魔法少女、続いてます。
ここは、 魔法少女リリカルなのはシリーズ のエロパロスレです。
『ローカル ルール』
1.リリカルあぷろだ等、他所でのネタを持ち込まないようにしましょう。
2.エロは無くても大丈夫です。
3.特殊な嗜好の作品(18禁を含む)は投稿前に必ず確認又は注意書きをお願いします。
あと可能な限り、カップリングについても投稿前に注意書きをお願いします。
【補記】
1.また、以下の事柄を含む作品の場合も、注意書きまたは事前の相談をしたほうが無難です。
・オリキャラ
・原作の設定の改変
2.以下の事柄を含む作品の場合は、特に注意書きを絶対忘れないようにお願いします。
・凌辱あるいは鬱エンド(過去に殺人予告があったそうです)
『マナー』
【書き手】
1.割込み等を予防するためにも投稿前のリロードをオススメします。
投稿前に注意書きも兼ねて、これから投下する旨を予告すると安全です。
2.スレッドに書き込みを行いながらSSを執筆するのはやめましょう。
SSはワードやメモ帳などできちんと書きあげてから投下してください。
3.名前欄にタイトルまたはハンドルネームを入れましょう。
4.投下終了時に「続く」「ここまでです」などの一言を入れたり、あとがきを入れるか、
「1/10」「2/10」…「10/10」といった風に全体の投下レス数がわかるような配慮をお願いします。
【読み手 & 全員】
1.書き手側には創作する自由・書きこむ自由があるのと同様に、
読み手側には読む自由・読まない自由があります。
読みたくないと感じた場合は、迷わず「読まない自由」を選ぶことが出来ます。
書き手側・読み手側は双方の意思を尊重するよう心がけてください。
2.粗暴あるいは慇懃無礼な文体のレス、感情的・挑発的なレスは慎みましょう。
3.カプ・シチュ等の希望を出すのは構いませんが、度をわきまえましょう。
頻度や書き方によっては「乞食」として嫌われます。
4.書き手が作品投下途中に、読み手が割り込んでコメントすることが多発しています。
読み手もコメントする前に必ずリロードして確認しましょう。
『注意情報・臨時』(暫定)
書き込みが反映されないトラブルが発生しています。
特に、1行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えることがあるそうです。
投下時はなるべく1レスごとにリロードし、ちゃんと書き込めているかどうか確認をしましょう。
リンクは
>>2
>>乙!
4 :
名無しさん@ピンキー:2008/03/08(土) 11:26:38 ID:iYTK8HD4
乙!!
7 :
名無しさん@ピンキー:2008/03/08(土) 13:58:55 ID:WwwYJteE
前スレ埋まった。そしてスレ立て乙!
∧_
/∵∠
// \
>>1 レ ∩( ゚д゚ )乙
ヽ\ミ)
(⌒)|
三`Jザッザッザ
エリオとクロノとユーノのいちもつ
13 :
44-256:2008/03/08(土) 14:20:39 ID:Sj+R2wrW
のっけから投下していいですかね?
ラスト1個前のスレ住人表には吹いたわ。
>>13 カモン
15 :
44-256:2008/03/08(土) 14:27:30 ID:Sj+R2wrW
それでは投下します。
・非エロです。恋愛描写はあまりありません。
・時系列はJS事件解決から3ヵ月後の秋。
・全4話20スレ消費予定
・主演男優はゲンヤ、助演女優ははやてです。
・オリキャラが1名出てきます。過去にゲンヤが逮捕した人間です。
・オリキャラがダメな方、魔導師と一般人の強さ補正が気になる方
スルーしてください。
「・・・(やれやれだぜ)」
ゲンヤ・ナカジマ三等陸佐は壁に背をもたれて座り、自嘲気味にそう思った。
目の前には違法魔導師たち。肩、足、頭からも血が流れている。
くわえたタバコももうフィルターしか残っていない
ギンガとスバルには悪いがそんな俺の人生も納め時ってところか
ボロボロのトレンチコートに安物のソフト帽、ださい陸士の制服じゃ格好がつかないよな
こんなんで逝ったらあの世で真っ先にクイントに笑われちまう
「死ね」
魔導師の一人が無情に言い放ち、杖をゲンヤの頭に向けて魔力をこめ始めた。
ゲンヤは静かに眼を閉じた。そして一人の少女を思い浮かべた
(八神、てめえとの約束、守れそうにないぜ・・・)
支援
「よし、いっちょあがり」
デスクワークも何とか一段落を見て、ゲンヤは帰り支度をする。
そうしていると部隊長室の書棚で資料を探していたギンガが顔を上げた。
「早いね、お父さん。何かあるの?」
「まぁな、八神と食事だ」
「そうなんだ、あんまり遅くなんないでね」
「あのよ、ギンガ。前から気になってたんだけど、何で自分の親がお前らとそんな年の
離れてない若い女性と食事するってのに、そんなあっけらかんとしてるんだ?」
「八神二佐とは昔からの付き合いなんだし、私もスバルも今更驚かないわよ。それにいざと
なったら八神二佐の方がしっかりしてるし、安心してお父さんまかせてられるから」
「そ、そうか(ガクッ)」
2人の娘の評価が相当低いことはオヤジとしては少しだけショックだった。
そんなゲンヤの心を知ってか知らずかギンガは言った。
「あまり遅くならないでね」
「ああ、わかった」
ことの起こりは先日の地上本部。佐官会議のあと、はやてに呼びかけられたことに始まる。
「ナカジマ三佐、その、今度の金曜に食事に付き合ってもらえないですか?」
いつもと違い、少し硬い雰囲気のはやてをゲンヤは不思議に思い。
「ああ?何だよ改まって・・・まあ別にいいけどよ。こんな40代のおっさんと食事しても
何も楽しいことねーぞ。高町やハラオウンのお嬢、ギンガやスバル、ティアナがいるだろ」
「いや、明日はどうしてもナカジマ三佐と一緒に食事したいんです!」
(まぁ、いいんだけどよ、本当にどうしたんだろうな?)
そう思いながら、部隊長室を出ようとしたときに、通信音がなった。
どうせ地上本部からの調査依頼だろう。
「時間もないし、今日は勘弁してもらうか」
そういって部屋を出て行ったが・・・すぐに部屋にもどりディスプレイをオンにする。
「はい陸士108部隊」
一応は出てたものの、はやてとの約束がある。用件を断ろうと考えていた。
『・・・ゲンヤさん』
声の主は中年の男性であった。年はゲンヤより若干若いだろうか。
ゲンヤは驚いてこう言った。
「おまえ・・・ヴィンセントか?」
クラナガン港湾区の廃工場、そこにゲンヤがいた。
今夜は雲ひとつない夜空、トレンチコートの襟を立てていても寒さが身にしみた。
さっきはやてに遅れる旨の連絡をした。
はやては「そ、そうですか。お仕事なら仕方ないですよね」
と言っていたが、4年の付き合いだ。ショックを受けているのが十分にわかった。
(チビたぬきに悪いことしちまったな。さっさと話を聞いて用事をすませるか・・・)
そう思っていると奥から男が現れた。無精ひげを生やし、やつれた顔が
月明かりでおぼろげにわかる。
「ゲンヤさん」
「久しぶりだなヴィンセント、いつシャバに出てきた?」
「・・・1カ月前です」
男の名はヴィンセント・ボガード、ミッドチルダの貿易商であったが
事業に失敗して莫大な借金を背負った。そこを犯罪組織につけこまれ
ロストロギアや違法デバイス密売のカモフラージュとして使われていたのだ。
しかし、逮捕。組織はトカゲの尻尾きりといわんばかりに全てを彼に押し付け闇に消えた。
そしてゲンヤは当時、そのヤマ(事件)を担当していた。
「今頃どうした?」
「あなたに伝えたいことがあるんです」
そう言って、ヴィンセント話し始めた
「管理局の軌道拘置所を出所して、組織から連絡がありました。また力を借りたいと」
ゲンヤは思い出していた。ヴィンセントは貿易、とかくルート作りに恐ろしいほどの
能力を発揮する男であった。
関税がかからないルート、管理局のチェックが甘い貿易ルート
証拠の残りにくい貿易ルートなどである。
そんな才能を持つヴィンセントをあげられたのは、ゲンヤが靴をすりへらし
血の気の多い港湾作業員や、運び屋の船乗りたち一人一人からジドリ(証言取り)したり
輸出入のデータを一件一件を地味にナシ割り(出所確認)して稼いだ執念のたまものであった。
「それでわざわざ逮捕した俺に宣戦布告しにきたってわけか?」
「いえ、ゲンヤさん、私は組織を抜けるつもりです」
意外な言葉にゲンヤは驚く。
「あなたには話していなかったが、私には娘がいます。もっとも妻は組織に
入る前に別れてから病死し、私も拘置所の中だったので孤児院にいます。あの子のために
もこれ以上罪を犯せない」
そしてヴィンセントはゲンヤに何かを投げた。メモリーディスクと写真だ。
「これに全ての証拠が入っている。この証拠を手に入れるために、組織の仕事をしてしまった。
再犯者はもう2度と日の目を見ることはない、そうなる前にあなたに娘のことを頼みたかった」
「ヴィンセント、お前・・・ふせろ!」
そういい終わらないうちに、上空から無数の魔力球がヴィンセントに迫ってきた。
ゲンヤはとっさに彼を押し倒し、一緒に転がりながら柱の影に隠れた。
シューターが床に当たってコンクリートが吹き飛んだ。
ゲンヤはズレたソフト帽をなおし、柱の影から少し顔を出して周囲を確認した。
上空、廃工場の入り口に数人。デバイスで武装した魔導師が見える。
再び柱の影に隠れてヴィンセントに言った
「何なんだあいつら!?」
「組織の魔導師だ、まさかつけられていたなんて」
そして魔法の掃射が不意にやみ、工場内はさっきまでと打って変わって不気味な静けさに包まれた。
(奴ら、入り口から全くこっちに来ようとしない・・・まさか!?)
ゲンヤがそう考えると数人の魔導師が、上空と入り口からコンビネーションで砲撃魔法を放った。
ゲンヤの視界がまばゆい魔力光に包まれてゆく。
そして廃工場は大爆発をおこした。
23 :
44-256:2008/03/08(土) 14:36:08 ID:Sj+R2wrW
以上になります。続きは明日投下します。
GJ
クールで渋いおじ様って素敵。
そこはかとなく立ちまくっている死亡フラグが現実にならないよう祈ってます。
GJ
前スレの一覧表とか見ても思ったが、ここって割とオリキャラにも寛容なんだな
26 :
名無しさん@ピンキー:2008/03/08(土) 15:55:02 ID:/7Ilk8IT
まぁグレアム氏ねはだいぶ出たが。
>>25 昔は結構縛りがキツかった気がするけどね
紆余曲折あって、今の本編投下前に注意を入れる形になったあたりからいろいろ寛容になった感じかな?
28 :
名無しさん@ピンキー:2008/03/08(土) 16:01:20 ID:cfYSRuWo
>前スレ828
ここのじゃないが、百合スレの機動六課ホスト部がそんな感じ。
幼女派と熟女派に分かれてるのにおっさん派とショタ派は分かれてないのはなんでだぜ
お兄さん派を……!
クロノとユーノのお兄さん派を……!
行数制限というものがあるのですよ、社長。
それにショタ派はあまりにもマイノリティすぐるのでオサーン派と統合したのです。
前スレ
>>860 この小狸があああああああ!!!!
(;´Д`)ハァハァハァハァ
>>27 注意書きが万能の免罪符になってしまっている感はあるな
これが定着してから色々と意見を言いづらくなっているところはある
フェレットの発情期の時のユーノきゅんと吸血鬼の発情期の時のすずかの組み合わせの良さは異常
誤爆。もろもろすまぬ
違和感ないのがまた・・・w
自己申告しなけりゃまったく誤爆に見えなかったんだぜ
フェレット発情期→人間に戻っても発情したまま? いやっほう
まあなんだ、巣に帰りやがって下さい
一覧表見て思ったけどカタギ((非エロ、二次創作を求める)層って肉食動物じゃないよな
最近のスレでは一大勢力だし
とりあえず淫獣スレと誤爆したやつに責任とらせようぜ
というわけで、ショタクロノ攻めショタユーノ受けのSSかいてくるんだ
お前が悪いんだからなと男友達を男ホモ勃ちに調教するクロノは王道
現在このスレに罹っている病は納豆・ショタBL・キシャー・ソープだと前スレで誰かが言った。
つまり納豆食ってるショタとキシャーがソープ行く話を書けば確実に受けるんだよ!!
最近ガチホモネタ多すぎだぞw
俺はやっぱりおっぱいがないと…
例えふくらみかけであろうと、おっぱいがないと…
まあなんだ、言葉は選んだ方がいいと思う
キシャーがショタを食い
納豆がソープ・・・
納豆ソープ!!!!!!
そうか!納豆はローションの代わり!!!
チンク姉は膨らみかけ?膨らみ前?
膨らまし中
ホモネタは好きじゃないので自重してね
ワレ、電波ヲ受信セリ
『夜天の書』が改変されて、『闇の書』となり、
『闇の書』がさらに改変され、『変態の書』となってしまった世界。
『変態の書』の影響を受けたため、はやてをはじめ、守護騎士全員が変態。
はやて……異常なまでのおっぱい愛好者
シグナム……露出狂。老若男女をたらしこもうとする。
ヴィータ……
シャマル…ショタコン。コスプレ。
ザフィーラ…ナルシスト。ガチホモ。
将は全裸で怖がるフェイト(9歳)をひたすら追いかけてそうだぜ
しかし、なぜかヴィータだけ思いつかなかった。常識人ぽいイメージが強いのだろうか。
>>51 つまりこうか?
はやて「うっひょ〜、未亡人おっぱい〜♪」
叫びながら車椅子から飛び上がり、リンディさんにルパンダイブを敢行するはやて。
シグナム「はぁはぁ、皆が見てる皆が見てる」
いつも着てるトレンチコートの下には何も着ていない上にヤバイくらい興奮しているシグナム。
シャマル「あ〜ん♪ あの子達最高! 特に太股が!」
クロノとユーノを見て鼻息を荒くするシャマル、ユーノの太股は彼女にとって少し刺激が強いようだ。
ザフィーラ「むぅん! やはり俺の肉体は最高だ。グレアムやらないか?」
半裸で自分の筋肉に見惚れながらグレアムに色目を使うザフィーラ。
ヴィータ「‥‥‥‥」
無言で突っ込み用グラーファイゼン(ギガント)を構えるヴィータ。
こんな感じでよろしいか?
53 :
kogane:2008/03/08(土) 19:17:43 ID:j7MwuYSH
19:20に以下のSS投下させていただきたいです
・鬼畜?ユーノ×ナカジマ姉妹
・今回は本番なし
・タイトル「司書長の異常な愛情」
何かA’sのシリアスストーリーが色々台無しにw
夜空に瞬く星々と月の明かりが、淡く差し込む部屋の中に、水音と、くぐもった振動音が、忙しなく
響いていた。水音のする方を優しげな眼差しで見つめる青年が、彼の股ぐらに顔を埋める少女に声をか
けた。
「そんなに美味しいかな、スバル?」
声に含まれる感情から、青年――ユーノ・スクライアは今、実に愉快な気分であることが推し量れる。
それを理解したスバル・ナカジマは、ユーノへの口淫を止めぬまま、念話でもって答える。
「はい……私、先生のオチンチンが大好きです……あ、またエッチなお汁でてきましたぁ……。先生、
また私に出しください……顔でも胸でも口でもどこでもいいですから、私に出してぇ……」
彼女を知る人が聞けば、その耳を疑うような事を、スバルは平然と答えた。
そして、今のスバルの格好もまた、普段の快活で、健康美の塊そのものと言える彼女とは思えないも
のだった。下半身に身につけているのは、オーバーニーソックスとガーターベルトだけ。良く晴れた青
空の様な色だが、それが余計に扇情的だった。
そして首には――翡翠の鎖。その鎖――出力を抑えたチェーンバインド――は、ユーノの左手の人差
し指に繋がっていた。
「スバル、そんなに僕の精液が好き?」
ユーノのその問いもまた、彼の言動とは思えないものだった。
「大好きです。先生が大好きです……だって私、先生だけものですから……先生が大好きだから」
――先生だけの雌奴隷にさせていただいたんです。
こんな言葉を聞いて、なのに、ユーノの反応は、仲の良い姉妹から親愛の情を伝えられた程度の感情
はあるだろうが、実に平然としたものだった。
彼はスバルの頭を優しげに撫で、答えた。
「アハハハ、スバルは素直で良い子だね、僕もスバルが大好きだよ?」
その言葉に、スバルは口淫を止め、ユーノを見つめる。その表情は可愛らしい少女、恋する乙女のそ
れである。
だが――その眼は、雌そのものだった。
「ほ、んとうに?」
スバルの問いかけは、歓喜に打ち震えていた。至上の幸福を味わった人の声音だった。
「僕がスバルに嘘なんかつくわけないよ――ね、ギンガ?」
そう言って、ユーノは先ほどから、くぐもった振動音のする方へと目を転じる。
そこに居るのは――乳房と性器を露わにされたボンテージ姿のギンガ・ナカジマだった。いや、それ
だけでは無かった。彼女は後ろ手に縛られ、ギャグボールを噛まされていた。首には、スバル同様に、
翡翠の鎖がユーノの左手の中指に繋がっている。
そして、振動音の正体は、彼女の性器の周りに付けられたローターだった。
「ユーノ先生……!」
ギンガの念話には、恨みも妬みも欠片も感じられない。
「もう、我慢できません!私にも、私にも先生にご奉仕させてぇ、くだ、さいぃ……!」
熱砂の中で水を求めるような、渇望だった。
苦しげな表情のギンガに対し、ユーノは、妹に我儘を言われた、という程度には困った表情である。
「どうしようかな、スバル」
ユーノに問いかけられたスバルは、淫蕩な声と、嬉しげな顔で告げる。
「私も、ギン姉と一緒に、先生にご奉仕したいです」
ユーノは満足げに頷いた。
「スバルは本当に良い子だね」
そういって、ユーノは左手の中指を折り曲げ、ギンガを己の傍らへと近づけた。
「スバル、ギンガの口と腕のそれ、外してあげて」
自分の姉を縛り付けていた拘束具に、何の疑問を持たず、むしろギンガに少し羨望の眼を向けつつ、
スバルはギンガの口と腕を自由にしてやる。それが終わると、ギンガはスバルに感謝を述べた。
「スバル、ありがとう……」
「ううん、いいよそんなの。それより一緒に先生にご奉仕しよう、ね?」
期待を込めて、姉妹はユーノへと視線を向ける。ユーノはやはり楽しげだった。
「じゃあ、二人に気持ち良くしてもらおうかな?」
その言葉を聞いただけで、姉妹は恍惚とした表情になった。
スバルとギンガは、ユーノの亀頭を舌で愛撫する。零れ落ちていく彼女達の唾液が、ユーノの男根を
怪しげに鈍く光らせる。
「せんせぇの……カウパーと、スバルのつばぁ……ん、美味しいぃ……」
ユーノの陰嚢を左手で弄び、右手で己の秘所を慰めつつ、ギンガは淫蕩な声を上げる。
「ギンガ、我慢させてゴメンね?」
「そんなぁ、こと、ん、ない、れふぅ……あふぅ、んん……」
「ん、ふあぁ……せんせぇ……す、きぃ……ちゅ、ふぅ……ギン姉も……すきぃ」
いってスバルはユーノへの手での奉仕を休め、男根を乳房で挟み、ギンガへと口づける。
「あ、んん……スバ、ルゥ……だめ、せんせいに、して、あげなきゃぁ……」
「うん、だからぁ、ギン姉もぉ……おっぱいでぇ……ん、ちゅぅ」
そして、ギンガも乳房でユーノの男根を挟む。姉妹の唇は離れ、また彼の亀頭へと、舌を伸ばす。
ユーノは楽しげに姉妹の奉仕を見やり、スバルに声をかける。
「スバルは本当にギンガが好きなんだね、妬けちゃうなぁ」
「そんなぁ……わらひはぁ、せんせぇも……ギン姉も……だいすきなんです……んん」
「私も、スバルが大好きよ……もちろんユーノ先生も……ふ、ぅん……大好き、愛してます……」
「嬉しいな、二人とも。……じゃ、そろそろご褒美、欲しいよね?」
その言葉とともに、姉妹の乳房と口での愛撫が、一層激しくなる。
「はい、くだ、さぃ……せんせぇ、精液、ちょうだぁ、い……は、ああ!」
「スバル?あ、ひゃう!」
姉妹の突然の嬌声の理由は、ユーノのチェーンバインドが、まるで蠢く触手のように、彼女たちの性
器を刺激し始めたからだ。
「僕だけしないのも、不公平だもんね」
「あ、あ、あぁ!せん、せぇ!ユーノ、せんせ!イ、イっひゃ、イっちゃう!」
「駄目だよ、僕より先にイったりしたら……あげないよー?」
ユーノの意地悪な子供のような声。その顔も、言葉も、一切の狂気を感じさせない。
だから、歪んでいた。
「ん、はぁ!が、がまん、しなきゃだめ、スバル、いっ、一緒に、せんせぇと、一緒に、イこ?」
ギンガの声も苦しげに響く。それに対してユーノの答えは――。
「んー、ギンガにはさっき意地悪しちゃったから……」
二人の頭を撫で、彼は答える。
「一緒に、イこっか?」
「は、はぃ!ください!精液ください!」
「イかせてください!せんせぇ、イかせてぇ!!」
「じゃあ、出すよ、全部飲んでね」
そして姉妹の性器に、潜り込んでいたチェーンバインドが、二人の膣内を蹂躙すると同時に。
「イ、くぅぅぅ!あ、あぁ!!」
「は、ああ!」
姉妹は絶頂に達し、ユーノの男根から、大量の精液が迸る。姉妹の顔を、唇を、乳房を。垂れ落ちて
いくそれは、姉妹の体を汚していった。だが、スバルにとっても、ギンガにとっても、それはご褒美だ
った。
「ふふ、ありがとう、スバル、ギンガ。凄く気持ちよかったよ。二人は?」
平然としたユーノの問いかけ。スバルとギンガは、頬と体を桜色に染めて、至福の表情と声で答える。
「さいこうです……ありがとうございます……」
「わたしたち……せかいで、いちばん、しあわせです……せんせい……」
くくく、と笑うユーノは、本当に本当に楽しげだった。
夜はまだ長い。
「じゃあ」
ユーノは、また指を持ち上げ、姉妹を抱き寄せる。
「二人の喜ぶこと、もっとしてあげるよ」
59 :
kogane:2008/03/08(土) 19:23:40 ID:j7MwuYSH
以上で投下終了いたします。アリガトウ御座いました。
ギン姉エロス来たあああ!!!
姉エロス最高、ユーノ構う事ぁねえからもっとヤっちまえ。
>>61 リインT「ち〜ち、ちっち〜おっぱ〜い♪」
リインU「ぼいん、ぼお〜ん♪」
満面笑みを浮かべながら、二人して楽しそうに踊ってはやてとオッパイ教団(この世の全ての美しい乳房を守る愛と正義のヒミツ結社)で活動する融合機達。
>>63やべ、間違えたリインU「ぼいん、ぼお〜ん♪」 →リインU「ぼいん、ぼい〜ん♪」な。
66 :
WS:2008/03/08(土) 19:52:23 ID:ZN5uxyIf
前スレでは大変ご迷惑をおかけしましたWSです
なぜかまた投下できる状態になりました(前のはなんだったんだ・・・)
今度はまたトラブルが起きないよう期待しつつ投下させていただきます
クラナガン北部の住宅地帯
クラナガンに並び立つ住宅街の中を一人の少女が元気よく駆け抜ける、
その姿は地元の学院ものと思われる制服を身につけ、左右にちょこんと結びをかけている黄土色の髪、
そして特徴的な翡翠と紅玉のオッドアイの瞳
目的地にたどり着くや否や、おもいっきりドアを開き、部屋の掃除をしているその家のホームキーパーと
思われる女性に声をかける
「ただいま〜、アイナさん」
「おかえりヴィヴィオちゃん」
この少女の名は高町ヴィヴィオ
かつてJ・S事件後、機動6課所属であったエース・オブ・エースでもある高町なのはに引き取られ、
その養子となった子供である
「これからすぐに教会?」
「うん、カレラと待ち合わせして一緒に行く予定なの。アイナさんは?」
てきぱきと着替えを済ませ準備をしつつ、掃除機をかけている女性に尋ねる
「私はお掃除が終わったら地元の奥様達と少し御出かけ、ヴィヴィオちゃんがこっちに戻ってくるまでには
帰ってくるから」
「ママからは?」
「残念だけど今回は予定が合わせられないみたい、実家のご家族とフェイトさんによろしくって」
「そっか、残念・・・」
彼女の養母でもある高町なのはは管理局の中でも指折りの魔導師であり、また優秀な教導官でもある
そのためか彼女の教導演習の依頼は絶えず続き、なのは自信も自分から予定を空けるのが難しくなってきている
今度こそは一緒に行けると期待していたヴィヴィオにとっては、少しばかりショックが大きいことでもあった
「それじゃあ行ってくるね、アイナさん」
「はい、いってらっしゃい」
身支度を済ませたリュックを背負い、教会行きの転送ポートへと向かうヴィヴィオ
その少女の手首には、ザンクト・ヒルデ魔法学院中等部の飛び級卒業祝いとして、義母にもらった赤い宝玉が
太陽に照らされているかのように輝いていた
支援。だいじょぶでっか?
もしかして、
『注意情報・臨時』(暫定)
書き込みが反映されないトラブルが発生しています。
特に、1行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えることがあるそうです。
投下時はなるべく1レスごとにリロードし、ちゃんと書き込めているかどうか確認をしましょう。
これ?
なんかまたもや投下できない病に罹患してるっぽい支援。
俺は毎回22行以上でも大丈夫なんだけどな
それより、やっぱり避難所とか作って代理投稿できるようにした方がいいのかな?
>>66 とりあえず現状報告キボン
SSは投下できなくても、レスならできるんじゃね?
75 :
WS:2008/03/08(土) 20:13:33 ID:ZN5uxyIf
70の方がおっしゃる通り異次元に飛ばされてしまっているそうです
Mたもやご迷惑をおかけてしまって申し訳ありません(穴があったらはいりたい・・・)
またもやでした、すみません
あるよね、この現象。
俺も投下するとき2桁くらい飛ばされるw
エラーとか表示されないで、正常終了してるのに書き込まれてないから性質が悪いんだコレが。
酷い時だと10行程度すら異次元へ逝く事があるという……
ってか何だよ俺のID
一体俺に何をさせたいんだ
80 :
WS:2008/03/08(土) 20:21:36 ID:ZN5uxyIf
またかよ、みたいで悪いのですがまた上の投下した話は無視していただく方向で(本当に申し訳ない)
これってやっぱりどこでやっても同じ現象が起きてしまうのでしょうか
解決法があったら教えてくいただくとありがたいです
>>80 面白そうな出だしだった分、残念で仕方ないです。
別のPCから送るとかできないもんかと。
もしくはあれだ。
ロダにtxtで上げてスレ人に代行頼むとか
>80
解決するかは分からないけど、俺の実際やった解決方法は、とにかく行数を削る事だーね。
10行が駄目なら9行、駄目なら8行……とやってけばいつかは書き込みが出来てるから。
どうせ容量の問題で1000まで使うことはないんだし、どーんと使ってもいいんじゃないか、と俺は思うんだけど。
原作と勤め先が違うとやっぱそれは微妙なんだろうか。
例えばステキファッションなギンガ姉が機動○課にはいって・・・とか。
自分の中ではまぁいいじゃんって思うし、
たぶん他の人も自由でいいんじゃない二次創作なんだしって言われるだろうけど、
じゃあ読む側としては微妙なんかなぁって。
ギャグやコメディなら気にしなくてもイイし、シリアス路線で行くならそうなる理由がしっかりしてれば、大した問題にはならないと思う、というのが個人的意見。
大事なのは説得力さ。
86 :
WS:2008/03/08(土) 21:08:51 ID:ZN5uxyIf
いろいろ心配していただいてありがとうございます
ではもう一度行数などを減らしてみて挑戦してみます
(無理だった場合は解決策が見つからないかぎりあきらめるという方向で)
このあとバイトがあるので深夜明けぐらいに投下します
>>84 前書きにスターシステムでOKだと思うけど
90 :
84:2008/03/08(土) 21:21:09 ID:tee6As5U
>>85 スバルの訓練指導をするギン姉ってやりたいから、勤務地離れてちゃだめなんだよなぁ。あと姉妹丼もやりたいし。
それとも108とか全然関係なく、ifストーリーでやろうかな。
>>87 あ、それは……、じ、自信ない……。
>>89 ぐぐったけどよくわかんなかった。
「君に届けたいただ一つの想い」の続きを待っている…
>>90 この場合はifだね。ごめん。
スターシステムって
・既存キャラクターを俳優と見立てて新しい話を構築する。
かな。
「OVA版ジャイアントロボ」や「舞-乙hime」、ゲスト的な使い方もあるね。
ある意味、リリなの(無印)はとらハ3(リリカルおもちゃ箱)にスターシステム採用したみたいなもんだしな。
スピンオフとスターシステムの区別がイマイチつかないのでこんな風にしか言えないが。
手塚作品のようなのか
スピンオフは同一作品内での外伝だから今後ユーノ主役の話でも出ればそれがリリなののスピンオフになるな
>>44 チャンピオンには
男のチチはおっぱいだ
という名言があってな
>>95 そう考えると「ナースウィッチ小麦ちゃんマジカルて」とか「魔法少女プリティサミー」ってどっちなんだろうなあ。
あー、小麦色に日焼けしたエリオ君を想像しちゃった…もうだめぽ
>>96 騎士クラブワロタwwwwww
というか、REDやいちごも含めてチャンピオン系はホモとかショタとか
最強ツンデレ烈海王やら男に萌えられるな。
ヴィータがセックスでアリスな作品ハァハァ
>>97 スターシステムはいちおう「同じ顔だけど別人」だから
あの二つは「スピンオフだけど、舞台はパラレルワールド」とかそんな感じじゃないかな
>>98 小麦色に焼けたエリオきゅんのボディにぶっかけだと!?けしからん!!
102 :
ザ・シガー:2008/03/08(土) 22:42:43 ID:eFMDq+xW
11時くらいになったらソープ・ナンバーズ投下しますね。
他の連載をお待ちの方には悪いのですが、試しに書いたら勢いが付いてしまったんです。
姐さんや爺さんが好きな方には誠に申し訳ありません。
うはwwwwwww
今からwktk
>>102 OKOK
書く人のやる気的な意味でもモメンタムって大事
ナンバーズ支援
>>97 スターシステム=CLAMPのツバサ
スピンオフ =マジカルて
なんじゃないかな?
本日も残業で只今帰宅…
そして明日も休日出勤…
リリカルヴィヴィオ執筆の時間が全然取れませんorz
誰か、私に執筆の時間を下さい。
若しくは頭の中に浮かべるだけで自動的に執筆してくれるロストロギアを…
一応スターシステムってのはキャラを俳優に見立ててそれぞれの作品で
その作品の中でのキャラを演じさせてるみたいなものだから
別シリーズの同名のキャラだとまったく別の性格だったりもする。
例えば御大のヒゲオヤジだと、善人のときもあれば外道の時もあるとか。
スピンオフもある意味スターシステムみたいなもの。
109 :
B・A:2008/03/08(土) 23:05:19 ID:cU5TE3jH
もうちょっとで書きあがりそう。
今夜中に投下できると思います。
110 :
ザ・シガー:2008/03/08(土) 23:05:57 ID:6zmroPUZ
そろそろ投下。
ソープ・ナンバーズ開店の時間でございます。
メインはセイン、そしてチンコ要員はヴァイス。
もちろん内容はとってもエッチだぞ♪
>>107 愚痴を言いたいだけなら、誤爆スレか愚痴スレか控え室あたりでどうぞ
>若しくは頭の中に浮かべるだけで自動的に執筆してくれるロストロギアを…
そんなロストロギアがあったら今頃長編三本は書き終えれてたぜ……
>>108 外道のヒゲオヤジってケースあったっけ?
アセチレンランプと勘違いしてない?
ディープダイバー支援
支援♪
高級ソープ ナンバーズ2
ウッス、俺はヴァイス・グランセニック。機動六課に所属するヘリパイっす。
今日は友人のグリフィスの勧めでここ、ソープ・ナンバーズに来てます。
正直言って彼女(某烈火の将&某ツインテ)がいる身としては心苦しいんですが、男には男の付き合いがありまして。
それに最近はなかなか彼女との時間も取れないし、色々と身体を持て余し気味のうえに給料も入って懐も暖かいとくれば男は止まれない訳で。
そんなこんなで、俺は迷う事無くここにやって来た次第であります。
□
待合室で自分の番が来るのを待っていたヴァイスに接客用ガジェットが近づいて来てピコピコとモノアイを光らせながら電子音声で話しかけた。
「オ客様、ゴ用意ガ出来マシタ」
「はいよ」
ヴァイスはガジェットに案内されるままに用意された部屋に行く。
部屋に入れば自分が指名した機人の少女が彼を待っていた。
「指名いただき、ありがとうございます。ナンバーズ6番、セインで〜す♪」
元気良く挨拶してヴァイスを出迎えたのは薄いキャミソールを羽織ったホワイトブルーの短めに髪を揺らした少女。
ナンバーズ6番、セインである。
セインは顔に満面の笑みを浮かべてヴァイスに挨拶する、その表情は内から温かさが滲み出ているのか見ているだけで元気になるようだ。
「ほらほら、立ってないでこっち来て♪」
「ちょっ、そんな引っ張るなって」
セインはヴァイスの腕をとるとグイグイ引っ張って引き寄せる。
ヴァイスは少し驚きながらも、こういう風に素直に甘えてくる反応の新鮮さに悪い気はしなかった。
笑顔でヴァイスにくっ付いてくるセインのその様はまるで子犬のようで実に微笑ましい。
「お兄さん、お名前は?」
「ヴァイスだよ、ヴァイス・グランセニック」
「ヴァイスさんか、良い名前だ。それじゃヴァイスさん今日はよろしくね♪」
「ああ、こっちこそよろしく頼むよ」
「じゃあ、まずあたしから脱ぐ? それともヴァイスさんから脱ぐ?」
セインはそう言いながら自分の纏っている服に手をかけるが、ヴァイスはその手を掴んで制止した。
「ん? まだ脱がない方が良い?」
「いや、俺が脱がす」
ヴァイスはそう言うと片手でセインの着ていたキャミソールをゆっくりと脱がしていく。
慣れているのか随分と簡単に脱がされてセインは一糸纏わぬ裸体に剥かれた。
ふ、二股だとこのやろう!
支援
何より驚くべきは、セインが脱がされた時には既にヴァイスも服を脱ぎにかかっており、全裸まであと一歩だったという事だろう。
「ヴァイスさん上手いねぇ〜、もしかして慣れてる?」
「まあ、少しはな」
言葉はそこまでにして二人はすぐに隣のバスルームへと移った。
待ちきれないというのもあるのだろうが、ヴァイスとしてはあまり時間を無駄にしたくは無かったのだろう。
ただのヘリパイロットにはあまり贅沢する余裕は無いのだ。
バスルームには性交用の椅子いわゆるスケベイスやら、マットやらが置いてあった。
セインは軽くシャワーで身体を濡らして手元にあったボディソープやローションを手に取る。
「それじゃ泡泡でいく? それともローション使った方が良いかな?」
「えっと‥‥それじゃ泡の方」
「はいは〜い♪」
セインはそう言うと自分の身体にボディソープを塗ってシャワーの湯で泡立て始める。
胸でなんとかたくさん泡立てようとするのだが彼女の薄い胸板ではいささか厳しいものがあった。
必死に頑張るセインの姿はなんとも微笑ましく、その光景にヴァイスは少しばかり苦笑してしまう(まあ彼の場合は日ごろから“オッパイ魔人”を相手にしているだけに新鮮だろう)。
「むぅ〜、笑わないでよぉ。これでも気にしてるんだから」
「悪い悪い」
セインは少し不機嫌そうに頬を膨らませる、そんな姿もまた可愛らしくてヴァイスは彼女の頭を優しく撫でた。
ボディソープが十分泡立ったのを確認してヴァイスはマットに横たわる。
セインは横になったヴァイスの上に跨り身体を摺り寄せていく。
起伏は少なくとも女性らしい柔らかく滑らかな肢体の感触は否応無くヴァイスの中の雄としての獣欲を滾らせる。
下腹部の肉根は猛々しく隆起して、硬く自己主張していく。
その様子を見てセインは嬉しそうに顔を綻ばせて、身体を擦り寄らせながら硬い肉根に指を這わせる。
「えへへ〜、気持ち良い?」
「ああ、こりゃ良いよ」
「そっか、良かった」
セインはヴァイスの言葉を聞いて嬉しそうに微笑むとヌメリ気をたっぷりと付けて肉棒を扱いていく。
心地良い快楽刺激に肉棒はさらに硬度を増していき、しばらくピストン運動を味わうと絶頂を迎えそうになる。
「ちょ、待ってくれ! そろそろ出そうだから」
「ん? このまま出さない?」
「ああ、出すなら本番で頼むわ」
ヴァイスの懇願を受けてセインは手を一旦離す、心なしかその表情は口惜しそうだ。
セインとしては自分の手淫の技術をもう少し磨きたいと考えていたが故に、悔しくもあり嬉しくもある複雑な心境なのだ。
「うん、分かった。んじゃ入れるね、よいしょっと‥‥」
ヴァイスの身体に擦り寄って自分の乳房を押し当てていたセインは上体を起こして跨り、隆起した肉棒を自身の蜜壷へと押し当てる。
亀頭の先端が入り口に触れれば、そこは既に濡れそぼって雄の侵入を待ち望んでいた。
するとセインは少し恥ずかしそうな、はにかんだ微笑を浮かべる。
「へへ、ヴァイスさんの触ってたらあたしも濡れちゃった、ちょっと恥ずかしいな。それじゃ入れるね」
そして一気に腰が落とされ、熱く濡れた淫穴を硬い隆起が貫く。
肉棒が濡れた蜜壷を押し広げながら侵入し、カリ首を以って内部を容赦なく抉る。
「くっ!」
「んうぅぅ‥‥ふああぁぁ」
体重をかけた挿入によって硬い肉の槍が最奥を叩き、セインは噛み殺しきれない甘い声を口から漏らして全身を快楽に震わせる。
瞳は涙で濡れて潤んで情欲に燃えている、もはや仕事として義務でなく誰が見てもセインは内から湧き上がる肉欲の炎に焼かれていた。
「すごっ‥‥ヴァイスさんの‥んぅぅ‥‥きもちいいよ」
「くうっ! セインの中もすげえ良いよ」
セインの腰が激しく動きヴァイスの肉棒を膣壁で強く扱き上げる。
単なる上下運動でなく前後左右に淫らに揺れるセインの腰が様々な角度から肉棒を刺激する。
ヴァイスは与えられる快感に呻きながらも手を伸ばしてセインの小ぶりな乳房を揉み始める。
小さくとも感度は良いのか乳房への愛撫が始まるとセインの反応は一段と良くなった。
「ひゃんっ!‥‥んぅぅ‥ヴァイスさん‥‥あんっ!‥‥あたしのオッパイ‥どうかな?」
「へ?」
「んっ‥‥小さいけど‥ちゃんと気持ち良くできてる?」
「ああ、小さくても柔らかくて触り心地良いよ」
「はんっ!‥‥ありがと‥」
セインは快楽に歪む顔と涙に濡れる瞳で心底嬉しそうに微笑む。
その瞬間絶頂を迎えたのか、激しいピストンを繰り返して律動を続けていたセインの内部がキュッと締まり一段と強くヴァイスの肉棒を扱き上げた。
「やべっ! 出るぞっ!!」
その快楽刺激にヴァイスは我慢の限界を迎えて溜めに溜めた精を発射する。
凄まじい勢いを以って白く濁った子種がセインの内部を満たしていく。
「んはぁぁ‥‥あつぅい‥」
セインは蕩けきった甘い吐息を漏らし、恍惚とした表情で絶頂の余韻に酔いしれた。
>>111さん
申し訳ありません。
思うように執筆出来ない為に思わず愚痴を書きこんでしまいました。
不快な思いをされたのでしたら謝罪致します。
申し訳ありませんでした。
同時に震える身体をヴァイスの上に預けて濡れた肢体で擦り寄る。その様は正に子犬としか形容のしようがないくらいだ。
「ねえヴァイスさん、今日は朝までコースにしない?」
「いや、さすがに懐が厳しいんだけど」
「そう言わずにさ、うんと安くするから。ね?」
「なら良いけど、俺はそんなに頑張れねえぜ? 明日も仕事だし」
「別に良いよ、くっついて寝るだけでも気持ち良いじゃん」
セインはヴァイスから了承を取るとひどく嬉しそうに笑い眼を細めて彼の胸板に頬ずりする。
そして顔をあげると“んしょっ”と可愛い声を出してヴァイスの身体の上を滑っていき、優しく彼にキスをした。
□
昨日は結局、朝までコースで一晩中セインって子とセックスしたり、くっ付いていたりした。
しなやかな女の子の身体を抱き寄せて、髪を撫でながら寝るのは良いもんだ。
意外にも料金がボラレルって事は無かった、本当にあの子がサービスさせてくれたんだろう、感謝感謝。
しかしなんていうか、スリスリ寄って来るところとか、やたらと甘えたがるところとか、もう完全に子犬だったぜ。
俺の近くにはいないタイプの子だよな‥‥‥可愛がりたくなる年下っつうか。
しばらく通うか。
終幕。
122 :
ザ・シガー:2008/03/08(土) 23:17:06 ID:6zmroPUZ
投下終了です。
前スレでセイン好きって方が多かった事、そして“セインの髪を撫でながら寝たい”という言葉に魂の底から慟哭せんばかりの感銘を受けましたので書きました。
宣言したノーヴェやトーレでなくて申し訳ありません。
次回を書くならどうするか、ノーヴェ? トーレ? ドゥーエ? ナンバーズは多くて困るな。
GJ
ああ、近いうちにナンバーズVS機動六課というビジョンが(性的な意味で)
チンクとヴィータのキャットファイトが見たいと思った俺はちょっと頭を冷やされなければならない
GJ!!です。
なんか、本編以上にセインが可愛く見えます。
しかも例の作品と繋がってるしwww
グリフィスとかも行くのだろうか?そして、次回はトーレかセッテでお願いしたいです。
>>122 めっさGJww
ミッド行きたくなったわww
それよりヴァイスが二股って・・・・ティアスキーの俺にに誤れ!!
126 :
名無しさん@ピンキー:2008/03/08(土) 23:19:48 ID:HCOBZ7+z
>>122 GJ!! ユーノ+ドゥーエを押すぜ?私的には
GJ
セインってこんな可愛かったっけ? だめだ、俺にはルール―とかセッテとかちびアルフとかいるのに(あ、オーリスは却下っす、すんません)。
次書くなら、是非ノーヴェで。前スレのノーヴェとゲンヤがあの後どうなるのか見たい。
GJ!
このヴァイスは少しばかり頭冷やされるべきwwwww
今度はユーノかグリフィスか。
いや、チチを揉みにきただけのはやてとかもありだな!
>>120 素直に謝られると逆に恐縮してきたわ…。
でも、コテつきであまり私的な事、言わないほうがいいよ。
とりあえず、悩んだときにゃ、書き手の控え室スレがお奨め。
>>122 GJ!シリーズ化してきてるな。
次回?誰だっておkさ。しかしトーレは是非見たい。
>>128 ソープに客として女が入るってすげぇなwww
>>122 GJ
わんこ属性のセインはいいなあ。
延長をおねだりするのもかわいい。
「初めはサービスして後から取れるだけ毟り取るんよ」という営業指導員がいるんだかいないんだか・・・
>>130 そこに乳があるなら、ただ揉みにいくだけや。とは八神はやてさんの名言です。
>>131 ごめん、それ関西弁の部隊長かと思った。
ちょっと頭冷やされてくる。
部隊長 経営指導
フェイトさん 代金払わずに逃げた客を捕まえる
なのはさん インネンつけてきたお客さんに穏便に引き取っていただく
という場面が浮かんだ
136 :
名無しさん@ピンキー:2008/03/08(土) 23:40:45 ID:zS6pEjyT
>>122 子犬セインGJ
13番の新人さんがどんな理由でこの店に入ったのか気になる。
>>128、131、135
いけるってそれ。
某部隊長の秘密の仕事は、高級ソープの営業指導員。
「ギャラはいつでも店の娘たちの乳を揉む権利でええよ」
137 :
ザ・シガー:2008/03/08(土) 23:43:23 ID:eFMDq+xW
>>131店の裏事情っすか?
姉妹の指導、ドゥーエ。
性技能や男のあしらい方など、ここで働くための必要事項は彼女が教育。
用心棒、ゼスト&ガリュー。
揉め事や厄介事を担当、ルーとアギトがバイト感覚で働いている事は知らない。
経営、スカリエッティ&最高評議会。
ミッドに最高の娼館を作る事を念頭に機人計画からしっかりと下地を作って、誠心誠意をもっとうに良心的な値段とマニアックかつディープな会員制度を両立させている。
とか、どうっすか?
部屋の鏡はマジックミラーで管理局高官の痴態を撮影していそうwww
ただ、嫁のいる人や恋人のいる人、凄い特殊性癖の人意外脅せないww
>>135 俺も同じ電波受信したからw
>>131 無茶な接客や勝手な行為で頭冷やされる、新人ツンデレヘルプが居る店ですか!
>>112 私を生んだのは姉だった。
姉は私をかわいがってくれた。
姉にとって私は大切な娘であり、
ただ一人の妹だった。
>>137 スカも評議会もなにがしたいんだw
というか、才能の無駄遣いすぎるだろうw
142 :
名無しさん@ピンキー:2008/03/08(土) 23:52:50 ID:xvfHhU6Q
>>122 (´゚ω゚)::;;*.:;':;ブッ ←鼻血
うおおおおッッ!!
が、眼福……。・゚・(ノД`)・゚・。
こんな優しくてかわいらしいセインが見れるなんて想像もしなかった
ナンバーズの大義!しかと見させていただいた!!
前スレでセイン頭なでなでリクエストした俺にとって
ナンバーズ・ソープシリーズは聖典だ!
続きも期待します。
あ、あと、即“実用”させていただきましたヽ(゚∀゚)ノ
145 :
ザ・シガー:2008/03/09(日) 00:47:35 ID:E8uc5OF7
>>144
あえて呼ぼう朋友(ぽんよう)と、君が喜んでくれたのならばそれだけで俺は幸せだぜ。
というよりも、この手のシチュエーションのアイディアはSSを書く時の推進剤になるので、むしろこっちが感謝です。
146 :
B・A:2008/03/09(日) 00:49:51 ID:GrBYsugj
よし、覚悟完了! じゃなかった、準備完了。
投下の承認をお願いします。
了解、投下許可承認完了! 投下体勢スタンバイ!!
了 承 !
ファイナルフュー…じゃない。投下、承認!
ばっちこいです。
151 :
B・A:2008/03/09(日) 00:56:14 ID:GrBYsugj
よっしゃぁっぁ! ファイナルフュー・・・じゃない。投下開始!
注意事項のようなもの
・時間軸は闇の書事件のちょい後。なのはもフェイトもぷにぷにの9歳児です。
・ロストロギアでなのはとフェイトの体が入れ替わってさあ大変。
・更に、入れ替わったままなのははクロノにお尻を犯されてしまった。
・更に更に、クロノはフェイトを誘惑し、なのはの処女を奪おうと画策。
・フェイトはクロノに調教されているという裏設定があり、彼のことを「お兄ちゃん」と呼んでいます。
前編と中編の間でなのはも調教されてしまったので彼女もクロノのことを「お兄ちゃん」と呼んでいます。紛らわしい。
・今回の被害者はクロノ。いや、マジで。
・もう凌辱色全開。
・尿道プレイとかスカトロとか苦手な人は避けた方が良いと思うッス。
・覚悟は良いか、俺はできている。
ベッドの上に投げ出された小さな体にクロノは覆い被さり、固いしこりのあるなだらかな胸にむしゃぶりついた。
獣のように荒い息を吐きながら涎を零し、勃起した乳首にかぶりつく様は愛撫というより捕食のようだ。
(そっか・・・私、食べられているんだ)
どこか他人事のような感想を抱きながら、フェイトは乱暴な愛撫に身を捩る。
男性経験のないなのはの体は些細な愛撫にも敏感に反応するため、フェイトは初めてクロノに抱かれた時の自分に戻ったような気分だった。
それでいて、指や舌が這う度に走る快感に身を任せながらクロノの望む悦の声を上げる姿は、男を悦ばす術に精通した痴女のようであった。
「あぁん・・・ぁぁ・・んぅ・・・」
「おいおい、これはなのはの体なんだぞ。そんなに喘いで、恥ずかしくないのか?」
「だ、だって・・・・」
「そんなに男に抱かれるのが良いのか? いやらしいな、フェイトは」
「ち、ちが・・」
「言い訳はなしだ。言ってごらん、フェイトは男の人なら誰にでも股を開く淫売ですって」
「そ、そんな・・・」
そんな恥ずかしい言葉、言える訳がない。自分はあくまでクロノの奴隷だ。他の男に体を許すなどあってはならない。
だが、クロノの機嫌を損なえば捨てられてしまうという恐怖が、そんなささやかな誇りという鎧さえも容易く引き剥がしてしまう。
何より、クロノに凍えるような目で睨まれてはフェイトも逆らうことはできず、涙を飲んで己を辱める言葉を口にするしかなかった。
「わ、私は・・」
「すまない、今のはなしだ」
喉元まで言葉が出かけたところで、クロノはフェイトの口を手で塞いだ。すまなそうに目を伏せている顔は
先程の自分の言葉を心底悔やんでいるように見え、フェイトは二転三転する彼の態度に戸惑いの色を浮かべた。
「本当にすまない。恋人の君にあんな言葉を言わせようとするなんて、どうかしていた」
その瞬間、フェイトの鼓動が高鳴った。
今、クロノは自分のことを恋人と言った。義妹でも奴隷でもなく、確かに恋人だと告げたのだ。
「お兄ちゃん、それ本当? 私はお兄ちゃんの恋人で良いの?」
「ああ。何なら言い直そうか? 君は僕の恋人だ。運命の人だ・・・・未来の伴侶だ・・・・正妻だ・・・・本妻だ・・・・・
女神だ・・・・天使だ・・・・まだ言おうか?」
「ううん・・・十分だよ・・・ありがとう。私、精一杯ご奉仕するから・・・・・お兄ちゃんが悦ぶこと、何でもしてあげるから・・・・・・・」
「だったら・・・・・・・」
そっとクロノはフェイトに耳打ちする。
囁かれたお願いを、フェイトは一も二もなく承諾する。さっきの台詞の強要を思えば、あまりに簡単な内容だった。
もちろん、恥ずかしいことに変わりはないが、自分がクロノの恋人だとはっきりした今、彼女に怖いものなどなかった。
フェイトはクロノから離れて両足をM字に開くと、ずっとお預けを食らっているせいで愛液が洪水を起こしている
処女穴を外気に晒した。そして、頬を上気させながら言われた通り台詞を読み上げる。
「フェイトは、お兄ちゃんのぶっとくて固い・・・お、おチ○ポがだいしゅ・・・だいしゅきな淫乱魔法少女で・・す・・・・・
授業中も、友達と遊んでいる時も、チ○ポのことしか・・・考えれないエッチな女の子です・・・・だから、そんなフェイトに・・
お、お仕置き・・・エッチなお仕置き・・・して・ください・・・・お兄ちゃんのチ○ポで、処女のなのはマ○コを・・・・大人にしてください・・・・・」
先程強要された言葉以上に淫らな台詞を、フェイトはつっかえながらも喜びで頬を綻ばせながら口にした。その目には、嬉しさの余り涙さえ浮かんでいる。
彼女は気づいていない。これもまた、クロノの計算通りの結果であることを。フェイトの心を完膚無きまでに破壊し、己に従属させるための計画の一環であることを。
今や、フェイトはクロノなしでは生きられない。如何にその身の疼きを慰めようと、心はクロノを求めてしまう。他の男では決して代替できない悦びを彼はフェイトに与えたのだ。
場当たり的に思いついた計画でありながら、予想以上の成果を得ることができ、クロノは笑みを禁じ得なかった。
これも、なのはが心を入れ替えるロストロギアを誤作動させてしまったおかげである。
「・・・き、きて・・・・お兄ちゃん・・・・・」
目を潤ませながらフェイトはクロノを誘う。クロノは微笑み返すと、細い腰を両手で押さえ、きつく閉じている幼い秘唇に自身の股間を鋭く打ちつけた。
「あっ・・うぅ!」
人生で二度目の処女喪失に、フェイトは上体を仰け反らせて悶える。一度体験しているとはいえ、やはり破瓜の痛みはそうそう耐えられるものではない。
ましてや、親友の純潔を己の欲のために散らしてしまったという事実が二重の痛みとなってフェイトの心を締めつける。
(ごめ・・ん・・・・ごめんね・・・・なのは・・・・・)
心の中で詫びながら、フェイトはクロノの背中に手を回した。互いの鼓動と息づかいを感じ取れるまでに体を密着させ、
愛する人の存在を全身全霊で受け止める。
「ぐぅ・・・・さすがに、処女のマ○コは・・・きついな・・・・・」
「あ・あぁ・・・・」
興奮気味のクロノはフェイトに構わずピストン運動を開始した。獣のように荒々しく、それでいていやらしいほど巧みに腰を動かし、
相手の急所を探るように膣内を隈なく擦っていく。開通したばかりの処女肉も彼の欲望に応えようと、ぬるりとした愛液をたたえながら
子宮口を打ちつける太い肉竿に絡みついた。
「あんぁ・・・あぁぁ・・やぁぅ・・はぁぁ・うぅぁ・・・お、お兄ちゃ・・・・・」
クロノを悦ばせようと、フェイトもまた甘い声を出しながら腰を振る。例え体は違っても、彼に叩き込まれた性技は失われていない。
一突きごとに媚声を漏らし、快楽に身を捩りながら未熟な膣壁でペニスを締め上げる。健気なその姿勢に、クロノは勝ち誇ったかのように笑い声を上げた。
「ふふふ・・はははっ・・・・そうだ、君は僕のものだ! 僕だけのものだ! なのは共々、僕がずっと面倒みてやる!」
「やぁん・・・なのはは・・・なのはは違・・・・・・」
「勘違いするな、僕の恋人は君だけだ! 2人で飼うんだよ・・・・なのはを僕たちの奴隷にするんだ! そしたら、彼女ともっと仲良くなれるぞ!」
「本当!? なのはともっと仲良くなれるの?」
「ああ・・・フェイト、君がなのはのご主人さまだ! 彼女が目覚めたら、精一杯可愛がってやれ!」
「うん・・・私、なのはを飼うよ・・・・お兄ちゃんに教わったこと、全部なのはに教えてあげる・・・・なのはともっと仲良くなるぅっ!!」
悶え狂うフェイトは、最早自分が何を言っているのかさえわからなくなっていた。
破瓜の痛みと突き上げられる快感に脳髄は焼け、思考力はとっくの昔に麻痺している。
今のフェイトの頭にあるのは、クロノを悦ばせたいという一心だけだ。
「あぁっ・・・お兄ちゃん、もうダメ・・・・」
「イクのか!? なのはの体でイクのか?」
「イクのぉ、フェイト・・・なのはの体でイっちゃうのぉ・・・やぁ、あぁぁん・・・」
切羽詰ったフェイトの声にクロノもピッチを上げる。苦痛と快感の波に溺れたフェイトは抱きついたクロノの背中に爪を立て、
荒々しい突き上げを従順に受け止める。火照った体はまるで壊れたかのように痙攣し、流れ落ちる汗が全身から水分を奪っていった。
「はぁ・・あぁん・・うあぁ・・・あ・・・い、イぐ・・・・」
「どこだ、どこが良い? 中と外、どっちが良い?」
「にゃか・・・・にゃかに射精して・・・・」
「良いのか? なのはが孕むかもしれないぞ!?」
「それでも良いの!? な、中が・・・中に射精して・・・おマ○コ、お兄ちゃんのミルクで一杯にしてぇぇっ!!」
「よし、射精すぞ! ちゃんと全部受け止めろ!」
直後、クロノはフェイトを押さえつけ、激しい一撃を見舞った。ズボっと奥までめり込んだペニスが子宮口にぶつかり、膣内を広げるように膨張する。
「うおぉぉぉ、フェイトぉぉっ!!」
「あっ・・あぁ・・来たぁ、お兄ちゃんのミりゅく来たぁ・・・マ○コにきたぁぁ・・!!」
獣の雄叫びと共に熱いスペルマが子宮に浴びせられ、フェイトは喜びに打ち震えた。精神的な充足感に四肢から力が抜け、
ぐったりとその身を投げ出しながら下腹部で脈打つ鼓動を感じ取る。なけなしの体力を根こそぎ奪われたなのはの体は
もう指先1つまともに動いてくれなかった。
「まだだ・・・・まだ、休ませない・・・・・後2回はするぞ・・・・・」
フェイトの疲労などお構いなしに、クロノは突き入れを再開した。
「やぁ・・・い、イッたばかりなのに・・・・」
再び燃えだした女芯にフェイトは戸惑うも、秘唇は貪欲にクロノのペニスを迎え入れた。
未熟とはいえ、やはり女の体だ。この体は、男を悦ばす術を知っている。
瞬間、鈍い音と共にクロノはフェイトに覆いかぶさり、動かなくなった。
膣をかき回していたペニスも急速に縮んでいき、中途半端に滾ったフェイトの劣情だけが残される。
「お兄ちゃん?」
こんなところで止めないで欲しい。自分はまだクロノを悦ばせることができる。
だから目を覚まして、あの太くて固い肉棒で秘唇を貫いて欲しい。
そう思って彼を揺り起そうとするが、それよりも早く視界に入ったそれが彼女の表情を凍りつかせた。
「な、なのは・・・・・・・」
そこに立っていたのは、麺棒を片手に肩を震わせているなのはだった。
「なのは・・・・・その、これは・・・・・」
急激に理性が息を吹き返し、フェイトは自分がとんでもないことをしでかしたことを思い出した。
彼女の純潔を、己の欲望のためにクロノに捧げてしまったのだ。謝って済む問題ではないが、
それでもフェイトは目に涙を浮かべて親友に詫びた。
「ごめん・・なさい・・・ごめんなさい・・・・・」
「・・・・良いよ」
そっとなのははフェイトの頬に触れた。そして、その薄い唇を愛おしげに指で撫でると、
何を思ったのか自身の唇を押し付けてきた。眼前に広がる自分自身の顔にフェイトは目を見開き、戸惑う。
「こんなに気持ちいいことされたら、誰だって逆らえないよ・・・・・」
そう言って、なのははフェイトの手を自身の秘唇へと導いた。熱を帯び、生き物みたいにひくついているそこは、
愛液でしとどに濡れており、肛門からは注ぎ込まれた精液がだらしなく流れ落ちている。
「フェイトちゃんも、気持ちいいから逆らえなかったんだよね」
「う、うん・・・・・」
「それじゃ、もっと気持ちいいことしよう。もっともっとエッチなことするの」
有無を言わせぬその笑顔は、どこか壊れているように見えた。歪な天使の微笑みは悪魔の笑みよりも恐ろしく、
フェイトは黙って頷くことしかできなかった。だが、確信していることが1つだけある。なのはの言葉に嘘はない。
きっと彼女は、今よりももっと気持ちいいことを自分にしてくれる。
そう思うと、フェイトの膣は再び悦びを求めて疼きだすのだった。
不意に神経を駆け抜けた衝撃に、クロノはもんどりを打った。
「ぐぅっ!? ぬぅぅっ!!」
四肢をバタつかせるが、縄で縛られていて動かすことができない。視界もタオルで塞がれていた。
「あ、やっと起きたぁ・・・・・・」
「おはよう、お兄ちゃん」
「なのは・・・・フェイト・・・・これは、どういうことだ?」
混乱する頭を落ち着かせ、クロノは聞く。嫌な想像が脳裏を掠め、背中が汗でジンワリと湿っていく。
そんなクロノの困惑などお構いなしに2人は彼の股間を弄っており、反り返ったペニスが舐められる度に
クロノは唇を噛んで快感に耐えねばならなかった。
「これはねぇ、罰ゲームなんだよ・・・・・・わたしとフェイトちゃんに酷いことをした、お兄ちゃんへの罰ゲーム・・・・・・」
フェイトの声でなのはは囁く。甘い悦の色が込められたその声は、しかし悪魔の囁きにも似た恐ろしい響きがあった。
「うぅん・・・・なのは、おっきくなったよ」
「御苦労さま、フェイトちゃん。それじゃ・・・・」
その言葉とともに、2人はクロノのペニスに齧り付いた。亀頭を咥えたなのはが敏感な先端部を舌で舐め回し、
フェイトは玉袋から裏筋にかけてを舐め上げる。息のあったコンビプレイにクロノは悶えたが、ある違和感に気づいた。
射精の予兆がない。
貪るようなフェラチオに神経がスパークしているというのに、精巣から尿道に向けて駆け上がる男性特有の昂ぶりが
いつまで経っても訪れないのだ。心なしか、下腹部も軽い気がする。
「う・・・なんで・・・・・」
「あは・・・気づいた? あのね、お兄ちゃんが寝ている間にね、6回もご奉仕してあげたんだよ」
「なっ・・・・」
「お兄ちゃんってエッチだよねぇ。気絶したままおチ○チ○をおっきくして、何度も私となのはの顔を真っ白に汚したんだよ」
つまり、今日一日でクロノは13回も射精したことになる。
如何にクロノが並外れた性欲の持ち主とはいえ、短時間の間に2桁もの精を放っては弾切れを起こしてもおかしくはない。
自慢のベニスも勃起こそしているが、心なしかその滾りも弱々しく感じられた。
「ぐぅ・・・止めてくれ・・・・もう、無理だ・・・・」
快感に震えながらも果てることができない苦しみにクロノは情けない声を上げるが、2人はそんな泣き言には耳を貸さず、
黙々とフェラチオ奉仕を続行する。上から、下から、左右から。ありとあらゆる角度から責め立てられ、
身動きの取れぬクロノを射精に導いていく。
「ぬぅぅっ、ぐぁぁぁぁっ!」
「あはっ! 出た出た。お兄ちゃん、おチ○ポミルク出たよ!」
「そうだね。けど、かなり薄くなったよ・・・・」
喜び笑う2人とは対照に、クロノは動かぬ四肢を振り回して悶え苦しんだ。心臓が胸から飛び出しそうな勢いで脈打ち、酸欠で視界が明滅している。
「や、止めて・・・もう、出ない・・・空っぽだ・・・・」
「どうだろう・・・・フェイトちゃん」
「うん」
唐突に肛門を指で貫かれ、微量の電流が前立腺を刺激する。目覚めた時と同じ衝撃が神経を駆け抜け、堪らずクロノはもんどりを打った。
「ぐぬっ!! がぁぁぁぁぁっ!!」
「ほら、まだ大きくなるよ」
無邪気ななのはの声にクロノは背筋が凍るような恐怖を感じた。
殺される。
このまま全ての精を絞り抜かれ、快楽の中で殺される。
今ならよくわかる。この2人は悪魔だ。自分は男を嬲り殺す淫魔に見初められてしまったのだ。
「うぅ・・・あぁ・・くちゃぁ・あ・・・・なのは、ダメみたい」
「もう射精ないの?」
「うん、本当に空っぽ」
「それじゃ、例のアレの出番だね」
そう言って、なのははトコトコとどこかへ駆けていった。
「フェイト・・・・なのはは、何をしようとしているんだ?」
「すぐにわかるよ・・・・さ、こっちも準備しよう」
「準備? 準備ってぐあぁぁぁっ!?」
何の前触れもなく、尿道にカテーテルが挿入された。尿道をかき分けられる痛みにクロノは暴れるが、
不意を突いたのが功を制したのか、尿道に傷がつくことはなかった。
「お待たせ。準備できている?」
「うん、ばっちり」
「それじゃ、注射器貸して」
今度はいったい何をされるのか? そう問うよりも早く、何かがカテーテルを通って尿道へと侵入してきた。
どろりとした感触のそれはまるで子宮を目指す精子の大群のように尿道を遡り、膀胱へと溜まっていく。
本来は一方通行の器官である尿道はそのような用途には造られておらず、最早言葉では表現することのできない痛みに
クロノは子どものように泣き叫ぶしかなかった。
「がぁぁぁぁ、止めて・・・・もう止めて・・・・ぐあ・・あぁぁ」
「わぁ・・・・苦しそう」
「な、なのは・・・・・なんなんだ、これは・・・・・」
「疑似精液だよ。原材料は牛乳とか卵とか・・・あ、とろみを出すためにメリケン粉も混ぜました。
たくさん作ったから、弾切れとか気にせずにセックスできるよ」
膀胱が疑似精液で一杯になったところでカテーテルが引き抜かれる。当然ながら、疑似精液は出口を求めて逆流してくるのだが、
それよりも早くペニスの根元に柔らかめの紐が結ばれ、尿道がきつく締められて唯一の出口が塞がれてしまった。
「がはっ・あ・・・・だ・・出ない・・・・射精せない・・・・なのは・・取ってくて・・・・紐を取って・・・・・」
さっきまでとは違う苦しみ。求めて止まなかった射精の源を得ながら、それを放つことができない苦しみにクロノは気が狂いそうだった。
「射精したいの?」
「射精したい・・・頼む、射精させてくれ・・・・・」
「それじゃゲームをしよう。わたしとフェイトちゃんがお兄ちゃんをお尻で悦ばせるから、誰が跨っているのか当てられたら紐を解いてあげる」
「ああ・・・何でも良いから早く・・・・・・」
切羽詰ったクロノの声を楽しむように、2人のどちらかがゆっくりとクロノの上に跨った。アナル特有のどこまでも深く侵入していく埋没感と
絞り取るような締め上げに、たちまちクロノは悲鳴を上げた。
「ぐぅ・・・あぁぁ・・・で・・・・射精る・・・あぁ・・でない・・・ぐあぁぁぁ・・・・・」
「ほら、今跨っているのはどっち?」
「はあぁぁ・・・ああ・・な、なのはだ・・・・なのは・・・・」
「ぶっぶー、残念でした」
答えを間違えたからか、ペニスがアナルから引き抜かれる。ほんの少しの開放感にクロノの表情が緩み、握っていた拳が解けていく。
まるでそれを狙ったかのように、再びペニスはどちらかのアナルに挿入された。
「さあ、今度はどっち?」
「ぐあぁ・・あ・・・・フェ、フェイト・・・・・」
「残念、今度はわたしだよ・・・・・・」
「そ、そんな・・・・・・」
もう限界だ。
疑似精液が暴れまわって膀胱が張り裂けそうだ。このまま射精できずに締め上げられれば、遠からず自分の膀胱は破裂する。
恐怖のあまりクロノは言葉を失った。
その時、汗で目隠しがズレ、眩しい照明の光が目に入った。
「ぐぅ・・・・・・!?」
視界に映ったものを信じられない目で見る。
「な、なんで・・・・・」
そこにいたのは、茶髪の髪を2つに結った少女だった。
今クロノに跨っているのは、なのはではなくフェイトだったのだ。
「あ、目隠し取れちゃった」
「なのは・・・・これはどういうことだ?」
「え?」
「僕はゲームに勝っただろう・・・・なのに・・・・・」
誰が自分の上にいるか当てれば、この苦しみから解放してくれるのではなかったのか?
