テイルさん早い!乙です〜
乙コレクト!
摂関希望です。
>>1 ,´<X>Q スレ立て乙です〜
! ,」l」l」l」l」
! リ´ヮ`ノリ
!/~,})())ヽ
!しノ〒ゝノ
く__l|_ソ
>>1 乙
さて今スレはkskしまくりんぐで逝こうかwww
…なんか俺とテイルさんがかわるがわる立ててるキガス。 ともあれ乙です。 VIPのアニソン垂れ流しスレでアニソンを大音量で聴きながらHappydays執筆中フフヒヒッハー!!
オレはDVD一巻おまけのサントラ聴きながら
なんか人いないぞ…… ここまで来て即死はマズイと思われ
>>1 乙です。
>>1 乙です。
前スレに続いて、このスレでも俺の案が採用されるとは…。
気が向いたら、作品でも投下しようかな。
即死回避フゥー!
も少し待ってくれれば投下が…!
その時、邪神の兵隊の槍が、梢ちゃんの胸のあたりを狙って振られ―― 珠実ちゃんすら反応できないうちに、梢ちゃんは―― 間一髪でよけた。 ――けど。 ぱさ… 音を立てるように、切られた梢ちゃんの青い髪が落ちた。 『あ……………………』 全員の声が重なった。 「…………………………………」 …アノ。 コズエチャンカラスゴイオーラガデテイルノデスガ。 確かに聞こえた。 何かの切れる、『ぶちっ』と言う音が。 梢ちゃんの姿が一瞬消え、その刹那、邪神の兵隊は梢ちゃんによって殴られ、さらに空に吹っ飛ばされ、漫画のように星になった(ちなみに折れていた杖はナックルとなった)。 そしてもう一体も同じ結果に。 そして悲しみの化身は、押さえつけられ踏みつけられ。 最後には同じく星になりました。
…戦いともいえない一方的なものを終え、梢ちゃんはぺたんと腰をついた。 「えっと…大丈夫?」 梢ちゃんの肩に手をかけ、声をかけてみる。 …梢ちゃんが振り向くと、その瞳の色は紅に染まっていた。 どうやら髪を切られたせいで早紀ちゃんに『代わった』らしい。 そう考えていると、早紀ちゃんが手を差し出してきた。 「…おんぶ」 ………早紀ちゃん、我侭にも程があ… ……あの、後ろの珠実ちゃんのほうから今の早紀ちゃんに負けるとも劣らぬオーラが… 「にゃはははは。 まあ、晩御飯は皆で作っとくから管理人室でイチャイチャしときなさいな」 桃乃さんの声が聞こえ、同時にオーラが消えた。 珠実ちゃんの声が、「できたら呼ぶです〜」と言っていた。 …早紀ちゃんを背中に背負い、管理人室へ向かう。 「…アノ、サキチャン?」 完全に裏返った声で早紀ちゃんに話し掛けた。 「…ん?どした?」 「イヤ、ムネアタッテルンデスケド」 や、柔らかい感触がお腹に… 「当ててんだよ」 ………いや、お願いだからちょっと待ってください。 むにむに。 うあー。 うああー。 は、早く管理人室に…
…ピピピ。ピピピ。ピピピ… 「…ん」 目覚ましの音で目が覚めた。 起き上がると、シーツがはだけ、むき出しの胸が少し肌寒かった。 できるだけ静かに服を着、 「ん〜〜〜〜〜〜〜〜」 伸びをすると、眠気がまた少しぶり返してきた。 …その時、僕の隣の丸まったシーツから声が聞こえた。 ひょこ、と梢ちゃんが顔を出した。 「ふぁ…おはようございまふ…ふぁ〜〜」 間の抜けた挨拶と大きな欠伸に、僕は思わず苦笑した。 「おはよう。 大きな欠伸だね」 梢ちゃんは顔を赤くしてシーツの中へ再び潜った。 そしてすぐに顔を出した。 「…お腹、空きました?」 「…そういえば、昨日食べてなかったなぁ… 朝ごはん、お願いできる?」 僕のその言葉に、梢ちゃんは快く頷いてくれた。 「シャワー浴びてからですから…7時ごろに…」 ガァン!! 梢ちゃんの言葉の途中で轟音が響いた。 「!?」 慌てて外に出ると、灰原さんが倒れていた。 ………状況から見ると、ジョニーをキャッチするときに扉にぶつかったようだ。 『VSグラシア・ラボラス Mission 敵を倒せ! 勝利条件:敵の殲滅 敗北条件:白鳥隆士の戦闘不能』 管理人室に再び戻り、剣を取って外へ出… 体に力が入らない… 朝ごはんを食べてないせいですか?
中庭を見ると、熊?っぽい巨大なものが腕を振り回していた。 …沙夜子さんはいつもよりより一層大きく震え、しっかりと朝美ちゃんを抱いている。 「お、お母さんはなして!大丈夫だから!」 …ダメだこりゃ。 「マ゙〜!!! 部長には負けないです〜!!!!」 珠実ちゃんが叫び… 部長!? 「ホほう…コの私に勝ツ気デスか?」 部長さんの声!? 「この… 変態!マゾ!!M!!!魔術オタク!!!!」 「アフゥン!!!!!」 『グラシア・ラボラスに157のダメージ!』 何となく剣はいらないような気が。 と、桃乃さんが叫んだ。 「日本語喋りなさいよこの基地外!!!!」 「アアゥ!!!!」 『グラシア・ラボラス(ry』 …………… 呆っとしながら見ていると、梢ちゃんがチョコチョコとそばによってきた。 「えっと…こういう場合どうすれば…」 「僕に言われても…」 既に珠実ちゃんと桃乃さんのストレス発散大会になってるよ。 そうこうしていると、灰原さん(復活した)が問いかけてきた。 「…なぁ白鳥、これに何か意味はあるのカ?」 「……………」 『グラシア(ry』 『グラ(ry』 『グ(ry』 『g(ry』 「…ご飯、作ってきます…」 梢ちゃんが脱力したように言った。 「私たちは内職してくるね」 そういって、朝美ちゃん(未だに沙夜子さんの腕の中)と沙夜子さんは5号室へ入っていった。 …僕も課題するかな… …と。 その時、廊下にある一つの人影に目がいった。
たったの4レスで終わる悲しさよ。 クオリティ低っ!! ……………イレイザ−は18禁が書けないのです……。 さ、逃げるか。
逃亡者は銃殺される・・・
埋まりましたね、お疲れ様でした >>前スレラスト んだとコラ、犯っぞコラ
>>24 (゚∀゚)キタコレ!!
(´・ω・`)すまない。励ましの言葉が見つからないんだ。
最近の野球選手は0勝7敗でも一億以上貰えるんですね。俺もなりたいです。ぐうたらです。 結局前スレでは一度も投下することなく終わっちまいました。 つーか体が書き方を覚えていないという惨事。 それにもめげずにちみちみ書いてます。 昨夜アニソン6時間ぶっ通し合唱を聴いてミラクルハイなぐうたらでした。 何が言いたいかと言うと、まぁ即死回避って言いたいだけなんですけど。
おつー
さて、ここからがこのスレの盛り上がりどころですよ
SS書いたノート(の1ページ)を見られた_| ̄|○lllllllllll
>>28 ガンガレ
>>31 ドンマイ
どうみても即死回避レスです
本当にありがとうございました
そしてまほらば10を買ってきた(遅 … …… 何かちr(ry
>>33 「ちr」が何の略か分からない俺が来ましたよ。
ちr・・・ちる・・・?
チルヲタか
ヒント:あとがき地獄
11位の人より部長の今後が気になる。
かつてあるひの○○にワロタ。
…で思ったんだが、空を見上げてるシーンがやけに多かったな
読者率が落ちてきたな。
何その数値
ksk率が落ちたのが一番の原因だと思うが、 職人投下率・SS読者カキコ率が禿しく落ちてきてる。
獣姦・・・
>>42 言うな。
アニメ終わって時間経ったし、しょうがないんじゃない?
うはwww華麗にPC復活www ∧_∧ ∧__∧ (´<_` ) これでまた夢が広がりんぐwww ( ´_ゝ`)/ ⌒i _(__つ/ ̄ ̄ ̄/i |_ \/ pink / ヽ⊃ ( ´_ゝ`)何かスレに活気が無いな (´<_` )Mr.ぐうたら・テイル氏・水氏・小島氏etc.がんがれ
>>43 まぁ仕方無い事だな。
課題の人復活キタ(゚∀゚)コレ!!
>>44 アンタも頑張れ
ところでksk率ってなに?
ka so ku 頭文字を取ってksk。 同様にして、 ku wa si ku 頭文字を取ってkwsk などが使われる。
代表的なコテ職人の投下率低下 ↓ スレ駐留人数の低下 ↓ レス率低下 ↓ 読んでくれる人が少なくなりさらに職人の投下率低下 っていう典型的な悪循環だろう。
ついこの前までSS連打ラッシュが行われてたのにな。 俺が入ってきたころが全盛期だったのかな(夏厨がいたからか?
まぁ確かに夏の間は盛り上がってたね〜 あの時のようになるのは今度は冬休みか?
加速でしたか、サンクスです まぁ、確かに人は減りましたな それでも私は頑張って書く、だから皆も頑張れ
コテの人も自分のHP持ちのひと増えたからなぁ。 元々持ってた人もいたけど。
夏の間猛威をふるってた職人って 今どれくらい残ってるんだろうな・・・ 全員カムバック!
リアルで相当精神的にクることがあったのでそれど頃じゃない人('A`)ノシ もう寝る。グスン…
| \ |Д`) …前スレハ済みませんでした… |⊂ …今頑張って書いてるんでよろしく… | ・・・課題が・・・終わったら・・・ | ノ | ノ サッ | ノ |
気に入らないSSを排除していったからこうなったんだろ
>>42 正直スマンかった〜!!
ということで? 書きかけSSハルイロ第三話いきます。
早紀ちゃんレイープモノはあんまり面白くなかったので中止。
その少女は、目の前にいる奇妙な生き物をじっと見つめていた。 植木鉢の土の中から上半身を生やし、頭に花を咲かせた不思議な生き物…。 “それ”も少女と同じように、不思議そうに見つめ返していたが、 やがてにっこり微笑むと、少女に向かって手を振ってきた。 少女は小首を傾げ、呟いた。「……かも?」 ハルイロ〜第三話「ハルイロ少女・棗の場合」 「梢ちゃ〜ん?」 「お姉ちゃ〜ん?」 鳴滝荘の物置でしゃがみ込み、床の上のハルとにらめっこをする棗のところに、 外で誰かを探しているらしい声が聞こえてくる。 「おかしいな、どこ行っちゃったんだろ?」 「ハルちゃんもいないです〜」 「一緒に散歩にでも出かけたんでしょうか?」 『隆士君…!』 その中に白鳥の声がするのに気づいた棗は、ほぅっとなって、 頭にぽんっと花を咲かせた。物置を出ていき、 彼の元に駆け寄ろうと腰を浮かしかけたが、 他の住人たちも一緒らしいことを思い出し、しゃがみ直してしまう。 いや、もし白鳥一人しかいなかったとしても、会ってどんな顔をしたらいいか、 どんな話をしたらいいのか、わからない。 彼は、いつもと同じようにいてくれればいいと言ってくれたし、 棗も彼の側に座っているだけで十分幸せだったが、 それで彼は本当に幸せなんだろうかと、ついネガティブな考えが浮かび、 それにあわせるように、頭に咲いた花がしおしおと萎れていった。
「…?」 どんよりした顔をしていた棗は、ふと目の前の奇妙な生き物…ハル…が、 なにやら楽しそうにきゃっきゃとはしゃいでいるのに気がつき、 小首を傾げた。何を歓んでいるのだろう…? 「……これ、かも?」 ハルが、棗の頭の花を見ていることに気付き、彼女は試しに、 もう一つ花を咲かせてみた。するとそれを見たハルは、ぱぁぁと顔を輝かせる。 やっぱり…と、もう一本咲かせてみると、「わーい」とでも言っているかのように、 ハルは両手を挙げて大喜びする。それならもう一本、そしてもう一本… 花が増えるたびにおおはしゃぎするハルに、棗は再びほぅっとなった。 今まで、彼女の手品を見た者は、あの白鳥でさえ、最初はぽかんとするだけで、 こんなに自然に喜んでくれた者はいなかった。 棗は嬉しくなって、別のマジックも披露し始めた。 棗が何も持っていない手を一振りすると、トランプが出現する。 空っぽの段ボールをステッキで叩くと、中にぬいぐるみが現われる。 もう一つ空の段ボールを持ってきて、ステッキで両方を叩くと、 中のぬいぐるみが移動している…棗が様々なマジックを披露する度、 ハルは口をOの字にして驚き、喜び、ぱちぱちと拍手を送った。 そして他にも、カードの記号当てにぬいぐるみの空中浮遊などなど、 なっちんマジックショーが小一時間ほど続けられた頃… 「……?」 棗のマジックの手がピタッと止った。それまで楽しそうにはしゃいでいたハルが、 急に元気がなくなってしまったのだ。しょんぼりとしたような顔をして、 ふらふらと身体を揺らし、なんだか具合が悪そうだ。 「どう…したの?」 棗は屈みこんでハルに訊ねたが、彼女の具合はどんどん悪くなっていく。 呼吸は荒くなり、頭の花と葉っぱがしおしおと萎れていき、 遂には白目を剥いてこてんと仰向けにひっくり返ってしまった。 口からなにやら魂のようなものが立ち昇っていくのも見える。 「!! たいへん!…かも」 慌てた棗はハルの植木鉢を抱え、ゆさゆさと揺すってみたが、 反応はなかった。どうしよう、どうしよう…。棗は植木鉢を抱えたまま、 うろうろと物置の中を歩き回ったが、すぐに意を決すると、 植木鉢を抱えたまま、物置を飛び出していった。
物置を出た棗は、中庭を囲む回廊に出ると、きょろきょろと辺りを見回し、 住人を探した。だが、マジックショーを始める前には、 確かに住人たちの声が聞こえていたのに、今はどこにもその姿は見当たらなかった。 棗は一瞬、途方に暮れた顔になったが、すぐさま一番近くにある、 1号室のドアへと走り寄った。 トントン、トントンと、せわしなく1号室のドアをノックする。 だが、誰も出てこない。それなら隣に…と、棗は2号室へ向かった。 ここは白鳥の部屋だ。彼ならきっと…『隆士君…』 棗は祈るような思いで2号室のドアをノックしたが、 しかし白鳥も出てきてくれはしなかった。何度かノックを繰り返した後、 棗はついに2号室も諦めると、さらにその隣、3号室のドアをノックしたが、 やはりその部屋からも、誰も出てきてはくれなかった。 『隆士君…みんな…どこ…?』 泣きそうになりながら、棗は住人たちの姿を求め、廊下を走った。 その足が、とある部屋の前でぴたりと止まった。中から人の声が聞こえてくる。 棗はほとんど何も考えないまま、急いでその部屋のドアを開けると、 中へと駆け込んだ。 「梢ちゃんどこ行っちゃったんでしょうか〜?」 「ハルちゃんもいないし…」 「靴はあったから、家に居るはずなんだけどねぇ…」 キッチンで、お茶とお菓子を前に住人たちがそんなことを話していると、 そこへ当の梢が駆け込んできて、一様に驚いた顔になった。 「あっ、梢ちゃん。どこ行ってた…」 「隆士くん! 大変…かも!」 折りよく一番入り口近くに座っていた白鳥に、棗は駆け寄った。 「へっ? あ、えーと…棗…ちゃん?」 髪型や喋り方で、それが梢ではなく棗だと気づいて白鳥が呼び直すと、 彼女はコクンと頷き、「大変なの…!」と、持っていた植木鉢を前に差し出した。
今日はこれだけ〜。次回投下で終わるはずですが、 オチが綺麗にまとまっておらず、未完成なので遅れるかもだ。
GJ
GW
GJ! 棗ちゃん、サービス心旺盛なのはいいけど枯れさせないy(ry 何かホント受けが悪いな影_| ̄|○lll
「棗の場合」の続き行きます〜
「あーっ!?」 その中で引っくり返っているハルに気づいた住人たちが、驚きの声をあげる。 「ハルちゃん!」 「ど、どうしたのいったい?」 「わ、わからないの…物置で…手品を見せてあげてたら…急に…」 「物置で…?」ってことは…「きっと光だ!」 事情を察した白鳥は、棗の手を引いて廊下へと連れ出すと、 日当たりのいい場所までそのまま引っ張って行った。他の住人たちも、 その後をどたどたと付いて行く。 「そうだ、水はあげたかい?」 白鳥に訊かれ、棗がかぶりを振ると、朝美が慌てて食堂へ引き返し、 コップに水を汲んで戻ってきて、ハルの頭からかぶせた。 みんなが固唾を飲んでハルを見守っていると、 まず抜けかけていた魂のようなものが、口の中に戻って行き、 白目を剥いていた目がぱちぱちとしばたかれ、元通りになる。 そしてハルはむくりと起きあがると、頭をぷるぷるっと振り、 それからみんなに向けて、またいつもの笑顔を見せた。 「ふぅ、やれやれだわね〜」 「相変わらず難儀な子ですね〜」 どうやら今回も無事だったハルに、みんなは冷や汗を拭いながら、 安堵の表情を浮かべた。だがその中で、棗だけがシュンとしたままなのに白鳥が気づき、 声をかけた。 「ハルちゃんならもう大丈夫だから安心して、棗ちゃん」 「…しのせいで…」 「?」 「わた…しのせいで…その子が……ごめ…んなさ…い…」 棗がハルが倒れたことを気に病んでいるのだと気付き、 白鳥は微苦笑を浮かべた。 「あんまり気にしないで、この子はいつもこんな調子なんだ。 もうすっかり元気になったし、そんなに自分を責めないで棗ちゃん」 他の住人たちも白鳥にあわせ、口々に棗を慰める。 「そーそー、気にしない気にしない。あたしらもみんな、 最初はハルちゃんをしおしおにさせちゃって、大騒ぎだったからねー」 「そうそう、わたしもだよ」えへへと苦笑いしながら朝美が言う。 「オレもダ」と、頭を掻きながらジョニー。 「です〜」「そうね…」
「でも…」 なおも何か言いかける棗に、白鳥は言った。 「それよりもさ、棗ちゃんはみんながいるところが苦手なのに、 ハルちゃんのために、自分からみんなのところに来てくれたんだよね。 僕はそれが嬉しいし、ハルちゃんだってほら…」白鳥がハルの植木鉢を差し出すと、 その中からハルは、いつもの朗らかな笑みを棗へと向けた。 「君が自分を助けようとして一生懸命になってくれたって、 この子もわかってるんだよ。それにみんなも。ね?」 見れば、棗を囲んだ住人たちも、優しい笑みを彼女に向けている。 白鳥とハル、そしてみんなの笑みに釣られるように、 棗もようやく笑みを浮かべ……それからハッと気がついた。 みんなの視線は優しく暖かく、だが、紛れもなく自分に注がれている。 「わ、わたし…そんな…ただ…夢中で…」 棗は顔を真っ赤にすると、俯いてしまった。その身体がカタカタと小刻みに震えている。 「な、棗ちゃん…?」 慌てて白鳥が声をかけようとすると、棗の頭に、突然ポンッと花が咲いた。 びくっとする白鳥の前で、ポンッ、ポンッと、さらに二本、三本と花が咲いていき、 ついにはポポポポポンっと一斉に咲き乱れた。白鳥だけでなく、 住人たち全員が呆気に取られていると、その花の束の中から特大の蕾が出現した。 『こ、これはまさか…』 そう思う間もなく、その蕾がぷくーっと膨らんで開き、 眩い光と白煙があたり一帯を覆った。 「うわぁっ!?」 住人たちが眩しさに思わず目をつぶり、そして光が収まって目を開けた時には、 棗の姿はどこにも見当たらなかった。 「だーっ! 白鳥君が余計なこと言うからなっちん逃げちゃったじゃない!」 「えっ、僕のせいなの?」 桃乃にほっぺたをぐりぐりされ、白鳥が言う。 「わたしたちのことを意識させるからです〜、このボンクラ〜!」 「あーあ、今日こそ仲良くなれると思ったのになぁ」 「残念ね…」 口々に残念がる住人たちの前で、桃乃が握り拳を突き上げた。 「いや、今からでも遅くはない、シャイなあの子のオープンハート作戦第三弾よ〜!」 そしてその手が、白鳥の肩にポンと乗せられる。「ということで白鳥君、 わたしらキッチンで待ってるから、責任持ってなっちんを連れてくるように」 「またですか〜」 白鳥は、深い溜め息を漏らした。とはいうものの、 彼も棗には他の住人たちと仲良くしてもらいたかった。 それに彼自身、この前はほとんど顔を合わせられないままで終わってしまったので、 できればちゃんと顔を見て話をしたい。
「わかりました、それじゃちょっと探してきますね」 そう言って白鳥が歩き出しかけると、それを呼び止めるように、 彼の背中に向かってハルが手を伸ばした。 「どうしたの、ハルちゃん?」 「一緒に行きたいんじゃない?」 「いつの間にか棗ちゃんと仲良しさんになってたみたいですからね〜」 珠実の言葉に白鳥は、そういえば棗はハルのために、 自分からみんなのところにやって来たんだっけと思い出した。 あっという間に鳴滝荘に馴染み、そして棗の心も開かせてしまった… 本当に不思議な子だなと、白鳥は思った。 「よし、それじゃ一緒に探そうか?」 白鳥はハルの植木鉢を抱き上げると、改めて棗を探しに廊下を歩き出した。 「棗ちゃーん! 棗ちゃーん!?」 白鳥が棗の名を呼びながら、玄関に通じる廊下の前を通りかかった時、 腕に抱えていたハルが、急に彼の服の袖をぐいぐいと引っ張った。 「どうしたの?」 白鳥がハルを見ると、彼女はその小さな指で玄関の方を差している。 白鳥がそちらの方へ顔を向けると、管理人室の陰から覗いていた棗の顔が、 奥にさっと引っ込んだ。 「あ、棗ちゃん!」 白鳥は小走りで玄関のほうへ向かったが、管理人室の角を出る前に足を止めた。 この前もそうだったが、随分恥ずかしそうにしていたから、 このまま行っても逃げてしまうんじゃないだろうか…? 「…棗ちゃん、そこにいるの?」 白鳥は管理人室の角、回廊と玄関前を繋ぐ廊下の方から、 棗が引っ込んだ管理人室前の廊下の方に向かって呼びかけてみた。 「……うん…」 少しの間を置いて、返事が聞こえてくる。どうやら、 角を曲がったすぐそこにいるようだ。棗が逃げていなかったことに、 白鳥はとりあえずホッとする。 「…そっちに行ってもいいかな?」 「……ダメ」 棗の返事に、白鳥は小さく溜め息をつくと、壁に背中をもたれさせた。 そしてずるずると下がっていき、廊下に腰を下ろした。 「ハルちゃんも連れて来てるんだ。今からそっちにやるよ?」 植木鉢を自分の横に置いて滑らせ、角から出す。そのまま待っていると、 壁の陰から棗の腕が伸びてきて植木鉢を掴み、戻っていった。
「だい…じょうぶ…?」少しの間。「そう…。よかっ…た…」 角の先から、すっかり元気になったハルを喜ぶ棗の声が聞こえる。 ちょっと待ってから、白鳥は口を開いた。 「ハルちゃんとはもう仲良くなったんだね」 そこでまた少し待つ。返事はなかったが、白鳥は先を続けた。 「僕たちが初めて会った時のこと、覚えてる? ハシゴから落ちそうになった僕を棗ちゃんが助けてくれて、 それで初めて話ができたんだよね」 喋りながらあの日のことを思い返し、白鳥は笑みを浮かべた。 あの時も今日のように、他人が苦手なことも忘れ、助けてくれたんだっけ。 「人のために一生懸命になれるって、素敵なことだと僕は思うよ」 「…隆士君も…」 「えっ?」 不意に角の向こうから、棗の声が聞こえてきた。 「…隆士君も…わたしのために…一生懸命になってくれてる…」 「あ…えーと…その…」 棗に言われ、白鳥の頬が赤く染まった。思ったことを、 そのまま口に出してしまったが、いざ人からそんなことを言われると、 確かに照れ臭くてかなわない。 『棗ちゃんが恥ずかしがるのも無理ないか…』 これからはもう少し考えてから喋るようにしないとなぁ。 白鳥がぽりぽりとほっぺを掻きながらそんな事を考えていると、 追い討ちをかけるように棗は付け加えた。 「わた…し…隆士君の…そういうとこ…大…好き…」 かぁぁ…と、白鳥の顔が、ほっぺたどころか耳まで真っ赤に染まった。 そして今しがた思っていたことも忘れ、衝動的に口を開いた。 「ぼ、僕もだよ! 僕も、棗ちゃんのそういう優しいところ、大好きだよ」 角の向こうでは、棗も顔を真っ赤に染めていた。
『ど、どうしよう…』 勢いで言ってしまってから、白鳥は動揺しまくっていた。 恥ずかしくて顔から火が出そうなくらいだ。自分がこんなに恥ずかしいなら、 棗のほうはもっと恥ずかしがっていんじゃないだろうか…。 これでは、みんなのところに連れて行くどころか、 話しかけることさえためらってしまう。 二人は黙り込んだまま、時間が過ぎていった。焦りながら、 何かいい話題がないかと白鳥は頭をひねったが、なかなか思い付かない。 だが、そんなことをしていると、いきなり角の向こうから棗が姿を現し、 白鳥は思わず腰を浮かした。「な、棗ちゃん?」 そのまま慌てて立ち上がった白鳥のほうに、棗はすぅっと近寄った。 突然のことでどうしていいかわからず、白鳥が棒立ちになっていると、 棗はさらに近付き、そして…「あれ?」 棗はそのまま白鳥の横を通り過ぎ、向こうへと走って行ってしまった。 「え?」 白鳥が振り返ると、棗は廊下をすたたた…と走っていき、 そのまま中庭へと駆け下り、そこでようやく立ち止まる。 「ど、どうしたの?」 一瞬後、我に返った白鳥が、棗の後を追って駆け寄って行くと、 彼女が抱えた植木鉢の中で、ハルがぐったりしているのが目に入った。 『あ…そういえば、あんまり太陽に当てないうちに連れて来ちゃったからなぁ…』 白鳥はどんよりと顔に縦線を入れ、植木鉢を抱えた棗に声をかけた。 「え、えっと、ハルちゃんは大丈夫…?」 今回は対応が早かったせいか、そう言う間にも、ハルはむくりと起き上がった。 それを見た棗は、白鳥のほうを振り返り、嬉しそうな顔でコクンと肯いた。 「そ、そう。よかったねー、はは…」 白鳥はのろのろと中庭に下りると、縁側に腰を下ろし、 ふぅっと溜め息をついた。そして顔をあげると棗に声をかける。 「棗ちゃん、ここに座りなよ。しばらくハルちゃんと一緒に日向ぼっこしてよう」 白鳥に言われ、棗がその横に並んで腰を下ろすと、白鳥は彼女に向かい、 ぽつぽつと喋り出した。 「さっきも言ったけど、この子はいつもこんな調子でさ」 白鳥が言うと、ハルが後ろ頭をさすりながら、てへへと照れ笑いを浮かべる。 「お日様に当てないとさっきみたいにしおしお〜っとなって、 でも、当てすぎてもじりじり〜ってなっちゃって、 あと、水をあげるのを忘れても、逆にあげすぎても倒れちゃってね」 「大変…かも」 「うん、本当に」 膝に乗せたハルを見つめて言う棗に、白鳥は苦笑いを浮かべて言った。 「その度にハルちゃんの植木鉢を抱えて、みんなで大騒ぎなんだ。 あ、そうそう、桃乃さんがこわーい映画を見せた時もしおしお〜ってなっちゃって……」 話を聞きながら、棗の顔がほころんでいき、にこにこと嬉しそうに、 彼女はハルを見つめた。白鳥の目に、その横顔が梢の横顔と重なって映った。 今の棗の笑顔は、梢がみんなと一緒にいる時に見せる、 あの幸せそうな笑顔そのままだ。
「…!?」 白鳥が思わず喋るのを忘れ、ぽかんと口を開けて見つめていると、 棗が不思議そうに顔をあげた。 「どう…したの…」 「あっ、いや、その…」白鳥はしばし言い淀み、少し考えてから口を開いた。 「ねぇ、棗ちゃん。みんなのところに行かない?」 「え…」 「僕だけじゃなくて、みんなからもハルちゃんの話を聞かせてもらうと、 きっともっと楽しいと思うよ」 白鳥の急な提案に、棗は考え込んでしまった。『どう…しよう…』 みんながいるところに行くのは怖い。でも、ようやくできた、 この新しい友達のことを、もっと聞いてみたかった。 いや、ハルのことだけではない、白鳥のことだって、 自分が知らない色々なことを、みんな教えてくれるかもしれない。 だけど…。 棗が迷っていると、膝に乗せていたハルが、まるで励ますように笑いかけ、 「行こう」とキッチンのほうを指差した。その笑顔に、棗は心を決めると、 立ち上がった。 「わ…たし…行ってみる…かも」 ぽんっと頭に花を咲かせる棗に、白鳥は立ち上がり、拳を握って言った。 「うん、行こう!」 …と、意気込みはよかったのだが、キッチンに近付くにつれ、 棗の歩調は徐々に遅くなっていき、キッチンのドアの前に着いた頃には、 彼女はすっかり青ざめてしまっていた。 「大丈夫? 無理してまで行かなくてもいいんだよ?」 ドアの前で立ち止まったままの棗に、白鳥が気遣わしげに声をかけると、 彼女は顔を俯かせてしまった。やっぱり少し怖い…。 だがその時、腕の中からハルが笑いかけてくるのに、棗は気が付いた。 その笑顔を見ていると、なんだか緊張がほぐれてきて、 そして同時に勇気がわいてくるような気がする。 棗もハルに微笑みかけると、顔をあげ、まっすぐにキッチンのドアを見た。 横では白鳥も優しく微笑んでいる。二人がついていてくれれば、 きっと大丈夫…かも。 二人の笑顔に勇気付けられ、棗は一歩、前に踏み出した。
あ、しもた、以上で『ハルイロ〜第三話「ハルイロ少女・棗の場合」』お終いです〜。 なっちんが逃走したとこでお終いにしようと思ってたのに、 探しに行かせることにしたんで大変だったっす。 そんじゃ、ご不満な点などありましたら聞かせてもらえれば幸いです。
>>73 まんま9巻って気がしないでもないが、GJ!
GJ
>>75 基本的に原作のセリフとか行動とかシチュを取り入れるの好きなもんで。
>>73 イイ!これイイ!
何って、ハルを生かしきれてるのが凄いわ。
過疎り杉age
このくらいの速度ならエロパロ板じゃ過疎り過ぎとは言えない罠
ksk
早紀ちゃんが高速で扱いてくれるようなSSきぼん
「こうそくであつかいてくれる」と読んでしまった。
いままでそうだと思って読んでいた
しごいてだよな?
DVD予約するべきだった。
>87 買えなかったの? 限定生産って言っても一ヶ月やそこらで売り切れるもんじゃないんで、 まだ余裕で手に入るよ。ゲーマーズの10巻特典カードのほうがよっぽど… それはさておき、なんか最近あんまり投下なくて寂しいから、 需要なくてもハルイロ四話いっちゃうよ?
その少女は、目の前にいる奇妙な生き物をじっと見つめていた。 植木鉢の土の中から上半身を生やし、頭に花を咲かせた不思議な生き物…。 “それ”も少女と同じように、不思議そうに見つめ返していたが、 やがてにっこり微笑むと、少女に向かって手を振ってきた。 少女は眉根を寄せて、呟いた。「なんだこりゃあ?」 ハルイロ〜第四話「ハルイロ少女・早紀の場合」 「あれ、梢ちゃん何してるの?」 とある土曜日の午後。お茶でも飲もうかとキッチンに顔を出した白鳥は、 テーブルの上のハルと睨めっこをしている梢に気づき、声をかけた。 「おーっ白鳥じゃねーか!」 彼の声に、梢はがばっと顔を上げると、ニコニコしながら駆け寄ってきた。 その口元が、独特の形に緩んでいる。 「あ…えーっと、早紀ちゃん?」 「おう!」 口調と表情で、それが梢ではなく早紀だと気付き、また強烈なハグをされるのかと、 一瞬腰の引けた白鳥の腕に、早紀はしがみついてきた。 「会いたかったぞ白鳥〜」 「ああ、うん、僕もだよ」 ハグこそされなかったものの、身体を押し付けてくる早紀に、 白鳥は少しどぎまぎしながら言った。恋人同士とはいえ、 さすがにこんなにくっつかれると、ちょっと気恥ずかしい。 それに早紀のほうだって、こんなところを人に見られたら…。 この前早紀が来た時の事を思い出し、白鳥は気が気でなかったが、 彼の不安はすぐさま現実のものとなる。
「はっ!?」 白鳥の腕にかじりついていた早紀が、何者かの視線に気付き、さっと振り返った。 するとテーブルの上から、先ほど彼女が見つけた奇妙な生き物が、 じいっとこちらを見つめているのと目が合った。 白鳥に甘えているところを見られた…!? 早紀の顔が、 みるみる真っ赤に染まっていった。「うひゃぁっ!」 「ぶべっ!?」 次の瞬間、早紀の裏拳が鼻柱に炸裂し、白鳥は無様な悲鳴をあげて、 壁まですっ飛ばされていった。 「あ…し、白鳥ぃぃぃ!」 すぐに我に返った早紀が、慌てて白鳥に駆け寄り彼を助け起こす。 「す、済まない白鳥、大丈夫か?」 「へ、平気だよ早紀ちゃん…」 おろおろしながら謝る彼女に、白鳥が鼻をさすりながらも笑顔を作って答えると、 早紀はホッとした顔になった。「そ、そうか、よかった…。 ごめんよ、つい嬉しくてあいつがいるのを忘れてて、それで…」 そこで早紀はポンと手を打ち、テーブルの上の植木鉢をひっ掴むと、 白鳥に向かって勢い良く突き出した。「そうだ、これだよこれ! こりゃ一体なんだ?」 その場を誤魔化そうと、早口で矢継ぎ早に訊く早紀に、 白鳥はちょっとたじたじとなりながら答えた。 「あ、ああ、そっか、早紀ちゃんは会うの初めてだっけ。 この子はハルちゃん。この前からここに来た子だよ」 「なんだ、新入りか?」 「まあそういうことに…なるのかなぁ?」 「そうか。あたしは早紀。赤坂早紀だ。よろしくな、ハル」 新入りと呼んでもいいものかどうか、白鳥は首を捻ったが、 早紀はまったく気にかけない様子で、ハルに向かって挨拶をする。 するとハルも、『よろしく』とでも言いたげにニコリと笑い、ペコッと頭を下げた。 「おっ、なかなか愛嬌のあるやつだな」 ハルのその物腰の柔らかな態度に、早紀がにこにこしながら言った。 自分が入居した時にかなり絡まれた覚えのある白鳥は、 少しドキドキしながらその様子を見守っていたが、 早紀がハルを気に入ってくれたようでホッとした。
ハルに自己紹介を終えた早紀は、植木鉢を後ろのテーブルに戻すと、 白鳥のほうを振り返った。「で、他のみんなはどうしてんだ? 珠とか、桃とか…」 「ああ、珠実ちゃんと桃乃さんは出かけちゃってるんだ。 出かけたばかりだから、しばらく帰ってこないんじゃないかなぁ。 久しぶりなのに、会えなくて残念だね」 「そうか、いないのか!」それを聞いた途端に早紀の口元が緩んだ。 「いや、残念だな〜、残念残念。ホント会いたかったのになぁ、ハハハ…」 ちっとも残念がってるように思えない口ぶりで早紀は言うと、 緩んだ口元をきりっと引き締め、さらに訊ねた。「で、他の連中はどうしてる?」 早紀の質問に白鳥は、えーと、と少し考えてから答えた。 「朝美ちゃんと沙夜子さんは内職中で、灰原さんは…たぶん部屋じゃないかな。 久しぶりだし、ちょっと会いに行ってみる?」 「い、いや、あいつらも色々忙しいだろうし、邪魔しちゃ悪いだろ、な? な?」 早紀はそれを手を振って断ったが、白鳥はなおも彼女に勧める。 「でも、この前来た時もほとんど会ってないし、ちょっと顔を見せるくらい…」 「いやいいんだ、あいつらにはまた後で暇な時にでも会えば! そ、それよりお前はどうなんだ白鳥、今日は何してんだ? 忙しいのか?」 「僕?」急に話を振られ、白鳥は一瞬きょとんとしたが、 すぐに笑顔になると答えた。「僕は学校の課題をやってたところだよ」 「学校の課題…って、絵を描いてんのか?」 「うん。月曜までに何枚か描くことになってるんだ」 それを聞いた早紀の表情が暗くなった。「そうか、それじゃ忙しいんだな…」 「うーん、そうでもないかな。まだ時間もあるし…」 白鳥は少し歯切れ悪そうに言った。実のところ少し行き詰っていて、 あまりはかどっていないのだ。しかしまだ土曜の午後、時間があるのは確かだし、 そもそもこのキッチンに来たのも、ちょっとお茶でも飲んで一服して、 気分を変えようと思ったからで、そんなに忙しくないというのも、 まんざら嘘でもない。 「そ、そうなのか?」 白鳥の返事に、早紀は顔を輝かせた。「じゃ、じゃあさ…」 言いかけて、そこでちょっと考える。いくら本人が忙しくないと言っていても、 課題があるというのを、どこかに遊びに…デートに行こうなどとは誘えない。 課題の邪魔にならない程度に、しかし一緒に過ごすには…
「そうだ! それじゃ、お前のその課題の絵、見せてくれないか?」 「えっ?」 突然言われ、戸惑う白鳥に、早紀は慌てたように付け加える。 「じ、邪魔だったら別にいいんだぞ! ただその、ちょっと見てみたいなー、 とか思っただけで…」 「う、うん、別に構わないよ」 「ホントか! よし、それじゃ行こう! すぐ行こう!」 返事を聞くや否や、早紀は上機嫌で白鳥の腕を掴むと、 早くキッチンを出ようとぐいぐい引っ張った。 こんな、いつ誰が来るかもわからないようなキッチンではなく、 白鳥の部屋で二人っきり…。しかも両隣の珠実と桃乃は外出中と来ている。 これこそまさに絶好のチャンスだ。 「何やってんだよ、ほら、さっさと行こうぜ?」 「あ、ちょっと。ちょっと待って早紀ちゃん」 何がチャンスなのかはわからないが、とにかく早く2号室へ行こうとする早紀を、 しかし白鳥が押しとどめた。 「なんだ、どうしたんだよ?」と、早紀が少し不満そうに立ち止まると、 白鳥はテーブルの上を指差した。 「ハルちゃんも連れて行ってあげないと」 「え…そいつも一緒なのか?」 露骨に嫌そうな顔をする早紀に、白鳥はコクンと肯いた。 「独りにすると寂しがるし、色々と目を離せないからね」 「いや、でもほら、課題やるのに邪魔じゃないか?」 「ありがとう、気を遣ってくれて。でも大丈夫、少しの間ならぜんぜん平気だよ」 「あー…そ、そうか…」 別に気を遣ったわけではないのだが、にこやかな顔でそう言われてしまっては、 違うんだとも言い難く、早紀は渋々と白鳥の腕を放すと、 彼にハルを取りに行かせた。 「さ、行こう、ハルちゃん」 白鳥はテーブルに行くと、植木鉢を抱き上げて、中のハルに微笑みかけた。 ハルも白鳥の腕の中から彼を見上げ、嬉しそうににっこりと笑いかける。 すっかり気の通じ合っている様子の二人に、早紀は胸中穏やかでないものを感じ、 慌てて白鳥に声をかけた。 「そ、そいつはあたしが持つ!」 「えっ?」 植木鉢を半ば強引に奪い取った早紀に、白鳥と、そして植木鉢の中のハルが、 ぽかんとして彼女を見ると、早紀は頬を紅潮させてぷいと横を向き、 ぶっきら棒な調子で言った。 「お、重いだろ? あたしが持つよ。さ、行こうぜ」 「う、うん…」 返事も待たずにさっさと歩き出す早紀に、白鳥も慌てて歩き出した。
「さ、どうぞ」 「おう、邪魔するぞ」 そして二人は2号室の前に着き、白鳥に招かれて早紀が部屋に入ると、 すぐに机の上に散らばっている、何枚ものスケッチが目に入った。 「おっ、これか〜。随分書いたんだな」 「まだ下書きばかりなんだけどね」 少し決まり悪そうに言って、白鳥は机に近寄ると、 散らばったスケッチを一つにまとめて場所をあけた。 「ハルちゃんはここに置いて」 早紀も机の側にいくと、ハルの植木鉢をその上に置き、 白鳥の横に腰を下ろした。 「風景画を何枚か描いていくことになってるんだけど…」 白鳥は集めたスケッチのうち、一番マシだろうと思った物を上にして、 鉛筆を持つと、そこにさらに描き加え始めた。早紀は身を乗り出し、 スケッチを覗き込みながら、白鳥の話に耳を傾けた。 「授業で教わったこと…構図とか、モチーフの配置とか、季節感の出し方とか… そんなことに注意して描くようにって…」 白鳥が鉛筆を滑らせると、既に描かれていた木々の葉に濃淡がつけられ、 春の穏やかな陽光が見事に表現されていく。 「…そう言われてるんだけど、なにかもう一つピンとこなくって」 白鳥はある程度描き込んだところで手を止めた。 授業で教わったことを守り、スケッチを描いているつもりではあったが、 どうも独りでこもって描いていると、本当にこれで良いんだろうかという、 迷いみたいなものが心に生じてしまう。 「ふぅん…」 じっとスケッチを見つめていた早紀が、ぽつりと言った。 「あたしは絵のことはよくわからないけど…」 「あ、そ、そうだよね。こんな話、面白くないよね」 授業の話、しかも絵を描かない人間には縁のないであろう美術の技法の話など、 聞いてもつまらないよなと、白鳥は頭を掻いた。 「でも、なんていうか…」 「?」 「この絵には見ていてホッとするような、温かみがあるって言うのか… お前の優しさが伝わって来る、そんな気がする」 どこかで聞いたことがある…。早紀の言葉に、白鳥は思った。 同じようなことを、前にもどこかで…『あ、そうか』 それが、梢に初めて自分の絵を見せた時に、彼女が言ってくれたことと、 ほとんど同じなのだと、白鳥は気付いた。記憶の共有のせいなのか、 それとも性格は違っていてもやはり同一人物ということなのか、 はたまた単なる偶然の一致なのか…。いずれにせよ白鳥はそれを、 単に誉められたという以上に嬉しく感じた。 「ありがとう、お世辞でも嬉しいよ」 「お世辞なんかじゃねーよ、本当にそう思うんだ」 白鳥が早紀のほうを向いて言うと、早紀も見ていたスケッチから顔をあげ、 微笑んだ。だがその途端、お互いの顔がすぐ間近にあるのに気付いて、 二人は固まってしまった。
「あ…」 「あ…」 二人の口から、驚いたような呟き声が漏れた。視線を外そうとしたが、 どうしてもお互いの瞳に引き寄せられ、目を逸らせられない。 二人とも頬が赤く染まり、心臓の鼓動が高鳴っていく。 「白鳥…」 「早紀…ちゃん」 早紀の顔が、すぅっと白鳥の顔へと引き寄せられるように近付いた。 白鳥の顔も、早紀の顔へと近付き、そして… 「はっ!?」 その時、二人をじーっと見つめる視線があることに、早紀は気付いた。 机の上に置かれたまま、すっかり忘れ去られていたハルが、 物珍しそうに二人の様子をじっと見つめていたのだ。 「てめー、白鳥、こんにゃろー!!」 次の瞬間、白鳥の鼻の頭目掛けて早紀の頭が思い切り突き出され、 白鳥は鼻血を噴きながら、床の上にばったりと引っくり返った。 「すっ、すまん白鳥、悪気はなかったんだ。ただ、ちょっと恥ずかしくて咄嗟に…」 「う、うん、あんな急に…その…顔を近づけたらびっくりしちゃうよね。 僕の方こそゴメンね…」 早紀に支えられ、よろよろと起き上がった白鳥は、 鼻血を垂らしつつも早紀に笑顔を向けた。しかしその笑顔はさすがに痛々しく、 早紀はしゅんとなって、白鳥から少し離れると、ちょこんと正座をした。 「申し訳もないっ! こんだけ離れてりゃ大丈夫だろう、もう邪魔はしないから、 思う存分課題をやってくれっ!」 「ホント気にしなくていいから…」 白鳥はそんな早紀に声をかけつつ、再びスケッチに鉛筆を走らせ始めた。 『相変わらずだなぁ、早紀ちゃんは』 最初のうち、白鳥は心の中で苦笑しながら鉛筆を動かしていたが、 早紀に誉められたことで迷いが吹っ切れたのか、筆がすらすらと進み、 早紀がすっかり大人しくなってしまったこともあって、 次第に彼の意識は、課題だけに集中していった。
今日はここまで〜。
>>90 が棗の場合になっちた・・・混乱したらゴメン
GJ! ハル、何か脇y(ry ともあれ、クオリティタカ――(゚д゚;)――!! …引退… …け…で… …た…いで…
ところで今思い出したのだが、 「 宮 崎 弁 」 …………………orz 消えてからほったらかし… 何処だ!? データはどこd(ry
消しゴムたん引退ですか。
原作はがんばってくださいよw
漏れをようかんと呼んでいいのはぐうたら氏だけだと何回言えば(ry
ようかん
ところで天罰を食らった人はどこに消えた? 一日千秋の想いで待ち続けていますよ。
仕返しの人のことか? 春色の作者=仕返しの人、だぞ。
なんてこった、大幅に芸風を変えたのか。
俺の書くSSは全部中学生の恋愛みたいだと今更ながらに思いました。ぐうたらです。 この間の土曜日にアニソン合唱を4時過ぎまで聴いてから体の何処かがおかしいです。 ワンダと巨像を買いました。 まだ体がSSの書き方を思い出してくれません。 シニタイ('A`)
それでもここはぐうたら崇拝者が異様に多いスレ。 というわけで、ぐうたら氏、気合いで。肝臓壊してでも。
>>ぐうたら氏 がんばらなくていいよ …じゃないけど、体壊すとイロイロ大変なんでそれだけは気をつけて あと、SSは神レベルだと思うのでそんなに気にしなくても。 中学生の恋愛みたいなのはむしろこないだの私のやつ(ry
というより、このスレは大人の恋愛より中学生みたいな、健全でぎこちなくて甘々な方が歓迎されるキガス
原作が大人っぽくない希ガス
言ってしまえば、原作の時点で青い恋愛劇だからな〜。 その愛読者たちがやってきてるスレなんだから、 そういうのが好まれるのは当たり前だろう。 というか、自分が書いているモノを面白いと言ってくれる人がいるのに 無闇に卑下するのは読者もバカにしてるって意味もあるから あんまりそういうことは言うべきじゃないよ。
>>111 何かグサッときたような気がしないでもない可能性がろくじゅ(ry
>>Mrぐうたら
大丈夫!
あのHPのようにうわ何をするあqwせdrftgyふじこlp;@
>>105 いやハルイロの方があれより先だし・・・まあマンネリにならないように、
鬼畜にほのぼの、エロありエロなし取り混ぜてやってるつもりです。
というところで早紀の場合の続きいきまっす。
その横で早紀はしゅんとうなだれつつ、白鳥が筆を滑らせるのを、 横目でチラチラと伺っていた。彼女が視線を送る前で、 スケッチ用紙に向かう白鳥の顔は、彼が課題に集中するにつれ、 次第に険しくなっていき、早紀はドキリとした。 いつもの優しく穏やかな、悪く言えばなよなよした雰囲気は消え去り、 早紀が今まで見たことのない、少し怖いくらいに真剣そのものの、 厳しい表情だ。だがしかし、それは紛れもなく、 夢に向かって一生懸命になっている者の見せる表情だった。 いつしか早紀は、落ち込むことも綺麗さっぱり忘れ、 課題に取り組む白鳥の顔に、じっと見入っていた。 「…はっ!?」 ぽぉっと白鳥の顔に見惚れていた早紀は、何者かの視線に気づき我に返った。 言うまでもなくハルである。『なに見てやがんだ、やんのかコラ!?』 早紀は逆ギレ気味にヤンキーメンチを切ってみるが、 ハルは何故自分が睨まれているかわからない様子で、 悲しげな目をして彼女を見つめ返してきた。 そんな目で見つめられて、逆に決まりの悪くなった早紀は、 こほんと一つ咳払いをして居住まいを正した。拳をぎゅっと握って腿の上に乗せ、 少し恥ずかしそうに頬を染め、俯き加減に顔を落とす。 だが、どうしても白鳥の様子が気になり、チラチラと横目で盗み見ては、 彼の真剣な横顔に見入りそうになり、その度にハルが見ていることを思い出して、 慌てて視線を戻す。 早紀がそんな事を繰り返している内に、やがてスケッチを続けていた白鳥の手が止った。 「よし、こんなもんかな」 持っていた鉛筆を置き、完成した下書きを目の前に掲げて白鳥は呟いた。 途端に険しかった表情が一変し、何かをやり遂げたという、晴れやかな顔になる。 「な、なあ、見せてもらってもいいか?」 「えっ?」 早紀が声をかけると、白鳥は驚いたような顔をして、彼女のほうを見た。 課題に没頭するあまり、早紀がそこにいたことを、すっかり失念してしまっていたのだ。 「う、うん、いいよ。…ごめんね、課題に夢中になっちゃって、全然話とかできなくて」 白鳥が完成させたスケッチを早紀に渡すと、彼女はそれを受け取りながら言った。 「いいよ、課題があるってわかってて来たんだし、それに…」 そこで早紀は早紀は頬を少し赤くし、ぽりぽりとほっぺを指で掻きながら、 後を続けた。「け、結構…格好良かったぞ、お前の真剣な顔。 あたしは、そういう一生懸命な姿を見るのが大好きなんだ」 「そ、そう…?」白鳥も顔を赤くし、ぽりぽりとほっぺを掻いた。 「あ、ありがとう」 「い、いやその…」 優しく微笑みながら礼を言う白鳥に、早紀の顔がさらに赤く染まっていく。 胸がドキドキしてきて、白鳥の顔をまともに見られない。 早紀は慌てて彼から顔を逸らすと、受け取ったスケッチにこれ幸いと目を落としたが、 そこに何が描かれているか、まったく目には入ってこなかった。 頬が熱く火照り、胸のドキドキが治まらない。白鳥が好きだという気持ちが、 身体の中で膨れ上がっていく。 『あたしは…』早紀は思った。『あたしは白鳥が大好きだ!』 もう、ハルが見ていようと関係ない。あんなの、大根が植わってるんだとでも思って、 自分のしたいようにすればいいんだ!
