まほらば〜鳴滝荘のしとやかな七時〜

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1ぐうたら ◆7b9DL4hJvA
コこはガンガンWINGデ大人気連載中の『まほらば』ノ二次創作SSを投下すル場所デス。
短編カラ大長編、全年齢対象の健全なモノから18禁まデ、どんナモノでモ大歓迎しマスよ。
しカシ、ハードな作品にハ注意書きを書イテ置くトなお良シデスよ?
アと、私にハどンドん罵詈雑言を投げツけて下さイナ。サア!私をモット罵っテ!!

前スレ 
まほらば〜鳴滝荘のなごやかな六時〜
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1122299842/l50

過去スレ
まほらば〜鳴滝荘のにぎやかな五時〜(512kオーバーにて終了)
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1120612364/

まほらば 〜鳴滝荘のうららかな四時〜
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1119067293

まほらば 〜鳴滝荘、ほがらかな三時〜
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1117367671/

まほらば 〜鳴滝荘、2時…、かも。〜
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1113669362/

まほらば 〜鳴滝荘での一時〜
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1106131763/

原作スレ
小島あきら まほらば25号室
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1123412206/l50

まほらば小島あきら 第7回鳴滝荘お絵描き大会
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/ascii2d/1121691186/l50

過去に投下されタ作品の保管庫ハコこデスヨ、クッ
まほログ(管理人:テイル氏)
ttp://blog.livedoor.jp/maholog/
まほらば 二次創作保管庫(SS&CG)
ttp://whitebrown.hp.infoseek.co.jp/mahoraba/index.html

次スレは>>970の方ガ立てルのガ基本デスが、容量オーバー等が近い時ハ、それ以前のキリのイイ番号を踏んダ方にお願いしマス。
作品を投下シテ下さル職人の皆サン、応援しテ下サる皆サン、ドちラも愛シてマスよ!クッ
2名無しさん@ピンキー:2005/08/13(土) 12:42:48 ID:blmpXMnA
>1人、それを乙と言う!
3名無しさん@ピンキー:2005/08/13(土) 13:19:16 ID:lJfMZB+j
>>1
うにー、部長ちゃん乙なんだよ。

あれ?ここはどこ?いーちゃん?
4名無しさん@ピンキー:2005/08/13(土) 13:19:19 ID:Kx9CwBhZ
>>1お疲れ様です
初めて一桁とりました!
で、いま「君が想うこと」本編を執筆中。翼×白鳥って創造してる時は楽しいですけど、いざ書くとなると難しいものです…
5名無しさん@ピンキー:2005/08/13(土) 13:33:05 ID:/jXDn6Yg
・キャラクターテンプレート

蒼葉 梢(17)    12/21生 158p 45s O型 
白鳥 隆士(19)    9/9生  175p 55s O型
茶ノ畑 珠実(17)  11/8生  151p 40s B型
桃乃 恵(21)     2/13生  167p 51s O型
黒崎 沙夜子(27) 10/17生 162p 47s AB型
黒崎 朝美(13)   6/26生  142p 34s A型
灰原 由起夫(35)   不明   183p 70s 不明

銀 雅(不明)             159p ふつう
エロール(19)            178p 中肉中背
釘バット(19)            160p ふつう
ホモスキー(19)          158p やせぎみ
部長(18)              165p スタイル良
三千代(13)             155p ふつう
さっちゃん(13)           157p ふつう
水無月 まひる(14)        142p 幼児体型
水無月 夕(47)           140p 幼児体型
水無月 丑三(52)         185p 筋肉質
タチバナ(23)            171p スタイル良
サクラ(22)              160p ふつう
阿甘堂のお姉さん(29)      162p ふつう
ヨ〜ちゃん・黄 有麗(25)      160p ふつう

本条 巧(20)
鈴原 綾乃(20)
6ヘブン ◆1fPWtvDjaQ :2005/08/13(土) 15:53:47 ID:0OXqusEJ
>>1
スレ立て乙

修正したSSをUPするときのためようにUPろだを付くってみましたよ

ttp://mahoraba.dw.land.to/ss/upload.html
使いたければどうぞ(ぁ
7ぐうたら ◆7b9DL4hJvA :2005/08/13(土) 16:12:04 ID:p/9C/ijc
スレ立てた張本人が疾風怒濤の7ゲトー!

>>ヘブン氏
うpロダ乙です!
近いうちに微妙な修正を加えたThe last momentをうpさせて頂きます。
お手数ですがテイルさん、うpしたらそっちにまほログを差し替えてくれますか?

MLL、まだしばらく続く悪寒。
8名無しさん@ピンキー:2005/08/14(日) 01:24:57 ID:1SG2Z+VW
>>1乙乙。
職人方、良SS期待してまつよ。
9名無しさん@ピンキー:2005/08/14(日) 01:36:58 ID:evLuk8iO
>>1 乙ですよ。職人様がたも頑張れ。
>> 3 なんでここに友がいるんだ?
10イレイザ−:2005/08/14(日) 07:43:14 ID:8w8NdCI1
>>1
乙です。

前スレで感想書いてくれた方ありがとうございます。
18禁次こそ入れよう…
11名無しさん@ピンキー:2005/08/14(日) 08:00:12 ID:VkUMpWi5
>>1 乙。

イレイザー氏、そろそろコテ付けたほうがよいのでは?
12名無しさん@ピンキー:2005/08/14(日) 09:41:34 ID:ePC2o6m8
>>11
トリップのことか?
13名無しさん@ピンキー:2005/08/14(日) 09:49:36 ID:EMV0Oluu
夏限定にトリはいらんだろ
14名無しさん@ピンキー:2005/08/14(日) 16:22:58 ID:oFr+YozY
>13
その夏限定にも劣るわけね、君は。
15名無しさん@ピンキー:2005/08/14(日) 16:56:53 ID:9GsHJOuA
>>14
なにが?
16イレイザ−:2005/08/14(日) 17:04:57 ID:8w8NdCI1
>>11
そうなんですが、つけかたを忘れたという馬鹿っぷり。
17名無しさん@ピンキー:2005/08/14(日) 17:11:54 ID:oFr+YozY
>15
その夏でさえ、SSを書いていると言う事だよ。書けてない人(もしかしたら書いているのかもしれないが)はそれに劣るということにならないか?
18名無しさん@ピンキー:2005/08/14(日) 17:19:28 ID:PZG2iH/H
>>16
Wikiでトリップの項を見れ、な!
19名無しさん@ピンキー:2005/08/14(日) 17:47:37 ID:Yon0gYVO
いや、書ける書けないが優劣を決める対象にはならないと思うが。
とりあえず煽るな煽られるな、釣るな釣られるな、ってことで。
20イレイザ−♯eraser:2005/08/14(日) 17:57:38 ID:8w8NdCI1
>>18
ありがとうございます。
これでいいのですかね?

>>13-14
>>17
>>19
・・・
21イレイザ− ◆.x0jKy2nk2 :2005/08/14(日) 18:02:00 ID:8w8NdCI1
できてないし。
こうですかねぇ・・・。

連レスすみません。
22前スレ828:2005/08/15(月) 09:26:15 ID:50jXqjQ4
昼頃には「君が想うこと」投下できると思います。
投下してもいいでしょうか?
で、OKなら、前スレで書き込んだ序章から書きますか?それとも、本編からで構わないでしょうか?
意見が出れば投下しますのでよろしくお願いします。
23名無しさん@ピンキー:2005/08/15(月) 10:04:28 ID:owPEJnhh
>>22
出来るだけ前スレ埋めてからで。
ばっちこーい
24名無しさん@ピンキー:2005/08/15(月) 10:06:30 ID:ebi3qR4w
ぜひ、投下して下さい。お願いします。
俺は序章から投下して欲しいですが、面倒ならどちらでもいいですよ。
あなたの作品が読めれば、それだけで十分なんで。
25前スレ828:2005/08/15(月) 10:09:07 ID:50jXqjQ4
そう思ったのですが、ちょっと長いので前スレだけだと収まらない気がします。
具体的に言えば、あとがきなど含めてレス13回分くらい、行数にして400くらいです。
26名無しさん@ピンキー:2005/08/15(月) 10:55:03 ID:BR73mwxN
一行50文字なら40kBだな。
容量オーバーになるな。
27前スレ828:2005/08/15(月) 11:29:30 ID:50jXqjQ4
これから投下します!
やはり前スレでは間に合わなそうなので、ここでやらせていただきます
一応、また序章から投稿します。
1つ3分くらいの間隔で、少しずつ出させて頂きます。
で、前も書きましたが、25話の、トランプ大会の時から始まります。
では、ドウゾー
28君が想うこと:2005/08/15(月) 11:31:51 ID:50jXqjQ4
prologue.
盛り上がったトランプ大会も終わり……
「皆さん、夕御飯もご一緒にどうですか?」
梢ちゃんの一言は、鳴滝荘をいつもの何倍にも暖かく包み込みました。

私が梢ちゃん製の夕御飯を堪能していると…
「なぁ、珠実ちゃん…だったか?ちょっと聞きたいことがあるんだが…」
たしかこの人は…白鳥さんのクラスメイトの…翼さんだったでしょうか?
「なんですか〜?ことごとく私をムシしておいて、自分の用事の時は目に入るん
ですね〜」
「う……とっ、とにかく、こんな子を知らないか?」
そう言って、彼は私にひとつの似顔絵を差し出しました。
その絵は白鳥さんに匹敵するほどの高い技術で、一人の女の子が描いてありまし
た。…よく見知った人の…
「最近この辺りで見たんだが、もし知ってたら何か教えてもらえないか?」
「…これは…」
「…ん?」
「…翼さんは…この人が好きなんですか?」私は静かに尋ねました。
少しだけ間が開いて。
「あぁ、多分…好きなんだと思う」
その顔は、以前私が見た軽々しい彼ではありませんでした。
真剣な、熱い想いがその中に見えた気がしました。
「…わかりました〜。彼女とデートさせてあげるですよ〜」
「えっ!?マジ!?」
「マジです〜。そうですね〜、次の日曜に双葉台駅前でどうですか〜?」
「わ、わかった!サンキュ!」
放心状態のまま、彼は食事の席に戻っていったのでした…。
29君が想うこと:2005/08/15(月) 11:33:43 ID:50jXqjQ4
1.
「白鳥さんっ!起きてください〜」
声とともに体が揺すられる。
「ん〜、せっかくの日曜なんだから、もうちょっとだけ…」
「起きてくださいです〜」
一体何の用だろう。珠実ちゃんが僕の部屋を訪れること自体、珍しいことだ。
何か重大な話なのかもしれない…そう思って、仕方なく僕は身を起こした。
「ふあぁ〜何?珠実ちゃん、こんな朝早くから…」
次に聞いた言葉は、信じられないようなものだった。すなわち…
「白鳥さん、デートしてくれませんか?」
「えっ?今何て言ったの?」
「だから白鳥さんにデートしてほしいんです〜」
「えええぇぇぇぇっ!!??」
「そんな叫ばないで下さいです〜」
「いや…でも…な、なんでデートなんか…」
「…嫌ですか?」
「え?」
「デートするの嫌なんですか?」
涙を浮かべて上目使いをする珠実ちゃん。
「…そうですよね…嫌ですよね…」
珠実ちゃんが…珠実ちゃんが僕のことを…!?
我ながら飛躍しすぎていると思うけど、珠実ちゃんの言葉から察するに、それし
か思い浮かばない。
それに、あの涙を浮かべた目をみれば…。
なら、僕にはこう答えるしかない。
「…うん、わかった。行くよ」
その言葉を聞いてか、珠実ちゃんは顔を上げ、満面の笑みを浮かべた。
「…ありがとうです。じゃあ、朝御飯食べたら早速行きましょう」
そう告げると、珠実ちゃんは僕の部屋から立ち去っていった。
「一体、どういう風の吹き回しなんだろう…」
口に出してみても、理由は分からないままだった…。
30君が想うこと:2005/08/15(月) 11:35:19 ID:50jXqjQ4
2.
白鳥さ〜ん、行くですよ〜」
「うん、わかった。行こう」
珠実ちゃんの声に応えて、鳴滝荘の門を出る。
「あら、お珠ってば白鳥くんとデート?アンタもスミに置けないわね〜、どこ行
くの?」
「内緒です〜」
ちょうどエアメールを手にニコニコと歩いてくる桃乃さんに出くわした。
「ふ〜ん、ま、頑張ってきなさいな」
「頑張るのは私じゃなくて白鳥さんです〜」
どういうことだろう?また何かされるのだろうか?
不安になりながらも、僕は珠実ちゃんの後について歩いていった。

「そろそろですよ〜」
この方向は…駅?電車で行くのだろうか…。
すると、駅まであと数分、という場所で、珠実ちゃんは小さな路地裏に入った。
「こっちですよ〜」
「え?駅じゃないの?」
「ん〜、駅じゃないと言えば嘘になりますけど〜まずここで準備が必要なのです
よ〜」
何の準備なんだろう…そう思った次の瞬間…
「ちょっと失礼しますね〜」
ドスっという重い感触とともに、僕の鳩尾に珠実ちゃんの拳が突き刺さった。
膝が折れ、意識が薄れ行く。
目の前が真っ白になる中、
「さて〜これからが大変です〜」
という声が聞こえ、僕は完全に意識を手放した。
31君が想うこと:2005/08/15(月) 11:36:57 ID:50jXqjQ4
3.
「白鳥さん、白鳥さん、起きてくださいです〜」
「ん……あれ?」
珠実ちゃんが僕の体を揺すっている。
えっと…何があったんだっけ…確か珠実ちゃんにデートに誘われて…駅前で鳩尾
を……
「まったく…白鳥さんは、やっぱりフィジカル的に弱いですねぇ…まぁ、だから
気絶している間に用意する、なんて作戦が使えるわけですけど〜」
少しも悪びれる様子もなく、珠実ちゃんは言った。
「だからって…はぁ、いったい何の用意してたの?」
殴られたことに文句を言っても僕には勝てる気がしないので、そっちを尋ねた。
「だからデートの用意です〜」
やっぱり詳しくは教えてくれないのか…。
「さて…白鳥さん、時間ですよ〜」
珠実ちゃんは腕時計を見ながら言う。
「えっ?時間?どういうこと?」
「今から駅に向かってください〜」
「向かってください…って、珠実ちゃんは?」
「私もあとから行きますから〜」
「わかったよ…」
色々聞きたいことはあったが、拒む理由もないので、僕は承諾して駅へと向かっ
たのだった。

「……?」
駅まではもう百メートルほどだ。だが…
「…なんでみんな僕の方を見るんだろう…」
なぜかすれちがう人(とくに男)がみんな僕のことを見て、顔を赤らめて去って
いくのだ。
いったいなんなのだろう。
とにかく、足を速めて駅へと急ぐ。

駅に着くと見知った顔があった。うちの学校で一番の折檻対象者……翼くん。
誰かを待っているのだろうか…辺りをせわしなく見回していた。
まだ珠実ちゃんが来る気配はなかったので、時間潰しついでに話しかけてみる。
「お〜い、翼くん!」
手を振って声をかける。
彼はこちらを向いて………

「麗子さん!」

………………………
…え゛ぇぇぇぇぇぇ!?
32君が想うこと:2005/08/15(月) 11:38:40 ID:50jXqjQ4
4.
「本当に来てくれたんっスね!」
フバーっと顔を赤くする翼くんを目の前にして、僕は動けないでいた。
そして、気付いた。気付いてしまった。
翼くんの向こう、服屋のショウウインドウに写る人影。そこの僕がいるはずのと
ころに、僕がいない。
いるのは、長い髪に、フリルのついた白のワンピースを着た少女だ。つまり…
「またかあぁぁ!」
「れ、麗子さん、大丈夫ですか?」
ハッ!
今男だとばれると非常にマズイ。我にかえって激しく首を縦に振る。
「そうですか…よかった…」
どう見ても、彼は本気のようだ。
どうしよう…。
しかし頭の中は真っ白だ。
どうしよう…。
再び同じ思考を繰り返したとき、さっきのショウウインドウの中に人がいるのが
見えた。
珠実ちゃんだ。
(た、珠実ちゃん!いったいなんなんだよ、これ!)
目で珠実ちゃんに訴える。
(だからデートですってば〜。その相手が翼さんってことですよ〜)
(ちょ、ちょっと待ってよ!僕は珠実ちゃんとデートするはずじゃ…)
(いつ「私が」白鳥さんとデートするなんて言いましたか〜?)
(………)
だまされたーーー!
(とにかく、帰ったら事情を説明するです〜。今日は「麗子さん」として、翼さんとデートしてきてください〜)
それだけを目で伝えると、珠実ちゃんは高速で立ち去っていった。
ショックで呆然としていると…
「れ、麗子さん、そろそろ行きませんか?」
「え…えっと……うん」
突然だったので、つい頷いてしまった。

…モウ…アトモドリ…デキナイ…
33君が想うこと:2005/08/15(月) 11:39:50 ID:50jXqjQ4
5.
「遊園地のチケットがちょうど2枚手に入ったんですよ〜」
結局、そのまま一緒に電車に乗り込んでしまった。
どうやら珠実ちゃんは本当に付いてきていないらしい。まったく…こんなときに
限って…。
「麗子さん?」
「は、はい!」
慌てて返事をする。
「さっきから一言もしゃべらないけど、やっぱり嫌だった?」
「え…?」
「いや、もしそうだったら悪いことしたな…って…」
「う、ううん!違うよ!あ、あの、僕まだ男の人とデートなんてしたことないか
ら緊張してて…!」
…嘘はついていない。今まで20年弱生きてきて、男とデートしたのなんて初めて
だ。…当たり前だけど。
「…それなら、少しずつ慣らしていこうな」
「??」
「麗子さんの緊張を無くすのに俺が少しでも貢献できたら…嬉しいから」
「は、はい!…ありがとう」
なんだか、いつもの彼じゃない。僕の知ってる翼くんは、もっと軽くてエッチで
女の子には誰かれ構わず声をかける人だと思ってた。
でも、さっきの優しさと、今の幸せそうな顔。
それを見て、どちらが本当の彼なのか…翼くんって、どんな人なのか…知りたく
なった。
どうであれ、僕にはもう選択肢は無い。
珠実ちゃんも帰っちゃったし、電車には乗ってしまった。
だったら…
とことんやってみるかっ!
こうして、僕と彼のデートは始まった。
34君が想うこと:2005/08/15(月) 11:42:16 ID:50jXqjQ4
6.
一度決心してしまうと、役を演じるのはさほど難しいことじゃなかった。
もしかしたら少しくらい変なところもあったかもしれないけど、翼くんは僕の言
動の全てを受け入れてくれるし、「緊張」の一言を使えば大抵のことは切り抜け
られた。

「あ、麗子さん、もうすぐですよ」
2度の乗り換えを経て、彼はそう言った。
「うん、わかった」
そう答える自分の声は、自分で聞いていてもなんとなく女の子のようで、なんだ
か複雑な気分だった。

遊園地に着くころには、僕はもう「麗子」として、翼くんと完全に打ち解けてい
た。
入場ゲートのお姉さんにも、
「二人ともお似合いのカップルだヨ〜!なんだかお姉さん妬いちゃうヨ〜!」
なんて言われたりして、彼の幸せそうな顔が印象に残ったりした。
「…さて、麗子さん、今日はいっぱい遊んでいこう!」
「うんっ!」
遊園地なんて久し振りだというのもあって、その時にはもう不安は消しとんでい
た。

初めに乗ったのはジェットコースター。翼くんの提案だ。
はじめに言っておくと、お化け屋敷だけでなく、僕は絶叫系のアトラクション全
般に弱い。
乗り込んだときにはもう顔から血の気が引き、震えが止まらない。
動き出すと、涙がにじんできた。
「だ、大丈夫?」
さすがに見かねたのか、翼くんが話しかけてくる。
「こ…怖い…よぅ」
うわ…僕の声凄いことになってる…。棗ちゃんにも負けない弱さ…。
「ほ、ほら…手、握っててあげるから、さ。大丈夫だよ」
「う、うん…あり…がとう…」
あ…なんかホントに安心するー。
そう思った瞬間。コースターの上昇が完了、下り始めた。
…あれ?何か忘れてる。
今、僕は女装してるわけで……。

カツラーーーーー!!

マズイ…。絶対に飛ぶ。
カツラが外れてしまえば一瞬で正体がばれてしまうだろう。
……押さえなきゃ!!
思うと同時、コースターが急降下した。
35君が想うこと:2005/08/15(月) 11:43:32 ID:50jXqjQ4
7.
…なんとかカツラは守り抜いた…
でも、結局顔には涙の跡が残り、目は真っ赤。
つまり…大泣きした。
「ごめん…まさかそんなに怖がるなんて思わなかったから…」
すまなそうにする翼くん。
「ううん、大丈夫。僕の方こそ心配かけて、ごめんなさい…」
二人でほとんど同時に謝ったあと、僕たちは少しだけ笑った。

次のアトラクションは…お化け屋敷。これも翼くんの提案だ。
どうして僕の苦手なのばっかり誘うんだよぉ!!
でも持ち前の性分で、断ることはできない。
ここのお化けは機械とかじゃなく、人が演じているので、すごく怖いらしい。
外側から見ていても、震えが止まらない。
「ほ、本当にここに入るの…?」
「ああ!けっこう凄いらしいよ」
…凄くなくていいです。
「あ、怖い?」
「ちょっとだけ…」
ごめんなさい嘘つきました凄く怖いです。
「ん、俺が守ってやるっスから、大丈夫だ!」
その言葉を信じて、僕は彼に続いて中へと入っていった…。
36君が想うこと:2005/08/15(月) 11:44:55 ID:50jXqjQ4
8.
…想像以上でした…。
「だ、大丈夫?」
翼くんが覗き込んでくる。
ダメみたいです…。
無言で放心状態の僕を見て、
「うーん、ちょっと落ち着こうか。冷たいものでも買ってくるよ。ちょっと待ってて」
そう言って駆けていった。

詳しく説明しなくても、わかると思う。
つまり…また大泣きした。
まったく…我ながら情けない…お化けが出てくるたびに翼くんに抱きついちゃったし…
…彼の顔は幸せに満ちていたけど。

しばらくして、彼は1本の缶を手に、戻ってきた。
「はい、…って、お茶でよかったかな?ジュースとかの方がよかった?」
「え?ううん、大丈夫。お茶は好きだから。」
「そうか…よかった…あ、そうそう、俺のおごりだから」
「あ、ありがとう…」
缶を開けてお茶を開けて一口飲む。そこで気がついた。
「翼くんは、何も買ってないの?」
「え?俺はいいっスよ」
「はい」
「え?」
無意識のうちに、僕は飲みかけのお茶を彼に渡した。
「一緒に飲も?」
言うと、翼くんの顔がトマトのように赤く染まった。
「あ、え、でも間接キスだし…」
高校時代、男子校でしょっちゅうジュースを飲み回したりしていた僕からすれば、この反応は意外だった。
「別にそんなの気にしないよ。キミものど渇いたでしょ?」
そう言って彼に缶を押し付ける。
震える手、真っ赤な顔でお茶を口へと運ぶ翼くん。なんだか、また彼の新しい一面を見つけたような気がした。
37君が想うこと:2005/08/15(月) 11:46:32 ID:50jXqjQ4
9.
そのあとは、絶叫マシンに乗ることもなく、普通に食事もしたり、問題なく切り抜けられた。
僕自身、まさか男の子とのデートで楽しめるとは思ってなかった。
でも、どうだろうか。今日は、(いろんな意味で)忘れられない日になりそうだ。

そうこうしているうちに、日は傾き始めていた。
「そろそろ…帰る?」
隣を歩く翼くんに言ってみる。早めに帰らないと夕ご飯に間に合わないかもしれない。
「じゃぁ…」
そう言いかけて、彼は口ごもる。
「?」
「最後に…あれだけ…いいかな?」
彼が指差したのは、観覧車。
「うん、いいよ」
1つくらいならいいだろう、と思う。
「サンキュ」
そう言う翼くんに付いて、夕日に照らされた観覧車へと、足を向けた。

「うわぁ…」
乗り込んでしばらくして外を見ると、すぐ近くに海が見えた。こんなところまで来てたのか…。
僕が景色に目を奪われていると、翼くんが口を開いた。
「今日は、ありがとう」
「ん?」
「俺とは今日を含めてまだ2回しか会ってないのに、デートに付き合ってくれて…本当にありがとう」
そうか…僕からしてみればクラスメイトだけど、彼から見れば他人なんだよな…。
「ううん、僕も楽しかったから…」
そう告げると、彼は今まで見たことがないような満面の笑みを浮かべた。
そしてそのまま、しばらく無言が続く。

頂上近くに達したとき、唐突に翼くんは口を開いた。
「あのさっ…」
「?」
ゴンドラが頂上に達して。
「お、俺と付き合っ…」
突然観覧車の照明がライトアップされた。夕焼けの中に光る、巨大で、美しい花。
「わぁ……!!」
一瞬で僕はその光景に目を奪われた。
…あれ?何か忘れているような…。
「翼くん、何か言おうとしてなかった?」
「え?あ、えっと……いや、なんでもないよ」
苦笑いしながら言う翼くん。いったいなんだったのだろう…。
38君が想うこと:2005/08/15(月) 11:47:16 ID:50jXqjQ4
10.
そして僕らは、再び双葉台駅に立っていた。
「麗子さん、今日はありがとう」
「ううん、こちらこそ。楽しかったよ……それじゃ……」
そう告げて、一礼し、背を向ける。
「麗子さん!!」
急に呼び止められ、僕は振り向いた。
「また、機会があったら…」
少し、間が空く。
そして僕は…
「うん、またね」
意識せず、そう答えていた。
そして小さく手を振り、今度こそ鳴滝荘へと帰ったのだった。
39君が想うこと:2005/08/15(月) 11:50:22 ID:50jXqjQ4
epilogue.
鳴滝荘に到着してから、僕は自分の部屋に戻るより前に、珠実ちゃんの部屋を訪れた。

「珠実ちゃん、どうして、あんなことを?」
そう言うと、珠実ちゃんはいつになく真剣な顔で、こう答えた。
「その前に、2つ、謝っておかなくてはいけませんね…勝手にデートを約束したことと、いきなり殴ったことです…白鳥さん、ごめんなさい」
言うなり、珠実ちゃんは頭を下げた。そしてそれに続くように…
「どうして…と言われると、ちょっと恥ずかしいですけど…私と翼さんは、似てるんです」
「似てる…?」
どう考えても、2人の共通点は思い浮かばない。
「私は、梢ちゃんを愛しています。彼女の方から見れば私は親友でしょう。でも、私にとって梢ちゃんは、それ以上の存在なんです。」
あぁ、そういうことか…。いくら好きだったとしても、珠実ちゃんは梢ちゃんと恋仲になることはできない。それはつまり…
「白鳥さん…もとい麗子さんと翼さんの関係と同じなんです。どんなに好きでも、絶対に結ばれない恋なんです」
そう…2人とも、叶わない恋をしている。絶対に破滅へと向かう恋だ。
「白鳥さん、わかりましたか?これが理由です。たとえ一時でも、私は彼に夢を見て欲しかったんです」
「そういうことか…」
こればかりは、僕に口の出せることじゃない。
でも、これだけは言おうと思う。
「珠実ちゃん、ありがとう。貴重な体験だったし、実際、僕も楽しめた。珠実ちゃんや翼くんのことに僕が口を出すことはできないけど、これだけはわかるよ。珠実ちゃん、キミは正しいことをした…僕はそう思うよ」
「白鳥さん……ありがとうございます」
そう言ったあとに、珠実ちゃんは続けた。
「ちょっと、1人にしてもらえますか?」
僕にそれを拒む理由はない。
「ん。わかった」
僕が扉を閉めた直後、部屋の中から小さな泣き声が聞こえた。
「珠実ちゃん…」
僕にはどうすることもできない。
だけど。
縁側から空を見上げ、呟く。
「2人がいつか…本当の幸せを手に入れられますように…」

〜おしまい〜
40君が想うこと'sあとがき:2005/08/15(月) 11:52:27 ID:50jXqjQ4
ということで、「君が想うこと」どうだったでしょうか?
SS内にもありますが、珠実と翼の共通点ということで、むくわれない恋をする者の一時の夢を書いたつもりです。
BLちっくになったのはユルシテクダサイ…
初めて書いたSSでしたので、至らないところがたくさんあるでしょうが、どうかご容赦ください。
自分の技術を磨くためにも、ダメ出しとかよろしくお願いします。
以上、ありがとうございました。
41名無しさん@ピンキー:2005/08/15(月) 14:13:43 ID:BR73mwxN
前スレ最後のレス11位
42名無しさん@ピンキー:2005/08/15(月) 15:53:56 ID:U9+k+O2Y
>40
むしろもっと絡めと言うぐらい翼×隆子は好きなので読みごたえがあってよかったです。GJ!
43名無しさん@ピンキー:2005/08/15(月) 16:10:21 ID:KpCVzJ5z
隆子の一人称って、他になかったっけ?
44名無しさん@ピンキー:2005/08/15(月) 19:23:10 ID:T5lN0g6R
>>40
お化け屋敷でエロールにしがみつく隆子たんモエスw
45名無しさん@ピンキー:2005/08/15(月) 19:46:12 ID:uY1sCCBK
しがみついた際に胸が無い事に気付かなかったのか彼はw
あ、でも珠実ちゃんの事だから本物そっくりの感触の胸パッドくらい用意しててもおかしくないか。
46名無しさん@ピンキー:2005/08/15(月) 19:46:38 ID:1irpyxIi
>>40
隆子スキーとしてグっジョブです。
やはりこのカップリングは良いですよね、いろんな展開にできますし。

>>43あるあr
「恋のマホウ」「The fateful decision」とか
47名無しさん@ピンキー:2005/08/15(月) 21:06:44 ID:BR73mwxN
エロールは麗子が自分のことを僕って呼んでるのを聞いて、僕っ娘テラモエスとか思ってるんだろうな。
48テイル ◆5zZRlb1law :2005/08/15(月) 23:44:10 ID:owPEJnhh
今日は終戦記念日です。テイルです。

「灰色の眼」、随分溜めてしまいました……8レス分ぐらいにはなったかと。
しかし、バラさんの設定が予想外だったから、新しく作り直してる所で……

前スレが埋まってしまったので、「灰色の眼」0のあらすじ。

夜、歌声が聞こえるので外に出てみた隆士。
そこには、パジャマ姿の梢が。
不審に思って呼んでみると、梢の瞳は……灰色。
でも、その瞳は、何かを訴えているように思えて……

鳴滝荘、二年目の夏が始まる。

では、完成分を投下します。今回は「1」と「2」を投下します。
49灰色の眼(6):2005/08/15(月) 23:45:58 ID:owPEJnhh
1.


「ああ…………」
分からない。
僕はそう呟いて、縁側に寝転んでいた。
時刻は午前10時。
今日は休講日。
何でも、今日は銀先生の都合が付かないらしい。
別に外に散歩に行っても良かったんだけど、特に用事も無かった。
というわけで、鳴滝荘でゴロゴロしていた。
「……分からないけど、暇だな……」
テレビが桃乃さんの部屋にしかない鳴滝荘では、娯楽というものが極端に少ない。
もっとも、鳴滝荘で言う「娯楽」は、宴会と言ってほぼ間違いない。
なんとも情けない話かもしれない。
こういう暇な時こそ、桃乃さんの部屋で映画、という流れが正しいのだろうけど、そういう気分ではなかった。
頭の中が、混乱している。
何が正しくて、何が嘘で、何が起こっていて。

そして、「彼女」は誰か。

世の中分からない事だらけ。
八方塞がり、という状態だった。
「……ラジオでも聴こうかな」
今の時間なら、ちょっとマイナーになってきた中年MCがトークを弾ませている頃合いだ。
ラジオを聴きながら、適当に絵でも描いてみるか。
そう思って、立ち上がると。

遠くから、歩く音。
重く響く。
こんな歩き方をする人物は、ただ一人。

「……ん?白鳥じゃねぇか」
50灰色の眼(7):2005/08/15(月) 23:46:30 ID:owPEJnhh
鳴滝荘の白一点。
緑色の作務衣。
灰原さんだった。

「……どうも、こんにちは」
「どうした?今日は休みカ?」
「ええ、今日は珍しく休講日で……一日、特にする事もなくなりました」
「そうかい」
「灰原さんは、今日も釣りですか?」
「まあナ。特に釣れるというワケではないが………
 なあ白鳥、あの池で巨大なマグロが釣れるって、本当か?」
「…………」
信じてる?
バラさん信じてるんですか、それ。
面白い人だ……
なんか、イメージとミスマッチ。
「さあ……釣れるんですかね、あそこで」
「夢だと釣れるんだがな……」
「……そうなんですか……」
夢見る大人。
まあ、小説家なら、別に問題ないか。
「おかしいナ……これでも正夢は見る方なんだが」
「関係ないと思いますよ…………」
「そうカ?お前も絵本作家の端くれのくせに、夢の無い奴だナ」
「ははは…………」
僕は、力なく苦笑するしかなかった。
ツッこむ力はなかった。
灰原さん、いつもこの調子だなあ…………

灰原さん。
恐らく、鳴滝荘の現時点での最古参。
恐らく、色々知っている。
昔。
総一郎さん。
あの日。
梢ちゃん。
多重人格。
51灰色の眼(8):2005/08/15(月) 23:47:17 ID:owPEJnhh
「ったく……俺はもう行くぞ」
「あ、灰原さん」
僕は、思わず呼び止めていた。
頭よりも、口が先に出る。
いつもの癖が、ここではうまく働いた。

「……なんダ」
「灰原さん、暇ですよね?ちょっと、梢ちゃんについて訊きたいんですけど」
「……梢についてって」
灰原さんは、心外そうに言う。
いや、正確に言えば心外そうなのは口調だけで顔はポーカーフェイスだけど。
「梢の事は、俺よりもお前や珠実の方がずっと知っているだろ」
「いえ、そっちじゃなくて、昔の話です」
「……」
沈黙する灰原さん。
何を思っているのだろう。
「……白鳥」
そして、灰原さんは、呟いた。
その言葉は、彼にしては、重かった。
「お前、梢の過去を知って、どうする気だ?」
「どうするって……」

確かに。
実際問題、僕はどうするんだろう。
梢ちゃんの過去を知る事。
それは、梢ちゃんの<傷>を引き受ける事にはならない。
心の傷は、梢ちゃんだけのもの。
それは、どう抗っても、変わることの無い事実。
では、僕は何が出来る。
梢ちゃんの過去を知って、僕は、梢ちゃんに何が出来る。

「…………」
何も言えない僕に、灰原さんは、ふーっと、大きく溜め息をついた。
ジョニーではなく、灰原さん自身が。
「……分かった。全く、お前らしいと言うか何と言うか…………
 白鳥、もう少し頭で考えてから行動するように心掛けろ」
「…………すいません」
「俺の部屋に来い。色々と長話になるからナ」

52灰色の眼(9):2005/08/15(月) 23:48:14 ID:owPEJnhh



灰原さんの部屋は、僕の部屋並みに家具が少ない。
小説がびっしりと並べられている本棚が一本。
原稿用紙が散かっている机が一卓。
寝起きする布団。
それだけ。
まるで、僕の部屋を雑多にしたような感じだ。
「…………さて」
灰原さんは、座布団に座って、僕を見る。
「どの辺から、話そうか?」
「そうですね…………」
僕は考える。
どの辺りからがいいだろうか。
多重人格が発症した瞬間―――――いや、それだけじゃあ原因が分からない。
だったら。
「じゃあ――――梢ちゃんのひいおじいさん―――つまり、僕のひいおじいさんでもある訳ですけど、
 総一郎さんの事についてから、お願いできますか?僕も、よく知らないので」
「総一郎さんの事からか…………」
ふーむ、と灰原さんは唸る。
そして、こめかみをぐいぐいと押して。
「…………いいだろう。ただし、話が長くなるぞ。いいナ?」
「構いません。どうせ暇ですから」
「そうかい」
そこで灰原さんは、一息ついて。
「じゃあ、俺がここに来た頃の事から、掻い摘んで話すぞ」

そして、灰原さんは、鳴滝荘の過去を語り出した。
53灰色の眼(10):2005/08/15(月) 23:49:18 ID:owPEJnhh
2.


俺が鳴滝荘に入居したのは、大体12年ぐらい前の事だ。
当時、まだブイブイ言わせていた俺は、色々な事に手を出していた訳だが、
ひょんなことで、梢の曽祖父――――総一郎さんに出会った。
総一郎さんは、青かった俺に色々な事を教えてくれた。
そのおかげで、今の俺があるんだがな…………
まあ、そういう縁もあって、鳴滝荘に住む事になった。
あの頃は、まだ珠実も、桃乃も、黒埼親子もいない、今とは全く違う感じのアパートだった。
今みたいに、住民同士の宴会があるわけでもなく、イベントがあるわけでもなく。
まあ、至って普通のアパートだった。
そのアパートの大家だったのが、総一郎さんの孫夫婦、つまり梢の両親だったわけだ。
総一郎さんは、もう隠居として、まだ小さかった梢の面倒を見ていたな。
だから、俺は総一郎さんを「ご隠居」と呼んでいた。
もっとも、それは当時の住人に倣っただけだが。
あの頃の梢は、それはもう天真爛漫だった。
絵本を読んでくれたり、面白い話を聴かせてくれるご隠居に、すごく懐いていた。
梢の両親が大家の仕事で忙しかった事もあってか、梢は一日の殆どをご隠居と過ごしていた。
まあ、いわゆる「おじいちゃんっ子」だな。

ある時から、梢の両親が不仲になった。
鳴滝荘の扱いについて、どうも揉めてたらしい。
丁度その頃、ここを潰してビルを建てようとする計画があったから、恐らくそれだろう。
鳴滝荘を守ろうとする父、売った方が収入が増えるという母。
それはもう、酷い喧嘩だった。
ご隠居も仲裁しようと何度も間に入ったんだが、それでも止まらなくてナ。
梢は、夫婦喧嘩を、心配そうに見てたよ。
子供心に、何か寂しいものを感じていたんだろうな。
ご隠居は心配して、よく梢を連れてそこの公園に出掛けていたよ。
54灰色の眼(11):2005/08/15(月) 23:50:20 ID:owPEJnhh
ある日の事。
俺は、縁側で煙草をくゆらせていた。
そこに。
「――――由起夫くん」
声の主は、ご隠居だった。
心なしか、少しやつれているように見えた。
「……ご隠居」
「すまないね、色々と迷惑を掛けて」
ご隠居は、苦笑して俺に謝った。
「……何でご隠居が謝らなくちゃいけないんですか」
「いや、私のせいだよ、由起夫くん。私が不甲斐ないばかりに、孫夫婦は喧嘩ばかり。
 梢は怖くなって怯えてしまう。住人にはここがなくなるかどうかで心配を掛ける。
 全く、どれもこれも私のせいだよ」
「ご隠居…………」
分からなかった。
何で、今頃になってそんな事を言うのか。
こういう事は昔にも何度かあったと聞いている。
それなのに。
ご隠居は、何故、謝る?
「……梢も」
ご隠居は、静かに呟いた。
「梢も、どうなってしまうんだろうねぇ」
「梢ちゃんですか?」
「ああ。あんな大人の喧嘩を見せられて、将来家出とかしないだろうか……」
「……大丈夫ですよ。梢ちゃんは、そんな子には育たないですよ」
「そうかね?」
「ええ」
そう。
それは俺の本心。
あんないい子が、家出なんかするはずはない。
そう、直感していた。
確信めいたものがあった。
「……そうかい」
ご隠居は、静かに頷いた。

「――――なら、大丈夫だな――――」
55灰色の眼(12):2005/08/15(月) 23:51:05 ID:owPEJnhh

「……ご隠居?」
「ああ、いや、何でもないよ」
俺は、その言葉に違和感を覚えた。
何か、嫌な予感があった。
「―――由起夫くん」
「はい?」
「もしも、私や、倅達に何かあったなら―――――その時は、梢を頼んだよ」
「――――はい?俺が、ですか?」
「どうせ、君も他に行くところもないだろう。だから、君に頼んでいる」
「はぁ………………分かりました」
「済まないね。本当に、迷惑を掛ける」
「そんな事はないですよ、ご隠居」
俺は、半ば心配してご隠居を見た。

「―――――――ありがとう、由起夫くん」

ご隠居のその言葉は。
どこか、温かくて。
どこか、寂しくて。
どこか、儚かった。
そのまま、押してしまえば倒れてしまいそうだった。
俺は、戸惑うばかりだった。

ご隠居が亡くなったのは、それからすぐの事だった―――――
後で、心労だったと聞いた。

56灰色の眼(13):2005/08/15(月) 23:52:11 ID:owPEJnhh



ご隠居の葬式の日。
梢は、泣き続けていた。
「ねぇ、おじいちゃんはどこ?おかあさん!」
その声は、とても悲愴で。
とても、哀れで。
梢の母親は、何も言えなかった。
俺は、何も出来なかった。
梢のために、何が出来るか。
何も、思いつかなかった。

そんな時に、梢の目の前に現れたのが、お前だった。
お前は、梢に、色々な絵を見せてくれた。
涙に暮れていた梢も、段々と笑顔を取り戻していった。

「わたしね、こずえっていうの」
「こずえ?」
「うん!わたしのなまえは、あおばこずえ!」
「こずえちゃんか……ぼくは、しらとりりゅうし。よろしくね」

俺は、お前に感謝したよ。
梢の笑顔を、取り戻してくれた。
あの、天真爛漫な。
春みたいな、明るい笑顔を、取り戻した。
俺には、出来ない事だった。

「こんどは、わたしをかいて!」
「こずえちゃんを?……いいよ」
「やったー!」

二人が、無邪気に絵に夢中になっている様子を、俺は黙って見ていた。
俺がする事は、何も無かったから。
この小さな幸せが続く事を、ただ祈るだけだった。
春の、暖かい日だった。

「これを、あげるよ」
「ほんとう!?ありがとう、おにいちゃん!!」
「また、会おうね」
「うん!!」

「おにいちゃん!!大好きだよ!!!」

57灰色の眼(14):2005/08/15(月) 23:53:36 ID:owPEJnhh
だが。
その小さな幸せは、長くは続かなかった。

あの日。
ご隠居の遺産相続について、親戚中が集まった。
自然に、議題は土地をどうするかになった。
だが、ここを残すか売り渡すかで大揉めに揉めた。
言い争いはいつしか喧嘩になり、殴り合いにまで発展した。
そんな所に割って入ったのが、何と梢だった。

「やめて!」

「もう、けんかしないで!」

「おじいちゃんがしんじゃったのに、どうしてみんなけんかするの!」

「かなしいよ……」

だが、小さな子供の悲痛な叫びは、大人には届かなかった。
「うるさい!」
そう言い放ったある男の振るった手が、梢に当たった。
さらに運の悪いことに、そのまま、梢は壁に頭をぶつけてしまった。

殴り合いの応酬だったその場は、一気に静まり返った。
口々に、梢を心配するようになった。

しばらくして。
梢は、目が覚めた。
ただし。
梢ではなく。
まるで、違う女の子になって。

「なにしやがるんだ、てめーっ!」

いきなり、梢を殴った大人に掴みかかった。
いつもの、梢ではなかった。
そう。
まるで、人格が変わってしまったかのように―――――
突然暴れだした梢に、場の空気は一転した。
とにかく、暴れる梢をおとなしくすること。
それが、先決だった。
58灰色の眼(15):2005/08/15(月) 23:54:08 ID:owPEJnhh
なんとか梢をなだめ、相続会議は打ち止めになった。
「ったく、なんなんだあいつらは―――」
話す口調は、乱暴そのものだった。
梢の母親は、豹変した娘の様子に驚いて倒れてしまった。
父親はそれに付きっきり。
その場にいたのは、俺と、その子だけだった。
普段の梢ではない。
では、誰だ?
そう思って、俺はその子に話しかけた。
「―――梢?」
「ん?おじちゃんだれだよ?」
「…………君は、梢か?」
「アタシは、そんななまえじゃない!」
「じゃあ、何て名前だい?」
「アタシか?アタシのなまえは…………なまえは…………」
段々、もごもごと呟くようになっていく、その子。
恥ずかしくて言い出せない……訳じゃないな。
もしかして。

名前が、無いのか?

「アタシは…………アタシは…………」
その子は、最早涙声だ。
「――――よし。だったら、俺が名前を付けてやる」
「え?ほんとう!?」
「ああ。そうだな―――――――」
俺は、その子をじっくり見た。
普段の梢の瞳は、青っぽい緑。
だが。
この子は、赤。
燃えるような、赤色の瞳。
だったら―――そうだ。
「―――――早紀だ」
「え?」
「君の名前だよ。君は、赤坂早紀だ」
「あかさか―――さき―――」
「そうだ」
「うん!ありがとうおじちゃん!」
早紀と名を受けたその子は、とても嬉しそうだった。
「……俺はまだおじちゃん呼ばわりされる歳じゃないんだがな……」
「おじちゃんはおじちゃんだよ」
「ははは……そうかもな」
それに、この無精ひげと若白髪だからな……子供の目で見れば、おじちゃんかもしれない。
「ああ………そうだ。俺の名前は、灰原由起夫だ。よろしくな、早紀」
「うん!よろしく、はいばらのおじちゃん!」
「…………」
本気でひげを剃ろうかと思った。

59灰色の眼(16):2005/08/15(月) 23:55:19 ID:owPEJnhh



「そんな事があったんですか…………」
「ああ」
「早紀ちゃんの名前、灰原さんが付けてたんですか……知りませんでした」
そういえば。
僕が鳴滝荘に入居した日。
初めて、早紀ちゃんに出会った夜。
あんな事を、言っていた。

「そーいや、沙夜子とか灰原のオッサンはどーしてんだ?」

そうか。
みんなの事を呼び捨てにしていた早紀ちゃんは、灰原さんにだけ「オッサン」と付けていた。
早紀ちゃんにとって、灰原さんは父親みたいな存在だったんだ。
「ああ。その後に、魚子の人格まで出てきたから、もう大変だったよ」
「魚子ちゃんまで…………って、あれ?千百合ちゃんと棗ちゃんは?」
「それは、また別の話だ。と、これで一つ分かっただろう、白鳥」
「はい?」
不意に振られたので、変な声を出してしまった。
……
何が分かったんだ?
確かに梢ちゃんが、どうして多重人格になったかは分かったけど…………
「まあ、それもあるが」
「それ以外、ですか……」
それ以外。
それ以外……
「…………ごめんなさい、分かりません」
「分からないのか…………本当に鈍いなお前は」
「すいません……」
灰原さんは呆れ顔だ。
「だから、何故魚子だけ『精神年齢6歳』であり続けたのかが分かっただろうが!」
「…………あ」
60灰色の眼(17):2005/08/15(月) 23:56:06 ID:owPEJnhh

そうか。
そういうことか。
魚子ちゃんの『6歳』は、梢ちゃんが多重人格になった年齢。
その時に、楽しかった思い出が一番詰まっている。
総一郎さんとの思い出。
楽しかった日々。
だから。
魚子ちゃんは。
魚子ちゃんという「人格」だけは。
無意識的に『成長』しないんだ……
普通なら、基本である梢ちゃんの年齢に合わせて成長するはずなのに。
それが、『6歳』の意味。

「大体、見えてきました。じゃあ、千百合ちゃんと棗ちゃんが生まれたのは?」
「そう急かすな」
灰原さんは、煙草を一服した。
「…………どうしたものかねぇ…………」
「何がですか?」
「梢にとっては、あっちの方が、鮮明に記憶に残っているだろうな……」
「……記憶に……?」
「それだけ、あいつにとって辛い思い出だったって事だ」
そして。
灰色の語り部は、数年前の『事件』を、静かに語りだした。

61テイル ◆5zZRlb1law :2005/08/16(火) 00:02:58 ID:22+Zu0uT
…………只今、オリジナルストーリーで通過中Death.

色々と、設定を考えてみました。
・梢の両親の喧嘩→土地問題
・名前を付けたのは誰→灰原
・魚子について→文中
って感じで。魚子については最早ここの住人・職人の共通見解かな……
作中の一部は原作2話と「First Present」から引用です。

まだまだ、語り部さんの独白は続きます。何か、大変な事になっていますが。
夏は、まだまだ終わりませんよ。

……色々、大人しくなりますよ。ハイ。テイルでした。
62名無しさん@ピンキー:2005/08/16(火) 00:53:49 ID:7a4hlnj3
>>61
GJ
千百合と棗が禿しく気になる orz

(´・ω・`)ところでMr.ぐうたらのMLLはどうなったがな?
63名無しさん@ピンキー:2005/08/16(火) 01:02:34 ID:C+eLJshU
魚子6歳人格は、やはりこう言う理由の方がしっくりくるな。
gj
64ヘブン ◆1fPWtvDjaQ :2005/08/16(火) 01:32:10 ID:XBLWm1a5
>>61
GJ

多重人格の実例の方だと自分から名乗るって感じのもある(はず)
こっちも書かなきゃ書かなきゃorz
折檻されてしまう・・・・・
65名無しさん@ピンキー:2005/08/16(火) 05:59:54 ID:6Eb0VY0C
>>64
5徹ぐらいすれば折檻は逃れられます。
66名無しさん@ピンキー:2005/08/16(火) 08:47:17 ID:2O5/YDHR
>>65
そのうち3日は宴会
67ぐうたら ◆7b9DL4hJvA :2005/08/16(火) 11:40:01 ID:lO9ql20r
おはようございます。ぐうたらです。
>>40
初めてにしてはかなりの良作。
でも白鳥くんはエロールを騙す事にもうちょい罪悪感を持ってもいいんジャマイカ?
ふとそこだけ気になった。他はGJ!

>>テイルさん
早紀ちゃんの誕生秘話…バラさんが絡んでいたとは…
なっちんや千百ちゃんも同様のパターンか、はたまた別の…?
いろいろ大変でしょうけど頑張って下さい、GJでした!

