【ポップンギタドラ】★音ゲーエロ小説2★【IIDXDDR】

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1名無しさん@ピンキー
音ゲー(コ○ミには限りません)のエロSSスレです。
基本はノーマル・百合オンリーで。他のシチュは原則当該スレへお願いします。


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関連スレ

ポップンのエロ小説ぱぁと5なのだ
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1122638507/l50

【ポプデラ】音ゲーなりきりHスレ20【ギタドラDDR】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1135360657/l50

2DXエロ小説スレッド 建て直しVer
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/erocomic/1037036766/l50

2名無しさん@ピンキー:2006/03/01(水) 09:12:33 ID:gS6RyfSv
おらおら、WWF(World Wide Fund for Nature:世界自然保護基金)の
愛くるしいパンダ様が>>2ゲットだぜ! 頭が高いんだよ、ボケ!

.         ,:::-、       __     >1 クソスレ建ててんじゃねーよ。ビンスみてーに裁判で潰しちまうぞ。
    ,,r   〈:::::::::)    ィ::::::ヽ    >3 >>2ゲットも満足にできねーお前は、俺の着ぐるみ着てプラカード持ってろ(プ
  〃   ,::::;r‐'´       ヽ::ノ     >4 お前はカキフライのAAでも貼ってりゃいいんだよ、リア厨ヒッキー(プ
  ,'::;'   /::/  __            >5 汗臭いキモヲタデブは2ちゃんと一緒に人生終了させろ、バーカ。
.  l:::l   l::::l /:::::)   ,:::::、  ji     >6 いまさら>>2ゲット狙ってんじゃねーよ、タコ。すっトロいんだよ。
  |::::ヽ j::::l、ゝ‐′  ゙:;;:ノ ,j:l     >7 ラッキーセブンついでに教えてやるが、俺はストーンコールドが好きだぜ。
  }:::::::ヽ!::::::::ゝ、 <:::.ァ __ノ::;!     >8 知性のねーカキコだが、お前の人生の中で精一杯の自己表現かもな(プ
.  {::::::::::::::::::::::::::::`='=‐'´:::::::::/      >9 つーか、自作自演でこのスレ盛り上げて何が楽しいんだ?
  ';::::::::::::ト、::::::::::::::i^i::::::::::::/      >10-999 WWEなんか見てるヒマがあったら、俺に募金しろカスども。
.   `ー--' ヽ:::::::::::l l;;;;::::ノ       >1000 1000ゲットしたって、WWF時代の映像物に販売許可は出さねーよ。
        `ー-"
3名無しさん@ピンキー:2006/03/01(水) 16:45:10 ID:fEVTOyJH
>>1
4名無しさん@ピンキー:2006/03/02(木) 00:42:30 ID:enEx63NC
男は部屋に飛びこむと慌てて持っていたトランクを開いた。
「大丈夫かっ!?痛くなかったかっ!?」
中身は手足を外したユニだった。
「ちょっと!もっと丁寧に扱ってよ!痣でもできたらどうすんのよ!
いいからはやく手足つけてよ!」
5名無しさん@ピンキー:2006/03/03(金) 01:04:18 ID:VOm3kdc0
マニアック過ぎだろ。
6名無しさん@ピンキー:2006/03/03(金) 16:06:22 ID:5CkL5Sm8
即死は嫌よ
7名無しさん@ピンキー:2006/03/03(金) 18:17:28 ID:x5LboZJl
保守。
前スレなくなってたけどどうなったんだろう。
8名無しさん@ピンキー:2006/03/04(土) 01:25:07 ID:mEW+0fwE
980過ぎて24時間書きこみがないと落ちます。
9名無しさん@ピンキー:2006/03/04(土) 17:14:28 ID:7HtRJgJI
まったり保守
10名無しさん@ピンキー:2006/03/05(日) 00:48:37 ID:eDIOVrZj
今日も保守
11名無しさん@ピンキー:2006/03/05(日) 01:42:57 ID:Q4zKQOEA
ガーデンのムビにエロスを感じるのは俺だけでいい。
12名無しさん@ピンキー:2006/03/05(日) 22:58:19 ID:iBHnxSgF
保守ついでに
茶倉の全身popを見たときの第一印象

この服…ジッパー下げて股の間に手を滑り込ませて
クチュクチュできるよな

正直最初はエロ過ぎて直視できんかった
13名無しさん@ピンキー:2006/03/06(月) 01:00:16 ID:Ehwa3GZD
昔の彩葉は胸のジッパー下ろしてたが
8thポスター以降の彩葉はジッパー上げっぱなし。
その代わり生足。
今こそジッパー下げ生足彩葉の登場を望む。
14名無しさん@ピンキー:2006/03/07(火) 00:00:43 ID:NSvCXj16
>13
彩葉と聞いてやってきましたよ。

ジッパー下ろしジャケの下は生乳、生脚でノーパソで視姦の中寺プレイ。
ミスったら先輩プレイヤー達の特別寺特訓が待っている……

というので良ければ書かせてくれ。
15名無しさん@ピンキー:2006/03/07(火) 01:51:08 ID:HjCUOJdA
期待してるぞ。
16名無しさん@ピンキー:2006/03/08(水) 16:43:00 ID:sAQDGZy5
wktk保守
17名無しさん@ピンキー:2006/03/09(木) 06:36:51 ID:SotVBusZ
しっぽのロックの二人にエロスを感じたのは俺だけで良い。




ぜってーそういう関係だって、あの二人。
18名無しさん@ピンキー:2006/03/10(金) 00:50:01 ID:KfHH0mD8
>13はたぶん9thの間違い。
19名無しさん@ピンキー:2006/03/10(金) 16:09:21 ID:uqbz8oN4
期待
20名無しさん@ピンキー:2006/03/12(日) 01:20:27 ID:sEWNw4oP
保守
21名無しさん@ピンキー:2006/03/12(日) 18:15:12 ID:2CIzJAq0
あまり盛らないな
22 ◆xdgBsiroro :2006/03/15(水) 01:14:45 ID:cLF0ngXy
>>4
懐かしすぎ…
23名無しさん@ピンキー:2006/03/15(水) 17:35:32 ID:BggQYXUf
りゆたん・・・
24名無しさん@ピンキー:2006/03/16(木) 00:04:37 ID:3wD0oZs/
>22
待ってたよ。
じゃ、また次スレで。
25名無しさん@ピンキー:2006/03/16(木) 22:40:45 ID:OeBRV/JH
新作リザの彩葉見た。




太股エロすぎ。
26 ◆xdgBsiroro :2006/03/17(金) 12:31:20 ID:ackMOfpz
「今回は脚がくる」
白、黒と続くと他の女性陣にも否応なしに期待してしまう
27名無しさん@ピンキー:2006/03/18(土) 18:11:07 ID:iIY6faUT
新作発売されたのでこちらにも期待
28名無しさん@ピンキー:2006/03/20(月) 15:52:36 ID:lVp7Y/eW
保守
29名無しさん@ピンキー:2006/03/21(火) 19:18:42 ID:hT/MPNzf
 識のゲーセン内、最近新作DistroteDが稼動した2DXの筐体の前で、
歓喜の叫び声が上がった。
「よっしゃあああ!朱雀穴クリア!」
 筐体の前で上機嫌でいるのは、艶やかな黒髪をポニーテールに
結わえている赤いバイクスーツの女、茶倉であった。

「どうだ見たかおまえら!このアタシのプレイ!」
 そう言って得意げな顔で後ろを振り向いた茶倉だったが、
その瞬間、後ろに並んでいた男たちが一斉に下を向いた。

「ん?なんだよ何が気に入らないんだよお前らっ!」
「茶倉、茶倉」
 彼女が怒りの叫びを上げたところに、ひとりの男が伏目がちに
なりながらも彼女に声をかけて、その上半身を指差ししていた。

「あ?」
 彼女がその指差しに促されて自分の姿を見ると、
バイクスーツを半身脱いだだけでも目のやり場に困るのに、
その激しいプレイのおかげで胸を覆っていたサラシまで
緩んでしまって、白い胸がほとんど露出した格好に
なってしまっていた。

「い、いやああああああっ!!!」
 今度は、手で胸を押さえた彼女の甲高い絶叫が響き渡った。

 そんな慌て者の彼女に呆れつつも、ちょっと得した気分の
ギャラリー達であった。



茶倉リザがサプライズだったから保守がてらにやった
特に反省はしていない
30名無しさん@ピンキー:2006/03/21(火) 22:56:06 ID:j+Cv7JVQ
茶倉胸ちっちゃくなった?
いや、あの位のサイズでも好きだから良いんだけど。。
31名無しさん@ピンキー:2006/03/22(水) 00:46:48 ID:m7aDwThB
>>30
サラシで圧迫



だと思いたい。
貧乳でもいいけどな
32名無しさん@ピンキー:2006/03/23(木) 01:54:10 ID:RXkBRXuN
>>29
GJ
33名無しさん@ピンキー:2006/03/23(木) 20:40:46 ID:iSBySU/B
誰か…りゆのエロを………
34名無しさん@ピンキー:2006/03/23(木) 23:55:07 ID:P/48L+58
どっちのりゆだよ
35名無しさん@ピンキー:2006/03/24(金) 16:21:07 ID:6gEuEJma
>>34
クリップの方のりゆが一番いいと思うんだが
36名無しさん@ピンキー:2006/03/25(土) 02:22:54 ID:hnRB+me+
beginのクリップのりゆですね!
37名無しさん@ピンキー:2006/03/25(土) 19:53:18 ID:kZkasQaz
質問。
エロなしのSSって投稿していいんですか?
38名無しさん@ピンキー:2006/03/25(土) 21:30:46 ID:QDLHjUa6
活気付くならそれでも良いんじゃない?
39名無しさん@ピンキー:2006/03/31(金) 09:30:40 ID:8c87f8Vu
ほっしゅ
40 ◆xdgBsiroro :2006/03/31(金) 19:59:25 ID:wI+LmxmC
ナイア姉様なんて
公式がエロ同人みたいになってきた件
41名無しさん@ピンキー:2006/04/05(水) 09:57:03 ID:7adHSgKR
ほしs
42名無しさん@ピンキー:2006/04/05(水) 16:59:07 ID:BCv/+D7U
ツガルやシアの身代わりにされて傷ついた理々奈が
ナイア姉様を自分だけのものにしようとぺニバンで犯す話

なんてどうすか
43名無しさん@ピンキー:2006/04/05(水) 20:31:06 ID:mi/mHris
>>42
いいな
44名無しさん@ピンキー:2006/04/09(日) 01:10:07 ID:nDFC1Q4W
hosyu
45鉄火×茶倉:2006/04/14(金) 19:18:59 ID:h6CocMRC
保守代わりに投下。エロなし、公式まる無視。


「一発やらせろ」
「はぁ!?」
 鉄火は目を丸くした。
 昼日中、ホームではない別のゲーセンで、二人で順番待ちをしながら言われる台詞ではない。
「耳クソ詰まってんじゃないの」
 目を白黒させる少年を面倒くさげに見やり、あくまで不機嫌に言ったのは長い黒髪に真っ白な肌の古風な美人――茶倉だ。
 珍しく出先で鉄火は茶倉と出くわし、近くにあったゲームセンターに一緒に入った。移動する時からずっとじろじろ見られるのを感じてはいたが、それがこう繋がるとは思いもしなかった。
 というか、思う方がおかしい。すこぶる付きの美人だが茶倉は鉄火のタイプではないし、おっかないし、確か彼氏持ちだからだ。
「それともその耳は飾りかい? あたしは一発やらせろって言ったのさ」
「――マジかよ」
 これで鉄火の聞き間違いという線は消えた。
「つーか今時そんな口説き文句、中年親父でも使いませんって」
「五月蝿い。四の五のお言いじゃないよ、童貞」
「どっ……!」
(……どうしてこの人はこう、言葉を選ばないんだ……!)
 ムード丸潰れの単語がまたしても出てくる。幸い五メートル四方は無人で、今の二人の会話を聞く者はいない。
 むしろいなくてよかった、と鉄火は思う。他人に聞かれたら立ち直れない。
 しかしこのさばさばしすぎた雰囲気はどうにかならないものか。主導権は茶倉にあるからなおさらだ。
「な、なんで、経験ないって」
「見てりゃすぐ分かるよ」
「――大体なんで俺なんすか。ど、……童貞が嫌なら他の奴捕まえてくればいいでしょ?」
「別に嫌とは言ってないよ。なに、あたしに指図する気?」
「いっいいえ!」
 思わず気をつけをして言ってしまった男子高生に、艶然と女は笑う。ゲーセン仲間の他の女子と違って、茶倉の身長は鉄火とほぼ同じだ。覚える圧迫感も段違いである。
「奴がしばらく仕事でいないから、溜まってるんだよ。あんたなら色々と後腐れなさそうだし」
「……後腐れ?」
「ビョーキは持ってないし、口は堅いし、後で彼氏面されなさそうだしね」
「俺、そんな口はカタい方じゃ……」
「堅くなるさ。好きな娘と初夜っつー時に恥かきたくないだろ、あんた」
「……そりゃあ、そうだけど」
 不承不承同意したところに、女は笑う。
「まあ白黒ちゃんだかセリカだか分かんないけどさ、その子にさ、あたしがあんたと寝てるなんてバレたら破局だよなあ?」
「――そしたら、俺もバラしますよ」
「あんたがニクス達んとこ行って言うのと、あたしが女連中に言うのと、信憑性が違うだろ、お馬鹿さん。――まあ、それは抜きにしても、どう?」
 軽く顎を掴まれて、鉄火はまじまじと茶倉を見つめた。
「あたしは性欲発散できるし、あんたは経験値が手に入る。悪くない話だろ?」
 睫毛の長い、僅かに潤んだ瞳に見つめられて、鉄火はごくりと唾を飲む。
 確かに性的方面の経験は、喉から手が出るほど欲しかった。しかも茶倉は処女ではないから気安く、顔見知りだから緊張しなくていいし、美人だ。
 雰囲気ぶち壊しなのも、恋人同士ではないのだからかえっていいのかも知れない。ロマンティックになんかやったら、忘れられずに泥沼になりそうだ。
 この場一回きりをスポーツでもするように終えて、後はそのまま知らん振りを貫けばいい。
「――乗った」
「そう来なくちゃ」

と言うのを妄想中。誰か続き書かないか。
46名無しさん@ピンキー:2006/04/14(金) 23:43:14 ID:MSF5MzFa
そこまで書いたなら自分で書けばいいんじゃないでしょうか。
47名無しさん@ピンキー:2006/04/16(日) 19:16:07 ID:lII7S4hl
>>45
激しく続き期待

十分文章力あるみたいでウラヤマシス
48名無しさん@ピンキー:2006/04/18(火) 01:34:18 ID:EMTAUP9s
wktk
49鉄火×茶倉・2:2006/04/19(水) 23:53:33 ID:McmF0PMZ
>>45の続き。公式丸無視注意。


「しかしさあ」
 適当に選んだラブホテルで、風呂上りの茶倉は言った。
 隅々まで洗っときな、あたしにどこ見られるか分からないんだから――
 言いつけ通りに(と言ってもどこをどう見られるのかさっぱり分からなかったので、結局普通の入浴と変わらなかった)汗を落として、備え付けのバスローブに少年は着替えていた。
 初めて入ったラブホテルはまあまあ清潔だが、やはりどこか普通のホテルとは違った。匂いというか、何というか、そういう目に見えないものが。
 家では布団なので慣れないベッドの上で、ぼうっと座って鉄火は茶倉を待った。出てきた彼女に感想を言うと、笑われる。
「……掃除方法がアレだからねえ」
 アレとは何か疑問に思ったが、訊かずにおく。ビデオ見なかったんだ、と話を変えて、茶倉はにやにやした。
「ビデオ?」
「ほれ」
 リモコンで電源を入れた途端、オー、とかアー、とかイエス、とかテレビが喘ぎ出す。
 あまりに画面の二人と自分達とがかけ離れていたので、かえって少年は欲情しなかった。持ち物が立派過ぎるので、現実味に欠けた。
「進んでるなあ」
「普通だろ、こんなん。……で」
 そして冒頭に戻る。
 向かい合わせに同じベッドに腰掛けて、揃いのバスローブをはだけさせる。そうして自分も片肌脱ぎながら、彼の鎖骨をさすって感慨深げに女は呟いたのだ。
「あんたといい彩葉といい、リリスといい、最近の高校生って発育いいもんなのかねえ」
 え? と目を丸くした少年の体を、掌で茶倉はなぞっていく。鎖骨、首筋、胸、肩、腹、と医者の検診のようにして触る。
 合わせから胸の僅かな陰影が見えたが、まだ男子高生は興奮しなかった。
 発育がいいって? どういう事だ?
 いや、白黒とも立派な胸の持ち主だから、服の上から見ただけで丸分かりなのだけれど、それでも。
「姐さん、見た事あるんすか?」
 社会人と高校生、それほど繋がりがある訳ではない。一緒に旅行に行ったり泊まりに行ったりする筈がなく、そんな話も聞かない。否定するだろうと鉄火は思っていたのだが。
「あるよ? 両方とも生で」
「どんなでしたか!?」
 がばり、と身を起こして少年は詰め寄る。思わずその両肩を掴んでしまう。
 あまりの剣幕にしばらく瞬いた女は、次いでつと、片腕で胸を庇った。呆れた、と言わんばかりの声で、
「――鉄、あんたねえ……据え膳目の前にして、どういう料簡よ?」
「あ……」
 相手はブラを着けていない。乳房が辛うじて腕で隠れているだけだ。すいません、と脱げかけのバスローブをかき合わせてやる。
 真っ白で滑らかな膚が、印象的だった。
「で、どうでした?」
「二人ともEはあると見たな。形も乳輪もキレーなもんだし、アレはパイズリも石鹸プレイも楽だろうね。……あたしじゃ、無理だけど」
「失礼ながら、どういった方法で……?」
「――トイレとか着替えとかの最中に『出ちまった』からだよ。リリスは修学旅行とプールの時」
 茶倉は一時期、件の少女に憑依していた。それを思い出して、納得する。
 したが、一箇所引っかかった。
「……『とか』、って? まだ他になんかあるんすか?」
「ん? ――あー。聞きたい?」
「そりゃ聞きたいっすよ」
 後悔するなよ、と茶倉は苦い顔をし、少年は即座に頷いた。それでも女は、容易には真相を明かさなかった。
「……一回ね。コトの最中に『出ちまった』んだよ」
「……コト、ってその、それ、」
 鉄火は絶句した。
 彩葉も慧靂も親しい仲だが、それと、彼らのそういう事を想像できる、受け入れられるというのは、やはり別問題だ。
「――だから言いたくなかったんだって」
「……奴、上手かったっすか?」
 元々茶倉の相手と比べられるのは覚悟していたが、慧靂が相手となると話は別だ。子供っぽい友人を見下した訳ではないのだが、友情に傷が付きそうで怖い。
 女は不敵に笑う。
「比べないよ。比べたとしても男には言わないね」
 だから、と一度バードキスを遣した。
「あたしがそんな余裕なくなるように頑張んな、鉄」
50鉄火×茶倉・3:2006/04/19(水) 23:57:18 ID:McmF0PMZ

 初めてのキスに鉄火はぽうっとなった。まともに触れなかったがそれでも、ここまで柔らかくて温かいものがあるんだろうか、と思った。
 唇だけでこれなら、この先はどうなるんだろう。
 分かりました、姐さん、と半ば夢見心地に答えたところ、茶倉はそのさ、と僅かに眉を寄せる。
「『姐さん』っての、何とかなんないの? あたしはあんたの姐さんじゃないよ」
「だったらそっちも、『鉄』って止めてくださいよ。俺は鉄火です」
「ん、分かった――鉄火。これでいい?」
「うん。ね……茶倉、さん」
 呼び捨てするのは憚られた。そっと囁くと、声を出さずに茶倉は頷く。
(あ、可愛い)
 もっと顔が見たくなり、肩に手をやり抱き寄せて、その時初めて部屋の仄暗さに気付いた。
(キスしていいのか……?)
 迷いながらも、鉄火は鼻先が相手の皮膚に触れるまで顔を近づける。眼鏡は元々非常に軽度のもので、外したから茶倉の顔が見えない、という事は幸いない。
 フェイスペイントが落ち、髪を解いた相手の面差しはやや柔らかく幼い。今は目をかるく伏せているから、尚更だった。
「……キス、もっかいしていいすか」
「ん……好きなようにやってみ」
 片手で弱く捕まえ位置を覚えてから、顔を近づける。鼻が当たりそうになったので、反射的に首を傾ける。
 そうしておそるおそる、唇を触れさせた。歯磨き粉のミントが香る。
 相手の体温と呼吸が間近に感じられる事が、一種異様な昂揚をもたらす。わ、と今にも叫びそうになって、口が半開きになった。
 すると向こうも唇を開けた。僅かな隙間の先で、ちろり、と何かが動くのを、少年は皮膚で感じる。
(え、え、え……!?)
 ディープキス、という言葉がほんの一瞬鉄火の脳裏に浮かんで消えた。
 自分の舌をほんの少し伸ばして、その正体を確かめる。暖かく濡れて、少しざらざらしているが滑らかだった。
(やっぱり舌だ……! うわ、なんか……なんか)
 すごい。
 茶倉の舌は辛抱強く逃げなかった。二度目の接触は最初より大胆になる。
 擦り合わせ、繋げ、突付き、ついには相手の口の中に侵入しても、茶倉は受け入れた。
 そうなると口だけでは物足りなくなって、両手で相手の顔を包み、首筋や耳や髪や、触れるところ全てを撫ぜた。骨の感触も、その上の適度に付いた筋肉の感触も、肌も、髪も、さらさらして気持ちが良い。茶倉もこちらの頭を抱えてきて、少年はひたすら口内を蹂躙した。
「……結構、長かったね」
 やがてどちらからともなく唇が離れて、茶倉は述懐した。
「意外と器用だね、あんた。飲み込み早いわ。普通途中で息できなかったり、唾呑めなかったりするんだけど」
「あ……」
 言われてみれば普通に鼻から息をしていたし、溜まった唾液は合間に飲み下していた、ような気がする。
 鉄火は赤くなった。女は笑い、少年の頭を撫でる。
「いい? セックスの最中ではね、あんまりがっつかない、いちいち相手に聞かない。これだけ心がけること」
「……はい」
51鉄火×茶倉・4:2006/04/20(木) 00:02:28 ID:McmF0PMZ

 思わず神妙に拝聴する。茶倉は続けた。
「あたしはともかく、あんたの本命はよっぽどじゃなきゃ処女だから。普通はあんたに裸見せるだけで怖くてガチガチになってて、濡れるどころじゃない。OK?」
「……そんなもんですか?」
 疑わしげに問うたところ、エロ本もAVも大抵嘘っぱちだから、と乏しい知識のソースを否定されて、鉄火はうなだれる。
「女はそういうもんなの。いっぱい優しい言葉かけてもらって安心して、しっかり気持ちいいところ刺激してもらわないとダメなわけ。最初は痛いもんだから、余計ね」
「はあ……」
「だから早く入れたいとか考えない。いきなりアソコ触ったって嫌がられるしますます濡れないから、じっくり全身攻めてくこと。そうしたら入れる時も楽だし気持ちいいから」
 いまいち分からずにいる少年に、ただし、と茶倉は一つ指を立てた。
「前戯が作業だとかタルいとか考えないこと。あんただって寿司握る時に惰性でやったりはしないだろ?」
「あ、確かに」
 たとえが非常に的確で、すんなりと納得できて、彼は頷いた。それなら理解できる。いやと言うほど親方に鍛えられたので。
「後、慣れてないと緊張してて、相手は喋れないもんだよ。そういう時にいちいち聞かれても答えられないし、自分が触られて気持ちヨくなってんのに、いきなり止めて、いいかなんて訊かれたら興醒めだからね」
「あー、なるほど」
「結局女はさー、男がいざって時押しが強くないと、醒めるわけ」
 いい? と念を押されて、少年は頷いた。
「……ま、ケースバイケースとも言うけど。でもさっきのは、悪くなかった」
 微笑んだところがまた可愛いと、少年は思う。
 今度は断りを入れず、鉄火は触れるだけのキスをもう一度送った。
「……早速応用なんだ?」
「嫌すか?」
 女は首を横に振る。そこを柔らかく押し倒した。黒髪が扇のように広がる。タオル地のローブがはだけて、胸の半分ほどが露だ。
 手首を掴んで圧し掛かると、「痛っ」と声が上がった。体重をまともにかけてはいけない、と実地に学んで、彼は体重を移す。マットレスが二人分の体重で深く沈む。
「――どこ、触って欲しいです」
「どこに触りたい?」
 茶倉はベッドサイドに手を伸ばし明かりを落とす。笑った。
「どこって……」
「自分の思う通りにやっていい。嫌なら、すぐ言うから」
「そんじゃ、失礼します」
 律儀に声をかけてから、鉄火は先ほどされたように、彼女の喉にキスを落とした。痕を残さないように唇で挟んで、そうすると皮膚の柔らかさを実感する。
 その最中に片肘で体を支えて、右手を乳房に伸ばす。鷲掴みにする。
 確かに自己申告通り、鉄火の手では空間が余った。だがその分、触れるとマシュマロか何かのように吸い付く。マシュマロと違うのは血が流れ筋肉が詰まって、みしりと重いという所か。
 比較対象がないがとても滑らかな肌で、そして、仰向けになっても全く崩れず球の形を保つのは結構凄いんじゃないか、と何となく考えた。
「ん……」
 少し褐色味を帯びた色の乳首を捏ねる。僅かに喉の奥で呻きが上がった。下敷きにしている腹が痙攣し、胸から二の腕へはっきりと腱が浮き上がる。沈むような柔らかさではなく、反発する弾力。
 普段鉄火が女性に対して漠然と抱く、柔らかい、ふわふわ、という言葉からは縁遠い体がそこにあった。マッチョと言うほどではないが、女らしい丸さにも乏しい。
 その分どこまでも健やかに細い。研ぎ澄まされて正に刀のようだ。
(……あれ)
 黒子の少ない肌に、何かしみのような物を見つけて、鉄火は顔を近づけた。暗いし、眼鏡がないから、見間違いかもしれない。
 だが指でなぞると、はっきりと小さな盛り上がりがあった。
 線状に、白い体の上を走っている――。


今日はここまで。
52名無しさん@ピンキー:2006/04/20(木) 00:52:22 ID:GaUAHizT
  _n
 ( l    _、_
  \ \ ( <_,` )
   ヽ___ ̄ ̄  )   >49-51 GGGJJJ!! 
     /    /    続き待ってます!
53名無しさん@ピンキー:2006/04/20(木) 15:34:22 ID:QzZZZT2e
うまいなあ。鉄火×茶倉もいいじゃんと思うようになってきた。
続き楽しみにしてます。
54名無しさん@ピンキー:2006/04/21(金) 00:15:02 ID:g2qM8zGB
前スレでデザートレインの二人で書いてた者です。
筆の進みが遅いので完結はまだ先になりそうです。
ただ前スレ落ちてるので、
完結編の時は前に投稿したのも含めて
全部投下しようかと思うのですが、大丈夫ですかね?
55名無しさん@ピンキー:2006/04/21(金) 14:02:14 ID:/eAzo4RJ
>>54
いいんじゃないか。ガンガレ!
今後もスレの活性化のために励んでくれ
56名無しさん@ピンキー:2006/04/23(日) 02:02:45 ID:BNpooe1m
GJ!
超イイ(・∀・)
続きを待ってます!
57名無しさん@ピンキー:2006/04/23(日) 19:42:41 ID:VcOhvi3e
クリップの
のりあ×りゆ
をキボン
58名無しさん@ピンキー:2006/04/23(日) 20:38:30 ID:qr6lXQzS
>>57
そう言えば前スレで書いた人がいたような。
あの職人氏どうなったんだろう…
59名無しさん@ピンキー:2006/04/25(火) 00:10:22 ID:YonSVbnA
音ゲーエロパロを保管しとく保管庫ってないの?
60名無しさん@ピンキー:2006/04/25(火) 00:11:46 ID:YonSVbnA
スマソ…あげちまった……
61名無しさん@ピンキー:2006/04/25(火) 08:46:35 ID:4pA11eP9
>>59 >>60
あなたはなかなかの  う っ か り 者 ですねっ!
62名無しさん@ピンキー:2006/04/25(火) 10:00:09 ID:BmjQyfO/
保管庫は無いねえ。
一番多く投下してた職人氏(スク水ジルナイとか)は
個人サイトがあったはずだけど、
他の人のは知らん。バイクコンビとかもう一度見たいんだが…
63名無しさん@ピンキー:2006/04/26(水) 11:10:59 ID:tsHulz7H
他にもサイト持ちが居ない事もない
晒すなんて真似はできないので自力で探してくだしあ
閉鎖とか言い出されても嫌だし
64名無しさん@ピンキー:2006/04/26(水) 15:55:53 ID:fxbMGPr4
11th Red発売ktkr!!
65名無しさん@ピンキー:2006/04/27(木) 01:26:37 ID:iITf8lLV
もう売ってるんだ?!いつの間にー!!
66名無しさん@ピンキー:2006/04/27(木) 09:51:58 ID:xFjV4t9h
発売は5/18だろ?
67名無しさん@ピンキー:2006/04/27(木) 16:38:23 ID:1Uwkx0ew
>>45
GJ!!
68 ◆xdgBsiroro :2006/04/29(土) 14:22:29 ID:7BtEm9lz

 0.

 泣いているのでは無く、横たわった側頭部へ落ちた雨粒が瞼の線を通って流れているのだった。達
磨は身体を起こそうとアスファルトの上に両腕を立てたが、肘が軽く反り返るほど力が加わったと同
時に力無く崩れ落ちた。身体は冷たい雨粒をその全身に受けながらむしろ熱を帯びているようで、頬
が腫れ上がり、すっかり変形してしまったらしい顔には焼けるような痛みがある。
 繁華街を少し離れた深夜の通りには、人も無く、車も無かった。都心にしては珍しい類の静けさの中
で、夕方から続く強い雨の音だけが虚しく響いている。その雨はまるで、つい先程まであった少年と少
女のやり取りを雨が帯びる悲しみのままに押し流そうとしているようで、達磨はその不安から、既に彼
方へ消えてしまった少女の幻影を追い掛けようと、下半身を中心に全身の力を込めて立ち上がった。
鼻の中から生ぬるい血が流れ、ほとんど開かなくなってしまった唇の間から舌先へ金属性の味を運
んだ。顔面からはほとんど感覚が失せていたので、達磨は突然口の中へと広がっていたそれに驚き
ひどく臆病な顔つきをしたが、その表情はすぐに雨の目論見と同じ色をした悲しみに包まれた。その
矛先は、自らを襲った少女の暴力に対して底無しに暗い恐怖心を覚えてしまった達磨自身に向けら
れた。彼女は確かに、達磨の左頬を殴り、それから鼻を二度、鼻の下を一度殴って達磨の意識を危
うくさせ、それからは達磨自身が数え切れないくらい血の気配がする拳で殴り続けた。しかしそれは、
達磨がそれまでに彼女に対して負っていた罪の清算としては当然の事だと、暴力の最中もそれが一
過した後でも達磨は思っていた。そう思っているつもりだった。そう思わなければ自分が酷く惨めに
思えてしまうからだ。
 達磨は彼方まで続く夜に伸びる歩道と、そこの傍にある街路灯だとか、遠くに聳えるホテルのそれ
ぞれの部屋の明かりだとかに目をやるのを止め、雨粒を注ぐ黒い空を見上げようとして目に付いた、
車道の上の信号機の赤色灯火を見た。まるで滲んでいるように鈍い光を放つそれから、達磨はしば
らく目を離す事が出来なかった。
 その赤色に、達磨は同じように赤い、林檎の様な鮮やかな衣装を纏った少女を思った。
69 ◆xdgBsiroro :2006/04/29(土) 14:24:07 ID:7BtEm9lz

 1.

 達磨がトイレで用を済ませてから元いた場所で戻ってみると、そこにはもう誰もいなくなっていた。
何の前触れも無い出来事だった。その一瞬、達磨の耳から、虚しく続いているゲームセンターの混
沌とした喧騒が遠ざかり、思わず、素っ頓狂な声が出そうになったが何とか喉元から飲み下した。
達磨はまるで迷子の子供のように慌てて他の誰かを探し始めた。とにかく掴み所のない不安が、達
磨をそうさせた。何しろ、達磨自身はほんの数分の空白を作ってしまっただけなのだ。
 土曜日の夜である。何かの集会、と言う訳では無いが、一週間のうち取り分け暇を作りやすいこの
日は、何かとゲームセンターに縁のある仲間が集まりやすい。特に達磨のいる集まりは、数えれば
実に二十人余りの大所帯である。その殆どが首を揃えて一軒のゲームセンターに落ち着くのだから
ゲームセンターとしては週に一度祭りの後のような賑わいある夜がやって来る事となる。それはある
意味で排他的で、時に彼等とは無縁の客を遠ざけるような印象もあるが、店にとって迷惑な程では
無かった。店の店長が彼等の仲間内である事も、少しは影響している。
 達磨は席を離れるまで、ビートマニアIIDXの筐体近くにいた。お世辞にも儲かる機種で無い割りに
二台置かれた筐体の周囲スペースは広く取られており、ギャラリーの観覧がし易くなっている他、
近くには休憩用のベンチが自動販売機が連なっていて、何かと利便の利く造りになっている。達磨は
そこからギターフリークスやドラムマニア、ポップンミュージック等主要な音楽ゲームのスペースを横
切り、更にあまり自分とは縁の無いメダルゲームや格闘ゲームのコーナーを見て回ってから、必死に
なって席を離れる直前の様子を思い出した。二台あるうちの左側の筐体にいたのはユーズとナイアで、
横から茶倉が色々とちょっかいをかけていた。右側の筐体では鉄火や慧靂やセリカが隣と比較すると
随分ゆるい勝負をしていた。ベンチの辺りで談笑していたのはニクスや英利やサイレンやエリカで、自
動販売機の前では士朗がデュエルに刀を見せていた。達磨はそこから席を立ち、その途中で、古いバ
ージョンのギターフリークスとドラムマニア、それにキーボードマニアを加えてマルチセッションをしてい
たケイナとジルチと孔雀にちらりと目をやり、壁に貼られたコルクボードの掲示板の下にあるテーブルで
ノートに絵を描いていた彩葉と理々奈を見つけ、前のめり気味の後姿からパンツでも見えないかな、と期
待したがとてもそれどころでは無く、すぐにトイレに入った。セムとシアは来てなくて、識は当然、店の仕
事中だ。
70 ◆xdgBsiroro :2006/04/29(土) 14:25:54 ID:7BtEm9lz

 達磨はこんな時だろうが冴えている自らの記憶力に驚きながら、プリクラやその他のビデオゲームコーナーも
周り、やはり知っている顔がいない事に酷く疲れを覚えた。ただ単に、疲れてしまったのだ。それから達磨はどう
したものかと、ゆっくりと出入り口に向かった。するとそこに、何故最初から頼らなかったのか。鍵束を入れた引き
出しや、煙草の煙で黄ばんだ古い型の電話機を置いたテーブルの向こう側に立つ識の姿を見つけ、達磨は更に
疲労感を詰め込んだ溜息の後、彼に声を掛けた。
「みんないなくなってるけど、どうしたの」
「ああ、ついさっき飲みに出て行ったよ、俺も行きたかったんだけどさ、これだから」
 識はあっさりと答えた。あまりにもあっさりしていた上に馬鹿馬鹿しい答えだったので、達磨はやれやれ、と言っ
た素振りをしながら一度舌打ちした。どうやればほんの数分の間に、あれだけ疎らに動いていた連中が大挙して
店を出る事が出来たか疑問だったが、何しろ大人数での飲み会となれば、用意周到な誰か、例えばユーズが事
前に予約を入れていてそれに従ったのかも知れないし、そもそも達磨自身、トイレで腹痛を相手にしていた時間
が正確にはどれ程だったかははっきりとしていなかった。五分かも知れないし、十分かも知れなかった。ただ、ト
イレと言う場所の意識が固定観念として短い時間で済ますものと言う印象を与えてそう思っているだけと言う事も
有り得る。達磨は腕時計をしている訳でも時計を一々確認している訳でも無いのだから。
「ははぁ、さてはまた置いていかれたな、達磨君」
 識は達磨の舌打ちを達磨の本意とは別の意味に受け取ったようで、屈託の無い、それでいて意地悪な笑みを
見せた。達磨は最初その言葉の意味を理解出来なかったが、少しして、火花の発生に似た覚醒を以って小さく
声を出した。
「あっ」
 気付いたのと同時に、いきなり昂ぶった憤りが生じる。達磨は、自動ドアの向こうの繁華街に消えていった大
勢の形無き足跡に向けて改めて舌打ちし、ついでに爪先で床を軽く蹴った。置いて行かれた、と言うのは達磨
の場合、端からそう言う席には連れて行って貰えない、の意である。酒や煙草やアダルトビデオに掛かるルー
ルに関して社会同然、そこに隔たりを作るのは年齢の問題である。
71 ◆xdgBsiroro :2006/04/29(土) 14:27:18 ID:7BtEm9lz

「腹立たしいか、やっぱり」
 達磨は頷いた。
「だって、こんなにバラエティ豊かな仲間なんだし、今更過ぎるよ」
「そうかも知れないけど、俺らとしてはそうもいかないんだ。事があったら大人が責任を負わなきゃ
ならない。そこらのガキが挙って飲むのとは訳が違う」
 そう言う隔て方が嫌なんだ、と達磨は思った。そう言う隔て方無しに、俺達は知り合えたんじゃな
いのか。大人とか子供とか、そんな分け方は、漠然とし過ぎている。
「じゃあどうして彩葉さんとか理々奈さんはオーケーなの」
 達磨は語勢を強くして、カウンターの上に前のめりになった。
「あの子達はちゃんとわかってるから、かな。実際、こっちが言わなくてもジュースしか飲まない。
けど達磨君達は、やっぱり酒を期待する。来る前はそうじゃないとしても、実際、目の前で酒臭い
臭いがしたら、俺も俺も、って飲みたがる。自分より背が高い戸棚の上のジャムを、背伸びして何
としてでも取ろうとするみたいに、な。おまけに、一度言い出すと聞かない。だから厳密に言うと連
れて行けない…って、そう言う事さ。案外、図星だろ」
「それで、何か問題でも?」
 識は達磨を宥めるように、達磨のフード越しのヘルメットをぽんぽんと叩いた。
「こんな小柄で未熟なナリにアルコールなんて入れたら、どうなるか判ったもんじゃない」
「身長なら、識さんと大して変わらないような気がするけど」
 まるで子ども扱いしている識に、達磨は幾分かの皮肉を含めた笑みで答えた。すると、識は、そう
かも知れないな、と声をあげて笑った。達磨もそれに応じて笑った。そして識はひとしきり笑った後、
事の終いにこう付け加えた。
「ま、達磨君はともかく、さっき言った事で一番心配なのは……ツガルちゃんの方なんだけどな」
「……」
 達磨の顔から風船が萎んでしまったように笑みが消え、代わりに、何処からか滲み出るように重
苦しさが広がっていく。識は一瞬、何事かと眉をしかめたが、すぐにまた、達観しているつもりなの
だろうか、余裕のある笑みを以って達磨に聞いた。
72 ◆xdgBsiroro :2006/04/29(土) 14:28:46 ID:7BtEm9lz

「何かあったか? 少年」
 何にも無いから、と達磨が言おうとすると、識は掌でその口を塞ぎ、目を上の空に向けて言った。
「いや、ツガルちゃん、何だか沈み込んでるような振りがあったから。時々、達磨君を見るとき、世
界が終わったような顔をするんだ」
「世界が終わったような顔?」
「ツガルちゃんにとって、達磨君が世界その物だとしたら……なんて考えるとさ」
 達磨は肌の表層がみるみるうちに熱を帯びていくのを感じ、思わず、顔を下に俯けた。そし
て、識の見えない所で複雑な顔をした。自分自身で想像出来ないような、神妙な顔だ。
 ツガルとは雨の日以来、二週間余り口を聞いていなかった。学校でもゲームセンターでも、
互いに顔を見る機会はあったが、達磨は一瞬でも視界にツガルの姿を察知すると、すぐに目
を背けた。無視している訳では無く、ただ、自分の中で突然胸を締める気まずさから逃れるた
めにそうしているのだった。一方でツガルは最初、それこそ達磨を徹底的に拒絶した。怒りだ
とか悲しみだとか、そうした感情で表面的に達磨を突き放し、そしてひどく悲しい顔をして無視
した。達磨はそれを仕方が無い物だと受け入れたが、少なくとも学校においては、やるせない
思いを募らせた。これまでは単に存在を気付いて貰えなかっただけだったのが、完全な敵意
を持たれてしまったのだから。ただ、それについても無理は無い。ゲームセンターでそれなり
に明るく振舞っていて、好意もあったかも知れない高校生の中身が実は、同い年で根暗な男
子生徒だったと知ってしまっては。それは恐らく、無理も無い事なのだ。ツガルと違って、自分
は彼女を騙し過ぎていたのだ。
「あいつの中で、俺が終わりつつあるって事?」
「あるいは、な」
 識の一言が、重い。達磨はツガルの『世界が終わったような顔』を想像した。それは泣いてい
るのでも怒っているのでも無く、触れれば砕けてしまいそうな、そんな虚しさを抱いた顔だった。
「俺、どういう顔して向き合えばいいのかな」
 ポツリと漏らした一言に、識は無言で達磨のヘルメットを叩いた。その後で見上げると、識は
やはり余裕のある、先程と変わらない顔をしていた。
「相手の器量に期待しない顔、じゃないかな」
 達磨はゆっくりと頷き、踵を返して音楽ゲームコーナーへと戻った。そこにツガルはいる筈だった。
 達磨が席を立った時、ツガルは一人でポップンミュージックをしていた。
 決して忘れていたのでは無く、本能が思い出そうとしなかった事だった。
73 ◆xdgBsiroro :2006/04/29(土) 14:31:50 ID:7BtEm9lz
もう二回か一回かくらい続く…
保管庫…作ろうと思えば、だけどもう前スレのログ持ってないんだ…ごめん…
あと僕…アルカディア買って無いから…今の設定とかよくわからん…
74名無しさん@ピンキー:2006/04/29(土) 14:35:02 ID:9+sMp2sO
>>68-72
イイヨイイヨ(・∀・)GJ!!!
続き待ってます!
75名無しさん@ピンキー:2006/04/29(土) 15:18:18 ID:2M7fx++v
GJ! 自分も続き待ってます〜。
保管庫は…自分の書いたのなら提供できますが、ログは同じく持ってないです。
76名無しさん@ピンキー:2006/04/29(土) 18:34:34 ID:kk5wqHai
GJ!読んでるこっちがドキドキするなww
続きも楽しみに待ってます!
77名無しさん@ピンキー:2006/04/29(土) 18:39:30 ID:Mt26uus1
http://www.geocities.jp/mirrorhenkan/
ここ使うといいよ
78名無しさん@ピンキー:2006/04/29(土) 21:22:38 ID:76Od7DhI
コスミックカウガールでコンボ切るジルチ
79名無しさん@ピンキー:2006/04/30(日) 09:09:52 ID:iwdzSvj4
レス981までの前スレログを持ってるが、どういう風に
渡したらいいのかな?
80 ◆xdgBsiroro :2006/04/30(日) 18:27:55 ID:wXYpzicz
DAT変換で見られるようなので
早ければ連休中に造ろうかと>倉庫
何分ネット環境無いもんで…
81名無しさん@ピンキー:2006/04/30(日) 20:26:22 ID:MzKBGAko
おお、ぜひお願いします!
お疲れの時にドゾー つ 且~且~且~
82名無しさん@ピンキー:2006/05/04(木) 10:13:01 ID:mb+ie8ON
保守
83名無しさん@ピンキー:2006/05/04(木) 17:55:54 ID:1bGJbRhl
84名無しさん@ピンキー:2006/05/05(金) 22:27:57 ID:h+KUxWxb
保守
85 ◆xdgBsiroro :2006/05/06(土) 00:29:07 ID:X2hiTA2H
保管庫出来たよ
http://ganymade.obunko.com/
よろしく。
86 ◆xdgBsiroro :2006/05/06(土) 00:30:29 ID:X2hiTA2H
あげちゃった
すいません。・、・。、
87名無しさん@ピンキー:2006/05/06(土) 01:25:32 ID:OxKjo+8R
お疲れ様です!
88名無しさん@ピンキー:2006/05/06(土) 15:52:39 ID:9z7fwLpo
乙であります!
89名無しさん@ピンキー:2006/05/06(土) 20:27:31 ID:lFgfLwWi
>>85
乙!
90名無しさん@ピンキー:2006/05/06(土) 21:40:19 ID:AGvweIto
>>85
犯しまくりだゼ!時代の作品もヨロロ
91 ◆xdgBsiroro :2006/05/07(日) 16:11:07 ID:1H+mHrtb
初代スレからネット上にあっただけ追加しました。
建て直しスレは作品数も多いので時間かかりそうです

ttp://ganymade.obunko.com/namalog.txt
生ログ。誰か作品抽出してくれると有難いのですが…
92名無しさん@ピンキー:2006/05/07(日) 21:15:24 ID:tAC7OsYK
>>91
仕事が早いな
GJ!!
93前スレ685:2006/05/07(日) 21:17:50 ID:Pg3ERodc
>>85
乙!!
ご苦労様そして有難う!!
犯しまくりだゼ!!のスレ自体知らなかったから、読めて嬉しい。

ついでに暇な時にでも

[01-762] エレキ×彩葉
[01-954] リリスナイアエリカセリカ彩葉

を685のところにまとめてくれると有り難いです。お手数掛けてスマソ。
コテハン名乗って良いものか迷ってたけど、コテハン使用すべきだったんだな…orz

これからも暇あれば投下させて貰いますw
自分は彩葉以外書いた事ないんだが、希望キャラとかシチュとかあれば今後の精進の為に
書かせて貰いたい。ナンカナーイ?
94鉄火×茶倉・5:2006/05/07(日) 22:21:44 ID:j6Erd8tp
>>85
乙! 超GJ! 本当ありがたいです。
前スレ945の者です。デザレの二人とシアツガも自分のなんで、
お暇な時にまとめてやって下さい。


 乳房に、腹の上に、少しくすんだ線はあった。一本だけではなかった。定規で引かれたわけでもあるまいに、奇妙に真っ直ぐに唐突に現れ消える。
 傷だ、と鉄火は気付く。
 それも、刃物で切った創だ。包丁を触らせてもらったばかりの頃は、鉄火もよく包丁で指ごとさばいたから知っている。
 僅かなぎざぎざが膨れて凹凸を作っているのは、多分それが、抜糸されないまま完治したからだ。
 そう、それは――
「手術痕だよ」
 意識を呼び戻されて見下ろすと、淡々とした声が部屋に溶けた。
「献体されたからね。色々いじり回されたみたいよ」
「痛くなかった?」
「痛いも、何も」
 何を馬鹿なこと言ってるんだろう、と鉄火は赤くなった。意識などなかったに決まっている。
「……その、痛みます?」
 小さく上下する白い丘に顔を近づける。薄桃色の真新しい皮膚の盛り上がりを舐めると案外と細い肩が震え、
「ううん。――ありがと」
 えらく優しい手つきで、鉄火は頭を撫でられた。
「――、」
 反論しようとして口を開きかけたが、結局閉じる。子供扱いされているようで不満だが、実際子供なのだから文句の言いようがなかった。
 普通の家庭に生まれ、周囲の大人からも随分可愛がられて育ってきた。大過もなく、多少店の跡継ぎとして礼儀作法は仕込まれたがその位で、だから鉄火はほぼ世間知らずの部類にいるのだ。
 茶倉が生前何をしていたかは分からないが、一度死んで生き返ってきた人間などそうはいまい。そうでなくても刀二本持ってでかいバイクを乗り回す女である。敵うはずがない。
 なんだか、悔しい。
(――っと)
 鉄火は埒もない考えを振り払って乳房を握り、くすぐる。揉んだ後にふと思いついて吸い付く。
 赤ん坊に帰ったようで気恥ずかしいが、実際やってみると、良かった。
 口の中に引き込めば手で触れたよりさらに滑らかで快い。頂を舌で弾けば仰け反る気配がある。逆に引っ張るとただ痛いだけのようで、制止のためか髪を引っぱられた。
「うあっ……」
 もっと、と思い、少年は裾に戻って軽く噛む。それだけではつまらないので、噛むのと吸うのを気侭に繰り返した。甘酸っぱいような自分とは違う汗の匂いに、心が浮き立つ。
 味がするわけではない。単純に触った感じが気持ちいいのだ。今歯を立てて食いちぎったらどうなるだろう、という少々変態な想像をしつつ(十中八九殴り倒されるだろうが)、少年は行為を続ける。
 弾き返す感覚を楽しんでいると、やがて手の中で大きく体が震えた。
 同時に頭が重くなった。髪を掴んでいた手が、今度は力一杯乳房に頭を押し付けたのだ。
「……もっと、すか?」
 顔は見られないが、嫌がってはいなさそうだ。
 ――いちいち訊くな、とのお達しに少年は忠実で、しかも経験がなかった。制止のために伸ばした手が、痙攣し、あるいは快感に耐える寄る辺を求めてそうなってしまった事など考えもつかなかったのだ。
 返答を待たずに、鉄火は愛撫を再開する。
 片側だけでは、と反対側に唇を移し、空いた方の真っ赤になった頂を親指で擦り上げた。
「違…ん、あ、ハぁ……ッ!」
 抑え目の声が高く上がった。びくり、とローブの下で腿がわななく。その嬌声に生まれて初めての満足感を覚える。
 手から力が抜け頭が解放されて、鉄火は相手の顔を覗き込んだ。
「……この、馬鹿……」
 力ない罵声に少年はぎょっとする。女は涙目になって見上げていた。
 それに見蕩れる間もあらばこそ、拳骨が飛ぶ。辛うじて避ければ怒鳴られた。
「違うって、言っただろ」
「でも、良かったんじゃ……あでっ」
 このコマシ、と再度飛んでくる。力は入っていなかったが痛い。
「いちいち聞くなと言ったけど、好き勝手していいとも言わなかったよ、あたしは!」
「――好きに触れって、言ったじゃないすか」
「違うと言ったら止めろって!」
 
95鉄火×茶倉・6:2006/05/07(日) 22:25:44 ID:j6Erd8tp

 ああ、もうこうなったら我慢できない。
「んあっ!?」
 再び鉄火はぎょっとした。
 茶倉がぐいと勢いに任せて体を起こしたのだ。掴まれた肩を支点に、丁度九十度回転した形だ。
 つまり今度は少年自身が押し倒される事になる。すぐさま肩を押され馬乗りになられて、起き上がることが出来なくなった。
「今度はあたしの番だからね」
「ちょ、待って」
 肩から背中にかけて深く沈む。それに鉄火が慌てない訳がない。
 女に押し倒されて上に乗られるのなんてもちろん初めてだ。どうにも不安だし、自由が利かない。
「嫌だ、離して下さいって」
「はいなんて言うか、馬ー鹿」
「嫌ですってばっ、ぅあっ」
 蹴飛ばそうと振り上げた足を容易くいなされ、逆に膝を割られ懐に入られた。両足の間に潜り込まれて、そうなると蹴りなど届くはずもない。
 太腿の付け根の張った所をマッサージのように強く揉まれて、鉄火は緊張した。そこは急所の近くだ。股を開かされるなんて初めてで、屈辱的でもあった。
 次いで布地の上から自身を握られ、「くぅ……っ」と声を上げてしまう。
「可愛いーい」
 くつくつと笑う声は、さてどんな風に悪戯を仕掛けてやろうかと、彼女がゲーセンで思索する時と全く変わらない。
 いつもならその対象は親友だが、今回は自分である。少しの恐怖と期待を覚えながら、彼は尋ねた。
「……何しようってんです?」
「それが男の言う台詞?」
 からかう顔が上気している。先ほどの涙といい、あれ、と鉄火は不思議に思った。
(そう言えばコマシって言ってたし……)
 スケコマシの意味くらいは彼にも分かる。まさか本当のところは、照れ隠し、とかそんな理由なんだろうか。
「……もしかして茶倉さん、さっき、ヨかったんじゃ……」
 思わず口に出せば、目の前の女は笑みを収める。『口は災いの元』って知らないようだね、と言われて震えてももう遅い。
「まあ大人しくしておいで。悪かないからさ」
 してあげる、と下唇をすっと指でなぞられ、鉄火は瞬いた。口の中に侵入してくるその動きが意味するものを思い出すのに、数秒が要った。
「え……ええ!?」
 それって。それって、
「――してくれるんですか? その、口で」
 フェラチオ、とは何故か言えない。指が抜かれる。
「しばらくお預けだろ?」
「そりゃ、端っからフェラ頼んだら可哀想だって……ぅ、あッ」
 その同じ指がトランクスの中に潜り込んで、彼の一物をなぞる。それだけで立ち上がり掛けていた息子に一気に血が行って、あれよあれよと言う間に準備が整ってしまった。
「ふふッ。大きくなった」
 あんたにそんな風にされたら誰だってそうなります、なんて長文は言えずに、鉄火はただ歯を食いしばる。
 下着の上から茶倉に頬擦りされ舌で突付かれ、また髪の束で太腿をさわさわと撫でられて、いたぶられた。その下着も鮮やかな手際で取り去られて、初夜の女の子の気分を味わってしまった少年だった。
「ぉあ……ッ」
 埒もない考えも、温かい粘膜に包み込まれる感覚で、一気に吹き飛ばされる。
 初めての他人の口の中は、とても熱く、柔らかく、自分の利き手なんかより百倍良かった。

今日はここまで。レス有難うございました。

>>93
氏にはそのまま彩葉受の道を突き進んで頂きたいが、シアも見てみたい。
自分だとナイアさえ押し倒す最強タチのシアしか思いつかないんでw
96 ◆xdgBsiroro :2006/05/08(月) 01:06:01 ID:aTsf3tRY
一々報告で申し訳ないけど
結局建て直しの方も整理したので。
これで過去分の倉庫は完成…かな。
それじゃあ俺も自分のを進めないとねー
97しろろ ◆xdgBsiroro :2006/05/08(月) 01:24:55 ID:aTsf3tRY
>>93
傾向的にセリカ・エリカがメインの作品が少ないからそこの所に目を向けてもいいかもね
98名無しさん@ピンキー:2006/05/08(月) 01:47:34 ID:Ko8VlBtr
>>94
GJ!!
99名無しさん@ピンキー:2006/05/08(月) 01:50:07 ID:0vG6wfUk
>>94>>96も作品を残してくれた皆も乙乙乙
そしてがんがってください

昔はフォモおkだったのか…今以上にカオスだったんだな


>>93
リリスがエレイロをまとめて調教とか
100名無しさん@ピンキー:2006/05/08(月) 08:48:22 ID:nlvLX0yn
>>前スレ685氏
別の女子を書くならユーズ×セリカや士朗×エリカとかどうっすか。
氏の書いたエレキ×彩葉が幸せそうで大好きなんでラブっぽいのを希望します。
101名無しさん@ピンキー:2006/05/09(火) 01:35:40 ID:jf6f/PEm
保管庫乙
しろろ、犯しまくり時代と比べると見違えたな
102名無しさん@ピンキー:2006/05/09(火) 03:01:08 ID:QXUDhxud
しろろのクリスマス士朗×エリカ書き直しverが見たい
どっかで見たことがあるんだけど
103前スレ685改め禄八呉 ◆09vI5v3Bzs :2006/05/09(火) 03:06:29 ID:KIKdgwaM
>>95,97,99,100
貴重なご意見トン!!
遅くなるかもしれないけど、折角だしそれぞれ書かせて貰いますよw

しろろ氏のキャリアの長さを保管庫見て知った。
まさに職人。これからも作品楽しみにしてます!

