【処女】ボーイッシュ四人目【貧乳】

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1名無しさん@ピンキー
女の子なのに、服装、髪型などが男の子っぽい。
また、一人称が『僕』もしくは『俺』な女の子が好きな人の為のスレ。
一人称が『私』でもボーイッシュならそれでよし。

前スレ
【処女】ボーイッシュ【貧乳】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1148561129/
【処女】ボーイッシュ二人目【貧乳】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1173804885/
【処女】ボーイッシュ三人目【貧乳】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1180891800/

関連するかもしれないスレ

気の強い娘がしおらしくなる瞬間に… 第7章
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1173661311/
男装少女萌え【8】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1163153417/

『あくまで仮』の保管庫。
http://www27.atwiki.jp/boyish-eroparo/

ウィキがエロ禁止になるかもしれないらしいので、
保管庫を作ってくれる勇者を募集中。

ボーイッシュに萌え!
2サウラとアイルの者です:2007/08/20(月) 06:51:49 ID:fnFrsRQK
…投下に熱中してて、やってしまいました、すみません!
前スレからリンク出来ずに迷惑かけてごめんなさい。
 
がんばって書いたのに即死…っく
あと少しなので続けます。
3サウラとアイル@ピーチドリーム:2007/08/20(月) 06:57:14 ID:fnFrsRQK
 前スレからの続きです。
・・・・・・・・・・・・・

「うわああああん!!」
 ばしゃっと、残りのシードルをこちらに向かってぶっかけて来た。
「バカ、目に入ったぞ…っ」
「バカはどっちだああ!!」
 どん、体ごとぶつかって俺は持ってたシードルも落とす。が、それを拾おうとする俺を制して
バンバンと胸を叩く。
「痛えなあ!なんだ!」
「ベタベタする!!」
「おまえがシードルぶっかけたんだろう!」
「舐める!!」
 はあ?と口を開けてあぜんとしている俺の裸の胸を、本当にぺろぺろやりだしやがった。
さらに突然がばあとトランクスに手を突っ込み、いきなり息子を握りしめる。痛てててて、
どうせならもっと優しく…。
「そんなんで勃つかっバカ!」
「わかってるよ!」
 ぼろぼろと大粒の涙を吹き出させて、本格的に泣き始めた。この間までずっと気丈に泣かない
おまえだったのに、ここにきてなんだよ。女みたいによく泣くな。
「こんな…子供に勃たないって、言ってたの聞いてたもん…っ。」
 …ああ、と思い当たってふと気づく。
「だからボク…ビアンカさんに頼んで…ボスがその気になる方法を…。」
 そのままトランクスを引き下ろされ、あまりの展開に驚き縮こまってるくたくたの息子を手に取り、
ろくに見もしないで口にくわえた。サウラは笑えるやら、せつないやらで、とりあえずアイルを引き離した。

「アイル、俺を勃たせたかったらキスしてくれ。」
 え?と不思議そうな顔で涙を拭っているアイルの腕をひき、ベッドに座った。サウラが座ると
ちょうど立ってるアイルを少し見上げる高さになる。本当はキスなんてしなくても、すぐ目の前の
チュールから覗く赤い二粒が気になってすでに勃ちかけてるんだが。サウラは早く、とアイルを促して
目を閉じた。
 少しためらいがあったが、昼間啜った甘い息とともに柔らかな唇が降りて来た。
ゆっくり重ねて、少し吸ってそれから一度離して、今度はサウラから唇を舌でこじあけながら
重ねてまた離す。アイルがトロンとした目でサウラを見つめた。
「これキス…?」
「そうだ。恋人のキスな。」
「恋人の…?」
「愛してるって感じだろう?」
サウラの肩にかけたアイルの手に力が入り、そのまま信じられないと立ち尽くす少女にサウラが
ついばむようなキスを繰り返す。ゆっくりとほどけていく唇から、嗚咽が漏れた。
「愛してる…?」
「うん。いらないか?」
 力強く首を振る。こういうところはまだ子供だと、微笑ましくサウラは笑った。
だがこれこそが、彼の待ち望んだ答えだった。
「愛されたい…愛して、ボス。ボクのことも…弟なんかじゃ嫌だ…恋人みたいに…。」
「みたいじゃない、恋人だ。アイル…。」
 ビアンカに聞かれたら笑われるな。俺がこんな、甘い台詞を。
 だが恥ずかしくない。少なくとも、白ウサギのまま義理の弟に保安局出動要請を頼みに行った事よりは…。
 自嘲でなくサウラは笑った。変わったし、変わるのだ。この少女のためなら怖くない。
「愛してる。抱いてもいいか?」
 覚えたばかりの恋人のキスでアイルはサウラに答えた。

4サウラとアイル@ピーチドリーム:2007/08/20(月) 07:00:51 ID:fnFrsRQK

・・・・・・・・・

 ハ〜ア〜イ☆
 私の事覚えてる?うふん、そう、最後のフェイラ星人アイルハタファビエちゃんよ〜ん!
 あら、アイルファタハビエだったっけ?どっちでもいいか!作者も一カ所間違えてるものね!
 私の体質知ってるわね。バージンブレイクの相手の理想の女になるんだって!
 この通り私ってば貧乳でスレンダーでしょ。どうせなら、巨乳金髪美人になりたいわ〜!
 てなわけで巨乳金髪美人、といえばここ!ピーチドリーム!
 巨根の男優さんに処女奪われて、セクシーパイパイに大変身!
 いろいろあってお金がいるからついにAV女優デビューなのお!
 悲劇の王女だけど金目当てだから安心して抜いてね!
 素敵な夢を見せちゃうワヨ!シャランラ☆

  
・・・・・・・

 画面はシュウッという音とともに宇宙空間に移り、キラキラと輝く発光群の中から
いつもの色っぽい声とともに、ピーチドリームというロゴが現れ画面を占めた。
 タイトルロール
  最後のフェイラ星人アイルハタファビエ主演 
  魅せます!うわさの王女はじめてのえっち 
      変態してもイイかも 
 シャバダバシャバダバ〜ヒュウイッ(レーベルのテーマ)

・・・・・・・・


 
「結局このタイトルにしたんだ。」
 へ〜、とかふ〜んとか言いながら、本日のデザート、ティラミスをバットごと抱えてソファーに座る。
「うるせえな、急いでたんだよ!」
 隣でブランデーを啜るサウラの膝上にどっかと足を伸ばして寝そべる。
「行儀悪いなあ、こぼすぞ。」
「こぼさないよ。」
「前もこぼした。」
「あれは気をひくためにわざとだよ。パンツ見えてただろう。」
 そうか、そうだったのか、とサウラは軽い衝撃を覚えため息をつく。
「ボス発色のいいブルーとかピンク好きだよね。それにちょっとゴチックな味付けの
レースとかリボンついてるの、好きだろう。ちょろいちょろい。」
 そういえば、あの時のパンツはきれいな青だった。そしてお前が今はいてる
ゴチックレースのガーターは。
「ああこれ?ピーチドリームってかんじでしょ。」
 ショートパンツにレースのガーターソックスが、こんなにクるとは知らなんだ。
発色のいいノーブルピンクをちらちら見ながら、サウラはフィルムチェックを続ける。

 画面ではトビーが自慢の巨根をぶんぶん振り回し大ハッスルだ。処女役の女優は
今回スカウトした娘だが、ギャアギャア少しうるせえな。ここはちょっと音をしぼるか。
 
5サウラとアイル@ピーチドリーム:2007/08/20(月) 07:05:09 ID:fnFrsRQK
 
「ボクはあんなに騒がなかった。」
「痛い痛いと泣いて嫌がってたじゃねえか。」
「泣いてませんー。」
「泣いてました〜。」
 少なくともあんな風には泣いてない、と画面を見ながらティラミスを口に運ぶ。
 確かにあの女優はわざとらしい。まあ、やらせみえみえの方が安心って
童貞もいることだしよしとしよう。
 ああっあんなCG使ってる、ださい!とアイルからクレームがくる。フェイラ星人の変態が
あんなショボイと思われたら…とかぶつぶついっている。予算の都合でこの程度なんだよ、文句あるか。
「しかたないよね、ボスはすっごいヤキモチやきだし、ボクの変態も自分しか知らないってのがいいんだろ。」
 その通りなので黙っている。
 画面はしょぼいCGシーンを終えて、あきらかにハリボテの大きな卵がベッドに乗っていて、
それを見てトビーがワーオとなって、その卵に精液をかける、そこにつぎつぎに男優が現れて
それぞれ自分でしごいて卵にかける、いわゆるぶっかけものになっていた。われながら、
くそつまんない発想だなあ。
 本当のフェイラ星人の変態は…。

 ………*・*・*。×:**・。………

 しばし思い出しぼーとした。いかんいかん、これが終わらないと…。
「ああ、なんかボク眠たくなっちゃった。このティラミス…お酒きつい…。」
「もう少しで終わる。先ベッド行ってろ。ティラミス(私を元気づけて)の意味を考えてくれ、
寝てたら殺す。」
「え?」起き上がってスプーンをくわえたまま首に抱きついて来たので、耳元にキスをする。
「もう元気だけどな…そのガーター履いてろよ。」
 俺が脱がすからと、もう尖ってない丸い耳たぶを、軽くかむようにささやいた。
 くすぐったそうにエッチ、とつぶやいて、ベッドルームに消えて行く。
 肩上でだいぶ伸びた蜂蜜色の髪が揺れる。待ってろよ、マイハニー。

 画面では割れた卵から全裸で飛び出したビアンカが、両手いっぱいにピーチドリームの
ビデオを抱えて微笑んでいる。まったくこういうのをやらせたらビアンカは巧い、と感心する。

       理想の女性はどんな女性?セクシー?ブロンド?ボーイッシュ?
    たとえ好みが変わっても、あなたの理想の女性をいくつもそろえて待ってるわ
        ピーチドリームはあなたの夜のエンターテインメント
           ハブ ア ナイス ピーチドリーム…☆
         
         シャバダバシャバダバ〜ヒュウイッ(レーベルのテーマ)


 こんなもんかな?まあいいだろう。
                                    完
                           ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

6サウラとアイルの者です:2007/08/20(月) 07:09:23 ID:fnFrsRQK
以上です。
大好きなスレに迷惑かけて本当に申し訳なく思ってます。
あらためてごめんなさい。
 
7名無しさん@ピンキー:2007/08/20(月) 12:45:34 ID:KoUFldHm
>>1乙!
そしてハイパーGJ!
二人の仲良し具合に萌えた。
さらに上げる!

ついでに新生保管庫をお忘れですよ!
ttp://boyishpink.client.jp/index.html
8名無しさん@ピンキー:2007/08/21(火) 00:37:29 ID:Mr7IO0M0
>>1 乙そしてGJ!

AVが小道具(?)のわりに、えらく純情なふたりに萌えた
9名無しさん@ピンキー:2007/08/21(火) 08:23:22 ID:Jn3socR0
GJ!読みやすくてよかった
欲を言えばベタ甘初エチシーンは読みたかった…
10名無しさん@ピンキー:2007/08/21(火) 16:37:08 ID:BaoJfg14
GJはGJだがエチシーンがないよママンorz

謝罪と賠償に…初エチを…神…or2
11690:2007/08/22(水) 03:58:07 ID:UWK8FPNp
ファンタジー
傭兵パン屋物
エロ撮影
本番なし

 まことに勝手ながら、本日パン屋リーベルタースは臨時休業とさせていただきます。
 ご来店いただきましたお客様にご迷惑をおかけいたします事を、深くお詫び申し上げます。
                                   ――店主――

 パン屋リーベルタースは、傭兵を兼業している事からよく臨時休業する。
 しかもこの臨時休業は不定期で、しかも突発的な物であるため、遠くの町からわざわざパン
を買いに来ている少女達はこの張り紙を見るととてつもなく落胆する。
 今回の臨時休業は、フランシスの一件でパンの仕込みが出来なかった事が理由なため、一応、
店に人はいる。
 そんなわけで、うららかな日差しの暖かな昼食時――クロルはせめて配達用のパンだけでも
と、ヴィクターが用意したパンをいつものジープに積み込んで、少し遅めの配達に家々を巡り
歩いていた。
 エリーの所に寄り道していきたかったが、ウィルトスに真っ直ぐ帰ってくるように釘を刺さ
れているので、それは諦めるしかないだろう。
 それでも、クロルは配達からの帰り道に、少しだけ寄り道をしてケーキを買った。
 ウィルトスは甘い物は嫌いだが、なぜかケーキだけは普通に食べる。特にこの店のケーキは
お気に入りで、買って帰ると本当に嬉しそうに笑うのだ。
 ヴィクターはたっぷりとリキュールの効いたガトーショコラ。ウィルトスは果物がたくさん
のったフルーツケーキが好物だ。
 ちなみにクロルは、特別好きな物がない。決してケーキが嫌いなわけではなく、全部好きな
ので必ず迷う。
 結局一つのケーキに決めきれず、いつも三種類程度を一人で選び、自分は一口だけ食べて残
りはヴィクターに押し付けるのだ。
 そして今日は、いつも買ってくれてありがとうねと、おばあさんがパウンドケーキを一袋お
まけしてくれた。
 それを頬張りながら上機嫌で帰路に付き、ケーキの箱と共に愛しの我が家のドアを開けると、
ヴィクターの怒声に出迎えられてクロルは思わずケーキの箱を取り落としそうになった。
「出来るわけねぇだろうがそんなこと! あんた何考えてんだ一体!」
 あぁ、いつもの喧嘩か――。
 怒りの矛先が自分で無い事にほっとして、ケーキの箱を抱えて足音を忍ばせる。
 それを目ざとく見つけたウィルトスの視線に気がついて、ヴィクターもクロルを振り返った。
「……た、ただいま」
 少し、気まずい。
 ヴィクターとウィルトスは、時々非常に些細な事で喧嘩する。
 大概の場合悪いのはウィルトスで、ヴィクターがその非常識さに憤慨するというパターンな
のだが、何せ相手はウィルトスである。
 ヴィクターはいつも言いくるめられ、その後ずっと機嫌が悪い。
 クロルはやや引きつり気味の笑みを浮かべると、そそくさとその場を離れようと足を速めた。
「クロルさん」
 その背中を、ウィルトスに呼び止められる。
 ぎくりとして立ち止まり、クロルはこわごわ振り向いた。
「少しお話があります。ヴィクター君。では手はずどおりに」
「だから――俺はやらないって……!」
「やりますよ。君が僕一人にやらせるはずがありません」
 ぐ、とヴィクターが言葉に詰まってクロルを見た。
 二人の会話の意味が分からず、クロルが困惑して首をかしげる。
 そんなクロルの様子に忌々しげに舌打ちし、ヴィクターは足音も荒くその場を立ち去ってし
まった。
「……こんどは何やったんですか? ヴィクター怒っちゃいましたよ」
「おや、そう見えましたか?」
 見えたかも何も、あれを怒ってると言わずして何と言う。
12690:2007/08/22(水) 03:58:49 ID:UWK8FPNp
「あんまり苛めちゃだめですよ。傷つきやすいんですから」
「善処しましょう――それはお土産ですか?」
 すい、とウィルトスがクロルの抱えた箱を指す。
「はい、あの、ケーキ買ってきたんです。皆で食べようと思って。ええと、話って、ケーキ食
べながらでもいいですよね? 僕、紅茶いれてきます」
「あぁ、それは僕がやっておきましょう。クロルさんはシャワーでも浴びて、さっぱりしてき
てください。配達お疲れ様です」
 立ち上がり、流れるような動作でクロルからケーキを奪う。
 さぁさぁ、ほらほら、と半ば強引にバスルームに追いやられ、クロルはそれならばとお言葉
に甘えさせてもらうことにした。
 シャワーを浴びて、ケーキを食べて、そしたら三人で何をしよう。
 話ってなんだろう。
 そんな事を思いながら全身に熱いシャワーを浴び、鼻歌混じりに髪を洗う。
 すっかり綺麗になって部屋着に着替えようとして、クロルはふと、用意された着替えを前に
立ちすくんだ。
 ――自分が用意したものと違う。
「……なにこれ? ワイシャツ……?」
 眼前に広げてみて、意図が分からず首をかしげる。
 まぁ、部屋着として着られない事もあるまいと、クロルは大人しく素肌の上からワイシャツ
を羽織った。
 ぱりっと糊付けされていて、サイズもどうやらクロルに合っている。ネクタイもある。ズボ
ンはご丁寧にスラックスだ。
 一式揃っていると、なぜかきちっと着こなしたくなる難儀な完璧主義である。
 クロルはワイシャツにネクタイを締め、スラックスの中に裾を入れ、鏡の前に立ってみてげ
んなりした。
 完璧すぎる――見事な少年である。
「嫌味か。一種の。嫌がらせか」
 こんな馬鹿をやるのは、間違いなくウィルトスである。
 こんな物を着せるためにあんな風にバスルームに追いやったのか。クロルは溜息と共に眉間
を押さえ、しかしまぁ、着せたかったのだからこの姿を見たいのだろうと、ぶつぶつと文句を
言いながらもそのままの姿でリビングへ戻った。
 乱暴にドアを開け、その瞬間視界に飛び込んできたカメラのレンズに面食らう。
「はい、笑ってー」
 反射的に表情を作ってしまった自分が憎い。
 かしゃ――と音がなる事はなかった。代わりに、ピピっと電子音が鳴る。
「と言う風に、このボタンを押せば撮影できます。あ、ピントはシャッターボタン半押しです
が、まぁオートフォーカスなのでそんなに考えなくて大丈夫です」
 ソファに並んで腰を下ろした二人組みが、手の平サイズのコンパクトカメラを覗き込む。
 その正面に並んだ三人分のケーキは未だ手付かずである。
「おー、撮れてる撮れてる。おまえ写真写りいいなぁ」
「へー。デジカメですか。何か撮影するんですか?」
「はい。クロルさんを」
 即答された。
 笑顔で。
 ほんの数秒だけ硬直し、直後にクロルは理解した。
 あぁ――この服、衣装なんだ。
 なんで、だとかどうしてだとか、疑問よりもまずそんな下らない納得が頭を過ぎる、達観し
すぎた自分が憎い。
 心底げんなりとして頭を抱え、クロルはデジカメと格闘しているヴィクターに視線を投げた。
 俺はやらないって――これの事?
 溜息と共に力なく肩を落とし、クロルはデジカメと格闘しているヴィクターを見た。
 本当に、下らない事で喧嘩をする二人である。絶望的に仲がいい。
13690:2007/08/22(水) 03:59:23 ID:UWK8FPNp
「このボタンは?」
「それはアイシャッターモードです。コンタクトカメラと連動させる時に使うんですが、生憎
と僕はそれを持っていない。私物と言っても、軍の備品を失敬した物なので――」
 高いんですよ、このカメラ、とウィルトスがしみじみ言う。
 失敬した――と言っても、これはウィルトスの責任では無い。
 ウィルトスの部屋と書斎にあるものは、機密書類を除く全てをウィルトスの私物とみなし、
軍が何もかもひっくるめて送り付けてきたせいである。

「まぁ、別に写真撮るくらいだったらいいですけど……こんな服着せて写真とって、一体何に
使うんですか?」
「フランシスに売ります」
「自殺します」
「いやだな、冗談ですよ」
 本気にしないでください、と笑うウィルトスに、冗談になってませんよと笑顔を返す。
 早く食べてと言わんばかりのケーキの前に腰を下ろし、クロルは紅茶を一口含んでちょっと
冷めたな、と心の中で呟いた。
 ピピ、と電子音が鳴る。
 きょとんとしてヴィクターを見ると、二人はデジカメを覗いて実に満足そうである。
「ウィルトス……話ってもしかして、これの事ですか?」
「これというと、どれでしょう?」
 ケーキですか、とわざとらしくとぼけるウィルトスに、違いますよ、と几帳面に言い返す。
「もしも撮影の事でしたら、半分は正解です」
「落ち着かないなぁ、いちいち写真撮られるの」
 情けなく肩を落とし、ふわふわのクリームで飾られたケーキを一口食べる。
 指に付いたクリームを舐めた瞬間、また電子音が響く。
 ――この上なく落ち着かない。
 さっさと食べて部屋に引っ込んでしまおうか。それともどこかに出かけてしまおうか。
 そんな事を頭の中で計画するも、衣装まで着ておいて今更逃げるのもどうかと思う。
「でも、なんでカメラマンがヴィクターなんですか? ウィルトスがやればいいのに」
「うん。確かに僕一人でも出来るんですが、手伝ってもらった方がよりベストな写真を撮れる
確立は飛躍的にアップです」
「手伝うも何も、なんもやってないじゃないですか」
「いやだな。ちゃんとこれから働くんですよ」
 例えばそうですねぇ、とウィルトスが顎を撫でる。
 そして、にっこりとクロルに微笑みかけた。
「可愛いですね、クロルさん」
 ぐ、とケーキを喉につめ、クロルは溜まらずむせ返った。
「な、なにを突然――!」
 顔を真っ赤にしてウィルトスを睨む。
 ピピ。電子音。
 はっとしてヴィクターを見ると、デジカメのプレビュー画面を覗き込んでこの上なくご満悦
である。
「ば――馬鹿野郎! そんなもん撮るなよ! 消せ!」
 慌てて身を乗り出すと、いつの間にか立ち上がっていたウィルトスにまぁまぁとなだめられ、
半ば無理やりソファに押し戻された。
 だって、だってとヴィクターを指差すと、再び電子音が耳に届く。
 かっとなってヴィクターを怒鳴ろうとすると、乱暴に――とは言いがたい鮮やかさでウィル
トスに唇を奪われた。
 パチン、とウィルトスが指を鳴らす。
 ヴィクターがなんの躊躇も無くシャッターを切った。
「やだ――なんだよもう、いい加減に――!」
「お願いがある――って、言ったでしょう?」
14690:2007/08/22(水) 03:59:58 ID:UWK8FPNp
 渾身の力を込めてウィルトスを引き剥がし、ソファから飛びのくようにして立ち上がると、
ウィルトスが不思議そうに首をかしげた。
「お願いって――意味が分かりませんよ! なんで僕が恥ずかしい写真なんか撮られなきゃい
けないんですか! そんなお願い聞きません!」
「だめですか」
「当たり前です!」
 困りましたねぇ、と、本当に困り果てたように目を閉じる。
「本当は自主的に協力してもらいたかったんですが、そんなに嫌ならば仕方ない」
 残念そうな、嘆くような溜息がウィルトスからこぼれた。
「かわいそうですがクロルさん――五失点です」
 え――と、クロルは目を見開いた。
「う、うそだ! 僕言ってない! 言ってないよね、ヴィクター! ちゃんとウィルトスって、
名前で――!」
「昨日やっちまっただろ。俺があの変態野郎ぶん殴った時」
 瞬間、クロルは全身の血の気を失った。
 ――教官、ヴィクター!
 あぁ――確かにあの時――。
「……言ってない」
 おやおや、とウィルトスが眉を上げる。
 ぐっと唇を引き結び、クロルはその場から逃げ出したい気持ちと必死になって戦った。
「あぁ……もう!」
 叫ぶように言って思い切り二人を罵り、クロルは再びどっかとソファに腰を下ろした。
「おまえって律儀だよなぁ」
「逃げたってどうせ、二人して僕の事はめるんだろ」
「おや、そう思いますか?」
「違うんですか?」
 さぁどうでしょう、とウィルトスが笑う。
 くそ憎たらしい男である。
「それじゃあ、クロルさん」
 とんとん、とウィルトスが自身の膝を指し示す。
 あぁ、くそ。と、クロルは思い切り嫌そうな顔をしてウィルトスを見た。しかしクロルに指
示を出した本人の表情は平和そのものである。
 この男、か弱い少女の弱みを握って裸に剥いてもこの表情を崩さないに違いない。
 嫌々ながらウィルトスの膝に腰を下ろし、印象よりもずっと広い胸に背を預ける。
 耳たぶを甘噛みし、ちろちろと舐める舌を嫌がって身を捩ると、デジカメの電子音が容赦な
くクロルを襲う。
 真っ赤になってヴィクターを睨むとその表情も撮影され、クロルはいよいよ泣きたくなった。
「ふ……ふ、ぅ……ん」
 ワイシャツの上から乳首を刺激され、唇をなぞる指を舐めるように“お願い”される。
 躊躇していると催促するように乳首をつままれ、クロルはううう、と呻いてウィルトスの指
に噛み付いた。
「いたたた……痛いです」
「うぅー……んぐ……む……」
 立て続けに響く電子音を必死に意識の外に締め出して、舌を弄ぶ長い指を音を立てて舐めしゃぶる。
 はい、よくできましたと言うお褒めの言葉と共に口腔から指が引き抜かれ、クロルは肩で息
をしながら唾液で濡れた唇をごしごし拭った。
「も、もう十分でしょう……? 一体何枚撮るつもりですか……!」
「はぁ、ゆうに千枚は取れるメモリーを搭載してます」
15690:2007/08/22(水) 04:00:32 ID:UWK8FPNp
「じ――冗談じゃありません! 連続写真でも撮るつもりですか!」
「いえ、それだけの能力があると言うだけで、それをフルに活用するとは一言も――」
 どうしてこの男は、まともに人と会話する事が出来ないのだろう。
 いな、できないのではない――率先してしないのだ。
「ヴィクター君」
 おう、と答えて、ヴィクターが足元に置かれた布袋から、ペットボトル入りのミネラルウォーターを
取り出した。
 投げ渡されたそれを受け取り、ウィルトスがふたを開ける。
 喉が渇いたのなら紅茶を飲めばいいのに、と疑問に思うと、あろう事はウィルトスはその中
身をクロルのワイシャツの上にぶちまけた。
「ちょ――な、何やってるんですか一体! 濡れる! っていうか濡れてる! 冷たッ!」
「まぁまぁ落ち着いてください。どうせ後で破く物ですから」
「や、やぶ――!?」
 信じがたい事を聞いた気がする。
 どう言う事かと問い返そうとして、ふと、クロルは唖然としてこちらを見つめるヴィクター
に気がついた。
 その視線を追う様に、自分の有様をふと見下ろす。
 瞬間、クロルは真っ赤になって胸元を隠そうとし、しかしそれをウィルトスに阻まれて身を
捩った。
「落ち着いてくださいクロルさん。そんなに暴れられると、君を抑えている僕が辛い」
「知りませんよそんな事! やだ、やだ! ヴィクター! これ撮ったら殺す! 絶対殺すか
らな! 許さないからな!」
 水で濡れたワイシャツが素肌にべったりと張り付いて、充血して立ち上がった乳首までもが
はっきりと透けて見えた。
 全裸より淫猥なその様を、クロルの脅しを無視してヴィクターが撮影する。
「やめて、やめてよ! 放して、いやだ!」
「大丈夫ですよクロルさん。嫌じゃない、嫌じゃない」
「嫌に決まってんでしょう! 妙な暗示かけようとしないでください!」
 効きませんか、とウィルトスがとぼけた顔で言う。
 捕らえられた両手を今度は背中で纏め上げられ、カチン、と言う音にクロルは愕然として肩
越しに自らの手首を見た。
「なんで……手錠……」
「僕も心が痛みますが、クロルさんが暴れるので……」
 とても心が痛んでるようには思えない。
 明らかに上機嫌である。
「さて、それじゃあ失礼して――」
 言うなり、濡れて張り付いたワイシャツの中を這うようにして、ウィルトスの手が服の中に
ゆるゆると忍び込んできた。
 張り付いたワイシャツの上からその手の形まではっきりと確認できる。
 食い入るようにその様を睨んでいたクロルは、指先が赤い頂に触れる瞬間をとても見る事が
出来ず、歯を食いしばって視線を反らした。
 ほんの一瞬、かするように指先が触れる。
 それだけで鼻にかかった甘ったるい声がこぼれ、クロルは嫌々と首を振った。
「ふ――ぅ、ふぁ……ぁ、や……やぁ……」
「だめですよクロルさん。ちゃんとカメラの方を見て」
 一瞬、その存在を忘れかけていた。
 促されて視線を向けた先に、立てた片膝に腕を置き、表情一つかえずにカメラの液晶ディス
プレイを覗くヴィクターがいる。
「やだ――!」
 たまらず叫んで顔をそむけると、ウィルトスがしょうがないですね、と肩を揺らして笑った。
「じゃあ、少し早いですけど次の段階にうつりましょう」
16690:2007/08/22(水) 04:02:12 ID:UWK8FPNp
 言いながら、ウィルトスはあっけなくワイシャツの下から自身の腕を引き抜いた。
 その、濡れてぐちょぐちょになったワイシャツの、裾の合わせ目あたりを掴む。
 そしておもむろに、それを思い切り左右に引き裂いた。
 ボタンが勢いよく弾けとび、きっちりと締められたネクタイが素肌に落ちる。
 立て続けに響くシャッター音を呆然と聞きながら、クロルは呆然と自分の体を凝視した。
「――やだ」
 ひどい――と、ただそれだけ思った。
 なにをされたわけでもない。
 ただ服を与えられ、それを破かれただけなのに――。
「――クロルさん?」
 ジャリ、と、手錠の鎖が安っぽい音を立てる。
 心から、この鎖を引きちぎりたいと思った。
 噛み締めた歯の隙間から押し殺した嗚咽が漏れる。
「こんなの……やだ……」
 約束だ。
 五回ウィルトスを教官と呼んでしまったら、何でもお願いを聞くと、確かに自分は約束した。
 だけど耐えられない。
 物のように扱われるのは慣れているつもりだ――でもこの二人に、ウィルトスとヴィクター
にこんな風に扱われるのは耐えられない。耐えられるようになりたくない。
「やだ、やだ、やだ、やだ……」
「おいおっさん……!」
 慌てたようなヴィクターの声に、呆然とクロルの泣き顔を眺めていたウィルトスがはっとし
たようにポケットをまさぐった。
 カチン、と鍵の外れる音がする。
 瞬間、クロルは立ち上がり、振り向きざまに思い切りウィルトスを殴りつけた。
「クロル!」
「うるさい!」
 ヴィクターの驚愕したような声をはねつけて、呆然としているウィルトスを真っ直ぐに睨み
下ろす。
「こんな事したいんだったら、娼婦でも呼んでやればいい……!」
「クロルさ――」 
「僕は二人のおもちゃじゃない! 二人とも大っ嫌いだ!」
 乱暴にネクタイを解き、だらしなく破けたワイシャツを脱ぎ捨てて、クロルは言葉を失った
二人を残して駆け出した。


                                 切らせていただきます

17名無しさん@ピンキー:2007/08/22(水) 07:42:19 ID:nbD2I8t+
朝一番から半端なくおっきした。
しかし生殺しわぉおおおおおおおお!
18名無しさん@ピンキー:2007/08/22(水) 10:26:15 ID:knTeipkK
アウラとバルスラーがすごい高値で買いそうな写真だなw
19名無しさん@ピンキー:2007/08/23(木) 00:20:37 ID:K00PH7Hh
ageる!
新スレに気付いてない人多いのかな?
即死テラコワス
20名無しさん@ピンキー:2007/08/23(木) 00:21:11 ID:K00PH7Hh
agaってなかった・・・or2
21名無しさん@ピンキー:2007/08/23(木) 06:05:06 ID:OxCUupjy
GJ!
二人ともやりすぎ
自暴自棄になったクロルが、フランシスの元へ走ったらどうすんだ
…ニーナが止めるか
22名無しさん@ピンキー:2007/08/23(木) 08:35:20 ID:TfWJ2YQA
即死防止
23名無しさん@ピンキー:2007/08/23(木) 12:03:09 ID:+3XtCR5S
教官ドS……! 
GJGJ!! 続きを待ってます、ネクタイオンリーで。
24名無しさん@ピンキー:2007/08/23(木) 17:53:35 ID:u6QTP9cC
全裸にネクタイ?
25名無しさん@ピンキー:2007/08/23(木) 19:55:43 ID:TfWJ2YQA
風邪ひくなよ
26名無しさん@ピンキー:2007/08/23(木) 20:43:34 ID:K00PH7Hh
>>21
ここはエリーと百合プレイだ
27名無しさん@ピンキー:2007/08/25(土) 03:38:00 ID:AijRuKU0
このスレはわかりやすいからか、ボクっ娘比率異様に高いけど、ボーイッシュじゃないボクっ娘はスレ違いだよね?
28名無しさん@ピンキー:2007/08/25(土) 03:47:13 ID:mAi+YaQE
僕っこ属性もここの住人だろうから、
投下してみてはいかがか?
29名無しさん@ピンキー:2007/08/25(土) 05:18:19 ID:AijRuKU0
>>28
いや、まだ完成してないけど電波を受信したから書いてるSSがボクっ娘だから聞いてみたんだ
完成したらここか、別のもっとそれっぽいスレに投下する
30名無しさん@ピンキー:2007/08/26(日) 14:43:49 ID:VNH/UD+I
ボーイッシュじゃないボクっ子があまり想像できないんだが
31名無しさん@ピンキー:2007/08/26(日) 17:34:47 ID:L3fE1f9q
っ俺っ娘
32名無しさん@ピンキー:2007/08/26(日) 18:02:16 ID:lv61Qxoo
つ梨花ちゃま
33名無しさん@ピンキー:2007/08/26(日) 22:49:57 ID:f3NHscBB
>>30
中学時代の友達に、、ショートカット・少年ぽい顔だちの、
でもボーイッシュな感じはしないボクっ娘がいたよ。いやマジで。
本人がちょい邪気眼入ってたせいもあって二次元みたいには萌えられそうになかったな。
34名無しさん@ピンキー:2007/08/27(月) 10:48:01 ID:oVkktNaT
保管庫消されてる?
35名無しさん@ピンキー:2007/08/27(月) 12:45:55 ID:3iDEh5CO
即死条件てレス数いくつ?
36664:2007/08/27(月) 19:55:31 ID:N0a7h1/0
軍人サークル
獣姦
色々とごめんなさい




「ティーナ、落ち着きなさい。貴女の恥部はウルトラマ×コかも知れない、けれど
それを指摘されたからといって私達のサークルで唯一の作画担当を昏倒させるのはどうかと思うわ。」
「そうよ。グレイトな陰部なんだからむしろ胸を張って生きるべきだわ。」

『極上☆☆軍人サークル』

「だから!違います!私の…は名器ぢゃありません!試したことはありませんけど、たぶん違います!」
バルスラーを失神させたティーナは二人の同僚に向かって言った。
「つまるところ、処女だと?」
「ティーナ…処女なんだ。」
「あ………」
 うっかり口を滑らせてしまったティーナは口を押さえ、静止した。
「は、話は変わりますが、クロル教官はボーイッシュな感じが魅力だったんですよ。
その同人誌なんですから×異種孕み系は路線を外れると思います。」
 180度方向転換した話題。が、そのティーナの言葉に九鬼が食いついた。
「ボーイッシュなクロル教官が『くぐせ』に寄生されたヤツにヤられる設定だから問題ないわ。」
 多少口調が強くなっている九鬼に怯まずティーナはさらに反論する。
「クッキー、それは何か無理矢理な気がします。」
 ぐっ…と言葉に詰まった九鬼だが肩の力を抜き、やれやれといった口調で言った。
「じゃあ私もボーイッシュになれば問題無いわね」
「それ、意味ないです。それに出来もしないこと言わないで下さいよ」
 何をバカな…と一蹴するティーナであったが…
「ふん…僕は異種孕み系がいいんだ。女だからってあまり舐めてると痛い目みるよ、
火傷しないウチに帰った方がいいね、特に君みたいな処女は。あっかんべーだよ。」
 完璧だった。多少ツリ目なところも口調も、ポーズもボーイッシュだった。
ティーナ=レコは敗北を悟った。
「む、無条件降伏……受託します。」
 それを聞いた途端、口から吐血して膝をつく九鬼
「ぐぶらっ…ゲホゲホ…はぁ…はぁ…く」
「大丈夫、クッキー!?」
「ア、アウラ…危険な試みだったわ…じゃあ…次は私ね」
37664:2007/08/27(月) 20:02:10 ID:N0a7h1/0
「はぁっはぁっ…ん…はぁはぁ」
 クロルは暗い森の中は全力疾走していた。今回の任務は至極、楽な任務だった。
教育大隊内の訓練生達同士の演習の監督――という本当に簡単な任務だった。
なのに―――
「ど…どうしてこんな森に…く、くぐせが…」
 訓練生達を無事に逃がす為に囮役をかってでたクロルであったが
相手が悪い上、こちらの装備は対人戦闘用であり、土地、地形、方角は完全に把握できていない。
「だからこんな辺境の森での演習なんて僕は反対したのに!」
―――ザザッ、ザザザッ―――
「クソッ!足が速い、回り込まれた!」
 有効なダメージは望めないが威嚇・牽制の為の射撃を行おうとクロルを銃口を前方の茂みに向けた。
しかし、正面にいたであろう標的は瞬時に回り込み、背後からクロルに体当たりを食らわした。
そしてそのまま組み付かれた状態でクロルは俯せに倒れた。
「そんなっ、は、速すぎる!」
『グルルルッ』
 咄嗟に振り返ろうとしたクロルの頭を腕が掴み、地に叩きつけられた。
「痛ッ!こ、こいつは――!」
 化け物―――まさしくそう呼ぶのにふさわしい醜さだった。ベースはこの森に生息していた狼か
大型の野犬だったのだろう。だがその狼が食い殺した人間か猿かなにかの片腕が背中から伸び、
さらに腹部から生えているのは、触手を持つ大型の食人植物。
それぞれのくぐせが宿主とし、それをくぐせに取り付かれたモノが捕食した事で
誕生した合成魔獣であった。
(殺される―――――)
クロルはそう思い、目をつむった。しかし、その牙はクロルの頭をかみ砕こうとも、腕を食いちぎろうとも
しない。しきりにクロルの臭いを嗅ぎ、荒い息を吐いているようだった。
(何だ…一体、こいつは…)
その答えは次の魔獣の行動によって、クロルにとっては最悪な形で判明した。
背後からクロルのベルトを食いちぎり、ズボンをずり下げ、下着に覆われた臀部を顕わにされたのだ。
「なっ!ま、まさかこいつ!僕を――」
犯す――交尾して子種を植え付けるつもりなのだ。
「や…やだやだ!いやだああ!やめろやめろおおお!」
 何とか身をよじろうと体を動かすが、頭を押さえつけられている上に、腹部の触手が腕と足を
絡め取った。そしてさらに腰に巻き付き、持ち上げられ、下着を切り裂かれた。
外気に振れた肉突きの少ない尻が震え、その尻を高々と突き出すような格好で完全に固定された。
クロルがいくら身をよじろうともビクともしない。
38664:2007/08/27(月) 20:04:11 ID:N0a7h1/0
「やだ…そんな…こんなのいや…いやだ…ば、化け物に犯されるなんて」
『ハッ…フーフー…ハッ…ハ』
 クロルの雌としての臭いをかぎ取ったのか、魔獣はぺろぺろとクロルの股を舐め始めた。
愛撫してるつもりなのだろう、しきりにその舌でクロルの恥部を舐め上げ、しゃぶる。
「やっ…やめろ…このっ!く…ン…や、やだっ!く、くううっ!」
 否応にも反応する自分が情けなかった。こんな魔獣に愛撫されて感じる『女』としての
自分が許せなかった。
「や…やだよ…いや…ヴィクター…教官…」
 十分に潤った秘部を見て化け物はいきりたった肉棒を突き出した。
ビクビクと激しく脈を打ち、先端からは既に濃厚な白濁液がとろとろとしみ出してきている。
 クロルからは見ることは出来ないであろうが、その吐き出される液が地面にボタボタと落ちる度に
その白濁液の中でしきりに動き回るモノがあった。
 白く濁ったオタマジャクシのようなモノ…それが魔獣の精子の塊であった。
また丸い粒も食人植物の卵であり、魔獣の子種だ。
 魔獣はあくまでくぐせによって生まれた偶然の産物であり、極めて寿命が短い。
その間に雌と交配しなければ種としての存続はできない。
 魔獣はクロルを逃すつもりなどない、孕むまで犯し続けるつもりだろう。
孕んでしまえば後は放っておいても集団で群れをなす人間である。
 雌は保護され、子を産む可能性は高くなる。その怒張がクロルの秘部に押し当てられた。
「ひっ!?や、やあああっ!やめろ!やめろおおおおっ!」
魔獣の返答は非情だった。腰に力を込め、全体重を掛け、クロルを貫いたのだ。
ぶちぶちと膣の中を削るように押し上げ、ようやく押してもこれ以上入らないところまで追い込むと
まさしく獣の交尾を始めた。
「あ…あ…は…はがっああああああああっ!」
激痛などというモノではなかった。身体を中心から引き裂かれているような痛みが脳天を貫いた。
人間でいうフィニッシュ直前のような動きにクロルはぶつ切りの絶叫を上げ続けた。
「あがっはああっ!痛い痛っああぎいいや、やめ!ぐううう!」
その間にも短い痙攣を繰り返しクロルの中に射精し続け、そのまま腰を叩きつける。
魔獣はよだれを垂らし、だらしなく舌を垂らしたままクロルの中に白濁液を、卵を注ぎ込み続けた。
「あぎっ!ぐううああっ!きょうか…ああっ!…う゛ぃク…たー…うぐううう…ぼ、僕…も…ダメ…ご…め…」
39664:2007/08/27(月) 20:05:27 ID:N0a7h1/0

「………で、孕ませちゃうんですか?」
「そうよ。それでイヤイヤながら出産するの、感じた?」
「だ、誰が!?不潔ですよクッキー!人間は人間とするべきでしょう!」
 顔を赤らめながらティーナは否定した。
「そう?あっちの人には受けたみたいよ。」
九鬼はそう言ってアウラを指した。
「ハァハァ…バルスラー…お金…ハァハァ…払うからトイレ…かしてくれる、30分程」
「アウラ…お前、俺のトイレで何する気なんだ?」
「魔獣…クロル教官…射精…出る…うふふ」
「そのイった顔で断続的に変な単語を羅列しないでくれ、頼むから」
 アウラが別の世界に浸っている時に九鬼はラストをティーナに語り聞かせていた。
「その出産時の台詞はこう『僕の中から、中から産まれちゃう、産まれちゃうよ!
お願い!見ないで!見ないで!ヴィクター!!』で決まり。あ、少し濡れちゃった」
「をいを!クッキー!?」
「冗談よ、少しどころか話しながらもう2〜3回はイったから」
「もっとダメですよ!」
 ティーナが九鬼の両肩を揺さぶっている時、アウラは多少落ち着いたのかバルスラーに言った。
「ね、ね…バルスラー…さっきのラストシーン聞いて…ハァ…何かいやらしい事想像したでしょ?」
「あ?まぁ…そうだな…少しはな」
「その妄想、詳しく聞かせてくれない、ああん、ヴィクターの名前が出ただけで私…もう」
「頼むから人の部屋ではやめろ。ここをダメ人間の集いにしないでくれ」
 ティーナは今の惨状を見て思った。
「ティーナ、今の私は歩くだけでイキそうです。だめ、触らないで」
「クッキーしっかりして下さい!もういいから次!バルスラーさん!」
「お、おう。お。俺のは純情ボーイッシュ―――」
「ご託はいいから早くやれ。」
今にも噛みつかん勢いのティーナにバルスラーは「…はい」と答え、語り出した。
40664:2007/08/27(月) 20:09:08 ID:N0a7h1/0
「わーとたたたた大変だよ!遅刻しちゃう!」
クロルは熊ちゃん目覚まし時計を放り出し、パジャマ代わりのTシャツを脱いで制服に
着替えた。
ダッシュで階段を降り、ダイニングルームで紅茶を啜っているウィルトスに怒鳴った。
「ちょっとお兄ちゃん!なんで僕を起こしてくれないんだよ!」
「おや、目覚まし時計は時間に鳴っていましたからね。それにレディの寝室に入るには
失礼かと―――――」
しれっとした顔で言ってのける(血の繋がっていない)兄、ウィルトス。
「だ、だけど…だから…うう〜もういい、僕もう学校行くから!」
「朝ご飯は――」
新聞から目を上げ、ウィルトスは言った。
「コーンフレークバーを囓りながら行くからいいよ。ごめん。」
「やれやれ、お行儀が悪いですね。」
「行ってきます。ヴィクターも、行ってくるね」
「ワンワン」
柴犬の子犬に手を振るとクロルは駆けだした。
「はぁーもう…なんだってウチの高校は自転車通学だめなんだろ」
クロルは駆け足で学校へと向かった。時間はもうあまりない、そしてブロック塀の角を
曲がろうとした時――――人影が角から出てきた。
41664:2007/08/27(月) 20:13:09 ID:N0a7h1/0
「う、うわああああっ!危ない!」
「あ?」
バフッと厚い胸板に顔を埋めるクロル。
「あ…痛テテテ…す、すみません。僕、しっかり見てなくて」
「ああ…構わない。それより大丈夫か?」
「あ、はい!」
スーツを着込んだ長身の男は『よかった』といい、去っていった。
「わっと、こうしている場合じゃないよ!はやくはやく!」
ぽーと見とれていたクロルはハッと我に返ると駆けだしていった。

そして何とか学校に間に合ったクロル。クロルの1年A組のHRが始まる前に担任である
アウラが教壇に立った。
「皆さん、おはようございます。今日は新しい副担任の先生を紹介します、バルスラーさんどうぞ」
クラスがガヤガヤと騒がしくなる。
「へ〜副担任かぁ……どんな先生―――あ!」
「バルスラーです。よろしくお願いします。」
クロルが片手で弄んでいたペンを落とした。新しい出会いに―――ぶべら

「………」
「………」
「………」
「な…なじぇ…」
無言で頬に、腹部に、顔面に突き刺さる肘鉄、蹴り、右ストレート。
己の妄想内容を語るバルスラーに対してのアウラ、九鬼、ティーナの見事な
コンビネーションアタックであった。
あっちょんぶりけな顔をして倒れるバルスラーにアウラは言った。
「死ね」
「何考えてるんですかこのブタ野郎」
「救いようないですね。死んで下さい」
しかし、実際の彼女たちの心の叫びは違った
アウラ:(ヴィクターが犬の時点でおかしいと思ったけど…
ワンワンプレイかと思ってちょっと期待しちゃったじゃない。
私のこの抑えきれない萌えをどうしてくれるのよ)
九鬼(クソが…逆獣姦かと思って期待させやがって…)
ティーナ(クロル教官はスカートなんか履きません。
せめてスカートの下、スパッツにしろよ筋肉ボケ。)

つづく

>>690
泣きクロル萌えました、ウィルトスも今回は調子に乗りすぎた感が漂って
結構、意外な感じがしました。それと軍人サークル…色々とごめんなさい
42名無しさん@ピンキー:2007/08/27(月) 21:25:45 ID:3iDEh5CO
>>36
九鬼とバルのギャップにワロタ
43名無しさん@ピンキー:2007/08/27(月) 23:53:36 ID:hOPVXZBg
柴犬ヴィクターwwwwww
44名無しさん@ピンキー:2007/08/29(水) 01:22:35 ID:FU8/FjIe
GJ!!
バルの妄想が一番萌えた
45690:2007/08/30(木) 01:43:13 ID:Rzm1PPnU
ファンタジー
傭兵パン屋物
エロ未到達

 怒らせた――と言うよりは、傷つけたと言った方が適切なように思う。
 やりすぎた――という印象は無い。どちらかと言うと、中途半端にやった所で怖気づいたの
が問題なのだろう。
「では結論にうつりましょう。クロルさんの性格および先ほどの態度と言動から察するに、我々
が今取るべき行動はただ一つしかないと言っても過言では無い」
 緊張で青白くなった顔色で唇を引き結び、ヴィクターが静かな同意を込めて首を振る。
「平謝り――が最も有効な手段と見てまず間違いないでしょう。提示される要求は全てのみ、
拒絶される事項は徹底的に行わない姿勢を貫き通せばあるいは――」
 あるいは――そうか、ここまでしてもミッション成功率は半々か。
 ウィルトスとヴィクターは頷きあい、共にクロルが立て篭もったゲストルームの前に立った。
 ノックをし、緊張で震える声でヴィクターが声をかける。
「クロル――起きてるか……?」
 返事は無い。
 ふと、妙な違和感を覚えた。
 不思議そうに首をかしげるウィルトスを無視し、息を殺して耳をすます。
「――まさか!」
 叫んで一歩後ろに下がり、ヴィクターは足を振り上げてゲストルームのドアをぶち破った。
 修理代がかさみますねぇ、とウィルトスが暢気なことを言う。
 二人して飛び込んだ部屋は――やはりと言おうか無人だった。
「……嘘だろ、おい」
「やられましたね――家出ですか」
 言いながら、ウィルトスが窓から外を覗き込む。
 まさにその時、ガレージからジープのエンジン音がした。
「どこ行きやがるつもりだあの女! 追うぞおっさん!」
「いえ――この場合追跡は逆効果です。手負いの獣は追い詰められればいっそう興奮し、我々
を拒絶する」
「じゃあ放っておけってって言うのかよ!」
「様子を見ようと言っているんです。目的地の予想は付いている――エリーさんに連絡をして
みましょう」
 その、走り去るジープをしばし睨み、ウィルトスは静かに踵を返した。

 ***

 連続強姦殺人犯が捕まった――と、市警団から連絡があった。
 匿名の情報提供者が現れたと言うので詳しく話を聞いてみると、浮浪者の少年が分厚い茶封
筒を持ってやって来て、中を開けると顔写真つきの犯人の資料および起こした事件の証拠写真
が入っていたのだと言う。
 御都合主義の権化のような展開にもげんなりしたが、しかし何よりもルーベルをげんなりさ
せたのは、封筒に“フランシス”と思われるイニシャルが印字されていたと言う聞きたくも無
かった確定情報だった。
 恐らくはパン屋三人集の差し金だろうが、あるいは自分が強姦魔の容疑者に上げられている
のが我慢ならなかったフランシス本人の仕業かもしれない。
 昨日の今日で事態が急変しすぎである。
 しかもそれは、特定の人物による人為的で強制的な状況の好転だ。自分の無力さに打ちひし
がれもしようと言うものである。
「たでーまー」
 とにかく犯人が特定されたので逮捕に向かえとの指示があり、隣街から更に三つ先の歓楽街
に突入した強行軍の夜である。
 肋骨が折れていると言うのにさんざこき使われ、ルーベルは半ば足を引きずるようにして居
候中の家へと帰宅した。
 玄関のドアを開けて足を踏み入れ――るその直前、ルーベルは裏庭の物音に気がついて立ち
止まった。
46690:2007/08/30(木) 01:43:49 ID:Rzm1PPnU
 足音――というよりはステップに近い。
 エリーが何か新しいダイエットでも始めたか、それならばからかってやらねばなるまいと、ルーベルはにやりと口角を持ち上げた。
 どんなに疲れていても、こういった事に裂く労力だけは決して費えない男である。
「まーた腹に贅肉付いたか? それとも今度は二の腕か?」
 げらげらと笑いながら裏庭に顔を覗かせ、ルーベルは一瞬我が目を疑った。
 バックステップ、サイドステップ、潜り込むようにして一歩踏み込み、すかさず爪先で地面
を蹴る。
 腕を上げて打撃をいなし、急所を狙って抉りこむように拳を突き出す。
 ――相手の背格好まで正確にイメージする事が出来た。
 シャドウなんて物ではない。どう見ても、見えない誰かと戦っている。
 入る――。
 突き出した拳が急所を捉えたと思った瞬間、小柄な陰が乱暴に汗をぬぐって荒々しく悪態を
ついた。
 もう、随分と見慣れたように思う――クロルである。
「おまえ……」
 思わず声をかけていた。
 はっとしたように振り向いた顔は、ぼんやりとした月明かりと街灯とに照らされて赤く上気
しているのが分かる。
「あぁ――君、居候してるんだっけ」
 疲れたように溜息を吐き、クロルは側の木に引っ掛けてあったタオルを取ってごしごしと汗
を拭った。
「おまえ、今の……」
「シャドウ? なんか変だった?」
 やっぱりちょっとぎこちなかったかなぁ、などと、謙遜だったら嫌味にしかならない事を本
気で言う。
「せめてイメージだけでもぶっ飛ばしたいんだけどなぁ、負けるイメージしかできないんだよ
ね……」
 わしわしと汗を拭きながら、いつもこう来て、こう入ると、こう取られるんだよなぁ、と再
び自分の世界に入り始める。
 傭兵――を、やっていると言うのは、昨日の一件で知る事が出来た。
 だが、世の中の傭兵とはみんな“こう”で、その上あの男達のように、“ああ”なのだろうか。
「クロルくーん! お風呂の用意できたわよ」
 きぃ、と裏口の戸が開き、エリーがひょこりと顔を覗かせてクロルを呼んだ。
 ――なんで、こいつを風呂に呼ぶ?
「あらルーベル。返ってたの? またクロル君に失礼な事言ったんじゃないでしょうね」
「まだ何も言ってねぇよ。裏庭で音がしたから、おまえがまた無駄なダイエットでも始めたの
かと思ってな」
「ちょっとルーベル! クロル君の前でそう言う事言わないでよ馬鹿!」
「エリー体重気にしてるの?」
 今のままで丁度いいと思うんだけどなぁ、とごく自然にクロルが言う。
 そ、そうかしら、そうよね、などと照れ笑いを浮かべるエリーと笑顔のクロルを見比べて、
ルーベルは奇妙な疎外感を覚えて沈黙した。
 クロルが女でよかった――なぜそう思うのかはわからないが、割としみじみそう思う。
「で、なんでお前が人んちの裏庭でシャドウやってんだよ」
「今夜家にお泊りするのよクロル君。お夕飯も一緒に作ったんだから」
 クロル君ってお料理上手なのよ。知ってた? とエリーが笑う。
「言っとくけど、お風呂はクロル君が先だからね。その後が私で、あんたは一番最後よ」
 気兼ねしないでゆっくり入ってきてね。きがえは私のでいいかしら、などといいながら、エ
リーはぐいぐいとクロルの腕を引っ張った。
47690:2007/08/30(木) 01:44:23 ID:Rzm1PPnU
 クロルが、エリーの服を着る――?
 冗談だろう。と言うか、物理的に無理だろう。
 体のどの部位をとっても明らかにサイズが合わない。
「だ、大丈夫だよ! 一応着替えもってきてあるし……大体サイズが合わないし……!」
 まったくその通りである。
 ほっとした。何故か心からほっとした。
 エリーとクロルに続いて家に入り、ルーベルは思い切りはしゃいでいるエリーとやや困惑気
味のクロルの会話を聞くとも無く聞きながら、すっかり冷めた夕飯に手をつけた。

 ***

 すぐに追いかけて来て、連れ戻されるんじゃないかと思っていた。
 嫌だって暴れてもヴィクターに抑えられるだろうし、どんなに文句や不平不満を連ねても、
結局はウィルトスに言い負かされる。
 それを思うと憂鬱で、どこに逃げたってどうせ同じな気がして、だから二人が真っ先に探す
だろうエリーの家に転がり込んだ。
 ほんの短時間でもいいからエリーと一緒にいれば、少しは落ち着けるような気もしたからだ。
 細かな事は話さずに大雑把な愚痴を聞いてもらい、二人で作った食事を家族に振る舞い、汗
を流してシャワーを浴びたらやはり大分に落ち着いた。
 夜になる前に連れ戻されると思っていたため少し拍子抜けしたが、それ以上に安堵していた。
今あの二人に会った所で、笑顔で会話が交わせるとは思えない。
 悪気は無かったにしても、せめて事前に何をどうするのか言って欲しいし、ちゃんと了承も
得て欲しい。
 力ずくで拘束されて、わけも分からぬうちに好き勝手に扱われるのはお断りだ。
「なんて……今更だよなぁ……」
 純情ぶれるほど綺麗な体はしていない。
 ベッドで一緒に寝ましょうよ、と言うエリーの言葉を必死になって押し留め、クロルはベッ
ドの脇の床の上で毛布に包まって横たわっていた。
 すぅすぅと規則正しい寝こえ、起こさないようにと気を使いながら寝返りを打つ。
 何人もの男をくわえ込んで、ヴィクターが聞いたら卒倒しかねないような“火遊び”だって
何度もした。
 ウィルトスはそれを知っているし、その行為を特別な物とも思っていないのだろう。
 あぁ――だから、その行為を要求するのだろうか。拒絶される事さえも、ウィルトスは楽し
んでいる節がある。
 ウィルトスを殴りつけた拳をさすり、クロルは呆然とこちらを見上げるウィルトスの表情を
思い出して溜息を吐いた。
 痛かっただろう。多分、ひどく腫れるはずだ。
 また、ヴィクターと喧嘩をしてはいないだろうか。
 店はちゃんと開けるだろうか。
 あんな出て行き方をして、きっとヴィクターは落ち込んでいる。

 帰って、謝った方がいいだろうか。

 ふと、頭に過ぎったその考えに、クロルは心の中で自分を叱咤した。
 そんな馬鹿な事があるものか。元はと言えば、あの二人があまりにも非常識なのがいけない
のだ。
 大体、教官――と五回呼んだらどんな内容だろうと何でも一つ言う事を聞くなんて、そんな
制度がまず間違っている。精霊や悪魔や魔法使いだって、願い事には制約をつけるではないか。
 あぁ、だが約束してしまったのは自分自身だ。
 約束してしまったのだから、それを守らないのは不義である。
 悶々と、堂々巡りの思考にさいなまれながら、クロルは一晩中悩み続けた。
 自分の心が狭すぎるんだろうか。大嫌いなんて言ってしまって、二人とも怒っているだろう
か。謝った方がいいだろうか。
 空が白み始め、眠れぬまま朝が来た。
48690:2007/08/30(木) 01:45:33 ID:Rzm1PPnU
 朝が来てからようやく眠り、しかし当然と言おうか眠った一時間後に起こされた。
 明らかなクロルの寝不足を見てエリーはやっぱり床ではよく寝られなかったかと心配したが、
クロルはそれは関係ないよと穏やかに否定した。
「今日はね、街の方に配達に行く日なの。でも配達なんて午前中に終っちゃうから、午後は自
由にお買い物が出来るのよ。クロル君も一緒に行って、可愛いお洋服とか見ましょうよ」
 ね、ね? と嬉しそうに手を握って飛び跳ねられては、まさか断るわけにもいかない。
 それに、エリーが可愛い洋服を選んでいるのを見ているのはきっと楽しいに違いない。一緒
にリボンや服を見て回って、アクセサリーなんかも見たりして、エリーを可愛く着飾るのは想
像するだけでわくわくする。
 そのついでに、くまのぬいぐるみでも見てみようか。
 もちろん買ったりする勇気はないのだが、見るくらいならいいだろう。
「ルーベルは荷物持ちよ。お昼ごはんくらいなら奢ってあげるから、ちゃんと働きなさいよね」
 エリーの拒絶不可能な命令に、ルーベルがげ、と声を上げて引きつった。
 昨日は大変な大仕事だったから、今日は特別に休みを取らせてもらったのだと言う。
 もう居候する必要もないから引越しの準備をしないといけないんだと言うルーベルの言葉を、
しかしエリーは受け入れなかった。
「なによ! 家に居候してれば家賃はただだし、食費だって微々たるものよ? 隣町だって車
で行けば近いんだし、ここに住んでた方がずっといいでしょう? 引越しなんて必要ないわよ」
 それか、ずーっと後でいいでしょう? というエリーの言葉に、ルーベルは屈服した。

「なんか、大きい街にいくなんて久しぶりだなぁ」
 ルーベルの運転する車の後部座席で、飛ぶように過ぎ去る景色を見ながらクロルはぼんやり
と呟いた。
「クロル君は、ずっと大きな街に住んでたのよね?」
「うまれはど田舎だけどね。前の仕事してた時はまぁ、大きな街に住んでたかな」
 大きな街――と言っても、首都に比べればまだまだ田舎の部類に入る街である。
 この国は軍の支部のある街が栄える傾向にあるため、首都から離れていても郡の支部があれ
ばそれなりの都市になるのだ。
「前の仕事って――お前、パン屋の前なんだったんだよ。傭兵やるくらいだから市警団かなん
かか?」
「軍人だよ」
「ぐん――!」
 言ってなかった? とルーベルに問うと、車が大きく左右に揺れた。
「ヴィクターもウィルトスもそうだよ。二人とも僕の上官だった」
「しんじらんねぇ……いや納得した……」
「どっちなんだよ……」
「か、階級はなんだったんだ?」
「曹長だった」
「曹長って……どのへんだ?」
「尉官の下。下士官だよ。偉かない」
「あら、それでも部下はいたんでしょう?」
「いたにはいたけど……僕は副官だったからなぁ」
 こんなに体が小さいのに、軍人の部下がいたなんて凄いじゃない、とエリーがルーベルに同
意を求める。
 しかしルーベルは返事を返さず、何かぶつぶつと呟きながら完全に自分の世界へと入り込ん
でしまっていた。
 前だけはちゃんと見て走って欲しい物である。

 配達と言っても巡る先は4件だけで、いずれも村で取れた小麦粉をケーキショップやレスト
ランに届けてサインをもらうだけの単純作業である。
 もう少しかかるかと思っていたが本当に昼前に全て終ってしまい、クロル達はエリーのお勧
めのレストランで食事を取った。
49690:2007/08/30(木) 01:46:07 ID:Rzm1PPnU
 外食なんてここ最近していなかったので、クロルはそれだけで付いてきてよかったと心から
思った。
 今度はあの二人と来たいな――と一瞬ウィルトスとヴィクターの顔が浮かんだが、クロルは
慌ててその事を意識から締め出した。
 折角エリーが――恐らく気を使ってクロルを街に連れ出してくれたのに、そこでもまた暗く
なっていたら失礼である。
「ねーぇ、クロル君」
 エリーのお気に入りだという少女向けのブティックでぼんやりとしていると、エリーがにま
にまと笑いながらすすす、と側に寄って来た。
 どうやら後ろ手に何か隠している。
「ちょっと着てみて欲しい服があるの。ねぇ、試着してみて? いいでしょ? ちょっと着て
みるだけだから」
「え、ちょ、いやでも、ここの服って見るからに女の子ですって服ばっかりで――」
 僕に似合う服なんて――と言って拒否しようとするクロルの背を、エリーが無視してぐいぐ
い押す。
 お願い、お願いだから、おねがーいと甘えた声を出して頼むので、クロルはとうとう根負け
して試着室に入った。
 はい、この服ね。と言って手渡された服を見て、当然の結果だがクロルは完全に絶句した。
 スカートである――それどころか、ワンピースだ。
 黒色で丈が短くやや行動的な印象がありはするが、ひらひらとした白いレースがクロルの眩
暈を誘う。長袖だが肩と胸元は露出しており、セットになっている幅広のリボンは留め金が付
いていて、明らかに首に巻けと言わんばかりだ。
 思わず無言で試着室のカーテンを開けるとエリーが泣きそうな顔を見せたため、クロルは再
びカーテンを閉めて渋々その衣装を身に着けた。
 なんと無くだが、エリーはウィルトスに似ている所があると思う。

 そして出来上がったワンピース姿の自分を見て、クロルはいよいよ泣けてきた。
 無理だ――。傷が目立ちすぎるし、どちらかと言うと筋肉質な自分には絶望的に似合わない。
 それでもまぁ、エリーが見たいと言うのだから見せてやるしかないだろう。
 思い切り躊躇した挙句に試着室のカーテンを開けると、エリーがきゃぁーっと甲高い悲鳴を
上げた。
「やだ! 可愛い! 凄く可愛い! ねぇ、その服には絶対にこのブーツが合うと思うの! 
ガーターは黒でね、それでストッキングはちょっと目の粗い――」
「エリー……」
「店員さーん! この子が着てる服、このままでいいからお会計に追加してくださる? あと、
ブーツはこれで、ガーターとストッキングは――あ、それがいいわ! それが絶対似合う!」
「エリー……?」
「今まで着てた服は処分しちゃってもい――」
「エリー!」
 びくりと肩を竦ませて、エリーが繕い笑いを浮かべながら振り向いた。
 意図的に怒った表情を作って睨むと、可愛らしく唇を尖らせる。
「……脱ぐよ」
「えぇー!」
「試着だけって言っただろ!」
 ピシャリと言ってさっさと服を脱ぎ、地味なジーンズとシャツを身につける。
 試着した服を一式付き返して試着室を出ると、エリーが物言いたげにこちらを見ていたが、
クロルは努めてそれを無視して店を出た。
50690:2007/08/30(木) 01:46:51 ID:Rzm1PPnU
 数分の間を挟み、やっと終った、と言う言葉と共にルーベルが店から出てくる。
 今会計中だと言うのであ、そうとだけ答えると、ルーベルが言いにくそうに頬をかきながら
こちらを見た。
「……似合ってたと思うぞ」
「……はぁ?」
 ずっとクロルを男と間違えていた人間の台詞とは思えない。
 クロルが片眉を吊り上げると、ルーベルはあーとかうーとか唸った挙句、ちらと店の中に視
線をやった。
「だから……受け取ってやれよな」
「受け取るって……何の話?」
「だから――!」
「おまたせ! はい、これクロル君に!」
 店から飛び出してくるなり差し出された白い紙袋に、クロルはぎょっとして目を瞬いた。
 受け取れって――これか?
 ちらとルーベルを伺うと、早く受け取れと言うような表情で睨まれる。
 中身は考えずとも分かる――間違いなくさっき着たあれである。
「……あの、別に着てくれって、言ってるわけじゃないのよ? 嫌だったら着なくてもいいの。
でもね、時々クロル君、家に遊びに来るじゃない? そんな時にね、ちょっと着て見せてくれ
たら嬉しいなって……それでね……」
 エリーの声が尻すぼみになるにつれ、ルーベルの表情がみるみる険しくなっていく。
 クロルは表情を引きつらせ、溜息をかみ殺して笑顔で袋を受け取った。
 ぱぁっとエリーの表情が華やぐ。
「よかった! だって、凄く可愛かったんだもの。本当に、あんなに似合うなんて思わなかったわ」
「とても似合ってたとは思えないけど……」
「似合ってたわよ! ねぇルーベル」
「ああ。初めてお前が女に見えた」
 ルーベル。君がエリーの意思の奴隷である事はもうよく分かったよ。
 そんな冷めた目線で睨んでみるも、馬鹿なのか鈍いのか両方なのか、ルーベルは気付いてな
いようである。

 他にも行きたいお店があるの、とエリーに街中引っ張りまわされ、クロルは楽しいながらも
疲れ果ててルーベルと共に道端に座り込んだ。
 だらしないわね、市警団と傭兵のくせにとエリーは言うが、これは肉体的と言うより精神的
な疲労である。
「女の子ってみんなああなの……?」
「男の俺に聞くなよ……女だろおまえ……」
「僕の周りいつも男ばっかりだったから……」
 私そこの雑貨屋さんに行ってるから荷物見ててね、と言い残し、エリーが元気に雑貨屋へと
かけて行く。
 街に街灯が点り始める時刻だが、季節のせいか日は沈みきってはいない。
「……昨日おまえ、俺に軍に入れなくて市警団に行った口か……って聞いただろ」
「あぁ……うん。言ったね。そーいや」
 根に持ってるの? と問うクロルに、そんなんじゃねぇよ、とルーベルが答える。
「落ちたんだよ……入隊試験。おまえの言った通り……」
「ふうん……」
「理由きかねぇのか?」
「その時に試験教官によって採用基準はかわるからね。それに、落ちた人間に理由なんて聞い
たって分かるわけないもん」
「総当り戦でよ、受験生全員殴り合いさせられたんだよ。で、俺は二十戦やって三勝しか出来
なかったんだ」
 それが原因だと思っているのか、この男。
 クロルはかりかりと頬をかき、立ち上がって側に立っているジュースの自動販売機を物色し
ながら何気なく口を開いた。
51690:2007/08/30(木) 01:47:29 ID:Rzm1PPnU
「後半さ――君、勝負投げてなかった?」
「――あ?」
「そうだな――五人くらいに連続で負けた時点で、どうせもう受からないだろって諦め気味だ
っただろ」
 二十戦して三勝なら、最高で十七戦は連敗したはずだ。
 人間の心理として、連敗がかさめば諦めが生まれ、“どうせ負ける”と思い込むようになる。
 そして、教官はそれを見るのだ。もちろん全勝ば採用される可能性は高い。だが、全敗して
も全ての試合に全力で臨んでいれば、それは十分に採用の対象になりえるのだ。
「例えばだけどさ――僕は第一師団にいたから化物相手の話だけど、初めて本物の化物に対面
すると、採用された半分は武器を捨てて逃げ出しちゃうんだ。残りの半分は何とか踏みとどま
るけど、そいつらも化物に攻撃されて、仲間が負傷すると逃げ出しちゃう」
 訓練期間ってのがあって、その時訓練用の化物と一戦交えるんだけどね、と補足して、クロ
ルは続けた。
「だけどその化物は、デカいってだけで別にそんなに強くない。恐怖心に囚われず、直ぐに勝
利を諦めず、事前に教官に言われた事を事務的に遂行すれば間違いなく勝てる相手なんだ。実
際、初期メンバーの半分の更に半分の数になっても、残った訓練生は化物を討伐できてる」
「……俺には根性がたりなかったって言うのかよ」
「まー、実際見たわけじゃないからわかんないけどね。君はどうも、自分より弱そうな相手に
ちょっとでも反撃食らうと、面食らってフリーズしちゃうみたいだから」
 そして、強そうな奴には考えなしに突っ込んで、あっけなく撃沈する。
 何か必死に反論しようと言葉を捜すルーベルにジュースの缶を投げつけて、クロルは自分も
缶を片手に再び地面にしゃがみ込んだ。

「軍に入りたいの?」
「いや――そうだな……市警団なら、身近な奴を守れるし、最近では軍よりもこっちのがいい
んじゃねぇか……って思ってる。それなりに頼られてるし、居心地もいい」
 それはそうだろう。
 特殊な訓練を受けている人間と比べさえしなければ、ルーベルは十二分に強いはずだ。
 だが、クロル達は人を殺す訓練を受けている。
 化物を殺す訓練を受けている。
 避けられない攻撃を避ける訓練を受けている。
 化物の触手の動きを読むことに比べれば、ルーベルの単調な攻撃を予測してかわす事など容易い。
 見たことも無い化物の急所を探り出す事を考えれば、既に急所がわかっている人間を沈黙さ
せる事など容易い。
「ただよ……いくら居心地よくってもよ、弱い奴の中で強くっても意味がねぇんだよ。おまえ
みてぇなチビにあっけなくいなされて、フランシスみてぇな化物に叩き潰されて――」
 こんなんじゃ、大事な奴なんて守れっこねぇじゃねえか、と肩を落とす。
「強くなりてぇ……」
 強くか――。
ぼんやりと思い、あぁ、なりたいね、頷き返す。
「――稽古つけてあげようか?」
「なに?」
「フランシスに勝てるようになるかはわかんないけど、まじめにやれば今よりは強くなれると
思うよ。体格には恵まれてるんだし」
「いや……お前が強いのはまぁ、知ってるけどよ。体格によって闘い方って変わるだろ?」
 俺とお前じゃ体格が違いすぎるから――と言うルーベルに、クロルはあ、そう、と言ったき
り押し黙った。
 中身を全て飲み干し、缶をゴミ箱へと放る。
「……いや、待て。なんか今すげぇ後悔しそうな気がした。やっぱり頼む」
「体格が違いすぎるんだろ?」
「体格が違ってもなんか、もっとこー、基礎的な事があるから稽古つけてやるなんていったん
だろ? 教えられる事がねぇならそんな事言わねぇもんな」
 ふぅん、と感心したように声を洩らす。
52690:2007/08/30(木) 01:48:03 ID:Rzm1PPnU
「君はもっと意地っ張りで、僕みたいなのに教えをこうなんて死んでも嫌なタイプの人間だと
思ってた」
「俺は今、なんだかすげー強くならなきゃいねぇ気がしてるんだよ。何にだって縋ってやらぁ」
「いきなり周りを強い奴らで囲まれて、自分は実は底辺の強さしか無いんじゃないかって怖く
なったんだろ」
「あーそうだよ! 何よりお前に負けたのが一番ショックだ」
「なんでかなー? 僕に負けた奴ってみんなそう言う」
 ケラケラと喉を反らせて笑うと、ルーベルが忌々しげに悪態をついた。