さて、課題が終わらない人がとうとう課題を終わらせたそうなので俺もがんばって書きました。
いつも課題に追われてる彼に捧げます。
『MLL B 非日常』投下〜
68MLL B 非日常 1/6:2005/08/16(火) 11:40:58 ID:lO9ql20r
目を開けたミニ梢(?)ちゃんは、あたりをぐるりと見渡した。
周りにいる人間を順に見る。
僕、珠実ちゃん、桃乃さんを見て、ぷるぷると震えだすミニ梢(?)ちゃん。
「こ、梢(?)ちゃん?」
「………」
ぴょこぴょこと、梢(?)ちゃんが、僕の元に寄って来る。
ぴと。
円卓に置いた僕の手に身を寄せ、桃乃さんと珠実ちゃんから隠れるようにする。
「えっと……」
一連の行動から推測する、彼女の今の人格は……
「棗…ちゃん?」
「(びくっ!)」
僕の呼びかけにびくりと身を震わせ、そのまま凄い勢いで僕の体をよじ登り、胸ポケットに潜りこんでしまった。
「棗ちゃーん?」
自分の服の中のミニ棗ちゃんに話しかけると、怯えながらも顔をちょっとだけ出してくれた。
「………(ぽんっ)」
その状態で頭から、小さな花を咲かせるミニ棗ちゃん。
その様子が、小動物的(現在は本当の小動物みたいだが)な様子が、もう…もう…ッ…!
「「可愛い〜〜〜!!!」」
僕が叫びそうになったことを、二人揃って代弁してくれた。そう、可愛い!
「ししっししししし白鳥クン!!ちょ、ちょちょちょーーーっとでいいからさ、なっちんコッチに渡してくれないカナ〜〜?(ハァハァ)」
「な、棗ちゃんに何するつもりですか!?」
「な、何もしないです〜〜〜…ちょーーーっと棗ちゃんと遊ぶだけででででです〜〜〜(ハァハァハァハァ)」
「棗ちゃん と 遊ぶんじゃなくて棗ちゃん で 遊ぶつもりでしょ!?渡すわけには行かないよ!!」
「なに言ってるですかぁぁぁぁぁ…何もしないです、何もしないですぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……」
「な、棗ちゃん、逃げよう!!」
言うが早いか、僕は胸ポケットにミニ棗ちゃんを押し込んで自分の部屋を飛び出した。
「うお!?逃がすか!!行くわよ珠!!何としてでもプチなっちんを我々の手にぃ!!!」
「言われなくても行くです〜〜!!」
桃乃さんと珠実ちゃんに追われながら、僕は鳴滝荘を飛び出した。
69MLL B 非日常 2/6:2005/08/16(火) 11:41:36 ID:lO9ql20r
阿鼻叫喚の逃亡劇を経て、僕とミニ棗ちゃんは公園にあるドーム状の遊具の中に身を潜めた。
「はぁ……ここなら大丈夫みたいだね……ふぅ…」
光の速さで迫る珠実ちゃんから逃げた所為で、肩で息をする。
「隆士…君…大丈夫…かも…?」
満身創痍な僕を心配して、ぴょこんと顔を出して声をかけてくれるミニ棗ちゃん。
「ああ、うん…大丈夫だよ、これぐらい…」
もそもそと胸ポケットから出てくるミニ棗ちゃん。
ぴょこっと僕の前に下りたミニ棗ちゃんは、髪をツインテールに結び直している。
「……隆士…君…」
「ん?何?棗ちゃん」
「……私…なんで…ちっちゃく…なってる…の…?」
「え?」
と、間抜けな声を出してしまったけど、考えてみればミニ棗ちゃんの疑問も最もだ。
いくらなんでも、この事態には記憶の補填も効かなかったのだろう。
「あー……えっと、ね?それは僕にも良く分からないんだ。
 だからそれを解決する為に話し合ってたんだけど、桃乃さんたちが暴走しちゃって…」
これぐらいしか僕達にも分かっていない。
だからミニ棗ちゃんに言えるのもこれくらいだ。
「………」
「棗ちゃん?」
「隆士…君…を…こんなに…下から…見るの…初めてで…ちょっと…楽しい…かも?」
「へ?」
思ったよりも呑気なミニ棗ちゃんに思わずがくりと脱力。
「えへへ……」
ミニ棗ちゃんはにこーと笑顔を作って目の前の僕の手とじゃれている。

数分後。
未だミニ棗ちゃんはきゅーきゅーと鳴き声(???)を上げて僕の指に一生懸命じゃれついている。
ハムスターサイズのミニ棗ちゃんの愛らしさと言ったら…言ったらッ…!!!
「きゃ…り、隆士…君…?」
「へ?あ、わっ、ごめん!つい!!」
なにが「つい」なのかは自分でも分からないけれど、つい、本当につい、もう片方の手でミニ棗ちゃんを撫でまくってしまっていた。
「ううん…いい…の…少し…くすぐったい……けど…暖かくて…気持ちいい…かも…」
「え?」
「あ…!なんでもないっ、かも……」
「棗ちゃん…」
こんな非現実的なこと、まだ信じられないけど。
たまには、こういうのもいいかも……

と。

その時だった。
小さな幸せのひとときが終わりを告げたのは……

「見ィ〜〜〜つ〜〜〜け、た〜〜〜」
「で〜〜〜〜〜す〜〜〜〜〜」

「な゛っ!?」
ボクとミニ棗ちゃんが身を潜めていたドーム状の遊具の丸い二つの穴から、桃乃さんと珠実ちゃんが覗き込んでいた。
憤怒の、表情で。
70MLL B 非日常 3/6:2005/08/16(火) 11:42:08 ID:lO9ql20r
「やぁやぁ白鳥クン!元気にしとるかねぇ?ん〜?」
「いい度胸、ですねぇぇぇぇぇぇ?私達を差し置いてそんなキュートな棗ちゃんを独占とは…アハ〜〜〜ン?」
「も、ももももももももすももも、桃乃、さん……たま、たたたたたたたたままままたまた珠実ちゃん…」
「何度も何度も何度も何度も何度もNA・N・DO・MO!あたしたちからなっちんを隔離しやがって……」
「そ、それは桃乃さんたちが物凄い形相で棗ちゃんを追いかけるからで……」
「言い訳無用!!(桃チョップ!)」
「あ痛っ!?」
「白鳥さん〜……」
「はっ!?」
「覚悟は…出ぇ来ぃてぇるぅでぇすぅかぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」
「ヒイイイィィィイイィイイイイイィィィィィィイイイイィイィィィィイイイイィィィイィイイィィィィイイイィィィイ(フェードアウト)」

……………
…おおりゅうしよ!しんでしまうとはなさけない。
ハッ!!?
ガバッ!?
「い、今の何!?」
「お、目ぇ覚めた〜?」
「あれ、桃乃さん…?」
「はいはい、桃乃さんだよ?」
「…ここ、は?」
「ここはキミの部屋。いやぁ〜災難だったわね〜、珠の攻撃をもろに十六連で喰らって、気絶したの。もう夜だわよ?」
「へ?」
言われて、窓を見ると、確かにもう暗い。
「あ、棗ちゃん!桃乃さん、棗ちゃんは!?」
「なっちん?なっちんなら珠の部屋だわよ〜」
「珠実ちゃんの部屋?」
「そっ。なっちん、キミが珠に十六連撃喰らったときにキミの手からぽろって落ちちゃってね?
 気ィ失っちゃったから今は珠が看病してんの。どぅーゆーあんだすたん?」
「は、はい。そう、ですか……」
と、そこに。廊下から声が聞こえてきた。
「桃さ〜〜ん、梢ちゃんが目を覚ましたですよ〜!」
「あいよー!じゃ、晩ご飯にしよっかー!」
「あれ?晩ご飯まだなんですか?」
「ニャ?そうだよ?梢ちゃんがアレじゃあ料理できないから、今日はこの桃乃さんが腕を揮って料理するわよ〜!さ、行こ?」
「あ、はい……」
71MLL B 非日常 4/6:2005/08/16(火) 11:43:31 ID:lO9ql20r
炊事場には既に全員が揃っていた。
「あ、白鳥さん!」
「梢ちゃん。大丈夫?」
「ハイ、あの、すいません、ずっと寝ちゃって…」
「いいよ。そんな体になって不安な気持ちにもなるだろうし、とにかくよく寝てよく食べて。力をつけなきゃ!」
「白鳥さん…」
「そうそう!たまにはいいこと言うじゃないのさ白鳥クン!ホイ、桃乃さん特性餃子!!中華は火力だわよー!!」
うーわ、物凄い油っ濃そう……
「それじゃ、野郎共、手ぇ合わせてー!!」
『応〜!』
「うっしゃー!せぇーの!」
『いただきまーす!!!』

予想通りとてつもなく油っ濃かったものの、桃乃さん特性餃子@中華は火力、は中々の味で、皆であっと言う間に平らげてしまった。
「はぁー、お腹一杯だよ〜」
はふー、と幸せそうに息をつく朝美ちゃん。
「…満腹…」
続けて沙夜子さん。
「ね、どう!?あたしの餃子もイケルっしょ!?」
「まぁ〜、梢ちゃんの料理に比べればまるでゴミのようですけど、まあ、食べるくらいには値してますですね〜」
「にゃにおー!?なんとか言ってやってよバラさーん!!」
「ン?ああ、ま、結構イケルと思うゼ。ン?これってあれカ?花嫁修業の一環ってヤツか?」
「ちょ、バラさん!?しーっ、しーっ!!」
「桃乃さん?それって、やっぱり前に話した…」
「わーわーわー!!!白鳥クン、シャラーーーップ!!!」
「おやおやおやおやおや〜〜?何やら気になること言いますね〜、白鳥さんに灰原さん〜」
「げ!珠!?なんでもない!なんでもないって!!」
「アハ〜ン?そうやってはぐらかそうとする所を見ると、まっすます怪しいですねぇ〜?」
「うぐっ……そ、そうだ!ホラ、も、もう皆寝たら!?」
「はぁ〜?唐突ですね〜?」
「もう夜も遅いしね!?お子様達は早く寝なさい!って…ニャハハハ……」
「マ゛〜〜〜……」
「………朝美ちゃん!」
「え!?」
突然話を向けられて驚く朝美ちゃん。
「内職終わってる!?」
「えっと…まだ…今日もお母さんが何もしてないから…造花1000本…」
せ、1000本て…
「ヨシ!今からやるわよー!」
「ええ!?」
「お姉さん今超目が冴えてるの!こりゃー造花の1000本や2000本ぐらいヨユーよ!
 行くわよ朝美ちゃん沙夜ちゃん!えいえい、オー!」
「お、おー…?」
「…ぉー…」
朝美ちゃんのまだ状況把握できていなさ気な返事と、ここぞとばかりに手伝ってもらおうとする沙夜子さんの返事。
「じゃ、じゃね白鳥クン!おやすみ!!」
桃乃さんはそそくさと両脇に朝美ちゃんと沙夜子さんを抱えて炊事場から逃げるように出て行った。
「マ゛〜…いつかは聞き出すです〜…梢ちゃ〜ん、おやすみなさいです〜♪」
「あ、うん。おやすみなさい、珠実ちゃん」
渋々と珠実ちゃんも引き上げていった。
「さて、と。俺も寝るとするカナ。アバヨ白鳥、梢」
「はい、おやすみなさい灰原さん」
灰原さんも自室に戻り、炊事場にはミニ梢ちゃんと僕だけとなった。
72MLL B 非日常 5/6:2005/08/16(火) 11:44:04 ID:lO9ql20r
「……」
「……」
残された僕とミニ梢ちゃん。
沈黙は広がる。
「……梢ちゃんは…どうする?」
「えと…皆さんいらっしゃらないみたいですので…寝ます?」
「そう、だね…じゃあ管理人室まで送るね」
「あ…ハイ」
梢ちゃんを胸ポケットに入れて、廊下を歩く。
途中五号室から桃乃さんの壮絶な雄たけびが聞こえてきたりした気もするけどあえて触れずに歩く。
さらに一号室から怪しげな声が聞こえてりした気もするけどあえて触れずに歩く。
リアクションしなければこんなに早く事が運ぶなんて!
これからもクールに行こう。
あ、決してKOOLではありませんCOOLです。
きっと無理だけど。
気が付けばもう管理人室前。
胸ポケットのミニ梢ちゃんに話しかける。
「ついたよ、梢ちゃん」
「あ、ハイ……」
「?どうしたの?」
「え、いえ何でも…ありません…」
「?」
梢ちゃんの落ち着かない様子を不思議に思いながらも、ミニ梢ちゃんを寝かせるためにベッドの方へ…と、その時だった。
「あのっ」
「え?」
「…あのぅ……その…」
「何?」
「えと…この体じゃ…少し…心細いんです……それで…その…もし、ご迷惑でなかったら…」
僕の手の上でもじもじと手を組むミニ梢ちゃん。
「ご迷惑でなかったら…白鳥さんのお部屋で一緒に寝ても…いい、ですか?」
「へー」
…………
…………ん?
「こ、こここここ梢ちャンッ?(超裏声)ぱ、ぱぱぱぱ、pardon?」
「え…?ぁ…その…今夜は…一緒に寝て…欲しいんです……」
――――――――――――――――ッ!!!!!!
ヤバイ!
どうしようヤバイ!!
ミニ梢ちゃん可愛くてヤバイ!!!
「ダメ…ですか…?」
ああああああああああ!!!
潤んだ瞳でこっちを見ないでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!
そんな目で見られると!見られるとォォォォォォォォォォォォ!!!
「……じゃあ、行こうか?」
………ホラ、言ってしまった。
「ほ、本当ですか!?ありがとう、ございます……」
「うん、大丈夫だよ。さ、行こう?」
「はいっ♪」
73ぐうたら ◆7b9DL4hJvA :2005/08/16(火) 11:45:00 ID:lO9ql20r
とりあえずミニ梢ちゃんを連れて僕の部屋に到着した。
「じ、じゃあ、ちょっとここで待っててね?」
「あ、はい」
ミニ梢ちゃんを机の上に降ろして、布団を敷き始める。
「梢ちゃん、いいよ」
布団を敷き終え、ミニ梢ちゃんを呼ぶ。
「はい、ここどうぞ」
ぽん、と枕を叩く。
「はい…あの…」
「何?」
「ふ…ふつつかものですが、よろしく…お願いします…」
「あ、コチラコソ…ってその発言はマズいよ梢ちゃん!!」
「え、あ、あ、あの、えと…お、おやすみなさいっ!」
「うん、お、おやすみ、梢ちゃん」
何処と無く恥ずかしい雰囲気で、電気を消し布団に入る僕とミニ梢ちゃん。
数分の間沈黙が続く。
「……梢ちゃん?」
ミニ梢ちゃんのほうを向くと、もうミニ梢ちゃんすーすーと小さな寝息を立てて眠っていた。
「あれ、寝ちゃったのか…」
ハムスターサイズの梢ちゃんが人形みたいに綺麗な顔で、眠っている…
 僕 の 隣 で !!
ああッ!?手、手が!!手が勝手にミニ梢ちゃんの方へ……!!!

数分後。

僕は必死に眠りにつこうとしていた。
横では数分前と同じ状態でミニ梢ちゃんが眠っている。
そしてドアの向こうではおぞましい殺気が今にもドアをぶち破りそうな勢いで渦巻いている。
勘弁して……許して珠実ちゃんッ!!!


こうして、僕と小さくなった梢ちゃんの一日が終わった。
明日の朝には梢ちゃんはどうなっているんだろう…
元に戻っている?
まだこのまま?
それとも……

期待と不安を胸に、僕は漸く珠実ちゃんの恐怖から逃れ、眠りについた。
74タイガー&アトガキ:2005/08/16(火) 11:47:17 ID:lO9ql20r
901is、PとDはどっちがいいんでしょうか?ぐうたらです。

今回は大した進展も無い話しですが、次回、少し話が進む…かも?
俺がこんな美味しいシチュであの娘を出さない訳が無いので、次回は彼女の登場ですよ!!
あと二、三回の投下で終わると思われるので、皆さん期待せずにご覧下さい。
ではでは
75名無しさん@ピンキー:2005/08/16(火) 11:48:30 ID:lPejrtol
(超裏声)とかやめれ。セリフの羅列もいくない。
76名無しさん@ピンキー:2005/08/16(火) 12:40:35 ID:7J+Vr5+t
一人称だっけ?とにかく自分視点なら、まあ科白の羅列は仕方ないかも。

まあ、地の文(もちろん白鳥クン口調でね)を挿入するのが一番いいと思うよ。
77名無しさん@ピンキー:2005/08/16(火) 13:05:30 ID:lPejrtol
マンガと違って絵がないんだから、キャラクターの表情や動作、情景描写はしっかりとね。
78名無しさん@ピンキー:2005/08/16(火) 13:36:55 ID:J5S+9o1M
感情表現って難しいよね。
自分は感情が薄い?から感情というものを理解しきれてないんだよね。
79イレイザ− ◆.x0jKy2nk2 :2005/08/16(火) 14:49:56 ID:Pj9jZ0Li
>>49-61
なんか言いたいことがいっぱい言われてました。
この前のSS…あ。
名前つけるの忘れてた。
んじゃあ、「カコ」とでもつけます(適当だなあいかわらず
「カコ」の続きを投下します。
なんと珠実の家族登場〜。
つってもずっと鳴滝荘にいたんですけどね。
では、投下!
80イレイザ− ◆.x0jKy2nk2 :2005/08/16(火) 14:51:59 ID:Pj9jZ0Li
「うーん…」
梢ちゃんが机に突っ伏して唸っている。
その光景は、今までに見たことがないほど複雑な格好だった。
…とりあえず、声をかけてみることにした。
「…梢ちゃん、何してるの?」
僕のその言葉に、梢ちゃんは首だけを振り向かせた。
「あー、白鳥さんー…。実はー」
何だか珠実ちゃんのような間延びした口調で梢ちゃんは話し出した。
「何か変な部分があるんですー」
「変な部分?どういうこと?」
「あー、ちょっと言い表しにくいんですけど。
説明するには実践あるのみですねー…早紀ちゃん」
「…え?」
疑問が頭をよぎったが、その瞬間、梢ちゃんはぎゅっと目を瞑っていた。
「こ、梢ちゃん!?どうし…」
梢ちゃんが目をあけたとき、その瞳は紅に染まっていた。
81イレイザ− ◆.x0jKy2nk2 :2005/08/16(火) 14:52:38 ID:Pj9jZ0Li
「よぉ。白鳥。元気してるかー」
…え?なんで?僕、ショックなことは何もしてないよね?
「え、え、え…」
「…魚子、いくぞー」
一言言ったかと思うと、早紀ちゃんはたった今梢ちゃんがやったようにぎゅっと目を閉じた。
一瞬の後、早紀ちゃんが目を開け…
「お兄ちゃーん!!」
タックルしてきた。
いや、
この呼び方、
この行動、
金色の瞳。
「…魚子ちゃん?」
「うん!私魚子ー!」
ヤバイデス。
頭がオーバーヒートしそうです。
梢ちゃんが、早紀ちゃんに?
早紀ちゃんが、魚子ちゃんに?
頭から煙が上がりそうになってきたころ、
「…棗お姉ちゃーん!」
また、魚子ちゃんは目を閉じ、開けたら…多分、紺色、だと思う。
「…隆士君」
大当たり。
かぁっ、と棗ちゃんの顔が赤くなった。
…ああ。
魚子ちゃんがタックルしたからなあ。
「ご、ごめんなさい…千、千百合ちゃんっ」
また、目を閉じた。
次は蒼…だろうな…。
ところで、何で千百合ちゃんは瞳の色が蒼なんだろう?
梢ちゃんは緑だし…
思っていたら。
「隆ちゃーん!!」
千百合ちゃん(だと思う)が、頬擦りしてきた。
ひぃぃ。精神的ミサイル。
魚子ちゃんに負けるとも劣らない…。
「ん〜、Correctですよ〜隆ちゃん〜♪」
いやいやいやいやいやいやいやいやいや!!!!!
『Correctですよ〜』じゃなくてさ!!
「はははははは離れて千百合ちゃん!!」
僕に理性のあるうちに!!
千百合ちゃんは笑うようなからかうような表情を見せ、目をつぶった。
そして、瞳の色は緑に染まった。
「…ということですけど、分かっていただけましたか?」
分かれません。
無理です。
思いながら、言葉を搾り出した。
「ど…どういう…こと…なの?」
82イレイザ− ◆.x0jKy2nk2 :2005/08/16(火) 14:54:07 ID:Pj9jZ0Li
梢ちゃんは即答した。
「つまり私以降の皆が自分が解離…多重人格でいいですね。
多重人格だということを知って、大体の意思疎通ができるようになりました。
簡単に言えば、話し合いをしているような状態なんですけど…」
…けど?
「時々ちくっと頭が痛くなることがあるんです。
なんていうか…偏頭痛じゃないんですけど、それに近いような…」
うーん。
僕は医者じゃないからさっぱり。
「生理痛…じゃないの?」
梢ちゃんは顔を少し赤らめて答えた。
「…はい。ここ一ヶ月くらい断続的にきてますから」
うーーーーーん。
「皆には聞いてみたの?早紀ちゃんとか」
「ええ。…魚子ちゃんはまだ子供ですからさっぱりだったようですけど。
…そうだ。千百合ちゃんが言ってたんですけど」
「え?何?」
「心の中で何か黒い感情がわいてきたことがある…って。
そのときに、すごく悲しくなって、死にたい、自殺したい…ってなったそうです。
…白鳥さんの顔見たら治ったって言ってましたけど」
最後の一文がちょっと気になるけど。
黒い感情…か。
黒って言えば、辛い、苦しい…高級色…それはどうでもいいか。
そんなイメージがあるな。
83イレイザ− ◆.x0jKy2nk2 :2005/08/16(火) 14:54:34 ID:Pj9jZ0Li
「…梢ちゃん。そういうのを表に出すのって…できる?」
「え?…多分、できると思います。
感情のコントロールも最近できるようになったので」
そういって、梢ちゃんはまた、目をつぶった。
1分ほどしただろうか。
梢ちゃんの目が開かれ…
そこには、綺麗な緑色の瞳はなかった。
あったのは、悲しみの色を纏った、黒。
それも、見えたのは一瞬だけだった。
梢ちゃんは立ち上がり、ドアを開けて中庭に出て行った。
庭の一番大きな木に梢ちゃんは向かっていってる。
池で釣り(?)をしていた灰原さん(というかジョニー)が言った。
「おい、梢は何してんダ?」
「さあ…」
としか言いようがなかった。
そうこうしているうちに、梢ちゃんは木にロープをかけ、
それを首に…って!
「梢ちゃん!!!」
「梢!!」
灰原さんと僕は同時に叫び、木に走り寄った。
灰原さんが梢ちゃんを持ち上げた。
僕は梢ちゃんの首にかかっているロープを外そうとするけど、
「…外れない…っ!」
「何の騒ぎですか〜…ってああっ!!?」
珠実ちゃんが部屋から顔を出し、こちらに何かを投げつけた。
木に何かがぶつかる音がして、梢ちゃんがどさり、と地面の上に転がった。
84イレイザ− ◆.x0jKy2nk2 :2005/08/16(火) 14:56:14 ID:Pj9jZ0Li
「梢ちゃん!梢ちゃん!!大丈夫!?梢ちゃん!」
首のロープを外し、梢ちゃんに叫んだ。
「ん…」
!!!
梢ちゃんは目を開き、また黒い瞳を覗かせた。
ほとんど同時に珠実ちゃんもこちらに来て、
「梢ちゃん!大丈夫ですか!?………あ?」
と叫んだ。
その言葉に、梢ちゃんは、
「あ…久しぶりね。珠実」
と返し…
珠実?
立ちすくんだ珠実ちゃんの口から、言葉が出てきた。
「…ねえ、さん…」
…ねえさん?
ねえさんって、あの?
兄弟姉妹の中の『姉さん』ですか?
85イレイザ− ◆.x0jKy2nk2 :2005/08/16(火) 14:56:43 ID:Pj9jZ0Li
「どういうことなの?珠実ちゃん」
梢ちゃんをベッドへ寝かせ、キッチンで緊急会議が開かれた。
学校へ行っている朝美ちゃん、エアメールを出しに行っている桃乃さんはとにかく、
その他の鳴滝荘の住人はキッチンに集まっている。
「姉さんって、どういうことなンだ?」
灰原さん(ジョニー)が言った。
「姉さんってことは、姉妹なのよね…?」
沙夜子さんも、意見を出している。
その中で、珍しく珠実ちゃんはうつむいて黙っている。
少しして、珠実ちゃんは口を開いた。
「梢ちゃんは…いえ、あの人は、…私の姉の、『茶ノ畑梢』です」
『えええ!?』
皆の声―沙夜子さん含む―がハモった。
「でででも、全然顔似てないじゃないか!?」
「二卵性双生児だから当たり前です」
「じゃあ何で梢はお前が少し前に入ったなんて言ってるんだよ!?」
珍しく灰原さんがジョニーなしで喋っている。
「それは、『蒼葉梢』自体が『造られた』人格だからです」
86イレイザ− ◆.x0jKy2nk2 :2005/08/16(火) 14:57:54 ID:Pj9jZ0Li
時間が、止まった。
世界の音が、時間が、すべてなくなったように思える。
その中で、沙夜子さんが口を開いた。
「…ということは、その『茶ノ畑梢』さんが梢ちゃんの元の人格なのね…?」
「…はい。
姉さんは、途方もない大きな精神的ショックを受けて、『蒼葉梢』を『造った』んです。
多分、精神的ショックを和らげるために。
…でも、それは逆効果でした」
「…逆効果?」
「はい。『蒼葉梢』のほうに、楽しい、嬉しい、優しい…要するに、『陽』の感情が移ってしまったんです。
そして、『茶ノ畑梢』には…悲しい、辛い、寂しい…『陰』の感情が残りました。
それで、今日のように自殺未遂を繰り返すようになりました。
ちょうど、前の沙夜子さんのように」
「…」
珠実ちゃんは一気にまくし立てた。
「そして、姉さんは『蒼葉梢』として生きていきました。
『茶ノ畑梢』としての記憶を全てなくして
そして、『茶ノ畑梢』、『蒼葉梢』は共に生きてきました。
そして、今日…なんらかの原因で、『茶ノ畑梢』が戻ってきました。
…白鳥さん」
「…え?」
「……それでも、『蒼葉梢』を好きでいられますか?
…愛していられますか?
私の姉さんのせいで死んでしまって、悲しむ事になるかもしれない。
それでも、『蒼葉梢』の傍に、居続けられますか?」
…………………。
「…梢ちゃんは、梢ちゃんだよ。
人間である限り、いつかは死ななきゃならない。
でも、その分、幸せになる権利があるんだ。
そうでしょ?
だから、今は梢ちゃんを幸せにしてあげたいんだ。
梢ちゃんは僕といると幸せだって言ってた。
だから、僕は梢ちゃんの傍にいたい」
「…そうですか。
…言ってあげてください。
梢ちゃん、待ってると思いますよ?」
珠実ちゃんの言葉に頷き、キッチンから出て、管理人室へと向かった。
87イレイザ− ◆.x0jKy2nk2 :2005/08/16(火) 15:01:34 ID:Pj9jZ0Li
以上!
「以上ってなんだよ!続きは!?」
とか思う方がいると思います。
私がそうですから(笑)
一応三部作なので、次は執筆中です。
しばらく待ってくださいね。
…読んでくれるなら。
88名無しさん@ピンキー:2005/08/16(火) 15:03:53 ID:XOkdZ139
消しゴムさんはやれば出来る子なの
89名無しさん@ピンキー:2005/08/16(火) 15:05:12 ID:J5S+9o1M
なんかスゲー
90名無しさん@ピンキー:2005/08/16(火) 15:08:38 ID:owi/IBgY
皆やれば出来る子なの

>>61
GJデス
続きの執筆がんばってください。

>>74
期待してご覧することにします。

>>87
オリキャラ登場でなにやら凄い展開に。
続きが気になります。

皆さんGJです、続き待ってます。
91イレイザ− ◆.x0jKy2nk2 :2005/08/16(火) 15:14:40 ID:Pj9jZ0Li
また名前付けんの忘れた_| ̄|○
「カコのミライ」ということで(安直ですね〜)
92名無しさん@ピンキー:2005/08/16(火) 15:15:43 ID:2O5/YDHR
茶ノ畑梢ってすごい安直…
結婚でもしたみたいな名前だな
93名無しさん@ピンキー:2005/08/16(火) 15:56:55 ID:ltrmirb0
>>87
>珍しく灰原さんがジョニーなしで喋っている。
ちょwwwまほらばスレ始まって以来の大事件wwwwww
94名無しさん@ピンキー:2005/08/16(火) 16:55:01 ID:0ovvkS/w
>>93
「冬の終わり」でガイシュツなのだが。
とりあえず保管庫嫁
95名無しさん@ピンキー:2005/08/16(火) 16:57:00 ID:lKaPn0MH
隆士と梢の親戚関係はどうなったんでしょう?
ハッ!
まさか珠実と隆士がはとこ!?
96名無しさん@ピンキー:2005/08/16(火) 19:31:47 ID:C+eLJshU
>>87
すごい展開ですね
楽しみです
97名無しさん@ピンキー:2005/08/16(火) 21:02:36 ID:J5S+9o1M
隆士と梢が最初に出会ったときに実は珠実もいたんだな。
98える ◆NeXzmp25zc :2005/08/16(火) 21:16:30 ID:owi/IBgY
歌詞っぽい物
第2弾、第3弾とできたので
2作連続投下しようと思います。
ちなみに、上から
沙夜子さん・珠実と続きます。
では、どうぞ。
99もっともっと、ずっとずっと:2005/08/16(火) 21:19:10 ID:owi/IBgY

もっとがんばるね・・・
ずっとがんばるね・・・

誓いを立てた愛しき人と 先の見えない
愛の逃避行 周りの声は私にとどかない

愛ゆえの過ち それに気づかないこの心
ただただ 私の愛した人と側に居たくて

愛しいこの子の為に クルシミに耐えるの
そう私はあの人に 心で誓いを立てたから
私がこの子を守ってゆくの この子が居たから
私はここにいる だからずっと守り続ける

あの人はもういない 悲しみに暮れて涙する
もう眠りたい 何度もそう思い続けた心

そんな心に力をくれる この子の笑顔が
こんな私に幸せをくれる この子の声が

愛しいこの子の為に カナシミに耐えるの
そう私はあの人に 心で誓いを立てたから
私がこの子を支えてゆくの この子の未来 
それを私が作ってあげる 道は閉ざさない

私達は二人で歩んで行く そう心で誓った
支えてくれる人達がいる でもそれでも 
この子が愛をくれるから それに答えたい
この子が私に愛をくれたように この私も
それは生涯変わることのない 私の気持ち

愛しいこの子の為に シアワセを上げたい
この子の為だけに それが私が私である証  
私がこの子を愛し続けるの ダレでもない
この私が この子のためだけに愛をあげる
だからその為に 私の精一杯の力で心で愛で

もっともっとがんばるね
ずっとずっとがんばるね
だからずっと私の傍にいてね
100Friend:2005/08/16(火) 21:21:18 ID:owi/IBgY

何もない道の上で 色の無い空を見て
自分の心を感じて ただ虚しさを感じる

私の目に映る何もかもが 色鮮やかで
それが羨ましくて 色のある空を見る

叶わない願いだとそう思っていたのに

私の心を見つけてほしかった
みんなをうらやむ 私の気持ちが霞むよ
どこへ行くの みんなの姿も霞んでく
近かったようで 遠かった私の気持ち
届かないまま 静かに消えて雫になる

桜の季節 新しい始まり新しい出会い
私はあなたと出会えた 色のない私が

そんな私に色をくれた そんな出会い
願いを叶えてくれた そんなあなたを

叶わない願いなのはわかっていたのに

私だけを見ていてほしかった
あなたを愛する 私の気持ちが霞むよ
どこへ行くの あなたの姿も霞んでく
近かったようで 遠かった私の気持ち
届かないまま 静かに消えて雫になる

部屋から飛び出す勇気もなかった私に勇気をくれた
長い道の果てにある 素敵な世界を教えてくれた
そんなあなたにも出会いが訪れ あなたはその人の元へ行く
あなたが見ていた景色 私が見ていた景色
重ねることができずに 私は泣いた ただ泣いた

私だけを見ていてほしかった
あなたを愛する 私の気持ちが霞むよ
どこへ行くの あなたの姿も霞んでく
近かったようで 遠かった私の気持ち
届かないまま 静かに消えて雫になる

でも私の気持ちは本当で だからこそ応援できる
幸せを願える祈れる そして私も強くなれる

ありがとう

今はその一言を あなたの心に伝えたい
101名無しさん@ピンキー:2005/08/16(火) 21:24:27 ID:lNXGgWxz
どこがサビ?
102あとがき:2005/08/16(火) 21:24:57 ID:owi/IBgY
以上です。
本当はあと1作完成させて3作まとめて
投下しようと思っていたのですが
どうにも上手くいかず、完成させることができませんでした。
なので後日完成次第投下しようと思います。
では、失礼します。
103える ◆NeXzmp25zc :2005/08/16(火) 21:27:51 ID:owi/IBgY
>>101
あくまで歌詞っぽいものを意識して
書いたものなので、上手くはいってませんが。
サビにするならば

沙夜子さんのほうは
愛しいこの子の為に〜の部分からに

珠実のほうは
私の心を見つけて〜の部分からに
と、いう感じで書きました。
104ぐうたら ◆7b9DL4hJvA :2005/08/16(火) 22:04:26 ID:ltrmirb0
まーけーたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…ウワァァァン!!
沙夜子さんモノで完敗orz
二人の心情がありありと伝わってきてGJ!!でした。次回作あったら期待!
105名無しさん@ピンキー:2005/08/16(火) 22:18:05 ID:7a4hlnj3
課題やってて投下されてた事に気づかなかった orz

>>Mr.ぐうたら
遂にキタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!
~~~・-y('A` )課題をやったかいがあったぜ。

>>小島あ(ry
~~~・-y('A` )VGJ!!!!
('A`;)続きを想像出来ない…

>>える
こういうのも好きだ。

しかし課題がはかどるなぁw
これでははかどらない事を利用して
続きキボンヌを出来ない orz
106ぐうたら ◆7b9DL4hJvA :2005/08/16(火) 22:28:06 ID:ltrmirb0
>>105
おまいって奴は本当にいつも課題に追われてますねw
MLLの続きもバリバリ書いてるんでお楽しみに
107名無しさん@ピンキー:2005/08/16(火) 22:45:47 ID:6doD8ne0
>>105
何の課題か気になるw
108名無しさん@ピンキー:2005/08/16(火) 23:40:18 ID:lKaPn0MH
何の課題だったとしても、間に合わなければ折檻だと予想します
109ぐうたら ◆7b9DL4hJvA :2005/08/17(水) 00:53:45 ID:zmIPRePe
自分のやる気を高める為にタイムリミットを設けるテスト。
『MLL C 猫 』編 明日まで ←今ここの半分ぐらい
『MLL D 元凶』編 今週中
『MLL E 終結』編 来週中
夏の課題で23日までに作文系の課題を二つ提出しなければいけないのも忘れて書きまくるぜー!あばばー!あびゃびゃ―!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・どうしよ
110名無しさん@ピンキー:2005/08/17(水) 00:53:56 ID:Ho/aaZQe
>>106
(゚∀゚ )楽しみにしてまつ!!

>>107
理工なんで課題の量が半端無いんですよ orz

>>108
銀先生みたいな折檻だったらむしろ出さn(ry
111名無しさん@ピンキー:2005/08/17(水) 04:43:13 ID:KQC1WTcs
銀先生みたいな人なら何十時間でも授業出ますよ。そして課題は全部忘れ(ry
112名無しさん@ピンキー:2005/08/17(水) 09:14:36 ID:XCX5Hyqn
>>ぐうたら氏
自分も23日に作文系を・・・・
3つです
間に合わないかもなぁ
やる気無いだけですが・・・
113名無しさん@ピンキー:2005/08/17(水) 09:33:57 ID:28I2T4C6
その後>>111の姿を見たものはいない・・・

ところで
>作文系の課題
たまにここの人たちが分からない。
いや、ただの論文書きだろうが。
114名無しさん@ピンキー:2005/08/17(水) 12:00:45 ID:3G1+Z/Au
現在4浪中の俺からすれば羨ましすぎです
115ヘブン ◆1fPWtvDjaQ :2005/08/17(水) 17:33:31 ID:uC3wxdLv
全く関係ない話だけど、参考までに過去スレを見ようと思ったんだけど見れないんだよね
知り合いは普通に見えたんだけど俺だけ何か文字の羅列で表示される・・・・
設定の問題だろうか?
116名無しさん@ピンキー:2005/08/17(水) 19:55:40 ID:v4YKzxIr
エンコードの確認。
117鳴~ ◆fZOubfDxuE :2005/08/17(水) 22:11:38 ID:zJt6Ttu6
>>115
IEなら表示メニューのエンコードをシフト JISに。
118ヘブン ◆1fPWtvDjaQ :2005/08/17(水) 22:57:05 ID:uC3wxdLv
>>116-117
dクス。でも見れなかった。
仕方ないので知り合いにファイルに保存してもらって何とか見れました。
原因調査はスレイプニル方面からするとして

これで何か書けそうだヽ(´ー`)ノ
近々短編物投下します。
ンでその後に運命の続きを
119ぐうたら ◆7b9DL4hJvA :2005/08/17(水) 23:46:57 ID:PFm2RSue
久しぶりにタイムリミット前に書き終わった!
では!
『MLL C 猫』投下〜
120MLL C 猫 1/5:2005/08/17(水) 23:47:34 ID:PFm2RSue
朝の陽に照らされ、僕の意識は覚醒した。
僕、白鳥隆士が鳴滝荘に来て、二年目の秋がやってきた。
夏と違い蒸し暑い朝じゃない。
冬と違い身震いする程の朝じゃない。
僕は春と同じように、夏、冬の境目の季節が、好きだった。
天気のいい秋の日、今日は何か良いことが起こる予感がする。


…………………………ん?
これは…デジャブ?
最近これと同じことを考えたような……
……昨日か!!
昨日の朝これと全く同じこと考えてたんだ僕!
みるみる蘇って来る昨日の記憶。
全てを思い出したと同時に首を右に倒す。
…案の定、そこには梢ちゃんが居た。

…………………………は?
今、目の前の光景を見て、一瞬で状況が理解できる人間がこの世にいるだろうか?
いや、恐らくいないだろう。
何故なら昨日の朝、人生で一番の事件に遭遇した僕でさえ目をぱちくりさせ、口をぱくぱくさせ、首を傾げているのだから!
今日の、光景は…ッ!!

梢ちゃんが!
僕の恋人が!


昨日より大きくなっている。
ハムスターサイズから、猫サイズに。
121MLL C 猫 2/5:2005/08/17(水) 23:48:12 ID:PFm2RSue
「と、いうわけで、梢ちゃんがこんな風になってしまいました」
猫化した梢ちゃんを起こして、二人でたっぷり驚いた後、猫梢ちゃんを炊事場に連れて行く。
「へぇ〜…今度はちっとばかし大きくなったの?梢ちゃんも大変だわねぇ〜。ニャハハハ!」
「桃さ〜ん?笑い事じゃないですよ〜このエロメガネ〜」
「誰が好色女だとー!!?」
「誰も言ってないと何度言ったら分かるですか〜…」
「お兄ちゃん、梢お姉ちゃんはどうなっちゃうの?」
この場で唯一この事態を深刻に考えている朝美ちゃんが尋ねる。
優しい娘だ……
「うん…やっぱりここは元凶を突き止めるしか…」
「元凶って?」
昨日の『鳴滝荘 梢ちゃんのミニマム化について朝まで議論大会(結局3分しか続かなかった)』に参加してない朝美ちゃんが首を傾げる。
「あ、昨日の昼間に皆で話し合ってね?オカルト研究部の部長さんの仕業っていうのが一番濃厚な線…ってことになったんだよ」
(ガタン!!)
「ガタン?」
大きな物音がした方を向くと、そこには…
「沙夜子さん……」
沙夜子さんが机の下に潜り込んでいた。
大方部長さんの名を聞いて驚いたんだろう。
初めて部長さんが来た時に一体何言われたんだろう……
「そうでした〜あの変態部長をシメるんでした〜」
と、今まで桃乃さんをシメていた珠実ちゃんが急に話に参加してきた。
桃乃さんだけじゃまだシメ足りないのか…
「あ、朝美ちゃん。遅刻しちゃうよ?」
気づけばいつもの登校時間。
僕と一緒に解決策を考えてくれていた朝美ちゃんにそれを知らせる。
「え?わわっ!本当だ!でも、お兄ちゃんはどうするの?」
「うん、僕達は今日も休むよ。梢ちゃんを放っては行けないからね」
「白鳥さん……」
僕の言葉に頬を染める猫梢ちゃん。
ああ、またこっ恥ずかしいセリフを僕は…!
「じゃあ、私行って来るね!いってきまーす!!」
「朝美ちゃん、いってらっしゃーい」
猫サイズになって短くなった手(ハムスターサイズよりマシだけど)をぴこぴこと振って朝美ちゃんを送り出す梢ちゃん。
今の姿、猫サイズの姿の梢ちゃんを見る。
昨日よりは体はずっと大きいけど、それでもまだ大人の猫と同じぐらいのサイズだ。
手足は子供向けの人形みたいに短く、まだ小動物的なイメージから脱却できていない。
そんな姿の梢ちゃんには不安は感じられないけど……
どうしたもの、かな……
122MLL C 猫 3/5:2005/08/17(水) 23:48:46 ID:PFm2RSue
朝美ちゃんが登校した後、炊事場に全員で集まった。
炊事場の入り口には木の板に達筆で、
『真剣10代から30代までとにかく喋れば良いじゃない』
と書かれている(題字:珠実ちゃん・提案:桃乃さん)。
「それじゃ、昨日の梢ちゃんの話から、結局黒幕は部長ちゃんってことでおーけい?」
桃乃さんが軽く話をまとめ、同意を求める。
「ああ、今聞いた話じゃその線が有力だナ」
「…じっちゃんはいつも一つ…」
同意する灰原さんと、意味が分からない沙夜子さん。
珠実ちゃんは猫梢ちゃんと一緒に遊んでいる。
実質話し合いに参加しているのは僕と灰原さんと桃乃さんの三人だけだ。
「でも、それにはやっぱり部長さんを見つけるのが必要ですよね…」
「そこよねー…珠ー、部長ちゃんの家って知ってるー?」
「はぁ〜ん?この私があの真性マゾヒストの家なんか知ってるハズが無いでしょう〜?まだシメられ足りないですか〜?」
「むむむ……」
悩む桃乃さん。
「じゃあ、学校…?」
「生徒とは言え梢ちゃんも珠も風邪で休みってことだし、部外者のあたし達にはことさら無理、っていうか白鳥クンなんか論外だし…」
「女子高ですしねえ…」
「じゃあ白鳥さんが蝶サイコーなスーツと仮面をつけていけば妖精さんってことで入れるんじゃないですか〜?」
「うええ!?」
「それよ!!」
「それよ!!じゃないですよ桃乃さん!!それじゃ一歩間違えれば変態じゃないですか!」
「そんな格好してたらその時点で百歩は間違ってるわよ白鳥クン?」
「分かってるなら言わないで下さいよ……」
一気に脱力。
大声出して喉が渇いたなぁ…
「お茶飲もう……」
そう思い、席を立った。
「あ、白鳥さん、私準備します」
てちてちと僕の方に近づく猫梢ちゃん。
「いいよ、梢ちゃんは座ってて?僕が準備するから」
「いえ、白鳥さんに頼ってばかりでは…あっ!」
「あっ!!」
その時、猫梢ちゃんが抱えた茶葉の入った缶が床に落ちてしまった。
幸い茶葉はこぼれなかったが、かなり大きな音がした。
「こ、梢ちゃん!大丈夫?」
今までのパターンから、梢ちゃんは…もう…!!
「ん……」
目を開ける猫梢(?)ちゃん。
今度は誰だ…?
「……ぁ…」
まだ開ききってない目が、僕の目と合った。
その途端、猫梢(?)ちゃんの目がカッと開いた。
その目の色は…!
「しらとりぃ〜〜〜!!!(がばっ!!)」
赤…ッ!!
123MLL C 猫 4/5:2005/08/17(水) 23:49:18 ID:PFm2RSue
「わわっ、早紀ちゃんっ!?危ないよ!」
そう、危ない。
いまの早紀ちゃんは僕の頭より一回り程小さいサイズなので、僕の顔にしがみついている今の状況は、非常に危ない。
「危ないもんか!危なくなったらお前が助けてくれるからな!!」
「た、頼られてるのは嬉しいけど!!ま、周りを見て早紀ちゃん!!」
「ん?周り…?」
僕の顔にぺたっと張り付いていた猫早紀ちゃんが周りを見渡す。
猫早紀ちゃんはようやく周りに皆が居ることに、気が付いたようだ。
「ぁ…ぁ…ぁ…」
声にならない声で呻く猫早紀ちゃん。
その顔がふどんどん赤く染まっていく。
「ぅぅ〜〜〜……」
全員の呆然とした目線に顔を完全に真っ赤に染めた猫早紀ちゃんが、ゆっくりと僕の方を向き……
「さ、早紀…ちゃん?」
「うにゃーーー!!!」
僕に襲い掛かってきた!!
「痛っ!?さ、早紀ちゃん!痛い痛い!!引っ掻かないで!!痛いってば!!」
猫サイズの早紀ちゃんは猫っぽく爪を立てて僕の顔を引っ掻く!
「ほ、ホントに痛いって!離れて早紀ちゃん!!」
「フーっ…フーっ…」
猫っぽい荒々しい息。
「まあまあ早紀ちゃん〜落ち着いてくださいです〜?」
「にゃ?珠か。久しぶりだな」
「はい〜久しぶりです早紀ちゃん〜♪」
「おう、久しぶりだな!」
ピコピコと嬉しそうに猫耳を動かす早紀ちゃん。
本当に猫みたいで可愛いなぁ………
124MLL C 猫 5/5:2005/08/17(水) 23:49:52 ID:PFm2RSue


…………………………WHAT?
今僕なんて言った?
『可愛いなぁ……』違う!可愛いけど違う!
『耳を動かす早紀ちゃん』……もうちょっと!もうちょっと横に!
『耳を動かす早紀ちゃん。』そっちじゃない!左にズレて!!
『猫耳を動かす早紀ちゃん』……猫耳?
猫耳?
ねこみみ?
ネコミミ?
NEKOMIMI?

バッと早紀ちゃんを見る。
「うわああ!!」
「ブハッ!?ど、どったの白鳥クン!?」
ビール(17本目)を飲んでいた桃乃さんが飲んでいたビールを吹き出す。

「どったのじゃないですよ桃乃さん!!早紀ちゃんを見てください!」
「は?早紀ちゃん?…てうおぅ!?」
「どうしたですか桃さ…マ゛〜!?」
「あ?どーした桃、珠?」
「さ、早紀ちゃん!」
「なんだよ?」
「耳!し、しっぽ!!」
「耳…しっぽ?」
僕の言ったことを繰り返し、自分の体を見る早紀ちゃん。
「な、何じゃこりゃあ!?」
そして驚愕。
無理も無い。だって今の早紀ちゃんには……


猫耳と尻尾があるのだからッ!!
125ぐうたら ◆7b9DL4hJvA :2005/08/17(水) 23:55:43 ID:PFm2RSue
ひぐらしが欲しくて欲しくてたまらない!ぐうたらです
でも佐賀には同人系の店は一つも無いんです。
佐賀め…佐賀めッ!!

今回で後半戦です。
モチロン早紀ちゃんにはラストまで登場してもらいます。
もう元凶編に突入してるけどちと長くなる予感悪寒オカン。

とりあえず補足。

一日目。
梢ちゃんがハムスターサイズになりました。
ハムスターになったのではなくハムスターと同じぐらいのサイズになりました。
なっちんもまた然りです。
二日目。
現在進行中。
梢ちゃんが朝起きた時点では大人の猫と同じぐらいのサイズなだけで尻尾もネコミミも無く普通の耳です。
早紀ちゃんになってから猫耳と尻尾が出現して猫っぽくなってしまうのです。
犯人の部長の魂胆は!?それが次回明かされます。
そしてクライマクッスへ…

誤字脱字等ありましたらご報告ください。ぐうたらでした。
126テイル ◆5zZRlb1law :2005/08/18(木) 00:31:21 ID:acUfXvmi
とりあえずひぐらしよりメルブラが欲しいテイルです。

>>ぐうたらさん
ネコミミモードキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!
つか早紀ちゃんか…………Correctな判断やなあ、ぐうたらさん。

まあ、とりあえず誤字を指摘すると、

>蝶サイコー

なのだけれど、蝶→妖精という掛詞、むしろ連想があるから、例外?
そして、

>「…じっちゃんはいつも一つ…」
真実は金田一耕助、と言ってみる。

「灰色の眼」と「終わりの始まり」を読み比べたら、どちらも酷い事やってるなー、と。
梢ポン、最早悲劇のヒロイン。そして白鳥クンは……何?いーちゃんか、キョンか。
テイルでした。
127ぐうたら ◆7b9DL4hJvA :2005/08/18(木) 00:35:01 ID:dBdxYUxq
蝶サイコーは無論あのお方をイメージしてなのでそれでオッケイです。スンマセン
128名無しさん@ピンキー:2005/08/18(木) 00:35:51 ID:koSrzcxr
>>125
ネコミミモードGJ!!

蝶サイコー・・・まさかとは
思いますが・・・あれですか?あの月光蝶の・・・?
129名無しさん@ピンキー:2005/08/18(木) 00:40:05 ID:1pao30wa

>>ぐうたらさん
・・・・・
あ、うん
最っっっっ高!!デス!!
ネコミミデスカー
シッポデスカー
サキチャンデスカー
何かベストマッチですよ!!
嗚呼、可愛い・・・
>蝶サイコー
これはまさか武装錬kゲフゲフ

次回期待してマス
130名無しさん@ピンキー:2005/08/18(木) 01:14:51 ID:mIEiWi21
ぬこカワイイよぬこ

いきおいで書き込んでみた
今は反省している
131名無しさん@ピンキー:2005/08/18(木) 01:41:59 ID:blmzs44D
メルブラはカデンツァが出るとしたら購入決定っ。
132魔術師:2005/08/18(木) 03:02:56 ID:V0s0QRTX
初めまして。魔術師です。何となく勢いで書いたら作品が出来ましたので、カキコします。読み終わった後のご意見・感想をお願いします・・・。
それでは、「夏のとある1日」の始まり。
133夏のとある1日@:2005/08/18(木) 03:04:16 ID:V0s0QRTX
ここは東京都港区にある鳴滝荘で・・はありません。かなり離れた山梨県の某テーマパークにいます。
しかも白鳥隆士くんと蒼葉梢ちゃんがデートをしている。しかし、当人達は知るよしはありませんが、
あの二人がストーカーまがいでついてきてます。
「ストーカー言うな!!」
「少々教育が必要みたいです〜」
そうとも。茶ノ畑珠美と 桃乃恵です。
「「ちょっと、私たちは呼び捨てかい!!」」
まあそれはほっといて、どうしてこんな状態になっちゃってるのでしょうか。それは数日前に遡ります。

学校の授業が終わり、
「梢ちゃん。一緒に帰るです〜」 
「うん♪」
てな感じにいつもどおりに帰ろうと歩いていると、
「オ待ちナさイ珠美部員」
「マ゛〜。部長ですか〜。」
「こんにちは♪部長さん」
「オやオやこれは梢部員。ひさシぶりですネ。」
「それで、部長。私に何の用です〜。今日はこれから梢ちゃんと一緒に帰るから忙しいで
す〜」
「今日は大事な降霊祭ですネ。手伝ってもらいますヨ。」
「いやです〜このオタク変態マゾヒスト」
「あぅ・・・。もっともっと私を罵って。おっとお待ちなさい。」
「私に刃向かうと?」
「必要であれば。」
またいつもの見えない戦いが始まりました・・・。さて今日の勝敗はどっち?!
「わかりました。手伝うです〜。梢ちゃん。先帰っててくださいです〜」
「わかった・・・。じゃあ先帰ってるね。」
というわけで軍配は部長にあがりました。
134夏のとある1日A:2005/08/18(木) 03:04:59 ID:V0s0QRTX

