【妖怪】人間以外の女の子とのお話16【幽霊】

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1名無しさん@ピンキー
幽霊妖怪天使に悪魔、ロボットだってエイリアンだって何でもOK!
オカルト・SF・ファンタジー、あらゆる世界の人間以外の女の子にハァハァなお話のスレです。
これまではオリジナルが多いですが、二次創作物も大歓迎!
多少の脱線・雑談も気にしない。他人の苦情を勝手に代弁しない。

<前スレ> 【妖怪】人間以外の女の子とのお話15【幽霊】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1129137625/


<保管庫>
2chエロパロ板SS保管庫
http://sslibrary.gozaru.jp/
 →「オリジナル・シチュエーションの部屋その5」へどうぞ。

過去スレとか関連スレは>>2-5へどうぞ。
2名無しさん@ピンキー:2006/01/02(月) 15:52:51 ID://s029ds
<過去スレ>
【妖怪】人間以外の女の子とのお話14【幽霊】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1123248462/
【妖怪】人間以外の女の子とのお話13【幽霊】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1118943787/
【妖怪】人間以外の女の子とのお話12【幽霊】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1112711664/
【妖怪】人間以外の女の子とのお話11【幽霊】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1105867944/
【妖怪】人間以外の女の子とのお話10【幽霊】
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1102854728/
【妖怪】人間以外の女の子とのお話9【幽霊】
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1099739349/
【妖怪】人間以外の女の子とのお話8【幽霊】
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1093106312/
【妖怪】人間以外の女の子とのお話7【幽霊】
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1088018923/
【妖怪】人間以外の女の子とのお話6【幽霊】
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1084053620/
【妖怪】人間以外の女の子とのお話5【幽霊】
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1077123189/
【妖怪】人間以外の女の子とのお話4【幽霊】
http://www2.bbspink.com/eroparo/kako/1072/10720/1072019032.html
【妖怪】人間以外の女の子とのお話3【幽霊】
http://www2.bbspink.com/eroparo/kako/1065/10657/1065717338.html
【妖怪】人間以外の女の子とのお話U【幽霊】
http://www2.bbspink.com/eroparo/kako/1047/10479/1047959652.html
人間じゃない娘のでてくる小説希望(即死)
http://www2.bbspink.com/eroparo/kako/1046/10469/1046994321.html
3名無しさん@ピンキー:2006/01/02(月) 15:54:41 ID://s029ds
<関連スレ>
かーいい幽霊、妖怪、オカルト娘でハァハァ【その10】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1116162418/l50
【獣人】亜人の少年少女の絡み3【獣化】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1118598070/l50
【亜人】人外の者達の絡み【異形】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1098260654/l50
ロボット、アンドロイド萌えを語るスレ:α2
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1078822739/l50
触手・怪物に犯されるSS 7匹目
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1133253489/l50
猫耳少女と召使いの物語6
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1120675128/l50
魔法・超能力でエロ妄想 その2
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1093667653/l50
魔女っ娘&魔法少女で萌エロ (dat落ち)
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1091865265/l50
4名無しさん@ピンキー:2006/01/02(月) 17:12:25 ID:ykUvzy61
>>1
超乙。
5名無しさん@ピンキー:2006/01/02(月) 17:56:40 ID:YmZsXA9g
乙カレー
6名無しさん@ピンキー:2006/01/02(月) 18:37:29 ID:+L+YiH7f
>>1
7名無しさん@ピンキー:2006/01/02(月) 19:17:39 ID:bDE8P5cw
乙&星ゅ
8前スレ511:2006/01/02(月) 23:47:12 ID:YmZsXA9g
即死回避を含め投下
と言ってもエロまで到達出来ませんでした…orz
小型イタクァものです。人外要素は次に来ます。…多分
9名無しさん@ピンキー:2006/01/02(月) 23:48:01 ID:YmZsXA9g

吹雪…全ての命が凍え、消える世界…


その中に燃える様な二つの眼


ソレは出会ってはいけない者


まるで蜘蛛の巣に捕らえられた蝶


ヒトではどうしようも無い存在


これは確信


私はここで死ぬ


そして…全てが砕けた
10名無しさん@ピンキー:2006/01/02(月) 23:49:12 ID:YmZsXA9g

吹き荒れる雪…数m先すら見えそうにない…人が住む事の出来ない世界…外に出れば鼻水すら一瞬で凍り付きそうだ

そう…外に出れば
「ま、基地の中はまあまあ快適なもんだ」
…話し相手がいればな
コーヒーを飲みながら独り言を呟いた俺を数匹の犬達が見つめる
…そんな目で見つめるな。余計虚しくなるだろ
深い溜め息を吐いて犬共に餌をやろうとして…気付いた


吹雪の中に人が居るのを…


人?女?白い着物の… 違う…


…足が無い!?


「なんだ…あれ…幽霊!?」
馬鹿言え。俺は学者だろ!!そんなもん信じてどうする
見間違え…そう、見間違えだ!!
そう自分に確認してもう一度確認して…
そいつは倒れた…

「な!?ヤバいだろ!!」
さっきまでの恐怖も忘れて急いで基地から飛び出る
「おい!アンタ!!大丈夫か!?」
「人…?あぁ…そっかぁ…夢…」
そう言って瞼が降りていく
「おい!!寝るな!!寝たら死ぬぞ!!」
最近聞かなくなったテンプレの様な台詞を吐きながら往復ビンタを食らわせる
「い…痛い!!痛いって!!止め…」
目も覚めたみたいだし、このままここに居てもどうしようも無いので、取りあえず基地に連れて帰ることにした
…俺も寒いからな
11名無しさん@ピンキー:2006/01/02(月) 23:52:08 ID:YmZsXA9g

「はぁ…生き返る…」
毛布にくるまり、コーヒーを飲みながら呟く
お姫様だっこで基地にダッシュで連れ帰り、さっきまで飲んでいたコーヒーをくれてやったところで初めて相手の顔を確認する余裕ができた
歳は20代始め、高そうなコートを羽織り、整った目鼻…どちらかと言うと可愛い系で童顔…まぁ根も葉もない言い方をすると美人だった
一言で言うと可愛いOLという感じ
しかし何より安心したのは…
足がある。スカートから覗く細く、長く、白い足が…
やっぱり見間違いだったか…
あからさまにホッとした表情をする…
そうだよな…足がなくて着物なんて幽霊くらいだ
…そうだったら非常に困る
しかし北極にそこいらのOLの様な格好で居たこの女―日本語話しているから日本人か?―はどう考えても異常だ
「あ〜…取りあえず自己紹介するぞ
俺は後藤孝治。歳は27、独身現在彼女無し。職業は学者見習い。主に生物と環境専門だ。趣味は…」
「な〜んか合コンの自己紹介みたいですね」
途中で遮られた
「ゲフン…まぁ、気にするな
で、お前は?何者?」
12名無しさん@ピンキー:2006/01/02(月) 23:53:54 ID:YmZsXA9g

「あー…えーと…何者でしょう…?」
馬鹿にされているのか…
「…まぁ、質問を変えよう。アンタ名前は?」
「さぁ?」
「…どこから来た?」
「さぁ?」
「何で北極なんかに居るんだ?」
「さぁ?」
「…馬鹿にしてるのか?」
「さぁ? ……あ」
そこで俺はブチ切れた
「てめぇ!!折角助けてやったのに馬鹿にするのもいい加減にしやがれ!!また吹雪の中に放り出すぞ!!」
女の肩を掴み思いっ切り前後に振る
「ご、ごめんなさい〜」
頭がガクガクとなりながら謝っている。腕が疲れて開放した頃には完全に目を回していた
「あ…頭が…」
「もう一度チャンスをやろう…」
またさっきみたくふざけたら外に放り出すと付け加える
「そう言われても…何も覚えていないんですよ…」
「はぁ!?…記憶喪失ってやつか?」
「何かかっこいい響きですよね」
…ずれた女だな
「お前…危機感とか無いのか?」
「何にも覚えて無いと逆に落ち着くものみたいですね」
「…そういうものなのか」
少々腑に落ちないが…
「ですね〜」
非常に腑に落ちない…
13名無しさん@ピンキー:2006/01/02(月) 23:55:06 ID:YmZsXA9g

「まぁ、日本人だろ?」
「んー…日本語話してるからそうなんでしょうね」
取りあえず日本に連れて帰ればあとは警察なりなんなりが保護してくれるだろう
「一応迎えが来たら説明してやるよ」
「え?無線とか無いんですか?」
言わなければ良かった
「……」
「……?」
返事を待っている…言うしかないか…
「まぁ、壊れた…つーか壊した」
「…ドジですねぇ」
苦笑された
悔しい…頭のネジが二、三本抜けている様な女に、ドジと言われた事実が非常に悔しい
「迎えちゃんと来るんですか?」
「多分な」
「多分って…」
呆れた顔をされる…これも悔しい
「通信が途切れたんだ。数日したら来るだろ」
「それ…迎えと言うより救助…」
「……」
沈黙が…嫌な空気が流れる
「まぁ、そんな事より何か食べるか?」
我ながら無理やりな話の逸らし方だが
「あ、食べます!!食べます!!」
この女が馬鹿で良かった
「何あります?」
「あ〜…缶詰とか…レトルトとか…そのくらいだ」
「え〜…」
物凄く嫌そうな顔だ。まるで苦虫を噛めと言われた様な。ん?使い方ちょっと違うか…
14名無しさん@ピンキー:2006/01/02(月) 23:57:14 ID:YmZsXA9g

「文句あるのか?」
「いいえ。ありません」
追い出すぞと脅すとあっさりそう言った
缶切りを探す。どこ置いたっけな?
「あ、お肉食べたいです」
「贅沢言うな。太るぞ」
「ケチ〜」
聞き間違いかもしれない。だが、その後確かにそう聞こえた


貴方を食べたいな


ゾッとして振り返る
背中を嫌な汗がつたう
今の声は…いや、今の音は人の出せる音じゃないぞ!!
「今…今何て言った!?」
「ご、ごめんなさい!!まさかケチって言っただけでそこまで…」
「違う!!その後だ!!」
「え?何も言ってませんけど」
そんな馬鹿な!!あんなにハッキリと
「え?え?何?何、何?」
頭に幾つもの?マークを―目視出来そうなくらい―付けていた
…気のせい…か
今日は随分見間違えだか聞き間違えだかが多い
「あ、いや、何でもない」
「変な人ですね…」
お前には言われたくないと軽口を叩きながら缶切り探しを再開する


嫌な予感は冷えきらぬまま
15名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 00:00:45 ID:pnM8dE8p

無事缶切りを見つけ、無事食事も終えた…かに思えた
「おかわり」
満面の笑みでほざきやがった
「馬鹿かお前。ある訳無いだろ」
「え?もう!?」
「お前の分もあるから量が少なくなったんだよ」
あっさり突き放した俺に恨めしそうな顔で返す
「文句言うなら追い出すぞ」
「どうせ追い出す根性も無いくせに」
ボソッと呟きやがった
「てめぇ…何て言いやがった?」
「あ?聞こえた?別に何でもないですよ?」
「聞こえてたよ!!あいにく俺は地獄耳なんでな!!」
キレた。しかもマジギレだ
「聞こえてたんなら聞こえたって言えばいいじゃないですか!?」
「あぁ?ホントに放り出すぞ!!」
「やれるもんならやってみなさいよ!!さっきから放り出す放り出す!!そればっかりじゃないですか」
「―っ!!お望みどおりやってやるよ!!」
俺はそいつの首根っこを掴んで引き摺り出した
「え!?や…ちょっと!!」
抵抗するが所詮は女の力。かなう訳が無い
「外吹雪いてますって!!出されたら死にますって!!」
「知るか!!凍死しろ!!」
そう言って扉を力一杯閉めた
「けっ。せいせいしたぜ」
あ〜ムカツク。無線は壊れるわ、幻覚は見えるわ、幻聴は聞こえるわ、変な女はウザいわ…
16名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 00:03:43 ID:YmZsXA9g

数分間ぶつぶつ愚痴っていたらコンコンと扉を叩く音が聞こえた
「早っ…根性無しはどっちだよ」
扉を開けてやると背中に雪を積もらせて―あの数分でここまで積もったのか―凍えたあいつが
「ご、ごめんなひゃい…もう…愚痴言わないから…何でもするから…中入れて…」
そこで俺はピタリと固まった
「…わかったよ」
そう言った俺の顔には、物凄く嫌な―ニヤリという表情がよく似合う笑みが浮かんでいた


続きは数日以内に投下します!!
改行や文体が変なら言ってもらえると助かります
でわまたノシ
17名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 00:29:08 ID:pemycOur
>16
改行で間空けるときちょっと空けすぎかな?一行分で十分だとオモ。
それ以外は問題なっしんぐ。むしろGJ。
続きはなるべく早めにお願いします。
18名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 00:40:30 ID:RgLzDtb0
確かに一部改行変だw
年齢、彼女の有無、職業順の自己紹介はワロタ

GJや乙はエロ終わったらね、エロ無いと板違いだし
…でもこの板、エロ前に職人行方不明なんてざらなんだよな
19ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/03(火) 13:53:46 ID:OG8qjUw1
 ――事件前日――

 世界最強の仏教系退魔組織『闇高野』の総本山――
字面だけなら怪しさ大爆発な“そこ”は、文字通り怪しく不気味で辛気臭い所だ。
 まだ日本にこんな秘境があったのかと、誰もが目を疑うような、
うっそうと森の木々が生い茂る山の奥――伸ばした手の先も見えないくらい濃い霧の向こうに、
薄墨を溶かしたような神社仏閣の影が見え隠れしている。
冷たいそよ風が枝葉を揺らす度に、香の匂いと共に読経が聞こえるのは幻聴だろうか。
 そんな水墨画みてぇな世界の最深部に、その社はあった。
 浮浪者でも住むのを躊躇いそうな、どう見てもあばら家にしか見えないそこが、
この闇高野退魔師の頂点に位置する大僧正の御座だとは誰が信じられるだろうか。
正直、俺もいまだに信じ難い。つーか清貧もここまで来るとイヤミだぞ。
「わざわざ呼び出して悪かったのぅ」
 一応は、経文らしい文字が描かれた掛け軸や仏具が並んでいるが、
それ以外は外観に相応しいボロボロな社の中で、大僧正はすまなそうに頭をかいた。
 この枯れ枝を組み合わせて作った人形みたいな老人が、闇高野の最高指導者だとはねぇ……
人間、外見で判断してはいけないと言うが、ここまで如実な例も珍しいぜ。
「まったくだ。こう見えても忙しいんだぞ俺は。老人介護ってのは何かと大変なんだ」
 ひび割れた茶碗に注がれた白湯を飲みながら、俺は苛立ちを隠さずに言い返した。
まったく、どうせなら般若湯でも出せってんだ。
「とっとと用件を言いな。どうせ俺に拒否権はないんだろ?」
「わかってるのなら話は早いのぅ。実はな――」
 そこで聞いたのが、東京都心ビル街の外れで、
宗教型のレッサーバンパイアの姿が目撃されたという話だった。
「……ちょっと待て、それを退魔しろっていうのか? この俺に!」
「相変わらず、飲み込みが早くて助かるのぅ」
 ミイラみたいな大僧正の微笑みも、俺をイラつかせるだけだった。
「その辺をうろついてる退魔師を派遣すればいいだけの話じゃねーか!
わざわざ引退した退魔師を呼び出すほどの事か!!」
「そうするつもりだったんじゃがのぅ……
おぬし、例の“ツァトゥグア神”の『接触者』が出現したという話は知っておるじゃろ?」
「……一応はな」
 どこのどいつの気紛れなのか、今年の冬に入ってから“クトゥルフ神”、“ハスター神”、
“クトゥグア神”、“ツァトゥグア神”らの『邪神』達と接触し、その恩恵を受け取る者……
いわゆる『接触者』が出現したというニュースは、世界中の政府と退魔組織を震撼させた。
ただでさえ、邪神の力をほんの一部だが使いこなす者『資格者』が世界中で出現し始めたという事で、
ここ最近パニック状態にあったこの業界は、
この一件で世界の終わりが来たような大混乱状態にあるという。
情報操作が上手くいって、一般世間にはこの件がほとんど流布してないのが不幸中の幸いだろう。
 まぁ、引退した身分の俺にはどうでもいい話だが。
 ……いや、どうでもよかった筈だったんだが。
20ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/03(火) 13:55:22 ID:OG8qjUw1
「“接触者こそ、退魔必滅すべき世界の脅威”――そう考える者が、
ワシら退魔師の中でも日に日に数を増していたのじゃ」
「無理無茶無謀を通り越して無能、いや無脳だな、そいつら」
 俺は欠伸を噛み殺した。
 人間とその眷属が手に入れられる力、そして利用できる力を全て結集しても、
邪神の中でも最下級の存在にすら傷1つ負わせる事ができない。それはこの世界の残酷な真実だ。
もし奴等を少しでも怒らせれば、人類などナメクジを踏み潰すより簡単に滅ぼされるだろう。
「本物の邪神が言うと説得力があるのぅ」
「厭味言うな。どうせ俺は人間出身の邪神だよ……で、それがどうかしたのか」
 唾を吐きたくなる衝動に駆られたが、流石にそれは遠慮して、代わりに白湯をすすった俺は、
「つい先日、そうした世界中のタカ派の連中が、ツァトゥグア神の接触者を襲撃したのじゃよ」
 その瞬間、白湯を盛大に吹き出す事になった。
「汚いのぅ」
「げほっ! ごほっ! な、なんつー無茶な事しやがるんだそいつら!!」
「まったくじゃ。幸いにも襲撃は失敗に終わり、向こうからの報復行動も今の所は無いがの。
寛大な邪神と接触者で助かったわい」
 かっかっかと歯の無い口で笑う大僧正に、全然笑い事じゃねぇと心の中で毒づいた。
 いや、マジでこれは笑い事じゃねぇ。これが理由で人類が滅亡しても不思議じゃない――
いや滅亡しない方がおかしいほどの大失態だこれは。
「じゃが、代償として襲撃した者達は全滅。魂まで完全に破滅して復活や転生させる事もできぬ。
この一件で世界中の退魔師や戦闘能力者の四割が失われた。
しかもその大半が『上から数えて四割』の実力者だったというから困ったものでな」
 ははは……こりゃ報復が無くても人類滅亡するかもな。退魔業界は事実上壊滅寸前じゃねーか。
「不幸中の幸いは、ここ最近の邪神達の降臨に畏れを覚えたのか、
魔物達の活動が大人しくなった事かの。
おかげでこの惨状でも何とかなっておるのじゃが……深刻な人手不足なのは隠しようのない事実じゃ」
「……それで、俺が担ぎ出されたっていうわけかよ」
「そんなわけじゃな。おぬしなら目を瞑ってもできる簡単な仕事じゃろ」
「そう言って、今まで1度でも簡単な仕事だった事があるか!」
「ほっほっほ……」
 クソジジイはクソジジイらしく厭味に笑った。ちくしょうめ。
 それから少し真面目な顔になって、俺の目をどこかすまなそうに見つめたが、
どこが目なのかもわからないくらい皺だらけの顔なので、これは推測だ。
「……それで、やってくれるのかのぅ?」
「さっきも言ったが、俺に拒否権は無いんだろ」
 俺は傍らの錫杖を乱雑に掴むと、
「俺と平太の生殺与奪は、お前等に握られているんだからな」
 すくっと立ち上がり、これ以上話す事は何もないとばかりに背を向けた。
小さな溜息が聞こえたが、知った事か。
「……まだ、“幻夢境”に行く気はないのかのぅ……それで全ての問題は解決するのじゃが」
 まさに社から出ようとしたその時、大僧正がぽつりと呟いた一言に、
俺がすぐ返事をしなかったのは、イラついていたからだけじゃない。
「……知った事か」
 陳腐な捨て台詞は、自分の内心を誤魔化すためのものだった。
21ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/03(火) 13:56:26 ID:OG8qjUw1
 ――そんなわけで、俺は数十年ぶりの退魔業を執行する羽目になったわけだが、
まさかこんな事になるとは思わなかった。
 ひょっとすると、あの大僧正のクソジジイは、この事を予期して俺を送り込んだのかもしれない。
 はてさて、これからどうなるか……


3.『SHOOTING STAR』


「いよっ、メリーさん久しぶり! 相変わらず美人だねぇ! オマケするから何か買ってってよ!」
「あら、ありがと……じゃあ、このブリお願いできるかしら」
「まいどあり! この蜆(しじみ)もオマケしちゃうよ!」
 夕暮れの商店街は、ここ最近珍しいくらい見事な夕日がオレンジ色に彩っていた。
 枯れた下町の街並みも、こうして見ると趣が感じられる。何だか一句詠んでみたい気分だな。
 ……1度も詠んだ事ないけど。
 ちなみに今の俺は、深い藍色の留袖に、
髪は後れ毛を見せるように結い上げた純和風スタイルになっている。
私生活ではいつもこんな格好だが、やはり外人がこの格好なのは珍しいのか、
いつも通行人に注目される毎日だ。美人は辛いぜ。
「あの……Mさん」
 半歩斜め後ろを歩くS君が、どこかオドオドした調子で着物の裾を引っ張った。
いや、いつもオドオドしていたな、この子は。
「ん? 魚よりも肉の方が食べたかったかな」
「い、いえ……その、あの……ええと……」
「男の子なら、しゃんと話しなさい」
 通行人の視線が気になるので、意識的に静かに嗜めたが、
「はいいぃ!!」
 S君の反応は相変わらずだ。トホホ、周囲の視線が痛いぜ……
「その、メリーさんって……Mさんの名前なのでしょうか」
 なんだ、そんな事を聞きたいのか。
「一応な。本名はもう少し長いんだけどな」
「それは――」
「内緒だ。退魔師が本名教えるのは国際条約違反なんでね」
 機先を制して言い放つと、S君はたちまちしゅんとなった。わかりやすい子だ。
「そうだな、S君が故郷に帰る時にでも教えてやるよ」
「本当ですか!」
「忘れてなきゃな。ほら、自宅に着いたぜ」
 螺子回し式の鍵をきゅるきゅると回して、格子造りのガラス戸をカラカラと横に開けると、
懐かしい我が家の香りが鼻腔をくすぐった。
22ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/03(火) 13:58:24 ID:OG8qjUw1
 数十分後――
「はい、お待ちどうさま」
 ちゃぶ台の上に並べたブリ大根、茄子の素揚げ、ほうれん草の御浸し、銀シャリに蜆の御御御付を、
S君は異国の料理のような目で見つめていた。
いや、星間宇宙出身の“星の精”にとっては、異国どころか異星の食べ物なんだが。
「あー、やっぱり口に合わないかな。血液銀行から輸血用血液でも用意すれば良かったか?」
「い、いえ……大丈夫だと思います」
 おずおずといった感じで箸に手を付けるS君だったけど――
「いや、箸は2本一緒に同じ手で持つんだ。持ち方はこうね……
こら、食べ物は突き刺すんじゃない。あと左手をそえて。肘はちゃぶ台についちゃ駄目」
 案の定、異文化コミュニケーションは大変だったぜ。幸いにも食事は美味しいといってくれたけど、
半分はお世辞だろうな。やはり吸血鬼は生き血を糧にしないと調子が出ないだろう。
かといって御近所さんを生贄に捧げるわけにもいかないし、無事に帰郷するまで我慢してもらうしかないか。
「…………」
 夕食後、台所で食器を洗う俺の背中に、例のオドオドした微妙な視線を感じる。
さっき夕食を作っている間も、テレビでも見ててくれと言ったのだが、
ずっとS君は着物の上に割烹着を着た俺の背中を見つめていた。
ケツでも視姦されてるのかと思ったが、どうもそんな色気のある話じゃなさそうだ。
 後片付けも終わって、緑茶と塩羊羹の置かれたちゃぶ台を挟んで向かい合い、
さあこれからどうするかと考えた矢先に、
「あ、あのぅ……」
 S君の方から話しかけてきた。これは意外だ。
「Mさんって……その……あの……ですから……」
「男だったら――!!」
「ひゃあぁい!! え、Mさんっていつもそんな服装なんですか?」
「……は?」
「いえ、その……何だか町の人と違うような気がしまして……」
 やれやれ、そんな話か。
「仕事中――S君と会った時の黒袈裟は闇高野退魔師の制服だが、今着てる着物は普段着だ。
こう見えても100年前から日本暮らしなんでな」
 帯をぽんぽんと軽く叩いて、俺はS君に笑いかけた。
 まぁ、バリバリの西洋人で、自慢じゃないが乳もでかい俺じゃあ、正直和服はミスマッチなんだろうが、
一度身についた習慣はなかなか忘れられない。
 それに、あいつがこの格好を気に入ってくれてるからな……
「え、えーと、Mさんって“食屍鬼”さんですよね。それなのに、なぜ人間に変身してるのですか?
自分の意思で“食屍鬼”には戻れないみたいですし……」
「人間と魂を共有した代償さ。
よく熟した人間の死肉を1人分食べて、やっと小1時間“食屍鬼”に戻る事ができる。
他の生き物の死肉でも戻れるが、せいぜい数秒が限度だ。不便な話だぜ、まったく」
「人間と魂を共有した……?」
「詳しく話すと長くなる」
 何だか急に聞きたがりになったねぇ、S君。
「そ、それじゃあ……なぜ“食屍鬼”さんがこの国で退魔師さんをやっているのですか?
ぼくの記憶では地球の“食屍鬼”はみんなドリームランドへ――」
「言い難い事をはっきり聞いてくれるじゃねぇか」
「あ、え、その、ごめんなさい……」
「別にいいさ。さっきの人間と魂を共有した話とも絡めて教えてやるよ」
 お茶を一口啜ってから、俺は子供に夜伽話を聞かせるように語り始めた――
23ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/03(火) 14:00:52 ID:OG8qjUw1
 ――俺も始めから退魔師なんてヤクザな商売やってるわけじゃない。
これでも昔は純情可憐な花も恥らう乙女だったんだぜ。
「ははは」
 そーこーはーわーらーうーとーこーろーじゃーなーいーだーろー!!
「いひゃひゃひゃひゃひゃ!! ごふぇんなふぁあい!!」
 ゴホン……で、昔から月夜の墓場とかが大好きだった俺は、
気が付いたら人間から“食屍鬼”になっていたわけだが――
「い、意外にいいかげんな理由で邪神の仲間入りしたんですね……」
 それを言うな!!(ごつん!)で、地元の墓場で運動会したり、
試験もなんにもない“食屍鬼”生活をエンジョイしていたんだが、その頃、手痛い失恋って奴をしてな……
「痛たたた……え、Mさんにも、失恋するような時代があったんですね」
 どういう意味だそれは!!(がつん!)心に傷を負った俺は、傷心旅行も兼ねて世界中を旅していた。
だが、100年前にここ日本でドジこいてな。
ひょんな事から“平太”って人間の男と魂を共有する羽目になっちまったんだ」
「あうあう……な、何だか肝心な所を説明していないような気が……」
(ぽかっ!)意外にツッコミ体質だなS君……魂を共有した者同士は、
どちらかが死ねばもう片方も同時に死んでしまう。どんなに無敵の力を振るおうとも、
片割れを殺されたらその場で御陀仏だ。おまけに共有化の副作用で、
死体を食べない限り人間の肉体に変身してしまう体となった。
俺は世界で唯一、人間にも普通に殺せる邪神になっちまったのさ。」
「…………」
 ごちん!
「はうっ! ぼ、ぼく、何も言ってないのにぃ……」
 いや、その目が『何てマヌケな邪神なんだろう』って言ってた。絶対。
 とにかく、それがバレた俺と平太は、世界中の組織から命を狙われた。
本来、人間は邪神の脅威の前では身を震わせるだけしかできないんだが、
相手が『人間にも殺せる邪神』なら話は別だ。
そんな半端者が堂々と地上を闊歩するのを見逃してくれるほど、世の中は甘くないって事だな。
俺自身はどんな刺客が来ても平気だが、平太は普通の人間だ。
守りきるのも限界が来て、いよいよ2人揃ってあの世逝き……って所で、
手を差し伸べてくれたのがクソジジ――闇高野最高指導者の大僧正だった。
自分達の退魔業を手伝う代わりに、平太の身の安全を保障してやるって話を持ちかけてきたんだ。
何の事はねぇ。要約すれば『平太の命が惜しかったら奴隷になれ』ってわけだな。
だが、選択の余地はなかった。哀れ、魂の片割れを人質に取られた俺は、
他の“食屍鬼”のようにドリームランドに移住する事もできず、
許可が無い限りは人間の姿でいる事を強制され、人間どもの奴隷という境遇に堕ちたのでありました。
「…………」
 今度こそ、S君は無言だった。その瞳には同情と哀れみが入り混じった光が宿っていたけど、
それを厭味に感じさせない何かがあった。やはり美少年は得だな。
「まぁ、闇高野の使いっぱしりの立場は、数十年前に退魔師を引退する形で解消されたんだが……
例によって今回こうして担ぎ出されたわけだ。後はS君の知る通りさ」
「で、でもそれじゃあ……その平太さんが闇高野の人に殺されちゃったら、Mさんも……」
「そういう事だ。今、この瞬間にポックリ逝っても不思議じゃないんだぜ。そうなったら、まぁ、勘弁してくれ」
「そ、そんなぁ……!!」
 S君は本気で泣きそうな顔をした。
俺の身を案じているのか、その後の自分を心配してるのかは微妙なところだが。
「そんな顔をするなよ。たぶん大丈夫だから」
「え、しかし、それは……」
 大丈夫と断言するのにはそれなりの根拠があるんだが、それをS君に説明するのは躊躇われた。
余計な心配をさせる事が見え見えだからだ。
「大丈夫といったら大丈夫なんだよ!(ごつん!)はい、この話はおしまい!!」
「はいぃ!!」
 だから、この話は多少強引にでも終わらせる事にする。うん。
「……それなら別にゲンコツは必要無いじゃないですかぁ……ううぅ」
 やっぱりツッコミ体質だな、この子は。
24ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/03(火) 14:02:07 ID:OG8qjUw1
《明日の深夜2時に日本上空を通過する破棄された実験用宇宙ステーションについて、
合衆国政府は『落下地点は太平洋の無人海域であり、
環境に及ぼす影響は皆無』との見解を示しています。それについて落下地点周辺の島国は――》
「…………」
「…………」
 それからしばらく無言でお茶を啜り、塩羊羹を頬張る時が流れた。
最近ガタが来たテレビにはつまらないニュース番組が映っているが、当然俺は見てないし、
S君も番組を見るふりをしながら、ちらちらとこちらに話しかけるタイミングを伺っているのが良くわかる。
 俺は軽く溜息を吐くと、塩羊羹の刺さった爪楊枝をぷらぷらと振って見せた。
「それで、次は何を聞きたいんだ? 3サイズなら上から105・59・91だぞ」
 本当はウエスト62なのはナイショだ。
 最初から薄々分かっていたんだが、この子がさっきから俺にやたら質問しようとしているのは、
何でもいいから、とにかく俺とコミュニケーションを取りたいからだ。
ただ見た目通りの気の弱さから、こうして中途半端に様子を伺う段階で終わってしまうのだろう。
やはり、記憶を失ったまま1人異郷の地に放り出されるというシチュエーションは、
お子様には荷が重過ぎるらしい。
 それなら、こちらから歩み寄ってやるのが大人ってものだろう。
 S君はしばらく例によってオドオドしていたが、やがて意を決したように口を開いた。
「あ、あのぅ……聞きたい事とは違うのですが……その、お願いしたい事が……」
「何でもいいから言ってみな。言うだけならタダだぜ」
「ええと……それが……その、あの、実は……」
「男だったら一度決めたら貫き通せ!!」
「はぁいっ!! え、え、Mさん! その『俺』っていうの止めてもらえないでしょうか!?」
「……は?」
 ぽかんと口を開く俺とは対照的に、S君は黙り込むように俯いてしまった。
「だって……Mさんみたいな綺麗な女の人は……
俺なんて言わなければ……その……もっと魅力的だと……」

 ぎゅむっ

「うひゃあ!?」
 光の早さでS君の背後に回った自分は、力いっぱい彼の身体を抱きしめた。
 あ〜〜〜!!! も〜〜〜!!! 可愛い事言ってくれちゃうなぁこの子はぁ〜〜〜!!!
 うん、了解。それじゃ今後俺――じゃないあたしは、
一人称を『あたし』に変えます。ほら、あたしはあたしだよ。うむうむ。
 うふふふふ……それじゃあ一人称変更記念に、
もっと積極的にS君と『コミュニケーション』を取ってみようかなぁ……ふふふのふ。
「S君、そろそろお風呂に入ろうか?」
「え?」
25ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/03(火) 14:04:31 ID:OG8qjUw1
「ふひゃああん……あああっ…あっ……」
「うふふ、ここも気持ち良いのかなぁ?」
 白い湯気の充満する風呂場のタイル床の上で、あたしはS君と絡み合っていた。
 全身石鹸の泡だらけになったあたしの裸身を使って、S君の身体を隅々まで『洗って』あげると、
S君は泣きそうな顔で悶え、嬌声を漏らし、全身で喘いで、快楽に打ち震えてくれた。
白くて艶やかな首筋に舌を這わせて、薄い胸板を掌で撫で回し、自慢の巨乳で背中を洗い、
太もも同士を絡め合って、ペニスというには可愛らし過ぎるおちんちんを玉袋ごとマッサージしてあげると、
「え…Mさぁん……ぼく…ぼく……あああぅん!」
 うるうるした瞳で見つめながら、こんな可愛い声で鳴いてくれるんだよこれが!
あー!! もうたまらないぜぇ!!
「ぼくぅ…あうぅ……ぼくぅ……何だか…変に……ひゃうっ!…なっちゃいますぅ……」
「うんうん、それじゃあ、もっと変になっちゃおうねぇ♪」
 あたしはS君の両足を広げると、ぴくぴく震えるおちんちんと御対面した。
痛そうなぐらい勃起していても、あたしの人差し指ほどの長さもないおちんちんは、
先端までしっかり包皮で隠されている。
ふっと軽く息を吹きかけるだけで、ピクンっと生き物みたいに跳ねた。可愛い♪
「ああぁぁ……ぼ、ぼくのそれを……どうしちゃうんですかぁ……」
「ふっふっふ、ここはおねーさんに任せなさい」
 S君のおちんちんを指先でそっと摘み、十分に勃起しているのを確認したあたしは、
十分に唾液を溜めた口の中にそれを導いた。
「きゃうん!」
 たまらず甘い声を漏らすS君の腰をしっかり押さえて、舌先で器用に包皮を剥いでいく。
ある程度緩んだところで、唇を使って一気にカリ首まで包皮を剥いた。
「痛っ!!」
「ゴメン、痛かった? 大丈夫?」
「だ、大丈夫です……ああうぅ……」
 涙ぐんだ声で傾く健気な姿に感動したあたしは、カリに溜まった痴垢を綺麗に舐め取り、
「でも、これで大人のペニスになったね。このまま精通も迎えてみようか」
 勝手にS君を未精通だと決めつけて、いよいよ本格的にイジメてあげる事にした。
 ほらほら、こんなのはどうかな〜?

 ふにゅっ

「ひゃわぁん!!」
 悲鳴を上げて身体を仰け反らせるS君。
 ふふふのふ。初めてのS君に、
あたしの超ボリューム満点のオッパイを使ったパイズリは刺激が強過ぎたかな?
 勃起しても小さなS君のおちんちんは、あたしの胸の谷間に完全に隠れてしまっている。
それにしても、ただ挟んだだけでここまで反応してくれるなんて、ああ、ホントに可愛いねぇ〜♪
「ほらほら、まだまだこれからだぜ〜」
「あああっ! あうぅん! き、気持ち…良いです……ぅぅううっ!!」
 左右の乳房を揉み解すように刺激を与えてやると、S君はより大きく喘いで見せた。
 ……ううぅ……とはいっても、乳が性感帯なあたしにとって、パイズリは諸刃の剣なんだよなぁ……
普通、乳のでかい女は胸の感度が悪いって言うのに、
あたしの場合は身体中で一番感じるのはなぜなんだろう……
ああっ……もう乳首が痛いくらい立って、乳輪が膨らんじゃって……ひゃうっ!
……ああ……また母乳が出ちゃった……S君のお腹がミルク塗れだ……あふぅ!!
 自分がイキそうになるのを必死に我慢して、あたしはより淫猥に乳房を擦り上げた。
26ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/03(火) 14:05:55 ID:OG8qjUw1
「くふうぅぅ……な、何だか変ですぅ……出ちゃう…何か出ちゃいますぅぅ!!」
「……んっ……ほら、出しちゃいなさい♪」
「んぁあああああっ!!!」
 S君があたしの頭をぎゅっと抱き締めると同時に、乳房の間から純白の熱液が溢れ出て、
あたしの顔をたっぷりと汚してくれた……ああっ……ちょっと自分もイっちゃったかも……
「うふふ、精通おめでとう……たっぷり出したわね」
 頬を伝う精液をぺろりと舐め取って、あたしは妖艶に微笑んだ。
「……ああぁ……ご、ごめんなさい……」
「謝る必要はないわよ。それにしても……まだまだ元気そうだね」
 出したばかりだというのに、S君のおちんちんはピクピク震えながらも立派にそそり立っている。
うんうん、若いっていいなぁ。
「どう? このまま童貞も卒業してみようかな?」
 S君は顔を真っ赤にして喘ぎながらも、こくりと頷いて見せた。
 ううう……こんな可愛い男の子の精通だけじゃなく、童貞までいただけるなんて……
もぅお姉さん感動のあまり、考えただけでイキそうだよぉ♪
 歓喜に打ち震えながらも、優しくS君を仰向けに寝かせたあたしは、
天を向く小さな可愛いペニスの上に腰を落として、ヴァギナへと導こうと――んっと、あれ?
小さ過ぎて上手く入れられな……よし。
「じゃあ、いくわよ?」
「ああぅ……お、お願いします」
 息を荒く吐きながら、怯えるように小さく震えるS君の表情に満足したあたしは、
そのまますとんと、腰を落とした。
「きゃうん!!」
「ん……」
 たちまちS君が歓喜の悲鳴を漏らす。
根元まで一気に突き刺さってるペニスを膣口できゅきゅっと絞めてあげると、
あたしの身体を持ち上げそうな勢いで腰を浮かし、快楽のサインを教えてくれた。
 まぁ、正直言ってS君のおちんちんはあたしには小さ過ぎて、
ただ入れてるだけじゃあまり気持ち良くないんだけど、
こうして極上の美少年を“犯す”というシチュエーションは、何よりも背徳的な喜びをあたしに与えてくれる。
ちなみに、決してあたしのアソコがガバガバってわけじゃないからな!!
物理的にS君のおちんちんが小さいだけだぞ、コラ!!
「んはぁああああっ!! あああ……ぁああっ!!」
「うふふ……どんな感じかな?」
「なんだか…ああう……気持ち良過ぎて……っはあ! 頭の中が…真っ白にぃぃ……」
 騎乗位とはいえ、下手に腰を動かすとペニスが抜けそうなので、
三段絞めなどヴァギナの動きでS君のペニスを苛めてあげる。
ほんの数秒大人のテクニックを見せてやるだけで、たちまちS君は再び昇り詰めようとしていた。
「ああああぁぁぁ……Mさんっ! えむさぁあん……!!」
「いいわよ、ほら、イっちゃいなさい」
「出るっ……出ちゃうっ!!……あふぅうううううん!!!」
 ビクビクっとペニスが痙攣すると同時に、あたしの中に熱いザーメンが解き放たれた……
 精魂尽き果てたようにぐったりとするS君の頬を、あたしは愛しそうに撫でた。
「はぁ……はぁ……はあぁ……」
「ふふふ、どうだった? 童貞卒業の感想は?」
「はくしゅん!」
 返事は可愛いくしゃみだった。
 そういえば、風呂場で裸のままもう数十分経っているんだった。このままじゃ湯冷めしちゃうな。
よし、場所を変えて第2ラウンドといこうか♪
 あたしはS君をお姫様抱っこすると、意気揚揚と寝室へ足を向けた。
 ……何だか立場が逆のような気もするけどな……
27ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/03(火) 14:07:19 ID:OG8qjUw1
「……Mさん……んはぁああ……Mさぁん…えむさぁぁん……」
「うふふふふ……」
 それしか言葉を知らないように名前を呟きながら、
乳房にキスの雨を降らせるS君の背中を、あたしは優しく撫でた。
 古臭い裸電球が照らす殺風景な畳敷きの寝室も、
こうして布団の上で正面から繋がりながら抱き合っていると、
淫靡で蠱惑な快楽の園に見えてくるから不思議だ。
「ふわぁあああ……Mさぁん……おっぱい飲んでいいですか……」
「甘えん坊さんだなS君は」
 あたしとS君の身長差だと、正乗位のまま抱き合うと丁度S君の顔の正面にあたしの胸が当たる。
まるで赤ん坊に授乳するような気分で、S君に乳首を捧げた。
 ふっふっふっふっふ、これで完全にS君は堕ちたな。
 別にS君を快楽で虜にして利用しようとか考えてるわけじゃないけど、何せ相手は『邪神』だ。
気は許しても完全に油断するわけにはいかない。
こうして心理的に主導権を握る立場になれば、今後も何かと便利になるだろう。
「んはぁ…ぴちゃ…んんぅ……」
「……んんっ……」
 あっ……ううっ、ちょ、ちょっとおっぱい飲み過ぎだよS君……あたし、胸が弱いんだから……くうっ!
 やばい、ちょっと本気で感じてきちゃったかも……ああっ! 空いてる方の乳を……揉むなぁ……っ!
「ああっ……あふぅ…ん……こ、こらぁ…Sくぅん……」
 抵抗の声は自分の耳にも届かないくらい小さかった。
 今やS君は明確な態度で乳肉を愛撫し、舌で乳首を舐め絡めている。
そのツボを押さえた巧みな愛撫に、あたしは本気で感じ始めていた。
「ちょっと…ああっ!……え、S君ってばぁ……っ!!」
「どうかしましたか?」
 その声を聞いて、頭を上げたS君の顔を見て、正直あたしは息を飲んだ。
 S君は……こんなに明朗に話す子だった? あんな顔で笑う子だった?
 見る者全てを血と快楽で縛り、魂の奴隷とする邪眼――そう、それは『吸血鬼』の瞳だった。
「S君……だよね?」
「ああ、ごめんなさい。
さっきからぼくばかり気持ち良くなってばかりですね。Mさんにも満足してもらわなくては、ね」
 あのオドオドビクビクしていたS君は夢であったかのように、このS君は自信と活力に満ち溢れていた。
「Mさん、ちょっとだけ縛っていいですか?」
 ……はい?
「ななななな、何を言ってるのかにゃあああっ!!」
「いえ、Mさんの白い肌って荒縄が良く栄えると思うんです。ねぇ、お願いですからぁ〜」
 そ、そ、そんな台詞を言いながら胸を揉むなぁ!! ち、乳首をコリコリ弄るなぁ……っ!!
 もちろん断るつもりだったのに、思わず頷いてしまったじゃないか……バカぁ……
28ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/03(火) 14:09:08 ID:OG8qjUw1
 一体どこでそんなワルイコトを覚えたのかとツッコミ入れたくなるほど、S君の拘束術は巧みだった。
亀甲縛りの変形だろうか。全身を蜘蛛の巣のように荒縄が縛り付けているものの、
胸元は強調するように強く搾って、股間も剥き出しになっている。
足は自由に動くが、腕は後ろ手に縛られて全く動かせない。
少しでも身体を動かすと荒縄が肌に食い込み、適度な苦痛と圧倒的な拘束感を与えてくれた。
 自分の体から『自由』が無くなる不安と苦痛、そして屈辱――
 ――あれ? な、何だか身体の奥がじんじんと熱くなってきたような……
 ただこれだけで、自分の息が自然に荒くなっていくのがわかる。
まるで風邪を引いたように、全身が熱く火照ってきた……
 そんなあたしの様子をニヤニヤしながら見ていたS君は、
「ぼくの小さな性器では、Mさんは満足できなかったでしょう。申し訳ありませんでした。
お詫びに、これでたっぷり満足させてあげますね」
 そう言ってあたしの前に見せ付けたのは、大量のローターにバイブの数々……って、オイコラ!!
「ど、どこからそんなもん持ってきたんだー!?」
 混沌と不条理の化身、ぶっちゃけ『何でも有り』な邪神の一族に対して、
そんな無粋なツッコミを入れてしまったのは、あたしが所詮は人間出身の邪神である証拠かもしれない。
 S君は邪気たっぷりに無邪気な笑みを浮かべると、
あたしの両足をM字開脚に開いて、遠慮無しに覗き込んだ。
「うわぁ、よく見てなかったんですけど、女の人ってこんな形をしているんですねぇ」
「あああ、あんまり見るなコラ! 触るな! 息を吹きかけるなぁ……!!」
「今更何を言ってるんですか。いきますよ」
 くちゅ
「やぁん!」
 くそっ、うっかり可愛い声出しちまった……
 さっきまでのS君とのままごとみたいなセックスで、すっかり熟したアソコには、
もう愛撫は不用と見たのか、いきなりS君はローターをヴァギナの中に挿入してくれた。
それも1個や2個じゃない……って、そんなに入れちゃダメだってばぁ!!
ひゃうっ!! あ、アナルにまで入れちゃやだぁ!!
「……こ、こらぁSく…ぅん!! だめ…ああうっ!!」
「ははは、ずいぶん沢山入るんですね……じゃあ、次はちょっとキツいですよ」
 え? ななな、何を……ひぐっ!!
 激痛――しかし決して苦痛ではない痺れるような痛み――
オシッコの感覚を数百倍にしたような刺激の正体は、
尿道の奥まで一気に挿入されたスティックバイブだった……
 声も出せずにぱくぱく口を開くあたしを尻目に、S君の『お詫び』は着実に進行していく。
 ずにゅ!!
「きゃあああんっ!!」
 バイブが、おっきなバイブが、ろ、ローターをかき分けながらアソコの中に……
ふ、深いよぉ……ぅぐう…アナルにも入れるのぉ……く、苦しい……あああっ……
 もう髪の毛一本も入らないくらい、
あたしのヴァギナとアヌスはローターとバイブで埋め尽されちゃった……
 最後に、飾付けのように余ったローターを陰唇やクリトリスの上下左右に貼りつけて、
ようやくあたしを苛める凶悪な淫具の数々は在庫切れになった……みたい。
 まだスイッチも入れてないのに、下半身がドロドロに蕩けるような刺激が止まらない……
もし、スイッチが入ったら……あたし、狂っちゃうかも……
 しかし、それでもまだ終わりじゃなかった。
29ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/03(火) 14:10:39 ID:OG8qjUw1
 S君は残酷に飾り付けられたあたしの股間に顔を埋めると、
もうビンビンに立ってるクリトリスの包皮を剥いてくれた。そのまま舌先でチロチロと愛撫されちゃって……
「あふぅん……」
 頭の中が蕩けそうな甘い刺激……でも、それは、
 ぐぢっ!
「ひきゃぁあああああああっっっっっ!!!」
 一瞬で凄まじい激痛に変わった。
 痛い、痛い、いたい、いたい、いたいよぉ……ひっく……なにをしたんですかぁ……Sくぅん……
「すみません、ちょっとクリトリスに穴を開けさせてもらいました。僕の歯で、ね」
 にんまりと笑うS君の唇から、あたしの鮮血が滴った。
「動かないで下さいね。ちょっとリングピアスを付けるだけですから」
 いやぁ……そんなの嫌ぁ……そんな事されたら、あたし、もう戻れなくなっちゃう……
 すんすんすすり泣くあたしを尻目に、銀色のリングピアスはしっかりと装着された。
「ひっく…ひっく……いやぁ……」
「あああ、そんな泣いちゃダメですよ。ほら、すぐに痛み止めしてあげますから」
 笑顔でそう言ってくれたS君は――一気に全てのローターとバイブのスイッチを入れた。
「んぁはああああああああ―――!!! ダメっっ!! し、刺激が強過ぎ……止めてぇぇぇぇぇ!!!」
 下半身が爆発したかと思った。全てのローターとバイブがあらゆる種類の快楽で、
あたしの身体と精神を蹂躙する。何が痛みで何が気持ちいいのかもわからなくなったあたしは、
絶叫しながらガクガクと痙攣する事しかできなかった……
 ぷしゃああああああ……
 あああぅん……おしっこ……出ちゃった……S君笑ってる……
あんな子供に笑われてる……でも、気持ちいい……気持ちイイんです…
あああ、イっちゃう、またイっちゃう!! ひゃああああああああん!!!
 まるで男の人の射精みたいに、あたしのおっぱいから母乳が吹き出ちゃいました……
「おやおや……じゃあ、次はおっぱいを苛めてみます。いいですよね、Mさん?」
「は、はいぃ……お願いしますぅ」
 まだ止まらない下半身の激流に、あたしは夢うつつのまま答えた。答えてしまいました。
 ぴとっ
「きゃん!」
 突然、母乳で濡れた乳首に走った刺激――熱い!!……いえ、冷たい!?
 それは白い氷の塊でした。
「さっきはすみませんでした。今度はちゃんと冷やしてからやりますね」
 今まで体験した事のない刺激に、あたしはその言葉の意味を測り損ねていました。
 づぶっ!
「ひゃぐぅううう……!!」
 だから、さっきのクリトリスと同じように、S君の牙で乳首に穴を開けられても、
あたしは悶絶する事しかできません……
 ひゃううぅ……気持ちいいよぉ……痛いのに気持ちいいよぉ……さっきはあんなに痛かったのに、
おっぱいだとどうしてこんなに気持ちいいのぉ?
 頭の中が真っ白になっている間に、あたしの両乳首には銀色のリングピアスが輝いていました。
滲む血が母乳と混ざり合って、乳房を赤と白のマーブルに染めていきます。
30ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/03(火) 14:12:18 ID:OG8qjUw1
「ううぅ……酷いよぉ、Sくぅん……ひゃあああん」
「嫌ですか? それならいつもの様に、
ぼくをゲンコツで黙らせればいいじゃないですか。なぜそうしないのですか?」
 血と母乳が滲み出る乳首に、ねっとりと舌を絡めながら、逆にS君は聞き返しました。
「……え? あの、その、それは……」
「大人だったら、はっきり言うッ!!」
 ぐいぃ!
「きゃああああああぁん!!!」
 今までで最大級の痛みと快感があたしを襲いました。
いつのまにか乳首とクリトリスのリングピアスに糸を結んでいて、それを思いっきり上に引っ張ったんです。
限界以上に引き伸ばされた乳首とクリトリスは今にも千切れそうで、
あたしは力の限り腰と背中を浮かして抵抗する事しかできません。
「ひぎぃぃぃ……いひゃい…あはぁぁ!! だめ、ダメよSくふぅん……!!」
「それでは、はっきり答えてくれるまで、この大きなおっぱいを苛めてみましょうね」
 S君はそのまま糸を天井に繋げてしまいました……あぐぅぅ……痛いよぉ……
「えす……くぅん! んぁああうううっ!! 止めてぇ……苦しぃのぉ……」
「うるさいなぁ、これでもしゃぶってて下さいよ」
 むぐぅ……口の中にS君のおちんちんが入ってきます。
あたしは言われた通りに、頑張ってフェラチオを始めました……あたし、良い子でしょ?
だからお願いします……もっと優しくしてぇぐうぅ!!
 ぱぁん!
 打たれた! おっぱいを打たれた! S君が容赦なく引き伸ばされたおっぱいに平手打ちをします。
その度におっぱいが左右にぶるぶる揺れて、乳首が千切れそうになって、
乳房に赤い掌の痕が次から次へと――!!
 ぱぁん! ぱぁん! ぱぁん! ぱぁん!
「ふぐぅ!! ふひゃああんっ!! いひゃい!! いひゃあああ!!!」
「ははははは、打楽器みたいで面白いですね」
 おっぱいへのスパンキングは、たっぷり1時間は続きましたぁ……
「……ひぐっ……うううっ……えぐ……ひっく……」
「大人なんだから泣いちゃダメですよ」
 真っ赤になったおっぱいは、いつもの倍くらい腫れ上がっちゃいました……
あうううぅ……もうダメぇ……おかしくなっちゃうよぉ……
「こんなに赤くなっちゃって……それでは、もっと赤くしてみましょうか」
 いやぁ……やめてぇ……お願いしますぅ……
 涙を流しながらの懇願も、S君のおちんちんで言葉になりませんです……あがぁ!?
 ぼたぼたぼたぼた……
 熱い!! 熱い!! 熱い!! 熱いぃぃ!!!
「ほらほら、全体に満遍なく真っ赤にしてあげますからねぇ」
 S君が赤い蝋燭に火をつけて、熱く溶けた蝋をあたしのおっぱいに雨みたいに降り注いでいきます!!
真っ赤なしずくがおっぱいに当たるとじゅっと広がって、すぐに固まっておっぱいを覆っていくのぉ……
「いひゃああぅうううう……あふい! あふいれふぅぅぅ!! んぐぅぅぅぅ……!!」
「あんまり暴れると、乳首とクリトリスが本当に千切れちゃいますよ……
あはは、何だか真っ赤な塔みたいですね。どれくらい高くなるかな?」
「……取って…とってぇぇぇ!!……あつぃのほぉぉぉ!!」
「仕方ないなぁ、じゃあ取ってあげますよ」
31ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/03(火) 14:14:33 ID:OG8qjUw1
 ぴしぃ!!
「――ッ!?」
 あまりの痛さに言葉もでませんでした。
 ぴしっ!! ぴしぃ!! びしっ!! ぴしぃ!!
 鋭い刃物で切られるような、閃光的な激痛――
「はぐぅうううううう!!!」
「なんですか、せっかくお望み通りに蝋を取ってあげてるのに」
 S君は少し唇を尖らせると、また乗馬鞭を振りかざしました。
 ぴしっ!! ぴしぃ!! びしっ!! ぴしぃ!!
「ひぎぃ!! あひゃぅ!! いひゃあ!! あはぁああっ!!」
 おっぱいから真っ赤な蝋が弾け飛ぶと、その下から赤い筋の走った赤く腫れた乳房が顔を出します……
どこまでも真っ赤に染まっていくあたしのおっぱい……
あたしの頭の中も真っ赤っ赤になっちゃって、
胸の痛みとバイブで責められるアソコの気持ち良さがぐちゃぐちゃに混ざって、
何が痛くて何が気持ち良いのかもわからなくなっちゃって――
 ぼたぼたぼたぼた……
「熱ぁあああッッッ――!!!」
「蝋は全部取れましたよ。それじゃあ、また蝋燭の続きから――」
「いやぁああああ……」
 おっぱいを灼熱の蝋が覆い隠して、それを乗馬鞭が叩き落す――その繰り返しが延々続きましたぁ……

「――どうですか? そろそろあの質問に答えてくれてもいいと思いますが」
 数時間後……あれから有刺鉄線で縛られたり、唐辛子の絞り汁を塗られたり、
乳首に電流を流されたり……たくさん、たくさんおっぱいを苛められたあたしは、
もう返事をする事もできませんでしたぁ……
 ぷるぷる痙攣しながら乳首から断続的に母乳を吹き出す事しかできないあたしに、
S君は冷たく輝く“それ”を見せてくれたの……
 長さ30cmを超える、十数本の鋭い針を……
「いやぁああ……やめてぇ……いやぁ……」
 S君が何を考えているのかよくわかります……やめてぇ……こわい、こわいよぉ……
「今更何を怯えているのです?
さっきまでおっぱいを散々苛められながら、あんなに何十回もイってたのに」
「……違うのぉ……それは……アソコの…バイブが……気持ち良くってぇ……」
「何言ってるんですか。もうとっくの昔にバイブもローターも抜いてありますよ」
 ……え?
「気がつかなかったんですか? Mさんは乳首とクリトリスを吊られたまま、
ずっとおっぱいを拷問されるだけでイキまくっていたんですよ」
「あああ……ぁあああ……ああぁぁ……」
 ……ぁぁあああ……あ……あはぁ♪
 やっぱりそうだったんだぁ♪
「もう一度聞きます」
 S君はあたしのおっぱいを針で突付きながらぁ、にっこりと笑いましたぁ。
 生き血を啜る悪鬼の笑みで――
「どうして、こんな酷い事をされてるのに抵抗しないのですか?」
「……気持ち良いから……苛められるのが、痛いのが気持ち良いからなのぉ……!!!」
 あたしも、それに負けないくらい一生懸命笑いましたぁ。
 歓喜の涙を流しながら笑いましたぁ……
「はい、正直に言えましたね……では、次の質問……この針をどうしてほしいですか?」
「刺してぇ!! その針であたしのおっぱいを貫いてくださいぃぃ!!!」
 S君はとってもいい子です。すぐにあたしの言う通りにしてくれましたぁ……
「あぎゃあああああああ――!!!……ぁ♪」
32ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/03(火) 14:15:29 ID:OG8qjUw1
「――さて、そろそろとどめを刺して上げましょう」
 1めーとるくらいの高さに、一本のロープが水平にはられましたぁ……
ろーぷにはこぶがたくさんあって、とってもとってもきもち良さそうです♪
 あたしはそれをまたぐように言われましたぁ……
おまたにロープがくいんで、とってもとってもきもちいですぅ……
爪先立ちでたたないと、足が床にとどかないのでぇ、すっごく食いこむんですよぉ……
「それじゃあ、出発進行!」
 Sくんはぁ、クリちゃんとちくびちゃんに繋いだ糸をひっぱりながら歩きだしましたぁ……
ひゃあん♪ くりちゃんと乳首ちゃんをひっぱられてぇ、あたしはあわててあるきましたぁ……
うぅん…ぁはあぁ……つまさきだちなので早くあるけませぇん……
歩くとロープがこすれてぇ、コブがアソコをひっかいてぇ、とってもとってもきもちいいのぉ♪
でもぉ、いちばん気持ちいいのはひっぱられてるクリちゃんとちくびちゃん!
ちくびちゃんが引き裂かれそうになっちゃってぇ、血とおっぱいがだらだらぽたぽたきもちいいのぉ♪ 
あああっだんだんあるくのがはやくなってきたぁ……あるくのが追いつけないよぉ……
クリちゃんがぁ…ちくびがひっぱられてぇ……もう…もうおいつけないよぉ……
おまたが気持ちよくってちくびがきもちよくって倒れちゃいそう…
ああっあっもうだめいたいいたいきもちいいきもちいいいたいきもちいい良いイイイイよぉ!!!
「あああああ―――ッ!!!」

 ぶちん!!
33ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/03(火) 14:16:19 ID:OG8qjUw1
「――さん! Mさぁん!! しっかりして下さい!!」
 脳内麻薬に快楽物質バリバリな時間は、唐突に終わった。
 どうやら気絶していたらしいあたしは、S君に揺り動かされて目を覚ましたものの、
「……あはぁ…Sさまぁ……もっと苛めてくださ――って、うおわぁ!?」
 自分の状況に気付いて慌てて飛び起き――飛び起きようとして、思いっきりずっこけた。
「だ、大丈夫ですか!?」
 いてて……縛られているのを忘れてた。
 どうやら快楽のあまり気絶した事が、逆に理性を取り戻す目覚しになったらしい。
 それにしても……あんなプレイまでしちまうとは……
さ、流石に照れくさいというか穴があったら入りたいというか……
「ごごごごめんなさい!! ごめんなさい!!
ぼ、ぼ、ぼく、どうしてあんなに酷い事をしちゃったんでしょうか!?」
 S君はまだ取り乱したままだけど、どうやら普段の気弱なS君に戻ったようだ。
 ――これは後でわかった事だが、母乳と血液は成分的にはほとんど同じという事を忘れて、
うっかり母乳を飲ませたのが、あのS君の性格変貌の元凶らしい。
生き血がS君の吸血鬼としての本性を増大させて、あのサディスティックな人格を生み出したわけだ。
うーん、食事に血を出さなくてよかった……
とにかく、これからS君に生き血(と、それに該当する物)は厳禁だな。うん。
 ……まぁ、ほんのちょっとなら、また苛めて欲しい気もするけど……
「ごめんなさい!! ごめんなさい!! ごめんなさい!! ごめんなうごぁ!?」
 両手が使えないので、とりあえず踵落としでS君を黙らせる。
「いいから、早く縄をほどく!!」
「あうあう……は、はいぃ!!」
 慌ててあたしのロープを解こうとするS君を見て、ベッドの上ならともかく、
日常生活ではとりあえず主導権は奪われていない事を知り、あたしは安堵の溜息を吐いた。
34ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/03(火) 14:18:15 ID:OG8qjUw1
 ――からんからん……

「…………」

 ――からんからん……

「……Mさん、お客様みたいですよ」
「ううぅ……誰だこんな時間に……」
 布団から身体を起こし、目を擦り擦り柱時計を見ると、午前2時を指していた。
 あれから自分の身体を治療して、荒れ放題の部屋を片付けて、
やっと寝付いたばかりだというのに……睡眠の概念が無いS君はともかく、
人間としての習慣が身に付いたあたしは、ちゃんと夜に睡眠を取るんだぞ。ふざけやがって……
 とにかく、こんな時間に呼び鈴鳴らすなんざ、ろくな奴じゃない事は確かだ。
「S君、あたしの背中から離れないようにな」
「は、はい」
 寝巻の襟を整えながら、あたしは玄関に足を運んだ。

 ――からんからん……

「どちらさまですか?」
 酔っ払いだったら一発かましてやると心に誓いながら、あたしは物静かに玄関の向こうへ声をかけた。
「山田平太さんのお宅ですか。こちら退魔機関の者ですが」
 普通なら何の躊躇いもなく110番するだろう返事に、あたしはガラス戸を蹴り開ける事で応じた。
同時に発射した針は、狙い違わず向いの人影に――

 ……ふっ

「!?」
 ――命中する直前、針は空中に溶けるように消滅した!?
「酷いわねン、敵対するつもりが無いから、奇襲もせずにこうして正面から来たんじゃない」
 巨大な腹が――じゃない、巨大な人影が野太い声を放った。
どんな狂暴なヤクザも尻尾を巻いて逃げ出しそうな迫力のある声なのに、
どんな泣き虫の子供も笑いかけるだろう愛嬌のある声だ。
 巨大な筋肉の塊を、より膨大な脂肪の塊で包み、無理矢理人間の形に押し込めたような巨人だった。
身長は2mを軽くクリアし、体重は300kgを超えかねない。
一目でイスラム圏の人間とわかる民族衣装は、今にも内側から弾け飛びそうだ。
ターバンを巻いた頭の下には、子供が見たら絶対トラウマ間違いなしの狂暴な髭面が鎮座している。
 でも、その瞳には限りない優しさと確かな理性があった。
「Mちゃん久しぶりねン♪ 元気してた?」
 ばっちんと音が聞こえるくらい濃厚なウインクを送った相手には、確かに見覚えがある――最悪な事に。
 イスラム圏最大の退魔組織『アズラエル・アイ』所属の最上級戦闘退魔師――
 世界最高位の『砂使い』――
 その実力は組織でも3本の指に入るという、世界最強の退魔師の1人――
「……アルタン・ボブロフ中尉……ッ!!」
35ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/03(火) 14:19:30 ID:OG8qjUw1
 あたしは戦闘用装備を封印していた魔法針を発動させて、
一瞬で黒袈裟に錫杖という退魔師スタイルに変身した。間髪入れずに、錫杖の突きを叩き込む。
狙い違わず、先端の尖った錫杖の穂先は深々とボブロフ中尉の心臓に突き刺さり――それだけだった。
 押し込めない!?
 抜けない!?
「もう、乱暴ねン。アタシは戦う気はないって最初から言ってるでしょ?」
 思わずずっこけそうなくらい緊張感の無いオネエ言葉で、髭モジャの大男は口を尖らせた。
「口先だけで信用する馬鹿だと思ったか?」
「だったら呪いの針でも何でも刺してみたら? アタシが敵対したらすぐにでも殺していいわよン」
 言ってくれるぜ。ならお望み通りにしてやろうじゃねぇか。
 すぐに吹き出した呪い針は、真っ直ぐにボブロフ中尉の額に突き刺さり、ずぶずぶと埋没して消えた。
これで奴が敵対した瞬間、その魂は跡形も無く消え去るだろう。
「なぜお前がここにいるんだ? お前の縄張りは西アジアだろうが」
「最近は退魔師も人手不足なのヨ。アタシもこんな極東の地に召集されるとは思わなかったわン」
 大僧正の言葉が頭に思い浮かんだ。
 だが、単なる人手不足なだけで、こいつほどの大物を呼ぶとは思えねぇ。
「ツァトゥグア神の『接触者』の話は知ってるでしょ? アタシはそれ絡みでこの国に来たわけヨ。
でも、その前にちょっと闇高野の大僧正サマにお願いされちゃって。モテる男はつらいわねン♪」
 だーかーらーウインクやめい!!
「あ、あのぅ……お客様ですか?」
 その時、トンチンカンな事言いながらS君が恐る恐る背中から顔を出したが、
ボブロフ中尉が笑顔で手を振ったら、すぐにまた背中の陰に消えてしまった。
「あれが例の“星の精”くんね? なかなかカワイイ子じゃなイ♪」
 陽気な口調とは裏腹に、奴の瞳に今までと違う種類の光が宿った。
「もう、ダメじゃない。迷子の邪神さんを保護したら、ちゃんと上に連絡しなくっちゃン」
「断る。あたしはもう御山に戻れる立場じゃねぇんだよ」
「ワガママなんだから、もう……
それとも、それも邪神特有の人間には理解できない異次元の思考ってやつかしらン?」
「てめぇ……」
 思いっきり睨みつけてやると、ボブロフの野郎は慌てた調子で両手を振った。
バナナかグローブみてぇな手の平だ。
「気を悪くしたらごめんなさい。でも信じてン。アタシは邪神さんに対しては穏健派なんだから。
別にMちゃんや“星の精”君と敵対しようとなんて思ってな――」
 ぴたり、と両手の動きが止まった。
 あの福笑いみたいな笑い顔も消えた。
 そこにいるのは、あらゆる魔物を『狩られるもの』の立場とする、世界最強の退魔師――
「……なるほど、そういう事だったのネ」
 すっとグローブのような拳がこちらに伸びた。
「前言を撤回するワ。Mちゃんと敵対する事になっても、
その子を強制的に保護しなくちゃいけないみたいネ……」
 その手が開くと、さっき俺が確かに射ち込んだ呪い針が、半分にへし折れていて――!?
「場所を変えましょ。ここでは御近所迷惑だワ」
36ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/03(火) 14:23:13 ID:OG8qjUw1
 ――『砂使い』――
 そう呼ばれる術師が存在する。
 しかし、砂使いといっても、奴等が行使するのは普通の砂じゃない。
 SFが好きな者なら、ナノマシンという言葉は御存知だろう。
ナノ=100万分の1という単位が頭に付く事からわかるように、分子レベルの超小型な機械の事だ。
ブロック遊びのように物体の分子構造を直接組み替える事で、土くれを金に変え、山々を砂塵と化し、
空気から命を作り出す――まぁ、これは極端な例だが、
理論上は物質的に不可能な事は何も無い、夢の機械だという。
 砂使いが行使する砂とは、いわば魔法的なナノマシンだ。
 “砂蟲”と呼ばれる原子核よりも小さな魔法生物は、
どんなナノマシンよりも精密な原子変換を可能とする。
しかし何より恐ろしいのは、単なる物質だけではなく、
魔法や超常能力のような非実体的な存在の構造までも、自由自在に変質させる事ができる点だ。
 物理的にも魔法的にもあらゆる存在を自在に操る――それが砂使い。
 そうした砂使いの中でも、世界最高の実力を持つ使い手が、あの男――
「いい月ね、故郷を思い出すワ」
 ――アルタン・ボブロフ中尉だ。
 満月が見下ろす夜の波打ち際――塩気の混じった闇色の風は身を切るように冷たく、
月光は万物を青白く染め上げる。淡々と続く細波の音は、海の子守唄を連想させる。
そして足元に広がる砂の波線――
 砂使いとの戦いだと考えれば、なかなか洒落たシチュエーションかもしれない。全然嬉しくねぇが。
 それにしても……まさかこんなに早く、しかもボブロフ中尉ほどの大物が来るとは見通しが甘かったぜ。
やはりブランクがあると甘い考えになっちまうのか?
 その辺に魚の死骸でも転がっていれば、それを食って一瞬でも“食屍鬼”に戻って瞬殺できるんだが、
どこを見渡しても魚どころかフナムシ一匹いなかった。
どうやらあらかじめあのデブが排除しているらしい。くそったれめ。
「な、な、何だかよくわかりませんけど……とにかく頑張って下さい〜」
 思わず力が抜けそうなS君の応援が、後方の岩陰から聞こえたのを合図に、
あたしは10mほど前方に対峙するボブロフ中尉に錫杖を向けた。
 万物の構造を自在に制御する砂使いの能力は確かに厄介だが、弱点が無い訳ではない。
砂蟲で物質や魔法の構造体を1つずつ操作するという性質上、
どうしても発動から効果が出るまで時間がかかるのだ。
 つまり、砂使いを相手にした時は――
(速攻が定石!!)
 ヨーイドンの合図も無しで、あたしはいきなり針を放った。
御近所の目が無かったら、こうして対峙する前に奇襲を仕掛けていただろう。
 音速を遥かに超えるスピードで、ボブロフ中尉に数千本もの針が迫る。
この距離でこのスピードなら、砂蟲を使う余裕も無――

 ふっ……

 ――無い筈だった。
 まるで焼け石の上に置いた雪片のように、
数千本の針はボブロフ中尉の目の前で溶け消えた……って、マジかよ!?
 ちっちっちっと、わざわざ声に出してボブロフ中尉の人差し指が振られた。
「無駄無駄よン。アタシの可愛い砂蟲ちゃんの前では、
核ミサイルを落とされようが大陸消滅級の魔法をかけられようが、
専用の呪的防御を施さない限り、どんな飛び道具も遠距離魔法も無効化されちゃうんだから♪」
 ふ、ふざけんなコラ!! なんつー無茶苦茶な砂蟲の高速制御力だ。
世界最高位の称号は伊達じゃねぇって事か……様々な呪的兵装で防御してある、
あたしの肉体そのものを操られる事は今の所無いようだが、それも時間の問題だろう。
 こうなったら奴を倒す方法はただ1つ。直接ぶん殴るしかない。闇高野式退魔剣法ならば、
砂蟲による防御効果を無視してダメージを与えられる……と思う。
 他に手があるとしたら、対ナノマシン用の術を付与してある針ぐらいのものだ。これは3本しか無いが、
相手に直接刺しても、3本の針を刺した個所を結んだ三角形の結界に相手を入れても効果を発揮する。
だがその効果は、砂蟲の動きを遅くする程度のものしかない。
 ……やはり、ここはぶん殴る方で行くか。その方が性に合ってるしな。
37ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/03(火) 14:27:11 ID:OG8qjUw1
 あたしの瞳が金色に濁る。“影踏み”の発動だ。まずは相手の様子を見る為に、設定時間は『1秒後』にする。
ボブロフ中尉ほどの実力者を相手にする場合、あまり離れた時間を見ると、
現在からのタイムラグ中に攻撃される危険性が増すからだ。
 すぐに視界が灰色に転じて――
「!!」
 そこに映し出された1秒後の光景は、目の前に迫るボブロフ中尉の巨体だった……
……って、ちょっとまて、1秒後!?
 強烈なぶちかましを食らったと気付いたのは、軽く数十mは吹っ飛ばされて、
波頭の中に頭から落下してからだった。
 ぐおおおおおおおお……
 全身の骨がバラバラになったような衝撃――これは形容表現じゃねぇ。
水死体みたいにプカプカ浮かんでいたあたしは、しかし次の瞬間、追撃されたらやばいとばかりに、
死に物狂いで起き上がった。慌てて錫杖をデブ野郎に構えるが――
(いない!?)
 砂浜に、ボブロフ中尉の姿は影も形も無かった。
「こっちよン」
 ありえない方向からの陽気な声。愕然と上空を見上げると、
満月を背に夜空に浮かぶ巨大なデブという、シュール過ぎる光景があった。
 いや、空中浮遊の術など珍しくも無いんだが、今のボブロフ中尉の動きに、
そんな無粋な術の存在はまるで感じられなかったのだ。
普通なら、空中浮遊の術を使えば、魔力の発動やその痕跡が感じられる筈なんだが……
 ばん!!
 ボブロフ中尉があのでかい手を拍手するように叩いた――刹那、猛烈な風圧と砂塵が顔を激しく叩き、
反射的にあたしは目を逸らした。くそっ、奇襲せずにわざわざ声をかけたのは、これを狙ったのか。
 目を逸らした時間は半瞬にも満たなかったが、ボブロフ中尉には十分だろう。
腰を掴まれた――そう感じた瞬間にはあたしの身体は凄まじい勢いで上空に引き摺り上げられ、
一瞬の浮遊感の直後、上手投げの要領で眼下の海に放り投げられた。
 どこをどうすればこんな投げ方ができるのか。水平に吹っ飛んだあたしは水面を2・3回バウンドして、
モーゼよろしく体で20mは海を割り、最後に砂浜に頭からめり込んでようやく停止してくれた。
「…………」
 悲鳴が声にならない……全身がミンチどころかスープにでもなった気分だ……
仰向けのまま半分砂に埋まったあたしは、瞼を開くのにも渾身の力を込めなければならなかった――
――って、足? 巨大な足の裏が目の前に迫
 ぐしゃ
 ……相撲の四股をイスラム圏の人間が知ってるとは思わなかったぜ……
そしてそれはダウン攻撃としては実に有効だった。食らった者が言うんだから間違いない。
「ッ!!」
 しかし、グシャグシャになったのはあたしのキュートな顔面じゃなかった。
「……流石ね、アタシの利き足殺されちゃったワ」
 しかめっ面で引っ込めたボブロフ中尉の右足の甲は、あたしの針でグズグズにされていた。
 ざまぁみろ、あたしの美貌に足蹴だなんて失礼な事するからだぜ。
 その隙に飛び上がり、間合いを離して再び錫杖を構え直す。くそっ、ダメージで足が踊ってやがる……
 ……思い出した。アフガンだかアフガニスタン地方には、
“航空相撲”と呼ばれる特殊な空中格闘技が存在するという。
あのデブは、その航空相撲で現役時代は大関の位まで行ったとか……
 ちくしょう、奴の本領は接近戦だったのか。
あの『アタシに遠距離攻撃は効かないよ』とわざわざ口に出して言ってたのは、
自分の得意な間合いへ持ち込む為の誘いかよ!
「正解よン。でも、そういう事はあまり相手の目の前で言わない方がいいと思うけど……」
 うるせぇ、野暮なツッコミするんじゃねぇ。
 だが、これで接近戦での直接打撃攻撃は有効である事が証明された。
ナノマシン使いならお約束の超高速再生能力でも、
退魔剣法の力を宿した針の傷はなかなか癒せないようだしな。
 奴を倒すには……あえて敵の得意な間合いでやりあうしかない!!
 肝を据えたあたしは、震える足に渇を入れて、あえて堂々とボブロフ中尉の元に歩み寄った。
瞳は金色に濁らせたままだ。影踏みを使って未来予知しながら戦わないと、
とてもあの化け物とは正面から殴り合えない。
かといって、奴の『過去』を攻撃するほどの猶予は与えてくれないだろう。この方法でいくしかない。
 あたしの意図に気付いたのか、ボブロフ中尉の体がぐっと沈んだ。相撲の立会いを想像すればいい。
あのぶちかましを2度も食うのは御免だと、右に回り込むように足を運び――
38ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/03(火) 14:28:18 ID:OG8qjUw1
 巨体が旋回した!!
 爆発するように砂塵が舞い上がる。
 あの巨体でどうやったのか不思議なくらい低い姿勢からの前掃腿。
 咄嗟に錫杖を突き立てて防御する。
 腕が芯まで痺れる衝撃。
 錫杖がへし曲がった!?
 よろけた所にアッパー気味の掌底が鳩尾に深々と入る。
 血反吐を吐きながら空中に浮くあたしに張り手の追撃が。
 そこで針を放った。
 例の砂蟲の活動を鈍らせる針を超至近距離で。
 張り手が円を描くように旋回する。
 針は明後日の方向に弾かれた。
 出鱈目な反応速度だ。
 その隙に錫杖を叩きつける。
 狙いは左足。
 命中。
 錫杖は左足の脛に食い込んだ。
 骨にひびくらいは入っただろう。
 しかしその代償は大きかった。
 巨大な両手があたしの両脇を捕らえた。
 万力以上の圧搾感。
 全ての肋骨がへし折られた。
 まだ手は離れない。
 絶体絶命。
 でも好機。
 今度こそ目の前のごつい顔に吹き針を食らわせてやる。
 発射。
 同時にごつい顔が消えた。
 針は虚空に飛んでいく。
 首から上を仰け反らせて避けたのか。
 そう気付いた時には頭突きを食らっていた。
 女の顔に酷い事をする。
 お返しに思いっきり金的を蹴り上げた。
 両手の拘束が緩む。
 するりと鰻のように抜け出した。
 抜け出した筈だった。
 しっかり掴まれた右足首が握り潰される。
 激痛。
 それもまだ序の口だった。
 視界が大回転する。
 ジャイアントスイング。
 片手であたしの体を振り回している。
 どこまで放り投げられるのか。
 放り投げられなかった。
 その場に叩きつけられた。
 今度こそ体中の骨が粉々になったと思う。
 指一本動かせない。
 無理矢理動かす。
 顔を覗き込むボブロフ中尉のでかい顔にお返しの頭突き。
 命中。
 ほんの僅かボブロフ中尉の動きが止まる。
 チャンス。
 あたしの体のダメージでは最後のチャンス。
 最後の対砂蟲用の針。
 最後の一本。
 それに全てをかける。
 置き上がりざまに針を撃つ――
 え?
 体が……動かな――
 最後の希望の針は、無情にもボブロフ中尉の体をかすめて飛んで行った……
39ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/03(火) 14:30:59 ID:OG8qjUw1
 な、何が起こった? 今度こそ本当に、指一本動かせない!?
「はい、タイムリミットよン♪」
 金縛り状態のあたしを、ボブロフ中尉の不敵な笑顔が迎えた。
「……な……こ…れ……は……」
「アタシの可愛い砂蟲ちゃんが、ようやくMちゃんの体の支配を完了したのヨ。
ずいぶん強力な呪的防御だったわね。かなり手間取ったわ」
 砂使いとの戦いは速攻勝負――それが定石だ。それに失敗すると、こんなザマになる……
「さすがMちゃんネ、十八番の接近戦でここまで遅れを取るなんて初めてだワ」
 本気で感心したように傾いてくれたが、それは勝者の余裕というものだ。
確かに誰もが勝敗は決したと判断するだろう。
 だが――
「……ま……だ……終……わ…っ……ちゃ……い……ね…ぇ…ぜ」
「諦めが悪い子ねン。もうMちゃんの肉体は原子核の1つまで完全に主導権を奪って――」
 びゅうっ
 渾身の力を込めて放った長針は、ボブロフ中尉の顔をかすめて夜空の彼方に消えた。
「……まだそこまで動けるとは、さすがは『邪神』……でも、今度こそ本当におしまいヨ」
 ボブロフ中尉の笑顔が消えると同時に、今度こそあたしの全身は凍り付いた。
あたしの時間だけが停止したと表現するのが的確かもしれない。
本当に、今度こそ、あたしは何もできない。
「あなたは後で大僧正様の元へ送ってあげる。クール宅急便で良いわよネ?」
 ふざけんな、せめて貴重品割れ物注意にしろ。
 もう全てが終わったとばかりに背を向けるボブロフ中尉に、
心の中でそんな悪態を吐く事しかできない……それは残酷な真実だった。
「……右足は針でズタズタだし、左足にもヒビが入ってるわネ。
砂蟲ちゃんでも回復できないなんて、退魔剣法って厄介ねン」
 むしろ楽しそうに呟くと、ボブロフ中尉はびっこを引きつつゆっくりと歩き始めた。
 S君が隠れている岩場の方へ!
 しかし、そんな絶体絶命の状況に、あたしは何もできない。
 本当に、何もできない。
 ――いや。
 何もする必要がない――
「そんな所に隠れても無駄よン。隠れん坊は子供の頃から得意――!?」
 ボブロフ中尉の歩みが止まった。その福笑いみてぇな笑みも止まった。
40ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/03(火) 14:32:26 ID:OG8qjUw1
 砂浜のあちこちに刺さった3本の針同士が光の線で繋がり、その中心にボブロフ中尉がいる――
そう、あの格闘戦の最中にあたしが放った『砂蟲の活動を低下させる術』を付与した針だ。
それは直接刺さなくても、3本の針で囲んだ結界に相手を入れても効果を発揮するって、さっき言ったろ?
「これは……まさか!?」
 慌ててデブ野郎は結界の外に出ようとするが、足を負傷した奴は素早く動けない。
 そして、最後のとどめは――

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……

 夜の大気が脈動する。
「あれは!!」
「え? ええ? えええっ!?」
 ボブロフ中尉が闇色の空を見上げた。何処からかS君の悲鳴も聞こえる。
 満月が2つに増えていた。
 いや、満月に匹敵する巨大な光源が。
 夕方のニュースを覚えているかい?
 丁度この時間、上空を破棄された実験用宇宙ステーションが通過すると……
それを最後のとどめに使わせてもらった。
 “影踏み”の力で、今、この瞬間、あの場所にボブロフ中尉がいる事を知り、そこに結界を展開する。
そして、さっき最後に発射した長針で、上空の宇宙ステーションを打ち落とす――
この瞬間、結界の中のボブロフ中尉へ落下するように!!
 今や夜空は真昼以上に明るくなった。天上から迫るは、
大気との摩擦熱で赤熱化した宇宙ステーション――巨大な真紅の流れ星。
「くっ!!」
 ボブロフ中尉が両手を上空へ突き出した。
おそらく砂蟲で宇宙ステーションを消滅させようとするつもりか。
普段のボブロフ中尉なら、それも可能だろう。しかし、結界の力のよって砂蟲の動きは封じられていた。
この場から逃げようにも、両足は満足に動かせない――
 砂の魔人が灼熱の空へ吠えた。
「うぉおおおおおおお―――!!!」
「黙って逝け」

《本日未明、○○海岸に落下した実験用宇宙ステーションについて、
政府は『人的被害は無かったものの、落下地点半径数百mが壊滅し、
周辺環境に与えた損害は極めて深刻である』と合衆国政府に対して正式な抗議を――》
41ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/03(火) 14:33:53 ID:OG8qjUw1
「……おーい、S君生きてるか〜? 死んでても返事だけはしろ〜」
 全てが黒焦げになった灰燼の砂浜を見回して、あたしは軽く肩をすくめた。
 やれやれ、我ながらひでぇ戦い方をしたもんだ。こういう派手なやり方は性に合わないんだがな。
「……え、Mさぁん……何が一体どうなったんですかぁぁ……」
「おや、無事だったか」
 もう砂なのか砂利なのか岩だったのかよくわからん黒焦げの残骸の中から、
S君が這い出てきたのを見て、あたしは安堵の溜息を吐いた。こっそりと。
「……まぁ、当面の危機は脱したぜ。とりあえずそういう事にしといてくれ」
「は、はぁ……ところで、あの太った男の人は――」
「さぁな」
 俺は軽く首を振った。
 その辺の黒焦げの残骸のどれかなのか、跡形も無く消滅したのか、
どちらにしても無事じゃ済まないだろう。とりあえずはリタイアの筈だ。
 それにしても……ボブロフ中尉がいきなり俺に喧嘩を売ってまで、
S君を保護しようとした理由は何だったんだ? とても穏健派とは思えない行動だぜ。
言動も何かと不自然だったし……
 まぁ、今は考えるよりも先に、この場を逃げ出すのが正解だろう。
野次馬どもも集まってくるし、ボブロフ中尉クラスの追っ手が追撃に来るかもしれない。
すぐにでもS君と共に身を隠さなければならない。
 だがしかし――それ以上に最優先しなければいけない事がある。
 あたしはS君の肩をがっしり掴んだ。
「S君」
「は、はい」
「犯らせろ」
「……はい?」
「今の戦いで“影踏み”を使いまくっちゃって……
副作用で……身体が疼いて……もう我慢できないのぉぉぉぉぉ!!!」
「はぃいいいいいいい――!?!?」
 夜空に響く悲鳴混じりの嬌声を、満月だけが聞いていた――


続く
42名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 15:18:43 ID:pemycOur
某作者氏GJ!!
Mさんエロエロだ〜!