 田舎にあるちょっと大きな町の繁華街――と言うのは、都会の繁華街よりも遥かに治安が悪
いと思う。
 夕飯を済ませてだらだらと店を覗きながら車に向かう途中、クロルはぼんやりとそう思った。
 田舎――と言うのはそれすなわち、事件が起こった時の軍の対応が遅い事を意味している。
基地が遠いから到着が遅れるのが理由だが、そのため傭兵や市警団が幅を利かせるようなる。
 市警団は政府管轄だからいいとして、問題はこの傭兵の方だった。
 いや、やめてよ、誰か助けて――だとか。
 いいじゃねぇかよちょっとくらいよぉ――だとか。
 かわいそうに、あいつら傭兵だぜ――だとか。
 誰か市警団に連絡しなさいよ――だとか。
 極めつけには、
「はなしてやれよ馬鹿が。嫌がってんのがわかんねえのか?」
 だとか――。
「ル、ルーベル!? やだ、いつの間に――!」
 さっきまですぐ隣を歩いていたはずなのに――と、エリーが驚愕して声を上げた。
 ルーベルと同等の体格の――しかも明らかに軍人崩れと思しき三人組は、ルーベルの声に哀
れな少女の腕をつかんだまま振り返った。
「――怪我人かよ」
 面倒くさそうに舌打ちし、すぐにルーベルから視線を反らす。
「殴らないでやるからとっとと帰りな。正義の味方気取るには弱すぎる」
 心優しい暴漢である。
 そうだ、そのまま大人しく帰って来い。意地よりも命が大事だろう。おまえは今肋骨を負傷
してるんだ。
 やだ、やめてと泣き声を出す少女の細い首筋に、男がべろりと舌を這わす。
 瞬間、ルーベルは拳を振り上げて、少女を拘束している男に殴りかかった。
「ば――あの馬鹿!」
 突き出した拳をやすやすと避けられて、ルーベルは勢いに任せて前方につんのめった。たた
らを踏んだその足を、別の男が引っ掛ける。
 その場にみっともなく転倒したルーベルの姿に、クロルはあちゃあ、と頭を抱えて目を反らした。

「ちょっとやめなさいよあなたたち! その人は市警団なんだからね! こんな事して、どう
なるかわかってるの!?」
「――エリー!?」
 愕然として、クロルは反らした視線を上げた。
 ついさっきまで隣に立っていたはずのエリーが、いつの間にかルーベルに駆け寄って男たち
に向かって怒鳴っていた。
53690:2007/08/30(木) 01:48:34 ID:Rzm1PPnU
「なんだお前、女連れかよ」
「あー、女の前でいい格好したかったのね。はいはい、わかったわかった」
「悪いねぇ、足なんかひっかけちゃって。ねえ君、何て名前? そんな弱い彼氏ほっといてさ、
俺たちと遊ばない?」
 下卑た笑いを上げながら、男たちがエリーのほっそりとした手首を掴む。
「やだ! 離してよ馬鹿! 訴えるわよ!」
「てめぇらその女に触るんじゃねぇ!」
 あぁ――もう。もう、あぁ、もう!
「どうして気晴らしのショッピングがこういうことになるんだよ! なんで気分よく一日を終
らせてくれないんだよ!」
 無性に腹が立った。
 異常に。異様に。
 殴りたい。何でもいいからギタギタに殴りたい。
「大体なんで僕が――なんで僕の方が落ち込まないといけないんだよ」
 なんだ、と男たちがクロルを振り返る。
 おいおい、餓鬼だぜ、と嘲笑しあう男達の正面に仁王立ちになり、クロルはぎりぎりと拳を
握り締めた。
 腕を振り上げ――一閃。
 股間に深々とめり込んだクロルの爪先を愕然と凝視して、男の一人がクロルの拳を受け止め
ようと構えていた両手を股に挟んで泡を吹いて昏倒した。
「なんだこの餓鬼! 一般人の動きじゃねぇぞ!」
「確かに僕は純情可憐なお嬢ちゃんじゃぁないよ……そこらの娼婦より場数は踏んでるかもし
れない……でもさ……!」

 サンドバックだ。
 サンドバックにマジックでバツ印が描いてある。
 ゆらゆらとゆれるバツ印に狙いを定め、渾身の力を込めて――。

「好きな人にくらい優しくしてもらいたいんだよ馬鹿ぁああぁ!」
 拳が深々と鳩尾に突き刺さる。
 テメェ――と、唖然として傍観していた最後の一人がクロルの体を羽交い絞めにする。
 その両腕を男の首に絡みつかせて思い切り地面を蹴る。ぐるん、と視界が回転した。
 おぉ、と野次馬から歓声が上がる。
 遠心力に逆らえずに後方に仰け反った男体をそのまま地面に叩きつけ、もがくように突き出
された腕を捻って肩の関節を外す。
「この野郎ぉ――!」
 鳩尾を殴られて硬直していた男が、雄叫びを上げて飛び掛ってきた。
 避けずに受けて、超倍にしてやり返す――。
 そう、クロルはぎらつく瞳で向かってくる男を凝視した。
 一瞬、男の意識があらぬ方向に引き寄せられた。
 その、男の頬ギリギリの位置を、つぶてのような物が突っ切って行く。
 カッ――と頭に血が上った。
「その上――!」
 ぐ、っと思い切り半身を捻る。
 爪先に神経を集中して、全体重を一点に込めて――。
「尾行なんて女々しい事してんじゃねぇ糞野郎共がぁあぁあ!」
 直撃――そのまま足を振りぬいて回転力を殺さず、逆の足でもう一撃。
 立ったまま白目を剥いて失神し――そうして三人全てが沈黙した。
「タマ無し共が――テメェら全員娼婦にケツ掘られて逝っちまえ」
 わぁ――と野次馬から歓声が上がる。
 エリーがきゃあきゃあと悲鳴を上げて喜んでいる。
 ルーベルが顔色を失ってこちらを見ている。
 あぁ――くそ。
「汚い言葉使っちゃったよ……だから軍人は嫌なんだ……」

切らせていただきます。
54690:2007/08/30(木) 01:49:53 ID:Rzm1PPnU
>>664
全然問題ないですよ。
そのはっちゃけ具合に腹抱えてクソワロタw
55名無しさん@ピンキー:2007/08/30(木) 02:11:30 ID:WoSjZ5DD
きたきた♪速筆で嬉しい。
相変わらずエロなしでも面白いんだけど、贅沢言うと…もうちょっと読み終えて区切りの良いとこまで
書いて欲しいなあ…。
前回のでウィルトス嫌いになっちゃってたから、反省しててほっとした。
尾行してたのはヴィっ君?スカート姿にメロメロになる元上官二人が楽しみ。続き待ってます。
56名無しさん@ピンキー:2007/08/30(木) 03:46:37 ID:eip3mdhX
相変わらず細かいネタが面白いなぁ。軍の試験とか。
あとルーベルのキャラが気持ちよくて好きだ。
57名無しさん@ピンキー:2007/08/30(木) 20:21:36 ID:xm4Zs9HY
「糞野郎共」wwwwww
58名無しさん@ピンキー:2007/08/30(木) 23:04:17 ID:h2/cZy3c
四文字言葉wwwww


しかしアクションシーンに躍動感があって面白いなぁ。
で、やっぱり今回エリーに押し付けられた服で(自主規制)?
59名無しさん@ピンキー:2007/08/31(金) 11:57:50 ID:dSyXnDwp
そろそろ作家さん方に数字以外のコテつけていただけると嬉しい。
お二人とも数字が似てるから、どちらが本家かわからなくなるんだよね。
60名無しさん@ピンキー:2007/08/31(金) 16:57:00 ID:61AiVQNb
普通にいいとこで区切れてると思うのは俺だけか。
61名無しさん@ピンキー:2007/08/31(金) 23:28:10 ID:9sxBzzrq
>>60禿同
絶妙すぎて続きが来るまでもんどりうってる。
62名無しIN東京ドーム:2007/08/31(金) 23:41:04 ID:rtctmOVw
*初登場です(告白風ですが、これは私の妄想です)
今日は私の彼女 松山綺羅についてお話させて頂きます。
綺羅は中学1年生のごく普通の女の子ですが、すこしだけ他の女の子と違う点
があります。それは、髪を男の子のようにして、自分を「ボク」という事です。
おそらく、両親がもう一人男の子が欲しくて男のような服を着させ、ままごと
や着せ替え遊びといった女の子の遊びをせず、男の子達と泥遊びやサッカーで
遊んでいるのを何もせず放置していたせいかもしれません。
それに、ここでもうひとつ他の兄妹と違う点を上げれば、兄妹でありながら、
私と妹とは血が繋がっていないという事です。
実は綺羅は、母の再婚相手(いまの母さん)が、前の旦那さんの忘れ形見とし
て連れて来た娘なのです。最近になって気づいた事ですが、まだ綺羅が小1の時
にキャンプ場の草むらで立ちションをしていた私を真似て綺羅が立ちションし
た時、感じた胸のドキドキは、おそらく綺羅が本当の妹ではないと無意識に理
解していたのかもしれません。
私は大学にはいり、家を出て一人暮らしを始めました。
ここで告白する話は、その頃の年末に起きた事です・・・・・。
             ***
「やだ〜ッ!!お兄ちゃん、部屋臭いよ〜ッ!!」
綺羅が部屋にはいるなり、言った第一声はそれだった。
鼻先を犬みたいにクンクンさせ、僅かに顔を顰める。
「ほっとけよッ!!今日、御前大掃除を手伝ったら、この部屋に泊るんだぞ!!」
俺は、トイレで用を足しながら、僅かに顔を出し叫ぶ。
お袋と親父は何を血迷うたか年も考えず熱海に夫婦旅行で、綺羅を年明けまで
預かると約束してしまったのだ。
まさに、最悪の年越しだ。
「判ってるよ!!本当はボクが来てくれて嬉しいんでしょ!?」
「は〜あ!?御前、何言ってんの!?」
顔を出す。眼前には中腰の姿勢の綺羅のスカートから、本当に純白なパンティ
が覗いている。
俺は思わず、顔を赤らめ顔を背けながら、いつもは男みたいにジーンズなのに
何故、今日に限って女らしくスカートなんて履いてるんだ?
               ***
大掃除も綺羅の御蔭で順調に終わり、年越しそばを食べた後、暢気にテレビを
見ていた。
「ねぇねぇ、お兄ちゃん?」
「あんだよッ?」
俺はコタツの向かい側に座る妹の方を見る。
「女の子は、処女のままだと、アソコに蜘蛛の巣張るってホント?」
俺は一瞬で耳朶から脳天まで、真赤になった。
よりによって、何て事訊くんだ?
「お、おい!!おまえなぁ!!」
普通に怒りつけているつもりなのに、声が上ずりまともな言葉にならない。
「ボクも処女だから、蜘蛛の巣だらけなのかな・・・・・。」
「お、おおめえ!!」
「ねぇ、お兄ちゃん。お兄ちゃんがボクのおまんこの大掃除して・・くれる?」
え、どういう事なの?
俺は、綺羅の言葉が理解出来ずにいた。
<続く>
63名無しさん@ピンキー:2007/09/01(土) 02:12:00 ID:cM2uYGGH
GJ!
なかなかいいです
ただ、前半ちょっと気になる点が多い
初登場やら妄想です辺りの作者の挨拶は本文と間を開けないと
あと、最初の説明部分が少しわかりづらい
恋人といいながら急に兄妹だとなってるし
元旦那がいた今の母なら、父の再婚相手では?
他の兄妹と違ってということは、血の繋がった兄弟姉妹が別にいるのか?
女の子一人しかいないなら、勝手になるならともかく、
親がもう一人男の子を、ってのは無理があるのでは

正直、妹が来るところからで問題ないと思う
後半は面白かったので、次期待してます
64名無しさん@ピンキー:2007/09/01(土) 03:15:13 ID:pA9gEGlt
yoshiとか携帯小説好きでしょ?
65名無しさん@ピンキー:2007/09/01(土) 10:26:01 ID:H3hw0hx6
確かに携帯小説っぽい匂いがするな
続き期待してるから、投下前に何度か自分で読み直すことをオススメする
66携帯厨でごめんなさい:2007/09/01(土) 17:32:53 ID:BfAXEZYZ
http://j.pic.to/fxwkd
詳細知ってる方、いらっしゃったら教えてください
67名無しIN東京ドーム:2007/09/01(土) 21:43:42 ID:TdDxIzxX
* いろいろな、御指摘有難うございます。
           ***
俺は慌てた。こいつは何を言ってるんだ!!
「お、おまえ何言ってるのか、わ、判ってんのか!?」
「だ、だからボクの処女をあげるってる言ってんのッ!!ホント鈍いなーッ!!」
処女を!?本当に、コイツ何を血迷った事を言ってるんだ!!
「お、御前、自分の言ってる事、ホント判ってんのか!?俺達、兄弟なんだぞ!!」
「判ってるよ!!ボクは兄貴の事が好きなんだ!!」
顔を真赤にして綺羅は言った。
お、俺が好き!?俺は慌てた。
俺は、どうなんだ?ふいに自問自答した。
<続く>
* 不定期ですいません。色々、忙しくて・・・・。
68名無しさん@ピンキー:2007/09/02(日) 00:34:09 ID:xJGrfObJ
兄弟ってことは…
69名無しさん@ピンキー:2007/09/02(日) 01:44:38 ID:bRTagzBJ
アッーーーー!!!
70名無しさん@ピンキー:2007/09/02(日) 04:10:20 ID:jRyhYcmK
ある程度まとめてから、出来れば完結させてから、あげた方がいいぞ
誤字脱字や話の流れ、矛盾、読みやすさなどもう一度チェックしてから投稿しよう
話以外のところで顰蹙かうのも、馬鹿馬鹿しいだろ
71名無しさん@ピンキー:2007/09/02(日) 05:30:09 ID:XM3cBRu6
>>67
sageるなら半角小文字で頼む
72名無しさん@ピンキー:2007/09/02(日) 12:37:43 ID:iflJ/mRS
サウラとアイルの初Hが読みたいのう…。
73名無しさん@ピンキー:2007/09/02(日) 17:54:49 ID:NbeItmHf
>55
多分そうだろうと思いつつ「野次馬の中から引っ張り出したら実はフランシスだったりしたら大惨事だw」
とか思ってる俺。さすがにそんなどうしようもない事態にはならんだろうが…

ともあれ、作者さんGJ-
74名無しさん@ピンキー:2007/09/02(日) 19:32:22 ID:mENnLdVd
いやーヴィクターだけじゃなく二人仲良く尾行してるだろう。
75名無しさん@ピンキー:2007/09/02(日) 20:16:24 ID:mZD+5Cog
>>72
そんな事は、ニーナたんが許さないです。
76名無しさん@ピンキー:2007/09/03(月) 19:32:12 ID:RaC2CCIh
書く人氏の別スレ作品を知りたいってレスが前にあったが、
690氏や664氏の別スレ作品って誰か心当たりあるひとおらんかね。
>>72
禿同
77名無しさん@ピンキー:2007/09/06(木) 14:34:15 ID:fP+fle1/
東京ドームさんをここで見るとは思わなかったゼッ!
78俺の上司はボーイッシュ:2007/09/07(金) 01:58:32 ID:Ch/3klHa


 俺、椎名弓鷹の新しい上司、平林史記はボーイッシュだ。

 ちょっと描写してみよう。
 背は高い…わけじゃない、167.5センチ。なぜわかるかというとむかつくことに俺と同じ身長だからだ。
 長い腕脚に大きな手足。ま、これは実は俺も同じ。お互いスーツのお直し困るよね、と笑っていたが、
こちとらそんなのしたことねえよ。悪かったなツンツルテンで。
 さて違うのは、まずはきりりとした目鼻立ち。一重でつり目の俺と違って、大きくきれいなアーモンドの瞳。
 入社時は腰まであった(らしい)茶色に褪せた緩やかな天然カール(らしい)髪は、なんと俺より短いベリーショート。
 日に焼けた肌は小麦色で近寄るとムスクの香りがする。俺は元は公家の出だったという、ひいひいじいちゃんからの
由緒正しい色白で、家の仏間が俺の寝室なので毎日もれなく線香の香り…。
指摘されるまで気づかなかった、マイスタンダード青雲だ。
 服はといえばブリティッシュなスリムのパンツスーツを好んで着用。開衿のカラーシャツから金の鎖を
覗かせれば、思わずホストかお前とツッコミたくもなるけれど、ところがこれがボーイッシュ。
俺の同期の女子社員なんかは、「ロンドンボーイのモデルみた〜い」とぬかしたので「ズカじゃねえか」と
つい口を滑らしどつかれたことがある。ついでにそれを聞いてたズカファンのお局様に、
ズカはボーイッシュではないという説教を一時間くらう。ああ、ついてねえ。

 ついてない事のMAXはこの夏、俺の最初の上司のおっさんが、新入社員の俺の教育もそこそこに、
仕事も俺もほったらかし、心の風邪をこじらせて失踪したことだろう。
 ああ、言い忘れたが俺はシューズメーカーの社員で、作る側でなく売る方だ。
平たく営業と言いたいところだが、なさけなくも社員研修もかねて一年目は駅ビルのショップに販売員配属中なので、
やはり売り子と言った方がしっくりくるのだ。
 それはいいんだ。俺、靴好きだし。スニーカーも革靴も、麻のエスパドリュールも皆愛してるぜ。
 よくないのは。
 右も左もわからない俺の教育係として代わりに彼女、平林史記がきたことだ。
 本当言うと、突然指導者を失い売りあげの数字も仕入れも客への対処もわからず、右往左往も
もう限界を超えていた「開店休業ショップ俺一人」に、待ちこがれたそれは天の助けだった。
 だがなぜよりにもよって彼女なんだ!
 ああ、ついてねえ!!
 上司だぜ!?秋の昇級試験の面談も、冬のボーナスの査定もされちゃうんだぜ!?
 
 そんな女を…口説けるか-----------------------------っ!!!


 …そう、俺は彼女、平林先輩が好きだった。
 好き、というには語弊があるな。
 言葉を選ばず言うと「やりたい」だ。就職セミナーのボロい長机でにっこり笑いかけられたその日から、
ずっと彼女を抱きたくて仕方ない。ハートにズキュンではなく、股間にズガンときた、一目惚れというには
あまりにあんまりなTHE☆肉欲。大学時代のギャルな彼女達にいまいち真剣になれなかったのはそう言う訳か、俺。
知らなかったぜ、アイラブボーイッシュ。男の子っぽい女に燃え萌えだ。
 入社が決まり、新入社員講習で再会した俺に彼女は「来たね、よろしく!」と軽快に笑いかけた。
甲子園球児のようなその健全で爽やかな笑顔を、攻め立てて泣かし、快楽の苦痛でゆがめたい
…なんて思う俺は間違いなくドSである。そんな俺の恋だった。
 人事に従事していた彼女と部署は違えど、本社勤務の彼女には毎週の定例会議で会えていたんだ。
見知った先輩を頼る気弱く心細い後輩を演じて、そのうちお茶に…そしてホテルに(妄想だから間はない)と
思っていたんだ!なのに…くそっ!上司かよ!!
 そして今日も俺は呼ぶ。平林…支店長。もちろん臨時だ。本年度人事査定委員委員長補佐と兼任だ。
 さらば俺の肉欲の恋よ。
 ああ、俺の上司はボーイッシュ…、そして鬼だった。


79俺の上司はボーイッシュ:2007/09/07(金) 02:03:26 ID:Ch/3klHa

++++++++

「椎名君さあ…海外旅行でヨーロッパとか行った事ある?」
「ないスね。貧乏なんで、うち。」
「ふーん、じゃあ向こうで牛肉とか食べてないんだ。」
「行ってないのに食えませんね。それがなにか?」
「あんまり脳みそスカスカだから狂牛病かと思った。」
「………。」 …俺の脳みそ見たんかい。
「これ、前年比と荒利計算間違い。やり直し。」
「…はい。」
「自分の書いた数字の1と7の見間違いが原因かと思われる。」
「……。」 …原因まで指摘すんな。
「ホース&ディア。」
「なんスか、それ。」
「馬鹿。」
「……。」 …オイ!つまんねえぞ!!
 
 毎日がこんな調子である。
 おい平林先輩支店長様よ。労働基準法知ってるか!?毎日9時-10時の12時間労働ってどういう了見だ!?
「朝の一時間は趣味の靴フェチタイムだろ。」…一般には品だしともいいますね支店長。
「閉店後の二時間は君の勉強会。部下思いの私は君のためにサービス残業だよ。」…頼んでねえぞ!
「昼休み一時間。」…とれたためしがねえだろが!
「ほら守れてる。大丈夫!安心して働いてくれていいよ!」
 ブラボー。なんて爽やかな笑顔だ支店長。その笑顔をひいひいと絶頂によがらせる妄想で、
今夜は一発決めてやるぜマイセルフ!
 そんなことでしか仕返し出来ない、情けない俺だぜ、どちくしょう!!

 深夜バスで家に帰ると、冷めた晩飯がおいてあったのでそれをかき込み寝るとする。風呂は朝だ。

「あ〜、疲れ果て〜〜〜…。」
 仏間に敷いたせんべい布団に体を横たえると、とたんに香る青雲の残り香。
ああ、母ちゃん、また泣いてたのか?親父が死んでもう八年になるというのに、ラブい夫婦だぜ。
片方鬼籍ってのがおしいけど。
 まあ、しかし、おかげで俺もそんな片翼を見つける事が秘かな人生の目標になっている。

「……。」

 ここで平林支店長を思い出すとは、どういうつもりだ、俺。椎名弓鷹、実はマゾか?
 
 大丈夫!と笑った笑顔を思い出す。そうだ、あれで一発抜くと誓ったんだった。なるほどそうか。
と、俺は慣れた手つきでティッシュの箱を引き寄せながら、すでに右手でしごき始めた。
 息子は既に立っていた。疲れなんとかってやつか。死ぬなよ俺。マイベターハーフが泣いちまうぜ。

「……泣くなよ、史記。」…つぶやいてみたり。
 妄想にリアル感を出すわざだい。笑うなら笑え!
 いや、違う。その泣かすじゃねえ。辱めて犯して、ひいひい言わせてだろ!?
  
80俺の上司はボーイッシュ:2007/09/07(金) 02:06:54 ID:Ch/3klHa
 
 オナニーの中盤あたりからはいつものパターン。リアル肉体の記憶をたどる。
 ああ、今日は…。
「これ、来週までね。」と自宅作業の書類の束を渡す、その憎い骨張った指にグッときた。
思わず口にくわえたくなったぜ。
「明日の取引、フェイクだから。向こうの言い分は全部通してあげて。どうせつぶれる商談だから、
良い思いさせといて次ぎにつなげよう。」などと黒いこととか言いながら、無防備に目の前を昇って行く
パンツスーツから覗く引き締まった足首。掴んで勢いよく大きく股を開かせたい。
 …の二本立て。
 それらを実行に移したら、このすました上司はどんな顔をするだろうか…。
 快楽に歪む顔を想像するつもりだったのに、なぜだ。浮かんでこない。
 その後のおれの解雇は簡単に想像出来るのだがなあ…。

 そうこうする間に俺は眠っちまったようで、朝母ちゃんに風邪をひくからパンツははいて寝ろと怒られた。
 いい歳して朝立ち見られて照れるのもなんだしと、堂々としてたら妹に吐き捨てるように
「サイテー」となじられた。お前に立ってるわけじゃねえよブス、と返してどつかれる。
 そんな、いつもの俺の朝だった。

++++++++

「ちょっと休憩にしませんか…?」

 命をかけて俺は提案した。
 レジの金額が合わないので、今夜は勉強会ではなく、マジでサービス残業だ。
 レジを触ったのは俺だけだ。
 あからさまな俺のミスに我慢を重ねてきたが、もう限界。ゴウゴウと腹は鳴り、貧血で倒れそうだった。
「その…せめて缶コーヒーとか…」
 レジのポスシステムをいじっていた平林支店長は、険しい顔をあげて俺を一瞥する。
 はいはい、やっぱりだめでしょうね…。

「チョコレートでよかったら食う?」
 そういってなんだか高そうな箱に入った銀の包みを俺に見せる。
「本社のポス、十一時で本日分の計上閉めちゃうんだ。それまでに入力し直さないとお前のミスになるから…。」
 俺が箱を受け取りぼんやりしていると、また俯いてレジに向かう。
 え?なんだって?俺のミスになるからって…何言ってんだ、もうすでに俺のミスだろう?
「あっ、やった、いいの売ってるじゃん!去年の型落ちウイングチィップ、これにしよう!」
 急に明るい声をあげ、猛烈な勢いでレジキーを操り、鼻歌でも歌いかねない様子で
ふふふん、と笑いを漏らす。唖然と立ち尽くす俺の方を振り返り、にぱっと笑って手を伸ばし、
俺の手の箱から銀の包みをひとつつまんだ。
「チョコ嫌い?おいしいんだけどな、ここの。」
81俺の上司はボーイッシュ:2007/09/07(金) 02:11:38 ID:Ch/3klHa
 レジキーを回し、締めのキーをよし、と叩いて、カタカタといつもの閉店の音をさせて
レジスターが終了の作業をはじめるのを確認すると、いそいそと銀紙を剥きビターなチョコレートを
口に放り込んだ。ん〜、たまんないね、ととろけるような顔をして、ズルズルとレジ代の床に座り込んだ。
上からの俺の視線は開衿のシャツから覗いた胸元に釘付けだ。しまった見えた。
ブラジャー深緑色ってどういう趣味だ、てか、してたんだブラ。
 俺は慌てて視線をカタカタとレジ閉め中の機械にむけ、意識をそらすと、とにかく終わったらしいことを
ようやく実感して&のため息をついた。いただきます、とつぶやいて乱暴に銀紙を剥きチョコを口に入れて
一噛み…ぶっ、これ酒じゃねえか!!

「酒なら酒と行って下さいよ!」
 溢れ出た液体にむせる俺を下から声に出して笑う支店長に、情けない声で抗議する。
ちくしょう、これでもう、せっかくの胸元を覗き見る事も出来やしねえ。今夜のセルフのために
もっと見とけばよかったと、ポケットのティッシュに汚らしくチョコを吐き出し、目を閉じる。
ああ、ヤバい、ダメかも。

「おいで、椎名君説明しよう。今私がレジにしたのは特別値引きの70%オフ入力、これの伝票を
今から書くから覚えてて。さらに今月のロス分として新作アディダスが万引きされた事にして…
ほら数字ぴったり!これで今日もばっちりパーフェクト…て、ねえ、聞いてるの?こら、椎名!新入社員!?」
 いつまでも背を向けて俯いてる俺に、立ち上がり襟首を掴みこちらを向かす。ああ、やだね、身長が同じって。
嫌だったが俺は抵抗も出来ずばっちり間近に支店長と鼻先を合わす。
さあっと支店長の顔色が変わったのがわかった。

「椎名おまえ…アルコールだめだったの?!」
「…はあ、すみませ…ん。」
 ああ、見られちまった。ゆでだこみてえな俺の顔。
「すまんはこっちだ、ごめん、今水…買ってくる!!座ってろ!!」
 支店長は脱いででレジ台に放り投げていたジャケットを掴むと、胸のポケットから財布を取り出し、
またレジ台に投げ捨てて自販機のある奥の通路に駆けて行った。
 うう〜ん、どこまでも爽やかだ。平林支店長は妹が読んでる少女漫画に出てくる素敵なヒーローに
よく似ている…などとたわけたことを思いつつ、俺はさきほどの支店長のようにずるずるとレジ台下の床に
座り込んで、いや倒れ込んだ。片やヒーロー、片や繁華街によく見る酔っぱらいゴミにを枕に転がる汚い
オヤジのような俺。情けねえ。

 みじめな気持ちでハア、と大きく息をする俺の頭にバサリとなにかかぶさり視界を暗くする。
レジ台からなにか降って来た。なんだろう、この匂い…男もののムスクと甘酸っぱい女の汗の…。
 ああ、と俺はその支店長のジャケットの上着を一瞬抱きしめ、だがすぐにアホかとまたレジ台に放り投げる。
 なにかがひらりと落ちて来た。写真だ。ぼんやりとそれを手に取り、俺は息を止めた。

 少年のように嬉しげに爽やかに笑う平林支店長…。
 …とその横で照れくさそうに支店長の腰に手を回す、神経質そうな眉毛の薄い、見知った男。
 失踪して今はいない、元上司。

 「高野さん…?」
 つぶやくと同時にがん、と頭に強い衝撃を受け、続いて肩にも、上からなにか落ちて来て
俺は慌てて頭を守るように俯いた。足下に落ちて来たミネラル水やお茶やらのペットボトルを認めて
恐る恐る振り向くと、平林支店長がさっきより青い顔で俺を見下ろしていた。
 
82俺の上司はボーイッシュ:2007/09/07(金) 02:16:42 ID:Ch/3klHa
 
 +++++++++++
 
 ショップを連ねる駅ビルの年老いた警備員が、毎晩遅くまでがんばるねえ、と声をかけにきた。
もう帰りますから、と支店長はいつものように挨拶を返し、警備員も残っているのはおたくだけだよ、
早くお帰りと、やはりいつもの返答で遠ざかって行く。ふう、と遠くでため息を聞き、俺はそれを無視して
与えられたスポーツドリンクの残りを一気に流し込んだ。配送用のエアパッキンを枕にレジ台の床に
半身を起こし気味に横たわっている。だらりと放り出した自分の脚をうつろに眺めて、
そうだと思いついて靴を脱ぐ。開放感。
 立ち仕事の疲れから無意識にその足をレジ台の内棚にひっかけると、うっ、臭いと支店長が
顔をしかめてやってきた。そうだろうが、失礼な。お前の足だって似たようなものだろうが、
いつか匂いをかいでやる。
 なんて事を俺が思ってるとも知らずに、支店長はそのまま床の俺の横に三角座りでしゃがみこむ。

「気分はどう?」
 俺はさらに楽になろうと、もつれる指でネクタイを緩めようとしていたので、逆に今は
首を絞める形になっており声が出せなかった。それをどう勘違いしたのか、支店長は俺の手を降ろさせ、
かわりにシュルっと慣れた手つきでネクタイをほどき、シャツのボタンを外して胸まで解放してくれた。
なんだ、このかいがいしさ。ときめくじゃねえか。
「ベルトもゆるめると楽になるよ。」
 言うが同時に俺の下腹に手を伸ばす。
「まっ…」た、と言おうと慌てて身を起こし俺が腰を引いたので、バランスを崩した支店長は
伸ばした手を滑らしうっかり俺の股間に触れる。あちゃー、やってもた。
「わっ!」
 驚いて手を引っ込める支店長。う〜ん、ウブい。その刺激ですみませんと頭を揺らす生き物に、
上着をかけた俺はその中で自分でベルトを外す。ちっ、そんな目で見なくてもいいじゃねえか、第一これは…。
「これは疲れなんとかってやつで、疲労時の男に時折見られる生理現象で、
ただそれだけですから気にしないで下さい。」
 呼吸が大変楽になった俺は冷静にそう伝えると大きく息を吐いて、それから
迷惑かけてすみませんとなんとか言った。
 普通に話しだした俺に少し驚きつつ、文字通り襟を正して平常心を取り戻す平林支店長である。
「いや、私こそごめん。友達にいるんだ、アルコールアレルギーのコ。大変なの知ってるのに…。」
 俺の飲みきった空のペットボトルを見て、今度はビタミン入りの水を渡してくれた。
なるほど、よくわかってる。

「勝手に椎名君はなんだかお酒が強いような気がしてて、一緒に飲んだ事もないのに、…ホントごめん。」
「いつもは…あんなたった一口ぐらいでここまでひどくはないんですが、腹減ってたし。
…あれなんスか、強い酒。」
「ブランデー。」
「ああ、大富豪がマンハッタンでガウンでぐるぐる回してるやつ。」
「なに、君のそのブランデー認識。」
 あははん、と笑いを漏らし、俺もにややんと笑顔を返したので、支店長はやっと安心したように柱にもたれた。
「よかった、業務上過失致死の罪に問われるところだった。」
 ちぇ、保身の安堵かよ。 
「サービス残業中だから業務上じゃないんじゃないスか?」
「そうだな、それもくわえて反省しよう。やりすぎた。」
 えっ?
「子孫を残さねばと、体が非常事態を訴えるほど、部下を疲弊させちゃあいかんってこと。」
 膝掛けのように股間にかぶせた俺の上着に視線を落として、声を震わせていう。
「私…いつも、こうなんだ。目先の問題に目を奪われて、自分だけの思いを押し付けて、
せき立てて…追いつめて。」
 おい、何の話だ。
「君には申し訳なかった、椎名君…ごめん。」

83俺の上司はボーイッシュ:2007/09/07(金) 02:20:50 ID:Ch/3klHa
 まぶたの裏が不愉快に熱く燃える。
 頭ががんがんするのはおそらく酒のせいだ。
 唇が何かを吐き出そうとぶるぶる震えるのも。
 ペットボトルをベコリと音をさせて握りしめて、中の液体で腹を濡らしてしまったのも、
なにやってんのとそれをハンカチでふこうとする支店長の腕をとり胸に引き寄せたのも、みんな!
 酒のせいにしていいよな!!飲ませたのは、お前だ、平林史記!!
 
「…あんたのせいだったんだ。」
 急に抱きしめられ、逃れようと暴れていた支店長の体がびくっと震えて動きを止める。
「平林先輩、あんたが高橋支店長を責めて鬱にして、失踪するしかないほど精神的に追い込んだのか!?
どうなんだ!?」
 いつも快活に眩しい光をたたえる大きなアーモンドの目を伏せたまま、柔らかい唇を
への字に噛み締めて黙っている。俺は自分でもとめられねえ、と はなからあきらめるほど
急激に頭に血が上って行くのを感じていた。

「高橋支店長、結婚してて、念願の子供も生まれたてって知ってるよな?」
 人事部勤務だ。知らない訳が無い。
「不倫かよ。」
 吐き捨てるように言った言葉に、俺自身が衝撃をうける。そうだ、不倫かよ平林先輩。
少年みたいなあんたに似合わねえな。
「奥さん妊娠中に寝取ったの?汚えな、女って。」
「違うっ、私は結婚前から…っ。」…マジかよ。
「高橋さん今どこにいるか知ってんの?まさか先輩が失踪そそのかしたんですか?」
「知らないっ、違うっ、私は…。」
「今頃首くくって死んでたりして。」

 ひっく、としゃくりあげるような声を漏らし、ぶるぶる震えだす。
 ああ、こりゃマジで知らねえな、と俺は冷たく冴えていく頭でシロを認めると
「嘘、嘘。高橋さんそんなタイプじゃないしだいじょうぶっスよ。」とうっかり優しい言葉をかけ
抱きしめててしまった。それほどに平林支店長は顔面蒼白、今にも失神しそうに息を止めて震えていたのだ。
おそらく一番恐れている事を俺が指摘してしまったのだろう。そりゃそうだ、怖えよな、自分のために
誰か死ぬなんてさ。

 半身を起こして横たわった状態のまま、胸に同じくらいの体を引き寄せて、俺はそのままでいる。
支店長は俺の横から腕を取られて、俺に体重を預ける形で胸に顔を埋め、抱きしめられたままでいる。
抱いた肩が震えており泣いているのがわかった。年下の俺に抱きしめられる屈辱より、たぶん泣き顔を
見られたくないのだろう大人しい。鬼の上司の声を殺して激情がすぎるのを待つしか無いそんな姿に、
また血が昇る。なんだそれ、似合わねえ。そんなたまかよ平林史記。

 むかついた。だから見られたくないなら、見てやる事にする。俺は自分の胸にある短い茶髪の
小さな頭をバスケ掴みで無理矢理上を向かせた。
 支店長は小さくあっと叫んで片手で顔を隠したが、その赤らんだ泣き顔は一瞬で俺の
嗜虐心に火をつけた。このやろう、むかつく。もっと泣かせてやる。
「俺が夏中一人で店に立たされ、業者に無能あつかいされたのも、同期の中でただ一人落ちこぼれたのも、
定例会議で教わっても無い年間予算の差異を攻められ次長にどやされたのも、休みもなく彼女に振られたのも、
全部あんたのせいか、支店長!!」
 最後の一つはよけいだ。これは俺がうるせえ彼女に辟易して、一方的に別れたのだが、
プライベートを台無しにされたと支店長には効果的に伝わったようだ。
俺の剣幕にひれ伏してあとからあとから涌いてくる涙をただ、拭う事に専念するしかない。

84俺の上司はボーイッシュ:2007/09/07(金) 02:24:57 ID:Ch/3klHa

「ご、ごめんなさい…っ。ごめん、椎名君…ごめんっ。」
「謝るな!!」
 俺は自分で驚くほど声を荒げた。はあはあと肩で息をする。違う、俺は別にそんな苦労をとやかく
言いたいんじゃないんだ。そもそも失踪した高野さんに何の尊敬も親愛もねえ。死んでたって何とも
思わねえ。俺が怒ってんのは…、傷ついてんのは…。
「…だから俺の上司になったんですか。高野さんの代わりに…。」
 そうだ、俺は。傷ついたんだ。この怒りは…そうか。

「人事部のくせにわざわざね…おかしいと思ったんだ。俺に仕事の基本以上のノウハウを叩き込んだり、
仕事の裏技や営業経験の実地まで、サービス残業してまで毎晩…!」
「違うんだ椎名君、それは…っ。」
「贖罪のつもりっスか!自分のせいだからって…、高野さんのせいにならないように…、
俺が高野さんを恨まねえように…!?」
 バカにすんな!と叫び睨みつけた。が、俺の顔は、女に対してビビらせようとの威嚇ですらなく、
母ちゃんひどいよ、と訴える子供の顔だったのだろうか。支店長は泣くのをやめて、あやすようにごめん、
ごめんねと俺の頭を撫で始めた。俺はかあ、と顔を赤らめてその手を振り払った。
なんだこれ、カッコ悪い。むかつく…!

「俺は…俺のためにしてくれてんだと信じてたのに…。」
 言っちまった。子供決定。年下とはいえ最低だ俺。恥ずかしくて気が狂う。
「私はただ…私で出来る事があれば何かしたくて…。」
「そうして、俺の命削るほど仕事させて?それとも面倒だからいっそつぶす気だったのかな。」
「そんなこと…ひゃっ!」
 俺は支店長の手を握り、無理矢理自分の一物を掴ませた。半分しこってるその棒状の固まりに声を上げ、
手を離そうとするのを俺の手がワシ掴んで握らし上下にしごかせる。
「やっ…椎名君…何を…っ!」
「俺たまってて昨夜抜こうとしたんだよね、こんな風に。」
 そのときはおかずにしようと想像したが浮かべなかった支店長の、驚きに歪んだ顔を眺めつつ俺は息を荒くする。
「だけど疲れすぎてしながら寝ちまって、朝母ちゃんに見られ、妹に最低っ言われたよ。」
「し…椎名君妹いるんだ…。」

 支店長は驚きにどうでも良い返答をしつつ、このおかしな事態から逃れようと体をそらし
もう一方の手を突っぱねるが、俺のもう一方は支店長の腰にぐるりと巡り離さない。
腕が長いといいよなこんなとき。
「責任とって抜いてよ、支店長。」
 ぎゅうと玉まで握らし、すっかり大きくなった俺のいちもつは、パンツを押上げテントを張って
ここにあるぜよと主張している。
 子供のようにすねた事を言っちまった自分をごまかすために、非道な事を言ってみただけのことだった。
 支店長は抵抗も忘れて体を硬直させ、張られたテントに目をやり、また目を逸らし俯いた。
「不倫者のくせにフェラも出来ねえの。」…ふん、と鼻で笑ってやった。
「…った。こんな大きいのしたことないから、自信ないけど…てみる。」
 おいおい、俺は自分で言うけど普通に普通サイズで仮性だぜ?小さいのか高野さん…て、なんだって!?
「やってみるよ。脱いで椎名君。」

++++++++++++

 皮から飛び出た俺の息子は恥ずかしながらギンギンに血管を浮かせて反り返っていた。

 あたりまえだ。かねてから憧れていた先輩が、憎い鬼上司が、ボーイッシュな平林史記が、
俺の裏筋に小さな舌を這わせている。
 俺の広げた足の間に座り込み、両手を帽の根元に添え、だらだらと潤滑油に使うために
口から涎をこぼして、それを手で伸ばしたり下で舐め広げたり、明らかに初めてではない。
わかっちゃいるがむかつくな。
85俺の上司はボーイッシュ:2007/09/07(金) 02:28:37 ID:Ch/3klHa
 ベリーショートのため邪魔するものはなく、上からの眺めは最高だった。
長いまつげを伏せ、俺のものをくわえて上下する小さな頭の向こうにパンツスーツに包まれた
意外に肉付きの良いヒップがショーツのラインを浮かべて天に突き出されていた。ハイレグだ。
裾まわりはレースかな。ブラと同じ深緑かもしれないが、下着を上下揃えで着てる女が意外に少ない事は
とっくに知っている俺だ。

「パンツスーツの時はガードル履くかタンガじゃないと。」
 俺のいらぬおせっかいに、ぱっと顔を上げ、お尻を下げると横座りで斜めからくわえる。
片方の頬にぽこっと鬼頭の形が出たり消えたりエロい。だが、やはりやりにくいのか、口を離し、
手でじょぶじょぶとしごきながらため息をついた。
「たまってるとかいうからすぐかと思ったんだけどな…。」
「俺もそう思ってましたけど…やっぱアルコールはいってるせいかな。まだまだっぽいですね。」
 俺は残念そうになんとか普通の声で言った。アルコールのせいというのは本当だった。
だが、気持ちいい。出そうにないが気持ちいいのは、この場合最高だった。残念どころかラッキーだ。

「お酒、もう気持ち悪くないならちょっと立ってくれる、椎名君。」
 俺は言われるまま立ち上がり、レジ台に腰を引っかける。屹立した息子はピンと反り返り腹を打っていた。
「…すごいね。」
 さっきより明るいところで物を見て、はずかしそうに支店長はつぶやいた。悪い気はしない。

 俺の前に跪いて、下からべろ〜と舌で舐め上げていく。凄い眺めだ。
胸からちらりと見える深緑色が気になるじゃないか。
 あぐあぐと全部を飲み込みのどをならせて、また吐き出す。一度だけではあはあと息苦しくする様子が、
返って無茶をさせたくなり、俺は支店長の頭を掴んで腰を振る。支店長はうう、とうめきながらも、
俺の腰の動きに合わせて懸命に口に含み舌を使って飲下する。
 うわ、気持ちいい…。ケツからもぞもぞと快感が上がって来て俺は思わず息をもらした。

「気持ちいい?椎名君…ん…。…あん。」
「あっ…はい…、支店長いいよ…あっ誰か来た。」
 ええっ?!と驚いて口を離した支店長の脇を掴んで持ち上げ、目を合わせてにやっと笑う。 
「嘘です。」

 もう、と開きかけた口に俺は唇をあわせた。少し俺の味がするのがおしいが、すっかりふやけて柔らかい
支店長の唇はうまかった。

「んん…っ!」
 嫌がって身をよじるが腰を抱き寄せて立ってる物を押し付ける。同じ背だが、むかつくことに
若干支店長の方が足が長い。いや、ヒールのせいだと思うとしよう。とにかくおかげで俺のは
ばっちり支店長の恥骨の下溝を捕らえて圧迫する。
「ゃ…あ…っ。」
 小さく喘いで俺の手首を掴み、離そうともがくが、もがいた分あそこが擦れて、もじっと足をすらせた。
「支店長も立ってる…?」
 俺は唇を離しきいた。
「なっ…なにがっ?無いよ立つような、そんなの…。」
「あるよ、これ…。」
 俺は腕を背中から尻の間に長く差し入れ、手のひらで股間を掴むとぐいと上に
持ち上げるようにして、そこに自分の一物をすばやく差し入れ狙いを定めて突き上げた。

「んああ…っ!」
 ちゃんとクリに命中したかな。ひくん、と身をそらせて一瞬俺の手首に爪を立てた。
のけぞるあごには歯を立てる。
「支店長、俺なんか集中しねえ、イカねえと思ったら腹減ってるんでした。」
 そのままパンツの上から二、三度腰を突き上げる。スーツごしだから遠慮なく思いっきり強く腰を振る。
「……っ…なら、…やめて…なんか食べに…っ…あっ!」
「食うよ。」
86俺の上司はボーイッシュ:2007/09/07(金) 02:33:45 ID:Ch/3klHa

 俺はそのままレジの台上に支店長を押し倒し、ふたたび唇を奪いつつ、
素早く支店長のスーツのパンツのファスナーを下げる。女物のベルトなしのパンツは
腰に引っ掛けてはくタイプで、ホックをはずしたらストンと落ちた。
 んん、と身を反らすのを開いた両手で押さえ込み、舌を差し入れ口中を侵す。
 同時に今度は薄いショーツ越しに肉茎を擦り上げる。重ねた口の奥からくぐもった声があがり、
俺のはクリをちゃんととらえているようだ。そのまま腰を振りながら、何度か吸い上げた後、
唇を離し顔を見た。
 支店長は涙で潤んだ大きな目を細めて俺を見上げた。

「…椎名君…怒ってるの?」
 今頃気づいたか、バカヤロウ。
「気にしないで下さい。勝手に幻滅してるだけですから。」
 言いながらショーツに手をかけ下ろそうとするのを、無言で嫌だと目で訴えて首を振る。
「…いいですけど別に下ろさなくても。」

 俺はさっきまで攻めていたクリトリスの上に自分の恥骨をあてがい、位置を確認して片手で
ハイレグショーツの股の部分をずらしていきなりズブリと差し入れた。
「あっ、は……っっ…!」
 濡れてはいたがまだきつい、支店長の中に浅くピストンしながら入って行く。
 支店長は痛いのか眉を寄せ、手でレジ台の端を握り腰を浮かせた。
 足下にはまだスーツのパンツがからんでおり、足は肩幅以上に開かない。俺は浮いた腰の下に
両手を差し入れ、手のひらで尻肉をもみかける。
 たまらなかった。肉は手のひらに吸い付いて、しかも張りがある。なにかスポーツでも
していたような臀筋を、後ろから眺めながら攻め立てたい欲求を抑えて、俺は尻肉を掴み
自分の腰に打ち付けるようにグイと最奥まで突き入れた。

「あっあああっ。」
 支店長は肩をすくめて戦慄くと、そのままきゅうっと、膣奥を締め、俺はその位置で抜き差しをせず、
入れたままただ腰を揺らした。
 硬く目を閉じた支店長が時々ああ、と声を漏らし目をしばたたかさせて、首を振る。
 つながった陰茎の付け根が熱く、濡れてきているのを感じて俺は笑った。
「イイんだ…、支店長。」
 返事の代わりに中が締まる。
「上司を犯すなんて、やっぱクビかな…俺。」
 支店長は驚いたように半身を持ち上げこちらを見た。
 開衿のカラーシャツが乱れて深緑のブラのひもを見せていた。
 ああ、そういえば下のパンツは何色だったんだろう、見てねえや。
 おっぱいも、大きさは期待はしてないけど、見てみたかった。
 バカだな俺、もうもたねえ。

「支店長…いや、平林先輩…。」
 …史記。と心の中で呼んで、俺は自分の顔が快楽に歪むのを自覚した。ミイラとりがミイラかよ、俺のバカ。
「…好きでした。」
 掠れる声で言って、そのまま口づけた。同時に猛烈なピストンで最奥を抉る。

「………っんん---…っ!」

 支店長の腕が首に回り声を出すまいと口づけたまましがみつく。
 べろべろと、舌を繰り重ねる気持ちよさと、打ちつける腰から熱く砕けるような快感が俺を占め、
体が命ずるままに腰をかき抱いて最奥で果てた。どくん、どくん、と射精は何度も続き、
熱い白濁の液が少しずつ陰茎を伝って根元に染みてくる。最後にもう一度と一突きしたと同時に膣口から、
捻るように中が締まりビクビクと痙攣した。

 ああ、俺イカせられたのか…?快楽に歪む顔が見たい…史記…。

 だが俺も射精の気持ちよさに目を閉じたまま、ひくつく支店長の中の余韻を味わうために動けない。
 重ねたままの唇が快楽に震えるのがたまらなくて、無意識に何度も口づけ続けた。

87俺の上司はボーイッシュ:2007/09/07(金) 02:40:32 ID:Ch/3klHa

++++++++++
 
「馬鹿…中にあんなに…。ゴムくらいする余裕はなかったの?最低だな、椎名君。」

 俺を我に返らせたそのつぶやきは、もう乱れた声でもなく、ただ時々ふう、と息を整えるだけの
いつもの支店長だった。
「明日、避妊薬もらいに病院寄ってから出社するから、午前は一人でがんばってね。
あっ費用は半分出してよ、君も。」

 呆然としつつ、中の息子が急速に縮んでいくのに気づきあわててティッシュ…が間に合わず、
俺は自分の上着にこぼした。
 あ〜あ、とレジ台の上からいつもの少年の笑顔で俺に笑いかけた。見るとショーツも同じ深緑色だった。
 その股の間から俺の出した欲望の糟がどろりと垂れたが、その爽やかさは変わらずそこにあった。
ほっとした。そしてぎゅうと、なにかが俺の胸を締め付けて泣きたくなった。

 俺の上司はボーイッシュ。犯されても、ボーイッシュ。
 幻滅…すればよかった。エバーグリーン…深緑。ホース&ディアー。馬鹿な俺。
 自分だけの女にしたいと今更思ったところで、しでかした過ちは変わらない。

 ただ俺の肉欲の恋は肉欲を充たし、充たし足りずに切ない片思いに変わった。


                              第一話終わり+++++

                                
88名無しさん@ピンキー:2007/09/07(金) 10:28:52 ID:jgBWe3lw
>>78-87

GJ!
俺のツボにハマりまくり
クレクレは失礼なのを承知の上で「第一話終わり」という終わり方に第2話以降を期待してしまう。
89名無しさん@ピンキー:2007/09/07(金) 12:45:35 ID:3hJBihuD
平林支店長、エロスGJ
でも避妊薬って…後から効くのか?
90名無しさん@ピンキー:2007/09/07(金) 12:55:25 ID:PS/V/3wp
>>89

つ[アフターピル]
91名無しさん@ピンキー:2007/09/07(金) 13:08:13 ID:uTudUVU8
ボーイッシュ上司と主人公、キャラの相性よさそうだし
できれば、上手くいくとこまで見たいな。
つか、ここまでだと切なすぎる…それはそれで良いんだが。
92名無しさん@ピンキー:2007/09/08(土) 01:39:52 ID:HUmgkE7A
GJだこんにゃろ。先が楽しみで仕方ないぜ。

…ところで「ヅカ」と書くものだとばかり思ってた。
93名無しさん@ピンキー:2007/09/08(土) 05:33:22 ID:bzl9YDcX
宝塚なんだからヅカで正解じゃね
94名無しさん@ピンキー:2007/09/08(土) 20:40:14 ID:+uqFZTz0
GJ

平林さんの名前の読み方がわからない俺は
ホース&ディア
95名無しさん@ピンキー:2007/09/08(土) 22:27:29 ID:U/4/7Mu0
ヒラリン
96名無しさん@ピンキー:2007/09/09(日) 15:15:40 ID:RjAOGUDY
カワユス



普通にひらばやしじゃね?
97名無しさん@ピンキー:2007/09/09(日) 17:26:08 ID:/KvoMoMh
たいらばやしかひらりんか
98名無しさん@ピンキー:2007/09/09(日) 19:36:58 ID:MI2IndST
平林(ひらばやし)
史記←これは?
99名無しさん@ピンキー:2007/09/09(日) 20:36:57 ID:eXTx+s4W
フミノリ


名前もボーイッシュだ
100名無しさん@ピンキー:2007/09/09(日) 20:54:37 ID:00Vdtc0R
しき、
じゃないのか!
101名無しさん@ピンキー:2007/09/09(日) 23:02:58 ID:sd7OHlCk
誰も高橋さんには突っ込まないのか・・・・・・
102690:2007/09/10(月) 04:26:31 ID:vTUZen68
傭兵パン屋物
3P


「――本当にここでいいの?」
 残念そうな、寂しそうな、そんなエリーの言葉に頷いて、クロルは紙袋を片手に車を降りた。
 パン屋リーベルタースの前である。
「荷物は明日取りに行くよ。送ってくれてありがとう」
「ずっといてくれてもいいのに」
「またこんど、家出した時にお願いする」
 に、と悪戯っぽく笑う。
 するとエリーもくすくすと面白がるように微笑んで、また明日ね、と手を振った。
 ルーベルがこちらを見ようとしないのが多少引っかかるが、あえて指摘せずに送り出す。
「――さてと」
 階段の上の我が家を睨み、クロルはふぅ、と一つ溜息を吐いた。

 その、見上げた先にある窓の向こうである。
 ヴィクターはクロルの帰宅に喜んでいいのやら、尾行がばれて怒られる事に怯えればいいの
やら自分の行動を決定できず、ただおろおろと迫り来るクロルの足音に狼狽える事しかできな
かった。
 少し落ち着けとウィルトスは言うが、落ち着こうにもどんな表情をすればいいのかも分からない。
 狼狽えてうちに足音が階段を上りきって玄関の鍵を開け――そしてヴィクター達のいる居間
と廊下を隔てるドアの前で立ち止まった。
 すりガラスの向こうに、見慣れた小柄な影が見る。
 ウィルトスは神妙な表情でじっと組んだ両手を睨んだまま動かない。
 瞬間――。
「ヴィクタァアァ!」
 叩き壊さんばかりの勢いでドアが蹴り開けられた。
 殺意さえ篭った声色で名を呼ばれ、思わず新兵のように背筋が伸びる。
「今日、街で僕の援護しただろ。どういうつもりか説明してもらおうか」
 とぼける――という選択肢が一瞬頭に浮かんだが、ヴィクターはすぐさまその行動の愚かさ
に気付いてその選択肢を排除した。
 例えヴィクターがとぼけても、ウィルトスが平然と認めてしまうに違いない。
 しかしそれでも――。
「な……なんで俺が投げたって……」
「ヴィクター!」
「わかった! 俺が投げた! 俺がやった! いや、あのな、お前がちゃんと、一人で勝てるっ
てのは分かってたんだよ。でもな、ほら、あいつ顔、狙ってたしな……お前殴らせるつもりだ
ったみてぇだし……」
 尾行がばれますよ――とウィルトスは言ったが、とても我慢する事など出来なかった。
 守れる範囲にいるクロルを、保身のために守らずにいるなど耐えられるわけがない。
 ヴィクターに忠告しながら自身は銃を抜いていたのを考えると、それはウィルトスも同じだ
ったようである。
「どうして尾行したの?」
 間髪いれずにクロルが聞く。
「それは……よ、様子を見て……あ、謝りに行くタイミングを……」
「謝るつもりだったんだ? どうして?」
「だから、お、おまえがいやだって言うのに、む、無理やり、あんな事して……」
「悪いと思ってるんだ」
「そりゃあ……」
「どうして?」
「ど、どうしってって……そりゃ、お前が出て行く程怒ったから……」
103690:2007/09/10(月) 04:27:05 ID:vTUZen68
「どうして怒ったと思うの?」
「だ……だから昨日の――」
「つまり状況と結果から原因は推測できても、どうして僕が怒った理由はわからないと」
 最早、ヴィクターにはクロルが何を言っているかも理解出来ていなかった。
 ウィルトスは沈黙を貫き、未だに身じろぎ一つしない。
 どうすればいいか分からずに狼狽えるヴィクターを前に、クロルは見る見る表情を険しくさ
せて何かに堪えるように俯いた。
「僕はねヴィクター……君達より弱いんだよ。力ずくでこられたら、どうあがいたって敵わな
い。それを二人がかりでこられたら、より一層絶望的なんだよ」
 震える声で、クロルがごく静かに怒鳴る。
 それなのに――とクロルが消え入りそうな声をだす。
 瞬間、クロルは爆発した。
「それなのに僕の意思を無視して、僕の言葉を無視して、君たちがしたいように僕の体を使う
だけなら、僕はただの君達の玩具だろうって言ってんだよ! 殴られようが縛られようが野菜
突っ込まれようが僕はそれ程応えないよ! あぁ、どうせ元々そういう任務についてたからね!」
 野菜――? いや、聞かなかったことにしよう。
「同意を得ろって言ってるんだよ! 本気で嫌がってるかどうかくらい分かるようになれって
言ってるんだ! 僕に意思があることを忘れて僕を人形みたいに扱うなって言ってんだよこの
ド低脳が! 分かったら歯ぁ食いしばれえぇえぇ!」
 歯を食いしばる時間的余裕が、果たしてあっただろうか。
 ご、と耳の奥で鈍い音がして、骨ごと脳が揺さぶられる。
 どこから出したか重たい陶器の灰皿で横っ面を殴られて、ヴィクターは一瞬揺らいだ視界に
たたらをふんだ。
 その耳に、クロルのドスのきいた怒声が響く。
「ウィルトォオオオス! 何か僕に言う事はないのかぁぁぁ!」
「反省してます。ごめんなさいクロルさん」
 間髪いれずにウィルトスがよどみなく答えた。
 一瞬の沈黙が走る。
「――ならよし。許します」
「ちょっと待て! なんだそりゃずるいだろうが!」
 明らかにえこひいきである。
 ヴィクターが痛そうに顔を抑えながら不満を叫ぶと、クロルが面倒くさそうに振り向きなが
らひびの入った灰皿をゴミ箱に放り捨てた。
「なんだようるさいな。文句でもあるの?」
「なんで俺だけ殴るんだよ! おっさんも殴れよ不公平だろう! つーか首謀者あっちだろう!」
「ウィルトスも一回殴ったじゃないか」
 灰皿でか? 灰皿で思いっきり殴ったか? とどんなに言い募ってみても、クロルが取り合
ってくれる様子は無い。
「すこーしスッキリしたかな。うん」
 などと言いながら、実に飄々としたものである。
「クロルさん」
「なんですか?」
 ウィルトスの呼びかけに、クロルがややつっけんどんに答える。
「戻ってきてくれてありがとう」
 ウィルトスの笑顔にう、とクロルが言葉を詰めて、いや、まぁ、僕も少し感情的になりすぎ
たから――と照れくさそうに視線を反らす。
「あの……昨日、大っ嫌いって、言ったの……う、嘘ですから……」
「大丈夫。わかってますよ」
 なんだこの、恋人同士の痴話げんかの後の仲直りのような甘ったるい雰囲気は。
 うらやま――いや薄ら寒い。
104690:2007/09/10(月) 04:27:39 ID:vTUZen68
 二人の間に流れる空気に決して無視できないレベルの疎外感を覚えて憮然とし、ふと、ヴィ
クターは開けっ放しのドアの向こうに放置されている紙袋を見つけて拾い上げた。
「――クロル。おまえ、エリーの荷物持って帰ってきてねぇか?」
「え――?」
 袋の中を覗き込み、ひらひらの黒いワンピースを広げてみせる。
 振り返った瞬間、クロルがさっと顔色を変えてワンピースをひったくった。
「なに勝手に見てるんだよ馬鹿! 信じらんない! さいってーだな!」
「な――だ、だっておまえ、置いてあったら見るだろ普通! 俺はただ、おまえがこれ間違え
て持って帰ってきたんじゃないかって――!」
「いえ、それはないでしょう。明らかにクロルさんのサイズです」
 いつの間にかクロルの背後に立っていたウィルトスが、ワンピースからぶら下がっている正
札をひょいとつまんで覗き込む。
 クロルが悲鳴を上げて飛びのくと、ウィルトスがははぁ、とわざとらしく顎を撫でた。
「さては押し付けられましたね」
「ち、ちが……これは、こんど、エリーに返すん……」
「さすがに、これをエリーさんが着られるとは思えませんが……」
 胸囲が絶望的に違います、とウィルトスが申し訳なさそうにクロルを見る。
「ブーツとストッキングもある――なんだこれ。ガーターベルト?」
 袋の中から黒いピンヒールブーツとガータストッキングを取り出して見せると、クロルはパ
クパクと口を閉じたり開いたりした挙句、ただ一言、
「……着ないからな」
 とだけ宣言した。
「着ないんですか?」
 ウィルトスが問いかける。
「似合いませんから……」
「そうでしょうか?」
「似合わなかったんです!」
 クロルが自信をもって断言する。
 ふと、疑問に思うことがあった。
「じゃあおまえ――それ、試着したのか?」
「……ううん。まさか。着てないよ。袖も通してない」
 クロルがふるふると首を振る。
 肝心な時に嘘の下手な女である。
 それならばあの男――確かルーベルと言ったか――クロルとエリーの買い物に付き合ってい
たあの男は、クロルのその姿を見たかもしれない。
「ルーベルは……」
 ひ、とクロルが引きつったような悲鳴を上げ、青い顔で一歩後退った。
「見たのか?」
「み、見てない……見てないよ! 見られてない!」
「そうか……見たのか」
「なんてうらやましい……許せません」
 すぅ、とウィルトスが目を細める。
「まてまてまてまて! 待って! ちょっと! 二人とも危ない! 思考回路が危ない方向に
向かってる! まさかルーベルをどうこうしようとか――」
「よし。ちょっとぶっ殺――」
「やめろぉお! ああもう! わかったよ! 着る! 着ればいいんだろ着て見せればいいんだろ!」
 玄関に向かって一歩足を踏み出すと、クロルが半ば自棄になって絶叫した。
 涙目である。
「もう! なんだよもう! 最悪だよ! 最低だよ!」
 きぃきぃと怒りながら、クロルがヴィクターからブーツとストッキングを奪い取る。
 ああ、それも着るのか。完璧主義だな。と、喉まで出かけたがやめておいた。
「嫉妬深い男に愛されると苦労しますね」
 ははは、とウィルトスが笑う。
105690:2007/09/10(月) 04:28:19 ID:vTUZen68
「同情するぜ。それ以上の事はしねぇけど」
 やっぱり二人とも大っ嫌いだと捨て台詞を残し、クロルは服を一式抱えてバスルームへと引
っ込んだ。

             ***

「卑怯だよ二人とも――なんだよ、結局僕は二人のおもちゃかよ」
 ぶうぶうと文句を言いながら服を脱ぎ捨て、頭から熱湯のようなシャワーを被る。
 結局反省なんかしてないんじゃないかとか、なんで僕がこんな目に、とか文句は後から後か
ら出てくるが、クロルは最終的にがっくりと肩を落とし、たっぷりと泡立てたボディーソープ
でごしごしと全身を洗い上げた。
 三人の男を殴り倒した体が疲れてだるい。
 髪の一筋まですっかり洗い上げてからバスタブに湯を張って、クロルは時間稼ぎのように肩
まで湯が満ちるのを待った。
 筋肉をやわやわと揉み解し、ぐったりと頭を反らす。
「もう……もう!」
 どうせ似合わないのに。
 ヴィクターに笑われるのに。
「だってレースだよ……! レース! ふりふりの! リボンたっぷりの! やだやだやだや
だ着たくない!」
 着たくないよぉー、と湯船に顔をつけて絶叫する。
 うう、と呻いて水面から顔を上げ、クロルは呻き声を上げながら悶絶した。
「……くそ! 本当に嫌なんだからな! 死ぬほど嫌なんだからな! なのに着てやるんだからな!」
 喜ばなかったら一生エリーのところに住んでやるんだからな、と心の中で絶叫し、クロルは
勢いに任せて湯船を飛び出した。