「何を言っているの? 今お兄ちゃんに跨っているのはフェイトちゃんが中に入ったなのはだよ」
「それじゃ、最初のは?」
「あれは、なのはの体に入ったフェイトちゃん。残念だったね、お兄ちゃん」
「そんな・・・・それじゃ、当てようがないじゃないか!」
クロノがどちらの名前を言おうと、最初から彼が間違うようにこのゲームは仕組まれていたのだ。
「それじゃ、今度は目隠しなしでやろ。さ、今お兄ちゃんに跨っているのは誰?」
「・・・・・・・・・・」
今自分の上に跨っているのはフェイトだ。なのはの体に入ったフェイト、もしくはフェイトが中に入ったなのは。
そのどちらかが正解だ。だが、言い方なんて他にいくらでもある。いったいどうすれば相手の裏をかけるのだろうか。
「・・・フェ・・・ぶぐぅっ!?」
口を開いた瞬間、小振りな桃がクロノの顔を押し潰した。
事もあろうか、なのはは物理的な方法でクロノの解答を封じてしまったのだ。
「ほら、なのはのおマ○コ舐めて!」
「お兄ちゃんのおチ○チ○、ビクビク言っているよぉ・・・ああ・・・射精したいんだね。うん・・・あぁぁ・はぁ・・あ・・」
「ぐぅぅ!!・・うぅ!・・・・ぬうぅぅぅぅぅっ!!!」
半分開いた口に秘唇を強引に押し付けられ、うまく呼吸ができない。膀胱の痛みもピークに達しており、
クロノは屠殺場の豚のように泣き喚くことしかできない。昂ぶったなのはとフェイトが互いに口づけを交わす官能的な光景も、
今のクロノには却って逆効果だった。
「もう・・・お兄ちゃんがしてくれないなら、なのはは勝手に動くからね」
「ぬぅぅっ!! ぐぅぅっ!!」
「あぁ・・・そうそう・・・ちゃんと舐めてくれなきゃ射精させてあげないよ」
「な、なのは・・・私・・もう・・あぁっ・・あ・・」
限界寸前のペニスが破裂しそうなくらい膨張する圧迫感に、フェイトは歓喜の声を上げる。
今まで何度も直腸を抉られたが、こんなに太いペニスで貫かれたことはなかった。
なのはもなのはでクロノの巧みなクンニリングスに嬌声を漏らし、眼前で喘ぐフェイト共々絶頂への階段を駆け上がっていく。
支援
「あぁっ・・はぁ・・・フェイトちゃん・・・いいっ・」
「なのは・・・私もぉ・・・私もイきそ・・・あぁっ・・」
「ぐぅっ・・あぐ・・」
恍惚の表情で見つめ合いながら、2人はより激しく腰を動かした。絶頂のうねり全身の毛穴が開いて汗が吹き出し、
2人の喘ぎ声にクロノのくぐもった悲鳴は無情にもかき消されてしまう。
「あぁっ・・もうダメ、イキそう・・・お兄ちゃん・・・イクよ、なのはのおしっこ飲んでぇぇっ!!」
「私もイク! イクのぉ・・あ・・・やぁぁぁぁっ!!」
目も眩むようなオルガスムスに飲み込まれ、全身を痙攣させながらもフェイトは体を持ち上げた。
同時に、感極まって黄金水をぶちまけていたなのはがクロノのペニスを締め上げている紐をサッと解く。
「ぐぅぅぅっ!! がはぁぁぁっ・ああ・・あうわぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
もの凄い勢いで膀胱が爆ぜ、溜まりに溜まった疑似精液が尿道を駆け上がる。クロノのペニスはまるでスプリンクラーのように
暴れながら疑似精液を噴出し、なのはとフェイトの顔といわず胸といわず至るところを真っ白に汚しながら萎えていった。
「はぁ・・・あっぁ・あ・あ・・・・・あ・・・」
凄まじい射精感にクロノはぐったりと四肢を投げ出した。口一杯に広がる塩の味も今は気にならず、
むしろそんなものでも脱水した体は貪欲に求めてしまっている。
「すごいねぇ・・・・いっぱい射精たよぉ・・・・」
「うん・・・・・これ入れるとね、おチ○チ○がバキバキに膨らんで、血管もこぶみたいに膨らむんだ・・・・
気持ち良くって、頭飛びそうになっちゃった・・・・・」
「良いなぁ、フェイトちゃん・・・・・お兄ちゃん、まだ大丈夫だよね? まだまだできるよね?」
「あ・・・あああ・・・あ・・・・」
「心配しなくても、なのはの家には私が今日はお泊りするって電話しておいたから、一晩中楽しめるよ」
微笑む2人は意気揚揚とカテーテルと疑似精液が詰まった注射器を取り出し、再びクロノのペニスに注入していく。
ようやく訪れた開放感は疑似精液が注入される苦しみでまたもや塗り潰されてしまった。
「あが・・あ・・ぐああぁ・・あ・・・」
薄れていく意識でクロノは考える。
どっちだ。
今、目の前で笑っている少女はなのはなのか、フェイトなのか。
その答えは、呆気ないほど簡単に見つかった。
(そうか・・・・どっちがどっちでも・・・・結果は変わらないんだっけ・・・・・・)
違いなどないのだ。
例え、今自分に跨っている金髪の少女がなのはだったとしても、自分の顔に秘唇を押し付けている茶髪の少女がフェイトだったとしても、
或いはその逆だったとしても結果は変わらない。
自分はこのまま、2人の玩具として慰み物になるだけなのだから。
それに気づけただけでもまだ幸いだと思いながら、クロノは必死でしがみついていた理性をとうとう手放してしまった。
おわり
164 :
B・A:2008/03/09(日) 01:30:31 ID:GrBYsugj
以上です。
えー、過ぎたるは及ばざるがごとし。人間、何事もほどほどが肝心ですね。
いっつもいっつもエロノは良い目にあっているので、たまにはこういうのも良いですよね?(ちょっと自信なさげ)
ちなみに、実際に作中のプレイをしたら、きっと多分マジで炎症とか起こすと思います。
だって、原材料牛乳や卵を粘膜に・・・・ねぇ・・・・・。
なんというサキュバス
SとMを華麗にスイッチングできる俺はクロノが羨ましくて羨ましくて
ザ・シガー氏、次はウェンディで…
前半で勃起して後半でチソコ痛くなった……
14回も射精したら死んでしまうwwww
>>164 GJ!!!
ちょっとクロノが羨ましく感じる俺は感覚が壊れているらしい。
>>164GJ!
まさかクロノが陵辱されるとは……
思わず実用しそうになったのはここだけの秘密
>>164 そばあれるぎーならそばこがいいとおもうんd
>>164 乙っス。
つーか、なのはさんが怖すぐる。
・・・これ、後日談とかあったらなのはさん魔王化してそーな予感が・・・。
>>164 GJ!俺もチンコ痛くなったwww
覚悟のススメネタがわかるのはあなたくらいか
>>164 そうか! この作品、タイトルのエクスチェンジは、
なのはとフェイトの中身が入れ替わる事だけでなく、陵辱の対象が入れ替わる事も指していたんだよっ!(AAry
つまりはGJ!
私もこっそり投下してもいいでしょうか?
断る理由がみつかりませぬが?
この瞬間を待っていたぜ
Little Lancer 十三話。この期に及んでラブ☆コメ?編です。
何時も通りの、お約束通りの平凡な展開です。
注意事項
・非エロ
・原作IFもの
・エリオ主人公 (やっと主人公らしくなって参りました)
・軽くとらは3の設定を流用
・少々の鬱展開有り。
・展開の、原作からの矛盾点などは虚数空間へスルーして下さい。
・NGワードは「Little Lancer」でお願いします。
エリオ・モンディアル帰還す、の報せは、忽ち機動六課を駆け巡った。
JS事件の際に死亡したと思われていたエリオが、クアットロ逃亡の際の時空乱流の影響を受け(と推測されている)
瀕死の状態で第97管理外世界に辿り着いたのが奇跡なら、一時的に記憶を失った状態にあったと言え、現地協力者に助けられ一命を取り留めたのも奇跡である。
エリオの発見された場所が、現地世界の中でも一際魔力の濃い霊地の一種だった事が判明するのは、随分と後の事だ。
現地のスカリエッティ一派の本拠地の壊滅に成功した事も相まって、機動六課はお祭り騒ぎに沸いた。
現地協力者の士郎と忍は、三日間ほど海鳴の実家に滞在した後、一足先にドイツへと帰国した。
“恭也さん、忍さん、この御恩は生涯っ―――”
“あ〜止め止め、固っ苦しいのは抜きだ。お前の記憶が戻って、家族とも再会できた。それで十分だ”
“いえ、僭越かもしれませんが―――月村家の皆さんも、僕の本当の家族だと思っています”
“勿論私達だってそう思ってるわよ。雫がいるから私達は先に帰るけど、ランス……いえ、エリオも落ち着いたら顔を見せに来てね。
義手のメンテもしたいし、雫もノエルも寂しがるだろうから。あ、もちろん部屋はそのままにしておくから”
“必ずっ、この御恩は必ずっ……”
“恩なら、もう返して貰ったよ”
必死に頭を下げるエリオに、恭也はひらひらと手を振って去って行った。
尚、恭也はエリオを鍛えたのがなのはと知り、その目で戦いぶりを見て、妹に対する評価を大きく変更した事を追記しておく。
白い病室に、一陣の秋風が吹き込んだ。
病室の清潔なカーテンが棚引き、赤い林檎の皮が揺れた。
くるくると、毛糸球を解くような鮮やかな手付きで剥かれていた林檎の皮の、最後の一片が皿に落ちる。
エリオは、八等分して芯を抜き、皿に載せてフェイトとキャロに手渡した。
……フェイトとキャロは傷が深く出血も酷く、医療局に即日入院となった。
あの島の戦いから一週間が経っていたが、もう数日は安静が必要というのが医者の言だ。
エリオもまた、本人確認の為に病院通いの日々が続いた。
DNA、指紋、歯型、網膜等々、あらゆる検査をパスし、記憶もはっきりしているとの事で、少年はエリオ・モンディアルとの太鼓判を押される事となった。
ただ、エリオのリンカーコアは未だ魔導師のそれとしての活動を回復していない。
不可逆な損傷では無いので、いずれは回復するだろうと告げられたが、その目途は立っていないようだ。
そしてエリオは今、フェイトとキャロの病室で果物を剥いている。
その姿を、キャロはぼんやりと見つめていた。
エリオの姿は、キャロの記憶にある三年前のものとは大きく変わっていた。
声は低く変わり、顔立ちは大人び、身長は30p近く高くなっている。
男子は成長期に入れば身長が伸びるのが早いとは聞いていたが、ここまでとは思わなかった。
左手は義手に変わり、腕や頬には幾筋かの傷跡が走っていた。三年前の死闘の名残である。
ここ連日、エリオはあちこちから引っ張りだこで、キャロはエリオと落ち着いて話す機会を持てなかった。
正しく今がその好機なのだが―――余りに変わったエリオの風貌に気後れして、中々話しかけられずにいる。
洋梨を剥くエリオの横顔を見つめる。
真剣なその瞳は、自分の知っていた騎士見習いの少年の瞳だった。
キャロは果物に手をつけるでもなく、じっとエリオの横顔を見つめていた。
自分の頬が、果物籠の林檎よりも紅潮していくのが判る。
エリオが再び、笑って自分の側に居てくれる事が未だに信じられない。
ただ、エリオが側に居てくれる―――それだけで、キャロの胸は甘く満たされるのだ。
「どうしたの、キャロ? 食べないの?
……う〜ん、ちょっと顔が赤いね。まだ熱があるのかな?」
エリオは無遠慮にキャロの額に掌を当てた。
「ひあっ!?」
「……熱は、無いみたいだね。大丈夫? 傷は痛んだりしない?」
キャロは顔を真っ赤にして、ぶんぶんと左右に振った。
おかしいなぁ、とエリオは再び頭を捻る。
そんな二人の様子を、フェイトはくすくすと微笑みながら幸せそうに眺めていた。
そんな中、昼の回診にシャマルがやって来た。
彼女はエリオを見つめ、それからキャロにニマッ、と形容し難い微笑みを投げかけた。
キャロは下を向いて縮こまる。
……以前、キャロはシャマルにエリオに対する恋心を相談した事が有った。
もう居ない相手を好きになってしまって、どうしたらいいか解らないと涙を流した。
キャロにとっては、シャマルは唯一自分のエリオに対する恋心を知っている相手となっていたのだ。
……尤も、キャロは気付いていないが、彼女がエリオに惚れている事など六課の誰もが気付いていたが、敢えて見ないフリをして誤魔化している。
機動六課一同の優しさである。
「あの、キャロの様子がちょっと変なんです。顔も赤いし、食欲も無いみたいで……」
エリオの真剣な訴えに、シャマルは首を捻る。―――本当は、キャロの慌てた表情から検討はついていたのだが。
わざと眉を寄せ、真剣な表情を作り、キャロの熱を計ってみたり、喉を覗き込んでみたり、申し訳程度の診察を行ってみる。
―――そうでもしないと、笑い出してしまいそうだった。
シャマルはポンと手を叩く。
「キャロはまだ衰弱が激しいようだから、エリオ、食べさせてあげなさい」
「はいっ!」
「そんな、シャマルさん、わたし独りでも大丈ん、んん―――」
異論を唱えるキャロを黙らせて、エリオにフォークに刺した林檎を持たせる。
「はい、キャロ、あ〜んして♪」
「あ、あーん……」
キャロの小さな口が震えながら開き、差し出された林檎にゆっくり噛みついた。
フェイトは、ちょっとだけ羨ましそうにしながらも、微笑ましげに二人と見つめる。―――と。
「お見舞いに来たで〜」
勢い良く扉を開けて、はやてとフォアードメンバーの一同が病室に闖入してきた。
キャロは、林檎を噛み砕く事も吐き出すことも出来ずに、幼子が乳を咥えるような姿勢で硬直した。
スバル、ティアナ、ルーテシアの生暖かい視線がキャロとエリオに突き刺さる。
はやては、一目でこの部屋に渦巻く感情の流れを把握した。ぼそぼそとシャマルに耳打ちする。
「……シャマル〜、あんまりうちが居らん時に、こんな面白そうな事せんどいてや〜」
「……ご心配なく。面白いのはここからですから」
「みんな、わざわざ有難う。お見舞いにもらった果物が沢山あるから、みんなも食べて行って」
フェイトの言葉にスバルが喜んで飛び付こうとして、ティアナに後頭部をはたかれた。
キャロはこの隙にとばかりに、大急ぎで林檎を噛み砕いて飲み込んだ。
「あ、食欲出て来たかな? はい、もう一個」
にっこり笑顔で林檎を差し出すエリオの笑顔が痛かった。
スバルとティアナもその様子を生暖かく見守る。
「キャロ、ファイト!!」
「ほら、キャロ、わざわざ独りでエリオと一緒のお風呂に入りに行った時の、あの勇気はどこに行ったの?」
「……キャロ、そんなことしてたんだ」
「あ〜、そういえばそんな事もありましたね〜、あの時はびっくりしましたよ、キャロが男湯に入って来るんですもの」
「あの、それはその、あの……」
キャロは耳まで赤く染めながら、衆人環視の中でエリオの差し出す林檎を齧った。
(本当に、こらオモロイ事になったで……!)
三年前は、キャロが自身の羞恥心を省みない行動でエリオを困らせていたが、今はキャロがエリオを意識し過ぎて土壺に嵌っている。
丁度、三年前と正反対になった形だ。
はやてはシャマルと視線を合わせ、ニンマリと怪しげな笑みを交し合った。
アルカディア氏へ支援
その後も見舞い客は続き、病室らしからぬ賑やかな一時が続いたが、午後にはそれも一段落して夕日が白い病室を赤く照らしていた。
エリオは大きく息を吐き出す。
本当に、息をもつかせぬ騒がしさの連続だった。
ユーノとなのはとヴィヴィオの三人や、ヴォルケンリッターの一同。
シャマルらロングアーチの面々など、エリオが落ち着いて話す機会の無かった面子も多かったので、茶飲み話にも随分と華が咲いた。
こちらの世界では自分は死亡扱いになっていたと聞いて、エリオは複雑な気持ちだったが、状況を鑑みて仕方無い事だろうとあっさり納得した。
そんな事よりも、シグナムにこっそりと耳打ちされた、JS事件後のフェイトとキャロの様子―――
打ちのめされて一度は精神を病みかけたという話に、エリオの胸は激しく痛んだ。
「また、何か果物でも剥きましょうか?」
山と積まれている見舞い品から、適当なものが無いかとごそごそ見繕う。
少しでも、フェイトとキャロの傍に居る事が、今の自分に出来る一番の償い―――そうエリオは思っている。
勿論、フェイトもキャロもエリオに償いなど求めている筈は無く、三年前の惨禍の原因が自分だと思っているので性質が悪い。
結果、二人とエリオの関係回復は一向に進展せず、見舞い客は苛立ちを与え続けている。
「ううん。果物はもういいよ。……それよりも、エリオの話が聞きたいな。
この三年間、エリオが何処でどんな人と何をしてきたのか―――」
「はい! わたしもエリオ君のお話が聞きたいです!」
エリオは夕日に目を向けると、少し頭を捻ってから、ぽつ、ぽつ、と語り出した。
「……僕が、なのは隊長のお兄さんの家に助けられたのは、もうみんな知ってると思いますが、そこの娘さんが元気な子で―――」
彼は、ゆっくりと懐かしむようにこの三年間の出来事を語った。
雫に発見され、恭也と忍に命を救われた事。
月村の家で意識を取り戻し、記憶が戻らず『ランス』という名を与えられた事。
治療とリハビリの日々。
忍謹製の義手によって左手の機能を取り戻した日の事。
恭也との鍛錬、裏の仕事の手伝いで銃弾の下を潜った日々。
恭也と忍と雫とノエル、四人と共に囲む団欒の夕食。
そして、あの島で記憶を取り戻した瞬間の―――
「前々から、薄ぼんやりと皆が夢に出る事はあったんです。でも、フェイトさんとキャロの顔を見た瞬間に、完全に記憶が戻ったんです」
「……大変、だったん、だね」
「いえ、本当に僕は幸せでした。本来なら死んでいる筈の所を、親切な人達に助けて頂いて、家族に加えて頂いて。
幾つもの偶然と、月村の皆さんのお蔭で、またこうして六課の皆に会うことが出来たんです。こんな嬉しいことはありません」
そう言って、エリオは破顔した。フェイトとキャロの記憶にある笑顔より、随分大人びた笑顔だった。
外は、日も落ちてすっかり暗くなっていた。
「……と、もうこんな時間ですね。メガーヌさんに怒られちゃうんで、そろそろ僕は寮に戻ります。明日また来ますから―――」
と、小さな手がきゅっ、とエリオの服の袖を握り締めた。
キャロが布団の端から手を伸ばして、エリオの服の端を握っていた。
フェイトがくすくすと笑みを零す。
「キャロはもう少しエリオに居て欲しいみたいだよ?」
自分から居て欲しいと言わない辺りに、フェイトがこの数年で身に着けた老獪さが透けて見えるが、生憎この場にそれを看破できる者は居なかった。
エリオは少し困ったような顔をしたが、キャロに微笑みかけて椅子に座り直した。
服を握っていたキャロの手を解き、自分の手で包む。キャロの体が、布団の中で跳ねた。
キャロは、布団に半分顔を隠して恥ずかしそうにしていたが、三十分後には幸せそうな顔で寝息を立てていた。
「ねえ、エリオはキャロの事どう思ってる?」
フェイトは、少し悪戯っぽく聞いた。
エリオはその言葉の含みなど全く気付かず、平然とした顔で答えた。
「ずっと変わりませんよ、大切な友達です。
……あ、でもそう言えば、さっきの月村の家の雫って女の子、僕の事を『お兄ちゃん』って呼んでくれてて、兄妹みたいな関係だったんですが……
こうして見ると、キャロも何だか妹みたいに見えて来るんですから、慣れって不思議ですね。
それじゃあ、今度こそ本当に失礼します。では、また明日……」
「………………」
隣では、幸福な笑みを満面に湛えてキャロが眠っている。
フェイトは、何となく不憫な思いでその頭を撫でた。
その日、朝からロビーにチンクの姿が見当たらず、夕方になっても彼女は姿を現さなかった。
探しに行こう、と言い出したのは当然ノーヴェである。
ナンバーズの6人は、チンクの行方を捜して夕暮れ時の海上隔離施設の周囲を尋ねて回った。
ノーヴェの心配を他所に、チンクは呆気無い程簡単に見つかった。
彼女は、白詰草の花畑の中央に座り込んで、一心不乱に何かを編んでいた。
「チンク姉……何をしてるの?」
「―――ああ、ノーヴェか」
顔を上げたチンクの手には、不恰好な白詰草の花輪があった。
チンクは、返答の代わりに幾つもの花輪を妹達に見せた。
「これがウーノ、これがドゥーエ、こっちがトーレでこれがクアットロだ。もうじきセッテの分も編み上がる。
私は、ドクターに組した姉妹達が必ずしも間違っていたとは思わない。
敵の側に組みそうとせず、産みの親に従い殉じた姿勢は潔くすらある。
だが―――この世界で悪とされるのは、間違いなくドクターの側だ。それはドクターに組した皆も良く解っている筈だ。
その中で、あの子達はドクターに組する事を選択した。その事については、私達が口を挟むべき事は何一つとして無い」
一同の間に、重い沈黙が降りる。
セインがゆっくりと口を開いた。
「あたしには難しい事はよく解んないけどさ、やっぱり……クア姉達のやってた事は、間違ってたと思う。
クア姉にいじめられてボロボロにされたアリサさんとすずかさん見て、思ったんだ。
きっと、クア姉にはどこかでバチが当たるんじゃないかって……」
オットーとディードも俯いて語る。
「結局、私達の言葉は最後までセッテには届きませんでした」
「それでも、最期の最期に、セッテは僕達を助けてくれたんです」
チンクは小さく頷く。その手には、完成した五つの花輪が握られていた。
「死んだ姉妹達の事は残念だが―――あの子達も、自分の信じた道を進んで命を落としたんだ。
本来なら逆賊だ。墓も作られない。だが……ゲンヤの働きかけで、今度建設される慰霊碑に、合祀してもらえるそうだ。
勿論、命を落としたあの子達がそれで喜ぶ筈も無いんだが、―――弔ってくれる場所があるのはいいものだと、思ってな。
これも、私の自己満足に過ぎないんだが……」
彼女は、崖の上から海に向かって花輪を投げた。
波濤押し寄せる岩場に、白い花輪が呑み込まれて消えた。
他のナンバーズ達も、無言で白詰草を摘み、花輪を作る技術は無いので茎で括って小さな花束を作って海に投げた。
掌に収まるような白詰草の花束が、夕日を浴びて朱く染まりながら海へと散っていく。
満足に生を終えた姉妹も居れば、もがき叫びながら生を終えた姉妹も居るかもしれない。
だが、どんな生も終わってしまえば後に残るのは唯の虚無だ。
その生の重みを背負って、残された者は生きて行かなければならない。
今回の戦いでは、ナンバーズの活躍が評価され、チンクとディエチの恩赦による刑期短縮も決定した。
それでも―――チンクは夢見ていた。
姉妹達が、トーレやクアットロらを連れて帰り、再びナンバーズの一同が揃う日を。
その夢は、終に泡沫の夢と散った。
海鳥が、崖から投げられる白詰草の花を空中で咥えて飛び去った。
チンクは想う。―――願わくば、あの花が想い届かず散った姉妹達の所に届くように、と。
六課での男性隊員のエリオの可愛がり方は、常軌を踏み外しかけたものがあった。
見知らぬ隊員に食事に誘われる事などは日常茶飯事。
『オトコの話』が通じそうな風貌に成長したエリオを、酒場へ連れて行く隊員も多かった。
酒に酔った男性隊員に抱きつかれ、泣きながら土下座された際には流石のエリオも逃げ出したくなったと言う。
陸の隊員にも誘われる事が多かった。
……全ては、三年前にクアットロが流した映像が裏で出回ってる事に端を発しているのだが、当のエリオはそれを知らない。
死んだ筈の人間が戻って来たんだから珍しいんだろう、程度に思っていた。
一方で、男性隊員の中では『男の中の男』『小さな英雄』と、本人が聞いたら青ざめそうな程の評価を与えられているのだが、当人には関わり無い話である。
「おう、エリオ、良い店あるから今晩行かないか?」
「はい、またご馳走して頂けるんですか! ありがとうございます!」
エリオは大きく頭を下げる。この純朴さが先輩隊員の猫可愛がりに拍車を掛けているのだが、エリオが知る筈も無い。
「おう、今晩の店は凄いぞ〜! フェイト隊長そっくりの娘が居るってんで有名なとこだからな。
まだ13歳だっけか……うーん、がっちりしてるからエリオなら大丈夫だろ! 今までの店とは一味違う楽しみを味わせてやるよ」
「はい! 楽しみにしてます」
エリオが気をつけの姿勢で勢い良く返事をする。
その背後から、流麗な女性な声がした。
「―――楽しそうなお店ね。私も連れてって下さるかしら?」
「……フェイト隊長」
男性隊員の顔が引き攣る。
一部の隙も無い営業スマイルのフェイト・T・ハラオウンが右手に紫電を漲らせて微笑んでいた。
男性隊員は、光に照らし出されたゴキブリのようにコソコソと立ち去って行った。
「エリオ、あんまりホイホイ着いて行っちゃ駄目よ。エリオにはまだ早いお店かもしれないんだから」
「いえ、それでも皆さんのご厚意を無碍にする訳には行きませんから―――それよりフェイトさん、体はもう大丈夫なんですか?」
「うん、私もキャロの日常生活ならもう大丈夫だって。凄い回復力だって、シャマル先生に驚かれちゃった」
ちょこんと、フェイトの後ろからキャロが顔を出す。
「あの、エリオ君、これ……」
キャロがおずおずと差し出したのは、今まで右手首に巻いていたストラーダだ。
エリオはそれを受け取り懐かしそうに眺めたが、キャロの手を取り、再びその中に返した。
「キャロ、今までストラーダの事をありがとう。本当は、僕もまたストラーダと一緒に戦いたいんだけど―――
まだ、魔力が戻ってなくて、スピアーフォルムに戻す事も出来ないんだ。
キャロがストラーダを使い熟すために、シグナム師匠と本当に辛い稽古を続けてきたって聞いてる。
本当に、ありがとう。それから、いつか僕の魔力が戻る日まで、これからもストラーダの事をお願いしていいかな?」
エリオとキャロは、ストラーダを包むようにして互いの手を握りあった。
形は違えど同じデバイスを鍛錬した二人の間に、言葉は不要だった。
そこに、フェイトの咳払いが割り込む。
「……これは、はやてにからかわれても仕方無いかもね」
「???」
「何でもない、独り言♪ じゃあ、三人でお昼ご飯食べに行こうか!」
エリオとキャロが勢い良く返事をしてフェイトに続く。
フェイトとキャロはこの日まで入院扱いで、エリオは近日中にはロングアーチへ一時的な配属が決まる予定である。
先頭をフェイトが歩き、隣にエリオが続き、三歩下がってキャロが続く。
どことなく不器用な感を漂わせる三人組だったが、その笑顔は紛れもなく仲の良い家族のものだった。
……その三人を、物陰から見つめる影があった。
支援
「なぁ、ルールー、いいのかよ! あのままで!」
アギトがルーテシアの周りを忙しなく飛び回る。
「……良くない。キャロが入院してから、朝起してくれる人が居なくなった」
「そういう事じゃ無くってさ〜」
アギトは物言いたげな視線でエリオを顎で指し示す。
ルーテシアは無言で頷いた。
「……そっちの方なら大丈夫。今のキャロは、アタック出来るような状態じゃないから。
今の内に、真っ向勝負」
「う〜ん……」
空中でくるくる回転しながら、アギトは頭を捻る。
「でも……あたしが言うのは変かも知れないけど、ルールーはそれでいいのかよ?
キャロはルールーの親友なんだろ? んで、エリオはキャロの好きな人で……
ああっ、ややこしいなぁ。ルールーは、友情より恋愛を取るのか?」
「……別腹。それに、キャロは絶対に怨んだりしないから。
キャロが勝つか、私が勝つか、正々堂々、真っ向勝負」
「ああっ、ややこしいなぁ! 兎に角! あたしはルールーを応援するよ!
あっちはあっちで応援してくれる奴が居るだろうから、別に不公平にはならないだろ!」
「……うん、ありがとう」
ルーテシアは、昼休みを漫ろに過ごしているエリオへとゆっくりと歩み寄った。
フェイトとキャロは検診に戻り、丁度エリオは独りだった。
「……エリオ」
話しかけられ、振り返ったエリオが震えた。
ルーテシアが六課に配属された事は知っているし、ライトニング5としてフォワード陣に順応していることも知っている。
だが、あくまで知識として、だ。JS事件以来六課を留守にしていたエリオにとって、ルーテシアは最も馴染みの無い相手だった。
それでも、エリオはルーテシアに微笑みかけた。
ルーテシアを救おうと戦ったのは、彼女と友達に成りたかったからだ。
忙しい日々に追われて時間がとれずにいたが、彼女とゆっくり話せる時間をとれるのならこれ程嬉しい事は無い。
「こんにちは、ルー。……こうして、ルーと二人で話すのは初めてじゃないかな?」
「……うん。まずは三年前のお礼を言いたくて。
ありがとう。三年前、エリオとキャロに命を賭けて救ってもらったお蔭で、私はこうして居られる。
―――本当に、ありがとう。この恩は、忘れないから」
ルーテシアは、小さくエリオに微笑んだ。
―――エリオの胸が、震えた。
この三年間で変わった、とエリオは良く言われるが、ルーテシアもファンクラブが出来る程に美しく成長してた。
ガラス細工のように整った顔立ちと、少女から女性へと羽化を始めた肉体。そして流れる母親譲りの紫髪。
それらを表現しようとするなら、玲瓏の一言に尽きる。
物憂げな雰囲気と時折見せる笑顔と相まって、触れてはならない物のような、独特の美しさを演出していた。
彼女は、気品有る立ち振舞いでエリオに一礼する。
「私の命は、エリオに救ってもらったもの。
だから―――私は、エリオの物だから」
「なっ!?」
エリオが絶句する。
男女の色事には疎い彼だが、ルーテシアの言葉の意味が解らない程愚鈍でも無かった。
「じゃあ、またね、エリオ」
ルーテシアは、六課の中でも滅多に見せる事の無い会心の笑みを浮かべて踵を返した。
後には、顔を真っ赤にして口をぱくつかせるエリオが残された。
その日は、土砂降りの雨だった。
エリオは何時ものように、日課の槍の稽古を訓練場で行っていた。
シグナムの剣術をベースにして、御神流の太刀筋や体捌きをを織り込んでいく。
フェイトの太刀筋や、回転運動をベースにしたヴィータの動きも参考にして、少しづつ錬度を上げていく。
目指すは、記憶を取り戻した瞬間の動きだ。
あれが、自身の身体感覚を加速させる『神速』と呼ばれる奥儀であることは、直感で気付いていた。
自在に使い熟そうと思ってはいるのだが、あの瞬間の『神速』は本当に咄嗟の出来事だったらしく、意識して自在に使用する域には程遠い。
記憶を失っている間であっても、槍術は己と共に在った。
エリオにはそれが嬉しい。
なのはに習った事も、シグナムに師事した事も、ヴィータやフェイトに教わった事も、ずっと自分と在ったのだ。
それを思うと、槍を振るう手にも、地を踏む足にも、指先の一本一本までにも力が行き渡るようだった。
独り稽古にも熱が入る。
いつしか、エリオは時が経つのも忘れて槍を振るっていた。
流れ落ちる汗を腕で拭うと、横からタオルが差し出された。
「……シグナム師匠」
「腕を上げたな。随分良い師に就いていたようだが。御神流、だったか?」
「はい、永全不動八門一派・御神真刀流です」
「ふむ……是非一度手合わせしたいものだ」
「シグナム師匠、僕は、師匠みたいな騎士になると夢を諦めてはいません。
左腕は失くしましたが、忍さんに素晴らしい義手を作って頂きました。
リンカーコアも、今は活動を停止していますが、諦めなければきっとまた動き出すと信じてます」
シグナムは大きく頷く。
「ああ。その心意気だ。私も、早く回復したお前と手合わせがしたい」
「はいっ! その時はまた稽古をお願いしますっ!
それから―――僕が言うのは変なんですが、キャロの事も宜しくお願いします。
キャロ、ストラーダをあんなに上手く使えるようになってて、びっくりしました。
……きっと、キャロはもの凄い努力をしたんですね」
「ああ、キャロは頑張ったよ。迷った事もあったが―――やっと、答えを見つけたようで、私も安心している。
……エリオ、キャロを大事にしてやれよ」
この三年間、キャロがどれだけエリオの遺した物に縋って来たかを見てきたシグナムだからこそ、言える言葉だった。
その真意を知ってか知らずか、エリオは威勢の良い返事を返す。
それでいい、とシグナムは大きく頷いた。
エリオの視線は、何時の間にか自分と同じ位の高さになっていた。
体も成長し、新たな技も得た。リンカーコアを回復したエリオと刃を交える日が、シグナムには楽しみでならなかった。
「ねえ、先輩、Bのラベルののサンプルまとめてこちらでいいですか?」
「うん、Bは全部そっちでいいよ〜」
「ふええええ、まだまだ山程ありますよ〜」
シャーリーが悲鳴を上げた。
第四技術部に貸し出されたシャリオは、現在戦闘人形の残骸整理の真っ最中である。
明らかに現地技術をオーバーしたテクノロジーで製作された、戦闘人形の残骸を散らかしておく訳には行かず、全部纏めてミッドチルダへ撤収する事になったのである。
尊敬する先輩のマリエルとコンビで働けるのは嬉しいが、朝から晩まで無表情の人形の残骸を相手にしていると気も滅入るというものだ。
「これ、一気に埋め立て場にポイしちゃ駄目ですかね〜」
「ダ〜メ。全部大事な資料だから、ちゃんとラベリングして保管しとかないと」
「ふええええええぇぇぇぇ……」
通常業務の殆んどが終わり、英雄扱いを受けながら円満解散を待つ本部の面々を恨めしく思いながらも作業を続ける。
ふと手を止め、気付いた異変をマリエルに告げる。
「ねえ、先輩……」
「今度は何? シャーリー?」
「あの……要チェックマークのサンプルが一体、無くなってるんです。凄く目立つ奴だから、見間違う筈無いんですが―――」
土砂降りの雨の中、エリオは寮への家路を急いだ。
昨日の青空が信じられないような大雨だった。
自然と駆け足になり、傘を盾のように使いながら帰路を急ぐ。
……と、道の端に、黒いレインコートを着込んだ小さな子供の姿が見えた。
(―――子供?)
エリオは足を止めた。ここは、機動六課の敷地内だ。子供など迷い込む筈が無い。
あの位の背丈の子供は、六課ではキャロ位のものだ。そして、キャロは今ここには居ない筈―――
エリオはじっと、その子供を見つめる。
子供は俯き気味で、すっぽりと被ったレインコートのせいで表情は覗えない。
ただ、その口許が、三日月のように不気味に吊り上がっているのが見えた。
不信感を覚えて、足を止める。
「君、こんなところでどうしたんだい?」
その子供―――骨格から、少年と覗えた―――は、ゆっくりとエリオに問い返した。
「ねえ、僕のお母さんを殺したのは君達?」
底冷えするような、乾いた声だった。―――そして、どこか聞き覚えのある声だった。
エリオは、少年に畏れを覚えた。
じり、じり、と少年と正対したまま間合いを取る。
……この少年は、何か危険だ。そう、エリオの直感が告げていた。
「―――君達が来なければ、僕のお母さんは死ななかったのに」
少年は、短く、そして鋭い口調でエリオを糾した。
レインコートのフードの合い間から、冷たい瞳が輝きを放ってエリオを睨む。
エリオは、全身が総毛立つのを感じた。
「君は一体誰なんだ!? お母さんを殺したというのは一体どういう事なんだ!?」
エリオは沈黙に耐えられずに叫んだ。
少年は、その絶叫を聞いて肩を揺らして嗤った。声を上げず、フードも取らず、ただ肩を揺らすだけで、饒舌に嗤いを表現していた。
「僕が誰かって? よりによって、君かそれを問うのかい、エリオ・モンディアル?
僕は―――君に決まっているじゃないか!!!」
土砂降りの雨の中、少年はレインコートを脱ぎ捨てて地面へ叩き付けた。
レインコートの下の少年の顔は……三年前のエリオ・モンディアルの顔、そのままだった。
レインコートの下の服装は、過去のエリオのバリアジャケットであり、その手にはストラーダを模した槍が在った。
少年は、JS事件に遭う前のエリオそのままの姿をしていた。
エリオは驚愕の余りに絶句していたが、自分なりに状況を整理し、一つの回答を導き出した。
「君は―――人形か」
自身の姿を模して現れ、キャロを傷つけたという人形の存在はエリオも聞き及んでいた。
だが、それはクアットロに嬲られて被虐の快楽に喜ぶだけの傀儡では無かったのか?
それはクアットロの手で頚骨を踏み折られて破壊され、他の人形の残骸と共に回収されたのでは無かったのか?
エリオは不信と敵意の視線を自身の姿を模した人形に向ける。
人形は鷹揚に嗤って言った。
「ご明察、僕は人形だよ。流石は話が早いね。
君の事は少し調べさせてもらったよ。何しろ僕のオリジナルだからね。
『エーディリヒ式』、と言えば解るかな?」
「まさか―――」
「そう、ノエル・綺堂・エーアリヒカイトという自動人形を家族として扱っていた君になら解るだろう?
僕はソレと同じ自動人形、『より人間に近づけること』を目的として作られた『エーディリヒ式』の完成形さ」
エリオは、自身の家族も同然のノエルと、眼前の自身の贋物が同じ類の人形という事実に不快感を覚えて思わず後ずさった。
「スカリエッティの使用した人形は、全て自律意志を持たない戦闘用の単一能だった筈―――」
「あの島でスカリエッティが使用した人形はね。それはそれで正解だと思うよ。
兵士として見るなら、僕より彼らの方が優秀だからね」
「でも、どうしてスカリエッティは君一人にだけ意志を与えたんだ!?」
エリオの人形は、突如として笑みを消して怒りに声を荒げた。
「僕に心をくれたのはスカリエッティじゃない! お母さんだ! お母さんが僕に心をくれたんだ!!」
「君の言う、お母さんと言うのは一体誰なんだ!? 教えてくれ!」
塵芥でも見下すような目つきで、エリオの人形はエリオを鼻で嗤った。
「僕のお母さんの名前は―――クアットロだ」
その名を告げた瞬間、エリオの人形は頬を上気させ、うっとりと目を潤ませた。
「僕のお母さんは、スカリエッティの『夜の一族』に関する研究データから、自動人形の作成法を検索し、そのブラックボックスを僕に組み込んだんだ。
スカリエッティによって研究の進められた僕のブラックボックスは、既に完成の域にある。客観的には僕の魂が人間なのか否かを見分けるのは不可能だ。
僕こそ、無機物から生命を作るというアプローチでの研究の完成系さ!!」
「でも、どうしてクアットロはそんなことを……」
「はっ、君はそんな事も解らないのか!? 何が僕のオリジナルだ! これじゃあとんだ期待外れじゃないか!!!
いいか、偉大なる僕の母クアットロは、そこらの偽者とは違う、本物の嗜虐嗜好の持ち主だったんだよ。
僕のお母さんは、ただ痛みに喘ぐ声を上げるだけの人形を虐めて満足できるような、安っぽい女じゃないんだよ!!!
お母さんは、相手を同じ魂持つ人間だと認めて、それを穢して陵辱し尽くす事によって始めて快楽を得られる本物のサディストだったんだ!!!」
エリオの人形は土砂降りの雨の中、両手を広げて朗々と語る。
頬を上気させ、興奮した面持ちで、クアットロが如何に素晴らしい嗜虐嗜好の持ち主だったかを語り続ける。
エリオは、嘔吐を堪えるのに必死だった。
人形はエリオが聞こうと聞くまいと関せずに、延々と気の済むまで語り続け―――
涙を、流し始めた。
「お母さん、あんなに僕を愛してくれたのに、どうしていなくなっちゃったの……
お母さん、また僕を蹴ってよ、殴ってよ、また僕を愛してよ、うわあああああぁぁぁぁあぁぁぁ!!!」
エリオは、人形の言葉の中で聞き咎めた一点を追及した。―――無駄とは知りつつ、追及せずには居られなかった。
「クアットロは、君の事を愛してなどいない。
君を、自身の欲望の捌け口として利用していただけだ」
人形は、予想通りに激情を露わにした。
「違う! お母さんは、僕を愛してくれていた!!! 確かに君達の言う愛とは違うかも知れないが、お母さんは僕を愛してくれていたんだ!!!
君は、知らない。お母さんが僕を罵る時にどんな顔で笑うのかを!、お母さんが僕を壊す時に、どれだけうっとりとした表情をするのかを!
エリオ・モンディアル、僕は君が羨ましい!!
お母さんはいつも、僕を壊して楽しむ時に僕の向こう側に君の姿を見ていた!!!
僕にはそれが許せない! 僕は、君を殺して唯一のエリオ・モンディアルになるんだ!」
エリオは、苦々しい口調で呟いた。
「……君は、間違っている」
「君がそれを口にするのか、エリオ・モンディアル!?
どう違う!?
体が肉で出来ているか、機械で出来ているかの違いしかない同じ作り物の君と僕が?
光の中で教育を受けたか、闇の底を舐めて育ったかの違いしかない同じ作り物の君と僕が!?
いいことを教えて上げるよ、エリオ・モンディアル。
キャロ・ル・ルシエはね、僕の姿を見た途端泣きながら抱きついて来たんだよ。
君が誰かなんて、君と僕以外の誰かにとってはどうでもいい、何の興味も無い事なんだ!!」
人形は息を荒げながらエリオを舐め上げるように睨んだ。
その憎悪の篭った挙措は人間のそれだ。
「僕は、被虐の奴隷人形として作られたから、その役に甘んじた訳じゃない。
僕は、お母さんが好きだったから、お母さんの望むエリオ・モンディアルであり続けたんだ。
僕は、誰の強制も受けず、自分の自由意志でこの道を選らんだんだ!
お母さんに罵られ、嬲られ、壊され、苦しむ事こそが僕の生きる意味だった!!!
お母さんの振るう鞭の感触が、靴の裏の感触が、今でも忘れられない!!!
お母さんに痛振られ、もがき、喚き、助けを乞う事こそが僕の喜びだった!!!
全て奪われた! 君達機動六課に!!!」
エリオは答えられずにいた。
エリオの人形は、エリオと正反対の人生を歩んできた存在だ。
世間一般から見て、正しいか間違っているかの判断など、もはやエリオと人形の間には何の意味も持たない。
エリオとエリオの人形の差は、自分がこちらで向こうがあちらだった、という程度でしかないのだ。
自分も、エリオ人形と同じように育てば、同様の価値観を持った存在になっていただろう。
向こうも、また然りだ。
それは、良い事だとも悪い事だとも感じ無かった。
―――ただ、悲しい事だと思った。
土砂降りの雨に溶け込むように、人形の姿が揺らめいた。
―――次の瞬間には、エリオは首筋にストラーダを模した槍を突きつけられていた。
「エーディリヒ式は元々護衛・戦闘用の機体だよ? 君も良く知っているだろう?
それを、スカリエッティの技術でチューンすればこうなるんだ」
エリオが、反応すら出来なかった。
「勿論、これでも魔導師連中の相手は出来ないけど―――君一人を殺すなら、これで十分だね」
「……僕を、殺すの?」
自分の喉から出た声は、驚く程落ち着いていた。
この三年間で、思いの外死というものに慣れ過ぎてしまったらしい。
「今日は殺さないよ。槍も持たない君を殺しても面白くも何とも無い。
僕は槍を持っている君を斃して、僕こそがエリオ・モンディアルに相応しいことを証明するんだ。
……ここ数日の、君の暮らしぶりは見物させてもらったよ。
幸せそうだね、エリオ・モンディアル。
僕は君の幸せには興味は無いけど、僕の顔をしている君が幸せを享受することは許さない。
僕が君を殺すまで、エリオ・モンディアルとしての人生を楽しむといいよ。
何より―――君を屈服させて殺すことは、僕のお母さんの願いだったからね」
そう言い残して、エリオの人形は土砂降りの雨の向こうに消えて行った。
エリオは、何時の間にか傘を下ろしていた自分に気がついた。
地に落ちた傘の裏側には、雨水が溜まり始めている。
彼は、傘を畳んで雨水を払うとゆっくりと歩き出した。
エリオは、この日の邂逅を、誰にも話さなかった。
ただ己の胸の奥に秘め、人形との決戦の日に向けて、己を磨き始めた。
その日は、カリム・グラシアの所有する稀少技能『預言者の著書』の一年に一度の発動日だった。
各界へ多大な影響を与える予言の発動日であり、魔法の中にも大儀式の中に分類されるものだ。
シャッハ・ヌエラによって整えられた専用の占術室にカリムが篭って早一刻、そろそろ結果が出る頃合である。
観音開きの扉が軋む音を耳敏く聞きつけ、シャッハは先んじて扉を開いた。
「お疲れ様でした、騎士カリム」
「うん……」
この日のカリムは、何時に無く浮かない表情をしていた。
普段は、予言の内容と関係無しに、一仕事終えたと言うようなすっきりした顔つきをしているのだが……
「如何されたんですか、騎士カリム?」
カリムは、浮かない顔で今回の発動によって作成された予言所をシャッハに手渡した。
「失礼します……」
恭しい手付きで受け取り、内容に目を通そうとしたシャッハだったが……
すぐに手を止め、目を丸くした。
「あの、騎士カリム、これ……」
「……そうなのよ。どうしちゃったのかしら」
作成された預言書は白紙の項が延々と続き、最初の一項の上半分にだけ蚯蚓が這ったような異形の文字が書かれている。
その中で、辛うじて読める一節は―――
『――――――扉が開く――――――』
という一句のみであった。
「私の能力が弱まったのかしら? ……それなら、まだいいんだけど」
それなら、まだいい。
その言葉に、シャッハは初めてカリムの懸念している内容を理解した。
カリムは、予言が実行する力を失った事を懸念しているのでは無かった。
彼女は、この世界が一切の未来が存在しない、死の世界となる事を懸念していたのだ。
今回は小休止です。
色々あったけど結局いじめられるキャロ。
ああ、エリオ主人公とは書いてあるけど、エリ×キャロとは何処にも書いていないこのSSの悲しさよ!
でも本人的には割と幸せそうなのでこれでおKと言う事で。
クア姉の置き土産こと、エリオ人形君ですが、彼はオリキャラに入るのかどうか少し悩んでみたりしてます。
今までの使い捨て人形と違って意志有る人物?ですが、エリオの暗黒面の具現ということで一つ。
間違っても、作者の性癖の具現とかそーいうのじゃ有りませんので悪しからず。
次回、光臨☆編
>>192 リアルGJ!エリオ人形早い!!次回が楽しみです。
神速の決闘になるのか!?
GJ。
なんすかこのお互いがお互いを傷つけあう自傷行為みたいな構図は。エリオの本当の受難はここから始まるんですね(考えてみれば、ここまでエリオは辛い目には
あっているけど、記憶失って地球に漂流したおかげでそれほど苦しんでいないんですよね)。
2人の対決が今から待ち遠しいです。
そして、次回の光臨・・・・遂に奴が帰ってくるんですね。そう思って良いんでしょうか?
>>192 いやあ、来たねえ。何かが。
エリオ人形君は無印で救済されなかったフェイトの成れの果てのようでグっと来ました。
GJです。
>>192 GJ!いい仕事してます!
エリオ、大人の話もできるようになったんだな…成長したな、精神的にもさ
それが嬉しくもあり少し寂しくもある
なんてことを読みながらしみじみと思った自分はきっと何かずれている
>>192 GJ!幸せから一気に引き落とす様が素晴らしすぎる!
あとチンクに萌えたのは俺だけじゃないはず
しかしまだ見えないドクターが不気味だ………
ところで光臨☆編の読み方は☆の部分がセイントで合ってr……(馬鹿は卓ゲ板に引き摺りこまれた)
198 :
WS:2008/03/09(日) 03:31:24 ID:jbXS7MJ9
前回と今日を合わせて三度目の正直です
いくつか行数を減らしてはみますが
す、く読みづらい文章にると思うのでご了承ください
(あと、またうまくいかなかったらごめんなさい)
クラナガン北部の住宅地帯
クラナガンに並び立つ住宅街の中を一人の少女が元気よく駆け抜ける、
その姿は地元の学院ものと思われる制服を身につけ、左右にちょこんと結びをかけている黄土色の髪、
そして特徴的な翡翠と紅玉のオッドアイの瞳
目的地にたどり着くや否や、おもいっきりドアを開き、部屋の掃除をしているその家のホームキーパーと
思われる女性に声をかける
「ただいま〜、アイナさん」
「おかえりヴィヴィオちゃん」
この少女の名は高町ヴィヴィオ
かつてJ・S事件後、機動6課所属であったエース・オブ・エースでもある高町なのはに引き取られ、
その養子となった子供である
「これからすぐに教会?」
「うん、カレラと待ち合わせして一緒に行く予定なの。アイナさんは?」
てきぱきと着替えを済ませ準備をしつつ、掃除機をかけている女性に尋ねる
「私はお掃除が終わったら地元の奥様達と少し御出かけ、ヴィヴィオちゃんがこっちに戻ってくるまでには
帰ってくるから」
「ママからは?」
「残念だけど今回は予定が合わせられないみたい、実家のご家族とフェイトさんによろしくって」
「そっか、残念・・・」
彼女の養母でもある高町なのはは管理局の中でも指折りの魔導師であり、また優秀な教導官でもある
そのためか彼女の教導演習の依頼は絶えず続き、なのは自信も自分から予定を空けるのが難しくなってきている
今度こそは一緒に行けると期待していたヴィヴィオにとっては、少しばかりショックが大きいことでもあった
「それじゃあ行ってくるね、アイナさん」
「はい、いってらっしゃい」
身支度を済ませたリュックを背負い、教会行きの転送ポートへと向かうヴィヴィオ
その少女の手首には、ザンクト・ヒルデ魔法学院中等部の飛び級卒業祝いとして、義母にもらった赤い宝玉が
太陽に照らされているかのように輝いていた
ミッドチルダ北部ベルカ自治領―聖王教会騎士団訓練場
「どうした、打ち込みが甘いぞ」
「くそっ」
後髪を一つにまとめた長身の女性、その容姿端麗とはうらはらに、炎をまとった剣を振りかざす姿は
ベルカの将と呼ぶにふさわしい風格をかもしだしていた
「カートリッジロード!」
その女性騎士に対峙する相手、その姿はまだ10にも満たない幼い少年であり、その手にはかつて彼の父が
愛用していた"氷結の杖"を改良して作れられた剣、"氷結の剣"デュランダルが握られていた
『Ice Slash』
剣を振り下ろすと同時に、氷で固められた刀身から極寒ともいえる斬撃を繰り出す
「はぁあああっ!!」
女性騎士の灼熱の剣が斬撃をすべて蒸発させ、周囲が白い霧に包まれていく
「むっ?」
「いっけぇええーー!!」
『Cocytus break』
女性騎士の不意をつくかのように上空から凍気をまとった剣を振り下ろす少年
少年自身もこの一撃は確実に決まると確信していた
「ふっ」
その瞬間、周囲に響き渡る衝撃とともに、先ほど以上の白い蒸気が訓練場全体を覆うかのように広がっていった
「今日はここまでだ」
「はぁ、はぁ、・・ま、参りました」
霧となった蒸気が晴れ、訓練場に大の字になるように少年が横たわっていた
「蒸気に紛れ不意を狙うという発想は悪くないが、それだけの策ではまだ私からの一本は取れんな」
「一応最後の攻撃も不意打ちにするつもりだったんですけど、それごと関係なく吹き飛ばされちゃあ意味ないですよ」
不満げな少年の横に、人の掌に収まるほどの大きさの妖精・・・と言っていいかどうかわかららない
鋭い目つきの赤髪の少女がやってくる
「まぁ、今回の模擬選で初めてシグナムにカートリッジを使わせただけでも上出来じゃねえの、カレ坊」
「やっとカートリッジか・・・」
「カートリッジを使わずともあれほどの攻撃、受け流すには造作もないがな」
「ひどいよ、シグナム師範!」
「ふふ、冗談だ」
苦笑をこらすこの女性騎士の名はシグナム。かつて夜天の書の騎士であった彼女は機動6課解散後、
J・S事件で保護された人格型デバイスでもあるアギトとともに首都航空隊に復帰、
二年ほど前に騎士カリムとシスター・シャッハの誘いを受け、教会騎士団に入団した
「おやおや、まだやっていたのですか」
「カリム義母さん?」
「ヴィヴィオさんがいらっしゃっていますよ、カレル」
「うそ、もうそんな時間?」
「今、ヴェロッサと一緒にお茶を飲んでいますよ。シグナム、アギト、あなた方はどう?」
「ではお言葉に甘えて」
「甘えましょ〜う♪」
バリアジャケットを解除し急いでカフェテラスへと向かう少年の名はカレル・グラシア
ハラオウン家の子供であった彼はグラシア家に養子入りし、古代ベルカ式後継者候補として日々鍛錬に勤しんでいる
「どうしたんだいヴィヴィオ?今日のクッキーは君の大好きなキャラメル風味にしたんだけど」
「う、うん」
ヴィヴィオの前にはヴェロッサ特製の菓子が並べられており、その中にある焼きたてのキャラメルクッキーの
香ばしい匂いが彼女の自尊心を揺さぶりたてる
「久っしぶり、ヴィヴィ姉」
「あ、カレル、それにシグナムさんとアギトもお久しぶりです」
「ああ」
「ウッス、ヴィヴィ嬢」
皆が一通りの挨拶をすませた後、カレルが悪戯をつくようにヴェロッサに尋ねる
「ところでヴェロッサ"おじさん"」
「"お兄さん"だろう」
「いたい、いたいですってば」
カリムの息子として養子入りしたカレルにとって、ヴェロッサは叔父にあたるためなんの問題もないはずなのだが、
ヴェロッサ自身、自分のことをおじさんと呼ばれるのは己のプライドとして許さないそうだ
(特に彼の義姉でもあるカリムや教育係でもあったシャッハも、このことに関しては口うるさい)
「つ〜・・それよりえ〜と、仕事は?」
「まぁ、・・・・今日は自宅勤務ってことかな」
「ヴェロッサったら、またおさぼりですか?」
「人聞きの悪いことを言わないでくれよ、カリム」
カリムの義弟に対するお説教が始まった中、お菓子を一切手を出していないままでいるヴィヴィオにカレルが尋ねる
「ヴィヴィ姉、クッキー食わないの?」
「ちょ、ちょっとね・・・」
「それじゃあヴィヴィ姉の分貰うね」
「あー!」
「どうしたの、食わないんじゃないの?」
「む〜・・・」
カレルの行動に口膨らませるヴィヴィオにアギトが核心を突く発言をする
「あははは、もしかしてヴィヴィ嬢、太ってダイエットでもしてんのか?」
「ギクっ」
「図星のようですね」
「ヴィヴィオ、その程度のことを気にしているようでは母のような魔導師になるに程遠いぞ」
「だってぇ・・」
カリム、シグナムの言葉にヴィヴィオはただただ下を向くしかなかった
だって仕方がないのだ、元パテシエである祖母、菓子作りが趣味であるヴェロッサ、
大の甘党で自分のことをこよなく可愛がってくれるリンディおばあちゃん
そのような環境の中にいたせいもあってかヴィヴィオの体重は同世代の友達と比べて
あまりよろしくない数値を出してしまっている
「残念、今回のクッキーは会心の出来なのに」
味わうようにクッキーを口の中に運ぶヴェロッサ
「・・・」
「あ〜、うめぇ〜うめぇ〜」
自分の体の大きさほどもあるクッキーを貪り食うアギト
「・・・・・」
「おいしい〜〜♪」
そして山のようにあったお菓子を一瞬にして消失させるカレル
実の父であるクロノが甘いもの嫌いになのに、カレルはリンディ並に大の甘党である
一番驚くべきは、リンディ特性緑茶を食後の口直しとして飲むのにはどうにかしていると思う
「・・・・・・・・っ」
「じゃあ、最後の一枚っと」
もう耐えられない
「やっぱり私も食べる!」
「ごちそうさまでした」
時すでに遅し
「あー!カレルひどいよー!!」
「いらないって言ったのヴィヴィ姉じゃん」
「少しぐらい残してもいいでしょう」
「今更そんなこと言われても・・」
悔しそうにカレルの頭をポカポカとたたき続けるヴィヴィオ、
(食べちゃったものはしょうがないじゃん・・)
くやし涙眼を浮かべながらも尚もカレルをたたくのをやめない
「なにやってるの二人とも」
そんな二人の前にカレルと同じ目、髪の色をした少女が現れる
「あっ、リエラ?」
「どうしたんだよお前、向こうで合流するんじゃなかったっけ?」
「今回の授業が早く終わったから、顔出しにきたの」
「それより相変わらず無愛想な顔してるな〜お前」
「お兄ちゃんも変わらず能天気そうだけど」
「お前な、昔はあんなに「お兄ちゃん」「お兄ちゃん」ってひっついてきたくせになんだその態度は」
「なっ?そ、そんな昔のこといきなり切り出さないでよ!恥しい(//////)・・・」
カレルとのやり取りで頬を染める少女の名はリエラ・ハラオウン、カレルの双子の妹である
彼女は父クロノと同じく若干9歳にして士官学校に進み、今現在執務官志望のカリキュラムを進めている
「お久しぶりですねリエラさん」
「急なお邪魔で申し訳ありません騎士カリム、それにシグナムさん、アギトさん、ヴェロッサさん」
「う〜ん、リエラちゃんはできた子だね、お兄ちゃんとは大違いだ」
自分以外の相手に対してすぐ態度を変える妹におもしろくなさそうな顔をする兄カレル、
昔は自分が近くにいなけりゃすぐ泣きわめいていたくせに、この変わりようはなんだ
「あははは」
そんな二人のやりとりを見て笑っていたヴィヴィオに、手首の宝玉から声がかかる
『It is time slowly,Master(そろそろお時間です、マスター)』
「あ?そういえばそうだね。リエラ、カレル、そろそろ行こう」
「はい」
「了解」
「それじゃあ行こうか、レイジングハート」
『It is consent(了解しました)』
カリムたちに別れを告げ3人は、自分たちの親の実家でもある第97管理外世界地球"海鳴市"へと足を運ぶことにした
第97管理外世界地球−海鳴市
「最初は家か高町さんのお家、どっちに行きます?」
「う〜ん、最初はフェイトママに挨拶に行きたいからそっちの家からでいいよ」
自分のもう一人の母と呼ぶべき存在であるフェイト、しばらく会う機会がなかったためか胸の中では
高揚が高まりつつ急ぎ足にまでなってしまっている
「クロムのやつ元気にしてるかな」
「会っても相手が自分のお兄ちゃんだってわからないんじゃない」
「だからお前は本当に余計なことを一言、一言・・・!」
「まぁまぁ、二人ともやめなよ、ほら、もう着いたよ」
実家の前でまたかと、ヴィヴィオは後ろで口げんかする二人に呆れつつ、インターホンを鳴らす
『いらっしゃい、今あけるね』
3人にはとてもなじみのある声が返ってきた
「今の声、フェイトさんかな?」
「多分そうだろ」
二人のかけ合いの後ドアのノブが傾き、開いた隙間から金色の髪が流れ出てくる
「フェイトママ〜、久しぶり〜!」
「えっ?」
ドアを開けた少女の疑問の声に耳を傾けず、いきおいあまって飛びつくように抱きつくヴィヴィオ
「あれ?」
なにかおかしい
「私、フェイトじゃないよ」
自分の胸の中を覗くと5,6歳とも思われる小さき少女が目をパチパチしながらこちらを見つめている・・・誰?