>>95
丁寧でリアルだけど生々しくなくテンポよく進む文章に色々勉強させて
貰ってます。
今から続きが気になって仕方ないw



104名無しさん@ピンキー:2006/05/13(土) 14:22:56 ID:wXvi57F4
保守
105名無しさん@ピンキー:2006/05/15(月) 13:22:22 ID:SNN8O8RQ
保守
106名無しさん@ピンキー:2006/05/20(土) 01:32:00 ID:DFvc0Abn
保守
107名無しさん@ピンキー:2006/05/22(月) 21:00:13 ID:HgzAGrIk
保守
108名無しさん@ピンキー:2006/05/24(水) 17:02:46 ID:TUQJUs3W
保守

茶倉×鉄火書いてる人、続きまだぁ?
109名無しさん@ピンキー:2006/05/24(水) 17:44:35 ID:cZJCto3x
職人さんにも都合があるんだ。急かしてやるな

過疎ったな……
110DJ0721 ◆ie1X/zf2do :2006/05/25(木) 23:42:27 ID:QA2yqKE6
鉄火×茶倉書いてる者です。続き書けなくてすんません。
保守代わりに小ネタ投下してきます。
サンババージョンのシア×ジルチで、ジルチが受けです。
本番まで到達しない寸止めです。
嫌な方は「DJ0721」でNG指定お願いします。では。
111DJ0721 ◆ie1X/zf2do :2006/05/25(木) 23:44:21 ID:QA2yqKE6


「かわいい」
「おま、ソレどういうつもり……」
 無造作に大胸筋を鷲掴みにされて、ジルチは思わず唸ってしまった。いつもなら無反応でいられるのに今日に限ってびくん、と腕が跳ねてしまう。
 彼の両膝の間に座り込んだ侵略者は、そのリアクションに微笑んだ。
「ホント、かわいい」
 その表現が彼よりよほど似合いそうな笑顔と、声であった。
 今、押し倒されている(彼我の体格差的にどう見ても遅寝する父親を起こす子供にしか見えないが)のを忘れれば、彼だってああ可愛いなあと暢気に思っていただろう。
 ましてここが男子シャワー室で、二人とも体にぴったりしたサテンの衣装で、汗みずくでなかったならば。
「こら、やめ、シア」
「やー」
 何となく叱りづらく、払いのけようとするもあっさり一蹴された。さてどうしよう、と彼は考える。
 ゲーセンに来るようになってから日の浅く、ナイアの実妹である彼女は、二重の意味で叱りにくい。さほど親しくなく、好きな相手の妹なので、距離感が測りがたいのである。
 ましてされているのがままごとのような拙い愛撫と来ては、反応を返しづらい。何を考えているのか分からない。
「……楽しいか?」
 その間に微妙な力加減でそのまま胸を揉まれた。今度はさほどの衝撃もなく、微妙な心持でジルチは子供を見下ろした。女にするようにされてもむずむずするだけで、全然何とも思わない。
 今ジルチはシアと揃いのサンバ用の衣装でいる。揃いも揃い、性別まで一緒で、大男の彼は今ぴちぴちのビキニの上下姿であった。
 仲間内での罰ゲームがまさかコレとは思いもしなかった。締め付けられるような胸のワイヤーはまだ我慢できるが、股間の布が小さすぎるのは自分がおカマになったようだし、歩きにくくて気持ち悪くて仕方ない。
 ナイアが一緒だったのは少し嬉しいが、それだけである。一日仲間からからかい尽くされ撮られ尽くされ、もうとっとと着替えてしまいたいところにシアが来て、ジルチを引き倒したのだ。
(なんでナイアじゃねえんだよ)
 これじゃなあ、と無邪気な顔の相手を罪悪感を持って見下ろしながら、ジルチはされるがままになっている。同じ胸が小さい共通点があってもナイアは女だがシアは子供だ。それは肩の薄さや張らない腰に顕著に現れている。
「……何してんだよ」
「襲ってんの」
「ふざけてるのも……!?」
 のんびりしていられたのもそこまでだった。
 掌の底が、伸縮性のあるサテンを押し付けて、それが偶然に乳首を刺激した。ぐうっと思わず息を詰めた大男に、シアはただ笑う。
 まったくねずみをその前足でもてあそぶ猫によく似た笑顔だった。
「ジルチ、かわいい」
 女の子みたい、と喉や鎖骨のくぼみに濃く干上がった汗を、唾液を送って溶かし舐め取りながら、一方では魔法のように指が動いて、背中に食い込んだブラを外していく。
 背中の巨大な羽根飾りと頭飾りは十キロ近くにもなるので早々に外してしまっていた。それでシャワー室のタイルの床に座り込んでいるから、いかにも無防備な体勢だった。
「んぐ……ッ」
 伸び上がって耳を食んでくる。その調子に子供特有のきめ細かさを持つ、皮膚に覆われた膝が股間まで詰めてくる。
 ごく軽い力がかかっただけだが、彼は恐怖に囚われて動きを止めてしまった。軽いとは言え数十キロの重さだ。全部がかかったならば潰れてしまうからだ。
 一物が緊張で縮み上がってもまだ布地は小さかった。筋肉の束のようながっちりした腿に手がかかり、ビキニパンツの中に潜り込む。
「あ、おい、何すんだよ!」
「だから、襲ってるの。本気だよ?」
 本気だったのか、と愕然とする間もなく、細い指が躍ってそれを取り出し、握った。首が動いて乳首に軽く噛み付き、鉄板のように硬直した腹筋を通り切らない筋の鼻でなぞった。
 少女の顔がついに、ジルチの股間に到達する。取り出したものを絶妙なタッチで擽りながら、きょとんとした。
「……あれ? ジルチ……剃っちゃったの?」
「剃らされたんだよ、って言うなバカあああ!」
 むっとした熱気と酸っぱい汗臭さと共に現れた一物をしげしげと、怖じもせず見ていたシアが、静かにね、とジルチの唇に人差し指を当てた。
「でもなんかかわいい。大きいのに生えてなくって」
「あ、こら……ッ」
 少女はためらいなくジルチのものを舐め上げた。先程までの胸板へのとはまるで違って上手い。
「逃げちゃだめだよ? 逃げたらお姉ちゃん呼ぶから……最後まで、ヨロシクね?」
 どうやら唯我独尊な我らが女王の妹は、上に「小」の付かない悪魔だったようだ。


禄八呉氏始めレス下さった方々ありがとうございました。早めに続き書きたいと思います。
112名無しさん@ピンキー:2006/05/26(金) 01:09:10 ID:T4ETAVk6
GJ!!
続きも待っとります
113名無しさん@ピンキー:2006/05/26(金) 03:47:21 ID:E1t6C8e3
>>111
ちょ、なんだこの良作。小ネタと言わず続き頼む。
まさかジルチに萌える日が訪れるとは思わなかったwwwwwうぇwwwww
114名無しさん@ピンキー:2006/05/26(金) 11:46:56 ID:DN2v0oEt
>>111
GJ!!!
やっぱり職人の作品は一味違うな…待っててよかた
ヂルチ萌という新たな側面まで叩き起こされようとは…
115名無しさん@ピンキー:2006/05/29(月) 20:26:38 ID:OU5jtXdX
ポプのスレは落ちちゃったのかな…?
寺の神SSが多い中ポップンでソラリエ投下しようとしてるんだが、需要ある?
116名無しさん@ピンキー:2006/05/29(月) 20:27:57 ID:OU5jtXdX
ageてゴメンorz
吊ってくる
117名無しさん@ピンキー:2006/05/29(月) 20:29:53 ID:7lFAwSrT
ポプスレあるよ〜
つ ポップンのエロ小説ぱぁと6
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1141143489/l50

流れはソラショコだったけど自分始めソラ好きな人も多いみたいだし
投下して桶だと思うよ。どんどん投下して下さい。
118名無しさん@ピンキー:2006/05/29(月) 20:42:34 ID:OU5jtXdX
>>117
うお、d
旅先につき携帯からなもんで500番くらいまでしか掘らなかったから気付かなかった
せっかく専用スレあるんだからそっちで投下しようと思います
119名無しさん@ピンキー:2006/06/03(土) 02:30:10 ID:ahXZ3S96
ザイルチ
120禄八呉トリ忘れた…:2006/06/05(月) 02:31:41 ID:vF+sdF4h
リク貰った、エレ彩をリリスが纏めて調教を投下させて貰います。
ダーク・抽象的表現・陵辱系になるので駄目な方は「リリ×エレ彩」でNG登録ヨロ。

DJ0721氏の書く男性キャラ全て萌えキャラだなw
121リリ×エレ彩:2006/06/05(月) 02:32:40 ID:vF+sdF4h
 猫を飼っている。つがいで一匹ずつ。雄は銀色の髪に褐色の肌、雌は夕陽色の髪に白い肌。
 本当は雌だけを飼っていたのだけれど、発情期を迎えた雌は雄が欲しいと浅ましく啼くので
 仕方なく雌の好みそうな雄猫を引っ張ってきた。
 ひとつのベッドに二匹を置いてみたら、途端に盛って交尾を始めた。本当に浅ましい猫達。
 主人の言いつけも聞かずに、毎夜毎夜顔をあわせればまぐわっている、まるでケダモノ。
 
 雌猫は最初、与えた玩具にあんなに悦んでいたのに。
 乳首につけた小さなローターの刺激だけで脚を、膝を震わせ下着に染みを広げて股を隠すように
 掌で覆いながら、ふたつの眼を潤ませて切ない鳴き声を上げて強請るのだ。
 雌猫のお気に入りは黒く太い双頭のディルドウ。これは自分も好きなものだ。自分の髪と同じ、
 真っ黒で艶やかなエラの張った玩具。濡れて熟れた秘裂を自ら開いて強請り、求めるそこに亀頭の
 部分だけをずぶりと押し込める。同じように自分の中にもそれを先だけ入れ、雌猫の細い肩を
 掴んで向かい合わせに見つめ合う。
 ふるふる身体を震わせ、綺麗な夕陽色の髪を揺らして、嫌々する顔に自分の顔を近づけて、
 柔らかい唇を重ねる。欲望に弱い雌猫は、すぐにも舌を絡めてこちらの肩に手を掛け、腰を振って
 摺り寄せてくる。ずぶぶ…とお互いの身体で繋ぎ合った黒い玩具が飲み込まれていくその様。
 腰を振り揺らし、喘ぎ、乳房を持ち上げて固くなった乳首を擦り合わせ、唇の外で舌を絡ませる。
 その時の雌猫の、可愛い表情といったら。繰り返し何度も自分の名前を呼んで、喘いで縋りつく
 身体を抱き締め、互い登り詰めた後交わす口付けもとても甘くて。
 ――なのに。……なのに。
122リリ×エレ彩:2006/06/05(月) 02:46:51 ID:vF+sdF4h
 ある日から雌猫は哀しそうな顔をしてベッドの上でぼんやりするようになった。
 好きな雄猫が出来たという。銀色に褐色の肌を持つ、年上の雄猫だという。確かに見覚えはある。
 群れの中にいて、やたらその雄猫も雌猫の方を伺っていたから。
 会いたいのだと言う。その雄猫が恋しいのだと言う。全く、どうして猫というのは主人の与える
 もので我慢出来ない我が侭な生き物なのか。仕舞いには彼じゃなければ嫌だと泣くようになった。
 あんなに可愛がってあげたのに、猫は恩を感じない動物だ。こんなに愛してあげたのに。
 
 こんなに愛してあげているのに。
 
 仕方ないので、ある日雄猫を誘い部屋に連れて来た。あらかじめ雌猫をベッドに括りつけ、大好きな
 玩具を与えて悦ばせてやった状態で、雄猫を部屋に上がらせた。鳴き声が五月蝿いので口に布を噛ませ、
 両手をベッドの柵の真ん中に、両脚をベッドの柵の両脇に固定して、Vの字に脚を開かせた格好で、
 大好きだという雄猫を迎えさせた。
 ぱっくり開いて熟れた秘裂の、鮮やかな色が雄猫の眼にも映るように。ぐるぐると蠢いて掻き回され、
 泡立ち濁った愛液で内腿やシーツを汚し、何をしなくても勃起したままの乳首と乳房を震わせ、
 だらしなく開いた口から留めなく喘ぎを漏らし続けるその姿を。
 予想通り雄猫はその姿を見て絶句していた。当然だ。幾ら発情期の猫とはいえ、こんなはしたない雌猫
 なんてそういない。自分が育てた。自分が作り上げた。いやらしくあさましくかわいいわたしだけの。
 特に雌猫の、雄猫に気付いた時の顔は最高だった。大きな目を裂けんばかりに見開いて、上げられない
 悲鳴を布を噛みながら上げて、首がもげそうなほど必死にかぶりを振っていた。
 逢いたかったんでしょう?微笑む自分に嫌だと首を振る。あんなに会いたがっていた相手の視線から
 必死に逃れようとして、ひたすら見つめるのはこちらで。本当に必要としているのは雄猫ではなくて、
 飼い主の自分なんだと、そう思えて心地良かった。
 
 だが何事も予想外のことは起きる。扉に背中を預けて呆然としていた雄猫が、何かにとりつかれたよう
 雌猫に歩み寄って行ったのだ。ベッドの上に登り、呻る玩具を引き摺り抜いて猿轡を外し、涙で汚れた
 雌猫の顔に口付けを落とした。嫌と嫌がる雌猫の声を無視して、頬に、額に、唇に口付けて――ああ。
 ああ。そうだ。あの時雄猫は言ったのだ。淫乱な雌猫の姿を見て「綺麗だ」と。
 それこそ、主人である私に許された言葉であるのに。私にのみ許されている筈の言葉だったのに。
123リリ×エレ彩:2006/06/05(月) 03:16:12 ID:vF+sdF4h
 見つめ合う視線。熱っぽい四つの眼が絡み合う。どちらかともなく求める唇。可愛い舌が、雄猫の舌
 に絡みついて――溢れる唾液を渡りついで――激しく求め合っていた。柔らかな乳房に大きな口が
 貪りつく。乳首に吸い付き、乳輪を嘗め回し、可愛らしい乳首を浅黒の指が摘み上げる。
 「えれき」と雌猫が鳴いた。「えれき」「えれき」切なそうに、いとおしそうに、繰り返し。
 「いろは」と雄猫が鳴いた。「いろは」「いろは」息を乱して、せっつまったように、何度も。
  やがて雄猫は自ら腰まで服を下ろして生々しい臭いを放つ肉の塊を外に出した。離れていても臭う、
  生臭くてすえたような雄の臭い。この部屋にはこれまで一度もなかった、汚らわしい臭い。
  けれど雌猫は嬉しそうに、いとしそうに雄猫のそれを見つめると、自ら舌を伸ばして舐めようとして
  いた。雄猫はそれに応えるように雌猫の口に肉の塊を捻じ込む。呻く声だって無視して捻じ込む。
  ギシギシとベッドが揺れた。腰を振る、雄猫の呻き声と雌猫の苦しそうな息遣い。雄猫はあの雌猫
  の姿を見て、引くどころか欲情したのだ。そしてその欲望にまた、雌猫は応えている。
  なんてあさましい生き物。欲望の中でしか生きられない、汚い猫達。
  それから先は――ああもう、繰り返し繰り返し、続く今でも続いている、雌の緩んだ蜜壷に雄の
  肉茎を掻き回し、引き摺り抜き、突き刺す行為。精液の臭いを撒き散らし、抱き合い、繰り返して
  いるつがいの猫のその行為。まるでこの世に縋れるのは互いしかいないような、行為。
  飼い主である自分はここにいるのに。――わたしは、ここにいるのに。
  
  
 「……いい加減、そこばかり責めるのも…飽きたと思って…」
  リリスがふわりと柔らかに微笑を浮かべエレキを見下ろした。裸で椅子に四肢を縄できつく固定され、
  口には丸めた布を押し込み、その上から後ろ頭まで布を被せ一切声を出せないようにされたエレキは、
  くぐもった呻り声を上げてリリスを見上げる。戸惑いと不安と、彼女に何か危害を加えるのではないか
  という警戒の目だ。
  リリスはやはり静かに、そして穏やかに笑ってみせるだけだった。漆黒のレースとフリルを重ねた衣装が、
  ここでは喪服のように見える。可憐で清楚な使者。だとすれば彼女は間違っても、神の遣いではない。
124名無しさん@ピンキー:2006/06/05(月) 06:36:08 ID:CVRdmr9c
投下ktkr!
純愛から一転してダーク路線でもここまでの筆力。しかもエロい。
朝からいいもん読まして貰いました。続きwktkして待ってます。
125名無しさん@ピンキー:2006/06/06(火) 01:20:21 ID:NP0kAPZ6
>121-123
(;゚∀゚)=3ハァハァ
投下ありがとうございます!!
神々よ…
126 ◆D/Lilith/Q :2006/06/09(金) 22:35:06 ID:szUS8/X/
音ゲ板で投下しようかとも思ったんですが、こちらの方が良いのでは?
と思いまして、こちらに投下させて頂きます。

理々奈×彩葉です。
百合もののエロ小説は初めてなので、稚拙ですが、読んでいただけると嬉しいです^^
127in the TOILET(1) ◆D/Lilith/Q :2006/06/09(金) 22:36:27 ID:szUS8/X/
キィ。と戸が鳴いた。色んな音の交じりあいが少し大きくなって、また同じくらいに戻る。
「あら、彩葉」
いつもの来ているゲーセンの、女子トイレ。
理々奈が手を洗っている所へ、頬を不満そうに膨らませて、口をへの字に曲げた彩葉がやってきた。
左腕を背中の方に回して、モゾモゾもぞもぞ。
「あ、理々奈」
「…何してるの?」
先ほどから、彩葉はひたすらに背中に手をやってモゾモゾと不振な動きをしていた。
ポケットから白黒チェックのハンカチを取り出し、両手に付いた水滴を拭き取りながら、理々奈が聞いた。
「セリカったら酷いのよ!『ブラのホックを片手で外せるようになったぁ』とか言って、ヒトのホックを!!」
「…外されちゃったのね」
確かに、セリカは女の子へのセクハラが激しい子だ。
彩葉は服を着たままでなんとか外れたホックを元に戻したいようだったが、埒があかないとトイレに駆け込んできた様子。
「…洋服の上からじゃ無理だぁ」
彩葉が着ている服は、前開きで、腰の辺りまで繋がってる。しかも伸縮性のある生地で、身体にぴったりくっついてしまう服だから、着たままでは到底無理そうだ。
すると、おもむろにその場で首からヘソの辺りまで伸びたジッパーを降ろし始めた。
「ちょっと、彩葉!」
「へ?」
すかさず理々奈が止める。此処は女子トイレとはいえ、色んな人が入って来る場所だ。
タイミングが悪ければ、男の店員がやって来る可能性もある。
「さすがに、個室でやった方が……」
胸の辺りまで降ろしてから、自分の様を見て、彩葉ははたと気付いたようだ。
「そ、そだよね」
頭を掻きながら、少し広めの、一番奥の個室に入ろうとする彩葉。それをただジッと見ていた理々奈だったが。
「私、付けてあげようか?」
「え、ホントに?」
そう言って、少し広いとは言え、二人入るには少々手狭な個室に二人で入った。
カチャリ。
念のため、鍵も掛ける。
128in the TOILET(2) ◆D/Lilith/Q :2006/06/09(金) 22:38:40 ID:szUS8/X/
彩葉が、橙色の腰まである長い髪を前の方へやり、洋服のジッパーをヘソの近くまで下げて、背中を露にする。
「ごめんねー」
明るく彩葉が言った。理々奈が後ろから手を回し、そのままホックを付けて、はい終了。
その筈だったのだが。
「彩葉は、肌が綺麗ね」
「ええ?!全然だよ!理々奈のが白くて綺麗だと思う…け、ど……理々奈?」
背中に妙な違和感を感じる。理々奈の手が、露にされた背中を優しく、それはそれは宝石を扱うように、撫でていた。
「いいえ。貴女の肌は、健康的で、とても美しいわ」
「や、ややわぁ、そんなん言われると」
「それに」
理々奈の手が背中を離れたかと思うと、前の方へ滑るように伸び、ホックの外れたブラの下から、彩葉の美しく膨らんだ乳房を手のひらで包み込んだ。
「此処もね」
「やっ、、理々奈??」
いきなりの出来事で、彩葉は吃驚した。
理々奈のひんやりとした手のひらが、直に伝わり、変な気分になる。
そして、自分は着ていた服を上半身脱いだ状態。
降ろされた服が邪魔で、胸を包む理々奈の手を払い除けるように腕を動かすのもままならなかった。
そう気付いた時には、理々奈の手は大きく収縮し、まるでその大きさを確認するようにたわわな二つを揉みしだきはじめていた。
「ちょ…、や…」
理々奈が強く手を動かすせいか、彩葉の頬が、耳が、恥ずかしさで上気し、朱に染まっていく。
それが愛おしくて、理々奈は彩葉の首元から、耳の裏へ舌の先をゆるやかに這わせた。
「…ん」
彩葉が小さく仰け反る。
「ふふ。此処も可愛いわ」
理々奈が赤いマニキュアの塗られた爪先で、彩葉の胸の先、びくびくと突起した乳首を撫でる。
「り、理々奈、こんなん、、変…や」
上擦った声で、彩葉が言葉を零すが、そんなもの拾わずに、理々奈は彩葉を肘辺りでごわごわと束縛していた洋服に手を掛けた。
「もっと、貴女の肌が見たいわ」
そう言って、衣服をさらに下に下げ、腰の辺りまでを露にさせた。袖口の部分はさらに下がり、一見、後ろ手に括られたような格好になった。
「ちょっ、理々奈?!」
「シィ」
声を荒げた彩葉の耳もとで、理々奈が人さし指を口先に当てて、
「大きい声だしちゃダメよ。誰かに聞かれちゃうわよ?いいの?」
そう囁いた。声はボリュームは小さくともなんとも楽し気であるのがよく分かった。
此処は、いつも来ているゲーセンの、いつも使っている女子トイレ。
タイミングが悪ければ、男の店員とかち合う可能性もある場所。
129in the TOILET(3) ◆D/Lilith/Q :2006/06/09(金) 22:40:36 ID:szUS8/X/
「…?h」
「私は、貴女の啼く声をもっと聞きたいけど」
「…なっ」
そう言って、理々奈の手指がするりと彩葉の腰の更にその下へと潜り込んで行く。
「だ、だめっ」
小さい声で、短く叫んだ。しかし、指先はヘソを横切り、なだらかな腹を下りはじめる。そして、茂みを見つけると、さらにその下へ這いずり、小さな細い窪みを軽く撫でる。
そろそろと窪みを撫でながら、指先は器用に分け入って、その奥にある蜜壷に辿り着いた。
「あ」
小さく彩葉が啼いた。
理々奈は構わず、指先を蜜壷の中へと滑り込ませる。
まずは、人さし指。
ずぷり、とわけも無く入り込んだ。
「ん…」
「…感じちゃってたのね…」
クスクスと理々奈が囁く。ぬるりとした暖かい感触。胸の先端が反応したように、そこもまた、突然の快楽に小さく濡れていたのだ。
次に、中指も。
ずぷぷ、と二本目は抵抗を受けながら、狭い秘部に侵入した。
「ぁ……ん」
誰にも犯された事はないのだろう、その空間は二本の指でも若干狭いように感じる。
「いっぱい、啼いて」
「…ぁ、はぁ……、あぁ……っ!」
理々奈が囁いて、彩葉の中に侵入した二本の指をゆっくりと出し入れしはじめる。
「ぁ、……あ…、ぁん」
ゆっくり、ゆっくり、指はの奥と手前とを行き来する。
動かされる度、彩葉の其処は熱を帯び、じゅくじゅくといやらしい愛液を零す。
その液と、熱と、彩葉の喘ぐ声が、理々奈の動かす指に少しずつ速さを増す。
「…ぁぁ、…はぁ、ぁ、ぁん」
彩葉の声はだんだんと掠れ、あられもない、快楽に溺れた声になっていった。
「はぁ、…あぁ、あぅん、は、はぁ、ぁぁん…」
理々奈も愛らしい啼き声に、興奮した声で囁いた。
「あぁ、可愛いわ、彩葉。それにしても、貴女の此処って、こんなにいやらしいのね」
そう言って、先ほどまで動かしていた指を抜き出して、愛液に塗れた指を彩葉に見せつける。
ねっとりとした液が、人さし指と中指の間で、糸を引いていた。
「はぁ、はぁ、はぁ…」
荒い呼吸をしながら、その、滴る程の愛液に濡れた指を見て、彩葉は顔を背ける。理性で拒むかのように。
しかし、本能は別。
「いやらしいわ、彩葉ったら」
そう言って、理々奈は再び指を下の口に咥えさせる。せっかくなので、薬指も付け加えた。最初二本で狭かったと思われた其処に、三本の指がぬぷぬぷと卑猥な音を立てて侵入した。
130in the TOILET(4) ◆D/Lilith/Q :2006/06/09(金) 22:43:06 ID:szUS8/X/
「はっ!……あぁ…あぁん……っ!」
先ほどよりも、大きくなった侵入者に、彩葉が仰け反る。しかし、理々奈は片方の手では彩葉のびくびくと震える胸を容赦無く揉み、乳首をつねり、彩葉の蜜壷をもう片方の指で激しく掻き回しては、何度も奥へ突いた。
「や、やぁ、…はぁ、は、は、ぁぅん」
彩葉の声がだんだんと大きく、いやらしさを増して行った。
そして、もう足が立っていられないらしく、少しずつ身体が崩れてきた。
「あら、あら」
理々奈は楽しそうにそう言いながら、いやらしく責めた指をじゅぷりと引き抜いて、フラフラに倒れそうな彩葉を支えた。そして、個室の扉から少し離れた便座にゆっくりと座らせた。
「はぁ…、はぁ…、はぁ、」
便座に深く座り、自分の服で腕を不自由にされたまま、彩葉は荒く呼吸する。額にじんわりと汗が滲み、瞳には涙も浮かんでいた。
理々奈はそんな彩葉を満足げに、先ほどまで彩葉に侵入していた、三本の指にねっとりと纏わりついた愛液を下の先で味わいながら、真正面から見下ろしていた。
「彩葉は、ホントに可愛いわ」
だって、このくらいでこんなに感じちゃうんだもの。
理々奈は、便座に座った彩葉の両足を左右に開いて、その間に立った。そして、彩葉の顔を両手覆いながら、彩葉の口を唇で覆う。
「…ん」
突然、唇を塞がれ、彩葉は瞳を見開く。そして、
「ん、…んんっ」
理々奈の舌が、彩葉の口の中へと侵入し、彩葉の舌に絡め始めた。口の、自分の舌まで翻弄され、彩葉はぎゅぅっと目をつむった。
くちゅ、くちゅ…、と色んなゲームの混ざり音が微かに聞こえるトイレの中で、いらやしく響く。
その音で、彩葉は自分が何処に居たかを思い出し、改めて心拍数が上がる。
此処は、いつも来ているゲーセンの、いつも使っている女子トイレ、だ。
「…んんっ」
不意に、理々奈の指先が、また、股間の方へと滑り降りて行った。
何とか抵抗しようと身じろぎするも空しく、指先はヘソよりも更に下の、彩葉の一番敏感な場所へと辿り着いた。
先程から虐めているせいもあり、敏感な蜜壷はぬるぬると愛液に濡れて、戻ってきた侵入者を迎え入れた。
じゅぷ、じゅぷ、と再び彩葉の奥を突き上げ始めた指は、そんな音を立てた。
くちゅ、くちゅり…、じゅぷん、じゅぷ、じゅぷ…。
いやらしい音が静かに響く、その響音は更に彩葉を辱めた。上の口も下の口も、そして耳までも犯され、彩葉は際限無くやってくる快楽に、朦朧としていた。
不意に、理々奈の口が離れた。理々奈の舌先と彩葉の舌先に涎がきらりと伸びる。
「はぁ、はぁ、はぁ…」
すっかり上気した頬に、快楽に溺れた瞳。理々奈は嬉しそうに、彩葉のその様を見ていた。
131in the TOILET(5) ◆D/Lilith/Q :2006/06/09(金) 22:44:13 ID:szUS8/X/
「ふふふ。もう、我慢出来ないでしょう?…初めてだから、分からないかしら?」
何の事だか良く分からなかったが、身体の中の変な気分は増すばかりで、それはなんとかならないかなぁと、彩葉はぼんやり思っていた。
すると、理々奈がおもむろに彩葉の大事な部分を隠している、スカートの部分を捲り上げた。
「り、理々奈……ぃや」
蜜壷を隠していたぐっしょりと濡れたショーツを、太ももの辺りまでずらして、卑猥に濡れた敏感な其処を露にする。
さすがに恥ずかしくて、彩葉は足を閉じようとするが、理々奈は両足の間に身体をねじ込んでいた為、それも叶わない。
理々奈の視線が痛くて、恥ずかしくて、彩葉は顔を背ける。
すると、理々奈の指先がゆっくりと蜜壷を押し広げ始めた。
「や…、いや、理々奈」
「…とても、美味しそうよ、彩葉」
彩葉の言葉など聞かずに、理々奈が其処を舌先で舐めた。
「ひ…ぁっ!」
その啼き声を合図にしたかのように、理々奈の口が、彩葉のひくつく蜜壷を責めはじめた。
「や、やぁぁ…っ!」
ぬるりと濡れる其処を、理々奈の口が、じゅるじゅると愛液を搾り取るようにしゃぶりつく。
じゅぶ、じゅぶと音を立て、理々奈の舌は彩葉の中に挿入出を繰り返す。
「や、やん、…は、ぁぁんっ」
指先の時よりもいやらしい舌の動きに、彩葉の声が艶めく。
「は、はぁ、ぁぁぁ…っ」
掠れた声を絞り出すように、彩葉が啼く。
そして、理々奈が勢いよく、じゅるるる、と蜜壷を吸い上げると、
「あああ………っ!!!」
今までにない刺激に、彩葉が快楽の先へと昇りつめた。


「彩葉っ」
ぺちぺちと頬が小さく鳴る。
気付くと、理々奈の心配そうに覗き込む顔があった。
あぁ、自分は何をしてたんだろう?
頭がぼーっとする。
此処は、いつも来ているゲーセンの、いつも使っている女子トイレ、だ。
ホックを付けてもらう為に、個室に理々奈と入ったんだ。そして…、
彩葉の顔がだんだんと赤くなる。
「大丈夫?」
理々奈が、いつもと変わらない理々奈の顔が、そこにあった。
「だ、大丈夫…」
身体が重い。足は、なんだかちゃんと立たない気がする。
顔を真っ赤にして狼狽えている彩葉を見て、理々奈はくすり、と笑う。
「さ、もう出ないと」
気付けば、自分は服もちゃんと着ていて、ブラのホックも、しっかり留まっている。
「う、うん」
平静を装うも、なんだかぎこちない。
彩葉が個室の鍵を開けようと、鍵に手を伸ばすと、理々奈が後ろからその手を止めて、
「ねぇ、彩葉」
「な、何?」
理々奈が後ろから、彩葉の胸と股間に手を回し、
「もし、また此処が熱くなったら、言ってね?」
耳もとで囁く。
彩葉の頬が、耳が、一瞬でまた、朱に染まった。
132 ◆D/Lilith/Q :2006/06/09(金) 22:45:33 ID:szUS8/X/
以上です。
楽しんでいただけたら幸いですw
でわ。
133名無しさん@ピンキー:2006/06/09(金) 23:30:21 ID:WFLwG85y
GJ!
またこの二人で読みたいです。ごちでした!
134名無しさん@ピンキー:2006/06/11(日) 13:34:08 ID:Xln4E8uE
>>127-131
'`ァ,、ァ(*´Д`*)'`ァ,、ァ
GJGJ!!
また書いてくだしあ
135名無しさん@ピンキー:2006/06/11(日) 17:39:50 ID:go5XO/CA
取り敢えずマジレスから。
あっちは基本的に全年齢対象の板だから、
こういうエロSSはこの板で投下して正解。
そうでなくても向こうは同人系創作を好まない人が少なくないし…

そしてGJ!!
やっぱ理々奈×彩葉は王道だなw 楽しませていただきますた。
136名無しさん@ピンキー:2006/06/15(木) 02:07:42 ID:eWfT/qyi
乙。
137名無しさん@ピンキー:2006/06/16(金) 17:57:20 ID:318rE6MU
マジレスすると彩葉のセリカに対する呼称は「セリカさん」
アルカ6月号だが・・
138 ◆xdgBsiroro :2006/06/17(土) 00:28:13 ID:JMA0PqyA
セリぽんは頂けないぜ
139名無しさん@ピンキー:2006/06/17(土) 00:40:16 ID:h5e/M6ik
ぽんとかちんとか普通の女の子は名前に付けて呼ばないだろ…
呼び捨てとか、せいぜいちゃん付けだよなあ。
設定つけた奴のセンスが二十年前で止まってる希ガス。
140名無しさん@ピンキー:2006/06/17(土) 06:26:26 ID:TZ1wduNo
二十代前半の女です。

基本的に呼び捨てか、〜ちゃん、〜さんだけど
〜ちん、〜っち等も皆無ではないっす。
いちいち語尾みたく付けるというよりは
一つのあだなとして成立してるみたいな。

ただ流石に〜ぽんはナイワァと思います。
141 ◆D/Lilith/Q :2006/06/18(日) 00:12:06 ID:yHpScVtj
読んで頂けて、光栄です^^

>>135
そうですよね;
同人好まない方には不快極まりないでしょうし。

向こうでこっちを教えてくれた、◆xdgBsiroro氏には、改めて感謝です。

>>137
あわわ;そうだったですか;
御指摘ありがとうございます。以後気を付けますm(__)m


やはり、アルカディアとかこまめにチェックした方がいいのでしょうか;
何となくのイメージと、REDが出た頃に発売されたDVD付きの小冊子(?)しか持ってない;
142前スレ837:2006/06/19(月) 00:55:30 ID:UkFxAF8W
職人の方々乙です。
ジルチに萌え、ダークさに悶え、白黒乳繰り合いににハァハァ
させて頂きました。

>>141
アルカディア読めない・読んでない人も居るのだから、
個人のイメージでもよいと思われます。
全部公式でなくてはいけない、というわけでも無いのだから
…と私は思います


で、突然ですが、勢いで書いたブツを投下します

リリス単体のオナニーです。
リリス×サイレン前提。
少々怖めかもしれません。
143前スレ837/リリス一人H 1/3:2006/06/19(月) 00:56:17 ID:UkFxAF8W
 机とベッド、クローゼットが整然と置かれている簡素な部屋。
 そのベッドには艶やかな黒髪を肩まで伸ばした少女が横たわっていた。
 彼女が、理々奈が唯一誰の干渉も無く一人になれる場所であった。


 新作の服を今夜じゅうに完成させるからお前は早く寝なさい、と言う兄に応えて
おやすみなさいと言った後、彼を作業場に残して部屋に戻った理々奈は、
どうにも寝付けなく、やがて独り遊びを始めた。

 彼女はまず、パジャマの前ボタンを三つ開けて左手をその隙間に潜らせた。
彼女の小さい手には、いや男の手にも余るであろう大きな乳房を撫でる。
ゆっくりと円を描くように、手の平で固く尖った乳首を刺激するように。
右手は肌触りの良い綿のパンティの中に潜らせ、ぬるりと湿ったクレバスを弄んでいる。

 それから乳房に在る手を下乳にくぐらせ、 乳房を顔のほうに持ち上げた。
同時に顔も乳房に向ける。そして、その尖った先をちろりと紅い舌で突き、銜えた。

 ……普段は重くて邪魔な胸だけど……

 それだけでは飽き足らず、固く充血した乳首を激しく舐ったり、吸い付いたりと
激しい刺激を加え始めた。

 ……こういうことが出来るのだから、悪くないわ…

 ぺちゃぺちゃと湿った音が部屋に響く。
 下腹部の茂みに愛撫を与えている手の動きが激しくなっていった。


 興が乗った所で、ベッドの隙間に隠してあるものを取り出した。
 友人の彩葉が言い出して、彼女曰くノリで一緒に買いに行ったバイブ。
 白いのは私、黒いのはりりちんと言われてお揃いで買った、黒々とした立派なモノ。

 彼女はそれを目の前まで持っていって見つめ、いとしい男性の姿を思い浮かべる。
 一瞬、その彩葉は誰を思い浮かべてこれを膣内に沈めるのだろう、と思ったが、
すぐに彼女のことは忘れ、彼女の頭は彼女が思いを寄せる男性一色に染まった。

 ヴイイイイイイ……
 スイッチを入れ、ぶるぶると震え始めたバイブの電子音が彼女の空想をより働かせた。
144前スレ837/リリス一人H 2/3:2006/06/19(月) 00:57:44 ID:UkFxAF8W
 サイレンさん…いらっしゃい。
 オーダーメイドの依頼ね…採寸するから奥に来て……。

 …今回あなたを採寸するのは私……兄さんは…今いないの。
今この小部屋に居るのは私とあなただけ…。

…服の上から採寸できるほど経験は無いから、脱いでもらうわ……そう、全部。

 これから体の隅々を測るから、そこに座って動かないで。
 …何故何度もメジャーを巻くのかって?
 それは…ここを測りたいから。あなたの欲望が詰まったこの暖かい棒よ。
今は萎えているけど、ちゃんと測れるように大きくしないとね。


 …うふふ、おいしい…。
 私の口の中であなたのものが大きく、硬くなっていくの。素敵……。
 カチカチになったら、石膏で形を取るから。

 なぜって?、私専用の張方を作るのよ。
 あなたは四六時中私のそばに居ない…だからそれをあなたと思って
毎日愛してあげるの。
 本当はあなたをこのまま繋いで私のものにしたいのだけれど…それは今度。
145前スレ837/リリス一人H 3/3:2006/06/19(月) 00:58:33 ID:UkFxAF8W
 なんてコトが出来たら、どんなに素敵だろう。

 理々奈はそんな事を思いながら、うねるバイブを膣内に奥まで挿入した。
 更に、その根元を持ってそこを激しく掻き回し、さらに突きいれ、戻し…いわゆる
ピストン運動をし始めた。

 …サイレンさん…サイレンさん…素敵…大きいわ…私、とりあえずこれで満足するわ…。
これ、あなたのサイズなのよ……だったらいいなァ……あっ…。

 彼女のピストンする手の動きと、それにあわせて腰の動きが早まる。
 ベッドがきしむ音も激しさを増す。
 既にパジャマの中から乳房がこぼれ、重量感たっぷりに激しく揺れている。

 あはっ…もっと激しく突いて……おっぱい…そんなに揺れたらはちきれちゃうわ……。

 あん…うふぁ…っ………いけない。
 兄さんに聞こえないように…声を出さないようにしないと…。
 少女は、息を殺して激しい吐息を洩らす。

 電動音はミシンの音でかき消される。不信に思われる心配は無い。
たとえ不信がられたとしても、また怪しい実験でもしているのだろうと思われるだけ。
こんな、卑猥なことをしているなんて、夢にも思ってないだろう。

 うふ…ふ、ごめんなさい兄さん。
 私は少し淫乱に育ってしまったのかもしれないわ。


 彼女はくぐもった強い喘ぎを洩らし、体を仰け反らせた。
 一瞬目の前が白くなった。
 訪れた絶頂の快感に身を振るわせた後、大きく息を吐いて脱力した。
同時にスイッチが入ったままの黒いバイブが、愛液と絡まってぬるりと這い出していった。


 …はあ…これで気持ちよく寝られそう……。
 いつか…本物も欲しいわ。
 あの白い大きな手でこの乳房を強く揉まれて、あの長い腕で包まれ、あの大きな体と
ひとつになるの……とても素敵なのでしょうね……。

 いやだ、またしたくなってしまったわ……。もう一回………

 夜の長さを語るが如く、月明かりに照らされた少女の白い体が更に蠢く。


=終=
146前スレ837:2006/06/19(月) 00:59:44 ID:UkFxAF8W
以上です。お粗末さまでした。

W杯のせいか回線が重い…
147名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 01:56:51 ID:MZPN1WYn
おお、エロい! リリスの採寸云々ってなかなかにいいなあ。
是非とも測られるサイレン氏も見てみたいw
何はともあれ超GJ!!! お疲れさんでした。
148 ◆D/Lilith/Q :2006/06/20(火) 02:24:52 ID:MTyOrQG2
>>143-145
GJ!!(*´Д`)'`ァ,、ァ
やばい、理々奈がエロ可愛すぎるっ!!

>>142
やはり読む人、書く人によりけり、なのでしょうか;
弐寺の小説とかは書き始めたばかりなので、ご指摘頂いた事とかも参考に、
自分なりのを模索してみようと思います。(`・ω・´)
149名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 01:04:35 ID:tZRMQ0o8
(;゚∀゚)=3ハァハァ
エロを投下して下さる神々には本当に感謝です
ハァハァさせてもらってます!
皆さんGGGJJJ!!!
150名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 01:05:14 ID:CEVEmjpA
エロイ
151名無しさん@ピンキー:2006/06/30(金) 01:12:44 ID:Pebps82g
りりなエロ杉ぐっじょぶ作者殿
152名無しさん@ピンキー:2006/07/05(水) 02:22:49 ID:4AAE+Ycq
理理奈
153名無しさん@ピンキー:2006/07/06(木) 00:32:49 ID:5ODHldgr
ageついでに保守
154名無しさん@ピンキー:2006/07/09(日) 13:27:07 ID:UvfTtRzU
なあ…理々奈物が連発してるところで聞くのもなんだが…

聖奈と理々奈はガチで近親の関係で、他のDJ連中は全員気付いてるのだが
当人の前では絶対に言わない暗黙の了解になってる、

という脳内設定がどうしても拭えないのだが…どーすりゃいいんだろか;
155名無しさん@ピンキー:2006/07/09(日) 15:51:10 ID:y9AJtTxN
その妄想を書けばいいじゃないかw
自信作待ってるよ。
156名無しさん@ピンキー:2006/07/12(水) 17:55:23 ID:ZMCZFCVT
なぁ、今更すぎてききにくいんだが、

彩華と理々奈、二人でおもちゃ屋に行ったのか?
彩華は何を理々奈にするつもりだったんだ?

教えてエロい方。
157名無しさん@ピンキー:2006/07/13(木) 21:20:57 ID:1NrNixOM
大人のおもちゃ?
158前スレ837:2006/07/13(木) 22:42:06 ID:zbB/G+Vi
>>156
彩華ってだれやねw
えーと、何をするとかそういうわけじゃなく……

夜に繁華街でサイレンをストーカーをしていた
理々奈と彩葉(つきあい)が怪しく光る
「おとなのおもちゃ」屋の看板に惹かれて

「大人のおもちゃやて」
「そうね」
「なあ、実際おとなのおもちゃって興味あらへん?」
「………うん」
「サイレンさん見失っちゃったし、周りに知ってる人居ないし
…入ってみぃひん?」
「……・うん」

そんな感じで、大人のおもちゃ屋入り口となる狭い階段を上る二人。
適当に冷やかして出てくるつもりだったが、黒と白の電動バイブの
前に立って、彩葉が言い出した。

「な、買てみよか。丁度白と黒やし。思ったより安いし。
この…その、バイブ」
「………うん」

あのくだりは、こんな情景を思い浮かべて書きました。方言超適当
女子高生という人々が、そういうことをノリでやるのか
どうかは知らないですがが


そういえばここってギタドラも大丈夫ですか?
上海ハニーの娘(バナー見たときは男だと思った)でも大丈夫ですか?
159名無しさん@ピンキー:2006/07/13(木) 22:50:56 ID:sVvQIF4l
スレタイに「ギタドラ」って入ってるし大丈夫かと。
160前スレ837:2006/07/13(木) 23:06:30 ID:zbB/G+Vi
ありがとう。
今は最優先にやらなければならない事があるので
すぐには出来ませんが、一段落したら着手しようと思います

敵役のリーダー×オレンジ短髪娘とか考えてます
161156:2006/07/15(土) 02:16:55 ID:jNi2ldfW
しまった、素で間違えた。確かにそんな娘デラにいませんね。
しかし、サイレンをストーカーって・・・w
しかも初めて入った大人のおもちゃ屋でそんな会話してたらwww

上海ハニー超期待。全裸で寝ながら待ってる。
162名無しさん@ピンキー:2006/07/17(月) 03:05:33 ID:Zc1hYYMO
左半分半裸で待ってる。
163名無しさん@ピンキー:2006/07/18(火) 23:59:25 ID:VDACaJRU
age
164名無しさん@ピンキー:2006/07/22(土) 01:55:58 ID:CYeHPdOl
ガチムチの理理奈
165名無しさん@ピンキー:2006/07/22(土) 10:19:15 ID:pSIeS9Yu
>>164
うほっいい女w
166名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 00:07:14 ID:rFJIzlNY
>>164
アッー!
167名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 13:29:02 ID:BZN21hn7
age
168名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 20:54:25 ID:acWM/QsA
保守age
169名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 20:56:39 ID:W//AEb5B
アッー!ge
170名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 21:18:36 ID:mhqc2OPt
>>169
不覚にもワロス
171名無しさん@ピンキー:2006/08/07(月) 08:39:38 ID:RFF+Fw1i
age豆腐
172名無しさん@ピンキー:2006/08/09(水) 00:30:29 ID:Wz7661Kl
>>171
いただきます。

スレの中動いてるから何か来たのかと思ったらお豆腐とは・・・。
173名無しさん@ピンキー:2006/08/10(木) 23:25:13 ID:WuNpQDK2
age
174名無しさん@ピンキー:2006/08/13(日) 23:46:44 ID:p2RaGiCy
保守
過疎ったな…
175名無しさん@ピンキー:2006/08/15(火) 00:44:03 ID:5IRqZ0pf
ポプスレは賑わってるのにな。
176名無しさん@ピンキー:2006/08/17(木) 22:49:43 ID:Pcn8h15c
ageagevoooooi!!!!
177名無しさん@ピンキー:2006/08/20(日) 16:51:27 ID:m+MCOmKq
青龍×朱雀(もしくは逆)

なんてどうすか
178名無しさん@ピンキー:2006/08/20(日) 20:19:51 ID:10Z1bZVm
白虎×青龍がいいなぁ
179名無しさん@ピンキー:2006/08/24(木) 01:46:13 ID:29ZLcGBs
disっ娘で。
180セリエリ:2006/08/24(木) 01:51:06 ID:jfjDxru9
「セリ、どうしたの?具合でも悪いの?」

突然駆け込んできた相手にエリカは心配そうに駆け寄った。
腹部を抱えて床に座り込んだ相手-セリカ-は一向に動こうとしない。
エリカが背中を擦り落ち着いて、と呟いた。
ゆっくりと顔を上げた相手は苦笑いとも言える笑みを浮かべて微笑んだ。

「…エリ、私ふられちゃった」
「セリ…」
「…エリはいいね…士郎がいてさ、私は…」
「…」

エリカは何も言い返せなかった。
そうだね、そんなことないよ、大丈夫だよ、何も言い返せない。
ぎゅっと唇を閉じることしか出来なかった。

「…エリ…士郎とはキスしたの?」
「え」
「…したわよね、恋人同士だもん」
「え、えと…セリ…」

「…」

セリカの問いに対して頬を染めて恥らうエリカ。
もしかして、とセリカはエリカの口元に指を当てて小悪魔のように笑った。

「あはっまだなの…?」
「…せ、セリ…?」

「じゃあ私が貰っていい?エリだけ幸せなんて…許せない」





(´・ω・`)なんてな
181名無しさん@ピンキー:2006/08/25(金) 21:00:01 ID:/n2bMaqQ
続き期待w
182名無しさん@ピンキー:2006/08/26(土) 12:43:33 ID:vi+8gUO8
続きwktk
 
>>178
むしろ青龍×白虎(虎)の獣姦でw
183名無しさん@ピンキー:2006/08/27(日) 18:37:26 ID:Csbl74m/
たまには亀の事も思い出してあげてください
184名無しさん@ピンキー:2006/08/27(日) 21:15:42 ID:3aAOlTn7
>183
忘れてたわけじゃないが
何をどうやってこのスレに出演させるのか想像が付かない
185名無しさん@ピンキー:2006/08/29(火) 00:51:25 ID:R8fR9VTk
亀さんを寝台代わりにして、上でギシアン
186名無しさん@ピンキー:2006/08/29(火) 21:33:09 ID:c/ao67HE
中の人とか
でもアレって亀(=人乗ってない)だって明言されてたっけ?

緋浮美(彩葉の姉)登場したね。
梅桐姉妹ネタとかなんかないものか。
187名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 21:48:46 ID:gsR+WVkt
ギタドラ「最速逃避行」の空野つばさ鬼畜モノを書いた。
最初に白状するとこれはzipで拾ったエロ漫画のキャラだけ変えた完全パクリだ。
読んだ瞬間、脳内で勝手に変換して思わず書いてしまった。

鬼畜、羞恥、放尿、子供レイプ、集団レイプ
これらの要素がダメな方や、オリジナル作品じゃないとダメな方は【塵屑】をNG指定してくれたら有難い。
なお、感想やGJは一切いらない。もし気に入ってくれたらオリジナル作者へ頼む。

20レスいただく予定となっているが…やっぱり投下前に住人の皆様の意見を聞いてからにする。
落としていーい?
188名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 00:26:03 ID:nmyusDp2
age
189名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 20:24:42 ID:cXY+Wj/N
>>187 俺は別にどっちでも良いよ
190名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 21:13:42 ID:Ivc+1Lvh
自分もどっちでもいい。
ただ前もって言ってる状態であれ完パクは不味いような気がしないでもない。
191名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 23:23:28 ID:d0+yDNbj
NGワード登録までしてくれるんだから投下しても問題ないかも。
でも確かに完パクはまずいかなあ。
パクリであること明記+元ネタ名はこのスレでは秘匿(元ネタ作品ファンが見ないように)で
大丈夫にならないかな?
192名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 00:58:56 ID:Wc8XzIEN
完全パクリなんだと、堂々と言えるその神経が判らんが
オリジナル作者に悪いとか思わんのか
193名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 01:36:40 ID:L3TqaYvG
うーん、読みたいのは山々なんだが…完パクokの前例を一度つくってしまうと次々と出てきてしまいそうな気が。
今回は漫画をSS化したみたいだけど、今後小説をまるごとコピペしてくる豪快な完パクも出てこないとも限らない。
万が一荒れる原因にもなりかねんから今回投下は遠慮してくれた方がいいかも。
本当はつばさ好きだからテラ読みたいケド…


どっかのうp炉駄にパスつけてこっそ<省略されました。続きを読むにはここをクリックしてください>
194187:2006/09/04(月) 01:40:00 ID:DvUB5+4/
すまん、やっぱ投下はやめる。
スレに文章残って迷惑かけるわけにはいけないからな。
今度はちゃんとオリジナルで書いてくるよ。


ichi51081
195名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 10:19:00 ID:FhH8L16Y
読後のなんともいえない暗黒感
オリジナル期待
196名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 21:21:18 ID:oBAKjyXL
>>194
空野つばさ鬼畜モノを描いて!
197名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 03:39:31 ID:GyXLzuVR
こっちでも作品投下してみようかと思案してるんだけど、
ギタドラとポップンのキャラを一緒に登場させたらまずい?