そんなわけで一人でお買物に行きます。場所はいつもの双葉銀座です。まずはいつもの八百長。
「お〜いらっしゃい梢ちゃん。今日は何買っていくかい?」
「えっと、人参とじゃが芋と玉葱もらえます?」
「あいよ。少しまけておくよ。」
「ありがとうございます♪」
「あ、そうだ梢ちゃん。」
「何ですか?」
「これもって帰りな」
それは某テーマパークの招待券(ペア)でした。
「え、これいんですか?」
「あぁ、俺は行けないから、梢ちゃんのコレと一緒に行ってきな。」
(白鳥さんと・・・。)
その事が頭から離れずに、あっという間に買物を終え鳴滝荘に帰ってきました。
(白鳥さんは私と行ってくれるかな・・・?)
料理をしながらそんな事を考えていると、
「ただいま〜」
「あ、おかえりなさい白鳥さん♪」
「もうみんな揃っちゃってる?」
「はい。みなさん帰ってきてますよ。夕食できるまでちょっと待っててくださいね。」
「わかったよ梢ちゃん。」
そして隆士が部屋に荷物を置きに行こうとしたその時、
「あ、あの・・・。白鳥さん・・・」
「なに・・・かな?」
「食事がおわったら、その・・・、私の部屋に来てもらえますか?お話があります。」
「・・・わかったよ。」
「はい♪」
違和感を覚えつつ隆士は荷物を置きに行きます。
(梢ちゃん、僕に話があるって何だろう?それにあの慌てようはなんだろうか・・・。まさか。いや、それはないよな。いやいやそれは絶対ないよな。)
「な〜に変態な想像してるんですか、白鳥さん?」
「珠美ちゃんいたの・・・。」
「いたとは、またごあいさつですね〜。そんなことよりですね、梢ちゃんに何かしたんですか〜?様子がおかしかったです〜」
「何もしてないよ。僕にもわからないよ」
そう、2人はまだ知らなかった。この夜に起こる事を・・・。
135夏のとある1日B:2005/08/18(木) 03:05:48 ID:V0s0QRTX
夕食を食べおわり、風呂から出てきた。僕は梢ちゃんのいる管理人室へ向かう。
(梢ちゃん、僕に何の用なんだろう?)
と考えつつ、管理人室についてしまった。僕はドアをノックした。
コン、コン・・・・。
「は〜い?」
「僕だよ。梢ちゃん・・・」
梢はドアをあけました。
「どうぞ中に入ってください♪」
「わかったよ。」
そして梢はドアは閉めました。すると近くに、隠れていた2人が出てきました。
「いったい中で何が行われているんだろうね〜お珠さんや?あ〜んなことやこ〜んなことや・・・」
その瞬間恵は珠により気絶させられた。まるで神業だった。言葉では表せない。
「梢ちゃんに限ってそれはないです〜」
「それにしても、どうして梢ちゃんは白鳥君を呼んだのかね〜?」
「私にもわからないです〜」
そんなとき恵はヒラメキました。
「のう〜珠さんや。あれはまだありますか?」
「あれですか〜。すっかり忘れてたです〜」
そう。この管理人室には盗聴器がおいてあった。そのことはとある試験勉強の夜に判明したことである。
「それではさっそく聞いてみますか、珠さんや?」
「「ふっふっふ」」
珠美の持ってきたラジカセから中の会話が聞こえてくる・・・。
「梢ちゃん。話って何?」
「あの・・・。コレなんですけど・・・。」
すると梢は机の引き出しからあるモノをだした。それは買い物の時に貰ったテーマパークの招待券だった。「梢ちゃん。これは?」
「八百長のおじさんに貰ったんです。一緒に行きませんか?」
「それって・・・。」
「その・・・私とデートしてください!!」
突然の誘いに正直、僕はびっくりしていた。それはラジカセごしに聞いていた二人も同じだった。
(だから、梢ちゃんの様子がおかしかったんだ。デートか・・・。最近出かけてなかったしな〜。)
でも、答えるのに迷う必要はなかった。
「・・・うん。一緒に行こう、梢ちゃん。」
そう言うと梢はほほ笑みながら
「あ、ありがとうございます。じゃあ今度の日曜日に行きましょうね♪」
「うん、わかった。じゃあ、おやすみなさい。梢ちゃん」
「おやすみなさい白鳥さん♪」
こうして僕は管理人室をあとにして、自分の部屋2号室にもどった。
(梢ちゃんのデートか・・・。楽しみだな〜)
一方、こちら盗聴組。
「デートに誘うために呼んだのね。でもこりゃおもしろそうやのう〜珠さんや?」
「しっかりあとをつけるです〜」
当然2人がこのことを知る由もない。
136夏のとある1日C:2005/08/18(木) 03:06:39 ID:V0s0QRTX
そしてあっという間に日曜日はきてしまった・・・。洗面所で顔を洗っていると、
「おはよう、白鳥くん」
「あ、おはようございます桃乃さん」
恵が入ってきた。するとこんなことを言ってきた。
「お、デートには身だしなみが大切ですな白鳥三等兵?」
「も、桃乃さんどうしてそれを知っているんですか?」
(この人はどうして知っているんだ?まてよ、この感じ即視感があるな・・・。しかしどうしてわかったんだ?まさか鳴滝荘中に盗聴器が仕掛けられてるとか。いや、いくらなん
でもそれはないな。)
まさかそれが正解だなんて知るわけもない。
「まあいいじゃない。今日は楽しんできなさい。」
「わかりましたけど、絶対についてこないでくださいよ?」
「わかってるわよ〜」
(絶対つけてくるなこれは)
恵が洗面所からいなくなったその直後、
「白鳥さ〜ん。準備はできましたか〜?」
梢が呼んでいる。
「うん。今行くよ〜。」
僕は手短に準備をして、玄関に向かった。そこには梢がすでに待っていた。
(やっぱり梢ちゃんはどんな服を着てもかわいいよなぁ〜。)
そこには見送りのためか、珠美と恵も一緒にいた。
「おはようございます白鳥さん♪」
「おはよう、梢ちゃん。それに珠美ちゃんも・・・。」
「ム〜。私はついでですか〜?」
「そ、そんなことはないよ」
「それじゃあ、留守番は私たちがやるから、今日は楽しんできて!!」
「ありがとうございます。桃乃さんっ」
「それじゃあ、そろそろ行こうか梢ちゃん?」
「はい♪それじゃあよろしくお願いします。」
「任しておくです〜」
「「それじゃあ、いってきます!」」
「行ってらっしゃい」
「です〜」
こうして二人のデートは始まりました。しかしそのわずか3分後の鳴滝荘の玄関では・・・。
「お珠〜。私たちもそろそろ行くとしましょうか?」
「尾行開始です〜」
こうして2人も出発した。この日鳴滝荘にいるのは結局、寝ている小夜子と朝美と灰原だけでした・・・。
137夏のとある1日D:2005/08/18(木) 03:07:17 ID:V0s0QRTX
二人はまず双葉台の駅に向かいます。
「今日の目的地はテーマパークだったよね?」
「はい。え〜とたしか最寄りの駅は富士○○○○○○って書いてありました。」
「富士○○○○○○か〜。ここから結構時間がかかるね。」
双葉台から新宿に出て、臨時快速(そんなのがあるらしい)に乗って・・・こうしてなんと
か最寄り駅富士○○○○○○に到着しました。ちなみに鳴滝荘を出発してから既に146分
ぐらい経過しています。長旅のせいか、二人とも背伸びをしています。
「「う〜ん〜」」
みごとに息がぴったり。二人は向き合って笑っています。その奥のほうでは、
「なんと言うか、あの二人らしいなぁ〜」
「梢ちゃんラブリ〜です〜」
という感じに珠は写真を撮ってます。
「それじゃあ行こうか。梢ちゃん?」
「はい♪」
そういうと2人は手をつないでテーマパークに入って行きました。しかし、そのすぐ近くに意外な人物が・・・。なぜかあの脇役3人組の釘バット・エロール・ホモスキーがい
た。彼らはたまたま暇だったのでこのテーマパークに来ていた。
エ「いいなぁ〜。あのかわいい大家さんとデートか。白鳥のやろううらやましすぎるぜ。」
釘「なんか妬けるなぁ〜。私もはやく出会えないかな〜」
ホ「あんな妹がいたら毎日着せ替えさせたいなぁ〜」
と考え方はみなさんちがいますが、そろそろ出番が終わってしまいます。背後にはあの人がいるからです。ホモスキーは白鳥
に声を掛けようとしたそのとき、
「二人の邪魔をするなら、あなた達を許しませんです〜」
「その声は・・・」
きずいたときは既に遅かった。三人は富士山にむけて投げられてしまいました。場所は7合目ぐらいかと推測されます(by桃乃博士)
それはさておき、
「私たちも中へ入るです〜」
「いざ突入!」
こうして現在にいたっています。
138夏のとある1日E:2005/08/18(木) 03:08:01 ID:V0s0QRTX
中に入った二人は
「まずどこから行く、梢ちゃん?」
「そうですね〜。あの・・・その〜コーヒーカップ乗りたいんですけど、いいですか?」
「大丈夫だよ。そんなに遠慮しなくていいよ」
「はい♪」
まわりから見ればラブラブなふいんきが漂う・・・。
「なんか妬けるなぁ〜私はラビューンしたくても、できないしなぁ」
「梢ちゃんラブリ〜。でも、ちょっと腹が立つです〜。白鳥さんはあいからわず惚けてるし。」
「まあいいじゃない。お珠。あれが白鳥くんでしょう〜?それよりあの2人は何処へ行くの?」
「たしかコーヒーカップに行くって言ってたです〜」
恵はこんなことを思っていた。
(どうしてわかるのだろうか?)
まるで恵の思ったことを察したのか、珠はこう言った
「梢ちゃんの口の動きを見ただけで、言っていることがわかるです〜」
(長年の付き合いだからなのか、神業なのかどっちなんだろうね?)
ちなみに正解は、神業でした。誰のでもわかるらしく今のデート中の会話の内容はすべて把握しているらしい。
「桃さ〜ん。早く行くです〜」
「あ〜わかった」
再び2人を追いかける。その2人は既にコーヒーカップに乗っていたみたいだ。とても楽しそうだ。そうこうしないうちに降りてきた。
「おもしろかったね、梢ちゃん?」
「はい♪」
「次は何に乗りたい?」
「そ〜ですねジェットコースターに乗りたいです」
そうして2人は歩いてゆく。コーヒーカップに乗っていたせいか、ちょっとくらくらしている。
「大丈夫ですかね〜梢ちゃん?」
「やっぱお珠もそう思う?」
梢はショックを受けると性格が変わる”多重人格”なのである。ジェットコースターに乗っている最中に絶叫して人格が変わるのじゃないかと。結果的には当たることとなる。
ジェットコースターから降りてきた2人は・・・、
「梢ちゃん大丈夫?」
「・・・・はい、なんとか。」
なんとか人格は変わらなかったなかった。しかし、休憩するために近くにベンチで休もうと歩き始めたその時、梢ちゃんは足を躓かせてころんでしまった。
「だ・・・大丈夫梢ちゃん?」
白鳥は近くに駆け寄る。ここで本人も気付いたらしく、
(まずいな〜。誰がでてくるんだろう?棗ちゃん辺りがいいんだけど・・・・)
しかし、その予想は結局はずれることになる。
「梢ちゃん、梢ちゃん。しっかり」
梢は目を覚ました。
139夏のとある1日F:2005/08/18(木) 03:08:40 ID:V0s0QRTX
その瞳の色は赤。つまり、赤坂早紀だった・・・・。
「早紀・・・ちゃん?」
「おう!で、次は何に乗りに行くんだ白鳥?」
多重人格の梢は最近、他の人格と記憶を共有ようになった。つまり、早紀は今白鳥とデートしていることがわかるのである。それを見ていた後方は、
「あらあら、早紀ちゃん登場ですか〜?これはおもしろそうだわね?」
「はい〜」
てな感じである。で、当人の2人は
「じゃあお化け屋敷行くぞ〜白鳥」
「僕、あんま怖いのは・・・・。」
「まあいいじゃねか。ほら、早く行くぞ」
と半ば無理矢理手を引っぱられつれて行かれた。
「あいからわず強引だわね〜早紀ちゃん」
「でも、2人とも楽しそうです・・・・・」
ちょっと悲しい珠美なのでした。
「ほら〜お珠。早く行くよ?」
「わかっているです〜」
お化け屋敷に入った2人を追いかける・・・・。中から悲鳴が聞こえてくる。当然、白鳥の。
「う、うわ〜怖いよ!!」
「そ、そんなに怖がんなよ」
ちなみに、現在の状態を説明すると、早紀にしがみついてる白鳥って感じです。白鳥は必死ですが、早紀はちょっと照れてます。後方の2人は、
「白鳥さんなにをしてるですか〜。帰ったらお仕置きです」
「まあまあいんじゃないの?恋人同士なんだから。でも普通は逆だと思うんだけど・・・・・」
なんとか恐怖(?)のお化け屋敷からでてきました。
「ふ〜なんとか終わった・・・・・」
「白鳥〜。大丈夫か?」
「なんとか・・・・・。」
早紀は時計をみた。
「ん〜もう12時か・・・。なぁ白鳥、そろそろ昼飯にするか?」
「うんそうだね」
近くにお店があったのでそこのいすに座った。
「早紀ちゃんは何食べる?」
「ん〜。じゃあお好み焼きな。あと、梅ゼリーも買ってきて」
「わかった。じゃあ買ってくるからちょっと待ってて」
そういうと、白鳥は買いにレジに向かう。
140夏のとある1日G:2005/08/18(木) 03:09:22 ID:V0s0QRTX
するとそこには、前に2人並んでいる。まるで僕が来るのを見計らったかのように・・・。
「桃乃さん〜。やっぱりついて来てたんですね?」
「あ、やっぱわかった?」
「どうしてついてくるんですか?」
「梢ちゃんにもしものことがあったら大変ですから」
そうすると珠美も振り向いた。
「え〜と、白鳥さんは早紀ちゃんとおなじでいいですよね〜?すいません〜、お好み焼きと梅ゼリー2つずつくださいです〜。」
「いいですけどってちょっと待ってください。会話まで聞いてたんですが?」
「まあまあそんなことはいいからさぁ〜」
すると桃乃はレジでお金を支払った
「桃乃さん。自分で払うからいいですよ」
「まあいいもん見せてもらったからそのお礼」
「はい、どうぞです〜」
そうすると、珠美はできあがった料理がのっかったトレイを渡してくれた。
「ほら、ちゃんと梢・・・今は早紀ちゃんか。をちゃんと楽しませなさいよ?」
「帰ったらしっかり話を聞くです〜」
「わ、わかったよ」
僕は早紀ちゃんのもとへ戻る。しかしこんなことを考えていた。
(帰ったら一晩拘束されるな。ま、課題は終わってるし、授業中寝ればいいか・・・)
この考えは当たることとなる。こうして早紀ちゃんのところに戻ってきた。
「遅くなってごめんね、早紀ちゃん」
「ぜ、全然まってないよ」
こうして食事を始めた。早紀と話している白鳥はとても楽しそうだった。デザートの梅ゼリーを食べた2人は、
「「すっぱうまい〜」
とついついハモってしまった。食事を終えた2人は得意のゲーセンで楽しい時を過ごした。
141夏のとある1日H:2005/08/18(木) 03:10:01 ID:V0s0QRTX
現在の時間は16時30分。
「そろそろ帰ろうか早紀ちゃん?」
「・・・・・・・。」
実はこの時、早紀のおでこには蝶々が止まっていた・・・。その場に倒れ込んでしまった。
「だ、大丈夫早紀ちゃん・・・・?」
しばらくすると早紀の瞳が開かれた。その色は・・・・・・蒼。つまり鳴滝荘大家蒼葉梢だった。
(梢ちゃんか〜。よかった・・・・。)
と考えていると梢が、
「あ、あの〜白鳥さん。最後に1か所行きたい所があるんですけど、いいですが?」
「うん、いいよ」
2人の向かった場所、そこは・・・・観覧車だった。さっそく乗り込む・・・。後方2人は
「急いで後をおうです〜」
「待って。2人のことだから何もないわよ。降りてくるのを待ちましょうお珠?」
「桃さんがそこまで言うなら梢ちゃんを信じるです〜」
そのころ観覧車の中では、
「白鳥さん。今日はデートに付き合ってくれて有り難うございました。」
「いいんだよ梢ちゃん。また一緒に行こうね」
「白鳥さん・・・・・・」
と、ここで突然ハプニングが起こる。配電線が切れたため観覧車が止まってしまった。ちなみに2人の乗ったゴンドラはちょうど下に降り始めた付近だった。
「どうしたんでしょうかね?」
「いきなり止まっちゃったよね・・・。」
とまってから10分経過。依然動く気配なし。
142夏のとある1日I:2005/08/18(木) 03:10:45 ID:V0s0QRTX
はだんだん不安になってきたせいか、こんなことを言った
「まさか、このまま動かないなんてことないですよね・・・?」
あわてて白鳥が言う
「そ、そんなことはないよ。絶対動くから大丈夫だって・・・。」
白鳥は梢の顔を見た。泣いていた。
「し、しらとりさん・・・・・」
泣きながら梢は白鳥に抱きついた。
「わ、わたし恐いんです・・・」
そんな梢をしっかり抱き締めて、白鳥はこう言う。
「それなら、動くまでずっとこのままでいいよ」
2人の時間は過ぎてゆく。一方、下のほうは
「どうしてこうゆうときに限って止まるです〜?」
「まあしかたないじゃない。それにあの2人なら大丈夫だわよ」
「・・・そうですね。」
観覧車が停止してから30分が経過した。すると、アナウンスが流れた。
「お客様にはご迷惑をおかけしました。まもなく動きますので、しばらくお待ちください。」
すると、観覧車は動きだした。抱きついていた2人は安心して、離れた。
「やっと動き始めましたね白鳥さん♪」
そのまんべんの笑みに僕はほっとした。
「そうだね。梢ちゃん。」
「さっきの白鳥さんその・・・ちょっとかっこよかったですよ」
「いや、そんなことないよ」
(な、何だか照れちゃうな)
しっかり顔に書いてある。
「そういう白鳥さんだから、好きになったんですよ」
「梢ちゃん・・・」
143夏のとある1日J:2005/08/18(木) 03:11:49 ID:V0s0QRTX
「白鳥さん。その・・・ちょっと目をつぶってもらえますか?」
「うん・・・わかった。」
そういうと白鳥は目をつぶった。梢はさっき怯えていた私を守ってくれたお礼がしたかったらしい。そのお礼は・・・キスだった。すると梢は自分の唇を白鳥の唇につけた。突然の出来事に初な青年白鳥はびっくりしていた。
(えっ、え〜。キ、キ、キス!?)
それは長いようで、短い時間だった。当然、下の2人は知る由もない。梢は唇を離すと、
「目を開けてもいいですよ。隆士さん♪」
白鳥は目を開けると
「あ、ありがとう梢ちゃん。って隆士さん!?」
「名前で呼んじゃだめですか?」
「も、もちろんいいよ。梢ちゃん。」
「はい。隆士さん♪」
僕達は観覧車を降りると、
「それじゃあ帰ろうか。鳴滝荘に」
「はい♪隆士さん」
お互いに手をとり、僕達はテーマパークを後にし、帰路を急ぐ。後方ではびっくりしている様子である。
「「隆士さん!?」」
「ま、一歩前進ってところかにゃ〜?あの中で何かあったんだろうよ」
「そのようです〜。帰ったらしっかり問い詰めるです」
「じゃあ私達も帰りますか?」
「そうですね。急いで帰るです〜」
こうしてこっちの2人もテーマパークを後にした。車(無論、レンタカー)を飛ばして飛ばして速度違反ぎりぎりで高速をゆく。目指すは、鳴滝荘の最寄りの高速の出口、双葉台ICである。
一方、こちらお疲れの隆士と梢。電車の中で二人は寄り添うように寝ていた。寝ていたせいか、あっという間に双葉台に到着した。歩いていけばもう鳴滝荘に着く。現在の時刻21:30。
「今日は楽しかったね。」
「そうですね。また、どこかに一緒に行きたいですね」
「そうだね。」
こうして二人は鳴滝荘に帰ってきた。
「「ただいま〜!」」
「「おかえり〜!」」
みんなが出迎えてくれた。隆士は部屋に戻ると今日のことを思い出す。
(今日のデートは楽しかったな〜。早紀ちゃんとか出てきたのは予想外だったし、その・・・梢ちゃんがキスしてきたのは予想外だったなぁ。「隆士さん」って呼んでくれたのは
うれしかった。こうしてまた一つ思い出が増えてゆくのかな。)
僕には大切な人がいる。その大切な人と生涯を一緒に歩みたい。この鳴滝荘で。

〜完〜
144夏のとある1日〜その夜〜:2005/08/18(木) 03:13:55 ID:V0s0QRTX
その晩のお話。隆士の部屋に恵と珠美が押し掛けてきた。
「今日のデートはどうだったのよ?」
「しっかり話してもらうです〜」
(勘弁してくれ・・・)
その思いも虚しく、結局一晩中問い詰められた。翌朝、その場所宴会場の惨劇と化していた。
(課題終わっててよかった〜。これで授業中寝ればなんとかなる。)
しかし、隆士は知らないがあの脇役組が二人のデートを目撃しているため、結局問い詰められるハメになるのだ。なんと言うか、お疲様。白鳥隆士君・・・。
一方、こちらは管理人室。蒼葉梢もまた今日のデートを思い出していた。
(今日は楽しかったなぁ〜)
観覧車がとまってしまった時、不安になった私を抱いて落ち着かせてくれたのである。そして、キスしたことを考えていたのである。
(・・・隆士さん。また一緒にどこか行きたいですね♪今度は隆士さんが誘そってくださいね・・・。)

それぞれの夜は更けていく・・・。
145名無しさん@ピンキー:2005/08/18(木) 03:21:19 ID:Je5+Kubp
乙&GJ
ただ、ちょっと読みにくいから

>「必要であれば。」
>またいつもの見えない戦いが始まりました・・・。さて今日の勝敗はどっち?!
>「わかりました。手伝うです〜。梢ちゃん。先帰っててくださいです〜」

こういった少しでも時間が変わる場面は改行を入れた方が(・∀・)イイ! かと
と、1回もSSを書いたこと無い人間が言ってみる
146名無しさん@ピンキー:2005/08/18(木) 04:06:30 ID:RGV7aiop
ストーリーの礎や、その進行は問題無いと思います。現に面白かったです。

>>145さんも言っておられますが、ストーリーが良くても、誤字脱字が少々目立ちます。例えば、
×きずく ○きづく
×ふいんき ○ふんいき

などです。
その辺りを気を付ければ、もっと読みやすくなると思います。
147名無しさん@ピンキー:2005/08/18(木) 07:25:51 ID:qGtc0Lf8
観覧車が途中で止まる・・・(・∀・)イイ!! シチュエーションですね。
しかもキスキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
148鳴~ ◆fZOubfDxuE :2005/08/18(木) 07:58:40 ID:9TYjF7NE
初投稿乙です〜。GJw
むちゃくちゃ細かいですが、
途中で部長の発言がカタカナになっていないとろがあります。(どーでもいい
149名無しさん@ピンキー:2005/08/18(木) 08:42:23 ID:JsskruVC
>>131
一応カデンツァパッチは出てるんだけどな
スレ違いスマソ
150名無しさん@ピンキー:2005/08/18(木) 10:46:28 ID:WRoKtU2z
PCが狂ったせいで、またリアルタイム遭遇逃した俺 orz

>>Mr.ぐうたら
ネコミミキタ━━━( ゚∀゚)・∀・)'A`)-_-)━━━!!!!
是非、ひぐらし絵路派路スレにも来てくださいw

>>魔術師
富士急キタ━━━( -_-)'A`)・∀・)゚∀゚)━━━!!!!
お約束の観覧車ネタムッハー(;゚∀゚)=3
151イレイザ− ◆.x0jKy2nk2 :2005/08/18(木) 11:37:32 ID:0S4bC0WU
こんにちわ。
こちらも課題(もち論文)に追われているイレイザ−です。
課題に追われているといいながらも、これから投下を始めます。
「カコ」・「カコのミライ」の続きで、名前は「ミライ」(また安直)としときます。
前述の2話に比べると、内容薄いかも…。
珠実と梢に、何があったか。
そして、なぜ。
珠実は、梢に自分が強大…もとい。兄弟だと言わないのか。
…誇大表現です。悪しからず。
そして、
>>92さん。
一応、物語の進行でそうなっちゃいました…。
「安直〜!!少しは考えろ〜!」とか言わないでくださいね…。
それでは、投下!(お決まりのフレーズになってきた
152イレイザ− ◆.x0jKy2nk2 :2005/08/18(木) 11:39:04 ID:0S4bC0WU
「梢ちゃーん」
管理人室のドアをノックしながら彼女の名前を呼んだ。
…二人の名前を。
「入るよ」
そう言って、ドアを開け…
なんか変な表情をした梢ちゃんがいた。
虚ろな目をして、口をだらんと開けている。
僕が入ってきたのにも気づかないようだ。
「…梢ちゃん…?」
「ふぇ!?」
声をかけると、いささか大仰ともいえる反応で梢ちゃんはこちらを向いた。
『蒼葉梢』のほうか、それとも『茶ノ畑梢』のほうかは分からない。
…そういえば、ここに入居した次の日の朝もこんな感じだったな。
「しししししし白鳥さん〜、びっくりさせないでくださいよぉ…
っていうか、ノックくらいしてください!」
『蒼葉』のほうか。
まあ、それのほうが話しやすいな。
「ノックしたよ。反応がなかったから入ったけど
…ねぇ、いま、何してたの?すごい顔だったけど…」
かなりあぶない表情でした。
「今のですか?『意思疎通』ですよ。
目をつぶるだけでもいいんですけど、今回はいろいろと聞きたいことがあったので…」
『茶ノ畑梢』のことか。
「…私が知っていることだけでも、お話しましょうか?」
「…え?」
気がついたときには、梢ちゃんの瞳は深い黒色になっていた。
「…はい。お願いします」
なんだか、あの瞳に見つめられると、敬語を使わないといけないような気分になる。
「…それじゃあ、どこから話しましょうか…」
「私も手伝うです〜」
部屋の外から声が聞こえ、珠実ちゃんが部屋に入ってきた。
「私もいたほうが、より詳しくなるでしょう〜?
私も知りたいことがありますし〜」
「…うん。お願いするよ」
153イレイザ− ◆.x0jKy2nk2 :2005/08/18(木) 11:42:35 ID:0S4bC0WU
「ふぁ、ぁ〜ぁ」
大きな欠伸をしながら、私はベッドから降りた。
『1号室 梢の部屋』と書かれたプレートのかかったドアを開け、中庭に出た。
「わー、いい朝。
なんかいいことありそうだなー…あ、おはよう。珠実」
『2号室 珠実の部屋』と書かれたプレートのかかったドアが開き、
まだパジャマ姿の珠実が出てきた。
「あー…おはよう、姉さん…早起きだねー…」
「そうでもないよ。今5時半だもん」
「…十分早起きだよ」
そうかなあ。
私の中での『早起き』は4時ごろだけど。
「ご飯よ〜」
キッチンのほうから、母さんの呼ぶ声がした。
「は〜い」
「今行く〜」
私と珠実はそれぞれ返事をして、台所に入った。

お父さんと、お母さんと、私と珠実。
いつもの顔ぶれで、鳴滝荘の朝は始まった。
「いただきま〜す」
「はい、めしあがれ」
今日のメニューは、ご飯とお味噌汁、鮭の塩焼きにたくわん。
日本の朝食だね〜。
おいしく食べて、朝食は終わった。

「…その時には、もうひいおじいさんは亡くなってたの?」
「ええ。度々魚子ちゃんもでてきてましたよ」
154イレイザ− ◆.x0jKy2nk2 :2005/08/18(木) 11:44:03 ID:0S4bC0WU
「いってきま〜す!!」
私と珠実の声が響き、
「いってらっしゃい。
先生に迷惑かけちゃダメよ〜」
というお母さんの声。


キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン。
授業終了のチャイムが鳴り、皆が教科書やノートを片付けだした。
「じゃ、今日の授業はここまで。
じゃ、また明日。
宿題ちゃんとやっといてね〜」
算数の先生がそういって、教室から出て行った。
そして、先生が入ってきた。
帰りの会の始まり始まり〜。
といっても、いつも5分くらいで終わるんだけどね。
「えー、皆、帰るときに注意してほしいことがあるんだけど、
最近このあたりに変な人が出るそうです。
そんな人には絶対に近寄らないで。
捕まったら大声を出して、大人の人に助けてもらいましょう。
いいですね?」
はーいと皆が同意した。
「それでは、さようなら」
「さようなら」
わいわいがやがやと教室の中が騒がしくなった。
その中で珠実が私のほうへ来た。
「姉さん、帰ろー」
「うん」
そして、私と珠実はいつもの帰り道を辿っていった。
「…あ」
「どうしたの?姉さん」
「…算数の宿題忘れてきた…」
「ええ!?」
今から戻れば間に合う!
「珠実、お母さんとお父さんに言っといて!」
「え、ちょっと、姉さん!?」
私は珠実の言葉を聞かず、学校へ駆け出した。

「…結構…」
「そうです。姉さん忘れんぼだったですよ〜」
「ちょ…珠実!どうでもいいでしょ!」
梢ちゃんの顔は真っ赤になっていた。
155イレイザ− ◆.x0jKy2nk2 :2005/08/18(木) 11:44:34 ID:0S4bC0WU
「…ぎりぎりセーフ。
もう少しで閉められるとこだったよ…」
教室から算数の宿題をとってきて、私はそうひとりごちた。
校長先生が門閉めてたし…。
さて、早く帰って宿題終わらせよっと。
そう思った、その時。
私の体が、ふいっと宙に浮いた。
「…ふぇ?」
そのまま狭い路地へ入っていった。
…まさか超能力を習得したわけでもなし…。
どういうこと?
そう思ったとき、私は地面に転がされた。



「…姉さん、遅いなぁ…」
鳴滝荘に戻り、一人クッキーをかじりながら。
私はそう言った。
学校から宿題とって帰ってくるのなんて、すぐ済むはずなのに。
いつもの父さんと母さんなら捜索願いを出しそうなくらい
長い時間帰ってきていないが、あいにく口喧嘩中。
「心配だなぁ…」
大きなかけらを歯で砕いて飲み込みながら言った。
…よし。
探しに行こう。
そう決心し、立ち上がり、玄関の方へ向かった。

玄関に座り込んで、靴をはいて…
そこまでして、玄関の戸が開いた。
姉さんが帰ってきた。
…しかし、一瞬だけ見ても様子がおかしい。
制服はぼろぼろになり、目は焦点が合っていない感じだ。
「…姉さん?」
そう問いかけても反応はなかった。
それどころか、私を無視して靴を脱ぎ、部屋へ入っていった。
「…姉さん…?」

それから、姉さんは部屋から出てこなくなった。
どうやっているのかは分からないけど、鍵のついていないドアは開かず、
声をかけても何の反応もない。
そんな日々が、何日も続いた。
父さんに、『あんなやつは家族じゃない。姉さんじゃなくて梢と呼べ』と言われたりした。
…そして。
156イレイザ− ◆.x0jKy2nk2 :2005/08/18(木) 11:45:19 ID:0S4bC0WU
「…眠れない」
私はそう言って、ベッドから降りた。
姉…梢姉さんがああなってからほとんど毎日のことだ。
そして、いつものように部屋の外に出て…
そこに、梢ちゃんがいた。
「あ…?」
その言葉に反応して、梢ちゃんがこちらを向いた。
「梢姉さん…?」
彼女より先に、私のほうが言っていた。
『姉さん』の部分がかなり小さく聞こえた。
そして、梢姉さんは振り向き…
私の目が、梢姉さんの瞳を捉え…
梢姉さんの、深い黒の瞳はなかった。
あったのは、暖かな、青みがかった緑。
「…梢?
そうか…それが私の名前なんだ」
一瞬、梢姉さんがおかしくなったかと思った。
…でも、私は話を合わせることにした。
口調まで変えて、梢姉さんの話に。
「…そうですよ〜。
梢ちゃん、その年で記憶喪失ですか〜?」
「ちょ…ちょっと珠実ちゃん…変なこと言わないでよ!」
…梢姉さんが別の人になっていることは、最早一目瞭然だった…。




「そっか…」
…珠実ちゃんと、梢さん―結局梢「さん」になった―の過去の話。
それは、とても出来事が多くて。
僕には、荷が重過ぎる話だった。
…でも。
「…梢さん」
僕は意を決して言葉を発した。
「…はい」
「………なんて言うか、いろんなことがあったんだね」
「…はい」
梢さんは、さっきと同じ返事を返した。
「…これからも、いろんなことがあると思うけど」
「…?」
「…ずっと、一緒にいてくれる?」
「……え…?」
梢さんは、呆けた表情で固まった。
「…えっと…それって…あの…」
珠実ちゃんが口をぽかんと開けている。
ということは、今の言葉の意味が分かったということだろう。
梢さんの言葉が続いた。
「………プロポーズ、ですか…?」
梢さんのその言葉に、僕はゆっくりと頷いた。
157イレイザ− ◆.x0jKy2nk2 :2005/08/18(木) 11:47:02 ID:0S4bC0WU
「ふぁ〜、温かいですね〜、隆士さん〜」
「うん…そうだね〜…」
僕が梢にプロポーズして何年もたったある日。
二人で縁側に座りながら、そんなことを呟いていた。
その時。
「何してるですかお二人さん〜?」
『み゙ゃっ!?』
後ろからかかった義妹、珠実ちゃんの声に僕たちは飛び上がった。
…っていうか、珠実ちゃん大学行くからここを出るって言ってたような…
まあ、今やここの住人は僕と梢と灰原さんしかいないけど。
「たたたたたたた珠実!?なななんでこあいた舌噛んだ!」
梢が思い切り不意を突かれた声(すごい裏声)で言った。
「なんでも何も〜、ここは私の家ですよ〜?
たとえ、一時出て行くことになったとしても〜」
…まあ、そうだよね。
鳴滝荘の住人は、前に桃乃さんが言ってたように、
『ここが好きだから』
入ってきたんだ。
…まあ、僕は親の推薦だけど。
皆は、いつだって戻ってくる。
この、鳴滝荘に。
皆の、過去が詰まった、思い出の場所。
皆の、『まほらば』に。
158イレイザ− ◆.x0jKy2nk2 :2005/08/18(木) 11:48:36 ID:0S4bC0WU
―――あとがき天国…あれ、地獄だっけ?どっちでもいいや―――
…。
書いてて虚しくなりました。
ヤバイ。
未熟…。
逃げろー(汗
159名無しさん@ピンキー:2005/08/18(木) 11:54:33 ID:/LRH2zrf
>>158
いやもうGJ!
すげー面白かったです。
160イレイザ− ◆.x0jKy2nk2 :2005/08/18(木) 12:11:50 ID:0S4bC0WU
…ところで、この話をすると、ちょっとした矛盾が生まれます。
いくつかあるかもしれませんが、私にはひとつしか見つけることができませんでした。

矛盾1:第1話で梢は隆士にあったことがあると言っていたが、その時には『茶ノ畑梢』であって、
記憶が残っていないのでは?

答え1:ひいおじいさんが亡くなった直後に隆士と出会い、慰めてもらった(本人にはその気なし)ので、
『蒼葉梢』本人にも隆士の記憶が残っている。

とかいう適当な答えをつけますので、矛盾が見つかった方はレスください〜。
161名無しさん@ピンキー:2005/08/18(木) 12:44:35 ID:LoBDQVvW
>>160
人格ごとの別々の記憶の中にも共通認識はあるわけだし
白鳥クンとの初めての出会いが蒼葉梢と茶ノ畑梢の共通認識であるとすれば現行の設定でいけると思いますよ。
まあなにはともあれGJ!
矛盾とかあんまり気にせずがんがってください。
漏れも今話を書いてますが偉大な職人さんたちの前座にするのも恥ずかしいものなので晒すのは控えときます
162名無しさん@ピンキー:2005/08/18(木) 14:50:02 ID:ZXUi5RNV
>>消しゴム氏
とりあえず中身はGJ!
プロポーズ…いいなあ。

では、矛盾をば。
1.総一郎さんの名字は蒼葉では?
→原作では明らかではない。アニメは…確か位牌に記述あり。
2.原作の珠実の出自は?
→無視。梢の脳内補完で。
3.この時、少なくとも灰原・黒崎親子が住んでいるはずだが、事実を知っていたのでは…?
→どうなの?消しゴムさん。
4.中学では「算数」ではなく「数学」(作中の矛盾?)

気になったのはこんなところか?まあ、気にせず新作がんがってください。

>>161
とりあえず投下汁
163お腹いっぱい ◆WIjMDgErms :2005/08/18(木) 14:55:05 ID:ftBflyrF
>>魔術師氏
面白かったです。
ただ、語り口調は統一したほうが良いと思います。急に白鳥くん視点に変わるのも読み辛いかもしれません。

>>イレイザー氏
矛盾は気にせず、あくまで“IF”ということにすればよいのでは?
タイトルは名前欄に入れておけばわかりやすいかもしれません。
なにはともあれ乙GJです。

7号室の住人ですが、急に思いついた幕間の短篇を書いているため投下は遅れそうです。
期待しないで待っていてください。
164イレイザ− ◆.x0jKy2nk2 :2005/08/18(木) 15:32:19 ID:Ur9WYkSa
ちょっと事情ができて別PCで。

>>162
早速の矛盾報告ありがとうございます〜。
答えられる範囲で答えたいと思います。

矛盾2:総一郎さんの名字は蒼葉では?
→原作では明らかではない。アニメは…確か遺牌に記述あり。
とのことですが、 私の脳内では(爆)、元々の総一郎の名字は蒼葉であるが、両親が亡くなってから珠実が母方の姓、「茶ノ畑」を名乗りだした。
ということになっております。

3:原作の珠実の出自は?
ということですが…………(逃亡)  (珠実捕獲)すいません。完っ全に忘れてました…。
4:この時、少なくとも灰原・黒崎親子が住んでいるはずだが、事実を知っていたのでは…?
ここでは、早紀・千百合・棗が出てきたのは「小学生のころ」としております。確か「中学生」という表記はしていなかったような…
!!まさかマンガに!?
…探してきます(涙)
5:中学では「算数」ではなく「数学」
同上。


>>お腹いっぱいさん
ありがとうございます〜。
タイトル欄ですか〜。
はっ!!皆やってる!!!!!!
……旅に出ます
165名無しさん@ピンキー:2005/08/18(木) 16:26:29 ID:Wf4F1lB8
あんまり設定変えすぎると、まほらばキャラの名前と性格を借りただけの
別物作品になっちゃうから気をつけろ。
166161:2005/08/18(木) 16:28:54 ID:LoBDQVvW
>>162
サワリのところしか出来てませんが少し投下ですね。いずれ正式版で投下しますが
2行下からどうぞ。


梢たち鳴滝荘の一行を乗せた特急電車は終着駅に着いた。駅の喧騒の中、途切れ途切れに放送が聞こえる。
「〜〜終点です。ご乗車有難うございました。2番乗場の佐伯行普通列車は2両編成です。ホームの中程でお待ちください。」という自動放送。
「え〜今度の臨時快速電車マリンカルチャー号重岡行は5番乗場から12時28分の発車で6両編成です。
停車駅は鶴崎、幸崎、臼杵、津久見、日代、浅海井、佐伯、佐伯から重岡までは各駅に停まります。」という肉声放送。
関東では見られない、ある大物女優による新幹線のPRポスター、全てが鳴滝荘の住人達には新鮮だ。
167162:2005/08/18(木) 17:03:30 ID:ZXUi5RNV
>>164
いや、最初の「カコ」で、珠実が

「梢ちゃんは中学生のときレイプされた」

云々な事が書いてあったような…って事です。記憶違いならスマソ。
168162:2005/08/18(木) 17:06:13 ID:ZXUi5RNV
>>164
いや、最初の「カコ」で、珠実が

「梢ちゃんは中学生のときレイプされた」

云々な事が書いてあったような…って事です。記憶違いならスマソ

>>166
何故佐伯?という疑問は置いといて、早く続ききぼん。
169162:2005/08/18(木) 17:08:09 ID:ZXUi5RNV
連投orz
折檻されてきまつ…

携帯は慣れないな…
170161:2005/08/18(木) 17:12:38 ID:LoBDQVvW
「白鳥さん、こういう様子を見てると、何だか本当に旅行に来たんだなって感じがしますね。」
「そうだね。(本当に新婚旅行みたいだな・・・)」
「何、変なこと考えてるんですか〜白鳥さ〜ん。梢ちゃんと結ばれるには、まだ早いですよ〜」
「やるならアタシというかアイツのオゴりの旅行じゃなくて、自腹で行った旅行で行ってよね。それがオ・ト・コってもんでしょ。」
 確かにこの旅行の費用は紫羽が、あるラジオ局主催の「バリューエイブル映画祭」で得た佳作賞の賞品のヨーロッパ旅行券を
何故か「賞品の割りに大した大会でもないし、もっと立派になってから新婚旅行を兼ねて行こう。だからやる。それまで、お前のために頑張る」と桃乃に渡したのを換金したのが主である。
171161:2005/08/18(木) 17:16:45 ID:LoBDQVvW
>>168-169
すみません。こちらこそ銀先生に折檻されてきます。
今現在170までしかできてなくて申し訳ないです。
172161:2005/08/18(木) 19:08:52 ID:LoBDQVvW
誤字脱字その他です。まあ正式版じゃないからいいんだけど
>>166
マリンカルチャーの停車駅に浅海井と佐伯の間に狩生を加えてください。

>>170
桃さんの言葉の訂正です。
× 自腹で行ったとき行ってよ。
○ 自腹で行ったときヤってよ。
桃さんがいうと何か卑猥な響きです〜

あと特急の終着駅から、これから東西南北のどこへ行くべきかリクエストもらえませんかね。その際具体的な地名とかあるとあると有り難いです。
173名無しさん@ピンキー:2005/08/18(木) 21:30:02 ID:MPmCMDol
>>172
特急の終着駅を大分だと仮定して、
豊肥本線で宮地から熊本まであそBOYに乗車、とかどうでしょう?
接続が悪すぎるのがネックですが…
174名無しさん@ピンキー:2005/08/19(金) 00:11:21 ID:VbCi/x3E
>>172
同じく大分と仮定して、
久大本線で由布院方面へ行くというのはどうでしょうか?

あー、そういえば自分もSSの続き書かないとなあ・・・orz
175名無しさん@ピンキー:2005/08/19(金) 00:39:58 ID:6p77fZy7
>>174
どんなお話?
176ぐうたら ◆7b9DL4hJvA :2005/08/19(金) 01:11:29 ID:dG8mK6HX
金があったので衝動買いした濱中○イを読みふけって元凶編を書く暇が無くなった俺が来ましたよ。
>>158
全体的にはGJ。でも地の文がちとくだけすぎ?
>>152
>なんか変な表情をした梢ちゃんがいた。
シリアスなシーンなのに思わず噴いた俺バルログ。

>>167
よーく読めば詳しい描写こそ無いものの…

おやすみなさいー
177名無しさん@ピンキー:2005/08/19(金) 02:29:52 ID:fofpWOHH
今日は静かだな。また嵐の前触れか。
178名無しさん@ピンキー:2005/08/19(金) 10:43:18 ID:3MegKWrb
>>172-174
何だこいつら
179イレイザ− ◆.x0jKy2nk2 :2005/08/19(金) 11:10:20 ID:IREBrrV7
>>167-169
すいません…。
投下するときにコピペするのを忘れてた部分がありました。
ここを。
>>155が終わったときの白鳥君の反応です。

「…え?珠実ちゃん、前に…」
「中1って言った事ですか?あれ、嘘ですよ。
小学生のころって言ったら、私も…白鳥さんも…壊れてしまいそうだったから」
…確かに、僕は梢ちゃんがそういうことになったことに耐えられそうになかった。
ただでさえつらかったのに、まだ自我のはっきりしていない小学生…

…の5行です。
も少し確認をせにゃいかんな〜。
つぎからはこういうことがないようにしたいと思います。
180名無しさん@ピンキー:2005/08/19(金) 12:31:18 ID:/tLbEMgP
鬼畜レイープもの投下したらやっぱり引くかにゃ?
181名無しさん@ピンキー:2005/08/19(金) 12:47:50 ID:aPaJrnpm
投下禁止と言うこともないよ。
見て貰いたいなら投下してみよう。


でも顰蹙買うのは考慮してね。
182名無しさん@ピンキー:2005/08/19(金) 17:11:28 ID:/tLbEMgP
じゃあレイープものは後回しにしてほのぼの系を先に・・・と思って
お楽しみ畑に“それ”が生えたという話を書き出したわけだが・・・
あれ、なんだかどっかで見たような?? どこかにそんなSS
ありましたっけ?
183名無しさん@ピンキー:2005/08/19(金) 19:08:48 ID:8hcEUpx9
このスレにはエロが足らん
184名無しさん@ピンキー:2005/08/19(金) 19:20:43 ID:aPaJrnpm
それだけ、エロ需要は低いってこったね。
いや、低くはないけど望むシチュが純愛路線傾向にある感じ。

愛がなきゃ嫌、と言う人はかなり多い。
185名無しさん@ピンキー:2005/08/19(金) 19:40:21 ID:75CHixdm
SS投下してみたいけどさ
うまくかけませぬ








orz
186名無しさん@ピンキー:2005/08/19(金) 19:41:10 ID:75CHixdm
連投+sage忘れスマソ
187名無しさん@ピンキー:2005/08/19(金) 21:36:48 ID:6p77fZy7
>>185
とりあえず投下してみそ?
188名無しさん@ピンキー:2005/08/20(土) 00:05:26 ID:sct3ZWmQ
>>185
いくら時間がかかってもいい!
納得いくまで書き続けるんだ!
189名無しさん@ピンキー:2005/08/20(土) 00:29:47 ID:HXW1d8dq
どうも魔術師です。やっぱり書くのは難しい〜です。
次回は指摘された点に気をつけて書きたいと思います。
今年は受験で忙しいです〜
190名無しさん@ピンキー:2005/08/20(土) 00:38:19 ID:SMlMbz1k
だからねぇ、一応21禁だから、あんまり受験とか言うなって・・・
191名無しさん@ピンキー:2005/08/20(土) 01:00:09 ID:mDHO8Lwm
そこら辺のことを分かってない奴が多い気がする・・・
192名無しさん@ピンキー:2005/08/20(土) 01:27:39 ID:gw7iUMjo
精神年齢16才デスが何か?
193名無しさん@ピンキー:2005/08/20(土) 01:40:13 ID:OMDST0On
何かじゃねぇよ
194名無しさん@ピンキー:2005/08/20(土) 01:45:18 ID:tty+GBSO
何となく職人の層も変わりつつあると思う今日この頃。
195名無しさん@ピンキー:2005/08/20(土) 02:05:14 ID:9ZZGfbpU
196名無しさん@ピンキー:2005/08/20(土) 04:33:53 ID:M3+9rPoq
ここは未成年の多いエロパロスレですね
197名無しさん@ピンキー:2005/08/20(土) 08:07:16 ID:YOwzz/Qg
つーか、厨房以外でガンガンwing見てる奴いるの?
198名無しさん@ピンキー:2005/08/20(土) 08:12:07 ID:e0khelIO
>>197
いるよ ノシ
199名無しさん@ピンキー:2005/08/20(土) 09:18:58 ID:Gy8/0KoZ
>>197
( 'A`)ノシ
俺は課題をやりながらマターリと見てる
そのせいで課題がはかどらない orz
200ぐうたら ◆7b9DL4hJvA :2005/08/20(土) 11:58:18 ID:VYqxTyfV
まほログの作品(ジャンル別)を見る限りじゃ合計100本突破?
そのうち俺が書いたのって何本ぐらいかな?
元凶編佳境ー
201名無しさん@ピンキー:2005/08/20(土) 12:24:02 ID:tty+GBSO
まほログは18禁作品は載せてないから実質100本はとっくにオーバーしてますよ、と。
202テイル ◆5zZRlb1law :2005/08/20(土) 12:43:17 ID:EBQO7Vx1
まほログの更新ばかりで執筆できてませんorz

>>201
まほログに関して…

まほログは初期の作品の一部が未掲載だったりします。
初期作品の多くは18禁なので、それで数が少なめなのかと…
要望があれば追加していきたいと思います。

そして、現在の主な未更新リスト。
・みずいろ
・ずっとずっと〜IF〜
・One Day+One
・灰色の眼(これは俺の都合)

…ゴメンナサイゴメンナサイorz
作者の皆様に色々迷惑掛けてます…
リンクにある部長語スクリプトでもいじってて下さい…
203名無しさん@ピンキー:2005/08/20(土) 16:45:29 ID:vdo0tKtO
じゃあ18禁書いていい?
204名無しさん@ピンキー:2005/08/20(土) 16:47:35 ID:tty+GBSO
書いていいけど下げようね。
205名無しさん@ピンキー:2005/08/20(土) 16:51:59 ID:LSvmuXkD
司法試験とかの可能性を考慮してみる。
206名無しさん@ピンキー:2005/08/20(土) 17:29:53 ID:5XOaorfp
よくワイドショーとかに出てる
「80を過ぎて人生を達観した今こそ勉学に励みたいと思い、高校受験」の
人なんだと考えれば自然じゃないか
207ココナッツムーン ◆YP5KAYH.gg :2005/08/20(土) 19:34:56 ID:Mlol08ej
161ですが正式版の頭ができました。
鳴滝荘ご一行様の九州旅行まずは汽車にのるまでです。
リクエストして下さった皆さんの要望も天岩戸巡りのあとでお応えしますのでご安心を。
208東南九州旅行編:2005/08/20(土) 19:36:42 ID:Mlol08ej
梢達、鳴滝荘の一行を乗せた特急電車は終着駅に着いた。駅の喧騒のなかに途切れ途切れに放送が聞こえる。
「〜〜終点です。ご乗車お疲れさまでした。二番乗場の佐伯行普通電車は2両編成です。」という自動放送。
「え〜今度の5番乗場の臨時快速電車マリンカルチャー号の重岡行は6両編成です。
停車駅は鶴崎、幸崎、臼杵、津久見、日代、浅海井、狩生、佐伯、佐伯から先、重岡まで各駅に停まります。」という訛った肉声放送。
他にも、関東では滅多に見られない、ある大物女優による新幹線のPRポスターなど、全てが鳴滝荘の住人には新鮮だ。
「白鳥さん、駅の様子を見てると、しみじみと旅行に来たんだなあって実感が湧きますね。」
「そうだね。(何だか新婚旅行にきたみたいだな・・・)」
「何、変なこと考えてるですか〜白鳥さん〜」
「そうよ。そういうのは白鳥くんが自腹切っていきなさい。おねえさんのオゴりで行こうなんて虫が良すぎない?」
 さて、この旅行の費用はどこから出ているか?それは、地方のある三セクラジオ局が主催する「バリューエイブル映画祭」という賞品だけは豪華な大会で
紫羽が得た佳作賞の200万円相当の欧州旅行券である。だが紫羽は
「大したことの無い大会で満足したくない」
と旅行には参加していない。
209東南九州旅行編:2005/08/20(土) 19:38:15 ID:Mlol08ej
鳴滝荘の一行は駅の案内板を見て3番乗場へ向かった。しばらくすると派手なステンレスの特急電車が入線する。
「え〜車内販売乗ってないの〜。白鳥クン、急いでビール買ってきてよ。」
「も、桃乃さん無茶言わないでくださいよ。電車の中ぐらい我慢しましょうよ。」
構内に、また訛った肉声放送が響く。
「3番のりばから〜特急にちりん11号宮崎空港ゆき〜まもなく〜発車しま〜す。」
「いっ急いでくださいよ、桃乃さん。」と白鳥は語気を強める。
「もういい、アタシが買ってくる。」桃乃がキオスクへ全力疾走でビールを買おうと向かったとき
―ピィーッピッ―
車掌がホィッスルを吹き、ドアを閉めようとした、まさにそのとき、梢と朝美は、「桃乃さーーっん!」と叫んだ。その声が車掌に聞こえたのか、桃乃がビールと、つまみを買って乗るまで待ってくれた。乗り遅れると1時間待たねばならないのだ。
どうにかこうにか全員乗せて特急は発車した。
―ぱんぱんぱ〜ん―
自動放送をしらせるチャイムが鳴りかけたところで切られ肉声放送が始まった。
「本日もJR九州を、ご利用くださいまして有難うございます。この電車は特急にちりん11号宮崎空港行です。
次は鶴崎です。ただ今より切符を拝見いたします。」
210東南九州旅行編:2005/08/20(土) 19:39:45 ID:Mlol08ej
 車掌は先頭車両に向かってから折り返しながら検札を始めた。しばらくすると鳴滝荘一行が陣取る2号車A室の指定席に至り、
まず白鳥と梢の切符を見たあと、沙夜子と朝美の切符をともに朝美の手から受け取って検印を押したあと、珠実と桃乃の座席に至った。
車掌氏は二人の切符を見ると大分訛りの強い、独特の口調で
「あんたたち別府でソニック降りちょった方が良かったんじゃないかなぁ。時間もあるから、
あげー(あんなことに)なることもないけぇなぁ。(ないからねぇ)次からは気を付けてな。」
と声をかけた。
そのあと灰原の切符を見て慌てて車掌室に戻り
「鶴崎、鶴崎です。ドアにご注意下さい。」と放送した。
珠実は検札が終わったあと
「桃さん〜、車掌さんに怒られましたね〜。」
と桃乃をからかった。

「どこで降りようが買い物しようが勝手でしょうが、もう。」
すでに桃乃は酔っているようだ。
「桃、車掌の言う通りだぞ。大体計画にも少し無茶があるゾ。初日から、こんな調子で大丈夫かナ。」
しばらくすると停車駅と到着時刻の案内が始まったが耳に入っていないようだ。
南国を思わせる車内で一行は、たった一駅で夢うつつだ。旅はまだ始まったばかり。はたしてどうなるやら。
211ココナッツムーン ◆YP5KAYH.gg :2005/08/20(土) 19:46:08 ID:Mlol08ej
取り敢えず正式版の頭です。誤字脱字等は脳内で訂正をお願いします(汗
 あまり上手くいきませんでしたが、しばらく勘弁してください
あ、平○元知事にはお金はもらってませんよW
212鳴~ ◆fZOubfDxuE :2005/08/20(土) 20:39:12 ID:AkJBPIvI
>>211
乙&GJw

>>202
テイル氏いつもお疲れ様です。
更新より執筆を優先していいと思いますよ。
本家ぐらいのスピードでも大丈夫かとw


作品見て回ってるうちに思った。
ここの作品ってクオリティ高いし、
ノベルゲーム化したら傑作ができそうな。(無理
213ぐうたら ◆7b9DL4hJvA :2005/08/20(土) 20:47:13 ID:7AooNlpt
ゲーム化するとなるとエロあり山場ありの恋のマホウとかだろうか。
自分のはとてもorz
しかしここも同人誌書きたいとかゲーム化して欲しいとか忙しいスレでつね。

>>211
G…J?
独特な感じで先が読めないっスね
214ぐうたら ◆7b9DL4hJvA :2005/08/21(日) 00:23:35 ID:61lBlVnb
明日は課題に追われる可能性大なので今のうちに終わっている分まで投下しときます。
『MLL D 元凶−a』投下ー
215MLL D 元凶−a 1/5:2005/08/21(日) 00:24:17 ID:61lBlVnb
「ますますメチャクチャになってきちゃったわねえ…」
桃乃さんが頭を抱えて悩む。
「最初は大きさだけだったんですけどねぇ〜…」
続いて珠実ちゃん。
「猫の大きさになっただけかと思ったら、尻尾と耳ですからね…」
そして僕。
「あたしも自分の体ながら不思議だよ。でもこの尻尾、結構面白いぜ?」
当事者の早紀ちゃん。

一昨日。
梢ちゃんはハムスター大の大きさになっていた。
昨日。
梢ちゃんは猫大の大きさになっていた。
そして。
猫っぽくなっていた。
詳しく言うと、頭の上に猫耳が現れ(本来の耳は髪に隠れて見えないけど、多分無いだろう)ている。
さらに、スカートを貫いて尻尾が生えている。
一昨日ハムスター化した時から今さっきまでパジャマのままだったけど、珠実ちゃんが人形の洋服を買いに行った。
猫化した早紀ちゃんは、自分の姿を見たときこそ驚いたものの、すぐに落ち着いた。
こういうどっしりした心構えは凄いなぁと感心させられる。
もし自分が急に小さくなったら不安で仕方ないだろう。
珠実ちゃんが買ってきた服を見た早紀ちゃんは、
「こ、こんな恥ずかしい服着れるか!!」
と、断固拒否をしていたけど、
「白鳥さんの前でずっとパジャマはみっともないですよ〜?」
という珠実ちゃんの言葉で、しぶしぶ服を着た。

そして今に至る。
現在は再びもとのメンバー=僕・桃乃さん・珠実ちゃん・そして早紀ちゃんの4人で
『日本縦断早紀ちゃんの猫化について話し合う旅』
に参加している。
「それにしても猫ってこんな感じなのか?耳が上にあるって不思議な感じだな」
と、言いつつ猫耳をピコピコさせる早紀ちゃん。
でも問題が一つある…
216MLL D 元凶−a 2/5:2005/08/21(日) 00:25:04 ID:61lBlVnb
「早紀ちゃん……」
「どうした白鳥?」
「いや、大したことじゃないんだけどね?」
「うん」
「なんで僕の頭の上に乗ってるの?」
そう。
今早紀ちゃんは僕の頭の上ででろーんとうつ伏せになっている。
「別にいーだろ〜…このカッコが一番落ち着くんだよ〜…」
ひなたぼっこをしている猫のようにほわーとした表情の早紀ちゃん。
可愛らしいから、可愛らしすぎるから無理に降ろすことも出来ない…なんてこった!