けど、SM要素があるなら事前注意してくださいよ〜。
二人の間に愛があったから良かったけど、びっくりしちまった。
あとツッコミ。
ナノは10億分の一ですよ。そこだけ訂正。

まぁ何はともあれGJ!!です!
43名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 17:43:15 ID:gKCgjUIA
ひでぼんが襲われた頃の話かー
S君とMさん、まぁ予測はついたっちゃあつきますな
ともあれGJ!!
44イゴーロナク:2006/01/03(火) 18:33:29 ID:0omPY3Od
某作者師G.O.O JOBです。
術対術の駆け引き、いいですねぇ。
「勝ったと思った時、そいつは既に負けている」…さすが年の功ですねぇメリフ…
「メリー」さんか…とりあえず「ラヴクラフトの遺産」読みなおしてみます。
45名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 19:11:53 ID:pnM8dE8p
Mさんが物凄くエロい
相変わらずGJ!!
46名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 20:51:53 ID:PBEeAIoR
なんとなくSMモードに入った作者氏のSSは
エロ漫画的というよりレディコミ的なエロさがあるような気がする。
台詞なんてみさくら漫画のノリなのに、何故か線が細くて濃厚ってイメージが。

まあ何が一番言いたいってショタ×お姉さんはリバース可で結構好きなので
GJ!!ってことです
47名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 21:25:28 ID:AJT/lTiD
新作ラッシュで嬉しい限り
48名無しさん@ピンキー:2006/01/04(水) 01:04:38 ID:QQzfSjdY
GJ!&新年あけましておめでとうございます。
いやー、新年早々、濡れ場&VSアフガン航空相撲戦ですか、楽しませていただきました。
ところで、作中のナノマシンの効果についてですが、
>>36
>>ブロック遊びのように物体の分子構造を直接組み替える事で、土くれを金に変え

とありますが、いわゆるナノマシンで『土くれを金に変え』ることは、不可能ではないかと
土くれのなかにある金を抽出、とか、土くれの外見を金みたいにみせかけるとかはできると思いますが、
既存のブロックを組み合わせることできても、ブロックそのものの改造はできない、ということで
まぁ、この世界では、錬金術用ナノマシンで、分子レベルへむらなく魔力を伝達するみたいな存在があるのかもしれませんが

P.S.
ボブロフ中尉、なんでナノマシン波動砲っぽい技を使わないんだ!、とちょっと思ってしまう私は間違ってますか(w
49名無しさん@ピンキー:2006/01/04(水) 02:18:18 ID:s+lh6G31
漢字が多くてわからないナリ
50名無しさん@ピンキー:2006/01/04(水) 03:00:26 ID:heS5npKU
>>49
つ[勉強]
51名無しさん@ピンキー:2006/01/04(水) 09:53:19 ID:mT/jy/nm
>48
>いわゆるナノマシンで『土くれを金に変え』ることは、不可能ではないかと
「物体の“分子”構造を直接組み替える事で」を
「物体の“原子”構造を直接組み替える事で」に置き換えてみてはどうでしょう?
52名無しさん@ピンキー:2006/01/04(水) 10:23:33 ID:qwYtst06
>>51
それだと陽子とか電子レベルでいじくることに…ナノマシンでも無理そうな
魔術的ナノマシンならいけるかもしれんけど
53名無しさん@ピンキー:2006/01/04(水) 10:41:20 ID:s3aNmshL
>51
原子レベルでいじると核融合起こるんじゃなかったっけ…?
たしか空想科学漫画読本だかで読んだ気がする。
54名無しさん@ピンキー:2006/01/04(水) 11:07:33 ID:aZC4ix2A
>>51-52
すでに「ナノ」スケールじゃないなそれw

>>53
ネタ本を 信じるな
55名無しさん@ピンキー:2006/01/04(水) 11:19:29 ID:eSBbdeBI
つまり土の中にあるAg(だっけ?)のみを取り出し、分離、集積させれば…
1%にも満たないだろうがな
56某880 ◆/Mgq/8agL6 :2006/01/04(水) 17:03:42 ID:XZUstmib
事前注意

今回はギリシャ娘四人が登場しますが
アルケニーとエムプーサはまだしも、
スキュラとメデューサには筆者独自の設定があります。
二人の話を投下したのも随分前でしたので、もう設定を忘れている人がいるかと思いますが
そんな人は、事前に設定を確認しておいて頂けると、より楽しんで貰えるかと思います。
むろん、確認しなくても楽しんで貰えるようにしたつもりですけどね

スキュラ
http://880.h.fc2.com/ura02.htm
http://880.h.fc2.com/ura03.htm
http://880.h.fc2.com/ura04.htm

メデューサ
http://880.h.fc2.com/ura13.htm

また、今回の話は「ふたなり」の要素も含まれています
57某880 ドキッ☆ギリシャ娘だらけの乱交大会:2006/01/04(水) 17:05:30 ID:XZUstmib
「あけまして、おめでとうございます」
俺の前に今、着物を着た四人の女性が横並び、深々と頭を下げ新年の挨拶をしている。
色とりどりの着物姿。艶やかなその光景に、思わず見惚れてしまいそうになるところ。
しかし俺の反応は、少々鈍り違う方へと向かった。
「……どうしたんだよ、突然」
俺は驚きと戸惑いを隠せずにいた。
この時期、着物を着て新年の挨拶を交わすことはけして珍しいものではない
が、目の前にいる美女達が着物を着ていること自体に俺は驚いていた。
「可愛いでしょ? アルケニーが作ってくれたんだよ」
と、まずはスキュラが俺の疑問に答えてくれる。
「作ると言っても、既製品の物に手を加えただけよ。さすがに一から着物は作れないわ」
そして名指しされたアルケニーが説明に補足する。
「折角日本に滞在しているのですから、着物は是非着てみたかったんですの」
ただ着物に合わせて「髪」をアップに出来ないのが残念と付け加え、メドューサが動機を語る。
「私は何度かあるんだけどね。ほら、お店にいた時はそういう「フェア」があるから」
唯一手を加えていない着物を着ているエムプーサが、クルリと回りはしゃいでいる。
「もっとも、お店で着た着物にはスケスケのもあったんだけどねぇ」
そして舌を出し、悪戯っぽく笑った。
「あ、それも良かったかも。これからのことを考えると」
これからのこと? スキュラが唐突に妙なことを口走った。
なんとなく、漠然に、四人が何を考えているのかを察してしまう……。
「うん、綺麗だよ四人とも」
察したことはあえて口にせず、俺は有り体の褒め言葉を口にした。
着物を着た四人はギリシャ出身。日本の滞在もそれなりに長くなったが、
エムプーサを除いて着物を着る機会も、着られる着物そのものもなく、これまで着たことがなかった。
初めての着物姿。俺は新鮮なその光景に、素直な気持ちで見惚れている。
ただ素直になれないところがあるとすれば、「これからのこと」がもう既に心のどこかで引っ掛かっていることか。
「さて、折角着物を着たんだから、日本の「風習」を楽しみましょうか」
アルケニーの言葉を皮切りに、四人はジリジリと俺に迫ってくる。
俺は思わず一歩退いてしまう。
「ちょっ、待て、なんだよ、その「風習」って」
予測はしている。ベタな物を。だがとりあえずは聞いてみる。
「あら、日本の方なら皆さんご存じでしょう?「姫始め」というものは」
姫始め
頒暦(はんれき)の正月に記された暦注の一。
正月にやわらかくたいた飯(=姫飯(ひめいい))を食べ始める日とも、
「飛馬始め」で馬の乗り初めの日とも、
「姫糊始め」の意で女が洗濯や洗い張りを始める日ともいわれる。
……などと、goo辞書をコピペしたボケをかましたところで意味はない。
むしろこの場合、その辞書に書かれた二番目の意味の方が正しい。
新年にはじめて男女が交わること。
こっちだ。
今メドゥーサは「日本の方なら皆さん」と言った。
確かに意味は成人なら知っている人も多いだろう。
しかしこれは「風習」とは言い難い。何にでも理由を付けて交わりたいための言い訳に過ぎない。
そう、今の彼女達のように。
「待て待て、風習かどうかはさておき……いっぺんにか?」
正直、姫始めは覚悟していた。ある程度の人数も覚悟していた。
がしかし、流石に四人を一度に、と要求されるとは思っても見なかった。
「あら。あなただって、四人の着物美女に囲まれて酒池肉林なんて、こんな美味しいシチュエーションを逃す手はないんじゃないの?」
そう言われればその通り……いやいや、あやうくアルケニーの言葉に流されそうになる自分を思いとどまらせた。
確かに男の願望として、これは美味しいシチュエーションに間違いない。
しかし現実問題として……その……もつのか?
「心配しなくても、ここに強烈な「薬」も用意してあるから。大丈夫、安全性は保証するって」
エムプーサが取り出した瓶は、魔女印の優れもの。
着物のことも含め、準備万端ということらしい。
ここまでされたのなら……俺はもう、男として引けないところまで追いつめられていた。

*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*
58某880 ドキッ☆ギリシャ娘だらけの乱交大会:2006/01/04(水) 17:07:14 ID:XZUstmib
既に着付けの段階から、四人は「やる気」だったようだ。
簡単に着崩れるようにしていた着物はあっさりとはだけ、八つの豊満な胸が露わになっている。
しかし完全に帯を取ることなく、はだけたままで四人は俺に迫ってきた。
俺はと言えば、完全な素っ裸。
特に着物を着ていたわけでもなく、まして着ていたところで視覚的に楽しませてやれるわけでもないのだから。
楽しませてやるつもりならむしろ、裸になった方が好都合。
「では、私から頂きますわ」
魅惑的な四人の姿を見ただけで元気になっている俺の大蛇。
メデューサがかがみ、その大蛇をぱくりとくわえ込む。
「んっ、くちゅ……んっ……相変わらず、美味しいわ……ちゅ……」
軽く音を立てながら、メデューサは真っ赤なサングラス越しに俺を見上げ手と顔を前後に揺らしている。
「あっ、取られちゃった。なら私はこっちかな。ねぇ、ちょっとだけ足を開いて」
エムプーサが後ろに回り、俺に注文をする。
そして彼女もかがみ、両手で尻たぶを掴み横へ広げる。ついで顔を尻に埋め、舌を菊門へと伸ばしてきた。
「ちゅ……んっ、なんだ、あなたも期待してたんじゃないの? ちゃんと綺麗にしてるじゃない……んっ、ちゅぱ……おいし……」
さしもの前後同時攻撃に、俺は軽く声を上げてしまう。
「あら、みんな手が早いわね。じゃあ私は正統派で……メデューサ、上ゴメンね」
謝罪しながら、アルケニーはメデューサの上をまたぎ、のしかからないよう蜘蛛の足を少し伸ばす。
そして手は俺の頬に触れ、軽く引き寄せる。
自らも顔を前に出し、そして柔らかな唇を重ねてきた。
「んっ……くちゅ……ぷはぁ、あん! 胸……ん、よく揉んで、ね……んっ……」
舌を絡めてくるアルケニーに、俺はお返しとばかり空いている両手で彼女の両胸を掴んでいる。
そしてゆっくり優しく、きつく激しく、強弱付けながら豊かな胸を揉みしだいていく。
アクセントを付けるたびに舌が止まり、そして舌の動きはより快楽を求めるよう激しさを増していく。
「あーん、みんな早いよぉ。全部取られちゃった……」
一人、スキュラだけが乗り遅れた模様。
三点を攻められている俺は、確かにスキュラのために与えてあげられる物が無い……かに思えた。
「よーし、なら私はみんなの「攻め」になっちゃうぞー」
言いながら、スキュラは俺の背後へと回る。
「エムプーサ、上ごめんねぇ」
アルケニーのように、スキュラはエンプーサの上をまたぎ、俺の背中に張り付いてきた。
そして両手で俺を抱きしめるよう豊満な胸を俺の背に押しつけ、そして大きく上下に擦り始めた。
「これだけでも、ん、気持ちいい……ん、あったかいよぉ」
スキュラは生殖器がない代わりに、胸の感度が異様に高い。
こうして俺の背に胸をこすりつけるだけでも、彼女は極上の快楽を楽しむことが出来る。
しかもいつの間にか、彼女は胸元にローションか何かを練り込んでいた。
その為胸は滑らかに動き、彼女自身も俺も、心地よさを共有できている。
59某880 ドキッ☆ギリシャ娘だらけの乱交大会:2006/01/04(水) 17:07:55 ID:XZUstmib
「でもこれだけじゃ、ん、終わらないんだから……」
耳元で囁くスキュラ。しかしその言葉は俺というよりは残り三人に向けられていた。
「んっ! ちょ、スキュラ、いきなりそん……あっ! んっ……」
スキュラの舌にいたエンプーサが、快楽の声を上げ始めた。
真後ろの様子は俺からでは見えないが、何が行われているかは何となく想像できる。
そしてその想像が、今度は目の前で起こり始めた。
「ひゃっ! こっちも? ん、そこ、んっ、ちゅ……あはぁっ!」
唇と舌を放すまいと懸命なアルケニーだが、それでも時折喘ぎ声が漏れてしまっている。
その原因は彼女の胸を揉む俺の手にある……だけではない。
スキュラがタコの足と蛇の頭を伸ばし、アルケニーの身体を攻めている。
胸はもちろん、腰や届きにくい陰核へまで伸ばし、いじり倒している。
おそらくスキュラの真下にいるエムプーサも同じような状況だろう。
そして当然のように、その足と首はメデューサへも及んだ。
「あぁ、いいわスキュラ……そこ、んっ、気持ちいい……んっ、ちゅっ、ちゅぱ……」
既に二人を見ているからか、メデューサは臆することなくスキュラの足と首を受け入れ愉しんでいる。
それでも口に含んだ大蛇への攻めは緩むことがない。
彼女の口内にある蛇のような舌は、俺の大蛇に絡み続けている。
そしてスキュラの攻めに慣れ始めたエンプーサも、俺の菊門を舐める舌がまた活発になり始めた。
むろん舌同士を絡めているアルケニーもしかり。
背中に感じるスキュラの胸も速度落ちることなく擦り続けられている。
四人同時に攻められては、俺もそう我慢し続けるのは無理というもの。
「んっ、ちょ、もう……」
求め続けるアルケニーの唇を申し訳なく思いながら放し、俺は下で屈んでいるメデューサに来る物が迫っているのを告げた。
それを受け、目を細め嬉しそうにするメデューサ。
細めた目に掛けられている赤いサングラス。アレが完成するまで男を知らなかったはずのメデューサも
今では元来の美しさに妖艶さを増して輝くようになった。
それに比例するかのように、彼女の唇と舌、そして手は巧みさを増している。
覚えたての、しかし濃厚で甘美な白濁液を絞り出そうと、メデューサの動きは激しさを更に増す。
「くっ!」
俺はメデューサに見つめられ、石になる代わりに彼女の求める物を大量に吐き出した。
ドクドクと口内に注がれる白濁液。それをこぼさぬよう口いっぱいに含んでいる。
「あっ、私にも頂戴」
「あん、私にもぉ」
「ずるいぃ、私にも頂戴よぉ」
残った三人が、立ち上がったメデューサに駆け寄った。
メデューサは口に含んだ白濁液をこぼさぬよう、順に唇を通して分け与えていく。
僅かに唇の端から零れる白濁液を指ですくいながら、四人はねちゃねちゃと口の中で味と感触を愉しんでいる。
妖艶な四人の姿をまざまざと見せられ、一度はしおれた肉棒もすぐさま立ち上がる。
事前に飲まされた「薬」が効いているのだろうか。
それとも、俺が本来持っているスケベ心がそうさせたのか。
60某880 ドキッ☆ギリシャ娘だらけの乱交大会:2006/01/04(水) 17:08:41 ID:XZUstmib
「さっすがぁ、淫魔殺しは伊達じゃないわよねぇ」
白濁液がこびりついた指を舐めながら、エムプーサが瞳を輝かせいきり立つ肉棒を見つめている。
「ねぇ……先に、良い?「これ」舐めちゃったから我慢出来なくて……」
俺の血と精液は、魔女に盛られ続けた「薬」の為に、おかしな特性が加わってしまっている。
それが「淫魔殺し」と彼女が言う特性。淫魔や吸血鬼にのみ効果の出る催淫効果。
淫魔であり吸血鬼でもあるエムプーサは、四人の中で唯一この効果を受けてしまう。
それを知っている他の三人は……多少不服はあるものの……彼女の願いを聞き届けることにした。
「でも一人だけというのも何だし……メデューサ、ちょっと来て」
エムプーサはメデューサを手招きし、俺に背を向けた。
そして四つんばいになり、俺へ尻を向けねだり始める。
「お願い、こっちに入れて……ほら、もう準備は出来てるから」
尻を向けながら、唾液と精液で濡れた手で菊門を撫でている。
俺の肉棒もメデューサの唾液によって既に「滑り」は良くなっているはず。確かに準備は整っていた。
俺は突き出されたエムプーサの尻に手を当て、軽く尻たぶを押し広げながら、一気に肉棒を付き入れた。
「んっ! ……はあぁ、きくわぁ……あっ、ちょっとそのままでいて」
早速腰を動かそうとした俺を制して、エムプーサは膝を付いたまま上半身を起こし陰核を自らいじり始めた。
いじられた陰核はみるみる大きくなり、本物顔負けの肉棒へと変化を遂げる。
「メデューサ、これ、入れて……」
俺もメデューサも、エンプーサが何を言わんとしているのかを理解した。これは変則的な3Pだ。
メデューサはゆっくりと近づき、片手の指で自ら陰門を広げ、片手でエンプーサの肉棒を掴みそこへと導いた。
「んっ! エンプーサさんの、大きい……」
「さすが、メデューサのはきついわ……」
長さも太さも、おそらく俺のよりエムプーサの方が大きいはず。
妖艶になったとはいえ、まだ「男は」俺しか知らないメデューサには少々きつそうだ。
しかし……俺の知らないところで色々と「交流」のある二人は、どうも慣れてはいる様子。
「そのまま動……んっ! もう、いきな……あっ、んはぁ!」
「いっ、あっ、奥まで、きて、はぁっ!」
待ちきれない俺は、結合を確認したところですぐさま腰を動かし始めていた。
最初こそ驚いたエンプーサだが、すぐに順応し俺に合わせ腰を動かし始める。
と同時に、メデューサもエンプーサに合わせ腰を動かし快楽をむさぼり始めた。
「二人とも、んっ、いいわ、前と、後ろから……いっ、んぁ! いい、気持ちいいわ……」
「ああ、エンプーサさん、んっ……」
快楽に惚けるエンプーサの頬に手を当て、メデューサは顔を近づけ唇を重ねた。
そして彼女は、長い蛇の下半身をぐるりと前へ回し、俺とエムプーサ、そして自らもその尾でぎゅっと抱きしめる。
密接する上半身。多少腰を動かし辛くはなったものの、それを補ってあまりある圧迫感による快楽が心地良い。
特にエンプーサは、前後を俺とメデューサに挟まれ強い圧迫感を感じているはず。
二人ともたわわな胸を持っているだけに、出来れば俺がその胸に挟まれたいとすら思う。
「んっ、んん、はぁ、い、いいわ……もっと、きつく、あは、はさまれて、わたし、ん、んっ……」
「んん、もっと、した、のばして、ください、もっと……したのも、もっとおく、おくまで……んっ、い、いい!」
チラリと視線を横に向けると、アルケニーとスキュラがこちらを見ながら交わっていた。
流石に見ているだけでは我慢出来ないようだ。
そんな二人の様子を見て更に興奮度が増した俺は、腰の動きにも力が入る。限界も間近だ。
「いい、いく、そろそろ……もっと、だきしめて、ふたりとも……ん、いい、だして、おしりに、わたしも、だす、んぁっ! だす、から……」
「わ、わたしも、いき、いきま……んっ! いく、いく、いっ……くっ、あはぁ!」
ビクッと痙攣を先に始めたのはメデューサだった。
それに釣られ、彼女の尾に更なる力が加わる。
より極まる圧迫感。それが止めになったのか、すぐさまエムプーサが続いた。
ぐっと締められる菊門。そして俺がそれに呼応し、彼女の腸へと白濁液を注ぐ。
しばしの硬直。そして次第に、メデューサの尾が緩み始めた。
軽く息を吐き出す俺とは対照的に、二人とも息絶え絶えにぐったりとしている。
しかしどこからか、喘ぎ声は響いてくる。
いまだ交わり続けているアルケニーとスキュラの声だ。
61某880 ドキッ☆ギリシャ娘だらけの乱交大会:2006/01/04(水) 17:09:48 ID:XZUstmib
俺はエムプーサの尻から肉棒を抜き出し、二人に近づいた。
「あっ、やっと来たぁ」
「待ちくたびれたわよ、ねぇ、早くぅ」
待ちくたびれたという割りに、随分と愉しんでいたようだが。
俺はすぐにでも入れてやりたいところだが、
流石に二度目を出したばかりでは、淫艶な二人の姿を見てもすぐに息子が回復する様子がない。
「あは、まずは私のでおっきくしてあげるぅ」
スキュラが自ら両手で自分の胸を横から押し、それをぷるぷると振って見せた。
そこは生殖器のない彼女にしてみれば、最も感度の高い生殖器の代用部。
俺は自分で息子を握り、胸の谷間へと押し入れる。
「ん、すごい、どんどん大きくなってく……んはっ、ん、感じちゃう……」
胸で挟み身体を動かしながら俺の息子をしごくスキュラ。
それと平行し、彼女はアルケニーへの「攻め」も忘れない。
人に奉仕し悦んで貰う。それが彼女の快楽に直結する行為。自覚はないだろうが、SMの境地に少し似ている。
「ん、なんか色んな味がする……おいしー……」
充分に大きくなった俺の息子、その先端をチロチロ舐めながら、スキュラの奉仕は続く。
豊かな胸を動かしながら、しかし固定された息子を極力揺らさない。
揺らさないからこそ出来る、舌先での奉仕。その舌先は尿道をかるく突いてくる。
彼女はこの手の行為なら、淫魔エムプーサでも太刀打ちできないテクニックを秘めている。
「ごめん、これ以上は……」
本当なら、このまま出したい。スキュラの顔と胸に、たっぷりと子種をまき散らしたい。
しかしそうしてしまったら、折角大きくして貰った息子が又しぼむ。
それはつまり、待ちわびているアルケニーに申し訳ないこと。
スキュラはニッコリと微笑み、俺の息子を解放した。
そして攻め続けているアルケニーに唇と舌、そして胸を預けに行く。
俺はというと、息子が縮まないうちにと手早くアルケニーの下へと潜り込む。
62某880 ドキッ☆ギリシャ娘だらけの乱交大会:2006/01/04(水) 17:10:37 ID:XZUstmib
「やっと来た……ん、んっ! いっ、これだけで、今逝きそう……」
充分に濡れていたアルケニーの膣は、すんなりと俺の息子を迎え入れた。
そして入れた途端、ぎゅっと膣が息子を締め付けてくる。
「来て、突き上げて……ん、あぁ、いい……ん、来てる……」
「アルケニーさぁん……キスぅ、キスして下さいぃ……ん、くちゅ……ん、むねぇ、胸も揉んでくださいぃ……ひゃぁっ! い、ん、気持ちいいですぅ……」
下からは俺、前からはスキュラ。アルケニーも又、先ほどのエムプーサのように二人に挟まれ攻められ喘いでいる。
スキュラは自ら快楽を得ようとアルケニーにねだり、そして足と蛇の首をアルケニーと俺に絡みついてくる。
「んっ、ん、んっ……ぷはぁ、んっ、いい、いいわ、もっと、ふたりとも、ちょうだい……ん、ひぁっ! ん、くちゅ……」
「んっ、ちゅ……くちゃ……んっ、はぁ……なめてぇ、ちくびかんでくだ……ひゃっ! かんじゃ、んっ! もっと、もっと……んっ、コリコリしてぇ」
女同士のまぐわいを聞きながら、俺も気持ちをどんどん高ぶらせていく。
三度目だというのに、もう俺の息子は破裂寸前だ。
「いく、もういく、やっと、わたしも……ん、んっ! いく、から、もっと、突いて、ね、んっ、あはぁ!」
「いって、わたしも、きもちいい、から、わたしも、いっしょ、いっしょに、むね、むね、もっと……ん、もんで、なめ、なめて、ねぇ、んっ!」
上下に激しく揺れるアルケニーの身体が俺を叩く。
柔らかい蜘蛛の腹に押しつぶされるのも、これはこれで心地良い。
そんな圧迫に負けじと、俺も叩きつけるように腰を突き上げる。
「いっ! もう、ダメ、いく、いっちゃ、いっ、ねっ、いっしょ……あっ、いっ、く、きたっ、いっ、いっちゃ……あっ、いやぁっ!」
「わたしも、いく、いくから、かんで、むね、もん、む、いっ、ひゃっ! あっ、んあぁっ!」
二人がビクリと身体を震わせたのはほぼ同時だっただろうか。
少し遅れたのが僅かに寂しいものの、俺も二人の後に続き白濁液をアルケニーの中へとたっぷり注ぎ込んでいく。
「あぁ……来てる……嬉しい……」
「んっ、アルケニーさぁん……」
余韻を愉しむように、二人は音を立てながら唇を重ねている。
俺はというと、ぐったりとそのまま寝転がっていた。
ふと視線を上に向けると、そこにはいつのまに起きあがっていたのか、メデューサが歩み寄っていた。
濡れに濡れた陰門を両手で押し広げながら。
「ねぇ、次は私の中にいらしてぇ……ほら、あなたが女にしたここが、待ちきれないと嘆いていますわぁ……」
「あん。ねぇ、私のにも頂戴よぉ。お尻だけじゃ満足できないからぁ……」
続いてエムプーサもぐったりしている俺に近づき誘惑してくる。
「あー、私もぉ。まだ胸で逝って貰ってないからぁ」
足下からスキュラが甘えてくる。
「私は……後で良いから、今度はお尻に……ね」
遠慮がちに、恥ずかしげに、アルケニーがねだってくる。
まぁ、これで終わるとは思っていなかったから……ただ、少しインターバルは欲しい。
「あなたはそのまま少し休んでて。今度は私がもーらいっと」
しおれた息子に、なま暖かい感触。エムプーサがパックリと口にくわえ込んだようだ。
それをされると、休むに休めないわけだが……。
「さっすが、もう大きくなってる……」
正直な息子を持て、俺は幸せだよ……。
俺がほぼマグロ状態になりつつも、四人の女達は入れ替わり立ち替わり、俺にまたがり続けていく……。

*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*
63某880 ドキッ☆ギリシャ娘だらけの乱交大会:2006/01/04(水) 17:11:11 ID:XZUstmib
「一つ疑問に思ったんだが……」
計12回、立ったり座ったりを息子が繰り返し、やっと解放されたとき。
俺は服を……着物ではなく普段着を着て落ち着いた彼女達に向け、今更感じた疑問を口にする。
「着物はアルケニーが準備したとして、着付けは?」
今日日の日本女性だって、着物の着付けが出来る人は少ない。
それなのにギリシャ出身の四人だけで、着付けが出来るはずがない。
誰かが手伝ったのは間違いないのだが……そこが問題だ。
ただ着付けを手伝っただけなら良い。
しかしあの着付け、簡単に着物がはだける「エロ仕掛け」か施されていた。
となると……色々と「嫌な予感」を感じずにはいられないのだ。
「ああ、アレはお店で」
エムプーサが俺の疑問に答えた。
彼女が言うお店とは、当然昔彼女が勤めていた店、高級風俗店「リリムハウス」の事だ。
確かにあの店なら、着付けが出来る従業員がいてもおかしくない。あの着付けの仕方も含め。
ただ……それだけで終わるとはとても思えない。
そもそも、そもそもだ。今又思い出したが、彼女達は事前に「魔女の秘薬」を準備していた。という事は……。
「もしかしてさ……」
俺はキョロキョロと辺りを見回した。
周囲に妖しい点はないが……僅かばかり、「気配」を感じる。
気配というか……「視線」と言うべきか。
「あー、その……まぁ、交換条件として、ね」
答えを直接口にしないエムプーサだが、俺はそのはぐらかし方と、
そして呼応するように頬を染めるアルケニーとメデューサの態度で一つの推理を成り立たせた。
そしておそらく、これは真相となるだろう。
「覗いていやがったな……魔女達だけでなく、マダムもかよ……」
今年も、またあれやこれやと魔女達とリリムハウスのオーナーには「いじられる」んだろうなぁ……。
色々と準備して新年を迎えた四人を満足させてあげられたのは嬉しいものの、
覗き魔四人をも満足させてしまったのはどうにも……今年もこんな年なのかと、大きく溜息をつくしか俺には出来なかった。
64某880 ◆/Mgq/8agL6 :2006/01/04(水) 17:11:47 ID:XZUstmib
以上です。

色々年末あたりからスレ的に盛り上がってる中
色々登場しすぎてごちゃごちゃした話なんかいいのかなぁと
ちょっとだけ恐縮しつつの投下となりました。
もうね、俺も頭の中ごちゃごちゃしてきたのに
読んでる方は大丈夫かなぁとちょっと心配。
でもオールスター的な話が書けたのは満足してたり。

まぁともかく、今年もよろしくー、ということで一つ。
65名無しさん@ピンキー:2006/01/04(水) 19:12:29 ID:s3aNmshL
二時間も人来てねぇのか……?

某880氏GJ!&明けましておめでとうございます!
なんだか随分久しぶりな気がしますが、妖精学者も大変な一年になりそうですな。
66名無しさん@ピンキー:2006/01/04(水) 19:54:02 ID:zbf+tV6S
ぐはっ!テラGJ!!
俺が貴方に近づこうと努力しても、貴方はそれを上回るスピードで突き放すんですね……
ちくしょー!俺だって、GJって言われる作品書いてやるからなー!・゚・(⊃Д;)・゚・
67名無しさん@ピンキー:2006/01/04(水) 20:25:36 ID:8GfRC9wf
>某880氏
飛ばしすぎだよ、新年早々すげえよ!
こってりエロエロな描写がスバラスィ
それにしても、5Pで12ラウンドって…。
漏れには彼女達を満足させる自信がありませぬorz
68名無しさん@ピンキー:2006/01/04(水) 22:37:30 ID:eSBbdeBI
某880氏キタ━━━(゚∀゚)━━━!!
GJ!!
69名無しさん@ピンキー:2006/01/05(木) 00:51:33 ID:4LRngwzP
キタ━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━(` )ァ━(Д`)ハァ━(;´Д`)ハァハァ━!!!!

いきなりケツかよw
あんたすげえよ、エロエロだよ、大王つけちゃうよw

年末年始に某880氏がいないのが、ちと寂しいと思ってました

>66
小イタカの人?
多分俺のせいだと思うけど、期待はしてるからね?
70名無しさん@ピンキー:2006/01/05(木) 00:54:32 ID:pLZhTliO
壁‖つ[前スレ390続き]
晒すならイマノウチイマノウチ

覆いかぶさってきた彼女、押し倒された自分の身体、
……………あれ?…いつの間にこんな体勢に!?…
「あわわわ!!ちょっ!ちょっと何してるの!!」
ずいっと、彼女の顔が近づいておでこ同士がくっつく
「何って…、なかなか貴方が煮え切らないから、私がこうして…」
まてまてまてまてぇぇ!!
「煮え切らないって俺は嫌だとはっきり…と…」
俺の背中を冷たい物が伝った気がする、彼女の双眸は…一言で表す
なら ヤバイ さっきまでの彼女からは想像出来ないほど
7170続き:2006/01/05(木) 00:56:30 ID:pLZhTliO
ギラギラしている、何故か息も荒くなっている
マジか!?…クソッ、始めは大人しそうだったから話しを聞いて
やったのに…こんな事になるんだったら(考えようによればとて
もオイシイ場面だが)とっとと追い出して寝れば良かった!!
「まだそんな事言うんだ…でももう貴方の意見は…意味が無いけどねw」
ニヤリと口元を歪ませるとそのまま俺の首に近付く
んんー????
カプリッ
………へ?
「……痛いぃっってえぇぇぇ!!!!」
噛み付いた!噛み付いたよ!!
「痛いぃぃ!離せ!離せぇ!!」
両腕で力いっぱい彼女を引き離そうとするが、歯がガッチリと
7270続き:2006/01/05(木) 00:57:50 ID:pLZhTliO
食い込んでいるのか“身体しか”引きはがせない、逆に痛みが
激しくなる
「フフフフフ…泣き叫んじゃってカワイイ」
悲しいけどあまりの激痛に彼女の言う通り俺は泣き叫んでいた、
もしかしたら鼻水も流しているのかも知れない、その位痛かった…
「…アレ?」
おかしい
「あら〜?どうしたの〜、抵抗が弱くなっちゃったわよw」
口を離しクスクス笑う彼女
おかしい、腕に力が入らなくなってきている…
「何をした!?」
明らかに彼女が何かをした、俺の首に噛み付いている間に…
「貴方が抵抗すると面倒だったから、ちょっとネw」
「何をする気だ!」
7370続き:2006/01/05(木) 01:10:38 ID:pLZhTliO
「決まってるじゃない、既成概念を作っちゃおうと思ってるの」





何が明日も来ますだこのバカァ(ポカン)1週間以上開いたじゃないか!

ごもっともです…しかしリアルで恐ろしく忙しかったのもまた事実
けど職人さんが投下してくれてたんだから良いじゃない、

逃げだ…完璧な逃げだ…

どうも〜夢の人(?)です1週間ちょっとぶりです、いや〜、ついに分裂症に…
嘘ですゴメンナサイm(__)m嘘つきは大嫌いです!!ですからもう嘘はつきません
細々と書いて行きます(そっちかよ!!)
7470:2006/01/05(木) 01:13:57 ID:pLZhTliO
↑間違えた…既成概念ではなくて既成事実でした
本当に(´Д⊂ モウダメポ
75名無しさん@ピンキー:2006/01/05(木) 17:05:45 ID:vYHlmb3V
これは…投下していいのかな…?A;・ω・`)
76名無しさん@ピンキー:2006/01/05(木) 17:59:45 ID:wBcgUGjm
OK
投下キボンヌ
77名無しさん@ピンキー:2006/01/05(木) 18:32:17 ID:vYHlmb3V
でわ投下…小型イタクァのエロ編です
78名無しさん@ピンキー:2006/01/05(木) 18:33:04 ID:vYHlmb3V

『何でもするから…』
この台詞が頭の中で反復される
男が女にそう言われてする事は一つしかないよな
「さてと、さっき何でもするって言ったよな」
「うぅ…あんな状況の言葉を…」
やっとまともに喋れる様になったらしく、恨み節を吐く
「男に言ったからにはどういう事になるか分かるよなぁ」
「…AVの見過ぎですよ」
まだ憎まれ口を叩く元気はあるらしい…が、言葉にさっきまでの覇気はほとんど無い
また放り出されるのが怖く、大きく出られないのか
「じゃあそのAV女優と同じ目にあってもらうかな」
「くぅ…」
悔しそうに目を伏せる
サディスティックな快楽が襲う。ヤバい。このままこっちの道に目覚めそうだ
「こんな風に女の子を脅して、楽しいんですか…?」
なるほど。情に訴える作戦か
「あいにく最近女日照りでね。…自家発電も虚しくなってたところだ」
「そんな性格だから彼女出来ないのよ」
ボソッと…さっきより小さく呟いた
俺は無言でドアノブに手を掛ける
「ひ…ごめんなさい!!嘘…冗談です!!」
「何だ冗談か。本気で傷ついたぜ」
わざとらしく両手を拡げる
「うぅ…鬼畜だよぉ…この男…」
79名無しさん@ピンキー:2006/01/05(木) 18:35:23 ID:vYHlmb3V

「なんか俺も冗談言いたくなってきたなぁ」
「え?」
俺は椅子に深く腰掛け、なるべく偉そうなポーズをとった
「フェラしろ」
「え!!はぁ!?…っく」
顔を一気に真っ赤に染める
が、チラッと扉を見ると…理解したらしい
しばらく逡巡するがほどなく覚悟を決めたようだ
「わ、分かりましたよ…」
俺のズボンに手を掛け、ファスナーを下ろし、ソレを取り出した
「ひゃあ!!──っ…大き…」
俺のモノは既に少しその首を持ち上げていた。まぁ、いわゆる半勃ち
「う〜…ちゅ…あむ…くちゅ」
少し躊躇う雰囲気を見せたが、何とか亀頭の部分に舌を這わせ始めた
「あれ?冗談だったのになぁ」
悪魔の様なにやけ面のまま言う
「ぅう…もぅ…やだぁ」

不意に気付いた

こいつ見てると…自分が自分で無くなる感覚

目茶苦茶に壊してやりたい

それなのに…まるで自分が壊されている

そんな感覚…

本能が危険信号を…

ヤバい…止めろっ!!

「ん〜!!うぇ…まだ…するのぉ…?」
その言葉で我に帰る
「あ、あぁ…いや、もういい…」
「ケホッ、ケホッ…」
あれ?俺、今…何を考えてた…?
嫌な…嫌な予感がする…
「…どうしたんですか?」
「うおっ!?」
ビビった…いきなり眼前に…
80名無しさん@ピンキー:2006/01/05(木) 18:38:10 ID:vYHlmb3V

「どうしたんです…?さっきから…変ですよ」
怪訝な顔で尋ねて来る
「な、何でもねぇよ!!」
そう…何でもない…何でもないんだ…
「そんな事より!!そこに寝ろ!!」
嫌な予感を振り切る様に叫ぶ
「む…人が折角心配してあげてるのに…」
文句を言いながら横になる。今はこの女を犯る事だけを考えよう
「取りあえず、服を脱げ」
「寝転ぶ前に言って欲しいんですが」
「…うるせぇ」
服を捲り上げ、ブラを外し、胸をはだけさせる
スカートのホックを外し、ショーツを脱ぎ捨てる
すぐに白い肌を全て露わにし、生まれたままの姿になった
「寝ながら脱ぐなんて…器用な女だな」
「あ、貴方がやらせたんじゃないですか!?」
手で胸を隠し、脚を組んで秘所を隠しながら叫ぶ
「じゃ…犯らしてもらうか」
胸を隠す手を払いのけ、口と手でその胸を堪能する
大きさは平均より大きい程度、だが…かなりの美乳だった
上向きの形のよい胸、その頂点にある小さくピンク色の乳首。そしてなにより…
「ヤベ…すっげぇ柔らけぇ…」
その柔らかさと手触りだった。
指がどこまでも沈んでいく様な…
「う〜!!いつまで胸弄ってるんですかぁ!!」
「…ハッ!?」
81名無しさん@ピンキー:2006/01/05(木) 18:40:47 ID:vYHlmb3V

どうやら10分近くも弄っていたみたいだ
「じゃあお望みのこっちを…」
「え?あ、そんなつもりで言った訳じゃ…ひゃあっ!?」
手を伸ばしたソコは既に濡れ、大量の愛液を垂れ流していた
「すっげぇビショビショ…胸だけでそんなに感じた?」
「違…!?わなくないけど…やっぱり違う!!」
「ふ〜ん」
わざとクチュクチュといやらしく音が鳴る様に弄ぶ
「ひゃ…やだ…そんなに…音…」
恥ずかしそうに両手で顔を隠す。しかし…
「お前…淫乱だな」
「な!?」
俺の言葉責めは収まらない
「脅されて犯されてるのに随分濡らしてるじゃねぇか」
「ち、違…!!私は…」
「しかも言葉で責められる度あそこが締め付けて来るぜ」
「うぁ…違…私は…私は…」
「何が違うんだ?淫乱女?」
「う…うぇ…あぅ…うわあぁぁぁぁん!!」
…泣いた
「うっ…くっ…もう…やだぁぁぁぁ!!」
しかもマジ泣きだ
「ばっ…!?何も泣く事無いだろ」
淫乱はNGワードか!?
そう思った俺は…馬鹿だった
「気付いたら吹雪の中だし、何にも覚えて無いし、助かったと思ったら放り出す放り出す脅されるし、これからどうすればいいか全然分かんないし、その上犯されるし!!
…もう…やだぁ…」
82名無しさん@ピンキー:2006/01/05(木) 18:42:23 ID:vYHlmb3V

我に帰る…そうか…俺…ホントにどうしようも無い馬鹿野郎だ…
「…悪い…調子に乗りすぎた」
「うっ…くっ…うっ…」
よく考えたらそうだよな…こんな状況の女脅して…
「スマン…えっと…もう放り出すとか言わないし、手も出さない
こんな事で許してくれなんて言わないが…泣き止んでくれ…女のマジ涙って…苦手なんよ…」
「ひぐっ…ホントに…脅さないです?」
「あぁ」
「放り出したりしない?」
「あぁ」
「日本で面倒見てくれる?」
「あぁ」
「おかわりしていい?」
「…それは肯定しかねるな」
「ケチ…」
「…俺の分けてやるよ」
「フフ…ありがと」
いつの間にか泣き止んでやがる。本当にマジ泣きだったのか…?
「──っと…取りあえず服着てくれ…また襲いたくなる」
ほぼ全裸で雪の様に白い肌を少し桜色に染めた身体は…目の毒だ。いや、目の保養か…
取りあえず理性が飛んじまう
後ろを向く…これはこれで…色々妄想が…
「あ…え〜と…その…」
「ん?」
何だ?歯切れの悪い
「さっきの続き…して」
「は?」
「さっきので…身体がほてってて…」
「へ?」
「我慢…出来ない…」
背中に縋ってくる…胸が…背中に柔らかいものが!?

何かが切れる音がした気がした。…まぁ、理性なんだがな
83名無しさん@ピンキー:2006/01/05(木) 18:43:58 ID:vYHlmb3V

あっという間に押し倒す
「あ、でも優しく…」
「善処するよ」
理性がほとんど残って無いから自信は無いがな
そう付け加えて唇を奪う
そういえばこいつとキスは初めてだな
「ん…ちゅ…くちゅ」
舌を絡め合い、唾液が混ざり合う官能的なキス…舌を、歯を、歯茎を、口内のありとあらゆるところに舌を這わせる
「んむ…ぷはぁ…はぁ…はぁ」
口を離すと名残惜しそうに一筋の唾液の糸が残る
「キス…上手ですねぇ…」
キスの余韻で惚けた感じで、上目使いで言ってくる
ヤベぇ、こいつ結構…いや、かなり可愛いじゃん!!
「そいつはどうも」
そして次は…そいつの最も女の部分狙いをつける
「ん…あ…あぁ…ひゃ!?」
指でかき回したり、つついたり…
時々大きな反応をするのが面白い
「ひゃ…そんなに…弄っちゃ…」
「弄っちゃ…?」
「ひぃっ!!あ…壊れ…る…」
クリトリスを摘み上げると一層大きな嬌声をあげる
コツが掴めて来た…ツボをピンポイントで責めていく
「あっ…きゃ!?ひゃ…やめ…ひんっ!」
いい声で鳴く…もっと苛めたくなるじゃねぇか
──っと優しく、優しく
気を抜くとまたさっきみたいになる
84名無しさん@ピンキー:2006/01/05(木) 18:44:51 ID:vYHlmb3V

「ねぇ…そろそろ…お願い…」
焦らし過ぎたか…まぁ、イカないように調整してたからな
もう少し苛めたかったが…そろそろ俺も生殺し状態は辛くなってきたな
あの声を聞く“だけ”というのも辛いもんだ
「じゃあ…いくぞ…」
「ん…」
ゆっくり、ゆっくり…俺のソレは肉壁を突き進んで行く
そして最後に先端が最奥に到達する
「ふぁ…全部、入ったぁ…」
「ギリギリピッタリ…だな。俺ら相性いいんじゃねぇ?」
「う〜…複雑ぅ…」
そう言われると俺も複雑だよ…っ!!
「っつ!?あっ、やっ、くぁ…ひゃん…」
急に腰を振り出すと意表を突かれたらしく、驚きの悲鳴をあげるが
「あ…あん…ふぁ…ふあぁ…」
それもすぐに快楽の嬌声に取り変わる
「あん…ソコ…もっとぉ…あっ!!胸、胸やだぁ!!」
やっぱり胸が弱かったらしく、肉棒の出し入れに加えて胸への愛撫を開始すると、さらに可愛い悲鳴をあげる
目の前に柔らかそうなおっぱいが、ピストンの度揺れてたら、かぶりつきたくもなるさ
しっかし…ホント柔らけぇ…いいわコレ
「もう少し…激しくするぞ…」
セーブしてきたがそろそろ限界だ
85名無しさん@ピンキー:2006/01/05(木) 18:46:11 ID:vYHlmb3V

「ん…いいですよ…っ!?ちょ…待っ!!激し…激し過ぎぃ!!ああぁあぁぁぁぁ!!」
遠慮無くスピードUP。もう押さえがきかねぇ
「あっ!やっ!全、然…少しじゃ…ひぎっ!!」
悲鳴にも聞こえるがアソコの方はどんどん締め付けて来やがる
平気だと思う…多分…
「あ──…うぁ…もう…イ…イっちゃ…」
「俺も…そろそろだ。思いっ切り派手に…イケよ!!」
腰の動きをさらに早くさせる
嬌声の間隔もどんどん短くなり…はじけた
「あっ!?ひやああぁぁあぁぁぁぁぁ!!」
限界までエビ反りになり、身体をガクガクと痙攣させ、アソコは俺のモノを潰さんとばかりに締め上げた
「はっ…はっ…はっ…はぁ…はぁ…」
身体をクタリと床に落とし、気絶した
ホントに派手にイったな…って!?
「な、お前!?気絶したら俺どうすんだよ!!」
いや、まぁ、気絶するまで激しくした俺の言う台詞じゃないが…
「どうすんだよ…コレ…」
俺のモノはイく寸前でお預け状態だった
「かといって気絶してる女抱くのもなぁ」
また泣かせそうだし…

「私が相手をしてやろうか?」

あ、そりゃ有り難い…へ?
86名無しさん@ピンキー:2006/01/05(木) 18:48:55 ID:vYHlmb3V

気が付いた時には既に騎乗位の体勢だった
「お前…起き…」
違う…さっきまでのアイツじゃない!?

目が…瞳が燃える様な赤…
さっきまでのOL風の服じゃない。あの時見た白い着物…
そして…そこから覗く白い足が消え去っていた

「誰だ!!お前!?」
「酷い男だな。私は私だ。さっきまでお前が抱いていた…な
お前の欲してる答えなら“風に乗りて歩むもの”イタクァ…と言えばよいのかな」
「風…?イタ…?」
「と言っても分身の一つの様なものだがな」
訳わかんねぇ!!やっぱ幽霊だったのか!?
「さて、久々の情事…楽しませてもらうぞ」
「な…!?くぁ…っ!!」
ソレは一瞬だった。繋がったままだった俺のモノを締め付けた…それだけでイカされてしまった。イきそうだったとはいえ、異常だぞこんなの!?
「フフ…こんなに出していては身が持たぬぞ」
そう言って腰の動きもプラスする
「く…がっ…うおっ!?」
ヤベぇ…気を抜くといくらでもイカされそうだ…
「なかなか…いいでわ…ないか…」
快楽が理性を…精神を貪る。心を壊されるっ!?
「ぬ…ぬおおぉおおぉぉぉ!?」
無我夢中で腰を掴み、全力で打ち付ける。イク前に…イカせる!!
後で思うと既に壊れてたかもな…
87名無しさん@ピンキー:2006/01/05(木) 18:50:29 ID:vYHlmb3V

「な…おぬし…ちょ…待っ…」
聞こえねぇ聞こえねぇ!!
獣の様に目茶苦茶に腰を叩き付ける。気にしている余裕がない
「くっ…これは…かなり…」
ヤベぇヤベぇ!?そろそろ…また
「あ、いい…いいぞ…もっと…突き上げ…」
「…っく!!」
もう限界だっつーの!!HGでも腰ここまで振らねぇよ!!
「あっ…膣…出て…子宮…まで…」
イってる…のか…
もう感覚が馬鹿になって来た。射精すら無視して腰を振り続ける
「いいぞ…私も…もう…」
さっさとイっちまえ!!俺が壊れるだろ!!
「あ…あ…あぁ…ああぁあぁぁあぁぁぁぁぁ!!」
一段と大きな嬌声と共に俺のモノが締め上げられ、3度目の射精に導く。さっきと桁違いの締め付け…
膣内の痙攣は精液を全て搾り取らんとばかりに、断続的に締め上げる
…実際に全部搾り取られた。3回の射精で一週間分やられた気分だぜ
「ふむ…これはなかなか…このまま喰うのも惜しいな」
膣内から溢れ出す精液を掬い、舐めながら呟く
…つーか喰う気だったんかい
「なかなか楽しめたぞ。また次も…」
次もあるのかよ…疲れた…俺は寝るぞ…
そこで、俺は意識を手放した
88名無しさん@ピンキー:2006/01/05(木) 18:51:29 ID:vYHlmb3V

「──ます?。生きてます〜?」
頬をペチペチと叩かれる。誰だ?こっちは疲れてるんだよ。休ませ…
ガバッ
「ひぁ…生きてた」
「勝手に殺すな…っ」
「おはようございます。取りあえず、人の顔見てゲンナリするの、止めてください」
「昨日の悪夢が現実だと思うとな」
「災難でしたね〜」
呑気に答える。てめぇの事だよ…
「いや、まさか私、人間じゃないとは…」
思いきりずっこける
「お前!?覚えてたのか!!」
目が一気に覚めたぞ
「はい。バッチリと。あ、でも私の意思じゃないですよ?」
「何でそんな余裕なんだよ…」
「ここまで状況が飛んでると、逆に…
それに、面倒…見てくれるんでしょ?」
満面の笑みを浮かべやがった…
俺は盛大に頭を抱え、最大級の溜息を吐く
これからの生活が不安だぜ…
89名無しさん@ピンキー:2006/01/05(木) 18:54:57 ID:vYHlmb3V
以上です──と言いたい所ですが、考えてた伏線拾えなかったorz
ホントは読み切り(?)のつもりでしたが…続けていきたいと思ってます
それではまた
90名無しさん@ピンキー:2006/01/06(金) 02:02:49 ID:a0hxfxPQ
「ラストダンサー」「ドキッ☆ギリシャ娘だらけの乱交大会」「小型イタクァ」
どれもエロくていいですね。
どうやら皆様、新年を迎えるにあたり除夜の鐘からは避難されていたご様子。
とりあえず、続き期待しております。
91名無しさん@ピンキー:2006/01/06(金) 02:29:24 ID:el5vnYxL
職人さん達GJ!&乙でした

>>89
かなーり楽しみにお待ちしておりますよ
92名無しさん@ピンキー:2006/01/06(金) 05:36:27 ID:QGZrB4C7
お疲れ様でした〜
冷静に考えると凄い場所で姦ってますなw

小イタクァ、というか
変化させられた人間なら、ウェンディゴでしょうか
・・本体だったらすみません
93ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/06(金) 07:14:34 ID:nMCLxDwc
 『AZE―03F“ソロ”』
 ・現在、地上掃射能力に関しては世界最強と称される魔導戦闘ヘリコプター。
 ・推進機関は二対の無音ローターにジェットエンジン。
慣性制御等には魔法的な技術も導入されている。
最高速度は音速を超え、戦闘時にも時速400kmに達する。
 ・操縦には3名のパイロットを必要としていたが、近年、新型高性能AIの導入により、完全無人化された。
 ・金属製のエイを思わせる外見には数多くの武器が内蔵されている。
基本武装はサソリの尾を上下逆にしたように取り付けたヴァリアブルキャノン
(ニードルガン、荷電粒子ビーム、火炎放射器等から複数選択可能)に、
機首のガトリング砲、翼の下にはミサイルポッドと、まさに空飛ぶ武器庫である。
 ・装甲はガンマニオンとアダマンタイトによる複合板であり、
極めて高度なダメージコントロール能力を持つ。防御結界による魔法的な防御能力も高い。
光学迷彩機能も内蔵されている。
 ・唯一にして最大の欠点は、とにかく高価な事。
この一機で最新鋭の大型空母数隻分の製造コストと維持費を必要とする為、
高性能な機体ながら、配備されている数は極めて少ない。