ちなみに
傾向:ロリ・ょぅι゙ょ・女の子・ついでに貧乳・百合風味・超微エロ・かなり読みにくい文章
198名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 10:10:37 ID:MoimhoQr
犯す・犯される二人がギタドラ・ポプ初出のキャラでないなら大丈夫と思われ。
この辺よく分からんけどやっぱりジャックやツララのギシアンは
ポプスレの方が妥当だと思う。
199名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 15:39:43 ID:sBusm+R9
>>198
繋がりが希薄だしやめておくわ
念のため向こうでも聞いてみるけど、自分でも無理があると思う
200名無しさん@ピンキー:2006/09/14(木) 02:14:48 ID:2TqOB5ib
ジルチ「クッ・・・そんな事されると・・・やおい穴が濡れちまう・・・!」
201名無しさん@ピンキー:2006/09/14(木) 21:08:18 ID:84okD0jG
伺いたいのですが、ニデラパラレル系エロとかは投下して大丈夫なのでしょうか…?
寄生世界ネタや天国ネタ…みたいな。

オロロージョ×エクレメスですとか…

そういえばもう新作ですか…金式ロケテ行きそびれました…
202名無しさん@ピンキー:2006/09/14(木) 22:26:04 ID:MHhnoC1s
>>200
ジルチモエス

>>201
オロエク好きです。是非投下してください
パラレル系とかも俺は見てみたいと思いますが
203201です:2006/09/15(金) 17:22:03 ID:y6CxBxBD
>>202
ありがとうございます。完成次第早めにオロエク投下しようと思います。
エロがぬるくなるかもしれないです…orz
パラレルはまたいづれという事で。エロより人を選ぶ気がするので…カプもデュエサクかニクエリ、ユズナイでなんとなく想像していたので。
それではまた。
204オロエク「You're not here」1:2006/09/15(金) 23:09:44 ID:y6CxBxBD
胸一杯に、息を吸い込む。
それを吐き出す時に、思わず自分の体を抱きしめてしまう。
それは、あの人に抱きしめられていた事を忘れない為に、癖になってしまった行為。
…私が、ただ一人、人間として愛したあの人の…
「エクレメス様」
背後から声がする。薄い金髪の少年。
「これで貴女に逢うのは最後になるのですね」
「ええ。私は本来ここにいるべきでは無いもの。あなたに逢えただけでも、感謝したいくらい」
「…何への感謝ですか」
「ふふ、そうね…もう戻らない時間への感謝かしら」
天を見上げる。
青い空に白い雲。
どうしようも無いくらいに、平和な空間に私は佇んでいた。


初めて彼にあったのは何時だったかしら。
「時」を管理する空間に、彼は来た。
私の役目は時間を見守る事。
私を護る三人の守役と、私はそこに暮らしていた。
その一人、ルルススが私に言う。
「この人ね、すごいきれいな魂を持った人間だったんだよ。リヒトやキラーとおんなじ。だからここに来る事がゆるされたの。えらばれたの」
「お、おい嬢ちゃん」
彼は困ったようだ。無理もない。
「だからね、エクレメスを護る騎士にはぴったりじゃないかなあ?」
「何でオレ抜きで話進めるんだよ」
「だってあなた、もう死んでるのよ」
「は?」
「選択肢は二つ。私たちと共に、時を護る番人になるか。
それとも天に昇って召されるか。好きな方を選んでいいよ」
つまりここに居る時の番人とは、人を超えた者ーそれには「死」によって魂が肉体から解放され選ばれた者を含めるーなのだ。
私は自分を覚えていない。
何かの災害を沈めるために、何かの身代わりになる為に命を奪われた事を覚えているくらいだ。
「自分が死んだ事も忘れたの?」
はっきり言うルルススに、彼はしばらく黙っていた。
そして。
「…オレは、死んだ」呻くような声。「そうだ、時の神様に逢うために、皆に…」
私は目を閉じた。記憶が流れ込んでくる。
疫病に侵された地、神を崇めるしかない民たち、そして…
…生け贄、だ。
私と同じ。
「エクレメス、様だったな。この子から聞いた。貴女は時を癒す力があると。
オレは貴女にこの魂を…命を捧げます。だからお願いだ」
彼は私にひざまづいた。
「オレのふるさとを救って下さい…!」
ルルススが私を見た。この魂が見返りなら干渉しても良いと目が言っていた。
「あなた、お名前は?」
彼は頭を上げた。

「オロロージョ、です」

205オロエク「You're not here」2:2006/09/15(金) 23:28:13 ID:y6CxBxBD
彼の魂と引き替えに、私は彼の故郷を救った。
もう戻る事は出来ないけど嬉しいと感謝する彼に、私は照れを感じた。
私はその日から変わった。何かはわからないけど。
「エクレメス様は綺麗な髪してるよな」
彼はそう言って笑った。
「そうかしら。別に手入れも何もしてないのだけれど」
「マジで!?そりゃスゲェや」
そして彼は私の手を握る。
「やっぱり神様なんだ、エクレメス様は!」
「…え?」
「昔聞いたんだ。神様はとても優しくて…綺麗な心と姿を持ってるって」
それはお世辞でも何でもない、純粋な驚嘆と憧憬、そして好意に満ちた言葉だった。
神と言われるのは好きじゃない。だって私の根元は人だから。
それでも。
彼の言葉は不快では無かった。
「エクレメス様?」
「あ…ごめんなさい」
「オレ、何か変な事言いましたか?」
「いいえ」
「でも、いきなり黙るから」
「それはね」私はにっこり笑った。「嬉しくてびっくりしたからよ、オロロージョ」
彼は目を瞬かせて、傍目にわかるぐらい照れた顔になった。
私はくすくす笑ってしまう。
彼は拗ねたようにそっぽを向く。
それがたまらなく愛しいと、私は感じていた。


キラーがある日私に言う。
「アイツを見ている君は、ただの女だな」
ゴーグル越しの冷たい目は、笑っていた。その笑みが良いか悪いかはわからない。
「どういう意味ですか」
「言葉通りさ」
キラーはクツクツと声を立てて笑う。
「君はただの博愛の象徴かと思っていたが、そんな一面があるとは発見だよ」




続きはまた後日…
206名無しさん@ピンキー:2006/09/18(月) 23:49:41 ID:IuyGKgBn
保守
207名無しさん@ピンキー:2006/09/21(木) 19:00:29 ID:r3vk7bKk
保守
208名無しさん@ピンキー:2006/09/24(日) 00:24:07 ID:SrB/aEOW
保守
209名無しさん@ピンキー:2006/09/24(日) 07:39:24 ID:ov5TB69Z
ほしゅ
210名無しさん@ピンキー:2006/09/28(木) 00:24:00 ID:eZp5jU07
ジルチ
211名無しさん@ピンキー:2006/09/30(土) 00:25:22 ID:PQQQMaLM
場合によってヘリ子で一つ書くから、なんかネタくれろ
212名無しさん@ピンキー:2006/09/30(土) 00:27:54 ID:PQQQMaLM
IDにQQQキタコレ!
213DJ0721 ◆ie1X/zf2do :2006/10/01(日) 18:07:12 ID:4vs7FwAL
お久し振りです。
保守代わりに「tripping contact」の二人のエロ小ネタ投下します。
若干自分設定が入るので自分設定&トリコンのねーちゃんがマゾっぽいのは嫌と言う方は
NG指定願います。
214tripping contactの二人1/3・DJ0721 ◆ie1X/zf2do :2006/10/01(日) 18:08:43 ID:4vs7FwAL

 ――ひたり、と。
「っ」
 彼女はきつく目を閉じた。
 身を強張らせ、息を詰めて、蛞蝓にも似た感覚が這い上がるのを耐える。
 踝に、踵に、湿ったキスが降っている。
 時折思い出したように足の甲を舌がまろぶ。そうして、足の指の一本一本を口に含んで、ペディキュアの塗られた爪を舌で探る。
 その動作ごとに皮膚を吸われる感覚が、女の背筋に寒いものを走らせた。
「やめ……っ」
 かちり、とスイッチが入った音を、聴いたような気がした。
 恭しく額づくような姿勢の相手から足を戻そうとして、女は足首を掴まれる。
「――」
 呼気だけで、その舌の主が密やかに笑う。声は出ない。喉が潰れていて、その男は唖だった。
 小柄で彼女と同じくらいの背丈しかなく、よくよく見れば、まだ、幼い。だが身についた筋肉にも所作にも無駄がなく、顔立ちは凶相と言ってよかった。
 圧し掛かられると重く、容易な事では撥ね退けられない。少年だ、片端だという言葉から連想されるほど、弱くない。
 むしろ侮っていると痛い目に遭う、用心せねばならない、そんな男だ。
「――っ」
 振り解こうと反射的に足を引けば、強い手が追い縋ってきて止められる。痕がつくほど握り締められ、次いで優しく脛を撫で上げられて、性感を呼び覚まされる。
 そうされるともう逃げようがなく、彼女は唇を噛んだ。
 相手が無言だとこちらも気恥ずかしく、自然声を上げ辛い。いくら体の中の疼きを吐き出したくても、静か過ぎてためらわれてしまう。
「ぅ……」
 喉の奥で必死に悲鳴を押し殺しても、刺激はいっかな止まなかった。
 じりじりと彼女の理性が、焼き切れていく。
「うっ」
 舌になぶられた箇所から悪寒が駆け上って、彼女は尻で後退った。だが先の結果足が掴まれていて、完全には逃げられない。
 バランスを崩して後ろに倒れこむのをすかさず抱き留め、組み敷いて、男はにたりと笑った。
 骨ごと潰しそうな力で警告とばかりに踝を握り締められ、女はただ喘ぐばかりだ。
 瞬く間に第二の皮膚のように、まるで彼女を抱き締めるように複雑に絡んだ、彼女の衣装が剥かれていく。重く張った乳房や引き締まった腹、豊かに脂肪を蓄えた腿がその先まで露にされた。
 だけれど地に付けた肘や、背中の皮膚はまだ生地を感じている。行為に必要な部分だけを剥き出しにするのを、男が好むからだ。
 ただ全裸になるより余程いやらしい有様にされて、両の腕をまとめて拘束されて、彼女は顔を背けた。
 ――見られている。
 蛇のような冷たい視線に舐め回されて、それでも、奥底でとろりと濡れるものがある。
 男は自分の眼帯を剥いで、長い帯状のそれで、彼女の腕を縛りつけた。

215tripping contactの二人2/3・DJ0721 ◆ie1X/zf2do :2006/10/01(日) 18:10:01 ID:4vs7FwAL
「んっ!」
 荒々しく乳房を掴まれて、息が詰まる。次いで喉に、食い破られるかというほど強く噛み付かれた。
 衣類に隙なく包まれた逞しい胸板に乳首が擦れ、乳房が潰れる。脚はこれ以上できないくらいに大きく開かされて、傍から見れば解剖される動物のように滑稽だ。
 いまだ乾かない足の指や裏に風の冷たさを感じ、そんな事を思って彼女は自虐に浸る。
 次の瞬間、卑部に指が捻じ込まれた。
 全身が総毛立ち、背が、肩が跳ね上がった。反抗とも言えないような、むしろ反射と呼ぶべき動きだったけれど、男はますます重みをかけてそれを封じてきた。
 ぐん、と荒々しい挙動に重なる襞が擦れ、めくれ上がり、背骨が軋む。無遠慮に動き回る冷たい指に、生理的な反応としての愛液が零れる。
 奥底まで暴かれるひりつく痛みが、脳の中を束の間塗りつぶした。
「うあっ」
 薄暗く、じめじめした廃墟に反響する呻き声はいかにも苦しげだが、そこには隠しようのない一種の陶酔がある。
 自分の意思というものをまるで無視されて、それでも彼女の脳を占めるのは嫌悪ではなかった。
 ――もっと。
 抵抗できないという状況に、甘い悦びが混じる。
 きつく閉じた右瞼の上から冷たい舌に舐められる。鼻筋に、唇に、相手の吐く息がかかる。
 自由に泳いでは中を刺激する、彼女と同じ、いやそれ以上にそこを知り尽くした、指が。
 ――欲しい。
 指先が弱い箇所を掠めていくたび、首の後ろに鳥肌が立つのを感じる。掠めるが絶対の刺激には至らず、腰が揺れる。
 動作には優しさなど皆無で、進める速度にも迷いはない。最初からそこに触れないのは単に早く終わらせたらつまらないからというだけにすぎない。
 そんな事は分かっているのだ。愛情など自分たちには存在せず、愛撫も、口付けもそこにはありえない。
 普通の恋人たちのように甘く相手を思いやるような感情などなく、あるのはただ、圧倒的な支配欲、征服欲。
 こちらにあるのはそれが裏返しになった、人権も意志も無視され自分など虫けらであるかのように扱われたい、強大な力に自由を奪われ屈服させられたいという欲求だ。
 ひゅうひゅうと相手の喉を、声にもならない吐息が漏れる。やはり蛇を思わせるそれには睦言など到底不可能で、恐らく向こうもまた望まないだろう。
 何故なら。
「んぐっ」
 疼きはそのまま、皮膚の表面に鮮烈な痛みが走る。指は中に沈めたまま、男は内腿に噛み痕を残していった。
 赤くなるとかいった可愛らしいものではない、本当に肉を齧り喰らい取っていくかのような、血さえ滲む本物の咬傷。
 先ほどの喉もそうだったが、相手はいつも彼女に傷を残していく。
 愛しさや、相手の体への賛美が極まって食欲へと転化してしまうのではない。心底彼女に憎しみを覚えるがゆえの、害するための行為。
 親指の腹が早くも勃ち始めた肉の芽を押した。乱雑に扱われて、それでも溢れてきてしまう。
 顔を伏せて剥き出しの神経を擦られる痛みに耐えていると、不意にぐいと前髪を掴まれた。
 抜けても構わないという強さで引かれ、いつも隠れている左目ばかりか額まで露にされて、思わず彼女は目を開けた。 
 気付けば彼女の眼前に、男の顔が迫っていた。
「……」
 空の眼窩が、偽の目玉を見下ろした。無残に潰れた男の傷跡が、女のつくりものの眼球を見つめる。
216tripping contactの二人3/3・DJ0721 ◆ie1X/zf2do :2006/10/01(日) 18:15:39 ID:4vs7FwAL

 右目と左目、向き合うと重なる側の眼が、二人は互いに潰れていた。正常な眼と傷ついた眼、異なる二対の視線が交錯する。
「や……ひゃあっ!」
 見開いた義眼を舐め上げられ、違和感に逃げるところを的確に指が突いて、元から力めなかった女の体からさらに力が抜けた。
 神経が通っていないとはいえ目玉を直に舐められるという行為の異常さ、また歯の揃った顎にいつ噛み切られてもおかしくないのだという恐怖に、どっと濡れてしまう。
「あっ、ああっ」
 それを好機とみたのか、ますます指が蠢く。いつの間にか三本に数を増やし、腹を突き破ってくると錯覚するほどの激しさで。
 ――どうしようもなく、熔けていく。
 もがいたせいで手首が軋む。放っておかれた乳首が尖りきって切ない。しくしくと疼く乳房が自重で揺れる振動さえ刺激と受け取るが、まだ、足りない。
 自分で触りたくても叶わない。だがどうしてか触って、と強請る言葉は出てこなかった。――物扱いされて、興奮しているからだ。
「あくっ!」
 拳まで入りそうなほどに蕩けたところに、有無を言わさず相手のそれが、侵入してきた。舌も指も冷たいのに、そこだけは充血しきった彼女自身と同じくらい熱かった。
「あ……ああぁ……」
 犯される。侵される。気遣いも優しさも皆無の挿入に抉じ開けられ、頭の先まで満たされる。普段はほとんど意識しない、自分の虚を埋められる満足感がある。
 次いで乳房を握られ、もぎ取るような強さで揉みしだかれて、彼女はそれだけで軽く達してしまった。
 眼の裏が白く溶けて、周囲から感覚がどんどん消えていって……高みに至った意識が、ふと、振動に呼び戻される。
「あハっ……あ、っあ……ッ」
 顎が冷たいのは涎が垂れたからだろうか。飲み込む間もなく体をがくがくと揺さぶられ、また意識が遠退きそうになる。
 単調なピストンで、やはり男の側ばかりが快楽を得る動きだった。十指を乳房に食い込ませるほど強く握られても、普通の女なら痛みしか感じまい。
 それでも今の彼女にとっては快にしかなりえないのだ。
 一つしかない視線に射られるのでさえ心地よい。これで言葉で苛まれたら、おかしくなってしまうだろう。男が唖で良かった、と今なら思う。
 ――喉も、眼も潰してよかった。潰されてよかった。消えない傷を刻み刻まれ、相手の憎しみに縛られ凶暴さに虐げられているこの状態が、たまらなく良い。
 殺されるかもしれない、という想像にどうしようもなくぞくぞくする。
「……」
 どれほど経っただろうか。涙で滲んでよく分からない視界の向こうで男が唸った、ような気がした。
 気がしたというのはますます抽挿の動きが早まったからだ。快感に思考も五感も全てが塗りつぶされた彼女でも、終わりが近づいているのだという、それだけは感じ取れた。
 胴に脚を回してもその激しさは変わらない。むしろ却って激しくなったほどだ。あっという間に彼女は二度目の絶頂を迎えて啼いた。
「くぅん……ぅッ!」
「――ッ」
 程なく男もそれに続く。奥底に温かいものが断続的に何度も叩きつけられ、沁み込む感覚が身震いするほど快かった。
「――」
 永遠に続くかと思うほど長い吐精の後、荒い息のまま、不意に男が身動いだ。鼻先まで顔を近づけ、彼女の眼を覗き込む。
 直後だというのに無表情な瞳は相変らずだ。全く乱れていない相手の姿に寂しさを感じないと言えば嘘になる。
 だが互いの睫毛が擦れ、息のかかる感覚は、彼女に何かしら陶然としたものを感じさせた。
 ――これが、自分たちの。
 瞬きの拍子に零れた涙を舐め取る舌が快く、女は甘い疲れの滲む溜め息を吐いた。

【終】

鉄火×茶倉はもう少しお待ち下さい。前回の小ネタにレス下さった方々、ありがとうございました。

>>204
オロエクktkr!エロも続きも楽しみにしております。
>>211
彼氏との嬉し恥ずかしエロ(初めて編orイベント編)が読みたいなと言ってみる。
217名無しさん@ピンキー:2006/10/01(日) 20:54:53 ID:bKxPv7bF
GJ!!
や、あれからもう四ヶ月も経ってますね。お久しゅう。
218名無しさん@ピンキー:2006/10/03(火) 23:38:43 ID:6/OA9YKi
ニクス
219名無しさん@ピンキー:2006/10/06(金) 22:49:33 ID:87JR6uvo
ニクス×ジルチ
220名無しさん@ピンキー:2006/10/08(日) 01:31:43 ID:o7bzXRsc
人いないな…ところで保守がてらに聞きたいんだけど
次回のスレタイに「ポップン」って入れるべきかな? 気の早い話と分かってるんだが。
今回は入れたけど実質ポプはポプスレになっているし。
ここにいる人ってどのくらいポップン分かるものなの?
前回打診のあったような、双方のキャラ混合のエロを落とす場所とか
参考までに知っておきたいんだが。

後ここってMAYAキャラの需要は本当にあるの?
プロフも名前もないキャラが多いからいまいち萌えられなかったりする?
221名無しさん@ピンキー:2006/10/09(月) 17:10:46 ID:DplejxC6
>>220
スレタイに「ポップン」は残したほうがいいと思う。
「音ゲー」で検索してくる人もいるかもしれないし。
むしろテンプレでポプスレ誘導しておけばいいんじゃないかな。
「関連スレ」じゃなくて、「ポップンのストーリーはこちらへ投下推奨」みたいにして。

キャラ混合はどうかなぁ…。
多分供給はあっても需要がないと思う。
222名無しさん@ピンキー:2006/10/10(火) 22:01:43 ID:3ySDmgqF
レストン。
テンプレには貼ってるけどやっぱ弱いかな…
「ポプキャラのみならこちらへ」とでもしておけばいいかな。

確かに混合は書こうと思う事の方が少ないよな。
でも実際前回あったわけだし、どこに投下するかの線引きって
「実際のカップリングのうちどちらがメインか」ぐらいが適当だろうか?

しかし本当に人いないなー…みんなエロ談義しようぜ。
個人的には緋浮美さえも乳が控えめなんで
パイズリが無理そうなのが悲しい。
年長女子はペったんこというジンクスでもあるのか?
223名無しさん@ピンキー:2006/10/11(水) 11:36:21 ID:505UBlpV
亜美あたりなら挟めるんじゃね?
224サブロー1ダルツガ続き:2006/10/11(水) 17:22:52 ID:ULOAX78d
 「さ…触ってみて」
 ほら、と手を引っ張られる。唐突な行動に追いつけず、達磨の手はあっという間に導かれてしまった。
 衣服の下にあった身体を知らない訳ではなかったが、それでも初めて触る物への畏怖は否めない。そろりと触れたのがどこかも分からぬまま、ただ本当に男とは違うということを認識しただけだった。
 「ちゃんと触ってよ、その…わ、分からないでしょ」
 尻窄みの言葉と一緒に、津軽の小さなげんこつが達磨の頭を直撃した。それすらもただの戯れの一撃で、普段の様に痛い思いもない。
 言われるまま、指を動かした。なだらかに膨らんだ形が二つあり、その真ん中は少しねっとりとした感触を指に残した。手前に指を引けば、ひくん、と津軽の身体が跳ねる。こりこりとしたしこりの様なもの、それが何か分からないはずはなかった。
 「ん、はぁっ…」
 吐息と同時に漏れた声は、半ば戸惑いを含んでいた。




流れをぶった切った上久々投下で失礼。
もういつぶりかもワカンネ…
225サブロー1ダルツガ続き:2006/10/11(水) 17:24:37 ID:ULOAX78d
 「…大丈夫か?」
 このまま触り続ければ壊れてしまいそうな津軽に、さすがの達磨も困惑していた。津軽自ら触れと言うものの、これで続けて良いものか、という自問自答にすら答えが出ない。
 津軽は少しだけ肩を竦めると、少し目を伏せて上目遣いに達磨を見つめた。
 「あ、足がね…震えちゃって…」
 見れば確かに、津軽の足は小刻みに震えていた。これも自分の予備知識の内にあったことだ、と達磨は心の奥で溜め息を吐く。
 自分より大人が多いゲーセンの面子に、初めての女の子は怖がっているものだと散々言われていたのに、結局達磨は自分に都合のいいAVや動画サイトで見た女の様に扱おうとしてしまっていたのではないか。
 好きな女にすら優しく出来ない自分が情けなく、すっかり達磨自身は萎えてしまっていた。しかし、恋人に恥をかかせるのも、自分が情けないままなのも、達磨は否定した。
 「津軽、座ろうぜ。それなら大丈夫だろ」
 こくり、と頷く津軽。一緒に座り込んでしまえば、目的のためにも互いに足を開かざるを得ず、恥じらいの空気が空間に満ちた。
226サブロー1ダルツガ続き:2006/10/11(水) 17:27:04 ID:ULOAX78d
〆とかの小説が読めて幸せになってる俺です。
随分前になるけどコメントくれた人ありがとうございます。
あと、まとめサイトがあったのにびっくりした…乙です。

また近い内続き書きに来ます。
227名無しさん@ピンキー:2006/10/11(水) 17:29:56 ID:5W7fiNfz
待ってました!初々しい二人がいいね。
続き楽しみにしております。GJ!
228名無しさん@ピンキー:2006/10/12(木) 02:52:58 ID:L3zRTvJm
(*゚∀゚)=3 うおお!忘れた頃にネ申降臨キタコレ!

期待してますー!
229名無しさん@ピンキー:2006/10/15(日) 00:45:42 ID:szT/nQJT
ジルチを丸ごと食べてみたい
230じるち:2006/10/15(日) 22:20:18 ID:YLtSxSZ4
>>229
オマエ オレサマ マルカジリ

さがりすぎage
231名無しさん@ピンキー:2006/10/15(日) 22:43:01 ID:NRz2Q/07
なんで獣口調なんだw
デュエルのアップリザ狙いでCSREDやってたらジルチばっかり出てたんでなんか吹いたw

ジルチはネタにしやすいなしかし
232名無しさん@ピンキー:2006/10/20(金) 02:25:38 ID:+PTGvKU0
Qジャック
233名無しさん@ピンキー:2006/10/23(月) 00:14:37 ID:Ar2ofxGz
ふむ。これがロリジルチか。
234名無しさん@ピンキー:2006/10/27(金) 01:52:16 ID:b7x3KQoS
連カキコスマソ
235名無しさん@ピンキー:2006/10/27(金) 17:56:39 ID:libi/aIR
ほしゅしゅ
ビーマニ関連なお絵書きスレってあるのかな?
小説は書けないから、ギタドラキャラのエ口画像とか描きたかったりするんだが……。
スレ違いスマン
236名無しさん@ピンキー:2006/10/28(土) 03:13:09 ID:o6YD7NM5
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/ascii2d/1152084442/l50
俺達はどうしてもセリカたちを…【第弐拾弐章】
237名無しさん@ピンキー:2006/10/30(月) 20:29:11 ID:6CDqyZiA
半虹のギタドラスレは今年の1月頃に30レス持たずに落ちて以来、立ってないからなぁ…
キャラ萌えスレもこないだ復活したばかりだし。
238名無しさん@ピンキー:2006/10/31(火) 10:42:07 ID:TpCbpgSl
最近のギタドラは提供曲のクリップの方が印象に強いからなあ…
今となっちゃGF8DM7のギャルゲー現象が懐かしいw
239名無しさん@ピンキー:2006/11/04(土) 00:28:41 ID:/V0XRoB2
NIXは猫耳ではない。
240名無しさん@ピンキー:2006/11/06(月) 23:17:54 ID:euLKQdXC
ほしゅ
241名無しさん@ピンキー:2006/11/10(金) 01:12:00 ID:6jaX+8kA
耳や尻尾を生やせるなら他のものも生やせるはずだ。
と思っている俺の方がキモイ
242名無しさん@ピンキー:2006/11/12(日) 01:52:23 ID:RjaHhTlf
何となく保守
243名無しさん@ピンキー:2006/11/16(木) 01:10:50 ID:11dgtD7U
生やすの禁止。
244名無しさん@ピンキー:2006/11/18(土) 03:23:38 ID:33gsjxL6
じゃ、植える



ジルチのモヒカンを
245名無しさん@ピンキー:2006/11/18(土) 09:32:12 ID:h6q0uq9P
ちょwww植えるなwwww
246名無しさん@ピンキー:2006/11/22(水) 01:39:22 ID:Y6TOsgfU
そんなハリセンボンな茶倉は嫌だ。
247名無しさん@ピンキー:2006/11/22(水) 17:34:46 ID:yt8eeCnh
>>246
ハリセンボンと聞いて、近藤or箕輪似の茶倉を想像してしまった
248名無しさん@ピンキー:2006/11/27(月) 01:59:15 ID:G5HZJJXw
ハリセンボン茶倉のエロ画像きぼんん
249名無しさん@ピンキー:2006/11/30(木) 01:06:03 ID:9fouHT14
ウニ
250名無しさん@ピンキー:2006/12/03(日) 00:24:14 ID:KySxbeCr
木更津キャッツアイワールドシリーズの女教官が
クロミミウサギ団の人に見えて困る。
251名無しさん@ピンキー:2006/12/06(水) 19:24:49 ID:a+GV/PVQ
びっくり
252名無しさん@ピンキー:2006/12/06(水) 19:47:04 ID:Rapr5DXe
Uでらのキャラの設定書いたページってないの
253名無しさん@ピンキー:2006/12/06(水) 20:05:06 ID:ZRuHBdQ5
ゲームキャラ板のIIDXキャラ萌えスレに
アルカやバイブルの設定やアルカに載ったイラストをまとめた
まとめへのリンクが貼ってある
まあ完全ではないがそこ行ってきたら
254名無しさん@ピンキー:2006/12/06(水) 20:24:29 ID:Rapr5DXe
ありがと
255名無しさん@ピンキー:2006/12/07(木) 16:51:18 ID:BlaKiNY9
IDが5DX
256名無しさん@ピンキー:2006/12/10(日) 00:34:09 ID:jEZRjG6w
ガチムチのイロハ
257名無しさん@ピンキー:2006/12/15(金) 00:40:15 ID:IThnOwMe
オッス連呼
258名無しさん@ピンキー:2006/12/15(金) 01:30:06 ID:wL/U7gOT
アッー!
259名無しさん@ピンキー:2006/12/18(月) 02:51:54 ID:r0MCNhOI
コスモタソとのエロい夢なら夢精するのも本望だ。
260名無しさん@ピンキー:2006/12/22(金) 01:46:12 ID:yqE7L+ZM
コスモ コスモ
261 ◆xdgBsiroro :2006/12/24(日) 17:17:04 ID:AOgcd+kl
メリクリ!
262 ◆xdgBsiroro :2006/12/24(日) 17:17:36 ID:AOgcd+kl
負けの負けの負けの負けの負けの負けの負けの負けの負けの負けの負けの負けの負けの負けの負けの負け
の後にあったのは、やはり負けだった。曲が終わり、画面が暗転した時点で、それは既にはっきりとしている。
画面が切り替わるまでの間、茶倉はほとんど視線を動かさなかった。最早それは、機械的とまで言ってもいい。
筐体が稼動し続ける間、茶倉もまた、その中の一部であるかのように延々と演奏を続けるのだ。その上で、
いつもすんなりと勝ちを奪う、隣で恐らく澄ました顔をしているであろうナイアをもう見たくなんか無かった。
 リザルト画面には他の選択肢も無く、互いのサイドにAAAの文字と、その下に得点が表示される。68点差。
決して少ない数字で無いが、それはほとんど負けの平均値だった。たまに50点台に留まる事もあるが、万に一つで、
40点台を切った事は無い。勝負において、それ以下の負けが無い現状は恐らく、致命的であった。勝負柄、
茶倉の願う、勝つか負けるか、の世界にすら到達出来ていない。
 それでも茶倉は、カードリーダーから出たカードを一旦手元に戻す事無く、財布から次の100円玉を探すのだった。
数を重ねていれば、いつか60点差を埋める実力を出せるかも知れない。そうで無ければ、完全にナイアに負けてしまう。
そんな意識が、根幹で強く働いている故なのかも知れない。茶倉の財布の小銭入れには、常に3000円前後を崩しただけの
100円玉が入っている。彼女は常に「そのつもり」なのだ。
「ねぇ、もう今日は止めにしたら? 」
 隣から僅かにナイアの声がして、茶倉はようやく、彼女を向いた。筐体から流れる爆音と、取り付かれたような集中で、
その声は、背景のほんの遠くにしか聞こえない。ナイアは目を細めて、何かを疑心するような、あるいは、心配するような、
ともかく茶倉を大雑把に探るような顔をしてこちらを見ている。その視線が痛々しいのか、腹立たしいのか、茶倉は思わず、
どうして、と不機嫌そうに言って顔を戻しながら100円を入れようとした。だが、ナイアの手が投入口を塞いでいた。
「何かすごく必死だから」
 ナイアの手に強く押し当てられる形となった100円玉を、茶倉は少しして、取り下げた。
263 ◆xdgBsiroro :2006/12/24(日) 17:18:28 ID:AOgcd+kl
人がいなくなる22時頃からが、二人が勝負するには適当な時間帯だった。このゲームセンターの場合は女性客が多いからか、
どちらかと言うとポップンミュージックやクイズマジックアカデミーらの方に人が集中し易く、取り分けそろそろ新作が
欲される昨今についてはほとんどやりたい放題が利くのだ。そもそもはナイアがこの事に目を付け密かに練習場所として
有用していたのだが、ある日茶倉に見つかってしまい、のそのそと上がり込まれる結果になってしまった。
 beatmaniaIIDXの筐体のすぐ近くに、ゲームのパンフレットをまとめたテーブル台と、大型の吸煙機が配置されている。
奢らせる義理は無いが、鼻で使う分には使ってやる。どこまで勝ち気なのだろうか、そんな茶倉の性格に気を遣う形で、
ナイアが自動販売機から缶コーヒーを二本買って持っていくと、テーブルに凭れかかる茶倉が二つ、煙を立てていた。
近くで見ると、きっと薄紫ががったその煙は、テーブルにライターと一緒に置いてあるチェリーによるものだった。
普段がマールボロのミディアムなのはよく知っているから、きっと機嫌に合わせて吸う煙草を変えているのだろう。
その予想が正しいのかは解らないが、ともかく周囲の人々にしては随分と近寄り難い雰囲気なのは確かである。
「機嫌悪いわね」
 テーブルに缶コーヒーを置くと、茶倉は一瞬それに目をやって、無言で120円を置いた。ナイアは黙って受け取り、
それを財布に仕舞う。それから、自分も煙草の箱から一本抜き取り、火を点けた。
「今日は何回やったっけ? 」
「知らない」
「15、6回くらいかしら」
 回数を挙げると、茶倉はわざとらしく目を逸らし、鼻からすっと煙を吐いた。金にしろ時間にしろ、やはり少しは
気にするのだろうか、ナイアには少しそれが可笑しかった。
「たまに、にしてもちょっとやり過ぎね」
「関係無いさ。勝つまでやるんだから」
「じゃあそれまで負け続けるんだ」
 言われて、茶倉はきっとナイアを睨んだ。だが、ナイアはひどく余裕のある表情で、でも事実でしょ? と言葉にはせず、
まるで諭すような仕草をする。茶倉が諦めて目を下にやり、また一つ煙を吐き出すと、ナイアは軽く身を乗り出して言った。
「ねぇ、どうして私が勝って、あなたが負けるか、教えようとしたらちゃんと聞いてくれる? 」
「聞くだけ聞く」
「あなたはリスクを知らないわ」
264 ◆xdgBsiroro :2006/12/24(日) 17:19:24 ID:AOgcd+kl
「リスク? 」
「ねぇ、もし私がもう二度と勝負してあげないって言ったらどう思う? 」
「勝ち逃げは許さない」
「例えば、の話よ。それで、次が最後の一回なんて事になったとしたら、もしかしたらその時はいい勝負か、茶倉が勝つかも
知れないわね。それがあなたが知るべきリスク」
「お前にはリスクがあるのかよ 」
「負けたら、恋人になる」
 そう言ってナイアが吐いた白煙の蜃気楼には、恐らく、自分がユーズに引き分けた日の事が浮かんでいる。
「それは別の意味があると思ってたけど」
「……そういう意味もあるわ。でも正直、中華フルコースなんて条件に甘えてた所もあったから。プレッシャーを引き上げて
結果を残す。もうここまで来たらプライドの勝負よね。浅ましいかも知れないけど、だからこそ勝てる事もあるのよ」
 自分にも負けたら何かさせろ、とナイアは言いたいのだろう。それは単に割に合うかどうかでは無く、茶倉の
レベルを引き上げてなお勝負したい一心にあるのだ、と茶倉は思った。
「とにかく負けたら、恋人になるのか」
「もちろん」
「ガキ、ジジイ、IIDXのスタッフ、ジルチ」
「私に勝ったらね」
「そりゃ偉いプレッシャーだな」
 ただ、茶倉にはそんな自己犠牲精神豊富なナイアに見合う賭けの対象は見当たらなかった。
茶倉もまたプライドの高さには自信があるが、それはそれだけの事で、茶倉にはせいぜい、IIDXとバイクくらいか無い。
「でも私に賭ける物なんか無い」
「じゃあ、本日最後の勝負にとっておきの賭け」
 ナイアは、待ってましたとばかりに提案した。
「もしあなたが負けたら、クリスマスイブに私とデートしなさい」
「はぁ? 」
 素っ頓狂な声をあげる茶倉を前に、ナイアはすっかり予想していたかのような涼しい顔をしていた。
265 ◆xdgBsiroro :2006/12/24(日) 17:19:57 ID:AOgcd+kl
デパートの入り口前、見渡す限りの雑踏を目にして、今まさに悪夢の幕が開けたと茶倉は思った。
クリスマスイヴの東京の午後は、茶倉に限って良くない事を前兆しているようによく晴れている。午前中
から続くこの晴天はイヴの終わりまで続くので、ホワイトクリスマスにはならないかも知れませんが、
今宵夜空にはソリを引くトナカイとサンタが見えるんじゃないでしょうか。昼ごろテレビで見た
天気予報士の言が思い出される。うざったい。天気予報士には天気予報士の良きプライベートがある
から、そんな調子なのだろう。あるいは放送作家の寝言だろうか。
 どちらにしろ、ブラウン管の世界はいつだって何処かしら淀んでいる。
 前日、茶倉はバイクを走らせて星を見に行った。英利も付いて行かせてやる、と誘ったが、実際には
翌日が余りにも腹立たしかったので、バイクのウイニングレッドのボディが英利の目から波線状の残像
になって消えるまでスピードを上げ、走りながらも置き去りにしてやった。本当はこれが目的だったの
かも知れない。向かった先は埼玉の郊外にある道の駅で、どういう訳か星がよく見える場所だった。
駐車場から真っ直ぐに見上げ、それこそ一面綺麗に星が見えると、次の日は広く空が晴れ渡るのだった。
この日の夜空もまた、良かった。茶倉にはそれが不満でならなかった。
 通りゃんせ、通りゃんせ
 街の雑踏は水の流れに似て、道の上を流れ、入り乱れ、ぶつかり、そして視界の向こうへと消えていく。
カップルや家族連れとそれ以外の割合は平日のそれとは逆転し、前者と後者は、思わずとも誰かによって
勝ち組と負け組みに分けられる。そのマイノリティの側に、茶倉はいる。待ち合わせの時間までは、あと
8分ある。遅れて来ようものならただじゃおかない、と茶倉は思った。こんな日に限って女同士ベタベタと
買い物だの食事だの、よっぽど虚しくなると言うのに。
 勝負は白熱した。最悪に近い条件だったが、逆にそれが勝負に勝つためのプレッシャーにもなるのは
確実で、おまけに逃げるのかだのと言うお決まりの煽りが利いたのか、茶倉はこれまでに無く真剣に
敵意を持って勝負に挑み、そこがナイアの狙いであるならば見事ド壷に嵌る形で食らい付いた。
それは決して空回りに終わらず、事実二曲目までは僅かに9点差だった。最後には26点差で終わった勝負だったが、
それでも随分と勝ちに近付く結果となった。そこは間違い無く、ナイアの言った通りだった。負けられない、と決めた勝負は、
それで負けようが、少なくとも空虚なままには終わらない。それは間違い無く、これまでの数ヶ月間を
何秒かに縮めた一瞬だった。だからこそ茶倉は、敗者のプライドに賭けてここに立っているのだ。意図の
見えてこない一日デートの誘い。やがて、水流の奥から、見覚えのある姿が視界にはっきりと目立ち、
こちらに気付いたのか足早になってやって来るナイアを見て、茶倉は深く溜息をついた。
 通りゃんせ、通りゃんせ
266 ◆xdgBsiroro :2006/12/24(日) 17:20:33 ID:AOgcd+kl
「ちゃんと来てくれたのね」
 その声色を聞いてはっきりしたが、ナイアは実に、嬉しそうだった。余りにも露骨で気味が悪い。
「そういう条件だからな」
 茶倉はぶっきらぼうに答えてそっぽを向いたが、それから少し冷静になって気付き、ナイアを見た。
何かシルエットが落ち着いていると思えば、あの天気予報士だ。コートの下に、紺色のスーツを着ている。
「今日は色々探らせてもらうわ」
「その格好は何だ」
「スーツ」
「見りゃわかる」
「そう」
「……そんな準備が要るのか、今日」
「要る、要る。言わなかったけど」
「どうして」
「持ってないかも、って思ったから」
 通りゃんせ、通りゃんせ
 茶倉は、憮然として沈黙した。それは決して誤解では無かった。事実である。正装なんて機会も無かったし、
極端な意味では無いと言いたいが、無難であればそれこそあまり着る物には執着心は無い。ただ、他人に
指摘されると、じっとりと嫌な感じがする。それが私にとって、何だと言うのだ。
「あら、結構ぐっさり来た? 」
「帰りたくなった」
「まぁ待ってよ。だから、一緒に選んでみない? って事で、ね? 」
 ナイアは茶倉の隣に回り、指先で背中を軽く小突いて急かした。
 何度目にもなる通りゃんせが聞こえ、目の前の横断歩道から一気に人が流れ出す。それに乗じて、ナイアを先導に
二人はせかせかと歩き出す。
「何たって私の仕込みなんだから、今日はとことん良い日にしてあげる」
 ナイアはやはり、取り分け機嫌良い様をする。今日一日こんな感じなのだろう。茶倉はまた、溜息を付いた。
267 ◆xdgBsiroro :2006/12/24(日) 17:21:03 ID:AOgcd+kl
ROOTS26のドアが開き、店の中に足を運ぶその時、茶倉は何か違和感を覚えた。店の風景はよく知っているのだが、
それがどうも、全部地面に沈んでいるように、低い。いらっしゃいませ。右奥のカウンターから、元気な声が聞こえる。
茶倉はその声が彩葉である事を知って、違和感の正体に気付いた。自分がこの店に来る時は、いつも彩葉の身体を借りて
いたのだ。故に今更になって互いの身長の差が茶倉の感覚を狂わせている。その事が、スーツの事を指摘された先程の
先程と重なって、茶倉を複雑な気分にした。少なくとも、気分の赴くままでは無く、それを着るために服を見るのは
久々だと思う。今日の格好も、良く気合を入れるのも馬鹿らしくて、あくまで無難に留めたつもりだ。高くなった視点
から、改めて店を見回す。クリスマスの日に従って、ただし刺々しく彩られた店内には、不思議と茶倉を惹きつける物が
あった。
「あらぁナイアさん、こんにちは。よう来なすって」
 彩葉がこちらに寄ってきて、良い笑顔を見せる。クリスマスらしく、ぽんぽんの付いた赤い帽子を被っている。
 ナイアがこんにちは、と返した後で、彩葉は未だ入り口の所に佇む茶倉にも気が付いた。
「へぇぇ珍しい、茶倉さんだ。こんにちは」
「あぁ」
 彩葉とはどうも、絡み辛い。経緯あって、目を合わせると、まるで鏡でも見ているようなぎこちない印象を覚えるのだ。
それでいてその鏡が映すのは、自分とは全く方向性の違う性質の少女なのである。根性無しで、その割りにやかましい面は
どうにも情けないが、その分特有の社交性と気楽さは、羨ましくも思える。どちらにしろ、比較対象としての鏡と言う物を
長くは見ていられない。白雪姫の魔女も、決して良い気分では無かった筈だ。
「お店手伝ってるの? 」
「そうなんですよ。エリカさんがお休みなもんで。あ、理々奈、理々奈、ナイアさん来たよ……今、後ろで経理やってるんです
まぁセムさんがお手当てくれる言うてるし、それでちょこっと鍋をこさえる始末なんです。あ、鍋の事理々奈から聞いてます? 」
「ヒフミさんが良くしてくれるんだってね」
「何やうちとは久しぶりのくりすますやさかいに、よう張り切ってるみたいで。本音は理々奈のこと捕まえたいみたいなんですけどね。
あの子には素質があるなんて言うて。まぁそない言うても結局今年も薬も出来上がらなかったんで、来年はひーねぇにも手伝って
もらってよう頑張ろう思えればええんですけど」
 一つぶつけると十返す彩葉の喋りぶりを、茶倉はほとんど蚊帳の外から耳に入れいた。
「エリカはやっぱり、デートよね」
「まぁ、と言うか、あんないかいらしい人もそないおらんと思うんですけど、もう十日くらい前からすごいんですよ。顔の筋肉が
スライムみたいになってもうて、で、バイト中も意味無しにニヤニヤするもんですから、この前お客さん笑われてる思うて怒って
帰ってもうたとかで、あぁ理々奈、ほら、ナイアさん」
 カウンターの奥のドアから、彩葉と同じくサンタの帽子を被った理々奈が顔を出した。ナイアの顔を見て、ほんのりと笑顔を浮かべる。
「こんにちは、理々奈」
268 ◆xdgBsiroro :2006/12/24(日) 17:21:34 ID:AOgcd+kl
「姉様」
 それから続けようとして、理々奈もまた、ぼんやりと服を眺めている茶倉に気付いた。こんな日に限ってナイアと一緒にいる
茶倉の姿が、理々奈には衝撃的だった。ナイアへの挨拶をそこそこに、理々奈は茶倉に寄った。
「ちょっと」
「何だよ」
「どうしたの」
「聞くな。馬鹿馬鹿しいから」
「そうはいかないわ」
 ナイアを気にしているのか、いやに小声で喋る理々奈と一緒に、何故か茶倉も隅に縮こまって、仕方なく事の経緯を話した。
 まぁ士朗さんももう何回目やし、きっとようしてくれはるんでしょうねぇ。ほんにもう羨ましいこと玉の輿ってやつで。彩葉も
ほら、デートなりすればいいじゃない慧靂君と。いやー、それは、あの、本当にあるんですかねぇ。え? 何て言うか、よう分からないんですよ、
別に何か言ってくるとかじゃないし、ただ、写真は撮りたいらしいんですけど。被写体としてか、本人としてか、って事? そんな感じ
ですねぇ。それはほら、士朗にも似て真面目なのよ、写真に、ただ、だからって彩葉の事も何も考えてない訳じゃないと思うけど。
そうなんですかねぇ。きっとそうよ、だからほら、エリカだって多少は引っ張ってるくらいなんだから彩葉も、ね。欧米かっ。……え?
いやいや、血は争えへんって感じですねぇ。
「そう言う訳ね」
「だから私も、ここでスーツを選ぶ後の事はわからん」
「それにしても、ふふ、いやに素直なのね」
 本当に微かに笑みを見せた理々奈に、茶倉は舌打ちした。
「何ちょっと笑ってんだよ」
「二人ともよく知ってるから、おかしくて」
 ああそうだ、ねぇ、理々奈。
「はい」
「この後ちょっとあるから、茶倉にスーツ着せてあげたいの」
「わかりました」
 理々奈はまた一瞬、茶倉に微笑を残して、奥の棚へと向かっていった。それと入れ替わりに、彩葉が茶倉の手を引く。
「茶倉さん、ちょっとちょっと」
「何だよ」
「着てみて欲しい服があるんだけどさ」
269 ◆xdgBsiroro :2006/12/24(日) 17:22:04 ID:AOgcd+kl
そう言って彩葉は、趣旨がよくわからないままの茶倉を試着室に押し込み、カーテンの隙間からそそくさと一式を差し出した。
「髪は下ろしてね、その方が似合うから」
 手渡された黒のワンピースを広げて、凍り付いた。バストのラインと、スカートに、フリルが付いている。少なくとも茶倉には
それだけの事で済むような代物では無かった。おまけにアクセサリーは、同じく黒のレザーベルトに、棘の付いたチョーカーとブレスである。
 ゴ、ス、ロ、リ、って奴か。
「それ、入門編ってことで」
「これを着るのか……? 」
「きっと、似合うよ」
 カーテンは閉められ、彩葉はまたナイアとの談笑に戻ったようだった。茶倉はしばらく固まり、それから改めて隙間無く
カーテンが閉められている事を確認し、カーテンを向きながらヘアゴムを解いた。長髪を流し、姿見を向いて、ワンピースを
身体に当ててみる。茶倉の感性にしては、やはりそれは、有り得なかった。しかし、そのどちらの感性が間違っているかは
解らなかった。今ここで否定している自分の方か、似合うと言った彩葉の方か。茶倉には解らなかった。
 漫才のネタ、目標はオセロ、明日のM-1、歌を歌って、IIDXに、もう誰も知らない、欧米かっ、鍋パーティー、ウサギの肉、
タブーかっ、豚だっ、スーツを選び終えたのだろうか、いつの間にか理々奈も加わって話が盛り上がっている。それとは全く別の空間に、茶倉はいる。
カーテンを開けた途端、この二つは繋がり、茶倉は「変わる」かも知れない。もう暫くして、カーテンは開かれた。
「あっ、すごい、茶倉さん」
 彩葉が真っ先に見て、それから理々奈とナイアが向いた。コルセットドレスを纏った茶倉を見て、二人は思わず息を呑んだ。
理々奈もナイアも、茶倉は絶対にこんな格好はしないだろうと思っていたからだ。ただし、それは驚くほど似合っていた。
それらの驚愕は、総て茶倉と言う人物像が造り上げていたものだ。ただ一人、茶倉に対して純粋だった彩葉だけが、茶倉の
全く新しい面を見出したのだった。
「ほらほら、やっぱり似合ってるっていうか、すごい、こういうモデルさんみたい」
 茶倉には、彩葉の声がまるでカーテンの向こう側のように外側に響いていた。それよりも、言葉無く自分を見ている
二人の方に目がいく。引いているのだろう、と茶倉は思った。茶倉は振り子のように内側へと近づいていく彩葉の声を、
ようやく聞いた。
「すごい、似合ってるよ。茶倉さん背ぇ高いしスラっとしてるから、ほんまにお人形さんみたい。ねぇ、理々奈、似合ってるよね」
 彩葉の問いに、理々奈はゆっくりと頷いた。
「うん、はまってる」
「ねぇ、ほら、茶倉さん、理々奈が言うてるやから。このゴスロリ姫の目なら間違いないわ。今度集会とか行ったらええよ」
「そ、それは、遠慮しとくけど……」
 ようやく、茶倉が口を開いた。途端に顔が真っ赤になり、それから何故かナイアを見て
「に、似合うか……? 」
 と聞いた。ナイアは、うん、と頷いた。
270 ◆xdgBsiroro :2006/12/24(日) 17:22:35 ID:AOgcd+kl


 店の前に高級車が停まった時、茶倉も彩葉も何事かと思った。理々奈は、兄の得意先が来たのだろうと言った。しかしそれは、ナイアに
向けられたものだった。当の本人は、やはり何事だろうと思っていたが。
 ウィンカーを付けたまま、白い帽子を被った運転手らしき人物がが降りてきて、店のドアをくぐった。ナイアの名を呼んだ後、ナイアは
何か困り果てた様子で応対して、それから茶倉に迎えが来たわ、と言った。既に理々奈の用意したスーツに着替えていた茶倉は、何が何やら
解らないまま、ナイアと一緒に後部座席に乗り込んだ。
 茶倉の手には、二つの紙袋が握られていた。一つには今日自分が着てきた服が入っていて、もう一つには、先程着たコルセットドレス
が入っている。最終的に理々奈からプレゼントされた物だった。茶倉は車中、紙袋から見えるドレスのフリルに目を落とした。
「何もこんなに大袈裟な事しなくてもいいのにね」
「いや、だから何処行くのかも聞いてない」
「あら、言ってなかったっけ? 」
「お前、わざとだろ」
「ばれた? 」
 東京の、遅々とした車道を、黒塗りの高級車が我が物顔で抜けていく。
「横浜でね、アルアのコンサートがあるのよ」
「アル…ア? 」
「ごめん、シアの事」
 そう付け足したナイアの顔が、少しだけ曇った。一時間近く、会話が途絶えた。
271 ◆xdgBsiroro :2006/12/24(日) 17:23:07 ID:AOgcd+kl


 迎え入れられた先は、横浜の中規模なコンサートホールだった。たまに何かの宣伝で名前を聞くことがある。
車を降り、入り口を抜けてロビーに入ると、暖色の光の下にいかにも高貴そうな洋服を纏った面々を見る事が出来る。
クリスマスの日に音楽、それも若い連中が好む、集団意識だとかを満たしてくれるロックやヒップホップの類を除外すれば、
残るのはクラシックだとか、その辺りに行き着いてしまうのだろうか。ナイアが受付に行っている間、茶倉は貴族達の衣服と自らの
それを交互に見ながら、それとなくロビー内を歩いて回った。壁に連なって貼られたポスターには、異国の歌姫、のフレーズが
目立っている。アジア生まれの南国育ち。こうしたチャリティーの企画に引っ張り凧なのも、何となく頷ける。経験とは、
他ならない糧なのだ。もし幽霊の墓石保護団体があったら、是非ハーフの自分も呼んで頂きたいものだ。茶倉は思った。
「授業参観って奴か」
 二人は前列から五段目の、左端の席に案内された。こちらからはシアを見ながら、シアからはナイアを見て緊張しないように、
そう配慮された席だった。
「そうかも知れないわね」
「しかしすごいじゃないか。一つの特技でこれだけの人を集められるんだ」
「歌もあるけど、そのために動いている人、企画立てが良いのも確かよ。特にプロデューサーがね」
「プロデューサー? 」
「そう。プロデューサー兼、ピアニスト。逆かしら。ほら」
 ナイアは、ステージの向かって左にあるグランドピアノを指差した。
「あそこで演奏するのがアルアの保護者……私の義父にあたるわけ」
「世界を股に駆けるピアニストか」
 開演のブザーが鳴り、初老で薄い白髪のピアニストがステージに立った。拍手が沸く。
 本日はこの場にお越し頂いて有難うございます。
今夜はこの場を借りまして、どうか皆様に素敵なクリスマスの一時をお過ごし頂けますよう、手前のピアノと、これに乗せて先頃から
僕のコンサートに参加して貰っている私の養女でもあります、夏天の歌声を披露させて頂こうと思います。どうか皆様最後までお付き合い
頂けます様よろしくお願いする次第で御座います。それでは彼女にも登場して頂きましょう。
 二度目の拍手を浴びながら、ベージュのドレスを纏ったアルアが現れた。同じくしてピアニストが、ピアノの椅子に腰掛ける。
過度に緊張させないよう、直ぐに演奏に入るようだ。あの子が、ほんと、小さいのに、すごい、ピアノが鳴らした最初の一音で、
会場は一気に静まり返った。和音のフレーズが二小節続き、それから、声が、響いた。 
272規制しすぎ ◆xdgBsiroro :2006/12/24(日) 17:24:19 ID:AOgcd+kl
赫く染まる 月の雫 涙 空
 哀しみは 声にならないほど 深く

 鼓膜に、繊細な針を通されたような感覚がした。伸びのある、完全なまでに透き通った声は、総ての聴衆を未だ暗い、唄のイメージへと連れ去った。

 赫く染まる 傷つけ愛した一夜
 融けだして 心は凍てついていく

 今すぐに鼓膜を突き破って欲しい。血を流し、ただれた耳から、あるいは全身の穴からこの美しさを吸い込んで、一つになってしまいたい。
天才の歌声は、聴衆それぞれにある、捻じ曲がった愚かさの先の最も清らかな中核に触れさせようとする。自虐的で、あるいは自尊的な唄の世界。
 アルアは遠い場所に佇んでいて、月の裏側のような場所から偉大な言葉を掛けて聴衆を何処か特別な世界へと連れて行く。
具体化すると、天国なんて陳腐な言葉、いや、もしかするとそうなのかも知れない。片翼の天使が地上に風穴を開くような、
そんな穏やかな陶酔を呼ぶ感じが茶倉にもよく伝わってくる。これはきっと、誰かを虜にする。茶倉はふと、ナイアを見た。
 ナイアは薄く微笑んでいるようで、実はそれとは違う顔をしていた。
273 ◆xdgBsiroro :2006/12/24(日) 17:24:56 ID:AOgcd+kl