部屋の隅でこんなやり取りをしていた僕と早紀ちゃんを見ていた珠実ちゃんが呟いた。
「早紀ちゃん、どんどん猫っぽくなってるみたいです〜……」
「むむ、そういえばそーね……ねぇ、珠」
「何ですか〜?」
「もしかして部長ちゃんの仕掛けたのって、こーゆーことなんじゃないの?」
「こーゆーことって…まさか?」
「ん。ひょっとしてこのままホントの猫になっちゃったりして…?」
「まさか〜?それじゃ試してみるですか〜?」
「試すって、どうやって?」
「コレを使うです〜」
「コレって…ソレ使ってどーすんのよ?」
「ま、見ててくださいです〜」

円卓で桃乃さんと話していた珠実ちゃんが部屋の隅の僕たちのところにきた。
「早紀ちゃん〜」
「ニャ?おー珠か。どした?」
「これ見てくださいです〜」
「何だよ……ボール、だよな?」
「ハイです〜」
「それがどうしたんだ?」
首を傾げる早紀ちゃん。僕の頭の上で。
「ほらほら〜、コレを良く見てくださいです〜」
といって早紀ちゃんの目の前までボールを近づける。
「な、なんだよ…(うずうず)」
早紀ちゃんが急にそわそわしだした。何故だろう?
「早紀ちゃ〜ん…」
「な、なんだ…?(うずうずうずうず)」
「ほ〜ら〜です〜」
早紀ちゃんの鼻先まで持っていたボールを右に動かす。
「あっ……」
ぎりぎり手の届かないところにボールを動かされ、むなしく手が空を掴む。
「ほらほら〜です〜♪」
続いて左。
「くぅっ…!」
またもや小さな手をじたばたさせてボールを掴もうとするけど、届かない。
「早紀ちゃん〜?ちょーっと白鳥さんから降りてくださいです〜」
「お、おう…」
ぴょんと、床に降りる早紀ちゃん。
217MLL D 元凶−a 3/5:2005/08/21(日) 00:25:42 ID:61lBlVnb
「行きますです〜」
ボールを改めて早紀ちゃんの前に持ってくる珠実ちゃん。
「はい〜(左)」
「にゃっ(左)」
「ホレ〜(右)」
「にゃうっ(右)」
「そいや〜(上)」
「ふにゃっ(上)」
「う〜ふふ〜(左斜め下)」
「にゃんっ(左斜め下)」
「てや〜(後ろに投げる)」
「にゃー!(後ろに飛ぶ)」
早い!
珠実ちゃんがボールを動かすのとほぼ同時に体を同じ方向に倒す早紀ちゃん。
最後に珠実ちゃんが投げたボールを空中でキャッチして綺麗に着地した。
まるで猫そのもの…?
「マ゛〜…やはりこれは〜…」
「珠実ちゃん?どうかしたの?」
「珠!やっぱりだった?」
丁度珠実ちゃんがボールを投げた位置=円卓の真ん中にいた桃乃さんが珠実ちゃんに聞く。
「ええ〜やっぱりそーゆーコトになるみたいです〜…目の前の早紀ちゃんを見れば分かるでしょう〜?」
桃乃さんは目の前でボールとじゃれあう早紀ちゃんを見る。
夢中でボールと戯れる早紀ちゃんの首の後ろを桃乃さんが掴んだ。
「ふにゃっ!?にゃにすんだ桃!はにゃさねーとブンにゃぐるぞ!」
あれ?早紀ちゃんの言葉に違和感が…?
「早紀ちゃん!」
「ん?どーした白鳥?」
「えっと、『なにぬねの』…って言ってみて?」
「はあ?何言ってんだよ?」
「いいから、お願い!」
「……にゃにぬねの……アレ!?」
「やっぱり…珠実ちゃん!」
「ええ、白鳥さんも気づいたですか」
「うん…」
「…白鳥さん、桃さん、そして早紀ちゃん。良く聞いて欲しいです〜」
円卓を囲んで座りなおす僕達。(早紀ちゃんはまた僕の頭の上によじ登って来た)
「どうやら〜…あの変態部長の目的は〜、早紀ちゃんを完全な猫にすることのようです〜…」
「にゃ!?」
僕の頭上で再度でろーんとなっていた早紀ちゃんが(恐らく)驚きの声をあげる。
「今までの早紀ちゃんの変化を思い出してください」
珠実ちゃんの言葉に、早紀ちゃんの変化を頭の中で思い浮かべる。
「猫サイズになってぇー…」
……桃乃さんが声に出してくれるようだ。
「猫耳と尻尾が生えて来て、猫っぽい行動して、ひなたぼっこが好きで、『な』が『にゃ』になった…」
「ということは…」
「はい〜、私の推測は恐らく当りと言うことになりそうです〜」
「あ、あたしを猫にゃんかにしてにゃにか良い事でもあるのか?」
「そこはあの変態部長ですから大した理由も無いと思うです〜大方新しい魔術書を手に入れたり呪文とかを覚えたりしたんでしょう〜」
「ソの通りデスよ、珠実部員」
「「「「!!?」」」」
今までとは違う声の主の出現に驚く僕達。
この抑揚の無い声質は、まさか…
僕達が部屋の入り口を見ると、予想通りの人物がたっていた。
「まさか自分から現れるとは〜…何の用ですか〜…部長〜!!」
218MLL D 元凶−a 4/4:2005/08/21(日) 00:27:09 ID:61lBlVnb
突如現れた部長さんは平然と部屋の中に入ってくる。
「おヤ?用があルノはアナタ方デは無いイのデスか?」
「ム〜…」
部長さんの言葉に怪訝な表情をする珠実ちゃん。
「部長さん!」
「何でスカ?タマなしサン」
「なんで早紀ちゃんにこんなコトしたの?」
「早紀?ソちらノ方は梢部員デはナイのデスか?」
「あ、そ、それは…」
しまった、梢ちゃんの多重人格は秘密だった…!
「ふム、梢部員デハ無いヨうデスね」
「え!?」
思わず驚きの声が上がる。
「雰囲気ヤ様子で分カりマスよ。私ダッテ長い付キ合いデスから」
「部長さん…」
「ニャー…」
頭上の早紀ちゃんが鳴き声を上げる。
「早紀ちゃん?」
「ニャ?」
「…早紀、ちゃん?」
「ニャニャニャー?」
「早紀ちゃん?どうしたですか〜!?」
「ニャ?ニャニャーニャニャン!」
「部長!これはどういうことですか〜!」
「…ドうヤラ、実験は成功デスね」
「実験て…どーゆーコトよ?」
桃乃さんが尋ねる。
「言葉通りノ意味デスよ、あばずれサン」
「それってやっぱり…」
「…えエ、私ガ梢部員をこウしマシた」
「何故ですか〜!何故早紀ちゃんをこんな目に遭わせるですか〜!」
怒りを露に、部長さんに詰め寄る珠実ちゃん。
「ソう、デスね…ソレでハ事ノ起コりカラ説明シマしョウか…」
「事の起こり〜?」
「エエ。事の起こリは、一週間程前ノ事デシた…」
219女王のあとがき:2005/08/21(日) 00:30:08 ID:61lBlVnb
今日はココまで。
明日、明後日までに作文課題を二つ…
元凶編−bと終結編は火曜日以降…カナ?
部長の野望とは一体!?…大したこと無いんですけど。
おやすみなさい
220名無しさん@ピンキー:2005/08/21(日) 00:34:40 ID:RCelSQj7
>>219
そう、俺は言わなければ・・・・・・・

リアルタイム〜っG・J!!
あ、っちょ早紀ちゃ、猫、え、言葉が、コトバガ・・・・・・
いや、いいけどさ、あの〜ほら〜、うん、なんでもないです・・・・・・・

まぁとりあえずもう一息頑張ってください!
221さだまさしライブ:2005/08/21(日) 07:31:45 ID:CtvDA5Sl
さて、あれから何日経つのやら…。超おひさです。超遅筆SS「終わりの始まり」がやって参りましたよ〜。
え〜、こんなに時間が掛かった言い訳としましては…。
・夏バテ
・バイトが忙しすぎる。(一日平均9時間が14日連続)
・暑さから来る不眠症
ってなわけで、書く時間が全く取れなかったという事。
でも、所詮単なるSSだろ?なんでこんな時間が掛かるんだよ?という疑問が湧くと思いますが、そこは皆さんのご想像におまかせします。(←無責任だなぁ…。

あと、もう一つ。今回の投下に辺り、本来なら、ここではなく旧スレに書くべきか、と思いました。
前スレ>>5で、テイル氏は私を、こう紹介してくださいました。
>「終わりの始まり」の人(名無し・1スレに一度現れる神)
と。
が、いま書こうとしたら、512k越えで、アウトになって居るではありませんか…。
皆勤賞ならずorz(無理してエロをかいて、無理があると言われてしまった、1スレ目の朝美一人エチーSSが、私のまほらばSS処女作だったり…)

まぁ、そう言う訳で、紆余曲折ありつつ、「終わりの始まり」行きます。
222「終わりの始まり」:2005/08/21(日) 07:33:21 ID:CtvDA5Sl
「…。」
放心状態。まだ数分しか経っていないのに、もう数時間もそうしているように感じる。
隆士は、その突然の出来事に、どう対処すべきか決めかねていた。
(…どういう事…、…なんだ?)
追いかけたかった。追いかけて、落ち着かせたかった。
でも、それをしなかった。なぜか。
それには、それ相応の理由があった。
(怯えてた…、僕を拒んだ?というか、拒まれたのかな…?)
手を撥ねたとき、一瞬だけ棗の顔が目に入った。
ひどく怯え、そして隆士を拒むように顔を退いた。
今まで、棗の状態では、他人を目の前にして緊張したり、記憶のことで泣く場面はあった。
しかし、同じネガティブな感情でも、怯えている棗ははじめて見た。
その場面が頭に何回も過ぎる。そして、隆士を拒む棗の顔が頭から離れない。
何のことだかは分からない。でも、棗は隆士を拒んだ。
だから、追いかけたくても躊躇われた。拒絶されて、それでも追いかけられるほど、隆士は強くなかった。
(分からない…、なんでだ)
何故?と考える。さらに時間が過ぎるだけ。



…ドガッ!
ふと我に返り、音のした方向を振り返る。
管理人室だった。少し吹き込んだ風にあおられ、開いていたドアが、さらに外側に押されたのだった。
ドアが開いていて、閉めようとしたところで、この状態になったことを思い出す。
(…こういう場合)
しばらく考える。しばらくと言っても1分は掛からない。
それを終えると、すぐに身体が動いた。
(梢ちゃん、ゴメンね)
と、管理人室に入っていった。
棗がああなったきっかけがなんなのか、それを知りたかった。そうせずに居られなかった。
それしか、今出来うることが無いのだから。
223「終わりの始まり」:2005/08/21(日) 07:35:01 ID:CtvDA5Sl
部屋にはいる。何度か入ったことがあるこの部屋。でも、一人ではいるのは、これが初めてだった。
ベットの周囲には、大量のぬいぐるみが置いてあり、梅干しの小壷が置いてあり…。
それらには目もくれず、と言うより、気に掛けていない様子。
すぐに目に入ったのは、ちょっと古めかしい6年間日記と、大学ノート。
(…これって)
一方は容易に、日記であることは想像できた。しかしもう一方の大学ノートは…。
(…さすがにマズイかな)
そうは思いつつ、なんの苦労も葛藤もなく、その二つを手に持っている隆士が居た。
でも、いざ開こうとすると、それはさすがに躊躇いを感じた。
(…これから先はまずいな)
と、一瞬考えた。
そこで甦ったのは、棗の後ろ姿。玄関を掛けだして行く後ろ姿。
(棗ちゃん…、のため…、でもあるんだよね)
そう考えてすぐ、奇妙な話ではあるが、隆士は自分の思考に驚いた。
(あれ?え?僕って…)
刹那な違和感。
でも、そう思い始めた所でやめた。
(…いいや。先に)
やるべき事は、他にあった。
224「終わりの始まり」:2005/08/21(日) 07:36:11 ID:CtvDA5Sl
    平成××年×月×日 (晴れのち曇り:20℃)
 だんだんと暖かくなってきて、洗濯物がよく乾きます。お洗濯をするのに、すっきり乾くというのは、やっぱり気持ちが良いです。
 布団を干すと、寝るときまで太陽の匂いが残って、これもやっぱり気持ちよくて、寝るのが楽しみになります。
 こうして、だんだんと夏に近づいて言っていくのを感じると、何だか嬉しくなります。
 今年の夏は、また鳴滝荘の皆さんそろって、海に行きたいな。
 でも、その前に梅雨があるんですよね…。
 
    平成××年×月×日 (晴れ:22℃)
 今日は珠実ちゃんと、買い出しを兼ねてお出かけをしました。
 最初はふたりでぬいぐるみ屋さんをみたり、雑貨屋さんなどいろいろなお店を回りました。
 ぬいぐるみやさんでは、珠実ちゃんがかわいいぬいぐるみを見つけてくれました。とっても嬉しかったです。
 そのあと、3時を過ぎた辺りからは、商店街を回り、夕飯などの買い出しです。
 スーパーでは、ちょうどタイムサービスが始まっていました。いろいろ買ってしまい、少し荷物が多くなってしまいました。
 こう言うとき、ふたりでお出かけすると、楽になって助かります。
 今日は珠実ちゃんにお世話になりっぱなしです。珠実ちゃんは別に良いと言っていますけど、何かしてあげないといけませんね。
225「終わりの始まり」:2005/08/21(日) 07:37:51 ID:CtvDA5Sl
丁寧な字。日記でも「〜です、ます調」。書かれていることは、他愛のないこと。それでも、そこが梢らしくて、微笑ましい。
日付からして、梢が11才の頃に書き始めたモノのようで、あと1年残っているだろうか。
2週間に1回か2回は、日付に空きがある。多分忙しかったのだろうが、その日付を埋めていないところに、微妙に血液型が見え隠れする所が、少し可笑しい。
でも、そう言う所をみられるほど、隆士に余裕はなかった。
(梢ちゃん…である間は、やっぱり楽観的なのかな?)
日記の内容をみても、その中にネガティブな感情は見られない。
冷静に何かを考えていられる余裕の無いはずの隆士でも、そこまで観察することは出来た。
気になることと言えば、もう一つ。この日記の日付。
埋まっていない日付が、「いま」に近づくに連れて、少しづつ広がっているところ。
最も最近で埋まっていない日付を回想する隆士。
そして、一つ気が付いた。
「…そう言うことなんだ。あれ?」
傍らに置いた大学ノートが、開いていることに気付くのは、そのひらめきとほぼ同時だった。
226「終わりの始まり」:2005/08/21(日) 07:38:46 ID:CtvDA5Sl
「…追いかける、べき…?」
隆士は玄関で立ちつくしていた。
「そもそも、僕は…、棗ちゃんは…、梢ちゃんは…、…」
「何で僕は迷ってるんだろ…、…いや」
「こうなっちゃったのは何で…、」
常人であれば、錯乱するほどに感情が高ぶるであろう場面。
でも、隆士の感情の押し殺し方は常人ではあり得ない物がある。
負の感情は表に出さない、それが隆士。
そんな隆士でも、歯ぎしりをして、拳を握り、顔が歪む。
それくらいに隆士の感情は荒れていた。
「僕は…、僕は…、」
自問。自分を問い詰める隆士。
気付かぬうちに、まぶたが熱くなる。

「…どう…したの?」
隆士は、後ろに人がいることにも気付かなかった。
「…へっ?」
そして振り向くと、そこにいたのは、あり得ない人物だった。
「どう…、したの?」
「…、沙夜子…、さん?」
「梢ちゃんの…、事?何かあったの?」
さすがに隆士の、その様子から見れば、誰しもそう言う事というのは想像がつく。
普段が普段の沙夜子にも、それは容易に分かることだった。
「…はい」
普段が普段。普段の隆士なら、沙夜子がそう聞いてきたこと自体に興味を示すだろう。
でも、今の隆士には、そこまでの反応を求めることに無理があるといえる。
隆士は、事の顛末を話し出した。
227「終わりの始まり」:2005/08/21(日) 07:39:24 ID:CtvDA5Sl
  平成××年 ×月×日 (曇り:17℃)
本がいっぱいあるところで、あたらしく手品の本を見つけた。
いろいろ試してみたら、コップに入れた犬さんと猫さんを入れ替えることが出来た。
もっと手品をいろいろ覚えてみよう。


  平成××年 ×月×日 (晴れ:13℃)
天井の上で、本を読んだ。冬は寒いけど、日なたはやっぱり暖かい。
そうして、本を読んでいると、野良猫さんが集まってきた。
でも、梅干しあげたら逃げちゃった。
おいしいのに…。
228「終わりの始まり」:2005/08/21(日) 07:42:34 ID:CtvDA5Sl
6年間日記の横に置いてあった大学ノートは、棗の日記として使われていた。
日付は飛び飛び。普段の棗の出現率がそこそこであった故か、かろうじて二週に一遍は書かれていた。
最近の梢の日記の、空きの日と照合すると、棗の日記が書かれている日と合う。
でも、その内容が問題なのではなかった。見るべきは、最後のページ。
229「終わりの始まり」:2005/08/21(日) 07:44:53 ID:CtvDA5Sl

                                             月  日



     みんな思い出した。
あの夢に出てくる人たちの事も分かった。


     怖いよ。
      隆士君までこういう事になったら、あたしはどうすれば良いんだろう。
     お母さんとお父さんは、あたしがいて、だから死ぬしかなかったんだ。
      隆士くんはあたしと一緒にいたら、もしかしたら、またなにかに巻き込まれちゃうのかな。






                             そんなのだめ 
                                    いや





230「終わりの始まり」:2005/08/21(日) 07:46:11 ID:CtvDA5Sl
棗らしい、と言えば、そうかも知れない。つまり、感情を吐露する手段として、書き記すことを選んだ。と言うこと。
乱雑になっていた部屋の中。察するに棗は、過去の梢の日記を見たのだろう。その結果がこれと言うことになる。


隆士は、ここまでのありのままを話した。大学ノートの中身も説明した。
「僕は…、僕は…、」
話し終わる頃には、話す声のほとんどが、嗚咽に飲まれていた。
他人の前で泣きじゃくる、誰にも見せてこなかった姿。
隆士はそんなことを気にする余裕もなかった。
231「終わりの始まり」:2005/08/21(日) 07:46:54 ID:CtvDA5Sl
「…え…」
泣きじゃくっていた隆士は、突然の事に困惑した。
「…何かの壁に当たって泣いている人には、こうしてあげるのが一番なのよ。老若男女、性格問わず」
玄関先、土間で靴も履かずに立っていた隆士を、沙夜子が抱く。
後ろ抱き、土間に降りていた隆士との身長差は逆転し、ちょうど沙夜子の首辺りに隆士の頭が来る。
突然の事。隆士は、泣きながらも戸惑った様子で、それでも沙夜子のする事を、拒否することは出来なかった。
「あなたも…、よく分かっているはずよ?」
「…あ」
一度だけ、棗をなぐさめている場面を、沙夜子に見られたことがある。
「…泣きたいときは、無理をしなくても良いのよ…」
そうしてしばらくの間、隆士はその言葉に甘んじ、泣いていた。何故だろうか、そうしていたかった。
232「終わりの始まり」:2005/08/21(日) 07:48:24 ID:CtvDA5Sl
数分経って、沙夜子が話をはじめた。
「あの子が変わりはじめてるって言うこと…、あの子が過去の夢を見るようになっているって言うこと…、灰原さんから聞いていたの…」
いつもの沙夜子とあまり変わらない、それでも、どこか諭すような感じ。
「確かに私は、あの子が事件に鉢合わせたところにも居合わせたわ…。その前、ご両親が居なかった頃は、知らないけど…」
話している間も、ずっと後ろ抱きのまま。隆士は玄関の戸を見て、話を聞いているような状態。
「梢ちゃんは、あの頃からずっと、気丈に振る舞っていたけど、それが最初のうちは、どこか痛々しかったわ。でも、それはいつしか普通の笑顔になっていたわ…」
沙夜子が思い出すように上を見る。
「まるで…、哀しいという感情を、忘れてしまったかのように…、いつも笑っていたわ」
「……っ!」
「その頃からよ…。あの子の病気が本格的に発症しはじめたのも…」
はっとしたように、隆士が顔を上げようとするが、沙夜子に抱かれているため、行動が制限されていた。
「昔、実家の書斎で、精神科の医学書をかじったことがあるの。そこには書いてあったのは、心の病は砂山と同じ、何かある度、それによってどう転ぶか予測出来ないって言うこと」
いつもと違う沙夜子に困惑しながら、それでも、沙夜子の言うことに妙な力を感じた。
「あの子は、病気を発症して、それからずっと、少しづつ他の人格と入れ替わりながら、私たちと生活してきたわ…」
「あの子は、他の人格を出して、心のバランスを保ってきていたの」
「でも、そのバランスはもろくも崩れ去ったわ。あなたが梢ちゃんに気持ちを伝えたことで」
「…っ!」
隆士は少し顔をゆがめ、それでもどうしようもなかった。
「あの子の中の、他の子たちだって、梢ちゃんの身体を借りた、一人の人間。だから、あの子だけになにかを与えられるというのを嫌ったのね…」
「そうして、あの子の中の砂山は崩れてしまったの。それが今のあの子よ」
沙夜子はずっと、普段の抑揚のない口調で会話をしている。だから、なのか、なのに、なのか、沙夜子が言っていることを、その口調が余計に何かを込めているように思える。
「僕は…、どうすれば…」
隆士は伏し目がちになる。そんな隆士に、沙夜子は言った。
「私には分からないわ…。どう転がるか分からないのだもの…」
「そんな…。そこまで話してたのに、それって…」
隆士の力無い抗議に、沙夜子は続ける。
「だから、あなたが決めるの。これから先をね」
隆士は、ハッとして、顔を上げる。沙夜子に抱かれているため、そんなに大きくは動かなかった。
233「終わりの始まり」:2005/08/21(日) 07:52:57 ID:CtvDA5Sl
沙夜子は、すこし間をおき、隆士の頭を撫でる。
「あなたはね…、あの頃のあの人に似てるの…」
「…え?」
隆士は沙夜子を見ようとする。そのとき、沙夜子はその身体に回した腕の力を強めた。
「あの人も、一つの夢があって、庭師をしながら、その夢を追っていたの。あの人は、画家になりたかったの」
「それから、朝美って言う大切な人も居た。大切な人を守るため、夢を追うため、一生懸命で、そんなあの人の姿に、私は惹かれたの…」
一つづつ何かをたぐるように話す沙夜子に、隆士はかすかな痛々しさを感じる。
「…それでね、…棗ちゃんを見てると、昔の私を見ているような気分になるの。あなたに会うまでは、ふさぎがちで、人との接触を、出来るだけ拒んでいたわ…」
「でもね?あなたに会ってから、棗ちゃんは変わったわ。人の前に堂々と出られるようになったし、笑顔も見られるようになった。まるで…、あの人と会った私のように…」
隆士が痛々しさを感じながらも、沙夜子はそんな事無いと言わんばかりに、話を進めていく。
「あの人が一回、自分で描いた絵を、どこかに置き忘れてしまったことがあったの。あの人は滅多に感情を表に出さないのに、…そのときは泣いていたの。
そのとき、私は今と同じような感じで、慰めてあげた。逆に…、私が泣いているときは、あの人がこうやって慰めてくれたわ…」
「…あなた達を見ていると、私の昔を重ねられるくらいに同じなのよ…。だから、あなた達には、壊れて欲しくないの…。
確かに今追いかけたとしても、棗ちゃんの心はどうなるか分からないわ。でも、それをしなければ、あの子の心は、もっと壊れてしまうわ…」
隆士は、無意識に沙夜子の顔を見た。力がゆるんでいて、すんなりと後ろを向けた。
「だから、追いかけて、あなたの良いと思う方向に、あの子を導いてあげるの。
あの子は、あなたを思ってあなたを拒んだかも知れないけど、一番望んでいるのは、あなたがそばにいて、手を引いてくれることなのよ…」
沙夜子は、笑っていた。朝美を慰めたときのように、母親の顔。でも、どこかその中に、別の優しさが混ざっているような気もした…。
しかし、
「…あの子の所に、行ってあげて…」
頭を撫でつつそう言われたとき、それを気にする余裕はなくなった。
「はい、沙夜子さん…。…ありがとう」
それだけ言って靴を履き、しずかに玄関を出た。
相変わらずの豪雨。隆士は気にせず走っていった…。
234「終わりの始まり」:2005/08/21(日) 07:53:32 ID:CtvDA5Sl


(…あなた…。あの頃の私たちも、あんな感じで傷つきあって、それでも一緒にいたんですよね…。)
暗い玄関、一人になった影が、ずっとその場を動かない。
(もし、いま、あなたが居たら、私は…)
服の胸元に手を入れ、何かを取り出す。
それは、誰にも気付かれないように、胸に密かに下げていた、ロケット。
その中の写真を、見つめる。
「…あ…、なた…、」
沙夜子の頬を、涙が伝う。
(哀しくなるぐらいなら…、あんな事…)
戻らない過去。まさに今を行く隆士を見て、それを痛みとして感じていた。




235「終わりの始まり」:2005/08/21(日) 07:58:03 ID:CtvDA5Sl
あがり〜〜〜!
そう言う訳で、ここまででやりたいと思っていたことはやり遂げました。
・語り部バラさん
・聡明な沙夜子さん

うん、沙夜子さんに関しては、完全に私の趣味入ってますw。

とまぁ、ここまで来た訳ですが、ここから先もいつ書けるか…。
実は、明後日から15日ほどお出かけなのです…。
と言う訳で、結末はもう少し先と言うことで、お待ちください。

そう、次!次で完結なので、宜しくです!

では、遅筆SS書きのボヤキでした〜。
ノシ
236「終わりの始まり」:2005/08/21(日) 07:58:53 ID:CtvDA5Sl
っていうか、1レス目のハンドルはなんだろ…。(素直に間違えたとは認めないツンデレ系)
237名無しさん@ピンキー:2005/08/21(日) 09:24:45 ID:g1vqf4Yp
(・∀・)イイ!!
でも>>226はここで(・∀・)イイ!! の?
238名無しさん@ピンキー:2005/08/21(日) 16:06:58 ID:u7JQS9Ph
>>235
良いですね。私はSSで泣いたりはあまりしないんですが、少し目頭が…w
微妙な気持ちを含んだ沙夜子さんはかなりきました。
もし自分がこの状況の白鳥君だったら棗ちゃんそっちのけで沙夜子さんに行きますねw
239ココナッツムーン ◆YP5KAYH.gg :2005/08/21(日) 18:20:54 ID:jF2b7VP9
話が上がったので投下します。
早く思われるかもしれませんが太宰治もこれから投下するSSの数倍の長さで、しかも大変内容の濃い小説を数時間で書き上げたんです。
だから追及しないで、・・・ふえぇ〜〜〜。
240九州旅行:2005/08/21(日) 18:23:05 ID:jF2b7VP9
「あれ、ここはどこでしょう?」
ふと梢は目覚めた。まず前の方のLED表示器を見たが「只今 南延岡」ととんちんかんな表示が為されているだけ。
次に外を見やると何処か駅に停まっているようだが駅名標は見えない。ドアが開いた気配はある。
少しすると、ドアが閉まり電車は動き始めた。
「次は津久見です。」
相変わらずの肉声放送が響く。
「今、12時41分ですね。まだ宮崎まで時間がありますし、寝ておきましょう。」
とは言うものの、なかなか寝付くことは出来ず、電車が一つトンネルを抜けると
梢は寝ることも忘れ、車窓に見える、日光に映える橙色と緑色の蜜柑畑と、
真っ青な海の作り出すコントラストに目を奪われ、思わず恋人である隆士を起こすと、
「白鳥さん、外を見てください、海が綺麗ですよ。」
隆士は寝呆け眼で外を眺めようとしたが無常にも電車はトンネルに入ってしまい景色を堪能することはできなかった。
しかしトンネルを抜けると、先程の風景以上に驚嘆すべき光景が二人を待っていた。
黒崎親子が眠る山側の、窓からは白く光るセメント鉱山の岩肌が、
梢たちの座る海側の、窓からは先ほど以上に多くの蜜柑畑が点在する様や、東九州一のセメント積み出し港である津久見港が見える。
二人とも「わーっ」と生まれて初めて見る街の光景に、声を上げるばかり。
電車はもう一つトンネルを抜けると、ホームに置かれた名産の蜜柑を半分に割った形のベンチが目を引く津久見駅に着く。
241九州旅行:2005/08/21(日) 18:24:41 ID:jF2b7VP9
津久見を出ると暫く街中を走りぬけ、先程と同じ煉瓦造りのトンネルに電車は入る。
「白鳥さん、旅行は始まったばかりですけど、来て良かったですね。もっともっと皆さんと、ここでも思い出を作りたいですね。」
「楽しい旅行になりそうだね、梢ちゃん。」
二人は相変わらず外を眺めていた。
「浜茶屋」というレストランの看板が見えた後、電車は、またトンネルを抜けると海側には漁港、山側には蜜柑畑という集落を通る。
集落を抜け、トンネルをくぐると、ポイントが現れ電車はカラフルな跨線橋や柵が目立つ無人駅に停まった。
「当駅は日代です。快速電車待ち合わせのためしばらく停車します。」
という肉声放送があった後、電車は10分以上停まっているが未だ対向列車は姿を見せない。
「どうしたんでしょうね。」梢は隆士に聞く。
「本当は佐伯を過ぎてる頃なんだけどね。どうしたんだろうね。」
二人とも不安そうだ。
「ただいま〜信号故障のため、対向列車は狩生駅に停車中です。お急ぎのところ申し訳ありませんが暫くお待ちください。」
梢と隆士は驚いて声を上げた。その声で桃乃、珠実と朝美が起きてしまった。
「どうしたの〜、白鳥クン」
「お兄ちゃん、何があったの?」
「白鳥さ〜ん、梢ちゃんと何やってたですか〜。恋人とはいえ電車の中でまで不埒なことをしちゃいけませんよ〜。」
242九州旅行:2005/08/21(日) 18:26:17 ID:jF2b7VP9
「み、みんな起こしてごめん。それに珠実ちゃん、変なことなんかしてないよ。」
「どうだか〜それにしても、こんなに長く無人駅に停まるなんて何があったんですか〜」
皆で前のLED表示器を見やるが「まもなく 宇島」と先程と変わらずトンチンカンな表示がなされているだけ。
再び車掌の放送が聞こえる。
「ただいま信号が復旧いたしました。浅海井駅で離合いたします。発車いたします。」
電車は何事もなかったようにスピードを上げ、海沿いの線路を走る。二見ヶ浦と砂浜がチラリと見えると
出せる限りの速さで浅海井駅を通過し、景色を楽しむ余裕もなく狩生を通過して、いつもより速いスピード佐伯に入ろうとしたとき、列車は急停車した。
「安全確認のため一旦停車しました。異常ありませんでしたので発車します。まもなく佐伯、佐伯です。ドアにご注意ください。1番乗場に入ります。」
10分遅れで佐伯に着いたそして直ぐに発車した。次の延岡には1時間後の停車だ。
さて車内では大声が響いている。
「白鳥ィーーーッ、少し早めの新婚旅行かぁ。愛してるぜ、白鳥ぃぃぃ!」
さきほどの急停車のショックで早紀になってしまったようだ。
隆士は早紀に抱き締められて動くこと一つままならぬ。普段の早紀ならば周りの視線を感じて赤面するところだが、よほど夢中になっているのだろう。
珠実や桃乃の視線も気にはしない。この2号車A室は鳴滝荘一行の貸し切り状態である。どうする隆士!
243名無しさん@ピンキー:2005/08/21(日) 23:46:42 ID:3bWD1AC6
ふと思ったが、各キャラの名前の表記は名前と姓のどっちがええじゃろ?
梢、珠実、黒崎親子は名前のほう、灰原さんは姓がデフォとして、
桃さんと白鳥はどっちにすべきか迷う・・・。
まほらば蒼では恵、隆士だったけど。
244名無しさん@ピンキー:2005/08/21(日) 23:53:21 ID:zwCBBCMq
まほらば蒼の呼称表で思ったこと。
沙夜子さんって「隆士君」とか「恵ちゃん」とか
名前で呼んでそうだな、と勝手に妄想。
ただしバラさんのことはジョニーでw
245ヘブン ◆1fPWtvDjaQ :2005/08/22(月) 00:11:25 ID:Pf7jfnVP
夏バテ気味でしたが執筆再開・・・・
悩んだ挙げ句プロット2を採用し現在執筆中 〆(-_-)

運命〜死〜 近日投下
ご期待あれ?
246ココナッツムーン ◆YP5KAYH.gg :2005/08/22(月) 00:14:17 ID:cvWBrybg
投下してみて改めて恥ずかしい出来だと反省しています。次回は少し早紀ちゃんでハァハァできると思います。本日も失礼しました。
247名無しさん@ピンキー:2005/08/22(月) 01:05:26 ID:xlUhgltT
>>246
いや面白いぞ。GJ!
248テイル ◆5zZRlb1law :2005/08/22(月) 01:11:03 ID:c4r9LKGs
眠い……

>>ぐうたら氏
猫、猫!
課題がんがれ!俺もがんがるから。
>>235
神降臨キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!
……スンマセン、自分の中で。
続きが気になって眠れないじゃないですか……

>>245
期待しておきます。白鳥クンどうなったの?

>>246
続き……というか、田舎が宮崎なんですか?

もう寝ます。続き書けません。
249NACA:2005/08/22(月) 06:05:14 ID:QpmIxzCW
はじめまして、最近ここを知った者です
>>235
すごすぎです。
発想というか、構成が細かくて・・・
近々自分もまほらばネタでSSをUP・・したいなあ
250名無しさん@ピンキー:2005/08/22(月) 10:11:08 ID:0g/59Y9Q
>>249
うむ、ガンバレ
このスレではSSはドントコイだ。ただしsageを推奨したい。



テイルズオブレジェンディアのジェイの声が白鳥クンの中の人と言う事に妙な違和感を感じていると言うスレ違いな事を思ってる件について。
251名無しさん@ピンキー:2005/08/22(月) 12:21:40 ID:2C8tpxkK
ゲーム屋に行ったら、いきなり白鳥君らしからぬ高圧的な台詞を聞いてちょっと焦った
252名無しさん@ピンキー:2005/08/22(月) 21:00:12 ID:+q06NRg0
あなたって本当にバカですね。

ってやつですか?
253名無しさん@ピンキー:2005/08/22(月) 21:50:34 ID:yycFKByq
まだまだ猛暑が暑くてこの夏も残暑ですね。
と言うことで久しぶりに投下します。
254Photo-Rait:2005/08/22(月) 21:51:59 ID:yycFKByq
「う〜ん…」
僕はカレンダーを眺めながら悩んでいた。
本格的に秋の気配が漂い始めた11月初頭。
ここに来て僕は頭を悩ませる事態に差し迫られていた。
「もうすぐなんだけど…」
カレンダーの数字に印を付けた丸が残り時間が少ないことを示している。

───11月8日

そこに示された日にちまでもう何日もないところまで来ていた。
「やっぱり、一人で考えていても仕方ないか…」
いくら悩んでも一向に埒があかずに僕は思考を放り投げるように大の字に寝転がった。
そもそも、最初から自力で何とかするのは無理があったのかもしれない。
「…桃乃さんに聞いてみようかな」
僕には見当すらつかないけど、桃乃さんならきっと…。
僕は大きくため息をつくと立ち上がり、3号室へと足を運んだ。
255Photo-Rait:2005/08/22(月) 21:53:03 ID:yycFKByq
「あら、白鳥クンじゃない。どったの?」
予想通り部屋にいた桃乃さんは珍しく自分から訪ねてきた僕に不思議そうな顔をしていた。
「ちょっと桃乃さんに相談があるんですけど…」
「な〜に〜、改まって? 珍しいわねぇ」
桃乃さんは部屋に招き入れるような仕草をしたけど僕は手短に切り上げるからとその場で話を続けた。
「えっと…桃乃さんはどうするんですか?」
「どうするって…?」
「プレゼントですよ、珠実ちゃんの」

11月8日。
その日は珠実ちゃんの誕生日。
そう、僕はずっと珠実ちゃんにあげるプレゼントについて悩んでいたのだ。
「はっは〜ん。 プレゼントで珠ちゃんが喜びそうなものがわからないのね」
「ま、まぁ、そう言うことです」
「ま〜、白鳥クンじゃしょうがないか〜」
桃乃さんは含み笑いを浮かべるけど、正直僕には珠実ちゃんが喜ぶようなものが全然思い浮かばなかった。
はっきりってお手上げ状態である。
「桃乃さんは珠実ちゃんと仲が良さそうですから、何かアドバイス貰えないですか?」
「梢ちゃんのところに行かずにあたしのところに来たのは正解だったわね」
「ええ、まぁ…」
梢ちゃんには悪いけど、珠実ちゃんの場合、梢ちゃんがくれるものなら何でも喜ぶ───。
つまり、梢ちゃんからアドバイスを貰っても全然参考にならないと判断したので
真っ先に桃乃さんに相談を持ちかけたのだった。
「と言ってもあの子、あんまり物欲はないからねえ…実はあたしも結構悩むんだわ」
「そ、そうなんですか?」
「答えにならないとは思うけどさ、あたしは直接聞いちゃってるのよ」
「直接…それは、また…」
意外、というかある意味納得というか…。
いきなりライフラインがなくなった状態になり、僕はがっくりとうなだれた。

256Photo-Rait:2005/08/22(月) 21:56:38 ID:yycFKByq
「白鳥クンもあんまり深く考えないで本人に聞いてみたら?」
「う〜ん、それもどうなんでしょうねえ…」
「別に本人に聞いたから心がこもってない、ってこともないわよ〜?」
「そういうものですかね…?」
僕はまだ釈然とせずに頭を捻った。
確かに、本人が望むものがズバリわかればそれに越したことはないけど…。
果たしてそれで本当にいいのかと、僕は納得できずにいた。

「ま、本人が納得すればそれでいいのよ。 ねっ、珠ちゃん」
「そうですね〜、私は一向に構わないですよ〜」
「ふぇ…!?」
いつからそこにいたんだろうか…。
突然背後から返事を返され、僕は素っ頓狂な声を挙げてしまった。
桃乃さんの言葉があるまで全然気づかなかったけど、僕の背後には珠実ちゃんが立っていた。
「た、珠実ちゃん、いつからいたの!?」
「ちょっと前ですよ〜。 相変わらず注意力が足りないですね〜、白鳥さん」
「…聞いてた?」
「はい〜、ばっちりと〜」
珠実ちゃんはいつもの笑顔と口調であっさりと答えた。
(あぁ…なるべく自力で何とかしたいところだったけど…)
…まぁ、どうせ桃乃さんのアドバイス通りにするなら聞きに行くことになったんだろうけどね。

257Photo-Rait:2005/08/22(月) 21:58:12 ID:yycFKByq
「それで、珠実ちゃんは何かプレゼントして欲しいものはある?」
聞かれてしまった以上、考えていても仕方がない。
僕はもう開き直って珠実ちゃんに直接尋ねた。
「そうですね〜。 正直、これと言って欲しいものはないのですが、白鳥さんがどうしてもというのなら〜」
「ま〜、珠ちゃんが白鳥クンから貰いたいものなんていったら梢ちゃんくらいよね」
「別に梢ちゃんは白鳥さんのものではないですよ、桃さん〜。 …発言には注意することです〜」
「にゃははは♪ ひょっとして、ジェラシー?」
「マ゛ー…。 も〜も〜さ〜ん〜?」
二人は呆然とする僕を尻目に何事もなくいつものやりとりを始めてしまった。
傍目には喧嘩腰でも二人にとってはこれが日常だからさして気にしないことにしていたけど、
いまはそれにつき合っているといつ話が決まるかわかったもんじゃない。
「そ、それで珠実ちゃん、どうするの?」
「あ〜…。 そうですね〜、う〜ん」
桃乃さんととっくみあいを始めようとしていた珠実ちゃんは、僕の言葉で我に返ると真剣な顔をして考え込んだ。
珍しく見せる真顔を見ているうちにだんだんと不安になってくる。
(軽く言っちゃったけど、無茶言われたらどうしよう…)
気をつけないと珠実ちゃんは無理難題を平気で言ってくる。
僕は固唾をのんで珠実ちゃんの返答を待った。

「そうですね〜…。 それじゃ、白鳥さん」
「う、うん」

「今度の日曜日、私とデートしてくださいです〜」

「あっ、うん、いいよ。 ……………………………って、ええぇっ!?」

258Photo-Rait:2005/08/22(月) 21:59:43 ID:yycFKByq
青天の霹靂。

思っても見なかった彼女の提案に僕は混乱していた。
「なっ、なんで!? どうして僕が珠実ちゃんと!?」
「…私とじゃご不満ですか〜? 白鳥さん〜」
「いや、そうじゃないけど…!」
「白鳥さんは私には女としての魅力がないって言いたいんですね〜…。 ちょっとショックです〜…」
「えぇっ!? そ、そういうわけじゃないよ!」
珠実ちゃんの芝居がかった仕草とセリフ。
それは演技だとわかっていたけど、僕は律儀にフォローしてしまった。
慌てふためく僕に追い打ちをかけるように不安げに瞳を潤ませた珠実ちゃんが僕の顔を見上げた。
「…それじゃ、私とデートしてくれますか?」
「う、う〜ん…。 珠実ちゃんがそれを望むなら…」
「じゃ、決まりですね〜。 くれぐれもよろしくです〜」
渋々、僕がOKすると珠実ちゃんはパッといつもの調子に戻っていた。
やっぱり、からかわれている気がしてならない…。

「へぇ〜、珠ちゃんが白鳥クンとねぇ…。 どういう風の吹き回し?」
「桃さんも前に白鳥さんを連れ出したじゃないですか〜」
「あっ、ああ、そんなこともあったわね…にゃはは」
「ま〜、実体験してみたいというか、ちょっと興味があったんですよ〜」
珠実ちゃん曰く、同世代の男の人とのデートというものを体験してみたい、とのことだった。
まぁ、確かに珠実ちゃんはずっと女子校一貫で周りには男っ気はなかったのかもしれない。
それは高校時代を男子校で過ごした僕には何となく理解できた。

「白鳥さんはうってつけの人材だったってことです〜」
「なるほどね…」
さすがに他に周りにいる男性が灰原さんくらいしかいないんじゃ、僕が抜擢されるのは当然だろう。
いや、ちょっと自意識過剰かもしれないけど。
「じゃ、プレゼントは一日恋人権ってことでよろしくお願いします〜」
「あ、うん…。 僕でいいなら」
不安がないと言えば嘘になるけど、僕は珠実ちゃんのお願いを聞き入れることにした。
(いったいどんな一日になるんだろう…)
僕はただただ苦笑いを浮かべるしかなかった。

259Photo-Rait:2005/08/22(月) 22:02:58 ID:yycFKByq
日曜日。

僕は寝坊もせずに予定通りの時間に起きて、身支度を整えていた。
いや、正直不安いっぱいで余りよく寝られなかっただけなんだけど。
(珠実ちゃんとデートかぁ…)
普段の珠実ちゃんとの関係を考えると、デートだなんて想像もしていなかった。
前に桃乃さんとデートしたことがあったけど、そのとき以上にいろいろなことが脳裏を駆けめぐる。
果たして、珠実ちゃんの真意はどこにあるのか、と。
(普通、デートしてみたいなんて言わないよなぁ…)
別に珠実ちゃんのことは嫌いじゃないし、他意がないならそれはそれで構わない。
でも、あの珠実ちゃんのことだから絶対に何かあると勘ぐってしまう。
「まっ、なるようになるしかないか…」
僕がため息をついて、ジャケットを手に取ると同時にドアをノックされた。
「白鳥さん〜、用意は出来ましたか〜?」
「あっ、うん。 今行くよ」
僕はもう一度鏡を見直し、ワイシャツのネクタイを確認すると珠実ちゃんの待つドアを開いた。

「お待たせ、珠実ちゃ……」
「遅いですよ〜、白鳥さん〜。 …どうかしましたか〜?」
「えっ!? いや、その…」
ドアの外に立っていた人物を見て僕は思わず息をのんだ。
そこにいた女性…珠実ちゃんはいつもとは見違えるような姿に変身していた。

揃えていた前髪は軽くカットしてこざっぱりとした印象になり、三つ編みも下ろして長い髪を揺らしている。
その顔にはうっすらと化粧を施していつもの彼女独特の表情ではなく、栗色の瞳を覗かせていた。
衣服も普段のような控えめなものではなく、程よく印象に残るさわやかな白の揃いのツーピース、
アクセントとしてちょっとしたアクセサリまで着けている念の入りよう。

それは僕の知っている珠実ちゃんとはまるっきり別人のような可愛らしい少女の姿だった。

260Photo-Rait:2005/08/22(月) 22:05:31 ID:yycFKByq
「…………」
「白鳥さん〜、白鳥さん〜?」
「……はっ」
「びっくりしましたか?」
「う、うん…」
僕はまともに返事を返せないくらい動揺していた。
(こ、これが本当にあの珠実ちゃんなんだろうか…?)
僕のよく知る珠実ちゃんはもっと控えめなイメージだった。
しかし、いま目の前にいる少女はびっくりするくらい魅力的に見える。
女は化ける、とは聞くけど、実際に目の当たりにすると困惑は隠しきれなかった。

「せっかくなので張り切ってみました〜。 どうですか?」
「す、すごく可愛いと思うよ」
「………。 そう面と向かってはっきり言われると照れますね〜」
「あ、いや、ゴメン…」
「いえ〜、ありがとうございます〜。 気合い入れてみたかいがありました」
そう言って照れたようにはにかむ珠実ちゃん。
うっかり本音が出てしまったけど、珠実ちゃんもまんざらではない様子。
その仕草や表情までもが普段とはまるで別人のようだった。
(珠実ちゃんがこんなに可愛くなるなんて驚いたなぁ…)
もう一度まじまじと珠実ちゃんを見つめてみる。
いつもどこか人を突っぱねるような雰囲気とはうって変わって柔らかい雰囲気。
人目につかないような控えめな服装ではなく、積極的にアピールする服飾。
彼女の気合いの入りようは本気でデートを楽しもうという意思表示とも思えた。
「それじゃいきますか〜」
「う、うん、そうだね」
改めてこの珠実ちゃんとデートすると考えると妙に緊張してきてしまう。
さっきまでの不安とは別の不安が僕の心を支配していた。
261Photo-Rait:2005/08/22(月) 22:07:48 ID:yycFKByq
「あら、白鳥さん、珠実ちゃん。 お二人でお出かけですか?」
「あっ…梢ちゃん…!」
鳴滝荘の玄関まで行くとそこには箒を持った梢ちゃんが掃除を始めようというところだった。
梢ちゃんに見つかってしまったことに何となく罪悪感を感じて、僕は居心地の悪さを感じた。
しかし、珠実ちゃんも梢ちゃんも僕以上に気にしている様子はなかった。
「はいです〜。 今日一日白鳥さんにつき合って貰うです〜」
「へぇ〜、珠実ちゃんが白鳥さんとお出かけなんて珍しいね」
「実は白鳥さんにデートに誘われちゃいまして〜」
「えぇっ!?」
さらっと嘘を言うところはいつもの珠実ちゃんだった。
「ということで、ひょっとしたら晩ご飯には間に合わなくなるかもしれないです〜」
「そうなんだぁ…。 じゃ、二人とも今日は楽しんできてくださいね♪」
「あっ、うん…」
「それじゃ梢ちゃん、行ってくるです〜」
「行ってらっしゃい、珠実ちゃん、白鳥さん♪」
梢ちゃんも意に介していないのか、にこやかに僕たちを送り出してくれた。
桃乃さんのときもそうだったけど、梢ちゃんの反応が普段と変わらないのはちょっと寂しかった。
…なんて、意識しすぎか。

「じゃ、行ってくるね、梢ちゃん」
「はい、いってらっしゃい♪」
玄関で見送る梢ちゃんを残して、僕たちは鳴滝荘をあとにした。
262Photo-Rait:2005/08/22(月) 22:10:06 ID:yycFKByq
駅へと向かう道を進みながら、僕は少なからず気落ちしていた。
「…梢ちゃんに気にして貰えずにショック〜、ですか〜?」
「えっ? あ、いや…」
「白鳥さんは考えていることがすぐ顔に出ますね〜」
「そ、そうなのかな…」
珠実ちゃんがやたらに鋭いだけじゃ…と思ったけど、そう言われることは何度もあった。
やっぱり傍目にわかりやすい性格なんだろう…。

「ま〜、今日はそのことは置いておいてデートを楽しみましょうか〜」
「う、うん…。 でも、ホントにいいの?」
「私も今日はそのつもりですから、白鳥さんも割り切っちゃってください」
「う、う〜ん」
「マ゛ー…。 しっかりしてくださいよ、白鳥さん〜。 今日のあなたは私の彼氏さんなんですから〜」
「か、彼氏!?」
「言ったじゃないですか、今日一日は恋人って。 ただつき合って貰うだけじゃありませんよ〜?」
…確かにあのとき、珠実ちゃんはそう言っていた。
あのときは冗談だと思っていたけれど、珠実ちゃんは本気だったらしい。
珠実ちゃんがどういうつもりかはわからないけど、そこまで言うのなら僕も腹を決めた。

「はぁ…。 まぁ、乗りかかった船だし…いいよ、珠実ちゃん」
「はい〜。 ではお言葉に甘えて♪」
「えっ? あ、ちょっと…!」
そう言うと珠実ちゃんはすかさず僕の腕を取り、腕組みをしてぴったりと寄り添ってきた。
「恋人同士はこうするものです〜♪」
「ちょ、ちょっと珠実ちゃん!? ま、まだ心の準備が!?」
「まだそんなことしませんよ〜。 も〜、白鳥さんのエッチ〜」
慌てふためく僕に構わず、珠実ちゃんは繋いだその手を離そうとはしない。
その珠実ちゃんは僕のそばで悪戯っぽい笑顔を見せている。
端々に見える意地悪な行動はいつもの珠実ちゃんなんだけど、僕はその仕草一つ一つを妙に愛くるしく感じていた。
(こ、こりゃ大変な一日になりそうだなぁ…)

すっかり上機嫌な珠実ちゃんを見ながら、僕は小さくため息をついた。

263名無しさん@ピンキー:2005/08/22(月) 22:11:25 ID:yycFKByq
と言った感じで今回はここまでです。
ちなみにPhotoraitって単語はありません、造語です。
264名無しさん@ピンキー:2005/08/22(月) 22:16:23 ID:K3gCg6xk
>>263
お珠かわいいよお珠

リアルタイムGJ
この後の展開がダークな方向にしか想像できませんw
265名無しさん@ピンキー:2005/08/22(月) 22:21:27 ID:Ch24UnH6
GJ!
266名無しさん@ピンキー:2005/08/22(月) 22:31:46 ID:JIyQcwC5
以前、「君が想うこと」を書かせていただいた者です
>>263
GJです!すごくいい感じなのに震えが止まらないのは、なぜでしょうか……(ぁ

で、新作を書こうと思うのですが、わたしは翼くんスキーなので翼くんSSにしようと思っています。
ただ、誰と絡ませればいいか思い付かなくて…orz
皆さん、案をお願いします(切実)
267名無しさん@ピンキー:2005/08/22(月) 22:48:42 ID:S+IhiGSA
無難にみっちゃん
268名無しさん@ピンキー:2005/08/22(月) 22:51:25 ID:1Y12+FBe
と、フェイントを掛けつつさっちゃん
269名無しさん@ピンキー:2005/08/22(月) 22:54:47 ID:WmdcYMug
つ「朝美」
270ココナッツムーン ◆YP5KAYH.gg :2005/08/22(月) 22:57:06 ID:cvWBrybg
>>263
GJ
こうして見ると珠も可愛いですね。いや、物凄く可愛いですけど白鳥クンの理性の壁と童貞が心配です。


>>テイル氏
田舎は作中にも登場した大分県津久見市です。今は福岡市民ですが。
次回投下分は萌えられるものにしたいですね。紀行文書きではありませんので。
271名無しさん@ピンキー:2005/08/22(月) 23:55:15 ID:k7zp1VGn
>>266
ホモスキー、釘バットとの3P。
272テイル ◆5zZRlb1law :2005/08/23(火) 01:15:15 ID:Prka5COc
おばんですー。屍姫面白いよまったく。
無駄な長編を書こうとして今更になって後悔してる俺が来ましたよorz

>>263
スゲェ続きが気になります……VGJ!珠実……くるなぁw
誰か、この珠実のイラスト描いてくれ……

>>266
無難にみっちゃんか、あるいは釘バットで。
ちなみにみっちゃんネタは私も書く予定ありだったり。未定ですけど。
誰かが……誰かさんが……あれの続きを書いてくれないから…………恨m(ry

「灰色の眼」さっさと終わらせます。今回は千百合となっちんについてですね。
前に関しては>>48-60を参照の事。

……何か、違うような希ガス……まあいいか、修正版うpすればいいだけ(PAM
では、投下開始。
273灰色の眼(18):2005/08/23(火) 01:17:46 ID:Prka5COc
3.