4.『NO CHASER』
94ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/06(金) 07:15:26 ID:nMCLxDwc
「あ、あの……S君……」
「どうかしましたか?」
「流石にこの格好は……どうかと思うの……」
「今更何を言ってるんですか。それより早く行きましょうよ。追っ手が来るかもしれないんでしょう」
 真っ赤な顔で前屈みになって自分の身体を抱き締めるあたしに、S君はあの冷笑を向けた。
 今のあたしの服装は、黒いハイレグTバックのショーツに、
薄手のピンク色したキャミソール――ただそれだけ。ブラもストッキングも許されなかった。
おまけにキャミソールは丈が短くて、普通に立つとヘアが全然隠れてないショーツが丸見えだし、
だからといって裾を下に引っ張ると、今度は胸元が乳首まで丸見えになってしまうの。
いいえ、薄手のキャミソールはただ立つだけで、あたしの輪郭から乳首まで薄っすらと透かせている……
 ……なぜこんな事になったのだろう。
 いや、原因は分かっているんだけど……
 対アルタン・ボブロフ中尉戦で、影踏みの力を使いすぎたあたしは発情し、
S君を押し倒しちゃったんだけど……うっかりまた母乳を飲まれちゃったんだ。
再び人格が変貌したS君に嬲られたあたしは、言われるがままにこんな破廉恥な格好をさせられて……
「早く外に出ましょうよ。追っ手から逃げなくちゃ」
「で、でも……まだ昼間なのにこんな格好で……御近所の目もあるし……」
 S君は無言で“それ”を取り出して見せた。
 遠隔操作式のリモコンスイッチを。
「あっ! そ、それはダメ――」
 かちっ
 ブブブブブブブブブ……
「ひゃうううううん!! え、Sくぅん!! ダメぇぇぇ!!」
 乳首とクリトリスに走った稲妻のような刺激に、あたしは悶絶しながらしゃがみこんだ。
 凶悪な振動であたしを責めるのは、乳首とクリトリスに貼り付けられたローターだった。
S君のリモコンのスイッチに反応するローターの与える快感は、
あたしから抵抗の意思も理性も根こそぎ奪い取ってしまう。
「あふぅうううう……と、止めてぇぇ!!」
「ほら、出発しますよ」
95ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/06(金) 07:16:52 ID:nMCLxDwc
 この時期では珍しいくらいの陽気だった。
 さんさんと輝く太陽は冬の空気を幾分和らげて、道行く人達も皆コートを脱いで肩にかけている。
 しかし、さすがにあたしみたいな薄着で外を出歩く者はいない。
 『痴女』以外の何者でもない姿で、あたしは商店街の大通りをふらつきながら進んでいた。
 今すぐ全力疾走で逃げ出したいくらい恥ずかしい。せめて早足で駆けたいのに、
最弱レベルに振動を落としたローターの快感がそれを許さない。溢れ出た愛液が太ももを伝い、
母乳が胸先を濡らしてローターの貼られた乳首をくっきりと透かして見せる……
このあまりに非現実なシチュエーションに夢見心地になっていたあたしは、
ここで初めて、S君の姿が見当たらない事に気付いた。
「S君?……どこ? あ、あたし怖い……」
「ここにいますよ」
 すぐ目の前から返事が来た。しかしそこには誰もいない……?
「何を驚いているのですか。“星の精”に透明化能力があるのは、Sさんも御存知でしょう」
「いやぁ……お願い、姿を見せて……1人にしないで……」
「嫌ですよ。痴女と一緒に歩いてたなんて、噂されたくないですから」
「ち、違う……あたし、痴女なんかじゃないわ……」
「本気でそう思っているのですか? なら周り見てくださいよ」
 言われた通りにして……あたしは息を飲んだ。
 大通りを行く大勢の人々が、1人の例外もなく、みんなあたしの事を見ている――!!
 よくお喋りをする近所のおばさん達も……馴染みの八百屋や肉屋のおじさんも……
遊び相手になっている子供達も……あたしに憧れの視線を向けていたお隣の中学生も……
見知らぬサラリーマンや学生達まで……みんなみんな、清楚な外人の奥さんで通っていたあたしの事を、
好奇と嫌悪と欲情と侮蔑にまみれた、淫猥な眼差しで見ているの……
 あたしの恥ずかしい姿が……みんなに見られて……みんなに目で犯されて……あはははははは……
 虚ろな笑い声が聞こえる。
 それはあたしの笑い声だった。
 ブブブブブブブブブ……
「あぁあああああああっっっっっ!!!」
 突然、乳首とクリトリスへの振動が強くなった。
たまらず大通りの真ん中にしゃがむあたしの耳に、みんなの声が聞こえてくる。
(なんだよあれ……)
(変態よ変態……)
(うわ、すげぇ格好……)
(痴女って本当にいるんだな……)
(見ろよ、こんな所でオナってるぜ……)
(おい、誰か警察呼べよ……)
(恥ずかしい……)
(私だったら自殺してるわ……)
(おい、皆でホテルにでも連れ込もうか?……)
(あんな良い女が、勿体無ぇ……)
(へへへ、俺が満足させてやろうか?……)
(頭おかしいんじゃないの……)
(おい、あの人、山田さん家の未亡人じゃねぇか……)
(やだ、あんな人だったの?……)
(欲求不満なのかね……)
(あんな淫乱女だったなんて……)
「――んぁああああああああッッッ――!!!」
 みんなが、みんなが、みんなが見ている中で……
涙とよだれと母乳と愛液をたっぷり吹き出しながら……あたしはイっちゃいました……
 ……あはははは……もう、あたし……ここに住めなくなっちゃった……あはははははは……
96ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/06(金) 07:18:38 ID:nMCLxDwc
 あまりの恥ずかしさと気持ち良さに放心状態になっていたあたしは、
目に見えないS君に引き摺られるように大通りを移動した。傍目には実にシュールな光景に見えただろう。
「ふわぁ……どこ行くのぉ……」
「だから、追っ手が来るから逃げなきゃいけないんでしょう?」
 しかし、それは新たな羞恥地獄への入り口だった。
昨夜、肉体的にあたしを苛め抜いたS君は、今度は精神的に苛めるつもりらしい。
 朦朧とするあたしの意識がかろうじて覚醒したのは、四方から異様な圧迫感に包まれたからだった。
 はっと辺りを見渡すと、視界は背広や制服をメインとした男の人が充満する密閉空間――
 そう、いつのまにかあたしは満員電車の中にいたのだ。
 い、いやS君、いくら追跡者から逃げる為とはいえ電車を使うのはちょっと……
無関係な人を巻き込む恐れがあるし、何より目立ちまくるし。
それに、この路線は痴漢が多いから、普段あたしは女性専用車両を愛用しているんだけど……
……って、S君? いるんだよね?
 返事は握り締めるような胸への愛撫だった。
「ふわぁあああああああっ!!!」
 絶叫に近い嬌声が車両中に響く。車内の人間全員があたしに注目した。
しかし、あたしにそれを気にする余裕はなかったの。
透明になったS君による公開乳絞りに、あたしは悶絶するしかなかった……
ああ……目の前に座っているおじさんが目を丸くしている……
前屈みになっているから、母乳が滲み出るおっぱいの先端が顔に触れそう……
 次にS君が責めたのは下半身――
「ああっ! だ、ダメよぉ……そこはあっ!!」
 乳房への愛撫でたまらず前屈みになって突き出たお尻を押さえて、
キャミソールの裾をめくり上げたの……丸見えになった黒いTバックのお尻を掴み、
左右に振りながら、ヴァギナやアヌスを広げて見せるようにマッサージするの……
傍目には、あたしが腰を突き出して自分から淫猥にお尻を振っているようにしか見えないでしょう……
 あたしを舐めるような視線で見つめる男の人達が、一斉に喉を喉を鳴らす音が聞こえる。
「いやぁ……やめてぇ……恥ずかしいぃぃ……ひゃうっ!?」
 “決壊”は唐突だった。
 目の前に座るおじさんがいきなりあたしの乳房を握り締めて、乳首に噛みついてきたのだ。
同時に四方八方から伸ばされたあたしの体中をまさぐり始めた……!!
97ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/06(金) 07:19:45 ID:nMCLxDwc
「やぁああっ……さ、触らないで…そんな所っ……あ、ああっ……」
 弱々しい抵抗の声は、男達の獣欲を高めるだけだった。
人間の姿に化けているとはいえ、邪神の淫靡な誘惑に理性を破壊されない人間などいない。
「い、いやぁ……きゃうぅ!! あはぁああ……ぁああっ!!」
 キャミソールの中に直接腕が伸びて……おっぱいが壊れるくらい激しく揉まれちゃって……
みんなの前で公開乳絞りされちゃう……いやぁ……母乳を直接飲まないでぇ……
お尻や太ももにも何本もの手が……ぁああ……そんなに撫で回さないで……ひぐぅ!
……クリトリスがぁ……千切れちゃうよぉ……ひゃうっ!!……ヴァギナと……アナルに……
何本も指が入っていくぅぅ……グチュグチュ音を立ててかき回されてぇ……んはぁ!!
……も、もう、もう入らないよぉ……やめてぇ……
「んはぁあああっ!! やだ、やぁああっ!! イクっ! イっちゃうぅぅぅ!!」
 たちまち上り詰めて達するあたし……でも卑猥な手の動きは止まらない……
またすぐにイっちゃうあたし……何度も何度も、終わる事無く強制的にイかされ続ける……
 ――無言で男達の手があたしの身体を陵辱する、車両の全ての男の人が参加した、公開痴漢プレイ――
 びゅるっ
「ひゃう!?」
 突然、剥き出しのお尻に生暖かい粘液がかかった。
それが何なのか、肌を滴る感触だけでわかる自分が恨めしいわ……
ああ……またザーメンで汚されちゃうのぉ……嫌ぁ……
 にゅぎゅっ
「あっ……」
 手を取られた……勃起したペニスを握らされた……熱い肉棒が掌の中で脈動している。
すぐに爆発した白い溶岩が、指の間に浸透する。その感触が、あたしの頭の中も真っ白にしちゃうの……
 びゅっ びゅるっ びしゃ ぷしゃ ねちゃあ……
 あああ……ザーメンが……真っ白なザーメンが……男の欲情の汚泥が……
あたしの身体中に降り注いで……もう全身真っ白に……ダメぇ……もうかけちゃやだぁ……
もうこれ以上精液漬けにしないでぇ……もうあたしにザーメンかけないでぇぇぇぇ!!!
「もっとぉ!! もっとかけてぇ!! あたしをザーメン漬けにしてぇぇぇぇ!!!」
 男達の精液と欲情の視線をたっぷり浴びながら、あたしは何度目かもわからない絶頂を迎えた――
98ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/06(金) 07:21:36 ID:nMCLxDwc
 ――駅の近くの公園には、大勢の浮浪者が住んでいる。
 もちろん浮浪者さん達も、好き好んでこの寒風吹き荒ぶ公園にいるわけじゃない。
ここ最近の不景気で近隣の工場が次々と閉鎖したのと、
行政の手入れで住む場所を失った周辺の路上生活者達が集まり、
自然に浮浪者達の溜まり場と化したそうだ。まったく、行政も少しは融通を利かせろっていうんだ。
 おかげでこの公園には、浮浪者以外の人間はほとんど足を踏み入れない。
公園の中央に置かれたドラム缶の焚き火の周りに、大勢の薄汚い浮浪者がいるだけ――
――いや、今日に限っては部外者が1人いた。正確には2人だけど、片方は体を透明化している。
 その部外者とは……もちろんあたしだった。
 それも全身ザーメンまみれのキャミソールとTバックという、誰よりも汚れた姿で……
 突然、こんな姿で現れたあたしに、浮浪者のおじさん達は唖然としたようだけど、
「……お、おじ様方……あたしのオナニーを……み、み、見て……下さいぃ……」
 泣きながら、そして笑いながら、S君に強要された台詞を言うと、
浮浪者達の表情は唖然から呆然に変わった。
「あ……あはは……い、今から……始めます……
お触りは……厳禁です……あうぅ……ですが……み、皆さんよろしければ……
た、た、たっぷりザーメンをあたしに……かけて下さいぃ……うううっ……」
 あたしは力尽きたように地面に腰を下ろすと、ゆっくりと足をM字開脚に広げた。
浮浪者達が喉を鳴らす音が聞こえる。
黒いハイレグTバックは下着と呼ぶにはあまりに面積が少な過ぎて、
アソコのビラビラも金色の茂みも全然隠せていなかった。
 そんな下着に左手をかけて、一気にぎゅっと引き絞る。
ただでさえヒモみたいだった黒い布地は限りなく細い線と化して、勃起したクリトリスも、
グチョグチョのヴァギナも、ぽっかり開いたアヌスも、丸見えになっちゃった……
膣壁とクリトリスに下着が食い込んで、もう発情しっぱなしのあたしに痺れるような快感を与えてくれる。
「ふわぁあああ……ぁああっ……ああん」
 そのまま何度も下着を食い込ませると、
断続的な快感と一緒に愛液が止めど無く溢れ出てきたぁ……あははは……
「あふぅぅん……気持ち…ぁあ……イイですぅ……」
 たまらなくなったあたしは、キャミソールからおっぱいをまろび出して、
開いてる右手で思いっきり強く揉み絞った……ふぁあああああっっっ!!!
99ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/06(金) 07:23:12 ID:nMCLxDwc
 プピュ!!
 白い母乳がアーチを描いて吹き出ると、浮浪者達の間から歓声にも似たどよめきが起こった。
 あはぁあああ……みんな見てる……汚らしい浮浪者が、もっと汚いあたしを見てる……
んんんっ……クリちゃん気持ちいい……もっと強く擦っちゃおう……んはぁ!! あああぁっ!!
ああ……やっぱりイイわぁ……でも、おっぱいはもっと気持ちいいのぉ……んはぁああっ!!
ぼ、母乳が射精みたいにビュービュー出て……おっぱいを扱くのが止まらないよぉぉぉ!!!
「ダメぇ!! もっとぉ……もっとあたしを見てぇ!! あたしを苛めてぇ!!」
 あたしは浮浪者達にお尻を向けるように四つん這いになった……いわゆる雌豹のポーズね……
皆に見せ付けるようにお尻を振りながら……ヴァギナとアヌスに両手の指を入れて……
んぁあううっ!! き、気持ちいいよぉ……グチュグチュ動かすともっと気持ちイイのぉ!!
ああ……おっぱいも気持ち良くしなくっちゃ……母乳が止まらないおっぱいはぁ……
この剥き出しの地面に擦り付けてぇ……あぐうぅ!! きゃあぅぐうぅ!!
ゴツゴツした地面と……ヤスリみたいな砂が……固い小石が……おっぱいを苛めてくれるのぉ……
んはぁああああ!! 気持ちいい!! 気持ちいいですぅぅぅ!!!
「へっ、本物の痴女ってやつかい」
「こんな所でストリップ見れるなんて思わなかったわい」
「お望み通り、たっぷり汚したるわ」
 あはぁあああ……浮浪者のおじさん達が……汚れたペニスを擦ってる……
こんな汚いあたしを見て、オナニーしてくれている……いいわぁ……見て……もっと見てぇ!!
あたしの恥ずかしい痴態を見てくださいぃぃ!!!
「うおおっ!」
「出すぞ!」
「ぐっ!」
「きゃああああぁん!! あはぁぁぁ……あはぁ♪」
 あは♪ 黄色く濁ったドロドロのザーメンがぁ……またあたしの肢体を汚してくれるのぉ……
もっとぉ……もっと汚してくださぁい!! 精液の匂いが一生取れなくなるくらいにぃ♪
 ジョロジョロジョロジョロロロ
 きゃうん!! あ、あたしのアソコに……ザーメンじゃない……
オシッコが……オシッコがかけられてる……ああぁぁ……
「お、おい爺さん……」
「ワシはもう歳なんで立たないんじゃ。代わりにこれで汚してやるわい」
「へへへ、見ろよ。この女ションベンかけられて喜んでるぜ」
「こりゃ完全に変態だな……すげぇ上玉なのに、勿体無ぇ……」
「それじゃ、俺達の小便で綺麗にしてやるか」
「ひゃはは! そりゃいいな!!」
 しゃぁああああああああああああああ――!!
「はぐぅぅぅ……んぱぁ!! あっあっあぁあああああっ♪」
 んきゃあん♪ おじさん達のオシッコが、あたしのアソコに、お尻の穴に、
おっぱいに、顔面に、身体中に浴びせられているぅ……温かいよぉ……臭いよぉ……
気持ちイイよぉ……美味しいよぉ!!
「あはははははは♪ もっとぉ……もっとかけてぇ!!
もっと見てぇ!! もっと飲ませてぇ!! もっと汚してぇぇぇ!!!」
 恐らく世界最悪の形で汚される中、あたしは嘘偽りない歓喜を感じていた――
100ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/06(金) 07:26:33 ID:nMCLxDwc
「……ねぇS君……どうせなら、もっと普通のやり方でして欲しいんだけど……」
「何度も言いましたが、今更何を言ってるんですか」
 ようやく透明化の能力を解除したS君は、例のサディスティックな笑みを浮かべながら、
あたしの頬を撫でました。いやらしく、舐め回すように、ねっとりと。
 そんな彼に対してあたしが何もできないでいるのは、
精神的に完全に隷属していたからだけではなく、物理的にも身動きできないからなの……
 浮浪者のおじさん達にザーメンとオシッコで汚され尽くされたあたしは、
しばらくしてS君に公園の男子トイレへ引き摺られていきました。そこであたしは、
白と黄色のまだら模様になった下着とキャミソールを剥ぎ取られて、
完全に拘束されちゃったの……それも普通の拘束じゃないんです。
両手両足の手首足首を、それぞれトイレの天井の四隅に繋げるように荒縄で縛られて、
空中でうつ伏せの大の字になるように吊るされているの……
んぁああ……全体重が手足にかかってとても痛い……
で、でも別に太ってるわけじゃないからな!! それは勘違いしないでね!!
 床上1.5mの高さでうつ伏せ拘束されたあたしは、
もう抵抗する事すらできない完全な無防備状態に……でも、これからS君はあたしをどうする気だろう?
さっきまでは浮浪者さん達に輪姦されるのかと思ったけど、
どうもS君1人であたしを苛めてくれるみたい……
「……よし、準備OKです」
 何か隅の方でゴソゴソやっていたS君が、
焦らすようにゆっくり振り向いて、あたしに何かを向けた瞬間――
 ばしゃああああああああ……
「きゃぁん!!」
 冷たぁい!? これは……水!?
 そう、S君はあたしに水道用ホースの水を浴びせてきたのです。
おそらく全身のザーメンとオシッコの汚れを落とす為なのでしょう……
でも、それは浴びせるというより叩き付けると言った方がいいくらい激しい水流だった。
まるで全身を数人がかりで踏み躙られるような苦しみに、あたしは偽りなく悶絶しちゃったの。
数分後、ようやく水撃が止まった時には、あたしは荒い息を吐きながら心底安堵して――
「それでは、本格的に綺麗にしましょうか」
 そう言ってS君が目の前に見せたのは……先端にタワシが付いた棒切れ……
え?……これってまさか……
「え、S君? まさか、その便器ブラシで……」
「はい、そうですよ。Mさんには相応しいでしょう?」
「い、嫌!! そんなのいやぁ!!」
「我侭言わないでくださいよ」
「んきゃああああ!!」
 容赦なく全身を磨き洗う便器ブラシのおぞましい感触に、あたしは本物の悲鳴を上げた。
 汚物に塗れた便器ブラシが、あたしの身体中を這い回ってる……
普通の人間なら絶対耐えられない屈辱と嫌悪感……でも……固くザラザラした便器ブラシが、
あたしの乳房を、首筋を、お尻を、背中を、ヴァギナを、乳首を、
太ももを、アヌスを、顔面を抉るように擦る度に……
ああ……激痛と嫌悪と汚辱が……あたしの身体を駆け抜けて……気持ちイイのぉ……!!
「あぁあああ……どうし…てぇ……あぐぅ!! 気持ち…いいのぉ……!?」
 本物の嬌声を漏らすあたしの耳元で、S君が呟いた。
「それはですね、Mさんが便器だからですよ」
101ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/06(金) 07:28:02 ID:nMCLxDwc
 ……え?……あは……あはははは……あはははははははは……
そっか……あたし……便器も同然なんだ……でも、そうだよね……
こんな事されて……こんなに……こんなに……気持ちいいんだもん!!
あははははっ♪ あたし、便器だったんだ♪ あははははっ!
ねぇ、もっと、もっとあたしを磨いてぇ……きゃふぅ♪ そう、そんな風にヴァギナをグリグリしてぇ♪
おっぱいを血塗れになるまで磨いてぇ♪ あはははははははは……あはぁ♪
 全身が赤むくれになりながら何十回もイキまくった『便器掃除』は、数十分後にようやく終わった。
「……あは……あははは……は……あぐぅ!?」
 連続強制絶頂でほとんど意識の喪失状態にあったあたしは、
しかし股間に走った衝撃に無理矢理覚醒されられましたぁ……
 子宮口の入り口まで突き刺さった便器ブラシの激痛と快感も凄いけど、
あたしを本当にゾッとさせたのは、アナルに深々と挿入された、さっきの水道用ホース……!!
「ぁああ……そ、そんなぁ」
「今度は身体の内側を綺麗にしますよ」
「い、いやぁ!! そんなのイヤぁ!!」
 水道の蛇口は無情に捻られた……全開で!
 んきゃぁあああああああああ――!!!
 入る!! 入ってくる!! 冷たい水がお尻の中にぃぃぃ!!
だめぇ!! 多いっ、多過ぎるのぉぉぉ……く、苦しいぃ……!! あぐぅ!! だ、だ、ダメぇ!!
もう入らない!! 入らないからぁぁぁぁぁ!! お腹が破裂しちゃうぅぅぅぅ!!!
 ……ようやく水道水のホース浣腸が止まった時、
あたしのお腹は臨月の妊婦以上に膨らんでいましたぁ……
 もうカエルみたいに痙攣する事しかできないあたしのアヌスから、素早くホースを抜いたS君は、
『中身』が漏れるより早く、もう1本の便器ブラシを挿入されました……アナル栓代わりらしいです……
 ぁああああぁ……痛い、痛いよぉ……く、苦しいよぉ……
「うぐぅぅぅ……と、トイレぇ……お願いよぉ……苦しいのぉぉ……トイレに行かせてぇぇぇ」
「トイレならここじゃないですか」
「んぐぐぐぅ……も、もうそれでもいいのぉ……お願いしますぅ……ぅはあっ!! 出させてぇぇぇ!!」
「ダメですよ、しばらく発酵させないと……そうだ!」
 S君の可愛い顔に、例の表情が浮かびました……
「Mさんが大好きな事で、気を紛らわせてあげますね」
 そう言って、あたしの乳首にチューブの付いたコップみたいな器具が取りつけられたの……
チューブの反対側は何かモーターみたいな機械に繋がれて……これって、まさかぁ……!?
 ブブブブブブブ……!!
「いひゃああああっっっ!! 駄目っ!! だめぇ!! 止めてぇぇぇ!!!」
「乳牛用の搾乳機ですが、さすがMさん。ちゃんと搾れるんですね」
 おっぱいがぁぁ……おっぱいがぁぁぁぁぁ!!……壊れちゃうよぉぉぉ!!!
いやぁあああ……ぁあああっ!! 母乳がぁ……止まらないぃぃ……駄目ぇ!!
イっちゃうのがぁ……止まらないのぉぉ!! んぁああああああああ!!!
 ……まるで噴水みたいに吹き出る母乳が、チューブを通って搾乳機の中に吸い込まれていきます。
 射精がずっと止まらないと例えれば、男の人にもこの発狂しそうな快感を想像できると思います……
 でも、これもまだ序の口だったの……
102ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/06(金) 07:29:47 ID:nMCLxDwc
「うーん、思ったよりもおっぱいが出ませんね」
 S君が口を尖らせました。
 嘘ぉ……こんなに沢山出ているじゃない……それに、朝からずっと母乳出しっぱなしなんだからぁ……
 心の中の叫びを尻目に、S君はあたしのおっぱいを上下から挟むように、
2枚の板を取り付けました……板同士は両端が長いネジで繋がっています……
こ、怖いよぉ……何をするのぉ……
「これで根こそぎ搾り取ってあげますよ。おっぱいの中身、全部ね」
 ネジがぎゅるぎゅると絞められて――
「あ―――――ぁああああ――――――!!!」
 もう悲鳴もまともに出せない激痛……
上下からサンドイッチされてるおっぱいがぁ……どんどん板と板の間が狭くなってぇ……
潰れるぅ……ほんとに、本当に潰れちゃうぅぅぅ!!! 板の間がもう2cmも無いぃ……
行き場のなくなった母乳が噴出してぇ……搾乳機でも搾り切れないくらい溢れ出て……
んぁあああああ!! おっぱいがぁ!!……おっぱいが千切れちゃうぅぅぅ!!!
痛い、痛い、痛いよぉぉ!! 止めてぇ!! もう駄目ぇぇぇ!!!
「ぁぁぁああああっっっ!!! もっとぉ!! もっと搾ってぇぇぇ!!!」
 天井から大の字に吊るされて……アソコとアナルに便器ブラシを挿入されて……
お腹が妊婦みたいになるまで冷水浣腸されて……牛みたいに搾乳されて……
おっぱいを万力みたいに潰されながら……あたしは感じていました。
 あはははは……あたしって……あたしって……本当に……変態なんだ……あはっ♪
「んはぁああああ♪ あふぅぅん♪ Sくぅん……もっとぉ……もっと気持ち良くしてぇぇぇ♪」
「ははは、良い具合に壊れてきましたね」
 涙とよだれを垂れ流すあたしの顔を、S君はそっと撫でてくれました。
「ぁああああん♪ もっとお浣腸してぇ……もっとおっぱい搾ってぇ♪ あたしを壊してぇぇぇ!!」
「そうですね。でも、そろそろみんなMさんの排泄シーンを見たいでしょうから」
「……え?」
 アヌスに刺さってる便器ブラシに、S君の手がかけられました。
「みんなが……見たい?」
 急速にあたしの心が冷えていきます。
 対照的に、S君の笑顔は明るくなりました。
「ほら、あそこを見てください」
 指差されたトイレの隅には……ビデオカメラとノートパソコンが!?
「ま、まさか……」
「気がつかなかったのですか。
今のトイレ調教は、全てインターネット経由で全世界にライブ中継されているのですよ。
もちろんMさんの顔も名前も住所も全て公開してますから御心配なく」
 え……ええ……う、うそ……
「凄いですよ。もうアクセス件数は天文学的数字です。
世界中の人間が、今、Mさんの痴態を見ているのですよ」
「い……いや……嫌っ……イヤぁああああ!!!」
「もうとっくに気付いているでしょう? 今回の調教は羞恥系だってね」
 ……世界中の人間に調教だけじゃなくて排泄シーンまで見られちゃう……
 究極の羞恥プレイ。
「やだぁあああああああ!!! やめてぇええええええ!!!」
「あははははっ! そう、その表情が見たかったのですよ。Mさんって真性のマゾだから、
どんなに恥ずかしくてハードな調教しても、すぐに慣れて感じちゃうんですもん。
やっぱり本気で嫌がって泣いてくれないと、こちらは面白くないんです」
「ダメぇええええええええ!!!」
 便器ブラシは無情に引き抜かれました。
 そして――
「いやぁああああああああああああ!!!」
 ……おそらく世界で一番惨めで哀れで恥ずかしい光景が、世界中の人間に目撃された瞬間でした――
103ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/06(金) 07:37:32 ID:nMCLxDwc
「!?」
 ――その刹那、あたしは手足のロープを引き千切り、
黒袈裟に錫杖ないつもの服装に変身しながら、まだ嘲笑しているS君の元へ突撃した。
「は?」
 まだ現状を把握してねぇS君をかっさらうと同時に、
凄まじい轟音と共にトイレの壁、天井、床に何百発もの弾痕が刻まれる。
ついでにビデオカメラとパソコンも粉砕されたけど、ちょうど証拠隠滅してくれたからOKだ。
 S君を抱いたあたしが飛び出すと同時に、ほとんど爆発するような勢いで公衆トイレは完全に倒壊した。
「ななな、何が起こったのですか?」
 あたしの腕の中でS君はお目々をぐるぐる回している。
「敵襲だ敵襲」
 つい数秒前まで羞恥調教プレイで喘いでいた余韻は、もう欠片も残っていなかった。
この辺の切り替えが瞬時にできない事には、退魔師なんてとてもやっていられない。
敵はこちらのコンディションなんて考慮してくれないのだ。
「まさか、追っ手ですか!?」
「そのまさかだろうな」
 いつもの気弱で情けない仕草から見るに、どうやら今の衝撃でS君も正気に戻ってくれたようだ。
 それにしても、今の攻撃は……何か重火器による奇襲のようだが……
 すでにとっぷり日の暮れた公園は、不気味なくらい静まりかえっている。

 きこ……きこ……

 誰かがブランコを揺らす音を除いて。
 まるで風景画のように気配を全く感じさせずに、独りブランコに腰掛けている影は、
女のあたしから見ても息を飲むような色香を放つ美女だった。
美しいブロンドヘアは前髪が奇妙な形にアレンジされて顔の半分を隠している。
キリスト教系の女性用修道服、いわゆるシスター服を身にまとってはいるが、
中身は領主をたぶらかす高級娼婦の様に妖艶だ。
「あの状況でよくそこまで俊敏に反応できたものだ。流石だな」
「誉めても何も出ねぇぜ」
 言葉とは裏腹の氷のように冷たい声に、あたしもそれ以上に冷えた口調で答えた。
「久しぶりだな、“シスター・ゲルダ”。本当の自分の姿は見つかったのか?」
「残念ながら。今の姿が一番それに近いらしいが」
「宗教関係者にしては、ちと色気過剰だと思うぜ」
「貴様に人の事が言えるか」
 軽口を交わしながらも、あたしは自分の背中に冷たい汗が流れるのを感じていた。
 シスター・ゲルダ――
キリスト教圏最大の退魔組織『バチカン特務退魔機関“テンプラーズ”』所属の三大退魔師の1人。
あのアルタン・ボブロフ中尉に匹敵する最強退魔師だ。
どちらかと言えば退魔業よりも対異能力者戦闘で名を馳せている女で、
一対一ならばいわゆる『敗北を知らない』ってヤツらしい。
その能力は『触れた相手の姿に変身できる。その際、記憶と能力もコピーする』というものらしいが、
そんな地味な力だけで最強退魔師の1人に数えられるとは思えねぇ。どうやらまだ裏技がありそうだが……とりあえず、この状況では絶対に会いたくない存在の1つなのは間違いないだろう。
「こんなに早く追撃が来るとは思わなかったぜ」
「あれだけ目立つ事しておいて、見つからない方がおかしい」
「う……」
 うう、反論できねぇ。
「し、しかし、あんた程の大物がお出ましとは、退魔業界が人手不足なのは本当らしいな」
「図に乗るな。私がこの地に来たのは、ツァトゥグア神の『接触者』絡みの件だ。
貴様の一件など、大僧正殿にどうしてもと頼まれたから、仕方なく来てやったに過ぎん」
 ちくしょう、相変わらず厭味な奴だ。
「……だが、どうやら脅威度では、この件もそれに匹敵しかねんな」
 シスター・ゲルダの冷たい瞳に、危険な光が宿った。
「だからといっていきなり奇襲攻撃かよ。せめて最初は話し合いからって選択は無ぇのか?
邪神に対しては穏健派だって聞いてたけどな」
「アルタン・ボブロフ中尉と戦闘が行われた段階で、もうその可能性は消えている……腑抜けたか?」
 うるせぇ、言ってみただけだ。
104ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/06(金) 07:39:07 ID:nMCLxDwc
 しゃりん!
 錫杖を地面に叩きつける。
「だったら今すぐブチのめしてやるぜ。男口調の金髪グラマーってキャラも被っているしな」
「わけのわからん言いがかりをつけるな!!……だが、貴様用のオモチャなら用意してない事もない」
 その台詞が終わるより先に、あたしは針を放っていた。
 だが――
 キンキンキンキンキン……!!
「!?」
 針は何も無い所で壁にぶつかるように弾かれた――あたしの目の前で!?
 眼前の空間にノイズが走る。
「こいつは――!!」
 次の瞬間、あたしの目の前に巨大な銀色の異形が出現した。
サソリの尾を上下逆に付けたエイのようなシルエット――
その頭(?)の下にあるガトリング砲が、真っ直ぐあたしの方を向いて――!!
「うぉおおおおおおお!?」
 S君を放り捨てたあたしの全身に秒間数百発の弾丸が叩きこまれた。
半分は錫杖で叩き落し、残りの内の半分は黒袈裟に付与してある防御魔法と針で防いだが、
残りは全てあたしの体に命中した。
 錐揉み状に吹っ飛んだあたしは、ジャングルジムに頭から突っ込んだ。
 すかさずそこにミサイルが叩き込まれる。
 大爆発は、一瞬、黒い星空を赤く染めた。
「Mさぁん……!!」
 S君の悲鳴を遠くに聞きながら、ミサイルが命中する寸前に錫杖を棒高跳びの要領で使い、
空中へ逃れたあたしは“そいつ”を真上から見た。
 AZE―03F型魔道戦闘ヘリ、通称“ソロ”だと!? あのクソアマ、軍用ヘリを持って来たのか!!
 戦慄に背筋を凍らせながらも、あたしは空中で加速しながら落下した。
回転するローターを攻撃してもいいが、あたしが狙ったのは着地点にあるコックピットブロックだ。
突き出した錫杖は狙い違わずに命中――しない!?
 凄まじい放電と光のスクリーンが、錫杖を命中寸前の位置で急停止させた。
電磁波の反発を利用した物理障壁、フォースフィールドだと!?
 頭上がぞくりと冷えた。ほとんどカンだけで横っ飛びに逃れたあたしの足先を、
サソリの尾のようなヴァリアブルキャノンから発射された荷電粒子ビームがかすめる。
「逃げるぞS君!!」
 返事を聞くよりも先に、着地点にいたS君をかっさらい、あたしは脱兎の如く駆け出した。
 飛び越えた公園の垣根をすぐにガトリング弾が粉砕する。
そのまま路上を疾走するあたしの足跡をなぞるように、凄まじい勢いで弾痕が道路に穿たれた。
 住宅街から大通りを抜けて、オフィス街へと逃げ出すあたし達を、上空からソロが正確に追尾してくる。
あの巨体が猛スピードで迫り来るのに、ほとんど飛行音が聞こえないのが不気味だった。
 それにしても……
深夜とはいえ、この状況で通行人どころか犬猫の一匹も見当たらないとは、明らかにおかしい。
おそらくシスター・ゲルダが術なり使ってあらかじめ排除しているのだろう。
だからこそ、こんな街中で戦闘ヘリなんて物騒な物を運用できるのか……って、
「んなっ!?」
「え?」
 あたし達は急停止した。
弾丸に追われてたまらず逃げ込んだ路地裏が、無情にも行き止まりだったのだ。くそったれ!!
 ビルの壁面を破壊するにも、よじ登るにしても――
「間に合わな――!!」
 ミサイルの爆風は路地裏だけに留まらず、隣接するビルをも完全に破壊した。
105ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/06(金) 07:40:52 ID:nMCLxDwc
 闇の中に頭上から響く爆音は、やけに非現実的に聞こえた。
鼻をつく下水の悪臭の中に、火薬の匂いを感じるのは気のせいだろうか。
 ミサイル攻撃を食らう直前、間一髪でマンホールの中に飛び込み、
下水道の中に避難できたのは良かったが、その場しのぎにしかなってないのは明白だろう。
どうしても逃れられないのなら、何とかしてあの怪物ヘリを破壊しなければならない。
 だが、ソロはあたしにとっては最悪と言っても良いほど相性の悪い相手なんだよなぁ……
相手が魔法や種族的特性の力で身を守っているのなら、闇高野退魔剣法で無効化できるんだが、
ああいう『物理的に固い』相手には、単に錫杖でぶん殴ってるに過ぎず、
ほとんどダメージを与える事ができない。影踏みの力を使って過去や未来を攻撃しても意味が無いし、
針術で立ち向かうにしても、飛び道具の撃ち合いでは向こうの方が圧倒的に火力が上だ。
 魔法や特殊能力や種族特性に頼らずに、単純にでかくて固くて強い――
そんな、少年向けマンガなら主人公にあっさり倒されるやられ役みたいな敵が、
実はあたしにとっては一番厄介な相手なんだ。
 さて、これからどうするか……
「Mさぁん……大丈夫でしょうかぁ」
 S君が不安に満ち満ちた声を漏らすが、それはあたしの内心でもある。
「さぁな、少なくともこんな所にまでヘリが来るとは思えないが……」
 この子を安心させる為にそんな事を言ってみたが、気休めなのは自分でも分かっていた。
そういえば、昔読んだマンガの中で、
同じように下水道の中に逃げ込んだけど、すぐに追っ手が来たという話があったっけ……
 その時、爆音が下水道を震撼させた。
「え、Mさん!?」
「静かに!」
 闇の空気が振動し、土煙がもうもうと立ち込める。
それを貫くように、1本のサーチライトの光があたし達を照らし出した。
 まさか……本当に来やがったのかよ!!
 S君を担いで必死に駆け出したあたしがさっきまでいた場所を、ガトリング弾が蜂の巣と変える。
飛び散る火花が一瞬、銀色の猛禽“ソロ”の巨体を映し出した。
 だ〜〜〜っ!! 本当に直接来やがった!!
 全力で逃げ出すあたし達を、狭い下水道の天井や壁面をそのボディで粉砕しながら、
ソロが無理矢理追いかける。さすがにスピードはガタ落ちだが、あたし達の方にも逃げ場がない。
こんな所でミサイルを使うほど馬鹿じゃないのはさすがだが、
ガトリング弾が足元を穿ち、荷電粒子ビームが頭上をかすめるのは、正直生きた心地がしなかった。
影踏みの未来予知が無かったら、あたし達は一瞬で黒漕げのミンチにされていただろう。
だが、このままではそうなるのも時間の問題だ。
ちくしょう、“あれ”も見つからないし、一か八かで賭けてみるしかねぇか!!
「S君、目と耳と鼻と口を塞いでろ!!」
「は、はい!!」
「返事しちゃダメだってば!!」
 叫びながらあたしは数万本の針を放った。下水道の天井全体と、すぐ斜め前方の壁面に。
 下水道全体が大音響と共に、完全に崩れ落ちたのは次の瞬間だった――
106ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/06(金) 07:43:31 ID:nMCLxDwc
「ううぅ……うわっぷ!」
 体中汚物塗れで泣いているS君に、バケツの水を頭からかけてやった。
幸い、ここには水だけならたっぷりある。小便器や便座が並んでいる所を見るに、
ここはどうやらビルかデパートの共用トイレらしいが、例によって人気は全く無かった。
 さっきはマジで間一髪だ。
下水道の天井が崩落する寸前に、チョロチョロ汚水を垂れ流す下水管を見つけて、
破砕術を付与した針で穴を広げながら無理矢理中に逃げ込んだのだ。
影踏みの未来予知で下水管の場所は分かっていたものの、逃げ込むのが一瞬でも遅れたら、
あたし達は数万年後に化石となって未来人に発見される羽目になっただろう。
 まぁ、逃げた下水管の先にあったのが、またトイレだったのはちとアレだが……
今日はとことんスカトロプレイに縁がある日らしい。
「……これで、もう追って来ないでしょうか?」
「さぁな」
 足元の穴を覗きながら、あたしは軽く頭を振った。
 あたし達をここに導いてくれた下水管は、完全に瓦礫で塞がれいる。
さっき散々走り回った下水道も同じ状態だろう。ソロも瓦礫に埋まっている筈だ。
「あうぅ……少し飲んじゃいました……ぺっぺっ」
「我慢しな。あたしなんてそれくらい平気だぞ」
「そりゃMさんは、そういうプレイが好きでしょうから……」
「な〜に〜か〜い〜った〜か〜な〜」
「ひゃうっ!! ご、ごめんなさ……あれ?」
 いつものようにS君の頭に振り下ろしたゲンコツは、しかしハエも潰せないくらい弱々しかった。
そのまま床に崩れ落ちるあたしを、S君の悲鳴が迎えてくれた。
「Mさん!! Mさぁん!!!」
「……そんな大声出さなくても、生きてるよ」
 いや、揺り動かさないでくれ。痛いから。
 今まで気力で押さえていたガトリング弾の傷が、小休止した途端に開いちまったようだ。
あの雨霰とばかりに降り注ぐガトリング弾を全て避けるのは、さすがに無理だったな。
お腹に当たらなかったのは不幸中の幸いか。
 震える手で黒袈裟を脱ぎ捨てると、びしゃびしゃと大量の鮮血がこぼれて、床に赤い水溜りを作った。
APタイプの徹甲弾を撃たれたから、弾は貫通して体内に残っていない。
傷を塞ぐだけの応急処置で誤魔化すか。
「あまり見栄え良いもんじゃないから、見ない方がいいぜ」
 半泣き状態のS君に苦笑を見せると、あたしは弾痕に癒しの術を付与した針を突き刺した。
あー痛ぇ。乳首が立っちまうじゃねぇか。
 全身にズブズブと針を刺しまくり、とりあえずの応急処置を終えたあたしは、床に体を横たえた。
ちょっと血が増えるまで休ませてもらおう。やれやれ、あたしが足手まといになっちゃまったな。
107ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/06(金) 07:45:21 ID:nMCLxDwc
「ごめんなさい……ごめんなさい……ぼくのせいで、Mさんがぁ……」
 ポロポロ涙を流すS君の顔を、あたしはそっと撫でた。
「気にすんな、S君の所為じゃないよ」
「で、でも……ぼくがあんな事をするから追っ手に見つかっちゃって……」
「あれはあたしも悪い。それに追っ手がシスター・ゲルダなら、どんなに上手く隠れていても見つかってたさ」
「でも……でも……」
「男だったらメソメソしない」
 軽くこつんとおでこを突付くと、S君は素直に頷いて涙を拭った。
まったく、そういう可愛い仕草をするから、こちらも全力で襲い……こほん、守りたくなっちゃうんだよねぇ……
「それよりも、あたしより自分の身の安全を心配しな。
あんな強引な手段で出てくるとは、S君を五体満足でお迎えする気じゃなさそうだぜ」
 それがあたしの疑問でもあった。
 シスター・ゲルダは邪神に対しては穏健派だと聞く。
それがあんな下手すりゃ邪神の怒りを買うような方法を使うとは意外だ。
相手が邪神なら多少はミサイルやガトリング砲を使っても平気だろうと考えているのか?
まさか、S君が邪神とは思えないくらいトホホな性格だって事がバレてるのか?
 それとも……何か邪神を怒らせても対抗手段でもあるのか?
知り合いにより強力な邪神でもいるとか……まさか、な。
「一応は邪神であるぼくの身よりも、Mさんも一緒に狙われる事の方が心配です。
それに、これで平太さんが狙われるような事になるのではないかと……」
「あたしは大丈夫だよ。それに、平太が命を狙われるような事もないさ」
「どうしてそんな事が言えるんですか」
 S君は少しムキになっているようだ。対照的に、あたしは落ちついた声で答えた。静かに。そっと、優しく。
「あいつはもうすぐ死ぬからな」
 沈黙が耳に心地良かった。
 今日は静かな夜だ。
「……嘘でしょう」
「あたしが平太と魂を共有したのは、今から100年前だぜ。
もうとっくに平太はヨボヨボのジジイになって病院のベッドにいるよ。
十数年前から意識も無くて、ただ生きてるだけの状態さ」
「そんな……」
「脳軟化症も最近進行してな、あと1・2週間の命だとさ……
まぁ、歳を考えれば大往生ってやつだ。悔いは無いだろう」
「だって、だってそれじゃあ、魂を共有してるMさんも!!」
「ああ、あたしももうすぐ死ぬよ」
108ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/06(金) 07:47:04 ID:nMCLxDwc
 だから、今回が最後の仕事ってわけ。
 あたしみたいな半端者の邪神を今も生かしているのも、
今回の追跡者が平太を襲わないのも、それが理由だ。ほっとけば近日中に死ぬのだから、
黙って見ていればそれでいい。それに、死にかけの哀れな老人をわざわざ手にかけるほど、
退魔組織も腐ってはいないという事か。
「だ、だ、だ、ダメです!! そんなの絶対に駄目ですよ!!!」
 痛ててて、そんなに情熱的に抱き付かないでくれ。
それに泣きっぱなしじゃ可愛い顔が台無しだよ、S君……
「まぁ、死なずに済む方法はあるんだけどね」
「そ、それは何なのですか!?」
「ドリームランドへ行けばいいのさ」
 夢の国――ドリームランドに世界転移すれば、この世界に残る平太との魂の繋がりも消える。
あたしは“食屍鬼”としての力と無限の命を取り戻す事ができるだろう。
それに、今や地球の“食屍鬼”は、ほとんど全てがドリームランドへ移住してしまったから、
孤独感に悩まされる事もなさそうだ。
 だが――
「だったら早くドリームランドへ行かなければ!! いつ平太さんが死んじゃうかわからないんでしょう!?」
「…………」
「まさか、ドリームランドへ行く方法が無いとか!?」
「いや、呪文1つで簡単に行けるけどな」
「だったら、なぜ!!」
 あたしはもう一度、S君の頬をゆっくりと撫でた。
「色々あるんだよ。色々とね」
 ……100年間魂を共有した相手を見捨てて、
自分だけ勝手にドリームランドに逃げ出したら、バツが悪いからなぁ……
 それに、平太は寂しがりやだから、あたしがいないとS君みたいに泣いちゃうだろうし。
 あーあ、あたしももうすぐ死んじゃうのか、ちくしょうめ。
 やっぱり怖いよなぁ。
邪神のくせに死ぬのが怖いなんて、人間出身の半端者である証拠かなぁ。
いつもはそれを意識する度に、独り布団の中で泣いていたけど、
S君の前じゃカッコ悪くてそれもできないしなぁ。
 まぁ、独りじゃなくて3人で死ねるのが、
せめてもの救いだって自分を誤魔化すしかないか……無理があるけどなぁ。
「ダメ!! だめだめだめ!! 死んじゃ駄目ですよぉ!!……ううぅ……うぇえええええ……」
「いや、だから泣き止んでくれよ……これじゃあたしが泣かせてるみたいで――!?」
109ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/06(金) 07:48:36 ID:nMCLxDwc
 S君を引き倒すと同時に、荷電粒子ビームの青い輝きが目の前を通り過ぎた。
 だぁ〜〜〜っ!! どこまでもしつこい野郎だ!!
 あの瓦礫の中から這い出てきたのか、別の機体が用意されていたのか、
とにかくもう追いついて来やがった。
「ふぇええええ……!?」
「泣くのは後だ、逃げるぞ!!」
 全身の傷口が悲鳴を上げるのを無理矢理無視して、S君を小脇に起き上がる。
トイレから飛び出した直後に、背後から灼熱の爆風に襲われた。
ほとんど爆風に押されるように宙を飛び、なんとか着地したそこは――
「ここは……」
 非常灯の灯りが無機質に照らすそこは、
極彩色のぬいぐるみやら人形が並ぶオモチャ売り場の一角だった。
どうやら、さっきのトイレはデパートのそれだったらしい。
 問題は、デパートの外に面する壁が全て、スケスケの強化ガラスだって事だ。
つまり、外にいるソロからは、こちらの姿は丸見えなわけで――
 ミサイルとガトリング砲と荷電粒子ビームは同時に発射された。
「うぉおおおおおおお!!! くそったれぇぇぇぇぇ!!!」
 瞬時に火の海に覆われた1階フロアからエレベーターホールへ飛び出したあたしとS君は、
そのまま死に物狂いで階段を駆け上がった。
このまま階段を上がっても袋小路となる事は承知しているが、
何せ外から荷電粒子ビームとガトリング弾が壁を貫いて襲いかかり、
そこに開いた穴からミサイルを叩き込まれるのだからたまらない。
必然的にあたし達は上へ上へと追い立てられる事になった。
よくもまぁビルそのものが倒壊しなかったものだ。
 しかし、ついに――
「え、Mさん!!」
「……やべ」
 ドアを蹴り開けたその先には、満天の星空と身を切るような冷風があった。
 開けた屋上――もう逃げ場はない。
 そこに猛烈な突風とサーチライトの輝きが降臨した。
 AZE―03F“ソロ”――銀色に輝く鋼の追跡者。
「え、え、Mさぁぁん……」
「こりゃ……本気でやばいな」
 どうやら、正面から殺り合うしかないと、覚悟を決めたあたしは錫杖を構えた――その時、
「……ぁ!?」
 視界の隅にあったドラム缶の上に、“あれ”が――!!
 ドラム缶の元へ疾走するあたし達に向って、全ての銃口が向けられる。
途中でS君を押し倒し、跳躍したあたしの指先が“あれ”に触れようとした瞬間――
ガトリング弾と荷電粒子ビームがあたしの体を貫いて――
次の瞬間、全段発射されたミサイルが、屋上を火炎地獄と化した。
 ………………
 …………
 ……
110ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/06(金) 07:49:35 ID:nMCLxDwc
『不味そうだな、こいつは』
 あたしは、はっきりと呟いた。
 炎と黒煙が一瞬、風に溶け消えた、その中には――
S君をかばうように仁王立ちする、全裸のあたしがいた。
 だが、その肌は死者のそれに等しい褐色で、瞳は金色に濁り、爪は猛禽、牙は虎、耳は狼、
長い黒髪は背中で鬣と一体化し、黒い尻尾をゆらゆら揺らすその姿は――

「“食屍鬼”!?」

 鋼の巨体が、確かにそう呟くのを、あたしははっきりと聞いた。

 ばくん

『……やっぱり不味い』
 しかめっ面でそれを咀嚼して、ごくりと飲み込んだ時には、上空のソロは欠片も残さず消滅していた……
「Mさん!!」
 S君が歓喜の笑顔で起き上がる頃には、あたしはもう人間の姿に戻っていた。
やはりネズミの死肉を1匹分食べた程度では、“食屍鬼”に戻れるのは数秒が限界か。
「Mさん……」
「もう大丈夫だS君。とりあえず、当面の追跡者はいない――」
 その時、あたしは気付いた。
 S君は、あたしじゃなくて、あたしの背後を見ている事に。
「え、Mさん???」
 素早く振り返ったあたしの目の前には、黒焦げになったドラム缶が――無かった。
「ようやく貴様に触れる事ができた……
まったく、影踏みの未来予測能力は厄介だな。ここまで手をかけて、やっと隙を作る事ができる」
 そこにいたのは、手に錫杖を持ち、黒袈裟に身を包んだ、
長いブロンドヘアのやたら胸のでかい……あたし!?
「てめぇは……シスター・ゲルダか!!」
 愕然とするあたしに、あたしの姿で、あたしの顔で、あたしの声で、
シスター・ゲルダは口元を歪ませて見せた。
「さて、始めようか」


続く
111某作者 ◆SNuCULWjUI :2006/01/06(金) 07:50:52 ID:nMCLxDwc
一応、全六話の予定です。

>ナノは10億分の一ですよ。
本編での記述『百万分の一』は、十億分の一の百倍になります。
百倍とは小学生がテキトーに決めたような倍率の定番ですが、
そんな小学生の永遠のヒーロー『パーマン』の変身による筋力増加値は、
実に六千六百倍という凄い数値になります。ここにマバンヤ様のお導きに合わせて六十を足すと、
六千六百六十……そう、666の悪魔の数字となるのです!!
つまり、これはパーマンに隠された獣の数字による人類滅亡の暗示なのです。
ペガサスキバヤシという手品師に教えてもらいました。
 つまり、もう筆者も何を言っているのかよくわかりませんが、あえてナノの単位を百倍にする事によって、
世界滅亡のメッセージを世界中に伝えるという壮大な意図があったわけがなく、単に桁を間違えただけです。
112某作者 ◆SNuCULWjUI :2006/01/06(金) 07:59:37 ID:nMCLxDwc
……突っ込まれる前に訂正しておきますが、百倍じゃなくて千倍でした……
なぜここで百倍にしたのかというと、ペガサスキバヤシと名乗る手品師の情報によれば(ry
113名無しさん@ピンキー:2006/01/06(金) 15:31:30 ID:RGEiCNse
某作者氏GJ!
S君のSってドSのSだったんですね。
ここまで凶悪でサディスティックなのは某銀魂の沖田総悟くらいしか俺は知りません。

追記。
ペガサスキバヤシを天下のGoogleで検索してもヒットしませんでした。
己の存在の痕跡を消したのでしょうか……?
恐るべし!!ペガサスキバヤシ!!
114名無しさん@ピンキー:2006/01/06(金) 19:47:52 ID:6in316zv
相変わらずエロいっすね!!超GJ!!
115名無しさん@ピンキー:2006/01/06(金) 21:30:48 ID:a0hxfxPQ
エロしストーリーも面白い。
が、「スカ注意」と欲しかった……
116名無しさん@ピンキー:2006/01/06(金) 21:43:29 ID:r50DEqn9
凄いエロイし続きも滅茶苦茶気になるです。
しかもかつての脇役達が再登場とはなんともはや……。

……ですが、あのー……
>『百万分の一』は、十億分の一の百倍
ではなく、”100分の1”だと思うのですが……
117名無しさん@ピンキー:2006/01/06(金) 21:45:01 ID:r50DEqn9
……と思ったけど、そんなわけないですわな。
多分、作品を見てペガサスキバヤシの怪電波に脳を侵され(略
118118 ◆MABOUp7up. :2006/01/07(土) 01:35:58 ID:jG6xQsqP
ttp://red.ribbon.to/~eroparo/sslibrary/o/original12-7.html  の続き。


「はあ……はあ、はあ…はあ……よい……しょ、っと……」
「はあ……あ……か、髪の毛に……」
肩で息をさせながらも、ゆっくりと俺の上から体をどかす夕那。
射精後の、このまま眠ってしまいたいような、けだるい気持ちを懸命に抑え、
上半身を起こしながら夕那を見ると、俺が暴発させた白濁液が、
夕那の黒い髪の毛を汚しているのが目に入った。
「……しっかたないですねえ。また、お風呂に入りなおさなきゃ。敏則さん、一緒に入りましょうか?」
「え? あ、ああ……」
夕那は白濁液で斑になってしまった髪の毛を、軽く摘まみあげたかと思うと、
俺に向かって軽く片目を閉じながら、微笑みかける。
口調こそあっけらかんとしているが、どことなく誘いかけるような微妙な微笑みに、
胸を射すくめられたような感覚を覚えた俺は、思わず反射的に頷いていた。


「……ふ〜うっ。さ、敏則さん。背中流してあげますから、こちらへどうぞお」
「あ…う、うん……」
俺の白濁液で汚れてしまった髪の毛を洗い終えた夕那は、一息ついたかと思うと、
ボディーソープで泡立てたスポンジを握り締めながら、湯船に浸かっていた俺に声を掛けてきた。
さっきまで垣間見えていた優艶な様子は微塵も無く、まるで無邪気な子どものような表情だった。
そんな夕那を見て、どこか拍子抜けしたような、思わず反省したくなるような、
微妙な気持ちになった俺は、曖昧に頷きながら湯船からあがり、椅子へと腰掛けた。
「じゃ、流しますねえ」
「ああ」
俺が返事をするかしないかのうちに、夕那はスポンジで俺の背中をゴシゴシ擦り始めた。

「……しょ、っと。どうですか、敏則さん? 強かったり弱かったり、しませんか?」
「いや、丁度いいよ、夕那」
と、何回か背中を往復させた手を止め、夕那は俺に問いかけてくる。
強すぎず弱すぎず、丁度いい力加減に、俺は夕那のほうを振り返りながら、そう答えた。
「そうですか。それはよかったです。……それじゃ、頭でも洗っててくださあ……あ、あらっ」
俺の返事に気をよくした夕那は、にぱっと笑みを浮かべたかと思うと、
シャンプーのボトルに手を伸ばし、俺に手渡そうとしてきたが、
手が滑ったのか、風呂場の隅まで転がっていってしまった。
「す、すみません敏則さん。あれ、とってくださいですう」
「ありゃりゃ。ちょっと褒めるとすぐこれなんだから……」
バツの悪そうな顔で、シャンプーボトルを指差す夕那。
思わず大げさに肩をすくめ、苦笑いを浮かべた俺は椅子から腰を浮かし、
四つんばいの姿勢でシャンプーのボトルに手を伸ばした。
119118 ◆MABOUp7up. :2006/01/07(土) 01:36:43 ID:jG6xQsqP
「な、ゆ、夕那っ!?」
が、次の瞬間、俺は思わず叫び声をあげていた。
不意に夕那が、四つんばいになった俺の両足に、絡みついてきたからだ。
上半身を捻り、後ろを仰ぎ見てみると、真面目な表情の夕那がおずおずと、
俺の尻へと顔を近づけてきたのがわかった。
「えっと……ん、っ……」
「ゆ、夕那!? ま、まさ……あく! ……ゆ、夕、那……」
さらに、お尻を広げられたかと思うと、菊門に何か柔らかいものが触れる感触が伝わってきた。
思わず腰を引かそうとするが、両足にがっしりとしがみつかれ、動かす事も出来ない。
「ん……んふ、ん……っ…」
「ちょ、ゆ、夕那……あっ、ああっ」
菊門に触れた柔らかいものが、菊門を押し広げ、中へと潜り込んでこようとしている。
上半身を捻った姿勢のまま、夕那に向かって抗議の声をあげようとするが、
その途端に感じる、股間の袋を細いもの2、3本でつつつっと撫で上げられる感触と、
ぬるりとした何かが、モノを優しく包み込むような柔らかい刺激に、上半身が仰け反ってしまい、
抗議の声どころかあえぎ声が口から漏れ出し、全身から力が抜けてしまう。
「んむ…っ、ん……んふっ……」
力が抜けた隙を突くように、ついに柔らかいものが、菊門の奥へと潜り込んできた。
排泄時に感じる、快感ともいえる微妙な感覚と、袋やモノから伝わる快感に溺れそうになりながらも、
わずかに残った理性が夕那を押しとどめようとして、右手を夕那の頭へと伸ばそうとする。

「ゆ、夕那っ? あっ、ああっ!」
しかし、力の入らない姿勢だということもあり、簡単に右手を掴みあげられたかと思うと、
そのまま勃ちあがっている自分のモノへと押し当てられてしまった。
さらに、菊門の中の柔らかいものが、上下左右に小刻みに動き始める感触を覚えたとき、
ほんのわずかに残っていた俺の理性は、完全に消え失せていた。
「あ、あ、ああっ……ゆ、夕那……」
俺は自らのモノを握り締め、必死に手を上下に揺さぶり始めた。
途端に、目から火花が飛び散るような刺激が、快感となって俺の全身に襲い掛かる。
「ああっ、夕那…夕那あ……」
虚ろな目で口をぽかんと開け、舌をだらりと伸ばしながら、俺は夢中でモノをしごき続ける。
もちろんその間にも、袋と菊門からの刺激はおさまることは無かった。
いや、それどころか、むしろ激しくなってきたかもしれない。
「夕那っ、夕……那っ……」
目からは涙があふれ、口からはだらしなくよだれを垂らしながら、
ただひたすら、消え入るような声でつぶやき続ける。……もう、もう……限界、だ……。
「イ、イクッ! イクうっ! ゆ、夕那ああっ!!」
やがて、今まで経験したことがない、眩暈がするほどの激しい快感の中、
俺は絶叫とともに全身をガクガク震わせながら、床に向かって白濁液をぶちまけていた。
120118 ◆MABOUp7up. :2006/01/07(土) 01:37:36 ID:jG6xQsqP

「はあ……はあ、あうっ………はあ…はあ……はあ…、はあ……」
「ああ、汚いですよお、敏則さあん。そんなふうに這いつくばったりしたらあ」
射精の勢いが弱まった頃、菊門に潜り込んでいた柔らかいものが、ようやく引き抜かれた。
何ともいえない快感と脱力感に襲われ、肩で息をさせながら、床へと這いつくばってしまう。
夕那があきれたような声で、俺の肩を揺さぶり、半ば無理矢理起き上がらせようとしてくる。
……そんなふうも何も、だ、誰のせいで、こんなふうになったと思っているんだ……。

「ゆ……夕那……」
「えへへっ、さっきのお返しです。これでおあいこ……きゃっ、と、敏則さんっ!?」
フラフラになりながらも、どうにか上半身を起こして涙まみれの目で夕那を見た。
夕那はこちらに背を向けて、しゃがんだ姿勢でシャワーを浴びていたが、
俺の声に振り返り、こちらに向かってペロリと舌を出してきた。
そのときの、夕那のあまりにもあっけらかんとした表情を目にした瞬間、
胸の奥から言い知れぬ感情が湧き出してきた俺は、気がつくと夕那を背後から抱きすくめていた。
「と、敏則さ……あ、あむ……んむ、んっ……」
夕那は身をよじらせ、抵抗の声をあげようとするが、くちびるを塞いで舌を潜り込ませると、
途端におとなしくなったかと思うと、自らの舌を俺の舌へと絡ませてきた。
「ん…んむ、んふっ……んんっ…」
「……んっ、ん……んっ…んっ!? んふっ、んっ、んんっ」
舌を絡みつかせながら、右手で軽く夕那の胸をまさぐってみると、途端に夕那の鼻息が荒くなりだす。
「ん…っ、と、敏則さ…だ、ダメ、ですよお……さ、さっき、で、おあい、こおっ!」
くちびるを離すと、夕那が眉をしかめながら、俺に向かって途切れ途切れに抗議の声を漏らしだす。
だが俺が、夕那の秘所へと左手の指を潜り込ませると、夕那は脚を閉じ合わせながら上半身を反り返らせ、
つぶらな口からこぼれていた抗議の声が、甲高い悲鳴交じりのそれへと変わる。
「あっ、ああっ、ああんっ! ああっ!」
夕那の胸から右手を離し、必死に脚を閉じ合わせようとする、夕那の右の膝裏へと肘を通し、
片足だけを無理矢理広げさせながら、秘所へと潜り込ませた指をうごめかせた。
夕那は震える手で、俺の左手を掴みあげようとするが、その手には力が全然こもっていない。
「おあいこ、ねえ……。俺はここで止めてもいいんだけど、
夕那のココは……そうは言ってないんじゃないのかなあ?」
指を秘所から激しく出し入れさせながら、夕那の耳元でそっとささやいた。

――言っている俺自身もまた、指の動きとともに夕那の秘所から響き渡る、
くちゅくちゅと湿った音を耳にしているうちに、あたかも秘所そのものが俺を求めているような、
そんな錯覚に陥っていたのだが――

「そ…そっ、そんなああっ、ああっ! と、敏則さあんっ! ゆ、夕那、夕那あああっ!!」
その夕那はと言えば、顔を真っ赤にさせて弱々しく首を振りながら、否定の言葉を口にしていたが、
秘所の上にちょこんと顔を出している、充血した肉芽を親指と人差し指で軽く摘み上げてみると、
夕那は全身をビクビク震わせながら、股間から黄金色の液体を迸らせ始めた――
121118 ◆MABOUp7up. :2006/01/07(土) 01:38:55 ID:jG6xQsqP

「あ……あ、と、敏則さん……」
しゃくりあげる顔を両手で覆いながら、消え入るような涙声でつぶやく夕那。
勢いは収まったものの、未だに夕那の股間から液体がチロチロとあふれ、太腿を伝っている。
「ゆ、夕那……」
「敏則さん……は、恥ずかしいですう………」
俺は初めて目にする放尿シーンと、子どものように泣きじゃくる夕那を見て、
ほんの少しだけ罪悪感が湧き上がるとともに、心臓の鼓動が痛いくらいに高まっていった。
「恥ずかしい……ねえ。でもさあ……」
「あっ! 敏則さんっ!?」
言いながら、再び夕那の秘所へと指を潜り込ませた。
夕那はたちまち、腰砕けの姿勢になりながら、涙にあふれた目をぱっちりと見開いて、俺を見上げる。
「……ほうら。この、ねばねばしたのは、さっきのおしっこ……じゃあないよね?」
俺は秘所から指を抜き、夕那の眼前へとかざした。俺の指は言葉どおり、ねばねばした液体にまみれ、
液体で出来た透明な細い糸が、何本も床へと向かって垂れ落ちていく。
「と……敏則さあん…っ」
両手で握りこぶしをつくり、口元を押さえながらいやいやと首を振る夕那。
くりくりっとしたその目からは、大粒の涙がポロポロとこぼれ、頬を伝って流れ落ちている。
……もう限界、かな?
「夕那……今度は……い、一緒に……」
そんな夕那を目にして、急に罪悪感が強くなってきた俺は、すでに二度果てたにも関わらず、
痛いくらいに勃ちあがっていたモノを、夕那の秘所へと擦りつけながら、耳元でそっとささやいた。
「……………。で、でも……」
「でも?」
夕那は無言でコクリと頷いたが、恥ずかしそうに俺の顔を見上げながら、ぽそぽそとつぶやく。
無意識のうちに、腰をゆっくりとうごめかしながら、夕那の口元へと耳を近づけた。
「ゆ、夕那……あ、ああんっ……と、敏則さんの…あっ、ああっ……ほうを向いて………その……」
腰をもぞもぞとよじらせ、艶っぽい吐息混じりに夕那は言葉を続ける。
俺は返事の代わりに、夕那をそっと抱きしめ、くちびるを奪っていた。

「い……いくよ、夕那」
「は、はい……」
椅子に腰掛け、両足を広げた夕那の秘所へと、モノをあてがい、震える声で問いかける。
夕那はとろんとした表情で俺を見つめながら、ゆっくりと頷いた。
「………っ!」
「はあ……! あ…敏則さん……っ!」
夕那がコクリと頷くのを見て、俺は夢中でモノを夕那の中へと潜り込ませる。
既に今までの行為で、あふれんばかりの蜜をたたえていた夕那の秘所は、
難なく俺のモノを飲み込んでいった。
それと同時に、言葉にならないくらいの快感が全身を包み込み、思わず息を詰まらせてしまう。
「あ、ああっ……夕那っ……」
「と…敏則さん……敏則さん……んむ…っ……」
俺は左腕を夕那の腰に回し、右腕で夕那を抱き寄せながら、ゆっくりと腰を動かし始める。
夕那はそっと、俺の背中へと両腕を回してきたかと思うと、軽く耳たぶに歯を立ててきた。
次の瞬間、まるでそれが何かのスイッチだったかのように、俺の腰の動きは激しくなっていった。

「ああ……いい、夕那……夕那……」
「敏則さん……あっ、ああっ、ああっ!」
お互いを呼び合う声が、少しずつ甲高くなっていく。
さらに二人が交わっている場所からも、腰の動きに合わせてぐちゅぐちゅと、湿った音が聞こえる。
まるで、俺たちの喘ぎ声には負けてられない、とでも言っているかのように。

「夕那、イク、イクぞ夕那、夕那ああっ!」
「と、敏則さんっ! 夕那も、夕那もおおっ! 敏則さああんっ!!」
それからほどなくして、俺たちは全身をビクビク震わせながら、揃って絶頂に達していた。
122118 ◆MABOUp7up. :2006/01/07(土) 01:40:12 ID:jG6xQsqP

「はあ……はあ、はあ…はあ…」
「……はあ、はあ、はあ……はあ」
俺たちは絶頂に達してからも、繋がった姿勢のままで、しっかりと抱きしめあっていた。
こうしていると、お互いの胸の鼓動を感じ、ひとつになっているように感じられるからだった。
「敏則さん……」
「ん? な、何?」
と、夕那が小首をかしげ、いつもの上目遣いで、俺に話しかけてきた。
どことなく非難じみた口調の夕那に、まるで心臓を鷲掴みにされたような感覚を覚えながら、返事をする。
「また……また中に、出しちゃいましたねえ……」
「あ……そ、それ、は……」
小首を傾げたまま、くちびるを尖らせてつぶやくように言葉を続ける夕那。
俺は言葉を詰まらせ、ぽかんと口を開けて夕那を見つめていた。
……そういえば、そんな話をしていたばっかりだったが…今回は、夕那も了承していただろ?
「ふふっ、でもいいです。子どもが出来ちゃったら、責任とってもらいますからっ」
「え? そ、それって子どもが出来なかったら、責任とらなくていいってこと?」
しどろもどろになっている、俺の鼻先に指を突きつけ、にぱっと微笑む夕那。
だが俺が、疑問に思ったことを口にすると、見る見るうちに夕那の顔が真っ赤に染まっていく。
「………。も、もうっ、何を言ってるんですかあ! 敏則さんの意地悪っ!」
「お、おいおい冗談だよ、夕那…って、う、うわあっ!?」
ゆでだこのように顔を赤らめながら、両手で俺の胸をポカポカと叩き始める夕那。
苦笑いしながら、返事をしていた俺だったが、不意に夕那が全体重をこちらに傾けてきて、
バランスを崩した俺は床へと倒れこんでしまった。
「夕那、決めました!」
「え? な、何を?」
図らずも、騎乗位の体勢になった夕那は、握りこぶしを作りながら、大きく頷く。
「このままじゃ夕那、敏則さんに捨てられそうなので、一日でも早く、子どもをつくりますっ!」
「ちょ! ゆ、夕那! 俺が夕那を捨てるはず、ないだろっ!」
そう宣言したかと思うと、夕那はゆっくりと腰を上下に動かし始める。
再び下腹部を襲う快感に震えながら、俺は夕那に向かって叫んでいた。

「……………本当ですか?」
「ほ、本当だって! 信じてくれよっ! そ、それどころか……」
夕那は腰の動きを止め、俺の顔を覗き込むようにして、問いかけてくる。
こちらをじっと見つめる夕那の、いつになく儚げな表情を目にして、
痛いくらいに胸の鼓動が高まるのを覚えながら、俺は必死に何度も頷いて返事をしていたが、
思い切り恥ずかしいことを言いそうになってしまい、思わず口ごもってしまう。
「……それどころか、どうしたんですかあ?」
「あ………そ、その……。俺のほうこそ、ゆ、夕那にずっとそばにいて欲しい……離れて欲しくないん、だ」
だが夕那が、そのひと言を聞き逃すはずもなく、ゆっくりと体を俺にもたれかかせてきたかと思うと、
小首をかくんと傾けながら、いつもの上目遣いで聞き返してきた。
ピッタリとくっついた夕那の体から、トクントクンと胸の鼓動が響くのを感じながら、
覚悟を決めた俺は、それでも顔をまともに見ながら言うのが、たまらなく恥ずかしかったため、
夕那をそっと抱き寄せて、耳元でささやくように答えた。
「…………………………………」
俺の告白を耳にした夕那は、軽く体を起こしたかと思うとひと言も喋らずに、じっとこちらを見つめてくる。
そんな夕那の視線に、耐えることなど出来るはずもない俺は、思わず顔を背けてしまう。
「…………………わっかりましたあ。夕那も、敏則さんから絶対に、離れたくないですっ!」
「夕那……ずっと、ずっと愛してる……っ……」
と、夕那は不意にいつもの笑顔に戻ったかと思うと、迷うことなく俺の首筋にしがみついてきた。
俺は声を震わせながらも、夕那をしっかりと抱きしめ返し、そのまま口づけを交わしていた――


おしまい。
123つぶやきマボ ◆MABOUp7up. :2006/01/07(土) 02:03:48 ID:jG6xQsqP
……で、終わりです。
書き上げるのに、1年掛かっちゃいましたです。

遅ればせながら、新年あけましておめでとうございます。


>70氏
ご覧のとおり、年末年始ネタを足掛け1年掛けて、
ようやっと仕上げたのもいますから、気にしなくても無問題ですよ。

とゆーか、ぶっちゃけこの後の展開に期待しちゃってますんで、頑張ってください。
124名無しさん@ピンキー:2006/01/07(土) 10:38:02 ID:uDe+6Sn7
マボさん、GJ!!
次回はどのカップルが登場するのか楽しみです!
125名無しさん@ピンキー:2006/01/07(土) 11:42:29 ID:nLVrsvxx
マボさんキタ━━━(・∀・)━━━!!
1年ですか…凄い…
126名無しさん@ピンキー:2006/01/07(土) 19:34:47 ID:zL0xomTu
前スレで蜘蛛女書くって言った人の作品が楽しみだ。
127名無しさん@ピンキー:2006/01/07(土) 19:54:08 ID:SmPWhUhQ
GJ、一年間お疲れ様でした。
子作りEND萌え。
128ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/07(土) 22:42:06 ID:pK7/xQPd

5.『MAD FOREST』


 黒煙と炎が吹き乱れるビルの屋上は、まさに悪夢のような光景だった。
 ならば、目の前にいる女も悪夢の存在に違いない。っていうか悪夢であってくれ。頼むから。
 だが、炎の熱さが、自分が決して幻じゃないと自己主張するように、
あの女も紛れもない現実の存在だった。
 あたしと同じ顔、あたしと同じ姿、あたしと同じ声、あたしと同じ視線――
 シスター・ゲルダの変身術は完璧と言えた。
 それにしても……自分と全く同じ姿と御対面するのは奇妙な気分だぜ。
あたしってあんなに胸が大きく見えるのか。もう少しサラシをきつく絞める事にしよう……
「え、え? Mさんが……分裂!?」
 人をゾウリムシみたいに言わないでよS君……
「S君、物陰にでも隠れてな」
「S君、あたしの傍にいらっしゃい」
 あたしとシスター・ゲルダは同時に言った。
「え? え? えーと……うわぁ!!」
 まだオロオロしているS君を、とりあえず安全な所にまで蹴り飛ばす。
そこで大人しく気絶でもしていてくれ。
「ひ、ひどい……がくっ」
 そのタイミングで、シスター・ゲルダは襲いかかってきた。
 ぎいん!
 錫杖と錫杖が交錯する。
 鍔迫り合いの状態でにらみ合い、力の限り押しまくる。
だが、両者の腕力も力点をずらすテクニックも完全に互角だった。
突然、バネが弾けたように飛び離れ、同時に屋上の端に降り立つ。
駆け出すタイミングも同じだった。
しばらく様子見のように並走して、互いの姿が炎に隠れた刹那、
再びあたしとシスター・ゲルダは激突した。
下段の払いから上段の突き。
中段の袈裟懸けから振り下ろし。
打ち払い、柄押し、連続突き、乱れ払い――
全て攻撃と防御が絡み合い、錫杖が相手に触れる事はなかった。
 ちくしょう、こいつあたしの杖術まで完璧にコピーしてやがる!!
 ならば、これでも食らえと唇を尖らせるが――向こうも同じタイミングで同じ表情をしやがった。
 空中で激突した針同士が派手な火花を飛ばす。
一度に数千本の針を放っても、一度撃った針が時間を置いてもう一度襲いかかる罠針を使っても、
直接的に針に封じた魔法をぶつけても、全てが同じ結果に終わった。
くそっ、針術まで互角かよ!?
 それからあたしとシスター・ゲルダは激しく錫杖をぶつけ合い、隙を見て針を撃ち合ったが、
その全てが互いに触れる事はなかった。
 や、やり辛い……自分と同じ姿、技、能力を持つ相手と戦う事が、これほど厄介とは思わなかった。
お互いの戦法もその攻略法もわかっているので、決定打が全然出ないのだ。くそっ、このままじゃ千日手だ。
「中々使い勝手の良い体だ。
体中に埋め込まれた魔法針でドーピングしているようだが、運動能力も反応速度も申し分ない」
 右手を目の前でコキコキ鳴らしながら、シスター・ゲルダは小憎らしく呟いた。
「だが、この格好では動くと胸が揺れて痛いぞ。ちゃんとブラジャーを身に着けろ」
「うるせぇ、和服にブラは邪道なんだよ。これだから西洋人は無粋だって言うんだ」
「……貴様も西洋人だろうが」
 吐き捨てるシスター・ゲルダの瞳が、金色に輝いた……って、やばい!!
 シスター・ゲルダが何も無い方向に向って針を放つ。
「ぐっ!」
 よろめいた。
 右足の太ももに深々と突き刺さった針は、
付与してある火炎魔法を発動させてあたしの足を内側から焼き尽くそうとしていた。
幸いにもそれは『あたしの術』なので簡単に消す事はできたが、ダメージを受けた事には変わりない。
 それよりも、さっきシスター・ゲルダが針を撃った地点は……あたしが10秒前にいた場所だ。
 あのクソアマ……あたしの影踏みまでコピーできるのか!!
129ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/07(土) 22:44:18 ID:pK7/xQPd
「うむ、これは便利……というよりズルイ能力だな。実に卑怯極まりない」
「うるせぇ!! 今度から金取るぞ!!」
 あまり攻撃の掛け声には相応しくなかったが、とりあえずあたしも影踏みによる反撃を試みた。
どうせ回避不能だと理解しているのか、シスター・ゲルダに妨害しようという動きは見られない。
視界が急速に金色に濁る中、設定時間は3分前、
ネズミの死体が乗ったドラム缶に変身しているシスター・ゲルダに、爆破の術を付与した針を撃ち放つ。
狙い違わず命中し、シスター・ゲルダの右肩は真紅の花火と化して吹き飛んだ。
「ぐっ!?」
 ……あたしの右肩も、同時に。
 なっ……なにぃ?
 よろめきながら押さえた右肩からは、間違い無くあたしの針術による爆痕があった。
 こいつは……まさか……
「完璧に似ているものは完全に同じものである――変身術の基礎理論だ。
今の私を攻撃する事は、自分自身を傷付けるに等しいと思え」
 御親切にもシスター・ゲルダ本人が説明してくれた内容は、あたしの最悪の想像を裏付けるものだった。
「ちょっと待て、じゃあなぜお前が攻撃した時は大丈夫なんだよ」
「私は貴様じゃない。なぜ貴様を攻撃して私も一緒に傷付く義理があるのだ」
「なぁにが卑怯だ!! 手前ぇの方がよっぽど卑怯じゃねぇか!! しかも何だかありがちだし!!」
「ありがちで卑怯というのは、効果的で強いという事だ」
 ……確かにおっしゃる通りだよ、ちくしょうめ。
 それからのあたしは防戦一方だった。こちらからの攻撃はあたし自身もダメージを受けるのだから、
事実上、あたしの攻撃は完全に封じられたわけだ。
そのくせ、シスター・ゲルダの攻撃は普通にダメージとなるのだから、
こちらはひたすら受けに回るしかない。
 不幸中の幸いは、相手の攻撃があたしの攻撃方法そのものなので、
見切るのは比較的容易って事ぐらいだろう。だが、このままではジリ貧必死だ。さて、どうするか……
「ふむ……埒が開かないな」
 突然、シスター・ゲルダの猛攻が止んだ。向こうは肩に多少の傷を負っているだけだが、
こちらは満身創痍の天然見本だよ……くそったれ。
「人払いもそろそろ限界だ。決着と行こう」
 すっ……と挑発するように突き立てられた人差し指。
その白魚のようなあたしの指(のコピー)が、皺だらけの老人のそれに変化するのを、あたしは確かに見た。
「!?」
 影踏みの未来予知が無かったら、間違い無く即死していただろう。
 突然、指先から放たれた青白い電撃が、凄まじい勢いであたしを襲った。
いや、電撃なんて生易しいものじゃない。
一千万ボルトの電圧にも耐えられる防御用の針を全て一瞬で破壊した稲妻は、
触れた物質全てをプラズマ状態へと分解し、
青白いイオンの輝きを放つ巨大な稲妻の爆発を夜空に轟かせた。
恐ろしいのは、島1つ蒸発させるほどの高出力の電撃攻撃にも関わらず、
ビルの屋上そのものには焦げ目1つ生じさせなかった事だった。呆れるほど凄まじい魔法制御能力だ。
「……くおぉ……お……」
 全身から白い煙を昇らせながら、あたしは力無く片膝を付いた。
黒袈裟は黒焦げ袈裟と化し、錫杖も半分溶けている。
かろうじて直撃は避けられたものの、今の一撃で一気にあたしはボロボロになってしまった。
130ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/07(土) 22:45:46 ID:pK7/xQPd
 な……なんだこれは!? あいつは電撃魔法の使い手でもあったのか?
だが、シスター・ゲルダがこれほどの力を持つ電撃使いだったなんて話は、一度も聞いた事がないぞ!!
「これは今から80年前に活躍していた、世界最高位の雷術師の技だ。以前、彼に触れた事があってな」
 なにぃ……いや、ちょっとまて。それは……
「ちなみに、これは今から150年前に世界最強の名を欲しいままにした重力使いの技だ」
 シスター・ゲルダの指が、今度はグロテスクな刺青だらけのものに変わる。
 刹那――
「ぐぉおおおおおおお―――!?」
 潰れたカエルよりも惨めに床に体を広げたあたしは、呻き声を漏らす事しかできなかった。
体の上に体重数万トンの巨人が腰を降ろしていると考えればいい。さっきの電撃使いの時も同じだが、
こういう術に対抗する為の力を持つ呪的防御の品をあたしも装備していたにも関わらず、
それをほとんど無効化するほど強力な術だった。
「こ……れ…は……」
 呻くあたしに、あたしの顔が冷たい眼差しを向ける。
「私はかつて変身した者の力を、再びその姿に変身する事によって、いつでも再現できるのだ。
私が今まで触れた事のある退魔師や戦闘能力者の数は千人を超える。
私と戦う者は千人以上の退魔師達と同時に戦うのに等しい。これが変身術の極意だ」
「……自分…の……能…力を……敵に……話…す……のは……やめ……た……方が…いい……ぜ……」
 シスター・ゲルダは少し困ったように自分の額を突付いた。
「ふむ……なぜわざわざこちらから、自分の力を解説してしまったのだろうか?
やはり変身中の姿が悪いようだな」
 やかましい、余計な事言ってんじゃねぇ。
 あたしの悪態もそこまで。再びシスター・ゲルダの指がこちらに向けられた。
その指先は不定形生物のようにグニグニ蠢いている。
「さて、どうやってとどめを刺そうか……肉体を宝石にでも変えるか?
精神を絶対零度に凍結封印するか? 面白い能力はまだまだあるぞ」
 余裕ぶった態度にも、あたしは何も言い返せなかった。
 ちくしょう……今度こそ、チェックメイトってやつだ。今のあたしの力では、
あの反則的な能力への対抗策が全く無い……それは残酷な真実だった。
 唯一、対抗策があるとすれば、“食屍鬼”になる事ぐらいだ。
あの変身術が如何に恐るべき能力だとしても、人の身では邪神の力までは再現できないだろう。
それが可能なら、向こうがとっくにやっている筈だ。
 だが、こうして虫の死骸1匹落ちてない状況では、その案も空論に過ぎない。
 ああ……どこかに死体でもあれば……
あの地下室の時みたいに、都合良くその辺に転がっていれば全ては解決するんだが……
 ……そう、死体があれば……
 ……死体……
 ……死体……
 ……死体?
 そうだ……確かに今は死体が無い……
 しかし、これから死体が生まれるじゃないか――!!
「真実に……」
 とどめの一撃が叩き込まれたのは、次の瞬間だった――
131ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/07(土) 22:47:40 ID:pK7/xQPd
 ――が、
「……?……ぁ……きゃぁ!?」
 そんな可愛い悲鳴を上げるなよ。今はあたしの姿なんだぞ。
 あたしにとどめを刺したはずの右手が、
腕の付け根から何かに食い千切られたように消滅しているのを見て、
シスター・ゲルダは嘘偽りの無い驚愕の表情を浮かべた。
『……生きてるあたしは、どんな味だ?』
 そんな姿を下から見上げているのは、死者の肌に獣の牙爪と耳尾を持つ、黒髪金目の――
「“食屍鬼”!? バカな――」

 ばくん

 木の葉のように宙を舞うシスター・ゲルダ。
 屋上の端を飛び越えた彼女は、しかしかろうじて左手で縁にしがみついて、
奈落への落下を間一髪で止めた。
 右手と下半身を食い千切られたシスター・ゲルダの体は、
元の妖艶なパツキンシスターの姿に戻っている。
 勝敗は決した。
「バカな……どうやって“食屍鬼”に?」
 もはや風前の灯火なシスター・ゲルダを、あたしはゆっくりと見下ろした。
『あんたは強いな、シスター・ゲルダ……望み通り、あたしは死んだよ』
「……っ!?」
『あれから数秒後には、あたしは完璧に殺されていた。
その死んだ未来の自分の死体を、影踏みの力で食べたのさ』
「……ふん……なるほどな……
やはり人の身で邪神と競い合おうとする事自体が……愚者の選択だったか……」
『ほざいてろ』

 ばくん

 両腕と下半身の無い美しいシスターは、金髪をなびかせながら闇の中へ落下していった――
132ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/07(土) 22:48:15 ID:pK7/xQPd
「……ぐっ」
 シスター・ゲルダが奈落の底へ消えたのを確認した直後、
あたしは自分の体を抱き締めながらうずくまった。
 その姿は、もう人間のそれに戻っている。
 気持ち悪い……やはり自分の体というのは食い合わせが悪いようだぜ。
人間1人分の死肉を食べたのに、もう“食屍鬼”モードが解除されちまった。
そのくせ肉の疼きだけは、普段の数倍の強さであたしの身体と心を苛めてるときている。
 さて、こんな時は――やっぱりアレに限る♪
「Sくぅぅん♪」
 甘〜〜〜い声で誘惑しながら、あたしはS君が倒れてるだろう瓦礫の影を覗き込んだが……
「いないのぉ?……どこへ隠れちゃったのかなぁ〜?」
 しかし、屋上のどこを探しても、S君の服の切れ端すら見つからない事態に、
さすがにあたしも甘い声を出す余裕は無くなっていた。
「S君!? 何処にいるの!! 今ならお尻を百叩きで許してあげるから返事しなさい!!
ちなみに叩かれるのはあたし!!」
 冗談めかしても返事は無い。
 こいつは……マジでやばいな。
 シスター・ゲルダが囮だったか? 第三者に漁夫の利かっさらわれたのか?