早紀はスケッチを机に置くと、膝立ちになり、白鳥のほうを向いて両手を広げた。 「し、しらと…」 「あーっ!?」 「りっ?」 早紀が白鳥に抱きつこうとしたまさにその瞬間、白鳥が何かに驚いて腰を浮かし、 出鼻をくじかれて思わず動きを止めた早紀はバランスを失い、 わたわたと腕を振り回しながら、白鳥の背中をかすめて畳に顔から突っ込んでいった。 「ど、どうしたの早紀ちゃん?」 背後で引っくり返った早紀に驚く白鳥に、 彼女はぶつけた鼻を押さえながら聞き返した。 「い、いや、なんでもない。お前こそどうした白鳥?」 「あ、そうそう、ハルちゃんが大変なんだよ!」 「大変って…うわっ!?」起き上がった早紀は、植木鉢の中で、 白目を剥いてこてんと倒れているハルを見て思わず悲鳴を漏らした。 「ど、どーしちまったんだこいつ?」 「おかしいな、ずっと部屋の中だったからかなぁ?」 ハルを見ながら白鳥は首をひねった。ハルを置いた机は窓の正面にあり、 直射日光さえ射し込んではいなかったが、部屋の中は充分明るく、 ハルが倒れてしまうほどとは思えなかった。『となると…』 白鳥はある事に思い当たり、早紀に訊ねた。「そうだ、僕が行く前、水はあげた?」 「いや、あたしは何も…」 白鳥の質問に、早紀は首を横に振った。いつ梢から早紀になったのか、 白鳥にはわからなかったが、梢でいた間にも水をあげていなかったとすれば、 けっこう長い間水を飲んでいなかったことになる。 「よし、とりあえず水をあげてみよう」 「水だな、わかった!」 早紀はハルの植木鉢を抱え、どたどたと洗面所に向かって走りだした。 白鳥もその後について走る。二人はすぐに洗面所に到着すると、 蛇口の下にハルを置き、栓をひねった。 「よーし水だぞ、しっかりしろ!」 頭からざばざばと水を浴びせながら早紀が呼びかけると、 それに応えるように、ほどなくハルはむくりと起き上がった。 「おっ、気がついたぞ!」 「やれやれ…」 相変わらずお手軽に元通りになるハルに、白鳥は深い溜め息をついた。 「なんか喉渇いちゃったから、ちょっとお茶でも飲んでいこうか?」 すっかり元気になったハルを連れ、洗面所を出た白鳥は、 早紀をキッチンに誘った。だが、早紀はそれに首を横に振った。 「あー…あたしはいいや。ここで待ってるから、一人で飲んできてくれ」 「え…でも…?」 「いいからいいから。こいつ、日にも当てないとダメなんだろ? あたしはこいつと一緒にここで日向ぼっこしてるよ」 「う、うん…」 急に何かよそよそしくなった早紀に、白鳥は戸惑いながらも、 彼女にハルを預け、一人キッチンへと歩いていった。
「はぁ…」 彼がキッチンに入ってしまうのを見届けると、早紀は一つ溜め息をつき、 縁側に腰を下ろした。 「なかなか思うようにはいかないなぁ」 早紀は膝に乗せたハルに向かって、というよりは、ほとんど独り言のように呟く。 「せっかく桃も珠もいないってのに…。どうも人に見られてると思うと、 恥ずかしくっていけねーや」そしてギロリとハルを睨む。 「いいとこで邪魔しやがって、こんにゃろめ」 早紀は人差し指でちょーんとハルのおでこを突ついた。 と、ハルがおでこを両手で押さえ、今にも泣きそうな顔になってしまい、 早紀は慌てて彼女に声をかけた。 「まっ、待て待て、ほ、本気で怒ってるわけじゃないんだ、ただその、なんだ…」 早紀は必死に謝ったが、すぐに言葉に詰まってしまった。 そう、ハルに対して怒ってるんじゃない。怒っているのは自分に対してだ。 他人の目を気にして、思った通りの行動に出れない自分が、 そしてそれを他人のせいにしてしまう自分が、早紀は情けなかった。 早紀は息をすうっと吸うと、ハルに向かって深々と頭をさげた。 「すまん!」そして頭を下げたまま続ける。「あたしに度胸がないだけなのに、 お前や桃や珠や、みんなを邪魔だなんて思っちまった。ほんとーにすまん!」 言い終わっても、早紀は頭を下げたままだった。ハルに申し訳なくて、 そして自分が情けなくて恥ずかしくて、それがとても悔しくて、 早紀は頭を上げることができなかった。 「…?」 ハルに向かって深々と頭を下げ続けていた早紀は、 やがて頬にそっと触れるものに気付き、ようやく顔をあげた。 そこではハルが、まるで慈しむかのように優しい表情を浮かべ 伸ばした手で、早紀の頬を撫でていた。 ハルは早紀と目が合うと、にっこりと笑いかけてきた。 まるで早紀の身も心も、なにもかもすっぽりと包んで癒してくれる、 そんな笑顔だった。 「許して…くれるのか?」 ハルがコクリと肯く。早紀は彼女の頭に手を乗せ、軽く撫でながら言った。 「ありがと、ハル」 「なあ、ハル…」 春の午後の陽をハルと一緒に浴びながら、早紀は彼女に話しかけた。 「あたし、もう少し勇気をだしてみるよ。あたしが白鳥を好きだって気持ちは、 恥ずかしいことなんかじゃない。恥ずかしがることなんかじゃないんだよな」 ハルが、「頑張れ」とでも言うように、早紀に微笑みかける。 早紀もハルに微笑み返し、もう一度お礼を言った。「ありがと…」 「あ…」 その時早紀の視界の端に、廊下をやってくる白鳥の姿が見え、 彼女は急いで立ち上がった。今度こそ自分の心に正直になって、 勇気をだして行動しよう。 「白鳥…」 早紀は白鳥に向かい、一歩踏み出した。 が、彼女は自分の方へと向かってくる、別のモノにも気がついた。
「ぴ、ぴぃぃぃぃ〜っ!」 キッチンを出て早紀の所へ戻ろうとしていた白鳥は、 廊下の先で彼女が立ち上がるのを見たが、次の瞬間、 彼女は奇声を発し、ずささささっと後ずさっていってしまった。 「ど、どうしたの早紀ちゃん!?」 「ちょ、ちょちょちょちょうちょ〜!!」 「へ?」 白鳥は早紀の指差す方を見て、中庭の真ん中辺りを、 一匹の小さな蝶がひらひらと飛んでいるのに気が付いた。 その蝶は風に舞いながら、早紀の方へと近付いていく。 「こっ、ここここっち来んな〜」 洗面所の前にいた早紀は、ハルを抱えたまま後ずさりしていき、 廊下の角まで逃げていった。後がなくなった早紀は、 そこで向きを90度変え、一号室の方向へと逃げかけた。 しかしその時、蝶も飛ぶ向きをほぼ90度変えると、 洗面所前の廊下と平行に、左のほうへと移動を始めた。 真っ直ぐに行けば、ちょうど3号室のドアに突き当たるくらいの位置だ。 そしてそれはまさに、早紀の逃げようとしている方向でもあった。 それを見た早紀は慌てて向きを変えると、白鳥のいる方、 キッチンの方へと逃げようとしたが、またもや蝶が飛ぶ方向を90度変え、 早紀の逃げようとする先に向かって飛び始めた。早紀がもう一度向きを変え、 一号室の方へ一歩踏み出すと、蝶もそっちのほうに向きを変え、 それならと白鳥のいる方へ行こうとすると、やはりそちらの方へと向きを変えてくる。 蝶はあちこち向きを変えながらも、着実に早紀へと近付いていった。 徐々に迫ってくる邪悪な姿に足がすくみ、早紀は廊下の角に追い込まれたまま、 動けなくなってしまった。 『なんで早紀ちゃんの方へ行こうとするんだろう…?』 まるで早紀を追いかけるかのような蝶の動きに、白鳥は首を傾げたが、 ハッとあることに思い当たり、早紀に向かって叫んだ。 「早紀ちゃん、植木鉢を置いて! きっとハルちゃんの花にとまろうとしてるんだ!」 「ばっ、バカ、こいつを身代わりになんてできるか!」 「…えーと、蝶はハルちゃんを襲ったりしないと思うよ…」 ついでに言えば早紀を襲ったりもしないだろうが、 怖がっているのを放っておくわけにもいかず、白鳥は蝶を追い払おうと、 早紀の方へと駆け出した。 「よせっ、来るな! 来る…ぴぃっ!?」 だが、白鳥が駆けつけるよりも早く、蝶は早紀の目の前で揺れている、 ハルの頭上の花へと辿り着いてしまった。途端に早紀は、 ぴきっと凍りついたように動かなくなり、数秒の沈黙の後、 ふら〜っと静かに床へと倒れ込んでいった。 その意識が完全に途切れる直前、早紀はぼんやりと思っていた。 やっぱり…こいつ…ちょっと嫌いかも… ハルイロ〜第四話「ハルイロ少女・早紀の場合」完
以上、ハルイロ第四話でした。 さて、そろそろほのぼのも飽きたし、次くらいエロいきますかね。 全然進んでないから随分先になりそうだけど。
>>118 GJ〜
早紀ちゃんもナイーブですこと。
梢のその後書いてみようかなとかおもってしまう今日この頃。
何してんだろ俺。
これほど芸風を使い分ける書き手も珍しいな。
すみませんね。執筆が進まんでネタばっか出てくるんですから。 宮崎編はここではおいといて、高校のときの生物の教師が授業中に糞尿の話をしていて、 「小さな子供は、糞尿を汚いとはっきり分かっていないから 一人にしておいたらこねたりして遊びますよ。」と言ったのをふと思い出して、 魚子と隆士のスカトロものを書こうと思うのですが、いつか投下しても良いですかね? このスレはインモラル、アモラルなものを叩く傾向にありますから聞いておかないと。 純愛は美しいものではありますが。
低スカなら喜んで
>>122 !!!!!!!!
に、逃げろ!
逃げるんだおr(ry
>>122 投下するのはかまわんですけど、一応つっこんでおくと
さすがに6歳くらいならそれくらいの分別つきますよ。
6歳って言ったら幼稚園児くらいですからね。
今の幼稚園児は結構知能も発達してたりします。
…まあ、男の子はうんこうんこーとか言ったりしてますが。
分別のつかないくらい…となると1〜3歳ってとこでしょか。
逆におしっこ跳ねたくらいで大泣きしてティッシュ何枚も使って吹きまくったりする
過剰に糞尿を嫌う子もいたりします。
早紀がデート中に失禁する話の続き書いてくれ。
個人的にスカは、女の子が糞尿漏らして恥ずかしがる姿こそ王道。 食糞飲尿にしても、無理矢理させられて嫌がる姿にこそ萌えるんであって、 自分から喜んで糞尿まみれになっても汚いだけで萌えない。 千百ちゃんが嫌がらない子をコレクトしてもつまらないのと同じ理屈だ。 凌辱万歳。 まあ可愛い子が糞尿まみれになってる姿を喜ぶ性癖の人もいるだろうから、 止めはしないが。
この流れは…………人がいる?なら丁度良いか。
>>122 投下するならうpろだの方に投下してくれると嬉しかったり。
そしてお久しぶりですね。
>>118 相変わらず飛ばしますね、GJです。でも、ハルイロでエロ…………
ああ、なっちんを縛る画があったな、保管庫に。あれか。
では、そろそろ皆さん飢えているのではないかと思うので、少し短編を投下しますね。
ちょっと、今回は趣向を変えてたり。というか48話の前後のお話だったりします。
じゃあ、投下しますよ。
129 :
紅の蒼(1) :2005/11/03(木) 23:49:06 ID:lj6fcV8i
「おう梢ちゃん、らっしゃい!買い物かい?」 「はい、リンゴを6つお願いします!」 「あいよ!…………ところで梢ちゃん、例の兄ちゃんとは仲良くやってるかい?」 「白鳥さんですか?はい、白鳥さんはとっても優しくしてくれますよ」 「そいつはよかった……」 いつもの八百屋さん。 八百長のおじさんと、いつもの会話。 ところが。 「なあ、梢ちゃん」 「はい?」 「あの兄ちゃんとはどこまで行ったんだい?」 「……はい?」 どこまで? どういう意味なんだろう? デートの話かな? 「お正月に神社まで行きましたよ」 「いやいや、そうじゃなくて…………あの兄ちゃんと、どこまでデキてるかって聞いてんだよ」 「ええ!?」 ちょ、ちょ、ちょ、それは………… それは、ちょっと、いきなり何を言うんだろうおじさんは。 「いえ、あの、その…………」 「はっはっは、顔を真っ赤にしちゃって、可愛いねえ」 おじさんはしたり顔だ。 ちょっとだけ苦手かもしれない。いい人だけど。 「わたし、白鳥さんとは、まだ、そこまでは…………」 「分からないぜ〜?二人とも若いからな、夜はきっと――――」 「ちょ、おじさん!」 「な〜に、冗談だよ冗談」 そうして、おじさんは豪快に笑った。 「恋人同士だからなあ、それぐらいしてもおかしくないんだけれどねえ」
130 :
紅の蒼(2) :2005/11/03(木) 23:49:43 ID:lj6fcV8i
「ただいま〜…………」 鳴滝荘に戻ってきた。 珍しく、静かだった。 でも、今のわたしにはどうでもいい事だった。 「…………白鳥さん…………」 頭の中は、白鳥さんの事でいっぱいだった。 あの日。 わたしの事を、好きだと言ってくれた。 付き合って欲しいと、言ってくれた。 嬉しかった。 十年もの間、想い、慕い続けていた人に、告白されて、とても嬉しかった。 だから。 一線を越えようと思えば、越えられると思う。 「…………でも」 縁側に座って、わたしは思う。 わたしはおとなしい方だし、あまり『そういう方面』の知識が無いから、迷惑をかけるかもしれない。 もしかしたら、白鳥さんは早くわたしと結ばれたいのかもしれない。 あるいは、そんな事は考えてないかもしれない。 でも。 「白鳥さんだったら、優しくしてくれるのかな…………」
131 :
紅の蒼(3) :2005/11/03(木) 23:50:30 ID:lj6fcV8i
◇ わたしの部屋。 わたしと、白鳥さんの、二人きり。 白鳥さんがキスしてくる。 わたしも、求めに応じる。 それは、とても甘くて、永遠のような口付け。 そして、わたしの服を、上から一枚ずつ、ゆっくりと脱がしていく。 セーラー服。 スカート。 ブラ。 最後のショーツが剥ぎ取られた。 一糸纏わぬ、わたしの生まれたままの身体を晒す。 「……綺麗だよ、梢ちゃん」 白鳥さんは、そう言った。 「……ありがとう、ございます」 とても、嬉しかった。 白鳥さんが、わたしの身体を舐め回していく。 最初は胸から、そして段々に、大事なトコロまで。 じっくり撫でて、時々強く噛んで。 白鳥さんの優しい愛撫の繰り返しに、わたしの頭はトロトロになっていた。 もう、我慢出来なかった。 「白鳥さん…………」 「梢ちゃん…………」 ベッドの上で、私は横たわっている。 その上に、白鳥さんが覆い被さる。 「…………早く…………来て、下さい」 「…………うん」 そして。 白鳥さんのモノが、わたしの中に、入っていく。 太く熱い何かが割り込んでくる感覚。 それは、今までの何よりも痛く。 それは、今までの何よりも怖く。 でも。 大好きな人の、優しい顔がそこにあったから。 わたしは、全然、怖くなくて―――― わたしの『初めて』が、弾けた。 「んっ!あっ!しらとりさん!らめぇ!」 白鳥さんが、わたしの全てを、突き上げていく。 身体中が熱くなって、 右も左も分からなくなって、 頭が蕩けていって――――――――
132 :
紅の蒼(4) :2005/11/03(木) 23:51:02 ID:lj6fcV8i
◇ 「白鳥さん、白鳥さん、白鳥さん―――――――」 わたしの手が、胸に伸びた瞬間。 「―――――――梢ちゃん?」 「!!??」 振り向くと。 目の前に、わたしの恋人がいた。 「し、し、し、白鳥s――――――」 驚いて、後ろに飛び退いた瞬間。 ごつーーーーーん。 …………白鳥さん………… …………隆ちゃん…………
133 :
紅の蒼(5) :2005/11/03(木) 23:51:55 ID:lj6fcV8i
◇ 「――――――あ」 「気がついた?梢ちゃん」 「――――白鳥、さん」 気がつくと、わたしは白鳥さんの膝枕に寝ていた。 どうやら、わたしは頭を打って気絶していたらしい。 わたしは眼鏡を外して、起き上がる。 「ごめんなさい、白鳥さん」 「―――いいんだよ、謝らなくても」 「でも――――」 でも。 わたしは、あんな事を考えていたから。 一人で先走っていたから。 「僕は」 白鳥さんは。 わたしの頭を撫でて。 「梢ちゃんの全てが、好きだから」 「――――――――」 「だから、いいんだよ、僕は」 「…………白鳥、さん…………」 多分、わたしが馬鹿だったのかもしれない。 一人で、あんなに突っ走って。 でも、そんなことはどうでもよくて。 わたしの気持ちは、変わらなかったから。 「白鳥さん」 「なあに、梢ちゃん」 わたしは、白鳥さんの眼を見て言う。 「早く、白鳥さんと一緒になりたいです」 「…………」 一瞬、白鳥さんは意味が理解できなかったみたいだけど。 すぐに理解して、顔が林檎のようになって。 それでも、白鳥さんは。 「…………分かったよ、梢ちゃん」 白鳥さんは、優しく、確かに、そう言った。
134 :
紅の蒼(6) :2005/11/03(木) 23:52:26 ID:lj6fcV8i
縁側で、白鳥さんと並んで座る。 遠くは紅い空。 わたしは、白鳥さんの肩に頭を預ける。 「…………梢ちゃん?」 「白鳥さん――――――」 わたしは、少し照れながら言った。 「――――大好き、ですよ」 「――――僕も、梢ちゃんが、大好きだよ」 西の空は、紅く赤く、私達を染めていく。 私達は、ぼんやりと、真っ赤な夕陽を見上げていた。 <<Sunset Lovers>>is the end. 「梢ちゃーん、アタシの眼鏡どこにあるか知らない?」 「眼鏡ですか?さあ、分からないですけど…………」 「おっかしいなー……確かあの時に取られて、それから…………」 眼鏡? そういえば、何か引っ掛かるような――――― でも、肝心の所で出てこない。 「まあ、いいか」 そうして、わたしは台所に向かっていった。
というわけで、「紅の蒼」でした。妄想しない蒼はただの蒼……違うな。 あれほど格好良い台詞にはならんか。 今回、ちょっとしたブレイクスルーだったりします。いい加減疲れますね、エロって。 水氏の偉大さが身に沁みて分かります。中々、適当な言葉が見つからないものです…… このお話は48話「千百合の場合」の前後をカバーしてみたものですが…… 実際、何で梢ちゃんは頭を打ってるんだ?理由があったなら、これはif扱いで…… 頭が痛いやorz 誰か、僕に安息を下さい。
>>135 GJ!
梢の頭のコブにはそんな理由が…
ホント、もっと精進せねば。
…眠い
>>テイル氏 お久しぶりです&お帰りGJ やっぱ梢ぽんでもそれくらいは思ってるのかな〜、とか考えさせられました ところで、リンゴが6個なのは何故?特に意味ないならいいんですけど… バラさん忘れられてる、とか思ってしまった
エロシーンのシチュや表現はその手の文章をよく読んでそれを想像する 能力を磨けば身に付いていく…かも。 ぶっちゃけ妄想がものを言います。 エロ小説読んだり、エロゲやったり、AV見たり、おにゃのこと実戦を重ねて研究しましょう。 あと、機会があれば女の子にいろいろ聞いてみたりすると知らないことを聞けます。 でもこれくらいの方がほんのりと想像をかき立てていいのかもね。
こういう原作とのリンクがあるSSを読むのが好き。 GJでつ。 …………やべぇ、ワンダと巨像マジで面白ぇ('A`)
テラグッジョブ
偶然まほログの 〜君といつまでも〜 ってやつよんでて りんごの場面で....:あぺrtがいおたおいrtぎうえあ;r「」; とにかくGJ
言葉に表せれない程GJ ∧_∧ ∧__∧ (´<_` ) ずれてるような希ガス ( ´_ゝ`)/ ⌒i _(__つ/ ̄ ̄ ̄/i |_ \/ pink / ヽ⊃
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追加 wDCtl8Jt
くだらねーことすんな、それよりまた馴れ合いがひどくなってきてるぞ
馴れ合いするなって、そんなルールいつできましたっけ
一万年と二千年前
から愛してる八千年過ぎた頃
>必要以上の馴れ合いは慎しんでください
>>146 2ちゃんのルールです。
ある程度は慎んでください。
レス1回返すだけで「なれ合いがひどい」とはこれ如何に。
全体的に見ての話ですよ。 まぁ昔からだけどね
馴れ合いあってのこのスレ。それがまほらばクオリティ。 まぁ、過度の馴れ合いは破滅を呼ぶだけだが。
ExcellentなSSは健やかなスレに宿る!・・・とか・・?
>>なれ合いがひどい 荒らしにかぎって、こういうたわ言をほざく
ま、馴れ合ってようとなかろうと、面白いSSが読めりゃべつにかまわんよ。 たいしてレス消費するわけじゃないからね。
自己紹介合戦が始まるような民度と年齢の低いスレに比べればまだまし。
誰も投下予定ないの?
馴れ合いがひどいというより痛いコテキャラがいるだけのような気がする
はいはいワロスワロス
ま、雑談は名無しでやっとくのが吉だわな
正直、自前HP持ってる連中には自分の所から出てくんなと言いたい
はいはいエロすエロす
>>128 あ、別にハルイロでエロ書こうというわけじゃないっすよ。
それとは別系統のお話で。
ぶっちゃけて言えば痴漢ものなんですけど、
無理矢理系です。痴漢ものなんだから当たり前か。
とりあえず完成した出だし部分を貼ってみますが、
無理矢理系嫌な人はスルーの方向で。
164 :
原因 :2005/11/05(土) 14:42:43 ID:WWibeOLF
それは白鳥が鳴滝荘に来るよりも一年ほど前の話。 青華大付属高校の制服に身を包んだ梢は、その朝、いつものように通学の電車の中にいた。 高校に進学して一ヶ月、もうすっかり朝のラッシュにも慣れた頃だったが、 その日は信号の故障とかいうことでダイヤが乱れたためか、 この電車で通学を始めて以来、始めて経験する混雑振りであった。 『珠実ちゃんどこだろ…?』 人波に押され、珠実と離れ離れになってしまった梢は、 不安そうに辺りを見回した。この殺人的な混雑の中、 いつも一緒だった珠実が傍にいないこともあって、 ほんの少しだが、心細さを感じてしまう。 『やだ…』 と、きょときょととしていた梢が、不意に顔を赤らめた。 お尻に何か…人の手らしきものが当たっているのだ。 これだけ混雑しているのだからしかたがない。そう思い、 梢は恥ずかしさを抑え、しばらくじっと我慢をしていた。 だが、その手はやがて、梢のヒップの上をもぞもぞと這い回り始めた。 指がぎゅっと押し付けられ、お尻の曲線をなぞりながら、 上下にゆっくりとさすっていく。 『これって…もしかして…』 普段のほほんとしている梢も、ここに至って、さすがにそれが意図的なものだと、 もっと言えば痴漢行為であると、思い当たった。そういうことをする人がいる、 とは聞いてはいたが、本当にいるなんて…そして自分がその標的にされるなんて、 梢は考えたことすらなかった。ただの偶然、満員の電車の中、 人に押されてどうしようもなく、お尻から手を離せないのだと信じたかった。 お尻を撫で回しているように思うのも、電車が揺れるから、 それで動いているだけだ。そう思いたかった。 だが、梢の儚い期待を裏切るように、お尻をさする手の動きは、 どんどん大きく、大胆になっていき、上下に動いていた手は、 大きく円を描くように、ヒップ全体を撫で回し始める。 もはや、梢がどんなに好意的に解釈を試みても、 今、彼女のお尻に触れているその手は、間違いなくいやらしい意図をもって、 動かされていると考えるしかなかった。
165 :
原因 :2005/11/05(土) 14:44:35 ID:WWibeOLF
自分が痴漢に遭っていると確信した梢の頬が、かぁぁ…とさらに赤く染まっていく。 『ど、どうしよう…』 痴漢に遭うことなど初めての梢は、どうしていいかわからず、おろおろとしながら、 とりあえず手の主を見つけようと、首を捻ってみた。 しかし碌に身動きもできない状態では、せいぜい肩越しに振り返るのが精一杯で、 ほぼ真後ろの、しかも人の壁の向こうにいるらしい、 その手の主を見つけることは叶わなかった。 次に梢は、その手から逃れようと、腰を動かしてみたが、 やはりこの満員電車の中、たいして動かせはしない。 一瞬だけは逃れられても、すぐにまたその手は、お尻に押し付けられてくる。 だったら声を出して助けを呼ぼう。そうは思ってみたものの、 恐怖と恥ずかしさで声が出せない。 『助けて…誰か…珠実ちゃん!』 梢は心の中で念じながらあちこち視線を送り、珠実の姿を探したが、 真後ろにいるであろう痴漢の姿すら確認できないのだ、 この人込みの中、小柄な珠実の姿を見つ出すことは、到底無理であった。 もっとも、見つかったとしても、こんな状態ではどうしようもなかっただろうが…。 『ど、どうしよう、どうしよう…誰か…』 梢が考えあぐねているうちにも、お尻を撫で回す手はさらに大胆になり、 遂には制服の短いスカートを捲り上げ、その中に入り込んできた。 『嫌…誰か…!』 下着越しにお尻に触られ、梢は顔を一気に真っ赤に染めて、 ぎゅっと目をつぶった。その目尻に大粒の涙が浮かんだ。 スカートの中に入り込んだ手は、容赦なく梢のお尻を撫で回した。 指がぎゅっと押し付けられ、下着ごと割れ目の中に食い込んでくる。 梢は恥ずかしさの余り、目の前が真っ暗になっていくのを感じた。 『嫌…イヤ……ッ…!』 そしてその指が下着越しにアナルに触れた瞬間、遂に彼女は、 立ったまま意識を失ってしまった。
とりあえずこんだけ〜。荒れそうならもうしませんごめんなさい。 しかし昼間っから何書いてんだろね、オレ・・・
>>166 乙
つづきはテキストかなんかでやってくれるとうれしいかも
じつは白鳥君がやっちゃってたのよ・・・ なんてオチにすると面白いかもとか逝ってみる
>>167 まあそれはないだろうな・・・漏れも言いたくはないんだが・・・
それに分かっているとは思うが、保管庫にはそのネタあるしね。
暫くこのスレから消えて・・・消火用SSでも書いてるか・・・
169 :
名無しさん@ピンキー :2005/11/05(土) 17:27:43 ID:Q0kLjzbX
実は、痴漢しとる奴が珠実
翼×白鳥ネタって需要ある? あるなら書いてみようかと思うんだが…… 女性化じゃないから、さすがにエロは無しになるけど……
興味はある。 どんと投稿して欲しい
HGなら可。
そうでなくても可。
痴漢じゃなくて、魚子がケツが痒くて掻いてただけとか。
>>女性化じゃないから かんべんしてつдT)
またスレが荒れる予感
キスぐらいまでなら問題なし
その先まで行っても問題なし
エッチでリッチなけいこさん、ルビーせしめてフランスへ。
>>170 需要は無いとは言わんがビミョーな属性なので
直で書き込まず、保存庫にあげてほしい。
あらかじめ警告してタイトルかコテを付けとけばOK ・・・ではないのか、もう
僕たちのまほらばワールドを壊す作品の投下は遠慮するのがネチケット。
自分ルールか。 テキストファイルにしてあげるがよろしい。いろいろうざい奴がいることだし
>>182 なんだかんだ言ってそういった傾向のSSを望んでる読者も多いからいいんじゃね?
無闇に規制を作る必要はないと思うが
エロを求める事は人間として当然の行為である エロには様々なエロがある だが、その様々な行為にも限度と言うものがある 特に、まほらばと言う作品は、限度がとても低い それは、まほらばが 純 真 無 垢 な 作 品 であるからだ
え?どこを縦読みしろと?
おおすげえ、世界はてんでポルノだぜ。
まぁ、俺も「仕返し」には心が痛んだな
ただ一人バカがいるのは確かだ
>ルールを守って、どんどん、メ〜ルヘン!な作品を提出してくださいね! >さもなくば…………ウフッ。 おまいらもちつけっ・・・銀先生が今せっつkうわなにをするやめあqwせdrftgyふじこlp;
ハードなエロも十分「メ〜ルヘン!」たり得るので是非投下してほしい。
いや、銀先生はエローリの漫画を一生読むことはないと言ってるから それはないだろ…。
まほらばのエロ自体がメルヘン足り得るのではないかと
これまでのレスを総合すると、ほのぼの非エロから死姦獣姦なんでもこい!と言う訳か。
せっちゃ……うわなにをtm.tjd tj
気に入らなかったらスルーすれば(・∀・)イイ!!
ぶっちゃけ、書き手次第なんだけどな。 そういう極端な指向のSSが主流になるってこともないだろう。 どんなに読み手が望もうと書く人がいないと話にならない。
えー、テイルことまほログ管理人です。ハイ。 毎度毎度更新が遅れてます。すいません。少し更新しました。 気付いたら前スレのログを取り忘れてました。 まあ、専ブラ使えば良いだけの話ですが。 折を見て、なるべく早く更新したいと思ってます。 迷惑掛けてばかりでスイマセン。 ああ、書くのも遅れてますねorz
そんじゃ「原因」の続きいくですよ〜。ひたすら痴漢に嬲られるだけのお話なので、 嫌な人は見ないでくださいです〜。
204 :
原因 :2005/11/07(月) 17:36:31 ID:DoSbeBbF
『あら、ここは…?』 “千百合”は気が付くと、人混みの中に立っていた。いや、 人混みなどという生易しいものではない。四方八方を人に囲まれ、 ぎゅうぎゅうと押されて潰されそうだ。 『そうでしたわ…』 千百合は、自分が登校途中であることを思い出した。ここは、 その途中の電車の中だったのだ。 『それにしても、今日は混んでますわね…』 こんなに混んでいてはしかたがないかもしれないが、ごつごつした大きな身体を、 無遠慮に押し付けてくる周りの男たちに、千百合は顔をしかめた。 おまけになんだか汗臭いし…『まったく男というのは本当にガサツで…ぇぇっ!?』 と、心の中で愚痴をこぼしかけた時、千百合は遅ればせながら、 お尻を触っている手があることにようやく気が付いた。 偶然触れているとかいうレベルではない。その手はスカートの中に突っ込まれ、 下着の上から彼女のヒップを撫で回している。 『こっ、ここここれは、ちっ、ちちちち痴漢〜っっ!?』 千百合は、梢がしたように首を回し、手の持ち主を探そうとしたが、 結果は梢と同じで、碌に後ろを見ることもできずに終わっただけだった。 次に、これまた梢と同じく、一緒に通学しているはずの珠実の姿を探したが、 やはりこれまた梢と同じく、見つけることはできなかった。 『ど、どどどうしましょう〜!?』 千百合はパニックを起こし、目をぐるぐるさせていたが、 その間にもヒップを弄る手は、下着の薄い布地越しに尻たぶをさすり続けている。 『な、なんということ、このわたくしが、ち、ちちち痴漢などというものにぃぃ…!』 「ホ!?」 千百合の口から、思わず悲鳴が漏れた。痴漢の手が下着にかかり、 ずり下ろしたからだ。だが、千百合の前に立っていた、 事情を知らないサラリーマン風の男に、奇異な物を見るような目つきで見られ、 彼女は慌てて悲鳴を飲み込み、俯いた。お尻を触られるのも恥ずかしかったが、 自分がこんな恥ずかしい目に遭っているなどと誰かに、 特に男性に知られたらと思うと、そちらも同じくらいに恥ずかしい。 半分剥き出しにされて、スースーするヒップに直に手が触れられても、 周りの男たちの注目を集めないよう、千百合は漏れそうになる悲鳴と、 零れそうになる涙を、必死で堪えた。
205 :
原因 :2005/11/07(月) 17:37:13 ID:DoSbeBbF
恐怖と恥ずかしさで、小刻みに震える千百合の下着の中に突っ込まれた手は、 柔らかな尻肉の触り心地を楽しむかのように、彼女の少し大きめなヒップの上を、 ゆっくりと這い回った。 手は、千百合のお尻をさわさわと軽く撫でていたかと思うと、 指にぎゅっと力が入って尻たぶを掴む。手はお尻の右側から、 割れ目を通って左へ移り、そちら側もひとしきり嬲ると、 また右へと戻り、執拗に撫で回す。 『ひっ、ひぃぃぃぃぃっ!?』 千百合の背筋を、ぞぞぞぞっと悪寒が駆け上がっていった。お尻を触る手が、 その中央部にあてがわれたかと思うと、指が、 緊張と人いきれでじっとりと汗ばんだお尻の割れ目に差し込まれ、 すっすっと上下になぞり出したのだ。 『ダメですっ、そんなところ触ったらダメですわっ!』 千百合は心の中で叫んだが、心の叫びなど、当然のごとく何の効果もありはしない。 指先は割れ目の奥をなぞり、窄まった菊門の上を何度も何度も行き来する。 その度に敏感な蕾は、怯えたようにひくひくと動いた。 やがて指先がその菊座を捉え、あてがわれた。ぐりぐりとそこを抉るように動き、 そしてその中心に爪先が立てられ、ぐっと力がこもる。 『ま、まさかまさかまさかぁぁぁ…っ!?』 おぞましい想像に、千百合はアナルに思いきり力を込めると、きゅうっと窄めた。 しかし幸いにも、その想像は外れ、指はアナルから離れると、 そのまま下へと進んで行った。しかしすぐに、ある意味肛門に指を突っ込まれるよりも、 もっとおぞましいことが起こった。痴漢の手が、太腿の隙間にぎゅっと押し込まれ、 入り込んで来たのだ。 『ひぃぃっ!!』 千百合の大事な部分を、痴漢の手の側面が擦っていき、 彼女の背中を再び悪寒が駆け上がった。脚をぴったりと閉じて、 手が前に周るのを防ごうとするが、痴漢の手は、太腿と股間のわずかな隙間に、 ぐいぐいと無理矢理押し入ってくる。そして遂に手首の辺りまで、 太腿の間に押し込まれてしまった。
206 :
原因 :2005/11/07(月) 17:38:21 ID:DoSbeBbF
股間で手首がぐいっと捻られ、痴漢の手の掌が上を向き、 彼女の秘密の部分をすっぽりと覆うような格好になった。 揃えられた指がくいっと曲げられ、割れ目にぴったりとくっ付く。 指先が、萌え始めたばかりの若草に触れるのを、千百合は感じた。 恐怖で千百合の脚はがくがくと震え、力が抜けて行く。 だが、この満員の車内では、倒れることも許されはしなかった。 「!?」 千百合の顔が、ギクンと跳ね上がった。股間で、痴漢の指が動き始めたのだ。 指は、まず始めに、丘をまばらに覆う陰毛の存在を確かめでもするかのように、 しばらくさらさらとなぞってから、下のほうへ…クレヴァスのほうへ移っていく。 「んんっ!」 ぴったりと閉じられた秘裂をしゅっしゅと擦られ、 千百合は肩をビクッと震わせた。食い縛った歯の間から、 くぐもった悲鳴が漏れる。 「ひっ!」 痴漢の指が、遂に秘唇を押し割り、中へと入り込んで来ると、 きつくつぶられていた千百合の目が、ショックでカッと見開かれた。 『嫌…いやですわっ! 誰か…!』 もう恥ずかしいなどとは言っていられない。男でも誰でもいいから、 この恥辱から救い出して欲しい。だが、恐怖の余り千百合は声を出せなかった。 『誰か助けてください…っ』 千百合は救いを求める視線を、周りを取り囲んだサラリーマンたちに送ったが、 誰一人として彼女の窮地に気付いてくれる者はいなかった。 誰の助けも得られないまま、千百合は痴漢に弄ばれた。 指が、内側の花びらをくにくにと弄りながら、内部を探るように上下に動く。 そして千百合の敏感な突起を探り当てると、くすぐるように刺激する。 『ああ、ダメです、ダメですわそんなところ…』 千百合は腰をびくびくと震わせ、吐息を漏らした。 指は、肉芽を包皮の上から軽く擦り、そしてトントンと叩き、 時折ぎゅっと押さえつけてくる。
207 :
原因 :2005/11/07(月) 17:39:05 ID:DoSbeBbF
強弱をつけたクリトリスへの甘やかな刺激に、千百合の下腹部は熱くなっていった。 膣からは秘蜜がじんわりと滲み出し、痴漢の指の下で肉芽が徐々に固く、尖っていく。 それを察知したのか、痴漢は指先を器用に動かし、包皮を捲り上げると、 その敏感な突起を剥き出しにしてしまう。 「あっ、ひっ!?」 裸に剥かれたクリトリスを、人差し指と中指の間できゅっと挟まれ、 千百合は小さな悲鳴を漏らした。だが、周りの乗客は、 人波に揉まれているせいだとでも思っているのか、一顧だにしない。 大勢の人の中で、誰にも知られることなく、千百合は指に犯され続けた。 「あっ…うぅん」 クリトリスを挟み込んだ指に力が込められ、ぷにぷにと肉芽を弄ぶ。 指が開いて淫核を解放したかと思うと、今度は指先があてがわれ、 指の腹で何度も何度も、しつこいほどに擦すり上げる。 自分でも触ったことのないような部分を、他人に執拗に弄られる汚辱感に、 千百合は涙しつつも、戸惑いも感じていた。 『なに…なんですの…これは…』 膣には愛液が溢れ、クリトリスはもはやしこりきってしまっている。 その固く尖った肉芽を、指先で転がすようにいじられると、そこを中心にして、 じぃんと熱く痺れるような感覚が、身体中に広がっていく。 『おかしいですわ、こんなの…』 千百合は、その感覚を堪えるように、太腿をもじもじと磨り合わせた。 だが、痴漢の指から紡ぎ出される妖しい感覚は、 到底抑え切れるものではなかった。 「あっ、ふぅん…」 爪先がクリトリスを弾いた瞬間、思わず甘い喘ぎを漏らしてしまい、 千百合は愕然となった。痴漢に弄ばれ、気持ち良くなってしまうなどと… 『嘘ですわ、わたくしがそんな…』 「あふっ、あんっ!」 千百合は心の中で必死に否定しようとするが、 指が淫芯を刺激する度、堪えきれずにどうしても甘い声が出てしまう。 『ダメ…ダメですっ! こんなの正しくありません!!』 千百合は膨らんでいく官能を打ち消すかのように、心の中で叫んだ。 とその時、千百合の心の叫びが届いたのか、ようやく痴漢はクリトリスを弄るのをやめた。 かつて経験したことのない、苛烈な快感から解放され、 千百合は頬を真っ赤にしながら、ハァハァと肩で荒い息をついた。
208 :
原因 :2005/11/07(月) 17:40:01 ID:DoSbeBbF
「ひっ!?」 だがすぐに痴漢の指は、今度はじっとりと湿り気を帯びた膣口に触れてきた。 女の子の一番大事な部分を触られ、真っ赤だった千百合の顔から、 サーッと血の気が引いていく。 『や、やめ…ひぃっ!?』 クッと指先に力がこめられ、その先端が胎内に潜り込むと、 千百合の目が、一瞬カッと見開かれ、そしてすぐにぎゅっと閉じられた。 恐怖にぶるぶる震える千百合の中に、指は第一関節ほどまで入りこんだ。 そこでいったん侵入するのをやめて、しばしそこを解きほぐすように、 クニクニと動く。そして柔軟な秘口を存分にかき回すと、 指はせめぎあう柔肉を掻き分けながら、再度侵入を開始した。 徐々に徐々に、指は千百合の中に飲み込まれていき、 ほどなく、根元まで完全に入り込んだ。 「うぅっ…」 指が根元まで入ってしまったのを感じ、千百合が嗚咽を漏らす。 きつく閉じられた双眸から、ぼろぼろと涙が零れ落ちた。 自分は、痴漢の汚らわしい指に、完全に犯されてしまった…「!?」 しかし痴漢は、彼女に嘆く暇も与えてはくれなかった。 指先が動き出すと、膣壁を擦りあげていく。襞の一枚一枚をなぞるように、 じっくりと胎内をまさぐり、先っぽを鉤型に曲げてくねくねとくねらせ、 柔らかな粘膜をかき回す。痴漢の執拗な愛撫に、 恐怖で忘れかけていた官能が再び頭をもたげ、 青ざめていた千百合の顔が上気していく。下腹部が熱く燃え盛り、 胎内の襞肉がうねって、千百合の意思を無視して、 痴漢の指を貪るようにきつく締め付ける。 『嫌、ダメですわ、ダメ…』 締め付けてくる柔肉を掻き分けながら、指が徐々に引き抜かれていった。 そして中ほどまで抜いたところで反転し、再び差し込まれていく。 痴漢は指を根元まで突き入れると、再び引き抜いていき、 そしてまた根元まで…。溢れ返り始めた愛液をじゅぷっ、じゅぷっといわせながら、 指の抽送は繰り返され、一往復する毎に千百合の中で快感が膨らんでいく。 何度かピストン運動を繰り返したのち、指は膣から引き抜かれ、 千百合の秘裂をまさぐった。痴漢が指先で熱く火照る花びらをなぞり、 しこり切ったクリトリスを軽く弾き、押さえつけ、クリクリと転がすように愛撫すると、 千百合の身体中を電流のように快感が走りぬけていき、 彼女はびくびくと身体を震わせた。
209 :
原因 :2005/11/07(月) 17:40:46 ID:DoSbeBbF
そして指は肉芽から離れ、割れ目の中をなぞりながら下へ動いていき、 愛液を滴らせる秘口に戻ってくると、再び千百合の中へと挿入されていった。 軽く抜き差ししたり、掻き混ぜながら、徐々に深く入り込んでいき、 根元まで入ってしまうと、再びくねくねとくねって、千百合の奥深くをまさぐる。 「んふっ、うぅん…」 秘肉をくにゅくにゅと弄られながら、千百合は熱い吐息を漏らした。 肉襞に指が触れている部分から、激しい愉悦の波が込み上げ、 頭の奥をジーンと痺れさせる。身体がふわりと宙に浮き上がりそうな感覚が千百合を包み、 どこか高みへといざなっていく。絶頂の予感に、身体がぶるるっと震え、 カバンを持つ手が、ぎゅっと強く握られた。 『ダメ、ダメです、ダメですわーーーっ!!』 だが、千百合が絶頂を迎えようとしたまさに寸前、電車にブレーキがかかり、 進行方向と逆を剥いていた千百合は、他の乗客たちに押されるように、 前向きに大きく身体をよろめかせた。弾みで、千百合を嬲っていた手が、 彼女の股の間から抜け、下着からも、そしてスカートの中からも抜け出ていく。 「……」 電車が停止し、体勢が立ち直ると、千百合はハァハァと息を荒げながら、 恐々と肩越しに視線を送った。ひとまずは痴漢の手から逃れられた。 しかし、またいつその手は戻ってくるか…。 だが、痴漢の手が戻ってくるその前に、電車の扉がプシュッと音を立てて開き、 乗客がどやどやと降り始めた。千百合の周りからも、乗客がどんどん減っていく。 その駅から乗り込んでくる乗客ももちろんあったが、 それまでの大混雑は一気に解消され、車内を見通せるほどとなった。 『たす…かった…?』 これならもう、痴漢は戻ってこないかも…。安心しかけた彼女の肩に、 ぽん、と誰かの手が置かれ、千百合はビクッとしてそちらの方を向いた。 「ひどい混みかたでしたね〜、大丈夫でしたか〜?」 顔を強張らせた千百合に、間延びした声がかかった。肩に置かれた手の主は、 離れ離れになっていた珠実であった。安堵の余り、千百合の瞳からぽろりと涙が零れ落ちる。 「た、珠実さん…」 「えっ?」珠実“さん”…? 目をぱちくりさせる彼女に、 千百合はしがみついた。「わ、わたくし、わたくし…」 「もしかして千百ちゃんですか〜? どうしたんです〜、大丈夫ですか〜?」 戸惑う珠実にしがみついたまま、千百合は涙を零し続けた。
210 :
原因 :2005/11/07(月) 17:41:58 ID:DoSbeBbF
「ほら〜、もう泣かないでくださいです〜」 それから数駅先。目的の駅で降りた二人は、改札は出ずに、 構内のベンチに腰掛けていた。ポロポロと涙を零す千百合に、 珠実は彼女の髪をいつものサイドポニーに結ってやりながら、 慰めの言葉をかけていた。 「ホント、酷いことをしますね〜」 「わたくし、わたくし…うぅっ」 千百合は肩を震わせ、しゃくりあげた。痴漢から解放されてだいぶ経ったが、 どこの誰とも知れない男に、秘密の部分をいいように弄られ、嬲られるという、 筆舌に尽くしがたい恥辱に、千百合は未だ立ち直れずにいた。 「すみません〜、わたしが目を離したばっかりに〜、 千百ちゃんに恥ずかしい思いをさせてしまって〜」 「珠実さんのせいじゃありませんわ。悪いのは全て卑劣な痴漢です!」 千百合は涙を拭うと、瞳にめらめらと怒りの炎を燃え上がらせた。 あんな…あんな恥ずかしい事をされるなんて…。もう男なんか、男なんか… 「男なんて、下半身でしか物を考えないサイテーの生き物です! もう、わたくし男なんて、口もききたくもないですわっ!」 「ですね〜、男なんて相手にしないほうがいいですよ〜」 拳を握り締め、きっぱりと宣言する千百合に、髪を結い終えた珠実が同調する。 そして彼女は、少し元気が戻った千百合に、ポケットからハンカチを取り出し、 手渡した。 「ほらほら〜、これで涙を拭いてください〜」 「珠実さん…」 千百合はじーんと感動し、ハンカチを持つ珠実の手をとった。 悪逆非道な男に比べて、こんな細やかな配慮のできる女の子の、 なんと素晴らしいことか。 千百合が握り締める珠実の指先で、拭い残した粘液が僅かにぬるりと光るのに、 彼女はまったく気付いていなかった。
あ、以上で終わりです〜。小出しにしたら確実に荒れそうなんで一気にいきました。
オチだけつけりゃいいってもんでもないような気もしますが、とりあえずこんなオチで。
ということで
>>169 、先にオチを言わないように。
まだ続きがあったりしますが、そちらはまたいつか。
>>211 169が本当だったと脳内補完推奨
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
先にオチを言われたり、展開予想されたり、出そうと思っていたネタを 先に言われたってなんともないぜ! …いや、その気持ちはよくわかるから。
やはり珠実にはその道の素質が十分にあったか。
ええのんか〜
なんつーか千百ちゃんのキャラが違うキガス
やはり珠か!
タイトルは、千百合が男嫌いになった「原因」ってことか?