梢の多重人格が発症してから、鳴滝荘の空気は変わった。
一応、相続の話は全て梢の両親が引き受ける事になり、ビル建設の話も立ち消えになった。
そして、梢。
医者にも診てもらったが、治療する方法は分からなかった。
ただ。
梢を診た医者はこう言った。
「両親の喧嘩は、子供にも多大な影響を及ぼします。
 あまり、子供の前で喧嘩をしないように心掛けて下さい」
両親は、その言葉を、何度も噛みしめていた。
自分達に責任があると、受け止めているようだった。

もっとも。
梢には、さほど心配された症状は見えなかった。
本人は、多重人格である事を自覚していないようだった。
医者が言うには、「恐らく自己防衛の一種だろう」とか。
医学に疎かったので、納得するしかなかった。

赤坂早紀。
金沢魚子。
梢に、新たに生まれた「人格」。
それぞれ、独立した人間。
だが。
それでも、梢は梢だった。
それは、不幸中の幸いとでも言うべきだろう。
そういう経緯もあって、両親の喧嘩も無くなり。
梢にも、徐々にいつもの笑顔が戻ってきた。
家族と、好きな人達と、一緒に笑顔で過ごす事。
それが、梢にとっての、幸せなのだろう。

そうこうしているうちに、鳴滝荘に黒埼親子がやってきて、梢の親友である珠実もやってきて。
時はあっという間に流れて、4年前。
梢が、中学二年になろうかという頃。
274灰色の眼(19):2005/08/23(火) 01:18:27 ID:Prka5COc
ある日の事。
梢の両親が、亡くなった。
交通事故。
明らかに、相手方に過失が認められる事故だった。

両親の死。
それは、いつかのご隠居の死よりも重いものだった。
血の繋がった、家族の死。
とうとう、梢は独りぼっちになってしまった。

しかし、梢の不幸は、これだけにとどまらなかった。

両親の死後、損害賠償等を含めた裁判が待っていた。
学校もろくに行けず、鳴滝荘と東京地裁とを往復する日々。
一応、保護者として俺も付いていった。
そこで、梢は、ずっと黙ったままだった。
周りは、黒。
裁判官。
弁護士。
検察官。
廷吏。
みんな、黒衣。
黒。
黒。
くろ、クロ、黒。
事務的な、冷たい言葉の数々。
梢の気持ちを察せない裁判官。
加害者を弁護するしか能の無い弁護士。
加害者を徹底的に叩く検察官。
無言の廷吏。
梢は、終始無言だった。
何かを、察したようだった。
何かに、怯えているようだった。
俺は、梢の頭を撫でてやることしか、出来なかった。

そして、もうひとつ。

鳴滝荘。
この土地の処遇について、また一波乱があった。
275灰色の眼(20):2005/08/23(火) 01:19:55 ID:Prka5COc
まだ中学二年生。
右も左も分からない、梢をよそに、相続の話が進んでいった。
民法では、遺産のほとんどを梢が引き受ける事が出来る。
しかし、まだ13歳の梢は、それを知らなかった。
それをいいことに、親戚達は勝手に話を進めていった。
しかも、どこの畑の者かも知れない人間まで話に割ってきたから、大変だった。
最早、無法地帯と化していた。

財産の処分開始の日。
物置にある骨董品を運び出す作業を始める親戚達に、梢が立ち向かった。

「やめて!」

「おじいちゃんの宝物を持って行かないで!」

「どうして、私の話を聞かないの?」

「どうして、勝手に片付けるの?」

「お願いだから、やめてよ…………」

「やめて…………」

それは、沈黙を続けていた梢の、心の叫びだった。
一人だけ。
孤独なのに。
一人で、大人に立ち向かった。
あるいは。
それが彼女の「反抗期」だったのだろうか。
梢の涙の抵抗も空しく。
梢は、突き飛ばされ。
無視され。
荷物が、運び出されて―――――――

そして。
「あの病気」が、再び梢を襲った。

今回も。
二人、「生まれた」。

但し。
片方の女の子の名前が、分からなかった。
276灰色の眼(21):2005/08/23(火) 01:21:08 ID:Prka5COc
何故か、無口。
いつか、裁判所での梢がそうであったかのように。
俺や、朝美達の呼び掛けにも応じず。
一人で、部屋に籠るようになった。
髪の毛をツインテールに結んだ、紺色の瞳の女の子。
彼女は。
彼女は一体、何者だろうか。

そして。
もう一人。

彼女が「生まれた」その日も、遺産処分で多くの親戚がやってきていた。
親戚にも無視され続けた梢は、ふとした事で、倒れてしまった。
貧血でも起こしたか。
そう思った俺は、梢を部屋に連れて行った。
そして。

「うーん…………」
「気付いたか、こz…………」
「…………あなたは」

「あなたは、誰ですか?」

「…………」
新しい「彼女」だ。
そう、確信した。
緑色。
穏やかで、明るい緑色の瞳。
梢ではない。
では、誰だ。
「…………俺か。俺は、灰原由起夫だ。君は?」
「……千百合。緑川千百合と言います」

梢の四番目の人格。
緑川千百合。

それは、今までの「彼女達」とは明らかに違った。
普通。
梢と変わらない、大人しい性格。
まるで、二人目の梢が生まれたかと、錯覚するような感じ。
違う所と言えば、口調が丁寧なぐらいか。
それ以外は、全てが梢そのままだった。
277灰色の眼(22):2005/08/23(火) 01:21:51 ID:Prka5COc
梢の度々の多重人格の発症は、良い意味でも悪い意味でも、大きな影響を残した。
良い意味。
鳴滝荘を始め、全ての遺産を梢に残す事が決まった。
肉親を失い、さらには多重人格という病気も抱えている梢に、多くのお金を残そうという配慮からだった。
何とも、皮肉。
俺は、そうとしか思えなかった。
「病気だから」。
それが、梢を無視し続けた親戚達の、出した答え。
余りにも、ご都合主義だった。
それでも、鳴滝荘がそのまま残ったのだから、それは良かったのだろう。
俺達住人にも、そして、梢にとっても。

しかし。
悪い意味。
これが、いけなかった。
千百合の性格を変えてしまうほどの、影響を及ぼした。

親戚達に話しかけようとする千百合を、親戚達の多くは無視した。
多重人格はひどい病気だ。
先入観。
大多数は、本体である梢と、彼女達の存在を、忌み嫌っていた。
あるいは、梢を、性的な眼でしか見なかった。

「お譲ちゃん、おじちゃんと一緒に遊ばない?」
「ちょ、ちょっと、やめてください!」
「いいじゃないか〜」

そう話しかける眼は、明らかに身体を狙っていた。
無視されるか、弄ばれるか。
これが、大人しい千百合にショックを与えた。

そして。
あの日。
庭で遊んでいた朝美に、千百合が話し掛けた。
「朝美ちゃん、ちょっとこっちに来てくれる?」
「?なあに、千百合お姉ちゃん?」
朝美は、多重人格の賜物であるにも関らず、千百合を、千百合として認識していた。
それが、まずかったかもしれない。

「キャーーーーーーーーー!!」
「ふう、Correct!」

次の瞬間。
朝美は、巫女の衣装を着ていた。
そう。
千百合が、「服飾」に走った瞬間だった――――――

278灰色の眼(23):2005/08/23(火) 01:23:06 ID:Prka5COc



「…………」
「…………」
「…………千百合ちゃんって、最初は普通の子だったんですか…………?」
「ああ、そうだ」
「全然、イメージが違いますね……」
「俺も、コスプレに走った瞬間には驚いた。全く、何をしでかしたかと思ったら……」
千百合ちゃんも、梢ちゃんに勝るとも劣らないほど、酷い扱いだったのか…………
今なら、分かる。
あの言葉。

「男は下半身でモノを考える、ガサツで卑しい生き物です!」

あれは。
千百合ちゃんの、実体験だったんだ。
だからこそ。
あそこまで、きっぱりと言い切った。

「そして、棗。アイツに関しては、お前がやってくるまで名前が分からなくてナ…………
 全く、お前って奴は、凄いんだかどうなんだか……」
「棗ちゃんって、いつも一人になっていたんですか?」
「ああ、どうも、『一人になりたい』という面が、棗を生んだようだ。
 もっとも、俺は棗をあまり良く理解していないから、あまりうまく言えないがナ」
「そうですか……」
棗ちゃん。
一人。
一人に、なりたかった。
周囲を、拒絶した。
接触を、拒んだ。
静かな時を、過ごしたかったのだろうか。

……だったら。
そうなら。

「でも」
僕は、そこで、頭に浮かんでいた疑問を灰原さんに言った。
「早紀ちゃんや魚子ちゃんはともかく、千百合ちゃんは何故『生まれた』んですか?」
279灰色の眼(24):2005/08/23(火) 01:23:56 ID:Prka5COc
そう。
早紀ちゃん達には、必然性がある。
早紀ちゃん――――反抗。
魚子ちゃん――――思い出。
棗ちゃん―――――一人になりたい。

では。
では、千百合ちゃんは?
今の話からだと―――千百合ちゃんに、必然性が、ない。
千百合ちゃんの存在に、理由が、ない。
そして、服飾の理由も。

「……俺も、分からないが」
灰原さんは、静かに呟いた。
「梢は、話し相手が欲しかったのかもしれない」
「……話し相手?」
「ああ。二人きりで、語り合える、友達がな」
「……話し相手だったら、珠実ちゃんがいるじゃないですか」
「珠実か。珠実に関しては例外だろうが…………あの頃は、少し事情が違ってナ。
 あの時、棗と千百合が生まれた時に初めて、梢が多重人格である事を知ったんだ」
あの時。
あの時に。
それは、また、大変だ。
「その病気を知った珠実は、最初はそれは戸惑ったさ。でも、すぐに乗り越えた。
 あいつは、梢だけでなく、その他の人格―――早紀や魚子達とも、親友として付き合うと誓ったんだ」
「親友……」
「あいつから、話は聞いているダロ?『全てを捧げる』とでも。
 あいつは―――――そういう奴だから」
そうか。
だからこその―――あの覚悟だったのか。
梢ちゃんが、どうして多重人格になったのか。
それを知る、目撃者だったから。
あんな覚悟を、僕に言ったのか。

僕には、そんな覚悟はない。

でも。

梢ちゃんの、側に、いたい。
280灰色の眼(25):2005/08/23(火) 01:24:44 ID:Prka5COc
「そして、千百合の服飾。あれは、自己顕示だと思う」
「自己顕示―――――ですか?」
「ああ。周りに無視され続けた千百合が、気を引こうと、自分なりに考えた結果だろう」
「…………」
そう考えると、あれも重い意味があったんだな…………
千百合ちゃんのイメージが、随分崩れてきた。
ともかく、これで、梢ちゃんに関する大体の情報は揃ってきた。
でも。
「彼女」の影が、まったく見えてこない。
「―――灰原さん」
「なんダ」

「灰色の眼をした、梢ちゃんを、見た事がありますか?」

「―――灰色?」
灰原さんは、「灰色」という言葉に反応した。
「灰色の梢ってのを、見たのか?」
「―――ええ、そうですけど」

僕は、「彼女」に出会った経緯を話した。
深夜。
歌。
優しい笑顔。
悲しそうな、瞳。
281灰色の眼(26):2005/08/23(火) 01:26:13 ID:Prka5COc
「灰色…………」
灰原さんは、ブツブツ呟いて。
頭を、ボリボリと掻いて。
「…………残念だが、俺にも心当たりが無い。第一、あの梢が真夜中に出歩くなんて、信じられないナ。
 そいつ、梢ってコトは無いんだな?」
「ええ、それは間違いありません」
「でなければ、六番目の人格って事になるのか…………?
 一体、今の梢に、何が起こっているって言うんだ…………」
そう。
今の梢ちゃんは、何が起こっているか、予測も見当もつかない。
時々、有り得ない事を口にするようになった。
分からない。
世の中、八方塞。
だったら。
もう一人、訊いてみるか。
「…………ありがとうございました、灰原さん」
「いや、俺なんて梢に何もしてやれなかったんだ。むしろ俺が感謝するべきだ」
「そんなことはありませんよ、灰原さん」
そうして、僕は灰原さんの部屋を出ることにした。
ドアの前に立って。
「―――そうだ、灰原さん、最後に一つ」
僕は、灰原さんに振り向いた。
「なんダ」
「灰原さんの職業って、何ですか?」
「…………」
灰原さんは、ジョニーを前に出して。
相変わらずの、ポーカーフェイスで。
僕に、応えた。
「それは秘密です」
「スナドリネコさんですかあなたは」
あの人も謎だらけだったか………いや、動物だけど。
「男は秘密を作って渋くなるんだ」
「本当ですかそれ」
「いや知らん」
ビューティフル・ドリーマー灰原。
なんちゃって。

282灰色の眼(27):2005/08/23(火) 01:27:15 ID:Prka5COc



「……どうしたものかねぇ」
俺は、縁側で、ぽつりと、呟いた。
「まだ当分は、コイツも手放せないナ…………」
そう。
俺がコイツを付けているのも、あの事件があったから。
梢が、あんなことになったから。
そして、今、梢はまた変わろうとしている。
鍵となるのは、白鳥。
アイツが、どう動くか。
「――――お前にかかっているんだぞ、白鳥」
初夏の青空は、梢の髪の色を髣髴とさせる、綺麗な青色だった。
穢れ無き、蒼。

「――――あれ、バラさん」
この声は。
「――――恵か」
「バラさん、お昼はどうすんの?」
そういえば、もうそんな頃合か。
確かに腹が減ってきた。
「――――何か作るか」
「そうね。アタシも手伝うわよ」
「―――サンキュな」
「どうしたのバラさん、ちょっと変よ?」
恵は、ちょっと心配した表情だった。
…………俺が、変、か…………
「――――何でもないゼ。コイツ、最近胃の調子がおかしくてナ」
……とりあえず、切り札を切った。
283灰色の眼(28):2005/08/23(火) 01:27:54 ID:Prka5COc
4.


桃乃さんお手製のお昼ご飯を食べて、僕は電話を掛けていた。
管理人室の横。
プッシュ式の電話。
一番最初に記憶した電話番号。
一番、馴染んでいる。

Prrrrrrr.......Prrrrrrr.......

がちゃ。

『はい、白鳥ですが』
「あ、母さん?隆士だけど」
『あら、こんな時間に珍しいわね。学校は?』
「今日は休講日。ところで、訊きたい事があるんだけど」
『何かしら。私に答えられる事であれば』
「梢ちゃんの事なんだけど」
『…………』
止まった。
動揺しているようだ。
…………動揺?
何か、知っている?
『……梢ちゃんの、何が、知りたいの?』
「梢ちゃんの、病気について」
『…………』
「母さんは、梢ちゃんの事を知ってて、あえて僕に鳴滝荘を紹介したの?」
『…………正直に言うとね』
母さんは、静かに切り出した。
『梢ちゃんの病気の事は、忘れてたの』
「忘れてた……?」
そんな―――まさか。
親戚の一大事を、よもや忘れていたって言うのか?
284灰色の眼(29):2005/08/23(火) 01:28:37 ID:Prka5COc
『ご両親亡くなられた後、梢ちゃんは、施設に預けられたと聞いていたから。
 その後、別のいとこが大家を引き継いだって聞いたの……
 でも、まさかあの子が大家をやっていたなんて……』
「そんな――――嘘だ」
『嘘じゃない、信じて、隆士』
母さんの声が強張っている。
今にも、泣いてしまいそうな感じだった。
泣きたいのは僕の方だった。
「梢ちゃんは――――親戚達に振り回された挙句、多重人格という重い病気になったんだよ。
 それを、忘れていたなんて、どういうつもりなんだよ?」
『違うの、私は、あの子を――――』
「何が違うって言うんだ!」
僕は、怒鳴って、電話を切っていた。
受話器が、がちゃりと、大きな音を立てた。
言い訳は、聞きたくなかった。
「…………なんて」
なんて、ご都合主義。
僕は、壁にもたれかかって、そのまま、しゃがみ込んだ。

梢ちゃんは、大人達の勝手な都合で振り回され、あの病気になった。
だけど。
皮肉にも、そのご都合主義で、僕は、梢ちゃんに出会った。
大切な人に出会った。
梢ちゃんと、『彼女達』と、恋人同士になった。
心から、怒る事は、出来なかった。
遣る瀬無さだけが、心を支配した。

どれだけの時間が経っただろう。
「――――隆ちゃん?」
この声。
馴染みのある、この声。
頭を上げると。

「―――どうしたのですか、隆ちゃん」
285灰色の眼(30):2005/08/23(火) 01:29:46 ID:Prka5COc
千百合ちゃんが、そこに、いた。
学校から帰って来たのだろうか。
「―――ちゆり、ちゃ」
千百合ちゃん。
過去。
孤独。
服飾。
「泣いているのですか?」
泣いている?
なんだ、それは。
頬に触れると、確かに、僕は泣いていた。
どれだけ泣いていたのだろうか。
見当も、つかない。
「――――僕は、無力だ」
誰ともなしに、呟いていた。
「僕は、無力で、非力で、千百合ちゃんの、事も、何も、知らなくt――――!!?」

ぬくもり。
大切な人の、ぬくもり。

あたたかい。

抱きしめられていた。
廊下にしゃがみ込んでいる、僕を。
千百合ちゃんが、僕を、優しく抱いていた。

「――――大丈夫ですよ、隆ちゃん」
「……千百合、ちゃ」
声が、震えている。
震えて、いる。
「隆ちゃんは、私の、大切な人。だから、泣かないで。
 隆ちゃんが、悲しむ理由なんて、無いのだから」

「隆ちゃんがいるおかげで――――私は、幸せだから」

「―――千百合ちゃん」
僕は、千百合ちゃんの肩に、手を回していた。
この、温もりが欲しくて。
ほら、僕は無力だ。
でも。
千百合ちゃんは、こうして、幸せだ。
だったら。

この幸せを、手放さないように、努力しないといけない―――――――
それが、今、僕がしなくてはいけない事。


でも。
僕は、後に知る事となる。

この幸せが、脆くも終わってしまう事を――――――――

286灰色の眼(31):2005/08/23(火) 01:30:41 ID:Prka5COc
5.


大人達が、何か難しい話をしている。
お父さん達もいる。
でも。
それが、段々言い争いになって、喧嘩になって、殴り合いになって。

「やめて!」
私は、叫んでいた。
「もう、けんかしないで!」
争うのは、見たくなかった。
悲しくて、辛くて。
「おじいちゃんがしんじゃったのに、どうしてみんなけんかするの!」
大人は、おじいちゃんが死んで、悲しくないの?
どうして、大人は、喧嘩ばかりなの?
嫌だ。
嫌だよ。
「かなしいよ……」
私は、おじいちゃんが死んで、悲しいのに。
どうして。
どうして――――――

でも。
「うるさい!!」
その言葉で、私は、突き飛ばされて―――――


「―――――!!」
そこで、私は、起きていた。
そこは、私の部屋。
「―――また、あの、夢―――」
汗を、たくさん、かいていた。
そして。
もう夏だというのに、妙に、寒気がした。
「―――――隆士、さん―――――」
無意識に、あの人の、名前を、呟いていた。
あの人の、温もりが、欲しくなって――――――

妙な、予感があった。
自分の中で、何かが変わりつつある、と。
それが何かは、分からなかった。
287テイル ◆5zZRlb1law :2005/08/23(火) 01:37:44 ID:Prka5COc
というわけで、「灰色の眼」でした。
最早「私説まほらば」状態です。ほとんど自分の勝手な解釈によって書いています。

結局、灰色の眼の梢ちゃん?は誰だったのか?
それは、また、後の話…………
「あの作品」を読まれた方なら、オチが見えていると思いますが……

さて。
それぞれの人格解釈は、こんなところでしょうかね……
千百合ちゃんに関しては、どうも微妙なトコですが、その辺は勘弁してください。
これで、出していないのは、なっちんと早紀ちゃん……
まあ、彼女達には見せ場を作っておくので、ご安心あれ。

次回、「線香花火」(一応仮)イメージは9月号表紙で。
丁度良い素材が…………

最近、自分は何やってるんだろうと思うことがあります。
まあ、物書きとはこういう物なのかと半ば諦めています。
では、テイルでした。
288ぐうたら ◆7b9DL4hJvA :2005/08/23(火) 01:49:27 ID:GF9CF0TC
と、とりあえずその「誰かさん」っぽい人が来ましたよー
Happydaysの続編はMLLが終わり次第取り掛かりますヨ。
次にThe last moment を連載していたころから考えていたSSを書く予定。
そこまで書くと一応完全にネタを出し切っちゃいます。
まずは目の前の課題だ。さあガンバロウ夜が明ける前に。

最後に一つ…二つ。
二十五話の珠ちゃんの胸がやたら大きいですな。

今、自分の中でスキャットマンがマジで熱い
289266:2005/08/23(火) 01:58:16 ID:AKzaQkV+
釘バット2票、みっちゃん2票ですね…みっちゃんは本家でなにか進展があるでしょうから、釘バットで書いてみますね〜

>>271
18禁は書けません…
いや…彼氏にフラれたばっかりでして…流石に18禁モノなんか書いたら壊れますよ……わたしがorz

あと、コテ付けてみようかな…とか思ったわけですが……………まぁいいや、めんどくさいし……ってことで執筆開始しますね〜
290ぐうたら ◆7b9DL4hJvA :2005/08/23(火) 02:39:50 ID:GF9CF0TC
……………修羅場ってるときばかりにネタが湧き出ます。ぐうたらです。
基本SSを書くときはタイトルが先に浮かぶんですよ。
そのタイトルにあうキャラを決めてそのあとにストーリーを…と。
それの現象がまた起こりました。
湧き出ましたよタイトル…2本。
またネタが増えた。ふーえたぁぁぁぁぁぁ…

>>289
じょ、女性!?
このスレに女性がいたのか…恐るべし、まほらばスレ。

課題が終わらずカッとry
二レス分ほどHappydaysの続編を投下します。
ちなみにまだ名称未定です。
それでは投下ー
2911/2:2005/08/23(火) 02:40:33 ID:GF9CF0TC
授業中、移動教室の移動中、各休み時間と、今日の三千代は浮かれっぱなしだった。
「みっちゃん、今日は楽しそうだね?どうしたの?」
一日の授業が終わり、終始浮かれっぱなしの三千代に朝美は問いかけた。
「え?楽しそう?そう見えますかクロスケさん?」
「うん!授業中もずーーっとニッコニコしてたよ!」
「ホンマ、気味悪ぅなるくらいにな」
「お、オーッホッホッホ!べっつに、楽しくなんかありませんわよー!!……えへへ…」
いつもの高飛車な笑い…のあとに、ふにゃあと柔らかい笑みがこぼれる。
「「(やっぱり楽しそう……)」」
同時に同じことを思う二人の少女。
「そう!別に楽しくなんか!(えへー)ちっとも楽しくなんかないですわ!(にへ〜)」
「わろとる、わろとるて」
少女のツッコミも意に介さない風に、くるくると回る三千代。
「朝美、もう帰ろか?」
「あ、うん。そうだね。みっちゃん、帰ろう?」
「あ、私、今日は予定がありますの!残念ですが今日はお二人で帰ってくださいまし〜」
そういうと、一人でふらふらと教室をあとする三千代。
「みっちゃん…一人で帰るなんて珍しいね。ねえさっちゃん?」
「そやな……あやしい、な」
「え?」
「考えてもみぃや朝美。あの天下一の寂しがり屋がまさか自分から朝美の誘いを断るなんて…狂気の沙汰としか思えへんて」
「そ…そうかなぁ?」
「そーや。こりゃ間違いなくなんかあるで…よし、尾けるで」
「ええ!?」
「気になるやんか。大丈夫や。さっきの浮かれようじゃ見つかりっこあらへんよ」
「そうなの…かなぁ…」
「よーし、行くで!」
ぐいっと朝美の手を引っ張って、三千代の後を追いかける少女。
「わわっ!?ちょっとさっちゃ〜ん!!」
引っ張られた朝美はぶんぶん振り回されながらも学校を飛び出したのだった。
2922/2:2005/08/23(火) 02:41:13 ID:GF9CF0TC
ほとんどスキップと言った方が適切なほどの浮かれた足取りで、三千代は歩いていた。
そしてその後を少女と朝美が尾行していた。
「みっちゃん…ホントに嬉しそうだね…」
「せやなぁ…あーあ、あんなに浮かれよって…車にでも轢かれてまうで…」
危なげな足取りで、三千代はあっという間に公園に着いた。
「おっ、公園に入ったで」
「ね、ねえ…もう止めない?みっちゃんに悪いよぅ…」
「何言うとんねん朝美。アイツもたまにうちらのこと尾けよるやん。たまにはうちらが尾けてもバチはあたらへんやろ」
「もぅ、さっちゃんたら…」

公園のいつもの場所で、三千代は立ち止まった。
それからそわそわとし始めた。
「あっっっっっっっやしいなぁ〜〜〜……」
「私達も充分怪しいと思うけどなぁ…」
「気にしたら負けやで、朝美」
誰に負けるの?朝美は思った。

数分後、三千代の待ち人が来た。
あの青年だ。
「よ」
「よ…よ、ですの……」
相も変わらずのぎこちない返事。

「な!?年上…っちゅーかもうあれ大学生くらいやろ!?なっや、あいつ年上が好みなんかいな?」
「あ、あの人…」
「?知っとるんか?」
「うん、前に二回鳴滝荘にお兄ちゃんと遊びに来てた人だと思うよ。
 二回目は…さっちゃんとみっちゃんも一緒に居たときだよ」
「ん〜……ああ、あのごっつ人が多かった時か。そういやおったかもなぁ…」
「一回目は……結構前かなぁ…お母さんとか桃乃さんに飛びついてたよ」
「!?おいおい、それって朝美もヤバかったんちゃうか?」
「私?私には……『ツルペタには興味ない』とかって。」
「な!!?なんじゃそら、最低野郎やないか!あいつが危ない、行くで朝美!あの男をあいつから引き離すんや!」
「あ、待ってさっちゃん!」
「なんやねん?」
「あの人…前とはなんか雰囲気が違う感じがするんだ…」
「雰囲気?」
「うん、なんか…優しい…暖かい感じがするの」
「………ふう、ま、朝美が言うなら、信じとくか。よし、尾行再開や!」
「あ、ねえねえさっちゃん」
「つるぺたってなぁに?」
「…・・・・・・朝美はまだ知らんでええよ」
優しく、でもどこか悲しげに少女は微笑んだ。
293簡易版アトガキジゴク:2005/08/23(火) 02:42:47 ID:GF9CF0TC
今回はコレまで。
次の投下は元凶編Bパートです。
終末編、Happydays続き、諸々…
誤字脱字はお知らせください。
忙しいィィィィィィィィィィィィィィ!!!
294終わりの始まりの人:2005/08/23(火) 02:47:55 ID:Am2ywJ9d
お珠のダーク展開と、凛々しい白鳥が…。
とか、MLながらからカキコしたりして。
とりあえずエロール×みっちゃん希望。


ウワァァァン、関西は台風かよっ!
295終わりの始まりの人:2005/08/23(火) 02:55:43 ID:Am2ywJ9d
とかいったらキテター!
いぁ、続き希望!
296NACA:2005/08/23(火) 03:03:54 ID:iNwJ/RKL
先日初カキコしたNACAです。
とりあえず始めの方だけUPします。
感想ありましたらご自由にどぞ、拙い文ですがお楽しみください

「あの頃の思い出」

ここは日本の首都、東京でありながら、かなり古風なつくりのアパート鳴滝荘

今日もここでの時間はゆっくり流れていきます・・・

そんなある土曜日の朝・・・

棗「隆士君・・・おはよう・・・・・かも・・」

白「あれ?もしかして棗ちゃん?」

棗「うん・・棗ちゃん・・かも・(ぽん)・朝から隆士君に会えて・・とっても嬉しい・・・・かも」

(ぽんぽんぽんぽんぽん)

よほど嬉しいのか顔を真っ赤にしながら花を飛び出させる棗

白「うん!僕もすごく嬉しいよ・・・」

と自分で言っておきながら真っ赤な顔になる白鳥   こんなところも相変わらずである

そんな感じでしばらくして、棗が何かに気づく

棗「隆士君・・もしかして・・・どこかに・おでかけするの?・・かも」

白「あっ、今日は今度の絵本に使おうと思ってる画材を探そうと思ってね、画材屋やデパート辺りを

  探して回ろうと思ってるんだ」

棗「隆士君の絵本・・・私・・大好き・・・かも・・完成したら・読ませて欲しい・・・・かも」

白「うん!約束するよ、それじゃあ夕飯前には帰ってくるから」
297NACA:2005/08/23(火) 03:06:53 ID:iNwJ/RKL
そう言って玄関に向かおうとした白鳥だったが、着ていたコートの端を引かれて少し体勢を崩す

白「???どうしたの?棗ちゃん?」

棗「・・・っ・・・・に・・・・・・・かも・・・・・」

白「・・・・・・もしかして一緒に行きたいの?」

白鳥も何度も棗に会っているせいか、こういう時に棗が何を思っているのか、なんとなくだが

わかるようになってきたらしい、ので自分のほうからそう切り出してみた

棗は、はっとなりながらも、こくっと頷いた (ぽん)

棗「・・でも・私なんかが・・ついていっても・・・邪魔にしか・・ならない・・・かも・(しお〜)」

白「そんなことないよ!僕のほうからお願いしたい位だよ!一緒に行こう棗ちゃん」

棗「ほう・・・(ぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽ)」

白(あんなにいっぱいの花をどこに用意してるのかな???不思議だ)

棗「・・・じゃあ・・私着替えて・・準備してくる・・かも・・待っててくれる・・・かも」

白「もちろん」

そう言うと、とととっと管理人室に小走りしていく棗


そんなふたりのやりとりを少し離れたところで見つめている人物が一人・・・・・
298NACA:2005/08/23(火) 03:08:35 ID:iNwJ/RKL
そうしてしばらくして外出用に着替えた棗が戻ってくる

棗「おまたせ・・かも・・」

白「それじゃあ改めて・・・行こうか、棗ちゃん」

棗「・・・・手・・・繋いで・・・欲しい・・・・・いい・・・かも?」

白「えっ・・・うん・・・いいよ棗ちゃん」

二人はやっぱり顔を真っ赤にしながら、しかし、しっかりと繋いで鳴滝荘を後にした・・・・・
299名無しさん@ピンキー:2005/08/23(火) 09:07:52 ID:gi5yslYE
なっちんのお出かけカワイイ。

灰色の梢さんはなんか難しいお話でした。
300ヘブン ◆1fPWtvDjaQ :2005/08/23(火) 09:24:43 ID:t5W5afWE
>>294
ウワァァァン、直撃だよぉぉぉぉぉ

>>287
GJッス
そう言う解釈も有りだと思いますよ
301名無しさん@ピンキー:2005/08/23(火) 09:35:46 ID:YtxUJi7m
セリフの前に名前入れるのやめれ。
302名無しさん@ピンキー:2005/08/23(火) 11:02:52 ID:iV9E/hd2
>296
……極上生徒会というアニメに聞き覚えはないか?
303名無しさん@ピンキー:2005/08/23(火) 17:22:33 ID:zfNi9xON
さて…昨日の続きです。
ダークな展開ではありませんよ。
304Photo-Rait:2005/08/23(火) 17:23:48 ID:zfNi9xON
珠実ちゃんには目的地があったらしく、僕たちは電車に揺られていた。

日曜と言っても利用客が多いのか、電車の中は満員状態だった。
僕と珠実ちゃんは押し込められるようにドアの脇のスペースに押し込められて体を密着させている。
「きょ、今日はやけに混んでるね」
「そうですねぇ〜」
混雑状況のせいで図らずも珠実ちゃんを胸に抱くような格好になり、僕はすっかり緊張していた。
そんな心境を知って知らずか、珠実ちゃんは僕の顔を覗き込んでくる。
あまり近づきすぎると珠実ちゃんを押しつぶすような格好になるため僕は頑張って突っ張っていた。
「白鳥さん〜、無理しないでもうちょっとこっち来てもいいですよ?」
「え、でもそんなにくっついたら悪いし…」
「私は構いませんよ〜?」
なんだかやたらに積極的な珠実ちゃんは僕を誘うように僕の胸に顔を埋めてきた。
「ちょ、ちょっと、珠実ちゃん!?」
「し〜っ。 静かに」
「で、でも…でも…!」
「こうすればもっと白鳥さんのことを感じられますから」
「…〜〜〜っ!?」
本気で恋人を思わせるような珠実ちゃんの甘い言動と行動が僕を惑わす。
まるで魚子ちゃんを思わせるような珠実ちゃんの積極アタックにただただ翻弄されるだけだった。

「ふ〜…」
ようやく目的地の駅に着き、僕たちは満員電車から解放された。
と同時に珠実ちゃんの積極アタックからも解放されると思ったけど、繋いだ腕は掴んだままだった。
「どうも満員電車って苦手だよ…」
「あんまり得意な人はいないと思いますよ。 私はもうちょっとああしていたかったですけどね〜」
「た、珠実ちゃん…。 も〜、からかわないでよ」
「からかってなんていないです〜♪」
にこにこと上機嫌な珠実ちゃんはどこまで本気なのかわからない。
彼女の言動、行動はまさしく本物の恋人のような錯覚を覚えさせた。
狐につままれるとはこういうことなんだろうか…。
305Photo-Rait:2005/08/23(火) 17:25:07 ID:zfNi9xON
「それじゃ白鳥さん、行きましょう〜」
「うん。 って、どこにいくの?」
「ああ、言ってませんでしたか。 大型のカメラ専門店です〜」
「なるほど…。 今日はそれを見に来たんだ」
「そういうことです〜」
このあたりは不案内なので珠実ちゃんが先導するように手を引いて歩いていた。
大きな電気店がひしめき合い、独特の雰囲気を醸し出している。
「珠実ちゃんはこの辺よく来るの?」
「よくってほどではないですけど、時々は足を運んでますよ。 ここです〜」
「あっ、うん」
僕も彼女のカメラには何度かさんざんな目にあったけど、そのことはあまり気にならなかった。
いや、むしろ初めてみせられる彼女の普段とは違った一面に僕はだんだん興味を持ち始めていた。

「う〜ん、また新型が出てますねぇ…」
店に入った彼女は迷うことなくお目当てのコーナーにやってくるとショーケースとカタログ相手ににらめっこを始めた。
僕も真似して、展示されているものを見たけど形の違いくらいしかわからなかった。
ただ一つ言えることは、思っていたより値段が一桁多いことだった。
(こ、こんな一見何の変哲もないレンズだけで20万って…)
僕が予想していたよりも遙かに高い価格帯のものがいくつもあり、驚きを隠せない。
「初めて見る人はびっくりするかもしれませんね〜」
「あっ、やっぱりそうなの…?」
「最初はみんな値段による差がわからないものなんですよ」
珠実ちゃんは不思議がる僕に簡単に説明してくれた。
と言っても専門的なことはよくわからないからかいつまんでだけど。
「ざっくばらんに言えば、それだけ写真写りに差が出るってことですね」
「ふ〜ん、なるほど…」
「もちろん、高ければいいってものじゃないですけど〜」
正直、細かいことはよくわからなかったけどものによって違いが出る、ということらしい。
紙や画材もメーカーによって癖があり、描く感じが変わるのと同じことなんだろう。
「そういうことです〜」
僕に説明しながらも珠実ちゃんは陳列されているカメラを見比べている。
熱心に思案する珠実ちゃんの姿はとても新鮮に感じられた。

306Photo-Rait:2005/08/23(火) 17:26:38 ID:zfNi9xON
「珠実ちゃんって、写真好きだよね」
「ん〜…写真好きとはちょっと違いますね〜」
「えっ…?」
珠実ちゃんは僕の方に向き直ることもなく、淡々とその理由を語ってくれた。
「写真はその一瞬を切り取っておけるから、ですかね」
「一瞬…?」
「楽しいときも嬉しいときも…辛いときも写真はその瞬間を切り取って残すことが出来ます」
「切り取って残す…」
「そのかけがえのない一瞬が思い出になりますから…でも、人の記憶は移ろいやすいものです」
「だから、写真に残しておくってこと?」
「そうです…記憶は意外と曖昧なもので月日が経つほど歪曲したり捏造したりします。 その点、写真は嘘をつきませんから」
「なるほど…」
「だから私はたくさんの思い出を忘れないように、こうやって写真に納めてるんです」
前に珠実ちゃんは似たようなことを言っていたことを思い出した。
あの世に持っていけるのは思い出だけ…そのときは冗談とも思えたけど今なら本心だとわかる。
「…私たちはいつまでこうやって一緒の思い出を刻んでいくことができるんでしょうね」
どこか物憂げにぽつりと呟く珠実ちゃん。
僕はその横顔にどことなく儚さと寂しさを感じていた。


結局、これと言ってめぼしいものを見つけられなかった珠実ちゃんはそのまま店をあとにした。
今回は特に欲しいものがあってきたわけじゃないからあまり気にしていないらしい。
(よかった…あんなもの買って欲しいなんて言われたらたまったもんじゃないよ…)
僕は内心安堵の息をこぼしていた。
今日の珠実ちゃんはいつもと違って無茶苦茶は言わないのでそれはないだろうと感じていたけど。
「それじゃ、どうしましょうかね〜」
「あ、そうだ。 僕も画材を見てきたいんだけどいいかな?」
「いいですよ〜。 どこですか?」
「駅の反対側、ちょっと歩くけど行ってみよう」
「はいです〜」
珠実ちゃんはまた腕を組んで来たけど、もう僕は自然にそれを受け入れていた。
予想していなかったことだけど、純粋に好意を向けてくれるのが僕には嬉しかった。
(こうやって珠実ちゃんと恋人関係になるのも悪くないかな…)
いつの間にかそんな気持ちが僕の中に芽生えはじめていた。

307Photo-Rait:2005/08/23(火) 17:27:59 ID:zfNi9xON
大型文具店に着いた僕たちは急ぐこともなく、各フロアを見て回っていた。

文具店と言ってもインテリアの置物や何に使うのかよくわからない変わり種文具なんかもあって、いろいろ楽しませてくれる。
珠実ちゃんは一見どう使うかわからないような専門的な道具にも興味を持ち、僕の説明をじっと聞いていた。
「へぇ〜、白鳥さんも意外と物知りですね〜」
「一応、僕の専門分野ではあるからね。 と言っても僕は絵本がメインなんだけど」
これでも絵作家を目指しているのでだいたいの知識は持っていた。
学校で油彩やデッサンなども勉強しているので絵の知識はそれなりにあると自負している。

「そう言えば、白鳥さんは何で絵本作家を目指してるんですか?」
「えっ…?」
画材を見て回りながら、おしゃべりを続けていると突然珠実ちゃんが訊ねてきた。
さっきの質問のお返しだろうか?
「う〜ん、そうだなぁ…。 一つは単純に絵を描くのが好きだからってことかな」
「もう一つはなんですか?」
「自分の中に生まれた夢を人に伝えて…共感して貰えたら嬉しいから…かな」
「夢を共感…」
僕もはっきりとそれを認識していたことがなかったので自分でも考えながら答えた。
作る喜び…そして、それを見て共感してもらう喜び。
それが僕の創作の原動力なのかもしれない。

308Photo-Rait:2005/08/23(火) 17:29:17 ID:zfNi9xON
「作り手と受け手がいて、喜びを共感しあえたらそれはとても楽しいことだと思うんだ」
「………。 白鳥さんらしい考えですね〜」
「え…そう、かな…?」

珠実ちゃんはしばらく何かを考えてぽつりと呟いた。
「絵は写真と真逆なんですね」
「え…?」
「写真は真実のみを写します…けど、絵は想像、架空のものです」
「………」
「逆に言えば、写真は真実以外を写せませんし、絵は真実を描くことは出来ません」
確かに、珠実ちゃんの言うとおり絵はどんなに精巧に描いても本物にはなりえない。
対照的な存在、という彼女の言い方もあながち間違ってはいないだろう。
「私には…夢を描く『絵』というものは描けないと思います…」
「珠実ちゃん?」
「だって、私には夢はないんですから」
「………」
「だから、私は夢を描くことの出来る白鳥さんがうらやましいです」
そう呟く珠実ちゃんは寂しさを隠そうとしなかった。
それは流れるままに生きてきた彼女の虚無の人生の現れだろうか。
「何かに夢中になれる人が…私にはうらやましいんです」
「珠実ちゃん…」
「私の写真は私だけのためのもの…共感しあうこともありませんから」
309Photo-Rait:2005/08/23(火) 17:30:40 ID:zfNi9xON
いつの間にか、珠実ちゃんは僕の腕を放し、俯いていた。
わずかに空けた二人の距離が僕たちの関係を表しているのかもしれない。

でも…僕は珠実ちゃんの言っていることが一つだけ間違っていると即座に否定した。
「…そんなことないよ」
「え…?」
「みんなで体験した思い出の写真なら、みんなでその思い出を分かち合えるでしょ?」
「…あっ」
「たとえ、珠実ちゃんが夢を描くことが出来なくても…喜びを分かち合うことは出来ると思うんだ」
そう…思い出は一人だけのものじゃない。
今もこうして僕たち二人は新しい思い出を築いていくことが出来ている。
「だから、あんまり後ろ向きならないで…ね?」
「…白鳥さん」
僕は離された二人の距離を埋めるように、珠実ちゃんの手を取っていた。
戸惑うような表情を見せた珠実ちゃんだったけど、繋いだその手を握り替えしてくれた。
「…なら…もっと思い出たくさん作りましょう、白鳥さん♪」
「うん!」


その後、僕たちは純粋にデートを楽しんだ。
お互いに似合う服がないか探したり、二人で食事したり、他愛ないおしゃべりに興じたり…。
気持ちの隙間を埋めた僕たちはすっかり『恋人同士』になっていた。

310Photo-Rait:2005/08/23(火) 17:33:51 ID:zfNi9xON
夕日に照らされた公園のベンチ。

僕たちはそこに腰掛け、今日一日を思い返していた。
「もう夕方かぁ…。 あっという間だったね」
「はい〜。 楽しい時間はすぐに過ぎちゃうものですね」
「珠実ちゃんさえよければ僕はいつでもつき合うよ」
「…ダメです」
珠実ちゃんとのデートは本当に楽しかった。
二人で過ごす日曜はとても充実したものだったと実感している。
僕は彼女が望むのなら、この関係はもっと続けていきたい…そう思うようになっていた。

けれど、珠実ちゃんはきっぱりとそれを否定した。
「この関係は今日だけ…それが約束です」
「珠実ちゃん…?」
珠実ちゃんは沈みゆく夕日を眺めて、きっぱりと言い切った。
真っ赤な夕日に照らされたその横顔は憂いを秘めていた。
「…あなたとはもっと早く…別の形で出会いたかったです」
「珠実ちゃん、どうしたの…?」
「そうしたらきっと…私は本気であなたと…」
「た、珠実ちゃん…?」
ぽつりぽつりと呟く珠実ちゃんは瞳を潤ませていた。
夕日を見上げる珠実ちゃんの頬にひとしずくの涙がこぼれる。
突然の彼女の変化に僕は慌てふためいた。
「ど、どうしたの珠実ちゃん!?」
「私はですね、白鳥さん…あなたのこと、好きですよ」
「………えっ!?」
「きっと世界中の男性の中で…あなたのことが一番好きだと思います」
「…………!」
思いがけない告白。
でも、それが普通の告白ではないことは彼女の表情が物語っていた。
そして…その理由も僕にもわかっていたことだった。
「でも……梢ちゃんがいますから」
そう……梢ちゃんがいるから。

彼女の半生は梢ちゃんとともにあり、生き甲斐でありすべてだった。
珠実ちゃんにとって僕とつき合うと言うことは梢ちゃんとの関係を終わらせることであり、
また、珠実ちゃんの愛した梢ちゃんを傷つけてしまうことになるから。

それは珠実ちゃんにとって今まで築いてきたものを無にしてしまう禁忌とも言える行為だった。
311Photo-Rait:2005/08/23(火) 17:35:57 ID:zfNi9xON
「もっと…自由な心であなたと向き合いたかった…そうしたら、きっと…」
きっとそこには大きな苦悩があったんだろう。
珠実ちゃんは目を伏してバラバラになりそうな心を繋ぎ止めていた。
「あなたとの関係をこれ以上深めてしまったら…きっと私は自分の気持ちを止められなくなります」
「珠実ちゃん、僕は…」
「それにきっと白鳥さんは私のことを受け止めてしまうでしょう…優しいから」
「………」
珠実ちゃんは…いつでも梢ちゃんのことを第一に考えている。
だから、自分の気持ちを必死で押し殺しているんだろう。

「あ〜あ、私ってばどうしていつもこんな恋ばかりしてしまうんでしょうね〜…」
軽く自虐してしまう彼女がとても痛々しかった。
出来ることなら珠実ちゃんに幸せをあげたい…だけど、それをすることで不幸になってしまう人がいる。
そのジレンマが僕の心を激しくかき乱していた。
「…白鳥さん、このことはもう忘れてください。 私は今日一日のことでもう十分です」
「珠実ちゃんはそれでいいの…?」
「いい…んです。 そうしなければならないんです」
珠実ちゃんは今までと同じように固い自制心ですべての決着をつけようとしていた。
今までがそうだったように…。

「…ねぇ、珠実ちゃん」
「なんですか…?」
「最後に…僕たちの思い出を写真に撮ってくれないかな」
「そう…ですね。 この日の思い出を…」
僕の知る限り、今日の珠実ちゃんは一回も写真を撮っていない。
一つでも多くの思い出を切り取っておきたい…そう言った彼女が今までそれをしなかった。
それはきっと彼女の自制心からだったんだろう。
こんなにたくさんの思い出が出来たのに珠実ちゃんはそれを記憶の中に葬ろうとしていた。
(そんなの寂しすぎるよ…!)
珠実ちゃんは持っていたカメラと携帯用の三脚を立てて用意をしている。
その動きは緩慢で、まだ迷いを感じているようだった。
「…用意できましたよ、白鳥さん」
「うん、無理言ってゴメンね」
「いえ、いいですよ。 私もあなたに言って貰えればそうする決心も出来ますから」
僕たちはカメラの前に立ち、ゆっくりと寄り添った。
珠実ちゃんは無言で僕の腕を取り、儚げな笑顔をカメラに向ける。
やがてシャッターがおり、僕たちの思い出はたった1枚の写真を残すのみとなった。

312Photo-Rait:2005/08/23(火) 17:37:27 ID:zfNi9xON
「…ありがとうございます、白鳥さん」
「ううん、僕も楽しかったよ」
写真を撮り終わっても僕たちは離れようともしなかった。
珠実ちゃんは僕の腕を握りしめたまま、じっと俯いている。
そんな珠実ちゃんの姿を見ていられなくなり…僕は彼女を抱きしめていた。

「ゴメンね、珠実ちゃん…」
「白鳥さん…ずるいですよ…」
珠実ちゃんも僕の腕を放すと両腕で僕の体を抱き返してくれた。
「まだ、今日は終わってないですから」
「うん、まだ僕たちは恋人同士だよ…」


黄昏の朱が照らす中、長く伸びた僕たちの影はゆっくりと重なり合う。


珠実ちゃんは僕をまっすぐに見据え、ゆっくりと目を閉じ───。


僕は背伸びした珠実ちゃんを強く抱きしめ、その唇にゆっくりと近づいていき───。




僕たちは最初で最後の口づけを交わした。


313Photo-Rait:2005/08/23(火) 17:38:36 ID:zfNi9xON
「すっかり遅くなっちゃいましたね〜」
「うん、秋は日が短いからね」

僕たちが鳴滝荘の近くに帰ってくる頃にはすっかり日は落ちて暗くなっていた。
街灯の明かりが家路へと向かう僕らをスポットライトのように照らしている。
「今日は楽しかったですよ、白鳥さん」
「うん、僕も珠実ちゃんのこといろいろわかって楽しかったよ」
「もう、白鳥さんってば〜」
「あはは…」
僕たちは照れ笑いを見せ合った。

僕は珠実ちゃんの肩を抱き、珠実ちゃんは僕にぴったりと寄り添っている。
すっかり恋人同士の姿が馴染んだけれど鳴滝荘に帰ってしまえば、この関係ももうおしまいだ。
名残を惜しむかのように、自然と歩みは遅くなってしまう。
「私も白鳥さんのいいところ、たくさん見せて貰いましたから」
「そ、そうかな?」
「はい〜、最高の誕生日プレゼントでした。 一生の思い出です〜」
この恋は泡沫の夢。
それでも僕たち二人の心にはしっかりと刻み込まれている。
最初は不安だったけど、僕は珠実ちゃんに大きなものをプレゼント出来た達成感で充実していた。
「たった一日だけでしたけど、私は純粋にあなたを好きでいられて幸せでした」
「うん、僕も…」
「でも…くれぐれも言っておきますがこれで終わりですよ?」
「わかってるよ」
たとえ一日限りでも僕たちは確かに本当の恋人同士だった。
そのことは一生忘れられない思い出になるだろう。

「帰ろう、梢ちゃんのところへ」
「はい…」

314Photo-Rait:2005/08/23(火) 17:39:45 ID:zfNi9xON
それから───。

僕たちはすっかりいつもの関係に戻っていた。

ときどき珠実ちゃんと二人だけのときにあのときを思い出して優しい笑顔を見せ合うけど、
僕たちがふれあうことは二度となかった。

珠実ちゃんは今も梢ちゃんのそばにいて、彼女を見守り続けている。

(いつか、珠実ちゃんにも本当の幸せが訪れればいいな…)
僕が言えた言葉ではないけれど、心からそう願わずにはいられないでいた。
たった一日限りだったけど、彼女は僕のもう一人の恋人だったから。


僕はキャンパスにささやかな夢───、

よどみのない幸せな笑みを浮かべて微笑む珠実ちゃんの姿を描きながら彼女の幸せを願っていた。


いつか、彼女が本当の笑顔を見せられる人が現れますように───。






<Photo-Rait>   Fin.
315名無しさん@ピンキー:2005/08/23(火) 17:43:34 ID:iV9E/hd2
秋の日はつるべ落とし、女心と秋の空とはよく言ったものだね
316Photo-Rait あとがき:2005/08/23(火) 17:50:47 ID:zfNi9xON
はい、以上をもちまして完結です。

このカップリングには賛否両論あると思われますが、報われない恋に生きる
珠実部員の姿には切なさを感じてしまうのデスよ。
途中であらん展開を想像したりしましたが、今回は抜きにしてみました。

ちなみにタイトルですが、Photograph(写真)とPortrait(肖像)をあわせた造語です。
それぞれ写真と絵という似て非なるものを繋げて一つのものにする…といったところです。
ちょっと無理矢理な感じでした。
原題は「17(18)回目の誕生日〜珠実の場合〜」でした。

白鳥君と梢さんの関係をぼやけさせてしまったんですが、そっちはご想像にお任せしますってことで。

ではでは。
317名無しさん@ピンキー:2005/08/23(火) 17:55:03 ID:te/yuorv
GJ!GJ!GJ!
珠実ちゃん最高です!
個人的にはらぶらぶあまあが好きなんだけどこういうのもイイ!!!
本当に珠実ちゃんには幸せになってもらいたい
318名無しさん@ピンキー:2005/08/23(火) 18:00:28 ID:te/yuorv
連投スマソ
↑あまあまですorz
319名無しさん@ピンキー:2005/08/23(火) 18:28:04 ID:hk/0oGaz
>>316
いいっすよ。
一日限りの恋人って設定が切なくてよいです。
昔の自分の経験を思い出したりして、感情移入しすぎて読みました。
次回作に期待します。
320名無しさん@ピンキー:2005/08/23(火) 18:39:26 ID:bU32NCHp

                _ , --- 、
              ,. '"´ ノ >─‐〉
              / , ',´' _´<_ ̄ ̄ヽ、_
               / ,.,´ ', '"´   ○`  "´   ▼、
            i ,〃/               i
              |〃/`l                  |
            ∨/:::|             ∧  |      今回オレの出番はあるのか?
           ノ l::::::l       /^l          /
            /  ,':::::|     /  ,'      /
          /   ,'::::::|   /   /     /__
            /::::::::|       /   _,.-‐'"    ,.ノ
          /::::::::::,'       / '"´    _, "´
         /:::::::::::/      /   r┬'"´|
           l:::::::::::/           / |:::::::::|
           ヽ:::/            /  .|:::::::::|
                         /   `ー'´|
321ぐうたら ◆7b9DL4hJvA :2005/08/23(火) 18:49:50 ID:wV/OUF8B
ねーよwwww
322名無しさん@ピンキー:2005/08/23(火) 18:52:36 ID:1yZ1yj4Y
あるあるwww
323名無しさん@ピンキー:2005/08/23(火) 19:43:33 ID:aalBDJ3f
課題やってたらついつい居眠り orz
そして、気付けば20時間寝てしまった俺('A`)鬱だ…

>>テイル氏
過去ものとは
       ∧_∧
  ∧__∧ (´<_` ) テイル氏GJ!!
  ( ´_ゝ`)/  ⌒i  
_(__つ/ ̄ ̄ ̄/i |_
  \/ F M V / ヽ⊃

>>Mr.ぐうたら
こういうのもイイでつね。

>>NAKA
ネタはイイのだが書法がなぁ…
       ∧_∧
  ∧__∧ (´<_`;) 流石スレの住人だからって、
  ( ´_ゝ`)/  ⌒i   此処でこのAA連発するなよ…
_(__つ/ ̄ ̄ ̄/i |_
  \/ F M V / ヽ⊃