 かちん ぱたん ころん

 どうやら、後者だったらしい。
 四方八方から響き渡るその音に、全身が総毛立った瞬間――
「あははは♪ またあったねMちゃん」
 ビルそのものが木っ端微塵に砕け散り、あたしの意識も闇の中へ消えた……
133ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/07(土) 22:49:10 ID:pK7/xQPd
 ――それは、この地方の農村ではありふれた光景だったのかもしれない。
 文明開化の足音など、異世界の御伽噺であったような寂れた農村――
全てが灰色の景色の中で、くたびれた農民達が力無く荒地に鍬を突き立てている。
夢も、希望も、人間が人間である為に大切なものを、全てを忘れ去った顔で、ただ黙々と……
 そんな農民達に、頭の欠けた地蔵の前に捨てられている赤子を気にする余裕など、
心の何処を探してもあるわけがない。
 赤子は死にかけていた。
 それは、この地方の農村ではありふれた光景だったのかもしれない。
 雪混じりの冷風が吹く中、肌着すらまとわずに、泣く事も忘れて、赤子は死にかけていた。
 どんな名医も匙を投げ、神も仏も黙って首を横に振るだろう。
それくらい、赤子の魂はか弱く、か細く、儚かった。
 それは、この地方の農村ではありふれた光景だったのかもしれない。
 最期に、赤子は、それが自分が生きていた最期の証とばかりに、
小さな瞼を動かして……そっと、閉じた。
 それは、この地方の農村ではありふれた光景――ではなかった。
 魂の消えかけた哀れな赤子を、その猛禽類の如き鉤爪で摘み、肉食獣の牙を鳴らしながら、
金色に濁った瞳で見つめるその影は、全ての人間が呪いと恐怖の言葉で語る、邪神の眷属たる、あの――
134ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/07(土) 22:51:40 ID:pK7/xQPd
 暑い……
 肌にまとわり付くような熱気と湿気。僅かに聞こえる羽虫の音。
あたしの意識を夢の中から覚醒させたのは、その異様な熱気だった。くそっ、懐かしい夢を見ちまったぜ。
 周囲の景色は、うっそうと木々が生い茂る原始のジャングル――
草木の植生から見て東南アジアかインドの辺りらしいが、
少なくともさっきまであたしがいた日本じゃない事は間違いない。
そんなジャングルの真ん中に、ぽっかりと開けた広場があって、
その中にあたしがいる……らしいな。少なくとも見える範囲内では。
 闇夜の中でも妙に明るいのは、広間の周囲をぐるりと取り囲むように円柱が立ち並び、
その円柱に掲げられた巨大なかがり火が何本も燃え盛っているからだ。
あたしはそのかがり火の1本に拘束されていた。道理で暑いわけだぜ。
服も装備も全て剥ぎ取られ、全裸のまま鎖で後ろ手に縛られて、生贄よろしく吊るされている。
このままバーベキューにでもするつもりか?
 だが、そんな自分の運命を考える心理的余裕は無かった。
広場の中央に築かれた、石造りの巨大な祭壇――常人なら一目見ただけで発狂しかねない、
尋常ならざる角度で構成された奇怪な祭壇は、ただそこにあるだけで、
圧倒的な威圧感であたしを押し潰そうとしていた。
 そこで初めて、今あたしが流している汗は暑さの為ではなく、恐怖に浮かぶ脂汗だと気付いた。
ううぅ……情けないけど無茶苦茶怖いよぉ。
 よく見れば、あたし以外のかがり火円柱にも同じように吊るされた全裸の女達がいるが、
それらは全て生首を切り落とされて、ドクドクとどす黒い血を滝のように垂れ流している。
流れ落ちた血は石の溝にそって祭壇の中央へ導かれて、
祭壇の中央にある巨大なオブジェの根元に吸い込まれていた。
そして、その高さ10mはありそうな卵型のオブジェから放たれる不気味な波動こそが、
先程からあたしを恐怖させているものの源泉なのだ。
 な、なんだあのわけのわからん祭壇と、モ○ラでも生まれそうなタマゴは?
一応は邪神の眷属であるあたしを、ここまで戦慄させる物が、あのオブジェにあるというのか?
「あれは一体……」
「かみさまだよ」
 !?
 目の前で能天気に笑う小便臭そうな絶世の美幼女は、言うまでもなくドミノのクソガキだ。
 いつのまに目の前にいたんだ!? 声をかけられるまで全く気付かなかったぞ……
 だが……
「……お前、ドミノだよな?」
「しつれいだなぁ。こんなにかわいいおんなのこは、ドミノしかいないよぉ」
 この性格はドミノに間違いない。
 しかし、その格好はあたしの知るドミノとは全く違っていた。
生き血で染めた真紅のドレスどころか、身に付けているものは何も無い全裸姿……
それだけならロリコン野郎が泣いて喜ぶだけだろうが、
今のドミノは素肌の上に全身余す所なく、刺青のような異様な紋様が浮かんでいるのだ。
その紋様の不気味さときたら、前述のロリコン野郎も絶対に触れようとはしないだろう。
 そして……あたしには、その紋様に見覚えがあった。最悪な事に。
 あれは、マレーシアやビルマ奥地のスン高原に巣くう邪悪な矮人族――
「てめぇ……“チョー=チョー”の民だったのか!!」
 “食屍鬼”の牙を食らっても再生できる不死性。通常の吸血鬼を遥かに上回る圧倒的な戦闘能力。
ついでにロリロリな外見。全ての理由がこれで説明できる。
 あいつも、邪神の力を持つ者だったのか。
「ぴんぽ〜ん! だいせいかい〜♪」
 嬉しそうに手を叩きながらピョンピョン飛び跳ねるドミノに、あたしは全力でガンを飛ばした。
135ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/07(土) 22:52:58 ID:pK7/xQPd
「その“チョー=チョー人”がここで何をする気だ!? S君は何処だ!!」
 しかし、ドミノは全然動じる様子を見せない。余裕たっぷりだ。
「もう、あれからいっしゅうかんもスヤスヤねむっていたんだから、
ねおきにそんなおおごえだしちゃうとぉ、あたまのけっかんがきれちゃうよぉ?」
 くそっ、そんなに時間が経っていたのか……じゃあS君は!?
「さいしょのしつもんはねぇ、ドミノのかみさまをふっかつさせるつもりなんだよ」
 ドミノの神様? “チョー=チョー人”の崇める邪神は数多い。
有名所ではツァール神とロイガー神などだが……いや、あいつは吸血鬼……すると――!!
「まさか、てめぇが復活させようとしている邪神は――!!」
 叫び声は途中で飲み込んだ。
「つぎのしつもんはねぇ……“星の精”ちゃんはここにいるよ」
 ドミノが背後の何も無い空間から取り出したもの……それは、あたし達と同じように一糸纏わぬS君だった。
 だが、その瞳は何も写していない。表情は虚ろで、今にも倒れそうなくらいやつれている。
それなのに、その小さなペニスだけが固くそそり立っているのが奇妙だった。
「S君!? Sくぅん!! しっかりしろ!!」
 あたしの声にも何の反応も示さない。唇の端から一筋のよだれが垂れるのを見て、あたしは天に咆哮した。
「てめぇ!! S君に何しやがった!!!」
「もぉ、おんなのこがそんなかおしちゃダメぇ。いちゅうのあのこにきらわれちゃうよ?」
「ふざけるな!!」
「この“星の精”ちゃんには、ちょっとじゅつをかけているだけだよ。
きずつけるようなことは、なにもしてないからあんしんしてね」
 こんな状況なのに、思わず出た安堵の溜息を――
「このこは、かみさまふっかつのためのだいじないけにえだもんね♪」
 ――あたしは戦慄と共に飲み込んだ。
「S君を生贄にするだと!!」
「もぉ、まえにもドミノいったよ? さいきょうのきゅうけつそんざい――
ドミノのかみさまをふっかつさせなきゃいけないの。
そのためには、さいきょうのきゅうけつきのいきちがひつようなんだよ」
 ドミノは無邪気に笑った。邪気に満ち満ちた無邪気さだった。
 それから、周囲の円柱に吊るされた首の無い女達を指差して、
「あのこたちも、ぜんいんロードクラスのバンパイアなんだよ。
あとは、“星の精”ちゃんのいきちをささげれば、『吸血神』はふっかつするの」
 虚ろなS君の背後に回り、ドミノは愛しそうにその胸元を撫でた。
「これからぎしきをはじめるね。かみさまがふっかつしたら、
Mちゃんをかみさまのさいしょのおしょくじにしてあげるから、そこでたのしみにまっててね♪」
 楽しく待てるか!!
 あたしは知る限りの語彙を駆使してドミノに罵詈雑言を浴びせたが、
ドミノは完全にそれを無視して、S君の唇に自分のそれを重ねやがった。
 あっ!? まてコラ!! それはあたしのだぞ!!!
136ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/07(土) 22:56:01 ID:pK7/xQPd
 子供同士の小鳥が啄ばみ合うような可愛らしいキス――ではなかった。
舌をねっとりと絡め合い、歯の一本一本まで舐め回し、
互いの唾液をたっぷり飲み干す、見てる方が息を飲むくらい濃厚な口付けだ。
「うふふ、おいしぃ♪」
 ようやく離れた唇同士に銀色の橋を繋げながら、ドミノはまた笑った。
無邪気な子供っぽい笑みではなく、伝説の女吸血鬼に相応しい、邪淫に満ちた妖艶な笑みを。
「でも、こっちはもっとおいしそうだよね」
 ドミノの小さな手が、こちらも小さなS君のおちんちんに触れる。
淫猥な動きで指が蠢くと、S君の呆とした顔に赤みと切ない吐息が見て取れた。
 こここここ……この泥棒猫〜〜〜!!!
 ギャーギャー喚き散らすあたしを完全に無視して、ドミノの執拗な愛撫は続いた。
ふっくらとした頬でペニスに頬擦りしては、小さな舌でシャフトをチロチロ舐め回し、
爪先で包茎をつるんと剥いていく。そのテクニックは娼婦も顔負けだ。
「あはぁ♪ ちっちゃくてかわいいね。でも、ドミノはちいさなおちんちんだいすきだよ」
 まるで子供が――実際に子供だが――大好きなアイスキャンディーを頬張るように、
S君のおちんちんを美味しそうに口に含むドミノの顔は歓喜に満ちていた。
 こ、この女……見た目は子供だが、中身はとんでもない淫乱女だぜ……
「んはぁ……はむっ……んちゅぅ……あはぁ……おいしぃ……んふぅ」
 ピチャペチャと唾液がペニスと舌でかき混ぜられる音が、あたしの耳にまで届いた。
無表情なS君の呼吸が段々荒くなっていく。
口一杯にペニスを頬張るドミノの顔は、淫猥な歓喜に満ちていた。
 数分後、ちゅぽんっと勢い良く小さな口からペニスが飛び出すと、
S君のおちんちんは、もはやおちんちんとは言えない大人の風格でギンギンに漲っていた。
あのクソガキ、何か術を使ったな? ああ、S君の可愛かったおちんちんが……
 目の幅涙をだーっと流すあたしを尻目に、ドミノはS君の頬を指先でそっと撫でた。
「あはぁ♪ おっきくなったねぇ」
(…………)
「もっときもちよくなりたい?」
(こくこく)
「ドミノのなかにいれたい?」
(こくこく)
「それじゃあ、ドミノもうけいれられるようにしてね」
 S君の惚けた顔がドミノのアソコに導かれていく。
本来は、白くほんのりピンク色でスジにしか見えない可愛い性器だったのだろうが、
今はグロテスクな紋様が浮かんで不気味さを醸し出している。
 特に命令された訳でもないのに、S君は自分からそこに舌を這わせた。
「んひゃあん♪ お、おじょうずぅ……」
 子猫がミルクを舐めるような音が、密林の中に小さく響く。
「あはぁ……ああん♪ ねぇ……ドミノのあそこ、おいしい?」
(こくこく)
「はぁあん……う、うれしいなぁ……ねぇ…もっとぉ……んんっ……もっとしたをいれてぇ♪」
 歓喜の表情でS君の頭を股間に押し付けるドミノの姿は、
同性のあたしですら息を飲むくらい妖しく、美しい……あぅ、見ているあたしの方がぼうっとしてくたかも……
 しばらく卑猥な音が続いていたが、やがてS君の顔がドミノの股間から離れると、
ドミノの女性器は唾液とも愛液ともつかない液体でしとどに濡れ熟していた。
「はぁ……はぁ……ねぇ、そろそろいれてみようかぁ?」
 もう返事を聞く事もせずに、ドミノはS君を石畳の床に寝かせた。
固く天を向くペニスの上に、ゆっくりと腰を落として――
「んはぁああああああんっ♪」
 甘い声が夜空に響き渡った。
137ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/07(土) 22:58:34 ID:pK7/xQPd
 とても幼女とは思えない動作で、腰をピストンさせるドミノ。
時には削岩機のように激しく、時にはねぶるようにゆっくりと。
8の字に腰をくねらせ、小刻みに振動するように……娼婦も真っ青な腰使いだ。
「きゃうぅぅん♪ うぅぅん……サイズもぴったりでぇ……きもちいいよぉ!!」
「ん……ぁあ……あああ……」
 ドミノの喘ぎに合わせて、下のS君も快楽の反応を見せてきた。
ううう……やっぱりまともにセックスができるのは羨ましいなぁ。
あたしにはS君じゃサイズが小さ過ぎるから、S君自身はともかくあたしが肉体的に満足するには、
色々な道具の助けが必要だし……ちくしょうめ。
 そんなあたしの思いが顔に出たのか、ドミノの顔が急にこちらに向けられるや、
「Mちゃん、たいくつしてる? じゃあ、このこたちとあそんであげてね」
 子悪魔っぽく、いや本物の悪魔のように目元を綻ばせた。
「な、何を考えていやが――ひゃん!?」
 突然、乳房を搾るように絡みついてきた『何か』に、あたしは思わず甘い声を出した。
蛇のようにうねくりながら、あたしの柔肌に絡むそれは、
蔓草――じゃない。蛸の足でもない。これは、触手!?
 植物の蔓のような見た目で、軟体動物の脚のようにヌメついた、
植物と軟体動物の双方の要素を併せ持つ明らかに未知の生物だった。
見れば、周囲の円柱の死体にも別の触手が絡みついて、
引き摺り下ろしてはジャングルの中に引き込んでいる。
あたしの足元に開いた小さな穴から生えた“それ”も、獲物を狙う蛇のように鎌首をもたげて見せた。
「こいつは!?」
「むかし、はくじんにしいたげられたこくじんがしんこうしていた、
じゃきょうのかみさまのおとしごだよ。コンゴおくちからとりよせたの」
「てめぇ……なんてものを取り寄せやが――」
 台詞が途中で中断したのは、目の前の光景に絶句したからだ。
足元の地面をボコボコ突き破って出てきたのは、何十本もの、さっきの触手!!
「じゃあ、そっちはそっちでたのしんでねぇ♪」
 ドミノの掛け声が合図になったのか、粘液を垂らした緑色の触手の群れは、一斉に襲いかかってきた――
「んひゃあああっっっ!! や、やめろバカぁ!! んああぁ!!」
 身体中を触手の群れが這い回るおぞましい感触に、あたしはたまらず悶絶した。
抵抗しようにも、人間の身では邪神の落とし子であるこの触手に何かできる筈もない。
数十人の肉に飢えた男に全身を愛撫されるような、おぞましくも的確な責めに、
自分の理性がドロドロに溶解していくようだ。こ、これが『人外の快楽』かよ……
「あはぁああっ!! あぐぅうう……く、苦し…ぁあぅうう!!」
 ぜ、全身が絞めつけられて…苦しぃ……んはぁあ……そ、そんなにおっぱいを搾っちゃダメぇ……
うなじがぁ…腋の下もぉ…足の指までぇ…ヌルヌルの触手が弄くり回して……ひゃあうっ!……
今度はザラザラの葉っぱがぁ…アソコをぉ…乳首を……はぁうぅぅ!!
 かつて体験した事の無い未知なる快楽に、あたしは嬌声をあげる事しかできなかったの……
無理矢理足をM字開脚させられて、そこに触手の束がにじり寄るのを見て、
あたしは迫り来る陵辱の予感に、恐怖と期待で身を震わせた……
 でも、そこからの責めは、あたしの想像を遥かに超えていた。
 一際細くて鋭い触手が、束の中からアソコに伸びてくる……
クリトリスや陰唇を愛撫されるのか、いきなり挿入されるのか、それともアヌスを……
「きゃぁん!?」
 どれも違った……尿道に突き刺さった触手が、
狭い穴を無理矢理こじ開けながら奥へ突き進んでくる……!!
 あぐぅぅぅ……痛い、いたい、いたぁああい!! そ、そんなにグリグリしながら……ねじ込まないでぇ!!
もう入ってきちゃやだぁ!! ぁあああああっっっ!!!
138ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/07(土) 23:01:29 ID:pK7/xQPd
「ひぐぅ!!」
 うぐうぅぅ……き、急に抵抗がなくなったぁ……先端が膀胱の中に入って――ひゃあん!?
 ちょろろろろ……
「ひゃあうっ!? な、なにか入って…冷たっ! あああぁううううっっ!!」
 膀胱に挿入された触手の先端から、ホースのように水が注入されていく。
たちまち高まる尿意に、下半身に痺れるような刺激が走る。
でも、膀胱が液体で一杯になっても触手からの注入は止まらなかった……
「んぐぅぅぅ……ダメぇ!! もう入らないぃぃ……!! と、とめてぇぇぇ……ぁああっ!!!」
 限界を超えた尿意に悶えるあたしを、ドミノの嘲笑が見つめている……ああ……
あんな奴の前で……お、おもらしするなんてぇ……ううぐぐぅ……
絶対に……絶対にぃぃ……だめ……ダメぇ!! でちゃうっ!!でちゃうよぉぉ!!!
「んはぁああああああっっっ!!!」
 信じられないくらい大量のオシッコがぁ、あたしのアソコから吹き出しましたぁ……
ぁぁあああぅうううう……触手でズタズタにされた尿道にオシッコが染みてぇ……
くやしいけど…気持ちいいのぉ……ううぅ……ドミノが笑ってるぅ……軽蔑の目で笑ってる……
ああぁ…S君までそんな目で……あはは……あはははは……
見て……見て見てぇ!……あたしの恥ずかしいおもらしもっと見てぇ!!
 屈辱と開放感の入り混じった排尿の快感に、あたしは涙を流しながら痙攣しました……
でも、まだ終わりじゃなかったの……
「あはぁあああ……っううう……あうぅ!? と、止まらない……オシッコが止まらないぃ!?」
 そう、触手から膀胱に注がれる液体は、止まるどころかどんどん量が多くなっていくの……
もうあたしの尿道口からは壊れた噴水みたいに黄色いオシッコが吹き出しっぱなしです……
……んひゃああっ!?
 突然、視界が回転しました。足に絡みついた触手が、
あたしを高く持ち上げて逆さ吊りにしたのですっ……んぷああっ!! お、溺れるぅぅ……
 びしゃびしゃびしゃびしゃ……
「あははっ♪ じぶんのおしっこかおにあびちゃって……Mちゃん、そんなにおいしいの?」
 M字開脚のまま逆さ吊りにされたあたしの顔面に、ちょうどオシッコが注がれます……
ビシャビシャと勢いよく当たるオシッコは、口にも鼻にも耳の中にまで入ってくるの……
顔も髪の毛もオシッコまみれになったあたしは、もう涙とオシッコの区別もつきません……
あはは……あはははは……あがぁ!!
 いきなりアヌスに走った激痛――!!その痛みにヴァギナと尿道口が一瞬キュっと締まりましたが、
アヌスだけは閉じられませんでした。
(ふぁあああ……やめてぇ……お尻がぁ……ぁああっ!! 裂けちゃうぅぅぅ!!)
 細い4本の触手がアヌスをX字に無理矢理広げています……その限界を超えた拡張に、
あたしは悲鳴をあげる事すらできませんでした……
「あひぃぃ!! や、やだぁ!! ほじくら…ないでぇぇ!!」
 しかも、そのぽっかり開いたアナルの中に、先端が先割れスプーン状になった触手を突っ込んで……
1週間分のあたしの宿便を……腸壁をゴリゴリこすりながら、ほじくり出していくのぉ……!!
「いやぁああああああっ!!! あぐぁああああああっ!!!」
 そのあまりの激痛とおぞましさに、あたしは夜空へ絶叫を轟かせました。
な、何をする気なのぉ……なぜこんな……ああぐっ!!
「そのこはきれいずきだから、ウンチはたべないの。
でも、それいがいはちゃんとたべてくれるからあんしんしてね」
「……い、一体なにを言って……うぁあああっ!! あはぁあああああっっっ!?」
 なぜそんな事をするのか……その理由はあたしの想像を遥かに越えるものでした……
アナルを掘り進んでいく触手の束は、宿便を全て掻き出しても進行を止めずに、
直腸から大腸の奥へ、大腸から小腸へと、どんどん入っていくのぉ……!!
「あひゃあうううううっっっ!! ぐぅうううう……あはぁあああっっ!!
た、たすけ…くぅっ!! あがぁああああっっっ!!!」
139ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/07(土) 23:04:09 ID:pK7/xQPd
 内蔵を直接犯される――この激痛と嫌悪感……
そして快感は、体験しなければ決して味わえない凄まじさでした……
うぇえええ……気持ち悪いよぉ……痛い、いたいよぉ……それなのに……
どうしてこんな酷い事されてるのに……なぜ気持ちいいのぉ……うぐぅ!!
い、胃の中で触手が暴れてるぅぅ……んんっ!? んんんんんっっ!!
い、息ができな……んぶぁあああっっっ――!!!
「んぐぅぅぅぅぁぁああああぐぅ!!!」
 口から飛び出した胃液まみれの触手は、あたしを嘲笑うかのように揺れ蠢き、
その度にあたしはビクビクっと痙攣しました……
 でも、まだまだ終わりじゃなかったの……
「んぁああああああ……おお……おっひぃぃぃ……んぶぅ!!」
 新しい触手の束が、今度はヴァギナへの挿入を開始したのです。
腸の中まで触手で一杯になっているあたしのお腹には、
その極太触手なんて絶対に入れそうもなかったのに……
今までの触手責めでしっかり熟し切っていたあたしのアソコは、
ちゃんと触手の束を受け入れてしまったのぉ……んはぁあああ……苦しい……それなのに……
気持ちいいよぉ……あああっっ!! もっと、もっとグリグリしてぇ!!
んふぅぅぅ……子宮口に触手の先が当たってるのぉ……ッ!?
 つぷっ
「あぐぅぅぅ!?」
 まさに、その子宮口に走った衝撃に、思わずあたしは口から生えた触手を噛み千切った。
途端に内臓の中で触手が暴れ出したけど、それを気にする余裕は無かった。
本来は素麺一本入る大きさもない子宮口に、
極太の触手の先端から更に伸びた極細の触手が直接侵入したのだ。
「んひゃああああぅぅぅ!! な、なにこれぇ!? やめてぇぇぇ!!!」
 子宮の中を何百本もの極細触手が蹂躙しているのがわかる……
今まで誰も体験した事のない、発狂しそうな快感の嵐……
んぁあああ……や、やめてぇ……やだぁああ……そこはダメなのぉ……あぐぅ!!
卵管を通って卵巣にまで触手がぁぁ……ひゃぐぅ!! ごめんなさい! ごめんなさぁい!!
 泣いても喚いても、触手の陵辱は止まりません……
尿道に内臓、そして子宮まで犯されちゃった……あはは……あはははははははぁ♪
「あひゃあああん♪ はひぃ!! あうあぁああ……
もっとぉ!! もっと身体中滅茶苦茶にしてぇぇぇ!!!」
 あたしの叫びが触手に通じたのか……今までで最大の痛みと快楽が走ったのは、
やっぱりあたしのおっぱいにでしたぁ……あの子宮を犯してくれた極細触手の束が、
あたしのぷっくり膨らんだ乳輪と痛いぐらいに勃起した乳首へと伸びていきます……
ああぁ……今度は何をしてくれるのぉ……ひゃあああぅううん♪
「ひゃあああぅううん!!」
 乳首に突き刺さった触手の束がぁ、ずぶずぶと中に入ってきますぅ!!
あふゃあいいいいぃん!! あふぁあああっ!! あぁあああん!! 乳腺がぁ……乳腺がぁ!!
乳腺がグチャグチャにかき回されてぇ!! 母乳が止まらないのぉぉぉ!!!
「ふみゃああああん!! あぁああっっ!! あふぁああああ!!
もっとぉ!! もっとおっぱいグリグリしてぇ!!
おっぱいが一番感じるのぉ!!もっとおっぱい犯してぇぇぇ!!!」
 あははははははは♪ あたし、壊れちゃった♪ おぞましい触手に犯されて壊れちゃった!!
あはぁあああああ……あははははは……ほらぁ、もっと身体中を舐め回してぇ♪
全身の骨が折れるくらい絞めつけててぇ♪ オシッコ飲ませてぇ♪
アナルからウンチほじくりだしてぇ♪ 内臓を全部犯してぇ♪ 子宮をメチャクチャにしてぇ♪
おっぱいをグチャグチャにしてぇ♪ もっともっとあたしを壊してぇぇぇ!!!
「じゃあ、ほんとうにおっぱいをこわしてあげるね♪」
 そして、母乳が吹き出す乳首に向って、また新しい触手が伸びて、その触手の先端が、
金属製のドリルみたいになっていて、高速で回転しながら、あたしのおっぱいに突き刺さって――♪
「あぐぅうううううぁぁあああああああぁぁぁっっっ!!!」
 鮮血と肉片と母乳をおっぱいから噴出しながら、あたしの魂は真っ白になりました――
140ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/07(土) 23:05:49 ID:pK7/xQPd
 ぐりぃ!
「んきゃあああぅううう!?」
 でも、あたしには気絶すら許されませんでしたぁ……
「ほらほらぁ、かってにイっちゃだめだよぉ」
「……M…さん……Mさぁ…ん……」
 全身を触手に貫かれて、絶頂しながら気絶しているあたしのヴァギナとアナルに、
無邪気に微笑むドミノと虚ろなS君がぁ、自分の拳を挿入したのですぅ……!!
 みちみちみち……
「あぁうううううぅぅぅぅぅ……裂ける!! 裂けちゃうよぉぉ!! あがぁあああああ……!!」
 ただでさえ触手で満員になっていたヴァギナとアナルは、その容赦ないフィストファックに――
 みちみちみちみち……ぶちぃ!!
「ひぐぅ!!!」
 ――ついに、裂けちゃいましたぁ……
「あははっ♪ アナルにある“食屍鬼”ちゃんの手とあくしゅできるよぉ」
「Mさぁん……えむ…さぁ……ん……」
 もう、S君の自我は完全に喪失しているのでしょう……
ガクガク痙攣するあたしのアナルに、ただ機械的に拳を突き入れるだけのS君……
 そして――
 ずぶっ!!
「――ッ!?」
「……あ……がぁ……」
「あははっ♪」
 突然、胸元に走った冷たい激痛――
その金属的な痛みの鋭さは、あたしの意識を取り戻させるのに十分だった。
いや、それよりも、目の前の光景こそが、あたしを正気にした原動力だったのかもしれない。
 胸の谷間から股間へと流れ落ちる、生暖かい鮮血の感触――それは、あたしの血だけじゃなかった。
「え……S…くん!?」
「え……M…さぁん……」
 どこから取り出したのか、ドミノの持つあたしの錫杖――
それが、S君の背中からあたしまで串刺しにして……!!
 それは、正確に心臓の位置を貫いていた。
「S君……Sくん? Sくぅぅぅん!?」
「……え……む……さぁ……ん……」
 自分の胸も貫かれているのを忘れて、あたしは必死にS君に呼びかけた。
その華奢な身体を突き刺す錫杖を抜きたくても、全身を拘束する触手がそれを決して許さない。
どくどく溢れ出る鮮血の量に比例して、ただでさえ青白かったS君の顔が蒼白になっていく。
 そして……
141ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/07(土) 23:06:50 ID:pK7/xQPd
「……ぇ……さ……」
 人形のゼンマイが止まったかのように、かくんとS君の頭が垂れて――
それっきり、もう動くことはなかった……
「S……くん?……S君!? おい、ちょっと……冗談はやめてよ……
え……す……くん? えすくぅぅぅぅん!!!」
 全身が爆発しそうだった。体中の血が沸騰して、絶叫は密林を焼き尽くしてもおかしくなかった。
「てめぇええええええ!!!」
 手首が鈍い音を立てた。手を吊るしていた鎖を思わず引き千切ったのだ。
代償として手首が骨まで見えるくらいズタズタになったけど、知った事か。
 それなのに――触手の拘束は微動だにしねぇんだ!! くそったれぇええええええ!!!
「もぉ、そんなコワイかおしちゃだめぇ♪」
 それだけで人が殺せるだろう視線を浴びても、ドミノの余裕はまるで変わらない。
それがますますあたしの怒りに火をつけて、
全身が触手でズタボロになるのも構わずに、あたしは悶え狂った。
 あたしの血とS君の血が混ざり合い、床石にぼたぼたと垂れて、そこに掘られた溝にそって流れていく――
 ――そして、その先には――
 びしりっ!!
 灼熱の炎を放つあたしの怒りが、一瞬で凍結した――それは、そんな音だった。
 S君の事もドミノの事も一瞬忘れて、あたしの目がその音の発生源に吸い込まれる。
 ひび――
 ひびが――
 あの石にひびが――
 祭壇にある巨大な石のタマゴに、一筋のひびが入ってる――
 ぴしぴしぴし……
 細かいひびは徐々に大きくなり、稲妻のように広がって、そして――
「ついに、時は来れり!!」
 ドミノが両手を天に掲げながら絶叫した。
「血を、血を、血を、血を!! 最も清き神の血を、最も汚れし神の血を!!
我、森羅万象の腐肉と腐汁を贄に、鮮血の王に赤き命の全てを捧げん!!」
 その瞳には確かな狂気が宿り、絶叫は混沌の渦のようだ。
「目覚めよ!! 我が愛しき『吸血神』!!!」
 ――そして、ついに石の卵は粉々に砕けて――
 ――『邪神』は目覚めた――
「『吸血神』……“チャウグナー・フォーン”!!」


続く
142名無しさん@ピンキー:2006/01/07(土) 23:30:22 ID:UMCAK8Ln
すっげー…。
リアルタイムで見ていたです、GJですよもう!

いよいよ次が最終回ですか。
その先に何が待っているのか、期待に震えて待ってます。
143ツァトゥグア信奉者 ◆jymtlZhLWw :2006/01/08(日) 00:24:01 ID:+SR9hgfe
遅ればせながら、御復活おめでとう御座います

「やったー新連載ダーっ!外伝ダーっ!」と勇んで一気に読みましたが
 
愛しきアルタン・ボブロフ中尉が殉職なされたり
チョー・チョー人出てきたり
チャウグナー・フォーンが降臨したり
と、超展開に頭グラグラ、お目々グルグルです〜

流石、某作者氏。感服つかまつりました!
144名無しさん@ピンキー:2006/01/08(日) 00:32:25 ID:VukRsIeX
あぜーん・・・
145名無しさん@ピンキー:2006/01/08(日) 02:42:09 ID:+EZQh8OZ
壮絶なまでのエロ、グロ、混沌、狂気…
普通なら目を背けたくなるような内容なのに、引き付けられずにいられない…
ニャル様の「グロテスクなくらい美しい」ってフレーズ思い出しました。
もう凄いとしか言えません。GJ
146名無しさん@ピンキー:2006/01/08(日) 02:57:40 ID:Dc+Qy01x
ここに二柱が降臨せり。
さあ舞おう、歓喜の舞を
.<。>
./
/ヽ
アッヒャハー(゚∀。)アッヒャハー
147名無しさん@ピンキー:2006/01/08(日) 10:54:37 ID:dgebqest
扉の向こうへ足を踏み込んでいる方だと、再認識いたしました。
G.O.D.Job……!
148名無しさん@ピンキー:2006/01/08(日) 11:28:23 ID:N+nTbw88
二大エース揃いぶみか…。
149名無しさん@ピンキー:2006/01/08(日) 23:13:56 ID:zpHSkQMh
く、ゲルダは止めを刺そうとした所でエロエロ衝動に負けてそのまま3人で(ry
というのを期待していたが、そうキタか…

ともかく、GJ
150名無しさん@ピンキー:2006/01/09(月) 00:43:48 ID:5vgD/GQL
>>55
Agは銀だぜ、と超カメレスをかましてみる

このスレでのGJはグレートオールドワン、ジョブですか?
151名無しさん@ピンキー:2006/01/09(月) 01:49:27 ID:e5HsLIsw
過去スレを上げるちょっと困った子がいるのでこっちをageておきますね
152名無しさん@ピンキー:2006/01/09(月) 01:50:30 ID:pVwFR5Us
カーター「やあ、ウォーランから年賀状が届いてるぞ」







[莫迦め、ウォーランは死んだわ]


153名無しさん@ピンキー:2006/01/09(月) 01:51:19 ID:pVwFR5Us
カーター「やあ、ウォーランから年賀状が届いてるぞ」







[莫迦め、ウォーランは死んだわ]




154名無しさん@ピンキー:2006/01/09(月) 01:52:35 ID:pVwFR5Us
カーター「やあ、ウォーランから年賀状が届いてるぞ」







[莫迦め、ウォーランは死んだわはー]








155名無しさん@ピンキー:2006/01/09(月) 01:57:07 ID:pVwFR5Us
カーター「やあ、ウォーランから
ねんがじょうがとどいてるぞ

「おれは いやだぜ」

カーターは チェーンソーで 
カーターを こうげき!

カーターは しんだ
156名無しさん@ピンキー:2006/01/09(月) 03:14:23 ID:GyCU69y5
|/、))
|`ノシ
|'コトシモイイトシニナリソウデスネ

|
|ミサッ
|
157名無しさん@ピンキー:2006/01/09(月) 10:01:21 ID:p0kpwflB
なんつーかこのスレ
SAN値が足りてないな
158名無しさん@ピンキー:2006/01/09(月) 15:22:58 ID:ZDgBWO0s
まぁ、人間以外だしな
159名無しさん@ピンキー:2006/01/09(月) 15:24:52 ID:qmZ0Bgum
SAN値何て飾りd(ry
160名無しさん@ピンキー:2006/01/09(月) 16:57:05 ID:Br58IabE
SAN値?
ゼロ固定ですが,なにか?
161名無しさん@ピンキー:2006/01/09(月) 19:54:51 ID:gVeCJvf0
SAN値って、ゼロが上限だよな?
162名無しさん@ピンキー:2006/01/09(月) 21:13:31 ID:OW4HHB9B
卓ゲー板でもないのにTRPGネタが素で通じる、そんな喪前ラに乾杯
163名無しさん@ピンキー:2006/01/09(月) 21:41:03 ID:vP5C4tHO
>>162
クトゥルー系スレッドに出入りしていれば
たとえTRPGは知らなくても、とりあえずSAN値という言葉は嫌でも覚える。
164名無しさん@ピンキー:2006/01/09(月) 21:48:06 ID:mRKfL/zB
>>161
ゼロが上限じゃ後はマイナスしかないじゃん。
165名無しさん@ピンキー:2006/01/09(月) 22:09:36 ID:qmZ0Bgum
俺はひでぼんの書で知った。それっきりSAN値は0のままさ
166名無しさん@ピンキー:2006/01/09(月) 22:16:31 ID:vbhwTYGI
俺はぷよぷよで知ったよ
167くなさん ◆DAYgAM2ISM :2006/01/10(火) 06:00:09 ID:LzzTFlOt
17レス使用で投下します

G'HARNE FRAGMENTS
『ルルイエにて』


 海から吹く風が、深い青を際立たせるような波を立て、穏やかに打ち寄せる。
洗われる砂浜は強い日差しを跳ね返し、目に焼き付くほどに白かった。
 サーファーズパラダイスとして有名なのは、ビックウエイブが起きる冬のノー
スショアだろう。大海を渡ったうねりが、十メートルを超す大波となる光景は圧
巻で、見る者に海の偉大さを感じさせる。他に、この時期ならワイキキビーチな
どのサウスショアへ、海と語る者達は集うはずだ。
 代表的な二つの場所以外でも、ハワイ島は一年を通して様々な形でサーフィン
を楽しめる場所であり。ここマラエカハナビーチのあるウインドワードショアー
も、普段なら何人かは楽しんでいただろう。
 だが、夏のバカンスに訪れた海水浴客すら、誰一人としていなかった。
 湾岸道路を埋めるのは、米軍を主体とした軍服姿の人間達と、無骨な砲塔の群
れ。汗を拭いつつバリケード越しに海を見る顔は、どれもが息詰まる緊張感に満
ちている。そんな彼らの見据える先、貿易風の吹く水平線上を、一つの島が飛ん
でいた。
 ルルイエ。
 碧色の石造都市部が、捻れた建物によって太陽光を乱反射させる。周囲の海面
を彩って進むエメラルドの島は、幻想的なまでに美しい物だった。
「本当に、島が空を飛んでやがるぜ」
 戦車隊の後ろから眺めた白人警官が、呆れたように呟く。毛むくじゃらの腕で
汗は拭えたものの、顔色は晴れなかったようだ。避難誘導をしていたフィリピン
系の若い警官は、相棒もルルイエも見ずに、声だけを返した。
「余所見してないで、ちゃんと仕事して下さいよ」
「お前、こんな時でも真面目なんだなあ」
「早いとこ逃げないと、俺達も巻き込まれるでしょうが。さっきの無線連絡の通
り、今にも半魚人どもとの戦闘が始まるかも知れないんですよ」
「どこへ逃げても、大差無えだろ」
 陰鬱な気分を吹き飛ばすように笑ってから、白人警官も走る人々へ声を掛ける。
若い警官は先輩の度胸を讃えつつ、震えっぱなしの膝を叩いて仕事に戻った。

 直径、約四十キロ。ホノルルのあるオアフ島の、半分ほどの大きさの島。それ
が大西洋に浮上して半年、世界は未曾有の混乱に陥っていた。
 各地で繰り広げられた戦闘で、ルルイエから襲来する者達は海戦に圧倒的な強
さを発揮した。空を飛ぶ竜に似た生物や、小型艇を腕の一撃で沈める蛸に似た生
物の存在もあるが。一番の脅威は、水中歩兵などという、これまでの軍事常識に
存在しなかった半魚人の兵科だろう。高い攻撃力を誇る戦艦や空母も、底に穴が
空けば沈むのだ。
 クトゥルフの眷属達。今や誰もが知る彼らはまた、高度な科学力も有していた。
 人類に協力する存在として、半年前からマスコミにも頻繁に登場する、五本腕
の古き者達によると。それらはクン・ヤンと呼ばれる地下都市群に住む、ネイテ
ィブアメリカンに似た連中がもたらした物らしい。
 四角錐の戦闘機と、八本のローラーを駆動部にする戦車は、どちらも人類の兵
器より優れており。もし十倍の数があれば、半年で勝敗は決していたはずだ。
 ただ、クン・ヤンの住人は圧倒的に、やる気が無かった。
 覇気が無いというのか、だらだらとしており。充分な生産能力を有しながら兵
器の数が揃わないのは、そのせいらしい。しかし、そんな心底面倒臭がりな連中
に、北米西部とユーラシア東部は占領され。米国と中国は、激戦地となっていた。
 そしてもう一つ、こちらの方が被害と混乱は大きかっただろう。
 ルルイエの浮上と同時に、世界各地で深き者に変化する人間が続出した。東南
アジアとアメリカ北東部で多かったものの、比較の問題に過ぎない。欧州、アフ
リカ、南米、アジアと全ての地域で、隣人の何割かが半魚人に変貌したのだ。
 彼らの起こす戦闘にルルイエからの増援が加わった欧米は、緒戦で手痛い損害
を被った。先進国で開戦前の制空権を保てた国など、大西洋から遠い極東の日本
だけだ。
168くなさん ◆DAYgAM2ISM :2006/01/10(火) 06:01:45 ID:LzzTFlOt
 その日本も、周囲を海に囲まれた立地から、深き者との交戦が続いて資源が尽
きかけており。他国への援助など、望むべくも無かった。
 更に、クトゥルフ族とは別らしいが。北アフリカではイカに似た生物、オース
トラリアでは透明化する半ポリプ状の生物との間にも戦闘が起きている。こうし
た事態が立て続いた結果、どの国も防戦一方のまま、半年が過ぎ去ってしまった。
 浮上後のルルイエは、抵抗を蹴散らしながら西進を続けた。
 カリブ海を蹂躙し、アメリカ南部とメキシコに大打撃を与えて太平洋へ出た。
海戦で圧倒的な強さを持つ彼らに、大海の要衝たるハワイが奪われれば、反撃の
機会など失われるだろう。人類と古き者は残る戦力を結集して、ここで決戦を挑
むつもりだった。
 しかし、ルルイエの侵攻は予想よりも早く。人の準備が整う前に、戦端が開か
れようとしていた。

 波間に魚じみた頭部が一つ二つ見えるやすぐ、無数の半魚人達が浮かび上がっ
てきた。続いて彼らの間から、四角い金属製の影が現れてくる。水中移動が可能
な、クトゥルフ族の持つ強襲揚陸艇。腹に抱えた戦車の力は、軍事関係者を悩ま
せ続けてきた。
 だが、真珠湾の戦闘機部隊は、上空を護る四角錐を排除しきれずにいる。迫る
揚陸艇に爆撃機の投入を諦めた司令部から、地上部隊への攻撃命令が下された。
 腹に響く音を立て、戦車砲や野砲が火を吹く。
 何隻かは沈むものの、大多数が持ち堪えて蓋を開いた。次々に現れる八本ロー
ラーが、砲台を回転させて応戦する。随伴の半魚人達と地上軍の間にも、小銃の
打ち合う火線が上がり始めた。
「退避命令が出ました」
「遅えよ!」
 辺りを覆う轟音から耳を庇いながら、白人警官が怒鳴り返す。俺に言っても仕
方ない、とフィリピン系の警官は答えたのだろうが、声は掻き消されてしまった。
 身振り手振りを交えつつ、二人は停めておいたパトカーに急ごうとする。だが、
目に入った場違いなものに白人警官が立ち止まり、相棒を先に行かせながら近付
く。若い警官は急ぐように言い残し、足を速めていった。
「お前ら何やってるんだ、こんなところで!」
 相手は日系人、白人、黒人とバラエティに富んだ三人の少女だった。ハイスク
ールに通う警官の娘と、同じくらいの年頃だろう。
 観光客なら後で覚えてろよ、と恐い顔で毒づく警官に、日系人の少女が代表し
て答えた。
「地元の人間です! 逃げ遅れた人がいないか、見て回ってたんですけど。避難
用のバスが、私達を待たずに行っちゃったみたいなんです。西へ向かおうとした
ら、通行止めになってて」
「それで、こっちに来いって指示されたのよ。こんな大歓迎を受けたんじゃ、戻
って御礼を言いたいぐらいね」
 青い顔をしながらも、白人少女が冗談めかして首を振った。
 誘導した馬鹿を呪って、警官が舌打ちする。内気らしい黒人の娘は、さっきか
ら友人に掴まって言葉も出ないようだ。彼女達を安心させようと、警官は自分の
娘には不評な笑みを浮かべてみた。
 三人揃って悲鳴を上げたが、視線は彼を通り抜けている。その先を追って、警
官が悪態と共に銃を抜き放つ。
 防御陣の一部が破られ、半魚人と彼らの戦車が向かって来ていた。
「あっちにパトカーがある、そこまで走れ!」
「でも、お巡りさんは!」
「ぐだぐだ言ってる暇があったら、さっさと行け」
 去り難そうな日系人と黒人の少女を引っ張り、白人少女が走り出す。振り返っ
た彼女が何か言ったようだが、警官には聞こえなかった。ただ、昔観た西部劇を
真似して、軽く手を挙げて応えてやる。
 車にはショットガンが置いてあるものの、手元にあっても大差無いだろう。心
の中で妻と娘への別れを告げながら、彼は八本ローラーの戦車へと銃弾を放った。
 爆発。
 炎上する戦車を、ぽかんとした顔で眺めていた警官に、女の怒鳴り声が降って
きた。
「リーブ! 潰したんなら、すぐ次のをやりなさい。あんたって本当、何度同じ
事を言わせる気よ」
169くなさん ◆DAYgAM2ISM :2006/01/10(火) 06:02:21 ID:LzzTFlOt
「そんなの、私は今初めて聞いたザマス」
「うっさいわね、見りゃ分かるでしょ。二、三日はゆっくり出来るはずだったの
に、休みが無くなって苛々してんのよ、あたしは!」
「八つ当たりとは、見苦しいザンスね」
 警官の前に、二つおさげを靡かせた少女と、背の高い黒人男が降り立った。燃
え上がる戦車からは、褐色の肌をした筋肉質な男が現れてくる。彼に少女の言葉
は聞こえなかったようで、勝利の雄叫びを上げていた。
「……あの野郎」
「私が行きますから、この人を頼むザンス」
「バズ。あんた、そこまで言う以上は分かってるわね」
「なるべく早く片付けるよう、努力するザマス。でも、私がどこまで言ったとい
うのザンしょう」
 睨まれた黒人男は、褐色のリーブと半魚人達のところへ、まるで逃げるように
跳んでいった。
 腕をハンマーに変えたリーブが、周囲の敵をまとめて薙ぎ倒し。怯んだ半魚人
達を、バズが鎌と化した腕で刈り取っていく。警官は人外の戦闘に息を飲みなが
ら、目の前で佇む少女へと視線を移した。
 さっきの言葉通りに彼女、七瀬はかなり苛立っているようだ。しかしそれも、
勝ち気そうな印象を少し強めただけだった。
「で、おっさん。あんた、いつまでそこに突っ立ってる気?」
 警官は、礼を込めた別れの挨拶をしかけたのだが。戦車砲と破壊音、何より続
いた少女達の悲鳴に、慌てて背後を振り返った。
 道路沿いのホテル上階に砲弾が当たり、瓦礫が落ちてきている。その下に、必
死で逃げる三人の少女の姿があった。だが、どれだけ急いだとしても、逃げ切れ
るはずが無いだろう。
 幸運を祈るしかない警官の前で、落下する破片に無数の線が走った。
 空気を切り裂く音と共に、大きな破片が粉々に打ち砕かれる。そして、土砂と
ガラス片の降り注ぐ少女達へ、誰かの影が覆い被さった。
 警官と七瀬の眼前を、無数の落下物が埋め尽くしていく。アスファルトに食い
込むコンクリート、ヤシの葉に散らばるガラス、敷石を割る鉄の棒。立ちこめる
砂煙から警官が鼻と口を庇う脇を、七瀬が舌打ちして歩き出した。
 もやの晴れたそこには、三人の少女を庇う黒髪の少年がいた。
 身じろぎする少女達に気付き、離れながら彼は相手に怪我が無いか確認する。
大きな傷は見えないが、文宏は心配そうに尋ねた。
「大丈夫?」
 ぽうっとした黒人少女を肘で突いて、白人の娘がしっかりと頷いた。安心して
微笑む文宏に、日系人の少女が何か言いかけたものの。間に割り込んだ七瀬が、
彼の胸ぐらを掴み上げる方が早かった。
「この、天然スケコマシがっ!」
「何だよ、それ。けど、肋骨の一本も折られてないから、本気で怒っては無いな」
「あんたねえ、あたしを何だと思ってんのよ」
 険悪な表情をしつつも、七瀬は優しい手つきで文宏の体に触れる。腕から鉄製
の金具を引き抜かれて、彼は痛みに顔を顰めた。
 鞭を持った右手は変形して内出血を起こしており、左腕の数箇所はガラスが貫
いている。背中に腕を回した七瀬は、右肩に刺さったコンクリート片に呆れ顔を
向けた。文宏は誤魔化すように笑ったが、それが抜かれる時は悲鳴を堪えきれな
かった。
「何度言ったら分かるわけ? 治りが多少早いだけで、急所やられたら即死なの
よ、いい加減に理解しなさい」
 睨み付けて反論を黙らせると、容赦無い目のまま七瀬は少女達を見た。
「なに突っ立ってんの。これ以上、このカスがボケやる前に、さっさと逃げなさ
いよ。そこの警官が、適当なとこまで送ってくれるでしょ」
「あのな。カスやボケという日本語じゃ、伝わらないと思うぞ」
「うっさいわね、あんたはいちいち」
 文宏の痛覚と肉体強度は、普通の人間と変わらない。だというのに、彼はいつ
も他の人間を庇って、平気で大怪我を負う。その度に七瀬の胸を心配で痛めつけ
るような奴は、カスやボケで充分なのだ。
 何故だか顔を赤らめた少女達が、礼を言って警官と去ろうとする。少し疑問に
思いつつ手を振る文宏も無視して、七瀬は一番腹の立つ相手を怒鳴りつけた。
「なんでマスターを止めなかったのよ、ハンナ!」
170くなさん ◆DAYgAM2ISM :2006/01/10(火) 06:03:00 ID:LzzTFlOt
「てけり、り」
 鳥のような巨大な翼を生やした金髪女が、ゆっくりと舞い降りてきた。
 口笛に似た言葉を、七瀬と文宏は理解出来るらしい。鋭い目で冷静に答えたそ
の内容は、七瀬の怒りを更に増したようだった。
「なあにが、御心のままに、よ。首輪でもしとけって、いつも言ってんでしょう
が」
 ハンナは彼女に視線すら向けず、文宏の隣へと降り立つ。恭しく両手で彼の手
を取ると、労るようにそっと撫でた。
「てけり、り」
「悪い、心配かけたな。でも大丈夫、もう動かせるから」
「あんた達、いい度胸してるわね」
 恐い含み笑いを洩らし始めた七瀬を制して、文宏が空を見上げる。それが真剣
なものだったので、見惚れかけた自分を叱りながら彼女も従った。
 戦闘機が四角錐の攻撃を潜り、照準を定めようと迫っていく。だが、横から迫
った竜の鉤爪を回避した事で、タイミングを外されてしまう。味方の援護で距離
を取るものの、今の一戦で、編隊の数機が撃墜されていた。
 アウトレンジでの撃ち合いでは、互角に戦えるらしいが。距離が詰まると、小
回りが利いて打撃の出来る竜に成す術が無いようだ。
「規模からしても、強襲に来たんじゃ無いでしょうね」
「あわよくば、ってとこか」
「てけり、り」
「そうだな。上のバランスを崩して、とりあえず退いて貰おう」
 地を蹴った文宏を抱え、ハンナが大きく翼を振る。彼女の足に七瀬が掴まり、
三人は大空へと飛び上がっていった。
 パトカーで待つ若い警官が、遠ざかる金髪セミロングを唖然としながら眺めた。
駆けて来た白人警官にどやされ、ようやく正気付いて運転席に戻る。少女達が乗
り込んですぐアクセルを踏んだものの、彼の顔は興奮で紅潮していた。
「今の、メアリー・J・デルシャフトですよね。この目で見られるとは、思って
ませんでした」
「事故るなよ」
「いやあ、まさに天使。感激だなあ」
 心ここにあらずという相棒に、白人警官は溜め息を吐きながら帽子を深く被っ
た。
 大西洋沿岸、カリブ海、パナマ運河。ルルイエの侵攻する各地で、彼女達は戦
闘や救助活動を行ってきた。先週の報道では日本にいたはずだから、ハワイ決戦
に合わせて訪れたのだろう。
 白い翼を持つ乙女。
 天使を思わせる彼女は、特にキリスト教圏では人々の希望だった。正体も知ら
れているものの、戦況の暗さが縋る対象を求めさせていた。
 警官は今までのニュースに、どこか嘘臭さを感じていたのだが。欧米各局が、
ハンナに助けられた生の声を録れないのも当然だろう。彼が目の前で見た事と、
後部座席の話題の中心が、理由を教えてくれる。
「……」
 適当な言葉は浮かばなかったが、彼は少年達の無事を祈っていた。
「ああ、もうっ! なんで私、名前ぐらい聞いておかないのよ」
「馬鹿ね、聞くのは電話番号でしょ。メアリー・Jと一緒にいるなら、ネットで
情報が拾えるかもしれないわ。東アジア系に見えたけど、出身はどこかしらね」
「……キュートだった」
「俺の天使、って違う違う違う。彼女は人類の……駄目だ、俺は穢れた人間だ!」
 文宏達を心配する白人警官の姿は、男の年輪を感じさせる渋みに満ちていたが。
車内の誰一人として、そんな物に注意を払う人間はいなかった。

 画面にはCNNのロゴが入った、ハワイの映像が流れていた。戦時下のマスコ
ミは特に、事実をありのまま伝えたりはしない。BBCも例外ではなく、破壊さ
れた戦車も、戦闘中にやられた場面など映しはしなかった。
 ハンナがアイドル化したのも、大衆の欲求と各国政府のプロパガンダ戦術が噛
み合った結果だ。
 戦意を削ぐ事実を隠蔽し、高揚するように事実を歪曲する。現代のプロパガン
ダは単純な、『敵を倒せ』ではない。それは例えば、半魚人が敵の映画が多くな
るなどの形で表れていた。
171くなさん ◆DAYgAM2ISM :2006/01/10(火) 06:03:33 ID:LzzTFlOt
 繰り返し報道されたハンナの活躍にしたところで、大した物ではない。大西洋、
カリブ海、パナマ運河のいずれもが負け戦だったのだ。本当に神の使者なら、彼
女だけで一軍を倒したり戦争を終わらせても、罰は当たるまい。文宏達が助けら
れた人の数など、戦死者の総数の前では塵芥のようなものだ。
 空戦の合間に振われる鞭で、戦局を覆せはしないだろう。しかし、画面を観る
彼女の口元に、暖かな苦笑を作る力はあった。
「相変わらず、馬鹿だな」
 葉子は熱いコーヒーを引き寄せ、鋭利な目を細めた。
『それでは、お伺いしましょう。大尉、この半年間が防戦に費やされた原因を、
軍はどのように分析しているのですか?』
『大きな要因として、三つ挙げられると思います。まず第一に、敵の本拠地、ル
ルイエの浮上地点が大西洋だった事があるでしょう。事前に情報を掴んでいた我
々は、各国と協力して太平洋に戦力を集中していたのですが』
 初耳だ、と葉子が皮肉っぽい笑みを浮かべた。
 開戦前に太平洋に展開したのは、米日豪ぐらいであり。欧州、当然だが英軍も
部隊の派遣などはしていない。
 今は世界的な協力が必要で、イギリスの面子にも気を遣われているが。もし戦
争が終わった時に各国が存在していれば、いずれ一般にも知らされるだろう。社
会学の学生として、その期間を考えていた葉子に、ノックの音が聞こえてきた。
「どうぞ」
 圧縮空気と共に開いた扉から、レアが顔を覗かせる。室内をそれとなく見回し
た彼女は、殺風景さに少し微笑んだ。
 ベッドと机の他は、テレビがあるぐらいだろう。机と床に整理された何かの資
料が無ければ、使われている部屋には見えない。窓は大きいのだが、景色は暗が
りの吹雪だけだった。
「お邪魔したの、初めてだったと思いますが。伊藤さんらしい部屋ですわね」
「私物でもあれば、また違うだろうがな。それより、時間か」
 レアが頷く間にも、テレビを切った葉子が防寒具を手に立ち上がる。足下まで
あるコートの前を合わせながら、二人は並んで歩き出した。
 石のように見える薄緑色の廊下を、照明が静かに照らしている。窓になった一
方から、吹き荒れる雪しか見えないせいもあるだろうか。静寂というものが、辺
りを埋めているようにも感じられた。
「そういえば、お聞きになりまして? この半年の間、ユリさんはずっと戸川さ
んと連絡を取っていたそうですわ」
「だろうな。文宏の行動は、軍との連絡が感じられる物だった」
「やはり伊藤さんは、落ち着いたものですわね。島津さんや渡辺さんは大変でし
たのよ。特にユリさんが、『教える事を考えもしなかった』などと仰られたもの
ですから」
「彼女らしい」
 ぼつぼつとした会話を続けながら、一角に差し掛かったところでフードを被る。
開いた外には通路があるはずだが、雪に埋まってどこだか分からなかった。
 葉子が誘導灯の明かりを指差し、レアと一緒に進んでいく。
 氷点下まで冷えた風は、息をするだけで苦しませる。防寒具の襟元を引き上げ
つつ、彼女達は可能な限りの早足で目的地に向かった。
 発着場に近付くにつれ、作業に走り回る者達の活気が溢れてくる。巨大な樽に
似た空中空母へ、物資を運び入れたり、燃料を注入する。何かのリストを手に、
大声で話し合っている者達もいた。
 南極の狂気山脈。その頂上にあるエルダーシングの都市では、ハワイ決戦の準
備が進められていた。
 これまでに行われた攻撃では、ルルイエに決定打を与えるには至っていない。
 制海権を奪えない事や、各国軍との連携ミス。ビーム兵器が無効化された為に、
実体弾への切り替えに時間が掛かったなどもあるが。一番は、空中を浮遊するル
ルイエに、充分な兵員を送る手段が無かったせいだろう。
 その問題を解決するべく開発された兵器が、葉子達の前を闊歩していく。
 五本の長い脚を生やした、大きな鉄の箱。夜空と大量の雪を背に歩く姿は、新
兵器と呼ぶにはあまりに不格好だった。
「あら、わざわざ見送りに来てくれたの」
 ダイアー・ウィリアム教授号の前で、ユリが葉子達に気付いて声を掛けた。彼
女と話していたエルダーシング達は、短い口笛を残して去っていった。
「次の戦いが、厳しい物になる事は知っておりますから」
172くなさん ◆DAYgAM2ISM :2006/01/10(火) 06:04:14 ID:LzzTFlOt
 ユリは直子と葵がいない事に、特に疑問を抱いていないようだ。レアも気にし
た様子も無く、話を続けた。
「どのような結果であったとしても、再び戻って来て下さるのを願っていますわ。
欲を申しますと、その時は戸川さんも御一緒だと嬉しいのですが」
「頼んだ」
 祈るようなレアと、鋭く見据える葉子。
 管制から許可が下りたのか、次々に樽型の空母が飛び立っていく。巻き上げら
れた雪が辺りで踊り、五つに束ねた髪と白衣を翻す。搭乗を促すアナウンスを背
に、ユリは綺麗な笑みを浮かべてみせた。
「任せておきなさい」

 日が沈んだ後、外にいると汗が滲み、内では肌寒いのがハワイだ。
 どこへ行っても冷房が効き過ぎなのが原因で、二部屋取ったホテルも変わらな
い。だが、服を着ていないにも関わらず、文宏は額に汗を滲ませていた。
 彼の両腕はそれぞれ、裸の七瀬とハンナが抱え込んでおり。陰唇を割った指先
は、第二関節で折れて内壁を擦っている。二人は乳房や陰核を刺激しながら、半
開きの口から悩ましげな吐息を吐き出した。
 愛液が溢れて音を立て始めると、七瀬は手を休めて呼吸を整えた。
「待たせたわね。あたしなら、もう突っ込んで良いわよ」
 彼女が太股を浮かせ、ぎちぎちに張り詰めた怒張をなぞる。血管の感触まで分
かるほど硬くなった陰茎は、少し押されただけで腹に着いていた。
「ほら、我慢する必要なんか無いでしょ。あんたの下僕に義務を果たさ、ひゃう
っ、いい加減にしないと指でイっちゃうじゃない」
「お前な。頼むから、下僕の義務とだけは言うなよ」
「なんでよ。マスターが相変わらずカスだから、いつも通りに怪我したんでしょ
うが」
 ショゴスの力を与えられた文宏は、高い治癒能力を持っている。だが、それを
発揮すると副作用として、女の膣内に出さなければ収まらず。自己処理では駄目
なのだから、下僕の義務に含んで間違いは無いはずだ。
 どこか嫌そうな文宏を見るうち、納得した七瀬が唇を舐めた。
「なるほどね。あたしが好きだの何だの言わないと、ヤり難いってわけ」
 見下すように微笑む彼女の前から、文宏の顔が逸らされる。向けさせたハンナ
は、唾液と舌同士をしっかりと絡め合い。うっとりとしつつも、冷静に隣へ指摘
した。
「てけり、り」
「う。確かに、あたしが悪かったわよ。バズとリーブもマスターの配下だけど、
連中に、この義務は無いわ」
 そっぽを向く彼女の頬に、文宏が口付けた。
「まあ、七瀬の言う事も当たりだけどな。義務で仕方なくの相手だと、罪悪感が
刺激されてしょうがねえ」
 ハンナが首を振って、彼に腕を回して引き寄せる。細身の体に似合う、小振り
だが形の良い乳房が滑らかに押し潰された。
 彼女達ショゴスには、必要に応じて自分の形を変化させる能力があった。
 この半年で、二人の体は文宏に抱かれる為だけに特化しきっている。七瀬は柔
軟で、どんな激しい動きも受け止め。ハンナの肌はすべすべと吸い付くようで、
細い手足が絡みつけば離さない。どちらの中も外も、彼の好みに合わせられてい
た。
 誰よりも文宏に快楽を与え得る体。それは同時に、誰よりも彼から快楽を感じ
る体でもあった。
「ちょっと、からかっただけじゃない。あたし、好きでも無い男の精を、胎に受
け入れて喜ぶ趣味は無いわ」
「てけり、り」
 ハンナの囁きを聞いて、七瀬が口をぱくぱくとさせた。彼女が顔を真っ赤にす
るほど驚こうが、心底本気なのかハンナの視線は動かない。
 それを一身に浴びる文宏は、耳まで紅潮させながら、ごくりと唾を飲んだ。
「てけり、り」
 文宏が口笛のような音を出して、ハンナの両肩を押さえ付ける。震える乳房の
上にあるのは、喜びの表情だけ。いっぱいに開かれた細い太股の間で、濡れ光る
陰唇が彼を待ち望んでいた。
「って、ちょっと待てえ!」
173くなさん ◆DAYgAM2ISM :2006/01/10(火) 06:04:54 ID:LzzTFlOt
 呆然としていた七瀬が叫ぶと、隣で舌打ちがした。
 ちらっと見たハンナは、どこまでも澄まし顔だった。効かない殺気を切り上げ、
鼻息を荒くさせる文宏を蹴り飛ばす。尻餅を着いた彼に、眉を逆立てながら七瀬
は指をつきつけた。
「二人いっぺんじゃないと不公平だから、同時にって決まってたでしょうが」
「てけり、り」
 さっき抜け駆けしようとしたのはお前だ、とハンナが指摘するものの。七瀬が
顎でしゃくった先を見て、今はそれどころじゃない事に同意した。
 ベッドのシーツを握り締めた文宏が、なけなしの自制心を振り絞っている。苦
しそうに紅潮した顔の下で、先走りを洩らす陰茎が痛々しく反り返っていた。
 頷き合った二人が、互いの下半身を重ね合わせていく。
 触れた部分は、黒い液状になってから溶け合うように混ざっていき。蠢く二つ
の下腹部が、次第に一つの物へと変わる。七瀬の右足とハンナの左足の間に、元
からそうだったような、左右で形の違う陰唇があった。
 二つの陰核が揺れる下へ、左右から四本の手が伸ばされる。
 唇どころか、口まで指で引っ張って、二人は中のピンク色を文宏に見せつけた。
人では有り得ないほど開いた膣口が、たくさんの涎を流しながら、奥でひくつく
子宮口まで晒け出す。
「さあ、マスター。その溜まりきった精液を、あたし達二人の子宮へ、たっぷり
と注ぎ込んじゃって」
「てけり、り」
 二人に促されるまでも無く、我慢の限界を越えた文宏が一気に押し入った。
 仰け反る二人の背中に腕を回し、引き寄せながら腰を突く。抱き返す彼女達の
四つの腕と乳房が、ぴったりと彼の体にしがみついてきた。
 初めの頃、文宏は二人を抱く事に抵抗があった。
 無謀にも五人で特攻をかけ、あっさりと撃退され。その傷を回復させた副作用
に抱いた後も、幾度となく繰り返してきたが。わりと普通の倫理観を持つ彼にと
って、葉子達もいるのに、二人にまで手を出すのは気が引けた。
 人では無いから気にするな等、色々な説得をされたが。二人がこうまで歓んで
くれなかったら、心から耽る事は出来なかっただろう。
「てけり、り」
「うん、うんっ。ほんと子宮の中までマスターを迎えられるのは、あうっ、ショ
ゴスに生まれたおかげね」
 強く抱き締める腕から文宏の想いが伝わり、七瀬とハンナも全身でそれに応え
た。
 左右で感触の違う膣内が、陰茎を別々に撫でながら絡みつく。突かれる子宮口
は先端を受け入れ、子宮の中へと導いている。
 待ち焦がれた結合に、三人の限界は早かった。
 ハンナ側の子宮口が痙攣しながら、陰茎を離すまいとし始める。すぐに七瀬の
も同様になり、彼女達は文宏を子宮の中に留め続けた。前後する腰によって上下
させられる子宮に、二人の顔が蕩けていく。
 大きく開けた口を頭の両脇に抱えて、文宏が根元まで突き入れた。
 どくっ、どくんっ、どくどくどくっ
 子宮へ直接浴びせられる精液が、七瀬とハンナに絶頂を与える。締まる子宮口
は、一滴も逃さないように隙間を無くしていった。
 文宏は二人を押し倒し、呼吸を整える口元へ舌を伸ばす。応じる二人に微笑み
ながら、上下する胸に手を置いた。
「こうやって、ふうっ、卵管を流れてくる感触に幸せを感じちゃうな。あたしの
事を、こんなにも妊娠させたいんだ、って思えるから。二人分の子宮と卵巣で収
まらない、はあっ、ぐらい出すのに。なかなか子供って出来ないものね」
「初めて会った時に、全部掻き出した奴の台詞とは思えんな」
「あれ、言ってなかったっけ? あの時に取り除いたのは、催淫作用のあった精
液だけよ。受精卵は残しておいたんだけど、着床しなかったみたい」
 びくんと震えた陰茎を感じ、七瀬は妖しく微笑んだ。
 彼女の乳房は手に余るほどの大きさで、いくらでも柔らかく形を変える。ハン
ナの方は、ちょうど掌に収まり、水菓子のような弾力を返す。それぞれを文宏が
味わううち、二人は呼吸を整えた替わりに、甘い喘ぎを洩らし始めた。
「てけり、り」
「でも、膣内に溢れた分を反芻させ、あんっ、のは。気持ち良いだけでしょ」
174くなさん ◆DAYgAM2ISM :2006/01/10(火) 06:05:29 ID:LzzTFlOt
 分かってないと首を振ったハンナが、文宏の瞳を覗き込む。彼女の顔は鋭い印
象が強いのだが、今は、とても甘い表情をしていた。
「てけり、り」
 それを聞いて、文宏がハンナの唇に乱暴に吸い付く。七瀬が嫉妬を覚える前に、
彼女にも同じくらい情熱的なキスを行った。
 文宏が腰を動かし始めると、左右から二人が頬に口付けた。
「良かった、文宏がマスターで」
 言いながら七瀬が自分の脚を文宏に絡ませると、ハンナもそれに続いた。激し
さを増す突き上げに離されないよう、脚を増やして文宏の背中で組み合わせる。
文宏は上半身を二人と密着させたまま、待ち望む膣内へ、溢れるまで何度も注ぎ
込んでいった。

 鉄の群れが翻り、陽光に機体を煌めかせる。クン・ヤンの戦闘機の放った砲は、
幾つかの星のマークを撃ち落としたが。それで気が緩んだのか、死角となった上
から銃弾を浴びて、煙を噴きながら墜ちていった。
 ルルイエの碧都市の一角で、ダゴンが訝しげに戦場を眺める。右翼への攻勢が
手薄なのは進路を限定する為か、手が回らないだけなのかと。
「右翼を上げ、正面に回せ」
「ぐぎがぐ、げろげろ」
「構わぬ、穴は奴に埋めさせれば良い。乱戦では使いようも無いしな」
 半魚人達が指令を下していく中で、ダゴンは甲殻類のような節足を組んだ。魚
じみた頭に、不敵な笑みを浮かべながら。
 ハワイ沖の会戦は、昼を回っても激しさを増すばかりだった。
 朝からルルイエに押し寄せた攻撃部隊は、既に第三派を数えている。じっくり
腰を据えてかかるつもりのダゴンは、凌ぎどころと踏んで防備に徹した。一気呵
成の行動など、長く続くはずが無いのだから。
 兵もだが、武器も疲労する。戦闘での消耗は、何も被弾ばかりではない。急旋
回や急上昇といった限界性能も、通常航行とは比べ物にならない負担をかけ。そ
れらの消耗は、いずれ修復能力を上回ってしまうものだ。
「来たか」
 ダゴンが見据える先で、右翼に迫る編隊があった。
 第四派の攻撃が正面にかかる隙をつき、紡錘形を取った戦闘機群が突き進んで
いた。対空砲火を回避して隊形が乱れるが、先頭の一機は構わずに突出する。そ
の行く手を塞ぐように、波間からルルイエに匹敵するほどの巨体が立ち上がった。
 鱗の生えた人間を、冒涜的にイカへと変化させたような存在。幾度となく最後
の接近を阻み続けてきた長い触手が、鉤爪を揺らしながら狙いを定める。
 その前で先頭機の前部風防が開き、中からショートカットの女が現れた。
「はじめましてが、さよならの言葉」
 文宏に認識されたガタノソアは、以前とは一つ大きく異なっていた。彼女の輪
郭を見た者全てではなく、彼女と目の合った者を石化させるようにと。だからこ
そ、こうして戦闘機に乗って、作戦に参加する事も可能なのだ。
「やだもう、ワタシってば詩人かもしんない。でも、他人に聞かれたら、ちと恥
ずいかな。思わず口から出た言葉で悩むなんて、教養のある女は辛いわ」
 物凄い風圧を受けているはずだが、どうという事も無いのだろう。あははと笑
うガタノソアが、シートベルトに引っかけた足で器用にバランスを取る。
 迫り来る鉤爪も気にせず、充分に近付いてから、ガタノソアが目を開いた。
 目から一気に広がった石化が、あっという間にイカの巨像を作り出す。右翼の
竜も、何体かが石となって海に消える。風防が下ろされる間にも、戦闘機群から
のミサイルが襲いかかった。一点に集められた爆発が、島ほどの巨体に大きな亀
裂を生む。
「さくっと大活躍だぜ、いえーい」
 Vサインを作るガタノソアを乗せて、編隊は帰投コースに入る。崩れ落ちる巨
像に巻き込まれ、四角錐の戦闘機が何機か墜落していった。
「つーわけで、後は頼んだわよ。戸川文宏」
 呟きに合わせるように、海面から水柱が吹き上がった。
 ガタノソア達と入れ替わる攻撃隊が、ルルイエの右翼へと向かっていく。その
下で白い翼が羽ばたき、混乱する空域を鞭が切り裂いた。
 文宏達の横をミサイルが追い抜き、破片から逃げ惑う敵軍に次々と穴を穿つ。
ルルイエを凝視する文宏の目に、彼らを睨み返す黒い鎧が映った。
「見えた!」
175くなさん ◆DAYgAM2ISM :2006/01/10(火) 06:07:02 ID:LzzTFlOt
「てけり、り」
 巨岩の降りしきる中を、ハンナが速度を増して突き進む。行く手を塞ぐ者達を
払いながら、彼らは目配せを交わした。
「長くは無理よ。雑魚は引き受けるから、マスターはダゴンを」
「簡単に言うでガンスが、かなり大変な数でゲス」
 半魚人や一つ目の巨人達が、ダゴンの周囲に展開する。薄く笑った魚頭は、彼
らの中心で腰の大剣を抜いた。磨き抜かれた刀身の反射が、大きく開いたハンナ
の翼を舐めていった。
 リーブが飛び出して、ハンマーに変えた腕で巨人を殴った。続いて七瀬が斬り
付けたが、致命傷には至らなかったらしい。巨人の持つ大きな棍棒を回避する彼
らの後ろで、バズが半魚人達に鎌を浴びせ。銃弾を払うハンナから飛び降りた文
宏が、その勢いを乗せて鞭を振り下ろした。
 五本に別れた鞭が、別々の軌道を描いてダゴンに迫る。彼はそれを、大剣で次
々に払い落としてみせた。
「我と剣を交えた者なぞ、この戦さで初めてだ」
「偉そうに。てめえが何様だか知らねえが、気に入らねえな」
「ならば、うぬの武を示して、我を黙らせてみよ」
 背筋を走る予感に、文宏は咄嗟に横へ飛び退いた。彼の立っていた場所に大剣
が突き刺さり、敷石に亀裂を入れる。飛び散る礫片を割って鞭が伸ばされるが、
ダゴンは躱しながら迫ってきた。
 剣が振り下ろされようとした時に、浅くだが鞭が肩を打ち据える。バランスを
崩したダゴンの大剣を最小動作で避け、文宏はすぐさま攻撃に転じた。
 だが、巨体の体当たりを浴び、肺の空気を吐きながら吹き飛ばされてしまった。
 追撃に掛かろうとするダゴンの前に、鞭が鋭く突き立つ。制動を無理矢理かけ
た文宏が睨むが、ダゴンは既に充分な距離を取っていた。
「膂力は、さしたる物では無いようだ。が、数多の同胞を葬ったのも頷ける。長
ずれば、かなりの使い手になったであろう」
「余裕かましてんじゃねえ。こっちは、いっぱいいっぱいだ、悪いか!」
 何かに気付いた文宏が、整わない息のままで、敷石に食い込んだ鞭先を跳ね上
げた。身構えるダゴンの脇を通り過ぎ、周囲の建物の外壁を抉る。鞭に引かせた
文宏の体が宙を飛び、死角から七瀬に向かう棍棒の前に割り込んだ。
「マスター!」
 七瀬の悔やむ声の中で、文宏が地面に叩きつけられて大きく跳ねた。
 容赦無く詰めたダゴンの振る剣を、ハンナが膝を着きながらもなんとか受け止
める。ダゴンはすぐに右腕を離すと、節足を何倍もに長く伸ばし、文宏の腹を突
き破った。
 痛みに絶叫した文宏が、口を開けながら顔を落とす。仲間達が駆け寄ろうとす
るが、斬り結ぶ者達が許さない。焦る彼らの前で、ダゴンが吸盤付きの脚でハン
ナを弾き飛ばし、文宏に迫った。止めを刺そうとしたダゴンは、そこで奇妙な物
に気付かされた。
 笑っている。
 苦悶の声を洩らしながらも、文宏の口は笑みを形作っていた。前髪越しに見え
る目が、ぎらぎらとダゴンを睨み返している。その狂気は、ダゴンをして怯ませ
るものがあった。
 ダゴンは振り上げられる鞭に気付いて、右腕を抜こうとする。だが、内蔵を抉
る激痛を無視した文宏に抱え込まれ、すぐには動かせそうもなかった。
「ぬかったわ!」
 人間は、宇宙に存在するあらゆる者の中で、最たる化け物だ。
 己を省みず他者を助けたり、敵を滅ぼそうとする。死への恐怖と生への執着を
持ちながら、そこまで狂える者など他にいない。狂気に導かれるまま、自己の生
命すら度外視して突っ走るのだ。その考え難い行動は、圧倒的な力の差すら無視
して、無理にでも隙をこじ開ける。
 迫る鞭に舌打ちして、ダゴンが自分の右腕を切り落とす。飛び退いた彼は致命
傷こそ避けたものの、裂かれた胸や腹から血を噴き出した。
 注意の逸れた半魚人を押しやって、七瀬達が文宏の周りを固めた。リーブとバ
ズが銃弾から庇う下で、屈み込んだ七瀬が傷口を塞ごうとする。しかし、文宏の
高い治癒能力も及ばない傷から、床石に赤が広がっていった。
「無事、か、七瀬。俺はいいから、み、んな逃げろ」
「黙ってなさいよ!」
176くなさん ◆DAYgAM2ISM :2006/01/10(火) 06:07:39 ID:LzzTFlOt
 悲痛な金切り声を聞きながら、ハンナが文宏の鞭を手に取ってインカムに変え
る。片耳に装着した彼女は、繋がった通信先に口早に告げた。
「てけり、り」
『確認したわ。こちらの座標を伝えるから、合図があったらすぐに飛ぶのよ』
 ユリの声に続いて、上空を砲撃が覆い尽くした。文宏を抱えた七瀬を掴んで、
ハンナが宙を舞う。旋回し、牽制を行うバズとリーブを拾うと、追ってくる銃撃
を躱しながら高度を上げた。
 近付く戦闘機を、体当たり気味に撃墜しながら先を急ぐ。幾度か爆風に煽られ
て失速しつつも、白い翼は戦場を飛び去っていった。