 髪をドライヤーで乾かして丁寧にクシをいれ、説明書を読みながら黒いガーターベルトを腰
に巻き、太腿まである厚手のストッキングを固定する。
「下着は後なんだ――あぁ、トイレね」
 妙に納得しながらガーターと同一デザインの下着を身に着ける。
 実際に一式身に着けてみるとよく分かるが、黒いリボンとレースの愛らしい、妖艶というよ
りは可愛らしい印象を与えるデザインだ。
「……死にたい」
 印象としてはその一言が全てである。
 そそくさとワンピースを着込んで器用に背中のファスナーを上げ、首にリボンを巻きつける。
試着した時は無かったはずだが、手首の部分を大きなリボンで飾りつけた手袋までそろっている。
 最後に非常に歩きにくいピンヒールの編み上げブーツに足をいれ、クロルは昨晩と同じよう
に鏡の前に立ってみてすぐに離れた。
 あまり見ていたい物ではない。
 蛇腹カーテンを押しのけて廊下にで、かつかつと足音を慣らして居間へと向かう。
 返ってきた時と同様に乱暴にドアを蹴り開けると、この上ない沈黙が不機嫌顔のクロルを出迎えた。
「――何?」
 ウィルトスとヴィクターの間抜け顔である。
「……殺してやる」
「は――?」
 不意にヴィクターが低く呻き、ゆらりとクロルに背を向けた。
「あの餓鬼ぜってぇ許さねぇ! 見るだけで大罪だ! 素手で目玉抉り出してたっぷりと時間
をかけてあの世に送ってやる!」
「ちょ――っと待てぇ! なに血迷ってるんだよ落ち着けって! ヴィクター! ヴィクター!」
106690:2007/09/10(月) 04:28:57 ID:vTUZen68
 走り出そうとするヴィクターの腰に追いすがり、ずるずると引きずられながら必死に叫ぶ。
「ウィルトス! ウィル! ウィール! ぼんやりしてないでヴィクター止めてください! 
ルーベルが殺される!」
 これは本気だ。ヴィクターは本気でルーベルの目を抉り出し、エリーの目の前でそれを食う
に違いない。
 そんな大惨事を見過ごすわけにはいかない。
 なんとしても止めなければ。
「落ち着けって――」
 カカン、とピンヒールが床を叩く音が小気味よく響く。
「言ってんだろうがこの短絡思考!」
 あぁ、スカートって意外に足上がるんだな、と妙な感心が頭に浮かんだ。
 硬く尖ったブーツの先端が深々と鳩尾に埋まり、軽くえずいてヴィクターがよろける。
 下がった顔面目がけて更に足を振り上げると、ぱしん、と音がしてクロルの足が空中で制止した。
 バランスの悪いピンヒールで、軸足がよろける。
「うわ――わ、うわ!」
 転ぶ――と思って衝撃を覚悟したクロルの背を、鮮やかに抱きとめる腕があった。
 ヴィクターは鳩尾を押さえてうずくまっている。
「ウィル――」
「だめですよクロルさん。さすがにピンヒールで顔面を狙っては――少し狙いがそれるとヴィ
クター君が失明します」
 片手でクロルの足を捕らえ、片手でクロルの背を支えながら、ウィルトスがたしなめるよう
にクロルを見た。
 その、捕らえられた足のかかとで、細く伸びたヒールが光る――なる程、誤って目に直撃し
たら確実に失明である。
「すいません……つい」
「効いた……今の鳩尾は効いた……」
 苦しげにヴィクターが呻く。
 ピンヒールブーツ――なかなかに凶器である。
「……感慨深い」
「はい?」
「ヴィクター君がルーベル君を殺しに行くなら、僕はその間一人でクロルさんと遊びます。ど
うぞ止めないので行ってきてください」
「普通にダメに決まってんでしょう止めてくださいよ!」
「――まぁ、殺すのは明日でも……」
「明日でも今日でも殺しちゃダメに決まってんだろ!? なんなの君たち! 昔からそんな性
格だったっけ!?」
 まぁまぁそう興奮しないでと言いながら、ウィルトスがクロルを抱え上げる。
「ヴィクター君。クロルさんの部屋にあるあれ、もってきてください。僕は紅茶の用意です」
 あぁ、あれな、とヴィクターが頷いてばたばたと去って行く。
 クロルさんはここで大人しくしててくださいね、とクロルをソファに放置して、ウィルトス
は台所へと消えていった。
 まだ脱いだらだめですよ、と釘を刺す辺りが抜け目ない。
「……なんなの?」
 全く意味が分からなかった。
 何が悲しくてこんな恥ずかしい格好のままぼんやりと座ってなければならんのか――。
「クロル」
 背後からヴィクターの声が飛ぶ。
 戻ってきたのか。早いな。で、あれってなに? と様々な思いを胸に振り向いたクロルに向
かって、ヴィクターが何かを放った。
 反射的に受け取ってそれが何か確認し、ますます意味が分からず顔を顰める。
107690:2007/09/10(月) 04:29:31 ID:vTUZen68
「ぬいぐるみ……?」
「……いい」
 ぐっとヴィクターが拳を握り締める。
 何が――? とクロルが口を開きかけると、丁度ウィルトスがティーセットを運んできて、
テーブルに紅茶が並べられた。
 甘いアップルティーの香りがする。
 さぁどうぞ、と勧められるままにティーカップを傾けると、ウィルトスとヴィクターは離れ
た所からクロルを眺め、なぜか硬く握手を交わして満足げに頷きあった。
 ――不気味である。
「十六――と言われても信じますね」
「二十三――とは思わねぇな」
「ぬいぐるみで囲みたいですね」
「不機嫌そうな顔が逆にたまんねぇな」
「こうなると猫耳が欲しくなってくるなぁ」
「尻尾もな」
「肉球手袋なるものを先日カタログで見ましたが」
「鈴付きの首輪……」
「なんだか身の危険を感じ始めたので着替えてきます」
 言い捨てて立ち上がると、二人揃って子供のように文句を言う。
「想像するだけならいいじゃねぇか!」
「そうです。ささやかな男の夢を奪うのはよくありません」
「その想像を実行に移さないって誓えるんですか?」
 沈黙である。
「着替えてきます」
「待て! じゃあ最後にひとつだけ頼みを……!」
 はっしとヴィクターが立ち去ろうとするクロルの腕をつかむ。
「なんだよもう! 鬱陶しいなぁ!」
「一回だけキスさせてくれ。一回だけ!」
「そんなのいつだってしてるだろ!」
「馬鹿! 今のおまえはいつものおまえじゃねぇんだよ! 頼む! だめならせめて抱きしめ
させろ!」
 なんだこの薄ら寒い要求は。
 難易度が低すぎて逆に気持ちが悪い。
 まだやらせろと言われた方がスッキリすると言うものだ。
「……じゃあ、ほら」
 抱きしめるなりキスするなりお好きにどうぞ、と体を開く。
 途端にぎゅぅ、と力いっぱい抱きしめられて、クロルは思わず声を出して驚いた。
「な……なんだよ。そんなにこの服が気に入ったわけ?」
「それは違う。その服を着ているクロルさんがいいのであって、他の誰がそれを着ていても僕
達は見向きもしません」
 そういった服装のお嬢さんは毎日飽きるほど見ていますしね、とウィルトスが笑う。
 そうか――そんなに気に入ったのなら、まぁ、我慢した甲斐もある。
「可愛いですね。キスしてください」
「え――ちょ、ま――ッ」
 ぎょっとして制止する前に、背後から抱き込むように顎を捉えられて唇を塞がれる。
 あ、とヴィクターが不満そうな声を上げた。
 くちゅ、と音を立てて唇を離し、ウィルトスが満足そうに笑う。
「クロル。俺も」
「え……え?」
「順番ですよヴィクター君。今度は僕がハグするばんだ」
 言うなりウィルトスに後ろから抱きすくめられ、ヴィクターに唇を塞がれる。
 ウィルトスが楽しげに肩を揺らしながら、クロルの無防備な首筋についばむように唇を落とした。
108690:2007/09/10(月) 04:30:12 ID:vTUZen68
 それがくすぐったくて身を捩ると、今度は耳たぶを甘噛みされる。
 たまらず、ぬいぐるみを抱える手に力がこもった。
 ヴィクターの舌がその先の行為を想像させる色気を含み、ねっとりと口腔をねぶる。
 かたかたと足が震えた。ピンヒールのブーツは慣れなくて、少し気を抜くとバランスを崩し
そうになる。ウィルトスに抱きとめられていなかったら、あるいはとっくに転んでいるかもしれない。
「ん……んん……」
 ヴィクターの舌先がちろちろと上顎をくすぐり、舌を絡め取ってちゅうちゅうと吸う。
 ぴくん、と肩が震えるのを意識した。
 ただ腰に回されているだけのウィルトスの腕が、妙にもどかしく思える。
「――なんだか、とても“悪い事”をしてる気分になりますねぇ」
 くすくすと、楽しそうにウィルトスが笑った。
 悪い事って――別に何も悪い事なんてないだろう。
 そりゃあ、ウィルトスの前でヴィクターとキスすることは少ないし、その逆なんてもっと無
い。珍しい事はしているかもしれないが――。
「どこかのお嬢さんをさらってきて、手篭めにしようとしてるみたいです」
 水っぽい音を立ててヴィクターの唇が離れ、とろりと唾液が糸を引く。
 ぼんやりとその様を見つめながら、クロルは自分がいつの間にか完全にウィルトスに体重を
預けている事に気が付いた。
 ヴィクターがすっと体を離し、あ、と呟いて、クロルは無意識にその服を掴んでいた。
「やだ、もっと……」
 ――うわ、何言ってるんだ僕。
「もっと、ちゃんと……」
 ヴィクターがぎょっとしたようにクロルを見下ろし、ウィルトスと顔を見合わせる。
 そしてりがりと髪を掻き乱し、
「だめだ。触りたくて集中できねえ」
 しがみ付いていたクロルの指を振りほどき、そっぽを向いてクロルの求めを拒絶した。
 そんな、と思った。
 もっと――もっと気持ちよくなりたいのに。
「キスだけって約束ですからねぇ」
 僕はこうしてるだけで満足です、とウィルトスが腕に力を込める。
 枯れてるんじゃねぇのか、おっさん――というヴィクターの悪態も何処吹く風である。
「……別に、ちょっとなら触ってもいいのに……」
 満足しないまま唐突に突き放されて、クロルはウィルトスの唇を肩口に受けながら少し拗ね
たような口調で呟いた。
 その言葉に、ぴたりと二人の動きが止まる。
 何かまずい事を言っただろうか。しかし別に、触る事を禁止した覚えはない。
「……いいのか?」
「別に、触っちゃだめなんて一言も言ってない」
「じゃあ、触ってもいいんですね?」
 なぜ、こんなに念を押して聞くような事をするのだろう。
「っていうか、ウィルトスなんて現在進行形で触ってるし……」
「これは触ってるんじゃありません。抱きしめてるんです」
「はぁ……じゃあ触るとどうなるんですか?」
「触っていいんですね?」
「――いいですよ、別に」
 瞬間、再びウィルトスがクロルの体を抱え上げ、今度はクロルを抱いた状態のままドサリと
ソファに腰を降ろした。
 ヴィクターが蹴るようにしてその正面のテーブルを移動させ、クロルの正面の床に膝を付く。
「なに? なになに! なんなの一体どういうこと? ちょっと、なんでただ触るだけでこん
な状況に――!」
「クロル。キスしていいか?」
 するりとスカートの中にヴィクターの手が滑りこみ、円を描くようにしてクロルの皮膚を撫
でさすった。
109690:2007/09/10(月) 04:30:46 ID:vTUZen68
 混乱して拒絶も許可も出来ずにいると、焦れたヴィクターに唇を奪われる。
 服の上からウィルトスが胸に触れ、クロルはぎょっとしてじたばたと手足を振り回した。
 ふにふにと、小さな膨らみを包み込むようにウィルトスの手が動く。
 服の胸部に小さなパットが入っているためそれ程大きな刺激では無いが、それが逆にもどかしい。
 ヴィクターの指先が足の付け根をくすぐり、ストッキングの上から丁寧にふくらはぎまでの
ラインをなぞる。
 ぞくぞくと這い上がってくるねっとりとした情欲に、クロルはヴィクターから唇を離してい
やいやと首を振った。
「嘘吐き! 嘘吐き嘘吐き! ただ触るだけって……い、言ったじゃないかぁ!」
「はい。ですから、ただ触っているだけです」
 まだ舐めてもいないでしょう? とウィルトスが確認するように言う。
 そして、
「嫌ですか? 気持ちよくない?」
 と、甘ったるい声で囁いた。
 ヴィクターの唇がストッキングに覆われたクロルの膝に落ち、ふくらはぎや真新しい靴にま
で丹念に押し付けられる。
 ウィルトスの指先は強引で無遠慮な物ではなく、あくまでやんわりと服の上から穏やかな刺
激を与える程度の物だった。
「嫌なら、はっきりそう言って。ちゃんとやめます。僕達は君を苛めて興奮する変態ですが、
決して君を傷つけたいわけじゃない」
 どうして欲しいか言ってください、と耳元で舐めるように囁かれ、クロルはふるふると全身
を震わせて唇を噛んだ。
「ずるい……よ、こんなの……ずるい、ずるい……!」
 ウィルトスの指が、ヴィクターの唇が、気持ちよくないはずがないではないか。
 これを拒絶するなんて出来るはずがないのに、このまま体を任せては押さえが利かなくなる
のは目に見えている。
「クロル……おい、泣くなよ。我慢できなくなっちまう」
「泣かしてんのはそっちじゃないか! なんだよ、もう! あぁ、くそ……!」
 もっと――もっとちゃんと――。
「もっとちゃんと……さ、触って……じ、焦らさないでよぉ……」
 くすり――とウィルトスが笑った。
「――だそうです。許しが出ました」
 あぁ、くそ。またこの人の思う壺かよ。
 思った瞬間、するりと胸元に滑りこんできたウィルトスの指と、下着の上から押し付けるよ
うに這わされたヴィクターの舌の感触に、クロルは歓喜の悲鳴を上げた。
「んんッ――あ、あぁ! そ、それ……そこ、そ、こぉ……! ヴィク――はッ……ぁ」
 くりくりと乳首を転がされ、首筋にウィルトスの唇が吸い付いていくつも赤い痕を付ける。
 ヴィクターの舌が薄い布越しにこりこりと快楽の中心を刺激して、下着の下にもぐらせた無
骨な指でとめどなく蜜をたらす媚肉をかき回した。
 一瞬だった。
 驚くほどあっけなく絶頂が訪れて、クロルは悲鳴の様な声を上げてウィルトスの腕の中で仰
け反った。
 その悲鳴を奪うようにウィルトスに唇を奪われて、離れた瞬間今度はヴィクターに唇を押し
付けられる。
 もう、クロルには誰に何をされているのか分からなくなりつつあった。
 まぐれ上がったスカートの下に、ぐっしょりと濡れた黒い下着と、留め金が片方外れてしま
ったガーターベルトが見える。
 脱がすぞ――と言われてするすると下着を取り払われ、クロルは真っ赤になってその様子か
ら顔を逸らした。
「エリーさんに何かプレゼントを贈りたい気分ですね」
「ルーベルをなぶり殺しにしたくなってくるな……」
 相変わらず、不穏な発言を飛び交わせる二人である。
 ヴィクターの指が、今度は中には入れられず、焦らすように入り口のあたりを擦り上げた。
 時々いたずらに、赤く充血した小さな突起を指の腹で押しつぶす。
 口の中に侵入してきた指は、ウィルトスの物だろうか? 
 いつの間にか露出させられた小さな胸の膨らみにしゃぶりついているのは誰なのか。
「クロルさん。力を抜いててくださいね」
110690:2007/09/10(月) 04:31:23 ID:vTUZen68
「ぇあ――?」
 ずるり、と口から指が引き抜かれ、ウィルトスの指がとろとろと溢れ出るクロルの愛液を掬
い取る。
 そしてそのまま、つぷり、と後ろの穴にほっそりとした指を突き入れた。
「ひッ――ぁ、あぁ、や……! だ、だめ、だめだ! そっちはだめ――!」
 ひゃぁん、と、甘ったれた声がこぼれ、クロルはいやいやと首を振った。
 中にぐにぐにとウィルトスの指が動き、制止を無視して二本目の指があっけなく飲み込まれる。
「や……や、や……」
「すげぇ溢れてくる――おまえ、ケツで感じられるのか」
「違うよ! これは、ちが、ちがう……ちがう!」
「ここだけの話ですが――」
 ふふふ、とウィルトスが自慢げに笑い、ぐいと中で指を折り曲げる。
 びくりと全身を仰け反らせ、クロルは必死にウィルトスに懇願した。
「だめ! だめ、やだ! 言わないで、言わないで、いわない――!」
「訓練生時代に僕が教えました。――本来の穴よりもこちらの方が好みだった時期もあります」
 かぁぁ、と全身に血がめぐるのを意識して、クロルは声を上げて泣き出した。
「なんで、そんな、言うんだよぉ……! ひどいよ、ひど……ッ」
「今更隠し事もないでしょう。それとも、ヴィクター君に知られると何か不都合でも?」
 かぷりと、ウィルトスがクロルの耳たぶに歯を立てる。
 そして一瞬クロルの体を持ち上げて――すっかりと出来上がっていた自身を押し広げた菊門
に突き入れた。
「ふぁあぁあ――!」
「君はこんなにこっちが好きなのに――秘密にしてたらもったいない」
「ひぅ! ぅあ、や、だめぇ! う、うごいちゃ、ぁめ……!」
「クロル。こっち見ろ」
 責めるような口調に泣きながら顔を上げ、瞬時に察してふるふると首を振る。
「だめ、やだ……むり、だよ。君のは無理……ほんと無理……」
「隠し事は無しだ――そういう約束だったな」
 それは、ずっと昔からの――。
「でも、だけど……これは、ちが……」
「懲罰だ」
「や、や、やぁああぁぁ――! やめ、や、くるし……あぁ、や……」
 押し当てられ、一気に奥まで貫かれ、クロルは焦点の定まらない瞳で虚空を見つめ、ぱくぱ
くと口を動かした。
 耳元でウィルトスの苦しげな声が聞こえる。
 クロルを抱きしめる腕に力がこもり、何かに耐えるようにじっと押し黙った。
「すっげぇ締め付け――すぐ出ちまいそう」
 たぶん、そういう事なのだろう。
 それでもまだヴィクターは余裕があるようで、ソファの背に両腕を突っ張って体重を支え、
荒々しく腰を降り始めた。
「だめ、だめ、だめぇえ……だめぇ、こすれ、あぁ、なか……もうや、あぁ、あっ……も、ゆ
るし……ッ」
 思い出したようにウィルトスの指が動き、こりこりと乳首をつまみ、指の腹で押しつぶして
こね回す。
「だめ、だめぇ……きょうか、ん……きょうかん、きょうか――!」
 瞬間、動かなかったウィルトスが不意に抉るように腰を降り始め、クロルは声にならない悲
鳴を上げた。
 変になる――本気で壊れる。そう思った。
 苦しい。つらい。やめて欲しいのに、しかし苦痛の先により激しい快楽が見える。
「もっと、もっと……いい、いいよぉ……あぁ、も、きもちひ……」
111690:2007/09/10(月) 04:32:20 ID:vTUZen68
 一線を越えて――堕ちる。
 堕ちてしまうとあとはもう、ひたすらに気持ちよくて、気持ちいいばかりで。
 もっともっとと強請るうちに、気が付くと気を失っているのだ。
「クロルさん。僕はそろそろ限界です。こっちを見て。キスしてください」
「ひゃぅ……ぃ、は……んんっ……んぅ……」
「だめだ――俺も限界っ……!」
 叩きつけるように奥を抉られて、クロルはウィルトスから唇を離して叫んだ。
 きゅうきゅうと収縮を繰り返す体の中に、どろどろに溶けた熱の塊がたっぷりと吐き出され
る。
 ヴィクターの首に腕を絡めながらどっしりと重たい快楽の余韻に浸り、クロルはへなへなと
脱力してウィルトスの体を預けた。


                  ***

「服が汚れました」
 ごとり、と重たい音を立ててホットミルクのカップを置き、クロルは鉄の無表情でただそれ
だけ言い放った。
「エリーにたまに着て見せろって言われてる服です。確かに僕は気持ちよくしてくれって言い
ましたが、服を着た状態で突っ込めとは一言も言ってない気がするんですがどうでしょうか」
 椅子に座った――もちろん普段どおりの格好の――クロルと、床に這い蹲る男二人である。
「すまん。本当にすまん。服は同じ物を買って返す!」
「前も後ろもひりひりします。喉も枯れて痛いです。信じられません。三人でやるにしても一
人は口で――と言うのが常識的だと思ってました。まさか当然のように両方の穴に突っ込まれ
るとは思いませんでした」
「調子に乗りすぎました。あんまりクロルさんのワンピースが可愛くてつい……」
「つまりワンピースを着てなきゃ僕は可愛くないと、つまりそう言う事ですか」
「いえ、決してそういうわけでは……」
 くい、とカップの中身を飲み干して、今度はごん、と荒々しくカップを置く。
「もういいです――二人とはもうしばらくやりません。二人ともたっぷり一か月分は楽しんだ
んじゃないですか?」
「いっかげ――ちょ、な、長いだろ! 長すぎるだろ!」
「じゃあ三ヶ月」
「わかった! 一ヶ月でいい!」
 慌てて前言を撤回し、ヴィクターが床にへばりつく。
 そんな二人の様子を凍てついた目で見下ろし、それじゃあ、とクロルは立ち上がった。
「それと、もしルーベルに何かしたら一生二人を許しませんからそのつもりで」
 うぐ、とヴィクターが呻き、がっくりと肩を落とす。
 ウィルトスもしょんぼりとうな垂れて、その様子はヴィクターと並べると遥かに“可哀想”
に見える。
 ――容姿の差とは残酷な物だ。
「これは懲罰です。もし禁を破ったら追加懲罰がある事をお忘れなきように。ではごきげんよう」
 颯爽と踵を返せればよかったのだが、いかんせん腰が立たないのでよろよろと歩く事しか出
来ない。
 うな垂れる二人に背を向け、クロルが唇に笑みを刻んでいるのを二人が知る事はない。

                おしまい
皆様お付き合いありがとうございました。
112名無しさん@ピンキー:2007/09/10(月) 05:51:40 ID:W/ng/8lQ
ウッヒャ〜〜〜!!
超GJGJGJ!!!!
クロぽん愛されてんなぁ
それにしても、懲りない二人だ
ルーベルの命は、本人知らぬところで風前の燭なのが恐ろしい
とにかく、ご馳走様
主従の方も楽しみにしてます

ところで、スレの衆に業務連絡
余所様のスレで、あまりはしゃがない事
690さんに迷惑がかかるんだから
113名無しさん@ピンキー:2007/09/10(月) 22:49:57 ID:A9BZB3eG
こいつが超GJ(スーパーグッジョブ)!!!
それにしてもこの三人、ノリノリであるw
絶妙にバランスのとれた関係ですなw
114名無しさん@ピンキー:2007/09/10(月) 22:56:44 ID:uS0ouHkW
勃起が収まらないクロルかわいいよかわいいよクロル
115名無しさん@ピンキー:2007/09/11(火) 00:05:24 ID:jIcr71Rv
>「そうか……見たのか」
>「なんてうらやましい……許せません」
なんてコンビネーション。ここ以後もGJポイントが多すぎてどこを称えればいいやらw
116名無しさん@ピンキー:2007/09/11(火) 00:36:06 ID:+0FDxzET
>>112の言う他所の様のスレってどこなんだ……
一体どこで何が起こってるんだ……
117名無しさん@ピンキー:2007/09/11(火) 03:45:48 ID:jkVl0lgl
なんというGJ!!!
118名無しさん@ピンキー:2007/09/11(火) 10:03:22 ID:E2K7NibB
作品堪能しました。ウィルトスとヴィクター完全に仲良しですなw
その二人を手玉にとるクロルも良いキャラでした。
ところでおしまいという事は完全終了ですか?
好きな作品だっただけに非常に惜しまれます。
また機会ありましたら是非また書いて下さいませ。
お疲れ様でした。
119名無しさん@ピンキー:2007/09/11(火) 18:17:43 ID:xQnNKhef
ヒーント(´・ω・`)つ「男主人・女従者の主従 2」
120名無しさん@ピンキー:2007/09/12(水) 00:31:30 ID:0vau5rrv
今回のように、また外伝のような後日談のようなSSを書いてくれるのではないかと期待

…あ、でも新作も読んでみたい気も…
121名無しさん@ピンキー:2007/09/12(水) 02:17:30 ID:PD3iji0y
おしまいって、このシリーズのひとつのエピソードがおしまいってことじゃないの?
ヴィクターがちょっとだけ疎外感かんじたりしてるのが気になってしょうがない。


122名無しさん@ピンキー:2007/09/12(水) 16:57:15 ID:ntjOptnT
>>119
いたって平和にみえるんだが・・・
123名無しさん@ピンキー:2007/09/13(木) 07:10:26 ID:iHensUsB
>>121
>ヴィクターが疎外感
俺もそれを感じたな
まあクロルとウィルは恋人同士だから温度差が出来ちゃうのは当然だし
ヴィクターもそれを承知で一緒にいるような気がするからとやかく言わないけどさ
でもやっぱり気になるなあ
124名無しさん@ピンキー:2007/09/13(木) 11:29:12 ID:9eYQ29+I
と言うか、クロルもちょっとぐらい酷くしてもヴィクターはいて
くれる、とか思っているんだろうな。
ウィルは憧れの君だし一回死にかけたからそうでもないけど、
ヴィクターは常に隣にいたし不死身だし居てくれて当然位に
思ってるんだろ。
ヴィクターが本当に死にかけるかしないとクロルの態度は変わらないな。
125664:2007/09/13(木) 21:36:48 ID:ilxduaW+
軍人サークル
ヴィクター×?




「あ…あん…は…んふ」
昼下がりの陽の光を遮るようカーテンを引いたとある執務室。
外からは訓練生の威勢の良いかけ声と訓練教官の檄が聞こえてくる。
「あ…うっ…あああ……ヴィクター」
半ば机に押しつけられるようにして、胸と尻だけをあらわにさせた
半裸の女性がくぐもった声を上げた。
「もうこんなにしやがって……そんなにいいのか?」
女性の胸に背後から手を回し、下からすくい上げるように揉みしだく
ヴィクター。
「あっ、や…む、むね…ダメ……ち、小さいから…やめ」
「そうか…俺はこれくらいが…ん…ちょうどいい」
「ひゃっ…そ、そんなとこにキス…なんて」
ヴィクターは女のうなじに唇を落とし、ちゅっと軽く吸った。そして
ズボンのベルトをゆるめる。
「は…はっ…ぱ、待って…し、下着…脱ぐ…」
「構わねぇよ。脇から突っ込んでやる。」
ヴィクターは荒々しく女の尻を剥くと、下着の脇から
勃起した肉棒を女性の秘所にあてがった。
「いくぜ…ん、ううう…ふ…く…おおお」
ヴィクターが呻くような声を上げた。いくら濡れそぼっているとは言え、
体格が規格外のヴィクターの肉棒を受け入れるには女の秘所はあまりに
小さすぎた。
「あ…はああああっふ、太いよ…ヴィクター…あ、ああっんくうううう」
ヴィクターが女の小振りな尻の谷間に見える膣にゆっくりと肉棒を埋めていく。
そしてヴィクターの「うっ」という呻きとともに肉棒がその秘所に完全に埋没した。
「あっ…ああ…はぁ…はぁ…は、入ってるヴィクターのが膣の中でピクピクしてる」

『極上☆☆☆軍人サークル』

それからヴィクターの動きは尋常ではなかった。
女の腰を掴み込み、尻に己の腰を叩きつけるような荒々しく激しい性交だった。
パンパンパンパン
「んん!あは!あん、あっ!ああっ!」
恥ずかし気もなく女は大きく喘いぎ、腰をくねらせる。
昼のこの時間だ、普段であれば公務に追われ、あわただしくこの部屋で
副官と共にデスクワークに追われていたであろう。
「昼間っからヤリたいが為に…昨日までに書類を全部片づけてくれるとはね…
これはご褒美だよ。」
徐々の昇りつめてくる射精感にヴィクターを顔をしかめ、深く、そして抉るように突いた。
「あん!ん、ご、ご褒美…お口、お口に欲しいのヴィクターの…濃いミルク
口に出して、はあああっ」
「ああ、やるさ…たっぷりな…全部飲み干せよ、ん、んくうう、おおおお!で、出る!」
ヴィクターは素早く女の膣から肉棒を引き抜くと、女を跪かせ、こちらに向き直らせた。
そしてその口に間髪入れず肉棒を突き入れる。
ぶじゅ、びゅしゃ、びゅるるるる、びゅる…びゅる…びゅ…びゅぅぅぅ……
次の瞬間、肉棒からどろどろの白濁液が射精された。
女は口内にぶちまけられた特濃ミルクを恍惚とした表情で味わい始めた。
そして頬や髪についたミルクを指に絡め、さも美味しそうに飲み下していく。
「んちゅ…はむ…あふ…ちゅ…ちゅる…」
「は…はぁ…ん、ほら…残りもしっかり吸いとれよ」
「はぁ…い…ヴィク…ター…んちゅ」
126664:2007/09/13(木) 21:38:06 ID:ilxduaW+
「ああ…ああ!お、おまんこ…まんこ…おああオおお!」
獣の雄叫びを上げる女はヴィクターの上で全裸で乱れ狂っていた。
女の瑞々しい汗が、唾液が、体液がヴィクターの鋼の肉体の上に散った。
「ふああ!!んぐ…あうう…あ、あ…はああ」
ヴィクターは女の強烈な締め付けにぐっと眉を潜めたが何とか声が漏れないようにと
歯を食いしばった。そして始まる欲望をあらわにした雌の喘ぎ。
「ああっイクいっちゃうの!ヴィクターのチンポ!しゅごすぎて!イッちゃうよおおおお」
「お…うお…ダ、ダメだ。俺も…くううう!」
びゅばびゅるばどばどびゅるるるるるびゅる…びゅるる……
「あっあは…はああ…ヴィクターのいっぱい出てる…すご…すごい…ん」
「お…おっ……は…く」
ヴィクターが荒く息をつき、顔をしかめる。
女の膣はそれほどヴィクターの肉棒を締め上げていた。
「さ、最高です……ヴィクター…教官」
女がヴィクターの胸板へと倒れ込んでくる。
「ああ……最高だったぜ…アウラ」


「でね、でね…その後はお風呂に浸かりながら駅弁しちやつてねはあはあはあ、
もう激しくやりまくりですのことよはあはあね、ね聞いてる聞いてる?どうどうねぇねぇ?
感じた?感じた?もう濡れ濡れじゃない?」
イっている…とバルスラーは思った。
「まぁまぁですね。アウラ、もっと獣っぽくした方が少佐のS度が増す気がします」
「うん、何かフツーっぽいです。アウラさんにしてはアクが多いような」
平然と答える九鬼にティーナ。
「そうかなそうかなそうかな〜ああん――――じゃ、採決取りましょうか」
いきなりキリっと元に戻るアウラだったが――。
「ちょっと待て。クロルの話なのになんでお前とあのヤローしか出てこねぇんだ?」
「…………」
「…………」
「…………」
その一言で皆がまるで自国が敗戦した時のような沈痛な面持ちになった。
え…な、なんで俺そんな悪い事言ったの?という顔のバルスラー。
そして小さな呟きが聞こえた。
「いるんだよねーこういう空気読めない人」
「空気嫁」
「困りますね、バルスラーさん。ちゃんと空気読んで下さいよ」
「え?え?え?」
三人娘の怖い視線を受けるバルスラー。そんなバルスラーはやけに小さく見えた。
「それじゃあ、採決ね。筋肉バカの案は問答無用で棄却」
アウラの非情な決断にバルスラーは抗議の声を上げた。
「ええ、な、何―――!?」
「ああん?」
アウラのドスのきいた声。
「すいませんでした。」
「で、後はティーナとクッキーと私のヤツなんだけど…系統は
女王様系と獣姦系で私のは純愛系だから……」
「いやだからアウラ、テメェのは違うだろ」
「あ、自殺志願かなーボクゥ?」
「申し訳ございませんでしたアウラ様」
平伏して頭を床にこすりつけるバルスラーは惨めだった。
127664:2007/09/13(木) 21:42:09 ID:ilxduaW+
パン屋『リーベルタース』
「で…どうにも決まりませんので、クロル教官自身に決めて貰いたいなと思い、
原稿を送付したので選抜よろしく御願いします。……あ、ここにアウラ君
のサインがありますね。」
パン屋の休日、紅茶を飲みながらくつろいでいたクロル、
ヴィクター、ウィルトスの三人。
そこへ手紙と共に届いた段ボール3箱分の『同人誌』。
「へーうまい絵じゃねーか、アウラの奴こんな特技があったんだな。
つーか全部エロ全開の内容だけど」
ヴィクターが感心しながらぱらぱらと同人誌をめくっている。
「これなんかクロルさんが産卵したり、男性性器が生えたりしてますが…」
「おおすげ、クロルのネコミミメイド+首輪つきで散歩プレイだと」
「異様にクロルさんだけうまいですね。その反面ヴィクター君は何か
凶悪な妖獣みたいな顔になってます…作者の悪意すら感じますが…」
「おっさんだっかなり適当だぞ…これなんか顔すら描かれてねぇ」
「ああ、このクロルさんはいいですね、看護婦さんですか」
「ふ、ふ、ふ、ふざけるなあああああっ!」
どんがらがっしゃん。
切れたクロルは段ボールをひっくり返し、手に取った手紙を滅茶苦茶に破いて吼えた。
「何だった僕がメイドの格好したり、看護婦だったり、警官だったり、
魔法少女だったりしなきゃならないんだよ!しかも何だよくぐつに孕まされて
産卵とか触手とか!あり得ないだろ!!」
があと吼えたクロルにウィルトスは言った。
「まぁ…産卵や触手、異形孕みは無いにしても…
その他のコスプレは全部しましたからね…」
「ああ、今更って感じだな―――おぐふっ!?」
段ボールの投擲を頭部にくらいヴィクターは沈んだ。
「信じられない!変態!最低!もうイヤだ!僕は寝る!」
ぷんすかと頬を膨らまし、クロルは部屋へと戻っていった。
「大丈夫ですか?」
「あ…ああ…」
「返事は僕が書いておきましょう。この同人誌も処分しておきます。」
「いいのかよ、おっさん。」
「ええ。色々と僕にはツテなるモノがありますからね。
あとヴィクター君宛てにアウラ君から手紙です。ではこれで。」

その夜、部屋に戻ったヴィクターがアウラからの手紙に同封されていた
アウラのヘアヌードや裸Yシャツの生写真。
果ては『ぶっかけ用です♪』とかかれた大口を開け、目を閉じているアウラの
写真で息子を慰めていたことはクロルは知るよしもなかった。
また大量の同人誌を近隣の水車小屋の住人が購入し、そこの看護師に
焼却処分された事があったとか、なかったとか。
そしてアウラ宛の手紙に大量のカミソリ刃が仕込まれている事は
神のみぞ知るところであった。

END
128名無しさん@ピンキー:2007/09/14(金) 18:08:09 ID:RbY8EGCb
ワロタww
129名無しさん@ピンキー:2007/09/14(金) 19:31:15 ID:MXY1/n24
相変わらず小ネタが多くてワロスwwwww
130名無しさん@ピンキー:2007/09/16(日) 15:39:29 ID:fZkwilO1
なんだこの過疎ww
>>664
アウラの崩壊っぷりにテラワロタwww
しかし実際にアウラがこんなんだったらいや過ぎて悶絶するw
131名無しさん@ピンキー:2007/09/16(日) 16:49:38 ID:rfRJovKM
>>130 
 どんだけ、未来にレスすれば
 気が済むんだ、オマエは
132名無しさん@ピンキー:2007/09/16(日) 17:18:37 ID:fZkwilO1
>>131
よく見るんだ。
664は数字コテだ
133名無しさん@ピンキー:2007/09/16(日) 17:22:19 ID:rfRJovKM
失礼
134名無しさん@ピンキー:2007/09/18(火) 03:11:48 ID:3j3wAfXB
ヴィッ君GTA最新作出演おめでとう
軍人役の主人公だってさ
135名無しさん@ピンキー:2007/09/18(火) 09:40:38 ID:tXjwDf7H
萌えるおにゃのこを書いてくれ
【一人称】
【年齢】
【容姿】
【内容】
136名無しさん@ピンキー:2007/09/18(火) 15:39:48 ID:SbY64Wfs
【一人称】 ボク
【年齢】 中3 男君(高1)の1コ下 幼馴染 家がとなりで自分の部屋から屋根をつたって相手の部屋にいける 学校は中高一貫で一緒
【容姿】 髪ショートの典型的ボーイッシュ 活発 友達も多い 白いTシャツに紺の短パンがにあう 貧乳 陸上部
【内容】 男君のことがずっと好きだった 最近さらにはまっていってる
      男君が付き合っていた女性と別れた
      落ち込んでいる男君を見てチャンスがめぐってきたと奮起
      ライバルもいるけどまわりに励まされながらも頑張ってアプローチしていく
      Hな事に興味を持っており一人でいろいろとする(男君がいない時に男君のベッドで枕とシーツのニオイをかぎながら・・・(男君の枕に自分のニオイをつけて帰ったあとニヤニヤ))


う〜ん
くだらねー妄想やな
137名無しさん@ピンキー:2007/09/18(火) 18:53:44 ID:mu4j2gvP
>>136
オレは好きだぜw
138名無しさん@ピンキー:2007/09/18(火) 23:41:26 ID:bUX15iTw
>>137
よう俺。
139名無しさん@ピンキー:2007/09/19(水) 00:26:31 ID:zNgfhKxS
【一人称】 俺
【年齢】 16歳。今は高1
【容姿】 黒髪のセミロング。少しつり目。身長150cm弱 。
自称、悲しいほどの貧乳(本当はそうでもない)。
【内容】ただの男友達だと思ってた同級生の『アイツ』に恋し始める。大人しく、友達以外とはあまり話せないタイプ。
男っぽい口調、胸、『アイツ』の事など悩みは多い。
140サウラとアイル@スウィートドリーム:2007/09/19(水) 21:23:55 ID:zhbjNboW
【一人称】 ボク
【年齢】 16歳
【容姿】 蜂蜜色の巻き毛、ショートから肩上までのセミロング。細身の貧乳(気にしてる)。
まっすぐに伸びたカモシカの脚。幼いが将来美人を予感させるハンサム顔。
エッチの時は目尻がたれる、こぼれ落ちそうな大きな猫の瞳に不満げに尖らせてるポッテリな唇。
【内容】親子ほど歳の離れたおっさんを振り向かせたくてヤキモキ。あれやこれやと策をめぐらし、
努力のかいあってラブをゲット。百戦錬磨のエロおやじを骨抜きにしつつ、身も心も捧げラブラブエッチ修行中。

みたいな。

今更いらんかも、ですが、だらだら書いていたので投下。
141サウラとアイル@スウィートドリーム:2007/09/19(水) 21:27:48 ID:zhbjNboW

アイルの話。

「こんなに簡単に釣れるとはね。」

 ベッドに転がりアイルは、餌であるノーブルピンクのガーターソックスをなでさすり、
にまにましながら自分のセレクトに満足していた。
 サウラの趣味はわかりやすくて助かるよ。ボクの好みとは若干違うけど。

 アイルは活動的なデザインの少し渋めの色が好きなので、うっかりするとすぐミリタリー調に
なってしまう。なのでそこにミスマッチ的にサウラの好みをあわせるのは最近の楽しみのひとつだった。
ボーイッシュな自分でも無理無くガーリーになれる。だが今日の灰茶の帆布地のショートパンツに
ピンクレースをあわせるのを思いついたのも、間違いなくサウラの気をひけるだろうと踏んだからにほかならない。
 フェイラ星人はつがう相手に愛される努力を怠らないのだ。
 自分の嗜好や好みはどうでもいいとまでは言わないが、パートナーの好みをないがしろにしてまでの積極性はない。
国民性とでもいえばいいのか、ごくごく自然にそうなのだ。それは衣食住の好みに留まらず、あらゆる事で…、
そう、だから。
 最近のアイルは実に不安だ。いや、不満といったほうがいいだろう。

「どうして抱いてくれないんだよう…。」


 あれから…二人が恋人同士になって約二ヶ月。サウラはびっくりするほど甘く、そして優しくなった。
もともと歳の差も体格差もあるし、根がフェミニストで心は少年のサウラである。壊れ物を扱うように
優しく抱き寄せ春の日だまりのような笑顔でアイルの名前を呼ぶ。毎晩食後にアイルの好きな甘いデザートを
用意して、膝上であ〜んと食べさせてくれたりもする。おはようとおやすみに、愛しているよとささやいて
キスをくれる。まさに絵に描いたような恋人同士。もちろんそういうサウラが嬉しかったし、好きでもあるが。
…が!
 ………それだけだ。
 初めてのあの夜以降、一度もないぞ、メイクラブ!

 アイルはタンクトップの胸元をひっぱり、中の自分の微妙な隆起を見てため息ををつく。
「…ボク、ボクの体、つまんなかった…のかなあ?」
 そりゃあボクは男の子みたいに貧乳で色気も無い処女で初恋もサウラで、心も体も物足りないかも
しれないけどさあ。だったらいろいろ教えてくれるのが年長者のつとめじゃないの?そもそもサウラが
こんなボクのままでいいと思ったからこそ、ボクはこのままなんじゃないの!?

 アイルはもともとのサウラの好みがセクシーブロンド巨乳美女だって知っている。
 AV監督デビューが最初の奥さんとのはめ撮りで、サドっ気入った加虐嗜好とも知っている。
 そもそもAV業界で最もいやらしいと評されたレーベルの社長である。
 実は純情清純、女がしたくない時はもちろん、二人の気持ちが一つに重なるまではしません的
爽やかメイクラブ派だなんて、もちろん思ってなんかない。
 なのにどうして…、ボクにはなんで…。
142サウラとアイル@スウィートドリーム:2007/09/19(水) 21:30:21 ID:zhbjNboW

 仕事だなんだと言って、忙しそうに日中を過ごし、初めてのあの夜以降の二人の夜を、疲れたと言って
アイルより早く自室に逃げて行く。 
 サウラの性格からアイルの生い立ちを思いやり、けじめとして『最後のフェイラ星人
アイルハタファビエ主演 魅せます!うわさの王女はじめてのえっち 変態してもイイかも 』の
フィルムラッシュまでは、思っているかもしれないと、アイルも我慢した。だけど撮影が終わって、
出演者の皆さんが帰り、あとはフィルムチェックのみとなった、二人きりの夜となってもサウラは
アイルとしようとしない。
 恋人だって行ったくせに。これじゃあ親子だ。どういうことだと問いたくもなる。
 
 そうしてとにかく気をひく事にしたピンクレースのガーターソックスである。
 忙しさも今日で終わりと見越して、だからの好みど真ん中だ。思った通り今日で区切りがついたようだし、
思った通りノってきた。がんばれアイルハタファビエ、今日こそ言うぞ!
 二度目をしてって!

 アイルは憤慨に息を乱している自分に気づき、少し顔を赤らめて、落ち着こうと枕を抱いて転がった。
 自分ばかりがエッチなような気がしてほんとうに恥ずかしい。
 でもそろそろ限界なのも嘘のない気持ちなのだ。

 あの夜のボスはとても優しくて、……それなのにすごくいやらしかった気がする。
 観覧車の中でお尻を舐めた時はギラギラしていたくせに、いざというベッドでは、はじめてで震えるボクを
余裕で手ほどきする大人のおじさまだった。くやしい。切れ切れの記憶のすべてが恥ずかしい。
 じつはボク、あんまり覚えていないんだ。初めてのエッチってあんなに緊張するとは思わなかった。
体に受ける行為もそれで変わる自分も、未知で、未体験、驚きの連続。頭がぐるぐるになって記憶が
あいまいなんだけど、とにかく熱くて、痛くて、くたびれた。でもすごく嬉しかったのは覚えてる。

 破瓜の痛みにわんわん泣きながら変態をはじめた。そのまま光に包まれて…。気がついたら何も
変わってない自分のままサウラの腕に抱かれていた。胸が小さいままなのは少し残念に思うけど、
サウラはそのままの自分を愛してくれたんだと思ってアイルは感動した。
 目が合って、笑い合った。
「はじめてなのに、無茶してすまない。しばらくは自重する…。」
 照れくさそうにそう言うサウラに、アイルは嬉しさに泣きながら、うん、と頷いた。
143サウラとアイル@スウィートドリーム:2007/09/19(水) 21:32:31 ID:zhbjNboW
 それがまさかマジだったとは。
 サウラは気恥ずかしくてそう言ったんだと思ったし、実際サウラの愛し方は体がきつくて、
少しは手加減して欲しくて、うんと言ったのはボクだけど。どちらにせよ、ずっとそれってどうなんだ。
子供扱いにもほどがあるよ!しばらくっていつまで!?そろそろ、もう一度、抱きたくないの?
 はっきり言おう。ボクはしたい。して欲しい。でないと…。

 目を閉じて、抱いた枕の下に片手を入れて、胸をなぞる。そっと乳首に触れてみる。
 なんとも感じない。ただゆるやかな丘と小さなラズベリーがあるだけだった。一人エッチは下しか触らない。
サウラを思ってクリトリスをなでたあと、少し足をつっぱねただけでイッちゃうアイルだ。

 …身体がどうかしちゃったみたいにあちこち感じるのはボスが触ったときだけだよ。
もっと触って、乱暴にもみしだいて。観覧車のときみたいに。初めてのあの夜みたいに。
ボクに夢中で仕方がないみたいに。
 じんじんとしびれるような羞恥と快感を思い出して、何度も一人で慰めた。ひどいんだ。
処女を脱皮したばかりのエッチ初心者のこのボクに、一人でさせて平気だなんて、
そんなとこばかりが加虐趣味だ。

 アイルはサウラのいつもの優しいキスと抱擁を思い出し、もちろんそれも十分気持ちいいのだけれどと、
自分を恥じる。愛されてると感じる。だけど嫌われない安心のもとに乱暴にされる愛され方もしたいのだ。
エロ監督だ、覚悟してる。だけどサウラになら何をされてもいいんだと、彼にわかって欲しいし伝えたい。
だから今夜は勇気を出して、欲望を口にしようと思う。それでも拒絶されたなら…。

「大丈夫、だって起きて待ってろって…ガーター俺が脱がすって言ったもん…。」
 励ますように自分に言う。
 ああ、それでも文字通り、脱がしたいだけの脚フェチ発言だったらどうしよう。そうだとしても、
サウラがボクとはエッチをしない関係を望んでいると理解して、ボクもそれに満足しなきゃあ。
 フェイラ星人は相手の嗜好に合わすのだ。
 だけど…。
 もう二度とサウラと一つになる事がないとしたら、サウラが触ってくれないとしたら、
自分はこのむずがゆいもやもやをどうしたらいいんだろう。

 想像して泣きたくなるアイルだった。
 
・・・・・・・・・・・・

144サウラとアイル@スウィートドリーム:2007/09/19(水) 21:35:21 ID:zhbjNboW
 
サウラの話。

 すべてとは言わないが多くのの女の子にとって処女喪失という事件はその後の人生を左右するほどの
大きな影響力を持っているんじゃないだろうか。

 だがフェイラ星人のアイルにとっての初めてのセックスはその比ではない。
 自分の処女を捧げた相手の理想の肉体に変態するという特殊な民族性は、すなわち、好む好まないを問わず、
自分の処女を奪った相手の好みの体になってしまうというリスクもあり、それゆえに性奴隷として商品化を
余儀なくされてしまった。また、逆にその商品的価値が彼女の身を守って来た事も事実だ。

 だが俺が彼女を抱く事をためらっていたのは、そうする事でそのアイルの一生に一度の特異性や商品価値が
喪失するからではなく、アイルの存在の本質と形容を変えてしまう畏れでしかなかった。
 俺は彼女の少年のような伸びやか所作やそれを形作るすらりとした躯も、明るく快活で根に持たない
さっぱりしたその性格も愛していた。いや、愛するようになった。もともとの俺の嗜好は明らかに
アイルの容姿とは違っていたので、はじめはそれを理由に俺に抱かれたがったアイルも、うすうす気づきつつも
変態後とても驚いていた。

 抱いても何も、その少年の容貌も、蜂蜜の髪も、伸びやかな手足も性格も、
アイルは何一つ変わらなかったからだ。

 もちろん俺もホッとした。だが当然、という思いも同時にあり、それゆえに抱く前よりいっそう愛しく、
そして気恥ずかしい。
 事情を知ってるビアンカに「知らなかったわ、あんたもショタコンだったとはね」と揶揄された時は
柄にもなく耳まで赤くなっちまった。
くそ。うるせえ。悪いか。柄じゃないのは分かっているさ。どうせ俺はオッサンで。

 若い恋人、アイルにメロメロだ。

 心も体も、嘘偽りなく髪の端まで愛している。
 尖った耳たぶを失いつつも、何一つ変わらなかったアイルの存在自体がそのことの証明であり、
俺は自分の純愛が反吐が出るほど恥ずかしい。
 バツ3のオッサンで、泣く子も喘ぐエロレーベルの百戦錬磨のAV監督の俺が、なんてザマだ!
 目の前のこの小娘を見るたびに、純な自分を見せつけられるようで、恥ずかしくて直視出来ない。
押さえきれない愛しさは、娘を愛する父親のような振る舞いで、ごまかすしかなすすべもないのだ。

 そう、俺ははじめての夜以来抱いてない。
 アイルに性的に触れてもいない。

 だって俺…鬼畜だしな。
145サウラとアイル@スウィートドリーム:2007/09/19(水) 21:37:35 ID:zhbjNboW
 サウラはあの夜のアイルと、その幼い体を前に我を忘れた自分の醜態をを思い出し自嘲した。
 緊張と畏怖に震え、それでも俺を愛していると、愛してくれとけなげに体を預けてくれた、
あの小さな恋人に俺は何をした?

 あいつの体が万が一にも変わらぬように、挿入前からすみずみまで舐めてしゃぶって確認し、
覚えようとその行為を何度も繰り返すうちに目的を忘れて夢中になった。

 聞き飽きない可愛い喘ぎ声が枯れるまで、絶頂に緊張し、そして弛緩するその体を貪った。

 処女膜を破る際も、わざわざ勃起を押さえてまで、ひだを弾いて味わった。 

 優しくしようとあんなに心を砕いたはずなのに、最後には痛いと泣くのを押さえつけて、
変態が始まるまで何度も中に打ち付け吐き出した。

  …やりすぎた。

 俺はもともと女をイカせることで自分も快感を得るタイプだが、処女にあれはないんじゃないか。
明らかに我慢しつつも痛みと羞恥に泣いてるアイルに、しばらくの自重を約束すると、肩を震わし頷いた。
だよな。すまない。
 俺のエロ非道ぶりに呆れられたではあろうけど、容姿と同じく態度も俺への愛情も変わらずにいてくれた
アイルはじつに慈悲深い。

 そういうわけで俺は我慢と忍耐を試される日々を始めたのだが、いつまでももつ訳ないのは
わかっているし、アイルも仕方ないと思ってくれそうな、わかりやすい期限が必要だった。
 だからアイルのAVを撮ってしまう事にした。俺がアイルを保持しているのはその筋の者は知っているし、
だったら二度とその特異な処女性が狙われないよう、知らしめる必要があったからだ。
つまり、俺がやっちゃったからもう手にいれても無駄だと、ビデオのふりして情報流出。
 それは今まで俺が父親である宇宙皇帝に命じられて犯して来た犯罪行為と同じ形で、
作り終えた今俺はとても溜飲が下った。
 …そう、終えたのだ。


 ………ハブ ア ナイス ピーチドリーム…☆
         
    シャバダバシャバダバ〜ヒュウイッ

 聞き慣れた自社のレーベルのテーマを聞いて、サウラはようやく安堵のため息を漏らした。

 こんなもんかな?まあいいだろう。


146サウラとアイル@スウィートドリーム:2007/09/19(水) 21:39:59 ID:zhbjNboW

「…いいだろう?」
 口角があがり、いつもアイルにいやらしい、となじられるにやにや笑いを漏らしつつ、サウラは思わず
ささやいた。もちろん、今ここにはいない、ベッドルームで自分を待つ恋人に向けて、である。

「サンキュー、アイ ハバ ナイス、ソーナイス!ピーチドリーム!!」
 ナイスッと小さくガッツポーズをしながら、先ほど見たショートパンツから伸びたまっすぐな脚を包む、
ピンクのゴシックレースのガーターソックスを思い出す。
 くそう、この、可愛い奴め!この間まで処女だったくせに!
「…誘いやがって。」
 しかもなんて誘い方だ。にやつくなと言う方が無理だ。
 いそいそとチェックシートを封に入れるとテーブルに放り投げ、指示入力は明日、とばかりに
リビングをあとにダイニングキッチンへ向かう。
 「待たせたかあ、マイハニー〜。」
 おもむろにいすの上の、食事中アイルがいつも使うクッションを抱きしめキスをする。
フィルムアップ時によく見られる浮かれるサウラであるが、今夜は特に特別に喜びに浮かれてしまう。
 自分と同じ欲望を、幼い恋人も持っていた事、そしてそれを伝えようと懸命になってくれたことに
感動していた。すでに興奮気味の自分の息子を待て、とやんわりサウラは押さえる。少し考えた後、
いつものブランデーを少しグラスに注いで舐めながら、サウラは少年みたいに浮き足立ってる自分が
おかしくて笑った。
 落ち着けよ、サウラ。オッサン。息子よ。約束しよう。

「今度こそ、優しくする…アイル。」

 おまえの体に負担がないように。
 自分に念を押すように、優しく、優しく、と心でつぶやく。
 昔、あなたのセックスはねちっこいと俺をなじったのは何番目の妻だっけ。今こそ肝に銘じよう。
今夜は優しく、軽く、サラリとセックスして、同じベッドで一緒に寝るだけにとどめよう。
急がなくても、アイルもその気だとわかった今は、甘い夢は何度も見れるのだ。夜じゃなくてもいいわけだしな。

 グラスに残ったブランデーの匂いをかいで、うっとりサウラは夢想した。

・・・・・・・・・・・・

147サウラとアイル@スウィートドリーム:2007/09/19(水) 21:43:26 ID:zhbjNboW

 アイルの不満はMAX。

「寝たら殺すって言ったくせに。」

 待ちくたびれて、いつまでもやってこない恋人にしびれを切らせ迎えにきたアイルは、
ダイニングに突っ伏し健やかな寝息を立てるサウラを見つけて、まぶたを落としてひとりごちた。
 胸にはアイルのクッションを抱いていた。
「バカ。ボクより抱き心地いいからって…、クッションはガーターストッキング履いてくれないんだぞ。」
 ボス。と耳元で呼んだが起きない。大声でわっと起こしたいのはやまやまだが、仕事で疲れているのは
知っていたし、この仕事が実はアイルのためのAVだと誰より知ってるアイルである。小さく息を吐き、
仕方ないなとサウラの頬を撫でた。ザラっとした伸びたヒゲの感触をしばし楽しみ、それから大好きな
口ひげを軽く引っ張ると、ううん、とサウラが声を漏らした。
 この声大好き。
 いつもの滑舌の良い大きな声も好きだけど、最近は耳元でささやく小さな声にすっかり参っている自分を
知っている。歌うような普段の声の低音だけが甘く響いて、この声で起き抜けに愛しているよと言われると、
いつもアイルは脚の付け根を熱くしてしまう。
 思い出して頭にきていた不満がみるみる薄れていき、アイルは笑みをこぼす。
 テーブルに飲みかけのブランデーを見つけて、なるほどね、と頷くと、アイルは一気に口に入れ飲み干した。
「わっ。」
 初めての強いお酒に口の中を焼けるように熱くし、ケホケホと咳き込んで水を求めて冷蔵庫を開ける。
そこに今夜のデザート、食べかけのティラミスを見つけてアイルは大きくため息をついた。
「…元気づけて(ティラミス)、はボクの方だよ、もう。」
 振り返って、変わらずテーブルでクッションを抱く恋人に吐き捨てる。
「バカ!」
 ヤケ食いだいと、ティラミスのバットを抱えて部屋を出る。
 自動扉をシュウッとあけて、忘れ物とばかりに後ろ足で戻ってもう一声。
「嘘。…好き、サウラ。」

 照れくさそうに笑って少女はこんどこそ寝室に戻って行った。

・・・・・・・・・・・

 ベッドの上でお菓子を食べるといつも怒られる。とくにこういうクリーム系はダイニングのテーブルで
食べる約束だ。でも今夜はきっと怒られない。

「ダイニングは〜汚いオッサンが突っ伏してたから使えなかったというんだもんね〜だ。」

 誰にするでも無い言い訳をつぶやきながら、サウラの部屋の寝室の大きなベッドのど真ん中に
座っている。かさねたクッションに背を預けて、脚を伸ばしてアイルはだらりと無心に甘いクリームを
口に運んでいた。時々なにかを思い出しては「サウラのバーカ」「エロおやじ」と悪態をつく。 
148サウラとアイル@スウィートドリーム:2007/09/19(水) 21:46:56 ID:zhbjNboW
 ああ、そういえば…。
 ぼんやりとした頭が勝手に記憶を辿る。
 前に遊園地で捕まった時、胸くそ悪いあの蜘蛛男がまだ処女のボクに驚いて言ってたっけ。
 ……さすがにサウラのおっさん、女に不自由してねえな。理想の巨乳美女なんて
飽きるほど抱いてるだろうしな……。
「…周知の事実で百戦錬磨ってなんだよ、そりゃあ処女のボクじゃあものたりませんでしょうよ。」
 言うつもりがなかった口から出た言葉に驚いて、クリームを運ぶ手を止める。スプーンをなめつつ、
アイルはああ、と納得した。
「さっきのブランデーかあ〜。これが…。」
 酔っぱらうってことなのかにゃ〜…、と急に重たくなったまぶたを半分落としてバットに
スプーンを突き立てる。
 不満が不安に変わる。
 サウラはわかってない。いくら優しい恋人だって、求められない身のつらさ。
「そりゃあ〜一回やってよくなかったら、もうしないよ…ねえ?」
 …だって、AV監督様でした。何人も、何回も、ボクよりずっときれいな人と、ボクよりずっとずっと
グラマーな人と…知ってたけど。
 自分の体もうまく扱えないボクと違って、ビデオのようにえっちに乱れて気持ちいいセックスを
してあげられる人と…。
 めそっと涙ぐんだ自分に驚いて、慌てて涙を拭う。が、慌てすぎてスプーンをもったままの手で
うっかり擦ってしまったため、スプーンに半分乗ってたティラミスが、あっと思う間に垂れて
ポトンっとアイルのお腹に落ちた。ダラリと横たわっていたためアイルの着ていたTシャツのすそが
ちょうどめくれていて、クリームはへそに滑って行った。
「あっダメ、ベッドに…。」
 ベッドにこぼしたらさすがにサウラに怒られる、と慌てて身を起こしたため、体温で溶けかけた
クリームは、へそからさらに滑ってアイルの履いていた短パンの隙間から、するりと股間に落ちて行った。
「っやん。」
 とっさに出た自分の声に赤面する。なにがいやん、だ。男の子みたいな体のくせに。
 クリームを拭くためショートパンツの前ボタンを外しながら、アイルはさらにメソメソしだした自分が
信じられずに呆然とする。
 もしかして…これって泣き上戸とかいうものか…?なんだかダウナー…こんなボク…ボクじゃないよう
…メソメソ。
「あ…ん。」
 クリームはアイルの白いショーツの上からほとんど溶けて、チョコレートとマスカルポーネの
いいにおいをさせつつベタベタに布地を濡らして、アイルの陰毛を透かしてみせていた。
その光景を見て情けなくなりまた涙ぐむ。
 珍しく白いパンツをはいたのも、サウラの気をひくためだった、と思い出し鼻をすする。
149サウラとアイル@スウィートドリーム:2007/09/19(水) 21:50:25 ID:zhbjNboW
 ピンクのガーターが映えるように、と薄手のサテンシルクなのに、台無しだよ…。
 股間にクリームがしみてべたつく感触に脚を擦らすと、割れ目を伝ってお尻の方まで垂れてしまった。
ショートパンツを脱ぐ前にクリームを拭かないとベッドを汚してしまう、とアイルは手を伸ばして
ティッシュを掴むと股間のべたつきを拭う。
「……っん。」
 自分の得た感覚に頬を赤く染めアイルは、手を止めて下唇を舐めた。

 今…ちょっと…気持ちよかった…。
 だってボスが来ると思ってボクずっと、…期待しちゃってたんだもん。

 どうしようかと迷うことを、酔いが除いてくれたせいで、気づいた時にはアイルは自分のクリームで
濡れた秘所に、ショーツの上から指を這わせていた。
 薄いシルクサテンはすべらかで柔らかく、アイルは指が滑るままにすでに硬く尖ったクリトリスを
つべつべと撫でさする。濡れた布はアイルの茂みのデリケートな一本一本まで映すほどに薄く、
いつもと違う滑りのよさにアイルは顔をゆがめてのけぞった。

 どうしよう。……気持ちいい。ボス…。

 アイルは硬く目を閉じサウラを思い浮かべた。脚を突っぱね腰を浮かし、恥丘を突き出して右手の中指で、
そっとクリトリスをさするともうイキそうだった。小さく震えて開いてくる唇に左手の甲を硬くしてあてがい、
愉悦に声が出ないように我慢するため歯を立てる。そのまま内股の付け根にきゅっと力を入れたら、
んあん、と小さく声を上げあっけないほど簡単に達した。

「…サウラ…。」
 大好きな恋人の名前を口に出して余韻に浸る。いつものアイルのやり方だった。
ひくつく腰をゆっくりベッドに戻しつつ、脚間からそっと指を抜き、アイルはうっとりと脱力して
目を開けた。

「ひ……っ!!」

 先ほど口にした名前の主の姿をそこに認めて、あわててまた目を閉じた。

 ………〜〜っ!
 心臓がとびだしそうなほど激しくドクドク早鐘を打ち始める。
 え…そんな…嘘、うそうそ、……ああっ!!
 目を閉じ視界から消したからといって、そこにいる人物が消える訳ではないとアイルにだってわかっている。
だからといって直視出来る訳がなく、アイルはぶるぶる震えだした自分の身を抱くように体を縮めた。

「こら。」
 びくんと、反射的に身をすくめる。ああっ、やっぱりボスの声…っ!

「ベッドでデザート食ったらだめだと言ってあるだろう。」
 憎たらしいほど冷静に普通に話すサウラの声に、ひああ、と嘆いて耳を塞ぐ。
「それから。」
 と、塞いだ手を大きな指が絡めてつかみ、耳から離すとその耳元に顔が寄る気配がした。
首筋に吐息がかかりアイルはびくっと肩をすくめる。

「…声殺さなくていいぞ。俺だけだから。」

 くく、と笑い、聞かせろよと続くその声も、低く甘く響く大好きなサウラの声だったが、
アイルは半泣きで「バカ!嫌いっ!」と言い捨てた。
「嘘。…好き、サウラ、だろ?」
 飛び起きてベッドから逃げようとする体を、後ろから抱きすくめられた拍子に
ティラミスのバットがひっくり返って甘いクリームがベッドに散った。
 
・・・・・・・・・・・・・
150サウラとアイル@スウィートドリーム:2007/09/19(水) 22:26:21 ID:/mSvMVVe
すまん、急に妨害が。いったん切ります。あとラブって終わりですが続く!!
151名無しさん@ピンキー:2007/09/19(水) 22:30:30 ID:e4Eg+HZ8
GJ!!!
続きが非常に気になります!
152名無しさん@ピンキー:2007/09/19(水) 22:41:39 ID:J5zWcKq+
あぁもう。さっき出したのにまたたってきたわい。
153名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 09:02:48 ID:xdNkkTfV
細かい指摘してごめんね。
「つっぱねる」は『突き返す・断る』という意味だから、間違ってるよ。
普通に「つっぱらせる」でいいかと。
154サウラとアイル@スウィートドリーム:2007/09/20(木) 17:09:20 ID:a/x3X/EL
149からの続きです
・・・・・・・・・・・・・・・

 サウラは悦楽に身もだえる。

「…俺を萌え殺す気かこのやろうっ。」
 
 わっ、という小さな叫びで目が覚めた。人の気配がする。まあ、アイルしかいないのだが。
しまった寝ちまってたか、と思うと同時にケホケホと何かにむせる音がして、気配はそのまま
背後に消えて行った。冷蔵庫を開ける音にそっと振り返ると、水を飲むアイルの姿があった。
まだ夢うつつににんまりすると、後ろから抱きついて脅かそうと、手を伸ばしかけ、大きなため息を聞いた。
「…元気づけて(ティラミス)、はボクの方だよ、もう。」
 声に怒ったような、呆れたような色を認めて、慌ててまた寝た振りをする。見なくてもわかる。
アイルはその猫の瞳をさらにつり上げキッと睨んでなじるのだ。
「バカ!」
 セーフ。やっぱりな。
 どかどかと足音を立てて部屋を出て行くアイルに、机にふせたまま俺はは申し訳ないと、心で手を合わす。
 ダメおやじだな、俺は。これではいずれアイルに愛想つかされても仕方がない。
 と、思ったところに再び自動扉の開く音がして、甘ったるい声が降って来たのだ。
「嘘。…好き、サウラ。」
 …萌えるだろう!
 お前は天使か。アイル。

 たたっと、小走りに消えて行ったアイルを抱きしめるため、ただちに追おうと立ち上がり、
よろめき、震える自分に気づいた。
 サウラはアイルに習って水を求めて冷蔵庫を開けた。そこにあるはずのティラミスのバットがないのに
気づいて、口元をほころばす。
 まいったな。
 本当に、とサウラはうっかり熱くなりかけた目頭を押さえて立ち尽くした。

 お前にわかるだろうか、アイル。人生にほどほどに満足し、ほどほどに疲れたおっさんは、
こんな些細な事で泣くんだぜ?
 こら。デザート食い過ぎだ。
 しかもベッドに持って行ったな?ダメだと言っただろう、このやろう。
 そんな風に言おうとして、でも恋人をベッドに待たせたまま寝込んだ負い目がある俺は、
だってと口を尖らすアイルを、間違いなく叱れない。
 あのこが俺を愛している。
 それだけで愛おしさに気が狂いそうになる。
 俺は本当は、本当にセックスなんてしなくていいのだ。ただその細く小さな腰を引き寄せて
抱きしめて眠りたい。決してクリームだけではない甘い匂いに包まれて、俺は満たされる。
満たされている。

 「さてと…。」
 サウラはきっとふてくされ、ベッドの真ん中でクリームを口に運んでいるだろう恋人を抱きに足を踏み出す。
 「優しく、優しく。」
 今夜こそは出来そうだ、と穏やかな愛情を抱いて寝室に向かった。
155サウラとアイル@スウィートドリーム:2007/09/20(木) 17:11:26 ID:a/x3X/EL

・・・・・・・・・・・・

 寝室の扉はアイルが外した。撮影が忙しくなった頃、サウラとほとんど話せず終わる日が続き、
淋しくなって夜サウラのベッドを訪れた。疲れたサウラを起こさないように、そっと脇に潜り込むための
アイルの配慮だった。
 それにどんなに身もだえていたかアイルはわかってしていたのだろうか。お返しだ、とサウラはこりずに
アイルを驚かそうと足音を忍ばせ、身を潜めて自室に戻り、そしてその光景に息を飲んだ。
 幼いはずの恋人がその身を震わせて自分を慰めていた。
 
 アイル…!お…おまえ…っ!!
  
 サウラは激しい衝撃にめまいを覚えて膝をつく。そんなバカな、と思いつつ顔を赤らめて
恋人の痴態に目を凝らす。ベッドに沈み込みまぎれてしまうような薄い体を、クションに半身を
起こし気味に横たえている。服は着たまま、左腕にデザートのバッドを抱えたまま、右手を
ショートパンツに沈めて小さく体を揺らしていた。行為はひかえめだが何をしてるかわかってしまう、
AV監督のサウラである。
 目を硬く閉じて熱中しているのを確認すると、スケベ心ではなく単純にその姿が見たくて、
跪いたままそろりとベッドに近寄った。
 半開きの唇からぺろりと小さい舌が出て下唇を濡らすのを見て、サウラは頭に血が上る。
自身の口中に急速に唾液がたまり、それをのど音をたてないよう飲下するのに苦労した。
 …んふう、と小さな吐息を漏らし、少女は腰を浮かし、ショートパンツに突き入れた指先を繰る。
ティラミスを抱いてた腕を放すと拳を作って口元に寄せた。紅い唇がゆっくり開いて白い歯が拳をかんだ。
 サウラはそのすべてを見逃すまいと凝視する。
 そこまではスローモーションのようにゆっくり感じたが、あっというまにアイルは絶頂を迎え、
小さな嬌声が上がらなければ、それはサウラに気づきようもないほどささやかな仕草だった。
 恥骨を突き出したままひくん、と震えるのを、もはや間近に見下ろして、サウラは甘い声を聞いた。
「…サウラ…。」
 切ない声に、優しく、と肝に銘じたはずの最後の理性がとんで行った。


156サウラとアイル@スウィートドリーム:2007/09/20(木) 17:13:55 ID:a/x3X/EL
・・・・・・・・・・
 
 いつでも見れる甘い夢を、今夜見たっていいだろう?


「…んわあん!バカあ!もう…!嫌い、嫌い、嫌いだ〜っ!!」

 後ろから羽交い締めに抱きつかれ、アイルは手足をじたばたさせて逃れようと暴れた。だがいつもは
ふんわりと自分を抱くサウラの腕が、今夜ばかりはきつく絡んで外れない。それでも今はとにかく
一人になりたくて、この恥ずかしい現場から離れたくてアイルは強引に立ち上がり、ずるりとなにかに
足を滑らし、思い切りサウラの体の上に落ちた。鳩尾にエルボーをくらいサウラはうめいた。
「ごめん、ボス!大丈夫…あっ!」
 横向きの体をひねり、サウラを伺いかけてアイルは絶句する。脇腹にごりんとあたる異物に、
赤らめた顔をさらに火照らせて口をつぐんだ。

「大丈夫…みたいだな。折れなくてよかった。」
 くくく、と笑う、頭の上の方からの声聞き、アイルはどうしていいかわからず、身を固めて
じっとしている。手元を見るとサウラのシャツも自分のTシャツも、チョコとチーズのクリームに汚れて
ベタベタだった。
 怒られる。
 アイルはとりあえずそのことで頭をいっぱいにさせ、この場をどう逃れるか考える。
腰の熱い固まりのことなんてボクは知らないよ!
 顔を見られるのが恥ずかしく、俯いたまま、えいやっ、とアイルはサウラの懐からその身を起こす。
「ボス、ごめんね、シャツ明日洗うから…。シーツも…。……っあ。」
 サウラの腕が、自分の腰に回った場所からずるりとTシャツを引き上げ、背中と胸を露にする。
いっしょに上がった両腕をあわてて下ろして胸を隠す。と、すでにそこにはサウラの大きな手のひらがあり、
自分の素肌はどこにも見えない。 
 下ろし損ねた腕を宙にうかせたまま、サウラと目が合う。
 まだ処女を失ったばかりの経験値の低いアイルにも、その目に浮かんだ欲望の光は見て取れた。
 ボス…っ、露骨すぎだよ…!?
 早鐘を打つ胸を奪われたまま、ゆっくり顔を近づかせてくるサウラからアイルは目が離せない。
こんなに真剣な面持ちのサウラを見たのは過去に二度。観覧車の中と初めての夜。予感に身を震わせて
アイルは息をつめた。彼の欲望の固まりは、起き上がったアイルのショートパンツとガーターの間の
剥き出しの太腿の下にある。
「アイル…。」
 耳元にいつも以上にくぐもった低い声を聞いてアイルは、ああ、と腰が砕ける思いがした。
 ボスがボクを求めている…!!
「頼む、焦らさないでくれ。余裕がない。」
 恋人の切ない頼みを聞かない訳にいかず、アイルは真っ赤な顔で小さく頷いた。

157サウラとアイル@スウィートドリーム:2007/09/20(木) 17:16:16 ID:a/x3X/EL

 そのままTシャツを脱がされ、同時に唇を奪われる。
 重なると共に押し入って来た大きな舌が、アイルの舌を捕らえて奥から引きずり出す。
 そんな事をしなくても、ボクもサウラが欲しいんだよ、と伝えたくて、懸命に舌を伸ばして
サウラに絡めた。いきなりの激しい口づけに二人そろって息が上がる。唇がずれた隙間から互いの唾液が
こんなに、と驚くほど一気に垂れて、驚いたアイルが唇を一度離すと、垂れた唾液を追ってサウラが胸元に
唇を落とした。
「ふ、あっ!」
 そのまま仰向きに押し倒された。
 強く、強く吸われて、紫色の跡が鎖骨の下に刻まれた。
「俺のアイル。」
 自分のつけた跡を舌でなぞって確認すると、サウラは小さなその胸を捏ねるように掴む指の間から
飛び出た先端を口にした。
 転がして楽しむような余裕は今はなかった。
 ささやかながらも柔らかな丘から手のひらをずらし、代わりに舌と唇で肉の揺れを味わう。
繰り返し噛み付くように双丘を這い回り、とおに硬くしこった頂を捕らえては強く吸う。
 口に譲った手の平はそのままゆっくり腹を這い、ショートパンツにたどり着くと、ボタンとファスナーが
とっくにはずされているのを知り、ためらいもなくずり下ろした。すべてを脱がすに待ちきれず、
半分ずらしたところでショーツに手を掛け、そのままショーツもずり下ろす。
 
「えっ、…ああっ、ん、…やんっ!」

 その性急な一連の愛撫にアイルは目を回しながら、サウラの頭を抱え込む。
 太腿を撫でていた手がすうっと上がってきて、脚の間にするりと指を入れたかと思ったら、
それはくっと曲がって柔らかい肉にめりこんだ。
 くちゅっと音がして自分が濡れてるのを自覚する。さっき自ら達したばかりで、すでに熱く
練られていて恥ずかしい。
 見ると自分の腕の下でサウラは夢中で胸を吸っていて、それも直視出来ないほど照れて恥ずかしい。
だが、なにより秘部に刺さったその指だけが独立した動きでアイルを一気に攻め立てはじめ、
アイルは耐えきれず声を上げた。
 
「…んあっ、あっ、あんっ…ボス…や、ああ、ボス…!」

 さっきまでいじった快感の中心を、難なく捕らえられ、中指と人差し指の根元にで挟まれる。
それをそのまま曲げた親指で嬲られ、同時に他の指を秘部の裂け目にめり込ます。

 …アッ…ボスの指が…ああっ、入っちゃう…太い…ボスの指…!

