる!!」
血の通っていなかった言葉は徐々に感情を取り戻し、しまいには叩きつけるような叫びと化した。
一転。
恋人の耳元で愛を囁くような口調。
「ケンジはアタシの力が欲しいんでしょ?アタシの事はいらないんでしょ?
アタシが居てもいなくてもどうでもいいんでしょう?
だったら……そう、アタシ達もケンジはいらないの」
クスクスと部屋中のエアが一斉に嘲笑う。
「アタシは人間の世界が見たかったの。妖精郷に居れば何も気にしないで楽しく暮らせるのは分かってた。
それでもアタシは人と、人の世界を見てみたかったの」
何も答えられないでいる健二の目の前で宙に浮いたまま、両手を広げ、軽やかにくるりと回ってみせる。
310 :
幸運の条件:2008/07/19(土) 19:40:48 ID:vrrNOcoG
その動作が、言葉の意味を無理やりに噛み締めさせる一呼吸を作り出す。
「でもアタシは、アタシがコッチの世界に耐えられない事も知ってた。だから、母様にお願いしたの。籠を作って下さいって。
母様は作ってくれる代わりにいくつか条件を出されたわ。まずは人間と契約を結ぶ事」
妖精の傍らに居るに相応しい人間を選別する、その為の三つの契約である。
あの契約程度の事、信じ、行動を貫けぬとあっては到底、妖精の存在を信じぬけるとは思えない。
「それに従い、アタシを信じてくれるニンゲンを見つけられれば、それで良し」
彼女の母である女王は、婿探し、と呼んでいた。
若干の語弊がありそうだが、まぁ、男捕まえるのに変わりはないのだから、そういう意味では女王の言葉は合っている。
黙って聞いていた恐る恐る健二が口を開いた。黙って聞いている恐怖に耐えられなくなったのだ。
「そ、それで、もしも見つけられなかったら……」
「オムコサンを見つけられなかったら母様の許に戻る、さもなければコッチの世界のルールに飲み込まれてそのまま消える。
それが母様と交わした約束よ」
だが帰るにしてもエアを守るのは、妖精郷において最高クラスの魔力を持つ女王の作り上げた鳥籠。
外からも中からも打ち破るのは至難の技だ。そう、それがエア一体であるならば。
時に妖精達が輪舞して自然界に妖精の輪を残すように。たとえ一体ではまるで歯が立たぬ壁でも、数が集えば話は違う。
最大級にリンクしやすい同種の魂を増やして、精神を同調させてやれば、魔術の威力は跳ね上がる。
魔術の腕が拙い年若い妖精でも打ち破れるだろう。
壁を破った後に、強力な魔術によって消費した大量のエネルギーを速やかに補充できる環境であれば。加えて、鳥籠を出て女王の下に辿り着くまで実体を維持できるだけのエネルギーを確保できる環境であれば。
故にそれは諸刃の剣。
だから女王はエアとの契約と同時に、彼女に呪いを成したのだ。エアの力を押さえつける為に。無為に力を使い消耗してしまわないように、と。
まだ見ぬ異界に焦がれる我が子を思っての心づくしと言えよう。
「だから帰る為の力を、健二から貰うの。イヤだって言ってもダメ。泣いても叫んでも、もうダメ。
アタシも健二にいっぱい力をあげたから、オアイコでしょ?」
健二に反論する暇を与えず、エア達は搾取にとりかかった。
くっと背を反らせた。息を吸う。細い喉が、蛍光灯の不自然に白い明かりに浮かび上がる。
数瞬の間。
エア達が一斉に口を開いた。
311 :
幸運の条件:2008/07/19(土) 19:41:22 ID:vrrNOcoG
小さな口が絶叫の形に開けられ、そこから声にならない声が迸った。
「Kyueeriii――――!!」
エア達が叫ぶのは人間の可聴域を超える絶叫の渦だ。
健二の鼓膜を通り抜け、脳をピンで突かれるような不快さを与える。叫び声の持つ不可視のエネルギーに、部屋にあるガラスというガラスが凄まじい勢いでビリビリと振動する。
ぐにゃりと空気がうねる。
音として捉えられなくても皮膚を圧する空気に何がしかの意図、それも悪意めいたものを感じて彼の顔が引きつる。
一際大きく空気が揺らいだと思った刹那。
ぱん。
濡れたタオルを壁に勢い良く叩きつけたような音。乾いた大きな破裂音と共に健二の衣服が、妖声に弾け飛んだ。
床に仰向けに寝転んでいるので、背で押さえつけられている箇所は辛うじて残ってはいるが、もはや服は布切れの塊と呼ぶべき物に変わり果てていた。
「う、うわぁっ!……あ?!あれ、なんとも…ない?」
紙吹雪ならぬ布吹雪がはらはらと落ちてくるのを、健二は呆然と見つめる。
痺れていて動けないので体の方を見ることも足を視界に持ってくる事も出来ないが、少なくともどこかが痛かったりおかしかったりする箇所はない。
「は、ははっ。なんだよ、驚かせやがって」
肩透かしに終わった恐怖は、反動で虚勢に近い笑いを生んだ。
しかし、エアにはこの程度の悪戯で終わらすつもりは毛頭なかった。むしろ、今のはこれから行う行為の下準備。
可愛らしい顔から一切の感情を消し去り、健二の胸の上に浮いていたエアがゆっくりと高度を下げる。
素肌を晒す健二の胸に、僅かに荷重がかかる。
胸に降り立ったと見るや、そのまま、すっと流れるような仕草で身を屈めて四肢を付けた。
手足を地に――今は健二の胸が地面代わりだが――付けて四つん這いになる。背中を反らせて、可愛らしい小振りな尻をツンと高く掲げている。いわゆる女豹のポーズ。
手足は痺れているが、首から上は麻痺の効きが悪いのか、それとも彼の声を残すためにわざとそうしてあるのか。少なくとも文字通り指一本動かせない手足と違って、何とか身じろぎする程度には動かせる。
健二は苦労して首を動かす。視線を下げれば、エアが見つめている。
「エア……」
視線が絡み合う。
身体は動かないが何とか口は動く。健二は、身体中に取り付いたエア達をどけてくれるよう、自分を解放してくれるように頼もうとした。
哀願を中に含んだ口は、半ばまで開きかけたところで止まった。
エアの冷徹な瞳に、喉元まで出かけた哀願が凍りつかされた。
その瞳の色はかつては空のブルーだったが、いまは極地を覆う氷の蒼だ。
そこは絶対的な冷たさを含んでいた。
312 :
幸運の条件:2008/07/19(土) 19:41:52 ID:vrrNOcoG
人が人に冷たくする、というのとはレベルが違う。それはあくまでも人同士の話、少なからず意思の疎通は可能だ。
人が地を這う蟻の意思を汲み取る事が出来ないように、彼女の瞳からエアの意志は全く読み取れなかった。
エアは健二を頑として拒んでいた。
存在原理の根本からして人間とは異なるモノが、そのモノに相応しい価値観と倫理を持ってそこにいる。
人知の外に棲む者の理を持って、エアは健二を見つめていた。
「健二の精と血と肉と体を貰う」
ごく簡単に、短く、そう告げた。
血液も精液も単体で科学的に見れば、およそ無味乾燥な単語の羅列に終始する。だが、その専門用語と数字の集合体も、重なり合いつつも異なる法則を持つ世界の住人にとっては話しが変わってくる。
彼らにとって、それは通貨のようなものだ。
生命力と呼ばれる、この世に生を受け活動するあらゆる生命体が内包するエネルギー。それをやり取りする為の媒介物。
吸血鬼が血を糧とし、夜魔が精を啜るのも全ては同じ事なのだ。
そんな人でないモノの理屈を、人である健二に理解できる筈がなかった。
エアが踵を返す。
そっちの理解など知った事か。言いたい事は言った。仕草がそう告げていた。
格好は四つん這いになった女豹のポーズのまま。健二に見せ付けるようにして左右にふりふりと揺れ動く尻が遠ざかっていく。
悩ましく振られるお尻の間、真っ白い肉の谷間に切れ込みのように入った一筋のスリットを認め、そこではじめて健二はエアが服を脱いでいることに気づいた。
それだけではない。苦労して視線を向ければ、何体ものエアが見える。部屋にいるどのエアも一糸纏わぬ姿だった。
手も足も胸も尻も、薄く、細い。成熟していないボディラインの、熟れた肉の重みから解き放たれた姿。
捕らえどころなく吹き抜ける風のように、流れるような肢体。
彼女らの身を彩るアクセサリーは、高く晴れた空を切り取ってきたような素晴らしく美しい薄青い髪のみ。
どのエアもがまるで同じだった。
部屋のあちらこちらで、妖精という単語から連想されるに相応しい見事な裸身を晒していた。
茫然とあちこちを彷徨っていた健二の視線が、ふと遠ざかりつつあるエアの小さな尻に吸いつけられる。
蕾がそっと花を咲かせるように、太腿の間にひっそり佇む縦筋は僅かに綻んで。
透明な雫は花弁を濡らす朝露のようで。
とろり、と零れ落ちては内腿を伝い落ちる。
身体中に絡みつく呪縛を振り切るようにようにして、健二の肉棒がドクンと一つ震えた。
313 :
幸運の条件:2008/07/19(土) 19:42:20 ID:vrrNOcoG
――14――
健二の視線をお尻の辺りに感じ、魚が餌に食い付くように視線が動くのが面白くって、わざとふりふりと振ってやりながらエアは歩を進める。
やがて股間に到達した。エアの手足の下で陰毛がシャリシャリとした感触を返す。
黒く縮れた下草を掻き分けて、とうとう巨木に辿りつく。
それは恐怖からか。まだ力なくうな垂れていた。それでもエアの身長の半分以上はあるし、竿も胸囲より太い。人間的には並なのかもしれないが、妖精的には超巨根だ。
「よいしょっ……と」
健二の股の間にしょぼくれた様子で垂れている肉棒を抱き枕のように軽く抱いて、ペトンと腹の側までひっくり返す。
「や、やめろ!」
健二が悲鳴を上げる。男性の急所を掴まれる事に、ぞくっと恐怖が走る。
ソコがどれだけ弱いのか、男であれば誰でも知っているだろう。
「うふふ、本当の健二の気持ちはどんななのかな?ふぅん、やっぱり怖い、か。
へぇ……エッチな気持ちもあるんだ?」
汚れなき存在が卑猥な性器に進んで手を伸ばす。
そのシチュエーションに惹かれないと言ったら嘘になる。その嘘をエアは見抜いていた。エンパシーと、腕中から伝わる震えで。
言葉と違い、体は実に正直だ。
「うふふ、ほーら、怖くなーい怖くなーい」
ぐずる幼子をあやすように、頭を撫でてやる。頭は頭でも、亀の頭だったが。
半分まで包皮を被った卑しい肉塊の先端に、小さな掌が這い回る。
「くぅぅっ……!はぅっ!あぅっ!」
健二の嘘はあっけなく暴かれた。自白の供述は、彼の口から漏れる声によって。
恐怖に変わって健二を支配し始めているモノの名は快感。
エアの手が亀頭の腹を撫でるたび、全身が引き攣るようになる。
弦を爪弾くようにちょっと指を立てて撫でられると、悲鳴にも似た喘ぎ声がだらしなく溢れる。
俄然、健二の肉棒は主の意思を無視してやる気を見せ始めた。
筋肉に指令を送る神経だけがするりと抜き取られてしまったかのようで、指一本動かせない癖に感覚だけははっきりとしている。
逆に動かせない故に、送られてくる快感から逃げられず、もろに味わわされる。
見る見るうちに肉棒が膨張を始める。亀頭を軽く抱くエアを、ぐいっと押し退けんばかりの勢いだ。
「ひゃん!あははは、オチンチンあっつくなってきた。ずるずるぅってオチンチンの皮が剥けてきたよ」
男性器の卑称をためらう事無く口にし、健二を情け容赦なく玩んでは楽しむエア。
314 :
幸運の条件:2008/07/19(土) 19:43:07 ID:vrrNOcoG
まるで初心な子が異性に初めて抱きしめられて緊張するように、エアの体の下で肉で出来た抱き枕が熱く熱くなっていくのが感じ取れた。
そこは既に腹に付かんばかりに雄々しく反り返っている。
その様が可愛くって、思わず頬擦りする。
なにせ、これからたっぷりと頑張って貰わねば困るのだ。
「どう?」
不意に、頭上から声がかかる。
頬擦りを止めて見上げれば、そこには頬擦りするエアと同じ姿のエア。彼女の姉妹の内、一体が丁度舞い降りてくるところだった。
「うん、大きくなってきたよ。すごい硬い」
「そう、良かった」
重力をまるで無視して宙に浮き、大気の妖精の名に恥じぬ軽やかさでフワリと降り立つ。
エアの降りる先。それは、健二の肉棒の上だった。
先っぽ辺りにしがみ付くエアのほんのちょっと下。
裏筋に、つい、と足を降ろした。
まさしくこれぞ妖精と言えるような優雅な仕草。
空から音無く降る雪のように、まるで重さを感じさせない。これで戯れる先が一輪の花であれば、さぞや絵になるのだが。
残念ながら、いま彼女らが弄んでいるのは、オシベには間違いないだろうが男の欲望の象徴だ。
彼女らが会話をしている間にも、健二の牡はどんどん猛ってゆく。いや、猛らされてゆく。
まっさらな砂浜に足跡を残すみたいにして、ごく軽く踏んでやる。あくまで軽く、そぅっと、優しく。
健二がうめく。
「どう?」
「うん、ぷっくりしてる。そのうちパンって破裂しちゃいそう」
質問するエアと、回答するエア。さっきとは立場が逆になる。
があ、と健二が悶えた。
足の指で裏筋の縒り集まった紐を摘んでやっただけで、この体たらく。
「そう、良かった」
くすくすとエアが笑う。
ぽとりと落とした水滴が波紋を広げるようにして、何人ものエアの笑いが重なる。
「たくさん、出してもらわないとね」
「そうだね。たくさんたくさん、ね」
二体のエアは、懐中と足元で淫らな遊びを続けながら、無邪気に微笑みを交わした。
315 :
幸運の条件:2008/07/19(土) 19:43:45 ID:vrrNOcoG
白い両の腕にグロテスクな肉棒の先端を抱くエア。
長い髪がふわりと流れては、悪戯げに竿を擽り、健二にむずがゆい快感を与える。
彼女の眼下には、ぷっくりと張り詰めた亀頭がさらなる愛撫を欲しがってひくついていた。
その先端。
彼女から見ると九十度ほど方向を回転させた唇に似ている切れ目。
エアは鈴口に、そっとキスをする。そこは既に透明な粘液で溢れていた。
ちゅぷ、と卑猥な水音が微かにした。
途端、健二の脳髄を襲う強烈過ぎる甘い刺激。思わず腰が跳ね上がろうとして……微動だにしない。反射的な行動すらも封じられた体は強すぎる刺激を逃がす事が出来ず、快感が上半身を駆け上がり彼を直撃する。
「うあ!」
悲鳴じみた喘ぎ声に気をよくしたのか、エアの行動は過激さを増す。
薄い唇を軽く開き、歯を立てないようにして鈴口の周りを食む。
ぱんぱんに硬く張りつめていながらも粘膜の柔軟さを併せ持つ、なんとも言い難い奇妙な触感を愉しむ。
「がああ!」
はむ、と咥えるたび、エアの後ろから悲鳴が上がった。
それが面白くって、はむ、はむ、と甘噛みを続ける。
愛し合う恋人とそうするように、舌を伸ばして、そっと相手の唇に差し入れる。
肉欲を刺激する音が切れ切れに漏れる。
ちゅぅっと吸い上げると、先走りで口内が潤う。
イヤでも口内に流れ込んでくる、獣の匂い。そこにはエアの求める物の予兆がしっかりと混ざっていた。
エアはいつしか膝立ちになっていた。
そそり立つ雄に半身を預け、まるで恋人とするように抱きついて執拗に口付けを交わす。
「ふふ、健二の蜜がたくさんたくさん溢れてる」
亀頭にすがりつくように体を預け、ピンポイントに執拗な口唇愛撫を繰り返す。
「ん、ふ、はふぅ…あはぁ、美味し……」
蜜を零す花と、それに惹かれて集う虫のようだ。
普通と違うのは、虫が強制的に蜜を搾り出させているところ。しかも、虫は一匹ではなくて群れだった。
あちこちで目配せ一つ交わす事もせずに、息の合った責めを見せている。
316 :
幸運の条件:2008/07/19(土) 19:44:33 ID:vrrNOcoG
互いに互いの考えが全て分かっていると言わんばかりの動きだが、それも当然。何せ、今はたくさんに分かたれたとは言え、元は同じエアなのだ。分かれる時点までの記憶も、ベースとなる人格や思考パターンまで共通している。
薄い腹筋の谷間を舐めあげるエア。
睾丸の皺一つに至るまで揉み弄ぶエア。
裏筋を優しく踏み撫でるエア。
いつの間にやら健二の体に群がっている全てのエアが、彼を快楽の頂きへと襟首掴んで引き摺りあげていく。
全身から腰に向かって甘く痺れるような疼きが流れ込み、そのまま脊髄を伝い登って、健二を揺すぶる。理性なんかとっくにグズグズにされている。
「くすくす、我慢なんかしちゃダメだよ。いつもみたいにアタシ達が健二の欲望を満たしてあげる。
出して。健二の白い命、いっぱい出して」
色欲に染まった頭では、もうどのエアの口から出た言葉なのか判然としない。
淫蕩な言霊が耳から入り込んで、脳までも犯す。
上の口からは情けない悲鳴が、下の唇からは白い怒涛が噴き出す。
優しく冷徹に亀頭愛撫をしていたエアに逃げる暇も与えず、欲望がぶちまけられた。
透明なカウパー腺液を押し退けて ビュクビュクと音すら立てそうな勢いで飛ぶ白濁液は、妖精の小さな身体をいやらしく染め上げていく。
それをエアは、嫌がる素振りを欠片も見せずに真正面から受け止めた。
嫌がる理由などエアには無いからだ。
これこそ、人間の精液こそ今の彼女達が切実に求める物だった。
端正な顔と言わず、緩やかに起伏を描く乳房と言わず。
精液はそこら中に絡みつき、粘っこい白糸を引きながら滴り落ちる。
柔肌の上にぶちまけられた白と半透明のマーブル模様を、エアの細い指先がゆるゆると遊ぶようにかき混ぜる。
ぺと、と自分の肌の上に掌を広げ、雄臭い白濁をこそげ取った。
掌を合わせて椀を作れば、まだ熱を保ったままの白いスープがたっぷりと溜まる。
気持ち悪さに捨てようとしているのではない。そうしようと言うのであれば、これほど蕩けた目は見せないだろう。
ちゅ。ぺちゃ。じゅる。じゅる。
こくり、こくりと喉が動いては掌中の精液を飲み下していく。
常ならば美しい歌を紡ぐ薄桃色の唇が、一心に雄の欲望を飲み干していく様は、ひどく背徳的だった。
二杯目もすぐに干す。
317 :
幸運の条件:2008/07/19(土) 19:45:00 ID:vrrNOcoG
三杯目を掌中に満たした時。
「アナタだけずるいわ」
「あ!やん!やだ、なにするのぉ」
飛んできた他のエア達にあっという間に群がられ、押し倒された。
他のエア達はまったく躊躇を見せず、迷わずに精液塗れのエアにキスをした。
キスをした唇は肌から離れずに、彼女の胸と言わず腹と言わずぶちまけられた精液を舐め取っている。
綺麗な顔にもベットリと付着した精液を舌の腹が拭い去っていく。
性的な気持ちよさもあるが、親猫が子猫を舐めるような、家族の情を示す丁寧な舌先の動きは純粋に心地良い。
「あ……」
エアは恍惚とした表情で、姉妹達の奉仕を受け入れていた。
が、妖精とは悪戯をする者。それが身内でも関係ない。
乳房に――房と呼ぶにはだいぶ大きさと丸みに欠けてはいるが――唇が吸い付く。乳輪のほとんど無い色素の薄い乳首が、同じような色合いの唇に優しく食まれる。左右の乳首が同時にゾロリと舐めあげられた。
突然の胸への愛撫に、エアが顔を仰け反らせて啼く。
それを皮切りに、エアの身体のあちこちが淫靡な水音を立て始めた。
チュプ、チュプ。にち。くちゅ。チュウ、ちゅるっ。
小さな舌と唇が全身を這い回る。
そのまま二体、三体と一緒に口付けを交わし、舐め取った精液を舌を絡めてはお互いに交換し合う。
肉の詰まったベッドの上。見せ付けて官能を煽るように、自分から白濁汁をまとって妖艶な化粧をしては、しなやかな肢体を絡ませあう。
ごくり。
腹の上で繰り広げられるレズシーンに、健二は知らず知らずの内、生唾を飲み込んでいた。
「ねえ、期待されてるよ?」
「そうみたい。ケダモノみたいな目してるもの。もっとよく見せてあげようか」
「あぁん!ひゃん!んっ、はぁ、あふぅ……え?きゃ、やん、なにするの?!」
周囲のエアが悪戯ッ気満載と言った風にニヤリと笑う。一斉に悪そうに笑う様子は、普段が可愛らしい分、ちょっと無気味だ。
体中を舐められているエアをガバッと持ち上げて、本人がジタバタもがくのも気にせずに、体勢を変えさせた。
健二の視線の先。
無毛の秘裂が白濁に濡れて、切なげに息づいていた。
318 :
幸運の条件:2008/07/19(土) 19:45:31 ID:vrrNOcoG
妖精の羞恥心は人はちょっと違うのか。それとも、もう快感に思考が蕩けて分からなくなっているのか。不浄の孔まで見えんばかりに開脚させられ、男の目に秘部を晒していると言うのに嫌がる素振りも見せない。
浅く熱い呼吸を繰り返すエアに、一斉に彼女の姉妹達が襲い掛かった。ピラニアに群がられる牛のような、と言えば適切だろうか。
ツンと先っぽが尖りきった乳房を、薄く肋骨の浮いた脇腹を、色んな体液で濡れる内腿を。
幾つもの舌が、指が這う。
「んうぅ、ふ…うん、そこ……あ…ペロぺロされてるぅ、っは、あん、いいの……」
舌が動くたびに綺麗に精液は拭われ、代わりに肌の上にキラキラと濡れ光る唾液の線が引かれていく。
エアの滑らかな胸に出来た白い川は重力に引かれてねっとりと流れ落ち、お腹を通って、エアの股間を目指している。
その白濁の流れに何本もの細い指先が突っ込まれる。
秘裂の左右、ふっくらとした丘を撫で上げては指先にこびり付いた精液を口に運び、味わう。それが彼女達の好物である蜂蜜だと言わんばかりに、口腔で転がし、さんざん舌に絡めてからゴクリ。
「ん〜〜、っん!きゅぅぅ……もっとぉ、んぅ、あぁん、せつない、のぉ」
姉妹達の指は敏感な部分をギリギリで避けて通り、肝心の秘裂には触ってもらえない。
くすぐったさにも似た快感にモジモジと股を閉じようとする動きは周りのエアによってガッチリとガードされ、いやらしく腰をくねらせ踊る姿を健二の目に焼き付けた。
気が付けば、健二の肉棒は既に力を取り戻している。亀頭はパンパンに張り、雁首のエラは先ほどよりもグッと凶悪な張り出しを見せていた。
これだけの痴態を見せ付けられては無理も無い。彼の鼻息は荒くなり、目は欲望に血走っている。
「ねぇ、後ろの、気付いてる?もうあんなに大きくなってるよ」
「うん、次もたっぷり射精してもらえそうだよね。じゃあ、そろそろ彼女にはどいてもらおうかな」
何事も独り占めは良くない。自分達は同じエアから分かれた姉妹なのだから、いつも仲良く、どんな獲物も平等に。
嵐の中の小船よろしく、体も心も快感にもみくちゃにされるエア。
誰かの舌が翅の付け根を舐める。
誰かの唇が乳首を吸いあげ甘噛みする。
誰かの指が前後の孔にツプリと差し挿れられた。
「――――――ッ!!」
声にならない叫び声。
雷に打たれたように硬直し、見開かれた瞳からフッと意思の光が失われ、トサッと崩れ落ちる。
横たわるエアの開かれた足の間から、しょろしょろと音を立ててナニカが漏れだし、健二の腹の上を流れ落ちていった。
あまりに激しい絶頂にイったまま帰ってこないエアを、他のエア達がそのまま抱き上げて、どこかへ運んでいった。
痛いほど腫れ上がった健二の肉棒が、ヒクヒクと揺れる。
彼の愚息は、極上のレズショーのクライマックスに歓喜の涙を流してスタンディングオベーションを送っていた。
319 :
幸運の条件:2008/07/19(土) 19:46:00 ID:vrrNOcoG
「わ、な……何だぁ?」
半ば怯えを含んだ健二の視線の先。
とん、とん、と足音一つさせずに軽やかに降り立つ。
僅かに足を降ろした衝撃を感じただけで、重力から切り離されているみたいに、まるで重さを感じない肢体が二つ。
健二の鳩尾の辺りに、秘めやかな彼女自身を隠そうともしないで居た。
ふっくらとした柔らかそうな無毛の丘の下。
楚々と閉じ合わさった大陰唇の合わせ目を押しのけて、発情し充血した小陰唇がほんのちょっとだけ姿を見せている。
内側の淫肉を僅かに覗かせる唇の隙間からは、はしたない涎がつぅっと一筋、内腿に濡れ光る道を作ってエア達の期待の程を示していた。
待ちきれない、とばかりに自分の両腕で己自身を掻き抱く。
発情した者に特有の熱く浅い呼吸を繰り返しながら、肉の上を歩く。
そうして胸の上まで来ると、肩幅よりも広く股を開く。
開いた両足に引っ張られ、自然、くぱぁといやらしく淫裂も口を開けた。
塞き止められていた透明な粘液がじわりと溢れ、蛍光灯の明りを反射して煌めいて、エアの秘裂に淫らなアクセサリーを添える。
寄り集まり、重くなった雫が一滴。
ねとり、と糸を引きながら足元に広がる人間めがけて落ちていく。
「くぁっ!」
狙い過たず着弾。健二の両方の乳首からは、欲情の炎で熱くなったエアの体温が感じられた。
二体のエアは大きく股を開きながら徐々に腰を降ろしていく。
左右それぞれの乳首を跨いで、健二の胸の上にぺたりと座り込んだ。まだ完全に座っていない。尻を軽く浮かせたままだ。
膣口を擦り付け、潤滑油代わりの愛液をたっぷりと塗りつけてやる。
「く……うぅっ!」
たったのそれだけで健二が女のように悶える。
その無様な様子にエアは愉しげに笑い、腰を完全に落した。
左右に一つずつある小さな肉塊が、ちゅるん、と飲み込まれた。
「あううぅっ!」
「Kyun!……uu!」
「Aaaaa!!」
三つの口から三者三様の喘ぎが上がった。
いくらエアが小さいとは言っても、乳首では女の芯の奥底まで深く突き上げるようなサイズではない。が、それでも十分な快感が得られる。
ゆるゆると二体のエアが動く。
320 :
幸運の条件:2008/07/19(土) 19:46:40 ID:vrrNOcoG
股を揺らし突起を擦りつけるように、腰を前後に動かしている。熱に浮かされたように緩やかに緩やかに。
次第に二体のエアの秘所からはクチュクチュと水音が漏れ始め、卑猥なリズムを刻み続ける。
と、暇を持て余したのか。
一体のエアが翅を広げて、すーっと大きな半円を描きながら緩やかに降下してきた。
そのまま健二の右側に陣取るエアに後ろから抱きつく。
「あぁん!何するのよぅ」
「いいじゃない。アタシも遊びたいんだもん」
健二の乳首で淫戯に耽るエアの背中に、ぺたんこな胸を押し付け、擦りつける。
後ろから抱きついたエアの左手指は、前にいるエアの薄い胸を揉みしだき、右手の方はと見れば肉付きの薄いヒップの谷間に消えている。
もぞもぞと蠢く様子から、何をしているのかは明白だった。
「あ、ダメ!そっちは……!」
「ダメじゃないでしょ?元は一つの同じアタシだもの。お互いにぜーんぶ知ってるでしょ?