>>316
超大作キタ━ヽ(ヽ(゚ヽ(゚∀ヽ(゚∀゚ヽ(゚∀゚)ノ゚∀゚)ノ∀゚)ノ゚)ノ)ノ━!!!!
もう感想すら浮かばない orz

~~~・-y('A` )さて、課題でもやるか…
324名無しさん@ピンキー:2005/08/23(火) 20:24:22 ID:wOis1MGq
訂正 orz
NAKA→NACA
325名無しさん@ピンキー:2005/08/23(火) 20:40:03 ID:gi5yslYE
珠ちゃん(つД`)
326ぐうたら ◆7b9DL4hJvA :2005/08/23(火) 21:38:19 ID:wV/OUF8B
>>323
またおまいはwwwww
なんで俺だけMrかは知らないが課題頑張れよ。

>>316
珠ちゃんの密かな恋心がイイ!!GJ!!
珠ちゃんはマジで幸せになってほしいつД`)・.・.;
327名無しさん@ピンキー:2005/08/24(水) 00:16:43 ID:Khkd49rG
もっと珠ちゃんネタキボンヌでっす
328名無しさん@ピンキー:2005/08/24(水) 00:20:17 ID:Q0E88WAL
>>316
VGJ!
切ないですね。珠のひそかな恋心。
そしてまた、秋の夕暮れという設定が作品全体の切なさをより強調していていいですね。
みんなも言ってる事だけど、珠には幸せになってほしいです。
次回作も待ってますよ。
329名無しさん@ピンキー:2005/08/24(水) 00:43:12 ID:1hJo0+4q
>>316
この作中での珠キチはムカシタマミという事でOK?
330名無しさん@ピンキー:2005/08/24(水) 00:47:03 ID:XwoyeWkR
>>329
察してくれてありがとう。
331名無しさん@ピンキー:2005/08/24(水) 01:11:53 ID:YCZwnarG

                 ,. -‐ ´ ̄ ̄ ̄` ー 、
               /´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
              /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
                 ,':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ::::::::::',
              |:::::::::{:::i |:l |:::|、、_'、_::::::::::|:::::i:::::::::::i
             ',::::l::::'、|丁 ヽ| ヽゝヽ\ヽ|:::::|:::::::::::|
             ヽl\|━┳   ━┳ ヽ|:::::|:::::::::::|
                  |  ┃     ┃  |::::::|):::::::::|
                |           |:::::::|::::::::::::|
                 ヽ、   __       |:::::::|:::::::::::::|
                   |` 、 __ -‐´|l:::::::|:::::::::::::::|
                    |:::::::|ヽ,-|    l:::::::|:::::::::::::::::|
                      |:::::::|ノi /  /|:::::::|、::::::::::::::::|
                 |:::::::| ,','ー/,. /::::::/ \:::::::::::|
                 |::::/__li / '´,/:::/     ヽ ::::::|
                 |,r´-{~}´`ヽ//      |:::::::::|
                      / }_,ノ::|、  /   i /   |:::::::::|
           __//      ノ< /::::| ヽノヽ  |'       |:::::::::|
           r{ //`ヽ_、 ノ  `' |::::|_,-‐'´ ,/       |:::::::::|
        { i! ー- `i`ヽー、  |:::::|    /         |:::::::::|
          (_)`ー|  ̄ ̄ ト、 }`:::::::L__/          |::::::::|
           =ニ  ̄   ヽ,‐- 、___,>‐- 、_    |::::::::|
                ヽニ     /           `ヽ、_ノ:::::::|
               ̄ ̄/                 /l:::::::::::ノ

332名無しさん@ピンキー:2005/08/24(水) 01:26:22 ID:lD1AjMqF
スーパー沙夜子ターイム!
333テイル ◆5zZRlb1law :2005/08/24(水) 01:27:54 ID:0ija5kVG
はっぴばーすでーとぅーみー。とうとう○○歳になりますた。テイルです。
歳取ったなぁ……orz

>>316
少し……切ないです。珠実かわいそうだよ珠実。
モノリスももう少し彼女を大事にしても……
次にも期待してます。

>>323
20時間……俺は最長でも14時間っす……
頑張ってください……

>>326
単に気に入られているだけでは?
課題のあの人はMLLで癒されてるんだよ、だからかと。

25から京都行きなのだが、なんとかまほログ更新。さて…………
誕生日だから短編書いてみようかなぁ……乞うご期待(?)。

業務連絡。
修正SSのうpろだへのリンクを貼ってあるので、皆さん活用しましょー。
ヘブン氏に感謝不尽。
334名無しさん@ピンキー:2005/08/24(水) 01:28:20 ID:YX9FzADm
>>332
冷静になれ別人だ
335ぐうたら ◆7b9DL4hJvA :2005/08/24(水) 01:35:59 ID:gDAiMjjX
おめでとー。
今日も今日とて作文課題に追われております。
明日以降から活動再開ですので。
過去のSSもちまちま修正してます。
336その夜に…:2005/08/24(水) 01:50:02 ID:XwoyeWkR
「う゛〜…」
「珠ちゃん…もうやめときなよ」
「そうはいってもやめられますか〜です〜!」
私は桃さんの部屋で貰ったお酒をあおっていた。
お酒は全然美味しくはないけど、私は気持ちを紛らわすためにただただ口に運んでいた。
「ひっく…」
「あ〜あ〜…ったく、無理しちゃって」
「無理なんかしてないです〜…」
意地を張るようにまた一気に飲み干した。
そんな自分の行為ですら、空しくなってくる。
「ひっく…ぐす…」
「ま〜、辛いことがあったら自棄酒の一つもしたくなるのはわかるけどさ〜」
「辛くなんて…ないです〜」
「も〜、やめときなよ。 そんな飲み方したらお酒がかわいそうだわ」
「う゛〜…」
見るに見かねてか、桃さんは置いてあったビールを全部片づけてしまった。
気持ちをぶつけるものを取り上げられてしまった私は桃さんに文句を言いながらテーブルに突っ伏した。

「うぅ〜…白鳥さ〜ん…」
「あんたも損な性分ねぇ…」
「うぅ…ぐす…」
気を緩めるとすぐに涙がこぼれてしまう。
私は…自ら終わりを告げた恋にただただ落ち込むばかりだった。
「まぁ、白鳥クンはいい子だからね…惚れちゃう気持ちもわかるわよ」
「……ぐす……」
「梢ちゃんを男の子にしたような子だからねぇ…珠ちゃんが気に入っちゃうのも当然だわ」
「白鳥さん…梢ちゃん…うっ、うっ…うあぁぁぁぁぁああぁぁぁぁ!!」
「あ〜、も〜…」
私はボロボロと涙をこぼし、大声で泣き続けた。
どうしても…どうしても諦めなきゃならなかったから。
この気持ちを終わらせなければならなかったから。

そんな情けない私を桃さんは何も言わずに慰めてくれた。
337名無しさん@ピンキー:2005/08/24(水) 01:50:35 ID:d2CpRO2v
>>テイル氏
ではプレゼントに消しゴム置いときますね。
 .__
ヽ|・∀・|ノ
 |__|
  | |








       _ _ 
     , ´   ヽ
     ! ノ从ノ)))
     !l(リT ヮTノリ  ムグムグ
    >!/ノ!つ|・∀・|O
    ノと_|_|__|_
          | |
338その夜に…:2005/08/24(水) 01:50:38 ID:XwoyeWkR
「うっ…ぐす…」
「落ち着いた…?」
「…少し…」
「ま、泣きたくなったら泣けばいいのよ。 その方がすっきりするから」
桃さんはそう笑って私の方をぽんぽんと叩いた。
その何気ない優しさで私の気持ちはいくらか救われた気がした。

「…桃さん」
「ん…?」
「白鳥さん、優しかったですよ…」
「へ…? ああ、うん…そっか」
「あの人は…私には勿体ない人です…」
私は手元にあった一枚の写真を見ながらぽつりぽつりと呟いた。
そこにいるのは寄り添った私と白鳥さん。
「きっと…私なんかじゃ白鳥さんには不相応なんです…」
写真に写るいまにも泣きそうな情けない笑顔を浮かべた私を見て、また熱いものがこみ上げてくる。

写真は真実を写し出す───。

そこにいるのはあまりにも弱くて小さな私自身。

「いつか…私が出会う一番好きな人のために…もっと強くならないと…」
「珠ちゃん…あんまり思い詰めなくていいんだよ」
「いえ…これはけじめ、ですから」

そう…。
弱い心のために白鳥さんにすがってしまった自分は結局傷ついてしまった。
それどころか、白鳥さんにまで迷惑をかけて。

「もう二度とこんなことを繰り返さないために…私は頑張るです〜!」
「…やれやれ。 あんたも難儀な性分ねぇ」

大きな決意を胸に秘め…、
私はこの思い出を一生忘れない。


ありがとう、白鳥さん───。


そして、さようなら、私の恋心───。
339名無しさん@ピンキー:2005/08/24(水) 01:56:47 ID:XwoyeWkR
即興ですがエピローグっていうか、そんな感じです。

なんか思ったより好評で何よりです。
やっぱり可愛いよね、珠さんは。

ちなみに白鳥君の絵(創作)に対するスタンスは私の代弁だったりします。
自分の想像を表現して、それを読み手の方に感じとって貰う。
それは書き手として最高の喜びですね。

これからも皆さんの心に残るような作品を書けたらいいなぁと思います。
340NACA:2005/08/24(水) 05:11:27 ID:5novI0Bh
えっと極上生徒会は名前しか知りません。すいません無知で・・・

やっとメインキャラの登場です、また少しだけですがどうぞ。


(そっくりね、まるで、昔のあの人と私を見ているみたい・・)

と先ほどから見つめていた人物、黒崎沙夜子はそう感じながら自分の部屋である5号室に戻った

今5号室には沙夜子一人である、娘である黒崎朝美は、クラスの友達の誕生会に行ったらしい

本来なら内職で土日は手一杯なのだが、昨晩白鳥の手伝いもあって奇跡的にも(?)

参加できることになった次第である(もっとも今日一日内職を全くしなくていい訳ではないが)

という訳で、当然・・というか、いつものことだが眠りに入る沙夜子・・・

しかし今日はいつもと少し違い、夢を見ることになる

そうまだ「水無月沙夜子」と呼ばれていた頃の思い出を・・・・・

341名無しさん@ピンキー:2005/08/24(水) 11:08:05 ID:MkAqiaBr
>>339
珠実としては訣別したとしても、愛してる大親友と愛した男が
恋人同士として暮らしているのを見守るのはつらいだろうな。
部長みたいな真性マゾなら天に召されてしまうだろうけど。
342名無しさん@ピンキー:2005/08/24(水) 11:12:34 ID:XwoyeWkR
アレ?
まほログでは長編扱いになってる…。
と思って文字数計算してみたらPhotoraitとその夜にをあわせて13719文字。
そ、そんなにいってたのか…。
さらっと書いたつもりだったんだけどなぁ。

まぁいいや、珠実可愛いよ珠実。


>>340
悪くはないんだけど、本文と普通の書き込みは別々にしたほうがいいですよ。
どうしても読みづらくなっちゃいますから。
343テイル ◆5zZRlb1law :2005/08/24(水) 12:55:55 ID:0ija5kVG
>>342
まあ、そこそこ長めだったので、長編の扱いにしました。

では、誕生日記念?の短編SS一本目!
夜に投下しても良いが、出来たのでしょうがない。
一時間で書き上げました。
では、どうぞ。
344F-14(1):2005/08/24(水) 12:58:29 ID:0ija5kVG
今日も、いつもの公園にて。

朝。

公園のベンチに座る、一人の女の子。
赤色主体のセーラー服。
それに映える、金色の髪。
黒い学生カバン。
小脇に、小さな包み。

彼女は、今日という日を、期待と不安とを胸に、待っていた。
なぜなら、今日は。

――――――と。

「――――悪いな。待たせちゃって」
「べ、別に―――待ってない、ですの」

そこに現れた、一人の青年。
彼女と同じく金髪で、そして長身。
彼と、彼女。
兄と妹ほど離れた歳の差である二人の、
毎日の日課。

女の子は、彼のもとに駆け寄って。
「つ、翼、さん―――お弁当、どう、ぞ」
「ああ―――いつも悪いな」
「別に、いい―――ですの。食べてもらえて、嬉しい、です、から」
「―――――?どうした?何かあるのか?」
「い、いえ、あの、その――――」
今日は、少し様子がおかしい。
何か、隠している―――――?

「別に、何でも、ありませんの」
「――――?そうか?なら、いいんだが―――――」
頭をぽりぽりと掻く、翼と呼ばれた青年。
「っと、そろそろ行かねえと。お前も行かないと、遅刻するだろ」
「そ、そうですわね!」
誤魔化し笑いの女の子。
「じゃあな―――――また後でな、みっちゃん」
「じゃ、じゃあ―――――ですの」

そして。
二人は、しばしの別れとなった。

「あーあ…………」
緊張していたのか、ベンチに座り込むみっちゃん。
「渡せなかった、ですの…………」

345F-14(2):2005/08/24(水) 13:00:13 ID:0ija5kVG


「いただきまーす!!!!」
皇デザイン専門学校。
カフェテリア。
「あー、また白鳥くん、彼女のお弁当?」
「今日はいつにも増して気合が入っているみたいね……
 アタシの釘バットがうずうずしてるわ……」
「ははは……」
「羨ましいぜ、白鳥……」
今日の白鳥のお弁当。
お重だった。
「僕、こんなに食べられないって、梢ちゃん…………」
「燃えるシチュエーションだね!」
「いや、あんたはいいから」
いつもこの調子のホモスキー。

正確に言うと、この弁当を作ったのは、鳴滝荘の女性陣だ。
そのせいで、お重だ。
ゆうに4人前はある。

「へー、角煮、卵焼き、鮭の塩焼き……おせち料理と勘違いしてるんじゃないの?」
「いや、色々あってね……」
「ふーん……?」
「まあ、とにかく僕だけじゃ食べられないから、みんなで食べよう!ね?」
「さんせー!」
ノリノリの女の子二人。

「あれ?あんたは、特にないの?」
釘バットが、翼に話しかける。
「ああ……いつもと変わらずだが」
彼の手には、みっちゃんお手製のお弁当が一箱。
「いや、そうじゃなくてね……」
「何だよ?」
「今日、何月何日か知ってる?」
「あん?今日は2月14日…………あ」
「そういうことよ」
呆れ顔の釘バット。
346F-14(3):2005/08/24(水) 13:01:55 ID:0ija5kVG
「さて、可哀想なアンタと、ラブラブな白鳥くんに、チョコの贈呈でーす」
「え、僕にも?」
「今回は二人で決めちゃったけどね……」
眼を合わせる釘バットとホモスキー。
「はい、白鳥くん。義理だけどね」
「ははは……ありがとう」
「はい、あんたにも」
「サンキュな」
二人に手渡された、綺麗にラッピングされたチョコ。
一目で、市販のものと分かる。
「白鳥くんはいいわよねー。帰ってからもまだチョコ貰えるんでしょ?」
「さあ……多分、宴会になるかな」
「どのみちいいなー!羨ましー!あの子と遊びたーい」
そうわいわい話していると。

「……手作り……」
「???」
「……手作りチョコか……」
「……翼くん……?」
「何言い出すのよ」
「……前貰ったの、いつだったっけ……」
「アンタは手作り以前に本命すら貰った事無さそうね」
「……言うなよ」
「事実でしょ」
言い返せない翼だった。

347F-14(4):2005/08/24(水) 13:02:36 ID:0ija5kVG



最近の女の子の間では、友チョコが一般的らしい。
それは、朝美の中学校でも例外ではない。
「はい、チョコレート」
「おおきにな、朝美」
「ありがとうですわよ、クロスケさん」

昼休み。
弁当とチョコレート。
取り合わせはともかく、いつものように賑やかだ。

「じゃあ、うちも……プッカやけど」
「コンビニで買える様なものなんて、つまらないですコト」
「む……そういうアンタこそ何買うてきたんや」
「ゴディバのチョコレートでよ!」
これでもかと言わんばかりに出した、高級チョコレート。
「うわー、おいしそうだね、さっちゃん」
「おお、ええもん買うてきてるやないか……どれ、一つ」
「私も食べていい、みっちゃん?」
「よくってよ、クロスケ……さん……」
急に暗くなるみっちゃん。
「?どしたん、急に暗うなって……」
「大丈夫、みっちゃん?」
「別に……何でもなくってよ…………はぁ…………」
明らかにトーンダウンしている。

「ほっほぉ……さては、チョコを本命に渡せんかったとか」
「な!!??」
「お、図星か、珍しい」
けたけたと笑うさっちゃん。
「ば、バカな事言わないで欲しいですnがはっ!!」
「もう少し落ち着いたらええねん」
「もう、さっちゃんってば……」
みっちゃんの脳天に辞書攻撃が命中していた。
これも、いつもの風景。

「……うう……」

「完全にヘコんどるな……おい!」
「……なんですの……」
「そんなにそいつが好きやったら、もっとシャキッとせえ!嫌われてまうで!」
「……シャキッと……」
予想外の、さっちゃんの言葉に。
みっちゃんは、少し照れて。
「……ありがとう、ですの……」
「分かったらええねん」
持つべきは物言う友、とは良く言ったものだ。
そう、思った。
348F-14(5):2005/08/24(水) 13:03:20 ID:0ija5kVG



夕刻。
まだ春は遠く、暗くなりそうな頃合い。
「……シャキッと……シャキッと……」
先刻の、さっちゃんの言葉を繰り返すみっちゃん。
チョコの包みを、手にして。
「でも……渡せる、かしら……」
それでも、弱気になってしまう。
と。

「よう、待たせたな」
「えうっ!!?」

彼が。
翼が、来ていた。

思わず、後ろ手に隠してしまった。
「どうした?そんなに慌てて……」
「べ、別に、何でもありませんの!」
「そうか……?ああ、これ、弁当箱な。いつもありがとうな」
「いえ、どういたしましてですの」
両手で弁当箱を受け取るみっちゃん。

……両手?

「…………あ」
みっちゃんが気付いた時には、もう遅かった。

ごとり。

「…………ん?」
その音に反応する翼。
「何だ、それ?」
「い、いえ、あの、その………」
慌てふためくみっちゃん。
「あん?」
「あの、その………………チョコ、レートですの」
349F-14(6):2005/08/24(水) 13:03:54 ID:0ija5kVG
数分後。
ベンチに座る二人。
「これ、お前が作ったのか……?」
「そ、そうですの……全部、手作りでよ」
彼の手には、少し変になったラッピングの包み。
少し、重い。
「そうか……」
「……でも」
「?」
緊張しているのか、あるいは別の理由か。
みっちゃんの声が震えている。
「気に入ってもらえるか、分からなくて――――――」
「あ?」
みっちゃんの目には、涙の粒が。
「チョコを作るのなんて初めてで――――失敗ばかりで――――
 そ、それでも、自分の力で、作りたくって、頑張って―――でも、失敗しちゃって――――
 つばさ、さんが、喜んで、くれるか、わからなくて―――――
 わ、わたく、し、こわく、なって―――――
 きらわ、れるんじゃ、ないかって、こわくなって――――――」
「みっちゃん…………」
あまりのプレッシャーに、ぽろぽろと涙を流すみっちゃん。
「わた、し、わた、し――――」

「違う」

みっちゃんの頭を撫でる翼。
「―――――――――え?」
顔を上げるみっちゃん。
「手作りチョコで重要なのはな、味とか見た目じゃなくて、心なんだよ。
 どれだけ、その人を思って、作ってあげられるか。それが、ポイントなんだよ」
チョコの包みを開ける翼。
中には、随分形の崩れたチョコレートの粒。
それを、一つつまんで。
食べた。

……
少し、ほろ苦いが。
ちゃんと、心が籠っていて。
こんなのを食べたのは、久方振りで。
「…………美味いよ」
「ほ、本当、ですの?」
「ああ。世界でどこにもない、一番の味だよ」
「――――――!」
そして。
みっちゃんの顔に、涙は無くて。
とびきりの笑顔で。
みっちゃんは、応えた。

「―――嬉しいですの、翼さん―――」
350F-14(7):2005/08/24(水) 13:05:00 ID:0ija5kVG
日が暮れた。
みっちゃんはまだ中学生。
だから、早く帰らないといけない。
「それじゃ、俺は行くけど……」
「待って、ですの」
「何d――――――!」

翼に、抱きつくみっちゃん。

「――――おいおい」
「しばらく、こうしていたい、ですの――――」
「―――まったく」
そう言いながらも、みっちゃんを抱きしめる翼。
なんだ。
最初はあれやこれや言っていたけど。
少し歳は離れているけれど。

やっぱり。

俺は、この子を。

みっちゃんを、守ってやりたい―――――

みっちゃんが、愛しい――――――


「みっちゃん――――――好きだ」
「翼、さん―――――――私も、ですの」

そこに、ぎこちなさは、無く。
初々しい、恋人の笑顔が二つ。
二人の顔が、段々近くなって。
眼を、ゆっくりと、閉じて―――――


初めての、口付けを、交わした。
少し、ほろ苦くて。
どこまでも甘い、キスだった。


<<First-Kiss Day>>is very lovely memory.
351テイル ◆5zZRlb1law :2005/08/24(水) 13:09:52 ID:0ija5kVG
で、翼くんは結局みっちゃんでいいのね?と翼×珠実を書いている人。

というわけで、「F-14」でした。グラマン社の戦闘機ではありません。
「February 14th」、2月14日です。バレンタインデーです。
その日の翼とみっちゃんを書いてみようと思いました。

しかし、如何でしょうか?少し強引かも知れませんが……
一応、サブのキャラも立たせてはみたんですが(特にさっちゃん)。

まあ、短編なので、こんなものかと。
あまりごちゃごちゃになるのもあれなんで。
楽しめたら幸いです。
では。

もう一本書けるかね……(謎
352名無しさん@ピンキー:2005/08/24(水) 20:13:31 ID:fxK31kA0
GJ!
タイトルを見てdanger zoneが脳内再生されましたが、やっぱり違うんですね。
353ヘブン ◆1fPWtvDjaQ :2005/08/24(水) 21:24:37 ID:cw42Aa8X
んーとりあえず出来たので投下します
タイトルを運命からFatumに変更
意味は変わりませんが
354ヘブン ◆1fPWtvDjaQ :2005/08/24(水) 21:25:15 ID:cw42Aa8X
――僕はどうなったんだ・・・?
頭がぼんやりとしており上手く働かない。
隆士は考えていた。
あの後どうなったのかを・・・・

――あの時、確かに僕はトラックに轢かれて・・・・
   病院に運ばれて・・・
   ・・・・梢ちゃん泣いてなぁ
   それから・・・・それから・・・・

隆士は考え必死に思い出そうとした。
そして、結論に至った。

――そうか、僕は、死んだのか・・・・

――また梢ちゃんを傷つけちゃった・・・・
   ごめん珠実ちゃん、約束守れなかった・・・

白鳥隆士は死んだ。
トラックにはねられ数十メートルは跳ね飛ばされただろうか。
そして病院に到着したときにはもう既に手遅れだった。
鳴滝荘の住人達に見送られ、彼はこの世を去った・・・はずだった。
355Fatum:2005/08/24(水) 21:25:47 ID:cw42Aa8X
「気ガつきマシたカ?玉無しサン」
部長さんの声がした。
「・・・・?」
朧気な瞳で見渡すとそこには部長さんがいた。
「え?僕は死んだはずじゃ・・・」
「エえ、確カにアなタは死にマシたヨ。デスが」
そこで部長さんは少し間を置いてゆっくりと言った。
「アナタにハマだスべキコトがアリマス。ソレを果たスマではこノ世にイテもラわネばなりまセン」
彼女は言う。
自分にはまだすべきことがあると。
だが、当の隆士には何が何だか分からない。
死んだはずの自分が何故ここにいるかと言うことさえ。
「混乱シテいルようデスね。デは、アなタの疑問ニお答えシマしョう」
「マず、今ノあナたはユーレイと言イマしョうカ。魂ダケの存在デス」
「え?魂って・・・」
「珠実部員カら受ケ取ッたでシょウ?私ガ託シた物ヲ」
隆士は思い出した。
珠実から部長さんからだと言って受け取った物を。
しかし、それは・・・
「チょッとシタ黒魔術ナノデスよ。カつテ魔術師達ハ死シテも己の魂ヲ現世ニ残ソウとコの魔術ヲ完成サせたのデス。」
「じゃあ、あれって・・・」
あの黒い煙のようなもの一つで魂だけがこの世に残ると聞くとかなり怪奇極まりない。
「チなミにコこハ私ノ家デスよ。あマりジろジろ見ナイでクださイ」
周りを見れば怪しいものが幾千とある。
大抵は黒魔術や悪魔などの本だが。
「それで、僕は一体何をしないといけないの?」
それを聞いた部長さんの表情は険しくなった。
「・・・梢部員デスよ」
梢。その名を聞いて隆士はやっと分かった。
自分が死に彼女がどれだけ深い悲しみを負ったのかを。
「コのママでハ彼女ハ壊れテシまいマス」
隆士は我に返り聞き返す。
「魂だけの状態の僕に何が出来るんですか・・・・」
腹立たしい、と言うのだろうか。
最愛の人が自分のために悲しみ苦しんでいると言うのに何も出来ない。
そして自分がとても無力に感じられた。
「以前、珠実部員ハあナたヲ希望ト言っテイまシた。」
「梢部員ノコトは知っテいマス。そシテ彼女ノ人格ガ記憶ノ共有ヲ始メたこトも。
記憶ノ共有ヲ始メたト言ウこトハ梢部員ト恋仲ノあナたガ死ネば
他人格ニも影響ヲ与エ彼女は自分ヲ維持出来ナイでシょウ……」
そこで隆士はある疑問に気がついた。
「あの・・・何で梢ちゃんの事や僕との事まで知ってるんですか?」
「良イ質問デスが、ソレを語ルと長クなルのデ省略しマス」
項垂れる隆士。
「アなタが死ヌノハ占イニヨル知ッたのデスが、マさカコンなに早くソレが来るトは
思ワなかッたのでコレくらイの事シか出来まセンでシた。申シ訳ナイでス。」
「謝ることないよ。別に君が何かをしたせいでこうなったわけでもないし・・・」
しかし自分が幽霊とも言うべき存在になっても隆士は変わっていなかった。
「僕はこれからどうすれば・・・」
部長さんは時計を取り出し隆士に見せた。
「今コノ時計デ十時デス。アなタがコの世界ニとどマっテイラレるのハ恐らク後二時間程度。つマり十二時マでニ全テを終ワらセなケればイケなイのデス」
「ト言ウわケで早ク梢部員ノ所ニ行クのデス。」
「え、でも、こんな状態で何が出来るって・・・」
「アなタハ確カに死にマシた。デスが、人は死ンデも何カを残セるのデスよ。」
それを聞き隆士は考えた。今の自分に出来ること。成すべきこと・・・
「私ニ出来ルのハコこまデス。後ハあナた次第デスよ、玉無しサン」
隆士は部長さんの家を後に鳴滝荘に向かい歩き出した。
こんな自分に何が出来るのかは分からない。だが、行かなくてはならない。
そんな気がしたから・・・・
356Fatumあとがき?:2005/08/24(水) 21:27:19 ID:cw42Aa8X
はい、死んじゃいました(テヘ
実際白鳥君死んだら梢ちゃんあれですよね・・・

さぁ、彼は希望を残せるのか!
私に続きが書けるのか!
期待しないで待っててね♪
357名無しさん@ピンキー:2005/08/24(水) 21:37:40 ID:lD1AjMqF
おいおい白鳥君殺すなよ。
と、沙夜子さんを殺しちゃった自分が言ってみるテスト。
358名無しさん@ピンキー:2005/08/24(水) 21:50:59 ID:BhjRnHPN
>>356
しんでしまうとはなさけない
359名無しさん@ピンキー:2005/08/24(水) 22:23:56 ID:xt6NChQU
>>358
俺が190G払うから、生き返らせてやってくれ。
360名無しさん@ピンキー:2005/08/24(水) 22:41:25 ID:TC77dthV
囁き――詠唱――祈リ――念ジろ!
361ココナッツムーン ◆YP5KAYH.gg :2005/08/24(水) 22:48:25 ID:VhusVApP
>>ヘブン氏
GJ
白鳥クンが愛する者のために最後に何かを残していく。
「もえるシチュエーション」ですね。

これから投下しますね。何か話が変になってますが、読む気のない人はスルーしてください。
362九州旅行:2005/08/24(水) 22:49:55 ID:VhusVApP
特急電車は先程の海沿いとは転じて山の中をノロノロと走る。隆士は早紀に強く抱き締められ早紀を見つめることしか出来なかった。
珠実や桃乃の視線を気にしなかった早紀も隆士に見つめられるうちに赤面してしまった。
先程まで自分がしていたことに恥ずかしさが込み上げるあまり、早紀は隆士を投げ飛ばそうとした。
そのころ、始発駅からから代わらず乗務していた車掌氏は検札をまた始めていた。車掌室から出てきて、先頭まで向かう間、早紀の行為には見て見ぬ振りだった。
だが先頭車の検札を終えて2号車A室に入ったとき、早紀に投げ飛ばされた隆士の身体が直撃して車掌氏も黒崎親子に直撃した。
こんなときも流石は客扱いの職人である。そこらの運転士志望の車掌とは訳が違う。まあ、単に田舎の車掌区にはベテランが多いだけの話だが。
即座に体を起こし、すっかり目覚めた黒崎親子を気遣い声をかける。
「大丈夫、お嬢ちゃん?お母さんも大丈夫ですか?」
「大丈夫だよ。おじさん。ありがとう。お仕事頑張ってね。」
「・・・・おじちゃん、ありがとう。・・・・」
「ど、どういたしまして。お、お兄さん、大丈夫?」
隆士は車掌氏の足元で気を失っていた。隆士を投げた早紀は隆士を気絶させてしまったことを詫びて大声で泣いていた。
363九州旅行:2005/08/24(水) 22:51:16 ID:VhusVApP
車掌氏は灰原に
「お客さん、担架運ぶの手伝ってもらえんかね?」
とお願いして端末を朝美に託し、乗務員室に常備された担架を取りに走った。
「うわっ、し、白鳥クン、だ、大丈夫?」
「白鳥さんは本当にひ弱ですね〜」
桃乃が隆士に駆け寄る。遅れて珠実もノソノソと出てくる。
いよいよ深刻になってきたように感じたのか泣いていた早紀は気絶してしまった。
しばらくして灰原と車掌氏は担架で隆士を車掌室近くの多目的室に運び込み、指令と連絡を取ることにした。
車内放送から車掌氏と指令との連絡の様子と、ジョニーの
「早くしろヨ。」
という声が漏れ聞こえる。
「お兄ちゃん大丈夫かな?」
朝美も心配そう。
「延岡まで待ってくれんかね。」
「延岡じゃ遅い。宗太郎にできんことはないやろ!。」
「ただでさえ遅れてるから無理言わないでくれんか。」
車内放送から漏れ聞こえる声から車掌氏と指令の会話が喧嘩の様相を呈してきたことを伝える。
朝美は何を思ったか席を立つと沙夜子の制止を振り切り車掌室へ走り始めた。
「大変なことになってきたわね?」と桃乃が言い終わるか終わらないかのとき、車内放送から大きな声が聞こえた。
「お兄ちゃんと電車、どっちが大事なの!」
朝美が車掌氏から受話器を奪って指令に向かって叫んだのだ。
流石に指令にも気持ちが通じたのか
「このまま状態が悪けりゃ医者を確保できる駅にすぐにでも停めて、良くなりゃそのまま行こうか。
と言っても聞いた限りじゃ、そう悪くはなさそうだけど。車掌にぶつかったんでしょ。座席でも、下のところにでも当たらない限り、そうはねぇ。」
という返答を引き出した。
364九州旅行:2005/08/24(水) 22:52:38 ID:VhusVApP
「ムニャ・・・ここは?」隆士は気付いて、のそのそと見ると多目的室というところのようだ。
隆士が気付いたのを見るや否や朝美とジョニーは安堵の声を上げた。
車掌氏は隆士の気が付いたことを報告し、朝美と同じく安堵しながら、指令に大目玉を食らっていた。
外を見ると少しずつ延岡市街に入っているようだ。
隆士、朝美、ジョニーは元の車両に戻った。
車掌氏は自動放送でやればいいのに、指令との交信を打ち切るとマイクを取る。「まもなく延岡、延岡です。1番乗場の到着です。普通列車の宮崎空港行は15時23分、3番乗場、
日之影、高千穂方面、高千穂鉄道の高千穂行は一旦改札を出まして高千穂鉄道ホームより15時20分の発車です。」
早紀から戻った梢が隆士に声をかけた。
「大丈夫ですか?珠実ちゃんから聞いて心配だったんですけど。」
「こ、梢ちゃん、心配しなくてもいいよ。僕はこの通り大丈夫だから。」
「無理しないでくださいね。」
ところで朝美が座席に戻ろうとすると周りに十数枚の写真が落ちていた。
「この写真何だろう?」
見ると、どれも鉄道会社の制服を着た先程の車掌氏らしき男性が写っている。
その一枚には鉄道マン達とともに「肥後小国」と書かれた駅名標とオレンジ色の車両が写っていた。
365九州旅行:2005/08/24(水) 22:54:10 ID:VhusVApP
「お母さん、お兄ちゃん、梢お姉ちゃん、この写真誰のか分からないけど、そっちにも落ちてない?」
「僕の足元にも一枚あったよ。多分車掌さんのじゃないかな。」
その写真は、クリーム色にまどの周りが赤く塗られた列車の後部車掌室の扉から
今とは違う制服に身を包んだ車掌が身をホームに乗り出してホイッスルを吹いている様子を、秋真っ盛りの遥か遠くの山の紅葉とともに写していた。日付は「1986.10.21」とある。
「こっちにもあったよ、朝美ちゃん。」
梢も拾ったようだ。その写真は先程までのものとは異なり、制服を着た鉄道マンが木造の建物の玄関で写っている。
梢と朝美と隆士はその写真に、まるで見覚えがあるかのように覗き込む。
珠実と桃乃も、その様子を見て駆け寄った。
「な、何か凄いものが写ってるの?」
「白鳥さん〜、女の子に嫌らしい写真を見せちゃいけませんよ〜。」
「ち、違うよ。それより、この写真を見て。」
「あれ、鳴滝荘じゃないの。」
「さっきの車掌さんの若い頃みたいですね〜」
「・・・・朝美、お腹空いたわ。ごはん・・・・」
「お母さんー!」
それにしても鳴滝荘で写真に写る国鉄マン。何を意味しているのか。
366名無しさん@ピンキー:2005/08/24(水) 22:57:40 ID:CcYqP8Ue
結局今日も12時間寝てしまった orz

>>339
あれ?桃と珠の百合プレ(ry

>>351
ほろ苦い話でつね。こういうのも好きでつよ。

>>356
駄目だな白鳥キュソ。
そんな時は風花・風障壁(又は風楯)を使って、トラックを吹っ飛ばすんだ。



白鳥キュソには無理か。
367ココナッツムーン ◆YP5KAYH.gg :2005/08/24(水) 22:58:57 ID:VhusVApP
変な話になってしまいましたね。
早紀ちゃんに萌えられる展開にできず公約違反でしたね。もっと読める話が書けるよう努力しますね。
次は意地でも宮崎に到着しますね。
368名無しさん@ピンキー:2005/08/24(水) 23:33:45 ID:/FfoNfU6
>360
おおっと!

それはさておき、以前言った鳴滝荘の庭に“それ”が生えた話を
書いてみたので投下してみまっす。
369ハルイロ:2005/08/24(水) 23:35:18 ID:/FfoNfU6
 それは三月の終わりのことだった。

「…う…ん?」
 窓から差し込む朝日が顔に当たり、2号室の壁にもたれて寝ていた白鳥は目を覚ました。
寝惚けまなこで見回すと、部屋の中にはビールの空き缶やスナック菓子の空き袋が散乱し、
傍らでは桃乃が高いびきで寝こけていた。昨日みんなでお花見をして、
帰った後もそのままのテンションで白鳥の部屋で宴会に突入した後の惨状だ。

「…はぁ」溜め息を一つつき、白鳥はのろのろと立ち上がった。『トイレ…』
 みんなと、とりわけ梢と一緒に楽しい時を過ごせるのはいいのだが、
こう度々夜通しの宴会につき合わされては身がもたない。今が春休み中で、
遅刻や課題を気にしないで済むことが救いだろうか。

「あれ?」
 とぼとぼとトイレに向かって廊下を歩いていた白鳥は、ある事に気付き足を止めた。
「花が咲いてる…」
 いつも梢が楽しそうに水遣りをしている『お楽しみ畑』の片隅に、
昨日までなかったはずの、薄紅色の可憐な花が一輪、咲いていたのだ。
『いつの間に咲いたんだろ? でも綺麗な花だなぁ、これ見たら梢ちゃんも喜ぶぞ』
 白鳥は中庭に下り、その花の前まで行くとしゃがみこんだ。たった一輪だが、
桜にも似た色のその花は、見ているとなんだか暖かくなってくるような気がする。
もしかしたらそれは、この花を見て喜ぶ梢の顔が思い浮かんだからかもしれないが…。

 そうやって白鳥が顔をほころばせていると、その花は急に振り返った。
370ハルイロ:2005/08/24(水) 23:37:02 ID:/FfoNfU6
 その花の下には、女の子の顔が、いや、女の子の上半身がついていた。
下半身は地面の中に消えていてわからないが、多分ついているのだろう。
地面から生えた手のひらサイズの少女の頭のてっぺんに、その花はついていた、
と言ったほうがわかり易いだろうか。
 花の下の少女は、人間でいえば10代半ばくらい、緑の長い髪を持ち、
一見あどけなさを残した可愛らしい顔つきをしている。その頭頂部から、
数枚の葉っぱと共に茎が伸び、先端に白鳥が最初に気付いた花が咲いていた。
 “それ”は急に現れた白鳥に、少し驚いたような様子だ。

「……」
 一方白鳥は、顔に微笑を張りつかせたまま、“それ”を見つめ続けていた。
『…昨日は随分お酒飲んだもんなぁ』
 目をごしごしとこすってみたが、“それ”は消えない。
『そうそう、それに寝不足だし…』
 と、それまでぽかんとしていた“それ”が、にっこり微笑むと、
挨拶するかのように手を振ってきた。反射的に、白鳥も笑顔のまま手を振り返す。
「コンニチハー……」
 あ、『こんにちは』じゃなくて『おはよう』か。いやいやそうじゃなくて、
これはあれだな、きっと沙夜子さんが作った彫刻…でも動いてるし…
そうだ珠実ちゃん! きっと珠実ちゃんが作ったロボットかなにかに違いない!

「い、いや〜、よく出来てるなぁ、はは…」
 手触りを確かめようと、白鳥は“それ”に向かって手を伸ばした。
すると、“それ”もその小さな手を伸ばし、自分に向かって差し出された、
白鳥の指先をぎゅっと握ってきた。
 明らかにゴムやビニールなどとは違う、肌と肉の持つ柔らかな感触。
そして何より、生き物のもつ温もりが、握られた指先に伝わってくる。

「うわぁっ!?」
 白鳥は悲鳴をあげ、慌てて手を引っ込めた。『い、生きてる…!?』
半分腰を抜かし、ぺたんと地面に尻餅をつく。鳴滝荘に来て以来、
色々と理不尽で非常識なことを経験してきたが、“それ”はあまりにも
常識を逸脱しすぎていた。
『なんだこれーっ!?』
371ハルイロ:2005/08/24(水) 23:38:02 ID:/FfoNfU6
「あら白鳥さん、お早うございます。今日は早いんですね」
「ほへ?」
 そこに、のほほんとした声がかかった。見ると、キッチンのほうから、
エプロンをつけた梢がやってくるのが見える。
「こ、梢ちゃん、これっ! これなにっ!」
 白鳥が叫ぶように訊ねる。ここはいつも梢が世話をしているお楽しみ畑だ、
もしかしたら彼女がなんらかの事情を知っているかもしれない。
「? …まあ、綺麗なお花」
 白鳥の指差す方に一輪の花を見つけた梢が、嬉しそうに言う。
「いつの間に咲いたんでしょう?」
 すると“それ”は、誉められていることに気付いたのか、梢のほうを向くと、
白鳥にしたように、にこりと笑って手を振った。

「……」
 梢はぽかんと口をあけ、“それ”を見つめた。ぶるぶると小さく震える手を顔へやると、
口元を抑える。そしてスッと息を呑み、悲鳴のような声をあげた。
「可愛い!」
「そうじゃなくて!」
 即座に白鳥の突っ込みが入る。確かに“それ”の見た目は可愛らしい女の子だが、
そんなモノが地面から生えていることに、まずは疑問を持って欲しい。
「えっ?」
「いや、えーと、あの…この変なモノ、いったいなんだろうなって」
 白鳥の言葉に、梢はちょっと首を傾げてから口を開いた。
「確かに、ちょっと変わってますね」
『ちょっと?』
 梢ちゃんの可愛いさの基準からすると、“それ”はストライクゾーンなんだろうなと、
少しどんよりしながら白鳥は思った。ともあれ、これは梢が植えたのではないようだ。
372ハルイロ:2005/08/24(水) 23:39:11 ID:/FfoNfU6
「梢ちゃんが植えたんじゃないんだね?」
「ええ、わたしこんな子知らないです」
 そう言うと、梢は“それ”の前でしゃがみこんだ。
「初めまして、わたしは蒼葉梢。あなたのお名前は?」
「だめだよ梢ちゃん!」
 挨拶をしながら指先を差し出そうとした梢を、慌てて白鳥が止める。
「なにがだめなんですか?」
 血相を変えている白鳥に、きょとんとした顔で梢が理由を訊いた。
「だ、だってこんな変な物触ったら、なにがあるかわからないよ」 
「でも、悪いことする子には見えませんけど…」
 確かに、見た目は可愛らしい女の子だし、このサイズでは何かしようにも
大したことはできないかもしれない。そもそもさっき、既に白鳥は触って
(触られて)いるわけだが…

「とにかく、正体がわからないうちは用心したほうがいいよ」
「そうですか…」
 白鳥に言われ、梢は指をくわえ、残念そうに“それ”を見つめる。
「それにしても、なんていう名前のお花なんでしょうね?」
「花…なのかな?」確かに頭の上に花が咲いているが…「珠実ちゃんなら知ってるかもね。
こういうのに詳しそうだし。て言うか、珠実ちゃんが植えたのかも」

「呼んだですか〜?」
 そこにタイミング良く、当の珠実の声がかかった。二人が顔をあげると、
珠実が廊下を歩いてくるのが見える。
「あっ、珠実ちゃん。おはよう」
「おはようです〜、梢ちゃん。朝からなんだか楽しそうですね〜」
「お兄ちゃん、お姉ちゃん、おはよう!」
「お早う…」
「朝っぱらからうるさいわね〜」
「なんだいったい…?」
 さらに他の住人たちの声も聞こえてくる。見回すと、珠実が来たのとは反対のほうから、
黒崎親子が揃ってやってくるところだった。2号室と6号室のドアからは、
それぞれ桃乃と灰原も眠そうな顔を出している。朝ご飯の時間も近く、
さらに白鳥が騒いだせいもあって、みな目を覚ましたようだ。
373ハルイロ:2005/08/24(水) 23:40:33 ID:/FfoNfU6
「あ、みなさんお早うございます」
「いえ、庭になんか変なモノが生えてて…」
「変なモノ? どれどれ〜」
 “変なモノ”というキーワードに興味を示した住人たちが、二人の傍に集まってきて、
揃って白鳥の指差すものをしげしげと覗き込んだ。

「なんですかこれは〜?」
「…なにこれ?」
「なんだこりゃ?」
「わ〜、可愛い〜」
「…美味しそう…」
 “それ”を見た住人たちは、各人各様の反応を示す。ちなみに上から、
珠実、桃乃、ジョニー、朝美、沙夜子である。この反応からすると、
どうやら珠実はもちろん、他の誰かが植えたのでもないようだ。

「僕もさっき気付いたところなんですよ。なんなんでしょうねいったい?」
「…植物、じゃないわね」
 桃乃が言う。“それ”は人が集まってきたのが嬉しいのか、
笑顔を振りまきながら皆に手を振っている。確かに植物にしてはアクティブすぎだ。
「マンドラゴラのようにも見えますね〜」と珠実。
「まんどらごら?」これは朝美だ。
「根っこの部分が人間の形をした植物のことです〜。引っこ抜くときに悲鳴をあげて、
それを聞いた人は死んでしまうとか〜、根っこは万病に効く霊薬にも、
富を呼ぶお守りにもなるそうです〜」
「へ〜、すごいんだね〜」
「美味しいのかしら…」
 珠実のウンチクを聞いて、黒崎親子と梢が感心したように“それ”を見る。
沙夜子が理解してるのかどうかは不明だが。
374ハルイロ:2005/08/24(水) 23:42:53 ID:/FfoNfU6
ただ、物の本に出てくるマンドラゴラとは、随分雰囲気が違いますね〜」
「確かに…」
 珠実の言葉に、マンドラゴラを本や映画などで既に見知っている
白鳥・桃乃・灰原が肯く。彼らのマンドラゴラのイメージは、
濃ゆい顔の外国人女性であり、可憐な少女のような“それ”とは、
かなりかけ離れていた。
「この子はなんとなく梢ちゃんに似ててラブリーです〜」
「そ、そうかな?」
 梢がちょっと照れたように言う。だが珠実の言う通り、“それ”には
梢に良く似た雰囲気があった。長い髪や顔立ちといった直接的なものだけでなく、
どことなくあどけなく、ほんわかとした表情も、梢をイメージさせる。

「…て言うかさ、なんかわたし、これにものすごーく見覚えがあるんだけど」
「わたしも」
「…わたしも」
「だな」
「です〜」
「そういえばわたしも」
 桃乃の言葉に、住人たちは口々に呟くと、一斉に白鳥を見つめた。

「前に僕が描いた絵本の“それ”ですね?」
 皆の注目を浴びて少したじろぎながら、白鳥が口を開く。彼も薄々気付いてはいた、
ここに生えている“それ”が、以前彼が学校の課題として描いた絵本に登場した、
“それ”にそっくりなことに。ただ、あまりにも非常識なので、
考えないようにしていたのだが…。
375ハルイロ:2005/08/24(水) 23:45:25 ID:/FfoNfU6
「白鳥さん、なにか心当たりはないですか〜?」
「心当たりって言われても…」
 珠実に訊かれ、白鳥は戸惑った。確かに自分が描いた絵本の“それ”に似てはいるが、
だからと言って自分がこれを植えたとか作ったとかいうわけではないし…
「例えばこの辺りで変なことをしたとか〜」
「変なこと?」白鳥が訝しげに聞き返す。
「マンドラゴラは絞首刑にされた囚人の○△□が垂れ落ちた跡に生えるそうですよ〜」
「してないよそんなことっ!」
「正直におっしゃい白鳥君。キミも若い男の子なんだから、夜中に寝付けなくて、
熱い情熱を迸らせたことの一度や二度くらいあるんでしょう?」
「若いっていいよな」
 珠実の言葉にのって、桃乃とジョニーが真っ赤になって否定する白鳥をいじって遊ぶ。
いや、至って真面目な表情からすると、本気で白鳥が“変なこと”をしたのだと
思っているのかもしれない。

「してません! してませんよ!」
「別に怒らないから素直に吐くです〜」
「いや〜、生真面目だとばかり思ってたけど、やる事はやってんのね〜」
「ま、ほどほどにナ」
「してませんってばっ!!」
 口々にはやし立てる三人と、ムキになって否定する白鳥。ほとんど小学生である。

「あのー、“まるさんかくしかく”ってなんですか?」
「う…」
 だが、梢に訊ねられると、ぎゃーぎゃー騒いでいた四人の声はピタリと止まった。
「こ、梢ちゃんは気にしなくていいです〜」と、珠実が慌てて誤魔化す。
そしてすぐさま白鳥のほうを向くと、彼へと怒りをぶつける。
「なに言わせるですかこのド変態〜!」
「えぇっ、僕はなにも…」
 プンスカと拳を振り上げる珠実に、白鳥はごにょごにょ反論するが、
その語尾は徐々に小さくなって、虚しく宙に消えていく。
『なんで僕が怒られないといけないんだろう?』
 白鳥の目に、一粒の涙が浮かんだ。

「“まるさんかくしかく”ってなんだろね?」
「なんでしょうね?」
「おでんかしら…」
 彼らの背後で、伏字をそのまんま受け取った黒崎親子と梢が、首を傾げていた…
376名無しさん@ピンキー:2005/08/24(水) 23:48:35 ID:/FfoNfU6
とりあえずここまでです〜。なんかどこかで似たようなネタが
あったような気がしてなりませぬ・・・被ってたら恥ずかしいので
心当たりのある方はお早めにお知らせください。
377名無しさん@ピンキー:2005/08/24(水) 23:53:06 ID:/FfoNfU6
ああそうそう、話の最後で“それ”に名前つけたいんだけど、
いいアイデアある? いちおうプロトタイプに倣って
「ハル」にする予定なんだけど、なんか語呂悪いよな・・・
378名無しさん@ピンキー:2005/08/25(木) 00:01:41 ID:TC77dthV
>>368-

白鳥くんのノーマル(かつ適度にほのぼの)な反応とか、沙夜子さんのすっとぼけ
具合とか、非常に楽しく読めましたです。なんと言うか『らしい』なあって思い
ました。


『絞首刑にされた囚人の○△□』については……あー、そう言えば彼は
HANGEDMANでしたなー。
379テイル ◆5zZRlb1law :2005/08/25(木) 00:12:30 ID:jEGGLs7z
「F-14」がどうにもスルーされてる件。
タイミングが悪かったorz

>>356
さてさて、白鳥クンはどんな選択をするやら……気になります。
期待しないで待ってません(違

>>367
ただのドタバタ珍道中と化してるような。
何か違う。でもよし、GJ。

>>376
GJ!続きが気になりますorz
名前……アヤメとか(違うけど)

最後に一発ネタ、投下させて下さい。
380テイルの一発ネタ:2005/08/25(木) 00:13:37 ID:jEGGLs7z


俺は、浮いていた。

時の流れに、身を任せていた。

俺――――高海修二は、人知れず、山奥で暮らしていた。
過去を、直視出来なくて。

そんな俺の目の前に現れた、一人の少女――――仲城亜衣。

その出会いは、「運命の輪」が、再び動き出した瞬間だった。

九条財閥・菅原一門・前田蔡家、そして「高海一族」。
4つの勢力がぶつかる時、一つの事実が明らかになる。

現実。
過去。
仲間。
裏切り。
希望。

そして、信念。

それらを乗り越えるため、俺は、「火炎の鉈」を手にする―――――

新進気鋭の作家・紀藤陽介が送る、新伝奇アクション。
『薪割ダイナミック』!!


「…………」
「この本、面白そうだナ。なあ灰原?」
「…………」
「そうだろうナ。じゃあ、買うとするか」
「…………」

レジで。
「オイ、コレの会計頼む」
「は、はぁ…………」


「(……何、あの人……人形と話してるの?)」
「(というか、会話として成立してないわよ…………)」

こんな事が、あったとか無かったとか。
381テイル ◆5zZRlb1law :2005/08/25(木) 00:15:05 ID:jEGGLs7z
……ああ!物投げないで!
オチが無いからって(ry

もうダメです。ダメネタ失礼。
382名無しさん@ピンキー:2005/08/25(木) 00:34:41 ID:OVs68lKl
>>381まほバラ認定
383名無しさん@ピンキー:2005/08/25(木) 01:07:26 ID:5pl95UnC
ロマサガ3かッ!?
384名無しさん@ピンキー:2005/08/25(木) 01:38:57 ID:7noGwQ6Q
>>356>>367
えっと、段落ごとに1行空けるなりしてくれると助かります…。
上から下までびっちり繋がってると読みづらくなりますから。
文章密度を上げすぎるとかえってよくないこともありますよ。

>>376
よい滑り出しです。
この先の展開が読めませんね。
続き期待してますよ。

>>381
いや、F-14いいんですけどね。
いいんですが、どうにも薄味な印象で…。
さらっと流してしまうようなタイプのお話でどうにも感想が書きづらかったんです。
いや、しっかりと完成された作品だし、別につまらないって意味じゃないですよ。
ちょっとインパクトに欠けるかな、と言ったところです。

ああ、我ながら苦言ばっかりだorz
385名無しさん@ピンキー:2005/08/25(木) 02:10:32 ID:65Defiyv
・・・・・・・・・・エロスはどこ?
386名無しさん@ピンキー:2005/08/25(木) 02:44:32 ID:vtKu6P7K
それタン期待
387名無しさん@ピンキー:2005/08/25(木) 02:46:32 ID:w6OaWU32
それタンが鉢を裏返されて、赤面してさめざめ泣く陵辱SSキボン
388名無しさん@ピンキー:2005/08/25(木) 06:14:50 ID:uj0RpVBo
いやいやいや。全体像確認のために土を掘るのが王道だろう。

もしくは「それ」は水をあげると飲むけど精液をあげるとちょっと嫌そうにしつつ飲み、精液飲んだ一時間後には人間くらいのサイズまで体が巨大化。
でも頭の上の植物は生えたままでおまけに言葉はしゃべれない。でも性欲は育ってるので白鳥君を襲っちゃう設定とか。そんで事の後にはまた植物に戻っちゃったりとか。


アニメで「それ」が出てきた時不覚にもエロいと感じてしまった漏れの脳内設定。
389NACA:2005/08/25(木) 07:01:32 ID:ENdueMsr
今から遡ること13年ほど前・・・イタリア某所


夕「丑三さん、赤ちゃんの名前決まりました?」

丑「夕ちゃん・・そうせかさんでくれぃ、ここまで出かかっておるのだがねぇ・・・」

そういいながら喉に手をやる丑三

夕「そういえば、丑三さん、沙夜子さんのときも同じこと言ってましたよね、三日間くらい」

丑「夕ちゃん・・・悩んでおるとき、そんな扱い方せんでも・・・よくないかい?」

夕「あらあら、丑三さん・・悩み顔も可愛い・・惚れ直しちゃいます」

丑「はぁ・・」

朝からずっとこんな調子の二人(もっともこの二人は結婚してからずっとこの調子だが)

沙「お父様・・・お母様・・・もう・・お昼よ・・・」

丑「なんじゃ、沙夜子、いつから部屋におった?」

沙「おなか・・・すいた・・」

丑「わしの質問に答えなさい!いつからいたんじゃ!?」

なかなか新しい子供の名前が決まらずにイライラしていた丑三が、かっと怒鳴る

夕「まあまあ丑三さん、沙夜子さんはさっきからいましたよ」

丑三の怒声に半泣き寸前の沙夜子に替わって夕が答える

丑「むむむぅ、・・・そうじゃ!まひるじゃ!」

夕「そうですよ丑三さん、そろそろお昼に・・」

丑「そうじゃない!!!子供の名前!ま・ひ・る・、どうじゃ!」

夕「まひるちゃん・・・いいですねぇ、可愛らしい」

沙「・・・・まひる・・」

丑「よしっ決まりじゃ、この子の名はまひる」

こうして沙夜子の妹、まひるが誕生した。それから数日後・・・
390NACA:2005/08/25(木) 07:03:00 ID:ENdueMsr
丑「なあ夕ちゃん、折り入って相談があるんじゃが」

夕「なんですか?丑三さん」

丑「わしらが、親の反対を押し切って、かけおち同然でイタリアに渡って、もう何年になるかね?」

夕「かれこれ・・20年くらいですかねぇ、わたしもすっかりおばさんだわ」

丑「そんなことないぞ!夕ちゃんはいつまでたっても綺麗じゃ、わしが保障する」

夕「まぁ、うれしい、・・・それで相談とは?」

丑「・・・日本に帰ろうかと、思う。裸一貫で始めた事業も成功し、こうしてまひるも生まれた、