 コンサートが終わった後、二人は控え室に案内された。ところがアルアはそれよりも前の廊下の壁にもたれてナイアを待っていた。
「お姉ちゃん」
 片翼の天使では無く、ごくありふれた少女の声をしていた。ナイアは抱きつくシアの背中に、そっと腕を回す。
「よく来てくれたんですね、びっくりしちゃった」
 アルアは独特の喋り方をする。時々おかしなイントネーションを持つ敬語が、彼女の言葉だった。義理の父親が、そういう喋り方を
しているらしい。それをナイアが、標準的な物に戻すように少しずつ教えているそうだ。アルアと同じように屈託の無い笑顔を見せているであろう
ナイアの背中を、茶倉は離れた場所で見ていた。
「内緒にしてたからね。今日は良かった、って言っていいのかな?」
「いっぱいの人が来てくれたから、頑張りました」
「茶倉も連れてきたのよ」
「茶倉さんも来てくれたんですか」
「たまたま、な」
「歌を聴いてくれましたか?」
「あぁ、良かったよ。個性があって、ちょっと堅苦しいけど私は好きだ」
「シア」 
 控え室のドアノブに手を掛けたピアニストが、アルアを呼んだ。アルアはにこりと笑って手を振った。
「おとうさん、ほら、お姉ちゃん」
 ナイアは、静かにピアニストに頭を下げた。男の方も、何処かぎこちない様子で頭を下げる。
「よく来てくれたね」
「タクシーか何かで良かったんですよ」
「そうはいかないよ。それにしても、我侭を言って申し訳無いな」
「とんでもないです。私には私で予定もありましたから」
 ナイアはそれだけを喋ると、アルアの頭を撫でて何かを呟いた。アルアは頷き、それから男の方へと駆け寄る。
「お姉ちゃん、ばいばい」
「ばいばい」
 そうして、アルアは男と控え室に消えた。途端に静かになった廊下を、くるりと背を向けたナイアの靴音が最初に鳴らした。
「行きましょう、また送ってくれるから。今度は私の家よ。ご飯ご馳走してあげる」
 その道が終わるまで、ナイアは一度も控え室を振り向く事は無かった。
 茶倉から見て、ナイアはやはり、寂しそうな顔をしていた。

274 ◆xdgBsiroro :2006/12/24(日) 17:25:33 ID:AOgcd+kl
値の張りそうなマンションの六階に、ナイアの部屋はあった。玄関を抜けると、茶倉のそれと倍近く違うリビングが開ける。
壁のスイッチを押すと、殆ど一瞬で部屋中が明るくなる。茶倉の部屋はスイッチでは無く、紐付きのを引っ張ってから五秒はかかる。
ナイアは食卓のテーブルに鞄を置くと、すぐに気の抜けたような声をだした。
「つっかれたわね。着替えない?」
「ずっと着替えたかった」
「じゃあ、そこの部屋使って着替えて」
 ナイアが指したドアを開けると、そこは洋間になっていた。スイッチで明かりを点けると、中央にテーブルがあり、テレビの側にはプレステとIIDXのコントローラーが、
別の隅にはアルアの物であろう沢山の猫の縫い包みが置いてある。茶倉は着替えながら、IIDXのコントローラーで遊ぶナイアとアルアの姿を想像した。その暮らしに、
恐らくあのピアニストの姿は無いだろうと思った。
 着替えてからドアを開けると、既に部屋着に着替えたナイアが驚いた。茶倉は昼に着てきた服では無く、例のゴスロリのコルセットドレスを纏っていたのだ。
「そっちに着替えたの? 」
「身軽……だからな」
「気に入ってるのね」
「まぁまぁな」
「でも、ほんとに似合ってるわよ。過激なお姫様みたい。モノクロのお姫様ね」
 茶倉はモノクロの姫様を想像して、それから、忘れちゃならない、とポニーテールのヘアゴムを外した。
275 ◆xdgBsiroro :2006/12/24(日) 17:26:10 ID:AOgcd+kl
「結局、アルアは今何やってるわけだ? 」
「さぁ、あの人とご飯食べたり、楽しくやってるんじゃないの」
 キッチンでナイアが調理に励む間、茶倉はリビングでテレビを点け、馬鹿馬鹿しい漫才をそこそこにくつろいでいる。
ナイアの声は、調理の音で聞こえ辛いが故とは違う意味で大きく、淡白だった。この辺りがどうも、茶倉には引っ掛かる。
「お前、今日私を誘えなかったたら、どうするつもりだったんだ? 」
「さぁ? 勝つのはわかってたから」
「一人だったんだろ」
「……自分だってそうなくせに」
「まぁな。……いや、適当に飲みに誘える奴らもいるさ」
 そこで言い負けたのだろうか、ナイアは急に口を閉ざしてしまう。茶倉は思い切って切り出した。
「さっきのコンサートだけどさ、全部、シアだったよな。シア・ティエン」
「……」
「あの親父も、アルアとは呼ばなかった」
「仕方ないわ。あの人にとってはシアから始まってるんだから……あの子にとっては、アルアであった頃の方が短いのよ。本当はね、あの人にもアルアって呼んでもらいたいし、
もっともっと普通に、私の妹であって欲しい時もあるわ。だけど、唄を歌ってる時のあの子は、間違いなくシアなのよ。それが別人だなんて言わないけど、
シアとしての人生が今のあの子の大部分になってるのは確かな事だし、シアとしてのあの子を支えてるあの人がいて、シアとしての唄を求めてる人が大勢いる。時々それが辛い時もあるわ」
「芸名とでも思えばいいさ。それに、アルアとしての人生はこれから作れば良い。その証人になるのも、お前一人いれば十分だろうな。
 何にせよ、良い姉ちゃんでいてやれよ。衝動的だとは思うけど、それはアルアには言うな……歌手だろうが何だろうが、私はもうアルアとしか呼べないぞ、あいつ」
「ねぇ、五分だけ……トイレに行ってきてくれない? 」
 ナイアの頼みに、茶倉は何も言わず、席を立った。そうして廊下のドアを開けてから、背をむけて炒め物をするナイアに言ってやった。
「その料理、塩っぽかったら笑ってやる」
 茶倉はドアを閉めて、少し離れた壁にもたれた。向こうでナイアが泣いているのを感じながら、アルアと自分を重ねてみる。アルアにとって「シア」が新しい人生だとしたら、
茶倉もまた、這い上がるようにして新しい人生を手に入れたと言えるかもしれなかった。

276 ◆xdgBsiroro :2006/12/24(日) 17:26:54 ID:AOgcd+kl

「美味しい? 」
「美味いよ」
 目の前にずらりと並べられた皿の料理の数々に、茶倉は勢い良く喰らいついた。それぞれには名前もあるのだろうが、はっきり言ってそれはどうでもいい。
ソースの中の海老とイカを食べ、合間に野菜を炒めたような物を食べ、それからこれだけ名前がはっきりしてる麻婆豆腐を喰らう。本質の前には、名前なんて
どうでも良い事なのだ。そんな話をしてやるのも悪くは無いが、果たしてナプキンを遠慮なく汚しながら食べる自分に説得力があるのかはわからなかった。
「中華は好きだ。ガツガツ食っても気分が良い」
「子供みたいね」
「子供は何でもガツガツやるのさ。この結論に行くまでには食と言う食を吟味しなきゃならない。それもジャンクをな」
「作り甲斐があるわ。そう言う人」
 ナイアは料理にはほとんど手を付けず、むしろ茶倉が美味そうに食べる様子で満たされているように、茶倉を見ていた。
「ねぇ茶倉、ありがとうね」
「何が」
「本当の事を言うと、確かに私、一人だったから。シアとの最初のクリスマスになるかも知れなかったのにって思うと、やっぱり寂しかったわ。
でも、よーく考えたら、あなたがいたのよ。いっつも私に付き纏ってくるのが、一人ね。ねぇ、本当にどんな時でも私と一緒にいてくれるのは、
もしかするとあなたなのかもしれないわね」
 茶倉は思わず噴出しそうになった。何をそんな事、真面目な顔して言っているのだろう。茶倉は急に照れてしまい、白飯の茶碗で何とか顔を隠した。
「勘違いするな。私はIIDXで勝つためにそうやってるだけだ」
「それでもいいわ。それなら、勝ち続けるまでだから」
「……まぁでも、これくらい美味い飯が食えるなら、ちょっとは考えてもいい」
 おかわり。

277 ◆xdgBsiroro :2006/12/24(日) 17:27:30 ID:AOgcd+kl
 食事を終えた頃には、既に時計は11時を回っていた。一日デートの件も、そろそろ解消されようとしている。
「じゃあ、これでお開きってとこか? 」
 丁度食器を洗い終え、手を振るっていたナイアに聞いた。するとナイアはゆっくりと首を振り
「もう一つだけ、用意してる事があるの」
 と言って、先程とは別のドアを指した。開けてみて、ナイアと並んでその前に立ち、ドアノブを回す。窓から月明かりが照らす中に、簡素な部屋があった。
壁に埋め込まれたクローゼットと、真ん中にぽつんと、ベッドがある。そこが寝室だと分かった途端、茶倉の首元に熱い物が押し当てられた。それはごく一瞬の中で最も先行し
強調された一つに過ぎず唇のやわらかさに最初に抵抗した頃には、ナイアの両腕が茶倉の腕ごとを強く抱きしめている。茶倉が振り解こうとすると、ナイアは強く諫めるように
「最後まで聞いてから、離して」
 と言い放った。茶倉は全身が粟立つのを自覚したが、同時に何とも言いがたい胸の鼓動をも意識していた。
「一日デートって言ったわよね」
「言った、な」
「ここまでが内容よ」
「お前、最初からこんなつもりだったのか」
「そうよ。言ったでしょ? これが私の覚悟、私のリスクだから」
 ナイアの息遣いが、荒く、感覚の短いそれに変わっている。緊張と欲情と、畏怖の総てを前にした極端な状態だった。その息遣いをごく近くから、茶倉が聞いている。
沈黙の間、それは続く。茶倉は、その息の根を聞いていて、自らの胸の鼓動がナイアと似たような原因にある事を感じた。茶倉はナイアを拒む事は出来なくなっていた。
「……私にもそれを求めるのか? 」
「悪いとは思うけどね。ただ、遊びとか、辱めとかじゃないわ。本心から抱きたいの。それだけは覚えておいて」
「本心だとしても、何か必死すぎる」
 茶倉は、兎も角ナイアを刺激しないように、胸元に垂れるナイアの両手に手を重ね、ゆっくりとそれを解いた。
「私の声、震えてるだろ」
「……うん」
 茶倉はナイアの手を取って自らの胸へとあてがった。もはや息を詰まらせんばかりに活発になった心臓の鼓動は、すぐにナイアの掌へも伝わる。
「お前と一緒だ、何が何だかよくわからなくて、とにかく緊張してる」
「……」
278 ◆xdgBsiroro :2006/12/24(日) 17:28:09 ID:AOgcd+kl
「私は今、お前にいろんな事を言いたい。お前が怖いし、情けないし、どうしようもないし……あんまり見たくない顔をしてる。でもそれは、IIDXをやってる時のお前が
 もしここにいたらの話だ。ここにいるお前が本当のナイアだったら……認めたくないけど、私にはお前は憎めない。私が言いたいのは、そういう事だ」
 誰にも罪は無かった。あるいはそれは、あらゆる者の罪かも知れなかった。今ここにいるナイアの居場所を奪う事は、誰にも出来やしない。
その居場所に、茶倉は肩を並べている。それだけの事なのかも知れなかった。
「もっと堂々としろ。まだ時間あるだろ?……お前が勝ち取った勝負からな」
 ナイアは無言で頷き、両腕を茶倉の首に回して身体を引き寄せた。茶倉はその一瞬を、目を瞑って迎えた。唇を塞ぐやわらかい感触は、それからしばらく続いた。
279 ◆xdgBsiroro :2006/12/24(日) 17:28:46 ID:AOgcd+kl
唇を重ねたまま、茶倉はナイアの先導でベッドの上に腰を下ろし、そのままシーツカバーを窪ませて下になった。
忙しなく口元を動かしている傍らで、ドレスから露出した方や脚がナイアのそれと触れ、やわらかい淫らの合図が
茶倉の理性を鈍らせる。ナイアが舌を入れようとした時、茶倉はほとんど、抵抗しなかった。
 まるで音のしない部屋に、舌を吸う音が唯一目立ち始めた。ナイアのリードに終わらせないよう、茶倉もしきりに
舌を吸おうとするが、それでもやはりナイアの方が勝っている。唇を重ね直し、その度に舌の先を押し当て、唇ごと
潜らせると同時に強く吸い上げる動作は、時々その快感で茶倉を大きく震わせた。互いの息の根はほど近く、いつしか
それはほとんど同調したリズムになって、舌の動きを連動させていた。茶倉はナイアがキスを止めるまで、目を開ける
事が出来なかった。茶倉の感性は既にここを淫らの渦中と見なしていて、目を開けるとそれだけで果ててしまいそうだった。
 目を開けると、ナイアは茶倉の頭の両横に腕を立て、短く息を吐きながら、とろんとした目で茶倉を見下ろしていた。
茶倉は堪らず、顔を横にやった。普段ならば真っ先に反応するであろう、見下ろされている事への屈辱に触れる余裕は無く、
それよりも、どうか月の明かりが自分の血の煮えたような顔色を照らさないよう祈るばかりであった。この時ばかりは、
モノクロの姫様を望んだ。
「茶倉」
 ナイアが茶倉を呼んで、茶倉は仕方なくナイアに向きなおした。ナイアの目が、先程よりも恍惚しているのがわかる。
「どうにかなっちゃいそう」
 ナイアもまた、これ以上の自分を曝け出す事に多少躊躇しているのだろう。どうにかなっちゃいそう、の言葉に、少しだけ
涙が滲んでいるのも分かる。ただ、茶倉にはそれをどうする事も出来なかった。やがてナイアは、茶倉のドレスの胸元を掴み、
それからそれを強く下ろそうとした。途端に茶倉の中で引き千切れる音が先立ったので、茶倉は慌てて、ナイアの腕を掴んだ。
「乱暴には……するな」
「……ごめんなさい……ねぇ茶倉、私の事よく見てて……」
 今度は繊細に手を動かしながら、ナイアが言う。
「全部、見てて欲しいの」
 ドレスを下ろした時、ナイアははっと息を呑んだ。そこにはブラジャーでは無く、最初から乳房があった。双対の膨らみの
それぞれに、既に硬く勃ち上がった乳首がある。
「あなた……してなかったの? 」
「だって、肩、見えるだろ……」
 茶倉の言葉が終わる前に、ナイアは茶倉の胸へとむしゃぶりついた。
「ん、んんっ」
 舌を窄め、強く吸い上げると同時に、茶倉の背中が大きく反り返る。この時に乗じて、ナイアは両腕を回して茶倉を抱き上げた。
280 ◆xdgBsiroro :2006/12/24(日) 17:29:21 ID:AOgcd+kl
「あっ、やっめっ、あっ」
 自分では無い誰かがそう言っているかのような声だった。ナイアの舌が動く限り、茶倉の声は止まろうとしなかった。ナイアは
茶倉を完全に抱き上げ、自分の脚の上に腰を置き、丁度ナイアの目の前に来た乳房の、外側のラインに沿って舌を這わせ、それから
乳首を執拗に責め立てる。背中に回した左手を戻し、一度指先を唾液でよく湿らせてから空いている乳房に向ける。螺子を回すように
捻り上げると、茶倉は電気が走るように来る快感に耐え切れなくなった挙句、ナイアの頭を抱え込んで声をあげた。
「や、だぁっ、あ、あんっ、はぁぁ」
 甲高く声をあげる茶倉も、彼女を責めるナイアも、互いに崩れていく自分を露呈する嫌悪を埋め合うかのように淫らになっていった。
それは両者の自己に対する高いプライドがそうさせているのだろう。ただしその向こう側にある弱さ、あるいは本性の部分を理解して
貰いたい。故に、理解してあげたい。いつの間にか「受け入れる事」に制約を背負った二人は、同じ快感と欲望を以って溺れていく。
 跨らせていた茶倉の両太股が、妙にもじもじと動いている事をナイアは見逃さなかった。ナイアは茶倉を適当に離し、それから
茶倉のショーツに手をやった。よく濡れている。ただし、ナイアが感じるに、自分のそれも同じような具合だった。
ナイアは茶倉が薄ら目を開いているのを見て、もう一度深く舌を吸った。異形の生き物のように艶かしく動く舌が茶倉の唇に触れる前に、
茶倉は少しだけ声をあげた。やがて離した唇が、互いの混ざり合った唾液の糸を切らさないよう慎重に運び、二人は見つめたまま沈黙した。
荒くなった呼吸で揺れるそれを、どちらも切りたくは無かった。このともかく脆い糸が、二人にとって最後の未練のように思えた。

 茶倉のドレスを完全に取り去るのと一緒に、ナイアはショーツ一枚を残して服を総て脱ぎ去った。すっかり汗ばんだ身体が、窓から指す
潔い光に照らされるのは、他には無く艶やかだった。茶倉はいつの間にか、目をよく開いて、その光景を見ていた。それからナイアのように
恍惚の息を吐いた。ナイアは茶倉を座らせたまま、脚を開かせる。暗がりの底にある白いショーツの湿りを、最も濃い縦のラインに沿って
指でなぞる。噛まないで、と言って、左の人差し指と中指を茶倉の口元へ向けると、茶倉はそれをゆっくりと吸い始めた。
「んっ、んんっ、んんっ」
 ラインを往来していた指は、今度はそのラインに張り付いて、波打つような動きをする。茶倉は一定のリズムで指を吸いながら、
吐き出すような声を口の中に押し殺す。ナイアの手がショーツに滑り込むと、その声は一層荒くなった。ショーツの中で、ナイアは
ひどくぬるぬるした中の肉襞を探った。襞の一枚一枚に、丁寧に指を使ってやる。その中央に空いた膣口に指を入れるまで、たっぷりと時間を掛け、
なおかつ茶倉の口に入れた指を抜いてやるつもりは無かった。その通りにしてやると、実際に、指を入れた時に茶倉は悲鳴に近いほど喘いだ。
「あっ、あ、あ、あああっ」
281 ◆xdgBsiroro :2006/12/24(日) 17:30:03 ID:AOgcd+kl
その壊れ方を知ってからは、ナイアの指はとにかく精密だった。茶倉の口に入れていた指はナイアのショーツの中に入れられ、膣口に入れた両方は
鉤型を象るように内部を抉り、親指と人差し指はクリトリスを撫で続ける。
「私を抱きたい、本心って何……? 」
 行為の途中で、茶倉が訊いた。
「え? 」
「さっき言ってたでしょ……」
 ナイアは愛撫を止めて、茶倉を寝かせた。
「……いつもバイクスーツで来るでしょ、あなた。あれ、正直反則よ」
「お前っ……」
あ「割り切った女の子同士って、こういう時塩梅が良いと思わない? 」
「……理々奈とはしたの……? 」
「馬鹿言わないで。それにその喋り方。なるほど、これもまたあなたの一面ね」
「うるさいっ」
「でもその弱味、好きよ」
 言って再び茶倉を抱き、キスを求めるナイアを茶倉は黙って受け入れた。生理的な味に満たされていく舌は、もはや何の迷いも無くナイアに委ねられている。
「もっと見せて、あなたの顔」
 ナイアが、今度は自ら仰向けになり、ショーツを脱いで茶倉を迎える体勢をした。
「私の上になれるなんて、こんなに特別な事無いんだからね」
 言い捨てたナイアを無視して、茶倉は真っ先にナイアの開けた下腹部に顔を持っていった。すっかり湿った陰毛の中に泉湧くそれは、美しいピンク色をしていて、
茶倉は最初、思わずごく繊細に指先でその襞をつついた。それだけで、ナイアは小さく声をあげる。茶倉は勢いに任せて、一気にそこに唇を押し当てた。
ぬるりとした愛液を吸いながら、舌を熱い奥にまで挿入し、それを大きく動かす。
「だ、だめ、早いと、んっ、あっ、終わっちゃうからっ、だめっ、だめぇっ」
 ナイアの声は一度完全に快楽に振り切れそうになって、それから必死に、茶倉を制止した。茶倉が舌を抜くと、一気に脱力したような顔を二の腕で隠した。
「急かさないで……」

282 ◆xdgBsiroro :2006/12/24(日) 17:30:39 ID:AOgcd+kl
茶倉は仕方なく、Vの字を象った右手でナイアの秘部を広げ、露骨になった襞に下を往来させながら、鼻で時々クリトリスをつついた。茶倉にとっては、あまり長い時間
していられる事では無かった。それはあくまで、茶倉のイメージの中にあった物で、舌や口元に感じるナイアの体温や、愛液の具合などは、今現在麻痺している茶倉の
理性にとってとても耐えられた物では無かった。あまりにも淫らで背徳的な行為だったが、ただ、二人にとってそれだけが救いであるから、そうしているのだった。
 やがて、茶倉の左指がナイアの菊座に触れた。ナイアは思わず、頭をあげた。
「そ、そこもするの? 」
「気持ち良いでしょ……? 」 
「えっ……? 」
 ナイアは、不安そうな顔をしていた。ナイアにとってみれば、茶倉の応えはある種とんでもない意味合いを含んでいるのかも知れなかった。おぞましい血を見るかも
知れなかった。ただし茶倉は逆に、全くそんな事は考えていなかった。当の茶倉もイメージだけでそうしようとしているだけで、そこを責められた事は無かったのだ。
茶倉の指は、最初菊座をゆっくりと擦り、それから茶倉の唾液でよく舐って湿らせてから、ナイアの中へと進んだ。ナイアは、腹から空気が抜けるような声を出して、
それから秘部へと刺激を忘れるほどに最大の緊張を感じながら茶倉の動きを追った。茶倉の指が付け根まで入ると、ナイアの腹筋はそれを押し出そうとする力に
駆られ、ただ、それでもナイアは押し止まった。不思議な挿入感がした。身体の下端から、頭の先にそのまま挿入物の感触を感じるようである。
 ナイアは背中を反らせて、段々と速くなる指の往来に喘いだ。
「あっ、あ……っ、は、ぅ、あぁぁっ」
 茶倉はそのうち、中指に一指し指を加えて挿入した。先程までの感覚とはまるで別の、ひどく狭い部分を抉り取るような生々しさを覚える。それは即ち痛みに
なるのだろうが、ナイアはそれを止めようとはしなかった。茶倉は膣部への愛撫を止め、空いた指を自分の下腹部に持っていった。それから程なくして、乱暴に
ショーツを脱ぎ捨てた。
「痛いか? 」
「ううん、このまま、きてっ」
 茶倉は指の動きを一層速めた。ナイアの喘ぎが、過熱して、過熱して、やがて果てた。それはごくはっきりとしていた。太股が締まり、足首をピンと張って、
膣部がひくつく毎に愛液が溢れ出す。茶倉はその最も淫らな部分を見届けて、それからそれを、舐め取った。これまでは顎に垂らしてきた愛液を、初めて
喉の下へと落とした。
283 ◆xdgBsiroro :2006/12/24(日) 17:31:15 ID:AOgcd+kl
何度目かのキスの後で、茶倉はナイアの顔を真正面から見下ろして思わず視線を離せなくなった。泥臭い慰め合いの後に見たナイアの顔には、まるで力無く
それでいて絶対の安心があった。今までこの女は、誰かに身を委ねる思いを何回した事があるのだろう。何にせよ、こんな顔をするナイアを抱くために、
男達が心血を注いでIIDXをする気持ちも分からなくも無い。悔しいがこの見晴らしは、恐らく誰かの最たる幸福をも描いているのだろう。
「まだいってないでしょ」
 やがて眼に光を取り戻したナイアの言葉に、茶倉は反応する事が出来なかった。
「どうしたの」
「いや」
 綺麗だ、と言いそうになって、茶倉はぐっとこらえた。身体を起こそうとするナイアに併せて茶倉も体勢を戻し、再びナイアのリードで仰向けになる。
ナイアは茶倉の片脚を抱え込み、自らの左足を茶倉の寝ている脚の上に重ね、ぐっと茶倉に引き寄せた。まず最初に陰毛が重なる感触がして、それから
二人は、水底に触れ合った。重なった膣部は、それぞれの異形を感じ取り、すぐさまそれを快感に変えた。
「あ、はぁっ」
「これ、いいでしょ」
 果てた後のナイアには、まだ暫く余裕がある。茶倉は間違いなく、内面に鳴るぬるり、ぬるりと言う音を聞いていた。それから、時々擦りあった膣が離れた時にも、
粘りのある音を聞いている。抱え上げた脚の太股を乳首にあてがい腰を振るナイアの様子から、茶倉は片時も目を離せなかった。性交で最も両者が対等な部分に触れた時、
茶倉はここで絶頂しようと思った。
「あ、あああっ、い、いいっ、ん、はぁっ」
「き、もちいいの? もっとしてあげる、んっ」
 やがて、ナイアもまた荒く息を吐きながら、茶倉の悶える様子を何よりの興奮剤にして、出来る限り腰を振っていった。腰を浮かせて、特にクリトリスを重ねるように
注意する。肉豆が上手に擦れると、一層の快感を以って、留守になっている膣口からとめどなく愛液が溢れた。ナイアが途中、茶倉の脚を下ろすと、茶倉は思わず、
両手をナイアの乳房に伸ばした。乳房は捏ねる様にして回され、隙無く快感で満たされるその体位が完全に嵌った時、ナイアもまた茶倉と同じように喘いだ。
「あっ、あーっ、あ、んはぁっ、もうっ、いっ」
「いってもいいわよっ、ん、はっ、あ、あっ」
 茶倉は間も無くして、硬くなる身体に自分の意識を放り棄てた。
 最大限の絶頂だった。
284 ◆xdgBsiroro :2006/12/24(日) 17:31:48 ID:AOgcd+kl
「ねぇ」
「何」
「私、本当にあなたと最初に会った時の事忘れてるの? 」
「今更何だよ」
「あ、もう戻ってる」
「うるさい」
 互いに宵が更けつつあるのを、肌で感じていた。ベッドの上に並んで横になり、それぞれ別の場所を眺めたままの二人は、
ただしやがて冷めていく体温に互いの感触を追いかけようとして、どちらとも無く手を握っていた。
「……ずっとあなたを見ててね、あなたくらいの人なら忘れるわけ無ってと思ってたから」
「……」
「ねぇ、私、あなたを棄てたのかしら?」
「まだそんな事言ってるのか? 」
 茶倉はナイアを向かせ、それからこんな話をした。
「クリスマスって、何でイヴの方をよく祝うか知ってるか」
「どうして?」
「24日は深め合う日、25日は新しい平穏を作る日なんだってさ」
 サンタクロースが去った後の世界は、急速に平穏に戻る。それぞれが手に入れた、あるいは失った贈り物を抱えて、新しい暦を始めようとする。
だから外国では、クリスマスと年賀を一緒くたに祝うのだ。それは茶倉の、でたらめな理屈だった。ただ、ナイアの目は半分、それを本気にしているようにも見えた。
「お前の事は憎めないって言っただろ。それにもう過ぎちまったよ、12時」
「じゃあ、これが新しい平穏ね」
 ナイアは完全に調子を取り戻して、勢い良く茶倉の上に乗った。
「……全く」
285 ◆xdgBsiroro :2006/12/24(日) 17:32:24 ID:AOgcd+kl
「そう言うなら、昼になったらいつも通り、IIDXしに行くぞ。昨日やらなかった分たっぷりな」
「良いわよ。それで、これからは何を賭けてくれるの? 」
「……そうやってまた虚勢を張るのか」
「虚勢なんかじゃないわ」
 ナイアは茶倉の背中を抱きこんで、愛しそうに胸部に頬を当てた。
「あなたが支えてくれるなら、これからはもっと好調な気がするの。あなたの女らしさは、私が支えてあげるから、ね? 」
 女らしさ、と言う言葉を聴いて、茶倉は自分の喘いだ声と、モノクロの姫様を思い浮かべた。
 女のプライドを、女が支え合う。その女にとって恥ずかしげも無くプライドの衣を脱がせてあげられるのは、やはり女なのだろう。
「そんな関係も、必要か」
「強い分だけ儚いんだもの、私達」
 茶倉は、窓の外に映える月に目をやった。天気予報士ののろけ通り、サンタクロースがここを通って二人を覗かれてしまっては、たまらない。
 ただ、二人で裸になり、それからまた、どちらとも無く互いを求め合う二人のその光景こそが、ナイアの言う「強く儚い者達」の最も誇らしげな姿なのかも知れなかった。
286 ◆xdgBsiroro :2006/12/24(日) 17:35:40 ID:AOgcd+kl

おわり






以上です。何やらすごい事になってますが、クリスマス補正をかけて大目にみてやってください。
ともかく今日に合わせて駆け足状態なので、頭冷やしてからもまとめる時などに幾つか改変する事もあるかも知れません。
メリークリスマス!
287名無しさん@ピンキー:2006/12/24(日) 19:32:34 ID:0ibwjh7+
ちょ

神と呼んでいいですか!
ナイアも茶倉も心情面が良く掘り下げられてて「本当にありそう」な感じがすごく良かったし、
しかもエロくてオカズとしても優秀! 
クリスマスにすんごいプレゼントをありがとう! まじ神業。
288名無しさん@ピンキー:2006/12/25(月) 00:07:09 ID:cQ0G8hRx
なんかもう、深いよ。泣けてくるよ。
下の息子も元気だよ。GJ
289名無しさん@ピンキー:2006/12/25(月) 02:53:27 ID:2IS9EZKv
クリスマスにレズ物とは…













GJ
290名無しさん@ピンキー:2006/12/25(月) 11:33:52 ID:xZEWIZ02
超大作GJ
茶倉ナイア好きにはたまらんかったです
291サブロー1:2006/12/26(火) 12:05:15 ID:No3jwx/h
さ、茶倉にこんな側面が…
GJ、やはり神は神だった…!
292 ◆xdgBsiroro :2006/12/29(金) 15:12:36 ID:ipgdz9i9
保全がてら、レスどうもです。
ここにはコミケに行った人いるのかな?
ひーねぇの影響か思ったよりデラ百合本あってよかった
また何か書きたくなってくるよね
293名無しさん@ピンキー:2006/12/29(金) 21:42:12 ID:FuVtjoMd
ひーねぇ×彩葉を激しく希望しますハァハァ
294名無しさん@ピンキー:2007/01/01(月) 02:15:49 ID:oJMBQKIt
あけおめ保守
295名無しさん@ピンキー:2007/01/01(月) 02:52:27 ID:/jZDe8xO
296 ◆D/Lilith/Q :2007/01/01(月) 04:37:09 ID:dpG9PiAX
あけましておめでとうございます
そしてお久しぶりです
>>127-131を投下した者です
忙しくてその後なかなか来れませんでしたorz

短いですが、続きのようなモノが出来たので置いていきますね
これだけでも読める内容ですが、>>127-131を読んでもらえるとより分かりやすいかも
内容は彩葉の一人遊びな感じで
297in the DREAM(1) ◆D/Lilith/Q :2007/01/01(月) 04:39:57 ID:dpG9PiAX
最近、彩葉は同じような夢を見る。
それはとても他人には言えない、けれどどうしても気になる夢。


遠くで、うるさい雑音が聞こえる空間。
よく、聞いてる。
知っている空間。
此処は、いつも行っているゲーセンの女子トイレだ。
…ピチャ、…ピチャ、……ジュル。
雑音から少しだけ隔離されたその空間に響いてる、いやらしい反響。
その音に合わせるように、彩葉の口から零れるのは甘い喘ぎ声。
「はぁ…はぁ…んんっ」
トイレの個室。鍵の掛かった、一つ。
洋式の便器に、彩葉は白い肌に何も身に付けないまま、座っていた。
正しい座り方ではなく、両手は便器の端を掴み、片足を便器の縁にかけた、一番恥ずかしい場所を露にする格好。
静かな膜を張ったような空間に響くいやらしい音は、そこから零れていた。
彩葉の蜜壷を優しく、いじらしく、執拗に攻める、赤いマニキュアの細指と上気した赤い舌。
彩葉の一番恥ずかしい場所を頭から覗き込むように、黒い髪と白い肌の理々奈がいる。
「あ…んっ……はぁはぁ」
彩葉の蜜壷はすでに花開き、愛液が溢れだしている。
じゅぷりじゅぷりと指先が音をたてる度に、彩葉は啼いた。
「あぁっ…んっ…はぁん…っ」
白くたわわに膨らむ胸の先は、びくびくと震える程に立ち、白い頬は頬紅を叩いたように赤く上気している。
蜜壷を突き上げる指は、三本と、赤い舌。
足りない。
もっと…。もっと、欲しい。
初めての時より、物足りなく感じる。自分はこんなに性欲があったかしら?
「り、理々奈…、はぁっ…もっと…」
快楽への欲望。
もっと感じたい。
もっと、もっと。
298in the DREAM(2) ◆D/Lilith/Q :2007/01/01(月) 04:41:16 ID:dpG9PiAX
そこで、目が覚める。
もっと、と欲しがる自分の声で起きるのだ。
その声は、すごくいやらしくて、まるで自分の声じゃないような。
いつだったか、夢に出てきたあの場所で、半ば無理矢理、理々奈に性の快楽を教えられた。
忘れたくてもこびり付いて離れない、快楽の記憶。
その時の事を反芻するかのように、夢で何度も理々奈に恥ずかしい場所を攻められ、快楽に溺れる。
どうして、こんな夢を見るのだろう?
ベッドの上で考え込みながら、うなだれる。
「いたっ」
と、胸の先に痛みが走る。
胸を押さえてみると、まるで夢の続きのように、乳首が立ったまま。
布があたって痛いのだ。
パジャマのボタンを外し、直に自分の胸に触れてみる。
そのまま記憶を頼りに、理々奈がしてくれたように胸を揉んだ。
「…ん」
自分の手でしているのに、記憶の中では、理々奈の囁くような笑い声がする。
「…あ……はぁっ」
そう、記憶では、理々奈は胸の次に、下の方に手を伸ばしていた。
理々奈の記憶を辿るように、彩葉はもう片方の手を履いているショーツの内側へ滑らせる。
そこは、すでにぐっしょりと濡れていた。
夢で見たままに、身体は感じていたのだ。
夢の続きを夢見るように、彩葉は指を三本、人さし指と中指と薬指、一気に自分の蜜壷を犯す。
そこは、とても暖かく、動かす度に快楽の波がやってくる。
「あ…あぁ…ん……ふ…ぁん…」
にゅぷり…にゅぷり…と、何もなかったような朝の静寂を犯すように、彩葉の自室にいやらしい音が響く。
「あぅ…はぁん…」
夢では、もっと、こう激しく突き上げて欲しかった。
そう言いたげなまでに、自分の指で自分の蜜壷を激しく突いた。
でも、足りない。
あぁ、そうだ。
熱く蕩けた蜜壷を犯す指を、増やせばいい。簡単なことだ。
「あっ…あぁんっ…はぁ…はぁ」
花開いた蜜壷を四本の指が入ったり出たり。
静謐な部屋にいやらしい音が静かに熱く響く。

頭にこびりついたあの時の理々奈の台詞。
『此処が熱くなったら、言ってね?』
理々奈はきっと知っていた。
快楽を知ってしまった自分の行動。
何故、あんな夢を見たのか、答えは出ている。

激しく突き上げた指は熱と愛液にふやけ始めている。
もう、ダメだ。
激しく自分の乳房を揉みながら、蜜壷を四本の指で犯しながら、彩葉は快楽の先へと向かった。


fin
299 ◆D/Lilith/Q :2007/01/01(月) 04:43:15 ID:dpG9PiAX
こんな感じで

今年もこのスレに素敵なエロ話が投下されますようにw
300名無しさん@ピンキー:2007/01/01(月) 11:19:45 ID:Rce6C/QF
新年早々GJ! エロい彩葉イイヨイイヨー
やっぱり和な彼女がトップバッターなのはいいですな
301名無しさん@ピンキー:2007/01/06(土) 02:00:39 ID:zTSD+FE1
sage
302名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 03:39:45 ID:kxely6Bk
保守
303名無しさん@ピンキー:2007/01/13(土) 01:02:43 ID:1uvwUF3B
sage
304名無しさん@ピンキー:2007/01/15(月) 01:24:46 ID:1rNLO2oE
ほす
305名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 01:31:09 ID:1oAabE4i
セリカをサイボーグ化
306名無しさん@ピンキー:2007/01/24(水) 02:25:31 ID:X3h/vqmv
sage
307名無しさん@ピンキー:2007/01/28(日) 00:24:45 ID:zIHRbca/
sage
308名無しさん@ピンキー:2007/02/01(木) 00:28:03 ID:htHsNWZK
今月のアルカのシアに萌えながらも
ロリペド的色気ではなくフツーの女子的色気が出てきちゃった事に一抹の寂しさを覚えながら保守

後とーちゃん若えええええええ
309 ◆xdgBsiroro :2007/02/03(土) 23:24:21 ID:rNGUosF2
とうちゃんくらい渋いおっさんにしてください

それと、重要なのはチョコを作る所じゃなくてだな……
310名無しさん@ピンキー:2007/02/06(火) 19:45:25 ID:+AHO5afA
生クリームとチョコを混ぜて柔らかくして
リリスのきょぬーに塗ったくって食べるところ?
にゃあの貧乳にでもいいし、セリエリ姉妹丼でもいいし
津軽りんごのコンポートチョコがけでもいいし
311名無しさん@ピンキー:2007/02/07(水) 02:07:47 ID:CMoRa5mI
姉妹丼といえばイロヒフでもできるんだよな、姉妹丼。
・・・・駄目だ、緋浮美×彩葉+α の構図しか浮かばない
ヒフミ姉さんは彩葉をイジメル立場しか思い浮かばね
312名無しさん@ピンキー:2007/02/07(水) 08:17:24 ID:dIkJmg+M
にゃあたん×シアの姉妹丼に津軽添えは駄目ですか?

「だ、シア…こらあっ、やめ…あうっ;」
「ね? お姉ちゃんって意外な弱点あるでしょ?」
「…一体何がどうしたらンな事発見出来んのよ…」


あかん…この組み合わせでもシアが攻めになる…w;
313名無しさん@ピンキー:2007/02/07(水) 08:26:53 ID:rloAjjdR
>>312
ナカーマ(AAry
シアと一二三は何をどうしても総攻めになる自分がいるw
314名無しさん@ピンキー:2007/02/07(水) 12:52:02 ID:jg4gX47i
シアは小悪魔
緋浮美は女王様

というイメージがある
315名無しさん@ピンキー:2007/02/07(水) 13:09:01 ID:rloAjjdR
>>314
あるあるw
だとしたら長姉は聖母属性だろうか
316名無しさん@ピンキー:2007/02/10(土) 23:27:12 ID:qYB3CNOV
保守
317名無しさん@ピンキー:2007/02/15(木) 01:10:24 ID:PGJqTrWW
sage
318名無しさん@ピンキー:2007/02/15(木) 15:36:12 ID:zZsQw24s
「……はい、兄様。チョコレート」
「おお!妹よ!兄さんは……兄さんはうれしいぞぉぉぁ!」
「……CHAOS風味」
「〇×△□!ビートが、止ま、る、………」



アンコールでクリアできないからむしゃくしゃしてやった。
一日遅れでも後悔しかしていない。
すみません。これからはROMしかしません。
319名無しさん@ピンキー:2007/02/20(火) 01:46:54 ID:V0swdT0J
sage
320名無しさん@ピンキー:2007/02/21(水) 21:13:59 ID:YytDlADH
フィギア記念age

第一弾はエリカと茶倉姐さんですよ
321 ◆xdgBsiroro :2007/02/25(日) 15:51:48 ID:hyEUy3NI

 書きage。考えあって途中で一回止めるので最初に書いておきます。


 陽だまりの交差点


 1.猫の目この目

 粒子の粗いモザイクの夢から俺を遠ざけたのは、あの忌々しい生き物の声だった。
 夏の終わり。目を開けた途端に、カーテンの隙間から差す夕焼けの光を見た。季節の活気を吸い込むようにあらゆる色を浚っていくそれは、
写真に収めるに相応しい虹色をしていた。最も俺の専門は人物だから、もし誰かがそれをお望みならば他をあたって欲しい。
 部屋の中はそれなりに暑く、身体中がじんわりと汗を掻いている。昼寝の最中、強の状態で付けっぱなしにしておいた扇風機は、
今や力無くぬるい風を運ぶばかりでそう役に立っている様子は無い。四枚の襞が回る音。それを遮るように、声は続いていた。
 にゃあ、にゃあ。
 俺ははっとして身体を起こした。ベッドの側に、三色の短い毛を立てた猫が座っていた。ドアは閉めていた筈なのだが、いつものように
ドアノブに飛び上がってこじ開けたのだろう。ノブの鍍金は、廊下側だけがほとんど剥がれ落ちている。
 にゃあ。
 目を合わせると、そいつは俺を日陰に目を黒くして一度鳴いた。この時間、俺に要求する事と言えば一つくらいしか無い。
 メシ。
 俺は仕方なく、ベッドから両脚を下ろした。どちらにしろ、そろそろそうするべき時間だった。
322 ◆xdgBsiroro :2007/02/25(日) 15:52:32 ID:hyEUy3NI

 *

 前を行く猫の指示で、リビングの戸を開く。広過ぎるくらいのスペースに、むしろ不相応に質素な家具が点々とするその部屋は、と言うより
この家自体、普段からこの時間には俺しかいない。兄貴は昼間によくわからない仕事をして、俺は夜にバーテンをしに出ていくのだ。そうして
朝方に帰ってくると、玄関には二足の靴が並んでいる。兄貴のと、エリカのと。
 エリカ。
 やはり猫の先導で台所に行き、食べ物の詰まった冷蔵庫から「高級な」缶詰を出してやる。それだけでこの猫は随分と活気付き、俺の周りを
いやにうろちょろして開ける様促してくる。その煩わしさを無視して缶切りでさっさと蓋を開け、スプーンで専用の皿に盛ってやる。すると
猫は急に大人しくなって、俺の役目は終わる。食べ終わると、猫は猫の自由に任せて何処かで眠りにつくわけだ。出来れば俺もこいつにはあまり
構いたくないので、どうでもいい事だ。
 そろそろ薄紫に染まり始める室内をそのままに、俺はテレビの前のソファに掛けた。改めて、置いてある時計を見る。四時四十二分。
 出掛ける時間は近い。と言っても今日は仕事は休みだ。他に理由がある。それが、エリカだった。
 エリカはよく家に来る。家に来て、家事もままならない兄貴と俺に暖かい生活を提供してくれる。それについては本当に有難い話で、
特に食事は本当に美味い。献立は兄貴の好物が多いが、たまに俺の好きな物も作ってくれる。兄貴と二人で住むようになった最初は、本当に
酷かった。俺もレパートリーはせいぜいラーメン、カレー、チャーハンくらいなのでそう人の事は言えないが、何を思ったのか兄貴は
いつも得意なつもりで色々な物に挑戦していた。ペスカトーレにフォンド・ボー。この辺りはもう、作ってから名前を付けてるとしか思え
ないくらいの代物だった。そんな兄貴に料理の慎ましさを教えてくれた点も、エリカには感謝したい。
 ただ、そんな生活が続いてくると、どうしても気になってくる事がある。
 夜が深まるにつれて、俺とエリカの間に微妙な距離感が空くのだ。あからさまに言えば、俺はいない方が良いんじゃないか、そんな感じに。
 それがやんわりとした形になったのが、エリカから来るメールだった。
 「今日そっちに行くけど……いい? 」
 大体いつもこんな感じだ。兄貴にはもっと違う内容でメールしてると思う。いい?とは、行っていいかとの意味と同時に、家を開けてくれるか
どうかの了承を取る意味もある。いちいち聞いてくるのはエリカなりに気を遣っているようで、最近は献立も、俺が帰ってきてからでも
美味しく食べられるようなカレーだとかが多くなった。俺がそれを食べるのは、帰ってから一眠りして、二人がとっくに仕事に出て行った
昼になる。そうして俺と二人は、深い所からゆっくりと断絶していく。
 エリカは俺と兄貴が信用した上で、合鍵を持っている。だから兄貴が帰って来た時には、リビングには明かりがついていて台所の方から
煮物か何かの良い匂いが漂ってくる。ただいま、と言って、おかえり、と返ってくる。長く続いた生活の上だ。もはやそこですら、俺の居場所
は無いのだ。
323 ◆xdgBsiroro :2007/02/25(日) 15:53:06 ID:hyEUy3NI
 猫は俺の横を通って、玄関とを隔てるドアの墨で丸くなる。この猫には、未だちゃんとした名前が無い。エリカは勝手にパフェと呼んでいるので
他の仲間内でもそれで通っているが、兄貴がこの猫を名前で呼んでいるのを誰も見た事が無い。ただ、時々エリカのいない夜中に喉が渇いてリビング
に出ようすると、月でも見ながら猫に喋る兄貴の声を聞く事が出来る。
 この猫には、二人の間でも居場所がある。だけど俺は、そうじゃない。
 猫と比べるのも馬鹿馬鹿しい話だが、こっちはそれでも家賃を折半してるだけ、なかなか深刻な話でもある。
 俺もいい加減子供じゃない。だからエリカの、ゆっくりと解氷する気持ちも分からない訳では無い。けれどやっぱり、遣る瀬無い。
 時計の針が、俺をここから押し出そうと迫る。
 とりあえず鉄火の所で厄介になるか。重い腰を上げようとしたその時、インターフォンが鳴った。猫が目を見開いて耳を立てる。
インターフォンの向こうにいる相手は、とにかく急かすように何度もボタンを連打して俺を呼び出した。子供のやる事だ。もしかすると誰かのいたずら
かも知れない。顔をしかめてドアを開けると、その先には、よく知っている彼女の初めて見せる制服姿があった。
 「あろはー……って、機嫌悪い? 」
 オレンジ。髪の色と同じく明るい彩葉の声を、俺は確かに聞いた。
324 ◆xdgBsiroro :2007/02/25(日) 15:53:38 ID:hyEUy3NI
 2.彩葉匂えど

 「すごい、聞いてたけどほんとに広いんだね」 
 夏が許す姿なのだろう。彩葉は真っ白なワイシャツ一枚にチェックのスカートをなびかせ、リビングの中央から視線を躍らせる。
 「来るの初めてだったな」
 「呼んでくれないんだもん」
 「そうだけどさ」
 そう言えば、ここに住むようになってから誰かを呼んだ事は無かった。元よりここは、そんな雰囲気でも無い。
 視線を落とすと、それを拾い上げるように彩葉がかがんで、俺を見上げた。ボタンの開いた胸元から、自然体の肌色が覗く。
 「先回りしてきたんだ」
 「先回り? 」
 「理々奈に聞いたの。エリカさん、来るんでしょ」
 「……そうだけど」
 「まぁほら、お茶でも出しなさい。喉渇いちゃった」
 またしても言われるがまま。冷蔵庫から麦茶のパックが入ったビンを取り出し、コップに注いで彩葉に手渡す。一気飲みする彩葉の傍らで、
俺もコップ一杯を飲み干した。よく冷えているお陰で、少し気分が晴れた気がした。
 「やっぱり夏は麦茶だよね」
 「それはわかるけど、先回りしたってどういう事」
 「慧靂君が締め出される前にね」
 「締め出されるって」
 「あたしの情報網なんだけどさ」
325 ◆xdgBsiroro :2007/02/25(日) 15:54:08 ID:hyEUy3NI
 彩葉は食卓にコップを置き、声のトーンを落とした。コップの隣には、沢山のキーホルダーが付いた彩葉のスクールバッグがある。
 「そういう話みたいじゃない。実際慧靂君、今日中はどっかで過ごすつもりなんでしょ」
 麦茶の爽快感を打ち消す一言だった。力無く、まぁなと返す。
 「ちょっとおかしいと思わない? そういうの」
 訊くのと一緒に合わせてきた彩葉の視線が、痛い。はにかんだ顔の最たる印象に、あまりにも真っ直ぐな目の色がある。俺は無言で、返事した。
 「仲睦まじいのも良い事だけど、その影に慧靂君がいる」
 「俺は、影なのか? 」
 「だって、自分黒いし」
 「……自分、白いし」
 「そういうノリなら、よろしい」
 彩葉は笑顔で頷いた。そこに退屈しのぎを感じたのか、三毛猫が足音を立てた。かわいいね、と彩葉は猫の頭を撫で、抱き上げる。俺はその言葉には
返事せず、白いワイシャツに毛が付く事だけを指摘した。彩葉はミーハーな三毛猫の愛くるしさを存分に堪能すると、まるで赤ん坊をあやすように猫を
揺さぶりながら言った。
 「だからさ、今日は慧靂君に抗議させてあげようと思って」
 「抗議? 」
 「ねぇ、士朗さんの寝室、見せてくれない? 」
326 ◆xdgBsiroro :2007/02/25(日) 15:54:43 ID:hyEUy3NI
 *

 兄貴の寝室はとにかく質素だ。ドアを開けるとまずベランダに続く日当たりの良いガラス戸があり、それと大きなベッドがあって、あとは小さな本棚と
壁に埋め込まれたクローゼットがあるだけだ。ただし、そのそれぞれの家具はよく掃除の手が行き届いていて、既に暗くなりつつある空色の中でも格別の
艶を放っている。ベッドに掛かるカバーにも、皺一つ見られない。付け足すと、ベッドの側には有事のための木刀が立て掛けてある。
 「すごい、シンプルなんだね。テレビも無いんだ」
 「昔からな。寝るときは虫の音も気にするくらいだ」
 興味深そうに部屋を見る彩葉に釣られて、俺もせいぜい色々な場所に目をやった。特に用事のある部屋でも無かったので、俺自身もここを覗くのは
久しぶりだった。それに兄貴は、自分自身のプライバシーにはうるさい。多分この事がばれたら、こっぴどく叱られるだろう。
 それでも俺は、彩葉にこの場所を見せる事に躊躇はしなかった。抗議をさせる事の真相はやはり気になるし、それ以上に引っ掛かったのは、俺が二人の
影にいると言う言葉だった。それが客観的に見られた俺だとしたら、俺自身の立場も、プライドも糞も無い。
 「エリカさんの寝息はどうなんだろうね」
 彩葉は整えられていたベッドカバーの上に腰を下ろし、俺を隣に誘った。腰を包み込むベッドの具合は、寝る分には丁度良さそうだ。
 「寝心地は良さそう? 」
 「俺のよりは、な」
 「同じじゃないんだ」
 「そりゃそうだよ」
 「結構したたかなんだね、士朗さんも」
 「緋浮美さんはどうなんだよ」
 彩葉はその問いを無視して、カバー外してみようか、と提案した。俺はちゃんと戻す事を約束にカバーを外し、たたむまでを手伝った。
カバーの中にはやはりきちんと張られた布団があり、更に布団を足元まで下げると、真っ白なシーツがあった。彩葉は満足そうな顔で改めてシーツを窪ませると、
立ち尽くす俺の前で切り出した。
327 ◆xdgBsiroro :2007/02/25(日) 15:55:27 ID:hyEUy3NI
 「じゃあ、ここでしよっか」
 「何を」
 「エッチ」
 俺は思わず頭を真っ白にして、彩葉の頭に痛烈な突っ込みを入れた。彩葉の事だから奇怪な事を考えているとは思っていたが、ついに明かされた抗議の全貌は
あまりにも常識外れで、馬鹿馬鹿しかった。
 「痛ったいなぁ、どつきじゃなくてしばきだよそれ」
 「お前な、して良い事と悪い事があるだろ」
 「でも士朗さんとエリカさんはここでしてるでしょ、間違いなく」
 「それは兄貴のベッドだからだろ」
 「だからここで、適当にくちゃくちゃっとさせて逃げるのが、抗議。スリルあるでしょ」
 「スリルってお前」
 彩葉はあくまでも、余裕のある語り口だった。俺が思わず続く言葉を無くすと、やはり隣に座るように促す。
 座った途端に、彩葉は俺の肩を掴んで舌を入れた。彩葉の舌も唇も、決して知らない感触では無い。けれど究極の背徳感に洗い流されたそれは、いやに気持ちが良かった。
 何度かの吐息が交差し、唇を離した後、俺はそうも感じる自分が嫌になり、両手で顔を塞いで深くため息をついた。そんな俺の背中を押すように、彩葉は続ける。
 「ばれたらばれたで、あたしも一緒になってめっちゃくちゃに怒られるからさ。それにほら、見てて」
 そう言うと彩葉は俺の目の前に空の右手を見せ、そこに左手を被せて何回か揉んでから左手を離した。その右手には、真新しいビニールに包まれた避妊具が二つあった。
 「すごいでしょ」
 「……全然すごくない」
 左手に隠していただけで、マジックでも何でもない。俺が避妊具を手にとって同じ事をしてみせると、彩葉は不満気な顔をした。
 「せめて引っ掛かった振りでもしてよね」
 「だったらもうちょっと考える事だな」
 俺が逆に得意な顔をすると、彩葉はいじわる、と舌を出した。それが可笑しくて鼻で笑うと、彩葉もまた、笑顔を見せる。
 彩葉は俺の手から避妊具を取り、改めて両手に一枚ずつ差し出した。
 「とにかく、この船っていうか、あたしに乗るなら一枚あげる。早くしないと、エリカさんにこの状況ばれても厄介だよ? 」
328 ◆xdgBsiroro :2007/02/25(日) 15:55:59 ID:hyEUy3NI
 「二枚はくれないのか」
 「一枚で慧靂君のプロデュース。もう一枚であたしのプロデュースってことで」
 「なるほどな」
 俺は少し間を置いて、右手の方を手に取った。兄貴のベッド。いつまでも頭から離れない点だがそれさえ除けばただの事の成り行きだし、何より状況にかこつけて
彩葉を良く見ると、白いワイシャツから薄っすらとブラジャーが透けているのがわかった。彩葉の色と同じオレンジと、白のストライプ。パンツの方も多分同じだ。
そうそう見せ付けられては、俺の気持ちもいい加減昂ぶってくるものだ。今日の虚しさを晴らすには、丁度良い。
 俺は彩葉に舌を入れると、そのままシーツの上に押し倒し、思い切ってスカートから頭を入れて、汗ばんだ太股とスカートの蒸れを感じながらショーツに在る筋に熱くキスした。
 「やだぁもう、この盗撮マニア」
 彩葉はくすぐったそうに手足をばたつかせ、冗談めいた声で言う。俺はその唇を直ちに塞いで、言った。
 「言葉責めなら、お前の番にしてくれ」
 俺はそのまま下腹部への愛撫に戻った。頭をそのまま彩葉の唇へと持っていったため、腹までめくれたスカートの裏地の下に、はっきりと彩葉のショーツが見えた。
 思ったとおり、オレンジと白のストライプ。それに手を掛けた時、俺の頭にある事が浮かんだ。
 飼ったばかりの猫が、飼い主への抗議の際に、変な所に小便をする。そんな光景だった。
 俺達がしようとしている事は、まさにそんな事なのかも知れない。
 この時になって猫が出てくるのが、煩わしかった。
329 ◆xdgBsiroro :2007/02/25(日) 15:57:32 ID:hyEUy3NI
というわけで続きます。
以降は、出来ればモチベの続く近いうちに。それではー
330名無しさん@ピンキー:2007/02/25(日) 20:30:22 ID:gUrxqg5D
>>329
GJ!
続き期待してます!
331名無しさん@ピンキー:2007/02/25(日) 23:42:24 ID:UDmVg8ev
オレンジブラジャーでナニして寝る。
332名無しさん@ピンキー:2007/02/26(月) 23:54:28 ID:psCRwjpO
ブラ イズ オレンジ
333名無しさん@ピンキー:2007/02/27(火) 14:56:37 ID:Kn7RySk7
>>332
誰が上手い事を言えと(ry
334名無しさん@ピンキー:2007/03/03(土) 01:09:22 ID:RuxX/heS
中学のときクラスの娘がいつも水色のブラジャーで
それ見てムラムラしてたの思い出した。
335 ◆xdgBsiroro :2007/03/03(土) 02:24:50 ID:McUAEv/x
水色っちゃ今回のリザの彩葉の扇子水色なんだよな。
他キャラを見るに水色でも似合いそうだ。
336名無しさん@ピンキー:2007/03/04(日) 00:55:46 ID:dXq06ebh
リザで水色のブラジャーが見えると聞いて飛んできました
337 ◆xdgBsiroro :2007/03/04(日) 06:13:21 ID:3DEnwvck
えー、と言う訳で最後まで書けました。
が、正直前回以上に、洒落になってない程長いです。
読む側を考えると本当にうんざりだと思います。申し訳ない。
けどあくまで真剣にやったつもりなんで、出来れば最後までお付き合い頂けると幸いです。
338 ◆xdgBsiroro :2007/03/04(日) 06:14:37 ID:3DEnwvck
 