どこが好きで、どんな風にされると感じるのか、ね」
「あっ!やんっ!ちょっと、それ反則だよう、あ、ダメなのぉ、お尻の穴はだめぇ。
ぁん、お尻ぃ、こちょこちょするの、いやぁぁ……」
口では抗うものの、それが偽りであるのは明白だった。
乳首に跨るエアのアナルが、白魚のような指先でちょんちょんとノックされると、
「ひゃん!」
身体全体に緊張が走り、
「はうっ!」
健二の乳首を食む秘裂までもがキュッと収縮する。にわかに量を増し、押し出された愛液がぴゅっと飛沫を上げる。
無邪気に悪戯する指が動きを変えた。
「あ……っはふ、ん、ふぅ」
指の腹が皺を撫でつけ、悪戯のお詫びとでも言いたげに窄まりの周りをいたわるようにして優しくゆっくりと円を描くと、エアの全身を強張らせる緊張がとろとろと溶け出していく。
「あら、あんまり油断してると、こう、よ?」
「ひゃうっ!んぁ!つっついちゃヤダぁ!」
その繰り返し。
甲高い嬌声と共に二人で絡み合う右とは対照的に、左のエアは一人、静かに快感を貪っていた。
細腰が前後に動き、痛いほど勃ちあがった健二の乳首を浅く咥え込んでは、愛液を掻き出す。
かと思えば、お尻が丸く円を描くように踊り、陰唇全体を満遍なく健二の乳首に擦りつけていた。
充血した肉の弾力がエアを楽しませ、昂ぶらせる。
伏せられた瞳は快感に潤み、睫毛が震える。
321 :
幸運の条件:2008/07/19(土) 19:47:16 ID:vrrNOcoG
粘っこい水音の合間合間に、ふ、ふ、と切れ切れの熱い吐息の音が健二の耳まで届く。
片方の掌全体を胸に滑らせるようにし、もう片方は太腿の間に差し込まれている。
女の子の身体中で一番敏感な部分を弄っているのだろう。指がくりっとナニカを潰すような動きをする度に、ぴくんと身体が仰け反る。
その度に秘孔全体がきゅんとなり、ナカの肉をとても甘く噛む。
どんなに金を積んでも見られない、この世のものならざる淫らなショー。
それを眼前に突きつけられ健二は、俄然、猛った。
胸からはピリピリと微弱な電流にも似た快感が延々と流れてきている。そうだと言うのに、肉棒は猛りはしても射精できない。
視覚聴覚触覚それら全てから快楽が送り込まれていても、肝心の股間には誰も触ってくれないのだ。
これではイけない。射精<だ>せない。肉筒の内側をびゅるびゅると白濁が走り抜けていく、あの感覚を味わえない。
みっともないほど先走りは溢れ、肉棒の周りを取り巻く空気に擦り付けようとしてまでトドメが欲しいのか、しきりにひくついている。
そんな健二に、文字通りの意味で救いの手が差し伸べられた。
肉棒に他のエアが纏わりついたのだ。
「そろそろイかせてあげようか」
「そうだね。あっちの二人もそろそろ欲しい頃だろうし」
ついでに舌も差し伸べられた。
竿を緩急つけてマッサージする手と、亀頭の腹をちろちろと刺激する舌。
腰の奥に走る神経を引っ掛かれるような快感に、健二はあっけなく弾けた。
「ああぁぁ……いくっ、で!でるうっ!」
打ち出された精液は、一瞬、宙に舞い、ぼたぼたと健二自身に降り注ぐ。
余韻に震える肉棒が扱かれ、飛び出し損ねた濃いのが鈴口からドロリとこぼれて、肉棒に纏わりつくエア達の繊手を汚した。
ほとんど同時に果てたのだろう。射精の熱気から醒めた頃、上半身を健二の胸に預けるようにへたり込んでいたエア達が身を起こした。
胸と足の間に、ぬちゃ、と何本も糸が引かれる。
健二の胸元はすっかり愛液塗れになっていて、彼女達の絶頂の激しさ具合を示していた。
獣のように四つん這いの姿勢のままで、健二の上を這い回るエア達。
そうして健二の腹や胸に飛び散った白濁液を、一滴も残さないと言わんばかりに舐め取っては口に入る端から嚥下していく。
ぺちゃぺちゃと舌が肌を這いずる音。粘液を啜り上げる、実にはしたない音が響く。
肉棒に絡みついていたエア達も例外ではない。
まるで奉仕するかのように、赤黒い亀頭を対照的な色彩で彩っている白濁を丁寧に舌で清めていく。もっとも、そこに奉仕の精神など一欠けらもなかったが。
奉仕ならば、射精したばかりで痛いくらいに敏感になっている部分を容赦なく舐め清めたりはしないだろう。当然だ。彼女らがしているのは生気の摂取であって、奉仕ではないのだから。
「くぅっ!うあ!!エ、ア……痛ぅっ、きついって…」
清楚な面立ちとは裏腹の、あまりにも淫らな行い。
トロリと蕩けた光を瞳に宿しながら、それは健二に付着した精液が無くなるまで続いた。
322 :
幸運の条件:2008/07/19(土) 19:47:54 ID:vrrNOcoG
ようやく肉棒への一分の隙もない愛撫が終わり、一息付けるかとホッとしようとした間もあればこそ。
「はぁ、はぁ、はぁ………ッ?!」
健二はギョッと目を見張らせた。
翅を光らせて宙に浮かびながら、彼の眼前、妖精が股を広げていたから。
ごくりと自分が大きく唾を飲み込む音が、やけに大きく耳に響く。
エアの指先は自らの秘裂を大きく割り広げて、膣の奥の奥、子宮口まで見せ付けんばかりの痴態を晒していた。
膣は薄桃色に濡れ光り、ヌメヌメした襞の一つ一つまでも見えそうである。
泉の如くナカから溢れだす淫汁は尽きず、トロトロと溢れ出しては添えられた指先を濡らし、内腿を伝い流れては爪先まで幾筋も光る流れをつけていく。
彼女の行為の意味する所は一つしかない。
雌の求めに、雄が応える。
唾液に塗れた舌が宙に差し伸ばされる。
「Kyauun……」
ぺちゃ、と二種類の汁が出会う。
女陰を這う舌先に好きにさせながら、エアは四股を踏むように大きく、太股が水平になるくらいまで割り開く。
踵が尻に付くくらいに膝下を曲げ、何かを求めて腰を突き出した開脚の姿勢を取った。
蒼の瞳を期待に潤ませ、はふ、と悩ましげな吐息を一つ。そのまま健二の口に秘所を咥えこませるようにして、身体を沈める。
ゆっくりと降りてくる柔らかそうなカラダを、健二は一層の熱意を含んだ舌先で迎え入れた。
そして妖精の肌がどのくらい柔らかいのかを、その舌で味わい始めた。
指が動かない所為で募るもどかしさを情熱に換えて、舌を蠢かす。
「Pyuu…a……イイよぅ」
ざらついた表面でスリットを撫で上げる。返す刀ならぬ返す舌。つるっとした裏側で舐め降ろす。
「くぅっ?!」
今度は健二が悲鳴を上げた。
再び力を取り戻しつつある肉棒にエア達が群がっている。気の抜けかけた風船にまた空気を詰めるかのように、ゆるゆると勃ちあがっていく。幾本もの細い手が、何枚もの小さな舌が、肉棒に血が集まるのを淫靡に手助けする。
肉棒の滾りに後押しされて、大きく広げられたエアの股に喰らいつくようにして、顔を埋める。
スリットをねろりと舐め降ろした舌は、さらに奥へ奥へと伸ばされる。エアの股下を潜って、肉付きの薄い尻の谷間を割り広げる。
さすがにエアも、乙女として最も恥ずかしい場所を舐められるのに抵抗があった。
チョンと突ついたような可愛らしいアナルに唾液を塗りたくろうとする舌肉を真っ赤な顔で押し返そうとするが、粘液に手が滑ってしまい、何の抵抗も出来ていない。むしろ、より深い快感を求めて自ら性器を押し付け、擦りつけている風にも見える。
「ん、あ、ああん!ソッチ、は、ダメ、だよ。あ、やん、そっちはお尻のあ……なぁ」
もとより、それが本気の抵抗である筈もない。
その証拠に、エアは真っ赤な顔で恥じらいながらも、前後する舌の動きにあわせて彼女の腰がゆっくりと踊っている。
明らかに肛門愛撫に感じている。
一心に舐めしゃぶる健二の舌先に、ふと、なにやら柔らかい突起を感じるようになった。金属的な硬質さはないが、どこも柔らかいエアの女陰の中で、そこだけ確かにポチッとした感触。
それがエアの勃起したクリトリスだと悟るや否や、途端に舌と鼻息が勢いづく。
323 :
幸運の条件:2008/07/19(土) 19:48:40 ID:vrrNOcoG
たっぷりと唾液を纏わりつかせた舌が往復するたび、エアの甲高い声が部屋中に響く。
「Hyiaa…i…a……kyuunn」
エアが歌う。それは快楽への賛美歌だ。
腰を突き出して震えるエアを、健二が口の端から唾液をたれ流しながら演奏する。
彼の動きが、時折しゃっくりのように乱れる。秘裂へ奉仕を続けている間にも、他のエア達による健二の全身への愛撫は止まない。
胸の上ではエアが二体、さっき同様に彼の両の乳首を男根に見立ててゆるゆると腰を振ったり、勃起した肉の芽同士を擦りつけたりと自慰にふけっている。
オナニーに没頭するエアの太股の間では、別の長く薄青い髪が揺れている。
乳首で遊ぶエアの体の下には、また別のエア。健二の胸に寝転んで、擦れあう媚肉をぺろぺろと舐めては溢れる愛液を啜っている。
健二は舌先を尖らせて穂先とし、潤みきった女芯にジュプリと捻じ込むようにして舐めてやる。
途端、耳が痛くなりそうなほど甲高い嬌声が響き渡る。
エアが一際大きく身を反り返らせ、びくりびくりと大きく痙攣。闘牛さながらに荒く息を吐く健二の鼻梁に、くたりと覆いかぶさった。襲いかかる快感に、とうとう体に力が入らなくなったのだ。
男に身を委ね、耳に心地良い喘ぎ声と火照った吐息を切なげに吐く。
肉棒を破裂させんばかりの昂ぶりに後押しされるようにして、俄然、健二の舌が活発に蠢く。
もう理性も何もなかった。エアが妖精で、サイズが小さかろうが関係ない。舌で感じる雌の器官、その全てに自分の唾液でマーキングしなければおさまらない。
ほんの数センチのところから聞こえる可愛らしい喘ぎが、健二の獣性を更に加速させる。どこもかしこも痺れてどうにもならない中で、唯一まともに言う事を聞く舌を必死に動かす。
小さいながらも、ルビーのように赤くぷっくりと充血したクリトリスが翻弄される。
舌先でこねるように転がす。
「ひゃあ!あぁっ!あん!あん、イイよぅ!きもち……イイのよぅ」
途端、エアが背を反り返らせて喘ぐ。ぴょんと跳ね起きる様子は、バネ仕掛けの玩具さながらだ。
人間の舌表面には、舌乳頭と呼ばれる細かい突起が密集しており、びっしりとビロード状になっている。
エア達のサイズからすれば、それはプリプリの肉突起が満遍なく敷き詰められたブラシも同然だ。そんなもので女のカラダの中でも取り分け敏感なクリトリスを舐められたのだから堪らない。
表面の細かい凸凹が肉真珠を守る包皮を根本まで剥きあげる。
ついで舌に生えた突起の群れが、露にされた肉真珠をもみくちゃにする。
無防備になったクリトリスを嬲られると、エアの細い喉が震え、甘い鳴き声が搾り出される。
肉の快感に塗れたはしたない悲鳴も、妖精の口から迸るとなると美しく聞こえる。
「ひ!ひぃっ!……っんっきゅぅぅ、んぅ!んうぅぅっ!先っちょダメェ!」
およそ現実離れした光景がそう感じさせるのかもしれないが、健二にそんな事を考えている余裕はなかった。
舌が縦横無尽に蠢いて、妖精の秘裂を嬲り回す。
「は、ふぅ……っや、あ、はひィ、イイ!イくのぉ!イ、イっちゃうよぉぉっ!!」
ぷしゅ、と小さな水音。がくりと崩れ落ちるエア。
とろり、と口内を何かが伝い落ちる。
はぁはぁと荒く息をつく健二には吐き出す暇もなく、飲み下してしまった。
酸っぱいようで甘いような、爽やかでいて獣臭くもある、そんな不可思議な味がした。
324 :
幸運の条件:2008/07/19(土) 19:49:06 ID:vrrNOcoG
「ねえ、飲んだかなぁ?」
「ええ、飲んだわね」
「ねえ、どうなるかなぁ?」
「さあ、どうにかなってしまうでしょうね」
「ねえ、狂うかなぁ?ヒィヒィ言ってイキ狂っちゃうかなぁ?」
「そうね、狂わせましょう、皆で。
狂わせて、溺れさせて、涙と涎を溢れさせて、汚らしいオチンチンの先からはあさましく精液を噴き出させましょう。
びゅくびゅく、びゅくびゅく。たくさんたっぷり、尽き果てるまで止む事無く。そう」
「「「我らが母様の元へ帰る為にも」」」
クスクス、クスクス。
妖しい微笑が細波のように部屋に広がっていく。
ぞくりと健二の背筋を震わせた。
「エア、おまえら、何を言って……うっ、ぐぅ?!」
最後まで言い切れずにうめく。
ずくん、と全く唐突にある一箇所が熱を持つ。
突然すぎて思わず仰け反ってしまい視界には入れられなかったが、どこに異常が起きたのかは見なくてもはっきりと分かった。男なら誰しも馴染みのある感覚だったから。
股間に血が集まる。
肉棒に力が漲る。
数度出して萎れかけた肉塊が、触れる物すらないのに見る見るうちに硬度を取り戻していく。
空気の抜けた風船に、ぷぅっと思い切り息を吹き込んだかのよう。
「ねえ、オチンチンたててるよぅ」
「そうね、あさましいわ。ああ、でも仕方ないわ。どんな時でも欲望に忠実なのが人間の性だもの」
無邪気さと嗜虐のない混ざった、艶然とした笑みを向ける。
「もっとも、そう仕向けたのはアタシ達だけれど」
妖しく微笑むエア達の視線の先で、肉棒は先ほどよりも立派に勃ち上がっていた。
心臓が力強く早く脈を打つ。体中の血管の中を血が走り回って、全て肉棒めがけて流れ込んでいるような感触。肉竿に絡みつく蔦のように浮き出た血管が、破裂してしまいそうなほどにビキビキに張り詰める。
反面、指先の痺れが増したような気がした。
自分はこんなに絶倫だっただろうか。中学生の頃、自慰連射にチャレンジした事はあるが、その若さを持ってしても五発が限度。それも最後の方は飛びさえしなかった。
おかしい。
325 :
幸運の条件:2008/07/19(土) 19:49:37 ID:vrrNOcoG
恐怖と共に違和感が健二の頭にちらりと浮かぶが、それも束の間。
「あうっ?!」
鋭い快感が脳を白く焼いた。
健二の股間には欲望だけでなく感覚さえも戻っていた。否、さらに敏感になっていた。
普通は何度もイけば慣れてしまって皮膚感覚が鈍るものだが、張り詰めた肉棒から送られてくる快感のパルスは今まで以上。快楽中枢をぞろりと逆撫でするような感覚に、思考が中断させられる。
ぷくりと膨れた亀頭の横腹に小さな舌を這わせながら、二体のエアがくすくす笑っている。
精液とカウパーに塗れた肉棒を左右から挟みこむようにして、肢体を絡めている。
「ふふっ、ねえ、こっち見たよ」
「まだまだ終わらないよ。もっとたくさん出して」
エアが動いた。
右のエアが上に行けば、左のエアは下に。頂点に到着すると、逆転して交互に上下する。同じエアから分かたれた姉妹とあって、恐ろしいほど息が合っている。
それほど早くはない。
激しく早くはないが、無理矢理に快感を味わわせようと、動きは緩慢に、締め付けはキツく。
なだらかな胸が赤黒い肉茎に押し付けられる。雁首の下から擦りあげていく。亀頭表面を磨きあげるように滑っていく。
痛いほどの快感が健二を襲う。
股間で文字通りのポールダンスを踊るエア二体を見ている余裕なんて、あっという間に取り上げられた。
エアの肢体が動くたび、大小さまざまな快感の波が押し寄せては健二を弄ぶ。
「もうこんなにパンパンになってる」
亀頭の中腹のぷっくりと脹らんだ辺りを二枚の舌でチロチロと舐められると、視界が白くフラッシュする。
敏感なカリ下のクビレを、子猫の喉下を擽るように優しく愛撫されると堪らない。手足の先まで痺れるほどの快感のパルスに目は見開き、食い縛った歯の間から滲むように呻き声があがる。
が、イけない。
強烈だけど、それは射精できるような種類の刺激ではない。
射精という終わりが無いまま、ひたすらに快感を与え続けられる。
そんな健二の悶えっぷりに淫蕩に微笑みながら、エア達は健二の脳味噌を快楽で塗りつぶそうとする。
残酷なまでに無邪気さ。健二の意志をまるで気にしないで、さらに追い込む。
「そ、そんな……ひぃっ!」
彼を責める舌と肢体が倍になった。
326 :
幸運の条件:2008/07/19(土) 19:50:07 ID:vrrNOcoG
「くすくす、楽しそう。ねえ、アタシも混ぜてよ」
「いいわよ。さぁ、みんなで踊りましょう。輪になってぐるぐるって」
「ほらほら、もっとピッタリくっついて……」
「あははは、四つのオッパイでケンジのくびれてる所、きゅーってしてあげる」
肉棒に四方向からエアが抱き締めたのだ。
肩をぴったりとくっつけ、鈴口のほんのちょっと上で顔を寄せ合って、うっすらと媚笑と目配せを交わす。
先走りで濡れるのも構わずに全身を絡みつけ、健二の肉棒を軸にして輪舞する。
まるで膣に挿れているような感触。いや、それ以上だ。
膣肉はこんなに自由自在に絞めつけたりはしない。
何よりも、雁首にあてがわれた柔肉のリングがグルグル回ったりなんて絶対にしない。
「……ッ!!か、はっ、あっ!がぁぁぁっ!!!」
今度こそ、健二は叫んだ。
エア達は肉棒に胸を押し当てたまま、体を浮かして軽やかに回り始めたのだ。乳房の輪で、張り出したエラをキュッと締めつけたままで。
人には絶対に出来ない、妖精ならではのパイズリ。どくどくと鈴口から吐き出される潤滑汁で回転は極めてスムーズ。時折、きゅっきゅっとリズミカルに締めつけが弱まったり強まったり。
ビリビリと激しすぎる媚電流が雁首から腰の後ろを通って、健二の脳へ流れ込む。
「ぐぅ!くぁああ!良すぎるぅ!や、やめっ!やめてくれぇぇ!」
ぴたりと回転が止まる。
「っあ、はっ!ふぅ……」
途端、妖精の輪は逆回転。
哀れ、健二も数瞬前に逆戻り。
涎と涙と先走りが際限なく垂れ流される。
がつがつと後頭部を床に打ちつけながら強烈過ぎる快感に悶え狂う。もう痛みすら快感に負けてしまい、まるで感じない。
「トドメ、差してあげるよ。オチンチンからビュビューッて出させて気持ち良くしてあげる。
アタシ達にケンジの命の雫、いっぱい頂戴?」
つぅーっと四枚の舌が亀頭の腹を先端へ向かって舐め上げる。
天辺へと辿り着く。そこにあるのは、開放されるのを切望する切れ込みのような噴火口。
つぷり、と一斉にエア達の舌先が鈴口に差し込まれた。
絶叫と共に白い溶岩が吹き上がった。
327 :
幸運の条件:2008/07/19(土) 19:50:33 ID:vrrNOcoG
――15――
出せば出すほど性欲が高まる。
イけばイくほどに性感はさらに高まる。
全身のあらゆる箇所が敏感になって、どこをどうされても快感しか覚えない。射精するたびに次の射精が恋しくなり、次の絶頂までが短くなっていく。
自分の身体が自分の物ではなくなっていくような感覚が健二を襲う。
本能はチラリと恐怖を呼び起こしたが、それだけ。
頭の片隅がじわりと痺れたようになって、その麻痺感が全身に広がっていく。
次第にイく事しか考えられなくなり、恐怖はその他の感情もろとも、快楽に塗り潰されて泡と消える。
温かい泥に全身が漬かったような感覚。
底の無い快感という泥沼は健二の心を捕らえ、引きずり込んで、甘く甘く腐らせていく。
「あ!あああぁ、エアァ、イきたいぃ……イかせて……」
腰が震える。
根元からこみ上げて来る感覚。射精の予感。長くは持ちそうにない。
そして彼の予感は、ほんの少し未来にその通りになった。
迸る精液。
啜る妖精。
滾る肉棒。
求める自分。
もっとイきたい。
もっと出したい。
もっと気持ちよくなりたい。
どこまでもイき続けていたい。いつまでも出し続けていたい。終わり無く快楽に浸っていたい。
果たして、飢えた希望は叶う。
心優しき妖精達は、彼が彼女に幸運を願った時と同様に、彼の欲望を聞き入れてやった。
エアは、健二の望み通り、彼に最後の一滴までも丁寧に吐き出させてやった。
328 :
幸運の条件:2008/07/19(土) 19:52:04 ID:vrrNOcoG
――16――
互いに寄りかかるようにして建つ細いビルとビルの境界。
そこに僅かに出来た間隙。
老婆は健二と会った時と同じように卓を広げていた。
あの時と違うのは、以前は籠が置かれていた卓上には何もない事。そして客を呼ぼうとするでもなく、静かな眼差しで空っぽのテーブルクロスを見詰めている。ただじっと、誰かを待つようにして。
冬の気配を含んだ風が、さぁっと吹いてはテーブルクロスの裾を揺らして過ぎる。
彫像さながらに押し黙っている老婆の顔を白く照らしていた街灯が、不意に陰る。
老婆が顔を上げた。
「あぁ……アンタかね、お若いの」
立ちすくむ人影は何も答えない。
明らかに青年は様子がおかしい。老婆の前に立っているのに、彼は老婆を見ていない。瞳孔は開ききり、焦点を結ばず。何を見ているのか、左右の視線はちぐはぐな方向を向いている。その上、体全体がかすかに震えている。
下手な操者の繰るマリオネットにも似ている。まるで誰かが健二というサイズの合わない服を着ているかのよう。
「その様子じゃあ、やっぱり約束は守れなかったようじゃな。妖精が本物だと知ったならば、交わした約束もまた本物だとどうして気付けん」
誰に向けるとも無く、ぼそりと呟く。
「いや、その欲深さ故に気付こうとする心すらも自ら封じるのか」
長くかすかな溜め息。
その呟きにも健二は何も答えない。
現れたとき同様、今も身体中を無気味に震わせ続ける健二を、憐憫に満ちた瞳がちらりと見やる。
「人払いは済んどる。出ておいでな、愛し子達」
健二がその声に応じた。
ぐばっ、と顎が開かれる。
老婆の声に、何か返事をしようと言うのか。それとも、いきなり増えた妖精達にされた暴行に、売り主に対して文句の一つでも怒鳴りつけようと言うのか。
だが、明らかに様子がおかしい。健二は大きく口を開いたままで、そこからは怒鳴り声も何も出てこない。
大きく開けた口を、さらに大きく開こうとしている。全身をかくかくと小刻みに震わせながら、蛇が自分よりも巨大な獲物を飲み込もうとするかのように、さらにさらに大きく口を開ける。健二の頭の付近からはミシミシと軋む音がし始めていた。
彼は自らの筋力を総動員して、自らを破壊していく。
とうとう限界が訪れた。
ゴキッと大きく骨の鳴る嫌な音がしたかと思うと、下顎がかくんと垂れ下がる。顎関節が外れたのだ。だと言うのに、彼は痛がるでも苦しむでもない。一筋の感情の揺らぎも示さない。
329 :
幸運の条件:2008/07/19(土) 19:53:06 ID:vrrNOcoG
それだけでは終わらなかった。
限界を超え、外れた下顎がさらに下を目指して動く。
関節と言う支点があるからこそ、筋肉は力を発揮できるのだ。支点を失い、健二はもう動かせる筈がない。
だと言うのに健二の口は大きく開いていき、とうとう頬の肉がぶちぶちと千切れていく。
千切れた頬肉は、ついには自重を支えることが出来なくなった。崩壊は加速度的に進み、下顎がぶらんと頼り無げに喉元に垂れた所で終わった。顎の中心からぴょこんと、アカンベーとするように水気の失せた舌が飛び出しているのが滑稽だ。
様子がおかしいどころの話ではない。恐ろしく異様であった。
傷口からは血どころか、体液一滴たりともこぼれない。覗く断面はぼそぼそに乾ききり、朽ち木のような有り様だった。
夜気に晒された喉の奥、何者かが蠢く気配があった。
目の前で起きる健二の異変にも、老婆に驚くような気配は微塵もない。
彼がココに現れた時点でそうなると、彼女は知っているから。遥かな昔から、これは幾度となく繰り返されてきたことなのだ。老婆に驚く理由はなく、彼を哀れむ理由すらももう見当たらない。
「うんしょ……うんしょ……」
小さな人影が、アスレチックでもするように喉を登ってくる。
流れるような薄青い髪。しなやかな肢体。
エアだ。
「母様!」
「おうおう、愛し子よ。よう戻ってこれた。ようやり遂げたのぅ」
身の毛もよだつ光景を前にしても眉一つ動かさなかった老婆の表情が、緩む。
それは子を慈しむ親の貌であった。
エアは一体だけではない。エアが老婆にしがみ付いて頬擦りしているその間にも、次から次へとエアの姉妹達が健二の骸から飛びだしてくる。
エアが這い出る。
健二の足が崩れ、アスファルトに膝を付く。
エアが這い出る。
がさり、と言う音と共に健二の太股が半ばから崩れ折れる。
エアが這い出る。
太股が折れて、仰向けに倒れかけた所を支えていた腕が朽ち折れる。
全てのエアが這い出終わる。
胴が自重に負けて、くしゃりと潰れる。
アスファルトに打ち突けられた後頭部が砕け散る。
330 :
幸運の条件:2008/07/19(土) 19:54:05 ID:vrrNOcoG
腹、胸、頭蓋、腕、足。
崩壊は瞬く間に伝染し、どこもかしこもボロボロと崩れて、人の形をしただけの埃の小山と化していく。
役目を終えた"服"に用は無い。用さえ済めば、後は捨てられるのみ。
エア達が母の許に辿り着くまでの隠れ蓑になる。それが健二の最後の務めであった。
妖精達が自分の姿を隠すのに使う"妖精の外套"と呼ばれる術もあるにはあるが、さほど効果時間が長くない。使ったとしても、効果が切れた時に上手くかけ直せる場所があるとも限らない。さらにエアは風属の妖精だが、目に止まらないほど高速での移動できない。
万が一、人に見つかったら、最後の最後で全てが終わる。
町中を妖精が群れをなして飛んでいる光景など、誰が信じられるだろうか。
だが、それが見た目に人間であれば話は別だ。操り人形じみた怪しい動きではあるが、まさか中に妖精が詰まっているなどと夢にも思わないだろう。
存在を認識されなければ、存在を否定される事も無い。
「ワシらの姿を見れるから、アンタには期待したんじゃがなぁ……」
妖精を見るには妖精の目が要る。
妖精眼。
あらゆる妖魔化生の類いを看破し、魔術を見破り、果ては未来さえ見通すと謳われるチカラ。
老婆は健二を無作為に選んだのではない。
妖精のパートナーとなるには素養が必要だ。
それがいつの事かは定かではないが、健二に列なる血筋には異界のモノが混ざっていたのだろう。彼はそのチカラの一部を受け継いでいたのだ。本人でさえ、そうと気付かないほど極めて微弱ではあったが。
老婆がわざと妖精の外套の術を弱めて、人が妖精を認識しやすいようにしていなければ彼も素通りするだけだったろう。
しかし、妖精のパートナーとなるには素養だけでは足りない。
生まれもった素養が有ったとしても、人から妖精と共に生きた日々の事が失われて久しい。異界の隣人との付き合い方は、とうの昔にほとんどの人の記憶から抜け落ちていた。
何よりも大切なのは、信じる心。
「この国の人間は古くから数多の精霊を信仰しとると聞いたんじゃが……故郷と似てはおるがなかなか上手くいかんの。
それに最近では自分達で作り上げた空想すら信じる者達もいる、と言うから来てはみたものの」
妖精を信じる人間がいてもよい文化的下地があると思っていたのだが、結果は付いてこなかった。
ローブの上に大量のエアを纏わせたまま、落胆の溜め息をつく。
ついで、道の上で物言わぬ健二を見やり、口角を吊り上げて、うっそりと笑った。
「まぁ、お若いの。お主の犠牲は無駄にはならぬよ」
「そうよ、母様。こうなれたのはケンジのお陰だもの」
「そうじゃな。婿として迎え、血を混ぜるは叶わんかったが、こうして愛し子達を増やしてくれたからの」
「「「ねー」」」
エアが顔を見合わせて、声を揃える。
331 :
幸運の条件:2008/07/19(土) 19:54:41 ID:vrrNOcoG
その様が妙に面白かったのか。
次の瞬間、再び声を揃え、軽やかに笑った。
「さて、風が冷たくなってきたわい、そろそろ帰るとしようか。エア、妖精の小径<パス>を開いておくれ」
「はぁい、母様」
老婆の上から一斉にエアが飛び立つ。
女王は立ち上がりながら、老婆の姿を、ばさりと脱ぎ捨てた。
そこには世にも華麗な妙齢の女性が立っていた。背にはエアと同じような翅。裾の長いドレスを着て、生きた花を幾重にも散りばめた冠を戴いた、妖精達の女王。
女王の御前、地面から僅かに浮いて奉納するかのようにエアが踊りを披露する。
エアはお互いに手を繋ぎあい、優雅に踊りながら歌っている。
妖精の舞踏<フェアリーダンス>だ。
妖しく蟲惑的な歌声と踊りに、辺りからは現実感が失われてゆき、徐々に自然界の法則が歪んでいく。
ポウッと輪舞の中心に光が宿った。
最初は針の先ほどだった光は、漏れ出した水さながらにひたひたと地面を覆い、広がっていく。
辺りを薄明るく照らす街灯の冷たい光とは全く違う、春の日差しにも似た温かい白光。
舞踏にあわせて、光はどんどんと面積を増していく。
ぶぅんぶぅん、とゆっくりと脈動しながらエア達の輪まで光は広がり、そこで拡大を止めた。
魔力を持ったロンドは、僅かな時間、自然界と妖精郷とを繋ぐ橋を築く。
「小径が開けたよ。どうかなぁ?母様」
「なかなか良い出来です。初めてにしては上々でしょう。
ああ、そうそう。帰ったら、真っ先に増えた貴女達の名を決めてあげねばなりませんね」
言うなり、娘達の創った光の輪にそっと足を踏み入れる。
蝋燭に息を吹きかけたみたいに、女王の姿はふっつりと消えた。
それにエア達も続く。
あるエアは歩いて、またあるエアはじゃれ合って飛びながら、一人、また一人と妖精の小径を踏み越えて帰還を果たす。
そうして妖精の女王と娘達は、彼女らの故郷である異界に消えた。
冬を懐に忍ばせた風がひゅるりと吹き、そこに何者かがいた気配を拭い去っていく。
妖精の小径の光も消え失せて、跡には妖精の輪が残るのみ。
風はいつまでも吹き続け、一人地面に取り残された愚者の骸も、いつしか風の中に消えていった。
『幸運の条件』了
以上、乱文長文、失礼致しました。
プロット的には目新しい感は無く、古典だと思います。
当初は妖精によるローリングパイズリが書きたかっただけなのですが、やたらと話が膨らんでしまいました。
エンパシー能力はHシーンにもっと盛り込めたかなぁと思います。「一人がHな気持ちになると、次々と発情が伝染」とか。
しかし、悪役が上手く書けないのと硬い文体は何とかしなければ…。
書いてて思ったのですが、"妖精"と言う単語の持つイメージにキャラ造形が縛られますね。
まぁ、水風船みたいにプリプリ揺れるラテン系な熟れた尻と乳した妖精がいてもちょっとイヤですけど。
GH
じゃなくてGJだ
でも、長いなぁ
>>334 短すぎるのよりはいいと思うし、ちょうどぐらいの長さじゃね?
何はともあれGJ。
小さくともエロいエアに萌えた。
IFで欲望を我慢した健二がオムコサンに・・・という話は期待しても良いんでしょうかw?
なかなか面白かった
次は健二じゃなくてもいいからお婿さんを迎えた展開も見てみたいなあ
狐メイドの一ノ葉を早く
ここって、人外男×人間女な話もあったの?
お望みとあらば
>>332 某アニメに、バストレボリューションな巨乳妖精さん出てきましたねw
>>343 某アニメとはツンデレ魔法使いのことですね?
しかし、あぁん?最近だらしねぇ森の妖精
コマネコの人は書いてるかな?