さて、続くようで悪いですがまた珠です。 そう、今日は珠の日ですよ。
11月8日 今日は彼女の誕生日。 普段なんだかんだといろいろあるけれど、同じ屋根の下で暮らす大切な家族のような存在。 そんな彼女の大切な一日をみんなでお祝いしたその夜遅く、僕は一人彼女の部屋に呼ばれていた。 …はずだったんだけど───。 「あの…ねぇ、珠実ちゃん…?」 「何かご質問ですか〜?」 「いや…質問というかなんというか…」 気がつくと僕はよくわからないところに立っていた。 真っ白な壁で四方を囲まれた部屋…いや、部屋と言っても扉も窓もない。 照明がなくても明るいけど、そこには何もなかった。 ここには僕と珠実ちゃんだけが存在し、それ以外何もない。 「…ここ、どこ?」 「説明するのは難しいですね〜」 難しいと言うことは多分彼女はここがどこなのか知っている。 だけど、それを僕に理解させるのは難しい、と言うことなんだろう。 「いったいなんなの、ここ…」 「心の中〜、と言った所なんですが平たく言えば夢みたいなものですよ、私とあなたの」 「夢………?」 「そうです〜。 私たちに共有された精神の世界、といったところですか」 「はぁ………」 「ここには私とあなた以外には何もありません。 そういう場所なんです」 「…よくわかんないよ」 「だから説明するのは難しいって言ったじゃないですか〜」 簡単に説明されてもその意味を理解できなかった。 確かに珠実ちゃんの言うとおり、僕にはよくわからない場所のようだ。
「…で、なんで僕、こんな格好してるの?」 「はい〜。 私が用があったのは『隆士さん』じゃなくて『隆子ちゃん』なので〜」 「意味がよくわからないんですけど…」 長い金髪を弄りながら僕はため息をついた。 そう…長い髪にひらりとした女の子らしい服…僕は何故か女装させられていた。 千百合ちゃんや珠実ちゃんたちに何度も着せられてるけど、正直あまりいい気分ではない。 「ただの女装じゃないですよ〜?」 「えっ…?」 「まずは髪を引っ張ってみてください〜」 「………? っ!」 僕は言われるまま髪の毛を1本摘んで引っ張るとぷつりと言う音共に長い髪が抜け落ちる。 何故か痛みを伴って。 「…ってこれカツラじゃないよ!?」 「当然です〜。 地毛なんですから〜」 「…まさか!?」 慌てて自分の体を確かめてみると今更ながら自分の体に起こった変化を思い知らされた。 すらりとした細い手足、柔らかい胸の感触、股間にない存在感。 「なにこれ…どうなってんの!?」 「だから、夢みたいなものっていったじゃないですか〜」 「だ、だからって…」 気がつけば身長も低くなっているようで頭一つくらい違っていた目線も珠実ちゃんとほとんど同じ。 声すらも女の子っぽい高いトーンに変わっている。 今の僕は正真正銘、完璧な女の子になってしまっていた。
「な、なんでこんなことを…!?」 「私は女の子の隆子ちゃんに用があったので〜」 「なっ…!」 にっこりと微笑む珠実ちゃんだったけど、その笑顔の裏に黒い影があるのを僕は見逃さなかった。 この笑顔は間違いなく何かよからぬことを考えている。 僕の防衛本能が警笛を鳴らしている…この状況はとてもまずい。 でも逃げだそうにもここから脱出する術はない。 キョロキョロと辺りを見回しても何も目につくものはなく、彼女の心からも観念しろと強烈なプレッシャーが感じられた。 「隆子ちゃん、怖がることはないですよ〜。 イイことするだけですから〜」 「ちょ、ちょっと待ってよ、珠実ちゃん!」 威圧感のある笑顔のまま迫る珠実ちゃん。 話し合いで解決する雰囲気…じゃない。 「初めて見たときから思ってたんですよ…すごく可愛いなぁ…って」 「た、珠実ちゃん…?」 「この子が女の子だったらどんなによかったのにって思ってたですよ…」 「な、なにいってんの!?」 僕は珠実ちゃんに気圧されてジリジリと後ずさるけど、何もないと思っていた足下に突然何かが当たり後ろに倒れ込んでしまった。 ぼふっと柔らかいクッションが倒れた僕を支えてくれたけど、それが何かわかったとき僕は青ざめた。 いつの間にか、僕の背後には大きなベッドが置かれていたのだ。 自分の置かれている状況を並べていくうちにようやく珠実ちゃんの目的を理解した。 「………マジですか?」 「マジです〜♪」 今の僕は蜘蛛の巣にかかった蝶…そして、珠実ちゃんは獲物を狙う蜘蛛。 逃れる術は───なかった。
「ちょ、ちょっと、珠実ちゃん、なんでこんなことするの!?」 「隆子ちゃんがあんまり可愛いから悪いんです〜」 「なっ…」 「梢ちゃんにこんなことは出来ないですからね〜。 だから白鳥さんに協力してもらうですよ〜」 「や、やだよ! 何で僕が!」 「誕生日にはお願いを聞いてくれるって言ってたじゃないですか〜」 「そ、それは…」 そう…確かに僕は珠実ちゃんとそういう約束をしていた。 物じゃなくていいからお願いを一つ聞いて欲しい、と。 「だ、だからって何でこんなことを!?」 「だから〜、欲しいんですよ〜、隆子ちゃんが」 「た、珠実ちゃん…!?」 ジリジリと後ずさるけどもう後がなかった。 顔は笑っているけれど、彼女は本気だ。 「まぁ、夢での出来事なのでだいじょぶですよ〜」 「で、でも…」 「このことはあなたと私だけの秘密…ちょっと私を満足させてくれればいいんです〜」 「いや、そんなの無茶苦茶だって!」 確かに約束はしたけど、ここまでするといった覚えはない。 いくら夢の中っていったって物には限度という物があるだろう。 別に珠実ちゃんが嫌いってわけじゃないけど、僕にはそんなことを出来るはずもなかった。
「そうですか…出来れば手荒な真似はしたくはなかったのですが…」 「なっ…!?」 僕が頑なに拒否したことで珠実ちゃんは一瞬寂しそうな顔をして俯いたけれど、キッと僕を見据えて指を鳴らした。 するとどこからともなく蠢く柔らかいヒモのような物が現れて僕は腕を後ろ手に縛られてしまう。 「な、なにこれ!?」 「隆子ちゃんが素直にならないのがいけないんですよ…」 「ちょ、珠実ちゃん、やめてよ!」 ジタバタともがくけどロープがほどける気配もなく、珠実ちゃんはゆっくりと近づいてくる。 文字通り僕は追いつめられてしまっていた。 「さぁ、隆子ちゃん。 観念するです〜」 「な、なんでこんなことを…!?」 「だからさっきから言ってるじゃないですか。 あなたが欲しいんです」 「えぇっ!?」 逃げることも出来ず、身を固くするしかない僕に珠実ちゃんの手が迫ってくる。 珠実ちゃんは動けないでいる僕の上に覆い被さるように体を載せ、真っ直ぐに僕を見据えた。 「さぁ、隆子ちゃん…」 「ダメだよ…珠実ちゃん…やめようよ、こんなこと…」 「そんなにイヤですか…?」 「だ、だって…こんなの間違ってるよ」 「…そうですか」 僕が必死に訴えかけると珠実ちゃんは寂しそうな顔をして僕の上から退いた。 それと同時に僕を拘束していた縄も消えて僕は自由にされる。 僕が本気で嫌がっていると彼女にも伝わったのかもしれない。 珠実ちゃんは僕に背を向けると押し黙ってしまい、僕はその背を見つめるしか出来なかった。
「………」 「ね、ねぇ、珠実ちゃん…何でこんなことを?」 「………」 僕は身を起こすと珠実ちゃんに問いかけた。 返事はないけれど、その背が物語る寂しさと孤独。 ここは心の中の世界…だから相手の気持ちも感じやすいのだろう。 珠実ちゃんが僕を求める理由…それはさっきも彼女が言っていたことに間違いないはずだ。 でも、なんでそれが僕なのか、僕にはわからなかった。 「ねぇ、珠実ちゃん…」 「白鳥さんなら…わかってくれるって思ってたんです…」 「えっ…?」 「私…ずっと梢ちゃんのそばにいたけど心から満たされることはなかった…」 その胸のうちをぽつりぽつりと語られることで徐々に彼女の気持ちがわかってきた。 言葉に乗って伝わる彼女の孤独。 確かに珠実ちゃんは何年も梢ちゃんのそばにいた…けれど、彼女が本当に欲しかった愛情は決して得られなかったんだろう。 そんな満たされぬ思いが積もりに積もって…。 「…でも、どうして僕に…」 「あなたは…梢ちゃんにとても似てるから…」 「………」 「梢ちゃんにこんなことしたら今までの関係が崩れそうで…怖かったから…だから…」 珠実ちゃんが語る僕が選ばれた理由。 それは梢ちゃんの代わり…一番梢ちゃんに近い存在である僕が選ばれるのは必然と言ってもいいことだったんだろう。 今の僕のこの姿も少しでも梢ちゃんに近づけるためだったのかもしれない。 「珠実ちゃん…君の気持ちはわかったよ…」 「………」 「でも、僕は…」 正直、身代わりになるなんて僕には出来なかった。 でも…彼女の胸の内を知ってしまった今、ただ彼女を拒否することも出来ないでいる。 珠実ちゃんの孤独は僕の責任でもあるのだから。 そして、この先もその思いが遂げられることはないと知ってしまっているから。 痛いくらいその気持ちがわかるから、僕はどうすればいいのかわからなくなってしまっていた。
「白鳥さん…無理を承知でお願いです…」 「………」 「あなたを…ください…」 珠実ちゃんは振り返ると僕を真っ直ぐに見つめて懇願した。 その瞳からは彼女の本気が痛いくらい伝わってくる。 拒否することは簡単だけど…僕にはそれが出来なかった。 ちょっと悔しいけど、珠実ちゃんが言うように彼女の気持ちがわかってしまったのだから…。 「………。 ねぇ、珠実ちゃん…僕はどうすればいいのかな…」 「………」 「正直、どうすればいいのかわからないんだ…」 「白鳥さん…」 「…今は隆子でいいよ」 「………!」 彼女の気持ちを理解し、自分の中に芽生えてしまった感情に僕は自分がわからなくなっていた。 ただ辛そうにしている珠実ちゃんを見ていられない、その気持ちだけが僕を動かしていく。 「珠実ちゃんは僕にどうして欲しいの…?」 「それは…」 本当はもう言葉で言わなくても彼女の心はわかり始めている。 僕に出来ることは全身で彼女を受け入れてあげること。 そして、それこそが珠実ちゃんの望みなのだから。 「白鳥…さん…」 「でも、これっきりだからね…?」 「…ありがとうございます」
───。 彼女と体を重ねることで知ったたくさんの想い。 触れ合う肌から伝わる温もりが彼女の気持ちを僕に教えてくれた。 それはずっとずっと満たされることなく寂しい思いをしてきた孤独。 だから珠実ちゃんは人肌の暖かさを求めてしまったのかもしれない。 僕には彼女の愛情を満たすだけのことは出来ないけど、それでもつかの間の安らぎを与えることくらいはしてあげたい。 そんな思いが重なり合い、僕たちは一つになっていたのだろう。 夢は終わる…。 だけど、また次の夢を見ることだって出来る。 僕に出来ることは少ないけど、珠実ちゃんが一番欲しかったプレゼントをしてあげられたのかもしれない。 「白鳥さん…ありがとうございます…」 まどろみの中に僕たちは手を取り合って落ちていく。 薄れゆく意識の中、珠実ちゃんは満足げな笑みを僕に見せてくれた。
「う……」 僕はカーペットの上で目を覚ました。 窓の外から小鳥のさえずりが聞こえる時間…もう朝になっている。 だけど、電気はつけっぱなしで夕べあったことを物語っているようだった。 半身を起こして見渡してみるとやっぱりここは珠実ちゃんの部屋。 テーブルの上には今回のことに使ったと思われる怪しげな香炉が置かれていた。 ふと周りを見ると僕と同じように珠実ちゃんが倒れている。 「珠実ちゃん…珠実ちゃん!」 「ん………」 慌てて珠実ちゃんの肩を揺すると彼女もまた夢の中から目を覚ました。 寝ぼけ眼で僕を見つめて珠実ちゃんは小さくあくびを一つした。 「ふぁ…おはようございまふ〜…」 「おはよう、珠実ちゃん」 「…なんであなたがここにいるんですか〜?」 「いや…何でって言われても困るんですけど…」 「あぁ、そうでしたね〜」 事情を思い出したのか、珠実ちゃんはスッキリした表情で伸びをした。 どうやら肩の荷が下りたようで満足げな笑みを見せてくれた。 「ふ〜、昨日はありがとうございました〜」 「いや、せっかくのプレゼントだし、君が満足してくれて何よりだよ」 「それにしてもすっかり萌え燃えちゃいましたよ〜」 「そ、そう…?」 ちょっと照れくさいけど、彼女が満足してくれたのなら僕も本望だった。 貴重な体験もできたし、考えようによっては悪いことでもなかっただろう。 何はともあれ、一件落着、と言ったところだろう。
「…で、何でそんな格好してるんですか〜?」 「えっ…?」 「…おや〜? 白鳥さん、髪の毛一本引っ張ってみてください〜」 「………? っ!」 言われるまま、僕は頭に手をやり髪の毛を引っ張った。 チクッとした痛みと共に髪の毛が抜け落ちる。 …長い金の髪の毛が。 「…ふぇ!?」 「………………おや〜? ちょっと失礼〜」 「ちょ、珠実ちゃ、ぁん!」 珠実ちゃんの手が躊躇なく僕の胸に伸び、軽く握られる。 服の上からでも刺激と共に自分の胸が柔らかく歪むのが感じられた。 「え…? ど、どういうこと!?」 「おやおや、これはこれは〜…」 すらりとした細い手足、柔らかい胸の感触、股間にない存在感。 鏡に映る自分の姿、それはまさにあの夢の中の姿そのものだった。 「ど、どうなってんの!?」 「あら〜…私もあのままのようですね〜…」 「た、珠実ちゃんも!?」 「どうしましょう…ちょっとこれは予想外ですね〜…」 パジャマのズボンの上に手を当てた珠実ちゃんもちょっと困ったような表情をしている。 つまり、彼女も”あの”姿のまま、ということなのだろう。 「ちょ、珠実ちゃん、どうするの!?」 「どうしろと言われても〜…私にもわからないです〜」 「なに平然としてるの!?」 「私はまぁ、これはこれで〜」 「じょ、冗談じゃないよっ!」 僕は鏡に映る自分の姿を見て愕然となった。 しなやかな長い髪、凹凸のはっきりしたボディライン。 それはどこからどう見ても正真正銘の女の子。 これでは男だなんて言えるはずもなかった。
「ま〜、部長の魔術ですからね〜」 「や、やっぱり!?」 こんなことが出来る人間は他に考えようがない。 きっと珠実ちゃんはこっそり部長さんの本でも見て試したのだろう。 「ともあれ隆子ちゃん、ご愁傷様です〜」 「冗談じゃないよ〜〜〜!」 珠実ちゃんの無責任な慰めの言葉に僕はすっかり女の子らしくなった声で悲鳴を上げた。 ───その後、鳴滝荘のみんなに知れ渡りさんざん玩具にされる結果になった。 千百合ちゃんにいろいろされたり、珠実ちゃんにいろいろされたり…。 とにかく解除方法が見つかるまでのしばらくの間、僕はさんざんな目に遭うのだったけど、 それはまた別の話。 情けは人のためならず───。 それが今回僕が思い知らされた教訓だった。 <彼女の求むる物> Fin.
そんなわけで珠キチ誕生日記念、ということで。 まだ本調子じゃないんでパワー不足だし、肝心な部分がすっぽり抜け落ちてますけどご了承を。 気が向いたら書き足しておきます。
乙。と言いたいんだが、ほんとに肝心の部分抜けててちょっと・・・ Hシーン以外の部分はHに持ち込むための前フリ くらいにしか感じられないし、それでいてHシーンはなし。 もうちょっと頑張りましょう。
何様ですかおまへは
236 :
名無しさん@ピンキー :2005/11/08(火) 19:24:55 ID:DB//eKdB
>>211 実は珠も痴漢に遭ってた
ってオチなら納得できたのに('A`)
>>235 オレオレ、オレだよオレ様だよ。でもね、隆子にしたのにガチレズH描写スルーじゃ、
単なる珠実のガチレズカミングアウトSSなだけじゃんって思うわけよ。
そのあと本当に女になっちゃってるけど、そっちも意味があるわけじゃないし。
「なあ白鳥」 「ん?なに?エローリ」 エローリの問いかけに白鳥が答えると、 エローリは、じっと白鳥の顔を見詰めてこう言った。 「やっぱりおまえは可愛いな」 「?!」 「本当に、可愛いよ」 エローリの、真剣な眼差しが白鳥を貫く。 こんな話キボン。
おしかりごもっともですね。 自分でもネタの方向性をまるっきり煮詰められないまま書いちゃったんで 正直見るに耐えないと思います。 展開のちぐはぐさも重々承知です。 こういうのを間に合わせ、っていうんでしょうねぇ…。 まぁ、ぼちぼち再考していく次第です。
>>222-232 素直に白鳥が好きだって、言えばいいのに。
他の人に似てる、なんて言うから角が立つ。
>>238 ロリの次は衆道に目覚め…わーなにをするきさまらー(棒読み)
>>222-232 ん、俺としては
>「この子が女の子だったらどんなによかったのにって思ってたですよ…」
辺りの展開でお腹いっぱい。良いものを食わせていただきました。なむなむ。
(でも、「どんなに」は「よかったか」辺りの疑問形で受けるもんなんじゃないかとか
思うですが、どんなもんでしょ)
>236 マルチと言わざるをえない
>>216 うむ、ちょっとキャラ立て難しかったYO 凌辱されつつ千百合らしい
ハイテンションや小難しい言い回しをさせるのはむずいです。精進せねば。
>>219 それ
>>220 やり過ぎを反省する珠の話をやるかもしんない。
「ちょっとやり過ぎちゃったですかね〜」「でも怯える梢ちゃんもラブリーです〜」
みたいな。あ、全然反省してないや。
>>246 なんで将軍…?
248 :
名無しさん@ピンキー :2005/11/09(水) 17:18:36 ID:4UgyJnc6
っていうか 情けは人のために非ずってさ 意味は「人に情けをかけたらめぐりめぐって自分にもいいことがあるってことなんだけどね
>248 知ってるし、「」閉じてないし、誤爆ですか?
21禁ですけど・・・
それは 「情けは人のためならず巡り巡りて己が身のため」 って諺でしょ?
252 :
名無しさん@ピンキー :2005/11/09(水) 18:49:38 ID:lPgr9yDa
正直どっちでもいい
>>239 とりあえず、拉致監禁AVに見えかねないシチュエーションを
何とかしたほうがいい。
人、減ったねぇ…
むしろその後のみんなの対応の方が気になる罠 エローリとか早紀とか…
>>256 その後の対応って、どの後だ?
エローリの方がわからん
早紀の方があれだとしたら、言わなくてもわかってると思うが
オリジナルが救いの無い話だとほのぼのとした話を求めるけど、 まほらばは逆に救いの無い話を書きたくなるんだよな。
認めん!梢は純愛ぬくぬく以外漏れは認めんぞ!!! 珠実はいくら凌辱してくれても大歓迎だが
腐れ外道どもが 死ぬがよい。
>>211 が特になんだけどさ、
>>259 ,260みたいなやつもお帰りくださってニ度と来ないでください
妄想は自分の脳内だけにとどめて、だだ漏れにしないでくださいね
なんかスレの雰囲気変わったね、ここ。 職人さんの数もめっきり減っちゃったし。 前みたいに良作ラシが来るようなスレに戻って欲しいもんだ。
まぁまず無理な話だろうね… あんなことがあったのに書いた当の本人が平気で投下するようなところに戻ってくる人もいないだろう
すいませんもうきませんさようなら
21歳未満(笑)
僕たちのまほらばワールドを壊す作品の投下は遠慮するのがネチケットだもんね。 アニメキャラ版の白鳥スレでもみんなで批判しているよ! 人に迷惑を掛けてまで妄想を垂れ流すなんてマジおかしいってp(`へ´)q てか馬鹿なんだろうね、まほらばのキャラをむちゃくちゃにして楽しむなんて。
全ての職人は自分の妄想を文にしてるんだぞ? 妄想禁止ならこのスレは終わるな
>269 だからそれは自分ルールだというのに
ネチケット(笑)
とは言え、それで人に不快感を感じさせてスレの雰囲気を悪化させているという 自覚くらいは持って欲しいところ。 せめてコテつければNGしやすいのにそれすらしないし。 意図的に人が嫌がるSS投下してスレを衰退させようとしてるようにしか見えないんだよね。 文章自体が妙に悪意に満ちてるし。 書くなとは言わないけど、それが周りに与える影響って物をもうちょっと真面目に考えて欲しいものだ。 それすら考えずにただ妄想だだ漏れさせてるだけなら荒らしと同レベルだよ、ホント。
輪姦や獣姦でなきゃおk ていうか、未成年者は入場禁止!
>273 お前もコテ付けろよ、NGするから
揉めるぐらいならテンプレに和姦限定って付けたらどうよ?
これで満足か? 漏れなんかがコテつけて荒れなくなるなら大歓迎だが。 自分ルールがどうこう以前にスレの空気が悪くなるのがダメなんだっての。 モラルのない作品を書くのが好きなのは構わないけど、 だからってモラルのない行動をしていいとは限らないだろ。 スルーしてくださいって書けば免罪符になってると思ってるのかもしれないが、 それで全てが容認されるわけじゃないぞ。 自分が周囲に与えてる影響ってのをよく考えて欲しい。 現にアレが掲載されて以来、スレがどんどん衰退して言ってるのは事実だし。 一人の職人の暴走で他の職人や住人を萎えさせるなんて論外だろ。
>一人の暴走で全員が萎えてる 自分の事ですか?
このスレもう駄目ぽ。
まぁ、そう思われても仕方がないが結局なあなあで済ませた結果がこれだろ? このままだらだらいっても先細りになるのなんて目に見えてるからな。 職人も住人もカキコしたらそれがどういう影響を与えるか、よく考えないとダメってことだ。
>>278 は職人って文字が読めないのだろうか?釣りだよな?
み、みんな! お、落ち着け! /∧_/∧ /∧_/∧ オロオロ ((´´ДД``;;)) ((;;´´ДД``)) オロオロ // \\ // \\ オロオロ ⊂⊂(( ヽノヽノつつ ⊂⊂ヽ// )) つつ オロオロ しし((_)) ((_))JJ
ようは自分の意に沿ったSS以外認めないって厨が住み着いてしまったってことだろ?
> 自分ルールがどうこう以前にスレの空気が悪くなるのがダメなんだっての。 まあ、「陵辱もの」があればほんわか好きにとっては嫌なのは分かるけれど、 それこそ甘受すべきリスクというものでしょう? もともとハードなものもOK な板でスレッドなんだし、「陵辱」「ほんわか」混在で、おそらく貴方にとって は居心地の悪い空気が普通なんですよ。いつまでも「ほんわか」作品のみでいて くれというのは言ってしまえば贅沢・我侭ですよ。 ついでに言うと、そういう我侭を偏狭に通そうとしたことの方が、雰囲気を悪化 させてると思うな。「陵辱もの」そのものより。 テンプレにあった通りに注意書きはつけて義理は果たしてるわけだし。それでも 嫌だというなら、別の投稿サイトに行くなり、自分でサイトを立ち上げるなり すれば良いのじゃなかろうか。 あと、 > 意図的に人が嫌がるSS投下してスレを衰退させようとしてるようにしか見えないんだよね。 > 文章自体が妙に悪意に満ちてるし。 というのも、賛成できません。ほんわか系の「ハルイロ」を継続的に投下し続け てる人でもあるし。 ここまで書いておいてなんだけれど、個人的な趣味としては陵辱大嫌い派。
◆jcoXfIXDjc 荒らしはカエレ
>>277 >自分ルールがどうこう以前にスレの空気が悪くなるのがダメなんだっての。
>モラルのない作品を書くのが好きなのは構わないけど、
>だからってモラルのない行動をしていいとは限らないだろ。
>スルーしてくださいって書けば免罪符になってると思ってるのかもしれないが、
>それで全てが容認されるわけじゃないぞ。
こういう物言いする奴は大嫌いなんだよね、俺。
気に入らない事があるとテンプレに有りもしない「空気」だの「モラル」だのを持ち出して相手に罪悪感を負わせ、
あたかも自論が正当であるかのように見せる輩が。
しかも他人に書き込みの影響について考えるように言っておきながら
自らの書き込みが現在及ぼしている影響については全くの無視。
正直凄い不愉快になるから出てけよ。
と、まあ↑を読んで憤りを感じたなら、
あんたが同じことをして職人を追い出したってことをよくよく考えてくれ。
これで分からないならもう何も言わない。
混乱した場合は原理原則に戻りましょう。 ここは21歳未満禁止のエロパロ板。板の先頭に趣旨がはっきりと明示されている。 ところが、明らかに未成年と思われる者(固定ハンドル含む)が跋扈していたり、エロ要素皆無の作品が 大多数を占めていたりするためか、他のスレッドとは明らかに「空気」が異なる。 しかしそうした「空気」はこの板では推奨されていないのは明白。それを固持したいのなら自身がサイトを 設ければ足りる。この板の明示の趣旨とは異なる不文の「空気」とやらをごり押しする権利はないよ。
明らかにスレが険悪な感じになってる…。 俺たち職人は妄想を形にしたいから書いてるわけであって。 ま、読みたくねーなら読むな、読みたいなら嫁っつーことか? …18禁書けない漏れが言っても説得力ないけど。 …ふぅ…
おまえならかける
今一番出て来るべきでは無く、 今一番余計な発言をするべきではない俺が来ました。 とりあえず自分に出来るのはSSを書き続けることだけなんで… 頑張りますわ
<チラシの裏> …SS…か。 …ふぅ… </チラシの裏>
連レスだけど。 何故かまほらば関係のサイトが検索にヒットしない…? 何でだ?
| \ |Д`) …落とせるような雰囲気じゃない・・・ |⊂ | | ノ | ノ サッ | ノ |
今の流れを変える作品を投下する事が出来るのが神職人
我等に出来る事は応援するのみ ∧_∧ ∧__∧ (´<_` ) がんがれ、ぐうたら&AKIRA!! ( ´_ゝ`)/ ⌒i _(__つ/ ̄ ̄ ̄/i |_ \/ pink / ヽ⊃
ちょっと言わせてくれ。
ここはエロパロ板だ。よって未成年者はいないので、大人の対応、
>>1 の先生が言っているような対応、が取れるはずだ。
掲示板というものの特性上、そんな対応を取らない人がいるのはしかたがないことだが、
それでもSSを読みたい、または読んでもらいたい人が集まっているスレなので
良心的な対応ができない人には来ないでもらいたい。
長文失礼した。
すまんが
>>267 はわたしじゃないです。
他になにか言うこともないのでさようなら。
299 :
名無しさん@ピンキー :2005/11/12(土) 01:31:33 ID:7g7NyT9s
投下マダー? と急かしてみる
300
>>286 >上3行
テンプレにありはしないから空気読まない奴を叩くな、て何だそりゃ。
空気を読まない人間が叩かれるのは当たり前の話だと思うけどな。
実際問題空気が荒んだ、拒んだ人間が数多くいた、て事実があってそれを元に叩いてんのに、
それについて罪悪感負わせる、だの自論の正当化だの筋違いも甚だしいでしょうて。
そんなに原則が大事か?実際の流れより。
まぁコテつけた奴が「今」空気読んでないのは確かだけど。
騒ぎになった当時ならともかく、今はもう確実に空気は変わってしまってるわけで。
だから俺はコテの人叩くけどね。
>コテ
終わった事をいつまでもぐだぐだぬかすな。そもそもその蒸し返し自体が空気悪くしてるて気付けよ。
大体が、その職人とやらがいなくなったところで空気が元に戻る、てもんでも無かろうに。
そんなに前の空気が恋しいなら、自分から変える努力しろと。こういうネガティブな努力じゃなくて。
自分で甘々のSS書いて、バンバン投下してスレを埋め尽くすぐらいの事やってみろってんですよ。
ごめんなさい、あまりにも気になったので書かせてもらいます。
>>288 、
>>290 、
>>294 などのSS職人の方々
そして
>>296 などの読者の方々
スレの現状、雰囲気というものが分かっていますか?
あなた方のしていることはただ現状を混乱させる以外の何物でもありません。
今、SS職人が自らの持論、拠り所を語っても無意味です。(大概においてそうですが)
>>290 にいたっては荒らしたいのか?と質問したくなるほどの内容です。
自らの心地よい環境にするためには多くの人を納得させる優れた作品を書くべきでしょう?
ただ目立ちたい、同情を買いたいだけとしか思えません。
そしてその言葉だけの職人を応援するレス。
はっきりいって無責任です。
「陰ながら」と書いていますが、本当に陰ながら応援するのであれば黙って待つべきでしょう。
見過ごせない状況だと思いましたのでレスさせていただきました。
ご不快に思われる方がいらしたら申し訳ありません。しばらくこのスレから離れたいと思います。
長文失礼いたしました。
303 :
302 :2005/11/12(土) 03:03:14 ID:BMK7YID2
リロードするのを忘れてしまいました。似たような内容のレスが続いてしまい申し訳ありません。 本当に失礼いたします。
>てめー白鳥…あっ! まで読んだ。
理屈よりも何よりも空気が大事! 昨今の未成年者を支配する不文律ですね。
あれか。
>>302 が言いたいのは
口先ばっか動かしてねーで黙って投下しろー
ってことか?
職人にとって読み手の人達からの応援は一番の燃料なんだよ。
俺達も人間なんだから、機械にゃなれねーよ
307 :
291 :2005/11/12(土) 09:23:09 ID:NdNyuLXi
>>302 書かなきゃ応援してるかどうかわかんないだろうから書いたんだけど…間違ってたか。
とりあえず吊ってくる。
エロ無し・ライトエロと馴れ合い大好きなサイトを外部に作ればいい。もちろん21歳未満も大歓迎。 2ch形式の掲示板なら専用ブラウザに登録できるし問題ない。 結果このスレが寂れても仕方ないよな。原則に忠実にあるべきだからなw
>302 それを言ったらまた混乱するけどね
ここでおれが流れを変えよう。 そう、しりとりだ。
殺伐としたスレに救世主gうわなんだおまえやめr i〜'~~| |__| | |
я ・・・... `□' ドドドド... " .____ j…ト ドドドド.. .TT _____ ヽ|・ャ・|ノ ドドドド・・・ ゙r-r' .__ ヽ|・∀・|ノ |__| ┣¨┣¨┣¨┣¨・・・ く ゝ
ま、先延ばし先延ばしにしてきた結果だろ? どうにもできないこともあるさ。
1000 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2005/11/12(土) 15:37:11 ID:Cb4u1MdH 1000だったらエロパロが何とか立て直す。
部長スレじゃん。
よし、そいつに変わって俺がこのスレをたtうわなにを(ry
陵辱モノが投下されそうになったら 自分が出て行って空気の読めない馬鹿をやっつける i r' _,,..r--ヽ. ミ 彡 r.--ヽ. _..-'''' ̄ヽ=r.._ ¥ i .r'' ̄`ヽ=. <(::)>ノ ~"'-._y i i <(:)丿/ヽ.____,,..r'" i i~ヽ.-...i ヽ__.r'( '';; i r'"(~''ヽ 「 ヽ-⌒-' \i > ) / i _...||.-.._ .r-'"/ i ./_.=:==-ヽ y-.''~ミ i ヽ_,,,.. r"~ i i :ミ~ i .....::::::::/ i~ ヽ ...........::::::::::::' i
>>312 作者急逝につきまほらばは連載終了と致します。
今までご愛読誠に有難う御座いました。
これからもガンガンWINGを御贔屓のほど宜しくお願い申し上げます。
ガンガンWING編集部一同
322 :
名無しさん@ピンキー :2005/11/12(土) 23:31:34 ID:vAz5baF7
不毛だな・・・俺としては 「ここは所詮エロパロ板なんだから、何があっても文句言うんじゃねえよ」 と「空気」とやらを持ち出すやつらに言ってやりたいが。 悔しかったら投下しろ!
つうかこのスレの住人荒らしに翻弄されすぎじゃねえの? 俺様ルールを持ち出す奴が次々と現れて、誰彼構わず難癖つけ始めたら、 まず確信犯の荒らしが粘着してるかどうかを疑えよ。 さもなきゃリアル消防なんだからスルーしろって。ここ成人板だぞ。
陵辱SSマダー? 輪姦獣姦死姦も大歓迎。 だってここはエロパロ板だから。 レイプSSはいい。
てーか、テンプレに「あまりにキツいのは注意書きを前もって」って、陵辱系を 予想してる言があって、投下し始めに肯定意見が結構あって、何度も言われてる がそもそもエロパロ板というのも考えると、当時は陵辱系の投下もOKな「空気」 であったと思うんだがなあ。むきになって排斥しようとする方が「空気」読めて ないんじゃないだろうか。それで「空気」が極端に悪く変わったとしたら、どっち かというと排斥しようとした側の責任だろうと思うし。そもそも「陵辱系の存在許容 できない」って人は「大勢」というほどいたっけか? まあ、一旦投下すればほのぼのオンリーの独特の「空気」が変わるのは予想でき るけど、そこまで気を使う義理はないんじゃないかね。 まあ、俺はそう感じたわけで、「空気」っていうあやふやなものを論拠にするのは 色々難しいと思う。
>>314 別になあなあにも先延ばしにもせず、揉めそうなSSは事前に警告、
読みたくなければスルーということで結論が出ていて、
テンプレにもその旨記載されているが?
よし、陵辱OKで完全決着。 以後、文句言うクズは来るな。
まぁ、どういう毛色のものであっても今は投下できるような雰囲気じゃないよな…。
スレタイの「十」の字が墓標に見えてくる…
まほらばで陵辱モノなんてヤダなぁ・・・。
>>327 賛成。
別にここは最初から「陵辱出てけ」って言われてたわけじゃないしな。
>>332 しゃーないさ。
現実はそんなに甘k(ry
兄さん陵辱拒絶派ではなかったのか?
言ってしまえば
>>327 で良しかと。
投下前にさんざっぱら注意しておいた『仕返し』だって勝手に読んで文句を言うヤツが居ただけだからなー。
基本に忠実に最初に注意さえしときゃ対処のしようはあるから、それでも見るかは自己責任っつーことで。
凌辱?大嫌いですが?
336 :
名無しさん@ピンキー :2005/11/13(日) 09:13:42 ID:KibW1wuO
だからageるなと(ry
陵辱モノは警告文添付の上、テキストファイルとして投下して欲しいな。 なるたけ陵辱モノが嫌いな人の目につかないようにやって欲しい。
ID:+WgA1jiP 今日の荒らしさん
でもテキストにしないとうるさいヤツが多いのは事実
この板のどこかのスレに投下して、そこへの参照リンクを張ればよろしい。 専ブラが使えないのはまずい。
その凌辱とそうでない境目はどのあたり?「原因」のほうとかさ。 似たような話保管庫にあったよね?
343 :
338 :2005/11/13(日) 12:48:11 ID:LvGm2nHk
>>339 誰が荒らしじゃゴルァ。
お前の中では陵辱否定派=荒らしなのか?
>>343 陵辱否定派=荒らしは帰れ。この粘着荒らしが。
職人さんは気にせず、陵辱SSを投下してください。
とりあえず、もうちょっとスルー姿勢を身につけようや
ID:LokqijVE 今日の荒らしさん
陵辱云々よりこの雰囲気の方が嫌だなぁ。 とりあえずしばらく静観していよう…。
ID:KibW1wuO 今日の荒らしさん 陵辱SSはまだかなー。
そうやって陵辱意外お断りな雰囲気にしていくのもどうかと思うが。
350 :
名無しさん@ピンキー :2005/11/13(日) 13:45:05 ID:BqVRcAQi
陵辱系をつくるときは、「注意」とか、書いたほうがいいてことだろうか。 普通はかくだろうけど。
ageるなっての、目につくから
まほらば全然知らないただの荒らしが、ムキになって反論してくる
>>346 みたいなのを楽しんでるだけだろ
もういいよ、陵辱房は他スレにでもいけよ。 まほらばにそんなもん持ち込むんじゃないよ!!
バカだらけか
もういいよ、純愛房は他スレにでもいけよ。 まほらばにそんなもん持ち込むんじゃないよ!!
>>356 つまり古参は消えろと言う事か。
いい加減にまほらばを知らない新参は失せろ。
このスレをここまで悪化させたのは貴様等せいだ。
いい加減スルー汁
| ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ , \ ,/ヽ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V  ̄ ̄ ,/ ヽ ∧_∧ ∧∧ ,/ ヽ ( ´∀`) ( ),/ ヽ ( ) (| つ@ ヽ | | | ___ 〜| | ヽ (__)_) |――|. ∪∪ ヽ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ヽ /⌒\/⌒\/⌒\/⌒\|彡~゚ ゜~ ~。゜ ~ ~ ~ ~~ ~ ~~ ~ ~~ ~~ ~~ ⌒\/⌒\/⌒\/⌒\/⌒\彡 〜 〜〜 〜〜 〜〜 〜 〜
最初に陵辱注意と書いておいて、最後まで非エロほのぼのなSS投下したらどうなるんだろ。
>>360 陵辱スキーにとっては陵辱になるから問題なし。
最初に純愛注意と書いておいて、最後まで鬼畜陵辱なSS投下したらどうなるんだろ。
>>357 >まほらばを知らない新参
お前のことだろww自己紹介乙ww
んじゃ、流れとしてはどういうカップリングがいいんだ?
僕は白鳥くん×赤坂早紀ちゃん!!
ここはあえて白鳥×釘バットで。
>>366 すいませんが、SS以外のレス真面目に面白くないから…
そういうところがスレの問題になっていることは気づかれてます?
>>369 別にいいだろうが、SS以外の書き込みしたって。
どうしてそう心が狭いんだよ。
イラっつく、ここのガキみたいな住人マジで。
>371 触れてやるなよ
いつから俺は普通の発言笑いをとらなきゃいけなくなったんだろうか Happydaysは最近加筆修正したうえで執筆再開したのでもうちっとばかし待ってください
以前ここでチラリと話題に上った白鳥×沙夜子ものを 密かに待ち続けています。
少年漫画落ちた……
水氏もエロパロからの撤退宣言してるな。
678 名前: 名無しさん@ピンキー 2005/06/12(日) 23:46:15 ID:BHWd8rUP ところでこのスレの書き手で21未満いる? 679 名前: 名無しさん@ピンキー 2005/06/12(日) 23:47:24 ID:BHWd8rUP うわw俺のIDバスト・ヒップ・ウエスト、アップwww 680 名前: 名無しさん@ピンキー 2005/06/12(日) 23:48:25 ID:cqHL0zRx 一人は確実にいる。 681 名前: テイル 2005/06/12(日) 23:51:03 ID:IUsGYpne ノシ 一応自己責任の下でやっているから。 ここみたいに一般向けSSが多い所はU21も多いと思うけど… でもこの質問ほど無意味な質問は無いな。 流れを変えちゃうようでスマソ 682 名前: ぐうたら 2005/06/12(日) 23:56:30 ID:A4QjsMiP あ、俺もー。 ってかバリバリ学生なんだけど… だから本当に21以上の方には生意気な口きく場合もあるけど御用者のほどを。 まぁ、俺は一生エロは書かないんだけど。 赤、現在鋭意製作中〜。団長!手が止まらねええぇぇぇ!!!
>>381 いきなり何なんだ・・・
書き手の年齢に拘る理由って何なんだよorz(スランプ
板自体が21禁だからじゃないのか? まぁ、コテ追い出したがってる荒らしが方便で使ってるようにしか見えないが。 やたらに年齢に拘ってるのはただ叩きたいだけなんだろ。 そもそも匿名掲示板で年齢なんて照明できるはずもなく。 叩いてる方が21以上と考えるとちょっと滑稽だけどなー。
せめて建前では年齢制限が守られてる方が良いと思う俺は古いんだろうか?(多分古い) いや、別にコテに恨みがあるわけじゃないけど。荒れる原因の一つになったりするし。 せめてハンドル変えたりとかしてくれないだろうか。
21歳未満禁止の掲示板サービスで、21歳未満であることを明かしてレスを返す→ 当局や各種監視団体の指導を受ける羽目になったり、21歳以上の利用者の参加が 躊躇われるようになり、サービスの適切な運営の妨げとなる→ 不法行為だ!損害賠償請求だ!金よこせベイベー!
なんでこうなってしまったのだろう…
>>383 証明できなければ利用規約もクソ食らえってか?
マジで賠償請求されて青ざめた方がいいかもなw
ホントはしたらばあたりの外部板にエロ禁止スレとエロ専用スレ立てれば 丸く収まりそうな気もするんだがな。 とりあえず、1週間近く、100レス以上論議に費やされて SS投下されない(出来ない)状態ってのはどうかね…。 そっちのほうがよっぽどスレにとってはいい状態とは言えない。
>>391 >外部板にエロ禁止スレとエロ専用スレ立てれば
そしたらこのスレの意義はいったい・・・
ないんじゃないのか? というか、SSを投下する場所がここしかないからこういう状況になったともとれるし、 相容れないものが同じ場所に存在してるからこそ衝突が起こるわけだからね。
そうすると今の厨房が非エロの方を荒らす予感 しかもエロは廃墟。
ま、荒らしてるほうも、エロ禁止じゃなくて凌辱禁止なんだがな。
>>395 それは違う。荒らしてるのは陵辱房の方だよ。
荒らしてるのは純愛房。 陵辱派が純愛禁止と言ったか? 一方的に陵辱禁止と騒いでる純愛房が悪いに決まってる。
カタカタ || ̄ Λ_Λ ||_(Д`; ) 「なに?このスレ・・・」 \⊂´ ) ( ┳'
さっきからどっちが悪いといってるのはなんで毎回ID違うんだ?
>>396 それは違う。荒らしてるのは純愛房の方だよ。
陵辱デも純愛デもドっチも嫌ジゃナイ人ニとっテはクだらナイでスね 陵辱禁止と騒いでる純愛房もまほらばファンならもちっとおちつけよ こんな空気じゃ純愛物でも投下なんて出来ませんよっと
落ち着け皆の物っ! 今更ながらに掘り返すんではないっ! 職人が落としにくいだろうよ・・・
じゃああれか。 話をまとめると、 俺とかがコテで二十一歳未満なのが不満なわけだ。 だったら俺がコテを変えて実は俺、三十路なんです!て言えば良いのか。 簡単だなオイ。
なんか・・・・見ているのがつらいな・・・ とりあえず落ち着かないか?
Mr.ぐうたらも落ち着いてな・・・ こない不毛な論議、始めちゃいかんて・・・
逆に気の済むまで罵り合ってれば? その間は誰もSS投下しないだろうけど
>>404 ぐうたらさん、あんた天然釣り師の素質ありすぎ
自分に対してマイナスの書き込みがあれば反応し、餌を与えてる
これじゃ何時まで経っても終わらないよ
SSの時以外はコテをはずしては如何か?
そろそろまとまってきたのでハルイロ第5話いってみよ〜
ハルが鳴滝荘にやって来て約一ヶ月、世はまさにゴールデンウィーク真っ只中。 「時代はピクニックよピクニック!」 「は?」 ハルとお茶菓子を乗せたテーブルを住人達が囲んでいると、 唐突に桃乃が、以前どこかで聞いたようなことを言い出した。 「というわけで、明日みんなでピクニックに行きましょ! それじゃ!」 「ちょ、ちょっと待ってくださいよ」 ぽかんとする皆に手を振り、言いたいことだけ言って立ち去ろうとする桃乃を、 白鳥は慌てて呼び止めた。 「なに? なんか用でも入ってるの?」 「いえ、僕は特に用事はないですけど…」 みんなピクニックに参加して当然という態度の桃乃に、 白鳥はチラッと他の住人たちを見るが、 「ピクニックだって、楽しみだねお母さん!」 「そうね…」 「明日もお天気良さそうですし、きっと楽しいですよ〜」 「です〜」 と、彼以外は用事も異存もないようである。白鳥にしても、 桃乃の唐突な計画はいつものこと、もうすっかり慣れっこだったし、 今言った通り特に予定もなく、むしろ、この新緑の季節に、 みんなと一緒にピクニックというのも楽しいだろうと思う。 だだ、一つだけ気がかりなことが…「でも、ハルちゃんはどうするんですか?」 彼女を独り残して行くのは可哀相だし、だからといって、 彼女の相手のために誰かを残して行くというのは、 軽いイジメに近いような気がする。ついでに言えば、 その役は当然のように自分に回ってきそうな予感がしていた。 「とーぜんハルちゃんも一緒だわよ」 だが、桃乃の答えは彼の予想外のことであった。 「ええっ?」 「て言うか、ハルちゃんもたまにはどっか行ってみたいんじゃないかなー、 と思ってね。それで、いっちょみんなで出かけましょうか、ってわけ」 それを訊き、なるほど、と白鳥は肯いた。ハルが現われて一ヶ月になるが、 その間彼女を鳴滝荘の外に連れ出したことは、まだ一度もなかった。 毎日毎日が賑やかで、退屈するようなことはないだろうが、 それでも、もっと別の場所へ連れて行ってあげれば、きっと喜ぶに違いない。 しかし、一緒に連れて行くとなると、別の問題が出てくるわけで… 「でも、他の人にハルちゃんを見られたらまずいんじゃないですか?」 白鳥は重ねて訊いた。そもそもハルのことを他の誰にも知らせずにおいたのは、 他人に知られて色々と面倒な騒ぎになるのを避けるためだったはずだ。 それなのに彼女を連れて外出なんて、人目を惹いてしまうのではないだろうか? 白鳥がそう懸念を口にすると、桃乃は「それならだいじょーぶよ。ほら」と、 ジョニーを装着した灰原の腕をむんずと掴み、ハルの植木鉢の隣に引っ張ってきた。 「こうしてジョニーと並んでれば、みんな人形かなにかだと思うでしょ?」 「ああ、それもそうですね」 「どーいう意味だヨ!?」
と、そんな訳で翌日、いつぞやとは違って幸い天気予報も的中し、 好天に恵まれた中を、ハルを携えた一行は電車に揺られ、 桃乃の案内で都内某所のとある公園へと繰り出していた。 「さーて、着いたわよ〜」 「へぇ〜」 木々がふんだんに植えられ、きらめく新緑に覆われたけっこう広めの公園は、 そこそこの人出で賑わっていた。家族連れに若者グループ、年配者グループなどに混じり、 カップルらしき男女二人連れの姿も、ちらほらと見受けられる。 みなそれぞれに、この春の陽気を楽しんでいるようだ。 「ん、どったの白鳥君?」 しかし、恐らくこの人々の中でただ一人、冴えない顔をしている白鳥に、 桃乃が声をかけた。 「いえ、ちょっと…」 電車の中、その異様な集団は、乗客の目を惹いていた。 窓に沿った横一列式の、いわゆるロングシートに揃って並び、 子供座りをして窓外の景色を眺めているセーラー服の少女と、 その母親か姉らしき長髪の女性。その横では、 こんな時間から車内で酒をかっ食らう女子大生風の眼鏡の女が座っている。 通路を挟んだ向かいの座席には、一人だけまともそうな、 バスケットケースを膝に抱えた女子高生風の少女がいるが、 隣に座った、同い年くらいの三つ編みをしたちんちくりんの少女が、 その少女に向けて写真を撮りまくっている。 そして三つ編み少女とは反対側には、白髪混じりの中年男と女顔の青年の姿が。 「なんだろあの人形、動いてるぞ?」 「あの人、人形とおしゃべりしてるわよ?」 その二人を見て、乗客たちはひそひそと会話を交わしあっていた。 腕に犬のハンドパペットをつけた中年男も充分奇妙だったが、 青年の方に至っては、頭に花を生やした、動く少女の人形を植えた植木鉢を抱え、 中年男のパペット相手におしゃべりまでしている。 はっきり言って、あまり目を合わせたくない人物である。 『うう、なんだか周りの視線が痛い…』 そしてこの公園でも、彼らは…特に白鳥は、やはり周囲の注目を浴びていた。 確かにみんな、ハルのことは人形かなにかだと思っているようだったが、 それを持って歩く姿は、別の意味で目立つということまでは、 白鳥はまったく思い至らなかった。 「なんだ、荷物が重いのか? 若いくせにだらしない奴だナ」 「いえ、なんでもありませんから…」 周りの視線をものともせず…あるいは気付いていないだけなのか、 平然とジョニーに話をさせる灰原に、白鳥は少し尊敬の念を抱いたが、 そうやって話しかけられると余計に注目を集めてしまうので、 正直遠慮してほしかった。
「おっ、見えてきた見えてきた」 「?」 だが、やがて先頭を歩く桃乃の声に、俯かせていた顔をあげた白鳥は、 どんよりした気分など一瞬で忘れ、息を呑んだ。 「うわぁ…」 「ホゥ」 「これはこれは〜…」 他の住人たちも白鳥同様、前方に見えてきた光景に感嘆の声をあげ、 珠実はカメラをそちらに向けて、盛んにシャッターを切る。 「さーてみなさんお待ちかね、あれが本日の目玉、藤棚でーす」 彼らの前方には、何十mも続くような広大な藤棚が設けられていて、 その一面に淡紫の藤の花房が、今を盛りと無数に垂れ下がり、 優しい薫風に微かに揺らめいていた。藤棚の上部を覆う鮮やかな緑の葉も、 陽光に照らされて美しく光り輝いている。そして近づいて行くに連れ、 藤の花のほんのりと甘い香りも、辺りに漂い始める。 「みんなどーよ?」 「すごぉい」 「すてきです…」 「いいトコ選んだな、桃」 「そーだろそーだろ、あたしの見立てに間違いなし!」 「単に〜、一番宴会できそうな場所だったからじゃないですか〜?」 しきりに感心するみんなの前で得意げな桃乃に、珠実が茶々を入れる。 藤棚の周りの芝生の上などでは、桜のお花見よろしくゴザやブルーシートを広げ、 飲み食いや談笑に興じているグループがいくつも見受けられた。 桃乃の目的がこちら優先だったとしても、ちっとも意外ではないだろう。 「澄み渡った青空の下で、新緑と綺麗な藤の花を眺めながらお酒をいただく、 これぞ風流! 粋ってもんだわさ〜」 桃乃は茶々をさらりと受け流し、ビシッと藤棚を指差した。 「よぅし、それじゃみんな、突撃よ〜!」 「イエッサー」 「ラジャー」 桃乃の号令に珠実とジョニーがノリのいい返事を返し、 一行は桃乃を先頭に、藤棚目指してザッザッと行進を開始した。
今日はとりあえずこんだけ〜。それじゃまたね。
>>414 キタワァ━━━━━━(n‘∀‘)η━━━━━━ !!!!!GJ。
乙! そしてGJ!
空気を読まないあんたが大好きだ
>>410-414 GJ。
藤棚の描写が視覚的に綺麗で良いなあ。
見た目がファンタジーになっちゃった白鳥くんが良いなあ。
乙!GJ 拍手を贈りたい
空気を読めてないのは確かだな 流れを変えようとしたのか、なんとも思ってないのかは知らんが 普通じゃ投下できないな
421 :
名無しさん@ピンキー :2005/11/15(火) 01:28:28 ID:8wsSYSA+
>>420 、お前の言いたいことが分からん。
今は荒れる空気だから空気を読んで投下はするべきじゃないのか?
しかしまぁ、少し傍観視してれば、堂々巡りの繰り返し……何回目ですか一体。 ここは大人の良識のない大人が多いスレでつね。数ヶ月前とは大違い…… 「俺様ルール」だの「自分の世界」だの、某軍事大国みたいな事を言わないで欲しいな、と。 もう何スレも前に決めた話なんだから、掘り返すのもほどほどに。 いい加減眠くなってきたので、さっさと短編投下します。 こういう荒んだ空気には、子供の無邪気さが必要なんですよ。
「ねぇお兄ちゃん、おとなってなあに?」 「へ?」 いつものように課題をやっていると、ふと、魚子ちゃんに訊かれた。 大人って何? しかし。 いやはや。 というか。 「ど、どうしたの魚子ちゃん……そんな難しい事を急に言い出して……」 「だって、魚子はおとなのおねえさんになりたいんだよ? だから、お兄ちゃんはどんな人が大人だと思うのかなあって……」 真面目に一人前な事を言う魚子ちゃん。 「大人……?大人、ねぇ……」 「うん」 「うーん……」 分からん。 いきなりの事だったので、余計に分からない。 仕方ないので、辞書を引くことにした。 大人、大人……お、これか。 「辞書によると、『精神構造が熟成していて目先の感情よりも理性的な判断を優先する人、 もしくは自立的に行動し自身の行動に責任の持てる人のことを指す』とあるね」 「分からないよお兄ちゃん……」 冷たい目で見られた。 当たり前か。 「どうすれば分かってくれるかな…………」 確かに、辞書の言葉は基本的に難解に出来ている。 それを、精神年齢6歳の魚子ちゃん相手にどう説明するか…… かといって、態度で示せるものでもないし…… いや、そもそも大人の態度って何だ? タチバナさんみたいに仕事がきびきびしている事か? そんな事を考えていると。
「ねぇお兄ちゃん」 「なあに、魚子ちゃん?」 「お兄ちゃんは大人?」 「僕…………?」 「うん、お兄ちゃん」 「僕は……まだ大人じゃないよ」 「そうなの?」 「そうだよ」 そう。 それは、明らかに言える。 僕は、まだ『大人』にはなれていない。 というか、これから先の人生を決めている所なのに…… 「じゃあお兄ちゃん、うちの中でだれが大人?沙夜ちゃん?朝美おねえちゃん?」 「うーん……明らかに沙夜子さんは外して……そうだね。 鳴滝荘の中だったら、灰原さんが一番大人だよ」 「はいばらさん?だあれ?」 「…………」 本当に存在を忘れられてるよ、灰原さん。 合掌。 「うーん……小難しい説明は、やっぱりやめにして……あのね、魚子ちゃん。 一口に大人って言っても、結構曖昧でね。 まだ小学生や中学生でも、ちゃんとした考えを持った子は大人のように思われるし、 逆に大人でも変な言葉を使ってたりすると子供のように思われるんだ」 「おーー……」 魚子ちゃん、眼がくりくり。 興味深々のようだ。 「それにね、魚子ちゃん」 「うん」 「本当を言うと、『大人』と呼べる人なんて、そうそういないよ」
「いない?どうして?」 「みんな、『大人』ってどんな人か、分からないんだよ。 だから、みんな毎日毎日、会社で働いたり、学校で勉強したりして、『大人』を目指してるんだよ」 「ふーん……」 「だからね」 僕は続ける。 「魚子ちゃんは、魚子ちゃんが思う『大人』を目指せばいいんだよ」 「……魚子が……思う……」 「魚子ちゃんも、素敵なお姉さんとか、憧れる人とか、知っているでしょう? その人を目指すとかでいいんだ」 「魚子、そういう人いるよ!」 「え?」 魚子ちゃんの『理想』。 それは、恐らく。 考えるまでもなく。 「魚子、夢の中に出てくるお姉さんみたいになる!」 「…………」 魚子ちゃんの、夢の中に出る人。 それは、恐らく、梢ちゃん。 あるいは、早紀ちゃんや千百合ちゃん、棗ちゃんかもしれないけど。 誰でも、同じではあるけれど。 「そっか……」 「だからね、お兄ちゃん」 魚子ちゃんは。 「魚子が、大きくなったら……」 静かに、言った。 「いつでも、わらっていられるお姉さんになりたい」 「…………」 僕は、何も言えなかった。 その事実を知っているから。 それが、叶わぬ夢であるから。 それが、変わらない願いである事も。 「魚子の……魚子は……いつか……きっと……」 魚子ちゃんは、何かを呟いていた。 考え事をしているのだろうか。 邪魔をしてはいけないと思って、僕は課題の残りをする事にした。
課題が終わった頃。 膝の上に、重いものが乗っかった。 これは、言うまでもなく。 「ちょっと、魚子ちゃ……」 「すぴー……くかー……むにゃむにゃ……」 お決まりの寝息を立てて、魚子ちゃんは寝ていた。 「寝ちゃったか……」 優しく、魚子ちゃんの頭を撫でる。 すると。 「ななこ……おとなのおねえさん……みんな……いっしょ……」 「…………」 魚子ちゃんの、『理想』、か。 それは、叶わない夢だけど。 僕は、その理想を描く事が出来る。 スケッチブックの新しいページを開いて、鉛筆を走らせる。 いつか、梢ちゃんや早紀ちゃん達のスケッチを描いた事がある。 でも、今回は少しレベルが高い。 何せ、ほとんど自分の直感が頼りだ。 魚子ちゃんのために。 ――――梢ちゃんの、ために。 「――――出来た、と」 一時間ほど掛けて、僕は一枚のイラストを描いた。 梢ちゃんのように、優しい眼。 どこまでも、純粋な瞳。 それでいて、屈託のない、笑顔。 梢ちゃんのそれとは、また違ったもの。 魚子ちゃんが思っているだろう、理想の大人。 僕は、描き上げた。 『大人のお姉さん』になった、金沢魚子を。 <<Innocent Starter>>is the end.
というわけで、短編「あこがれ」でした。 大人に憧れる魚子ちゃん、まあ、理想の大人は結局梢ちゃんな訳で。 需要がある以上、供給する職人がいる。 ただそれだけの事。 あとはもう部長の心で行きましょうや。 あと、みんなで人生の勉強をしましょう。
久々にキター!!!!
GJ!白鳥君の絵が見たくなってきた!
容量削減death ∧_∧ ∧__∧ (´<_` ) あんまり変わったない希ガス ( ´_ゝ`)/ ⌒i ( ´_>`)ゝこの空気の中、作品投下した勇者達に敬礼!! (´<_` )ゝこれを機にぐうたら氏も(ry
魚子が白鳥に私を大人にしてって迫るかと思ってしまった。
早紀SSマダァ-? (・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン
>>427 ルール違反者に人生がうんたらかんたら言われてもなあ
あんた、自己責任とか言ってたけど、どうやって責任とるつもりなの?