 3.されど押されど

 「慧靂君ったら」
 次に俺の目を覚ましたのは、彩葉の強烈な平手打ちだった。痛みでは無く、じんとした痺れが際立った重い感覚が、俺の意識を更なる暗闇に呼び起こす。
 完全に目を開けると、ほとんど黒色の中に、薄っすらと彩葉の見下ろす面影があった。
 「もう、起きてよ、大変なんだから」
 やたらと小声で話す彩葉の様子を知らずに、俺が素の声で反論しようとすると、彩葉はたまらず片手に体重を掛けて俺の口を塞いだ。頭の後ろが枕に沈み、さらさらと音を立てる。
 「声出さないで」
 「……何だよ」
 俺は何度か頷いてから、力を抜いた彩葉の手を解き、改めて彩葉に聞いた。すると彩葉は自前の携帯電話を開き、まざまざと俺の目の前に見せ付ける。待ち受けは残念ながら
俺じゃなくて、理々奈と一緒の写真だった。いや、そうでは無い。時計の表示が、七時半を指している。
 「あっ」
 思わず声が出そうになるが、すかさず自分で口を塞いだ中にぶちまけた。そこで初めて現状を振り返った。
 夕刻、彩葉の柔らかい身体にすっかり溺れた所で俺は気持ちが一杯になり、つい枕に頭を置いてしまったのだ。その際、彩葉には少ししたら起こすように言ったのだが、
よくよく考えれば、既に横になっていた彩葉に意識を託した事自体が間違っていた。結局逃げ出す事も忘れて、二人揃って幸せになってしまった訳だ。ミイラ取りがミイラとはよく言う。
 とっくに元の制服姿に戻った彩葉は、ひどく深刻そうな顔をして目を横にやった。釣られて目線を動かすと、軽く開いたドアから光が漏れている。その先のリビングには、間違いなく
エリカと、兄貴がいる。
 「どうしよう。ばれたらまずいよ」
 いやにうろたえている彩葉が、気になる。ばれたら怒られるんじゃなかったのかよ、俺が聞くと、彩葉は頭を掻きながら俺に言った。
 「あのね、ほんとにばれるなんて思うわけないでしょ。そんなにあたしも馬鹿じゃないよ」
 「そうか? お前の事だからこうやって、わざと毛をベッドにでも……」
 言いながらスカートに手を入れると、彩葉はそれを制せず、冷たく俺を睨み付けた。
 「真っ先に、あたしが怒るよ」
 「冗談だよ」

 「……やっぱり、出て行ったほうがいいのかな」
 乱れに乱れたシーツは特に俺の寝汗を吸い込んで湿ったままだ。仮に今から二人で引き攣った笑顔でもして出て行ったとしてそれは鬼のいないかくれんぼでは済まされないだろうし、
そのまま調べが付けば兄貴が噴火する事は目に見えている。俺達の理由があるにしても、悪質が過ぎるのだ。あれを本気で怒らせると、俺も彩葉も無事では済まないだろう。
 ただ、欲望を満たした後なのか、俺の中にはどうも、そこまでの危機感は感じられなかった。
 この現状がまるで他人事のような、不思議な余裕があるのがわかる。だから俺には、新しい考えがあった。
 「いや、それは止めたほうがいい」
 「でも」
 「いい考えがある」
 俺は彩葉の気を引いて、クローゼットのドアを静かに開けた。窪んだ壁に諸々を取り付けた体のそれは上下の二段構造になっていて、上が衣類のハンガーになっている一方、
一枚の仕切りを経た下の段にはプラスティック製の衣装入れが二つ置かれている。下の空間は高さが120センチくらいあり、幅と奥行きからしても二人が隠れるには十分なスペースがあった。
 「この入れ物をベランダに出して、それで隠れる。真ん中からこう、ちょっとだけ開ければ、隙間から全部丸見え」
 「丸見えって、慧靂君」
 俺の意図を理解したのか、彩葉は途端に顔を蒼くして言った。
 「それ、ほんとにまずいんじゃない? そこまでやってばれたら、今度こそ取り返しつかないよ」
 確かに、そうだろう。状況は余計悪くなるのは目に見えている。皹が入って、たちまち、砕ける。そんな「物」の様子も想像するのも難しくは無い。
 でも、抗議と言う名の悪戯に本当のリスクと見返りを求めるならば、これ以上の物は無い。この状況も、良く言えば上手く二人の生活の中に忍び込めた事にはなる。
 その、忍び込んだとの言い方に、まるで自問自答ながら俺は一つの決着を付けたかった。
 「俺だって馬鹿じゃない。ばれないだろうから言ってるんだ」
 俺は真剣な顔をして言った。少しの間が開いて、彩葉はクローゼットに視線を落とした。
 「……もし戸が開いてるのに気付かれたら? 」
 「それでも、中を覗いたりはしないだろ? 閉められるだけで、そうしたら声を聞けばいい……
 とにかく、とことんやってやるのさ、その抗議って奴。二人が寝たら逃げ出そう。どうだ? 」
339 ◆xdgBsiroro :2007/03/04(日) 06:15:44 ID:3DEnwvck
彩葉は暫く黙り込んだ。今日の最初の計画を持ち込んだ彩葉の事だ。その無言の裏にあるのは、この抗議の合理的な成功の是非を問う計算なのだろう。
 やがて彩葉はゆっくりと、口を開いた。
 
 「……ありっちゃありなんだけど、どこまで考えても不安」
 「今出て行くよりはましだろ。それに、いいよ、無事に済んだら飯でもおごってやるから」
 「メガマックセットLサイズね」
 「夜中にはやってないよ。キムチ豚丼大盛り半玉サラダけんちん付きがいい」
 どのみちフルコースへの招待だ。事が上手くいった暁には、格別に良い思いが出来る。
 彩葉は覚悟を決めたようで、一つ頷いた。
 「……じゃあ、がんばってみる」
 「決まりだな」
 俺と彩葉は早速、音を立てないよう慎重にクローゼットの中身をベランダに運び出した。大した作業では無いかったが、その労力とは別に、胸の高鳴りを感じる。
 それから、二人でクローゼットに入って居心地を確かめてみる。意外と涼しい。あとはひたすら、持久戦になるだろう。
 長い間この緊張を保っていなければならないのは苦しいが、それも仕方の無いことだ。
 「そうは言っても、まだまだ時間あるよね」
 「そうだな」
 「それまでここで待ってる? 」
 「いや」
 俺は再び彩葉を誘ってドアの側にしゃがみこんだ。ドアの隙間からリビングを眺めるために。
 ドアが常に開いているのは、猫の出入りを考慮した上での事だ。
 だからここが閉められる事も、まず無い。
 二人の暮らしの片鱗。
 俺は彩葉に負担の掛からない下を譲り、立ち上がってリビングの様子を覗き込んだ。


 4.暮らし

 新聞を読み終えるまでの時間が短くなった。ソファに掛けながら、士朗はテレビ欄を最後に新聞を閉じると適当な音楽番組にチャンネルを変えて活字の内容を
頭の中で反復した。新聞を読む速度と、内容の記憶。それぞれに比例して、頭の中が鍛えられるような気がするのだ。それからもう一度新聞を開き、手早く
ページをめくっていく。大体四割は覚えていたようだった。
 「士朗」
 「うん?」
 台所から、エリカの声がした。作業の音は続いている。士朗もまた、新聞を読みながら答えた。
 「クイズです」
 「肉じゃが」
 いつもの問題だ、と思い意表を突いてみると、少し間が開いてエリカが声を大きくした。
 「ぶぶー。違います。今日の献立は肉じゃがですが、私の好きな料理は何でしょうか」
 「そんなパターン無かった気がするけど」
 士朗は後頭部をソファに被せて反論した。180度上下が反転した視界の離れには、キッチンペーパーで手を拭くエリカがいる。
 「先に言うからだよ。してやったり」
 「ごめん」
 姿勢をそのままに表情無く謝る姿がおかしいのか、エリカは微笑みながらかぶりを振った。
 「じゃあほら、もう一回答えるチャンスあげる。私の好きな料理とは」
 「ジンギスカン、と見せ掛けてラーメン二郎」
 「……二重丸あげちゃう」
 今度こそ士朗が制したようで、エリカは声を小さくしてそう言い台所へと戻っていった。

340 ◆xdgBsiroro :2007/03/04(日) 06:16:15 ID:3DEnwvck
 *

 食卓には、例の肉じゃがを中心にした彩があった。炊き立ての白米と味噌汁が連なって湯気を立てる側で、鰹節の乗った白菜のおひたしが名脇役になる。
席についた士朗がごはんですよの蓋を開けようとした時、エリカが水の入ったコップを運んで来た。
 「久しぶりだと思わない?肉じゃが」
 「そうだな。先月食べたきりか」
 「今日はちょっと特別なの」
 「どうして? 」
 その問いに、エリカは最初、目で答えを作った。俯くほどでは無いが視線を落とし、それから乾いた視線で士朗を見る。
ここで談笑するような事では無い。二人にとってはもっと奥まった所にある、話題の合図。そういう話は、真に二人きりを感じられるような時にしたい。
 「後で、話すね」
 確認の意味がある一言に士朗は無言で返事し、岩海苔を箸で掬った。
 すぐにエリカから、かけすぎ、との指摘があった。

 *

 美味い物の前には、誰だって最大限の集中をする。だからこの場において、各々の箸の動きにいちいち注目する者などいない。
 士朗には、食事における癖があった。一つのおかずに集中して食べるのだった。それで味噌汁は、最後に飲む。
 「それで、仕事の方はどうなの? 」
 エリカがそんな話を始めた時、士朗はどう足掻いても味気ないおひたしを片付け、そろそろメインの肉じゃがに手を付けようとしていた。
 士朗にとっては、いつもながら不意に飛んで来る刃のような問いだった。
 「普段通りだよ。ただ今日はそんなに疲れてない」
 メークインを確実に箸で捉えながら、さらりとかわす。エリカは両腕を投げ出し、不服そうな声をあげた。
 「そんなヒントじゃ、いつまで経ってもわからないよ。そのクイズ」
 「……済まないな」
 「……ううん。わかるまで頑張っちゃうから。士朗だって、私の事に気付いてくれたんだし」
 段々とトーンの落ちる声を聞いて、士朗はエリカを見た。必死になって今を噛み締めているような、そんな澄んだ目をしているのが不思議だった。
 涙を浮かべているのかも知れない。
 「どうもこう、今日はノスタルジックな感じだな」
 「うん、当たり」
 「後で、聞くよ」
 エリカの言い方を真似してみる。するとエリカは、やはり素直ではない間合いで返事した。
 「……ありがとう」
 そう言うと、エリカはさっさと空にした食器を片付け、台所に持っていった。エリカにはエリカの癖がある。食べるのが、異様に早い。
カレーライスは飲み物に近い、と妙な持論を出してニクスに引かれた事があるらしい。それからエリカは、冷蔵庫から蓋の開いている缶詰を取り出した。
 慧靂もちゃんと餌をあげてくれているようで、安心する。
 「ご飯だよ、パフェ」
 エリカが名前を呼ぶと、何処からともなく三色の毛をした猫が顔を出した。餌を盛った皿まで悠然と歩を進めるその様が、たまらなく可愛らしい。
 しかし、いよいよ食事を始めようとした猫の鼻が、それとは別の匂いを嗅ぎ付けた。缶詰よりも崇高な、魚の香り。
 「食べないの? 」
 猫が暫く動きを止めているのを心配してエリカが言うと、猫はゆっくりと踵を返して、やはり悠然とした面持ちで士朗の寝室の方へと歩いていった。
 「……変なの」
 エリカは一言呟いて、何事も無かったかのように食器洗いを始めた。

341 ◆xdgBsiroro :2007/03/04(日) 06:16:49 ID:3DEnwvck


 5.くんずほぐれつ 

 こちらまで漂う夕食の匂いを一様に吸い込むと、途端に腹の奥から妙な音が鳴った。その間近にいた彩葉が、口を押さえながら吹き出す。
 「お腹すいたね」
 「そうだな」
 「美味しそう、肉じゃが」
 「実際美味いからな、ほんとに」
 「食べてみたいなぁ」
 物欲しそうな彩葉の言葉に、半分だけ同意した。どうって事でも無いが、作り立の肉じゃがを食べなくなってから久しい気がした。
 当たり前だと思っていた暮らしが、やけに懐かしい。
 「昼から何も食べてないな」
 「あんまりお腹すいてると気分悪くするよ? 」
 「我慢するしか無いさ」
 「……ううん、待って」
 彩葉はクローゼットに戻り、その中で鞄を開けて何か取り出した。袋を弄る様な音を連れて戻ってくる。
 「じゃーん。鯖カレードーナッツ」
 揚げパンの入っているそれを俺の目の前に掲げると、小声ながら自慢げにそう言った。ただし俺には裁かれドーナッツとしか聞こえなかったので、
いまいち何の事だか見当がつかなかった。俺のリアクションが無い事に首を傾げて、彩葉は説明した。
 「お昼の購買パシリ、理々奈とジャンケンで負けたの。悔しいから余計に買ってきたんだった。人気あるんだよこれ」
 その話を聞いてようやく、目の前が金色に開けるような思いをした。俺は出来る限りの声で、ナイス、と彩葉を賞賛した。
 「半分こしよ」
 袋を開け、半分に割ったパンを受け取る。確かにカレーの、それもドロドロとしたルゥを作るようなスパイスの香りがする。
 口の中を満たす唾液の勢いに任せて断面からかぶりつこうとした矢先、足元からあの忌々しい声がした。
 

 にゃあ。
 ドアの隙間から漏れる光に染まった、細い目をした三毛猫の姿。尻尾を立てながら見上げたその目線は明白に、俺の顔では無くカレーパンの方を
見ていた。
 「絶対やらないぞ」
 不機嫌に吐き捨てると、猫は声を大きくしてにゃあと鳴いてみせる。それでも渋ると、また声を大きくして。
 脅迫するつもりか。
 「分けてあげた方がよさそうだね」
 言いながら自分だけパンを食べる彩葉が、憎たらしい。
 「……ほんとドラ猫だな、お前」
 この状況で放っておくのも、まずい。俺は仕方なくパンを千切り、猫の足元に置いてやった。猫は舌で器用にそれを平らげると、それからまた
俺のカレーパンを睨んで鳴いた。俺は続けざまに舌打ちと嘆息をして、もう一欠けらを置いてやった。
 結局そのやり取りは、俺の分のカレーパンを全部食べられるまで続いた。
 満足そうに部屋を出て行く猫に殺意を抱きながら、俺は涙ながらに油気のある指を舐めた。ついでに彩葉の指も舐めようとして、叩かれた。
 お前だけ全部食ったくせに。
342規制無くなってるナイス ◆xdgBsiroro :2007/03/04(日) 06:17:25 ID:3DEnwvck

 *

 二人の食事を見届けてから、しばらく時間が経った。
 俺と彩葉はその間、本番に備えてクローゼットに並んで寝転び、他愛の無い話をした。お互い、普段しないような話題を選んだ。
 言葉は暗闇に吸い寄せられて、バンクしてから俺達の耳に入ってきた。もっとも、本当はそこにクローゼットの低い天井があるだけの話なのだが、
黒よりも濃紺に近い空間が続く景色の中で、イメージの片鱗が出ては消えていく様が不思議だった。
 時々瞬きをすると、僅かな光が赤黒い粒々となってスパークし、やはり暗闇の何処かに消えていく。
 色々なかけらが、渦を巻いて。
 さながらこの場にして、星空を見ているようだった。
 「京都ってさ、星が見えたりするのか? 」
 「そりゃあね。綺麗だよ」
 きょうと、とうきょう。ひっくり返えして通じるような名前なのに、どうしてこうも違うのだろう。
 しつこいようだが、東京に星はほとんど無い。
 「ちょっと星が見たくなった」
 「いつか見に行こうよ。それで、今日みたいに、なんだろ、草むらとかに寝転んじゃってさ」
 「きっとすぐに忘れるよ」
 「どうして? 」
 今だから、想像の中にあるから、いいんだ。俺は口に出さず、話を止めた。
 すると後頭部から重い音が響いて、それから乾いた音と共に視界の右側が明るくなった。誰かが来た。
 俺と彩葉は揃って感知し、静かに起き上がると、戸の隙間から外側に注目した。今度は俺が下側を取った。


 先に寝室を訪れた兄貴は、ゆったりとした足取りでベッドに上がった。これは俺も驚かされたが、ボクサーパンツ以外に何も着けていない。
風呂上りなのだろう、室内の暖色とは別に身体が火照っているようだ。所々にある痣が、兄貴の歴史を物語っている。
 刺激的だね、俺の上で彩葉が呟いた。
 兄貴はごく自然な動作で、俺達が必死に皺を伸ばしたシーツに腰を落とす。違和感は無いだろうか。その瞬間に、胸がはちきれる思いをした。
 兄貴は枕の上で両腕を後頭部に回し、それから胸を大きく上下させる程に息を吐いた。無表情にあるその目に何を感じているのかは、
見当が付かない。それから、本棚から新書の一冊を取り出した。読み掛けなのだろう、パラパラとページをめくり、手を止めた所から文字を
目で追っていく。
 「あれってさ」
 「……そうだな」
 ティーカップに抹茶を注いだ趣味の悪い表紙のそれを、二人ともよく知っていた。デュエルの書いた本だ。今度文庫にもなるらしい。
そうなれば、またまとまった金が入るのだろう。近頃のデュエルは、普段にも増して羽振りが良かった。
 見合わせていた所に、突然兄貴の凄まじい笑い声が響いた。見てみると、あくまでも冷静な様が売りの兄貴が、ヒステリックなくらいに
爆笑している。思わず頭の中にうろ覚えの文章がよぎったが、そんなにセンスを感じる箇所は無かった筈だ。
 「……そんなに面白かった? 」
 「どうだろうな。俺にはよくわからなかった」
 二人して、目を点にしながら首を傾げる。それでも続く兄貴の笑い声を聞いて、彩葉が呟いた。
 「また読み返してみなくちゃね」
 「何で? 」
 「あんなに笑えるなら、素敵じゃない」
 兄貴を見て微笑んでいる彩葉の様が、俺には理解出来なかった。その理解出来ない所に、所謂本当の世界があるのなら、少し悔しい気がする。
 やがて兄貴は、ひとしきり笑い終えたのか本を閉じるといつもの面持ちに戻った。
 そうして、エリカが寝室のドアを開けた。
343規制無くなってるナイス ◆xdgBsiroro :2007/03/04(日) 06:17:56 ID:3DEnwvck
 エリカの方は流石にパジャマを着ていた。彼女らしい黄緑色のそれを、いつか見た覚えがある。ベッドの真ん中に居座っていた兄貴が、少し
左側に身体を移す。エリカはその空いた方に腰を落とすと、勢い良く両足を布団の上に投げ出した。
 「聞いてなかったけどさ」
 エリカが、寝そべっている兄貴に聞いた。これから行為に進むであろうその声の流れに、俺と彩葉は意識を尖らせる。
 「肉じゃが、美味しかった? 」
 「美味かったよ」
 「ちょっと今日のは気合が入ってたんだ」
 「気合? 」
 エリカは意識して兄貴とは目を離して、言った。 
 「最初に作ってあげた時の、そういう気合」
 丁度、対面を見ていたエリカの視線が、段々と俯いていく。兄貴は身体を起こし、エリカの背中に腕を回した。
 「何かあったのは、わかるよ」
 先を促さず、あくまでもエリカの言葉を待つつもりなのだ。
 それからしばらく続く沈黙の間、兄貴はまるで微動だにしなかった。俺と彩葉も、また同じく。
 エリカは俺がかろうじて聞き取れるくらいの声で言った。
 「……お父さんがいたの」
 「…………本当の、か? 」
 俺達にとって、エリカの言葉は兄貴の答えと繋がって初めて意味を成した。本当のお父さん。エリカからは決して聞いた事も無い響きだが、
それが何か重大な意味を込めている事は俺達にも、わかる。彩葉が一瞬俺に目を向けたが、俺は戸の隙間から目を離さなかった。
 「シアちゃんが、ナイアさんの……本当の人とは別のお父さんに引き取られてるの、知ってるよね」
 「ああ」
 「今じゃ、シアちゃんのお父さんやってるの。あたしの、お父さん」
 靄が、段々と開けるような展開だった。それを勝手に印象付ける事が、そのままエリカを傷つける事になるのかも知れない。
 けれども俺や彩葉の中で弾けたそれは、仮説には終わらなかった。エリカの本当の父親、それがシアの養父。

 
 「慧靂君」
 声がして、初めて俺は彩葉を見た。ひどく心配そうな顔をしている。
 「本当にいいのかな、あたし達、絶対聞いちゃいけない事、聞こうとしてる気がする」
 「多分、そうだよ。でも」
 でも、後には戻れない。それは彩葉にもわかってる筈だ。けれど、胸にある不安に堪えられなくなって俺に言ったのだろう。
俺は彩葉の目をじっと見て、それから視線を元に戻した。兄貴は表情を変えず、エリカに訊いた。
 「エリカを見ても、何も言わなかったのか」
 「知らないんだもん、本当の事なんて。それは、私はわかってるつもり」
 俯いたままのエリカの声が、震えている。熱くなった喉の奥で、必死になって声を作る。その痛みが、エリカの目に涙を作り出す。
 「けど、私を置き去りにして、他の誰かの父親でいるあの人が、どうしても許せなかったの。大体」
 顔を上げたエリカの表情に、感情が弾けていた。底知れない悲しみが、憎悪の受け皿を兄貴に置いて、兄貴を睨みつける。
 「……セリカに、何ていえばいいの? 幸せにしてるあの子の本当の事が、こんなに悲しい事だなんて、私には言えない。
  ……私は、わたしは……セリカのお姉ちゃんでいてあげたい、けど、それを言おうとして絶対、セリカを傷つけなきゃならない。
  ……そんなの私、耐えられないよ」
 エリカはゆっくりと、士朗の胸に顔を持っていった。等身大の体温が伝わる胸板に顔を隠して、肩を震わせてる。
 本当に、泣いているのだ。痛々しい沈黙の中で、俺はそう思いながらも、エリカの言葉を反芻した。
 セリカの、お姉ちゃん。本当の事が、悲しい事。
 結論に向かって次々と連結する事実の中で、俺は息をする事も忘れていた。
 「私の居場所って、何処にあるのかな」
 兄貴の胸の中で、エリカが呟いた。
344 ◆xdgBsiroro :2007/03/04(日) 06:18:30 ID:3DEnwvck
 「お父さんも、セリカも、私を認めてくれないよ。わたしは、ほんとうにみとめてほしいひとのまえで、わたしでいたいのに」
 「……俺が認めるよ」
 わかっている筈。本当にそれは、互いにわかっている筈の言葉なのだ。けれどもわざわざ言って欲しい言葉がある。
 欲望は、心の中だけでは決して満たされない。外側から感じて、確かめて、そうして満たされるものだ。
 そんな考えの、尤もらしい答えの様が、二人にはあった。それは、本当に二人だけが感じるべき言葉の重さなのだろう。
 「エリカの居場所は、ここにもあるだろ」
 兄貴の言葉を聞いて、俺は初めて重い罪悪感を感じた。エリカは、どん底から手を伸ばすようにして、兄貴を求めていたのだ。
そして兄貴は、出来る限りの形で応えていた。良いマンションを借りて、料理をしたり、洗濯したり、あくまでも自発的にエリカの
尽くすべき形を用意してやった。そうして二人は、満たされていた。それはまるで、恋人を超えた、かけがえの無い家族のように。
 家族。兄貴もまた、失いかけていた物だ。いや、俺も兄貴も、そんな物を知らずに育ってきたのかも知れない。俺達がいたのは、
そういう家だ。上っ面だけが優れていて、中身の無い家。そんな家よりも、エリカのような暖かい人がいてくれたら、そうやって
家族を感じる事が出来たら、俺も兄貴も幸せになれたのかも知れない。
 兄貴は、俺が遠慮してる事を知らない。エリカは、家族を求めるあまり、俺に静かな警鐘を鳴らす。
 どうしてそれを、無神経だと言えるのだろう。
 俺はこの場を逃げ出したい気持ちに駆られながら、けれども自分を戒める思いでその先を見守る決意をした。
 「慧靂君、あたし」
 「私ね、今日だけは」
 彩葉が呼んで、顔を向けようとしたが、俺はその直後に続いたエリカの声だけに注目した。


 「今日だけは、私の側に士朗だけがいてくれればいいって思いたいの。それって、弱いかな? 」
 「エリカは、強いよ」
 今日だけ、との言い方も、兄貴には嫌味に聞こえないのだろう。エリカにとって本当の幸せは、ここでは無い。父親や、母親、もそうだろうか。
そしてセリカと本当の形で向き合えた時、きっとそこにある。勿論、そこに兄貴もいる筈だ。家族の幸せを感じて、エリカ自身が新しい一歩を踏み出す時、
その手を取ってやるのが、きっと兄貴なのだ。それをわかっているからこそ、兄貴はエリカの言葉を聞いている。
 兄貴にもまた、それだけの強さがある。
 「強すぎるから、こういう時が欲しくなるんだ。その気持ちを否定するのは酷だよ」
 そう言って兄貴は、エリカの下顎に手を添えると、ゆっくりと唇を重ねた。すぐに舌の唇が薄っすらと離れて、そこから絡み合う赤い舌が見られる。
 エリカは目を閉じながらも、パジャマの上着のボタンを外し始めた。同じく目を閉じた兄貴の手がボタンを外そうとして、二人の手が触れ合う。
すると兄貴はその動作をエリカに任せ、脚を横にして座った姿勢のエリカのズボンに手を突っ込んだ。
 「んんうっ」
 ズボンからショーツの中、秘貝を鋭くえぐったであろう兄貴の指が、エリカを震わせる。ズボンを前に張らせた兄貴の手は、そのまま不思議な動きを
始め、エリカもその動きに合わせて腰を上下しながら淫らに溶けていく。エリカがボタンを外し、上着を脱ぎ捨てると、兄貴の手がズボンを下ろし、
完全な下着姿になった。二人の手は続けざまにそれぞれ、ブラジャーとショーツに手をやり、それぞれを脱がせる。そうしてエリカが裸になってから、
二人はほとんど同じタイミングで目を開けた。兄貴がエリカを、エリカが自分自身を確認すると、エリカは脚を開きながら仰向けになり、そこに
兄貴の身体が重なる。エリカの後ろ首に手を回した兄貴に続くのは、キスの応酬だった。俺の見える、兄貴の左側から、腕の筋肉が硬くなっているのが
わかる。エリカには苦しいほどに抱き締めながら、唇を重ねる。
 「ねぇ、慧靂君」
 声がして、初めて俺は彩葉の様子がおかしい事に気が付いた。いつの間にか、様子が見やすいように隙間の上側から外を見ていた俺にぎりぎりまで顔を
寄せ、深く、熱い吐息を俺の首筋に向けている。立てていた俺の腕にも、やわらかい感触があった。彩葉の乳房が、故意に当たっている。
 「慧靂君、あたし、もうだめ」
 彩葉は今にも泣き出しそうな顔で、愛しげに俺を見ていた。その顔は夕暮れ、俺を誘った彩葉とはまるで別の思いを秘めている。
 そこには、兄貴とエリカのやり取りを見た、別の角度からの思いがあった。
345しろろ携帯:2007/03/04(日) 06:21:34 ID:bb1XwLRb
規制回避
346名無しさん@ピンキー:2007/03/04(日) 06:26:58 ID:3DEnwvck
 「ねぇ、ここで、させて」
 彩葉は搾り出したような声で、無茶苦茶な要求をした。
 けれども、恐らく、それ以外に今の彩葉が求める物は無い。
 「二人のこと、もう見てらんないよ。あたしも慧靂君としたい」
 「今はだめだよ」
 「今じゃなきゃだめなの。じゃないと、この気持ち、きっと後悔しちゃう」
 気持ちはわからなくも無い。俺もまた、二人を見ながら自分のペニスを痛々しく勃起させている次第だ。
 俺はそれ以上、言葉を返す事が出来なかった。そうして否定するつもりだった。
 すると彩葉は無言のまま俺のズボンのジッパーを下ろし、トランクスのボタンを外して、間から出たペニスに顔を埋めた。
 「おい」
 一瞬、制止しようとしたが、直後に感じる舌の快感が強くて、そのまま言葉を失くす。下半身に、彩葉の荒い鼻息を感じた。
 彩葉はたっぷりの唾液で濡らす様に付け根から先端へ舌を上らせると、それから赤黒い部分をすっぽり覆うように口に含んで頭を上下させた。
揺れる髪の毛が、時より俺の太腿を刺すのがわかった。竿のラインを滑る舌は、時々その軸を、彩葉のいる側からペニスの中心、あるいは反対側にまで変えて
俺を弄ぶ。欲情した彩葉は、俺のために熱心で、必死だった。
 俺はあくまで外の光景から目を離さず、せめて彩葉に応えようとして、左手を彩葉の突き出た尻へと向けた。
 ぎりぎりまで腕を伸ばしてスカートの感触を確かめると、彩葉はそれを待っていたかのように身体を俺の方へ縮め、その代わり余計に尻を突き出す。
 ようやくその手で彩葉の素肌を感じると、その股に張り付いたショーツをずらし、既に濡れている割れ目を指でなぞってやる。
 「んんんっ」
 彩葉は俺のペニスを含まった口の中で、息が弾ける様な声をあげた。腰を淫らにくねらせ、明らかに喜んでいるような素振りを見せる。
 そうして俺達が愛撫し合う傍らで、兄貴がエリカの上で身体を起こし、自身のボクサーパンツに手をやった。
 硬く立ち上がったペニスを下に向け、エリカの、然るべき場所に押し当てる。エリカの立てた脚によって見えない所で、それは深々とエリカの中に沈んだ。
 避妊具を付けた様子は無い。そもそも誰もそんな事、望んでいない。


 「あ、あっ、はああ」
 俺からは意外なくらい、力の抜けるエリカの声。兄貴が勢い良く腰を動かすと、その声は一気に激しくなった。
 「あっ、あ、あんっ、だ、めっ、はげしっ」
 「早いか? 」
 「ううん、いいよっ、あ、は、もっとっ」
 エリカの言葉に応えるように、兄貴は一層腰の動きを早める。高級そうなベッドがきしむ音を聞いた。
 段々と、兄貴の身体がエリカの身体へと落ちていく。エリカは伸ばした両腕を兄貴の背中に回すと、一気に身体を引き込んだ。
 「あ、あっ、あっ、あ、し、ろう」
 頬を寄せ、荒い息の根を聞きながら深め合う。
 俺は彩葉の舌と、きゅうきゅうに指を締め付ける膣の感触を思いながら、二人の様に生唾を飲んだ。
 同時に、ペニスの付け根から中腹に堪えがたい快感を覚える。絶頂が近い。
 「エリカっ、もう」
 「いいよ、わたしもすぐだからっ」
 エリカの答えを聞き終えるくらいに、俺は絶頂した。彩葉の口の中でペニスが脈打ち、喉の奥をもお構い無しに精液で汚していく。
 彩葉は噎せ返りそうになりながら、口を満たす液体を彼女の間合いで分けて飲み込んだ。
 「あ、あああああっ」
 その間に、エリカの絶頂が聞こえた。
 兄貴の射精も、ほとんど同じだったのだろう。兄貴が身体を強張らせて俯き、エリカの中に精液を注ぐ。
 汚したエリカの陰部を拭き取る事無く、士朗はまたエリカの上に沈んだ。
347 ◆xdgBsiroro :2007/03/04(日) 06:27:57 ID:3DEnwvck
 
 「慧靂君」
 俺の精液を飲んだ彩葉が、ねっとりとしていて、やはり涙ぐんだ声を伴って見上げる。目を合わせようとした途端、俺は全身の血が沸き立つような興奮に襲われ、
慌てて外の様子に目を戻した。ベッドの上で深いキスの時間を過ごした兄貴は、エリカにうつ伏せになるよう促し、向いた背中に自らの汗ばんだ身体を擦り付けた。
それは二人にとって意味のある行為なのだろう。エリカは息を吐きながら、両膝を前に持っていき、先程の彩葉のように腰を突き上げる。兄貴はエリカの後ろ首に
何度かキスをすると、身体を起こして膝を立てた。後ろから、挿入の合図。
 俺は、今度ははっきり、彩葉の顔を見た。彩葉は表情を変えず、口を半開きにして涙を浮かべている。
 その顔に、どんな感情が含まれているかは、俺にはよくわからなかった。ただ、この場の四人のうち彩葉だけがまだ果てていない。
 そして俺にもまた、自分の思いもよらないような興奮が続いている。
 俺の精液を飲んだ、彩葉。兄貴の精液を注がれた、エリカ。
 いや、俺はまだ、満たされちゃいない。彩葉だって、きっとそうだ。
 それを、求めている筈なんだ。
 「彩葉っ」
 俺は彩葉の頭に手を回し、強い力で唇を重ねた。舌を絡ませる勇気は無かったが、その分、他にしてやれる事はある。
 彩葉はきつく目を閉じながら、けれども決して抵抗せず、肩を落として俺を受け入れる。唇を離すと、彩葉はそれまでの思いを捨てるように一つ涙を落とし、
それから紫の光が差したような恍惚の笑みをした。
 「えれきくん」
 「口、押さえてろよ」
 俺は彩葉を仰向けに寝かせ、開いた両脚の間に座った。
 狭いクローゼットの中、どこかに身体をぶつけて音を立てないよう、それだけは注意しなければならない。


 「上げるぞ」
 彩葉のへその下辺りから両方の腹を押さえ、更に抱えるようにして下半身を抱き上げる。
 髪の毛が引き摺られる音がすると、彩葉が頭を上げ、適当に整える。その手のどちらかが口を押さえるまで待たなければならない。
 彩葉の下腹部が、足を横にして座る俺の間近にある。ずれたままのショーツの横で淫らに濡れる陰部は、暗い中でもその形をはっきりと見る事が出来た。
 「ん、んんんんっ」
 既にある興奮は、突発的な快楽をより確かな物へと増幅させる。俺が合図も無しに、開けたピンク色の襞に舌を重ねると、彩葉は声を殺しながら
大きく身体を反らせた。同時に俺の顔に押し当てられた下腹部は、より強い快楽を求めているようにも思える。それに応えるように、ぬるぬるとした
内部へ舌を挿入する。狭い中、肉の壁を押すようにして舌を動かすと、彩葉はその動きに連なって、あるいはまるで別の向きに腰をくねらせた。
 「んんっ、んっ、んっ」
 呼気と快感が、彩葉の口を抑える手の平で弾ける。
 「あっ、あ、はぁっ、あ、ああっ」
 横から聞こえるエリカの遠慮無い喘ぎが、煩わしくも俺を昂らせた。
 唇ですっぽりと覆う部分を、陰部から少しずつ下に変えていく。
 その先にある、まだショーツで隠れている菊座を舌で突くと、直後に彩葉が頭を上げた。
 俺は構わずショーツをずらし、きつく締まっていた入り口をこじ開けた。
 「んぅっ、ん、んんっ」
 彩葉は口に手を当てたまま、俺を制しようとする。だが俺が無視して愛撫を続けると、やがて彩葉は抵抗を忘れていった。
 気張っていた息の抜けたそこは、思っていたよりも柔軟だった。前の穴よりはきついが、そのうち舌の根に近い部分まで挿入する事が出来た。
 その時になって、俺のペニスが息を吹き返し、元々の張りを取り戻していた。
 異端の愛撫、背徳の今、快楽よりも、その状況を構成する内面から痛々しいくらいに反り立ったそれを、彩葉に入れるため、俺は彩葉の上に覆い被さった。
348 ◆xdgBsiroro :2007/03/04(日) 06:28:36 ID:3DEnwvck
 「彩葉」
 彩葉の手を取り、舌を絡ませる。精液を含んでいた彩葉の口の中は、たっぷりの唾液でほとんど洗い流されていた。
 「つけないけど、いいか」
 俺はあくまで後の事は考えなかった。今だから、そうしたい。イメージの星空を見ていた俺と、兄貴とエリカのセックスに欲情した彩葉。
 彩葉は、極端に感情を吸い込んだ顔をくしゃくしゃにして、最後には、微笑んだ。
 「いいよ、中に、出しても、いいから、壊れてもいいからっ、思いっきり、して」
 胸が熱くなった。二人にある深い深い感情が、繋がりあった瞬間だった。
 俺は笑顔のつもりで頷いて、そして、挿入した。
 「ん、んんーっ」
 深々と突き刺したペニスを半分まで抜き、最初は浅く、短い間隔で腰を動かす。彩葉の声が、動きと連動するまでそうして、なるべく二人が
近い気持ちになれるように、途中から彩葉を抱き締める。
 「はっ、あ」
 天井にぶつからないよう、頭の天辺に神経を尖らせながら激しく突き立てる。それは俺にとってあまりにも酷な動きでもあった。
 疲労が頭の中に空白を作り、吐き出す息が、それを段々と膨らませていく。吐き気も感じた。
 それでも俺の身体は、動きを止めなかった。あくまでもその時、俺と言う存在を感じていたのは、ペニスだけなのかも知れなかった。声を出す事も、
淫らな身体に光を刺す事も許されず、ペニスだけがありのままの快感を得ている。コンドームを捨てた裸のそいつは、彩葉の内部で何の妨げも無く、
きつく締め付けた彩葉の膣のある部分を支点にして、引っ切り無しに包皮を前後させる。圧倒的な、性の濁流だった。
 「彩葉っ、だ」
 もしかすると、俺は部屋中に響くくらいの大声でそう言ったのかも知れない。その時吸い込んでいた息をほとんど放り出すように、俺は言った。
 「んんんんーっ」
 熱く、ぬるぬるした中に射精する。満たされ、溢れていくその過程で、彩葉は両脚を硬くして俺の腰を締め上げた。
 頭にあった空白が、耳の穴から煙のように抜け出していくのを感じた。


 戸の外側からは、一切の音が消えていた。兄貴とエリカは、後背のそれを終えて、すぐに寝てしまったのだろう。
 気が付くと、一面から暖色の明かりが消えている。完全な暗闇の中で、俺と彩葉は長いキスをした。
 彩葉の下腹部に、水の気配がしている。愛液と精液が混じり合ったそれが、俺の腰にもへばりつく。
 「この後、どうする? 」
 俺に訊かれて、彩葉はゆっくりと、しばらくぶりに目を開いた。
 「吉牛の約束」
 「どっか、泊まりにいこうよ。それで、続きしよ」
 「不満だったか? 」
 「ううん、すっごく良かった。頭が爆発しちゃいそうだった。けど、また続きして、あたし慧靂君に言いたいの」
 「……何て? 」
 「好き、って」
 言わなくても、わかっている。だけど、言って欲しい事。
 好き、とはそんな欲望を満たしてくれる、けれどもひどく繊細な位置にある言葉なのかも知れない。
 兄貴とエリカの間には無かった、あるいは俺が聞きそびれたその言葉を聞いて、俺の顔に自然と笑みが溢れた。
 そして俺は、彩葉に良く聞こえるよう、耳元で呟いた。
 「俺も、好きだ」
 勢い良く戸が開いたのは、俺が言い終えた次の瞬間だった。俺達ははっとして扉の方を見た。
 烈火の如く怒りの表情を浮かべた兄貴が力任せに俺達を引きずり出し、二人の頭に平等な力で拳骨を見舞った。
 地球の質量を被ったような衝撃だった。
349 ◆xdgBsiroro :2007/03/04(日) 06:29:35 ID:3DEnwvck
 
 
 5.交差点の陽だまり

 「とんだ趣味だな。お前等は、人のプライバシーを見世物にして楽しみたいわけだ」
 「仕方が無かったんだ」
 「仕方が無い? どう考えて納得できる? 」
 薄く明かりのついたリビングの食卓に対面して、憮然として腕を組む兄貴と、揃って頭から煙を出した俺と彩葉がいる。 
すっかり乱れた俺達の服が、起こった出来事の全てを物語っていた。エリカとのセックスを覗きながら、俺達も同じ事をしていた。
何のために? 面白半分で。多分、兄貴にとってはそんな印象で説明が付くのだろう。乾いた沈黙が、痛々しい。
 その最中で、彩葉が口を開いた。
 「……いつから気付いてたの? 」
 「途中から、誰かがいるのはわかってた。だけど」
 「エリカさんが傷つくもんね」
 「そうだ」
 「エリカさん、寝てるの? 」
 「疲れてすぐ寝るんだ。しばらく起きて来ないし、多分お前等のことも気付いてない。ただ、話も全部聞いたんだろ? 」
 エリカの話。俺と彩葉は、揃って頷いた。
 「……あれ、本当なのか? セリカとエリカが」
 「本当だよ。裏も付いてるし、セリカもいつかは気付くかも知れない」
 「似てるもんね、そもそも」
 冗談と本音の境目にある彩葉の言葉に、誰も反応しない。
 ただ、兄貴は俺達が事態を飲み込んでいると見て、言った。


 「……だからつまりその、セックスを見られた事は……百歩譲って、さっきの拳骨で済まそう。けど、エリカの秘密は全部、エリカの意思で管理していた事だ。
 お前等の他に知ってる奴もいるけど、俺から言ってる訳じゃない。だからそれをこんな形で聞かれた事は、どうしても許せない。……まぁ、だからってどうする
 事も出来ないけどな。一つ言うと、心底軽蔑してる」
 軽蔑と言う響きが、重い。
 「それは、士朗さんがどう言う立場から言ってるの? 」
 俯いた俺の隣で、果敢にも彩葉が聞いた。
 「エリカが、大切だから」
 「好きだから? 」
 「……そうだ」
 最後に呟いた兄貴の一言は、力強かった。彩葉はゆっくりと頷き、それから俺と同じように下を向いた。
 しばらく沈黙が続き、それからまた、彩葉の声がした。
 「……あたしは」
 俯いていた俺の目線から、彩葉が太腿に置いた手を握り締めたのがわかった。
 「あたしはその、士朗さんとエリカさんの話聞いてて、それで、二人でエッチしてるの見てて、なんかすごく、身体が熱くなったの。二人がすごく、かけがえの
  無い物で結ばれてるって思って、見ちゃいけないってわかってても、すごい綺麗な物を見ているみたいで、それで、あたしと慧靂君はどうなんだろって。そこからもう、
  我慢できなくなった。慧靂君は駄目って言ったけど、あたしはそれでもしたくなって、それで……最初にあたしが、慧靂君の、アソコを舐めたの」
 「そんな事、言わなくていい」
 突然の彩葉の告白を、俺は慌てて制止した。兄貴はただ沈黙して、彩葉に目を向けている。彩葉は真剣な顔をして俺を見て、止めないで、と目で合図した。
 「言わなきゃ、不公平だもん」
 彩葉は、兄貴を向きなおした。
350 ◆xdgBsiroro :2007/03/04(日) 06:30:14 ID:3DEnwvck
 
 「そうしてる間にも、エリカさんの声が聞こえてた。士朗さんに身体を任せてる、エリカさんの声聞いてて、あたしも慧靂君に同じようにして貰いたかった。
  だからあたし、必死になって慧靂君のを舐めた、そしたら慧靂君も、あたしの事ちゃんと抱いてくれた。二人で繋がってる時、士朗さん達の事考えながら、
  あたし、本当に幸せだった。すごく気持ちよくて、なんか、泣き出しそうになった。だからあたし、これって結果がどうこうって話になっちゃうけど、
  悪ふざけなんかで二人の事見てたつもりじゃないと思う。だって今日のお陰で、あたし達、本当の気持ちで、好きって言い合えたもん」
 あの光景の裏、彩葉が思っていた事。それは他でも無い、隣にいた俺との事だった。一方で俺は、目先の出来事を受け取る事で精一杯だったのに。
 それは当事者と第三者の明確な違いなのかも知れない。だが、俺は彩葉の気持ちを嬉しく受け取りながら、同時に申し訳無くも思った。
 彩葉は語勢を強めながら、言葉を続けた。
 「それに、士朗さん達がそうやってする所で、慧靂君の居場所が無くなってたの、士朗さん、知らないでしょ。慧靂君が、エリカさんの来る日に家空けて、
  二人のために気を遣ってた事。だからちょっと、抗議したくて……あたし達の事どう思ってもいいけど、その事だけ、あたしは言っておきたいの」
 それは、俺達から初めて提示した事実だった。兄貴は初めて腕をテーブルの上に落とし、俺に聞いた。
 「本当なのか、慧靂」
 本当だよ。俺は言った。だが、今となってはそう語勢を強めて言うまでの事とは思えなかった。
 「でも、エリカの気持ちを考えると、俺はもう何も言えないよ」
 「いや……」
 兄貴は少しだけ、狼狽しているようだった。責任感の強い男だ。何かに負い目を感じると、途端に気が回りだす。
 「……言いたい事はわかったよ。彩葉ちゃんもよく言ってくれた。そう言う事なら、軽蔑したってのは、無しだ。やり方に問題があるかも知れないけど、
  それはお互い様だろうな。エリカを泊めるにしても、これからは少し外にも出る事にする。慧靂ももう、そんな心配はしなくていい」
 今更気にしないなんて無理だ。そう突っ込もうとも思ったが、止めた。
 あんな事をしておきながら、頭を下げる思いをしてくれる兄貴が俺には嬉しかった。すると兄貴は、こう付け加えた。
 「ただ、それだけ気が回るなら……事情を全部知ったなら、たまにはこう言う日がある事も覚えておいて欲しい。エリカが俺の事を頼りたい時に、
  そういう時は、エリカの気が済む様にさせて欲しいんだ」


 「わかってるよ」
 俺が返事すると、兄貴は深く息を吐いた。
 「お前には、話しておくべきだったのかも知れないな」
 「いいんだ。これからも、エリカが持ってる秘密にしておくよ。でも……」
 俺は少し躊躇って、兄貴に言った。
 「俺や彩葉は、エリカの力になってやれないのか? 」
 兄貴は暫く沈黙した。
 「……今は、そっとして置いて欲しい。この事は、本当に、エリカが自分と対話してるような事なんだ。あいつにとっての幸せは、やっぱり
  セリカと本当の姿で向き合う事だけど、そのためにはセリカに自分自身を否定させなきゃならない。そのもどかしさで、エリカは悩んでる。
  だからあくまで、エリカのやり方で解決させてやりたい。俺だって、そう言う意味じゃエリカの力になってやれてるかはわからないよ」
 「いや、兄貴は」
 「士朗さんは」
 俺と彩葉は、同時に言った。その先に続く言葉は、共通している。
 兄貴はエリカの、本当の――
 言い掛けていた時に、兄貴の寝室のドアが開いた。
 下着まではだけたパジャマに寝起きの様を存分に見せ付けて、辛そうな顔をしたエリカが姿を現した。
 「おきてるの? 士朗」
351 ◆xdgBsiroro :2007/03/04(日) 06:31:03 ID:3DEnwvck
 細い目を開けたエリカの視界に、俺と彩葉の顔が飛び込んでくる。
 「やだ、どうしたの、慧靂君も彩葉ちゃんも」
 エリカははっとして、急に姿勢を正した。特に俺を見る目線は、話が違う、とも言いたげで、俺は堪らず目を逸らした。
 兄貴はそんなエリカをやんわりと諌める様に、何食わぬ顔で言った。
 「なんて事は無い。帰ってきただけだよ、家に。泊まっていくらしい」
 「てことは……ひゅーひゅー、慧靂君もやるようになったねぇ」
 調子付いたつもりなのだろうが、目が泳いでいるのが歴然だった。彩葉が顔を背けて、噴き出した。
 兄貴は俺達の顔を見て言った。
 「なぁエリカ、肉じゃが余ってただろ? 」
 「そりゃ、慧靂君が食べるからね」
 「みんなで食べよう。二人とも腹減ってるみたいだし。そうだろ? 」
 言われて、恐ろしい程の空腹感を思い出す。俺は真っ先に頷いた。同時に頷いた彩葉の腹にも、カレーパンと、それと、ろくな物が入っていない。
 「いいけど、夜中は太るんだよ? 」
 「あ、あたしも手伝う。」
 のそのそと台所へ向かうエリカに、食べたがっていた肉じゃがと聞いてか彩葉が元気良く付いていく。
 その後姿を見届けてから、兄貴が指で俺に耳を貸す様促した。
 「あれで、いびきがすごいんだ。多分お前の部屋まで届く」
 「……わかるよ。あいつもそうだから」
 二人の知らない所で、俺と兄貴は、笑った。
 こんな夜を過ごした四人が、いつかかけがえの無い存在になり合えたら。
 そんな事を思いながら食べた肉じゃがの味を、俺はきっと忘れない。  

 終わり。
352 ◆xdgBsiroro :2007/03/04(日) 06:37:48 ID:3DEnwvck
以上です。お疲れ様でした。
60行書けるだけ良くなったがやっぱり規制きついぜ
あとそろそろ保管庫も更新しますね。ギタドラGOLDやりつつ・・・
前スレのシロエリはこんな形で完結した事にしておきます。

あああなんか10.5ptくらいのサイズだと糞見にくいみたいだ…すいません専用ブラウザ推奨。

それから今回はちょっとシチュエーションがわかり辛いので絵にしてみました。
よくわからなかった人だけ見てみてください

ttp://page.freett.com/cobalt/map.jpg
ttp://page.freett.com/cobalt/map2.jpg

長々と失礼しましたー
353名無しさん@ピンキー:2007/03/04(日) 09:48:17 ID:47Zp2VlD
>>352
ネ申よ、素晴らしいSSをありがとう。
感動した
354名無しさん@ピンキー:2007/03/04(日) 10:17:36 ID:Yn3XslVt
超乙!!!
なんかエロであることを忘れるくらい心震えたぜ…
ほんとよかった。ありがとう
355名無しさん@ピンキー:2007/03/04(日) 11:54:32 ID:K0ALUIeY
全俺が泣いた
超GOD JOB! 本当に良かったわー…
幸せになってほしいよなー
356名無しさん@ピンキー:2007/03/04(日) 20:32:49 ID:a+v/4OZi
>>352
今月アルカ、続きのエリカかと思ったら鉄火の追加乙女設定話で萎えた自分に最強のカンフル剤でした!GJ!GJ!GJ!
あの4人のほのぼの良いなあ…。
357名無しさん@ピンキー:2007/03/04(日) 20:40:28 ID:jINgxRcj
鉄火の設定も面白かったけどなw
鉄セリとユズセリに萌えたし。

>>352
いやそんなことよりも素晴らしい話でした。心からGJ。
エロいのもさることながら家族について考えさせられた。
本当はGJの一言じゃ表し切れないんだが、語彙の無い自分を許してくれ。
358名無しさん@ピンキー:2007/03/06(火) 00:00:35 ID:KQTMXpGc
>  お前だけ全部食ったくせに。

こういうの良いよね。
359名無しさん@ピンキー:2007/03/06(火) 13:03:46 ID:4BJV9GkM
図の二枚目にメカ沢がいるんだがw
360 ◆xdgBsiroro :2007/03/07(水) 13:24:06 ID:caTWgbeg
保管庫整理してから来ようと思ったけどあまり空けるのもどうかと思うんで……
レスありがとうございます。
いくら書いても一向に終わらず難航こそしましたが、結果として個人的に思い出深い物になりました。
幸せになって欲しい。ほんとその通りだ。
化け猫が士朗に化けて家継いでくんないかなー
メカ沢はわざとなんで;
361名無しさん@ピンキー:2007/03/08(木) 04:51:26 ID:qtXGGqq0
超久しぶりに見たらこれか………










間違いなく名作。素晴らしい作品をありがとうございます。
362名無しさん@ピンキー:2007/03/08(木) 05:03:44 ID:qtXGGqq0
………そういや微妙な小ネタが含まれてるなw