 だが指は入り口に浅くめり込んだだけに留まり、そのまま腕を揺らすようにバイブレーションが与えられ、
クリトリスを押さえた親指が擦れた。
158サウラとアイル@スウィートドリーム:2007/09/20(木) 17:18:09 ID:a/x3X/EL

「やああっ、だめっ…ボス!だめっ!!…んんっ!!」
 激しい指の動きに反してサウラはあえてゆっくり乳首をねぶる。
「ひっ…アアッ…っ!」
 たまらない快感にアイルはサウラの首に抱きついて耐えるが、熟練の手技にあえなくイカされた。
 
 ああ、やだ、さっきイッたの見られてるのに、もうイッちゃった…恥ずかしい、恥ずかしいよう!!
 ふるふると身を震わせて羞恥に嘆く。
「…悪い、痛かったのか?」
 涙を浮かべてはあはあと息をするアイルを見てサウラが心配そうに聞く。サウラも上気した顔で
息を乱していたことに安心して、アイルは首を振る。
「ううん、違うの。すごい…悦くて…恥ずかし…。」
 この二ヶ月自分が得て来た、一人の快楽に比べてなんて多彩で、強く感じる事だろう。
思ったままをうっかり口にだし、アイルは快感の余韻に震えた。

「そうか、じゃあ続ける。」
「えっ…んああああっ!!」
 未だ快楽にしびれる体に、そのままぐいっと二本の指を刺し入れられ、アイルは身を反らせて戦慄いた。
驚いて足で突っぱねた拍子に再び軽く達してサウラの指を締め付けた。

「…この、悪い子だ。……入れたくなるじゃねえか。」
 うっすらと加虐の色をにじませてサウラが言った。
 自覚する。ダメなオヤジだ俺は。優しく、優しく…。はは、無理かも。
「可愛い声だな、アイル。もっと聞かせてくれ。」
 立て続けの絶頂感から復帰しようと、息を整えていたアイルはひくっと、鼻を鳴らしてサウラを見た。
震える唇を挿入されてない指がなぞる。
「お前が喘ぐと俺はたまらない。」
 閉じかけた唇を割って指が入って来た。ひとしきり口内をなぞり、口裏の天井をそっと撫でられる。
微妙な力加減はあきらかにアイルから快感を絞り出す。指はアイルの唾液でべとべとになりながら
奥で縮こまる舌を挟んで引き出した。めいっぱい引き出された舌をサウラが自分の指ごと舐め上げしゃぶる。
 アイルは舌を嬲られる快感に目の奥をスパークさせる。さんざん蹂躙され、ふわああん、と鼻から
喘ぎ声を抜けさすと、ようやく舌から指を離してサウラが笑った。

「甘いから、舐めたら溶けるかと思ったが、溶けねえな。」
 ああ、ボスのスイッチが入っちゃった…。
 アイルは自分の顔をにまにま見ながら、恥ずかしげもなく恥ずかしい事を口にするサウラを、
羞恥に震えながらどこか覚悟して眺める。
 初めての夜のあと、こっそり元妻ビアンカからきいたサウラの性癖だ。
 大丈夫だった?アイルくん。あいつの言葉嬲りは天然だから、あんまり気にしないのよ。
愛撫がねちこいのも昔からだから、厭なら厭だと言うのよ。
 なるほどと思った。

159サウラとアイル@スウィートドリーム:2007/09/20(木) 17:20:41 ID:a/x3X/EL

「…ここザラついてるとこ痛くないか?」
 泣きそうに首を振る。中を擦られて、とくにそこはたまらなくよくて、わかって聞いてるサウラは意地悪だ。
「あとこのへん、良いってされてるとこだが、お前は初心者だからどうかな。」
 上の中ほどを押されておしっこが出そうなへんな刺激に、腰をよじって耐える。
 息が上がって来てまたイきそうになる。

「ボス…、ボスお願い…ボクもう…っ。」
「ん?もう何だ?」
 アイルは恥ずかしさに顔を歪めて意地悪に笑う恋人を睨んだ。初心者だっていうならこんなこと
求めないで欲しい。いやらしいなあ。でも、求められたら徹底してそれに応えるフェイラ星人をなめないでよ。
なんでも言うよ、バカ…。
「…もう…入れて、ボス…。」

 にやりと、心底嬉しそうに笑うとサウラは指を抜いてアイルから身を離した。
「まだせまい。」
 追いつめられていたのを羞恥の上引き離され、思わずカッとしてアイルはサウラをなじる。
「そんなに大きいの!?」
「言ったなこの野郎。」
 動じずサウラはいつもの意地悪な笑顔で下を見ろと、視線で促す。見るといつの間に脱いだのか
下半身は何も履いてない姿だ。クリームで汚れたシャツの布を持ち上げ突き上げてる、見慣れたサウラの
見慣れない部分に、あっ、と声をあげるとサウラは目の前でシャツを脱ぎ、露になった肉棒を
アイルの鼻先に揺らした。
「ひっ、わわっ。」
 さっきも触ったボスの…。さっきより大きいよ!?
 顔を背けて俯く。こんなグロテスクで、怖そうな物が優しいサウラの体の一部だなんて信じられない。
 サウラがアイルの震える小さな手をとり自身の下半身に促す。
 当然握らすぜ。お前を愛するもう一人の俺だ、アイル。
 アイルの手に驚くほど熱く硬い、なのにぐにぐにした肉のかたまりが触れた。興奮しきっている
サウラのそれははちきれんばかりに、年甲斐もなく硬くそそり立ち、赤黒い血管を浮かせている。
反り返ったカリの端に鈴口から滴った先走りがたまって垂れそうになっている。
「わわ、わあ…っ、うそっ、こんなの入らない…っ!!」
「入るよ。もう入れただろう。」
「うそ、うそうそっ、えええ〜!?」
 てんぱって目を白黒させてるアイルを改めて抱き寄せキスをする。
 さっきの貪るような口づけと違って、何度も軽く吸い付きお互いを感じあうキスは、
サウラが教えてくれたアイルの大好きな恋人のキスだった。
 う…ん、と声を甘くして簡単にとろける。
「いつまで握ってんだ、エッチ。」
 からかうサウラの声に、離し損ねていた手を熱い固まりから慌てて離す。
「今日は舐めてくれねえのか?」
 どうして良いかわからずアイルの目が泳ぐ。本当に、なんであんな事が出来たのか、知らないって
無敵だ。今は、もうこれが自分に与える物を知ってる今は、とても恥ずかしくて直視出来ない。
 そんなアイルを目を細めて嬉しげに見る。余裕があるように見えるが、可愛い恋人を言葉で苛める
こんな時がサウラは一番ノリノリに興奮している。

160サウラとアイル@スウィートドリーム:2007/09/20(木) 17:22:58 ID:a/x3X/EL

「お互いべとべとだな。後で一緒に風呂に入ろう。」
 言われてお互いの汚れた体に今更気づくアイルだった。チョコで、チーズクリームでべたべたに
なった部分が、所々乾いてかたまりかぴかぴに剥がれている。スポンジの部分はつぶれてゴミのように
お互いに絡んでいた。
「…ごめんなさい、ボス。」
「ん、洗濯とかたずけるのをやってくれれば別にかまわない。」
 向い合ってサウラの膝に座るアイルの肩に口づける。
「どこを舐めてもお前は甘い。こんなクリームだらけじゃなくても…。」
 わ、わ、と顔を赤くして胸に降りて来たサウラの唇に体を震わす。簡単に気持ちよくなる自分の体が、
とても不思議で、アイルは素直に口にした。
「溶けないっていったけど…ボスが舐めたとこから溶けてボスにくっついちゃうみたい。」
 なんて可愛い事を言うのか、たまらないな、とサウラは可愛い乳首に吸い付きながら膝に乗っている
アイルの尻を撫でた。
 そのまま太腿を這い、ショートパンツが絡んだままの膝に驚いて一瞬手が止まる。どおりで足を
閉じたまま横座りのアイルだ。自分の余裕のなさに苦笑い、下着と一緒に足から抜いた。
 アイルのスレンダーな体には、ピンクのガーターソックスだけが残された。その姿が少し恥ずかしく、
それも脱ごうとするアイルを慌てて止める。
「俺が脱がすと言っただろう。」
「じゃあ、脱がして。」
「後でな。」
 体中に小さなキスを落とされながらアイルは焦れる。
「後っていつ…?」
 膝立ちにされそのままぐにぐにと丸いお尻を揉みしだく。アイルの息が弾み、足を閉じようとして
サウラに遮られる。
「だめだ、焦らすなよ、アイル。」
「焦らしてるのはボスだろう!」
 またしても駆け上がってくる快感にアイルは途方に暮れる。いったいいつになったら
入れてくれるのだろう。サウラは欲しくないのだろうか。

 腹に口づけされたまま腰を持ち上げられ、ベッドの上に立たされる。今度はサウラが膝をついて
ちょうど目の前に持って来たアイルの薄い茂みに口を付けた。
 ああん、と声を上げるアイルを下から見上げて、意地悪く笑う。
「甘い。ここにクリームつけて自分でしてたのか。いやらしいな、アイルは。」
「違っ、偶然垂れちゃって…あん!!」
 そのままさっきと同じに二本の指を入れられ上の天井をなぞられる。もう片方の腕で腰を抱かれ、
恥骨を突き出す形にされる。
「こんなふうにしてたな。エッチだった。」
「や…っ忘れて!忘れてよ!」
「ここ…初めての時より大きくなってる。ずっと自分でしてたのか。」
「いやあだあ〜っバカあ!!そんなことっなんで言うの!?」
「誰を思ってしてたんだ?」
 聞いてたくせに!とアイルは耐えきれず、眼下にしゃがむ大きな背中を拳でばんばんと打ち付けた。
「ボスだよっ!ボスしかいないでしょ!!ボスがしてくれないから…ボスがしてくれてるとこ思って
ボクは……ああんんっ!!」

161サウラとアイル@スウィートドリーム:2007/09/20(木) 17:26:12 ID:a/x3X/EL
 サウラは言わせた答えに満足し、突き出した蜂蜜色のヘアの隙間から見える割れ目に、
舌を差し入れ押し開く。尖りは簡単に見つかり、それを皮の上からごりごりと舌でしごく。
入れた指が急に動きを楽にし、溢れた愛液は水音を立て始めた。
「ああん、やんっ!音…っはずかし…っ。」
「すごい濡れてる、アイル。」
「ひああっ!」
 ぐちゅぐちゅとかき回し広げながら、溢れた液を舌で絡めとり、そのまま先端の尖りに
皮を押し上げるように塗り付けた。皮は持ち上がり、つるりとした真珠の感触がサウラの舌に当たった。
そのままチロチロと舐め上げると、きゃああ、と甲高い嬌声を上げてアイルはイッた。
 立った膝をがくがくさせて、サウラの指を締め上げる。あまりの絞めに、これから入れる
息子の心配をするサウラだ。千切るなよ、マイハニー。
 噛み付いて離そうとしない穴から強引に指を抜き取って、サウラはがくがくと痙攣するアイルの腰を
両腕で抱きしめた。

「アイル。可愛い…。」
「ボ…ボクの体、…変じゃない?」
「変じゃないよ。」
「ボクの反応とか…こんな簡単に…さっきから、変な声とか恥ずかし…。」
「変じゃない…ってか変になってくれ。ごめんな、俺こんなで。苛めて…俺だけ興奮してる。」

 サウラの言葉がうそじゃないのは、足に当たる熱くて硬い固まりが教えてくれた。さっき見た凶悪な絵が浮かぶ。
今からあれを迎えるのか…。怖い…。
 すでに涙に濡れた顔を歪ませそれでも覚悟を決める。お腹にサウラの口ひげを感じてふう、とアイルは
ため息を漏らした。だいじょうぶ、怖くない。怖くない。サウラのだ。
 抱きしめたサウラの頭を持ち上げ顔を見下ろし、目でキスをねだってみた。サウラはすぐに
承知、と立ち上がり、とびきり優しい恋人のキスをする。するとお腹にあたった熱い固まりが
びくんと跳ねてアイルがびっくりすると、サウラがバツが悪そうに笑った。
お前に夢中なんだ、仕方が無いだろう?そんな感じに。
 アイルは胸が熱くなった。
 すごい、声に出して話さなくても伝わる。生身の肌の触れ合いって、実はすごいんじゃないだろうか。
 だけどさすがの百戦錬磨の大人のサウラは、子供のアイルの照れるような事もはずかしげもなく言ってのける。

「夢中なんだ、アイル。頭からガリガリと食っちまいたい。毎日抱きたくて気が狂いそうだった。
お前を喘がせて泣かせて、何度も気持ちよくさせて、俺が欲しいと言わせたかった。」
 ああ、ボス、本当はボクもだよ。
「…ボスが意地悪で、ボクは恥ずかしくて、いつも泣いちゃうけど…。気…気にしないでね。
本当は、いいんだ…恥ずかしくて…。」
 アイルも欲望に応えたくて素直に口にする。
「ボクは…こんなだから…男の子みたいだから…普段もつい、乱暴に男の子みたいにしちゃうけど、
ボスに苛められると、恥ずかしくて…女の子みたいに恥ずかしくて……気持ちいいの。」
「俺はお前を男の子のように思った事は一度もないぞ。」
 真っ赤な顔で告白するアイルにたまらずキスをする。サウラももう限界だ。
「…可愛いアイル。」
 可愛い、可愛いとと耳元で何度もささやきながら、サウラはゆっくり自分の腰にアイルを落としていく。
162サウラとアイル@スウィートドリーム:2007/09/20(木) 17:28:03 ID:a/x3X/EL

 脚間の秘部に熱い物が当たり、ごくんとアイルは息を飲んだ。
「欲しいか?」
 にやりとサウラは笑う。
 可愛いとか言いながらこのスケベオヤジ。この間処女を捧げたばかりの少女に言わす事じゃないだろう。
だけどアイルはがんばった。
「欲しいよ…ボス。い…入れて…。」
「ボス、じゃないだろう?アイル…ファタハビエ。」
 耳元に口をつけたままささやく低い声に、ゾクゾクと背中をなにかがしびれて通り過ぎて行く。
この時しか呼ばない、アイルの本名だ。
 反則だ、ボス…。
「…サウラ……。」
 体の準備は厭というほど出来上がっていて、早く早くとサウラを求める。それを素直に口にする。
「いっぱい愛して…。」
 自分が最も求める言葉を聞いて、再びたがをはずしてサウラは、アイルに貪るような口づけをする。
アイルの腰を強く支えて一気に自身を突き入れる。
「ん…ああああっ…ああん!」
 その嬌声を聞きたくて同時に唇を離した自分がなさけなくもおかしい。

 全くどうしようもねえスケベオヤジだ。
 でもどうか、愛してくれ。愛している。

・・・・・・・・・・・

「いやっ、大きい…っ、熱い…っ!」
 貫かれた体が、異物に慣れるのを待たずにサウラはアイルを揺さぶる。
 まだようやく二度目の夜である。痛いはずだが、そうは言わないアイルにサウラは感謝しつつも
図に乗って突き上げる。
 体に負担のかかるピストンではなく、きっちり奥まで入れ込んだまま、自身の付け根で
アイルの充血したクリトリスを押し付けるように腰を突き上げて振動を与える。
入り口と最奥の刺激でアイルはあっという間に高みに登った。
「あああっん!」
「ちょ…待て、早いぞこのやろう…っ。」
 キュキュウと絞り込むように締め付けるアイルに辟易し、サウラは動きを止め快感に耐える。
 このあいだまで処女だったのが嘘のようにほぐれている。
 初めて指を差し入れた時は、正直せまくてヤバイと思った。お得意の執拗な愛撫に
耐えてくれたからこそなんとか入ったが、壊れるのではと心配だったのに。
 首に抱きつきハアハアと息を切らすアイルの手を取り指を絡める。
「…イッちゃったか?」
 恥ずかしそうに頷く。甘いと息をすすりながら、ダンスを踊るように腕を重ねて膝上の体を揺らす。
快楽の余韻にああ、と声を漏らしながらアイルはサウラに何もかもを任せていた。 

163サウラとアイル@スウィートドリーム:2007/09/20(木) 17:30:18 ID:a/x3X/EL

 眼下に震える小さな胸を見て、口元をほころばす。巨乳が好きだったのが嘘のように、
そのささやかに揺れる隆起が愛おしい。視線に気づいてアイルが言う。
「ボクはもうちょっと大きくなりかった…。」
「俺の好みが気に入らねえのか。」
 ん?と頬ずりしながら、握ったアイルの手ごと右手を胸に這わす。
「だって…物心ついて自分の体の特殊性を認めて以来、ボクはずっとその日が来るのが怖かったけど、
…でも楽しみでもあったんだよ。」
 ぐんぐん伸びる身長とうらはらに、まったく成長を見ない胸や尻を前にすると、誰でもいい、
巨乳好きなスケベな男が自分を抱いて、女らしい体に変えてくれないだろうかと思う時も実はあった、
とアイルは告白する。
「だけどそれはもちろん、乙女にありがちな妄想の中だけの欲望で、妄想の中で自分を奪うのは、
あくまでも自分と相思相愛な素敵な王子様なんだけど…。」
「悪かったな、王子でなくて。」
 少し損ねた機嫌を、腰を突き上げてサウラは伝える。やあんっ、と声を上げさせ満足する。

「現実がそんなに甘くない事はとっくに知ってたよ。」
 子供のようなサウラがおかしくてアイルは笑った。達した体は異物に少し慣れて、つながったところは
熱いまま、潤いが痛みを和らげてくれていた。スリスリと頬をすらせてご機嫌を取る。こんなふうに、
言葉ではなく、体で伝えられるこれが、ボクは好きになりそうだ、とアイルは心で一人ごちる。
「エバムフェイラ星を代表して、親善大使として他星に赴くことになったと決まったとき、
それがボクの処女と、愛人か性奴隷となる未来との交換条件に、エバムフェイラへの不可侵を
約束させるものだったとうすうす気づいていたんだ。」
 語りだしたアイルの話にサウラは眉をひそめた。
 おいおい、萎えるだろう、という気分と、初めて知る痛々しい事実に動きを止める。
「ボスは知らないだろうけど、ボクは父に、母に、愛する国民に、娼婦となり国を守れと
命じられたんだよ。もちろん嫌だった。だけど仕方が無いと諦めてもいたことだったんだ。」
「アイル。」
 たまらずサウラが止めるがアイルは続ける。
「なのにボクは自分の守るべき国を失うことにより図らずも自分の体を守れてしまった。
そしてそのことがあったからこそ、ボスと出逢ったんだ。」
 つながったまま見つめあう。
 急速に小さくなっていく体の中のサウラにごめんね、でもがんばってと、伝えたくて
アイルは自分を見つめるサウラにキスをする。

164サウラとアイル@スウィートドリーム:2007/09/20(木) 17:33:27 ID:a/x3X/EL

 そのことをどう思うかと問われても、ボクは一生言葉にできないだろうと思う。
 ボスが自分を受け入れてくれてとても嬉しい。
 だけどこれを喜んでいいのかどうかはわからない。
 この世から消え去った自分の同胞を忘れるなんて出来ないから。
 生き残った自分が愛する人に愛される幸せを得るということ、それが心から嬉しい事、
ボスによって変態させられる事もあわせて、怖くないと言えば嘘だった。
 緊張と畏怖で身が震えたんだ。
 それでも今から行う行為を拒む気は微塵も起きなかった。
 愛され、愛したかった。
 ボスが強くボクを求めてくれたから、やっと生きててよかったと思えたんだ。
 
「どうしたってボスはボクが待ち望んだ王子様だよ。」
 伝えきれない事をなんとか伝えるために、アイルは懸命に体をサウラに押しつけ擦らせた。
サウラがしてくれるように、柔らかい唇を逞しい胸に、細い腕を背中に這わせて懸命に愛撫する。
その動きはたどたどしいが、体に埋まったサウラがふたたび熱を持って大きくなったことに
安堵のため息を漏らす。
「ボクを抱いてくれてありがとう。愛してる、サウラ。こないだ言いそびれてずっと……んはっ!」
 ズン、と突かれた衝撃に言葉を途切らせ、サウラにしがみつく。
 唇を噛み付くように塞がれて、そのまま横に押し倒され、続いて覆い被さるサウラの体の重みに
ベッドに沈む。開きっぱなしの口からサウラの唾液が流れ込み、アイルは胸苦しい思いでそれを飲み込んだ。
腰を強く打ち付けられ、舌が自然にさしだされる。お互いの口の外でそれをねぶりあい、
アイルは求めあう気持ちよさに涙した。
「好きっ、大好き、…サウラ!!」
 腰が持ち上げられ片方のピンクのガーターソックスがサウラの肩に担がれる。サウラがゆっくり
ソックスごと膝を舐め、レースの隙間からサウラの舌を感じてたまらなかった。
 大きく脚を開かれた形で片足に抱きつきながらサウラは結合部の互いの恥骨を擦らせる。
 太腿に噛み付かれるのと勃起したクリトリスを親指で擦られるのを同時に受けて
アイルは快感に叫んで身を反らせた。かまわず激しく腰を打ち付けるが、サウラの怒張は張りを強めて
引っかかり、アイルの膣の締め付けと共にそれを困難にする。
 サウラの獣のような猛りに悲鳴に似た嬌声をあげて、アイルはシーツを握りしめて
薄れそうな意識をなんとか耐え忍ぶ。
 サウラが噛み付いたガーター部分をそのまま引き千切るようにしてソックスを脱がした。
 ああ、やっと…と、目を細めてそれを見るのと、アイルが白んだ天頂の高みに放り投げられるのは
同時だった。
 うおお、とサウラの吠える声と、張りつめた物がはじけて熱い液体が体に満ちるのを感じ、
ひくつきながらアイルはゆっくり落ちて行った。

 ・・・・・・・・・・・・・

165サウラとアイル@スウィートドリーム:2007/09/20(木) 17:36:54 ID:a/x3X/EL

 宇宙船に朝はない。

 だが宇宙空間に漂うに任せると自律神経が狂うから、とサウラは自動的に明るくなる装置を
ベッドルームにつけていたので、アイルが気がついた時はその明るさからとっくに昼をすぎている事を知る。 
 シーツに包まれた半身を起こしかけると、隣で寝ているサウラを含めた部屋とちらばった
ティラミスの残骸の余りの惨状が目に入り、うんざりとまたシーツに潜り込んだ。
 これを掃除すると思うと途方に暮れる。もう二度とデザートをベッドに持ち込みません、とアイルは誓う。
どういうわけか自分の体だけはあまり汚れていないのを不思議に思ったが、記憶の切れ切れに自分の体を這う
サウラの唇を思い出し、うひゃあ、と顔を赤くする。…持ち込みません、と再び誓う。
 
 ぐったりと腰が重く、寝返りを打つと、体中がきしむ。
 …あのあと三回も…。
 ごめんな、俺こんなで、と言った言葉を思い出し、まったくだと、今更頷く。
 とんでもない男に惚れてしまった。ビアンカの言ってた通り、加虐で鬼畜だ。

 隣で満足げに寝ている獣の姿にうらめしそうに「スケベオヤジ」と吐き捨てた。
 獣はゆっくりとまぶたをあけてアイルを見た。
「起きてたの?」
 驚いてアイルが身構える。
「ああ。」
 ふふう、と笑って長い腕でアイルを抱き寄せ懐に入れる。
「愛しているよ、可愛い俺のアイル…。」
 耳元でいつものように低く甘くささやかれ、赤くなる。
 この声、本当ダメだ、ボク。
 うっとりと次を待つアイルに再び健やかな寝息が聞こえて来た。寝ぼけてたのか、とがっくり来るのも
また、いつも通りである。

 あーあ、とアイルもサウラの腋に身を寄せて目を閉じる。
 このまま体が痛いとかだるいとか言って、この部屋の片付けはサウラにさせるのはどうだろう、
と思いついて笑みを漏らす。
 でも今は…。
 大好きなサウラと甘いスイーツの香りに包まれアイルは心地よさに身を任せる。


 ピンクレースのガーターソックスは成功だった。
 今度はどんなのを着ようかな。
 サウラが可愛いと言ってくれるのが好きだ。
 昨夜はボクの体をあちこち撫でては、こめかみに、首筋にキスを落として、耳元で可愛いアイルと
何度もささやいてくれた。ボクはだんだん自分が可愛い女の子になった気がして嬉しかった。
 ボーイッシュな自分のまま、そのままの自分を可愛いと愛してくれる、そんな自分を自分も好きだと
思えるなんて変身するよりずっと素敵な変態だ。
 ボクの体はどこも変わらなかったけど(ちょっとエッチにはなったけど)、サウラの思いで心の何かは
変わってきている。言うなればこれが恋の魔法ってものか。
 
 そうか…フェイラ星人にかぎらず、みんな…同じ…。
 
 そして甘い匂いに包まれて、恋人の夢を見る。
 目覚めたときまた逢えた、と笑うんだ。
 


                           完
                      ・・・・・・・・・・・・・


166名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 01:18:37 ID:zJDt2okB
待ちぼうけのエロパートが時間差でキターw
読みごたえのある作品でした。GJ
167名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 04:46:49 ID:+lLs8c9m
これは確かにスウィート以外のナニモノでもないwww
ニヤニヤが止まらんです
168名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 17:11:05 ID:377F0jbs
あまーーい!!
あますぎるよおざーーさーーーん!
GJ!
169690:2007/09/22(土) 02:13:45 ID:l+9ITlDH
デザートプレイテラGJ!!
アイル可愛いよアイル。
甘くて幸せなお話をアリガトウ。

次はいつ投下できるかわからんのですが、ちょっと意見だけ聞かせてください

1、クロルとヴィクターの出会い編→軍医による強姦陵辱エロ
2、ウィルトスによるクロルの性教育→そのまんまエロレッスン。
3、前スレに話が出ていましたが、クロル不幸エンド→徹底した陵辱。糞欝話。誰も幸福にならない
4、パン屋もの続き
5、埋めネタファンタジーの続き
6、新作ヨコセ

どれがいい……?
というより、どれがNG?
すきなの書けよと言われたらそれまでなんですが……
170名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 02:37:47 ID:eYksq21+
You、全部書いちゃいなYo!

と、冗談はさておき
1と3が読んでみたい俺ドS
171名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 02:43:07 ID:gpP/4lll
う〜ん。全部読んでみたいど…
シリーズとして、1、2、特に4、の三人の関係は続けて欲しい。
三人以外にもバルスラーとアウラにも登場してほしいです。
3、はここまで話が進んでしまってるので辛くなってしまいそう。
もちろん5,6、も読みたいよ。

690さん好きなの書いてください。
172名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 06:39:07 ID:tnjA1srX
保管庫で、完結してない事に悶えた5をぜひ!!!
強いてあげればNGはバッドエンド。本気で落ち込む…
というか、気長に(全部)お待ちしてます!
173名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 10:59:06 ID:4Xdq/GFw
2で任務のためにベッド上の手管を覚えようとする初々しいクロルが見たいです。
174名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 12:35:31 ID:rfiqxXQh
皆の衆
ニーナがきてるぞ〜い
主従スレへGO!


1、2はいやだなあ
ヴィク派だから
3は、同人誌発覚とかのメタフィクションなら興味ある
4は当然の如く、要求する
5、6も見たいが、4のほうが気にはなる
でも、ニーナも読みたい
要するに、好き勝手言ってるだけなので、書きたいようにお願いします
175664:2007/09/22(土) 15:43:11 ID:zxBg5wAE
690氏のなら何でもいいが強いて言うならパン屋の続き。
さらに許可してもらえるなら超鬱エンドを書かせて頂たいです。
元々、漏れは鬱話書きなので。
176名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 16:31:13 ID:+xIqcqGf
鬱EDも読んでみたいが
クロルにはエロレッスンものが似合うかとオモタ
軍医の凌辱でスレたクロルが、徐々にエロとウィルトスにハマってくところが…ハァハァ
177名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 23:05:01 ID:aYqw+Iaz
690氏、主従スレでも超GJです。
個人的には4が読みたい。
何か3人の関係に変化があったりとか。
少し前に疎外感を感じるヴィクター、みたいな読みもあったし。
拗ねたり焼きもちを焼くヴィクターとかみたいな…なんて…
178名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 22:40:34 ID:SVUoKQ9A
1.3を特に読んでみたいです。鬱万歳!!

でも本音としては1→6の順で全て書いていただきたいです。

179名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 00:28:55 ID:GV9Htz+D
5の埋めネタに一票。
オチのついてない話の続きがいつまでも気になってしまう質なので…
180690:2007/09/24(月) 00:30:02 ID:L3y2XirQ
>>170-178
わざわざ答えてくれたありがとうございました
4、パン屋もの続き
がNG数ゼロでかつ希望数が一番だったので、とりあえずこれに手をつけようと思います。

>>664
you やっちゃいなyo!
欝エンドはあくまでパラレル、もしもの世界の話なので、徹底的に鬱々してても問題ないです。
私的には誰が死のうと大丈夫です。
注意書きとNG対策さえ徹底していれば問題はないかと……。
むしろ楽しみに鬱々しております。

それでは、長々とコテ語り失礼しました。
181690:2007/09/24(月) 00:33:34 ID:L3y2XirQ
>>179
ケコーン!
埋めネタファンタジーについては、余力とタイミングを見て埋めネタ的に投下して行こうと思います。
182名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 02:57:14 ID:pIhWjMGn
とりあえず、一ヶ月のオアズケをくらって、欲求不満で悶々とする二人のSSを希望
183名無しさん@ピンキー:2007/09/28(金) 17:24:10 ID:tty1vEjY
>>169
出遅れっぽいが2を強く希望
パン屋の前からずっと読みたかった
184六九:2007/09/29(土) 21:35:39 ID:fxUpZ4c6
前に数字コテが分かりにくいと言う指摘がありましたので、
今後『690』ではなく『六九』と漢数字にて名乗る事にいたします。
ご面倒をかけますが、こちらを新たにNGワードとして指定してください。
また、今回投下するのは傭兵パン屋物の続きですが

ヴィクターの浮気話

ですので、そういった内容が得意でない方はスルーをお願いいたします。
185六九:2007/09/29(土) 21:38:18 ID:fxUpZ4c6
傭兵パン屋物
ヴィクター浮気話
エロ未到達

 気が、狂うかもしれない。
 さして長いとも言えない、しかしそれほど短いわけでもない人生の中で、ヴィクターは初め
てそう思った。
 長期にわたって女を抱かない事もあった。
 女なんぞ抱かずとも性欲は処理できていた。
 世に氾濫する書物の言葉を信じるならば、セックスよりも自慰の方が得られる快楽は大きい
らしいという事も知っている。
 だが、快楽のみを得て何が楽しい。
 虚しくなるだけではないか。
 ただ事務的に欲望を処理する行為には情けなさしか感じない。
 いやだ、いやだと泣きそうになりながら逃げる体が欲しい。
 もうだめ、やめてと苦しげにもがく声が聞きたい。
 名前を呼んで欲しい。キスをねだって欲しい。嫌がって怒って欲しい。すがりついて求めて
欲しい。
「うをぁああぁ!」
 禁欲生活二週間と三日目。
 苛立ちは頂点を越えて常時振り切れ状態。
 持て余した欲求を暴力に置き換えて、頑丈な革製のサンドバックを殴り続ける毎日が延々と
繰り返されていた。
 今度壊したら金属の柱を殴らせるぞ、というクロルの脅しがあるため衝撃吸収素材のグロー
ブを装備しているが、それでもサンドバックの留め金が崩壊しそうな威力である。
 店が閉まり、明日は定休日という退屈な夕暮れ時。
ヴィクターは死人も飛び起きて敬礼せずにはおれないような雄叫びを上げ、渾身の力を込め
て拳を振りぬいた。
 限界まで張り詰めた鎖が悲鳴をあげ、天井と床に打ったくさびが歪む。
 僅かに砕けたコンクリートの粉末が天井からばらばらと降ってきて、ヴィクターは流れ落ち
る汗を拭ってグローブを脱ぎ捨てた。
「その調子で酷使すると、あと一月持ちそうにありませんねぇ」
 感心したような、呆れたような男の声に、タオルで汗を拭きながら振り返る。
「モンスターや動物調教用の器具の設置を検討しましょう。金属の柱に防護マットを巻いて使
うんです」
186六九:2007/09/29(土) 21:38:57 ID:fxUpZ4c6
 地下室からガレージへと向かう階段に、ウィルトスが立っていた。
 運動着を着ている所から察するに、目的はヴィクターと同じだろう。
「俺はモンスターか動物か」
「既に拮抗はしてるかと」
 物によっては凌駕してるかもしれませんねぇ、と笑うウィルトスに忌々しげに悪態をつき、
ヴィクターは備え付けの小型冷蔵庫からスポーツ飲料を取り出して一気に中身を飲み干した。
「ガレージまで雄叫びが届いてましたよ? 地下室に獣でも住み着いたかと思いました。そん
なに欲求不満なら色町にでも繰り出してみるといい」
 ウィルトスが床に放置されていた縄跳びを手に取り、準備運動とばかりにとんとんと足踏みする。
「娼婦でも買えってか? 冗談じゃねぇ」
「どうして? 誰も責めません」
 ひゅん、と縄が空を切る音の向こうで、ウィルトスが静かに問う。
「僕は元々性欲旺盛な方ではないのでクロルさんに相手にしてもらえなくても一向に辛くあり
ませんが、ヴィクター君は辛いでしょう。丁度明日はお休みですし――」
「走ってくる」
 もうこれ以上聞きたくないとばかりに鋭く言い、ウィルトスを残して地下室を後にする。
 潔癖ですねぇ、というウィルトスの呆れ笑いが聞こえた気がしたが、ヴィクターは気付かな
いふりをした。

 田舎の町は走りやすい。
 人通りが少ないためにぶつかる心配もほとんどなく、道は舗装されていないにしても整備さ
れていて安定感があり、何よりも穏やかな景色がある。
 何もないグラウンドを延々走り続けるよりは気分的にぐっとよく、何処までも続く川原の道
を走っていると、苛立ちも静まっていくように思えた。
 女が欲しいわけではない――と思う。
 クロルがいいのだ。
 弱いくせに偉そうで、口を開けば皮肉ばかりで、なんでも一人でこなそうとする意地っ張り
が欲しいのだ。
 乱れるのを嫌がって、怒って怒鳴りながらも逃げられなくて、怯えたように泣き出す姿が見
たいのだ。
 何度もクロルに罵られた。
 最初は否定していたが、最早否定しようもない――完全に変態である。
「末期だ……」
 東の空はもう暗く、西の空は馬鹿馬鹿しくなる程赤い。
 ヴィクターはだらだらと進めていた足を止め、したたる汗を拭って溜息と共に呟いた。
 ふと、こちらに向かう足音に気がついて、ヴィクターはそちらに振り向いた。
 随分と小柄な影だ――少年だろうか。
 深いブラウンの髪を揺らして、一目散にかけてくる。
 ヴィクターのすぐ前で立ち止まり、少年ははぁはぁを息を切らせてヴィクターを振り仰いだ。
「こんばんは!」
 正当だが、この場面では間の抜けた挨拶である。
「……何か用か?」
 問いかけると明らかに怯えたような顔をして、少年はおろおろと視線をさまよわせた。
 しまった、と思う。
 人に物を尋ねる時に脅すような表情をするのはやめろと、クロルに散々説教をくらっていた
のを思い出し、ヴィクターは慌てて表情を軟化させた。
「どうした? 迷子か坊主?」
「あ、あの……あの、パン屋さん、の、店長さん、ですよね。あの、傭兵、やってる……」
「うちの店知ってんのか」
「だって、あそこのパン凄くおいしいもん!」
 ぱっと、表情を華やがせる。
「そうか、ありがとな」
 と答えたヴィクターもつられて笑う。
 少年はヴィクターの笑顔に安堵したのか、嬉しそうに――しかしどこか恥ずかしそうに微笑んだ。
「いつも、走ってるの見てたんだ。すごいよね。パン屋さんからここまで、ずっと走ってくる
んでしょ?」
「まあな」
187六九:2007/09/29(土) 21:39:43 ID:fxUpZ4c6
「疲れないの?」
「疲れなきゃ意味がねぇだろ」
 あ、そうか、ととぼけた事を言うのがおもしろくて、ヴィクターは思わず吹き出した。
「わ、笑わないでよ! うわ、はずかし。なに馬鹿なこときいてんだろ」
 真っ赤になって恥ずかしがる姿が妙に幼く見える。
 ヴィクターが道を外れて芝生に腰を下ろすと、少年はしばし躊躇した挙句、おずおずとヴィ
クターの隣に腰を下ろした。
「ねぇ、な、名前、聞いてもいいかな」
「うん?」
「あ、い、嫌ならいいんだ! め、迷惑なら……」
「名前聞かれたくらいで迷惑がりゃしねぇよ。ヴィクターだ。おまえは?」
「クリス! ぼくのお父さん猟師なんだ」
「へぇ。そいつぁ勇ましいな」
「でも、ぼく体力無いし怖がりだから、あんまり狩りに連れてってもらえないんだ。ぼく、大
丈夫だって言うのにさ。それで、留守番してる時にね、ヴィクターが走ってるのに気付いたん
だ。かっこいいなぁって思って、ずっと声かけたかったんだけど、ほら、なんか、いつも不機
嫌そうだったから……」
 本気で表情をなんとかした方がいいかもしれないと、つくづく思わざるを得ない言葉である。
 ヴィクターが手の平で顔を覆うと、クリスは不思議そうに首を傾げてどうしたの、と問いかけた。
 なんでもないと手を振るヴィクターに、変なの、と唇を尖らせる。
「ねぇヴィクター」
「うん?」
「恋人って、いる?」
 思わず、何も飲んでいないのに何らかの液体を吹き出しそうになった。
「な……なんだいきなり……!」
「べ、別に深い意味はないよ! ただ、ヴィクターはかっこいいから……どうなのかなぁって」
 かっこいい――なるほど、確かに強さに憧れる少年からみればそう見えるだろう。だが生憎
と、ヴィクターは女にもてたためしがない。
「それとも……あの……ど、ど、同性愛者なの……?」
「なんでそうなる!?」
「だ、だって! お店のお兄さん凄く綺麗だし!」
「おっさんか! ウィルトスか! あの野郎があんなツラしてやがるから俺は見知らぬ土地で
までその汚名を着なきゃならねぇのか! 断言するぞ! 俺はノンケだ! ノーマルだ!」
「わ、わかった! わかったよごめん! ごめんなさい! ゆ、許して!」
 泣きそうな声でなだめられ、年甲斐もなく少年に凄んでいた自分に気付く。
 へなへなとその場に脱力し、ヴィクターは頭を抱えて溜息を吐いた。
「じゃ、じゃあやっぱり、女の人の恋人がいるんだね……」
「なんで初対面のおまえがそんな事気にするんだよ」
「だって気になるんだもん……! ねぇ、いるの? いないの?」
 恋人――恋人か。
 改めて聞かれると、どう答えていいか分からなかった。
 クロルは――果たして恋人と呼べるのだろうか。元々はウィルトスの恋人で、だが、愛して
ると言ってもらって、自分もクロルを愛していて――。
「……わっかんね」
 思い切り顔を顰めて短く答え、ヴィクターはごろりと芝生に寝転がった。
「わかんないって……なんだよ、それ」
「いる……っちゃぁ、いる。気もするんだが……いない、っちゃぁ、いないなぁ」
「そんなんじゃ、わかんないよ」
 それはそうだろう。
 ヴィクター自身にだってよく分からないのだ。
「そ……それじゃあ、さ。その人って、どんな人なの?」
「なんでそんな事聞くんだよ」
「知りたいんだもん……」
 クリスの答えはこればかりである。
「どんなねぇ……」
「綺麗な人?」
「いや……綺麗って感じではねえな」
「じゃあ、胸とか、も、おっきいの?」
「いや。外見に女らしさはねえと思う。絶望的に」
188六九:2007/09/29(土) 21:40:23 ID:fxUpZ4c6
「……ヴィクターの好みって変わってるね」
 みんな、胸やお尻が大きくて、綺麗な女の人が好きなのに――というクリスの言葉に、ヴィ
クターは好みねぇ、と呟いた。
「見た目はまぁ……まったく考慮しねぇっつったら嘘になるが……中身だと思うんだよなぁ」
「中身?」
「中身っつーか……根性っつうか、負けん気っつうか……俺、すぐ怒鳴るからよ。よっぽど肝
が据わった奴じゃねぇと男でも俺に怯えるんだ。だから、俺を怖がらない女ってのが大前提だ
ろ? でも、俺を怖がらないでいられる女なんざ……そうはいねぇからなぁ」
 時々考える事ではあるが、やはりクロルは貴重だ。
 時折怯えた様子を見せる事はあるが、それはヴィクターとて同じである。人形のような無表
情を浮かべたクロルに睨まれると肝が冷える。
 お互いがお互いを認め合い、お互いに怯え合う――ヴィクターがそんな関係が築ける女はま
ずいない。
「その人は……ヴィクターの事怖がらないんだ」
「ああ。強い女なんだ。すげー強い」
「ふうん……ヴィクターは、強い女の人が好き?」
「弱い女は俺に近づこうとしねぇからわかんねぇ」
「じゃあさ。弱くてもヴィクターを怖がらない女の人がいたら、ヴィクターはその人の事、好
きになるかもしれないよね」
「いねぇだろ。そんな希少生物。どこのモンスターだ」
 ははは、と声を上げてヴィクターが笑うと、クリスはなぜか拗ねたように唇を尖らせて、い
るかもしれないじゃんとそっぽをむいた。
「先に言っとくがな、俺に恋愛相談なんかしたって無駄だぜ? 女の扱い方はまったくわかん
ねぇんだ。気のきいた台詞も吐けねぇしな」
「そんなつもりで聞いてるんじゃないよ。ただ、ヴィクターのこといろいろ知りたいんだ」
「なんだそりゃ」
「だってかっこいいんだもん……」
 最近ではこういう台詞を吐かれる機会はなかったが、軍にいた頃は新兵や部下に似たような
事をよく言われた。
 尊敬しているだとか、憧れていますだとか、聞くたびに薄ら寒くなった物だが、まぁ気分の
悪いものでは決してない。
 ヴィクターはどこかくすぐったい気分になって首の後ろをなで、ふと、いつの間にか沈みき
っていた太陽に気付いて時計を見た。
「いけね。もう帰らねぇと」
 え? とクリスが驚いたように目を見開く。
「もう? だって、まだそんなに遅くないよ?」
「飯の用意が当番制でな。今日は俺の当番なんだ」
「え? ヴィクターって料理できるの?」
「クリス……俺、パン屋の店長なんだが……」
 本当に意外そうに目を見開いたクリスに対し、ヴィクターが低くうったえる。
 するとクリスはまた顔を真っ赤に染め、恥ずかしそうに自分自身を罵った。
「ご、ごめん! そうだよね! あたりまえだよ! 何言ってんだろうぼく……でもなんか、
ぶ、不器用そうなイメージがあったからさ……そっかあ。料理出来るんだぁ……いいなぁ、食
べてみたいなぁ」
「俺の料理をか?」
「うん! パンもすっごくおいしいから、きっと凄くおいしいんだろうなぁ。ねぇ、こんどさ、
こんど……迷惑じゃなければさ、遊びに行ってもいい?」
 不安そうに、どこか必死ささえ漂わせて、クリスが真剣にヴィクターを見る。
 その様子を見ているとむげに断る事が出来なくて、ヴィクターは迷った挙句、くしゃくしゃ
とクリスの髪を掻き乱した。
「親御さんがいいって言ったらな」
「じゃあ、大丈夫だ!」
「うん?」
「だって、お父さんはたまに帰ってきてすぐに出かけちゃうし、お母さんは死んじゃってもう
いないし」
 一度狩りに出ると全然帰ってこないんだもん、とクリスが唇を尖らせる。
「――家に一人なのか?」
「うん。大体はね。夜は一人。昼間は友達と遊ぶけど」
 屈託なくクリスが笑う。
189六九:2007/09/29(土) 21:41:16 ID:fxUpZ4c6
 やった、うれしいな、楽しみだなぁ、ときらきらと瞳を輝かせるクリスを見下ろし、ヴィク
ターは眉間に皺を寄せて手の平で口元を覆った。
「じゃあ……今日来るか?」
 口に出した瞬間、クリスが大きく目を見開いた。
 ぽかん、としてヴィクターを見上げる。
 直後に咲き乱れる花よりも可愛らしい笑顔を浮かべ、クリスは元気よく頷いた。

                  ***

「……信じられない」
 台所ではヴィクターが――正確にはヴィクターと、ヴィクターが連れてきたクリスという子供が、忙しく動き回っていた。
 その様子をダイニングで見守りながら、何度目とも知れない言葉をクロルが零す。
 ウィルトスは喉かにティーカップを傾けながら、
「懐かれてますねぇ……」
 としみじみと呟いた。
「ヴィクターに懐くなんて……懐けるなんて……神経疑う。うわぁ。根性ある」
 クリスに対する感心なのか、ヴィクターに対する中傷なのか判断しかねる発言である。
「若い――と言うのは、それだけで美徳ですねぇ。怖い物知らずだ」
「若さの問題ですか?」
「妄信的と言う事です――彼女はヴィクター君に恋をしてる」
「はぁ……恋ですか。――悪趣味な子だなぁ」
「同感です」
「でもヴィクター、あの子が女の子だって気付いてないみたいですよ?」
「えぇ。その様ですね。しかしクリスさんも勘違いを許容しているようなので、僕達が無理に
ばらす必要もないでしょう――ヴィクター君もそのうち気付きます」
 ウィルトスがしみじみと、しかしどこか面白がるような口調で言う。
 クロルは台所で仲良く食事の用意に励んでいる二人の後姿をぼんやりと眺め、どこか投げや
りな溜息を吐いた。

 ヴィクターは料理が上手い。
 クロルもウィルトスも料理は普通に得意だが、ヴィクターは別格である。
 見た目にこだわるタイプでは無いのでテーブルに並べられた料理は殺風景で色気がないが、
一口食べればどんなに不機嫌でも口元をほころばせずにはいられない。
 そんな魔法が、ヴィクターの料理にはこもっている。クロルはどんな一流料理人が作る料理
よりも、ヴィクターの作った料理が好きだった。
 だが――と、思う。
「おいしいぃい! 凄い! 凄くおいしい! ぼくこんなにおいしい料理食べたの初めて! 
ヴィクターって天才なんだ!」
 こんなにも素直に、純粋に、かつおおっぴらに称賛した事はない。
 おいしければおいしいとも言うし、また作ってね程度の事は確かに言うが、クリスのように
キラキラと花やら星やらを飛ばして尊敬の眼差しでヴィクターを見たりはしない。
 呆れたと言おうか、脱力すると言おうか、そんな表情で呆然とするクロルを他所に、ウィル
トスは飄々としたものである。最初からクリスなど眼中に入っていない様子で、いつもどおり
に食事を進めていく。
 褒められるのが得意ではないヴィクターは居心地が悪そうだが、それでもまんざらでもなさ
そうだった。
「大したもんじゃねぇけど、好きなだけ食え」
 などと言いながら、クリスにあれこれと世話を焼いている。
 兄と弟――否、クリスは女なのだから妹か。ともかくそんな感じである。とても今日が初対
面とは思えない。
「食が進んでいませんねぇ、クロルさん」
「え? あ、あぁ、いえ、食べますよ。食べてますよ」
「なんだクロル。口に合わねぇか?」
 ふと、クリスにかかりっきりだったヴィクターが思い出したようにクロルを見る。
 クロルはこっちに意識を向けないでくれといわんばかりにおお慌てて首を振り、そんな事は
ないと否定した。
「あ、ご、ごめんなさい。ぼくがうるさいから……」
190六九:2007/09/29(土) 21:43:45 ID:fxUpZ4c6
「いやいやいやいや! 大丈夫だよクリス君! 食事はこのくらい賑やかな方が楽しい。楽し
いよ。うん」
 軍のキャンプの馬鹿騒ぎとは、大分種類の違う賑やかさではあるが――。
 よかった。とクリスが笑う。
 クロルはそんな無邪気な笑顔に笑顔を返し、内心疲れきったように溜息を吐いた。
「ぼく、このお店ってウィルトスさんとヴィクターだけでやってるんだと思ってた。クロルっ
て、カウンターに立ったりしないよね。何してる人?」
「何って……経理かな。あと配達」
「経理? 凄い! クロルって頭いいんだ!」
別に、頭なんぞ良くなくても経理くらい出来るだろう。こういったものは慣れである。
 純粋に向けられるきらきらとした好意があまりにも痛くて、クロルは繕い笑いを浮かべてげ
んなりと視線を反らした。
「……ウィルトス」
「なんですかクロルさん」
「僕、汚れてます……」
「安心してください。僕はその数倍は汚い」
 平然と食事を進めながら、クロルを見ようともせずウィルトスが答える。
 そんな二人の会話をクリスは聞き取る事が出来ず、ヴィクターは意味が理解できずに不思議
そうに首をかしげていた。

 食事を終えて、テーブルを片付け、クロル達は食後のティータイムを楽しんでいた。
 ヴィクターは一人で台所に立ち、洗い物にいそしんでいる。
 クリスはヴィクターに追い返されてクロル達と同じテーブルにつき、おいしそうにごくごく
と紅茶を飲んでいた。
 クリスは快活でよく笑い、明らかに引き気味なクロルとウィルトスの作り出す壁を物ともせ
ずに徹底的に打ち解けている気になっていた。
 自分の事を聞かれてもいないのにあれこれと話し、そしてクロルやウィルトス――とりわけ
ヴィクターのことを聞きたがった。
「ねぇ、二人はさ、ヴィクターの恋人って……あ、会ったことある?」
 さすがに、この質問にクロルは吹き出しそうになる。
 ウィルトスはその様子に喉をそらせて大笑いしたが、カップから口を離していたため難を逃
れたようだった。
「ヴィクター君の恋人ですか。もちろんです。毎日だって会ってますよ。ねぇクロルさん」
「は……はぁ。そうですね……こ、恋人なのかな……?」
「あ、ヴィクターもそんな風に言ってた! ……断言できない恋人ってなんなのかなぁ」
 引きつった表情を浮かべるクロルの言葉に、クリスが驚いたように目を見開く。
 直後にしゅんと肩を落として、ミルクと砂糖のたっぷりはいった紅茶をちびちびと舐めるよ
うに飲んだ。
「そうですねぇ……恋人――と括ってしまえるほど、単純な関係じゃないんですよ」
「恋人が……単純?」
「そうです。恋人はそこに恋愛感情しか存在しないでしょう? 冷めてしまったらそれまでだ。
だからお互いを恋人という呼び名で括って、関係が崩壊しないように縛り合う」
「でも、愛し合ってたら恋人でしょう?」
「そうとも限りません。愛し合っていても恋人になれない人もいるでしょう? 分かりやすい
例を上げると、立場等が邪魔して恋人関係が築けない場合ですね――愛があっても、障害が邪
魔をする」
「じゃあ、ヴィクターは、恋人との間に障害があるの?」
「そうは言ってません。障害もまぁ……ないとは言えませんが、障害本人としては二人の恋仲
を邪魔するつもりは無い。ようは、縛る必要がないから、縛らない。だから恋人とよんでいい
のか不安になるということです」
 この場合、障害とはウィルトスの事を指しているのだろう。
 確かにウィルトスは障害と呼べる存在かも知れないが、マイナス効果以上にプラス効果が大
きい。最近では、ヴィクターもウィルトスに色々と怪しげな相談を持ち込んでいるようである。
 よくウィルトスの部屋から二人の押し殺した話し声が聞こえるが、聞き耳を立てたいような、
立てたくないような、そんな複雑な心境になる。
「恋人よりもっとそっけなくて――だけどもっと掛け替えのない。代えの利かない存在なんで
す。恋人と言う関係が崩れても、ずっと一緒にいるような――ねぇクロルさん?」
「なんでそこで僕に同意を求めるんですか」
「なに、彼女とヴィクター君の関係については、クロルさんのほうが詳しいかと思いましてね」
 にこにこ――と言うよりは、にまにまとウィルトスが笑う。
191六九:2007/09/29(土) 21:44:43 ID:fxUpZ4c6
 きらきらと瞳を輝かせて――しかし不安そうな表情で話の続きを待つクリスを強張った表情
でちらと見やり、クロルは深々と溜息を吐いた。
「まぁ……あえて恋人である必要は無いと思ってるんじゃないかな。恋人って括る必要がない
っていうか……お互いに縛り合わなくても気持ちは変わらないっていうか……」
「縛り合う……って、どういうこと? よくわかんない」
「あー。ほら、浮気がどうとか、そういうので相手を責めたりしないっていうか……許容範囲
がやたらと広いっていうか……」
「大人の恋愛ってやつなのかな……」
 むう、とクリスが眉を寄せる。
「……つまりさ」
 ちらりと、クリスがクロルを盗み見て、確認するような口調で呟いた。
「その、恋人なのかよくわからない人とは別に……恋人じゃなくっても、いいってことだよね」
 おや、と、ウィルトスが面白がるようにクリスを見る。そしてにまにまと――それはもう面
白そうにクロルを見た。
「それかさ、二人が恋人のままでも……例えばさ、ヴィクターが誰かと浮気しても、別に大丈
夫ってこと……だよね?」
「そうですね。そうなりますねぇ――ねぇ、クロルさん?」
「だから。なんでそこで僕に同意を――!」
「同意を求めてるだけです。肯定ですか? 否定ですか? 正解を教えてください」
 ウィルトスがクロルに答を急かす。
 ヴィクターが浮気――考えた事もなかったが、実際されたら一体感じるのか、クロルには想
像がつかなかった。
 そもそも、クロルの中での浮気の基準が曖昧だ。
 娼婦は買ってもいいと思う。町で引っ掛けた女を抱いてもどうということは無い。ハーレム
を作っていても呆れしか湧いてこない気さえする。
 プレゼントを貢いでいようと、自分の稼ぎの範囲でならば文句も言わない。
 浮気相手に対するのろけ話も、笑って聞いてやれるだろう。
 それらの事を総合的に考えれば、答えはひとつだ。迷うべくもない。
「別に……浮気くらいしてもいいんじゃない? 特定の相手とばっかりって……無理があると
思うし。刺激は大事だよ。うん」
 ぱぁ、っと、クリスの表情が華やいだ。
 そっかぁ、そうなんだぁ、と、感心したようにしきりに呟いている。
「クリスさんは、ヴィクター君の事が好きなんですねぇ」
 随分昔、どこかで聞いたような口調でウィルトスが言った。
 クリスはかあぁっと顔を耳まで染めて、恥ずかしそうにおろおろと視線をさまよわせる。
「うん……好き」
 クリスの答えに満足したようにウィルトスが笑う。
「今夜はもう遅い。泊まっていくといいでしょう。クロルさん。ゲストルームに案内してあげ
てください。僕はお風呂の用意です」
「え、でも……クリス君大丈夫? 男ばっかの家に泊まるなんて不安じゃない?」
「全然平気! なんか安心した。二人とも、ぼくが女だってちゃんと気付いてたんだね」
 クリスが恥ずかしそうに、しかし嬉しそうににこにこわらう。
「ぼく、女らしくないからさ。よく男に間違われるんだ。いつもは間違われるの、嫌じゃない
し嬉しいんだけど、ヴィクターに間違われてるのちょっとショックでさ」
 立ち上がり、部屋に案内しようと先導して歩き出すと、クリスはわたわたとその後ろを突い
てきた。
 身長は百五十そこそこしかないクロルよりも更に低く、十六だという実年齢よりもはるかに
幼く見える。
 これに――果たしてヴィクターは手を出せるのだろうか。
 不謹慎だが興味深い。手を出したら思い切りロリコン扱いしてからかってやれそうなネタである。
「クリス君さ……今日がヴィクターと初対面なんでしょ? どこがよかったの?」
「うーん……顔?」
「か……かお?」
「かっこいいよね。すごくおっきいし。強そうだし。今日話してみてますます好きになった。
だってすごく優しいんだもん」
 顔――がいいかはまぁ好みの問題だからおいておくとして、大きくて強そうで優しい――と
いうのは的確である。
「傭兵のオンナって、なんかかっこいいよね。ぼく、相手がヴィクターなら体だけの関係でも
いいなぁ……なんて」
192六九:2007/09/29(土) 21:45:32 ID:fxUpZ4c6
 ベタ惚れである。
 まさか天真爛漫なクリスの口から体だけの関係なんて言葉が出てくるとは思わなかった。
「嘘でいいから、愛してるって言ってみて欲しいなぁ……」
 妄信的――なるほど、ウィルトスの言葉は的確である。
 はたから見ているとこれは痛い。
「ねぇクロル。あのね、ぼく、頑張るからさ」
「うん?」
「お……応援してね?」
 応援――して、いいのだろうか。
 ふと、アウラの顔が頭に浮かんだ。
 アウラがヴィクターを愛していると言ったとき、それを応援したクロルをヴィクターは責め
はしなかっただろうか――。
「クロル……?」
「え? あ、ああ。うん。応援でしょ? するする!」
 ぱぁっと、クリスが表情を華やがせる。
 クリスをゲストルームに案内して居間に戻り、誰もいない空間でクロルはひっそりと溜息を
吐いた。
「アウラか……」
 そういえば、遊びに行く行くと言いながら結局一度も遊びに行っていない。
 バルスラーは元気にしているだろうか。
 アルベルト大尉や、同僚や部下達――ほんの一年しか経っていないというのに、随分懐かし
いように思う。
「あれ? クリスは?」
 不意に、洗い物を終えたらしいヴィクターに声をかけられ、思い出に浸るように目を閉じて
いたクロルは驚いた。
 ヴィクターがきょとんとしてクロルを見る。
「……客間にいるよ。ウィルトスが泊まってけって言ったから、そうするみたい」
「そうか。悪いな、賑やかなの連れてきちまって」
「いいよ。賑やかなのは嫌いじゃないし。可愛い子は見てるだけで目の保養になる」
「……おまえ、あんなガキまでいけるのか……?」
「僕をなんだと思ってるんだ! 僕は子供に興味は無い!」
 ヴィクターの非難がましい視線に激昂すると、ヴィクターがげらげら笑う。
 よっぽどクリスは女性だとばらしてやりたかったが、自分で気付かせた方が面白そうなので
我慢した。
「君こそ、持て余した性欲であんな可愛い子を汚さないように気をつけるんだね。最近の君、
目がやばいよ。君に背中を見せるのが怖いくらい」
「そう思うなら期間縮めてくれよ。マジでおかしくなりそうだ」
 げんなりとした顔をするヴィクターに気を良くしてクロルが笑う。
「おかしくなるとどうなるの? 誰彼構わず犯すとか?」
「俺は変質者か!」
「さてねぇ。変態ではあるけどねぇ」
「てめぇ……二週間後見てろよ。死ぬほど後悔させてやる」
「そんなに溜め込まないで適度に発散してくりゃいいのに……」
「お、おまえまでそんな事言うのか! 俺には娼婦を買う趣味はねぇ!」
「潔癖だなぁ……」
 つくづくとそう思う。
「別に怒らないのに」
「おまえがいいんだ」
 低い声に、ぞくりとする。
 思わず見上げた先には責めるような、拗ねたようなヴィクターの不機嫌顔がある。
「視野が狭いなぁ。抱いてみれば娼婦のお姉さんもいいもんかもよ?」
「愛がねぇだろう愛が!」
「愛って君……」
「なんだよ。愛は大事だぞ」
「否定はしないけどさ……あー……じゃあ、僕以外に君を愛してくれる人がいたら、その人は
抱けるの?」
「そんな奇特な女はいねぇ!」
「アウラがいたじゃん」
 はたと、ヴィクターが沈黙した。
 忘れていたのか。酷い男である。
193六九:2007/09/29(土) 21:46:28 ID:fxUpZ4c6
「……いや。アウラはだめだ。元部下だし。なんかだめだ」
「なんなんだよ……」
「アウラとはそんな不真面目な関係になれるわけねぇだろ!」
 それはそうかもしれない。
 アウラはどこまでも真っ直ぐで潔癖だ。
 仮にヴィクターがアウラに手を出そうとしたとして、しかしクロルとまだ関係が続いている
事をアウラは知っているわけだから――。
「……殺されるかもね。君が」
「俺がか……?」
「うん、君が。クロル教官を裏切るなんて許せません。あなたは私の愛したヴィクターではな
くなってしまいましたとか言いながら……」
「うわぁ……言いそう」
 ヴィクターが口元を引きつらせる。
「あ、でも。一度でいいから抱いてください――とかいう展開になるかもよ?」
「よくわかんねぇなぁ。あの女」
「潔癖なんだけど容量いいからなぁ……君から誘ったら殺されるけど、向こうから誘うことに
抵抗はないタイプ?」
「なんだそりゃ」
「つまり君に憧れてるんだよ」
 結局そんな結論になる。
「いや。今はアウラのことはどうでもいいんだ。つまりあれか。君は愛があって尚且つ僕達の
関係を黙認できる、何処までも尽くしますタイプの超絶都合のいい女じゃなきゃ抱けないと。
そういうわけか」
「なんでおまえそういう言い方を……!」
「だってそうなるだろ! いや。その上君がその子を愛さなきゃいけないわけだ。どんだけ夢
見てるんだ君! 目を覚ませ!」
「なんなんだおまえ! なんでさっきから俺に浮気を奨励してるんだ!」
「別に奨励なんかしてないよ。ただ勧めてるだけ」
「同じだろうが!」
「同じかな?」
「同じだろ?」
「同じかもしれないねぇ」
 あははは、とクロルが力の抜けた笑い声を上げると、ヴィクターは心底嫌そうに顔を顰めた。
「おっさんの真似すんのはやめてくれ。会話が成り立たなくなる」
「まるで僕とは会話が成り立たないみたいな言い方ですね」
 不満そうなその声に、クロルとヴィクターは同時にそちらへと振り向いた。
 風呂の用意を終えたらしいウィルトスが立っている。
「成り立たないというか、成り立たせようとしないというか……」
「自分に都合の悪い話しはしねぇよな」
 うんうんと頷き合う。
 ウィルトスは少し嫌そうに眉をひそめ、
「結託して僕を苛めるつもりですね……ひどい」
 とのたまった。
 どの口が言うのかと呆れ果てずにはいられない言葉である。
「僕達が結託した所でいじめが成立するかどうか……」
「兆倍になって返ってくんだろうなぁ……」
「兆倍で済むと思われているなんて心外ですね」
 ウィルトスのその言葉に、三人揃って笑い出す。
 からからに乾いた笑い声の渦の中、奇妙な連帯感の深まりを意識しながら、クロルとヴィク
ターは一度もウィルトスと視線を合わせずそれぞれ居間を後にした。

                              切らせていただきます
194名無しさん@ピンキー:2007/09/29(土) 22:50:21 ID:mQPVxCDk
うぉ〜!
早くも続きが待ち遠しくてたまらん!
195名無しさん@ピンキー:2007/09/29(土) 23:06:14 ID:zMuQXyDc
クックック。クリスがこの後どうでるかとても楽しみなんだぜ!?
196名無しさん@ピンキー:2007/09/29(土) 23:41:02 ID:6oXutYP5
クロル好きだがクリスもかわいいなあ。
浮気後のヴィクターの自己嫌悪を想像すると楽しみで仕方ないwww
オチは円満な二股かな。あーホントに続きが楽しみだ。
197664:2007/09/30(日) 00:38:18 ID:XHdsuRmq
な、何という明るい、ライトタッチな話なんだ!眩しすぎて鬱の闇が消えてしまいます!
アウラはちとヤンデレ傾向かもしれませんね。
新参者クリスは如何に。つか投下中はこちらの話は投下できんな…救いようない鬱だし。
198名無しさん@ピンキー:2007/09/30(日) 02:04:07 ID:0+o+rhUL
別に欝な内容だからつって明るい連載の合間に投下しちゃいかんて事はないでしょ
嫌な人はNG指定するんだし
そういう書き方すると連載中の職人さんや、これから連載しようかと思ってる人にたいして
プレッシャーになりかねんから、誘い受けにしてもやめたほうがいいと思うよ
極端な話し、連載八ヶ月間は投下を自粛とかしてたら投下する気力も失せるだろうしw

何はともあれ、楽しみにしとるよー
199名無しさん@ピンキー:2007/09/30(日) 04:35:20 ID:GqIOMbhO
クリス可愛いよクリス
200名無しさん@ピンキー:2007/09/30(日) 17:15:07 ID:xK4iF4iX
クリス、君の働きには期待してるぜ
あのツンツンクロルをどこまで嫉妬させられるかね!
201664:2007/09/30(日) 17:55:46 ID:ORGkbU+U
軍人モノ
諜報任務失敗・陵辱
鬱話前編
クロル・ファン要注意


「答えられないか? さすが、秘密主義だな――副官殿は」
 血が凍った。
 愕然とする間もなく、叩きつけるように貫かれる。
 快楽か、怒りか、屈辱か――クロルの口から悲鳴は洩れず、代わりに、引きちぎらんばかりに鎖が鳴った。
「悪いな、お前が盗聴器つけてないのも調べてあるんだ。そっちも俺達の事は調べてあるんだろ?
 所詮は“元”って侮ったか」
 その通りだった。
 単独で諜報活動に当たる者は、申請しない限り特に装備は与えられない。
 作戦上必須と考えられた時のみ初期装備として与えられが、基本は全ての状況を自分一人で打開する事を求められる。
「チクショウッ! 殺してやる! てめ、許さなっ……クソッ、あぁ、や……ふぁあ……!」
「そう、怒るなよ……! はは、あぁ、たまんねぇ――――破壊してやる」

SOLDIER×BLACKNESS

「いぐ…や、やめこの…」
クロルは必死に抗った。この男がどれだけ知っているか不明だが口ぶりからするに
全ては筒抜けているようだ。
「ほらほら、もっと抵抗してくれよじゃねぇとヤリ甲斐が――ねぇ!」
 男がクロルの腰を掴み、下から抉るように突き上げた。
「かはっ!」 
クロルの身体が仰け反り、薄い胸から汗が飛び散った。
「へへ、ほんとガキみてぇな身体してやがる…俺好みの女だ」
 男が嬉々としながらクロルの胸にむしゃぶりついた。
肌に舌を這わせ、乳首から母乳を吸うように食らいつく。
「はっ…や、やめ…あとで…あ、ああっ!」
「あとで?後なんかねぇよ、俺の顔見たんだ、俺が満足する頃にはお迎えが来る時間だぜ。」
「なっ――!?」
 クロルは男の言葉に愕然とした」
「帰ったら尋問の後はビデオ撮影だ。アジトには色々とクスリもありゃ道具もある。
変態共が開発した新種のくぐせだっているんだ。そいつらとの交尾もあるかもな?
その手のマニアにゃ高く売れるんだよなアハハッ」
「な…や、やだ…そ、ん…ぐう!」
 ジャラジャラと手錠の鎖が擦れ合う無機質な金属音が室内にこだます。
 ――――狂ってる――――
クロルは激しく突かれながら唇を噛みしめた。ミイラ取りがミイラになって、その上滅茶苦茶に
犯されている。傍から見れば間抜けだろう、軍人は常に最悪の状況を想定して行動しなければ
ならないのに……。
悔しい、悔しい、悔しくてたまらない。
涙が自然と溢れてくる。
202664:2007/09/30(日) 17:57:21 ID:ORGkbU+U
「お、へへっ、泣いてんのかい?悔しいだろ?ええ、こんなヤツに犯されてってな!」
「だ…誰が…くふ…は…う」
「諜報の売女が純情ぶってんじゃねぇよ!何人食った?このキツマンで何人の男をくわえこんだ?」
男は絶頂が近いのか、腰の動きがよりいっそう激しくなった。クロルを組み敷き、問答無用で
膣内に射精するつもりなのだろう。逃れようとするクロルに身体ごとのし掛かり、
華奢な背に手を回し、密着してきた。
「俺の顔をよぉく見ておけ、は…お前の膣内に最後に射精した人間だってな!お、おおう!だ、出すぞ!」
「くっそ……く…ちきしょ…う、ん…んく」
 男が最後に力強く突き上げてきたのと同時に身体の奥になま暖かいモノが排出された。
う…うっと男が腰を振るわせる度に、身体の再奥が熱くなっていくのがやけにはっきりと感じたのだ。
「う…く……は…はあ…良かったぜ…さぁて時間までまだあるな…今度は後ろでシテもらうか…」
 男はそういうとクロルを俯せにするとぐにゅりと尻肉を鷲掴んだ。
「後ろも開発済みなんだろ?副官殿よ」
「や…やめろ……く…やめ…」
 両手を拘束されていては抵抗する事も出来ない。下手な抵抗はこの男の加虐心を煽るだけだ。
「鍛えてるだけあって尻の締まりも最高だろうなぁ……」
 男はクロルの震える尻肉をかき分け、その菊門に肉棒を定めた。
「せいぜいよがりな。」
――――ぶちゅ…メリメリメリズブブ――――
「く…う…んんんん…!!」
メリメリメリとクロルの菊門が男の肉棒によって開かれ、クロルは口を押さえ
声が漏れないように必死に耐えた。
203664:2007/09/30(日) 18:03:19 ID:ORGkbU+U
「うぅぅ……ッ!き、きついな…さすがだぜ」
背後からクロルの薄い胸をこね回しながら男は喉を反らせて悦びの声を上げた。
左右に割開かれた尻肉の間に腰を沈め、ズブズブズブと男は腰を振り始めた。
「ほうら、よがっていいんだぜ?声出せよ!」
「あぐッ…く…ん!」
「俺が犯してやってるんだ喘げよ、このメスブタ。」
「ぐ……っや…は!」
涙を散らしながらクロルをいやいやと頭を左右に振った。尻を犯されながらも
感じている自分がどうしょうもなく情けなかった。
こんな快楽はかなぐり捨て、いっそ発狂でもしてしまえば楽になるだろうに。
とクロルは本気で思った。
「…くっ…食いちぎられそうな締まりだな…いいぜ、もっとだもっと締めやがれ!」
男はクロルの背に折り重なり、首筋に舌を這わせながら乱暴に腰を叩きつけ、
ピストン運動を繰り返す。
クロルの尻が震え男の腰が上下に動く度に押し殺した苦悶の声が口から漏れる。
「ははあ…すげ、きつすぎて……こ、腰が…止まン…ねぇよ!」
覆い被さった男がチュウウウッとクロルのうなじに歯を立て音を立てて吸い上げる。
そして狂ったようにピストンを繰り返し、腰を叩きつける。その度にぬめった結合部から血と走り汁
の混合液が垂れ落ち、ベッドを汚した。
「ああ…い、いいぜ、出すぞ出すぞくぅ――」
「……ん…くううう…んん」
男が猛烈な勢いでクロルの尻に腰を叩きつけ、パンパンパンと音が響く中、
本能のまま腰を振る男、否、雄が吼えた。
「うおおおッ!」
ぶりゅ、ぶりゅるるるるッぼどぼどぼどぼどぉおおおお!
男がクロルに背後から覆い被さり、ふるふると震える尻肉の双丘に手を這わせ、限界まで
肉棒を埋め込んだ瞬間、男の肉棒からドロドロの白濁液が鈴口を裂く勢いで射精され、クロルの中に
精液を吐き出した。射精絶頂の快感に男は喉を痙攣させ、背筋がおれるくらい仰け反らせた。
「はぁはぁは…は…う…うう…!」
「あ…ん…んんん…う…あ…」
 クロルの尻にまだ腰を密着させたまま、男は断続的に射精を続けている。
 こんな男に、こんな雄に陵辱され、感じてしまった。
 クロルは己のあさましく、愚かな身体に絶望し、顔を伏せ涙した。
 男はそんなクロルの髪を荒々しく掴み、背後からその耳に囁くように言った。
「感傷に浸ってる暇なんざねぇぜ副官殿、次は顔だ。その生意気な面に白粉で飾ってやる。」
 頬をつたう男の生暖かい舌。
「………」 
 陵辱は終わらない、この男の仲間が来るまで延々と続くのだろう。
(ヴィクター……ごめん、約束は…ま…もれ…な―――)



198>>すまない、そこまで考えが至らなかった。
迷惑を掛けた皆、本当に申し訳ない。

204名無しさん@ピンキー:2007/09/30(日) 21:23:54 ID:S6GXlo/b
六九氏・664氏>早く続きをー!
205名無しさん@ピンキー:2007/10/01(月) 18:15:20 ID:Q7Rx+5Q8
そこから分岐するとは思わなかったがGJ!
ウィルが生きてる状態でどう料理するのか楽しみです
206名無しさん@ピンキー:2007/10/01(月) 21:32:31 ID:i9QVa3EJ
GJ!
個人的に今後薬で堕ちるのが見たい
207名無しさん@ピンキー:2007/10/02(火) 13:25:41 ID:f6tjI/Aq
六七様
GJ!です続き気になりますわw
ちなみにハンネはシックスナインですか?
 
640様
続き期待してます。
208名無しさん@ピンキー:2007/10/03(水) 03:11:23 ID:Gvfg4SqY
>六九氏
GJ!
クリス、フランシスに見つかったら大変だな
ニーナしっかり
>664氏もGJ!
こういう即物的なのもいい
どうせやるなら、トコトン期待してます
209名無しさん@ピンキー:2007/10/03(水) 07:16:27 ID:tw83tB9A
agte
210名無しさん@ピンキー:2007/10/03(水) 10:56:48 ID:qJHxv4Yi
いや、あのフランシスのことだ。クリス位なら
「男の子分が足りないから(女々しいから)勃たない」
と平然と言ってのけるだろう







そこに痺れる、憧れるぅぅぅぅ!
211名無しさん@ピンキー:2007/10/03(水) 15:11:14 ID:5m3Sv1fF
オリジナルシェアワールドでエロパロスレとか立てても生き残れるんじゃね?
なんだかんだで、投下作品の半分以上がエセ軍人物系列だし……
212664:2007/10/03(水) 18:14:57 ID:jMYhBfUh
軍人モノ
鬱話中編
獣姦描写有
ウィルトス死亡フラグ




「ふざけるんじゃねぇぞ」
 昼下がりの執務室。ウィルトスの机の一部が激しい音をたて、砕けた。
 そして続く凄まじい怒声にアウラは身をすくめた。
 ウィルトスから発せられた命令に対してヴィクターが机に拳を落としたのだ。
「上層部からの命令です」
 眉ひとつ動かさず、あくまでも冷ややかな口調のウィルトスにヴィクターは
 掴みかかり、襟元を締め上げた。
「ヴィ、ヴィクター教官!やめて下さい!」
 アウラがヴィクターの腕に取り付くがビクともしない。
 ヴィクターは構わずウィルトスに吐息が聞こえる程顔を近づけると
噛みつくように言った。
「あいつはそのクソ野郎共の命令で今までさんざんあんなコトをやらされてたんだぞ!
それを、たったの一ヶ月で捜索打ち切りだと?なんなんだそれは!」
「……上層部の命令です、クロルさんは捨てられた。」
 ウィルトスの身体が壁に叩きつけられた。血反吐が宙を舞い、床に飛び散った。
「ヴィクター教官!!」
 アウラが悲鳴のような声を上げた。
「…ぼ、僕を…殴って気が…ゲホッ…す、済むのであれば…いくらでも……どうぞ」
 ウィルトスが弱々しく声を上げた。
「黙れ。」
 ヴィクターがウィルトスの襟元を締め、身体ごと持ち上げた。
「やめて!もうやめて下さい!ヴィクター!」
 アウラがヴィクターの後ろから抱きつき、身体を震わせながら涙声で訴えた。
「アウラ、離れろ。これは命令だ!」
「そんな命令は承諾できません!このままではウィルトス少佐は死んでしまいます!」
213664:2007/10/03(水) 18:15:37 ID:jMYhBfUh
「もといそのつもりだ」
 殺気を帯びたヴィクターの声。
「イヤです、そんなのイヤッ!…軍法会議に掛けられて…貴方まで失うなんて私は耐えられません!」
「アウラ…お前に何がわかる!?わかったような口を聞くんじゃねぇ!」
「わからないわ!ではヴィクター、貴方に私の何がわかるんですか!私の何がわかるっていうの!?」
「チッ…」
 ヴィクターは多少驚いたようにアウラを見たが、すぐにウィルトスに照準を向けた。
「やめて下さい!少佐は―――」
「とにかくこいつは許せねぇ、クロルにあんな任務担がせたのはこいつだ!こいつも同然なんだよ!
俺がここでケジメつけさせてやる!」
 ヴィクターが再び拳を振り上げた時、
「ここで…こ、殺されなくとも…近々…し、死にますよ…僕は」
 ウィルトスはヴィクターから顔を背け言った。
「なんだと?」
 ヴィクターが拳を止めたのを見て、アウラはウィルトスの言葉に続いて言った。
「捜索は本当は1週間で終わるはずでした…た、少佐が…少佐が
上層部の命令に逆らって独断で捜索を3週間も延ばしてくれたんです…」
「こ、こいつ…が?」
「でも…その命令違反で…た、少佐は東部戦線の最前線に―――」
214664:2007/10/03(水) 18:17:24 ID:jMYhBfUh
東部戦線――― ウォルンタリア連合国が近年から併合政策を強行し、極寒の大地を舞台に
展開されている戦線である。その最前線に送り込まれるのは連合国の犯罪者や死刑囚
を中心に編成された囚人部隊で、脆弱な小国を次々と併合しているらしい。
その目覚ましい戦果の影には囚人部隊の虐殺、略奪、暴行、陵辱というおよそ筆舌しがたい
事実があるが連合国内では一切報道されない。
当然、名も無い小国は結束を固め、最前線では血で血を洗う激戦が続いている。そこに
送り込まれたが最後、凍死するか戦死するしかないと言われている最悪の戦場だ。
「と、東部…戦線だと?」
「じ、上層部は…ク、クロルさんの件に関して……一切、黙する方針です。また…
情報漏洩が懸念されているので…しょう…その為にそれを担ってきた…僕も消すつもりのようです。」
 それを聞いてヴィクターはウィルトスを降ろした。
「少佐…大丈夫ですか。しっかり。」 
すぐさまアウラが駆け寄ったがウィルトスは手で制した。ヴィクターの肩がふるふると震えているからだ。
「な、何なんだよそれは!何だって…そんな…クソ、あんたはそれでいいのか!
散々利用されて、嫌な役を押しつけられて、それでポイなんて、それでいいのかよ!?」
「これが…僕の…クロルさんにできる…唯一の…事です。君達とクロルさん事は上層部には
知られていません。後は…僕が全て抱え込んで―――」
「生きて帰って来い!」
「……え?」
「生きて帰って来いって言ってるんだよ!東部戦線だろうが何だろうが死ぬって決まったワケ
じゃねぇ!生きて帰って…それまでに…俺があいつを…クロルを…」
 ヴィクターの頬を涙が伝う。
「……クロルさんの言った通りです、君はいい教官だ。」


「……」
「ヴィクター教官…」
 自室に向かってヴィクターは重い足取りを進めた。
 『明日にはここを発ちます。引き継ぎは後日、君に辞令が下されるでしょう。副官の
後任はアウラ君を指名しましたので後はよろしく御願いします』
ウィルトスはそして二人を解放し、職務に戻るようにと付け加えた。。

『手が止まってますよ、少佐』
『ほーう。これがヴィクター少佐の部屋ね。想像どおり、うん、汚い』
『ふうん。中々。予想外に上手じゃん』
『ちょッ!ばか、よせ!落ち着けヴィクター!ごめん!僕が悪かった!』
『で、そのアウラの将来に関わる大事件の結末を決定付ける結論を、他人である僕に出させるわけ?』
『ち、ちち、ちが……!そんな恥ずかしいもん、飾れないから隠しといたんだろ!
それを勝手に見つけるから怒ったんだろ!返せよ僕のヴィ……』

クロルの行方は知れず、
ウィルトスの前線派遣、
アウラがクロルの後任として副官就任、
歩むたびにクロルとの思い出が一つ一つ思い出されては消えていく、
ヴィクターはそんな風に思えてならなかった
215664:2007/10/03(水) 18:21:35 ID:jMYhBfUh
「……クロル」
無意識にヴィクターは呟いた。アウラがヴィクターの執務室のドアを開けようとしてドアの前に
小包が届いてる事に気がついた。
「あ………これは?小包ですか……差し出し人は――――き、教官!」
「どうした?」
「さ、差し出し人が……」
「差し出し人が?」
「ク、クロル教官です…」
 バッと奪い取るように小包をアウラから取ると油紙を引き裂き、ヴィクターは中身を取りだした。
 中には1本のビデオテープ。
「…………」
 ヴィクターは一瞬、そのビデオを持ったまま静止したが、執務室のドアを開け、
自室のビデオデッキにそれこそ突撃銃に弾倉を装填するような勢いで
叩き込むと再生ボタンを押した。遅れてアウラが部屋に入り、鍵を閉め、カーテンを敷いた。
「………」
 再生されてすぐ様映ったのは……
―――地獄だった―――

「はァ…ん…あぎ…はゥ…」
 どこかの広い空間の簡素なベッドの上で口に枷を付けられたクロルが犯されていた。
 諜報任務で着た娼婦服のまま、胸と尻だけを剥かれ複数の男に犯され続けていた。
「が…んぐ……むぶ――んぐ、ぐうう」
髪に、顔に、首に、胸に、腹に、腰に、脚に―――――――
ありとあらゆる所に男の精液を付着させ、それでも抵抗するクロルがいた。
両手を手錠で拘束され、ベッドに繋がれたまま口に膣に尻に
男の欲望の塊を注ぎ込まれ抵抗し続けるクロル。
男達の下卑た笑い声、クロルの涙、声にならない叫び。
「ハハ……ハハハ……う、うう…ああああああああっ!!」
 ヴィクターの乾いた声が呻きそして絶叫に変わった。
 画面を殴りつけ、たたき割らなかっただけまだ理性があるのだろう。
 アウラは口を押さえ、肩を震わせながら画面から眼を反らした。
「んぶ…ぐうう…んぶ…んんんんぅ!んん!んんううううう!!」
枷を付けられたままクロルは押さえつけられ、何かを注射された。
そして口枷を外されるとクロルの叫びが直に耳を突いた。
「あああああっ!やだ!やだ!やだ!やめてえええええっ!」
そして男達が再びクロルを俯せにさせ、尻を突き出させると背後から軍で訓練される
ような大型の犬がベッドにのそりと上がってきた。
その肉棒が痛々しいほど勃起し、口からはだらだらとよだれを垂らしている。
「やだ!犬となんか!犬となんかいやぁ!ボクは!ボクは!ヴィクターああああ!」
犬がクロルに取り付き、甘えたような声を出した。そして始まる獣と人間の交尾。
「いやだ!いやだ!やめて!離して!やああ、やだあああ!!」
 ベッドが軋むほど揺れ、手錠がジャラッジャラと音を立ててクロルの自由を阻む。
 大の男達に押さえつけられ、尻を高々と突き出され犬に犯されているクロル。
 犬がよだれを垂らしながら、ビクビクと引きつると今度は反対を向き、クロルの尻と己の尻を
 ぶつけるように動く。犬の射精が始まったのだ。
「んうう!犬のが犬のがボクの中に!うぐぐ…や、いやあああああっ!」
   
216名無しさん@ピンキー:2007/10/03(水) 20:02:00 ID:x7FtoKOc
GJ!
ただ、一ヶ所だけ気になったんだが…
ヴィクターの記憶と時間軸が噛み合ってなくないか?