今の状態はは責任をとる状況じゃないの?
あ、SSを書くなんてのはダメだからね。そんなの大人の対応じゃないの分かるでしょ?
そろそろ引っかき回したいだけの阿呆が浮き出てきましたな
魚子SSGJです。なんか癒されますよ。
案の定コテは反米サヨのケツが青い餓鬼だったか。 理屈でモノを考えられず空気とか馴れ合いとかに逃げる馬鹿?
>>414 いいかげん原作そのままのパクリはやめようや
>>438 いい加減よそうや。
せっかく落としてくれたんやし。
殺伐としたこのスレにヘーベルハウスが!! /| |/__ ヽ| l l│<ハーイ ┷┷┷ _, ,_ パーン ( ゜д゜) ⊂彡☆====== /| __ |/ ヽ| l l│ ┷┷┷ . __ ヽ| 'A`.| トリニイクノマンドクセ... ┷━┷
結局今の状況に文句を言ってる奴はなんなんだ? 職人は馴れ合いせずに投下だけしろとか。 投下したら、今は投下できる空気じゃないだろう、空気嫁とか。 結局は陵辱派とか純愛派とか言うのは建前だろ? いつくるかもしれない陵辱SSを待って今の未成年コテを追い出して、このスレを何処にやる気だ
そーゆーことを言うとまためんどいことになるからやめろって
さり気なく444get
ヒント:ID変えるのってそんなに難しいことじゃないよ
>>438-439 いやいや、そういうことははっきり言ってもらうとありがたいです。
特に今回は、言いわけ効かないくらいに
アニメのほうの紅葉狩りの焼き直しみたいになっちゃったなー
とか思ってまして・・・。
原作シチュを取り入れつつ、オリジナリティを出せるように精進したいと思います。
ちなみにそれとは別に、手直ししてたらどうにも納まりの悪い部分が出てきたので
続きはまた今度。
448 :
縁の下のくまたん :2005/11/16(水) 05:44:34 ID:td7UK5x+
ここは水無月家に仕えるメイド、タチバナの部屋。 一日の激務を終え、就寝の準備をしている。 ベットに横たわり、軽く一息入れる。そしておもむろに横を見た。 視線の先には親友、「くまたん」 タチバナはやさしく抱き寄せこうつぶやいた。 「・・・・・今夜もよろしく・・・くまたん・・・」 そういうとタチバナはパジャマのズボンとパンツを一気に下ろし、下半身をさらけだした。 「くまたん・・・さわって・・・」 タチバナはくまたんの手を秘部にあてがい、ゆっくりと動かし始めた。くまたんのやわらかい手がタチバナのクリトリスを刺激する。 「・・・っ!はぁっ・・・くま・・・たぁん・・・」 クチュクチュと卑猥な水音が静かな部屋にひびく。月明かりに照らされたタチバナの美しい脚が艶かしくうごく。 だんだんとくまたんの手(タチバナ)が速くなっていく。それと同時に卑猥な音も一層大きくなっていった。 「ああっ・・・くまたん!くまたん!!」 「きもちい・・・!くまたぁん!ああっ!きもちいいよぉ!・・・」 絶頂が近いと感じたタチバナは、今までクリトリスをいじっていたくまたんの手をもちかえて、自分の奥深くまで一気に差し込んだ。 「ああああああっ!くまたん!いいっ!いっ・・・!イクっ!くまたん・・・っ!イクぅぅ!」 絶頂の最中もタチバナはくまたんの手を休ませなかった。何度も何度も親友の手で秘部を刺激した。 やがて絶頂の波が収まると一呼吸おいてくまたんにやさしくキスをした。 そしてくまたんの顔を見つめ少女のような笑顔でささやいた。 「ありがとうくまたん・・・これで明日もがんばれるよ・・・おやすみ・・・」 タチバナは自分の隣にくまたんを寝かせ、そっと目を閉じた。 朝、小鳥のさえずりで目が覚めたタチバナは大好きな親友に朝の挨拶をする。 「おはようくまたん・・・今日もがんばるよ・・・」 こうしていつもの忙しい一日が始まった。
た、タチバナ先輩?!
>>448 GJ!サクラもびっしりだな。
今言える事は、私利私欲のためにこのスレを荒らしてるのは陵辱房だってことだな。
未成年純愛房だろ。
くまたんの手の部分が臭ってそう・・・
何故共存の道を選ばない純愛房は。 純愛も陵辱も仲良く共存すればいいじゃないか。
>>448 _ ∩
( ゚∀゚)彡 くまたん!くまたん!
⊂彡
騒いでるのは職人に感想を言ったほうが建設的だと思わないのかね。
サクラ目撃ver.も作って欲しい。
もううっさいなぁ。 ちょっと黙ってろって。 脳内あぼーんこれ最強。
なぁ、ここって21以上の人、いるの?
>>459 ここにいますが何か?
∧_∧
∧__∧ (´<_` ) このスレの住人は殆ど未成年だからな
( ´_ゝ`)/ ⌒i
_(__つ/ ̄ ̄ ̄/i |_
\/ pink / ヽ⊃
>>459 ノシ
まあ確実に何人か未成年はいるな。
文章でわかるヤツがいるぐらいだし。
自律的ゾーニングが機能しないとなると、IDによる厳格なゾーニングや さらにはエロ表現の内容規制を助長することになってしまうのだがなあ。 今未成年でも将来の自分の首を絞めることになるのに……
35以上いますか?
んじゃ、ハルイロ第五話続き行きますです。
「きれいですね…」 「うん、ほんとにね」 一行は腰を据える前に、まずは藤棚の下を通る通路をそぞろ歩いた。 ここまで近づくと、微かに揺れる花房や葉っぱの立てる、 さらさらという音もはっきりと聞こえ、目と耳と鼻、まさに身体全体で、 藤の美しさが感じられる。 白鳥たちがそうしてぽぉっと藤を見上げながら歩いていると、 不意に朝美が口を開いた。 「ねえ知ってる? 藤って花も葉っぱも食べられるんだよ。 梢お姉ちゃんに貰った本に載ってたんだ〜」 「へ、へぇ、そうなんだ…」 うっとりしたような表情で豆知識を披露する朝美に、 白鳥が感心しながらも少し物悲しくなっていると、 朝美の横を歩いていた沙夜子がおもむろに手を伸ばし、 いきなり花房から数個の花をむしり取った。 「だ、だめですよ沙夜子さん、公園の花を勝手に千切ったりしたら」 「だめだよお母さーん」 白鳥と朝美が慌てて注意をすると、沙夜子は拗ねたようにプイと横を向き、 千切り取った花を一つ、ぽいっと口の中に放り込んでしまった。 『子供かこの人は…』 呆れる白鳥をよそに、沙夜子はもぎゅもぎゅごっくんと花を飲み下し、 そしてちょっと考え込んでから口を開いた。 「……あんまり美味しくないわ」 「なんか味付けしてからじゃないとダメよ、沙夜ちゃん」 「…そうなの?」 桃乃に言われ、沙夜子はつまらなそうに、手の中に残った花を見つめた。 そして白鳥が持っているハルに目を移すと、「あげる」と、 その花を彼女の髪に挿した。小さい花だが、ハルの頭には程よい大きさで、 薄紫の花は緑の髪にもよく映え、前から咲いている頭上の薄桃色の花とあわせて、 さらに華やいで可愛らしく見える。 「あら〜、良く似合うわよハルちゃん」 「ラブリ〜です〜」 「よかったね、ハルちゃん」 盛んに誉めそやす住人たちと、それにニコニコと笑顔を返すハルに、 白鳥もしょうがないなと、頬を緩めざるを得なかった。
そんなちょっとした出来事もあったが、一行は藤の美しさを充分に満喫すると、 藤棚のすぐ側の芝生の上にシートを広げ、輪になって腰を下ろした。 「それじゃまずは乾杯といきましょーか」 桃乃が嬉しそうに、白鳥に担がせていた巨大なリュックから 缶ビールやジュースを取り出し、住人たちに回していく。 「あ、ハルちゃんにはこれ、『北アルプスの美味しい天然水』ね」 と、ハルにはお猪口が渡され、そこにミネラルウォーターが注がれた。 そして全員に飲み物が行き渡ると、桃乃は缶ビールを高く掲げた。 「よーし、それじゃかんぱーい!」 「かんぱーい!」 「今日は本当にいいお天気になって、良かったですねぇ」 「そうだね」 ツマミやお弁当も広げられ、住人達が陽気に騒ぎながら飲み食いする中、 ジュースの入った紙コップを手に、綿雲の浮かぶ青空をポワ〜っと見上げて言う梢に、 白鳥も空を見上げ、肯く。それから梢は、わいわいと賑やかな住人たちへ目を移すと、 ニコニコと幸せそうな微笑みを浮かべた。見ているこっちまで幸せになれそうな、 そんな笑顔だ。 白鳥がふと、梢の前に置かれたハルへ目をやると、彼女もまた、 ミネラルウォーターの注がれたお猪口を抱え、梢そっくりな穏やかな笑みを浮かべて みんなを見つめている。以前珠実も、ハルと梢が似ていると言っていたが、 特にこうして微笑んでいる顔は、姉妹であるといっても通りそうなくらいだ。 白鳥はしばし酒を飲む手を休め、この新たな発見に彼もまたニコニコとなりながら、 二人の笑顔に見入っていた。 『考えてみれば、“それ”のモデルは梢ちゃんなんだから、当たり前か…』 ぼんやり、そんなことを思う。みんなには内緒(のつもり)だったが、 “それ”は梢をモデルに創り上げたキャラクターだ。だからハルが梢に似ているのは、 当然とも言えよう。本当にハルが“それ”なのだとすれば、だが。 緩んでいた白鳥の口元が、きゅっと引き締まった。胸の中に、 ハルと初めて会ったあの日に感じた、漠然とした不安が蘇えってくる。 ハルはすぐそこにいるのに、どんなに手を伸ばしても彼女に触れることができない、 そんな奇妙な隔絶感、焦燥感が彼を襲う。 本当にハルは“それ”なんだろうか。本当に…
「…本当に梢ちゃんは可愛いなぁ」 「えっ?」 突然言われ、梢はドキリとして頬を赤らめ、白鳥のほうを向いた。 「あの、白鳥さん…?」 「君の笑顔はとってもステキだよ」 「あ、あの…」 「えっ? あっ、ちっ、違…」 どぎまぎと見つめる梢に、白鳥もどぎまぎと頬を赤くし、 顔の前でパタパタと手を横に振った。そして首を捻ると、 丸くなって彼の背中に隠れ、声色を真似る桃乃をジロッと見る。 「…桃乃さん、なにベタなことやってんですか?」 白鳥に見つかった桃乃は背中を伸ばし、バンバンと白鳥の背中を叩いた。 「にゃははは、梢ちゃんに見惚れてたんで、きっとそう言いたいんじゃないかなってね」 「べ、別に見惚れてたってわけじゃ…」 「ほぉ、それじゃなんで梢ちゃんを見つめてたのかね?」 「桃乃さん、酔ってますね?」 その問いには答えず、白鳥は少々目つきと呂律の怪しい桃乃にジト目を送る。 彼女の足元には、早くも2桁になろうかというビールの空き缶が転がっていた。 ここに来るまでにも何本か空けていたから、すでに相当飲んでいるはずだ。 「別に酔ってなんかいないわよぉ! で、君はいったい何を見ていたと言うのかね、ん?」 「なにってその…」 白鳥はチラッと梢とハルに視線を送った。二人とも、桃乃に絡まれる彼を見て、 同じように少し弱ったような笑みを浮かべている。 別に心配することなんかなんにもない、普段のままだ。 「…ハルちゃんと梢ちゃんって、ホント良く似てるなって」 「うん?」 不安については口にせず、その前に思っていたことを白鳥が言うと、 桃乃は梢たちのほうへと顔を向け、じろじろと二人を見比べた。 「まあ、確かに似てるけど…」 「ええ。珠実ちゃんも言ってたよね?」 と、白鳥が梢の向こうに座った珠実に声をかけると、彼女はコクンと肯いた。 「はい〜。梢ちゃんもハルちゃんも、二人ともとってもラブリィー、です〜」 「そ、そうですか?」 「うん。特に笑顔がね、そっくりだよ」 白鳥に言われ、梢は頬が熱くなるのを感じ、コップを持っていない方の手で頬を押さえ、 当惑したようにハルを見た。ハルも、少し戸惑ったように梢を見上げたが、 梢と目が合うとニコリと微笑み、誘われるように梢もニコッとする。
「あ〜…確かに笑ってると一段と良く似てるわ〜」 「ですよね?」 「はあ…」 微笑み合う二人を見て言う桃乃に、他の住人たちもうんうんと肯き、 梢は再び戸惑ったような顔になってしまった。そんな彼女に、 恥ずかしがることなんてないのにと、白鳥はニコニコとなりながら、 フォローのつもりで口を開いた。 「ハルちゃんの笑顔って、なんて言うか、周りのみんなも暖かくしてくれるような、 そんな感じがして僕は大好きだよ」 「……」 途端に、梢がかぁっと顔を真っ赤に染めて俯いてしまい、 白鳥はきょとんとなった。「あれ…?」 「…くっはー、言ってくれるねこのこのぉ〜。 まだ5月になったばっかだってのに熱いぜまったく!」 「いやはや、冷たいビールが欲しくなりますナ、桃さんや」 「マ゛〜」 「…え?」 みんなに冷やかされ、少しの間をおいてから、白鳥はハタと気が付いた。 自分が、梢の笑顔を大好きだと公言してしまったということに他ならないと。 ハルの笑顔が念頭にあったせいで、まったく抵抗なく口に出てしまったが、 そもそもハルの笑顔と梢の笑顔が似ていると言い出したのは自分なのに…。 「あ、や、その、えぇと…」 白鳥もみるみる顔を赤く染め、慌てて今の言葉を誤魔化そうとしたが、 どうにも誤魔化しようがなく、ただ口をパクパクさせるだけだった。 「じゃんじゃん飲むぜコンニャロー!」 「おう、いい肴ができたゼ」 「あたしも付き合うです〜!!」 もっとも、例え白鳥が何か言えていたとしても、 恐らくみんなはまったく聞いていなかっただろう。 住人たちのテンションは一気に高まり、真っ赤になって照れる白鳥と梢を囲んで、 宴は俄然盛り上がっていった。
今日はここまでということで。あと1、2回の投下で終わる予定ですので。
投下乙
まさかそして誰も居なくなったエンドか?
どういう意味だそれ?
うぉ〜、ハルイロぐっじょぉぉぉぶ 恥ずかしくて、でもずっと見ていたいような そんな気分にさせてくれるナ(#´Д`) 今からコタツの中を転げまわってくる
転がり心地はどうだ?
とりあえず「最高だった」とだけ言っておく。
ずいぶん広いこたつなんだな。
こたつの中では早紀ちゃんが白鳥君を足扱きしています。
そのネタをテイル氏に書いてもらおう
追記ー。 誤字脱字はご報告していただければ幸いっス。
久しぶりに来たら荒れてた…? ので、一つ小説書いたが、今日はちょっと多いみたいだから、 明日にでも投下するよ。
激しく期待
>>482 >今日はちょっと多いみたいだから
女の人ですか?
>484 こらこらボク。セクハラしちゃだめよ 全くもう。最近のコはませてるんだから…
>480 もっかい転がってくる(またかい
こたつの中ではなっちんが487の局部を切断しています。
痛みでころげまわるのか・・・ でも、なっちんじゃなくて珠実だそ?切断したのは。 なっちんは向こうで隆士とお楽しみの最中だったからな。
490 :
名無しさん@ピンキー :2005/11/18(金) 21:22:47 ID:p3phrtyC
>>491 そうだったか・・・
梢ポンが二回して、人格チェンジ後、
なっちんがってずっとしてたから・・・
なにやら楽しそうなお話の途中ですが、ハルイロの続きいきますね。
「いやー、食った食った〜」 小一時間ほどたらふく飲み食いし、少々せり出したお腹を押さえ、 桃乃は満足そうに呟いた。もっとも、彼女の周りには、 さらに数を増したビールの空き缶が散乱していて、 『食った』というより『飲んだ』というほうが正しそうではあるが。 桃乃以外の者もみな、満ち足りたような表情を浮かべ、 さんさんと降り注ぐ陽光を浴びながら、藤棚や、 あちこちで綺麗に咲いているツツジの花をのんびりと眺め、 まったりとくつろいでいた。 「さてと、それじゃ…」 いい加減白鳥を冷やかすのにも飽き、話のネタも尽きたところで、 桃乃は傍らに置いてあった飲みかけのビール缶をグイッと飲み干すと、 おもむろに立ち上がり、声を張り上げた。 「ここらで腹ごなしに、『第14回鳴滝荘チキチキ王様争奪グレイトバトル』開・催! だヤロー共!」 「はあ?」 ざわめく住人たちの前で、桃乃は続けた。 「今回の競技はズバリ『缶蹴り』。鬼は一時間以内に隠れた人を全員捕まえれば勝ち、 捕まえる事ができなければ、最後まで逃げおおせた人が勝者でーす。 そして勝者にはお馴染み、桃乃お手製王様権をプレゼント! みなさん張り切って優勝を狙ってくれたまえ!」 「ふっ、面白い。やってやろうじゃねーカ」 「頑張ろうね、お母さん!」「ええ…」 「缶蹴りですか、楽しそうですねっ」「はい〜」 一斉に盛り上がり始めた住人たちの中、白鳥が恐る恐る手を挙げ、 桃乃に訊ねる。「あのー、それで鬼は誰がやるんですか?」 「もちろん白鳥君でーす」 爽やかな顔で言う桃乃に、白鳥が喚く。 「こんな広い公園、鬼がムチャクチャ不利じゃないですかっ!」 「あ、今回王様になれるのは、缶を一番多く蹴った人一人だけね。 もし最後まで逃げおおせても、缶を蹴ってなければ王様権は貰えませーん」 桃乃はパチンと白鳥にウィンクし、後を続けた。 「どう、これならあたしたちも隠れっぱなしって訳にはいかないから、 君にもかなり勝ち目はあるでしょ? あ、でもその代わり、 鬼は獲物を見つけた時以外は、缶の3m以内に10秒以上留まることは禁止ね。 ま、よーするに側を横切るだけならOKってこと」 「でも…」と、なおも渋る白鳥に、桃乃はハルの植木鉢を押し付けた。 「鬼にはサポートとして、ハルちゃんもおまけしちゃいまーす。 これでどうだ、出血大サービス!」 「ハルちゃんは動けないし、喋ることもできないじゃないですか!」 「まあまあ、そんでも別の方向を同時に探せるし、けっこう役に立つと思うけど?」 桃乃に言われ、白鳥は考え込んだ。ハルがどこまで役に立つかはわからないが、 確かにこのルールなら、鬼でも充分勝算はありそうに思えた。 制限ぎりぎりの距離で缶に張り付いていれば、最悪でも負けはなさそうだし…。 「…わかりました、受けて立ちましょう!」 「よーし、そうこなくっちゃ」
「それじゃ、目ぇ瞑って50数える!」 そして場所を人気の少ない公園の奥の遊歩道へと移し、ゲームは開始された。 幅10m近くあるメインの歩道の両脇には、手入れをされた植え込みが続き、 その奥は新緑の葉をうっそうと茂らせた、緑豊かな林となっていて、 本道から別れた、幅数mの曲がりくねった小道が、その中へと続いている。 歩道にはところどころベンチや水飲み場、トイレも設置されていて、 茂みや木々の陰の他にも、その気になれば隠れる場所はいくらでもありそうだ。 「いち、にい、さん…」 歩道の真ん中に描いた印の上に置いた、桃乃が飲み干したビール缶を踏みつけ、 言われたとおり白鳥は目を瞑り、数を数え始めた。白鳥の抱えた植木鉢の中で、 ハルも律儀に手で目を押さえている。 「…よんじゅうきゅう、ごじゅう、と。…それじゃ行きますよ〜?」 白鳥は目を開けると、とりあえずきょろきょろと辺りを見渡してみた。 「いっ!?」 と、いきなり道端に横たわっている沙夜子が目に入り、白鳥はビクッとなった。 ちぎれた草や落ち葉、木の枝などがあちこちについているのは、 もしかしたらカモフラージュのつもりなのかもしれないが…。 「え、えーと…沙夜子さん見っけ…」 「ああ、見つかっちゃったわ…」 白鳥が缶を踏んづけ、名前を宣言すると、沙夜子はふうっと溜め息をついて、 むくりと起き上がった。『やっぱり隠れてたつもりなんだ…』 白鳥はなんだかどんよりとなりかけたが、とりあえずはこれで一人確保である。 「頑張って」と手を振る沙夜子を置いて、白鳥はルール通り缶から3mほどだけ離れ、 再度きょろきょろと辺りを見渡してみた。 『もう誰もいない、か』 ぐるりと缶の周りを一周しながら辺りを伺ってみたが、 とりあえず見える範囲には、もう他には誰もいないようだ。 『さて、どうしようか…』と、白鳥は今後の作戦について考えを巡らせた。 こちらから探しに行くべきか、それとも缶を狙って向こうから来るのを待つか…。 「えっ?」 白鳥が思案していると、腕に抱えていたハルが袖をくいくいと引っ張り、 彼は植木鉢に目を落とした。「どうしたの、ハルちゃん?」 白鳥が訊くと、ハルは彼の背後をつんつんと指差す。 彼が後ろを振り向くと、缶のずっと向こうの通路の脇に、 それまで気付かなかった大きな段ボール箱が一つ、 ぽつんと置いてあるのが目に留まった。
「……」 それには気付かなかった振りをして、白鳥は一度顔を前へ戻し、 それからぱっと段ボールの方を振り返ってみた。すると段ボール箱は、 明らかにさっきよりも缶に近付いている。 「……」 白鳥はもう一度前に顔を戻す…と見せかけて、さっと振り向くと、 ごそごそと動いていた段ボールがビクッとして動きを止めた。 「……」 疑いの眼差しを向けつつ、白鳥は段ボールに近づき、腰を落とした。 そして、えいっと段ボールを持ち上げると、案の定その下から、 カメのように縮こまった朝美が姿を現す。 「朝美ちゃん見っけ」 素早く缶に戻り、白鳥が名前を告げると、朝美は立ち上がって頭に手を当て、 ぺろっと舌を出した。「あはは、見つかっちゃった」 「惜しかったわね朝美…」 「えへ、ざんねーん」 親子の対面をしている沙夜子と朝美を残し、 白鳥は再びルールぎりぎりの3mだけ離れると、 先ほどと同じく、その周りを回るように移動しながら、 人が隠れられそうな場所に目を凝らした。『ようし、次はどこから来る!?』 と、その白鳥の袖を、またハルが引っ張る。「えっ、また見つけたの?」と、 白鳥はハルが指を差すほうに視線を向けたが、今度は誰も…何もないようだ。 「誰もいないみたいだけど?」 だが、ハルはしきりに同じ方向を指差し、白鳥に何かを教えようとしている。 白鳥がそちらの方にじっと目を凝らしていると、やがてその先の歩道脇の植え込みの奥で、 何かがキラリと光を反射するのに彼は気が付いた。 『なんだ…?』 白鳥が目を細め、その正体を伺おうとすると、そこで何かがごそりと動いた。 あれは… それの正体に気付いた白鳥は、慌てて缶に駆け戻ると、 そちらをびしっと指差して叫んだ。「灰原さん見っけ!」 「アチャー」 がさがさと茂みを掻き分け、緑色の服でその中に溶け込んでいた灰原が姿を現す。 頭には、丑の刻参りのロウソクよろしく木の枝を縛り付け、 簡単なカモフラージュも施してある。 「なかなかいい隠れ場所だと思ったんだガナ」 「残念だったね、灰原さん」 とぼとぼと白鳥の元へとやって来た灰原を、黒崎親子が出迎えた。 これで残りはあと三人だ。
『でも、この三人が一番手強そうだなぁ』 缶から離れながら、白鳥は独りごちた。三人のうちの一人は梢だが、 前回のこともあるし、決して気を抜けない相手だろう。 今度は決して油断すまいと自らを戒め、白鳥は残り三人の探索にとりかかった。 「後ろは頼んだよ」と、脇に抱えたハルに後方の見張りを頼み、 白鳥は眼光も鋭く、周囲に視線を走らせる。右…左…それとも…「上!?」 木の上にまで警戒の目を光らせながら、白鳥はしばらく缶の周りを付かず離れず、 うろうろと歩き回っていたが、残りの三人は一向に姿を現そうとしない。 どうしよう…もっと遠くまで探しに行くべきだろうか? やがて、無為に時間だけが過ぎていくのに焦りを感じ始めた白鳥は、 そんな事を考え始めた。 いや、向こうが勝つには缶を蹴らないとダメなんだから、 側で待っていればきっと…。いやいや、守るだけじゃダメだ、 攻めることも考えないと…。いやいや、誰も缶を蹴れなければドローだ、 無理をしなくたって…。 白鳥は探しながら色々と考えを巡らせていたが、 さらに十分ほどが経っても三人は見つからないと、ついに痺れを切らし、 彼は缶を離れる決意を固めた。 自分が側から離れるのを見れば、向こうが缶を狙ってやって来るかもしれないし、 そしたらそこを返り討ちにすればいい。 「よし!」と気合を込めると、白鳥は缶の側を離れ、 遊歩道脇の林の中へ足を踏み入れていった。 と、その途端に、ハルが白鳥の背後を指差しながら手をぱたぱたさせ始めた。 ハッとして彼が振り返ると、反対側の林の中から、 待ってましたとばかりに桃乃が飛び出してきたところだった。 「しまっ…」 慌てて白鳥は缶へと駆け戻って行ったが、桃乃の方がわずかに早い。 白鳥の目の前で桃乃は缶に辿り着き、右足を大きくバックスイングさせた。 「缶蹴ーっ……」 やられた、と白鳥が思った瞬間、しかしなぜか桃乃は凍りついたように動かなくなり、 その隙に彼は缶に到達すると、足でおさえつけた。 「…?」 だが、なにか様子のおかしい桃乃に、白鳥は名前を宣告するのを忘れ、 訝しげな顔をした。「桃乃さん、どうかしたんですか?」 「……」 白鳥が訊いても、桃乃は答えない。彼が不審そうに見ているうちに、 彼女の顔にはダラダラと汗が浮かび始め、顔がみるみる青ざめていく。 そして桃乃はやおら口元を押えてくるりと後ろを向き、 さっき飛び出してきた道端の植え込みまで駆け戻ると、そこにしゃがみ込んだ。 『ま、まさか…』 「うぉえぇぇぇぇっ、うげろげろげろぶぅえぇぇ…」 「う、うわぁぁ…」 胃の中身をリバースし始めた桃乃に、白鳥と、捕まっていた灰原と朝美、 そしてハルもどん引きする。 「も、桃乃さん、大丈夫ですかっ!?」「桃乃さーんっ!」……
「あんなに飲んだ後で全力疾走なんかするからですよ…」 「はいお水」 呆れ顔の白鳥に背中をさすられる桃乃に、朝美が汲んできた水を渡す。 「いや〜、面目ない…」 桃乃は頭を掻きながらそれを受け取ると、二、三度口をうがいをしてから、 残った水を美味しそうに飲み干した。 「ぷはーっ、すっきりー!」 「もう大丈夫ですね?」 「あはは、心配かけて悪かったわねぇ」 清々しい顔をして笑う桃乃に、白鳥も安心したように微笑むと、 背中をさするのをやめて立ち上がると、スタスタとどこかへと歩き去っていく。 「ん、どしたの?」 桃乃が見ている前で、白鳥はツカツカと缶に歩み寄るとそれを踏みつけ、 びしっと彼女を指差した。 「それはそうと、桃乃さん見っけ」 「あ…」 「これで残りは二人!」 白鳥君には血も涙もないの!? という桃乃の抗議を聞き流し、 彼はぐっと拳を握り締めると、めらめらと闘志を燃えあがらせた。 勝てる…これならきっと勝てる! 「行くよ、ハルちゃんっ!」 白鳥が言うと、ハルも真剣な表情で肯く。そして白鳥はハルの植木鉢を抱え、 勝利目指して探索を開始した。 『どこだ…?』植え込みを掻き分けて中を覗き込み、木々の間に目を凝らす。 白鳥の腕の中では、ハルも額に手をかざし、きょろきょろと辺りに目を配っていた。 『どこにいるんだ…!?』 「うん?」 そして白鳥が缶から10m以上離れた、歩道脇の水飲みの後ろを調べていると、 不意にハルがぐいぐいと袖を引っ張り始めた。慌てて振り返った白鳥の目に、、 木の枝で組んであると思しき盾を構え、缶目がけて走ってくる者が飛び込んできた。 人が一人、すっぽりと隠れられるほどもあるその盾は、 全面が葉っぱや草で覆われ、本格的なカモフラージュが施されている。 どうやらそれで、気付かれないように近くまで忍び寄っていたのだろう。 だがその一方で、大きくて持ちにくいせいか、缶に駆け寄るスピードは遅く、 白鳥は余裕で、その人物よりも早く缶に辿り着くと、足で押えた。 「…えーと…?」 しかし、いざ名前を宣告しようとして、白鳥は躊躇ってしまった。 完全に盾に隠れてしまっているせいで、それが誰だかわからないのだ。 『あれは梢ちゃん? それとも珠実ちゃん? どっちだ?』 ルールで、名前を間違えたら缶を蹴られたのと同じということになっていた。 一か八かに賭けてもし違っていたら、目前となった勝利が水の泡と消えてしまう。 「ああっと、ええっと…あっ、ず、ずるいっ!」
ゆーところでまた今度。それではお休みなさい〜
お休み〜
いよいよ、終末ですかね…
ずるいっ!
>>499 普通につまらん
やはりパクリが無いとまともに書けないようだ
こういうのがまほらばなんだが、つまらんのなら原作もそんな面白くないんだろうな
まったりした描写の中に、突如女は血に馴れているだの、餓鬼じゃ立つものも立たんだの、 やおいハァハァだの面食らうような台詞を混在させる。 こうして油断していた読者にクリーンヒットをかますのが、まほらばの恐るべき点だ。
始めて自演って言われた。礼を言おうか
………………負けるか。ぐうたらです。 また次のSSに取り掛かろうと思うんだけど、 白×赤と桃×紫 のどっちが先が良いかな?
白+赤=ピンクに一票
ぐうたら氏おつ。相変わらず頑張りますなぁ。 じゃあ桃紫に一票。 赤白だとかぶるから(ry
>>503 できればどの辺がどういうふうにつまらないのか書いてもらえれば、
今後の参考にもなってよいのですが。
>ぐうたら氏 みのさんが出るほうじゃないやつで。 どうなるのか分からない桃さんの進路が決まる前に・・・ ・・・私も書き終えなきゃ・・・orz
ピンクに一票
じゃあ俺は白桃
>>512 みのさんってwww
私もパープル×ピンクで
516 :
832 :2005/11/19(土) 23:17:36 ID:7Nb76LUk
517 :
父の日 :2005/11/19(土) 23:18:53 ID:7Nb76LUk
雨の音が聞こえる。 季節は6月。日に日に蒸し暑くなり、夏が近づいてくることを感じられる。 灰原由紀夫は廊下の掃除をしていた。 彼は梢が居ない間の鳴滝荘の管理を任されている。 こう蒸し暑くては執筆もなかなか進まず、気分転換も兼ねていた。 灰原は小説を書いていた。 一人の男が、娘のように思っている少女の恋を見守る話。 正直、自分の柄ではないと思ったが、梢の姿を見ていると、 どうもそれしか書きたいと思うことを見つけられなかった。 「まったく、バラさんも真面目よねぇ」 不意に甲高い声が聞こえた。 ジョニーを付けていない方の手で雑巾がけをしていた灰原は顔を上げる。 やや長身の女性がそこに立っていた。手には酒瓶。
518 :
父の日 :2005/11/19(土) 23:20:04 ID:7Nb76LUk
桃乃恵だった。 鳴滝荘の住人で最も女らしい体系をしているくせに、 その格好はラフで、今も灰原の位置から白いものが見え隠れするくらいのスカートを穿いていたりする。 上のほうも少し動けば下着が見えてしまうだろう。 灰原のことを男としてみていないのか、信頼しているのか。 おそらくどちらもだろう。 「お前なァ…いつも梢に頼りっぱなし、てのはちょいとばかりマズイだろ?」 ジョニーが灰原の言葉を代弁する。もう何年もの付き合いで、何度も縫い直している。 こう見えても、意外と手先は器用なほうなのだ。 「まぁ、確かにね…でも、こんな日にやらなくてもねぇ……雨の日ってやる気起こらなくない? ねぇ、小夜ちゃん?」 恵が問い掛けた方向には黒い髪の女性がひっそりとたたずんでいた。 「そう……?」 答えた女性は黒崎沙夜子だ。恵の意見にはあまり賛成ではないらしい。 「私雨の日嫌いなのよねぇ…」 「私は好きよ……」 陽と陰。太陽と月。彼女ら二人はかなり対極な性格だと思うのだが、意外と仲がいい。 恵がファッション誌の通販での服選びに沙夜子の意見を聞くのも珍しくない。 「ふ〜ん……バラさんは?」 「オレか?……ま、嫌いでは無いナ」 かといって特別好きというわけでもない。ただ、雨の音を聞いていると落ち着くのだ。
519 :
父の日 :2005/11/19(土) 23:21:08 ID:7Nb76LUk
「それにしてもオマエら、少しは手伝えヨ…」 「いやぁ…すっかり忘れちゃってて…でも、もう終わっちゃってるじゃない?」 掃除を頼まれたのは灰原だけでなく、恵もだ。 しかし、実際やったのは灰原だけで、殆ど終わっている。 もう4時を回った頃だし、そろそろ梢達も… 「ただいまー」 来たようだ。足音が近づいてくる。 「ただいまです〜。桃乃さん、ちゃんと掃除はしましたか〜?」 やや含みのある笑顔を作るのは茶ノ畑珠実。 「あ〜……いやぁ、それがね、あはははっは……」 「ほっほーう?桃さんや、梢ちゃんの頼みを忘れた、と?」 「い、いやだな…珠ちゃん、そんなことは……………あるけど」 最後のほうを小さく呟いたのを珠実は逃さなかった。 「なるほど、なるほど、いい覚悟してますねぇ〜。私の部屋に来るです〜…!」 「ぎゃあああ!へるぷ!へるぷみー!!」 連れ去られる恵。ご愁傷様である。 そうしていると、遅れて梢がやってきた。 「ただいま帰りました。…あ、灰原さん、お掃除してくれたんですね。どうもすみません」 梢は申し訳無さそうに言う。 「いや、大したことねーよ。それから、晩飯の材料も買っておいたゼ」
520 :
父の日 :2005/11/19(土) 23:22:30 ID:7Nb76LUk
「え?そんなことまでしてもらわなくてもいいですよ!?」 「ただのついでダ。気にするナ」 そう言うと灰原は自室へと戻っていった。 「ありがとうございます……」 梢は姿の見えない灰原に礼を言う。 (そういえば最近、灰原さんや桃乃さん鳴滝荘のことまで任せてる気がするなぁ…) 隆士と交際を頻繁に繰り返すようになり、家を空けることも多くなった。 休みの日に行なっていた家事も、任せてしまいがちなのだ。 とくに灰原との付き合いは長いため、ついつい頼ってしまう。 それこそ、父親のように――― 「……父?……そう言えば」 梢は何かを思い出したように台所へ向かった。
日曜日。今日は休みである。といっても、灰原には関係ない。 ただ、いつもと同じ毎日があるだけだ。 だが、今日は何故だかちょっと違った。 皆が居ないのである。 朝から「灰原さんは鳴滝荘から出ないで下さいね」と梢に言われてきり、 皆出かけてしまった。まぁ、若い者だけでしたいことでもあるのだろう。 それにしても、なかなか筆が進まない。 気分転換に釣りでもしようか。いや、そんな気分でもない。 ぼうっと時間だけが過ぎていた。 そんなときだった。 コンコンとドアをノックする音。 「灰原さん、ちょっといいですか?」 白鳥の声だった。 「ン?何だ?」 「台所まできてもらえませんか?」 「?わかった、今行く」 了承すると、隆士は急いで台所へ行く。 灰原はやれやれと思い腰を上げ、立ち上がり、台所へと向かった。 そして、ドアを開けた瞬間、
522 :
父の日 :2005/11/19(土) 23:24:50 ID:7Nb76LUk
「父の日おめでとうございます!!」 と、言う声といっしょに、派手なクラッカーの音がした。 「……は?」 ぽかんとしていた。普段閉じた目がいっぱいに開いている。 「今日は父の日です♪」 梢が楽しそうに言う。 6月の第3週日曜日。父の日である。 「……おめでとうって言うのはチト違うんじゃねえカ?」 照れ隠しにそんなことを言った。 「あれ?そうだっけ?まぁいいじゃない。 バラさんは私達の父親みたいなもんだからさ、日頃の感謝の気持ちを込めてってやつよ」 「とはいっても、感謝されるほどのことしてませんけど〜」 恵と珠実もどこか恥ずかしそうに言う。 「そんなこと無いよ。灰原さんは鳴滝荘の仕事を手伝ってくれるし、 この前、僕の絵本のプロットの添削とかもしてくれたし…」 「うん!灰原さんは、この前内職手伝ってくれたもん。それに、飴もくれたし!」 「……飴をありがとう……」 隆士の絵本の話を聞かせてもらったり、黒崎親子の内職を手伝だったりすることもある。 それは気分転換だったり、好奇心だったりするのだが…やっぱり放っておけないというか…… 父親心とでも言うのだろうか。
そして梢が一歩前に出て、大き目の袋と小さな箱と、そして―― 「バラの花か」 白いバラの花。父の日のシンボルの花だった。それらを灰原に渡す。 「灰原さん、いつも、ありがとうございます。…両親やおじいさんが亡くなってから、 灰原さんが居てくれたから……私は今日まで居られました。 私は……灰原さんのことを、お父さんのように思ってますよ。 だから……これからも、この『娘』をよろしくお願いしますっ♪」 梢はぺこりと頭を下げた。そんな梢の頭をそっと撫でる。 「……ありがとうな」 恥ずかしそうな声で、精一杯の一言をひねり出した。 「えっへへ!それじゃ、宴会と行きますか!」 「さぁ、今日の主役は灰原さんですよ〜!!普段目立てない分、目立つがいいです〜!!」 「灰原さん!ほら、ここに座って♪」 「……御酒……」 「さ、沙夜子さん!!溢れてますよ!!」 ああ、やっぱり鳴滝荘は騒がしいくらいがちょうどいい。 『子供』達を見るとそう思う。 ずっと、見守って行きたい―― いつものポーカーフェイスで、彼は思うのであった。
てなわけで、終了です。 前からあったネタなんですが… 微妙ですね。自分の書く物はいつも微妙な気がしてならない。 即興で書くのはまずいなぁ… かといって何度も見直せるほどネタも表現も時間も無いッス。 それじゃ、このへんで。 PS:上の、832ではなく、482です。 レスの848も同様に484です。
>>508 面の皮が厚いおバカさん、ここはあなたのような若者が来る場所じゃござんせんよ
>>524 乙。バラさん主役ものは久々ですね。
本編でもここでも影の薄い灰原さんだが今後重要な役割は廻ってくるのだろうか…
その格好はラフで、今も灰原の位置から白いものが見え隠れするくらいのスカートを穿いていたりする。
相変わらずバカが沸いてくるね。
>>524 おげ〜いいでつよ〜
漏れ?馬鹿ですが何か?
>528-529ワロス
16体目の巨像は正にバケモノ、ぐうたらです。 それでは桃×紫で行きますか。 ちなみにみのさんの出ないほう、といわれて紅白=白×赤だと気付くのに10分以上かかったのは俺と君たちだけの秘密だ!! 桃×紫にしろ白×赤にしろ、少し工夫してみようと思います。 期待は少なめにしていた方が後々良いと思います。それでは
>>524 乙〜。
実はバラさんが皆のちちおy(ry
>>532 俺は今までわかりませんでしたが何か!?(ギャクギレ)
ハルイロ第五話の続き行きます。つまんなくてごめんね。
白鳥がおろおろする間にも、その人物は彼の目前にまで迫って来た。 もう迷っている余裕はない、こうなったら一か八かで… しかしその時、ハルが何かを指差しているのに白鳥は気付いた。 見ると、盾の端から見覚えのある柄のスカートが覗いている。 あのスカートは…「珠実ちゃんだ!」 白鳥が缶を踏み付け名前を言うと、その人物はピタリと動きを止めた。 そして盾がパタリと倒れ、その後ろから隠れていた珠実が姿を現した。 「あ〜あ、バレちゃったです〜」 「さすが珠ちゃん、こすっからい作戦ねぇ。失敗したけど」 「むぅ〜、白鳥さん、なかなかいい勘してるです〜」 『あ、危ないところだった…』 不満げな顔で捕虜の仲間入りをする珠実を横目で見ながら、 白鳥はほっと胸を撫で下ろした。ハルが教えてくれなければどうなっていたか。 ともあれ、これで残りはあと一人、梢だけだ。 『勝った!』 白鳥はそう確信した。残り時間はまだ充分、今回はただの隠れんぼと違い、 缶を蹴りに来なくてはならない。運動神経に自信はなかったが、 おっとりしている梢が相手なら、後れを取ることはまずないだろう。 『梢ちゃんには悪いけど、今度の王様権は僕が貰うよ。そしたら…』 そしたらどうしよう? ふと、そんな考えが浮かぶ。 前の時は、2号室での宴会を禁止するつもりだったが、 今はもうそんな気はすっかり…いや、あんまりなかった。 確かに今でも、なにかにつけて彼の部屋で宴会が行われていたし、 正直迷惑だなぁと思うことだってある。しかし、みんなの誕生会や、 クリスマスパーティー、正月のゲーム大会と、今思い返してみれば、 決して嫌なことばかりではなかった。どれも、もしあの時宴会禁止にしていたら、 なかったかもしれない、楽しく大切な思い出の数々だ。 『うん、そうだよな、宴会禁止じゃなくて別のことにしよう』 白鳥はハルを抱えたまま、ぼんやりと宙に視線をさ迷わせ、考え始めた。 『どんなことがいいかなぁ? 王様の命令には絶対服従なんだよな〜。 前回は梢ちゃんがデートに誘ってくれたんだっけ。それなら今度はお返しに…』 真剣だった白鳥の顔が、急にしまりなく緩んだ。ほっぺたが上気し、 もわもわーんと湯気が立ち上っていく。
「相変わらずわかり易い子ねぇ…」 「もちっと思ってることを隠す努力をしたほうがいいナ、あいつは」 「淫らな妄想で梢ちゃんを穢すなんて許さないです〜」 「お兄ちゃん…」 「朝美、見ちゃダメ…」 住人たちとハルが、妄想を繰り広げる白鳥に少し引いていると、 突然彼らの後ろの茂みががさがさと音を立てたかと思うと、 そこから最後の一人、梢がひょっこりと姿を現し、 一同はぎょっとなった。 『こ、梢お姉ちゃん!?』 『もっと白鳥君が缶から離れてからじゃないとダメよ、梢ちゃ〜ん!』 『来ちゃダメです〜、見つかったら淫らな妄想が現実になってしまうです〜!』 桃乃と珠実が手をばたばたさせ、ゼスチャーで梢を制止しようとするが、 梢はそのまま缶を目がけて、トテテテ…と小走りで (もしかしたら本人は全力疾走のつもりかもしれないが)駆け寄っていく。 しかし一方の白鳥は絶賛妄想中で、背後の出来事にも、 ハルが裾を引っ張ってそれを教えようとしているのにも、 まったく気付いていなかった。 「えい」 「へっ?」 梢の声に白鳥が現実に戻った時には既に遅く、缶はカラカラと音を立て、 道の脇に転がっていくところであった。 「やったぁ! よーし、みんな逃げろー!」 「でかしたゾ梢!」 「梢ちゃんナイスです〜」 「わーい」 「あ、あ…」 一瞬の間をおき、蜘蛛の子を散らすように走り去っていくみんなの背中を、 白鳥はただ呆然と見送っていた。
「……はっ!?」 手に仕掛けた勝利にするりと逃げられ、呆然としていた白鳥は、 ぽんと、ハルに励まされるように腕を叩かれ、我に返った。 まだ時間は残っている。これから全員見つければ、まだ優勝の可能性はある! 白鳥はすぐに缶を拾って元の場所に戻すと、目を閉じて数を数え始めた。 「いちにいさんし……よんじゅうきゅうごじゅう!」 素早く数え終えて辺りを見回してみたが、今度はさすがに沙夜子もいないし、 他に誰の姿もないようだった。それならと、白鳥は迷わず缶から大きく離れ、 みんなを探し始めた。受身に回っていては時間切れになってしまう。 「あ!」 それが功を奏したのか、数分と経たず、缶に突進して来る者がいた。 白鳥は慌てて缶に戻ると、その人物よりもずっと早く足で押さえつける。 が、その人物は先ほどの珠実の盾を構えていて、名前を言うことができない。 『また…!』 今度はいったい誰なのか? また珠実なのか、それとも別の誰かなのか。 白鳥は盾の向こうを覗き込もうと、身体を横に伸ばした。 さっき珠実を見抜いた時のように、顔までわからずとも服さえ見えれば…。 白鳥のその目に、着古してクタクタになった緑色の布地が映った。 間違いない、灰原の服だ。 「灰原さん見っけ!」 すかさず白鳥は名前を告げたが、何故か灰原は走るのを止めない。 「灰原さん、もうわかってるんですよ?」 白鳥はもう一度呼びかけてみたが、それでも灰原は彼目がけて走り寄ってくる。 そして白鳥の目の前までやってくると、盾が脇に放り投げられ、 後ろから灰原の服を着込んだ桃乃が姿を現した。 「ざーんねん、あたしでしたー!!」 「あーっ!?」 「白鳥君のお手つきってことで…ほいっと」 唖然としている白鳥の目の前で、ついでとばかりに桃乃は缶を蹴飛ばした。 「やったな桃」 「さんきゅ、バラさん」 桃乃が飛び出してきた辺りから、ランニングシャツ姿の灰原が姿を現し、 桃乃はそちらに戻りながら羽織っていた服を脱ぎ、彼に手渡す。 「ず、ずるいですよそんなの!」 「あーら、しっかり確かめない白鳥君が悪いのよ。それじゃあね〜」 抗議する白鳥に二人は手を振り、とっとと走り去って行ってしまった。 白鳥はしばらくぽかーんと立ち尽くしていたが、やがてまたハルに励まされ、 のろのろと缶を元に戻すと、数を数え始めた。
「あっ!」 そしてまた50数え終え、白鳥がどんよりしながら歩道脇の茂みを掻き分け、 みんなを探していると、ハルが袖を引っ張った。振り向くと、 朝美が缶に向かって真っ直ぐ走ってくる。白鳥は一瞬動動揺しかけたが、 すぐさま缶へ駆け戻り出した。まだ自分の方が近い! 「えっ?」 だがその時、両脇の茂みから、桃乃と珠実が飛び出してきて、 白鳥は思わずスピードを緩めそうになったが、 気を取り直してなんとか一番早く缶まで辿り着き、 すかさず踏みつけると、名前を叫んだ。 「え、えぇと、あ、朝美ちゃん見っけ! それからえーっと、 桃乃さん見っけ! そ、それから珠…」 「遅い! です〜」 しかし、白鳥が最後の珠実の名前を言い終えるよりも早く、 殺人スライディングをしてきた珠実が、彼が押えていた缶を無理矢理蹴り飛ばした。 「ず、ずるいよ、三人同時なんて!」 「おーほほほ、見たか、必殺マルチアタック!」 「大成功です〜」 「やったね!」 白鳥の抗議には耳を貸さず、三人はハイタッチを交わし、遠ざかっていった。 『ま、負けるもんか…』 くじけずに再度探索を開始した白鳥の袖を、いきなりハルが引っ張った。 見れば、彼女の指差す先の植え込みの中から、茶色の物体がはみ出している。 『あれは…ジョニー!』 それがジョニーの頭だと気付いた白鳥は、缶に戻りかけ、ふと足を止めた。 さっき桃乃がやったように、別の人物がジョニーを着けている可能性もある。 白鳥はそっと引き返すと、地面に片膝を付いて、植え込みの奥を伺った。 しかしその瞬間、後ろで何者かの足音が聞こえてきて、 白鳥が振り向くと、その灰原が缶を目がけてどたどたと駆けて来る。 「えっ? あっ、うわっ」 慌てて立ち上がろうとした白鳥は、バランスを崩して地面に倒れこんだ。 その間に灰原は缶に辿り着き、蹴飛ばしてしまう。 「やったゼー!」 「ジョニー? それじゃこれは…?」 その手にジョニーがちゃんといるのを見て、白鳥はあんぐりと口を開け、 植え込みから覗いていたジョニーの頭を掴み上げた。 「あーっ、いぬ子、じゃなかったキャサリン!?」 「ジョージだジョージ!」 灰原が行ってしまっても、白鳥はジョージを片手に、しばし呆然と佇んでいた。
まだだ…まだ可能性は…「…よんじゅうきゅう…うう、ごじゅう。…え?」 そして次に数を数え終えて、白鳥が目を開けると、 今度はいきなり前の方から沙夜子がふらりと歩いてくる。 何かの罠か? 人を信じられなくなり始めた白鳥は、用心深く辺りを見回したが、 誰かが隠れている様子はなく、沙夜子も本物の沙夜子のようだ。 「えぇっと、沙夜子さん見っけ」 訝しく感じつつも白鳥は名前を宣言したが、沙夜子は止まらず、 ふらふらと彼の目の前までやって来ると、ようやくそこで足を止めた。 「あのぉ…?」 白鳥が気を緩めた瞬間、沙夜子の背中に隠れていた朝美がサッと飛び出すと、 彼に反応する間も与えず、缶を蹴飛ばした。 「やったー!」 「あーっ!?」 ぴょんぴょんと小躍りしながら逃げていく朝美とは反対に、 しくしくと泣きながら白鳥は缶を戻し、数を数え始めた。まだ……もうダメかも。 「……よんじゅうきゅう……ごじゅう……。ふぅ…」 白鳥が50まで数え終えて、深い溜め息をつきつつ、 どんよりしながら2、3歩前に進んだ途端、 背後から「えい…」というやる気のない声と共に、缶の転がる音が聞こえてきた。 白鳥が振り向くと、気配を殺してずっと彼の真後ろに立っていた沙夜子が、 缶を蹴飛ばしたところだった。 「……」 沙夜子にまで缶を蹴られ、真っ白になってしまった白鳥の腕を、 ハルがぽんぽんと叩いて慰めたが、彼はもう、 そのまま時間切れまで動くことはなかった。 「え〜、ということで、全員一回ずつ缶を蹴ったわけですが、 王様権を貰えるのは一人だけですので、協議の結果、 一番最初に缶を蹴った梢ちゃんの優・勝! と決定いたしましたー!!」 「おめでとうです〜」 少し照れたように微笑む梢を囲み、みんながパチパチと拍手をする。 真っ白になっていた白鳥も、まあ梢ちゃんが優勝ならいいかと、 ようやく立ち直り、みんなと一緒になって拍手を捧げていた。 「それじゃ、梢ちゃんの祝勝会も兼ねてもう一飲みしますか!」 「さんせーい!」 『なんか今日は、みんな元気だなぁ…』 桃乃が言うと、住人たちは諸手をあげて大賛成をする。 それなりに走り回っていたはずなのに、やたらと元気の良い一同に、 白鳥はタラッと汗を滲ませつつ、しかし楽しみ半分に、 みんなと一緒に藤棚のところへと戻っていった。
「どう、今日は楽しかったかい?」 やがて日も傾き始め、祝勝会も終わっていよいよ一行が帰り支度を始めた中、 桃乃が、梢が抱いていたハルに訊ねると、彼女はニッコリと最上の笑顔を返した。 「そうかいそうかい、そりゃ良かった。連れて来た甲斐があったってもんだわね〜」 そう言う自分もハルに負けないくらい楽しんでたような気もするけど、 と白鳥は思ったが、それは口には出さずにおく。桃乃だけではなく、 自分も、そして他のみんなもきっとそうだったに違いないから。 「わたしもとっても楽しかったです。またみんなで来れるといいですね」 「ですです〜」 「そうだねー」 そんな白鳥の気持ちを証明するように、梢が幸せそうな顔で言い、 みんなもうんうんと肯く。だが、何故だかそれを聞いた白鳥の顔に、 急に何か妙な表情が浮かんだ。 “また”“みんなで”。梢のその言葉で、白鳥は唐突に思い至った。 ハルが来た日から、ずっと心の奥に引っかかっていたこと。 それがなんなのか、今ようやくはっきりとわかった。 もし…、もしもハルが絵本の“それ”なのだとしたら、 梢のその願いが叶うことは、もう二度とないかもしれない。 なぜなら、絵本の最後で“それ”は… 『まさか!』 白鳥は、その予感を心の中で思い切り否定した。確かにハルは、 “それ”に何から何までそっくりだが、だからといってそこまで同じだなんて…。 しかし白鳥には、もう一つ気になることが出てきた。 今日のみんなの盛り上がり方…いつもこんなものだと言えばこんなものだが、 なんだか今日は、みんな、必要以上に盛り上がろうとしていたようにも思える。 みんなもあの絵本は読んでいて、その結末は知っているはずだ。 だからみんな、ハルと一緒に過ごせる、今、この瞬間を、 精一杯楽しもうとしているのかも…。 ハルを囲んで笑いあうみんなの顔を、白鳥はそっと見回してみたが、 みんな心の底から楽しんでいるようだ。もしかしたら自分が心配性なだけなのかも、 そう白鳥は思った。ハルのことも、そしてみんながそれに気付いているということも、 単なる取り越し苦労でしかないのかも。 白鳥はぎゅっと拳を握り締め、不吉な予感を振り払うように、 お腹の底に力を込めて言った。 「うん。また来よう! みんな一緒にね!」 「え…?」 白鳥の妙に熱のこもった口調に、梢は少し驚いた顔をしたが、 すぐににっこりと微笑むと、肯いた。 「はい!」 梢の腕の中では、ハルもいつものように、ニコニコと笑顔を振りまいていた。 ハルイロ〜第五話「カンケリ」完
ちゅーことでお終い。お粗末さまでした。
>>541 ありがとう。
臆面もなく原作をパクル手法は、まさに噴飯物だったよ。
独創性のかけらもないSSは、読者を鬱にさせること請け合いだ。
だから、あえて言わせてもらおう。
二 度 と 来 る な( ゚д゚)、ペッ
>>541 GJ!!