  部下も成長し、会社は下のものに任せてもいいくらいな状態じゃ。ここらで日本に屋敷の一つでも

  かまえて、子供たちを立派に育て、たまに会社の様子を見て、趣味の彫刻や絵画にあけくれる・・・

  どうじゃろ?」

夕「わたしは、丑三さんがしたいことをすればいいと思いますわ、どこにでもついていきますし・・ねっ」



そんなこんなでまひるが生まれて半年後に水無月一家は日本に戻ったのである。

沙夜子にとって日本は始めての土地だった、もちろん両親が日本人ということもあり、日本語は話せるが

生まれてから一度も来たことも無い所を「故郷」と思うことは出来なかった


彼女、水無月沙夜子は多才な少女であった。とりわけ芸術方面に関しては、父譲りなのか、生まれたときから

芸術の最先端であるイタリアにいたせいか・・・事実他人よりかなり優秀な子供であった

その才能を両親、おもに父親である丑三はいたく喜び、さまざまな習い事を沙夜子にさせていた

391NACA:2005/08/25(木) 07:03:48 ID:ENdueMsr
そうして一年ほどたったある日・・・夕が日の光が原因で体調を崩した

もともと苦手ではあったがまひるの世話のためにはどうしても昼間活動しなければならないのも必然だった

丑「ううむぅ・・・」

夕「どうしたんですか?丑三さん」

丑「まひるを、イタリアの友人に預けようと思う」

夕「・・・・・そうですね、母親であるわたしがこんな状態じゃ・・・・」

丑「あと使用人を2〜3人雇おうかともおもっとる、料理人と運転手・・あと庭の手入れにも人が欲しいと

  感じていたところじゃ」

夕「お任せしますわ・・・でも沙夜子さんはどう思うかしら?」

丑「わからん。あいつは自分の意見をとんと言わん奴じゃから」

夕「沙夜子さんの洞察力と観察眼はわたし譲りですからきっと大丈夫ですよ」

丑「ホントかね?夕ちゃん」

夕は答える代わりにふふふっと笑った、そしてまひるのイタリア行きの付き人にタチバナが雇われ、

続き運転手、コック、そして・・・孤児院を経営している丑三の古い友人から「身寄りはないが腕は確かだし

性格もいいから」と庭師として・・・黒崎が雇われた。
392NACA:2005/08/25(木) 07:11:08 ID:ENdueMsr
と半分です。
なんかあんまり面白みがない作品なのが
自分でも解ります。
過去話だからキャラを崩したくないし

393名無しさん@ピンキー:2005/08/25(木) 07:33:39 ID:8jtpjdxv
>>388
朝から流石だなw
しかし、(・∀・)イイ!!ネタだな。
是非とも文章化してもらいたい。

>>392
過去ものを面白く文章化できる職人がいたら、その職人は神だ。
過去ものはどちらかと言うと、シリアス系か感動ものだろ。
394名無しさん@ピンキー:2005/08/25(木) 13:13:01 ID:5pl95UnC
だから口調や地の文でキャラをわかるようにしろと小一時間(ry
395名無しさん@ピンキー:2005/08/25(木) 17:23:11 ID:6Hm8RhW/
そういや、アニメのサントラに収録されてないBGMって他のCDにも収録されてないの?
396名無しさん@ピンキー:2005/08/25(木) 18:35:59 ID:ubkEaRLe
アニメのサントラがなにを指してるかわからんが、
BGMが収録されてるのはDVD1巻限定版おまけCDと
バラエティーCD第二弾の二つ。しかしこの二枚でも
全BGMの半分ほどしか収録されてない。
つーかここで聞くようなことか?
397名無しさん@ピンキー:2005/08/25(木) 18:39:38 ID:ubkEaRLe
さーて、今日は早めに投下すっかねー。ということでハルイロ続きいきますです。
398ハルイロ:2005/08/25(木) 18:40:08 ID:ubkEaRLe
「こ、梢ちゃん、ここにはなんの種を蒔いたの?」
 黒崎親子とピントのずれた会話をしている梢に、話を逸らそうと白鳥が訊く。
「えーと、確かここには…あ、そうそう、50年ものの梅干の種を蒔いておいたんです!
さすが50年ものとなると凄いんですねっ」
「ああ、そうなんだ…」一人感心している梢は置いといて、白鳥は他の住人へ顔を向けた。
「ええっと、みなさんは何か心当たりないんですか?」そこでちょっと頬を赤らめ、
「その、ごにょごにょ…とかじゃなくて、なんか変なものを蒔いたりだとか」

「変なもの、ねぇ…」と、住人たちは一様に考え込んだ。
『そういえばこの前、庭で宴会してた時にこの辺にビールをこぼしちゃったわね…』
『梢ちゃんを喜ばそうと、こっそり特製植物活性剤タマミン101を蒔いたですけど〜…』
『こないだ灰皿の灰をブチ撒けちまったっけな…』
『この前の宴会の時にプリン落としちゃったっけ…』
『水羊羹落としちゃったわね…』

 ・
 ・
『でも、そんなことでこんなのが生えてくるわけないか』×5

「あの、みなさん何か心当たりでも?」
「いーえ、ちっとも」
「あの、みなさん…?」
 きっぱり言い切る住人たちに、白鳥はどう突っ込もうか迷った。 
399ハルイロ:2005/08/25(木) 18:40:53 ID:ubkEaRLe
「まあまあ、そんなことどうだっていいじゃない」
「よくないですよ!」
「まあ生えてきたモンは生えてきたモンだ、原因を考えるよりこれからどうするかだナ」
「そーそー」
「つまらない事気にしてるとハゲるですよ〜」
 みんなは気にしなさすぎなのでは…? とも思ったが、実際いくら考えてみたところで、
こんなものが生えてきた原因などわかりそうにもない。となると、
これからどうするかを考えるほうが先というのも、案外正論かもしれない。
とはいえ…「どうするって…どうしましょう?」

 彼らの会話の内容がわかっているのかいないのか、相変わらずニコニコと
朗らかに笑っている“それ”を見つめて、白鳥は困った顔をした。
『引っこ抜いて捨てる、ってわけにはいかないよなぁ。ここはやっぱり…』
「やっぱり動物園とかに連絡して、引き取って貰うとか…ですかね?」
「植物園じゃないのカ?」
 ジョニーの突っ込みにも白鳥は至って真面目に答える。
「いえどこでもいいんですけど、とにかくどこか専門家のいる施設に
引き取って貰うのが一番じゃないかなと」

「やれやれ〜、とても絵本作家志望とは思えない現実的で面白味のない意見ですね〜」
「だったら珠実ちゃんはどうなの?」
 相変わらずの珠実の毒舌に、ちょっとムッとしながら白鳥は訊き返した。
「わたしは別に〜、ここでこのまま育てるのもいいんじゃないかと〜」
「えー…」
 白鳥の額に、どよ〜んと縦線が入った。絵本に描いておいてなんだが、
実際こんなものが庭に生えていたら、夜中にうなされそうだ。
400ハルイロ:2005/08/25(木) 18:41:54 ID:ubkEaRLe
「こんなラブリーな子に何びびってるですかこの腰抜け〜」
「でも…」
 白鳥の内心の怯えを見透かし、珠実が罵る。反論しかける白鳥の言葉を遮って、
彼女は続けた。
「だいたい〜、そんなとこに連絡して〜、調査だなんだと人が押しかけてきたら面倒です〜」
「あー、それもそうね。色々厄介なことになりそうだし、ほっとくのが一番かも」
「だナ。そんなことになったらおちおち釣りなんかしてられねーや」
「お昼寝の邪魔ね…」
「いいんですかそれで!?」
 珠実の意見に同調する住人たちに、白鳥が突っ込む。彼らの意見が一致した以上、
もはや自分の意見が聞き入れられる見込みなどないとはわかっていたが、
それでも一応自分の懸念を言ってみる。
「でも、こんな変なモノ放置してたら、何があるかわかりませんよ?」

「お前なにびくついてんだヨ」
「そーそー、こんなチビッコに大それたことなんてできやしないってば」
「白鳥さんは本当にチキン野郎ですね〜」
  桃乃とジョニーが呆れたように言い、珠実は笑顔で言葉の暴力を振るう。
「フガ…」
 沙夜子は…あまり関心がないらしい。

「あの、白鳥さんはこの子を置いておくのはお嫌ですか?」
「お兄ちゃん…」
 止めをさすように、梢と、どうやら“それ”を気にいったらしい朝美が、
すがるような目で白鳥を見る。そんな顔をされて反対できるような彼なら、
今まで苦労はしていないだろう。
「あー…うん、みんながいいって言うんなら別にいいんじゃないか…な…」
 白鳥が言うと、途端に梢と朝美はぱぁっと顔を輝かした。その笑顔に、
彼は己の完全な敗北を悟った。
401ハルイロ:2005/08/25(木) 18:44:19 ID:ubkEaRLe
「よ〜し、意見がまとまったところで朝ご飯にしよ、朝ご・は・ん!」
「あ、はい、すぐ用意できますから」
「ご飯…」
 桃乃の号令で、一同はぞろぞろとキッチンへと移動を始めた。
白鳥もがっくり肩を落とし、溜め息をつきつき後をついて行く。
 と、彼らの背後で“それ”が、『待って』とでも言いたそうに手を伸ばしてくる。
うるうると涙も浮かべていた。
「うっ…」
 廊下にあがりかけた全員の足が止まり、後頭部にタラッと汗が滲む。「……」

「わたしたち、これからご飯を食べるの。すぐ戻ってくるから、ちょっと待っててね」
 梢は“それ”の傍まで戻るとしゃがみこみ、微笑みかけながらあやすように頭を撫でた。
しかし“それ”は、その梢の手を掴み、いやいやと頭を振る。

「どうしましょう〜?」と、梢は助けを求めるように皆の顔を見る。
「どうしましょう〜、って言われてもねぇ…」
 桃乃は少しだけ考え、ポンと手を打った。「じゃあ白鳥君がついててあげるってことで。
その間にわたしたち朝ご飯食べるから」
「なんでそうなるんですかっ!」
「別に朝ご飯食べるなって言ってるんじゃないわよ、わたしらが食べ終わったら、
ちゃんと代わってあげるからさー」
「えー…」
 白鳥が嫌そうな顔をする。こんなのと二人っきりにされるのはちょっと…
それにみんなが一緒に朝ご飯を食べている時にここに残されるのは、
なんだか仲間外れにされているみたいで寂しい気がした。
402ハルイロ:2005/08/25(木) 18:45:37 ID:ubkEaRLe
『あ、そうか…そうだよな』その自分の考えに、白鳥はハッとなった。
そして目を潤ませて梢にすがる“それ”に視線を移す。『独りぼっちが嫌なのは、
“それ”も同じなんだ』
 そう思うと、急に“それ”に親近感を覚える。確かに見た目は変だけど、
怖がることなんてない。ただの寂しがりやで、小さくて可愛い女の子なんだ、と。

「…わかりました。僕が残ってますから、みんなで先に食べててください」
 白鳥は梢の隣にしゃがみ込むと、“それ”の頭をそっと撫でた。
そして諭すように話しかける。
「梢ちゃんはご飯の用意があるから放してあげて。代わりに僕が一緒にいるから」
 “それ”は困った顔の梢と微笑みかける白鳥を、きょろきょろと交互に見つめていたが、
ぱぁっと顔を輝かせると、掴まえていた梢の手を放して頭を撫でる白鳥の手を掴み直した。

「いいんですか白鳥さん?」
「うん。僕は別に急がないから、みんなはゆっくり食べてて」
 梢に訊かれ、白鳥は笑顔で返す。
「…はい、それじゃあすぐに戻りますから、ちょっとだけ待っててください」
 申し訳なさそうに梢が言う。本当なら一緒にいてあげたいところだったが、
食事の用意をするのは彼女の役目だ、自分が残るわけにはいかない。
 にこにこと手を振る白鳥に、梢は涙に暮れながら手を振り返した。
「すぐ戻りますからねー」
403ハルイロ:2005/08/25(木) 18:46:45 ID:ubkEaRLe
 別れを惜しむ恋人たちに当てられ、桃乃が頭をぽりぽりと掻いた。
「ご飯食べる間だけだってのに何やってんだかねぇ」
「マ゛ー」
「やれやれ、お姉さん野暮なこと言っちゃったかな?」 ふうっと溜め息を一つ。
それからにへらっといやらしい含み笑いを浮かべて続ける。
「やっぱご飯も恋人と一緒の方がいいわよねぇ?」
「いっ?」
 桃乃の茶化しに、二人の世界を築いていた梢と白鳥は我に返り、顔を赤くする。
「いっ、いえっ、決してそういうわけでは…」
「えっ、ええっ」

 慌てる二人の前で、桃乃はどーんと胸を叩いた。
「しゃーない、ここはわたしが代わってあげよう。どうせいつも独りで食べてんだし」
「ですね〜。引き篭もりは独りでご飯食べてるのがお似合いです〜」
「あんた代わりに残る?」
 ぎーっと怒りながら桃乃が珠実のほっぺをひっぱり、梢がわたわたとそれを止めに入る。
いつもながらの賑やかな光景に、白鳥はしょうがないなぁと微苦笑を浮かべた。
そして“それ”も、白鳥の傍らで楽しそうに、彼女たちの姿を眺めていた。

「ねぇ」
 と、そこにおずおずとした朝美の声がかかった。「植木鉢に移したらどうかな?」
「……ああ!」
404名無しさん@ピンキー:2005/08/25(木) 18:50:47 ID:ubkEaRLe
今回はここまでっす。次回の投下でいったん終了予定ですが、
次回分を含めて『ハルイロ』第一話みたいな感じで、そのあとも
だらだら続けてく予定なのでご了承の程を。ちなみにエロはありません。
405名無しさん@ピンキー:2005/08/25(木) 20:15:54 ID:uj0RpVBo
この話の中での「それ」って一年後くらいには双子(?)になってたりするんでしょうか?なんて馬鹿な事を聞いてみる。
406ぐうたら ◆7b9DL4hJvA :2005/08/25(木) 21:01:09 ID:zuSaaygY
MLLとHappydays終わったら桃さんの過去話やろうと思うんだけど桃さんと紫羽がお互いになんて読んでたか分からないしなぁ…
「あんた」と「お前」じゃ只の倦怠期だよ…
さてMLLだ(´・ω・`)
407名無しさん@ピンキー:2005/08/25(木) 22:12:46 ID:8jtpjdxv
>>404
2人きりの時に>>388のネタをキボ(ry
もう変な妄想しか出来ない orz

>>406
Mr.ぐうたらキタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!
408名無しさん@ピンキー:2005/08/25(木) 22:49:27 ID:ubkEaRLe
こないだ早紀ちゃんエロエロSS書いたお詫びのほのぼのSSなのでエロはありません。
でも終わったら陵辱外道エロエロSS書きます。みんながどっ引くようなの書いてやるぜー
げへへへ。
409名無しさん@ピンキー:2005/08/25(木) 22:53:48 ID:wguWrryJ
>>407
気にするな、俺だってそうだ。
「白鳥さん・・・」
「梢ちゃん・・・」
なんてセリフがでたときなんて・・・もう・・・。
410名無しさん@ピンキー:2005/08/26(金) 00:39:13 ID:M3YaO/um
ほのぼのにたお話っていいよね。
俺が今書いてるお話は、修羅場が出来そうな予感がする。修羅場苦手なんだけど。
411える ◆NeXzmp25zc :2005/08/26(金) 00:52:11 ID:XScso5Za
ネタがネタなので
腰が引けているのですが・・・
とりあえず最初の方だけ
投下してみようと思います。
では、投下です。
412燃えろ!弓道ちゃん!!![1/3]:2005/08/26(金) 00:53:48 ID:XScso5Za

某月某日。

━━━某学校

「・・・手入れは完璧だわ・・・」

某学校の某部室
もう日が落ちようとしている放課後。
そこに一人の少女が。

「よし・・・これで準備はできた
後は明日を待つばかりね・・・」

この物語は超脇役キャラ「弓道ちゃん」の
壮絶で過激で感動的な戦いの物語である。

「なってみせるわ・・・這い上がってみせるわっ!
脇役から主役に!メインキャラに!!レギュラーに!!!」

━━━訂正。

ただのネタ話である。

「ネタじゃないわよ!私はマジなんだからっ!」

怒られた。

では、おふざけはここまでとして。
弓道ちゃんの活躍ぶりをご覧あれ。
413燃えろ!弓道ちゃん!!![2/3]:2005/08/26(金) 00:54:28 ID:XScso5Za

某月某日

明朝。

「ふわぁぁ・・・」

ここは弓道ちゃん宅。

「いい朝だわ・・・清々しい気分・・・
ふぅ・・・上手くいく・・・上手くいくっ!」

バダンっ

家のドアを開け外に出る弓道ちゃん。
戦いの火蓋は切っておとされた。

「さぁ覚悟しなさい!メインキャラの皆!」

ダダッ

走り出す弓道ちゃん。
果たして彼女はどこへ行くのか。
果たして主役になることはできるのか・・・。

どうでもいいが、弓道服を着ながら走るのは大変そうだ。
414燃えろ!弓道ちゃん!!![3/3]:2005/08/26(金) 00:55:21 ID:XScso5Za

「よぉ〜白鳥〜」
「おはよー白鳥くん〜」
「白鳥君おはよう〜」
「あ、皆おはよう」

皇デザイン専門学校の生徒の会話のようだ。
学校に向かっている途中らしい。
どうやら主人公「白鳥隆士」もいるようだ。
ところで弓道ちゃんはどこにいるのか。

「よし・・・このビルの屋上からなら狙えるわ」

どうやら、そこらのビルの屋上にいるらしい。

「こんなに早くターゲットが見つかるなんて思ってなかったけど
好都合ね・・・早く射抜いて終わりにしよう」

そういえば、どうやって主役になるつもりなのか。
射抜くとはいったい・・・?

「そう・・・この矢で・・・「レギュ矢ー」で!!
この矢で射抜かれたメインキャラは私と立場が入れ替わってしまう
という素晴らしい道具、矢なの!・・・でもただ・・・
・・・素敵なネーミングセンスね・・・私じゃないよ?」

どうやらこの矢の力で主役になれるようだ。

「さて、油うってる場合じゃないわ
さっそく・・・狙いを定めて・・・と」

ビルの屋上の柵から
軽く身を乗り出すようにして、構える弓道ちゃん。
狙いは勿論、主人公「白鳥隆士」ただ一人。

「白鳥〜お前課題はちゃんとやったか〜?」
「え?・・・あ・・・あ、あはは・・・ははは・・・」
「おいおい・・・お前まさかまた・・・」
「白鳥くん、また忘れちゃったとか・・・?」
「また折檻だね・・・白鳥君」
「そ、そうだね・・・うん」

「ふふ・・・狙われてるとも知らずに
のん気に会話なんてしちゃって・・・行くわよ・・・」

さぁ・・・ついに第一矢が放たれるのか。
弓道ちゃんは主役になることができるのか!?

ググッ

矢が後ろへと引かれていく。
ついに放たれるのか。
415える ◆NeXzmp25zc :2005/08/26(金) 00:56:47 ID:XScso5Za
と、言うわけで前半部分を投下しました。
弓道ちゃんネタで今回投下したのですが・・・
まぁネタがネタなので・・・
よろしければ投下しようと思うのですが
皆様意見のほうよろしくお願いします。
416たろ:2005/08/26(金) 02:14:10 ID:zIVIkvOS
今更ながらひっそりと続きを投下してみよう……忘れられる前に(手遅れ?)
ホントは桃さんとバラさんも書きたかったがまた今度。
時間の使い方ヘタクソなモンで……。
417第一話朝美編:2005/08/26(金) 02:15:32 ID:zIVIkvOS
そこに居たのは朝美だった、なにやら大きなダンボールを抱えている。
「おはよう、朝美ちゃん。」
「あっおはよう、お兄ちゃん。」
「そのダンボールって…。」
「うん、内職だよ。今度はコ○ブ○ヤのフィギュアの色塗りを始めたんだ。」
「そ…そう、頑張って、ね…。」
「うん、トランクスのストライプとか細かいところまできちんと塗らないといけないけど少し多く稼げるんだ。」
「………………」
……なぜか言い知れぬ不安感と寒気に襲われていると
「きゃああああぁぁぁぁ〜っ!!!」
突然の叫び声で辺りの空気は一変した。
「!?」
隆士と朝美が悲鳴の方を向くと
そこには悲鳴を上げた張本人、梢ちゃんと襲い掛かる何やら黒っぽい生き物が数匹…。
(な…何だあれは…。)
「こ、梢お姉ちゃん!」
朝美が梢ちゃんと得体の知れない生き物に向かって走りだす。
「あ、朝美ちゃん。」
とっさに後を追う隆士
418第一話朝美編:2005/08/26(金) 02:16:07 ID:zIVIkvOS

VSシルエットエディin鳴滝荘
勝利条件:敵の全滅
敗北条件:隆士の戦闘不能

「………?」
一瞬、隆士の頭を謎の文章がよぎった気がしたがまあ無視しよう。
そんな事よりも今は恋人の、梢の危機を救うのが先である。
「梢お姉ちゃんから離れて、お化け!」
朝美はそう叫ぶととっさに持っていたダンボールを投げつけた。
ダンボールは勢いよく飛んでいくとシルエットエディに直撃しそのまま下敷きにしてしまった。
そして中身を思いっきり庭にぶちまけてしまった。
中身は隆士が良く知った人たちにそっくりなフィギュア、その仲にはいい意味でも悪い意味でも忘れられない
金髪の女性(?)も混じっていた。
「ぷぎゃあぁ〜…」
弱々しい断末魔をあげてシルエットエディは光の粒になって消えた。
「梢ちゃん、大丈夫!?」
隆士が庭にうずくまっている梢に駆け寄る…しかしダンボールの影から難を逃れた最後の一匹が飛び出してきた。
「!?」
「プギャアアァッ!!」
シルエットエディは攻撃目標を隆士に変更して有るのか判らないが牙をむいて襲い掛かってきた。
「うわ…っ」
419第一話朝美編:2005/08/26(金) 02:18:05 ID:zIVIkvOS
飛び掛ってくるシルエットエディを梢に駆け寄っていた隆士は避けきれない。
「お、お兄ちゃん!!」
朝美が駆け寄るがとても間に合わない。
「うわあああ………」
 とっさに顔をかばって目をつぶった隆士だったが何時までたっても何も起きない。
「………?」
恐る恐る目をあけると、隆士は何故か高い所にいた、正確に言うと鳴滝荘の屋根の上に居た。
「え…?」
状況が飲み込めず目を白黒する隆士、すると
「…………………かも………?」
「えっ!?」
突然背後から声が聞こえて慌てて振り向くとそこには棗が居た、正確に言うと隆士を抱えて。
「………隆士君……大…丈夫……かも…?」
「…な、棗…ちゃん…?」
「……隆士君が…危な…かったから……かも」
「助けてくれたんだ、ありがとう棗ちゃん。」
「………かも…(ほうっ)」ポンッ
どうやら先のショックで棗になってしまい得意のイリュージョンで隆士を屋根の上に運んだようだ。
「お兄ちゃ〜ん、大丈夫〜?」
「あっ…、うん大丈夫だよ〜、朝美ちゃん。
…とりあえず…戻ろうか、棗ちゃん。」
「……(こくん)」

因みにシルエットエディは目標を失いそのまま落ちてた石ころに頭からダイブして消えてしまいました。
420たろ:2005/08/26(金) 02:25:18 ID:zIVIkvOS
…とりあえず朝美編です。
いちおう一番人気っぽかったのでこの後の展開はこのルートでいきます
(一応残り二つも書きますが)
この後一話後半(朝美ルート)へ進みます。
421名無しさん@ピンキー:2005/08/26(金) 04:44:16 ID:domsLNsy
久々にたろ氏降臨キタ━(゚∀゚)━!!
422名無しさん@ピンキー:2005/08/26(金) 12:32:47 ID:sMRPhFW6
11月号ゲット。
ネタは豊富にちりばめられてたけど、はてどう使うか…。
ある意味怒濤の急展開だ。

>>420
先が読めない展開…。
どうなるんだろう。
423名無しさん@ピンキー:2005/08/26(金) 12:33:42 ID:sMRPhFW6
11月号って来月じゃん、未来へ行ってきたのか…。
10月号だったorz
424ぐうたら ◆7b9DL4hJvA :2005/08/26(金) 16:06:19 ID:p6PI1spO
>>415
弓道ちゃんキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!
個人的に弓道ちゃん、タチバナさん、みっちゃん、釘バットちゃんが早紀ちゃんの次のなっちんの次に好き!!(´Д`;)
…あれ?

>>たろさん
久しぶりにキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!
シルエットエディの鳴き声プチワロス。
朝美ちゃんの作るフィギュアに全米がひたすら涙。
425名無しさん@ピンキー:2005/08/26(金) 18:36:12 ID:986hG4cI
さーて、今日も早めに投下投下〜っと。ハルイロ残り行きまっす。
426ハルイロ:2005/08/26(金) 18:37:15 ID:986hG4cI
「まったく、自分の描いた絵本の主人公がやってたことを思いつかないなんてねー」
「ホント抜けてるです〜」
「いやー、気付きませんで…」
 頭を掻き掻き、なんとなく成り行きで掘り出し係に任命された白鳥は、
皆に囲まれながらスコップで“それ”の周りをざくざくと掘り返していく。
「傷つけないように気をつけてやるですよ、白鳥さん」
「そうそう、女の子を傷モノになんかしたら責任取ってもらわないと」
「ええ〜?」
 桃乃と珠実にプレッシャーをかけられつつ、白鳥は慎重に慎重にスコップを振るい、
やがて“それ”の周りをぐるりと掘り終えた。あとは“それ”を掴んで引っ張れば、
地面から抜けるだろう。

「よしっ…と」
 白鳥が“それ”の両脇を抱え、引き抜こうとした時、不意に珠実が口を開いた。
「そうそう〜、先ほども言いましたが〜、マンドラゴラは引き抜かれると悲鳴をあげて〜、
その声を聞いた者は死んでしまうそうですから〜、気をつけてくださいね〜」
 ウフフフフフ〜と笑いを漏らしながら、妙に嬉しそうに言う珠実に、
白鳥は少し青ざめながら訊き返した。
「気をつけるって、そんなのどうすればいいのさ」
「昔の人は〜、自分は耳栓をしておいて〜、犬に紐を結んで引っ張らせたそうですけど〜」
「犬に?」
 犬と聞いて住人の視線が一点に集中する。
「ちょっと待て、おれは犬なんかじゃねーぞ!」
「誰も何も言ってないです〜。でもせっかくだからジョニーにやってもらうですかね〜?」
「なんとっ!?」

「そんなに怖い子には見えないけど…」
 ガビーンとなっているジョニー(と灰原)の横で、梢がぽつりと呟いた。
すると、珠実はガラリと態度を変える。
「ですね〜。似てるってだけでマンドラゴラではないようですし〜、
大丈夫なんじゃないですか〜? さっさと抜いちゃってください白鳥さん〜」
「そーそー、びびってないでさっさとやっちゃいなさいって」
「頼んだゾ」
 ジョニーと桃乃も白鳥の肩をぽんぽんと叩き、彼を促す。
427ハルイロ:2005/08/26(金) 18:38:01 ID:986hG4cI
『脅すだけ脅して、結局僕にやらせるのか…』
 どんよりとしながら、白鳥は改めて“それ”の脇の下に手を入れた。
“それ”は『なにをするの?』といったふうに、ぽかんと白鳥を見上げている。
その悪意の欠片もないあどけない顔を見ていると、心配しているのがなんだか
バカらしくなってくる感じだ。白鳥は意を決すると、“それ”を引っ張りあげた。

 僅かな抵抗を感じた後、ボコリと、“それ”は土くれと共に地面から引き抜かれた。
「…!?」
 一瞬、何か起きるのではと、白鳥は思わず目をつぶって身をすくめたが、
悲鳴はあがらないし、他に何か起きる様子もなかった。恐る恐る目を開けてみると、
“それ”は彼の手の中で、相変わらずぽかんとしているだけだ。
『なんだ…やっぱり心配することなかったじゃないか』
 白鳥はホッと胸を撫で下ろし、無事抜けた“それ”をみんなに見せようと、
後ろを振り向いた。
「うまく抜けましたよみなさ…ん?」

 だが、そこには何故か梢と珠実の姿しかなかった。梢は珠実に耳をおさえられて
きょとんとし、珠実のほうはといえば、耳栓をつけている。
「…なにしてるの、珠実ちゃん?」
「おやおや〜、どうやら大丈夫のようですね〜」
 耳栓を外しながら、なんだか残念そうに珠実が言う。
「抜けた〜?」
「無事抜けたようだナ」
 そのずっと後ろのほう、廊下の柱の陰から耳をおさえながら、
桃乃とジョニー&灰原が顔を出す。
「お兄ちゃん大丈夫〜?」
 朝美の声がするほうを見れば、沙夜子と二人、退避壕に隠れる兵隊よろしく、
縁の下に潜り込んでやはり耳をおさえている。
428ハルイロ:2005/08/26(金) 18:38:39 ID:986hG4cI
「みんなやっぱり危ないと思ってたんじゃないですかっ!」
「それにしてもこの子、下はどうなってんのかしらね」
 白鳥の涙の抗議には耳をくれず、戻ってきた桃乃は土くれに包まれている
“それ”の根っこの部分をしげしげ見つめて言った。
「えっ…?」釣られるように白鳥も、そして戻ってきた他の住人たちも、
一緒になってそこをじっと観察する。

 “それ”の下半身を覆う土くれからは、白くて細い植物の根っこのようなものが、
にょろにょろとはみ出していた。土に隠れた部分がどうなっているのか、
想像するとちょっと怖いような気がする。
「白鳥さん、ちょっと土を落としてみてください〜」
「う、うん…」
 しかし珠実に促され、白鳥は根っこについた土くれを落とし始めた。
土が取り除かれるに連れ、なまめかしくうねる白い根っこが次第に露わになってくると、
それを見守っていた一同の頬が、何故か赤く染まる。

「う…」
 と、土を落としていた白鳥の手が止まった。“それ”が顔を真っ赤にして、
嫌がるように手をばたばたさせ始めたからだ。さらには両手で顔を覆い、
しくしくと泣き出してしまう。
「え…と…」
 とてつもない後ろめたさに襲われ、気まずい沈黙が一同を覆った。
「な〜にやってるですかこのドスケベ〜!」
 真っ先に我に返った珠実が、白鳥の手から“それ”を奪い取る。
「ええっ、だって珠実ちゃんが…」
「わたしのせいにするですかこのエロス大帝〜」
「そ、そんなぁ〜」
429ハルイロ:2005/08/26(金) 18:41:56 ID:986hG4cI
「泣かないで、もう変なことしないから」
「ごめんね〜」
 珠実の言葉責めに涙する白鳥の後ろで、梢と朝美が“それ”を慰めながら、
植木鉢へと植え直していた。“それ”は植木鉢に下半身が隠れてしまうと、
機嫌を直して再び笑顔をのぞかせる。

「これでみんなと一緒にいられるね」
「よかったね〜…えーと…?」
 無事植木鉢に収まった“それ”の前で、梢と一緒にはしゃいでいた朝美が、
ふと首を傾げる。「あなたお名前は?」

「?」
 訊ねられても、“それ”は不思議そうな顔をするだけだ。「あなたのお名前は?」
今度は梢が訊いてみるが、やはり同じだった。
「言葉通じてないんじゃない?」
「そもそも〜、名前はあるんでしょうか〜?」
 一同は、うーんと考え込んだ。「白鳥君、キミ、絵本ではなんて名前にしたの?」
「えっ?」
 桃乃に急に振られ、白鳥は当惑しながら答えた。「ええと、特に名前はつけてないんですが」
「絵本には書いてなくてもさ、なんか考えてあったんでしょ?」
「え…」

 白鳥は言い淀んだ。確かに、名前を用意していなかったわけでもない。
ただ、学校の課題ということもあって、比較的短時間で作成したので、
あまりよく練って決めた名前とはいえないのだ。
「いやー、もっといい名前があると思いますよ」
「出し惜しみしないでとっとと言ってみるです〜」
 照れる白鳥に珠実が言う。
「そうそう、参考までに聞かせなさいって」
「ぜひ教えてください白鳥さん」
 桃乃と梢にも言われ、白鳥はテレテレしながら口を開いた。
「その…“ハル”って…」

「ハル?」みなが口を揃えて言う。
「はい。春に現われた春のような子だから“ハル”って」
「ああ、そういえばあの絵本のタイトルも“ハル”だったわね」
「ええ、まあ…」 と、ぽりぽりと頬を掻きながら白鳥。
「“ハル”かぁ…」その名前に、一同は再びうーんと考え込んだ。
430ハルイロ:2005/08/26(金) 18:43:24 ID:986hG4cI
「ホント安直ですね〜。それになんだか人類に反乱起こしそうです〜」
「なーんか語呂が悪いわよねぇ…」
 案の定、珠実と桃乃が歯に衣を着せぬ寸評を加える。
「わたしはいい名前だと思いますよ、白鳥さん」
「あ、ありがとう梢ちゃん」
「ま、この子も春にこうやって生えてきたんだし、それでいいんじゃないの?」
「ですね〜」
 梢の言葉に、あまり気乗りしない感じで桃乃と珠実も賛成する。しかし内心では、
この季節のような、穏やかで柔らかな笑顔を見せる“それ”にぴったりの名前かもと、
こっそり思っていたりするのだが。

「あんた、“ハル”って名前はどう?」
 あれこれ論議する人間たちをぽけっと見上げていた“それ”に、桃乃が訊いた。
すると“それ”は、いかにもその名が気にいったかのように、きゃっきゃと喜んでみせる。
「あれま、この子も気にいったみたいね」
「じゃあそれで決まりかナ」
 ジョニーが言うと、みなは大きく肯いた。

「よろしくね、ハルちゃん」
 朝美がハルに向かって言った。
「よろしく」
「よろしくねー」
「よろしくです〜」
「よろしくナ」
「…よろしく」
 続いて白鳥、桃乃、珠実、ジョニー、沙夜子と、順番にハルに挨拶をしていく。
そしてトリをとったのは、大家である梢だ。
「よろしくね、ハルちゃん。ようこそ鳴滝荘へ」
 暖かく微笑む梢と住人たちに囲まれ、ハルも、その名の通り春のような暖かい微笑を返す。
春の穏やかな風に、その頭に咲いた花が、小さく揺れていた。


 こうして春の訪れとともに、鳴滝荘に少し変わった住人が加わることになった。



〜ハルイロ〜第一話完
431名無しさん@ピンキー:2005/08/26(金) 18:46:43 ID:986hG4cI
ということで、区切りのいいところで『ハルイロ』はいったん終了っす。
おいおい、ハルを加えた鳴滝荘の日々のお話をぼちぼち投下していく
予定ですので、まあよろしければおつきあいのほどを。

さて、今度は再び陵辱エロエロSSの用意だ〜。
432名無しさん@ピンキー:2005/08/26(金) 20:11:07 ID:VFPI5f3N
「ハルイロ」の文字列を見ると、どうしても口ヒゲのメジャーリーガーを連想してしまう。
433名無しさん@ピンキー:2005/08/26(金) 21:59:27 ID:sMRPhFW6
対抗して珠実のエロエロでも書こうかしら…需要あるかなぁ。
434名無しさん@ピンキー:2005/08/26(金) 22:35:47 ID:gsxAuhUx
ある。少なくとも俺には!
435名無しさん@ピンキー:2005/08/26(金) 22:49:36 ID:iQovOlF2
珠実凌辱モノってない?
珠実ナマイキだから
436名無しさん@ピンキー:2005/08/26(金) 22:55:10 ID:986hG4cI
珠実を凌辱するのはなにかと大変だしなー。
梢ちゃんを人質にして脅して両方美味しく頂くとかかなやるなら。
437名無しさん@ピンキー:2005/08/26(金) 23:09:27 ID:sMRPhFW6
陵辱系はここの住人にはあんまり好かれない傾向にあるからなぁ。
特に職人さんがあまりエロを率先して書かないからってこともあるかも。
(1スレ目で陵辱系書いた人が総スカン食らってたのも影響してるだろうけど)

まぁ、書く人がいれば読む…ってひともいるんじゃない?
438名無しさん@ピンキー:2005/08/26(金) 23:26:14 ID:iQovOlF2
凌辱されるのが梢でさえなければ珠実凌辱もの読みたいな
梢は最後にキスまでの甘々純愛ものしかダメだけど
439ヘブン ◆1fPWtvDjaQ :2005/08/26(金) 23:30:43 ID:zvHK+t00
桃乃でエロSSのアイディアあるが書けない。
そう言うの書くのニガーテ。
と言うことで没にしました(´・ω・`)

あーでも普通のならそのうち投下したいね
440名無しさん@ピンキー:2005/08/26(金) 23:50:41 ID:7HsCEWHU
>>438
だよな。
梢は白鳥とラブラブな感じのじゃないとな。
441名無しさん@ピンキー:2005/08/26(金) 23:53:52 ID:sMRPhFW6
なんか珠をいじめたいひとが多いんだな…。
憎まれキャラとは言え、しょんぼりだ。
442名無しさん@ピンキー:2005/08/26(金) 23:55:16 ID:zW1LrMY9
いじめたいからといって、憎んでいるとは限らない。
443ぐうたら ◆7b9DL4hJvA :2005/08/27(土) 00:04:12 ID:bU/NcXTq
愛故にーってヤツもあるってことで
444名無しさん@ピンキー:2005/08/27(土) 01:44:47 ID:fe7DlFBI
「ハルイロ」、俺が長年見たかった「土を落とされて恥ずかしがるそれたん」が見れて萌え死んだ
445名無しさん@ピンキー:2005/08/27(土) 02:12:10 ID:d58P5Hjq
部長がサディズムに目覚め珠を奴隷調教ってシチュはどうよ?
446名無しさん@ピンキー:2005/08/27(土) 02:45:18 ID:BabgoT7o
白鳥君の優しさが鳴滝荘のみんなを破滅させる話が一つくらいあってもいいじゃないか。
447名無しさん@ピンキー:2005/08/27(土) 06:39:45 ID:QzFbG8bX
それかわいいよそれ
448名無しさん@ピンキー:2005/08/27(土) 08:24:47 ID:MsmXec2T
土を落とされてないけど根っこ覗かれて恥ずかしがるそれなら
蒼に出てるし。
449名無しさん@ピンキー:2005/08/27(土) 10:54:40 ID:4HgMdYSL
考えてみれば、鳴滝荘はココロのスキマだらけだな。
450名無しさん@ピンキー:2005/08/27(土) 19:37:58 ID:XjGbdUj0
451名無しさん@ピンキー:2005/08/27(土) 19:39:48 ID:vFrOZqLO
>>450
ど〜じん?
452テイル ◆5zZRlb1law :2005/08/27(土) 19:44:09 ID:hIDR4l1D
ご無沙汰です、テイル@のぞみ号車内です。

京都は暑かったです。研修は疲れました。
伏見稲荷は凄かった。二条城は入れなかったorz

…てなわけで、まほログの更新は東京に帰ってから…
「ハルイロ」作者様、たろ氏、しばしお待ち下さい。とてもGJな内容でした。
本編凄い事になってるって?みっちゃんツンデレだって?
今月号早く読みたい…

しばらく寝ます。周り子供だらけ…orz
453名無しさん@ピンキー:2005/08/27(土) 19:52:03 ID:XjGbdUj0
>451
イエス
454鳴~ ◆fZOubfDxuE :2005/08/27(土) 23:04:49 ID:lY42tQ/m
>>453
これしかネットでも出回ってないもんナ。
ちゃっかりUPしてみる。
ttp://www.metalsiva.com/up/source/hagane_0087.zip
455鳴~ ◆fZOubfDxuE :2005/08/27(土) 23:07:28 ID:lY42tQ/m
パス記入し忘れたし・・・
456名無しさん@ピンキー:2005/08/27(土) 23:17:45 ID:Q/Kkex2m
>>454
そういうのやるなら角煮行ってくださいよ…。
棲み分けくらいはしようね。
457名無しさん@ピンキー:2005/08/27(土) 23:24:22 ID:EpI+ZxRW
角煮のまほらばスレに禿しくうpキボン
458名無しさん@ピンキー:2005/08/27(土) 23:54:45 ID:LeNnEAYP
パスワード判ってしまった!
459名無しさん@ピンキー:2005/08/28(日) 01:15:40 ID:hmck1wCO
パスワードわからない orz
460名無しさん@ピンキー:2005/08/28(日) 01:21:11 ID:bWPwZUFN
>>459
べムラー!メ(ry
461名無しさん@ピンキー:2005/08/28(日) 01:34:19 ID:FC3nMtHa
角煮みたいな流れだな。
陵辱モノまだー?
462える ◆NeXzmp25zc :2005/08/28(日) 03:26:26 ID:OfrSEzTO
誰も居ない・・・投下するなら(ry

あまり需要がないようですが
少々過剰な反応を見せたくれた方がいるので
投下しておきます。

463燃えろ!弓道ちゃん!!![1/6]:2005/08/28(日) 03:27:33 ID:OfrSEzTO

「あっ・・・」


なにやら弓道ちゃんに異変が起きたようだ。
構えを解き、なにやら考え事をしているらしい。

「私に主役で主人公なんて・・・できるのかな・・・」

なんとも悲しい悩みであろう。
しかし、それを言ってしまえば
メインキャラになること自体が・・・
果たして弓道ちゃんは、この場をどう乗り切るのか。

「ん・・・ん〜・・・困ったわ・・・
早くしないとあの人達もいってしまうし・・・」

確かにこのままでは、彼を狙うことはできなくなってしまうだろう。
現に少しずつではあるが、距離が遠くなってきた。
流石の弓道ちゃんでも狙い撃つのは難しいだろう。

「・・・しょうがないわ、ここは一旦諦めよう
次のターゲットを探そう・・・うん、それでいこう」

どうやら諦めてしまうらしい。
彼女も悲しい悩みをもってしまったものだ。

「次は誰を・・・あ・・・そうだ、ここからなら・・・」

どうやら次のターゲットも決まったようである。
行動を再開する弓道ちゃん。

「今度こそ・・・必ず!」
464燃えろ!弓道ちゃん!!![2/6]:2005/08/28(日) 03:28:32 ID:OfrSEzTO

ところ変わってこちらは
青華短大付属高校。
弓道ちゃんのいるクラス。

「蒼葉さん」
「はいっ」
「〜〜さん」
「は〜い」
「〜〜さん」
「はい」

どうやら朝の出欠確認中らしい。

「弓道さん」
「・・・」
「あら?弓道さん?弓道さんは欠席?」
「いないみたいッスよ〜」
「あら・・・どうしたのかしら・・・」

・・・弓道という名前で定着してしまっているのだろうか。
先生、それでいいのですか?

「〜〜さん」
「はぁい」

点呼は続く。
その間で会話をしてる少女が二人。

「珠実ちゃん」
「はいです〜?」
「あの・・・えっと・・・えーっと・・・
ど、どうしたんだろうね?」
「・・・?あ、あ〜・・・きっと頑張ってるんですよ〜」
「え?頑張る・・・?」
「そうです〜」
「・・・???」

何やら意味深な発言がでた気がするが
今現在弓道ちゃんは何をしているのか、どこにいるのか
それを追うことにしよう。
465燃えろ!弓道ちゃん!!![3/6]:2005/08/28(日) 03:29:36 ID:OfrSEzTO

「ふぅ・・・やっと着いた
梢には悪いけど・・・私も主役になりたいの
だから、ここの住人の人に・・・犠牲になってもらうわっ」

弓道ちゃんは鳴滝荘に来ているようだ。
確かにここはメインキャラの巣窟である。

「正面から突入・・・人はそんなに居ないだろうし・・・
中庭のほうに思いっきりお邪魔しちゃおっと・・・」

今はまだお昼にもなっていない朝方である。
学校に行っている梢達が帰ってくることは、ほぼ有り得ない。
それであまり人は居ないはずだ。
そしてその隙を狙おうと判断したのだろう。

「順調に潜入中〜・・・っと!?」

順調に庭のほうに行けていると
思いきやその場所には・・・

「だ・・・誰かいる・・・誰だろうあれは
長い黒髪が綺麗・・・ってそんなことじゃなくて・・・
どうやって近づこう・・・」

どうやらそこには「黒崎沙夜子」という人物がいるようだ。
そしてその位置が、玄関から丁度真正面の奥の廊下に座って
いるようで、どうやって近づくかを考えているらしい。

「こんな堂々とした位置で構えてたりしたら
見つかっちゃうよね・・・草とかいっぱい生えてるし・・・
どうにかそこまで行ければ・・・」

ここに来て再び、悩みを抱えてしまった弓道ちゃん。
果たして上手くいくのか。
466燃えろ!弓道ちゃん!!![4/6]:2005/08/28(日) 03:30:09 ID:OfrSEzTO

「う〜ん・・・こんなところでじっとしているのも危険よね・・・
いつ人が来るかわからない・・・急いで行動しないと・・・」

そう思い弓道ちゃんは、もう一度庭のほうを覗き見る。
そこである異変に弓道ちゃんは気づいた。

「ん・・・あれ?遠くてちょっと良く見えないけど・・・
大きな鼻提灯が見えるような・・・あの人寝てる・・・?」

弓道ちゃんはかなり眼が良いようだ。
まぁ一際目立つ大きな大きな鼻提灯だが。

「これならここからでも・・・いや、この場所は危ないわ
今のうちにそこの草むらに身を・・・」

ススス

音も立てることなく、移動していく弓道ちゃん。
今のところ他に人は居ないようだ。
今が絶好のチャンスであることは確かだろう。

「よいしょ・・・と」

廊下から下り、少しずつ草むらのほうに近づいて行く弓道ちゃん。
このまま上手く身を隠すことができるだろうか。

ガサガサ

草をかき分ける音が聞こえる。

「んん〜・・・これで・・・良しっと」

草むらに侵入し、そこでうつ伏せになる。
草陰に身を潜める弓道ちゃん。
その姿はまさに獲物を狩らんとする獣のようだ。

「良し良し・・・ここまで順調に来てる・・・
今回は行ける・・・行けるわっ」

その体勢のまま弓を構える。
467燃えろ!弓道ちゃん!!![5/6]:2005/08/28(日) 03:31:04 ID:OfrSEzTO
「あっ・・・」

また何かあったようだ。
今度はいったいなんなのだろうか。

「この人のポジションってどうなのかな・・・」

今度は贅沢な悩みである。

「ま・・・贅沢言えないよね
さぁ・・・覚悟してください・・・ねっ」

グググっ

矢が引かれていく。
ついにこの時が来たようだ。

「・・・ていっ!」

ヒュンっ

ついに矢が放たれた。
果たしてこの矢は上手く沙夜子にあたるのだろうか。
そして弓道ちゃんは主役になることができるのだろうか。

バシュッ!

突然、放たれた矢に向かって
ダーツの矢のような物が飛んできた。
そして・・・

ガガガッ

どこからともなく飛んできた、ダーツの矢のような物は
弓道ちゃんの放った弓に見事に当たり。
矢はその場で地面に落とされてしまった。
468燃えろ!弓道ちゃん!!![6/6]:2005/08/28(日) 03:32:42 ID:OfrSEzTO

「そ・・・そんな!?今のはいったい・・・
・・・は・・・上から!?」

ハッとなりその場から、屋根のほうを見え上げる弓道ちゃん。
その場に居たのは・・・そう「タチバナ」その人である。
ちなみに沙夜子の真上である。

「な・・・なにあの人・・・いったい誰?
そして・・・なんで屋根の上なんかに・・・
っていうか私の矢を撃ち落すなんて・・・」

ストッ

屋根から軽くジャンプをして下りるタチバナ。
なぜこんなところにいるのか・・・謎である。

「大丈夫ですか?お嬢様」
「・・・ぐー」
「大丈夫のようですね・・・
それよりも・・・どうやら
お仕置きが必要な人が居るようですね・・・」

バッ

突然その場で構えをとるタチバナ。
またあの矢を飛ばすつもりだろうか。

「ひ・・・ひぃっ!?
ど・・・どどど、どうしよぉ〜」

こちらは弓道ちゃん。
だいぶ冷や汗をかいているようだ。
それはそうだろう、今度はこっちが狙われているのだから。

「くっ・・・まずいわ、このままじゃ・・・
わ、私の人生が終わっちゃう、どうしようどうしよう」

随分焦っている様子だ。
果たしてこの場を乗り切ることができるのだろうか?

「だいたいの位置は把握しています。
速やかに出てきたほうが身のためかと・・・」
「わわわ・・・あの人かなり本気だよ・・・
くぅ・・・入り口までの距離は・・・
そんなに遠くはない・・・全力で走れば・・・
いけるか?・・・やるしかないっ」

どうやらここに来て
壮絶な戦いとやらが始まってしまうのか?
弓道ちゃんはどのような行動をとるのか。
逃げ切れるか、弓道ちゃん。
469える ◆NeXzmp25zc :2005/08/28(日) 03:33:52 ID:OfrSEzTO
とりあえずここまで
ということで以上。
なるべく早めに完成させたいと思います。
では、失礼。
470イレイザ− ◆.x0jKy2nk2 :2005/08/28(日) 06:54:57 ID:D8HfSQ+d
はよざーす。
イレイザ−でーす。(眠いのでハイテンション
いきなり投下したいと思います。

お互いに顔を知らない梢たち。
顔を知るために取った手段は…。

では、投下!(ほんとお決まりになってきたよ自分の中で
471イレイザ− ◆.x0jKy2nk2 :2005/08/28(日) 06:56:24 ID:D8HfSQ+d
かりかりかりかりかりかりかりかり。
…ちらり。
かりかりかりかりかりかりかりかり。
「…はい。できたよ、千百合ちゃん」
話は、3、4時間前に遡る。


「白鳥さーん」
ドアが開き、梢ちゃんが顔を覗かせた。
「…あ、梢ちゃん。どうしたの?」
「…えっと、お願いがあるんですけど…」
お願い?
「…私を、描いてほしいんですけど…」
「…へ?」
「私、他の皆の顔を知らないから…」
…ああ。
『意思』疎通だから、顔が見えないんだな。
「魚子ちゃんとか、早紀ちゃんとか?」
「はい。えっと…描いてくれますか…?」
…。
梢ちゃん、早紀ちゃん、魚子ちゃん、千百合ちゃん、棗ちゃん、『梢』さん。
…髪型と、瞳の色が違うだけだけど、銀先生に
「気合を入れて描けば同じ人でも違う人に見えるものですよ」
と言われた覚えがある。
…いつかは忘れたけど。
「うん。えっと…梢ちゃんからでいい?」
梢ちゃんの顔がぱあっと(他に表現のしようがない)輝いた。
「はい!お願いします!」

かりかりかりかりかりかりかりかり。
ちらり。
…うーん。
結構深い顔だなあ。
かりかりかりかりかりかりかりかり。


それから、30分ほど。
梢ちゃんのスケッチが出来上がった。
…え?……なんで箒を持っているか?
………………………聞かないでください。
腕が勝手に描いていて…。
梢ちゃんには笑われるだけですんだけど。
「えっと…」
「あ、次は早紀ちゃんをお願いしますね♪
また箒描いちゃダメですよ?」
…箒は梢ちゃんのトレードマークみたいなものだから描かないと思う。
472イレイザ− ◆.x0jKy2nk2 :2005/08/28(日) 06:57:06 ID:D8HfSQ+d
一瞬の間が開いて、早紀ちゃんの声が2号室に響いた。
「しーらーとーりー!」
いきなり抱きついてきました。
「わわわわわ!?」
「かーっ!梢も迷惑なことするよなぁ!
白鳥に絵を描いてもらうなんてよ!」
「じゃあいいよ。早紀ちゃんだけ描かないから」
「え゙…!?
い、いや、失言でした!
描いてぇぇぇ」
早紀ちゃんが哀願してるの、初めて見ましたよ。
「…じゃ、描くから、顔上げて」
その言葉に従い、早紀ちゃんは顔を上げた。
「…髪、いいか?」
「いいよ。むしろその方がいい」
言うまでもなく、早紀ちゃんは既に髪型をいつものポニーテールに変えていた。
「…よし。いいぞ、白鳥」

かりかりかりかりかりかりかりかり。
ちらり。
…早紀ちゃんのポニーテールって結構難しいんだな。
かりかりかりかりかりかりかりかり。


…早紀ちゃんも、30分ほどで描き終わった。
頭の上に蝶がいるのは、…まあ、愛嬌愛嬌。
…リアルすぎたらしく(僕はそれほどリアルに書いたつもりはないけど)、
早紀ちゃんが『ぴえー!!』とか言って管理人室に5分くらい閉じこもった。
「ったく。蝶なんか描くな…って近づけるなー!!!」
…面白い。
「…なんか言ったか?」
「…何も」
地獄耳です早紀ちゃん。
「誰が地獄耳だって?」
ひぃぃ。
どういう耳だよぉ…。
「……………………次、棗だからな?」
「う、うん」
…そういえば、梢ちゃんが耳が良くなったって言ってたような…
473イレイザ− ◆.x0jKy2nk2 :2005/08/28(日) 06:58:16 ID:D8HfSQ+d
「…隆士、君(ぽん)」
かかった声に、ふりむいた。
そこには、いつものように(?)頭に花を咲かせた棗ちゃんがいた。
「描いてくれる…かも?(ぽぽぽん)」
「うん。じゃ、脱いで」
「…え?(しおー)」
「あはは、冗談だよ。そのままでいいよ」
「意地悪…かも(しおしおー)」
言っている間にも、棗ちゃんは髪をちょいちょいいじり、ツインテールにしていた。

かりかりかりかりかりかりかりかり。
ちらり。
…花も描いたほうがいいよな。
かりかりかりかりかりかりかりかり。

これまた、30分ほど。
絵を見て、棗ちゃんの花で部屋が埋まり、大変なことになったのはいうまでもない。
「…魚子ちゃんで、いい…かも?」
「うん。お願い」
…なんか面倒なことになりそうな気がするけど。
474イレイザ− ◆.x0jKy2nk2 :2005/08/28(日) 06:58:50 ID:D8HfSQ+d
棗ちゃん(?)が髪をいじってストレートにするのをぼーっと見つめていると、
「お兄ちゃーん!!」
「うひゃあっ!?」
い、いつの間に入れ替わったんだ…?
「お兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃーん」
ひー。
天国地獄。
「な、魚子ちゃん!絵、絵描くから!
これじゃ描けないから!
いい子だから、離れて!ね!?」
「はーい」

かりかりかりかりかりかりかりかり。
ちらり。
「お兄ちゃーん!」
どす。
ぐほっ。
「な…魚子ちゃん、じっとしてて…。描けないから…」
「はーい」
…ふう。
疲れる…。
かりかりかりかりかりかりかりかり。

ふう。
魚子ちゃんが落ち着きのない(しかたがないことだけど)ことで、みんなの倍の1時間ほどかかった。
絵を見せたときにつやつやになったのは嬉しかったけど。
475イレイザ− ◆.x0jKy2nk2 :2005/08/28(日) 06:59:26 ID:D8HfSQ+d
次は千百合ちゃんか。
魚子ちゃんが髪を整え、横に分けている。
サイドポニーテール…だったっけ?
ん?サイドポニー?
いや…サイドテールか?
…分からなくなりました。
ごめん。千百合ちゃん…。
「…隆ちゃん」
「…あ、うん。
用意いい?」
用意もへったくれもないけど。
「はい。お願いしますよ。
correctに描いてくださいね?」
「はいはい」
「…二度返事ですか?」
「はいはい」

かりかりかりかりかりかりかりかり。
ちらり。
…眼鏡描かないといけないかな?
かりかりかりかりかりかりかりかり。

30分後。
「…はい。できたよ。千百合ちゃん」
「…ほう。これは…very correctですね!」
…veryもつきましたか。
「では…次は茶ノ畑さんですね」
476イレイザ− ◆.x0jKy2nk2 :2005/08/28(日) 07:00:04 ID:D8HfSQ+d
苗字で呼ばないと分からないってのがなあ。
…って、もう準備できてるし。
一瞬のうちに、髪型が三つ編み(しかも完璧)になっている。
…どんな神業ですか?
「…では、お願いしますね」
深い声。
正確には梢ちゃんたちと同じ声なのだけど、この人が言うとそんな声に聞こえる。
「…はい」
敬語になっちゃうんだよなあ…。

かりかりかりかりかりかりかりかり。
ちらり。
三つ編み難しすぎ…。

「…よし」
「…終わりましたか?」
「これでいかがですかね?」
「…わあ」
『梢』さんの顔がほころんだ。



次の日、鳴滝荘。
「…わー」
「おやおや〜?梢ちゃん、それは何ですか〜?」
「あ、珠実ちゃん。白鳥さんに描いてもらった絵だよ。
私と、早紀ちゃんと、棗ちゃんと、千百合ちゃんと、魚子ちゃんと、茶ノ畑さん、だよ」
最後の人物の名前は控えめに言いました。
…色々とアレだから…。
「…むむ〜。白鳥さんも結構やりますね〜。
梢ちゃんを描いてもらったですか〜?」
珠実ちゃんが楽しそうに言った。
「私以外に誰がいるの?」
「姉さんたちです〜」
「…」
絶句するしかありませんでした…。
477イレイザ− ◆.x0jKy2nk2 :2005/08/28(日) 08:02:50 ID:D8HfSQ+d
えー。
あとがき大いに遅れました。
すみません…。