その顔を後ろの二人も一緒に覗き込むが、その場ですぐ固まってしまう
「え〜と・・・」
なにか困ったように体をもじもじする少女に、ヴィヴィオはかつてフェイトから見せられた
写真立てに写っている一人の少女を思い出す
「あ?そうか、まだ自己紹介がまだだったね」
ヴィヴィオの胸の中から解放された少女は改めるように言葉を発する
「コホン、はじめまして、私アリシア・テスタロッサといいます」
「「「えっ?」」」
210 :
名無しさん@ピンキー:2008/03/09(日) 03:52:14 ID:OCV+J63G
211 :
WS:2008/03/09(日) 04:01:24 ID:jbXS7MJ9
やっと・・・やっと送れた
しかし大変読みにくいですねこれ(本当すみません)
次回ではこの後に続く戦闘の話を投下をしたいと思います
補足として
・タイトルとして書かれているリリカル・チルドレンは
ヴィヴィオ、アリシア、カレル、リエラの4人のことを指しています
・話に出てきたクロムという子はオリ設定のハラオウン家の二男坊です
・設定資料集にもカレル、リエラの性格設定は載っていたのですが
この話の性格設定としてはカレルはエイミィ似、リエラはクロノ似にしております
乙
えー、まだほとんど話が動いていないのでなんとも感想難しいですが、疑問点が2つ。
何でカレルはグラシア家の養子に? あと、カリムって結婚しているの?
今後アリシアがどうなるのか今から楽しみにしています。
>>192 GJ!!
これまた鬱になりそうです
エリオがなんか可哀そすぎる
これからも彼の試練は続くのか・・・
スカもまだいるし、二人の対決も避けられないし。せめてエリ×キャロで幸せになって欲しいがコメが不安すぎです
とにかく次回もお待ちしております!
>>192 これで小休止ですか?!
ガッツGJです。
ヤバイ・・・・何つー濃い設定だ・・・・。
このクアットロは、サディスト、性癖とか性犯罪者という言葉じゃ手に負えない存在に思っていたけど、
置き土産のほうもかなり、イっちゃってる。
十歳のエリオの声と顔で、クアットロ(母)の嗜虐嗜好を熱く讃える自動人形(息子?)・・・・。
悪寒とおり越して、一瞬、感動すらしてしまった。
たしかに、フェイトとプレシアの関係を彷彿させるものがあった。
もし、このシーン映像で見れたらスゴイだろうな。
・・・・え?これもラブ☆コメ?
>>192 GJ
あんだけ大変な目にあってまだエリオの受難は続くか……。
>>192 GJ!新展開が楽しみです!
>>215 エリオも大変だけどキャロもなかなか不憫なんだぜ?
3年間、悩んで努力して精神的にアレになって戦場で死にかけて、
それでやっとエリオに再会できたと思ったら妹扱いの上にルーの
NTRフラグ成立なんだぜ
>>211 乙。
行数関係はそこまで読みにくいということはないから気にせず。
しかし何がどうなっているのやら…。
>>211 GJでした。何はともあれ投下できてよかった。まだ序盤なので何とも
いえませんが、次回のバトルパートが楽しみです。
プレシア復活の予感。
最近、男のちんちんが前へ前へ伸びるのはなぜだと思う?
それは信じた道を前へ前へと突き進むタメだ。
という謎の名言が頭から離れないのだがこれ如何に
つまりこれはエリオに女装メイドやらせてティアナのところで修行させろと
そういう神からのお告げなのですね
221 :
44-256:2008/03/09(日) 11:34:29 ID:gFyWeo/U
男の信じた道ね・・・その名(?)言どっかで聞いたことがあるような・・・
もうそろそろ投下したいと思うのですが
カモン
223 :
44-256:2008/03/09(日) 11:39:54 ID:gFyWeo/U
それでは投下します。
・非エロです。
・はやて×ゲンヤですが、恋愛描写はあまりありません。
・時系列はJS事件解決から3ヵ月後の秋。
・オリキャラが1名出てきます。過去にゲンヤが逮捕して更正した人間です。
・ハッピーエンドで終わります。
・オリキャラがダメな方、魔導師と一般人の強さ補正が気になる方
スルーしてください。
地上本部の切り札、闇の書の主、古代ベルカ式の希少な魔導騎士
便利な道具扱いをする地上本部の中にいて畏怖としてでなく、私を私として見てくれた人
性格はヤクザ、ぶっきらぼうな中年オヤジ
しかし不思議な温かみのある人
捜査官として以上に多くのことを教えてくれた人
更正した多くの犯罪者に慕われる人
人生の悲しさを知っている人
人生の楽しさも知っている人
ゲンヤ・ナカジマ三等陸佐はそんな人だった
自分もあの人のようになりたいと思った
クラナガンのレストラン、そこにはやてはいた。
通信端末をテーブルに置いて、ため息をついた。
ため息をつくのは今日で何度目だろう。
(誘ったのは私だし、仕事じゃしょうがないやんか。自分にとナカジマ三佐
にとっては大事な日やったし。まぁ相手が覚えているかはわからへんけど)
そう自分にいいきかせ、また通信端末に目を落とす。
それをレストランの影から念話を介して見守る集団が・・・
「(はやてちゃん、落ち込んでるですー)」
「(むぅ〜、はやてを困らすなんて、もう1度フッたらあたしとアイゼンでギッタギタの
バッキバキにしてやる)」
「(ヴィータ、言って良い冗談と悪い冗談があるぞ)」
「(そうよヴィータちゃん、ナカジマ三佐にも都合があるんだから)」
「(・・・男は信念のために仕事をする生き物だ)」
めずらしく外食をすると守護騎士たちに言ったはやて。相手はゲンヤだと伝えた。
別に珍しいことではない。
しかし、アグスタで着ていたエメラルドのドレスをクリーニングから引き取って
るはやてをキャロが目撃してから事態が少し違うと感じた。
『まさかナカジマ三佐のことが?』
そうして心配ではやての様子を見に来たのだ。
やはりはやてはクリーニングしたばかりのドレスを着て現れた。
しかし待ち人来ずではせっかくのドレスも意味が無かった。
炎上する工場に魔導師たちが降りてきた。
「・・・チリすら残らなかったか」
しかしもう一人が何かに気づき、うずもれた瓦礫を吹き飛ばした。
そこには少しだけ蓋が開いているマンホール。
「ネズミ狩だ」
その頃ゲンヤたちは廃棄区画に通じる地下水路を走っていた。
砲撃魔法が放たれる直前、ゲンヤはヴィンセントを引っぱり間一髪マンホールに滑り込んだ。
(今頃はチビたぬきに付き合って、あったかいレストランで食事してたはずなんだけどな)
そう思いながら通信端末を起動させすぐに目に付いたはやての端末に連絡をとる。
『八神、俺だ!』
『ナカジマ三佐、どうしたんですか?』
『今、港湾区と廃棄区画の間の地下水路だ!違法魔導師に狙われ・・・ガツッ』
通信が途切れた。
「ったく、通信妨害魔法なんてしかけやがって、魔導師にかかれば非魔導師なんて
そこらのゴキブリと大差みたいなもんだってのに、大した念のいれようだぜ!」
「ゲンヤさん」
「まあここがクラナガンで良かった・・・」
そしてゲンヤはイタズラ小僧みたいに笑いこう言った。
「この地下水路なんか、そこらの泥棒や置き引きよか詳しいんだぜ」
地下水路に降りた魔導師たちはその路線の複雑さにとまどいながらも
ゲンヤとヴィンセントを探していた。不意に通路の奥で影が動くのに気づいた。
魔導師たちは逃げる2人に射撃魔法を放ち距離をつめるが
角を曲がるとヴィンセントが両手をあげているが、ゲンヤは消えていた。
2人が左右を確認していると、ゲンヤが配管の上から飛び降りてきた。
手には消火器を持っていた。
地下水路は放棄されたとはいえ等間隔でこのような消化設備がおいてある。
『ゴインッ!』
それで飛び降りぎわにビンで一人の頭を思い切り殴り
『シュゴォォォォ!』
もう一人に消化剤をあびせる。
そうして泡だらけでパニックになった魔導師の足をひっかけて水路に落とした。
水路の流れは速く、何の対処もできず魔導師は流されていった。
気絶しているもう一人の魔導師もデバイスを蹴り飛ばして水路に流し、横の部屋に閉じ込めた。
2人の追っ手を倒すとゲンヤは壁際に埋まっているキーにコードを入力し、新たな通路を開けた。
「ヴィンセント、こっちだ」
しかし、そんなヴィンセントは歩くのをやめてこう言った。
「ゲンヤさん、私を置いて行ってください。連中の狙いは私の命だ」
「・・・」
「あなただけなら連中をまいて逃げられる確率が高いです。それにメモリーがあれば私が
いなくても・・・私の命なんてそんなもんです。これで少しでも償いができるなら」
そんなヴィンセントにゲンヤはこう答えた。
「なあヴィンセント、こんな話を知ってるか?ただのおとぎ話みたいなもんだがよ」
昔、一人の少女がいた。彼女は犯罪者、いや正確には彼女ではない。
彼女はただ偶然にもその罪を背負ってしまっただけだった。
彼女が宿命として持った力は古代・旧暦と多くの戦争や事件に利用され、多くの不幸を生み出した。
新暦になっても多くの悲しみを生み出し続けた。
普通の人間なら罪の重さから楽なほうへ逃げようとする。もしくは力を欲して悪事を行おうとする。
「でもその子は逃げなかったぜ」
「・・・」
「償いはよ、生きてこそできるもんだ。償いだけじゃねえ、新たに『得られる』もんだって
あるんじゃねえのか? てめえに家族ができたようにな」
そう言ってヴィンセントから受け取った写真を投げ返す。そこに写っている
ヴィンセントの娘の笑顔。
裏には幼い文字でこう書いてあった“May I meet you , my father?(お父さんに会えますか?)”
「お前はここを抜け出す。そして生きる。それでいいな」
その間に追っ手の魔導師が集まってくるのが足音でわかった。
「話が長すぎたな。あいつらどんだけ数をそろえてやがる!!しょうがねえ。ちょっくら魔導師の数を減らしてくる」
「えっ?減らしてくるって?」
そう言ってゲンヤはヴィンセントをかくまうと通路へ出ていった。
はやては廃棄区画の上空にいた。
ゲンヤから連絡が途絶えた後、偶然(?)出会ったヴォルケンリッターたちと
合流し、すぐに近隣の陸士部隊と捜索に当たっていた。
ゲンヤが地下水路にいるのは通信からわかったが、廃棄区画の地下水路は非常に広大である。
広域スキャンしようとしても廃棄区画の地下水路には多くの違法魔導師が入り込んでおり
彼らの魔力が強すぎてゲンヤのゼロにも等しいくらい弱いリンカーコアがかき消されてしまい、居場所がわからない。
オペレーターはそんな残酷な状況をはやて達に伝えた。
もし、自分たちの方がナカジマ三佐を違法魔導師たちより先に見つけることが
出来なければ、そんな重い雰囲気があたりを包む。
しかし、はやてはあきらめなかった。
「それなら、私が広域魔法でナカジマ三佐を探って見ます!!」
「八神二佐、しかし・・・」
そう言うオペレーターや陸士の魔導師を制してシャマルが言う。
「はやてちゃん、大丈夫よ。私とリインちゃんがフォローするから」
「(はいです。絶対にナカジマ三佐を見つけるです!)」
「リイン、シャマルおおきにな・・・」
そうしてはやてとシャマルは廃棄区画の上空へ飛翔し魔方陣を展開させて意識を集中させた。
眼を閉じると頭の中に広がる多くのリンカーコア。
(ナカジマ三佐・・・!!)
そんな無数のリンカーコアの輝きの中で、はやては掻き消されそうなくらい弱々しい光を感じた。
しかし、しっかりと存在する光。
そうしてはやては碧眼を見開いて言った。
「見つけた!!」
230 :
44-256:2008/03/09(日) 11:48:45 ID:gFyWeo/U
以上になります。続きは明日投下します。
未だに勢いが衰えないとは…
さすがなのはだな
唐突にアリシア×エリオというカップリングが思いついた。
どうすれば実現できるだろうか?
タイムスリップなどいかがかな?
ロストロギアによるタイムスリップ。
アリシア死亡後にプレシアとジュエルシードを・・・。
フェイトの親父が実はエリオとも出来そうwww
ロストロギアでアルハザードへ。もれなくプレシア付き
>>233 つリリカルチルドレンの設定、もしくは燃え上がる炎の魔術師の設定流用
それはともかく、何らかの原因でアリシアが治るが、プレシアの寿命も切れる。
こうすれば、ジュエルシード使って次元断層作ってアリシアを送る、ぐらいはやりそうかな。
無印見る限り、プレシアが送れそうなのはフェイトの所ぐらいだろうから、そうすれば楽。
238 :
ザ・シガー:2008/03/09(日) 16:13:16 ID:E8uc5OF7
20分くらいになったら投下します。
今回は「烈火の将は狙撃手がお好き」の第七話です。
240 :
ザ・シガー:2008/03/09(日) 16:22:53 ID:E8uc5OF7
では投下します。
「烈火の将は狙撃手がお好き」の第七話、今回は誠に残念ですがエロ成分は無し。
そしてティアナが黒化、シグナム姐さんは乙女化するという挑戦っす。
烈火の将は狙撃手がお好き7
機動六課隊舎の廊下を歩く白衣を纏った金髪の美女、それは機動六課の医務官を務める女性シャマルである。
そんな彼女の背中に古い付き合いの家族が声をかけた。
「シャマル‥‥‥ちょっといいか?」
シャマルが振り向けばそこには物憂げな表情をした烈火の将が立っていた。
何故か彼女の顔はひどく物憂げで不安そうな眼差しを宿している。
「あらシグナム、なにか用?」
「用と言うか‥‥その‥相談と言うか‥‥」
シグナムは何やら顔を俯かせ頬を朱に染めて恥らっている。
そんな姿に思い当たる節があるシャマルは含みを込めた笑みを浮かべた。
「あら〜、その様子からするとヴァイス君絡みかしら〜?」
「うう‥‥まあ、そんなところだ」
「それじゃあ、ここじゃ何だから医務室でも行きましょうか」
シャマルの言葉に二人は医務室へと場を移す、そうしてシグナムから話されたのは最近ヴァイスにかかった浮気疑惑だった。
「うわぁ〜、いきなり浮気話なんてヴァイス君も隅に置けないわね♪」
「おい‥‥私は真剣に悩んでるんだぞ?」
話を聞いて、自分好みの面白い話題に嬉しそうにするシャマル。そんな彼女にシグナムが鋭い剣幕を帯びた目で睨み付ける。
ヴァイスへの想いが強い故にシグナムの眼光は常の戦闘時すら上回る迫力を持っており、シャマルは背筋に凄まじい怖気を感じた。
「ご、ごめんなさいね、‥‥まあそれは兎も角として、実際にヴァイス君が浮気した証拠っていうには少し弱いんじゃない? 何かの拍子に付いた跡かもしれないんだし。気になるなら直接本人に聞けば反応で察しがつくわよ、ヴァイス君って嘘とかつけなさそうだし」
「うう‥‥直接聞くのか?」
「別に付き合ってるんなら、これくらい聞いても問題ないでしょ?」
「だが‥‥その‥聞きにくいというか‥‥もし違ったら失礼だし、それで嫌われたら‥‥」
“ヴァイスに聞く”なんて話になった途端シグナムから先ほどの覇気が消え、彼女の威勢はひどく弱弱しくなる。
目の当たりにしたシャマルには信じられないと言った具合に眼を丸くした。
今のシグナムの姿は先の姿からは想像もできない程に可憐で、儚げで、正に年頃の乙女のように愛らしいのだから無理もないだろう。
「それじゃあ、分からないじゃない」
「だからお前に聞いている、何か良い策は無いか?」
「う〜ん‥‥なら、しばらくヴァイス君の様子を見るしか無いわねぇ〜。私とリインちゃんもそれとなく調べるから、シグナムも探りを入れておいてね」
「分かった、よろしく頼む」
「気にしないで、面白半分でやってるようなものだから。まあ何も無いのが一番なんだけどね」
□
クラナガンの一角、デートスポットで有名なとある公園を一組の男女が歩いている。
一人は髪をツインテールに結った少女、機動六課の若きストライカーことティアナ・ランスター。もう一人は黒髪の青年、機動六課所属のヘリパイロットであるヴァイス・グランセニック。
かの一件によりティアナから責任の追及を受けたヴァイスは先輩後輩の関係から清く正しく美しい男女交際へと関係を発展させる事へと相成ったのである。
そして二人のデートは万事つつがなく進むも、ヴァイスは密かに心の中でシグナムに謝罪していた。
(うう‥‥‥シグナム姐さんという人がいるのに、俺は何をやってんだ。しかしだからといってティアナに冷たくする訳にもいかねえし‥‥)
ヴァイスは先行くティアナの後姿を見ながら、腕を組んで難しそうな顔をしてう〜んと呻く。
一見すると軽薄そうに見えるこの青年も実の所はしっかりとした貞操観念を持っているのだ、悩むのは当然だろう。
なにより相手は年下の後輩ならば尚のことである。
「ヴァイス陸曹、どうしたんですか?」
さっきから変な表情をして唸っているヴァイスにティアナが不思議そうな顔で尋ねる。
首を傾げて上目遣いに見上げてくるその様は言い様が無いくらいに愛らしくて、思わずヴァイスは赤面した。
「べ、別になんでもねえって!」
「そうですか? なら良いんですけど」
ヴァイスの様子にまだ不思議そうな顔をするティアナ。
そんな彼女にヴァイスは頬が熱くなり胸に甘い電気が走るような感覚を覚える、これが世に言う“トキメキ”なるものである事は言うまでもない。
だがそれも無理は無い、今日のティアナはいつにも増してはつらつとして輝いているのだ。
好いた相手と一緒に時間を過ごすというだけで、少女は今が花と咲き誇る。
これこそ正に恋心の為せる技だろう。
(やべえ、今日のティアナ‥‥すげえ可愛いじゃねえか。いや落ち着け俺! 俺にはシグナム姐さんが‥)
「ヴァイス陸曹、またそんな難しそうな顔して‥‥その‥やっぱり私とのデートってつまらないですか?」
ヴァイスの顔色に花と咲いたティアナの雰囲気が一気に陰鬱な影を帯び、表情は今にも泣き出しそうに悲しみに満ちていく。
その様子にヴァイスは慌てて訂正を入れる、このままでは周囲の視線があまりに痛い。
「いや、待て違う! 俺は‥その何て言うか‥お前と一緒で楽しいぞ」
「ほ、本当ですか?」
「ああ‥‥まあな」
「良かった」
ヴァイスの言葉を受けてティアナは途端に表情を嬉しそうに輝かせる。
まるで曇っていた空から鈍色の雲が去り明るい太陽が覗きだすような変化、その表情のめまぐるしい移り様にヴァイスは息を呑んで魅入られた。
「ずっと心配だったんです‥‥私、デートとか初めてだから‥ヴァイス陸曹に楽しんでいただけるかどうか」
「そんな事考えてたのか? バカだなぁ、こういう時ぁ普通、女ってのはエスコートされるもんだぜ」
ヴァイスはそう言いながらティアナの頭を優しく撫でる。
いつもは気丈なフォワードメンバーのリーダー格の意外な愛らしさに思わずヴァイスの頬も緩む。
当のティアナは嬉しそうな、だがそれでいて恥ずかしそうな複雑な表情を浮かべる。
「あの‥‥私もう子供じゃないんですよ?」
「何言ってんだよ、俺から見ればまだまだオコチャマだ」
「うう‥‥またそんな事言って‥ひどいです」
「ははっ、そう拗ねるな」
ヴァイスに優しく頭を撫でられてティアナは恥ずかしそうに頬を朱に染める。
この二人、傍から見れば恋人同士とも兄妹とも見えるだろう。
その後も二人は穏やかなデートを楽しむ。
ヴァイスは心の片隅にシグナムへの罪悪感を抱きつつも自身がティアナにした事を考えると彼女を拒絶する事が出来なかった。
何よりもティアナの可憐さはシグナムとはまた違った愛らしさがあり、彼をひどく魅了する。
そしてそんな二人の様子を見ている影が一つ。
「あちゃぁ〜‥‥‥ヴァイス君、本当に浮気してるのかしら? しかも相手がティアナって‥」
それは暖かくなっていた季節に似合わぬコート姿にサングラスを掛けた金髪の女性。
あまりに目立つ姿で変装を施していたシャマルだった。
□
機動六課隊舎でお昼の休憩時間を迎えたロングアーチスタッフが憩いの時間を満喫する中、向かい合って座っている青年が二人。
ヴァイス・グランセニックとグリフィス・ロウランの二人である。
「それで、これは一体なんですか?」
「見て分からねえか? パンだよ」
「そんな事は分かります。問題はなんでパンの中に珍妙な醤油味の固い物体が入っているかという事です」
「ああ、それな。せんべいだよ、せんべい。なんでも最近ミッドで流行の“せんべいパン”だってさ」
「最近の流行は理解できませんね。しかし流行なんてものと100万光年は縁の無いヴァイス陸曹がこんなものを?」
「いや‥‥その‥この前ティアナと出かけた時にあいつのオススメで買ったんだよ」
「へえ〜、ティアナとねぇ」
ティアナと出かけたなんて話にグリフィスが非難めいた、蔑むような眼でヴァイスを見る。
その冷たく突き刺さるような視線にヴァイスは思わず胸が痛くなる。
「そ、そんな眼で俺を見るな‥‥」
「シグナム副長というものがありながら、まあなんとも良いご身分ですねぇ」
「うう‥‥んな事言うなよ‥」
ティアナとヴァイスの仲に影から手を出しているグリフィスだが、シグナム絡みの問題でヴァイスを弄る事も忘れない。
ヴァイスは痛い所を突かれて複雑そうな顔をするが、そんな事はお構い無しにグリフィスは嘲笑めいた微笑を浮かべる。
「そういえば最近やたら、ティアナと一緒にいますよね? ティアナとも付き合ってるんですか?」
「ち、ちげえよ! んな訳ねえだろ」
グリフィスの言葉に慌てて大声を上げて否定するヴァイス。
だが胸中ではティアナへの後ろめたさから否定しきれぬ迷いに満ちている。
そんなヴァイスの様子を見て、グリフィスはひどく面白そうな残酷さを孕んだ黒い笑みを零す。
恐らくは自身の画策した意図で混沌たる状況に陥っているヴァイスの様が面白くて堪らないのだろう。
そんなところにタイミング悪く、件の少女が現れた。
「ヴァイス陸曹」
「おお、ティアナ。どうした?」
「えっと‥‥その、今日は良かったら一緒にお昼しませんか?」
「ああ、別に構わねえけ‥」
ヴァイスが答えようとした刹那、その場に一人の女性の影がやって来る。
それは猛る炎熱を背後に背負い、烈火の名の如く燃えるような緋色の髪を揺らしながら古代ベルカの騎士だった。
「おいティアナ。悪いがヴァイスは先約がある」
澄んだ声がヴァイスとティアナの会話を中断する、その主は言うまでもなく烈火の将シグナムである。
シグナムは二人の間に割って入ると、ティアナの前に立ち塞がって切れ味を帯びんばかりの鋭い眼光で睨み付けた。
だがティアナも負けじとキツイ目つきで睨む返す。
「シグナム副長、今ヴァイス陸曹と話してるんです。邪魔しないでください」
「なに?」
シグナムとティアナの二人の間には瘴気とでも言うべきか、眼に見えるほどのドス黒く凄まじい殺気の嵐が立ち昇り周囲の空気を歪めていく。
あまりの圧迫感にヴァイスは顔を真っ青にして冷や汗を流している。
(あれ‥‥何? この鉛みたいに重い空気。俺か? 俺のせいなのか?)
ヴァイスは一人心中で誰へともなく問いかける、もちろんだが答えなど返ってはこない。
しかし思わずにはいれない程に空気は重く耐え難い。
ただしグリフィスのみは、この様子を実に面白そうに眺めていた。
□
「ヴァイス陸曹、これどうですか?」
「いやヴァイス、これを食べろ」
そう言って差し出される二つのフォーク、突き出している主は言わずもがなシグナムとティアナの二人。
時は昼時、場所は食堂。結局ヴァイスは“3人仲良くお昼にしよう”と提案したのだが決して仲良くはいかないのが現実であった。
まあ完璧な三角関係にある女性二人に仲良くしろというのはいささか酷というものだろう。
そして当のヴァイスはと言えば、シグナムとティアナの二人に挟まれて冷や汗交じりの
困惑の表情を浮かべている。
「シグナム副長、私が先に出したんですからどいてください」
「いいや、お前がどけ。そもそもそんなにくっ付いたらヴァイスに迷惑だろうが、もっと離れろ」
「そういうシグナム副長だってくっ付きすぎです」
カミソリのような鋭さを帯びた視線が宙でぶつかり火花を散らす。
周囲の空気は殺気によってグニャグニャと歪んで見える程だ、もはやこの場に食事時の憩いの空気などは欠片もない。
あまりの恐怖に胃が切り裂かれるような痛みを感じ、冷や汗を止めど無く流すヴァイスだったが必死に勇気を振り絞って声をかけた。
「ああ‥‥その‥二人とも落ち着いて‥」
「だそうだティアナ、少しと言わず永遠に黙っていろ」
「そういうシグナム副長もいい加減に静かにしたらどうですか?」
「なに!?」
飢えた肉食獣でも髣髴とさせる迫力と眼光で睨み合うシグナムとティアナ。
思わずその背後に竜虎の絵図が思い浮かぶ程に二人の気迫は凄まじい。
あまりの恐怖に周囲へ視線を泳がせて助けを求めるヴァイスだが、周りにいた機動六課の面々は一様にして“我関せず”の姿勢を崩さず見て見ぬフリを決め込んでいた。
目と目が合った皆が皆、気まずそうに視線を反らしていく。
(だ、誰か助けてくれえええ!!)
思わず念話で助けを求めるヴァイスだが、返ってくるのは励ましの言葉でなく哀れむような視線のみ(ただし一部、楽しそうに眺める視線もチラホラ)。
そんな時、おもむろにティアナがヴァイスに擦り寄りながら声をかけてきた。
「ヴァイス陸曹、この前デート(ここ強調)した時に買ったせんべいパン食べてくれました?」
「ちょっ! ティアナ、んな事ここで言うな」
「デ、デートだとっ!? どういう事だヴァイス!!!」
「姐さん、ちょっと落ち着いて。ぐえぇ‥‥くるし」
ティアナのデート発言にシグナムが火の付いたような勢いでヴァイスに詰め寄り、彼の襟元を絞める。
ヴァイスはひたすら顔を青くしてシグナムを宥めようとするが片腕にティアナが絡みついていた為にシグナムの怒りは一向に鎮まらず、事態は混沌を極めていった。
□
先の混沌たる食事時よりしばしの時間をおいた時分、機動六課隊舎の屋上にて向かい合う影が二つ。
一人は燃えるような緋色の髪をポニーテールに結った歴戦のベルカの騎士、シグナム。
もう一人はオレンジ色の髪をツインテールに結んだ六課の若きフォワード、ティアナ。
互いに一人の男を愛している両者の間には怨嗟とでも言うべき黒い炎が燃えており、瞳は相手をしかと睨んでいる。
そして先に口を開いたのはシグナムだった。
「ティアナ、貴様どういうつもりだ?」
「何の事ですか? ちゃんと分かり易く言ってもらわないと理解できませんが」
「とぼけるなっ! やたらヴァイスに纏わり付いて何様のつもりだっ!!」
ティアナの不遜な態度にシグナムが裂帛の気合を込めた怒声を放つ。
だがティアナは周囲の空気を震わせる烈火の将の気迫にも涼しい顔を崩さない。
むしろ余裕を持ってシグナムに返事を返した。
「それが何か問題でも? 別にシグナム副長には関係無いと思うんですけど」
「なっ!‥‥そ、それは‥」
ティアナの言葉にシグナムは威勢を殺されて言い淀んでしまう。
未だにシャマルやリインと言った極々一部の人間にしかヴァイスとの恋仲を明かしていない故に、いざこう言われては咄嗟に言い返せないのだろう。
シグナムは顔を俯かせて言葉に詰まっているが、ティアナは構わず続けて口を開いた。
「私、ヴァイス陸曹と付き合ってるんです」
その瞬間、周囲の空気に満ちていた大気が凍りついた。
いや、大気だけでなくシグナムは身も心も凍てついてしまったような錯覚に襲われる。
それは一番聞きたくない言葉、否定すべき事象、シグナムは混乱に濁る思考を必死に制して言葉を紡いだ。
「ち、違うっ! ヴァイスの恋人は私だ!! 私がヴァイスの‥‥」
震える声でティアナの言葉を否定しようとするシグナムだが、その言葉はひどく弱弱しい。
そんな彼女にティアナはグリフィスから託された秘策を使う算段を決めた。
「闇の書のプログラム‥‥」
「えっ!?」
支援
「シグナム副長って人間じゃないんですよね?」
「な、何故それを‥‥」
秘められるべき自身の秘密を呆気無く口にされ、シグナムは面白いくらいに狼狽する。
声は震えきっており、聞いただけで内に孕んだ恐怖が伝わってくる。
ティアナはその事実に笑みともとれる歪んだ表情を浮かべる、圧倒的に不利と思われた状況が恐いくらいに上手くいっているのだ、無理も無いだろう。
「少し小耳に挟んだんですよ。でも驚きました、まさかシグナム副長が人工的に作られたモノだったなんて」
「‥‥言うな」
「それじゃ、年とかとらないんですよね? 子供とか産めないんですよね?」
「‥‥やめろ」
「こんな事、いつまでもヴァイス陸曹に隠せませんよね? なら分かりますよね? 自分が彼と一緒になれないって」
「止めてくれええぇっ!!」
心の底を抉り、直視できぬ残酷な真実を曝け出すティアナの責めるような言葉にシグナムは膝を突いて耳を塞いで叫んだ。
瞳からはもはや涙が止めどなく溢れ、全身が寒気を感じて震えている。
その姿に、もはや勇ましいベルカの騎士の面影など微塵も無い。
ティアナは残虐さを宿したドス黒い笑顔を表情の宿し、かすかな笑い声を零しながらシグナムに近づく。
そして彼女の耳元で優しいまでの残響をもつ囁きをも漏らした。
「それじゃあ、もうヴァイス陸曹に近づかないでくださいね?」
死刑を告げるかの如く冷酷な言葉に烈火の将の心は完全に折れる。
ティアナは言うだけ言うとシグナムを残して去って行った。
そして屋上に一人残された彼女に追い討ちでもかけるように雨が降り始め、その身を冷たく濡らしていく。
顔を濡らすのは涙か雨かもう分からないくらい瞳は泣き濡れ、嗚咽と慟哭が雨音に混じり響いていた。
続く。
249 :
ザ・シガー:2008/03/09(日) 16:35:44 ID:E8uc5OF7
投下終了です。
ああ、姐さん泣かすのって面白えな、もっと泣かせてえぜ。
ティアナがグリフィスから聞いた話ってのは闇の書関連でした、まあ一番効くと思ったので。
次に投下するならゴードン爺さんかソープ話かな? ちなみにソープシリーズの次のヒロイン候補はノーヴェ、トーレ、ディエチ、オットー&ディード、ウェンディ、ドゥーエとかです。
ウーノ姉さんとクアットロが思い浮かばねえんだよな、なんか良いアイディア無いっすか?
そして前回の話でセイン好きになった俺がいる。
GJ!!です。
うぉ!!ティアナが今は優勢ですか・・・グリフィスの暗躍が効いてますね。
でも、彼持ち上げるだけ持ち上げといて最後は叩き落としそうで怖いwww
>>249 GJでした。ティアナ何という急所を!将にはプログラムの壁を越えて
頑張ってもらいたいです。
あとおせんべいパンw流行っておそろしいですね。
クア姉は3発/2時間といわず、悪魔的にどんどん客をイカすのはいかがかと。
B・A氏のEXCHANGE後編のように。
252 :
ザ・シガー:2008/03/09(日) 16:57:22 ID:E8uc5OF7
誤字発見。
ティアナは残虐さを宿したドス黒い笑顔を表情の宿し、かすかな笑い声を零しながらシグナムに近づく。
そして彼女の耳元で優しいまでの残響をもつ囁きをも漏らした。
↓
ティアナは残虐さを宿したドス黒い笑顔を表情に宿し、かすかな笑い声を零しながらシグナムに近づく。
そして彼女の耳元で優しいまでの残響をもつ囁きを漏らした。
司書様、保管庫に入れる際はこの様にお願いします。
そしてせんべいパンなど、クラナ○ネタを出してすいません。
どうもティアナとヴァイス見てるとあのアニメを思い出してしまうので。
>>251 逆にさんざん焦らした挙句時間を延長しないとすん止めというのも……イイ!(ハアハア)
>>249GJ!
どんどんniceな展開に…
しかしティア、お前の歩む道は頭冷やそうかエンドへの道だw
なんというnice boat展開
いやいっそ二人ともだな(ry
255 :
サイヒ:2008/03/09(日) 17:16:53 ID:dH9V1JwP
>>249 GJ
どす黒いティアナは久々だなー。
ウーノがエリオの筆卸してやるアイデアならありますが、使われます?
>>249 nice boat
>>253 しかしこの場合はなのはさんというより,はやてのほうが怒り狂いそうだ…。
ティアナの石像いっちょあがりのフラグか……
258 :
名無しさん@ピンキー:2008/03/09(日) 18:48:05 ID:VWHmdWj2
ナンバーズがローションプレイで感じまくってしまうSS書きたくなってきた。
『こ、このあたしが溺れちゃうなんて……っ』とされるがままのセイン姉。
騎乗位で甘えてくるウェンディとか
>>249 >ああ、姐さん泣かすのって面白えな、もっと泣かせてえぜ。
なんとけしからんっっ!!! もっとやれぃ!いえ、やって下さいorz
改めてGJ!腹黒いティア。そのティアに圧されるシグナム。そしてヴァイスを巡ってのドロドロ具合 ・ ・ ・ ・ ・ ・
どれをとっても文句なしでした!!
>>249 GJ! しかし後でひどい目にあいそうだなティアナ……
がんばれシグナム姐さんがんばれ。
このティアナだったら頭冷やされてもしょうがないな。
次はトーレ姉さん激しくキボンヌなのですよ。
どんなプレイになるのか。
ところでオットーは単独じゃないんですか?
261 :
ザ・シガー:2008/03/09(日) 19:51:15 ID:E8uc5OF7
>>255
なるほど、つまり年上お姉さんとの初めてのエッチ講座と?
確かにウーノ姉さんのキャラに合ったシチュエーションですね、しかしいざ書くとなると俺にエリオ君を汚す勇気があるのかどうかが問題だ。
しかし良いシチュエーションだ。
なんか話が湧いてきそうです。
こういう助言には助けられます、ありがとうございますサイヒ氏。
262 :
( ゚Д゚) :2008/03/09(日) 19:58:03 ID:PWsHPC4O
>>261 汚すと言うか、ウーノはあくまで優しいおねーさんに徹してれば良いのではないかと。
いつも二人セットのオットーが単体で指名
コンビでの行動になれた所為か拙い動きに、見かねて
ディードが出ようとするが指名されてない以上止められ歯噛み
事が済んだ後オットーは自己嫌悪に陥り修行に・・・
そして暫くの後、再び指名されたオットーは・・・
無理がある・・・やはりまだ脳汁が足りない
264 :
ザ・シガー:2008/03/09(日) 20:15:13 ID:E8uc5OF7
優しいウーノ姉さんがエリオに手取り足取り教え込むと?
うん、良い感じですね。
そしてオットー書くならディードと一緒に姉妹丼で行こうかと考えてます。
まあせっかくの双子属性なんで。
しかし前々から思っていたんだが、トーレ姉さんの需要が多い気がする。
皆トーレ姉さんが好きなのかい? ならば頑張らねばならぬ。
265 :
サイヒ:2008/03/09(日) 20:33:46 ID:dH9V1JwP
>>264 一応俺が考えた筋はこんな感じ。
エリオがフェイトと付き合い出す。
↓
ヴァイスが「年上と付き合うならこういうことも知っとかないとな」とソープに連れて行く。
↓
セックスについてなんも知らないエリオ。いきなり服を脱ぎだすナンバーズにびっくり。
↓
パニックで半泣き&不能。
↓
騒ぎになって出てきたウーノが性教育がてら優しく筆卸。
ネタは完全に差し上げますんで、一部参考にされるのも全く違う話書かれるのも
ザ・シガー氏のお好きなようにしてくださったらけっこうです。
>>249 乙っつーか、nice boatつーか…www
グリフィスよ、お前ロクな死に方できねぇぞwwwww
267 :
( ゚Д゚) :2008/03/09(日) 21:03:35 ID:PWsHPC4O
Σ(゚Д゚ 三;゚д゚)グリフィスってひょっとしてこういうキャラなのか?
まだまだ修行が足りねぇなぁ……orz
本編で空気だったせいで一度妙なイメージがつくと払拭出来ずに定着しちゃうんだな
本編以外でイメージ定着させるなら早いもん勝ちインパクト勝ち
食いしん亡とか褌とか・・・
>>267 違うってw
こんなカイジみたいなキャラなわけないだろw
あと雑談時はコテをなるべく外したほうが好ましいよ。強制じゃないけど
>>270
カイジじゃなくてアカギでは? カイジだったらすげえ善人っぽいけど。
ざわ・・・ざわ・・・
機動六課の面々で限定ジャンケンやらをするわけですね
地上本部と本局のお偉いさんがその様子を賭けをしながら笑ってると
最近俺の中でのグリフィスのイメージが、自分の母親すらもおもちゃにしてる
トンでも鬼畜野郎になってるんだが・・・・・・
しかも鬼畜仲間がクロノだったり
つまり、下書き線だけしか書かれてないカンバスみたいなキャラなんだな。グリフィス君は
んで、どういう風にペン入れや色付けするかは職人さん次第....っと
>>249 GJです。ティアナ君確かに烈火の将はプログラムだが、実際は変質が始まっている
ので近い将来、人間と同種になる可能性が大、つまり、そのアドバンテージは無いに等しい
のですよ。このカード自体は将自身も気付いているだろうが、さてどうなりますやら
>>274 俺のなかでは委員長タイプかなヴァイスとかが何かやらかした場合
いつの間にかはやてに報告している感じで。
278 :
( ゚Д゚) :2008/03/09(日) 22:14:30 ID:PWsHPC4O
いや……純情(?)なグリフィスを書いてしまった手前というかなんと言うか。
ところで、投下してもよろしいでしょうか?
>>249 ちょいとこういうネタを聞いたことがあります。
ある風俗店にコートとグラサンをつけた人物がやってくる。しかし、個室で服を脱いだその人は実は女で、
それでも指名された娘は料金分はきっちり働きますとご奉仕していたら、逆に女のツボを知り尽くした客に昇天させられたとか。
どうですか、男装したなのはがディエチを指名し、砲撃bPを競う(ry
【桃色の光に焼かれて黒焦げになった】
>>276 だが子供を産めない体であるかもしれないという不安はシグナムにとってはでかい罠。
ここはシュワちゃんが主役の映画みたいにヴァイス軍曹が子供を産んでくれることに期待。
冗談はおいといて、ここからシグナムがどう逆転してくれるかに期待。
では注意書き
注意事項
・すンばらしく捏造要注意。
・オリキャラ注意。オリキャラTUEEEE気味注意。
・正直シグナム強杉。どこの跳躍系だ。
・スバルファンは少し要注意です。
・レジアス中将はモブか悪役だと思っている方は読まないほうが吉です。
・あぼーんキーワードは「熱き彗星の魔導師たち」
ガァンッ
錆び付き、歪んだ鉄の扉を、ユーノの足が蹴り開けた。
『Round Guarder』
4人が飛び出すと、それを、緑色のラウンドドーム型のバリアが、覆った。
「Clear」
アリサが告げると、ユーノはバリアを解除する。
「検索魔法、誰がやるっスか?」
アリサの斜め後ろで、ウェンディが、背中を向けたまま、訊ねる。
「あたしがやる」
アリサはきっぱりと、言う。
「元々得意じゃないし、使ってなかったから錆び付いてるかも」
言いつつ、足元にオレンジ色の光の、魔法陣を展開させる。
ユーノが、イージスを構えたまま、アリサにすっと身を寄せる。
「居た……距離、方角……」
呟きかけて、アリサははっと、戦慄の表情になる。
「ウェンディ、ティアナ、すぐ側にいる!」
ガラガラガラガラっ
既に瓦礫に等しい、崩壊しかけたビルの中から、2体の傀儡兵が飛び出してきた。
熱い彗星の魔導師たち〜Lyrical Violence + StrikerS〜
PHASE-05:First mobilization
現れた傀儡兵は、大型ファルシオンを武器に握っている点は先日のものと同じだが、そ
の他に、左肩の後ろに、いくつかの筒状の物を背負っている。
「あれって」
「ロケットランチャーっスよ!」
戸惑いかけたティアナの前面に、ウェンディが躍り出て、アイアスを構える。
「ウェンディ、ティアナ!」
ユーノが、後ろを振り返りかけるが、
「待って、正面にもいる!」
「えっ!?」
と、アリサの言葉に、一瞬だけ驚いた声を出してから、構えなおす。
一方、既に姿を現した2体の傀儡兵は、筒状の物体の1基が前面に向けて倒されると、
そのままウェンディとティアナを狙って、発射された。まさしく、地球ではさして特殊で
はない形態の、ロケット迫撃弾である。
『Round shield』
ドンッ、ドンッ
赤紫のシールドが、それを弾き、爆風をも散らす。
これがRPGシリーズ(“ロールプレイングゲーム”ではない。旧ソ連製対戦車ロケット弾)
のような本格的な対装甲弾頭であれば、魔力シールドといえどダメージは大きいのだが、
対人殺傷用の炸裂弾では、シールドはかすり傷ほどのダメージも受けない。
「ティアナ!」
ウェンディが呼びかけ、一瞬後にシールドを解除する。
「ヴァリアブル・バレット!」
バーミリオンの魔力弾は、より濃く鮮やかな発光のそれを内包したような状態で発射さ
れ、やや前方に位置していた傀儡兵めがけて発射される。
シュルルルルッ
A.M.F.で減衰させられ、魔力弾は霧散させられていく。だが、中からひと回り小さい魔
力弾が飛び出すと、そりまま、傀儡兵の胴を貫いた。
「だぁりゃあぁぁぁぁぁっス〜」
擱座する傀儡兵の横をすり抜けて、フローターボードに乗ったウェンディが、もう1体
に迫る。
ガキィンッ
振り下ろされた大型ファルシオンが、アイアスに直接、受け止められる。
凌ぎ合い。しかし、左肩のランチャーが、2発目を、前に倒し、ウェンディに向けた。
「でりゃぁっス!」
掛け声を上げつつ、ウェンディは一瞬、腰を落として、傀儡兵の体勢を崩させた。
そのまま、倒れかける傀儡兵の懐から抜け出し、間合いを取る。
ドンッ!
傀儡兵が体勢を立て直した所へ、2発目のヴァリアブル・バレットが、その胴に命中し
た。
首から煙を吹き、そのまま、その場に擱座する。
一方────
「行くわよ、ローウェル!」
『はーい』
間延びした返事が聞こえたかと思うと、アリサの左手に、レイジングハートの刀身を縮
めたような外見の、ホーンテッドクリムゾンが握られる。
『Round shield, Dual exercise』
イージスが、二重のシールドを張る。
シュルルルルルッ
前側の1枚が、A.M.F.で減衰させられ、その光が、不安定に明滅する。
「ひょぅっ」
息を吐き出すようにしつつ、アリサがユーノのシールドのさらに上側から飛び出すと、
傀儡兵めがけて、ホーンテッドクリムゾンで突いた。
ミシッ
突き出された一点を中心にまるで空間にヒビが入ったような光景になる。
『Divine Buster』
ユーノがイージスの射撃端子を構えると、そのまま、緑色の魔力弾が、ゼロ距離から、
傀儡兵を“なぎ払った”。
「!」
アリサは、飛び上がった高度のまま、その場でバリアジャケットのスニーカーにオレン
ジ色の光の翼を纏わせ、静止する。
『Protection, Dual exercise』
アリサがレイジングハートを前に突き出すと、その切っ先の前に、二重のオレンジ色の
シールドが、発生する。
ドンッ!
ロケット迫撃弾がその行く手を遮られ、爆発して、霧散した。
「イージス、カートリッジロード!」
『O.K. Load Cartridge』
ドンッ、ガシャッ
イージスの前面上端部のスライド部が動き、空カートリッジが排莢される。余剰圧排気
口も同時に露わになるが、放出はない。
『Axel Shooter』
イージスの射撃端子から、緑色の、誘導可能な魔力弾が発射された。
シュルルルルルルッ
A.M.F.と接触し、減衰、弾速を削がれながら、もう1体の傀儡兵に向かう。
『Ray Lance, Multi shot』
「Burst Shoot」
レイジングハートから、青白い魔力弾が、6発、同時にではなく、僅かに間をおきなが
ら、発射された。
弾速の遅いアクセルシューターの後ろから、6発のレイ・ランスが迸り、数発が傀儡兵
を貫いた。
バチッ
関節から火花が散ったかと思うと、傀儡兵は動きを止め、その場に擱座した。
「!」
アリサとユーノは顔を見合わせてから、背後を振り返る。
しかし、その視界の先では、既にティアナのヴァリアブル・バレットが、2体目の傀儡
兵を撃ち抜いたところだった。
『Mission Complete』
音声が流れる。
ウェンディとティアナは、少し間の抜けたように辺りを見回すようにして、やがてアリ
サとユーノを振り返った。
「O.K.」
「クリアだよ」
アリサがサムズアップのポーズでウィンクし、ユーノが穏やかな口調で言った。
機動6課隊舎・フォワード小隊オフィスルーム。
「訓練、この程度なんですか?」
首にタオルをかけたまま、シャワールームから戻ってきたアリサに、ティアナが近づい
て、訊ねてきた。
「そうよー」
アリサはさらりと言いながら、第2小隊の並びの、小隊長席に腰掛ける。
「でも……」
「あんまり疲労の重なるようなこと、してもしょうがないじゃない? 待機任務中だって事、
忘れないでよ?」
非実体コンソールを呼び出しておいてから、苦笑気味の笑顔を、ティアナに向けた。
「それは……そうかも知れないですけど……」
なおも、ティアナは完全に納得したとは言えないような表情になる。
「個々の技とか使い方は、夜の訓練で教えてあげるわよ」
「は、はぁ……」
アリサがウィンクしながら言うと、ティアナも少し引き下がるように、表情から緊張を
抜いた。
「それに……」
アリサが言いかけたとき、
「馬鹿者!」
ドンッ
と、シグナムが怒声を上げ、拳で自分の机を叩いた。
アリサとティアナは、その怒声に一瞬、身を竦める。アリサは、渋く苦笑した。
シグナムの前には、ヴィータとスバルの姿。
「パック戦法で、ペアを無視してまっすぐ突っかかってくなど、愚策に過ぎることぐらい、
すぐにわかるだろうが!」
2人ペアの2組1個小隊でユニットとし、お互いフォローしあう戦術。ペアのファースト・
ビハインドの設定はあるものの、特に固定したポジションを決めるのではなく、離れず行
動して、互いの隙を補い合う方式。
日本では戦闘機の空中戦術として、『ロッテ・シュヴァルム戦術』と一般的に呼ばれて
いる。が、これはドイツ語が原語である。時空管理局では提唱者であるアリサがイギリス
人であるため(ただし、日本育ちの為U.S.イングリッシュ的だが)、パック・2on2と呼ん
でいた。
「け、けどよ、シグナム……」
「お前は特に論外だヴィータ」
言い訳しかけたヴィータの言葉を、シグナムは怒声で遮った。
出力設定B+で、小隊毎の2on2戦。
第1小隊は真っ先にヴィータとスバルが戦術無視で飛び出して、あっさりとA.M.F.の餌
食になった。
特に自身の質量が小さいヴィータは、近接戦を挑もうとして、グラーフアイゼンが纏う
魔力を打ち消されたら、白兵戦では戦いようがない。
スバルはヴィータよりはまだ良かったが、それでも回避と防御の防戦一方。
結局、本来近接寄りのシグナムが、ボーゲンフォルムを発動させ、A.M.F.破りの
『Feldkrach』を2発、そこへマギーがアクセルスティンガー、の力技で黙らせたのである。
「2人とも反省文だ。いいな」
苛立ったようにシグナムが言うと、
「はぁ〜い」
と、2人は気落ちしたような、しかしどこか不満そうな声を上げて、各々の席に戻って
いった。
シグナムは、自分の机の引き出しを開ける。
「バニングス、ちょっと付き合ってもらって良いか?」
「あ……」
アリサは声をかけられ、ティアナと視線を合わせてから、シグナムの方を向いた。
「ん、いいわよ」
そう言って、アリサは立ち上がる。
シグナムは答えを聞いてから、引き出しの中から『ゴールデンバット』を取り出し、自
分も立ち上がった。
2人は歩いてオフィスルームから出て行く。シグナムが乱暴にドアを開け、アリサが普
通に閉めた。
入れ替わりに、ユーノとウェンディが入ってきた。
「何があったっスか?」
不思議そうな顔をして、ウェンディが訊ねる。
ティアナは、それには答えず、第1小隊の机の並びに、向かった。
「どうしたのよスバル、アンタらしくないじゃない」
ティアナは、どこか困惑しつつ、心配そうに声をかけた。元々、スバルはややストレー
トすぎるきらいはあるものの、猪突猛進と言う程でもなかった。だが、6課に来てから、
少し様子が変だ。
「別に、ティアには関係ないよ」
スバルは、不機嫌そうに言ってから、光学キーボードを叩き始める。
「スバル……」
困惑気な表情で、ティアナはスバルを見つめる。だが、スバルはその視線に気付きもし
ないかのように、作業を続けた。
ウェンディはマギーに視線を向けた。マギーはそれを見ると、ふぅ、とため息をついた。
『Entzunden』
胸元のレヴァンティンが、待機状態のまま、そう告げると、口元を覆うようにしたシグ
ナムの手のひらの中で、ボッ、と火が起こる。シグナムの口にくわえられた『ゴールデン
バット』の先端に、ジジ、と火がついた。
一度、ゆっくりと吸い込み、旨そうに紫煙を燻らせてから、シグナムは視線を、アリサ
に向けた。
「どう思う、バニングス」
「何がよ?」
テーブルと椅子の並ぶ休憩室。アリサは自分の前に、備え付けの空気清浄機を置いて、
シグナムの方に向けつつ、清涼飲料水の缶を開けながら、聞き返した。
「あの2人だ」
「うーん、私も正直、2人の事あまり良く知らないからなぁ」
シグナムに再度訊ねられ、アリサは難しい表情をする。
ヴィータにしてもスバルにしても、アリサは人づて以上の人格を知らない。
「ごくごく個人的にはあんまり良い印象じゃないけど、ヴィータの場合は事情があるし、
スバルも……なんか、なのはやフェイトから聞いてた人柄とは違うのよね」
アリサはそう言って、缶飲料を煽ってから、空気清浄機にもたれかかる。
「ただ、シグナムが苛立つのは判るわよ」
そう言って、アリサは視線をシグナムに向ける。
「今は模擬弾だから良いけど、このまま実戦に出したら、そのうちマギーが参っちゃうわ」
「そう言うことだ」
アリサの言葉に、シグナムはそれを肯定した。
アクセルスティンガーと言えば、汎用射撃魔法の延長線ではあるが、本来は、なのはと
L4Uが、そのキャパシティとオーバーロード耐性に頼って使い始めた大出力射撃である。
カートリッジの補助があるとは言え、魔力ではなのは“よりは”ずっと小さいマギーが、
A.M.F.影響下で、それも急機動やシールドで2人を退かしながら乱射していては、それを
支える身体の方が持たない。
「まぁマギーには後でA.M.F.破り教えて、それで当分は誤魔化し効くかしらね」
アリサは、口元に指を当てながら、言う。
シグナムは、それを聞きながら、深くタバコを吹かしたあと、
「その間に根本的に2人を矯正するか、あるいは……」
と、言いかけ、しかし、それはけたたましい音に、遮られた。
ビーッ、ビーッ、ビーッ、ビーッ……
突然、2人の視界を、明滅する赤が満たす。
状況表示モニターに、赤い警告表示が踊った。
「状況!」
シグナムは、灰皿でタバコを揉み消しながら、その場で怒鳴る。すると非実体モニター
が2人の前に現れ、そのモニターに、通信士のシャリオ・フィニーノ一士の姿が、映し出
された。
『北部臨海地区第3区画で、ロストロギア輸送車強奪事件が発生しました。搭載物は、レ
リックとのことです』
「早速お出ましか、こんな時に」
シグナムは、苛立ったように言う。
「ヘリポート!」
今度はアリサが声を上げる。
『いつでもいけますぜ』
モニターの画面が切り替わり、ヴァイス・グランセニック一等陸曹が、軽い口調で言う。
その傍ら、やや後ろに、ディエチ・ロウラン二等曹官が控える。
「んー…………」
アリサは、少し逡巡してから、
「ごめん、ヴァイス」
と、申し訳なさそうに、言った。
「ディエチ、JFM165の方は出せる?」
アリサが訊ねると、向こうのカメラの視点が、ヴァイスからディエチの正面に変わった。
『こっちも、いつでも大丈夫』
「よし、それじゃあお願いするわ」
バタバタバタバタ……
機動6課隊舎・屋上。
交差双ローターのJFM165は、双テイルブームの中央から、アリサが『Corydoras』(コリ
ドラス=ナマズ科の熱帯魚)と呼ぶ腹部カーゴルームのランプゲートを解放して、アイドリ
ングしている。
「小隊集合!」
シグナムが言い、目前にスバルとマギーが横に並んだ。シグナムの傍らに、ヴィータが、
憮然とした表情で、控える。
「既に情報は受け取っているかと思うが、管理局のロストロギア輸送車が何者かによって
強奪、現在犯人がそれを盾に篭城している。我々の目標は、この輸送車の搭載物となる。
言うまでもないかもしれないが、この搭載物は、レリックだ」
険しい表情で、シグナムが言う。スバルとマギーは、ゴクリと喉を鳴らした。
「えっと、第1小隊だけ……ですか?」
スバルは、少し困惑気な顔をして、シグナムに訊ねた。
「第2小隊は、また別の行動を取っている。我々は我々の為すべき事をこなす。不満か?」
シグナムはそう言って、最後に、睨むようにスバルを見た。
「いえっ、とんでもありませんっ」
スバルは直立不動の体勢で言うが、どこか自棄的なニュアンスを感じさせる。
シグナムは、はぁ、と、軽くため息をついてから、
「よろしい。総員搭乗」
と、言い、真っ先に踵を返し、ヘリのカーゴルームに上がりこんだ。
スバル、マギーが乗り込み、最後にヴィータが乗り込んだ。
「出しますよ」
どこかヌボ〜っとした感じの表情で、ディエチが静かに言った。
「頼む」
操縦席のすぐ背後に来ていたシグナムが、そう答えた。
ランプゲートを閉じると、ローターの回転数が上がり、JFM165中型輸送ヘリは、6課隊
舎の屋上へリポートを離れる。
「目標は現在、首都北部臨海地区第3区画1丁目33番地に存在する」
カーゴルームで、シグナムが説明を始める。非実体モニターが現れ、区画のロードマッ
プを表示。さらに拡大表示になる。
「建造物は廃ビル。周囲は陸士隊が封鎖しているが、2軒離れれば民間のオフィスビルや
マンションだ」
さらにPnPウィンドゥが開くと、マップがその小画面に移動し、鉄筋にあちこちヒビの
入った廃ビルが映し出される。
「現場(げんじょう)では私とヴィータ副隊長が空中より先発。降下後はナカジマは私、ア
ルピーノはヴィータを補佐。以上。質問は?」
「ありません」
シグナムが2人を一瞥すると、スバルとマギーは、揃って答える。
「よし」
シグナムは深く頷いた。
「ああそれと、ナカジマ二士はこれを」
それから、シグナムは、チェーンのネックレスのついた銀色のメタルカードを取り出し、
それをスバルに渡す。
「……これは?」
スバルは、キョトンとしてそれを受け取りつつ、シグナムに視線を向けて、訊ねる。
「カードそのものは補助ストレージシステム、中身は……起動させてみろ」
「あ、はい」
シグナムに言われ、スバルはそれを握り、中の術式を起動させる。
スバルの身体を、澄んだ青色をした光の、垂直魔法陣のリングが囲む。光を伴って、制
服が、別の衣装の服へと変化していく。
「バリアジャケット……?」
アウター系のタンクトップに半ズボン。その上にショートジャケットと、前の開いた巻
きスカート。
アクティブな感じを前面に押し出しているが、城ベースに青いアクセント、ちょうちん
袖など、どこかなのはのバリアジャケットを髣髴とさせるデザイン。
「本格的なデバイスが用意されるまでのつなぎだが、ないよりはずっとマシのはずだ」
「あ……は、はい、ありがとうございます」
シグナムの言葉に、スバルは少し戸惑ったような、興奮したような声を出す。
「シグナム隊長、あと2分で予定地点です」
コクピットのディエチが、カーゴルームを振り返り、そう言った。
「判った」
シグナムは、ディエチを振り返って返事をしてから、顔をカーゴルーム内に戻した。
「いくぞヴィータ」
「おぅ」
ヴィータは、静かに返事をする。
ランプゲートを開放させると、既に騎士甲冑姿のシグナムとヴィータは、一瞬、ヘリか
ら取り残されるように、その後ろに躍り出て、加速し、ヘリを追い越す。
「ふむ、やはり居るか」
シグナムは、既に視界の中にあるビルを睨む。その屋上に、2体の、メカニカルなデザ
インの傀儡兵がいるのを見た。
「スカリエッティ型とは若干違うようだが……」
無骨で鈍重そうではあるが、以前のスカリエッティ型傀儡兵の不恰好さがややそがれ、
洗練されたようにも見える。
「ヴィータ」
「わぁってるよ!」
シグナムの呼びかけに答えると、ヴィータは一旦減速しつつ、ピンポン球大の鉄球を取
り出し、それを自分の前に浮かべる。
「アイゼン!」
『Schwalbefliegen』
その鉄球を、次々にグラーフアイゼンで打ち付け、魔力弾に変換して撃ち出す。
弾道に若干の捻りを加えつつ、発射された5発の魔力弾は、狙い過たず2体の傀儡兵に殺
到する。
シュルルルルルルッ
A.M.F.の干渉を受けて魔力が減衰する。だが、鉄球という実体を持つその弾丸は、弾速
を殺されることなく、命中した。
各々1発目は凌いだが、2発目で体勢を崩し、3発目が命中した1体は、装甲が弾けるよう
に外れ、そのまま擱座した。
だが、もう1体は完全に機能停止していない。背中に備えたランチャーから、ロケット
迫撃弾を前に倒し、ヴィータに向ける。
「ちっ、ってうわぁっ!?」
ヴィータはシールドを準備し、ロケット弾に備えるが、次の瞬間、驚愕の声を上げた。
わらわらわらわら……と、ビルの中から、同型の傀儡兵が多数、出現したのである。
もっとも、ロケットランチャーを装備機の数は多くないようだった。
『Schutzfeld』
ヴィータのシールドが、ロケット迫撃弾を防ぐ。命中するなり、小爆発を起こして、弾
辺を辺りに撒き散らすが、全てシールドに防がれた。
『シグナム隊長、出ます』
念話越しに、マギーの言葉が、シグナムに響く。
『判った。支援を頼む。ヴィータと離れるな』
『了解』
シグナムからの返答を受けると、
「ごめん、先行ってるわね、スバル」
と、言って、バリアジャケットを展開し、WS-Fを両手で握った。
「えっ、あ、ちょっと……」
戸惑うように、反射的に手を伸ばしたスバルが声を出すが早いか、マギーはシグナムや
ヴィータと同じように、飛行魔法で浮かび上がりながら、ヘリのランプゲートから身を躍
らせるように空中に飛び出す。
「あ……」
スバルは、困惑した表情のまま、相手のいなくなった手を、そっと握った。
ドンッ
WS-FのCVK-896Bカートリッジシステムが1発撃発させ、空カートリッジが排莢され、ベ
ルトを構成するメタルリンクとともに落下していく。
『Stinger Blade, Clash mode』
飛行する周囲に、複数の、紫色の光の魔力スフィアが生じる。
『Execution shift』
集束した魔力スフィアが、剣を模って、次々に発射される。傀儡兵の集まる屋上に殺到
した。
ウォオォォォォォン……
A.M.F.に乱され、周囲に陽炎を幻視させながら、魔力の剣は次々に消えていく。それで
も、数発は屋上に着弾し、数体が擱座した。
だが、焼け石に水の感は拭えない。
「レヴァンティン!」
『Ja!Patronenlast』
ドンッ!