まぁ何はともあれ続きをwktkして待ってる
217名無しさん@ピンキー:2007/10/03(水) 20:25:26 ID:x7FtoKOc
ごめん見間違えたorz
ちょっと吊ってくる
218名無しさん@ピンキー:2007/10/03(水) 22:37:11 ID:zzRPzSST
不粋なつっこみスマンが もとい→もとより じゃないかな?
219名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 00:22:06 ID:/6G10jqp
鬱展開に全力でおっきした俺は死んだほうがいい
220名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 10:20:27 ID:YpK5gbKe
ボーイッシュな女の子が立ちションするのはエロい?
221名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 18:11:00 ID:ItMCq6LN
読み手スレで上がってた次回予告をエセ軍人物でやってみた
http://kairuna.hp.infoseek.co.jp/Ikinari.html

結果↓
 放課後、クロルは帰宅しようと
 昇降口へ足を運んだ。
 「あ、雨…。
 仕方が無い。濡れて帰るか」
 「かっ、勘違いしないでよねっ、
 別にクロルと相合傘したいわけじゃ
 ないんだからねっ!」
 「ヴィクター…。ありがとうな。」
 そんな二人を見つめる影がひとつ。

 次回、「二人は、付き合ってるんですか?」
 ウィルトスがクロルに思いを告げた時、
 ヴィクターはどうするのか…!?

死ぬかと思うほどワロタ
222名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 21:37:25 ID:Rba+QH5W
世界と誠は遊園地でデート。
お化け屋敷に入った2人はとんでもない目に…!!
なんとそこには世界の元恋人言葉の姿が!!
恐怖のあまり声もでない2人、
それを嘲笑いながら見ている言葉。

次回予告「言葉は時給710円でバイト中」
「鎖骨フェチな世界!!」
「実は30代前半の誠!?」
この3人の運命やいかに!?
来週もみてね!!




「愛なんかいらないさ...」
そうはき捨ててきえた言葉。
世界は、まだ心を引きずっている。
「ごめんね...力になれなかった。」
世界は泣きながら言葉を思う。

次回。最終話。「一つの終焉」
あなたはきっと、涙する。
最後まで誠は出ないのか。
223名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 21:48:31 ID:hIshgDXb
>>221
その読み手スレでは、
(予告アドレス貼り付けられたために)
スレに予告ばかり貼られて荒らしのようだ、
予告貼り付け厨氏ねって流れで出てきた話題なんだがな。
224名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 21:25:39 ID:Tm8soQ2r
>>215
GJ!!!
鬱になるどころか、元気になったぞ!(下半身が)
最高だ。続きワクワクキタイ。どんな結果でもこの文章なら大丈夫だ。
とことんやってくれ!!
225名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 23:46:33 ID:mKS9Rcw1
wikiの方で保管しようと思ったんだが、パスとユーザー名がわからないからページ名の修正がキカネェ……
チキショウこのまま強行するぜ
226名無しさん@ピンキー:2007/10/09(火) 15:32:44 ID:DN0MyEE8
保管庫の急速な成長具合にワロタw

しかし、千博と康介のやつの作者が六九氏になってるが、そうなの?
227名無しさん@ピンキー:2007/10/10(水) 02:25:43 ID:wWVi5Sbs
管理人さん
保管庫更新ありがとうございます。
保管庫が充実してるとすごく安心するんだ。
228六九:2007/10/11(木) 04:48:15 ID:6BEh/nGV
傭兵パン屋物
浮気話続き
クロル自慰

 いい男の条件は、何よりも強い事だ。
 もし結婚するのなら、少しくらい顔や頭が悪くても強い男でなければならない。
 そう、クリスはずっと信じて生きてきた。
 猟師である父は陽気で馬鹿だが狩猟の腕はぴかいちで、母を病気で亡くしてからはクリスに
とって父が全てだった。
 父は口癖のように男は強くなきゃいけないとクリスに言い、強い男に釣り合うにはおまえも
強い心をもってなきゃいけないと言い聞かせた。おまえの母さんも、そりゃあ肝っ玉の据わっ
た強くてこえぇ女だったんだぞと自慢げに胸を張る姿は本当に誇らしげで、そのたびにクリス
も誇らしい気持ちで一杯になった。
 処女を捧げるのならば、父よりも強い男――最低でも、父と同じくらいは強い男でなければ
ならない。だけどクリスの中での父は誰よりも強くて、誰よりも格好良くて、こんな小さな田
舎の町では一生そんな相手は見つからないだろうと、クリスは半ば諦めていた。
 そんな時、まるで運命の王子様のごとく颯爽と現われたのがヴィクターだった。
 沈みかけた赤い夕日の中、黙々と川原をひた走るその姿に、クリスは一瞬で心を奪われた。
 声をかけたくて仕方がなくて、だけど声をかけるには何か理由が必要で、ようやく町の反対
側にあるパン屋の店主である事を突き止めた。
 話しかける理由のためにひらひらのドレスやワンピースで着飾った少女達に混じってパンを
買い、家まで待ちきれずに近くの公園でかじり付いたそのパンは、生クリームがたっぷりで、
喉が渇くほどに甘ったるくて、それでもクリスが今まで食べたどんなパンよりもおいしくて、
クリスはますますヴィクターが好きになった。
 話してみたくて、友達になりたくて、出来れば恋人になりたくて、相手にされない事を覚悟
してようやく話しかけたのが今日である。
 そして自分は今、ヴィクターと一つ屋根の下にいる。
 同居人のクロルもウィルトスも、応援してくれると言った。ヴィクターにはまだ、男と勘違
いされたままだが、それだってすぐにでも訂正できる。
 こんなにとんとん拍子で事が進むなんて思っても見なかった。
 ヴィクターは強くて、かっこよくて、料理も上手で、その上凄く優しいのだ。
 クリスは舞い上がっていた。
 ヴィクターにだったら、遊ばれて捨てられたって構わない。それくらい心酔していた。
 ぎゅうと枕を抱き込み、ごろりとベッドに横たわる。
 恋人という言葉で縛り合う必要が無いのだとウィルトスは言った。確かに、ヴィクター程に
素晴らしい男性ならば、浮気は許容されてしかるべきだろう。
 だが相手の女性は、もっとヴィクターを愛するべきだと思う。もっと執着して、もっと尽く
して、他の男など見ないでヴィクターだけを見るべきだと思う。
「頭悪いよ、その人」
 枕に顔をうずめて、顔も知らない相手を罵る。
 縛り合う必要がないなんて自惚れだ。ちゃんと捕まえて縛っておかなければ、恋人の座なん
てあっという間に奪われてしまう。奪われても構わないと思っているのなら、その女ははやり
救いようの無い愚か者だとクリスは思った。
 ヴィクターの価値がわからないのなら、そんな女にヴィクターはもったいない。
 あえて恋人である必要はないのだとクロルは言った。
 それならば――いらないならば、奪っても文句は無いだろう。だって自分は、こんなにもそ
の立場が欲しいのだ。
「ヴィクター」
 幸福に引き込まれるように、とろとろと瞼が落ちる。
 クリスは溢れそうになる想いを必死に押さえ込もうとするように枕をかき抱き、想い人の名
を繰り返しながら眠りに落ちた。


              ***


「エリーのとこに行ってくる」
「隣町に所用があります」
 夕飯はいらないから、口を揃えた二人を半ば唖然として見つめ、ヴィクターは休日に一人だ
け取り残されると言う珍しくも寂しい状況に陥って狼狽えた。
229六九:2007/10/11(木) 04:48:59 ID:6BEh/nGV
 じゃあ俺も――とウィルトスについていこうとするも、邪魔です、とそっけなく切り捨てら
れ、クロルに至ってはついてきたら殺すと言わんばかりの笑顔である。
 道すがら送っていきましょう、というウィルトスの言葉に朝食を終えるなりそそくさと身支
度を整えて車庫に向かい、二人は食後のお茶も飲まずにひらりとジープに飛び乗った。
 走り去るジープを見ながら湧き上がる、この上ない疎外感。
 男と女がどうとかではなく、三人――という枠から外されたような気分が妙に落ち着かなく
て、ヴィクターは特に好きでもない紅茶を入れてごくごくと飲み干した。
 こうして一人にされてしまうと、嫌でも気付いてしまう事がある。
 クロルにはエリーがいるし、ウィルトスはどうもフランシスと仲がいいようだ。
 だが、ヴィクターには外部に友人がいない。
 クロルやウィルトスがいれば満足だったのだ。大概の者はヴィクターを見ると怯えて竦むし、
そういった態度を取られるのには慣れているが、好きではない。
 だから自然と距離を置くようになっていた。
 軍では強さが全てだった。強くさえあれば、慕ってくれる者は多くいた。友人と言える関係
の者は少なかったが、それでも部下は慕ってくれた。
 今の生活は好きだ。
 クロルの側にいられるし、大嫌いなウィルトスも大嫌いなりに憎めない。嫌い合っていがみ
合う関係はどこか清々しさのようなものさえ覚えるし、二人で悪巧みをしてクロルをはめるの
は楽しすぎてやめられない。
 だが、自分にとってはここが全てなのに、二人にはそれぞれ違う世界がある。
 そう思うとなんだか惨めで、馬鹿げていると思いながらも嫉妬のような感情を覚えずにはい
られない。
 いじけて不貞寝でもしてやろうか――そんな事を思いかけた時である。
「うわぁぁん! 寝坊した! ひどいよ起こしてくれればよかったのに!」
 ばん、と叩きつけるようにドアを開け、居間に飛び込んできた小さな体――クリスである。
 存在を忘れていた――と言ったら怒るだろうか。
 誰も話題に出さなかったので一瞬たりとも記憶を掠めなかった。
 面食らって唖然とするヴィクターの前でクリスがきいきいと声を荒げて怒っている。
「もう十時になるじゃないか! みんなでご飯食べたかったのに!」
「あぁ、わ、わりぃ……」
「……みんなは?」
 涙目で情けない顔になりながら、クリスが不安そうに聞く。
「出かけた」
 と答えると、クリスは愕然と目を見開き、顔を真っ赤に染めて落ち尽きなく視線をあちこちへ
さまよわせた。
「じゃ、じゃ、じゃぁ……ふ、二人っきり?」
「まぁ……そうなるな」
「そんな! やだ、どうしよう!」
 そんないきなり、困るよ、などといいながら、クリスがおろおろと足踏みする。
 その様子にこちらが困る。しかし一瞬にして疎外感が吹き飛んで、ヴィクターは思わず吹き出した。
 当たり前だ――ヴィクターの客が家にいるのだから、二人にそれぞれ用があったら留守番役は
ヴィクターである。
「そうだな……どっか食いに行くか?」
 え、とクリスが動きを止める。
 そしてますます顔を赤くして、服の裾を掴んでもじもじと俯いた。
「あの……い、行きたいとこ、ある……」
「へぇ? どこ」
「……どうぶつえん」
 一瞬、ヴィクターはその言葉と正しい意味を結びつける事が出来なかった。
 動物園――それすなわち世界中の珍獣や猛獣を集めて狭い檻に閉じ込めて、見世物にして
金を取る悪の機関の総称である。
 野を駆け回る事を許されない猛獣や、ガラスケースに押し込まれた可愛らしいモンスター。
「ど……どうぶつ……」
「あ、あのね! い、一年位前にさ、ちょっと遠いんだけど、このへんに出来たんだ。すごく
広くてね、でも、ぼく一人じゃ行けないから……」
 きらきらと、大人に縋る子供の目がヴィクターを捕らえた。
230六九:2007/10/11(木) 04:49:33 ID:6BEh/nGV
 下らねぇ、と一蹴するのは容易い。だが、その瞬間のクリスの落胆を予想できるからこそ、
その言葉が出てこない。
「か、可愛いモンスターを一杯集めた建物とかね、かっこよくて、大きいのとかね、いるんだ! 
それでね、それでね……!」
 ――僕、汚れてます……。
 ――安心してください。僕はその数倍汚い。
 今ならば、あの二人の会話が理解できる。
 自分はいつの間に、こんなに汚れた考え方をするようになっていたのか――。
「あ……い、いや……だよね。ごめん。そうだよね。動物園なんてガキっぽいもんね」
 ぎゅうっと服の裾を掴み、しょんぼりとうな垂れる。
 溜息を一つ、その頭をわしわしと撫で回し、ヴィクターは苦笑いを抑えてなるだけ優しく
笑いかけた。
「さすがに四駆出すと市警団に止められるだろうから移動は列車とバスになる。軽く何か作る
から、食ってから出かけよう」
 不安そうな表情から一転して、こぼれる様な笑顔。
「うん!」
 とだけ頷いたクリスの表情には言葉に表しきれない歓喜と感謝がこもっていて、その表情を
見た瞬間、ヴィクターは苦笑いを抑えるのも忘れて心から微笑んだ。

 動物園がそんなに嬉しいのか、クリスは始終にこにこと笑顔を絶やさず、列車でも窓の外
から景色を眺めてうるさいほどにはしゃいでいた。
 だがそんなクリスを見ているのは決して悪い気分ではなく、どこかほのぼのとした気持ちになる。
 ガキだとからかわれて唇を尖らせて拗ねる姿や、ガキだと言われたくなくて大人しくしつつ
もそわそわと落ち着かない姿は微笑ましく、気が付けばヴィクターも声を殺して笑っていた。
 そんなヴィクターに気が付いて、クリスは笑わないでよと不満げに怒る。
「子供じゃないよ……」
「どーこが。まるっきりガキじゃねぇか」
「もう十六歳ですー! もうすぐ十七になるんですー!」
「声変わりもしてねぇじゃねぇか。ちゃんと下の毛生えてんのかよ」
「な……し、下って……」
 かぁぁ、とクリスが真っ赤になって瞳を潤ませる。
「馬鹿! ヴィクターの変態! えっち!」
「自覚してる」
「ッ――ばか!」
 ぷいとそっぽを向いて怒る姿がおかしくて、ヴィクターはまた声を上げて笑った。

 正直な話をすると、ヴィクターは動物好きである。
 クロルは偽善者ぶるなと舌を出すが、可愛い動物は撫で回したいと思うし、格好いい動物を
眺めているのも嫌いじゃない。強そうなモンスターを反射的に排除しそうになるのは別として、
ヴィクターは自身を動物好きだと信じて疑わなかった。
 例え、どんなにか弱く可愛らしい動物だって、必要とあらば生きたまま解体できるとしてもである。
 それなので、どんなに嫌いだと頑張ってみても、動物園という空間は楽しかった。
 狭い檻に入れられて可哀想だと思いはしても、近くでのんびりと猛獣を見られるのはこの上ない
贅沢である。
 実際、広々とした敷地に作られた動物園は檻も思っていたより狭くなく、動物たちも清潔で
居心地が良さそうに感じられた。
 もちろん、野性で生きているよりは行動も制限されるが、餓える心配も無く外的も存在しな
い空間である事を考えれば、それ程悪い環境でもないのかもしれない。
 元気な子供と体力馬鹿が連れ立って歩けば、休憩無しに園内を巡る事は容易かった。
 広大な敷地を横切るローカルで速度の遅い列車もあり、ワゴン売りの軽食を歩きながら食べ
るのも悪くは無い。
 散々歩き回ってはしゃぎ合い、そろそろ閉館時間という頃になって、二人はジュースを片手
にようやくベンチに腰を下ろした。
 親子連れや恋人たちが寄り添って、笑い合いながら行過ぎる。
 ちゅうちゅうとストローを吸いながらその姿を見送って、クリスはちらとヴィクターに視線
を投げた。
231六九:2007/10/11(木) 04:50:22 ID:6BEh/nGV
「前に一度ね、お母さんがまだ生きてた時に、動物園に来たことあるんだ」
「……へぇ。思い出の場所ってやつか」
「うん……でもね、今日のほうが楽しかった」
 照れくさそうに言いながら、ごそごそと紙袋に手を突っ込んで動物型のクッキーを頬張る。
 そんなクリスを微笑ましく思いながらわしわしと頭を撫でてやると、クリスは嬉しそうに目
を細めた。
「ヴィクターはさ……恋人と、こういう所に来たりするの?」
「しねぇな」
「どうして?」
「そりゃ……興味がねぇんじゃねぇかな……俺もあいつも」
「じゃあ、どんな事なら興味あるの? どんなとこに行くの?」
 どんな所に――と聞かれて、ヴィクターは答えられなかった。
 何処にも行った事が無いのだ。どこかに行こうと思ったことさえ一度も無い。クロルは時折、
アウラに会いに行こうかなぁ、と呟くが、それだって独り言に近い物で提案というレベルでは
なかった。
 だから、
「どこにも……」
 と答えることしか出来なかった。
 信じられないというふうに、クリスがヴィクターを凝視する。
「どこにもって……どこにも行った事無いの? で、デートしたこと無いってこと?」
「いや、デートっておまえ……そんな甘酸っぱい関係じゃ……」
「じゃあ、体だけってこと?」
 顔が強張るのを止められなかった。
 はっとしたようにクリスが口に手をあて、ごめんなさい、と謝罪する。
「……でも、好きな人とならさ……一緒に出かけて、色んな思い出作りたいって、思うものな
んじゃないのかな……」
「そんなの、人それぞれだろうが」
「だって……それでも変だよ。一度も一緒に出かけたこと無いなんて。出かけたいとも思わな
いなんて、おかしいよ……」
「そりゃ――」
「だってぼくは、ヴィクターと一緒にここに来たかったんだ! 好きっていうのはさ、自分の
こと知って欲しくて、相手のことも知りたくて、相手に楽しいって思って欲しくて、笑って欲
しくて、そういうことでしょ? そういうことだよ!」
 必死にうったえるクリスの言葉に、ぎくりとする物があった。
 その言葉に共感を覚えるのももちろんだが、その言い方ではまるで――。
「ヴィクターと一緒だったから、こんなに楽しかったんだ……ヴィクターが楽しそうなの見て
ると嬉しかったし、また一緒に、どこかに行きたいって、思う……」
「おいクリス……ちょっと落ちつけ。発言がやばいぞ。それじゃまるで――」
「好き」
 さぁっと、血の気が引いていくのがわかった。
 これが成人男性だったら、ゼロコンマ数秒と待たずに殴り飛ばしていた。唖然として固まった
ヴィクターを上目使いに見上げて、クリスが顔を真っ赤にしてまた俯く。
 むやみに可愛いその態度がなお許せなかった。可愛いと思ってしまった自分がもう許せない。
「ぼくのこと、同性愛者だって思ってるだろ」
「あぁ……いや……あー……」
 まんまその物だろう、と言いたかったが、上手く言葉がでてこなかった。
 ますます顔を真っ赤に染めて、クリスがヴィクターの手を掴む。
 抗う気力をなくしていためそのままぐいと引き寄せられ、引き寄せられるままにクリスの胸
元に手が押し付けられた。
232六九:2007/10/11(木) 04:51:00 ID:6BEh/nGV
 瞬間――更なる驚愕がヴィクターの後頭部を金属バットで殴りつけた。
「一応、ぎりぎりBは、ある……」
「おまえ――」
「クロルとウィルトスさんは気付いてたよ。腕だって組んだのに、ヴィクター全然気付かない
んだもん。鈍感すぎるよ」
 柔らかい――とは、確かに思っていた。
 だがクリスは子供だし、クロルと違って鍛えてもいない。ふにふにとする感触に違和感を覚
えはしたが、それをそのまま女性の象徴として直結できる思考回路がヴィクターには存在しな
かった。
 何より、完全に少年だと思い込んでいたのだ。人は一度思い込んでしまうと、多少の違和感
には無意識的に目を瞑る。
 はっとして、クリスの胸に触れていた手を乱暴に引き戻し、ヴィクターはそのままの勢いで
立ち上がった。
「ぼく、ヴィクターのことが好き。ほんとに好き。死ぬほど好き」
「お、落ち着けクリス……おい、からかうなよ。勘弁してくれ。苦手なんだ、こういうの」
「一目ぼれなんだ。知り合って、話してみて、もっと好きになった。ぼく、ヴィクターのため
なら何でも出来るよ。それくらい好き」
「クリス!」
 たまらず鋭く怒鳴りつけると、ビクリと肩を震わせて泣きそうな顔をする。
 こういう表情は苦手だ。怯えられるのは好きじゃない。
「別に、好きになってって……言ってるわけじゃない」
 ぎゅうと、組み合わせた両手に力がこもるのがわかった。勇気を振り絞るように、クリスが
真っ直ぐにヴィクターを見上げる。
「遊びでいいんだ……ぼく、ヴィクターのものになりたい」
 キスをねだるように、ぎゅっと目を閉じる。
 苦手だ。真っ直ぐに求められるのは、本当に苦手だ。そんな求め方をされては、とても冷たく
拒絶する事など出来ない。
 長い沈黙があった。
 苦しげな表情で、クリスがすっと瞼を開く。
「キス、してよ」
「できねぇ……」
「どうして? 恋人に遠慮してるの? だって、恋人かどうかも曖昧な人なんでしょ? 一緒
に出かけたことも無い人なんでしょ?」
「それは関係ねぇだろう!」
「関係あるよ!」
 苛立たしげに怒鳴って、クリスが思い切り地を蹴った。
 首に腕が回され、歯がぶつかるほどの勢いで唇を押し付けられる。
 思わず抱きとめてしまった腕を慌てて解き、クリスを突き放そうとして――出来なかった。
「だって、ぼくはこんなにヴィクターが欲しいのに! ずるいよ、その人。ヴィクターとの
関係曖昧にしてさ、きっとほかの男と遊んでるんだ」
「よせ。そんなんじゃねぇ」
「そうだよ! そうに決まってる! クロルに聞いたよ。浮気してもいいなんて、その人本気
で思ってるんでしょ? そんなの、ヴィクターのこと愛してない証拠じゃないか!」
 既視感を覚えた。
 クロルが――そう、クリスに言ったのか。
233六九:2007/10/11(木) 04:51:34 ID:6BEh/nGV
 クロルとウィルトスは、クリスが女だと気付いていた――その上で、クロルはクリスにそれ
を伝えたのだ。
 わかっている。クロルはヴィクターを愛していないわけではない。
 ただ――執着していないのは、どうも確かなようだった。それはそうだろう。クロルには、
ヴィクターを失ってもウィルトスがいる。
 自分には、クロルしかいないのに――。
「ヴィクター……?」
「帰るぞ」
「でも……!」
 離れるのを嫌がる体を、ヴィクターは逆に抱き寄せて薄い唇に舌をねじ込んだ。
 驚いて固まっている舌を絡めとり、引きずり出して強く吸う。
「ん……んん……んー!」
 ぞくぞくと体を震わせて、クリスが怯えたようにヴィクターの胸に両腕を突っ張った。だが、
クロルよりも遥かに弱いクリスに引き剥がされるヴィクターではない。
 半ば八つ当たりのように幼い舌を貪って味わいつくし、クリスが脱力するのを見計らってようやく唇を解放した。
 ぐったりとヴィクターに体重を預けるその体を引き剥がし、ふらふらと覚束ない足取りの
クリスの手を引いて歩き出す。
「怒ってるの……?」
「あぁ」
「ごめんなさい……」
「――おまえにじゃねぇよ」
 溜息を吐いて、疲れたような笑顔で振り返る。
 引きずられるようにして後ろを付いてきたクリスが隣まで追いつくのを待って、ヴィクター
は不安そうなクリスの頭をくしゃくしゃと撫でた。
「俺が好きか?」
「うん。好き」
 間髪いれずに、力いっぱいクリスが答える。
 真っ直ぐに向けられる好意は、拒絶さえしなければ心地いい。
 潔癖だね、とクロルは言った。自分だってクロル以外の女を抱かないくせに、ウィルトスで
さえヴィクターを潔癖だと笑う。
 自嘲気味な笑みを浮かべて、ヴィクターはクリスの耳元に唇を寄せて囁いた。
「俺の浮気相手になってくれるか?」
 柔らかそうな耳たぶを甘噛みすると、ひゃん、と可愛らしい声を上げてヴィクターの肩にしがみ付く。
 その腕に思い切り力を込めて、少女の色気を込めてはっきりと――。
「うん」
 クリスは頷き、おずおずと唇を開いてヴィクターに深く口付けた。


                ***


「だから! なんで考えなしに突っ込んでくるんだよ! もっと状況を見ろって言ってるだ
ろ! 何度言わせるんだ! 耳聞こえてる? 頭に脳みそ入ってる? 君みたいに出来の悪い
訓練生は生まれて初めて見るよ! こんなに物覚えの悪い馬鹿を教えるくらいだったら、道端
にいる虫でも捕まえて調教した方がまだ楽そうだ!」
 この糞アマ――と叫んで突っ込んできたチンピラの拳をひらりとかわし、完全にお留守に
なっている足元を引っ掛けて蹴り上げる。
 盛大にうつ伏せにすっころび、芝生の上を無様に転がった男に対して呆れ果てたように両手
を上げて見せ、クロルは幼い子供に見せるような甘ったるい表情でルーベルの顔を覗き込んだ。
「ねーぇぼくちゃん。僕君に何回受身の取り方教えたっけ。今日一日で少なくとも十回は教え
たよねぇ? 何回教えてもらえば覚えるの? 覚える気が無いの? それとも人間の言葉が理
解できないくらい頭の中がすっからかんなんですかー! いつまで無様にひっくり返ってるん
だこのグズ! 立ち上がるまでの間に百回は銃殺されてるぞ! ほらとっとと立ち上がれよ早
く早く早く早く!」
「ちくしょうがぁあぁあ!」
 クロルの暴言に耐え兼ねたような雄叫びを上げ、ルーベルが緋色の髪を振り乱して立ち上がる。
 もはや半泣きだった。今日一日で百回はプライドを叩きつぶされているに違いない。
234六九:2007/10/11(木) 04:52:19 ID:6BEh/nGV
 わき目も振らずに突っ込んできた体を再び寸前でひょいと避け、クロルはまた先程と同じ
ように足を引っ掛けた。
 ルーベルの体が前につんのめる。
 だめだこりゃ――と頭を抱えるその寸前、ルーベルがたん、と地面に手を付いた。
 肩を支点にしてくるりと身を返し、そのままの勢いで立ち上がる。
 呆然として立ち尽くし、ルーベルは一言、
「できた……」
 とだけ呟いた。
「すごい! 今の体操選手みたいに綺麗だった! やるじゃないルーベル!」
 木陰に座って見学していたエリーが立ち上がり、ぴょんぴょんとはねながら手を叩く。
 クロルはやれやれと溜息を吐き、エリーに合わせてパチパチと手を叩いた。
「すごい。お見事。まったく驚いた。君には永遠に受身も取れないんじゃないかって心配しか
けてた所だったからね。ああやれやれ。これで僕の努力も無駄じゃない事が証明された」
 普段ならばカッとなって飛び掛ってくる場面だが、ルーベルは初の受身成功に舞い上がって
いてクロルの嫌味にも気が付いていないようだった。
 おめでたい頭である。
 訓練を始める前に受身は取れるか、と問うと、ルーベルは自信満々にそれは訓練を受けた
から大丈夫だと答えた。
 それならば――と試してみた結果がこれである。
 話しを聞けば、受身の訓練中にはちゃんと取れたのだと悔しそうに唇を尖らせる。
 勘弁してくれ――と思った。
 実戦訓練中に受身を取った事は無いのかと聞けば、実戦訓練で受身を取るような状況になった
事が無いというのだからたまらない。
 これだから、中途半端に強いと面倒なのだ。基礎が無くてもそれなりに戦えるから、基礎
からやり直さなければならない。
「今日はこれで終わりにしよう。ルーベルはシャドウで相手にぶっ飛ばされるイメージを繰り
返すこと。そんで次までに受身は反射で取れるようになってること」
「わかった! やっとく! 次はいつ来てくれる? それとも俺がそっちに行こうか!」
「来週の今日に朝からくるよ。間違っても家には来るなよ。命が惜しかったら絶対来るなよ!」
 もしもヴィクターに見つかったら、どんな惨状になるかわかったものじゃない。
 俺が稽古つけてやるよ、などと人のいい笑みを浮かべながらぎたぎたに叩きのめした挙句、
ぐりぐりと頭を踏みにじりながら「悪い、手ぇ抜きすぎたか?」などとすまなそうに言うに違
いない。
 訓練中にルーベルの拳がクロルにかすっただけで、何処からとも無く銃弾が飛んできそうである。
「夕飯食ってくだろ? な? 食ってってくれよ! あ、俺風呂の用意するわ!」
 へろへろに疲れているだろうに、ルーベルがにこにこと笑いながらクロルの背をばしばし叩く。
 どうも、厳しくしごかれればしごかれる程に懐くタイプのようだった。
 素直なバルスラーと言えばいいだろうか。あの男も罵られて燃え上がるタイプだったように思う。
「おっどろいた。ルーベルったらなにあの態度。手の平返しちゃってまぁ」
 ばたばたと走り去っていたルーベルの後姿を見送って、エリーが呆れたように肩を竦めて
クロルを見る。
 そして興味深そうに上から下までじっくりと眺め回し、最後に諦めたように溜息を吐いた。
「私もクロル君に訓練つけてもらったら少しは引き締まるかと思ったけど、とてもじゃないけ
ど付いていけそうにないわ。クロル君がそんなにスタイルいいのも納得」
 ちぇ、と可愛らしく唇を尖らせる。
 クロルからしてみれば、胸もお尻も大きくて、腰がきゅっとくびれたエリーこそ素晴らしい
スタイルのように思えるのだが、エリーとしてはとにかく脂肪が無い方がいいらしい。
 理解しかねる感性である。
 ありがたくお風呂を頂いて夕飯をご馳走になり、すっかり夜になってしまってからクロルは
ルーベルの運転する車で帰路に付いた。
 前回同じように家の前で降ろしてもらった時は目を合わせるのも恐ろしいと言うような様子
だったが、今は若干の憧れさえその視線に伺える。
 男の強さに対する憧れと欲求とは恐ろしいものである。

「……さてと」
 昨晩、二人っきりにさせてみましょう――と、ウィルトスはクロルに耳打ちした。
235六九:2007/10/11(木) 04:52:53 ID:6BEh/nGV
 丸一日で何処まで進展するか見ものじゃないですか、と笑うウィルトスはこの上なく楽し
そうで、悪趣味ですよ、と咎めるも自覚してますと笑うだけだった。
 車庫を覗くといつものジープはそこには無く、ウィルトスがまだ帰宅していないことを示している。
 玄関からではなく車庫にある裏口から中に入り、クロルは一日中ルーベルの相手をしていた
せいで疲れた体をほぐしながら酒を求めてキッチンに向かった。
 今の方から話し声が聞こえてくる。
 おや、と思った。
 この時間になっても、まだクリスを家に帰していないのか。
 冷蔵庫からビールの缶を取り出してぐいぐいとあおりながら、クロルはてくてくと居間に
向かって一瞬我が目を疑った。
「あ、お帰りクロル!」
 元気よくクロルを出迎えたくれたのはクリスである。
 問題はその格好だ――ヴィクターのシャツを着ているのだ。下着を着ているかどうかは知ら
ないが、少なくともズボンのたぐいは身に着けていない。
「……手、速ッ!」
「帰ってくるなり誤解してるんじゃねぇ! 着替えがねぇんだよ着替えが。お前の服がサイズ
的に一番近いんだが、勝手に貸すわけにもいかねぇだろ? だからだよ」
 あぁ、なる程そういうわけか――と大人しく納得するクロルではもちろんない。
 少なくとも、クリスが少年ではなく少女だと気付くような事件はあったのだ。これは大きな
進歩であり、進展である。
「へーぇ……ほーぉ、ふぅーん」
 にまにまと口元が緩んだ。
 ヴィクターが苛立たしげに舌打ちする。
「まぁいいさ。で? 二人とも何してるの?」
 見れば、テーブルの上に大量の写真が散らばっていた。
 側にアルバムらしき物もある。
「ヴィクターの軍人時代の話ししてもらってたんだ。クロルってヴィクターの副官だったんで
しょ? 凄いよね! だってそんなに小さいのにさ、クロルって頭いいだけじゃなくって強い
んだ!」
「いや、僕はそんな……腕っ節ならヴィクターの方が強いし、頭はウィルトスの方がずっとい
い。僕は軍人では弱い方だったしね」
「でも、それでもすごいよ! ねぇヴィクター。ぼくも頑張って訓練すればさ、少しは強くな
れるかな」
 きらきらと輝くような笑顔で、クリスがヴィクターを振り返る。
 ヴィクターはそんなクリスの髪をそっと撫でて、優しげに目を細めた。
「おまえは強くなる必要なんかねぇだろう。将来猟師にでもなるつもりか?」
「強くなれたら、それもいいかも」
「だったらなお訓練なんかすんな」
「えー。なにそれ。なんで?」
「猟師になったら危ない目に遭うんだぞ? だったら弱いままで、強い奴に守られてろ」
「ヴィクターが守ってくれるの?」
「そうだな。おまえがいい子にしてたらな」
 嬉しそうに、恥ずかしそうにクリスが笑い、そんなクリスの様子にヴィクターも口元を緩ませる。
 おいおい。なんだ、この甘ったるい空間は――と、クロルはビールを片手に表情を引きつらせた。
 からかう気も起きない。からかう必要性も見出せない。
「ヴィクターのロリコン。やらしー」
 とりあえずそれだけ言って、再びビールに口をつけて歩き出す。
 風呂は? と聞いたヴィクターにエリーの所で入ってきたと答え、クロルは居間を後にして
自室へと向かった。
 信じられなかった。
 ヴィクターが。あのヴィクターが。純情可憐で純愛思考で潔癖人間のヴィクターが、十三も
年下のクリスと明らかにいい雰囲気を構築している。おまけに中々お似合いだ。
 これは、ひょっとしたらひょっとするのか。ひょっとしてしまうのか。
 面白い事になってきた――クロルはくすくすと肩を揺らしてそわそわとウィルトスの帰宅を
待った。
「あのヴィクターがねぇ。すごいなクリス君。どんな手でヴィクターを落としたやら」
 ビールを飲み干し、缶をゴミ箱に放り込む。
236六九:2007/10/11(木) 04:53:59 ID:6BEh/nGV
 どさりとベッドに倒れ込み、クロルは疲れた体を存分に伸ばしてのびのびと息を吐いた。
 ふと、カレンダーに視線を投げ、丸く印がつけてある数字を眺める。
 あと二週間――溜息と共に、無意識に指が動いた。
 ズボンの留め金を外して脱ぎ捨てる。下着の上からすりすりと割れ目をなぞり、クロルは
苦しげに眉を寄せて目を閉じた。
「ん……ふ、ぁ……」
 少しいじっただけで中からとろりとあふれ出してきた液体で、じっとりと下着が湿ってくる。
 膝を抱くように丸まって空いている手で小さな乳房を包み込み、クロルはゆっくりと二本の
指を自分の中に突き入れた。
 息を乱して唇を噛み、ぐちぐちと中をかき回す。
 濡れた唇が切なげな吐息を漏らし、きゅ、と乳首をつまんでこりこりと刺激する。
 一瞬びくりと体を震わせて、クロルは声も出さずにあっけなく果てた。
 引き抜いた二本の指に、とろりと愛液がからみついている。
「……なにやってんだか」
 欲求不満ならば、一言ヴィクターかウィルトスを誘えばそれで済むのだ。それなのに自身の
課した懲罰期間が消化されるまで、自分まで律儀に男を絶っている。
 街で男をひっかければいい、男娼でも買えばいい――というのは分かっていた。誰もクロル
を責めはしない。
 あるいは、文句や死人くらいは出るかもしれないが――。
「末期だ……」
 本当に、そう思う。
 あの二人がいいのだ。あの二人じゃなければ嫌なのだ。諜報任務で他の男と寝る必用がなく
なったのだから、あの二人にだけ抱かれていたい。
「くそ。次からはもうちょっと考えて期間決めよ。一ヶ月長いわこれ」
 独り言を吐きながら、ぐったりとベッドに寝転がる。
 とろとろと眠気が襲ってきた。誘惑に勝てずに、ずるずると毛布を引っ張って巻きつける。
 遠くでジープのエンジン音が聞こえた時には、クロルは既に眠りに落ちてきた。


                              切らせていただきます
237六九:2007/10/11(木) 04:55:13 ID:6BEh/nGV
最後の一文にいらん一文字入れてしもうた――!
「眠りに落ちた」に脳内修正お願いします。
238六九:2007/10/11(木) 04:56:17 ID:6BEh/nGV
「落ちていた」ですね……ほんとすまんorz
239名無しさん@ピンキー:2007/10/11(木) 08:41:54 ID:SKQrzD4i
クリスかわいいよクリス。
いや一番かわいいのはヴィクターだが。
つーかマジでどう決着するんだろう。
傭兵組+クリスの4Pとか妄想してみる。
240名無しさん@ピンキー:2007/10/11(木) 18:50:07 ID:dA557TRP
GJ!!!!

>素直なバルスラー
何故かここがツボったwwww
241名無しさん@ピンキー:2007/10/11(木) 20:53:38 ID:gU6eJht7
GJ!
個人的にヴィクターはクリスよりクロルの方を向いといて貰いたい
242名無しさん@ピンキー:2007/10/11(木) 21:00:13 ID:RAk6w5Ep
多分、今回でクロルがヴィクターに浮気するなんてヤダ!とか言って
そうなるだろうと思うぞ。

そして覗いてるウィルはニヤニヤ
243名無しさん@ピンキー:2007/10/11(木) 23:18:05 ID:ooPnXtXF
俺的にはしばらくこの関係が続いてほしいな
244名無しさん@ピンキー:2007/10/12(金) 05:50:54 ID:w8Lhgdh3
久々に来たら、ヴィクターとクロルがシリーズ化されてて感動した。
六九氏愛してる
245名無しさん@ピンキー:2007/10/12(金) 18:13:25 ID:UQLq3OUX
ほとんどワンマンスレ状態だな……
たまには正統派ボーイッシュも読みたい
他にそれらしい該当スレがないからここなんだろうけど、正直クロルは変則過ぎて萌えない……
最初はまだよかったんだが、最近は特に。
246名無しさん@ピンキー:2007/10/12(金) 20:19:02 ID:2bUNMafT
>>245
嫌ならスルーもしくは自分で書け
247名無しさん@ピンキー:2007/10/12(金) 22:48:27 ID:q/MXFfEe
>>245
それは良かったな。
他スレ行ったら?
248名無しさん@ピンキー:2007/10/13(土) 06:55:22 ID:qEhULMx0
六九さん、GJ!
ヴィクターが正気だと、話が進まないから、どう狂わすかがカギとなるのか

>>245
サウラとアイルシリーズ等も来てるし、他の作品も喜んで受け入れてる
六九さんもクリスを導入し、フランシスは別スレに投下する気のつかいようだ
249名無しさん@ピンキー:2007/10/13(土) 10:58:24 ID:XCntl88N
絶対この流れなると思ったwww
テラ信者wwww
250名無しさん@ピンキー:2007/10/13(土) 11:50:53 ID:bgtjwutx
これ以外の投下頻度は低いのだから嫌な人間はあぼんしておけ
俺はそうしてる
251664:2007/10/13(土) 12:49:32 ID:wB0piEhg
軍人モノ
鬱話後編
壊クロル要注意
不幸END



「やめろ、やめてくれ…クロル…クロル、クロル、クロル!やめろおお!」
 ヴィクターはテレビに食ってかかった。
「ヴィクター教官!ダメです!」
 アウラが背後からヴィクターに抱きついた。
「何がダメなんだ!こんな、クロルがこんな!チクショウ!クロルは、あいつは!玩具じゃねぇんだぞ!
何であいつがこんな変態共の慰みモンにならなきゃならないんだ!」
「ヴィクター…クロル教官はもう…この状況ではもう…」
 アウラの掠れた声、ヴィクターの背中に頬をすり寄せ、アウラは黙った。
 静寂の訪れた執務室に響くクロルの狂声とアウラの嗚咽。画面では犬との交尾から
画面が切り替わり、今度は全裸で貼り付けにされたクロルが映った。


SOLDIER×BLACKNESS


「はぁ…はあ…はぁ…」
 ぐったりとしたクロル、表情は虚ろであの頃とはとても同一人物とは
思えないほど衰弱し、絶望し、うなだれていた。そんなクロルがはっと表情をした
画面の端から顕れた何かを脅えた眼で見つめる。
「ああ…いや…や…もういや……」
 それは不格好な百足のようなくぐせだった。カサカサと動く脚にうねうねと動く触角、
そしてその尻には身体より一回り大きいぬめった肉袋を引きずっている。
メスの秘部の匂いを感じ取ったのか、くぐせがカサカサと脚を素早く動かし、
クロルの右足に取り付いた。
252664:2007/10/13(土) 12:55:13 ID:wB0piEhg
「や…いや…やだ…こ、こんな…こんなのと…こんなのに…」
その胸が悪くなるような異臭を漂わせるくぐせを見てクロルの眼が見開かれた。
そしてひくひくと触角を動かし、ゆっくりと下腹部に這い上がってきた。
「やだ…やだ…やだやだやだいやああっ!」
くぐせは身体をクロルの腰から腹部にかけて器用に巻き付かせた。
交配時に母胎から離れないようにするためだ。
そして袋の先からにゅるりとぬめった亀頭のような生殖管が姿をあらわした。
くぐせは蜂が尻の針を突き出すように生殖管を突き出すと、クロルの秘所に押しあてた。
「やあああああヴィクター!教官!誰か!誰かぁアア!助けて、助けてええ!」
 クロルの断末魔のような絶叫。しかしそれは誰にもとどかない。
 ずぶ…ずぶりゅ…ぶちゅうううう…
「あぎ……あ…は、は、はぎあああああああっ!」
 くぐせがクロルの秘部にずぶりと生殖管を突っ込んだ。
 前戯などなにもない性交。クロルは口をぱくぱくと魚のように開け、必死で空気を吸おうとする。
 無理矢理こじ開けられ、削られた膣壁の痛みは尋常ではない。
「やめろ!やめやがれ!クロルは!クロル!」
 助けてやれない自分がどうしょうもなく悔しかった。ヴィクターは画面を睨み付け、
ちくしょう…と呟きながら頭を抱え込んだ。
 もうたくさんだ、親友が滅茶苦茶に汚されているところなど正視できるわけがない
 ぶりゅ…ぶりゅうう…ぶちゅ…ぶりゅりゅう…
 袋から生殖管にかけてくぐせがクロルの呼吸に合わせ体内に卵を注入し始めた。
「あああっ!やめてやめてえええ卵なんか…卵なんかボクに入れないで!!
ヴィクター!ヴィクター!いやああああ!」
 どぶりゅ…どぶりゅ…と注入されていく卵の圧迫感を感じながらクロルは泣き叫んだ。
「ああっ!もうボクの中に入れないで!…いや、いやああ…も、もう…」
 クロルの声が悲鳴か徐々に艶を帯びた甘い声に変わっていく。
「も…う…ふ……な、中…あはっ…こ、こんな……く、くす…り…」
 犬との交配前に注入された薬が体内に回ってきたのか段々と呂律が崩れ、
言葉が不明瞭なぶつ切りの単語に変化していく。
「あは…あひ…お…んおお……い、…い…ひ」
「………クロル?」
 項垂れていたヴィクターは顔を上げた。
253664:2007/10/13(土) 12:59:44 ID:wB0piEhg
「き、気持ち……いひ…ふっ…あっ…ふ…はは、いいよ…ひいいい…」
「クロル…クロル…」
 くぐせとの交尾にクロルの表情が変化した。いや、変化というよりは―――
「もっと…もっと強く…強く突いて…もっとぉくぐせのチンポもっと強く突いてぇ…たまご、
たまひよ…ボ、ボクのなか…そそひで」
「ウソだろ…クロル…ウソなんだろ?」
「いいのっ!いいのぉ、くぐせチンポいひぃ…すごすごひのぉ!もっともっともっとぉお!」
「クロル…クロ……ル…くぅ…うう、ううう…うわあああああああっ!」
 ヴィクターが雄叫びを上げた。
 何もかもが、今までのクロルとの思い出が崩壊し、砕け散り、
弾け飛んだ瞬間だった。
 その後も陵辱は続いた。くぐせの卵を注入されたクロルの下腹部が出産間近の
妊婦のように膨れ上がり、クロルが嬌声を上げながら卵を産む場面。
薬品を幾度となく注入され、男根を生やし、それをオナホールで扱きながら射精する場面。
裏で出回っている児童ポルノやスナッフビデオがまだマシに見える程の
映像をさんざん垂れ流しながらテープは終わった。
今、執務室の画面には灰色の砂嵐が映り、放心したヴィクターが壁に背を預けていた。
「ヴィクター教官……」
「…………一人に…出て行け…命令だ」
「…で、ですが……わかりました。」
 アウラはヴィクターの心情を読み取ったのか、カーテンを開け、部屋から出て行った。
廊下を歩くアウラがモニターの破壊される音と野獣のような絶叫を聞いたのは
その直後だった。

日が沈み、夜になった市街地はにぎやかで喧噪が絶える事はないが、角を曲がり
街の裏に回るとそこにはその日を生きるために客を取る子供や麻薬の売人。
売春婦、ホームレスやネズミの巣窟だった。
そんな裏路地の一角であの男が立っていた。
クロルを犯し、アジトに連れて行った男だ。
「遅かったじゃねぇか。」
「待たせて悪かったわね。」
 その男に一つの影が近づく。
「あのビデオ…なかなかだったわ。結構な値段になったんじゃない?」
「ああ、これがアンタの取り分だ。全く、あの諜報任務の情報は助かったぜ…
これで俺も組織に顔が立った。」
「それはよかったわね。」
「アンタとの脈は俺だけだからな。これからも頼むぜ」
「……で、あの女はどうなったのかしら?」
「あの女?ああ、副官殿か……撮影が終わった後は手に終えねぇほどヤクがキマってた
んで業者に引き渡したんだってよ。今頃は豚の餌か、くぐせの苗床だろうよ」
「そう、安心したわ。」
「これでアンタは目的を、俺は組織での地位と金を…ククッ笑いが止まんねーなぁ」
「ええ、やっと貴方みたいなクソを便器に流せるのかと思うとほっとするわ。」
「―――!?」
プシュプシュプシュという低い音と共に男は倒れた。
その影は頭部目掛け弾切れになるまで撃ち込むと消音器付きの自動拳銃を
下水道へと続くドブ川に捨てた。
「うん、これで完璧。クロル教官も消えたし、後任も引き継いだ…あはは…
ヴィクターこれで私達の邪魔する人はいなくなりました。」
そう言って軽く身悶えた影は夜の街へと消えた。
それから数ヶ月後、東部戦線から帰還した片腕の少佐が軍中央司令部に赴き、
諜報任務会議の席において鞄に仕込んだ爆薬と共に自爆した。
以後、女性下士官による諜報作戦は凍結され、全ての記録と共に闇に葬られた。
END
254664:2007/10/13(土) 13:03:29 ID:wB0piEhg
管理人さん、保管庫更新ありがとう。
昔に読んだ話が懐かしい。
シリーズ物も綺麗に更新されてるのを見て感動した。

255名無しさん@ピンキー:2007/10/13(土) 14:54:51 ID:dktnDG84
鬱だ('A`)
 
 
 
GJ
256名無しさん@ピンキー:2007/10/13(土) 15:54:51 ID:3I+dY+6r
そうか…鬱は俺の好物だったのか…

GJ!
257名無しさん@ピンキー:2007/10/14(日) 02:21:00 ID:LXPThvIi
巨乳ボーイッシュが好みなんだが、おかしいだろうか?
言動や行動が男っぽいのに、身体はメリハリがあって女らしい、ってのに萌えるのですが
258名無しさん@ピンキー:2007/10/14(日) 05:23:00 ID:paIfHxce
>>257
おかしくないさ
259名無しさん@ピンキー:2007/10/14(日) 15:23:18 ID:/R4BJgJU
>>257
好物と好物を足す事で、大好物になるんだぜ?
260名無しさん@ピンキー:2007/10/14(日) 19:59:00 ID:PuWrs10r
苺大福
生ハムメロン
巨乳ボーイッシュ


全部大好物なんだゼ?
261名無しさん@ピンキー:2007/10/14(日) 21:19:04 ID:LXPThvIi
話考えてたんだがヒロインがボーイッシュと同時に幼馴染でもあったので、
なんかプロット立ててる内に幼馴染要素の方がクローズアップされてしまった……
昔遊んでてしばらくして再会、その後昔の思い出が云々って、幼馴染系の話だよなあ……
262名無しさん@ピンキー:2007/10/14(日) 23:26:42 ID:0vuIa77x
>>257
アリじゃね?
とゆうか書いてくれ
 
>>261
それ読みたいわ(´・ω・`)
263名無しさん@ピンキー:2007/10/15(月) 22:54:36 ID:kxxlbD4G
中性的でシャイな男
シャイな男というのは、自ら果敢に攻めるということがないため、気が強くてちょっとわがままな女性や、しっかり者でリーダーシップのとれる年上の女性と付き合うことが多いようです。

俺様系の強引男
男としてのプライドが高く、どちらかと言えば女性を卑下する傾向も強いのが特徴です。
女に対しては綺麗でか弱いという幻想を抱いていることも少なくありませんですので、自分より有能そうなバリキャリの女性や、男勝りで女らしさに欠ける女性などは敬遠しがち。

似ていないひとに惹かれる=自分に無い魅力に惹かれる。自分とは違う遺伝子が欲しい。
強いもの同士・弱いもの同士は引かれ合わない
264六九:2007/10/16(火) 02:43:18 ID:qyJn1hkU
スレから追い出されたSSを投下するスレ
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1161043643/l50#tag303

>>236
より続きをこちらに投下させていただきました。
265名無しさん@ピンキー:2007/10/16(火) 03:10:11 ID:CIf2+VJI
こっちに書くべきか迷ったけど、GJ!
ウィルトスは何だかんだ言ってもクロルの幸せが一番なんだなあ
266名無しさん@ピンキー:2007/10/16(火) 17:32:36 ID:99QWVJdb
GJ!
また投下したら教えてください
267名無しさん@ピンキー:2007/10/16(火) 17:33:18 ID:99QWVJdb
sagdになってたorz
268名無しさん@ピンキー:2007/10/16(火) 19:45:52 ID:COY8Bomh
>>264
GJ!
クリスのエロが見たくて仕方がないですw
269名無しさん@ピンキー:2007/10/21(日) 09:02:06 ID:p98WYoB1
保守
270名無しさん@ピンキー:2007/10/24(水) 04:58:08 ID:dr8vGXXk
馬鹿吠えて
職人去って
スレ過疎る
271名無しさん@ピンキー:2007/10/24(水) 20:36:27 ID:VpJkTHgh
キョヌーで元気で口が悪くて放送禁止用語連発するような幼女はボーイッシュにあたるだろうか。
どうだろうか。
「てめぇみてぇな不能野郎がアタシとヤロウなんざ十年はやいんだよカスが!」
とかいいながら中指おったてるような女の子が、
「や、やめろよ……! アタシにこんなことして、ただじゃすまさねぇぞ! チキショウ! やだ、やだってばぁ!」
とか泣き出すのは別属性だろうかどうだろうか。
272名無しさん@ピンキー:2007/10/24(水) 21:53:12 ID:bIigEsy0
>口が悪くて放送禁止用語連発するような幼女はボーイッシュにあたるだろうか。

別物
雰囲気が男っぽいのと口が攻撃的なのは違う
273名無しさん@ピンキー:2007/10/24(水) 21:56:54 ID:X4wYwh8p
>>270
違うスレで読めるならこのスレが過疎ってもいい
274名無しさん@ピンキー:2007/10/24(水) 22:38:03 ID:HEfCUwtj
>272に同意だけどそれはそれでとても好物。
良かったら気の強い娘とかそんな感じのスレにでも
275名無しさん@ピンキー:2007/10/25(木) 02:59:23 ID:PKJmNwiT
 よく、わからない。
 たぶん愛していたんだと思う。
 子供のころからずっと、お互いが一番だった。
 どこに行くにも一緒で、なにをするのも一緒で、でも自分はいつも下手糞で、彼女はなんで
も上手に出来て――。

 だめだなぁ、チャドは――と、彼女はいつもからかうように笑いながら、何一つ上手に出来
ないチャドの面倒を根気よく見てくれたのだ。
 チャドは二つ年下のそんな彼女に――ウェダに心酔していたと言っていい。
 一緒に大学に行こう、とウェダが言ってくれたから、チャドは苦手な勉強も頑張れた。
 ウェダと同じ大学に行くために必死になって勉強して、同じ大学に合格した時、ウェダは自
分のことなんてそっちのけで喜んでチャドを祝ってくれたのだ。
 だからチャドは、ずっと心に決めていたのだ。
 ウェダの幸せのために生きていこうと。自分は不器用で、なんにも出来ない無能な奴だけど、
体は大きいし力も強い。
 誰かがウェダを傷つけたら、自分が絶対に守ってやると。ウェダの幸せのためだったら、自
分はなんだってできるのだと、チャドは信じて疑わなかった。

 だから、どうしてなのかは、よくわからない。
 たぶん、愛していたんだろうと思う。

「あたしね、チャド。恋人が出来たんだ」
 恥ずかしそうに、嬉しそうにウェダが笑った。
 その表情は、すごく綺麗だと思う。
「そいつったらさ、ずっとあたしがチャドの恋人だと思ってたんだって。でさぁ、チャドって
体でっかいし強そうじゃん? あたしに声掛けるの怖くて仕方なかったんだってさ」
 あたしに今まで恋人が出来なかった理由がやっとわかったよ、とウェダが笑う。
「でも、それでもどうしても想いを伝えたかったんだって。それ聞いたときさ、こう、ぐっと
きたね! きちゃったね!」
 ぐっと拳を握り締めてウェダが言う。
 胸が締め付けられるようだ――とチャドは思った。
 幸せそうなウェダを見ていて、苦しいと思った事は初めてだ。
 苦しくて、苦しくて仕方がなかった。おめでとう、よかったな、とようやく搾り出した言葉
は、どれも不自然に震えていて――。
「チャド? どうしたの? 目にゴミでも入った?」
「ウェダ……おれ……」
 ハンカチを出して涙を拭ってくれる、ウェダの太陽のようなさわやかな香り。
 健康的に引き締まって、だけど小さくてほっそりとした体。
「おれ……」
 ぎゅうと、思わず抱きしめていた。
 え、とウェダが驚愕の声を上げる。
 見開いたウェダの瞳に映る自分の顔を見つめながら、チャドはウェダの柔らかな唇に自らの
唇を押し当てた。
 ウェダにとって初めてのキスだったかどうかはよくわからない。
 だけどチャドにとっては間違いなく初めてで――だけど、これは上手く出来たように思う。
 ウェダの白い粒ぞろいの歯を舐めて、怯えて竦んでいる舌を絡めとって吸い上げて、味わっ
て、味わって、ひたすらに貪って――。
 ようやく唇を離した瞬間、パン、と乾いた音が鳴った。
 熱く、鋭い痛みが頬を焼く。
「チャドの馬鹿! 大っ嫌い!」
 それだけ言って、ウェダは一目散に駆け出した。
 チャドの馬鹿。大っ嫌い。
 随分幼い頃に、ウェダに同じように怒鳴られた事がある。
 それは、ウェダが大事にしていた人形を壊してしまった時だった。
 その言葉を聞いた時悲しくて、どうしていいかわからなくて、チャドは目の前で泣いている
ウェダよりも一層激しく泣き出した。
 そうすると、今まで泣いていたウェダが驚いて、泣かないで、ほんとはそんなに怒っていな
いから、と慰めてくれたのだ。
 だけど今、ここに慰めてくれるウェダはいない。
 チャドは悲しかった。
276名無しさん@ピンキー:2007/10/25(木) 02:59:57 ID:PKJmNwiT
 どうしたらいいかわからなくて、だけど追いかけてまた嫌われるのが怖くて、結局一人で家
に帰った。
 一人暮らしのチャドの部屋は汚くて、だらしないなぁ、といつもウェダが片付けてくれてい
た。
 チャドにはウェダが全てだった。
 ウェダが幸せならなんでもよかった。
 だけどただ、本当に当たり前のように――ウェダは自分を選んでくれると思っていたのだ。
 だからずっと、恋人も作らないで側にいてくれているのだと――ずっとそう思っていたのだ。
 ウェダが恋人に選んだ男が、どんな男かはわからない。
 だけどウェダが選んだ男だ。きっと知的で顔もよく、チャドなんて足元にも及ばない素晴ら
しい男に違いない。
 それなのに、ウェダにあんな事をして怒らせてしまった。
 嫌われただろうか――と思うと唐突に怖くなって、チャドは上着も羽織らず冬の空に飛び出した。
 お互いに一人暮らしをするようになってからも、ウェダとチャドは近所に部屋を借りて頻繁
にお互いの部屋を行き来していた。
 一言謝りたくて、友達でいいから一緒にいようと言いたくて、チャドは走った。

 そして――一人暮らしのウェダの家に、二人分の影を見た。

 甘く寄り添った二人はお互いの腰に腕を絡めあい、そして、深く唇を重ねあった。
 苦しかった。
 悲しかった。
 だけど、あれがウェダの幸せなのだ。
今日は引き返して、後日出直すべきだと頭では分かっていた。
 チャドの見ている前で、二人がソファに倒れ込む。

 苦しくて、苦しくて――。

 気が付いたら、ドアをぶち破って部屋の中に入り込み、ウェダに覆いかぶさっていた男を殴
っていた。
 驚愕の悲鳴のあとに、
「チャド!」
 と、叱り付けるような声がする。
 倒れた男に馬乗りになり、限界まで振り上げた拳は――しかし腕にがっちりとしがみ付いた
ウェダに阻まれて振り下ろす事は出来なかった。
「逃げて! 早く!」
 ウェダが男に向かって叫ぶ。
 だらだらと鼻血を流しながら、男はがくがくと震える足を引きずって逃げ出した。
 ふと、拳にへばりつくぬるりとした感触に気付く――あぁ、血だ、と思った瞬間、チャドは
自分が何をしたのか気が付いて戦慄した。
 腕の拘束が解かれる。
 怒られる――嫌われた――。
 それよりも、怯えられた――と思うのが恐ろしくて――。
「ウェダ、おれ――」
 意を決して振り向くと、握り締めたウェダの拳がチャドの顔面を捉えた。
 チャドからすれば、決して強い力ではない――だけど、それでもウェダからすれば精一杯の
力を込めて振り下ろされる拳はひどく痛くて――。
「馬鹿! ばか、ばか、ばか! なんてことしてくれたんだよ! チャドの馬鹿! 馬鹿!」
「ごめん……ごめんウェダ。でもおれ……」
「出てってよ! 顔も見たくない! 初めてできた恋人だったのに!」
 わぁあぁん、と顔を覆って泣き出してしまったウェダに、チャドは何も言う事が出来なかった。
 慰めようと伸ばした腕を、乱暴に振り払われる。
「出てってよぉ……」
 言われて、チャドはのろのろと立ち上がった。
「あの……おれ……」
 ウェダは顔を上げもしない。
「おれ……ウェダが好きだ……」
「嫌い」
277名無しさん@ピンキー:2007/10/25(木) 03:00:31 ID:PKJmNwiT
「……好きなんだ」
「大っ嫌い!」
 あっけなく切り捨てられ、チャドは深く傷ついて立ち尽くした。
 親友だったウェダは、もう親友ではなくなってしまった。
 密かな恋心を最悪な形で伝えて、何もかも壊してしまった。
「――チャド?」
 よく、わからない。
「ずっと……一緒だったじゃないか」
 なのにどうして――。
「どうしてあんな……あんな、ウェダの事よく知りもしない奴なんだ! だっておれは、おれ
はずっとウェダが好きで……なのになんでおれじゃないんだ……!」
 歯を食いしばって泣き出してしまったチャドに、しかしウェダはやはり慰めの言葉をかけは
しなかった。
 ただ一言、
「だってチャドは……弟じゃないか」
 嫌いよりも。
 大っ嫌いよりも。
 その言葉が、一番チャドの心を深く抉った。
 姉のように慕ってきたのは事実だ。
 だけどそれでも、ずっとウェダに女を意識してきた。
 些細な事にどきどきして、毎晩ウェダのことばかり考えて――。
「おれは――」
 びくりと、ウェダが肩を竦ませて後退った。
 かっとなってその腕を乱暴につかんで引き寄せ、無理やりソファに押し倒す。
「やだ! なにすんだよチャド、放せ! 痛い!」
「おれはウェダの弟じゃない!」
「このっ――!」
 鋭く怒鳴ったウェダの平手を――しかしチャドは受けなかった。
 細い腕をつかんで頭上に一つに纏め上げ、ウェダのシャツを乱暴にたくし上げる。
 部屋でくつろいでいたせいか――それともあの男と一緒にいたためか、ウェダは下着を着け
ていなかった。
 チャドの下で怯えて竦むウェダの乳房は、怒りでか羞恥でか桃色に染まっていた。
 その、やわらかそうな膨らみに舌を這わせて、桜色の頂に乱暴に吸い付く。
「やだ、やだ、やだぁあ! やめてチャド! チャド!」
 必死に身を捩り、暴れ、泣き叫ぶウェダの声を無視して、チャドは満足がいくまでたっぷり
とウェダの乳房を堪能した。
 唇でふにふにと挟んだり、歯で挟んで舌でこりこりと押しつぶすたびに、ウェダの抵抗が弱々
しくなっていく。
 キスがしたくて顔を上げると、ウェダは血が滲むほど唇を噛んで声を殺してすすりないていた。
「ウェダ……」
 頬にそっと口付けると、乱暴に首を振って拒絶される。
 顎を押さえつけて無理やり口付けると、ねじ込んだ舌に噛み付かれてチャドは思わず飛びのいた。
 その隙を見逃さず、ウェダが逃げ出そうと身を捩る。
「どうして――!」
 じわりと口の中に満ちた血の味に、チャドは叫んでいた。
 逃げ出そうとしたウェダの体を許さずに、すかさず捕らえて押さえつける。
「愛してるんだウェダ! おれ、おれ、だから……だから……!」
「こんなの間違ってるよ!」
 ぼろぼろと涙を零しながら。ウェダが叫び返した。
「間違ってるよチャド! 間違ってる!」
「間違ってない……」
 だって、だってこんなに愛してるのに――。
「一人じゃなにもできないんだ……」
 ずっと側にいてくれて、こんなに依存させておいて、今更別の男を見るなんて――。
「一人にしないでウェダ……お願いだ……おれを捨てないで」
 そろそろと、叱責を恐れるようにウェダの下半身に手を伸ばす。
 あいつは、あの男は――もう、ウェダのここに触れたのだろうか。
「やだっ……!」
278名無しさん@ピンキー:2007/10/25(木) 03:01:06 ID:PKJmNwiT
 短く叫んで、ウェダがぎゅっと目を閉じる。
 そっと指先で撫でるとそこは全然湿っていなくて、チャドは困り果ててウェダを見た。
「どうすればいい?」
「……やめてよ」
「ウェダ」
 わからないなりに、指の腹でくちくちと撫でてみる。
 ウェダの表情を伺いながら少しずつ動きを変えていくと、とろり、と、溢れ出した。
 それがついうれしくて、
「濡れてきた」
 言った瞬間、再びウェダの平手が飛んだ。
「絶交だからねッ」
 涙ぐんだウェダが愛しくて、目じりの涙を舐めながら恐る恐る指を一本挿入する。
 ひん、と怯えたような声を零して、しかし痛がる様子のないウェダに気をよくして、チャド
は二本の指でウェダの中をかき回した。
「あぁ、や、やだ……チャド、だめ……チャド!」
「感じてる?」
「ちが……ちが、あ、あぁ、ん……」
 両手で顔をおおい、羞恥と快楽にウェダが耐える。
 とろとろと、とめどなく溢れてくる蜜でウェダのなかなどんどんと蕩けていって、部屋に響
く水音はもはや隠しようもない。
「ウェダ、ウェダ……好きだ、愛してる。好きだ」
 ずるりと指を引き抜いて、もどかしく思いながらチャドはズボンを引き下ろした。
 ちらと、怖い物見たさでウェダがチャドの下半身を凝視する。
「やだ……そんな、の、はいらな……」
 怯えて逃げようとするウェダの腰をがっちりと掴んで――チャドは一気に奥まで突き入れた。
 ウェダは声を上げなかった。
 痛みか――それか別の感覚に耐えるようにぎゅっと自分の指を噛み締めている。
 処女膜があったかどうかは、よくわからなかった。ただひどくきつくて、ぎちぎちに締め付
けてくるウェダの中はひどくあつくて――。
「ウェダ……の、なか……きつくて、あつくて……」
 そのままの言葉しか出てこなかった。
 ウェダの細い腰をしっかりと抱えて、ゆっくりと動き出す。
「んぁ……ぃ、くぁ……ん」
 こぼれるようなウェダの声が愛しくて。
 もっと沢山声が聞きたくて、ウェダの口元に耳を寄せるように身を伏せると、こつん、と
ウェダの最奥に先端が触れた。
 その瞬間、ぐっと、嫌がるようにウェダがチャドの両腕を掴む。
「そこ……痛い」
 はじめてウェダが発した要求が嬉しくて、だけどその要求の内容に、チャドは慌てて腰を引いた。
 だけどそこからどうしたらいいかわからなくなってしまい、憮然としているウェダにおろお
ろと助けを求める。
「どうしたらいい?」
 ふう、と、呆れたような溜息を一つ。
 しょうがないなぁ、チャドは――と、ウェダはいつもこの溜息と共に言う。
「もう……こんなことまであたしが教えなきゃいけないわけ……?」
「ご、ごめん……でもおれ……」
「ほら、腰……ちゃんと持って」
「うん」
「それで、ゆっくり……浅く、したり……深くしたり、して……」
 言われた通り、深く浅く腰を振る。
 ウェダの声や表情を注意深く観察して、これ以上痛くしないように。
「ウェダ……おれ、きもちよく……なって……」
 ぐいと大きく腰を引いて、たたきつけるように突き入れる。
 するとウェダの背が弓なりにそって、いつもウェダに邪魔にされている大きな乳房がぷるんと揺れた。
 たまらず腰を振りながらむしゃぶりつくと、ウェダがいやいやと首を振る。
「ぁめ! そんな、はげし……ちゃど、ちゃどぉ! やぁ、もっと、やさし……!」
「ウェダ、の、なか……すごい、しまって、どろどろで……」
 早く、早くと急かされるように、チャドは一心不乱に腰を振った。
279名無しさん@ピンキー:2007/10/25(木) 03:01:40 ID:PKJmNwiT
 痛いよ、壊れちゃうよぉ、とウェダが喘ぎながらすすり泣く。
 だけど止まらなくて、止められなくて、びくん、とウェダの体が震えて大きく体が仰け反った。
 それと同時にいっそうチャドのものが強く締め付けられて、断続的に、搾り取るようなその
収縮に、チャドはウェダの中にありったけ注ぎ込んだ。
 腰が抜けるような射精感と、ぞくぞくとするような達成感。
「チャド、ティッシュ」
「え?」
「ソファ、汚れちゃうだろ!」
 怒鳴られて、慌ててテーブルの上の箱に手を伸ばす。
 ソファの上に零さないように慎重に引き抜いて、チャドは自分の吐き出したものを丁寧にぬ
ぐってこんなものかとウェダを見た。
 瞬間、バチン、と頬に平手が飛ぶ。
「……自分が何したかわかってる?」
 自分が、なにをしたか――。
 言われて、チャドの歓喜と達成感は粉々に打ち砕かれた。
「これは強姦だよチャド。犯罪だ」
「でも、だけどおれ……ほんとにウェダが――」
「そんなこと関係ないでしょ! もう! 相手があたしじゃなかったら訴えられてるんだ
よ!」
「ご、ごめん……」
 しゅんと、下半身をまるだしにしたままうな垂れる大男である。
「……折角できた恋人だったのに」
「ごめん……」
「殴るなんて最低だよ」
「ごめん……」
「もう、絶対にもうふられちゃったよ! 全部チャドのせいなんだから!」
「でもおれ――!」
「ちゃんと責任とってよね……生で出したんだから」
 ばしん、と、こんどは頭にウェダの平手が落ちる。
 ぽかんとして見上げた先には、もう怒っていないウェダの顔。
「ウェダ……」
 よく、わからないけれど――。
「ウェダ!」
 叫んで、チャドはウェダの体を抱きしめた。
 うわぁ、とウェダが悲鳴を上げる。