 南極にあるユリの私室に、文宏の身近な者が集まっていた。
 一人部屋としては広い方だが、ベッドに横たわる彼も入れて八人もいると狭く
感じられた。もっとも、苦悶の声がベッドから上がっていなければ、こうまで息
苦しくは無かっただろう。
 顔中に脂汗をかいた文宏が、堪えるように歯の間から荒い息を洩らす。不安な
顔で見守る人々へ、ユリが心外そうに肩を竦めた。
「我々の科学力と、アルタの外科技術を信用して欲しいものね。手術にも、術後
の経過にも何ら問題は無いわ。病室に置いていない事でも分かるように、フミヒ
ロは既に完治しているわよ」
「しかし、こうも苦しまれておりますと」
 レアが文宏の汗を拭いながら、冷静な白衣を振り返った。
 七瀬達すら、蓄積したダメージの回復に、現在も治療を受けているのだ。ただ
それは、ろくなメンテナンスもせず、長期間稼動してきたせいであり。半年間の
戦いの結果だけでは無い。
「心配いらないわ」
 説明するより見せた方が早いと、ユリが文宏を覆った毛布を引く。現れた彼の
姿を見て、何人かが息を飲んだ。
「単に、性欲が高まっているだけだから」
 病院で使うような簡素な服を、屹立が高々と押し上げていた。
 確かに文宏は苦しそうだが、傷の痛みを訴えてはいない。雰囲気の変わった室
内で、ユリが彼の服を手早く脱がせ始める。顕わになった陰茎が、今そこにある
欲望に強く脈打った。
 ユリは下着を下ろしつつ、彼に跨っていく。その股間で、さっきから弄ってい
たらしい手が、充分に溢れた唾液に濡れ光った。
「駄、目だ、ユリ」
 陰唇にくわえ込んで膣口を探る彼女へ、下から声が掛かる。素直に待ちくたび
れる陰茎と違い、本人は上がりかける腰を必死に抑えつけていた。それをユリは
冷たく見下ろしたようだが、瞳が潤んでいては台無しだろう。
「忘れたわけじゃないでしょう? 早いところ雌性体の胎内に注ぎ込まないと、
知性を失うのよ。最悪の場合、死に至るとも言ったわよね」
「けど。何人も、ぐはっ、に手を出すだなんて。俺がされたら絶対に、嫌だ」
「フミヒロの道徳観がどうだろうと、死んで貰っては困るの。もっと自分の価値
を、きちんと理解しなさい。あなたは、大事な実験体なのよ。科学の発展の為に
も、貴重な資料を残す義務があるでしょう」
 言い終えたユリが、一気に腰を下ろした。
 すぐにも達しそうに震える陰茎が、膣内を満たしていく。それを収めきったと
ころで、ユリはどうでも良い事のように付け加えた。
「ああ、それと。これは大した理由じゃないんだけど。私もフミヒロの事、気に
入ってるからかしら。少なくとも、他の雄の種を孕む気になれない程度にはね」
 放出を耐えていた文宏は、その一言で決壊し、ユリの膣内へと吐き出していっ
た。
 どくっ、どくどくどくっ
 それでも、彼女の腰を掴もうとする手を、寸前のところで引き留めている。科
学的でない事は理解し難い、と首を振るユリの前に、黒髪のセミロングが割り込
んだ。
 文宏の間近に顔を寄せ、葉子が鋭い視線を向ける。見返す彼の目は、快楽と苦
悩に揺れながらも、しっかりと彼女を捉えていた。
「下らない我慢をするな。断言して良い、お前はどうせすぐに私達を抱くんだか
ら」
「待てよ、下らなくな、んか無いだろ」
177くなさん ◆DAYgAM2ISM :2006/01/10(火) 06:08:16 ID:LzzTFlOt
「いいから聞け、理由は二つだ。お前が非情になりきれない、お人好しであり。
独占欲が強いからだな」
 困惑する文宏に、葉子は迷いの欠片も無い顔で続けた。
「もし、誰か一人を選ぶなら、覚悟して選べよ。選ばれなければ、私は死ぬ」
「いきなり、物騒なこ、と言ってんじゃねえ」
「が、本気だ。別に、他の女を捨てろとは言ってないだろう。お前にとっての私
が、その程度の価値すら無いなら、生きていても仕方あるまい。なにせ、全身全
霊をかけて、ずっと口説いてきたつもりだからな」
 それなら他の男を愛しても、どうせ無駄に終わると彼女は断言した。かなり無
茶な内容だったが、文宏を黙らせる効果はあったようだ。
 何より、彼の自己嫌悪を晴らせた事に、葉子は満足して微笑んだ。
「もう一つの方だが……お前の事なら、世界中の誰より、私が一番良く分かって
いる」
 文宏の額に張り付いた髪を払い、顔を近づけていく。額同士を触れ合わせた彼
女は、部屋の中を目で示しながら囁いた。
「お前、こいつらが他の男とヤっても構わないのか?」
 からかうような笑みを引き寄せて、文宏が自分の口で塞いだ。一瞬だけ驚いた
ものの、すぐに葉子は彼の首に腕を回して応じ始める。ねっとりと舌を絡め合い
ながら、もう片方の文宏の手がユリの腰をがっちりと掴んだ。
 奥を突き上げる感触に、喉を晒したユリが倒れそうになる。堪えようとする彼
女を、起き上がった文宏が押し倒した。
「なるほど、あふっ、催淫効果が無いと、こうなのね。興味深、あんっ、深い、
深いよ。こんなにくっきり、文宏の形が分かっちゃうなんて。ちょっ、あっ、ど
うにかなっちゃいそう」
「孕むだけだ、安心しろ」
 文宏の背中に張り付いて、葉子が声を掛けた。ユリの吐いた息をどう捉えたの
か、文宏は彼女を抱き寄せながら、目を合わせつつ突き入れた。
「ユリ。お前は俺の女だ、他の男には指一本だって触らせねえ」
「手は五本もあるけ、ふあっ、軽い冗談でしょ」
 いいわよ、と頷くユリの唇を奪った文宏は、挿送を繰り返していった。
 内壁を押しながら擦り上げると、面白いようにユリの体が跳ねる。五本の腕で
必死にしがみつく彼女は、絶対に抜けないよう陰茎を押さえた。だがそれも、達
する回数を重ねるうちに、手を置いているだけになってしまう。
 射精感が込み上げる度、文宏は我慢せずに放出する。子宮口に押し当てた先端
から、中へ中へと精液が注ぎ込まれ。五房に束ねたユリの髪が汗にまみれた頃に
は、胎内は膨らむほどに満たされていた。

 苦しそうに息をするユリに軽くキスをして、文宏が顔を上げる。
 彼の足で股間を弄ぶ葉子の傍で、熱っぽく見返すガタノソアと目が合う。腕を
取って引き寄せた文宏は、ごくりと唾を飲む彼女の下着に手を差し入れた。
「なんか、ええっと、ひゃう。そりゃ濡れてますよ、ああ、濡れているともさ。
だってこんな欲望丸出しの顔されたら、いやその、ちと怖いぐらい。あんなにさ
れたら、ワタシってば壊れちゃわないかな」
「好きな女を、壊すわけ無いだろ」
「いや、つーか。そう言われただけで壊れる、ってか壊れそう、むしろ……壊し
ていいよ。って、何言ってんだろうね、あはは」
 焦っていながら期待に満ちた笑いを、途中で文宏が吸い込んだ。
 下着は愛液を吸って脱がし難かったが、破れそうなほど力を入れて引き抜く。
少し怯えたガタノソアは、優しく貫かれた事で、安心したように息を吐いた。
「あ、本当だ。さっき博士が言ってたけど、あはっ、はっきり戸川文宏が分かる
よ。今までは押し流されるだけだったのに、繋がってるのを感じる。ああ、ワタ
シはこっちの方が好、あふっ、好き」
 ぎゅっと抱きつかれて、あっという間に文宏の限界は訪れた。
 どくんっ、どくどくどくどくっ
 全体で強く締めるユリと違い、ガタノソアの膣内は柔らかく受け止める。とい
っても、与える快楽が違うのは、造りのせいではあるまい。普段はともかく、体
を重ねる間なら、文宏は彼女が人知を越えた存在なのだと納得出来た。
 彼女の子宮口を押し上げたまま、腰を大きく回していく。ガタノソアが一度達
する間に、文宏は二度三度と達するが、陰茎は硬く張り詰めたままだった。
178くなさん ◆DAYgAM2ISM :2006/01/10(火) 06:08:55 ID:LzzTFlOt
「ねえ、戸川文宏。これからは、放っといちゃ駄目だぞ。せっかく慣れてきたと
ころだったのに、あんっ、半年もワタシに注がないなんて」
「悪かったよ。けどな、俺は自分がされたく無い事を、他人にしたく無かったん
だ。でも矛盾するようだが、お前が他の男とするなんて、うくっ、考えただけで
苛つく。葉子の言った通り、自分で考えてた以上に最低な奴だな」
「馬鹿ね。謝るのはそんなんじゃなくて、孕ませてくれなかった事にで、ひゃん
っ」
 強く突かれて、ガタノソアが大きく喘ぐ。だが、充分に高まった彼女は、その
激しさも悦びになるようだ。
 何度も何度も放たれた精液が、たぷたぷと子宮の中で音を立てる。子宮口を塞
ぎながら注ぎ込んでいた文宏は、気を失った彼女の髪を撫でてやった。

 痛いほどの凝固は去ったものの、まだまだ陰茎は物足りなさを訴えていた。
 頼りなく手を預けて、葉子が彼の足を濡らす。彼女の腰を引き寄せようと振り
返った文宏に、俯くアルタの姿が見えた。
「来いよ、アルタ」
 彼女は珍しくおずおずと近付き、前髪の間から覗いてくる。そこには怯えとい
うより、後悔のようなものがあった。
 腕を引く文宏には逆らわなかったが、頭がゆっくりと左右に振られた。
「戸川君も、知っちまいやがったはずです。私が、黒き王の命じるままに、行動
してきたと。あの博物館に伊藤君を呼び出した理由が、ブラン君と引き合わせる
為だったのも。彼女が生贄にされると知りつつ、黙っていた事も。だから、戸川
君に抱いて貰える資格なんか」
 打ち合って言葉を出す羽は、内心を表すように弱々しく震えていた。アルタは
巫女服の前で両手を組むと、祈りを込めた眼差しを向けた。
「あれもこれも全て、戸川君が下僕にしてくれなかったせいですよ。新たな主に
仕えなければ、私は黒き王の御心に反する事など出来ません。お願いです、てめ
えにミジンコ程度でも微かな度量があるなら、さっさと私を下僕にしやがれ」
「言っただろ、そういうのは趣味じゃない」
 それに、と首を振りながら文宏がアルタを抱き締めた。
「メルを死なせてしまったのは、俺のせいだ。ニャル様が教えてくれたよ。彼女
を殺せてしまった俺に目をつけ、全てを引き起したんだって」
「やっぱり、私を戸川君の物にしてはくれませんか?」
 少し体を離した文宏が、アルタと向かい合う。彼は後悔を引き摺っていたもの
の、笑顔を浮かべていた。
「下僕だの奴隷だのは趣味じゃないが、お前は俺のもんだ。菌糸の一本一本、思
考まで含めて、他の奴には欠片だって渡しゃしねえ。相手がどこの誰だろうと、
な」
 笑顔に崩れたアルタに吸い付き、着物の前を割り開く。袴の紐を自分で解いた
アルタが、下着ごとそれを脱ぎ捨てる。股に入れた指に涎が絡むのを確認し、文
宏はガタノソアから抜いた陰茎を、すぐにアルタへ突っ込んでいった。
 体内の菌糸が、ぬめりながら陰茎に絡みつく。根元まで差し込む文宏に抱きつ
いて、アルタは含み笑いを洩らし始めた。
「くっくっく。引っかかりましたね、戸川君。我ながら、しおらしい娘の演技も
上手いものです。天は二物どころか、三つも四つも与えるようですね。残念だな、
あんっ、ことわざ作った人」
 菌糸は蠢きながら、陰茎の突く奥に空間を作り出した。
「戸川君を絶望させる為に、教えてあげましょう。てめえが私を下僕にした時点
で、黒き王の御掛けなった封印が解かれました。これにより、はうっ、滅びるま
で私の魅力に取り憑かれるのです」
「今までと、そんな違うとは思えないけどな」
「ううっ、こっちは大違いですよ。催淫効果が無い方が、犯されてるのが実感出
来て気持ち良、ふあっ。ともかく、教えてあげますから、敬い尊びながら心して
聞きやがれ」
 巻き付いた菌糸が舐めるように、文宏の陰茎を這っていく。アルタの限界が近
い事を感じて、頷きながら彼は腰を速めていった。
 聞けと言っていたが、言葉にならないのだろう。強く振られる羽からは、風だ
けが送られてくる。嬉しそうに啜り泣く顔を引き寄せ、熱い頬に触れながら、文
宏は奥へと解き放った。
 どくっ、どくっどくどくっ
179くなさん ◆DAYgAM2ISM :2006/01/10(火) 06:09:31 ID:LzzTFlOt
 以前なら全身に行き渡らせるべく、膣口以外は緩くなったのだが。アルタの膣
内は射出口に絡まり、精液を一点へと導いているようだ。
「どぷどぷ出しましたね。これでもう、ふうっ、戸川君はお終いですよ」
「で、何があるんだ?」
 呼吸を整えるアルタの肩を撫でると、嬉しそうに羽が鳴る。しばらくそうして
いるうちに、落ち着いたのか彼女が話を続けた。
「命令を受ける時に、戸川君が催淫能力を持つというので、胞子を止めて貰った
んです。ああ、人間でいう卵子ですね。ただし、下僕になった場合は、排胞が再
開します。ですから今、さっき出しやがった精液の中で、私の胞子が泳いでます
よ」
 乱れた着物へ手を差し入れ、お腹の辺りをアルタがさすった。
「てめえの子供を孕ませて、私じゃないと駄目になりやがれ」
「てけり、り」
 口笛じみた声を聞き、アルタに恐怖と期待が同時に沸き起こる。だがそれも、
膣内を掻き回され始めると、歓びに圧倒されていった。
 両手両足でしがみついて、自ら腰を振り立てる。頬を擦り寄せた彼女は、甘え
るような声を出した。
「だめになっちゃいます。戸川君じゃないと、駄目なんです。こうなったら、
ひゃうっ、だめにしきっちゃって下さい。名前考えるのに困るぐらい、たくさん
子供産んであげますか、らあっ」
 無理矢理に興奮させられてないせいで、余計に深く感じるのだろう。注がれた
量は今までより少ないというのに、アルタの全身からは力が抜けてしまっていた。

 息をつく文宏を押して、顔を蕩けさせた直子が陰茎の根元を掴む。アルタから
抜けると同時に呑み込もうとした彼女を、文宏が掴んで引き留めた。
 直子は不満そうに首を傾げたが。文宏が自分の平らな腹を見ているのに気付き、
笑いながら頷いた。今度は文宏が不思議がる中、慣れた動作でシャツの前をはだ
けていった。
「論より証拠ですよね」
 フロントホックを外した直子が、乳房を差し出す。
 文宏の記憶にあるより、二サイズほど膨らんでいるだろうか。意味が分からな
いでいる彼の口へと、直子が乳首を持ち上げた。
「どうぞ」
 にこにこと嬉しそうな彼女に、戸惑いつつも文宏が口を近づける。頷く直子を
見て、乳首を口に含んで舐めてみた。
 とろりと溢れる液体が、口の中に広がった。
 驚いて文宏の手から力が抜けると、直子の体が沈み込んでいく。悦びながら迎
え入れた彼女は、完全に体重を預けて、飲みやすいように乳房を抱える。促され
るまま、母乳を流す乳首に文宏は吸い付いた。
「左のは、さっきまで私達の子供が吸ってたんですよ。男の子でしたから、直子
の直と文宏さんの宏で、直宏とつけましたけど。お父さんの意見としては、どう
ですか?」
「産んでくれてたなんて、その、嬉しいよ」
 良い名前だと頷きながら、零れた乳に困った顔をする。出している本人は豪気
なもので、放っておくようにと笑っていた。
「美味しかったなら、私も報われます」
「ああ、うん、こっちの方が驚いたかもしれない。もっとこう、コンデンスミル
クみたいに、甘いもんだと思ってた。さっぱりした甘さで、飲みやすいよ」
「色々と、苦労するんですよ。食事にも気を遣わないといけませんし。でも、赤
ちゃんの為ですから」
「その料理を作ってるあたしに、順番を譲って恩返しをしたい、と」
 後ろから文宏に抱きついた葵が、二人に笑いかける。冷たい目で迎えた直子よ
りも、文宏は背中で感じる腹の感触の方が気になっていた。
 反対側にいた葉子が気付いて、文宏の手を葵の下腹部に導く。裸の腹は、ぽっ
こりと膨らんでおり。中にいるのが、とっくに人間なんだと教えてくれた。
「そろそろ七ヶ月。最後に抱かれた時は、もう、この子がお腹にいたってわけ」
「だから、馬鹿言わないでよ。早産の危険だってあるのに」
 険悪さを増す直子に、負けじと葵も睨み返した。
180くなさん ◆DAYgAM2ISM :2006/01/10(火) 06:14:25 ID:4PnvcUp/
「誰も、前でするなんて言って無いだろ。ねえ、文宏。お口でも、お尻でも、好
きなところ使って良いよ? 私の穴という穴に、この子を作った素を、注ぎ込ん
で欲しいの」
「ふざけたこと言ってんじゃないわよ。膣内以外で出すなんて、みんな孕んだ上
で、他に希望者が誰もいない時だけでしょうが」
「それもかなり、ふざけた意見だと思うけどな」
 文宏を無視して二人が睨み合うと、細い指が彼の顔を横へ向けさせた。
 合わせた唇の間で、レアの舌が彼を求める。気付いて声を上げる直子と葵に、
離れたレアは糸を引かせながら答えた。
「揉められるようでしたら、わたくしが先にさせて頂きますわ」
 直子が頼むような視線を送ると、葵も頷いた。元から本気ではなく、じゃれつ
くのが目的だったらしい。安心して文宏の頭を腕で独占すると、直子は何かを思
い出したようだ。
「あ、そうだ。責任取ってくれる、って言ってましたよね」
「ああ。俺に出来る事なら、何でも言ってくれ」
「だったら、お願いがあります。私、生理が重いんです……なので、一生止め続
けてくれませんか?」
「てけり、り」
 乳首に吸い付く文宏へ、深い吐息が返ってきた。
 対面座位で直子と繋がる背中に、葉子の体温を感じながら。右手の指を、八方
から締め付けるレアの陰唇に滑り込ませ。左手で、葵の妊娠後期に入った腹を撫
で回す。母乳を吸う度に直子の子宮口が反応し、彼の子種を欲しがっていた。
「なんか不思議です。あの子に吸われても、あくっ、別に感じたりしないのに」
「直子の乳、すっげえ美味いよ。生理を止め続けられるかどうかは、流石に分か
らないけど。この先ずっと、母乳が止まらないようにはしたい」
「なら、出し続けさせて、ふあっ、ずっと飲んで下さいね。心配しなくても、必
要な分だけ作れるそうですから」
 右の乳房を飲み干した文宏が、直子とキスを交わす。イったレアが指をきつく
握り、感動する陰茎の振動が、直子も絶頂へ押し上げた。絞るように締め上げる
膣内へ、文宏は込み上げた精液を流し込んでいった。
 どくっ、どくどくっどくっ
 背筋を震わせた直子が、うっとりとしながら胎内に広がる感触を味わう。
 直宏は彼女をアルタの脇に押し倒して、覆い被さる。奥を突き始めると、左の
乳房が彼らの間に母乳を滲ませた。
「サッカーのチームが作れるぐらい、あふっ、子供欲しいです」
「そしたら、あたしの子供達と試合ね」
 左腕で直子と葵、右腕でレアとアルタを抱き寄せて。背中から乗り出した葉子
と、唇を重ねつつ。文宏は溢れるまで、直子の子宮を満たしていった。

「待たせたな」
 慈しむように直子の腹を撫でる葵を見ながら、文宏が後ろを振り返る。だが、
葉子は首を振って、レアを目で示した。
「私は最後で構わん。先に、妊娠周期に入った彼女を可愛がってやれ」
「よろしいのですか?」
「ああ。直宏も可愛いもんだしな、こいつの子供をもっと見たい」
 だから、排卵期でない自分より優先だ。そう答える葉子に陰茎は反り、だらし
なく口を開いた直子が悶えた。流れる唾液を舐めた文宏が、頬を染めながら近付
くレアの腰を、ぐいと抱き寄せた。
 彼女の八つに割れた陰唇が、好物を欲して収縮を繰り返している。直子の体温
をまとわせたまま、文宏は彼女に突き入れた。
「島津さん達にも、この感覚を知って頂いて良かったですわ」
「どの、なんだ?」
「催淫を中和していたという、あれです。私と渡辺さんのように、皆さんも感じ
て下さったようですね。戸川さんを好きな気持ちが溢れて、止まらなくなってし
ま、あんっ」
 強く抱き締められて、レアがラッパのような音と共に息を吐いた。
 肉付きが薄く、どこまでも細い体。ふるふると形の良い乳房が震えるが、脇に
は、あばらが浮きかけており。縋り付く手足は、折れてしまいそうな頼りなさを
感じる。
 だが、陰唇はぎっちりと彼を掴んで離さなかった。
181くなさん ◆DAYgAM2ISM :2006/01/10(火) 06:15:03 ID:4PnvcUp/
 スムーズに受け入れる膣内とは別に、高まるほどレアの陰唇は締め付けを増す。
込み上げた精液が堰き止められ、苦しそうに先端がもがく。こりこりとした子宮
口を押していると、長い髪を振ったレアがファンファーレを鳴らした。
 どくっ、どくどくっどくっ
 陰唇から力が抜け、溜まりに溜まった精液が噴き出されていく。浴びせられる
度に音を鳴らす彼女は、淫靡な楽器のようだった。
 荒い息を吐きながら、細い顎の線が文宏の肩をなぞる。少しづつ八つの陰唇が
力を込め、彼女の回復を教えてくれた。
「時を旅する私であっても、戸川さんの未来を視る事は叶いません」
「この戦争で死ぬ、ってわけか」
「いえ。その可能性すら、全く分からないのです」
 宇宙に存在するあらゆる物は、常に他者を観測し、影響しあっている。人間を
例にすれば、呼吸する事で酸素を観測、つまり吸収し、二酸化炭素を吐き出すよ
うに。素粒子であっても同じで、観測しなければ存在し得ないのだ。
 それら無数の観測が、宇宙を変化させ続ける。だからこそ未来は常に不確定で
あり、未来や過去に行っても、そこは一つの可能性の世界でしかない。
「しかし、確率の未来すら不明にさせる、混沌を生み出すモノがいます」
「ニャル様か」
「ええ。ほぼ唯一の、絶対的な観測者。ナイアルラトホテップは、一匹のネズミ
を観測するだけで、宇宙を劇的に変えてしまいます。アレが何を企んでいるのか
は知りませんが、どうか、お気をつけて下さい」
 注意したからといって、どうにかなる相手ではない。それでも文宏は、レアを
安心させる為に嘘をついた。
 レアも分かってはいるのだろう、彼の優しさに溺れるように激しく求め。恥じ
らいも捨てて、高らかにラッパを鳴り響かせる。音楽が止まった時には、あれだ
け締め付けた陰唇も、疲れ切ったように緩んでいた。

 文宏にも、全身に痺れたような疲れが広がっていたが。首に腕を回した葉子が
口付けると、陰茎は元気にレアの膣内を押し拡げた。
「いまさらだけど、本当に良いのか?」
「他の女に手を出す事なら、病気さえ移されなければ、あと何人増やしても構わ
んぞ」
 顔を寄せた葉子が、呆れと挑発を混ぜた笑みを浮かべた。文宏に無数の女がい
ようと、彼に愛させる決意の顕れだろう。指で開いた陰唇から、涎が彼の腹を伝
って股間へと流れ落ちていった。
「お人好しで流されやすく、下らない事でうじうじ悩む、節操無し。そんな最低
最悪の馬鹿だからこそ、私はお前が好きなんだ」
「本当、考えらんないぐらい、最悪だよな。彼女より好きな娘が出来たってのに、
いつまでも別れ話を切り出せずにさ。自分の何が嫌かと言ったら……梢が死んだ
のを見て、どこかでほっとしやがったはずなんだよ、このクズは」
 文宏の悔恨に歪んだ顔を両手で挟み、葉子はとても優しく苦笑した。
「お前、正真正銘の馬鹿だな」
 キスをしてから、目元に滲んだ涙も吸い取っていく。髪の間に差し入れた手で
引き寄せ、彼女は頬と頬を擦り合わせた。
「簡単な話だ。お前は私を好きなのと同時に、藤野も好きだった。考えてみろ、
独占欲の強いお前が、自分の女を他の男にやれるわけがあるまい。好きになった
女を、片っ端から孕ませたいんだろう」
 それとも何か、と葉子が喉の奥で色っぽく笑う。
「私がお前に抱かれなかったから、下らない事を考えたのか?」
 レアから引き抜かれた陰茎が、葉子を貫いた。待ち焦がれていた膣内が、涙を
流しながら彼を咥え込む。それが喜びの涙である事は、葉子の上げる嬌声が伝え
てくれた。
 文宏も、彼女が抱かれなかった理由ぐらい分かっていた。
 彼は彼であって、彼では無かったのだ。戸川文宏である事に変わりはないが、
葉子と出会い、彼女が愛した戸川文宏では無い。それでも文宏なので、文宏では
ないなどと言いたく無かったのだろう。
 理由を言おうとして苦しそうな顔を見たら、文宏はたまらなくなってしまった。
 そういった、彼の優しさと愛情を受けて、葉子も際限無く乱れていく。自分が
イっても腰を揺らし、文宏が達しても休まずに求める。荒い息で舌を差し出しな
がら、二人は互いに唾液を流し込みあった。
182くなさん ◆DAYgAM2ISM :2006/01/10(火) 06:15:39 ID:4PnvcUp/
「お前に抱かれて、細胞の一つ一つが喜んでるぞ。聞こえるか、ああっ、粘液ま
でもが、お前を好きだと言っているのが」
「そういうお前こそ、分かってんのかよ。ずっとずっと、ここに俺の子供を宿さ
せたくてたまんなかった」
 腹を触る文宏に、葉子が大きく頷く。
 さらさらと肩口までの髪が揺れて、彼の肌を撫でる。その感触に、文宏がより
一層の繋がりを求め、葉子も余すところなく応じてきた。
「一番、お前に好きだと、ふあっ、言って欲しい細胞は、私の卵子だ」
「悪いが卵子より、受精卵の方が好きだぜ」
「気が合うな。ただ、私一人では作れないだろう。一緒に、あんっ、作ってくれ。
初めてシた時からずっと、お前の子供を孕みたくってたまら、ふあっ」
 葉子の体は細かったが、滑らかな印象の方が強かった。中も外もすべすべとし
て、抱きつく文宏に吸い付いてくる。その手足に包まれると、強い力で拘束され
たように、彼女から離れられなくなってしまう。
 膣道も従順に彼を受け入れた。べったりと襞が絡むわけでも、強く締め付ける
わけでも無い。なのに、奥へ奥へと導く蠢動は、どうやっても抗えないほど文宏
を魅了した。
 どくっ、どくどくどくっ
 射精の瞬間だけ葉子は腰を止め、子宮口で飲み干していく。勢いが収まると、
彼の舌を舐めながら、再び体を揺らし始めた。
「そうだ。どうせなら、私の全てを、あふっ、お前の物にしたくないか?」
「とっくに、お前は俺のもんだよ」
「分からん奴だな。娘を産んだら、あんっ、骨の髄までファザコンに育ててやろ
うか、と言ってるんだ」
「無茶苦茶言うんじゃねえ、ったく」
「お前を誑し込む為だったら、私は何だってするぞ」
 そして、とても真摯な目を瞼の下に伏せながら、彼女は告げた。
「……出来れば、生きて帰って来い。出来なければ、私が後を追ってやる」
 もしそうなった時、実際にどうするかは葉子にも断言出来ないだろう。しかし、
心に留め置けという彼女の想いは、文宏に充分伝わっていた。
 なぜなら、それは。
「文宏、心底惚れてるぞ」
 汗と体液と涎、そして少しの涙を混ぜつつ、二人は激しく交わり続けた。部屋
中に広がった嬌声が、打ち合う肉と水の音と争っていく。淫らに蕩けながらも、
どこか葉子には凛とした物が感じられた。
 回復したユリが、羨ましそうに近づいてシーツに足を取られる。乱れた髪と威
厳を正すものの、上気した頬が全てを無駄にしていた。
 その後。治療を終えた七瀬とハンナも加えて、夜遅くまで喜び咽ぶ声が上がり
続けた。全てを出し尽くした文宏が、レアの中に埋めたままで倒れ込み。彼女達
は幸せそうに寄り添い、一緒に眠りへと入る。
 時計の針は、決戦の日に変わろうとしていた。

 朝靄の垂れ込める海上に、鉄の残骸やオイルなどが散らばっている。一夜を明
けても消え去らない痕が、初日の激戦の様子を物語っていた。
 双方の損耗率が一割に近い、まさに消耗戦だ。通常ならば、どちらも態勢を立
て直すべき損害だろう。だが、人類にとっては戦線の伸びきった敵の本拠、ルル
イエを叩ける好機であり。クトゥルフ側がハワイを陥とせば、ほぼ勝利を決定づ
けるのでは、双方退けない決戦だった。
 昨日の戦闘でルルイエは推進装置の一部を破壊され、今も修理の音を響かせて
いる。朝陽の差し込む海に浮かぶ、最も大きな残骸。半ば沈んだ石像の上を、奇
妙な鳥が飛んでいた。
 馬のような頭部を持つ体は、象より大きいだろう。羽毛の代わりに生やした鱗
が、優雅に風を切っている。その背中で、黒いメイド服の少女が足をぶらぶらと
させていた。
「いよいよ、だねえ。苦労した甲斐があったよ」
 悍しく可憐な笑みのニャル様に、奇怪な鳥が鳴き声で応えた。
 ダゴン教団は文宏ではなく、山田教授を狙った。人類に協力を求めたユリは、
日本に向かったし。病院帰りの文宏は、半魚人達の狩り場に着いた。そして、ラ
ーン=テゴスを生贄として、クトゥルフが復活した。
183くなさん ◆DAYgAM2ISM :2006/01/10(火) 06:16:22 ID:4PnvcUp/
 全ての当事者は、なんとなく選択しただけだろう。アルタを除けば、誰も自分
が誘導されたとは思わなかったはずだ。
 文宏が工事区間を避けて、波止場への道を使ったのも。ユリの回した地球儀が、
指を置く寸前に微妙に動いたのも。気付かなければ、疑いを抱くような事ではな
い。
「後は仕上げだけ。最後はびしっと、私が決めちゃうんだから」
 ニャル様が無い胸を反らし、可愛らしい笑い声を上げた。
 その足下に浮いていた石像の目が、意志の輝きを取り戻す。徐々に石化を治し
つつ、砕けた体を集めているようだ。海底に沈んだ各部へと、動かせるようにな
った鉤爪つきの触手を伸ばした。
「お前は死んでなさい」
 何の価値も見出していない声で呟き、ニャル様がバールのような物で下方を突
く。
 巨大な何かに押し潰されたように、海面が弾けて波を立てた。ばらばらに砕け
た石像が、残らず海底へ沈んでいく。
 馬頭を叩いて、そこから飛び去りながら。ニャル様はリズムを刻むように、頭
を小さく左右に振っていた。




―――――――――――――――――――――――――――――――――――

今だに、エロシーンで枚数計算が崩れます
・・予定じゃ半分だったはずなんですが

三人組の名前はシンセミアからですけど、まあ知らなくて当然


>マボさん
長い連載の完結、お疲れ様でした
「出来なかったら〜」は目から鱗
新作ネタが溜まるのを、まったりお待ちしています

>某作者さん
M君すらドミノ殺れなかったのは、「象さんがもっと好きです」でしたか
しかし、最近はペガサスキバヤシの活動が活発なようでw
184名無しさん@ピンキー:2006/01/11(水) 07:36:42 ID:sPETHRK2
くなさんキテター!
相変わらずの濃いエロ、GJです。
185名無しさん@ピンキー:2006/01/11(水) 12:03:41 ID:2jfxo5U5
>>183
GJ!
エロエロな所もイイですが、Storyもどんどん展開して良さげ。
場面転換で分からなくなることもあるけど(w
何か、初めの頃と比べると文章密度が増しているような。
186名無しさん@ピンキー:2006/01/11(水) 21:54:03 ID:9QvHDbSe
話題の人を発見。活躍の場はコミックボンボンらしい
ttp://www.uploda.org/file/uporg284237.jpg
187くなさん ◆DAYgAM2ISM :2006/01/11(水) 23:21:40 ID:IHy3gHPV
レスども〜
スレ止めたかとびびってましたw
もうすぐ終わるんで、目障りな方はNGにでも入れてやって下さい

>185
平易簡明文から離れて申し訳無い限りです
ま、俺のセンスの無さなので、どうにも


・・っていうか実在したのか、ペガサスキバヤシ!w
188名無しさん@ピンキー:2006/01/11(水) 23:46:41 ID:aZK8zU3a
公開オナニースレはここですか?
189名無しさん@ピンキー:2006/01/11(水) 23:47:17 ID:aZK8zU3a
>公開オナニースレはここですか?
うn
>公開オナニースレはここですか?
うn
>公開オナニースレはここですか?
うn
>公開オナニースレはここですか?
うn
>公開オナニースレはここですか?
うn
190名無しさん@ピンキー:2006/01/11(水) 23:52:24 ID:aZK8zU3a
>>1-187
ザラキーマ!
191名無しさん@ピンキー:2006/01/11(水) 23:55:46 ID:aZK8zU3a
公開オナニースレはここですか? の検索結果 2 件中 1 - 2 件目 (0.25 秒)
192名無しさん@ピンキー:2006/01/12(木) 00:11:27 ID:KZ5xxTKm
新テンプレ(このレスの次のレスから開始)
ここはクトゥルフネタしか投下してはいけません
ここは神作家しか投下してはいけません
ここは誤植や間違いを誤魔化す人しか投下してはいけません
ここはエロ及び虐殺、鬱展開しか投下してはいけません
ここは神作家の信者しか感想レスをしてはいけません
193名無しさん@ピンキー:2006/01/12(木) 00:15:48 ID:KZ5xxTKm
テンプレ追加
パクリ禁止
萌え禁止
ハッピーエンド禁止
無血展開禁止
194名無しさん@ピンキー:2006/01/12(木) 00:23:44 ID:v9DfHrDK
>>187
すごくどうでもいいことかも知れませんが、毎回「終」で締められるとヒヤヒヤします。
今回最後かなりカタストロフィな事態になってますし…w;
まだ続くんですよね?

というか、google先生すらまだその存在を感知していないのか、ペガサスキバヤシ。
195名無しさん@ピンキー:2006/01/12(木) 00:26:38 ID:KZ5xxTKm
ニャル様を侮辱するな
196名無しさん@ピンキー:2006/01/12(木) 00:55:46 ID:txHfSTRV
今更だけどくなさん氏GJ
ハーレム状態でエロエロさは相変わらずなのに
話はしっかりシリアスに終盤へとさしかかってますね。
自分は元ネタ全く解らないんですが、それでも毎回愉しませて貰ってます。

昨日のこの時間、なぜかここを見られなかったから出遅れたorz
197名無しさん@ピンキー:2006/01/12(木) 01:02:23 ID:KZ5xxTKm
      ,.ィ , - 、._     、
.      ,イ/ l/       ̄ ̄`ヽ!__
     ト/ |' {              `ヽ.            ,ヘ
    N│ ヽ. `                 ヽ         /ヽ /  ∨
   N.ヽ.ヽ、            ,        }    l\/  `′
.  ヽヽ.\         ,.ィイハ       |   _|
   ヾニー __ _ -=_彡ソノ u_\ヽ、   |  \   俺はお前とは関係ないぞ
.      ゙̄r=<‐モミ、ニr;==ェ;ュ<_ゞ-=7´ヽ   >
.       l    ̄リーh ` ー‐‐' l‐''´冫)'./ ∠__
       ゙iー- イ'__ ヽ、..___ノ   トr‐'    /   某作家ー!!
       l   `___,.、     u ./│    /_
.        ヽ.  }z‐r--|     /  ト,        |  ,、
           >、`ー-- '  ./  / |ヽ     l/ ヽ   ,ヘ
      _,./| ヽ`ー--‐ _´.. ‐''´   ./  \、       \/ ヽ/
-‐ '''"  ̄ /  :|   ,ゝ=<      /    | `'''‐- 、.._
     /   !./l;';';';';';';\    ./    │   _
      _,> '´|l. ミ:ゝ、;';';_/,´\  ./|._ , --、 | i´!⌒!l  r:,=i
.     |     |:.l. /';';';';';|=  ヽ/:.| .|l⌒l lニ._ | ゙ー=':| |. L._」 ))
      l.    |:.:.l./';';';';';';'!    /:.:.| i´|.ー‐' | / |    |. !   l      ! ?
.     l.   |:.:.:.!';';';';';';';'|  /:.:.:.:!.|"'|.   l'  │-==:|. ! ==l   ,. -‐; 
     l   |:.:.:.:l;';';';';';';';| /:.:.:.:.:| i=!ー=;: l   |    l. |   | /   //
       l  |:.:.:.:.:l;';';';';';';'|/:.:.:.:.:.:.!│ l    l、 :|    | } _|,.{::  7 ))
        l  |:.:.:.:.:.:l;';';';';'/:.:.:.:.:.:.:.:| |__,.ヽ、__,. ヽ._」 ー=:::レ'  ::::::|;   7
.      l |:.:.:.:.:.:.l;';';'/:.:.:.:.:.:.:.:.:.|. \:::::\::::: ヽ  ::::::!′ :::|   .:/
.       l |:.:.:.:.:.:.:∨:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.!   /ヽ::: `:::    ::::  ....::..../
198名無しさん@ピンキー:2006/01/12(木) 04:48:27 ID:QEarmuQa
>>194
チト同意。
終の文字にビビって前作を読み返してみたら、そっちにも付いてた。
ヒヤヒヤさせるなーもう
199名無しさん@ピンキー:2006/01/12(木) 05:12:39 ID:nsIR2GyQ
>>186
こ,こいつが噂に聞くアイツか!?
200名無しさん@ピンキー:2006/01/12(木) 19:42:57 ID:mlwjTx0C
というか、ナワヤ出現に思わず大笑いしてしまった。
201名無しさん@ピンキー:2006/01/12(木) 23:52:40 ID:BFGyMMTH
>192-193
ネタレスかもしれんが、言わせてくれ。
そんな事は認められない。
くなさん以外のほとんどの作家さんはクトゥルフネタを入れてないし、誤植や間違いを誤魔化すような人もいない(某作者氏もいつも最終的に間違いを認めている)。
虐殺、鬱展開以外禁止も駄目だろう。
書く方も書きにくいだろうし、読む方としてもなんだかツラい。
ハッピーエンドと無血展開まで禁止されたらこのスレ潰れるぞ。
俺はエンターテイメントの基本はハッピーエンドだと思っているから、そんな事されたらリアクション取れない。
あと、神作家とその信者以外書き込み禁止にしたら、新規の書き手は途絶えるし、作家マンセーな流れになったらギスギスした嫌な空気がこのスレに流れて、やっぱり最終的に潰れる。
つまりは単純にこのスレが好きなのさ。
長文失礼。
202名無しさん@ピンキー:2006/01/13(金) 00:02:59 ID:zTeGyzgI
>>201
あーあ、みんなスルーしていたのに……
こいつ粘着荒らしだから相手しちゃ駄目だよ。
過去ログ読んでみな。
203名無しさん@ピンキー:2006/01/13(金) 00:09:43 ID:qv0ZXSZm
>>201
はいはい長文で荒らし本人自演乙
ネタレスなんて甘いもんじゃないだろ、ボケが
204名無しさん@ピンキー:2006/01/13(金) 05:57:23 ID:21sLcDjR
205ラストダンサー・イメージ画 ◆TS8yhAeDPk :2006/01/15(日) 08:21:50 ID:KQ4UKQ/c
206ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/15(日) 08:26:35 ID:2DOXuPw2
――食屍鬼はつまるところ食屍鬼にすぎず、
  人間にとっては不快な連れでしかない――

   H.P.ラヴクラフト
    『未知なるカダスを夢に求めて』より


6.『LAST DANCER』


 不吉な真紅の月が見下ろす中、獰猛なジャングルの奥地の呪われた祭壇の上で、
恐るべき邪神が復活しようとしていた。
 ――吸血神“チャウグナー・フォーン”――
 それは、巨大な石造りの四足獣に見えた。
 石造りの長い鼻。
 石造りの大きな耳。
 石造りの巨大な胴体。
 石造りの太い脚。
 石造りの鋭い牙。
 石造りのつぶらな瞳。
 そう、それはまさに石造りの巨大な象そのものだった……って、象かよ!?
 あの、動物園でパオーンと鳴く子供達のアイドルだ。
 あれが……目覚めれば世界を破滅させるという、『旧支配者』の一柱なのか?
「ちがうよぉ、そのうえよくみてぇ」
 ――確かに、その石造りの象の上に、何か人影らしきものが倒れているのが見える。
その人影は、やがて長い睡眠から覚めたように、目をこすりながら上半身を起こして見せた。
「――ッッッ!!!」
 心臓をドライアイスの剣で串刺しにされたような戦慄――
その瞬間、あたしは動かなくなったS君の事も、くそったれなドミノの事も、
自分の胸に錫杖が突き刺さっている事も忘れて、ただ呆然と“それ”に見惚れていた。
 俗にサリーと呼ばれるインド系の民族衣装を身に纏い、
全身に宝石を散りばめた褐色肌の美少女――
掛け値無しで、あたしはこれほど美しい少女を見た事はなかった。
彼女に比べれば、あたしもドミノもS君ですら、子供の落書き同然だ。
これが邪神としての『格』の違いか……
 “チャウグナー・フォーン”は、しばらく呆とした表情であたし達の事を見ていたが、
「…………」
 やがて、ゆっくりと目を閉じると、そのまま動かなくなってしまった。
「かみさま? かみさまぁ!?……まだ、ちのいけにえがたりないというのですか!?」
 本物の邪神の美貌に魂を抜かれていたあたしを正気に戻したのは、
皮肉にもドミノの悲痛とも言える叫びだった。
たちまち先刻の暴虐と、今の状況を思い出して、頭の中が煮えくり返る。
「てめぇ!! ドミノぉぉぉ!!!」
 だけど、触手に拘束されているあたしにできる事は、こうして吠えるだけだ。ちくしょう……
207ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/15(日) 08:27:40 ID:2DOXuPw2
 ぐりっ
「うぐぅ!!」
 ドミノの返答は、あたしとS君を貫く錫杖をこねくり回す事だった。
凄まじい激痛と血反吐が湧き上がるが、それを気にする余裕はねぇ。
「やっぱり、かみさまをふっかつさせるには、もっともっとちがたくさんひつようなのかなぁ……」
「ごふっ!!……てめぇ……“チャウグナー・フォーン”神の復活と……
それに必要な生贄としての“星の精”が……ぐうぅ……てめぇの目的だったのかよ……」
「ぴんぽんぴんぽ〜ん♪ こうしてふっかつしたあたしのかみさまのてによって、
せかいはおおいなる“チャウグナー・フォーン”さまのもとにしはいされるんだよ!!」
 ……こいつはマジでやべぇ。あたしの知る限り、世界最大の危機だ。
ドミノの言う事は決して大げさじゃない。大いなる旧支配者“チャウグナー・フォーン”――
この恐るべき邪神が本当に復活すれば、間違いなく『あたしの知る人間の世界』は滅び去り、
世界は“チャウグナー・フォーン”神と、その眷属“吸血鬼”によって支配されてしまうだろう。
いや、支配されるだけならまだマシだ。それを快く思わない、他の邪神との戦いが始まったら……
地球なんて、原型すら残らないかもしれない……
 そして、その世界の危機は、まさに今、目の前で始まろうとしているんだ。
 ぐりぐりっ
「うぐはぁ!!」
 錫杖の抉り込みがもっと深くなった。
幸いにもあたしに刺さった錫杖は心臓をギリギリで避けてはいたが、
S君の心臓は――ちくしょう!!――確実に貫かれて、滝のような鮮血を垂れ流している。
 ドミノの瞳に狂気と焦燥の光が宿った。狂ったように錫杖を揺り動かした。
 激痛と出血に、意識がどんどん遠くなる……ちくしょう……これまでかよ……
「ほらほらほらほらぁ!! もっと、もっと、もっとぉ!!
もっとたくさんちがながれないとぉ、あたしのかみさまがふっかつできないじゃな――」

「量は十分ですよ」

 初めて聞く声が、夜の密林に静かに浸透した。
 ドミノの動きが止まった。消えかけたあたしの意識も留まった。
蠢く触手も動きを止めて、燃え盛るかがり火すら静止したかもしれない。
 それは、そんな声だった――
「量はそれで十分です。でも、ぼくとMさんの血だけでは質が不充分です」
 初めて聞く声――それなのに、あたしはこの声質に聞き覚えがある。この口調に聞き覚えがある。
この響きに聞き覚えがある――まさか……そんな!!
「あともう1種類、邪神の眷属である吸血鬼の生き血があれば――」
「うそ……うそ……あなた、かくじつに……いきのねをとめたのに……」
 ドミノが青醒めながら後退る。
それと同じ速度で――“彼”は前に進んだ。
ドミノの震える指の間からビー玉が零れ落ちる。
“彼”の手が軽く揺れた。
ドミノのビー玉は黒土の上に落ちて――ぱきり、と割れた。
「何を言ってるんですか。『吸血鬼は復活する』……常識でしょう?」
「S君!!」
 どしゅ!!
 あたしの叫び声は、残念ながら喜びの声じゃなかった。その声も、鮮血の吹き出る音にかき消された。
208ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/15(日) 08:28:21 ID:2DOXuPw2
「あ……がぁ……ぁああ……」
 金魚みたいにパクパク開くドミノの口から、赤黒い血の塊がごぼりとこぼれる。
その胸からは、お返しとばかりにS君の抜き手が生えていた……
「ほら、こうして“チョー=チョー”の民である貴方の血が加われば、
“チャウグナー・フォーン”神の復活に必要な生き血は完成します」
「そ……ん……な……ぁ……」
「何を嘆いているんですか。崇拝者が自分の神の為に我が身を捧げるのは、あたりまえでしょう?」
 ぐしゃり、とマネキン人形が崩れ落ちるような動作で、
バンパイア・ロード“ドミノ”は石畳の上に崩れ落ちて……それっきり、本当にそれっきり、動く事はなかった。
 その体から溢れ出る血が、石畳に刻まれた溝にそって流れて行く。
その先には、あの石造りの象の上で眠る、吸血鬼の神が――
 かしん!!
 しかし、その流れを食い止めたもの――それは、溝に食い込んだ一振りの錫杖だった。
 それを予期していたかのように、ふてぶてしいまでにゆっくりとS君が振り返る。
 ドミノの支配力が喪失したのか、ただの蔓草となった触手を振りほどいたあたしは、
片膝を付いて荒い息を吐きながらも、真っ直ぐS君を見据えた。
「……S君……だよな」
「やだなぁ、ぼくがS以外の何だというのですか?」
 S君は、あたしのよく知る声で笑った。あたしのよく知る顔で笑った。あたしのよく知る仕草で笑った。
 それは、あたしのよく知るS君の笑いじゃなかった。
「……何が起こったの?」
「記憶を取り戻したんですよ。
どうやら“チャウグナー・フォーン”神のかりそめの復活が、ぼくの記憶を揺さぶったらしいです」
「……記憶が……?」
「ええ、ついでにぼくの使命も思い出せました」
 真紅の瞳に、鮮血の光が宿る。
「ぼくは、“チャウグナー・フォーン”神を復活させるために、この惑星に召還されたのです」
 森の木々が一斉に枝葉を揺り動かした。
 風なんて、欠片も吹いていないのに。
「ぼくを召還したのが誰なのかはわかりません。そこの女吸血鬼かもしれないし、
ぼくの知らない誰かかもしれない。でも、そんな事はどうでもいいのです。
ぼくは自分の使命に従い、“チャウグナー・フォーン”神を復活させようとしました。
しかし、そこに邪魔が入った」
「…………」
「“イホウンデー”神の接触者……ええと、名前は脆木だったかなぁ?……に存在を知られたぼくは、
彼の接触神の力で記憶を失ってしまったのです。後はMさんの知る通りですよ」
「……では、あの地下室にいた最初のレッサーバンパイアどもは――」
「ええ、ぼくの仕業です。
どうやら、記憶を失っても完全に本来の自分を忘れたわけじゃなかったみたいですね」
「……けっ」
 あたしは足元に唾を吐き捨てた。
それを見たS君の笑顔が一瞬硬直したが、すぐに元の穏やかな顔となる。
「……情けない話だぜ。今の今まで全くその事に気付かなかっただなんてな」
「ああ、そんなに自分を責めないで下さいよ。仕方のない事です。
だって今までMさんはぼくに『魅了』されていたのですから」
209ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/15(日) 08:29:01 ID:2DOXuPw2
 小さな爆発が起こる間があった。
「なん……だと?」
「おかしいと思いませんでしたか? 得体の知れない邪神“星の精”を保護して、
命をかけて守ろうとするなんて……とてもまともな行動じゃない。
Mさんは無意識の内に、ぼくの意見に全面的に従うように『魅了』されていたのです。
初めて出会った時から、ね」
「…………」
 その通りだ。なぜ、見ず知らずのS君を助けたのか?
なぜ、邪神“星の精”という恐るべき存在と個人的に交流したのか?
なぜ、これほど重要な問題を上に掛け合わなかったのか?
なぜ、S君を退魔組織の手から守ろうとしたのか?
なぜ、あんな『襲ってください』と言わんばかりの行動をしていたのか?
全てがこれで説明できる。
 吸血鬼の十八番は『魅了』――そんな事すら、あたしは忘れていたのか。
「まんまと騙されたぜ……今まで利用されていた事にまるで気付かなかったなんてな。マヌケな話だ……」
「仕方ありませんよ。これは記憶を失っていたぼくが、無意識の内に施した術なのですから。
記憶喪失状態のぼくは、本当に嘘偽り無くMさんを慕っていたのです。
自分でも利用していただなんて思っていなかったのですから、Mさんが気付かなくても仕方ありません。
もっとも、あの2人の退魔師は、Mさんが『魅了』されている事には気付いたみたいですけどね」
 ちくしょう……そういう事だったのかよ。
「……反吐が出そうだぜ」
「そんな事言わないで下さいよ。ぼく自身にとっても無意識の行動だったのですから……
それに、その無意識の行動がMさんを救ったのですよ。
あの地下室で吸血鬼達に輪姦されていた時、急に出現した人間の死体……あれはぼくが用意したのです」
 ははは……笑っちまうぜ。最初から、あたしはS君の手の平で踊っていただけなのか。
「でも、もう安心してください。“チャウグナー・フォーン”神の復活が目の前に迫った今、
Mさんに協力してもらう事はもう無いのです。今まで本当にありがとうございました」
 S君は深々と頭を垂れた。本当に、心の底から感謝しているように見える。
「お礼と言っては何ですが……“チャウグナー・フォーン”神が復活された後にも、Mさんと平太さん、
それにMさんの大事な人達と、その財産には絶対に手を出さないようにしますね……
あっ!? いい事を思い付きました!!平太さんをぼくの同族にすれば、
もうMさんが魂の共有化で死ぬ事はなくなりますよ。全ての問題は解決です!!」
 ぱちぱちと、嬉しそうに手を叩くS君へ、あたしは引き摺るようにゆっくりと足を動かした。
「なるほど、そいつはいいアイデアだな」
 途中、くたばったドミノの懐をまさぐり、あたしの装備品一式を封じた針を取り戻す。
「確かに、あたしにとって“チャウグナー・フォーン”神の復活なんてどうでもいい事さ。
“食屍鬼”であるあたしにとっては、人間の世界がどうなっても知った事じゃないし、
平太の身の安全が保障されればそれでいい」
 針に封じた術を開放し、瞬時に黒袈裟と錫杖という、いつものスタイルになったあたしは――
「だけどね、S君……きみは1つだけ重要な事を忘れてるよ。たった1つだけ、でも一番肝心な事をね」
 真っ直ぐに、S君に向けて錫杖を構えた。
「俺は“退魔師”だ」
 風もないのに揺らめく草木が、乾いた音楽を奏でる。
四方から照らすかがり火の光が、佇む邪神の影を八方から大地に刻んだ。
210ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/15(日) 08:30:15 ID:2DOXuPw2
「ははは……面白い冗談ですね」
 S君は無防備のまま俺に背を向けると、“チャウグナー・フォーン”神復活の最期の鍵――
ドミノの血をせき止めている、溝にはまった錫杖を抜こうとして――その全身に数万本の針が突き刺さった。
 刹那、針に付与した魔法が発動して、S君を紅蓮の炎が焼き尽くす。
その隙に、俺はドミノの遺体の元に駆け寄ろうとして――
「ははは」
 目の前に迫るS君の笑顔を見た。
「――ッ!!」
 S君は何もしていない。ただ目の前に出現して、いつもと変わらない笑みを見せただけだ。
それだけで、俺の体は軽々と吹き飛んで、
さっき吊るされていた円柱に激突し、それをへし折ってようやく停止できた。
「ぐぉおおお……」
 全身の骨と筋肉がズタズタになっているのを自覚しながら、
俺は錫杖を支えに何とか立ちあがった。S君はと言うと、
「やっぱりMさんは面白いですね。ほんと、そういう所が大好きですよ」
 ドミノの遺体を軽々と担ぎ上げて、上空に放り投げた。
くるくると木の葉のように宙を待ったドミノは、己の血をせき止めている錫杖の上に落ち、
誇り高き吸血鬼の女王は、モズの贄の如き串刺しの姿を晒した。
そこからどくどくと流れ落ちる血が、少しずつ、本当に僅かずつだが、
溝にそって『吸血神』の元へ進んでいく……
「ほらほら、早くしないとタイムリミットですよ?」
 ちくしょう……やはりS君は完全に邪神“星の精”の力を取り戻してやがる。
“食屍鬼”としての力を取り戻していない今の俺じゃ、120%絶対に勝てるわけがねぇ……
だが、俺の目的は“チャウグナー・フォーン”神の復活を阻止する事であって、
決してS君に勝つ事じゃない。それに、S君は完全に俺を舐めきって油断しまくっている。
さっきの一撃で俺がミンチにならなかったのがその証拠だ。
さっき、ドミノの死骸や生き血を直接“チャウグナー・フォーン”神に捧げようとしなかったのも、
俺を焦らして遊んでいるつもりなのだろう。その油断に付けこめば――
「――何とかしてやろうじゃねぇか!!」
 俺は四方八方に針をばら撒いた。特にS君の方には念入りに。
ただし命中はさせない。針が命中しても無駄だろうし、この行動の目的は――
「わっ」
 間髪入れず、ばら撒かれた針が一斉に大爆発して、広間全体を閃光と煙で満たした。
S君の姿があっという間に煙に包まれる。その隙に、俺はドミノの元へ音も無く疾走した。
一齧りでもいい。死肉を食べて“食屍鬼”に戻れば、“星の精”とも戦う事ができる。
それが俺に残された最後の希望だ。
 だが――
 むにゅ
「っ!?」
「はははは、ぼくとそんなに遊びたいのですか」
 俺の手がドミノに触れる直前、いきなり胸を背後から掴まれた。
そのまま一気に後ろへ引っ張られて、ドミノの元から引き離される。
 このやろう、いつまで胸に触ってやがるん――
「んはぁあああっっ!?」
 突然、胸に走った凄まじい快感に、俺はあられもない嬌声を漏らしてその場に崩れ落ちた。
な、なに? 今の快感は……今まで体験した事のない夢のような気持ち良さ……きゃうぅん!!
211ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/15(日) 08:31:01 ID:2DOXuPw2
「きゃうぅん!!」
「ははははは、やっぱりMさんはおっぱいが性感帯なんですね」
 黒袈裟の上から乳房を揉みまくるS君の愛撫に、俺は快感に震える事しかできなかった。
乳肉をたっぷりと持ち上げるように揉み解し、乳輪を指先でなぞって、乳首を押し潰す――
ただそれだけの愛撫に、俺は抵抗もできない凄まじい快感を感じている……
何、この気持ち良さは……こ、これが、本物の邪神による『人外の快楽』なの……
んぁああん……ああっ……もう胸先が母乳でびしょびしょに……だ、ダメ……このまま飲み込まれて――
「――た、たまるかぁ!!」
 俺は渾身の力を込めてS君を後ろに蹴飛ばした。
よろめきながらも、その反動を利用して再びドミノの元へ駆け寄ろうとして、
「もう、乱暴だなぁ」
 な、なぜ目の前にS君がいるんだよ!?
「ぼくもお返し!」
 慌てて急停止する俺の胸元が、さらしごと剥ぎ取られたのは次の瞬間だった。
ぶるんっとまろび出る自慢の巨乳は、もう痛いくらいに乳首ばかりか乳輪まで勃起して、
白い母乳を独りでに吹き出している。そこに、S君がむしゃぶりついた。
「ぁああああっっ!! だ、ダメぇぇぇ!!」
 ぅぅぅううう……や、やっぱり駄目だ……あまりに強力な『人外の快楽』の気持ち良さに、
戦意も理性も根こそぎ奪われそうになってしまう……
このまま快楽に溺れてしまえばどんなに幸せだろう……
くそっ、こうして俺を肉欲の奴隷にして、屈服させるつもりかよ!!
……でも、それも時間の問題になりそう……そのくらい濃密で激しい快感の怒涛……んきゃあぅ!?
 突然、下半身に走った電撃のような快感――!!
いつのまにか、黒袈裟の袴をたくしあげて、
M字開脚になってる俺のアソコに、S君がクンニを始めたのだ……
クリトリスを重点的に舌でねぶりながら、秘唇を撫で、ヴァギナとアヌスに指を挿し入れる――
その直接的な快楽の責め苦に、頭の中が真っ白に焼き切れそう……
 くちゅくちゅと淫猥な音と、切ない喘ぎ声が夜の森に響いた――
「あっあっああっあっ……や……めろ…ぉ……あふぅぅうううっっ!!」
「ははははは、まだ本格的に苛めてもいないのに、
もうこんなにヒクヒクグショグショになっちゃって……そんなにぼくのモノが欲しいのですか?」
 顔を愛液でびしょ濡れにしながら、S君はこちらにぐっと顔を近づけた。最高の笑顔を浮かべて。
「くぅ……そぉぉ……こ…の……ガキがぁ……」
「ははははははは、どうせぼくは子供ですよ。でも、そんな子供にこんなに感じちゃうなんて、
Mさんは大人として恥ずかしくないのですか? ほら、こんな風に!!」
 ずにゅ
「――ッッッ!? ぁぁああ――!! あぁああああア――!!!」
 頭の中が純白に爆発した――S君が、自分のペニスを挿入したの……
でも、あんな小さなおちんちんなのに、入れられただけで俺は……あたしは絶頂を迎えた。
そして、S君がおちんちんを1回ピストンするだけで、正確にあたしは1回イってしまうの……
それがどんなに恐ろしい責めなのかは言うまでもないでしょう……それはまさに地獄、快楽地獄だった……
「んぁあああああっっっ!! や、やめろバカぁ……やめてぇぇ……あはぁあああああっっ!!!」
212ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/15(日) 08:31:45 ID:2DOXuPw2
 泣きじゃくりながら目の前のS君に錫杖を突き立てて、
ありったけの針を飛ばしても、S君には傷1つ付けられない……
それならばと、あたしは瞳の色を金色に変えて、過去のS君に針で攻撃を仕掛けても――
 ぴしぱしっ
「!?」
 数分前の棒立ちになっているS君は、迫り来る針を指一本で弾き飛ばして、
そのまま『現在』の私に向ってウインクしながら指を振って見せた……な、なんだそれぇ!?
 そしてそれは、未来のS君を攻撃しても同じ結果に終わった……
 S君が本物の『邪神』である事を、そして『邪神』には人間の小手先の技なんて通用しない事を、
あたしが本気で思い知らされたのは、その時だった……あたしも邪神のはしくれなのに。
 だからこそ、何とかしてあの死肉を食らい、“食屍鬼”の力を取り戻さないと……
でも……でも……んひゃあぁあああ!!
「んひゃあぁあああ!!……あぁあああっっ!! あああっ!! イクぅ!! イキ過ぎちゃうぅぅ!!」
「あははは、ほらほら、もっとイってくださいよ」
 S君がぁ……ああぅ!……こうして腰を叩きつけながら……乳首をしゃぶる度に……
くぅ!……理性がどんどん消えていって……ああぁ……あああぅぅ!!
「あはははは、普通のセックスでこんなに感じるのなら、また色々苛めたら、もっと気持ちいいでしょうね」
「ひっ……ひゃうぅぅ!! や、やだぁ!!……ぁああっっ!!」
「丁度おあつらえ向きに、鎖付きの円柱も沢山ありますから、そこでたっぷり苛めてあげますよ……
今度は全身の生皮でも剥いでみましょうか?」
 あぐうぅぅ……だ、ダメぇ……そんな事されちゃったら……これ以上苛められちゃったら……
本当に、もう戻れなくなっちゃう……退魔師の使命も女の誇りも忘れて……
S君の肉便器になっちゃうのぉ……!!
「いひゃあ!!……いひゃぁああああ……!!」
「あははははは、そんなに喜ばなくてもいいですよ……じゃあ、とりあえず1回中で出しますね……ううっ」
「ああぐぅううう!!!」
 ドクドクと、灼熱の粘液が膣壁に染み込むのを、朦朧とした意識の中であたしは感じ取った……刹那、
「あっ」
 射精の快感で恍惚になっているS君を踏み越えて、俺は一目散にドミノの遺体へと駆け寄った。
この辺の切り替えが瞬時にできるのが退魔師の条件だって、以前言ったろ?
 やっぱり男って生き物は、イった瞬間はすぐに動けないらしい。すぐに俺の手はドミノに触れ――
「だから無駄ですってば」
 ドミノがむくりと起き上がった。S君の顔で。
 次の瞬間には、俺の体はまた別の円柱に激突して、
勢い余って後方の茂みにまで頭から突っ込んでいた。
「あっははははははっ! 丁度いいですから、そこでやりま――」

かり こり ぱくり

 S君の――“星の精”の笑い声が止んだ。
213ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/15(日) 08:33:03 ID:2DOXuPw2

ばり ぼり みしり

 木々のざわめきが止まった。

くっちゃ ぺろ にちゃ

 世界から全ての音が停止した。

むしゃ ぱく ごくん

 そうだ。『神』が降臨する時は、そんな世界が相応しい。
「まさか……」
 S君の声は絶対零度だった。
『遊び過ぎだぜ、S君』
 “食事”が終わり、幽鬼の如くゆらりと起き上がるは――
『忘れてたのかい? 俺と同じように生贄にされていた女吸血鬼達の存在を』
 肌は死者のそれに等しい褐色で――
『そいつらは、ついさっきまでこうした円柱に繋がれていた』
 瞳は金色に濁り――
『その後、俺と同じように触手に弄ばれた挙句、
ジャングルの中に引き摺り込まれたのを見てなかったのか?』
 爪は猛禽――
『で、俺はそれを食べさせてもらったわけだ』
 牙は食肉獣――
『俺の狙いはドミノじゃなくて、最初からこの死肉だったのさ』
 黒髪は鬣と化し――
『ありがとよ、上手くここまで誘導されてくれて、な』
 犬狼に等しい耳と尾を持つ『邪神』、その名は――
「“食屍鬼(グール)”!?」
 身構えるS君の右腕が、

ばくん

 付け根から消滅する。
『やっぱり不味いな。熟して無い肉は』
 俺はあんぐりと口を開けて、小さなS君の指を見せてやって、
『さあ、これで互角(ため)だぜ』
 ごくり、と飲み込んだ。
 肩から食い千切られた右腕の傷口を押さえながら、S君は1歩後退した。
流石にもう、笑う余裕は無いようだ。
「……まさか、そこまでやるとは思――ぐうっ!?」
 俺に話しかけようとしたS君は、仰け反りながら左目を押さえた。
その指の間には、30cmを超える長針が深々と突き刺さっている。
 戦いの最中にボーッとしてるんじゃねぇぜS君……
きみがこんな目に会うのは、全て油断していたからだ。
俺を下手に弄ぼうとせずに、初めからマジ殺しに来ていれば、
こんなチンケな策略なんて簡単に見破って、俺なんか瞬殺していただろうに……
 ……くそっ、何をセンチメンタル感じてんだ俺は。しっかりしろ!!
214ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/15(日) 08:34:14 ID:2DOXuPw2
「……うぅぅ……くぅぅ……ぁぁあ……」
 S君は左目を押さえながらその場にうずくまり、嗚咽を漏らしている。
「ぁあぁあああ……うぅぅ……ぅぅぁぁあああ……あ……」
 余程痛いのか、泣き声は留まる事を知らない。
「あぁあああ……うぁあああああ……ぁああああぁん!!」
 その声に途方もない悲しみを覚えながらも、俺は寸分の無駄もなくとどめを刺そうとして――
「ぁぁあああああはあああははあああははははは――!!!」
 ――ゾっとした。
「あははははははははは!! あっはっはっはっはっはっはっはっは!!!」
 泣いていたんじゃない。S君は笑っていたんだ。
「あっはははははははっ!! ご、ごめんなさいMさん……くははははははははは!!
別に、Mさんを馬鹿にするつもりは……ひゃははははははははは!!
無かったのですが……くっくっくっくっく……あっはっはっはっはっは!!!」
 正直に告白するぜ……俺は今まで(“食屍鬼”として)生きていて、
これほど恐ろしい哄笑を聞いた事がなかった。
今すぐ耳を押さえて、泣き叫びながらこの場を逃げ出したかった。
人間がこの笑い声を聞いたなら、1秒と持たずに発狂死するほどの、
宇宙的恐怖と窮極的狂気に満ちた笑い声――それは可笑しくて笑ってるわけじゃない。
楽しくて笑っているわけじゃない。狂って笑っているわけじゃない。
 人間が瞬きするように、呼吸するように、心臓の鼓動のように、
それは“星の精”という種族の生物的反射行動に過ぎないのだろう。それはそんな笑い声だった。
「ひゃははははははは!! でもね、Mさぁんあはははははははは!!
互角というのは間違ってますよくははははははは!! 人間出身の邪神とねあっはっはっはっはっは!!
ぼくのような純粋な邪神とはくっくっくっくっく!!
神としての『格』が違うのですよひゃあっはっはっはっはっは!!
それを今から教えてあげますはははははははは!!」
『ほざいてろ!!』
 数千万本の針が、高笑いするS君の全身を捕らえた。
 ふっ
『!?』
 捕らえた筈だった。
 虚空に消えたS君の残滓を素通りして、必殺の針は向いのジャングルを消滅させただけに終わった。
 S君が……消えた?
 いや、落ち着け。“星の精”には透明化能力があるんだ。
だが、“食屍鬼”の力を取り戻した俺には、邪神の超感覚がある。
周辺の物体は原子核一粒の動きまで感知できるし、魔力や存在波動係数も完璧に掌握できる。
俺は目を薄く開けて軽く身を屈め、どの方向から攻撃が来ても対応できるようにした。
そのままそれらの超感覚を100%使って、S君の気配を探ってみる――が、
『……いない?』
 周辺数千キロ以内に、S君の存在が感知できないだと?
 どういう事だ? まさか、地球から逃げ出したのか――

はははははははははは――

 声が聞こえた。
 目の前から。
 ぞぶっ
『ぐっ!?』
 視界の半分が真紅に染まった。左目を抉られたのだ。
215ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/15(日) 08:35:58 ID:2DOXuPw2

あははははははははは――まずはお返しですよMさん――ふっはっはっははあはははああはははあ――

 そのけたたましい哄笑は、すぐ目の前から聞こえる。なのに、S君の存在が感知できない!?
 俺は声が聞こえる位置に向って闇雲に鉤爪を振り回したが、当然ながら文字通り空を切るだけだった。
 邪神の超感覚でも感知できない透明化だと!?
……面白れぇ、だが見えないなら見えないなりに攻撃の方法はいくらでもあるんだよ。
プロの退魔師を舐めるんじゃねぇ!!
 俺は四つん這いになって、全身の体毛を逆立てた。
体内に収納してある針に邪神の力を注ぎ込み、凄まじい勢いで増幅させる。
久方ぶりに湧き上がる力の奔流に、俺は確かなエクスタシーを感じていた。
 そして――
『ケツにワセリン塗ったか? たっぷりブチ込んでやるぜ!!』
 アジアの一角が、白銀の大爆発に包まれた。
 きっかり半径100kmに存在する、あらゆる素粒子一粒一粒から時空間の波動に至るまで、
全ての“世界”に針を撃ち込んでやったのだ。
アイススプーンでくり抜いたように、俺を中心に半径100kmの世界が概念レベルで完全消滅する。
半瞬後、埃1つ落ちていないガラスのように滑らかな巨大クレーターの中心には、
俺と“チャウグナー・フォーン”神とその祭壇、
そして祭壇の上のドミノの死骸と生き血しか存在していなかった。
 存在していない筈だった――

ひゃはははははははは――

 その哄笑が響き渡る中、俺の右腕は付け根から引き千切られていた……
『ぐぉおおおお……くそったれぇ……』

あっはっはっはっはっは――ダメじゃないですか――
Mさんみたいな綺麗な女の人が、そんな言葉使いをしちゃ――くくくくくくく――

 そして、何より俺を戦慄させたのは、右腕を引き千切られた瞬間が、
俺が全包囲に針を放っている真っ最中だって事だった。
 ドミノの死体と生き血がちゃっかり残っているのは、S君が直接守ったからだろう。
つまり、俺の攻撃範囲外に逃れてから、俺を超遠距離攻撃したわけじゃない。
 という事は……S君には俺の攻撃が通用しない!?
 じゃあ、なぜ通用しないんだ?
 S君の――“星の精”の特殊能力は『透明化』……自分の姿を消す能力。
 ひょっとして……まさか……
 S君が……存在していないって事か!?

くすくすくすくすくすくす――そろそろ分かってきましたか?
――Mさんの力では、ぼくに勝てないという事が――はははははははは――

 くそっ……好き勝手ほざきやがって……
左肩の傷口を押さえながら、俺は牙が折れそうになるまで歯軋りした。
 なるほどな、今、この場にS君は存在しないらしい。
 だが、過去や未来ならどうだ?
 俺は影踏みを発動させた。過去に未来、地球から宇宙の果てまで、
次元を超えて異世界に至るまで、あらゆる時空間を同時に隅々まで見通した――だが……

【あらゆる世界、あらゆる空間、あらゆる時間軸、あらゆる宇宙において、
過去、現在、未来、そして全ての場所に、“星の精”S君という者は存在しません】

 ……それが、影踏みから返ってきた答えだった……
216ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/15(日) 08:37:04 ID:2DOXuPw2
 ち、ちょっとまて!? ついさっきS君は目の前に存在していたし、
それ以前に今までそのS君の事で散々振り回されていたんじゃないか。
今更S君がどの世界のどの時代にも存在していなかったなんて、
そんな理不尽が通用するわけないだろう!!

あははははははははははは――

 それに、S君が存在していないというなら、この目の前から聞こえる笑い声は何だって言うんだ!?

くっくっくっくっくっく――それが本当の意味で『消える』という事ですよ――
残念ながら、Mさん程度の神格では『存在しないもの』に干渉するのは無理のようですね――
あっはっはっはっはっはっは――

 ばきん
 口の中で牙が砕けた。
 ちくしょう……悔しいが、S君の言う通りだ。
存在しているのなら、どんな相手がどんな世界や時代にいようが、俺の牙で捕らえてみせよう。
だが、『存在していないもの』にどうやって攻撃すればいいんだ?
 くそったれ……これが人間出身の邪神の限界かよ……
 絶望が物理的な疲労と化して、俺の両肩に圧し掛かる。
それでも膝を付こうとしなかったのは、俺のちっぽけなプライドだ。
『ぐっ!?』
 まさにその左肩に、見えない牙が食い込んだのは次の瞬間だった。
『ぐぁああああああああ――!!』
 この絶叫は苦悶から来るものじゃなかった。あまりの快感に、俺は苦痛以上の絶叫を放ったのだ。
 な、なにこの気持ち良さは……一瞬にして戦闘意思から理性まで根こそぎ奪い取られた“あたし”は、
絶頂しながら両膝をガラスの大地についた……
 バンパイアの吸血行為には、凄まじい快感が付属する――吸血鬼の基本だ。
でも、まさかこれほど恐ろしい快楽を与えるなんて……
これが世界最大最強最高の吸血鬼“星の精”の力なの……

ふふふふふふふふふふふふふ――美味しいですよ――
Mさんの生き血は――あははははははははは――

『うはぁああああっっっ!! あぐぅ!!
いやぁ……やめてぇ……あひゃうぅ!! んぁあああああっっ――!!』
 セックスによる絶頂の数万倍もの快感――あたしの身体中にそれが刻まれる度に、
あたしは心の底から泣き叫び、悶え狂って、のた打ち回る事しかできません……
快楽のあまり発狂して、次の瞬間快感のあまり正気を取り戻すのを、
秒単位で繰り返しているあたしの魂は、少しずつ、しかし確実に侵食されていきました……
『……ぁああ……ぁ……ぁぅぅ……ぅうああ……』
 数分も経たずに全身歯型だらけになったあたしはぁ……
もう血と涙と涎と愛液を垂れ流しながらぁ……痙攣するだけでしたぁ……
ぁぁあああ……あはぁははははは……あはぁ♪
217ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/15(日) 08:37:57 ID:2DOXuPw2

はははははははははは――別にMさんを殺すつもりはありませんから、心配しないでください――
ただ、ぼくの同族になってもらうだけですから――ふははははははははは――

 存在しないS君がぁ、高笑いしながらあたしの髪を掴んで持ち上げてぇ……
いきなり口の中に勃起したおちんちんの感触がぁ……あはは……あはぁ……
熱くビクビクしたペニスの感触は口の中にあるのにぃ……
目にも見えないし、牙をがちがち打ち合わせても噛み切れないのぉ……
あぐぅ……S君のおちんちんがぁ……固くってぇ……あったかくてぇ……おいしいのぉ♪

うふふふふふふふふふ――
こうして“食屍鬼”状態のMさんを犯してみたかったんですよ、ぼくは――くすくすくすくすくすくす――

 ちゅぽん、と音を立てて見えないS君のおちんちんが抜かれますぅ……
ああん、だめぇ……まだザーメン飲ませてもらってないのぉ……
寄りすがるあたしを押さえ付けるように四つん這いにしたS君はぁ……
尻尾をふりふりするあたしのお尻を持ち上げてぇ……
あぁん♪……バックからケモノのように犯してくれるのぉ……!!
『んひゃあああぁん!! あっあっああぁああ!! もっとぉ!! もっと犯してぇ!! Sさまぁぁ!!!』

あっはっはっはっはっはっは――やっぱりMさんの身体は最高ですよ――
吸血鬼になった後も、ずっとぼくの肉奴隷として飼ってあげますからね――ふははははははははは――

 後背位で犯されながらぁ……首に牙を突き立てられてぇ……
アナルに指をつっこまれてぇ……おっぱいをにぎりつぶされながらぁ……
ぱんぱん、ぱんぱんってリズミカルにSくんのおちんちんがぁおちんちんがぁ♪
あたしのからだを、こころを、たましいをぐちゃぐちゃにぃぃぃぃぃ!!!