赤毛のシルクハットの娘とセットのアイツがw
363 ◆xdgBsiroro :2007/03/10(土) 14:43:53 ID:lejvtemt
>>361
レスありがとうございます。

舌の根も乾かないうちですが、いい加減>>68以降もまとめるべきと思ったので
続き書きました。例によって今回分で2/3です。連投になりますがどうか気になさらず……
ではレス進めます。
364しろろ ◆xdgBsiroro :2007/03/10(土) 14:44:46 ID:lejvtemt
周囲に人気の無い筐体の前でイイトモNを演奏するツガルの姿はあまりにもシュールだったが、達磨はあくまでも刺激しないように、
遠くからそっと横顔を望んだ。とてもウキウキしているようには見えず、むしろ死んだ魚のように暗く、淀んだ目をしている。
 世界が終わったような顔。達磨にもあまり見たくない顔だったが、その原因が他でも無い自分であると考えると、気が重くなる。
 ただ、自分は、ツガルと近付きたかっただけなのに。そしてそれで上手くいっていた筈なのに、どうしてこうなってしまったのだろう。
 よくよく考えれば、自分自身で整理の付く事なのかも知れない。だが、達磨はそうはしたくなかった。
 「あっ」
 ふと気配を感じたのか、ツガルが横に流した目線が達磨のそれとぶつかる。よく知っているイイトモのフレーズが、一つ、途切れた。
 達磨は不意に、何か頭の中に無い事を言おうと口を開きかけたが、ツガルは何事も無かったかのように画面へと目を戻した。
 そして曲の演奏が終わると、カードリーダーの上に置いていた携帯電話を開き、耳に当てる。
 「もしもし……さん? 」
 口の動きからして、ナイアに聞き返した。片手に携帯電話を持ちながらカードを抜き取り、ツガルは別の場所へ歩き出す。
 だが、達磨は思い切って踏み出し、ツガルへと距離を縮めた。
 「おい」
 声を掛けるがツガルは達磨に見向きもせず、足早に通り過ぎようとする。達磨は、その歩みに振り翳した手を強く掴んだ。
 「ちょっと、離してよっ」
 ツガルは驚きながら、やはり拒絶の意を見せるよう思い切り力んで振り解こうとする。達磨は必死になって引きとめながら、
一瞬、耳から離れた携帯電話の画面を見た。思った通り、そこには待ち受け画面が表示されていた。
 「声掛けてるだろ」
 「電話してるからっ」
 「嘘だ」
 突き放すための口実。それは単に、無視を決め込むための安易な芝居だった。言われてツガルは俯き、携帯電話を閉じた。
 「そんなに、ひねくれるなって」
 「嘘吐きはどっちよ」
 その一言が胸に痛い。だが達磨は、咀嚼するだけの間を置いて言った。
 「……それで、話がしたいんだ」
 達磨が歩き出すと、後ろから渋々とした足音が続いた。
 華奢な身体の存在を確かめるその音は、喧騒の中で特に響いた。
365しろろ ◆xdgBsiroro :2007/03/10(土) 14:45:18 ID:lejvtemt
 「みんな行っちゃったな」
 場所には、敢えて自動販売機の側を選んだ。自分達を置いていった連中の、蛻の殻。そこの壁に揃って凭れる。
互いに顔を見合わせない、そんな位置から達磨は言った。
 「お前、見てなかったのか」
 「行きたかったけど、ナイアさんにだめって言われた」
 ツガルもまたその事で幾分か機嫌を悪くしているようだった。どちらかと言うと、男性陣よりも女性陣の方が付き合いが深い気がする。
得にツガルには、ナイアとの特別な距離感がある。だからこそ時折感じる疎外感が痛いのだろう。
 「俺はそう言うの、気分悪い」
 「私だって……」
 ツガルは同意しようとして、はっと息を呑んだ様に達磨を向き、急に口調を冷たくした。
 「そんな話だったらするつもりないけど」
 「いや……」
 達磨は俯き、右手で親指を執拗に擦って気を紛らわしながら口を開いた。その一言には、特別に勇気が必要だった。
 「謝りたいんだ。この前の事」 
 「何の事かわかりませんけど」
 「騙した事を、さ」
 達磨は意を決して、ツガルを見た。その視線と言葉に釣られて、ツガルもまた達磨を見る。久しぶりに、はっきりと目が合った。
 ツガルは笑っていた。
 ただ、それはあくまでも達磨を嘲るための空しい笑みだった。その顔のまま、湿っぽく鼻を鳴らしてツガルは言う。
 「その格好で来て、何でそんな事いえる訳? 」
 言って再び表情を戻すツガルに、達磨は何も答える事が出来なかった。それはツガルの言う通りだった。謝りたい。
勇気を出して切り出したつもりだったが、それが既に間違いだった。反論があるとすれば、これは今のツガルにこそ言いたい事なのかも知れない。
ただ、ツガルはいつだって、ツガルのままだった。ツガルから見た達磨自身は、恐らくそうでは無い。
 「もうあんたの事なんか、信じられない」
 ツガルの呟きで、にわかに目を出した会話が締めくくられる。達磨もまた、ふとそれに乗じようと俯いた。
 ただ、そこで思い出されるのが識の言葉だった。相手の器量に期待しない事。閉ざされた扉を開く努力が達磨に求められている。
 ツガルの心に問い掛けるだけの言葉。その文句には、二人の関係を左右するだけの意味がある。
 「俺は、ただ……」
 その先は、確かにある。たまたま見たお前を見たから、お前のために、お前の事が。ツガルは達磨を向いて、じっとその言葉を待つ。
達磨は視線を受けながら、熱くなる顔の表面に躊躇いながら必死になって言葉を紡ごうとした。
 だが、ツガルの間合いを以っても、結局その先が出て来ることは無い。
 ツガルは唇を噛んでから、冷たく言い放った。
 「言えないんだ。いくじなし」
 もう帰るから、とツガルは凭れた壁から軽い反動を付けて身を離した。足早に立ち去ろうとするツガルの背中を見て、達磨は反射的にツガルを呼び止めた。
 「待てよ」
 ツガルがいい加減、煩わしそうに振り返る。達磨は失せていく顔の熱を感じながら、やはりゆっくりと言葉を選んで、言った。
 「なぁ、俺達で探しに行かないか? ……大人ってやつ」
366しろろ ◆xdgBsiroro :2007/03/10(土) 14:45:49 ID:lejvtemt
 夜の街を、それぞれの意思を持った大人達に紛れて歩いた。よく晴れた日だった。梅雨の終わり、乾いた空気と、ようやく訪れた夏の陽気。
 休日を楽しむにはうってつけの日なのだろう。顔も知らない酔いどれを待ち構えるように、幾多ものタクシーが連なっている。
 ツガルを後ろに、達磨はまずコンビニを探した。単に探すだけならわけないが、一つ注意する事があった。
店員の様子だ。店の窓から見て、レジに立っているのが年配、女性なら無条件で避ける。達磨の目的に対しては、そうでは無く、いかにも
やる気の無さそうな、大学生くらいの男が丁度良い。
 大人を探しに行くとの手前もあったが、達磨にはそれ以上に時間が欲しかった。だからツガルが付いてきてくれているだけ、助かる。
そう期待する訳では無いが、ツガルももしかすると、言い掛けた言葉の先を察知しているのかも知れない。だとすれば、二人を取り戻すための
言葉はもう、限られている。時間と切欠と、それから自分の不甲斐ない心を何とかするための物が欲しかった。大人を探しに行く、その答えに、
それがあるような気がした。
 四軒目に見たローソンで、条件に該当した男に出会った。
 自動ドアをくぐると、ぃしゃあせえと言うだるい響きに迎えられる。レジの男を尻目に、達磨は奥の冷蔵ケースに向かう。そして、酒の
コーナーで足を止めた。ケースに並んだ缶チューハイやビールに目をやる達磨の意図を初めて理解したツガルは、少し焦った様子をして
達磨の肩を小突いた。ちょっと。困惑するツガルに、達磨は小声で言った。籠と、適当につまみ持って来て。
 レジの男は、籠いっぱいに揃えた軽食を面倒くさそうにレンジに掛け、酒と一緒の袋に詰めるだけだった。制服の胸元には、未成年にはお酒、タバコは
お売りしませんとのバッジが空しい黄色を見せている。達磨は更に、ライターの付いたマイルドセブンとピアニッシモペシェをカウンターに置いた。
結果として三千円近い出費を達磨一人で担う羽目になったが、自動ドアを抜けた胸中にはなんとも言い難い達成感があった。
 それから達磨は、建ち並ぶビルの合間にある狭い路地に入った。入り口とは別の、黄色く濁った灯りの付いた非常口。そこのコンクリートの段差が
座るには適当だった。時間が時間なので、人に出会う事も無いだろう。
 「意外とあっさり買えたな」
 段差に置いた買い物袋に目を落とし、達磨が言う。うやむやのまま加担させられた事に少々ふてくされながらツガルが聞いた。
 「こんな事で大人を探すって事になるの」
 「でも、俺達が欲しかった物全部、ここにあると思う。そりゃ、賑やかでは無いけどさ」
 達磨は、ビニール袋の中から缶ビールを手に取った。勢い良く上下に振り、その後の惨劇を承知した上でプルタブを開ける。
噴き出した黄金色の液体は、独特の気泡を伴って達磨の手を袖を濡らした。その噴水の跡にアルコールの臭いが漂い、二人の鼻を突く。
 「みんなに一泡吹かせてやるんだ。こんな感じに」
 「それ、上手い事言ってるつもり? 」
 「ちょっとはな」
 「……はんかくせ」
 言ったものの、達磨に向けたツガルの弁も少しは流暢になっているようだった。決して届かなかったものに手を出す好奇心と、誰かへの
一方的な反抗心が彼女を煽っている。二人は袋を挟んで段差に腰を下ろし、どちらともなく青林檎と、レモン味の缶チューハイを取った。
 温められた一部のつまみに晒され、水滴を帯びた缶のプルタブに手を掛ける。噴水させたビールに手をつけるつもりにはなれなかった。
 「乾杯しよう」
 「やだ」
 「嫌でもするもんだよ」
 達磨が向けたアルミの缶に、ツガルは仕方なく自分のを差し出す。
 「くさい事言っていいか」
 「もう好きにして」
 「……俺たちの宴会に」
 乾杯。かち合う缶の中で、満たされた水の揺れる音がした。
367しろろ ◆xdgBsiroro :2007/03/10(土) 14:46:20 ID:lejvtemt
 よく知っている果物の味の後で、まるで知らない苦味が舌を濁す。初めて飲んだアルコールは、不思議な味がした。結論としてそれは決して美味い
物では無かったが、そのくせに大人達がこれを好んでいる事実を踏まえて、達磨は余計に缶を傾けた。
 ツガルの方も、味を知ったためか適当に躊躇いながら喉に進めているようだった。達磨は一旦缶を置き、パック詰めのフライドチキンの包装を開ける。
油の染みた不味そうなそれよりはから揚げ君の方が良かったのだが、あまり調子に乗って店員に感付かれたくは無かった。二切れ入っていた骨付きを、
ツガルにも差し出す。たちまち指を汚しながら、二人してそれを食べた。
 「一つわかった」
 「何? 」
 「食うついでに飲むと美味い」
 「ほんとに」
 言われてツガルもまた、組み合わせを試してみる。
 「……うん、ほんとね」
 「つぼ八が儲かるわけだよ」
 「今頃みんなも盛り上がってるのかな」
 「せいぜい馬鹿騒ぎしてんだろ。こっちはこっちだ」
 「こっち、ね」
 顔を合わせる事無く、目の前にあるビルの壁と対話した。ツガルの言葉の余韻が消えかかって、達磨は再び話を切り出そうとしたが、駸々とした空気の
中でやはり度胸が決まらず片手の缶チューハイを口に運ぶ。遠くから、パトカーのサイレンが近づき、遠ざかっていった。
 「ドップラー効果ってんだ」
 「は? 」
 「今の、サイレンが、近づいてくのと遠ざかってくので、音が変わる奴。音には速度があるから、音の発生源と聞く側の相対的な距離で音の周波数も
  変わるって法則。知ってた? 」
 「知らないわよ、そんなの」
 「多分、高校で習うよ」
 暇潰しに読んだ物理の本に載っていた知識だった。尤も達磨の潜在的な知能の前には退屈な内容だったが、それでも中学校の授業よりはましだった。
テストでは常に成績のトップにいるツガルについても、達磨がその気になれば容易に追い抜く事が出来るだろう。
 普通の姿のままで意識し合うには、そんな立場を振舞う事が必要だったのかも知れない。そう考えると達磨には複雑だった。
 「へぇ、高校生のふりってそういう用意もするんだ」
 皮肉に聞こえたのだろうか、ツガルが皮肉を以って返す。
 「嫌な事言うなよ」
 「でも、そうじゃない」
 達磨は言い返せず、それからしばらく会話が途絶えた。
 二人きりの宴会は、ただ粛々と酒を進めるばかりだった。
 ついでに、フライドチキンとポテトチップスと6Pチーズを味気無く食べた。
368しろろ ◆xdgBsiroro :2007/03/10(土) 14:46:52 ID:lejvtemt
 三本目はビールにしてみようか。そう思いビニール袋に手を伸ばした達磨を妙な感覚が襲った。軽く前のめりになるつもりが、釣られて首が力なく
かくんと落ちたのだ。どうしたのだろうと思い頭を起こしてみると、視界にまるで暗闇にペンライトを振ったような残像の線が浮かぶ。そしてその
脱力感が、妙に気持ちいい。自由奔放になった力に任せて、一気に上を向いてみる。高い二つのコンクリートの間に狭い夜空を見た。ゆらゆらと
支点の定まらない首の力が急に右へ傾き、そのままバランスを崩して段差から転げ落ちそうになった。お、お、お、おっ、と情けない声が出て、
そして達磨は酔ってしまったのだと結論付けた。 
 「何やってんのぉ」
 体勢を直した達磨に、随分と浮遊感を帯びたツガルの声がした。耳までおかしくなったのかと思ったが、そうでは無かった。見ると、ツガルは
暗い中でもはっきりとわかるくらい顔を赤くして、やはり気持ち良さそうに身体を前後に揺らしていた。
 「ふふふふふふっ」
 達磨と目を合わせると、ツガルは噴き出し、たちまち箍が外れたように笑い出す。笑って、笑って、咳込んで、それから達磨と同じように空を
見上げて溜息をついた。達磨は自らの酔いも自覚していたが、ツガルはもっと酷いと思った。
 「あー……」
 「どうした? 」
 「しんどい」
 「飲みすぎたんじゃねぇの」
 「そうじゃなくて! 」
 大声で言うと今度はがくん、と首を落とし、そのまま両手を額に当てて塞ぎ込む。
 「気持ちがしんどいの。……あんたのせいで」
 つくづく、達磨には突き刺さる言葉だった。ツガルは続けた。
 「あたしはねぇ、あんたのせいで何にも信じられなくなりました。どうしてでしょうか。あんたへの気持ちを信じてたからです。
  ところがあたしは残念な事に、ひどい嘘を付かれて裏切られました。あたしの信じていた達磨くんは全部嘘なのでした」
 高々と笑っていた筈のツガルの口調が、みるみるうちに悲しみに包まれていく。それもまた、酒を飲んだ末に得た度胸なのだろう。
 無言のままの達磨に、ツガルは言葉を絶やさない。
 「あたしには、今のあたしが救いになってました。学校で、色んな辛い事にあった時、今のあたしでいられる事、それで、ナイアさんとか、
  色んな人達と楽しく過ごせる事、それはほんとに、救いでした。そして、あんたと出会って、色んな事して、よく喧嘩もしたけど、
  でも全部ひっくるめたら……あんたといられて、とっても幸せでした。でもあんたは、あたしを裏切りました。あたしはあたしの救いに裏切られました」
 自分に掛かる重さから逃れるため、それがツガルが夜の格好をしている理由だった。それを弱さと取る人間もいるかも知れないが、達磨には決して
責める事の出来ない逃避の表れだった。そんなツガルに、彼女に近付く為とは言え同じ立場を騙るように変装して向き合った事。それはもはや、
達磨には逃れようの無い罪なのかも知れない。ツガルが自分自身の救いの中で出会った達磨と言う存在は本当に大きく、また、信じていたかった
のだろう。ツガルは身を乗り出し、達磨の顔を見つめながら言った。
369しろろ ◆xdgBsiroro :2007/03/10(土) 14:48:10 ID:lejvtemt
 「今あたしの目の前にいるあんたは、誰? あたしが信じてた達磨は、ここにいるの? ねぇ、教えてよ。学校のあんたとここにいるあんた、
  ほんとの達磨はどっちなの? あたしにはそれがわかんない。わかんないから、また他の誰かを信じるのがすごく怖いの。ねぇ……」
 彼女が暫く帯びていた本音を吐露したツガルの表情には、元通りの悲しみと空しさが織り交じった感情が浮かんでいる。
 ツガルは達磨の答えを、悲しみの出口を待っている。達磨はすっかり酒臭くなった口の中を感じて、それで一つ勇気を付けた。
 「……俺はただ、お前と、一緒にいたかっただけだ」
 「でも、騙したじゃない」
 「そうかも知れない。それは認めるよ。けどさ、俺には……そうするしか無かったんだ。お前がその……自分の重荷とは別の場所にいたくて、
  今のお前がいるなら、俺だってそうだ。俺は普段の俺じゃどうにもならないって思ったから、こうやってお前と向き合うしかなかった。
  本当に、それだけなんだ」
 生徒会長で、学校の中心にいるツガル。対照的に、地味な一学生の殻に篭った自分。ツガルに近付こうとして、そんな自分が相手にされるとは
思えなかった。だからこそ、装いを変えてでも思いのままを生きようとした、今の達磨がいる。それは紛れも無く、達磨自身の弱さだった。
 その重みが、ツガルと釣り合うとは言わない。ただ、似ているのかも知れない、とは思うのだ。
 「だから、俺は俺のまま、ここにいるよ。学校の俺も、今の俺も、お前への気持ちは変わらないつもり。それがちょっと不器用だっただけなのかも知れない」
 ツガルへの気持ち。達磨といた幸せ。好きと言う結末を暗喩するばかりの二人にとって、不器用と言う言葉はお互い様だった。
 それだけに、両者にはそれらの意味合いを読み取るだけの思考があったのだろう。
 「……ほんとに? 」
 ツガルは達磨に顔を近付けて、言った。本当に、と達磨は答える。
 「ほんとのほんとに? 」
 ツガルの顔が、更に近付く。そろそろ、吐息が交差する。本当の本当に。達磨は瞬きながら答える。
 「ほんとのほんとのほんとに? 」
 ヘルメット越しに、額が重なった。これは――達磨は間近に迫った唇の感触を思いながら、生唾を飲み、頷いた。
 すると、ツガルは小さな唇を動かして言った。
 「じゃあ、今度は私と大人探しにいこ」
 急に立ち上がり、それから危なっかしくふらついて何とかバランスを保つ。達磨は期待外れに思いながら、何処に? とツガルを見上げた。
 「二人で裸になれるとこ。そんなのひとつしかないでしょ」
 聞いて、達磨は唖然としながらも、つい先程の期待以上を想像した。
 「それ、どういう」
 「……確かめたいの。今日で限りで終わりにならないように。それに、まだ言ってない事も聞いてない事もあるから、私達。そう思わない? 」
 達磨はアルコールを突っぱねて充血を始めた下半身を諌めながら、あくまでもツガルの言葉に応えるようにうなずき、腰を上げた。
 買い物袋からは、二組のタバコとライター以外を置き去りにした。
370しろろ ◆xdgBsiroro :2007/03/10(土) 14:50:46 ID:lejvtemt
ここまでです。次回で終わります。
なんかクリスマスから湿っぽい話が続いてるような……;
この後はバレバレですが前スレからずっと言ってたホテルに行く話です。それでは。
371名無しさん@ピンキー:2007/03/10(土) 15:51:50 ID:xAp2DIt2
神キター!
372名無しさん@ピンキー:2007/03/10(土) 16:21:29 ID:3Serpi6L
神と呼んでいいですか、というか呼ばせなさい

正直前回は説明くさくて冗長な感じだなとしか思えなかったけど
心情描写が入って一気にリアルで魅力的に化けた
これが神の実力というものか…
中坊組の初めての飲酒とか閉塞感とかすごく良かった
連投とか気にしないで続けてください
マジでエロが楽しみです GOD JOB!!
373名無しさん@ピンキー:2007/03/10(土) 19:37:33 ID:sGtn2PoA
続き楽しみにしてますハァハァ
374名無しさん@ピンキー:2007/03/13(火) 10:01:52 ID:z64sx3am
ダルツガキターーッ!!GJ!
タバコを買いつつ手を付けなかった辺り良心的だなあ。

自分も続き楽しみにしてます。
375しろろ ◆xdgBsiroro :2007/03/13(火) 13:30:30 ID:6CWJJJsV
 
 二人して、千鳥足のままに街を練り歩くのは危険だった。店員の顔色を伺ってまで購入した酒に浸された後姿を警察に狙われてしまっては
何もかもがぶちこわしだ。成年と騙るにはあまりにも背の低い二人が、異例としていつかの警察の特番に顔を出す日も来るかもしれない。
 話を聞いてみると、何とこの二人は中学生だと言う。槙大輔のナレーションが手伝って、騒然とするどこぞのお茶の間。
 ただ、やはり酒の入った二人にはそんな事を心配する余裕は無かった。少なくとも、ツガルの隣、時よりやや後ろまで歩を落とす達磨には、
特別な意味合いのある快感への誘いが頭を離れない。
 横断歩道で足止めを食らう間、ちらりとツガルの横顔を見る。その表情に、意味深い言葉を通わせた安堵は無いようだった。
 こんな時だからこそ無理でも良い、笑顔が欲しかった。恋と愛が、濃密な絵の具を混ぜたようにぐちゃぐちゃで気品無く絡み合い、そして
新しい色を作る時、きっと笑顔が無ければ寂しい。
 まだ言って無い言葉。ツガルが自ら言っていたそれを、待っているのだろうか。
 なぁに。視線を感じたツガルが、達磨に目を向ける。達磨はすぐに、信号の方へ目を逸らした。
 歩道の対面にいたカップルの胸中が知りたかった。
 大人が気兼ねなくラブホテルを使おうとする胸中を、知りたかった。

 ツガルの無言の案内で、いやに洒落た造りの建物を見付けた。六階ある個室へ迎え入れる出入りのドアの側で、観葉植物の隣にある灯りが
上品に照らしている。灯りからドアを挟んだ対面に看板があった。フランス語で書かれた店名を指す文字は、バースデーケーキの板チョコに
ホワイトチョコを絞ったような字体でとても読めたものではない。その上にあるブティックホテル、との表記、それと、休憩・宿泊に分かれた
値段の数字だけはしっかりとしていた。
 「俺こんな金無いぞ」
 特に宿泊の表記でげんなりとした達磨がツガルを見た。しかし、ツガルは特に動じる様子が無い。
 「気にしないで。私のカードで払うから」
 「まずいだろ、それでも」
 意見には、二つ意味があった。まず、立場無くツガルに全額払わせてしまう事、これはもう仕方が無い。ただ、カードを使えば店名で請求書が
来るかも知れない。改めて後者だけを聞くと、ツガルは深くため息を落として疲れた顔をした。
 「いいのよ。どうせそんなの見ないから。それより、あんまりここでああだこうだ言ってるのもみっともないわよ」
 ツガルも達磨の立場を気にしているのだろう。ここからは、達磨に先を促す。
 達磨はふらつく足を何とか制御して、自動ドアに足を進めた。
 ツガルがどうしてこんな場所を知っているかについては、やはりこの時の達磨には気の回らない事だった。
376しろろ ◆xdgBsiroro :2007/03/13(火) 13:31:08 ID:6CWJJJsV
 重ねた手を僅かに摩ってみる。ツガルの太股が連なって動く。その手の行く先を、達磨が担っている。
 ズボンの中で、まるで独自の生き物のようにペニスが張りを持とうとしている。下半身を締めるように力を入れると、かえってそれは促された。
 スカートが気になる。気になって仕方が無い。他の女性陣はともかく、ツガルにはそういう悪戯をした事が少ない。
 自分だけの価値を持っていたかったらだ。
 考えれば考えるほど、ツガルの身体が欲しくなる。その前に、言わなければならない事がある筈なのに。
 達磨は思い立ち、沈んだベッドの反動で横に飛び掛ってツガルを押し倒す振りをした。
 「えっえっ、何」
 一切の予兆も無い行動に、驚いたツガルが身構える。顔の前に出した二の腕が、達磨の顎に強烈なエルボーを食らわせそうだ。
 達磨は少し怯えた目をしたツガルを前に唾を飲み込み、立ち上がった。
 「風呂、入りたい」
 もう少し、頭をすっきりさせたかった。
 目を見開いたままのツガルを尻目に、達磨はゆらゆらと風呂場へ歩いていった。
 
 大きな浴槽、ただでさえ広い浴室の半分を占めるそれには、最初から入浴剤の入った湯が張ってあった。
 清掃の際にお湯を入れて、湯沸器で温度を調整しておく手法なのだろう。側の壁には機能させるためのコンソールがある。
 本当に、至れり尽くせりな部屋だ――そしてその利便さは、単に入浴を楽しむに留まっていない。
 浴室は本当に広く作ってある。それは決して無意味な余裕では無い。固定具を使って壁に掛けてあるローションマットのためだ。
 鏡台の上に、シャンプーやボディソープの他に紫やオレンジの瓶が置いてある。中身は、言わずもがな。
 達磨はそこまでの配慮を妙に思いながら、ヘルメットで蒸れた髪の毛を労わるように頭まで浴槽に沈んだ。
 目を閉じ、鼻を摘みながら、息が苦しくなるまで湯の中のゆらめきを感じる。一分もしないうちに、達磨は黄緑色の層から顔を出した。
それでも目は閉じたままだった。開いたところで、そこには真っ白な壁しか存在しない。
 濃い赤紫色の中で、ツガルとの事を想像する。重ねた手の感触が拡大して、裸の彼女を抱いたやわらかい感触を思わせる。
 早打ちする心臓が苦しいのは、決して息を止めていた余韻では無い。
 身近なその身体は手に届く所まで来ている筈なのに、異様な程に緊張し、欲情する。すっかり勃起したペニスが痛い。
 「これ……」
 呟いた独り言は、浴室で十分に拡散した。何か歌でも唄えば、きっと上手に聞こえる事だろう。
 達磨は緩やかな水圧の中で、根元からペニスを握ってみた。今にも射精してしまいそうなそれを思う。
 すぐに出すのは、きっとみっともない。未知の感触に触れようとする中で、我慢する自信もある筈無い。
 一回、出してしまった方がいいんじゃないか。セックスを目の前にして本末転倒だが、それが男として、自分なりの体裁だと思った。
 ツガルとはなるべく――その先は、浮かんで来ない。ただ、ニュアンスが指す意味は自覚出来る。
 達磨は浴槽を上がり、鏡台の前にある椅子に腰掛けた。ぬるいシャワーでも当てればすぐに事が運ぶ。
 それを実行しようとした矢先、背後でドアの開く音がした。
 すっかり曇っていた鏡面に、肌色と緑色だけのシルエットがあった。
377しろろ ◆xdgBsiroro :2007/03/13(火) 13:31:39 ID:6CWJJJsV
 「お、お前っ」
 達磨はツガルに背を向けたまま、叫ぶように言った。何やってんだ。ツガルは平然と答える。
 「一緒に入りたくなっちゃった」
 「入りたくなったじゃねぇよ」
 鏡台には、電動で鏡の曇りを無くすためのボタンが付いている。達磨は自慰をしようとしていた手前で焦りながら、そのボタンを
押そうかとも考えた。自ら裸になったツガルを前にボタンを押しても、達磨に非があるわけでは無い。ただ、達磨にはそれが正しい
のかどうかが判断できず、結局押す事は出来なかった。
 お互い裸になり、セックスをするのに、何が正しいのか。達磨はそればかりを考えている。
 「背中流してあげよっか? 」
 「いいよいいよ、もう終わったから」
 達磨は身体を洗い終えた振りをして、やはり後ろを向きながらツガルに言った。時間としては不自然ではあったが、髪の毛が濡れて
いる事もあり、ツガルは素直にその言葉に従う。
 「じゃあ、一緒にはいろ」
 言って、ツガルは浴槽に身体を沈ませた。達磨は仕方なく、座っていた位置から立ち上がり、性器を見られないように後ろを向きながら
蟹が歩くようにして浴槽に足を入れた。
 「何で後ろ向くのよ」
 「保健体育でも思い出せよ」
 「でもお尻見えてるし」
 「うるせぇっ」
 肩まで浸かってから、ようやくツガルを見る。ツガルは髪留めを外していた。少し癖が残っていたが、ほとんどストレートの髪型をした
彼女をはじめて見た。
 「そんな髪してるの、見たこと無いな」
 「見せた事無いもん」
 「ちょっと新鮮だよ」
 「あんただって」
 ツガルは真っ直ぐに達磨を見ている。ヘルメットも無く、水気を帯びて伸びきった達磨の髪、そしてはっきりと見せた素顔。
もはや達磨にも、それを隠すつもりは無い。それぞれの考えを抱きながら、言葉の無い時間が続いた。
 「ねぇ、立って」
 不意に放ったツガルの言葉に、達磨は心から動揺した。
 「無理」
 「無理ってどういう事」
 「だから、下やばいんだって」
 「どうして? 」
 嫌な聞き方をする。達磨は躊躇しながら、言った。
 「そりゃ、男だからだよ。だから、お前とその……するのわかってて、今もう、たまらないんだ」
 「それって喜んじゃだめなのかな、私」
 「はぁ? 」
 全く予期出来なかった反応に、達磨は自分の耳にも痛いほどの大声で言った。
378しろろ ◆xdgBsiroro :2007/03/13(火) 13:32:12 ID:6CWJJJsV
 ツガルは、やはり平然と言った。
 「だって、私のためにそうなってくれてるなら、私がそれを受け入れてもおかしくないでしょ」
 まだ酔っ払ってるのでは無いか、と達磨は思ったが、ツガルの目はむしろ澄んでいる。その言葉は、単に達磨の性器を指しているだけでは無く、
達磨自身へ向けられているのかも知れなかった。
 達磨はそれも一理あると思いながらしばらく無言で俯き、やがて浴槽の両脇に手を置いた。
 色の付いた湯がへばりついていたかのように達磨の身体を下り、そして裸にする。勃起したペニスは、ツガルの目線の少し上にあった。
 ツガルはしばらく、達磨の顔と性器に交互に目をやった。特に性器の方に、目を良く開いているような気がする。達磨には堪らなく恥ずかしかったが、
それでもツガルがあくまで素直な目を向けていると思うと、手で隠そうとまでは思わなかった。
 「じゃあ、私も立つね」
 言うと、ツガルもまたその場から立ち上がる。湯の衣の後、達磨の目にはっきりとその姿が映った。真っ白な肌を火照らせたその上半身に、ピンク色を
した乳首と、下半身に、綺麗な割れ目がある。筋の上には僅かに生えた陰毛があり、達磨はそれに目を落としただけで射精してしまいそうになった。
 さっきからずっと欲情していたイメージの現れ。ただ、二人の距離にあったのはあくまでも澄んだ雰囲気だった。
 「もう格好とか無いよね、私達」
 「そうだな」
 裸を見合ってのツガルの言葉が、意味深だった。格好に囚われて失いかけていた絆の、ひび割れの部分を垣間見ているような気がする。
 「認めてくれるか? 」
 「えっ」
 今度は達磨から、聞いた。
 「お前を好きになった俺は、ここにいるよ。俺には本当にそれだけだ。だから俺を、認めて欲しい」
 酒の席の文句に被せて、達磨は素直な調子で言った。こんな自分を認めて欲しいし、それから、許して欲しかった。
 ごまかしの無い好きと言う言葉を、初めてツガルに言った。自分にとって本当に遠いと思っていた言葉は、案外すっきりと口から出ていったような気がした。
 そしてその言葉は、互いに二面性のある格好を捨てた今だからこそ深い説得力を伴って響いているのかも知れない。
 ただ、その勇気の余韻は計り知れない程の胸の高鳴りによって激しく主張している。ツガルは言葉を受け止める間を持って、言った。
 「そうね。私の好きな達磨、ここにいる」
 ツガルの返事を聞いて、胸の高鳴りは直ちに消えた。不思議だとは思わなかった。達磨の目の前には、確かな決め手があった。
 久しぶりに見せた、ツガルの笑顔だ。にっこりと笑うその顔が、達磨にはたまらなく愛しかった。だから達磨も、どちらとも言えず次の言葉を待つ
ゆるやかな沈黙の中に、確かな物としてツガルの笑顔に応えてやりたかった。そうして達磨はツガルと唇を重ねた。
 淫らを捨て、あくまでも愛情の標のために唇だけを重ねる。柔らかい感触が潰れ合って、入り乱れた感覚の中にツガルの息遣いを感じた。一方で達磨は呼吸はせず、
苦しくなるまでキスを続ける。唇を離すと、今度はツガルからお返しに唇を求めた。ツガルは口を半開きにして達磨へ吸い付き、達磨の歯を滑って舌を絡めた。
ねっとりとしていて、奥の方にざらざらとした粒子を舐めるような感覚がある。それは単純に、気持ちが良かった。達磨は自らがリードに立つ事を忘れて、何度も下半身に
力を入れた。射精を我慢するとも、促すとも取れる行為を、ツガルは意識しているのだろうか。反り立った達磨の性器は、ツガルの腹部に当たっている。
 ツガルは急に唇を離し、ところでさ、と切り出した。
 「あれって何に使うの」
 向いた先は、壁に掛けられたローションマットを指している。
 「教えてよ、スケベ」
 言われて少しむっとしたが、達磨は仕方なく説明した。詳しいことはともかく、大体の見当はついている。
 「ローション塗ったらよく滑るから、それが気持ちいいんだ……って」
 達磨の言葉を聞くと、ツガルは声をあげて笑い出した。きょとんとする達磨を見て、真っ赤な舌を出す。
 「ごめん、知ってた」
 何なんだよ、と目を落としてから、浴槽から片足を出したツガルを見てはっとした。
 「じゃあさ、使ってみようよ」
379しろろ ◆xdgBsiroro :2007/03/13(火) 13:32:43 ID:6CWJJJsV
 固定具を外したローションマットが、空気の抵抗を受けながらふわりと床に着地する。白いゴムのような平面に、ドア側に頭を受け止める枕のような部分が付いている。
 ツガルは鏡台からオレンジのローションを取り出し、最初に中身の半分くらいをマットの上に撒いた。マットの滑りをより良くする為の工夫だった。その手つきは、いやに
手馴れている。
 「なぁ、お前ほんとどうしたんだ」
 「何が? 」
 中央に撒いたローションを手で伸ばすツガルを見ながら、達磨が聞いた。ラブホテルの場所と言い、先に舌を入れた事と言い、こういう事に億劫な筈のツガルがこうも
平然とリードするのはやはり不自然だった。何ていうかさ、積極的だよな。達磨の言葉に、ツガルは少し間を空けて答える。
 「ちょっとは、あんたに近付いてみようとしてるつもりなんだけど」
 「……はぁ」
 純粋に空気の抜ける、間の抜けた音だった。ツガルにとって、すけべな事に手を出すのが達磨に近付くためのだとは。
 歓迎出来ない事では無いが、少し複雑だった。
 「ほら、寝てよ。最初はうつ伏せがいいかな」
 頭の中に、事の手順すら出来上がっている。達磨は一つため息をついて、マットにあがった。足が沈むたび、きゅむきゅむと言う音がする。これについては、そんなに高級な品
では無いのだろう。何となく、そう思う。ペニスの上に体重が乗るこの状態は、少し苦しい。
 ツガルは、指示した通りにうつ伏せになった達磨の尻に跨り、一旦手の上に乗せたローションを達磨の背中へ落とした。適量を乗せると、両手で円を描くようにして伸ばしていく。
細い十本の指先、それらを束ねる手のひらの感触が、ゆっくりと達磨を昂ぶらせていく。顔に熱を帯びていくのを自覚した達磨は、俯いて顔色を隠した。
 「上、乗るね」
 ツガルの身体が達磨の上に覆いかぶさる。肩甲骨から膝の裏まで、やわらかい感触が圧し掛かった。重い、とは思わない。沈み込むマットがむしろ心地よい。
 ツガルは四肢ををマットに付けて、達磨の上で身体を前後させた。ぬるぬると言う音を聞きながら、特に、ツガルの乳首と薄っすらとした陰毛が目立っている。
 奉仕すると言う言葉の、淫らな一面を知ったような気がした。
 「気持ちいい? 」
 身体を動かしながら、平然とした素振りのツガルが言う。達磨は身体を俯けながら、何も言う事が出来なかった。
 気持ち良い。奉仕されている事、重なる体温、乳首や陰毛の感触、全部ひっくるめて、たまらない。だからこそ、口を開けばきっと声が漏れる。
 みっともなく喘ぐ様な、そんな声を出してしまうと思った。その一方で、達磨は堪えきれなくなった快感から、自ら小刻みに腰を動かし、マットにペニスを擦り付けていた。
 その様子を読み取ったツガルが、両手をマットの下に滑らせる。左手の指で達磨の乳首を押さえ、右手でペニスを握った。
 「我慢しなくていいよ」
 反発しようとして、快感に掻き消される。自らの制御を離れた手が、勝手にペニスをしごく。動揺に勃起した乳首を弄られる事にも、確かな快感があった。
 男なのに。思った途端に、ツガルが言った。
 「男でも感じるんだって、いいんだよ達磨、感じても」
 その一言で、吹っ切れる。達磨はツガルを持ち上がるようにして腰を突き出し、小さく震えながらよりしごきやすくなったツガルの手に任せた。
 「ん、ぅ、ぅぅっ」
 絶頂する時、ついに声が漏れた。がくがくと震える身体の動きに合わせて、マットの上に精液が落ちる。何度も何度も脈動して出でたそれは、普段の自慰では考えられない
程の量だった。次いで身体が一気に力を失い、けだるさと息苦しさを感じる。湿った空気を吸い込みながら、いったのね、と言うツガルの声を聞いた。
 「苦しいの? 前もしてあげるけど、ちょっと休む? 」
 達磨は肩で息をしながら、かぶりを振った。
 もっともっと、長い時間抱かれたい。休んでは駄目だ。ペニスに違和感すら残る今すぐに、続きをしたい。
 快感が誘っていた。
380しろろ ◆xdgBsiroro :2007/03/13(火) 13:33:38 ID:6CWJJJsV
 マットの精液をシャワーで落とし、仰向けになった達磨の身体をツガルが滑る。
 全身を体躯し、先程にも増して達磨の腹から首の付け根までを前後するツガルの様は、淫らその物だった。仰向けになった今だからこそ、その動きを、感じている。
 ツガルの身体は、未だ萎えている達磨のペニスや乳首に直接触れた。身体と同じく仰向けになったペニスは、そのうちまた勃起を始める事だろう。
 達磨は前に迫ったツガルの首に腕を回し、唇に深くキスをした。
 「ん、ん、んっ」
 舌を吸いながら腕をツガルの背中に持っていき、両脚もまた、締め上げるようにしてツガルのそれと絡ませる。終いには片手で、ツガルの尻を撫でた。
 自分も淫らになってみるつもりだった。ツガルはそんな達磨を、あくまでも受け入れる。
 「下、舐めさせろ」
 唇を離してからだしぬけに言うと、ツガルは頷いて、達磨の上で後ろに向いた。私も舐めるからね、と言わんばかりに四つん這いになったその格好は、
シックスナインを誘っている。達磨は頭を起こし、先立ってツガルの割れ目に手を伸ばした。ピンク色の襞が顔を出しているそれを、両側の柔らかい肉から開く。
 見た事も無いような物があった。美しいと言うには少し無理があるかも知れない。ただ、根拠は無いが、紛れも無く性器の形をしているとは思った。
 それを見る事によって、本当にツガルの奥までを知ったような気がした。
 達磨が見とれている間に、ツガルがペニスを口に含んだ。熱い口の中が覆うと、すぐに舌が張り付くようにして刺激する。急激に血液が満たされ、勃起が
始まる。達磨は負けじと、開いた肉襞を舌でなぞった。
 「んんっ」
 初めてツガルが弱みを見せる。不規則な呼気が口の中で弾け、達磨の脇に掛かる彼女の両脚が最も良く反応した。舌の先で小さな穴を付き、そのまま挿入
しようと試みる。ローションにまみれたその部分から、別のぬるぬるとした液体が漏れ始める。
 ツガルは口の中で膨れていく性器を感じながら、吸い上げるようにして弄んだ。やがてそれが元通りの大きさまで達すると、口を離し、恍惚で染めるように
してペニスに舌をやった。味も無く、極めて無機質なそれを、ツガルは愛しい表情で舐め上げる。
 達磨は口に入ってくる愛液を少しずつ喉に落としながら、深い呼吸でペニスの平静を保つ。割れ目から挿入した舌が、やがて奥にある膜に触れた。
 もう、入れよう。達磨はツガルに言った。
 「それは、ベッドでさせて」
 「馬鹿いうな」
 ここまで来て躊躇するツガルを諌めるように言った。自分から誘っておいて、それは通らない。それに、ローションや唾液が手伝っている今のほうが、
きっとツガルに負担が掛からなくて済む。達磨はマットに自分の身体を滑らせ、膝立ちをしてペニスをツガルの割れ目に押し当てた。
 四つん這いになったままのツガルをして、そのまま後背位になる。それもまた、負担のかからないやり方だった。
 「ほんとに入れるの? 」
 「もちろん」
 「……急にしたら痛いからね。お願い」
 身体に、穴が開く。ツガル自身も知らない部分に、達磨のペニスが入り込もうとしている。
 ツガルの頼み通り、達磨は気を使いながら挿入した。狭い上に、吸い付いてくるその奥に、先程確認した膜を感じる。少しずつ腰を前にやると、その膜が
脆い張力を経て、ゆっくりと開けていく。
381しろろ ◆xdgBsiroro :2007/03/13(火) 13:34:15 ID:6CWJJJsV
 「ひ、ああっ」
 ツガルは顔を歪め、悲痛に声をあげた。ただ、痛みに悶える様な声はそれだけだった。達磨が深々と突き出した腰を戻そうとしただけで、それまでとは別の声が出る。
 「は、あ、あっ」
 達磨は、一旦抜き出したペニスが紅く染まっているのを見た。胸が痛くなったが、ただ、それを帳消しにするだけの事は出来るはずだ。
 「あ、あっ、あんっ、は、あ」
 ツガルの腰骨を掴み、自らの腰を振る達磨に、再び極端な緊張が込みあがった。
 早鐘を鳴らすように胸打つ鼓動に合わせて、あるいはそれを追い越すように、ツガルを深く突き上げる。既に衣を失った二人が、逆に最たる快感を得るために、
肉と肉がぶつかり合い、淫らな音を伴う。突き刺す度に締りを帯びるツガルの中を、ペニスから全身に掛けて、感じる。
 「あっ、あああっ」
 絶頂はツガルが先だった。身体を震わせ、一層締め上げる膣内に、達磨が続いた。ペニスによって閉じ込められた精液はツガルの中に満たされ、
達磨が抜き終えた後でどろりとマットの上に垂れた。
 崩れ落ちるツガルの上に、息も絶え絶えの達磨が覆いかぶさる。奇特な事に、そうして初めて達磨が上になった。
 互いの息の音を聞きながら、セックスの余韻が長く続いた。

 それぞれ身体を洗い直し、風呂を出た。気品のある部屋の中で下着だけを着け、一緒のベッドに入る。
 このベッドも、本来なら寝るためだけにあるのでは無いだろうが、どのみち泊まりに来たのだ。高級なベッドの寝心地に浸るだけでも損はしない。
 「寝れそう? 」
 達磨の隣で、ツガルが聞いた。お前がいるから寝れそうにない、と答える。
 「どういう意味、それ」
 ふくれ面をしたツガルに、言ってやる。
 「我慢して、お前が寝てるのを襲ってやるんだ」
 真っ白な肌に、同じく白い下着を着けたツガルは、それはそれで十分過ぎる程魅力的だった。
 二度の射精の後だろうが、その下着に手を掛け、遜色なく腰を振るう自信が達磨にはあった。言葉を聞いて、ツガルがぽつりと漏らす。
 「いいよ、それでも。その時は私、今度こそ女の子になるから」
 真上を向いたままのツガルを見て、達磨は本当にそんな気を起こしそうになった。
 一度二人でベッドに座ったときのように、暴力的でもいい、身体をツガルの方へ弾ませればそれは叶うだろう。
 ただ、今日の所はあの風呂場で満たされたつもりになるのも悪くない気がした。一線を越えた夜を、あくまで綺麗な思い出に残すために。
 「私達、大人を探しに来たつもり、だよね」
 「そうだったな」
 「ここにあるのかな、大人」
 あるんだろうな、と達磨は答えた。実際は、よくわからない。酒に手を出してみて、あるいはツガルの操に手を出した立場にあって、その事実だけは
果てしなく重い。だからと言って、何の意味を持つのかはわからなかった。それはきっと、大人にならなければわからないのだろう。
 矛盾している。だがそれが、大人なのだと思った。
 「でも、どうでもいいよ、そんな事」
 「そう? 」
 「俺らは、俺らだからさ」
 ツガルは頷いた。

 「ねぇ、明日になってここ出たら、デートしよ」
 「デート? 」
 「ヘルメットは無しだよ。私もこのまま」
 学校でも、夜においても、それぞれの世界観を帯びた格好をした二人がそう簡単に変われるとは思えない。
 特に学校に戻ってしまえば、ツガルにはやはり生徒会長の顔があり、達磨にもまた自分なりの顔がある。
 ならば、二人が素顔のままでいられる時間を作ればいい。限り無く距離の近い、第三の姿で向き合うための第一歩が、明日にはある。
 明日は日曜日だ。日曜日は、大人にも子供にも、平等に自由を齎す。その自由の中で、自分達なりに目一杯楽しんでやろう。
 達磨はツガルの意図を汲み取って、二つ返事と一緒に頷いた。
 「そうやって、上手くやっていこうよ。これからも」
 達磨はもう一度頷きながら、今度セックスをする日はいつになるだろうと考えた。
 それもやはり、明日だな、と思った。

 終わり
382しろろ ◆xdgBsiroro :2007/03/13(火) 13:46:31 ID:6CWJJJsV
終わります。ありがとうございました。
次があるなら好きとか嫌いとかからは離れたいかな。
今回はさすがに苦しかった気もする……

>>372
68-の事と仮定して、丁度こうしっくり来なかった感はありますね。後も続かなかったし。
シロエリ以下略についても途中からガス欠な事は確かですがw
383名無しさん@ピンキー:2007/03/13(火) 22:55:25 ID:6VGpwBMD
GGGJJJ!!!
いいよな、中学生…甘酸っぺぇ…
なんかガキのころ思い出した
384名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 02:00:08 ID:a1/xdvNy
ガキのころからボディ洗いしてたのか
385名無しさん@ピンキー:2007/03/20(火) 19:23:24 ID:qXYUttLF
いやな突っ込みだなオイw
しかしやっぱりダルツガいいわー…
中学生の甘酸っぱさ最高
GJ!
386名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 01:13:08 ID:6bos2Gmr
sage
387名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 03:21:23 ID:myykmPs+
mage
388名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 00:08:21 ID:Nn92Y2ps
age
389名無しさん@ピンキー:2007/04/07(土) 01:57:29 ID:M3+T6zOn
sage
390名無しさん@ピンキー:2007/04/12(木) 00:51:37 ID:GsmNy/01
sage
391名無しさん@ピンキー:2007/04/17(火) 01:42:05 ID:0VExu2+Y
sage
392名無しさん@ピンキー:2007/04/22(日) 02:21:20 ID:gsRgdBYu
sage
393名無しさん@ピンキー:2007/04/27(金) 05:04:41 ID:TvLsUWL/
sage
394名無しさん@ピンキー:2007/05/01(火) 18:37:34 ID:hQeEAQfO
ume
395名無しさん@ピンキー:2007/05/05(土) 01:31:11 ID:vfcbCbga
sage
396ロボ ◆JypZpjo0ig :2007/05/05(土) 01:31:59 ID:TmxP0aIq
夢にツガルが出てきて自分がツガル萌えだと分かり衝動的に書いたツガ×ダルSSです

非エロですが、投下しますよ
397ヒマワリ劇場:2007/05/05(土) 01:35:04 ID:TmxP0aIq
 いつものケーセン、いつもの面子、いつもの篋体。UDXに備え付けてあるスピーカー
からは周囲の騒音に負けない音量でハイテンポの音が流れ、己の存在を主張している。
 今日も変わらない、いつもの風景。
 その中に、一人だけいつもと違う空気を出している少女が居た。
 仲間の間では、ツガル、と呼ばれている少女だ。
 左右の側頭部を結った特徴的な髪型をしていて、その下に有るのものは実年齢より若干
大人びて見える顔だ。昼の生活における生徒会長という役職がそうさせているのか、昼の
自分を棄てているという現状にあっても凜とした雰囲気がある。人の上に立つ物はこうで
あるべきだ、と言われても十人中九人は納得をするだろう。令嬢という肩書きを説明されたら、誰もが頷くだろう。
 だが、それよりも上に立つものがある。
 それがツガルが先程から出している特殊な雰囲気、賑やかな店内だからこそ更に如実に
空間から浮いていた。歪み、という言葉がそのまま当て填るもの。白い紙の中に一点だけ
浮かぶ黒い点のような、見た瞬間に違和感を感じるものだ。
 その歪みは、顔だ。
 今の自分を楽しむという、本来の目的が成す笑み。いつも浮かべていた、特に憧れる者
に向けられていた表情は今は浮かんでいない。代わりに表れているのは重く沈んだ悲痛な
もので、それがそのまま彼女の感情を物語っていた。
「……はんかくせ」
 誰に向けられたものなのか、音に紛れるような小さな声で呟いたツガルは近くのベンチ
に座り込んだ。馬鹿みたい、とまたも呟き、何をするでもなく視線を虚空にさまよわせる。
 ここまで酷く落ち込んでいる原因は、先日に起きた事件だ。
 ツガルは、ダルマという少年に憧れていた。彼は女好きの遊び人で、何かあればすぐに
近くの女の子にセクハラをするような馬鹿な性格をしていた。何故か自分には手を出して
こないものの会話の数は誰よりも多かったし、仲は他の面子よりも良かった筈だ。高校生
という近い年齢でありながらも、年上である。大人に対する憧れもあり、気が付けば彼を
好きになってしまっていた。ドラマじみているが、しかしどこにでもある普通の恋物語。
そこまでは順調な流れが出来ていた、上手くいっているとツガルは思っていた。
398ヒマワリ劇場:2007/05/05(土) 01:37:02 ID:TmxP0aIq
 だがダルマが生徒手帳を落としたことにより、流れが途切れた。
 同じ中学の生徒であると知った途端に彼が被っていた高校生というメッキは剥がれ落ち、
それに引きずられるように自分の中で描かれていた舞台も崩壊した。自由な少女という役
を演じていた少女は重圧に塗れた生徒会長へと戻り、遊び人の高校生は普通の中学生へと
戻ってしまった。破綻した劇はアドリブで繋げられることはなく、そこで幕になったのだ。
だが落ち込む一番の理由は劇が終わったことではなく、自分が騙されていたという事実だ。
もう数日も経っているというのに、裏切られた、という思いが何度も頭を駆け巡る。
 それでも連日ここに来ているのは、
「未練、なのかな?」
 答える者が居ないのに、何度も問うた言葉を吐き出した。
「未練、なんだよね」
 もしかして再び繋げられるのではないか、そんな希望が心の片隅に確かに存在していて、
それがツガルの足を二人の社交場へと向けていた。今までのように楽しく過ごせるのでは
ないかと、あれは今までのような下らない冗談で実はやっぱり高校生だったのではないか、
などと自分でも有り得ないと理解している願いを持って。想いを小さな胸に抱き、この店
へとやって来ているのだ。甘い話だ、と思うのに止められない。
 それなのに、ツガルは未だにダルマに会えないでいた。
 激しい拒絶をしたせいか、毎日閉店時間になるまで待っても後姿すら見ることが出来ず、
結果として今のように辛い感情を抱えたまま時間だけを浪費することになる。無意味だと
思うことは無かったが、バケツに水が溜るように毎秒ごとに悲しくなった。
「もう、会えないのかな?」
 ふらりと立ち上がり、篋体へと向かう。
「最初は、この台で」
 プレイを終えた後に声をかけられた、そのときのことは今でも覚えている。ここ数日は
触ることもしなかったのだが、台に乗れば思い出が勝手にコインを投入させていた。金を
無駄にするのもなんとなく嫌で、気分転換と自分に言い聞かせて選曲を開始する。
 数秒。
 結局決まらずにランダムを選択し、それで出てきた曲はヒマワリだった。幾らも掛らず
ポップな音と共に降りてきたオブジェに合わせ、キーを叩いてゆく。レベルは3の簡単な
曲だ、目で追うこともなくリズムに合わせて指を動かせば、画面には光るGREATの文字が
表れる。それが連続すると、グルーヴゲージは一気に延びた。
399ヒマワリ劇場:2007/05/05(土) 01:38:48 ID:TmxP0aIq
 しかし、続かない。
 耳に入ってくるのは、ソの音階で始まる歌詞。
『君は何て名前なの?』
 ダルマ、という名前を最初は知らなかった。
『どこかで見た顔かも』
 同じ学校の生徒、しかし見ることもしなかった。
『特に目立たない、声が小さかったから』
 目立たないどころか存在感もゼロで、他の生徒の陰に埋没していた。
『その内色が付いて、目に止まることも増えた』
 それは、無かった。
 ツガルにとってのダルマは高校生で、それ以外の部分は視界から隔離されていたからだ。
夜のゲーセンでだけ会う憧れの人は実際には昼にも会っていたかもしれないが、ツガルの
目に止まらずに擦れ違う程度のものだ。逆に言えば、ダルマに対する盲目的と言える程の
強い気持ちが存在したということだ。それが、仮に相手の嘘が最大の要因だったとしても、
ダルマの素性をきちんと知ろうとしなかったという現象を引き起こした。
 そして、その無知が先日の事件を引き起こしたのだ。
「あ」
 考え事をしている間にオブジェを取り逃し、気付けばゲージは0を示していた。まだ曲
の中盤なので、今から再開すれば点数は低いもがクリアは出来る。ツガルは止まっていた
指を動かそうとして伏せていた視線を上げて画面を見やり、
「もう、良いや」
 どうしてもプレイする気が沸かずに、再度目を落とした。
「やらないなら代わるわよ?」
 いつから居たのか、台から降りたツガルの代わりに画面の前に立ったのはナイアだった。
上級プレイヤーである彼女には物足りないのかもしれない。光るGREATを連続させてコンボ
を繋げてゆくと、ゲージは一気に赤のラインまで達した。それは決して減ることなく曲の
最後まで続き、最終的には限りなくAに近いBを取った。
「いつまで続けるつもりなの?」
 二曲目、SigSigのHyperをセレクトしながらナイアが呟いた。背を向けているので表情
は見えないが、きっと呆れているのだろうな、と思う。無様な自分の姿を見て、それでも
今のように寄ってくるのは親交の深さ故か。シアが現れてから比重はそちらに偏りが出て
きたものの、今でも姉のように接してくれている。
 その姉のような存在から発せられた言葉に、ツガルは黙り込んだ。
「ツガル、あなたは良い娘よ。アルアが戻るまで、私の支えになってくれた」
 独特のリズムを持つハイテンポに合わせてキーを叩き、ナイアは言葉を続けた。
400ヒマワリ劇場:2007/05/05(土) 01:40:34 ID:TmxP0aIq
「でも、そのツガルの支えは今、どこに居るのかしら?」
「……分かりません」
 だから、ここで待ってるんです、と呟いて溜息を一つ。
「その待ちを、いつまで続けるつもりなの?」
 最初の内容を少し具体的に変えて、ナイアは問うた。
 いつまで、来るかすらも分からない者を待っているのか。
「厳しいことを言うかもしれないけど、それは逃げと言うのよ」
「逃げてなんか」
 いません、と言う前に振り返ったナイアの強い視線で制される。得点がAAで曲も終わり、
カードを差し出しながらツガルの隣に腰掛けた。密着し、細い髪を鋤くように撫でて頭を
抱きながらナイアの言葉は続く。目を合わせてこないのは気遣いだろうか、と思いながら
ツガルは膝の上で小さな掌を握り締めた。
「ダルマに、会いたいの?」
「勿論です」
 間を置かずに発せられた言葉に、嘘ね、と否定した。
「だって、会おうとしてないもの。学校が同じなんだから会おうと思えばいつでも会える
筈でしょ? 本当に大事に思っているのなら、体面とか体裁とか、どうでも良い筈だわ」
 ずるい言い方だ、と思った。
 肯定を出させるのではなく、否定を消してゆく方法だ。消去法で逃げ場を無くしてゆき、
最後には一本の道しか見えなくなる。これではまるで、自分が悪者のようだ、とも思う。
大切な部分で進めていないという事実を、口の中に広がる苦い味と共に噛み締めた。
「怖いの?」
 その一言で、ツガルは漸く理解した。
 前に進むことを止めている、ゲーセン通い『だけ』をさせているものの正体。
 それは、恐怖だ。
 素直に頷いて、ナイアの言葉を肯定する。
 自分を騙し、近付いてきた理由を知ることも、逆に何も話されずに拒絶をされることも、
何もかもが怖いのだ。それによって、ダルマとの繋がりが完全に消えてしまうことも。
401ヒマワリ劇場:2007/05/05(土) 01:41:48 ID:TmxP0aIq
 認めた上で、果たしてツガルは決意した。
「私は、前に進みます」
 恐怖というものは、知らない、分からない故に起きるものだから。
「会うのが怖いなら、電話してみる?」
「怖くなんか、ありません」
 嘘だ、本当はまだ怖い。ハッタリ、虚勢、強がりだ。
 それを振り払うように頭を振り、ポケットから携帯電話を取り出した。短縮ダイヤルで
ダルマの名前を呼び出し、過去に何度も行った行為は体が覚えている。意識をしなくとも
動いた指によって行為は成されて、画面に見慣れた数字の羅列が並んだ。
 息を飲み、一瞬躊躇った後に通話ボタンをプッシュ。
 数秒。
 出てほしい、という思いと、出ないでほしい、という思いが複雑に混じり合ったそれは
1コールの時間すらも永遠のように錯覚させる。繰り返される電子音は張り裂けそうな心
に鈍い痛みとして襲いかかり、今すぐ電話を切ってしまいそうになる。
 十回目の音が響いたところで繋がり、ダルマの声が聞こえてきた。
『……ツガル?』
「今すぐゲーセンに来て」
 短く早口で言うと通話を切り、ツガルはナイアを見上げた。