 よく、わからないけれど――と、ウェダは思った。
 ずっと愛していたんだと思う。
 そして今も、きっとウェダはチャドのことを、きっとチャドがウェダをすきなのと同じくら
いは――。

「愛してる! 愛してるウェダ! 愛してるんだ!」

 あるいは、チャドの半分くらいかもしれないけれど――。

「わ、わかった! わかったから! チャド、痛いよ!」
「ウェダ、おれ……おれ、幸せにする! 絶対に幸せにするし、幸せになる!」
「ちょ……ちょっとチャド! き、気が早いよ!」
 
 あるいは、四分の一程度かもしれないが――。

「ウェダも、俺のこと愛してるんだよな? な?」
 満面の笑みで、しかし不安そうにチャドが聞く。
 その笑顔にウェダは弱くて、甘やかしてはいけないと分かっているのに――。
 ごほん、と一つ咳払いをして、ふぅ、と呆れたような溜息を吐く。
「……愛してるよ――たぶんね」
 ぎゅうと、押しつぶされそうな力でチャドに抱きしめられる。
 悲鳴を上げたウェダを無視して再びソファに押し倒し、チャドはその日一晩中、思う様ウェ
ダの体を味わった。
280名無しさん@ピンキー:2007/10/25(木) 03:02:27 ID:PKJmNwiT
以上です。
ボーイッシュ分足りないか?
スレチだったらすまん。
281名無しさん@ピンキー:2007/10/25(木) 14:36:42 ID:jmz75P5j
>>280
すまん。オレはまったくボーイッシュ成分を見いだせなかった。
幼馴染みスレとかのほうがいいのでは?
282名無しさん@ピンキー:2007/10/25(木) 19:47:04 ID:PKJmNwiT
>>281
そうか……orz
ぼくっこじゃないボーイッシュって難しいね。
283名無しさん@ピンキー:2007/10/26(金) 00:16:11 ID:VUbaA3pt
いや、難しいとか言うレベルの問題ではない
性格や容姿の描写すら殆どないし、下手すると嫌がらせにとられるぞ
それなりに上手いのだから、スレを考えてくれ
幼なじみか、寝とられ辺りなら受けるだろ
まあ、乙
284名無しさん@ピンキー:2007/10/26(金) 10:34:26 ID:7Wn+AquB
うーん、もったいないね。
チャドのキャラとか好きなんだがボーイッシュ分が足りないな。

次回作に期待・・・していいかな?
285名無しさん@ピンキー:2007/10/26(金) 17:57:02 ID:y9Zrul2Z
お前ら、才能ある書き手を潰す気かw

プロじゃないんだ、足らないところを補完するのも
ここでの読み手の力だろう。

SSとしては上級の腕前。
素直に次回作を期待しているぜ。
286名無しさん@ピンキー:2007/10/27(土) 00:11:50 ID:/PGbW+hh
酷評注意。
自分には容姿よりなによりウェダの性格がボーイッシュスレで読むには不快だった。

幼なじみにやられて愛してる?それに気づく描写と葛藤がないとキモい。
貧乳とかボクっこ云々じゃないんだ。
テンポはいいけど、表現もよくあるトレース、なにより書き手が萌えてない感じがする。
自分は文の上手さより美味さが欲しい。下手でもいいんだ。
ボーイッシュに萌えてる職人以外は正直いらないよ。スレチだよな、やっぱ。
本音スマソ。
287名無しさん@ピンキー:2007/10/27(土) 03:14:51 ID:B+yoRfbn
素人評論家ほど困ったものはないな
288名無しさん@ピンキー:2007/10/27(土) 03:50:44 ID:9rE5otpN
そうか?
同じSS書きとしては、羨ましいが
キモッ、氏ね!とか言うアンチではなく、ここが良くないと批評してもらってんだから
スルーの百倍ましだぞ
289名無しさん@ピンキー:2007/10/27(土) 05:30:55 ID:vvM0gySx
>>286
横から失礼。ちょっと反論させてくれ。
>幼なじみにやられて愛してる?それに気づく描写と葛藤がないとキモい。
>貧乳とかボクっこ云々じゃないんだ。
ここまではまあいいが、以降は評価じゃなくて難癖つけだろう。
>テンポはいいけど、表現もよくあるトレース、なにより書き手が萌えてない感じがする。
>自分は文の上手さより美味さが欲しい。下手でもいいんだ。
書き手が自分の作ったキャラ萌え〜とか思ってたら痛々しいだけで、いいことないと思うんだが。
それをよしとするのは、同人思考というかなんというか。大体、書き手の心情なんて他人が読んでもわかるわけがない。
作者ってのはいつでも作品に対して客観性を保っているべきで“萌えてない”のならばむしろ正解。
逆に、作者の感情に任せて客観性が欠如した話こそ人に見せる気の毛頭ない、自己満足の結晶じゃないのかね。
あまり方向性が偏ると、紛れもない神作品だったのにどんどん迷走していった某氏みたいになる。
290名無しさん@ピンキー:2007/10/27(土) 06:37:24 ID:3Js82yAD
わざわざ書くこともないだろうに
291名無しさん@ピンキー:2007/10/27(土) 11:20:22 ID:Qwrw1QSs
ここに書こうと用意していたが、糞が多いみたいなので改変して他スレに投げるわw
292名無しさん@ピンキー:2007/10/27(土) 13:28:04 ID:IHkv4mq6
>>289
客観性が欠如してるからこそ、>>275はここに投下してしまったんじゃないか?
あきらかに幼馴染系向けだろうに。
293名無しさん@ピンキー:2007/10/27(土) 17:15:31 ID:whErGBrw
素直に
「今回はここ向けじゃなかったね
次はボーイッシュで頼むよ」
で済ませればいいのに。
わざわざ刺々しい表現で人を遠ざけてどうするんだ。
もっと寛容になろうぜ。
294名無しさん@ピンキー:2007/10/27(土) 18:21:33 ID:1KHYNJzo
どうでもいいけどいつの間にか完結してた
HPだとなんだか畏まっちゃって感想つけにくいからちょっと残念
295名無しさん@ピンキー:2007/10/28(日) 06:06:07 ID:SP61wyWB
>>289
迷走した某氏とかって誰だよ。いやらしい書き方するな。最低。

自分書き手だが、六九氏のことなら、方向性偏らせてああなれるなら自分もあんなの書きたいぞw
296名無しさん@ピンキー:2007/10/28(日) 23:06:44 ID:kknUwDTf
>>289
長々とつまらないレスご苦労様。
そんなにSSについて語りたいなら作品の一つでも書いて語れば?
297六九:2007/10/29(月) 23:06:38 ID:cuvGc7Qm
こちらで書かせていただいていた埋めネタのロザリーとグラッドの続きを、
以下のスレに投下させていただきました。
「エロく無い作品はこのスレに」
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1161876969/l50#tag362
298名無しさん@ピンキー:2007/10/31(水) 13:51:09 ID:N9czct77


あとでじっくり読ませて貰うわ
299名無しさん@ピンキー:2007/10/31(水) 17:23:20 ID:JPoqWkKU
常連は逃げるは、新人は追い出されるは、このスレも終わりか?
300名無しさん@ピンキー:2007/10/31(水) 17:29:55 ID:fCe6DJJb
まぁまぁ、スレの初期だって殆ど雑談で埋まってた過疎スレだったじゃないか。
そこに立ち戻っただけさ。
考えてみたんだが、「ぼくっこ」って言うのはさしたる描写をしなくてもキャラがボーイッシュであると
読者に伝えられる究極の表現方法だと思うんだ。
だからこのスレにはぼくっこ率が異常に高い。
そんでもってぼくっこにすると、「ぼくっこ属性」の読者も喜ぶわけだ。
つまりぼくっこってそれだけで素晴らしいよな。

ところでぼくっこをエロに持っていけるシチュってどんなのがあるとおもう?
初代スレでは「寸止めがいい」とか「処女であることに意味がある」とかあったが、
今もそんな感じに思う人がおおいんかな。
301名無しさん@ピンキー:2007/10/31(水) 22:30:52 ID:5W0D/drX
だまれ
302名無しさん@ピンキー:2007/11/01(木) 02:22:46 ID:vEo5faR6
まれだ
303名無しさん@ピンキー:2007/11/01(木) 05:13:43 ID:jdXfzXEJ
俺はぼくっこじゃないボーイッシュが好きです
304名無しさん@ピンキー:2007/11/01(木) 07:32:27 ID:PL9epnmb
一杯奢らせてもらうぜ。貴様とはいい酒が飲めそうだ
305名無しさん@ピンキー:2007/11/01(木) 22:14:11 ID:70C2abSe
>>304
俺も混ぜてくれ
とりあえずビールと焼酎どっちにする?
306名無しさん@ピンキー:2007/11/02(金) 22:18:59 ID:5Hsrz9xN
おまいら、ヴィクターとクロルの出会い編始まったぞ(・∀・)
307名無しさん@ピンキー:2007/11/03(土) 00:18:16 ID:EW6eU4AB
>>306
何処だ〜?
308名無しさん@ピンキー:2007/11/03(土) 00:47:31 ID:WdbI84xV
>>307
ぐぐってみれ
309名無しさん@ピンキー:2007/11/03(土) 03:46:40 ID:nQosJ+sX
出会い編と聞いて見に行ったら2話で軍医でてきて
クロル処女喪失に突入だった…orz
310名無しさん@ピンキー:2007/11/03(土) 08:29:11 ID:iLuQpCbj
なんで移動したのかちょっとは考えてやれよ。
311名無しさん@ピンキー:2007/11/03(土) 20:53:56 ID:EW6eU4AB
>>308
見付からない…
312名無しさん@ピンキー:2007/11/04(日) 00:29:52 ID:YKcNl0t3
>311
エセ軍人、傭兵パン屋 でぐぐってみてくれ。当方携帯だけど辿りつけたよ。
313名無しさん@ピンキー:2007/11/05(月) 16:38:50 ID:E6SP+lRp
無事発見。サンクス>>312
314名無しさん@ピンキー:2007/11/07(水) 17:36:53 ID:dmGcAkBR
定金の文庫版『ジハード』読んでるんだがこれの姫さまいいね。
剛力ツンデレ私ボーイッシュ。しかも女主従もの。
乙一の解説連載めあてで買ったんだが思わぬ収穫だった。
315名無しさん@ピンキー:2007/11/10(土) 00:14:12 ID:aILX0jxj
ドラゴンボールGTのパンとか、時かけのマコトはボーイッシュだよな?
316名無しさん@ピンキー:2007/11/10(土) 23:59:19 ID:oyh5vHT1
マコトはボーイッシュで問題なし
317名無しさん@ピンキー:2007/11/13(火) 02:10:55 ID:am+kFZ55
>>316
どのまことだ?
ストVのまこと?
舞-HiMEのまこと?
アイマスのまこと?
318名無しさん@ピンキー:2007/11/13(火) 14:31:13 ID:E3xEd1QJ
クッキングパパ
319名無しさん@ピンキー:2007/11/13(火) 19:37:03 ID:sP+iZHMA
>>317
今流行のアレじゃね?
320名無しさん@ピンキー:2007/11/13(火) 19:44:28 ID:7tMif8E4
普通に考えて時をかける少女じゃね?
>>315に対する質問の答だろ
321名無しさん@ピンキー:2007/11/14(水) 00:26:32 ID:0obaHwuG
え?Wジュリエットじゃねーの?
322名無しさん@ピンキー:2007/11/14(水) 00:51:35 ID:+aqBEl1C
川本真琴だろ
323名無しさん@ピンキー:2007/11/17(土) 01:36:40 ID:bpAqbyJj
Kanonの真琴かな
324名無しさん@ピンキー:2007/11/17(土) 02:27:38 ID:4iW8qKfm
スト3のマコトじゃね?
325名無しさん@ピンキー:2007/11/17(土) 06:01:17 ID:m/bSPdzo
作家追い出してまで、したかった話ってこれかい
326名無しさん@ピンキー:2007/11/17(土) 13:59:28 ID:lY4GBcsi
保守代わりにひとつ。エロなしなのでご注意を。
女の子の名前は春海(はるか)で読んで下さい。
327翔斗と春海 1/3:2007/11/17(土) 14:02:05 ID:lY4GBcsi
 峯岸春海という女は変わっている。今現在、俺の前で頭を抱えている女がそうだ。
「どうしたらいいと思う? ショート先輩」
 放課後相談したいことがあるとメールで俺を呼びつけ(その時点で嫌な予感はあったのだ)、何を話すでもなく一人でうんうんと唸り、俺の貴重な時間を早くも一時間は消費していた。
 そして、文句の一つも言わずに一時間、峯岸と向かい合わせた椅子に座り続けた俺にかけた言葉が前述のそれだ。
 ちょっと待て。主語述語の話じゃない。まずは説明しろ。説明を――と喉まででかかった抗議を飲み込む。怒鳴りつけたところで解決はしない。
「さあな。俺には皆目見当がつかん」
 出来うる限り優しく声をかけたつもりだ。
 峯岸はそれに納得したように頷く。そうだね、ショート先輩ってそういう人だもんね。薄情な人だよね。などという台詞が背後に描かれているようで、頭を抱えたいのは俺の方だ。
「とりあえず、だ」
 こほんと我ながらわざとらしく咳を払う。
 峯岸は大きなあめ玉のような瞳で真剣に俺を見つめる。峯岸の中で女の子らしく愛らしいのは瞳だと常々思っていたが、今その認識を改めて痛感した。
 くそ、ちょっと可愛いじゃないか。小首を傾げるな。
「順を追って話せ。解答用紙だけ放り投げられて試験を受けられる器用さは俺にはない」
 俺に、というか世界中探してもいないだろう、そんな奴。
 そこで初めて合点がいったようで峯岸はぽんと手を叩いた。
「そっか。ショート先輩に言ってなかったっけ。やだな、話したつもりだったよ」
 ぴんぴんと所々はねた短い髪を峯岸はぐしゃぐしゃにする。そして、手櫛で整えながら、ぽつりぽつりと話し始める。
 手短に要点をまとめよう。
 つまり、だ。女子の、みんなが同じじゃなきゃ嫌だという下らない同一意識だと俺は思うのだが、峯岸と俺がキスをするどころか手も繋いでいないことがおかしいと言われたらしい。一年付き合えば、場合によっては行き着くところまで行っていてもおかしくない、と。
「ショート先輩、エッチしたい?」
 待て待て待て待て。
 俺は気を落ち着かせるために、とりあえず窓の外に視線を向けた。
 ああ、今日も弓道部は精がでるな。うん。いいことだ。青春とは――
「せ・ん・ぱ・い」
 ぐいっと両頬を掴まれ、俺は呆気なく現実へ引き戻される。
 峯岸は軽く頬を膨らませ、真面目にしなきゃ怒っちゃうぞとアピールしてくる。
328翔斗と春海 2/3:2007/11/17(土) 14:04:09 ID:lY4GBcsi
 いや、真面目にというならば俺たちは卒業まで真摯な付き合いを続けるべきだろう。生徒手帳にも不純異性交遊禁止と書いてあるし、たぶん。
「ショート先輩はわたしとそういうことするのヤなんだ。アイがないよ」
 憤懣やるかたないとはこのことか。峯岸はすっかり怒ってしまっている。
「愛はないかもしれないが、情はある。好きでなければ、誰がわざわざ特別棟の端の端まで足を運ぶか」
 素直な気持ちだ。だいたい付き合いはじめたのだって「ショート先輩って彼女いないよね。わたしと付き合っちゃう? 彼氏がいるってどういう感じなのかケーケンしてみたいんだ」などと
笑顔でのたまう峯岸に押されたからであって、好きで好きでたまらないから付き合ったわけではない。
「アイ、ないんだ」
 峯岸は器用にも椅子の上で体育座りを始めた。
 峯岸は小柄だ。俺の胸までしか背丈はないし、胸や尻に栄養がいっていないようで現役女子高生にしてはボリュームが足りない。よく言えばスレンダー。華奢なのだ。
それならばせめて髪でも伸ばせば女らしくなりそうなものだが髪も短く、スカートでなくショートパンツを好んで穿く彼女は中一男子といっても誰も疑わないだろう。
 しかし、だ。それはあくまで一般論。一年前は後輩にちょっと毛が生えた程度の好意でも今は毛どころか体一つ生えているくらいの好意を抱いている俺にとって峯岸春海は女の子だ。他の誰より女の子らしい女の子だ。
 まあ、わかるだろう。健全な男子高校生がすらりとした足を間近に出されて落ち着けるわけがない。
 またしても俺はやり場のない視線を外に向けるしかなくなったわけだ。
「生憎と俺は愛してると臆面もなく自信満々に言えるほど経験があるわけじゃないんでね。愛って感情がいまいちわからん。だが、お前のことは好きだ。無論、恋愛感情でな」
 ああ、恥ずかしい。言わせるな、いちいち。察しろ。だいたい、お前の方こそどうなんだ。好きだなんて言われた覚えはないぞ。
「ショート先輩」
 視線を戻せば峯岸はいつの間にやら体育座りをやめていた。
「先輩、恥ずかしいぞ」
 照れ隠しだと思いたい。峯岸はにやにやと笑いながら俺を見ている。
 言わせたのはお前だろうが。
 俺は顔が赤くなるのを防ぐため、ここぞとばかりに反論する。
329翔斗と春海 3/3:2007/11/17(土) 14:05:30 ID:lY4GBcsi
「お前の方こそどうなんだ。俺にだけ言わせるなんてフェアじゃないだろ」
 はたり。音がするように緩やかに峯岸は瞬きをした。
「わたし?」
 そして、意気揚々ととんでもないことを口走った。
「したいよ、エッチ。キスも、エッチも、わたしの初めては全部ショート先輩にあげるんだ」
 違う。俺はエッチがしたいかどうかでなく好きかどうかをきいたのだ。なぜそうなる。
 誰か、空気読めとつっこまれる覚悟で扉を開けてくれ。マンガなんかじゃこういうときに邪魔が入るもんだろう。
 上目遣いの峯岸の視線が痛い。
「そ、そうか」
 動揺している。俺は明らかに動揺している。絶対動揺している。
 そもそも、俺だってキスその他の経験はないのだ。恋愛レベルは一か二だ。そんな男に向かってそんな台詞をのたまうな。
 どう答えればよいのか。というか、これからどうすればいいんだ。お互いの気持ちもはっきりしたし、じゃあ帰ろうかというわけにはいかないような気がするのは気のせいではあるまい。
「ショート先輩ならいいんだ」
 殊勝な台詞を吐くな、頬を染めるな、俯いて照れるな!
 まずい。部屋の空気がチョコレートのごとく甘い。心なしかピンクだ。
 ここはやはり、キスの一つでもすべきなんだろうか。
 じわじわと手のひらに汗が滲み出す。動揺していながら緊張までしてきた。
 神聖なる学舎だ。勉学に勤しむ場所だ。恋人と甘い時間を楽しむ場所では断じてない。
 俺は自分に言い聞かせる。欲望に負けるわけにはいかない。
「……峯岸」
 顔を上げた峯岸へ腰を浮かせて体ごと寄る。
 あっさりと欲望に打ち負けた俺は峯岸の初めてを一ついただいた。
「俺のことが好きか?」
 唇を離して椅子に座り直し、俺は峯岸に問いかけた。
「うん、好きだよ」
 そう言って峯岸は机を挟んで、俺の首に腕を回してしがみつく。
 必然的に距離が縮まり顔が近づくわけで、俺たちはどちらからともなくもう一度キスをした。
 遠くから聞こえる体育系部活動の声が夕暮れの教室にノスタルジックな雰囲気を醸し出していたが、その時の俺には峯岸が醸し出す甘い雰囲気しか感じ取れなかった。


おわり


330名無しさん@ピンキー:2007/11/17(土) 14:06:50 ID:lY4GBcsi
>>保管庫管理人さま
保守代わりなので保管庫には保存しないでいただきたいです。よろしくお願いします。
331名無しさん@ピンキー:2007/11/17(土) 18:36:56 ID:lJjuezE5
わっふ(ry

いいね。
二行もたない忍耐力に乾杯w
332名無しさん@ピンキー:2007/11/18(日) 18:32:03 ID:6CxYyp9E
ショート先輩硬派www
しかし間違いなくムッツリスケベ
GJ!
333唐突に(ry 本番 中出し ケコーン?:2007/11/18(日) 21:11:29 ID:16P805rY
投下します。

一応、保管庫にまとめられてます唐突シリーズの続きという事になります。
微妙にキャラが変わってたりするかもしれないのは気にしない。キニシナイッタラキニシナイ!

ちょっと長めです。byteで33kくらいあります。
また、前置きがやたら長いです。エロは7レス目辺りからになりますので、
前置きイラネな人はその辺りまで読み飛ばしてください。

では投下します。
334唐突に(ry 本番 中出し ケコーン?:2007/11/18(日) 21:12:01 ID:16P805rY
 そもそも、自分がどうして今のような状況にあるのか。それすらも男は
わかっていなかった。いや……わかろうとする事をあえて避けていた。
 聞けば彼女はその真意を答えるだろう。自分がどうしてこのような状況に
置かれるに至ったのかの答えは、得る事はできるだろう。
 だが、それを得てどうする? そこで彼はいつも止まっていた。
 今のこの状況は、不可解ではあるけれども、けして不快ではなかった。
 元々しがない物書きだった男にとって、衣食住が保障され、尚且つ締め切りに
追われる事なく、文章を書いていればそれで……まあ、後はたまに彼女の我侭に
付き合っていればそれでいいこの状況は、言ってみれば夢のような状況であると
言って差し支えないものだった。
 締め切りに唸りながら、生活費を捻出する為にバイトにも行く。
 そんな生活に戻りたいかと言えば、答えはノーだ。

「……けどなぁ」

 だが、男にだって、小さな、他人と比べれば小さいのかもしれないが、自尊心がある。
 はっきり言ってしまえば、今の男は「ヒモ」だ。彼女に養われているだけで、自分で
日々の糧を得ているわけではないのだから、そう呼ばれて然るべきだろう。その事実に
思う所が無いわけではない。

「……それになぁ」

 それに、今の"文章を書くに至る経過”にも、男は思うところがあった。
 彼女の望むような、いわゆる性的な小説を書くのも、それなりには楽しい。望まれてやっている
という充実感はあるし、彼女が喜んでくれるのを見ると、男も嬉しくなる。
 だが……。

「俺って……何書きたかったんだっけなぁ」

 これが自分の書きたいものなのか? その自問に男は頭を――今は自室にいるので
手を縛られていない――抱えた。
 元々、性的な文章――いわゆるエロSS――は、気分転換の趣味で書いていたに
過ぎない。職業小説家としての男の分野は、いわゆるライトノベルに分類されるものであり、
主に冒険ファンタジーを書いていた。
 では、それが自分の書きたいものなのか? その自問に、やはり男は頭を抱えた。
 最初はそう思っていたかもしれない。だが、今となっては、締め切りに追われるようになってからは、
編集者の意向に沿うように、ただただありがちなシチュエーションを組み合わせる作業だけを
淡々と行っていたように、男には思えた。

「最初……原点、か……」

 そもそものそもそも。それが一体なんだったのかを、男は思い出そうとしていた。
もう随分長く思い出していないそれは、記憶の帳の中に隠れ、中々出てこようとしない。

「……うーん……」

 男は、唸りながらパソコンのキーボードを叩き始めた。 頭の中に浮かんだものを、
次々と文章へと変換していく。
 冒険活劇。ホラー。スポ根。コメディー。サスペンス――
シリアスなもの。楽しいもの。切ないもの。笑えるもの――
 そして、現実。今の自分と――今の――今の――
男は手を止め、パソコンのモニターに映る自分の顔を見つめる。

「現実……か」

 再び動き出した彼の手は、一つの物語を作り始めた……。
335唐突に(ry 本番 中出し ケコーン?:2007/11/18(日) 21:12:28 ID:16P805rY





「結果、出来上がったのがコレだった、と」
「………………」

 雲一つ浮かんでいない、限りなく快晴な秋の空。
だが、そんな空とは裏はらに、彼の心に在るダムは、今にも豪雨で決壊しそうだった。
 手が自由だったので、男は頭を抱えていた。だが、心の中にまでその手が届く事は無い。
ダムの壁に開いた穴に、手を突き入れることはできない。
 要するに、彼は今――

「……な、泣いてもいいですか?」

 ――泣きそうだった。

「却下」

 にべもない言葉に、男は顔を歪めた。
 言葉の主である――そう表さなければそれとわからないであろう背格好をした――
少女は、男のそんな顔を見て、手に持った数枚の紙をひらひらさせながら笑みを浮かべた。
世の中の全てを手中に収めているとでも言わんばかりの、不敵な笑みを。
 その紙の中には、少女と男がいわゆる一つのデートをする情景が書かれていた。
 書いたのは男だ。そして……そんな情景は、実在しない。

「まったく……妄想と現実の区別はしっかりついてるんだろうね?」
「……た、多分?」
「……まあ、何故疑問系なのかは問わない事にしようか」

 そう言って、少女は笑みの質を苦笑いへと変えた。

「どうやら、君には気分転換が必要なようだ。今日は僕に付き合ってくれ」
「付き合うって……どこへ?」
「それは秘密だ。ただまあ、気分転換にはなるだろうから安心してくれ」
「は、はぁ……それは、いいけど」

 男は腑に落ちない表情で頷いた。
何故少女は自分の事を怒らないのだろうか? 妄想の中でいいように扱われて、
激怒してもおかしくないはずなのに。

「……おしおきとか、そういうのは、無いの?」
「されたいのかい?」
「いやいやいやいや、そ、そんな事は、全然!」

 少女の瞳が、妙な色に光ったような気がして、男は慌てて首を振った。

「そうか……それは残念」
「え?」
「……なんでもないよ。それよりも、早く出かける用意をしてくれないかな?」
「わ、わかったよ」
「服とかはちゃんと部屋の方に用意しておいたから」
「……おかしな服じゃないよな? 縄一本、とか」
「何というか……深刻だな」
「誰のせいだよ、誰の」
「僕にはきっかけはともかく、責任は無いと思うけどね?」
「ふっ……言ってくれる」
「カッコつけてる暇があるなら、十五分で支度。いいね?」
「わ、わかりましたー」
336唐突に(ry 本番 中出し ケコーン?:2007/11/18(日) 21:13:14 ID:16P805rY


 ――一時間後――


「……遅い」

 服を着替え、伸びかけていた無精髭も剃り、こざっぱりとした外見になった男は、
少女を待っていた――ちなみに、服はごく普通のシャツにズボンだった。

「自分でさっさとしろって言っておいて、人を待たすとはどういう了見だ?」

 十数分で支度を終え、一階に降りてきてから早三十分余。少女が姿を現す気配は
未だになかった。

「……まあ、こういうのも久しぶり、だよな」

 待ち合わせをし、待たされる。
もう随分とそういう経験をしていなかったな――と、彼の脳裏をよぎる、一つの記憶。
初恋の人と、初めてのデートの待ち合わせ。待っても待っても姿を見せず、しまいには
『やっぱり私○○君と付き合う事にしたから今日いけない。ごめんね!』という電話――

「……うぅ……ろ、ろくでもない事を思い出してしまった」

 このまま、今日も彼女が来なかったらどうしようと、そんな不安があったからだろうか。

「すまない、待たせたかな?」

 背後から、声が聞こえた時、彼は心底ホッとした。
そして次の瞬間、心底驚く事になる。

「待ったよ! 女の子の支度に時間がかかるって言っても――」
「すまないね。慣れない服を着こんでいたせいで、えらく時間がかかってしまった」
「――――――」
「……どうしたんだい、鳩が豆鉄砲を食らったような顔をして?」
「――――――えええええ!?」

 そこに立っていたのは、彼女だった。
普段の彼女ではない、“一目見てそれとわかる彼女”が、そこに立っていた。
 女の子が着るような――という表現は、実際に女の子が着ているんだからどうかと
思うが、まあそれはさておいておく――ブラウスとスカート、それに可愛い帽子。

「……え、えっと」
「似合わない、と言いたいのかな?」
「い、いや……想像できなかった姿が目の前にあって……驚いてる」
「つまり、あまりの似合わなさに驚いた、と」
「なんでやねん!」
「じゃあどうなんだい?」
「……似合う、と思うよ。えっと……可愛い、し」

 実際、彼女の細い、それこそ少年と見紛うような肢体を、華奢な肩を、わずかに膨らみ、
本来の性別を主張する胸を、その服は違和感無く包んでいた。まるで、彼女の為に誂えられたように、デザインもサイズも、ピッタリとフィットしている。

「そうか……それは良かった」

 男の言葉に、一点を除いていつもと同じ不敵な笑みを、少女は浮かべた。
違うのは、頬に差した朱色だけ。

「……でも、この服って……」
337唐突に(ry 本番 中出し ケコーン?:2007/11/18(日) 21:13:32 ID:16P805rY
「さあ! すっかり僕のせいで遅くなってしまったからね! 急いで行こう、急いで!」

 男が口にしようとした疑問を遮るように、少女はその手を取った。

「あ、ちょ……もう、勝手だなぁ、君は」

 強引に引っ張られながら、男は思った。
これは自分の気分転換というよりも、彼女の我侭に振り回される事になりそうだな、と。
 だが、それが決して不快ではない事に、男は苦笑するしかなかった。


三十分後――


「ふっ……どうだい、ここは?」

 今日は少年が着るような半ズボンとシャツに身を包んでいない、よって胸の膨らみを
見るまでもなくそれとわかる少女は、目的地に到着するなり得意気に言った。

「どうって……遊園地、だよね?」

 得意気な言葉を聞いた男は、見たままを言った。
いや、見たままを言う事しかできなかった。何故なら、その場所は――

「先月開園したばかりの、大規模多目的テーマパーク、ジョーズアイランドへようこそ」

 ――その場所は、あの小説で舞台にした所だったからだ。
最も、あの時点では実際に来た事があったわけではなかった。実際に来てみると、
凄まじいばかりの喧騒がそこにはあった。
 遊具の音、館内を流れる音楽や放送の音、そして何より、そこに集う人々の生み出す音。
 いかにインターネットや雑誌などでその場所について調べようとも、いかにテレビの
画面を通してその場所を見ていても、音だけは、実際のそれを知っておかなければ――
男は、それを実感していた。

「…………」
「……どうしたんだい、鳩が豆鉄砲を食らったような顔をして?」
「いや……こういう所に来るのって、久しぶりでね……」
「人込みが嫌いだったり?」
「いや、全然そんな事は」
「それは良かった。まあ、乗り物はしばらく待たないと乗れないけど、のんびり行こう」
「ああ……うん」

 男は目が離せなかった。少女の、心なしか赤く染まっているように見える顔から。
少女の顔を見つめる内に、男も自らの頬が赤くなっていくのを自覚した。

「……? 僕の顔に何かついてる?」
「あ、え……べ、別に何も」
「変なの。……でまあ、とりあえずあれに乗ろう」

 赤面に気付かれてはと慌てて目を逸らし、少女が見つめる方を同じように見つめた男は、そこに見えたモノに唖然とした。

「あれって……アレ、ですか?」

 そこにあったのは、超巨大ジェットコースター。傾斜角と最大速度が日本一という
触れ込みがあったと、男は記憶していた。

「……怖い?」

 どこか挑発するような笑みで、少女が訊く。
338唐突に(ry 本番 中出し ケコーン?:2007/11/18(日) 21:13:50 ID:16P805rY

「べ、別に怖くなんかないさ!」

 内心の恐怖を抑え、笑みを返す男。それがどこか引きつったものだったのに、少女は
気付いたか否か。笑みを苦笑へと変えながら、少女は男の手を取った。

「じゃあ、行こ?」
「……おおせのままに」

 互いに笑みを浮かべあったまま、二人は一時間待ちの行列へと向かい――


 ――三時間後――


「ゔぅ゙……ぎも゙ぢわ゙る゙い゙……」
「……意外だな」

 ベンチにへたれこんでいたのは、少女の方だった。
三時間連続の絶叫マシーン強行軍。二時間程で既に顔色を悪くしていた少女が、
意地でそれを続けた結果がコレだった。

「……僕だって……自分は、もっと……強いと……ゔぅ゙……」
「あ、いや、意外だったのは、自分がこういうの強かったんだなぁ、と。初めて乗ったん
 だけどね、こういうの……大丈夫?」
「あ、あんまり……」
「まあ、三時間連ちゃんで乗ったら、誰でもそうなるって」
「ゔぅ゙……何か悔しい……」
「ほら、飲み物。あそこの自販機で買ってきた」

 ベンチに横たわり、顔を青ざめている少女に、男は買ってきた飲み物を差し出した。
 だが、少女は首を横に振って受け取ろうとしない。

「飲ませて」
「……自分で飲めるだろ?」
「君は酷い奴だな……こんな青息吐息の可憐な少女に労働を強いろうとしている……」
「自分で可憐とか言うな……ほら、じゃあ身体起こして」
「起こすの手伝って」
「……なんで急にそんな甘えん坊になるんだよ」
「僕にだって……そういう時くらい……ある」
「何故キバヤシ」

 男は軽く溜め息をつきながら、少女の背中に手を回し引き起こす。さらにジュースの
缶を口元に差し出し、ゆっくりと傾けると、少女は小さく喉を鳴らしながら、注がれる
液体をゆっくりと飲み干していった。
 息を継ぐ事もなく、一気に缶を空にした少女は、普段のような笑顔とは違う、柔らかい
笑みを浮かべ、呟いた。

「……おいしい」
「少しは楽になったか?」
「うん……」
「そりゃ良かった」

 男も笑う。少女の身体に感じた柔らかさによって生まれた照れを隠す為に。
しばらくそうしてお互いに笑顔を見合わせた後、少女は唐突に口を開いた。

「ねぇ……お願いがあるんだけど」
「なんだ?」
「膝枕、してくれないかな?」
「へ?」
339唐突に(ry 本番 中出し ケコーン?:2007/11/18(日) 21:14:10 ID:16P805rY
「だから……膝枕」
「えっと、俺が、君を……?」
「うん……」
「普通そういうのって逆、だよね?」
「………………僕も、そうしたかったんだけど、ね」
「へ?」
「なんでもない……僕がして欲しくなっちゃったんだから……仕方ないじゃないか」
「……はいはい、おおせのままに、お姫様」

 苦笑しながら、男はベンチに腰をかけて、少女の頭を膝に乗せた。

「……ちょっと固い……けど……あったかい、ね」
「そうですかい」
「うん……あった……かい………………」
「とりあえず、しばらく休んだら、ちょっと遅くなったけどお昼にでも――って」
「………………すぅ……」
「……寝ちゃった、のか?」

 少女は、瞬く間に眠りに落ちてしまったようだった。
規則正しい寝息を聞きながら、男は小さく溜め息をついた……笑いながら。

「……まったく……」

 事実は小説よりも奇なり、と言うべきか否か。
男は穏やかな笑みを浮かべたまま、少女の頭を撫でた。艶やかな髪が、心地よい感触を
指へと与えてくれる。その感触が、これが紛れもない現実である事を、男に知らせて
くれていた。だから……男は幸せだった。
 だから、戯れと、そして真情を込めて、男は少女に向けて呟いた。あの小説の中で、
“少女”が自分にしてくれたように。

「……好き、だよ」

 小さな……とても小さなその呟きは、あの小説の中よりもずっと大きな喧騒に
かき消され、誰の耳にも届く事は――

「……僕も、好きだよ」
「え」

――否。
届いていた。その言葉は。
一番伝えたかった、伝えたくなかった、だが伝えたかった人に。

「……寝た、ふり?」
「うん!」

 まだ多少青ざめてはいるものの、これ以上ないくらいに、今までのどんなそれよりも
眩しく、少女は笑った。悪戯めいてもおらず、不敵でもなく、歳相応の、最大級の喜びの
表現としての笑顔を、彼女は見せていた。

「気分が悪いのは本当だけどね……でも、それもどこかへ飛んでいってしまいそうだ」
「え……ちょ……あ……? えぇぇえええええええええ!?」

 何が起こったのか、現状に理解が追いつかない男は、目を白黒させながら、少女の
眩しい笑顔を見つめ続けた。
 男の理解が現状に追いつくのには、今しばしの時間が必要なようだった――




340唐突に(ry 本番 中出し ケコーン?:2007/11/18(日) 21:14:54 ID:16P805rY
「……元々、お兄さんの……君の小説が好きだったんだ」

 夕暮れ。少しずつ喧騒も穏やかになりつつある園内の、さらに静かな場所。
北半球最大という、いまいちよくわからないキャッチフレーズを持った観覧車の中に、
二人は座っていた。一周に一時間強の時間がかかるという、無意味に巨大なその観覧車は、
結果的に二人きりで逢瀬を楽しむ恋人達がよく利用するようになっていた。
 今の、二人のように。

「波長が合うっていうのかな……読んでて、凄く自然に笑ったり泣いたりできて」

 男は、少女の独白を黙って聞いていた。顔が赤いのは、多分に照れのせいだろう。
それが少女の独白による照れなのか、それとも少女が自分の事をどう思っていたかを
知っての照れなのかは、今の所彼自身にもよくわかっていないようだったが。

「こんな小説を書く人って、一体どういう人なんだろう……そう、ずっと思ってた」

 そう思い続けて……想い続けて、少女は、男に出会った。
芽生えた恋心。そして――

「……子供、なんだよね、結局僕は。独占欲が、抑え切れなかった……」

 そして及んだ、蛮行とも言うべき所業。
純潔を失い、最奥まで汚されきったその代わりに、少女は男を得た。得たと、思った。
 ……思っていたかった。

「でも……段々怖くなってきた。もしかしたら、君は僕の事を嫌いかもしれない。
 我侭ばかりで、困らせてばかりで、苛めてばかりで……実は凄いスケベだし、どっちか というとSだし……そんな僕の事を、君が好きになってくれるはずが無いんじゃないか、
って……怖かった」

少女の瞳に、光る物が溢れていく。

「だから、君があの話書いてるの見つけて……こういう格好をして、君と一緒に楽しい事
 をすれば、少しは君も僕の事を好きになってくれるんじゃないかって……
そう思って……だから……だから……」

 悲しさの涙ではない、喜びの涙が、赤い陽の光を受け、輝く。

「……本当、なんだよね?」

 確かめたかった。その涙が、裏切られる事は無いという、証が欲しかった。
男は、しかし、黙ったままだ。

「今更、嘘だって……そんな事、言わなんぐっ!?」

 行動は、言葉よりも時として雄弁に語る。
男は、少女のそれ以上の言葉を遮る事で、少女の想いが報われた事を当人に伝えた。
口唇の動きを、口唇で遮る事で。

「んっ……! うぅん! ……ん…………」

 突然の口付け。少女は驚きのあまり身じろぎしたが、すぐに男に身を任せた。

「ん……ふぅ……」
「…………ん」

 夕陽が彩る、長い長い口付け。
 一つになった影が再び二つに分かれると、男は口を開いた。

「男は、あんまりそういうの、何度も言いたくないんだよ」
341唐突に(ry 本番 中出し ケコーン?:2007/11/18(日) 21:15:13 ID:16P805rY

 男の真情は、彼女を……彼女の涙を裏切る事はなかった。
自らの書きたい物。本当に書きたい物を書いた結果が、あれだったのだから。

「……口で言うより、今みたいなのの方が、よっぽど恥ずかしいと思うけど?」
「うぐ……そ、そんな事は……」
「……しかし……ファーストキス、奪われちゃったか」
「えっ!?」
「キスより先にフェラを覚えた女の子、ここに実在、ってね」
「……それは、あの……何と言うか……ごめん」
「謝らなくていいよ。僕の初めては全部……お兄さん……君にあげるんだから」

 少女はそう言って笑った。
普段と違う衣装を身にまとい浮かべる、普段と違う笑顔。
その笑顔のあまりの艶やかさに、男は――

「……ところで……キスだけじゃ、足りないんだけど?」
「へ?」
「君もそのつもりなんだろう? ほら、ここがもう……こんなになってる」

 少女は男に抱きつくと、先の艶笑に起こされた男のモノへ手を伸ばした。

「君は……本当にエロいよね」
「お互い様だと思うけどね?」
「違いないな」

 男は少女の肩を掴み、その顔を覗き込むように見た。

「俺も、十分スケベだし……ちょっとMだし……君とはきっと合うんじゃない?」
「……もう」

 再び口唇を重ね合わせた後、二人は互いの服に手をかけた。

「……これ、後ろのゴンドラとかから見られない?」
「見せ付けてやればいいじゃないか」
「Sな上に露出狂? ……ちょっと考え直そうかなぁ」
「君だって見せる気満々じゃないか……手が止まってないぞ」
「へいへい、俺もMな上に露出狂ですよーだ」

 口を動かしつつも、二人の手は止まらない
 しばらくして、互いの身体を覆う物が薄布一枚になって、ようやく二人は手を止めた。
北半球最大という、いまいちよくわからないキャッチフレーズを持った観覧車の中に、
二人は薄布一枚の姿で座っていた。一周に一時間強の時間がかかるという、無意味に
巨大なその観覧車は、結果的に二人きりで逢瀬を楽しむ恋人達がよく利用するように
なっていた。当然、逢瀬の最中に“こういう事”をする恋人達も中にはいる。
 今の、二人のように。

「綺麗だ。外の風景なんか目に入らなくなる」
「……君が突然気障な台詞言ったりする人だって事、今日初めて知ったよ」
「そういうの嫌い?」
「……嫌いじゃ、ないけど」
「まあ、好きでも嫌いでも……俺は事実を言ってるだけだからね」
「……もう」

 実際、夕陽に照らされた少女の身体は、筆舌に尽くし難い美しさだった。
控え目に、だが確かに女を主張する胸や腰。普段は白磁のごとき肌も、今は夕陽と、
そして羞恥とで赤く染まり、その赤が、少女の女をさらに深くしているように男は思った。
 手で乳房を隠すポーズが、その美しさに淫らさを沿え、情欲を掻き立てる。

「触っても大丈夫?」
342唐突に(ry 本番 中出し ケコーン?:2007/11/18(日) 21:15:34 ID:16P805rY
「……も、もちろん」
「じゃ、お言葉に甘えまして……と」

 正面から男は少女の身体に手を伸ばす。

「……ん」

 男の手が伸びてくるのを見て、少女は乳房を覆っていた手をおろした。
入れ替わるように、男の手が、少女の慎ましやかな乳房を覆う。

「……あっ」
「なんだかんだ言って……こういう風に“する”のって、初めて、かな?」
「……知らないよ、そんなの」
「最初の時は……俺、よく覚えてないからさ」
「……ごめん」
「君が謝ることは何も無いよ」
「でも、君を狂わせて、僕を襲うように仕向けたのは……あんっ!」

 男は、少女の言葉を乳房の先端に指を這わせる事で遮った。

「謝らなくていいよ。君の初めては、全部俺が貰うんだから」
「……うん」
「それで、いいかな?」
「うん!」

 三度目の口付けは、少女の方から求めた。
男の首に飛びつくように抱きつき、少女は口唇を男のそれと合わせる。
 舌を絡ませ合う、深い口付けを。

「……んぁ……む……」
「ん……あ……」

 互いの口腔を、互いの舌が弄りあい、互いの快感と情欲を、互いの舌が高めていく。
互いの唾液が互いの口腔を行き交う音が、静かなゴンドラの中に響く。
しばらく経って口を離した時には、二人の顔は既に“男”と“女”になっていた。

「……もっと、味わってもいいか?」
「喜んで」

 男は、少女の身体をゴンドラの座席に横たえ、身体の各所に舌を這わせる。
肩口から胸にかけて、唾液の痕をつけるように。

「うっ……んぁ……くすぐったい……」

そして、さらに下へ下へと、降りていき――

「脱がせる、よ?」
「……うん」

 少女の最後の一枚に手をかけ、ゆっくりと引き降ろす。

「濡れてる、な」
「……言わないでくれ」
「さっきのキス? それとも……」
「言うなってば!」
「恥ずかしいんだ?」
「……恥ずかしいさ、そりゃね」
「じゃあ、俺も恥ずかしくなろう」

 男はそう言うと、自らの最後の一枚を脱ぎ捨てた。
343唐突に(ry 本番 中出し ケコーン?:2007/11/18(日) 21:15:53 ID:16P805rY

「……その言動が既に恥ずかしいよね」
「うわ……何かそういわれると凄い恥ずかしくなってきた……」
「あ……ビクってなった。羞恥で大きくして……本当にMだね、君は」
「そうやって自然に言葉責めが出てくる君は割とドSだと思います」

 軽口を叩き合っても、身体に宿った性への渇望は薄れない。
露わになった互いの最も大事な部分へと、二人は自然と互いの手を伸ばした。

「……んっ」
「あ……」

 男の指が、濡れそぼった少女の秘唇へとするりと吸い込まれる。
少女の指が、男の竿の部分を、鈴口を柔らかくなぞる。
 そうして下の口を刺激し合いながら、上の口は互いの口唇を啄み始めた。

「……んん! ぁ……むっ……」
「……ん……」
「ぷはっ……今日は、そんなドSの君を……いじめたいと思います」

 その言葉と共に、男の指の動きが激しくなり、少女の手の動きが止まる。

「あ……だめ……そこだめっ」

襲い来る快感に眉根をひそめ、身体を震わせ始めた少女は、両腕を男の背に回して
身体を預け、小さく叫んだ。

「どこが駄目なの?」
「……その、奥……指、入って……中……あふぁっ!」
「凄いな。指が食いちぎられそうだ」
「だって……気持ちよくて……んっ、力、入っちゃう……んぁっ」

 少女の瞳はとろけ、身体の中心から湧き上がる大波に最早決壊寸前のようだった。
 男はそれを見てとると、少女の中を丹念に擦りあげ、彼女の最も感じる場所を探し始め……そして、探し当てた。

「いひぃっ!?」

 少女の身体が跳ね上がる。
仰け反り、激感から逃げようとする身体を片方の手で押さえ、男は少女の最も感じる
ポイントを徹底的に刺激した。

「ああっ、んぁああああっ! だめぇ! も……だめぇえええ!」
「イク?」
「いっ…………イクっ! イっ……! いっ……ぁあああ!!」

 少女の口唇から絶叫が迸ると同時に、秘唇からは無色透明の液体が迸った。
音が聞こえてきそうな勢いで、その液体――潮は男の手を濡らす。

「イッちゃった?」

 少女は羞恥に顔を染め、ただコクリと頷いた。
全身を真っ赤に染め上げ、秘唇からだらだらと涎を流している少女。
その、普段の彼女からは想像もできない愛らしい痴態は、ただでさえ猛りつつあった
男のモノに、さらなる力を与える。

「やっべ」
「え?」
「……もう、我慢できない」
「え、え? ちょ、順番で言ったら今度は僕のばんぐっ!?」
344唐突に(ry 本番 中出し ケコーン?:2007/11/18(日) 21:16:15 ID:16P805rY

 初めての口付けの時と同じように、少女の言葉を口唇で口唇を塞ぎ、遮る。
そして……下半身でも。

「んふぁ……」
「言ったろ? 今日は……俺が君をいじめる、って」

いつの間にか、少女の身体はやけに広いゴンドラの客席に横たえられ、その小さな胸は
荒い呼吸に上下していた。その上に覆い被さるようにして、男は身体を、顔を、全てを
曝け出した少女を見つめていた。
 そんな体勢で、少女の秘唇に押し当てられる、男のモノ。秘唇に口付けする鈴口。
言葉と同じように溢れ出る、透明の蜜をせき止める――それは淫靡な口付け。
上と下とを同時にせき止められた少女は、逃げ場がなくなって溢れた快感に、瞳を
とろんと蕩かせていた。

「……いいかな?」

 少しでも腰を突き出せば亀頭が少女の中を蹂躙するそんな姿勢で、男は彼女に訊いた。
少女は、蕩けた少女は、その問いの意味がわからず首を傾げる。

「いや、初めてはあんなだったしさ……君を、ちゃんと君の意志にそった形で……
 その、抱きたい……から………………いいかな?」
「……君は、本当にロマンチストというか……恥ずかしい男だな」

 男の考えを理解し、少女は苦笑しながら呟いた。
 蕩けた瞳で、蕩けた頭で、だがしっかりと理解したのだろう。
男が、少女をどれだけ大事にしたいと思っているのかを。
だから、少女は苦笑いを浮かべたまま、頷いた。

「……いいよ。僕をしっかり味わってくれ」
「うん……ありがとう……そんで、いただきます」

 男が腰を突き出す。

「んくぁっ……!」
「……ん……狭いな」

 その瞬間、少女は眉根を歪ませた。
だが、その原因は苦痛ではなく――

「大丈夫?」
「……はっ……くっ……い……すご……の……が……ぁっ!」
「……なんかビクビク締め付けてくるんだけど……イッちゃった?」
「……! ………………っ!」

 ――悦び。
 襲い来る快感に答えすら満足に返せず、ただただ少女は頷いた。
 頷きにあわせるように、狭い、だが愛液によってぬめった少女の中は、男のモノを
絞め上げ、何とも言えない快感を彼の身体へと送り込む。

「入れただけでイッちゃったのか……」
「……はぁっ……っく……わ……悪い、かっ!?」
「いんや」
「……ニヤニヤするなっ!」
「いやー、入れただけでこれだから、これからもっと乱れ狂ってくれるんだろうなぁ、
 って思うと、何か凄い嬉しくなってきちゃって」
「……君は……はぁ……攻めでも、OK、なのか……?」
「そうみたいだ。新発見。そういう君も、Mっ気結構あるんだね」
「……僕も、新発見だよ」
「じゃあ……もっともっと、新しい発見、しよっか?」
345唐突に(ry 本番 中出し ケコーン?:2007/11/18(日) 21:17:14 ID:16P805rY
「………………本当に君は……恥ずかしんぁっ!?」

 皆まで言わせまいと、男は抽送を始めた。

「凄い……狭くて、ぬるぬるしてて……気持ちいい」
「ちょっと……いきな……んっ! はぁっ! いや、だめっ! そこ……っ!」
「ここ?」
「だからだめぇ! そこ、また……んんぁああっ!」
「……ここだな」

 男は、先程見つけた少女の敏感な部分を先端で突き上げる。

「いひっ……くっ……………………」

 少女は溜め込むように一度身体をコの字に折り曲げ、次の瞬間伸び上がるように
弓なりに仰け反らせ――

「ひぅぁあああぁぁあぁあぁあああああっっっ!!」

 ――達した。指でのそれとも、入れた瞬間の小さなそれとも違う、大きな絶頂に。
絶叫と痙攣が、ゴンドラを大きく揺らす。

「あくぁっ、ひっ、すご……すごす、ぎっ……な……に……これ……なに……」

 言葉にならない言葉を発しながら、しばらくの間少女は身体をビクビクと震わせ続けた。
その度に、股間からは潮の混じった愛液が音を立てて飛沫をあげる。

「凄いイキっぷりだなー」
「……らって……だって……」
「い!? な、なんで泣くの?」

 男の呑気な感想に、半ば自失した少女の瞳から光る物が溢れた。
だが、やはりその原因は哀しみではなく――

「ずっと……こうなりたいって……うれしい……だから……だからぁ!」

 ――喜び。
 身体に与えられる悦びが、少女の性感をかき乱し、男に、男の意志によって抱かれて
いるという喜びが、尋常ではない絶頂へと至らせた。
 つまりは、そういう事なのだろう。
 少女の告白に、男の中からも沸きあがるものがあった。

「……俺も、嬉しいよ」
「あっ……」

 未だ快感の大波に木の葉のように翻弄される少女の身体を抱きしめ、男は耳元で囁いた。

「ずっとそう思っててくれて……凄く嬉しい」
「……っ!」

 その囁きに、少女は敏感に反応する。

「……はぁ……っ……こ、このまま……」
「え?」
「やられっぱなし……ぼくらしく、ないっ……から」
「おわっ!」

 抱き合ったまま、繋がったまま、二人の身体はその上下を入れ替えた。

「ぼくがきみを、もっと……もっとうれしくさせてあげる……ぼくだけ、うれしいんじゃ
346唐突に(ry 本番 中出し ケコーン?:2007/11/18(日) 21:17:39 ID:16P805rY
 だめだとおもう、から……だから……」
「あはは……んじゃ、よろしく」

 男は、少女の身体を見上げながら苦笑した。
 少女は、満足そうに頷くと、ゆっくりと腰を動かそうと――

「あれ? ……ん……あれ?」

 ――して、気付いたようだった。
先の絶頂のせいか、足に上手く力が入らず、腰を上下させる事ができないという事に。

「……ちから、はいんない」
「ちょっと休憩するか?」
「うん……」
「……俺も、このままだと出ちゃいそうだし」
「ふふっ……」

 男の身体に跨ったまま、モノを中にくわえ込んだまま、少女はその身を男の胸に預けた。

「……はじめての時、おもい出すね」
「俺は覚えてないんだけど……なんで?」
「あのときも、足にちからはいんなくて、抜けなくて……」
「……え」
「ナカに、いっぱい出されちゃったんだよ?」
「……ホントすんませんでしたいやマジで」
「謝らなくていいよ……出来ちゃってたら、その時はその時だったんだしね」
「……その笑顔がこえぇよおい」
「今日は……どうする?」
「へ?」
「今日は………………出すの?」
「いや……そういうわけにはいかないんでは?」
「どうして?」
「どうしてって……だって、まだ君は……」
「結婚はできる歳だよ?」
「ぶっ!?」
「ちゃんと、責任は取ってもらえるわけだし」
「ええっと、あの、その……つまり?」
「……そろそろ、足が言う事きくようになったみたいだ」
「ちょ、ちょっと待て。こっちはまだ収まりきってないから、もう少し待あっ!」

 攻守逆転。
 少女は男が自分の言葉を遮るのにそうしたように、腰を動かし始めた。
先刻の宣言通り、男に嬉しさを……喜びを与えんと。

「っ……! そんな、締め付けて動いたら……っ!」
「あっ……ふあっ、くっ……! またすぐに……イっちゃいそ……んっ!」
「っぁ……俺も、ヤバイ……から……!」
「ぼくは……あんっ……大丈夫、だよ……っ!」
「……本当に……はぁ……いい、のか?」
「いっ……んっ、はっ、ああっ……君の子供だったら……っ……だいかん、げいっ!」

 少女は一瞬、いつものような不敵な――世界の全てを手中に収めていると言わんばかり
の笑みをその顔に浮かべ、言い切る。
 男も、そんなある種凄絶な宣言の前には、覚悟を決めざるをえなかった。

「なかにっ……出してぇっ!」
「……わかった……出す、ぞっ……!」

 身体の上で跳ねる少女に合わせて、男も腰を使い始める。
少女の中は、男から放たれるであろうモノを残さず搾り取ろうとうねりを増して行き、
347唐突に(ry 本番 中出し ケコーン?:2007/11/18(日) 21:18:19 ID:16P805rY
その瞬間への備えを整えていく。
 男のモノは、与えられる快感を全て吸収し、そして少女へと返そうとするかの如く、
その硬度を増し、ビクンビクンと彼女の中を跳ね回る。
 互いの動きが、互いの頂点へ向かわんとする欲求が、それぞれの身体を突き上げる。

「あぅ、あっ……いっ……ふぅんっ! ひぁっ……また、またきた……きたっ!」
「俺も……俺も、もう……っ!」

 そして、全てが真っ白に染まる瞬間が訪れた。

「……くっ……つぁっ!」

 男が、全てを解放し――

「……っ……ひぃぁあああっ、ぁあっ、あっ、ああああああああああああっ!!」

 最奥を叩く白い奔流に、少女は達した――

「……くぅっ……ぜ、ぜんぶ吸い取られ、そう……だ」
「……ひぁ……ふ……ふぁ……っ……!」

 数度の痙攣。その度に、少女の最奥は、そこに至った男のモノから吐き出される全てを
己の身体の中に吸い込まんとするかの如く、収縮し、男のそれを絞り上げる。

「ひぅ………………ふ……ぁ………………………………」

 痙攣が終わると同時に、少女の身体は男の胸の中へとくたりと崩れ落ちた。
その身体を抱きとめ、男はその背に腕を回す。

「……ふはぁ……すっごい、気持ち良かったよ……?」
「………………」

 囁きに返事は無かった。代わりに聞こえたのは、大きく、だが規則正しく呼吸する音。

「……ありゃ……寝ちゃった?」
「………………すぅ……」

 少女は、これ以上ない程幸福そうな顔で、眠っていた。
それまでの、淫らに狂った女の顔とは違う、歳相応の、少女としての顔で。
 男は、そんな少女の頭を撫でながら、呟くように言った。

「俺、頑張る。君の為に、書くから……」

 言葉は、夢の中へ。
 
「……好き、だよ」

 小さな……とても小さなその呟きは、喧騒にかき消される、風に乗る事の無い
その呟きは、だがしかし、夢の中には、届いた。

「……ん」

 宵闇に浮かぶ三日月の形に象られた、少女の口唇がその証。
 男は、その口唇にそっと口付けをして――

「……あ……」

 ――その瞬間、ようやく今自分達がどこにいたのかを思い出した。
そう。 二人がいるのは観覧車のゴンドラの中――
残り、もう三分も経たずに、地上へ着く、ゴンドラの、中――
348唐突に(ry 本番 中出し ケコーン?:2007/11/18(日) 21:18:35 ID:16P805rY

「やべぇえええええええええ!!」

 慌てる男を他所に、少女は相変わらず幸せそうな――普段の不敵な笑みとも、先程まで
の淫猥な女の笑みとも違う歳相応の――笑顔で眠っていた。


 ――夢から覚めてもまだ夢が続く。それ以上の幸せが、この世に存在するだろうか?





 ――一時間後――

 豊かとはお世辞にも言えない胸に温もりと、綺麗に整った鼻に少しだけ汗の匂いを
感じながら、少女は目を覚ました。
 男の背に負われての帰路に、少女はいた。
夢は、まだ続いている。

「……僕、寝てた?」
「うん、そりゃもう幸せそうにね」
「なんか、身体全体がだるい……」
「うん、そりゃもう凄い乱れっぷりだったからね」
「……けど、しあわせー」
「うん、そりゃ……まあ……その……俺も同じだからね」
「ふふふ……照れなくてもいいじゃないか」
「照れてない」
「照れてる」
「照れてない!」
「ふふ……あ」
「どうした?」
「中から、ちょっと出てきちゃった」
「……何が?」
「聞かなくてもわかるだろう? 君の、だよ」
「……」
「だから照れなくてもいいじゃないか」
「………………」
「いっぱい出してくれたんだね……僕の中、君ので満タンだ」
「………………」
「……まったく、照れすぎだよ、君は」
「君が照れ無さ過ぎなんだと思います」
「じゃあ、差し引き丁度いいんじゃないかい?」
「……そういう事にしとくか」
「そういう事にしとこう」

 男は、少女を背に負ったまま、肩を揺らした。

「何がおかしいんだい?」
「いや、そのね……シてる時と、随分違うよなぁ、って」
「……」
「さあ、今度はそっちが照れる番だ」
「ふっ、こ、この程度で僕を照れさせようとしたったッ!」
「大丈夫か?」
「……舌噛んだ」
「………………」

 また、男の肩が揺れる。少女は頬を膨らませた。
349唐突に(ry 本番 中出し ケコーン?:2007/11/18(日) 21:19:19 ID:16P805rY
「笑うな!」
「いや、だって……あんまり可愛いから」
「……むぅ」
「そういう顔も可愛いな」
「……むむぅ」

 この夢は、ずっと続く――この世のどこにもそんな確証は無い。
だが確信はあった。
少女の中に。

「……帰ったら、色々やらないとな」
「生活の面倒なら、ウチで見てあげるよ?」
「そういうわけにもいかないだろ。俺にも男のプライドってものがあるしね」
「……なんだか、急に頼もしくなったね」
「守らないといけない人ができたからね……君っていう」
「………………恥ずかしい台詞禁止」
「はははっ、照れてる照れてる」
「照れてな………………………………照れるよ、そりゃ」
「ま、もしかしたら……守らなきゃいけない人は、君だけじゃないかもしれないけどね」
「……僕だけじゃないって……?」

 少女は、男の言葉の意味がわからず、首を傾げた。

「君と俺との愛の結晶が、ね?」
「………………」
「……流石に、今のは言ったこっちも恥ずかしかったな」
「じゃあ言わなきゃいいのに……もう」

 顔を真っ赤にして、少女は男の肩に顔を埋めた。
 まだ中に残ったままの、男の分身から感じる温もり。
まだ自分を背負ったままの、男の背中から感じる温もり。
内と外との温もりに身を委ね、少女は瞳を閉じた。
眠りには落ちたくなかった。温もりを……男が自分に与えてくれる優しさを、
ずっと味わっていたかったから。

「………………」
「………………」

 満ちる沈黙。
だが、その沈黙は決して心地の悪いものではなかった。
だから、少女も、男も、穏やかな笑みを浮かべ――
秋の空に浮かぶ月さえも、そんな二人を祝福するように微笑んでいる。
 微笑む月の、微かな光に照らされて、二人で一つの影はどこまでも――これからずっと
続く、この夢のように、どこまでも、どこまでも長く――――――


                                               〜終?〜
350唐突に(ry 本番 中出し ケコーン?:2007/11/18(日) 21:20:25 ID:16P805rY
ここまで投下です。
351名無しさん@ピンキー:2007/11/18(日) 21:59:36 ID:QbdAin4u
>>350
うん。悶えた。ちょっくら砂糖吐いてk…?hぁぁぁぁー
352名無しさん@ピンキー:2007/11/18(日) 22:10:29 ID:ytUeBhkM
>350
GJ!だ
それ以外に言葉がない
353名無しさん@ピンキー:2007/11/19(月) 21:52:38 ID:PtCjFbYw
隣のゴンドラが家族連れだったら間違いなく阿鼻叫喚w
354名無しさん@ピンキー:2007/11/19(月) 22:16:09 ID:dhhLJRA/
小説云々はどこいtt

-全存在が消去されました-
355名無しさん@ピンキー:2007/11/19(月) 22:23:05 ID:GljtESaD
ボーイッシュな女の子が短パンの股の部分ずらして立ちションするのは萌える?
356名無しさん@ピンキー:2007/11/20(火) 01:01:29 ID:ZI2PJUF7
姫スレと同じ人?
申し訳ないが正直立ちションネタはかなり萎えます。
昔確か男装少女スレでも立ちション立ちション言ってる人がいたので
きっと同志は一定数いると思うよ。専用スレ立ててみたらどうだろうか。
357名無しさん@ピンキー:2007/11/20(火) 21:17:04 ID:U23UllCf
>>356
ID(GljtESaD)からすると同一人物だろう。男装少女スレにも、男装少女スレに貼られたどっ
か別のスレの書き込みにも「立ちション」の話題振ってるよ。

>昔確か男装少女スレでも立ちション立ちション言ってる人がいたので
それも同じ人じゃない? きっと…。

>きっと同志は一定数いると思うよ。専用スレ立ててみたらどうだろうか。
確か、去年の秋頃から春頃まで放尿(立ちションも含む)スレは何度も立てられたが、その
度に即死してるから需要ないじゃない?

スレ違いな話題ですまん。以下ROMる。
358名無しさん@ピンキー:2007/11/23(金) 01:25:41 ID:Rsx5A2Y1
保守
359名無しさん@ピンキー:2007/11/24(土) 01:12:31 ID:BranV80E
かっこいい彼氏が欲しくて
いちゃいちゃらぶらぶで甘えさせて欲しいんだけど、
実家が道場かなんかで強くなりすぎて、
「オトコオンナ」とか「ゴリラ女」とか言われて、
いじけて男嫌いになった女の子が、
道で絡まれてた貧弱なお兄さんを救出し、
繰り広げられるラブロマンスとか

いいよね
360名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 15:59:58 ID:CREDCZwk
いいよね。

で、言い出しっぺのルールは知ってるかい?
361名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 17:13:32 ID:pag9/qqj
某所で見かけた

ボーイッシュママ

という単語に何か惹かれるものを感じた
362名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 22:56:23 ID:gK1hC/nj
>>361
>>360
とりあえず書いてくれ
363名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 07:20:11 ID:K6AKpCh8
おうともよ
364名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 11:03:45 ID:MTeGI0y6
>>363
全裸に靴下で待ってる。
365ボーイッシュ上司の者です:2007/12/05(水) 08:39:39 ID:paC0G8ai
過疎にみかねてビクビク戻ってきてみたり…
 
前回の話はこのスレッド78レス目にあります。保管庫にも入れてもらってます。
二話目です。ちょいととうのたったボーイッシュ注意です。
さらに今回はエロなし注意。ごめんなさい。
三話目はエロにまみれる予定ですが、万一スレチなら遠慮なく追い出して下さい。
それでは果敢に投下!
366俺の上司はボーイッシュ2:2007/12/05(水) 08:43:51 ID:paC0G8ai

 俺、椎名弓鷹の新しい上司、平林史記は男に犯されてもボーイッシュだった…。

 ーーくっそおぉ、見事だぜ、ヒラバヤシ シキ!!フミノリに改名しやがれこんちくしょうーー!!
 ・・・ちなみに犯したのは俺です…。ヅカをズカと間違えたのも俺ですたい。超バッッド。

 簡単に説明するとこうだ。
 シューズメーカーの社員である俺は、就職活動中から人事補佐であった彼女、平林史記に惹かれていた。
 入社してからは、部署は違えど顔をあわすたびにいっそう想いが募り…というか、いつか一発
やりてえなあ〜、と毎晩ムスコと語らっていたのだった。
 ところが俺の本来の上司、高野さん(…時々高橋さんと呼び間違えていたが高野さんだ。すまない)が
新入社員の俺をほったらかし謎の失踪。右も左もわからない仕事に疲弊していた俺の元に、救世主として
現れたのが彼女だった。かっこいい〜〜っ!!迷える子羊を救いたもうたよ、このヒト!
 …まあね、惚れますよ。もとから惚れていたし!毎日のサービス&スパルタ教育残業に泣き入っても、
どちらかといえばSの俺でも、その愛のムチは気持ちよかったとも!!
 そんなふうに代理で俺を指導する臨時の支店長となった彼女だったが、本来は人事部所属、異例の配属だ。
不思議に思いつつもそれは新入社員の俺のためだと思っていた。…のにだ!
 ………それは彼女の不倫関係にあった高野さんの失踪に責任を感じてのことだった。
 …見ちゃったよラブラブ写真。ジャケットの胸ポケットなんかに入れちゃってさ…。インターハイ優勝した
高校生みたいな見事な満面の笑みだったさ…。
 超ームーカーツークー!!!
 上司としても尊敬しかけていたのに好きな男の尻拭いかよ!
 尻はいいからどうせなら疲れマラの責任とれよ!
 さあ、くわえろ!…くわえた!!くそう、気持ちいいな!エロいな!!
 俺はギンギンだ。当然だよな、俺もあんたに惚れていたんだ……っ!
 ちくしょうーーーーズコズコスパーンスパーン!ガクガクガク・・・ドビュ。
 …まあ、そんな感じでやっちまった。
 好きな女を…強姦だ。中田氏だ。…最低だな俺。実際最低と言われた…。
 鬱だ死のう…てな気分で帰宅後、最低ついでに反芻してもう一発抜いた。
 そして今日です。夢で逢えたから朝もう二発。俺、死ねばいいのに。
 だが死んでる暇もないほど、起きてからも平林支店長のエロ残像に振り回されつつ朝食に向かう。
 ひでえよ母ちゃん!!今朝に限って何故に温泉卵なの?ドロリとした白濁のアレを家族の手前、
えいや、と飲み干す。おえっと吐き気をもよおしつつも、同じようにドロリと支店長の股間から垂れた
俺のアレを思い出して、下のジュニアは抜いたばかりなのにもうテントを張っていた。妹が怪訝に眉を
ひそめて、キモイ…とつぶやく。気づかれたようだ。
 ああ、まったく、この兄ときたら我ながらキモイ。ごめんよ雛子、妹よ。おまえはもう性犯罪者の妹だ…。
 肉欲の恋だと思ったのに、やっちまったら純愛に…。なんだ、そりゃ。なんてレディコミだ。逆だけど。
 わかっている、でも。ああっ!!好きだ。好きです、支店長ーー。
 ーーではまた明日、避妊薬もらいに病院寄るから午前は一人でがんばってね!
   アフターピル代は当然割り勘だよ!じゃあね!ーーにっこり。
 別れ際の彼女の爽やかさときたら、セリフさえなければまるで少女漫画のヒーローだった。
 俺が犯しても変わらない爽やかな笑顔。俺が奪っても奪われていない、彼女らしさにホっとしつつ惚れ直す。
反面、自分の影響力のなさに涙。そしてもう、この恋が報われる日は来ないのだと実感してまた涙…。
 トホホと泣きつつ、抱いた彼女の感触を思い出してはムラッ。…フッと自嘲する。情けない男心だよ…。

 そんなふうに俺は泣き笑いで出勤した。
 足取りは当然ながら重かった。

367俺の上司はボーイッシュ2:2007/12/05(水) 08:49:06 ID:paC0G8ai


++++++++++++++


「珍しいね、今日は支店長遅番なんだ。」
 声をかけて来たギャル、佐原望美。彼女も支店長だ。他社の…向かいのスポーツショップのだけど。
「ええ、午後から出社だそうです。支店長になにか?」
 素っ気なく言う俺に望美は俺を睨む。
「なにかなきゃ声もかけちゃいけないの?嫌な感じ!レジ間違えないようにね、新入社員!」
 そうして自分の売り場に戻っていく望美の後ろ姿に俺は舌打ちする。
 くそ、おまえこそ嫌な女。あんな女やるんじゃなかった。サバけてるようでねっちり男を追いつめる、
俺が一番嫌いなタイプだぜ。
 同じ駅ビル内のショップ店長の望美からは、上司がいない間ずいぶん助けてもらったし、いろんな
ことを教わった。疲労がピークの夏頃に、うっかり甘えてそのままやっちまったのは仕方が無いと
いえるだろう。ちょうど彼女と別れたてでいろいろたまってたんだよ!男子だもの。
 たった一度のラブアフェアー以来、望美はこちらになにかと好意を向けてくる。仕事は先輩とは言え
短大卒の同い年…80のDカップ、小柄で愛嬌ある可愛いタイプのギャルちゃんだが…。
 だが、まあ、ぶっちゃけ、いかんせん、…俺のタイプじゃねえんだよなあ。すまねえよ。
 実は歴代の彼女はわりとこのタイプ。だが、最近思い知った真の俺のタイプ。それは…。

「商品管理センターに、発注品来てたよ、椎名くん。」
 涼やかな声に驚き俺は飛び上がる心を抑えて、わざと面倒くさそうに振り返った。振り返らなくても
わかってた。マイスイート上司、ボーイッシュ平林支店長様のご出勤だ。
「お…おはようございます。」
 すこしかんだが、まともに言えたぜ、ブラボー。
「おはよう。商品売り場に下ろしたら昼飯行っていいよ。」
 平林支店長はいつもとまったく変わらない。変わらず…今日もボーイッシュなパンツスーツ。
ヘリンボーンのウールの上下にメンズライクな焦げ茶のシャツ。コーラルピンクのタイを締めて、一見
男装か?ってな所を短めなパンツの裾に五センチヒールのローファーで女ですよとアピールしていた。
ベリーショートの小さな頭に中世的な顔立ちに、それはすっげえ似合っている。自社商品をそんなに
かっこ良く履きこなしてたら売れるだろうよ。まったく。惚れ惚れする。惚れてるし。
「了解です。午前のお客様問い合わせ分はそちらの日誌に、メーカーの中川さんから連絡欲しいと
電話がありました。では品出ししてきます。」
 俺は淡々と業務報告を告げて、きびすを返してバックヤードへ向かう。断じて逃げるようにじゃねえぞ。
「ああ、椎名くん。」
 そんな俺に。
「君の無責任代、領収証きってきた。後で徴収するからね。」
 掃除のおばちゃんが張り切ったのだろうか。ホースノーズの革靴がつるりとすべって、
俺はバレリーナのように大きく開脚した。股が裂けるかと思ったぜ…。

368俺の上司はボーイッシュ2:2007/12/05(水) 08:53:35 ID:paC0G8ai

「またかけうどん?身体壊すよ、椎名〜。」
 昼飯は500円以内と決めてる俺は、今日も駅ビル社員食堂で、具はネギのみの大盛り二玉うどんに
入れ放題のあげ玉を、根こそぎ入れて食していた。
 馴れ馴れしく人の昼食にダメだししながら、隣に座った望美のトレイは日替わりA定食。今日は
トンカツか、うらやましい。
「ちょ、やめろよ…じゃねえ。止めて下さいよ佐原さん。」
 着席したと同時に有無を言わさずスライストンカツとキャベツの千切りを俺のうどんに乗せてくる。
よせ、マジで。トンカツソースが汁に滲んだ。
「すっかり他人行儀だよね。あの平林さんが指導に来てからさあ…。」
 実際支店長と何かあったのは昨夜のただ一度きりというのに、そもそもおまえとも一度きりというのに
女ってやつは何故こんなにも鋭いのか。望美の勘ぐるような物言いが無性にうざい俺だった。
「ボーナスの査定前に、指導員の前で、仕事もできないうちからよそのショップの女といちゃつけねえよ。」
 誰にも聞き取れねえような小声で俺は望美に言う。
 それに親密さと受け取ったのか、ぱあ、と顔をほころばせて望美はやはり、俺にしか聞こえないような
小声で「あ、そうか、だよね!」と笑った。ああ、面倒くせえ。わかりやすくて面倒くせえとはこれいかに。
「あ、椎名くん、ちょうどよかった。お宅の支店長が今日履いてるヒールのローファー、茶色は無いの?」
 駅ビルショップ一番の古参、ちょいダサのおばさん服ショップのママが、いい感じに空気を読まずに
割り込んで来た。ビバおばさん。
「ありますよ。黒以外にベージュ、ブラウン、えんじ、ネイビーの五色展開です。あれはうちの定番の
靴型で、一日履いても疲れないと働く女性に人気もありますね。ヒールも3センチ5センチと2タイプ
あるんですよ。」
「あら、ベージュもあるの?茶色とベージュが欲しいわ。24の3Eだけど在庫あるかしら。」
 うっ、在庫はあるが3E幅はないかもしれん。が、にっこり営業スマイルだ。
「探して用意しておきます。後ほどいらして下さい。お待ちしています。」にっこり。
「まけてや。」
 返事はせずに、にっこりだ。
 機嫌良く去っていった古参のママのあとを追うように俺も席を立つ。
「ヒュ〜。すっかりいっぱひの販売員らしくなったひゃーん。」
 トンカツを頬張りながら望美が笑って俺の背に言った。

 職場に帰ると平林支店長はレジカウンターで発注書を繰りながら、店を覗くお客様に
いらっしゃいませと声をかけていた。戻りましたと報告しながら俺は店頭に立つ。
 まかせた、と目で合図を送りつつ発注書を抱えてバックヤードに消えて行く。
 在庫の確認をするのだろう。そして今月の販売計画通り、ブーツの枠を作るためにいくつかの靴を
アイテムからはずし返品する。
 中途半端に売れ筋を残したら季節感も新鮮さもなくなるので、思いきって商品を入れ替えるのだ、と
支店長が教えてくれたのはいつだっただろうか。

 そうだ、支店長は教えてくれた…。
 ーー客は買う客ばかりではない、店の前を通り毎日見るだけの、それこそがお客だよ。
 ーー動きのないショップに客は来ないから。
 ーーうちの靴を履いて欲しいお客様をディスプレイで引き寄せて、自分の売りたい商品を
お客様の満足の元に見事買わせてごらん、椎名くん。
 ーーお客様がその靴をはいて店の前を毎日通勤するのを見るのは、それは仕事を越えて、
とても、嬉しくて楽しいよ。

 俺の仕事は現在ショップの販売員だ。望美が言った通り、やっと販売出来るようになった販売員だ。
 右も左もわからない新入社員の俺が誰にも教わらずにそれが出来るわけが無い。見よう見まねでこなす
店舗の仕事に手間取り、販売員の基本業務など出来なかった。出来なくって辛かった。出来るように
なった今はやっと、店舗の仕事も見えるようになってきた。平林支店長のスパルタだが的確な指導で、
俺はやっと、「仕事」が出来るようになったのだ。
 その俺に、さらに仕事のその先の歓びも、支店長は教えてくれた…。
 それなのに俺は…。恩をあだでもいいとこだな、まったく。

369俺の上司はボーイッシュ2:2007/12/05(水) 08:56:50 ID:paC0G8ai

 支店長に古参ママの3Eを告げると、取り寄せになるが商品はあると直接古参に言いにいった。
 午後からの支店長と俺はいつも通りに働いて、いつも通りに店を閉めた。
 違うのは、昨日まで毎日厳しく行われていた俺の教育残業がなくなったことだけだった。
 俺は初めて駅ビルのシャッターが降りる前に店を出た。

 早く終わったからと言ってアルコールがダメな俺は飲みに行くわけでもなし、嬉しくも何ともない。
 これは早く彼女を作らねば、と思ってみる。みただけだ。そんな気になれない事はわかっていた。
 ーーー街の明かりがヨコハマじゃないのにブルーライトだぜ!
 あれだけの事をしたのに、彼女は今日もまだ完璧な俺の上司だった。
 いつもと同じ、いつも通りの平林支店長がムカついて仕方がなかった。

 いつも通り………………そんなわけあるかーーー!!