レヴァンティンが、カートリッジを撃発させる。
『Schlangeform』
レヴァンティンの刀身が分割され、蛇龍の剣と化した。
「飛龍・一閃!」
『Drachenleichter Schlag』
炎を纏った蛇龍の剣が、傀儡兵を薙ぎ払う。
A.M.F.に炎が減衰させられるが、勢いは削がれず、刈り取るように、複数の傀儡兵が動
きを止める。
「シグナム! 今からそんな大技使っちまって良いのかよ」
ヴィータが、マギーを伴いつつシグナムの傍らに寄って、そう言った。
「やむを得まい、数を減らさないことには、ナカジマを降下させることも出来ん」
シグナムが答えると、ヴィータは忌々しそうにビルを見下ろして、ちっ、と舌打ちをし
た。
「ずいぶん派手にやってるみたいねぇ」
隙間から聞こえてくる爆発音と衝撃に、アリサは呆れたように言いながら、そっと、マ
ンホールの蓋を、その下側から持ち上げる。
隙間からぐるりと周囲を見渡した後、蓋をずらし、完全に開ける。
「行くわよ」
そう言ってマンホールの外に上がる。廃ビルのホールになっているそこに、陸士総隊が
使用しているシングルタイヤ6輪の輸送トラックが見えた。
「上でシグナム達が騒ぎ起こしてくれてるとは言え、無防備ってのも変な話ね」
周囲に気を配りながら、アリサは言う。
「よっぽど間抜けがあたったんスかね」
ウェンディが、そう軽口を叩きながら、ティアナとともに上に上がってきた。
ティアナもまた、首からメタルカードの補助ストレージを下げ、バリアジャケットに身
を包んでいる。それは、スバルに与えられたそれに似た意匠だが、水色のインナースーツ
に白いミニスカートと、アリサのものを意識したデザインになっている。
最後に、ユーノがフロアに上がる。
その時。
「Sulla Detonazione」
少女の声が、しかし、低く、聞こえてきた。
ドカドカドカドカドカドカ!!
無数の爆発が、4人を包み、そこをを灼(や)き尽くした。
>>285-295 今回は以上です。
フェイトとなのはの出番がまったくNEEE…………
ところで最近、IMEが「〜っス」「なんスね」を自動的に変換するようになったのですが……
リアルタイムG・J!
>ところで最近、IMEが「〜っス」「なんスね」を自動的に変換するようになったのですが……
うらやましいようなそうでもないような・・・
スカリエッティ「ロストロギアと納豆を組み合わせる事で永遠の命を持った納豆を作ったつもりだった…」
ユーノ「つもりだった?」
ミッドチルダを襲う納豆モンスターの驚異!
ユーノ「ロストロギアに納豆を組み込んだだけじゃない…なのはの細胞まで!それが貴方の言う科学ですか!」
モンスターの襲撃を受け、次々と納豆漬けにされていくフェイト達…
フェイト「ネチャネチャで臭くて…こんなの嫌ぁぁぁぁぁっ!!」
はやて「あぁ…こんなのあかん…納豆まみれなんて…(ガクッ)」
仲間達の仇を取る為、なのはは一人モンスターに立ち向かう!
ゴメン、ゴ○ラvsビ○ランテ見ながらウトウトしたせいか、こんな夢を見てしまった。
まぁ、最近は空前の納豆ブームだし、かまわないよね?
(次の瞬間、彼は謎の落雷や砲撃魔法に撃たれ、黒焦げとなった)
>>296GJ!
スバルに…ヴィータも問題ありですか。シグナムの胃に穴が空く日も近いかww
>>298 なにこのとんでもデザートww
シリアスな空気が一瞬で消し飛んだw
シャマル「こんなのただ納豆くさいだけよはやてちゃん。むしろいい香りだわ♪」
>>298 なるほど、その数年後に宇宙に飛び散った納豆モンスターの細胞から生まれたスペースなのはが
ミッドに襲来するわけか。
いかん、この次の話でなのはさんがメルトダウン起こしてしまう。
>>296 GJでした。怒られているとはいえやっぱヴィータは強いですね。
というか、シグナムタバコ吸ってたんだ。
>>299 そりゃシャマルさんのアソコは強烈なチーズの匂いですもんね!
>>296 乙
>>299 シグナムが医務室の常連になる日も近い
>>298 >なのはの細胞
T-ウィルスはG-ウィルスよりも危険ということですね
分かります
304 :
246:2008/03/09(日) 23:29:49 ID:IRN3gch+
お久しぶりです。現在進行形frちょっと仕事がヤバい状況の為、投下が遅くなっていました。
続き、見直して0時すぎくらい投下しようかと思いますがいいでしょうか?
>>302
てめえっ! シャマルさんになんて事言いやがる!!
>>304 どうぞどうぞ。でも夜になってから一気に投下があがったな。
>>300 最後に暴走した“無指向性スターライトブレイカー”を、
ウ゛ィウ゛ィオが吸収して、聖王体に白いBJ姿になっているところで、
エンドというわけですね?
聖痕(なのはのキスマーク)はなのはキャラのノマカプと百合成分との鬩ぎ合いの結果だ
高町因子・・・なのはの遺伝思念・・・好きに呼べ・・・
>>306 だが、そのチーズ臭がいいと思う俺って一体・・・・・・
312 :
246:2008/03/10(月) 00:01:46 ID:IRN3gch+
では、投下させていただきます。
待っていただいてくれた方、遅くなり申し訳ありませんでした。
注意
・戦闘がメイン……だった筈です。
・血とか……今回は出ないかも。
では。
思い出すのはJS事件が終わったときの事。
メガーヌ・アルピーノの見舞いを兼ねて、彼女と話したときの事だ。
「こんにちわ。私、フェイト・テスタロッサ・ハラオウンって言うんだ」
「知ってる……エリオとキャロのお母さん」
「お、お母さんか……でも、あの子達はそう思ってくれてるのかなぁ」
ルーテシアの言葉に、僅かに身体のむず痒さと頬の熱さを感じながら、聞かずにはいられなかった。
今まで聞いたことが無かったのだ。不安になっていたわけじゃない。ただ母親にしろ優しい姉にしろ、二人が
自分の事を想っていてくれているのは知っている。だから不用意な好奇心で二人を困らせたくは無かった。
そんなフェイトの様子に、ルーテシアが僅かに首を傾げ母から視線を外した。どうしたの。そう同じように
首を傾げるフェイトに、常と同じ淡々とした声で言う。
「エリオとキャロはあなたの事をとても大切に思ってる。聞いても困らないと思う」
それが、まるで心を読んでいるかのようでフェイトは口を噤むしかなかった。
過酷な環境下、多少なりとも人の感情を伺っていたのだろう。だが、他人に感情を向けるほど自分の感情に
は愚鈍になる。対処しきれず、俯くだけになってしまう。それはどうやら彼女も同じだったらしい。
そのまま閉口し続けるフェイトに何も言わずルーテシアは母から視線を逸らしたままだ。
フェイトが様子を伺っても応えない。
ただ一言、
「わたしは……エリオやキャロみたいに、ちゃんと想ってくれるか分からない」
そう言って誰にも言わなかった不安を小さく吐き出すだけだ。
考えれば当然だろう。記憶にない母のぬくもり。正真正銘、目の前で眠っている人の娘である筈なのにその
人の温かさを知らない。それはとても寂しくて、寒くて身体が震えてしまうもの。
それを目の当たりにして初めて少女は悩んでいた。
そして彼女はそれを見て、抱きしめずにはいられなかった。
「大丈夫だよ。メガーヌさんは……あなたのお母さんはちゃんと覚えてる。それが少しだけの時間でも、ルー
テシアのお母さんだったんだから。覚えてない筈ないよ」
感じたことのない暖かさがそこにあった。
ぜストと違う、アギトとも違う、多分ずっと欲しかったもの。
その暖かさは耐え切れるものじゃなくて。まるで、母に抱きしめてもらっているようで。ルーテシアはしば
らく何も言えず涙に震えるだけだった。
フェイトはそんなルーテシアを抱きしめながらその紫色の髪を梳き、心の中でエリオとキャロに謝り彼女の
母になる事を諦めた。
それからどれくらい経った後だろう。目を赤く貼らしたルーテシアがフェイトから離れ、居心地が悪そうに
肩を竦めフェイトから視線を外す。
フェイトはやや頬を染め、もらい泣きして赤くなった目尻を拭いつつ病室の扉の前に立ち、ルーテシアが
フェイトの背中に声を投げたのは、そのすぐの事。
「ごめんなさい」
「何で謝るのかな? 泣いたって別にいいんだよ?」
「違う。あなたがここに来た理由。エリオとキャロと同じ」
「うん、そうだったんだけど……いらないかなって。ルーテシアにはお母さんがちゃんといるから」
その呟き嗤うフェイトの横顔は僅かも寂しそうではなく、寧ろ嬉しそうもの。
だからだろう。聞かずにはいられなかった。
何故彼女はここまで自分の為にしようとしてくれるのか。
何故自分の為に泣いてくれたのか。
エリオとキャロを傷つけて、それでも何故母親になろうとしてくれたのか。
「……あんまり、いい理由じゃないかもしれないけど。聞きたい?」
頷いたルーテシアに苦笑し、フェイトが時間を確認した。
後一時間弱。それくらいならはやて達に迷惑はかけないだろう。
「昔ね、ルーテシアとそっくりな女の子がいたんだ」
そして紡ぐのは過去の事。
「その子はね、とても強い女の子に助けられるまで、お母さんのためにって頑張ろうとしてたんだ」
一人の少女が見た、眩しいくらいに綺麗だった星の輝きだ。
魔法少女リリカルなのはStrikerS
―君に伝えたいただ一つの想い―
(13)
母と娘。その関係において、何故これほどまで重たい空気が流れるのだろうか。
交わらない視線。
片方はこの空気を変えようと涙ながらに言葉を発し続け、もう片方は相槌を打ちながらも、空模様を気にす
るだけ。
呼んでくれなくなった名前。反対に、聞くようになった名前。
ファリンの差し出した紅茶は既に冷え切り、波紋が一つ、涙と共に揺れていた。
「あの子何やってるのよっ……!? あんなに泣いてるのに……」
「あ、アリサちゃん駄目だよっ、二人にしてあげようよ」
アリサが物陰から飛び出そうとし、すずかがそれをなだめていた。
これがヴィヴィオの願いでなければすぐにでも。それが二人の表情からありありと伺えている。
「ま、ママ……ちゃんとご飯食べてた? なんか、痩せてる……」
「食べてるよ。でも関係ない」
「そう、だね……ごめんなさい」
会話なんかじゃない。片方がボールを投げ、もう片方がそれを受け取りその場に落とす。投げたほうはそれを
拾い、今度はちゃんと投げ返してくれるように近づいて。
だがもう限界だ。
もう何を話しかけていいのか分からない。さっきの食事の事なんて一番最初に聞いたことのはずなのに、言
うまで気付かなかったほど。そしてなのはは今だ気付いていない。いや、忘れているのだろう。
どうにか会話を探そうとヴィヴィオが窓の向こうに視線を向けた。だがなのはの頼みで開け放たれたカーテ
ンからから見える風景は何も変わらない。ただ土砂降りの雨と雷が光っているだけだ。
そして、雨のこと等もう何回も喋ったこと。今更口にしてもなのはの返す言葉は何も変わらない。
なのはと友達だと言うアリサに連れられ、なのはと再開して。既に後悔しかかっていた。
会いたいのは目の前の人じゃない。笑顔で優しい、でも怒ると厳しい大好きな人だ。そう、思ってしまいそ
うになる。
だがそれを出来るほどにはこの少女が娘となった時間は余りにも少なかった。そんな事を思ったら嫌われる。
ただその一言だけを頭の中に繰り返して耐えるだけだ。
長い沈黙だ。少なくとも、胸が抉られるような時間をヴィヴィオはなのはの前で過ごしていた。
見かねたアリサが飛び出し、すずかももう止めることはしない。だから二人一緒に飛び出して、
「すいませーん、高町なのははいねぇですかー?」
不意のその声を聞いたのだ。
最初に反応したなのはが裸足のまま窓から飛び出した。先ほどの沈黙など嘘のように一心不乱に。
「なぁ、なのは。逃げるならさ、最初からあんな事しないでくれよ。少しくらい追いかけるほうの身に
なってくれてもいいんじゃないか?」
けれど逃げられるはずも無く。
なのはは自分の目の前、見慣れた鉄槌を構える紅い騎士の名を呟くしか出来なかった。
「ヴィータちゃん……」
* * *
少女は強くなりたかった。
自分を助けてくれた人。その後に出来た家族と呼んだもの。ほんの少しでいい。自分を取り巻く優しい人た
ちを護りたかったのだ。
「キャロ、キャロは私が護るから。だからキャロはエリオ達を護ってあげて」
「……ルーちゃん」
そして、その少女に助けられた彼女は考えた。お礼がしたい。些細な、けれども大事なこと。自分に届けて
くれた想いに、どうしても応えたかったのだ。
機会は思いのほか簡単に訪れた。突然現れたクロノ・ハラオウンの一言に、迷う事無く彼女は頷いた。
そして、今。
あの時の想いに応える為、彼女はいる。
護ろうと決めた。あの時の優しさを。笑顔を。キャロが家族を護りたいと願う想いを。キャロを傷つける敵
がどれ程の力を持とうが関係ない。例え、この世界の全てが相手だとしても負けるつもりは無い。
この想いは、それほどまでに強固なものだ。
「ガリュー!」
故に主を護る召喚虫が加速する。主の命に従い、己が意思のまま主の願いを護る為に。その速度は高速。そ
れでいて尚も速度を増し、最早姿させ捉えることは叶わない。
シグナムには劣るだろうが、エリオの何歩も先にいる存在だ。連戦に続く連戦。体力は底をつき、感情のまま
起動させたライオットは秒刻みでフェイトの魔力を食いつぶそうとしている。
そんなフェイトにガリューの攻撃を防げるはずが無く。
「――――バルディッシュ」
だがそれでも受け止めたのは、護ると決めた者の為。彼女への道を阻む敵を討つためだ。
ガリューの攻撃を受け止めたバルディッシュのフレームが軋んでいる。それを押し返し、フェイトが一直線
にルーテシアへと飛翔する。
その動きを止めようとするのは、ルーテシアの召喚した無数のインゼクト。
だが止まらない。全身を傷つけながら自分へと向かうフェイトの姿に、ルーテシアが目を細め身構えた。
その姿にキャロが不安を覚えてしまうのはしょうがないこと。今のフェイトは忘れてしまっている。今のフェ
イトはなのはの為だと思うなら躊躇は無い。誰だって傷つけられるのだ。
そう誰だって。なのはの為だと言って、誰でも傷つける。例外なんていない。たとえそれが、あの人であっ
ても。本当に、忘れてしまっているのだから。
だから名前を呼んでしまう。背中に不安をぶつけてしまう。
それを。
「大丈夫」
それを彼女はその一言だけでかき消した。彼女らしいたどたどしい、感情の読みきれない声で。だが、優し
さに満ち溢れていると分かってしまう声で。
それはこの場にあるどんなものよりも頼もしい、キャロを笑顔で頷かせてしまう言葉だった。
「私はキャロを泣かせない。その為に来たから」
それが、母以外で始めて見つけたルーテシアの存在意義。
そして、それを叶えるのが彼の存在意義だから。
「ぐっ、こ、この――――」
フェイトの振り下ろすバルディッシュを受け止め、ガリューがフェイトを組み伏せる。バルディッシュを持
つ手を膝で押さえつけ、これ以上彼女が暴れることの無いように。
「どおぉぉ、けええぇぇぇぇぇ――――!!!」
だがそれで諦められるはずも無く、彼女は再びティアナの心を砕いたときと同じように空を走る雷を睨みつ
けていた。
その下、ガリューに組み伏せられている自身が傷を追うことも構わず――――いや、寧ろ更に自身を傷つけ
るかのように。
「が、ガリュー!」
「……キャロ、動いちゃ駄目」
「でもっ、ガリューが!」
キャロが叫び、エリオから離れようとするのをどうにか押さえ、ルーテシアが唇をグッと噛み締める。その
額に浮いた汗は、自身の戦える時間が限界に近くなってくるにつれ増えていく。
それを無視してルーテシアがガリューへと魔力を送り続けた。レリックの力が無い今白天王も地雷王も扱え
ない。この身が扱えるのは自分の意思で護ると伝えてくれたガリューだけ。
その彼に落雷が襲い掛かる。
フェイトは狂気じみた表情で落ちる雷を見つめ、その口元に笑みを灯す。
それを見ながらガリューは、フェイトを護るかのように覆いかぶさりその背中に雷の全てを受け耐えていた。
雷に身体が焼けるのを感じながら自身に内包される魔力で抗い、ルーテシアが送り続ける魔力をも使い全
力で。
「わたしはキャロを護るって決めたから。ガリューも頷いてくれたから。だからわたし達は誰も傷つけさせない」
キャロだけじゃない。
それ以外の何もかもを全て護る。
それが自分自身の手で許された、キャロ達に出来る最後の恩返しだから。
「あんたの負けやフェイトちゃん。ルーテシア、ガリュー、おおきにな」
そして全てを終わらせる為、夜天の王が舞い降りた。
* * *
強固な筈の壁がまるで紙の如く破壊されていく。防ぎきれない攻撃を幾度も受けた白のバリアジャケットを
所々を損傷し、泥に塗れていた。
なのはを見下ろすヴィータに躊躇は無く、迷いもない。だがその顔は今にも泣きそうなほど弱弱しく、握り
締め拳は震えていた。
「おい、そろそろ止めにしないと本気で怒るぞ」
もう、悔やむしかない。どんな顔で謝ればいいのか分からない。謝ってもきっと、許されないことだ。
スバルにエリオにティアナにキャロ。彼女の育てた四人だ。彼女の想いを受け継いだ四人だ。彼女が、護り
たいと心の底から願っていた四人だ。
それを護ることが出来なかった。彼女が一番想いを送り続けていた者の手で傷つけさせてしまった。
だからこれは、せめてもの償いだ。
「あたしから逃げられるなんて思うなよ。お前はここで止める。その後あの馬鹿をぶん殴る……それから、お
前達が一緒にいられるように、はやてに頼んでみる。それじゃ駄目か?」
これが最善だ。なのはの罪は軽くない。フェイトの罪も。その二人が一緒にいられるように、せめてここで
終わらせたい。終わらせて、罪をちゃんと償ってもう一度始めさせてやりたい。
――――なのに。
「いや……もう、フェイトちゃんと離れたくない」
「我がまま言うなよ……お前がそんなんじゃ、あいつだって困るだろ? それにヴィヴィオだって……待って
るんだ。母親なんだから、ちゃんとしろよ」
蹲るなのはを容赦なく雨が叩いている。ヴィータの身体も。そして、それを見ているヴィヴィオたちの身体も。
アリサに手を握られ、すずかに大丈夫だよ、と励まし続けられ、それでもヴィヴィオは泣いていた。
傷つく母に。何も出来ないでいる自分に。叶えられない願いに。
その為にも、こんな悪い夢は早く終わらせたい。そう、ヴィータが願う。
「フェイトちゃんと……一緒にいたい。もう、離れたくない……離れたくないの……」
「……そうかよ」
ヴィータ自身恋愛感情など持ったことは無いし、これからもそんなものが来るとは思っていない。はやての
騎士として再び命を宿し、仲間達と過ごした十年で精神的にも成長したがそれでも本質は何も変わらない。
だがそれでも、違うとはっきり言う事が出来る。なのはの一緒にいたいと思う気持ちは違う。ただ、怖がっ
ているだけだ。
震え、涙を流し、痛みに蹲り、それでもなのはが諦めないのは怖いから。
最初は不安だ。そして、心が傷ついたときに感じるのは痛みと辛さ。恐怖はその後にやってくる。再び訪れる
かもしれない痛みと辛さに、心は酷く臆病になってしまう。
「なんで……そんなに弱くなっちゃったんだよ」
その痛みは、彼女ですら耐えられないものだったのか。
歩くことが出来なくなり、飛ぶことはおろか命すら消えてしまうという最中、それでも諦めなかった彼女で
すらこれ程までになってしまうものなのか。
考えても分かるものではなく、だからはやてに拒絶される時を想像した。
「……っ」
あぁ、多分これは耐えられない。本当にそんな事があったら泣くかもしれない。無論そんな事ありえるはず
が無い事だが、だからこそ本当に来た時を考えると震えてしまう。
一人で耐えられるものじゃない。けれど、その時が来てしまったら突然独りになってしまうような矛盾。
辛いのは痛みじゃない。嫌われる事じゃない。一番想いを知って欲しい人の中から消えてしまう時だ。その
瞬間、誰が周りにいようとも独りになる。
誰も助ける事は出来ない。誰が手を差し伸べても取ることは出来ない。当たり前だ。いくら自分が癒されても、
その人の中からいなくなる事は変わらないから。
――――だから終わらせないといけない。こんなもの、早くなくしてやらないと壊れてしまう。
「なのは、大丈夫だ。テスタロッサはお前の傍にずっといるから」
せめてこの一言だけ届けばいい。後はいい。なのはが楽になればいい。
そして、彼女はグラーフアイゼンを振り上げた。抵抗できず見上げるだけのなのはに渾身を込めて。
「ダメェェェェ――――!!!」
その刹那。
娘は母を護る為、飛び出していた。
* * *
何のために護るのか。そう、はやては静かに言葉を紡ぐ。
「フェイトちゃん、覚えてるか分からないけど私は最初に言ったんよ? 私にも護らなきゃいけないものがあ
るって」
家族を護りたい。自分の設立した部隊、その全てを護りたい。そう、はやてがフェイトを射抜く視線に力を
込める。対するフェイトは現れたはやてに呆然と、沸き起こる敗北感をただ堪え言葉を失っていた。
全て遅すぎたのだ。ルーテシアははやてが来るまでの時間稼ぎ。全てを終わらせるのは目の前にいる、リィン
とその身を一つにしたはやての力だ。
「せやから、フェイトちゃん。こないな事もうやめや。フェイトちゃんも、ほんとは分かってる筈やろ?」
フェイトに嬲られ、駆けつけたシャマルと共に搬送されたエリオ達の姿は既に無く、フェイトの前に残った
のははやてとルーテシア、傷ついて尚立ち上がったガリュー。そして、全てを見届けると決めたキャロ。
最早勝ち目は無い。はやてが来る以前の問題だ。無駄なことに時間をとりすぎた。その後悔を無表情に隠し、
フェイトがバルディッシュを構え、はやてから距離を取る。
優先攻撃目標は変わらない。単身でまともに戦えないはやてなど相手にするだけ時間の無駄だ。ルーテシアを
倒し、はやてはその後にすればいい。
一人ずつ確実になのはの敵を減らしていく。それを実行する為、フェイトが己の身体に鞭を打った。
「そうやって、みんな傷つけようとして……いい加減間違いに気付けゆーんやこのアホ!」
どこで彼女は間違えてしまったのか。スバル達を傷つけ、彼女はまだ気付いていないと言うのだろうか。見
ていなかったはやてには分からない。分かることすら出来はしない。
その苛立ちに似た悲しみを魔力に込めた。フリードリヒとルーテシアが飛び、フェイトの壁になっている
間に、リィンと共にはやてがシュベルトクロイツを振り上げる。
「フェイトちゃん、大切な人の為になるなら……それが、誰かを傷つける事でも構わない……ええよ。それが
自分の決めたことなら、止められるの覚悟があるなら、やればいい……けど、フェイトちゃんのやってる事は
違うやろ!?」
「黙れ! はやてなんかには分からない! 誰もっ、なのはの事助けなかったくせに……!」
そうだ、誰もなのはを助けてはくれなかった。それが今更何を言おうとしているのか。
聞く必要の無いことだ。聞けば思い出してしまう。思い出したら、もうなのはを護ることが出来なくなる。
それだけは絶対にあってはならないことだから。
「私はなのはに誓った! 護るって……なのはの傷つける敵は全部斬るって……だからっ――――」
だから負けるわけにはいかない。ここで自分が倒れたらなのははどうなる。そう、フェイトが真っ直ぐには
やてへと向かった。
その先を言わせぬために。今、自分を愛してくれているなのはを護る為に。こんな自分の名前を呼び、信頼
してくれるなのはの為に。
握ったバルディッシュが軋んでいた。この戦いの中酷使し続けた為なのだろう。だがそれに構う事無くフェ
イトはバルディッシュを振り上げて。
「響け終焉の笛――――ラグナロク!」
全てを終わらせる為の光りを前に、闇雲に突っ込んでいった。
「な、なのはは私がっ――――」
何のために護るのか。
何のために、彼女を護ろうと誓っただろう。
「――――護るって、どんな事からも護るって!」
この剣は何のためにあったのか。
何を斬る為にあったものなのか。
「私が傷つけたからっ、壊しちゃったからっ!」
だから、せめて笑顔だけでも。自分に向けてくれる、あの笑顔だけでも護りたかった。それがどんなに変わ
り果ててしまっても、なのはの笑顔には代わりはないから。
なのに。
なのに何故だろう。涙が出てしまうのは。
何故だろう。思い出すなのはの笑顔。それが、今の彼女のものでないのだ何故だろう。
――――ほんとは、分かっているんでしょ?
頭の中に響く自分の声。
自分に良く似た声だ。
それを拒絶する言葉が、どこを探しても見つからない。
『――――』
そして、それを見た彼女の剣は何も言わず。
ただ、真に己の役目が来ることだけを願い眠りについた。
* * *
護りたい。そう少女は願っていた。子供らしく純粋に。一心不乱に。
だからこそ眼前に迫るグラーフアイゼンを睨みつける。子供の力では到底太刀打ちできない大きな力の塊を
前にして、ただ己の願うまま両手を広げ母の前に立つ。
少女へと向かうグラーフアイゼンの力は些かも衰えない。一度放たれた力だ。その前にヴィータの細腕はあ
まりにも無力すぎたのだ。
故にここから約一秒後。少女の身体は吹き飛ぶのだろう。聖王としての力がどこまで少女を護るのかは知ら
ないが、怪我はする。もしかしたら痛みに泣いてしまうのかもしれない。
その近い未来。それが彼女にはどうしても許容できなかった。全身が拒絶を訴え、心がどこか遠くで叫んで
いる。
「――――っ!!」
それの正体など考えられず、無我夢中だった。彼女はヴィヴィオを抱きしめ、鉄槌に背を向けて残った力全
てを桜色のバリアに注ぎ込む。
バリアと鉄槌が僅かに拮抗し、だが耐え切れずバリアが砕かれると同時、彼女はヴィヴィオと共に地面を転
がった。
立ち上がることも出来ず、痛みに悲鳴を上げることも出来ず、それでも母はただ娘を護るように抱きしめる。
「ま……ま……?」
「だいじょう、ぶ? どこも……怪我してない……?」
分からない。
「大丈夫、大丈夫だからっ」
「良かった。じゃあ、ママね行かないと行けないところがあるの……だから、いい子で待ってて欲しいんだ」
何故、こんな事を言っているのだろう。
何故、自分はヴィヴィオを護って痛みを堪えているのだろう。
何度も振り返りながらアリサたちに連れて行かれる小さな背中を見つめ、やっとの事で浮かんだ疑問から逃
げられない。
地面に膝をつけたまま呆然と、何故か止まることのない涙を流し続けるだけ。
「なんだよ……全然、おかしくもねぇだろ! 何で泣いてるんだよっ! お前がヴィヴィオを護った! そ
れが、何で泣くようなことなんだよっ!?」
「そんなの……分からないよ……私は、知らないよ……」
堪えていたものを吐き出すヴィータに構わず、自分の言葉に軋んだ心を押さえつけるようになのはが胸に手
を当てる。そこからズキン、と顔を歪ませる程の痛みが広がり、知らず彼女の名前を呟いていた。
それで分かってしまう。
思い出してしまう。
まだ自分には、こんなものが残っていたんだ、と。
ひび割れ、壊れてしまったと思っていたものが残っていたのだ。それがヴィヴィオを護ったのだろう。それ
が泣いているから、この涙は止まらないのだろう。
自分には分からない想い。分からなくなってしまったものがそこにあった。
「……何でかなぁ……ヴィータちゃん、私……なんでこんな風になっちゃったのかなぁ……」
色々なものが変わってしまった。
護りたかったものも。護らなくちゃいけなかったものも。責任もそれ以外の何もかもも、全てあの時壊れて
しまった。臆病になってしまった。
あの時の自分を見下ろすフェイトの冷たい表情。拒絶の言葉。自分に怯えた瞳。
思い出しただけで震えてしまう。嗚咽が止まらない。心が確かじゃなくなってしまう。
元に戻りたい。もう一度ヴィヴィオを抱きしめたい。
でもそれは違う。間違えたら駄目だ。自分が叶えたいのはただ一つ。届けたいのは今も尚胸にある想いだけ。
「私は……フェイトちゃんが好きだから」
歪になってしまった、けれど初めて出会ったときから変わったの事の無い彼女への想いだけだ。
今はただフェイトといたい。ヴィヴィオじゃない。他の誰でもない。フェイトと一緒にいたい。人形でもい
い。本当に好きになってくれなくてもいい。それが罪悪感から来たものであっても構わない。
だから迷う事など必要ない。これを使うことに、躊躇などありはしない。
「ジュエルシード」
大気が震える。それと同時地面がゆれ、足元がおぼつかなくなっていく。
その願いを阻むことなど出来るはずも無くヴィータは俯き、ただ一度なのはの名を呟くだけ。
そしてなのはの握ったジュエルシードが眩い光りを放ち、彼女の願いに呼応した。
――――叶えるは、純粋すぎた願い。与えるは、願いを叶える力だ。
「私は何も要らない。もう一瞬でいい。フェイトちゃんの傍にいたい。すぐ近くで、誰よりも近くで……また
名前を呼んで欲しい」
代償は時間。失うはその想いに見合う時間。叶える願いに見合う未来。それを彼女は頷き一つで了承した。
未来なんていらない。命なんてなくていい。死んで彼女の傍にいられるのなら、自分は笑って命をささげよう。
欲しいのは唯一つ。誰よりも彼女の傍にいるという証だから。
「ねぇ、ヴィータちゃん……私の邪魔する?」
星の光が堕ちていく。ただ一人のため、たった一つの願いを叶える為流れていく。
その身を燃やし尽くそうと死ながらも、それでも星は止まらない。
もし邪魔をするならば。
この道の前に立つならば。
この手に握った不屈の心、それが全てを打ち砕く。
今も昔もこれからも。この星はいつもそうやって想いを伝えてきたのだから。
* * *
「――――無理だったか」
モニター越し、海鳴市で観測された次元震の波長を見つめ、クロノは呟いた。
恐らくヴィータに勝ち目は無いだろう。ジュエルシードの力は今、なのはの手元で輝き続けている。その力
はリミッターの無いなのはと同等かそれ以上。
隣のモニターに映るのは荒い息を吐き出すはやての姿だ。ラグナロクにより消耗した魔力は膨大。それがす
ぐに回復するとは思えない。
実質、機動六課の戦力は一つもなくなった。
「シャーリー、武装隊の用意を」
「……了解」
クロノの傍らに立っていた彼女にそれに逆らう言葉は無く、なのはの元へ武装隊が到着するのはあと僅かと
いうところ。
遅すぎた判断がクロノの胸を締め付けている。まるで呼吸が出来なくなるような圧迫感を責任という二文字で
押さえ込み、回線の開きっぱなしだったウインドウへ小さく謝罪した。
『いいよ。君は自分がやる事をやればいい。僕もそのつもりだ』
その声は普段の情けない声とは程遠い、硬い意思が込められている。キッとクロノを見る目つきは普段の様
子とは違い、敵意に近いものを露にしていた。
「ユーノ、何をするつもりなんだ?」
『別に何も。ただ、約束を反故にしたくないだけさ』
通信は切られ、艦長室が再び静寂に包まれる。残ったのは義妹への謝罪の言葉を捜す兄のため息だ。
そして、それをかき消すのはミッドチルダを覆っている雨と雷。クラウディアからは聞えない、だがこの場
にいても分かってしまう強い魔力を持った雷。
「あなたは、何をするつもりだ? またあの子を苦しめるつもりなのか?」
答えは無い。当たり前だろう。既に彼女は十年前に眠りについた。だがそれに反し、クロノが感じているの
は十年前と些かも変わらない強大な魔力だ。
それがあるから聞かずにはいられない。落ち着かない様子でクロノが立ち上がり、何も無い空間に向け睨み、
名前を紡ぐ。
「答えてくれ、プレシア・テスタロッサ」
ミッドチルダを、紫の雷が覆っていた。
323 :
246:2008/03/10(月) 00:16:16 ID:eZmkthLF
以上です。ありがとうございました。
とりあえず今作最大戦力投下です。この話のタイトル、なのはさんとフェイトさんの事だけではありません。
ルー、この活躍で少しは罪が軽くなるといいですねぇ……。
そして実は無傷の犬。彼が活躍することはありません。
なのはさんのリミッターは邪魔になったのでジュエルシードで都合よくさよならです。
ではまた次回……は、出来るだけ早めに投下したいと思います。
>>323 246氏イキテタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
しかし皆辛いなぁ…いや、そこがまた魅力なのか。
何かヴィータがいいな。何つーか脇役なのに輝いている。
GgggggJでした!!
リアルGJ!
もうみんな悲しすぎる辛すぎる。ルーがいなかったら鬱すぎて気持ちがマイナスまで落っこちそうでした。
でもって、なんかもうまったく懲りてないなのはさんを止める人はいるのか? もう恋の病とか罪悪感とか
一人ぼっちへの恐怖とか抜きにして、振り上げた拳を下ろせない子ども(あ、昔のアリサみたい)に見えたのは僕だけでしょうか?
しかも、ラスト2行目で何かとんでもない単語が出たような・・・・・まさかまさか、ここに来てあのお方が降臨とか?
頼むからこれ以上事態をややこしくさせずに虚数空間の底で愛娘とイチャついていてくれ!!
>>323 ぐーーーーーーーっじょぶ!
何というか、リリカルだったぜ…
戦い合う双方ともに、いや全てのキャラに感情移入できちゃうっつーか
ルーキャロが2期1話のなのフェみたいでかっこいいな!
個人的に、なのフェネタだと不遇になりがちな淫獣にも
しっかり見せ場を作ってくれそうなところも嬉しいっす
GJした。いや、325じゃないけど本当になのはもフェイトもだだこねてる子供にしか
見えないよな、これ……で、自分の思い通りにならないから他を壊すとか。フェイトなんかは
菜の葉を一番傷つけてるのが自分だって分かっていながら……こいつら本当に
正気に戻るんだろうか。ところで、無傷の犬って誰。無駄目クロノ?
>>327 アルフでは?
魔力供給を遮断されて現在進行形で消えかけている。そのせいで現場に出れず無傷。
本来なら、一番最初に飛び出して説得するか寝返るかのポジションにいるのに。
>>328 彼って言ってるからザッフィの方じゃね?
>>323 蝶乙っす。
相変わらず心理描写が神がかってますね。
>>328 烈火=ザンバー喰らって入院中。
鉄槌=なのはとタイマン中
湖=今回描写されてます
蒼き守護獣=・・・あれ、何処?
なので『ザフィーラ』
つか、マジで描写されて無いんですがwww
俺もザフィかと思った
GgggggggJ!!!!
待ってました!
待ってましたよ!
毎度毎度素晴らしいですね。
人間の暗い、脆い部分が描かれてる話は大好きです
病んでいても、なのはやフェイトは相も変わらず真っ直ぐですね
六課の面々もだけど
熱いっす!熱過ぎるっす!そこに痺れる憧れるぅ!
次回wktkっで待ってます
というか、教導隊員がこんなことしでかしたら他の教導隊員がまとめて動きそうだよな。
それと、最後のユーノは何するつもりだ?
334 :
246:2008/03/10(月) 00:47:32 ID:eZmkthLF
すいません。犬はザフィです。246が犬と言うのは今も昔もこれからも彼だけです。
アルフは……実は人数調整だったりですが、最期に出番をつくるつもりだったりなかったり……。
>>323 GJ!なのは、フェイトどちらの側の話にも惹き込まれました
個人的に今回のヴィータにかなり心動かされた…良いなあ、ヴィータ
壊れかけている二人がどこに向かうのか、次回も楽しみにさせて頂きます
っと、
>>333ですが、申し訳ない。肝心のGJを忘れていた。
ここでGJさせていただきます。
突然だけど、最近ウェンディLOVEになってしまった俺はもうだめだと思う
>>337
ウェンディか‥‥‥そういえばウェンディメインのエロってあったっけ? 無かったら書いてみたいかも。
246氏GJGJGJGJGJGJGJ!!!
分かってる…なのはとフェイトは間違ってるかもしれない
でもどうしても応援してしまう
どうか、誰も知らないどこか遠くで幸せに暮らしてほしい…
あぁ、でも罪は罪だもんなぁ
いやいや、やっぱりそれでも幸せを感じてほしい
>>338さらっと保管庫みた感じだとないな…
あなた様が書いてくれるか、ザ・シガー氏のソープ待ちなんだぜ。
このレスをザ・シガー氏が見てくれたなら、頼みます、ウェンディにエロを!
341 :
B・A:2008/03/10(月) 01:29:37 ID:e25gAf1S
不謹慎だけど、これを読んでいるとまたエリオを苦しめたくなるなぁ・・・・嘘です。いや、嘘というかネタがねぇっす。
それはさておき、目下構想中のSSがstsから5年後設定で捏造ややありでエリオが諸事情から陸士隊所属でクラナガン在住に
なるんですけど、これってスレ的にどうなんでしょう?
四期というほど大層なものでなし、既存のSSとも繋がりがない独立した話なんで、一応伺っておこうかと。
後、セッテって隊舎襲撃以外ではどこで喋ってますか?
342 :
名無しさん@ピンキー:2008/03/10(月) 01:30:25 ID:iZJQKFwT
ごめん、本人だった。
そうか、あなたはソープ・ナンバーズでウェンディのエロをご所望か。
しかしウェンディでネタがすぐに浮かばないな、セインとかぶりそうだし。
ともかく何か考えてみます、何かリクエスト及び良いアイディアあったら教えてください。
>>341 多少なりとも説得力のある説明が入ってれば捏造改変どんと来いですな。
>>341 俺も全然ありだと思いますぜ
貴兄の今までの素晴らしき作品から考えるに
捏造入ってもちゃんと説得力あるんじゃないかと思うし
346 :
B・A:2008/03/10(月) 01:53:13 ID:e25gAf1S
>>344 >>345 そう言って頂けると幸いです。
まあ、理由なんて○のためで片付いてしまうのですが、できるだけ説得力を持たせるよう頑張ってみます。
>>323 GJ!!!
最高だよ! 246氏最高だよ!
ここまでツボにドンピシャの作品初めてだよ!!
個人的に冬コミで買ったどの小説よりも246氏の文が好きっス!
>>323 ガリュー強過ぎと思った物の、あれはあれで良い。
349 :
44-256:2008/03/10(月) 06:38:52 ID:exxQQ/AL
>>323 GJです!!
今回はルーテシアのおかげで鬱展開が少しはやわらいだ感がありますね。
毎回思いますが、こういう展開が苦手でも物語に引き込まれていく自分がいます。
今の時間ならあんまり迷惑かからなそうなので投下します。
・非エロです。
・はやて×ゲンヤですが、恋愛描写はあまりありません。
・時系列はJS事件解決から3ヵ月後の秋。
・オリキャラが1名出てきます。過去にゲンヤが逮捕して更正した人間です。
・ハッピーエンドで終わらすつもりです。
・オリキャラがダメな方、魔導師と一般人の強さ補正が気になる方
スルーしてください。
追っ手が2人やられたことから魔導師たちはゲンヤを「ただの脆弱な非魔導師」
という認識をあらためより集団で探索を行っていた。
そんな魔導師らをいきなり鉄砲水が襲った。
「へっ、ざまあみやがれ」
水路の上には備え付けのレンチで水量調節のパネルをいじるゲンヤがいた。
魔導師はこの鉄砲水に飲み込まれてくれるだろうと思っていたが。
「ありっ?」
水は全てプロテクションで防がれていた。
(そりゃそうだよな、こんな小手先、魔導師相手に効くわけねーよな・・・)
そんな事をゲンヤは考えていると、魔導師たちはプロテクションを解除し、デバイスをゲンヤに向けた。
無数のシューターがゲンヤめがけてとんでくる。
「のわっ!?」
ゲンヤはシューターを扉を通路の閉めかわしながら通路を奥の方へ逃げた。
配管や曲がり角が多いこのエリアは、ゲンヤにとっては好都合であった。
多くの弾が誘導しきれず管や柱、水路の壁、またゲンヤの操作によって閉じられた扉に当たっていく。
そうして魔導師たちが閉じた扉を破壊している間にゲンヤは廊下に埋め込まれている柱のボルトを
レンチでゆるめていった。
ゲンヤが逃げた通路の奥には地下水路の水を一気に集める集水室があった。
内部は落差工という人口の滝がたくさん集まっている。
底は非常に深く、その落差工を一気に見ることができる管理橋の上にゲンヤは追い詰められた。
しかしゲンヤ奥にたって身じろぎもしない。代わりに数を数え始めた。
「5・・・4・・・3・・・2・・・1」
「天国に行くカウントダウンか?」
そう魔導師たちは行って嘲ったが、ゲンヤもニヤッと笑いこういった。
「いや、お前らが地獄に落ちるまでのカウントダウンさ」
そういいながら、ゲンヤは後ろにある調整器のスイッチをたたく、即座に警告音が鳴り魔導師達の上に
落差工の水が降ってきた。
もちろんこれらもただの水である。プロテクションで軽く防がれたが、魔導師たちの乗っている足場が
『ミシミシ・・・ガコン!!』と悲鳴を上げた。
落ちてくる水の衝撃に耐え切れず床が抜けたのだ。
管理橋は周囲の柱や管により支えられていたが、ゲンヤは相手のシューター集水室の周囲を支える柱に
当たるようにわざと誘導しながら逃げたり、ボルトをゆるめたりしていたのだ。
床が抜ける直前にゲンヤは自分の真上にある配管にしがみついた。
しかし、魔導師らの方は防御に集中していたため、気づいたときには時すでに遅く、防御魔法
を展開したまま落ちていった。
配管にぶらさがりながら底の見えない穴を見てゲンヤははき捨てた。
「安心しろ、クソったれども。BJはそんなやわじゃねぇ。もっとも、1日は足腰たたないだろうけどな」
集水室手前の吹き抜け。崩落した集水室の出入り口からゲンヤが現れた。
そんなゲンヤにヴィンセントが近づいてきた。
「よう、あらかた片付けたぜ、出口までもう少しだ」
そう言って、ゲンヤは不意に後ろの出入り口を見た。その直後に穴の底からシューターがとんできた。
「ヴィンセント!」ゲンヤはヴィンセントを突き飛ばした。
シューターが無数にはじけゲンヤの周囲で魔力の爆発が起こった。
「ゲンヤさん!」
トレンチコートは裂け、身体のあちこちから血が出ている。
「大丈夫だ、カスリ傷だぜ。こんなもん」
ゲンヤは軽くそう言った。
ヴィンセントは最初はゲンヤに肩を貸して歩こうとしたが、ゲンヤはヴィンセントの手をどかして
壁のボタンにパスコードを入力して扉を開け、そして言った
「その扉を抜けて先2ブロック右に曲がって長い直線の奥にあるマンホール。そこが近隣の陸士部隊隊舎の真上だ」
「ゲンヤさんは?」
「俺は少し一服してから行くことにするよ。なに、すぐに追いつく。そんな不安な顔するんじゃねえよ」
そういってトレンチコートのポケットからタバコを取り出しヴィンセントに見せて笑った。
「よし、行け!全力で走れ!!」
そしてヴィンセントの背中を精一杯強く押すと、扉を閉めた。そしてゲンヤは力が抜けたようにタバコの箱を落とし
壁に寄りかかるようにして沈んだ。立っているのもやっとだった。
穴の底から魔導師らが上がってくるのがわかる。空戦魔導師が少なからず混じっていたらしい。
(やれやれだぜ・・・)かろうじてポケットからライターを取り出し火をつける。
そして、そのタバコの火を見ながら不意にあの今日がちょうど「あの日」だということを思い出した。
4年前、今日みたいにきれいな夜空だった日。
そして燃え盛る炎が地上を覆いつくした日。
レリックの爆発によりミッドチルダの臨海第8空港は未曾有の大火災に見舞われた。
狂える炎に立ち向かう災害救助班の中心に2人はいた。
『よし!避難の誘導完了!周囲にバイタルなし。待たせたな!魔法使っても大丈夫だぜ!』
『はい!』
そうして月夜に詠唱がこだまする。
『仄白き雪の王、銀の翼以て、眼下の大地を白銀に染めよ。来よ、氷結の息吹、アーテム・デス・アイセス!』
燃え上がる空港を包むように上空に浮かぶベルカの魔方陣。そして青い光が狂える炎を消していく。
はやての広域魔法とゲンヤの錬達した指揮のコンビネーションにより、火災は予想以上の
速さで消えていった。
数時間後、はやてが指揮車に戻ってきた。周辺も落ち着きを取り戻し始めている。
「よう、嬢ちゃ・・・すまん、八神一尉、よくやったぜ!!」
はやてが敬礼をしてきたので一応形だけの敬礼をし、感心したようにゲンヤは言う。
「そんなことは・・・ナカジマ三佐の指揮がいなければ、うまく使えなかったですから」
「そうかねぇ?俺なんか魔導師でも何でもないからな、嬢ちゃんらが行動しやすいよう適当に指揮をとってただけだよ」
「いえ!本当に感謝してます!ナカジマ三佐の指揮は本当に的確でした」
「そうかい・・・感謝されるってのは俺には一番似合わないんだよな。ガラでもねえし。でも、ありがとよ」
そう言ってゲンヤは交替士官と入れ違いに指揮車を降りていった。
振り向きざまにはやてにいった。
「感謝してるっていうんなら、今よりもっといい魔導騎士になってよ。4年後にでも返してくれや」
そして2人は別れた。いつもの軽口であった。ゲンヤは別に返してもらうつもりは毛頭なかった。
(あのチビたぬき・・・しっかり覚えてやがったのか・・・)
魔導師が下の穴や奥の通路から集まってきた。
奥には壁にもたれてタバコをくわえたゲンヤがいた。
魔導師の一人が問いただす
「奴はどこだ?」
「さぁな」
ゲンヤはとぼけた様に、軽くそう受け流した。
すると魔導師はゲンヤの左肩をデバイスで撃ち抜き、激痛に顔を歪ませるゲンヤを再び問いただした。
「最後のチャンスだ。奴はどこだ?」
「・・・(やれやれだぜ)」ゲンヤは自嘲気味にそう思った。
くわえたタバコももうフィルターしか残っていない。
ギンガとスバルには悪いがそんな俺の人生も納め時ってところか。
ボロボロのトレンチコートに安物のソフト帽、ださい陸士の制服じゃ格好がつかないよな。
こんなんで逝ったら真っ先にクイントに笑われちまう。
「死ね」
返答がないことを確認すると、魔導師の一人が無情に言い放ち、杖をゲンヤの頭に向けて魔力をこめ始めた。
ゲンヤは静かに眼を閉じた。
(八神、てめえとの約束、守れそうにないぜ・・・)
355 :
44-256:2008/03/10(月) 06:47:17 ID:exxQQ/AL
以上です。次で投下はラストになります。
>>355 乙、ゲンヤさんかっこいいっす。若かりしころのクイントさんもこれに惚れたかw
>>343 自分は前にでてきたウーノさんのエリオの筆卸や、ドゥーエ姉さんの妖しい魅力によって
エリオが見も心も……というのがいいですね。
後、ドゥーエ姉とクア姉によるスーパードMプレイというのも捨てがたいです。
357 :
( ゚Д゚) :2008/03/10(月) 09:13:17 ID:ns+hmfj6
投下しても良いかな?
では注意書き
注意事項
・すンばらしく捏造要注意。
・オリキャラ注意。オリキャラTUEEEE気味注意。
・正直ユーノ強杉。どこの跳躍系だ。
・レジアス中将はモブか悪役だと思っている方は読まないほうが吉です。
・あぼーんキーワードは「熱き彗星の魔導師たち」
「とにかく、ナカジマを下ろさないことには、多勢に無勢すぎるな」
ロケット迫撃弾を、やはりシールドで散らしながら、シグナムはそう言った。
「けど、奴らの数が多すぎて!」
ヴィータが忌々しそうに言いつつ、ピンポン球大の鉄球を浮かべると、
『Schwalbefliegen』
と、グラーフアイゼンが打ち、5発の鉄球を魔力弾と化して、屋上の傀儡兵めがけて撃
ち出される。
『Stinger snipe, Multi shot』
ほぼ同時に、マギーが同様の弾道特性を持つ魔力弾を、6発、放つ。ただし、ミッドチ
ルダ式であるため、A.M.F.での減衰に、威力が下がる。
一種の飽和効果を狙ったものだが、傀儡兵の、つまり、干渉してくるA.M.F.ジェネレー
ターの数が多すぎて、子供騙し程度の効果しか期待できない。
それでも、マギーのスティンガースナイプはかき消されたが、ヴィータのシュワルベフ
リーゲンは、魔力を残したまま、5体の傀儡兵に命中した。
機能停止はしなかったが、装甲に致命的な破壊を与える事に成功していた。
熱い彗星の魔導師たち〜Lyrical Violence + StrikerS〜
PHASE-06:Precarious days (前編)
『シグナム隊長! あたしも降ります!』
シグナムの頭に、スバルの念話が飛び込んできた。
『待て、ロープで降下できるような状況じゃないぞ』
『大丈夫です!』
驚いたようなシグナムの反応に、スバルはそう返してから、
「ディエチさん、ヘリを後ろに向けてください」
と、操縦席のディエチに、大声で言った。
「わかった」
ディエチは短く答えると、JFM165を前後に反転させる。ランプゲートから、ビルの屋上
が見えた。
「エラ・ストラーダ!」
スバルは、ミッドチルダ式でも、古代ベルカ式でもない、術式のコマンドワードを口に
した。
スバルの足元から、魔力で編まれた、青い光の道路が現れ、ビルの屋上へ向けて、伸び
る。
「いっけぇぇっ!」
ローラーに前進をかけさせると、一気に、光の道路を渡る。
「よし!、レヴァンティン、斬り込むぞ! ヴィータ、アルピーノ、支援を頼む!」
「おうっ」
「了解」
シグナムが言うと、ヴィータとマギーは、光の道路の先にめがけて、シュワルベフリー
ゲンと、
『Axel stinger』
を、撃ち込んだ。
スバルの光の道路に沿うかのように、シグナムは近接・並行して飛びながら、屋上に接
近する。
『Patronenlast!』
ドンッ、レヴァンティンが、カートリッジを撃発させた。
『Sturmwellen』
シグナムが斬撃のようにレヴァンティンを振ると、カートリッジの魔力で増強されたシ
ュツルムヴェレンの魔力衝撃波が、撃ち出される。
A.M.F.をカートリッジで増強した魔力で強引に突破させ、正面にいた傀儡兵を吹っ飛ば
した。
「はっ」
魔力で編まれた光の道は、A.M.F.によって、ビルのすぐ手前で霧散させられ、途切れて
いた。スバルはその切れ目の直前でジャンプし、屋上のフェンスを飛び越え、シグナムが
こじ開けた空間に、着地する。ローラーを横に向けて浅いスライティングをし、急制動を
かける。
その傍らに、シグナムも降り立った。
「すみません、隊長!」
スバルは、険しい表情で、あたりの傀儡兵の様子を伺いつつ、そう言った。
「いや、構わん。この組み合わせにしたのは私だ。パートナーのフォローをするのは、こ
の戦術では、当然だ」
シグナムもそう言いつつ、やはりスバルを直接は見ずに、レヴァンティンを構えなおす。
「カートリッジを節約しようと考えなくていい。どんどん使っていけ。いざとなったら、
シャマルに作らせる」
シグナムは、真剣そのものに、傀儡兵を睨みつけながら、そう言った。
「はい!」
スバルが、威勢良く答える。
その頃────
「!?」
機動6課隊舎・医務室で、シャマルさんは背筋に寒気が走ったとか何とか。
「Sulla Detonazione」
少女の声が、しかし、低く、聞こえてきた。
ドカドカドカドカドカドカ!!
「! イージス!」
「アイアス!」
ユーノと、ほんの一瞬だけ遅れて、ウェンディが、声を上げる。
『Round Guarder』
緑と、赤紫のバリアが、4人をドーム状に覆う。
突如として、周囲に出現した、無数の投げナイフが、4人に向かって、迸る。
「ドカドカドカドカドカドカ!!」
それは、ユーノのバリアに遮られるなり、そこで、1本1本が、大爆発を起こした。バリ
アは、たちまち爆煙に包まれる。
さしもの、ユーノのバリアも数箇所、ヒビが入り、砕けかけた。だが、その内側に張ら
れた、ウェンディのバリアまでは、有効な打撃を与えられない。
「なるほど、その実力ならば、こちらを間抜け呼ばわりも理解できないでもないな」
爆煙が晴れると、そこに、1人の、小柄な少女が、立っていた。
「ふぅん、やっぱりスカリエッティのヤツが噛んでたんだ」
アリサは、口元で笑いつつ、少女を睨みつけて、そう言った。
「えっ!?」
アリサの背後で、ティアナが、驚いたような声を出す。
「さすがに、この資料は詳しく公表されていないけどね……スカリエッティ製戦闘機人、
だよ」
アリサの傍らに立っていたユーノが、ティアナに向かって、説明する。
見た目は、ローティーン程度か。しかし、無骨な黒いアイパッチが、愛らしいといって
よい姿の、そのイメージを崩している。
ところどころ、鈍い銀色の装甲材が張り付いた、青いレオタード状のスーツに、全身を
包んでいて、その外側から、さらにコートのようなものを着込んでいる。ネックガードに
は、“V”の刻印。
「No.5……チンクっスね。あまり覚えてはないっスけど……」
「誇り高きナンバーズが、管理局の犬に堕ちるとはな……」
ウェンディが、身構えながら焦れたような声で言い、チンクと呼ばれた少女は、そう言
い返した。
「えっ…………!?」
チンクの言葉に、はっ、と、驚いたように顔色を変えたのは、ティアナだった。
「なんとでも言えっス。No.11ウェンディ、いかに親とは言え犯罪者に義理立てて、恩義
を忘れるほど、道理から外れるよーなことは出来ないっスよ」
ウェンディは、ティアナの様子には気付かず、そう言って、アイアスを引き寄せる。
「ゲイズ一士……って……」
血の繋がらない親子──つまり────
困惑の表情を上げるティアナに、ウェンディはウィンクして見せる。しかし、いつもの
ように、明るいものではなく、顔は渋く、苦笑していた。
そんな様子を他所に、正面にいるチンクは、ウェンディにじろりと視線を浴びせつつ、
「これがドゥーエかクアットロなら、出来の悪い妹の仕置きに集中するところだろうが」
と、言って、自らに向かって構えるウェンディから、視線を移したのは……
「4年ぶり、だね」
「ああ……」
ユーノが言い、チンクが頷いた。
「ユーノ!?」
「ユーノさん!?」
ウェンディとティアナが驚いて、素っ頓狂な声を出す。
「右目、直らなかったの?」
ユーノは、少し申し訳なさそうな表情になって、そう訊ねた。
「直せないわけではないがな……貴様に手傷を負わされた屈辱、忘れない為に、このまま
にしてある」
「そう、なんだ」
ガチャン、ガチャン……
4人の背後から、金属の足音がする。
アリサとマギーが振り返ると、そこに、歩行型の傀儡兵がにじり寄っていた。アリサ達
には初見だが、屋上に殺到しているのと同タイプ。相変わらず無骨だが、4年前の機体よ
り、洗練された人間型に近づいている。
「ごめんアリサ、どうも彼女は、僕とやりあいたいみたいだ」
ユーノは、申し訳なさそうに、アリサに言う。
「O.K. ウェンディ、ユーノのフォローを……」
アリサがそう、言いかけたとき。
「うわぁぁぁぁっ!!」
突然、ティアナが、雄叫びを上げて、チンクに向かって、ハンドガンを構えた。
「ヴァリアブル・バレット!」
爆裂弾をチンクにめがけて放つ。
だが、発射されたもうその時には、チンクは悠然と、ティアナの弾道から、離れていた。
ヒュッ
ドンッ!!
チンクの放った投げナイフが、ヴァリアブル・バレットと命中する。A.M.F.で減衰して
いた魔力弾は、爆発する投げナイフによって、いとも簡単に散らされてしまった。
「邪魔だ」
「!」
チンクが、一瞬、手をかざした。
半ば半狂乱の様相を呈して、チンクに2発目のヴァリアブル・バレットを放とうとして
いたティアナだが、その身体を、ぐいと引き寄せられ、姿勢を崩す。
『Protection, Dual exercise』
ガキィィィンッ
二重の、鮮やかで濃いオレンジ色の光の、シールドが、展開されたかと思うと、振り下
ろされた大型ファルシオンを、受け止めた
「何やってんのよ、ティアナ!」
アリサが、叱責の声を上げる。
シュルルルルルルッ
A.M.F.の干渉で、シールドがぼやける。
「レイジングハート!」
『Yes, Load Cartridge』
ズドンッ
CVK-695Dカートリッジシステムが、2発のカートリッジを、一気に撃発させる。
シールドの輝きが、増した。
「ウェンディ、トラックの中身を抑えて!」
アリサは、ウェンディに、直接視線は向けず、声を上げる。
「! 判ったっス!」
ウェンディはそう言って、現れた2体の傀儡兵の間を、上手くすり抜けながら、トラッ
クの右後輪に取り付いた。
「ローウェル!!」
『はいはーい』
アリサが左手を伸ばし、広げると、そこに、ホーンテッドクリムゾンが握られた。
『Load Cartridge』
ズドンッ
ホーンテッドクリムゾンのCVK-695Aカートリッジシステムが、撃発する。
「切り裂け、ホーンテッドクリムゾン!」
『Interference destroy』
ヒュッ、ビシッ
ホーンテッドクリムゾンが、空を斬る。かと思うと、空間に裂け目が生じ、そこから、
視覚的には、薄いガラスの膜のようなものが、砕けて散るような現象が起きた。
「ローウェルごめん、手、開けさせて」
『了解っ』
アリサの言葉に、ホーンテッドクリムゾンは即答すると、ポンッ、と、人間形態になる。
アリサは両手でレイジングハートを握りなおし、ローウェルは、アリサの頭の傍らに、控
え、その相対的後方に視界を向ける。
『Fire slash』
キィン
レイジングハートのコアが明滅し、吹き上げる炎ではない、火の斬撃魔力を、その身に
纏う。
「でゃぁっ!」
アリサは、そのまま、正面にいた傀儡兵を、袈裟斬りにした。
「何やってんのよティアナ! 早く立ち上がりなさい!」
1体の傀儡兵を擱座させながら、アリサが、苛立ったように言う。
ティアナは、アリサの足元で、尻を突いた状態で、呆然としていた。
「!」
ティアナはしかし、立ち上がるのではなく、そのままの姿勢から、アリサに向かって、
ハンドガンを向けた。
「アリサ!」
ローウェルが、緊迫した声を上げる。
「!?」
ドンッ、バレルの下のカートリッジシステムが、1発撃発させ、バーミリオンの火花を
散らした。
「ヴァリアブル・バレット!」
ドンッ!