久しぶりに失礼します。
人外旅館 其の三 『夜のお客様(前編)』
349 :
1:2008/07/21(月) 22:01:50 ID:QasBcVBC
そのお客がやってきたのは、ハクが旅館の女将となって一月ほど経った頃だ。
前まではこの旅館に宿泊客が来る事などほとんど無かったのだが、
ハクを妻として迎え若女将として仕事をするようになってから客の入りが良くなっており、
家族経営の旅館は妻の連子のコハクもフル活用してなんとか営業しているのが現状だ。
そのお客が来たのは、古めかしい帳場に座りながら、帳簿を捲って最近のお客の入りを振り返っていた時で、
見た感じは、落ち着いた感じの物静かな女性といったところだろうが、すぐに理解できた。
彼女が人間で無いと言う事が。
すっきりとした体つきで、その表情から、おっとりとした印象を漂わせた女性である。
「あの、予約をした‘弐口(ふたくち)美穂’ですが」
不安そうな表情で玄関を眺め回しながら声をかけてきたが、口調も印象どおりに控えめ。
その不安そうな表情をかき消すように、幸一は飛び切りの笑顔で対応する。
「はい、承っております。それでは、こちらの宿泊名簿にご記入ください」
基本的に、この旅館は電話での予約がメインである。
お客のほとんどは彼女のように人間世界に溶け込み、独自の住居を構えている者達で、そのために安心して対応できる。
時々飛び込みのお客も来るが、その場合は色々と問題を抱えている場合が多い。
つまり、襲われる場合が多いと言う事だ。
「名前、住所、電話番号と……種別?種族?」
記入欄の最後にある不思議な項目を見ると、キョトンとした顔を目の前の主に向けた。
「あぁ、それはですね、お客様の場合は妖怪とでも書いて頂ければ結構です。」
「妖怪って、あの、私の正体はもうばれているのでしょうか?」
「えぇ、ここはそういう所ですからね……」
このお客は友人に紹介されたとの事であるが。
ただ、“幽霊や妖怪でも安心してリラックスできる旅館”としか言われていなかったようで、
お客の9割以上が人外の者達であることまでは聞いていなかったらしい。
「種族の方は……まぁ、記載されなくても結構ですが、サービスの都合がありますので」
「はぁ、サービス?」
特に、妖怪の類になると、食べる物や用意する物を色々と選ばなければならない場合が多い。
この前のお菊さんとの時は、「あたしっ、お皿を割らないと夜眠れないのぉー」と言って10枚近く皿割るし、
偶然同じ日に宿泊していたカッパ娘さんは「きゅうりっもっとイッパイ頂戴っ……夜に使う分もね♪」
と言ってきゅうりばっかり要求するし……
まぁ、この時はカッパ娘さんの頭の上にある皿をみたお菊さんが艶かしい視線を投げつけ、
それを感じたカッパ娘さんが身震いをするという微笑ましい場面もあった。
本当は電話予約の際に要求することは全部言って頂けるとありがたいのだが、
メリーさんみたく道を一つ曲がる度に電話してこられて困る場合もある。
当の女性は旅館の事を詳しく知らなかったらしく、不思議そうな顔をしながらも全て記入してくれ、
サラサラと種族の欄に記入した文字を見て、ようやく女性の正体を知る事ができた。
350 :
2:2008/07/21(月) 22:03:08 ID:QasBcVBC
「“二口女”・・・ほぉ、ならば夕食は、後ろのお口用にもう一つ必要ですね」
「そうよっ、よくわかっているじゃないっ」
夕食の相談をはじめた途端、今まで沈黙を守っていた後ろの口が声を上げた。
「こういう旅館ならあたしも喋り放題ね、あたしっ、ごはん100杯はいくわよ」
「だっ、ダメだよぉ、人間のお客様もいるんだからぁ、静かにしててよぉ」
「ははっ、承知しました。こちらも、夜中に出歩かれて、冷蔵庫を空にされては困りますので」
後ろの口は嬉しそうに声を上げるが、表の顔の方は恥ずかしさからか真っ赤に染まっている。
正直、ちょっと萌えた。
静かで落ち着いた謙虚な感じの女性と、その後ろについた正直で明るい口。
どうやら、後ろの口は別の意思を持っているようだ。
二口女には、前後両方とも同じ人格で支配している場合と、別々の意識が混在している場合があると聞いた事があり、
今回の場合は後者ということになる。
「ねぇお兄さん、私おなかすいちゃった。先に温泉入ってくるから、夕飯と、あと布団の用意も……」
「ああっ、もうっ」
自分の意識ではどうにも制御できない後ろの口のマシンガントークを聞き、ガックリと首をうなだれた。
で、1時間ほど経って
「いやぁ、いいお湯だったぁ、お肌もつるつる、腹もいい感じに空いてきたし、ガッツリ喰うわよ」
「ご飯はっ、ご飯はまだなの?早くして頂戴ねっ」
「メーシッ、メーシッ、メーシッ」
後ろの口から出た言葉を聞き、前の口の方は呆れて黙ったままである。
「そうですか、それは良うございました。夕飯のほうもすぐに用意を……」
「失礼しまーす、、、うぅ、重いよぉ、パパもてつだってぇ」
タイミング良く、仲居の衣装を身に着けたコハクが夕飯を運んできたが、それが半端な量ではない。
盆に載せた普通の食事がひとつで、これは前の口が食べる分だと言う事が分かるが、
さらに、巨大な飯桶を山のように抱えてきたのである。
盆に載せた飯は前に、そして、後ろの方に大量の飯桶を配置した。
「あの、コレでよろしいでしょうか?」
「はい、ご迷惑をおかけします」
伏目がちに礼を言うと箸を手に取り食事をはじめる。
箸を手に持ち、盆に載った飯を口に運ぶのは何の違和感を覚えることはないのだが、
その後ろでは、飯を運んできた二人を横目に衝撃の光景が繰り広げられる。
「あの・・・茶碗によそいましょうか?」
「結構よ、私はこっちの方が好きだし」
351 :
3:2008/07/21(月) 22:05:42 ID:QasBcVBC
二口女の髪の毛がワサワサ蠢いたかと思うと、飯桶に絡みついてゆっくりと持ち上げ、
箸にも髪の毛を絡みつけると、後ろの口にゆっくりと近づけて、
“ガツガツガツガツ”
一気に口の中へとにかきこんだ。
目にもとまらぬスピードで一つ目の飯桶を空にすると、それをポイッと投げ捨て、
二つ目の飯桶に手(髪)をかける。
あっけにとられながらその光景を眺めていると、5分と掛からず全ての飯桶が空になった。
「こっ、コラッ、私のご飯にまで手付けちゃダメ」
「えぇー、だってあんた食べるの遅いんだもん」
髪の毛をシュルシュルと伸ばし、絡み付けた箸を前の膳へと伸ばそうとするが、寸前で動きが止まる。
蠢く髪の毛は、後ろの口だけでなく、前の彼女にも操作する事が可能なようだ。
「ごちそうさまでした」
「ゲプッ、ふぅ、私も満足したわ」
「もおっ、お下品なまねは止してっていつも言っているでしょ?」
「いいじゃないの、ここにいるのはお兄さんだけだし、しゃべり放題、いい所だわ」
相変らず甲高い声を上げる後ろの口に愚痴をこぼすが、聞いてくれるとは思っていないよう。
再び肩を落とす二口女だったが、急に、何かに取り付かれたかのような動きを見せる。
「んっ、くっ、ふあぁ」
口から甘い吐息が聞こえ、自分の身体を抱いて身悶える。
「ほらっ、さっさと私に譲りなさい、こんな良い男、あなたも抱きたいと思ったでしょ?」
「ひあっ、こらっ、だめよっ、だめっ、意識が、遠くにっ」
「どうせ私には勝てないんだから、無駄な抵抗はよしなさい」
「んっ、ふぅ、お兄さん、逃げて、逃げてくだ……さ……」
そういった直後、彼女の意識は失われ、抱きつくように倒れこんできた。
352 :
4:2008/07/21(月) 22:07:03 ID:QasBcVBC
「ちょっ、お客様、大丈夫ですか、お客様!」
肩をゆすって意識の有無を確認するも、意思の無い彼女の首は、ガクガクとゆれるだけである。
「これは、大変だ、おい、誰かっ」
それは、応援を呼ぶために叫び声をあげた瞬間であった。
‘ガシッ’
「つっかま〜えたっ♪」
意識を喪失したと思っていた彼女が起きると同時に体をがっしりとつかみ、全体重をかけて圧し掛かってきたのである。
だが、その顔つきはおっとりとした彼女の顔ではなかった。
意地悪げな光を包んだ細い目に、にやりと笑うたびに吊り上る口の端。
そう、まるで後ろの口の発する台詞に相応しい顔つきになっていたのである。
「なっ、あれっ?」
「ふふっ、状況が把握できなくて困惑しているみたいね、でも、薄々は気がついているでしょ?」
「その身体を支配しているのは、後ろの口の方だってことがかい?」
「正解、なかなか鋭いじゃないの、さすがは人外旅館の若旦那ね」
この時点では、幸一にも余裕があった。
妻を迎える以前からこの手の客はよく来ていたし、襲われる事もしばしばあった。
その場合は、大抵おいしく食べられてしまうのだが、2割くらいの確立で逃げる事もできる。
今回の場合、人外といっても相手は二口女であり、力もそこまで強いわけではない。
実際に押さえ込まれてはいたが、じわじわと身体を起こし、反撃を開始しようとしていた。
だが……
‘シュルシュルシュル’
「ん、なっ!?」
「残念でした、妖怪を甘く見ない事よ、じゃまな服は全部、脱ぎ脱ぎしましょうね」
力任せで振りほどこうとすると、二口女の長い髪がさらに伸び、譲の身体に絡みついた。
服の内側に入り込んだ髪の毛は、器用に服を脱がし始め、双方ともいつの間にか素っ裸になっていた。
「お、お客様、当方ではそのようなサービスは……」
「してるんでしょ?知ってるわよ、ここの若旦那は最高だって評判だものね」
「え、でも、最初は何も知らないような事を言っていたはずでは?」
「ふふっ、美穂は知らなくても、私が知っている事もあるのよ」
「む、くうっ」
気が付けば、譲は大の字で床に縛り付けられたような状態になっていた。
たかが髪の毛とタカをくくり、力任せに引っ張ってみたが、
「いやんっ、痛いっ」
「うっ、申し訳ありません」
「……なんてね、ウ・ソ・よっ」
他愛も無いやり取りをしている間に、細い髪の毛が束となって譲の四肢を拘束し、体の自由を完全に奪っていた。
当の二口女は譲の腹に尻を乗せ、怪しく光る瞳で完全な拘束を確認し、ご満悦な表情であった。
……とりあえずここまで。
な、なまごろしー
今見てた、GJ
しまった間違えたこういうときはGJじゃない、
( ゚∀゚)o彡わっふるわっふる
二口女の後ろの口ってすごいテクニック持ってそうな気が
わっふるわっふる
357 :
式神馴らし:2008/07/22(火) 22:16:23 ID:8nXPwoHt
投下いいですか?
他にちょうど投下してる人がいないならいつでも投下すればいいじゃない
359 :
式神馴らし:2008/07/22(火) 22:50:38 ID:8nXPwoHt
ではお言葉に甘えて
>266-272の続き
「問いその一。この衣装は何でしょうか?」
そんな質問とともに、半眼で見つめてくる。
式神変化を用いて、人間に化けた一ノ葉。狐色の髪の気の強そうな少女。
足首裾の紺色ワンピースと白いエプロン、白いカチューシャという恰好。いわゆるメイ
ド服だった。どれも術で作ったものである。居心地悪げに動く狐耳と尻尾。
「狐には巫女装束だと思うけど、身の回りの世話をして貰うのに巫女装束だと何か場違い
な気がしたから、メイド服にしてみた」
「相変わらず変な趣味だ……趣味ですね」
スカートを掴みながら、一ノ葉が呻く。普段の口調で喋りかけてかから、丁寧口調に修
正していた。かなり恥ずかしそうな表情である。
ベッドに座ったまま、初馬は両腕を組んで重々しく頷いた。
「狐耳メイドというのも、なかなか面白いと思うぞ。あとミニスカメイド服が邪道であるという
のが俺の持論。ミニスカ巫女装束は論外だと思う。露出が多ければ色っぽいなどという
論調は認められない。うん」
「また、訳の分からぬことを……」
横を向いて一ノ葉がぼやいた。音もなく揺れる長い狐色の髪。
初馬に視線を戻して言ってくる。
「問いその二。ご……主人様の世話をすると言っても、ここで一体何をすればいいでしょ
うか? ワシも一応メイドくらいは知っていますが、狭いアパートではなくもっと大きな
屋敷で働くものだと思います」
初馬の部屋。八畳のワンルームアパート。
パイプベッドとテレビ台、パソコンデスクと一人用の衣服タンスが部屋の三割を締めて
いる。残ったスペースに小さな絨毯を引いて、卓袱台を置いていた。
一ノ葉が来てから掃除は念入りに行っているため、きれいである。
「考えてなかったな」
「考えろ……と、考えて下さい」
腕組みをする初馬に、ツッコミを入れる一ノ葉。冷静に考えてみると一ノ葉は人間並み
に動くことしかできない。料理や掃除などの作業的なものは、まだ教えていなかった。や
って出来ないことはないが、失敗されても困る。
時計を見ると午後三時十分前。世間一般ではおやつの時間と言われているらしい。
初馬はベッドから腰を上げ、卓袱台の前に座った。
「冷蔵庫に果物あるから持ってきてくれ。あとフォーク」
「分かりました。ただいま持ってきます」
一ノ葉は台所に移動する。短い距離なのでたった五歩の移動。足の動きに合わせて長い
髪と尻尾、紺色ワンピースの裾が揺れていた。
台所に置かれた一人用の冷蔵庫。取っ手を掴み、ドアを開ける。尻尾を動かしながら中
を眺め、ガラスの皿に盛られた果物を持ってきた。
初馬の正面に腰を下ろして、卓袱台に皿を乗せる。
「お仕事ご苦労」
初馬はねぎらいの言葉をかけた。
みかんやリンゴ、バナナ、梨、スイカ、イチゴなどの果物を、一口サイズに切って皿に
乗せ、適量のシロップを掛けたもの。昨日病院に見舞いに来た母が置いていき、食べきれ
ない分を冷蔵庫に入れていた。
「じゃ、俺に食べさせてくれ」
「はい?」
素っ頓狂な声を上げる一ノ葉。焦げ茶の瞳に浮かぶ戸惑いと、訝しげに顰められた狐色
の細い眉。何を言われたのか理解できなかったらしい。
初馬は果物に添えられたフォークを掴み、一ノ葉に差し出した。
「可愛い女の子に果物を食べさせて貰うって、男のロマンだと思わないか?」
「ロマン……なのか?」
思わず素の口調で訊いてくる。首を傾げ、尻尾を曲げていた。狐として生きてきた一ノ
葉には、分かりにくいものなのかもしれない。もっとも、人間として普通に生きいていて
も、理解しづらいだろう。
「ロマンだ。細かいことは気にせず」
言いながら、初馬は口を開けた。
かなり腑に落ちない表情ながらも、一ノ葉は切ったリンゴにフォークを刺して初馬の口
に入れた。口が閉じるのを確認してから、フォークを引く。
「ああ、美味い」
リンゴを咀嚼しつつ、初馬は朗らかに笑った。甘味と酸味と、林檎の歯応え。いつもと
同じリンゴだが、いつにない味わいを感じる。
フォークを見つめながら、一ノ葉が首を傾げた。
「大して変わらぬと思いますが?」
「俺は果物を食っているのではなく、風情を食っているんだ」
人差し指を立てて、初馬は言い切る。
「というわけで、あーん」
「……ご主人様の考えることは理解できない」
一ノ葉は首を左右に振ってから、イチゴにフォークを刺した。
「あー、食った食った」
初馬は両足を伸ばしたまま、右手で腹をさすっていた。
皿の果物は全部胃袋に収まっている。皿にうっすら溜まっていた果汁も、残さず嘗め取
っていた。果物だけとはいえ、既に満腹である。
「途中から面倒臭くなって自分で食べるなら、最初から自分で食べて下さい」
一ノ葉が呆れた眼差しを向けてきた。
他人に食べさせて貰うというのは、意外と手間が掛かる。十口ほど食べさせてもらった
辺りで終わりにして、残りは自分の好きなように食べていた。
「いいじゃないか。俺は楽しかったぞ?」
初馬は気楽に笑ってみせる。
昔からの夢だった女の子に料理を食べさせて貰うという行為。おそらくは一生できない
と思っていた。しかし、夢が叶って満足している。
空の皿とフォークを指差し、初馬は告げた。
「というわけで片付け頼む。皿は流しに置いといてくれればいい。俺があとで洗っておく
から。まだお前は家事とかは出来ないだろうし」
「分かりました」
一ノ葉は皿とフォークを持って台所に向かった。
その間に、初馬は卓袱台の足を畳んで横に片付けておく。
皿を洗うわけでもないので、十秒ほどで戻ってきた一ノ葉。片付けられた絨毯を眺めな
がら、ふっと眉根を寄せた。
「次は一体何をするつもり……でしょうか? できれば何もせず狐の姿に戻して欲しいの
ですが? この姿で何か特別なことができるとは思いませんし」
「座ってくれ」
言われるままに一ノ葉はその場に腰を下ろした。両足を左側にずらした正座。いわゆる
女の子座り。胡座なども教えてみたのだが、座るときはいつも女の子座りである。
初馬は絨毯に寝転がり、一ノ葉の太股に頭を乗せた。
「快適……」
「何をしていますかね?」
表情を引きつらせる一ノ葉。両手を持ち上げたまま、困惑の眼差しを向けくる。何も言
わずにこんなことをしたら、困るしかないだろう。
初馬は迷わず答えた。
「男の夢、膝枕」
「何が男の夢だ、夢ですか……」
声を荒げようとして言い直す。
初馬は右手で太股を撫でた。柔らかな太股の感触と、白いエプロンの手触り。生き物の
ぬくもりと血液の鼓動を頬で感じる。普通の枕とは違った落ち着きがあった。
気まずそうに左右に動いている尻尾。視線を泳がせてから一ノ葉が呻く。
「気持ちいいの、ですか?」
「ああ、気持ちいい」
初馬は頷いて、身体から力を抜いた。
「このまま昼寝させてもらう」
そう言って目を閉じた。
ふと目を開けて、思いついたことを言っておく。
「あと、ご主人様ってのも丁寧語もやっぱり止めてくれ。なんか気持ち悪い」
「そうかい……なら最初から言うな」
呆れたような一ノ葉の声を聞きながら。
初馬は今度こそ昼寝に入った。
夕方の六時前に昼寝から目覚め、早めの夕食。それからタオルで身体を拭き、現在時刻
は夕方七時過ぎである。
初馬はベッドに腰を下ろした。
「……生々しい傷だな」
医療箱を持った一ノ葉が口端を上げる。まだ人の姿だった。
トランクス一枚の姿。むき出しの肌には治りかけの傷が残っていた。創傷八本と、丸い
火傷後が八箇所。既に治療が終っているので皮膚は再生されているが、まだできたての
状態。入院こそしないが、治療が必要である。
「もう少し軽傷で済むと思ってたんだけど……。お前は資料の情報以上に強かったよ。俺
の方が一枚上手だったけど、気を抜いてたら死んでたかもしれない」
苦笑いとともに一ノ葉を見つめながら、初馬は両手で印を結んだ。治活の術という治療
術の一種。霊力の補助を用いて自然治癒力を数倍に高めるものだ。傷を無理矢理治す
ことも可能だが、下手に強力な術を使うと逆に体力が危ない。
「治療手伝ってくれ。治癒の術でいいから」
「ま。その程度ならいいだろう」
一ノ葉は右手を持ち上げ、口笛のような呪文を唱えた。狐の姿の時は鳴き声を使って術
式を組んでいる。珍しい術式構成法だった。
初馬の左横に腰を下ろし、右手を肩の傷にかざす。決着直前の鎌鼬による傷。
「殺せると……踏んでいたのだが。貴様があれほど強いとは思わなかった」
治癒の術。自分の生命力を対象に注ぎ込む治癒法。傷の回復に体力消耗をほとんど
伴わずに済むという利点があった。自分で行う場合は、相応の消耗を伴う。
一度鼻を鳴らしてから、一ノ葉は尻尾を動かした。
「だが、もう一度戦えばワシが勝つ」
不敵に微笑み、断言する。
いくらか素直になっているものの、やはり根本的な部分は変わっていない。不自然に従
順になれても不気味なので、この程度が一番丁度いいだろう。
「無理だろ。俺もお前の情報を更新してるから。実際に戦ったことで癖とかも随分と分か
ったし、次はもう少し楽に勝てると思う」
初馬は言い切った。
全身の傷に術をかけ終わり、一ノ葉が手を引っ込める。
「ふん」
不服げに鼻を鳴らすだけで、否定はしてこない。
初馬は一ノ葉の膝に乗った医療箱を掴み、自分の膝に乗せる。蓋を開けて中身の湿布を
取出し、傷へと貼り付けていく。医療薬と治癒の術を込めた特殊な湿布。剥がれないように
包帯で固定してから処置は終了。
一ノ葉は包帯まみれの身体を見つめながら、
「どれくらいで治るのだ?」
「医者には一週間でほぼ傷跡は消えって言われてるよ」
初馬は傍らに置いてあったシャツを着込み、ベッドから立ち上がってズボンを穿いた。
夏用の薄手の寝間着。そろそろ気温が上がって暑くなり始めている。
ぽんと手を打ってから、初馬はベッド横に置いてあった小箱を手に取った。
「そうだ、お前にプレゼントがあった。気に入るかどうかは分からないけど」
「プレゼント?」
差し出された小箱を受け取り、訝る一ノ葉。
菓子箱ほどの大きさの紙箱。装飾などはなされてなく白い無地。
「開けてみてくれ」
一ノ葉は小箱を受け取り、蓋を開ける。
開けてから、沈黙。中身が何であるかすぐには理解できなかったようである。
十秒ほど思考を空回りさせてから、中身を取り出した。
幅二センチ、長さ三十五センチほどの赤い帯である。見たままを言うならば赤いリボン。
しかし、リボンと呼ぶには若干厚みがあり、髪などに結ぶことはできない。材質は上質
な鞣革で、端に金属のバックルがついている。
一ノ葉は胡乱げにそれを見つめていた。
「……首輪?」
「いや、チョーカーだ」
初馬は断言する。
以上です
続きは週末辺りに予定しています
わっふるわっふる
GJ
次も楽しみにしてますよ
丁寧語で話す一ノ葉・・・
すっかりしつけられちゃったなァ・・・
反抗的な方が好み?
雪女に会いたい季節だな…
蛤女房の話ってすごいんだなw
鍋に自分の小便って・・・特殊な性癖をお持ちでw
雪女は夏の熱気で溶けて雪ん子になるのか
いたくぁさんが恋しい季節になった
さて、週末なんだが
>>374 なんだ?書き溜めたssでこのスレどころか次々スレくらいまでをきれいさっぱり埋めてくれるのかww
一ノ葉の続きが週末投下なのでwktk
377 :
式神馴らし:2008/07/26(土) 19:45:30 ID:QD5n2p33
投下、いいですか?
いつでもこいや
では、投下します
>>360-366の続き
一ノ葉は初馬と赤い帯を交互に見つめてから、低い声音で呟いた。
「どう見ても首輪だが?」
「チョーカーだと言っている」
初馬は再び告げる。自身に満ちた口調で。
知り合いの術具職人に頼んで作ってもらったチョーカー。頑丈な鞣革とチタンのバック
ルで作られた特注品。さらに防御用術式まで組み込んだ強固な代物である。値段は七万円
もしたが、よい買い物をしたと思う。
今度は無言のまま考え込む一ノ葉。五秒ほどだろう。一人納得したように頷いてから、
無造作にチョーカーをゴミ箱へと放り投げた。紙くずでも捨てるように。
「………!」
痛みを無視して飛び上がる初馬。空中でチョーカーを掴み止め、受け身も取れず床に落
下する。重いものの落ちる音が室内に響いた。
傷の痛みに数秒歯を噛み締めてから、勢いよく起き上がる。
「人のプレゼントを無造作に捨てるな!」
「首輪などいらん。ワシは飼い犬ではないのだぞ」
初馬を指差し、一ノ葉が呻いた。
まるで首輪のような赤いチョーカー。実際首輪をイメージしてデザインしたのだから当然
である。しかし、あくまでも赤い革製のチョーカーであり、首輪ではない。
チョーカーを前に出しながら、初馬は言い切った。
「大丈夫だ、安心しろ。絶対に似合う」
「その首輪が似合うことは簡単に予想できるわ。だからこそ絶対に嫌だと言っている。何
でワシが首輪など付けなければいけないのだ!」
犬歯を見せて吠える一ノ葉。普通は怒るだろう。
デザインを考えている時から、一ノ葉には怖いくらい似合う予想していた。実物と並べ
て見れば、絶対に似合うという確信がある。
「お前が俺の式神である証明」
初馬はこともなげに告げた。
「俺が勝ったら俺を主人と認める約束だ。だけど、お前のことだから本心では従っていな
いかもしれない。だから、これは俺に従う証明。約束は守って貰うぞ? 使役者と式神の
上下関係、これだけは式神使いとして絶対に譲れない」
「くっ……」
奥歯を噛み締め、一ノ葉が呻く。
やはり他人を主と認めるのは嫌なのだろう。だが、式神とは実戦で共に命のやり取りも
行う相棒なのだ。上下関係はきっちりと教え込まなければならない。優しさや甘さで、命
を落とすことは絶対に避けなければならない。
初馬はベッドに座った一ノ葉に歩み寄り、
「覚悟はできた?」
「………」
視線を横に逸らしたまま、返事はない。
まがりなりにも式神、使役者と式神との関係は知っているはずだ。それが理解できない
ほど愚かでもない。抜けた所はあるものの、一ノ葉は非常に頭がいい。
沈黙を肯定と解釈し、初馬は一ノ葉の首にチョーカーを持った右手を回した。
一ノ葉は明後日の方向を見つめたまま、身じろぎもしない。表情も変えず、狐耳も尻尾
も動かさない。注射される瞬間のような反応である。
反対側から左手を回してチョーカーを掴み、赤い帯を首に巻き付けた。滑らかな髪の毛
が手の甲を撫でる。そのまま首の正面でバックルを止めた。
カチ、という微かな金属音。
一度だけ狐耳と尻尾が動いた。
「これで、オッケイ」
初馬は二歩後ろに下がり、満足げに頷く。首元に巻かれた赤いチョーカー。紺色のメイ
ド服と合わせて、不気味とも言える調和を生み出していた。
一ノ葉は怖々と首元に手をやり、チョーカーを撫でる。これが夢ではなく現実であるこ
とを確認するような仕草。狐耳を力無く垂らした。
「ふふ……。これでワシも人間の下僕なのか……」
自虐的に微笑んでいる。
今まで式神とは思えない強さを以て、人間に従うことを拒んできた。資料にはそう書い
てある。もっとも、一ノ葉を作った一族はかなり強いので、力で従わせることは出来ただ
ろう。だが、それはしなかったらしい。
初馬は時計を見やった。
「と、まだ七時半にもなってないのか」
普段なら修行などに時間を割かれてしまうのだが、今の状態では筋トレすらできない。
面倒くさいと考えている修行も、無いと寂しいものだった。
テレビはほとんど見ない。ネットに繋ぐ気にもなれない。あまり本は読まない。寝るに
は早すぎる。時間を潰す方法がない。そして、退屈は嫌いだった。
初馬は部屋の中央でぐるりと回ってから、ベッドに向き直る。
「なあ、一ノ葉?」
ベッドに座ったまま、落ち込んだように尻尾を弄っている一ノ葉。心持ちやつれたよう
に見える。他人に従属することは、一種の自己の崩壊なのだろう。
やや遅れから顔を上げた。
「……何だ?」
「夜のご奉仕を頼みたい」
初馬の言葉にしばし考え込み、
「ご奉仕?」
訝しげに訊き返してくる。虚を突かれたような表情からするに、単純に意味が分からな
かったのだろう。考えるように狐耳を動かしていた。
初馬は一ノ葉の隣に腰を下ろし、人差し指を立てた。
「古い言葉では夜伽と言うらしい」
「意味は分かった……」
目蓋を落として呻く。
「貴様は相変わらずアホだな」
「病院じゃ九時就寝だったから九時になれば寝られるとは思うけど、まだ七時半くらいだ
し。今から寝るのはさすがに無理だ。だから、エッチなことして時間を潰そうと思って。
幸い隣の人は午後十時くらいまで帰ってこないようだし」
「その論理展開が理解できない」
真顔で言い切る初馬に、一ノ葉は冷めた口調で言い返した。
自分でも奇妙なことを言っていると思うが、それは適当に無視する。
初馬は一ノ葉の肩に右手を置いて、
「お約束とかそういうもので納得してくれ。返事は?」
「断る」
そっぽを向いて即答する一ノ葉。これは予想通りの反応。
しかし、それは顔に出さず初馬は尋ねた。
「しばらく俺の言うことは何でも聞くという約束じゃない?」
「それとこれとは話が別だ」
視線を外したまま一ノ葉が答える。
初馬は表情には出さずに不敵に微笑んだ。口元がひくりと動くものの、笑みは表情に出
さない。ここまでは予想通りでである。
「それならこっちにも考えがある」
そう言うなり、初馬は右手で一ノ葉の頭を押さえ、自分へと顔を向けさせた。その顔に浮か
ぶ戸惑い。何をされるのか悟ったわけではないだろう。
「待て――」
言い切るよりも前に、初馬は自分の口で一ノ葉の口を塞いだ。
「んっ」
唇に伝わってくる暖かく柔らかな感触。脈絡のない口付けに、焦げ茶色の目が見開かれ
る。驚きにぴんと立つ狐耳と尻尾。身体も硬直して、動くこともできない。
伸ばされた尻尾がベッドに落ちるのを見てから、初馬は口を離した。
「……な、にを?」
訊いてくる一ノ葉に、さきほどまでの元気はない。
初馬は左手を一ノ葉の背中に両腕を回し、優しく抱き締める。恋人同士がするような抱
擁。手の平に振れるエプロンの留め紐。
何か言おうと開け着かけた唇を、再び口付けで塞いだ。
「ん……」
再び目を見開き、身体を強張らせ、狐耳と尻尾を立てる。
しかし、それも数秒。そのまま目蓋を少し落とし、身体から力も抜き、尻尾もベッドへと
落としていた。緊張してた身体から力が抜けていく。
唇の感触をしばらく楽しんでから、初馬は一ノ葉の口に舌を差し入れた。
「ぅん……」
一ノ葉の喉から漏れる小さな声。
初馬が軽く舌を差し入れると、怖々と舐め返してくる。意識的に行っているものではなく、
反射的なものなのだろう。最初はただ舌先を触れ合わせるだけのものが、次第に大胆な
動きへと変わっていた。
「くんっ、ふぅ……」
口の中へと伸びてきた舌を、初馬の舌が絡め取る。一ノ葉は恍惚とした表情で、目蓋を
落としていた。光の消えた瞳。思考はまともに働いていないだろう。
そのまま、お互いに舌を絡め合う。脳へと直接響いてくるような唾液の音。
「ぅんん……ん……」
一ノ葉が肩に両腕を回してきた。
初馬は空いていた右手を一ノ葉の腰へと伸ばす。口付けと舌技は止めない。紺色のワン
ピースを透過している尻尾。ぱたぱたと元気に動き回る尻尾を、無造作に掴んだ。
「!」
全身が硬直し、目を見開く一ノ葉。舌の動きも止まる。
初馬は右手を動かし尻尾を攻め始めた。尻尾の根本を緩く握り締めて上下に扱く。狐色
の毛が手の平を撫で、痺れるような感触が腕を駆け上がっていた。
「っあぁ!」
初馬の唇から口を離し、一ノ葉が甘い声をこぼす。虚ろな瞳のまま、背中を反らして舌を
突き出した。左手で押さえていなければ、後ろに倒れていただろう。
しかし、尻尾を攻めるのは止めない。
「あ、尻尾は……駄目、やめて……」
初馬を抱き締める腕に力を込めて、一ノ葉が懇願してくる。尻尾は敏感な器官。キスとは
比べものにならない感度だろう。
初馬は素直に右手の動きを止めた。
それで、糸が切れたように脱力する一ノ葉。前に倒れて、初馬の肩に身体を預ける。耳元
で聞こえる荒い息遣い。肺の収縮に合わせて、肩が上下していた。
「よしよし」
初馬は左手で一ノ葉の背中を抱え、右手で満足げに頭を撫でる。人間とは少し髪質の違
う狐色の髪の毛。並の女性よりも艶やかだろう。
「口では文句を言っていても身体は正直だな」
お約束めいた台詞を口にする。
「貴様はぁ……」
恨みがましげに一ノ葉が唸っていた。しかし、腰が抜け手足が震えているせいで、身体
に力が入らない。初馬に抱きついたまま動けないでいる。
初馬の右手が右の狐耳を摘んだ。
「ッ!」
一ノ葉の肩が跳ねる。尻尾と同じく、狐耳も敏感な器官。人間の耳とも比べものになら
ないほどに。親指と人差し指で優しくさすった。
「もう一度訊くけど、夜のご奉仕をお願いしたい。返事は?」
初馬に抱きついたまま、嫌々をするように首を左右に動かす一ノ葉。しかし、逃げるこ
ともできず、耳攻めを甘受している。
「返事は?」
「断っても、無理矢理押し倒す気、だろうが……!」
必死に虚勢を張り声を荒げる。しかし、拒否することはできなかった。拒否すれば素直
に引くつもりだった。それでは、一ノ葉の疼きは収まらないだろう。
「そうなんだどね」
初馬は言い訳すらしない。
両手で一ノ葉の肩を掴み後ろへと引き離す。
ほんのり赤く染まった頬、上気した呼吸、どこか泣き出しそうな潤んだ瞳。思わず無茶
苦茶に撫で回したくなるような扇情的な姿だった。
「どうする……気だ?」
不安げな一ノ葉の呟き。
初馬はそっと顔を近づけていった。
「あぁっ。また、キスは……駄目……っ」
二人の唇が触れ合い、一ノ葉の声が途切れる。
開かれていた焦げ茶の瞳に、淡い抵抗の光が灯った。しかし、それも一秒ほど。抵抗の
光は消え、甘い陶酔の色が浮かんでくる。
唾液の味を確かめるように、初馬の口を舐める一ノ葉。
初馬は一ノ葉の背中に両腕を回して、優しく抱き締めた。それだけで、安心したように肩
の力が抜ける。子供が飴を舐めるように、一ノ葉は両目を閉じて初馬の唇を一心に味わっ
ていた。
「んんん……」
喉から漏れる切なげな声音。
初馬は一ノ葉を引き離した。
「ふ、あぁ……」
泣きそうな瞳で、初馬を見つめる一ノ葉。緩く口を開けて、じっと初馬の唇を見つめてい
る。目元に滲む涙。大事なお菓子を取り上げられた子供のような表情だった。
「卑怯者、この卑怯者が……」
「もう断ったりしないだろ?」
そう告げるなり、初馬は一ノ葉を抱え上げてベッドに寝かせた。仰向けではなくうつ伏せ。
まな板の鯉よろしく、抵抗もなく初馬のなすがままにされている。
「どうする、気だ……?」
「ふふン」
初馬は不敵な微笑を浮かべ、そっと右手で尻尾の先端部を握り締めた。
背筋を強張らせる一ノ葉。だが、逃げることもできない。
「まだまだ前哨戦だ。バテるなよ?」
初馬は右手を上へと移動させる。それに従い、足へと投げ出されていた尻尾が、真上へ
と持ち上げる。狐色の毛に覆われたふさふさの尻尾。先端部の毛色はきれいな純白。初馬
が握っているのは、色の境目あたりだった。
「何をする気だ……?」
不安げな一ノ葉の瞳。
初馬は左手を不気味に蠢かせながら、冷酷に告げる。
「まずは、じっくりと嬲るような尻尾攻め」
「貴様……ッ」
一ノ葉の顔に恐怖が浮かんだ。
以上です
続きは、少し遅れます。
気長にお待ち下さい。
>>387 NA・MA・GO・RO・SHIiiiiiiiiiii!!
続きを全裸で待ってます。
ワッフルを100個進呈するので早く書いてください
>>387 なまごろしはいけません。
ぜひ続きをっ!