 自分を犯した男に、自分を辱め貶めた男に、笑えるか!?
 それはうわっつらだ!うわっつらのスマイルなんて、営業中だけで十分だ!
 俺は客じゃねえ!!
 俺は…、俺は……。
 アイアムレイパーーー!!
 あんたを想う資格もない下衆野郎だゼ!!

 今日一日で正直根をあげたい。どうしてもっとクソ虫みたいに扱ってくれないのか。
 笑顔の下で、俺をどう見ているかなんて、考えたくもない。
 俺が欲しいのはマイベターハーフ。たとえ片思いでも好きな女と上っ面な関係なんてごめんだぜ!
 明日も、これからも、こんな日が続くのかと思うとうんざりしすぎて…死にたい。

 それでも俺はその日真っすぐ帰らずに、寄るべきところに寄って、するべき事をした。

 昨夜抜いた後考えて決めたことだった。これの結果が出るまではこの上っ面の日常を耐え働こう。
 結果次第では焼き土下座だが、その報告をするときに、あらためてきちんと謝罪をして…。
 出来れば詰られて殴られて…。

 それから辞表を出そうと思った。


++++++++++++++


 二週間は瞬く間にすぎた。

 支店長とはあいかわらず、事務的に、とは行っても冷たいふうはなく、笑顔も見せるし軽口も叩く。
 まるでいい上司と部下の関係のようだった。
 そうじゃないのにそうだから、その対応に俺は心からくたびれていた。
 早く帰れるようになったのを見て、何度か望美に夕飯なども誘われたが当然真っすぐ帰り、何を
するでもなく早く寝る。今までの疲れがたまっていたのか不思議な事にいくらでも眠れた。

 毎晩のように夢で支店長とやった。
 俺は毎回こりもせず中出しで、起きて罪悪感に打ちのめされるのだが、それでもそれが楽しみのように
毎日早く床についた。
 俺の部屋は父の仏壇のある小さな和室で、線香の香りに癒されながら眠る。
 父ちゃん、と俺は心で語りかける。

 母ちゃんは毎日あんたに線香をあげてるぜ?人生まだ先は長いのに未だに独り身だ。ずっと独りで
いいんだって。もう、男はいらん、なのだって。どうしたらあんなふうに女に愛してもらえるんだ?
俺も…、あんなふうに愛してくれる女に優しく優しくしてやりたい…してやりたかった…。…史記。

370俺の上司はボーイッシュ2:2007/12/05(水) 08:59:51 ID:paC0G8ai
 次に起きたらその日でこの苦しみは終わるのだと思うと、今夜はなかなか寝付けなかった。
 明日のスーツはリクルートスーツ。平林支店長に初めて逢った、セミナーに着て行ったやつだ。
こういうところ、俺は乙女チックだよな。
 辞表も書いた。鞄に入れた。
 今日、受け取った検査の結果はボイスレコーダーに。
 それにほんの少しの安堵をもらったのか、俺は久しぶりに夢も見ず眠った。


「お話があります。」
 俺の神妙な声にレジカウンターで前年比の計算をしていた支店長が顔を上げずに何?と訊く。
 ここではちょっと、と言いながら口ごもる俺。人目の無いところとまではいかないが、職場みたいな
知り合いの目があるところで話せるような事ではない。
「ふぅ…ん。」
 支店長はゆっくりと顔を上げて俺を見た。
 大きな目は上目づかいで見られると凶器だぜ。俺は一瞬の強い視線に射抜かれてたじろぐ。その隙に
立て続けに支店長ときたらこうだ。

「辞表だったらあと半月待ってボーナス出てからにしたら?」
 その場で凍った。
 支店長はにっこり笑顔を見せた後、再び年間予算表に向かう。
 俺はなにか言おうと口を開けるが、のどに詰まってでてこない。くそう。
「そうでないのなら…。」
 パタン、とファイルを閉じて背筋を伸ばす。レジごしに向い合って威嚇のように目を合わす支店長は、
あからさまに上司の顔をしていた。
 ほぼ同じ身長の支店長は毎日嫌がらせのように5センチヒールなので、視線はわずかに俺を見下ろし
眉間に。第三の目が開けばいいのに、そうすれば睨みかえせるのに、と俺の心はすでに負け犬だ。
かろうじて顔を背けずなんとか訊き返す。
「…で、ないのなら?」
 キラン、と支店長の瞳が一瞬光った…ような気がした。
 とたん、こちらを睨み一文字に結んでいた形の良い唇の端が持ち上がり、に〜っ、と破顔…えっ!?
 笑顔!?

「椎名君!」
「は、はいぃ!!」ちくしょう、声が裏返った。
「今日はなんと前年対比60%増。」
「は?え…ええっ!?」
 えええーーーっ!?なんだその数字。なんだそのすっげえ数字!!
「やったね、新記録!!飲みにいこう、椎名君!乾杯しようぜぃ!」
 イエーィ!と古くさい歓声をあげて帰り支度を始める。呆然と立ちつくす俺の気分をまったく無視して、
早く早くと背を押した。そうして肩を並べたその時に。
「ポス情報見た本社の連中が納得するような査定をしたよ。貰うもの貰ってから考えな。」
 小さく耳元で早口で。
 それから、乾杯だぁ!君はウーロン茶でね〜!と大きく叫んで女子ロッカーに消えて行った。
 
 ーー好きだ。
 こんなときなのに俺は強く自分の気持ちに沸いた。
 好きだ。支店長…平林先輩。俯いた俺の髪を揺らす爽やかな五月の風。
 平林史記のその印象は、初めて逢った時から変わらない、俺の焦がれるそのものだった。


371俺の上司はボーイッシュ2:2007/12/05(水) 09:04:47 ID:paC0G8ai

 こんな時にチェーン店の居酒屋は嫌だと少ししゃれた炭火串焼きの店に入った俺たちは、小さな
テーブルを挟んで対面して座っている。店内は程よい客の入りで、適度なざわめきは秘密の話をするのに
ちょうど良い心地だった。店選びの機微にもさすがだと上司を仰ぎ見て俺は…。

「今日は新作ブーツセールの初日でしたからね。」
「去年がたまたま月曜で今年が木曜だからですよ。」
「60%増って確かに凄いけど、そんなの続くわけないし…。」

 やったぁ乾杯、と浮かれる支店長のテンションの高さに辟易して、俺は逆にネガティブになっていた。
 出ばなを挫かれた恥ずかしさもあり、ブツブツと一人ごちてはジョッキを空ける。当然ウーロン茶だが。

「ホンットに馬鹿だなあ、椎名君。当然狙ってブーツの初日設定したに決まってるじゃん。」
 支店長もぐ〜っとジョッキを空け、ついでにおかわりも頼む。こちらは当然ビールだが、おい、
ピッチ早いな!!飯もそこそこに3杯目だぜ!?

「去年の資料ざっと見てるとさ、結構売り逃しあるんだよね。この駅ビルのセールと連動してなかったり、
なのに売れて慌てて追加発注して間に合わなかったり。どこの馬鹿か知らないけど。」
「…高野さんですよ。」
 わざと含みを持たせて言ってやったが、支店長は「やっぱり〜。」とケタケタ笑う。
「まあ仕方ないと言えば仕方がないか。結婚直前頃だっけ。忙しかったんだろうね。やる気ないってか、
気が散ってる仕事ぶりだもん。数字的にも今年の夏、椎名君が一人でまわしてた時と変わらない。
だめなやつだねえ〜、ホース&ディアー。」
 だからつまんないって、それ。
 てか、不倫相手だろてめえの。逃げられたとはいえ惚れた男じゃないのか。いいのかこき下ろして。

 俺はなんとなく不愉快にムカつきながら、運ばれて来た焼き鳥を食べやすいよう串から抜く…横から、
串にかじりつく支店長にじと目で抗議する。俺は一重なのでじと目だけは得意だ。
「二人しかいないんだからいいよ、そんな事しなくて。はい。」
 意にも介さず支店長は、ねぎ、鶏肉、ねぎと残された串の下半分を差し出して笑った。このあま、
鶏肉2個食いやがった…じゃなくて。
 なんですかね、そのフレンドリーな態度。わざとか、このやろう。だめだ、耐えられねえ。

「そろそろ本題ですが支店長。」
「本社の上の連中なんて、数字しかみてないからね。いいんだよ、たまたまでも、続かなくても、
実際にデータが上がった、私と君の会社への貢献度も上がった。それが大事。」
「支店長、俺は…。」
「仕事の楽しさも苦しさもわからないうちに辞めてはダメだ、椎名君。」

 急に。
 全てを拒絶するような制止の声に、不覚にもビクリと身体が揺れた。
 驚いた。この人のこんな声を聞いたのは初めてだった。

「これからの君の人生に関わる。張り切って新卒で入社したのに一年未満で辞めた人間というレッテルを、
自分も他人もつけてしまう。使えない人間と思われるのはしゃくだろう?」
「俺は…、いいんです、もう!決めたんで…っ。」
「なにがいいんだ。母子家庭で君は一家の大黒柱じゃないの?辞めたら家族は養えない。」
 痛いところを突く。
「それに君の好きなメンズのオペラシューズとかドレスシューズ、まだ仕入れてないよ。」
 俺がセミナーの時話した事を覚えているのかこの人は…。
「とにかく辞めてはダメだよ、椎名君。絶対後悔する。」
「し…支店長が気にする事じゃないでしょう!」
 やっとのことで声を振り絞る。
 思ったより大声を出してしまった自分に俺は慌てた。

「そんなに私と働くのが…もう嫌なの?」
 
372俺の上司はボーイッシュ2:2007/12/05(水) 09:07:45 ID:paC0G8ai
 ガタン。
 俺はウーロン茶のジョッキを倒しテーブルの上を水浸しにしてしまった。
 ああ、バカ、と支店長がおしぼりで流れる水をせき止めつつ店員を呼ぶ。
 俺は木偶のように立ち尽くしてそれを見ていた。


 バカみたいに俺は頭に浮かんだ格言を心で繰り返す。
 覆水盆に返らず、と言うではないか。戻らないんだろう?もう。
 だけどなんだかさっきの言い方は。
 目の前で若い店員と支店長があっという間にテーブルをもとの状態に片付けてしまった。
 ああ、だけど、支店長のジャケットが少し濡れてしまって染みている。
 クリーニングで戻るだろうか。弁償だろうか…。戻る、のか?
 そんな、馬鹿な!それこそ、ホース&ディアーーー!!

「座ったら?」
 混乱している俺に冷ややかな声が告げた。
 俺はどっかりと元の対面に座り、支店長の言葉を待ちながら、テーブルに組まれた細く長い指を見つめた。
 この細いが節が太く爪の四角い指がレジを打つのが好きで、毎日盗み見ていた。こうして見ている今も
好きだ。しゃぶりたいなあ、と思う。
「椎名君。君がこの間の事を機に、そんなふうに思い始めてるんじゃないかなあとは思ってたんだ。」
 待っていた声がきれいな山を描く唇から聞こえる。ため息まじりの言葉の隙間からちらちらと紅い舌が
覗き見えエロいぜ。吸い付きたい。はは…こんな時に何を欲情してるんだか、俺は。いつもだけど。
「あれから私の目を見なくなったし。話を全部訊かずに背を向ける。」
 それは支店長が笑うから辛かったんだ。笑ってても、その目に本音が、自分を陵辱した男を
畏れ蔑んでいるのが映ってるんではないかと怖かった…。

「顔をあげて、椎名君!」
 ぼんやりと、逃げるように眼を伏せていた俺に叱咤の声が降った。反射で見上げた目前の支店長の目に
俺は捕らえられた。
 鳶色というのだろうか。
 澄んだ目だった。
 そこに俺を畏れる怯えも詰る色も見えなかった。
 ホっとしているのに胸が苦しい。泣きそうだ。

「君がけっこう根性ある優秀な社員だって知ってる。」
 なんのおべんちゃらだそりゃあ。俺は不遜な顔で支店長とにらめっこを続ける。
「あと一月くらいの我慢、出来るね?」
 え?ひとつき?我慢?
「私なら、年内で本社勤務に戻るから。もう少しだけだから、がんばって。」
 え?ええっ?戻る?いや、戻って欲しいが、戻り過ぎだろそりゃ!?
「君と、君の家族のためにがんばって…?でも、それでも、もう一日でも私とは働けないというなら…。」
 支店長の瞳にみるみるツヤが出て、それが涙だと知ると、ごまかすように何度も目をしばたたかせて
鼻をすすった。急に降って沸いたあからさまな畏れと怯え。支店長…平林先輩…っ!?
「私が欠勤なり…休職なりして消えるから…君は、君の人生を変えずに出勤してくれる?
これは、お願いだ…。」
 涙がぽたり。
「ごめんね勝手な事を、でも君を追いつめてるんじゃないんだ。それだけはわかって…。」
 
 俺は息を飲んで涙を落とし始めた支店長を見ていた。
 胸が締め付けられるように痛い。
 目の奥が怒りで熱い。
 誰に怒ってるって?俺と、失踪した高野さんだ!

373俺の上司はボーイッシュ2:2007/12/05(水) 09:09:57 ID:paC0G8ai

「あ…謝ったらだめです、支店長…。」
 顔にハンカチを当てて涙の筋を隠しながら、俺のくぐもった声に支店長は顔を上げる。
「俺は、逃げませんから!大丈夫です、追いつめられても、そもそも追いつめられてねえし!
支店長は俺を追いつめたりしてません!俺が、俺が勝手に怯えて……。」
 言いながら、俺は心底支店長が可哀相になった。そうだよな、前例があるから怖いよな!?
くそ、高野さん、軟弱上司め!!気づかなかった俺もホース&ディアー!!
「とにかく、俺は逃げないし!消えないし!図太いし!!大丈夫!大丈夫だから…っ。」
 …そんなあんたは嫌だ。俺なんかに怯えて…そんなのダメなんだ!だから俺は…。

「だから…とにかく自分を犯した男に謝ったりしちゃだめだ!!!」

 ・・・・しーん。
 俺の大きな声に居酒屋の一角が静まり返る。
 はっと口を押さえた時には隣席のひそひそ声と軽蔑の眼差しが……痛えぇ!!
 あわわとなってる俺を隠すように支店長が立ち上がった。
「すみませんセリフです〜。私たち劇団員なんで〜。」と笑いを振りまきフォローする。
 う、ありがたい。そしてナイス、言い訳!
「大丈夫です〜、この人私を犯したりしてません〜。」
 さっきわあ、と泣いたくせにたいした立ち直りと立ち回りの早さだ。
「ええ、私犯されたりしてませんよ〜。本当です〜。」
 …だがもういいだろう?犯し犯されって、いつまで言う気だ、実は仕返しか!?ああ耳が…胸が痛い…。

「本当に、君に犯されたりしてないよ、私。どういうこと、それ?椎名君。」
 顔を押さえて背もたれに伏せる俺のすぐ耳元で、いつもの支店長の声がした。
 どういうことは俺のセリフだった。


「こないだのあれは…和姦だろう?」
 すっかり泣き止んでキリリと支店長は言う。
「は?いいスよ、俺マジ逃げないっスから。詰って、憎んで、いいス。いや、そうして下さい。
とにかく犯罪者の精神状態を案じて無理繰り笑ったり友好な関係作らなくていいスから。」
「だからあれはレイプじゃないって。」
「レイプだろう、どう考えても!!」
「え〜?よく思い出してご覧よ椎名君。私嫌がったてたか?」
「思いっきり嫌って言ってましたよ!」
「君が性急だからだよ。誰だって店のレジ台は嫌だと思うぞ。」
「………。」

 金魚のように口をパクパクさせて、俺は少し顔を赤らめた支店長をまじまじと見た。たぶん、
酒の酔いだろうとは思うけど、なんとなく恥ずかしそうにしているのがなんだか可愛らしい…。
じゃなくて!!

「えええええぇええええぇぇーーーーーー!!??」

 和姦?マジで?合意の元だったのかあれ!?
「ええぇも何も、君の、口でしてあげたの私からだよね?そりゃあ、あんまり巧くなかっただろうけど…。」
 いや、そんなことないッスよ!玉とかいじってくれて裏筋も…あれでイカなかったのは俺の
やせ我慢の勝利だ。
「それに私合気道やってて…本当に嫌なら同じ背丈の椎名君くらい投げとば…まあ、かわせるよ…。」
 あっけにとられる。目が点だ。じゃあ、なにか?じゃあ、俺がこの二週間悶々と悩んでたのは…。


   お     も      い      ち      が      い     !?


374俺の上司はボーイッシュ2:2007/12/05(水) 09:12:53 ID:paC0G8ai

「わぁーーーーーーーっ!!」
「それで辞めようと思い詰めてたの?馬鹿だね、椎名君。」
 まったくだ!アホだ!バカだ!
「ホース&ディアー〜〜〜!」「あはははははは!」
 くだらないギャグを二人で声をそろえて言った。俺は泣いて支店長は笑った。
「君はホースの方だね。馬並みだったから。」
 さらに下品な事を言って支店長は笑い続ける。なんて事を言うんだこの女。やっぱり顔が赤いのは
酔いのせいだったかと、俺も酒も飲んでいないのに顔を赤らめて。


+++++++++++++


 居酒屋を出た俺たちはタクシーの列にうんざりして、横道に入り小さな公園で酔いと興奮を冷ました。
 俺はお茶しか飲んでなかったが、支店長は結局ビールに次いで焼酎にご機嫌に飲まれた。顔は赤いが
足取りはいつもと変わらない。乱れない酔い方をするのだなあと、初めて知った。
 乱れてくれりゃあつけこめるのに。ちぇ。なんてな、しないけどさ。
 お互いの胸の内の恐怖を吐露しあって、俺も支店長もやれやれと荷を下ろしたように心が軽く、
時々目を合わせて意味も無く笑う。その笑顔はこの二週間ずっと俺が見たくて、怖くて、
見れなかったものだから、もう少し見ていたくて俺はタクシーの列に感謝した。

「そうだ。椎名君、辞表よこしな。」
 素直に従うと支店長はそれをびりびりと小さくちぎって、ニヤリと笑ってみせた後、公園前の
コンビニのゴミ箱に捨てに行った。
 俺は、ニコニコしながらコンビニの光を背に戻ってくる支店長に、何度も心で好きだと告白する。
 多分そうしてくれるだろうと思った通りにしてくれて、嬉しくて泣きそうになっていた。
感極まるというのだろうか。
 ああ、そうだ大事な事を忘れていた。

「支店長これを。」
 彼女は熱いのかジャケットを脱いだままだ。パタパタとシャツをあおいで汗を飛ばしている。
胸のボタンがひとつ開いていて、ただでさえ開衿のシャツの襟元から……おまえ〜〜っ!!…紫か!
紫ってなんじゃそりゃ!この間の深緑に続いてわからない下着の趣味だゼ。あああああ、見てええぇええ!!
 という心の乱れを微塵も見せずに俺は支店長にそれを渡した。

「なに?ボイスレコーダー?」
 渡しついでにスイッチを押し、再生する。ポケットのガサゴソと衣づれの音がうるさいがなんとか
聞き取れるはずだった。
 ーーーはい、19番シーナさんね。……陰性ですよ。
 ああ、よかった、安心しました、と俺の声が続く。
 支店長が耳をこらしたまま俺に上目で合図する。何のことかはわかったらしい。大人だなあ、さすが。
 そのまま医者の、これで安心しないで今後は十分気をつけて、他に不安になる事はないか、質問は、
などの会話がとぎれとぎれに聞こえた後、もう役目はすんだと録音は途絶えた。

 黙ったまま支店長がボイスレコーダーを返してくれた。それを合図に俺はその場に膝をついた。
「ちょ、椎名君…っ!」
「危ない目に遭わせてすみませんでした!」
 生まれて初めての土下座が上司で好きな女で良かったと、変な感慨に耽る。
 支店長が慌ててしゃがんで俺の頭を起こした。公園の土の冷たさに反して支店長の手は熱く、思わず
抱きつきたくなるのを抑えて俺は支店長に再び頭を下げた。
「運良く陰性でしたが、俺もちろん初めてじゃないし、けっこう遊んでる方だったし、…とにかく
……ごめんなさい…。」
「エイズ検査行ったんだ、椎名君…。」

375俺の上司はボーイッシュ2:2007/12/05(水) 09:15:38 ID:paC0G8ai

「俺がそうで、支店長に移してたら、と考えたら堪らなかった。本当にすみません、ゴムも着けずに
あんな…。」
 立ってと促され、立ち上がった俺の膝下に付いた土をかがんではらってくれた。
 身長は同じはずなのに、そうして身体を曲げると驚くほど小さい背中が眼下で動く。
 やばいなあ。それでなくても感極まっているのにさ。

「…学生の時かな、私が最初に受けたのは。彼氏にも行ってとお願いしたけど嫌がられて、…だから
びっくりだな椎名君。ああ、ちなみに私も今のところネガティブ。去年受けてから誰ともしてないから
大丈夫だよ。お互いラッキーだったね。」
 その答えに俺の方が驚いて目を丸くする。そんな俺を無視してつぶやくように続ける。
「麻理子、以前チャラけたホストに貢いでいた時期あってさ…。高野さんは私が初めてだったから
安心してたんだけど、まさか麻理子としてたなんて知らなかったし、時々つけずにしてたから。」
 麻理子というのは高野さんの奥さんだろうか。社内結婚で確かそんな名前だった気がする。しかし
生々しい事平気で言う女だな。聞きたくねえよそんな事。高野さん支店長が筆下ろしかよいくつだよマジかよ。

 眉をひそめる俺に向かって、でも微かに笑う、それは自嘲だろう。
「不安になって…それでも保健所に検査に行くのはとても怖かったよ。よく行けたなあ、椎名君。」
 俺はただ、悔やんで…何かしたくて…他に出来る事が思いつかなかっただけだ。
「…ありがとう。君はいい男の子だね、椎名君。」
 いい男じゃねえのかよ。ちくしょ。つーか、やめてくれ。
「嫌味ですか。いい男の子はあんな事しませんよ。」
 あんな…生で中出し、という言葉を濁して俯く俺だった。
 自分勝手な欲望をぶつけた、それは恥ずべきものだった。
 好きな女に絶対したくない事だった。

「検査結果出るまで怖かっただろう。懲りた?」
「懲りましたよ。二度としねぇー。」
 のんきに笑い合えるのはお互いHIVネガティブだったからだ。本当に懲りたぜよ、まったく。
「運がよかった…だけだ。俺…ガキだったから安全日だからって今までも着けずにしたことあるし、マジで…。
すみませんでした、支店長。」
「もういいよ、私も流された以上は同罪だしね。」
 …流されて抱かれたのか…そうか、合意って…。そういえば……んん?
「まあ、避妊は大人のマナーだし、次からお互い気をつけよう。」
 どんなに眼を凝らして見ても、支店長に嫌悪の色は見えない。
 つまりそれは…合意って事はそれは…えっ?次からって…なんだぁ次って!?

 ・・・ちょっと待った!
 …オイッ!俺!!強姦じゃ無かった事にホッとするあまり、大事な事を忘れてねえか?
 つまり支店長は俺に抱かれて・・・・・・・・・・・・・・・・・嫌じゃなかった…の…か・・・?

 うおおおおおおおおぉおおぉっーーーーええええええぇっっっ!?

376俺の上司はボーイッシュ2:2007/12/05(水) 09:18:26 ID:paC0G8ai

「それにしても椎名君、君って普段おどおどしてるのにあの時は猛烈攻めだよね。ちょっと驚いたよ。」
 俺は今かなり驚いているぜっ!!この会話の流れと、自分の鈍感さになっ!!
「けっこう遊んでる方だとさっき自分で言ってたけど…なるほどね…。」
 支店長は思い出したのかクスクス笑っている。笑うところか!?
「なんか慣れてるなあ、て思ったんだ。」
「そんなこと…ないスよ…。」
 俺は頭がぐるぐると回り出し、貧血と目眩に襲われ掠れた声を絞り出す。やべえ。猛烈な勢いで
血が下がっていくぜ。下半身のある一点に集中的に。

「私の身体つまんなくなかった?」
 ギャーーーッ!!つまんなかったらヒニング忘れるほどガッついて、中に出したりしねえよっ!!
「色黒だし、筋肉質で胸も無いし。」
「…胸、見てませんよ。」
「あ、そうだっけ?前もって言っとくけど今時珍しいAカップだから。」
 ブーーーーー!!心象風景の俺が鼻血を噴いた!前もってって、何の前だ!?

 俺の心臓は急速にドクドクと早鐘を打ち始めた。
 ものすっげえ熱い!
 多分俺は今ゆでだこみたいに赤いはずだ。酒を飲んだときのように、くらくらと、しんどいぜ!
 股間が痛いぜ!しゃがみてえ!!
 だが支店長から目が離せない。
 突っ立ったまま公園の柵に浅く腰掛けた彼女を見下ろす形で。
 彼女は軽く顎をあげて下から俺を見上げる形で…。

「見たらがっかりするよ。」
 上目遣いで笑った。
 不敵に持ち上がった唇のすぐ下に、紫色が覗いて見えた。

 エロいぜ、ドちくしょうーーーっっ!!
 見てるぜ今!いや、そうじゃない!がっかりするって何を見たら!?俺が見るの!?見ていいのか!?
 見たい!!見たい!!そうとも俺は今すぐただちにさっそく…、言え!言えよ、俺!今だがやあぁ!!!

「…がっかり…したいです。」
 俺は…。貧血と充血に震えて俺は、言った。

「今夜…今から…がっかりしたいです。支店長。」

 違ーうーだーろー俺ーーーーーー!!
 俺は今夜たった今、がっかりした!俺に!!

「最低な誘い文句だな、椎名君。」
 はあ、とため息をついて立ち上がった支店長に、軽く見下ろされて死にたくなった。

 
「私はがっかりしたくないからね。」
「え?」
 支店長はもう酔いの冷めたのか、いつもの凛とした顔で、背筋を伸ばしてにっこり笑って言った。
「私、入れてる時イッたの初めてだった。椎名くん上手だね。期待してる。」
 今度は猛烈なプレッシャーに俺はよろけた。
 だがその俺支えるように腕を組んで来た支店長に驚いて顔を向けると、すぐ真横に柔らかそうな
唇があったのでうっかり口づける。支店長は拒まなかった。や、柔らかい…。リアルで鼻血がでそうだ…。
「ご期待にそえるといいのですが…がんばります。」
 情けなくもなんとか言えた。そうだ、死んでられるかこんなところで!今度こそ、身も心も
合意の上で和姦だぜ張り切るぜ!!
「じゃあホテル行こうか、ゴムもあるしね。言っとくけど割り勘だからね椎名君。」
 レッツゴーと俺を押すように歩き出す。この女。
 ホテルに誘う時くらい爽やかじゃなくてもいいのにさ。

377俺の上司はボーイッシュ2:2007/12/05(水) 09:25:59 ID:paC0G8ai

+++++++++++++++

 
 しばし歩いたところの路地に入ると、当たり前のようにそこにラブホテル。
 スマートな、HOTEL シンクロニティ という看板は公園から見えていた。
 いわゆる二人の行き先は一つ、ってやつで迷い無くガラスの自動ドアを開ける。

「椎名君ホテルはよく使う方?」
 いまからいたす相手の男に、なんてムードのない事を平気で訊くのか、このくそあま。
「母子家庭で金無かったんで、おおむね彼女の家でしたよ。うち実家だし。ホテルはまあ、どうしてもって
時だけで、たいてい彼女が出してくれました。あとは車とか。彼女のだけど。学校とか。青姦とか。」
 ムカついたので正直に答える。
 ふうん、と支店長はどうでもいい返事をしながらそれ以上は訊かなかった。俺は聞きたくないので
支店長は?なんて訊き返さないぜ。

 複雑な廊下を曲がっていく。フロント→と書かれた表示を折れる前に脚を止めて唇を奪う。
「あの…本当にいいんですよ…ね?」
「こんなとこでチューしながら、今更確認する神経はどうかと思うよ。」
 うっせい、どうせヘタレだぜ。
 とにかく最終確認もしたので今度こそフロントに向かう。笑わないでくれ。…緊張してんだよ!!

 今時のラブホテルは淫微なネオンもムードも無く、洒落たビジネスホテル程度で入りやすい。
 違うのはフロントマンの顔が見えない小さなチェックインカウンターと、各部屋を紹介する
バックライトの表示板だろうか。週末のせいか、八割がた埋まっていた。
 俺は今までの経験から、空いてる部屋の中から迷わず一番高い部屋を選んでボタンを押し…。

「待って!!」
 その手を素早く掴んだ支店長が、必死な形相で俺を押しとどめる。ええええ!?

「な…なんスか!だからさっき確認したじゃねえか!今更…。」
 振り向くと支店長はしどろもどろにたじろぐ俺を無視して、すでにフロントカウンターの小さな
覗き窓に食いつくように身を乗り出していた。

「今入ったカップル、どの部屋ですか!?」
 はぁ!?
「教えて下さい、どの部屋ですか!?あ…、電話出来ますよね!?呼び出して下さい!お願いします!!」
 はあぁーー!?
「ちょ、支店長、何を…。」
「高野さんだった!!」
 くるりと俺に振り返った支店長は、大きな目をさらに大きく見開いて、興奮したように言った。
「今入っていったカップル…間違いないよ。チラとしか見てないけど絶対そうだ!あの上着、鞄も
覚えがある。私が誕生日にあげたやつだもの…!それに…。」
 まさか、と俺は口を開いたまま、しがみつくように俺の腕を握る支店長の手に視線を落とした。
その四角い指先は強く掴みすぎて爪が白い。落ち着けよ、支店長…。平林先輩…!…史記!!てめえっ!
378俺の上司はボーイッシュ2:2007/12/05(水) 09:37:18 ID:paC0G8ai

「それに…なんですか。」
 俺の声は支店長につられたように語気が荒い。
 だがその吐く息が冷たい。わかっている。これは嫉妬だ。

「そんなに高野さんが好きなら期待持たすような誘い方するなよ!バカにすんな!!」
「それに一緒にいたのは向かいのスポーツショップの佐原さんだった!」
 
 重なる声に二人で顔を見合わせた。
 あらあらもめるなら外でお願いしますよ、とガラスの向こうからフロントのおばさんが割って言う。
「とりあえず…入ります?」
「…そうだね、椎名君。」
 俺はさっき押しそびれた部屋のボタンを力強く押す。
 空気読まねえのは、全国共通のおばさんの仕様なのか。…ビバだぜ。


                          ++++++第二話 終わり +++++

379名無しさん@ピンキー:2007/12/05(水) 11:47:43 ID:azmUp+O/
きた、きたっ! 待ってたよ! ありがとー!!
そしてGJーー!!
支店長に本気で惚れた。なんて、なんて素敵なんだ。
椎名君も可愛い。ときどき、ちょww自重wwってなるとこがまた可愛いよー!
二人とも誤解が解けて本当に良かった。

第3話も楽しみにしています。
380名無しさん@ピンキー:2007/12/05(水) 14:49:25 ID:4Rhibt3E
急展開キター!
>>376読んでる途中で電池切れたから続きにびっくりしたよ。
あとがっかりワロタw ジャガーの出店思い出した。
とりあえず続き! 続き! エロも見たいし話も気になる!
続き早いとこ頼む!
381名無しさん@ピンキー:2007/12/05(水) 19:02:21 ID:A5vOAIbt
素直におもしろいよ! 面白いよ!
テカテカしながら続き待ってる。
GJ!
382名無しさん@ピンキー:2007/12/06(木) 06:57:33 ID:Nai7Hvtz
GJ!
文頭ワロタw 支店長男前!!

ところで、保健所のHIV検査って匿名だから名前呼ばれないはず
383名無しさん@ピンキー:2007/12/08(土) 07:48:23 ID:y9TXYhsK
食堂で靴の話を聞いてきたオバはんも、ホテルのオバはんも、むしろGJだぞ

しかしこれはひともめしそうな錯綜関係だな
384名無しさん@ピンキー:2007/12/16(日) 11:56:25 ID:1BMd2us2
空気読めは流行っているのか
385名無しさん@ピンキー:2007/12/18(火) 09:56:57 ID:GEzhjG1u
つ、続き…続きを…続きはまだですか?
386名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 14:18:20 ID:VaLrlSWX
保守
387名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 05:49:10 ID:Hp7uZxuY
エロ無しだけど、こんなのあった。
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1191464305/443-462
388名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 04:53:56 ID:jnw8gTgp
いまだにエセ軍人物の続きを気にしてる人はいるかい?
向こうはコメントできなくなったし欝END編始まったのに誰とも話せねぇw
389名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 18:27:52 ID:XfVjcLC3
わいわいカキコとかで感想板でも作ったらいいんじゃないかな?
ここでやるのも微妙だし、何より自前で作ったら荒れを未然に防げたりするかもしれない可能性が無きにしもあらず。

ここでお知らせしたら、気になってる人、語りたい人はその板に来るんじゃないかな?
390名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 20:30:37 ID:AI/ql7Fq
過疎るだけじゃね……?
391名無しさん@ピンキー:2007/12/23(日) 12:34:53 ID:X7CLz6/L
>>388
向こうに普通に雑談掲示板あるんだし、そこに書き込んでみたら?
もしくは、スレ立てしてみるとか。
それだとさすがにお知らせ宣伝はできないがw
でもまぁ、わいわいカキコに板ができたらそれはそれでみにいくけど
392名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 14:30:33 ID:4uXZrk+I
あげ
393名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 23:34:38 ID:M+useQKk BE:82440432-2BP(1000)
hssh
394名無しさん@ピンキー:2007/12/29(土) 08:56:10 ID:UXhz3Zgw
age
395名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 03:57:05 ID:SjG5pdaK
ボーイッシュ大好き!!!!!
396名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 00:48:04 ID:7g2RKC2m
>>395
何を今更
397名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 01:28:06 ID:q4kQrZq2
今まで二次しか読んでなかったのに
このスレのせいで一次にすっかりハマってしまった
398名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 02:44:38 ID:N2PwtCbL
 ごーん……ごーん……。一年の終わりを告げる鐘の音が、夜の街に鳴り響く。
「はははは、ばっかでーっ!」
 とある部屋には、テレビを見ていた女の笑い声が響き渡る。
 ひとしきり笑った後、彼女は傍らの男に言った。
「これ終わったら初詣行こうな。たこ焼き奢れよ」
「自分で買えよ」
「え〜、人に奢ってもらうから美味いんじゃん。な、頼む」
 彼女が笑顔で手を合わせると、彼は「しょうがないな」と頷いた。
「ところでお前、今年はあれ着るのか?」
「あれ……?」
「和服。ほら、去年は女物と男物、両方着たろ」
 去年の正月に撮った写真には、服装によって少女とも少年とも見える『どちらかと
いえば少女』写っているのだった。
「ああー。着よっかなぁ。せっかくだし」
「どっちを?」
「……どっちがいいと思う?」
「どっちもいい。いつもみたいに男なのももちろんいいし、たまには女なのも萌える」
「じゃあやっぱり……?」
「両方が一番いい」
 わかりきっていた結論が出ると、二人は同時に笑顔になった。
「それじゃま、とりあえず今は……」
「ああ。保守でもしとこうか」
399名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 06:23:04 ID:bcCFkxSu
キタ! 和服和物ボーイッシュは新しいとおも。よい年末♡
400名無しさん@ピンキー:2008/01/02(水) 08:10:57 ID:TJXWW6fD
age
401名無しさん@ピンキー:2008/01/04(金) 19:13:55 ID:LwOi/yPZ
一時期の賑わいが嘘のよう……

なぁ、ひと、いるよな……?
402名無しさん@ピンキー:2008/01/04(金) 21:06:58 ID:Qy7m5Kyf
いるよー
403名無しさん@ピンキー:2008/01/04(金) 22:03:22 ID:KM81mC7L
404名無しさん@ピンキー:2008/01/04(金) 22:40:31 ID:6Fj9EOr6
405名無しさん@ピンキー:2008/01/04(金) 22:56:03 ID:Pa3i8LdN
今は雌伏の時だ
茨の園にいたあの方は3年待ったのだ
ジーク ボーイッシュ!

クロルではないがボーイッシュに軍服はよく似合うよね
406名無しさん@ピンキー:2008/01/04(金) 23:06:43 ID:mWidhiOM
人は居るけど書き手は居ないのか


シチュ書き殴れば誰か書いてくれっかね?
407名無しさん@ピンキー:2008/01/04(金) 23:41:21 ID:LwOi/yPZ
>>405
もの凄く同意。階級で呼び合うストイックな関係とか大好物なんだ。
もっと軍人さんの話が増えればいいと願ってやまない。
誰か書いてはくれんもんか……
408405:2008/01/05(土) 02:16:45 ID:0gSbO6FM
では設定出しあってみるかね?

ある程度出れば書いてくれる神が降臨するかもしれんし、何もせんで過疎るよりマシだと思うので。

ボーイッシュの相方(♂)は軍人でOK?
だとすると、上官・同僚・部下、あと士官学校の同期に・・・
あー難しい
409名無しさん@ピンキー:2008/01/05(土) 12:50:35 ID:G7E+B/Dy
美人のクールボーイッシュな上官と
元気で明るく少々馬鹿な正統派ボーイッシュの同僚と
知的で冷めてるがやたらと主人公世話を焼くツンデレボーイッシュ部下が
うだつの上がらない下っ端伍長を取り合う軍事ラブコメディー。

なんてな……
410名無しさん@ピンキー:2008/01/05(土) 18:06:55 ID:Ix30eOpm
軍事物は、階級とかを適当にできない感じがして、手を出しにくいなぁ。

>>409
登場人物は増えれば増えるだけ書きにくいし、
まずはそれぞれ一人ずつとヘタレ伍長との関係を書くくらいがいいんじゃないか?

冷めたツンデレボーイッシュには触手を・・・もとい、食指を引かれるなw
411名無しさん@ピンキー:2008/01/05(土) 18:41:51 ID:G7E+B/Dy
ちょっと階級をかき出してみる。
国によって階級は色々と違うけど、おおまかに……

『いわゆる将校・士官』
将官
 ・大将
 ・中将
 ・少将
左官
 ・大佐
 ・中佐
 ・少佐
尉官
 ・大尉
 ・中尉
 ・少尉
 ・准尉(あったりなかったり)

『いわゆる下士官』
 曹長(上級曹長がいたりもする)
 軍曹
 伍長
『こっからはただの兵士か?』
 兵長
 一等兵(訓練された兵士)
 二等兵(訓練生のことを指す事がおおい)

              ***

 大きな部隊は、小さな隊の集まりと考える。
 50人程度の兵が集まって小隊となる。それを更に分けて分隊にしたりする。
 小隊が集まって中隊。中隊が集まって大隊。大隊が集まって連隊。連隊が集まって旅団。旅団が集まって師団。
 でも、旅団をおかずに連隊の集まりを『師団』にしたりもする。

 そんで、階級によって統率する部隊の規模が違う。
 小隊なら少尉か中尉。中隊なら大尉。大隊なら少佐。連隊なら中佐。師団なら大佐。
 基地司令官には将官を置いたりする。

 これだけ頭に入れとけば、歴史物でないかぎり適当に設定弄り回してエセ軍事物が書けると思う。
 それぞれがどんな仕事をしてるのかはよく分からんけど、大きい部隊の指揮官ほど書類仕事が増えるらしい。
412名無しさん@ピンキー:2008/01/05(土) 19:31:48 ID:Ix30eOpm
なるほど、参考にさせてもらおう。
413名無しさん@ピンキー:2008/01/05(土) 20:27:15 ID:0gSbO6FM
>>411
勉強になりました
dクス

准将や准佐とかは士官位でも、追加分的な扱いになるんかね?

俺には軍人物は荷が重いかもしれん。なのでヘタレ学生と同級生でちっと構想練ってみる。

当てにしないでくれ
気持ちはあるが才能がわからないので。
414411ではないが:2008/01/05(土) 22:02:42 ID:DjtsnTnm
>413
准将は、国によって将官に含められたり(米)、佐官に含められたり(英)する。
だが、どっちにしても大佐→准将→少将と昇進していくことになるから、
あまり問題はない (つまり、少将になるためには必ず准将を経なければならない)。

問題は准尉。
これは下士官からのたたき上げであることは間違いないのだが、
1. 下士官のなかでとくに偉い奴に士官っぽい待遇を与える という国と、
2. 特殊な技術があるので、身分はともかく特別に士官っぽい待遇を与える という国の
2パターンがある。
「1」を採ってるイギリス軍だと、軍曹→曹長→准尉というルートしかないが、
「2」を採ってるアメリカ軍だと、軍曹からでも准尉になれるし、逆にならないで昇進していく
こともできる。この場合、准尉はちょっと変人(職人肌とか)のことが多い。

【要約】
准将は将官のなかのいちばん下っ端のこともあるが、
准尉は尉官のなかの一番下っ端ではない!

あと、411さんが書いてるのはあくまで一般論であって、それぞれの軍隊が国土にあった編制を
とってるので、多少外れてても不自然ではない。
何しろ、我らが自衛隊からして外れてる部分あるから。
この辺は、突っ込みすぎると何も書けなくなるので、思い切っていっちゃいましょう。
415名無しさん@ピンキー:2008/01/05(土) 22:05:13 ID:Q9Xf6Ret
師団は少将じゃない?
まぁだいたいのことはウィキペみたら解るでしょ。
416名無しさん@ピンキー:2008/01/05(土) 22:26:12 ID:DjtsnTnm
追記:それぞれの部隊の規模と指揮官についての早見表。
編制については>411。[]内は陸自。
師団…1万〜2万[7000〜9000]。指揮官は中将[陸将]。
旅団…1500〜6000。指揮官は大佐〜少将[陸将補]。 ※ちなみに准将の英名はもろ「旅団長」の意。
連隊…600〜3000。指揮官は中佐〜大佐[1佐]。
大隊…300〜1500。指揮官は少佐〜中佐[2佐〜1佐]。陸自の歩兵[普通科]には、空挺部隊を除いてナシ。
中隊…75〜300。指揮官は大尉〜少佐[1尉〜3佐]。兵隊の家族代わり。外出許可などは中隊長が出すことが多い。
小隊…30〜50。指揮官は曹長〜少尉。
分隊[班]…10人前後。指揮官は伍長〜軍曹。

繰り返すが、あくまでこれは一般論。多少外れてもいいし、軍オタ含めて読者はそこまで気にしない。
これを書いてる本人も別スレでSS書いてるが、設定に凝りすぎて進まなくなったことは数知れず。
そういう目にあわないよう、太っ腹でかかってくださいな。

ちなみに軍板では、お悩みの書き手のための相談窓口をご用意しております。ご利用ください。

創作関連質問&相談スレ 35
http://hobby10.2ch.net/test/read.cgi/army/1199365136/l50
417名無しさん@ピンキー:2008/01/06(日) 00:31:19 ID:MTqUpn9R
>>411からの超絶マニアックな流れに口から脳漿吹いた。

[階級]軍人さんでエロ[軍服]

とかいけそうな気さえしてくる。
あれだな。
エセ軍人物が人気を博したのは、需要はあるのに供給が少ない軍隊物だったこともあるんだろうな。

418名無しさん@ピンキー:2008/01/06(日) 01:05:26 ID:dGqmSQ5N
まああれだ、情報将校とかならムスカみたいに部下が少なくても大佐とか佐官だったりするから、
手軽に偉そうなエロ将校が欲しければそうするこった。
あと中央の官僚とか幕僚とか背広組と制服組の違いとか。

ラインとスタッフとか経営論的な話にもなる罠。
419名無しさん@ピンキー:2008/01/07(月) 12:34:15 ID:Gcm/R2RQ
、戦車兵長(中尉♀)と部隊長(少佐♂)がヤるH話を書いた事があるが、今よくよく考えると不可能に近い。
現代はわからんが二次大戦中の戦車兵は密閉空間に長くいるからものすごく臭うらしい。
抱き合うだけで卒倒級。恥部への愛撫は不可能。
420名無しさん@ピンキー:2008/01/07(月) 16:05:20 ID:+MW5vz33
>>419
匂いフェチにすればおk
421名無しさん@ピンキー:2008/01/07(月) 17:20:50 ID:FQPwVZvj
>>420
「だめぇっ!」
「……なんでだ?」
 初めて、彼女が"彼女"としての声を挙げた気がした。
 不安げな顔で押し留めるがままに、俺は侵攻を一旦停止した。
「だって……私、今、凄い臭うから。今だって、臭ってるだろ? その上……」
「その上、クンニなんかしたら、俺が卒倒するって?」
「……露骨な言い方は関心しないな。まあ、そういう意味だけどさ」
「構いやしない。その臭いだって、お前から出てるんだ。我慢できるさ」
「……匂いフェチ?」
「どっちかいうと、お前フェチだな」
「……伍長はホントにバカだね」
 呆れたように、彼女が笑う。
 それでいい。やっぱりお前は笑っててこそ、お前なんだから。
「じゃあ、いくぞ」
「うん、来て」
 俺は、彼女に断り、侵攻を再開する。
 が――
「……ホントに臭いな」
 俺が思わず漏らしたその言葉に、彼女の頬が引きつった。
「……我慢できるんじゃなかったのかい? ん?」
「前言撤回してもいいか?」
「駄目っ!」
「……何たる苦行だ。これも愛の試練なのか」
「……伍長はホントにバカだよね」
 今度こそ完全に呆れて、ため息をつく彼女の、その吐息に合わせて、
俺はアンブッシュ(不意打ち)を仕掛ける。
「やはぁっ!?」
 そこは確かに臭かった。だがしかし、俺の愛の力の前には、この程度の臭さは……
「……やっぱり臭いから、鼻つまんでもいいか?」
「んぁ……もう、ロマンスの欠片もないの……?」
「状況が状況だ。許せ」
「はぁ……わかったよ、許す」
「じゃあ、許された所で、んちゅ」
「ひゃっ! くっ……んぁっ、ん、ふぅ」
 鼻をつまんだ俺は、ちゅぱちゅぱと、吸い上げるようにしながら、舌を使う。
舌の動きに敏感に反応し、跳ねては落ちようとする彼女の身体を俺は巧みに操作し、
さらにその奥深くへ攻め入らんと舌を伸ばす。
 だが、鼻をつまんでいる為、呼吸に限界が生じ――
「すー、はー」
 ――俺は、深呼吸するように口で息を吸い込み、吐いた。
 口での呼吸ならば、臭いもさして気にならない。
 そして、その呼吸が、思わぬ作用を彼女に及ぼした。
 ま、思わぬと言いながら、半ば以上狙ってやった事だったりするのだが。
「ひぁぁぁぁっ……!?」
 吸われる息と、吐き出される息が、それぞれ敏感な部分を刺激し、彼女の腰が
ひときわ大きく跳ね上がる。
「そんなっ、何か……何か、来るっぁぁあああああ!」
「イクならイッちまっていいぞ……ちゅ」
 最も敏感な、種への口付けが、とどめとなった。
「いっ……く……? っぁ、イ、クっ……イクっ! イッちゃうぅ、ひぁぁぁぁぁぁあん!?」
 ビクビクと、俺の顔を振り落とさんばかりに、突き上げれらた腰が震え、彼女は達した。
 ぴゅぴゅっと噴き出した愛液が、俺の顔を濡らしていく。
「……っぁ、くっ、ふっ、うぁぁ……ふぁぁ……イッちゃった、僕……」
 忘我の極みの中で、彼女は淫靡な笑みを浮かべる。
「気持ちよかったか?」
「……わかんない……もう、なんか……ぜんぶ……わかんない」
「ま、初めてだもんな、仕方がないか。とりあえず、次は俺を気持ちよく……あれ?」
「……すぅ……」
422名無しさん@ピンキー:2008/01/07(月) 17:20:57 ID:FQPwVZvj
 気づけば、彼女は寝息を立てていた。
 普段の凛々しい彼女とは、比べようの無い程に愛らしい、歳と性別に相応しい寝顔で。
「おーい。もしもしー」
「……Zzzz」
 返事は無い。ただの睡眠中のようだ。
「……なんだかなぁ」
 苦笑いしながら、俺は彼女の身体を抱きかかえ、テントの中へと運び込む。
 流石に、寝入ってる女を犯るのは趣味じゃない。
 その途中、どうやら夢を見ているらしい彼女は、微笑み、呟いた。
「……すきだよ、ごちょう……ぼくの、おうじさま」
 どうやら、夢の中で、彼女は俺という王子様に抱かれているらしい。
 ああ、まったくもう。なんつう可愛い寝顔だよ、おい。
 ……これくらいは、いいよな? 
「……ん」
 ちゅっ。
「ん……えへ」
 俺と彼女の、初めてのキスはきつい汗の臭いに彩られていた。
 だが、その臭いも、今は不快ではないようだった。
 俺も、彼女も。
423名無しさん@ピンキー:2008/01/07(月) 17:24:05 ID:FQPwVZvj
ちょっと書いてみたんだが、匂いフェチにして
ふんがふんがさせようとしたのに、気づいたらこうなってたw

口で息したら大丈夫説を採用してみたけど、実際はそうでもないんだろうなぁ。

というか、どういうシチュエーションだ、これ?
書いた自分でもわからんw
424名無しさん@ピンキー:2008/01/07(月) 18:39:31 ID:KD34K3UG
このスレ的には、ボーイッシュならば小学生のようなロリ物でもいいのか?
425名無しさん@ピンキー:2008/01/07(月) 23:36:30 ID:Gcm/R2RQ
>>423
GJですた!
臭いは半端なくキツいらしいです。漏れが書いた奴は臭い描写なしのヤツで少佐の執務室でガンガンやるヤツだったからね…いいもの見せてもらいました。
426名無しさん@ピンキー:2008/01/07(月) 23:37:20 ID:Gcm/R2RQ
>>423
GJですた!
臭いは半端なくキツいらしいです。漏れが書いた奴は臭い描写なしのヤツで少佐の執務室でガンガンやるヤツだったからね…いいもの見せてもらいました。
427名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 13:33:01 ID:dGNdumfK
おちつけw

ロリものでもカモン!
と言いたいが、ボーイッシュだからなぁ…
エロと絡めて書くのは容易ではない…

>>424曹長、困難な任務だが君なら達成できる
…二階級特進は許さん
必ず帰って来い…
428664.:2008/01/09(水) 22:15:23 ID:n1zYFrMO
勇と歩書いてた者です。お久しぶり。
インスタントで投下。

エロなし
軍人モノ


「目標、800m。徹甲弾!」
 暗闇の中、車内無線を通してボクは装填手のツカサへ告げた。
『弾込め良し!』
「ぶっ飛ばしてやる、射(て)ぇ!」
 ペリスコープ越しに爆発する最後の敵戦車を見ながらボクは息をついた。
「お手柄、ヘムン」
『へへへ〜それほどでも…」
 射撃手のヘムンが声を出す。
『ざまァみやがれ!見たか帝国のクソ野郎共!』
 操縦手のジョンが声を上げる。
「油断するな、引き上げる。歩兵部隊に連絡――――」
 
『戦車兵と少佐』

ボクの名前はハル、連合国第5戦車師団第2大隊第―――面倒だから省略。
帝国が隣国へ資源を求めて侵攻したために、各国が連合軍として反撃に出た。
最初は優勢だった帝国軍も連合軍の物量には敵わず、今やその勢力圏は
帝国本土にまで縮小されている。
このままいけばクリスマスまでには家に帰れるだろうと大隊長は言っていたが…。
 連合軍もそれなりに被害を被っているワケで…この第二級の前線(第一級は最前線)
でもヘムンやジョンのような少女や少年兵が駆り出されている。
二人ともまだ17歳だ。かく言うボクもまだ21歳…しかも女だてらに戦車長を務めている。

『…尉…中尉』
「ん、あ…何?」
 車内無線を通して装填手のツカサの声が聞こえる。ちなみにこいつは18歳。
『何だじゃないですよ。入りますよ、小便』
「こぼすなよ、以上。」
『はいはい…』
429664:2008/01/09(水) 22:19:00 ID:n1zYFrMO
戦車に詳しい人は知っていると思うが移動中は当然、車外などに出て用を足している暇はない。
当然、車内で用足ししなければならない。そこで問題、何に用を足すのか?
それは戦闘中に撃った戦車砲弾の空薬莢にだ。ウチの戦車は76o砲なのでそこそこ入る。
帝国のバカみたいにデカイ大砲はどれくらい入るんだか…。
ちなみにボクやヘムンもソレに用を足す。耐え難い事この上ない。 
それともう一つ耐え難いのが……臭いだ。
移動中、戦闘中、何時間もこの密閉された空間に新陳代謝の激しい10代が3人もいて、
トイレも車内、食事も車内、身体は下手したら1ヶ月も洗えない。想像を絶する臭いになる。
 歩兵隊の奴らは合同作戦の時に鼻栓をして打ち合わせに来るから、なおさらむかつく。
戦闘中は戦車に頼りっきりのクセに。
帝国の自走砲にさえビビって対戦車バズーカーも撃てないクセに。
『少尉、前線司令部からです。帝国軍はこの辺りから撤退し始めたそうなんで、
引き継ぎを第4中隊に任せて、補給を受けろ。との事です』
 最年長者の無線手リック(27歳♂)の声がヘッドホン越しに聞こえた。
「了解。よかった、少し休めるよ」
『ホーント、少佐と久々にセックス出来ますね。中尉』
 ヘムンがキャハハと笑った。
「はァ?」
『よせよヘムン、中尉はまだ処女―――痛い痛い』
 ボクはツカサの頭を思いきり蹴りつけてやった。
「伍長!軍曹!黙れ、これは命令だ!」
『あっ、あ…ん、少佐、少佐の…下さいボクに〜って…痛い痛い』
 ヘムンの甘い声。こっちも問答無用に蹴りつけてやる。
『ホントですか、中尉!?』
 ジョンの声。
「何が!?」
『俺の童貞貰ってくれるって』
「死ね。百回、死ね。」
 そんなこんなでボク達は前線基地に戻った。

とても戦争してるとは思えませんが、よければ続き書きます。
ちなみに戦車は帝国軍はド○ツ戦車、連合軍はア○リカ、イ○リスか
ロ○アな戦車で。
76o連合軍の戦車合ったかな……
詳しい人は指摘して下さい、お願いします。
430名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 23:01:17 ID:0rw7CamY
>>429
M24が76mmだから合ってます
431名無しさん@ピンキー:2008/01/10(木) 23:12:34 ID:Sve5bojK
>>429
M4A3も76mmですね。ちなみに2次大戦の戦車の乗員数は一部の小型を除いて
基本的に4〜5名が多いです。

432664:2008/01/10(木) 23:27:19 ID:spfcPTVZ
エロなし
軍人モノ



「道をあけろ!邪魔だ引いちまうぞ!」
「第17歩兵中隊は1430時に集合せよ」
「最前線の物資だ。搬入作業を―――」
 前線基地はいつものようにごった返していた。
 何台ものトラックやら兵員輸送車両があわただしく行きかっている。
 何時にもまして多いのは連合軍の帝国本土侵攻作戦があるからだろう。
 何にしてもこんなボロ戦車を転がしてるボク達にはあまり関係ない話だ。
 さっき撃破した戦車だって帝国が併合した小国の旧式だし。
 本物の帝国産戦車だったら撃破されていたのはこっちだろう。
「ボク達には関係ないって顔ですね、中尉」
 道端で缶詰と代用コーヒーで昼食をとっていたツカサが言った。
「うるさいな。ソレ食べたら砲弾と機銃の弾薬、食糧と水の積み込みしといて。」
「え〜少しは休みましょうよォ〜戦車点検、整備は48時間掛かるって整備班長
が言ってたし。身体も洗いたいです。」
 と露骨に嫌な顔をしながらヘムンが口を尖らせた。
「……そう。どっかの誰かのアレをそのまましゃぶってた口がそんな事言うんだ?」
「ななななに言ってるんですかちちちち中尉?」
 ボクは軍曹の秘め事を密かに呟いてやった。
「え、マジ軍曹。俺の童貞あげ―――」
 学習能力のない操縦手が勇んで言った。
「うるさい、死ね。千回くらい死ね。アンタとヤるくらいなら死んだ方がマシ」
「そんなに嫌がらなくても……」
 落ち込むジョンをツカサとリックが慰めている。
「わかった?ヘムンさっき言った事やっとくように。司令部に出頭命令が出てるから行ってくる」
「りょーかいです。」 
軽く敬礼をかわすヘムンに敬礼を返し、ボクは司令部に向かった。

『戦車兵と少佐』

「新型……ですか?」
 帝国貴族の屋敷を接収して司令部に置き換えた張本人――ジャン=ローエン少佐が
やけにあっさりと言った。ここは少佐の執務室。ボク以外の人はいない。
「そうだ。厳密には新型ではないがね。名前くらいは知ってるだろう?
連合軍で唯一、純帝国戦車を撃破出来るあの長っ鼻を。」
「……ああ…あんまり我が軍に回してくれない長砲身のアレですか…それでいて
帝国戦車の最優先撃破目標にされてる戦車ですよね?」
 あはははははっと二人して笑う。
「お断りします。つーかヤダ。」
「不服かね?」
433664:2008/01/10(木) 23:28:26 ID:spfcPTVZ
「当たり前だよ。何であんな戦車に乗らなきゃならないんだよ?ウチの装填手アレの砲弾持てませんよ。
それに他にもっと優秀な戦車兵はいるだろ、ジャン」
「皆、本土侵攻作戦にとられてしまってね……君しかいないのだよハル。それに今の車両よりは攻守共に
比較に成らんよ。」
「帝国の戦車の前じゃあ、コッチの戦車の装甲は全部抜かれるよ。戦車の概念から違うんだから
…て、ねぇ、聞いてるボクのはな―――」
 少佐が後ろからボクの身体を抱いた。
「ちょ…ちょっといくら他の人がいないからって…そ、それにボクの身体…」
「酒に酔った男が豚小屋にまき散らした吐瀉物を七日ほど熟成させた様な臭いでも私は気にしないさ。」
「少佐、1万回くらい死んで下さい。いや、死ね。マジで死ね。今すぐ――――んっ」
 ヘムンのデマはあながち間違いではない。ボクと少佐は開戦前は恋人同士だったのだ。
ジャンの家は由緒正しい軍人の家でボクは従軍記者の娘だった。ひょんな事から知り合い、
付き合うようになったのだが……開戦と同時にジャンの配属が決まり、別れてしまったのだ。
そして再び出会ったのが、開戦2年目。再燃焼するのに時間は掛からなかった。
唇を離して、ジャンはボクの両肩に手を置き、真面目な顔をして言った。
「この戦争は終局に向かいつつある、それも連合側の勝利で。君には生き残ってもらわないと」
「わ…わかってるよ……だ、大丈夫…心配しないで」
 もう一回、唇を交わすとジャンは囁いた。
「…いいかい?今、ここで…」
「そ、そんな……ん、や…やだよ…はっ」
 ジャンの手がボクのアソコをズボンの上からクッと触った。
「ちゃんと48時間の休暇を与えたハズだが?整備班に上等の酒5本、安いモノだ。」
「や、やっぱり…」
 整備班長がやけに上機嫌だったのはコイツの手回しか…。
「身体は後で洗えばいい。こういった君を抱くのも悪くない、否、クセになりそうだ。」
「へ、変態…臭いフェチ!いっとくけど『舐める、しゃぶる、吸う、嗅ぐ』は禁止だからな。特に下半身」
「キスは?」
「く、口だけなら…いいよ。」

次回、本番です。

>>430.431氏
乗り換えてしまったけど、資料サンクスでした。
このネタで帝国編、もう一つの連合軍編作ろうかな…
434名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 09:37:00 ID:E0/scvBL
age
435名無しさん@ピンキー:2008/01/16(水) 00:50:11 ID:dJUB5Vzn
流れが止まったので
質問許可願うであります

ボーイッシュ少女の胸の大きさはどのくらいまでが許容範囲?

自分的には

ロリ<<<< ボーイッシュ <<<<< (越えられない壁) <<<< ばい〜ん


という訳でA〜C位なのかと自分では考えてるんだが…
436名無しさん@ピンキー:2008/01/16(水) 02:27:32 ID:p9++bJuu
キサマキョヌーボーイッシュを認めないとな?