ティアナが撃ちだした魔力弾は、アリサとすれ違い、
バシィィッ
と、アリサの後方に迫っていた、傀儡兵の胴に命中した。
バチバチ、と、火花を散らすが、動きは、完全には止まらない。
「このっ!」
アリサは、ファイアスラッシュを纏ったままのレイジングハートで、その傀儡兵を、横
に薙いだ。
ようやく、完全に沈黙し、その場に崩れ落ちる。
一方────
傀儡兵2体に、ティアナを退けさせると、チンクは、ユーノと、向かい合い、じりじり
と、対峙していた。
だが。
「Detonazione Stinger」
その時、アリサが、ホーンテッドクリムゾンで、A.M.F.を無効化した。それが、合図と
なった。チンクは、ユーノに向かって、手に発現させた短剣を、ミッドチルダ式とも、ベ
ルカ式とも異なるコマンド・ワードとともに、投げつけた。
『Round Shield』
緑色の光の盾が現れると、チンクが放った複数の短剣を、受け止める。
ドン、ドン、ドン、ドン……
着弾の度に、シールドの表面で爆発が起きる。
「この……っ」
シュッ
チンクは、ユーノに向かって、さらに短剣を投げつける。その短剣も、ユーノのシール
ドに当たるなり、爆発を起こした。
ガシャァンッ……堅牢を誇る、ユーノのシールドが、しかし、ついに砕かれた。
「貰った」
チンクは、右手に2本のナイフを構えると、ユーノの方へ向かって飛び出しかける。
だが、その瞬間。
『Edge Slash』
ガキィィンッ
イージスの魔力斬撃を、とっさに振り返ったチンクのナイフが、受け止めた。
「技そのものの力に頼るばかりが、能じゃないって、3年前も言ったはずだよ」
「黙れ!」
優しげなユーノの言葉に、チンクは激昂したような声を上げる。
だが、
『Load Cartridge』
ドンッ
先に動いたのは、ユーノの方だった。
イージスがカートリッジを撃発させる。前部上端の排莢ドアがスライドして、空カート
リッジを放出、同時に露出した放出口から、余剰の圧力が魔力素の霧となって放出される。
イージスの射撃端子に、緑の光の魔力弾が、一瞬で集束する。
『Divine Clasher』
緑色の砲撃を、チンクは渦巻きのような術式を描くシールドで、受け止める。
ミシッ
しかし、バリア貫(ぬ)きの効果を与えられている魔力弾は、それをさらに、貫こうとす
る。
「やっ!」
チンクは右手に持っていたナイフを、シールドの向こうの魔力弾に向かって叩きつける。
そのナイフは爆発し、ユーノの魔力弾を、砕いて、霧散させた。
『アリサ!』
アリサが、周囲を警戒しつつ、ティアナを立たせると、ウェンディからの念話が、飛び
込んできた。それは、ウェンディらしい陽気なものではなく、切羽詰った感じの口調だっ
た。
『レリック発見、でも、なんかおかしいっス!』
『おかしいって、どういうことよ?』
アリサは、即、訊き返す。
『なんか、変なものが付いてて……ミッド字に似てて、ちょっと違うんスけど、多分、数
字が表示されてて、なんか、カウントしてるっスよ!』
ウェンディの、不気味そうなものを見たような口調に、アリサは、薄ら寒さを覚えた。
アリサは、憔悴した表情で、トラックと、チンクとユーノの闘いとを交互に見てから、
「ティアナ、ユーノの掩護をお願い。でも、あの戦闘機人には下手に手を出さないで」
と、言って、ティアナの返事を待たず、トラックに向かった。
トラックの後部に取り付くと、アイアスの射撃でロックを破壊したらしい扉から、中に
入る。
「アリサ! これなんスけど!」
ウェンディは言い、その正面を、開ける。
アリサは、ウェンディと入れ替わりに、レリックケースの前に、膝をついた。
「O.K. ウェンディ、外へ出て。ユーノの掩護と、ティアナが無茶やらないかの監視」
「は、はいっス」
いつもの、威勢を感じさせるものではなく、緊張した返事をして、ウェンディは、トラ
ックの外に、出て行った。
アリサは、レリックのケースをゆっくりと掴み、そっと、それを調べる。
果たして、レリックのケースには、地球製と思しき7セグデジタル表示機のついた、ペ
ンケースほどの黒い箱が、取り付けられていた。デジタル表示は、秒単位の、カウントダ
ウンを続けている。
アリサは、息を呑みつつ、そっと手を伸ばした。カバーが外れる。秋葉原でも入手でき
るような、タイマーICとコンデンサの付けられたユニバーサル基盤があり、そのさらに下
には、リチウム乾電池と、固いゼリー状の塊。アリサはすずかやユーノの予備知識をさら
に間接的に覚えただけだが、このシチュエーションなら間違いない。ニトロセルロース系
コルダイト、別名────
「プラスチック爆弾!!」
冗談ではない。唯でさえ不安定なレリックを、プラスチック爆弾で叩けばどうなるか、
周囲400m四方は更地になり、さらに1km四方に被害をもたらすだろう。
このビルは廃ビルだが、廃棄区画ではない。周囲には、一般人が居る。
タイマーのカウントダウンは、5分を切っていた。
「陸士隊に、爆発物処理班を……ダメだ!」
残り5分ではとても間に合わないし、間に合ったところで、管理局の一般的な部隊には、
地球製の化学爆薬を処理するノウハウはない。
──ザザッ
イージスとチンクのナイフ、幾度かの交錯の後、2人が向かい合って、身構えたとき。
「うぉらーっス!」
『Divine Clasher』
トラックから飛び出し、ティアナをチンクから庇うように立ったウェンディだが、突然、
ウェンディは雄叫びを上ると、アイアスが、赤紫の魔力弾を放ち、チンクを狙う。
「ウェンディ!?」
「ゲイズ一士!?」
突然のウェンディの行動に、ユーノとティアナが、揃って、声を上げる。
ユーノの疑問には、念話越しに、アリサが答えた。
『ユーノ、えらい事態になってる! 悪いけど、ウェンディと代わって、こっちに来て』
『アリサ!?』
アリサの言葉に、ユーノは、トラックを振り返った。
「この、余所見をっ」
「させないっス!」
『Round shield』
ユーノを狙った、チンクの投擲は、しかし、ウェンディのシールドに、遮られた。
「出来損ないの、妹がっ」
苛立ったチンクは、思わずと言うように、そう、ウェンディに罵声を浴びせた。
「!?」
その単語には、しかし、ティアナがはっとして、顔を上げた。
「ティアナ、頼むっス!」
ウェンディは、チンクに、アイアスを盾として向けながら、声をかけた。
「はいっ!」
返事をして、ティアナはハンドガンを構える。
「シュート・バレット!」
「ちっ」
ウェンディに短剣を投擲しようとしていたチンクは、そのアクションを止めて、ティア
ナの魔力弾に対して、シールドを張る。
そのティアナの魔力弾は、チンクの張った光の渦巻きのようなシールドに、遮られた─
───
『チンクちゃん、もう、タイムリミットですよ〜。戻ってきなさい』
その時、チンクの頭に、別の念話が飛び込んできた。
『クアットロ!? 待て……』
チンクは身構えたが、足元にミッドチルダ式の円い魔法陣が現れると、チンクの姿は、
光になって消えた。
その、チンクの消えた光景を見て、ティアナは呆然と、立ち尽くしていた。
一方、トラックの中。
「タイマー、分解できないかしら?」
膝を屈め、時限爆弾を見るユーノに、アリサは後ろから、声をかけた。
「だめだ、基盤剥がしただけでも爆発するように出来てる」
レリックケースに取り付けられた時限爆弾を見て、ユーノは言う。
「すずかなら別だろうけど、僕の技術じゃ……」
「じゃあ、どうしたらいいのよ! このままじゃ……」
ユーノが口惜しそうに言うと、アリサはヒステリックに声を上げた。
「レリック相手じゃ、強制転移も危ないし……」
魔力干渉に極端に弱いレリックは、魔法転移を行う際には、厳重な封印工程を必要とす
る。個人、あるいは少数人数が発動できる程度の魔法では、それは覚束ない。
「ここで、爆発させよう」
ユーノは、険しい表情で、しかし、静かに、そう言った。
「はぁ!? 本気で言ってるの?」
アリサは、一瞬、ユーノがトチ狂ったのかと思い、驚いて、聞き返した。
「ラウンドガーダーで、何重にも覆って、出来るだけ、威力を殺す」
「…………それしか、ないか……」
ユーノの提案に、アリサは、渋々と、しかし、それを決断した。
そして、2人は、トラックから飛び出す。
「小隊集合!」
「なんだ!? 一体何があった?」
シグナムは、うろたえた声を出し、周囲をうかがった。
スバルと2人、傀儡兵相手に斬り結び、10には届こうかと言う数を擱座させていたが、
突然、生き残っている傀儡兵も、擱座させた残骸も、その足元にミッドチルダ式の魔法陣
が展開したかと思うと、光に包まれて、消えていった。
「強制転移か……?」
シグナムが、怪訝そうに、そう言ったとき。
「シグナム!」
1階の窓を突き破って出てきたアリサが、シグナムの背後から、声をかけた。
「バニングス」
シグナムは、アリサを振り返る。
「一体、何事だ?」
険しい表情ながら、既に冷静を取り戻した声で、シグナムはアリサに訊ねる。
「レリックに、地球製の時限爆弾が仕掛けられてる。爆発まで、あと2分」
「なんだと!?」
しかし、やはり、険しい表情で言うアリサの言葉に、シグナムは驚愕の声を上げた。
「処理してる時間がないから、ここで、爆発させて処分する」
「何!? しかし」
アリサが説明すると、シグナムは、さらに驚愕の声を上げた。
「ラウンドガーダーで何重にも覆って、何とか封じきるしかないよ」
アリサの背後、傍に立つユーノが、驚いているシグナムに向かって、そう言った。
「そうか……」
シグナムは、忌々しげに歯噛みをした。
「それで、ちょっと悪いけど、マギー、借りるわよ」
「!」
アリサがそう言うと、ぴくん、と、シグナムの背後にいたスバルが、顔を上げて、目を
少し、円くした。
「ああ、別に構わん」
シグナム自身は、険しい表情のまま、そう言った。
さらに、
『オットー』
そのやり取りの傍ら、ユーノは、地上本部の有事管理センターの、オットー・ロウラン
准尉を呼び出していた。
『うん、ウェンディから聞いてる』
面識もあるオットーは、ユーノに、そう答えた。
『陸士隊に、とにかく近辺の屋外にいる人間を、このビルから遠ざけさせて。出来るだけ
で良いから』
『了解したよ』
ユーノの言葉に、オットーはそう答えた。
「行くわよ!」
ビルの3階ぐらいの高度で、アリサと、ユーノ、マギーは、空中に立ち、ウェンディは、
フローターボードに乗って、その傍らに漂う。
さらにその外側を取り巻くように、シグナムとヴィータが立ち、ほぼ同じ高さで、エラ・
ストラーダを敷いたカーブの上に、スバルとティアナが立つ。
『Load Cartridge』
ズドン!
レイジングハートのCVK-695Dが、2発のカートリッジを、一気に撃発させた。イージス、
アイアス、そしてWS-Fも、各々2発ずつ、連発でカートリッジを撃発させる。
『Round guarder, Dual exercise』
深紫、赤紫、鮮やかなオレンジ、そして一番外側が、緑。二重のバリアが、それぞれ、
内側から外側を護るようにして、八重(はちじゅう)のドーム状に、廃ビルの1階を覆う。
「爆発……今!」
シグナムが、声を上げた。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ……
不気味な振動とともに、ビルの1階部分が文字通り粉砕され、光に飲まれる。その光が、
さらに、圧力となってバリアにのしかかった。
「ぐぐぐっ……くっ……」
全員の駆動式に、負荷がかかる。
「くっ、もう……だめっ!」
マギーのバリアが、砕け散る。
「あたしのも……くっ、限界っス!」
ウェンディのそれも、亀裂だらけになり、そして、消えた。
「くぅぅぅぅぅぅっ……このっ、くそぉっ!」
アリサのバリアは、ドミノ倒しを幾分、堪えたが、やがて、消滅した。
「…………堪えるんだ……イージス!!」
『Yes, Load Cartridge』
残り2層となったバリアを、ユーノは維持し続ける。イージスがさらに1発カートリッジ
を撃発させ、緑の光のバリアは、なおその輝きを増した。
>>360-370 今回は以上です。
一部訂正お願いします。
前回の
>>290、27行目の空白行は、改行ミスで余計です。
保管の際、外していただけたらと思います。
お手数おかけいたしますが、よろしくお願いいたします。
はえーよwww
オレまだ前スレの読んでるよwww
頼むからもうちょっとゆとりになってくれwww
ゆとりになったらだめじゃないかw
>>192 GJ!!
何かエリオに全く女性として意識されてないキャロがかわいそうだ
久々のほのぼの編かと思ったら、やっぱり重い・・・
エリオ君人形もいるし、クワ以上にやっかいなスカ博士もいるし
このままいくとマジでエリオの死亡フラグが立ちそうで困る
そしてどうかキャロに愛の手を〜キャロエリかわいいよキャロエリ
>>374 でも、この手のお約束を考えるとルール―の方が遥かに不利な気が・・・・・。
誰がエリオを嫁にするか六課内でトトカルチョされちるという光景を妄想した。
ちなみに、元締めはヴァイス。
>>375 うん、キャロとルーが。
いや、そんなイメージがね。ウェディングドレスを着たエリオを2人が取り合っているイメージが頭に思い浮かんだ。
>>377 ウェディングドレス姿の二人(キャロが白でルールーが黒)が
エリオの両方の袖を引っぱりあって、
泣き出したエリオを見てつい手を放してしまったキャロが勝つんだなきっと。
ちょっくら質問なんだが
みなさんは長編の場合は一話あたり何レス、または何kbくらいが読みやすいですか?
>>381 短すぎるのはちょっと読みにくいが、長さはそんなに気にする必要は無いかと
>>381 面白ければ、長さは気にならないもの。
過去の人気作を参考にしてみては?
20レスを越える投下になると、ボボンハウス(2時間投下、閲覧停止)に連れ込まれる可能性がある。大体25レスくらいが限界?
それさえ気を付ければ大丈夫
>>381 読みやすさで言うなら10レスくらいかな。むしろ、レス数よりも1話あたりの長さが問題。
レス数多くて文章量も多いとちょいだれてくる。
>>385 確かに…数ヶ月レベルで連載されてる作品もあるけど…
作者さんには申し訳ないんだが正直最初の方どんな内容だったかさっぱり覚えてねぇ。
>>337 今まさにウェンディのエロに着手している。早ければ明日、遅くとも今週中には
投げ込めるはず……しかし週末だともう次スレに入ってそうだな、なんという勢い。
ウェンディのエロ? いつもボードに乗ってるだけあって男に乗るのも上手いんだろうか。
391 :
387:2008/03/10(月) 16:59:21 ID:ZFTFbXxG
>>388 ちょ、風邪引くからせめて上だけでも着といてくれ
>>393 じゃあシナイダさんのお尻フェイトの続きを裸で待ち続けている俺は裸神だな!
ネクタイ、靴下は必須装備らすぃ
スレ違いの話かもしれんが、こち亀の海パン刑事を思い出したのは俺だけか?
398 :
44-256:2008/03/10(月) 18:43:25 ID:zYAM60OH
すみません。職人さんがいないこの時間に投下してもいいでしょうか?
なるほど。
海パン刑事−海パン=裸紳士と。
オーケーカモンボーイ
うわーい、リロ忘れてた。
>>398 うい、おいでませっす。
402 :
44-256:2008/03/10(月) 18:46:30 ID:zYAM60OH
それでは投下します。
・非エロです。
・はやて×ゲンヤですが、恋愛描写はあまりありません。
・時系列はJS事件解決から3ヵ月後の秋。
・オリキャラが1名出てきます。過去にゲンヤが逮捕して更正した人間です。
・ハッピーエンドで終わらすつもりです。
・オリキャラがダメな方、魔導師と一般人の強さ補正が気になる方
スルーしてください。
ゲンヤの頭にシューターが打たれようとしていたその瞬間。
『ガキィィン!』
相手のデバイスが何かにぶつかる音が聞こえる。
そして、聞いたことのある声が呼びかけてくる。
「ナカジマ三佐!!」
ゲンヤの目の前を黒い羽が散らばるのが見えた。その奥には見慣れた騎士甲冑に
身を包む金髪・碧眼の少女がいる。はやてだ。
そしてはやての横にゲンヤを囲むようにシャマル、シグナム、ザフィーラ。
そしてはやての前には杖の攻撃をはじくヴィータの姿があった。
ヴィータはグラーフアイゼンで魔導師を吹き飛ばしてこう言った。
「まったく、ナカジマ三佐も無理するよな」
「これ以上、主の大切な方を、我らの仲間を傷つさせない!!」
「数が多い。みんな、時間かせいで!」
はやての声に守護騎士たちはいっせいに駆け出していく。
「レヴァンティン!!」
「アイゼン!!」
「ておあー!!」
ザフィーラは鋼のくびきで相手の自由を奪い、蹴散らしていく。
シグナムも詠唱中のはやてやゲンヤに向かってくる相手を1度にシュランゲの餌食にした。
ヴィータも相手をシールドの上からつぶしていく。
そうして火災の時に聞いた、あの詠唱が地下水路に響いた。
「仄白き雪の王、銀の翼以て、眼下の大地を白銀に染めよ・・・」
(はやてちゃん、守護騎士とナカジマ三佐へ以外への対象調整はまかせてくださいです!)
そうリインが言うと、はやては周りの魔導師たちを睨みつけた。
かつて次元世界に数多の災厄をもたらした闇の書の主の怒り、それは全ての違法魔導師たちに戦慄を走らせた。
「来よ、氷結の息吹。アーテム・デス・アイゼス!!」
そうして地下水路内に青い光が広がっていく。
「か・・・身体が・・・!!」
光をあびた魔導師たちがどんどん凍り付いていく。
数秒後には地下水路の広場は氷付けの魔導師たちで死屍累々となった。
もっとも非殺傷設定で命をとられていないのは当たり前である。
戦闘が収束すると、ゲンヤはこう言った。
「・・・寒いぜ・・・何とかしろい」
それに対し、ヴィータはツッコむ。
「おい、おっさん。ちゃんとシャマルがプロテクション張ってるの見えるじゃねーか!
というか大怪我してて、弟一声がそれかよ!?」
「奴・・・ヴィンセントは?」
「大丈夫です。ちゃんと保護してますよ」
そうシャマルが言った。
そうしてはやては周囲の安全を確認してからBJを解いた。
目の前にドレス姿のはやてが現れる。はやては少しこわばった表情をしている。
それをおぼろげにまだ見える片目で見て、少し驚いたあとに力なく笑い
「お前さん、誰だよ?美人すぎてわかんねぇよ・・・なんてな・・・似合ってるぜ、八神」
「こんなになって、ずっと・・・ずっと待ってたんですからね!!」
「遅れちまって・・・すまなかった。まだ8時・・レストランに行っても間に合・・い・・・」
そう言ってゲンヤは倒れた。
「ナカジマ三佐・・・ナカジマ三佐!!」
驚くはやてにシャマルが語りかける。
「気絶しただけ。大丈夫よ、はやてちゃん。ここからは私が自然治癒の妨げにならない
程度に回復魔法使うから」
−数日後−
クラナガンの管理局病院の屋上。そこにはやてはいた。
奥に待ち人がいる。待ち人はゲンヤであった。
左腕にギブスをしており、トレンチコートを肩にかけて立っていた。
「よう、八神」
「ナカジマ三佐、ケガの方はもう大丈夫なんですか」
そういって未だギブスのはまった左腕を少し持ち上げ
「もう大丈夫だぜ・・・って痛っ〜・・・」
今日は先日の事件でドタキャンしてしまったレストランで改めてディナーを楽しもうということに
なった。参加者はゲンヤとはやての2人に機動6課の主要メンバーにギンガを加えての大所帯である。
そのディナーが始まる前にはやてはゲンヤに病院の屋上に呼び出されたのである。
「もう、退院してまだ3日目なんですからあまり無理しないでください」
「ああ〜、すまんすまん」
そしてはやてはゲンヤに聞いた。
「あの、ナカジマ三佐。ヴィンセントさんは?」
「軌道拘置所だ。最も捕まえるためじゃなく、組織の残党からあいつの身を守るためにな。
奴さんの娘も管理局の施設で保護してるよ」
「それじゃあ、2人はまた離れ離れに」
「取調べにも素直に応じてる。奴の密貿易のルートの情報自体、『海』にとって価値があるものだからな。
身柄も地上本部から本局に移してもらったし。向こうにはハラオウン提督もいるし、2人の処遇は問題ないだろ」
空は夕方から夜になりかけており2つの月が浮かび上がる。
そうしてゲンヤは話を切り出した。
「この前は、すまなかったな」
「えっ?」
「レストランのことだよ。行けなくて本当にすまんかった」
「い、いや。そんなことは。ナカジマ三佐も本当に無事でよかった・・・」
そうした時に不意に北風が吹いた。
「くしゅっ」
はやてが小さくクシャミをした。先日ほどではないが、風にあたりすこし冷えたようだ。
(フワッ)
はやての頭の上を暖かいものが覆った。ゲンヤが自分のコートの中にはやてを通した。
本当ならはやてにコートを渡してかけたかったのだが、左腕がギブスでふさがっているためこうしたのだ。
最初は驚いたはやてであったが、コートの暖かさに甘えた。
「・・・すまねえな、八神。こんな寒いところに呼び出しちまって、ただよ。俺みたいな
ヤクザな男はあんま礼とか感謝とかを人前で言うのが苦手でよ」
「えっ?」
「あん時、4年前の火災のとき。感謝するのは本当は俺の方だ」
「そ、そんなことは・・・」
自分が礼を言わねばならないのに、逆に礼を言われてはやては更に驚いた。
「お前はよ、空港の利用客もそうだがギンガとスバルを助けてくれた。管理局三等陸佐としてでなく
2人の娘の父親として礼をいわせてくれ」
「ナカジマ三佐・・・」
「火災だけじゃないぜ。俺の方がお前さんから、受けてる返しきれない恩がたくさんあるんだぜ」
そうしてゲンヤは制服の内ポケットからケースを取り出しはやてに渡した。
はやてがあけてみると、中にはペンダントが入っていた。
シンプルなつくりだが非常にしっかりした物であった。
「4年分の礼にしてはちゃちいもんだけどよ、本当にありがとな・・・」
そう言うと、恥ずかしいのかゲンヤがこう言った。
「ふぅ、女性にプレゼントなんて、クイント以来だぜって・・お、おいっ?八神!?」
見ると、はやては泣いていた。
プレゼントが気に入らなかったのかとゲンヤはあせった。
するとはやてはペンダントを握り締め、ゲンヤに寄りかかってきた。
「私も・・・ありがとうございます。ナカジマ三佐、私の方こそ本当に・・・」
そんなはやての言葉を聞いて、ゲンヤははやての頭をやさしくなでた。
そしてスバルが2人を呼びに来た。
「お父さーん、八神部隊長ー!時間だよー!」
「おう、わかった。すぐ行くぜ」
ゲンヤはそういってはやての方を見て優しく問いかける。
「もう・・・大丈夫か?」
はやては涙を拭いた。
「・・・はい、大丈夫です」
「よし、レストランで高町やハラオウンのお嬢、それにギンガも待ってるしな。この前の仕切りなおしだ」
「はい!」
そうしてゲンヤとはやては屋上のドアの方へ歩いていった。
−八神、これからもよろしくな−
−こちらこそ、よろしくお願いします−
季節は秋、空には2つの満月と星空が輝いていた。
end
408 :
44-256:2008/03/10(月) 18:53:46 ID:zYAM60OH
今回で投下終了です。
オッサンのSSはやっぱ流行らないです。
そして限りなく駄文すぎる。
ただの読み手に戻りますorz...
GJ!
ておあー吹いたwww
>>408 謙遜するなGJw
文脈とか、流れとか、SSとしての基本はちゃんと抑えてる気がする。
ただ、はやての口調が丁寧語なんかが主なんで、どうも違和感を
感じたのは内緒だw
>>408 オッサンのSSはやっぱ流行らないです。
中将閣下や部隊長のようなオッサンスキーな人種も結構いるんじゃね
昔から「男が男に惚れる」ってのは定番なんだぜ、むしろウェルカムなんだぜ
あーでもエリオスキーの場合は「男が男に惚れる」ってのは何か意味が違う
GJ!
内容がすんなり頭に入ってくるSSでしたw
やっぱり甘甘の王道ハッピーエンドだよね!
なにはともあれGJ!!
>>「お前さん、誰だよ?美人すぎてわかんねぇよ・・・なんてな・・・似合ってるぜ、八神」
携帯で読む→悶える→布団を叩こうと思う→机に思いっきり手をぶつける
>>412 と言いたい事が同じだったり
GJ
415 :
44-256:2008/03/10(月) 19:54:28 ID:zYAM60OH
みなさんありがとうございます。
もう少し
>>410さんの指摘や職人さんたちのSS、そして本編を見て勉強
します。
裏話になりますが、このSSを書こうと思ったのはシガー氏の「鉄拳の老拳士」
を読んだのが、きっかけみたいなもんです。
このスレは渋いおっさんから納豆にキシャーと幅広くて困るんだぜ?
417 :
名無しさん@ピンキー:2008/03/10(月) 20:02:37 ID:6kqz1okc
>>408 いいSS読ませていただきました、GJ!
で、話は変わるけど
>>298のネタで誰かSS書かないか?
納豆モンスターに襲われ、納豆漬けにされるなんて…なんてマニアック!
420 :
ザ・シガー:2008/03/10(月) 21:41:10 ID:NJiUF3uL
>>415
俺の書いたマッチョ爺がSSのネタになったんなら嬉しい限りです。
では頑張ってゴードン爺さんのSSを書きますぜ、なんとか今夜の内に書けたら投下します。
>>420いつまでもまってるよー。
しかし投下頻度下がったなと思ったら、今までが異常だったのかwww
ハイ!馬鹿なのが一本書けました、これから投下していいですか?
カモォォォォン
じゃんじゃか行くべし。
では失礼して
・エロです、でもあんまりエロくないかもです
・ギャグ
・クロノ×ルーテシア×エリオです
・前編後編の前です、短いです
超頂上決戦
淫獣覇王ユーノvs暗黒大帝クロノ
「ハハハハハ!ではボクの方からいかせてもらおうか!」
そう言い放つとBJ姿のクロノは台座の上の白い覆いを取り除いた
おおお…
東京ドームッぽいところに集まった大観衆からどよめきが湧き起こる
台の上には一糸纏わぬ二人の少年少女が猿轡をかまされて転がされていた、エリオとルーテシアある
二人とも後ろ手に縛られていた
「んー!ん〜!」首を振る少年エリオと同じく「んんっん〜」涙目のルー
「ほぉ…なかなか旬な素材を選んできたね…」指を組む審査員席はスカリエッティ
「受け攻めに柔軟に使えるエリオ…あまりエロイ事をされた事が無いお嬢様、これはなかなか良いチョイスよ」
と微笑むシャマルさん
「クロノ…淫獣なんかに負けるんじゃないよ…」ブツブツと爪を噛む人
あと数名
「…では貴様はそこで見ているがいい」
挑戦的にユーノに向けて指差し、笑うとクロノは調理にとりかかった
ふっ、とお手並み拝見とばかりにふてぶてしく笑うユーノ
ちぃ…今に見てなさい淫獣め…、と怖い顔は、審査員席フェイトさん
クロノは手を伸ばすとずらりと並んだ数えきれないほどのバイブの山の中から細長いバイブをとりだし
クルクルと回した、「むーむー」と這いずって逃げようとするエリオの背中を押さえると、素早くそれを挿入した
「んんっ!むーー!!んぅーーーー!!!!」
アナルを貫かれ、ビクビクと仰け反るエリオ
それを見て観客席の一部、出場者の関係者と思しき数名の中の一人 ゲンヤが呟いた
「ほぉ…なかなか手際がいいな、根元まで一気、迷いがねーな…」
「エリオとルー…一体…クロノの奴どうゆう具合に仕上げてくるんですやろか?」
それを聞き、関西弁というだけでこの位置にされたはやてが尋ねた、さあなぁ?ワカンネ、とゲン
解説になってないやん、とツッコむはやて
「アレするとどうなるんですか?」ジーンズにジャンパーのラフな格好のスバルが尋ねる
「ああ、えっと…前立腺ですね…男を手早く勃たせる時とかにですね…」
メガネの青年グリフィスが代わりににこやかに応える、フーンとスバル
馬鹿おめえ、人の娘にだな…変な事教えるな、とゲンヤ、真面目な顔つきになって正面を向き直り続ける
「…そう、だがそれだけじゃないぞ、…見ろ、ヤロウ、空いた方の手でしっかりルーちゃんのマソコに下準備も施している
流石クロノ、若ぇながらに熟練してやがる、リリカル世界の闇を統べると言われただけの事はある
オレも若ぇころはそりゃもう熱くクイントと…」
聞き流して一同はクロノの方を見た
「んぅ…んっ…」
艶かしくルーテシアの声が霞がかってきていた
「…そろそろいいか」
チュプン
引き抜いた指を舐め、目を細めるとクロノはハァハァと息をつくルーテシアを仰向けにした
エリオを後ろから支え有無を言わせずそのまま二人を重ねた
つぷぷぷ、接合した粘膜、エリオの細い肉の先端がルーの秘所を割って沈んでいく
「「んんっ!…んっ!んんんんふぅ!!!……んふぁ!!!」」
二人の嬌声と涎が漏れ、垂れる
「…よし、ここで…よく生地を捏ねて…あっ…コラ!エリオ…」
クロノが少し声を出した、エリオの背中がピクピクと震え、どうやら射精したようだ、ルーテシアの太股も震えている
エリオの白い体液とルーの愛液が混ざったものが二人の股間を濡らして垂れていた
「…んーぅっ…んぅー」
薄く涙を流したエリオが苦しさとルーの中に出した快感で喘いでいる
「ふーふー…」とルーも涙を滲ませて痙攣している
あーあーもぅ、これだから童貞は…とブツブツとつぶやく提督
「…まぁいいや」
と気を取り直しクロノはエリオのアナルバイブを勢い良く引き抜いた
「んんぅお!!!」
ビクビクとエリオの背が反る
構わずクロノは自分の長大なブツをエリオの空いた濡れた穴にピタリと当てた
ぬるぬると滑る腸内にそのまま挿入、ゴシゴシと肉壁を擦るように前後させた
たちまちエリオの可愛いペニスもルーテシアの中でムクムクと復活した
「んんふぁあ!!!」
喘いで、悲鳴を漏らすルー
「ふぐぅ!んぐっ!んぁ!!」
「んっんんっぅ!んぁん!んん〜…!!」
ガンガンとクロノの腰がエリオの臀部に当たるたびにエリオは目を剥きそうになり、そのエリオに貫かれている
ルーテシアも膣の中のエリオのものがゴンゴンとその子宮に当たって悲鳴を上げた
ぶびゅびゅゆう!!!
「ふぐぅうううう!!!!!!!」
びゅっびゅっ
「んあああああああああ!!!!」
大量に白濁したものを膣と腸内に出されたルーテシアはその熱さに失神した、同時にエリオも果てた
「ハハハ、そしてこうだ!」
おお、どよめきが走る
クロノはぐったりした二人を抱え上げると手早く黒の皮ベルトで挿入したままの腰を密着させた
自ら仰向けになりルーテシアを下に自分に仰向けに跨らせた、「ん…」
気がついたルーテシアが振り向くと、お尻にクロノの太いペニスが当てられているのが見えた
こらからの展開を予想してルーは、ひっ…と身を捩った、首をイヤイヤするように振る
「ん、んんっ!ーーー!!!んぐぃいいいいいーーーー!!」
ズププププ
「こっちもいくぞぉ!」
のけぞるルーを支えながらクロノはエリオの後ろに再びアナルバイブを挿入した
「んふぁあ!!!」
呆けていたエリオがビクリと顔を上げた、クロノはルーごと二人まとめて抱え下から腰を突き上げた
ルーテシアの柔らかく白い太股がそのたびにクロノの股間で跳ね上げられ、クロノの太いものがルーの中を出入りするのが見えた
可愛い肉花が擦られ、クロノの肉棒に引きずられ、また突きこまれる
ずっぷずっぷずっぷずっぷずずっ…ズン!ずっずっ…
「ひぎぃいい……んっんんんー……ふぐんんーーー!!!!」
間断無くくぐもった悲鳴を漏らすルーテシア、甘いものが少し混じっていた
その間もクロノの手はせわしなく動き、エリオのアナルのバイブを差し込んでは引き抜き
かと思うと少女のの小さく突起した乳首を親指で転がし、人差し指とで摘み伸ばしてみたりていた
「うおおおおおお!!!いっいっく…ぞおおおおおおおおっ!!!!!!」
うおりゃ!
ヌプププンッ!
クロノが思い切りエリオのアナルバイブを引き抜いた、腸液を引いたバイブが光を跳ね返す
エリオの背が一硬直する
同時にクロノのものはルーテシアの体を子宮で持ち上げていた、乳首を捻る、少女の体がビクビクと跳ねた
「「んんんっ!?んぅ!?んいいいいいぃいぃいいい!!!んぷはぁ!!ああああああ!」」
エリオとルーテシアの猿轡を乱暴に外した
クロノは素早く立ち上がりビクビクと痙攣する少年少女に迸るものをぶっかけた
どぴゅぴゅぴゅぴゅぴゅぴゅーーーー
「あああっ…あっ…あっ…あ…あ……」
放心したまま顔に胸の膨らみに、太股に白濁を浴びる二人
ぴゅっ…ぴゅぴゅ…
ふぅ…最後の1滴をルーテシアの細い肩の上に垂らすと、クロノは息をつき審査員席に向き直った
「少年少女、ロリショタ、アナルW攻め、白ソースがけです、どうぞご賞味を」
10点!10点!10点!10点!10点! ボードがずらりと並んでいた
ふっ…当然だな、クロノは薄く笑った
「プラス、…よしいくぞデュランダル、駄目押しだ!」
『オケーイボス』
デバイスの返事を聞くと
クロノはぐったりしているルーの足を持つとひょいと抱え上げた、おしっこの体勢をとらせた
アナルにペニスを当てて、ぬいと再び貫いた
「ひぐぅっ!?」
ビクリと衝撃に意識を戻し、顔を上げたルーテシア、体はアナルを貫かれクロノのもので支えられている
そのままクロノは猛烈なピストン運動を加えた
「いっいやっ…いやいやぁあああああ!!!!!!」
「フィニーッシュ!」
ズンズンズンズン、ドクン、熱いものが腸内を満たしルーテシアは声を漏らした
びゅっびしゅううううううう、羞恥に赤く顔に両手を当てたルーテシア、爽やかな笑顔のクロノ
少女は大観衆の前で思い切り放尿していた、そこにデュランダルから冷気が送りこまれ
空気中で凍結した水滴はダイヤモンドダストと化してキラキラと宙に舞った
「綺麗…」
観客席ではスバルが思わず呟いていた
「へ、こいつはやられたぜ…」とゲンヤ
「これは…ALL10点ではユーノ君もプレッシャーですねぇ…」とグリフィス
「さぁ!貴様の番だ淫獣!」
ルーテシアを貫いたまま下半身丸出しのクロノはユーノに向き直った、どさりとルーテシアを投げ出す
だが腕を組み不敵な笑みを浮べたユーノ
前髪をサラッと払った
「な、何だ貴様その余裕は…淫獣め……!?」
クロノはとりあえず、エリオの髪をつかんで息子を舐めさせていた
「ふ、…その程度で勝ったつもりかクロノ…ボクの食材はこれだ!!」
バッ、白い布が取り払われた
「な、なにぃ!!!?それは!!!」
驚愕するクロノ、一体何が起こったというのか?ビュビュッと彼はとりあえずエリオの喉の奥に白い息子を放っていた
そして!…ええと…ユーノは何を用意してきたと言うのか!
無駄に風雲急を告げ、物語は後半へ続く
「ふっふっふ…私のセリフ少なかった…」
観客席で夜天の主が何か呟いた
前フリ終わり、週末までに後半書いてきます、エリオ隊長のも少し書いてるよ
じゃ、また〜
シグナムだな……
>>431 クロノwwwwwてめぇアナルにしか入れてねぇなwwwwww
ここ最近のクロノのアナル率は異常wwwwww
そして淫獣が何をするのか楽しみです。
というか地味にフェイトさんがユーノを敵視してるのも吹いたw
GJっすw
馬鹿だなぁ……本当にターン氏は馬鹿だなぁ(最上級の誉め言葉です
バカ。ああ、愛しきバカよ(通常の超GJを超えた賛美です)
>>431 今、恐ろしい想像が・・・・・
予測@なのは&ヴィヴィオ
予測Aカレル&リエラ
神が降臨したと聞いてやってくれば……
ただのBAKAじゃないか。
……いいぞもっとやれwww
ホントバカだよなぁ……なんでこんなバカなんだろうなぁ(褒め言葉
>>431 畜生、変態め。
エリオで俺の竿を刺激するのはよしてください。お願いします・・・
GJ.
このスレっておバカSS相当あるよな
そして銀河の歴史にまた新たな一ページが・・・
ホント、手のつけようが無いほどにお馬鹿さんですね(褒め言葉
知ってるか?
職人は3つに分けられる
ハードシリアスを求める奴
エロに生きる奴
どうしようもなく馬鹿な奴
この3つだ
あいつは───
>>431 この救いようが無い腐ったド変態がっ!!!(最上級の褒め言葉)
どうも、ターンAの母でございます。この度は息子がご迷惑を…
尿でダイヤモンドダストとか頭おかしいだろwwwwww
これまでバカと言えば、
友野詳、田中天、速見螺旋人、小林正親の四人だった(ホビーベース的に)。
銀河の歴史がまた一ページ……
ああ、またホームラン級の凄い(勿論良いって意味です)SSが……
ところで、その少し前まで(ちょいワル?)渋めオヤジ系のオリキャラが好評を博していた
ようですが、(ちょいと肝っ玉系?)のオバサマのオリキャラ(年齢的にはリンディやレティと
同年代か少し下(30代後半〜40代前半))ってここや他のSSでも見た記憶がないのです
が、需要はありますでしょうか?
実は、自分がプロット構想中のSSで準主役的な位置でオバサマのオリキャラ(リンディ
やレティの後輩って設定)が2人出てくるのですが、ここの雰囲気に合うかどうか心配に
なっていたもので。
考えてみれば、ここのSSでは女性のオリキャラ(というかオリキャラ自体)がかなり少な
い気がしますが、やはりオリキャラは禁物なのでしょうか。
淫獣側のターンは…ズバリ!なのは&ヴィヴィオの親子レズ丼納豆ソースと見た!(爆)
え?いい加減に納豆から離れろ?
別に良いじゃないか!俺は納豆嫌いじゃないし
まあ、なんにせよGJ!
450 :
ザ・シガー:2008/03/11(火) 00:18:38 ID:ZyHqW0so
んじゃそろそろ投下するぜ、準備は良いかい?
「鉄拳の老拳士」の第五話です、もちろん爺さんが活躍する話でエロのエの字もありません。
“オリキャラの爺なんて見たくねえ”って人はスルーしてね。
>446
宇宙開発史の観点から鑑みて、NASA及び関係者の記載するところに拠れば、
真空中に廃棄された尿が速やかに凍結する事で観測される情景は尿を意味するユリンとオリオン座から『ユリオン座』と呼称され以下メドイ。
452 :
鉄拳の老拳士:2008/03/11(火) 00:21:04 ID:ZyHqW0so
鉄拳の老拳士5
久しぶりに兄弟の声を聞いた。
こいつの声を聞いたのは何年振りだろうな、もう昔過ぎて思い出せもしねえ。
少なくとも十云年は聞いてねえ、きっとクイントが家を出て行って以来だろうな。
まったく、いつもはムッツリ黙っていやがる癖にどうしてここぞって時にくっちゃべりやがるかねえ。
拳が泣いてるなんざ、とっく知ってるってんだバーロー。
□
機動六課フォワードメンバーの潜入した大規模工場区画の工場内部。
潜伏しているスカリエッティを捜索するも工場内部はあまりに広大で、時間と体力を無駄に浪費するばかりだった。
そうしている内にも隊長陣は空で激しい戦いを繰り広げているのだ、その事を思えば捜索に走るフォワードメンバーの内には苦い焦りが湧いてくる。
そして敵はそんな彼らの焦心を呼んでいるかの如く、絶妙のタイミングで現われた。
突如として工場内に轟音が響き渡り地響きの如く揺らす。
衝撃に驚きながらスバルは散開して捜索に当たっていたライトニングや他のメンバーに念話通信を飛ばす。
『みんな大丈夫!?』
『スバルさん、こっちに敵ガジェット現われました。また見たこともない新型で、うわああぁっ!!』
『ちょっ! エリオ!?』
叫びと共に念話は途切れ、各種通信も阻害されて繋がらなくなる。
スバルは隣にいた相棒と視線を交錯させて互いに危険な状況になっている事を認識、そして迷う事無く窮地を迎えているであろう仲間達の下へ駆け出した。
宙を走る青白い魔力光で形成されたウイングロードの上をスバルとティアナの二人が疾走する、そこへスバルのものより深い青をしたウイングロードが併走して現われる。
そして言うまでもなくその上を走るのは黒いバリアジャケットを羽織った一人の老兵。
捜索の為に別行動をしていたバウンティハンター、アルベルト・ゴードンである。
「よう嬢ちゃん方、元気してたか?」
「ゴードンさん、冗談言ってる場合じゃないですよ」
「こいつぁ失礼。つい癖でな」
ゴードンの緊張感の欠けた様子にティアナが呆れたように漏らす。
だが対するゴードンはこれもまた緊張感の無い返事を返す。
だがそれも一瞬の事であり、ゴードンは即座に真剣な顔に変わった。
「さっきから通信が入らねえ、そっちはどうだ?」
「こっちも同じです、恐らくは敵の妨害が入ってます。それにエリオ達のところに敵が出たみたいで‥‥」
「そうかい、じゃあグズグズしてられねえな」
ゴードンはそう言うと、自身のウイングロードを突然スバルのそれに近づけてティアナに腕を伸ばす。
そしてティアナを自分の脇に抱き抱えた。
「きゃっ! ちょっ、ゴードンさん?」
「お前えさんが走るより俺の方が速いだろ? ほれスバルの嬢ちゃんも」
>>448 少ないとはいえ無いわけではなかった…はずだよな?
454 :
鉄拳の老拳士:2008/03/11(火) 00:22:41 ID:ZyHqW0so
「嬢ちゃんが走るより俺の方が速いだろ? ほれスバルの嬢ちゃんも」
「うわっ!」
ゴードンはスバルをティアナと同じように自分の脇に抱え上げる。
そうして二人を抱きかかえると今までの比でないくらいに速度をあげて走り出した。
脚部のローラーブーツがギアを上げて唸りを上げ、漆黒をした一陣の風となる。
「ひいいいいぃっ!!」
「うわ〜い♪」
ティアナは驚いて悲鳴を、スバルは嬉しさから嬉声を上げた。
□
「がはっ!」
若き槍騎士はその口から鮮血を吐き散らして呻いた。
腹部に刺さった敵の攻撃は内臓まで貫通こそしなかったもののバリアジャケットを引き裂き幼い身体に強烈な衝撃を与える。
反動で後方に吹き飛んだエリオは瓦礫の山に突っ込み何度も転がった。
「くっ‥‥まだ‥やれる」
なんとか手にした槍型デバイスを杖代わりにして起き上がり眼前の敵を睨む。
そこには自分を吹き飛ばした新手の敵が無機質な金属製ボディを鈍く輝かせ、何の感情も無いモノアイでこちらを見据えていた。
それは今までのどんなガジェットとも違う形状をしていた。
あえて言うならばヒトデだろう。
全長は120センチ前後、各部5箇所が鋭角的に尖った星型をしており、その先端は鋭い刃を装着されている。
そしてボディ全体に推進器(スラスター)が取り付けられており、急速な加速性能を持って手裏剣の如く飛んで襲い来るのだ。
最高速度こそエリオに劣るものの、一瞬でトップスピードに達するその加速性は驚異的の一言である。
これでも1体程度ならばエリオでも十分に対応できる、だが相手は優に30を超える数を誇り、さらにはキャロが初撃で気を失って今はフリードの背で守られているのだ。
フリードがキャロを守らねばならない以上は実質的に孤立無援、エリオは一人で戦うよりない。
自分が引けばキャロもろとも無残に敵の手に落ちるは必定、ならば後退・逃走の道は眼中になかった。
例え五体が砕けても戦い抜く覚悟はあった、しかしそれにはあまりに手傷を負いすぎている。
無論、敵はそんな事などお構い無しに襲い来る。
「ぐあああっ!!」
星型をした新型ガジェットが急加速で飛び交い、不規則な軌跡を描いてエリオに凶刃を振るう。
瞬く間に少年の身体は刻まれて赤い赤い血の雫を散らしていく。
圧倒的劣勢、遠のく意識の中で死を覚悟したエリオの下に救援の鉄拳が辿り着いた。
金属を剛力で無理矢理引き千切るようなけたたましい音が響き、火花の華が宙に咲く。
異形の戦闘機械は老兵の振るった剛拳により四散し、膝を屈して倒れんとした少年は彼の手で支えられた。
「よくがんばったな坊主、大したもんだ」
455 :
鉄拳の老拳士:2008/03/11(火) 00:23:37 ID:ZyHqW0so
「‥‥ゴードン‥さん」
ゴードンは傷ついたエリオを優しく抱きとめると太陽のように明るい笑顔を見せる。
エリオは思わず、ゴードンのその顔に記憶の彼方にある父の影を見た。
温かくて大きくて、そしてとても強い男の手に抱かれる安堵にエリオは意識を手放した。
「嬢ちゃん、この坊主を頼むぜ」
ゴードンは意識を失ったエリオを傍にいたティアナに手渡す。
そしてコキコキと肩を鳴らしながら腕を振りかぶり、バリアジャケット越しに隆起した筋肉が逞しい形を見せる。
そして勢い良く眼前で両の鉄拳を打ち合わせて甲高い金属音を響かせた。
「嬢ちゃんらは少し下がってな、この鉄屑共は俺が掃除してやるぜ」
お得意の不敵な笑みを以ってガジェットの群れに拳を構えるゴードン。
そんな時、彼の隣に同じく鋼の拳を持つ少女が並び立った。
「ならあたしも一緒に戦います!」
額のハチマキを揺らし青い髪を振り乱した少女、スバルは勇ましく吼える。
その瞳は固有技能の使用に備えて金色に変わり、同時に熱い闘志が燃え盛っていた。
「おいスバル嬢ちゃん、そいつぁお奨めしねえぜ?」
「ちょっ! 何言ってんのよスバル!? ここは一旦全員で引いて体勢を立て直して‥」
「こんなに敵がいたら殿が必要だよ。ティアはエリオとキャロを連れて撤退してちょうだい、あたしとゴードンさんが敵を止めてるから」
「む、無茶言ってんじゃないわよ、それなら私が残るわ!」
「ティアじゃ火力不足だよ。それに大丈夫、ゴードンさんと一緒なら絶対負けないから」
スバルは真っ直ぐ過ぎるくらいに曇りの無い瞳でティアナに答える。
その言葉に一切の淀みは無く、後退の意思など一欠けらも無い。
スバルの意見はもっともであったがそれ以上にこうなった彼女は何があっても自分の意思を曲げないという事をティアナは知っていた。故に大きく溜息をついて呆れる。
「分かったわよ、確かに単純に敵を潰すんならあんたの方が適任だしね。でも無茶するんじゃないわよ? 分かった?」
「うん」
「まったく本当に分かってんだか‥‥ゴードンさん、スバルの事お願いしますね」
「まったく無茶ばっか言う嬢ちゃん方だ‥‥まあ良いぜ、まかしときな」
ゴードンはやや仕方無さそうにしながらも了承する。
今は亡き妻や娘といった自分の家系の女の強情さを知っている故に、下手な説得など意味が無い事をよく理解しているのだろう。
ティアナは傷ついたエリオを連れてキャロやフリードと共に撤退。
そしてその場には二人の拳士と異形の戦闘機械の群れのみが残された。
物言わぬガジェットは周囲を取り囲みゴードンとスバルを無機質なモノアイで観察しながら、隙を伺って奇襲の機会を狙っている。
ゴードンとスバルは背中合わせに構えてガジェットを見据える。
「嬢ちゃん、こいつらの特徴分かったかい?」
「はい。高速起動での近接戦闘、恐らくは数に任せた同時攻撃で逃げ場を殺して襲ってきます」
456 :
鉄拳の老拳士:2008/03/11(火) 00:24:26 ID:ZyHqW0so
「OK、そこまで分かってんなら上出来だ。ならどうする?」
ゴードンの言葉の残響が消えるか否かの瞬間、唐突に何の前触れも無く敵は攻撃を開始した。
巨大な手裏剣のような新型ガジェットが高速起動戦闘を得意とするエリオにも匹敵する速度で以って前後左右からタイミングを合わせた攻撃が回避する空間を殺して迫る。
並みの魔道師ならば自分が倒されたと気付く間も無く意識を闇に落としているだろう、だが破壊されたのは襲い掛かった戦闘機械。
老兵と少女の鉄拳が凄まじい速度で数発繰り出されれば、装甲を紙のように切り裂かれたガジェットが宙を舞う。
「無理して回避せず、敵の動きを読んで後の先を取りカウンターで倒す。で、どうですか?」
攻撃を仕掛けた数機のガジェットを倒すと、スバルは先ほどゴードンの言った質問に答えた。
敵に囲まれつつもしっかりと返事を返すあたり彼女の律儀さが伺えるだろう。
ゴードンは思わず嬉しそうに豪快に笑った。
「ガハハハッ!! 良い答えだ嬢ちゃん、きっと腕の立つ師匠に教わったんだな」
「はい。なのはさんやギン姉、それに母さんに」
「そうかい」
スバルの口から出た母という言葉、言うまでもなくゴードンの娘クイントの事だ。
自身から娘に伝えた技がこうして孫の代まで継承されているという事にゴードンの胸が思わず熱くなる。
老兵は柄にも無く感傷的になりそうになるのを押さえ、務めて明るく振舞った。
「それじゃあ、楽しい喧嘩パーティーとしゃれ込もうぜ!!」
□
廃棄工場区画内部の一室、薄暗い部屋の中でモニターを眺めている男が一人。
言うまでも無くこの事件の首謀者、ジェイル・スカリエッティである。
モニターには群がるガジェットを次々と倒していくゴードンとスバルが映っていた。
「やれやれ、タイプγでも倒せないなんてどういう強さだ。しかしせっかくタイプゼロがいるのだから無理をしてでも捕獲させてもらおう」
スカリエッティはそう呟くと部屋を出てガジェットを格納している倉庫に入る。
そこには彼が作ってきたあらゆる兵器の中でも最高傑作の一つ、巨大にして凶悪な鉄塊が鎮座していた。
優に40メートルを超える巨体、ムカデのよう多脚式の下半身に上半身は人のような形をしているが6本もの腕を持ちそれぞれに銃火器や棍棒といった様々な武器を装着している。
まるで古に伝わる戦の神、阿修羅を髣髴とさせる歪な姿形は異形というほか無い。
457 :
鉄拳の老拳士:2008/03/11(火) 00:24:59 ID:ZyHqW0so
これぞ最高の予算と時間をかけてこの世界で作り上げた単一戦闘能力を求め続けた最高の戦闘機械、タイプδである。
スカリエッティはその禍々しい姿に魅入られるように恍惚とした笑みを零す。
この異形の前ならばいかに強大な魔道師であろうと容易く葬り去るだろう、例え傷ついた状態であってもタイプゼロ・セカンドが手に入ると思えば愉快で仕方が無い。
異形の機械の前で狂気に身を浸した科学者の笑みが闇に溶けていった。
□
「こんなもんかねぇ」
ゴードンが呟くと同時に最後のガジェットの残骸が砕かれて無数の機械部品となって地に転がる。
老兵と少女、二人のシューティングアーツの使い手はまるで長年共に戦ってきたかのように卓越した連携を誇り、一切の反撃を許さず敵を掃討し尽くしていた。
「やっぱりゴードンさんって凄いですね、あたし一人じゃ絶対無理でした」
「ありがとよ、しかしこんなカワイ子ちゃんに褒められちゃあ照れちまうぜ」
ゴードンの言葉にスバルは顔を真っ赤にして照れて恥ずかしそうにはにかむ。
その柔らかい微笑みに復讐の業火を宿す老兵の心に一陣の涼風が流れる。
だが一時の安らぎは呆気無く破られた。
「いやぁ〜お強い事だ。さすがはベルカ最強の拳士と呼ばれただけの事はある」
高らかな拍手を以って愉快そうな声が響く。
それはゴードンにとって忘れようの無い残響、憎むべき仇敵の声。
振り向けばそこには邪悪な黒い笑みを顔に張り付けた白衣の男、ジェイル・スカリエッティが実に悠然と佇んでいた。
スカリエッティのその姿を見た刹那、ゴードンの思考は暗黒の殺意に塗り潰される。
淀み濁った憎悪の波に精神を侵され老兵は一匹の狂える野獣へと変わり果てる、そして脚部のローラーブーツを最高速度で加速させ鉄拳を振りかぶり白衣の科学者に襲い掛かった。
「があああああぁっ!!!」
あらゆる魔獣をも恐怖させるような雄叫びを上げてゴードンは一直線にスカリエッティへと駆け、最高の重さと速さを持った右ストレートを打ち込む。
だがその一撃が復讐を果たす事は無かった、何故ならその寸前にゴードンの身体が吹き飛んでいたのだから。
ゴードンが加速してスカリエッティに接近し鉄拳を振り下ろした瞬間、一筋の閃光が彼を飲み込み吹き飛ばしたのだ。
それは横合いからの待ち伏せ、高町なのはにすら匹敵する砲撃で理性を失った復讐鬼を仕留める為の理詰めの算段。
ゴードンは閃光に吹き飛ばされ、壁をぶち抜いて瓦礫の山の中に消えた。
そしてゴードンに砲撃を打ち込んだ主、異形の戦闘機械はその奇怪な姿を露にする。
優に40メートルを超える巨体がカモフラージュを解いて鈍い色を輝かせる。
458 :
鉄拳の老拳士:2008/03/11(火) 00:25:28 ID:ZyHqW0so
この異形が今まで気付かれずに隠れられていたのは周囲の像を歪ませるステルス機能の為だ。
それほど高度なステルス能力ではないが薄暗い屋内ならば十二分な効果を発揮するのだ。
「ゴードンさん!!」
「ふむ、ステルス性はなかなか悪くないな。少なくとも通常のデバイスの索敵能力の裏はかけるか」
スバルの悲痛な叫びが響き、スカリエッティが自身の作った戦闘機械の性能にしみじみと呟く。
吹き飛ばされたゴードンの下にスバルが駆け寄ろうとする、だがそんな彼女に無数の銃弾が乾いた炸裂音を立てて放たれる。
「きゃああっ!!」
デバイスが咄嗟にオートで作り出した防御障壁で銃撃を防ぐが、敵の持つ機銃はかなりの大口径でその威力は凄まじく、スバルの強固な防御を容赦なく軋ませる。
「タイプゼロ、いやスバル君とでも言った方が良いかな? 君にもこのタイプδの実戦テストに付き合ってもらおうか」
スカリエッティはそう言うとパチンと小気味良い音を立てて指を鳴らす。
それを合図にタイプδと呼ばれた異形の戦闘機械が下半身のムカデのような多脚を不気味に動かしてスバルに迫り来る。
「くっ!」
苦い表情を浮かべながらもスバルはウイングロードを展開して後退。
少なくともあの巨体を相手に真っ向から接近戦をするのは得策ではないと瞬時に考える。
タイプδの上半身には6本の腕が備えられており、1本が巨大な熱線砲、1本が多砲門型ロケットランチャー、2本が大口径ガトリングガン、そしてもう2本が白兵戦用の巨大な棍棒。
どの攻撃でも直撃で喰らえばひとたまりも無い、もし先ほどゴードンの受けた熱線砲の砲撃など受ければスバルは容易く倒される。
まずは体勢を立て直して様子を見なければという冷静な思考に従いスバルは距離をとろうとした。
だが突如として彼女の走る魔力の道ウイングロードがかき消され、スバルは地面に落とされる。
「こ、これは‥‥AMF? なんて重さなの‥」
高性能のAMF発生装置で展開される高濃度のAMF下でスバルの魔法行使能力は著しく阻害される。
そして苦い顔で膝を突くスバルめがけてタイプδの腹部から何かが放たれた。
「きゃあっ!」
それは射出式対人捕獲用ネット、太い鋼線と特殊繊維で編みこまれたネットがスバルの肢体に絡まり動きを殺す。
459 :
鉄拳の老拳士:2008/03/11(火) 00:26:04 ID:ZyHqW0so
呆気無く捕縛されたスバルに金色の瞳を不気味なほどに輝かせたスカリエッティが近づいた。
「案外アッサリいったねぇ、もう少し粘ってもらわねば実戦テストにならないんだが」
スカリエッティの浮かべる薄ら笑いにスバルが気丈に睨み付ける。
だがスカリエッティはそんな彼女の敵意も意に介さず、嬲るような妖しい手つきで指を伸ばした。
「いやぁっ! やめてっ!!」
スカリエッティの指が優しくそして淫らさも孕んだようにスバルの頬を這う。
その表情は満面の喜悦を浮かべ、瞳が不気味な光を放っている。
明らかに常軌を逸したスカリエッティの目つきにスバルの悲鳴が響く。
「前回手に入れた君の姉君は固有技能を持っていなかったからねぇ、大した研究材料にならなかったんだよ。しかし君の固有技能、振動破砕は興味深い。くくくっ‥‥たっぷり時間をかけて調べさせてもらうとしよう」
スカリエッティは気味の悪い笑みを零しながらスバルの柔肌を指で撫で回す。
あまりの恐怖にスバルは涙さえ浮かべる。
だがそんな時、先ほどゴードンが吹き飛ばされて崩れた瓦礫の山が轟音を立てて爆ぜ飛ぶ。
濛々と煙が立ち昇り、黒いバリアジャケットに身を包んだ老兵が再びその勇姿を現した。
「何してやがる糞野郎。てめえの相手は俺だぜ?」
続く。
460 :
ザ・シガー:2008/03/11(火) 00:31:24 ID:ZyHqW0so
投下終了です。
別にスバルがつかまってエロイ事されたりは無いから安心してください。
まあスバルのエロとかも興味あんだけど、俺には上手く書く自信ねえから無理かも。
そんでもって次回あたりが最終回になる予定。
>>431
GJですターンA氏、このSSの続きを心よりお待ちしております。
やっぱオバカなエロSSって良いわ。
どひゃあ、すまねぇ!割り込んじまった。
ちょっくら、なのは隊長の個人指導受けてくらぁ… λ......
GJ!
だがいかん、爺さんに死亡フラグが!
>>460 投下乙!
スバルのエロイ事有ってもいいんですよ?むしろ大歓迎ですよ?
爺強過ぎるぞ…
もう歳だろうに
465 :
B・A:2008/03/11(火) 00:53:15 ID:kdlpuAyS
ちょっと早いですか?
投下まだ待った方が良いですか?
466 :
ザ・シガー:2008/03/11(火) 00:56:53 ID:ZyHqW0so
早く投下してくれ! もう待ちきれないんだ!!
1時ジャストまで待てばいいんじゃね?
ところで、こんな経験はないだろうか。
気合いは言った長編だなあ
↓
後でまとめて読もう
↓
うはwwwwスレ進みすぎで始めがわからないwwwww
>>453 >少ないとはいえ無いわけではなかった…はずだよな?
ええと自分が覚えている範囲では.
・マギー(マーガレット・リーゼ・G・アルピーノ)(熱き彗星の魔導師たち)
・ゆのは=高町=スクライア(マージネーター)
がすぐに出てくる所なのですが、どうも10代から高くても20代辺りまで位しかいない
ような。
オヤジ系だと、パワフルで格好いいアクションとか(ザ・シガー様のゴードン爺様とか)
ダンディでハードボイルドな行動(尊ぶべき愚者の陸の方々)とか、良い作品が多いの
ですが。。。
オバサマ系キャラで活躍させるとなると、ママさん刑事みたいな感じになりそうなので
すが、はたして皆様のお口に合いますでしょうか。
469 :
B・A:2008/03/11(火) 01:07:30 ID:kdlpuAyS
1時過ぎ・・・ぼちぼち良いかな。
今回はかなり挑戦です。非難とか削除とかかなり覚悟してます。いや、そうならないように努力はしますが。
注意事項
・セッテ×エリオ
・時間軸はstsから5年後、エリオ16歳。そのため、捏造が多々あり。
・現在と過去が入り乱れる少々わかり辛い造りになっています(えぇ、つまりは仮面ライダーキバですね)。
・セッテの性格は少しアレンジ入っています。
・エロは入るかもしれないし入らないかもしれない。とりあえず、今回は非エロ。
・作中においてセッテは叫んだりします。うちのセッテは叫んだりしねぇってお方は避けてください。矢とか鉄砲持ってこないで。
【Present】
重い鉄の扉が軋みを上げて口を開け、抜けるような空が視界一杯に広がる。吹き付ける潮風は仄かに春の香りを含んでおり、日差しは包み込むように暖かい。
ふと炉端を見下ろせば、気の早いタンポポの花が鮮やかな黄色の花弁を咲かせていた。
「いよいよね。これがあなたのこれからの人生を彩る最初の一歩よ、セッテ」
「・・・・・・」
見送りのために来てくれたギンガの言葉にセッテは無言で頷く。鋭い目つきのせいで、見ようによっては不機嫌そうな顔に見えるが、
これでも彼女なりに感謝の気持ちを表したつもりだった。ギンガもそのことは承知しているので、特に気を悪くしたような素振りは見せなかった。
「そういうところは変わらないわね、あなた」
「すみません」
抑揚のない無機的な言葉だったが、そこには深い感謝の念と僅かばかりの不安が込められていた。
JS事件・・・・あの未曽有の大事件から5年が過ぎ去った。生みの親や尊敬する姉と袂を分かち、姉妹たちと共に更生プログラムを受けたセッテではあったが、
持って生まれた無機質さを拭い去ることはとうとうできなかった。この5年間で同じ境遇のオットーとディードが豊かな感情表現を身につけていくのを見てきたセッテにとって、
それはとても不安なことだった。
「大丈夫よ。社会に出て色々な経験を積めば、きっとあなただけの個性が見つかるわ。それに、あなたのことを守ってくれる立派な騎士様もいるでしょう」
「・・・・・・・・・・・」
何と答えれば良いのかわからず、セッテは戸惑った。言葉の内容だけを見れば肯定するだけで済むのだが、何故だか素直に肯定してはいけない気がした。
「ほら、迎えが来ているんでしょ」
「は、はい・・・・・」
ギンガに背中を押され、セッテは更生施設の門を潜る。
踏みしめた一歩は何だか頼りないものだったが、地面の確かな感触は不思議な安心感を与えてくれた。
「ギンガ」
「なに、セッテ?」
「・・・・・・ありがとう」
相変わらずの無表情で礼を言い、セッテは通りの向こうで待つ迎えのもとへと向かう。
その背中に、ギンガは慈母のように温かな眼差しを向けて呟いた。
「頑張りなさい・・・・・・・きっと、あなただけの幸せがそこにあるはずよ」
延々と続く海上道路をセッテは歩く。風が吹く度に左右に植えられた雑木が揺れ、
見上げればカモメが鳴き声を上げながら滑空している。その動きを追いかけるように視線を下ろし、
海上道路の入り口で待っていた少年へと目を向ける。
赤い髪、利発そうな眼、背はとうに自分を追い越しており、5年前は少女のように華奢だった体も
がっしりとした大人のものになりつつある。
(そうか・・・・・あれから5年だったな)
長かった。
必要性の感じられない道徳教育。
無意味としか思えない奉仕活動。
更生施設のスタッフはみんな親切だったし、姉妹たちとの触れ合いは心地よかったが、結局自分はそれに馴染むことができなかった。
だって、そこには彼がいないから。
自分を滾らせ、惑わせ、狂わせてくれる存在がいないから。
だからセッテは耐えた。偽りの自分を演じ、社会的教育を受け、慣れない奉仕活動に貢献した。全ては、彼ともう一度会うために。
「エリオ・モンディアル!!」
手にしたハンドバッグを投げ捨て、セッテは少年へと殴りかかる。実戦を離れて5年になるが、その動きは未だ衰えていない。
例え専門外の徒手空拳も、戦闘機人である彼女が放てば振り下ろした工業用ハンマーの一撃と同じ破壊力を生み出す。
だが、少年はそれを必要最小限の動きで受け流し、いつの間にか手にしていた木の枝を無防備なセッテの首筋に突きつけていた。
そして、どこか不敵に笑ってみせる。
「久し振りだね、セッテ」
「ああ・・・・・約束通りお前を殺しに来てやったぞ」
3番の姉を彷彿とさせるセッテの睨みを、少年は柳のような微笑みで受け止める。
これが、5年ぶりとなるエリオとセッテの再会であった。
エリオとセッテの出会いは5年前のJS事件まで遡る。当時、ナンバーズとして創造主であるスカリエッティに従っていたセッテは、
命令されるままに機動六課という時空管理局の部隊を襲撃した。その時に彼女が斬り捨てた局員の中にエリオがいたのである。
邂逅は僅かに一瞬、それも彼女が一方的に斬りつけただけで、言葉を交わすこともなかった。
2人が初めて言葉を交わしたのは、それから少し後のことである。
【5 years ago】
闇の中から意識が覚醒する。
最初に感じたのは吐き気だった。息が詰まり、体が思うように動かない。
まるで骨格がねじ曲がってしまったかのように節々が軋みを上げ、動かすことも困難だった。
(なんなんだ、この感覚は)
セッテを襲う未体験の感覚。それはなんてことはない、ただの痛みであった。フェイト・T・ハラオウンとの戦闘によってダメージを受けた体が悲鳴を上げているだけなのだ。
しかし、感情を抑制し、機械として生きてきたセッテにとって痛みは未知の感覚だった。セッテはまだ目覚めてから日が浅く、戦闘で傷を負ったことは皆無であった。
それでも姉妹との訓練中にケガをしたことはあったが、セッテはその時の感覚を体のパーツが破損を訴える信号のようなものと認識していたため、今日まで本当の意味で痛みを
実感したことはなかったのである。しかし、それがどういう訳か今回に限り、セッテの脳は真っ当な痛みとして認識したのである。
それでもセッテは冷静だった。自分は機械、自分は兵士、自分は道具、そう己に言い聞かせてきたセッテにとって、感情や痛覚の遮断は最も得意とすることであった。
落ち着いて自分の体を検分し、現在の状態を把握していく。
どうやら、目立った外傷はないようだ。しかし、内蔵が一部潰れている。呼吸困難はこれが原因だろう。両腕にもかなりの負担がかかっているようで、
痛みという危険信号がさっきから引っ切り無しに鳴り響いている。加えてエネルギーも残り少なく、ISの使用も難しかった。
(いや、問題ない)
多少ぎこちないが動くことはできる。戦闘は不可能だが、この場から撤退するだけの余力は十分にある。
(そうだ、ドクターは? トーレはどうなった?)