>>387 待ってた!待ってたよGJ!!!!!!!!!!!!!!!!!!
全裸+冷房で凍死する前に続きを読ませてくれ!
_ ∩
( ゚∀゚)彡 尻尾攻め!尻尾攻め!
⊂彡
393 :
若旦那:2008/07/27(日) 21:02:18 ID:EQoXSEei
一ノ葉さんがご休憩のようなので、合間を縫って投下します。
『人外旅館 其の三 『夜のお客様(後編)』
394 :
5:2008/07/27(日) 21:04:38 ID:EQoXSEei
‘シュルリッ’
「ひあっ、なっ、なんだっ」
「んっ、ふふっ、これから貴方を狂わせる、その最初の挨拶よ」
髪の毛が譲のペニスに幾重にも巻きつくと、それぞれが意思を持つように動き回る。
竿を強く、易しく、時には激しくさするその動きは、人間には決して真似のでき無い技である。
譲の上に尻を据えた二口女の身体が邪魔で、自分のペニスがどう責められているのか見る事はできないが、
二口女の頭から伸びる髪の毛が、ザワザワと蠢いているのだけが見て取れた。
根元から先端に向かって続けられるその動きは、その辺の男を射精へ導くのには十分な動きであったが、
経験豊か人外旅館の若旦那に対しては、まだまだ足りるものではなかった。
「大概の男はこうしただけで壊れちゃうのに……あなた、やっぱりすごいわ」
「でも、こうしたらどうなるかしらね?」
「え……ひっ」
二口女の長い髪が、拘束された身体の表面をサワサワと撫でた。
さらに、自分の手を使い、譲の乳首辺りを入念に、塗りこむように髪の毛をこすりつける。
「うわっ、ジョリジョリいって、こんなの初めてだ……ひっ!?」
今度は、滑った何かがペニスに触れた。
「何が触れたのか分からないって?ふふ、‘コレ’よ」
「二口女としては、最初はコレで責めるのが定石なんだけど、それじゃ面白くないでしょ?」
「ま、そのせいで一族の中でも変わり者って言われてるけどね」
譲の眼前に出現したのは、二口女の後ろの口から出された巨大な舌であった。
幅も10センチ以上、長さも今出ている分だけで3メートル近くはありそうな舌が、
蛇のようにのたうっているのである。
「まずは、全身を唾液まみれにしてあげるわ」
と、言うと、伸びた舌が全身を這い回り、あっという間に全身が唾液まみれにされてしまった。
長い髪が弄り、敏感になった体の表面を、唾液で濡れた巨大な舌が這い回る。
「ふふっ、体全体がヌラヌラと光って……そそるわねぇ、おいしそうよ」
そして、舌がペニスに巻きついた。しかも、髪の毛が激しく巻きついた状態のままである。
ペニスに巻きついた髪の毛に巨大な舌が唾液を塗りつけ、髪の毛がじょりじょりとさすり、
今までに感じたことの無い快感が譲るのか阪神を襲っていた。
「ひあっ、待ってくれ、このままじゃ、だしちまうよ」
「あら、射精しちゃうの?私はいつでも大歓迎よ?さぁ、さっさとわたしに精を捧げなさい」
395 :
6:2008/07/27(日) 21:07:06 ID:EQoXSEei
二口女は、譲の精を何度でも受け入れる準備ができているようであったが、
わずかに残ったプライドが許さないのか、譲は二口女に従う気が無いようであった。
予想外に抵抗する譲の態度に、二口女も最後の手段に打って出た。
「ねぇ、私の後ろの口で犯されてみたいと思わない?」
「私の口にモグモグされて、精液を出し尽くしてみたいと思わない?」
「でも……この体勢でどうやるっていうんだ?できやしないだろ?」
「あら、私が何者だか忘れてはいない?私は……妖怪よ」
譲の言葉通り、二口女は床に大の字に拘束した譲の腹の上にドスリと尻を置いているため、
普通に考えたら口を使ったフェラチオなど不可能である。
……普通に、彼女が人間であったらの話だ。
‘ザワワワワワワワ’
刹那、二口女の髪の毛が譲の視界一杯に拡がったかと思うと、渦を巻くようにして絡み合い、集束してゆく。
その中央から髪の毛を掻き分けるように巨大な口と巨大で長い舌が姿を現すと、譲の眼前で静止し、
長く伸びた舌で譲の顔面をゆっくりと嘗め回しながら、自分の過去を話し始めた。
「これが‘私’二口女の本当の姿」
「昔は、ふふっ、こうやってね、大きく口を開けては、人間を喰らっていたのよ」
「それが祟って、ある退魔士に破れ、ほとんどの場合は美穂に身体を封じられているの」
「でもね、奥手な美穂の性欲が異常に高まると、こうして私が表に出てこられる」
「美穂の身体が満足すると再び不自由な後ろの口……だから、今はタップリ楽しまないと」
「さぁ、あなたにも、‘私に食べてもらいたい’って思うくらいの責めをしてあげるわ」
‘ブチュー’
二口女による、熱い口付け。
と言っても、二口女の巨大な口に対して人間である譲の口はサイズが小さすぎ、
譲の顔全体が口の中に呑み込まれたような状態になっている。
顔をジュプジュプと吸い上げながら、その中では舌が激しく動き回り、
完全に顔を塞がれた譲は呼吸が出来ず、拘束されながらもジタバタともがく。
口が離れると唾液まみれになった譲の顔が現れ、呼吸を荒げていた。
「どうだった?私の熱い口付けは。もう、虜になってしまいそうでしょ?」
おもむろに口を大きく開くと、顔を犯していた口の中を譲に見せ付ける。
その口の中で蠢く舌は一本だけではなく、何十本もの舌のような突起が存在し、
譲のペニスを犯しつくそうと狙っているのだ。
(この口の中でしゃぶってもらったら……どうなってしまうのだろうか)
と、不安と期待が入り乱れた表情を見せる。
「ドロドロの唾液まみれになってかわいい顔、さぁ、いよいよペニスを責めてあげるわ」
396 :
7:2008/07/27(日) 21:08:42 ID:EQoXSEei
「……そう、そんなに射精したくないの?気持ち良くなりたくないの?」
「じゃあ、今までとは違う‘快感’をあなたにあげるわ」
譲がその言葉の意味を理解しかねていると、二口女の髪の毛がペニスの根元を激しく締め付けた。
激しい締め付けではないが、勃起したペニスにはさらに血が集まり、硬度が増してゆく。
また、譲の眼前では、何本かの髪の毛がしゅるしゅると現れ、‘紙縒り’のような束となって現れる。
その先端は鋭く尖り、二口女はそれを譲に見せ付けているのだ。
「ねぇ、これをどうやって使うと思う?これでどうやってあなたを責めると思う?」
「ふふっ、こうするのよっ」
髪の毛で作り出した‘紙縒り’を譲の下半身へと移動させると、
‘ズプッ’と、尿道口へ差し込んだのである。
「ひっ、いぎっいぃぃっ」
突然の痛みを伴った快感に、譲は歓喜とも痛みによる絶叫ともとれる雄たけびを上げた。
尿道に進入した髪の毛は、狭い道をギチギチと拡げるように侵入し、
仕舞いにはその道を塞いでしまった。
舌による奉仕は相変らず続けられており、行き場を失った精子が譲の中で逆流する。
根元を締め付けられて快感は持続されながらも、尿道を塞がれて射精する事ができない。
「どう?根元を押さえつけられて、尿道を塞がれて、出したくても出せないでしょう?」
「あぐっ、ひっ、ぎあっ」
「でもね、もし、私に食べて欲しいって言うのなら、出させてあげないことも無いわよ?」
「うっ、はうっ、いっ」
「あら、射精がしたくてしたくて、ろくに声も出せないみたいねぇ」
再び誘惑の言葉を譲に投げかけながらも、尿道に進入した髪はどんどん奥へと入ってゆく。
「くっ、痛いっ、やめてくれぇ」
「いやよ、あなたが出したくないみたいだから、こうしてあげてるんじゃないの?」
「ふふっ、痛みに耐えるその表情も、たまらなくそそるわねぇ」
この二口女にとっては、男を激しく攻め立てることも‘快感’のひとつであった。
強い意志を持ち、喰われることを望まない相手には、さらなる快楽を持って答える。
「ダメだっ、俺の……壊れちまうっ!」
「良いわよ、壊れちゃいなさい、私が責任を持って食べてあげるからねっ」
「出るっ……出るっ……うわあぁっ」
ビクビクッと長い痙攣を続け、大量の精液を吹き上げると、
噴出した精液が漆黒の髪の毛を白く染め上げ、二口女は、驚きと喜び持って答えた。
「すっ、すごいわっ、尿道を髪の毛で塞いでいるのに、それを押しのけての射精……」
「やっぱり最高よ、うふっ、うふふふふふっ」
自分の責めている男の素晴らしさに興奮し、背筋をゾクゾクと震わせる二口女に対し、
譲のほうは、その激しい射精の後、意識を喪失してしまっていた。
397 :
8:2008/07/27(日) 21:09:51 ID:EQoXSEei
譲の意識が戻ると、未だに床に大の字にされていた。
開放されて自由になったわけではなく、髪の毛も舌も、相変らず譲を舐り尽しているが、
先ほどまでペニスをしゃぶっていた口は元に戻っている。
「ふふっ、髪の毛で雁字搦めにされて、尿道を責められて、視姦されながら舌でフェラチオされる気分はいかが、若旦那さん」
「一人でこんな事できるのは、人外広しといえども、私くらいのものよ?」
「さ、もっとその喘ぐ顔を見せてちょうだいな」
「……残念だけど、もうすぐ美穂の意識が戻る、あと少しの間だけでも、私の虜でいてちょうだい」
‘二口女’が本来の姿を隠して美穂の後ろに戻ったのは、身体の支配権を失いつつあるためだろうが、相変らずペニスに舌を絡みつけており、
最初の時と同じように譲の腹に尻を乗せ、怪しい光の燈った瞳で喘ぐ様を見つめている。
その視線は、まるで質量を持っているかのようにねっとりと絡みつき、譲を犯す。
ペニスを舌で舐られながらも、髪で根元を締め付けられ、今度は尿道を完全に塞がれて射精ができずに
焦燥感が募っていたが、譲を犯し尽くしていた全てのモノが、スッとその場から引き上げた。
またお預けかとも思ったが、二口女がゆっくりと腰を上げ、譲のペニスに己のヴァギナをあてがう。
「ね、見て、私のココもこんなに濡れてきちゃった、そろそろ入れてもいいわよね?」
ペニスの先端とヴァギナの入り口が触れると、クチュリと水音を立て、
何枚ものヒダが‘早く入れてくれ’と言わんばかりに絡み付いていた。
腰を下ろせば、いつでも挿入する事ができる状態だが、何故かそこで動きが止まる。
「美穂、もう意識が戻っているんでしょ?分かっているわよ」
「いつも私にばっかり働かせて、たまには自分で動いたらどうなの?」
ペニスの先端を膣の入り口に接触させたまま、身体の支配権を美穂に譲り、
髪の毛も舌も、譲の体を拘束している物意外は全てが引っ込んだ。
だが、譲られた方の意思が身体にうまく伝わらなかったのか、
「急にダメ……ひあんっ」
‘ズンッ’
支配権を譲られた瞬間、美穂の身体は重力にしたがって降下、ペニスを膣の奥深くに導く結果となった。
譲の胸の上に両手を置き、身体を持ち上げてペニスを抜こうと力を込めるが、うまくゆかない。
身体の自由が戻ってくるのを感じつつも、ズリズリと身体を動かすたびに快感が襲い、
次第に快感を求める激しい衝動に突き動かされるようになる。
「いっ、今は身体を自分の意思で動かせるんですよね?だったら直ぐに抜いて下さいっ」
「あうっ、お兄さん御免なさい、でもっ、でもっ」
398 :
9:2008/07/27(日) 21:11:37 ID:EQoXSEei
ペニスを膣の奥深くに収め、快感にうめき声を上げながらもゆっくりと身体を持ち上げ、
全てが抜けきるかと思った次の瞬間には、体重をかけて再び胎内へと収める。
重力に従う形で身体を沈めるたびに、反り返ったペニスが肉壁を強く擦りつけ、
天を仰いだ口からはその度に媚声が漏れ出ていた。
「あんっ、良い感じよ美穂っ、もっと激しく動きなさい、もっと抉るようにっ」
「ふふふっ、いつも私に身体を任せて、何もせずにこんなに気持ち良い思いをしていたのね?」
「でも、美穂が自分で快楽を貪れるようになったら、私が表に出られなくなっちゃうかなぁ」
体の支配権を譲った後ろの口も、共有する体から伝わる快感に喘いでいるようだが、
その言葉は激しい上下運動を繰り返す美穂の頭には届いていない。
いや、頭は同じだから届いているのかもしれないが、快感に溺れてペニスを絞る事意外考えていないのは間違いない。
譲も、激しい上下運動だけで次なる射精へと導き出されるが、さすがにお客様の中に出す事は気が咎められる。
だが、
「いいのっ、お兄さんっ、中にっ、中に出してぇー」
「えっ、でも……」
「ほらっ、美穂もいいって言っているでしょ、観念してビュビュッとだしちゃいなさい!」
「……あーもうっ、じれったいわねぇ、私も手を貸してあげるわっ」
「んなっ、何をっ!?」
「ふえっ、何!?」
体の制御を美穂に渡してから動きを止めていた髪の毛が蠢くと、再び身体に巻きついた。
どうやら、髪の毛だけは身体の支配に関係なく二口女が自由に動かせるようだ。
しかも、今度は譲だけではなく、美穂の身体にも激しく絡みついたのだ。
美穂の胸に絡みついた幾本もの髪の束が、胸元を締め上げるように、乳首を摘み上げるように、
譲に絡みつく髪は、ペニスのサオや睾丸をやさしくマッサージするように怪しく蠢いた。
「あんっ、あたしの中で、ペニスに絡みついた髪の毛がっ、すごいよぉ」
「我慢のっ、限界……」
激しいピストンだけでも限界に近かった二人が突然の襲撃に耐えられるわけもなく、
乳首をつまみあげられた瞬間に硬直した膣の圧力は、譲を一気に射精へと導いた。
「くあっ……うっ、だしちまった」
「ああっ、はあっ、ふうっ、ふみゅーん」
結局、激しいピストンと絡みつく髪の毛による刺激に耐えかね、中出ししてしまった。
幸一の胸の上に倒れこみ、荒い息を続ける美穂の顔を覗いていると、フッと目が合い、
どちらからともなく顔を付き寄せ、軽い口付けを交わす。
美穂が倒れこむと同時に、二人の身体を縛り付けていた長い髪も元の長さへ戻っていた。
「よかったよ、若旦那さん」
「ふふっ、なかなかいいサービスだったわ、このことはみんなに広めてあげるからね」
「そっ、それだけは止めてください……では、失礼いたしました。」
399 :
10:2008/07/27(日) 21:12:29 ID:EQoXSEei
開放されると、一応は若旦那らしく挨拶をして部屋を後にし、
足を引きずりながら自分の寝床である離れの部屋へと辿り着いた。
離れでは、妻が先に仕事を終え、布団を敷いて待っていてくれた。
部屋を見渡して、いつものように布団が二人分敷いてあったのを見て、何となく一安心。
「あらアナタ、ずいぶんとお疲れのようね?」
「ん?ああ、“この手”の客は久しぶりでさ……そういえばお前が来てからは初めてだったな」
「……」
その時のハクは何も言うことなく、疲労困憊で布団にバタリと倒れこんだ姿を温かく見守っていたが、
異変は数時間後に訪れる。
「でだ、ハクさん、この状態は一体どういうことでしょうか?」
この状態……というのも、異様な気配に目が覚めると、妻に簀巻きにされていたのだ。
妻の顔は怒りを感じさせるものでは無いが、潤んだ瞳が何かを強く訴えかけてくる。
何を言いたいかは聞かずとも分かっている。
無論、先ほどの行為についての事だろう。
「お客様とはいえ、あんなに激しく性交するなんてっ……それで私はお預けですかっ?」
「アレは仕事の一部でっ……それは親父やお袋にも説明してもらっただろ」
「それは承知しています。承知していますが我慢ならないんです!」
言葉に感情がこもると同時に、巻きついた太い胴体の締め付けがだんだんと強くなり、
身体の骨がミシミシと悲鳴を上げはじめた。
「おっ、お前との行為は週に1度って決めてただろっ」
「それはまた別ですっ、あんな気持ち良さそうな声聞かされたら、我慢できないのぉーっ」
汗まみれ、体液まみれのまま、女の匂いが染み込んだ身体で寝入ったのがまずかったのか、
赤面したハクの興奮が最高潮に達し、巻き付かれた幸一の身体も限界に達したその時。
‘ぎゅ〜……ボキッ’
「がっ!?」
普段聞きなれない、だが、妻のハクにとっては聞きなれた音が部屋に轟いた。
「……あなた?今、左右の肋骨が合計で3本ほど折れるような音がしたけど大丈夫?」
さすが、人間を締め付ける経験が豊富なだけあって、折った箇所を言い当てるのも正確だ。
的確な状況把握をしながら、拘束している自分の夫の顔を覗きこむ……が、
反応がない。ただの屍のようだ。
「ちょっ!?あなたっ、あなたぁー」
肩をゆするが、首がガクガクと前後に揺れるだけで何の反応もなく、口からは泡を吹いているのが見えた。
幸い、指摘どおり3本ほど肋骨を折っただけで大事には至らず、九死に一生を得た。
その後の話し合いで、“他の種族と行為に及んだ後は、優先的に妻と行為に及ぶ”
という事で決着。
譲が(俺、いつまで生きてられるだろうなぁ)と真剣に考えるようになったのは、これからである。
400 :
若旦那:2008/07/27(日) 21:19:31 ID:EQoXSEei
駄文、失礼いたしました。
最近どうも時間が無いですね、次回作の有無は未定ということで。
GJ
しかし想像すると凄まじい状況だな
若旦那ガンガレ超ガンガレ
みんな、全裸で股間の竿を回して応援するんだ!(突撃ヒューマン的意味で)
403 :
若旦那:2008/07/27(日) 21:53:54 ID:EQoXSEei
―お詫びと訂正―
若旦那の名前を以前書いた別作品(狐のヤツ)と混同していました。
『譲』ではなく『幸一』が正解……ま、どうでもいいことですが。
譲って何と読むんだ?
幸一は読めるけど
405 :
若旦那:2008/07/27(日) 22:30:33 ID:EQoXSEei
あ、『ゆずる』って読みます。
狐と同時進行で作ったのが失敗でした。反省
えっと、文章を書くときに
段落の一段下げをやって貰えるとありがたいです。
地の文と会話文の違いが分かりやすくなって
読みやすくなると思うので
いいですか?
ここはどこまで人外が許されるんだ?
モンスター娘くらいはいいのか?
スライムとか獣人とか
408 :
名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 22:42:31 ID:YfWxlv15
>>407 それくらいは普通にだいじょぶかと
むしろ許されない例がおもいつかない
下げ忘れたorz
ごめん
触手メインや獣人の逆レイプメインだったら
ウチのスレで書いてくれ、って言われそうだな
あれ、デジャブ…
>>407 獣人は専用スレがあったと思うが
モン娘はウェルカムだ
>>408 許されない例
男 × 男に変化した人外娘
て所か?
人間男×人外娘なら何でも来い
415 :
式神馴らし:2008/07/30(水) 22:54:36 ID:ow7NyqoF
投下いいですか?
どんと来い
>>380-387の続き
「ッ、ぅ……」
一ノ葉は両手で握り締めた枕に顔を押しつけていた。膝を突いて腰を突き出すような格
好、乱れた狐色の長い髪。動物の雌が雄を誘うような体勢である。
初馬はベッドに座ったまま、両手で優しく尻尾を弄っていた。
揉みほぐすように尻尾を動かしたり、根本から先端へと何度も撫でたり、逆に先端から
毛の向きに逆らって撫でてみたり、根本部分を指で揉んでみたり、先端を口に咥えて甘噛
みしてみたり。
その度に一ノ葉は声を噛み殺している。
初馬は左手で尻尾の中程を押さたまま、右手でそっとお尻を撫でた。
「ぅぅ……」
生地の手触り。そして、小降りでよく引き締まった丸い肉。逃げるように動いているが、
尻尾を捕まれているため、腰を左右に動かすだけで終っていた。
お尻を撫でながら、初馬は紺色のワンピースを見つめる。紺色の生地に隠れて中はどう
なっているのか分からないが、容易に想像は付く。
「頑張るなぁ。そういう根性って好きだ」
感心しながら初馬は手を引っ込め、そのまま尻尾の根本を指で摘んだ。紺色の生地を突
き抜けた、狐色の尻尾。指の腹にしっかりした尾骨と肉の感触が伝わってくる。
これから来る衝撃に、一ノ葉が身体を硬くしていた。
初馬はくにくにと指を動かし尻尾の根本を攻める。
「うぅぅ……ぅ……」
一ノ葉の喉から漏れる苦しげな声。激しく動こうとする尻尾を、左手が押さえていた。
強張らせた身体が、小さく痙攣を続けている。根本は最も敏感な部分らしい。
「そろそろ尻尾攻めは終わりだ」
初馬は尻尾から両手を放した。
それで、安心したように一ノ葉の身体から力が抜ける。もっとも、これで攻めを止める
わけではない。尻尾を弄るのを一旦止めただけ。
初馬は一ノ葉の肩を掴んで身体をひっくり返してた。抱える力もなく腕から落ちる枕。
ベッドの上でお互いに向かい合う。白いシーツの上に広がった狐色の髪。紺色のワンピー
スと白いエプロンが、膝の辺りまで捲れている。
「貴様あ゙ぁぁ……。次は、絶対に、殺しへやる……」
泣いているのか笑っているのか怒っているのか分からない、凄い表情。緩んだ口元と赤
く染まった頬、両目から溢れる涙。喉が痺れていて呂律も回っていない。
「次はどこを弄って欲しい?」
「くたばれ、変態ィ……。地獄に堕ひろおぉ」
涙を流しながら初馬の頬を引っ張る一ノ葉。普段ならかなり痛いのだが、今は腕に力も
入らず痛みもない。むしろ、この程度の刺激は気持ちが良い。
初馬は右手を伸ばして、無造作に狐耳を摘んだ。
声もなく、一ノ葉の動きが止まる。頬を摘んでいた指を放して、人差し指の先を軽く口
に含んでやる。舌で絡めるように指先を舐めながら、初馬は微笑んだ。
「まだ反抗的だな。お仕置き」
指を動かして狐耳を揉みほぐしてみる。
「っうあぁ……」
だらしなく口を開けて、喉を震わせる一ノ葉。背中を反らし、薄い唇を震わせていた。
開いた目から涙が一筋こぼれ落ちる。なすがままで、抵抗すらできない。
初馬は狐耳から指を放してから、指から口を離した。
起き上がることも出来ずに一ノ葉は尋ねてきた。
「次は何を……するつもりだ……?」
「終わりにして欲しいなら、そう言え。俺はお前をイジメたりは、まあ……意味もなくし
ないから。嫌なら、やめるって。これは本当だ」
首元の赤いチョーカーを撫でながら、初馬はそう告げた。無理矢理というのは好きでは
ない。一ノ葉が嫌だというのならば、素直に止めるつもりである。
「貴様は、ズルい……。卑怯だ……」
しかし一ノ葉はそう呟くだけだった。
初馬は太股の上辺りに腰を下ろしす。念のためであるが、逃げられないように。エプロ
ンの上から胸に両手を乗せた。服の上からでも分かる、柔らかな膨らみ。しかし、揉むよ
うなことはせず、形のよい乳房を手の平で撫でていく。
「ぅん……」
一ノ葉は肩をすくめて、顔を背けた。自分の姿を認めたくないのか、きつく目を閉じて
いる。しかし、胸をさする手の動きは変わらない。
初馬はエプロンの下に手を差し入れた。布が一枚減るだけで明らかに変わる手触り。紺
色の生地の上から、円を描くように胸を撫でる。
「んん……、くぅ……」
一ノ葉の声が少し変わった。直接に近い方が気持ちいいのだろう。しかし、声を噛み殺
せるほどにしか感じていない。敢えて直接触らないのには理由がある。
しばらく胸を撫でてから、初馬は手を放した。
一ノ葉が気を抜く前に、両手を頭に伸ばす。
そして、狐耳をつまんだ。
「!」
鋭い息。一ノ葉は目を見開き、初馬を見つめる。怯えた仔犬のように震える瞳。
やはりキツネの部分の反応は違った。ただでさえ人間の身体は敏感、そこに残ったキツ
ネとして敏感な部位。少し弄るだけで立派な性感帯と化す。
初馬はにっこりと微笑み、指を動かした。
「待てッ、待て! っぁぁ……耳は、やめてっっ、くれ……おかしく、なる……! あっ、はっ、
本当にっ、ダメだって……。あくっ、やめて、やめろ……!」
両手で初馬の腕を掴みながら、一ノ葉は甘い悲鳴を上げていた。指に合わせて形を変え
る狐耳。その動き合わせて悶える身体。ぱたぱたと尻尾が跳ねている。
初馬は笑顔で言い切った。
「嫌だね」
「あぅ、さっき、やめう……って、言ったじゃ、ぁぁっ、ないかぁぁ……」
両目から涙を流し、一ノ葉が非難の言葉を吐き出す。嫌がるなら素直に止める、確かに
ついさっき口にした言葉。それを忘れるほど記憶力は弱くない。
初馬は悪びれることもなく言い放った。
「無意味にお前をイジメることはしない。でも、意味があるならお前をイジメるのはかな
り楽しいし、止める気もない。むしろ、進んでいぢめる」
「ああぁ。嘘つき、卑怯ぅ者……外道ぉ。下衆野ろゥ……」
初馬の腕に爪を突き立て、罵ってくる。威嚇するように犬歯を見せるものの、相変わらず
迫力はない。元々人間の姿で噛み付いてきたことはないのだ。狐の時なら何度か噛まれて
いるいるが。
「はっはっは、その言葉も心地よい」
狐耳を弄りながら、初馬は意地悪く口端を上げた。
「一度、死ねえぇ、ぅぅんん……ぁぁ……」
「殺せるものなら、殺してみろ。さて、次は――」
太股から腰を上げて左横に移り、右手を狐耳から放す。左手はそのまま。右手を膝へと
伸ばし、裾の中へと差し入れた。張りのある太股を優しく撫で上げる。
「うぅぅ……」
一ノ葉の声が再び変わった。
何とか起き上がろうとしているのは分かる。だが、狐耳を弄られ太股を撫でられ、自分
の意思通りに身体を動かすこともできない。
「ふぁ、やめろぉ……本当に、ぁっ、はぁっ、おかしく、なうっ……からッ……」
太股を閉じて何とか手を止めようとしている一ノ葉。呼吸も乱れてまともな言葉を紡ぐ
とこもできない。肺も思うように動かず、半ば酸欠状態に陥っていた。
張りのある太股を楽しみながら、初馬は笑顔で告げる。
「止めろ、と言われて止めるバカがいるかって」
「あぁぁ、ぅぅ、殺しテぇぇ、やる、ぁぁぁ……」
ワンピースの裾が動いていているだけで、中でどのように手が動いているのかは見えな
い。触っている自分も触られている一ノ葉も、手の動きは理解している。だが、見えないこと
が妙な卑猥さを醸し出していた。
手の平を徐々に上へと移動させていく。指先に微かな水気を感じていた。
「俺のものが欲しかったら、素直に『お願いします、ご主人様』って言えよ?」
「ッ! フザけるナ……!」
額に青筋を浮かべて、一ノ葉が唸る。墜ちかけていた瞳に映る怒りの炎。鈍い音を立て
て奥歯が食い縛られた。ここまで言われれば、さすがに反応するだろう。
しかし。
初馬は秘部へと人差し指を触れさせる。
「ひぅ!」
一ノ葉が仰け反った。引き締めていた口元が緩み、瞳から再び光が消えていく。狐耳を
弄る指の動きは止めていない。残りの反抗心を総動員して踏みとどまってみたものの、そ
れほど持続はしないようだった。
濡れたショーツの上から割れ目の縁を撫でる。指先に感じる弾力。
「あ、あぁ、うああぁ……」
顎を震わせながら、一ノ葉が快楽の声を上げた。口元から涎が流れている。意識を保つ
のが精一杯なのだろう。快感に耐えるように、両腕で自分を抱き締めていた。
「一言お願いすれば楽になるぞー?」
「言わんン……わ、ボケ」
荒い呼吸の間に、言葉を吐き出す。
初馬は満足げに頷いてから両手を放した。狐耳から手を放し、スカートの中から手を引
き抜く。もっとも、一ノ葉の態度に諦めたわけではない。
肩を掴んで、一ノ葉をひっくり返す。仰向けからうつ伏せへと。
「……な、にを?」
困惑する一ノ葉を無視して、初馬は左手で尻尾の先端を掴んだ。
同時、両足の間へと右手を差し入れる。さらに、人差し指をショーツへと忍ばせ、秘裂
を直接撫で始める。
それだけではない。左狐耳の先端を口に咥えて、前歯で甘噛み。
達するほど強くではなく、あくまでも丁寧に優しく。
「! ッッ、っああぁぁ! ソレ……、そえは駄目、だめ……! あ、あああっ、待て、待へ。
待っ、て、本当に壊れうっ! やめ、ろ、やめへ……! おかひくなる!」
明らかに今までとは違う反応を見せる。
両手でシーツを掴みながら、一ノ葉は悲鳴じみた声を上げていた。目を見開き、涙と涎
を流しながら、必死の叫び。敏感な場所を三箇所同時に攻めるのは効果が違う。
初馬は狐耳を甘噛みしながら、器用に口を動かした。
「言わないとずっと続けるぞ?」
「分かっ、た……から。お願い、します……! ご主人サマ、もう許して……!」
一ノ葉の懇願に、素直に両手と口を離す。
「よろしい」
そう告げてから濡れた指を舐めた。微かに粘りを持った液体。味はない。
攻めから解放され、糸が切れたように脱力している一ノ葉。ベッドに顔を押しつけたま
ま、ぴくぴくと痙攣している。その姿は打ち上げられた魚を連想させた。抵抗すらできな
いという意味では同じだろう。
「俺の言いつけ通りお願いできたので、ご褒美を上げよう」
偉そうに言いながら、一ノ葉の肩を掴み、再び仰向けにひっくり返す。顔を真っ赤に染
めたまま、きつく目を瞑って横を向いている。
初馬はズボンの中から自分のものを取り出した。さきほどからの一ノ葉の痴態に、既に
準備は万端である。一度深呼吸をして、意識を落ち着かせた。
「………」
薄めを開けて見つめてくる一ノ葉。屈辱と期待に染まった瞳。
初馬は一ノ葉の足下に移動すると、紺色のワンピースをまくり上げた。白いショーツに
包まれた秘部。さきほど触っていた通り、ぐちゃぐちゃに濡れている。
「さ、行くぞ」
そう告げて、初馬は一ノ葉の背中に右腕を回した。身体を持ち上げながら、左手で
ショーツを横にずらす。誘うように痙攣しながら、透明な液体を垂らす桜色の割れ目。
初馬は膣口に先端を押し当てながら、一ノ葉を抱え上げた。
「ぁあっ!」
一気に膣が貫かれる。生暖かい濡れた肉の感触。支えていた裾が落ちた。
それで軽く達してしまったらしい。一ノ葉は初馬の肩に抱きついたまま、ぴくぴくと身
体を跳ねさせている。膣内も軽く痙攣していた。
初馬は一ノ葉の頭を撫でながら謝る。
「すまん、一ノ葉……」
「何……だ?」
辛うじて聞き取れる声。初馬は続けて頼んだ。
「傷が痛むから自分で動いてくれ」
さきほどから動くたびに、傷が染みるように痛んでいる。今までは激しく動いていなか
ったので平気だったか、これからはそうもいなかい。治療中に情事というのも無理があっ
たのだろうが、今更止められない。
「自分、で……って?」
一ノ葉の呟きは無視して、初馬は軽く腰を持ち上げた。両足を前に投げし、その場に腰
を落とす。小さな衝撃が、子宮口まで突き抜けた。
「っ」
歯を噛み締める一ノ葉。
締まった膣肉の感触と対照的な傷の痛み。ふたつの感覚に息を呑みつつ、初馬は後ろへ
と身体を倒した。上下逆にベッドに寝転がったような体勢。足下に丸めてあった布団に、
肩を預ける。一般的に騎乗位と呼ばれる体勢。
「あ、あ……あ……」
一ノ葉は虚ろな瞳で繋がった部分を見つめていた。しかし、紺色の裾に包まれ、中がど
うなっているかは分からない。二人が感じるのは、繋がった感触のみ。
「好きなだけ動いていいぞ。俺は止めないから」
初馬は動きを示すように腰を突き上げる。
「はぅ!」
一ノ葉の顎が跳ねた。狐耳と尻尾をぴんと伸ばしてから、初馬の胸に倒れ込む。どうや
ら身体を起こしていることもできないようだった。
「……無理だ。動けぬ」
「なら、仕方ない」
初馬は一ノ葉の背中に腕を回し、両手を合わせた。簡単な印を結ぶ。このようなことに
使う術ではないが、臨機応変と言うことで納得した。
「式操りの術」
「て、貴様何をしている!」
一ノ葉の慌てた声。式神を操る術。離れていては中継印が必要だが、身体が触れ合った
いるならそれも必要ない。今の乱れた集中力で感覚の共有はできないので、動きの掌握だ
けを行っている。霊力の消耗も避けたいし、この状態で感覚共有は正直危険だ。
狐色の髪を撫でながら、初馬は告げる。
「自分で動けないなら仕方ない。代りに俺が動かすから、好きなだけイってくれ」
「待て、……ッ! ああっ」
言い返す前に、一ノ葉の腰が動き出していた。太股と膝を伸ばしながら、初馬のものを
扱くように腰が上下運動を始める。本人の意思とは無関係に。
「待て待て、貴様っ。ぅふああっ……勝手、にぃぃ、ッッ。あぁ……ぅぅ、ヒトの身体、を動かす
な……! だめダメ、駄目だッ、あ、あああぁ!」
初馬の胸に抱きつきながら、悲鳴じみた声を上げる。
ワンピースの中から聞こえる水音。出来上がった身体への挿入で、感じる余裕すら達し
てしまったらしい。しかし、初馬は構わず一ノ葉の身体を動かし続ける。
「ああッ、もう……止めろッ。ッッッ。だ、から、止めろと……っああぁ、言ってる、のに……!