「おまえ……胸、デカ」
「ば! ど、どこみてんだよ! ばか! しょ、しょうがないだろ! 
急におっきくなっちゃったんだよ! 成長期なの!」
「しかしこれ、邪魔だろ。まともに走れるのか?」
「……はしれない」
「あーあ」
「なんだよ……だって、だってしょうがないじゃないか! もう、
なんだよばか! ばか!」

 これに萌えない奴がいるのか! いいやおるまい!(反語)
437名無しさん@ピンキー:2008/01/16(水) 02:44:03 ID:PjlAtWak
>>436
お前とは美味い酒が飲めそうだ
さらしで無理矢理押さえつけてたりとかするともうそれだけでご飯三杯はいける
438名無しさん@ピンキー:2008/01/16(水) 03:29:41 ID:rFO7vd1X
いやいや
その逆に、全く無頓着で揺れ放題もありでしょう
周りは目の毒この上ない

いや、ちょっと違うのかな?
性格も態度も少年系だったり男勝りで、
一方で体格的にはセックスアピール抜群
というのもボーイッシュ??
439名無しさん@ピンキー:2008/01/16(水) 05:02:43 ID:TrhL8twb
>>400くらいから読んだ。
軍オタの書くやつって設定うるさすぎるよね。
シチュのエロさやキャラ描写より先に
軍事用語まみれの舞台解説垂れ流したりするしさ。

あかほりさとるとか見習ったらいいのに。
440435:2008/01/16(水) 10:51:39 ID:dJUB5Vzn
>>436
いやいや認めざるを得ないな。なかなか凶悪な破壊力だ…
お陰でゲージ半分近く削られてしまった…

まあ個人的な嗜好で、胸の大きさはボーイッシュには関係ねぇという結論が出た。




でも俺は

「な、なんだよ。その内ボクの胸だって、女らしく大きくなるんだ!」
「あいつはやっぱり胸の大きな女の子が好みなのかな……クスン」

といったひんぬーボーイッシュが好きなんじゃ―――――――!!!
441名無しさん@ピンキー:2008/01/16(水) 20:48:46 ID:GQlzIEpG
というか、俺はここにいる奴らとだったらうまい酒が飲める
442名無しさん@ピンキー:2008/01/16(水) 20:50:25 ID:8CeUbGmw
軍人モノ  
エロ




「うーん…じゃあ、キスしてもらえますか?」
「……そ、そう改まって言われると…は、恥ずかしいんだけど……ん」
 ボクは目を閉じて、唇を差し出しました。1秒…2秒…3秒…いつまでたってもジャンの
 唇と重ならない。おかしいな…と思い眼を開けてみると、そこにはきょとんとしたジャンが
 さっきのままでこちらを見ている。
「どうかしましたか?」
「それはコッチの台詞だよ。キスしてって言うから…その――」
 ボクが恥ずかしそうにモジモジしているとジャンは『ああ』と言って何かに気付いたようだった。
「いや、失敬。キスはキスでもコッチにキスでした。」
「……はぁ…最低ですね、少佐。」
 ジャンが指す先には既にパンパンに膨れ、ズボンを押し上げているアレだった。

『戦車兵と少佐』

「ん…ちゅ…あ…」
「はぁ…いいねぇ……久々にいい気持ちです…君の口でシテもらえるのは」
 執務室の椅子に腰掛け、その足元に踞るボクは少佐のアレを口に含み、舌で鈴口を突いていた。
「おお…ソレ…ん、効く…いつもより激しいですね。」
「悪かったね。あんな狭い所じゃ―――」
 手で少し扱きながら、ボクは口を尖らせた。
「オナニーもできない?」
「うっ……」
 返答のかわりにジーと睨んでやる。
「図星ですか…君のトコの装填手やら操縦手は若い少年兵ですよね?
彼らを使えばいいのに。他のトコはそうしてるみたいですよ?」
「そんなの容認してたら軍の士気に関わるし、それ以前に常識が問われますよ!?」
「欲求不満で民間人を襲っちゃうよりはマシだと思いますが……
しないでね、民間人の美少年とか食べちゃうの。色々と面倒事になって。
私がクビになっちゃいますから。」
「誰がするか!」
 クイと歯を立てて、噛みつくように言ってやった。
「痛たたたたたたた。私にはそっちの趣向はないからやめて下さい」
「ふんっだ。」
 本当に痛がっているので、気を取り直して口を窄めて、アレを舐めるのを再開させる。
さっきよりも太く熱くなっている
 少佐のアレは大きくなるとボクの口にはおさまりきらない。
袋を手で揉みほぐしながら、裏筋に舌を這わせた時、頭をくっと掴まれた。
「1回は抜いとかないと僕も溜ますから…口でいいですか?」
「飲まないよ。」
「ならぶっかけで。もちろんこれは命令で。」
 笑顔でこれ以上ない残酷な命令を告げる少佐。
「わかったよ、飲めばいいんでしょ!飲めば!」
 ボクは諦めた顔で爆発寸前のソレを手で扱きながら、唇を覆い被せた。
443名無しさん@ピンキー:2008/01/16(水) 20:51:14 ID:8CeUbGmw
「ご褒美は君の好きな粉末オレンジジュースとレモンジュース各10パックで。
何ならゴムもつけます?君んトコの若いコ用に」
「ひ、ひらひゃいよ!」
「くっ―――で、出る。受け止め――うっ」
 少佐がボクの頭を抱え、股間に押しつけたと同時に口の中に特濃の白濁液が
 射精された。
相当溜まってたらしく、液と言うよりはゼリー状の塊がとんでもない量で口の中に吐き出された。
飲みにくいったらありゃしない。やっとのおもいで喉に絡みつくソレをボクは飲み下していく。
「はーはー…う、ううっ…ん」
 が、ボクが眼を閉じて、必死で飲み込んでいる姿に興奮しているのかまだ吐き出し続けている。
 精液特有の苦みが口の中に広がって舌が痺れてくる。ああ…最悪だ。
「はぁ…はぁ……ああ、最高だ中尉…いや、ハル。さ、今度はお尻を出して」
「ゲホゲホ…ォオエッ…これじゃ身が持たないよ…ホント」
「ん…はぁ…し…少佐…」
 今のボクはとんでもなく恥ずかしい格好をしている。
 煤や排莢煙で汚れた戦闘服を来たまま、胸をはだけさせて、ズボンを足元までおろして。
 ショーツは太股まで…
「コッチも随分ご無沙汰してましたからね」
 既に反り返りガチガチになっているアレをボクのお尻に擦りつけながら言うジャンに
 ボクは言った。
「少佐…ゴム付け…ボクまだ―――」
「デキてもお腹の大きくなる頃には戦争は終わってるよ」
「そ、そういう問題じゃないよォ!」
少佐の両手がボクの腰を鷲掴んだ。
「そう…ゴムつけて欲しいですか?」
 少佐がボクの背に乗っかり、オッパイを揉みながら耳元で囁いてくる。
「あ……つ、付けてよ。…ん…ボク、怒るよ。」
「ん〜ここはそう言ってないようですけど?」
 そう言って手をボクのアソコに回し、ぬるっと割れ目を指でなぞった。
「ひゃ…あッ…や、やだ。そ、そこは反則―――」
実を言うとボクもかなり欲求は溜まっていた。
何ヶ月もセックスしてないうえにオナ禁ってある意味拷問だ。ヘムンのように適度に
ヤれる立場にもないのでなおさらキツイ。セックス嫌いな人はいいんだろうけど
生憎とボクはそういった都合のいい身体にできていないワケで…
「ん、そうだ。じゃあ『ボクのマンコに少佐の2ヶ月分精液を下さい。チンポ、ハメまくって』と言ってくれたら
付けましょう。じゃなければそのまま突っ込んで中出しで」
444名無しさん@ピンキー:2008/01/16(水) 20:51:59 ID:8CeUbGmw
「……………」
「そんな鬼のような顔はしないで。問題ないでしょう、開戦前はもっとスゴイ事いってたじゃないですか」
「あ、あれはお前が言わせたんだろーが!」
 がお!とライオンのようにボクは吼えたが
「すいません。じゃあ、ナマの中出しコースで…」
「ちょっと待て!ちょっと待て待て待って!ああ、もう―――わかった、わかったから!」
「ホントですか?」
「オッパイ揉みながら言わないで下さい…」
「気持ちいいでしょう?一回りくらい大きくなりました?」
「知りませんよ。測れませんし測りません……ん、…だ、だから触らな…」
 後ろからむにゅむにゅと揉みほぐされるボクのオッパイ。
少し大きいにも悩みの種だ。
 思春期真っ盛りの少年兵の視線がボクの胸に注がれるのはかなり恥ずかしいし、
最近では支給される下着もサイズがきつくなってきた。
「今度はその胸で挟んで扱いて下さいね?」
「いやです。」
「つれないなぁ…じゃあ、ハル…言って」
 少佐の甘い声がうなじにかかるとボクはビクッと背を震わせた。
 いつもこのまま流されるボクは胸中で溜息をついた。
「ん……ボ…ボクの…ア、アソコ…に…し、少佐…の…2ヶ月分……せ…精…液を下さ…い……」
「え、どこにですか?」
 君のお尻ですか?っと、とぼける少佐にボクは涙目になりながら言った。
「ううう〜…ボ、ボクの…マ…マンコ…に」
「はい続き、続き。チンポ、ハメまくって〜」
「チンポ……ハ…ハメ…まく…って」
 は、恥ずかしすぎて死にそうだ。
「よく言えました。素晴らしい中尉、大好きです。」
 そして間髪入れずにアレをぶち込まれた。
「ちょ…ちょっとゴム!約束がちが―――くううっ」
「ちゃんと計算してましたよ。今日は安全日ですよね?」
「な、なッ!?どうしてソレを!」
「付き合ってた時に君の生理周期を暗記しました。計算、ずれてないと思いますけど…
デキちゃったらゴメンなさい。責任は取りますから」
 といいつつ、ガンガンと激しく突っ込まれるボクには反論する余裕はない。
「や、やだっ!やめっ…ああっ…こ、これ…くううう」
 久しぶりの異物感に意志とは逆にボクの身体が歓喜しているみたいだ。お腹が熱く、
アソコはもう洪水のように濡れそぼっている。頬を机の上にすりつけながらボクは喘いだ。
「あっあっ…は、はげし…しょ…佐、ふっ…あ…」
「く…絡みついて痛いくらいです…それに…まだキツ…う」
 少佐はボクの腰を掴み込み、腰をお尻に擦りつけるように突き上げた。膣壁が熱いアレで
擦られる快感は何物にも代え難く、抗えない。欲求不満なボク……最低だ。
机に押しつけられたオッパイがぐにゅううっと淫らに潰れる。
逆に少佐がボクの腰を引くとオッパイがぷるんと重力に引かれてこぼれ落ちた。
「ハル、ハル…ん、は…気持ちいいですか?」
 そのオッパイを揉みくちゃにされながらボクは呂律の回らない口で答える。
「う…う…はぁ……ジャン…ジャンンッ」
「すみませんが、もうイキそうです……あ、ああ…くう…」
「えッ!?や、やだっ、膣内だけには…ダメダメダメェェッ」
とボクは言いつつも腰をくねらせ、ジャンのアレに刺激を与えてしまった。
「イ、イキますよ…ハル……く…ふ…うッ」
 最奥にアレを叩きつけたのと同時にジャンは短い悲鳴を上げた。
 びゅるるるるると熱い白濁の塊が体内に凄まじい勢いで
射精されているのがヤケにはっきりとわかった。
「あ……は…で、出てる…ボクの中に…ジャンのが…」
445名無しさん@ピンキー:2008/01/16(水) 20:52:20 ID:8CeUbGmw
「?」
 一連の行為が終わり、机に俯せになったままボクはジャンが離れるとふらふらと起きあがった。
だけど、ボクの歩き方が微妙に違っていることにジャンは気付いたみたいだ。
「歩き方…変えました?」
「あのねぇ…」
ボクは苦笑いを浮かべた。若干、頬が引きつっている。
「ジャン…戦場って危険だよね。」
「そうですけど?」
「単刀直入に言うと、量が多い上に濃すぎる!」
「私の精液濃度と量に戦場が関係あるんですか?」
「士官学校では教わらなかっただろうけど…人の本能!
人は常に死と隣り合わせにいれば、子孫を残そうとする力が大きくなるんだよ!
出る量が多くなって、アレの中に含まれるオタマジャクシの数が多ければ多いほど粘度が高いの!」
「ははは、君は性について学殖が深いですね。
中学校の性教育の時間に興味津々で聞いてたタイプですね?」
 ボクは問答無用で殴りました。グーで。
「すみませんでした。」
「さらに2ヶ月もオナ禁してたって事は……量なんかもう半端じゃなくて
…しかも凄く濃いから少しずつ漏れてくるの。薄ければ一気に外に出て
こんなふうにはならないのに!妊娠したらどうするんだよ!……ん、んん…」
 やばっ…少し流れてきた…ボクの太股を伝ってアレが…。
「どうかしましたか、ハル?」
「だ、だから…その…漏れて」
「見ます。これ命令」
「いやだいやだいやだあああっ!」
 じたばたするボクを机上に座らせ、ズボンをはぎ取ると、そのままアソコを凝視するジャン…
最悪だ、なんでこんな時だけ力が倍になるんだコイツは。
ドロっとアレが流れ出てきた所を見られるなんて。もう死ぬほど恥ずかしい。
「おお、これこそ絶対領域…人体の神秘ですね」
「ちょっと…もういいだろ?やめ――――」
 その時だった。遠慮なしに執務室のドアが開けられ、目を輝かせたボクの部下達が入ってきた。
「中尉、私達の戦車、新しくなったんですよ!」
「これで純帝国産の戦車をやっつけれます!」
「さっき整備班長が俺達の所に来て――――」
「中尉のおかげです。ありがとうござい―――」
 ボクは半裸のまま脚を開いて、少佐はその股間に頭を埋めて。止まる時間と空間と皆の思考。
『……………失礼すますた。』
 何事もなかったかのようにそそくさと出て行く4人の隊員。しかもすごい噛んでました。
「ふぅ…危ないところでした。ハルの大事な部分は私の頭部で隠れていましたから
問題ありません。」
 このクソバカ野郎は汗を拭った。
 ボクはベルトにつってる自動拳銃を引き抜きました。弾は既に装填済みなので
安全装置を外すだけで発射可能です。
ボクの銃はコルトガバメントM1911A1です。バカ少佐をぶっ殺します。
「はははははは、ちよつときゆうようをおもいだしたのでそとにでてくるね」
 ゴキブリ並の速度でドアまで移動する大バカ野郎にボクは照準を合わせた。
「逃がさない…殺す!絶対殺す!お前のせいだあああああ!」
 司令部にボクの鬼のような絶叫が響き、続く銃声。それを聞きつけて駆けつけてくる衛兵。
 逃げる少佐、追いかけるボク。もう最悪だ…誰かボクを殺して。
END
446664:2008/01/16(水) 21:06:10 ID:eZ2Ixeim
>>439不快にさせてすみません。軍人モノ書くとどうしても凝ってしまう。本当に申し訳ない。


巨乳も貧乳も両方いただきます。要はボーイッシュなのかがミソなんだ。
447名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 22:37:42 ID:8fqz7g9R
ワロタwww
が、ジャンの性格が前半とまるっきりちがうんだぜ?
どういうことなんだぜ?
448664:2008/01/17(木) 23:55:14 ID:Yw7cTGXI
>>447
すみません。読み直して気づきました。
前半が本当の少佐。
449名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 23:31:07 ID:pLBR+/WC
GJ!!
いいボーイッシュですたwww
きっと新型戦車はファイアフライですよね?
450664:2008/01/22(火) 09:28:31 ID:Iga30rP8
小ネタ投下。
巨乳で年上ボーイッシュな帝国軍人さん





「あ…はッ…た、シュルツーナ大尉…ダ、ダメですよ…こんな事」
 暗い戦車の中で少年兵の声が弱々しく鳴いた。
「ここをこんなにさせておいて…知ってるよハンス。戦闘中に僕の胸ばかり見ているんだろ?」
「そ、そんな…砲弾を込めるのにそんな暇は…はあっ…ふ!」
 今、この重戦車の中には二人だけ。本来そこに座るはずの大尉が固い鉄の床に膝をつけ、
 少年兵が座ることのないシートに腰を掛けている。
「ふふ…僕の胸がいい?それとも口?手?」
「あ…ああ…そ、そんな…」
「この前は舐めてもらったからね…今回は僕がシテあげる」
 黒い制服に身を包んだ戦車長がネクタイを抜き取り、ボタンを外した。
 白いシャツの胸元が開け、下着に覆われた白い大きな乳房が覗いた。
「ん…君くらいのなら挟めると思うけど…ひょっとして期待してる?」
「え…は、挟むって…?」
少年兵の顕わにされた初々しいペニスがピンと天を向いている。
「あはっ、僕の胸を見て興奮しているの?固さが増してるみたいだけど?」
「あ…さ、触らないで…はっ…な、何か来る、来ちゃいます…大尉」
「ふふ、可愛いね君は…」
 大尉は少年兵のペニスを口に含むと口を窄め、勢いよく吸った。
「あ、あああっ!何か出る、出ちゃう!あ、ああっ出るううう!」
 ピュッと先走り汁が出たあと続けて濃厚なゼリー状の白い塊が口の中に吐き出された。
 少年兵が初めて体験する射精に震えながら、戦車長の頭を掴む。
「ふッ…ふうう…こ、これ…す、すご…ああ…」
 魂ごと吐き出されるのではないかという程の快感の後にくる疲労感に少年兵はシートに腰を預けた。
「た…大尉…」
「ふふふ…初めての射精は気持ちよかったかい?今度はもっとすごいよ」
 大尉は胸を覆う下着を外し、その豊満な乳房を少年兵の前にさらした。真っ白な乳房の先端に
申し訳程度の桜色の突起がついている。揉みし抱けば乳が搾れそうなほどの肌の張りは
精通を覚えたばかりの少年兵には刺激が強すぎるようだ。
「今度は…この胸で、ね?」


451664:2008/01/22(火) 09:37:45 ID:Iga30rP8
連投下・エロなしスマソ
東側大国の俺様ボーイッシュ
俺というボーイッシュは言葉も「〜じゃないよ」より
「〜じゃねぇよ、このボケ」とか言葉は乱暴にした方がいいのかな?




「ど、同志少尉、頭蹴らないで下さい!」
「うるさい!このド下手クソ!何発外せば気が済むんだよ!」
 俺の名前はシャリナ=ツェッファ。
親父は戦車を造る技術者で昔から家の中には戦車に関する本やら
戦術書があった。俺が16になる頃、帝国の奴らが攻めてきて、ワケもわからず
親父と一緒に東へと逃げた。攻めまくってきた帝国軍だったけど、冬になると
ノロノロと進軍が遅くなり、勢いがなくなったところ包囲してコテンパンにしてやった。
今度は俺達の反撃だ、絶対、ぶっ飛ばしてやる。そう思って戦車兵に志願したら
人数が足りないという事で経験もなしに、戦車長にされた。
 戦車の定員は5人なのに俺を含めて4人しかいない。
戦車砲に弾込める奴がエルカ(♂)、15だがマッチョで無口な奴。
狙いを付けて戦車砲をぶっ放すけどよく外すバカがマーシェンカ(♂)、
18歳でもやたら童顔の野郎だ。ヘタレだ。アホだ。
 そんな俺達のおふくろ役でもある操縦手のアンジェさん(♀)32歳。元教師。
「まだ動いてる!2時方向!」
「装填完了…」
「今度こそ食うぞ!85oの拳、ケツの穴にぶち込んでやる!」

「はいはい、お疲れ様ぁ〜今日は大戦果ね。大漁、大漁♪3両よ3両」
 上機嫌でウォッカを持ってきたアンジェさんが言った。
ここはウチらの補給基地。まだ雪景色が残る森の中だ。
「……5両食えた。絶対。あそこで外さなけりゃ絶対食えた。」
 俺はムシャムシャと固いパンを囓りながら言った。
「言わないで下さいよ、同志シャリナ少尉…僕だって」
「ド下手クソ」
「う……」
 グッと言葉をつまらせるマーシェンカ。
「弾を込める身にもなって…欲しい」
 とこれはエルカ。
「うう……」
「まーまー、マーシ君も15発中8発命中したんだから大したもんだよ。
シャリナちゃんもそんな怒んないでやって」
「先生に言われちゃしょうがないけどさー」
 アンジェさんの通称は“先生”で通っている。
「それはそう帝国本土より西の方から連合軍が上陸するらしいわよ。」
「いつ頃…?」
 ズズーと豆スープを飲みながらエルカが呟いた。
「うーん…そこまではわからないけど…さっき司令部で小耳にはさんだの。」
「関係ないって。金持ちの国の野郎共が領土欲しさに後から参戦なんて
……ふざけてる。はじっめからまともに戦ってるの俺達の国だけじゃないか。」
「でもシャリナちゃん…そうしてもらった方が東と西から帝国を挟めるワケで戦争は早く終わるわ。」
「うー…そうだけどォ…何かせこいというか…」
「僕は先生の胸に挟まれたいなぁ〜なんて…ハハ」
 このド阿呆はそんな事をぬかした。もちろんマーシェンカだ。
「やだぁ、マーシ君それセクハラよ♪」
「先生…俺、俺、」
「……あのね、マーシェンカ君、エルカ君…そう言った話題はやめてくれるかなぁ?」
「あ、すいません同志少尉は貧乳ですもんね。」
「党中央の命令でお前を処刑する、してやる、ぶっ殺す!」

>>447はい、そうです。あまり詳しく書くとスレ違になるので
詳細は控えました。笑っていただければ幸いです。
452名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 20:16:23 ID:ZecbECkH
>>664
4日も止まるとかありえん。
党中央の命令だの戦車の中がどうだの
その手の「常識」が興味ない人には
面白くない、或いは分からないかも知れないって
どうして考えつかないんだよ…

軍オタってなんでこうなんだろう…
453名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 20:25:01 ID:KDdtH0+Q
>>450
巨乳ボーイッシュの場合一人称は私だと思う
454名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 01:52:56 ID:fFagT8nl
>>453
いやいや巨乳でもさ
ワイルドB→オレ
ツンデレB→あたし

などでもいいんじゃ?
455名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 23:50:01 ID:8zb/72uT
質問日時: 2007/4/28 01:51:18 解決日時: 2007/5/12 03:22:18 質問番号: 11,438,452
自分の職場に、見るからにとても気が強い女性がいます。 そんな女性の彼氏として...
自分の職場に、見るからにとても気が強い女性がいます。
そんな女性の彼氏として務まるのは、やっぱり女性慣れしていてリードできる男性だろうな、と思っていたのですが、何と誰が見ても物静かな雰囲気の男性でした。
正直、「これだけ気が強い女の子の彼氏って、どんな人なんだろう・・・」と思っていたのですが、とてもビックリです。
自分の考えは偏見だったでしょうか?
回答日時: 2007/4/28 01:59:28 編集日時: 2007/4/28 02:00:59 回答番号: 36,785,555
気が強いからこそ、物静かな男性と付き合うんじゃないのかな。結構私の周りもそういう組み合わせ多い。
「引っ張ってほしい」っていう男の人が、気の強い女性に惹かれるんじゃないかと思う。
本当に気の強い女性は、相手にリードされることを嫌うと思うよ。自分の考えで行動するだろうから。
ま、見た目が気が強そうでもそんなことない人もいるし、見た目だけで気が強そうって思ってるなら、そういう点では偏見だけどね。
回答日時: 2007/4/28 23:00:19 回答番号: 36,806,435
きっと普通はあなたのように思う人が多いでしょう
が!
人は自分にないものを求めてしまうのです。
彼女は気の強い性格なので、物静かな雰囲気の男性がどうしても
気になってしまったのでしょう!
心理的に見ても、これは当然の結果だと思いますけどね〜
456名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 00:44:22 ID:/nJ+g+Ms
>>454
男「お前、また胸でかくなってないか?」
ボ「お前な、それセクハラだぞ?
オレは別にデカチチなんか要らないのにさあ……邪魔だっての」
男「お前は何もわかってない」
ボ「何がだよ? 運動にも邪魔だし肩こるしで散々なんだぜ?」
男「それだけの価値がオッパイにはある」
ボ「お前な、そういうことオレの前で言うなよ。野郎同士だけでやれ、乳の話は」
男「余計なお世話かもしれないけど、下着とか困らないのか?」
ボ「下着? ああ、普段はブラしないから」
男「なるほど。つまりそれは誘ってるわけか」
ボ「誰がンなこと言ったよ。窮屈なんだようるせェな」
男「そうか。じゃあ今度二人で下着を買いに行こう。今からお前に似合う下着を考えとくよ」
ボ「余計なお世話……ってわけでも、ないけどさ……あるにこしたことないし……
じゃ、じゃあ頼むけどよ! 変な意味は無いからな? その辺わかってるよな?」
男「わかってるさ。最高の勝負下着を見つけてやる」
ボ「お前わかってないな? わかってないだろ?」



おれにはこれが限界のようだ
457454:2008/01/31(木) 01:23:03 ID:hUrY77Sx
やってくれたなw

不覚にも萌え尽きたw
458名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 12:28:31 ID:tcsch9Mp
>>454>>456
それ盲点だったわ腐れ盲点
萌えたw
もっと頑張って書いて欲しいんだがw
459名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 07:26:08 ID:QtcH+Ghz
節分ネタ


「節分には主に3つの楽しみがある『豆まき』『豆を食う』『恵方巻き』だ」
「なに? 急に」
「いいから聞け。第一に『豆まき』。これは問題無い。二人で厄払いして幸せを呼びこもう」
「勝手に決めんなよ。……別に異議は無いけどさ」
「だが『豆を食う』これは大いに問題有りだ。お前に任せると普通に豆を食うだけになってしまう」
「へ? それじゃダメなわけ?」
「ああ。俺は普通の豆なんぞに興味は無い。俺はお前の『お豆』を味わいたいんだ」
「は……?」
「お前の『豆』を味わいたいんだ。じっくりと」
「ボクの……豆?」
「いやいい。忘れてくれ」
「なになに? なんかのギャグだったの?」
「第三の『恵方巻き』に話を移そうか」
「おい、教えろよ!」
「もちろん恵方巻きも普通には終わらせない……」
「無視かよ。で、恵方巻きがなんだって?」
「お前には、俺の硬くて太い恵方巻きを思う存分食わせてやるぞぉぉ!」
「え、ホント? 自信ありげだな、楽しみにしてるゼっ! がっかりさせんなよな」
「…………」
「に、しても、あんた料理とかできるの? やたら自信満々だったけど」
「……普通?」
「へえ。良かったら今度ボクにも教えてよ。ボク料理なんてからっきしだからさー」
「ああ……検討してみる……」
「なんか元気なくなってないか? もしかしてプレッシャーかけちった?」
「いや、大丈夫……なんでもないよ……」
「ホントかよ?」
「大丈夫だって」



460名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 14:39:36 ID:rT0FpBRI
素晴しい(笑)
あと、色々してそっち方面の知識を得た後の反応があるとなおGJだw
461名無しさん@ピンキー:2008/02/04(月) 23:47:08 ID:VTAe4fD0
やっぱりボーイッシュな子はええのう


何故このスレが過疎るか考えてみたんだが
やっぱり>>459みたいな感じでアピールしても天然ガードが発動してエロに入りづらい
のが原因じゃないかと思った
462名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 01:24:35 ID:l91OgZeX
だがその天然ガードを崩してエロに持ち込んだり、
ボーイッシュ娘が暴走してエロに進むこのスレのSSが……

好 き や ね ん !!


という訳でひんぬーボクっ娘は俺の嫁。
463名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 01:53:43 ID:sWslYON2
かっこいいことが大好きで、なんでも一番になりたがるボーイッシュ少女。
喧嘩だって男の子に負けたりしない。
幼馴染で一つ年下のあいつは体はデカいけど頭のなかは空っぽ。
でっかいだけで喧嘩だっててんでよわい。
いつも勉強教えてやってたのに、いつもまもってやってたのに、
最近あいつはなんだか妙に他人行儀でよそよそしい。
ぼくは頭がいいから、頭のいい高校に進学できたけど、あいつは馬鹿だから、
結局普通以下の高校にしかいけなかった。
あんなにがんばって勉強おしえてやったのにさ。

そんなあいつに、部活の帰りにばったり出くわした。
ハンバーガーで釣ったらほいほいついてくるんだから、ほんと馬鹿。
最近どうしてるんだとか、勉強は進んでるのかとか聞いたけど、上の空で聞いてない。
ハンバーガー食べてばっかいないで、ぼくの話聞けよな。
で、彼女はできたの? って、高校で友達とよくするような話題を出した瞬間、
あいつがちょっとだけ反応した。
ははぁん。こいつはアレだ。恋するオトコノコだな。
応援してやるから、詳しくはなせとせっつくと、あいつはふて腐れて黙ってる。
それで、おまえこそ彼氏はできたのかよ、なんて聞いてくる。
本当は彼氏なんか出来た事ないけど、ここでそんな事を言ったら舐められる。
だからぼくは、当たり前だろって答えた。
あいつは驚いて声も出ない。キスだってした事あるんだからな、と胸をはると、
あいつはますます目を丸く見開いてぼくをみた。
どうだ。尊敬したか。さぁぼくに頼って来い! 神に縋る仔羊のごとく!
そしたらあいつ、でもまだ処女だろ、なんて言ってくる。
あたりまえだろ、って言おうと思ったけど、なんだか馬鹿にしたような聞き方だったから、
ぼくはまた嘘を付いた。
でも、はっきりとは言わない。「処女だと思ってるんだ。へー」って、にやにや笑ってやるだけ。
そしたら、あいつすごく驚いた顔でぼくをみて、相手は誰だってつっかかってきた。
だから、ぼくの事はどうでもいいんだよ。問題は君の恋愛成就!
そういって好きな人とか、恋人の話を聞こうとしたら、乱暴に腕を引っ張られた。
まだポテトが残ってたのに、凄い力でぐいぐいずるずる、すっかり暗くなった道を引きずられる。
なんだよ、こいつ、こんなに力があるなんて聞いてない!
なんだ急に、はなせよ馬鹿って暴れると、どっかのアパートの壁に押さえつけられて、
キスされた。
すごく乱暴にキスされた。
ぼくはもう、ほんとにもう、ただびっくりして、ファーストキスだったのにって思ったら、
急に凄く悲しくなってきて、ぼくはなんにも言えずにただぼろぼろ泣き出した。
でも、あいつはキスをやめてくれなくて、その上ふとももとか、胸とかもぞもぞさわってくる。
怖くなってようやく、ぼくは暴れに暴れてあいつの事をめちゃめちゃになぐって、これでもかってくらい引っかいた。
ばか。ばか。大馬鹿野郎! もう君なんか大っ嫌いだ!
ぼくは大泣きに泣きながら大声を上げて、一目散に駆け出した。

こんな甘酸っぱい青春エロ話が結構好きだったりします。
この後「ぼく」は「あいつ」をさけにさけてさけまくって「あいつ」の怒りを買えばいいとおもいます。
「あいつ」は「あいつ」で「ぼく」の元彼を探そうとして、「ぼく」に彼氏が出来た事なんか無いことを知って
死ぬほど後悔するといいと思います。
ボーイッシュもえ。
464名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 02:28:15 ID:VXlf60ec
貴様、よくもこんなGJを…許さん、完成させないと許さんぞ。
465名無しさん@ピンキー:2008/02/05(火) 12:08:37 ID:23CsSlz4
以下同文
466名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 20:08:20 ID:ymF41nQN
以下同文
467名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 20:29:56 ID:bPSpGzMT
なっ、なにやってんだよ
続き書かないとゆるさないぞ
キミが書いてくれるならボクだって……
これ以上言わせるなよぉ〜
468名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 20:31:52 ID:2CTBOxO9
以下同文
469名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 22:20:53 ID:bp/dAfc3
以下同文
470むこうにあいつがいた(1/8):2008/02/08(金) 11:45:33 ID:K/UIZ5cM
保守代わりに投下。

俺の名は貞義。かっこよくてオールマイティでナイーブな男だ。
彼女の名は春香。天使のような優しい女、天然ボケなところがまた可愛い。
俺と彼女は小さい頃から幼馴染で、家も隣り合わせ。
俺はずっと昔から彼女に片思いし、近頃に告白しようと思っている。

そして、新学期がやってきた。
それと同時に春香の親戚の子が、転校してきた。
名前は衛といい、これはこれは大変おてんばな娘だ。
私服はパーカーと短パンの服を愛用していて、金きり声で一人称はボク。
ちびっ子のくせに、人一倍男勝りで、頑固なのだ。
しかし、彼女が俺と出会ったことが命取りだった。
なぜならば、俺も彼女と同じぐらい負けず嫌いの人間だからだ。
そのためか、彼女の何かと俺と敵対する。
他の人の前では猫をかぶっているが、俺にはいつも冷たく当たる。

初対面から、俺らはお互い険悪な態度で接した。
まあ、俺が彼女をからかったのもあるけど。
春香がいなかったら、喧嘩になったに違いなかった。
その時だが、俺はコイツこそ、俺の生涯の最大なライバルだと感じた。
それから、俺とコイツは毎日勝負事で競った。
学校で定期試験の点数を競い、ゲーセンで格ゲーや音ゲーで対戦し、春香の家では人生ゲームやババ抜きで勝負した。
とにかくどんな些細なことでも、やつは俺の邪魔をしてくる。
しかも、やつはなぜか春香とすっごく仲がいい。
春香は天然ボケしているから、やつに丸めこめられていることに気付いていないのだ。
そのせいで、俺は春香の目の前では、堂々とやつに仕返しできない。

そんなに嫌なら避けていればいいものだが、最悪なことに、やつは俺の後ろの席に座ることとなった。
そしてもっと最悪なことに、やつは春香の家に住みついている。
春香と仲がいいことに、時々春香の同じ部屋で寝たりしている。
なんて最低な女だ。

そしてもっともっと最悪なことに、俺が春香に惚れていることを、やつに知られてしまったんだ。
「ふーん、お前、春香のこと好きなんだ」
あいつが悪戯っぽい冷笑を浮かべて、そのセリフを言った姿を思い出すと、俺は吐血しそうになる。
それからは地獄の日々だった。
俺がなんとか知恵を絞って春香に近づこうとするたびに、あいつはまるで嫌がらせのように春香と俺の間に割り込んでくる。
春香は誰にも優しいところを、やつがいつもつけ込む。
そして、俺が春香に近づくという目的は、いつも後半からやつと対峙する目的にすり替わってしまう。
勝負熱からさめて「はっ」と我に返ったとき、チャンスはすでに遠のいた。

こうしているうちに、時期も冬になった。
俺はついに意を決めて、春香に告白しようと勇気を振り絞って、彼女を屋上に誘い出した。

そして砕け散った。
471むこうにあいつがいた(2/8):2008/02/08(金) 11:48:01 ID:K/UIZ5cM
放課後の教室、生徒達が次々と出て行くのを見届けながら、俺は呆然と座っていた。
背後から、アイツのうるさい声が聞こえる。
「おい、バカよし、帰るぞ」
ゆっくりと振り返ると、かばんを持って帰宅しようとする彼女の姿があった。
バカよしというのは、彼女曰く、俺の名前さだよしから来た愛称らしい。
しかし今、俺は何の反応もせず、ただぼけーっとすわっているだけだった。

「なにアホ面してんのよ。これじゃあバカと呼んであげても、似合ってしまうではないか」
彼女はいつものように挑発っぽい口で聞いてくるが、俺が無反応のところを見てきょとんとした。
「あれ、太陽が東に沈んだのかな?今日のバカよし、元気ないね。あ、そういえば……」
彼女は何か思い出したように、ぽんと手を叩いた。
「そういえば、お前何日か前にこんなことを言ってたな。
 『男一生の願いだ。今日は春香に告白するから、邪魔しないでくれないか』とかなんとか。
まあ、真顔でそう言われると、私も鬼じゃないから譲ったけど。んで、結果はどうだった?春香、もちろんオッケーしたでしょう?」
彼女は興味津々に俺の方を見たが、俺がさっきからぼうっとしていたことにようやく気付いたのか、
彼女の顔色が愕然や不安に変わりはじめた。

「お、おい、ま、まさかお前……春香にふられたのか?」
こくりと、俺はゆっくりと小さく頷いた。

放課後の夕日は、寂しい橙色を帯びて沈んでいく。
俺は痴呆のようにぽかんと口を開け、衛に支えられながら帰路についた。
何度も倒れそうになった気がした。そのたびに衛に声をかけられた気もした。しかし、そんなことなど俺にはどうでもよかった。
家の玄関まで送られて、衛は「じゃあ、また……明日ね。貞義、本当に大丈夫か?」と、心配そうに俺を見送った。
俺は目が虚ろになったまま、彼女に返事もせず家に入った。
そして、自分の部屋に戻ってから、制服も着替えず。ただ膝を抱きかかえて、ぼうっと座りこんだ。

窓の向こうには、春香の家が見える。
小さい頃から、俺と春香は毎日のように一緒に遊んでいた。
俺はもとから陰湿な人間だが、彼女の天使のような輝きにふれていくうちに、俺も心が温かくなった。
春香は、俺の全てだ。
明日から、俺は彼女の前で、どんな顔をしていけばいいだろうか。
今まで彼女と一緒に過ごした楽しい思い出が、走馬灯のように浮かんでくる。
いろんな事を思い浮かんでいる間、いつの間にか空が暗くなった。

「コンコン」
外を見ると、衛はベランダに立っていた。
やはりいつもの私服姿で、上着にはカジュアルパーカーを着て、裾の下から動きやすそうな短パンが見える。
彼女は冬がどんなに寒かろうと、その格好をしているという。
短パンの下から、健康の色を帯びた太ももがあって、足首から下は、絵柄の無い純白の靴下をはいている。
ショートカットヘアに、いつも自信に満ちた瞳。
いつも行動力に溢れた、爽やかな雰囲気がそこにあった。

彼女は勝手にベランダの窓をあけると、中に入ってきた。
「よう、貞義、久しぶりに遊びに来てやったぞ」
彼女は明るく挨拶をした。しかし、俺は彼女を一瞥しただけで、すぐに顔を下に向けて落ち込んでいた。
472むこうにあいつがいた(3/8):2008/02/08(金) 11:49:07 ID:K/UIZ5cM
俺と彼女は同じぐらいゲームが好きで、彼女もよく俺の部屋に来てゲームで勝負をする。
俺の部屋は春香の部屋とベランダが隣り合わせだから、その気になれば簡単にお互いの家に乗り込める。
しかし春香は当然そんなことはしないし、俺だって女の子の部屋へ行くなど変質者じみた行為をしないから、
ベランダを実際に乗り越えたのは衛のみだった。
二人でよく深夜まで、戦略ゲームで勝負し続けた。

彼女は俺の様子を見て、仕方ないなという表情で部屋に入ってきた。
「貞義、いつまで落ち込んでんだよ」
「……」
「お前らしくないぞ」
「……」
「なんだよ、これじゃ張り合いがないじゃないか」
「……」
「うんとかはいとかへーとか、なんか言えよ」
「……」
「あー!この漫画の新刊、手に入れたんだね!ボク前から読みたかったんだ」
「……」
「へー、また超展開になってるな。あはは、面白い」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
衛の言動に対し、俺はただぽかんと床の一点を見つめ続けた。
彼女の顔に徐々に怒りが集まり、漫画本を元の場所に戻し、俺の側まで来た。
そして、俺の顔を掴み、むりやり彼女の方に向ける。
「こら!お前は男だろう。一回二回ぐらいふられたって、どうってことないぞ……って、涙を流すな!」
いつの間にか、俺の目の前は涙で模糊となってしまったようだ。
「男が泣くなんて、カッコ悪いぞ?ほら、袖を貸してあげるから、好きなだけ泣いていいぞ」
彼女は腕を出すと、俺はなりふりかまわず彼女の袖を掴んで、今までこらえてきた涙と鼻水を存分に垂らした。
「ちょ、ちょっと!冗談って言ったつもりなのに……あーあ。
 でも、まさか、春香のやつがお前を振るなんて……正直、ボク思わなかったよ」
「うっ、うぇん――」
まもない間、俺の体液は彼女の袖を一杯に染めた。
彼女は俺の鼻水を見て顔をしかめたが、いまさらを腕を戻すわけにも行かず、ただ腕を伸ばしたままだった。
そして俺の惨めさを見かねたのか、ついにキレだした。

「だらしないぞ!ふられたぐらいで、そんなに落ち込むこと無いだろ!」
「お前に、お前に俺の何が分かるというんだ!」
「え?」
「春香は、春香は俺の心のエンジェルだ。俺の小さい頃から生きがいだ。憧れだ。
 あいつが俺の側にいたからこそ、あいつの笑顔があったからこそ……あいつは、俺に明日を生きる希望を与えてくれるんだ!」
俺の激昂っぷりに押され、衛は肩をすぼめた。
「そ、そこまで言うか?」
「ああ、言うぜ。俺は春香が好きだ大好きだ。俺の人生の中で、絶対彼女をめとるんだ。
 十年前からそう決めたんだ。お前に俺の気持ちが分かるか?彼女と結婚できなかったら、俺の人生の意味が半分消えるんだ」
「う、うう……」
「お前が現れてから、毎日毎日邪魔ばっかりしやがって!俺はお前にどこでそんな恨みを売ったっていうの?
 俺が不幸になるのを見て、そんなに楽しいのかよ!」
「ご、ごめん……」
決して俺に謝らなかった衛も、ついに頭を下げて、小声で申し訳なさそうに呟いた。
473むこうにあいつがいた(4/8):2008/02/08(金) 11:50:16 ID:K/UIZ5cM
「最初は、本当にいたずらしてやろうと思ってた。途中からそうじゃなくなったけど……でも、本当にそれだけなんだ。
 ボクだって、春香は絶対あんたのことが好きだと思ってたし……本当に、ごめん……」

彼女が悪びれた様子で頭を垂れるのを見て、俺は荒々しい気分を抑えた。
「いや、もういいんだ。俺が振られたのも、別にお前のせいじゃないし」
「いや、ボクのせいだ。ボクがお前にちょっかいだしたせいだ。お前が怒ってるんなら、好きなだけをボクを殴れ!」
「……本当に殴っていいんだな?」
「い、いや、やっぱりいいや。痛いのは嫌だな……で、でも、まだチャンスがあるはずだよ!
 春香と取り直して、もう一回気持ちを伝えてあげれば、今度こそ……」
「いや、俺にはもう春香に合わせる顔が無い。会ったところで、昔みたいに彼女と話できないよ」
「そ、そんな!」
「もう、ほっといてくれ。俺にはもう生甲斐が無くなったんだ」
俺はそう言って、なまくらのような体をベッドまでに這わせ、頭を枕の中に沈めた。
無限に広がる灰色の気持ちが、俺の心を充満する。

その時だった。
衛は突然ベッドの上に跳ね、俺の首を掴んだ。
「な、なにをする!」
彼女は俺の襟を掴み、俺の体を起こした。
「春香がそんなにいいのかよ?お前も男なら、あいつよりもっといい女を見つければいいじゃない!」
「ぐっ、それができないから泣いてんだろが!」
「ああ、お前は泣き虫だ!弱虫だ!意気地なし!バカ!アホ!」
彼女は俺の体をベッドに乱暴に叩きつけて、言いたい放題にののしる。
「お、お前になんか言われたくないよ!」
俺はすぐに身を翻し、彼女の体を下に押さえつける。
「お前がそんなんだから、春香に振られたんだよ!」
衛はひじで俺の胴体を押しのけ、もう一度俺の体を下に押さえつける。

こうして二人ともいつもより本気を出して、ベッドの上で揉み合いを始めた。
しかし、悲しみのせいで余計に体力を消耗した俺は先にばてて、彼女の太股に押されて下になった。
二人はお互いを睨み合って、額に汗をかきながら呼吸を荒くした。

「はぁ、はぁ、どうだ、参ったか」
「ぜぇ、ぜぇ、ふん、わかったよ俺の負けだ。ちっ、女にマジになるわけがないだろ」
そうは言うものの、俺の体は力がまったく入らないくらい疲れた。
その時、彼女は珍しく勝ち誇った表情ではなく、無表情のまま息を切らし、俺を上から見下ろした。
「おい、もういいだろう。速くどけよ」
俺は憮然となって喋るが、彼女は俺の言葉が耳に入っていないようで、ただ俺をじっと見つめた。
「ねえ、さっきも言ったんだけど、春香以外の女をみつければ、いいだけだろう」
「だから、俺は春香じゃなきゃだめなの」
「お前にとって、春香はそんなにいいのか?」
「ああ、そうだ!」
「彼女じゃなきゃ、だめ?」
「え?」
俺はやっと衛の異様な雰囲気に気付き、戸惑った。
彼女は無表情のまま、清らかな瞳でまっすぐ俺の目を見る。
俺は……

選択肢
>>473 A「そうだ。彼女じゃなきゃだめだ」
>>474 B「……」静かに衛を見つめ返す。
474むこうにあいつがいた(5/8):2008/02/08(金) 11:51:35 ID:K/UIZ5cM
選択肢A

「そっか……」
衛はベッドから降りた。
彼女はしばらくむこう側の壁へ向いたままになるが、その後いつもの明るい笑顔で俺に振り向いた。
「お前、その言葉本当に偽りは無いんだろうね」
「あ、ああ。俺は本気だ!」
「分かった、これからボクも協力してやるよ」
「へ?」
「春香がお前の恋人になるよう、協力してやるって言ってんだよ!」
「な、なにを今更!」
「もーう、男のくせに意気地なしだから」
衛は俺の頭に軽くチョップを下し、余裕に満ちた表情を浮かべた。
「彼女はなぜオッケーしないか、お前はその理由を聞いたのか?」
「え?い、いいえ……その時はそれどころじゃなかったから……」
「もし春香がお前のことが嫌いなら、彼女がお前のことがベタ惚れになるようにする。
 もし彼女にすでに彼氏がいるのなら、そいつから春香を奪ってやる。
 それぐらいの覚悟がなきゃ、お前は春香が好きだといえるのかよ!」
衛が喋った一字一句は、俺の胸を深く叩きつける。

「そ、そうだ……たとえ春香に彼氏がいても、そいつよりも俺のほうが春香が好きだ!」
「その意気!このボクが認めたライバルが、こんなところで挫けてどうする!」
「ああ、ありがとう衛!お前のおかげで目が覚めたぜ!待ってろよ、春香!俺は絶対にお前をめとるんだ!」
そして、俺は衛と熱き友情に満ち溢れる握手を交わした。

……後から判明したことだが、実はその日の春香はいつもの天然ぶりで、俺からの告白を気付かなかったようだ。
俺は彼女の反応を早とちりしてしまい、振られたと勝手に思い込んでしまった。
そのことで衛のやつに三日続けて叱られたが、まあ、結果オーライになった。
そして、衛に励まされた日を境に、俺と衛は無二の親友となった。
彼女の助力もあって、俺が試行錯誤的に春香に当たり続けた結果、
ついに春香の天然ボケバリアを突破し、彼女に俺の思いを伝えることができた。

そして今、二人で幸せな付き合いを続けている。
ハッピーエンドかも
475むこうにあいつがいた(6/8):2008/02/08(金) 11:52:14 ID:K/UIZ5cM
選択肢B

俺は驚いた。
衛の目から、いつの間にか涙が満ち溢れていた。
彼女の頬を伝って、俺の顔に滴った。
女の子が泣いているのをこんな近くで見るなんて、初めてのことだった。
「衛……」
俺は小さく彼女の名前を呟き、自然と指を彼女の頬へ伸ばし、キラキラしたしずくを拭いた。
その柔らかい頬っぺたにふれると、彼女はその小さな体をびくっと震わせた。
言いようの無い微妙の空気が、俺たちの間に流れた。
その時、俺はふと何かを悟ったような気がした。
彼女は小さく囁いた。
「ボク、馬鹿だったんだね。ボクは春香のことが一番大切な親友だと思っている。
 だから、貞義が春香が好きだってことを知った時、ボクはいやだったんだ。お前に春香を取られたような気がして……
 でも、そうじゃなかったんだね。ボクは貞義じゃなく、春香のことを嫉妬したんだよ」
「……えっ」
「今になって、ようやく分かったよ。ボクは一生懸命、貞義から春香を遠ざけようとしたんだけど、全然逆だったんだ」
「衛……」
「でも、ボクは怖かった。もし、春香も貞義のことが好き、どうしたらいいかって。だから、ボクはたぶん、
 貞義がふられて、良かったなと思ってる。ああ!ボクってこんなにいやな人間だったんだね。
 本当にショックだよ」
衛は震えながらも、言葉を紡いだ。

彼女の悲しい顔を見ると、心の鼓動が一気に加速し、頭の中が混乱した。
そして自分でも驚くぐらい、心の中に愛おしい感情が満ちた。
手は自然に衛の首に手をかけて、彼女の顔を自分の方へ寄せた。
彼女は驚いた表情になって、近づける俺の顔を見つめる。
二人の熱い吐息が、お互いの顔に降りかかってしまう。
彼女は頬を真っ赤に染めて、目をつむった。
そして、俺達の唇は静かに重なる。

――次の瞬間、世界はまるで止まったように感じた。
衛の心臓がドクン、ドクン鳴る音が、彼女の胸から俺の胸に伝わり、そして俺の心に伝わってくる。
俺も目を閉じ、ただ暗闇の中で彼女のぬくもりを感じた。

どのくらい時間が過ぎたのか、俺達はようやく離れた。
「ファーストキスだったのよ」
「奇遇だね、俺もだ」
再び見つめあうと、俺は彼女の顔から溢れ出す優しさを見つける。
とてもかわいい、女の子らしい表情だった。
今まで一度も、衛からこんな表情を見たことなかった。
476むこうにあいつがいた(7/8):2008/02/08(金) 11:52:45 ID:K/UIZ5cM
俺は思わず彼女の体を抱き寄せた。
「ひゃう」
彼女の力が入らなくなった体は、簡単に俺に引き寄せられる。
その柔らい身体を、俺はベッドの下側に押さえつける。
衛は目をうっすらとあけ、火照った表情で腕を横に伸ばした。
彼女の荒い息とともに、胸が上下していく。
「ボクで……いいの?」
「なにが?」
「貞義は、ボクじゃなくて、春香のことが好きだろ?」
「……さっきお前の言葉を聞いて、分かったんだ。俺もいつもお前をからかってるけど、
 最初は面白いからだと思ってた。でも、よく考えたら、俺は一番楽しかった時というのは、
 たぶん、お前とふざけてる時だったんだ」
「……」
衛は何も言わず、ただ顔を更に赤く染めた。
「衛、して……いい?」
「……うん……」
彼女が頷くのを見て、俺はごくりと息をのんで、衛の襟に手をかけた。

パーカーのファスナーをおろし、中のシャツと一緒に優しく脱がしてあげると、
思ったとおりの小さな胸がブラジャーに包まれて俺の前に現れた。
短パンのチャックもあけ、彼女の両足からゆっくり脱がすと、彼女らしい質素の白ショーツが見える。
衛は恥ずかしさをただじっとこらえ、乙女の体を小刻みに震わせ、俺にいいように脱がされる。
顔と同じ雪白の柔肌、形のよい臍。
ほっそりとした手足はと怯えた表情は、まるで小動物のように加護欲をそそる。
柔らかそうな胴体は、赤みを帯び始めた。
普段から想像もつかない女の子らしい体だった。

彼女の肌は月光に浴びて、まるで美しい彫刻のように、幻想的な輝きを反射する。
「さ、貞義、恥ずかしいよ……」
彼女はついに耐えられなくなったのか、泣きたくなるような声で言った。
「きれい」
「え?」
「すごくきれいだよ、衛」
「う、うん……ありがとう」
衛は視線を泳がせて、消えかかるように言った。
477むこうにあいつがいた(8/8):2008/02/08(金) 11:59:33 ID:K/UIZ5cM
穢れが一つも無い体。肌はまるで息を吹きかけるだけで、破けそうな感じ。
しばらく彼女の下着姿を堪能した後、俺はついに彼女のブラジャーのホックをはずしとり、そして下の白いショーツを優しく脱がした。
衛もついに羞恥心が最高点に達したのか、両目をつむった。
弾力に富んだ胸の二つの膨らみ。
外気にふれる愛おしい恥丘。
俺は彼女の体を存分に鑑賞した後、指を彼女の首に触った。
そして、そのまま手を下へ滑らせた。
指は彼女の鎖骨、胸の谷間をなぞって、彼女の臍や太股へとすべる。

「あっ!」
彼女は思わず目を開け、不満げに俺を見つめる。
「ごめん、なんとなく試したかった」
俺は悪びれた笑顔を浮かべた。
「ねえ、さっきから思ってるけど、なんで靴下だけ脱がさないの?」
「そっちのほうがエロいからに決まってるじゃない」
「義貞のエッチ!……ボクの胸、やっぱり、小さいのかな」
「うん、小さいね」
「そ、そうよね……」
俺の無情の答えに、衛は涙目になった。
「ははは、そんなに気にしてるのか。俺がほかの女の胸を見たこと無いから、分かるはずが無いじゃないか。
 それに、本当に好きな人なら、胸なんて気にするはずないだろう?」
そう言うと、俺は彼女のふくらみの先端を口の中に含んだ。
「あ、ああっ!」
汗と混じった彼女の胸は、甘酸っぱい味が伝わってきた。
俺はもう彼女のもう片方の胸をやさしくもみながら、もう片方の手で彼女のふとももをさすった。

「……っく!ううん……」
衛は両手でシーツを掴み、体を震わせた。
彼女のうごめく様子は、俺の胸底から欲情を?き出す。
「貞義はずるいよ。こっちだけ真っ裸にして、貞義が服を着てるなんて」
衛は目をを細めて、のぼせた表情で言った。
「じゃあ今から脱いであげようか」
彼女の甘い誘惑に乗せて、俺は素早く制服を脱ぎ捨てた。

「きゃっ!」
いきなりの行動に、衛は恥ずかしいあまりに両手で顔を覆った。
「何をやってんだか。両手の隙間から盗み見してるの、バレバレだぞ」
「だって、だって……おかしいもん」
「何が?」
「だって、さっきから、なんかずっと貞義にやられっぱなしの気分になってるよ。そんなの、おかしいよ、変だよ」
彼女の負けず嫌いな面構えを見て、俺は笑いがこぼれそうになった。それと同時に、甘い感情が俺の中でじーんと広がった。
「衛、今日この時だけ、俺に負けてくれないか?」
俺のまっすぐな目から避けるように、彼女は小さく「わかったよ」と答えた。
俺たちはお互いのぬくもりを感じながら、体を重ね合わせた。


― ※ ―― ※ ―― ※ ――

そして次の日、二人は真ん中に天然娘を挟んだまま、気まずくお互いの顔を見ることになったとさ。
以上おわり。
エチーシーンが途中で終わったのは、手抜きだったごめんなさいごめんなさいごめんなさい。
あまりにも緊張してどきがむねむねしたせいで、いろいろ間違えた。日本語の表現とか、アンカーとか。
478名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 19:50:15 ID:sTaxYUSJ
>>477
いいね。衛は健気だなぁ。
479名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 04:47:31 ID:n6h0CMOC
GJ!
衛のエロが読みたい(´・ω・`)
480名無しさん@ピンキー:2008/02/11(月) 02:11:06 ID:2bNkCh1S
>>474 に 全俺が泣いた
481名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 22:38:27 ID:aonPQi46
これは?携帯だけだけど
ttp://courseagain.com
482名無しさん@ピンキー:2008/02/13(水) 03:07:57 ID:cwsyYMil
投下するのは現代の話じゃなくてもいいんか、ここ?
483名無しさん@ピンキー:2008/02/13(水) 03:09:45 ID:nKAZqOTI
異世界だろうと現実だろうと現代だろうと過去だろうと未来だろうと大歓迎だよ!
実際SFと異世界は過去に投下されてるよ!
484名無しさん@ピンキー:2008/02/20(水) 01:53:12 ID:0dj1Vzn0
ロリっ娘でボクっ娘でエロエロな話が読みたいです……><
485名無しさん@ピンキー:2008/02/21(木) 22:58:11 ID:zwPz1vw/
小説初投下です。
このスレか男装か、またはツンデレか迷ったあげくお邪魔します。
486名無しさん@ピンキー:2008/02/21(木) 23:03:12 ID:zwPz1vw/
「そこ!何してんだ!!」
怒鳴り声と同時に、鞭が頬をかすめていく。

「・・・っ!」
毎日、毎日石を運んでいる。
この作業は隣の国が攻めてこないように、城壁を作る工事だと聞いている。

私の暮らしていた村はもともと豊かではないのに、戦のせいで、田畑はめちゃくちゃになっていた。
戦に借り出されていた男達が戻って、やっと田畑を元に戻そうという時だった。
それなのにある日突然役人がやってきた。

まだ十四の弟も、戦から戻ったばかりの父様も、結婚が決まったばかりだった兄様も。
村の男は、皆連れて来られた。それだけじゃない。
役人たちは、村に残っていたわずかばかりの食料を奪い、女たちも連れて行った。
見目が良い女性は王や上役への貢物に、若い女性は兵士の慰み者に。
母様も例外ではなかった。何かを感じ取った母様が役人の目を盗み、私の髪を短く切り
さらしを締め、男装をさせてくれた。
採石場の方はめどがついたら解放されるだろうという淡い期待を込めて。

「女という事が悟られないよう上手くやるんですよ。」
「……母様」
「ふふ……。あなたは私に似て美人だから無理かもしれませんが、採石場にいる間だけでも何とか偽りなさい。」
そう言って私に不安を与えないようにしてくれた母様。
だから私も何でも無い事の様に努めなくてはならない。
「また会える事を切に願っています。どうかご自愛を」
「そうね。……林(リン)元気で。」

いつか母様に再会出来ると信じ耐える日々を送った。だけどここに来てから半年は経とうとしている。
そして村に残されたのは年寄りと幼い子供たちだけ、働き手がいなくなってしまった村。

「手を止めるな!!!」
思いを馳せる暇さえない。
少しでも休んでいると役人の鞭が飛んできた。逆らったりしようものなら、気を失うまで殴られる。
……仲間が殺される事も珍しくなかった。
最低限の食事ときつい労働。病人や怪我人が後を絶たなかった。
487名無しさん@ピンキー:2008/02/21(木) 23:03:47 ID:zwPz1vw/
「……ん?おい!そこの聞こえないのか!?立て!!」

役人に鞭を振られ叱咤されているのは、三日前から高熱を出している弟だった。
本当は働ける状態では無いのに休む事すら許されず、石を担ぎ上げたまま倒れこんでいた。

「止めろ!!!この体調じゃもう無理だ!!それくらい分かるだろ!」

私は慌てて弟と役人の前に駆け寄った。ただでさえ生まれつき体が弱いのにこれ以上何かされたら
……考えたくもない結果がよぎる。
「……リン。だ、めだ。に……げろ」
弟は立ち上がる体力が無いのだろう、真っ青な顔をして弱々しく首を振る。
「バカ!何言ってるんだ!!」
弟を担ごうとしてドサリと派手に地面に転げる。
力が完全に抜けきってしまった体は何て重いんだろう、私は弟一人も担げないのか……。
あまりの無力さに腹が立つ。

「いいから……おいて、いけ。」
「うるさい兄弟だ。どけ!」
「……っ!!」
役人に思いきり横腹を蹴飛ばされ骨が軋んだ。
脆い体は簡単に飛ばされ、私も地面に這い蹲るような格好になる。
「リ…ン…」
「お前もだ!!」
弟を容赦無く殴りつけ、蹴飛ばす。鋭い鞭の音と、蹴りつける鈍い音。
辺りに響く役人の怒鳴り声。
グシャッと嫌な音がして、弟の鼻から地が流れ落ちてきた。

「やめろ!!!!」
立ち上がり、唇を噛み締め役人に体当たりをしようとした。
その肩を誰かに掴まれた。
「止めて下さい。そいつを殴るんなら俺を代わりに」
「……父様?」
「ふん、お前は父親か。」
役人は嫌な顔でにたりと笑った。
「お前ら一家はどいつもこいつも怠け者らしいなぁ!いい機会だから思い知らせてやろう!」

足を振り上げると、弟の腹を思い切り踏みつけた。
一度だけじゃない。何度も、何度も繰り返し弟の腹を踏みつける。
ピクリとも動かない弟をまるで砂袋か何かのように踏み続ける。

「!!」

「やめろぉぉぉーーーー!!!!!!」
怒りに任せて前に出た私を思い切り押し退け、父様は役人に向かって持っていた『のみ』を振り上げる。

ギラリと何かが光った。鋭い閃光が走り
瞬間、真っ赤な血が空に飛び散った。
雨の中の泥人形みたいに地面に崩れ落ちていく父様。
役人が剣を抜き、喉を貫いていたと判断出来た時には遅かった。
そのままそれは弟にも突き立てられ、同じように空に赤が舞った。
488名無しさん@ピンキー:2008/02/21(木) 23:05:44 ID:zwPz1vw/
「……ふん、黙って働いていればいいものを。」
役人は、父様の服で剣をぬぐうと辺りを見回した。
「おい!誰かこいつらを捨てて来い。」

「……ぁ、」
悪い夢だ。きっと明日の朝になれば、いつもと変わらない顔で二人は笑っているに決まっている。
だけど二人の見開いたままの虚ろな目が、そんな夢は掻き消した。
今起きた事は現実だ。ここにいる二人はもう息をしない。

……

何でもなかったかの様に立ち去ろうとする役人の背中を追いかける。
「リン、やめろ。」
不意に誰かが、私と役人の間に割り込んできた。
「兄様……」
「無茶をするな。お前まで殺される。」
「それでもいい………」
「お前まで死んで、それで親父たちが喜ぶと思うのか!?」
弟は自分を置いていけと言った、父様は私を止めて役人の間に割って入った。
二人とも私を助けようとしていた。そんな事は分かっている。
分かってるからこそ、一人ここでのうのうとしていられるわけがない。
止める事も出来なかった、見ているだけだった自分が何より許せない。

「頭を冷やせ。今追っても殺されるだけだ。時期を待つんだ」

時期?兄様は何を言っているのだろう。

「リン、よく聞け。たぶんここに居ても解放される可能性は無い。」
分かってる……。
「……気付いています。」
死体置き場を見るともう随分古い骨がある。何年も前に連れてこられた人のものなのだろう。
「そうか。お前は相変わらず賢い子だね。」
幼かった頃よくしてくれた様に、大きな掌で頭をくしゃくしゃと撫でられる。
「……よして下さい兄様。」
そうは言ったが、表情が和らぐ兄様を見ているのは私も悪い気がしなかった。
489名無しさん@ピンキー:2008/02/21(木) 23:06:31 ID:zwPz1vw/
「まずはここを逃げよう。仇討ちはその後確実にやるんだ。」
一刻も早くあの役人を殺したい衝動を押し込めて、頷く。
「よし。手筈だが見回りの剣兵はここ、弓兵はそこを担当で定時に巡回してる。
見つかってしまったら弓兵は俺が引きつける。剣兵だけなら、俺たち二人とも足は速いからどうにかなる。
勿論見つからないようにするのが最善だが。」

砕石作業をするのに与えられた道具では逃亡の邪魔になるだけで、何かに使用出来るという事が無い。
良い策とは言えないが、以前から脱出の事を考えていた私もそれ以上に良いものが出てこなかった。

「弓兵は私が引き付けます。私の方が足は速いので兄様よりマシです。」

「駄目だ。」

「かえって邪魔です。」
「……」
兄様は、はーー、と盛大に溜息をついた後「言い出したら聞かないからな。」と笑顔で言ってくれた。
納得してくれたことに私は胸を撫で下ろす。

これでいい……
大切な人が死ぬところを見るのは、もうごめんだ。
490名無しさん@ピンキー:2008/02/22(金) 00:31:23 ID:CXBhfw+P
マルチ乙
491名無しさん@ピンキー:2008/02/22(金) 01:28:10 ID:7kXS38Zo
>>490
ごめんね。先にツンデレにお邪魔したんだけどスレ違いになりそう
だったからこっちに投下させてもらった。
492名無しさん@ピンキー:2008/02/22(金) 03:26:59 ID:4Jww1ZDM
こりゃたしかにツンデレスレ向きじゃないわ
デレまでがヘヴィすぐるw

読ませる人なので俺は大歓迎なり
493名無しさん@ピンキー:2008/02/22(金) 12:23:55 ID:X7ZWy5UN
確かに重い、重いが…
それがいい…!
続きを期待


あと歯を食いしばって不屈の闘志を燃やす女の子ってクるものがあるよね
494485 ◆.3BcCymFtM :2008/02/22(金) 21:46:32 ID:7kXS38Zo
>>492>>493
ありがとうー。
なにぶん長くなりそうなので最後まで書き終わってません。
ちょこちょこ切りのいいところまで出来たら投下させてもらいますね。

今更ながら注意書きですが、確かに鬱くさいので注意。↓

******  *******
計画を細かく練り、月のない夜まで待った。

おかしい………
あまりにも見張りがいなさすぎる。何だか嫌な静けさだ。
今日は諦めて別の日に見送った方が良いのではないだろうか
「お前!!」

役人の怒鳴り声が辺りの静寂を破った。
!?兄様が見つかった。だけどどうしてあんな所に計画と全然違……
…………
お腹に……、兄様のお腹に
矢が突き刺さって

「リン来るな!逃げろ!!」
「ちっ。もう一人いたのか!」
「…………やだ、に、ぃ……さま」

呼子を吹こうとする見張りに兄様は飛びかかった。
紐が引きちぎられて、呼子が地面に転がる。
騒ぎを聞きつけた一人の剣兵が駆けつけ、そのまま兄様に向かって剣を振り上げた。
「リン、にげ……」
言葉も終わらないうちに、剣が体を切り裂いて……
「こいつ!放せ、!!!」
すでに血の気のない顔は、嘘みたいに青白かった。
それでも見張りにしがみついて
「……は、し……れ、はや……く、」

「…ぃ…さ、ま」

「……はしれ!!!」
それはほとんど悲鳴だった。はじかれるように私は夢中で走り出した。

「……………い、き……ろ」
495485 ◆.3BcCymFtM :2008/02/22(金) 21:47:10 ID:7kXS38Zo
振り向かずまっすぐに。壁を登り、草を蹴散らし、木の枝をなぎ払って、ただひらすら走った。
どこへ向かっているのかなんて分からない。そうしてどれだけ走ったのかもわからない。
ただ暗い方へ暗い方へと走った。獣も通らない木々の中へ。
息が切れ、胸が張り裂けそうに痛んだ。だけど、立ち止まることはできなかった。
兄様の最期の言葉に従って、私は走り続けることしかできない。

そうしながら私は誓った。
父様と弟を殺した役人。
兄様を殺した見張り。
この二人を刺し違えてでも殺すと。
そのために、今はなんとしても生き延びると。

「っ!」
木の根に足を取られて、体勢を崩してしまった。
そのまま積もった落ち葉に足を滑らせて、急な斜面を転がり落ちていく。
……このままどこまで落ちていくんだろうか。
そう思いながら、私は意識を失った。


ここは何処だろう。
地面の上に何枚か服を重ねた上に寝かされていて、上には大きな上着がかかっている。
床も、壁も天井も、地面がむきだしだから、どうやら洞窟の中らしい。
肉を焼く臭いに混じって、膏薬の独特の臭いが漂っている。
見れば私の体のあちこちに膏薬が張ってあった。
随分良い待遇だがまさか
「にい……」
「ようお嬢ちゃん。目ぇ覚めたのか?」
そう言って現れた男は三十近いだろうか、ひげを少し伸ばしたかなりがっしりした背の高い男だ。
整った顔立ちとしっかりと着込んだ上等な鎧を見ると、山をねぐらにする野党の類には見えない。
だけど、鋭い目や腰の大きな剣には戦の臭いが染み付いている。
役人でもなさそうだけど、無防備に信じることはできない。
「……俺は男だ、女じゃない」
「女じゃない、か。寝てる間に身体を拭いて手当てをしたのは俺なんだが、どう見積もっても男には見えなかったぞ。」

「………お前、勝手に人の身体を見たのか!?」
「おー見た見た。だけどなぁそう言うことはもっとこう、ばんっと立派な乳をつけてから言え。
お前みたいな十六、七のガキんちょの身体を見たところでどうにもなりゃせんさ。」

―――な、!?
「悪かったなガキんちょで!別に、そんな……胸があろうとなかろうとそういう問題ではなく
お前のような無礼な奴に見られたことが屈辱だ!」
こんなことが言いたいわけじゃないのに、男のあまりにも無遠慮な言葉が私を怒髪衝天させる。
「怒るなって、後五年くらい経てばお前、見目が良いからべっぴんになってるぞ。
肌は真っ白だし、髪なんて珍しい色をしている。金。いやどっちかっつうと白か」

「違う!そういうことを言ってるんじゃない。お前は私が寝ている間に何を見たんだ!
それに髪なんて、金でも白でもどっちでもいいだろう。見目だって良い方じゃない!」
まくしたてるように一気に言いきってしまった私に、鋭い目を細めて男は心底楽しそうにケラケラと笑った。
「お前面白い奴だなー。そんなに言うなら奴隷商のところへでも行って値踏みしてもらうか?こっちの言い値で売れるぞ。」

冗談じゃない。こんなところで捕まってたまるものか。
496485 ◆.3BcCymFtM :2008/02/22(金) 21:47:58 ID:7kXS38Zo
「まぁ、とりあえず落ち着け、傷に障る。」
瞬間信じられないほど男が優しい表情になる。
敵意がないことを示すみたいに、腰の剣を床に置いてドカっと座り込んだ。
こっちの考えが見透かされているようできまりが悪い……。
……悪人に見えないのが悔しい。
「俺の名は江蘇芳、スオウでいい」
「……………」
「ん、なんだよ?」
「手当てしてもらったのに取り乱して、その、わるかった。
……それとありがとう。私はリン。察しているかもしれないが近くの採石場から逃げてきた。」
「おう、気にするな。しかしよくあそこから生きて出れたものだ。まぁ、役人に突き出すなんてことはしないから安心しろ。」
そう言ってぐしゃぐしゃと豪快に私の頭を撫でまわす。
「………」
……全然似てないけれど、
ずっと前から耐えてきたものが溢れてしまいそうだったからやめてほしかった。

「ん、どうした?」
「……別に、どうもしない。」
そうだ、こんなことしてる場合じゃない。

「こんなこと、してられない」
床から飛び起きようとした私に、足の痛みが襲い掛かりしゃがみこんでしまう。
「おいおい、無理するなって崖から落ちて一日寝込んでいたんだぞ。」
「……っ、駄目だ、役人のところに行かないと」
「役人?一体何を考えているんだ?」
スオウは私を寝床に押し戻そうと体を掴んで放さない。
「放せっ」
「おとなしくしろ!何があったか知らねぇが、その怪我で行かせるわけにはいかない」
「くっ……!」
バタバタと見っともなくもがく私をスオウは床に縫いとめ、鬼の様な形相でにらみつけてくる。
「何のために俺が手当てしたと思ってるんだ。それとも手間を省いて今ここで俺が殺してやろうか。」
497485 ◆.3BcCymFtM :2008/02/22(金) 21:49:50 ID:7kXS38Zo
「……理由くらい聞かせろ。何があった?」
有無を言わせない言葉と、のしかかかってこられたスオウの腕があまりにも重い。
「………話すから、手をどけてくれないか。」
早く行かせてはくれないだろうか、言葉にすると息がつまってしょうがない。
スオウは何も言わずに話を聞いていた。
そして最後まで聞き終わると、黙ってクシャリと私の髪をかき混ぜた。
「………よしてくれ。」
「俺のガキにな、よくこうしてやってたんだ。癖みたいなものだから、気にするな。」
「……」
「……よく聞け。俺には分かる。お前は賢い、俺の言うことがちゃんと分かるはずだ。
お前の兄貴はわざと囮になって見張りに切られながら、しがみついて放さなかった。
父親は、お前を止めて自分が役人を殺しに行った。それはどうしてだ?お前なら、分かっているだろう?」

兄様の気持ちも、父様の気持ちも分かる。そしてスオウの言いたいことも分かった。
だから、私は何も言えずにうつむくしかなかった。
「みんな、お前に生きていてほしかった。そうだろう?家族に助けられた命だ。無駄にするな」

わかってる……わかってるけど、兄様みたいなことを言わないでほしい……。
「だけど。それじゃあ助けらてそのまま何もせず。ただ無駄に生きろと言うのか?
確かに助けられた、だけど。みんなはそのせいで、………私のせいで死んだ。」
理不尽に命を絶たれ無念だっただろう。
父様と弟の顔は安らかなものではなかったのだから。
「………時間をかけてよく考えるんだ。家族がお前に託した望みを」

「何も思いつかない………ただ一つ、果たせなかった復讐を成し遂げること以外は」
「………」
「私にはもう何も残っていない。」
もう行ってもいいだろうか……。
「それじゃあ。世話になってすまなかった。生きて帰れたら必ず礼をする。」
「……何も残ってないか。」
壁に手を這い、なんとか片方の足で立ち上がる。くそ、まともに歩けやしない……。
ちょうどいい枝でも探して杖代わりにしよう。
「よし!リン。俺と一緒に来い」
「…………お前、ひ、人の話を聞いて、、な!」
抗議の声など無視し、私の両手足を布きれで硬く結び始めた。
「うわっ、ちょっと!」
さらには有無を言わさずスオウに…………担がれた。
「……これは、何だ?」
「俺は罪人でな。追手を撒きつつ進んでいる。こんな所にお前一人で居たら怪しまれるしな。」
「ちが、そうじゃなくて。この仕打ちは何だ?」
「直ぐには動かしたくないんだが、そうも言ってられんしな。」
何が楽しいのか、スオウはにこにこと子供のように笑っている。
「お前のことは誰にも話さないから、私を置いていけと言ってるんだ。」
「それにしても、なんだかこうしてると人攫いみたいだな。口に轡をはめれば完璧だ。」
「…………それはこれ以上暴れると轡を噛ませるという脅しか?」
「さぁ?」
ダメだ。この男、何を言ってもダメだ。話が噛み合わない。
別の方法を考えよう。
スオウは私を担いだままで、灯り代わりに燃やしていた焚き火に砂をかけた。
それが消えると、急に闇に包まれる。
嫌な闇だった。
心だけでなく、体までしめつけられるような気がしていた。
「役人も一人の人夫のために躍起になって捜索なんぞせんよ。
どちらかというと俺の追手が来ている。だがお前一人居たところでどうということはないさ。」
私が体を強張らせたのがわかったのか、スオウがそんなことを言った。
「………」
「だから怖がるな。」
「怖くなどない。」
「はは!そうか、じゃあ行くぞ。」
私を笑い飛ばし。スオウは大股に歩き出した。
498485 ◆.3BcCymFtM :2008/02/22(金) 21:51:11 ID:7kXS38Zo
日が暮れかけた山道だというのに、私を担いだままペースを崩さない。

「その……すまない。重いだろう」
「何言ってやがる。軽すぎて鍛錬にもなりゃしねぇ、もっと肉を喰え肉を。」
「…………そう、なのか……」
私は食べることに執着しないので、ついつい食事は忘れがちになってしまうのだけど
こいつは肉ばかり食べていそうだなぁとふと思う。
そうやって見上げていたスオウの顔がさっと引きしまった。
「じっとしてろ」
低く呻るように言って、私を木の陰へと下ろす。
「おい、これ……」
私はというと手足が縛られたまま、どうすることもできない。
また足手まといにしかならないのかと思うと、本当に情けないが
せめて布を切ってくれないか……

スオウはスラリと見たこともないような大剣を抜く。
「おい、出てこいよ!こねぇならこっちから行くぜ三下共?」
「バカ、そんな!」
挑発するようなことを!

ヒュッ!!!
その瞬間、何かが風を切る音がした。
「そこかっ!」
自分に向かって飛んできた矢を叩き落し、そのまま矢を放ったであろう敵目掛けて獅子のごとく猛進する。
「ぅを、!!――――――ぎゃぁぁぁぁ!!!」
「次!」
「貴様ぁ!!!!!!」
「ぅぁ゛ぁああ!!!!」
白刃がきらめくたび男たちの断末魔が耳をつんざく。
強いなんていうものじゃない。まるで獣だ。
あまりの太刀の速さと正確さに、男たちは切り結ぶことすら許されず地面に沈めていく。
数人切られたところであまりの力の差を感じたのだろう。
半狂乱になり喚き散らしながらスオウに飛び掛る。
そんな無茶苦茶な弓と太刀では届くはずもなくまた沈められていく。

「次!!」
一騎当千とはこのようなことを言うのではないだろうかなど、ぽつりと思った。

「おい、リン!ほら、行くぞ!」
「ぁ……。」
終わったのか……。
「あいつ等の本隊が近くにいるだろう。幸い日も暮れかけているしこのまま闇に紛れて距離を稼ぐ。」
そう言って私の傷に負担がかからないように、ゆっくりと先程のように担ぎ上げる。

さっきまであんなにも沢山の人を切った手だというのに
あまりにも暖かく私の身体を包んだから、どうしていいか分からなかった。
499名無しさん@ピンキー:2008/02/23(土) 18:39:43 ID:T4k11SvX
GJですが、投下終了ならそう宣言して欲しいです。
皆書き込みを躊躇しますから。

次スレ立てておきました。
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1203759527/l50
500名無しさん@ピンキー:2008/02/23(土) 21:31:50 ID:3vh64KcU
501お別れの挨拶 ◆ga4Z.ynmGk :2008/02/26(火) 06:04:54 ID:9TOT2bxv
ぱたぱたぱたぱた…。
ぎぃぃぃ、ばたん。
ぱた、ぱた……ぱた。
………………………。
………。
ぺたん。
ころ、ころ、ころん。
じぃー…。
「おーい?」
! ………。
ぱたぱたぱた、ばたん。
「こんな所にいたんだ」
ちら。………ぷぃ。
「…んー。すっかりなんもないねー」
………。
「ほとんど全部送っちゃったから、後は僕達だけだね」
………、…。
「んー?」
………、……。
ぱた、ぱた…すとん。
………、………。
ぎゅ。
………!
「そーゆー時は我慢しなくていいよ?」
じわ。
「お別れ会、皆来てくれたね」
ぐず、
「今日はワガママ、言わずにいたね」
ぐすん、ぐすん、……、
「偉かったね、だから…」……っ
ぎゅう。
「泣いても、いいよ?」
っっっ!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!

………。
………………………。

「落ち着いた?」
………こくん。
「ん。強いね」
………。
「だから、ご褒美♪」
ちゅ
しゅぼっ…!
………っ!?
「あはは、元気になったね」
くぃくぃ。
「なんだい?」
ぼそ………、ぼそ…。
「ん。どういたしまして」すくっ。
「じゃあ、最後は笑顔で行こうか?」
こくん。
「また次スレで」
…ぺこり。にぱ。
502 ◆ga4Z.ynmGk :2008/02/26(火) 06:08:56 ID:9TOT2bxv
お久し振りです。
また寝付けなかったので書きました。
分かり難いかも知れませんが引っ越し&埋めネタです。
相変わらずストーリー皆無ですが私は(ry

では以下、何事も無かったように埋め作業をどうぞ
503 ◆ga4Z.ynmGk :2008/02/26(火) 06:14:53 ID:9TOT2bxv
…っぐはぁ!?
誤爆った……。
見なかったことにして下さいoTL
504名無しさん@ピンキー:2008/02/26(火) 18:17:11 ID:7hEpTsA5
おまえかw
505名無しさん@ピンキー
無口スレで待ってるぜ