自分が覚えているのは、恐らく奥の手と思われる軽装のBJをフェイトが展開したところまでだ。
その後すぐに撃墜されてしまったため、2人がどうなったのかはわからない。
重い半身を起こし、創造主と姉の姿を探す。希望的観測はしなかった。負ける要素は少なかったが、相手はオーバーSランクの魔導師、
万が一ということもある。その時は2人を見捨て、全力で逃走を図らねばならない。この身に宿るスカリエッティのクローンを守るために。
「・・・!」
そして、セッテは見た。
傷つき倒れるトーレと、バインドで拘束されたスカリエッティを。
その横にいるのは金髪の執務官フェイト・T・ハラオウン。そしてもう1人、どこか見覚えのある赤毛の少年。確か名前は、エリオ・モンディアル。
支援
「・・・・!・・・!!!・・・!!」
落ち着け、冷静になれ、自分の役目を思い出せ。
幸い奴らはこちらが目覚めていることに気づいていない。このまま気配を消して逃げだすことは容易だ。
そして、どこか安全な場所で新たなスカリエッティを出産せねばならない。
だというのに、気付けば近くに転がっていたブーメランブレードを手にしていた。半ば辺りで刀身が折れたそれは最早武器と呼べず、
とてもあの執務官と打ち合えるような代物ではない。だが、人を殺す分には十分だった。
(私は・・・・何を考えている?)
気持ちが悪い。
気持ちが悪い。
気持ちが悪い気持ちが悪い気持ちが悪い気持ちが悪い気持ちが悪い気持ちが悪い気持ちが悪い気持ちが悪い
気持ちが悪い気持ちが悪い気持ちが悪い気持ちが悪い気持ちが悪い気持ちが悪い気持ちが悪い気持ちが悪い。
(何故・・・・私は・・・・・)
痛みとは別の何かが胸の奥で渦巻き、吐き気がどんどん強くなっていく。
目の前で笑っている2人が許せない。
仲睦まじく寄り添い合う2人が許せない。
自分たちを打ち負かした2人が許せない。
「!」
次の瞬間、セッテはフェイト目がけて踏みこんでいた。
トーレを除けば姉妹中最速の斬撃が金髪の執務官の首筋目がけて振り下ろされる。
「フェイトさん、危ない!」
だが、その一撃はエリオのストラーダによって受け止められてしまった。
すかさずセッテはもう片方のブーメランブレードを振り抜く。密着した状態で長槍を振るうのは無理があり、
エリオに残された道は避けるか受けるかのどちらかしかない。受ければそのまま一刀両断、避ければ右手の剣で追い打ちが待っている。
だが、次にエリオが取ったのは予想外の行動だった。
「でやぁぁぁっ!!!」
「・・・っ!!」
事もあろうか、エリオはセッテに体当たりをぶちかましたのだ。態勢を崩したセッテはそのままエリオと抱き合うように地面を転がり、
標的であるフェイトから大きく離されてしまう。
「エリオ!」
「大丈夫です。フェイトさん、彼女は僕が!」
いち早く立ち上がったエリオがストラーダを構え直し、セッテに迫る。その踏み込みは、セッテが知る限りで3番目に速かった。
支援
「だぁぁぁっ!」
「くっ!」
繰り出される突きを受け流しながらセッテはアジトの奥へ奥へと後退していく。
強い。
目の前の少年は未熟でありながら、その身に恐ろしいまでの爆発力を秘めていた。
激戦で消耗し、ろくに魔力も残っていないにも関わらず、セッテの高速機動に追いつきながら
連撃を放ってくる。しかも、その突きは放たれる度にセッテの体へと近づいてきていた。
「大人しく投降するんだ! スカリエッティは逮捕した、ゆりかごも堕ちた! 君たちの負けだ!」
「うるさい!」
叫んだことが信じられなかった。
教育係であるトーレに似て苛烈な部分があることは自覚していた。しかし、それは表面だけだ。
深い部分では常に冷静で、激昂することなどありはしないと思っていた。
きっと吐き気のせいだ。
こんなにも気持ち悪い吐き気がするからいつもの自分でいられないのだ。
だったら、その原因を排除しよう。そうすればきっと、この苦しみから解放されるはずだ。
「IS・・・・・スローターアームズ」
ISの発動とともに手にしたブーメランブレードに不可視の力がこもる。同時に、自分の命が秒単位で削られていっていることをセッテは自覚した。
(ああ・・・・くれてやるとも・・・・・・この苦しみに比べれば、死すらもまだ生ぬるい!)
セッテは気づいていない。
今、自身が感じている感覚こそ、人間で言うところの怒りの感情であることを。
「はぁぁぁぁっ!!」
「でやぁぁぁっ!!!」
2本の剣と蒼き槍がぶつかり合う。
衝撃が周囲の瓦礫を吹き飛ばし、バランスを崩したエリオは後退する。すかさず、セッテは追撃を放った。
まるで宙を泳いでいるかのように繰り出される変幻自在の剣戟をエリオは受け止めるのが精一杯で、先ほどまでの爆発が嘘のように防戦一方となった。
当然だ。戦闘機人にただの人間が敵うわけがない。自分はこの少年を殺し、あの執務官も殺す。そしてあの桃色の髪の召喚師も、
姉妹たちを傷つけた機動六課も、それを使役する時空管理局も、全て殺しつくす。そうすればこの苦しみから解放される。
この吐き気から、頭痛から、動悸から、全てから救われる。
(なら・・・・なんで!)
何故、刃を振るう度に苦しみが増すのか。
何故、敵を追い詰めるごとに苦しみが増すのか。
答えは目の前の少年にあった。
少年は怯まない。どれほど苛烈な攻めに晒されようと、一瞬の隙を見つければ打ち込んでくる。
絶望的なまでの実力差を見せつけられながら、万に一つの勝機を見つけて掴み取ろうとする。
それがセッテに気に入らなかった。
そうだ、あの執務官もそうだった。絶望的な状況、自分たちに追い詰められながらも、
たった2人の子どもの言葉でその窮地を覆した事実がセッテは許せなかった。
心なんていらない。
心なんて邪魔だ。
心なんて目障りだ。
だって、それを認めてしまったら、自分が自分でいられなくなるから。
「もうよせ、戦いは終わったんだ! もう君たちは、戦う必要なんてないんだ!」
「黙れぇぇっ! あんたに、あんたなんかにぃぃっ!!!」
全力でブーメランブレードを振るう。
感情など認めない。
心の力など認めない。
機械として生き、道具としてその力を振るってきた自分が、否定してきた絆の力に敗れたなどあってはならない。
自分の生き方が間違いであったはずがない。
正しいのはドクターだ。正しいのはトーレだ。正しいのは自分たちだ。正しいのは・・・・・・・・・。
「正しいのは、私だぁぁぁっ!!!」
だが、何より許せないのは、こうして自分が立っていること自体が、否定してきた感情の力であるということだった。
「うあぁぁぁっぁっ!!!」
「・・・ストラーダ、モードリリース!」
不意にエリオが構えを解き、ストラーダを待機状態に戻した。この状況で武装を解くなど明らかにおかしい。
しかし、感情を剥き出しにしたセッテは構うものかと踏み込み、神速の斬撃を放つ。ISで強化されたその速度は視認することもできず、
エリオは首から肩にかけてを真っ二つに両断される・・・・・・・はずであった。
もっかい支援
「なっ・・・・!?」
ブーメランブレードが明後日の方角に飛んでいた。
両腕がない。肘先から奇麗に欠けており、傷口は断線したケーブルがスパークを起こしていた。
消耗した状態でISを使用し、限界まで酷使した結果であった。最早セッテに戦う術はなく、ここまで彼女を突き動かしていた怒りも急速に失せていく。
糸が切れたマリオネットのようにバランスを崩して前のめりになった体を、エリオは優しく抱きとめた。
「ごめん・・・・ごめん・・・なさい・・・・・・」
エリオの目から涙が伝う。そして、消えていくセッテの意識を繋ぎとめるかのように壊れた体を強く抱きしめた。
少年の嗚咽にセッテは首を傾げる。
何故、泣いているのか。
何故、謝罪するのか。
その行為の意味も理由もセッテには理解できなかった。
「何故・・・・・泣いている?」
「だって・・・・僕は・・・あなたを救えない・・・・どうすれば救えるのか・・・・わからない・・・・・・」
彼女が何故逆上し、襲いかかってきたのかはエリオにはわからない。しかし、本能的に彼は理解していた。自分に彼女の苦しみはわからない。
今、目の前で苦しんでいる女性を救う術が自分にはないことを悔やみ、懺悔する以外の方法が思いつかなかった。
理解などできるはずがなかった。絆を否定し、感情を押し殺してきたセッテが初めて感じた怒り、絶望、嫌悪。その苦しみを理解できる者など、
この世のどこにも存在しない。生まれながらに感情を持つ者に、感情を持たずに生まれた者の気持ちなどわかるわけがない。
だからエリオは泣いていた。何よりも不甲斐無い自分が許せなくて。その嘆きがお門違いであるとわかっていながら、傷つき倒れる人を救うことができない無力さを悔やんでいた。
(そうか・・・・・これが、悲しいというのだな)
意味まではわからないが、それがどういうものなのかは何となくわかった。胸が張り裂けそうなくらい苦しくなり、目頭がジンと熱くなる。
それでいながら体の内は氷のように冷えていき、水の中に沈んでいくかのような錯覚を覚えるのだ。
そう、セッテは今、自分のために泣いてくれているエリオを見て悲しんでいた。
お前は泣く必要などない。こんな紛いものの機械に謝罪する必要はないのだと。
それは、セッテの中に初めて芽生えた優しさであった。
「1つだけ・・・・・聞かせろ」
「・・・なんですか?」
「お前は・・・・何故戦える? 何度も傷ついて、何故立ち上がる?」
場数は少ないながらも、自分は多くの人間と戦った。そして、その多くは倒れると二度と起き上がらなかった。
死にはしなかったが、圧倒的な力の恐怖に絶望して戦意を失っていた。だが、この少年とその仲間は違う。
何度傷つき倒れても、その度に強くなって立ち向かってきた。
その理由が、セッテは知りたかった。
それは好奇心という感情だった。
「僕には・・・・・僕の後ろには、守りたい人がいる。傷つけちゃいけない人がいる・・・・・・」
霞んでいく目で、セッテはエリオの背後から心配そうにこちらを見つめているフェイトの姿を見た。
「そして、その人たちは僕に戦う力をくれる。その人たちの笑顔が僕を強くしてくれる」
「護衛対象が・・・・・力の源だと言うのか・・・・・・」
理解不能だ。強引に解釈するならば、彼は守るべき者たちの力をも借りて戦っているということになるのかもしれない。
それならば合点がいく。如何に個々の力で勝ろうとも、個人は集団には敵わない。彼はその身に万の軍勢を秘めた軍隊だったのだ。
「それが・・・・・絆・・・心の力か・・・・感情のない私が負けるのも・・・・・・道理なのか・・・・・・」
「違うよ」
静かにエリオは首を振る。頬を伝う涙の雫がセッテの顔に零れ、その部分だけ熱を持ったかのように熱くなった。
「君にはちゃんと感情がある・・・・心がある・・・・」
冷たくなっていくセッテの頬に触れ、エリオは告げる。その心地よい響きに、セッテは体が軽くなったかのような錯覚を覚えた。
先ほどから煩く泣き喚いていた痛みも感じなくなり、胸の苦しみも少しずつ溶けて消えていく。
(心地よい、というのか・・・・・これは・・・・・・)
いつだったか姉妹とともに本で読んだ、母に抱かれたような気持ちとはこういう感覚を指すのだろう。
あの時はよくわからなかったが、今ならばそれがどんなに尊いものなのかよくわかる。
「ウェンディが言っていた・・・・」
消えゆく意識で、セッテは最後の言葉を紡ぐ。
「確か、恩義を感じた時はこう言えと・・・・あ・・・あり・・・・・」
瞼が閉じていく。
消えていく少年の顔はとても辛く、悲しそうだった。
「あり・・・ありが・・とう・・・・・」
そして、セッテの意識は闇へと堕ちた。
新暦75年9月19日。こうして、JS事件は静かにその幕を閉じた。
【Present】
「セッテ・・・・・セッテ!」
「・!?」
エリオの言葉に、セッテは回想から現実へと引き戻された。
「どうしたんだい、ボーっとして?」
「・・・・少し、昔のことをな」
「昔って?」
「いずれ話そう」
そう、時間はまだたくさんある。やっと再会できたのだ、まずは久し振りの自由をエリオと満喫し、それからゆっくりと語り合えば良い。
今までのことを。そして、これからのことを。
『約束しろ。いつか、お前は私に殺されろ』
あの日の約束を違えるつもりはない。
エリオ・モンディアルをこの手で殺す。そのためだけに自分は今日まで生きてきたのだから。
「それじゃ、行こうか」
「・・・・・・・徒歩でか?」
「まさか。そっちにバイクを停めてあるよ。タンデムはセッテが初めてだけど」
「そうか、無駄な体力を消耗せずに済むのなら幸いだ」
(素直に喜んでくれても良いと思うけどなぁ)
「・・・・・・・・・・・・・・・」
自分を無視して歩きだしたセッテの後をエリオは慌てて追いかける。
時に新暦81年3月。
空の殲滅者と若き槍騎士の新たな物語は、こうして始まった。
to be continued
483 :
B・A:2008/03/11(火) 01:39:49 ID:kdlpuAyS
以上です。
無茶無謀向こう見ず。セッテは死ぬほど難しい。なんか途中からまるっきり別人・・・・というかシグナムみたいになっているし。
せめて話が一区切り(過去編がすっきりするまで)は長い目で見てください。
ちなみに、アルカディア氏が作中でセッテを描写しなかったら、このSSは生まれなかったと思います。
支援、ありがとうございました。
GJ!!です。
セッテが今まで目立つSSは無いに等しいので続きを期待してます。
それにしても、このスレのエリオ君はやり手だなぁwww
超GJ!
続きを楽しみにしています
486 :
ザ・シガー:2008/03/11(火) 01:50:52 ID:ZyHqW0so
セッテが感情というものを理解したGJ!!
なるほど、敵の男に対抗心を燃やしている内にそれが恋心に変わっていくと?
良い流れだ、これなら自然にセッテのエロ(ここ強調)に話を持っていける。
でもせっかくだから俺は不自然にエロへと持っていくぜ! という訳でソープ・ナンバーズのシリーズでセッテをメインにしたエロを前向きに検討していくという事になりました。
いつ書けるか分からないけど。
このエリオは本編より明らかに凄くなってるw
いろんな意味で
>>468 おばさん、熟女、いいじゃない。
おばさん刑事で何故かセーラー服に身を包んだリンディさんが出てきたのは秘密だぞ。
おばさんじゃねぇ、ママさん刑事だorz
>>488 セーラー服を着た若作りの年齢不祥な美熟女をグチョグチョに犯すんですね、わかります
>>488 いやいや、それはおばさん刑事じゃなくて、おば『あ』さん刑事では・・・?
あ、
>>491の前方に唐突に虚数空間への穴が空いた。
>>491
ともかく交渉用のリンディ茶を用意しておかないと命の保障はできないぜ。
まあ、孫がいるんだからおばあさんで間違いないんだろうけどw
孫たちに、おばあちゃんって言わないようにと教育していそうではあるw
●<Good morning everybody!!
待っている方がいるかどうかはわからんが、今夜8時頃に残りを投稿しまふ。間隔あけてスマソ。
待ってます!
おはようございます〜
投下、大丈夫かな
ではメインストーリーはひとまず終わり、ということで
姉妹達のその後をちょっとだけ置いていきますね
(注意書き)
[熱血魔法少女"恋愛"アクションSS〜ソラノカケラ〜・外伝1 通算第65回 ギャンブラークアットロ?(前編)][非エロ]
シルバーカーテン、もといNG発動キーはタイトルで「ソラノカケラ」「ゲリラ兵」を指定すれば確実に消えるかと思われます
(今日の注意)
補完的な意味合いが強いですので、意味がわからない部分がありましたらご容赦下さい
続きネタの為、ディードの性格が若干明るくて大人びていい子になっています
良く分からない組織の良く分からないMOBキャラがでてきますが、今の所空気です
気になる方はメインのお話の方を……って長いよね……そのへんは適当にお願い致します
とりあえず誰かが競馬は止めておけと言っていたので競馬からやらせてみました
話中に出てくる、種々の名称は既存の地名、団体と一切関係アリマセン⊂´⌒つ。Д。)つ(一応お約束)
では朝刊〜
第97管理外世界の極東地区日本。
その首都東京の近郊、中山競馬場のスタンドでゴールを迎えようとしている馬群を見つめている一人の女性の姿があった。
丸い眼鏡に金色の瞳、薄いこげ茶と茶色のチェックのつば付きの帽子をかぶり、カーキ色のトレンチコートを羽織った、
黒いワンピースの茶色い2本のお下げの少女――クアットロは、周囲から沸きあがる怒号を聞きながら、競馬新聞を握りしめた。
「いけー!そこー!」
と、彼女も叫ぶが――ゴール板の前を駆け抜けた馬群の順番は、3と13のゼッケンのついた1番人気と2番人気の馬であった。
はぁ、と落胆するその新聞と一緒に持っていた馬券の馬番連勝は4番−14番、当たれば倍率は800倍以上であったが、勿論ハズレである。
「当たらないものねえ……」
心底悔しそうに敗戦の感想戦をしている周囲の親父達には目もくれず、不満そうに馬券を見つめる。
書かれている金額は1万円となっているから、博打としては痛いはずであるのだが――。
「ま、いいわ」
とそう言って馬券を手の平でなぞると、その数字が3−13に変わった。
(ふふん、機械で読み取らせる仕組みになんてしてるから、やりたい放題よぉん)
確定のランプが掲示板に灯ったことを確認してから踵を返すと、散らかったハズレ馬券とマークシートを遠慮なく踏みながら、スタンドを後にして清算へと向かう。
勿論、もっと巨大な金額にしてもいいのだが、いくらなんでも不審がられるのは嬉しくなかった。
こんな辺境世界の法律なんて守る気など欠片もなかったが、何かやる度にほとぼりが冷めるまで待つのは面倒なので、
遊んで暮らせるだけのお金を、その日の気分によって方法を変えて調達する事にしているだけの話である。
この東京という都市、身元のはっきりしない、だがお金の工面に困らない彼女には、非常に優しかった。
誰にも干渉されず、お金さえあれば好きなところに泊まれて大概の物は手に入れることができる――
怪しまれずに潜伏するのにこれ以上の場所は無い。
挙句彼女の能力――シルバーカーテンを使えば、お金に困る事などなかった。
元手は自販機に残っていた100円玉であったが、パチンコ、スロットは言うに及ばず、中途半端な仕組みの機械の絡む代物であれば、
どんなものでも手玉に取って、結果として軽々と大金を得て悠々自適に暮らしていた。
(さて、次はどこに行こうかしらね――)
清算機から出てきた数枚の万札を白い財布に押し込むと、駅へと向かいつつ思考を巡らす。
ほぼ、同時刻、東京都千代田区に存在する電気街、通称秋葉原――。
そのとあるビルの一角、抵抗やコンデンサー、ヒューズなどが立ち並ぶ店頭に、腰までの白いジャケットとその内側に足元まで落ちる桜色を小奇麗に纏った、
ナンバーズ12番の末っ子、茶色く癖の無いロングストレートの少女、ディードの姿があった。
彼女の目線の先にあるのは、ガラス管のチューブ、いわいる真空管と呼ばれるかなりアナログな代物である。
何故、こんな所に彼女がいるかというと――その姿を見つけて駆け寄ってきた、
こちらはデニムのジャケットとタイトスカートに横縞青白ストライプと黒いストッキングを合わせたタイプゼロのファースト、
ギンガの用件が事の発端であった。
彼女の父親、ゲンヤが何を血迷ったか97番管理外世界でいうところのジャズ――に強烈に惹かれて、
本格的なオーディオ環境を構築し始めた所まではよかったのだが、なかなかにいい趣味をしていて、
再現性は求めてねえ、味のある音が聞きてえんだ、と技術の進歩しまくっているミッドチルダの只中でアナログデバイスに凝り始め、
ミッドで入手する事のできるパーツだけでは物足りず、こんなところにまで娘が出向く羽目になっているのであった。
ちなみに本当に原音を忠実に再現するだけであれば、データ量も技法も地球の技術レベルからすれば及びもつかないレベルの物品がいくらでも存在し、
それ以前に脳内に信号として直接送る事も可能であるわけで、ある意味伊達と酔狂の極みとも言えたが、
実際にゲンヤが作り上げた音を聞かされたギンガがそのどこか人間味を感じる音の柔らかさに感銘を受け、快く引き受けた経緯である。
「あった?」
そうギンガが問いかけると、うーん、と少しだけ唸ってから、これかな、と重なっていた細長い白い箱を取り上げると
完全に依頼した型番と一致していた。
「これですか?」
「あ、うん。それだね。じゃ目的達成かな」
「はい!」
そしてそう元気よく答える彼女が、ギンガはまだしも、何故同伴しているかというとそれなりに複雑な事情があった。
ミッドチルダ地上を震撼させた、クアットロの自爆テロ事件から約3週間後――
真っ先に嘱託試験に合格し、隔離を解除されたウェンディとディードであったが、
管理局地上本部に新しく設立された治安専門部隊に配属されて稼動を開始した後は、東奔西走、粉骨砕身とも呼べる熱心さで事件を解決しつづけ、
八面六臂、大車輪の大活躍で、この半年で検挙率は約10倍、彼女達2人が捕まえた犯罪者は月平均でも3桁を優に超えていた。
あまりの苛烈さにいくつかの犯罪者集団が根を上げるほどで、中にはディードに会いたいが為に軽犯罪を犯すものまで出始めていたが、
ここで一つの問題が発生していた。
元より長時間稼動、不眠不休性を達成する為に開発された彼女達であるから、いつ何時事件が起きても余程の事が無い限り対処は可能で、
勿論必死に働こうとしている2人がそれに応えない訳は無く順調に犯罪は減少していたのだが、問題はメンテナンススタッフの側であった。
具体的に言ってしまえば、彼女達のメンテナンスを担当しているマリエル・アテンザ技官以下部下達の方があまりの稼動の激しさに
ついていけなくなってしまったのである。
元よりタイプゼロのセカンド、スバルが夢の叶った特別救助隊で元気一杯に――むしろ無駄に元気過ぎる勢いで――働いていたところへ、
さらに2名が追加されたわけで、いくら優秀な彼女達とはいえひとたまりもなかった。
そこで休暇を出そうかという運びになったわけであるが、ウェンディは兎も角ディードは非番を言い渡しても仕事に関わろうとしてしまうが為に、
ここは無理矢理用件を作って異世界にでも行かせようか、との治安部隊上層部からの相談を受けたギンガが、
ゲンヤの目的を達成する良い言い訳が見つかったと喜んで、一緒に連れてきた次第である。
レジに頼んで、簡単に包んで貰ってから受け取ると、これからの予定を話し合う。
ギンガから話を振られるディードであったが、勿論土地勘も知識も無く、方針の立てようが無く答えに窮した。
「これからどうしよっか?」
「うーん……」
一応それなりに遊ぶお金も貰ってきているわけであるが、衣料品も部品もほとんどがミッドで揃う為に、特に欲しいものもない。
だが来る途中で見かけた街の景色がどこか特殊で、それが気になってはいた。
「適当にぶらついてみよっか?」
ギンガの無難な提案に動機が重なり、素直に頷く。
街を見て回る――こんなささやかなことにも僅かな楽しい自由を感じながら、
ディードは未だ隔離されている姉達との別れの事を思い出していた。
〜
戦闘機人の姉妹達――ナンバーズが研修を受けている隔離島の船着場に、彼女達の姿はあった。
海に突き出した形の波止場にくくりつけられた連絡用のボートは、天井こそついているもののさほど大きくは無かったが、
快晴の青空の下、青い水の上でゆらゆらと揺れていた。
ウミネコの鳴き声だけが響く。
もう既に出発の準備は出来ており、持っていく荷物も無いウェンディとディードはギンガの傍らで
いつもの研修時と変わらない服装で、姉達に別れを告げようとしていた。
姉を代表して、最年長の最低身、チンクが沈黙の中へ切り込む。
「私達の刑期はまだまだ長いが、頑張ってな」
「はい、チンクお姉様もお元気で」
「ういっす!チンク姉達の分まで頑張るっす!」
前者は少しだけ寂しそうに、後者はいつも通り元気良く答えると、今度は9番の赤毛、ノーヴェも照れながら一言付け加える。
「まあ、なんだ……うまくいえねえけど、頑張れよ」
「はい!」
「了解っす!……でもノーヴェはすぐこっちに来れそうじゃないっすか?ギンガさん」
「そうね。次はノーヴェが試験を受ける事になりそうだし、すぐに合流できるかも」
「え?そ、それは早くなくてもいいけど……チンク姉と離れるのは嫌だし……」
そう視線を落とす9番の脇腹に、名を出された眼帯の人の肘が軽く刺さる。
「何を言っている。私など気にしなくていいから、さっさと外で働け」
「う、うん……わかってるけどさ」
「ウェンディとディードが頑張ってくれれば、お前やオットー、セインは思ったより早く出れるかも知れんぞ?どうかな、ギンガ殿」
チンクに話を振られて、肯定の頷きを返すギンガ。
「うん。成果次第ではすぐに配属して欲しいって言われるかも知れない。なんせ人手が足りないから……」
普段ほとんど喋らない茶色い髪を後ろで細くまとめた10番、ディエチもそこで一言だけ2人に言葉を残す。
「……私達の分まで、頑張って欲しい」
「はい!」
「ういっす!めいっぱい頑張って、ディエチもチンク姉も速攻で出れるようにするっすから期待してて下さいっす!」
ウェンディのはりきりように、仕方なさそうに10番の人も微笑む。
6番の青い髪、セインも話しかけようとしているのだが、さっきから手の平を目に当ててぐすぐすと泣いているばかりであった。
送り出される側であるはずのディードの方から優しく話しかけられる。
「セインお姉様、そんなに泣かないで下さい」
「だ、だってよ、悲しいじゃんか。でも、でも、お姉ちゃん嬉しくてさ」
「もう、セインは泣き虫っすねー」
「う、うるさいよ、妹達の門出に感激して何が悪いのさ」
「それはそうっすけど……」
少しだけ涙を貰ってしまった、茶色いロングストレートの末っ子から、もう一度別れを告げられる。
「セインお姉様もお元気で」
「うん、ディードもウェンディも、しっかりね……」
う、ぐす、と再び涙を堪え始める彼女の隣で、オットーは静かに佇んでいた。
「オットーも……元気で」
「ああ」
とびきり寂しそうに双子の片割れにも別れを告げるが、相変らずの無表情で静かに答えただけであった。
「じゃ、そろそろ行こう」
「はい」
「ほいじゃいってくるっすー」
こんな時までまるで隣町まで買い物に行って来る様な11番の赤毛の軽さに返って救われつつ、ボートに乗り込む2人を見送る姉達。
どどどど、と低いエンジン音が響き始めて、係員によってともが解かれると、ゆっくりと離岸していく。
涙を浮かべながら小さく手を振るディードと、ぶんぶんと勢いよく腕を振り回す笑顔のウェンディに手を振りながら、
姉達はそのボートが視認できなくなるまで、じっと海を見つめていた。
〜
再び、秋葉原のとあるビルの屋上。
そこに2つの黒い人影があった。
比喩ではなく黒いジャンパーに黒いズボン、挙句目も口も開いていない黒い覆面をしているのだから、明らかに怪しい風体でしかない。
だんだんと傾き始めている陽を正面から浴びながら、その片方が眼下を歩いている人の群れと
妙にアニメのキャラクターやゲームの絵柄の多い街並を見ながら、呟いた。
「歪んでいるな、この街は」
「そうか?欲求に素直なだけに見えるがな」
しばらくの沈黙。
しかし本来の用件があるのか、ここで会話を止めるわけにはいかず、再度言葉が漏れる。
「人間といえども動物だ。それを否定しても仕方があるまい」
「そうだな……で、本当にやるのか?」
「ああ」
その黒い手袋が開かれた中から現れたのは、小さい菱形の赤い石。
宝石というほどの輝きは無かったが、どこか神秘的な力を秘めているように見えた。
「4番の足取りがようやくつかめた。存在を確認するにはこれが手っ取り早いだろう」
「騒ぎを起こせば、出てくる、か。いい迷惑だな」
「ふん、たまにはよかろう。リアルなアトラクションも世の中には必要さ」
そういってその赤い石を親指に乗せてぴん、と弾くと陽に煌きながら街の只中へと落ちていった。
続きは、明日は無理かもしれませんが今週中にできたら……で
ほいでは〜ノシ
>>505 うわぁ、なんというつかの間の平和。GJです!!
オケーイボスwww
>>483 GJ!!
これは続きが気になる
感情を持たない機械に等しい存在として生み出されたセッテがどのような生き方をするのかとても楽しみ
感情を理解できたとしても、色々苦労するんだろうな・・・
とにかく16歳エリオに期待
セコいクアットロ帰ってキター!!!
これで壮絶な最期を遂げた外道クアットロのイメージも払拭…無理かw
馬券の磁気情報って暗号化されてなかったっけ?
まあ、ミッドの技術からすると子供騙しみたいなもんだろうけど
511 :
名無しさん@ピンキー:2008/03/11(火) 13:27:56 ID:CYZAQQda
>>505 はやてとシャマルさん、リンディさんの子供たちが生まれたときのことと
その後の子供達の状況を詳しくお願いしたいところです。
512 :
510:2008/03/11(火) 14:27:00 ID:co79ddxN
うあ…携帯閉じたたけのつもりが送信されてたorz
何が言いたいかと言うとだな、イカサマの使えなくなったクアットロがガチで勝負する話をだな
無理じゃね?
なんか凄まじく運が悪いイメージがあるから、ガチ=敗北しか脳裏に浮かばないんだがw
>>513 カイジにイカサマして、カイジのイカサマで負ける奴かwwwwww
パチンコ「沼」の攻略はワロタwwwwww
つか沼はもうギャンブル漫画じゃねえw
こんな時間ですが、書かせていただきます。
ぶっちゃけ今日は今しか時間が無いからです。
・なのはがバリアジャケットを新調しようとするけど、中々良い感じの物が決まらなくて困る。
・そこでユーノが「馬鹿には見えないバリアジャケット」をプレゼントするってな
何処かの昔話にも似たお話
・エロ
なのははバリアジャケットを新調したかった。今まで使っていた物も悪くは無いのだが
なのはだって女の子なワケで、やっぱり新しい服やファッションへの憧れもあるワケで…
だからこそ、今まで着た事の無い新しいタイプのバリアジャケットも着てみたかった。
「けど…中々これはって言うのは見付からないよね。」
普通の服と違い、バリアジャケットなのだから、デザインさえ決まれば後は魔術的に
作り出せば事足りるのであるが…肝心のデザインが決まらず、なのはは困っていた。
それ故になのはは紙に色々とバリアジャケットをデザインしては、結局気に入らずに
クシャクシャに丸めてゴミ箱に捨てると言う行為を繰り返していた。その際、なのはは
自分が使用していた既存のバリアジャケットをさらに発展させた様なデザインや、
フェイトやはやて等周囲が使用しているタイプと自分の物を組み合わせたデザイン等
様々なタイプをデザインしていたのだが…やはりなのはが気に入るデザインにはなり得なかった。
「中々上手くいかないよー!!」
ついには頭を抱えて嘆き出すなのはに皆もほとほと呆れてしまう。
「なのは、あんまり無理しなくても…良い物が無いなら今までのままで良いじゃない。」
フェイトがそうやってなのはを励まそうとするが、なのはの気は治まらず…
「嫌だよ! 何が何でも良いバリアジャケットのデザインが完成するまで止めない!」
と、頑固に再びエンピツを手に持って紙と向かい合ってしまった。
「なのは…そんな年甲斐も無くワガママ言って……。」
それにはフェイトは愚か、皆も本当に困り果てるのみだった。
一時して、何処からとも無くユーノが現れた。
「バリアジャケットを新調したいけど良いデザインが決まらなくて悩んでるんだって?」
「ユーノ君…。」
もはやなのはは良いデザインが決まらないせいで涙目になっていたのだが…
ユーノは逆に自信と余裕を含んだ優しい微笑みをなのはへ向けていた。
「なのは…実は今のなのはに丁度良い面白い物を見つけてね、これなんだ。」
と、ユーノはなのはへある物を差し出した。しかし彼の手には何も無い。
それに関してなのはが首を傾げながら訪ねようとした時に…彼は言った。
「これは馬鹿や自分にふさわしくない仕事をしている者には見えない不思議なバリアジャケットでね。」
「え…………。」
なのはとフェイトは思わず絶句した。ユーノが差し出した『馬鹿や自分にふさわしくない
仕事をしている者には見えない不思議なバリアジャケット』が見えなかったからである。
そして内心狼狽するが…そんな素振りを見せれば、自分が馬鹿で今の仕事は自分に
相応しく無いと言う事を悟られる。それは二人にとって自分自身を否定される様な事だった。
「凄い! それこそ私の求めたデザインのバリアジャケットだよ! ありがとうユーノ君!」
「本当に凄いねユーノ! 私こんな素晴らしいバリアジャケットは見た事も無いよ!」
とにかくなのはとフェイトは本当はありもしない物を褒める事しか出来なかった。
無論、他の者にもユーノの手に握られていたバリアジャケットが見えるはずも無く、
かと言って自分が馬鹿で今の仕事に相応しくない者と思われたくないが為に褒める事しか出来ない。
「凄いやないか! こんな素晴らしいバリアジャケット着れるなんてなのはちゃん幸せ者やな!」
「はやての言う通りだ! 本当羨ましいぞなのは!」
こうして皆が一通り褒め終えた後、ユーノが優しく微笑みながらなのはへ言った。
「良かった。なのはが気に入ってくれて嬉しいよ。早速着てみるかい?」
「え!?」
なのはは一瞬震えた。相変わらずユーノが手に持つバリアジャケットはなのはには見る事が出来ない。
だが、見えない=自分は馬鹿で教導官と言う仕事は自分に相応しく無いと言う行為を認めたく無い
なのはにとってそれを悟られてはならない。しかし…かと言ってこの状態でそのバリアジャケットを
装着したならばどうなるか…それはなのはで無くても分かる事だった。
そもそもバリアジャケットを装着する際、それまで自分が着用していた服、それも下着や
髪を結んでいた紐に至るまで全てが魔術的に一時消滅し、バリアジャケットの物に切り替わる。
そして、今ユーノの手に握られているバリアジャケットはくどい様だが既に何度も前述されている通り
『馬鹿や自分にふさわしくない仕事をしている者には見えない不思議なバリアジャケット』である。
無論、上着は愚か下着に至るまで全てがそれなのだから、なのはは忽ち全裸体を晒してしまうも同義。
それはなのはにとって至極恥かしい事であったが、フェイトを初めとする他の皆も
本当は見えないのだが、自分が馬鹿で今の仕事が自分に相応しくないと悟られたく無い為に
無理して見える振りをしている事に気付いておらず、他の者には見えているんだと認識し、
なのははユーノの言った通りにそのバリアジャケットを装着するしか無かった。
「それじゃあ行くよ! セットアーップ!!」
なのはは桃色の光に包まれ、バリアジャケットへの装着が始まった。これが従来の
バリアジャケットならばなのはがそれまで身に付けていた物が消滅し、その後で
桃色の光を放ちながらバリアジャケットが装着されて行くのであるのだが…今回は違う。
そもそもバリアジャケットが見えない。この筆者の目を持ってしても見る事が出来ない。
しかしそんな事を周囲に悟られれば、筆者は馬鹿だと思われてしまう。そんな事は嫌だ。
だからこそ筆者はなのはの全身に素晴らしいバリアジャケットが装着されている光景が
見えていると言う事にさせて頂くが、とりあえず実際はなのはの服が魔術的に一時消滅した後、
目に見えないバリアジャケットが、目に見えないエフェクトで装着され、
手にレイジングハートを握ってはいるが、客観的には全裸にしか見えないなのはが姿を現すのである。
無論上着は愚か、下着さえも目に見えないのであるから、なのはのボンッキュッボーンッな
肢体のフォルムが丸見えであるし、その大きく張りのある若々しい乳房と鮮やかな色の乳首、
そして股間の毛で覆われてはいるが、それでも瑞々しい輝きを見せる女性器も全てが丸見え。
もう少し脚を開けばアナルも見えるんじゃないか? とさえ思わせる凄まじい代物だった。
なお、その際のポージングやアクションは通常のセットアップと同様であったのだが
やはり全裸にしか見えないからシュールだ。
「凄いよなのは! 格好良いよなのは!」
「ほんま凄いバリアジャケットやないか! 格好ええで!」
「はやての言う通りだ! あたしこんな格好良いバリアジャケット見た事ねぇ!」
皆は拍手をしてなのはを褒め称える事しか出来なかった。勿論言うまでも無く皆の目にも
なのはの装着しているバリアジャケットが見えない。だからと言って、今のなのはを
裸とか言おう物ならば、それは自分が馬鹿で今の仕事に相応しく無い者だと
認める事になる為、そんな事を言う事は出来ず、あくまでもなのはが素晴らしい
バリアジャケットを装着している様に見える振りを演じる他は無かった。
「そうかな皆…そんなに似合ってる?」
目に見えないバリアジャケットを装着したなのはは内心恥かしそうにそう呟いた。
はっきり言って、当然彼女にも今自分の装着しているバリアジャケットが見えず、
全裸にしか見えない。無論自分の乳房や女性器まで全て丸見えになっており
もうお嫁に行けないのは愚か、自殺級に恥かしい。だが、皆にはバリアジャケットが
見えているらしいので、なのは自身もバリアジャケットが見える振りをするしか無かった。
それから一時して、突如局内全域でアナウンスが響き渡った。
『クラナガンでテロ発生! 武装局員は至急出動願います!』
「本当!? 急いで出動しなきゃ!」
なのは以外の他の皆もバリアジャケットを装着し、デバイスを構えて出動する。
その中にあって、なのはだけ目に見えないバリアジャケットのせいで誰の目にも
全裸にしか見え無かったのだが…誰も突っ込みは入れなかった。
既に『馬鹿や自分にふさわしくない仕事をしている者には見えない不思議なバリアジャケット』の
存在は管理局中に知れ渡っており、もしも見えないと言おう物ならば、自分は馬鹿で
今の仕事に相応しく無い人間と認めるも同然で、下手をすればこれを理由に解雇されかねない。
故に誰もなのはの全裸体に関して咎めはしなかった。特に男性局員の方はなのはの全裸体を
目の当たりにして鼻血を出したり勃起したりする者もいたが、なのはを見てそうなったと
知られれば、忽ちバリアジャケットが見えていない馬鹿と思われる為、エロ妄想してたとか
AV見てたとかエロ本読んでたとか適当で苦しい理由を付けたりしていた。
クラナガンではテロリストが絶賛大暴れ中だったのだが、管理局本隊の出動によって流れが変わった。
だが、それ以上に大変な事があった。それは何かと言うと…………
「うおおお!! 管理局のエース・オブ・エースが凄いバリアジャケットで出て来たぞー!!」
テロリスト達は左手で勃起した股間を押さえ、右手で鼻血の吹き出た鼻を
押さえながら口々にそう叫んでいたのである。ぶっちゃけた話、彼らにも何故か
なのはが『馬鹿や自分にふさわしくない仕事をしている者には見えない不思議なバリアジャケット』を
着用していると言う話が耳に入っており、また当然のごとくそのバリアジャケットは見えない。
しかしそんな事を悟られれば彼らも馬鹿で、テロリストに相応しく無いと思われるワケで、
そう思われまいと必死にバリアジャケットが見えている振りをするしか無かったのである。
「(で…でも…………でも…………ダイナマイッ!!)」
テロリストの一人が心の中でそう絶叫していた。確かになのはは普段も凄まじい強さを持ってはいるが、
今日はそれ以上に凄まじい。目に見えないバリアジャケット等と言う本当ならばありもしない物を
なのはを含め全ての者があたかもそこにある様な振りを必死に演じてはいるが、実際なのはは全裸である。
そしてなのははそんな状態で戦っているのだ。走ったり飛んだり跳ねたりすれば、その分彼女の
両胸の豊満な乳房はブルンとまるで千切れ飛んでしまいかねない位に勢い良く揺れ、脚を開けば
女性器はおろかアナルのシワさえ丸見えになり、かつ脚を大きく開けばその分女性器とアナルも
若干開いて奥が見える。まあそこまで見ようと思ったらかなりの視力が必要になるのだが…
そんなの関係ねぇ!! とにかく…それはそれはもう口では言い現す事等不可能な程
官能的でエロティックな光景。はっきり言って新ソニックフォームのフェイトさえ裸足で逃げ出し
かねない程の美しさであった。(性的な意味で)それはなのは本人にも、他の武装局員にも、
テロリストにとっても恥かしい光景であったが皆必死に耐えていた。くどい程前述している通り、
もしも裸だと指摘しよう物ならば、それは自分自身が馬鹿だと証明されるワケで、
自分が馬鹿だと思われたくない皆は必死になのはが『とにかく凄いバリアジャケット』を
装着して戦っていると言う振りをするしか無かったのである。以上の理由で、
本人を含め誰も指摘しようとしないのであるから、なのははその日、完全にテロリストが
鎮圧されるまでずっと全裸のまま戦い続けていたりした。
テロリストは鎮圧され、全員逮捕された。そして両手をバインドで縛られた状態で
連行されて行くのであるが、その間もなのはは当然全裸であり、かつ馬鹿と思われる事を
恐れて誰もその事を指摘する事は無かったのだが…………
「ママー、どうして一人だけはだかんぼなのー?」
「ヴィヴィオ!?」
何と学校帰りのヴィヴィオが現れたのである。しかも流石に彼女の耳までには
馬鹿には見えないバリアジャケットと言う話が伝わってなかったのか、
馬鹿正直になのはが全裸である事を指摘していた。
「ママー、ちゃんと服着ないと風邪引いちゃうよー?」
「………………………………………………………………………………………………。」
またもヴィヴィオはなのはが裸だと言う事を指摘し、それにはその場の空気が
忽ち絶対零度にまで凍り付き、誰もが気まずかった。ぶっちゃけ、この状況ならば
ヴィヴィオが馬鹿だからなのはが着ているバリアジャケットが見えなかったと
解釈する事も出来るだろう。しかし、ヴィヴィオが馬鹿などとなのはが
思えるワケも無く、思いたくも無い。それは他の局員達にとっても同様であり…………………
「ゆぅぅぅぅぅぅぅぅのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉくぅぅぅぅぅぅぅぅぅんんんんん!!!」
なのはは物凄い形相になり、恨みと怒りに満ちた叫び声がミッド全域に響き渡った。
そもそも事の発端はユーノが『馬鹿や自分にふさわしくない仕事をしている者には見えない
不思議なバリアジャケット』と言うありもしない物をなのはに持って来たのが始まり。
流石のなのはも今度ばかりは大激怒した。無理も無い。ユーノのせいでなのはは完璧に
自身の肢体の全てを衆知の物とされ、お嫁に行けない程の恥をかかされてしまったのだから………
結果、その日がユーノの命日となった。もっとも、ユーノもタダで死ぬワケが無く、
死の直前に残った力の全てを使って自身の睾丸の中の精子の全てを転送魔法で
なのはの子宮内に直接送り込み妊娠させ、その上さらに強力な防御魔法によって
子宮ごと受精卵を守る形で中絶さえさせずにユーノの子供産ませると言う
なのはは本当に嫁には行けなかったけど母親にはなったと言う展開になったりもするが…
ぶっちゃけそれは別のお話だったりするのである。
おしまい
ハイ、モロに「裸の王様」のパクリですね済みませんでした。
でも、昔話をパロる行為は何処でもやってる事ですし、元ネタの裸の王様だって、
元を正せばスペインの古い伝承をアンデルセンが翻訳しただけらしいですから………許してくださいorz
あと、最後のオチもエグい&蛇足過ぎでスンマセンorz
いんじゅうwww
524 :
名無しさん@ピンキー:2008/03/11(火) 17:04:47 ID:vRxd0AIv
吹いたwwww
乙wwww
淫獣自重www
>>522 パクリではなくオマージュだな。
しかしwwwww淫wwww獣wwww
これはひどいwwwwそして実に乙
これはとんでもないイタチの最後っ屁ですね
ぐっじょぶ
また一つ奇作が現れたwwwww
『はだかの(魔)王様』かw
蛇足だなんてとんでもない!
淫獣wwwっをまwwwwww
>>527 誰が上手いことを言えとw
あと、何故かこれで露出狂のなのはとか、同じく露出狂で、さらには首輪をつけられ
夜の街をはいずりまわされるフェイトとか、公衆の面前でお漏らしするのが好きなはやてとか
そんな電波を受信してしまったのだがどうすればいい。
>今の仕事に相応しく無い人間
◆6BmcNJgox2さん、少なくともあんたはココでSS書いてるのが相応しい
GJ!!
ミクロなレベルでの転送魔法とかwww
まさに技術の無駄遣いwww
ひでえw何というけっこうのお姉様
>>522 淫獣てめぇ!!
よくやった。そしてそんな◆6BmcNJgox2氏にGJ!!
537 :
ザ・シガー:2008/03/11(火) 19:04:17 ID:ZyHqW0so
一体氏はどこからこんなトンデモねえ話を思いつくのか!? あまりの凄さに言葉が出ねえ。
ともかくGJです。
ところでもうすぐホワイトデーなんですが、「烈火の将は狙撃手がお好き」で以前書いたバレンタインネタの続きとか書いた方が良いんでしょうか?
>>537 どういう意味でホワイトになるのかを詳しく
>>537 「スペシャルな」お返しを期待せざる負えない!!
540 :
ザ・シガー:2008/03/11(火) 19:54:36 ID:ZyHqW0so
>>538
え? 詳しく?
えっとね〜、つまりはヴァイスの青臭いザーメンを満遍なくぶっかけて注ぎ込んでシグナム姐さんを身も心も白く染め上げる。
っていうよくあるシチュだけど何か?
>>540 ストレートに言ったwwwww
この人思いっきりストレートに言っちゃったよwwwww
そこにしびれるあk(ry
2日目の夜は、十和田湖近くの宿に泊まる。昨日同様、仲良く五人でお風呂に入り、その後、出された夕食に舌鼓を打った。
すずかの言った通り、十和田湖のヒメマスの刺し身や塩焼き、また、青森県の郷土料理である『じゃっぱ汁』などが出される。
朝に食べたマグロとはまた違う味だったが、美味しかった。
翌朝。この日・8月3日は、十和田湖から弘前市へと出る。
これがまたそこそこ時間がかかるので、到着する頃には昼だ。
昼食にはこの地方独特の『津軽そば』なるものを「津軽そばの聖地」の店で食し、午後からは弘前城公園へ。
そこから青森市へ移動し、夜は『青森ねぶた祭り』を見物する、という怒涛の一日である。
「へぇ〜」
「これが、津軽そばなんかぁ……」
なのはとはやては、一口食べた途端、驚きの声を上げた。
五人は今、とある有名店で『津軽そば』を食べている最中である。
「そばは三立てが一番」とよく言われる。三立てとは、すなわち、挽きたて、打ちたて、茹でたてのことだ。
だが、津軽そばは全く違う。前日に麺を打ち、朝に茹で、さらに食べるのは昼過ぎ。
そんなそばが美味いはずはない、と思ってしまうのだが……。
「柔らかいし、そばの香りはあんまりしないんだけど……」
「でも……美味しいよね」
アリサとすずかが、なんだかちょっと信じられない、といった感じで感想を述べる。
確かにアリサの言うように、麺は柔らかくてそばの香りがあまりしないのだが、なんというかこう、
不思議な美味しさを持っているのだ。だしの香りが、また素晴らしい。
津軽そばのつゆは、砂糖や味醂等を使わず、焼き干しと呼ばれるイワシと昆布、それと醤油だけで作る非常にシンプルなもの。
フェイトは、あまりそばを食べたことがない。
なので、他の四人がそこまで驚いている理由がよくわからないのだが、とても美味しいと思った。
午後からは、弘前城公園へと足を延ばす。
弘前城公園は、桜の木が2600本あり、春には『弘前さくらまつり』なるものも開催されるのだが、あいにく季節は夏だ。
弘前城の天守閣内にある史料館などを見て回った。海鳴市やその周辺には、こういった施設はない。
神奈川の西端に位置する、小田原城くらいだろうか。五人とも、このような場所に入るのは初めてだった。
だが如何せん、歴史の勉強もまだろくにしていないような小学4年生のなのは達。
さらに、津軽地方は正直言って、日本史的にはマイナーな地点だ。
見る人が見れば喜ぶような展示物も、彼女達にはあんまりよくわからなかった、とだけ言っておこう。
「うわぁ、すごい人!」
「みんな、離れないで!」
午後7時過ぎ。青森市まで戻ってきたなのは達一行は市街地に繰り出し、『青森ねぶた祭り』を見物する。
やはり、有名な夏祭りだけあって、観光客の数も半端ではない。
驚きの声を上げるフェイト。みんなをまとめるアリサ。五人は車椅子のはやてを囲むようにして進む。
「んー、これじゃ見えないよー!」
当然のことだが、観光客は大人が多く、人の壁の後ろにいたのでは、なのはの言うように何も見えはしない。
割り込みみたいなことはしたくなかったが、仕方なく、錐が穴を開けるように人ごみの中に突っ込んでいく五人。
こんなことが許されるのは子供までだ。大人の皆さんには、こんな大人気ない行為はぜひやめて欲しい。
「むぎゅぅ」
「うわわっ!」
前の人に顔をぶつけるすずか。人と人の間に挟まれて流されそうになるアリサ。
それでも、ようやく前が見えるところまで来ると、ちょうど目の前を山車が通っているところだった。
読者の諸君は「雷神風神図屏風」をご存知だろうか。
あれに書いてある雷神や風神のような人形や、刀を持った今にも飛び掛って来そうな形相の勇ましい武者人形、
さらには鬼や妖怪を思わせるような人形。他にも紙貼りの扇や動物など。
それぞれの人形には電飾が灯され、それが山車の上に載せられて、なのは達の前を練り歩きながら通り過ぎていく。
灯された火に美しく輝く山車が、ようやく暗くなり始めた夏の夜空によく映えていた。
らっせらーらっせらー
らせらせらせらー
笛や太鼓の賑やかな音に合わせて、威勢のいい掛け声が聞こえてくる。これが、青森ねぶた祭りの掛け声だ。
なお、ねぶたには「大型ねぶた」「子供ねぶた」「地域ねぶた」があるのだが、
なのは達が観光した8月3日は「子供ねぶた」が繰り出される日であり、
「大型ねぶた」の運行が他の日に比べてやや少なめ。といっても、迫力は十分だった。
「すごいわぁ……迫力あるし、幻想的で綺麗やなぁ……」
「うん……」
五人は心地よい祭りの熱気に酔いしれ、言葉少なに目の前を通り過ぎていく祭りの行列を眺めていた。
翌8月4日、最終日。この日はどこにも寄らずに、海鳴市へ帰るだけだ。
朝はゆっくり眠り、遅い朝食を食べる。チェックアウトの刻限11時ちょっと前に宿を出た。
青森駅近くのお土産屋に立ち寄り、家族へのお土産と、新幹線の中で食べるお菓子などを購入する。
「うーん、ぎょうさんあるなあ……」
四人の守護騎士の衣食住の世話をする立場からくるものかどうかはわからないが、
はやては、おやつに食べるようなお菓子よりも、食事のときに食べられるようなものの方を熱心に見ていた。
迷った末に選んだのは、『南部煎餅』の『おつゆ用煎餅』と『てんぽ』。
鶏肉や魚で出汁をとり、その中に肉や野菜を入れて鍋を作る。
そこにおつゆ用煎餅を割り入れて煮込む青森の郷土料理『せんべい汁』を作るつもりだ。
また、てんぽとは、平たく言えば南部煎餅の生焼け状態のもので、お土産用のものには中に胡桃味噌などが入っていることが多い。
食感としては、餅や最中、今川焼きが混ざったような不思議な感じであり、こっちはおやつ系である。
ちなみに、南部煎餅は一般的には岩手県の特産と思われがちなのだが、実は青森県南部地方のものなのだ。
勘違いしている人も多いかもしれない。
おやつとしてだけではなく、せんべい汁のように食事としても煎餅を食する文化は、この地方独特のものである。
小麦粉で作った南部煎餅を、小麦粉を水で溶いた衣につけて揚げる『煎餅の天ぷら』なるものが存在するほどだ。
「ん〜、どれがいいかなぁ……」
「とりあえずこれっと。あとは……」
すずかとアリサは大きな家に住んでおり、それぞれの家は使用人やメイドを抱えている。
なるべく一箱に数がたくさん入っているお菓子を重点的に選んでいった。
「なのは、これ、かわいい。どんな味なんだろ」
「えーと、そうだなぁ……」
全く未知のものが目の前にズラズラと並び、目を白黒させてばかりのフェイト。
喫茶店を経営する家の娘のなのはは、人よりお菓子に詳しい。
もちろん、なのはも初めて目にするものは多いのだが、見た目からなんとなく味の見当はつく。
結局は女の子らしく、はやて以外はお菓子中心のお土産になった。
余分な荷物は持っていない五人。購入したお土産は、宅配便で家に送るなどせず、そのまま持って行くことにした。
今夜、お土産のお菓子を食べながら、少女達はそれぞれの家族に旅の思い出話を披露することになるだろう。
いよいよ、青森ともお別れだ。
「ちょっと、寂しいわね」
八戸駅へ向かう特急が青森駅のプラットホームから動き出した途端、窓の外を眺めながら、
名残惜しそうにアリサが言った。旅の終盤は、どうしても感傷に浸りがちだ。
「うん。でも……楽しかったよね」
「うん、楽しかった……また、いつか来るよ……それまでは、さよならかな」
青森の美しい景色を見ながら、そっと呟くすずかとなのは。
青森駅から特急で1時間、八戸駅に到着した。
新幹線への乗り換え時間は10分少々だが、さして広くもない八戸駅、車椅子のはやてを連れていても大丈夫だ。
すでにプラットホームに到着しているはやて号のグリーン車に乗り込む。
12時54分、なのは達を乗せたはやて16号東京行は、定刻通りに発車した。
八戸駅から盛岡駅の間はトンネルや山間部が多く、景色を眺めるには向いていない箇所なのだが、
盛岡駅を出ると、周りが一気に開ける。最高速度275km/hの高速運転に、往路同様フェイトは、わぁ……、
と瞳を輝かせて後方へ流れる景色を食い入るように見つめていた。
「はい、フェイトちゃん」
その声に振り向くと、なのはがポッキーを差し出してくれていた。
お土産屋で購入した、『青森限定・ジャイアントポッキー<紅玉>』だ。
「ありがと、なのは」
差し出されたポッキーに、可愛らしい小さな口がそのままパクッと食いつく。
フェイトが口をもぐもぐさせると、差し込まれたポッキーはたちまち短くなり、やがて全てが口の中に納まった。
ふんわりとした林檎の甘い味の中に、ちょっとした酸っぱさ、そしてポッキーのサクサク感が心地よい。
「なのは、もう一本!」
「もー、フェイトちゃんの欲張り〜」
そう言いながらも、ポッキーを差し出すなのはと、それをパクッとするフェイト。
二人の視線が合うと、どちらからともなく、ふふふ、と笑顔がこぼれる。
なのはとフェイトのそんな仲睦まじい様子を、他の三人はやはりニコニコしながら眺め、
自分達もお菓子を食べながら談笑するのであった。
はやて号が大宮駅を出ると、例によって大幅にスピードを落とすノロノロ運転になった。
やや残念そうな表情で窓の外の風景から車内に目を戻すフェイト。
しばらくすると、はやてが改まった感じで口を開いた。
「みんな、いろいろありがとうな……」
車椅子でしか動けない自分は、はっきり言って、旅行に行くにはお荷物だ。
だが、友人達は快く旅行に誘ってくれ、そして、嫌な顔一つせずに交代交代で車椅子を押してくれた。
迷惑を掛けてしまう自分が嫌になってしまうこともあったけど、はやてちゃんと一緒が楽しいんだよ、という言葉に救われた。
楽しく旅行できたのは、紛れもなくこの素晴らしい友達――なのは、フェイト、アリサ、すずか――の
温かい心遣いのおかげだ。いくら感謝しても足りない。
「私、こんなんやから、今まで旅行なんて行った事なくて……せやから、今回はほんまに楽しかった。
みんな、本当におおきにな。ありがとう」
胸の奥の気持ちを一気に吐き出すはやての目は、潤んでいた。
「わたしも同じ。すごく、楽しかった」
フェイトも、ここでみんなにお礼を言うべきだと思った。
ちょっと前まで孤独だった自分。そんな自分を暖かく受け入れてくれる友達が次々とできた。
今まで体験したことのないような楽しい時間を、いっぱい、いっぱい、素晴らしい友達と過ごすことができた。
本当に嬉しかった。
そして、フェイトはふと思う。この気持ちを、どんな言葉でみんなに伝えればいいのだろう。
口下手な自分には、鮮やかな言葉で今の気持ちを伝えることはできそうもない。
ちょっぴり迷った後、やっぱりこの言葉しかないかな、とフェイトが選んだ言葉は――。
一息つき、最高の笑顔を作ってフェイトは言う。
「みんな、本当にありがとう」
当たり前すぎる言葉かもしれないけど――フェイトは自分でそう思ったが、
これが今の彼女の感謝の気持ちを精一杯表した言葉だ。そしてその言葉は、確かになのは達の心に届いた。
「な、何よ。はやても、フェイトも水臭いんだから」
口ではそう言いながらも、照れくさそうに笑うアリサ。
「みんなで行ったから、楽しかったんだよね」
「うん、うん!」
はやてとフェイトのお礼の言葉に、ニッコリと微笑むすずかとなのは。
「あと何年かしたら脚も治るはずやから。そうしたらもう一回、こんな風に……」
「そうね!」
「じゃあ……大きくなったら、また五人で旅行に行こ。約束!」
なのはの言葉に、少女達はお互いに指切りで約束を交わす。
時が流れても、やがては一緒にいられなくなっても、今日の約束を忘れることはないだろう。
なのはも、フェイトも、はやても、アリサも、すずかも――
『We will soon arrive at Ueno……』
間もなく上野です、という車内アナウンスが流れ始めた。
グリーン席の心地よい感触に気持ちよい眠りに就いていた周りの乗客たちが目を覚まし、
上野で下車する者は荷物を整えてボチボチ席を立つ。程なくして、新幹線は上野駅の地下ホームに滑り込んだ。
もう、東京駅まであと少しだ。
「あーもう!なんかしんみりしちゃった。お菓子、全部食べちゃいましょ」
「うん、そうだね」
残ったお菓子を平らげ、棚の上に載せておいたお土産の袋を、座席の上に立って取る。
上野駅を発車したはやて号は地下を抜け、山手線や京浜東北線と並行しながら、東京駅へと近づいていく。
――旅も、終わりに近づいていた。
「あ、お母さん」
東京駅から電車で40分、海鳴駅に到着した時には、午後5時30分になっていた。
改札を出ようとすると、なのはは駅構内に母親の桃子の姿を見つけた。
小走りで改札をくぐり抜け、母親のもとへと走っていくなのは。
「おかーさーん!」
「お帰りー、なのはー」
満面の笑みを浮かべ、母親に飛びつくなのは。なのはのまだ小さな身体を、ひっしと抱きしめる桃子。
3日ぶりの再開だ。甘えたい盛りのなのはにとって、母親がこういう風に迎えに来てくれるのは、非常に嬉しいものだった。
「お店抜けてきて、大丈夫なの?」
「ええ、少しだけなら大丈夫よ」
なのはの両親が経営する喫茶店は、駅のすぐ近くだ。時間帯的にも、店がひと段落着く頃だろう。
それに、桃子は少しでも早く元気な子供の姿を見たかった。
なのは以外の少女達にも、迎えは来ていた。すずかには姉の月村忍が、アリサには執事の鮫島がリムジンで、
そして車椅子のはやてには、出発時と同様、シグナムとシャマルが迎えに来てくれていた。
(みんな、うらやましいな……)
フェイトも、義母のリンディに「〜時に海鳴駅に到着する」旨のメールは打っておいた。
今は平時で、この世界に身を置いているリンディ。だが、なんやかんやで彼女は忙しい身だ。
迎えに来てくれるとは考えていなかった。だが、実際に迎えに来てくれなかったのを見ると、フェイトはちょっぴり寂しかった。
(仕方ないよね……)
そう思いながら、家族との再会を喜ぶ他の四人を眺めていた。
こういう時、自分の気持ちを抑えて「いい子」になってしまうのが、フェイトの長所でもあり、同時に短所だ。
「え、と……フェイトちゃん、ウチでお茶していかない?」
一人だけ迎えの来なかったフェイトに気を遣って、なのはが声を掛けた。
その気持ちは嬉しかったが、なんとなく、そういう気分になれなかった。
「ごめんね、なのは。夕食の時間も近いし、私、帰るよ」
「そう……じゃあ、また……」
「……フェイト、送って行こうか?」
アリサも気を遣ってくれたが、これもフェイトは丁寧に断った。
「ん、大丈夫。一人で帰れるよ。ありがとうアリサ」
せっかくの気遣いを断るのは悪い気がしたが、今は一人で帰りたい気分だった。
フェイトは、みんなに手を振って別れ、一人徒歩で帰路に就く。
電車にずっと乗りっ放しで固まってしまった身体をほぐすのに、徒歩で帰るのはちょうどよかった。
「…………」
夏のこの時間帯は、まだ日も落ちてなく十分に明るい。
それでも、街を行き交う人々を眺めると、もう夕方なのだということを実感させる。
駅前の通りを抜けると、急激に人が少なくなり、寂寥感が増す。
「あ――」
ふと視線を上げたフェイトの目に飛び込んできたのは、小走りでこちらに向かってくる義母のリンディだった。
彼女はフェイトの姿を見つけると、フェイトー、と呼び掛けながら手を振った。
「遅くなってごめんなさいね。ちょっと用事が――っと!」
友達と別れ、一人でちょっと寂しくなっていたフェイトは、思わずリンディにしがみついてしまった。
今までこういう風に抱きつかれたことなどなかったので、最初はちょっと面食らったリンディだが、
やがてフッと柔らかい笑顔を浮かべ、胸に飛び込んできたフェイトをぎゅっと抱きしめて、よしよしと頭を撫でた。
「お帰りなさい、フェイト」
最初は「フェイトさん」「リンディ提督」と呼び合っていた二人。
それが「フェイト」「母さん」と呼び合うようになって、数ヶ月が経つ。
最初はなんとなく違和感を覚えたり、気恥ずかしかったりしたのだが、だいぶ慣れてきた。
そして今なら、何のためらいもなく、「母さん」と呼べる気がした。
「……ただいま、母さん」
差し出された手を握り、リンディと並んで歩き出すフェイト。
母親と手を繋いでちょっと恥ずかしそうな、それでも嬉しそうに歩くフェイトは、どこからどう見ても年相応の少女だった。
「それで、旅行は楽しかったかしら?」
リンディのその言葉に、フェイトは思いをめぐらせる。
旅行の計画を立てるところから始まり、速かった新幹線、ご当地の美味しかった食べ物、
みんなで楽しく入った温泉、美しさに目を奪われた観光地、散々迷ったお土産選びetc……。
そして、なのは、はやて、アリサ、すずかの四人の笑顔と、彼女達と交わした「約束」が脳裏に甦る。
今回のことは、一生忘れることのない思い出になるだろう。
心に湧き起こった様々な思いを乗せて、フェイトは言う。
「はい、とっても――」
ニッコリと微笑んだフェイトの頬を、ちょっとだけ涼しくなった夕方の風が、優しく撫でていった――。
お わ り
★あとがき★
フェイトで始まった作品なので、〆もフェイトということで。
五人を空気にならないよう、満遍なく出すのは骨が折れますた。特に、すずかは油断するとすぐ空気になってしまうので……。
またいつか、原点に帰って鬼畜系でも書きますか。それでは、名無しに戻るお。
長々とした文を読んでくれてありがとうございました。
あばばばばばば!あばばっあびゃばびゃばば!