まいどのことだけれど白鳥カワイソス・・・沙夜子さんにまで・・・
まあ、王様券はまた梢ポンに渡り、めでたしめでたし?!
変なのは気にせず王様券を行使して白鳥に迫る梢ポンの話を書いてくんろ・・・
まぁ、
>>543 はここにいる(いた)大半のヤツの意見を言ってくれたわけだ
>543は聞いたわけでもないのに国民の意志とか言ってる政治家みたいな人かな?
というか本当のことを言わせてもらえば、ぐうたらのSSは嫌いじゃないけど
普段の雑談レスで場が読めていないぐうたらは何とかしてほしい
>>290 みたいになんで荒らしを助長させるような真似をするのか…
エロパロ板なんて未成年住人の割合がそれなりのものを占めると思ってるけど
他のスレではそんなことおくびにも出さずにうまく隠れている奴らばかりだろう
失言が過去スレから何回繰り返されてきたことか…
俺は年齢云々よりもそっちのほうが気になるよ…
>>548 >場が読めてない
この部分を自分でよく考えてくれな。
レスは返さなくてもいい。口論する気はないんで。
相変わらずだな…ま、無理もないか
とりあえず
>>541 が作品を投下し続ける間は現状のままだろ
いなくなって二度と戻ってこなければ、また人が増えるかもしれないけどさ
本人も気付いてないんだか気付いてないフリしてんだか
551 :
名無しさん@ピンキー :2005/11/21(月) 01:19:38 ID:VuMy2/Wn
>>548 同意
それにしても、なぜここの住人は集団で職人の失言を庇うんだ?
スレのためにも職人のためにもならないと思うのだが・・・
エロ規制を強化したい某組織による自作自演。
(⌒゙v'⌒) ,'´  ̄ ヽ i ,ノノリ^)))〉 | >ロ^ヮ゚ノロ< おー! i ⊂),゙-゙iつ ノノ く{_}〉リ しヽ.) 某組織のドン
555
年齢そのものも気にはなるが、だいたい
>>548 に同意できちゃうなぁ……。
このスレスルースキル低いなw m9(^Д^)プギャー
だってリア厨とリア工のためのスレだもん
そんなに日本のネット環境を韓国のようにしたいですか皆さん。
人いないねー。変なのに絡まれるのが嫌なのかなやっぱり?
空気嫁ない香具師その一がはっぴばーすでーとぅーみー。
プレゼントはネタをk(ry
>>541 GJ!
あの、沙夜子さんそれは反そk(ry
空気は読まない。それがOur Quality
>>561 つさっちゃん×α
つ部長×β
つ銀×γ
つ隆子×δ
つタチバナ×ε
α、β、γ、δ、εに適当な人物をいれ、SSを作りなさい。
>>562 銀 が一瞬誰だか分からなかった俺に誰か折檻を頼む
職人がつまらないネタをふるようになってしまってはスレもおしまいだな……
あと数年のうちに警察の主導の下ネット接続はID登録義務化されるから、このスレも正常化するよ。
どうだろう。精神面で(ryな香具師もいるからな。
久しぶりに来たが…。 まほらばスレって昔はもっとマターリしてたと思うんだが…。
祭が終われば色々と粗が見えてくるというお話
マターリしすぎて羽目を外した御仁が数人。 マターリを死守しようと牙を剥き出しにした御仁が数人。 それを看過できなかった御仁が数人。 そして便乗して楽しんだ御仁が数人。 兵どもが夢のあと。
すごいハト胸のハトすげえ!!ぐうたらです。 桃×紫SSの製作に当って疑問が。 桃乃さんと紫羽さんが出会ったのは中学三年生の時で、 大学入ってすぐに紫羽さんが海外に行ったのかな? 設定気にしだすと落ち着かないタチなもんで…
>>572 とりあえず土曜まで待てば?
そういった不確定事項はきっと二人の会話に出てくるかと。
まあ、俺は「自分の力でやりたい事があるから結婚はその後」とか言って
桃乃残留を考えてますが。
弟がテイルズウェーバーやり込んでPC使えないorz
当分新作投下は無いかな…沙夜子ネタとかあるけど。
>>572 まあそんなとこでしょう。海外行った時期については、
あのバカップルぶりを見れば数ヶ月でも長く感じるかもしれないが、
まあ大学一年の前半と考えていいんじゃね?
>>572 誠に申し訳ありませんがスレが寂れている一因となっていらっしゃることについて
いかがお考えですか?
このスレや板、ひいては一般における「大人」というものを考えていただければ
必ずお答えいただけるものと考えております。
過去スレでそういう対応をなさる旨の書き込みもありましたことですし。
そちらにも事情がおありでしょうことは存じておりますが、
決しておろそかにしてはいけないことだということはご理解なさっていただけるかと。
不躾ではありますが、よろしくお願いします。それでは。
>>572-574 えと・・・なんだ・・・バカの一つ覚えだけれども言わせてもらうよ
自演乙
幸せだった少女時代 しかしその幸せは突然終わりを告げた 大好きだった両親の死 悲しみに沈む少女は 幸せを取り戻す為に 不出の魔導書に手を染める 世界のあらゆる禁忌を記したその書は 純真な少女を狂わせるのに充分だった・・・ 10巻のかつての部長さん見てこんな妄想したが7巻で否定されてるな
部長少女時代 『サンタさんとか呼べるのかなぁ?ワクワク』 部長現在 『大魔人(ry)ハァハァ』 こんな感じじゃね?
部長現在 『サタンさんとか呼べる(ry)ハァハァ』
部長少女時代 『妖精さんとか呼べるのかなぁ?ワクワク』 (※ティンカーベルとか靴屋の小人とか) 部長現在 『妖精さんとか呼べるのかなぁ?ワクワク』 (※レッドキャップとかブラック・アニスとか『砦の道化』とかブラブラとか)
( ゚∀。)人(゚∀。 )
585 :
582 :2005/11/25(金) 17:43:45 ID:x0WQu2Um
スンマセン。ほんとスンマセン……。 一応解説すると、レッドキャップは自分の帽子を他者の血で赤く染めようとする殺戮妖精で、 ブラック・アニスはハグ(「山姥」みたいなの)の一種。『道化』は、やはり剣呑な妖精で、 怖れられる存在です。 詳しくは『妖精 Who's Who』(ちくま文庫)とか、レイモンド・E・フィーストの 『フェアリー・テール』とか参照のこと。特に後者はいい感じにホラーかつオカルティックで、 部長が喜びそうです。
ホントに古参の方々が減ったな。祭りが終わると痛い程痛感するな。
再点火ですか?
勝手にリカバリーする。それがまほらばスレクオリティ。
でも膿は出しとかないとな
俺の早紀で妄想するなよ
>>592 じゃあ白鳥くんの早紀ちゃんで妄想しますね
あぁっ、桃さんがーっ!?
何を驚いて居るんだい。 予想通りの展開じゃないか。
俺は出て行かないと踏んでたからショックだった・・・。
結構衝撃あるな
モナー板etc.で課題の人らしき人物を発見した件について
この前コタツで転がり回ってた奴です。ハイ。 今月のガンガンWingを読んで妄想が爆発し、 今晩寝るに寝れなくなったのでちょっと投下してみようかと思います。 内容は桃乃さんがフランスへ渡った直後のお話。 妙なテンションに加えて寒い部屋で一気に作ったため、 誤字脱字は脳内変換して最後に報告してくると嬉しいです(汗
いつもとあまり変わらないような一日。 でも、確実にいつもと違う一日。 紫羽さんが鳴滝荘を訪れて 僕達の目の前で劇的な告白をして… もう一週間あまりが過ぎた。 そして、桃乃さんは、愛する紫羽さんとともに この鳴滝荘を離れていった。 僕達もそんな二人を祝福しながら見送った。 僕達が最後に見た桃乃さんは笑顔だったけど、 もしかしたら、僕達の居ないどこかで涙を流していたかもしれない。 でも、桃乃さんはその道を選んだんだ。 なら、心から二人の幸せを祈ろう。 今日の鳴滝荘は何時もと少しだけ違う。 いつもはキッチンで、梢ちゃんが用意した朝食を みんなで揃って食べていたけど。 それも今日からはあの笑い声が食卓に響くことは無いだろう。 その証拠に、彼女の席にはいつものお茶碗が2つ揃って裏を向いていて、 綺麗に並べられたお箸が手をつけられることは無かった。 「梢お姉ちゃん、おかわり!」 「私も…」 「はいはい、待っててくださいね〜」 朝美ちゃんと沙夜子さんのお茶碗を受け取り 炊飯器に向かう梢ちゃんはどこか寂しそうだった。
そんな梢ちゃんに、僕がしてあげる事ってなんだろう? 梢ちゃんの作ってくれた美味しい朝ごはんを食べながら ぼんやりとそんな事を考えていた。 「白鳥さ〜ん、梢ちゃんが作った朝ごはんだというのに、 なんだか上の空です〜。」 「そ、そんなこと…あるかも。」 反論しようとして、次の言葉がでてこなかった。」 「きっと、絵本の課題の事とかを考えてたんだよ。 ね?白鳥さん。」 「う、うん。ごめんね、梢ちゃん。」 「なんで謝るんですか?」 思わず謝ってしまった僕を、彼女は不思議そうに見つめたけれど 僕はその問いに答えられなかった。 「マ”−」 そんな僕を見て、珠実ちゃんが茶々をいれたけど この時ばかりは間が持って助かった気がする。 その答えは食卓では出なかったけど、 変わりにおなか一杯の朝ごはんを、心ゆくまで味わった。 おのおのが食器をがちゃがちゃと片付けた後で なんとなくそのまま食器を洗うのを手伝うと 後方から朝美ちゃんに「大人だ!」と言われてしまった。 思わず顔が赤くなってしまう。 慣れた手つきで食器を洗う、隣の梢ちゃんをふと見ると 僕と同じように少し顔を赤く染めていた。 僕はそれをみて思わずクスっと笑ってしまう。 それに気づいた梢ちゃんも、優しい笑みをみせてくれた。 幸い、珠実ちゃんはキッチンから早々に抜けていたけど、 もしコノ場に居合わせていれば…、間違いなく 「マ”−」と茶々を入れる光景だろう。 というか、実際に聞こえたような気がしたけど、 僕達はあえてそれに気付かないフリをした。
「それじゃぁ、僕は課題の続きをやってくるね。」 「わかりました。では、私はお掃除などを…」 「がんばってね、梢ちゃん。」 「はいっ!」 食器を洗い終えて、別れ際にそんな会話を交わしてキッチンを出る。 さあ、これから課題との一本勝負だ。 次に提出する課題のため、 真っ白のスケッチブックのページをサラサラと埋めていく。 ふと時計を見るとその針は10時を指そうとしていた。 「ちょうどひと段落着いたし。ちょっと外に出てみるかな。」 誰も聞いていないと思うけど、 そういってスッと立ち上がり2号室の扉を開く。 そして目には梢ちゃんがこまめに手入れをしているであろうお陰で 綺麗に保たれているであろう中庭の景色が飛び込んでくる。 加えて、その梢ちゃん本人の姿も。 「何してるの?梢ちゃん。」 「あ、白鳥さん! 今はお楽しみ畑の手入れをしているところです♪」 嬉しそうにそう言って、軍手を着けた手で ワシワシと土を弄るジェスチャーをする。 「じゃぁ、僕も手伝うよ。」 「あ、いいんですか?」 「うん、ちょうど一段落着いたところだしね。」 そう言って手近な所に置いてあった いかにも重そうな肥料の詰まった袋に手をつけた。
「よし、こんなもんかな。」 「ですね。とっても助かりました♪」 「いいよ、これぐらい。」 いつでも手伝えるよ、と僕はポンと胸を叩いて見せた。 「懐かしいですね…。」 梢ちゃんが中庭に面した廊下に腰掛けて、 遠くを見つめるように言った。 「白鳥さんがきて、今みたいに手伝ってもらって…」 ああ、と頷いた僕も、梢ちゃんの隣に座らせてもらうことにした。 「かくれんぼとか、水泳大会とか、色々な思い出を作ってきたね。」 「それから紅葉狩りとか…。桃乃さんがいてくれたから、 いつもイベント盛り沢山な毎日でしたねぇ。 気のせいかもしれないけれど、 遠くを見つめて笑みを浮かべる横顔はどこか寂しさを感じさせる笑顔だった。 「ね、白鳥さん。」 「なあに?梢ちゃん。」 「桃乃さん、元気でやってると思いますか?」 突然の問いかけに驚いたけど、僕は自信を持って答えた。 「大丈夫だよ、梢ちゃん。 あの紫羽さんが一緒だし…。 きっと紫羽さんの隣が桃乃さんの居場所なんだよ。」 「そうですか…。そうですよね。」 寂しそうな顔をする梢ちゃんをよそに、僕は話を続けた。
「それに…。 二人には、きっとまたえるよ! こんなにいい人が一杯いる鳴滝荘だもん。 いつか…、必ず。また会える。 また一緒に暮らすのは難しいかもしれないけど 少なくともちょくちょく遊びに来てくれると思うよ。 だから…ね? そのときに、お楽しみ畑で取れた果物を、 みんな揃って一緒に食べようよ!」 力強く、でも優しく。 自分の考えをまとめて、梢ちゃんの方を向いて微笑む。 梢ちゃんの方はというと、 ぱぁぁっと満面の笑みを湛えてくれた。 「だから、願おう。この小さな願いを。 その日が来ることを。…ね?」 「はいっ!」 そうか。そうなんだ。 何も特別なことをする必要なんてどこにも無い。 僕にできること。 それは大切な梢ちゃんのために、 彼女に笑顔を見せてあげること。 だから、ずっとずっと彼女のそばに居ます。
以上で終わりとなります。ドキドキドキドキ。 初投稿で、なんとも説明的な文章(しかも過去形)ばかり、と なんだか微妙な作ですがそれなりに読める作品に仕上がっていれば とりあえずほっと一息というところでしょうか。 改良の余地とかあったら教えて欲しい…かも。
今月号買ってない漏れには読めない orz
泣けてきた。 俺の棗のマネするな!
>>605 GJ!
だが今月号(というかWING)買ってない漏れも読めない_| ̄|○|||
紫羽迎えにきたのか。
…
書いときゃよかtt(ry
地方出身であることが憎いぃぃぃ!! 早く読みたいorz
またーり。乙。
>>605 いいお話でした。
が、恐らく次回で桃さんのいなくなった日常の話をやるはずなので、
実際のお話と見比べるとこっ恥ずかしくなって
また火燵で転げまわることになると思われ。
今度は千百合に切り取られるがいい。
>613 素で気づきませんでした(汗 なんかもう今から転がりたくなってきたよパトラs(ry
>616 鳥間違えた(←アホ 早く名無しに戻った方がよさそうだな…
>>617 うん。じょうしきをしっている21さいいじょうのひとたちがくるまえにななしにもどったほうがいいとおもうよ
知ってるけどスルーしときます。
>>618 煽り屋乙
くだらねーことしてる暇あっていいですね
貴様ら全員お珠に切り取ってもらえ。
別に面白くも何とも無かったからどうでもいい
課題=ぐうたらへの燃料補給者 ぐうたらが駄目になった時点で課題に存在理由は無くなった。
今スレスト覗いて来た あれ本当に課題の人?面影が無くも無いがかなり性格が違うような。
うざいから呼ぶな話題にするな。
ところでSS投下ま〜だ〜?AA(ry
部長タン物が読みたい 出来れば orz
ヽ(゚∀゚ )メ( ゚∀゚)ノ燃料投下ま〜だ〜?
つケロシン
♪ダーレガ ∧_∧ (´∀`) (つ⊂ ) | | | (_(_) ♪コロシタ ∧_∧_ ⊂⌒ 〇⌒つ  ̄ヽ( / し ♪クク ∧_∧ (´∀`) (つ⊂ ) | | | (_(_) ♪ロービン ∧_∧_ ⊂⌒ 〇⌒つ  ̄ヽ( / し
白黒SSがちょっと出来たので、一部投下してみます。
634 :
雨宿り :2005/12/01(木) 00:43:14 ID:NKi5bHtW
5月も終わりが近くなったある日の夕方、土砂降りの雨の中を、 よろよろと歩く隆士の姿があった。 その背中には、傘を持った沙夜子の姿も見える。 傘を忘れた隆士が、雨に濡れながら走って帰ろうとしていると、 途中で朝美を迎えに出て道に迷った沙夜子にばったり出くわし、 一緒に帰る事になったのだ。 沙夜子におんぶをせがまれ、傘に入れてもらう代わりにと、 隆士はしかたなくこうして彼女を背負っているのであるが、 (うう、お、重い…) 沙夜子は決して太っているわけではないが、それなりに上背のある成人だ、 少々フィジカル面に不安のある彼には、文字通り荷が重かった。 沙夜子を背負ってよろよろと歩き出して10分以上、 いつもならそろそろ鳴滝荘に着こうかという頃だが、 今日はまだ駅から半分も進んでいない。 「く、黒崎さん、ちょっと降りて…」 「嫌…」 そろそろ限界に近づいてきた隆士が、沙夜子に一度背中から降りるように頼むが、 彼女はにべもなくそれを断ると、逆に意地でも降りないとばかりに、 隆士にぎゅっとしがみついてきた。 「ちょ、ちょっと黒崎さんってば、頼むから降りてくださいぃ」 「…休みたいの?」 泣き言を漏らす隆士に、さすがに沙夜子にも彼の切迫した様子が伝わったらしく、 耳元でボソリと訊いてくる。 「え、ええ、ちょっと休憩させてください」 「…わかったわ」 ようやく言うことを聞いてくれる気になったかと、隆士はホッとしたが、 沙夜子はなかなか彼の背中から降りようとしない。 「…? あの、黒崎さん、早く降りてください」 「あそこ…」 沙夜子は降りる代わりに、背中に乗ったままでどこかを指差し、 そちらのほうへと視線を向けた隆士は、ドーンと白目を剥いた。 「いぃっ!?」
635 :
雨宿り :2005/12/01(木) 00:43:51 ID:NKi5bHtW
二人がいる道の脇には、コンクリートの高い壁が続いていて、 少し前方に、入り口が見えていた。沙夜子が指差していたのは、 その入り口のところにある、『休憩:4千円〜』という表示だった。 「なに考えてんですかっ!?」 「休憩するんでしょ?」 「あれはそういう『休憩』じゃありませんよっ!」 「休憩じゃないの?」 「……えーと…」 噛み合わない会話に、隆士は詳しく説明する気も起きず、 「と、とにかくそこはダメです! さ、行きますよ」 と冷静を装い、沙夜子を担ぎ直した。とにかくここを立ち去り、 どこか別の、本当に休憩できる場所を探そう… 「くしゅん!」 だが、彼が再び歩き始めようとした時、沙夜子がくしゃみをして、 鼻水が彼の後頭部にべったりとくっついた。 (……うへぇ) 思わず隆士は固まったが、ふと、背中にしがみついている沙夜子の身体が、 ブルブルと小刻みに震えているのに気付いた。 彼と出会う前に、傘を差さずに歩き回っていたのか、 その全身はぐっしょりと湿っている。もう5月も終わりに近いとはいえ、 日暮れも近く、雨まで降っていては、さすがに少し肌寒い。 くしゃみをするのも当然だろう。 「あの、寒いんですか?」 「……」 隆士が後ろを向いて訊くと、沙夜子はコクンと肯いた。 鳴滝荘に着くまでには、この調子ではまだだいぶかかりそうだし、 このままでは沙夜子が風邪をひいてしまうかも… (ど、どうしよう…) あそこなら雨を凌げるし、服も乾かせるかも。 一瞬、ホテルに入ってしまおうかという誘惑に駆られ、 隆士はぶるぶると頭を振った。(だ、ダメだよそんなこと…) 「くしゅっ!」 だが、隆士が葛藤していると、沙夜子がまたもくしゃみをし、 再び彼の後頭部に鼻水のブリッジができる。 (……うへぇ) このままくしゃみ攻撃を受け続けるのも堪らないし、 彼の体力も限界に近い。隆士は覚悟を決めると、後ろを向いて言った。 「わ、わかりました。ちょっとあそこで休みましょう。ご、誤解しないでくださいよ、 きゅ、休憩するだけですからね?」 「ええ…」 にこっとする沙夜子を背負い、隆士はよろよろとラブホテルの中へと入っていった。
636 :
雨宿り :2005/12/01(木) 00:45:16 ID:NKi5bHtW
(こんな風になってるんだ…) 初めて入るラブホテルに戸惑いながら、なんとか部屋に辿り着いた隆士は、 沙夜子にシャワーを勧め、その間、置いてあるソファーに座って、 きょろきょろと物珍しげに部屋の中を見回していた。 (けっこう普通…だな) 6畳ほどの室内には、ツインベッドに、今彼が座っているソファー、 鏡台などが置かれていて狭苦しく、電球、あるいは電球風の蛍光灯だろうか、 やや薄暗い黄色っぽい照明が使われていて、 まるでどこかの家の夫婦の寝室といった趣だ。 彼が想像していたような、丸い回転するベッドとか、 ピンクの壁に鏡張りの天井といったような、いかがわしいものはほとんどなく、 おかげで、沙夜子をラブホテルに連れ込んでしまったというやましさが薄らぎ、 隆士は少しホッとした。 しかし普通の部屋とはいえ、やはりラブホテルはラブホテル、 しかも沙夜子がすぐ隣でシャワーを浴びているのだと思うと、 やっぱり何か落ち着かない。 手持ち無沙汰に、おどおどそわそわと室内を眺めるうち、 隆士はベッド脇の鏡台の上に、ドライヤーが置いてあることに気がついた。 (おっ!) ソファーから立ち上がり、ドライヤーを手にとってスイッチを入れてみる。 すると、ブーンという騒々しい音と共に、しっかりと熱風が吹き出してくる。 (これを使えば、すぐここから出られるぞ) その時、後ろでガチャっとドアの開く音がして、彼は振り返った。 「あ、早かったですね、もう出たんです…かぁっ!?」 バスルームから出てきた、バスタオル一枚の沙夜子に、隆士は目を剥いた。 「な、なんて格好してるんですかっ!?」 「だってまだ濡れてるわ…」 慌てて片手で目を覆い、もう片方の手をぶんぶん振って焦る隆士をまるで意に介さず、 沙夜子は彼のほうへ近づいて来ると、持っていた服を前に出した。 「ああ…」 それもそうかと、隆士は少し落ち着きを取り戻し、今しがた見つけたドライヤーを、 沙夜子に見せた。 「ほら、いいものが置いてありましたよ。これですぐ乾かせます」 「そう。それじゃお願いね…」 「えぇっ?」 僕がやるのか…と内心で思いつつ、隆士は沙夜子から服を受け取った。 自分でやってください、などと言えるくらいなら、 彼女をおぶって歩いたりはしていないだろう。 「頑張って…」 服を渡すとさっさとベッドに腰掛けてしまう沙夜子に、溜め息をつきつつ、 隆士は、まずは一番上に重ねてあったブラウスを乾かそうと、手に取った。 「うわっ!?」 と、その下からブラジャーとパンティーが現われ、隆士は思わす悲鳴をあげた。 (こ、これも僕が…?) 「あの、沙夜子さん、やっぱり自分で……?」 やはりここは自分で乾かしてもらおう。そう思って隆士が振り向くと、 沙夜子はベッドにコテンと横たわり、早くも鼻提灯を膨らませている。 「……」 線目になってしまった隆士は、そのまま顔を戻すと、無言で沙夜子の服を乾かし始めた。
637 :
雨宿り :2005/12/01(木) 00:46:50 ID:NKi5bHtW
「えっ?」 そして10分ほどして、ブラウスを乾かし終えた隆士が、 頬を赤くしながら下着を乾かしにとりかかっていると、 不意にドテッという音が聞こえてきた。見れば、寝惚けたらしい沙夜子が、 ベッドから落っこちている。 (なにやってんだこの人は…) ドライヤーのスイッチを切り、内心少し呆れつつも、落っこちたまま動かない沙夜子に、 隆士は歩み寄った。 「大丈夫ですか黒崎さん?」 声をかけてみるが返事はない。鼻提灯を膨らませたままなところを見ると、 どうやら眠ったままらしい。 やれやれ、と隆士は頭を掻き、しゃがみ込むと沙夜子の背中と足の下に手を差し込み、 よっこらしょと彼女を抱き上げると、ベッドの上へと運んだ。 と、そこまでは良かったが、沙夜子の体重を支えきれずに、 隆士は彼女をどさりとベッドに落としてしまった。その弾みで、 沙夜子が巻いていたバスタオルがはらりと外れ、彼女の裸身が露わになる。 (う、うわぁぁ…) いきなり目に飛び込んできた沙夜子の裸に動転し、隆士は目を逸らすことも忘れ、 沙夜子を見つめたまま呆然と突っ立っていた。 胸の二つの膨らみは、仰向けになっているせいでやや扁平になっているものの、 普段のふくよかさを伺わせるには充分なほどに盛り上がり、 その天辺にちょこんと突き出た蕾は、綺麗なピンク色をしている。 怠惰な生活をしている割には、ウェストはきゅっとくびれ、 胴回りにも下腹部にも、無駄な贅肉は見受けられない。 そして両脚の間には、髪と同じ、黒く艶々とした茂みがあり、 その奥に、ぴったりと閉じ合わさったクレヴァスが延びていた。 肉唇の隙間から、ほんのわずかに、内部の果肉が姿をのぞかせている。 (は、早く隠さないと) 沙夜子の身体を隅々まで見終えてから、ようやく隆士の頭は動き始め、 彼は恐る恐る手を伸ばすと、バスタオルの端を摘んだ。
638 :
雨宿り :2005/12/01(木) 00:48:17 ID:NKi5bHtW
だが、そこで隆士の手は止まってしまった。一度掴んだバスタオルを離し、 隆士はその手を、乳房へと伸ばしていく。 「はっ?」 だがその時、隆士は沙夜子が目を開け、自分をじっと見つめているのに気がついた。 「あっ、あのっ、こ、これは、ですね…その…」 乳房を掴みかけた姿勢のままで、ダラダラと冷や汗を流しながら、 しどろもどろに弁解する隆士に、沙夜子はぼそっと言った。 「したいの?」 「な、なな何をですか?」 「セックス」 簡潔明瞭・単刀直入にズバリと言われ、隆士は目を白黒させた。 「なっ、ななな何言ってんですかーーーっ!?」 「この前内職を手伝ってくれたお礼」 声をひっくり返して絶叫する隆士に、沙夜子は淡々と答えた。 「い、いいですよそんな、お礼なんて…」 「そう…」 隆士が言うと、沙夜子はつまらなそうに呟き、バスタオルを掴んで、 さっさと身体に巻きつけようとする。 「あっ…」 あっさり“お礼”をやめてしまおうとする彼女に、 隆士は思わず声を出してしまった。その途端、 バスタオルを巻きかけていた沙夜子の手が、 ピタッと止まる。 「…したいの?」 「いっ、いえっ! その…」 再び聞いてくる沙夜子に、隆士は否定しようとして、口ごもった。 彼とて健全な青少年、沙夜子ほどの美女に全裸で誘われ、拒否できるほど強くはなかった。 おまけに、「お礼」なのだという正当? な理由があればなおさら、 誘いに乗っても構わないだろうという気持ちにもなろうというものだ。 しばらく逡巡したのち、隆士はグビッと喉をならすと、口を開いた。 「はっ、はいっ、お願いします!」 彼の返事に、沙夜子はにこっと微笑んだ。
とりあえず前半だけ貼ってみましたがどうでしょう? 続きはまた今度。
キタコレ
白鳥キュンオメガカワイイ
642 :
ココロネ :2005/12/01(木) 08:02:36 ID:wVNzbp2d
「まひるさん・・・今日もまた一人で遊んでいるのね・・・」 暗く、光の閉ざされた部屋から声が聞こえる。その声の主は水無月夕。 彼女の体はある問題を抱えていた。 それは光、特に日光に弱いこと。そのために日中外に出られず、愛しい娘と遊ぶことすらままならかった。 「ああ・・・私が光にさえ弱くなければ一緒に遊んであげられるのに・・・」 カーテンを少しずらし、一人遊ぶ娘を見ながらつぶやいた。 娘のために何もしてやれない自分が憎い。何かいい案はないか?しばらく考えてある結論を導き出した。 「・・・・そうだわ!」 頭に電球を浮かべ、ピコーンという効果音を出した彼女は、早速作業に取り掛かった。 「こんな簡単なこと今まで気づかなかっただなんて・・・ウフッ♪」 ニコニコしながら作業を進める夕。早くも娘と戯れている光景を想像しているのだろう。母親の、やさしい顔になっている。 「・・・よし!これで完成♪まっててくださいね、まひるさんっ♪」 意外と早く完成した。それもそのはず、大きな黒い布に二つの穴を開けただけの粗末なもの。しかし厚手の布のため遮光の効果はかなりありそうだ。 これをかぶって外に出ればもう光なんて怖くない。夕は満足げだった。 しかしそんな安物オバケみたいな格好で外をうろつけば誰だって怪しむ。そんなことを微塵も感じない夕はさすがは沙夜子の母親である。 「さあ!いきますよまひるさん!」 期待と不安が混じりながらゆっくり屋敷の外に出て行く夕。黒い布は思ったとおり光を遮断してくれた。 (ふぅ・・・ひと先ずは安心ですね。少し重たいのが難点ですが・・・) 彼女の小さな体には少々荷が重いかもしれないが、愛する娘のため、にと夕はまひるを目指して進んでゆく。 やがて一人遊びに興じているまひるを見つけるとついつい気持ちがはやってしまう。 (あっ!まひるさん!今行きますよ♪) やがて距離を詰めるとまひるが夕に気づいた。 (まひるさ〜ん!一緒に遊びましょ〜) しかし 夕は気づかなかった。まひるの目が母を見る子供の目ではなく警戒に満ちた目であることを・・・
643 :
ココロネ :2005/12/01(木) 08:03:38 ID:wVNzbp2d
(まひるさ〜ん) 「あやしいやつめ」 (・・・へ?) まひるはノーモーションでボールを投げてきた。しかも恐ろしくはやく。 (?まひるさ・・・ああんっ) ボールは夕に直撃した。少し後ろによろめくも何とか踏ん張った。ここで布が取れてしまえば待っているのは死だ。しかしまひるはもうボールを手に取り、 こんどは振りかぶっている。 (!? ちょっ まひるさん!?) 「あやしい・・・やつめ!」 ゴッという音とともに夕に再び直撃する。こんどはかなりのスピード・威力だった。たまらず夕はその場に倒れてそのまま気絶した。 「・・・あやしいやつめ・・・」 そうつぶやき止めをさそうと大きく振りかぶる。しかしそこに 「お嬢様、どうされました?」 騒ぎを聞きつけたタチバナがやってきてまひるの前に躍り出た。その手にはダーツや銃、くまたんなどいろいろな武器握られていた。 「うむ・・・こいつあやしいやつ」 まひるが指差した先には確かにあやしいやつが寝転がっている。 「・・・わかりました。お嬢様、危険ですのでお屋敷の中に・・・後は私にお任せください。」 「わかった。たのんだぞ。」 そういうとまひるはボールをつきながら屋敷の中にはいっていった。 タチバナはそれを見届けると、あやしいやつ(夕)を担ぎ顔を近づけてこうつぶやいた。 「何者だ?お嬢様、水無月家に何のようだ?場合によっては生きては返さんぞ。」 落ち着いていて、そして背筋が凍るようなトーンであやしいやつに告げるタチバナ。のどもとにはしっかりダーツを突きつけている。 返答がない・・・タチバナは布をめくろうとして手をかけた。そして警戒しつつ布をめくった。そして・・・ 「!!??おっ・・奥様!?」 タチバナらしくない驚きの表情と声。あやしいやつの正体が夕だっただけに無理はない。 タチバナはしばらく固まっていた。なぜ奥様がこんなところに?そしてこんな格好で? わからないことだらけだ。
644 :
ココロネ :2005/12/01(木) 08:04:14 ID:wVNzbp2d
「う・・・う〜ん・・・」 しばらくして夕が目を覚ました。おでこにできたたんこぶをさすりながら。 「奥様!?大丈夫ですか?」 「あら?タチバナさん・・・?私確かまひるさんとあそぼうと・・・キャアアアアアアアアアアアッ!」 突然悲鳴を上げる夕にびっくりしたタチバナは再びおろおろすることしかできなかった。 「・・・!しまった!日光か!」 布をめくりっぱなしにしていたために夕は太陽光線をじかに浴びていたのだ。 「申し訳ありません奥様。しばらく辛抱を・・・」 そういうとタチバナは布をかけると同時に屋敷に向かって走り出した。このままでは夕が危ない。一刻も早く休ませないと・・・ ここからだと玄関は遠いと判断したタチバナは、自分の部屋を目指して走り出した。 さっきの騒動を見て部屋を飛び出してきたために窓は開けっ放しであった。窓との距離、歩幅、角度、全てを瞬時のうちに計算し、トップスピードのまま部屋に飛び込んだ。 そしてやさしく着地、夕の無事を見てほっ、と一安心する。 「ほんとうに、申し訳ありませんでした・・・」 「タチバナさん・・もうお顔を上げてください。」 すっかり元気を取り戻した夕はタチバナの部屋のベットに腰掛けている。その下には深々と頭を下げるタチバナがいた。 「しかし・・・わたしは知らずとはいえ奥様にとんでもないことを・・・」 「もういいんですよ♪悪いのは私ですし・・・あなたのとった行動はまひるさんやみんなを守るためにしてくれたのですから。どうか気にしないで♪」 「・・・わかりました奥様・・・しかし・・・」 「? どうしました?タチバナさん。」 「なぜあのようなご格好で外に?」 「あ・・・そ、それは・・・」 夕は顔を赤くしながらタチバナに全てを説明した。
645 :
ココロネ :2005/12/01(木) 08:05:01 ID:wVNzbp2d
「そうですか・・・本来ならば私たちがお嬢様のお相手をしなければならないのに・・・申し訳ありません・・・」 「いえいえ♪あなたたちはお仕事があるので仕方ないですよ。それも気にしないでください。」 「・・・はい」 「でも・・・何かいい案は無いでしょうか??」 天井を仰ぎ、指を唇に重ねて考え込む夕を見て、何か力にならねばと自分も案を考えるタチバナ。 しばらく考えて、何か思い出したように「あっ」とタチバナが声を上げた。 「奥様、しばらくお待ちください。」 「?」 そういうとクローゼットの中から人間の子供サイズのくまのぬいぐるみを引っ張り出した。 しかし中身が無いのか、でろーんと力なく四肢がたれている。よくみるとそれはぬいぐるみではなく、きぐるみだった。 タチバナはそれを夕の前に丁寧にひろげた。 「まあ・・・タチバナさん。これは・・・?」 「はい。くまたんスーツです。 「くまたんスーツ?」 「はい。くまたんスーツです。これを着て外に出ればまず怪しまれることはないかと・・・生地も厚く光を遮断でき、それでいて通気性も抜群です。」 夕は「これだ!」という表情でくまたんスーツを見つめる。 「タチバナさんっ!ありがとうございます!これでまひるさんとも遊ぶことができます!でも・・・いいんですか?こんなの頂いて・・・」 「はい。奥様とお嬢様のためならば差し上げます。私の手作りですが・・・」 「わかりました・・・ではこれをいただきます♪・・・あの・・・もうひとつ質問が・・・」 「はい?なんでしょうか?」 「どうして小さく作ったのですか?タチバナさんのサイズじゃ合わないみたいですが・・・」 「・・・・・・・・・・つい・・・・・・・・」 その場が一瞬妙な空気に包まれる。彼女が寸法ミスなんて考えられない。初めから誰かのために作ったのだろう。 「え・・・えっと・・じゃあ早速着てもいいですか?」 「はい。わかりました。お手伝いします。」 そういうと夕は立ち上がり、タチバナに背を向ける。タチバナは夕の服をするりと脱がせていく。正面の鏡に夕の体が映りこみ、タチバナは思わず見入ってしまった。 静かに服を脱がしていたが、」タチバナが突然口を開いた。
646 :
ココロネ :2005/12/01(木) 08:06:13 ID:wVNzbp2d
「奥様・・・」 「・・・?どうしました?タチバナさん。」 「お綺麗です・・・」 「うふふ♪ありがとうございます。」 二人の顔がほんのり赤く染まり、また静かに服を脱がし始めた。少しずつあらわになっている夕の体。とても40代後半とは思えないほどの体を見たら、だれだって「綺麗」 を口に出してしまう。やがて全てを脱がせ、下着だけになった夕はタチバナの手をかりてきぐるみ野中に手足を通す。 「・・・どうですか?タチバナさん♪」 きぐるみ姿の夕がくるっとその場で回って見せた。その姿は動くぬいぐるみ。なんともかわいらしい。 「はい。とてもお似合いです。くまたん。」 「えっ?」 「! 失礼しました。奥様。」 「そうですか・・・ それにしてもよくできていますね♪まるでぬいぐるみになったみたいですよ。」 「喜んでいただければ幸いです。くまたん様。・・・はっ」 「?」 「いいえ、何でもありません。奥様たん。・・・はっ」 「タチバナさん?」 タチバナは、やられていた。 彼女の目の前にいるのは奥様ではなく、しゃべって、動くくまたん。 大好きな、大好きなくまたん。タチバナは今にも飛びつきそうだ。しかしそれをかろうじて残った自我が食い止めている。 しかしそんな抵抗はまったくもって無駄だった・・・・ 「くまたん!」 「きゃあああああ!?」 タチバナは夕をベットに押し倒して、そして顔をスリスリしながら力強く抱きしめる。 「くまたん!くまたん!大好きだよ!ああ・・・くまたん・・・あったかい・・・」 「たっタチバナさん!?ちょっっ・・・ああっ!やめてください!こんなこと・・いけませんよぅ!」 もうタチバナには何も聞こえない。彼女の頭の中は「くまたんを抱きしめる。」でいっぱいだった。 (タチバナさん・・・一体どうしちゃったの?こんなタチバナさん初めて見ます・・・) そう考えながらなすがままにされる夕。次の瞬間タチバナが驚きの発言をした。 「くまたん・・・キスして・・・?」 「「ええええ!?」」 「タチバナさん!それはちょっとまずいですよっ!」 必死の抵抗も虚しく、段々とタチバナの唇が近づいてくる
647 :
ココロネ :2005/12/01(木) 08:06:43 ID:wVNzbp2d
くまたんの口の部分にタチバナの唇が触れ、縫い目を分けて夕の唇に到達した。 「ああっ!ダメっ!タチバナさ・・・んんんんんんっ!」 ねっとりと、夕の口の中、外全てを丹念に犯していくタチバナ。クチュクチュと卑猥な音と、タチバナの喘ぎ声が響いてくる。 しばらくして抵抗しかしなかった夕もついに折れ、タチバナのキスにあわせるように喘ぎ始めた。 「ぷはあぁっ・・・くまたぁん・・・んちゅっ・・ちゅるっ」 「ああっタチバナさん・・・ちゅっ・・・あはっ・・・」 「くまたぁん・・・くまたん・・・」 しばらくキスの嵐が続き、夕の頭はボーっとしている。突然キスが終わりタチバナは夕から離れた。 「?」 ボーっとする頭の中で夕は不思議そうにタチバナを見つめていた。近くでわからなかったがタチバナは満面の笑みを浮かべていた。はじめてみる彼女の顔。 彼女がここに来てはじめて見せた顔。 (タチバナさん・・・あんな素敵な笑顔なさるんですね・・・もっと見ていたいです・・・) キスのせいかはわからないが夕はこんなことを思っていた。でもタチバナの笑い顔を見て少しうれしくなったのは事実。 過去のことでもう笑えないのでは?と思っていただけに、うれしく、そして安心した。 「くまたん・・・濡れてるよ・・・?」 気がつくとタチバナはいつの間にか夕の足元に移動していた。そしてまじまじと秘部を見つめている。 さっきまでの自分なら当に拒んでいた。しかし今は・・・彼女が笑顔になるなら・・・ 「タチバナさん・・・触ってください・・・」 「うん♪わかったよくまたん♪」 「あっ!あああっ!!」 先ほどと同じように縫い目の隙間から指を侵入させ、ぐしょぐしょになった割れ目をパンツ越しにやさしくなぞる。 「あっ!すごいっ!きもちいですうぅ!・・・あっ!はあぁぁぁん!!」 「うふふ・・・くまたんって・・・敏感なんだね・・・・ほら、指入れるよ?くまたん・・・」
648 :
ココロネ :2005/12/01(木) 08:07:14 ID:wVNzbp2d
タチバナは器用に片手でパンツをずらし、一気に突き刺した。ぐちゅぷっという音とともに愛液がとびちり、さらに秘部を湿らせていく。 「・・・・・あああああああっ!すごいいっ!なんで・・・?何でこんなに感じるんですかぁあ!?」 「ああっああっ!もういっ・・・イッちゃいそうですうぅ!タチバナさぁん!」 「くまたん!イッていいよ!激しくしてあげるね!ああっ・・もう・・・くまたんかわいい!!!」 そういうとタチバナは一気にスパートをかけた。片手では自分の秘部をいじっていた。 「ああー!ああー!イくぅ!イクよおおおおおおおおお!・・・・ああああああああん!!」 「私もっ!一緒にイこう!?くまたん!くまたっ・・・・・・ああああああああああぁん!」 絶頂に達した夕は勢いよく潮を吹き、つまさきをピンと張り痙攣していた。 タチバナもベットに寄りかかり、肩で息をしている。 「ああ・・・くまたんかわいい・・大好き・・・くまたん・・・・」 「タチバナさん・・・好きですよ・・・・タチバナさん・・・」 二人とも静かに寄り添い深い眠りについた。自然と手をとり寝息を立てる二人。 その顔は、笑顔。 メイドと主人ではなく、二人の心が通い合った満足げな笑顔。 二人は優しく、優しく、抱き合い、眠った。
649 :
ココロネ :2005/12/01(木) 08:08:02 ID:wVNzbp2d
先に目が覚めていた夕はタチバナの頭を優しくなでていた。愛しい娘、わが子をなでるように。 やがて目を覚ましたタチバナに、「おはよう」とつぶやく夕。母の笑顔だ。 タチバナは起きるやいなやベットの上で土下座した。 「・・・・・!も・・もうしわ・・けありません・・・あ、あの、わたしあの・・・」 ひどく怯えているのか、小刻みに震えているのがわかる。こんなタチバナも初めて見る。 「わた、私、奥様にその、と、とんでもないことをしてしまいました・・・この責任は・・・」 最中にギュッと抱きしめる夕。あっけにとられるタチバナの頭を上げさせて、また抱きしめる。そして耳元で囁いた。 「あなたの笑顔が見れました・・・貴女が笑ってくれました・・・あなたの心が少し見れた気がします・・・」 「あなたは大切な家族です・・・だからそんなにあやまらないで?最初はびっくりしたけれどあの行為があなたの「心音」に聞こえたから・・・」 「これからも私たちのこと、よろしくお願いします。タチバナさん、もっとあなたのこと見せたください・・・だってあなたは大事な大事な娘ですから・・・」 夕の声。それは優しく、きれいで、初めて聞いた母の声。初めて感じる母の愛。 そしてはじめて流した、涙。 「・・・お・・くさま・・・うっっ・・ああああっ・・・!おかっ・・おかあさん!おかあさぁぁぁん!!」 「ウフフ・・・こんなタチバナさんも始めて見ましたよ・・・」 「うわああぁあああん・・・あっ・・あうっ・・・ああああああん!」 泣きじゃくる「娘」を優しく抱きしめる「母」 それは紛れもない親子。 タチバナが「乙女」に執着するのは、母に甘えたいという心音からのものかもしれない。 夕はタチバナが泣き疲れて眠りにつくまでずっと、ずっと抱きしめていた。
650 :
ココロネ :2005/12/01(木) 08:08:35 ID:wVNzbp2d
「母様早く遊ぶ。」 「はいはい♪今行きますよ♪」 タチバナの言ったとおり真昼には怪しまれずに一緒に遊ぶことができるようになった。 娘と遊ぶ。親子の関係。 「じゃあ、行ってきますねタチバナさん♪」 「はい。お気をつけて」 (タチバナさん・・・今夜もいいですか?) (・・・わかりました・・・おまちしております。) にっこりと笑う二人。これもまた親子の関係。 「母様。さっきタチバナと何はなしてた?」 「うふふ♪家族の会話ですよ。まひるさん♪」 「? 母様最近ちょっと明るい」 「ウフフ♪」
651 :
ココロネ :2005/12/01(木) 08:10:35 ID:wVNzbp2d
以上で終わりです。玉砕覚悟で投下しました。 駄文を長々書いて申し訳ありませんでした。 呼んで頂いたら幸いです。
652 :
ココロネ :2005/12/01(木) 08:45:40 ID:wVNzbp2d
う・・・ 最後でまひるミスってる・・・
キタヽ(゚∀゚ )メ(゚∀゚ )メ(゚∀゚)メ( ゚∀゚)メ( ゚∀゚)ノコレ!!
>>634 朝美ちゃんが居たら怒るぞ
「だ……駄目だよ、お母さん!! 4千円なんて大金、おにいちゃんに使わせるなんて!!
(※根本的に理解してない) 早く家に帰って、お風呂に入ろ」
「…………」(※「何だこいつら」と訝しむ通行人の視線)
>>651 GOOOOOOOD JOOOOOOOB!!!!!!!!!!
奥様たんwwwww
>>651 クマの着ぐるみとはなかなか良いアイデアだ。
鳴滝荘に行ったら白鳥きゅんが千百合にクマの着ぐるみを着せられてたとか、
色々パターンを変えてつかえそうだな。
ということでふと思ったが、イヌのぬいぐるみとかならどうなのだろう?
ジョニー見て欲情するタチバナさん・・・
しかし、ここの衰退ぶりがひどいなぁ…。 職人さんたちはどこにいってしまったんだ。
職人もがエロのあと
職人を呼び込んだのも住人、おいだしたのも住人じゃ世話無いわな・・・
まぁ過ぎたことだ。今更言ってももう遅い。 俺達には力が無さ過ぎた。ただそれだけだ。
自分でSS書けばいいのに。
にしてもここの住人はどこまで職人が嫌いか。 ぐうたら氏だって厨房だと言う点を除けば書き手としても一、二を争うクオリティだし 初代スレからずっとSSを投下して貢献してくれた人だぞ? それを厨房カエレで済ますのはあんまりだと思ふ
一応職人?だったものだが、 今は書く気がない。なんていうか、モチベーションが下がってるっていうか。 まほらばでやりたいことは結構やったからなぁ… 同じこと何回もやるのはアレだし。書く時間も無いし。 自分が書いてないのは黒崎親子と梢他人格だが… 話が浮かばんよ。
つエロパロ板人口の約60%が21歳未満 年齢でゴタゴタ言う時代はもう終わったんだ。
>>667 当局がこれをネタにしてネット実名制を推進しようとしています。
オマイラモチツケ
>>667 おっと話題をそらすのに必死なアホが登場〜〜
ぐうたらが叩かれたのは「未成年」だからじゃなく
「空気が読めない」からだっての知ってたか? マヌケ
雨宿り前半読みました。GJです。続きマダー?