くくくくくくくくく――さあ、ぼくもそろそろ出したいのですが、
どこに射精して欲しいですか?――あははははははははは――

『んはぁあああああ!! 中に出してぇ!! あたしのオマンコに注ぎ込んでくださいぃぃぃ!!!』
 どくどくん……
 子宮に叩きつけられる邪神のエキスを感じながら、あたしの意識も永久の暗闇の中に堕ちていった……

ははははははははは――あはははははははははは――
あっはっはっはっはっはっは――ひゃぁあははははははははははははははははは!!!
218ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/15(日) 08:40:01 ID:2DOXuPw2
 ずるり、と音を立ててペニスが抜かれて、そのまま大地に沈んだあたしの白い肌の上に、
髪結いを解かれた金色の髪がヴェールをかけるように覆いかぶさる。
丁度、“食屍鬼”に戻れる制限時間が終わったのだ。
 タイムリミット――これで、あたしの最後の希望も無くなった……
「くすくすくすくすくす……さぁ、最後の仕上げといきましょうか」
 もう、抵抗する事もできないと踏んだのだろう。
再び姿を表したS君は、何の憂いもなくピクリとも動かないあたしの身体を抱き上げた。
その通り、もう指一本動かせない今のあたしには、ドミノの死肉の元へ這い寄る力も無いし、
これから殺されるわけではないから、シスター・ゲルダ戦のように自分の未来の死体を食べる事もできない。
 ――もう、“食屍鬼”に戻れる方法は何もない――
 今度こそ、本当に、あたしは敗北した。
「うふふふふふふふふ……では、いただきます」
 哄笑うS君の口が耳まで裂けて、うじゃけた牙が月光に輝き――
まるで恋人同士がキスするような構図で、あたしの喉に突き刺さった。
 全身の生き血が、精気が、魂が、あたしの一番大切な何かが……
真紅の濁流と化して、S君の喉に吸い込まれて行く……
 無言の哄笑が、偉大なる邪神の祭壇から闇の世界へ轟いた。
「んふぅぅぅぅぅ……これからMさんは、一度仮初めの死を向えてから、ぼくの同族として復活します……
あああぁぁぁぁぁ……なんて美味しい血なんでしょう……
やっぱりMさんは、ぼくにとって至高の存在です……
これから、ぼくと一緒に愛欲の日々を送りながら……
地上が“チャウグナー・フォーン”神の栄華に包まれるのを……見守っていきましょう……
2人で……永遠に……」
『悪いが、お断りだ』
「――ッ!?」
 無言の哄笑が止まった。
「ぐぁあああああああああ――!!」
 代わりに夜空へ轟いたのは、ベアハッグで背骨と肋骨をへし折られるS君の絶叫だった。
219ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/15(日) 08:41:07 ID:2DOXuPw2
「そ、そんな……まさか……バカなっ!?」
『やっと捉えたぜ』
 褐色の肌、金色の瞳、黒いざんばら髪、スカベンジャーの牙と爪、犬の耳と尾――
忌まわしき邪神“食屍鬼”の姿で、俺はS君にウインクを見せた。
 そう、“あたし”は敗北した。
 間違っても、“俺”が負けたわけじゃない。
 女としてのあたしが負けても、退魔師の俺は負けない。負けるわけにはいかないのだ。
「な……ぜ……どこにも……死体なんか……」
『……なぜ、俺が母乳を出せるのか考えた事があるか?』
「!!」
『妊娠しているんだよ俺は。
もっとも、普通は出産しないと母乳は出ないから逆にわからなかったかもしれねぇが……
100年近く妊娠していれば、待ち切れなくて母乳の方から出ちまうらしい』
「……そ…れは……」
『そう、俺と平太の子だ。
“食屍鬼”と人間のハーフだからか、100年近くも妊娠初期の胎児のままだった……
それを……こんな形で……ははは……これで俺も地獄行き決定だぜ……』
 吸血鬼に生き血を吸われた犠牲者が、新たな吸血鬼として復活する前に、
限りなく死に等しい仮死状態となる。それはS君の説明通りだ。
だが、吸血鬼化の為の仮死状態になって生命活動が極限まで低下すると、
当然ながら胎内の赤子には、十分な酸素も栄養も行き渡らなくなり――
「……まさか……まさか……自分の子を……!?」
『我が子を食べる鬼子母神ってか……ありがとよ、S君……』
 俺は――哄笑った。
『これで、何の躊躇いもなく君を殺せる』
 ――泣きながら。

ばくん

………………
…………
……


 最後の生贄の血……ドミノの生き血が捧げられる事はなく、
“チャウグナー・フォーン”神復活の儀式は失敗に終わった。
 偉大なる“チャウグナー・フォーン”神は石の卵へと戻り、再び星辰が揃うまで永い眠りについた……
220ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/15(日) 08:41:44 ID:2DOXuPw2
「――ごめんなさい……ごめんなさいMさん……ごめんなさい……」
 赤子のように泣きじゃくりながら、延々と謝り続けるS君の頭に、
「男なら、いつまでも泣いてるんじゃない」
 しかし、ゲンコツが振り下ろされる事はなかった。
 首から下が食い千切られたように消滅したS君の生首を、
あたしは我が子のように胸の中で抱いていた。
 その涙でグショグショになった可愛い顔は、少しずつ、少しずつ、
端の方からキラキラと輝く光の粒子と化して消えていく。
 この惑星で活動する為の血肉を失った“星の精”は、
しかし邪神たる不滅性ゆえに、星間宇宙の故郷で再び復活する。
地上で過ごしたあらゆる記憶を失って。
 邪神“チャウグナー・フォーン”神の復活は阻止して、S君は故郷に帰る。
 全ての任務は完了した。
 ミッション・コンプリートだ。
「――だから、そんなに泣くんじゃない。S君が死ぬわけじゃないんだから、ね」
「でも……ひっく……でも、ぼくのせいでMさんがぁ……Mさんの赤ちゃんがぁ……」
「……S君は邪神だろ? これも神の与え賜う運命ってヤツさ」
「……ひっく……やだぁ……そんなの……」
「運命が自分の思い通りに動くのだったら、今ごろあたしは美少年ハーレムの女王様だぜ」
 そう、運命は自分の思い通りには決して動いてくれない。
邪神の端くれであるあたしですら、より大きな力の前では翻弄される存在に過ぎない。
「でもね、S君……だからこそ――」
 だからこそ、戦う価値がある。
運命の濁流の中で、精一杯自分だけの詩を歌い、最後まで舞い続ける意味があるのだ。
 あたしのラストダンスは、最後まで華麗に踊れただろうか――
221ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/15(日) 08:42:30 ID:2DOXuPw2
「……ねぇ、Mさん……」
「……どうしたの?」
「……約束……忘れてませんよね……」
「約束?」
「最後に……名前を……教えてくれるって……」
「……メリフィリア」
「……え?」
「メリフィリア……それがあたしの名前」
「……良い名前ですね……」
「そう言ってくれたのは、S君で2人目ね」
「……そうですか……あはは、嬉しいな……」
「ふふ」
「…………」
「…………」
「……お願いが……あるのですが……」
「ん?」
「……Mさん……ドリームランドへ……行ってください……」
「…………」
「死んじゃダメです……Mさんは……きっと平太さんも……同じ気持ちの筈ですから……」
「…………」
「……お願い……ですから……」
「……わかったわ」
「本当……ですか」
「ええ、約束するわ」
「……あはは……やったぁ……」
「…………」
「…………」
「…………」
「……もう1つ……お願いが……あるのですが……」
「欲張りさんだな、S君は」
「ごめんなさい……あの……その……Mさんの……赤ちゃんの事ですが……」
「…………」
「僕の命を……貰ってくれませんか……」
「…………」
「……僕の魂を捧げれば……赤ちゃんも……復活できる筈です……」
「……それは……」
「お願いします……それが……ぼくの……最後の……償いなんです……」
「…………」
「…………」
「……わかったわ」
「本当……ですか」
「ええ、約束するわ」
「やったぁ……えへへ……嬉しいな……Mさんの赤ちゃんになれるなんて……嬉しいな……」
「甘えん坊な子になりそうね」
「……嬉しいな……嬉しい……な……」
「…………」
「……」
「…………」

「……S君?」

「…………」

 ……胸の中で消えた最後の光を、あたしはずっと抱き締めていた……
222ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/15(日) 08:43:26 ID:2DOXuPw2
 どれくらい時間が過ぎたのか……
「――無駄足だったかもしれないわネ」
「――ドミノの死体がないようだが……また逃げられたか」
 背後から聞こえる声の主は、今更確認するまでもなかった。
「……生きてたのか」
 そう言ったのは、誰だろう。俺はこんな声でしゃべる女じゃなかった筈だ。
「砂使いを物理的に殺す事は不可能よン。肉体なんていくらでも砂蟲ちゃんで再構成できるんだから」
「貴様に殺される直前、私は別人に姿を変えた。つまり、死んだのは私じゃない」
 どうでもいい事だ。
 俺は夢遊病者のようにふらつきながら、ゆっくりと歩き出した。足が自分の足じゃないようだ。
「……闇高野から連絡が入った。平太殿が危篤状態らしい」
「…………」
「あと数時間の命らしいワ」
「…………」
 俺の歩みは止まらなかった。
「今ならまだ間に合う。Mよ、ドリームランドへ行け」
「…………」
「死にかけた人間の赤子を救う為に、自分の魂を分け与える……
そんな優しい“食屍鬼”が、こんな汚れた星で死ぬのは似合わない」
 俺は無言で夜空を見上げた。
 天球の彼方まで煌く星々に、鎮座する冷たい満月の光――
――満天の星空ってヤツは、どうも好きになれない。
「……ねぇ」
 呟きは、誰のものだろう。誰への呟きなのだろう。
「大人はね……嘘吐きなんだよ」
223ラストダンサー ◆SNuCULWjUI :2006/01/15(日) 08:44:08 ID:2DOXuPw2

 ――その日の夜、ある病院の一室で、1人の老人が静かに臨終を迎えた。
如何なる苦痛もない、眠るように安らかな死であったという。
 それ以来、毎日その老人を甲斐甲斐しく介護していた、親族と思われる女性も姿を消した。


 ――美しき食屍姫の行方は、誰も知らない――



『ひでぼんの書・外伝  ラストダンサー』


224名無しさん@ピンキー:2006/01/15(日) 08:56:30 ID:GeaIBQKl
 ご苦労様です。スレの輝かしい歴史の中でも称えられる作品になったかと。
 ageようかと悩んだり。

>イメージ画
 ところで、真ん中に写る裸の見知らぬおんにゃのこは誰でしょうか?
225名無しさん@ピンキー:2006/01/15(日) 10:04:00 ID:M78VHxVq
作者乙!

>224
え、S君だろ…(汗
個人的な意見を言わせてもらうとショタッ子のお尻はもっと「キュっ」としまった慎ましやかな
ヴォリュームで無いと。こう、イメージとしては「ボクの窄まりにつっ(ry」って感じでw
226名無しさん@ピンキー:2006/01/15(日) 11:29:05 ID:SlIjLYtZ
うぉ・・・
エロくて、かっこよくて、切ねぇ・・・
疾走感溢れる文章にメロメロきました
GJっす!
227名無しさん@ピンキー:2006/01/15(日) 12:13:05 ID:ERa0NiYS
GJ……!
彼の存在達に、どうか、幸せな結末がありますように……っ
228名無しさん@ピンキー:2006/01/15(日) 12:49:05 ID:UrdDlqUr
。゚.(ノД`)・゚。切ない…切ないよ…
229名無しさん@ピンキー:2006/01/15(日) 13:44:38 ID:1hzp0TUa
大人はウソつきではないのです。まちがいをするだけなのです……。

作者様、大変乙でございました。
230名無しさん@ピンキー:2006/01/15(日) 17:14:21 ID:AYU/odl7
某作者様、お疲れ様でした。
エロさと切なさとカッコよさと。
三つが同居した小説を読ませていただき、本当にありがとうございました。
メリフィリアさんとS君、二人の魂に救いのあらんことを。
231名無しさん@ピンキー:2006/01/15(日) 19:56:27 ID:ws8YU/OH
いいもん見せてもらいました……
如何にひでぼんが特殊な例なのかわかった気がする
232名無しさん@ピンキー:2006/01/15(日) 20:02:21 ID:oXrMXIG9
     /\___/\
   / ⌒   ⌒ ::\
   | (●), 、 (●)、 ::|
   |  ,,ノ(、_, )ヽ、,   :::|
   |   ト‐=‐ァ'   .:::|
   \  `ニニ´  .::/
   /`ー‐--‐‐一''´\
   |∵∵∵∴∵∴∵ \    ∵∵∵∵    /  ̄   ̄ \
   |∵∵∵∴∵∴∵∴∵\∵∵∵     /、          ヽ
   |∵∵∵∴∵∴∵∴∵∴∵∵∴∵∴∵∴∵∴         |
   |∵∵∵∴∵∴∵∴∵∴∵∵∵∵∴∵∴∵∴∵∴∵     | tanasinn
   |∵∵∵∴∵∴∵∴∵∴∵∵∵∵∴∵∴∵∴∵∴∵   |
   |∵∵∵∴∵∴∵∴∵∴∵∵∵∵∴∵∴∵∴∵∴∵   /
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   |∵∵∵∴∵∴∵∴∵/ ∵∵ ∵∵   /          |
   |∵∵∵∴∵∴∵∴/    ∵∵     /    /      |
   |∵∵∵∴∵∴∵/ ∵∵
233名無しさん@ピンキー:2006/01/15(日) 20:04:15 ID:oXrMXIG9
                 ∴
         ∵  ∴  ∴∵∴    ∴
     ∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∴∵
       ∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵
   ∴∵∴∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴
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    ∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵| |   |∴∵∴∵
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.∵∴∵∴∵∴∵∴∵| `ニニ´│∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴
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..∴∴∵/ ̄.. \∴∵∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴
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∴∵∴|    /.| |.∵∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵
  ∵∴|   | :| |.∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴
    ∴| |  |::| |.∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵
    ∴| | |∵U∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴
      | | |∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵
     / / / ∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵ ∵
    / / /       ∴∵∴∵∴ ∴
   .しし’          ∵
234名無しさん@ピンキー:2006/01/15(日) 20:06:31 ID:oXrMXIG9
         )ソ)
       ッλ ノ(.,ノ)
     (゙ー ..::.::. . (
    (ソ  ,..∧;;;,;∧.. )ソ)
    ) .::';( ´∀` );';: <僕は、フレイムヘイズのシャナちゃん!
   ソ .::;';';/  _ノ⌒⌒⌒`〜、_
   ( ̄⊂人 //⌒   ノ   ヽ)
  ⊂ニニニニニニニニニニニニニニ⊃
235名無しさん@ピンキー:2006/01/15(日) 20:11:30 ID:oXrMXIG9
        _ ,,,,,、、、,,、、、、、,、、,,
      ,ィソ;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;:;;i
     ソ;:;:;;;;;;;;;;;;;;;:;;:;:;:;:;:;:;:;;:;:;:;:;{
     ソ;:;:;;;:;;r'"´  -‐-‐-‐-ヾ;;!
     j;:;:;;;;;:;;j  "´ ̄`  '" ``リ
      !;:;:;;:;/  ィjiiiii!!!!  !!!!!iiii
     l;:;;;:;{   ,ィテ-、  rテ-ュ {     悪・即・姦!!
     」;:;;;:j!   ´ ̄   ト、  !
     ( >Yリ       ,ィ,,_ .:ソ  |
     ヽい',    ,r   _,,   ! 
      `Yi    i { ‐-‐-‐'゙ /
       `ト、      ´¨´ ,/
       , イ  ヽ、 ` ー--‐イ
236名無しさん@ピンキー:2006/01/15(日) 20:23:25 ID:oXrMXIG9
あらすじ: 時代は西暦20世紀末。巨大電子掲示板が舞台。
シンジとその弟万作は、幼い頃、初恋の人を想うあまり、
スクリプト荒らしと言う掲示板最大の禁忌、クソスレ乱立を行ってしまう。
しかし計画は失敗。シンジは性欲を失い、万作はヒキコモリとなってしまう。
しかし、兄シンジは自身の名誉と引き替えに、弟の小説をネットに公開させる。
兄弟は失った全てのものを取り戻すため、絶大な力をもつ「田代砲」を探す旅に出る。
闇の挿絵(心的ストレス障害の副産物)をつけ、弟の純愛エロ萌え小説とともに旅するシンジを、人は“基地外”と呼ぶ。
237名無しさん@ピンキー:2006/01/15(日) 20:35:52 ID:oXrMXIG9
第一話レビュー:
オープニングの作画レベルは近年まれに見る神作画
シンジと万作、初恋の少女吉田さん、そしてネイムレス(敵組織)
それぞれがテンポ良く登場、主題歌とマッチしている
第一クールのオープニングにもかかわらず、後のダークな展開(原作では吉田さんが…)を
暗示するカットもありどれだけ原作を再現できるのかが今から楽しみである
Aパートは顔見せ程度の日常的なシーンだが、Bパートは兄弟が禁忌を犯すシーンが細かく描写されている
万作が猟奇作家とチャットするシーンや古書店でシンジが古代の神話について吉田さんと話すシーンは
後への複線といえるかもしれない(原作ファンなのでネタバレッッッぽい事書いてスミマセン^^;)
第二話以降、この作画や脚本のよさが維持されるかどうかが見物である
238名無しさん@ピンキー:2006/01/15(日) 20:48:03 ID:oXrMXIG9
1. 手巻き寿司 2006年01月12日 12:05
ジェネオン作品という事で若干の不安があったんですが
作画レベルも高く一安心
主題歌も25日発売という事で今から楽しみです
2. ハタケ 2006年01月12日 18:12
ついに始まりましたねー!!!!11111
動く吉田さんが見られるーーーーーーーーー!!!!!!1111
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!
吉田さんテラカワイス
吉田さんが「いあいあ!」て言うシーンは悶えました
でもこの先吉田さんがネイムレスに○○されて中学生なのに○○しちゃうと考えると
辛いなあ…(流石にテレビ版では修正されるでしょうがw)
239名無しさん@ピンキー:2006/01/15(日) 21:16:39 ID:y0G1ONFB
荒らしやめろ
240名無しさん@ピンキー:2006/01/15(日) 21:24:40 ID:oXrMXIG9
>>239
じゃあ謝罪文の掲載を
あと今までの作品の全削除を要求
241名無しさん@ピンキー:2006/01/15(日) 21:25:34 ID:M78VHxVq
作者さん乙。
王道にハッピーエンドで行ってもらいたい気もしたが、やはりこの終わりになるべくして
なったって感じですね。
あー、自分で何かいてるかよくわからないけどとにかくGJ。

>>239
NG ID:oXrMXIG9
242名無しさん@ピンキー:2006/01/15(日) 21:51:34 ID:oXrMXIG9
何故ツァトゥグア様達を不幸にしたのか
オナニーのつもりか
243名無しさん@ピンキー:2006/01/15(日) 21:57:54 ID:1hzp0TUa
哀れなるかな、同じスレに書き込んでいながら「参加」出来ていないものが独りいるのだ。
244名無しさん@ピンキー:2006/01/15(日) 22:01:21 ID:oXrMXIG9
早く塵骸魔京みたいに大手に買い取ってもらえるといいね!
旦那さんも喜ぶよ!^^
お金いっぱいもらえそうだね!
245名無しさん@ピンキー:2006/01/15(日) 23:33:07 ID:AYU/odl7
今度はこっちに沸いたか……。
246名無しさん@ピンキー:2006/01/15(日) 23:44:49 ID:QauBEctQ
>ひでぼんの人
すっげえ。か、格が違い過ぎる。GJとのみ言わせて貰いましょう。
本当にお疲れ様です&良いものを拝見させて頂きました。

>225
>ショタッ子のお尻はもっと「キュっ」としまった
同意。膨らんでいるのは「二次性徴後の女性」ですよ。
二次性徴前の少年は、二次性徴前なのでゴツクなく、かと言って男性なので膨らんでもなく、キュッと締まってます。
ちなみに、女性が魅力を感じる男性の身体の部位ベスト3は「表情豊かな目」「キュッとしまったお尻」「脂肪の少ない身体」だそうです。

ああ、創作意欲を刺激されるが、このレベルまで到達できない。
畜生。スプラッタなJoJo風策略バトルものを書きたい、切ない別れを書きたい、吸血鬼モノを書きたい。
が、せめて今書きかけのものを完成させなけりゃな……
247名無しさん@ピンキー:2006/01/15(日) 23:58:10 ID:QauBEctQ
が、そもそもエロが書けない。
ストーリー、場面、プレイ、文章……どう捻ってもエロくはならんかった。orz
248名無しさん@ピンキー:2006/01/16(月) 00:57:58 ID:mUW+EJ1b
>ラストダンサー
GJ!泣けた。
ひでぼんのラストといい、この人のSSはこのスレで一番「泣ける」作品じゃないか?
ところで保管庫にけっこうSSがあるけど、他に泣ける作品てなんかないでしょうか?
249名無しさん@ピンキー:2006/01/16(月) 01:14:10 ID:3a8EPf+b
「ラストダンサー」、最高でした。
色々と書きたいコトもありますが、スレ違いなのでとりあえずGJ!!
・・・っとだけ言わせていただきますっ。

次回作も楽しみにしてますね!!。
250名無しさん@ピンキー:2006/01/16(月) 03:14:59 ID:/JZbXzpa
>>247
頑張れ。まずは妄想力を鍛える特訓からだ。
251名無しさん@ピンキー:2006/01/16(月) 03:21:27 ID:vixDsFQE
>>250
「一秒間に
 10回の射精ができるようになれ!!」>>247
252名無しさん@ピンキー:2006/01/16(月) 04:34:17 ID:/JZbXzpa
そ、それはひでぼん並だが・・・つまり邪神の魔改造を受けろと?
つーか俺はそんなこと言ってないぞ!
253名無しさん@ピンキー:2006/01/16(月) 20:06:01 ID:vqD4kaoY
>252
次に十分間乳を吸い続けて十分間射精を続けろッ!
254名無しさん@ピンキー:2006/01/16(月) 20:46:59 ID:eXqWZW3s
>らすとだんさー
∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴
∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴
∵ポカーン ∴゚Д゚∵∴∵
∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴
∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴
戦力の差がありすぎる
思わず不確定物体になってしまったよ
このタイトルひらがなで書くとエロゲみたいだ
中の人
...................いま
...................ココ
....................↓
.Liiiiliiiiliiiiliiiiliiii」
凡....輝....神....邪......三
人....人.... ....神......柱
255名無しさん@ピンキー:2006/01/16(月) 21:32:35 ID:b92XkGtl
>>254
神より邪神の方が上!?
256名無しさん@ピンキー:2006/01/16(月) 21:39:17 ID:ZxiEN5BW
>>255
所詮は地球の,さらに1地方のオーバーロードでしかないからでは
257名無しさん@ピンキー:2006/01/16(月) 21:45:09 ID:b92XkGtl
まあ、ここではそれで良いんだろうけど
普通「邪神」って言ったら凡人のはるか斜め下の人のことを言うから…。
258名無しさん@ピンキー:2006/01/16(月) 22:03:46 ID:LYYuP8m7
>>257
それは違うぞ
邪神は人を超越してるからあんなことができるんだ
いい意味でも悪い意味でも
259名無しさん@ピンキー:2006/01/16(月) 22:12:34 ID:ItMx2yEx
強盗だ!・・・おう!
260名無しさん@ピンキー:2006/01/16(月) 23:33:15 ID:wWw0esqz
堪能させて貰いました〜
いやあ、S君の哄笑はカタルシスありました
M君の末路は、愛に殉じたんすね

・・ていうか赤ん坊から、はショタ過ぎw
あれも回想だけじゃなくて、伏線だったんですかね
261名無しさん@ピンキー:2006/01/16(月) 23:42:15 ID:hUUvcHlS
感想レスばっかりだと他の作家の方に迷惑がかかりますよ
262名無しさん@ピンキー:2006/01/16(月) 23:55:09 ID:hUUvcHlS
以降、クトゥルフ話以外は禁止という事で
よろしいですね、作家の皆様?
263名無しさん@ピンキー:2006/01/17(火) 01:09:58 ID:93WNXMxL
「ホイホイさんVer.15イチゴ」第3話
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1126341412/105-106
264名無しさん@ピンキー:2006/01/17(火) 03:28:17 ID:J5yTy8wU
イチゴ柄GJ!最終回期待してますよー
265くなさん ◆DAYgAM2ISM :2006/01/18(水) 23:08:19 ID:RqnHdDh5
15レス使用で投下します。ラスト

G'HARNE FRAGMENTS
『虚空にて』


 星の世界に近い、数万メートルの高々度。そこを飛ぶエルダーシングの空中空
母群が、不格好な箱を投下していた。
 コンテナほどの大きさのそれらが、五本の脚を畳んで速度を増していく。足下
に広がる海上には、ルルイエを中心とした戦場が見えた。残光を引き飛び交う銃
弾によって、空と海が爆発で埋め尽くされている。
 ルルイエが上空に備え始めた頃、箱達の周りに無数の光の渦が現れた。
 彼ら、実体の無いロイガー達に、重力や空気抵抗などは意味を成さない。銃弾、
爆発、防壁。あらゆる物を素通りして、ルルイエに襲いかかった。
 半魚人達の応戦が擦り抜けるのと同じく、光の腕が貫いた敵にも外傷は全く無
い。だが半魚人は瞳を濁らせ、銃を持つ手から気力が失われていった。
 雲間に箱が見え始めたが、数を減らした対空砲火では食い止められないようだ。
 一つ目巨人達は、ロイガーに触れられても平然としていたが。銃器を扱えない
彼らは、歯を剥き出しにして空を睨むしかない。まとわりつく光の渦へ棍棒を振
っては、手応えの無さに苛立ちを増していった。
「やっぱし、でっかい図体だと繊細さが回んないんかね。傷つき易いワタシには、
ちと羨ましい連中かも。いやでも、あれじゃ戸川文宏を押し潰しちゃうか」
 はためくショートの髪の下で、むにむにとガタノソアが口元を動かした。
 箱達に先行した彼女の格好は、その辺りに出掛けるような物だ。服は強い風に
膨らむが、同じだけの圧力を受けながら、顔は普段と変わらない。その分、悩み
多き乙女もやれたようだが、近付いた戦場に明るく命じた。
「イア! ツァール」
 喚び出された二つの肉塊が、小山ほどの巨体をルルイエ上にめり込ませた。
 生々しく脈動する、剥き出しの臓器。びっしりと表面に生えた触手が、押し潰
した巨人を気味の悪い音を立てて咀嚼していた。
 ツァールへ降り立ったガタノソアにも、触手は伸ばされたのだが。腕の一振り
で数本を千切り飛ばされ、梟のように吼えながら忌々しそうに距離を取る。その
怒りも込め、棍棒を振り上げて向かってくる巨人達に、触手が叩き付けられた。
「いないじゃん」
 交戦する守備隊に、目当ての者が見当たらないのだろう。ガタノソアが下唇を
突き出す周囲へ、箱が五本脚で落下の衝撃を吸収しつつ、次々に落ちてきた。
 中から現れた戦車や兵士が、半魚人達と交戦を始める。見境無しに触手を伸ば
すツァールを踵で教育しながら、ガタノソアは案じるように空を見上げた。
「こりゃ、本当に気をつけてね。戸川文宏」

 ガタノソアが起こした混乱の隙を突き、上陸部隊を投入。内部への進入路を制
圧し、確保する。順調に推移する作戦を、文宏は落下中の箱の中で見ていた。
 核でルルイエを吹き飛ばしても、戦争は終わらない。むしろ、大クトゥルフを
失った世界各地の半魚人達は、ますます攻撃を強めるだろう。その頭を攫って停
戦条約を結ばせる事に、彼らは一発逆転を賭けた。
『我々の科学力と、私の誘導を信用しなさい』
「そっちの方が心配だわ」
 ユリの通信に七瀬は噛み付いたが、嘲笑で迎えられて髪を掻きむしった。
 箱の内部に固定された自衛隊の装甲車に、笑い声が上がる。ただ、硬い表情で
押し黙る文宏を見つけ、中年の下士官が肩をどやしつけた。
「なに、そう心配するな。ドジっても、戦争が長引くだけじゃねえか」
「それもそうですね」
 文宏が愛想笑いを返すと、一尉の階級章をつけた中隊長が生真面目に言った。
「戸川君。『成せば成る、成さねば成らぬ、何事も』という言葉があるだろう。
あれは、『成さねば成らぬが、成せば成るほど世は甘く無く』と続くんだ」
 誘拐の実行犯は、最も機動力に優れたショゴス達に任せられた。危険な任務に、
本来自分達が護るべき少年を送り込む事へ、内心忸怩たる思いがあるのだろう。
中隊長は命令に逆らわない範囲で、文宏にアドバイスを贈った。
「失敗して元々だよ。危なそうだと思ったら、すぐ戻って来なさい」
「はい、ありがとうございます」
266くなさん ◆DAYgAM2ISM :2006/01/18(水) 23:08:51 ID:RqnHdDh5
 君らもだ、と目を向ける中隊長に七瀬達が頷き返した時、彼らはルルイエに到
着した。
 箱に生えた脚が、優秀なショックアブソーバーで、墜落まがいの力を抑え込む。
すぐに走り出した装甲車の中で、ハンナがヘッドセットの具合を確かめた。
 タイヤを軋ませながら、ツァールを迂回した装甲車が速度を上げる。その上を
飛び越えた戦車砲が、半魚人達の固める入り口に襲いかかった。炸裂する砲弾に
よって碧色の石扉が崩れ、瓦礫の向こうに通路が見え始めた。
 だが、大股に接近した巨人に、前を塞がれる。文宏はボールペンを握り締めた
ものの、立ち上がる前に巨人の一つ目がツァールの触手に貫かれた。
 巨体の倒れる地響きの中を、車体を滑らせながら装甲車が入り口に辿り着く。
後ろの扉が開かれると、すぐにハンナが飛び出した。
「無事に帰って来い」
「皆さんも!」
 文宏は腹の底から答えたが、隊員達の背中はすでに小さくなっていた。
 ボールペンを鞭に変え、文宏が前に向き直る。ハンナは両手両足に四人を提げ
ながらも、曲がりくねった通路を高速で突き進んだ。出会す警備をいなしつつ、
彼らは一路、奥へと向かっていった。
 五人で強襲をかけた実績と、ハンナの名前。それだけで賭けに出るほど、軍司
令部は無謀ではない。
 今日のルルイエの用兵は堅実だが、懐が浅い。昨日の傷で、ダゴンが指揮を執
れないと踏んだ司令部の読み通り。奇策への対応は遅く、内部の警備も整え切れ
ずにいるようだった。
 迫り来るロケットの軌道を鞭が逸らしたが、まだ追尾する物があった。縦坑を
下るハンナの後ろで、壁に当たった弾が炎を吹いて誘爆する。吹き荒れる爆風を
抜けた彼らは、通路の先が明るくなっているのを見た。
『その先よ!』
 ユリのナビゲーションの間にも、碧色の空間が近付いてきた。
 円柱と幅広の階段を持つ、静謐な空気を漂わせる場所。霜と氷が失せ、かつて
ユリ達が訪れた時のような寒々しさは感じられない。その、悍しくも神聖な領域
へ、文宏達は荒く猛りながら突入した。
 衝撃。
 ハンナが太い触手に殴られ、バランスを失う。咄嗟に仲間達を放り出したもの
の、反動もあって彼女は円柱に叩きつけられた。
 床を転がって膝立ちになった七瀬は、嫌な汗を笑みで抑え込んだ。
「ゾス=オムモグ。そういえば、これがいたわね」
 見上げるような円錐形が、首周りに生えた四本のヒトデ足で、蜥蜴に似た頭部
を撫でていた。毛髪の代わりに伸びた太い触手が、目標を定めるように文宏達を
指し示す。誰の趣味なのか、広間のあちこちに同じ形の像が置いてあった。
「マスター、早く行って。こいつ相手に、あんまり時間は稼げないわ」
 七瀬が腕を刃に変え、鞭を構えた文宏へ首を振る。そうしながらも、彼女の目
は蜥蜴頭から離れなかった。
 ハンナ達も同意見なのを見て、頷いた文宏が走り出す。広間に巡らされた四階
分のバルコニーから、半魚人達の銃口が狙いを定め。巨人の棍棒や太い触手と共
に、無礼な接近を阻もうとした。
「構わぬ」
 澄んだ声を聞き、ゾス=オムモグがヒトデ足を伸ばして止まった。他の者達も
同様に控え、神殿を思わせるそこに静寂が訪れた。
 一角に修繕跡の見える、碧色の広大な空間。その中央には絨毯の敷かれた階段
が伸び、頂点の玉座に続いている。怪我の癒えていないダゴンと、僧服のヒュド
ラを脇に立たせながら。玉座にもたれた少女が、文宏を気怠げに見下ろしていた。
「人でありながら、儂の前に辿り着くとは大したものじゃ。その武勇を遇し、ち
と話がしたい。通してやれ」
「仰せのままに」
 ヒュドラの命令に従って、配下の者達が文宏に道を空けた。
 柱に手をついて立つハンナを庇い、バズが辺りを鋭く見据える。同時に仕掛け
た七瀬とリーブへ、ゾス=オムモグの触手が向かう。始まった戦いの音を背に、
文宏は前へと足を踏み出した。
 クトゥルフがヒュドラに何かを尋ね、さらりと長い緑髪が法衣に垂れた。まだ
幼さの残る顔立ちだけに、ひどく疲れたような様子は違和感を感じさせた。
「そこで良い。トガワ、だったな」
267くなさん ◆DAYgAM2ISM :2006/01/18(水) 23:09:28 ID:RqnHdDh5
「悪いが、俺はあんたを攫うつもりなんだ」
 足を止めない文宏へ、紅い瞳が面白がるように細まった。
「理由を申してみよ。儂を納得させるものなら、攫われてやらんでも無いぞ」
「お戯れが過ぎます、猊下」
 僧服の魚頭が諫めたが、緑髪の少女は煩そうに手で払った。反対側に控えたダ
ゴンは、立っているのも辛そうながら、剣の柄に手を添えて文宏を監視し続けて
いた。
「さて、トガワよ。何故じゃ?」
「この戦争を止めるには、あんたを使うのが一番だろ」
「そうか……ならば聞けぬな。そなたらが服従するなら争う必要など無いが、そ
うもいくまい。一族の行く末の為にも、他に道は無いのじゃ」
「これ以上、そっちの都合で犠牲者増やされてたまるかよ!」
 文宏が鞭を振って地を蹴ると、少し残念そうにクトゥルフは息を吐いた。慌て
て銃を構える半魚人達を、ダゴンが落ち着き払って制止する。大きく引かれた鞭
を見ながら、クトゥルフが静かに命じた。
「狂え」
 不可視の圧力に貫かれたように、文宏の全身が硬直した。
 両腕がだらりと垂れ、その手から鞭が抜け落ちる。ぼんやりと立ち尽くす彼の
目は、まるで死んだ魚のようだ。興味を失ったのか、クトゥルフは物憂げに隣へ
視線を移した。
「あれだけの意志、無駄に散らせるのは惜しかったがな。ダゴン、そなたに手傷
を負わせるほどの勇士じゃ。せめて、その手で葬ってやれ」
「御意」
 ゆっくりした足取りで、ダゴンが大剣を抜きながら歩き始める。七瀬は文宏の
名を呼ぼうとして、ゾス=オムモグに胴を切り裂かれた。
 落ちかかる上半身を、首に巻き付いた触手が吊り上げていく。バズとリーブが
前後から飛び掛かったが、瞬時に消えた円錐形が背後から叩きのめす。上で隙を
窺っていたハンナは、文宏の傍に現れた人影に息を飲んだ。
 さっきまで誰もいなかったはずの場所に、黒いメイド服の少女が立っていた。
何の前触れもない出現で、どこから来たのかも分からない。
 文宏の前に立った少女が、彼の頬に手を添えて踵を上げた。
「大好きだよ、文ちゃん」
「貴様の企みに、掻き回されるわけにはいかぬ!」
 唇を離した少女の首が飛んだ事に、一番驚いたのはダゴンだろう。切った自分
の剣に混乱した視線を向けつつも、床に転がった鞭を遠くへ蹴り飛ばす。距離を
取って身構える魚頭など無視して、文宏の目は転がる頭を追っていた。
 藤野梢の頭は、浮かべたままの笑顔を横にして止まった。
 黒いメイド服を着た体が、噴き出した血を文宏にかけながら倒れる。全身に赤
い筋を引いた彼の瞳には、何も映ってはいなかった。
「……なんだ、安心したよ。僕は少しも、ほっとなんかしてないじゃないか。ほ
ら! こんなに辛さとか、苦しさ、悔しさだけが溢れてくる。すごいね、こんな
に嬉しいことがあるなんて、今まで考えた事も無かったよ」
 言い終える前に、文宏は心底楽しそうに笑い始めた。
 抑えきれずに口をついて出た歓喜が、金切り声を混ぜながら広間中に響き渡る。
そんな彼へ、痛ましげな表情でダゴンが歩み寄った。
「人とは脆いものだな」
 文宏の前へ、翼をもがれたハンナが叩き付けられる。呻きながら背後を見る彼
女につられたのか、彼の目もそちらを向いた。
 まだ、七瀬の足は立ったままだった。首を絞める触手にもがく上半身は、切り
離された部分から血と臓物を垂れ流している。別の触手に縫い止められたバズが、
離れようと鎌で切り付けており。リーブは左腕を再生させながら、邪魔な巨人の
頭を潰して蜥蜴頭に向き直った。
 笑い続ける文宏の髪が、体の震えで揺らめく。止めを刺そうとしたダゴンに、
彼の腕から何かが伸びるのが見えた。
「いかん! 逃げるのじゃ、ダゴン」
 クトゥルフの声が響いたと同時に、幾本もの鞭がダゴンに伸ばされた。
 身を庇う大剣や鎧に易々と穴を開け、魚じみた体が貫かれる。ダゴンは口から
血を吐きながら、何が起きたのか理解しようとした。剣と擦れた部分で、鞭は表
皮の下から金色の地肌を見せていた。
268くなさん ◆DAYgAM2ISM :2006/01/18(水) 23:10:06 ID:RqnHdDh5
 鞭が引き抜かれ、ダゴンの全身から血が噴き出す。よろめいて距離が離れたの
で、文宏に銃弾が浴びせられたが。その全てを、鞭が叩き落としていった。
「文宏君には、アトゥの種を撃ち込んでみたの」
 背後から聞こえた声へ、クトゥルフが忌々しげな目を向けた。
 ニャル様が見せびらかすように、でかい銃を振っている。玉座の後ろから顔を
出した彼女を見て、硬直しながらもヒュドラが文宏の足下を確かめる。いつの間
にか、そこから黒いメイド服は頭ごと消え去っていた。
「ディープワン達みたいに、存在概念まで失うとは思って無かったけど。同化ど
ころか、喰っちゃうとは予想以上だったな」
 瓦礫の中に、ユリの造った鞭が埋もれる。それは今まで常にそうだったように、
一筋の線だけを伸ばしていた。
「貴様、トガワに何をした」
「狂気を鍛えるのは、鋼と似てるよね。壊して癒し、希望を与えて絶望させる。
人間の精神は揺れ動くから、限界域も超えて発狂出来るんだ。ほら見て、アトゥ
の巻き髭まで、文宏君の素晴らしい狂気に感動してるでしょ」
 鞭は柱といわず壁といわず、触れる物を全て破壊し始めた。引き金を引きっぱ
なしにした半魚人や、一つ目の巨体も、あっさりと打ち砕かれていく。
 彼の背後で、踏み止まったダゴンが斬り付けようとする。だが、体を幾筋かの
錐へと変化させたハンナに突き破られ、腹に大穴を開けながら後ろへ倒れた。錐
は再び集まってハンナの姿に戻ると、姿勢を低くして七瀬達を救う機会を窺った。
「では儂も、まんまと貴様に踊らされたわけか」
「人を強制的に発狂させるのは、クトゥルフ君が一番上手いから。ちょっと手間
がかかったけど、復活させて正解だったよ。私の見せ場も整えてくれたし」
「貴様の望みは何じゃ、我らの根絶か?」
「なにそれ」
 嗤いながら首を傾げるニャル様に、クトゥルフも自嘲した。ニャル様がその気
なら、まだるっこしい事をする必要など全く無いだろう。爪の先で、銀河の一つ
二つは簡単に叩き壊せる存在なのだから。
「準備は全て終わったからね。後は文宏君がどうするか、見届けるだけだよ」
 楽しみ、と呟いてニャル様が頬杖をついた。

 吹き荒れる破壊の余波で、ざわざわと文宏の髪が舞い踊る。石片が折り重なり、
瓦解したバルコニーを塞いでいった。
 空中を泳ぐように襲う鞭と、ゾス=オムモグの太い触手が打ち合う。互角に見
えたのは一瞬だけで、鞭は容易く触手を貫き、別の鞭がそれを刎ね飛ばす。解放
された七瀬が落ちてくるのを、空中でハンナが受け止めた。
「てけり、り」
 彼女に応えたリーブが七瀬の下半身を拾い、部屋の隅へと走る。根元で切れて
だらりとした触手を抜き、バズも彼らのところに向かっていく。
 巨大な円錐形を刺そうとした鞭は、対象が消え去った為に壁に突き立った。
「マスター、気を付けて。あいつは自分の像へ、瞬間移動する力があるわ」
 七瀬が胴を修復しながら、ゾス=オムモグの像に迫る鞭に再度忠告しかけた。
しかし、簡単に壊れるはずの無いそれらは、あっけなく砕けていった。自分の似
姿が壊される怒りに表情を歪め、蜥蜴頭が文宏の背後の像から抜け出てきた。
 跳ね上がった鞭が、現れきる前に像ごと真っ二つに切り裂く。左右へ倒れるゾ
ス=オムモグの体に鞭が走り、細かな肉片が辺りに飛び散った。
「下がっておれ」
 クトゥルフは玉座に深く腰掛けたまま、抗弁しかけるヒュドラに続けた。
「儂が死んだ後は、そなたしか一族をまとめられる者はおらぬ」
「猊下こそ、お逃げ下さい。ここは、私が」
 ヒュドラは、身を盾にして庇おうとしたのだが。階段を上がってくる者を見て、
足が竦んで動けなくなってしまった。
 くるりと巻かれた無数の髭を従えて、一歩一歩、文宏が足を進める。
 いつの間にか、狂熱に浮かれた笑い声は止んでいた。彼の顔にあるのは、爽や
かな微笑でも無い。正気、憤怒、苦衷、悲哀、歓喜、狂気。ありとあらゆる感情
が塗り込められ、かえって無機質にも見える。
 充分に近付いた彼を見据えて、クトゥルフが唇の端を持ち上げた。
「殺せ」
 言霊の命令に従い、鞭が猛り狂って彼女へ殺到する。ヒュドラが洩らした悲鳴
を掻き消し、玉座が貫かれていった。
269くなさん ◆DAYgAM2ISM :2006/01/18(水) 23:10:45 ID:RqnHdDh5
 だが、クトゥルフの周りに突き立った鞭は、全て彼女の体を避けていた。怪訝
そうな彼女に、両手で鞭を握って苦痛に呻く文宏が見えた。掌や腕を鞭に貫かれ
てまで、なんとか抑え込んだらしい。顔を上げた彼の目には、強い意志の光が戻
っていた。
「それが、文宏君の選択なんだね」
 にこにこと笑いながら、ニャル様が顔の脇にある鞭を指で弾いた。
 文宏が引き戻すと、鞭達は不服そうに地を這いながら、彼の腕に吸い込まれる。
傷口から血を流しつつ歩み寄る彼を、射殺さんばかりにクトゥルフが睨んでいた。
「情けなどいらぬ」
「ざけんな」
 クトゥルフの前に立った文宏が、よろめいて玉座に手を着く。間近で睨み合う
二人は、どちらも激しい怒りをぶつけあった。
「あんたを殺したら、戦争が終わらねえんだよ」
「そちにとって、儂はラーン=テゴスの仇であろう」
「目でも悪いのか? 周り見ろよ。俺だって、あんたの部下を何人も殺してる
じゃねえか。それで悲しむ奴だっているんだろ。辛いんだよ、大事な奴が死んじ
まうのは! こういうの、もう沢山だとは思わねえのか」
 ぎりっと歯を噛み締めた文宏から、血と汗が滴り落ちる。頬を伝う血よりも紅
い目が、鋭さを増したようだが。開いた口からは言葉の代わりに、苦しげな息が
吐き出された。
 近くに来て、文宏にも分かったのだが。クトゥルフが玉座に深くもたれている
のは、面倒だったからでは無いらしい。
 体調が悪いのか、息をするのも辛そうだった。汗ばんだ肌は上気しており、引
き結ばれた唇も震えている。動かなかったのではなく、動けなかったようだ。
「見ての、通りじゃ。儂は抵抗出来ぬ。生き恥を晒す気は無い、早く殺せ」
「ほっといても死ぬけどね」
 楽しそうな笑い声に、文宏は嫌そうな顔でニャル様を見た。
「何かしたのか?」
「ううん、なーんにもしてないよ。この子の体が、メル君を元にしてるのは知っ
てるよね。私、彼女は癒して無いから」
 玉座の後ろから乗り出すニャル様に従って、文宏も改めてクトゥルフを見た。
「悶え死にさせるなんて、残酷で素敵に悪趣味だよ」
 ニャル様が褒め称えるように言いながら、法衣に手をかける。クトゥルフは止
めようとするのだが、力が入らないらしい。めくり上げられた服の下に文宏は息
を飲み、クトゥルフは赤い顔を逸らした。
 愛液に濡れきった下着は、隠す役を果たしていなかった。くっきりと陰唇を浮
き上がらせ、形どころか色まで透けてしまっている。
 法衣の内側にも、べったりと染み込んでおり。溢れた蜜が、水溜まりのように
玉座へ広がっていた。
「ほら、肌が文宏君の血と汗を吸ったせいで、我慢しきれなくなってる。子宮に
精液が欲しくてたまらないから、こんなに泣いちゃって」
「やめろ、やめてくれ」
 クトゥルフは言いながら、自分を見る文宏に目を潤ませた。無意識のうちに脱
がせ易いよう腰が上がり、ニャル様が下着を取り払った。
 手はそのまま、愛液にまみれた太股を開かせていく。首を振るクトゥルフの下
で膣口は涎を流し、文宏に見られる事に喜ぶ。濡れた下着の擦った跡も分からな
くなるほど、そこは汗と愛液で満たされていた。
「クトゥルフ君を生かしておく気なら、姦り終わるまで待ってあげるよ」
「嫌じゃ嫌じゃ」
 何を待つのか聞こうとした文宏を遮って、クトゥルフが怯えた声を出した。
「頼む、トガワ。情けがあるなら、せめて殺してくれ。そちに発情する体で交わ
れば、儂は他の雄を受け入れられない体になってしまう」
「別にいいじゃない」
 意地悪く笑うニャル様へ、悔しそうな顔が向けられたが。その一方でクトゥル
フの手は陰唇を開き、文宏を欲する膣口を指し示した。
「一族の末路を案じたからこそ、戦さを起こしたのじゃ。範となるべき儂が、そ
の轍を踏むわけにはゆかぬ。だからトガワ、犯してく……違う」
 クトゥルフが目を強く瞑り、呼吸を整えようとする。文宏のズボンを脱がせよ
うとするのは引き留めたが、その手は顔へと持っていかれた。
270くなさん ◆DAYgAM2ISM :2006/01/18(水) 23:11:17 ID:RqnHdDh5
 匂いを嗅ぐどころか舐めようとする自分に、何度も彼女の頭が振られる。対処
に困った文宏へ、ニャル様の楽しそうな声が掛けられた。
「そうだ、良い事を教えてあげるね。ラーン=テゴスは無限で無敵なの。生贄に
されたぐらいで、滅びるわけが無いじゃない。メル君と君達の子供の魂は、クト
ゥルフ君の中で眠ってるよ」
 ニャル様はクトゥルフの腹を撫で回しながら、悪戯っぽく微笑んだ。
「孕ませたら、出て来られると思うんだけど。会いたく無いかな?」
「いや、理由がどうだろうと。嫌がってる女を、無理矢理犯す趣味は無えよ」
 クトゥルフが顔を上げ、しっかりと文宏を見る。思わず見惚れそうなほど毅然
とした態度で、彼女は彼に命じた。
「犯せ」
 文宏の陰茎が、ズボン越しにも分かるほど隆起する。言葉に操られるままに下
着ごと脱ぎ捨て、クトゥルフの肩に手をかけたが。陰唇に先を触れさせながら、
文宏は踏み止まっていた。
 それを見たクトゥルフが、ぼろぼろと大粒の涙を零し始めた。
 泣き続ける童顔は頼りなく、とても可愛らしい物に見える。頬を文宏の手が拭
うと、気持ち良さそうに頭を預けてきた。
「すまぬ、トガワ。儂は、快楽に屈してしもうた。だが、こんな苦しいのは、も
う嫌じゃ。犯すのが嫌ならば、殺すでも良い。頼むから、早く楽にしてくれ」
「無理矢理は、趣味じゃねえって言っただろ」
 クトゥルフは再び謝りかけたが、入ってきた陰茎に安心したように微笑んだ。

 初めてだったのか膣は狭く、陰茎をきつく締め付けた。苦痛混じりの声に、文
宏が止まろうとするものの。クトゥルフが力の入らない両手両足で引き寄せ、奥
へ奥へと導いていった。
 埋まりきった彼の先に、子宮頚部がまとわりつく。処女地を拓かれたクトゥル
フが、悔恨と満足の両方を込めて呟いた。
「儂の体が、そちを覚え込んでしもうた。これでもう、他の雄とは交われぬわ」
「さっきも言ってたよな。戦争の原因だとか」
「うむ。我が一族に発情期は無く、雄が体液で雌を興奮させるのだが。それが為
に、存亡の危機に立たされてしまったのじゃ」
 その効果は母体だけでなく、産まれた子供にまで及んだ。娘は父親以外で、ほ
とんど快楽を得られず。息子は母親に欲情するものの、母の体は父以外には反応
しなかった。
 近親相姦が遺伝の幅を狭くして、病気の流行に弱くなるだけではない。父と娘
から産まれた子供が、父親としか交われない体である事に問題があった。
 いずれ父親が死ねば、新たな子供は産まれなくなるのだ。
 幾つかの種族を無理に繁殖実験に使ったせいで、母星を失う戦争が起きた。地
球でエルダーシングと争ったのは、繁殖相手を選ばないショゴスの製造技術を欲
したからだが。ショゴスは不定形な体を半魚人にすると、呪わしい催淫効果まで
備えてしまう事が分かった。
 絶望と共にルルイエは封印されたのだが。その間に、半魚人達が繁殖に適した
相手を見つけ出したのだ。
「それが、キタミール星人の血を引く者達じゃ。ショゴスと同じく不定形な彼ら
だが、種の保存に反する遺伝子は本能的に書き換えるらしい。一族の衰退を食い
止めるには、他に方法は無かった」
「ちょっと待てよ。催淫効果を中和すれば良いなら、多分、出来るぞ」
「本当か?」
「ああ。俺の体液がそんなだった時に、使ってる娘がいたんだ。あの体液は半魚
人達が元だと言ってたから、同じ薬で効くと思う」
「分かった、トガワを信じよう。ヒュドラよ」
「心得ております。ただちに、停戦交渉にかかるとしましょう」
 恭しく頷いたヒュドラが、広間の外へと歩き出した。去り際に畏怖の眼差しを
受けたものの、ニャル様は注意すら払わなかった。
 文宏から気がかりが抜けた事を感じて、クトゥルフは甘えるように身を寄せた。
「その薬があればな。儂も心おきなく、そちに溺れられたものを」
「なんか勘違いしてるね」
 目を上げたクトゥルフに、ニャル様が笑いながら続けた。
「今の文宏君の体液に、そんな効果は無いよ。メル君を元にした体が求めている
から、興奮しちゃうだけ。文宏君のせいじゃなくて、クトゥルフ君が淫乱なの」
271くなさん ◆DAYgAM2ISM :2006/01/18(水) 23:11:54 ID:RqnHdDh5
 クトゥルフが問いかけるように見ると、文宏も頷く。催淫効果はニャル様に治
されたと言う最中にも、彼女の膣内が動き始めた。
「だ、ったら、早く注ぎ込んでくれ。子宮が疼いて、あんっ、辛いのじゃ。それ
とも、儂を孕ませとうは無いか?」
「てけり、り」
 腰を突き上げる文宏によって、力の抜けきった手足が投げ出される。半開きに
なった目が、ぼんやりと彼を見返し。快楽に蕩けた顔は、口元から涎を垂らして
いた。
 文宏が法衣の下へ手を伸ばすと、たっぷりした胸が柔らかい感触を返した。
 尖った乳首が掌で擦れ、その度に膣内が反応する。振り乱される緑色の髪は、
法衣と同じく、玉座に溢れた愛液に濡れていった。
 体が覚えた、というのも比喩では無いらしい。
 陰茎の形に合わさるように、ぴったりと膣内が吸い付き。満たした愛液が無け
れば、少しも動けなかっただろう。奥の唇は彼を咥え込んで離さず、下りていた
子宮が大きく揺さぶられる。
 あどけなくクトゥルフが微笑むと、文宏は彼女の体を抱き締めた。
 どくんっ、どくどくどくどくっ、どくどくどくっ
 子宮口に押しつけながら、長い射精を注ぎ込んでいく。胎内に広がる精液を感
じて、荒かったクトゥルフの呼吸が少し落ち着いてきた。
「トガワ。儂はもう、そちの精か種が、常に子宮に無くば己を保てぬ。ラーン=
テゴスを産んで用済みとなったら、殺してくれて良い。だが出来れば、それまで
は偽りでも構わぬ、愛を囁いてくれまいか?」
「誰が、メルを産んだら終わりだなんて言ったよ。お前にはこれから、嫌ってぐ
らいに、俺の子供を産ませ続けるからな」
「それは無理じゃな。そちの仔を孕んで、儂が嫌がるはずが、ひゃんっ」
 ようやく放出を終えた文宏が、再び動き始める。クトゥルフは邪魔な法衣を脱
ぎ捨て、ぴったりと彼に体を預けて応じていった。
 裸になった為に、玉座を濡らした愛液で体が滑るようだ。予想外の突き上げを
何度も受けるうち、太股を震わせてクトゥルフがしがみつく。膣内の蠢きに逆ら
わず、文宏は何度も注ぎ込んだ。
「今まで幾度、全てを投げうって、ひゃうっ、そちに身を任せとうとしたか。せ
めて一度などと早まらず、良かっ、あんっ」
「お前みたいな良い女、俺が帰すわけが無いからな」
「うつけが、儂が離れられんのじゃ。どこもかしこも、トガワを覚え込んでしま
ったわ。トガワの種を受け入れて、あふっ、胎が喜びに震えておる。儂はきっと、
ああっ、そちに抱かれ、そちの仔を産む為だけに存在するのじゃな」
 クトゥルフの全身からは力が抜けきり、なすがままにされていた。自分からも
動こうとするようだが、文宏の打ち付ける腰に揺れるだけだった。
 だというのに文宏が徒労を感じないのは、彼女の表情のせいだろう。
 蕩けた顔が、膣内を擦られる度に切なそうになる。顔のわりに大きな胸や、肉
付きの良い太股の柔らかさもあるが。彼の形を覚えきった膣は、根元まで埋める
とちょうど子宮口に当たるのだ。
 注がれる度に、本当に嬉しそうに笑う。それが見たくて、文宏は全く堪えずに
子宮へ精液を浴びせ続けていた。
「もっと、あんっ、儂を満たしてくれ。今この場で孕みたいのじゃ。処女を与え
たのじゃから、替わりに仔を孕ませ、ひゃあんっ」
「でも、勿体ないな。妊娠したら、ふうっ、またしばらく抱けなくなるだろ」
「案ずるでない。人間とは、ああっ、儂の体は造りが違うでな。同時に孕みはせ
ぬが、臨月になろうと思う存分、ふあっ、注ぐが良い。儂はどうも、トガワの精
を呑むのが嬉しくて仕方無いらしい。あんっ、無理にとは言わぬが」
 残念そうに呟く唇に自分のを重ね、文宏はクトゥルフの体を抱き締めた。力の
入らない彼女が何度も彼の名を呼ぶ中へ、たっぷり注ぎ込んでいった。
 どくっ、どくどくどくっ、どくんっ、どくどくどくっ
 溜まりきった小水のような量を出しても、まだ収まる様子は無い。碧の髪ごと
引き寄せて、文宏は彼女の奥を突き上げ続けた。
「もう、いけるわ」
「無理は止すザマス」
 七瀬が体を起こすと、腹を押さえた手から滲む血にバズが首を振った。
 柱の傍に集まった彼らは、ずっと玉座を注視してきた。より正確には、その上
に座る黒いメイド服の少女を。
272くなさん ◆DAYgAM2ISM :2006/01/18(水) 23:13:05 ID:RqnHdDh5
「あれに立ち向かおうってのが、どだい無理なのよ」
「てけり、り」
「その通りでガンス。あっしらは別に、這い寄る混沌へ手出しする気など無いで
ヤンス。マスターが面倒に巻き込まれ無いうちに、連れて逃げるだけで」
 リーブの筋肉質の体を蹴飛ばそうとして、七瀬の体が半分からずれる。両腕で
抑えて座り込む彼女へ、バズは長身を屈めて告げた。
「かえって足手まといザンしょう。大人しく、待っているザンス」
「残念。もう時間なんだな」
 背後から聞こえた声に、四人が慌てて振り向いた。
 しかし、そこには誰の姿も無い。確かにニャル様の声だったが、と玉座に向き
直って、バズが鎌を生む。他の三人も身構え見る先で、ニャル様が銃をくるっと
回転させた。
 現れた小箱から石を取り出し、文宏の隣に飛び降りる。行為後の気怠さにあっ
た彼へ、ニャル様は赤い線の入った石を近づけていった。
「それじゃ、そろそろ行こうか」
「というより、俺は何をさせられるんだ?」
「やるべき事をするだけだよ。この宇宙に生まれる全ての者に与えられた、究極
的な使命を果たすの」
 にっこり笑うニャル様の手で石が光り、文宏の体は点滅するように透け始めた。
 驚いたクトゥルフが掴もうとするが、感触はあるのに擦り抜けてしまう。そこ
に存在すると同時に、彼はどこにも存在していなかった。
 賢者の石とは、鉄を金に変えられる物体だ。
 金ほどの重い元素を生み出すには、銀河二つをぶつけて完全に破壊した熱量が
必要になる。だから金は、ほとんど宇宙誕生の頃の物しか存在しない。
 だが、もし鉄が酸化して金になるならば、話は別だろう。人間とアトゥが同化
するはずが無くても、混ぜてしまえる。賢者の石とはそのように、宇宙を構成す
るルールそのものを捻じ曲げる代物だった。
「待て!」
「たっぷり待ったじゃない」
 変なの、と笑ったニャル様が、クトゥルフの伸ばした手の先から消える。だが
実際に遠ざけられたのは彼女の方で、いつの間にか壁に背中をつけていた。
 鈴鳴りのような音を立て、壁に水の照り返しに似た光の帯が踊る。恐ろしいほ
どに神々しい気配が、広間に漂い始めた。
 ニャル様が取り出したエジプト十字で床を突くと、円状に空気が吹き上がった。
近付こうとした七瀬達が、圧力に身を屈める。抵抗出来ない瓦礫は天井ごと飛ん
でいき、広がった大空から門のような物が下りてきた。
「じゃ、行こっか。ロバ・エル・カリイエに」
 気楽に言うニャル様に、逆らえないのを知って文宏も肩を竦める。光の色が白
から黒に変わって、広間を闇に満たす。玉虫色に輝く光球の集合体が、彼らの周
りをぐるっと飛び、
 二人の存在は、この宇宙から完全に消失した。

 放射状に伸びる光の線が、文宏の下に広がっていた。青や白に赤など、様々な
色の帯となって後方に流れていく。
 何か、巨大なうねる物に乗っているらしい。光の線は直線ではなく、折れ曲が
ったり捻れたりを繰り返している。彼が次第に離れていくと、それは菫色に光る、
とてつもなく大きな波なのが分かった。
 周りのあちこちにも、同じような菫色の波が漂っている。
 他には何も無い、途方もなく広い空間。そこでは時折、接近した波同士が一部
分をぶつからせて、互いに波紋を広げていった。
「あれが、ビックバンだよ」
 横から教えるニャル様に、文宏は首を傾げた。だが、彼女が続けるより先に、
理解したようだ。
「物質は波だとか、ビックバンの余波って、まさか」
「そうそう。菫色の波に広がって消える、波紋があるじゃない」
「あれが、宇宙」
「よく出来ました」
 ニャル様の笑みを受けて、彼は驚き開いた目で辺りの光景を眺めた。
273くなさん ◆DAYgAM2ISM :2006/01/18(水) 23:13:57 ID:RqnHdDh5
 ビックバンのエネルギーが、物質に見えているだけだとしたら。人も、銀河も、
時間も、空間も、物質も、素粒子も、光すら。最初の爆発で広がった宇宙が、最
後のブラックホールを燃え尽きさせて終わる百兆年という時さえも。
 あらゆる全ては、波同士がぶつかる微かな揺らぎに過ぎない。彼の見る前でも
再び波紋が広がり、そして無くなっていった。
「凄いな」
「流石は文宏君。真実を悟っても、平気みたいだね」
「いや、感動してるって。宇宙の始まる前に何があったのか、ビックバンのエネ
ルギーはどこから来たのか。これだったら、納得出来るよ」
「全ては泡沫の夢に思えて、悲観的になったりしない?」
「するわけないだろ。どのみち、人間の精神だって、脳を走る電気信号の幻みた
いなもんなんだ。楽しい夢なら満足だし、何よりスケールが大き過ぎる。寿命が
百年の俺は、宇宙の終わりを嘆くほど長く生きらんないって」
 目を輝かせて見入っている文宏に、ニャル様は満足そうに頷いた。
 彼女を殺せる資格は、たった一つ。宇宙の真実を、あるがままに受け止められ
る事。その前提があればこそ、彼女に観察される価値も生まれるのだ。
「でも、待てよ。あの菫色のうねりは、どこから来たんだろう」
「まさに、それこそが文宏君を呼んだ理由なんだよ」
 そう言ったニャル様が賢者の石を翳し、辺りの光景が一変した。
 地平線まで続く、だだっ広い白い床。ぐるっと見回す文宏の足下を、ごろごろ
と妙な物が転がっていった。形を常に変えるので、蟇だか蛸だか烏賊だかも分か
らない。
 フルートのような音を立てる彼らの向こうに、緑色の炎が浮かんでいた。誰か
の寝ているベッドを、照らし出しているようだ。
 ニャル様の手招きに従い、ベッドへと文宏が近付いていく。その上に、大の字
になって眠る、白い少女がいた。
 ゆったりした服、細い手足、肩にかかった長い髪。全てが白で出来た少女が、
静かな寝息を立てている。発展途上の胸が上下する様子が、ひどく艶めかしい。
いきなり沸き起こった興奮に、文宏は軽い眩暈を感じた。
「アザトース様、起きて下さい。あちこち駆け回って、連れてきましたよ」
 揺さぶられた彼女が頷いてみせ、寝返りを打つ。再び気持ち良さそうに眠り込
む顔面へ、ニャル様が肘打ちを入れた。
 かなり愉快な悲鳴を上げ、白い少女が飛び起きる。唸りながら顔をさすったア
ザトースが、黒いメイド服に促されて文宏を見た。
 赤ん坊より純真無垢でありながら、絶頂の最中よりも淫らな眼差し。
 とてつもない美を見た文宏が、ベッドに歩み寄った。アザトースが困ったよう
に胸元を押さえて、あたふたと左右へ目をやる。その後頭部を手加減無しに、
ニャル様がバールのような物で殴りつけた。
「何やってるんですか。文宏君の方は準備出来たみたいだし、後はアザトース様
次第でしょうが。気に入らないなら、替えてきましょうか?」
 ちらっと文宏を見上げて、アザトースが再び視線を落とす。それはとても、妖
艶で清楚な仕草だった。
 ごくりと唾を飲んだ文宏が、彼女の肩に手をかける。頬を染めながら待つ彼女
を見るだけで、陰茎が強く脈打つ。それでも彼は自制してみせた。
 そんな彼の様子に、アザトースは睫毛を伏せたまま小首を傾げた。
「文宏君は、嫌がる女を押し倒さないのが信条みたいですから。シたいなら、は
っきり言わないと伝わりませんよ」
 うなじまで赤く染めた少女が、口を開きかけて閉じる。その頭頂部に銃をつき
つけて、ニャル様が劇鉄を起こした。
「今更、何を恥ずかしがってるんです」
 唇を尖らせたアザトースの頭を、ぐりぐりとニャル様が銃で押した。
「男漁りを命じたのは、アザトース様でしょ」
 少し違うと抗議したので、容赦無く銃弾が放たれた。涙目になって頭をさする
アザトースが、文宏の熱い呼吸に気付いて顔を上げる。潤んで自分を見つめる瞳
へ、彼女は可憐かつ淫蕩に頷いた。
 唇へ吸い付いた文宏は、我慢し続けた呼吸をするように表情を和らげる。その
髪を撫でるアザトースの手つきは、聖母のようでも娼婦のようでもあった。
 文宏の手が服の下に入り込むと、処女のように慣れた反応が返る。舌も色狂い
の女じみて、おずおずと絡んできた。
「文宏君。アザトース様は、待ちきれないみたいだよ」
274くなさん ◆DAYgAM2ISM :2006/01/18(水) 23:14:32 ID:RqnHdDh5
 ふるふると首を振る主人を無視して、ニャル様が文宏を目で促す。太股を擦り
上げた指に、まだ準備の出来ていない濡れきった陰唇が触れた。不安そうな声と
同じく、そこは指を挟んで早く中へ導こうとしていた。
「悪い、もう我慢出来そうにねえ」
 呟く彼に手を重ねたアザトースが、童女のように成熟した顔でキスをする。離
れた彼女の唇を追いながら、文宏は下着を脱がせて突き入れていった。
 処女なのか狭い肉が、熟達の娼婦より巧みに絡みつく。淫らに腰を揺り動かし
ながら、アザトースは痛がってシーツを握り締めた。
 彼女は万能でありながら、誰よりも無力なのだろう。あらゆる事が可能で、何
一つ出来ない。根源にして終焉。始まりにして終わり。全てを知る賢者かつ、何
も知らない白痴だった。
 繋がったそこは、まさに沸騰する混沌の核だ。
 あらゆる全てよりも神聖で、他の何よりも淫靡な感触が伝わってきた。広がっ
た白い髪に、彼女を征服したから征服されのだという、混然とした実感が沸き上
がる。
 硬く柔らかい胸を押し潰しながら、文宏は逃げようとしがみつく彼女を抱き締
めた。押し出されるように引き込まれるまま、奥へと注ぎ込んでいった。
 どくっ、どくどくどくっ
 荒く静かに呼吸するアザトースにキスをして、華奢な体にもたれかかる。痛み
に引きつりつつ誘うように絞る膣内を、ゆっくりと文宏は往復し始めた。
「一番低い『ラ』の音は、一分間に四百回振動するんだよ」
「いきなり、何なんだ?」
 文宏が顔を上げると、ニャル様は打ち合う水音を示して言った。
「その音は四十万年に一回、振動してるの。つまり、これが宇宙の始まりを告げ
る音楽、ってとこかな」
「……ああ、そうか。ようやく、俺にも分かってきた」
 さっきの菫色の波がぶつかっていたのを人の姿にすれば、今の彼らと同じにな
るのだろう。宇宙とはつまり、アザトース達の快楽が高まって静まる、その波に
過ぎないのだ。
「だったら、俺はさっきの波になってるのか?」
「一時的に波を大きくしただけだけどね。でも、アザトース様を孕ませる時間は
あるよ。それが、文宏君を呼んだ理由ってわけ」
「てけり、り」
 アザトースは動きを速めた文宏に、怯えたように悦んだ。
 疲れると眠り込み、起きている間は交わり合う。文宏の感覚で一ヶ月もすると、
アザトースも痛みを見せなくなり。半年ほどで感じる部分を知り尽くし、一年で
必ず同時にイけるようになった。
 十年後には繋がっているのが当たり前に感じられ。百年経つと、内部の構造も
互いに分かってきた。
 括約筋をなぞってやるうち、陰茎が振動したのを感じたのだろう。アザトース
が開いた子宮頚部で、先端を受け止める。文宏は目を閉じても分かる子宮口に、
先を当てて吐き出していった。
 どくんっ、どくどくどくっ
 流し込まれる精液に、気持ち良さそうに彼女が目を細める。千年が過ぎた頃、
文宏にも常に矛盾する彼女が、理解出来始めた。
 一千億年後、二人は一つの存在のように馴染んでいた。
 数百兆年の数万倍が過ぎ去ったと同時に、十の五十乗分の一も時間が経ってい
ない後。文宏が注ぎ込み、アザトースが受け入れるのは当たり前だった。呼吸を
するように互いを求め、相手に快楽を与える事で自分も感じる。癖も知り尽くし、
目すら合わせずとも、互いが何を望んでいるのか察しが付くほどだ。
 最極の空虚<ロバ・エル・カリイエ>に、時間は存在しない。永くて一瞬の時
間を、常に繋がり続けた彼らは、それ以前の状態など想像もつかなかった。
 内壁を擦る文宏を、太股で挟みながらアザトースが迎え入れる。押し潰した胸
の柔らかさを味わいつつ、華奢な体を引き寄せた。アザトースが抱き締め返した
だけで、ぴったりと子宮口に先端が合わさった。
 どくっ、どくどくどくどくっ
 何千億の何千兆倍、こうして注ぎ込んだのだろうか。果てしない快楽の流れの
果てに、文宏は初めて彼女の声を聞いた。
「ありがと」
275くなさん ◆DAYgAM2ISM :2006/01/18(水) 23:15:14 ID:RqnHdDh5
 幾つもの宇宙を生み、消滅させた末に。文宏は宇宙に存在する者の持つ、究極
的な使命を果たした。
 それは、愛して愛され、次の世代を生み出す事。
 満足感に少しの寂しさを混ぜながら、文宏は最後にもう一度、アザトースを抱
き締めた。微笑む彼女の唇を感じたのが先か、ニャル様の声が聞こえたのが先か。
文宏には良く分からなかった。
「それじゃ、縁があったらまた会おうね」

 吹き飛んだ広間の天井から、青空が見える。
 辺りを埋めた黒い光が失せていき、辺りの様子が分かり始めた。すぐに駆け出
した七瀬達が、見当たらない黒いメイド服の少女に戸惑う。周囲を固めて警戒す
る彼女達へ、文宏は空を見上げ続けたまま苦笑した。
「心配いらないよ。もう、ニャル様は行ってしまったから」
 その声は、急に思慮深さを増したように聞こえた。彼の見ている物が知りたく
て顔を上げた七瀬が、慌てて盾で仲間達を庇った。
 続いて彼らの周囲に、天井の瓦礫が落ちてくる。しばらくして地響きが止むと、
安全を確かめてから七瀬は腕を戻した。
『応答しなさい。大丈夫なの?』
「てけり、り」
 ハンナが答えると、通信機からユリのほっとした息が届いた。天井の穴から除
く空に、ダイアー・ウィリアム教授号が入って来た。距離を取って飛ぶ竜や戦闘
機達も、攻撃を仕掛けるつもりは無いようだ。
 大きく手を振るリーブの横で、バズが少し気取りながら手を挙げる。彼らを見
回した文宏が、近くにいた七瀬とハンナの肩を叩いた。
「お疲れさん。どうやら、無事に終わったみたいだな」
「何があったのよ」
 質問には答えず、やや寂しげな微笑で文宏が歩き始める。バズ達にも声を掛け
てから、彼は座り込むクトゥルフに手を差し出した。
「立てるか?」
「心配かけおって。そちは、儂が見張っておく必要がありそうじゃな」
「うちに来たいなら、素直にそう言えばいいのに」
 膨れるクトゥルフを立たせて、文宏が再び空を見上げた。その視界には、この
宇宙に存在する物しか映らない。彼はその全てを愛おしむように、満面の笑顔を
浮かべた。
 差し込んだ太陽の光が、広間を明るく照らし出す。風が海面を吹き抜けて、碧
色の都市から硝煙の匂いを消そうとしていた。
276くなさん ◆DAYgAM2ISM :2006/01/18(水) 23:16:16 ID:RqnHdDh5

G'HARNE FRAGMENTS
『epilogue』


 残暑も終わろうとしていたが、文宏の目覚めは暑苦しいものだった。
 ぼんやりした頭で、高まった射精感を堪えようとする。だが、すぐに膣内にい
るのに気付いて、我慢せずに吐き出した。
 どくっ、どくどくどくっ
 腰を震わせたハンナが、倒れ込んで来た。子宮の中まで迎え入れた陰茎から、
一滴も零さず精液を飲んでいく。膣全体で擦り上げながら、文宏が起きた事に気
付いて唇を重ねた。
「てけり、り」
「おはよう」
 ハンナは金髪を撫でられて、うっとりと嬉しそうに目を細めた。
「あ、おはようございます」
 挨拶と共に差し出された乳首に、苦笑しながら吸い付く。張り詰めた直子の乳
房は、いっぱいの乳を溢れさせてきた。
「文宏さん、今日から学校でしたよね」
「まだ、ゆっくり出来る。二限からだから」
「いつもの感覚でいると、遅刻しちゃいますよ」
 さっぱりと甘い喉越しを味わいながら、文宏は部屋の中を見回した。以前住ん
でいたアパートが戦禍で焼け落ちたので、広い部屋に移ったのだが。八畳ある寝
室も、十人で寝ていると狭く感じられた。
 良い夢でも見ているのか、涎を垂らしたアルタが子供っぽく笑い出す。隣でガ
タノソアの蹴った布団をかけ直し、葵が憤慨したように言った。
「お腹冷えちゃうって」
「そなたも、いっぱしの母親じゃな」
 上体を起こしたクトゥルフが、腹を撫でながら微笑んだ。もうじき産まれそう
な葵と違い、彼女もガタノソアも大して膨らんではいない。葵は腕を伸ばしてか
ら、少し苦しそうに息を吐いた。
 文宏が片方の乳房を飲み干した頃に、部屋の扉が開かれる。顔を見せた七瀬の
後ろから、赤ん坊の泣き声が聞こえてきた。
「直子」
「今日は早く起きたみたいですね」
 頷いた直子は、文宏とキスを交わしてから立ち上がる。彼の吸っていない方の
乳房は張り、少し漏れ出ていた。
「朝御飯、もうすぐ出来るから。マスターも今日から学校なんだから、いつもみ
たいにシてると遅刻するわよ」
「分かってるって」
 七瀬は疑うように、ハンナとの間に水音を立てる彼を見たのだが。葵の大きな
腹が目に入って、自分の腹を撫でてみた。これがあんなになるんだ、と改めて感
心したようだが。台所から葉子に呼ばれ、慌てて戻っていった。
 停戦合意から、ふた月が経とうとしていた。
 処女性と共に神官の資格を失い、クトゥルフが退位したので。戦後処理はヒュ
ドラが全権をもって当たっていた。
 ルルイエは確かにハワイ沖の会戦で甚大な被害を受け、現在も南太平洋で修復
中だ。しかし、だからといって彼らの戦力が衰えたわけではない。戦闘は中止さ
れたが、占領は今だ継続中だった。
 戦略的に防衛戦に向かない地区からは、撤退が行われたが。これはむしろ、戦
力の集中しか意味しない。下手に勝利を宣伝した事で、世論は補償を求めており。
その圧力と、実力で排除し得ない現実は、為政者達を悩ませていた。
 占領地区への半魚人の入植が行われ、元の住民達が反発する。戦争中の反目や、
半魚人への反感から、各地で有形無形の差別が社会問題となった。
 他にも、中国とロシアの各地では独立運動が活発化しており。米国の軍事的影
響力の低下が、反米諸国を先鋭化させた。クトゥルフ族の間でも、似たような内
紛は起きているらしい。
 そんな中、今後に向けた取り組みも行われた。
277くなさん ◆DAYgAM2ISM :2006/01/18(水) 23:16:54 ID:RqnHdDh5
 ユリが催淫効果の治療薬の完成に、あちこち飛び回っているのも、その一つだ
が。クトゥルフ族達との為替レートの制定や、漁業権などの各種権益。通商や文
化交流など、様々な話し合いもされている。
 各国で復興計画や、他国への支援策なども検討され。戦争の激化と共に閉鎖さ
れた学校なども再開し、次第に以前の生活が戻りつつある。
 多くの火種を抱えながらも、世界はゆっくりと復興し始めていた。
「おはようございます」
 身を起こしたレアが、上品に微笑んだ。細い体をシーツが滑り落ち、汗ばんだ
乳房を覗かせる。あちこちにある吸い付かれた跡と、しっかり閉じた陰唇から流
れる精液が艶めかしかった。
 ハンナを突きながら抱き寄せて、文宏がレアの唇を奪う。彼の首筋に腕を回し
ながら、レアは体を密着していった。
「学校が始まる前に、わたくしも孕ませて下さると思っていましたのに」
「葉子とは一年ぐらいずっとしてても、出来なかったからな。まあ、すぐに妊娠
させてやるよ」
「期待しておりますわ。後は、デルシャフトさんとヴェグさんだけでしたわね。
最後の一人になって、戸川さんを独占するのも捨て難いですが」
「違うじゃろう」
 服を着ながらクトゥルフが言うと、レアは口元を抑えて頷いた。
「私とした事が。ユリさんと島津さんを忘れていましたわ」
「じきアオイも胎が空くのじゃ。順番など、細かい事を気にするで無いわ。フミ
ヒロは、自分の女を孕ませるのが好きじゃからのう。儂はもう、こやつの種を宿
し続けるつもりでいるぞ」
 彼は反論したかったようだが、ハンナの子宮に注ぎ込む快楽に言葉にならなか
った。満足そうに息を荒げる彼女の頬を撫で、抜いた陰茎をレアの中に突き入れ
る。
 ラッパのような息を吐いて、レアは大きく頷いた。
「確かに、わたくしが間違っておりました。戸川さん、たっぷり私に注いで、種
つけして下さいませ」
 ごくりと唾を飲んで腰使いを荒げる文宏に、激しい羽音が降ってくる。まだ眠
気の残った顔で、アルタが彼を睨みつけていた。
「人が寝てる間に、何してくれやがってますか」
 しかし腕に抱かれると、怒りも霧散したらしい。誤魔化されないと呟きつつも、
甘えるように彼の首筋に頬を擦り寄らせる。両腕で彼女達を包みながら、文宏は
レアを突き上げていった。
「飯出来たぞ」
 部屋を覗き込んだ葉子が、その彼らに気付いて軽く肩を竦めた。シャワーの用
意が必要そうだ、と。

 五つの恒星を持つ、ある星系にヤディスという惑星があった。ミミズに似た生
物に滅ぼされた為に、住民は宇宙船で脱出したのだが。故郷を離れて別の星に降
り立っても、ヤディス星人として暮らしていた。
 シルエットは人間に近いが、昆虫のように関節の多い体は鱗で覆われており。
特徴的な獏の鼻を見れば、すぐに分かる者達だ。
 その一人であるズカウバの様子が、最近少しおかしかった。
 陰気な魔術師として知られていたのに、近頃はとても紳士的なのだ。ヤディス
星人達は、心境の変化だろうと納得しかけていたが。黒いメイド服の少女が彼を
訪ねたのを見て、名状し難い理由なのだと推測しない事にした。
「お久しぶり、カーターさん」
 何か書き物をしていた魔術師は、苦笑混じりに羽ペンを置く。広げられた羊皮
紙には、几帳面な英語が綴られていた。
「しばらくですね。ただ、今の私はズカウバなのですが」
「なんだったら、ハワードと呼ぼうか?」
「カーターで構いません」
 綺麗に整頓された部屋を見回していたニャル様は、紳士へと首を傾げた。
「うちの方が集中出来ると思うけど」
「シャールノスの黒檀の宮殿で、思索に耽られる者などいませんよ。それより、
何か御用でしょうか。別に逃げ隠れする気はありませんが、少し書き物をしてい
る途中でして」
「おみやげ持ってきたの。といっても、物じゃないんだけど」
278くなさん ◆DAYgAM2ISM :2006/01/18(水) 23:17:45 ID:RqnHdDh5
 ニャル様が嘲り笑いながら、どこかから取り出した椅子に腰掛ける。恐怖と共
に、好奇心を刺激されるのだろう。ランドルフ・カーターは、お茶の準備をすべ
きかと考えながら手を組み合わせた。
 彼の興味を引いたのを感じて、にんまりとニャル様が笑う。子供っぽい可愛ら
しい表情だったが、相手の紳士には何の感銘も与えなかったようだ。
「ついさっきまで、幾つかの宇宙が生まれて消えるのを見てたんだ。一人の少年
によって、あなたのいた宇宙も作られては無くなっていった。彼の住む世界には、
ウィアードテイルズもクトゥルフ神話も存在しないんだよ」
 少し間があってから、何の事だかカーターも理解したらしい。
「そういえば、そんな風に名付けられたんでしたっけ。しかし、少し寂しい気が
しますね」
 彼はクトゥルフ神話という一連の小説群が生み出される、中心にいたのだから。
しかしすぐに、それも当然か、と考え直した。
 カーターの住んでいた地球には、アーカムやインスマスといった土地は無い。
海の底にルルイエも沈んでいなければ、ユゴスやサイオフといった惑星も無かっ
たのだ。それらのある世界に、彼が存在しているとは限らないだろう。
 更に深く考察しかけた彼を、悪戯っぽい微笑でニャル様が遮った。
「代わりに、クトゥルフ達と戦争やってたよ。これから、彼らがいるのが当然と
なっちゃう地球。興味無い?」
「紅茶でしたよね」
 頷くニャル様を見ながら、紳士はお茶の準備に取りかかった。

 エルダーシングの都市であるガールンには、数多くの資料が集められていた。
ジャンルを問わずに蒐集した、一大図書館のようなものであり。科学資料なら豊
富な彼らにあって、ほぼ唯一の大がかりな歴史書も書かれている。
 地球に来た時に編纂し直されたそれは、都市の名を取って『ガールンの書』と
呼ばれていた。
 今回の戦争も書き加えられ、これからも著述は増えるだろう。エルダーシング
が滅んだとしたら、途中で終わるかもしれないが。どちらにしても、歴史書とは
そのように、未完であり続けるのだ。決して完結しないガールンの書の事を、彼
らはこう呼んでいた。
 ガールン断章<G'HARNE FRAGMENTS>、と。
「卒業までは、なんとか通いたいものだな」
 葉子が海を眺めながら、束ねた教科書を振った。公園になっている海岸通りに
は、秋の涼やかな海風が流れてくる。
 さらさらと靡くセミロングを見ながら、文宏は鞄を抱え直した。
「心配いらねえよ。また戦争になるにしても、そのぐらい保つって」
「どうせ、あちこち行かねばなるまい」
 オーストラリアと北アフリカで今も続く戦闘や、人間同士の諍いは別として。
人と半魚人の調停役を、文宏は日米の両政府から求められていた。彼本人の能力
などに、そこまで大きな期待はされていない。
 大クトゥルフの夫という肩書きこそが、重要なのだ。
 今だ彼らに強い影響力を持つクトゥルフの連れ合いなら、相手も話し合いに応
じ易かった。
 現在は学生という身分もあって、バズとリーブが代わりを務めているが。事態
が急を要すれば、彼の都合など考慮されないだろう。
 勿論、文宏も戦争の防止に役立てるなら望むところであったし。何より、彼の
歳では難しい高給が魅力的だった。出産費用もタダでは無いのだ。
 両親には甲斐性があるなと誉められ、笑いながら仕送りを止められており。必
要な生活費を、彼に出来るバイトで賄えきれるはずもない。人類の未来は、金と
打算に左右されているようだった。
「まあ、俺で役に立つか分からないけど、生活の為だからな。でも別に、お前は
学校行ってても構わないだろ」
「馬鹿だな。一人にして無闇に女が増えたら、お前が後で困るだろ」
「そこまで節操無しじゃないぞ」
 文宏は軽く言い返したが、呆れきった失笑を聞いて本気になったらしい。どう
やって言い負かそうかと考える彼に、笑うような口笛が降ってきた。
 海の上に浮かんだ樽の上で、白衣を着た五本腕の女が足を組んでいる。ユリは
興味深そうな、からかうような目で言った。
「少年、尋ねても良いかな。君じゃ、ヨーコに叶わないのは分かってるわよね」
279くなさん ◆DAYgAM2ISM :2006/01/18(水) 23:19:38 ID:RqnHdDh5
 髪を掻き上げる彼女に、文宏も出会った時の事を思い出したようだ。晴れた空
から差し込む光は穏やかで、潮を含んだ風は心地良さを感じさせる。けれど、あ
の時と一番変わったのは、彼自身なのだろう。
 体中の怪我や、死んだ魚のような目が癒されただけでなく。少しだけ大人びた
顔で、文宏がユリを見返す。
「取引しないか?」
 久しぶりの挨拶に替えて、彼はそう笑いかけた。




―――――――――――――――――――――――――――――――――――

終わった〜! 疲れた〜!
というわけで、宇宙根源的なHR(妊娠)物でした
こういう宇宙論もあります

ところで保管庫の落としてて気付いたんですが・・
メイド妻って、思いっきり某880さんのラミアの影響でしたねw

※投下終了合図の『終』は、今度から連載時は『続』にしときます


>ゴキブリ
これ、エロあればこのスレ向きですよね
トム&ジェリーみたいで面白いす
280某880 ◆/Mgq/8agL6 :2006/01/18(水) 23:45:12 ID:8G8ZzKHT
あえてコテハンつけて書き込ませて頂きます。
くなさんお疲れ様でした。今回はもちろん、毎回GJな作品最後まで楽しませて頂きました。

正直、クトゥルフネタはほとんど知識がないので解らないネタは多々ありましたが
それでも引き込まれるストーリー展開と
なにより、濃厚なエロシーンにハァハァさせられっぱなしでした。
宇宙規模なエロスゴス
なんか解らないネタがあるために楽しめなかった部分があるのかと思うとちょっと悔しいですね。
知識付けてまた読み返してみたいと思います。

>メイド妻って、思いっきり某880さんのラミアの影響でしたねw
そうなの?w
それは光栄の至り。
つか、自分も極力エロシーンを濃厚に濃厚にと意識しているのは
間違いなくくなさんの影響だと思っているので、そう言って頂けるとなんか嬉しいですね。
281名無しさん@ピンキー:2006/01/19(木) 10:23:32 ID:M7okvDmJ
>>くなさん
長編、お疲れ様でした。とてもGJです。次回作も直ぐに期待!