GJだぜ!
最後のフェイトにちょっとほろりと来たぜ!
鬼畜系を期待して、全裸で待ってる。
GJ!
和んだぜー。みんな楽しそうで可愛いな。
そして最後、きれいな纏め方で良かった。
鬼畜系も待ってるぜ!
無印のED聴きながら読んだら、なぜか涙が出た。
僕のポッキーもフェイトちゃんにパクッてしてもらいたいです><
>>552 ぬわぁぁぁぁ!!最初から最後まで和みSSで本当に良かった。
GJです。
何か無印や2期がものすごく懐かしい・・・
>>552 ぶっちゃけ東北(どの県なのかはあえて言わない)に実家がある俺にとっては、
とってもうれしいSSだねえ・・・
せんべい汁はおいしいぞマジで。みんな一度でいいから買って食べてみ。
うわ。なんか言ってるうちにせんべい汁食べたくなってきたwwwwww
GJです
ところでみんな、
RHの声の人がアナウンスしてるのって、どの新幹線だっけ?
> 『We will soon arrive at Ueno……』
これを見た瞬間に
「どうしたの? RH」
「なんでしょうか?」
的な会話を期待してしまったんだぜ。
>>559 Wikiによると東海道・山陽新幹線だそうよ
しかし旅っていいよね、ぬるぽ氏超乙
東海道新幹線だったはず
普通に東海道新幹線を使いまくる身なのに、そんなこと知らなかったわ。
今度から車内放送の度にニヤニヤしよーっと。
今日ちょうどレイハさんの声を聞きながら帰ってきたよ。
あー疲れた。
目覚ましアラームがレイハさん。レイハさんの声で爽やかな朝がはじまるぜ。
エクスチェンジ・パーツス・ア・イン・グッド・コンディション…なんかもう覚えたw
>>552GJ!
非常にほのぼのして良かったです。シメも少し感動的で読み終わって幸せな気分になりました。
次は…鬼畜、ほのぼの、と来たからにはエロエロ純愛なんてどでしょ?
GJ!
あばばばばばば
ほのぼのとした良い感じの作品を読ませて頂きました。GJです!
まぁ、旅に付き物の殺人事件と崖での自白がなかったのは少々残念ですが(爆)
>>555 君のポッキーなど食べてはフェイトちゃんがお腹を壊してしまう。
是非ともフェイトちゃんには、私のトッポを食べて頂きましょう!(核爆)
>>552 GJ
某甘党さんの性でリンディさんがエロく思えて、フェイトが居ない間は…と思う自分
>>555は、普通に菓子を食べさせるものだと考えて
>>568で把握
>>570 節子、それポッキーやない、ボッキーや。
573 :
B・A:2008/03/12(水) 00:48:57 ID:SBdR3+qg
最近のポッキーは細いですよ。
セッテSS第2話の投下良いですか?
574 :
ザ・シガー:2008/03/12(水) 00:54:07 ID:Vq2BCeIw
>>571
それは再びリンディさんでエロを書けという暗黙の渇望ですか?
その様な要望であるのならばお応えしたいですし、最近リンディママン分が足りなくて書きたいとか思ってるんですが、あんまりネタが無くって。
現在考えてるのは前に書いた「甘党艦長と俺物語」の番外編か続編でリンディさんを受胎させようか、とかSTS時空で相も変らぬエロ調教三昧とか。
でもいちおうはネタが出るまで自粛、最悪ネタが出なければ永劫に書かないっす。
だからしばらくエロはナンバーズかシグナム姐さんしか書けません。
っていうか俺以外に誰かリンディさんのエロを書こうという方はいないのか。
576 :
ザ・シガー:2008/03/12(水) 00:56:40 ID:Vq2BCeIw
>>575
いけね割り込んだ? リロ忘れだ。
支援します、どうか投下を!!
577 :
B・A:2008/03/12(水) 01:01:42 ID:SBdR3+qg
ではぼちぼちいきます。
今回もちょっとビクビク気味っす。
注意事項
・セッテ×エリオ
・時間軸はstsから5年後、エリオ16歳。そのため、捏造が多々あり。
・現在と過去が入り乱れる少々わかり辛い造りになっています(えぇ、つまりは仮面ライダーキバですね)。
・セッテの性格は少しアレンジ入っています。
・今回も非エロ。
・セッテの人格やや崩壊気味。トーレも何だか良い人になっている。
>>574 リンディが懐妊・・・タイトルは『受胎せよッ!!ベイビィフェイスッ!!』ですねw
そして支援
【5 years ago】
真ん中を強化ガラスで仕切られた手狭な部屋で、セッテとトーレは向かい合っていた。
お互いに無言で相手を検分するように見つめている光景は、まるでこれから決闘でも始まるのではないかと
錯覚してしまう雰囲気で、有事に備えて傍らに控えている若手局員は心なしか後ろに下がり気味だ。
ここは拘留所内に設けられた面会室だった。本来は外部の人間が拘留されている者と話をするために使用されるのだが、
今回はトーレのわがままから姉妹同士の話し合いの場として使われている。
「随分とまた手酷くやられたな、セッテ」
破損した腕に代わって新たにつけられたセッテの両腕を見て、トーレは言った。
彼女が過度にISを使用し、その結果として両腕を失ったことは既に姉妹全員に知れ渡っていた。
そういう意味を込めた皮肉だったが、セッテはいつもの無表情でサラリと受け流したため、
トーレもいつも通り前置きを省き、本題を切り出した。
「チンクの話は聞いたか?」
「・・・」
無言で頷く。
ナンバーズ5番チンクは、姉妹たちに管理局へ恭順の姿勢を示し、自分が提案した更生プログラムを受けて社会復帰を目指すよう説得して回っていた。
既にセッテを除く6番から12番の姉妹たちはチンクに賛同しており、残るはウーノ、トーレ、クアットロ、セッテの4人だけだった。
「セッテ、単刀直入に言うからよく聞け。更生プログラムを受けろ、上手くいけば、かなりの刑期を短縮できるはずだ」
トーレの言葉をセッテは静かに聞き流す。トーレもリアクションまでは期待していなかったのか、そのまま構わず喋り続けた。
「ドクターは我らを生み出した父だ。その恩に背くのは許されぬ背信行為かもしれん。だが、ドクターや我らの行いは
罰せられるべき悪であったのもまた事実だ。恐らく、ウーノはドクターと共に裁かれることを望むだろう。
クアットロは少し違うかもしれないが、それでもチンクの誘いは断るはずだ」
「トーレは・・・・どうする気だ?」
初めてセッテは口を開いた。
どこか虚ろで力のこもらない声は弱々しく、発せられた瞬間に大気へと消えていく。
その儚げな姿にトーレは嬉しさと悲しさがない交ぜになったかのような複雑な表情を浮かべた。
セッテ、オットー、ディードの3人は感情を抑制され、人間味を極力排除することでより完全な兵器として
運用することを目的に製造されている。その中でもセッテは特に無機的で、まるで機械のような少女だった。
他者との関係を極力断ち、命令には絶対服従、冗談や皮肉を解さず、ただ与えられた命令をこなすだけの人形、それがセッテだ。
ある意味、激情家のトーレとは真逆の性質を秘めた存在だった。
しかし、今のセッテは違う。僅かではあるが迷いのようなものを伺うことができ、その目は縋るようにこちらを見つめている。
いったい何があったのか知らないが、セッテは不安を感じているのだ。
どっこいしょ。
(そういえば、こいつが私に意見を求めたのは初めてだったな)
いつだって命じられたことに疑問を持たなかった妹が悩んでいる。それはとても喜ばしいことであり、
何としてもでもセッテに外の世界を見せてやらねばならないとトーレは思った。
「セッテ、私は更生プログラムを受けない。言っただろ、我々は悪事を働いたのだ。ならば誰かがその責任を取らねばならない。敗者には敗者の矜持がある」
「なら、私も・・・・」
「駄目だ、これは私の役目だ。裁かれるのは私1人で良い」
あの性格からして、スカリエッティが大人しく取り調べに応じるとは思えない。
ウーノも彼に付き従うだろうし、クアットロに至っては言うまでもないだろう。
トーレ自身もそれに依存はなかったが、それでも1つだけやらねばならないことがある。それは、妹たちの弁護だった。
「セッテ、お前や他の妹たちはまだ稼働してから日が浅い。私もチンクも、お前たちにもっと広い世界を知ってもらいたいのだ」
そのためには、誰かが裁かれねばならなかった。全ての罪を一身に背負い、罪なき少女たちを洗脳して使役した
憎むべき犯罪者として断罪されねばならない。それがトーレにできる妹たちへの手向けだった。
「それが敗者の歩むべき道だ。セッテ、お前はその道を歩かなくて良い、私からの最後の命令だ」
「トーレ・・・・」
姉の覚悟にセッテは押し黙る。
セッテは迷っていた。感情を持たず、機械的に生きてきたセッテにとって主の命令は絶対であり、その行いを悪だと思ったことは一度もない。
そもそも、何が正しいことなのかも姉たちは教えてくれず、自分は裁かれるべきなのか、チンクに従って更生プログラムを受けるべきかの判断もつかなかった。
だから、セッテは最も信頼しているトーレに従おうと思っていた。彼女が裁きを受け入れるというのなら、自分も同じくそうするつもりだった。
しかし、いざその意思を述べようとすると、セッテの思考にノイズが走るのだ。
脳裏に浮かぶのはあの赤い髪の少年。絶望に追いやられながらも希望を捨てず、無茶をして壊れてしまった自分のために涙を流したあの小さな騎士の顔だ。
奴の悲しそうな顔が思い浮かび、凪のように穏やかだった思考がさざ波のように乱れ、言葉では形容できない息苦しさで胸が詰まる。
(まただ・・・・・またあの時と同じだ)
逃げねばならないとわかっていながら、フェイトに斬りかかった時と同じ苦しみがセッテを苛む。
わからない。
自分が何をしたいのか、どこへ行きたいのか。
だって、そんなことを考えたことは一度だってなかったのだから。
「トーレ・・・・・トーレは何故、戦ったんだ?」
「何だ、藪から棒に?」
「答えてくれ」
有無を言わせぬ妹の調子にトーレは嘆息し、恐らく何度も口にしたであろうその言葉を紡いだ。
「ドクターのためだ。ドクターの命ずるままに私は戦い、ドクターの夢のために戦場を駆け抜けた。それだけだ」
「そこに、心はなかったんだな」
「・・・・・・いや、誇りがあった。命じられるだけの機械でも、私には戦士としての誇りがあった。
ドクターの夢を実現するという目的があった。お前たち姉妹を守るという意地があった」
それがトーレの本心。戦士として戦い、武人として敗れた彼女の誇りであった。例え暗い牢獄に囚われることになろうと、
その志は決して色褪せず、未来永劫輝き続けるだろう。
「そうか・・・・・・ありがとう」
「礼などいらん、らしくないぞ」
「・・・・・・・・」
皮肉めいた言葉を無言で受け止める。
最早、セッテに迷いはなかった。たった今、信頼する姉の本質を垣間見たのだ。
そのおかげで、たった1つではあるがどうしても成さねばならない目的ができた。
その目的のためにも、自分は彼女と共に行くわけにはいかない。
「トーレ、私はチンクたちと共に更生プログラムを受けることにする」
「そうか。もう会えるかどうかもわからんが・・・・・・元気でな」
「・・・・・・・・・・」
「馬鹿、そこは世辞でも礼を言うものだ」
「そ、そうなのか・・・・・・」
どこか調子のズレた言動に、トーレはこのままセッテを外に出して良いものかと不安になった。
できれば自分が傍にいてやりたいが、それは不可能だ。せめて、チンクが提唱した更生プログラムが
彼女に人並の人間性を与えてくれることを祈るしかない。
しえん
支援
【Present】
「・・・・・と、言うことがあってだな」
少し早めの昼食を取るために入った飲食店で、セッテはエリオにせがまれるままに5年前の思い出話を語っていた。
その口調は抑揚のない淡々としたものだったが、話の節々で妙に力がこもる時があり、エリオにはどことなく自慢げに話しているように見えた。
「へぇ・・・・優しい人だね、トーレさんって」
「トーレをそんな風に言うのはお前だけだ」
本人の前で言えば、間違いなく斬られる。あのいぶし銀な堅物はそういう洒落を一番嫌がるのだ。
「ところでエリオ、これはなんだ?」
目の前に置かれている2本の木の棒を手に取り、掲げて見せる。
実は料理はとっくの昔に運ばれてきているのだが、食事をするために必要なフォークやスプーンが見当たらないため、料理に手をつけられずにいたのだ。
この2本の棒はその代用品なのだろうが、今までに見たことのない食器を前にセッテはかなり戸惑っていた。
ちなみにそんなセッテに気を遣ってか、エリオも食事に手をつけていない。
「セッテ、箸って使ったことないの?」
「箸? これは箸と言うのか」
実は、2人が食事のために立ち寄ったのはミッドチルダでも数少ない和食料理店だった。
更生施設の料理に管理外世界である地球の和食や中華が出ることは皆無であったため、セッテはこれが和食初体験なのだ。
「ひょっとして、僕と同じ料理にしたのも何を頼めば良いかわからなかったから?」
「ああ。食事など栄養を取れればそれで良いからな」
「好き嫌いとかないんだ」
「何故、栄養補給を嫌わねばならないのだ?」
セッテにとって、食事はあくまで栄養補給のための手段でしかないらしい。
考えてみれば、生まれてからずっと出されたものを黙って食べ続けるだけの人生を送ってきたのだから、そんな考え方になってしまったのも無理なかった。
「良いかい、箸はこうやって使うんだ」
そう言って、エリオは茶碗によそわれたホカホカの白米を摘み、口に運ぶ。その一挙一動をつぶさに観察した後、セッテも自分の箸を握った。
「・・・・・・・・・・・」
セッテの動きがピタリと止まる。
箸を握ってしまったため、エリオのようにご飯を摘めないことに気づいたのだ。
無表情のまま硬直するその姿は、まるで玩具の人形のようで微笑ましかった。
can
「笑うな」
「ごめんごめん。えっと、ちょっと失礼」
エリオはセッテの後ろに回り込むと、握りしめられた指を解いて箸を受け取る。
「まず片方の箸をペンを持つ要領で持って・・・・・・そう、そしたら今度はもう1本を中指と薬指の間に挟む、これが正しい持ち方だよ。
食べる時は親指・人差指・中指で持っている方を動かして、薬指は動かさずに支えとして使うんだ・・・・・・・・こんな風に」
肩越しにセッテの手を持ったまま、小皿に盛られた煮豆を摘む。そして、そのままゆっくりとセッテの口に煮豆を運んだ。
小さく開いた口に柔らかく煮詰められた煮豆が放り込まれ、セッテは無言で咀嚼する
「・・・・・・・・・・」
「どう?」
「・・・・・・」
無言で嚥下した後、セッテはエリオの手を解いて今度は自分1人の力で煮豆を摘もうと挑戦する。
エリオに言われたことを思い出しながら煮豆を摘み、細心の注意を払って指先に力を込めていく。
「!」
力が強すぎたのか、煮豆が箸から逃げるように皿の上を滑る。もう一度挑戦するが、やはり結果は同じだった。
「・・!」
ムキになったのか、セッテは無言で煮豆を摘もうと何度も何度も挑戦した。その表情は鬼気迫るといった具合で、
周りにいた客や店員もその迫力に押されたのか固唾を飲んで彼女を見守っている。
しかし、いつまで経っても煮豆を摘むことができず、とうとうセッテは手にした箸をへし折ってしまった。
「エリオ、お前が食わせろ」
「君がそれでも良いのならね」
支援
支援
【5 years ago】
更生施設での生活はセッテにとって驚きと戸惑いの連続だった。
基礎的な学問や一般常識、掃除や洗濯、社会復帰のリハビリも兼ねたレクレーション。
今まで自分が培ってきた戦闘技術が全く役に立たないという事実は少なからずセッテのアイデンティティを揺るがしていた。
(これでは、何のために戦闘訓練を積んできたのかわからないな)
ブーメランブレードで大木をなます切りにすることはできても、針と糸を使って解れたシャツのボタンを直すことはできなかった。
拳で岩盤を砕くことはできても、オムレツを奇麗に焼くことはできなかった。掃除をすればバケツを引っくり返し、洗濯をすれば洗剤の量を間違え、
油絵を描けば自分でも何を描きたかったのかわからない抽象画ができてしまった。
ここに来てからというもの、セッテは毎日が失敗の連続だった。
「セッテ、落ち込んでいるっスね」
「だね」
草むらに隠れながら、ウェンディとセインはさっきからボーっと窓の外を見つめているセッテを見守っていた。
最近、セッテは暇さえあれば窓の外を見つめるようになっていた。2人はそれを失敗ばかりしていて落ち込んでいるせいだと思っており、
姉として何とかできないかと彼女を見守っていたのである。ちなみに、何故話しかけないのかというと、セッテの無言の威圧が怖いからである。
「やっぱり、ここはセインがお姉ちゃんらしさを見せるっス」
「ええっ!? けど、セッテってトーレ姉みたいでおっかないんだよねぇ。ウェンディがいきなよ」
「そそそそそんな末恐ろしいこと、できるわけないっス」
ナンバーズの中ではかなり陽気な部類に入るこの2人は、あまり冗談の通じない最後発組との触れ合いが苦手であった。
しかも、セッテはナンバーズ中最も厳しい性格であるトーレから直々に指導を受けていたせいもあり、性格もかなり似通っていた。
特に2人はトーレからよく叱られていたため、セッテを見るとついトーレを思い出してしまい、声をかけるタイミングを逸してしまうのだ。
「良いから、ウェンディが行きなって」
「セインこそ男を見せるっスよ」
「あたしは女で良いってば!」
「何やってんだ、2人とも?」
「「ひやぁぁぁぁっ!?」」
不意に背後から声をかけられ、2人は抱き合ったまま草むらから飛び出した。
まるで幽霊でも見たかのように怯えている2人の姿を見て、声をかけたノーヴェは訝しげに首を捻る。
「なんだよ?」
「お、脅かすなっス!」
「お、お姉ちゃんは別にセッテが怖いわけじゃないんだからね」
「いや、意味わかんねぇって。それよかルー嬢ちゃんがどこ行ったか知らねぇか?」
「ルーお嬢様っスか?」
「あたしたちはずっとここにいたけど、見てないよ」
「そうか・・・・おい、セッテ・・・・あれ?」
2人から視線を外したノーヴェが前を向くと、さっきまでそこで窓の外を見つめていたはずのセッテの姿がなかった。
もう一度2人に視線を戻すが、どちらも黙って首を振るだけだった。
「嬢ちゃんといいセッテといい、無口な奴はすぐにどっかいなくなるな」
頭に浮かぶのはあの赤い髪の少年のこと。か弱くも優しい心を持った騎士のこと。
心の底から憎いあの男のこと。
奴は今、何をしているのか?
奴は今、何を思っているのか?
奴はどこまで強くなったのか?
自分との実力差は、果たしてどこまで埋まったのか?
まるで恋する乙女のようにセッテは思う。
まるで夢見る少女のようにセッテは願う。
「会いたいものだな・・・・・エリオ・モンディアル・・・・・・」
あの日、トーレと言葉を交わしたあの瞬間からセッテの中に生まれた願い。感情を持たず、教育係であったトーレを模倣してきたセッテが初めて抱いた自分だけの感情。
創造主と袂を分かっても成し遂げねばならない目的。その思いだけが、今のセッテを支えていた。その願いがあるからこそ、セッテはこの退屈な鳥かごの中でも何とか生き続けることができていた。
「セッテ?」
不意に呼びかけられ、セッテは立ち止まる。振り向くと、ルーテシア・アルピーノが無感情な目でこちらを見上げていた。
「・・・・・お嬢?」
何と呼べば良いのかわからず、とりあえずトーレの呼び方を真似てみる。その思いが伝わったのか、ルーテシアは「それで良いよ」と小さな声で言った。
「何か・・・御用ですか?」
「・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・何を、考えていたの?」
「・・・・・・・」
「エリオのこと・・・・だよね」
「・・・・・はい」
「来るよ」
「はい?」
「ノーヴェが言っていた。もうすぐエリオとキャロがこっちに来るって」
それだけ言うと、ルーテシアはどこかへ駆けて行った。1人残されたセッテは、覚束ない足取りで壁にもたれかかり、先ほど言われた言葉を反芻する。
奴が来る。
エリオ・モンディアルがここに来る。
自然と鼓動が高鳴り、火に炙られたかのように顔が熱くなる。込み上げてくるのはあの息苦しさだ。
あの日、奴と戦って以来ずっとわだかまっている苦しみが一層強くなり、セッテの胸を締め付ける。
「そうか・・・・・会えるんだな、エリオ・・・・・いや、会ってもらうぞ」
エリオが来る。
エリオが来る。
エリオが来る。
頭の中でその言葉が何度もループし、思考の波を埋め尽くしていく。エリオ・モンディアルという存在がセッテという自己を塗り潰していく。
それが堪らなく許せなかった。許可なく自分の中に入り込んでくるあの男が憎かった。セッテがようやく手に入れた感情は、しかしその全てがエリオに向けられていた。
「殺してやるぞ、エリオ・モンディアル・・・・・・お前の絆とトーレの誇り、どちらが真に正しいか、お前の命に教えてもらう」
低く絞るように呟き、セッテはフラフラと歩き出す。まるで、憧れの王子様にようやく会えた童話の主人公のように。
to be continued
593 :
B・A:2008/03/12(水) 01:33:00 ID:SBdR3+qg
以上です。
えー、気付けば病んでました。セッテはトーレに似て苛烈な性格らしいということを思いながら書いていると、何故か病みキャラに。ある意味壮絶な恋の病です。
まあ5年後はあんなにラブラブしているので、nice boatにはならないと思いますが。
支援、ありがとうございます。
ヤンデレ……か?
なんか、思い悩むセッテがかあいすぐるww
このシリーズ、まぢ期待してる Gj!!
GJ
自分の本当の気持ちに気がついたとき、いろんな意味で豹変しそうだw
つまり殺し愛がのぞみと……
GJでした
GJです、でもセッテって、身長180以上あるらしいから
エリオは見下ろされるなw
>>597
マジか!? そこんとこ詳しく。
もしかしてトーレとかも高身長?
>>593 GJ
個人的には某脚斬り姫のようなキャラになってほしい(笑)
しかしセッテ・・・デレまでの期間は結構長そうですね
だがそれがいい!!
>>555 この流れになってて何故納豆巻きがでなかったんだ?
いつもの納豆好きはどうした?
600 :
B・A:2008/03/12(水) 02:18:35 ID:SBdR3+qg
>>597 し、しくった・・・・・。
司書の方へ修正依頼。
保管の際は以下のように訂正してください。
>>471の4行目
>赤い髪、利発そうな眼、背はとうに自分を追い越しており、 ×
>赤い髪、利発そうな眼、背は自分に追いついており、 ○
ナットウ巻か・・・・・・
なっとう巻をオナホ代わりに使うチンコ姉とか想像したが
どう考えても文章に起こせる気がしない
>>598 トーレはセッテ+アホ毛分くらいの高さだよ
16話の一場面見ただけだけどね
もしかしたら違うかも
設定資料集Bの対比表によるとトーレ≧セッテ
アホ毛足すとトーレ<セッテですよ
>>602
なるへそ。
まあ、トーレ姉ちゃんはアニメ見る分にも背高そうだしな。
そしてもう400KB超えてる、この早さには毎回驚くぜ。
ドクターと一緒に並んでいる絵を確認してきたけど、確かにセッテでかいw
チンク姉より頭二つ分はデカイw
うん、セッテって背が一番が高い、それだけが特徴って感じだったもんね
20話のアイキャッチを見ると、上からVトーレ、Zセッテ、Tウーノ、Yセイン、]ディエチ、]Tウェンディ、Wクアットロ、]Uディード、[オットー、\ノーヴェ、Xチンクの順番かな
トーレとセッテは登頂部が僅かにトーレが上、アホ毛を含めばセッテが一番
セイン、ディエチ、ウェンディはほぼ同じだが、セインは白線を越え、ディエチは白線に重なり、ウェンディは白線に触れるか触れないかぐらい
クアットロとディードは判断しづらいが、若干クアットロの方がデカい様に見える
ちなみにドクターは、セッテとウーノの間
意外に低いノーヴェはローラーブーツを履いて、この順位
ドゥーエがいないのが悔やまれる
>>593 GJ!!
セッテかわいいよセッテ
セッテの場合、ルーよりも感情が希薄だからなあ・・・・・
ルールート以上に頑張らないとラブラブになれないな
エリオ頑張れ。ものすごく頑張れ
そしてどう見てもヤンデレです。ほんとうに(ry
>>608 設定資料集だと
3≧7>(スカ)>1>6>10>11≧2≧4>12>9(武装込み)>8>9(武装なし)>5の順。
大体クアットロとなのはが同じくらいの身長だからみんな結構高い。
611 :
名無しさん@ピンキー:2008/03/12(水) 09:52:16 ID:WT+gHH57
>>610 んでそのなのはより5cmくらい高いのがフェイトで、そこからさらにもう少し大きいのがシグナム、んでさらに数センチ大きいのがヴィヴィオ(聖王モード)だったか。
味方陣で一番大きい女性はヴィヴィオという。あと確かそのシグナムとユーノ・グリフィスがほぼイコールで、聖王ヴィヴィオとクロノ・ロッサが大体同じ。
ヴィヴィオは将来デカ女かよ
それもママはおろかパパ候補すらぬいての
>>611 確かにフェイトだろうがユーノだろうがヴィヴィオは上だな…はやてと比較すると頭一つ違うという恐ろしさ。
トーレとかセッテはザフィーラ(人間態)と同じくらいなんだろうか。設定身長から推測するに。
ただ確かユーノが身長167cmらしいんで、そこから概算すると聖王ヴィヴィオは170〜175cmくらい。まあ大きい方と思うが、そこまでってわけでもないな。
>>613 待て待て、そもそも聖王ヴィヴィオって外見何歳? 僕には15歳前後に見えたんだけど。
もしそうなら、まだ伸びる可能性が(ぇ)
ユーノの167cmって日本人の平均よりちょっと低いくらいだよなぁ
あの線の細さといいその身長といい水橋ヴォイスといい
女装させたらさぞ・・・・・・ゴクリ
キシャー
でもその逸物は日本人の平均をはるかに超えていますw
自分の高身長っぷりに悩んでるトーレ姉さんというものを幻視した。
“こんなに背が高いと可愛い服が似合わないな”とか言ってたりしてさ。
でも俺はそんなトーレ姉さんにメイド服とか着せたりすんだよ。
そんでもって顔を赤くして嬉し恥ずかしな姉さんに‥‥いやこの後はSSで。
>>614 17歳。
設定資料集から身長まとめると大体下のようになる。
アルト、ラグナ、オーリス、ナンバーズの対比は別項だから多少ずれがあるかも。
上の方が高い。横の数値は明言されている値だけ。
ゼスト
レジアス トーレ セッテ
スカリエッティ
ヴァイス クロノ
ヴィヴィオ(聖王)
ヴェロッサ ガリュー
ゲンヤ カルタス ウーノ
オーリス 170cmくらい
ユーノ 168cm
シグナム 167cm
グリフィス
ルキノ セイン
フェイト シャマル ディエチ
カリム アルト リンディ アイナ ウェンディ
なのは エイミィ クイント メガーヌ ドゥーエ クアットロ 160cm
ギンガ
シャリオ ディード
ティアナ
スバル オットー 154cm
はやて シャッハ
マリエル ノーヴェ 150cmくらい
はやて(15歳) 140cm台後半
ラグナ
チンク
エリオ
ヴィータ
キャロ
ルーテシア
ヴィヴィオ
アギト リインフォースII 30cmくらい
でもハラオウン家家族写真だとフェイトとクロノってほぼ同身長なんだよな。
ただのスタッフのミスか。
まぁ、格闘マンガやスポーツマンガみたいに
身長や体重が重要な要素になる作品なら兎も角、魔法少女モノ(仮)だし
そこまで気を使う必要はないっちゃないわな。
>>615 実際そういうエロ同人あるしな
>>619 今まで全く意識してなかったがシャッハも結構小さいな
何か急に可愛らしく見えてきたw
シャッハハカワイイデスヨ?w
そういやシャッハ身長は小さいのにけっこう胸も大きいし、そのくせ筋肉質だし・・・・・・
なんというエロボディ、このシャッハ、間違いなくロッサに調教されている。
ルキノ以外と大きいな。
衝撃!!
暴力シスターの素顔!
>627
「わ、私は暴力シスターじゃ無ーいっ!」(ポカポカ)
……やべぇ、すごく可愛くて、ポカポカと叩かれたい。
なのは達と聖王モードヴィヴィオがビーチバレーでハッスル
シグナムは揺れすぎでポロリ
という電波を受信した
Q1.以下から正しい擬音をを選んでください。
A「わ、私は暴力シスターじゃ無ーいっ!」(グッシャァー!!)
B 「わ、私は暴力シスターじゃ無ーいっ!」(メメタァ!!)
C 「わ、私は暴力シスターじゃ無ーいっ!」(ポカポカ)
D「わ、私は暴力シスターじゃ無ーいっ!」(ブルアアアアアッッ!!!)
D「わ、私は暴力シスターじゃ無ーいっ!」o(´□`o)ぽんぽんっ!
D「わ、私は暴力シスターじゃ無ーいっ!」(WRYYYYYYYYYYYY!!!)
>>632 セルじゃなく、アナゴとインコが出てきたオレは
終わってるwwwうぇwwwうぇぇwww
>>623-626辺りを読んで、「成る程、胸の話か」と思ってしまった俺はどうすればいいと思う?
>>634 6部の神父化したシャッハを思い浮かべた俺はどう見てもJOJO厨です本当にry
E「わ、私は暴力シスターじゃ無ーいっ!」(*・゜゚・*:.。..。.:*・゜ボグシャー*・゜゚・*:.。..。.:*・゜)
ロッサ「……」じぃぃぃん
シャッハ「あ……ゴ……ゴメン……痛かった……?」
ロッサ「……なんか……うれしい……」ゴフッ
「シャーッハッハッハッ!」
>>636 おっぱいに対する熱い情欲をSSにすればいいんじゃね?
「わ、私は暴力シスターじゃ無ーいっ!」(Amenエイメン!!)
「わ、私は暴力シスターじゃ無ーいっ!」(かじかじ)
「わ、私は暴力シスターじゃ無ーいっ!」(ボインボイ〜ン)
>>630 フェイト以上の機動力でソムリエがテイスティングしにくるとかこないとか
おまいら、シスターの話で盛り上がってるとこ悪いんだが投下していいかしらん。
それとサイズが36kbなんだが一気に投下しても大丈夫かしらん。
>>630 年下でお姉さんでメロンなリイン総長と、渚のマーメイドでぺったんこなフェイトさんとどっちなのかと小一時間
>>645 おおっと、投下?
良いに決まってるじゃないか!
容量的にも問題ないからカモン!
よっしゃカモン!是非きてください。
おk、ちょっと長いので途中でどっかに転送されたらごめんなさい。ということで前回レスくださった方、ありがとうございました。
…………間に合った…………
……数え切れないスレで後悔した。…いつも、気付くときには手遅れだった…。
………俺が、ずっとずっと、…一番伝えたかった言葉を言うよ。
スレの
ブームに
乗りに来た!!
……ま、まだ続いてるよねナンバーズブームって!?(゚д゚;)三(;゚д゚) あと
>>388氏おまたせです。風邪引いてないですか?
今回の注意
・単発エロ
・カルタスとウェンディメイン。いい女に弱いカルタスは誘われるままホイホイとウェンディに……みたいなそうでもないような話
・時期は三期終了後、数の子更正組のうち8、9、11、12が施設を出所済みという設定
・キャラがところどころネタネタしい
・メイン以外にもオリジナルのカップリングあり
・前スレで『魔法集団リリカルやがみけInsecterS』シリーズの外伝的な感じでと言ったけど完成したらキシャー時空とは関係ない
話になりました
「は? カルタス? あんなもん名前だけの実質オリキャラでしょwww」って人にはあまりお勧めできないかも……タイトルは『なれそめのはなし』です。
「あ・ん・の……クソ親父がああぁぁっ! 喉掻き毟って死んじまええぇ!!」
「いや、ここはむしろアタシがぶっ殺す!!」
クラナガンにあるとある居酒屋。仕事帰りの一杯を楽しむサラリーマンや合コンに勤しむ若者達の織り成す喧騒に混じって、緑髪の
男性と赤髪の女性が怨嗟の声をあげていた。
男の名はラッド・カルタス。女の名はノーヴェ・ナカジマ。二人はもうかれこれ二時間近く、このような物騒な発言を繰り返して
いる。大声で絶叫する二人の顔は真っ赤に染まっており……いわゆる世間で言うところの"完全に出来上がっちゃってる"状態だった。
二人の周りには空となったジョッキやグラスが山と積まれており、今もその手に持ったジョッキの液体を勢い良く喉に流し込んで
いる。液体はあっという間に飲み干され、二人は空になったジョッキを同時にテーブルに叩き付けた。
「ぬあああぁーっ! もう一杯!!」
「アタシもっ!!」
「あの、カルタスさん、ノーヴェ姉様……周りに人も大勢いますので、もう少し過激な発言は控えめに……」
ノーヴェの隣に座る長髪の女性―ディード・ナカジマが荒れる二人をやんわりと諫めようとしたが、
「これが控えずにいられるかあああぁぁ!!」
「カルタスの言う通りだああぁっ!!」
「ひいっ!」
すぐに一喝されて身を竦ませる。二人が叫び始めてから、もう数え切れないくらい繰り返されたやり取りだった。
「だいたい、いくら血が繋がってないからって実の娘に手ぇ出すかぁ普通!? 絶対おかしいだろうがああぁー!!」
「『アイツと遺伝子資質が同じだから』ぁ? んなもん、アタシだって一緒だっつーんだ……よおっ!!」
平時からイライラ気味のノーヴェはともかく、普段は真面目で実直なカルタスまでもが荒れている理由……それは"失恋"である。
ほんの数日前、二人は同年同日同時刻に秘めた想いをブレイクシュートしていた。
「結構本気だったんだぞ! 実家から来る見合いの話も仲間からの合コンも全部断って、『四捨五入したら三十歳になる男が十代に
手を出すのってロリコンじゃね?』とか言う声にも耐えて! 本気で、がんばっで……ぎだの、に……う"わ"あああぁっ!!」
「馬鹿、みっともなく泣いてんじゃねーよラッカル!! 泣いてんじゃ……ぢぐじょおおぉ……」
二人の想い人―ギンガ・ナカジマとゲンヤ・ナカジマの関係が親子から恋人(内縁の夫婦)に変わったその日から、この二人は毎日
こんな調子である。浴びるほど酒を飲んで酔っ払い、キレて、泣いて、またキレる。二人に付き合うディードにとっては、もうウンザリ
するほどすっかり見慣れてしまった光景だ。
「オットー! 貴方も何か……」
とはいえ、根が生真面目な彼女である、"見慣れた"からといって"見捨てる"事ができるわけではない。
同じくこの数日二人に付き合っている双子の姉、オットー・ナカジマに助けを求めるが、
「すみません、カルアミルク一つ」
「かしこまりましたー!」
マイペースな姉に無視されるのもまた、既にお約束と化した流れだった。
「ウェンディも……」
ついでに、もう一人の同席者にも、
「あ、アタシはスクリュードライバー一つ! ディードも何か頼むっスか?」
「……カシス……オレンジで」
無視されるのはもう鉄板である。
「うう……」
「あれ、ディードもしかして酔ってるっスか? ダメっスよ〜、この会は失恋した二人を慰める為のものなんだから私ら脇役が
ハシャぎ過ぎるのはよくないっス」
「そうじゃなくて……」
いわゆる『orz』の体勢になったディードの肩を、ほんのり顔を赤らめたウェンディ・ナカジマがぽんぽんと叩く。
「だいたいそんなに心配しなくったって、他所のテーブルが何を喋ってるかなんて、この状況で注意してる奴はいないっスよ」
「だからそうじゃなくて……毎日こんな調子では体がもたないでしょう? 明日だって、みんな自分の仕事があるのに……」
海上隔離施設での更正プログラム受講を終えたディード達四人は、施設を出所後管理局の保護観察下に置かれ、嘱託という形で局の
仕事に就いている。
無限書庫の司書になったオットー、カルタスやギンガと同じ陸士108部隊所属のディード、そして部隊は違うが陸士隊の災害担当に
配属されたノーヴェとウェンディ。それぞれ部署は違えど慢性的な人員不足の管理局の事、彼女達は皆それなりに忙しい毎日を送って
いる。どこかの政治家みたいに勤務時間中に居眠りという訳にはいかないのだ。いかに並の人間より体力がある戦闘機人といえど、
こう毎日どんちゃん騒ぎに付き合わされてはたまったものではない。
「それにここ数日、ノーヴェ姉様がずっと家で寝泊りしているでしょう? ゲンヤ父様やギンガ姉様に毎日色々聞かれて、もう誤魔化す
のも限界で……」
「あはは……そりゃ、気の休まる暇がないっスねー……」
施設を出た四人の姉妹は戸籍上は全員ナカジマ家の養子になっているが、実際にゲンヤやギンガと同じ家に暮らしているのはノーヴェ
だけで、他の三人は一つの部屋を借りてそこで共同生活を行っていた。しかしゲンヤ達の交際が発覚して以降はそこにノーヴェが転がり
込む形になっている。当然娘が"家出"の原因を知らない二人はディードにあれこれと質問してくるわけだが、本当の理由を言う訳に
いかないディードは両者の間で板挟みの状態なのである。
「ところでギン姉達はノーヴェが家を出てった理由とかどんな風に考えてるんスか?」
「これまでの事を含めての自分達の態度に問題があったか、あるいは"夫婦水入らず"を邪魔しないように自分達に気を遣ったか、その
どちらかだと考えているみたい。私はそれとなく後者が理由であるように話を合わせているから、二人ともノーヴェ姉様がゲンヤ父様へ
抱いている感情までは気づいていないと思う」
「まあ、気づいてるなら呼び戻すような事はできないっスよねえ……となるとしばらくは現状維持で、『ノーヴェの気持ちに整理が
つくのを待つ』みたいな感じっスかね」
「おそらくは……」
ディードががっくりと肩を落とす。
「ウェンディはどうなの? その……疲れたりとかしていない?」
「んー、ディードに比べたら全然っスけど……まあ確かにこう続くと結構クるものはあるっスけどねー」
空のグラスに残っていた氷を齧りながらウェンディが苦笑いを浮かべる。
「でも二人とも頑張ってたっスからねー。こういう形にはなっちゃったっスけど、最後はキチンと立ち直るまで面倒を見てあげたいな
っていう気もするんスよね。ディードもそう思わねえっスか?」
「それは、私だってそう思うけど……」
ディード・ウェンディを含むノーヴェ以外の更正組は、まだ全員が施設にいる頃から姉妹であるノーヴェと"頼れるお兄さん"の
カルタスの恋を実らせるべく、一致団結して彼女達の恋をサポートしていた。だが『特に率先して意見を出すウェンディ(とセイン)は、
実は娯楽の少ない施設内で暇潰し感覚で二人を見て楽しんでいただけなのではないか』などと心の中でこっそり思っていたディードに
とって、今のウェンディの発言はかなり意外だった。
「ウェンディ……姉さ」
少し、私は姉様の事を誤解していたのかもしれません……久々にこの姉に対して敬語で話しかけようとする。
「それにこのままどこまで堕ちていくのか見届けたいってのもあるっスね。こんなノーヴェの姿は滅多にお目にかかれないし♪」
「……まあ……ええ……うん……」
でも二秒で撤回。口に出さなくてよかった、そういえばこの姉は大概S寄りな気質であったと改めて実感する。
「お前みたいなガサツで凶暴でツンデレのツンしかない女と純正ミッド撫子のギンガを一緒にするなっ! この赤スバル!!」
「なんでそこでアイツが出てくんだよ! つーかそっちこそ美声でちょい悪を地で行くナイスミドルのゲンヤさんと名前があるだけで
実質モブキャラの自分を同列で扱うなよな! ゲンヤさんに失礼なんだよ!!」
そんな現在絶賛急降下中の二人はまた泣きモードからキレモードへと移行したらしく、互いの想い人(そして互いの恋泥棒であり
憎むべき敵でもある)がどれほど魅力的で素晴らしいかについて激論を交わしている。しかしどちらも終わった恋だけに、二人が熱く
なればなるほどその姿にディードは哀愁を感じずにはいられなかった。
「……もういっそ、二人で付き合えばいいんじゃない?」
焦点のずれた目で二人の言い争いを眺めていたオットーがぼそりと呟く。
「だが断る、誰がこんな2Pカラーと。たとえ遺伝子資質が同じでもこいつとギンガとはカレーと肉じゃがぐらい違うわ!!」
「テメーだってゲンヤさんとの共通点は男ってだけだ! ガンダムとガンガルぐらい違げーよ!!」
しかし同時に言い返され、無言で首をすくめた。
「そう……違うんだよおおぉ! 他の女とはああぁぁー!! だから恋に落ちた!! この気持ち、お前ならわかるだろパチスバル!!」
「パチモン言うなラッカル! けどお前の意見にだけは同意してやる! ゲンヤさんは他の男とは違う!!」
絶叫しながらガッシリと握手を交わす姉と兄貴分。騒いだり泣いたりいがみ合ったり理解り合ったり、まったく忙しい二人である。
「……私も、結構好相性だと思うのだけど」
「いやー、アレはむしろ傷の舐めあいじゃないっスかねー。負け犬同士の」
「うわああああぁああぁー!!」
「言うなあぁあああぁああ!!」
「お、遠吠えしたっス♪」
「鬼ですか、貴方は……」
お待たせいたしましたー!
店員がテーブルに色とりどりの液体が入ったグラスを置き、代わりに空いたグラスやジョッキを盆に山と載せ去ってゆく。
ディードが注文したカシスオレンジに手を伸ばそうとした瞬間、別の手がグラスを掴んで奪い去った。
「ほらほら、お酒の追加っスよ〜! 嫌な事はアルコールの力でぜーんぶ洗い流すっス!!」
「あ……」
「んぐっ、むぐっ、ぷはあ〜! 何だこりゃ、ただのジュースじゃねえかああぁ!! もっと度数の高いやつ持ってこぉい! テキーラ
だろうがウォッカだろうが何でもこいじゃああぁっ!!」
「ラッカル、じゃあこの"スターライト☆ホワイトデビル"とかいうやつ頼もうぜ! 『当店オリジナル・破壊力はロストロギア級!』
だってよ!!」
「……」
なんかもう、いいや……追加注文する気力もなく、それでもとりあえず飲み干される前にカルアミルクだけは戦場から離脱させ、
待ち人の元へ送り届ける。
「オットー、カルアミルク来たよ」
「……」
「……オットー?」
「……スー……」
手にしたカルアミルクに無言で口をつける。
疲れた心と体に、甘さが心地良かった。
スターライトお待たせしましたー!!
いよっしゃあ、ゴク……ゴ……ぐわぁあああぁあぁああぁぁ、俺のレリックがああぁあああぁーっ!?
ラッカル!? ラッカルーーーーッ!!
あわわ、こりゃヤバイっス! 店員さん、水持ってきてくださいっスー!! ちょ、ディード! 何一人で和んでんスかー!?
「知らない……」
◆
……数時間後。
「おぅえ……」
「大丈夫っスか〜カルタス? ほら、これ飲んで酔いを醒ますっス」
「ぐえ……なんだこれ……?」
「ただのミネラルウォーターっスよ……味覚がイカれるまで飲むなんて、ちょっとはしゃぎすぎっスよ……」
お前がはしゃがせたのではないか、という代理ツッコミは心の中で済ませ声には出さない。あれからも散々騒いで店を出た五人だが、
重度の酔っ払いを三人も抱えた状態ではなかなか一直線に帰宅という訳にはいかず、やむなく帰路の途中にあるコンビニの駐車場で
小休止中であった。もはや打ち上げ後の大学生辺りと変わらない、真っ当な組織に属する社会人としてはかなりダメダメな状態である。
「オットー、一人で動いちゃダメ」
「大丈夫。一人で帰れる……」
肩を貸しているノーヴェを引き摺りながら、ディードは看板と会話しているオットーに近寄り首根っこを引っ掴む。ていうか彼女は
酔うほど飲んでいただろうか。もしかすると壊滅的な下戸なのかもしれない。
「大丈夫だってば」
「ダメ」
暴れるのでそのままヘッドロックへ移行し強引に看板から引き剥がす。こういう時に人間以上の怪力を持つ自分達の体は便利である。
「離してよ……」
「……カルアミルクを飲んだ事、まだ怒ってるの? だってあの時貴方は寝ていたじゃない?」
「起きてたよ」
「寝ていました」
「起きてた」
「……はいはい」
酔うと若干反抗的になる姉に溜息をつきながら、もう一人の介抱する側の姉に声をかける。
「オットーもノーヴェ姉様も、すっかり出来上がっているみたい」
「みたいっスねー。ノーヴェは今日もアタシ達ん家で寝かせた方がよさそうっス」
「そうね……それで構いませんか? ノーヴェ姉様?」
「……んー」
「了解しました。でも明日は向こうの家にお帰りになってくださいね。ゲンヤ父様もギンガ姉様も、ノーヴェ姉様の事を心配して
らっしゃいますから」
「……んー」
ノーヴェは俯いたまま生返事を繰り返すばかりである。覗き込んで前髪に隠れた表情を伺うと、閉じられた目にはうっすらと涙を
浮かべていた。まるで泣き疲れて眠る子供といった風情である。
「……もう。仕方がないノーヴェ姉様」
「ホーント、一線を越えたノーヴェはいつもの刺々しさが欠片も感じられなくなるっスからねー」
「ええ……」
手間のかかる姉にディードとウェンディが優しげな微笑を浮かべた時、二人の背後で男の叫び声が聞こえた。
「うおっ、何事っスか!?」
「きゃあ! ウェンディ、カルタスさんが上着を脱ぎ始めてる!!」
「ああっ!? ちょ、何やってんスかー!!」
体が熱いんだああぁ、と言いながら上衣をはだけさせるカルタスをウェンディが蹴り飛ばす。顎にピンポイントで一撃を食らった
カルタスは「ぐはぁ!」と叫びながらアスファルトに倒れ込んだ。
「カルタスさん……まさか露出癖があったなんて……」
「いや、たぶんこれはあの店で飲んだスターライトナントカの効果っスね……ディード、先に二人を連れて帰っててくれっス。アタシは
カルタスを部屋まで送り届けてから帰るっスよ」
「ええっ?」
「いや、だってさすがにこれはほっとけないでしょ? 『管理局員、猥褻物陳列罪で逮捕』なんて事になったらシャレにならんっス」
「うーん……まあ……」
この状態のカルタスをウェンディ一人に任すのも若干心配だが、自分の抱えている姉二人も酔いの程度で言えばカルタスとさほど
変わらない。少し悩んだ後、ディードはウェンディに彼を任せる事にした。
「わかった……じゃあお願い」
「オッケー、カルタスを送り届けたらアタシもすぐ戻るっスよ」
二人を残し、ディードと(生ける屍×2)は家への道を歩き始める。その背後からまたカルタスの叫びが木霊していた。
○なれそめのはなし
「あー、頭が熱い……」
「水でも被って冷やすっスか?」
この数ヶ月ですっかり聞き慣れた軽口と共に、カルタスは渡されたコップを受け取った。
頭というか体全体が熱かった。特に顎がじんじんする。
この数時間の記憶のうち、あちこちが抜け落ちて飛び飛びになっている。今も気がついたら居酒屋から自分の部屋まで送り届けられて
おり、いつの間にか寝室のベッドの上に寝かされていた。おそらく、記憶が飛んでいるのはホワイトデビルとか何とかいうのを飲んで
からだ。
「ウェンディが……送ってきてくれたのか?」
「アタシ以外に誰がいるんスか」
「だよな……すまない」
さほど広くない部屋を見回しても、自分の他に居るのは目の前の少女だけである。
コップの水を飲み干しウェンディに渡す。そのまま再びベッドに寝転がると、自分を見下ろす彼女の顔が視界に入ってきた。
「どうかしたか?」
「ううん、別に何もないっスよ」
そう言いながら、全く動こうとしない。
(……あ)
目が合う。
整った顔立ち。間違いなく世間一般の基準で言うところの"美少女"にカテゴライズされる相貌だ。思わず心臓が高鳴る。
(おいおい、どうしたんだ俺は……)
「ウェンディ、せっかく送ってきてもらったのに悪いけど……今日は遅いしもう」
「へえー、意外と綺麗に片付いてるんスね、カルタスの部屋って」
かなり直球気味に早く帰るようにと言葉をかけるが、こちらが言い終わる前に彼女は立ち上がり部屋を物色し始める。どうやら初めて
見た男の部屋というものに興味津々のようだ。まあ人に見られてよろしくないものもあるにはあるが、念入りに探索を始めたりでも
しない限り、放置しておいても大丈夫だろう。
そう思いつつもどうしてもその挙動が気になって、自然とカルタスは彼女の姿を目で追っていた。
(……)
見事に均整の取れたプロポーションだ。
凄まじい巨乳という訳ではないが着衣の上からでも膨らみが分かるほどにはある胸。
腰のくびれと引き締まったヒップのコントラスト。さらにその先、ショートパンツからすらりと伸びた脚は絶品である。他の
姉妹達とは違う、バランス感覚が要求されるボードを巧みに乗りこなしての独特の戦闘スタイルが、下半身に健康的な張りを与えて
いるのだろうか……などと思わず考えてしまう。
「何で人の体をジロジロ見てるっスか。嫌らしいっスよー」
「違うよ、君が変な事して部屋にある物を壊さないか警戒してるんだ」
「むー、失礼っスねー」
口を開けば、耳に入るのは他愛もないいつもの会話。
だがなぜか今日はその声が妙に耳に残る。もっと聞きたいと思ってしまう。
(……いかん、こりゃマジでおかしいぞ、俺)
カルタスはベッドから起き上がると、ウェンディの側まで歩み寄る。
(多少強引にでも彼女を帰して、さっさと寝てしまおう)
「ウェンディ」
背後から近づき肩に手をかける。触れた彼女の肩は予想していたよりずっと小さくて、その感触は柔らかかった。
(……また……何を考えてるんだ? 落ち着けラッド・カルタス)
「カルタス?」
「……すまん。今日はもう帰ってくれないか」
髪の色と同じ濃いピンクの瞳がこちらを見つめ、また心拍のギアが一段上がった。
酔いの苦しさと、或いはそれ以外の何かで―言葉を繕う余裕は無く、最低限彼女に伝えるべき内容だけを言葉にして絞り出す。
「……」
「……あー、そうっスねー。じゃあ今日はこれで帰るっス」
しばしの沈黙の後、ウェンディはアッサリと申し出を受けた。
部屋を出ようとするウェンディの姿を見て、カルタスはほっと胸を撫で下ろす。
「じゃあまた明日……っスかね?」
「どう……だろうな……はは」
だが――
「ねー……カルタス……その、ギン姉の事は気の毒だったっスけど、もうキッパリ忘れちゃった方がいいっスよ。女なんて他にも
いっぱいいるわけだし……何ならアタシが彼女になってあげてもいーっスよー」
去り際に振り向いたウェンディが放ったその言葉を聞いた瞬間、カルタスの中で何かが弾けた。
◆
「……けるな」
「へっ? ふ、ふええぇっ!?」
聞き返そうとしたウェンディの腕をカルタスが掴み、強引に引き寄せる。
きっと普段の彼女なら、簡単に振り解けただろう。見た目はただの女性であっても人間を遥かに越える力を持つ戦闘機人だ。男女の
筋力の差など、彼女達にとっては無いに等しい。
それでもウェンディがされるがままだったのは、目の前の男性が見せた突然の豹変に思考が麻痺していたからか。
そのまま腕を引っ張って、投げ飛ばすようにベッドに押し倒す。
「ちょ、いきなり何するっスか!?」
「……ふざけるな、って言ったんだ」
カルタスの中に、怒りと……形容できない何かが綯い交ぜになったドス黒い感情が燃え広がってゆく。
「え? ふむ、むううぅーっ!?」
そのままウェンディの上に馬乗りになり、何か言いかけるウェンディの唇を己の唇で強引に塞ぐ。
初めての口付け(ファースト・キス)、というやつなのだろうか……と灼熱に犯された脳の片隅でぼんやりと考えた。稼動を始めて
数年、管理局に確保されるまではスカリエッティの道具として生きてきた彼女達だ、きっとそうなのだろう。だが別に構わない。
向こうの事情など、今の彼に考えている余裕はなかった。でなければこのような無茶苦茶な行動を取る事などまず有り得なかった。
「……っは」
「……はぁっ」
カルタスは唇を離しウェンディの顔を見下ろす。瞳がうっすらと涙で滲んでいた。それを見たカルタスの理性が身を焦がす感情を
僅かばかり押し戻し、次の行動を抑制する。
そのまま数十秒間、二人はたっぷりと見つめ合った。
「……嫌だろ」
沈黙を破りカルタスが呟く。
「……何がスか」
「好きでもない野郎にキスされて」
「……別に」
「嘘つけ」
口にすれば、カルタスの心の中で渦巻いていた想いが捌け口を求めて次々と噴き出し感情がまた理性を侵食する。
「嫌だっただろ!? そういうものなんだよ、誰かを好きになるっていうのは!! 誰でもいいってわけじゃない……! 簡単に開いた
穴が埋まる訳じゃない! 気軽に『付き合ってもいい』だなんて口にしないでくれ……きっと君もこの先、誰かを好きになればわかる。
わかるようになる……」
ウェンディは何も言わなかった。ただ無言でカルタスを見つめるだけ。再び沈黙が降りる。
何を言っているんだろう……とカルタスは思った。
自分は今、どれだけ情けない顔をしているだろう。願わくばうまく逆光になって、彼女に見えていなければ嬉しいのだが。
「……もう、わかってるっスよ」
「……え?」
「もう十分わかってるっスよ! 誰かを好きになるのがどういう事かなんて! 誰でもいいわけじゃない事なんて!! ……そっちこそ
わかってるんスか? 目の前で自分の恋に勝ち目がないって事を思い知らされて、それでもそれを隠して笑い続けなきゃいけない奴の
気持ちを!! わかんないっスよね!? 毎日ぴーぴー泣いてみんなの同情引いて、残念だったね、つらいよね、でも頑張ろうねー、
なんて言ってもらって悲劇のヒーロー気取ってる奴なんかにはきっとわかんないっスよね!?」
ウェンディがカルタスの背中に手を回し強引に彼の体を抱き寄せ、そのまま先ほどのお返しとばかりに唇を奪い返す。
「むぐ……!?」
舌を絡めてくるわけでもない、ただ唇に唇を重ね合わせただけの稚拙なキス。けれどその稚拙さが、かえって想いをストレートに
伝えてくる。彼女の髪から香る少女特有の芳香が、カルタスの脳髄をつんと刺激した。
ウェンディが唇を離す。
「……ウェンディ」
「アタシは……嫌じゃないっスよ。カルタスとなら、何度だってキスできるっス。その……それ以上の事だって……」
唇に残る感触が、熱に浮かされたカルタスの脳に残った一片の理性を溶かしていく。
「やめろ、ウェンディ……」
カルタスの表情が歪む。既に感情は結界寸前の堤防のように理性の皹から漏れ出していた。
「怖いんスか……アタシに手を出して、ギン姉に嫌われるのが」
そして、その名前が最後の引き金になった。
◆
「んむっ!」
三度目の口付けは再びカルタスから。ただしこの口付けは言葉にならない感情を伝えた最初のそれとも、言葉にできなかった想いを
伝えた二度目のそれとも違う。言葉の代わりではなく、それ自体がダイレクトな感情を伝える。
「んんっ……!!」
カルタスがウェンディの口内に強引に舌を捻じ込んでいく。
性的な経験どころか恋愛経験すらほぼ皆無といっていいウェンディの肉体は、想いを寄せる男の一部を受け入れる快感よりも体内に
異物が侵入する不快感の方に強く反応し、彼女は彼の舌を押し返そうと無意識の内に自身の舌を動かしていた。
だが、その抵抗すらも今のカルタスにとっては情欲を掻き立てるスパイスに過ぎない。彼我の舌を巧みに絡ませて抵抗を殺し、さらに
彼女の奥へと侵入する。それでもまだ抵抗しようとしたウェンディの体が、別の場所で発生した刺激に反応した。
「……んっ!?」
いつの間にかウェンディの上衣をはだけさせたカルタスの右手が、ブラジャーの上からウェンディの胸に触れていた。
「む、むー(い、いつの間に)……んぅっ!!」
動揺するウェンディにさらに追い討ちをかけるかのように、カルタスの手が柔らかな動きでウェンディの胸を揉みしだく。
最近はギンガ一筋だったカルタスだが、ギンガと出会うまでに全く恋をした事がないのかと言われればもちろんそんな事はないし、
それなりに女性との行為は経験している。対してウェンディはこの手の事にはまったく未経験。いざ始まってしまえば、ウェンディが
カルタスにイニシアチブを奪われるのは当然の事だった。
「ん、む、むぅっ、んんっ!?」
胸部への接触でできた隙をつき、カルタスの舌が完全にウェンディの中に侵入する。舌はそのまま舐め、しゃぶり、彼女の口内の
あらゆる箇所を蹂躙していく。先ほどまでとは違う"大人のキス"にウェンディは完全に翻弄され、彼女もまた僅かに残った理性を
失ってゆく。そして――
「ん、ん……んんーーっ!!」
一際強い胸への刺激と同時に唇を強く吸い上げられ、ウェンディは人生で初めての絶頂を迎えた。
「……ぷはっ」
カルタスが唇を離す。
「……っは、っ……っ……」
唇を開放されたウェンディだが、彼女の体を駆け巡る強烈な快感の余韻が彼女の口から言葉を奪う。ただひたすら興奮に打ち震える
中、彼女の機械の瞳が獲物にさらなる追撃を加えようとする肉食獣を捉えた。
「ちょ、ま……ダメっス……まだ……ひゃんっ!!」
最後の一枚を強引にずり下ろされ、露になった乳房にカルタスがむしゃぶりつく。
「ひゃっ、ふあっ、あ、あっ……!」
つい先ほど味った人生最大の快感を、さらに凌駕する限外の衝撃。
正直、ウェンディは胸という箇所がここまで敏感だとは全く思っていなかった。知識としてそこが性感帯である事は勿論知っている。
だが自分で触れる分にはそこまで気持ちよくは無かったし、彼女が時々セクハラしていたディードは自分に胸を揉まれても表情を変える
事はなかった。それもまあ今はどうかわからないが。
「あぁっ、ぅあ――!!」
カルタスが舌の上でウェンディの乳首を転がす。外気に露出したもう一方の乳首も指先で弄ばれ、痛いほどにぴんと立っていた。
「はぁっ……! ひぁぅ……!!」
微弱な電流と身を焦がすような稲妻が不規則にウェンディの体を穿つ。
興奮してまた酔いが回ったのか、引き返せない段階に来た事で毒を食らわばの心境になったのか。それとも少女の肉体に潜む女性と
しての魅力が覚醒させたのか。
最初に胸に触れた時はまだどこか相手を思いやる意志のあったカルタスの愛撫は、今はもう完全な暴力に変わっていた。
「くあぁあっ!!」
胸の味を楽しんでいたカルタスが歯を立てて乳首を噛む。常態であれば快感を通り越して『痛い』と認識するほどの刺激だった、
だが強すぎる快楽に翻弄されるウェンディはそれすらも心地良く受け入れひたすらに嬌声をあげる。苦痛と快楽は紙一重、受容できる
限度を越えれば両者は同義だ。彼女の視界は真っ白に染め上げられていく。
「……ぁ……?」
不意に胸を襲う刺激が止まった。
ウェンディは首だけを傾け、カルタスの様子を窺う。ウェンディに被さっていた体を起こした彼は、両手でウェンディのショート
パンツを脱がそうとしていた。
「……んっ」
「……っ?」
ウェンディは力の入らない体を必死に動かして腰を浮かせる。
その動きに気づいたカルタスが短く声をあげ、ウェンディを見やった。
「……いいっスよ……来て……」
上手く笑顔を作れたか自信はない。それでも精一杯表情筋に力を込め、彼に自分の意思を示した。
その意思はおそらくきっと伝わったはずだ。カルタスがゆっくりと頷き、ショートパンツと下着を一気にずり下ろす。外気に
晒された彼女の秘所は、もうぐっしょりと濡れそぼり、カルタスのモノを受け入れる準備を完了していた。
「……いいのか」
「……うん……」
カルタスの眼が、一瞬だけ普段の"頼れるお兄さん"に戻り、また獣のそれへと変貌する。
短い最終確認を終え、カルタスがズボンから取り出した自身をゆっくりとウェンディの秘所にあてがった。
「く、う、うぁっ、あっ……!!」
カルタスの先端が触れただけで、ウェンディの脳内で快感がスパークする。
「くっ……あまり動かれると……!!」
「ご、ごめん……っスっ……!!」
ここまで一方的にウェンディを攻めていたように見えるカルタスもまた、まだ行為が始まって一度も滾った精を放出していない為
限界を迎えつつあった。ベッドに染みを創るほど滴っている愛液を潤滑油に、半ば強引に自身を突き込んでゆく。
「……っあ……ひゃ……あ、ぁっ……ふぁああっ!!」
膣内の粘膜を擦り上げられ、ウェンディは蕩けるような悲鳴を上げる。普段の能天気な彼女からは想像も出来ないほど艶を帯びた
その声に、カルタスの劣情が爆発する。
「……くっ!」
「……はっ……はあっああぁっん!!」
絶え間なく嬌声を上げていたウェンディが、一際大きくなった―激しく突き入れられたカルタスの自身がウェンディの純潔を貫いた
のだ。だが破瓜の痛みを感じたのは一瞬で、次の瞬間には嵐のような快感が彼女を飲み込む。
「はっあ、ひっ……く、あ……ああっ!」
ウェンディの最奥まで自身を到達させたカルタスが、今度は差し込んだそれを引き抜くためにゆっくりと腰を動かし始める。再び
膣内を刺激され、ウェンディは全身を震わせながらカルタスの身体に抱きつく。
「……っ……くうっ」
「あっ、あぁっ……ふあ、あぁん!」
カルタスの腰の動きが激しくなる。彼の絶頂は近い、そしてウェンディも。
「……ウェン……ディっ!!」
「はぁ、あ、あ、あぁ……ラ……ラッドおおおぉっ!!」
達したのは、二人がこの行為を通じて初めて互いの名前を呼んだ瞬間だった。
勢いよく放出されたカルタスの精が、白い奔流となってウェンディの秘所に注がれる。交じり合った二人の分身が溢れ出し、ベッドに
新たな染みを創った。
「……はっ……はぁっ……」
「……ぁ……はっ……は……」
カルタスがウェンディの中から自身を引き抜く。膣内全てを白く染め上げようかという勢いで精を放出したというのに、その硬さには
些かの陰りも見られない。
何かを訴えかけるように自分を見るカルタスに、ウェンディは呼吸を整えながら言葉を吐き出す。
「……はぁっ……だい……じょ、ぶ……っスよ……はっ……もっ……と、ぉっ……きて……」
カルタスは頷く代わりにそそり立った自身で己の意思を示す。
獣と化した男とその身を餌と差し出す少女。極上の餌を前にした男の食事は、男が食欲を満たし意識を手放すまで続いた。
◆
朝の光がカーテンの隙間から部屋に差し込む。
光線を目で追いながら、カルタスは溜息をつき―傍らに眠る少女の寝顔を見やった。
―カルタスさんも更正プログラムを手伝ってくださるんですか? それは凄く嬉しいですし、ありがたいですけど……でも、あの子
達に手を出したら……ギュイイィィンですよ?