死ぬ、死んで、しまう、とめろ! 止め、許して……!」
勝手に動く身体。普通なら絶頂を味わって脱力しているだろう。しかし、式操りの術に
よって本人の意思とは関係なく動く身体。イきっぱなしの状況。
初馬は両手を伸ばして、尻尾を無造作に掴んだ。
「いぃッ! 尻尾、はッ……!」
悲鳴は無視しして、両手で尻尾を攻め始める。操り逃げられないよう、尻尾の動きも掌
握していた。ふさふさの尻尾を両手で嬲るように揉みほぐす。
「はっ、ふぁあ。もう許して……お願いシマす、あぁぁ、ッッッ、ご主人様ァぁ! もう、止めテ
下さいィ、ッッ! 許し、て下さいィィッ……!」
「よろしい」
短く呟き、初馬は動きの掌握を解除した。
初馬の胸に突っ伏したまま、全身を引きつらせている一ノ葉。不規則な呼吸をするだけ
で、減らず口も言えない。意識は辛うじて保っているが、しばらくは動けないだろう。
初馬も既に一ノ葉の中に射精していた。我慢する方が無理がある。
だが、気丈にも言ってみる」
「もう一回戦行く?」
「絶対にイヤ……だ」
一ノ葉が擦れ声で拒否した。
二十分ほどしてから汗まみれになった身体を拭いて、初馬はベッドに戻った。現在時刻、
九時五分。病院での消灯時間は八時四十五分だったのだ。充分寝られるだろう。
「……ワシは馬鹿だ」
一ノ葉が窓を眺めながら、呟いている。
狐の姿へと戻り、寝床のバスケットに腰を下ろしている。首元のチョーカーはそのまま
だ。身体に合わせてある程度収縮するように作ってある。
「どうした?」
初馬は声を掛けた。
一ノ葉は尻尾を一振りしてから、振り向いてきた。
「うむ、貴様のような狡猾な男の式神になってしまったことを悔いている。最初の時、な
ぜ貴様と戦おうと思ったのか、結界を壊して逃げればよかったのに、と」
「人生、後悔は意味がないぞ。未来を見つめないと」
初馬は微笑んだ。
一ノ葉は呆れたように目蓋を落とす。
「その台詞をワシに言えることに、貴様の凄さを感じる。まあ……いいだろう。認めてや
るよ。貴様はワシの主とな。トボケてはいるが、器の大きさは本物だ。周りの連中は随分
と苦労しているだろうが……」
「ありがと」
初馬は素直に例を言った。
褒めているのか貶しているのか、認めているのか否定しているのか、判断の付きにくい
台詞であるが、一応初馬を本当に主人として認めたようだった。
「さっそくだけど、今日最後の頼みがある。そう大したことじゃないから」
「何だ?」
訊き返す一ノ葉に、初馬は素早く印を結び。
「式神変化」
「って!」
霊力が一ノ葉の身体を貫き、その構成を一瞬で書き換える。
すらりとした大狐から、小型犬ほどの大きさの仔狐へと。例えるならキュウコンからロ
コンへの逆進化。的確な比喩だろう。
「何だこれは! 言っているそばから、貴様は何を訳の分からないことをしている! ま
た何を思いついたというのだ!」
普段の大人の声ではなく、子供のような高い声。身体の変化に合わせて、声帯も変化し
ているのだ。赤いチョーカーはそのままである。
初馬は両手を伸ばして、一ノ葉を抱え上げた。丁度良い大きさと暖かさ。ふわふわの毛
並みと柔らかな身体。予定通りの変化である。
「抱き枕」
初馬の答えに、一ノ葉は小さく呻いた。
「……明日後悔しても知らぬぞ」
翌日、抜け毛で布団の中が凄いことになっていた。
後悔したと正直に告白しておく。
初馬の日記より
以上です。
式神馴らし 第三話 終了です。
次の話は考えてありますが、しばらくお待ち下さい。
式操りの術による疑似憑依ものでも書いてみようかと考えています。
それでは、また。
GJ!
イッてる本人の体を動かさせての強制連続絶頂ってシチュが最高でした。
虹板モン娘スレの絵チャにて出したネタをSSに仕立て直してみました。
11レスほどお借りします。
属性はスライム、ボテ腹、百合となります。
その手の描写や属性が苦手な方はスルー、若しくは『スライム in メイド』をNG登録するようお願いします。
――1――
今や歴史書の中に記録を留めるばかりとなった血と炎に彩られた混沌の時代。
理由すら定かでない対立の末、自分達の手で己の住む大陸をも沈めんとしていた戦いも遥かな昔となった時代。
その数多の命を飲み込んだ人と魔の対立も、僅かな手勢と共に魔王の城に乗り込んだ勇者と女魔王の七日間に渡る壮絶な一騎打ちと取っ組み合いと口喧嘩の果て、お互いに愛が芽生えてしまいグダグダで有耶無耶の内に終わった。
それから幾星霜。
かつては知性の欠片もない不定形生物とされてきたスライムが、人と共に暮らしていてもおかしくないくらいに人魔の垣根の下がった、そんな時代。
――2――
その執務室は広かった。
そして広さに見合った豪華さも兼ね備えていた。
床は一面、薄く切り出された大理石が敷き詰められている。床に石材を使う場合、普通は靴に踏みつけられて床材が痛むのを避ける為にカーペットを敷くのだが、それは見られない。お陰で白いタイルの合間合間に埋め込まれたトルマリンが全て見て取れる。
大理石の白いタイルと青緑色をしたトルマリンとが相まって、実に涼しげな印象を与える。反面、冬は冷気が立ち昇って寒そうだ。
壁にはそれ単品でも美術品として通用しそうな額縁に入った絵画が飾られており、絵中の人物像が人族用にセッティングされたフカフカの応接セットを睥睨している。
執務机の背後一面は、壁の端から端までにもなる大きな本棚が占めている。棚には様々なジャンルの本がずらりと並び、どれを取っても高価で重厚そうな背表紙が並ぶ様は圧巻とも言える。
城壁のような本棚の前に鎮座する、執務机も広かった。
執務室の大きさも、デスクの寸法も、会社の規模に比例する。
執務机は、その大きさに見合った部屋に置かれていた。
創業百五十年余を数え、主力商品はあちらこちらの王家から王室御用達の栄冠を授かる、トロケール商会の会長執務室である。
何年にも渡って一日として休む事無く丁寧に磨かれてきた黒壇の机は鏡のように滑らかで、覗き込めば黒っぽいモノクロームの鏡像が見返すほど。
デスクは寸法に見合うだけの重厚さと威厳を伴なっていた。
だが、その机に比して、そこで黙々と書類を片付ける者はいかにも小柄だった。
両手を大きく広げ、机の上にころんと寝ても転げ落ちないくらいの体躯である。デスクがベッド代わりになるだろう。
だが、足を伸ばして、となると疑問符がつく。
ラミア族のように腿から下が蛇の体になっていて長いので机からはみ出してしまうから、と言う訳ではない。その逆だ。なにせ、机で仕事をする人物には伸ばせるような足が無いのだから。
正確に言えば、太腿の半ばから下は一つに融けあい、半透明のゼリーのような塊となって椅子の上でわだかまっている。
身長を見積もろうとすれば、せいぜい一メートルも見込めば十分に過ぎるだろう。
それだけのサイズの差があるのに、デスクの端に置かれたペン立てに手が届かないと苦労する様子は無い。椅子の上から体を乗り出さなくても悠々と手が届く。
それも当然。なぜなら、彼女はそうした事が生態の一部としてごく自然に可能な種族だからだ。
トロケール商会会長代理にして次期会長候補、フランチスカ=トロケールはスライム族であった。
物理攻撃の通じぬゲル状の身体をし、金属以外なら何でも溶かして喰らう脅威の悪食の下等生物、とされてきた種族である。
彼ら――スライム族は雌雄同体なので"彼"でも"彼女"でも同じ事だが――が理知の光を獲得して久しい。
とは言えスライムの全てが全て、知性を得た訳ではないが。今でもほとんどのスライムは本能のみに従うモンスターであり、彼女のような一族は貴種とされる。
さらには、今は人魔が血で血を洗う骨肉の争いをしていた時代ではない。
人族が伝統や格式を重んじる性質であるのが魔族側にも知られ、彼らからその価値観を尊重されているのと同様。
魔族達の、老若男女を問わずに各個の持てる実力のみを重んじる流儀も、既に人側諸種族にはよく知られ受け入れられていた。
そのお陰だろう。たとえ種族がどれだけ違っていようとも、知恵のある者、力のある者、金のある者がその大小に関わらず組織の頂点に立って他の者を使うのは、今の時代では自然な事とされる。
そうでなくては大陸でも名の知れた会社を経営し、何人もの社員や召使い達を雇う事など出来はしないだろう。
フランは手元の書類に目を通しながら、ひょいと手を伸ばす仕草をした。
と、すうっと腕が飴細工のようにスムーズに引き伸ばされる。伸びた腕は細くなったのか、やや透明さを増し、向こう側の風景が少しだけ鮮明になる。
手はペンを取って戻り、書面に何事かを書き込み、そこで彼女はやや渋い顔をした。
再びペン立てに手を伸ばしては、ちょいとインク壺の蓋をどかしてペン先にインクを吸わせる。するするとペンが戻ってきては、ちょいちょいと書類に何事かを書き付ける。
三度、ひょいと腕が伸ばされて、
「はい、終わり。次は?」
「これでございます」
傍らに立つ執事が次の書類を差し出す。
それなりに彼とは離れている筈なのに苦も無くそれを受け取り、しゅるりと巻き戻されては自分の前にかざす。
「今月のトロケール商会アマランス本店の売上げ報告、と。ふーん……」
フランは形の良い眉根をちょっと寄せた。
記憶から昨月の、さらには去年の同月売上げを引っ張り出してきて比較する。
「若干の落ち込みが見られるわね。何が原因かしら……流行の変化?宣伝不足?
バーンズ?本店の人は変えたかしら?」
「本店の人員配置に関しては特に変化はございません。ここ数ヶ月以上にわたり退職や新規雇用についてもございません」
「とすればサービス面での変化はなさそうね……いえ、逆に不足している?」
思考をわざと口に出して整理しながら、様々な要因をリストアップしていく。
「まぁ、いいわ。どうせ後で見回りに行くもの。その時に店長に話を伺いましょ」
ささっと確認の会長印にサイン。
机の上から追い出すかのようにしてあっさりと片付ける。
掌がヒラヒラと次を催促。そこへまるでダンスをしているかのようにスムーズに次の紙が手渡される。
中身を見た途端、今度こそ彼女は柳眉を逆立たせた。
「輸送隊の被害報告ぅ?!工場からこっちに持ってくる最中に盗賊団にやられた?馬車一台分が全損?!
ふっざっけっんじゃないわよ!!ここの領主は何してたのよ!こーゆー時の為に高い通行料払ってんでしょうが!」
人ならば顔面を真っ赤に染めていそうな怒り様。
だが生憎とフランの顔色は、彼女が卵から孵った時からずっと透き通った紅であった。顔色の変わりようが無い。代わりに彼女の身体である粘体の、人の髪を模した辺りがザワザワと剣呑な気配を飲んで蠢く。
「バーンズ!」
語気も強く、執事の名を呼ぶ。どちらかと言えば、叫ぶといった方が近くはあるが。
この手の報告が――永らく不在している母親でもある会長の代理であるとは言え――トップであるフランの元に来るまでにそれなりに時間がかかっている筈である。
会長の判断を仰いでから行動、では遅すぎる。
既に手を打っていると考えるのが妥当である。
無論、それに応えられないような無能はトロケール商会にはいない。
「件の領主様へ本社から調査員を二名派遣致しております。加えて、調査部のトラブルシューターが準備を整え次第、後発。一つ手前の領地で待機致します。
状況の仔細が把握出来るまでの間ですが、コンボイの護衛として追加の冒険者を雇いまして、往復共に二個パーティを増強いたします」
それを聞き、フランはようやく荒かった鼻息を静めた。もっともスライムである彼女に鼻から息をする必要性は全く無いけれど。
「よし、いいわ。領主の策略にせよ、盗賊どもの仕業にせよ、関係ないわ。トロケール商会に手を出したらどうなるか、たっぷりと思い知らせてやりなさい」
そこの領主が一芝居売って強盗を演出し、護衛費名目で通行料の水増しを狙っているのか。
それとも本当に新興の盗賊団が襲ってきたのか。
どちらにせよ鼻っ柱をへし折り、場合によっては原因を根本から断つ。
舐められては足元を見られて商売上がったりだ。
キン!キン!
と、フランの処理し終えた書類を手際よく片付けていた執事から、金属を打ち鳴らすような小音がした。
バーンズの長いマズルの横から生える髭がピクリとひくつく。
彼が肌身離さず常に持ち歩いている時計だ。内部の微細な結晶珠に封じられた魔素<エーテル>を動力源にして動く物で機能も多く、かなりの高級品である。
彼は一分の隙も無く着こなした執事服の内懐に手をやり、懐中時計を取り出した。銀の鎖がしゃらりと心地良い音を立てる。
ぱちりと蓋を開けて、
「お嬢様、そろそろ本店へ参るお時間でございますが」
「あら、もうそんな頃だったかしら。バーンズ、車の用意を」
忠実で知られる犬人<カニス>の執事は、主に一礼し、執務室を後にした。
その間にもフランは、ポイポイとペンやら何やらを元あった所へ戻す。
フランがいる本社社屋兼トロケール家の屋敷からでは、店まで歩いて行くには遠すぎる。
執事は馬車の用意をしにいったのだ。しかし、それだけならば何も執事本人が部屋を出て行く必要は無い。誰か他の者を呼び、言付けさせればよいのだ。
彼がわざわざ退出したのは、フランが支度を整えるのに配慮したからであった。
フランは羽根ペンや何種類もの判子が群れる辺りに、すっと手を伸ばす。
文字通りの意味で伸びた手の行く先は、ペン立ての隣に控える小さな金の呼び鈴。フランはその柄を掴み、軽く振った。
リン!
小さいが良く通る鈴の音が、馬車の準備を整えに出て行った執事とはまた別の人物を呼ぶ。
フランが呼び鈴を振ってからほんの少し。
茶色の髪を後ろで結い上げ、落ち着いた雰囲気をした女性がドアを開けて入ってきた。
メイド服姿からして、彼女がどういう立場にあるかは一目瞭然。
「お呼びでしょうか?フランチスカお嬢様」
「ナタリー、出かけるわ。支度をして」
――3――
裾が足首まであるフルレングスの紺のワンピース。その上からは華美ではない程度にフリルで飾られた真っ白いエプロンドレス。
頭にはフェアリーの裁縫職人の手によると思しき繊細なレースをあしらったカチューシャ様のヘッドドレス。
白と紺のコントラストも美しい、典型的なメイドの姿である。
特に彼女の場合、侍女として主人であるフランに付き従って客人に姿を見せる事もあるので、格好こそメイド服ではあるが生地も縫製も結構な質を与えられている。
ナタリーは女主人の言葉に軽く一礼。
諾の意を伝え、静かに執務机まで歩み寄った。柔らかだが毅然とした物腰や、足音をほとんど立てない足運びから、かなり上質の躾けを受けているのがうかがえる。
机を回り込んで、椅子の上にいるフランのすぐ横まで近づく。これからする行為は、遠いと主人の手を煩わせてしまうからだ。
ナタリーが腰のサッシュを解いた。
戒めを解かれたエプロンがハラリと揺れる。
メイド服のウエストの括れはなくなり、全体的にゆったりとしたシルエットとなる。ストンとした感じは、妊婦の着るマタニティドレスのように見えなくもない。
まさか当主の目前で着替えようというつもりでもないだろう。
ナタリーはごく自然な雰囲気を保っている。
フランも驚いた様子は無い。
さも当然、と言った表情でナタリーの一見すると異常とも取れる行動を黙って見ている。
「失礼致します」
ナタリーは再び一礼。
身を屈めると、彼女は自分のスカートの裾に手をやる。
次の瞬間、ナタリーはとんでもない行動に出た。
フランの目の前で、侍女のスカートが彼女自身の手によってゆっくりと捲り上げられていく。
羞恥に手が震えて止まりがちになるのでも、情欲を煽ろうとして悪戯にスカートをちらつかせるのでもない。
行動自体ははしたないと非難されても仕方が無い類いだったが、ナタリーにそれを恥じる様子は微塵も無い。貴人に仕える者の優雅さがそこからは滲み出ていた。
全てを覆い隠す緞帳がゆるゆるとペースを乱さずに引き上げられていき、内に秘められていた物をフランの眼に明らかにしていく。
白いストッキングに包まれたくるぶしの微妙な曲線が露わになる。
むっちりと肉が付いた、程よく熟れた太股が姿を見せる。子供では見られない柔らかいカーブを描く太腿は大人の女を匂わせる。
引き上げられるスカートの裾は止まる事を知らず、太腿の半ばを越え、ストッキングを吊り下げているガーターベルトまで露わになる。
そしてとうとう、両腿の間、普通ならば下草が翳っている場所までもがフランの前に姿を現した。ストッキングの純白とはまた違う、人肌ならではの血色の良い白が目に眩しい。
ナタリーはショーツを履いていなかった。
彼女は更に過激な行動に移る。
主の眼前に、己の股間を突き出したのだ。
ナタリーは立っている。フランは小柄とは言え、椅子の上にいる。
自然、フランの前にナタリーのオンナ自身が突き出される位置にくる。
そこは無毛の丘だった。
下着を穿いてないのも含めてナタリーの個人的な趣味などではなく、また彼女の股間は剃ったのでも抜いたのでもない。
彼女が十四でトロケール家の屋敷に奉公に上がった翌年、特殊な薬品で毛根ごと処理して、産毛一本たりとも二度と生えないようにされたのだ。
「どうぞお入りくださいませ、お嬢様」
侍女は主人にそう告げた。
メイドが露わにした秘所を主人の眼前に突きつけると言う異常な事態なのに主従二人はまるで動じず、
「ありがとう、ナタリー」
ごく自然なやり取りを交わす。
ナタリーの大人らしい複雑な造形の淫唇が、ため息をつくように僅かに口を綻ばせる。
それを見て、フランがクッと意地悪そうに口の端を吊り上げた。
「ああ、でも、これでは潤いが少なくてお肌が乾いてしまうわ」
現状、フランは下半身が不定形の塊だが、上半身は人族の少女の形を模している。
だから、こうして掌でナタリーの内股を撫で上げてやって、そこの柔らかさを味わうのも造作もない事。
「……っ!」
内腿につつーっと不意打ち。
ぞくりと走り抜ける感触に、声を上げかけたナタリーがハッとなり、キュッと唇を噛みあわせて声を殺す。
その様に、フランがにやりと大きく笑う。
ずる、とフランの腰から下が伸びる。先ほどは腿の半ばから下だったが、今は彼女の腰から下が粘体の塊になっている。スライムの身体は伸縮どころか、形すら自由自在だ。
まるで男が女を口で喜ばそうとするような、下から齧りつく体勢。フランの視界にナタリーの陰唇が大写しになる。
フランが舌を伸ばした。
ピンクに透き通った舌が見せ付けるように宙でヒラヒラ泳ぐと、プツプツッと表面から分泌された粘液がトロリといやらしく糸を引いて滴り落ちる。そして落ちる端からフランの身体に再び融合していく。
一見、落ち着いているナタリーだが内心は戸惑っていた。彼女の主が、こうまで手間をかけようとするのは久しぶりだ。
「あ、お嬢様、そんなにお戯れになっては……下でイオーン様やケイロ様がお待ちです」
「放っておきなさい。それよりも私はもっとココがシットリしてた方が好みなのよ」
ナタリーが口にしたのは、馬車を牽く車夫であるケンタウロス達の名前である。
彼女がフランの為の"支度"を始めて大して経ってはいないが、あまり時間がかかるようでは彼らや執事のバーンズを待たせてしまうだろう。
「ナタリー。貴女、私の『輿』としての自覚はおありかしら?」
「はい、勿論でございます」
「だったら、私が一番過ごしやすいように環境を保つのが、貴女の仕事ではなくて?」
これが侍女であるナタリーの主な役割であった。
粘体のような身体である為に、剣で切っても槍で突いてもまともなダメージにならないスライム族だが、そんな彼らにも大きな弱点がある。
身体が粘度が高いとは言え液体で構成されているので、乾きに弱い。
そして最大の長所であるゲル状の身体ゆえに這いずるようにしか動けず、足が遅い。
じめっとしたダンジョンやジャングルなどの湿った所が大好きと人の口に上る彼らである。それはたんに好き嫌いの問題ではなく、スライムの身体的特徴と切り離せないところから来ているのだ。
そして、知性を獲得したスライムが人の隣人となって長いが、その辺りの生得的な所までは変わっておらず弱点は弱点のままである。
人の住む環境はスライムには不便な場所である。特に人を初めとする諸種族と商いをするフランにとって、それは自分にとって厄介極まりない場所に居続けなければならない事を意味する。
だが、それを克服するのが知恵である。
他人の体内に潜めば、外部の直射日光や乾いた風の影響を受ける事も無い。それが女の胎であれば、潤いも温度も適度に保たれ、なおさら良し。
知性の無い頃にしばしば繁殖にそうした手法を取っていたスライムだからこそ思いつき、何の躊躇も無く実行に移せた方法である。無論、今では両者の合意が不可欠ではあるけれど。
ぺちゃ。
フランが自分で分泌した粘液に舌先を濡れ光らせて、それを塗りつけるようにしてナタリーの内腿を舐め上げる。
「くっ…ふ……」
粘液塗れの舌で肌を擦られ、むず痒いような感触で手足の先が痺れる。
これから襲ってくる快感と幸福感が思い出され、自然、胎の奥底が熱を持つ。
じゅる。
再び同じルートで舌が這い、フランが自分で塗りつけた粘液を自分で啜りとっていく。皮膚の表面およそ全てが口になるスライムには造作も無い。
まるで舌の表面に何百もの小さな唇が浮かんで、触れている部分全てでキスされているよう。
チュプチュプと細かく吸われながら舐められる度に、ぞくぞくと心地良い疼きがナタリーを震わせていく。
「あ、はぁ、お、嬢様……」
驚くべき職業意識の成せる業か。主の手によって引き出されつつある艶はナタリーの顔には出ていない。
だが、顔にこそ出ていないが、彼女の身体が快感に翻弄されているのは明らかだ。
フランの指だけがすぅっと伸びる。
つぷり、と温かいぬかるみに差し挿れられた。
途端、ナタリーの足先は伸ばされ、パンプスの中では爪先がきゅうっと丸められる。
下半身全体がふるふると小刻みに震える。
フランの指がナタリーの中で太くなったり長くなったりしてかき回すと、動きに連動して膝はカクカクと危なっかしそうに震える。
「お嬢様、お早くなさいませ……んうぅ」
「あら、貴女も悦んでいるじゃない」
指が差し込まれて開いた秘裂から、こぽっと悦びの雫が掻き出される。
途端、ほのかなバラの香りがフランの鼻先を包み込んだ。
「うふふ、良い匂い。この香水は誰よりも貴女に一番よく似合っているわね」
「あっ、あ、ありがとうございます」
これこそトロケール商会の主力商品であり、未だ他社が真似の出来ないでいる香水である。
皮膚表面から栄養を融かして吸収し、同じ箇所から排出し、更には様々な効果を持つ粘液を分泌する。そのようなスライムである自分自身の生態をヒントにして、初代会長が創り出した物だ。
品種改良を重ねた特殊なマンドラゴラから抽出される薬液を原料とするこの香水は、服用すると汗腺を初めとする排泄器官から排泄物と一緒に排出され、香りが発散されるのだ。無論、それが膣分泌液であろうと例外ではない。
フランの舌先がバラの香りの愛液を啜る。
小鳥が啄ばむように、ちょん、ちょんと充血し始めた淫唇を甘く柔らかく食む。
「ふあっ!」
「あら、そんな大きな声を上げるなんてはしたないわね」
口内でナタリーの性器を舐めながらでもフランの声に乱れは無い。スライムは体表面を振動させてどこからでも声を出せる。
「も、申し訳ございませ…」
嗜虐の微笑を浮かべたフランが、ごぼっと体を大きく揺らがせた。
彼女の体に浮かんだ波のような揺らぎは蠕動し、一点目指して収縮していく。すなわち、ナタリーのナカを掻き回す指先へと。
秘裂をくぱぁっと大きく広げ、入り込む。
そのまま送り込まれる粘体の蠕動は、続いてナタリーの媚肉を大きく掻き分け、肉襞を擦りながら奥へ奥へと進む。
「ん……ん!ふっ、あふっ、んぅーーっ!」
「えい」
こつん、と指先が奥を小突く。
「――――ッ!」
ぐずり。
ナタリーの膣の中でフランの腕が形を失う。
粘体は既にぱっくりと開ききった子宮口を通り抜けた。
「あ……あはぁぁぁっ!!」
ナタリーの最奥。フランが卵から孵った場所であり、彼女の御輿である所。そこでフランの手が再び形を取り、そっと内壁を撫でる。
膣をぞろりと撫でながら突かれる強烈な快感と、もう何度目になるか分からない子宮に子を抱える幸福感。
たまらず、ナタリーが控えめな美貌を歪めて声を上げた。
「ナタリー、そんなに絞めると入りづらいわ」
「も、申し訳ありま…ぁっ、せん。お嬢さ、ま、あ!ああぁぁっ!!」
ずるずるとフランが入っていくに従い、徐々にナタリーの腹が膨らんでいく。
反対に、フランの体は縮んでいく。
「ほら、貴女がこんなにいやらしくキュッキュッて絞めつけるものだから、私が押し出されてしまうわ」
嘘だ。フランはわざと体を外へ引き戻している。
外に出ているフランが大きくなると、ナタリーの腹がするすると元に戻っていく。
完全に元に戻りきる前に、また大きくなっていく。大は小に。小は大に。
「あ、ふぅ、も、申し訳ありま、せ、ん」
それを従者であるナタリーに指摘する事はできない。
彼女に出来る事と言えば、胎と股から力を抜いて、快感で絞めつけそうになる膣を緩めてやるのみ。
緩んだところに、フランが勢いをつけて雪崩れ込む。
「っは!あ!ああぁぁっ、お嬢さ、まぁっ!」
入り込んだ勢いそのまま、またズルズルと出て行く。
出切って入り口が閉じ合わさる前に、フランがズンと突き上げ、淫唇はぱっくりとナカがフラン越しに見えるくらいに口を開ける。
膣襞を擦りながら子宮をスライムが出入りするたび、ナタリーの口からは切なげな声が漏れる。
押し殺そうとはするものの尻肉は物欲しそうにフルフルと揺れる。
フランの腕は男根とは比べ物にならない精緻な動きで媚肉を抉り、ナタリーから快感と愛液を引き出していく。
じゅぷっじゅぷっと胎の中から淫らな水音が響く。
膣からしとどに溢れる愛液は垂れ流される事はなく、入り口にぴったりと形を合わせて漏れるのを防いでいるフランに残さず啜り取られていた。ぽってりとした淫唇全体に甘く吸い付かれ、それがさらにいやらしい雫をナタリーに吐き出させる。
限界まで開ききった膣口はいやらしく形を歪め続け、一瞬たりとも同じ形に留まらない。
まるで幼子が泥や粘土で遊ぶように、ナタリーの下腹部は気まぐれに波打ち、中からのフランの激しい責めが想像できる。
時折、フランの勢いがつきすぎたのか、ナタリーの腹が不自然にボコッと膨れるのが服の上からでも見てとれる。
誰かがこの様子を見ていたら、あまりの乱暴振りに壊れてしまうのではないかと危惧するだろう。が、この程度で壊れるようなナタリーの胎ではない。彼女がフランを受け入れて十五年になる。その年月はすっかり彼女の体を換え、馴染ませていた。
搾り取ろうとする強烈な絞め付けこそ若さと共に失われていたが、一度足を踏み入れたら抜けられないぬかるみのように、極上の柔らかさと温かさでフランを包み込んでいた。
ナタリーの表情にしても苦痛は存在しない。
きゅっと寄せられた眉根は、苦痛ではなく、全身を震わせるほどの快感を我慢しているせいであった。
先ほどまでは凛としていた白皙も今は薄い朱色に染まり、ナタリーの控えめな雰囲気と相まって何ともいえない艶を醸しだしていた。
――4――
だが、今日のお嬢様の様子はいかにもおかしい。
フランはまだ若いが聡明だ。性格も暴君とは程遠い。普段の彼女は、無為に使用人を責めたりはしない。つまり、相手がナタリーであるからこそ、こんな行動にでれる訳だ。
そのことにナタリーが気付いた時。
「どうかなさったのですか?」
ナタリーの両足の間。嗜虐に染まったフランの頭に、そっとメイドの掌が添えられた。
「どうかなされたのでしょう?お嬢様。何かございましたか?」
ナカで暴れまわっていたフランがピタリと動きを止めた。
唇と舌でクリトリスを弄んでいたフランが、キッとナタリーを振り仰いだ。彼女の唇は固く引き絞られ、眉はきつく寄せられている。それは泣く一瞬手前の赤子にも見えた。
何事かを怒鳴りつけようと口を開き、だが何も出てくることなく、力なく閉じられる。
彼女の顔が、ふと泣きだしそうな形に歪む。
「……怖いのよ」
しばしの逡巡の後、ぽつりと呟く。
「ナタリーの耳にも入っているでしょ?コンボイが盗賊に襲われたって。ウチの商品がやられたの。
だから、徹底的に叩くように指示したわ。当然でしょう?そうしなければウチの稼ぎが減ってしまうもの」
フランが冷静を装っていられたのはそこまでだった。一度、堰を切った奔流は全て流れ出すまで止まらない。止まれない。
「誰でもない私がそう言ったのよ。バーンズを始めとする商会の皆が動くわ。
誰がやるかは関係ない。始まりは私の言葉一つよ。それで…どこかの誰かが傷付くのよ!
下手すれば、いいえ、たぶん全員死んじゃうのよ!!ウチの社員の優秀さは私が一番よく知っているもの!