それは当然の出来事だった。 雨の日に隆士と一緒に鳴滝荘の廊下を歩いていた梢が足元の雑巾をふんずけてコケたのは 誰にも予想できない事態だった。 頭を打って気を失った彼女が、そんな彼女を必死で介抱する隆士が、その後どんな 事態に陥るかは神のみぞ知る出来事だった。 「・・・ん・・・・・んっ・・?」 「梢ちゃん・・・梢ちゃん・・・梢ちゃん!!頭痛いの!?どこか悪いの!? 大丈夫!?大丈夫!?!?」 「・・・あ・・・え・・・・しらとり・・・・白鳥・・・?」 「梢ちゃん!・・・梢ちゃん!・・・・え・・・?」 「白鳥・・・なんでお前は私を抱き寄せてるんだ・・?」 「ひょっとして・・・早紀ちゃん?} 「よっと。私は大丈夫だぞ、白鳥。ちょっと後頭部が痛いが・・・・イテェ〜。」 「そっか・・・早紀ちゃんになっちゃったんだ。・・・大事にならなくて良かった・・・。」 「それにしても久しぶりだな、白鳥。これも何かの縁だ。一緒に酒でも飲もうぜ。」 こうして二人は隆士の部屋に向かうのだった・・・。
酒飲んだ酔いの勢いで書きました。続きはまた酒のんだら書くと思います。たぶん。 まだ冒頭部ですが感想、批評などあったらどーぞ。
冒頭すぎて感想かけません(><)
676 :
名無しさん@ピンキー :2005/12/04(日) 14:29:08 ID:OD/DkFpA
お久し振りです 短編 「The moment (or the day) that colours our scenes of SEPIA to vibgyr; I think, for example, or it's a figure of another future」 それでは投下ー
677 :
The moment (ry :2005/12/04(日) 14:30:26 ID:OD/DkFpA
海の底から意識が浮かび上がってくる様な感覚を思えながら、僕はふと目を覚ました。 時計を見る。――10時35分。 カーテンの隙間から射す陽の光。 その光が照らす、テーブルの上のやりかけの課題。 ―――朝。 取り敢えずは「いつも通り」の。 けれど昨日のとも、一昨日のそれとも、 少しだけだけど、何処かが違う。 少しずつだけど、確実に変わっていく。 そんな朝。 いつもの朝。 或る意味では、新鮮な。 ◆
洗面所に行くと、既に先客が居た。 「おはよー白鳥クン。どう?良く眠れた?」 にゃはは、と笑いながら、桃乃さんは片手をひらひらと振る。 「ええ、まあ…何とか」 あまり返事になってない返事を返して、僕はコップに水を汲んだ。 自然に笑おうと努めたつもりだったが、多分苦笑いになっていたと思う。 昨夜は例によって宴会で、酔った桃乃さんと悪ノリした珠実ちゃんに半ば脅迫に近い形でイッキ飲みを強要され、敢え無くダウン。 今日が日曜日じゃなかったら、今頃は寝不足と二日酔いで野垂れ死んでいたかも知れない。 「桃乃さんは?」 僕が訊ねると、彼女は少しばかり豪快に歯ブラシを動かしながら、 「ん、あたしはこれからシゴト。子供も結構可愛いモンよ?」 そう言うと、桃乃さんはコップの水をぐいと呷った。当然だが飲んではいない。 あれから桃乃さんは、ピアノ講師をしている知り合いの誼で、近所に住んでいる子供達にピアノを教える「シゴト」をしている。 本人はボランティアでやりたいと言ったそうだが、知り合いの好意で「授業料」として多少のお金を貰っているそうだ。 ―――このままじゃダメだ、って…何となくそう思ってさ。 缶ビールをぐいと呷り、 ほろ酔い気分で笑いながら、 だけど何処か真面目な顔で、 何時だったか、桃乃さんはそんな事を言った。
「……………」 変わらない。僕が此処に来た時からずっと。 目の前の桃乃さんは、以前と何等変わらない、僕の知っている桃乃さんの儘だ。 酒好きで宴会好きでお調子者で、だけど実は繊細で一途で、 人の痛みを―――カラダの痛みもココロのそれも―――誰よりも良く知っている、理解ってあげられる、そんな桃乃さんの。 だけど、今の桃乃さんはしっかり大学に通っている。 ピアノを弾く事に、新しい意味と意義を見出し始めている。 過去の自分と向き合って、 現在の自分を真直ぐに見据えて、 未来の自分に後悔の無いバトンタッチをする―――そんな人生を、彼女は歩もうとしている。 同じ だけど 違う。 変わらない けれど 変わっていく。 何時も通りに見える日常も。 何時も身近に居る人たちも。 少しずつ、だけど確実に。 一歩ずつ、だけど確かに。 進んでいく。前へ。 進んでいる。今も。 桃乃さんだけじゃない。 珠美ちゃんも灰原さんも、 沙夜子さんも朝美ちゃんも、 そして―――
「―――白鳥クン?」 「うあはっ!?」 気が付くと直ぐ近くに桃乃さんの顔があって、 僕は自分でもどうやって出したのか良く分からない奇声を上げて素早く後退りした。 「どうしたの? ボーッとして」 「いっいや何でもっ!何でもないですっ!」 毎度の事ながら、突然フェードインしてくる桃乃さんの顔は非常に心臓に悪い。 別に疚しい事を考えていた訳ではないのだけれど、吃驚したショックでつい意味も無く慌ててしまう。 考え事をしていると周りが見えなくなる僕の癖は、どうやら未だ抜けていないらしい。 …何も変わってイナイのは、僕だけ。 「…………」 ―――僕も。 机の上の"課題"―――「新しい」ハル―――の事を、ふと思い浮かべる。 ―――僕も、変わらなくちゃ。 僕は意を決したように、コップに並々と注がれた水をぐいと呷った。 当然ながら、飲んではいない。 ◆
洗面所を出ると、中庭によく見知った姿が在った。 「…あ」 ぼんやりと立っている僕に気が付くと、彼女―――梢ちゃんは箒を持つ手を止めて、 「―――おはようございます、白鳥さん」 燦々と注ぐ春の陽光に勝るとも劣らない、柔らかな笑顔を僕に投げ掛けた。 ―――このままじゃダメだ、って…何となくそう思ってさ。 桃乃さんの声が、不意に脳裏に甦った。 桃乃さんだけじゃない。 珠美ちゃんも灰原さんも、 沙夜子さんも朝美ちゃんも。 あの日を境に。 皆、あの日を境に、何かが変わった。 ―――まほらばは、ただ雨宿りをする為だけの場所じゃなくて。 あの日、 僕の大切なひとが「変わった」ように。
―――じぶんに合う傘を、探す場所。 ………本当に、これで良かったのか。 果たして、この選択は正解だったのか。 それは僕にも―――きっと梢ちゃん自身にも―――わからない。 ―――じぶんだけの傘を、見付ける場所。 だけど例えば、 それが「梢ちゃん」自身の選んだ答えであるのなら。 ―――土砂降りの雨の中にでも飛び込んでいける、 僕は思う。 それは、 例え"不正解"であっても、 決して"間違った"答えじゃない、と。 ―――傘を、 強さを、見付け出す場所――
「―――白鳥さん?」 梢ちゃんの声で、僕はふと我に返った。 「どうかしたんですか?…ボーッとして」 ちょっとだけ、心配そうな顔をする梢ちゃん。 「ううん、何でもないよ。―――ちょっと考えゴト」 外は小春日和。 一昨日のとも昨日のそれとも、同じようで違う春の陽射し。 目の前には最愛のこいびと。 柔らかなはるの笑顔。 初春の空を背に輝く、鮮やかな虹色の瞳。
684 :
676 :2005/12/04(日) 14:44:07 ID:OD/DkFpA
という訳で「The moment (ry」でした この作品は前作「セピア」と"対"になってます 前作がバッドエンドならこっちは…というワケで タイトルについてはただ長い名前を付けたかっただけです …大塚愛じゃあるまいし何言ってんだ自分 また暫くは名無し潜伏です では
キタヽ(゚∀゚)メ(゚∀゚)メ(゚∀゚)メ(゚∀゚)メ(゚∀゚)メ(゚∀゚)メ(゚∀゚)メ(゚∀゚)メ(゚∀゚)メ(゚∀゚)メ(゚∀゚)メ(゚∀゚)メ(゚∀゚)メ(゚∀゚)メ(゚∀゚)ノコレ!!!!!!!!!!
>>676 お疲れ様です。
早紀ちゃんの一人称て「アタシ」でしたっけ?
688 :
キル・バーン :2005/12/04(日) 16:14:12 ID:kAYO4PeQ
うん、まぁ当然だけど
>>688 をクリックしないでね
TOPは中国か韓国かどっかのサイトっぽかったけど
>>690 踏んでない踏んでない
アドレス辿ってTOP見ただけヨ〜
693 :
雨宿り :2005/12/04(日) 23:05:17 ID:R3eBogJC
隆士はベッドに上がると、寝そべった沙夜子の横に四つん這いになった。 心臓がドキドキと痛いほどに脈打ち、頬が灼けるように熱い。 なんでこんなことになっているんだろう? 本当にいいんだろうか? この期に及んでも、未だ事の成り行きが信じられず、 隆士はもう一度沙夜子に訊いた。 「あの、本当にいいんですか?」 「ええ。おんぶもしてくれたもの…」 それから、お昼にお茶を貰ったお礼も…と思ったが、 それは言う必要ないかと、黙っておく。 「わたしじゃ嫌?」 「いっ、いえっ、そんな事は…!」 小首を傾げて訊く沙夜子に、隆士はブンブンと首を横に振った。 そしてぐっと息をのむと、彼は沙夜子に寄り添うように横たわり、 ゆっくりと沙夜子の顔に近づけた。沙夜子がそっと目を閉じると、 隆士も目を閉じ、ぎくしゃくしながらも彼女に唇を重ねる。 唇に、沙夜子の柔らかくて暖かい唇の感触が伝わってきた。 少し甘酸っぱい女性の香りが、隆士の鼻腔をくすぐる。 (キスってこんな感じなんだ…) 隆士はファーストキスの感触にぽーっとなりながら、 右手を沙夜子の胸へと持っていった。 「…!」 ふにゅっと柔らかな膨らみが、その右手に触れる。 (すごく柔らかいや…それに、すごくあったかい…) マシュマロのような弾力に富んだ、暖かな大きな膨らみ。 その中央にこつんと突き出た突起…乳首が、彼の掌を突き上げている。 隆士は、そっと手を動かしてみた。乳肌を優しく撫でながら、 ゆっくりと小さく円を描くように動かすと、彼の手の下で、 乳肉がふにゅりと形を変え、ころころとした乳首が掌をくすぐる。 (すごい…すごいや…) 沙夜子の乳房の得も言えぬ感触に、次第に隆士の手には力がこもっていった。 肌を撫でていただけだった手が強く押し付けられ、乳房を押し潰す。 そして隆士は沙夜子の乳肉をぎゅっと強く握りこむと、 そのままぎゅっぎゅと荒々しく揉みしだいた。
694 :
雨宿り :2005/12/04(日) 23:06:31 ID:R3eBogJC
「んっ…」 と、隆士の身体の下で、沙夜子がビクッと震えたかと思うと、 急にキスをやめて顔を離した。 「痛いの…」 「あっ、す、すいませんっ!」 涙を滲ませる沙夜子に、隆士はぱっと手を離し謝った。 そして一度大きく息を深呼吸すると、再び彼女の胸へ手をやる。 優しく、優しく…そう自分に言い聞かせながら、 最初にしていたように、隆士はそっと乳房を撫でた。 乳房を凝視し、柔らかく転がすように撫でさすりつつ、 時折沙夜子の表情を伺いながら、強めに力を入れ、 乳肉に指を食い込ませてみる。 「あ…」 何度目かに隆士が強く乳房を握った時、沙夜子が声を漏らした。 だが、その顔には嫌がっている様子はなかった。 頬をほんのりと紅く染め、むしろ嬉しそうにも見えるくらいだ。 艶っぽさと可愛らしさの入り混じった沙夜子の表情に、 隆士の頭にカァッと頭に血が上っていく。 乱暴に揉みしだいてしまいそうになるのをぐっと抑え、 代わりに隆士は彼女の乳房に顔を押し付けた。 右手で乳房を撫でさすりつつ、空いている方の乳房を舐め、 乳首に吸い付く。 「ふぁ…」 ちゅぱちゅぱと乳首を吸われ、またも沙夜子が感じているような声をあげた。 それを証明するように、隆士の口の中と右手の下で、 乳首がツンと尖って来る。隆士はその乳首を舐め、舌先で転がし、 甘噛みし、その周りの乳輪や乳房にも唇を移し、舐め回した。 右手も、乳房を撫で回しながら、固くなった乳首を指の股に挟んだり、 指先で摘んでクリクリと弄り回す。
695 :
雨宿り :2005/12/04(日) 23:08:28 ID:R3eBogJC
「ん…あっ…うぅん…」 沙夜子が甘い喘ぎを漏らしながら、白鳥にしがみついて来た。 その声を聞きながら、隆士は乳房を弄る手を彼女の脇に移し、 すべすべとした柔肌を撫でさすりつつ、彼女の体の脇に沿って、 下のほうへ動かしていった。脇腹、腰、そして太腿、それから内股を撫で回し、 最後に脚の間へと…。 ふわりとした陰毛を掌に感じながら、手探りで割れ目の部分を探し当て、 確かめるように、その部分を指先で何度か擦りあげる。 「あっ…」 隆士が思い切って、指をクレヴァスの中に潜り込ませた瞬間、 沙夜子が小さく叫んだ。隆士の背中に回した腕にぐっと力がこもり、 太腿がぎゅっと摺り寄せられる。しかしすぐに沙夜子は身体を弛緩させ、 隆士の指を受け入れた。 指先に感じる、ぬるりとした、熱い柔肉の感触…。汗などとは違う、 ぬるついた液体に、童貞の隆士でも、沙夜子が感じているのだと、 すぐに思い当たった。 (濡れてる…感じてるんだ…沙夜子さん) 自分の愛撫で女性が…沙夜子が感じているのだと思うと、 なんだか無性に嬉しく、そしてまた興奮を覚え、 隆士は一段と激しく、沙夜子の乳房にむしゃぶりついた。 乳肌を舐めまわし、勃起した乳首を口に含んでちゅうちゅうと強く吸いたて、 軽く歯を立てる。沙夜子の乳房は、隆士の唾液で濡れそぼり、 てらてらと輝きながら、彼の愛撫にあわせ揺れ動いた。 隆士は乳房の愛撫と同時に、肉の溝に潜り込ませた指を動かし、 彼女の秘花を弄っていた。肉層を掻き分けて、花弁の奥底を上から下へ、 下から上へと指を上下させ、やがて隆士は割れ目の下のほうに、 肉の窄まりを見つけ出した。 (ここが…) 「あ…」 隆士がそっと中指の指先を秘門に潜らせると、沙夜子が小さく声を漏らした。 「あ…あ…」 ずずっ、ずずっと、隆士は指をその中に潜らせていくにつれ、 沙夜子の声が断続的にあがる。 (凄く濡れてる…それに柔らかくて…すごく熱い) 蜜壷の中では一段と大量の愛液が溢れかえっていて、 熱く充血した媚肉が、隆士の指にねっとりと絡みついてくる。 せめぎあう襞肉を掻き分けながら、隆士は指を根元まで潜らせると、 その中を探るように、指の腹で膣壁をなぞりあげた。 「んっっ」 内部からくすぐられ、下腹をびくびくと波打たせて沙夜子が喘ぐ。 膣にきゅっきゅっと力がこもり、隆士の指を心地よく締め付ける。 「んっ…あ…」 隆士は中に突き入れた指をくねらせ、ひねり、そしてゆっくりと抽送すると、 じゅぷっ、じゅぷっと音をたて、指の隙間から愛蜜が溢れ落ちる。
696 :
雨宿り :2005/12/04(日) 23:10:34 ID:R3eBogJC
「あっ…あっ…」 指を奥まで突き入れられる度、沙夜子はびくっびくっと身体を震わせ よがり声を漏らした。頬は真っ赤に染まり、その黒い瞳は、 いつも以上に焦点があっていないようだ。 「あっ…んっ…あ…」 乳首を強く吸いたてられ、胎内をまさぐられて、沙夜子は腰をくねらせながら、 何度も何度もかすれた甘い喘ぎ声をあげた。初めて耳にする女性の… 沙夜子の悦びの声に、隆士の興奮はますます高まっていく。 (も、もう我慢できない…!) そして遂に興奮が頂点に達した隆士は、愛撫の手を止め、 背中に回されていた沙夜子の腕を振り解き、 バッと身体を起こしてベッドの上で立ち膝をついた。 カチャカチャともどかしげにベルトを外し、 隆士がズボンとトランクスをまとめて引き下ろすと、 びょんと、ヘソまで反り返るほどにいきり立ったペニスが勢いよく姿を現す。 隆士はそのままズボンと下着から右足を引き抜き、そして左足も引き抜くと、 ベッドの横に投げ捨て、沙夜子を組み敷くような格好でのしかかった。 「い、行きますよ?」 そう言うと隆士は沙夜子の返事も待たず、彼女にのしかかると、 剛直を彼女の股間に押し当てた。 (あれ…どこだ…) ぐいぐいと分身を割れ目に押し付けるが、なかなか巧く挿入できず、 隆士は右手でそれを掴むと、位置を合わせる。 (…! ここか?) ようやく亀頭が秘口らしき部分を捉えると、 隆士は腰にわずかに力を込めた。その途端、 ペニスの先端がずぶりと沙夜子の中に入り込むのを感じる。 (ここでいいんだ…) 位置が正しいのを確信し、隆士は思い切ってぐっと腰を突き出すと、 ずぶずぶっと、彼のペニスはほとんどなんの抵抗もなく、 いっきに根元近くまで、沙夜子の中へと飲み込まれていった。 「くっ!?」 「あ…」 二人が同時に、驚いたような声をあげる。 (は、入った…入っちゃった…) あまりにあっけない童貞喪失に、隆士は沙夜子の中に分身を突き入れたまま、 半ば呆然として固まっていたが、やがてじっと自分を見つめる彼女の視線に、 我に返った。
とりあえずここまでで。残りもほとんどできているので、 数日中には最後まで投下できると思います。
(゚∀゚ )キーターコーレー♪ なんか嫌な感じがするのだが、まさかアナ(ry
実は沙夜ちゃん処女???
>>667 見て釣り師だと思ったら、その後のレスで
ID:o451mBB3が本物の住人であったことに愕然。
もう何ていってよいのやら…
701 :
名無しさん@ピンキー :2005/12/05(月) 01:43:27 ID:5+2LC4vE
偉大なアーティストの共通項は奔放なセックスライフ
http://www.excite.co.jp/News/odd/00081133338895.html ---
創造的な人々はこれまでも積極的なセックスライフと関連づけられてきたが、
研究者たちは今回の研究はそれを実際の調査によって裏付けたと確信している。
研究によると、職業アーティストと詩人には4人から10人のセックスパートナーを持つが、
一 般 の 人 は 平 均 3 人。
ネトル博士は医学誌「The Proceedings of the Royal Society (B)」に発表した論文で
「これは男女問わずに見られる傾向で、非常に驚いた」と書いている。
また研究によると、セックスパートナーの平均的人数は作品の数が増えるにしたがい
増加する傾向にある。アーティストの作品がセックスパートナーの注意を惹き、
性的魅力を増幅するものと見られる。
つまり絵本作家になるためには・・・
梢ぽん、早紀ちゃん、魚子ちん、千百合ん、なっちん で5人だから問題ナシ あ、隆子もいれて6人か
釘バット、ホモスキー、みっちゃん、さっちゃん、サクラ、 タチバナ、まひる、夕、黒崎親子、珠、桃もいるしな。
>>692 すごーくGJです。
隆士たんと沙夜ちゃん物ってあんまり無いんですよね。貴重なSSだ。
705 :
667 :2005/12/05(月) 17:44:13 ID:o2wR+5z7
>>700 1スレ目からいるぐうたら儲ですが何か?
「雨宿り」の続きいきます。今回でおしまいですので。
710 :
雨宿り :2005/12/05(月) 23:10:38 ID:l4ZyZbJv
(え、ええと、動かすんだよな…) 沙夜子の視線に促されるように、隆士は聞きかじりの知識を振り絞り、 ぎこちなく腰を動かし始めた。腰を引き、また前に出し、もう一度引いて… (あ…す、凄い…!) 沙夜子の中では肉襞がひくひく蠢きながら、ペニスをきつく締め付けてくる。 今まで経験したことのない心地よさに、隆士はぼぉっとなった。 「あ…!?」 「ん…」 だが、何度か腰を往復させたところで、隆士が驚いたように声をあげ、 同時に沙夜子がビクッと身じろぎした。心地よさの余り、 早々に隆士が息子を暴発させてしまったのだ。 「あっ? あぁっ!?」 隆士はおろおろしながら、ペニスにぎゅっと力をこめるが、 射精は止らなかった。沙夜子の中でビュクッ、ビュクッと剛直が脈動し、 ドロリと濃い彼の子種が、子宮へと注ぎ込まれていく。 「うぁ…っ、くっ」 遂に隆士は射精を堪える努力を放棄すると、沙夜子に腰を強く押し付け、 一滴残らず彼女の中にザーメンを注ぎ込んだ。 「はぁ、はぁ、はぁ……」 完全に射精が止んでしまうと、隆士は息を荒げながら、 ゆっくりと沙夜子から分身を引き抜いた。 「ふぅ…」 膝を畳んでベッドに座り込み、大きく息を吐く。 初めて知ったセックスの気持ちよさに感激を覚える一方で、 それがあっという間に終わってしまったことに、 悲しいような情けないような、なんとも物足りない気分に襲われる。 「あ…」 隆士はしばらく、ボーッと座り込んでいたが、 沙夜子がのそりと身体を起こすと、はっとなって顔をあげた。 こんなにすぐ終わってしまって、彼女はどう思ったんだろうか…? 「あ、あのぉ…」 えへへ、と愛想笑いを浮かべる隆士に、起き上がった沙夜子はボソリと呟いた。 「…早いのね」
711 :
雨宿り :2005/12/05(月) 23:11:51 ID:l4ZyZbJv
その一言に、隆士はガビーンとショックを受け、真っ白に染まっていった。 早いのね…早いのね…早いのね……。頭の中でその言葉がぐるぐると渦巻く。 (だ、だって、しょうがないじゃない…) 鳴滝荘に来て一月。その間、入れ代わり立ち代り住人達が押しかけてくるせいで、 碌に性欲を処理する時間も無く、彼は溜まりに溜まっていたのだ。 あっという間に果ててしまうのも、無理はないというものだろう。 「それに僕、初めてなんだしさ…」 隆士ががっくりと肩を落としてぶつぶつと言っていると、 沙夜子が四つん這いになり、彼のほうに身を乗り出してきた。 「えっ?」 彼女の視線が、軽く開いた脚の間で力なく垂れ下がる、 自分の分身に向いているのに気付き、隆士はうろたえた。 「さ、沙夜子さん…?」 沙夜子はペニスに手を伸ばし、掴んで上を向かせると、そっと顔を近づけ… 「えっ!?」 淫茎を咥えられた隆士は、思わず腰を浮かせた。「な、なにを……あっ!?」 慌てる隆士をよそに、沙夜子は彼の分身を根元まで飲み込むと、 肉胴にぬめりとした舌を絡ませ、そこを汚している精液と愛液を、 丹念に舐め取り始めた。 「うあ…さ、沙夜子さ…あっ、くっ!?」 肉茎を這いずる柔らかな舌の感触に、隆士が呻き声を漏らす。 沙夜子は肉竿に舌を強く押し付け、ぺロリ、ペロリと舐め上げ、 一度口を離すと先端にキスをし、尿道に残った精液を、 ちゅっちゅと音を立てて啜り取る。そして再び陰茎を飲み込むと、 舌を這わせて汚れを舐め取り、代わりに唾液を刷り込んでいく。 沙夜子の口の中で、徐々に隆士のペニスは力を取り戻していった。 「元気になったわ…」 「は、はぁ…」 ほどなく隆士のペニスが完全に回復してしまうと、沙夜子はそこから顔を離し、 身体を起こした。ベッドにぺたりとお尻を下ろし、 いわゆる女の子座りをして、いつものようなボーッとした表情で隆士を見つめる。 「え、えーっと…」 またしちゃってもいいのかな…? 沙夜子の心が読めず、 隆士は戸惑いながらも、立ち膝になって彼女ににじり寄り、 肩に手を伸ばした。 「そ、それじゃもう一度…」 「ええ…」
712 :
雨宿り :2005/12/05(月) 23:17:24 ID:l4ZyZbJv
隆士は沙夜子をそっとベッドに押し倒した。 そして彼女の股間にペニスを押し付け、多少もたつきながら、 彼女の中へと入っていく。 今度こそ沙夜子さんを満足させないと… 「う、動かしますよ」 完全に沙夜子と繋がってしまうと、隆士は律儀に断ってから、 恐る恐る腰を動かし始めた。突いて、引いて、突いて、引いて… 相変わらず、沙夜子の肉襞が分身にしっとりと絡みつき、 締め上げてくるが、さっき出したばかりのおかげで、 今度はしばらくは保ちそうだ。 隆士はほっとすると、徐々にその腰の動きを早めていった。 隆士に突き上げられるがまま、沙夜子はほとんど無表情で、 ただゆさゆさと揺すられていたが、何度も突き上げられているうちに、 その頬はほんのり赤く染まっていった。 「ん…ふぁ…」 やがて、その口から恥ずかしげな声が漏れ出し、 だらんと脇に投げ出されていた両手が、きゅっとベッドのシーツを掴む。 「あっ? あ…あっ?」 ずん! と、隆士が一段と激しく沙夜子の子宮を突き上げると、 彼女は驚いたように、ビクッと首を仰け反らせ、もどかしげに身体をくねらせる。 「あっ…んっ…」 ずん! ずん! とさらに突き上げられると、沙夜子はシーツを掴んでいた手を離し、 隆士の背中に回すとしがみついた。そして彼の動きにあわせるように、 その腰がゆるやかに動き出していく。 ベッドをぎしぎしと揺すりながら、二人は激しく腰をぶつけあった。 根元まで剛直が突き入れられるたび、愛液が蜜壷から押し出され、 沙夜子の内股からお尻を伝い落ち、シーツに染みを作る。 「さ、沙夜子さんっ!」 「あっ、い、いいの……」 昂ぶりのあまり涙を滲ませながら、隆士が沙夜子の名を叫ぶ。 彼の下で、沙夜子もうっすら涙を浮かべ、身悶えしながらよがり声をあげる。 「くっ!」 「ふぁ…」 そしてほどなく二人は限界を迎えた。隆士が再び沙夜子の子宮めがけ、 思いの丈をぶち撒けたのとほぼ同時に、沙夜子も絶頂に達し、 背中を仰け反らせてぶるぶるっと身体を痙攣させた。 二人はそのまましばらく腰を強く押し付けあっていたが、 やがてがくりと力を抜くと、もつれあってベッドに沈みこんだ。
713 :
雨宿り :2005/12/05(月) 23:20:04 ID:l4ZyZbJv
「雨、止みませんね」 事が終わり、二人がホテルから出ようとした頃にも、 まだ雨は降り続いていた。でも、ああいう事の後で相合傘で帰るってのもいいかも… と、隆士が幸せな気分に浸っていると、隣で沙夜子がぼそっと呟いた。 「おんぶ…」 「今休んだじゃないですか…」 隆士が呆れたように沙夜子を見る。 「久しぶりだったから腰が痛いわ…」 「あ……」 沙夜子に言われて、隆士の顔は真っ赤に染まった。「しょ、しょうがないなぁ…」 隆士がしぶしぶと彼女に背中を向けて腰を下ろすと、 沙夜子は嬉しそうな顔で、彼の背中にしがみついた。 そして隆士は沙夜子を担ぐと、再び雨の中を歩き始めた。 沙夜子を背負い、よろよろと歩く隆士の顔は、しかし、ぽわんとして幸せそうだった。 (ああ…沙夜子さんの身体って、柔らかくて気持ちいいなぁ) ホテルに寄る前は、彼女を担ぐだけでいっぱいいっぱいだったが、 今は、背中に当たる沙夜子の胸の膨らみや、手で押えている太腿の感触を、 妙に意識してしまう。自分の身体の下で蠢いていた沙夜子の肉体が脳裏に蘇えり、 隆士のほっぺたは上気していった。 「ねえ…」 と、背中の沙夜子に不意に呼びかけられ、淫らな妄想に耽っていた隆士は、 ビクッとして振り向いた。 「はっ、はいっ! なんですか?」 「帰ったら内職手伝ってくれる?」 「えぇっ!?」 謀られた、と思ったが、既に後の祭りである。あんなお礼をして貰っておいて、 無下に断ることなどできるわけがない。いや、 むしろ自分から手伝わせてくださいと言いたいくらいかも。 隆士はニコリと微笑むと、こくんと肯いた。 「わかりました、喜んで手伝いますよ」 隆士の返事を聞くと、沙夜子もニコリとして、言った。 「またお礼するわね…」 おわり
以上、お粗末さまでした。
>「帰ったら内職手伝ってくれる?」 これじゃ沙夜ちゃん売春婦じゃん・・・orz
なんか漏れの偽者が湧き出とるwww>
>>705 >>714 超キタヽ(゚∀゚)メ(゚∀゚)メ(゚∀゚)メ(゚∀゚)メ(゚∀゚)メ(゚∀゚)メ(゚∀゚)メ(゚∀゚)メ(゚∀゚)メ(゚∀゚)メ(゚∀゚)メ(゚∀゚)メ(゚∀゚)メ(゚∀゚)メ(゚∀゚)ノコレ!!!!!!!!!!
適当にまほログ更新終了。投下数少ないと楽だ。
いや、本当は書かなくてはいけないのだけれど。
>>714 沙夜子さん……久しぶりだ、なんて……TGJ!!
保管庫ある?
あるだろ?
>>1 に書いてあるじゃん。残ってないのもあるがな。
例の早紀ちゃんのとか。
保管庫なんだから全部保管しろ
ロダに残ってるじゃん。
ロダったって保管庫なら全部ねぇ…… 水氏のだって保管してるんだし
>>714 じじじじじじじじじじじじじじ(ry
GJ!
沙夜子さんスゴー
まあ聞いてくれ。
ほら、前から言ってた故障の原因わかったよ。室内犬の散歩室内でさせてたらさ、なんかガタゴト音がすんだよね。見たら犬が目を
らんらんと光らせてキーボードの上で踊ってやんの。もうね、アホかと。
バカかと。
で、起動させたらガガガガ言うんだよね。
見たら本体から異様なにおいがすんだよ。
…本体の中に、………………………犬の………………………………
………………………………………
ギャアアアアアアアアアアアア
というわけでしばらくヤヴァイ状況なりましたぜ…
ぐふっ
…え?
ネットカフェ閉店?
そですか。
(´・ω・) カワイソス
ネットカフェ逝ったら結核鬱された(´・ω・`)ショボーン
>>676 亀レスだが…
景色とか状況の描写がうまいだけに
小春日和という表現を間違って使っているのが惜しい
729 :
676 :2005/12/07(水) 08:47:13 ID:LsCTavw7
>>728 「???」と思いつつ今更ながら調べてみました
( ○Д○)<ギャァァァァァス
一つ賢くなりました
馬鹿でゴメンナサイ
>>727 結核になったらPCやってられないだろw
> ガビーンとショックを受け これさえなければ。
全米が泣いた
全英が泣いた
全国が(ry
今書いてるんだが腕が鈍ってるorz シバラクSSカイテナイカラカナ にしても、こんなに人数がいながら725に隠された本当のメッセージを(ry
立て読みのことを言ってるなら、分かり易すぎ。
738 :
名無しさん@ピンキー :2005/12/08(木) 01:44:38 ID:WdXSpI/8
携帯の俺には一生気が付かないことか
コテ差別の予感!
新作ま〜だ〜?
正直「職人は黙ってSS書いてろ」的なここの空気にウンザリしてる。 そりゃ職人も離れるよなぁ。 読み手が書き手を人としてみてないからな。
漏れは見てるよ
ハルイロの人も消えちまったな。
ま、PCも壊れて一区切りしたことだし、そろそろ出て行くころかな。 ぐうたら氏のように厨房でSS書く力量もないし、水氏のように18禁SS書く力量もないしなー。
>>小島(ry 漏れと一緒に 逝 か な い か ?
個人的には力量云々で出す出さないを決めるものではないと思うけど…。 まぁ、その辺は個人の考え方次第だろう。
己の技量伏し、御下命如何にても果たすべし
>>1 の冒頭をしっかり読んで、それを守ればいいだけなんだがな
死して屍拾う者なし。
風の前の塵と等しく
巡り巡りて己が身の為
「The moment (or the day) that colours our scenes of SEPIA to vibgyr; I think, for example, or it's a figure of another future」ってハルイロの人じゃないか?
名無し職人が多いとこう言った現象が起こるんだよな まぁこのスレでコテをつけるのは自殺行為だが
別にコテでも問題はないんだが、21未満をカミングアウトしちゃうのは まずかったってだけだな。 叩かれてないコテ職人だっていたし。
このスレに書き込む者全てがハルイロの人と見做すことにすればよろしい。 自分相手に喧嘩は出来まい。
↑それクオリティたかすぎ
↑だがそれがいい
160 名前:水先案名無い人[sage] 投稿日:2005/12/11(日) 16:11:51 ID:EEmL8oxH0
____... | |
/\二___\ | |
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161 名前:水先案名無い人[sage] 投稿日:2005/12/11(日) 16:14:54 ID:fhf4IPl70
>>160 お前ヒーターなくてもそうなるくせにwww
このスレが再び祭りとなる日はくるのか…
何時か来るだろ
まずは職人たちが帰ってこないことには話にならないな。 今までの職人の9割が沈黙してしまった以上、再燃させるのは大変そうだが。
あと、それとは別に作品が投下されたあとのレス率の低下も 職人のやる気を削いでる気がする。 なんだかんだ言って、せっかく書いたモノが反応されないってのは 書く方からしてみればやりがいのないことこの上ないし。
レスは任せろ。漏れが自作自(ry
ここらで白鳥くんが四肢を拘束されてくすぐり責めに遭うお話が読みたいなあ。
ちょっと書き方変えてみたけど、やっぱわかるもんなのね。
769 :
名無しさん@ピンキー :2005/12/14(水) 00:12:35 ID:g1n4evi3
原作は、いよいよ佳境に入り始めた模様
ここ1年くらい、毎度のようにいよいよ終わり、いよいよ佳境と言われ続けてるようなw
白→桃でシリアス系の降臨待ち
メインキャラの退場やらあって、序盤のようなまったり感はだいぶ薄れてるからな。 連載年数にして5年、そろそろ幕を引くのも十分考えられる話だ。 まぁ、終わるにしてもあと1年くらいかかりそうだけどw
終わったってまほらばふもっふとかまほらばトロイメントとかまほらばGTとかまほらばSとか∀まほらばとかが始まるだろ。
まほらばSEED こうですか?僕にはわかりません><
>>773 マジレスするとまほらば終わったらモノリスはしばらく入院するような気がする。
連載以降ほったらかしにしている病気を治療しないとまずいだろう。
原作者はそれほど疲弊しているのか。 こりゃ白鳥くんも……
>>776 疲弊しているというか、連載開始ごろに医者にかかって血液検査で異常値が出て
「このまま放っておくと早死にするよ」と言われてる。
で、そのまま5年間連載続けてほったらかし。
779 :
名無しさん@ピンキー :2005/12/15(木) 16:00:06 ID:AATWlNcG
小島sgeeeeee
作者急逝のお知らせが出ないことを祈ろう
ハルイロの次のができたんで投下しますね。 まずは前半。
その少女は、目の前にいる奇妙な生き物をじっと見つめていた。 植木鉢の土の中から上半身を生やし、頭に花を咲かせた不思議な生き物…。 “それ”も少女と同じように、不思議そうに見つめ返していたが、 やがてにっこり微笑むと、少女に向かって手を振ってきた。 少女はくりくりになって、呟いた。「じーっ…」 ハルイロ〜第六話「ハルイロ少女・魚子の場合」 「お兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃ〜ん!」 それはゴールデンウィークも過ぎた、穏やかに晴れた五月のある週末のこと。 その日の午後、白鳥が机に向かって課題に取り組んでいると、 いきなりドアが勢い良く開き、何者かが2号室へと駆け込んで来た。 「えっ?」 驚いて振り向いた彼を目がけ、その人物が思い切りダイブを敢行し、 白鳥は胸に強烈な頭突きを喰らい、さらに勢いで背中を机に強打し、 「ぐはっ」と息を詰まらせた。 「お兄ちゃんあそぼ〜」 痛みと驚きで目を白黒させる白鳥に、その人物…梢は、 まるで犬か猫が甘えるように、すりすりと身体を摺り寄せてきた。 いや、梢ではない、彼を「お兄ちゃん」と呼び、こんな行動をするのは… 「あ…な、魚子ちゃん?」 「うん、そうだよ!」 白鳥が名前を言うと、魚子は嬉しそうに顔をあげ、ぺかーっと笑みを浮かべた。 そしてまたすぐに彼にしがみつき、「お兄ちゃんあそぼ! あそぼあそぼあそぼ〜!」と、 すりすりすりすり…と、執拗なまでに身体を摺り寄せてくる。 「だっ、ダメだよ魚子ちゃんそんな…」 魚子の精神年齢は6歳とはいえ、肉体のほうは17歳の梢のままだ。 その身体で無邪気に抱きつかれては、色々なところが当たってしまい、 白鳥の頭に、カーッと血が上っていった。 『そ、そんなにすりすりされると僕…僕…!』 頭をクラクラさせながら、白鳥は魚子の肩に手を伸ばした。 彼女を引き離そうとしているのか、それともそのまま抱きしめようとしているのか、 自分でもよくわかっていなかった。
「あ、そうだ。ねぇお兄ちゃん、この子だぁれ?」 だが、白鳥が魚子の肩を掴もうとした一瞬前に、彼女は急に彼から離れ、 片手に持っていた植木鉢を、彼に向かって差し出してきた。 「え?」 植木鉢の中で、ぽかんとこちらを見つめるハルに、 白鳥は魚子の肩を掴もうと伸ばしていた両手を、 慌てて背中に隠し、引きつった笑みを浮かべながら答えた。 「あ、ああ、その子はハルちゃんって言うんだよ。仲良くしてあげてね」 「へ〜」 魚子はハルを机に置くと、しばしじっと見つめ、それからにこっと笑いかけた。 「わたし、ななこって言うの。よろしくね、ハルちゃん」 魚子がぺこっとお辞儀をすると、ハルもぺこりとお辞儀を返す。 そして二人は頭を上げると、にこにこと微笑み合った。 『あ、危ないところだった…』 危うく誘惑に負けてしまいそうだった白鳥が、そっと額の汗を拭っていると、 魚子が急にハルから彼のほうへ向き直り、「ねぇねぇお兄ちゃん、あそぼ!」と、 ぐいっと身を乗り出してきた。 『うわぁぁぁ』 いきなり梢…魚子に顔を近づけられ、白鳥の心臓がドキンと跳ね上がった。 慌てて身を引くと片手を前に突き出し、彼女がそれ以上近づくのを制する。 「ま、待って魚子ちゃんっ!」 「え?」 魚子がきょとんとした顔になって迫るのを止めると、 白鳥もようやく落ち着きを取り戻し、居住まいを正した。 「ふぅ…」 白鳥は一つ息をつき、呼吸を整えてから、申し訳なさそうに口を開いた。 「ごめんね魚子ちゃん。今、ちょっと忙しくて、遊んであげられないんだよ」 「え〜?」 悲しげな顔をする魚子に、白鳥の表情も暗くなってしまう。 彼女の願いには出来うる限り応えてあげたかったが、 かといって課題を疎かにするわけにもいかない。 『ホント、魚子ちゃんって課題のある時に限って出てくるよな…』 心苦しさを覚えつつ、白鳥は笑顔を作ってハルの方を指差した。 「ほら、ハルちゃんと、お庭でおままごととかして遊んだらどうかな? 僕も用事が済んだら遊んであげるから。ね?」
魚子は彼からハルに目を移し、ちょっと考えこんだが、 どうやらこの新しい住人と遊ぶのも楽しそうだと思ったようで、 すぐに笑顔になった。 「うん、わかったー!」 そして魚子は立ち上がると、ハルの頭の花をむんずと掴み、 彼女をぶらぶらさせながら入り口へ向かって歩き出した。 痛いのか、ハルは目をバッテンマークにしてじたばたもがいている。 「あーーっ! ちょっ、ちょっと待ったーっ!!」 「なぁに?」 叫び声に振り向いた魚子のところへ、白鳥は慌てて駆け寄り、 植木鉢の底を掴んで支えた。鉢の重みから解放され、 ハルがホッとしたような顔になる。 「ダメだよ魚子ちゃん、そんな持ちかたしたら」 「え?」 叱られた魚子が、思わず花を掴む手を緩めると、 白鳥は植木鉢を取り上げ、それを彼女に見せて言った。 「ほら、ハルちゃんが痛がってるじゃない」 「あ…」 植木鉢の中で痛そうに顔をしかめ、花の付け根の辺りをさすっているハルに、 魚子は表情を曇らせた。 「痛かったの? ごめんね…」 しょんぼりと謝りながら、魚子がハルの頭に手を乗せ、 いたわるように撫でると、痛そうな顔をしていたハルは笑顔に戻った。 それを見て魚子も、安心したように笑顔に戻る。 「いいかい、乱暴にしちゃダメだよ?」 「はーい」 魚子に悪気はなかったのだし、ハルもたいして気にしていないようなので、 白鳥は念を押しながらも、植木鉢を彼女に返した。 魚子は元気良く返事をすると、今度はちゃんと鉢の下のほうを持ち、 パタパタと2号室を出て行った。 『大丈夫かなぁ…』 ハルを魚子に任すことに、白鳥は一抹の不安を覚えたが、 自分や他のみんなに用事があるということで、 梢がハルを預かっていたのだ。だから誰にも二人の相手を頼めそうになく、 ここは二人で遊んでいてもらうしかないだろう。 白鳥は後ろ髪を引かれつつも、机の前に腰をおろし、 課題へと取りかかった。少しでも早く終わらせて、 二人の相手をしてあげよう…。
「お兄ちゃんお兄ちゃ〜ん!」 30分くらいして、彼がようやく課題に集中し始めた頃、 またもや魚子が息せき切って2号室に駆け込んできて、 白鳥はやれやれと苦笑すると、鉛筆を置いて後ろを振り返った。 「なんだい、魚子ちゃん?」 「ほらほら見て見て〜、わんわんだよ〜!」 魚子は白鳥の前に勢い良く座り込み、持っていた植木鉢を彼に差し出してきた。 見ると、そこにはハルではなく、なぜかジョニーが植えられている。 「あ、また…!」 いったい何ごっこのつもりなのかはわからなかったが、 また灰原さんが泣いてるだろうなと、白鳥はそっと溜め息をついた。 『魚子ちゃんが飽きたら返しにいかないと…』 「ひっ!?」 その時、彼はありえないものを目撃し、ビクッと身体を引いた。 植木鉢の中で、ジョニーがもぞもぞと動きだしたのだ。 「…えぇっ!?」 ジョニーは、ヨォッと挨拶でもするかのように右手をあげ、 そして左手もあげてバンザイをすると、上げた両手をぴこぴこ動かしながら、 首をかくかくと左右に振り始めた。まるで呪いのダンスでも踊っているかのようだ。 「わんちゃんわんちゃんー」 『こ、これはいったい…?』 無邪気にはしゃぐ魚子の前で不気味に踊るジョニーを、 白鳥は呆然と見つめていた。まさかジョニーに生命が宿ったとか…? そんなバカな、とは思ったが、ハルが生えてきたくらいだ、 ジョニーが動き出したとしても、ちっとも不思議ではないだろう。 『あれ?』 だが、やがて白鳥は、ジョニーの動きがなんだかおかしいことに気が付いた。 頭を振ったり、手で顔の前を払ったり、それはダンスというよりも、 邪魔なものを追い払おうと、もがいているようにも見える。 「あぁっ!?」 ジョニーの裾から、緑色の髪の毛がはみ出しているのを見つけ、 ようやく事の真相に思い当たった白鳥は、慌ててジョニーを引っ張り上げた。 すると案の定、その下からは半べそをかいたハルが姿を現した。
「だっ、大丈夫?」 白鳥が訊くと、ハルは涙を拭いながらもコクコク肯いた。 白鳥は胸を撫で下ろしつつ、魚子から植木鉢を取り上げると、 叱り付けた。 「ダメじゃないか、こんなことしちゃ!」 「でも、ハルちゃん喜んでたよ…?」 ハルがもがく姿を、喜んでいるのだと勘違いしたのだろう。 それなのに怒られてしまい、今度は魚子が半べそをかき始める。 「うぐ…ぐすっ」 「あぁっ、ほら泣かないで」 白鳥は慌てて笑顔を作り、涙を浮かべる魚子に猫撫で声で話しかけた。 「あのね、ハルちゃんは喜んでたんじゃなくて、驚いてたんだよ。 魚子ちゃんも、いきなり頭から袋を被せられて、 何も見えなくなっちゃったら怖いでしょ?」 「え…?」 魚子は少し考えてから、ハルの方に向かって訊ねた。「怖かったの?」 ハルが怯えたように彼女を見つめながら、ゆっくりと肯くと、 魚子はヒクッとしゃくりあげた。 「ご、ごめんなさい…。魚子、喜んでくれてると思ったの…」 「な、泣かないでってば。ハルちゃんだってもう怒ってないよ、ね?」 「えぇっ?」とでも言いたそうに、ハルは白鳥を見上げたが、 今にも泣き出しそうな魚子に、タラッと汗を垂らすと、 白鳥と一緒になってぎこちなく笑顔を浮かべてみせた。 「ホント? 怒ってない?」 「ほ、ホントホント、怒ってないよ〜、あ、あははは…」 笑顔を作って言う白鳥にあわせ、ハルも強張った笑顔を浮かべながら、 ぶんぶんと頭を縦に振る。 「よかった〜」 魚子が涙を拭い、笑顔に戻ると、白鳥とハルは、小さく溜め息を漏らした。
今日はここまで〜、残りはまた後日。そんでは。
790 :
名無しさん@ピンキー :2005/12/16(金) 00:17:43 ID:JtIj25xO
とりあえず言っておこう GJ!
792 :
名無しさん@ピンキー :2005/12/16(金) 14:05:26 ID:XJWatQrG
GJ! 作品を投下してくださる職人さんのことが神様のように思えてきた・・・
793 :
名無しさん@ピンキー :2005/12/16(金) 15:58:48 ID:AoZIor9F
「魚子の場合」の残り行きます〜
「今度は何してあそぼうか?」 すっかり機嫌を直した魚子は、ハルの植木鉢を両手に抱えると、 部屋を出ていこうとした。だが、彼女の腕の中のハルに、 救いを求めるような視線を送られ、白鳥がそれを呼び止めた。 「あー…ちょっと待って、魚子ちゃん」 「なぁに?」 「えーと……あ、そうそう、お絵描きでもしない?」 二人っきりにさせておいたら、どのみち心配で課題になりそうにないなと、 白鳥は彼女にクレヨンとスケッチ用紙を見せた。 課題は二人の相手をしながら、少しずつ進めるしかないだろう。 「うん、魚子おえかきする〜」 白鳥の気苦労も知らず、魚子は無邪気な笑顔を浮かべ、 彼の横へと座り込んだ。「はい、それじゃこれ」と、 白鳥がクレヨンとスケッチ用紙を渡すと、魚子は大喜びでそれを受け取り、 鼻唄を唄いながら絵を描き始めた。 『あ、そうだ…』 嬉しそうにお絵描きをする魚子の姿に、ふと白鳥は思い立つと、 もう一枚スケッチ用紙を取り出し、ハルの前に置いてみた。 「君も描いてみるかい?」 嬉しそうな顔でコクコク肯くハルに、白鳥が鉛筆を渡すと、 彼女はそれを両手で抱えるように持ち、何かを描き始めた。 白鳥は興味津々で、ハルのお絵描きの様子を見守っていたが、 彼女のスケッチ用紙には、アラビア文字をさらに崩したような、 意味不明なぐにゃぐにゃとした線が描かれるだけだった。 言葉を話さないハルと、なんらかのコミュニケーションになるかと思ったが、 そう旨くはいかないようだ。 白鳥は微苦笑を浮かべ、次に魚子のスケッチ用紙に目を向けた。 こちらも6歳児らしく、お世辞にも巧い絵とは言い難かったが、 ハルとは違い、何を描いているのかは一目瞭然だった。 茶色のバケツのような物体から生えた、人間の上半身…。 その人物の髪は緑色に塗られ、頭にはピンクの花を生やしている。 「ハルちゃんを描いてるんだ?」 「うん、そうー」 白鳥が言うと、魚子は彼のほうを向いてぺかーっと笑顔を見せ、 再びスケッチブックに顔を落とし、なにやら鼻唄を唄いながら、 続きを描いていく。 この調子なら、思ったより課題に集中できそうだ。 白鳥はニコリとすると、自分も再び課題の続きを描き始めた。
描いた絵を見せあったり、一枚のスケッチ用紙に一緒に絵を描いたりと、 さっきの出来事などすっかり忘れ、仲良くお絵描きに興ずる二人に、 白鳥が次第に気を緩め、課題に専念し始めた頃、 「お兄ちゃんお兄ちゃん!」 「えっ、なに?」 顔を上げた白鳥に魚子は、自分の前に引き寄せていた植木鉢をぐるりと回し、 ハルの顔を彼の方へと向けた。 「見て見て〜、おけしょうしてあげたのー」 「うわっ!?」 ほんの少し、彼が二人のことを忘れて課題に没頭している隙に、 魚子はハルの顔に、クレヨンで見事な“お化粧”を施してしまっていた。 口の周りに赤い色が塗りたくってあるのは、口紅のつもりなのだろう。 ほっぺたにはぐるぐるの渦巻き模様、瞼はアイシャドウのつもりか、 青く塗ってあり、さらに、ご丁寧に睫が描き足してある。 「だ、ダメだよ、顔に落書きなんかしたら」 「落書きじゃないよ、おけしょうだよ」 白鳥が少し強く言うと、魚子は不満そうに唇を尖らせた。 「ハルちゃんも喜んでるよ?」 「ええっと…」 確かにさっきと違い、当のハルもニコニコと楽しげなのだが、 これではその顔を見せられる方がびっくりしてしまう。 「ほ、ほら、クレヨンはお絵描きするためのもので、 お化粧は、ちゃんと化粧品を使わないとダメだよ」 「はーい」 この“お化粧”を気に入っているらしい二人を傷つけないよう、 白鳥は少し苦しい言い訳をつけるが、魚子は素直に返事を返すと、 クレヨンを置いた。 「やれやれ…」 溜め息をつきながら白鳥がハルの顔を拭いてやっていると、 その隙に魚子は机の脇の本棚に目を留め、最上段の絵本を取ろうと、 ぴょんと飛びついた。 「あっ!?」 魚子の体重がかかり、本棚がぐらりと傾いたのに気付き、 白鳥は慌てて駆け寄ると両手で押さえつけた。しかし、 なんとか倒れることは防げたものの、傾いた本棚の最上段から、 白鳥の顔面や魚子の頭目がけて本がばさばさと降り注いでくる。 「あたっ!?」 痛みに顔をしかめながらも、白鳥は本棚を元に戻し、 落ちた本を拾おうと後ろを向いたが、その途端「あぁっ」と声を上げた。 ハルが本の直撃を受け、下敷きになってしまっていたのだ。 「ハルちゃん、ハルちゃんー!?」 目を回し、呼んでも目を覚まさないハルを抱え、 白鳥は洗面所へと走った。魚子も、その後について駆けて行く。 「大丈夫かい、ハルちゃん…?」 「おーっ」 そして毎度のように、頭から水をかけてやるとケロリと復活するハルを、 魚子はくりくりになって見つめていた。
「いたずらこざるはー、きのうえからぽいっと、 ばななのかわをー、なげすてました。 するとー、したをあるいていたとらさんがー……」 『うぅっ、気が散るなぁ…』 部屋に戻ると、魚子はさっき取ろうとしていた絵本を広げ、 ハルに読み聞かせ始めた。忘れっぽいのかおおらかなのか、 ハルは魚子のせいで本の下敷きになったことなど、 まったく気にしていない様子で、一緒に楽しそうに絵本を見ている。 「わんわんわおーん! がうがうぎゃわわわわ〜〜!」 やがて、ようやく絵本を読み終えた魚子は、 今度はジョニーを腕に装着すると、 犬だか怪獣だかよくわからない鳴き声をあげながら、 ハルを押し倒し、くすぐったりしてじゃれあい始めた。 ハルも嫌がる様子はなく、ジョニーに抱きつき、 ほっぺたを摺り寄せたりして、キャッキャと大はしゃぎだ。 『しょうがないなぁ…』 仲良く遊ぶ二人に、静かにしてくれとは言い難く、 むしろ微笑ましさすら感じながら、白鳥は苦笑を浮かべ、 筆をのろのろと動かしていた。 が… 「おくさん、ボクはまえからあなたのことが…」 「いけないわ、わたしにはおっととこどもが…」 いきなり始まった魚子のお芝居に、白鳥の握った鉛筆の芯が、ボキッと折れた。 「何やってんの魚子ちゃんっ!?」 声をひっくり返して叫ぶ白鳥に、魚子と、押し倒されていたハルが、 きょとんとして彼を見る。 「ひるドラごっこだよ」 「ひ、昼ドラ?」 「うん、この前桃ちゃんに見せてもらったのー」 魚子は笑顔で答えると、ハルのほうへ顔を戻し、お芝居の続きを始めた。 「お、おくさん!」 「ダメよ、いけないわおこめやさん」 魚子のアフレコにあわせ、ジョニーに押し倒されたハルが、 しなを作ってイヤイヤと首を振る。楽しげな二人に、 止めるべきか放置すべきか悩み、白鳥は顔をどんよりさせた。 『子供(?)に何見せてんだあの人は…』 いや、魚子だけではない。ハルもノリノリなところを見ると、 彼女にも見せているに違いない。『まったく、後で注意しとかないと…』
799 :
雨宿り :2005/12/16(金) 21:04:48 ID:KIRE7Kj8
結局白鳥は昼ドラごっこを止めることができず、妖しげな芝居に、 もわもわ〜んと顔から湯気を立てながら課題を進めていたが、 やがて二人はその遊びにも飽きたのか、初めに戻って再びお絵描きに興じ始めた。 黙々とスケッチ用紙に絵を描く魚子たちに、白鳥は心の底からホッとして、 同じように黙々と筆を動かしていった。 「……あれ?」 大人しくなった二人のことをすっかり意識の外に追い出し、 課題に集中していた白鳥が、やがて余りに静かすぎるのに気付いて横を見ると、 それもそのはず、いつの間にか魚子は、 机に突っ伏して眠り込んでしまっていた。 ハルも植木鉢の中で、うつらうつらと船を漕いでいる。 これでようやく課題に専念できるとホッとしながら、 白鳥はふと、二人の手元のスケッチ用紙に目を落とした。 ハルのほうは、相変わらずなんだかよくわからない、 ぐちゃぐちゃした線が描いてあるだけだったが、魚子のほうには、 建物と何人かの人物が…鳴滝荘と住人達が、描かれているのがわかる。 みんな仲良く手を繋ぎ、ニコニコと笑顔を浮かべていて、 その傍らには、植木鉢に植わり、やはり笑顔を浮かべるハルの姿もあった。 二人のその絵と、あどけない寝顔に、白鳥はクスッと顔をほころばせた。 そして腰を上げると、押入れから薄手のタオルケットを取り出し、 魚子にそっと掛けてやる。勝手なもので、静かになったら静かになったで、 なんとなく寂しい感じだ。 「さてと、頑張るか」 白鳥は机に向かうと、小さく呟き、課題の続きを始めた。 なんだかすごく疲れたうえに、課題もあまり進まなかったが、 それに見合うだけのものを、二人からもらえたような気がしていた。 ハルイロ〜第六話「ハルイロ少女・魚子の場合」完
以上でした。 やべ、最後タイトル間違えた・・・
衝撃の事実が。
でもスルー。
TV見てて唐突に思いついた小ネタ 八百長にて 「よぉっ梢ちゃん、いいナスビが入ってんだがどうだい? でっかくて、夜のお供にももってこいだぜ」 「それ、セクハラです〜」 「あの、それじゃあこのダイコンを・・・」 「えぇっ!?」
漏れは野菜プレイじゃなくて玩具プレイの方が(ry
806 :
名無しさん@ピンキー :2005/12/18(日) 03:30:01 ID:gtNTM7lw
マジ寂れたな
>>806 そういう事言うなよ。それにまだ作品投下されてるんだし、寂れてなんかないない。
どうしよう 全然書けねえ
>>809 おまいは一人じゃない。何時もみんながおまいと共にいる。
あきらめるな。書け。書け!書くんだ!!