と言いたいですが、お疲れと思うので十分筆を休めてください。
今後ともいい作品を期待しています。 m(_ _)m
282名無しさん@ピンキー:2006/01/19(木) 12:57:17 ID:C4Cd5Ybr
くなさん氏GJ&乙
今までで一番女垂らしな主人公だったな…ww
283名無しさん@ピンキー:2006/01/19(木) 13:24:06 ID:ofM0kmPe
絶句。
よもやaz...様まで姦り倒してしまう文宏とは。
そして、ny...様とにこやかに談笑する老紳士。
想像力の幅が違いすぎてついていけませんって。

ともあれ、完結乙!
G.O.O.Job。
284名無しさん@ピンキー:2006/01/19(木) 18:34:56 ID:iFhz+/BK
くなさん氏完結お疲れさまでした。
毎回毎回濃厚な孕ませ会話の数々…ご馳走様でした。
子供で野球チーム結成どころか星衣争奪戦やれそうなパパ文宏に乾杯
GJ!GJ!
285名無しさん@ピンキー:2006/01/19(木) 19:43:18 ID:lNo1/nui
第二話レビュー:
廃人化した兄弟がお互いの体を貪り合う(!)シーンから始まった第二話
弟の「おにいちゃん…」と兄に甘える姿は萌える
そこに吉田さんがお弁当を持って二人の家にやってくる
慌てる弟の姿は本当にかわいい…が、後々この姿を見ることが出来る機会が減って行くとだけ言っておこう
と、そこに弟のPCにメールが届く
送られたメールには「無銘の者達が欲するは無垢なる闇の子達の死」とだけ書かれていた
兄が窓の外を見ると、金髪で眼鏡の女が立っていて兄に気付くとその場を立ち去っていった…
アイキャッチは吉田さんの制服姿
Bパートは弟が神話関係のサイトを見るシーンから始まる
そこに描かれていたのは、光り輝く鎧を着た人間達が罪無き人々を次々と殺していく絵だった
兄と吉田さんが「謎のサイボーグ軍団によるテロ事件多発」というテレビのニュースを見て
兄はネイムレスに怒り、吉田さんは「怖いね…でも大丈夫だよね…」と涙を流していた
エンドカードは原作ファンにはお馴染みの弟のネコミミバージョン&バックに変身後の姿
総合評価としては途中、(一瞬だが作画的に)やばい絵もあったので95点てところですねf^^;
286名無しさん@ピンキー:2006/01/19(木) 20:01:13 ID:lNo1/nui
1. ハタケ 2006年01月19日 08:11
リヴィエラさんの活躍が見れるのもそう遠くは無さそうですねー
自分的にはショタっ子は「想定の範囲外」なんですがw
弟はマジ萌えたッッッッッッッッッ!!!!111
エンドカードは確かに最大級のネタバレ?
本編ではまだ戦ってませんからねえ
2. 銅羅イン 2006年01月19日 10:07
どうもこんにちはー
シャナと塩ロイサ--(‘ワ‘)--ン!!と蟲師のスレ(って呼び方でいいのかな?)住人の銅羅インです
あの絵はやはりネイムレスを暗示した物なんでしょうか
吉田さんの「いあいあ」から推理するとクトゥルーの神様が人間に襲われてる絵かな
リヴィエラさんの能力も「破滅的運命の全否定」だったし…
287名無しさん@ピンキー:2006/01/19(木) 20:20:50 ID:lNo1/nui
今日のひとこと

舞-乙HIMEsuperH(チャンピオンレッドの読み切り)を見て

「アリンコとニナちゃんを裸にするなって、ばっちゃがいってた!」
「乳首と申したか」
「うぬか、エルスティンはエロ担当と言ったのはうぬか」

この時誰もが気付いていたのだ…
ミーヤの毛が描かれていた事をッッ…!!

いいのかサンライズ!!
288名無しさん@ピンキー:2006/01/19(木) 20:24:22 ID:lNo1/nui
























289名無しさん@ピンキー:2006/01/19(木) 20:31:49 ID:lNo1/nui
●ほりえもんとは何か?
   ほりえもんとは…
ITがつくりだすパワーのある成金である。
すなわち個々企業特有のITによってただあるだけの成金ではなく、はっきりと力を持った成金がつくられる。
これをその企業の近くに立つという意味でライブドアと呼ぶ。
 ほりえもんには次のような特徴がある。
★ほりえもんとはひとりで大量株である
★ほりえもんに自由自在に操られるものがライブドア株主である
★ほりえもんが傷つけれられればライブドア株主も傷つけられる(追記・場合によっては死に至る)
★ほりえもんは内部告発でしか倒せない
★ほりえもんは一部の例外を除きライブドア株をもたないものには見る事ができない
★ほりえもんがその企業から遠く離れれば離れるほどその力は弱くなる
290くなさん ◆DAYgAM2ISM :2006/01/19(木) 23:48:47 ID:2ipUxrEA
レス下さった方々、どうもありがとうございます
楽しむor暇潰しにして頂けたなら何より
言うまでもありませんが、HPLとひでぼん無しには書けませんでした
改めて、ここに感謝を捧げます

>某880さん
恐縮です、こっちこそ前から楽しませて貰ってますよ
何を隠そう、『妖に精を与えるから妖精学者?』と言ったのは俺w

>星衣争奪戦
懐かしいw

それじゃまた、そのうち別のネタ、別の話で〜
291名無しさん@ピンキー:2006/01/20(金) 15:35:57 ID:i6zOxwJx
G.J!
本気でぶっとんだスケールの話でした……w
292:2006/01/20(金) 15:49:30 ID:d/BsnpuO


☆ヒューザーの小島は在日朝鮮人!☆

ヒューザーの小島の実家は宮城県で王城苑
という焼肉屋を経営している。小島は在日朝鮮人だと衝撃の事実
が暴露された!層化と在日による邪悪なコラボレート=偽造マンション乱立!
それ以外にもヤクザ=朝鮮人を暴露!ネットラジオで確認して下さい!

http://www.nikaidou.com/radio/93/051209.mp3



293名無しさん@ピンキー:2006/01/20(金) 21:57:08 ID:+nVHs1Yd
新テンプレ(このレスの次のレスから開始)
ここはクトゥルフネタしか投下してはいけません
ここは神作家しか投下してはいけません
ここはヘタレ作家は投下してはいけません
ここは誤植や間違いを誤魔化す人しか投下してはいけません
ここはエロ及び虐殺、鬱展開しか投下してはいけません
ここは神作家の信者しか感想レスをしてはいけません
ここはお金になる程のレベルの話しか投下してはいけません
ここはパクリ話を投下してはいけません
ここは萌え話を投下してはいけません
ここはハッピーエンドは投下してはいけません
ここは無血展開は投下してはいけません
ここは孕ませネタしか投下してはいけません
ここは責任感の無い男が主人公の話しか投下してはいけません
ここは生まれた自分の子供を放っておく主人公の話しか投下してはいけません
ここは女の子を自慰行為の道具としてしか見ていない話しか投下してはいけません
ここは女の子を虐待し、精神的にも肉体的にも追い詰める話しか投下してはいけません
ここはエロパロ板です純愛ものは絶対に投下してはいけません
294名無しさん@ピンキー:2006/01/20(金) 22:09:33 ID:+nVHs1Yd
次スレ新テンプレ
鬱スカ虐殺に、精神攻撃だって子供捨てるのだって何でもOK!
クトゥルフ神話世界の人間以外の女の子を虐待するお話のスレです。
これまではオリジナルが多いスレでしたが、これからはクトゥルフ物二次創作物に限り大歓迎!
多少の脱線・雑談・信者以外の感想レスは絶対に許さない。他人の苦情を勝手に代弁するのはいい。

<前スレ> 【妖怪】人間以外の女の子とのお話16【幽霊】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1136184690/

<保管庫> (近日スレ専用保管庫開設予定)
2chエロパロ板SS保管庫
http://sslibrary.gozaru.jp/
 →「オリジナル・シチュエーションの部屋その5」へどうぞ。

過去スレとか関連スレ、このスレのテンプレは>>2-5へどうぞ。
295名無しさん@ピンキー:2006/01/20(金) 22:27:23 ID:+nVHs1Yd
某作者 ◆SNuCULWjUI
くなさん ◆DAYgAM2ISM
この二名の話で宿った新しい命は…もう…
(´:ω:`)ブワッ
しかし泣いてはいけません
このスレはそういう話がメインなのです
みんな死ぬ運命なのです
296名無しさん@ピンキー:2006/01/20(金) 22:35:27 ID:+nVHs1Yd
くなさん氏乙です
今度は全員殺しちゃいましょうよ
その方がきっと某作者さんも喜んでくれますよ
とにかくお疲れ様でした
297名無しさん@ピンキー:2006/01/20(金) 22:40:00 ID:+nVHs1Yd
そうそう


二度と来るな
298名無しさん@ピンキー:2006/01/20(金) 22:46:39 ID:+nVHs1Yd
>二度と来るな
オレモナーwwwww
299名無しさん@ピンキー:2006/01/20(金) 23:46:19 ID:P262xhRN
ワンパターン
300名無しさん@ピンキー:2006/01/20(金) 23:53:04 ID:+nVHs1Yd
>ワンパターン
>ワンパターン
>ワンパターン
>ワンパターン
>ワンパターン
301名無しさん@ピンキー:2006/01/20(金) 23:59:32 ID:P262xhRN
>>300
そんなにうれしかった?
302名無しさん@ピンキー:2006/01/21(土) 00:01:21 ID:MT9KMmp/
つい1週間程前に前スレ終了かとおもったら、もう400KBか。
スレ立てから見ても1月経ってないし(前スレ消費は3ヶ月)随分早いな。
しかもただ早いだけじゃなくて神職人の方々が降臨してたわけで、今年は幸先が良いね。
303名無しさん@ピンキー:2006/01/21(土) 00:12:26 ID:NVmszzH3
そんなにうれしかった?そんなにうれしかった?そんなにうれしかった?そんなにうれしかった?そんなにうれしかった?
そんなにうれしかった?そんなにうれしかった?そんなにうれしかった?そんなにうれしかった?そんなにうれしかった?
そんなにうれしかった?そんなにうれしかった?そんなにうれしかった?そんなにうれしかった?そんなにうれしかった?
そんなにうれしかった?そんなにうれしかった?そんなにうれしかった?そんなにうれしかった?そんなにうれしかった?
そんなにうれしかった?そんなにうれしかった?そんなにうれしかった?そんなにうれしかった?そんなにうれしかった?
そんなにうれしかった?そんなにうれしかった?そんなにうれしかった?そんなにうれしかった?そんなにうれしかった?
そんなにうれしかった?そんなにうれしかった?そんなにうれしかった?そんなにうれしかった?そんなにうれしかった?
そんなにうれしかった?そんなにうれしかった?そんなにうれしかった?そんなにうれしかった?そんなにうれしかった?

tanasinn
304名無しさん@ピンキー:2006/01/21(土) 00:13:24 ID:NVmszzH3
ID:P262xhRNおもすれー(^ω^)
305名無しさん@ピンキー:2006/01/21(土) 01:50:33 ID:qRv3VPVx
一を愛してしまったために、
全てを憎まざるを得なくなってしまった、か。
全と一、一と全、どちらも同じことに気付かずにな。

要するにツンデレってこった。
306名無しさん@ピンキー:2006/01/21(土) 03:13:44 ID:8hbzEwyG
くなさんGJ。
そして森崎霊能探偵社の続編はげしくきぼおします。
307名無しさん@ピンキー:2006/01/21(土) 14:30:26 ID:hh7QPQCy
スルースキル低い人も、当番にアンカーレスだけは「ダメ絶対」
調子乗ったらアク禁依頼すっから、巻き込まれても知らないよ

>302
んだんだ

>306
一応スレ違いだべw
308名無しさん@ピンキー:2006/01/21(土) 17:08:48 ID:itsjsk9E
新テンプレ
・SSは愛情!
・お前の萌をぶちまけろ!
・心無い荒らしなんて(・勍)キニシナイ!
・マイナス思考は控え目に。
・押しつけ禁止。自分の物は自分の物。他人の物は他人の物。
・容量オーバーには気を付けろ!

と、勝手に思う今日この頃
309名無しさん@ピンキー:2006/01/21(土) 20:11:50 ID:8ecWG9Oe
埋められたり勝手にスレ立てられたりする前に新スレ立てた方がよくね?
310某作者代理 ◆SNuCULWjUI :2006/01/21(土) 20:57:07 ID:CxDYEDEK
挨拶が遅れましたが、ラストダンサーを何とか仮退院中に完結させる事ができました。
この物語を通じて、きっと皆さんの心にペガサスキバヤシの名が深く刻まれた事でしょう。
御感想、ありがとうございます。

以下、番外編&外伝のキャラクター紹介追加分とおまけです。
ttp://kasamatusan.sakura.ne.jp/cgi-bin2/src/ichi22242.txt.html

次の作品は『メカ少女物』を予定しています。例によって芸のない擬人化物ですが……
口述手記等で執筆していきますので、いつか見かけたら読んで頂ければ幸いです。
311名無しさん@ピンキー:2006/01/21(土) 21:16:23 ID:3YbcWBDg
>>310
う、再入院ですか…。お二人ともどうかご養生ください。

>>309
今の状況から埋めにかかれば、それこそアク禁確定だろう。
「勝手に新スレ」はよう分からんが。
312名無しさん@ピンキー:2006/01/22(日) 01:15:40 ID:zj8gol1r
変なテンプレで作るとか…?
まぁ、削除依頼して作り直せばいいだろうけど…
313名無しさん@ピンキー:2006/01/22(日) 02:16:31 ID:I9nleKPt
ここでそういう懸念を出すといらん知恵与えるだけなんだけどなぁ。
無視するなら徹底して話題にも出すなよ、って思う。
314名無しさん@ピンキー:2006/01/22(日) 07:00:22 ID:Tw822Ii6
んじゃネタ振り

関東で雪積もったんだけどさ、雪の人外って何がいたっけ?
ぱっとは雪女の仲間(つらら女、雪童)しか思いつかないけど

>310
お大事に〜。宜しくお伝え下さい
315名無しさん@ピンキー:2006/01/22(日) 09:34:16 ID:L8qHEmTW
>>312
あえて何食わぬ顔で使うと言う手もあるな
保管庫兼テンプレサイトがあれば言う事なし
316名無しさん@ピンキー:2006/01/22(日) 09:41:21 ID:PnItfSgu
ウィンディゴとか
317名無しさん@ピンキー:2006/01/22(日) 10:43:18 ID:YCQ3xN97
>>314
雪男。
雪降り婆。
雪坊主。
雪坊。
雪ん子。
雪の女王。
雪ダルマ。
雪ウサギ。
えーっと…
318名無しさん@ピンキー:2006/01/22(日) 14:30:29 ID:yHbYu1UV
雪の精霊フラウ
雪原の王・銀狼
太陽と北風の北風
雪のような外見のケサラン・パサラン
冷凍ミイラ(コールドスリーパー)

後半ほとんど雪と関係なくなったな……
319名無しさん@ピンキー:2006/01/22(日) 15:54:36 ID:TBT2hbY0
>>314
ゲームなんかでは、フェンリルも一応雪、てか氷扱いかな?
320名無しさん@ピンキー:2006/01/22(日) 16:07:07 ID:gzEh79sx
>310
仮退院中だったのですか……またお会いできるときには、本退院が済んでいることをお祈りもうしあげます。

>314
フローズンハーフ(悪魔城ドラキュラXの雑魚。雪おかま)
……こいつが真っ先に出てくるあたり、俺って腐兄なんだなって思った。
あとは白魔(雪国では降り続く雪のことをこう呼ぶらしい。本場のひとツッコミ求)とか?
321名無しさん@ピンキー:2006/01/22(日) 17:37:42 ID:U30ackC8
>320
はくま 1 【白魔】

災害をもたらす大雪を、白い悪魔にたとえていう語。

三省堂提供「大辞林 第二版」より


こっちは冬になりゃ、雪が降るのが当たり前だから、かえってそんな言葉使わないかも。
それよりも、地吹雪のほうがよっぽどきつい。

雪がさっと降って強風が吹くと、その雪が舞い上げられて吹雪みたいに襲い掛かってくる。

つまりは風の精霊と雪の精霊の二人によって蹂躙されてる状態ですな(違


あとは某漫画で有名なダイヤモンドダストか。
さむ〜い時に空気中の水分が凍りついて、太陽の光を受けてキラキラ輝く。

つまりは氷のツンデレ精霊に隠していた場所を晒された挙句、
羞恥プレイが開始された状態ですな(更違
322名無しさん@ピンキー:2006/01/22(日) 17:50:31 ID:dbXF5nV9
3月に映画が公開される「ナルニア国ものがたり」の魔女とか
FFシリーズのゲームブック「雪の魔女の洞窟」とか
人外っていうより悪女系魔女が真っ先に思いつくあたり
俺はこのスレ的に失格ですかorz
323名無しさん@ピンキー:2006/01/22(日) 18:44:55 ID:iiJEDk51
いたくぁ「……呼んだ?……」
324名無しさん@ピンキー:2006/01/22(日) 21:43:39 ID:KAjk85NN
るりむ・しゃいこーす「どっちかというとこっち、なの」
325名無しさん@ピンキー:2006/01/22(日) 23:03:56 ID:ntwP1E5B
ドラの雪の精が最初に来る俺のび犬
主人公まっしぐらでいい感じにヤキモチ焼きで最後消滅ですよ…
326名無しさん@ピンキー:2006/01/22(日) 23:05:24 ID:idMwcLIM
セルシウスマダー?
327名無しさん@ピンキー:2006/01/22(日) 23:05:36 ID:DDMcrBwW
ジャックフロストはメガテンオリジナルの魔物なんだろうか。
でもジャックだと男っぽいので、ジャッキーとかジャクリーヌとかにして。
ペリーね、この前孫が(ry
328名無しさん@ピンキー:2006/01/22(日) 23:38:00 ID:13qghzIc
アンダーシュ・セルシウスは男だ!
と科学史好きな俺は叫びたい。
何で時の精霊がゼクンドゥス(秒)なんだかなあ。『モモ』の見すぎだよ…
スレ違いスマソ
329名無しさん@ピンキー:2006/01/23(月) 03:14:44 ID:42NgULNE
>アンダーシュ・セルシウスは男だ!
・・・摂「氏」いうぐらいだもんなあw

あと
>ジャックフロストはメガテンオリジナルの魔物なんだろうか。
これはいろんな意味でマヅい。
ファンタジー好きとしても映画好きとしてもメガテン好きとしてもあちゃーっすよ。
ぐぐるぐらいしておきなはれ。
330名無しさん@ピンキー:2006/01/23(月) 05:14:07 ID:kcDZDBAx
>>327
たぶん普通サイズの英和辞典には載っていると思うよ、Jack Frost。
おれはO・ヘンリーの「警官と賛美歌」で知ったかな。
あと、ジャックに対する女性の名前だったらジルがいいんじゃないか。
「ジャックとジルは丘に登った バケツに一杯水汲みに」
331名無しさん@ピンキー:2006/01/23(月) 13:12:45 ID:7W503P07
>>329
アイムソーリー・・・
ランタンの方はかなり有名なんだけどな。ハロウィンだし。
でもフロストって聞くと、あの強烈なキャラクター性の所為で、どうしても・・・
あと、カーバンクルって聞くと真っ先にぷよぷよの小動物が浮かぶのは俺だけですか。

要するに、俺のこっち向きの知識は一般並みってこった。
332名無しさん@ピンキー:2006/01/23(月) 20:24:16 ID:mD3rZvOL
>>331
あとFFの召還獣

そっち方面の知識がかなりだめな俺
333某880 ◆/Mgq/8agL6 :2006/01/23(月) 23:29:47 ID:zqAuvT30
事前注意

今回、スレの流れから思いついたネタで書きましたのでここに投下致しますが
人外要素はほとんどありません。「女性が人外」という以外無いに等しいです。
普段なら別のスレに投下するような話なのですが、
ここのスレの流れで思いついたネタですので、あえてこちらにします。
スレ違いだと思われる方は、申し訳ありませんがスルーよろしくお願いします。

また、読めばすぐ解りますが
「男」はいつもの学者ではないのでご注意を
334某880 掘り出し物〜雪女〜:2006/01/23(月) 23:31:39 ID:zqAuvT30
今冬は日本全国的に大雪。
私ら雪女にしてみれば、絶好の年……と思われがちだけど、
現実はそう簡単じゃないわね。
雪が多くなればそれだけ人間ってのは警戒心を強めるもので、
そうそう雪山に迷い込んだりしない。
それに山に行くどころか雪下ろしでそんな暇はないときた。
まあ、それ以前に昔と違って色々と「設備」が整っているぶん
遭難者なんか頻発するもんじゃなくなった。
おかげでこっちは、色々不都合が多くなってきた。
雪女にも色々いて、地方や個人で「栄養摂取」の方法が異なるけど、
私は昔ながらの……そう、男から「精」をありったけ搾り取って生きている。
なのに、なのにだよ。
誘惑すべき遭難者が激減しちゃ、こっちの命に関わるってものよ。
そんな状況が続いてか、仲間の中には精を求めて街へ下山する奴まで現れ始めた。
餌を求めて街に現れる猿じゃあるまいし。よくそんな恥知らずなことが出来るもんだよ。
そのうえ、色々上手いことやってなんだか幸せに暮らしてる奴までいると聞く。
羨ましいったら……ええい、恥知らずもいいとこよ! ホントに。
とはいえ、このままでは本当に飢えてしまう。状況は非常に悪い方にしか流れていかない。
……なんて、色々悩んでいたところだったんだけどさ。
捨てる神あれば拾う神ありって言うのかね?
もちろん、私は神なんて信じちゃいないけどさ。
この大雪の中で、わざわざ山に入ってきたバカがいた。
今私の目の前に寝転がっているのが、今冬初の……いえ、ここ数年ぶりの遭難者。
いかにも山男って風体の……おそらく地元の者だね。
なるほど。地元民だからむしろ楽観的に山へ入ったのかしら?
自分ならどうにかなると思った……ってとこね。
確かに見たところ、筋力体力は申し分ないと思えるガッチリした体型だわ。
いいわね、いかにも精力絶倫って感じで……あらいけない。思わずよだれが……。
「……んっ……」
男が気付き始めた。さて、いよいよ待望の食事時。
私はよだれを拭き、男が目を覚ますのを待った。
「ここは……」
男の彷徨った視線が、私の視線と重なる。
そして男はそのまま、視線を外そうとしない。外せない。
驚愕し見開いたまぶたは、やがて雪解けのように力を緩めていく。
私の虜となった瞬間。それを確信し私は口元を僅かにつり上げる。
「あっ、あんたがオラを助けてくれただか……」
助けた? さあ、それはどうかしらね。
なにせあなたは、この後最後の一滴まで精を搾り取られるのだから。
そうなれば、待っているのは……ここに来る直前と同じ事。
私は黙ったまま、そっと男の頬に手を当てた。
男は再びまぶたを見開いた。あまりに冷たい私の手に驚いたのだろう。
私は構わず、もう片方の手を空いた頬に当てる。
そして軽く男の顔を持ち上げ、ゆっくりと、私の方から顔を近づける。
「んっ……」
軽く触れる唇。そして次はもっと長く触れる。三度目は舌を入れる。
突然のことに戸惑っていた男は、ただされるがままに舌を突き入れられる。
「くちゅ……んっ、ちゅ……くちゃ、んふっ、んっ……」
積極的に男の口内で蠢く私の舌。次第に男も私の求めに応じるかのように舌を絡ませ始めた。
僅かに互いの唇の隙間から白い息を漏らしながら、冷たい舌がなま暖かい舌に絡みついていく。
「あっ、あの……」
唇を放し立ち上がる私。男は手を突いて半身を起こしたまま私を見上げ戸惑っている。
何故こんな事を? 男は表情で私に訴えかけている。
「こんな寒い夜ですもの。暖め合いましょう?」
むろん、本気で暖まるつもりなど無い。むしろ男は更に体を冷やしていく事になるだろう。
335某880 掘り出し物〜雪女〜:2006/01/23(月) 23:33:35 ID:zqAuvT30
私は男を見つめたまま、帯をほどき、はらりと白い着物を脱ぎ落とした。
露わになる、私の肌。着物よりも白いその肌を、男は食い入るように見つめている。
いいわ、その視線。私に魅了された男の視線が、私の心を冷ややかに熱くさせていく。
私はゆっくりと男にしなだれかかる。
微動だにしない男。それでも何か話さなければと思っているのか、僅かに唇だけが動こうとしている。
私はその唇に、人差し指を当てた。
そして微笑む。
これだけで充分だ。
私は男の唇をくわえるように己の唇を軽く覆い被せ、そして舌をまた入れていく。
右手は男の後頭部をしっかりと支え、
左手は胸板から滑るようになぞるように腹、腰、そして股へと。
服の上から優しく撫でる。それだけで、男の「もの」の大きさが解る。
大きい。もしかしたら、今まで私が「食べた」男達の中では一番かも。
久しぶりの食事というだけでも私は興奮気味だというのに、こんな大きいものなんて……
私の口から溢れる唾液は、舌を絡めているだけが原因ではなさそうだ。
しかし焦ることはない。むしろゆっくりと、味わおうじゃないの。
私は軽く男の逸物を服の上から撫でている。それだけで男のこれは、ビクビクと反応を示している。
服の上からでも伝わる、冷たい感触。それが男の肉棒を熱くさせていた。
私は慣れた手つきで、左手だけでベルトのバックルを外し、そしてゆっくりとズボンを下ろしていく。
飛び跳ねるように、男の肉棒が露出し直立する。
私はその大きな肉棒を手でしっかりと握る。
冷たい感触に縮み込む男もいるが、この男は違った。
まるで私の手を溶かさんばかりに熱く熱くいきり立っている。
むしろ私の冷たさが良い刺激となり、更なる熱を帯びているかのよう。
握った手を、私はゆっくりと上下にしごき始めた。
ビクビクと脈打ち反応を示す肉棒。
たまらない。こんなに大きな物がいただけるなんて……
私は顔を放し、男のためではなく、内から沸き上がる喜びに耐えきれず微笑んだ。
そして私は微笑みの絶えないその顔を男から背け、後方へと向ける。
眼前には、改めて直視するそそり立つ肉棒。
たまらず、私はその肉棒にかぶりついた。
「んっ、んっ、んちゅ、ちゅっ……」
口に入りきらない肉棒を、私は出来る限り奥まで味わおうと、喉にこすりつけるようなディープスロートで攻め立てる。
336某880 掘り出し物〜雪女〜:2006/01/23(月) 23:34:06 ID:zqAuvT30
夢中になって気付かなかったが、私は男をまたぎ体を完全に入れ替えていた。
それはつまり、男の顔に自分の陰門を押し当てる格好。
男は私が何も言わずとも、その陰門、その上にある小さなアイスキャンディ、そして陰門よりあふれ出るフローズンカクテルを舐め始めた。
「んっ!」
思わず、私は喉にまで届かせている肉棒でむせそうになる。
上手い。この男、野暮ったい風体に似合わず女になれている。
突くように、突き入れるように、撫でるように、押しつけるように。
舌の強弱を使い分け、アクセントとポイントを外さない舌技。
そしてさりげなく使い始めた指。
尻を軽く揉み、そしてそっと菊門へと忍び寄る。軽く尻を広げ、そして焦らすように触れてくる。
おそらく、私が菊門をいじられることに悦ぶか嫌悪するか反応を確かめているのだろう。
私は吸い込みながら肉棒を激しく口内へ出し入れし、その答えとした。
男は答えを受け取ったのだろう。陰門に迫る舌と菊門に迫る指が激しさを増してきた。
これはとても良い拾い物をした。ここまでの男、街に降りたってそうお目にかかれるものではない。
普通なら3度、多くて5度も出せば果ててしまう男ばかりの中、
この男なら7度は楽しませてくれそうだ。
その間に私も3度は行けそう。
ああ、そうなるとこのまま口に出させてしまうのも良いか。
既に1度くらいは出していてもおかしくない程に攻めていながら、まだ太く長くなる男の逸物。
流石に顎が疲れてきた。私は両手で激しく擦りながら、先端を舌で攻める手法に切り替えた。
尿道を舌先で突くと、さしもの大男も声を上げる。
しかし次にはピチャピチャといやらしい音が響き、今度は私が声を上げそうになる。
そんな攻防をしばし続けていたが、二人とも限界が近づいてきた。
「出そう? いいわ、このまま出して下さいな」
丁寧な口調で余裕を見せようとしているが、おそらく余裕がないことを男は陰門の震えで察しているだろう。
しかし男も、私の手の中で脈を速めている。
「ほっ、ほら、出しちゃいなさい! ほら、ほらっ! んっ! あっ……はあぁ……」
まるで間欠泉のように、勢いよく飛び出される白濁液。
私は肉棒を引き寄せ、顔全体に浴びせていく。
男はそして、やはり顔に大量のフローズンカクテルを浴びていた。
「はぁ……ふふふ、沢山出ましたわね」
濃厚で大量の白濁液。口に残る粘りけの強さから、この男もまた私同様「ご無沙汰」だった様子。
なにより、衰えを知らないのがその証拠。
多少小さく柔らかくなったとはいえ、それは先ほどまでの大きさから比べての話。
ものの数秒もあればすぐに元の堅さを取り戻すだろう。
337某880 掘り出し物〜雪女〜:2006/01/23(月) 23:34:41 ID:zqAuvT30
「さあ、次はこちらにおいで下さいませ……」
私は向き直りまたぎ直し、膝で立ちながら指で陰門を開いて男に見せつけた。
するとどうだろうか。やはり肉棒はすぐさま硬く力強く直立する。
片手で陰門を開いたまま、私は片手で肉棒を掴み、両手を近づけていく。
「んっ……はあぁっ!」
久しぶりということもあってか……いや、それ以上にあまりの大きさに悦びの悲鳴を抑えることが出来なかった私。
「いい……こんなに、大きいだなんて……ん、中から、溶かされそう……」
熱く熱くいきり立つ男の肉棒は、氷点下という冷たさを持つ私の膣の中においても、衰えることはなかった。むしろより熱さを増していく。
私は夢中で腰を振っていた。むしろ熱さが心地良いくらい。
それは男も同じなのだろうか? 冷たい膣が刺激になり、興奮させているのだろう。下から激しく腰を打ち付けてくる。
「きもっ、気持ち、いい、わ……こんなの、初めて……ん、もっと、はぁ、んっ!」
男の手を掴み、私の胸へと導く。
男が私の胸を鷲掴み、私はその手に自分の手を重ねる。
腰も胸も、より激しさを増していく。
摩擦や男の体温。あるいは情事に向ける情熱か。
溶かされそうな熱気に、私は心地よさすら感じていた。
こんな男、初めて。
「い、もう、もう……んっ! あはぁ……はうっ! んっ、も、いっ、いく、いっちゃう……」
相手を3度逝かせても、私が逝けるのは1度くらい。良くて2度。それなのに、もう2度目に達しようとするなんて。
この男、惜しい。このまま全て搾り取るにはあまりに惜しい。
しかし残して置くわけにもいかないだろう。
私が止まらないだろうから。全てを絞り尽くすまで。
「あっ、はあっ! んっ、いき、いき、そう? あなたも、いって、ね、いっしょ、いっしょ、に、んっ!」
後のことは良い。私は今を、この悦楽を、頂点まで登り詰めることしか今は考えられない。
「いく、いく、いく、いく、いっ……んっ、ああぁ!」
ピタリと、二人腰の動きが止まる。
代わりに、二人は全身をビクビクと痙攣させていた。
冷たい膣の中には、熱い白濁液が大量に流れ込んでいた。
私は倒れるように、男の上に覆い被さった。
そしてしばし余韻を愉しむ。
が、繋がったままの二人は、少しずつ、少しずつ、うねるように動き始める。
「まだ……まだですわ。今宵はこのまま、二人溶け合いましょうぞ……」
唇を重ね、舌を絡め、腰は動き、そして音を立てる。
至福の時はどれだけ残されているだろうか。
それを考えるよりも、私はただこの男をむしゃぶりつくす事だけが全てを支配していった。

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338某880 掘り出し物〜雪女〜:2006/01/23(月) 23:35:33 ID:zqAuvT30
「んっ、もう……もう……」
なんということだろう。
こんな事、信じられない。信じられるはずがない。
しかし現実はこうして、状況を生み出している。
「ゆっ、ゆるして……もう、腰が……」
動かない。もう自ら動く力は残っていなかった。
力無く寝そべる私に、男は私の両足を軽々と持ち上げながら腰を振り続けていた。
こんな事があり得るのか?
男の精を吸い尽くす私が、吸い尽くせぬとは。
流石に男も疲れが見えてはいるが、それでも私に比べれば元気なもの。
何より、私の膣で大きくなっている肉棒はそのありあまる精力を象徴している。
男はあれから3度は逝った。しかし私は、その3倍は逝かされた。
出す度に逝きづらく長持ちするのは解るが、それにしてもこの男は……あまりにもタフだ。
一言で言うなら、そう、「絶倫」というものだろうか。
「おねがい……なんでも、なんでもするから……ゆるして……」
ついに私の方から許しを請うてしまった。
このままでは、暴飲暴食。精を食い尽くしすぎてお腹を壊すようなもの。身体がどうにかなってしまう。
原因は解っている。長時間交わい続けたことによって帯びた熱。
人肌程度ならさして問題にはならないはずだが、長時間火照った身体と肌を重ね続ければ、徐々に私の体力、つまり冷気も奪われてしまう。
なかなか果てない男に私の方が先に参ってしまうとは。
「ほっ、本当に何でも言うこと聞くだか?」
強い訛りで、男が尋ねてきた。
「きく、なんでも、きくから……」
ぐったりしながらも、しかし身体は快楽に打ち震える、まさに地獄極楽同時攻撃に思考も参り始めていた。
「なら、おっ、オラの嫁になってくれ」
嫁?
何かが、心の奥で何かが、ざわめき始めた。
「オラ、こんなに付き合ってくれた女初めてだ。べっぴんさんなのに、すごいべ」
私もこんなにされたのは初めて。
私達、相性良いのかな……私は何を考えているんだ?
「冷たい身体も、気持ちいいべ。オラ、あんたに惚れただ! なぁ、嫁になってくれ、オラのものになってくれ!」
ものになる……この男のものになる……
何かぞくりとくる、それでいて心地良い感覚。
私は、喜んでいるのだろうか?
「ああ……なります、あなたのものに……だから、あぁ! もう一度だけ、逝かせて下さい……今、今もう一度だけ、逝きたいの……」
もうダメだと思っていたのに。許してくれとまで言ったのに。
私は今、この男を……夫を……心から求めている。
「ああ、逝くだ! オラもこれが限界だ……」
激しくなる腰の動き。私も残った力を振り絞り、微力ながら腰を動かし始めた。
この先、これまでに感じたことのない快楽が待っている。それを直感させるから。
羨ましいと思っていた。山を下りられる勇気を持った仲間達を。
私は雪女としてのプライドが邪魔をして、山にしがみついていた。
そんな私でも、伴侶に巡り会えるなんて……。
「ああ、あんたぁ……いく、いくわぁ、んっ、はあぁ! いく、いく、あんたぁ! あっ、あんたぁ!」
今までに感じたことのない悦楽。
力尽き脱力するこの虚脱感と、そして何度も逝かされながらも痙攣する膣。流れ込む白濁液。
そしてなにより、私を最後まで満足させられる男と、その男のものになたという心地良い束縛感。
私は痺れる幸福を感じながら、意識を閉ざしていった。

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339某880 掘り出し物〜雪女〜:2006/01/23(月) 23:36:05 ID:zqAuvT30
結局、私は山を下りなかった。
理性を取り戻した私は、当然のように雪女としてのプライドも持ち直していた。
そんな私が山を下りる決意をするなど、考えられない。
けれど……プライドの高い私が、約束を反故にするのはもっと考えられない。
「今帰っただ」
獲物を手に、帰ってきた。
私の夫が。
「お帰り、あんた。今日は随分と大量だね」
夫が仕留めた鹿を、早速自分の食事用の食肉と、街で売る毛皮と頭部に分け始めていく。
私はそれを、じっと座って見つめていた。
私と夫が選んだ結論。それは我が家で夫と暮らすこと。
そもそも夫は山男。人里離れた山奥で暮らすのに問題は始めから無かった。
夫は自分の食料を狩りで賄い、私は夫から食料を賄った。
特に娯楽のない山奥。しかし私達の娯楽、いや快楽は、夜に訪れるのだからその問題もない。
お互いに最高の環境とも言えるかもしれない。
「ねぇあんたぁ……」
私は甘えるように、夫に、毎日飽きもせず何度も口にした言葉をまた言って聞かせた。
「私幸せだよ。あんたのおかげで」
340某880 ◆/Mgq/8agL6 :2006/01/23(月) 23:38:51 ID:zqAuvT30
以上です

結局甘ラブかよw ツンデレってわけでもないしね。
男視点なら、雪女の冷たさとかもっと表現出来てちょっとは人外要素を増すことになったのでしょうが
この話だと、女性視点でないとつまらないと思い、
人外要素が無くなるのは承知しながらも女性視点で書かせて貰いました。
また、男の一人称を「オラ」にして、訛りっぽくしましたけど
これで萎えちゃった人申し訳ないです。
いや、なんか「俺」でも「僕」でもしっくりこないので、「オラ」にしましたが、他に妙案あったかなぁ。

ともかく色々ありますが、それでも楽しんで貰えれば何よりですが、どうかなぁ。
341名無しさん@ピンキー:2006/01/23(月) 23:57:36 ID:QQHH0B2i
某さんGJ。

まんが日本昔話みたいな時制だと思っていたら今年のことですか。
342名無しさん@ピンキー:2006/01/24(火) 01:21:03 ID:IN6aar+V
某880氏、GJ!
冷凍膣イイ

俺も341同様に思いますた
エロイ昔話だと読み終えてから、読み返してw
343名無しさん@ピンキー:2006/01/24(火) 12:05:52 ID:q6Mt2kW1
344名無しさん@ピンキー:2006/01/24(火) 21:42:05 ID:E1KOn+hL
>>340
GJ!
氷の中に突っ込んだら冷たくてセクロスどころじゃなさそうだけど
それでも搾り取る雪女さんはものすごい名器なんですかね
345名無しさん@ピンキー:2006/01/24(火) 23:47:19 ID:Pjuhagtn
下山して云々はつらら女のことですね?

雪女というと、GS美神のエントロピー女、周囲のエネルギーを吸収するので周りが寒くなるというあれを思い出しました。
346某880 ◆/Mgq/8agL6 :2006/01/25(水) 00:23:06 ID:ZP2mAe9+
GJ下さった皆様、ありがとうございます。

>まんが日本昔話みたいな時制だと思っていたら今年のことですか。
>エロイ昔話だと読み終えてから、読み返してw
そうですね、その方がしっくり来る話だったですね。
もうちょっと練り込まないとダメですね。反省。
つか、むしろヘタに時事ネタいれようとかしなければ
上手くごまかせたかも知れないのに…
ちくしょう、俺にはペガサスキバヤシは現れてくれないのかよぉw

>下山して云々はつらら女のことですね?
かどうかは、あなたの心の中次第w

次、またここの流れで思いついたり、新しいネタ思いついたら投下に来ます。
同じ「某」が付いても、某作者さんみたいに大作は書けないんで
こまめに小ネタで押してきますよ、俺は
347宇呂田太郎と幽霊女 ◆vgBzY98qrU :2006/01/25(水) 11:00:01 ID:YnEjF4qh
「伊藤アンギラス先生!ちょっと聞いてくださいよ。実は僕なんか取り憑かれているみたいなんですよ。
ええそうですよ、そうですよ幽霊にですよ。いや、ホントですって、ホントにホントのホントでで

───ビリィッ!!

誤字をしたところで手紙をポポイと破り捨てた。というかなんだあの内容は。
「駄目ですよ宇呂田さん。紙を無駄にしちゃ…」
ああ…今日も今日とて…いるはずのない女の声がする。コイツが噂の幽霊だ。半年も一緒にいると、もう怖くもなんともない。
そうだ。そもそもあんなインチキ霊能力者の番組に手紙なんて書く羽目になったのはこいつのせいじゃないか。
なんだかむかついてきた俺は少しばかり意地悪をしてみることにした……
決して暇だったからとかそんな理由にならない理由からじゃない。遊びじゃないのさ。
手始めに、女の言葉を無視して、ポポイポイと高級ティッシュを千切っては投げ千切っては投げ。
この極悪非道には地獄の鬼でも震え上がってしまうだろう。まさしく鬼畜の所業。
「あの〜宇呂田さん?聞いてますか?」
あれ、なんだ平気じゃないか。こいつの精神面での強さはHBKをも凌駕するぜ……
仕方ない、これだけは使いたくなかったが……俺は古来より伝わるいじめの基本かつ究極の技、無視を使うことにした。
「ああ〜どうして目をそらすんですか…」
なんか膝から下が消えている三角頭巾に死に装束姿の女が視界の隅でわめいてるが、気のせいだ。うん。そうだよね。そうだとも。それにそもそも足のない女に用はねえ。
女性の足って素敵だと思うよね?舐めたい、嗅ぎたい、踏まれたい。男として生まれたからには誰にでもある当然の欲求だろう……え?ない?そう。まぁいいや…
「宇呂田さーん?わぁ〜っ!わぁ〜っ!」
なんのつもりか必死に両手を広げて存在をアピールしてくる死に装束。君はジラース、もといエリマキトカゲかなんかですか?
「お、おばけだぞ〜たべちゃうぞ〜」
ゴジラの再利用は効果がないと悟ったのか新たな手段でアピールしてくるが、まったく意味が分からない。
相手にしてられないぜ、とばかりにCOOLかつ俊敏な動作で俺は立ち上がる。
「う…宇呂田さん?……」
不安になってきたのか声に戸惑いが混じりだす。
思ったとおりの反応を返してくれて楽しい。
……でも少し可哀想になってきたからそろそろ切り上げるとしよう。これでクライマックスだ。
俺は黙って出かけようとした。
「ま、待ってください…」
俺を引きとめようと幻女は抱きつくように手を伸ばすが、その手は俺をするりとすり抜けてしまい、
「ひゃッ……」
女は物理法則に従って畳に突っ込んだ。情けない声をあげながら。
348宇呂田太郎と幽霊女 ◆vgBzY98qrU :2006/01/25(水) 11:16:08 ID:YnEjF4qh
そう。前にも言った通り彼女はウン百年物の幽霊だ。本人が言ってたから多分間違いないだろう。当然のことだが、彼女に身体はなく、程度の低い霊だから、自分から実態のある物に干渉することは出来ないらしい。本人が言ってたんだから間違いない。
で、その低級死に装束は這うように女の子座りになると、その両手をじっと見つめ…

「ぐすっ……うぅっ…」

しまった。やりすぎた。
そう判断するや否や、謝りに行く。さすが俺。紳士の鑑。英語で言うならみらーおぶじぇんとるめん。
「う…うろたさ………な…で、無視するんですか…」
ウン百年幽霊やってると言っても、見た目は15、6の可愛らしい小娘。そんなのに泣かれたら、やっぱり申し訳なくなる。というか、こっちが悪いし、反省しよう。
「いじわるですよ…うろたさん……いじめっこです…」
こけたときに乱れた服の隙間から、控えめな胸がちらちらと見える。
死んでるからか、すこし儚げな印象を与える白い肌。ところどころピンク色になってるのがそそる。
いやね、反省してるといってもね、いくら相手が死んでるっていってもね、可愛い女の子に泣きながらいじわるなんて言われたら、もっといじめたくなるのが人間の性というヤツ…え、違う?まぁいいや。
ゆっくりと近づいていき、かがんで女の目線の高さに合わせる。
「う…うろたさ…ぁむぅっ…」
只ならぬものを感じ取ったのか、何か言いかけた口を、乱暴にキスで塞いだ。あっちからは触れられないけど、なぜかこっちからは触れられる不思議。世界は謎で満ちてるぜ。
そんなことを考えながら、無理矢理に舌を侵入させる。
「ん…ちゅっ……うぅん…だめぇ…んん……ん…あふぅっ」
おばけ少女は逃げようと抵抗するが、しっかりと抱きしめて逃がしはしない。
歯の一本一本を舌で掃除するように、じっくりと口の中を犯す。
「ん…だ…んん…ちゅうっ…めぇ…はむぅ…ん…」
抵抗は段々と小さくなり、すぐにふにゃふにゃな顔になった少女の方から求めてくる。ムフフ。愛いヤツよ……
舌を絡ませ合いながら、ゆっくりと押し倒していく。
「ん…はふぅ…ちゅ…ううん………ぷはぁ」
口を離すと、物足りなさそうな顔でこちらを見つめてきた。
「う…うろたさん……いきなり……な…なにをするんですか…」
ふにゃふにゃになってるくせに、生意気にもそんな言葉を吐いてくる。
「あっ…だ、だめぇ……そんな…とこ…」
裾を開いて、すでに濡れ始めている秘所を優しく撫でてあげる。
死んでるくせにずいぶんとエッチなことだ。
「だ…だって…宇呂田さんが……ひうっ!」
言い訳しようとする悪霊はクリをいじめて思いっきり気持ちよくしてあげなさいと言う祖父の遺言に従って行動する。いや、そんなこと一言も言ってなかったけど…
「ひっ、やっ…だめっ…あっ、んん…こねちゃだめぇ…あっああんっ」
腰をビクビク震わせてイキまくる女幽霊。そういえば最近してあげてなかったからなぁ…いやらしい幽霊にはつらいものがあっただろう…
「そ……そんなこと…きゃううっ!!」
即座に反省して実行に移す俺。さすがみらーおぶじぇんとるめん。
身体もないのに毎晩下半身がうずいて眠れないエロ幽霊を満足させてあげるべく努力する。
「やっあっうううんっ…なっないでふぅ…そ、なことありませ……うんんっ、すっちゃ…だ、だめぇ……」
まったく…毎晩毎晩君がなにしてるのか、気づいてないと思ってるのかね?
「し、してな……ひとりで…ひぅっ!…えっちな、ことなんて…してな……」
頭の中がピンク色になってきたらしく自分でも何を言ってるのか分かってないようだ。
しかも自分からバラしてるくせにまだ嘘をつく。
まったく……どうやらこの幽霊痴女は少しばかり懲らしめてやる必要があるみたいだ……
349宇呂田太郎と幽霊女 ◆vgBzY98qrU :2006/01/25(水) 11:25:11 ID:YnEjF4qh
「や…やだぁ…こんなの…」
鏡の前で脚をV字に開いた状態で縛り上げて吊るしてあげた。元からぷかぷか浮いてたから特に苦も無い作業ではあった……しかし通販で衝動買いしたしめ縄がまさかこんなことで役に立つとは…
「宇呂田さん……やです…こんな…」
恥ずかしそうに顔を背けるエロ幽霊だが、上の口と違い、下の口はもっともっととおしりの穴まで涎をたらして欲しがっている。
顔を押さえつけて、しっかりと鏡で自分のそこを確認させる。
スケベを自覚してもらわないとお話にならない。
「ぁ…うろたさ……うぅん…」
片方の手でお尻をほぐしながら、もう片方の手で、物欲しそうにヒクヒク動くそこを撫でる程度にいじってあげる。
嘘ばかりつくえっちな小娘にはこれ以上はあげられない。
「やぁぁ……いじわる…こ、こんなの…がまんんっ!」
しかし、あまり意地悪意地悪と言われ続けるのもどうかと、優しさを見せつけてあげるためゆっくりじっくり、決してイカせにように指を出し入れしてあげる。
「う、うろたさ……やぁ…おねが…おねがいだからぁ……」
だから夜な夜な自分が何をしているのか教えてくれればいくらでもしてあげるというのに…
「だから…なにも、うんっ…してませ…んって……」
ここまで来てもまだ意地を張り続ける強情幽霊。
仕方がないから長期戦覚悟のスペシャルメニューでがんばってもらおう。
「な…なんですか…それ…」
まぁスペシャルと言っても別にそんなにびっくりするほど特別なことをするわけじゃない。
ただこのまま認めるまで決してイカせたりせずに、写真とって心霊番組に送りつける。
そして伊藤アンギラス先生に「これは、毎晩毎晩オナニーばかりしてるエロ幽霊です。R指定の幽霊です。史上初です。多分今もこの番組を見て股間を熱くしていることでしょう。」
という歴史に残る心霊写真鑑定をしてもらうという、天才以外の言葉が見つからないスペシャルジーニアスな企画である。
脳みその代わりに杏仁豆腐でも詰まってるんじゃないだろうか?
「あっ、やぅ…うぅん…そ…そんなの…」
それでもまだ白状しないので、お尻をいじってた手をやめ、死に装束の手をとり、俺のモノに触れさせる。
「ん…やぁ…ビクビクしてる…」
このまま意地を張って、また毎晩ひとりでするのがいいか、それとも素直に認めちゃって、これでいじめてもらいたいか、どっちか選ばせる。というか後者を選んでもらわないと俺としてもつらいものがある。
スペシャルメニューなんて選ばれたらその間俺も夜な夜な一人フィーバーだ……あぁよみがえる青春…
「う…ううぅ〜…そんなの…そん、ひゃうぅ…うっ…あんんっ…」
決断を急かすように、激しく自己主張するクリを、触れるか触れないか程度にいじる。
「なっ、あぅん……して、な…そっ…ううぅん…なこと……ひっやっあっあああぁっ…」
だんだんとクリをいじる勢いを増していく。
「っやっ…あぁっん、だ、だめぇ…うろたさ、だめっだめぇ……きちゃう…きちゃ……やぁぁ…やめないで……やだぁ…もうつらいの……ぁんんぅ…し、してます…わたし…まいばんおなにーしてる……えっちなこです…だから……してぇ…さいごまで……んっやぁっっあああっ!」
紳士の鑑たる俺が約束を破るわけもなく、正直に答えた良い子には自慢の息子を味合わせてあげる。
「うろたさ…そこ…おしりっあっ、んぅうっえっ、だめぇ……そんなの…いれちゃだめぇぇ!!」
きゅうりを持ち出すと、ためらうことなく、彼女の前に入れる。
「あっ!やぁっ!ゴリゴリして、まえも……うしろも…すごい……んっ、ああんっ!んっ、ふぁっああっん……やぁ…なんかいも…なんかいも…んっ…やぁぁあああぁっっ!!!!」
彼女がイクと同時に、中に精を放つ。
「あ…んんおしりに…あつい…よぉ……」
多分、彼女を見ることの出来ない人が見たら、鏡の前できゅうり片手に一人射精する変態でしかないだろう。俺だったら通報するね。
そんなことを考えていると、幽霊が縛られながらもがんばって腰を動かしてきた。
「う…うろたさん……も、もっとぉ……」
女幽霊の懇願を聞きながら、抜かずの二戦目を開始した。
350宇呂田太郎と幽霊女 ◆vgBzY98qrU :2006/01/25(水) 11:32:19 ID:YnEjF4qh
事が終わった後、彼女はまた泣いてしまった。いや、うん当然か……
「ぐすっ…ひど、ですよ…宇呂田さんあんな、の…いれるなん…て…」
えんえんと泣き出す少女の頭を、小さい子を慰めるかのように撫でてあげる。
あーよしよし泣かない泣かない…ほら、いいこだから泣き止んで…
「なんですかぁ、それぇ……わ、私のほうが……お姉さんなんですよ…」
見た目15、6歳の小娘に言われるのはなんかアレな気分だけど仕方ない。相手はウン百年も幽霊やってられるお方だし。
で、ふざけるのも大概にして、誠心誠意謝ったわけですよ。そらもう俺の方が全面的に悪いんだから当然ですよ。腹を切らんばかりの勢いで謝りました。
この娘も優しいのか馬鹿なのか知らんけど、すぐに泣き止んで、許してくれました。ホントいい子です。大好きですこういう子。
でもね、よく分からないのがこの年頃の娘の反応。泣き止んだと思ったら怒り出すんですよ。いや、まぁ誰でも怒るだろうけど……
はい。しっかりと正座して聞きましたよ。今度は俺が泣きそうでした。

叱られ続けること実に二時間。
「……ところで宇呂田さん…私の名前覚えてますか?」
怒りながら唐突にそう切り出してきたおばけ女。
そういえば今日は一度も名前呼んでないしね…
まさか名前忘れたと思われるんだろうか……
とりあえず、あの焼きそばみたいな名前だろ。と挑発するような答えを返すと、
「せめて、うどんかおそばにしてほしかったです…」
むぅと拗ねたように怒ってくるわけです。素直すぎるほどに素直な反応が返ってきて面白くて仕方ない。
……いや、覚えてますよ?いくらなんでも名前くらい……
「宇呂田さんはいつもそうです。ふざけてばかりで…」
それは君の反応が素直で面白すぎるからだ、とはまた泣き出しそうなので言いません。
代わりに、
「月見」
と、しっかりと名前を呼んであげる。
すると、欲しかった玩具買ってもらった子供みたいに嬉しそうな顔してですね、
「はいっ、なんですか?」
って返事してくるんですよ、こんな素直で可愛い反応されたらもう我慢できません。
ついついそのまま押し倒してしまって………
いや、あの、聞いてますか?そんな霊に憑かれてるんですけど。相談に乗ってもらえないでしょうか……
351宇呂田太郎と幽霊女 ◆vgBzY98qrU :2006/01/25(水) 11:37:27 ID:YnEjF4qh
───────
自分の生活を他人に明かすのは正直恥ずかしいが、この際仕方のないことだ。私は正直に告げ、伊藤アンギラス先生の返答を待った。
長い沈黙が場を支配した。
「うん…帰れ」
沈黙を破ったのは、伊藤アンギラス先生はさわやかな笑顔で私に告げた短い返答だった。


お礼を言ってアンギラス先生のお宅を後にする。
テレビで有名な伊藤アンギラス先生なら、私の悩みも解決してくれるかと思ったが、どうやら無駄骨だったようだ。
「仕方ないですよ。あの先生、私のこと見えてなかったみたいですし…」
そう。アンギラス先生は周囲で存在をアピールしまくる月見の存在にまったく気付いてはいなかった。ようはインチキ霊能力者。とんだ0能力者だ。
「でも宇呂田さん………そんなに……私と離れたいですか?」
突然、悲しそうに月見が言ってきた。
そんなわけがないと答えておく。
「……じゃあ…どうしていつもああいう人の所にいくんですか…」
私が霊能力者と言われる人を訪ねたのはこれが初めてではなかった。かれこれ十何人……しかし一人として私の悩みを解決することは出来なかった。
それどころか私の悩みを最後まで聞いてくれたことすらない。これだからあの手の連中は………
とりあえず月見には有名な霊能者が本物かどうか確かめたかっただけ、と言っておいた
何か言いたいことがありそうだったが、それでも、
「やっぱり……宇呂田さんはいじわるです…」
月見は拗ねたようにそう呟いただけだった。なんだか少しだけ申し訳ない気持ちになったけど……
いやね、でもね、言えませんよさすがに………君に足を生やす方法を探しているなんて、恥ずかしくて無理です。
352光線銃 ◆vgBzY98qrU :2006/01/25(水) 11:57:21 ID:YnEjF4qh
お久しぶりです。


パソコンって火を噴くんですね。ちゃんと掃除をしろと言われきた意味がやっと分かりました。


今回はバカップルです。もう馬鹿です馬鹿。
文章がすべってるのは仕様です。そう感じたら、そういうことにしてください。
一人称が場面場面で違っているのは、宇呂田の立場が変わっている為です。


ここも本編も相変わらずぐだぐだですが、読んでくれる人がいることを祈ってます。
353名無しさん@ピンキー:2006/01/25(水) 15:36:06 ID:Jyun58HM
GJ!!
なんだろう‥‥俺こういうぱやぱやしたの好きだ‥‥
354名無しさん@ピンキー:2006/01/25(水) 16:21:13 ID:kH/XOBLp
俺も大好きだ。
355名無しさん@ピンキー:2006/01/25(水) 18:20:22 ID:hDtuIxbb
俺も大好きだ
356名無しさん@ピンキー:2006/01/26(木) 00:07:40 ID:wvD0Lckr
・・そこまでして踏まれたいのか!?w
面白かったです
357名無しさん@ピンキー:2006/01/26(木) 04:56:20 ID:F5fPEazn
シンプルな幽霊の女の子ネタって久しぶりな気がする。
いい感じにエロラブコメでGJ
どっかの妖精学者氏なら相談に乗ってくれそうだw
358名無しさん@ピンキー:2006/01/26(木) 11:21:27 ID:/luWam0D
いつものように「おはよう」と彼女は微笑む
最近は雪の日が多いからバスに乗ることが多かったから朝は会えなかった
久しぶりに見た彼女は少し寂しそうであった
大丈夫かと聞く、まだいけるよ、と彼女は応える
僕はいつものようにそうか無理すんなよって言う
そんな話をしながら僕は彼女を押していつもの坂をのぼる
もう限界が近いのは分かっている、一歩一歩進むたび彼女が悲鳴を押し殺しているのが分かる
一度始めたら急には止まれない彼女を愛おしく思いながら僕は少しずつブレーキをかける
「じゃあ部活終わるまでまってるね」
その笑顔に何度癒されたか
「いいよ寒いから」
その姿に何度助けられたか
「大丈夫、私こう見えて我慢強いの」
その言葉を何度聞いたか
「知ってるよ、ありがと」
知ってるよ、体中傷だらけなのに文句も言わない君を
「えへへどういたしまして」
そんな彼女の健気さに何度も何度も心をうたれながら、僕は後悔する

「遅れてゴメン」彼女は俯いていたが僕の声を聞いて笑顔でこたえた
遅いよ〜、とグチる彼女を笑っていると、後ろから声がした
「おまえ何1人で笑ってんだ?そんなに自転車におかしなことでもあったのか?」
359名無しさん@ピンキー:2006/01/26(木) 13:23:04 ID:SuxC9CBO
かわいそうなやつだな
360名無しさん@ピンキー:2006/01/26(木) 16:01:40 ID:5GO0Y21T
自転車のつくも神か・・・なんかほのぼのするな
361名無しさん@ピンキー:2006/01/26(木) 16:34:53 ID:gE4+nT4k
今夜はポエジックナイトで?
362名無しさん@ピンキー:2006/01/26(木) 16:35:54 ID:FDzWPtV6
九十九神って・・・今風に言うと擬人化だな。
363名無しさん@ピンキー:2006/01/26(木) 17:12:52 ID:xQfq4NRO
昔から日本人は変わってないってことだろ
364名無しさん@ピンキー:2006/01/26(木) 20:39:12 ID:viWMuvB+
日本の心『擬人化』…
365名無しさん@ピンキー:2006/01/26(木) 21:06:36 ID:siwiB4hI
>364
つ[人類共通アニミズム]
366名無しさん@ピンキー:2006/01/27(金) 22:25:05 ID:Iaupvcaf
フジテレビ系本日深夜2時50分から「ジャック・フロスト」って映画が放送されるみたいだね。
どんな映画か知らないけどタイムリー(やや遅れ)だったのでチェックできる方はどうぞ。
367名無しさん@ピンキー:2006/01/27(金) 22:29:49 ID:EIg/PYAP
ヒーホー
368ういんぐ:2006/01/28(土) 22:25:22 ID:CyLmWljz
始めましてo(^-^)oちょっと噂を聞いて来ました〜

その日僕は缶ジュースを買いに自動販売機のある小道を歩いていた。ちょうど販売機の前まで来たときだった、唐突に雪が舞い始めたのだ。
「・・て・くれますか?」それは本当に小さな声だったが、確かに聞こえた。僕が振り返ると、そこに居たのは僕と同じ歳くらいの少女だった。耳をすましてよく聞いてみると、
「温めてくれますか?」
と言っているようだ、僕はそのころ噂になっていた雪女の話を思い出し、とっさに逃げようとしたのだが、逃げようとすれば凍らされるという噂が脳裏に浮かんだ
369名無しさん@ピンキー:2006/01/28(土) 23:03:27 ID:WwSJgozR
>>368
で?まさか抱き抱えた雪ん子に火の着いた煙草を押し付け
ながらあやしたなんてネタじゃあ…
370名無しさん@ピンキー:2006/01/28(土) 23:13:48 ID:pJQ2OrSf
>>369
それなんてwourd4u?
371名無しさん@ピンキー:2006/01/28(土) 23:40:44 ID:l9rYkCz4
バカぁ、なんでお約束の
「体の内側から熱くしてやるぜげっへっへ」
が出てこないんだ?
372ういんg:2006/01/28(土) 23:45:25 ID:mcO+ejmc
>>369
ハハハwまさかそんなジャン○じゃあるまいしw

僕は踏みとどまり彼女を真っ直ぐに見た。その一瞬で僕の恐怖心はなくなった。
彼女は泣いていた。雪の中をただ一人彷徨っていたのだ、耐えられるはずがない。
僕はそんな彼女のことが悲しく、そしてたまらなくいとおしく感じられた。
彼女を助けたいという感情にかられ、
「どうすればいい?」
と問いかけた、しかし、彼女は困った顔をするだけで何も言わない。

僕は思い切った行動に出ることにした、一歩前に踏み出し、彼女の手を摑んだ、
彼女の手は氷のようにとまではいかないがヒンヤリと冷たかった。
そのまま彼女の手を引き抱きしめた。彼女の瞳から流れる涙は、量を増し幾筋も
彼女の頬をつたった。泣き崩れる彼女を支え、さらに強く抱きしめた。
彼女は嗚咽を漏らしながら、何度も、
「ありが・・とう・・・・・・・ありがとう・・・・・」
と言っていた。
次第に雪も弱まり、彼女は泣くのを止め、僕の胸から顔を離し、微笑んだ。
その笑顔は雪女として恐れられているような女の顔とは思えないほど、
晴れ晴れとした笑顔だった。
そのまま上目遣いで僕を見上げ、そっと目を閉じた。
373ういんぐ:2006/01/29(日) 00:29:41 ID:InDzxy1y
ヘタクソでスマソm(_ _)m

なんか微妙ですねw
374名無しさん@ピンキー:2006/01/29(日) 01:41:57 ID:l0t4B5HZ
何も言うな。
言葉の裏から迸るエロスを感じているぞ。

でも、続き書くなら小間切れじゃなくて纏めてがいいな。
375ういんぐ:2006/01/29(日) 02:19:00 ID:InDzxy1y
唇が触れ合ったとき、何かが僕、いや俺の中で変わった気がした。
もう、考えるのはこの少女をどうするかだけだった

彼女を無理やり抱きかかえる、
「え?・・・な・何するんですか?」
驚く彼女などお構いなしに、家まで連れ帰った。
それからが本当の意味で始まりだった。

「名前は?」
俺は素朴な疑問を口にした、
「その・・・・笑わないでくださいね?」
何に笑うんだ?と思いながらもうなずき返し、返答を待つと、
「は・・・春那です」
なんて答えが返ってきたので、思わず笑ってしまう。雪女なのに春那・・・アリエナイw
「あぁ!笑わないでって言ったのに・・・・(泣」

本気で泣き出す春那を泣き止ませるのにかなりの労力を使っただろう・・
「悪かった、笑って悪かったから、泣かないでくれ・・・」
コイツには冗談は通用しそうにないなと認識し、彼女の頬に手をあて、眼差しを向ける、
もう一度キスをする、
「あの・・・・初めて・・・だったんです・・・・・」
顔を離して最初に春那が言った言葉だった、別に何もおかしいことはないのでそのままスルーして
もう一度、もっと奪うようなキスをする。
「はぁ・・・・はぁ・・・・・・・・」
苦しそうな吐息、それを聞いただけでもう俺のアドレナリン分泌量は激増する。
頭を抱えてベッドに押し倒す、瞬く間に春那の表情は不安が支配する。
「大丈夫、優しくするから」
そんな悪魔の言葉をささやき、そっと白い服に手をやるのだが、彼女は俺の手を握って話そうとしない、
キスもしたことがないのだ、もちろん処女だろう、やはり抵抗があるようだ。
しょうがないので、俺は引越し用のビニール紐で春那の手首をグルグル巻きにして
身動きが取れない状態にした
「そんな・・・・だ・・め・・・・・です・・・・」
顔を真っ赤にして拒絶する彼女にさらに欲情する俺。今なら最低人間コンテストでも
優勝できるかもしれないw
もっと春那の恥ずかしがる顔を見たい、もっとメチャクチャにしたい、そんな感情が
渦巻く、もう止まる必要なんてないだろう。
服を剥ぎ取り生まれたままの姿にする、服が絡まりさらに手は動かなくなり、
いよいよ瞳に涙を溜めて懇願する春那
「無理やりなんて・・よくないです・・・」
最高だ。形の良い胸に手を当てただけで
「ひゃんッ・・・」
なんて声を出す。もっといじめたい
376ういんぐ:2006/01/29(日) 02:20:51 ID:InDzxy1y
手に少しずつ力をいれ、胸をもみしだいていく、
そのたびに春那は切なそうな声を出して目に涙をためる、
今度は下のほうに手を伸ばして、敏感な部分に触れてみる、さっきよりも反応が良い。
だんだんと奥に入ってくる俺の指の感覚に、春那は戸惑うばかりでもう抵抗すらしなくなった、
春那の大事な所はもうグッショリと濡れていた、
「もう、いいかな」
俺の言葉に反応し、春那はまた表情を曇らせるが、気にせずに俺は自分の物を
春那のソコに押し当てる、
「!?・・・・ぁ・・あついです・・・・・」
不安そうな声でそう言う春那に
「暖めてあげるよ」
と言って俺は自分を押し進めた
「あ・・・・ああ・・・・・・・」
春那は自分の中に侵入してくる異物に困惑しながらも、すでに感じ始めているようだ
それなら話は早い
半分ほど入ったところで、何かに当たった、やはり処女だったようだ
処女の雪女など珍しいな、いや雪女というより雪少女だな、などと思いながら
一気に奥まで貫く
「ァァ!・・・・・い・・・・痛い・・・・」
眉を寄せて俺に訴えかけるが、もう入ってしまったのだから気にしない、
だが、さすがに初めてなのだから、動くのはもう少し待ってやることにして春那の体を抱き起こす、
「ぇ?・・は・・・・・うぁ・・・・」
体重がかかりさらに奥に入ってしまったようだ、もう先っぽは子宮口に当たっている
「どんな感じ?」
耳元でそっとつぶやくと、春那はつらそうに、
「く・・苦しいです・・・・それに・・・・・熱い・・です・・・・」
と言って体を浮かそうとするが、俺が強く掴まえているため、動けないようだ、
もう入ってしまったのだから大丈夫だろうと思いビニール紐をほどいてやると
手を俺の首に回してきた、離れる気はないらしい、
こうなるともうラブラブな恋人のようだ、
「動くから」
俺は春那の体を少し上げ、一気に降ろした
「んぁぁぁ!!」
春那は反り返りながら痛みと何かが混ざった声を漏らす
愛しくて仕方がない、その思いだけで何度も春那の奥を貫く
俺は小学生のように愛しいと言う感情をいじめたいという感情に変換してさらに責め立てた
「んぁぁ!・・・・ぁあぁ!!・・・・」
だんだんと春那の声から痛みが消えてきた、
ギチギチに締め付けてくるため、こちらはもう限界寸前だが、春那がイクまでは
我慢することにする