でも……でも!そうしなければウチの社員が平和に暮らしていけなくなるの!どっちを取るかしかないの!それが怖いのよ!」
その言葉に、ナタリーは掌を動かす事で応え続ける。
「でも、いつか、こんな事も思わないで誰かを簡単に切り捨てるようになっちゃいそうで、それがもっともっと怖いのよぉ……」
掌はフランのひんやりとした頭をゆっくりと撫で続ける。
「十四の歳でお屋敷にご奉公に上がって、次の年にまだほんの卵だったお嬢様をお預かりしました」
どこか幸せそうな感じで呟きつつ、お嬢様の頭を撫でていた掌が場を変える。
愛おしそうにほんのりと膨らんだ腹をゆるゆるとさする。
「あれから、もう十五年……月日が経つのは早いものですわ。あの小さかったお嬢様がご立派になられて。
お嬢様は大丈夫ですわ。そう思われる限り、お嬢様はそうはなりませんでしょう」
にこりとフランに笑いかける。慈愛溢れる微笑み。
ナタリーの顔は立派に成長した我が子を誇る想いに満ちていた。
フランの嗜虐は、不安と甘えの裏返しに過ぎない。
ナタリーは身体と一緒に、心までそっと包み込むようにしてフランを受け止める。
「それに、もしもそうなってしまったとしてもご心配には及びません。不肖ながら私が、お嬢様のお尻を叩いて目を覚まさせて差し上げます。
胎をお貸しただけの、仮初めであるとは言え、それも母の役割でございますから」
幼い少女の不安を少しでも減らそうと言うのか。どこか冗談めかした口調のナタリー。
「……ありがとう」
「どういたしまして。さ、参りましょう」
「……そうね。バーンズ達を大分待たせてしまっているようだし、急ぐわよ」
再度、フランが表情を変えた時。
そこは当主に相応しい貌へと戻っていた。
「あ、くふっ!お嬢様、き、急過ぎで、そんなに激し、っくぅ、されて、はっ、あ!ぁああっっ!!」
じゅるっ。じゅるっ。
ゼリーを啜るような、はしたない水音が腿の間から響く。
まるでナタリーが下の唇でフランを飲み込んでいるよう。見る見るうちにフランの体が小さくなり、ナタリーの腹がビクビクと脈動しながら臨月さながらに膨らんでいく。
「ふー、ふー、ふぅ……ふうっ」
ナタリーの香る愛液と、自身から分泌する粘液の助けを借りてフランは温かい胎の中へと進む。
そしてあとは頭の一部を残すだけとなった時。
「ねえ、ナタリー。お願いがあるのだけど……」
「なんでしょうか?お嬢様」
「あのね……今晩、一緒に寝てくれる?」
きょとんとした顔を見せるナタリー。
一瞬の間。
彼女は母の慈しみに満ちた微笑みを返した。
「ふふ、あなたはまだまだ甘えん坊ですね。よいですよ、眠くなったら私の寝室へいらっしゃい、フラン」
「ありがとう、ナタリーママ」
ちゅるん。
「ふぁっ……」
メイドに最後の喘ぎ声を上げさせて、フランの姿は消えた。
ナタリーはと見れば、すっかり孕み腹。
メイド服のスカート裾がパサリと降りて、しっとりと上気した艶肌を覆い隠す。
「では参ります、お嬢様」
胎内に消えたフランの言葉は無い。
だが、ナタリーに彼女の意思は伝わっている。
なぜなら、お嬢様とメイドはこの世の誰よりも寄り添いあい、互いにもっとも近い所にいるから。
今の彼女達二人にだけ可能な方法で、フランの返事は伝えられている。
そうしてナタリーは階下で彼女らを待つ執事の下へと、胎の中のフランに障らぬよう、いつもと同じようにして静かに歩を進めた。
『スライム in メイド』了
以上、乱文にて失礼致しました。
スライム系を書くのは初めてですが、いろいろと幅が出せて楽しいですね。
440 :
若旦那:2008/07/31(木) 22:47:10 ID:QTlfJC0l
>>425 >>439 いや、よかったです。毎回勉強させていただいております。
特に絡みシーンを(苦手なので)
しかし、「虹板モン娘スレの絵チャにて出したネタ」っていうのを見てみたいですね。
あと、関係ない質問で申し訳ないですが、どなたか書き込む際の『改行制限』って何行までかご存じないでしょうか?
調べても分かりませんでした。
GJ、思いの外興奮した。
ところでこのメイドの胎内に入って移動するスライムのお嬢様を
他の作品で見た記憶があるのだが、どの作品か思い出せない。
>440
>しかし、「虹板モン娘スレの絵チャにて出したネタ」っていうのを見てみたいですね。
絵茶で「お嬢様なスライムとメイド」のネタを言い出したのが、18スレの314氏
その後絵師がこぞって絵を描いてプチ祭りになった
>428のSSは、その時の絵も含めたネタをまとめてSSにしたもの
ナタリーの名付け親は絵師
>442
18スレの314氏よりも先に、その時のネタをSSにした人が二人いるので
おそらくそのどちらかだと思う
肝心なことを書き忘れた
18スレの314氏、GJ!!
プロローグがキマイラや鈍感牛のから少し変わってるw
一ノ葉の巫女装束まだー?
AA略
幻妖閣更新されてた
GJ
百合はいいものだ……。
それはそうと妄想の一助になりそうだったので『萌え萌え妖怪事典』なる本を買ってきた。
ぬりかべが実は壁じゃなかったのにはびっくりした。
気になる人は『ぬりかべ ブリガムヤング』でイメ検してみてちょ。
萌塗り壁
「ぺとぺとさん」を思い出してしまった。
一ノ葉が可愛すぎて、狐の尻尾を弄りたくなった。
妄想で頭の中がヤバイ事になったので、前書いた雪風の姉でも出してみる。
……今月末までにはきっと。
主人公のいじめっぷりがよいな
452 :
名無しさん@ピンキー:2008/08/05(火) 19:06:11 ID:ne3t4KT5
>>450 全裸狐耳ネクタイ尻尾に正座で待ってます。
尻尾攻め
耳攻め
言葉攻め
一ノ葉の作者は趣向が露骨
狐耳ハァハァ
456 :
名無しさん@ピンキー:2008/08/08(金) 04:43:06 ID:KoHyenoM
狐耳を全裸で待ちつつ保守
,
『楓狐の伽草紙(かえでぎつねのとぎぞうし)』
見たところ全然アップされないみたいなので、今のうち。
巫女の助勤―アルバイト―をしている、17歳改め15歳高校生の狐娘『楓(かえで)』の物語。
SSのつもりがSSで無くなりそうな雰囲気なんだ。ごめん、許してくれ。
とりあえず導入部。
我々が住むこの地上より遥か天空の別次元に、広大で緑豊かな大陸『高天原(たかまがはら)』がある。そこには八百万(やおよろず)の神々や、その神々に仕える神使達(しんしたち)が住んでいた。
この領の一つ稲荷領には、稲荷系列である神々の代表神であり、稲荷神の神役を持つ夫婦神『ウカノミタマ神』と『トヨウケ姫神』、そして娘の『オオミヤ姫神』と、稲荷系列の神々に仕える大勢の稲守狐(いなもりぎつね)が住んでいる。
稲荷神が住む神殿の一つ拝謁殿(はいえつでん)に、ウカノミタマ神と、稲守狐の総宰領(そうさいりょう)である神役にあたる白狐神の、天狐久遠がいた。そして、この二神はここで話をしていたのだった。
「お前の娘はもう、地上に降りたのか?」
「はい、昨日この地を発(た)ちました。今朝、支援者である夫婦とコンタクトが取れた旨、娘から連絡が入った所です」
「そうか……久遠よ、お前の娘にとってこれは決して悪くは無い役目ではあるのだが……お前達夫婦には申し訳無いことをしたかもしれんな……」
「いえ、滅相もありません」
「この役目の遂行は全稲守狐の中で、お前の娘が最も適しているのでな。許してくれ」
「はい、仕方無いと心得ます。これは娘に与えられた大事なお役目です。私も妻も、娘が選ばれて光栄に思っております」
「しかしだな、役目に対する真の目的を話さなくてよかったのか? お前の娘に?」
「はい……娘は稲守狐の官女として、まだまだ未熟であります。話してしまうと、緊張が原因となって大失敗するに違いありませんので」
「そうか、分かった……恐らく遠い将来、私はあの少年に会わねばならなくなると思う。地上に降りた時、頃合を見て真の目的を話すとしよう。お前は引き続き例の監視を頼むぞ」
「承知しました」
地上での役目は専任の稲守狐が担当している。彼らは霊狐であるため、霊的能力の高い人間を除いて、人間の目に見えることはまず無いのだった。人間たちはその稲守狐を、御先稲荷(おさきとうか)と呼んでいる。
しかしたまにではあるが、ウカノミタマ神も地上に降りることがあるのだった。
ウカノミタマ神はゆっくり立ち上がると、退路の方向へ歩き出した。しかし、まるで何かを思い出した様に途中で立ち止まってしまったのだ。
「それにしてもだ……あの使い魔は何とかならんのか? あれはまずいと思うのだが?」
「ええまぁ……娘について行くとあまりにも泣き叫ぶもので……ついつい……娘に与えられたお役目遂行に支障をきたす様でしたら、強制的にこちらへ戻しますゆえお許しを」
「それならいいが……しかし心配だな……」
「おっしゃる通りで……」
二人は頭(こうべ)を垂れてため息一つ、困惑していたのだった。
★彡
それから幾年月が過ぎ……天狐久遠の娘が地上に降りてから、約十年が経過していた。その娘は今でも地上で、与えられた役目を継続しているのだった。与えられた役目遂行の条件に、『特殊変化(とくしゅへんげ)で人間にならねばならない』という項目があった。
霊狐の体は『霊』と『幽』の二つから構成されている。そして特殊変化を行うと幽の部分が物質化し、望んだ哺乳類生物の同じ性――これ以外には変化(へんげ)できない――の肉体に変ってしまうのだ。これは人間の目に見えてしまうことを意味する。
これが原因なのだろう、『狐崎家の長女』と言う戸籍ができあがっていることといい、『両親は海外赴任の最中とする』と言われたことといい、学校にいかねばならないことといい、全く持って人間の生活そのものを体験せねばならないのだった。それは非常に不便なのだ。
メインの役目はただ単なる御先稲荷なのに、なぜこの様な特殊変化をする必要があるのだろうか? 天狐久遠の娘は今日までずっと疑問に思っていたのだ。
しかし、個人的な目的を果たせ易いと言う利点もある。不便な思いはしていたが、別に不満ではなかったのだった。
少女の目前には、誰も理解しがたい暗闇が広がっていた。暗闇と言っても、そこは光る雪の様な、あるいは光る綿の様な、小さくておぼろげな物がふわふわと無数に漂っている、出口も入口も窓も床も天井も見えない広がった空間。
少女はそんな暗闇を漂っていたのだ。それはまるで海中を漂うだけの、泳ぎを忘れたクラゲになったという感じだった。
そこは何も聞こえない、自分の体に当たる感覚もない、手足で触れることもできない。まるで、肉体を失い霊体にでもなった感覚に陥ってしまう。いや、霊体にも感覚はあるかもしれないから、この発言は間違いかもしれない。
なぜか少女は一糸まとわぬ産まれたままの姿で、仰向けに浮かんでいた。その少女、年齢は十五歳。当然その少女に第二次成長があるわけで、どうしても『産まれたままの姿』という言葉に違和感を感じてしまうのだった。
その少女、背中まで伸びた灰銀色の輝く髪。瞳は、見たとたん目を離すことさえ忘れてしまうほど、透明感のある深緋色(こきひいろ)。
肌は、雪が多い地方の女性だけが持つと言う、きめが細かく白に近い肌色。さほど大きくはない乳房と体の形を描くそのライン、それは羞恥心を引き出させて凝視できないほど美しい。
顔立ちには少し幼さが残っていて、『綺麗な』よりも『可憐な』と言う形容詞が似合うと感じてしまう。
その少女の姿は、一見すると普通の人間に見える。しかし、違う所が二つだけあった。それは、白地に先だけ黒い狐耳と白い狐尾、この二つを持っている稲守狐の少女だったのだ。
その少女は、まるで寝ているかの様に目を閉じている。そんな時、少女の耳に微(かす)かな人の声が聞こえてきた。
「コン……コン……」
その声は幼い少年の声だった。それは人間の耳だと、聞き取るのも難しいほど小さな声。まるで少年が、少女の耳にだけ声を届けていると思えるほど小さかった。
「コン……俺や……起きや、コン……」
狐は音源の『方向』や『距離を測る』など、音に対する能力が高いと言われている。
少女は既に、野山に生きている狐とは違う稲守狐(いなえぎつね)になっていた。しかし、それでも狐のはしくれ、音源の方向はすぐに分かった。
だから少女の狐耳は、既に音源の方向を向いていたのだった。人間の耳では、恐らく方向は分からないと思う。
「誰? ……私を呼ぶのは? でも私は……楓……」
少女の名前は『狐崎楓(こさきかえで)』と言う。だが、その少年は少女の名前を知らなかったらしい。そのため、『楓』ではなく『コン』と言う名前で呼んでいたのだ。しかし、なぜ『コン』と呼ぶのかは全く分からないのだった。
楓は少年の顔を見ようと、ゆっくり目を開けた。すると目前には、歳の頃なら六歳くらいの少年、短髪の黒髪に黒い瞳を持ち、顔立ちは、実年齢より少し幼い感じの少年が向き合う形でそこに存在していた。
そして少年の顔を見たとたん、少女は目を見開き驚いていた。しかしすぐに、少年に対して懐かしそうな表情に変わっていた。
楓は思わず、少年の愛称を口にしたのだった。
「あっ! あなたは……カッちゃんなの?」
「そうや、俺や……」
つまり楓は、その少年を知っていたのだった。
その少年も楓と同じ、一糸まとわぬ姿をしている。逆にこっちは第二次成長が無く、まさしく産まれたままの姿と言う言葉が似合うと思う。
しかしながら、裸なのにその格好が恥ずかしいと言う感情は、二人とも湧かない様だ。さっきから普通に見つめ合っているのだから……
もしかしたら、この不思議な空間の影響で、こんな事態になっているのかもしれない。
「コン……会いたかった……」
「もしかして……私を探してたの?」
「ああもちろんや、一時(いっとき)も忘れたことあらへんよ……」
それを聞くや、楓は突然少年に抱きついた。その動きはまるで、少年と言う名の磁石に吸い寄せられる、楓という名の鉄片と言う感じだった。
そして、楓と少年はお互いに微笑み合いあっていた。
「う、嬉しい! 私、嬉しいよ……」
楓はよっぽど嬉しかったらしい。その証拠に、楓の狐尾が左右に振れ始めている。それはまるで犬の様にだ。そして楓の狐耳は、少年の声や行動を逃すまいと、しっかり少年の方を向いた。
「そりゃよかったわ、わざわざ会いにきた甲斐があったちゅうもんやな」
「所でカッちゃん、ここは一体どこなのか分かる?」
そう言いながら楓は辺りをきょろきょろ見回し、再び少年を見た。
楓はこの場所に、疑問を持ち始めたのだろうか? しかし自分が分からないと言うのに、果たして少年に分かるのか疑問なのだが。
「ここはな、コンと俺、二人だけの世界や」
「ブッ……ブハハハハハ……二人の世界って何じゃそれ? まあ確かに、私たち以外誰もいないみたいだけどね」
少年のキザっぽい言葉がよっぽど可笑(おか)しかったのだろう、楓は突然笑い出した。それにしても、こんなことを言う子供なんて見たことも聞いたことも無い。本当に変なやつだ。
「そやろ? まぁ、それはええとしてやな……俺、コンにお願いがあるんやけど……」
「お願いって? 何?」
突然の言葉に楓は首を傾げ、さっきまで振っていた尾を静かに止めた。
しかしながらこの二人の会話、こんな説明のつかぬ環境にも関わらず、他人から見れば姉弟の他愛も無い会話にしか見えない。
「コン……俺……俺な、お前が欲しいんや、全部欲しいんや」
「へっ? 全部って? 何を全部?」
そして楓の顔は目が点になり、頭上に疑問符が一つ二つ三つと幾つも浮いた。
少年の言葉を聞いて察しのいい者はすぐに分かるかもしれないが、この時点で楓は今ひとつピンとこなかった様だ。
「そら、俺は男でお前は狐やけど女や。そなもん、昔から決まってるやんか」
「…………いっ!」
少年はまじめに、微笑みながら答えた。それを聞くや楓の顔が攣(ひきつ)り、狐耳が倒れ、狐尾に生えている毛という毛全部が逆立った。楓はかなり驚いたらしいが、当然の話だろう。
少年の言葉に、多大な困惑を覚えた楓。自分にはどうすることもできないので、抱きしめていた腕を放し少年を自分の体から遠ざけた。
そう、少年はあの気持ちのいい、男と女のコミュニケーションを言っていたのだ。驚いた、こいつ本当に子供なのか?
「えぇぇっとその……あの……えっ! えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ! つまりつまりっ! 男と女がするあれのことおぉっ?」
楓は頬だけ赤く染め、叫びながら、何やら訳の分からないゼスチャーを繰り返している。いや、それはただ無意味に両手をパタパタさせているだけとも言える。
驚きとあせりで、楓はもう壮大なパニック状態になってしまっている様だ。
「そうやっ! 俺……コンと……コンとエッチしたいんや……」
とたんに楓の思考とゼスチャーが停止し、顔は真っ赤に熟れたリンゴの様に全体が一気に染まった。少年は満点の笑顔で、楓に恥ずかしいセリフを躊躇(ちゅうちょ)もせず吐きやがったのだ。
「エッチ……エッチって……やっぱ、それまずいよっ!」
「コン……俺のこと嫌いなんか?」
と言って、少年は悲しい表情に変わった。
性に対する羞恥心と、子供相手の罪悪感で楓はどうしてよいやら分からず、狐尾を股に軽く巻き込み、困惑の表情で自己最大にあせっている様だった。
その少年は楓を心理的に追い込もうとしているのか、それとも素直な気持ちをそのまま言葉にしたのか分からない。しかし子供のくせに、もし前者なら最低の野郎だと言えるだろう。
「そんなことない、そんなことないけど……でもね……」
「だったら、どうして拒否するんや?」
少年はさらに楓を追い込んでいく。楓は別に少年の要求を聞く必要はないはず。だから『きらいです。だから断ります』で、きっぱり断ればそれで済むはず。なのに、楓はなぜか『きらい』が言えないのだった。
「そりゃあの時、私は子狐ながらも『あなたの赤ちゃん産むことになるのかな』と思った。もしそうなったらあなたを受け入れようとも思った……じゃなくってぇ、私だって心の準備が必要なの……
じゃなくってぇ、あなたはまだ子供でしょっ! そんなことしたらいけない歳でしょうっ!」
楓、つまりはその少年に嫌われたくないらしく、だから『きらい』だけは言えないらしいのだ。しかしそれでいいのか? それに、『あの時』って子狐の頃らしいが、その時に一体何があったのだろうか?
「あの頃、そう思ってたんならええやんか……歳なんか関係あらへんよ。大丈夫や、コンの全てを俺に預けてや。今まで味わったことのあらへん、素晴らしい世界を味あわせてあげる」
「素晴らしい世界って? ……あのね分かってる? 君はまだ子供だよ、こんなことしちゃいけな…………」
楓は少年に指差して忠告を与えた。それは一点の躊躇も無く、ビシッと音が聞こえそうなくらいの勢いだった。
「…………うぐっ!」
しかし、少年は目を閉じて「何も言わなくていいよ」と言わんばかりに、口をふさぐがごとく楓の唇を奪った。少年はとうとう行動に出たのだ。彼女は突然の行為に驚き、眼(まなこ)を広げて少年を見ていた。
そして、この少年野郎はさらに行動をエスカレートさせたのだ。
とりあえず、1回目はここまでにします。
以降、いきなりエロ突入になりますが、宜しくお願いします。
しかし、一行に文字数制限あるのかよ orz
説明描写ばっかりで見てるとイライラしてくるな
466 :
名無しさん@ピンキー:2008/08/09(土) 19:26:23 ID:b3hdYyfW
お願いですので
もう少し文章の勉強をして下さい
読みにくいです
1行ずつ空けるのも読み難いし
もっと改行増やしたほうがいいんでないの?とは思う
改行はやったほうがいいとおもう。
あと一行空けは無くても可読性には影響が無いかと。
一ノ葉の文章が読みやすい
技術指導は別にあってもいいというかむしろどんどんやれって思うけどね。
無駄に煽り口調とかでさえなければ。
>>464 続き待ってますー。
ただ、一行は全角40〜55字ごとに改行した方が、2chに投下する時は読みやすいと思う。
文章自体に読みにくさは感じなかったけど、体裁はちょっといじった方がいいかも。
だが他の職人と比較するのはどうかと思う
一ノ葉の人の嗜好が自分に似すぎてて怖い
>>473に同意 比較はよろしくない
良いところをかいつまんでお手本とするなら良いと思うけどな
狐耳!!狐耳!!
やっぱり直アップは失敗だったか・・・・
1行40文字の縦書きだった物をhtml形式にしてコピーペースして置いたが、1行40文字になると思ったらならなかったので。
仕方ない。修正できないので、
>>458-464 を一旦没にして出直すよ。
ワープロの関係もあって、下記は許してほしい。
@漢字の読み―ルビ―には()で入る。
A別サーバからのHTMLリンク形式になる。
B他人と同じ形式には書けない。
訂正
「他人と同じ形式には書けない。」→「他人と全く同じには書けない。」
j
また来てくれよ
待ってるぞ
なんつーか
SSが上がるたびに出る話なような気がするが
正直見てる環境がそれぞれ違うからある程度は致し方ないわな
決まった文字数で勝手に改行してくれるようなエディタでもあれば楽なのかも知れんが
それはそれで「文が複数行にかかって見づらい」とか言うやつが出てくるのは目に見えてるしな
ともあれ
>>481乙
狐耳wktk
>>483 一つ分かった。縦書きと横書きで雰囲気が全然違う気がする。
それは多分、こいつが原因でしょう。
>>485 他にも行間幅とかフォントとか色々あるから
ただ、文章に違和感を感じるのも事実
とりあえず俺は続き期待してる
書いてるうちに読みやすく書けるようにもなるさ
ひとつだけ書かせて下さい。
>>467 もし指摘されるのでしたら、すいませんがもう少し具体的にお願いします。
他の人の様に一行の文字数の事を言っているのか? それとも他の事を言ってるのか? 判断でき兼ねます。
よって、対応のしようがありません。
勝手に、『一行の文字数と行間の空改行』と判断して修正しようとは思いますが・・・・
我々はプロじゃありませんので、ご理解を・・・・・
俺はそいつじゃないけど、
ちょっと句点が多い気がする。主語の後とか『』のまえとかにはいらないんでない?
主語の後の方はあったりなかったりするし。
行間の改行についてもやりすぎだと思う。空白を多くするメリットが正直分からん。
特に強調したいセンテンスを上下から切り離して強調したい場合でもない限り、あんまやらんほうがいいと思う.
思うに、紹介文にクライマックス用の小技を使いすぎてダレた。って感じじゃね?
「一人と一匹は再会しました」ってだけの内容だし。
>>488 説明的過ぎるとか
改行が多いとか
あと一文をもう少し短くして。
ぶっちゃくて言うと文章がくどい
492 :
コマネコの人:2008/08/12(火) 01:15:30 ID:mDVR1LUL
全然関係ない話になるけれど、突如として頭の中に
『下切り雀』という恐ろしい女郎妖怪が思い浮かんだ。
ちょっと忙しさが解消されてきたので今週中にはコマネコります。
忘れたころにヤッテクル。
出張垢舐めサービス
そんな電波。
座敷荒し
何かいやだ
俺が想像した座敷荒らしは
夜中にこっそりと部屋を荒らし、その際に見つけてしまった
エロ本をドキドキしながら読んでいる女の子の妖怪
そういえば座敷童子の中には
枕返しのような悪戯をするのも居るそうだが・・・
Hな本とか見つけちゃったらどうなるんだか?
>>493 垢舐めネタはかなり前のスレと
現ショタスレで使用されているw
このスレって今何人くらいの作者書いてたっけ?
狐耳マダー
1.5人か?
2.4人か?
504 :
コマネコの人:2008/08/15(金) 12:02:45 ID:00gTnoYk
流れを居合い斬ってコマネコります。
〜コマネコ 第二話〜 (前回の続きから)
『はぁっ、はぁっ、はっ…まだ、足りないです…今のじゃ、まだ…』
・・・・
・・・
・・
そうコマが言葉を発した瞬間、間髪入れずに狗牙は自らの剛直をコマの可憐な肉壷に突き・・
べしっ!
『ふにゃっ!?』
突如、コマの頭に眼を覚ますような勢いのある衝撃が走った。
途端に今まで見ていた色々な『妄想』から引き離される。
現在、コマがいる場所。それは狗牙の部屋のベッドの上。
『くーがさん、何するんですか!?』
コマが怒ったような、驚いたような口調で自分の頭を叩いた張本人に挑みかかる。
コマの頭を叩いた張本人であるところの狗牙は、獲物である『筒状に丸めた雑誌』を片手でポンポンと音を立てながら、コマのことを呆れたような顔で見下ろしていた。
「さっきから人の寝床で鼻息荒げに何を書いているのかと思えば・・・」
寝転びながら新品の手帳に熱心に物書きをしていた所のコマから、狗牙は無慈悲にもその手帳だけを奪い去る。
「これは何だね?」
『ついこの前のレポートです!』
コマがビッと起き上がり、片手を頭の横に持ってきて敬礼の真似をする。
あまりに潔すぎて気持ちの良い笑顔だ。
「ほほぅ・・・」
べしっ!
『ふにゃっ!?』
本日二度目の『丸めた雑誌スマッシュ』。
コマが「何で叩かれたの!?」という驚きの顔をする。
『殴った! 二度も殴った!!』
「真っ昼間から何でこんなものを書いているんだ、ということを訊いているんだ俺は!」
外はまだお日様がてっぺんまで昇っており、濡れ場を持ってくるにはまだ早いといえば早い時間である。実に不謹慎。
『日々起きたことは事実に基づいて記録しておいたほうが何かと便利かなぁ、と・・・』
拗ねたような、顔色をうかがうような表情を見せつつ、苦笑いするコマ。
べしっ!
『ふにゃっ!?』
本日三度目の『丸めた雑誌スマッシュ』。
狗牙がわなわなと体を震わせて、丸めていた雑誌をひしゃげさせる。
「何が『事実に基づいた』だ! 7割ぐらい嘘だろうが!!」
『な、なんてことを言うんですか、あなたは!! これは脚色であって、嘘なんかじゃないですよ!!』
「事実以外のありもしない事を報告したら、それは嘘だろうが!!」
そうなのである。
実の所、前回までの物語の内、コマが気絶しその後、『飼い猫の首輪』をつけられ人並みの女の子程度の力になり、人間変化の副作用から発情するところまでは正しいのだが・・・。
『良いじゃないですか、多少濡れ場があったほうが盛り上がりますよ!!』
コマが発情した所で、それを想定していた狗牙が『煩悩払いの鈴』をコマの首輪につけることで発情後の情事を回避したのだった。
「報告で盛り上げる必要なぞ、なかろうが・・・」
狗牙がほとほと呆れて、奪った手帳をコマに投げ返す。
コマはそれを両手で受け止めると出会った時から着続けている着物の胸元に大事そうに仕舞い込んだ。
「ところでお前は本当に俺の家に居座るつもりか・・・?」
呆れたままの口調で狗牙がコマに問いかける。
『当然ですよぅ。元に戻してくれない限り居座り続けますよぅ。』
頭の上にある耳をピクピクと動かしながら、ベッドの上をコロコロと楽しそうに転がる。
「出ていけ、と言っても本部からの通達もあるしなぁ・・・」
そうなのである。
〜遡ること数日〜
実はコマの力と姿を封印した、あの日、「もう害はないな」とコマを解放して帰宅しようとした狗牙だったが、歩き始めて数十歩しないうちに
後ろのほうでガサガサ、ドタドタと高い所から何かが転がり落ちる音と『うにゃぁぁぁっ!?』という大絶叫が聞こえ、とりあえず無視しようと
したが、数秒しないうちに『足挫いちゃいましたぁ・・・』だの『夜目が利かなくて暗いですよぅ、光がほしいよぅ、光がほしいよぅ』とか、挙句
の果てに『このままじゃ通りすがりの悪い人たちに輪姦(まわ)されちゃいますよぅ・・・首輪までつけて、俺らのこと誘ってんのか!? おい
なんだこの女、鈴を外した途端、急にヨガりはじめやがったぞ! そ、そんなことっ、あんなことっ!』とか『あ、そうだ、いっそのこと通り
すがりの人を騙して、この状況を打破する礎(いしずえ)に!』とか
放っておいたら放っておいたで色々な都市伝説的事件を巻き起こしかねない感じがしたので一時的にコマを保護し、社宅に連れ帰ったのだ。
社宅と言ってもそこそこのもので、10帖1LDK、風呂完備と、一人暮らしの狗牙には満足いく程度のものであった。
狗牙の部屋は大きなソファーと一人が寝るにはちょっと大きめのベッド、そして一人が使うには少し大きめのテーブル、その他の家具もあるのだが、
人並みなので割愛。あまり趣味を持っていないのか、部屋には本棚ぐらいしか無く、その本棚にも「妖怪の生態」とか「2008年度 最新退魔グッズカタ
ログ[決定版]」とか「こんな状況になったら?[大型妖怪編]」とか「妖談社文庫:女退魔師ミカサ 〜壱の巻〜」とか、今やっている仕事関係のもの
しか興味ないです、みたいな本の並びであった。
部屋につくなり、コマが『おなかすいたー! おなかすいたー!』とわめき始めたのでとりあえず、帰り際に『おなかがすいて死にます・・・餓死
したらくーがさんのことを末代まで祟ります・・・』と、コマにねだられて買った猫缶(マグロ切り身入り)を食べさせて、落ち着いたあたりで
「さぁ、そろそろ帰れ」と声をかけたが気付けば、コマはもそもそと狗牙のベッドに潜り込み始め、それを見た狗牙は「おい、流石の俺でもそこまで
お人好しじゃないぞ」と布団を引っ剥がそうとするのだが、布団を引っ剥される前にコマは自分の着物をポイポイと布団の外に放り出す。
と、まぁ、ヘタレでお人好しな狗牙が裸の女を布団から引き摺り出して、服と一緒に叩き出すなんてことは出来るはずもなく。
どうするべきだ、と悶々悩んでいるうちにベッドの中から『すぅすぅ』と寝息が聞こえてきて・・・。
そうなってしまうと、ヘタレでお人好しな狗牙が寝床を求めて裸の女が寝ているベッドに入り込めるわけもなく、「・・・」と無言のまま押入れから
もう一枚、毛布を出してきて自分はソファーの上で次の日の朝を迎えるのだった。
次の日、何だか良い匂いがして狗牙が目覚めると、顔の横、本当に数センチぐらいの位置にコマの顔があり、ぺろぺろと狗牙のほっぺたを舐めていた
りして、狗牙が焦って飛び起きたらコマが『あ、起きましたね?ご飯出来ていますよぅ』とかちゃっかり朝ご飯を用意してくれていて、何かありがた
いのだか、余計なお世話なのだか複雑な心境になる。
ご飯を食べている間に狗牙がコマに「今日中に帰れよ」と言うが
『えー、嫌ですよぅ、帰らせたいのなら、首輪外して下さいよぅ』
と頬を膨らませて文句を言うコマ。
「猫なのにブーブー言うな。」
コマの文句をあしらいながら、ふと、狗牙が時計に目をやると昼を回っていた。
「え、あれ、これって朝ご飯?」
狗牙は自分の目を疑いながらコマに尋ねる。
『そうですよぅ?』
どうやら猫(コマ)の生活習慣からすると普通の起床時間だったらしいが、狗牙にしてみれば完全に遅刻の時間だった。
『あ、そういえば何か機関の人が来ていましたよ?』
「ん?」
その話を聞くと、どうやら昨日の件の報告が遅いので直接聞きに来たらしい。(第三者を通したくないので直接連絡が主流)
コマ曰く、その尋ねて来た人には
『ご主人様・・あ、くーがさんなら今、熟睡していますよぅ。 え、私ですか? 私はこのたびご主人さ・・くーがさんのご奉仕係・・・ではなく、身の
回りの世話を申し仕りました、コマと言います。 昨日のご報告ですね? えぇ、はい、物の怪の正体はなんと化け猫! ある時は妖艶な女に化け、
ある時は見るもおぞましい化け物となり、人を化かし、時には食らうこともあったと言います。 それをご主人様は「えいや」と片手で一捻り!