 ◇ ◇ ◇

「おうおう、良い悪役っぷりじゃねぇの?」
「いつから見てたの? 悪趣味」
「悪趣味で結構だ。しかし、無敵女王様のナイアとは思えないくらい親身だったな」
「あの娘も大切な妹だし、それに好きな人に素直になれないのは私も同じだもの」
「その辺りは詳しく知らねぇけど、まぁ、あたしから言わせりゃ皆馬鹿だ」
「時々貴方のシンプルな性格が羨ましくなるわ」
「皮肉か?」
「さぁね。それより今日も?」
「おう、今日こそはブッ潰す!!」
402ヒマワリ劇場:2007/05/05(土) 01:43:07 ID:TmxP0aIq

 ◇ ◇ ◇

 ゲーセンの片隅、ベンチに座るツガルの前には、達磨を模したヘルメットを被る少年が
立っていた。緊張に歪んだ表情の中心、伏せられた目はしかしツガルの顔を見つめている。
何かを言おうとして幾度も開きかけた唇は、言葉を発する前に閉ざされている。普段皆に
見せている陽気な雰囲気は皆無で、真摯な瞳の色は別人のようだとさえツガルは思った。
「何だか、久しぶりだね」
「そうだな」
 不意に、ツガルが立ち上がった。
「痛い?」
 伸ばされた掌にダルマは一瞬体を強張らせたものの、それが頬を優しく撫でると疑問に
満ちた表情を浮かべた。安堵の気持ちよりも、ツガルの行動に対する疑問が多いのだろう。
それを見て、今にも泣きそうな程にツガルは顔を歪めた。
「この前は、ごめん。痛かったでしょ?」
 その言葉でダルマは、漸く得心がいった、という顔をした。ツガルが撫でているのは、
先日の事件の際にツガルが殴った部分だ。そのときこそは口の内が切れて幾らか血が流れ
出たものの、今は傷も塞がっており痛みも殆んど感じていない。それでも気遣うように、
ツガルは細い指で頬を撫でる。何度も往復する手指はUDXをプレイするときよりも更に
繊細で、身を案じているというよりも、臆病だとさえ言えるくらいだ。
403ヒマワリ劇場:2007/05/05(土) 01:44:30 ID:TmxP0aIq
「ねぇ、何で私を騙したの?」
「それは、悪かった」
 違う、とツガルは首を振る。
「私が訊きたいのはそんなじゃなくて、近付いてきた理由」
 ダルマが黙り込み、空気が泥のように沈む。
「最初は、驚きだった。あの生徒会長が、こんな場所で、こんな格好で遊んでたから」
 流れ出した言葉は、止まらない。
「それで興味が沸いて、ツガルのことばっかり考えている内に近付きたくなった。それが
上手くいくと、楽しかった分言い出すのが辛くなって。本当に悪かったと思ってる」
 吐き出した言葉にツガルは、そう、とだけ答えた。
「私もね、楽しかったよ。ダルマはバカでスケベで本当にどうしようもないけど、一緒に
居ると楽しかったし。話してるだけで落ち着いたし、普段のことなんて全部忘れることが
出来たし。とっても楽で、本当の自分で居ることが出来たから」
 漸く言えた、とツガルは吐息。だが本番はこれから、ここで満足したら駄目だと気合い
を入れて一歩ダルマに近付いた。これからすることに少し抵抗や恐れはあるが、この機会
を逃すのは絶対に嫌だった。流れと勢いでするのはロマンが無いと思うけれど、この瞬間
を逃してしまったら、これからもずっと出来ないだろう。その後に訪れるであろう後悔の
ことを考えたら、ずっとマシだ。そう思い、真っ直ぐにダルマの瞳を直視する。耳が熱く
なっており、きっと顔全体が赤くなっているのだろうと思う。
 その熱量を力に変え、両手で頭をロックして、
「ダルマ、好き!!」
 唇を重ねた。
 正しくは前歯がぶつかり合ったのだが、その固さと痛みの中に、僅かに柔らかな感触が
有った。かする程度の唇の触れ合いだが、確かにキスと言えるものだ。
404ヒマワリ劇場:2007/05/05(土) 01:45:54 ID:TmxP0aIq
「引いたならそれでも良い、嫌いになったなら言っても良いよ。でも私は絶対に諦めない、
やっとダルマが見えてきたところだけど、本当のダルマも含めて好きになるから。今まで
見ていたのは嘘のダルマだけど、そのダルマが好きだったけど、全部があってダルマって
存在なんだから。だから、はっきり言うよ。ダルマが好き、大好き!!」
 長い台詞を一気に吐いた後、照れ臭くなったのかツガルは視線を床に向けた。股間の前
で指を絡ませて、じっと耐える。耳が赤くなったままなのに逃げないのは、ダルマの返答
がどのようなものであろうと受け止める覚悟が有るからだ。
「俺も、ツガルのことが大好きだ。一緒に居たい、友達じゃなく、その、恋人として」
 うわ恥ずかしい、と悶えた後に真顔に戻り、
「もしかして俺達、両想い?」
「……そうみたい」
 直後、ダルマは奇声をあげてツガルに抱き付いた。
「ダルマがこうして触ってくんの、初めてだね」
 今までは無かった行為、普段ならば自分ではなくセリカ達に対して行われているものが
自分に向けられた。そのことにツガルは一瞬驚いたものの、すぐに濃い笑みを浮かべた。
腹は立たず、寧ろ遠慮が無いと思えるような行動なので喜びの方が強い。
「そう言えば、どうして今まで私にはセクハラしなかったの?」
「それは乳の大きさが」
 無言で睨み、みぞおちに思い拳を叩き込む。良い部分に入ったのか、顔を青くして床に
蹲るダルマを見て溜息を一つ。今はまだ中学生、きっとこれから皆のように大きくなる筈。
自分にそう言い聞かせながらダルマに手を貸して立ち上がらせ、改めて半目で問うた。
「その、照れ臭かったから。好きな娘だと、かえってやりにくいんだよ。でも、今からは
大丈夫!! カップルになったからには何の遠慮も無く乳を揉み放題!! ツガル愛してる!!」
「ちょっと、止め……やめろ!!」
 ツガルは叫び、乳を揉んだダルマの頬をしっかりと握り込んだ拳で打撃。
「……はんかくせぇ奴」
 あ、それと、とツガルは前置きをして、
「次に他の人にセクハラしたら、許さないからね」
 空気を裂く快音と共に突き出された拳を見て、ダルマは何度も頷いた。
405ロボ ◆JypZpjo0ig :2007/05/05(土) 01:47:25 ID:TmxP0aIq
終わりです

公式設定と違ったり、キャラが違ぇよ馬鹿なんてことが有るかも
406名無しさん@ピンキー:2007/05/05(土) 08:25:19 ID:+kSAmtcn
GJ! 二人の仲が初々しくこそばゆくてイイ!
ナイアのお姉さんらしくて頼れる感じが素敵だ…
殴るところがちょっと観念的過ぎて分かり辛かったけど
前歯ぶつかるキスがとんでもなくめんこいです
407名無しさん@ピンキー:2007/05/05(土) 09:15:14 ID:VMvi+RVR
GJ!'`ァ,、ァ(*´Д`*)'`ァ,、ァ
やっぱこの子供達好きだ
朝からいい気分になったよ。ありがとう
408名無しさん@ピンキー:2007/05/11(金) 01:05:07 ID:nRv76rCB
sage
409名無しさん@ピンキー:2007/05/17(木) 00:58:16 ID:C8o4msYX
そろそろエリカは近所の小学生にスカートめくられるべき。
410 ◆xdgBsiroro :2007/05/18(金) 23:56:13 ID:PrYf9Ru4
フィギュアを買って下から覗けばいいのさ
http://www.konamistyle.jp/customfactory/bm2dx_fig/index.html
411名無しさん@ピンキー:2007/05/19(土) 13:22:40 ID:l/0eCjwS
コレジャナイロボ
412名無しさん@ピンキー:2007/05/26(土) 00:55:36 ID:CXXM7eGt
sage
413名無しさん@ピンキー:2007/05/31(木) 01:24:19 ID:guvfPHKz
保守
414名無しさん@ピンキー:2007/06/05(火) 00:40:46 ID:S1sVrf92
sage
415名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 05:04:55 ID:toB2ZV4J
捕手
416名無しさん@ピンキー:2007/06/16(土) 01:14:50 ID:cmc2RFNG
服が同じなのに下着だけ違うのは無断外泊不純異性交友を連想させるのでイロハはエロ
417名無しさん@ピンキー:2007/06/22(金) 00:29:34 ID:9xGi8Faz
保守
418名無しさん@ピンキー:2007/06/22(金) 12:45:56 ID:7DSV7xGk
セリカ「…やっぱりそうなの 私のことずっとそう思っていたんでしょう 自分より劣るかわいそうな妹だと 」

エリカ「それは…」

セリカ「優しい言葉をかけたのも 手を差し伸べてくれたことも私を哀れんでいただけ 上から見下ろして満足していたんでしょう」
エリカ「違う…」

セリカ「自分が上だと…自分はGOLIに愛されていると そう思って私を笑っていただけなんでしょう」

エリカ「それは違うわ… 違う… 私は…」

セリカ「うるさい! …嫌な女。少しばかり人気があるだけなのに たまたまフィギュア化に抜擢されただけなのに… 
     私の存在なんて、あなたにとっては自分の価値を高めるだけだった 」

エリカ「違うわ! 私はせめてセリカの引き立て役に回ろうかと思って…」

セリカ「それが私を馬鹿にしているといっているのよ! 私をメインヒロインだと認めてくれてなかった!」
エリカ「…だってあなたは! 」

セリカ「あなたみたいな二番煎じ、1番になれるわけがない! 」

エリカ「不人気のくせに・・・」

セリカ「・・・なんですって?」

エリカ「アンチコピペでしか話題にならない・・・不人気のくせに」

セリカ「!」

エリカ「不人気!」
セリカ「うおおおおエリカああ!」
419名無しさん@ピンキー:2007/06/22(金) 22:47:15 ID:QMEcOaHZ
彩葉と聞いて飛んできました。



「ない!」
「……は?」


 ホテルで一晩を明かした二人が昼近くを指す時計を見てそろそろ出ようかと、もそもそと着替え始めた頃。
 悲鳴のような彩葉の悲鳴に、慧靂は怪訝な顔をしてスカートとブラだけの格好でベッドにへたり込んでいる彼女を見遣った。

「ないの!ないったら無い!どこにいったんやろ、無くなってもぉたんよ、どうしよう!」
「だから何が無いんだって、無いだけじゃ分かんないぞ」
「……ぱんつ」
「はィ?」

 ああもうどうしよう!と甲高い声で喘ぎ頭を抱える彩葉へ、すっかり着替え終わった慧靂がサイドボードに置いていた
バングルを手首に嵌めつつ尋ねると、彩葉は真っ赤にふてくされた顔でぼそりとそう言った。聞き間違いかと思われた三文字
に疑問符をつける慧靂へ、やけくそのように彩葉はもう一度、今度は聞き間違えようも無い大声で言った。

「うちのぱんつがあらへんてゆうてる!」



 ベッドの下に脱いだ服はまとめて置いていた筈だった。その一番上にちょこんと乗っていた筈の、白のサテン地に黒の蝶の刺繍
が施された――彩葉曰く、お泊まり用の下着セットだそうだ――ショーツが、いつの間にかなくなっていた。
 部屋は密室。窓はあっても鍵が掛かっていて開けることは出来ない。部屋には彩葉と慧靂の二人のみ。すぐさまに疑いの視線が
慧靂の方へ向かった。突っ込まれる前に慧靂が両手を振る。「俺は取ってない!誤解だ!」……彼女のことは好きだけれども、その
下着まで執着する趣味は無い。だからそのあからさまに疑う視線はやめてくれと、心の中で慧靂は溜息をついた。
「だってぇ、他に考えられへんもん、ぱんつから足が生えて一人でぴょんぴょん出たって言うん?ややわ、そんな恥じらいない九十九
なんて!それにそれに!あれはうちの一番のお気に入りでネット通販の限定セットで、お小遣い貯めてお姉ちゃんに取られないように
こっそり隠し持って昨日の夜初めて履いたのにそんな嫌やぁー!」
「……分かった、全力で探すから」
 うちのぱんつー!と半ば涙声で叫ぶ、興奮してまるきり京言葉になった彼女の嘆きに慧靂は観念したように両手を上げ、ベッドの
上で蹲る彩葉にベッドの上のチェックを任せながら自分は狭い部屋の床からその他をチェックすると申し出た。
 二人とも若さ故か、抱き合ったら脱いだ服を畳む余裕もなくベッドに飛び込んで、ぽいぽいと下着を投げ捨てるものだから後で
何処に行ったかと拾い集める羽目になる。せめて下着くらいはサイドボードの隅においておくか、といつもそう思って、その場になれば
実行出来ず彩葉の下着を脱がしている自分がいる。可愛らしいピンク色の絨毯の上を見つめながら、溜息をついた。
「えーれきー、ベッドの上には無かったー!」
「ああ、――あ…」
「え?」
膝を床について下着を探す慧靂がふと視線を上げると、そこにはベッドの布団を剥ぎ取り下にまぎれていないか見直したらしい彩葉の、
短い丈のスカートの内側が――彼女はベッドの上で立って見渡すということをしている為、下から見上げた慧靂の視線の先は、淡く
そこを隠す陰毛とその奥にちらりと覗く恥丘と割れ目がくっきりと――…そこから視線を外せないのが男の性、思わずそこを凝視する
慧靂の視線を感じて、「いやあああ阿呆――スケベぇえええッ!」という彩葉の悲鳴が部屋に木霊した。
420名無しさん@ピンキー:2007/06/22(金) 23:44:20 ID:QMEcOaHZ


 それから5分後――頬にくっきりと手形を付けた慧靂が、飲み物の缶の下敷きになっている彩葉のショーツを見つけた。
 昨晩酔い覚ましに飲んでいたトマトジュースの残りがたっぷりとしみ込んで、白と黒のコントラストから、白い部分をオレンジピンク
に染め替えたそれを彩葉が見た時、今にも泣き出しそうな顔で「うちのぱんつ…」とぽつり漏らした。余程お気に入りだったんだろう、
 元気と機関銃トークが取り柄の彩葉はジャケットの前も止めずに――そのせいでちらちらとブラ越しの胸が覗いていた――膝を
抱えてしょんぼりとベッドの上で項垂れている。見える見える!というか見えてる!……そう突っ込みたかったが、次の平手と何より
元気のない彩葉にはそんな無用は言えず、洗面台でボディソープを使って洗っても落ちなかったショーツを片手に、ベッドに片膝を
乗り上げて、何も無いもう片手でそっと彩葉の髪を撫でた。
「同じものは用意出来ないけどさ、その……新しいのなら買ってやるから落ち込むなよ」
「上下セットやったのに……」
「……上も買います」
「すっごい高かったのに……」
「……1万以内なら何とか」
「……ほんまに?」
「男に二言はない」
 じぃ。と訴えてくる視線に渋面で頷いた。あのトマトジュースは自分が飲んでいたもので、その事実がさらに慧靂に責任を感じ
させていた。ホテル代と合わせて手痛い出費だが、これで彼女の機嫌が治るのなら安いものだ。……と思っておこう。
 じぃいいっと慧靂を見つめていた彩葉が、ようやくぱっと明るい笑顔を取り戻して、慧靂の胸に飛び込んできた。ありがとう!と
嬉しそうなその顔と、ちらりと落とした視線の先の、柔らかい胸のチラリズムが堪能出来たのなら良しとしよう。今度は彩葉に
気づかれないよう、彼女の長い髪を撫でながらそっと谷間に視線を遣る慧靂だった。



 さてここから、最も大変なのは彩葉だった。ホテルは時間が差し迫っていて出て行かなければいけなかったし、下着は染まって
乾かす暇もなかったから、泣く泣くホテルのゴミ箱に捨ててきた。――ビル風吹き荒ぶ最中、彩葉は短いスカートの向こう、下着
無しで公道を行くことになってしまった。
 下着一枚あるかないかで、スカートの内の感覚はまったく違う。冷たい風が内腿から這い上がってくる風が薄い茂みを擽って
いく。肌と肌が擦れる感触がやたらリアルで、隠そうと内腿を寄せて歩けば歩く程、剥き出しの箇所が擽ったくて気持ち悪い。
 後ろが捲れやしないかと、心配する視線に慧靂が気付いて気遣いからか、スカートの上から尻の形を抑えるように掌を当てて
裾が風で捲くれるのを庇ってくれている。だが掌の温もりや触れる指先の形が何時もよりずっとはっきり感じられて、そこに
体温が集っていくような感覚に身が竦んだ。縋るように彼の腕に両腕を絡め、ぴったりと身を寄せる。
 擦れ違う人の視線が慧靂の手の位置へ向かって呆れたように声を潜めるが、慧靂は「役得だしな」と笑ってみせた。
 誰の視線も向かって欲しくないのに、所構わずいちゃついているカップルのように見える二人には、良識あるらしい大人達の
蔑むような視線と同年代の少年達の興味深げな冷やかしがついて回った。嫌がっていても離れればもっと悲惨なことになる。
 恥ずかしさに顔を赤くして彩葉は俯いた。心なしかスカートの奥が熱い。――恥ずかしい気持ちとつめたい風がそこを煽って、
滲むものが溢れないように、ぎゅっと慧靂の腕を握り締め、足早に店へと向かって行った。

 やっぱり恥ずかしいか…。縋りつく彩葉を見下ろし、心の中で呟く。赤い頬やきゅっと噛んだ唇、掌にぴったりと伝わる膨らみの
感触が堪らない。けれど好きな彼女が羞恥に頬を染める姿はとても可愛らしくて、つい虐めてみたくなるのも男の性というか。
 このままホームのゲーセンに向かってみるのもいいかな――と、彩葉が聞けば鉄拳が飛んでくるようなことを、一人思いながら
彩葉には気付かれないよう、ショッピングモールへの道を遠回りする慧靂だった。



                                                             終われ。
421名無しさん@ピンキー:2007/06/23(土) 01:09:34 ID:jWdEmQPS
gj
パンツは枕の下に入れるもんだぜ
422名無しさん@ピンキー:2007/06/29(金) 01:58:20 ID:m0w1tMQw
EMI×YUNI←Ipマダーチンチン
423名無しさん@ピンキー:2007/07/04(水) 02:02:53 ID:IW6ITiuR
sage
424名無しさん@ピンキー:2007/07/09(月) 02:06:22 ID:AUP7pcGE
sage
425名無しさん@ピンキー:2007/07/14(土) 00:56:24 ID:Ubr0qO7Y
sage
426名無しさん@ピンキー:2007/07/15(日) 14:34:51 ID:VG67+l3Q
>>422
このエロDDRerめ
427名無しさん@ピンキー:2007/07/20(金) 02:03:16 ID:DHwEEPNX
照れるなあ
428名無しさん@ピンキー:2007/07/25(水) 01:31:52 ID:/WCjc+Vx
仕方ない。自分で書くか。

中学生「好きよ、エミ・・・」
帽子「うれしい・・・」

?「ずるいわ・・・」
ガタッ
帽子「だれ!?」
ホンコン「私もヤリたい・・・」

おわり

パクリましたすみません。
429名無しさん@ピンキー:2007/07/27(金) 23:44:15 ID:Y5phJ5dX
sage
430名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 00:49:55 ID:u9e1X5fT
sage
431名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 14:39:27 ID:ub2k3CeS
      /|   , ,
      |/__ ',
      ヽ| ゚w゚.|
      ┷━┷
432名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 02:17:25 ID:P87UBBKM
sage
433名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 15:22:42 ID:9xp/Ke9N
age
434名無しさん@ピンキー:2007/08/13(月) 21:51:07 ID:gHsVqdKN
sage
435名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 21:01:58 ID:jZM2o7yO
アロエ可愛いよアロエ
436名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 23:06:28 ID:jZM2o7yO
アロエ イズ マイ ワイフ
437名無しさん@ピンキー:2007/08/21(火) 02:51:19 ID:iaM48ybQ
sage
438名無しさん@ピンキー:2007/08/25(土) 02:05:08 ID:6NfTinE+
sage
439名無しさん@ピンキー:2007/08/30(木) 02:51:34 ID:Au1IkeZa
CSDD期待さげ
シューテムオールの子とか零の追加レイヤーとか
髪伸びたシアもだけど日の丸な胸元+黒ガーターにタイトミニスカの茶倉に萌えたw
440名無しさん@ピンキー:2007/09/04(火) 00:20:05 ID:FqBQAymo
保守age
441名無しさん@ピンキー:2007/09/08(土) 23:30:08 ID:TQt+McCx
保守
442名無しさん@ピンキー:2007/09/08(土) 23:41:16 ID:IvrJEDWv
イロハとエレキの純愛ものマダー?
443名無しさん@ピンキー:2007/09/13(木) 00:51:10 ID:0Gl7Cg0b
sage
444名無しさん@ピンキー:2007/09/14(金) 11:41:29 ID:HPds5CYB
保守
445名無しさん@ピンキー:2007/09/19(水) 00:54:47 ID:lIqwifhs
sage
446名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 02:24:52 ID:tVNDyzOF
sage
447名無しさん@ピンキー:2007/09/29(土) 01:45:45 ID:4mHu6hW+
sage
448名無しさん@ピンキー:2007/10/03(水) 15:30:54 ID:u2QhE72e
ほしゅ
449名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 01:08:03 ID:YCXlSz46
ジルチ
450名無しさん@ピンキー:2007/10/10(水) 03:25:40 ID:qLsaLKLh
九日になっても何の告知もなくてもうオワタ?と思ってたらネ申キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
三週間延長決定、リリフィギュア計画始動のラストチャンス「まだだ、まだ終わらんよ」
ファソの同士よ、今こそ決戦の時!!
コンマイの中の人にねらーの底力、見せつけてやろうぜwwwwwwwwww
451名無しさん@ピンキー:2007/10/10(水) 06:12:35 ID:KujXvXuQ
マルチ乙
452名無しさん@ピンキー:2007/10/15(月) 01:45:17 ID:se+MtQUp
ジルチ
453名無しさん@ピンキー:2007/10/15(月) 05:27:16 ID:2a/6z7LK
ギタドラ筐体は俺の嫁
454名無しさん@ピンキー:2007/10/17(水) 01:51:17 ID:tXSTUER3
まだかな・・・。
455名無しさん@ピンキー:2007/10/23(火) 01:08:07 ID:AAuoDcV4
リコサラは俺の嫁
456名無しさん@ピンキー:2007/10/23(火) 03:28:51 ID:/HuM7mIN
…ゼノギアス? にしてもカプだしなあ…
457名無しさん@ピンキー:2007/10/25(木) 23:38:14 ID:Nn4xwyvV
(`∀´)
458名無しさん@ピンキー:2007/10/30(火) 01:45:05 ID:xeB7wq26
しっぽのロック?
459名無しさん@ピンキー:2007/11/04(日) 01:54:02 ID:4IXNgfxt
ジルチ「やおい穴が濡れてきちまった・・・!」
460 ◆xdgBsiroro :2007/11/04(日) 11:20:05 ID:YaQiQykH
GOLIも縞パン好きなんかねぇ
461名無しさん@ピンキー:2007/11/10(土) 00:57:16 ID:0vTaBSV3
俺は好きだ。
462名無しさん@ピンキー:2007/11/16(金) 23:42:25 ID:BnLKwNs7
俺も好きだな。
463名無しさん@ピンキー:2007/11/20(火) 11:10:47 ID:unlOICOq
保守
464名無しさん@ピンキー:2007/11/21(水) 00:14:54 ID:n9yaoF+0
保守上げ
465名無しさん@ピンキー:2007/11/27(火) 00:56:22 ID:9NRLTyma
sage
466名無しさん@ピンキー:2007/11/27(火) 19:48:30 ID:xIc2Qw1q
津軽は林檎ぱんつだったら神かも知れんね>フィギャー
467名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 00:02:29 ID:MfxJAvCf
保守
468名無しさん@ピンキー:2007/12/06(木) 01:11:22 ID:Xfqyi+v7
林檎ぱんつ良いな。
469名無しさん@ピンキー:2007/12/10(月) 23:32:27 ID:j/2qJI3H
林檎ぱんつsage
470名無しさん@ピンキー:2007/12/15(土) 23:10:16 ID:y8V+gsO+
sage
471名無しさん@ピンキー:2007/12/16(日) 20:02:19 ID:uevdvb6e
sage
余談だが軍寺ポスターの茶倉にドキドキした
背中と黒ガーターに燃えた猛者はおらんかー
472名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 00:44:56 ID:AsI0lLw+
うん。あれはエロいな。
473名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 00:47:54 ID:LqacpTwm
茶倉ちんちん生えますぅぅ
474名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 16:26:08 ID:UJHLLgpN
緊急保守
475名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 20:48:25 ID:696sJIYd
生やしてどうすんだYO!ww保守

でも茶倉は攻められる方に回りがちだが攻めてる方もいいかもしれないね
476名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 11:03:49 ID:EuxBIJC5
茶倉におちんちんがないわけないじゃないか
477名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 09:34:23 ID:QSvMGKcI
今年も良SSに巡り合える事を願ってあけおめ保守
478名無しさん@ピンキー:2008/01/08(火) 00:43:37 ID:LM4v/ijJ
茶倉「さて、ニク×ジルでナニして寝るか」
479名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 23:07:40 ID:Q2GjIxSc
こらこらこらこらwww
ついでにあげ
480名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 02:15:43 ID:tj/fNIfD
茶倉「でも今日下着が上下バラバラだから・・・」
481名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 21:50:40 ID:onAteVzp
デュエルと茶倉まだか。
482名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 02:29:22 ID:/41s7JfS
デュエルマスターズベーション
483名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 01:24:53 ID:G1MoTqwW
sage
484名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 00:20:19 ID:N3WY6bwm
sage
485名無しさん@ピンキー:2008/02/11(月) 02:52:22 ID:WgkcHgpV
sage
486名無しさん@ピンキー:2008/02/13(水) 11:26:43 ID:uhW20GtT
これは?携帯だけだけど
ttp://courseagain.com
487名無しさん@ピンキー:2008/02/13(水) 11:33:22 ID:hr0pdQJo
↑マルチ、踏まないように
・・・他スレでも同じもの貼りやがって
488名無しさん@ピンキー:2008/02/18(月) 02:31:37 ID:Bx9YE58c
sage
489名無しさん@ピンキー:2008/02/23(土) 04:56:32 ID:Sar9BgXW
sage
490名無しさん@ピンキー:2008/02/28(木) 03:12:50 ID:jLita3ry
sage
491名無しさん@ピンキー:2008/02/29(金) 19:33:36 ID:vFMGXmxm
エリセリ津軽の従姉妹丼マダー保守
492名無しさん@ピンキー:2008/02/29(金) 19:57:05 ID:vmYNGe2J
>>491
おまいも今月のツガルにヤられた口だなw
493名無しさん@ピンキー:2008/03/07(金) 02:07:36 ID:IKeqkEhr
片ポニー禁止
494名無しさん@ピンキー:2008/03/11(火) 02:30:00 ID:iLASZm6J
sage
495名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 02:16:46 ID:Dr/TSm1U
sage
496名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 02:18:17 ID:sEt/IyxQ
sage
497名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 01:03:08 ID:H7j/HG0o
パチスロ記念あげ
喋って動く寺キャラに今からwktkが止まらない
498名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 02:01:12 ID:Sg/yfrVL
パチスロって事はいずれ家庭用も出るな・・・。
499名無しさん@ピンキー:2008/04/03(木) 01:54:41 ID:riKQZkKe
sage
500名無しさん@ピンキー:2008/04/07(月) 01:22:49 ID:kqetF144
sage
501名無しさん@ピンキー:2008/04/09(水) 16:29:18 ID:OknRWftO
パチスロからアニメ化したりして。(笑)

まあ、流石にそれは無いな。
502名無しさん@ピンキー:2008/04/13(日) 02:29:30 ID:B8cxwfdE
sage
503名無しさん@ピンキー:2008/04/16(水) 02:37:46 ID:NpvaRn8M
sage
504名無しさん@ピンキー:2008/04/20(日) 02:25:25 ID:iDdMUiEz
1000だったらジルチをサイボーグに改造
505名無しさん@ピンキー:2008/04/24(木) 01:56:08 ID:jOwnx8PE
sage
506名無しさん@ピンキー:2008/04/28(月) 00:59:49 ID:OdIGJ+3g
ナニして三こすり半でイク事により無敵のヒーロージルチマンに変身するのだ。
507名無しさん@ピンキー:2008/05/02(金) 01:40:52 ID:m+gFrz71
sage
508名無しさん@ピンキー:2008/05/07(水) 02:04:03 ID:cvIHhqHA
sage
509名無しさん@ピンキー:2008/05/11(日) 00:20:07 ID:BO1w94hd
sage
510名無しさん@ピンキー:2008/05/15(木) 02:09:42 ID:CA6K06v/
sage
511名無しさん@ピンキー:2008/05/17(土) 05:08:16 ID:UbtBdpuN
kiiuijjk
512名無しさん@ピンキー:2008/05/23(金) 02:24:14 ID:zGV9UB16
 
513名無しさん@ピンキー:2008/05/27(火) 02:10:02 ID:bbznXWsM
 
514名無しさん@ピンキー:2008/05/29(木) 20:20:07 ID:ocOe+MSl
もしかしてポップンのエロパロスレ落ちた?
515名無しさん@ピンキー:2008/06/01(日) 00:17:09 ID:HWg1kJh3
そんなのあったのか
516名無しさん@ピンキー:2008/06/03(火) 23:42:45 ID:K6UYp3m8
 
517名無しさん@ピンキー:2008/06/05(木) 10:49:01 ID:WEuYB4zb
>>514
落ちたよ
518名無しさん@ピンキー:2008/06/08(日) 01:46:00 ID:MMY5rkGr
 
519名無しさん@ピンキー:2008/06/10(火) 23:43:24 ID:SJuyxlaH
保守
520名無しさん@ピンキー:2008/06/12(木) 20:09:55 ID:aCW09BrJ
エッダ孕ませたい
521名無しさん@ピンキー:2008/06/15(日) 01:22:49 ID:4R8Anamx
誰だよ・・・ポプか。
522名無しさん@ピンキー:2008/06/15(日) 01:55:22 ID:wBnACWVV
しかも女ですらないわけだが

ポプのエロパロスレ落ちたからなあ
音ゲー腐男子の方見つけて行ってるといいんだが
523名無しさん@ピンキー:2008/06/18(水) 14:50:54 ID:5+iQCw6R
ヒフミのエロがみたい
524名無しさん@ピンキー:2008/06/21(土) 01:43:58 ID:QZ2NDNT2
ヒフミ「やべっちんこ生えてきた」
525名無しさん@ピンキー:2008/06/25(水) 01:39:09 ID:xI67OyNC
 
526名無しさん@ピンキー:2008/06/29(日) 00:28:18 ID:RQaKNvVV
 
527名無しさん@ピンキー:2008/07/02(水) 02:06:52 ID:v9ERyXif
 
528名無しさん@ピンキー:2008/07/06(日) 00:35:12 ID:zkUwmo6a
 
529名無しさん@ピンキー:2008/07/11(金) 00:12:04 ID:BovjzU2G
 
530名無しさん@ピンキー:2008/07/15(火) 02:09:38 ID:skuRd1eJ
 
531名無しさん@ピンキー:2008/07/18(金) 02:29:46 ID:facvT0vz
 
532名無しさん@ピンキー:2008/07/21(月) 00:36:40 ID:oG0u1QNf
 
533名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 01:29:50 ID:A2gFcvCw
 
ブラジャスのノクス×マタンの近親相姦SSです

・キャラ設定はかじった程度&性格は自分勝手に設定。苦情は受け付けます。
・続編「ristaccia」とのつながりは無視の方向で。

「そんなん読めるか!」という人はNG登録を。
ついに反国同盟軍とノイグラード王国軍の決戦の火蓋は斬って落とされた!
数の上では圧倒的に勝る王国軍であったがこれに対し同盟軍は地形戦に持ち込み戦いは五分に持ち込まれていた。
そして戦いも最終局面にさしかかり、反国同盟軍の若きリーダー「ノクス」は
ついにノイグラード女王「マタン」との一騎打ちに持ち込むことに成功した―――

「くっ、女王陛下、マタン様をお守りせねば…!そこを退けっ!」
「ふっ、私はお前を覚えているぞファロよ…、あの頃若造だったお前が将軍にまでなっていたのは正直驚いたぞ、
お前の相手はこの私だ!」

「女王マタン!お前だけは何としてもこの手で倒す!その為ならこの力も使う事にもためらいはしない!
絶望の剣ティルヴィングよ、僕の力となれぇっ!」

そうノクスが叫ぶとティルヴィング、そしてノクスの体から黒い霧が立ち昇る。
それはまたたく間にノクスの体を包み、ついにはノクス自身が霧そのものと化す。
突如黒い霧は風のようにマタンの側を駆け抜け、そしてマタンの周囲を旋回しはじめる!

戦場に突如発生した黒い竜巻に両軍兵士達はどよめき始める。

「ノクス…、使い手の生命を縮めるといわれるティルヴィングのその力を使うとは…。それほどの強敵か、女王マタンは…!」
「なんだ…!?あのどす黒い竜巻は!…マタン様!」

(この黒い竜巻は…?なんて禍々しい力なの……!
こんな大掛かりな力を使ったら人の体では耐えられないはず、そうまでして私を倒そうというの…!?)
マタンは黒い霧でノクスの姿を認めることができないのか周囲を見回している。
(よし効いている!この霧の中だけに限られるが僕は瞬時に動き、かつ実体を自由に消したり現したりできる!
あとは悟られない場所から実体化して狙いすました一撃を当てれば…!、ん……あれは?)
それは横顔なのでよく判らないがマタンは瞳を閉じてうつむき祈るように自分の胸に手を合わせている。
(闘いの最中に何をやっているっ!無駄だ!これで決めるっ!)
その瞬間、ノクスの放った殺気に合わせるかの様にマタンの甲冑の宝石がキラリと光った、…ような気がした。
(…!?)
「…来る!」
マタンは突如自分の髪を飾るダリアの花を外し、それを手にくるりと一回転する!

四方八方にばら撒かれたダリアの花びらはすべて黒い霧に飲み込まれ、
いや、マタンの右手後方で「何か」に当たり、はね返る。
「そこねっ!」
すかさずマタンはもう片方のダリアも外し、そこに投げ放つ!

(気づかれた…!?だが、そんなものっ!)
ノクスはあえて無視し勢いをゆるめず一直線にマタンに迫る!

だが触れるよりもはやくノクスの眼前でダリアの花がまるでこの時を待っていたかのように
ぶわぁっ、と舞い散り花びらが視界をさえぎる!
「うわぁっ!」

視界を阻まれたノクスはひるみ思わず実体を現してしまう!
それは刹那のことであったがすかさずマタンはノクスに肉薄する!

「ノクス!恨むなら私ひとりを恨んで!」
「りゃー―――――――!!」
ジャキィイイイイイイン!!
「うっっわぁああああああああああ!!」

マタンの必殺のアッパースラッシュは確実にノクスの胸板を捉えていた。

斬撃を受けノクスの体が血飛沫をあげまともに吹っ飛ぶ。そのまま幾度か地面を転がったのち、仰向けで止まった。
同時にノクスが生み出していた黒い竜巻がまたたく間に風に溶け、消える。

「あ、嵐が晴れた…!?マタン様は無事か!?おお…!やった!マタン様!早くとどめを!」
「しまった、やられたかぁっ!?ノクスっ!立てぇっ!立つんだー―――っ!」

遠くからアドフーク義父さんの声が聞こえる。それに混じって足音がゆっくり近づいてくる。おそらくは…女王マタン。
(何をやっているノクス!まだ勝負は着いていないぞ!身体よ動いてくれ!眼よ開いてくれ!
嫌だ!僕はまだ死ねない!エメの仇すらまだ討てていないのに…!)

だが深手を負った体は鉛が乗っかった様に重くその渾身の思いすらも指先を震わせるのがやっとである。

足音がノクスのすぐ近くで止まった。ちゃりっ、と剣の鳴る音がノクスの耳を突く。

(ダメだ、殺られる…!)



…そこで意識は途切れた。

(続く)
「……ん……」
僕は目を覚ました。
「……ここは……?」

上も下も一面の黄金色の雲。地平線の向こうは黒い空。

「なんでこんな所に…?戦いは一体どうなった…?、あ!!」
僕は最後の記憶を思い返した。

(…マタン!お前だけは何としてもこの手で倒す!)
(…うっっわぁああああああああああ!!)
(ダメだ、殺られる…!)

「…ああ、僕は負けたんだ。そしておそらくは、女王マタンに…」
殺された。そして死んだんだ。つまりここは…死の世界。

「…ここに居ても仕方ないな」
僕はひとしきりがっかりした後、歩き出した。
ここに来ていない、という事はアドフーク義父さんやロークはまだ無事なのだろう。
僕に出来ることはもう無いのだからあとは彼らが何とかしてくれる事を祈ろう。…それしか出来ない。

そこは奇妙な空間だった。
黄金色の雲の上をまばらにシルエットが歩いている、足取りこそ違うものの皆一方向に進んでいる。

「…もしかしたら居るかもしれない、いや、まさかな…。」
その願いが届いた、かどうかは分からないがノクスのすぐ横を見覚えのあるシルエットがすれ違う。
そう、たとえ輪郭だけだったとしてもすぐに分かる忘れもしないこのシルエットは―――
「エメっ!」
僕はかつて「姉」と慕い、…そして泣き別れた幼馴染の名を呼んだ。
その声に応じてシルエットが本来の色を取り戻す。そして、口から懐かしい声が漏れる。
「…ノクス。」

「よかった、もう会えないんじゃないかと思っていたよ、僕…。」
「私は…ずっと貴方を見守っていたわ。身体を失ったあの日から、ずっと」
僕たち二人は雲の切れ間にある橋の上に腰掛けていた。
二人の足先は一片の光もない虚空に投げ出されていたが不思議と怖くは無かった。
もう死んでいるのだから怖いも何もないのだろうが。

二人で面白い事に楽しい事、つまんない事、ばかな事を話して笑い合っているうち僕はふと思い出した。
そうだ、せっかく二人きりで邪魔も入らないのだからあの時言えなかった事、いま打ち明けよう。

「エメ、僕は…。」
「あ、じゃ、私、もうそろそろ行かなきゃ」
エメは立ち上がり歩き出した、慌てて僕は止める。
「行くって…何処へ」
「死んだ人が此処に居ていいのは少しの間だけなの。本当の行く所へ行って魂を返さなくちゃならないの。
行ったら…おそらくもう戻っては来れないかも…。」
「待って。僕も行くよ。僕だってもう死んでるんだ。君と一緒に行きたいよ。」

エメは寂しそうな表情をし、
「貴方はまだ来てはダメよ…。だって…。」
突然エメは駆け寄り僕の胸に顔をうずめ、そして、手を添えた。
あの頃のままのエメの髪の優しい匂いが僕の鼻に伝わってくる。

どきっ…、どきっ…、どきっ…、どきっ…。
「エ、エメ…。」
生前は世話好きだったけど女の子としてはかなり「しっかり」してたエメがこんな大胆な事をするなんて。
さすがに僕もときめきを禁じ得なかった。しかし、それだけでは無かった。
今度はエメは僕の手をそっと取り、それを自分の胸に押し当てる。柔らかな感触。
「エ!エメ…?」
エメは恥ずかしそうに顔を赤らめて目をつむり少しうつむく、が、しかし―――

「………!!」
僕が触れている膨らみからは生命の証しである「鼓動」はいつまで経っても伝わって来なかった―――

「これで分かったでしょう、貴方はまだ生きているの。
戻って。戻って、生きるの。生き抜いて。」
「え、ちょっと…エメ、待って!」
僕は歩み去るエメを追いかけようと走り出すが踏み込んだ足がずぶり、と雲にめり込んでしまう!
何とか引き抜こうとするがもがけばもがくほど体はズブズブと雲にめり込んでいく。

「エメ…、エメっ!」
振り向いたエメはくすり、とほほ笑んで言った。
「ノクス…、私の為に戦うのはもういいの。これからは、あなた自身の為に戦って―」

ついには僕の体は雲を突き抜け、虚空へと投げ出された―――――!


「うわあああああー――――!
ひとまずここまで。お疲れ様でした。

第一話が完全非エロでこのままではと思い第二話も急ぎ足で書いて抱き合わせで投下しました、
一行も書けてない第三話を飛ばしてその先なんて書いてる有様ですが(思いついたものから書いていかないと忘れてしまう…。)
最後まで書けるか見守っていただけると幸いです。

学生時代に国語の授業居眠りするんじゃなかった、もっと本は読んどくべきだったと今更ながらに後悔…。
542名無しさん@ピンキー:2008/07/31(木) 01:16:28 ID:k1fsd8KA
久々の投下キタ―――!!!
エメめんこいよエメノクス年相応で可愛いよノクス
エロがこれからとの事で期待して待ってる。全裸で。
543名無しさん@ピンキー:2008/08/02(土) 23:47:48 ID:VHB8CcdT
俺も全裸になった。
「エメ―――!」
がばっ、――――― ゴ ン !!
起き上がった瞬間、僕は「何か」に強烈に頭をぶつけた。

「いったああああああああっ!」
「いったああああああああい!」
「「あ…。」」
二人の悲鳴が重なり見事、といえるほど綺麗なハーモニーを奏でる。

僕は目から星が出る思いだったが何とかかぶりを振り視界を取り戻す。
そこには…、最後の記憶で死闘を演じていた顔がそこにあった。女王マタン。
「いたたた…、気が付いた?ノクス。もうこのまま目が覚めないかと思ったわ」

僕は周りを見回す。見たこともない豪華じみた調度品の数々。
壁にはこれまた途方もつかない大きな壁画。柱にはそれぞれ違う手の込んだ彫刻。
そして…、僕は天蓋付きのベッドに寝かされ寝巻きに着替えさせられていた。

「あ、ここはノイグラード王城、女王の間。そう、わたしの部屋よ」
「女王マタン…!」
僕が戦意を込めた口調で言うと女王マタンはなぜか少し寂しそうな顔をして、
「そんな風に私を呼ぶのね…。やっぱり…すぐには「姉」とは認めてもらえないのね」

ノイグラード王城?女王の間?なんで僕がそんな所に居るんだ?
それに姉って誰の事だ?そう問いただそうとしたとき。

「マタン様!何が起きました!ご無事ですか!?」
入り口と思われる門から騎士風の男が部屋に駆け込んできて入ってすぐの所で止まる。
「ファロ!私は…大丈夫よ。ちょっと、頭ぶつけただけ。それよりノクスの意識が戻ったのよ」
「し、しかし…。」
「あ、彼はファロ。この国の将軍。私の頼れる、一番の側近よ」
そして女王マタンはファロに向き直り、
「ファロ。席を外して。まだノクスと二人で話をしたいの。」
「…!あ、はい。マタン様、くれぐれもお気を付けて。」
ファロと呼ばれた将軍はそういうとつかつかと部屋を立ち去る。

僕はその様子を呆気に取られて見ていたがさっきの事を聞こうとしたのを思い出したので女王マタンに向き直る。
が、僕が口を開くよりも早く女王マタンは僕をそっと、しかく強く抱きしめ、
「ずっと会いたかったわ…、ノクス。ただ一人血のつながった、わたしの双子の弟」
表情は肩越しなのでよく分からなかったがくすん、くすん、と途切れ途切れに鼻で泣いていた。

「…。」
確かに…理屈では説明出来ないがこいつの瞳を見ていると、
こいつの腕の中にいるとなんだか心が落ち着く。って違う!
マタンを押し退けようと手を突き出した、が、位置が悪かった。
僕の両の手のひらはマタンの胸を押さえてしまう。

「ひゃあんっ…、ノ、ノクス…。」

それは鎧ごしのものであったが向こうは触れられた感触が伝わってしまったらしく
マタンは小さく喘いでかすかに頬を染める。僕は慌てて手を引っ込め弁解する。
「わ…!違う、押し退けようとしたんだ!ぜったい違ッ…、い、痛たたたた!」
僕は突然胸に激痛を覚え、うずくまる。
「!、まだ動いちゃ駄目よ!命に関わる傷だったんだから、あ…、私のせいよね…。」

(続く)
「はぁ…、今日の公務も大変だったわ」
そう言ってマタンが戻ってきたときには既に日も暮れ、窓から見える空には星が瞬いていた。
「明日も早いし今日はもう休まなきゃ」

マタンはおもむろにドレスを脱ぎ始めた。
「わ…な、何してるの…。」「何って…寝巻きに着替えてるに決まってるじゃない」「ここで着替えるのか!」
「だって…ここ元々私の部屋なのよ。大丈夫。この部屋には私とファロ以外は入って来ないわ。
あなたが城の皆に見つからないように匿えるのもこの部屋しか無かったの…。」
「僕が見てる」「貴方はケガ人だから大した事はないわ。大丈夫よ。気にしないわ。」
そういう問題じゃない。

待てよ。ここが元々こいつの部屋、という事はここで寝るんだよな。周りを見てみるが他にはベッドは無い。
つまりこいつと…、 添 い 寝。
「ばかばかしい!お前となんてっ!僕はほかで寝るっ、あ、あいたたたた!」
僕はベッドから降りようとするが再び斬られたところが痛み出す。これでは動くのもままならない。く、悔しい…。
仕方なく布団にもぐり背を向けて見ないようにする。しばらくして背中に柔らかい感触が当たる。
寝巻きに着替え終わったマタンが布団に入ってきたようだ。

「寝てる間に首絞めてやるぞ」
「はいはい。それじゃ気をつけて寝なくちゃね。じゃ、お休み」
そう言うとマタンはランプを消し、僕と背中を合わせて隣で布団にうずくまる。

唐突に双子の弟、などと言われても実感はあまり湧かない。
つまりは今までの僕の人生は全部嘘、元々はここの人間なのだからこちらに付け、という事なのか。
そんな風には思わない。ずっと義父さんやロークと一緒に生きていたのを今さら無かったことにしろ、なんて出来る訳が無い。
「僕はずっとこのまま此処に居るつもりは無いからね。ね…姉さん。…へ?」
そう言ってマタンの方を見たがもう既にすーすーと寝息を立てて寝ていた。
「こ、こいつ……(怒)」
なんて不用心きわまりない女王だ。大丈夫か。この国は。

あの時の傷のささやかなお返しとばかりにマタンの首に手を伸ばす。
宣言したからいいはずだ、無論本気で絞めるつもりなど無い。が、しかし。
「だめぇ…。」
マタンは泣きながら小刻みに震え、子供のような口調で寝言を漏らしていた。
「まってぇ、ノクスをどこへつれていくの、おねがいっ、つれていかないでっ、ひとりぼっちはいやぁ…。」

「…。」
どうやら昔僕が捨てられたときの夢でも見ているようだ。
こいつ…、こいつはこいつなりに小さい頃からずっと僕の事、心配してたんだな…。
僕はさすがに気の毒になり、マタンの手を取りそっと握り、空いた手で頭を撫でてやる。
「エヘヘ…。」
そうするとマタンは安心したのか、泣くのを止め嬉しそうな寝顔をする。

…ふと気が付く。僕は何をしているんだ。しばらく前に倒してやる、と宣言していた相手なのに。

僕は仕返す方法を変えることにした。撫でていた手でマタンの髪をわしゃわしゃと掻きむしる。
「あははははっ、ノクスぅ、くすぐったいよぉ。やーめーてー、きゃははははっ」
今度は僕にくすぐられてる夢のようだ。僕が居た頃の記憶、克明に覚えてるんだな…。

…僕は城に居た頃の記憶なんてまるで残っていないのに。ちょっと悔しくなった。

(続く)
548 ◆eNOxMATins :2008/08/03(日) 23:38:52 ID:Z84c644J
いかかでしたか。うう、今回もエロが物足りない…。
さてこのSSですが次回第五話で最終話となります。
今までの話を根っこから全部ひっくり返します。鬼畜総攻撃です。
それでは。次回をお楽しみに。

ノクスさっさとマタン押し倒(ザクッ)←ティルヴィングの刺さる音
549名無しさん@ピンキー:2008/08/04(月) 00:03:32 ID:EIuEZfdU
続きキタ―――!
幼児返り女王様モエス
後のキラとばかりに鬼畜化するノクス期待してるよw
550名無しさん@ピンキー:2008/08/07(木) 01:30:29 ID:s7fSWkR0
551名無しさん@ピンキー:2008/08/10(日) 23:21:55 ID:z+qZ4Ldg
あれからずっと全裸なせいで夏なのに風邪ひいちったぜ…。
552 ◆eNOxMATins :2008/08/11(月) 00:02:13 ID:bSNMeS4e
まだ書いてます、今回は相当長いです

書いても書いても終わらなくて魂喰われそうです…。
553名無しさん@ピンキー:2008/08/11(月) 03:50:48 ID:62Y9W+jS
やっぱり姉貴のが剣技とか強そうな気がするな


画集のホライゾンとキラが一緒のとこ見て猟奇を想像しちまいましてね
お待たせしました、最終話です。
前編後編に分けてお送りします。ではまず前編から。
それから三日。
敵地にただ一人、という状況にもかかわらず意外にも何事も無く時は過ぎていった。
相変わらず部屋に入って来るのは女王マタン、あるいはあのファロとかいう将軍くらいなものである。

しかしそろそろ脱走を考えなくてはならない。義父さんやロークの安否を確かめたいし
何よりこのまま此処に居てはマタンの思うがままになってしまう。それが嫌だった。

斬られたときは心臓に達したか、とすら思った傷も今は一本の筋が残るのみでほぼ塞がっている。何とかなるだろう。
こんなときの再生力は神掛かっている、と自分でも思う。

夜が更けた。いつもはもう戻ってくるはずのマタンも今日は居ない。絶好のチャンスだ。
僕は寝巻きからいつもの同盟軍服に着替えていた。なぜか洋服掛けに掛けてあったのだ。

あのとき斬られた服、という訳では無さそうだ。
似てこそいるがところどころ細かい所が違うしポケットの中身もすべて無くなっていた。
誰かがあの服に似せてこれを作らせた、まさかマタンが…?そんな訳ないか。

予想通りティルヴィングまでは無かったがまったく問題ない。
あれは一度決まった持ち主が念じればいつでも手元に呼び出せる、そういう剣なのである。

準備は整った。うかうかしては居られない。
ノイグラード王城は小さい頃に追い出された(と、アドフーク義父さんに聞いた)のだからとうぜん内部構造は一切知らない。
ここが女王の間、といっても城のどの辺に位置するか、それすらも分からないのだ。

(しっかりしろノクス…、今までだってそうやって乗り切ってきたんだ…!
なんとか脱出してアジトまで帰って皆と合流してみせる…!)
そう決意し部屋を出て未知の領域へ足を踏み出そうとしたそのとき。
遠くからこの部屋に向かって走る足音が近づいてくる。誰か来る!