「ヘン・・・です・・・わた・・し・・・・・おかし・ぃんです・・・・」
何度も突き上げているうちに春那は初めての感情に戸惑いを隠せなくなってきた
もうすぐ春那はイクだろう、我慢するなどと言いながらもう限界だった俺は
さらに突きを強くする、
「んぁぁぁ!!・・・・・わ・・・た・し・・・私・・・・溶け・・・ちゃいます・・」
最後の最後と言わんばかりに俺は一番強く突き上げて奥の奥に
自分の精液を吐き出した
「・・・・ぁぁ・・・・・あぁぁぁ!!」
俺が精液を出した後すぐに春那はイッたようだ、
春那を抱きしめてしばらくは余韻に浸っていた。
377ういんぐ:2006/01/29(日) 02:21:28 ID:InDzxy1y
翌日春那は朝から怒っていたようだ、あんなことを無理やりしたのだから
当然と言えば当然だ、むしろ逃げなかったのが奇跡に思える、
「初めてだったんですよ・・・・それなのに・・・あんなに・・・・」
夜のことを思い出し春那は頬を赤らめて恥ずかしがる、
それだけで俺はまた春那をいじめたくなる、愛したくなる。

数日たって、春那は自分たちが出会った場所に行こうと言い出した、
俺は反対する理由もないので一緒にあの自動販売機の前までやってきた、
「この場所は・・・ずっと忘れません・・・・」
おかしなことを言い出すなぁ、と思ったが頷き春那の手を握る
もうあたりに雪はほとんど残っていない、
「だから・・・・あなたも私のこと・・・忘れないでくださいね・・・・」
急にそんなことを言われると怖くなる、幸せが続かない気がしてしまう
「キス・・・してくれますか?」
俺は何も言わずに春那の頬に手をやり
顔を近づけると、春那も自分から目を瞑った、
ヒンヤリと唇の冷たさが伝わり目を開ける、

春の桜が夏には花を咲かせないように
雪も春までは残らないのだろう

春那は俺の胸からいなくなり
近くの空き地を見れば花が芽をだしていた
春が来るのと同時に冬は終わる
それは誰にも変えられない運命だろう。
378名無しさん@ピンキー:2006/01/29(日) 02:25:56 ID:MtCHOB8z
Ъ(・∀・)グッジョブ
379名無しさん@ピンキー:2006/01/29(日) 11:12:15 ID:5KtqW4KK
雪女っていうより雪の精かー。儚げで良かった。
380名無しさん@ピンキー:2006/01/29(日) 11:50:00 ID:4PykP5S0
>>369
「ララァはかしこいな」
「きゃはっ!」
381なしれ ◆IIES/YYkzQ :2006/01/29(日) 23:18:46 ID:fONadS6U
前に書いた「ささがにの糸」よりちょっと前を想定した話を投下します。
蜘蛛女もの。‥‥だけど、人外エロ要素がかなり薄いです。ごめんなさい。
後半に若干の残酷描写があるので(非常に軽いですが)、
嫌な予感がする人と蜘蛛が苦手な人はタイトル(夕暮れの蝶)をNG指定して下さい。
予定では7レスぐらいのはず。
382夕暮れの蝶 (1):2006/01/29(日) 23:20:44 ID:fONadS6U

――げにや色に染み 花に馴れ行くあだし身は
   はかなきものを花に飛ぶ 胡蝶の夢の 戯なり――
                                    (能「胡蝶」より)

 住宅街の一角に、ささやかな神社がある。この社の裏手にかつては小さな塚があった。
蜘蛛塚と呼ばれたその塚も、この住宅地が造成される時に取り壊された。事前の考古学調査では
女性のものと思われる長い髪がわずかに発見されたが、他に特徴的な出土品は見つからなかったという。
 この神社の前の通りを西に行き、三番目の交差点を右に曲がってしばらく行ったところに小さな
喫茶店がある。店は地味で小さいし、コーヒーにさほどのこだわりがあるわけでもないので
あまり客の入りは良くない。もっとも、マスターは儲けることについてもあまりこだわりはないので
特に不満はなさそうだ。ニュースを流しながら新聞を斜め読みし、いちおう客の相手もするのが
日課で、それ以上の高望みをしないのが処世訓らしい。とりあえず何ごともかなり大雑把なので、
特に用事もなくだらだらと長時間過ごすにはそれなりに具合の良い店ではある。

 * * * * *

 夕方、きょうもブラウン管の中できまじめそうなアナウンサーが淡々とニュースを読み上げる。
「‥‥六人の女性にわいせつな行為を働いたとして、市職員村川仁容疑者(28)を
婦女暴行の疑いで逮捕しました。調べによると村川容疑者は‥‥」
 ふう、と女は溜息をついた。言うまでもなくニュースの内容に関してだ。件の容疑者は
彼女の知り合いだった。だが普通、知人が破廉恥な犯罪で逮捕されたと知って「溜息」で
済ますものだろうか。
 コーヒーカップを紅い唇からテーブルへ下ろすと、彼女は小さく独り言。
「‥‥また新しいのを探さなくちゃ、ねぇ。せっかくのイイのを見つけたと思ったのに‥‥」
 まるでお気に入りのおもちゃを無くしたような口ぶりだが、彼女にとっては同じことだった。
昨夜、そのおもちゃがもっと楽しいモノになるようにと「ちょっとした工夫」をしてみたものの、
どうやらそれが裏目に出てしまったらしい。「素敵なおもちゃ」になったはいいが、昼間から
六人もの女性を襲ってお縄を頂戴してしまっては何の意味もない。テレビの中では、容疑者氏の
近所に住んでいるという中年女性が「まさかあの真面目で大人しい人が」と、紋切り型の言葉で
驚いている。
「あいつの色狂いも放っておけば治るだろうけど、ま、あたしの知ったことじゃないわね。
‥‥ああ‥‥でもいい夜だった‥‥燃えた‥‥熱くて‥‥奥まで‥‥あぁぅ‥‥欲しい‥‥」
 思わずその「工夫をした」夜のことを思い出してしまった。知らず知らずのうちに独り言は
熱を帯び、その左手は胸元を鷲づかみにし、右手は股間へ伸びていた。
 はっ、と気が付く。
 周りの視線が集中――いや、明らかに集中していたが、彼女が我に返った瞬間、
誰もが「何も見てません」というような態度をとっていた。どちらかといえば短気な彼女は
そのあからさまな態度に少なからず気分を害したが、日のあるうちから騒ぎを起こしては
なにかと具合が悪い。カップを置いて立ち上がり、代金を払うと彼女はそそくさと店を後にした。
さすがに急いだのか、その場にハンカチを忘れたことにも気付かずに。

「なんだ? あのねーちゃん‥‥」
「さあ、痴女ってやつか?」
 彼女はさっさと店を出たつもりだったが、だからといって客たちに与えた印象が
小さかったわけではない。とはいえ、そもそも客は少なかったしマスターはニュースばかり
気にしていたので、彼女の痴態を目撃したのは五人ほど。そして実際に彼女に興味を抱いたのは
二人の若い男だけだった。そのかたわれ、平沢雄也はことに彼女が気になるようだ。
「どうするよ、あのハンカチ持って追いかけてみるか? うまくすりゃあ‥‥」
 容貌に恵まれたせいか生来の性格か、彼は美人と見れば声を掛けたくて仕方がないという性分だ。
‥‥「声を掛ける」だけでことが済んだりしないのは言うまでもない。
「おいおい、ハンカチの礼にカラダを要求する気か? 俺は遠慮しとくよ。
ヤク中とか病気持ちとかだったらヤだしな。ま、手ェ出すってんなら止めないけど」
「へへ、じゃあ俺がもらうぞ。あ、コーヒー代はちょっと立て替えといてくれよ。明日払うからさ」
「はいはい。じゃ、食い殺されないように気を付けろよ」
「ちっ。淫乱美女の彼女ができても貸してやんねぇからな」
383夕暮れの蝶(2):2006/01/29(日) 23:22:50 ID:fONadS6U

 シルクと思しきハンカチを手にあわただしく店から出ると、雄也は瞬間的に左右を見わたした。
繁華街にやや近いとはいえ住宅街に位置しているため、近くの女子校から帰る高校生や買い物に行く
主婦以外はほとんど歩いていない。となれば、スーツ姿の美女は否応なく目に付くはずだ。
 ――いた。
 彼女は黒髪を風に靡かせながら歩く。だが、普通なら地味あるいは清楚と言いうるはずの衣服には
不釣り合いな、不思議な雰囲気を漂わせていた。風向きのせいか、その空気が男をかすめる。
その瞬間、ずくっ、と何かが疼くのを感じた。彼は口説き文句を考えながらその後を追いかける。
 女は住宅地の、やや寂れた方へ歩くようだった。これには雄也も少々困った。繁華街の方へ
行くだろうと勝手に決めていたので声を掛けるタイミングを逸してしまったのだ。これでは
うまくお近づきになれても連れ込む店もなければ、ましてやホテルなどどこにもない。攻め方を
考えあぐねて焦る男を尻目に早くも夕闇が立ちこめ、まばらな街灯に照らし出されるのは
自分と女の影だけになっていた。

 * * * * *

 後ろに男がいる。若い。
 彼女は思わず唇を舐めた。いつからつけているのかは知らないが、明らかに自分を目当てに
ついてきている。彼女はそういう積極的な男が嫌いではない。いや、一時的な相手としては
申しぶんない、とも思っている。そういう男は大抵彼女にとってあしらいやすく、しかも女の扱いに
慣れている。つまり手軽に、たっぷり楽しめるというわけだ。
 さあ、今夜の相手は決まった。あとは声を掛けさせるだけ。幸い周りに人影はなく、おりしも日は
落ち行くところだ。くすり、と笑うと彼女はわずかに歩みを遅らせ、髪を掻き上げた。細く繊細な髪が
舞い――甘い妖香を振りまく。

 * * * * *

 前を歩く女が髪を掻き上げる。雄也はこの行為がこれほどまでに扇情的なものとは知らなかった。
女が漂わせていた不思議な雰囲気が――いまやそれが強烈な色香だとはっきりと分かるほど濃密になり、
二人の距離に立ちこめる。心臓が、脳がずきずきと疼き、それが雄也の逡巡を吹き飛ばした。
「あ、ちょっと――‥‥!?」
 男の声に、女の足が止まる。そしてその顔が振り返り――雄也は続く言葉を失った。
 切れ長の美しくも鋭い眼、真っ直ぐに通った鼻筋、血のように紅い唇。その美貌は獲物を見つけた
猛獣のような、凄絶な笑みを確かに浮かべて――いた、ような気がした。
「なにか?」
 女の問いかけで、男は我に返った。おそらく、凍り付いていたのは一秒にも満たなかっただろう。
本能が鳴らした警報を忘れ、彼は所期の目標を思い出して口を開く。
「あ、さっきの喫茶店で忘れてましたよ、このハンカチ」
 おかしい。舌がうまく回らない。だいたい、雄也は初対面の女が相手であっても、下心で
話しかける時には丁寧語など使うような男ではない。だが、この女の前ではいつものように
振る舞えない。相手は喫茶店でオナニーを始めそうになるような変態女だ。絶対に肉体関係に
持ち込める。そう確信していたはずなのに、実際に向き合ってみると得体の知れない圧迫感に
気圧される。
「あら、ふふ‥‥忘れてたのね。ぜんぜん気付かなかったわ、わざわざありがと。
‥‥お礼に、どう? あたしの家、すぐそこなんだけど」
 心にそこはかとなく立ちこめる不安を女の言葉が破る。しかも女の方から誘いを掛けてきた。
(やっぱり淫乱だな、こいつ)
 さっきまで感じていたかすかな恐怖が心底ばかばかしい。多少萎えかけていた戦意が急速に高まる。
少々問題のある連中と付き合うことで培われた彼の生存本能は並の人間より鋭敏だったのだが、
女の色香と自身の欲望がそれを鈍らせていた。
 言葉通り、彼女の家はまさにすぐそこだった。その位置について、近辺に住んでいる者なら
違和感を感じたかも知れない。が、雄也はこの住宅地の住人ではなかったし、仮にそうだったとしても
欲望をたぎらせている今の精神状態ではそんなことも感じなかっただろう。
384夕暮れの蝶(3):2006/01/29(日) 23:25:22 ID:fONadS6U
 案内されるままに部屋に入り、申し訳程度の雑談をかわし――数分も経たないうちに、
二人はそれぞれの欲望のままに唇を重ねていた。
 くちゃ、くちゅっ、びちゃり。互いに互いの舌と唇を貪りながら、服を脱がしあう。
女の白い指先が男の高ぶりを捕らえ、男の指先が女の柔らかい胸を揉みしだく。
「んふ‥‥あ‥‥」
 女の吐息が鼻から抜け、甘い声を立てる。
「感じやすいんだな、あんた。――そういや、名前は?」
 得意の場面になったこともあって雄也の舌もいつも通りの能力を発揮できるようだ。彼は優しく、
だが的確な愛撫を与えながら彼女に尋ねた。
「ふふ‥‥名前なんてどうでもいいじゃない‥‥んはぁっ!」
 花びらの狭間をいじっていた指先が肉芽をつまみ、彼女に嬌声を上げさせた。
「教えてくれないなら入れてあげない」
 雄也は耳元で意地悪く囁いた。実際に名前に興味があるというより、性技で女を
支配するきっかけにするためだ。
「あんっ、はぁっ、っく、はぁ‥‥巧いわ、あなた‥‥」
「そうじゃなくて、名前は?」
「まだ教えない――あ、あああっ!!」
 蜜壺の一点をえぐるような指先に、彼女は大きく喘いだ。
「人前でオナニーしそうになるほどの淫乱女だろ? 名前ぐらいで恥ずかしがんなよ‥‥」
「はっ、あふっ、っく! ああ、すご‥‥い! あはぁっ、んぐっうぁぁはぁっ!」
「教えろよ」
「っく、あ、ああああっ! だめ、あっ、くぅぅっ、いく、いくぅっ!!!!」
 男に後ろから抱えられたまま、彼女は達した。
「‥‥はぁ、はぁ‥‥。ほんとに巧いわ‥‥。ねぇ、そろそろ抱いてよ‥‥」
「さっきも言ったろ、名前を教えてくれるまでは入れないよ」
 楽しげな笑みを浮かべる男に、彼女も淫らな笑みで答える。
「んふふふ‥‥。じゃ、そうすれば? あなたは我慢できるの?
ここまでしておいて、あたしを抱かずに帰れる?――あ、あはぁっ!!」
 雄也は返事をする代わりに、先ほどの指技をもう一度彼女に味わわせる。女は喘ぎ、悶え、
よがり、絶叫する。そしてまた名前を聞く。やはり答えない。さらに指でイかせる。
これを何度か繰り返し、折れたのは――雄也の方だった。
「くそっ‥‥。だめだ、もう我慢できねぇよ」
「あぁ‥‥はぁっ‥‥はぁ‥‥」
 女は息も絶え絶えに喘ぎ、言葉を返すどころではない。が、その眼は男を嗤う光を見せている。
雄也は苛立たしげに彼女を押し倒すと、既にいきり立っている怒張で彼女の秘部を一気に貫いた。
 肉杭を握りしめ奥へと誘う蜜壺を楽しみながら、男は腰を深く沈める。下の唇が湿った声で歓び、
上の唇が低く深い喘ぎを漏らす。突き上げれば突き上げるだけ、二箇所の淫らな唇は激しく反応し、
その両方からよだれを垂らしてさらなる快楽を求める。不意に入り口が強く締まり、
中が広がり――びくびくと身体をくねらせ、淫女はベッドに沈み込んだ。
「イキやすいんだな、あんた‥‥。すげえ‥‥」
「ああぅ‥‥はぁ‥‥ふふ‥‥ホントに上手いのね‥‥。
たまらないわ、あなたの精力、全部あたしに叩きつけて‥‥!」
 雄也は求めに応じてさらに強く犯した。張りのある見事な乳房を揉み潰し、洪水を起こして
溢れかえる淫裂を貫き、子宮の入り口を突き破らんばかりに連打した。獣のように咆哮する牝を
何度と無く絶頂に追いやり、自らの怒張も何度か脈打った。それでも止まらなかった。
女は絶頂に次ぐ絶頂を求め続け、男はそれに応え続けた。

 女も沸騰していた。これほどまでに楽しめる相手だとは想像もしなかった。
奥底を力強く打ち抜かれ、大きく張り出したカリで思いきり抉られる。彼女はこらえようもなく
エクスタシーに突き落とされる。普段は男から搾り取ることばかり考えている彼女だが、
今はそれどころではなかった。荒れ狂う快楽の嵐を乗りこなすこともできず、ひたすらに溺れ、
絶叫し、しがみつき、腰を振りたくる。
385夕暮れの蝶(4):2006/01/29(日) 23:27:40 ID:fONadS6U

「はぁ、はぁ、はぁ‥‥」
 何度目の射精だろう。雄也はさすがに疲労の色濃い顔色で、女に倒れ込んだ。一瞬前まで
断末魔のような絶叫をあげ続けていた女は、しかし秘部に突き刺さったままの肉棒を
逃がさずくわえ込み、まだ精を貪ろうとする。
 率直に言って、信じられなかった。彼の経験からして、これだけのペースで、これだけのテクニックを
費やして、これだけの回数の絶頂を味わわせれば、確実に相手は失神する――はずだった。
肌を重ねた相手は失神させる、それが雄也の「優越感」だった。だが、女性に対して「絶倫」という
形容が当てはまるなら、まさに目の前の女がそれだろう。自分がそうだといわれたことはあるが、
まさかその自分を超えるほどの性欲と体力をもった女がいるとは考えもしなかった。
「ねぇ‥‥もう終わりなの?」
 名も知らない女が囁く。雄也の自尊心にビシリ、とひびが入る。
(なめやがって‥‥絶対失神させてやる‥‥ブッ壊して廃人にしてやる‥‥)
 怒りと歪んだプライドを原動力にして、男は萎えかけた逸物を奮い立たせる。
そしてもう限界に近い体力を振り絞り、人間離れした精力の女を突き上げた。

 * * * * *

「あ、っくぉ、‥‥あ゙、あ゙ああぁぁあぁぁぁ!! っ――――」
「――ぐっ‥‥!!」
 渾身のピストン。そして、ペニスの先から残った体力のすべてをはき出す。凄まじい咆哮が
尾を引いたあと、女はついに倒れた。身体をのけぞらせたままベッドに崩れ、全身を不規則に
痙攣させながら。激戦を耐え抜いた名刀を引き抜くと、膣内に留まりきらなかった精液が溢れる。
「‥‥ざまあみろ、売女」
 肩で息をしながら、雄也は憎々しげに勝利宣言をした。もし彼が望むだけの余力があれば(そんな
人間はいないだろうが)、恐らく本当に彼女が廃人になるまで抱いたことだろう。
 だが、その勝利宣言の効果はたちどころに消滅することになる。
「ふ‥‥ふふ‥‥」
「なっ‥‥!?」
 笑っていた。女が、ベッドに沈んだまま。
「最高‥‥最高だわ、あなた。まさか生身でここまで狂わせてくれる男がいるなんてね‥‥。」
「バケモンかよ、あんた‥‥」
「化け物‥‥?」
 雄也が思わず漏らした素直な感想に、彼女は鋭く反応した。淫らな喘ぎや艶やかな挑発とは
まるで異なる――冷たくどす黒い響きがこもったその声音に、雄也は部屋の温度が下がったように
感じた。それを知ってか、あるいはそんなことは興味がないのか、彼女はベッドから身を起こし、
「ふふふ、だとしたら? だとしたらどうするの?
ねえ、教えてよ。あたしが化け物だったら、どうするの? っくくくく、ほら、答えなさいよ。
逃げる? 殺す? 抱く? ‥‥ねえ、どうするの?」
 狂気を帯びたふくみ笑いを交え、彼女は男に詰め寄った。その声は高く低く響き、いやましに本能を
震わせる。雄也は思い出した。この女に声を掛けた瞬間の、得体の知れない恐怖感。自分という餌を
前にして狂暴な獣が舌なめずりをしたような、言いようのない圧迫感。
 ドクン。ドクン。
 突然、自分自信の鼓動が、徐々に大きく、速く響きはじめる。
(――この女はヤバい)

 本能が叫ぶ警報にようやく気が付き、逃走を考えた時には――既に遅かった。
素早くベッドから立ち上がろうとした瞬間に、衝撃が襲った。衝撃自体はさほど強いものではない。
急いで歩いている時にいきなり後ろから襟首を捕まれたような、そんな衝撃だ。
「ふふ、逃げるの? 逃げられる?」
 女が笑う。
 疲れのせいだと考えた男は、もう一度ベッドから降りようとした。が、今度は足首にも衝撃を受けた。
「無駄よ。あなたはこのベッドから降りられない。だって‥‥ねえ?
ほら、あたしはまだ満足しきってないわ‥‥ほら、もっと抱いてよ‥‥ふふふ‥‥」
「な‥‥どういう意味だよ!?」
「そのままの意味、よ。だってあなたの首筋も、手も、足も、
あたしの糸がとっくに捕まえてるんだから‥‥逃げられるはずないじゃない。
逃がしてほしいなら、抱いて‥‥あたしが完全に満足するまで‥‥」
 卑猥な声音でわざと唾液の音を響かせながら、女は嗤った。
386夕暮れの蝶(5):2006/01/29(日) 23:29:56 ID:fONadS6U
「‥‥俺はてめーみたいなイカレたアマとこれ以上遊ぶ気はねえんだ。
‥‥なめたこと言ってるとブッ殺すぞ‥‥」
 雄也は正体の分からない恐怖を怒りで覆い隠そうとするが、その脅しが中身を伴っていないことが
女に分からないはずもない。
「あっはぁん‥‥やってみれば?」
 髪を掻き上げ、乳房を揉みしだき、絵に描いたような媚態をみせつけ、くすくすと笑う。
それが雄也の怒りという名の恐怖心を破裂させた。
「‥‥テッメェ!」
 怯える動物は吼え、かみつくものだ。雄也は女の顎を砕こうと拳を唸らせた――が、拳は不自然な力で
外へそれて顔の横を行き過ぎ、それに引っぱられるように雄也の身体はベッドに倒れ込む。
「あはははは。何やってんの? ま、女を抱くしか取り柄のないバカに言っても意味ないか。
仕方ないわね、あんたにも分かるようにしてあげる‥‥」
 彼女がそう言った途端に、男の身体が飛び起きる。だが、それは人間が起きあがったと言うよりも
まるで操り人形が糸に引かれて起きあがったような、奇妙なぎこちなさを伴う動作だった。
その不自然さは動作を起こした当人も信じがたいらしく、顔がいくぶん青ざめている。
が、それでも不自然な動きは止まることなく、男はまるで自分はそうしたくないと言わんばかりの様相を
見せながら、女の身体を抱きしめた。
「な‥‥なんだよこれ‥‥からだが‥‥」
「ふふっ、声が震えてるわよ雄也ちゃん。
おねえさんにしっかりつかまってなさい‥‥お楽しみはこれからなんだから」
 彼女の低く冷たい挑発が終わらないうちに、変化が起きた。
 雄也は最初、自分の身体を抱きしめたまま彼女が立ち上がったと感じた。それは半分は正解だった。
雄也を抱きしめたまま、彼女の高さが変わる。立て膝で座るような姿勢だった雄也の身体もそれに伴って
上へと持ちあがり、膝が伸び、ついに足がベッドから離れた。
――いや、ベッドはなかった。さっきまでベッドだったそれは、極めて細い糸で編まれた網に
なっていたのだ。
「ひ‥‥ああ‥‥」
「どうしたの‥‥? かわいい声で怖がるのねえ‥‥うふふふふ‥‥」
 女の肩越しに眼にした光景に、雄也の顔が凍る。
 この世の光景ではなかった。少なくとも、雄也の知っている世界に、こんなものがいるはずが
なかった。細かな毛に覆われた丸い胴を持つ、巨大な節足動物などいるはずがなかった。
しかもそれは、不可解な方法で自分を抱え上げる女の、すぐ後ろに蠢いている。
つまり、今の姿勢では見えないが、自分の真下に頭があるに違いないのだ。
「たす‥‥たすけてくれ‥‥! 蜘蛛が、蜘蛛が‥‥いやだ、食われたくない、死にたくない‥‥!」
「んふふ‥‥。そう、蜘蛛が見えたのね。どう? その蜘蛛はあなたを狙ってそう?」
 うわべだけは優しい声。女の言葉に、抱きしめられたまま思わず視線を動かした。蜘蛛の動きが
知りたかったのだ。が、蜘蛛はどうやら動く気配はないらしい。自分は真上になっていて、
蜘蛛から見て死角なのだろうか――? それを知ろうと、彼はさらに視線を動かして蜘蛛の様子を見た。
「――ひっ‥‥!! あ、ああああ、化け物、離せ、離してくれ、うあああああ!!!」
 知りたくもない真実。それを知った雄也は、今まで誰にも見せたことのない表情で叫んだ。
387夕暮れの蝶(6):2006/01/29(日) 23:32:50 ID:fONadS6U
 悪夢だった。巨大な蜘蛛の身体は、「蜘蛛」ではなかった。彼を抱きしめ、
淫らにあざ笑う女――それこそが蜘蛛の「身体」だった。
「離せ?‥‥どうして? あなたがあたしに声を掛けてきたんじゃなかったかしらぁ?
あたしと絡みあいたかったんでしょ‥‥ねぇ、さっきの続きをしてよ。
あの快楽、もっと味わわせてよ‥‥ふふふ、相手が人間じゃなくてもできるでしょ?」
「ひぃっ‥‥た‥‥たのむ‥‥助けてくれ‥‥ま、まだ、まだ死にたくない‥‥」
「殺すなんてまだ言ってないのに、気の早い男ね。一体何度言わせるの? 早く抱いて。
あんたのその自慢のヤツで、さっきみたいにイかせて‥‥」
 蜘蛛女は軽蔑も顕わに言う。その口調には、先ほどまでの妖艶だが冷たく残忍な声に加えて、
明らかに苛立ちが加わっている。
 雄也は恐怖と嫌悪で怯えきっているが、実は彼女に他意はない。抱け。抱いて、思い切り狂わせて
欲しい。人間を装っていたさっきまでならともかく、怪物としての本性を現した今となっては、
生半可な快感では到底満足できない。エネルギーに溢れた精液をいやと言うほど注いで欲しい。
 もちろん、恐怖に縮み上がった男を、本人の意志にかかわらず奮い立たせる方法は彼女も熟知している。
おぞましい怪物に怯え泣き出さんばかりの男を、嬲り、挑発し、快楽で堕とす――それは彼女一流の
技であり、また最高の楽しみでもある。だが、今の彼女はそんな悠長な方法をとる気はなかった。
目の前の獲物は彼女が今まで手に入れた中で最高の快楽を味わわせてくれた。この歪んだ性欲の
権化なら、きっと、もっともっと楽しめる。
「ほら、ねえ、早く抱いて」
 彼女は男を抱きしめたまま、一対の脚を使って雄也の身体をまさぐった。会陰部を刺激し、
しなびた肉棍をもてあそぶ。だが、熱戦に次ぐ熱戦で体力も精力も尽き果て、さらに恐怖で精神も
萎縮してしまった雄也の身体はほとんど反応しない。苛つく妖女はそのトゲを隠そうともせずに問う。
もはや笑みも失せ、怒りに近い表情が透けて見える。
「ねぇ、勃たせて。あたしをブチ抜いて。早く。‥‥できないの?」
「‥‥お‥‥お願いだ‥‥ゆ‥‥るしてくれ‥‥もう‥‥たすけて‥‥」
 返事は涙声。
「――そう。もういいわ、あなた。二人で楽しめると思ったのに、とんだ興ざめね」
 静かな声。
「‥‥え‥‥?」
 雄也は思わず顔を上げた。逃がしてくれるのか。その顔はそう問いかけている。しかし返事はない。
 妖女の唇が軽く重ねられ、耳元で囁く。
「楽しかったわ‥‥じゃあね」
 助かる!――雄也が愚かにもそう信じた瞬間。

 ずぶり。
「――――――!!!」
 雄也は声にならない悲鳴を上げた。女の口が、首筋に食らい付く。鋭く尖った牙が深々と食い込む。
勢いよくあふれ出る生命の液体を、ごくごくと喉を鳴らして飲み下してゆく。
「が――あが‥‥ぎ‥‥ぃっ――!!!!」
 激痛に身体がこわばる。抵抗も意味をなさない。一分ほどその状態が続くと、女妖は口を離し、
にたりと笑う。
「あんまり鳴かないで‥‥。耳元で騒がれるとうるさいわ」
 そう言うやいなや今度はのど笛に牙が沈む。雄也の口から悲鳴の代わりに鮮血が溢れ、
ごぼごぼと濁った音を立てる。飛び散る血潮で美貌の半分を濡らしながら、残虐な笑みを浮かべて
のど笛を食いちぎる。拍動に合わせて噴水のように吹き上がる鮮血を豊満な乳房で受け止めながら、
ひゅうひゅうと音を立てる雄也の顔を両手で抱え、囁く。甘く、淫らに。
「そういえば、あたしの名前を聞きたがってたわね‥‥。
いいわ、もうお別れだから教えてあげる。あたしの名前はね――」
 瀕死の男の耳元で、形の良い紅い唇を動かす。別れの囁きが終わる瞬間、鋼のような爪先が
雄也の身体を引き裂いた。
388夕暮れの蝶(7):2006/01/29(日) 23:35:33 ID:fONadS6U

 * * * * *

「なんだよ、なんで目撃者がいないんだよ!」
警察署。焦りと怒りをあらわに声を荒げるのは、あの日喫茶店で雄也と無駄話に興じていた男だ。
数日たっても雄也の姿が見えず連絡も取れないという事態に及び、彼は警察に捜索を依頼したのだが――。
「しかしなあ、誰もそんな女は見てないと証言してるんだ」
「店の親父は!? 常連客は!? 夕方だったんだ、通りには買い物客も歩いてたろ!?
誰も見てないなんて、そんなハズあるかよ!!」
 だが答えは変わらない。
「我々もそのあたりはちゃんと捜査したつもりだよ。その結果が今言ったとおりなんだ。平沢さんが
失踪したという日、きみが言った時間帯に、その店にスーツ姿の若い女はいなかったし、通りにも
歩いていない。そうそう、平沢さんの目撃情報自体も、神社――なんていったかな、
あの小さい神社――のあたりでの目撃が最後だ。そのときも彼は独りで歩いていたそうだ」
「そんな‥‥」
 若い男は絶句した。それからもしばらく話を聞いていたがそれ以上得る所はなく、彼は呆然として
警察を後にした。

 * * * * *

「――神社って‥‥ここか」
 近隣の住民に道を聞き、友が近くで消息を絶ったらしい神社へその日の内にたどり着いた。
あまりにも小さく、ほとんど存在にも気付かないほど小さく寂れた神社が住宅街にひっそりと
埋もれている。その規模に準じた小さな鳥居に、扁額がかかっていた。その古色蒼然とした木の額には、
かろうじて「土蜘蛛神社」と読み取れる文字が見える。しかし来てはみたものの、
やはりそれ以上のことはなにもない。
 ふと、古ぼけた案内板が目に入った。祭神の名のほかはほとんど何も書かれていないが、
男はそれを一瞥して神社を後にした。
 鎮座の神は「佐沙我禰比売」――振り仮名によると「ささがねひめ」というらしい。


(終)
389なしれ ◆IIES/YYkzQ :2006/01/29(日) 23:47:13 ID:fONadS6U
蜘蛛さんの背景を書こうとしたらあまりにも冗漫になりそうだったので、
その部分を大幅に削ったらこんな感じに。うーん。
390名無しさん@ピンキー:2006/01/30(月) 00:00:00 ID:Emx6qUhD
うおー!怖いッスー。でもエロいッスー!
GJッスー!

なしれさんといえば、住み込み弟子の話の続きも書いて欲しいです。
「そして師匠と‥‥」の後が気になります、ハイ。
391名無しさん@ピンキー:2006/01/30(月) 02:15:53 ID:+T86mlkg
姫様短気だw
いやあ、エロエロで怖くて素敵ですな、GJ!
392名無しさん@ピンキー:2006/01/30(月) 07:33:14 ID:t2PNXE2T
これから会社なのに‥‥完全に起きちまった俺の息子をどうしてくれるんだw

GJ!
393なしれ ◆IIES/YYkzQ :2006/01/30(月) 20:51:08 ID:huSZAyRo
>>390-392
感想ありがとうです。
エロさが足りんのではと思って心配したんですが、息子さんを起こせたようで何よりw

>390
弟子の話は…いずれまた書くつもりはあるんですが、現在ネタ切れなので…。
394小型イタクァ書いた人 ◆ZJwJm4Sk3E :2006/01/30(月) 23:08:25 ID:Pb7YBqBZ
どうも。お久し振りです
いきなりお詫びから…
どうしてもアレから先に繋げれません。続くと書きましたが、打ち切りとさせていただきます。申し訳ありません

代わりに(?)書いた物投下…
宇宙人ものです。グレイじゃありません
主人公の性格が同じなのは仕様でs…

トリ付けてみましたが…成功してるかな…
395 1/8 :2006/01/30(月) 23:10:40 ID:Pb7YBqBZ

現在の時間…午前2時ジャスト、天候…快晴、月…無し
「星を見るには最高の環境だな!!」
俺は、市街地なら少し迷惑になりそうな声の大きさで言う
そう、市街地なら
此所は郊外にある山。その展望台となっている場所だった
見晴らしよし。街の灯が多少あるが…
「このくらいなら平気だな。まぁ、この街自体ちょっと田舎だからかな」
独り言も誰も聞いていなければ問題無い
…聞かれて変な顔されたのは一度や二度じゃ無いがな
俺の名前は星野宇宙…宇宙と書いてソラと読む。むしろ読め。小学生の頃はこの名前でイジメられたんだぞ!?
趣味は月に一度の天体観測
よく星を見てて楽しいか?と聞かれるが…分からない奴は情緒が足りて無いね。芸術を愛でる心が無い
さ〜てと、相棒の望遠鏡のお出ましだ
俺が相棒を組み立てていると背後に違和感の様な圧迫感の様な…
「…?なんだ?」
振り向いた…暗闇の空の中にあったのは…
目の前に何かが─星では無い光る何かが…
「うぉ!?なんだアレ!?」
最初は豆粒みたいなサイズだったが…徐々に大きくなり…
396 2/8 :2006/01/30(月) 23:12:00 ID:Pb7YBqBZ

ペチペチと頬を叩かれる
いてぇな…誰だ…?
「えっと…大丈夫ですか?生き返ってますか?」
身体中いてぇよ…つーか普通生き返ってじゃなくて生きてだろ
瞼を開く…目の前に居たのは…目も覚める程の美少女だった
歳の頃は俺と同じ十代後半…おとなしそうな表情…異常に長く、黒い髪を後ろで適当に結んで…
「あの…大丈夫ですか?ボーッとして…」
「あ、あぁ…大丈夫。何でもない」
見とれてました…なんて恥ずかしいセリフ吐ける程、根性ないんでね
「あ〜…どうなったんだ…天体観測しようとしてて…それで…それで…」
アレ?思い出せねぇ
そこで辺りを見渡し、気付いた
「何だ…コレ…」
さっきまで居た展望台が…いや、さっきまで居た山のほとんどが抉れ、消滅していた
「えっと…それなんですが…」
目の前の美少女が申し訳無さそうに話し出す
「一応自己紹介から…私はユキ(人間の可聴音域を超えた音と表現し難き音の列挙)…いわゆる地球外生命体です」
「…最初のユキ何とかしか聞こえなかったぞ」
「あ…そっか…人間じゃあ聞き取れないんですね…」
397 3/8 :2006/01/30(月) 23:13:46 ID:Pb7YBqBZ

「えっと…じゃあユキでいいです」
「あぁ…俺は星野宇宙。宇宙と書いてソラだ」
「えっと…先ずは謝らないと…ごめんなさい!!」
凄い勢いで頭を下げる
「…まぁ、状況が分からないと許しようがないんだが」
「あ…そうですよね…えっと…どこまで覚えてます?」
「どこまで…って、展望台に天体観測しに来てて…そこから気付いたら君が居て…」
「あ、やっぱり…死亡前後の記憶は消えてますね…」
…はい?死亡?記憶?何言ってんの?
「えっと…その後ですが、墜落した私の巻き添えで貴方…死んじゃったんです…
でも、この惑星の生態系に私みたいな他星の生命体が干渉すると…えっと…私には原理は分からないんですが…未来的に異常な変異が…
それで…何とか蘇生処置しましたが…」
「…取りあえずアンタが普通じゃない事は分かった」
精神病院ってタウ○ページに載ってるのか…?
「えっと…信じてもらえたんですか…?」
「何をだ?」
「いえ…この惑星では普通こんな話は認知されないかと…」
「最初から最後まで信じてねぇよ」
つーか、信じれる奴が居たらそいつも精神異常者だろ
「あぅ…やっぱり…」
しょんぼり肩を落とし、落ち込む
…何か悪い事してるみたいだな
398 4/8 :2006/01/30(月) 23:15:06 ID:Pb7YBqBZ

「うぅ…じゃあ思い出させるしか無いですか…」
そう言って綺麗な手が俺の手を握り…
「な…ちょ…あんた…」
!?なんだ…何か…頭の中に…流れて…違う…!こじ開けられ…
「か…はっ!ゲホッゲホッ!!」
「だ、大丈夫ですか!?」
死んだ…!?俺…バラバラに…
「はっ…はっ…ケホッ…てめぇ…何を…」
「ごめんなさい…信じて貰うには、これしか思い付かなくて…ごめんなさい!!」
思い…出した…望遠鏡組み立ててたら…何か光る物が降って来て…俺…死んで…
「うげ…うぇ…カハッ…」
吐き気が…気持ち悪い…自分が死んだシーンなんて…トラウマじゃすまねぇぞ…
その時、柔らかいモノが顔に…
「ごめんなさい…私のせいで…」
抱き付かれていた…ん?つまり…この柔らかいモノって
「本当に…ごめんなさい…」
あ〜…かなり大きいな…Dくらいか?
「……?どうしました?大丈夫です?」
急に静かになった俺に不安げに尋ねて来る
「ん…あぁ…大丈夫大丈夫。落ち着いた」
「あ…良かった…です…」
身体を離し、安心したように微笑む
あの巨乳は名残惜しいが…この笑顔はいい収穫だな
「えっと…本当に大丈夫か調べていいです…?」
「あぁ…お願いしとく…」
俺はさっきの胸の余韻を…
399 5/8 :2006/01/30(月) 23:16:12 ID:Pb7YBqBZ

「何でこうなってるんだ…?」
「いや、調べていいって…」
「何で俺、裸で地面に横たわって居なきゃいけないんだ」
草がチクチクしていてぇぞ
「でも…えっと…調べるのに…服が邪魔で…」
「じゃあさっさと終わらせろ…恥ずかしくて舌噛み切って自殺しそうだ」
あと『えっと』を付け過ぎだ。ウザいだろ
「あ…えっと…あぁ…すみません…
調べさせて…もらいます…」
そう言って手を翳し…数十秒で終わった
「あ、はい。終わりです。大丈夫です」
そいつは良かった。服をさっさと着る
これ以上裸でいたら、また精神をどうかしてしまいそうだ
「あの…お詫びというか…これで許してって訳でも無いんですが…」
服を着ている俺とは逆に、白いワンピースの様な服をはだけさせ…
「えっと…私を…抱いて…下さい…」
上目遣いで言って来た
「…はい?」
やっぱり頭か耳かどうかしちまったのか…
「お願い…います…」
僅かに見える桃色の綺麗な乳首が…恥ずかしそうに頬を染めた表情が…
頬を抓る。夢じゃねぇな…
この誘惑に耐えれるのはゲイくらいだね
どんな経緯でこうなったかわかんねぇが、据膳なんとやらだ
400 6/8 :2006/01/30(月) 23:18:16 ID:Pb7YBqBZ

「えっと…では…お願いします…」
…何をどうお願いされたんだ?
ファスナーを下げ、ズボンの中から俺のモノを引き出す
「ふぁ!?大きい…えっと…こう…かな…」
「っ!?うおっ…」
亀頭の部分を咥えられ、舌を這わせる。それだけのはずが…
「ちょ…あんた…上手過ぎだろ…」
亀頭全体を舐め回すように、時には吸い付き、尿道を舌でつつき…
さらにその胸で竿の部分を挟み、扱く
うぉ〜…気持ちいいなコレ…
…ん?こんなに包み込める程大きかったか?
自慢だが俺のモノはなかなかデカいぞ?
「アンタ…胸…」
「ぷは…もっと大きい方がいいです?」
そう言って俺のモノを包む心地よい圧迫感が強くなって…って、マジ!?
見間違えでは無い。そこにある胸がグラビアアイドル真っ青の超爆乳になっていた
「な…な…胸が…」
「えっと…このくらいです…?」
「何で胸がでかくなったんだ!?」
「ある程度の肉体変化は出来ます。あくまで人間の身体の範囲ですが…」
さも当たり前のように言うな
「本当に人間じゃ無いのか…」
「人間に見えます…?」
見た目は…な
「さっきの説明…信じて貰えました…?」
「…信じるしかないだろ」
胸でかくしたり、あんな映像見せたり出来る人間は居ないぞ
401 7/8 :2006/01/30(月) 23:19:47 ID:Pb7YBqBZ

「一度死んだなんて…今でも信じられないがな」
「すみません…。私の責任です…」
可哀相になるくらい落ち込む
ここで励まさなきゃ男じゃ無いな
「まぁ、こうして生きてるから別にいいさ
それに…身体で償ってくれるんだろ?」
かと言って据膳見過ごすのは惜しいんでね。しかもこんな可愛い娘
「はい…えっと…では…そろそろ…」
俺の未だに堅さを保っているモノを顔を赤くして見る
「んぅ…入って…」
騎乗位の体勢で少しずつ沈めて行く
「ふぁ…全部…入りました…」
「ほら…休んで無いで動きなよ」
まだ巨大な胸を下から揉み扱きながら命令する
「は、はい…ん…あん…あっ…」
ゆっくりと腰を上下させ始めるが…
「もっと早く!!」
「はいぃいぃぃ!!ひぎ…まだ…もっと…ですか?…」
「もっと、もっと。じゃないと許してやらないぞ」
「そんな…あっ!えっと…困ります…うぁっ!」
今にも泣き出しそうな顔で腰を一生懸命振っているのはちょっと滑稽だな
「ひぁ…そろそろ…限界…」
「もうちょっと我慢…しろ…」
もうすぐで俺もイケそうだ
402 8/8 :2006/01/30(月) 23:21:22 ID:Pb7YBqBZ

「もう…無理…限界…です…」
「俺もだ…中に出すぞ…」
ラストスパートとばかりに更に激しく突き上げる
「あ、あぅ…っ…あぁ…うああぁあぁぁぁあっ……!?」
「く…」
膣内を激しく締め上げ、ユキが絶頂に上り詰め、少しのタイムラグの後、俺はその膣内に精を放った
「はぁ…はぁ…はぁ…いっぱい…出しちゃいましたね…」
ゴプッと溢れだしてくる精液を見ながら言ってきた
「妊娠したり…しないよな?」
「え…えっと…さぁ?」
「さぁ?って…お前人間じゃ無いんだろ!?」
「でも…身体構造は全く同じにしていますから…」
「マジかよ…」
俺が将来に一抹の不安を抱いていると…
「えっと…ふつつか者ですがよろしくお願いします」
お辞儀して言ってきやがった
「これからも一緒にいるのか!?」
「え…だって…まだしばらくは私が近くに居ないと…肉体が剥離しますよ…」
剥離…?またバラバラになるってか!?
「…分かったよ」
まぁ、最近彼女も居ないし、セフレかなんかだと思えば…

そうして俺と宇宙人の奇妙な共同生活が始まった
403名無しさん@ピンキー:2006/01/31(火) 00:19:34 ID:welvKGqq
>>394
………イイ。
GJ!!
オニャノコがかーいいなぁ。本当にかーいい。
小型イタクァが続かないのは少々残念ですが、書きたいように書いてください。
それでは改めてGJ!!
404名無しさん@ピンキー:2006/01/31(火) 00:44:04 ID:pLEK75DK
>>394
いいよいいよー
是非続きが読みたいね

これじゃあ何が目的で来たのかわからないしね
裸にエプロンで待ってます
405神坂:2006/02/02(木) 23:25:29 ID:ytF4VQUC
ぶっちゃけ、名前を別サイトで見かけたって言う人が居たら、黙っていて欲しい。恥ずかしいから。
エロにあまり自信が無い。
でも、書いてしまったのは仕方ないので投下させてもらいます。

一応、男×雪女って設定で。
期待するな。萎えるから、しかもエロ部分が後半だけだ。ぬるいしね
406雪の山―逢瀬―:2006/02/02(木) 23:28:29 ID:ytF4VQUC
北海道、羅臼岳
 昨日まで剥き出しになっていた茶色の地面が、白い絨毯で覆われている。
 空からは白い雪。周りからは動物の走る音も鳥が囀る声も聞こえない。
 私は着物に纏わりつく雪を手で払い、背を向けていた山小屋へ戻ろうとした。
「ん、雪女さん?」
 誰も居ないはずの背後から、間の抜けたの声が飛び、思わず振り返ってしまった。
 緊張の糸がピンと張り詰める。
「ああ、いや。こんな寒い朝に濡袴一枚だけで外に出てると風邪ひくよ」
 そこには登山服に身を包み、大きく膨らんだリュックサックを背負った男が立っていた。
 頭には、ニット帽をかぶっており、横サイドから長めの黒髪がはみ出している。
 雪山に登るのに充分な装備……かと思えば、履いている靴は普通のスニーカー。
 少しでも歩き方を間違えれば、足を滑らせて身体が雪の上に放り出されるだろう。
 その上、ズボンは夏でも履けるような薄い生地の代物だった。
 男は私の後ろにある小屋を見て、自分なりに納得したのか頷き、頂上へ向かい歩き出す。
「アンタも足滑らせないように気をつけて……」
 言った矢先、足を滑らせ勢いよく、仰向けに倒れた。
「……間抜け?」
「自分でも分かってるから、言わないで」
 彼は、重そうな荷物を背負っていながらも、慣れた風に立ち上がり、歩いていった。
 それが、私と……人間である彼との出会いだった。



エロが無い? 何を言いますか、これからずっとエロ無しですよby神坂
407雪の山―逢瀬―:2006/02/02(木) 23:30:45 ID:ytF4VQUC
目の前で、一匹の小鹿が倒れていた。横腹に弾痕があり、血が次々と流れ出している。
 猟師に親を撃たれ、その流れ弾が当ったのだろう。
苦しそうな鳴き声が聞こえる。私は小鹿の身体をゆっくりと摩る。
 流れていた血が止まり、苦しそうな鳴き声が止まり、そして心音が止まった。
 親の方は、もう人間の手で解体されてしまっているだろうか。
 もし生きていたとしても、じきに殺されて鍋の具にされてしまうだろう。
「……あ」
 聞いた事のある声が、背中越しに聞こえた。
「やっぱり」
 雪を踏む音が近づいてくる。もし、肩を触られたら殺そうと思っていた。
 反論する隙も無く、叫ぶ間もなく、苦しませず殺す……はずだった。
 だが、男は私に触れることなく、横たわっている小鹿を両手で抱き、振り向いて微笑む。
「銃声が聞こえたもんでね。この子の墓、作ろっか」
 ――気付いて、ないのか。
 私は呆気にとられ、その場で立ち竦んでしまった。男が不思議そうに私の顔を見る。
 男は、決して肉付きの良いとは言えない二本の腕が、しっかりと小鹿を支えていた。
この前とは違い、スニーカーでは無く雪靴を履いている。
と言っても、今は使われていないような藁で編まれたものだった。
「どうしたの。置いてくぞ『雪女さん』」
「――っ」
 まるで最初に逢った時の様に、だが今度は軽い感じで呼ばれ、固まる。
 それでも、彼は歩みを止めることなく、雪の上を進んでいる。
 きっと、名前を教えていないからだ。と、勝手に納得し、私は彼の後ろを追った。

 心地良くも無いが、不快でもない気分のまま歩き続ける事、数分。
 私と彼は、伸び始めたばかりのブナの前に辿り着いた。
 彼の両腕から、小鹿の体が雪の上へと下ろされる。
「此処らで良いかね」
 そう言って、彼はリュックから折りたたみスコップを取り出し、雪を掘っていく。
 私は傍らで見ているだけ。ただ、小鹿の上に積もっていく雪を少しずつ払う。
 会話はなく、彼はただ黙々と掘り続けて、私はそれを見続けている。
 別に、そのまま立ち去ってしまえば良いい。
 彼の一人遊びに付き合う義理も無かった筈なのに、無表情のまま雪の上に座っていた。
 結局、二十分ほどで小鹿一頭が入るだけの穴が出来上がり、彼の肩が降りた。
 横には雪が混じった茶色い土が山のように盛ってある。
「コレで良いだろ」
 そして、再び小鹿の体が浮き上がり、暗い穴の中へと容れられる。
 そのあとも結局、私の手を借りることなく、彼は穴に土を被せ、重たそうな石を乗せた。
「ごめんな、付き合せちゃって。風邪とかひいてない?」
「別に。私が勝手に付いてきただけだ。アンタが心配しなくても良い」
 そう冷たく返し、私は小鹿の墓と彼に背を向け、帰路につく。
 彼の困った顔を想像すると、頬が緩む。後から慌てたように、雪を踏む音が聞こえる。
 そして、どさりと転ぶ音。
 私は笑いを堪えながら、後でもがいているであろう彼に、聞こえないよう呟いた。
「間抜け」
 ――ああ、そう言えば名前を聞くのを忘れていた。
 それが、彼との二度目の逢瀬だった。



エロはまだ先である。自分でもストーリー重視は、正直萎えると思ってる。by神坂
408雪の山―逢瀬―:2006/02/02(木) 23:32:50 ID:ytF4VQUC
春、雪が解け始め、緑の若葉が芽吹いている。
 あのブナも、小さく綺麗な緑の葉を出し、元気に光を求めていた。
 そして、木の前には大きな石がひとつ。雪解けの水に流されなかったのか。
 私は、胸を撫で下ろし、その石の前に線香を二本立て、その場を去った。
 あれ以来、彼に逢うことは無く、こうやって石の前に来ることだけが、彼の存在を確認するための術となった。
 木上から一羽の小鳥が囀り、それに答えるように、数羽の鳥が鳴き始める。
 今までの白い絨毯の風景から一転、茶と緑の白の鮮やかな水彩画が広がる。
 冬の間、氷に覆われていた池も完全に元に戻り、魚が跳ねる。
 溶け忘れの雪も、時間が経てば水になってしまうだろう。
私は、残っていた雪の塊を一つだけ手に取り、小屋の中へ入った。
 
部屋の隅にある暖炉に火を灯す。まだ、冷たさの残る部屋の中が少しずつ温められていく。
 手に残っていた雪が、小さく音を立て溶け崩れる。それを確認して、炉の火を消す。
窓から、温かな風が入り込み、動物も一層騒がしくなる。
 熱くなり過ぎた身体を抱き、ベッドへ横向きに倒れ、目を瞑った。
 ――冬まで寝ていよう。
 温かい空気に包まれ、少しずつ意識が遠くなっていく。
 次に起きる時は、木が枯れて動物が眠り、きっと寂しい風景が広がっているのだろう。
「ああ、あの間抜けな顔があるかもしれないな」
 笑いながら寝るのは、それが初めてだった。


 涼しい風に頬を撫でられ、目を覚ます。
 窓越しに映ったのは、葉が落ちた木と音もなく静かになった森。
 やはり、思ったとおりの寂しい空間が広がっていた。
 いつも見慣れているはずの光景だったが、今は一層に寂しさを際立たせた。
 小屋の扉を開け、足元に散らばっている落ち葉を手にして、息を吹きかける。
 涼しかった風が冷たい風に変わり、小さな雪花が散り始める。
 どれも、毎年の様にやっている事。今年もそれで終わるはずだった。
 ――物足りない。
 不意に、あの間抜けな顔が浮かび心の奥で否定する。

 少し気分を変えるために、あの小鹿の墓へと足を進めた。
 あのブナの木は、少しくらい大きくなっただろうか、石は残っているだろうか。
 そんな思いを抱いたまま、墓のあった場所へ辿り着いた。此処であっている筈だ。
 此処で良かった筈なのだ。だが、そこには木も石も無く、平坦な地面が広がっている。
 何処を探しても、ブナも石も見当たらない。私は溜息を吐き、帰ろうとした。
「お、久しぶりだな」
 あの間抜けな声、驚きはしなかった。
「久しぶり。また土でも掘りにきたのか?」
「ああ、ちょっと野暮用でね。土掘りが趣味なんだ」
 皮肉を言った筈なのに、冗談で返された。確かにリュックからはスコップが出ている。
 私は、小鹿の墓があった場所へ目を移す。
「あ、あれな。もうちょっと、眺めのいい場所に移したんだ。見に来るか?」
 私の返事を待つことなく、彼は私の手を引っ張り、山の奥へと歩き出す。
 普通の登山者が行くような、開拓された道から獣道へ入り、私しか知らないような道まで、歩き慣れた様子で進んでいく。
 ついには、私でもきた事が無い道にまで及び、初めて見る湖の辺まで来て、足が止まった。
 そこには、たしかに少し育ったブナの木と、あの時置いた石が仲良く並んでいた。
「こういうのが趣味なんだ。あんまり木が大きくなったら運べないだろ?」
 彼は笑いながら、湖の水をブナにかけ、山を降りていった。
 ――あ、また聞くのを忘れてた。

 それが三度目の逢瀬。


エロはまだ(ry  
危うくsage忘れたとこだった。by神坂
409雪の山―逢瀬―:2006/02/02(木) 23:34:50 ID:ytF4VQUC
あれから一カ月が経ち、山も灰色の雪に覆われ、完全に動物の気配も無くなった。
 外は吹雪き、小屋に当る雪が軋んでいるような音を立てている。
 私は肌袴を羽織り、小屋の外へと出た。そして、日課となった墓参りへと行こうとした。
 しかし、目に飛び込んできたのは雪の上に倒れ、背中に雪を乗せた『彼』の姿。
 慌てて駆け寄り、首に手を当てる。脈はあるが、息が途切れ途切れに鳴っている。
 彼を覆っている雪を手で退け、彼を背負い小屋に向かう。
彼の冷たくなった体が軽く感じる。
「はは……雪女さんでも温かいのな」
「バカ」
 彼の冗談を一言で切り伏せ、小屋の中に入った。
 私の身体は、温かい筈は無い。長く雪に当っていた為、彼の温感が麻痺しているのだろう。
 彼の冷たくなった身体をベッドに預け、開けっ放しだった窓を閉める。
 そして、外に置いてあった薪を家の裏へ持って行き、外の炉に火を付け、ずっと使っていない風呂に蓄えていた水を入れていく。
 風呂が一杯になった頃には、充分に蓄えていた筈の水が入ったペットボトルは、完全に無くなっていた。
 まだ温まらない彼の身体を起こし、風呂へと運んでいく。

 彼の着ていた防寒着やズボンを脱がしていく。流石に、下着の方は躊躇って脱がさなかった。
「はは。ごめん、暑いのってダメなんだろ?」
 風呂桶の前に着くと、彼は申し訳なさそうに呟き、苦笑した。
 私は溜息を付き、彼の身体と一緒に自分の身体を温かくなった湯に浸けた。
「少しくらいなら平気……こっち見るなバカ」
 彼の視線が胸元にきているのを悟り、両腕で身体を覆う。
 だが、一瞬であれ透けている肌を見られているのは事実であって……。
 私は、頬が熱くなるのを感じてしまう。
 出来るだけ隅へ移動するが、狭い風呂桶の中では、そう意味が無い。
「そりゃ、ごめん。まあ、さっきまで死にかけてたんだ。そんな気は起こらんって」
 そう言われると、少し面白くない。
 私は、彼から離していた身体を再び密着させ、両肩を掴み胸板に身を委ねる。
 そして、間抜けな顔を赤く染めた彼の唇に、軽く唇を当てる。
 今まで殺してきた男に、何度もしてきたこと。
その男たちは興奮した様子で、身体を求めてきたり、舌を入れようとしたモノだ。
だと言うのに……この男は、呆然とした表情で私の顔を見つめているだけ。
「私は一応、雪女なんだが。もう少し恐がっても良いだろ?」
「いやいや、君みたいな綺麗な子になら氷漬けにされるのも良いかな、と」
 私は再び溜息を吐き、彼の首に手を添える。
「アンタみたいなバカに、力使うほうが勿体無い……殺す価値も無い」
 そして、二度目の口付け。今度は私の方から舌を絡めていく。
 彼の口から、小さく息が漏れる。
 初めは戸惑っていた彼も、積極的に舌を求めてくる。肌も火照って、温かい。
 互いに唇を離すと、その間に銀色の糸が繋がり、そしてプツと切れた。
「ほら、温かくなっただろ? さっさと上がるぞ」
 彼が再び呆然とした顔で、私の顔を見る。
 私の顔が湯気で隠れていることを願いたい。


ほのエロ。風呂プレイ期待した人、スマンかった。萎えた人、めちゃスマン。
410雪の山―逢瀬―:2006/02/02(木) 23:36:48 ID:ytF4VQUC
ベッドの前まで辿り着くと、彼はベッドに上に座り、欠伸をした。
 バスタオルを巻いた彼の身体から、湯気が立ち上る。
 それでも私は、落ち着かせないように再び身体の上に乗って、彼を組み敷く。
「名前。聞くの忘れてた」
 私は彼の耳元で囁く。
「鹿糠羽 祐一。君は?」
「雪夜 沙弥。あ、アンタ幾つ?」
 何事も無い会話。それでも、半裸の男と濡れた着物を着ている女が重なっている。
 それは傍から見れば、行為をしているように見えるのだろうか。
「今年で22だな。此間まで大学生だった」
「なんか、問題起こして退学させられたとか?」
「卒業したんだよ。これでも。頭は良いほうなんだぞ?」
 そんな状況での冗談。彼に主導権を握られているような気もするが、笑いが零れてしまう。
 彼の手が、私の頬に触れた。その手からは、微かな温もりが伝わってくる。
 私の肌は冷たいのだろう。彼の手を握り離そうとした。
 だが、彼はそれを拒み、もう片方の手も頬に当てる。
「ん、やっぱり温かいな」
 ――嘘だ。
 彼の手を握っていた手が緩む。
 ――嘘なのに。
 その手を彼の頬に添え、次は互いに唇を寄せた。ほんの少し、触れるだけの三度目の口付け。
 頬に一筋。雫が伝った。まだ、外からは月の光が入り、互いの表情がしっかりと分かる。
「電気消したい」
「俺は消したくないんだけど」
「いじわる」
「よく言われる」
 主導権を握られるのは悔しかった。私の手は、彼の頬から下の方へ移動していた。
 ヘソの辺りを過ぎた時、手に固いモノが当り、彼の頬が朱に染まる。
 私は、彼が巻いていたバスタオルを剥ぎ取って、ソレを見た。
 ……予想以上に大きい。私は戸惑いながらも、大きくなったその先の部分を撫でる。
 するとソレはピクリと跳ね、また少し大きくなる。
 彼の方を見ると、頬を朱にしたまま、手を空に泳がせていた。
 その手を掴み、私の胸へと持っていく。彼の手がゆっくりと動き始める。
 それを確認し、触るだけだった動作から、手の平で包み込んで擦る動作へと変える。
 私の胸を揉んでいた彼の手も、少しずつ緩慢になっていき、頂の方やその周りを攻め始める。
 が、片方の手が胸から離れ、温もりが半分無くなる
「……ぁ」
 思わず息が漏れて、手を動かすのを止めてしまう。
 それが聞こえたのか、彼はにこりと邪気の無い笑みを浮かべ、余った方の手を私の下半身に持っていく。
 そして
「あ。ちょ――ゃ……ぁ」
 手馴れた手付きで、その部分を弄び私の声を聞くたびに、くすりと笑い声が聞こえる。
 彼の指が出入りする部分からは水音が聞こえ、その音が耳に届くたびに、顔が熱くなる。
 私は彼の腕を掴み、その運動を止める。
「っぁ――もう。良い、から」


自分でもバカだと思った。此処で切った俺反省しろ。
411雪の山―逢瀬―終:2006/02/02(木) 23:38:22 ID:ytF4VQUC
そして、彼の手が止まり、その両手が私の腰に添えられ身体が浮き上がり、彼の熱い鉄の塊となったソレが秘書に当る。
 ゆっくりと、身体が下ろされ……自分の中に異物が入るのが良く分かった。
 ぬぷりという音が耳に届き、恥ずかしさに手で目を覆う。
「ゃ……ぁ―――っは!?」
 不意に腰から彼の手が離れ、鈍痛と微かな快感が襲う。
その拍子に、顔から離れた手を彼の手に掴まれる。
「はい。自分から動いて……ね?」
 その言葉で、一層に頬の赤味が増した。
「っ……ん。ユウ……なんか、要領良くない……っ!」
「んー。まぁ二回くらいは、経験あるからなぁ。やっぱり、中は冷たくて気持ち良いよ。サヤ?」
 その飄々とした態度に、少し嫉妬してしまう。
 私は、小さくなってきた痛みを堪え、速さを変えながら腰を動かす。
 ゆっくりと、その後に激しく。そして浅く、時に深く。喘ぎ声も間隔が小さくなる。
 少しずつ、彼にも余裕が無くなってきているのか、息を漏らし、それでも突き上げるように腰を振っている。
 そして、彼の身体が震え、限界であることを伝える。
「ちょ……もう」
 彼は上半身を上げ、私の方に手を出そうとするが、それより先に私は彼の首に両腕を巻きつけ、しっかりと密着する。
「っ――! くっ」
「ぁ! ゃ……くぅぅ!!」
 彼の白く濁った熱い液体が、私の中に注がれる。
「ん……ぁ。あったかい……溶けちゃ、う」
 
また彼の小さな笑いが聞こえた。不思議と苛立ちは無く、力の入らない四肢を彼に預ける。
 鼻先が彼の胸元に当る――仄かに木の匂いがする。と、顔を上に向けられ、彼の唇が当った。
 四度目は彼の方から。軽く当てるだけ、目を閉じていても彼の無邪気な笑みが、瞼の裏に浮かんだ。
「そういや、此処って鏡無いのな」
 彼は部屋を見渡し、不意に呟く……確かに、化粧はしないので、そんなものは持ち込んでいない。
「ほら、鏡って必要だと思うんだがね。歯磨いたりとか、髪梳いたりとか……」
 必死に例を並べていく彼を見て、笑う。
 ――こうやってユウと一緒に入れたら、どれだけ幸せだろう。
 私は、彼に悟られないよう、微笑を浮かべる。
「ほら、羞恥プレ……ぃだっ!!」
 前言撤回! 私は、彼の頭に即座に作った拳大の氷を投げつけた。
「もう、凍死してしまえ!!」
 
 そのあとは、二回ほど行為に及び、二人共ベッドの上に見を委ねた。
 ――結局、コイツに振り回されたか。
 ふぅと溜息を吐き、横で眠っている彼に目を移した。
「ふつう、こういうのは逆じゃないのか?」
 半開きになって息の漏れている唇に口付ける。
「間抜け……朝は流石にムリだぞ?ユウ」
 クスリと笑った。私ではなく、彼が。
「じゃ、今ならOKってことで?」
「ちょ……ちがっ――」
 
結局、四度目……その後、私は1ヶ月ほど雪を降らせる事が出来なかった。
 まあその間、彼がずっと小屋で世話をしてくれたのは得といえば得だったが。
「や。今夜は開いてる?『雪女さん』」
「出直して来い『間抜け』」
 毎週のように小屋に来るのは止めてくれ。
 ……体力が持たない。
  

はい、総まとめは、あとがきにて。
412神坂:2006/02/02(木) 23:43:03 ID:ytF4VQUC
今の自分なら書けると思ってやった。
今は反省している。

本音を言うと、オリジナルファンタジーを書いてて、ネタに詰まって暴挙に及んだ。
ああ、殆ど雪女関係ねえや。今度はちゃんと、雪女書こう……書きます。
ここまで読んでくれた人、ありがとう。萎えてしまった人、すいません。
他作家の人、頑張って下さい。ほのエロしか書けない俺も応援しています。
413名無しさん@ピンキー:2006/02/02(木) 23:51:38 ID:RrdcXBdB
内容以前に
途中に入る言い訳がましいコメントが萎える。邪魔
それがなければ普通に読めるに
414名無しさん@ピンキー:2006/02/03(金) 00:24:43 ID:RNIWoq9z
誘い受けもあるけど、容量見てくらさい
つーわけで建ててくる
415名無しさん@ピンキー:2006/02/03(金) 00:33:10 ID:RNIWoq9z
416名無しさん@ピンキー:2006/02/03(金) 00:34:33 ID:nU34Ntu0
うわ。このスレたったの一月かよ。
恐るべし正月休みパワー。
>神坂氏
一さんですか(w
自分なんかエロなし書いてましたが何か?
417名無しさん@ピンキー:2006/02/03(金) 01:24:22 ID:D4FKo6FU
スレイヤーズのひとGJ。

>>413
保管庫管理人は空気を読むから多分大丈夫。
418名無しさん@ピンキー:2006/02/03(金) 20:12:51 ID:ERz1tuFf
ああ、こんなところで先生の微エロが見れるとは……私は果報者でございます。
419名無しさん@ピンキー:2006/02/03(金) 21:49:47 ID:InnX6tzw
え、ほんもの?と釣られてみるテスト〜

それはそれはとして、ぐっじょぶ!
420名無しさん@ピンキー:2006/02/07(火) 00:59:07 ID:6eP63xJg
埋まった?
421名無しさん@ピンキー:2006/02/08(水) 11:52:52 ID:7IJTiuz7
>>420
まだ。
422名無しさん@ピンキー:2006/02/10(金) 00:56:55 ID:0WpuC3og
 今年の寒さは、UME(未確認ミュータント・エマージェンシー)のせいだと
いう情報が寄せられた。さっそく、SRE(スペース・レスキュー・エージェン
ト)の隊員達は調査に向かった。
 目的地である雪山で、幾度かの危機に遭遇すたものの。知恵と勇気と金の力に
より、なんとか洞窟へと辿り着いた。
 奥で待ち構えていたのは、吹雪をまとった雪女。調査チームの紅一点であるア
イナ隊員が光線銃を出したが、首を振る隊長に戸惑いの声を上げた。
「キャップ?」
「まさか、雪女だったとはな。せっかく、アイナ隊員に同行して貰ったというの
に」
「私が、どうかしたんですか」
「彼らUMEが暴走するのは、心の空白を埋めんが為なのだよ。私は雪男だと思
っていたから、君に愛を教えて欲しかったんだが」
 アイナ隊員が光線銃を隊長へ向けたところへ、中年のドマ隊員が割って入った。
「しかしキャップ、女同士というものもなかなか」
 銃口がそちらへ向いたが、若いハヤテ隊員が憤慨しながら叫んだ。
「ふざけるのも、いい加減にして下さい!」
「ハヤテ君」
 見直すアイナ隊員に頷くと、ハヤテ隊員は雪女を指差して隊長に言った。
「相手が女なんですから、ここは僕が!」
「しかし、ハヤテ隊員。干上がったとはいえ、私もSREのキャップを務める男
だ。若いだけでも妬ましい君に、みすみす美味しい思いをさせるなど」
「どいつもこいつも……」
 沸々と殺意を高めるアイナ隊員に構わず、ドマ隊員が若者の苦難を被らんと一
歩前に出た。
「危険だ。ここは中年のテクニックを生かして、私が行くべきだろう」
 だが、雪女に息を吹きかけられて、彼は凍り付いてしまった。
 怯んだ隊長を鼻で笑い、ハヤテ隊員が歩き出していく。横の殺気を無視して、
彼の邪魔をしかけた隊長だったが。二つ目の氷漬けを作ろうとする雪女に、舌打
ちしながら留まった。
「やむを得ん。危険な任務に、彼のような若者を行かせるべきでは無いのだがな」
「それより、私と話をするのが先ですよね」
 引き金に指をかけながら、アイナ隊員がにこにこと微笑んでいた。
 ハヤテ隊員は背後の激励に背中を押されつつ、雪女の前に立つ。硬直しきった
彼を見て、その若さに雪女は頬を赤らめた。
「どうしたら、君の心を埋められるんだ」
「来て」
 裾を捲り上げる雪女に、ハヤテ隊員は続け掛けた説得の言葉を捨てた。今は対
話ではなく、行動が大事なのだと。その顔は内心の苦衷を表わすように、我慢出
来ねえよと叫んでいた。
 冷え切った雪女の膣内が、熱い注挿によって次第に暖まっていく。息を荒げる
雪女を見ながら、ハヤテ隊員は背後で膨らむ殺伐とした空気を無視した。
 熱を奪われても、若さが次々に補充するのだろう。体の芯から暖まり、雪女は
喉を反らして奥の迸りを味わった。
「もっとシて、お願い」
「何をして欲しいのか、言ってくれたらね」
 甘く口付けるハヤテ隊員に、雪女は微笑みを返して言った。
「私の膣内を、埋めて欲しいの」


 と、埋めてみる。
423名無しさん@ピンキー:2006/02/10(金) 01:27:01 ID:mMAKrPQl
>422
続きプリーズ
424名無しさん@ピンキー:2006/02/10(金) 02:15:55 ID:Ehck1Z/8
初期設定でちょっと笑ってしまったけれど、
なかなかに面白い。もうちょっとエロい描写が物足りないが。
俺も続きプリーズ。
425名無しさん@ピンキー:2006/02/11(土) 16:56:27 ID:Y1Ts8Z/v
>続き
早くても、次スレの埋め立て時って事で
埋めネタってだけなのに、続き考えて書かんでしょうw
426名無しさん@ピンキー:2006/02/11(土) 17:05:55 ID:447HB+Qs
>425
埋めネタだったらこんな中途半端な状態で終わらせないだろう。
希望的観測で続きは考えていると予想。
427名無しさん@ピンキー:2006/02/11(土) 19:14:25 ID:Wy8GGVUW
>425
それは書き手に対して、「早く次スレを埋める勢いで投下しろー」という呼び掛けと見て間違いないか?
428名無しさん@ピンキー:2006/02/14(火) 12:55:00 ID:dtxVTKoE
オチもついて埋めネタとしては成立しているんジャマイカ俺は思た。
でも続きがあるんなら移行先でそのノリでプリーズ
429名無しさん@ピンキー:2006/02/14(火) 23:01:41 ID:DRZsJ/5e
うーん、ネタは考え付いたんだが、文才がないから駄文にしかならん。
430名無しさん@ピンキー:2006/02/15(水) 19:36:40 ID:JPMKVqiG
文才っていうか
読みやすいかってことだけ考えればいいんじゃないかな
431名無しさん@ピンキー:2006/02/15(水) 22:13:24 ID:VDyOeKLm
自分がどんなに下手な文章だと思っていても、
他人が見ればそれほど気にならない場合もある。
逆に、自分がかなり自信を持って書いた文章でも、
嘲笑の的にされることも少なからず。

しかし、必ず言えるのは、他人の目無くして成長無し。
さて、何とする。
432名無しさん@ピンキー:2006/02/17(金) 01:09:07 ID:nW4tyX+5
最近頭の中でヴァンプ話が渦巻いてるが形にならない orz
433名無しさん@ピンキー:2006/02/17(金) 17:57:54 ID:YlEh9NTx
とりあえずネタを言うから誰か職人さんに頼めないかな?
434名無しさん@ピンキー:2006/02/17(金) 19:41:06 ID:PuaZLmDD
そのネタを拾うかは職人さんの判断次第だろう。
琴線に触れるようなネタだったらやってくれるだろうし、出来の悪いネタをわざわざ文章にするほどヒマでもないだろう。
まずは投下してみれ。
435名無しさん@ピンキー:2006/02/17(金) 20:18:51 ID:wbS4Z7r3
うーん、断念しとく。やはり頭の中で考えるのと実際に書くのとでは違うな
436名無しさん@ピンキー:2006/02/17(金) 21:29:18 ID:SVxtpsh1
SSなんざな、要はネタと根気よ。
面白いネタとそれを文章にしていく根気、これがあればSSなんて作れるのさ。
それにな、文なんてものぁな「てにをは」とか漢字とかが間違ってなけりゃそれで済むのよ。
むしろ、文にするためにネタを頭ン中で明瞭に形作る方が大変だぜ。
これも結構根気がいるぜ。
そうすりゃ一応SSはできあがるぜ。

ただ、面白いSSってのはそうはいかないがな。
ネタの説得力とかが必要なのよ?
わかる? 読み手に共感させたり、コッチの望む印象を与えたり、もっともらしく思わせる事が必要なのよ。
それから、そいつをただ説明しちゃダメだよ。
エピソードで語る、これ重要。
そうすりゃ、多分面白いSSが作れる。

え? 抽象的だって?
具体的にわかってりゃ、自分で書いとるわ。
437名無しさん@ピンキー:2006/02/17(金) 22:32:23 ID:SVxtpsh1
でも自分はエロが全然書けない。
まず「秘蜜に濡れた紅花弁」とするか「愛液に濡れそぼった陰唇」とするか、さもなくば「グチョグチョのおマンコ」とすべきか。
その点で既に躓く。
さらにはドコをドノくらいドウ弄るべきか、そんなのも具体的に頭に浮かばん。
438名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 18:39:23 ID:JsdX/uA/
その辺は読書量と、あと実体験がものを言う。














 Λ||Λ
439名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 21:31:06 ID:aIGdcYcz
やはり、か。
ラノベとエロ漫画は読んでもエロ小説は読まんし。
しかも魔法使いでもあるし。
440名無しさん@ピンキー
大丈夫! 私も某スレで書き手として暗躍してるけどラノベとエロ漫画しか読まないし魔法使いだし!
萌えとネタさえあればなんとかなるさ!