『もう人は襲いません、許して下さい』と懇願させたのです! あ、ご主人様だなんて私・・・二人きりの時だけにしろと言われていましたのに・・・、
あ、お帰りですか? はい、詳細な報告書は後ほどお持ち致しますね、お気をつけてお帰りください。』
と丁寧に報告しておいたらしい。
「何か所々に俺を陥れるためかなにかの罠が張り巡らせてある気がした。」
聞き終えた後、どっと疲れを見せる狗牙。
『気のせいですよ、んふふふぅっ♪』
狗牙の心配をよそにどこか意地悪そうに、それでいて邪気がなく楽しそうに笑みをこぼすコマ。
案の定、その日の夕方に狗牙が報告書を持って本部に行くと、周りの仕事仲間からは
「猫耳のメイドがいるんだってな」とか「夜な夜なイケない奉仕をしてもらってるんだってな」とか「あんた、自分に女っ気がないからって、
人外に手を出すなんて・・・私には理解できないわ・・・」とか、挙句、狗牙の憧れの上司であるミカサさんにも『狗牙か、少し話がある、そこに
座れ』とか小一時間、妖怪との性道徳について説教されたりもした。
色々と疑われつつも何とか報告を終えて、一部の誤解は晴らしたものの、帰宅の際にも
「あれが噂の猫×犬の狗牙よ・・・」、「何でも、妖怪を手篭めにしたらしいわよ・・・」とか、いらぬ噂が広まっていた。
そのせいもあってか、狗牙は本部からコマの一時的保護を命じられる。
他にも色々と一悶着あるのだが、それはまた別の話。
〜戻ってくること現在〜
「うーむ・・・」
狗牙が寝転がって背伸びをしているコマを見ながら、腕を組んで首をかしげる。
肝心のコマはうーんと背伸びしたまま耳をぴくぴく動かし、尻尾をぽたんぽたんと右へ左へ力を抜きながら行き来させる。呑気なものだ。
「どうしたものかねぇ・・・」
『くーがさん?』
コマがコロコロと寝転がりながら、くーがの顔を覗き込む。
「ん?」
『一つ、お願いをしても宜しいでしょうか?』
お願い、というものは人が真剣に悩んでいる時に寝転がりながらするものではない気がするが、コマはそんなことを気にもせず、狗牙の
返事も待たずに喋り始めた。
『私は「封印」を解いてもらうまでここにいるつもりですが、ただここにいるだけ、というのも迷惑になってしまうと思いますので、私に
出来ることなら何でも精一杯お手伝いさせていただくということでここに置いて貰えないものでしょうか・・・あ、勿論、私がこれ以上悪さ
を働かないという誠意を示す意味でもお手伝いをするってことですよ? 私の誠意が伝わり次第、封印を解いてくださるというのも一つの
お願いになります。』
それだと二つのお願いのような気がするが、狗牙としてはコマにただゴロゴロされているよりもよっぽど良い案であった。
上手くいけば当初の目的であった『コマが悪さを働かないようにする』というのも達成される。
「ふむ、悪くはない案だな」
狗牙は少し考えを巡らせた後、コマの立案にとりあえず承諾した。
『じゃあじゃあ、ここに居ても良いんですね!?』
承諾された途端に目をキラキラさせながら、狗牙を見て嬉しそうにするコマ。
「ま、まぁ、俺に誠意が伝わるぐらい働いてくれるのならな」
がばっ。
途端、狗牙の視界が何か『大きくて柔らかいもの』に遮られた。
『わーい、くーがさんはやっぱり見立て通りヘタレで甘くて良い人ですよぅ!』
「ふももっ、ふもっ、ふもっふ!」
コマが狗牙に抱きついているせいで、狗牙がくぐもった声をあげながらジタバタと体を動かす。
『あんっ、くすぐったいですよぅ・・』
目を細めながら耳をピクピクッと動かし、くすぐったそうに身をよじりながらも狗牙をきゅっと抱きしめるコマ。
そんな状態がベッドの上でしばらく続いたが、
「ぷはっ!」
狗牙がやっと状況を理解して何とかコマを引き離す。
一方コマは離れていく狗牙を名残惜しそうに見つめる。
『あぁー・・』
「む、無闇に抱きしめるなっ!」
『えぇー・・』
コマが拗ねたように唇をとがらせる。
『だってぇ、くーがさん、気持ち良さそうだったじゃないですかぁ・・』
「ぅ・・」
途端、狗牙の頭の中で柔らかいものに顔全体を包み込まれているような感じが蘇り、気持ち良かったと言えば気持ち良かったことを否定できなくなってしまう。
『それとも、おっぱいの大きな女の子は嫌いなんですかぁ・・?』
急に寂しそうな顔をしながら手で胸をよせる動きをするコマ。
「好きとか嫌いとかではなくてだな・・」
なんとなく悪い気がして狗牙は取り繕うように言い訳を始める。
途端、コマの顔がパッと明るくなる。
『そうですよねぇ! だって、そこの本棚にもおっぱいの大きな女退魔師さんの写真が載った本がありましたしねぇ』
コマが部屋の本棚にあるシリーズ物の本を指差す。
狗牙の顔が急に赤くなり、慌てたような口調になる。
「ば、ばかっ、ミカサさんは尊敬する上司だ!」
その言葉を聴いて、コマが何か思いついたようで口元で笑みを浮かべる。
『えぇ・・・だってこの本、同じ所ばかり開かれていて、『開き癖』がついていますし・・・さぞ熱心に読み込まれているのだなぁ、と』
コマはひょいひょいっとベッドから降りると、『女退魔師ミカサシリーズ』の一冊を本棚から取り出し、わざとらしくページを捲って行く。
「お、おい、返せっ」
狗牙が手を伸ばして本を取り返そうとするが、コマは軽い身のこなしでそれを捌く。
本の内容自体はやましいものでなく、狗牙の上司であるところのミカサが解決した大きな仕事の解決に至るまでの経緯を記したものである。
その手の職種の中では有名人であるのでこうして本が出版されているのだが、その手の職種だからこそ色々と『声を大にして言えないこと』といった目にもあっていたりする。
この本はそういう所の描写まで赤裸々に書かれていたりして、男である狗牙としては悶々とした部分がある本なのである。
『お、おぉ・・』
あるページでコマが急に驚きの声をあげた。
そのページを読むにつれて顔を赤らめ目を見開いて凝視を始める。
「返さないかっ・・!」
コマの動きが止まったところで狗牙が本を取り上げることに成功する。
『も、もうちょっとぉ・・・』
途中までしか読んでいなかった本を取り上げられて、名残惜しそうに手を伸ばすコマ。
「何がもうちょっとぉ、だ。この本はそういうやましい目的であるわけじゃない」
狗牙が少し怒った口調でコマにそう言いながら本を元の位置に戻す。
『だってだって、捌ききれないほどの小悪魔に囲まれて抑え付けられて、自分の持ってきた道具まで奪われて逆に利用されて、良い様に弄ばれたあと、焦らし責めにあう。なんて滅多にないシチュエーションですよ!!』
鼻息荒げにコマが目をキラキラさせる。
『そんな所までしっかり書き込まれているなんて、明らかに『淫ら』の極みじゃないですか!』
「何を興奮しているんだ馬鹿者、ミカサさんはな、そういう細かい部分も後続である者に知ってもらって、自分の二の舞にならずにしっかりやってほしいと、この本を出しているんだぞ? まぁ、そりゃあ、やましい目的で購読している輩もいるみたいだがな」
狗牙が本を戻したそばから、コマがまた本を取り出して最初のページから読み始める。
『へぇ〜、自分の過去の失態を晒し出すことで他の人の失敗を減らそうなんて、良い人ですねぇ・・』
コマも何だか感心しているようなので、今回は狗牙も手を出さない。
『ねぇ、くーがさん? よろしければこの本、勉強のために時々読んでも良いですか?』
コマはページに目を落としたまま、狗牙に尋ねた。
「ん、まぁ、別にかまわないぞ?」
『ありがとうございます、じゃあ今からちょっと読みふけりますね?』
さっきまでの無邪気な表情と違い、コマが急に真剣な面持ちで立ったまま本を読み始めた。
「何がお前をそこまで真剣にさせるか知らんが座って読んだらどうだ?」
その言葉に耳を揺らし、コマは黙々と本を読み続けながら本棚の前に正座をする。
結局その日、コマは昼から本を読み始め、夕食まで全く動きを見せなかった。
「そういえば、お前、人間の姿になっているわけだが、猫缶ひとつで夕食足りるのか?」
夕食を終え、『手伝い』の名目で皿洗いをしているコマに狗牙が尋ねた。
『んー・・、今まであまり考えていませんでしたけど、この姿になってみてから思うと物足りない気はしますね・・・』
蛇口をキュッと締めて、皿を拭きながらコマが眉を寄せる。
『猫のときと比べて体が大きくなる分、エネルギーも使うのですかねぇ・・・』
「ふむ、じゃあ明日からお前も普通の食事にしておくか」
そう言われて、コマが若干戸惑った顔をする。
「どうした?」
『い、いや、猫缶も捨て難いなぁ、と・・・』
コマの視線が冷蔵庫横に積んである猫缶にチラチラと動く。
「・・・一缶いくらだと思っているんだ。高いんだぞ、それ」
狗牙が暗い声を出す。
『わ、わかりますけどぉ・・ほ、ほら、くーがさんも好物の一つや二つあるじゃないですかぁ・・・?』
コマが心配そうに声を上げるが、狗牙はぶつぶつと考え込む。
しばらくして狗牙が顔を上げた。
「あー・・・わかったわかった、毎回食わせるわけにはいかんが、お前がしっかり働いてくれれば、おやつとして時々出すよ」
狗牙が「仕方ないな」とため息をつくと、コマが「よかったぁ」と安堵のため息をつく。
その後、皿洗いの仕事を終えたコマは本の続きをベッドの上で寝転がりながら読み始め、狗牙はソファーに浅く腰掛けて、テーブルの上に広げた次の仕事の書類に目を通していた。
外が本格的に暗くなり、月と星の明るさよりも街灯が目立ち始めたころ。
時刻は夜の9時を回っただろうか。
「さて、風呂にでも・・・」
狗牙が立ち上がり、一度肩を回す。
「最近、肩凝りがひどいな・・・」
ふと見ると、コマはまだ本を熱心に読みふけっていた。
「そういえば、コマ?」
一度呼ぶが返事がないところを見ると、完全に入り込んでいる様子。
「コマ?」
『あ、はいっ!』
二度目の呼びかけでやっと気付き、驚いたような顔で狗牙を見るコマ。
「先に風呂へ入ってしまえ」
『え、あ、あぁ、もう夜伽の時間ですかぁ? ちょっと早いのでは・・・』
コマがベッドから降りて、本を本棚に戻しながらちょっと小恥ずかしいように顔を赤らめる。
「いや、何を勘違いしているか知らないが、お前、人間形態になってから風呂に入ってないだろ」
『なぁんだ・・・期待して損しましたよぉ・・・』
狗牙の呆れたような声を聞いて、残念そうな声をあげるコマ。
『あ、そうだ! んふふぅ、良いこと思いつきましたよ』
急にコマが耳をぴくりと動かし、何か楽しそうな声を上げる。
狗牙は嫌な予感がしたので、あえて何も聞かず、持っていた資料に再度目を落とす。
『く・う・が・さぁ〜ん?』
コマが声のリズムに合わせてぴょんぴょんと飛び跳ね、狗牙の元へ近づいていく。
むぎゅっ、という音が似合うだろうか、ソファーに座っている狗牙の後ろからコマが突然抱きついたのだ。
『んふふふぅ〜、くーがさぁ〜ん・・・』
狗牙の耳元に生暖かい吐息が吹きかかる。
同時に狗牙は背中に柔らかな二つの重みを感じ、少し眩暈のようなものを感じたが何とかして平静を装う。
『私、人間の姿になってから自分で体を洗ったことないんですよぅ〜』
コマが狗牙の胸元に腕を回し、顔を近づける。
狗牙の鼻腔にほのかな甘みのある匂いが広がった。
「だ、だからどうした・・・」
平静を装っているつもりだったが、狗牙の声はしどろもどろになっている。
『だ・か・ら・・・』
コマが狗牙の耳元で吐息混じりの甘ったるい囁きをする。
『私の体、洗って下さいますか・・・?』
514 :
コマネコの人:2008/08/15(金) 12:29:03 ID:00gTnoYk
とりあえず、ここまで。
試行錯誤してたら、文章も改行も途中途中で変なことになった!
という言い訳。
濡れ場は次からだけど、読みづらいと言うのは抜きにして、
今回のはどうでしょ?
もし一行の文字数を綺麗に揃えたいのなら、
メモ張で「書式」の「右端で折り返す」にチェック入れる。
窓のサイズを調整して、折り返された行にだけ改行を加える。
ってのはどう?
て、空白の文字数や表示フォントによって結局ガタガタになるんだけどね。
(だめじゃん)
メモ帳を使った改行して
AAエディタで修正すれば大丈夫
メモ帳のフォントをAA系板の基準フォントに合わせた方が早くないか?
わっふるわっふる
そういえば忘れ物
>>514 GJ ある種の王道的展開の変異系ですな
狐耳マダー
狐耳系は今月末までおあずけ状態になる予感がする。
今回はコマネコをwktkする
だれか人外が大好きすぎる俺を、殺してくれ(スレタイ的な意味で)
【妖怪】人間以外の女の子とのお話24【幽霊】
妖精エアとのハッピーエンド版もみたいなあ…。
450kb超えてたな。
長いの投下する際はお気をつけて。
もうそんな時期か
一ノ葉の作者が新作書いてるらしい
狐耳…
狐好きだなぁ
ワードで15000文字って大丈夫?
500KBまでだっけ?
ふたつに分けて投下は?
512kbくらいなら無理矢理書き込める。
最後の一つ前のレスで500いかないよう注意しないといけないが。
次スレ立ててから投下したら?
狐耳マダー
538 :
若旦那:2008/08/21(木) 22:26:20 ID:y+RTiYnK
適度に投下しますね。
山神狐巫女 『其の二 〜ニートな姉の尻尾弄り〜』
539 :
1:2008/08/21(木) 22:27:23 ID:y+RTiYnK
「うわぁぁぁぁぁ……」
山道を歩いていると、突然、体が落下する感覚に襲われた。
周りは崖というわけでもなかったし、落ちる理由が思い当たらない。
道の真ん中にでかい穴でも開いていたのだろうか。
譲は、底の見えぬ真っ暗な闇の中をひたすら落ち続け……
気が付くと、木の根っこや蔦のような物が巻きつき体を拘束していた。
この日は、雪風との3度目の逢引。
彼女の好物である油揚げを土産に、意気揚々と道を進んでいた矢先の出来事であった。
「うわっ、何をどうすればこんな風になるんだよ」
仰向けになった状態で一切体を動かせないし、携帯電話を取り出すこともできない。
取り出せたとしても圏外であろうが、ともかく、助けを呼ぶ事ができず困り果ててしまう。
自分を拘束しているツタを見回すと、周りにある植物とは明らかに違う種類であり、
何者かの悪意を感じ取る事ができた。
突然、そばの草むらから物音がしたのは、そんなことを考えている時であった。
(まさかっ、獣か?)
狐や狸ならまだいいが、猪や熊に出てこられると命に関わる。
首を無理やり曲げて横を見ていると、目の前の草むらがガサガサと揺れる光景が目に入り、
額から冷や汗が滴り落ちた。
恐る恐る草むらのほうを見ていたが、そこから顔を出した者を見た瞬間、
自分の目を疑った。
半そで短パンに、ブーツを履いたそのラフな姿、
街中のお姉さんといった感じのナイスバディなお姉さまが姿を現したのである。
滑らかな体のスタイルと豊満な胸、譲を見つめる細い目が印象的な美しい女性。
(たくっ、こんなラフなスタイルで登山するヤツに限って遭難を……って今は俺もか?)
自分が動けない事を思い出し、助けを求める相手が居る事に安堵感を覚えて声をかける。
「あの、すいません、なんか絡まっちゃったみたいで、助けてもらえませんか?」
相手はしばらく考え込むような表情をしていたが、ゆっくりと譲の方へ歩みを進める。
彼女が歩くたびに豊満な胸が上下に揺れ、服の上から乳首の突起が僅かに浮き出ており、
それを見た譲の顔が、思わず顔が赤くなる。
「あら、顔が赤いわよ?大丈夫?」
謎の女性は近寄ってきたかと思うと、譲に跨って馬乗りになり、
美しい顔が譲を見つめながらゆっくりと迫ってきた。
その視線の圧力に耐えられず顔を下にそらすと、
今度は服の合間から生胸が視界に飛び込んできて、顔がさらに赤くなってしまう。
「ふふっ、ウブな所もあるのね、かわいいボウヤ」
‘チュッ’
「……!」
540 :
2:2008/08/21(木) 22:28:40 ID:y+RTiYnK
譲の顎下に指をかけ、無理やり顔を上げられた次の瞬間、
唇に柔らかな感触が襲い掛かった。
突然のキスに驚く譲を気に留めることなく、舌を入れて口の中を蹂躙する。
首を横に振って抵抗を試みたが、女性の細い腕からは想像も出来ない力で
顎を押さえられており、彼女に従う事しかできない。
‘チュッ ピチュッ チュッ’
「んっ、むぅ、くぅぅ〜」
譲は目を閉じてしまっているが、謎の女性は瞳を閉じることなく見つめ続け、
舌技に喘ぐ譲の姿を、細い瞳をさらに細めて見つめながら悦に浸っていた。
「んふっ、これは、はじめましてのご挨拶よ、譲くんっ」
「なっ!?」
自分の名前を言われ、驚きの声を上げることしかできない。
こちらは彼女を知らない、しかし、彼女はこちらを知っている。
拘束された状態で乗り掛かられ、心の中では疑心と恐怖が激しく渦巻いていたが、
魅力的で積極的な女性のアピールはそんな心とは正反対に性欲を高め、
‘ムクッ’
と、その心は正直に下半身に表れていた。
「あら、こ〜んなに硬くなっちゃって、これは服から出してあげないと大変ね」
ズボンの上に出来た突起に気が付くと、それに手をかけてうれしそうに何度もさする。
間接的にとはいえ、触れられたことによってその突起はさらに大きくなった。
「このままじゃ男の大切なモノが呼吸困難になっちゃうわ、さ、出てらっしゃい」
馬乗りになったままで体の方向を変えると、
ズボンのベルトを外し、チャックを下げる。
いっぱいに張った下着が姿を現すと、激しい羞恥心を覚え、思わず顔を背けるが、
女性はそれをうれしそうに眺めていた。
「あぁんっ、もうこんなに、オトコのっ、いきり立ったオトコの匂いがぁ」
背けていた顔を再び下半身に向けると、腰を丸めて顔をパンツに近づけ、
鼻をスンスンと鳴らして匂いをかぐ姿が見えた。
譲の視線を向けた事に気がついたのか、匂いを嗅ぎながらもチラリと視線を後ろに向け、視線を交えながら、さらに羞恥心を煽る。
「さ、ご対面ー」
「ちょっ、駄目だってば」
そんな譲の目の前で、女性が一気に下着を引き下げると、
勃起し、下着によって圧迫されていたイチモツが勢い良く飛び出した。
鎌首を上げ、亀頭を丸出しにして先走りを垂らすイチモツを直に眺め、
女性は目を輝かせながら熱い吐息を吐いた。
譲は貞操の危機に慌てふためき、拘束を解こうと身体を激しく捻るが、
身体に巻きついた植物が解ける事はなかった。
「なっ、もうやめてくれ、だいたいなんで見知らぬあんたがこんな事を……」
「そんなの気にする必要がある? 私は愉しみたいだけ、ただ、それだけよ」
「そっ、それは……ひあっ」
541 :
3:2008/08/21(木) 22:29:28 ID:y+RTiYnK
必死に抗議の声を上げるが、女性は今の行為がさも当然のように言い放ち、
何の躊躇も無くイチモツに指をかけた。
亀頭の先端に人差し指をかけ、反りの反対に向かって押し下げると、ピッと指を離す。
離されたイチモツはバネのような勢いで元の反りに戻り、それを何度も繰り返す。
譲は、弄ばれているはずだと言うのに、興奮の度を高められた。
「はっ、んんっ」
「可愛い声をあげちゃって、なんだかんだ言っても男は正直者ねっ」
指でデコピンをするようにイチモツを弾き、刺激する度に怒張を強め、
血管を浮き出たせるモノ。
その大きさに満足したのか、今度は手のひらで包むように刺激を加えた。
「大きさは十分、硬さも……合格よっ」
イチモツを片手で優しく包み込む、指をゆっくりと曲げて締め上げた後、
締めた指をゆっくりと緩める。
自分の腕の中で脈動する感触を楽しみ、恥ずかしげに視線を向ける譲の表情を愉しむ。
雪風とは違う、年季の入った責めが、じわじわと譲を追い詰めつつあった。
「その顔じゃ、今すぐにでも射精しちゃいそうね、もう少し我慢なさい」
我慢しろといいつつも、指の動きをさらに巧妙にさせた。
人差し指をカリ首に巻きつけ、親指を亀頭に当ててグリグリと圧迫し、刺激する。
血液によって膨張し、先走りでヌルヌルになった亀頭の上を親指が這い回り、
尿道口を開くように指を押し付けた。
「うっ、すごくっ、気持ち良い」
「自分で自慰に耽る時とは、比べ物にならない快感でしょう?」
「うわっ、出るっ」
「だーめ、まだだめよっ」
あまりの快感に射精感を覚えたが、寸前に女性の指が離れ、愛撫をやめてしまった。
開放され、刺激を失ったイチモツはヒクヒクと脈打ちながらさらなる愛撫を求め、
譲は安心感よりも、射精できなかった焦燥感を覚えていた。
「あら、その顔は……ふふっ、最後までしてほしかったのかな?」
「えっいやっ、その」
イチモツを扱き、先走りで濡れた己の腕をなめつつ、譲に問う。
「恥ずかしがることじゃないでしょ? 男なんだから、当然のことよ」
「えと、あの、その、気持ち……よかったです」
今度は、自らの顔を譲に寄せ、その瞳を直視しながら問う。
「もうっとしたい、して欲しい? 精液いっぱい出したい?」
「えと……して……欲しいです」
「あんっ、正直な男は大好きよっ、目一杯可愛がってあげるんだから」
542 :
4:2008/08/21(木) 22:30:43 ID:y+RTiYnK
スッと立ち上がると、無造作に着衣を脱ぎはじめた。
上着やズボンを脱ぎ捨てると、躊躇することなく下着までも放り投げ、
後に残ったのは、健康的でセクシーな女性の裸体。
特に、今まで見たことも無いような豊満な胸が、譲の目を釘付けにさせた。
「あら、私の胸に一目惚れかしら? いいわ、私の胸で抜いてあげる」
再び仰向けに拘束された譲の腹に尻を乗せると、69の体勢になり、
譲のイチモツを胸で挟み込んだ。
「うっ、すごい、柔らかくて、あったかくて」
「そうでしょ、こんなにおっきい胸で、オチンチン挟まれたこと無いでしょう」
胸で挟み込み、両腕で抱き寄せ、上下に揺する。
柔らかな胸の感触が竿全体に擦り付けられ、その快感に喘ぐことしかできない
「んもーっ、かわいいんだからっ、ここも責めてあげるわっ」
今度は乳首を寄せ、亀頭を重点的に責める。
コリコリとした感触がイチモツの先端から脳天に向かって駆け巡り、
下半身ががくがくと痙攣を起こす。
拘束されていなければ、上に乗った女性を振り落としていただろう。
「ひあっ、もうだめっ、もうだめだぁー」
「何言ってるの、まだ一発も出していないのに、泣き言なんて許さないわよっ」
目を瞑って快感に喘ぐ譲の顔面に、ポタリと水滴が落ちた。
一滴だけではない。ポツ、ポツと、何滴もの水滴が譲の顔へ落ちてくる。
不思議に思い瞼を上げると、眼前にあったのはゆらゆらとゆれる大きな尻。
女性が胸でイチモツを弄り、体を揺するたびに尻がそれにあわせて動き、
譲の眼前では露になった秘所がゆらゆらと揺れ動くのである。
「あっ、くあっ、ふぅんっ」
股の間でプックリと赤く熟れ、筋の間からは愛液が滴り落ちる。
譲の顔面に落ちてきたのは、その愛液の雫だったのだ。
目の前で怪しく蠢く秘所を眺めていると、催眠術にかかったかのように、
頭がポーっとする。
無性に恋しくなる。欲しくなる。
無意識のうちに口を開き、舌を大きく伸ばすと、その先端に飛散した雫が垂れた。
‘ギンッ’
「ひゃっ、どうしたの? また、一段と大きくなったみたいね」
胸の谷間でさらなる怒張を示したことを不思議に思い後ろを向くと、
口を大きく開き、滴る愛液を口にする譲を目にした。
「そう、私の愛液を飲んだのね、ふふっ、心ゆくまで、味合わせてあげるわっ」
「え? ムグッ!?」
目の前で揺れていた尻が、譲の顔面に襲い掛かった。
女性の尻が譲の顔に、正確に言うと秘所が口の上に強引に被せられた。
543 :
5:2008/08/21(木) 22:33:34 ID:y+RTiYnK
「ふふっ、どう? 私のお味は?」
「むーっ、むぐーっ」
口を封じられている譲に答えることはできない。
腰を前後に振るたびに、酸っぱい香りが口いっぱいに広がっていく。
口の中では唾液の分泌が活発になり、譲は自分の舌に唾液をたっぷり絡めると、
香りを放つ割れ目の奥に突き入れた。
「ひっ、はぁぁん」
己の秘所に突き入れられた舌の感触にビクッと体を仰け反らせ、反応さする。
そのまま暫くは胸で責めることも忘れ、突き入れられた舌の動きに喘いでいた。
「ふんっ、ふぅんっ、はうぅん」
舌をいったん口の中に収めると、膣の味が口いっぱいに広がる。
その味が無性に恋しくなり、再び舌を伸ばす。
入り口を押し開くようにして舌を左右に動かすと、愛液がさらに垂れ、それも舐めとる。
プックリと膨れたクリを執拗に舐め取る。
「はうっ、はうっ……これじゃ、私の方が先にいっちゃうよぉ」
下半身を譲に預け、快感を貪っていたが、先にイクことは気が咎められたのか、
譲に負けじと、再び胸の愛撫を開始する。
「だめだっ、もう我慢の、限、界」
「あんっ、激しっ、はうんっ、私もっ、いっ、イッちゃうー」
「あーーーっ」
「はぁーんっ♪」
二人は同時に絶頂を迎えたが、ここで不思議な現象が譲を襲う。
彼女の体が叫びと同時にまばゆい光を発し、あまりのまぶしさに目を瞑ると、
目の前で何かが蠢くような気配を感じ取ることができた。
「……?」
まぶしさが引くと同時に、顔の上をやわらかいモノが通過した。
ゆっくりと目を開けると、目の前にあったのは見覚えのあるモノ。
金色に輝く柔らかい毛で覆われ、先端が少し白みを帯び、ウネウネと蠢くモノ。
雪風にあるモノと同じく巨大な狐の尻尾であり、
譲はソレを見た瞬間に女性の正体を把握した。
「お前、アイツのっ、雪風の関係者だなっ!」
「ふへへー、バレちゃったね、君が上手に舐めるからだよ」
言いながら正面を向きなおして頭を痒くと、頭上に三角形の狐耳が飛び出してきた。
顔面には、譲の射精した精液がベッタリとこびりつき、顔を擦りながら舐めとっていた。
「私の名前は時雨、雪風の姉よっ、職業は……」
「知ってるよ、男漁りが酷くて山神クビなって、今はニートだっけ?」
言った瞬間に時雨の顔が硬直し、眉毛と尻尾がピクピクと痙攣しているのが見えた。
癪に障る事を口にしてしまったようで、不機嫌そうな顔が譲を見下ろす。
544 :
6:2008/08/21(木) 22:34:31 ID:y+RTiYnK
「ふーん、この状態で、ずいぶんと大きな口が聞けるのね……ま、いいわ」
時雨が自分の顔の前で手を叩くと、譲の体を拘束していた木の根や蔦が
ハラハラとほどけ、ようやく身を起こす事ができた。
そのまま立ち上がると、首をコキコキと動かし、手を大きく伸ばして自由を満喫しつつ、
その場から逃走するために隙をうかがう。
時雨が、ここですんなり帰してくれるとは思えないからだ。
(さて、どうしたものかな?)
現在位置は雪風の常駐する社から遠くは無いはずであるし、
逃走の機会はあるはずだと考えていた。
ひとまず、ズリ下げられていたズボンに手をかけ、引上げようとした時、
「さぁ、こっちを向いて、譲クンッ」
言われるままに声のするほうを向くと、時雨が四つん這いになって尻を突き出していた。
濡れた秘所を丸出しにし、尻尾をウネウネと動かしながら譲を見ている。
「ねぇ、突いてっ、遠慮する必要は無いわ、欲望のままに私を犯せばいいの」
大きく突き出した尻を円を描くように振ると、再び不思議な甘い香りが鼻を衝き、
その香りに誘われるように、自分の意思とは関係なく歩みを進めてしまう。
無意識のうちに、引き上げようとしていたズボンやパンツを脱ぎ捨て、
上着までも放り投げた。
「そうよっ、いらっしゃい……んっ、はやくぅ」
普通の男なら、以前の譲ならば欲望の赴くまま彼女の秘所にイチモツを
ぶち込んでいることだろうが、譲の頭にはある思いが浮かんでいた。
(何で俺は、雪風ばかりか姉のほうにまで弄ばれなきゃいけないんだ?)