笑顔で左手に螺旋力を込めるギンガの姿を思い出し、カルタスの体がびくりと震える。決して裸で半身を起こしているからではない。
間違いなく震えの原因は恐怖だ。ただ……昨日までは脳裏に彼女の姿を浮かべる度(あるいは彼女の姿を視界に映すだけで)に襲って
きた、締め付けられるような苦痛が今は全く感じられなかった。何故だろうか、今ならばとても自然な心で彼女とも話せるような
気がする。
(いや、それは無理だ。第一彼女が俺が何をしたかを知れば、冷静でいるはずがない)
カルタスは再度溜息をつくと、ベッドに倒れこむように体を預けた。
(……俺って、こんなに最悪な人間だったか?)
視界を天井から隣に移せば、こちらの苦悩を知る由もない眠り姫。
彼女が自分に好意を持ってくれていたという事については素直に嬉しかった。だが、その返答が昨晩のアレというのはあまりにも
酷すぎる。最低でも場を改めて、酔いも何もかも冷めた状態で自分の気持ちを整理した上で彼女に返答すべきだった。
しかし実際にやった事といえば少女の色香に当てられ、酔った勢いに任せて半ば強姦に近い形で彼女と性交。誘ったのは彼女の方から
だが、応えたのは自分の意思。しかも最後の方はむしろ自分の方から積極的に行為に及んでいた。
幾度少女を喘がせ、その肢体に白濁を放ったか。
二日酔いに苦しむ頭でも、自分がやった事の重大さは身に染みて感じられた。
(責任、取らないとな……ギンガのギュイイィィンが非殺傷設定であればの話だけど)
「ん……」
眠っていた少女が、もぞもぞとベッドの上で動き出す。どうやら目を覚ましたらしい。
「……おはよう、ウェンディ」
「……あ、おはようっス……?」
カルタスと目が合ったウェンディはニッコリと笑みを浮かべるが、すぐに自分が何も着ていない事に気がつき布団の中に潜り込む。
「……!!」
「あ、す、すまない!」
今さら何に謝るのかわからないが視線を逸らし……とりあえず謝る。
「……いや、いいっスよ……ていうか、いつの間に裸になったんスか、アタシたち……」
「……たぶん、二回目が終わった時に『服が邪魔だ』って言って……脱がせたような気がする」
「……カルタスが、っスか?」
「……俺がだ。酔った上での記憶だから、確証は持てないが……」
言いかけて、自分の発言に慌てて修正を加える。
「あ、いやたぶん間違いない! 酔っててもしっかり記憶は残ってる! 昨日の事もしっかり!! 俺がウェンディにとんでもない事を
してしまったって事も!!」
「……だったっス」
布団から頭を半分だけ出してウェンディがボソリと呟く。
「……へ?」
「……初めて……だったっス」
「すまないっ! 本当に……俺は、君に取り返しのつかない事をしてしまったっ……本当に……!!」
そんな事俺にだってわかってるさ、なぜなら君の処女膜を貫いたのは俺のドリル(ry などとは絶対に口に出さない。彼に出来る
のはひたすら謝罪するだけである。
「ちょ、な、なんで謝るっスか!? 誘ったのはこっちっスよ!?」
「それでもだ! こんな形で、その、君の大事なものを……」
「いや、だから全然気にしてないっスよ!! 今のはアタシの初めてを、カルタスにあげられたのが……嬉しくて……それで……」
最後の方は言葉にならず、顔を赤らめたウェンディが完全に布団の中に潜り込んだ。
「ウェンディ……」
カルタスは少しだけ考え、彼女の後を追って布団の中に潜る。
「ウェンディ」
「ふわわっ!?」
急に目の前に現れた顔に驚き、ウェンディが布団から飛び出そうとする。その腕を強引に掴み、カルタスは彼女の身体を抱き寄せた。
「えぇっ、ちょ、カルタス!?」
「ウェンディ。君は昨日俺にこんな風に言ったよな……『ギンガの事はキッパリ忘れた方がいい』って……その通りだと思う。彼女が
愛しているのはナカジマ部隊長であって俺じゃない……部隊長もギンガの事を愛してる、俺の割り込む余地はそこにはない。たとえ
想い続けても、二人に迷惑をかけるだけだ」
「カルタス……」
「だから俺は彼女の事を吹っ切って、前に進んで行かなきゃならない……ウェンディ。もし君が許してくれるなら、これから俺が進んで
行く道……君と二人で歩いて行きたい」
「そんなこと……!」
ウェンディの手がやんわりとカルタスの身体を引き離す。
「アタシは、そりゃ嬉しいっスけど……でも、カルタスはそれでいいんスか? フラれて何日も泣くほど好きだった人の事、忘れる事
なんてできるんスか?」
その身体を、再びカルタスが抱き寄せる。
「難しいかもしれない。だけど、断ち切らなきゃいけない」
「アタシとエッチしちゃったから責任を取って付き合うとか、そういうのだったらお断りっスよ? アタシはそこまで……安い女じゃ
ないっス」
「わかってる。だけど、信じてもらえないだろうけど……今俺が好きなのは、君だ。君がいるなら俺は前に進める」
カルタスの眼が、真っ直ぐにウェンディを見つめる。見つめられた少女は――
「なんっスか、それ……」
口調だけは不機嫌そうに。
「でも……信じてあげるっス」
けれどニッコリと微笑むと、愛しい人にゆっくりと口付けた。
◆
それから一年後。海上隔離施設。
「そういえばウェンディの結婚式、日取りが決まったんだって?」
「ああ、ちょうど一ヵ月後だそうだ。私達も特別に参加が許可された」
「久しぶりだよね〜外に出るの……まあ行動制限はかかるんだろうけどさ」
芝生の上で、未だ隔離中のナンバーズ更正組―チンク・ナカジマとセイン・ナカジマが妹達の話題に花を咲かせていた。
「けど最初はビックリしたよね〜、あんなにギンガさんギンガさん言ってたカル兄があっさりウェンディに乗り換えるなんて」
「こらチンク、そういう言い方はよくないぞ」
「あは、ごめんチンク姉」
歯に衣着せなぬ物言いをする妹をたしなめるチンクだが、実はそういうチンクも当時は相当驚いたものだった。
もちろん妹の幸せは喜んで祝福したし、彼女はウェンディのカルタスへの想いも知っていたのでなおさら嬉しくもあった……だが、
どうしても唐突な感は否めなかったのもまた事実である。
「……なあセイン。お前は二人が付き合うようになったきっかけを覚えているか」
「え? えーと……確か酔った勢いで口喧嘩になって、その時に売り言葉に買い言葉みたいな感じでウェンディがカル兄に告白した……
みたいな感じだったっけ?」
「うむ……」
セインの語る"きっかけ"は彼女達の間では概ね"正解"である。ウェンディもカルタスも、あの晩に性行為があった事は他の姉妹に
話してはいなかった。まあ当然と言えば当然の話ではある。
「それがどうかしたの?」
「いや、別に……」
「うっそだー、絶対何か隠してるよその感じはー」
「いや……うむ……」
チンクは少し考え込む仕草を見せる。が、やがてぽつり、ぽつりと自身の頭の中に浮かんでいる仮説について語り始める。
「実際の所、その"きっかけ"とやらはそれだけなのだろうか?」
「それだけって?」
「例えば……あの日カルタス二尉はひどく酔っていたと聞く。理性もかなり弱まっていたはずだ……ただでさえ傷心の身、その状態で
泥酔すれば普段はどれだけ実直な人間でも崩れやすくなる。そこで既成事実を作ってしまえば……」
「ウェンディが自分をカル兄に襲わせたって事? いやーないない、あのアホの子がそんな作戦立てたりしないって」
セインはそう言って笑うが、チンクはなおも納得がいかないという表情で続ける。
「そうか? だが、あの子はあれで中々頭の切れる子だ。性格上深く考えるのが苦手というだけで、けして考える事ができない訳では
ない……違うか?」
「んー、まあそれは認めない事もないけどさ……」
「あくまで仮説に過ぎんがな。それに幾ら酔っていたと言っても本当に理性を失う段階までいく事は滅多に無いだろう、それこそ一服
盛られでもせん限り」
「そうだよー。チンク姉は考え過ぎだって」
「ふむ……」
どうやら目の前の妹はどうしても姉の説を支持してはくれないようだ。
だがな、セイン。
チンクは言葉には出さず続けた。
男という生き物は、一度抱いた女には情を移してしまうものなのだ。逆に言えば、抱かせてしまえばもうこちらの勝ちも同然。
かつて外面的に女としての魅力に乏しい自分(一部にはそれがいいという男もいるが)に、男を堕とす極意を色々と伝授してくれた
今は亡き姉の言葉である。ちなみにチンクがこの金言を実行に移した事があるかについては読者の想像にお任せする。
(まあ、それを知ったところで何の意味もないといえばそうなのだが……やはり気になる……)
「やっほーー!! チンク姉、セイン、ディエチ、面会に来たっスよー!!」
ちょうどその瞬間、噂をすれば何とやら。声のした方を振り向けば件の人物がこちらに手を振りながら走ってくるところだった。
「おー、ウェンディ!!」
ウェンディの姿を確認したセインが、真っ先にウェンディの元へと駆け寄る。
「チッチッチッ……セイン、今の私の事はミス・カルタスと呼ぶっす」
「あーごめんごめん、ごきげんようミス・カルタス」
「ごきげんようっス、ミス・ナカジーマ!!」
ご機嫌なところを悪いが、それをいうならミス(Miss)ではなくミズ(Ms.)かミセス(Mrs.)ではなかろうか。それともミッド語
ならこれでいいのか?
(……やはり単に、カルタス二尉も男だったというだけの話なのか。彼は少しは違うと思っていたのだが……)
なんだか小難しい事を考えていたのが馬鹿らしくなって、チンクはとりあえず妹達の輪に加わるべく立ち上がった。
670 :
ておあー:2008/03/12(水) 17:53:28 ID:3276cm0m
以上です。お付き合いくださった方ありがとうございました。ディー娘はあともう少し何かが加わればはじまる子だと思います。
なんかまあ……馴れ初めがこんな感じのカップルも世間にはいるんじゃないかなー……と思いながら書いたのですがどうなんだろう
これ。キャラに感情移入できにくい話になってしまった気がするorz 特にカルタス、お前という男は……
あと自分の中のドゥーエ姉様はなぜかチンク姉をめちゃんこ可愛がってた(はぁう〜かぁいいよ〜的な意味で)という設定が出来上がってます。
そして幼児体型に嫉妬するクア姉。何処でこんなイメージがついたんだか。
一応据え膳も食わないカルタスと何の疑惑もないウェンディのガチ純愛Ver.?のプロット(長編)もあるのですが返答保留中のキシャーの事も
あるので悩み中。一階の名無し氏はもうスレをご覧になってないのかしらん。
>>670
ウェンディ・ザ・エロス来たああああ!!!!!
やべえ、やっぱウェンディって良いわ、最高に魅力的っす。
やっぱ明るいあの子は癒し系だな、俺も書きたくなったぜ。
>670
乙です。ぐっどです。
ただ一点、セインはヌエラ家に引き取られると思います。
673 :
ておあー:2008/03/12(水) 18:26:18 ID:3276cm0m
>>671 「ておあーは処女なウェンディを書く」……「貴方は経験豊富なウェンディを書く」
つまりハサミ討ちの形になるな……
いや申し訳ない、なぜか貴方からある書き手さんの名前が透けて見えたんだ……
忘れてください。でもぜひ書いてください。
674 :
>>671:2008/03/12(水) 18:37:37 ID:Vq2BCeIw
>>673
ちょっ! 特定されてる!? これじゃ匿名掲示板の意味ねえじゃん!!
まあナンバーズのエロ書く奴なんて極少数(他のエロに比べてという話ですが)だから俺が誰かなんてばれてるかもしれんが。
ともかく、ておあー氏は経験豊富なえろえろウェンディを所望ときたか、こりゃ応えねば大和男子の名が廃るっちゅうもんじゃのぉ。
だが現在書いてるナンバーズINエロスはトーレだったりするんだこれが。
でもウェンディは絶対書くとお約束しよう。
ぶっちゃけアンカーが独特だから……
今日に限っていえばIDからでも特定できる。
つか絶対わざとだろ
でなきゃ学習能力の欠j(ry
まあいいってことよ
良SSだが誤字を発見してしまった
>>668チンクが多重人格
>>670 キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
ただいまスーパーナンバーズタイム真っ盛りw
エロクてかわくて、どっか策士的だよウェンディ!
あとラッカル、ラッカル言うてると、『防御力に定評の有る某パイロット』を思い出したw
(硬い機体に乗せて一番前に突っ込ませて削り役にしてたら、いつの間にかトップエースになってたのは良い思い出)
>「ておあーは処女なウェンディを書く」……「貴方は経験豊富なウェンディを書く」
いいぞ!
ソープ・シリーズもっとやってくれええハァハァ
ふぅー…俺が望んでいたウェンディエロが実現されるとは…
作 者 G J !
次はウェンディのソープだぁぁぁぁぁ!
>>677 いや、ワザとじゃないんじゃね?
この御方は素でドジッ子属性あるってばさ
>>682 あとミスるたびに名前が変わる某氏もな。
GJ!!
いやーもうほんと萌えた萌えたvvv後半のもだけど前半の姉妹達のやり取りにも萌えたv
なんか数の子好きな自分にとって最近の流れはすごく嬉しいぞ!?
みんなもっとやれやれ〜w
ギンガ姉、螺旋族だったのか。
686 :
ザ・シガー:2008/03/12(水) 21:18:43 ID:Vq2BCeIw
なんだ? ソープシリーズが待ち望まれている?
しかし書きあがったのはゴードン爺さんのSSなんだぜ、っていう訳で投下するっす。
最終チェックして30分くらいになったら投下します。
あと俺は素でアンカの仕方を間違えてただけだったりする。
>>686 かまわん!俺たちの頭上に投下してくれ!!
>>670 GJです!
ドゥーエさんにどっかの凡人が嫉妬しそうだなw(かぁいいよ〜言うのは私だ的な意味で)
689 :
ザ・シガー:2008/03/12(水) 21:32:39 ID:Vq2BCeIw
では投下します「鉄拳の老拳士」の第六話、今回で最終回です。
毎度の事ですがオリキャラや爺さんが嫌いな方はスルーしてね?
690 :
鉄拳の老拳士:2008/03/12(水) 21:33:26 ID:Vq2BCeIw
鉄拳の老拳士6
赤い赤い夕日のような哀愁に満ちた光の中で俺は眼を覚ました。
ここに来んのはこれで何回目だろうな。
何度も死にかけてはその度にここに来た、死ぬ一歩手前に見る冥府の入り口。
穏やかなせせらぎを響かせる河の前に俺は立っていた。
「ああ、やっぱ死ぬのかよ‥‥‥クソッタレが」
思わず毒づいて汚い言葉が出たがそれも毎度の事だ、別に聞かれて困る訳でもねえ。
どうせ俺が逝く場所なんざ“下”の方だろうからな。
別に地獄だろうがなんだろうが死んで逝くところに興味はねえが、ただ復讐も果たせず死ぬのが悔しくて堪らねえ。
そんな時に随分と懐かしい声が聞こえた、そう随分と懐かしいあの馬鹿ッタレの声だ。
「お久しぶりですゴードンさん」
「おう、久しぶりだな馬鹿ッタレ」
「馬鹿って‥‥相変わらず酷いです」
「何言ってやがる。若いカミさんと小せえ子供を残して死んだ野郎なんざ馬鹿で十分だ」
「‥‥‥そうですね、確かに俺は馬鹿だ」
「それでお前が死出の旅路の案内人って訳か? クライド」
この青二才の名前はクライド・ハラオウン。
若いカミさんとまだ年端の行かない子供を残して死にやがった大馬鹿野郎だ。
まあ俺をあの世に連れて行くのならこいつが適任って訳だろうぜ。
「違いますよ」
「何?」
「俺はただ“あの人”をここまで案内しに来ただけです」
「“あの人”?」
クライドの坊主がそう言いながら後ろ指差す、そこに立っていた人間を見た瞬間に俺は固まっちまう。
そこには数十年前に死に別れた筈の彼女があの日のままの姿で立っていた。
「それじゃあ俺はこれで失礼します、ゴードンさん。ではお元気で」
クライドはそう言うと何処かへと消えていった。
そして俺は彼女と二人残された、彼女は何も言わずゆっくりと俺に近づいて来る。
まるで数十年前のあの時のように、長くて綺麗な青い髪を揺らして、優しく柔らかい微笑を見せながら。
「メル‥‥セデス‥」
「久しぶりねアル」
それは数十年前に死んだ俺の妻、メルセデス。
その全てがあの時のままだった、白磁のように白い肌も、艶やかな長く美しい青い髪も、見ているだけで心の底から温かくなるような笑顔も、一つ残らず全てがあの日の思い出のまま。
691 :
鉄拳の老拳士:2008/03/12(水) 21:34:12 ID:Vq2BCeIw
それはまるで俺の記憶から抜き取ったかのように。
「ヒゲ生やしたのね」
「‥‥ああ」
「頭、ハゲちゃったわね」
「‥‥ああ」
「顔、シワだらけね」
「‥‥ああ」
そっけない返事しか口から出ない、本当はもっとたくさん話す事があるてえのに上手く思い浮かばねえ。
俺はただメルセデスの瞳に魅入られていた。
「メルセデス、俺を迎えに来たんじゃねえのか?」
「いいえ、違うわ。あなたはまだ死んでないの、ただ少し怪我してるだけ。それで私が勝手に会いに来たの」
「俺を止める為か?」
何をなんて言う必要も無え、俺がしてるのは自分自身の意思で復讐に走りこの手を血で濡らす修羅道だ。
もしメルセデスが知っているのなら確実に止めるだろう、彼女はそういう人間だ。
例えどんな理由があろうとも故意に人を傷つけるなんてまかり間違っても許せる人間じゃねえ。
だから次の瞬間、彼女が言った言葉に俺は息を飲んだ。
「いいえ」
「何だって?」
「私はあなたの復讐を止めるつもりは無いわ」
「‥‥君らしくねえな、じゃあ応援でもしてくれるのかい?」
「いいえ、私は否定も肯定もしない」
「‥‥‥どういう訳だ?」
彼女の言っている事が理解できなくて思わず聞き返した。
不可解そうな顔している俺に彼女は優しく微笑みながら、そっと俺の手を握る。
彼女の手の柔らかくて温かい懐かしい感触に俺の心の中の何かが溶けたような気がした。
「アル。もしあなたがそれを望むなら、私その全てを肯定する」
「‥‥良いのかい? 進んで人を殺そうってんだぜ?」
「ええ、それでも構わないわ。ただ一つだけお願いがあるの‥‥」
「お願い?」
メルセデスはそう言うと真っ直ぐに俺の目を見据える。
それはクイントやスバルと同じ、少しの迷いも一片の曇りも無い透き通った瞳。
決して曲がらない鋼の意思を持った眼差しだった。
「どんな事があっても決して後悔しないで。自分の心に嘘をつかないで」
「‥‥‥‥‥‥それだけかい?」
「ええ、それだけ。アルがそうして選んだ道なら私はそれを受け入れる」
「そうかい‥‥‥分かったよ、絶対に自分に嘘はつかねえ」
「うん‥‥ありがと」
そう言葉を交わすと俺達はどちらともなく抱き合った。
甘く香る髪の匂い、柔らかく温かい身体、全てがあまりに懐かしかった。
692 :
鉄拳の老拳士:2008/03/12(水) 21:34:50 ID:Vq2BCeIw
情けねえ話だが、最愛の妻との数十年ぶりの抱擁に年甲斐もなく泣きそうになっちまう。
「アル‥‥大好き」
「俺もだ」
「‥‥もう離したくない」
「ああ」
「ねえ知ってる? このままアルを離さなければ一緒に彼岸の彼方まで逝けるのよ」
「そいつぁ素敵な提案だ」
「‥‥でもダメよね」
「まだ向こうでやる事があるからな」
「‥‥分かってる、ごめんねワガママばっかり言って」
「君のワガママなら何でもOKさ、良い女はその方が良いぜ」
少し茶化した事を言いながら俺は彼女の髪をそっと撫でた。
そして数十年前と同じその心地良い感触に酔いしれる。
だがそんな時間も永くは続かねえ、メルセデスは何も言わず静かに俺の身体に回していた手を離した。
「‥‥もう時間みたい」
「そうか‥‥‥残念だ。でもまあ、どうせすぐ会えるだろうから気にすんな」
「もう‥‥そんな事言ったらダメよアル。私の分もあの子達と一緒に過ごしてあげなきゃ」
「それもそうだな」
抱き合っていた身体を離す刹那、俺はメルセデスの唇に自分のそれをそっと重ねる。
数十年ぶりに味わう彼女との口付けは相変わらず甘くて切なかった。
「続きはまた今度だ」
「うん、十年でも百年でも‥‥いつまでも待ってるわ。だから行って来て、あの子達の所に」
「ああ、それじゃちょっくら行ってくるぜ」
「ええ、行ってっしゃい」
メルセデスはその瞳をかすかに涙で濡らしながらそう言ってくれた。
まったくこんな時にも良妻を貫くなんて相変わらず最高の女だ、誰がなんと言おうと家のカミさんは宇宙一の美女だ。
でもやっぱり君の顔に涙は似合わねえぜ、拭ってやりたいと思ったがもう身体が上手く動かくなってやがる。
あの世のとの狭間にいられる時間は残酷にも過ぎて、俺をあっち(この世)に連れ戻しやがった。
だがその瞬間、メルセデスの隣にあの子の影を見た気がした。
「クイントオオォォッ!!」
俺の叫びも虚しく視界は白く染め上げられ、冥府との狭間は消え去った。
次に眼に飛び込んできたのは一面の黒、それが自分を覆っている瓦礫の山だと理解するのに時間はそうかからなかった。
693 :
鉄拳の老拳士:2008/03/12(水) 21:35:20 ID:Vq2BCeIw
邪魔クセえ、いつまでも気色の悪い石布団なんぞかけてんじゃねえ。
石っころの山をどかすくらいは、魔力なんぞ使わなくってもこれくらい自前の力だけで十分だ。
起きてみればあのクソッタレがスバルに汚え手を近づけていやがった。
「何してやがる糞野郎。てめえの相手は俺だぜ?」
俺はともかく喧嘩(ゴロ)の啖呵を切った。
これ以上このクソッタレをのさばらせはしねえ、しこたま拳骨(ゲンコ)くれてやるぜ腐れチ×ポ野郎。
□
瓦礫を押しのけて立ち上がったゴードンはドスの効いた太い声を響かせる。
だが纏う黒衣はあちこち焦げ付き、口元は血で濡れている、正に満身創痍としか言い様が無い状況。
だがその眼光は覇気に満ち溢れている。
この老兵には引く気も負ける気もサラサラ無いのだ。
「これはこれは、まだ生きていたのか。素晴らしい耐久力だ、賞賛に値するよ‥‥」
「黙りやがれ、クソッタレ」
ゴードンは不遜な態度のスカリエッティの言葉を相も変らぬ威勢の良い怒声で遮る。その迫力にスカリエッティは老兵と距離をおいてもなお背筋に寒気を感じた。
それは生物として感じる圧倒的な格の違い、巨大な肉食獣を相手に矮小な草食獣や虫けらでは決して抗えないのと同じ生きている以上は逃れられぬ死の恐怖である。
故にスカリエッティはこの歴戦の猛者を最速で葬り去る事にした。
「やれ、タイプδ。徹底的にな」
その言葉に異形の戦闘機械、タイプδはモノアイを不気味に光らせて応えると同時に下半身の多脚を走らせてゴードンへと迫る。
6本腕の内の2本、大口径ガトリングガンが唸りを上げて乾いた炸裂音を響かせて銃弾をゴードンに吐き出す。
ゴードンはその銃弾の嵐を即座に防御障壁を展開、攻撃を弾く事を念頭に置いた高硬度シールドで傾斜・角度をつけて銃弾を巧みに捌いた。
だがタイプδは構わず接近し、銃弾の雨と同時にもう2本の腕に備えられた巨大な棍棒を振り下ろす。
694 :
鉄拳の老拳士:2008/03/12(水) 21:35:50 ID:Vq2BCeIw
展開したシールドはそのままにゴードンは脚部ローラーブーツを走らせて回避、すると彼のいた場所を棍棒が叩き砕きコンクリートの床をありえない程に溶かした。
この棍棒はただの単純な鉄の塊でなく超高熱を帯びた破壊兵器なのだ、例えバリア越しでも受ければタダではすまないだろう。
普通ならばこれで安易に接近するという選択肢は捨てる筈だろう、だがこの老兵は“普通”ではない。
ゴードンはあろう事かコンクリートに埋まっていた高熱を帯びた棍棒を鉄拳で掴む、そしてそのまま魔力を込めた蹴りを叩き込み棍棒をへし折った。
「なっ!?」
状況を観察していたスカリエッティは思わず声を上げて驚愕する。
普通ならこんな事はしない、防御障壁と鋼のデバイス越しといえどゴードンの指は高熱に焼かれているだろう、まともな思考能力があればあそこまで危険な戦い方などしない。
だがゴードンはそれだけに終わらなかった。
さらに連続した蹴りを叩き込みタイプδの防御シールドを破壊、思い切り振りかぶって手に掴んだままの棍棒の切れ端をタイプδの上半身左側の肩に突き立てる。
高熱を持ったままの棍棒により左側の腕3本の肩部が溶解、多砲門型ロケットランチャーと大口径ガトリングガンの機能を殺した。
突然自身の機能を大幅に破壊されたタイプδは即座に後退、残ったガトリングガンで牽制の銃弾を吐き出しながら熱線砲をチャージして遠距離戦に移行する算段である。
もちろんそれを簡単に許すゴードンではない。
「させるかあああぁぁっ!!!」
獣の如きゴードンの咆哮が響き渡り、同時に数多のウイングロードが展開。
その青き翼の道はタイプδの後退の軌道を塞ぐように展開され、逃げ場を殺す。
異形の戦闘機械は退路を確保する為に残ったもう1本の棍棒を振りかざしてウイングロードを破壊しにかかる。
だがその所作、歴戦の老兵からすればあまりに愚鈍極まる。
ゴードンは半分の火力となり下がったガトリングガンの銃火の内を高速で掻い潜り接近、回転により遠心力を乗せた最高の拳が叩き付けた。
「ガイアクラッシャアアアァァッ!!!!」
彼の持つ技の中でも最高の打撃力を誇るものの一つが炸裂、タイプδの装甲を軋ませて爆発的な衝撃によりその巨大な金属製のボディを吹き飛ばした。
戦闘機械は老兵の攻撃によって広大な工場内部を転がる、普通ならばここで勝負は決するだろう、この攻撃を喰らってタダで済むモノなどそうはいない。
だがこの異形の殺戮兵器もまた、老兵と同じく“普通”ではないのだ。
「けっ、いい加減に逝きやがれポンコツが」
ゴードンの鉄拳に転がったタイプδは何事も無かったかのように起き上がる。
695 :
鉄拳の老拳士:2008/03/12(水) 21:36:31 ID:Vq2BCeIw
歪ませた装甲はすでに元通りの形に戻っていた。恐らくは高性能の柔軟性を持った表面の装甲を持っているのだろう。
高濃度のAMF下で威力を著しく落としたゴードンの拳とはいえど、直接魔力で加速・強化したベルカ式の攻撃にここまでの耐性を持つとなると厄介極まりない。
その様子を眺めていたスカリエッティは狂ったように笑った。
「あーはっはっはっは!!! どうだい? この防御力は。高濃度のAMF発生装置に多重展開の防御シールド、そして極めつけは最高の防御力を誇る特殊複合装甲製のメインボディ!! 魔道師の個人レベルの戦闘力では中枢を破壊する事は絶対不能だ!!!」
攻撃用の腕ならば破壊する事は決して難しくない、だがボディ本体の防御力はスカリエッティの言う通りの絶大なる鉄壁である。
余力を考えればゴードンにもう余裕は無い、下手に戦いが長引けば造作も無く死に果てる。
ここは最大の大技で以って勝負を一気に決めなければならない、故に老兵は大磐石たる不退転の決意と覚悟を腹の内に呑み込んだ。
「いくぜ兄弟」
<おうよ兄貴、地獄の果てまでだって付いて行くぜ!!>
無骨なる鉄拳、鋼のデバイスが威勢良く応えて魔力を帯びた無敵の拳へと変わる。
自身の存在の全てを賭けて覚悟を決めたこの兄弟にとってこの世にはもはや敵となる者など無い、その五体既に絶対必勝。
その刹那ゴードンは駆け出す、烈風の如く、閃光の如く、矢の如く、弾丸の如く、その身は疾風迅雷となって敵へと一直線に突き進む。
銃火で以って迎え撃とうとも、風となった黒き影を捉える事など出来はしない、その速度はもはや異形の戦闘機械の応戦できるレベルを遥かに超えていた。
自身の拳足の間合いへと近づいたゴードンは急接近した勢いを乗せた拳を叩き込む、それは絶大なる威力を誇るアッパーカット。
轟音が響き鉄拳がタイプδのボディにぶつかった瞬間、ゴードンの足場に展開していたウイングロードが踏ん張りの重さに軋みを上げる。
その一撃はただ重いだけではない、老兵の拳は長年の修練によって体得した発剄・浸透剄で以って衝撃を敵の内部奥深くまで通していたのだ。
タイプδは外壁装甲の内部、その中枢まで衝撃を打ち込まれながらアッパーによって宙に浮かされた。
さらにゴードンは浮いた敵の巨体の周囲にウイングロードを形成、それは螺旋状をして囲い込みまるで檻の如く逃げ場を奪う。
そして老兵は螺旋の檻の中で宙に浮いた殺戮兵器に向かって再び上段に拳を振りかぶった。
それはまるで天に昇る龍の如く天を突き破るかの如く力強く、螺旋の中をさらに旋回しながら昇る拳打は美しくすらある。
「一撃天昇っ!!! スパイラル・ドラゴンンンン!!!!」
莫大な魔力を以って天すら穿つ螺旋の龍が、宙に打ち上げられた敵を貫かんと舞い上がる。
鋼の拳が厚く強固な装甲を強力な回旋で抉りながら突き刺さっていく。
だが敵の纏う鎧は硬く、破壊し難い事甚だしく、老練なる拳士の絶技にも堅牢に耐える。
そして異形は反撃に移る。
ゴードンの攻撃に晒されながらもタイプδは残った腕に具えられた高熱粉砕装置(ヒートクラッシャー)内蔵の棍棒を大上段に振りかざし、その重く強烈な一撃をゴードン目掛けて打ち下ろした。
696 :
鉄拳の老拳士:2008/03/12(水) 21:37:06 ID:Vq2BCeIw
タイプδの打撃が打ち込まれた瞬間、ゴードンは防御障壁を展開して防ぐが人外の金剛力で以って行使される暴力の力に障壁ごと吹き飛ばされた。
展開していたウイングロードも強制的に解除され、老兵の五体は再びコンクリートの壁に向かって飛ぶ。
だがこの老練なる兵(つわもの)が愚鈍な戦闘機械の攻撃に醜態を何度も晒す事などありえない。
ゴードンは瞬時に脚部ローラーブーツの下にウイングロードを展開し空中で体勢を立て直し着地、そして鋼の拳を構えてファイティングポーズをとる。
対するタイプδも即座に空中で下半身の多脚部に備え付けられた推進器(スラスター)で飛翔しながらガトリングガンの狙いをゴードンに定めて銃火の花を咲かせた。
これを再びシールドを使い巧みに捌く、だが敵の狙いはこの銃撃でゴードンを打倒する事では無かった。
この攻撃はあくまでも牽制、足止めの布石である、本命はチャージを待っていた熱線砲を用いた砲撃だ。
高町なのはの砲撃魔法すら凌駕するこの砲撃ならばいかにこの老兵が強かろうと死を免れえぬだろう。
タイプδは冷静な戦闘頭脳で導き出された完璧なる勝利への方程式に従い、老兵との距離をとり彼の足を止める事に成功した。
後はチャージし終えたこの熱線砲の砲門を解放し、現在敵対している人間を塵も残らず葬るだけだ。
絶対的なる危機的状況、このまま砲撃を許せば致死必死は確実である、だがゴードンは逃げも隠れもせず悠然と銃弾を防いでいる。
別に敵の砲撃の予兆を見逃しているのではない、測っているのだ反撃の好機を。
そして機は熟する。
タイプδのモノアイが対象物たるゴードンに照準を合わせ、熱線砲の砲門に莫大なる熱エネルギーが収束し解放された。
これを待っていたと言わんばかりにゴードンは超高速で足元に展開したウイングロードで上空へと回避。
難なく敵の持つ最大の攻撃能力を流すとその隙を逃さず急速接近、最高速度で懐に潜りんだ。
「オラアアアアァァッ!!!!」
まずは跳躍しての上段の回し蹴り、主力戦車でも転がす程の打撃力を持つその鉄脚の蹴りにタイプδの残った腕の内1本、ガトリングガンを搭載したものを破壊。
次いで空中で新に形成したウイングロードを足場にした左ストレートを打ち込んで敵の体制を崩す。
ゴードンの放つ怒涛の攻撃にタイプδはその巨体を揺らしてぐらついた。
そして老兵は自身の誇る最高最大の秘技を抜き放つ。
宙を舞うゴードンの身体から魔力が一瞬である一部へと集まった。
全身を巡る魔力の全て、防御障壁に回す魔力すらも含めた一切合財の全魔力が鉄の拳で覆われたゴードンの右手に集束。
それだけでも常軌を逸した行為だが、さらに驚くべきはその手の形である。
ゴードンの右手は握られた拳ではなく開かれて掌へと転じていたのだ。
「一刀両断んんんんん!!!!!」
空気を震わせる太い掛け声と共に手刀と化した右の掌に集まった魔力が形を作っていく。
697 :
鉄拳の老拳士:2008/03/12(水) 21:37:44 ID:Vq2BCeIw
それは手刀に沿って現われた一振りの刃、全てを断ち斬る聖なる閃き。
「イクスカリバアアアアァァッ!!!!!!」
ゴードンの叫びと共に、古き伝承に残る聖なる剣の名前を冠した断罪の刃が唸る。
体内の魔力の全てを一点に集めて作った刃は、彼自身の手刀をこの世に斬れぬ物の無い無敵の一刀へと変えたのだ。
拳から剣へと転じたこの一撃に敵の誇った鉄壁の装甲もチーズのように斬り裂かれた。
だがまだ足りない。
この攻撃は防御不可能な程の絶大なる破壊力を誇るが唯一の難点は間合いが極端に狭い事だ。
残念だがこの一撃を以ってしても巨大なる戦闘機械の中枢までは届いていない。
しかし老兵にとってはその程度は予想の範疇内、計算の内である。
敵を打ち倒す大技はまだこの後に放つ一撃だ。
「ウオラアアアァッ!! ぶち抜けええええええぇっ!!!!」
ゴードンは右手の形を手刀のままに振りかぶって自身の腕を深く敵の装甲に突き刺す。
先の一刀はこの貫手(ぬきて)を通す為の布石であったのだ、斬り込みを入れた装甲に腕を突き通す為のコンビネーションの一つ。
そしてゴードンはこの日初めてカートリッジを使う。凄まじい爆音が響き、両腕の鉄拳に備えられた回転式弾装の中に装填されていた大振りなカートリッジが全弾炸裂する。
追加された莫大な魔力に加えてゴードンの身体に残された魔力もその全てを燃やし尽くさんと燃え上がった。
「一拳滅砕っっっっ!!!!」
ゴードンの叫びと共に再び右手に集まる魔力の奔流。
カートリッジを一気に全弾使用したそれは先の攻撃を遥かに超える程の莫大なものであり、そのあまりの力に空間が歪んでさえ見える。
そして限界まで圧縮された魔力は一気に爆ぜた。
「カタストロフ・フィストオオオオオォォッ!!!!!!!!」
瞬間、異形の戦闘機械タイプδは内部から大爆発。
どんなに強固な装甲と防御力を誇ろうとも、無防備な内部からの発した力には抗う術などありはしない。
しかし驚くべきは自爆にも似た大技“カタストロフ・フィスト”である。
敵の内部に爆散する魔力を発生させるのはスバルの用いるディバインバスター・ゼロレンジにも似ているが、爆ぜる瞬間まで腕を突き入れたままという一点においてあまりにその性質を違える。
このような絶技を前にすればいかな敵とて大散華と散り果てるは必定。
だが最初から回避という選択捨て、敵もろとも爆炎の中に己が身を置くなど自殺行為に等しい。
濛々とあがる煙と炎に、この激闘の数少ない観戦者たるスバルとスカリエッティはゴードンの死を感じた。
698 :
鉄拳の老拳士:2008/03/12(水) 21:38:52 ID:Vq2BCeIw
だがスカリエッティにとっては自身の作った殺戮兵器の敗北のショックの方が大きかったようだ。
「ま、まさか‥‥タイプδが人間相手に負けるとは‥」
スカリエッティの言葉が響く中、異形の戦闘機械の部品が瓦礫と散る。
そしてその中を悠然と歩く黒き影が一つ。
「けっ、ご自慢のクソ機械も大した事ぁねえな」
ボロボロになった黒いバリアジャケット、傷だらけになった深くシワの刻まれた顔、そして熱く闘志の燃える鋭い眼光。
ベルカ最強の拳士と謳われた歴戦の猛者、アルベルト・ゴードンという一匹の漢(おとこ)である。
そしてゴードンは周囲に燃える炎で1本の葉巻に火を付けると深く吸って、濃い紫煙を吐いた。
「な、何故だ!! 何故生きている!? あんな爆発の中でどうやって‥‥」
「簡単な理屈だ、魔力を解放した瞬間に最低限の防御障壁を張ったのさ。まあ少しでも遅れれば死んでるだろうがな」
口から葉巻の甘ったるい紫煙を吐きながらゴードンは何でも無いことのように話す。
だがこれはムチャクチャな理屈だ、例えるならば放たれる矢を寸前で止めるような狂った行為。
だがこの老兵はまるで日常的なささいな出来事でも語るように話す、もはや常人に理解できる範疇を著しく逸脱した存在としか言えぬだろう。
そして老兵は静かに歩み寄りながら鋭い眼光を憎き仇に向けて放った。
「さあ、それじゃあ死ぬ時間だぜクソッタレ」
瞬間、あまりにも確実な死を感じたスカリエッティは懐から抜いた鉄塊を傍らの少女に向けた。
それは拳銃と分類される広く世界に浸透している兵器の一つ、引き金を引けば誰であろうと生物を殺傷しうる小型の火器である。
恐らくはスバルを人質にして逃走を図りたかったのだろう、しかしこれはあまりに愚かな行為だった。
言い換えるならば野獣の尾を踏むが如き愚行、スカリエッティは触れてはいけない龍の逆鱗に触れてしまったのだ。
「疾ぃっ!!!!」
声が響いた時には既に鉄拳は決まっていた。
拳銃弾に匹敵する加速を誇るゴードンの拳技にとって、十数メートルという距離は間合いの範囲である。
素早さのみを求めた超高速の直突きがスカリエッティの手首を捉える。
699 :
鉄拳の老拳士:2008/03/12(水) 21:39:54 ID:Vq2BCeIw
鉄拳は一瞬でスカリエッティの前腕を歪な形に圧し折り、彼の持っていた拳銃は弾き飛ばされた。
「ひぎいいいぃっ」
スカリエッティが情けない悲鳴を漏らし、前腕を破壊された痛みに呻く、激痛に股間からは尿すら失禁していた。
だがこの程度で復讐鬼の攻撃は終わらないのは明白である。
次の瞬間にはゴードンの足がスカリエッティの下腹部、恥骨の結合部に炸裂。
股間部の関節結合を無理矢理外されてスカリエッティは歩く能力を殺され、その場に倒れ伏す。
「さあクソッタレ、これで地獄に逝きやがれ」
ゴードンはそう言いながら下段突きに構えた拳の照準を倒れたスカリエッティの顔面に定める。
素手でさえ野生の熊の頭蓋骨を粉砕する程の威力を持つゴードンの拳、それが鋼のデバイスを纏って解放されれば人間の頭部などスイカの如く砕けるだろう。
遂に満願成就の時が来た、滾る怒りと憎悪が終焉を向かえ、復讐が果たされるのだ。
だがその刹那、少女の悲痛なる叫びが木霊した。
「ゴードンさん、やめてくださいっ!!」
先の戦闘で対人捕縛様のネットに絡まりながらスバルは叫んだ、目の前の蛮行を止める為に力の限り。
その言葉に一瞬思考を鈍らせるもゴードンは不退転の決意を揺るがせぬように、構えた拳に力を込めた。
「止めるな嬢ちゃん。こいつは俺の問題だ」
「ダメです! 絶対にダメです!! どんな理由があったって人を殺したりしたら」
「‥‥‥言うな」
少女は瞳に涙さえ浮かべて哀願する。
だが老兵はひたすらに心を殺して、憤怒に燃えて、憎悪に溺れて殺意を消さぬように努める。
しかし次の瞬間スバルに発した言葉にその決意は虚しく霧散した。
「おじいちゃん止めてえぇっ!!」
その言葉にゴードンの中の全てが凍りついた。
冷静な思考、滾る怒り、燃える憎しみ、そのどれもが作動を止める。
それ程にスバルの言葉の衝撃は大きかった。
「なんで‥‥そいつを知ってる‥」
700 :
鉄拳の老拳士:2008/03/12(水) 21:40:49 ID:Vq2BCeIw
「‥‥‥‥‥‥‥‥最初に会った時に“もしかして”って思ったんだ‥」
呻くようなゴードンの問いかけにスバルが静かに答えていく、澄んだ声で静かにしかし確かな意思をもって。
「いつも葉巻を咥えてるとか、バリアジャケットの形とか、デバイスを兄弟って呼ぶとか‥‥‥お母さんにいつも聞いてたおじいちゃんの姿にそっくりで。
‥‥きっとあたしのおじいちゃんはこんな感じなんだって思ってた。でも確信したのは今だよ‥‥スカリエッティをそこまで憎むなんて普通のハンターならありえないから‥」
「なら分かるだろ、俺がこいつを殺す理由も」
「‥‥分かるよ‥‥でも‥そんなのダメだよ」
「こいつはクイントを殺しやがったんだ!! 生かしてなんざおけねえだろうがっ!!」
ゴードンは堪らず激昂して叫ぶ。
それは獣の断末魔にも似た咆哮だったが、しかしどこまでも哀しき残響を孕んでいた。
だがそれでもスバルは悲痛な声で哀願する。
「それでもダメっ! お母さんは‥‥お母さんはそんな事望まないから‥おじいちゃんが人を殺す事なんて絶対に望んでないから!!」
その事実を理解していたが故に、スバルの言葉は復讐鬼となった老兵の心を大いに揺らした。
クイントは決して復讐など望まない、例え自分が殺されようとそれで遺恨を残すような娘でないなど父であるゴードン自身が一番よく分かっている事だ。
孫娘の言葉に老兵は改めて理解させられる、これはただ自身の内にある黒き虚を満足させる為の愚挙であると、ただの血塗られた凶行であると。
だが振り上げた拳を止める事など出来はしなかった。
「うおおおおおおぉっ!!!」
「止めてええぇっ!!」
凄まじい雄叫びと轟音が響き、床のコンクリートが砕かれて大きなヒビが入る。
スバルの悲鳴が木霊し、その残響が周囲に満ちる。
だが頭蓋や脳髄が鮮血を散華する事はなかった。
穿たれたのは目標の頭部を大きく反れた床、拳は空を切ってコンクリートのみを砕いたのだ。
「‥‥‥おじいちゃん」
「‥‥クソッタレが‥‥孫に言われて止まらねえ奴がいるかよ‥」
ゴードンはそう言うと床に深く埋まった拳を抜き去る。
701 :
鉄拳の老拳士:2008/03/12(水) 21:42:13 ID:Vq2BCeIw
スカリエッティは死の恐怖に完全に気を失っていた、殺すのは止めたがこのまま放置というのも癪なのでゴードンはせめてバインドで雁字搦めにしておいた。
そして老兵は改めて互いの関係を認識した孫娘と対面する。
「んじゃ、これ外すぜ」
「あ‥えっと‥‥お願いします」
ゴードンは言うや否やいとも簡単にスバルを捕縛していた網を引き裂いて彼女を拘束から解放した。
突然の事にスバルは唖然としてしまう、だがそれも無理も無いだろう。
いないと思っていた自分の祖父と対面すれば誰だって固まってしまうものだ。
「えっと‥‥おじいちゃんって呼んで良いのかな?」
「ああ、好きに呼んでくれや」
「あはは‥‥なんか照れちゃうね」
「だな」
スバルは頬を赤らめて恥らう、その様が愛らしくてゴードンは思わず彼女の頭を撫でようとした。
だがその瞬間、今まで過度の負担を掛け続けた老体は力を失って倒れ伏した、既に限界を超えていた巨体が無残にも床に転がる。
「おじいちゃん!? 大丈夫!? おじいちゃん!!!」
□
敵の戦力は全て打倒され、主犯格たる逃亡者スカリエッティも逮捕された。
事件は事も無く万事上手くいったかに思われたが最大の功労者たる民間協力者、アルベルト・ゴードンが意識を失って倒れたのだ。
現在ゴードンはアースラ内部の医務室でシャマルに治療を受けている、機動六課メンバーは一様にして医務室に前に集まり沈痛な空気の中に彼の安否を気遣っていた。
「ゴードンさん大丈夫なんかな‥‥」
思わず口から出たはやての言葉にスバルが身体を震わせる、六課メンバーも苦い表情を浮かべて眉を歪めた。
自分の肉親と知った人間の窮地に悲しむ少女の胸中はいかばかりか計り知れぬだけに、スバルに安易な慰めをかける言葉すらない。
702 :
鉄拳の老拳士:2008/03/12(水) 21:43:13 ID:Vq2BCeIw
そして唐突にそれは起こった。
「きゃあああぁっ!!」
何の前触れも無く医務室の中から響き渡った悲鳴、声の主は説明するまでも無く医務官シャマルのものだ。
この異常事態に顔を青くした六課メンバーはドアを蹴破って医務室内部に雪崩れ込む。
「シャマルどないしたん!?」
「おじいちゃん!!!」
はやてが発した言葉が木霊し、スバルの悲痛な声が響く。
そこで皆が見たものは‥‥
「ちょっ! やめてください〜」
「いや、すまねえな。嬢ちゃんの尻があまりに魅力的だったんでつい」
ベッドから伸ばした手でシャマルの尻を撫でまわしているゴードンだった。
その姿に六課メンバーはずっこけた、それはもう盛大に。
「よう、嬢ちゃん方。皆してお揃いかい?」
「な、なにしとるんや!? この色ボケ爺さんはっ!!!」
「“なに”ってカワイ子ちゃんとのスキンシップさ。もしくは男の嗜みってやつかねぇ」
「もう、おじいちゃん!!」
「ははっ、すまねえすまねえ。そう怒るない」
ゴードンはまるで悪びれた様子も無く豪快に笑うと傍に置いてあった銀のシガレットケースから極太の葉巻を出して口に咥えた。
「ちょっ! ゴードンさん、医務室は禁煙ですから!」
「ん? ああ、そうだったな。つい癖でねぇ、すまないねえ」
「もう」
「ん〜、怒った顔も魅力的だ。今度一緒にメシでも喰いに行かないかい?」
「ふえっ? えっと‥‥どうしましょう」
ゴードン、全身包帯に巻かれた傷だらけの癖にしっかりと女を口説いているあたりかなりの好色者を伺わせる、しかもシャマルの方も案外乗り気なだったりした。
その様にもはや呆れるより他は無く、六課の皆々は思わず苦笑を零す。
「まったくこの爺さんは‥‥ともかくその感じやとケガの方は大した事ないみたいやね」
「まあ、頑丈さだけがウリなもんでね」
常人ならば3度死んでも余りある傷と疲労もこの老兵にとっては日常的なものだろう。
ともかく、ゴードンの安否を知ったスバルは子犬のようにじゃれついて彼に抱きついて甘えていた。
703 :
鉄拳の老拳士:2008/03/12(水) 21:43:57 ID:Vq2BCeIw
場には和やかな笑い声が響き、温かい空気が流れる。
こうしてアースラは一人の死者を出す事無く無事にミッドチルダへと帰りついた。
□
「スバル〜」
「ギン姉」
「スバル、なんとか無事だったみたいだな」
「お父さん」
ミッドの帰還した機動六課メンバーは様々な人々に出迎えられる。
その中でスバルは自身の二人の家族、父ゲンヤと姉ギンガの二人に温かく迎えられた。
そしてそんな親子3人に近づく影が一つ、まあ言うまでも無く最強の老兵であるのだが。
「ようゲンヤ、久しぶりだな」
「ええ久しぶりですね‥‥‥って! ひいぃぃぃっ!! お、お義父うさん!?」
ゴードンの姿を眼にしたゲンヤは情けないくらいの悲鳴を上げた。
まあ無理も無いだろう、かつてクイントとの交際の折にかなり本気で殺されかけたのだから。
そして悪夢の如く最悪の戦闘能力を持つ義父が眼前に再来したのだ。
「え!? “お義父うさん”って?」
「ああ、ギン姉。この人あたし達のおじいちゃんなんだ」
「ふえっ? ほ、本当なの!?」
スバルから事の経緯が説明され、ゲンヤとギンガは事情を知る。
ギンガは初めて見る祖父にスバル同様に嬉しそうに眼を輝かせるが、ゲンヤはひたすら顔を青くしていた。
「おう、ゲンヤ。ちょいとてめえに言いてえ事があるんだがな‥‥」
「は、はいいぃっ! な、何でありましょうか!?」
ゴードンのドスの効いた太い声にゲンヤは思わず悲鳴にも似た声を上げてしまう。
そんな彼の前に老兵は静かに歩み寄り鋭い眼光を浴びせた。
剣呑な空気が流れるかに思われたが、次の瞬間にゴードンのとった行動は周囲の予想を大きく違えるものだった。
「すまなかった」
「えっ!? お、お義父うさん?」
ゴードンはそう言うと深々と頭を下げたのだ。
突然の事態にゲンヤは眼を白黒させて驚愕に口を開く。
「スバルを見てよく分かったぜ、真っ直ぐに綺麗な心を持った最高の娘だ。お前はちゃんとこの子を育ててくれた」
「そ、そんな事は‥‥」
「俺がクイントとの仲を反対したのは間違いだったぜ、お前さんは良い父親だ‥‥俺と違ってな」
704 :
鉄拳の老拳士:2008/03/12(水) 21:44:31 ID:Vq2BCeIw
「お義父うさん、顔をあげてください。俺はもう昔の事は気にしてません」
「いや、これは俺のケジメだ。気の済むまでやらせてくれ」
自分の非を自分自身が許せない、アルベルト・ゴードンとはそういう無骨であまりに不器用にしか生きられない、こういう男なのだ。
その様にゲンヤの中の男が震えた痺れたと言ってもいい、このような男と同じ血筋を結べる事に喜ばぬ男はいないだろう。
「お義父うさん、それじゃあ一つだけお願いがあります」
「おう、なんだ? 何でも言ってくれ」
「これからは親義父(おやじ)って呼ばせてください。それで手打ちにしましょうや」
「そんなんで良いのかい?」
「はい」
「そうかい‥‥それで済むなら好きなように呼んでくれや」
「はい、親義父さん」
ゴードンとゲンヤはそう言葉を交わすと固く拳を握った。
この時、ゴードンは自身の心に初めて新たなる家族の全てを迎え入れた。
□
ミッドチルダのとある墓地、そんな場所を老いた男が一人歩いている。
2メートルを超える長身に、着こなしたラフなジャケットを盛り上げる筋肉の隆起は熊にでも匹敵せんばかりの逞しさだ。
禿げ上がった頭に生え揃ったヒゲが男の高齢を物語っているが、瞳に宿った頑固はいささかの衰えなど感じさせず覇気に満ちている、むしろ目つきには下手な若者よりも生気を放っていた。
そして口に咥えた太い葉巻からは高級な葉巻特有の甘ったるい紫煙を止めどなく吐き出していた。
男の名はアルベルト・ゴードン、ベルカ最強の拳士と謳われた古き老兵である。
そして彼の手にはとても大きな花束が握られていた。
その量たるや、大の大人でも持ちきれるか分からぬ程の凄まじい量である。
この事実は彼が墓参りする墓が一つや二つでない事を物語っていた。
ゴードンはまず一番近くにある墓に花を添えた。
「よう、久しぶりだな皆」
墓所に似つかわしくない気さくな声を上げて老兵は次々に墓に花を添えていく。
その全てがかつて彼と共に戦った戦友、若くして散っていった古き友。
ゴードンは数十の墓に花を手向けていき、最後に一つの墓石の前に立った。
705 :
鉄拳の老拳士:2008/03/12(水) 21:46:18 ID:Vq2BCeIw
それは愛する一人娘、今はナカジマの姓を名乗る娘クイントの眠る墓である。
「クイント‥‥今まで来れなくってすまなかったな‥‥‥俺は意地っ張りだからよ‥素直になるのに随分と時間かかっちまったぜ」
ゴードンは静かに言葉を噛み締めながら大輪の花を娘の墓石の前に手向けていく。
慈しむ様に、愛でる様に、優しく、そっと一輪ずつ。
「ギンガやスバルに会ったぜ、お前に似た本当に良い子達だ。俺のことを“おじいちゃん”なんて呼んでくれるんだ、嬉しくって堪らねえやな」
墓石を撫でながらゴードンは娘に様々な事を語った、可愛い孫娘達の事を、愛する家族の事を。
そして今まで自分が感じていたクイントとゲンヤに対する負い目も含めて一切合財の全ての想いを。
そして老兵は去り際に静かに呟いた。
「お前の分も、メルセデスの分も、せいぜい残り少ねえ余生をあの子達と過ごしてみるぜ、そっちに逝くのはまだまだ先になりそうだが二人で待っててくれや」
老兵の言葉に答える者などこの場所には誰もいなかった、だが彼の耳には確かに聞こえた。
愛した家族の声の残響が確かにその耳に。
『ええ、二人で待ってるわ。アル』
『うん、皆をよろしく頼むねお父さん』
その声に思わず振り向けば、そこには色とりどりの花に飾られた墓石が一つだけ。
だが確かに天に還った死せる家族の想いは男に届いた。
「ああ、任せときな」
ゴードンは濃い紫煙を吐きながら再び小さく呟いた。死せる者にも届く想いはあると知っているから。
蒼穹の青き空の下、老兵は亡き家族に向けて温かな笑みを見せた。
終幕。
706 :
ザ・シガー:2008/03/12(水) 21:47:15 ID:Vq2BCeIw
勝手に作ったオリキャラ紹介
「メルセデス・ゴードン」
数十年前に死んだ爺のカミさん、クイントの母、スバルとギンガのお祖母ちゃん。
ビジュアル的なイメージはスバルをロングヘアーにしてもうちょい垂れ目にした感じ。
ナカジマ家の青い髪やナイスバディはこの人からの遺伝、ビバグランマ。
おっとりした性格でワンコ属性あり、きっとドジっ子。
爺さんをアルという愛称で呼ぶ、もし生きてたら今でもラブラブだろう。
707 :
ザ・シガー:2008/03/12(水) 21:49:18 ID:Vq2BCeIw
投下終了です。
今まで爺のオリキャラにお付き合いいただき、ありがとうございました。
しかしなんか用量がヤバイな‥‥
GJは次スレでやったほうがいいかもしれんなこれは。
496kbじゃないか。ちょっくら次スレたててくる。
では次スレでGJってことで
埋めまする。
@
,>、ヽ ,. ゝ―-、////ニニヽ ,__
jニ-―ty′ \__`フ
/ィ''ア´ / // /ハ 、 ̄ヽ、 |
/ / y′,イ::ィ 7!7,イ/ ! l | \ \ <いいの ベイべー!
|/ / /,.〈 l トイfヒ7` ハイ/! ト、',、 ト、. 逃げる奴はティアナなの!!
|、 !ク ⌒| | , 代},イ/! / |ト、ヽト、\ 逃げない奴はよく訓練されたティアナなの!!
ヽ\ vト、 {_ア ,イ| | レ′,ト、 \ \\
\二Z_/> 'ト-‐ ァ'ヽ/ _, " ノ `ー' ヽ \ リリカル
,, - 'ヽ, ゙L,::ヽィァ'"::::_} ゙l, ホント魔法少女は地獄なの! フゥハハハァー!
/ ヽ〈_::::ィ::ト、::::::)_l_ ri *● < HAAAAAA!!.
,/(9 r‐─ヽ_|_⊂////;`ゞ--―─-r| | / |
l ,===-_ l,|`゙゙゙''―ll___l,,l,|,iノ二二二二│`""""""""""""|二;;二二;;二二二i≡二三三l
l´ `ヽ _|_ _ "l ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |二;;二二;;二=''''''''''' ̄ノ
ヽ:,. 'j_/ヽヽ, ̄ ,,,/"''''''''''''⊃r‐l'二二二T ̄ ̄ ̄ [i゙''''''''''''''''"゙゙゙ ̄`"
という夢を見た……。
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;;;;; / / : / 弋r´─`ュ:: Y:::r──ュ::::::::::/ l: : : : \
【次スレ】
☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第60話☆
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