∧_∧
∧__∧ (´<_` ) 甦れぐうたら!!
( ´_ゝ`)/ ⌒i
_(__つ/ ̄ ̄ ̄/i |_
\/ pink / ヽ⊃
がんばれぐうたら! 隆士×朝美ラブラブSSを書いてくれ!!
ファイトだぐうたら氏! 漏れでさえも某サイトでSS書いてるんだ(なら載せろ
813 :
ジズ :2005/12/18(日) 20:08:59 ID:AJIu65/g
がんがれぐうたら!! 貴方なら絶対にいい作品が書けるはずだ。 いやかけるんだあんただから。
何この雰囲気……ぐうたら氏、とりあえず気合い入れて欲しいな。 そして消しゴムの人はこっちに投下しろと(ry さてさて久々に遣ってきましたよ。 今回のネタは…… 778 :名無したん(;´Д`)ハァハァ :2005/12/08(木) 20:18:47 ID:kmxQ8/Zh 白鳥君の世話を甲斐甲斐しく焼き、「お兄ちゃん大好き」と言って憚らない 珠実のイメージ完全崩壊の鬼畜にも程がある絵希望。 これにインスパイヤされて書いてみますた。水の人なら飛び付きそうなんですが…… とりあえず毒舌かつツンデレな珠実スキーはスルーしたほうが良いのかな……と。 完全に元のイメージ破壊しているから。 ついでにハルの人GJです。
淀んでいる。 重く、苦しい。 暗い中で、僕は漂っていた。 何処だろう? そして。 そして―――――――― ◇ ドンドン。 ゆさゆさ。 「お兄ちゃん!起きて!朝だよ!」 「う〜ん……」 その声に叩き起こされる。 重い痛い五月蝿い酔いそう。 昨夜は頑張って学校の課題を片付けたのに…… うるさいので、仕方なく起きる事にする。 しかし、お兄ちゃん? 「…………えーと」 お兄ちゃんという呼称を使うのは……稀な場合を除いて、朝美ちゃんか、 あるいは魚子ちゃんしかいない。 それに、魚子ちゃんはかなりイレギュラーだし、どう考えてもこれは朝美ちゃんだ。 何故僕の部屋に朝美ちゃんがいるのかという疑問を振り切り、声の主へ振り向く。 「おはよう、朝美c―――――――――」 唖然とした。 声の主は朝美ちゃんではなかった。
少し低い背。 茶色の長髪。 ニコニコとした顔。 珍しい、ミニスカートの私服。 茶ノ畑珠実―――――珠実ちゃんだった。 「ようやく起きたの、お兄ちゃん?」 「――――――へ?」 お兄ちゃん? いわゆる'Older Brother'って奴ですか? いや英語で言っても意味は変わらなくて。 「―――珠実ちゃん?」 「どうしたのお兄ちゃん?」 「――――――――頭、大丈夫?」 思わず訊いてしまった。 少なくとも、これは僕が知る珠実ちゃんではない。 少なくとも、口調から違う。 「は?何言ってるのお兄ちゃん脳天どこか打っちゃったの?」 「…………」 毒舌は相変わらずだった。 どう見ても正常な珠実ちゃんだった。 「あー……少し寝惚けてるのかも。ゴメンネ珠実ちゃん」 「やっぱりお兄ちゃんは駄目駄目だね〜。だから桃乃さんとかに引き摺られるんだから」 「…………」 朝から毒舌全開な珠実ちゃんだった。 正直嫌だ。 ……いや、事実だけどさ。
今日は日曜日。 だからみんな鳴滝荘にいる。 しかし。 この状況は。 いつもと、かなり違う。 何故か? 恐らく、珠実ちゃんが「お兄ちゃん」と呼んでくるから。 飛び切りの笑顔で。 「お兄ちゃん、課題で疲れてない?」 「お兄ちゃん、お部屋の掃除しようか?」 「お兄ちゃん――――――」 何ですか? 何か企んでますか? 今日は珠美ちゃんの誕生日だっけ? あるいは、僕、何かした? 何か変な事言ったっけ? ああもうそんな100万$の笑顔で僕の顔を覗き込まないで!! 言う事何でも聞くから!! あまりにも可愛すぎて怖いから!! というわけで、精神的に参ってしまった僕は、部屋に大の字になっていた。 「はぁ……」 幸い、課題の事を考える必要が無いだけ楽だ。 でも、一体何を企んでいるんだろう? もっとも、その解答を捻り出す余裕が無かった。 いわゆるネタ切れだ。 しょうがないので、今日の珠実ちゃんの反応を思い出す。 「…………お兄ちゃん、か」 その呼称自体には慣れている。 しかし、珠実ちゃんに言われるのは話が違う。 …………なんと言うか、かなり新鮮な響きだ。 今までと180度……いや、120度違う印象を受ける。 しかし………… 「…………螺子でも一本外れてるのかな」 本質的にはあの万能猫型ロボットと同じだったり、同じじゃなかったり。 そんな絵のネタになるようなならないような事を考えて、天井を見つめていると―――――
コンコン。 がちゃり。 「――――――お兄ちゃん?」 珠実ちゃんだった。 しかし、さっきまでと雰囲気が違う。 「珠実ちゃん…………どうしたの?」 身体を起こして、珠美ちゃんの方に身体を向ける。 少し、顔が翳っていた。 「お兄ちゃん………大丈夫?」 「へ?」 珠実ちゃんは少し俯き加減になって言った。 「お兄ちゃん、少し元気が無かったから……」 「僕が…………?」 「もしかしたら、わたしのせいじゃないかって思って……」 言葉を続ける。 「わたしが、変にお兄ちゃんに付きまとってたから、それで疲れたんじゃないかと思って…………」 「珠実ちゃん…………」 実際には正解なんだけどそんな事を考えている場合ではない。 「わたしが、お兄ちゃんを疲れさせたんだったら………ごめんね、お兄ちゃん」 珠実ちゃんは最早涙声だ。 「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい―――――ごめ、んなさ、い――――う、うぅぅ」 瞳から大粒の涙が零れ出した。 「おにい、ちゃんが――――わた、しの、せ、で――――――う、うぅぅ、ひっぐ、 わたs、ごめ、なさ――――――ひっぐ、ひっぐ、わだじ、ひっぐ、」 「た、珠実ちゃん!そんな、泣かないで―――――」 「ごめん、なさい、おにいちゃん、だいす、きだから、許して、お願いだから!! お兄ちゃんが、大好きだから、わたしw、を、ゆるして―――ひっぐ、ひっぐ、 おにいちゃんの、いう、こと、なんで、も、きくから―――わたし、わた、し、 大好き!!だいすき、だから――――――――」 「もういいよ!もういいから!珠美ちゃんのせいじゃないから!」 もうどうにも分からなくなった僕は珠実ちゃんを抱きしめる。 ぎゅっと、しっかりと。 珠実ちゃんが全身で訴える。 「おにい、ちゃん、ごめん、な――――わた、し――――――――」 「珠実ちゃんのせいじゃないから!僕が変に考えすぎちゃっただけだから!! だから、もう泣かないでいいから!!もう大丈夫だから、ね!?」 「おにいちゃん、おにいちゃん、お兄ちゃん――――――――」
◇ しばらく経って、ようやく珠実ちゃんは泣き止んだ。 「―――――――ぐすん」 「落ち着いた?」 「―――――うん」 珠実ちゃんは、俯き気味に頷いた。 少し涙目だけど、少し前に比べたら落ち着いている。 「―――――お兄ちゃん」 「どうしたの、珠実ちゃん?」 「あのね」 珠実ちゃんは、僕をじっと見つめて、言った。 「お兄ちゃん、私の事、好き?」 うわ………… そんな瞳をうるうるさせて見ないで。 ちょっと本格的に可愛過ぎるよ珠実ちゃん。 「珠実ちゃん……」 「お兄ちゃんは、私の事が好き?それとも、嫌い?」 その珠実ちゃんは、僕の回答を待っている。 僕は。 僕は―――――― 「―――――好きだよ、珠実ちゃん」 「本当?本当に?」 「本当だよ」 「大好き?」 「大好きだよ?」 「梢ちゃんよりも、好き?」 「―――――――梢ちゃんよりも、大好きだよ」 「ふみゅん――――――」 本当は梢ちゃんと同等なんだけど。 そんな事言ったら殺されそうだ。 「お兄ちゃん――――――」 「珠実ちゃん――――――」 珠実ちゃんの顔が近くなって。 僕達は口付けした。 珠美ちゃんの唇は、柔らかくて、甘い香りがした。
「お兄ちゃん―――――――」 そして、珠実ちゃんは、少しずつ、服を脱ぎ始める。 下着姿になり。 ブラジャーを外し。 白い、小ぶりな胸が露になり、 純白のショーツを脱いで。 男を知らない一筋が、丸見えになって。 珠実ちゃんは生まれたままの姿になった。 「珠実ちゃん――――――」 「お兄ちゃん――――――」 「わたしの、初めてを、奪って」 禁断の香りがした。 僕は、迷わなかった。 禁忌であっても。 裏切りになっても。 目の前の果実は、綺麗なピンク色だった。
◇ 「――――――――」 「――――――――ふわ」 部屋の中。 梢は目を覚ました。 何時ぐらいだろう。窓の無い部屋は朝なのか夜なのかを教えてくれない。 「―――――……――――――」 「まあ、白鳥さんったら、寝言言っちゃって」 あまり二人で朝まで一緒の機会は無かったのか、白鳥を見て微笑む梢。 「う〜ん…………」 「うふふ…………」 「だ、だめだよ…………」 「…………?」 白鳥のその一言に、梢が首を傾げたその時。 「梢ちゃーーーーん!朝ごはん作るです〜!!!」 入ってきたのは珠美だった。 「…………す、すごいよ…………」 「た、珠実ちゃん…………」 「……………………」 珠実からただならぬものが沁み出ている。 そこに。 「す、すごい、気持ち良いよ、珠実ちゃん…………」 「…………」 「…………」 「梢ちゃん、外に出ていてくれますか?」 「う、うん…………」 言われるまま、外に出る梢。
部屋に残された者。 片や、阿鼻叫喚の大惨事を見せてくれようと意気込む狂戦士。 片や、何も知らず気持ち良さげに眠る生贄の羊。 「どんな気持ち良い夢を見ているですかね、このエロ鳥さんは…………」 それが、『妹』による死刑執行の宣告だった。 <<Dream-Love my Sister->>is the dead. 「っつ…………痛…………」 「大丈夫ですか、白鳥さん?」 結局。 白鳥は、原因不明の腹痛に苦しみ、恐ろしいまでの珠実の威嚇に怯えながら、一日を過ごしたという。 勿論、彼は珠実が何故怒っているのか、知る由も無かった。 「シャーーーーー!!!」 「うわっ…………うぅ、何で僕がこんな目に…………」
おおっ!!し、尻だね梢ちゃん!!! というわけで、「D.S.T.〜Dream.Sister.Tamami〜」でした。 勿論設定は義妹という訳ですよ?AVのお約束。 というか、結構展開に無理があったりするので、その辺はご容赦を。 まあ、珠実にお兄ちゃん呼ばわりさせようとなると、こうなるという話で。 B級ギャルゲーみたいな展開だな、改めて見ると………… というか何やってるんだ俺。終わりのクロニクルが面白くて仕方ないです。 というわけで、Low-G逝ってきまつ………… 朝美で書けないかな…………
キタヽ(゚∀゚ )メ(゚∀゚ )メ(゚∀゚ )メ(゚∀゚ )メ(゚∀゚ )メ(゚∀゚ )メ(゚∀゚ )メ(゚∀゚)メ( ゚∀゚)メ( ゚∀゚)メ( ゚∀゚)メ( ゚∀゚)メ( ゚∀゚)メ( ゚∀゚)メ( ゚∀゚)ノコレ!!
そんな餌でオレ様がタマー!! ………。 なんだか、珠実と言えば私と噂されてるのですが気のせいですか。 いやまぁ、珠ネタばっかりかいてるのは確かなんですが。 最近投下してないし21日辺りにはなんか投下しますかねぇ。
誕生日SSかな? これから梢ちゃんの誕生日にクリスマスにお正月と、 イベント目白押しなのだが、作中でしっかり描かれていて妄想の入り込む余地が少ないからなぁ・・・。 白鳥君抜きというのもつまんないし、次の誕生日〜お正月なんて先の話、 それまでにどんなことが起きるかわかったもんじゃないしで、 やりにくくてしょうがねーや。
>>809-814 ほとぼりが冷めたと判断したら、のうのうと元の流れですか?
世間はそんなに甘くねえ
((((((((((((((゚д゚;)))))))))))))))))アウアウアウアウアウアウアウ
テイル氏GJ!!
でも
>>814 が名無しのわn(ry
やっぱ18禁は難しいわ。
才能分けて水s(ry
>>827 甘くないのは世間ではなくあなたでは?
個人的な意見を一般論にすりかえるのはイクナイです。
>>827 同意。
自覚してない糞コテが多すぎる。
叩き過ぎるのはどうかと思うが、 問題の職人や擁護にも反省している様子が見受けられないのもまずい。 両者ともに黙ってろと言いたい。
ごちゃごちゃ言ってる香具師達はこのスレをどうしたいのかと小一時(ry
>>827 >>830 現状まで持ち直したのにまた繰り返すつもりか、おまいら?
>>831 それが一番かも知れない。でも黙ってても何の解決にならない。
ようは、「ここは21歳未満は立ち入り禁止ですよ。調和を乱す香具師は来るな。」と言いたい。
もう、自分にも分かりません。
>>827 は釣り
コテの職人が何かする度に同じようなこと言ってんだから気付きなさいって
むやみやたらと未成年職人を擁護するわけじゃないが、せっかく投下してくれたし、スレも元の流れに戻りつつあるの叩きすぎ。 もう少し感謝しろ。イヤならくるな
>むやみやたらと未成年職人を擁護するわけじゃないが と言っておいて >もう少し感謝しろ。イヤならくるな この台詞。完全な擁護です、本当にありがとうございました。
しかしせっかく戻りかけていた流れをいつも名無しの無責任な発言が台なしにしてるのも事実。 コテばかりに責任を押し付けるのは如何か
>>828 エロ書くのに才能はいらない。
ちょっとばっかり逞しい妄想とそれを文章に書き出す衝動があるだけでいい。
自分の脳内妄想をぶちまけるわけだから、ちょっと勇気がいるかもしれないけど
慣れれば大丈夫さ。
>>836 早紀獣姦SSを書いた奴を追い出す。
これで全てがうまくいく
↑はいはいわろすわろす
>>838 それが出来れば一番いいんだけどな
さすがに無理だろ、ハルイロ喜んでるヤツがいるし
ぐうたらの構ってちゃんな気質が治らなければいつまでも続くだろうな
「君が好きだ」と言ったから、12月19日はまほらば記念日。 いやなんとなく。
_ ∩ ( ゚∀゚)彡 まほらば記念日!まほらば記念日! ⊂彡
とうとう叩かれるのに耐性がついてきたお
>>844 前置きとしていっておくけど、
自分は以下の質問にきちんとした答えと解決策を提示してくれれば不満はありません。
そこのところをふまえて読んでいただきたいと思います。
真面目に聞きたいんだけど、このスレの現状に対してどう思ってる?
迷惑してる人間がいるのは分かってるよね?
そういった人をどう思っていますか?
そしてこのスレを良スレにしていくのに必要なものは何?
もう少し聞きたいこともあるけど、あなたが大人としての自覚があるのであれば大丈夫だと思います。
お願いします。
今日も活発ですな
>>845 >真面目に聞きたいんだけど、このスレの現状に対してどう思ってる?
陵辱とか純愛とかマジどうでもいい。
だから荒らしでもない限り住人を追い出す必要は皆無だと思ってる。
>迷惑してる人間がいるのは分かってるよね?
分かってるよ。
でも俺が迷惑をかけてるってのが今一実感が沸かない。
どんな風に迷惑?
>そういった人をどう思っていますか?
超マジかわいそう。
俺も貴方もココに来たのは自己責任。
>そしてこのスレを良スレにしていくのに必要なものは何?
たくさんのSSと寛容な心。
それとみんなの笑顔があれば100スレも軽い。
話の途中で悪いのですが、「ハルイロ・魚子の場合」に入れられなかったネタを、 独立した話として書いたので投下します。
5月最後の日曜日。その日の午後、珍しく住人たちは全員が出払っていて、 鳴滝荘には白鳥と梢、そしてハルしか残っていなかった。 とはいえ、ロマンチックなことがあるわけでもなく、 梢は掃除に洗濯、その他雑用にと、鳴滝荘の中をあれこれと動き回り、 一方、ハルの相手を引き受けた白鳥は、二号室の前でハルと並んで座りながら、 黙々と晩春の中庭のスケッチに取り組んでいて、静かに時は流れていた。 「白鳥さん」 そんな彼の元へ、梢がとことことやって来て、 白鳥はスケッチブックから顔を上げた。 「あ、梢ちゃん、掃除はもう終わったの?」 「はい。それでわたし、これからちょっとお買い物に行ってきますので、 一時間ほど留守にしますね」 「ああ、うん、わかったよ。いってらっしゃい」 梢ちゃんまで出かけちゃうのか…と、少し寂しい気もしたが、 それは表に出さず、白鳥がにこやかに梢に手を振ると、 梢もにこにこと手を振り返し、玄関のほうへと歩き出した。 「あ、ちょっと待って」 だが、その梢を、不意に白鳥が呼び止めた。 「はい?」 足を止めて振り返る梢に、白鳥は立ち上がりながら、 少し照れ臭そうな顔をして言った。 「僕もちょうど欲しいものがあったんだ。せっかくだから一緒に行こうか?」 「…はい」 白鳥に、梢ははにかみながら返事をしたが、ふと彼の足元に視線を移し、 少し迷ったような表情になった。 「あ、でも、ハルちゃんはどうしましょう?」 「あ…」 梢に言われ、白鳥は足元ですやすや眠っているハルに顔を落とし、 弱った顔をした。『そういえばハルちゃんがいたんだっけ…』 「一緒に連れてく…のは無理だよね、やっぱり」 「ですね」 白鳥が言うと、梢もハルを見ながらコクンと肯いた。他人に見られたら、 という以前に、この植木鉢を抱えていては、買い物にならないだろう。 「それに、こんなに気持ち良さそうに寝てるのに、 起こすのは可愛そうですよ…」 「そうだね…」 「あの、私が買ってきましょうか?」 「いいよそんな、悪いよ」 白鳥は慌てて手を振り、それを断った。買いたいものがあると言っても、 そんなに急ぐわけではなく、一緒に出かける口実のようなものだったのに、 梢に余計な手間をかけさせてしまっては、申し訳もないというものだ。 『ど、どうしよう…』 白鳥はしばし考えあぐねていたが、やがてためらいがちに口を開いた。 「一時間くらいで済むんだよね? 良く寝てるしさ、 置いて行っちゃってもいいんじゃないかな?」 「でも…」 迷っている様子の梢に、白鳥は少し意気込んで続けた。 「水はさっきあげたし、ここは直接日は当たらないから、そのくらいなら大丈夫だよ」 「そう…ですね」 ハルを置いて行ってしまうことに、梢は少し気が咎めたが、 白鳥と一緒に買い物に行きたいという気持ちのほうが勝り、 縁側ですやすやと眠るハルに、申し訳なさそうな視線を送りつつ、 彼女は白鳥に促されるように、一緒にその場を後にした。
それから一時間足らずして、二人は仲良くおしゃべりしながら、 鳴滝荘へと戻って来たが、住人たちはまだ誰も帰っていないようで、 家の中はしんと静まり返っていた。 「あれ?」 玄関を上がり、にこやかに談笑しながら回廊まで出ると、 2号室の前のハルが、もぞもぞと動いているのが二人の目に留まった。 どうやら、いつの間にか起き出したらしい。 「ただいま」、と二人は声をかけようとしたが、どうもハルの様子がおかしい。 肩を小さく震わせ、しきりに手で顔を拭っている。 「あーっ!?」 「あ…!」 ハルが泣いているのだと気付いた二人は、慌てて彼女の元へ駆け出した。 きっと、目を覚ましても誰もいなかったから、寂しかったに違いない。 二人は直感的にそう悟った。 「ご、ごめんよハルちゃん」 白鳥の声に気付き、ぴーぴーと泣いていたハルは、 涙と鼻水でくしゃくしゃになった顔をあげた。そして白鳥の姿を認めると、 一瞬顔を輝かせたが、すぐにぶわっと涙と鼻水を溢れさせ、 彼に向かって必死で腕を伸ばしてきた。もし動けたなら、 きっと走り寄って来ていたことだろう。 「置いていっちゃってごめん、悪かったよ」 動けないハルの代わりに、白鳥はすぐさまハルの傍まで駆け寄り、 持っていた荷物を下ろして彼女を植木鉢ごと抱き上げた。 ハルはその腕にしっかりとしがみつくと、 顔を押し付けてヒックヒックとしゃくりあげた。 彼女の小さな肩が震えるたび、頭の花も、ゆらゆらと揺れていた。 「ごめんよ、ほら、もう泣かないでよ」 「ごめんね、ごめんね」 大泣きするハルに、白鳥はおろおろとなって、 しきりに謝りながら、ハルの頭を撫でて慰めた。 その横で梢もしきりに謝りながら、ティッシュを取り出し、 白鳥の腕にしがみついたまま泣きじゃくるハルの顔を、そっと拭ってやる。 「ごめんよ、もう絶対独りぼっちにしたりしないから、泣かないで」 白鳥がハルの頭を優しく撫でながら言うと、 彼女はそっと白鳥の腕から顔をあげ、「本当に?」とでも訊きたげに、 涙を湛えた瞳で、彼をじっと見つめた。白鳥は彼女を見つめ返し、 暖かく微笑みながら肯いた。 「うん、本当だよ。約束する」 「ごめんね、ハルちゃん。もう置いていったりしないからね」 二人の言葉に、ハルはようやく嬉しそうな笑顔を見せ、 そして再び、白鳥の腕にぎゅうっとしがみついた。 心の底から安心しきった顔で、白鳥の腕にしがみつくハルを見つめ、 二人はホッと、安堵の表情を浮かべた。 「よかった…」 「ええ…」 二人は顔を見合わせ、微笑み合った。そして白鳥はハルに顔を戻すと、 彼女の頭にそっと手を乗せ、「本当にごめんよ…」と、優しく撫でた。 そして心の中で、こっそりと付け加える。 『もう絶対に、君を独りぼっちにはしないよ。約束する。だから… だから君も、僕たちを置いてどこかに行ったりしないで…』
「…なにやってんの、白鳥君?」 夜になり、夕食のためキッチンに集まった住人たちは、 ハルの植木鉢を右腕に抱えたままイスに座る白鳥に、怪訝そうな顔をした。 ハルはといえば、白鳥の右腕に、抱っこちゃん人形よろしくしがみついている。 「いえ、ちょっと…」 白鳥はトホホ顔でみんなに答えた。ハルはあれからずっとしがみついたままで、 離そうとしてくれないのだ。そんなに寂しい思いをさせてしまったのかと、 白鳥は罪悪感を覚えたが、これでは碌に腕を動かせやしない。 おかげで課題の残りはできなかったし、ご飯だって…。 「ねぇ、もう君を置いてどこかに行ったりしないから、離してくれないかなぁ」 と言ってみるが、ハルはぎゅうっと腕にしがみついたまま、 ふるふると首を横に振る。 白鳥はハァッと溜め息をつくと、植木鉢を右腕で抱えたまま、 自由なほうの左手で箸を不器用に動かし、ご飯を口に運んだ。 『しょうがないか。元はといえば、僕が悪いんだもんな…』 「はい、白鳥さん」 「えっ?」 白鳥が反省しつつ、もぐもぐとご飯を食べていると、不意に梢が、 彼の目の前におかずを摘んだ箸を差し出してきた。 「はい、あーん」 「えっ? えっ、いやっ、あのっ、い、いいよそんな…」 住人たちの視線が集まるのを感じ、真っ赤になってあたふたと手を振る白鳥に、 梢はきょとんとなった。学校で珠実や他の友人たちと、 ご飯を食べさせあうのはよくあることだったし、この鳴滝荘でも、 黒崎親子がよくやっていることで、それ以上のことは… 恋人だからとかいう意識は、特になかったからだ。 しかし白鳥や他の住人にとってはそうではないようで、 朝美とジョニーは頬を赤らめ、桃乃はにんまりとし、 珠実は笑顔を引きつらせた。 「梢ちゃん、甘やかすことないですよ〜」 「でも、白鳥さん大変そうだから…」 「にゃははは、まあまあ珠ちゃん、いいじゃないの。白鳥君困ってるみたいだしさ」 『そ、そうだよなぁ。腕を使えないんだもん、しょうがないよなぁ』 桃乃の言葉に、白鳥はそう自分に言い聞かせ、照れ臭さを抑え込むと、 にっこりと梢に微笑んだ。 「あ、ありがとう梢ちゃん」 そして白鳥は顔をほころばせながら、口を大きく開けると、 梢の差し出した箸に、パクリと食いついた。 「おいしいですか?」 「うん、とっても」 「はい、それじゃもう一口どうぞ」…… 「今夜も冷たいビールが恋しいネ」 「珠ちゃんも誘って飲みますか」 『大人だぁ…』 囁きあうジョニーと桃乃、真っ赤な顔をする朝美、いつもと同じ沙夜子、 そして無言で、物凄い勢いでご飯を掻きこんでいる珠実をよそに、 白鳥はハルに悪いことをしたという気分もどこへやら、 梢の差し出すご飯を、幸せそうに頬張っていた。 『ありがとう、ハルちゃん…!』 だが… 「……あの、ハルちゃん…。その……トイレ、行きたいんだけど…」 寝る時間になっても、まだ腕を離そうとしないハルに、 白鳥は心の底から反省をしたのだった。 「ごめん、本当に僕が悪かったよ…」
「おしまい」と入れるはずだったけど改行制限にぎりぎりひっかかっちった・・・ ということでおしまい。
可愛そうと可哀相……
ハル欲しい・・・・
ハルが白鳥くんを陵辱する展開はどうか。
>>847 お答えありがとうございます。
あなたの考えがとりあえず分かってよかったです。
それと質問を無視しない分別があることも。
というわけで更なる質問をさせていただきます。
そちらの質問に答える意味も含めて。
>でも俺が迷惑をかけてるってのが今一実感が沸かない。
>どんな風に迷惑?
と仰っておられますが、
あなたがこの板に来れない年齢であること、また雰囲気にそぐわないレスをすることにより
発生している様々なレスが普通にSSを読みたいある程度の住民にとって迷惑となっているのですが
その辺りはどう考えていますか?
>>463 のような事態も起こりえることが考えられるのですが。
とりあえず一つだけ追加させていただきました。よろしくお願いします。
>>856 貴方が真摯な態度で返してくれて良かった。
俺の発言がこのスレ住人の一部に非常に煙たがられているのは分かってる。
俺もここにいて良い人間じゃないことも良く分かってる。
でも、ここしか自由にSSを公開することが出来る場所を見つけることが出来なかったんだよ。
それに、俺がここに来た当時、まだここは寂れていたから、俺の稚拙な文で、大好きな『まほらば』の世界を広げる場であるここを支えられるなら、と、ここに投下した。
言い訳がましく言わせて貰えば、もうここには俺を必要としてくれる人が出来てしまったから、ソレを裏切ることは出来ないし、ここのみんなと一緒にいたいって言うのが一番大きな気持ち。
とはいえ俺がこのスレの為にSSを書き続ける反面、このスレを駄目にしていったのも事実。
SS書きとして期待に応える為におこがましくここに残るか。
このスレの平和の為にここを去るか。
迷ってる。答えはまだ出てない。
これが俺の考えていること。
>>856 さん。これで良いかな?
それと、課題の人、
>>811 さん、ジズ氏、イレイザ−氏、応援ありがとう。とこの場を借りてお礼を言わせて貰う。
本当に無駄な長文すまない。
>>852 いいかげん消えろよ
貴様が全ての元凶だ
対応って大事だよね 乱暴に言うと荒らしに見える。
>>857 レスありがとうございます。
そちらの考えがより深く分かりました。
それをふまえて愚見を申し上げます。
あくまで私の個人的意見でありますがご覧ください。
まず一番良いと思われるのは非常に申し訳ありませんが、
ぐうたらさんがここを去り、新たな活躍の場所を見つけられることだと思います。
>>857 の文章を読めば、あなたの「まほらば」と読者への思いはよく分かります。
ですからここでなくともその思いは発揮できると考えます。
こことのつながりを重要視するのであれば、作品が出来たらアドレスを貼るなりして
報告していただければよろしいかと。
別の場所が見つからないというのを承知で書かせていただきました。大変申し訳ありません。
そしてここに残られることを選択した場合ですが、
スレが今後常にまったりとした雰囲気が続くことはないことはお分かりかと思います。
その上で次善の策があるとすれば、
>>859 にあるスレなどを使って
スレの空気をできるだけ乱さない努力をすることが大事かと考えます。
完璧な対処法ではありませんが、ある程度の効果にはつながるのではないでしょうか。
ともかくも最初の時点であなたへの注意が徹底できなかったのは
私も含めたスレ住人全体の責任だと思っています。
そういった意味でも申し訳ありませんでした。
このような長文を書いてしまい、SSを楽しみにしている住人、またSS職人に対するお詫びも含めて
このスレからしばらく離れようと思います。それでは。
しばらく来ないつーのに突っ込んでもしかたないけど、 >作品が出来たらアドレスを貼るなりして って、ここに直接投下するのとたいして変わらんと思うが。 それから >スレ住人全体の責任だと思っています 勝手に俺のせいにするな。
おまいら今日は梢ぽんの誕生日だぞ!!
ふーん
所詮は誕生日
HAPPY BIRTHDAY TO 梢ぽん
ぽん
今、ゆっくりと自分で保管庫的なページ作ってる。 出来たらそこに俺のSSを全部載せて新作もそこにうpするつもり。 それで、ここにアドレスは載せていいのか? 住人のみんなの意見を仰ぎたい。
ここで宣伝するよりもまほログにリンクして貰った方がいいかもね。 とかく、2chで自分のページの宣伝すると叩かれやすいってのがある。 ある程度軌道に乗ってれば(見るものが多ければ)定期的に見てくれる人も増えるから あまり宣伝する必要はなくなるよ、とアドバイス。
ハルが欲しいんですが、どこで売ってますか?
>>871 別にかまわないとは思うが・・・このスレだけではなくて、
>>859 のスレなんかでも聞いてみればいいかも。
まほログ経由に一票。
というかSSうpろだの存在を忘れてますね、皆さん。 修正用とは書いてありますけど、いざとなったら新作うpしても構わないはずですが…… それはとにかく、個人用保管庫作るならまほログにリンク貼りますよ。 更新した後にコメントを適当な記事に書いてくれれば大丈夫な筈です。 というより、個人サイトだとまほらば以外のSSも書けると言う話? とにかく、良質なSSが増えれば自然と知名度が上がるという理屈。 ウェブリングとかに……スレ違いなので以下略。
うーん一週間忙しすぎてPC触る暇も無かったな・・・
>>875 別にSSだけで無く絵とかもうpしてもらっても構わないですよ
もともとまほらば系ならオールOKな方針でやってますし
休みでも取るかなorz
陵辱がダメでまったりエロならいい? アホくさ、エロ入れてる時点で原作とかけ離れてるっつーの 久々に来たが、アホな事やってるな
いやだってこんな「俺が見たくないものは書くな」的な厨の言いなりになってるスレなんてスゲー珍しいじゃん?
>>879 それには余す所無く同意。
書き手よ、もっと自分を大切にしてくれ!
神様は読み手じゃない、書き手だ!
いや、最近の叩きは未成年は来るなというところに シフトしてるような。
むしろコテ職人を片っ端から叩いてるだけじゃね?
>>879 そういや、誰か言いなりになってる奴いたっけ?
そっちの厨の的にかけられてる筆頭の
ハルイロの人は我関せずで好き勝手書いてるし、
他のコテの人も特に気にしてない様子だけど。
ハルイロの人クラスになるともうすげえな。 まぁ、例のアレの時もしっかり注意は促したからあとは被害妄想激しい連中が騒ぎ立てた所為であそこまでコトが大きくなったんだよな。
ただ、あの人の場合、どうもただ淡々と投下してそれでおしまいって感じなのが…。 いまいち人に読んで貰うという気があるのかわかりづらいんだよな。 なんか熱意とかこだわりが伝わってこないと言うか、そんな印象を受けてしまう。
かといって作品解説されたり雑談されてもウザイ罠。 内容に言及してるレスには結構反応してたと思うし、 逆に煽りは一切スルー。あれくらいでいいんでねーの?
淡々としてるって言うか、誰もができるはずなのにできていない「スルー」をある意味でだけどきちんと出来てんじゃないの? まあここはプロの集まりではないんだし別に自分の好きなの書いて投下ってくらいでかまわない。 このスレでうるさいのは頭の逝った一部の連中だけで別にそうでなければ読み手も書き手も静かなもんじゃん。
ま、そうなんだけどな。 無駄におしゃべりなコテよりは角が立たないやり方ではある。 ずっと名無しで通してる辺りも賢いやり方だ。 しかし、職人が何人もいて一日に数作投下、毎日何かしら新作があるって状況はもうならないんかねぇ。 この板じゃ贅沢な望みなのかもしれないけどさ。 ここのところ、熱心に投下してるのは春色の人くらいだしなー。 職人復活を願うよ、ホント。
>>889 はじめ勢いがよかっただけに、少々ネタ切れしてるのでは?
そんな気がする。
891 :
名無しさん@ピンキー :2005/12/23(金) 01:48:56 ID:bwGg42W3
age
うぉ、誤爆〇| ̄|_
>ハルイロの人クラスになるともうすげえな。 こいつイラネ
>>886 身辺日記か自己紹介のようなことを書き連ねる方がよろしいとでも?
人に読ませるだけの代物か否かは作品自体から判断すべきだろうが。
それに商業作品じゃあるまいし、読み手の嗜好を過度に意識する必要もあるまい。
「こだわり」の使い方も間違っているよ。
そうは言っていない。 ただ、投下し終わって「以上です」だけじゃあっさりしすぎで置き逃げしてるみたいだ、 って毎回感じるだけ。 一言くらい、書きたかったことをコメントしてくれるとイイナ!って思ってただけ。 文章から読みとってくれって意図なんだろうけど、そういう突っ放したやり方だと 読み手としても作者がどういう思惑なのかいまいち掴みきれないってのが本音。 正直、レスに困るし。 まぁ、下手なこと書いて噛みつかれないために予防線張ってるんだろうけど、 この辺は損している面だと思う。
>>896 > あっさりしすぎで置き逃げしてるみたい
置き逃げ? どこぞのテロ屋さんが爆弾でも置いていくんじゃあるまいに。
その言葉自体「作品発表の際には別途コメントを残すべし」なる価値観が
前提となっていて何ら釈明になっていない。
> 一言くらい、書きたかったことをコメントしてくれるとイイナ!って思ってただけ。
> 文章から読みとってくれって意図なんだろうけど、そういう突っ放したやり方だと
> 読み手としても作者がどういう思惑なのかいまいち掴みきれないってのが本音。
> 正直、レスに困るし。
それは君の読解力と表現力の問題。作者に転嫁する事なかれ。
また、表現には受け手の自由な解釈が許されているのだから、たとえ作者の意図と違う
理解をしたとしてもそれ自体で責められるものではない。勇気を持て。
あれだ、「考えるんじゃない、感じるんだ」 まぁ小説だろうと漫画だろうと、 こんなこと考えて書きました、なんて解説普通つかないしな。
本当に書き手も読み手も若さあふれるスレですねw 初期は勢いと言う形でよい方向にそれが向かったが、 今はそれが弊害になっていると。 まあ成長の糧になればいいんじゃないですかと他人事のように言ってみる。
そういや書きかけで放置してたのがあったな。
>>899 お前さんみたいにニヒリストを気取っているのも若さの証明だよなw
ここは未成年者が集まるインターネットでつね
半年振りくらいに来てみたが…
まさに
>>899 の通りだな。
職人が平気で年齢カミングアウトしたりするあたりで嫌な悪寒はしたが。
つーか、こんな状態でスレ続ける必要あるのか?