僕はすかさずティルヴィングを左手に呼び出そうとする。が、ふとそこで思いとどまる。
下手に騒いで衛兵を呼ばれたら逃げられる可能性はおそらく無くなる…、
なんとかやり過ごせないか…?周りを見回し隠れる場所を探す。

僕は部屋の門の両側に取り付けられた床まで届くカーテンに目が着いた、おそらく外から部屋を隠すための物なのだろう、あそこなら…。
そのうちの片方に身をすっぽり包んで隠す。部屋に差している月明かりもここまでは届いていない、気づかれる事はまず無いだろう。

「ノクスっ!」
あわただしい様子で部屋に入ってくる足音、そしてマタンの声。
「ノクス!ノクス!何処にいるの!?」
案の定ベッドに僕の姿が無いのを認めたのかうろたえているようだ。

(そうだ…、そのまま部屋の奥へ行け…、もしくは衛兵を呼びに戻るんだ…!ん…?)

自分もカーテンに身を包んでいるのでよくは見えないが自分の胸のあたりに手を当てているようだ。
「…気配が遠のいていないわ、まだこの近くにいるはず!」
そう言って周りをひとしきり見回したのち、すぐにこちらへ向かってくる。
(しまった…、予めティルヴィングを呼び出しておくべきだった…。)

マタンは両手で僕が隠れているカーテンをひっ掴み、それをパッ、と開ける。
僕とマタンは間近で目が合う。マタンは唇をきゅっと噛み瞳に涙をにじませていた。
しばらく沈黙が流れる。そして―――――
「ノクス、その格好…。反乱軍へ…戻るつもりなの?」
「世話になった。このまま黙って行かせてくれ。大丈夫、女王が僕を匿った、なんて口外は決してしない」
「どうして…?貴方は元々王家の血族のはずよ、
貴方が城を追われたときはまだ私も幼かったわ、ただ泣きながら見守るしか出来なかった、
でも今は違うわ。いまの私はノイグラードの女王。」
そこまで言うとマタンは僕を抱きしめ、
「貴方の事は城の皆にもきっと納得させるわ。だからお願い、行かないで―――」

(まただっ…!こいつの腕の中にいると、こいつの瞳を見ていると闘志が削がれていく…!
あんなに一緒だったアドフーク義父さんやローク、エメの事が霞れていく…、「自我」が消えていく…!)
僕はマタンを振りほどこうとした、が、マタンも必死にしがみついてくる。
「離せ!」「嫌!」「離せっ!」「嫌ーッ!」

「はぁっ…、はぁっ…、はぁっ…、はぁ…。」
「ひくっ…、えくっ…、ノクス…、ノクスぅ…。」
ようやくマタンを振りほどいたときには僕は肩で息をしていた。マタンは屈んで泣きじゃくっていた。
ノイグラードの女王…。義父さんと僕の敵…。エメの仇…。僕の双子の姉…。僕と同じ顔…。
なんで僕がこいつに、こんなにも複雑な思いをしなければならない―――
―――壊してやる。

「ノクス…?」
僕はマタンの両肩を掴み、半ば強引に引き寄せ―――唇を奪った。
「んっ…!」
マタンは一瞬身体を強張らせる。抵抗される、と思ったが何故か目を閉じ僕の唇に吸い付いてくる。
「…んッ…。…んんッ…、……ん……。」
お互いに鼻を擦り合わせる口づけ。それが数回続いたあと僕は舌でマタンの唇をこじ開け、それを侵入させる。
マタンの口内に入った僕の舌はマタンの舌に迎えられる。二つの舌が絡み合う。

ぴちゃっ…、ぺちゃっ…、ちゃぷっ…、ぴちゃ…。

僕が舌をマタンの唇から抜くと、唇が閉じないうちに今度はマタンが僕の唇の中に舌を入れてくる。

二人の舌が互いの口の中を幾度となく行き来したのち、僕は唇を離す。
僕とマタンの唇の間を唾液の糸が張る。
マタンの表情は蕩けきっていた。そのエメラルドの瞳から涙がぽろぽろとこぼれる。唇から―――囁きが漏れた。

「ああ、ノクス…。慰めて…くれるのね。憐れな私を」

(違うっ!そんなんじゃない!お前を滅茶苦茶にしたいんだ!ならば次は―――)

次に僕はマタンの甲冑に目をやった。胸部にはめ込まれた大きな宝石が目に付く。
これを外そうにも僕は当然、外し方など知らない。どうするか…。……ん?
そう思った瞬間、マタンが一瞬だけびくり、と震えた…ような気がした。
そういえばこの宝石…?僕は以前のことを思い返した。

(…殺気!…来る!)
(…気配が遠のいていないわ、まだこの近くにいるはず!)

(この宝石…、もしかしてマタンはこの宝石で僕の心を読んでいるのか?ならば!)
僕はマタンに近づき瞳を覗き込むように見つめ、

「マタン、ヨロイを―――外して」
「ノ、ノクス…。やめて」
「外して」
「うっ、ううう……。」
エメラルドの瞳からじわりと涙が溢れてくる。マタンは僕から目を逸らすことが出来ないようだ。
瞳を通してマタンの思念が伝わってくる。…様な気がする。
ノクスやめてノクスやめておねがいやメてノクすヤめてのクすヤメテやめてオネガイ―――――!

だが、僕はそれ無視して思念をゆるめず、しかし言葉は極力落ち着いて
「外して。マタン」
「うっ、うっうっ…、う〜〜〜〜〜。」
ついにマタンはうつむいて自分のわき腹に手を差し込み何かを一つずつぱちっ、ぱちっ、と外し始める。
外し終えると黒光りする甲冑がごとり、と重そうな音を立てて床に落ちた。
僕は守るものの無くなったマタンのドレスの胸元に手を掛け、胸のカーブに沿って引きずり下ろす。
ドレスの裾から小さいながらも張りのある、形の良い2つの膨らみがぷくん、と露になる。

僕は両腕を伸ばし、マタンの二つの膨らみを揉み―――というよりはこね回す。
「んッ…!んんッ……!んー…!」
マタンは目と口を閉じ必死に声を我慢する。女王のプライド、というやつか。しかし。
僕はマタンの乳房に顔を近づけ、そっと…蕾を吸った。
「ふあッ…!」
これには思わず漏れたマタンの喘ぎ声が僕の耳に心地よく響く。

マタンは身体を反らし逃れようとするが僕はすかさず覆いかぶさる。
空いている手でもう片方の胸の蕾もいじる。それは僕の手の中でみるみる内に硬さを帯びてくる。
「ひ、ひゃあ…!」

乳房から顔は離さずにちらり、とマタンの方に目をやると彼女は自分の両の掌で目を覆っていた。

「…はぁっ…、あぁんっ…、はぁはぁ…。」
そんなこんなしている内にだんだんとマタンの呼吸が荒くなる。
「か、身体…、身体が熱いよぉ…。」
そこへ入り口の方から声が聞こえた。
「お…お前…!?マタン様に、何をしている…!?」
振り向くとそこには引きつった表情のままで凍りついたファロが立っていた。

うわ…これは修羅場だな、だがいい所に来た。僕は目をつむり、両手をぱっと挙げる。
「見てのとおり。悪い事だよ」
さあ泣けマタン。泣いてこいつに助けを求めるんだ。その声を僕に聴かせるんだ。
こいつはお前の頼れる側近なのだろう―――

ファロは端正な顔を怒りの形相に変えて、腰の剣を勢いよく抜き放ち、
「貴様ーッ!!事もあろうに女王陛下を!!生かしてはッ!生かしては置かん!!」
しかし。

「ファロ!……いいのです、ここまま続けさせて……」
手で目を覆ったままのマタンが叫ぶと同時にファロの手がぴたり、と止まる。
「し、しかし!」
「…分かっているの。これがどんなに愚かな事かは…、
それでもいいの。ノクスが、私を欲してくれるなら、これでノクスの心が少しでも…、癒えるなら…。
…だから…、止めないで」

ファロは剣を振り上げた手を下ろし、震えるような口調で言った。
「それは…命令……、なのですね…?」
マタンはこくり、と頷く。

「わかり……ましたっ…、二人にして…差し上げます…。」
ファロは疲れ切った口調でそう言うと剣を手にしたまま壁に手をついてふらふらと部屋を出て行った。

「終わったな。自分で最後の頼みの綱を手放してしまうなんて。堕ちろ、マタン―――!」
そう言って僕はスリットからマタンのスカートの中に手を差し込む。
柔らかな太ももが手に触れる。そのまま、上へと這い上がり―――

(後編へ続く)
ひとまずここまでで。お疲れ様でした。自分で書いてなんですが最終話長過ぎです…。
後編もあらすじは出来ているのですが文章力の無さが災いしてまだまとまりません…。
このSSもあと少しなので今しばらくお付き合い下さい、
それでは。後編お楽しみに。
563名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 02:01:42 ID:NB2DZRzv
超乙。

うーむ、俺も双子で何か書こうかしら……
できたとしても大分先になるだろうけど。
ぱぁんっ!
「そこまでよ」
全力、ともいえる力でマタンの平手打ちが僕の手に刺さる。
「私がどんなに身体をあげても貴方の心が埋めることは無いのね…。」

叩かれた音と痛みで僕の頭が冷水をかけられたように醒める。頭の奥に押し込めていた理性があふれるように蘇る。
僕はいったい何て事してるんだ!勢いに任せてこんな、それも血の繋がった実の姉に―――!
今までの事が罪の意識となってはね返り僕の五体を苛みはじめる。
どうしよう?どうしたらいいんだ?
…謝ろう。こんな事した後で許して貰えるなんて到底思えない。この場で殺されても文句言えそうにない。
それでもせめて………、一言でも。

「ね…姉さん。ごめ…」「悔しいわ」
僕の謝罪はマタンの一言に止められた。

「私…、戦場でノクスと戦ってたとき、貴方を斬ったとき、殺しちゃった、って思ってたんだから…。
国を守るため、とは言え血を分けた片割れを手に掛けてしまった、って。
泣きながら抱き上げた貴方が喋ったとき、まだ生きてる、って分かったとき、
神様が私とノクスが心を通わせる最後のチャンスをくれた、って思ったの…。
なのに貴方は息を吹き返すなり逃げ帰ろうとしたり、挙句の果てに
私にこんな恥ずかしい事までさせて、これじゃあ余りに悔しいじゃない…。」

僕は頭を垂れたまま何も言い返すことが出来なかった。
そこへマタンが僕の両頬にそっと手を伸ばし、顔を上げさせた。そこにはすぐ目の前でマタンが僕を見つめていた。
「だから、私にもノクスにしたい事、させて」

マタンは僕を立たせて壁まで押しやると自分だけ屈んだ。
ちょうど僕の股ぐらの前にマタンの顔がくる形になる。な、何を…。
するとマタンは僕のズボンのホックを外しそのままずるずるずる、と下ろし始める。

「うわあ!ちょっと何をするの、やめて!」
僕が慌てふためいてそう言うとマタンは逆に目を輝かせてにこにこ微笑むと、
「うふふっ。ホントはね、私も男の子の体ってどうなってるかちょっと興味あったの。
ファロに聞いても「あなた様がもう少し成長されたらお教えします」って言って相手にしてくれないし、
女王だから人目をはばかって調べたり聞いたりとか出来なかったの…。」

そうこうしてる内にパンツまで下ろされ、僕のお…、「そこ」がマタンの目の前に晒されてしまう。
マタンは僕のそれをぴんぴんと指先で弾き、
「わあ…ノクス、貴方のここ、思ったより小さいのね。私のムネとおんなじね、でも…可愛い」

「…っ…。」
僕は耳までまっ赤になるのが感じられた。あまりの恥ずかしさに思わず目をつむってしまう。
しばらくして僕は「そこ」に生温かいぬるぬるしたものが当てられるのを感じた。
「…へ?」
僕が目を開くと、なんとマタンが僕の「それ」を手で包み、先っぽを舐めだしているではないか!
「わ…!やめっ…!そ、そんなトコロ…、き…、汚いよ〜〜っ!」
僕は抗議するがマタンは聞こえてないのか、あるいは聞こえない振りをしているのか夢中で舐めている。

なんとも言えない感覚に責められているせいで僕は脚がガクガクしてきた。
マタンに舐められるにつれて僕の「それ」は硬さを帯び、みるみるうちに膨らんでいく。
それにつれてマタンも舐めるだけでは足らずに「それ」を咥えてしゃぶり出し、ついにははむはむと甘噛みしはじめる。
そ…、そんなことまでされたら…、うっ!この感覚はもしかして、ヤバい!
「う、なんか出…、ごめん離れてっ!」
「え、なあに?ノクス」マタンが僕の「それ」から顔を離したそのとき。

ぶしゅうううううッッ!!
「きゃああああああ!」
僕の「それ」から勢いよく噴射されたものがマタンの顔にぶち撒かれる。
それは白くてドロドロした液体だった。な、何コレ…!?

マタンは自分の顔にぶち撒かれたそれを手に塗りたくる。
しげしげと見た後指を広げた。ねちゃっ、と糸を引く。
マタンは妖しげな目つきをするとそれをぺろり、と舐め取った。

「き、汚いよっ…!」「うふふっ、美味し♪」

マタンが自分の顔に付いた白いドロドロをひとしきり舐め終わった後、僕はこれ以上恥ずかしいのに耐え切れずに口を開く。
「ね、姉さん、もう許して…。」「まだよ」

こ、これ以上何をしようっていうんだ〜!
さすがに限界を迎え僕は壁からずり落ち、仰向けで横たわる。
そこへ僕の顔の横へ何かがぱさっ、と落ちる。淡い青のレースのショーツ。
驚いたときにはマタンはすでに僕の身体の上に馬乗りになっていた。
マタンがたくし上げたスカートの中は何も穿いてはおらず、
毛の生えていないつるんとした「割れ目」から液が滴り脚を伝っていた。

女の子にはついてない、と知ってたけどこんな風になってるんだ…。
…なんて感心してる場合じゃない!

「今からしてあげるね。私が、ノクスに一番したい事」

マタンは腰を沈めて自分の「割れ目」と僕の「それ」を合せようとするが、
「スカートが邪魔でよく見えないよぉ…。」
なかなか上手くいかずマタンの下腹部が何度も僕の「それ」に当たり刺激されるものだから…。
うっ、また奥からさっきのが…!

ノクスの「それ」から今にも噴きあがりそうになったそのとき、ようやくマタンの「割れ目」がそれを咥えこむ。

ずぶちゅっ…、ぐちゅっぐちゅっずちゅっ!
凄まじい音をたててさっきの僕の白いドロドロがマタンの「割れ目」の奥に放出される。
「ふあああああん!ノクスが!ノクスがぁ!いっぱい!いっぱい私の中にはいってくるよぉ!」
「うわあああああ!は、挟まる!挟まるやめて―!」

マタンは激しく感じて腰を上下させる。そうするとマタンの「割れ目」が僕の「それ」に根元まで喰らい付いていく。

「あ、頭がもやもやするぅっ!も、もうダメえええええ!」
「僕ももう…、ダメっ…!うっ、うわあああああ!」

頭の中で白いものが爆発し、僕の意識はそれに飲み込まれた。
薄れる意識の中で何かが胸元に倒れこんでくる感触。耳に入るマタンの囁き声。
「んふ…、ノクス…、すき…、だい…すき……。」
「……ん……」
「お気づきになられましたか、マタン様」
マタンは自分のベッドで目を覚ました。ベッドの側にはファロが立っていた。
「ノクスは……?」
「夜明け前に再び来てみたところマタン様が一人だけで倒れられてました、
ひどい熱を出しておられたのでそのままベッドまでお運び致しました。
本日の御公務は無理です。……あんな行為に及ぶからです」

「そう…、…そうなのね。…ノクス…。」
(つられたとはいえノクスにあんな事をしてしまったわ、もう戻っては来ないのかも…。)

「ファロ…、恨んでる?私のこと。
私を護りたい、っていう貴方の意志を不意にしたの」
「…。―――弟君殿を求めるマタン様もまた、マタン様です。
恨むことなど私には出来ません。ただ…。」
「ただ…?」
「二度目は命令されてもお止め致します。それで―――あなた様に処断されたとしても」
「ファロ、貴方だけは…居なくならないで下さいね。今の私が頼れるのは貴方だけです」
そう言ってマタンはファロの頬に手を当て、慈しむように見つめた。目には少し、涙が浮かんでいた。


僕はノイグラード王城を脱出し同盟軍アジトへと続く獣道に近い道をひたすらに走っていた。
外は雨が降っていた。雨宿りすれば、とは分かっているのだが到底そんな気にはなれそうもない。
一刻も早く―――あの城から遠ざかりたい。あいつから逃げたい。その一心で走っていたそのとき。

「うわぁっ!」
僕は足を取られ地面に突っ伏した。

顔を上げると目の前には水溜りがあった。そこには自分の顔が映っていた。
雨に濡れた僕の顔。脳裏に似た顔が蘇る。そう、白い液でどろどろに濡れたあいつの顔―――
「ぁぁぁうわああああああぁあぁあ!!」

僕は魂がきしむような叫び声を上げ、水溜りをばしゃりと力任せに踏み抜いて再び無我夢中で走り出した。
女王マタン。あいつは…怖い。もう二度と会いたくない。

(終わり)
書けた!SS完ッ!
鬼畜で通すって言ってたのに途中で攻守逆転させちゃった…。
「二人でワルい事しちゃった…。」感をどうしても出したくて

この二人は双子姉弟としても他に例を見ない希少ケースなのでホント難航でした…。
正直SS初心者な自分には扱いかねる、と思ったけどひとつの仕上げになって安堵です、
また妄想湧いたら何か書かせて貰いますね、次回はポップン辺りがいいな…。

最後に。ここまで読んでくれた&感想下さった皆様お疲れ様でした。
570名無しさん@ピンキー:2008/08/21(木) 01:25:05 ID:SC9ihfNn
まさかの逆転マタン攻めwww
だが姉×弟属性持ちの俺としては非常にGJだ!!
571名無しさん@ピンキー:2008/09/05(金) 23:01:56 ID:JRC4rZTN
保守
572名無しさん@ピンキー:2008/09/28(日) 02:47:00 ID:EhRdgdMQ
保守
573名無しさん@ピンキー:2008/10/05(日) 22:21:25 ID:OXTj1zL3
職人さんに感化されて、自分もブラジャス書こうかな…。
かなりマイナーにアギオナ×マタンで…。どうだろう?
574名無しさん@ピンキー:2008/10/05(日) 22:43:20 ID:xMtGoeeO
アギオナ??と思って公式見てみた
個人じゃなくて機関って事は性教育と称したリンカーンも可能なのかな
おらwktkしてきたぞ!
575名無しさん@ピンキー:2008/10/06(月) 12:03:22 ID:VtBD6bPq
>>574 考えたんだけど、まさか同意(かな?)してくれる人が出るとは思わなかったんで折角だからアギオナ×マタンで書く事にするよ。
ただアギオナが一体何人の組織かはわからないから、機関総動員とかは出来ないな…。
とりあえずアギオナに所属する内の一人、とかでどうだろうか?
576名無しさん@ピンキー:2008/10/06(月) 12:05:02 ID:VtBD6bPq
>>574 ちなみに、リンカン物にするかも検討してます。
577名無しさん@ピンキー:2008/10/06(月) 20:34:22 ID:fv0gehw6
>>575
おおー頑張れ。期待して待ってるよ!
578名無しさん@ピンキー:2008/10/10(金) 17:34:10 ID:Tf41qr3G
とりあえず雑談でもしようか
ノクスってマングローブに集落をつくってそこに住んでたんだね。
そんなんじゃあ、悪い人達に見つかったら助けを求められないだろうに・・・。
579名無しさん@ピンキー:2008/10/10(金) 18:45:54 ID:vP0wSdbN
見てきた
なんという突拍子もない設定w
そんな所で別珍やレースやシルクなんぞ着てたら洗濯にも困るだろうに
アドフークが野生に帰っているのがさらに笑いを誘う

ブラジャス開始時点で既にエメとロークは死亡してそうだね
エメを亡くして悲嘆にくれるノクスにマラキアが性の手解き、とかありそうだと思ってたが無理臭いな
580名無しさん@ピンキー:2008/10/11(土) 10:26:33 ID:vkTiJoYG
悪い人に捕まったノクス マタンに女装させられあれやこれやの屈辱の日々

スレチくせえな 腐スレでやるべきか?これ
581 ◆eNOxMATins :2008/10/11(土) 12:49:16 ID:CfQhSF0e
王国を偵察しに港町までやってきたノクスが悪漢(=マラキアの子分)に絡まれている女の子を助けるが
報復としてマラキアに拉致されて(性的に)喰われちゃう話なら考えたけど

これ書くべきか迷ってる(´・ω・`)
582名無しさん@ピンキー:2008/10/11(土) 22:31:32 ID:3rPgBHXq
>>580
別に問題無い希ガス
583名無しさん@ピンキー:2008/10/12(日) 22:22:58 ID:nhvdc5qw
>>581 You!書いちゃいなよ!
584名無しさん@ピンキー:2008/10/29(水) 00:16:26 ID:vGQ06S9f
保守
585名無しさん@ピンキー:2008/11/06(木) 00:06:34 ID:buLAylCv
ファロ×マタンが読みたい
586名無しさん@ピンキー:2008/11/15(土) 22:01:21 ID:4zKxf/dO
保守
587名無しさん@ピンキー:2008/11/19(水) 21:56:39 ID:pEYf6F7v
女帝稼働記念保守
長女二人に虐げられる士朗が見てみたいような見たくないような
588名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 18:52:05 ID:7o2x5uHA
保守
589 ◆xdgBsiroro :2008/12/04(木) 23:03:48 ID:4o96qUJp
それは来るであろう
2年前と同じ日に……
590名無しさん@ピンキー:2008/12/04(木) 23:08:40 ID:b3hbE4yL
mjsk
全裸で待ってる!
591名無しさん@ピンキー:2008/12/18(木) 21:59:09 ID:sr/d27No
寺家庭用発売あげ
592 ◆xdgBsiroro :2008/12/19(金) 22:10:58 ID:PvhIeL0b
ごめん
神崎姉の名前がわからないと投稿できない
(間に合わせの仮名も考えたけどやっぱだめ)
つまり早くても次のアルカが出てからということで。
593名無しさん@ピンキー:2008/12/19(金) 23:36:37 ID:x2Vxw7/R
>>592
気にするな! 引き続き全裸で待ってる

神崎姉の名前何になるんだろうな…そもそも次のアルカで出てくれるのか
年末進行だからまた投稿イラストのみになりそうな気もするが
594名無しさん@ピンキー:2008/12/30(火) 16:17:21 ID:WWB8wWyY
圧縮回避保守
595名無しさん@ピンキー:2009/01/12(月) 14:16:44 ID:hJilhFRm
保守十六連打
596名無しさん@ピンキー:2009/01/28(水) 21:57:07 ID:hUDPlWpC
神崎長女の名前判明記念カキコ
紗矢だそーで。神崎父・弦士が迎え入れた養女で神崎兄弟の二番目らしい
超ヤンデレで義妹で士朗キケンむしろエリカ超危険
597 ◆xdgBsiroro :2009/01/29(木) 16:02:04 ID:DO/Me3m4
うむ見てきた
姉じゃなくて涙目
それでもなんとかしよう
598名無しさん@ピンキー:2009/01/29(木) 16:35:59 ID:LiVZD8qB
がんばれしろろがんばれ超頑張れ
待ってる
599名無しさん@ピンキー:2009/02/01(日) 02:00:40 ID:7LK47iNK
ふと思ったがトゥーリの面子には上だの下だのちゃんとついてるんだろうか
やつらは10人より増えも減りもせず15歳以上は生きられないという解釈なら
果たして第二次性徴や性欲なんてものがあるのかも怪しい訳だが
連れ去られたマルクトが調査目的であれやこれやされてても美味しいと思った
もちろん文明人らしく教育を受けクカルと家庭を持っててもよし
自殺しなくてはならないができないと思い知って精神崩壊したところを人形のように犯されてもよし
600◇xdgBsiroro:2009/02/03(火) 05:07:23 ID:Igemlpiz
>>598
頑張らせて頂きます。

先にちまちまやっていた過去ログの大幅更新が済んだのでこちらから報告。
http://ganymade.obunko.com/
去年までの作品を収録し、見やすく、使いやすくしてみました。
プラス、整理中に>>68からの達磨×ツガルで、>>375->>376の間のレスが
抜け落ちている事が判明+データも残って無いので不完全な状態

ということで、別の機会に真ん中くらいから書き直した分をあげてあります。
読んだ事ある方とない方がいるかと思いますが、ない方は是非暇潰ししてみて下さい。
他の作者様であげた分の手直しがしたい方などいましたら、倉庫に送り先を書いてあります
のでそこからメールで送ってもらえたら対応します。あまり無い事だと思いますし、
あくまで「最初からちゃんとした物をスレに投稿すべき」なので自分も今回限りにしたいところですが。
601 ◆xdgBsiroro :2009/02/03(火) 05:08:28 ID:Igemlpiz
いい加減ボケてきてんのかな
602名無しさん@ピンキー:2009/02/04(水) 00:46:33 ID:06FKByiZ
おお更新乙です
ボケってw
603名無しさん@ピンキー:2009/02/12(木) 23:04:31 ID:SsQ0UosU
いい加減ヤバいと思うんだ。
604名無しさん@ピンキー:2009/02/12(木) 23:30:17 ID:SsQ0UosU
スマソ
ageちまった…
なぜSが消えてるんだ…
605名無しさん@ピンキー:2009/02/13(金) 13:03:27 ID:Dd9TMdYD
B.BONE、T.BONE、Q.BONE、BABY.BONE辺りの話はここに…ないか
Bの中身が金髪美少女っていう話を信じてるんだ。
昔どっかのサイトで小説見た覚えもあるんだが…
606名無しさん@ピンキー:2009/02/25(水) 13:49:23 ID:Wyezkn0V
ほっしゅ
607名無しさん@ピンキー:2009/03/04(水) 17:06:53 ID:3fK4wAlM
保守
608名無しさん@ピンキー:2009/03/20(金) 13:21:21 ID:K/70WLNg
人いないな。
age
609名無しさん@ピンキー:2009/04/11(土) 18:59:04 ID:X3BqNmVk
保守
610名無しさん@ピンキー:2009/04/12(日) 12:13:58 ID:pvMqTPlt
保守ついでに。


はあ。はあ。はあ。
息切れしながら、酸素不足に顔を赤くさせつつも走って。走って。
家に入って、どたばたと部屋に戻り、鍵を掛けた。

「はぁ、はぁ、……はぁ〜〜……」

浴衣そのままの格好で、崩れ落ちる様にベッドに倒れ込む。
今日は本当にすごい日だった。あの人と、一緒にお祭りに行った。
「迷わない様に」って……その……手を、繋いでもらっちゃった。
すごく熱くて、しっかりしたあの人の手のひら。
握ってるだけで、心臓がばくばく言って、顔も真っ赤っ赤で……こっちも、熱くなってた。

「だめ……もう……だめえ……」

浴衣を脱ぐのも億劫で、帯の下の下半身の部分を捲る。
下着は既にびしょ濡れだった。そこを、あの人が握ってくれた方の手で、ゆっくりなぞった。

「ッ……!」

あの人に触られてる気がして、いつもより熱くて、一心不乱にそこを弄った。

わたあめ食べ合いっこした。一緒に花火も見た。その時、………体、寄せてもそのままでいてくれた。

「んっ、あっ、あぁっ、うっ」

好き。好きです。大好きです。あなたのことが。
でも、きっとあなたは気付いてないでしょう。私から言う勇気もありません。

でも、好きなんです。

「すきっ、すきぃっ! ずきなの……っ」

ふにゃふにゃな声を出しながら、強く下着を押す。
足から上ってきたじんじんが、腰を通って背中にまでびりびりする。

「あっ、あっ、あっ! すきぃ! だいすき……ッ!!」

一層指を強く押し込み、なにかがのぼってくる様な感覚のあと、
足をひくひくさせて頭のなかが真っ白になっちゃう波に乗った。

「はあっ、はあっ、はあっ……」

落ち着かない呼吸を繰り返しながら、私は既にびしょびしょになってしまった、
あの人に繋いでもらった手に、そっと口付けた。
そして、けだるい体をベッドで転がしながら、

「お風呂……入らなきゃ」

と、しみじみ思ったのでした。



千夏は天然でえろい子、異論は認める
611名無しさん@ピンキー:2009/04/29(水) 12:22:55 ID:q4uO/uwX
保守
612名無しさん@ピンキー:2009/05/14(木) 23:23:22 ID:flZ4vWEx
Driven Shooterの女性キャラ二人の百合はまだか保守
最初見た時紫のクリムゾン・ヴァイパーかと思ったよ
613名無しさん@ピンキー:2009/05/18(月) 20:44:42 ID:W1Tp/VeI
古いスレを救う会
614名無しさん@ピンキー:2009/05/30(土) 01:15:57 ID:FF7I87IN
救ってくれ
615名無しさん@ピンキー:2009/06/27(土) 22:32:34 ID:FzUBkQz0
保守
616名無しさん@ピンキー:2009/07/12(日) 01:48:46 ID:ALZALi5E
ピンクもっさり×ルルたん と言おうと思ったが流石にロリペド過ぎてアウトだな
617名無しさん@ピンキー:2009/07/17(金) 22:36:02 ID:zFxqPAn3
マルクトかわいいよマルクト
618名無しさん@ピンキー:2009/08/22(土) 23:57:04 ID:459iKQ9F
モニモニにハァハァ
619名無しさん@ピンキー:2009/08/31(月) 16:16:10 ID:foqGDr0h
懐かしいね
620名無しさん@ピンキー:2009/09/03(木) 11:18:33 ID:rGq+N9Br
保管庫死んだ?(´・ω・`)
621名無しさん@ピンキー:2009/09/07(月) 01:46:46 ID:yTgXMIpu
パソコンのデータを整理してたら未完成のSSが出てきたので、
少し加筆して完成させました。折角なので投下しようと思います。

元ネタはギタドラの「タラッタダンス」という曲なんですが、知らない人も多いと思ったので、
クリップと設定のリンクを貼っておきます。

クリップ
ttp://www.youtube.com/watch?v=In5lQkSeBWg
設定
ttp://www.konami.jp/am/gfdm/gfdmv/music/03_12/music_12.html
※ページを開くと音が出ます。

SSを呼んで下さる人は、参考に見てみて下さい。

NGは『festoso』です。
622『festoso』:2009/09/07(月) 01:47:38 ID:yTgXMIpu
 わたしには、この学校へ転入してきた時から気になる男の子がいる。
その子は、明るくて元気で、でも誰とでも仲良く出来る優しい人。
クラスでは、いつでも友達の輪の中心にいてみんなを楽しませるムードメーカー。
スポーツ、それもサッカーが得意で、休み時間になると特に仲の良い友達と
グラウンドを駆け回る姿がよく目に入った。
お昼の給食では友達と競争してるみたいによく食べているけど、
タマネギが苦手らしくていつもお皿の脇の方に除けては、先生に注意されている。
…ほかにも沢山。
その子を目で追っていると、色んな事が分かってくる。
性格とか特技とか、食べ物の好き嫌いとか。
始めはちょっと気になるなって程度だったけど、彼の事を一つ、また一つと
知っていく内に、わたしの中の気持ちも一つ、また一つと少しずつ大きくなって
いくのが分かった。
今ではもう、無意識に彼へと目を向けたり、彼の気を引こうと話題を探しては
必死に話し掛けたり、そして面と向かって話をすると顔が勝手に熱くなったり。
それ位に、彼への気持ちは大きくなっていた。
彼について知っている事も随分といっぱいになったけれど、本当に知りたい事が
まだ分からなかった。
それは、彼の気持ち。
どんな女の子が好きなの?
今、好きの女の子はいるの?
いるとしたら、それは誰?
勿論、そんな事本人に直接聞くなんて、出来る筈が無い。
どれだけ鈍感でもそんな事を聞かれれば、わたしの気持ちに気付いてしまう。
今はまだ、告白する勇気も、気持ちを知られる度胸も無いから。
だから、「きっかけ」が欲しい。
どんな些細な事でも良い。
勇気の湧く、私の気持ちに希望の持てる様な、彼の気持ちの欠片、それが知りたい。
彼―――ハルオくんの、気持ちの欠片が。
623『festoso』:2009/09/07(月) 01:48:01 ID:yTgXMIpu



 オレンジ色の太陽が、ゆっくりと地平線の裏へと帰っていく夕方の五時。
この日は、わたしやハルオくん、レイ君やナツキ――この二人はわたし達の
クラスメイトなんだけど、この二人を含めた仲の良い友達で公園に集まって、
フォークダンスの練習をしていた。
今は、後片付けをして帰ろう、としている所。
実は、近い内にわたし達の学校では運動会が開かれる予定になっていて、
そのプログラムの最後にキャンプファイヤーを囲んでフォークダンスの踊る、
というものが盛り込まれているので、折角だから練習してみようか、という事で
こうして日が暮れるまで二人一組になって頑張っていたと言うわけだ。
わたしの相手は、――ハルオくんで、ナツキはレイ君とペアを組んで練習した。
正直、上手く踊れていたかなんて全然分からなかった。
だって、ダンスをしている間はずっと、…手を握りっぱなしで、それで、緊張して
いたから…。
それが顔に出ない様に、一生懸命笑顔を――いや、楽しかったから笑顔になっていた
というのもあるけど、とにかく、顔にはハルオくんを意識している事を
出さないように努めた……つもり。
でも、確かに緊張もしたけど、楽しかったし、…嬉しかったというのも本当だ。
…好きな男の子と、一緒に踊れたんだから。
もしかして、言いだしっぺのナツキがわたしに気を利かせてくれたのかも知れない。
わたしの事は彼女には言ってないのだけど、…こういう事には妙に鋭い所があるから。
そのくせ、自分の事となると全然気が廻らなくなっちゃうのだから、
親友のわたしとしてはちょっと心配だ。
…まあ、ナツキの事はとりあえず置いておいて。
624『festoso』:2009/09/07(月) 01:48:30 ID:yTgXMIpu



わたしとハルオくんとで後片付けをしていると、ナツキが
「私達、これから用があるから先に帰るね」
と一言告げただけで、他の五人を引き連れて…というか引っ張って、
早々に退散してしまった。
有無を言わさずに帰られて、公園にはわたしとハルオくんの二人だけになる。
…本当にありがとうナツキ。
でも、あとはただ帰るだけだし、わたしの家とハルオくんの家は公園からだと
全く正反対に位置してるから、出来る事といったら別れの挨拶ぐらいしかない…。
本当は少しでもここに留まりたいけど、それはそれで不自然になってしまうから、
「…それじゃ、ハルオくん。また、明日ね…」
「ああ、それじゃな!」
渋々と挨拶をして、出口へと歩いて向かおうと、一歩を踏み出した。
625『festoso』:2009/09/07(月) 01:48:58 ID:yTgXMIpu




 途端。
「……痛っ!」
右の足首へ、鋭い痛みが走った。
思わず、その場に座り込んでしまう。
「お、おい。大丈夫か?」
慌てて、ハルオくんが駆けつけてくる。
靴を脱いで痛みを感じた方へ目を向けると、右足の付け根が赤く腫れていた。
知らない内に挫いてしまったのかも知れない。
「あちゃ、痛そうだな…。ちょっと待ってて。救急箱の中に湿布があった筈だから
ちょっと取ってくるよ。…無理に動かすなよ?」
患部を覗き込んで痛々しそうに眉を顰めながらわたしにそう告げると、
少し離れた所に置いてあった救急箱から湿布と包帯を持ってきて、
手当てをし始めた。
「…あ。い、いいよいいよ! その、じ、自分で出来るから…!」
「何言ってんだ。無理に動かすなって言っただろ。それに、人が手当てした方が
上手くいくんだから……ほら、動くなって!」
わたしは基本的に押しに弱い。そこまで言われると、断れなくなってしまう。
…そういうしている内に、手当てが終わってしまった。
普段からよく体を動かして傷を作っているからか、とても手馴れたものだった。
「よし、これでいいな」
包帯の端を蝶々結びで止めて、ハルオくんがそう言った。
「…あ、ありがとう」
間近にハルオくんがいると、意識してついどもり気味になってしまう。
「…ああ。それじゃ、ほら」
今度はわたしに背を向けて屈み、後ろ手を差し出してきた。
626『festoso』:2009/09/07(月) 01:49:20 ID:yTgXMIpu

これって…。
「そんな足じゃまともに歩けないだろ。……家まで負ぶって送ってってやるよ」
――やっぱり、そうだった。
「そ、そんな、いいって。大丈夫だよ。それに、家も反対方向――」
「バカ。こんな時に、家も何もあるかよ……それに、無理して悪化したら
どうするんだ。いいから、…乗りな」
繰り返すけど、わたしは押しに弱い。強めの口調にわたしは、
「…うん」
顔を赤くしながら、ただ、頷くしかなかった。
…でも。
こんな風に機敏に人を気遣ってあげられる子だから。
こんな風に人に優しくしてあげられる子だから。
わたしは、ハルオくんの事が好きになった。
それを、改めて確認する事が出来た。
そしてそれによって、わたしの気持ちが益々膨らんでいくのを感じていたのだった。
…ああ、顔が熱い……。
627『festoso』:2009/09/07(月) 01:49:40 ID:yTgXMIpu




 公園でナツキ達と別れた時から、大分日も沈んできた。
わたしはハルオくんに、…おんぶされながら、
長い影の先にある家へと至る途中の道を辿っていた。
「…………」
…さっきから、胸の動悸が全然収まらない。
どきどきしていたのは踊っていた時もそうだったんだけど、
今はその時よりももっと速く、強く打ち続けている。
もしかしたら、ハルオくんに聞こえてしまっているかも知れない…。
「…………」
気を紛らわせる為に、わたしから見えるハルオくんの後姿に注意を向けてみた。
わたしを支えている、ハルオくんの背中。
お父さんのと比べれば、幾分小さいのは当たり前だけど、
それでも男の子だからなのか、わたしからしてみれば随分と逞しくて、
頼りになりそうな感じがした。
それに、背中に触れている腕から伝わる柔らかい温かさは、まるで
ハルオくんの優しさをそのまま体温に表したものの様にも思える。
(わたし以外の女の子を、おんぶした事ってあるのかな…)
…ハルオくんがクラスの女の子をおんぶしながら楽しそうに話している
場面を想像すると、たちまち胸の奥が、ちくりと痛んだ。
「…………」
「…………」
それにしても、さっきからずっとこの調子。
公園を出てから、わたし達は一言も言葉を交わしていなかった。
わたしは、こんな状況で気軽に口が開くほど肝が据わってないから、
話し掛けたくても気が縮んでしまう。
でも、ハルオくんは一体どうしたんだろう。
こんな押し黙ったままのハルオくんを見るのは、初めてかも知れない。
628『festoso』:2009/09/07(月) 01:50:02 ID:yTgXMIpu

「………なぁ」
と、思っていると。
不意に、ハルオくんが話し掛けてきた。
でも……気の所為かも知れないけど、その声が何だか、震えている様な、
怯えている様な、…とにかく、いつも耳にしているそれとは
少し調子が違う気がした。
「ごめんな」
「…え、ど、どうして?」
何の脈絡も無く謝られて、戸惑ってしまうわたし。
わたし別に、ハルオくんに謝られる様な事、された覚えは………まさか。
もしかして、どこかでわたしの気持ちに気付いて、それをごめんって、事じゃ…。
そんな、まだわたし何もしてないのに……でも、まさか。まさ―――
「――足さ、怪我したのって、ダンスしてる時無理して俺の動きに合わせて、
捻ったりしたんだろ。だから、ごめんな」
……わたしの早とちりだったみたい。
それもそうだ。考えてみればいきなりそんな話持ち出すなんて不自然だし。
一人でオロオロして、…バカみたい。
「そ、そんな、謝らないで。わたしが上手く動けなかったのが
いけなかったんだから。それにわたしの方こそ、ごめんなさい……わたしが相手じゃ
練習にならなかったでしょ…?」
「そんな事ないよ。それに、俺は……」
「?」
「…………」
「……ハルオ…くん…?」
629『festoso』:2009/09/07(月) 01:50:22 ID:yTgXMIpu




 やっぱり、ハルオくんの様子が、少し変だ。
話し掛けてきた時の声色もそうだったけど。
もしかして、ハルオくんも何処か具合が悪いんじゃ…。
そんな事を考えていると、ハルオくんが深呼吸を一回して、口を開いた。
「…俺は、その……コハルと踊れただけで、嬉しかったからさ…」
「………え?」
「…実はさ、俺……踊りの練習なんて、どうでも良かったんだよ。
公園にも来る気はなかったんだ。……相手がコハルじゃなければ…」
え? え? あれ?
何だか、何処かで聞いた様な話なんだけど、いまいちピンと来ない。
ハルオくんが、一体何を言いたいのか。
混乱気味の頭の中で、ちょっと考えを整理してみる。
えっと、
ハルオくんは、わたしと踊れて嬉しかったらしい。
ダンスの相手がわたしじゃなかったら、練習には来ないつもりだった、らしい…。
……そ、それって、もしかして。
でも、そんな都合のいい話が――
「――この際だから言っちゃうけど、俺、コハルの事が……」
「…………」
630『festoso』:2009/09/07(月) 01:50:43 ID:yTgXMIpu



気持ちの欠片どころじゃない。
本心を丸ごと知ってしまった。
…信じられない。
絶対に、わたしの片思いだと思ってたのに。
だって、クラスにはわたしより可愛い子なんていっぱいいるし、
性格だって個性が薄いし、人に自慢できるような取り柄もないし…。
でも、この空気はそうだとしか―――

勝手に先走っちゃってるわたしは、ハルオくんの肩に乗せてる掌に汗を滲ませて、
顔をタコみたいに真っ赤にさせながら、その、次の言葉をじっと待った。
「………………」
「………………」
「……………………」
「……………………」
631『festoso』:2009/09/07(月) 01:51:09 ID:yTgXMIpu




 …そうこうしている内に、私の家に着いてしまった。
なのに。
ハルオくんの口から、一向に肝心の言葉が出てこない。
いつもは堂々として、なんでもハキハキ物を言うハルオくんでも、
こういう事を言うには、凄い勇気がいるものなのかも知れない。
(…しょうがないか。わたしだって、告白なんて怖くて出来そうにないもの…)
『やっぱり何でもない』
そうはぐらかされ、帰ってしまうかと思った、その時だった。
「……す、好きだ! コハルが、…転校してきた時から、ずっと、好きだった!」
632『festoso』:2009/09/07(月) 01:54:48 ID:yTgXMIpu




 「………あ」
生まれて初めて、告白された。
好きだって、言ってくれた。
しかも、わたしが片思いだと思い込んでいた相手から、…好きな人から、
好きだって言われた。
顔だけじゃなくて、今は体中が熱い。
きっと、全身真っ赤になってるだろう。
「……嬉しい」
「……え?」
ハルオくんの本当の気持ちを受けて、わたしの口が勝手に言葉を紡いでいく。
「…絶対に、片思いだと思ってたのに」
「…そ、それじゃ」
「……わたしも、好きだよ。ハルオくんのコト…」
「……コ、コハル…」
相手の気持ちを知った上での事だからなのかも知れないけど。
激しく打ち続ける動悸とは裏腹に、心の内はとても穏やかだった。
「……本当に?」
「…うん。ホント…だよ」
「……本当の本当に?」
「ホントのホントに、だよ」
何回も、本当に? 本当に? と聞き返してくるハルオくん。
わたしの方こそ、ホントにハルオくんがわたしの事を好きなのかを聞き返したい気分だ。
それ位にわたしもハルオくんも、「この事」を素直に信じられないでいる。
だって、ずっと好きだった相手にいざ告白したら、あっさりと「そうしそうあい」に
なっちゃんたんだから。
マンガやドラマなら、二人がくっつくまでに色んな事が起こって、
それこそ一筋縄じゃいかない大恋愛に発展するのに…。
現実では、わたし達の様な成り方が普通なのかな。
633『festoso』:2009/09/07(月) 01:55:11 ID:yTgXMIpu


 「…俺も、自分ばっかりが好きだと思ってた…」
「うん。…一緒だったね、わたしと」
わたしはハルオくんの言葉に思わず照れ笑いを見せた。ハルオくんは
恥ずかしそうに頬をぽりぽりと掻きながら、視線を横に逸らしてしまった。
ホントに、両思いなんだ。わたし達…。
何度もその事を確認して、わたしは少し、勇気を出してみた。
「ねぇっ、ハ、ハルオくん」
「ん? ど、どうした? コハル」
「ま、まぶたの所にゴミがついてるよ? ちょっと、目、瞑って? と、取ってあげる」
「え、あ、う、うん」
突然、関係ない事を言われて戸惑ってたけど、ハルオくんは頷いて、少し角ばった目を閉じた。
わたしは、向かい合ってるハルオくんのすぐ目の前に立つと意を決して、
「―――ちゅっ」
ハルオくんの胸に両手を置いて、真っ直ぐに閉じられた唇にほんの一瞬、わたしの唇を重ねた。
「!!」
わたしが顔を離すと同時に、ハルオくんが驚いて閉じていた目を開いた。
「コ、コハル…」
「あぁ…ドキドキしたぁ。その、イヤだった、かな…?」
告白してすぐにこんな事をして、気持ち悪がられないかと、少し怖かったけど。
「そんな、イヤじゃないよ! その、ビックリしたけど、嬉しかった」
「…ホント?」
「ホントだよ!」
「よかった…」
やっぱり、ハルオくんは優しかった。
「ファーストキス、ハルオくんに貰って欲しくてウソついちゃった。…ごめんね」
「ううん。その、コハル」
ハルオくんが少し強い顔でわたしを呼ぶ。わたしはその凛々しい表情に胸の動悸を
激しくしながら、返事を返した。
「なに? ハルオくん」
「…もう一回、してもいいか?」
「う、うん。いいよ……んっ」
わたしは目を瞑って顔を少しだけ上げると、暫くして、今度はハルオくんからキスしてきた。
634『festoso』:2009/09/07(月) 01:55:54 ID:yTgXMIpu


 「……んっ、うん、ふぅっん、ふっ…」
わたしの両肩に手を置いて、ハルオくんが何度もわたしの唇に押し当ててくる。
さっきわたしからした「それ」より少し大胆なキスにドキドキしながら、
わたしはハルオくんを精一杯受け止めていく。
「…んぅ、ちゅっ、ちゅぅ、んっふぅ、ちゅっ…」
ただ押し当てるだけのキスから少しずつ、吸い付くような、ついばむ様なキスに変わってきた。
唇が重なるごとに胸の奥の方が熱くなってくる。
気が付くと、わたしの方からもハルオくんの動きを真似して、ハルオくんの
唇に吸い付き始めていた。
635『festoso』:2009/09/07(月) 01:56:17 ID:yTgXMIpu
「…はっ、んちゅっ、んっ、はっ、んっちゅぅ、ちゅっ、はぁ…」
段々と、わたしとハルオくんの動きが激しくなっているような、気がした。
さっきよりももっと胸がドキドキして、息が荒くなっていくのを、感じた。
「…はぁ、はぁ…んっ、ちゅっ、ちゅっ、んはっ、ちゅぅ、ちゅちゅっ、ふぅっ…」
なんだろう。
とっても、イケナイ事をしてるような気がする。でも、とっても気持ちいい。
ハルオくんと…好きな男の子とこんな事してるって思うと、どんどんとハルオくんが
好きになっていく。もっと、こうしていたい。
「…はぁ、コ…ハル、ちゅっ、んっ、好きだ…っ、ちゅぅぅ…」
「んぅ、ちゅぅ、わたし、も…ちゅぅ、好き、はぁ、ちゅっ、大好きっ、ハルオくんっ、ふぁ…」
ハルオくんがわたしの事を好きって言ってくれる。
わたしも、自然とハルオくんへの気持ちが口から勝手にこぼれてくる。
口から「好き」という言葉が漏れるほど、胸が苦しくなる。
胸の中にハルオくんへの気持ちがいっぱい詰まって、今にも張り裂けそうだった。
636『festoso』:2009/09/07(月) 01:56:45 ID:yTgXMIpu
そのうち、わたしは自分でも意識せずに、ハルオくんの唇を舌先でトントンッと叩くと、
ハルオくんの首に腕を巻きつけて、同時に口の中に舌を入れていた。
「…ふぅん、ちゅるっ、はっ、ちゅっ、んぁ、ちゅぅ、ちゅぅ…」
自分でも、どうしてこんな事を知っているのか分からない。
ただ、もっと深くハルオくんと一緒になりたいと思ったら、こうしていただけだった。
ハルオくんはいきなりの事を驚いて体をビクッと震わせたけど、
すぐにわたしの舌に自分の舌を絡めてきて、わたしの体に脇の横から腕を回して、
わたしの体が潰れそうなほど強く抱き締めてきた。
「ちゅぶっ、ちゅっ、ふぁ、ちゅばっ、ちゅぅ、はぁ、ちゅぅぅ」
わたしの舌とハルオくんの舌が繋がった口の間で行ったり来たりする。ぬるぬると絡みながら。
少しざらざらしたハルオくんの舌がわたしの口の中をなぞって、戻っていく。
わたしはそれを追いかけて、今度はわたしの舌がハルオくんの口の中を動いて回る。
「ちゅる、ちゅばっ、はぁ、ぅ…んっ、ちゅ、ちゅぶぶっ、はっ、ちゅぅ、ぷっ、…ふぁぁ…」

 わたしとハルオくんは周りに人がいないのをいい事に、舌の付け根が疲れて動かなくなるまで、
唇を吸いあって、相手への想いを深め合っていった。
637『festoso』:2009/09/07(月) 01:57:16 ID:yTgXMIpu




 しばらくした後。
長い長いキスが終わる頃には、時計の針が一本の線の形を作っていた。
わたし達はしばらく互いを見つめながらぼぅ、としていたけど、
ハルオくんが思い出したように慌て始めた。
話を聞いたら、ハルオくんの家は門限がこの時間で、早く帰らないとすごく怒られるらしい。
本当はもっと一緒にいたかったんだけど、ハルオくんがそのせいで怒られるのは
わたしもイヤだったから、引き止める事はしないで、そのまま見送る事にした。

 「本当にごめんな、足の事。今日は無理しないで、休んでくれよ」
「うん、大丈夫。ハルオくんが手当てしてくれたから今は痛みも殆ど無いし、気にしないで」
重ねてわたしの事を気遣ってくれるハルオくんの優しさが、お互いの気持ちを
確かめた後だと、尚更胸の奥に染み込んでくるみたいに心地よかった。
638『festoso』:2009/09/07(月) 01:57:38 ID:yTgXMIpu


「あのさ、コハル」
「?」
「今更だけど、運動会の最後のフォークダンス、俺と踊ってほしいんだ!…ダメか?」
「そんな。いいに決まってるよ!…わたしはその、ハルオくんの、こ、ここ、恋人、でしょ?」
「!……ああ! そうだよな。ごめん、変な事聞いて」
「ふふっ」
「へへっ……それじゃ、また明日、学校でな、コハル!」
「うん、また明日、ハルオくん」
639『festoso』:2009/09/07(月) 01:58:13 ID:yTgXMIpu



 公園でみんなと別れた時はきれいなオレンジ色だった空も、
今は太陽が殆ど山の陰に隠れて、辺りはうっすらと暗くなり始めていた。
後ろを振り向きながら、わたしに手を振って家へと走って帰っていくハルオくんを
見送りながら、わたしは今日一日の出来事を振り返りながら、幸せをかみ締めていた。

 これから、ハルオくんと二人で何が出来るだろう。
運動会、文化祭、遠足、他にも色々。
学校行事だけじゃない。
一緒に学校の宿題をしたり、休みの日には二人で遊びに行ったり。
それに、今日みたいな事も…。
考え始めると、どんどんと楽しい場面が浮かんでくる。
とにかく、明日が待ち遠しくてたまらない。
早く学校へ行って、ハルオくんに会いたかった。
640『festoso』:2009/09/07(月) 01:58:35 ID:yTgXMIpu



 ハルオくんの姿が完全に見えなくなった頃、わたしは小さな声で呟いた。

「…大好きだよ。ハルオくん…」

彼への想いを全部、この言葉に詰め込んで――――



                             END
641621:2009/09/07(月) 02:01:55 ID:yTgXMIpu
これで終わりです。
完全に自分の趣味で書いたものなので、
楽しんで貰える人は少ないかもしれませんが、
もし気に止まったら読んでやって下さい。
感想なども頂けたら泣いて喜びます。
それでは。
642名無しさん@ピンキー
GOODJOB!