意識が保てたのは、雪風との交わりによる経験があったからであろう。
それに、目の前の女性が雪風と同じ種族であれば、その‘弱点’はお見通しである。
譲は、反撃のための計画を思いつき、誘われるままに時雨へと近寄る。
「んっ、どうしたの? 焦らすなんてひどいわよっ」
相手に感ずかれることの無いように、あくまでも欲望の赴くまま、
彼女の思い通りに行動しているかのように。
ゆっくりと時雨の体に近づき、目標を射程圏内に納めると、
目の前で揺れる“ソレ”に両手を伸ばして一気に……
‘グワシ’
「ひやぁぁぁぁーーーーっん♪」
森、いや、山中に時雨の媚声が響き渡った。
予期しない出来事に心の準備ができていなかったせいもあってか、
簡単に絶頂を迎えてしまった。
余裕の表情で譲を求め、尻を突き出していたのが一転し、
目と口を大きく開きながら絶頂を迎えた体は硬直してまっている。
「ハフゥ、ハフゥ……なっ、何をするのよぉ……ひゃぁ♪」
545 :
7:2008/08/21(木) 22:36:15 ID:y+RTiYnK
落ち着きを取り戻した所を見計らって再び‘ソレ’を握りこむと、
その行為だけで再びイってしまう。
譲が何をしたのか……
そう、彼は目の前で揺れる尻尾の群れに抱きついたのだ。
数度にわたる陽炎との行為によって、尻尾が彼女達一族の性感帯であることは承知済み。
性交の際にはその感度が通常より一段と高くなることも特徴であり、
性感帯である4本の尻尾に一気に抱きつかれた時雨は、瞬時に絶頂を迎えてしまったのだ。
「ダメッ! お願いだから尻尾だけはあぁぁぁぁん♪」
不意打ちとばかり、セリフを言い切る前に再び尻尾を強く握ると、
本日3度目の絶頂を迎えた。
4本の尻尾は譲の腕から逃げようともがくが、
時雨が絶頂を迎えるたびにピーンと逆立ち、興奮をあらわにする。
やさしく撫でたり握ったりを繰り返すと、もっとしてくれとねだるかのように
腕の動きに合わせて蠢きだした。
だが、そんな悦び溢れる尻尾とは対照的に時雨自身は必死なようだ。
「知ってるんでしょ? 尻尾は、尻尾だけはだめなのよぉ」
「ダメだよ、気持ちよくしてくれたお礼は3倍にして返してあげないとね」
絶頂の連続に息を切らし、涙目になりながら懇願するが、譲にやめる気はまったく無い。
ニヤッと口の端を吊り上げて笑顔で答えると、
首を曲げて譲を見る時雨の口元がヒクついているのが見えた。
責められる恐怖と次なる快感への期待に満ちた表情は、責める者の心を燃え上がらせる。
「それに、だ。君のおかげで雪風とお知り合いになれたお礼もしたいし……ねっ」
‘サワサワ’
「はうんっ」
暴れる尻尾を押さえつつ、マッサージをするようにその表面をゆっくりなぞる。
尻尾の根元をしっかりと握り、そこから先端に向かって一気に擦りあげる。
「うはぁ、ふかふかで気持ちいいなぁー」
マッサージに合わせて腕の中でバタバタと暴れる4本の尻尾。
抱きつくだけでは飽き足らず、今度はそのなかに顔をうずめて左右にグリグリと動かす。
顔を動かすと、尻尾の繊細な毛並みとやわらかさが何ともいえない心地よさを伝え、
目を瞑れば、そのまま夢の世界への扉が開いてしまいそうなほどだ。
「ひあっ、らめぇ、らめらったらぁー」
時雨も口先では必死で抵抗するが、尻尾の方は積極的に肌を擦り合わせてくる。
また、腕の中で尻尾がウネウネと蠢くたびに尻尾同士が擦れあい、
結果的に時雨は更なる快感に身をよじらせる事になる。
「ふんっ、はぁ、ひあんっ」
尻尾を持っていない者にはどんな感覚なのか理解することはできないが、
4つのペニスを同時にいじられるような感じなのであろう。
ともかく、時雨の乱れ方を見るだけで、相当の快感を受けている。
546 :
8:2008/08/21(木) 22:37:15 ID:y+RTiYnK
「ひやぁ、はぁん、尻尾、尻尾いいよぉー、あぁぁあんっ♪」
そして4度目の絶頂。
次第に、心の方も次第に尻尾と同じように快感を求めるように変化しており、
尻尾に顔をうずめている譲には見えていないが、アソコはグチョグチョに濡れていた。
時雨の秘所から噴出する愛液が俺の股間に降り注ぎ、興奮で譲の怒張はさらに高まる。
「あぁぁぁ、アソコが切ないよぉ、いじわるしないでよぉ、いれてちょうらぁい」
もはや、最初に会ったころの妖艶な雰囲気は消えうせ、淫らな一匹の女狐と化していた。
4つんばいで尻を向けたまま尻尾を押さえられ、顔と胸を地面に擦りつけながら腰を動かす。
腕には力が入らないのか、地面に伏したまま動く事が無い。
「はやくっ、お願いだから、このまま焦らされたら、こわれちゃうぅ」
挿入を懇願する彼女の言葉は譲にも聞こえていたが、彼は一心不乱に尻尾を煽り続けた。
時雨の尻尾と肌を触れ合わせるだけで不思議な感覚が譲の中に流れ込んでゆく。
気持ちよさとは別の何か、強い力のようなモノが譲の心を満たしてゆくのだ。
その感覚がまた心地よく、両腕で弄りながらスリスリと顔を尻尾にこすり付けていたが、
実際の所、譲の股間も限界が近づいていた。
時雨が絶頂を迎えるたびに甘いに匂いが譲の鼻を刺激し、
淫らな喘ぎ声が耳に届くたびに頭の中で響き続ける。
さらには、股間に飛び散った愛液が媚薬のようにペニスを痺れさせ、
萎えることなく勃起し続けていたのだ。
「俺も、もう我慢できないよ」
尻尾を握りこんだまま、腰を落として挿入の体勢に入ると、
時雨の嬉しそうな顔が目にとまった。
尻尾が視界を邪魔して時雨のアソコは見えないが、位置を合わせて腰を前に出す。
‘ピトッ’
「はあっん♪」
ペニスと秘所の入り口が触れた。
ようやく挿入してもらえる悦びに時雨の呼吸は荒くなり、
顔を譲に向けながら期待に満ちた瞳で見つめている。
そして、そのままさらに腰を前に持っていくと、
‘チュルンッ’
「あんっ♪」
狙いは正しかったようだが、ペニスは狙った肉穴を外れて
時雨の股下に潜り込んでしまった。
「あれ? うまく入らないな」
別に意地悪しているわけではないが、何度挿入を試みても譲のペニスは
股下に潜り込んでしまう。
目隠し状態で挿入しようとしている所為か、愛液で濡れている所為か、
何度か挑戦するが位置がうまくあわず、その度にペニスが彼女の股下に潜り込む。
「ちがうよぉ、もっと上だよぉ、あんっ、でもっ、気持ちいいっ」
547 :
9:2008/08/21(木) 22:38:35 ID:y+RTiYnK
挿入したわけでもないのに、彼女の秘所からは尽きることなく愛液が滴っていた。
それが潤滑剤となり、ヌルヌルになった股の間をペニスが出入りする。
すると、股と同時に秘所の下部が刺激され、時雨に僅かながら快感を与えていた。
「はうっ♪ はうっ♪」
腰を打ち付けるたびに小さく媚声を上げる。
譲は、先走りの液を出し、愛液に濡れた自分のイチモツを、股の間で何度も往復させた。
腰を突きつける度に、時雨の尻と譲の体が触れ合う音が響き渡っていたが、
ここでひとつ、譲には疑問に感じることがあった。
(あれっ、そういえば俺……イってないよな……)
そう、最初に一発抜かれてから、攻守が逆転した今まで、絶頂を迎えていない。
ここまでの快感を受けていれば、譲も絶頂を迎えていいようなものだが、
不思議と快感に対する耐性が強くなっているのに気が付いていた。
「あぁぁぁ……もういいでしょぉ? お願いだから入れてよぉ〜」
そんな譲に対し、時雨の方は快感に対する耐性が弱くなっているようで、
ひたすらに喘ぎ、感じ続けている。
尻尾を弄るのを辞めてから彼女はイっておらず、さらなる快感を望んでいたのだ。
譲も時雨もマタズリを楽しんでいるはずだが、彼女としては不満らしい。
さっきから連続で絶頂していることを考えると、仕方の無いことか……
「ああっ、おちんちんの先っぽが、先走りの液があふれてるよぉ」
「はあんっ、はやく欲しいのぉ」
時雨は、自分の股の間に垣間見える譲のイチモツを見ると、さらに興奮の色を強め、
体から発せられる臭いも、より強くなっている。
「ここよぉ、今度はちゃんと入れてよね?」
譲の焦らしに我慢ができなくなったのか、自分の尻に手を当てると、
グイッと指に力をこめて、秘穴を広げるような形をとる。
相変わらず尻尾に顔を埋め、尻を直視していない譲であったが、
ここぞとばかりに怒張したモノをあてがい、腰を思いっきり前に出した。
「ひああぁぁぁぁんっ♪」
先端を時雨の穴に合わせ、ズブリと肉棒の先端を挿入する。
本日初めて味わう挿入の感触に、時雨は本日何度目か分からない絶頂を迎えた。
穴の中では熟れた肉が熱く煮えたぎり、内壁が収縮を繰り返しながら、
ペニスに激しく愛撫を繰り返す。
譲も負けじと腰を突き出し、奥へ奥へと挿入するが、途中で違和感を覚えた。
雪風の膣とは違う、強い締め付けと妙な温もりであるが、
これが熟れた女狐の官職なのだと感じただけで、そのときは特に気にしていなかった。
「あんっ、すごいっ、でもっ、ああんっ」
「くあっ、締め付けがすごいなっ、お前の穴は、雪風とまた違って、気持ちいいぞっ」
熱く煮えたぎる肉穴は、譲のイチモツをギチギチと締め付け、出し入れするのも一苦労。
ゆっくりと穴を慣らすように動くが、イチモツの反りが肉壁を抉り、
ゴリゴリと音を立てているようであった。
548 :
10:2008/08/21(木) 22:41:14 ID:y+RTiYnK
「おなかの中がっ、すごいっ、でもっ、でもぉぉ」
「違っ、あんっ、そこっ、んっ、違うよぉ」
快感に喘ぐ時雨の口から意味不明な言葉が発せられ、ピストンを続けながらも考える。
‘違う’という言葉の意味が理解できずに少し考えていたが、
時雨から発せられた次の言葉で、その意味を知ることができた。
「そこっ、ちがうっ、おしりっ、おしりぃー、ひあぁぁぁんっ」
思わずハッと我に返り、腰の動きを止める。
尻尾が視界を邪魔していたせいもあって、再度場所を間違えたようだが、
強烈な締め付けと腸内の熱さによる異様な快感は、女性器に勝るとも劣らない。
譲にそういう趣味は無いのだが、一人の男を新たな領域へ目覚めさせるのに
十分な快感であった。
「はぁ、はぁ、もうっ、おしりは、らめぇ」
息を荒げ、口からは涎をたらし、耳は垂れ、尻尾は天に向かって逆立ち続けている。
限界を感じさせる表情ではあったが、それがまた異様に欲情をさせる。
ちょっとした自分のミスに動きを止めていた譲であったが、思い直すと直ぐに再開した。
「はうっ、ヒドイよぉ、何でこんな事するのぉ……」
ズンズンと時雨の腸壁を抉るように続けるピストン。
譲は、にっこりと笑いながらその質問に答えた。
「君のイタズラのお陰で雪風とお友達になれたのは感謝しなくちゃいけない」
「あふうっ……なっ、ならもう許してくれてもいいでしょ?……あうっ」
「まだまだっ、君のイタズラ癖を矯正するまで、たっぷりとお仕置きしてあげるよ」
「ひぃっ!?」
入れる時は激しく
「はうんっ」
抜くときはゆっくりと。
「ふっ、クゥン、クゥゥゥゥン」
子狐のような喘ぎ声を放つ時雨ではあったが、最初の挿入以外に尻穴では
絶頂を迎えておらず、快感に耐え続けていた。
譲は尻尾も離しておらず、そちらからの快感も伝わっているはずだが、
今は自分の中にあるペニスの感覚に集中し、必死でイクのをこらえていた。
そして、
「なぁ、俺、もう我慢できそうに無いんだ、このまま、お尻にいいかい?」
「えっ、射精しちゃうの? おしりに、そんなっ、でもっ、私ももうっ」
『あぁぁぁぁーー!』
二人は同時に絶頂を迎えた。
譲は時雨に精を捧げ、彼女はそれを受け取る。
絶頂した瞬間に彼女の尻穴はペニスをギュウギュウに締め付けるばかりか、
肉壁が精液を逃すまいと蠢いているような感触すら覚えた。
時雨は背骨が折れんばかりの勢いで背を仰け反らせながら体を痙攣させたが、
数秒後には意識を失うかのように倒れこんでしまった。
549 :
11:2008/08/21(木) 22:45:22 ID:y+RTiYnK
「いけね、ちとやりすぎたかな」
結合したままグッタリと動かなくなった時雨。
精液を逃すまいと蠢いていた肉壁は動きを止め、ゆるくなった結合部からは
精液が滴り落ちる。
腕の中で暴れ続けていた尻尾も、今は力なくうなだれている。
責め続けた譲も心配になり、抱きついていた尻尾を開放し、ペニスを抜こうとした。
その時である。
「うわっ、なんだ!?」
開放しようとした瞬間、うなだれていた尻尾が元気を取り戻し、
離れようとした譲の体をガッチリ巻き取ると、時雨の体へ引き戻す。
半分抜いていたペニスも再び時雨の腸内奥深くまで導かれ、
挿入したまま身動きが取れなくなってしまった。
しかも、絶頂後にゆるんでいた尻穴がペニスを再びぎちぎちと締め付け、
腰を動かして何とか抜け出そうと試みたが、腰と腕を完全に固定され動かす事ができない。
さっきまでの柔らかな尻尾とは別物のように強く譲の体を締め付け、
抜け出す事ができないのだ。
「ふふっ、ふふふふふっ」
地の底から鳴り響いてくるような不気味な笑い声と共に
時雨の体がゆっくりと持ち上がる。
次の瞬間には、後方に体の重心を動かすと同時に、挿入したたままの体制で
器用に体を180度回転させた。
今度は、譲が仰向けに地面に寝そべり、時雨がその上に伸し掛かった形で、
弱点であるはずの尻尾で四肢を拘束している現状から見ても、完全に攻守が逆転している。
「尻尾はダメって言ったのに……お尻まで……」
「本当は、味見をするだけのつもりだったのに、君がいけないんだからね……」
体を完全に拘束したことを確認し、締め付けていたペニスを開放すると、
結合部から再び白い液体が降り注いだ。
視線の先にある時雨の顔は涙ぐんでおり、潤んだ瞳が譲を見下ろしている。
「気持ちよくしてくれたお礼は……3倍にして返せばいいんだっけ?」
空を仰いで何かを思い出すような顔をしながら、指を折って何かを数えている。
数え終わると、空を仰いでいた顔がこちらを向き、にっこりと笑って譲に語りかけた。
「あなたが私をイかせた回数は……まぁ20回くらいかしらね♪」
「ちょっ、ちょっと待てっ! 60回って絶対無理だから!」
その瞬間、頭の中でこれからイかされる回数が瞬時に計算された
だが、時雨の顔を見る限り、本気と書いてマジと読む感じで、
時雨の体中から、ピンク色のオーラのようなものが発せられている。
「あなたに拒否権は無いのっ、さぁ、あたしの膣で悶え狂いなさい♪」
「いやゃぁぁぁ!」
尻から抜いたペニスを濡れた秘所へとあてがい、腰を下ろそうとする。
譲は尻尾で全身を押えられて身動きがとれず、向こうはいつでも腰を下ろせる状態だが、
焦らすつもりなのか腰をゆっくり動かしながらペニスを秘所の入り口で擦り続ける。
550 :
12:2008/08/21(木) 22:46:30 ID:y+RTiYnK
危機的な状況に絶望と、ちょっとの期待を抱いていたが、救いの手が差し伸べられた。
「お姉さまっ!」
聞き覚えのある声、そう、ピンチを感じとった雪風が救出に駆けつけてくれたのだ。
巫女服姿のまま駆け寄ると、二人の状況を見とり‘カッ’と目を見開いて声を荒げた。
「お姉さまばかリずるいです!私も参加しますっ!」
(なっ、なんだってぇぇぇ!?)
―訂正― 救出ではありませんでした。
状況の悪化を予見させる発言が、希望を見出していた譲をガッカリとさせる。
雪風の表情をよく覗き込んでみると、顔は赤く、息は荒く、興奮の色が隠せない様子だ。
時雨も雪風の出現に驚き、考えを廻らせていたようだが、
「あら、じゃぁ二人で一緒に楽しみましょう♪」
姉妹で喧嘩でもしてくれれば脱出の機会もあると思ったのだが、
姉の方も相当乗り気のようである。
雪風が巫女服の赤い袴を捲り上げると、無毛の丘が透明な雫が垂れているのが見え、
興奮の度を知ることができる。
おそらく、姿を現す前から、二人の行為を覗き見ていたのだろう。
「はんっ、ズルイよ譲ぅ、私に黙ってこんな事を」
巫女服を脱ぎ捨て、寝かされた譲の顔の上に立ち尽くすと、時雨が譲に行ったように、顔の上にゆっくりと腰を下ろす。
腰を前後に動かしながら、アソコを舐めろと言わんばかりに擦り付ける。
「あふぅ、もっと舐めてぇ……吸ってぇ……ね、お姉さまより、おいしいでしょ?」
その発言から、覗き見は襲われた最初の時点からであることが理解できた。
濡れ具合から考えて、覗き見をしつつも自慰を行っていたのだろう。
「さぁて譲君、覚悟はいいかしら? お股にお尻に……3度目の正直よっ」
妹の痴態を見つめつつ、入り口で譲を弄んでいた時雨が行動に移る。
腰を、落とし始めたのだ。
何枚ものヒダがうねりながら口を開け、亀頭を包み込んだかと思うと、
時雨は一気に腰を落とし、根元まで呑み込んだ。
「はぁんっ、やっと、やっと味わえたわっ」
待ち焦がれた場所に対する快感、
その中では、何十にも及ぶヒダや瘤のようなものが個別に蠢き、譲を絞り上げる。
快感に抗う術を持たない譲は、一瞬で絶頂を向かえ、大量の精を捧げた。
「もう出しちゃったの? 仕方ないわ、私の膣だもの」
「そうです、お姉さまの膣は、我が一族でも一、二を争う名器ですものねっ」
そうこう言う間にも、再度の絶頂が訪れる。
止まる事の無い連続の射精を受ける時雨との接合部からは、精液が垂れることは無い。
大量の精液は、漏れることなく時雨の膣内に貯蔵されているのだ。
551 :
13:2008/08/21(木) 22:47:14 ID:y+RTiYnK
時雨は譲のイチモツを膣の奥深くまで招き、腰を動かすこともなく、
膣内の動きだけで扱き上げ、雪風は譲の顔面に秘所を擦り付ける。
「あんっ、お姉さまぁ」
「ピチュッ、うんっ、雪風ぇ」
譲の上で、唇を交える姉妹。
視線を交えあいながら、舌で互いの口内を舐りあい、舌を絡める。
そのまま口を離すと、二人の間には、唾液の糸が橋のように渡っていた。
「嬉しいわ、可愛い妹が、いつのまにかこんな大人になっていたなんてね」
「お姉さまっ、譲とこんなことができるのは、お姉さまのお力添えがあったからです」
「でもっ、でもっ……」
「何? 言って御覧なさい。もうっ、気になるじゃないの」
口の端から垂れた唾液をぬぐおうともせず、目を潤ませながらも
キッと姉を睨みつけるようにし、
「譲をお貸しするのは今日だけですっ、譲は私の大事な人なんですからねっ」
「あら、縄張り意識かしら? ふふっ、さすがは‘大人’ね」
言い放った言葉に、最初はキョトンとした時雨だが、ニコッと優しい笑顔を見せ、
雪風を優しく抱き寄せると、再び口付けを交わす。
「あら、譲クンも苦しそうね、三人一緒に、気持ちよくなりましょう」
「はい、お姉さま」
「あんっ、この子の精液っ、とってもいいよぉん」
「譲っ、もっと、もっと舐めてぇ」
譲の体の上で妖しく乱れる2匹の獣。
尻の上から突き出た尻尾を激しく揺らし、
快感を受けるたびに頭上の狐耳をピクピクと痙攣させる。
人間ではない、獣を相手にしているという実感を始めて覚えるが、
恐怖を感じることも無い。
耳に聞こえる喘ぎ声がだんだんと遠くなり、乱れた身体が視界からぼやけていく。
「どうしたのっ? まだまだ頑張りなさいよっ、はあんっ」
「ふぁあんっ、またイっちゃう、イっちゃうよぉー」
残念ながら、その声が譲に届く事はなかった。
搾取される快感を受けながら、譲の意識は闇の中にあったからだ。
552 :
14:2008/08/21(木) 22:48:44 ID:y+RTiYnK
△▽△
「うっ、むぅ……」
気が付けば、空には満天の星空が輝いており、月が森を僅かに照らしている。
山の夜風はさすがに肌寒く、裸でいるのは少々つらい。
雪風と時雨の二人に責苛まれ、いつのまにか気を失っていた譲。
譲の体でたっぷりと快楽を貪った二人の獣を探すと、
少しはなれたところでヒソヒソと話をしている。
不思議そうに二人を眺めていると、それに気づいた二人が一瞬譲を見るが、
再び困った顔でヒソヒソと話を始める。
「おい、貴様ら何を隠してる」
その言葉にビクッと耳が反応すると、二人とも困惑した表情を譲に向けていたが、
近寄ってきた雪風が無言で手鏡を差し出す。
手鏡を渡すからには自分を見ろということだろうから、譲は自分の顔を見る。
鏡の中に移るのは普段見慣れた顔だけで不思議なところは何も無く、
何を見させたいのか理解できず雪風に尋ねると、彼女は自分の頭上を指差す。
「ん? 頭の上を見ろってか?」
見慣れた眉、見慣れた髪、そしてその上には見慣れぬ金色の狐耳。
(……え?)
いったん手にした手鏡を下ろし、まぶたを閉じて心を落ち着ける。
「ふぅ、どうやら疲れるようだな、こんな幻覚を見るなんて」
再び自分の頭上を確認すると、そこには立派な三角形の狐耳が……
「なっ、なんじゃこりゃぁぁぁ!」
異常事態に取り乱し、手鏡を取り落とすと自分の手で頭の上を確認する。
やはりそこには立派な毛並みの耳があり、神経も通っているようで触れると感覚があり、
力を入れるとピクピク動くから不思議だ。
「おーまーえーらー」
この異常事態の犯人達に詰め寄るが、目を逸らして譲の方をみない。
しかも、クスクスと笑いをこらえているように見え、
譲は頭から火が出そうなくらいに怒り心頭なのだが、時雨は知らん顔で言う。
「あら、そんなに怒ると尻尾が逆立っちゃうわよ?」
「あんっ?」
その言葉に後ろを振り返ると、見たくないものを見てしまった。
「……え、尻尾?」
そう、譲の尻からは立派な狐の尻尾がニョキッと生えていたのである。
何となく力を入れてウネウネ動く所を見ると、
耳と同じように俺のものであることは間違いないようだ。
蠢く尻尾を楽しみながらしばらく考えていた譲だったが……折れることにした。
553 :
15:2008/08/21(木) 22:49:40 ID:y+RTiYnK
「あの、狐様、申し訳ありませんが、これなんとかならないのでしょうか?」
このような格好では会社に行けないどころか、普段の生活すら危うく、
一歩引いてでも解決策を見つけなければならないと判断したのである。
時雨の方も、下手に出る譲の態度に満足したのか、現状を説明してくれた。
「私たちは人間から陽の気を得てそれを妖力として得る事ができるの」
「あなたを襲うだけだったら、あなたから‘気’を吸うだけで問題なかったんだけど」
「私の尻尾をいっぱい愛撫したでしょう?」
「ああ、いっぱいした」
「その時にね、尻尾から私の‘気’を目一杯に吸い取っていたのよ」
言われてみて、尻尾への愛撫の最中に不思議な感覚が流れ込んできた事を思い出すが、
彼女の話には分からない事があった。
「待て、それならばさっきので相対的に吸収してもらえてるんじゃないのか?」
そう、雪風&時雨ペアによってたっぷり絞られたわけだから、話の通りだとすれば、
譲の現状を説明する事ができない。
「いやね、私は搾り取っていたんだけど、雪風がねぇ」
「雪風が……あっ」
言われて、自分が雪風の秘所を舐めしゃぶり、愛液を啜っていたのを思い出した。
つまり、出入りした‘気’の量はプラスマイナスゼロ。
心境的にはむしろマイナスだが、先に時雨から吸い取って分を加味すると
相当なプラスだ。
譲は、今までの話を総合して、現状の解決策を考えると、
「なるほど、つまり、一方的にお前らに搾り取られれば良いというわけだな?」
「正解、でもほら、見て」
時雨の腹を見ると、譲の精液で妊娠したかのようにプックリと膨れ、
“もう満腹です、食べられません”と言った感じで自分の腹をさすり、クフーと息を吐く。
雪風に視線を移すと、秘所からたっぷりと気を吸ったにも関わらず、
時雨から口移しで譲の気を流していたようで、同じく満腹そうである。
「貴様らぁっ、責任とれぇー!」
半泣き状態で詰め寄る譲。
雪風はなだめようと苦心するが、時雨は怪しげな笑みを浮かべて声を上げた。
「んっふっふっふっふ……心配には及ばないわ、兵力は整っているからね」
「でませい! お山のみなさんっ!」
そう叫ぶと、周囲の茂みが物音を立て、いくつもの黒い影が飛び出した。
猛烈な勢いで空中に飛翔すると、譲の目の前に着地した。
「いやぁ、コッソリ見てたかいがあったわ」
「先輩の獲物を味わえるチャンスなんてめったに無いものねっ」
茂みから出てきたのは、数名の狐っ娘。
しかも、全員が裸で、臨戦態勢である。
554 :
16:2008/08/21(木) 22:50:22 ID:y+RTiYnK
「あ、あの、どちら様方でしょうか?」
「ふふっ、この娘達はね、お山の学校の下級生、それとお友達よ」
尻尾の本数は2本から3本で、雪風と同じ程度の力の持ち主と推測されたが、
情欲に燃える瞳は、勝るとも劣らない。
彼女達は舌なめずりをし、獲物をゆっくり見定めると、一気に飛び掛った。
『いっただっきま〜す!』
最初は逃走も考えたが、最初に飛び掛った数人が伸し掛かるように押さえつけ、
仰向けで身動きをとることができなくなった。
押しのけようと手足をバタつかせるが、すぐさま別の者が手や足を押さえ、
完全に拘束されてしまった。
「あはっペニスもーらいっ、ふぅ、おっきぃよぉー」
「もうっ、一人でズルイっ、じゃぁ私は尻尾をかわいがってあげよぉー」
「おいお前ら、そんないきなりっ……ひっ」
最初に伸し掛かった娘に肉棒を握り締められると、萎えていたはずのモノに血が昇り、
一気に天を突いた。
さらに、生えたばかりの尻尾を別の娘が握ると、それだけで射精してしまったのである。
「あはっ、もうイっちゃったのね……ンッ、おいしぃよぉ」
「あっ、精液が漏れてる、もったいない、私がもーらいっ」
「んっ、クリちゃん舐めないでぇ、あんっ」
「みんなズルイ……ボクは……口からもらう」
射精を感じ取ったのか、竿をしごいていた娘が口で亀頭を包み、
煮えたぎる精液をゴクゴクと飲み干してゆく。
だが、パワーアップした譲の射精量は半端なものではなく、
口からこぼれたものをさらに別の娘が舐め取っていた。
「んふっ、全部吸い取るまで、放さないんだからぁ」
「今夜は、眠らせないわよっ」
『ああぁぁぁぁんっ♪』
「ぎゃぁーーーっ」
朝日が差し込む頃には、精液と愛液にまみれた獣達の群れが横たわっていた。
555 :
17:2008/08/21(木) 22:51:09 ID:y+RTiYnK
△▽△
「お疲れ様〜、またきてねっ」
にっこりと笑顔で見送る狐っ娘たち。
耳と尻尾は何とか消えたが、気力体力共に限界で足元がふらつく。
「もうっ、2度とこないぞっ……」
よれよれになりつつも、山を後にする譲が、ゲッソリとした顔立ちで言うが、
そんな態度の譲に対し、時雨は余裕の笑みを持って応える。
「それは無理ねっ、下界で‘気’を溜め込みすぎると、また出ちゃうわよ?」
「え?」
「つまりっ、あなたは陽気を溜め過ぎると耳尻尾が出る体質になったってことよ♪」
(この女狐、軽くとんでもない事を言ってくれるぜ、これはお前のせいだろぉが!)
聞こえないように心の中で叫ぶ。聞こえて機嫌を損ねられると大変だ。
耳と尻尾がまた出てくると私生活が危うくなる。
つまりは、目の前の女狐たちに頼らなければならないという現実が譲を襲っていた。
『またよろしくねぇ〜』
「なんだか図られたような気もするんだがなぁ……」
そうボヤきつつ、女狐たちの期待を背負って山を後にするのだった。
556 :
若旦那:2008/08/21(木) 22:53:36 ID:y+RTiYnK
なんとか収まって一安心。
無駄に長くなったかな……という気がしなくも無いです。
‘ここはこうしたほうが良い’という点があれば指摘お願いします。
>>556 GJ!!!みんなえろくていいね!
>ここはこうしたほうが良い
姉妹そろって腹膨れてるほうがいいなあ。雪風には中出ししてないの?ってなる。
あと、わざとかもしれないけど女狐が自分には気になった。なんか悪口っぽい。
GJ
もう少しすっきり頼む
狐耳キタ━━━(゚∀゚)━(∀゚ )━(゚ )━( )━( ゚)━( ゚∀)━(゚∀゚)━━━!!!!
おまえらほんとに狐耳好きだなw
狐も良いけど次スレもね
本番に至る経緯をもっと見たい
次スレ立ててくるわ
ちょっと待ってて
乙ですん
○________
なぎはらえー |:|\\:::::||.:.||::::://| /イ
|:l\\\||.:.|l///| .///
__ ィ ,. -――- 、 |:|:二二二二二二二 !// /
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/ ̄ ̄ ̄ ̄ 7 / / ./ / / l l l lハ |:|//:::::||.:.||:::::\\l /
ト、 ,.  ̄ ̄Τ 弋tァ― `ー / l从 |メ|_l l_.l斗l |ヽ V |:| ̄ ̄ ̄ ̄ フ  ̄ ̄ | イ
ヽ \__∠ -――く __ .Z¨¨\ N ヒj ∨ ヒソj .l ヽ\| / / | / !
ヽ ∠____vvV____ヽ < ≧__/ ゝ、t‐┐ ノ .|┐ . \ / / \ / l
. \\_____ivvvvvvvv| V. ( ( /Tえハフ{ V ‐一 '´ / __. -―=-` / / l l
\! | / 入_.V/| >-ヘ \:::∨::∧ ∨ ∠二 -‐ .二二 -‐ ' ´ / / / l. l
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ノ } l ̄ ̄ ̄.|] >' ,. '  ̄ / .// :/ V' \ ヽ `丶\/ /
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入ノ. ヽ く ヽ______7 ー―∠__ 〃 l :/ :l l \V ヽ \ ,. '´
`ー′ \ `< | { / | /〃 :|/ __V/ ̄| ̄ ̄{_ \_ ` <
\ `' ┴ヘ { .レ__r‐|ィ‐┬、lレ' | / ノ`y‐一' >、_/ / ̄ 7丶、_ 丶
\ ヽ /`ー「と_し^´ | | } ム-‐' / / \_/ / / ヘ \
ヽ _>-ヶ--∧_} ノ j /` 7 ̄ ̄ ̄{ (  ̄ ̄`ー‐^ーく_〉 .ト、_>
', / 人__/ .ィ {__ノ`ー' ヽ 人 \__ { } |
V 人__/ / | /  ̄{ ̄ >‐ ァ-、 \ 〉ー} j
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<ヽ__ /し / < )__ \ _r‐く___/ / < ) \ {__ノ /
Y__>一' / ___r―、_\ >' `ー' ,. ´ >.、 \__ノ {
∠二)―、 `ー‐┐ ∠ ∠_r‐--― <__ ∠ )__ \_
∠)__ノ ̄`‐⌒ヽ__|> ∠)__r―――-― ..__{> ∠_廴,. ⌒ー'  ̄ \__{>
∧ ∧
(・∀・;) 呪いをかけてやろう・・・
ノ( )ヽ
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ヽ(・∀・;)ノ 『カッコンカッコン!』
(( ノ( )ヽ ) )
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|⊂⊃;,、
|・ω・) 誰もいないな・・カッパカッパ
|⊂ノ するならいまのうち・・・
|`J
♪ ,,;⊂⊃;,、
♪ (・∀・∩) カッパッパ♪
【( ⊃ #) ルンパッパ♪
し'し'
♪ ,,;⊂⊃;,、
♪ (∩・∀・) カッパキザクラ♪
(# ⊂ )】 カッパッパ♪
`J`J
♪ ,,;⊂⊃;,、
♪ (・∀・,,,) ポンピリピン♪
((⊂#((⊂)】 ノンジャッタ ♪
し'し'
カパァー...
♪ ,,;⊂⊃;,、
♪ (,,,-∀-) チョートッ♪
((と__つつ)) イーキモチ♪
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄○ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
O 。
, ─ヽ
________ /,/\ヾ\ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|__|__|__|_ __((´∀`\ )< というお話だったのサ
|_|__|__|__ /ノへゝ/''' )ヽ \_________
||__| | | \´-`) / 丿/
|_|_| 从.从从 | \__ ̄ ̄⊂|丿/
|__|| 从人人从. | /\__/::::::|||
|_|_|///ヽヾ\ / ::::::::::::ゝ/||
────────(~〜ヽ::::::::::::|/ = 完 =
,.-―っ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
人./ノ_ら~ | ・・・と見せかけて!
从 iヽ_)// ∠ 再 開 !!!!
.(:():)ノ::// \____
、_):::::://( (ひ
)::::/∠Λ てノし)' ,.-―-、 _
______人/ :/´Д`):: ( _ノ _ノ^ヾ_) < へヽ\
|__|__|__( (/:∴:::( .n,.-っ⌒ ( ノlll゚∀゚) .(゚Д゚llソ |
|_|__|_人):/:・:::∵ヽ | )r' ー'/⌒ ̄ て_)~ ̄__ イ
||__| (::()ノ∴:・/|::| ./:/ /  ̄/__ヽ__/
|_|_| 从.从从:/ |__|::レ:/ ___/ヽ、_/
|__|| 从人人从 ..|__L_/ .( ヽ ::|
|_|_|///ヽヾ\ .|_|_ /⌒二L_ |
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巛ノi
ノ ノ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ノ')/ノ_ら ∧_∧ | いきなり出てくんな!!
、)/:./、 ( ´Д`) | ビックリしたぞゴラァ!!!
)/:./.:.(,. ノ) `';~"`'~,. \ ________
\\:..Y:.( ・ '' :, ,. -―- 、|/
_____ 从\、,. ,; .,、∴';. ・ ( _ノ~ヾ、ヽ
|__|_ _(_:..)ヽ:∴:@) ノ(゚Д゚ #) )
|_|__|_人):|:・:::∵ヽノ) (_(⌒ヽ''" `ー'
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|_|_| 从.从从:/ |__|::|ノ \ ミ`;^ヾ,)∃ < へヽ\
|__|| 从人人从 ..| /:/ _,,,... -‐'''"~ /ー`⌒ヽ、 (( (゚Д゚llソ |
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