別に潰す必要はない。 勢いがなくなったらなくなったで自然消滅するだけだから。 投下したいと思う職人が居る限り、なくなりはしないだろう。
しかしまぁ、十時になってからの失速ぶりは目に余るものがあるのは確かだ。 それまで半月〜一ヶ月で容量オーバーしてたのがこのスレじゃ二ヶ月かかって ようやく1000埋まりきるくらいだからな…。 今じゃ、週に一本投下されるかどうかだし、ちと寂しいものがある。
人大杉… でも投下 登場:赤白茶 エロなし、ぬくぬくナシ
908 :
お返し :2005/12/24(土) 00:40:24 ID:x38blZhS
「ん?…あれ?」 「あ、そうだ。アタシ帰って来てたんだっけ…」 椅子の上で早紀は目覚めた。どうも居眠りをしていたらしい。 目覚し時計は11時を指している。 (…うわ〜、こんな時間か…隆士んとこいくと、迷惑かな?) 柄にもなくそんなことを考えている。でも結局、早紀は白鳥の部屋へ向かった。 この前の事が頭に浮かんで顔がにやけてきてしまうので、早紀は無理矢理神妙な顔を作った。 (もう結構遅いけど…隆士は起きてるかな〜) 皆を起こしてしまうと邪魔が入ると思って、回廊に来てからはそろそろと歩く もう少しで着くのに焦らされてしまって、それが早紀には嬉しい。
909 :
お返し :2005/12/24(土) 00:41:18 ID:x38blZhS
「お…?」 「…で………ね…」 浮かれながら2号室のそばまで来ると、部屋の扉がほんの少し開いていて、中から話し声が聞こえる。 誰かと白鳥が喋っているようだった。 こんな時間でも誰かが白鳥の部屋にいることは鳴滝荘ではざらなのだが、早紀にはそれが少し残念に思えた。 (誰かいる?宴会か?) そう思ってこっそりと早紀が中の様子を窺うと、机の所に白鳥と珠実が座って話していた。 (あ、珠実…) 白鳥と一緒にいるのが珠実だとわかった途端、早紀はとっさに扉の後ろに回りこんでしまった。 (って!な、なんでアタシ隠れてるんだ?) 早紀はちくりとした胸の痛みを覚えたが、それが何だか分からずとまどっていた。 自分が隠れている理由が分からないのだが、部屋の中の空気に押されて中に入るのを躊躇してしまう。 (何だか隆士…楽しそうだな) からかわれて弁解するような白鳥の声が聞こえてきて、妙に盛り上がっている。 珠実と白鳥の関係なんて以前は気にも留めていなかっただけに、それが早紀には意外に感じられた。 (珠実って、男は好きじゃないって言ってた筈だけど…あんな楽しそうに…) (それにアタシと違っていつもここに居るんだよな…) そうしていると珠実の行動が早紀には不審に思えてきた。 自分が言えた義理ではないのだが、何故こんな時間に白鳥の部屋にいるのか 珠実は自分のいない時に白鳥と何をしているのか、そんなことまで気に掛かる。 早紀の恋心は皆に隠しているだけに、珠実も似たようなことをしているのではと思うのだった。 早紀には白鳥と一緒にいるということが不得手で、雰囲気が良くなる前にいつも手が出てしまうだけに 楽しそうに話す珠実が羨ましくて仕方がない。
910 :
お返し :2005/12/24(土) 00:42:31 ID:x38blZhS
(…何だよ、アタシがいる時は隆士に興味も無さそうな顔して……う?) そして、だんだんとイライラしてゆく自分を発見して早紀は狼狽した。 さっき感じた痛みは、ひょっとすると珠美への嫉妬なのではないか。 そういったことに疎かった為か、早紀は自分にも女らしい湿っぽい感情があることを認めたくなかった。 (あ〜何考えてんだアタシは…そんな訳…ないだろうが) 早紀は頭をぶんぶん振ってそんな想いを振り払う。 余計なことを考えていて、部屋にも入れずにいるのが馬鹿馬鹿しくなったし、 早紀は陰でこそこそするのは嫌だった。 (それよりも珠実に隆士とのこと知られたくないからな…し、自然に…自然に) 気持ちを切り替えて、扉の前に立つ 「お−い、白鳥、珠実、元気してたかよ!」 と、早紀は勢い良く扉を開けて中に入った。 「?…あ…もしかして、早紀ちゃん?ひさしぶりだね」 「おう、ただいま」 白鳥は振り返って答えた。驚きの中に嬉しそうな様子が見て取れる。 (ほら、ちゃんと隆士はアタシのこと見てくれてるじゃねえか…) そう思って安心した早紀だが、珠実の様子がいつもと違うことにも気付いた。 最初は、珠実も驚いてなにか言いかけていたのだが、やがていつもと違う怪しい笑みになっていた。 (…あれ?珠実?) 何年も一緒にいた早紀はこの笑顔をよく知っている、何か企んでいる。 でも、今までその顔が自分に向けられたことなどなかった。 いつもなら嬉しそうな顔を見せてくれるはずなのに、今日は敵意を感じる。 珠実の態度が早紀に再び不安を起こさせた。 「な、なんだよ珠実…怖い顔して」 「…私はいつもこんな顔ですよ〜。部屋に入ってくるなり何言うんですか〜」 「…そ、そうだったかな」 「うふふふふ〜、早紀ちゃん変ですね〜」 「…?」 白鳥にはそんな風には見えないらしく、不思議そうに二人の顔を見比べている。 隠れていたことを知っていたのでは とギクリとし、早紀は言葉を切ったが、やっぱり珠実の態度が気になった。 珠実は顔に怪しい陰を浮かべていたが、ぎくしゃくしたやりとりが終わると手元に目を移した。
911 :
お返し :2005/12/24(土) 00:43:49 ID:x38blZhS
(ひょっとして…二人だけがよかったのか?珠実?) 心中は波風たちまくりなのだが、あえて深く考えず早紀は白鳥の隣に座る。 さっきまで盛り上がっていたようだったが、二人ともまた静かになった。 (一体何話してたんだ?…今度はなんにも話さねえし…) (…このあいだの話題にされるよりはましだけど…) 珠実は一冊のスケッチブックを見ているようで、白鳥もその様子を見守っている。 どうも今まではそのスケッチブックが話題になっていたようだった。 「なあ、珠実。…何読んでんだ?」 ちょっと警戒しながら早紀は珠実に聞いてみた。 「白鳥さんの作った絵本です」 「…そ、そうか」 (なんで今日はこんなに冷たいんだ…?) 待ってましたとばかりにそっけない返事、取り付く島がない。 そうだというように白鳥も頷くが、話が続かない。 珠実はもくもくとそのページをめくっているし、白鳥は何か期待するように珠実の様子を窺っている。 状況がわからないまま時間が過ぎる、早紀は何であの時一気に部屋に入らなかったのかと後悔した。 (本の話をしてたのか…。それにしても絵本って…隆士が作ったのか…?…趣味で?) 二人の様子にそう納得しつつも、早紀は初めて白鳥の絵本の事を聞いたので驚いていた。 思い返してみれば、白鳥の日常のことはほとんど知らない。
912 :
お返し :2005/12/24(土) 00:49:42 ID:x38blZhS
暫くしてからパタンと珠実がスケッチブックを閉じた。 「素人の感想ですけど、絵がお話に合っていて、良いと思います。…あと、よくは知らないんですが、絵本ってこんなテーマも扱うんですか?」 「う、うん。ありがとう珠実ちゃん。テーマは…やっぱりちょっと暗いかな?…子供向けに作ったつもりなんだけど…」 珠実が淡々と感想を述べる。白鳥はそれを待っていたようだった。 「でも…『それ』が誰かに似ているような気が…するですね〜」 「い、いやあ…ははは…」 やっと気まずい時間が終わったと安堵した早紀だが、今度は絵本の内容の話になってついていけない。 白鳥は誉められて嬉しいのか、顔を綻ばせている。 (隆士…嬉しそうだな。…ア、アタシも読まないと…) 話題に追い付こうと早紀は焦った。 自分のペースに巻き込む事がうまい分だけ、早紀は後手に回ると弱かった。 「なあ白鳥、これ、オマエが作ったって?」 机に置かれたスケッチブックを手にとって白鳥に聞いてみる。 「うん。学校入ってから初めて作ったものなんだ」 「学校?…絵本の?」 「そう。…あれ?早紀ちゃんには話してなかったっけ?」 白鳥は思い返すように首を傾げている、どうも早紀も知っていると思いこんでいたようだ。 「初耳だぜ?まったく…隠し事なんてそりゃねえぜ…」 「隠し事って…そんなおおげさな…」 やっとまともに会話ができたが、早紀は不満だった。 前に自分のことは白鳥に話したが、恋人になっても白鳥のことをあまり教えてもらっていない。 (…アタシに教えないでおいて…なんで珠実には教えてんだよ) 一瞬、また珠実を羨んだ自分がいて、早紀は悔しかった。 「ア、アタシも…読んで、いいか?」 「うん、ちょっと人に見せるのは恥ずかしいけど。早紀ちゃんも読み終わったら感想聞かせてくれる?」 「お、おう!まかせとけ」 (でも、絵本なんてあんまり読んだ事ないよな…柄じゃないし…) 早紀はそう思いながらページをめくった。
913 :
お返し :2005/12/24(土) 00:51:28 ID:x38blZhS
絵本だと軽く思っていたら、意外にもボリュームがある。 素人の作ではないことに気付いて、白鳥への感想というものが気にかかった。 (学校にわざわざ行くって事は、隆士は作家とか目指してるのか?) (…だから珠実に誉められて…あんな嬉しそうに…) 純粋に読もうとするのに、早紀はいつのまにか珠実を意識していた。 素直な感想を述べただけだと半分分かっているのだが、もう半分でひょっとすると…と疑っている。 しかも、当の珠実はさっきから話しかけてこない。 こんな事は初めてだが、訳がわからないので早紀は気にしないふりをしていたが、 ついつい自分の本音が重なって、二人きりのところを邪魔されたからではと勘ぐってしまう。 (珠実に負けない感想…) 不純な動機で読むものだから余計に話の筋が頭に入ってこない それでも、なんとか早紀は読み終えた。 (いい話…ってこれじゃ珠実と同じだ…………ん?) 「…先生にもいわれたんだ。別に平仮名でなくてもいいって」 「そういえば先生に暫く会ってないですね〜、元気にしてるですか…?」 早紀が読んでいた絵本から目を上げると、隆士と珠実が楽しそうに喋っている。 なんだか自分の知らない人の話をしているようだ。 早紀なりに話題に着いて行こうとしたのに、白鳥は別の話題で珠実と盛り上がっている。 早紀は言い様のない焦りを感じた。
914 :
お返し :2005/12/24(土) 00:52:48 ID:x38blZhS
(な、何で珠実とばっかりっ!) 早紀は気付いたときには立ち上がって大声を出していた。 「あ、あのっ白鳥っ!」 会話が途絶え、二人ともびっくりしたように早紀を見上げている。 一瞬しまったと思いながらも今度は大急ぎで感想を考える。 「…お、おもしろかった…」 (なにやってんだアタシ…結局こんなどうしようもない…小学生みたいじゃねえか…ううっ) 頭に浮かんだことをそのまま口に出してしまう、早紀は自分の不器用さを呪った。 「あ…うん、ありがとう早紀ちゃん。やっぱり今度の作品もこんな感じのキャラクターにしようかな」 「あ、ああ…そうだな」 悄気かけている早紀を見て思わず白鳥がフォローする。 その時、今までずっと黙っていた珠実が声を上げた。 「突然何を言うかと思えば〜、もうちょっとマトモな感想はないんですかねぇ〜」 「!?」 「ちょっと…珠実ちゃん」 珠実の毒舌が早紀を貫いた。まるで、何かイチャモンをつけるネタを待っていたかのようだ。 いつもは傍観するだけだった言葉が自分に向けられている。 (いつもはフォローしてくれるのに、どうしてそんな事言うんだよ…) 他の人間なら腹が立つ所だが、早紀はむしろ戸惑ってしまった。 「た、珠実?…なんでそんなこと言うんだよ…?…アタシなにか悪いことしたか?」 「………」 珠実はぎゅっと自分の胸を抑えて、苦しそうな様子を見せたが、すぐに元に戻る。 「珠実…何でそんな怒ってんだよ?」 「…あのですね…話のじゃまをしないでください」 立ちあがって、白鳥と早紀の間に割って入ると珠実はこう言い放った。 他の誰にもこんなことは言われたことはない。まして今その言葉を投げつけて来たのは珠実なのだ。 早紀が呆然としたのも無理は無い。
915 :
お返し :2005/12/24(土) 00:54:02 ID:x38blZhS
「絵本のこと、早紀ちゃんは頼まれてないでしょう〜?」 「そりゃまあ…そうだけど、でも…」 「それなのに、私と白鳥さんの話をじゃましたりして〜。せっかく良いところだったのに〜」 「ちょっとまてよ…自分勝手なこと言って、オマエはどうなんだよ!」 これだけずけずけと言われると、いくら珠実の言った通りの事をしたとはいえ、早紀も腹が立ってきた。 自分が話に上手く加われていなかったことを分かっていたから、よけいに珠実が憎たらしかった。 「私は白鳥さんの方からお誘いがあったんですよ〜。ね〜白鳥さん?」 「え?そ、そうなのか?白鳥?」 「あ、うん…ちょっと新作の参考にしようと思ってね。だけど早紀ちゃんも…」 ケンカ腰になっているような二人を初めてみる白鳥は戸惑っていたが、二人の間を繕おうとする。 「白鳥さんはちょっと静かにしておいて下さいね〜、このお邪魔虫を退治しますから〜」 「え、あっ、ちょっと…珠実ちゃん…?」 ところが珠実はそういった様子の白鳥に擦り寄って止めさせた。 女性に免疫の無い白鳥はそれだけで慌ててしまう。 さっきからずっと、珠実が妙に白鳥に馴れ馴れしいのが気に障っていた早紀は、 そんな二人を前に思わず口調を荒くしてしまった。 「た、珠実!白鳥から…は、離れろ!」 (な、なんでそんなベタベタしてるんだ!…恋人でもないのに!) (…それにお邪魔虫ってなんだよっ、珠実のことだろっ…) そんな様子の早紀を見て、ふっ と獲物が罠にかかるのを見たような目つきで珠実は笑った。 「あれれ〜、なんで早紀ちゃんはそんなに白鳥さんにこだわるんですか〜」 「え…こ、こだわってなんか…ねぇよ」 すこし本音が出かけたことに気付いた早紀は、慌てて自分を落ちつけようとした。 一歩引いた早紀に畳み掛けるように珠実は突っ込んでくる。 「そうですよね〜、早紀ちゃんは白鳥さんのこと嫌いなはずでしたからね〜」 「男らしくないとか散々言ってましたし〜」 「う…」 (そ、それは最初の頃のことで…今は) 全て言ってしまえば珠実も静かにさせられる、と思うのだが 早紀は上手く言い出せない、皆に知られたくないということもあったが、 むしろ珠実に抑えこまれているようでもどかしい思いがした。 白鳥はもう早紀に恋愛の話題を振ることには懲りていたので、早紀のこの態度には何も突っ込まない。 ある意味では早紀にとって救いだが、そのせいで踏ん切りがつかなかった。
916 :
お返し :2005/12/24(土) 00:54:54 ID:x38blZhS
「と、とにかく…そういうのはお前らしくないからやめろよ、似合わねえし」 「言ってただろ、男なんかに興味ないって…」 (珠実こそ、白鳥と仲いいなんて変じゃねぇか…) 半分勘ぐるようにそうやりかえす。ところが珠実は早紀のように隠しもせずに言った。 「余計なお世話です〜…そんな昔のことを持ち出して、白鳥さんと私の仲を引き裂こうとしても無駄ですよ〜」 「仲っ?え…お、おい…まさか」 (仲!?…仲ってなんだ!?仲ってなんだ!?) 突然の発言に驚く早紀、当初の予感が的中したようになって取り乱した。 いくらニブチンの白鳥でも、珠実の様子が不穏なことに気付いた。 「…えっ…ちょっと。なに言ってるの珠実ちゃっ…がふっ」 珠実は神速で喋ろうとした隆士の口をふさぐと、強請の写真(ネタ)をちらつかせる。 あられもない白鳥隆子の写真。 「梢ちゃんに………分かりますね〜」 「破滅したくなければ…話を合わせなさいです〜」 とどめの一言。白鳥は神速でまるめこまれた。 ところが早紀はこんな密約がされているとは思わないから、珠実が白鳥と内緒話をしているようにしか見えない。
917 :
お返し :2005/12/24(土) 00:55:58 ID:x38blZhS
「ま、まさか珠実…白鳥を…」 「うふふ〜。よ〜やく気付いたですか〜?…でもそれじゃあ半分です〜」 「は、半分って?…お、おい白鳥!」 「…」 (隆士も珠実を?…だって隆士の恋人はアタシ…) 白鳥は珠実に脅されていたし、新手のいたずらだろうと踏んで黙っていたが、早紀には効果抜群だった。 だんだんと珠実の言っていることが早紀にも分かってきた。 あんまりにわかの出来事だったので、早紀はまだ全てを理解できてはいなかったが、 とにかく珠実が白鳥を好きになり、自分を差し置いて恋人になろうとしているということは理解した。 「し、白鳥…なんで」 (隆士は、アタシのことずっと好きだって言ったのに) 一瞬、白鳥への怒りが湧いたが、それはすぐに珠実に向けられた。 まだ早紀は、白鳥が本当に好きなのは自分だと思いこみたかった。 「なんでもクソもありますか〜、失礼ですね〜。白鳥さんが私を好きになっちゃいけないですか〜?」 「そんなにビックリする事ないじゃないですか〜」 機先を制するように珠実が言う。 確かに言い分はもっともで、落ちついて考えれば、白鳥の何であるとも言っていない早紀には怒る理由がない。 「とにかく、あんまり私と白鳥さんの邪魔をしないで下さいです〜」 「まあ早紀ちゃんは白鳥さんをよく思っていらしゃらないようなので、心配は〜」 (このままじゃ…本当に隆士が取られちまう…) そう感じた早紀は勇気を出して全て打ち明けようとした。 「ち、違うんだ!ア、アタシも…」 「早紀ちゃんも…何ですか〜?」 ところが、珠実に顔を覗き込まれて問い質されると、途端に言葉が早紀の口から出なくなり。 頭に血が上って、白鳥への想いが気恥ずかしさに呑まれる。 「いや…な、何でもない…」 「…そういえばこの前、桃さんが二人きりでいるところを見たって言いますが、それでも何でもないですか?」 後押しするような質問、早紀は全て打ち明けてしまおうかと思ったが、果たせない。 そう言い切った後で珠実とやりあう自信が早紀には無かった。 「う、うん」 「それじゃあ、私が白鳥さんを好きになろうが嫌いになろうが、早紀ちゃんには関係ないですね?」 「う………ん」 早紀は自分を置いて珠実を好きになったという白鳥のふがいなさよりも、 このように問い詰められても、まだ自分の気持ちを隠そうとする自身の弱さが悔しかった。
918 :
お返し :2005/12/24(土) 00:57:24 ID:x38blZhS
(なんとかして、隆士と二人だけで話せれば、隆士だって…) (珠実のことはともかく、隆士がって言うのは珠実の勘違いだろ?そうだよな?…) 思わず白鳥を見るとばつが悪そうに黙っている。 もし本当なら、親友と恋人を同時に失うかもしれない。 珠実の豹変を見ると例え恋敵にならずとも、冷たくされそうだった。 「それで?」 そう考えているところにまた珠実が口をはさむ。 「それでって?…何だよ…まだ何かあんのかよ」 もう、どうにでもしろと早紀は投げやりな気持ちで答えた。 羨望やら嫉妬やら、失望やらが心の中で渦巻いて、どうすれば良いのかわからない。 「分からないですか〜?…これから私達はあんなことやこんなことをするのですよ〜」 「あんなことって…ちょっと待てよっ!ダ、ダメだ!」 (ア、アタシの隆士だぞ!…な、何いってやがる!) 含みのある表現でそんなことをさらりと言われ、早紀は動転した。 なすすべなく二人を傍観していた白鳥も事態の急転に顔を真っ赤にした。 「た、た…珠実…ちゃん?」 演技だとは思いつつも男の悲しい性で白鳥も珠実の話術に呑まれてしまう。 「まさか早紀ちゃんは、愛し合う二人の邪魔をするなんて野暮なことはしませんよね〜?」 「ダ、ダメだ!…絶対ダメだ!」 「それはあなたが決めることではないです〜。さあ、出てって下さいです〜」 「や、やだっ!」 早紀は部屋の外へ自分を押し出そうとする珠実の腕を振り払い、白鳥の方へ飛びこんだ。 何も考えずに手足が勝手に動いていた。 「えっ、ちょっ!…はぐ」 押し倒された白鳥は頭をしたたかに打ってぶっ倒れたが、早紀は気付かずにしがみついている。 「何やってるですか早紀ちゃん〜?おかしいですよ〜」 「お、おかしくない!」 「だって、白鳥さんは早紀ちゃんの何でもないんでしょう?赤の他人に…」 「な、何でもなくないっ!…………き…だ」 必死に声を出す。珠実は少し待ってからもう一度聞いた。 「聞こえない…ですよ?」 「好きだ…好きなんだ!」 無我夢中で早紀は叫んだ。恥ずかしいなどとは感じなかった。 ただ白鳥へ告白した時そのままに、想いの塊を吐き出した。
919 :
お返し :2005/12/24(土) 00:58:22 ID:x38blZhS
「た、珠実…お願いだ。この前、アタシ…頑張って…やっと言えたんだ、隆士に告白できたんだ!」 「ずっと好きでいて…って…好きだ…って」 「だ、だから…」 「隆士を…取らないで…くれ」 「…」 早紀は肩を震わせながら白鳥の胸に顔をうずめている。 珠実は早紀を見つめながら、一人静かに肯いた。 「早紀ちゃん」 「!」 早紀は珠実の声に肩をびくりと震わせた。その後の言葉を早紀は聞くまいと目を瞑った。 今まで友達だと思っていた珠実に冷たくされた上、恋敵にまでなってしまうという現実を早紀は受け入れられなかった。 「早紀ちゃん…安心してください、白鳥さんは早紀ちゃんのものですよ」 「え…?」 予想もしない言葉に呆けたような表情で早紀が顔を上げ、涙で掠れた目を擦ると、寂しそうな珠実の笑顔があった。 罪悪感を感じながらも、何か言いたいことを溜め込んでいるようなそんな作り笑顔が 「嘘…です。やりすぎちゃいましたね…ごめんなさいです」 短く、珠実はそう言った。 「うそ?…あ…え?」 「全部…嘘ですよ。そういう振りをしてたんです…早紀ちゃんを騙す為に」 「え、じゃあ…珠実は…」 「…」 事情が分からなかった早紀だが、自分がすっかり乗せられていたことに気付き始めた。 「ど、どうして…こんなこと」 (あ…うわ…珠実に…珠実に知られちまった…アタシ、今、何言った!?) 早紀の顔が見る見る顔が赤く染まって行く。騙されたことより、自分の最後の台詞の方が問題だった。 ところが、珠実はそんな様子の早紀をからかいもせずに静かに言った。
920 :
お返し :2005/12/24(土) 00:59:08 ID:x38blZhS
「寂しかったんです…この前…除け者にされて。だから、おんなじように困らせてやろうって…それだけです」 「こ、この前?…あ…」 そう言う珠実の様子をみて、早紀の火照りは急に醒めた。 思い出してみれば、この前白鳥に会った時、早紀は珠実を上手くして遠ざけていた。 いいようにその気にさせて、そのままほっぽり出してしまった。 今日までそんなことはすっかり忘れてしまっていたが、早紀を信じていた珠実には重大なことだっただろう。 「何か様子が変だったからホントは気付ければ良かったんですけど」 「早紀ちゃんが…嘘ついてたんだって…あの時帰って来るまでわかりませんでした…」 「あ、ご…ごめん…そういうつもりじゃなかったんだけど…つい」 (アタシ…知らぬ間に、ひどいことしてたんだ…だから、今日の珠実は、アタシに冷たかったんだ…) 体を起こすと慌てて頭を下げた。 「それは分かってます。…早紀ちゃんは素直ですから…きっと恥ずかしかっただけだと…」 「でも、せめて、ちゃんと話して下さいです…今までそうだったみたいに」 「私だって…早紀ちゃんに頼まれれば、邪魔したりはしません」 珠実は寂しそうな声で言った。 (そういやアタシ…今日もずっと珠実のこと…じゃまだと思ってた…) 無意識のうちに除け者にしていたのだ気付くと早紀は余計に申し訳なく思った。 ずっと珠実と仲良くやって来たのに、自分が先に裏切ってしまったのだと。 「…ごめん、アタシ、珠実にひどいこと…してた」 「いえ…もういいです。私も大人気ない仕返ししてしまいましたから…ごめんなさい」 「…でも、すまん」 そう言った後、何も言えずに二人とも黙り込んでしまう。 鬱陶しい空気だけが残る。 二人ともそれほど根には持たないタイプだから、いつもの付き合いに戻って忘れようとするのだが、 きっかけがなくて沈黙が続く。
921 :
お返し :2005/12/24(土) 01:01:54 ID:x38blZhS
気まずそうにしていた珠実がクスッと笑う 少しだけ風が流れて、白鳥を指差して言う。 「今日会って、初めはどうしようかと思ってたんですけど…忘れられてるみたいなのが嫌で…」 「そう…だったのか」 「本当にごめんなさいです、まさか泣いちゃうとは思わなかったんですよ」 「…泣くって?…え…あっ!」 シャツの早紀が顔を押し当てていた所に染みができている。 自分がそんなにも取り乱してしまったのだと早紀は気付いて慌てた。 そんな様子を見て珠実も憑物が落ちたようにやさしい顔に戻る。 「だ、だから…それは」 なんとか言い訳を考えようとして、ふと思い当たる。 教えてくれなかったと怒っておきながら…なぜ初めから珠実は白鳥との一件を知っているのか 「…まてよ…ってことは…この間から、全部知ってたのか!?」 「はい〜」 「…ど、どうやって…」 「このニブチン、締め上げるまでもなく自分からのろけましたよ」 ずけずけと答える。知っているからこそ珠実は今回の企みができたのだ。 「な、なな、なら、アタシから言う必要なんて無かったんじゃ…」 「嘘ついてこそこそ告白するような必要もないですよ〜、何せ相手がコレですから〜」 「し、知ってたなら良いじゃねえか!…こんな手の込んだ仕返ししやがって!」 「嘘ごまかしは嫌いなんです〜、コレでもいろいろ協力しようと思ってるんですから〜」 もう早紀はどうでもよくなっていた。 知られてしまったのだから仕方がない、そうやけくそになった。 だけど珠実や皆に隠れて白鳥と向き合うよりは、良いような気もしていた。 「この次は照れながら白鳥さんとの初めてを打ち明ける方向でヨロシクです〜」 「さっきの反応だと、まるっきり初心って訳でもなさそうですからね〜」 「はじめてって!?なっ!」 「分かってますね〜、早紀ちゃんは思ったよりえっちですね〜」 「!!」 また早紀の顔が真っ赤に染まる。珠実は今度は笑った。 もう寂しさなどどこにもない、いつもの策士の笑いだった。 「それにしても、ほ〜んと…おあついですね〜」 そして、まだ気を失っている白鳥とその上にまたがっている早紀をデジカメに収めた。 「な!何撮ってんだこら〜!」 「お詫びに後は二人きりにしてあげますよ〜」 〈終わり〉
>>お返し キタヽ(゚∀゚ )メ(゚∀゚ )メ(゚∀゚ )メ(゚∀゚ )メ(゚∀゚ )メ(゚∀゚ )メ(゚∀゚ )メ(゚∀゚)メ( ゚∀゚)メ( ゚∀゚)メ( ゚∀゚)メ( ゚∀゚)メ( ゚∀゚)メ( ゚∀゚)メ( ゚∀゚)ノコレ!! しかし、この空気で投下するとは流石だなwwwテラグッジョブwww
923 :
お返し :2005/12/24(土) 01:04:25 ID:x38blZhS
早紀が人気投票で3位に甘んじているのは ズバリ、「梢ポン」「なっちん」 などの愛称が無いからに相違ない 早紀は動かしやすくて良い…なっちんムズイよ
乙、職人のあるべき姿を見た
そろそろ次スレタイトルを考えよう まほらば〜鳴滝荘のほんわかな十一時〜 俺の候補。 これが採用されたら、にこやか、さわやかに続き3連続ということになる
エロエロな十一時
甘やかな十一時
さわやかな〜
って何一転だ自分。
それよりテンプレだろ
奥様たんの人とか
コンビニで買ったケーキを食べながらまほらばDVD見て SSの構想を練るイブの夜。俺ってまほラバーだよなふふふ・・・ とか思いつつも、みんなでパーティーする鳴滝荘が羨ましいなと 思わないでもない。
悪い、今ローマの休日見てるからもう少しあとにしてくれ。
よし。集合だー
よし、一緒にまほらばの魅力を語り明かそうジャマイカ。 しかし天然系お嬢様キャラってやっぱいいよなぁ。 アン王女かわいいよアン王女。 こういう名作見てると、SS書く気力も湧こうというものだ。
940 :
クリスマス :2005/12/25(日) 01:02:35 ID:QMuz2BNm
季節ネタなので遅らせられない、頑張って埋める 白赤蒼紺金緑 エロ無し 痒さアリ やはりクリスマスはいい、とても良い
941 :
クリスマス :2005/12/25(日) 01:03:46 ID:QMuz2BNm
夢の中の鳴滝荘を歩いていると、どかどか音が聞こえてきます。 「誰かいる!やった〜♪」 魚子が近付いてゆくと、早紀がサンドバックを叩いていました。 「あ〜、早紀ちゃんだ〜」 「お?…なんだ魚子か〜」 何だか残念そうな顔、ここにはいつ来ても5人以下しかいないのに。 「早紀ちゃん、あそぼ〜」 魚子はいつもの通り誘います。早紀はやさしいのでいつも遊んでくれるからです。 「ああ…ちょっと待ってな!今コレを片付けるから」 早紀は急いでサンドバックを片付けて、タオルで汗を拭いています。 魚子はそんな様子の早紀を見ていましたが、小さな不思議を思い出しました。 「ねえねえ早紀ちゃん、魚子ね、質問が…あるの」 「ん?…なんだ?」 世話好きな早紀は簡単に応じます。魚子に頼られるのが嬉しいのです。 「ろまんちっく…って何?」 「何だぁ?…ロマンチック?」 早紀は怪訝そうな顔で聞き返します。こういう質問は苦手なようです。 「ロマンチックってのは…ええと…そうだな、恋人と一緒にいるとなる雰囲気だな」 早紀はしどろもどろになりながら言います。実は良くわかってないのです。 「こいびと…」 魚子は一生懸命言葉を手繰ります。恋人とはお兄ちゃんのことです。 「こいびとと一緒なのにどうしてお兄ちゃんはダメって言ったのかな?」 魚子はひとりで呟きます。早紀はそれを聞いていました。 「なんだ?…白鳥に教えてもらったのか?でも…どういう風にだ?」 ついつい尋問のようになります。早紀は少し妬いています。 「あのね、お兄ちゃんにチュウしようとしたら、お兄ちゃんがロマンチックじゃないとダメっていったの」 「チュ!…チュウ〜!」 早紀は顔を真っ赤にして慌てました。ずっと前のお兄ちゃんと同じ様子です。 魚子の不思議はちょっぴり大きくなりました。 「早紀ちゃん?どうして慌てているの?」 魚子が聞くと、早紀は落ちつきを取り戻して言いました。 「あのな魚子、まだ早いんだ。ロマンチックになったら教えてやるからそれまでぜぇったいするんじゃねえぞ!」 魚子の肩を掴んで、早紀は強い口調で言います。恐ろしい目をしています。 魚子は怖くなりました。ロマンチックは大変な事のようです。 「早紀ちゃん…怒ったの?」 「あ、え…いや怒ってないぞ…ほら〜」 早紀はにかっ と笑います。魚子は少し安心しました。 「えへ、よかった。…もうしちゃったから、もし早紀ちゃんが怒ってたら大変だったよ」 「え…しちゃった…って…し…白鳥と」 早紀の頭に血が上って、顔が真っ赤になります。
942 :
クリスマス :2005/12/25(日) 01:09:11 ID:QMuz2BNm
「うん、お兄ちゃんと」 「オ、オマエ…ア、アタシの体でなんてこと…ぴぇ〜」 湯気を頭から噴き出して、早紀は倒れてしまいました。 「さ、早紀ちゃ〜ん?早紀ちゃ〜ん?」 魚子が呼びかけても返事をしません。早紀は倒れたままでした。 「早紀ちゃん、壊れちゃった…」 早紀が倒れてしまったので、魚子は何をすればいいかわからず座っていると 廊下を誰かがやってきました。 「あらあら早紀さん…どうして寝ているんですか?」 「あ、千百合ちゃ〜ん」 きわどい服を持って、千百合がやってきましたが、早紀の様子を見て驚きました。 「良くわからないけど、早紀ちゃん壊れちゃった…」 「ふむ、残念ですね…せっかく早紀さんで楽しもうと思っていたところなのに」 千百合は早紀がお気に入りです。残念そうにしています。 少しして、魚子は不思議を思い出しました。 「あのね、魚子ね、質問があるの」 「ホ?…何でしょう?魚子ちゃんの質問はいつも難しいですからね」 魚子はまた尋ねます。千百合はおだて気味に応えます。 「ロマンチックって、なあに?」 「ロマンチックですか…私もなりたいものですね、隆ちゃんと…」 千百合は一人で想いを馳せています。魚子には良くわかりません。 「お兄ちゃんと?…二人でなるものなの?」 「ええそうです。正しいラブライフには欠かせないものです」 どうやらロマンチックは無いととても困るもののようです。 「らぶわいふー?」 「ノンノン魚子ちゃん、ラブライフです」 魚子は間違えてしまいました。すかさず千百合が突っ込みます。 「でも、ロマンチックだなんて、魚子ちゃんはおませさんですね」 千百合は笑いながら言いました。 「魚子、おませさんなの?」 「ええ、ロマンチックになるにはキスくらい平気で出来る程、隆ちゃんと仲良くならないと…この前はもう少しだったのに…」 ロマンチックになるには、キスをしなくてはならないようです。 魚子の不思議はぐっと大きくなりました。 「でも、魚子、お兄ちゃんとチュウしたよ?」 ひとりで悦に入っていた千百合は、驚いて振り向きました。 「な、本当ですか!?…魚子ちゃんに先を越されてしまうなんて…」 「どうしてそんなにおどろくの?こいびとだから普通だよ?千百合ちゃんは何でしないの?」 魚子は首を傾げてそう言います。千百合は悔しそうな顔になりました。
943 :
クリスマス :2005/12/25(日) 01:11:01 ID:QMuz2BNm
「魚子ちゃん!それ位で調子に乗ってはいけません!」 「訂正です!…そう、ロマンチックにはおんなじベットで寝るくらいにならなくてはいけないんです!」 千百合は余裕の振りをして言いました。 「え?でも魚子、前にお兄ちゃんと一緒に寝たよ?」 魚子は余裕で言いました。 「えっ!な!そ…そんな…そんな…隆ちゃんと…」 「暖かかったよ?」 おままごとの時の事を言ったのに、千百合の顔は真っ赤です。 「ホーーーーーーー」 千百合はそう叫んで倒れてしまいました。 「千百合ちゃん?千百合ちゃ〜ん?」 魚子が呼んでも返事がありません。のぼせてしまって倒れています。 「千百合ちゃんも壊れちゃった…」 魚子がそうして困っていると、柱の所から声がします。 「今の音、何…かも?」 「あ、棗ちゃん!」 魚子は嬉しくなりました。棗は内気だけれどとってもやさしいのです。 「棗ちゃん!あそぼ〜」 魚子はすかさず誘います。 棗は倒れている二人を見て、首を傾げていましたが、小さく頷きました。 お花を二人にお供えすると魚子の隣に座ります。 「何して…遊びたい…かも?」 棗はどこからかボールやトランプを出して、魚子の前に並べます。 「え〜っとね、ん〜っとね」 魚子が目移りしていると、不思議が魚子をつつきます。 「そうだ!魚子ね、質問があるの!」 「…質問?…クイズの…本ならある…かも」 棗はどこからか本を取り出します。 「違うの…魚子ね、分からないことがあるの」 「分からない…こと…なに?」 棗は本を残念そうにしまいます。魚子は不思議を口に出します。 「あのね、魚子ね…ロマンチックが何か分からないの…」 「ロマンチック…?」 棗は確かめるように呟きます。少し意外な質問のようです。 ちょっと考えてから、棗は言いました。 「隆士君と一緒の時…ほうっ、てなること…かも」 「ホー?」 こくっと棗は頷きます。
944 :
クリスマス :2005/12/25(日) 01:12:41 ID:QMuz2BNm
「ホー?…ホー?…あ!さっき千百合ちゃんがなってた!」 「…あれがロマンチックなの?魚子何だか怖いよ…」 ロマンチックになると壊れてしまうようです。魚子は怖くなりました。 「でも、魚子ちゃん…は…どうして…そんなこと?」 棗は小さく聞き返します。 「うん、あのね、お兄ちゃんがチュウするのは、ロマンチックになった時って…」 そこまで言いかけて、魚子はやめました。棗の様子がおかしいのです。 「ほぅってした時って…隆士…君…そんな…いっぱい…しちゃ…ダメ…かも」 顔を赤くしてお空をみつめてぼうっとしています。何かを思いだしているようです。 「どうしたの…?」 「…や……はぅ…」 魚子が呼んでも返事がありません。 やがて体のあちこちから花が咲き、煙が出始めました。 せっかく仕込んだ鳩やフェレットが逃げ出していってしまいます。 「棗ちゃんも…壊れちゃった」 魚子はさみしく呟きました。皆魚子を置いてロマンチックになってしまったようです。 「ロマンチックって、こいびとと一緒で、仲が良くて、ホーって壊れちゃうの?」 魚子はお姉さん達の言ったことをまとめてみますがまとまりません。 魚子の不思議はどんと大きくなりました。 「魚子よくわかんないよ」 魚子は不安と焦りを感じて、夢の中の鳴滝荘を探しまわります。 魚子にはあとひとりだけお姉さんがいるのですが、その人はあまりここには来ないのでした。 玄関まで来た時、魚子は喜びました。その人がいたのです。 もしかしたら魚子の不思議が無くなるかもしれません。
945 :
クリスマス :2005/12/25(日) 01:16:31 ID:QMuz2BNm
でも魚子が様子を見ると、すこし変です。 両手を胸にあてて幸せそうに目を閉じています。 「梢ちゃん?…どうしたの?痛いの?」 魚子は思わず聞きました。梢は気付いて慌てます。 「ううん…大丈夫だよ…」 そう言いながらもやっぱり玄関から動きません。扉は半分開いていて、外から光が漂ってきます。 魚子は躊躇しましたが、やっぱり不思議がつつくので、聞いてみることにしました。 「ねえねえ梢ちゃん…ロマンチックって、どうすればなるの?」 「あ…え?…魚子ちゃん?…どうしたの?」 いまやっと我に帰ったように梢が聞き返します。魚子はもう一度言いました。 梢はじっと聞いていましたが、やがて小さく訊ねました。 「魚子ちゃんは、どうしてロマンチックになりたいの?」 「え?…え…と」 魚子は言葉につまりました。自分でもわからないのです。 「私もね…自分から言ったのに…分からなくなって…逃げてきちゃたんだ」 梢は小さく呟きました。 「じゃあ、魚子ちゃん。勇気の無い私の代わりに…ロマンチックになってみる?」 「え?魚子でもなれるの?…魚子まだわかんないんだよ?」 魚子は不安になりました。ロマンチックにならないと、お兄ちゃんにチュウもできません。 「…今いけば、何にもしなくても平気だから…」 梢にしては珍しく、いたずらっぽく笑います。 魚子はそれを信じて、扉の方に行きました。 「大丈夫だよ魚子ちゃん。外はね、一年で一番ロマンチックな日…」 「だから、魚子ちゃんも、きっとそういうふうになれるから…」 梢はそう言うと、魚子に向かって手を振りました。 その様子があんまり嬉しそうなので、魚子は少し安心します。 魚子は漂う光の中に踏み出しました。
946 :
クリスマス :2005/12/25(日) 01:17:30 ID:QMuz2BNm
光が魚子の周りにすごく溢れて 夢が見えなくなると 魚子は目を瞑っていました。 「?」 魚子はすぐに気付きました。くちびるが変なのです。 何か柔らかくて暖かなものが触れているのでした。 魚子が目を開けるとすぐ近くにお兄ちゃんの顔がありました。 「!」 魚子は驚いて何か言おうとしました。でも、声が出ないのです。 息を吸っていいのか吐いていいのかも分かりません。 魚子は苦しくなって、胸がどきどきしてきました。 「ぷはっ…」 我慢できなくなって、魚子は息を吐き出しました。 それに会わせてお兄ちゃんもくちびるを離しました。 「…梢ちゃん…」 そうお兄ちゃんが呟きます。魚子は違うと言おうとしました。 でも、顔が熱くて、口が開きません。 「好きだよ…」 そう言われた途端、魚子の不思議は爆発してしまいました。 手足が動かなくなって、熱いものが魚子の中を走りまわりました。 「…ちが…なな…こ…だよ」 頑張って、やっとそれだけ言えました。お兄ちゃんはびっくりしています。 「え、あれ…魚子ちゃん…なの?」 「う…ん…」 それだけしか答えられません。魚子はいつもの元気がお兄ちゃんに吸い取られていくように感じました。 頭がグルグルして、良く考えられません。 「…魚子…お兄ちゃんに…キ…ス…されちゃったの?」 「うん…ま、まあ…そうかな」 お兄ちゃんは照れながら言いました。 そう言われた途端、魚子の体は火のように熱くなりました。 魚子は初めて恥ずかしいと思いました。 お兄ちゃんに見られているのが恥ずかしいと感じました。 「な…なこ…お兄ちゃんに…ふわぁ…」 それだけ言い残して、魚子は逃げてしまいました。
947 :
クリスマス :2005/12/25(日) 01:20:11 ID:QMuz2BNm
また真っ暗な中から、真っ白なところへ行って 光の中から出ると、梢が待っていました。 「お兄ちゃん…すごかった。…魚子どきどきして何が何だかわかんなかった」 まだどきどきが収まらないので、魚子は胸を抑えました。 声が上ずってしまってうまく言えません。 「ロマンチック…って私はこういうものだと思うんだけど…でも怖いね…」 梢はさっきと違って、決意したような顔です。 すっと梢は扉の方に向かいました。 「梢ちゃんは…戻るの?…だって、あんなにどきどきしたら壊れちゃうよ?」 「うん………私も怖いけど…白鳥さんが待ってるから…」 梢はそう言って光の中へ戻っていきました。暫くすると、漂う光が無くなりました。 「ロマンチックって…すごい…」 魚子はひとりで呟きました。 今度お兄ちゃんに会う時どうすればいいのかもう分かりません。 魚子の不思議は消えて、魚子はホッとしたのですが… けれども今度は、新しく生まれた感情にただ戸惑うばかりでした。 〈おわり〉
リアタイGJ!
949 :
クリスマス :2005/12/25(日) 01:23:13 ID:QMuz2BNm
とゆー訳で終わりです。 絵本風の語り口を目指した…が挫折…まあ気にしない みなさんにも幸せが届きますように メリークリスマス〈地獄で会おうぜ〉
950 :
948 :2005/12/25(日) 01:33:16 ID:TkKBzzRV
ごめん○| ̄|_
地獄の案内人乙il||li(つω-`。)il||li
>>949 メリークリトリス
さて、一緒に地獄に逝こうか
誰でテンプレを作るかが最重要問題だ スレタイは候補に挙がったのでいいだろう ほんわかに一票投票
テンプレはエロールで ここは月刊ガンガンWINGで大好評連載中の『まほらば』の二次創作作品を投稿する場所だ。 小話程度のSSから大長編までジャンルは問わないぜ。 君にできることは何か? 君だからこそできることは何か? それは―ズバリエロ! 君のものすごい劣情!! それが紡ぎ出すものすごいエロ妄想! その全てをテキストに叩きつけて出来上がったものこそが君の「作品」であり君のアイデンティティー! 君の無限にわきあがるエロ妄想を市場の広い文章で表現!! ちゃねらーのコカンを直撃! わしづかみ!! もちろん非エロでもOKだぜ。 みたいな。まあ適当に改変してさ。
>>949 God Job!!!いいもん読ませてもらったぜ!
それにしてもなっちんの壊れぐあい最高だぜ!
956 :
テンプレ :2005/12/26(月) 17:08:45 ID:6Fb+Nfwh
そしてスレタイは… まほらば〜鳴滝荘のほんわかな十一時〜 これに決定でいいよな?
まあいいんじゃね?
とりあえず次スレは
>>970 さんに任す方向でおk?
おk
部長いいよ部長
よ〜ちゃんいいよよ〜ちゃん
銀先生 良くね?
年増に用はない
966 :
名無しさん@ピンキー :2005/12/27(火) 22:35:46 ID:pkh6DhrX
>>964 ゆ、勇気を称えます…いってらっしゃいませ…。
sage忘れたorz
%E3%82%A4%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%82%B6%EF%BC%8D%E3%81%AF%E3%83%AA%E3%82%A2%E5%8E%A8
「白鳥さん。おはようございます」 その一言で僕の意識は完全に覚醒した。 「……あれ?梢、ちゃん?」 目を動かすと、すぐ横に梢ちゃんがちょこんと座っていた。 「はい。おはようございますっ♪」 「あ、うん…おはよう」 僅かに残った眠気を、寝ぼけ眼を擦ることで完全に払いのける。 起き上がってから改めて梢ちゃんを見る。 今日は何時にも増してにこにこ顔だ。 「さ、白鳥さん。朝ご飯が出来てますよ。行きましょう?」 「え、あぁ、うん。すぐ行くよ」 梢ちゃんを先に炊事場に行かせた後、僕はそそくさと服を着替えた。 着替え終わり、ドアを開けると、 「わぁ…」 満開の桜が中庭に在った。 僕が鳴滝荘に来て二年目の春風は、桜の花びらをそっと撫ぜ、空を滑る。 その、何処か神秘的な様子に僕は短く感嘆の声を漏らす。 「あ、ご飯だっけ。急がなきゃ」 梢ちゃんが待っていることを思い出すと、名残惜しいけど桜吹雪に背を向け炊事場に向かう。 炊事場で朝食を食べている間も、梢ちゃんは頬杖をついて僕の方を見ている。 その顔は超ニコニコ。 「あ、あの…梢ちゃん?」 「はい?なんですか?」 「…いや、何と言うか…なんかさっきから随分僕の方を見てるなぁと思って…」 「…え、あ、す、すいませんっ!!ご迷惑ですよね!?」 「い、いや!迷惑と言うか、あまりみられると、落ち着かないって言うか…恥ずかしいって言うか…」 「…っ…」 「〜〜〜」 赤らんだ顔を伏せる梢ちゃんと、同じく顔を赤らめてそわそわする僕。 とりあえず、と、僕はやっとの思いで朝食を胃に押し込んだ。
「そ、それじゃ、私、玄関のお掃除してきますねっ」 と言ってまだ少し顔の赤い梢ちゃんはそそくさと廊下を駆け足で進んでいった。 ………なんなん、だ? 今日の梢ちゃんはどこか妙だ。 よそよそしいと言う訳でもなく、僕を避けているというわけでもない。 それでも、妙だ。 言葉では表現し辛いけど、何処か、何処かが…… 「あ」 と、目の前に見慣れた人影。 「桃乃さーん」 「にゃ?あー、白鳥クンか。おはよ」 「おはようございます」 桃乃さんだった。 調度良い。梢ちゃんについて少し訊いて見ようかな… 「桃乃さん、梢ちゃんのことなんですけど…」 「梢ちゃんの?」 「はい。何か、今日は朝から妙なんです。そわそわと言うか…もじもじと言うか…おどおどと言うか…とにかく何か妙なんです」 「……」 黙りこくる桃乃さん。 何かを考えているようだけど… 「桃乃さん?あのー…」 と、唐突に、 「あぁ!!」 手を、ぽん、と叩いて大声を出す桃乃さん。 「ど、どうしたんですか?」 「そっかぁー…今日かぁー…」 「も、桃乃さん?」 一人で納得の行ったという風な顔をしている桃乃さんに僕は声をかける。 「にゃ!?」 びくっと。 「あの、梢ちゃんのこと、何か知ってます…?」 「な!なななな、なーんにも!?オネーサンなーんにも知らないわよ!?」 いや、明らかに、知ってる、でしょう、桃乃さん。 「あ!そうだ!ビール切れてたカナー?買いに行こーっと!!」 と言ってダッシュで僕の前から逃げ出す桃乃さん。 「桃乃さん!?ビールは物置にまだ十七箱も…」 僕の言葉も聞かずに桃乃さんは廊下の角へと消えていった… 「……なんなんだ……?」 残された僕はぽつりと呟いた。
隆士が恵と接触した時。 梢は箒を持って玄関にいた。 「(……恥ずかしかった……)」 梢は赤く染まった頬に手を当てる。 「(つい意識しちゃった……)」 先程の炊事場での一件を思い出し、また少し頬に赤みが差す。 「(…今朝も)」 続いて今朝のこと。 「(…浮かれちゃってたなぁ…)」 隆士の部屋まで赴き、隆士が起きるまでその寝顔をじっと見つめていたことを思い出す。 「(〜〜〜〜〜)」 ぼっ、と、顔が、まるで火がついたかのように一気に赤くなる。 「い、いけないっ、お、お掃除しなきゃ。お掃除…」 自分に言い聞かせるようにわざと声に出して掃除に取り掛かる梢。 そこに、 「梢ちゃーん!」 恵だ。 「あ、桃乃さん。どうかしましたか?」 「え?あー、いやー、ねぇ…梢ちゃん?」 「はい?」 「今日、ア・レ、白鳥クンに頼むんでしょ?」 「!!!」 再び発火。 「あたしはテキトーに外ぶらついてっから、皆もテキトーに出てくと思うし、ま、ごゆっくりどーぞ?」 「も、もものさっ…」 羞恥で消え入りそうな声でぽそぽそと。 「うひゃひゃひゃひゃひゃ。じゃ、後でねー♪」 わざとらしい笑いを後に残し、恵は去っていった。 「………」 残された梢の顔はまだ赤かった。
「桃乃さん…明らかにおかしかったな…」 僕は桃乃さんを取り逃したまま、縁側に腰を下ろした。 と。 反対側の廊下に人影が見えた。 あれは…… 「朝美ちゃーん。おはよう」 朝美ちゃんだ。 そしてその首に腕を巻きつけてだらーんとしている沙夜子さん。 「あ、お兄ちゃん!おはよー!」 「…フガ…」 うん、朝美ちゃんは普段と変わらないみたいだけど…沙夜子さんも。 と、僕の後ろでドアが開いた。 僕の後ろ。 そこは。 鳴滝荘。 一号室! 僕が振り向こうとしたその時、僕の頭上を閃光が奔った。 その閃光は中庭を突き抜け、朝美ちゃんと沙夜子さんの目の前に降り立つ。 やっぱりというか、珠実ちゃんだった。 「た、珠実お姉ちゃんおはよう…どうしたの?」 突然現れた珠実ちゃんに驚きを隠せ無い朝美ちゃん。 そんな朝美ちゃんに珠実ちゃんは、 「おはようです朝美ちゃん〜♪」 と、変わらない挨拶をして、 「ちょっとコレを見るです〜」 と、携帯の画面を二人に見せた。 「えと……あ!」 「フガ」 二者二様。 朝美ちゃんは顔をほんのり赤くして手を頬に当てる。 沙夜子さんは変わらず朝美ちゃんにぐでーともたれている。 「ですから〜本っっっっっ当に不っっっっっ本意ですけど私達は外すです〜」 「本っっっっっ当に不っっっっっ本意」の部分で僕を睨むのは何で!? 「お、大人だね!」 と言いながら朝美ちゃんはその場から逃げるように走り出した。 「朝美ぃ〜揺れてるわ〜」 と、沙夜子さん。 走る朝美ちゃんの首にしがみ付いてぶらんぶらん。アブナイデスヨ? 「ジュラーーー!!!」 最後に珠実ちゃん。 目一杯僕を威嚇して大股で歩き去った。 「……だから、なんなんだ……?」 また、ぽつりと。
梢はまだ、玄関先の掃除をしていた。 鳴滝荘に入ると、隆士と嫌でも顔を合わせてしまうからだ。 「(…嫌じゃ……ないけど……)」 竹箒で丹念に丹念に玄関を掃きながら、思う。 「(……けど……恥ずかしいよぅ……)」 がらり、と、玄関が開く。 「あ、朝美ちゃん。沙夜子さん」 朝美と沙夜子が慌てて出てきた。 「あ、梢お姉ちゃん!」 「どうしたの?そんなに慌てて…」 「あ、あのね、えと、その、あ、そうだ、特売!二駅先のスーパーで特売があってるからお母さんと行って来るね!」 「そうなの?行ってらっしゃい!」 「うん!がんばってね!」 「フガ」 そう言うと黒崎親子はそそくさと去っていった。 「がんばって…ね?」 そこで梢は、豆粒少女の残した言葉を口にする。 その言葉を理解するより早く、先程の恵の言葉が脳裏に蘇る。 『今日、“アレ”、白鳥クンに頼むんでしょ?』 「っ!!」 ぼっ、と、再燃。 火照りに火照る頬を手で押さえていると、三度、玄関が開いた。 「あ…た、珠実ちゃん……」 珠実だった。 「こずえちゃ〜ん♪」 いつもどおりの梢専用の甘い声で近寄る珠実。 ててて、と近づいて、立ち止まる。 「今日は〜とっっっても不本意ですが、梢ちゃんの願いなので私も外します〜」 「え、あの、その、えと……」 「梢ちゃん〜?」 「はいッ!?」 「しっかり、です〜〜〜」 う〜ふふ〜♪と、珠実は去っていく。 角を曲がって姿が消える寸前、珠実の表情が一変し、 「あのフニャチン、もしもがあったらただじゃすまさねえDEATH〜」 と言ったのだが、顔面梅干し状態の梢は結局気が付かなかった。
「灰原さーん!」 鳴滝荘最後の生き残りの灰原さんを見つけた。 早速声をかけ、近づく。 「おう白鳥。どしタ?」 「どしタじゃないですよ。何か今日は皆様子がおかしいんですけど、灰原さん何か知りません?」 「様子がおかしい?」 「はい。特に梢ちゃんは朝からずっと僕の方を見ていて……」 「………あぁ、そういうことカ」 「え?」 「白鳥」 「はい?」 「俺はナ白鳥、近々熊と戦うつもりダ」 そうですか。 来るべき日に備えて鍛えに行ってくるゼとか言いながら歩き去る灰原さんの背中を見送りながら、僕、また、一人。 いってらっしゃい。 「おう梢」 由起夫の右手で流星ジョニーが喋る。 「あ、灰原さん。どうしたんですか?」 ようやく顔の赤みがひいた梢に下駄をカラコロ、近づく。 「いや何、ちと煙草をナ」 そう言って梢の横を通り過ぎる瞬間、優しく、 「ま、上手いことやれヨ」 と、ジョニーで肩をぽんと叩いて鳴滝荘を出た。 「あの、その、はいばらさん……!」 梢の顔の赤みが、より一層増した。
「ホント…今日は一体なんなんだ?皆逃げちゃって……」 僕は結局全員に逃げられ、縁側に腰を下ろしていた。 桃乃さん、朝美ちゃん、沙夜子さん、珠実ちゃん、灰原さん。 唯一残っている梢ちゃんは朝から変だし…… どうしようかなぁ…… 掃除を終え、梢は鳴滝荘の中に戻っていた。 そして自室である管理人室に入ると、ふぅ、と一息。 「………ぁ」 そして、何気なく目をやった机の上に、自分で置いていた「あるもの」を見た。 「………」 「あるもの」を手にとって、しばらく見つめる。 「………よしっ」 顔を上げた梢の表情は、少しだけ赤みが差しているものの、決意に満ちたものだった。 「白鳥さんっ」 梢ちゃんの声が聞こえた。 ごろんと縁側で横になっていた僕は、上半身を起こす。 「梢ちゃん。どうしたの?」 そして僕のすぐ隣に立つ梢ちゃんに声をかける。 「はい、その………」 もじょもじょと、言い淀む梢ちゃん。 やっぱり、朝のまま、かな? 「あのさ、梢ちゃん」 「はいッ?」 声を上ずらせる。 「何か、悩みでもある?僕が聞くよ?」 「あ、い、いえ!そういう訳では……ないんですけど……」 そして俯く梢ちゃん。 「……?」 そして首を傾げる僕。 それから十秒ぐらい後、顔を上げた梢ちゃんが口を開いた。 「これ……おねがいしますっ………」 最後は聞き取れるかどうかというぐらいの声を絞り出し、両手を僕に差し出す。 正確には、両手で持っている、「あるもの」。 「コレ、って…こないだの…」 「あるもの」、それは、一枚の紙切れ。 でも、ただの紙切れではない。 そう。 あの、 「『王様になれる券』……だよね?」 それは、先日の日曜日に開催された、 『第37回チキチキ王様争奪グレイトバトル』(種目・椅子取り合戦12ラウンド) の勝者である梢ちゃん(珠実ちゃんが大分暗躍していた模様)に渡された、 『王様になれる券』 だった。 「これ、僕に使うの?」 と、梢ちゃんに訊く。 「は、はいっ…ご迷惑かもしれませんけど…どうしても…白鳥さんに…」 その顔は真っ赤で。 「うん。大丈夫だよ、梢ちゃん」 「え、本当…ですか?」 「本当、だよ。王様の命令は絶対だし、なにより、王様以前に、梢ちゃんは僕の、恋人だからね」 「白鳥さん……」 「で、お願いって、何?」 「はい、あの―――」
数分後。 僕は変わらず縁側に腰掛けていました。 いいえ、変わらず、ではありません。 何故なら、僕の、下に、梢ちゃんが、いるからです。 正確に言うと、梢ちゃんが、僕の、『ひざまくら』で、横になっています。 数分前。 梢ちゃんの、 『ひざまくら……してほしいんです』 との申し出に、僕は断る術を持たず、ただカクカクと首を縦に振って、そして今に至ります。 「梢ちゃん?僕の…っていうか男のひざまくらなんて硬いだけじゃない?大丈夫?」 と、顔を下ろして梢ちゃんを見る。 梢ちゃんは、ひなたぼっこをする猫の様な柔らかい表情(かお)で、 「だいじょぶ、です。白鳥さん、とっても柔らかくて、暖かいです………」 そう言った。 「そ、そう?なら、いいん、だけどッ……」 シドロモドロで返す。 そのままさらに、数分。 梢ちゃんが、自分から口を開く。 「しらとり、さん………」 「なぁに?」 目の前に広がる桜吹雪を見ながら、答えた。 「お願い、もう一つだけ、聞いてくれませんか……?」 「もう一つ?」 「はい…あ、こっちは見なくていいです。桜、見ててください」 「?うん…」 「このお願いは、『王様』としてのお願いじゃなくて、『恋人』としてのお願いです…」 「…うん」 「お願い、です…私と、ずっと…ずっとずっと一緒に、いてくださいっ……」 「………」 「春も、夏も、秋も、冬も……私と、一緒に……いてください……私には、白鳥さんは、かけがえのない、人なんです……」 梢ちゃんの声が、少し震えたように聞こえる。 「梢ちゃん」 「は、い」 「僕に、とっても、君は、かけがえのない人だよ」 「白鳥さん……」 「梢ちゃん、一緒にいよう?今から、ずっと。これからも、ずっと、ずっと…一緒に。君と、いっしょに」 「はい…はいっ……!!」 震えは止まっていた。
すうすうと寝息を立てた眠る梢ちゃんの髪を、すっと撫でる。 くすがったそうに、でも何処か気持ち良さそうに梢ちゃんの頬がゆるむ。 そんな梢ちゃんを見て、僕の口かわ笑みがこぼれる。 庭には、桜が舞い踊る。 幻想的な光景の中、僕はぽつりと、呟く。 「ずっと…いっしょだからね」 桜の花びらが一枚、僕の恋人の頬に舞い落ちた。
>>ぐうたら 超キタヽ(゚∀゚ )メ(゚∀゚ )メ(゚∀゚ )メ(゚∀゚ )メ(゚∀゚ )メ(゚∀゚ )メ(゚∀゚ )メ(゚∀゚)メ( ゚∀゚)メ( ゚∀゚)メ( ゚∀゚)メ( ゚∀゚)メ( ゚∀゚)メ( ゚∀゚)メ( ゚∀゚)ノコレ!! 有難うを言うのはこっちの方だ。本当に有難う。 それがおまいの決意なら漏れは何も言わん。 また何時の日か会えることを祈る。
>>978 .。::+。゚:゜゚。・::。. .。::・。゚:゜゚。*::。.
.。:*:゚:。:+゚*:゚。:+。・::。゚+:。 。:*゚。::・。*:。゚:+゚*:。:゚:+:。.
ウワ━.:・゚:。:*゚:+゚・。*:゚━━━━゚(ノД`)゚━━━━゚:*。・゚+:゚*:。:゚・:.━ン!!
。+゜:*゜:・゜。:+゜ ゜+:。゜・:゜+:゜*。
.:*::+。゜・:+::* *::+:・゜。+::*:.
・・・GJだけどGJじゃないよぅ゚・(ノД`)・゚・
981 :
名無しさん@ピンキー :2005/12/28(水) 02:23:34 ID:k6vcPLHe
ぐうたらよ、おまえのことは忘れん…ぜひとも戻ってきてくれ…
いけね、今日が21歳の誕生日だっけ。てへ♪ とか言って戻ってきて笑わせてください。
983 :
名無しさん@ピンキー :2005/12/28(水) 14:15:42 ID:j6rA1kog
年齢なんて気にするなぐうたら! 漏れなんて14歳だぞ。もどってきてSS書いてくれ。
http://mahoraba.dw.land.to/ss/src/up0027.txt 『君とこの季節を』修正版。
夜中にかじかむ手で書いた所為でラストシーンが誤字の嵐と言うことに今朝気付いて至急修正。
テイル氏、まほログにはこっち頼む。
みんなの気持ちは嬉しいけどこれが俺のケジメだ。
俺は十時でこのスレから去るよ。
>>課題の人
いつも応援してくれてありがとうな。ほんとゴメン。
>>980 GJならしっかりGJて言ってくれよwww
>>981 またいつか戻ってこれたら良いと本当に思うよ。
>>982 悪い、誕生日は四月だ
>>983 俺も14だから去るんだよ!
>>イレイザ−氏
七年後になればきっと会えるよ。
この一年間最高に楽しかった。
ほんとありがとうおまいら!じゃあな!
ピンクって18歳以上なら良いんじゃないの?
米国のサーバー使ってるから21禁で、日本だと18禁に値すると聞いたのだが。
10時迄ってことらしいが、さよならだぐうたら氏。今までありがとう。
いや時間の十時ではなくスレタイの十時ではないかと・・・
俺なんて1f歳だぞ
>>ぐうたら氏 おつかれさまでした。 なんて言いません。 次スレ・・・いやこのさきづっと待ってっから作品かいてくれ! てかまほログのうpろだでいいから!マジまってるわ
993 :
名無しさん@ピンキー :2005/12/29(木) 01:44:30 ID:d0ZWLgyO
>>992 もう仕方が無いだろ。思い出は思い出としてしまっとけ。
H2Oの曲でも聴いて噛み締めてろ。
こうすることで、彼も私達も成長できると思うんだ。
>>ぐうたら氏
嗚呼、古参がまた消えていく……
最後の作品、しっかり受け止めました。在りし日の勢いが無いのが残念です。
恐らくぐうたらさんがこのスレを見る事は無いでしょうが、まほログはたまに覗いてくださいな。
では、縁があったら、また。
七年ですか……確実にまほらばが終わっていますが、世界はどうなっているんですかね?
>>984 隠されているって……文字通りの意味ですか?ぐぐったら(ry
かく言う俺もまほログに引き籠ろうか。一応。
埋めついでの挨拶文。
ぐうたらが来る4年後まで漏れは待つぞ
今日はぐうたら感謝の日。
うっかり年齢カミングアウトさえしなけりゃこんな大事にはならなかったのにな。 そういう問題ではないかもしれないけど、結局言わなきゃわからないと言うのも事実で ある意味自滅ではあった。 ていうか、実際の所、職人も読む側も21未満のほうが多いんだろうな。 まほらばのファン層考えれば納得なんだが。
だから18(ry
日本の18禁に相当してるのは確かだが、鯖が海外にありそっちの基準に従っている以上、 21禁なら21歳以上じゃなきゃダメだろう。 いざとなってあちらで起訴されたりしたら日本のルールなんて当てはまらないわけだし。
と言うことで埋め。 十時は何かと節目のスレだったな。 さて、次スレからはどういう展開になるのやら。
1001 :
1001 :
Over 1000 Thread このスレッドは1000を超えました。 もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。