「カコ」シリーズがシリアスだったので、ほのぼのものを書いてみました。
おおう。
名前名前。
「絵描きさん」ということで(意味不明
478名無しさん@ピンキー:2005/08/28(日) 08:44:09 ID:pUFncL1O
課題終わらず、PC壊れて、数日連続2桁睡眠 orz

感想が浮かばないとはもう駄目だな…
∧∧
∧_∧ (´<_`)そろそろ梅ヶ丘の予約取っとくか…
(´_ゝ`) / ⌒i
(_つ/ ̄ ̄ ̄/i |_
\/___/ ヽ⊃
479名無しさん@ピンキー:2005/08/28(日) 08:50:39 ID:pUFncL1O
(´_ゝ`)完全にずれたな
(´<_`;)携帯なのに無理するからだ。しかし此は此でどうかと…
480イレイザ− ◆.x0jKy2nk2 :2005/08/28(日) 08:57:14 ID:D8HfSQ+d
ネタが浮かんだのでつかみだけ投下します〜。
二連続ですが。
すみません…。
では、投下!
481イレイザ− ◆.x0jKy2nk2 :2005/08/28(日) 08:58:00 ID:D8HfSQ+d
………………………
…ここは…どこ…?
……水の…中……?
違う…水の中はこんなに温かくない…
『カエロウヨ』
え…………?
今の声…?
『帰ロウヨ』
誰…?
『帰ろうよ。
一緒に…帰ろう?』
こ…え…
懐かしい…優しい…声…
戻りたい…
包まれていた…あの…優しい日々…
記憶…かすかに…残ってる…
…………も ど り た い
か え り た い…
『………ん』
…また…声…
『………り…ん』
この声…
僕の…
あ…?
どこへ…行くの…?
僕を…一人にするの…?
嫌だよ…
ずっと…一緒にいてよ…お願いだから…
ねえ…
一緒に…いてよ…!
482イレイザ− ◆.x0jKy2nk2 :2005/08/28(日) 08:58:31 ID:D8HfSQ+d
………………………
…私は…今…どこにいますか…?
草原…ううん…雰囲気が違う…
一人…たった一人…
孤独…
『イコウ』
…?
今の…?
『行コウ』
………?
『行こう。
一番大事な人のところに。
一緒に行こう』
違う
あなたは、私の一番大事な人…
帰ってきて…
柔らかな、風に抱かれ…
心が、切なくなる…。
草原の中、一人きりで…
青空の向こうには、何が広がっているのだろう…
勇気がほしい。
静かに、祈ってる…。
『………ん』
え……?
『……え……ん』
待って
待って…!
行かないで…!
私を置いて、行かないで…!!!
483イレイザ− ◆.x0jKy2nk2 :2005/08/28(日) 09:01:31 ID:D8HfSQ+d
…と、短くここまでしかできてません…。
タイトルは思い浮かばないので次から入れたいと思います。
見てのとおり、重いので注意をお願いします(苦笑
484名無しさん@ピンキー:2005/08/28(日) 20:47:39 ID:pUFncL1O
(´_ゝ`)夏休みなのに投下率が低いな
(´<_`)もう夏休みも終わりだからな。職人も大変なのだろう
(´_ゝ`)じゃあ此処で一句『夏休み 花火のように 過ぎ去った』
(´<_`;)何か、その俳句に似たやつをニュースで聞いたような希ガス
485ココナッツムーン ◆YP5KAYH.gg :2005/08/28(日) 21:39:37 ID:XQTOGmbB
今現在長編旅行は坂本衛氏の著書と、漫遊みやざきを再び読み直して話を立て直そうとしているところです。
魚子×隆子と珠×部長の短篇を並行して書いてます。どちらかを今夜投下予定?
486ココナッツムーン ◆YP5KAYH.gg :2005/08/29(月) 01:33:39 ID:nXezBrQX
魚子×隆子?ですかね。投下しますね。エロエロで書いてみました。
正直実験的なものなんで、叩いてもらって結構です。
487名無しさん@ピンキー:2005/08/29(月) 01:34:49 ID:nXezBrQX
「隆ちゃんは、女装した方がCorrect!」
と千百合ちゃんに言われて僕はあの夜、珠実ちゃんにからかわれ、コスプレさせられて上の空なはずの桃乃さんと朝美ちゃんの視線が気になり恥ずかしい思いで一杯だった。
一種の心労に悩まされながら、部屋に戻った。千百合ちゃんは暴れ疲れて部屋に戻り眠ってしまったらしい。他の人たちも多分・・・
漆黒の夜空にはミルク色の月が輝いているだけ。都会の海原にもようやく静寂が訪れたようだ。
僕はつい着替える事無く眠ってしまった。

 朝、いや昼間が訪れたようだ。僕は目覚めた。早速タンスから鏡を取り出してみた。
昨日と同じ姿だ。昨日の愛ゆえの狂態?なのだろうか、あれが夢でなかったのに落胆した。
「あれ、こんな時間まで梢ちゃんが起こしに来ないなんて?」僕は訝しんだ。
幸いにもドアが開いた形跡はない。この醜態を見られなかったことを起こしに来なかった梢ちゃんと神に感謝した。
 さて着替えようと服を取ろうとしたとき
――ドタドタドタ――
――バターン――
「お兄ちゃーん!」
488名無しさん@ピンキー:2005/08/29(月) 01:35:56 ID:nXezBrQX
 魚子は部屋に入ってくると女装した隆士をじっと見つめていた。しかし彼女が隆士だと気付いた節はない。
「お姉ちゃん、だーれ?」
興味津々なようだ。
こうなると隆士も仕方なく
「し、・・白鳥隆子よ。」
恥ずかしそうに答える他なかった。
「隆子お姉ちゃん遊ぼー。えーとまずは絵本読んでー。」
魚子に身体をスリスリされたあと、隆士は女装したまま絵本を読み始めた。
そのあとお絵描き、人形遊びと一周して魚子は
「お姉ちゃんの洋服可愛いね。着せ替えっこしようよ。まずお姉ちゃん脱いで。」
 何とか誤魔化そうと下着姿になったが、魚子は
「下のも変えるのー。」
と聞かないで隆士のトランクスと上半身の女性用下着とパッドを一気に下ろした。
すると股間には、女の子にはないはずの一物が・・・「お姉ちゃん、何で女の子なのにおち○○んがあるの?」
隆士は答えることが出来ずつっ立っていた。
「ねぇ何で、何でー?」
隆士の身体を揺すると勢いでとうとうカツラが落ちてしまった。
「わーっ!お兄ちゃんだーっ。何で女の子のかっこしてるの?」
「・・・・・・」
「どうしてーっ?ねぇお兄ちゃん?」
「珠実ちゃんと桃乃さんと遊んでたんだ。」
「ふーん。じゃあ次は魚子ね。」
もう僕は何も言えず全裸で、魚子ちゃんが脱ぐのを見ながら立ちすくむだけ。元気なのは魚子ちゃんの視線を受けて大きくなった一物だけ。
489名無しさん@ピンキー:2005/08/29(月) 01:37:00 ID:nXezBrQX
 魚子は全裸になると隆士のトランクスを履き、胸にパッドを付けようとした。
しかし魚子は精神年令は6歳だが肉体は17歳で、胸の大きさは標準よりずっと大きい。従って胸にパッドを付けようとしてもうまく入らない。
「お兄ちゃん、これ着けて」
 隆士はパッドを、赤面しながらフィットさせようと試みるが乳首に刺激を与えるのみ。
「ぁ・・・・」
魚子はパッドが動くたび声を上げる。その声が少しづつ隆士の理性を溶ろかしてゆく。一物も加速度的に大きくなり限界をキープする。
そのうち魚子の秘所も少しづつ濡れていき、トランクスを濡らしていく。
 「・・・お兄ちゃん・・・ぁぅぅ・・・気持ち・・ぃぃ・・・いいよ。」
隆士の理性も限界だった。魚子のトランクスを下ろし両手からパッドを落とした。
「魚子ちゃん、気持ちいいこと・・・しよう。」
隆士はこのとき梢や棗と既に経験済みだったので方法くらいは分かってる。
隆士は、少しトロンとした表情の魚子にキスをした。舌を絡め唾液を送り込む。 そのまま畳のうえに魚子を優しく押し倒した。
「魚子ちゃん、こっちもいい?」
「お兄ちゃん・・・」
隆士は魚子の蜜で湿った場所へ指を入れる。
――グチュグチュ――
490名無しさん@ピンキー:2005/08/29(月) 01:38:10 ID:nXezBrQX
魚子のそこは愛撫すればするほど蜜があふれ出た。隆士は蜜のたっぷり付いた指を咥えた。
「あうーお兄ちゃん、魚子恥ずかしいよ。」
隆士は何故か背徳感のようなものを感じ、いつも以上に昂ぶるのを感じていた。そして・・・
「魚子ちゃん、いくよ。」「・・・ぅ・・・ん・・・」
先程からはち切れんばかりにそそり立った一物を魚子のそこへ入れた。蜜に満たされた魚子の楽園は隆士を決して阻まず深みへ導く。
「・・ぉ・に・ぃ・っ・ちゃん・・」
もう既に魚子の脳は快感に蹂躙されているようだ。
 隆士は腰を振り始めた。
「・・ぅ・・魚子ちゃん!・魚子ちゃん!・・っ・・・」
「お兄ちゃん、お兄ちゃん!・・・・・ぁぅぁっ」
「な・・なこ・ちゃ・・ぁぁん」
「魚子の・・・熱いのぉぉ」
二人は絶頂を迎えた。
・・・・・・・・・
 「魚子ちゃん、またする?」
「魚子もっともっと気持ち良くなりたい!」
この調子ではどちらかが疲れるまで続きそうだ。
491ココナッツムーン ◆YP5KAYH.gg :2005/08/29(月) 01:46:29 ID:nXezBrQX
正直、エロはマジで難しいです。やっと書けてホッとしてます。
もっと表現を磨かないとあの長編の完結は厳しい気がします。失礼しました。
492名無しさん@ピンキー:2005/08/29(月) 01:50:12 ID:c2msxjSR
GJ!九州の続きもきぼんぬ
493名無しさん@ピンキー:2005/08/29(月) 02:04:37 ID:LnBsGoqp
お、大人だね!

でも改行はちゃんとした方がいいかなと思いました。
494名無しさん@ピンキー:2005/08/29(月) 02:05:44 ID:GDhz00Cu
昔いってた中の人交代ものを書いてる。
書く気力が無くて書いてなかったんだが…
まぁ、前半とオチは考えてるので投下しよう。
いつもは一括でやるんだけどね…
495名無しさん@ピンキー:2005/08/29(月) 02:08:06 ID:GDhz00Cu
ここは青華短大付属高校。略して青短校。
そしてここにたたずむ3人の少女。
「部長!これは一体どういうことですか!?」
蒼い髪の少女が尋ねる。
「私にも、ちゃんと説明して欲しいです」
茶色のおさげの髪をした少女が続ける。
二人の言葉は部長と呼ばれたマントの少女に向けられていた。
「フム…説明はデきまス。しかし…コレハ魔術ノ失敗ニよっテもたらサれた結果なのデス。
スグに元通りとハ行かナイでショウね…」
部長は考えるように喋ると説明体制に入った。
「部長〜、何でもいいですけど、手短にお願いしますね」
「クッ、仕方ないデスね…デスが、余り短い話デハ無いデスよ?席にツク事ヲお勧めシマス」
部長に諭されてその部屋――オカルト研究部部室に三つしかない椅子に座る。
「一マズ確認シテおきマしょうカ」
部長の深い闇色の目がギラリと光った。



「梢部員、珠実部員、アナタ達は――――――魂ガ入れ替わったトいうコトで間違いアリませんネ?」

まほらば 『Soul Change』
#1 替わる心
496名無しさん@ピンキー:2005/08/29(月) 02:09:11 ID:GDhz00Cu
「間違いないと思います〜」
梢―――の姿をした珠実が言う。
「私も…そうだと思います」
同じく、珠実―――の姿をした梢が言う。
二人はなんと、魂が入れ替わってしまったのだ――――――
それは30分前。


「…というワケで梢部員、珠実部員、準備はイイデスか?」
相変わらずの部長。…と思ったら、今日は黒い帽子を被っている。
「はい♪成功するか楽しみですね♪」
まだ無事な梢。
「梢ちゃん〜…ダメですよ〜、部長みたいな変態趣味になっちゃ〜…」
「アハウハァッ!イイですよ、珠実部員!!」
「マ゛〜…」
そして珠実。
三人は床に描かれた魔方陣を囲んでなにやら呪文を唱える。
これは「降魔の儀式」だった。
低級の悪魔を呼び出すらしいが…どうも嘘臭かった。
三人が呪文を言い終えた。
497名無しさん@ピンキー:2005/08/29(月) 02:10:25 ID:GDhz00Cu
「…何もおき無いですね」
梢が残念そうに言う。
「いつもの事です〜。梢ちゃん、こんなことに付き合ってても時間の無駄です〜。早く帰りましょう〜」
「あ、待ってよう…」
珠実は梢の手を引いて部屋から出ようとする。
「…!珠実部員!梢部員!待つのデス!!」
部長がそう言った瞬間、急に魔方陣が輝きだす。
「!!何ですか!」
「きゃっ!!」
魔方陣から何か出てくる。
「…悪魔?」
そこにいたのは羽を生やした小さな悪魔のようなくまのようなモノがあった。
気をツケて下サイ。コレハ呼び出す予定ノ悪魔とハ違いマスよ…!」
「!!梢ちゃんには指一本触れさせないです〜!!」
珠実は戦闘態勢になり、梢をかばう様に後ろへやった。
部長も『封印用』と書かれた封筒の中から札らしきものを取り出す。
「食らうがいいです〜!」
珠実の鉄拳が繰り出される。しかし。
スカッ
珠実の攻撃はすり抜けた。勢いあまって通り抜けてしまう。
悪魔は梢の方を向いた。
「…え!?」
梢はビクリと震えた。悪魔がニヤリと笑っている。凍り付くような笑顔だった。
悪魔が梢に近づく。
「サセまセンよ」
部長は手に持った札を悪魔へと飛ばす。
悪魔はビリビリとしびれて動かなくなった。
498名無しさん@ピンキー:2005/08/29(月) 02:11:37 ID:GDhz00Cu
「トドめデスネ」
部長がトドメをさそうとする。
しかし悪魔は攻撃をすり抜け、梢に近づき、カッと光をはなった。
「危ないです!!」
とっさに珠実が梢をかばうように飛んだ。
「珠実部員!梢部員!」
光が二人を襲う。
部長が悪魔に対して再び札を貼ろうとすると、悪魔は一瞬にして消えてしまった。
「逃げラレましたカ…」
部屋には珠実が吹き飛ばした机と部長が飛ばした札が散乱するだけだった。
「珠実部員、梢部員、大丈夫デスか」
倒れた珠実と梢に手を差し伸べる。珠実が手を取った。
しかし―――
「大丈夫…です。珠実ちゃんありが…え!?」
「うぅ〜…どうしたですか、梢ちゃ…!?」
二人は顔を見合わせた。そこには自分がいる。自分が二人になってしまった!?
否。
二人が入れ換わったのだ―――――
499名無しさん@ピンキー:2005/08/29(月) 02:13:27 ID:GDhz00Cu
「入れ替わったのだー、じゃないです〜!どうするんですか〜!私をこんなイイ目に合わせて〜!」
梢になった珠実は心なしか嬉しそうだ。
「何だか変な感じです。自分を外から見ているなんて…」
珠実になった梢は、はぁ〜、と自分の姿を見つめる。
入れ替わった二人は口調はいつもと変わらないが、スガタカタチ、声などは変わらない。
ただし珠実in梢の目の色は茶色、梢in珠実は青色だ。
「それで、なんでこんな風になってしまったんですか?」
「ソレは、アナタ達が受けタ光が原因デスネ」
部長が人差し指を立てて言う。
「あの光…当たっても別に痛く無かったです〜…」
「元々攻撃デハなかっタ、トいうコトデスか」
「何故あの…悪魔さんは私達をこんな風にしたんでしょう?」
「どちらかというと梢ちゃんを狙っていたように見えましたね〜…」
部長さんはフムと考えてから、
「ココにイた三人の中でハ、梢部員ハ、一番一般的ナ人のハズデス。でなけレバ…特別な存在ナのカモしれマせン」
「!!」
珠実はその言葉にハッとなった。梢が他の人と違う所といったらアレしかない。
「もし、梢ちゃんが特別な存在だとして、あの悪魔は梢ちゃんの何を狙ってるんですか?」
「ソコまでハ…しかし、コレで終ったトハ考えニクいデスね…」
500名無しさん@ピンキー:2005/08/29(月) 02:14:41 ID:GDhz00Cu
「とりあえず…元に戻る方法はないのでしょうか?」
「コレハ先ほどの悪魔ノ魔術デス。恐ラク、施術者――術ヲ掛けタ相手を倒スことがデキれば、あるいハ―――」
梢の姿をした珠実は立ち上がる。
「それだけ聞ければ十分です〜。あの悪魔を捕まえてぶっ飛ばすですよ〜!」
「待つのデス。先程のコトを忘れタのデスか?物理的な攻撃ハ効かナイのデスよ」
「…そうでした。部長、何か考えでも〜?」
「この封印符デハ抑え付ケルのデ精一杯デシた。シかシより強力な魔力ヲ持つモノがアレバ幾らデモ払うコトが可能デス。
これカラ材料を取りにイってクるので家で待っテイルとよいデショウ」
いつもよりも協力的な部長に疑惑の念を浮かべる。
「なんで部長は手伝ってくれるんですか?」
「私の責任でス。ソレにアナタ達がいつモノようでナイと調子が狂いまスかラ」
「というか、部長といる方が調子狂うです〜…」
「クッ。ソレではマタ後でアイまショウ…」
そう言って部長は部屋から出た。
「私達も帰ろうか」
「はい〜。そうですね〜」
梢と珠実も部屋から出た。
玄関まで行った時、よく見かける少女に出会った。
501名無しさん@ピンキー:2005/08/29(月) 02:15:50 ID:GDhz00Cu
「あ、梢〜。お珠〜」
大きく手を振る少女は梢と珠実の友人だ。近づいてくる。
「もう。返事くらいしてよ〜。ね、珠!」
どーんと珠実の背中を押す。
いつもの珠実だったらこのくらい全然平気だろうし、反撃すらしてくるだろう。
しかし、今の珠実の体には梢の魂が入っていた。
「きゃっ…!」
「な、何するですか〜!…あ、危ないよ〜」
珠実はいつもの口調を抑えて梢の口調に合わせる。内心で『よくも梢ちゃんを〜!!!』と怒っていたが。
「ご、ごめん…やりすぎちゃった……珠、平気?」
「う、うん。平気だよ…で、です〜」
梢もなんとか取り繕う。
「?」
彼女は首を傾げた。取り合えず三人で帰ることにした。
帰り道。
「なんかさ、あんた等おかしくない?口調が変って言うか…」
「そ、そんなこと無いですよ!ね、ねー?」
「そ、そう…です〜…ねー?」
彼女は首をかしげる。
「変だな?珠は『きゃっ』なんて悲鳴あげるし…」
梢の中の珠実は「なんか文句あるですか〜!!」と怒をためていた。その怒りが笑顔となって出てくる。むしろ怖い。
「…なんか梢、今日怖い顔してない?」
「してないよー?うん、全っ然してない」
「…やっぱりなんか変」
502名無しさん@ピンキー:2005/08/29(月) 02:17:00 ID:GDhz00Cu
彼女は不思議に思っていたが、途中で別れ、やっと鳴滝荘についた。
「どうしましょう…このこと、みんなに話したほうがいいかな…?」
「うーん…どうでしょうね〜…」
どうしたものか思案する。しかし、すぐにそれどころではなくなってしまった。
「ギャー!!な、何アレー!!?」
桃乃恵の声だ。
「珠実ちゃん、今、桃乃さんの声が…」
「行ってみるです〜」
声がしたのは中にはの方だ。梢達はそこへ向かう。
「こ、梢ちゃん、珠〜…!!あ、アレ…」
恵が指を刺す。そこには――――

昼間の悪魔が歪んだ笑みを浮かべていた。
503名無しさん@ピンキー:2005/08/29(月) 02:19:43 ID:vb2JRGQN
>>454
パスはmahoだYO
504アトガキジカイヨコク〜:2005/08/29(月) 02:24:31 ID:GDhz00Cu
鳴滝荘にまで現れたあくまたん!
珠実が応戦するも、その巨大な力の前には歯が立たない!
しかし、そこに表れたのは赤き瞳の戦士だった!!
次回#2「其の力」



次回予告はノリでやった今は反省している。
ちなみにこのSSのヒロインは珠実…のはず。
エロも出てくる予定。
505たろ:2005/08/29(月) 02:25:31 ID:lSmZJ5Ue
うい〜っす
とりあえず桃乃編を書いてみたので投下っス。
506たろ:2005/08/29(月) 02:26:12 ID:lSmZJ5Ue
そこに居たのは桃乃恵だった。重い足取りでふらふらと廊下を歩いていた。
「おはようございます、桃乃さん。」
「あ〜…オハヨ白鳥クン……。」
「どうしたんですか?桃乃さん。」
「…ちょっとね…、昨日はさすがに飲み過ぎちゃったみたいで…アッタマ痛〜…。」
「………。」
酒にはめっぽう強い、と言うかもはや底無しと言ってもいい恵が二日酔いとは…、
昨日はどれほど飲んだのだろうか、
まあ結果的に昨日隆士が(無理矢理)飲む(正確には飲まされる)分が減ったので
今朝の隆士の調子はすこぶる良いのだが。
「桃乃さん、そんなに飲みすぎちゃダメですよ。」
「だってえ〜。」
「だってじゃないですよ……。」
「あ〜〜……白鳥クン、お茶漬けつくって〜…。」
「何で僕が…、自分でやってください。」
「え〜イイじゃ〜ん。」
これ以上押し問答をしても無駄なのでとりあえずキッチンへ連れて行こうとすると
「きゃああああぁぁぁぁ〜っ!!!」
突然叫び声が聞こえた。
「!?」
「何?何なの?」
「桃乃さん、あれ!」
隆士の指差すほうには数匹の黒い生き物に囲まれて襲われそうになっている梢が居た。
「こ、梢ちゃん!」
二人はほぼ同時に駆け出した。恵などさっきまでのフヌケっぷりがウソのようだ。
507たろ:2005/08/29(月) 02:26:50 ID:lSmZJ5Ue
VSシルエットエディin鳴滝荘
勝利条件:敵の全滅
敗北条件:隆士の戦闘不能

「コラー!!アンタ達、梢ちゃんにナニしてんのよー!!」
「も、桃乃さん…。」
まだ酒が抜けていないのかやけに威勢良くシルエットエディに食って掛かる恵、
シルエットエディ達は途端に散開し二人を取り囲んだ。
「プギャアアアアアアアア!!」
「桃乃さん……なんか、やばいですよ…。」
「そうね…やばい…かも。」
流石に正体不明の生き物に明らかな敵意を向けられて恵も正気に戻ったのか萎縮している。
「プギャア!」
そうしている内にシルエットエディ達はじりじりと近づいてくる。
そして今にも飛び掛らんとしたその時、
「あらあら、どうした事でしょう。そんな格好で。」
不意に声をかけられた、こんな口調の人物は鳴滝荘に一人しか居ない。
「ち…千百合ちゃん…?」
どうやら先ほどのショックで梢は千百合になってしまったようだ。
千百合は隆士達に目もくれずシルエットエディ達に話し掛ける。
「確かに非常に愛らしい姿をしてはいますが…、やはりその身一つではイマイチ詰めが甘いと言うか…、
インパクトが無いと言うか…。」
「プ…プギャ?」
「いいえ!むしろそんな事ではいけないのです!貴方達には裸一貫よりももっとcollectな服飾があるはずです!
さあ、この私に全てを委ねるのです!」(はぁ〜 はぁ〜)
「…千百合ちゃん、息が荒いよ…。」
「collect!collect!!collectォォ!!!」
「ぷぎゃあぁぁぁぁ〜……。」
あっという間の早業で何処から持ってきたのか知らないがシルエットエディは様々なコスプレ衣装に
着せ替えられていた。
「ぷ…ぷぎゃ…。」
余りの精神的ダメージを受けたせいかシルエットエディはそのまま消えてしまった。
「あら…、せっかく正しい服飾にして差し上げたのに、残念ですわねえ。」
「あ…ありがとう、千百合ちゃん。おかげで、助かった…よ。」
「あらぁ隆ちゃん!嬉しいですわ〜。」
隆士を見つけるや否や抱き付いてくる千百合。
「わ…ち、千百合ちゃん。」
「いや〜千百合ちゃんのおかげで助かっちゃったわよ。アリガト!千百合ちゃん。」
「…………。」
「おろ?千百合ちゃん、どしたの?」
「いけませんわねぇ恵さん。そんな服飾で庭に出るなんて!」
「うっ…!ち…千百合…ちゃん…まさか……。」
「アナタに正しい服飾をーーー!!!」
「オウノゥ!オウノゥ!!オウノ〜ゥ!!!…………1UP……。」
508たろ:2005/08/29(月) 02:28:34 ID:lSmZJ5Ue
なんか内容がだんだん投げやりになってる気が…。
とりあえずバラさん編を書いてここから抜け出して先に進んだら頑張ろう、うん。
509名無しさん@ピンキー:2005/08/29(月) 03:46:00 ID:Uwgd1RCj
>>508
字まちがっておりますよ
collect→×
correct→○
510名無しさん@ピンキー:2005/08/29(月) 03:50:26 ID:KIPesMId
>>491
需要が割と少ない魚子タソキタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!(´・ω・`)隆士キュソ・隆子タソの性格恐いがな

>>502
(´・ω・`)何か先を予想出来んがな
(´・ω・`)エロ系にも戦闘系にも出来る作品がな
511名無しさん@ピンキー:2005/08/29(月) 06:48:23 ID:KIPesMId
ところで

@梢タソが朝隆士キュソを起こしに逝って、悪戯してたら本気になっちゃって(ry
A梢タソが隆士キュソに勉強を教えてもらって、その最中にあんな事やこんな事を(ry

これを文章化してくれる神はいないか?無理には言わんが。
512名無しさん@ピンキー:2005/08/29(月) 07:54:42 ID:EFtq4YAH
2のほうは金でやってるな
513名無しさん@ピンキー:2005/08/29(月) 14:53:54 ID:8j1bOPwx
珠実と桃乃の勘違いだったっていうオチだったけどな。
514名無しさん@ピンキー:2005/08/29(月) 16:21:54 ID:KIPesMId
勘違いで終わらせない。何処までも暑く熱く。





・・・・・
     ∧_∧
∧__∧ (´<_`)要はエロければいいんだろ

(´_ゝ`) / ⌒i
(_つ/ ̄ ̄ ̄/_i |
\/___/ ヽ⊃
515名無しさん@ピンキー:2005/08/29(月) 16:25:32 ID:KIPesMId
(´_>`)もう携帯から貼るのはやめるか
(´<_`)あぁ、半端無くズレるからな
516名無しさん@ピンキー:2005/08/29(月) 16:46:58 ID:EFtq4YAH
しかし金銀は性交だの生えてないだの、誰の趣味だいったい?
517名無しさん@ピンキー:2005/08/29(月) 17:01:51 ID:SU6m9naT
公共の電波ではできないことをしたかったんだよ。
518ぐうたら ◆7b9DL4hJvA :2005/08/29(月) 17:01:52 ID:JA/Yrrwd
>>516
モノリス?
やっと今月のまほらば分補給ー!
沙夜子さん、『時そば』で朝美ちゃんに沢山食べさせてやろうとは優しいお母さんだよなあ…
みっちゃん熱が小さく、確かに燃え上がってきたので早めはやめにMLLを書かねば!
でも課題ガッ!!
519名無しさん@ピンキー:2005/08/29(月) 17:03:42 ID:r3tlbKTX
珠実は白パンツ!きぼん
520名無しさん@ピンキー:2005/08/29(月) 17:23:13 ID:KIPesMId
Mr.ぐうたらがんがれ
521名無しさん@ピンキー:2005/08/29(月) 20:13:30 ID:LnBsGoqp
課題の人がエロ求めてるようだから投下してみるテスト。
522Unbalance:2005/08/29(月) 20:15:08 ID:LnBsGoqp
「はぁはぁ、はぁはぁ…っ」

閉め切った部屋の中に熱を帯びた荒い息づかいが響く。
「あっ…あぁんん…! 白鳥…さぁん…! もっと…ぉ」
ベッドの上では男女が抱き合い、快楽を貪っていた。

ギシギシとベッドが軋み、グチュグチュと淫らな水音がリズムを刻む。
更なる快楽を求める彼女に応えるように白鳥と呼ばれた男は激しく突き立てた。
「ひああぁっ!! すごっ…もっと、もっとぉ…!」
彼女は窮屈そうな格好で身を丸めながらも自ら足を抱え、より深い結合を求める。
上気した体からは玉のような汗が流れ落ち、行為の激しさを物語っていた。
ギチギチに固くなった肉棒が出入りするたびに秘唇の肉襞がめくれ上がり、溢れ出た愛液がこぼれシーツを濡らす。
「ひぃっ、はぁ…白鳥さん…白鳥さぁんっ!」
「気持ちいい…?」
「は、はいっ、すごい、いいぃっ!」
彼女は隠そうともせず、素直に快楽を受け入れている。
彼女の身体もそれに応えるように自らの蜜壷に突き入れられる剛直をキュッキュッと締め付けた。
暖かい内壁がざわざわと蠢き、自らの子宮を満たすであろう精液をまだかまだかと催促する。
どんどん高まっていく快感に二人はさらに加速していった。

「はぁっはぁっ!」
「きっ、気持ちいいっ! 気持ちいいですぅっ!!」
「ぼ、僕も…!」
「ふあぁぁぁっ!!」
肉欲に飲み込まれた少女はあられもない格好でうわごとのように嬌声をあげる。
だらしなく半開きになった口元からは唾液が滴り、潤んだ瞳がやけに艶めかしい。
そんな姿に興奮を覚えてか、男は少女の腰を両手で捕まえて激しく挿入を繰り返した。
少女は熱く滾る肉棒を最深部に何度も叩きつけられ、子宮口から伝わる強すぎる刺激に背を仰け反らせ腰を浮かせる。
ガクガクと全身が痙攣し、ピンと硬直させたつま先が限界が近いことを示していた。
「お、奥に当たってるぅっ! す、すごっ…奥にぃ!!」
「すごい…締め付けて、気持ちいいよっ…!」
「しっ白鳥さんっ…! 私っもうっ…!!」
「うくっ…! 僕も、もう…!」
「っ白鳥さぁん! もうダメッ、イっちゃう! イっちゃうぅぅっ!!」
「た、珠実ちゃん…っ!!!」
523Unbalance:2005/08/29(月) 20:16:09 ID:LnBsGoqp
「はぁ…はぁ…」
「は〜…」
ことを終えた僕は疲れ切った体を珠実ちゃんの上からどけて深くため息をつく。
僕は少し萎えた肉棒を彼女から引き抜くと二人を隔てていた薄皮を外してゴミ箱へ投げ入れ、
ドッと脱力してそのまま彼女の隣に倒れ込んだ。

「は〜…疲れた…」
「…お疲れ様ですぅ〜♪」
ようやく息を整えた珠実ちゃんは軽くキスするとすり寄るように僕の胸に顔を埋めた。
普段の彼女からは考えられない甘えるような行動は妙に愛しさを感じてしまう。
僕は珠実ちゃんを抱くように腕を回し、ゆっくりと髪を撫でた。
体は疲れ切っていたけど、心地よい疲労感が胸を満たしている。

「今日は5回もイっちゃいました。 気持ちよかったです〜」
「そ、そう? 満足してくれたなら何よりだよ」
「白鳥さんもだいぶ頑張るようになりましたね〜」
「まぁ、しょっちゅうだからね…さすがに慣れたよ」
僕の腕の中で悪戯っぽく笑う珠実ちゃんは満足げな表情をしていた。
彼女は髪を撫でる僕の腕をいやがりもせずに身を預ける。
だいぶ慣れはしたけど、どこか不思議な光景だった。
「私だって人に甘えたくなることくらいありますよ〜?」
「…えっ!? ま、また僕、独り言言ってた?」
「いえ〜、白鳥さんのことならよくわかりますから〜」
すべてを見透かすような彼女の瞳を見ながら苦笑した。
どういう関係になろうとも、珠実ちゃんは珠実ちゃんだった。

「こんな私を見せるのはあなたにだけですよ〜、白鳥さん」
「うん…そっか」
「ありがとうございます…」
珠実ちゃんは照れたようにはにかむとまた僕に優しくキスしてくれた。

524Unbalance:2005/08/29(月) 20:17:25 ID:LnBsGoqp
僕は珠実ちゃんを腕に抱きながらぼんやりと物思いに耽っていた。

僕に身を預けた彼女はすやすやと寝息を立て無防備な寝顔を見せている。
(…ホントにこれが珠実ちゃんだなんて信じられないよ)
そこにいるのはいつもの気丈な女性ではなく、無垢な一人の女の子。
彼女は幸せそうな笑みを浮かべ安心しきって眠りについている。

そのギャップが未だに埋められずにどこか不思議な気分にさせられた。
(改めてみると珠実ちゃんも可愛いなぁ…)
人には見せないもう一つの顔…彼女の本当の姿を見せられたからだろうか。
いつの間にか、珠実ちゃんのことが愛おしく思える自分に驚いていた。
(珠実ちゃんも…本当はこんなに可愛いのに…)
そう考えるとますます普段の珠実が勿体なく思えてくる。
きっと、もっともっと彼女は輝けるはず。
(…いや、それをしないからこそ珠実ちゃんは珠実ちゃんなのか)

あまりにも秀でた能力を隠し、ひっそりと日の当たらない場所に身を置く彼女だからこそ
僕は惹かれてしまったのかもしれない。

525名無しさん@ピンキー:2005/08/29(月) 20:18:55 ID:LnBsGoqp
とりあえず、今日はここまで。
ご覧の通り、前に言った珠キチエロエロものです。

微妙に暴走気味ですがご容赦を。
526名無しさん@ピンキー:2005/08/29(月) 21:20:30 ID:KIPesMId
>>525
Victory Good Job!!!!
暴走する事はとても(・∀・)イイ!!事だ。
527テイル ◆5zZRlb1law :2005/08/29(月) 23:40:26 ID:X/1FeBFw
……まほログが……糞、生扉め……テイルです。
初期の18禁作品を拡充しました。それでもまだ足りませんが。

>>525
VGJ!エロだけでは中々濃密な……珠実、可愛い……
梢ちゃんはどうなってんの?IFですかね?
続き、期待してます。

というわけで、続きが書けない日々が続く……orz
まあ、月末だし、これは致し方ないかと。現実が……現実が……ッ!
528名無しさん@ピンキー:2005/08/29(月) 23:44:59 ID:LnBsGoqp
現実が珠実に見えた。
もうオラ、ダメじゃ…。

まぁ続きはぼちぼち。
エロエロだからなかなか進まないよ、ママン…。
529名無しさん@ピンキー:2005/08/30(火) 00:36:06 ID:cfjedR2v
>>499
梢の目の色は青じゃなくて深い緑色ですよ
530名無しさん@ピンキー:2005/08/30(火) 00:41:00 ID:7MeakqUX
早紀、魚子、千百合、棗は名前にある色と同じ目の色だけど
梢は違いますもんね。

梢と千百合の目の色ってほぼ同じ色な気が・・・。
531たろ:2005/08/30(火) 01:44:58 ID:OBXeY8ss
すいません、素で間違えました。
LじゃなくてRでしたね。

梢と千百合の目の色は
原作  梢>濃い目の黄緑っぽい、エメラルドグリーン?(一巻表紙)
    千百合>青っぽい緑。むしろほぼ青(八巻表紙)
アニメ 梢のほうが濃い、千百合は明るい黄緑。
こんな感じかと。
532ココナッツムーン ◆YP5KAYH.gg :2005/08/30(火) 01:51:34 ID:3q7KsGwj
旅行編投下します。
533旅行:2005/08/30(火) 01:52:49 ID:3q7KsGwj
 皆で考え込んでいると電車は南延岡を出た。次の日向市まで16分かかる。その合間を利用して車掌氏は
検札のため先頭車へ向かった。途中梢たちの客室を通ったとき、梢は車掌氏を呼び止めた。
「あの、写真が落ちてましたよ。ところでこの写真はどこですか?私たちの大切な場所が写っているようなんですが。」
車掌氏は
「今忙しいけえ(から)あとに出来んかな。」
と梢から写真を受け取ろうとしたとき
「真剣な話なんです。どうか答えてください。」
真剣な表情の珠実が鳴滝荘らしきものが写った写真を引ったくり、
「答えてもらうまで返しませんよ。」
と恫喝した。
 車掌氏は
「高鍋を過ぎたら車内放送も自動に切り替えて、話をするけぇ」
と弱々しく答えた。そして検札に戻った。
 電車は高鍋を過ぎた。それとともに自動放送が流れた。
――ぱんぱんぱ〜ん――
「本日もJR九州をご利用くださいましてありがとうございます。この電車は特急にちりん11号宮崎空港行です。
停車駅はさどわらっ、宮崎、南宮崎、終点宮崎空港のです。次は佐土原です。」
534旅行:2005/08/30(火) 01:53:51 ID:3q7KsGwj
 自動放送が終わると車掌氏がやってきた。
一行は既に聞く態勢に入っているようだ。
「始めてください。」
梢の声の後、語り部は話し始めた。
「あの写真に写っていたのは東京の双葉台の乗務員宿舎やな。といってもアパートの何室かを国鉄が借りちょったんじゃけどな。
 その写真が撮られたのは昭和60年前後じゃなかろうかと思うんじゃけど
国鉄の頃はまだまだ各地にブルートレインが健在じゃったけえ東京は各地の乗務員が集まっちょった。
 ほじゃあけんど(そうだけども)東京と上野の駅の宿泊施設を向こうの衆が物置みたいしちょんけぇ(してるから)
部屋が足らんもんじゃけアパートまで借りちょったんだと。
なしてか(どうしてか)知らんけど田舎の衆程双葉台の方に回されたんじゃな。
富士に乗っちょる大分とか、東北の衆がよくそこにおったのぅ。
 まあワシも最初に富士乗ったとき双葉台まで行けち(行けと)
言われたときは腹も立ったが行ってみたら凄く凄くエエところで・・・
 飯は余所の乗宿とは比べもんにならんくらいに旨いし部屋も居心地がエエし
何より大家さん夫婦がエエ人じゃった。確か総一郎さんと言ったかな?
お年を召されていたが、住人だけじゃなく日替わりの国鉄マン達にも気を配ってくださった。・・・
535旅行:2005/08/30(火) 01:55:45 ID:3q7KsGwj
といった話を合間で仕事をしながら車掌氏はしてくれた。
「間違いなく、そこは私たちのアパート、鳴滝荘ですね。」
梢は言った。
「少し聞いたことがあったが、ここまでは知らんかったナ。」
「ところでいつまで乗務員宿舎だったんですか〜?」
と珠実が問うた。
「国鉄が終わった後も東日本が借りてたらしいがなぁ。知り合いの東日本の車掌から聞いた話によれば
あの大家さんがのうなって(亡くなって)大家が代わった頃に乗宿として使わなくなったらしいが。
大家さんの晩年はかなり、あそこも揉めちょったそうじゃけぇ・・・
女の子が一人おったそうだが大変じゃったろうな。」
と寂しげに車掌氏は言った。
 さて宮崎市内に入ったようだ。まもなく宮崎駅に到着する。
一行は降りる準備を進めた。列車は宮崎に着いた。
降りようとすると一行に車掌氏が名刺を渡しにきた。
「まだ聞きたいことがあったら此処に電話頂戴。」
「はい、喜んで。」
車掌氏は一行との別れ際、どこか哀愁を漂わせて遠くを見つめながら、彼らに手を振っていた。
536ココナッツムーン ◆YP5KAYH.gg :2005/08/30(火) 17:28:17 ID:3q7KsGwj
ドタバタ珍道中で終わるつもりはない。その意気は佳し。
結果は・・・orz
次からはちゃんとした旅になります。まずは地鶏、サボテンステーキ、青島海岸といきましょうかね。

>>テイル氏
いつも乙です。
537名無しさん@ピンキー:2005/08/30(火) 18:03:48 ID:66HsI19U
あとがきを半日以上かけて書くお前ワロスwwwww
つーかネタがネタなんで楽しめる人が凄く少ないと思うぞ、コレ
538名無しさん@ピンキー:2005/08/30(火) 18:21:38 ID:jVdyKSvA
楽しめる人が少なかったとしても、しっかりしたストーリーになってるから、嫌がる人も少ないはず。
よって無問題
539名無しさん@ピンキー:2005/08/30(火) 18:40:09 ID:66HsI19U
ム、それもそうか。
野暮だったな。スマソ
540ココナッツムーン ◆YP5KAYH.gg :2005/08/30(火) 18:42:46 ID:3q7KsGwj
>>537
あとがき忘れてました。
ご要望は善処します
541名無しさん@ピンキー:2005/08/30(火) 20:50:32 ID:OXaNYJ+8
んじゃ、ここらで楽しめる人が凄く少ないのでも投下してみますか。
542Unbalance:2005/08/30(火) 20:52:39 ID:OXaNYJ+8
彼女と僕がこの関係になったのはいまから1ヶ月ほど前のこと。
それはまさに運命の悪戯だった。

その夜、僕は気まぐれに珠実ちゃんの部屋へと足を運んでいた。
課題に行き詰まり、たまには珠実ちゃんにアイディアを貰おうと思ったからだ。

鳴滝荘のみんなとも打ち解けてずいぶん経ち、気が緩んでいたからだろうか。
1号室のドアを無遠慮に軽くノックしたあとすぐに開けてしまった僕の目に映ったのは、
ベッドの上で自慰に耽る珠実ちゃんだった。
そして…僕は聞いてしまった。

彼女の口からうわごとのように繰り返される、僕の名を。

僕は思っても見なかった光景に茫然自失になり、その場に立ちつくしてしまった。
それは珠実ちゃんも同じことで、僕に見られてしまったことに驚き目を見開いていた。
僕たちは目があったまま凍り付いたように硬直してしまった。

しかし、珠実ちゃんの方が立ち直りが早かったのか、気がつくと僕は彼女の部屋に引っ張り込まれていた。

543Unbalance:2005/08/30(火) 20:54:42 ID:OXaNYJ+8
「…白鳥さん、見ましたね?」
「えっと…その、あの…!」
「見たんですね?」
「あの…ゴメン!」
珠実ちゃんは服を着ようともせず、怒りで全身をわななかせ僕をキッと睨みつける。
プライベート、しかも自分の痴態を見られた彼女が怒るのも当然だ。
知ってはいけないことを知ってしまい、僕は己の軽率な行動を呪った。
「…聞いていましたか?」
「………」
珠実ちゃんが聞いていることは、彼女が僕の名を口にしていたことだろう。
僕は言いようのない感情に囚われながら無言で頷いた。

「…そう…ですか」
「ゴメン…」
僕の返答を得た彼女は怒るでもなく、泣くでもなく小さく呟いた。
「ま、いいでしょう…事故なら仕方ないですね…」
「えっ…?」
「むしろ私にとっては好都合なことです」
「た、珠実ちゃん…?」
珠実ちゃんの口から出た、意外な言葉。
僕は彼女の真意が読めずに俯いた珠実ちゃんを見返した。
「あの…珠実ちゃん?」
「ふふふふふ…」
「あ、あの…?」

突然の珠実ちゃんの変化に僕は妙な不安を覚え始めた。
544Unbalance:2005/08/30(火) 20:56:45 ID:OXaNYJ+8
この感じは何かを企んでいる…そう感じたときには遅かった。

「白鳥さんに知られちゃったなら仕方ないですねぇ」
珠実ちゃんはいつもと同じ調子…いや少し違った雰囲気を感じさせながらゆっくりと僕に歩み寄ってくる。
「ねぇ…白鳥さん、私の体、どうですか?」
「!?」
「梢ちゃんと比べたら物足りないかもしれませんけど…」
「なっ…なにおっ!?」
「私…いつも白鳥さんのこと考えてエッチなことしてたんですよ?」
「なっ……!」
蠱惑の笑みを浮かべ、珠実ちゃんは甘い声で囁く。

改めて思い直してみると、彼女はあられもない格好をしたままだった。

小振りな双丘も、柔らかそうなお腹も、彼女の大事なところもすべて見えてしまっている。
むしろ珠実ちゃんは僕にさらけ出すように手を広げ、熱っぽい笑みを浮かべた。

包み隠さぬ彼女の白い肌に目を奪われた僕は逃げるまもなく距離を詰められていた。
僕はゆっくりと歩み寄る珠実ちゃんに気圧されてじりじりと後ずさる。
「いつもいつも白鳥さんに抱かれるのを妄想して、いっぱいいじってたんです」
「た、珠実ちゃんっ! な、なにおっ!?」
「ここに白鳥さんのを入れて欲しいなぁって…思いながら」
珠実ちゃんは自らの股間を示しながら僕に熱っぽい視線を向ける。
思わず珠実ちゃんの秘所に目がいってしまいテラテラと濡れたそこに僕の目は釘付けになってしまった。
珠実ちゃんはそんな僕に見せつけるようにクチュッと音を立てて割れ目を開いて見せつける。
年頃の女性としては痴毛一本生えていない痴丘からトロリと粘液質の液体が滴り床に落ちた。

初めて見る女性器に僕の鼓動はどんどん高まっていった。
545Unbalance:2005/08/30(火) 20:58:13 ID:OXaNYJ+8
「白鳥さんもよく一人でオナニーしてますよね〜?」
「な、ななななな、なんでそれをっ!?!?!?」
「アレで気づかれてないつもりですか〜?」
そう言って悪戯っぽく笑う珠実ちゃん。
考えてみれば壁一枚隔てただけの隣の部屋に住んでいるんだ…。
彼女にすれば僕の行動なんて筒抜けに違いない。
「毎晩毎晩、壁越しに荒い息とか聞こえちゃえば私だって気になっちゃいますよ〜」
「ぁ、ぅ…」
「白鳥さんの欲求不満、解消してあげましょうか…?」
「!?」
「うふふです〜…」
僕が混乱している隙に珠実ちゃんは僕の足下に屈み込むと素早く僕のズボンに手をかけた。
驚くまもなく彼女の手が僕のズボンとトランクスをずりおろす。
珠実ちゃんの裸体を前に、すっかり大きくなった僕のものが彼女の眼前に露わになってしまった。
「な、なにするの、珠実ちゃん!?」
「気持ちいいことしてあげるです〜」
「やっ、やめてよ、ダメだよ!」
「そのわりにはこちらはお元気なことで〜」
そう言って僕の中心にそびえ立つ剛直をまじまじと見つめる。
熱っぽい瞳がじっと見つめ、彼女の頬もほんのりと上気していた。

やがて珠実ちゃんは僕のそれにゆっくりと手を伸ばす。
いくら僕でも珠実ちゃんが何をしようとしているのかは理解できた。
でも、僕には彼女の行動の理由が理解できずにただただ戸惑うばかり。

気がつくと僕の下半身は珠実ちゃんに掌握されていた。
546Unbalance:2005/08/30(火) 21:00:12 ID:OXaNYJ+8
「…やっぱり、すごく熱いですね〜」
むき出しになった僕の股間の剛直を握りしめながら、珠実ちゃんは感慨深げに呟く。

知人とは言え、女の子に自分の性器を見られてしまい、僕は真っ赤になって必死に抵抗した。
その抵抗が無駄だとはわかっていたけれど。
「白鳥さん、なんで嫌がるんですか〜?」
「な、なんでって…それは…と、とにかくこんなことダメだよ!」
「そうですかね〜? 白鳥さんは梢ちゃんとエッチ出来ずに悶々としてるですよね〜」
「そ、それは…」
「まぁ、若い男の人なんだからそれくらいは当たり前ですよね〜」
僕の足下に屈み込んだ珠実ちゃんが上目遣いに指摘する。
図星を突かれて、僕は返す言葉もない。
「だから、私が白鳥さんの性欲を解消してあげるです〜」
「ちょっ…! だから、なんでそうなるの!?」
「白鳥さんは一人でするよりもっと効果的な性欲発散が出来て、私はその代価に白鳥さんに抱いて貰える。 一挙両得じゃないですか〜」
「なにいってんの、たまみちゃん!?」
珠実ちゃんの言うことは至極わかりやすい話だった。

要は珠実ちゃんの体を梢ちゃんに見立てて代理セックスすればいい、ということだ。

彼女のいうことは理にかなっていた。
感情論を挟まずに論理的に考えれば、だけど。
547Unbalance:2005/08/30(火) 21:04:31 ID:OXaNYJ+8
僕にはそんな機械的な感情で珠実ちゃんを抱くことなんて到底出来ないことだった。
「だっダメだよ! だいたい好きでもない相手にそんなこと言っちゃダメだよ!」
「…白鳥さんは私のこと嫌いですか?」
珠実ちゃんは渋る僕をじっと見つめて真剣な口調で問いかけてきた。
「えっ…? い、いや、嫌いってわけじゃないけど…」
「私は白鳥さんのことは好きですよ」
「……!?」
僕は珠実ちゃんの言葉に絶句した。
「私は白鳥さんにだったら抱かれてもいいかなぁって思ってます」
「た、珠実ちゃん…」
とんでもない爆弾発言にすっかり混乱していた。
どこまでが彼女の真意なのか、いまの僕にそれを推測するほどの冷静さはない。

「別に白鳥さんに私への愛がなくても構いません」
「………」
「だから…」
珠実ちゃんは言葉を切り、あっけにとられる僕にゆっくりと奉仕し始めた。
548Unbalance:2005/08/30(火) 21:06:20 ID:OXaNYJ+8
ざらついた舌が僕の肉棒をゆっくりと舐め上げる。
「うっ、く…!」
珠実ちゃんの熱い舌先が敏感な部分を探り当て丹念に愛撫していく。
彼女の唾液と僕の先走りが混じり合い、僕の性器はどんどん濡れていった。
「んっ…んふ…はぁ」
「う、ああ…だ、ダメ…だよ…!」
僕は珠実ちゃんの為すがまま、じわじわと押し寄せる快感に飲み込まれ始めていた。
「気持ちいいですか〜?」
「くっ…!」
与えられる快楽を否定するように頭を振るがそんな意思表示さえ彼女からすれば肯定に見えてしまうだろう。
珠実ちゃんは小悪魔的な笑みを浮かべるともっと大胆な行動に出た。
「そうですか〜…。 ならもっと気持ちいいことしてあげるです〜。 んっ…」
「ふわぁっ!?」
彼女は僕の肉棒をしっかりと握りしめるとそれを自らの口へと宛った。

ぬるっとした熱いものが僕の剛直をゆっくりと包み込んでいく。
珠実ちゃんは小さな口いっぱいに僕の肉棒を頬張ると、唇と舌を使ってさらに刺激し始めた。
唇がゴムのように幹を締め付け、口内では舌全体を使って敏感な亀頭部分を集中的に責め立てる。
初めて経験する口淫に僕はなすすべもなく翻弄された。

「んぐっ…んっんんっ…んふぅ…」
僕の足下に屈み込んだ珠実ちゃんは丹念に僕の性器を愛撫を続ける。

その行為だけではなく、あの珠実ちゃんが僕に奉仕をしているというあり得ない状況に僕は興奮を覚え始めていた。

549Unbalance:2005/08/30(火) 21:08:35 ID:OXaNYJ+8
「うっ…くぅっ!」
「あむ…ひらとりはん…ひもひいいれふか…?」
「くっ…はぁ…! た、珠実ちゃん…!」
僕のものを口に含んだまま呂律の回らない言葉でも、彼女のいっていることは理解できた。
でも僕の頭の中は混乱に混乱を重ね、霞がかかったようにまともな思考が出来なくなっていた。
「き、気持ちいいよ…! 珠実ちゃん…!」
「んっ…じゃ、もっとよくしてあげますね」
そう言って珠実ちゃんは口にくわえ込むと頭を振り、唇で締め付け、舌で舐め回す。
ピチャピチャと粘液質な音と珠実ちゃんの荒い息づかいが二人だけの部屋に響く。
彼女の熱心な奉仕によって僕はいままで感じたことのない快感に支配されていた。

「んぐっ、んうっ…あん…んっはぁ……んっんっ」
よく見れば珠実ちゃんは空いている手を自分の股間に潜り込ませていた。
クチュクチュと小さな音が聞こえ、だんだんと珠実ちゃんの息も荒く熱を帯びていく。
奉仕を続けながらも時折ぴくんと体を反応させていた。

「く…ぅ、珠実ちゃん…!」
「んぷっ…はぁ…白鳥さん…我慢できませんか…?」
「だ、ダメだよ…珠実ちゃん…!」
「我慢しないでいっぱいかけてください」
そう言うと珠実ちゃんは僕の肉棒を強く握りしめ、激しくしごき始める。
それを目の前に構えると、僕の射精を催促するように口を開いた。
「もっ…ダメ…だよ…!!」
股間から脊髄へと駆け上がる快感がピークに達したとき、僕は限界を迎えた。

その瞬間、僕の怒張からはビュクビュクと普段よりもかなり大量の白い奔流が迸る。
溢れ出した精液は眼前で構えていた珠実ちゃんの顔に、髪に、口の中に容赦なく浴びせられ、
彼女の顔はみるみる白濁まみれになってしまった。
「あ…ああ…くっ…」
「すごい…いっぱいです…」
「た、珠実ちゃん…ゴメン…!」
「うふふ…」
僕はすっかり精液でデコレーションされてしまった珠実ちゃんを見て罪悪感に苛まれた。

でも、あろう事か彼女は恍惚とした表情で顔についた白濁を指ですくい口に運んでいる。
両手で顔についた精液を集め、丹念に舐め取っていく。

何でそこまで出来るのか…僕には彼女の行動を理解できなかった。
550名無しさん@ピンキー:2005/08/30(火) 21:10:16 ID:OXaNYJ+8
はい、ここで本日の投下分は終了です。
続きはまた明日。
エロエロエッサイム〜。
551名無しさん@ピンキー:2005/08/30(火) 21:15:44 ID:jDyg7Oug
リアルタイムで読んでしまった、GJ!です。
しかしオナ禁スカイウォーカーの私にはきつうございました…

あと
>そう言って僕の中心にそびえ立つ剛直をまじまじと見つめる。

のところで脳内ビジョンの白鳥君の股間にジャイアンの顔が浮かんでしまったw
552名無しさん@ピンキー:2005/08/30(火) 21:26:44 ID:OBbGj+nO
>>550
エロエロキタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!!!!!!!
2度目の Victory Good Job!!!!!!!!!!



ついさっきまで腹痛&嘔吐で死にかけていたのだが、
unbalanceの力のお陰で85%回復だ。
 ∧_∧
(´_ゝ`)οοο(この感想書くのに10分かかったのは内緒だ
(_つ/ ̄ ̄ ̄/
 \/___/
553名無しさん@ピンキー:2005/08/30(火) 23:33:07 ID:7MeakqUX
>>550
ぐ、ぐはぁっ!!
球ちゃんそこまでするとは・・・。

夏休みの終わりに良いものを読ませてもらいました。
ああ、続きが楽しみ・・・。
554名無しさん@ピンキー:2005/08/31(水) 00:41:52 ID:++gi6kzh
>>550
乙&VERY GOOD JOB!
  _、_
 (,_ノ`)   n
 ̄   \ ( E)
フ   /ヽヽ//

続きも期待してますよ
555ぐうたら ◆7b9DL4hJvA :2005/08/31(水) 01:42:01 ID:GNCjNXko
ウフフフフフフフフフフフフフフフフ
課題に追われ壊れ気味です。ぐうたらです。
レポート系があと二つ。
…………
ウフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフ。目がぁーッ!!
今現在課題には一切手を付けずにMLL書きまくってる俺エドモンド本田。

仕方が無いのでMLL!

行きますよー。

『MLL D 元凶』Bパート、投下〜
556MLL D 元凶−b 1/6:2005/08/31(水) 01:43:24 ID:GNCjNXko

(普段ハ休日にナルと、草木モ眠る時間にシか起キナい私デスが、ソの日ハ違いマシた。
 変ナ時間に目が覚めテシまイ、どウしヨうカト悩ンダ末に、テレビを見るコトにシマした。
 偶然見たテレビにハとテモ素晴らシイもノが映ッてイマしタ)

『俺はアニキだーーーーー!!!』
『マジ・マージ!!』

(見れバ緑色の全身タイツが呪文を唱えタ瞬間に筋骨隆々のマッチョマンにナッたでハありマセんカ。
 ソレに、テレビの彼ハ聞けバ魔法使いだソうデス。
 ソレから週明けの一日デその魔法を頭に叩キ込みマシた。
 完全にモノにシタ所デ次は無性に人に試しテ見タクなリまシテ。
 ソレで……)

「……それで、それで早紀ちゃんをこんな風にしたですか〜〜〜???」
そう言った珠実ちゃんは、明らかに怒っていた。
「…えエ。兼ねテヨり興味を持っテいタ梢部員に白羽の矢ヲ立テて実験を行ッたのデス」
「早紀ちゃんを戻す方法はあるわけ?」
桃乃さんが一番重要なことを尋ねる。
「…エえ。幾つカ手順を踏必要gがアりマスが、可能デスよ」
「本当!?」
思わず声を荒げる僕。
「本当デス。しカシ、そレにハ、タマなしさんノ協力が必要不可欠ナのデス」
「ぼ、僕の協力…?」
「何でも言いです〜!私がサバトの生贄にでも何でもなるですから〜!!」
「おヤ、そレハ本当デスか?珠実部員」
「本当です〜!だからさっさと早紀ちゃんを元にもどすです〜、この宇宙が生んだ奇跡のド変態〜〜!!!」
「アハうぁッ…!!」
ズキューン!という効果音と共に激しく仰け反る部長さん。
この人って、やっぱり……
「……フう、一息つイタ所デ話を元に戻シマしョウか」
「やっと?」
桃乃さんが尋ねる。
無理もない。
珠実ちゃんと部長さんのやりとりがカレコレ30分程続いたからだ。
「ソうデスね、デは儀式を始メまショうか。デスが、ソの前に…」
部長さんがくるりと振り向き、僕を見る。
いや。
正確には、僕の頭上の、早紀ちゃんを…
557MLL D 元凶−b 2/6:2005/08/31(水) 01:43:55 ID:GNCjNXko
「『ウー・ドーザ』」
部長さんの声と、くぐもった男の黒い声が重なる。
それに合わせて早紀ちゃんの体がぼうっと紫色に鈍く輝く。
「早紀ちゃん!?」
「案ズる事はアリませンよ、タマなしサン。少しばカリ術の進行を戻しテいルだけデス」
「え…?」
数秒後、紫色の光は収まった。
「早紀ちゃん?大丈夫?」
「おお、大丈夫だ…アレ?喋れるな。何でだ?」
「見まシタか?私なラこノ呪いを解ク事モ可能デス」
「可能って…それは呪いを掛けたのが貴様だからです〜〜〜!!」
「ストップ!珠ストップ!!今部長ちゃんを殺したら早紀ちゃんが!」
桃乃さんががっしり珠実ちゃんを押さえ込む。
うん、懸命。
「そレデは、続ケマすヨ?」
「はい、よろしくお願いします…」
思わず緊張し、上ずった声が出る。
「タマなしさん、彼女を抱えテ私ノ前に出しテクだサい」
「え?あ、こ、こうかな?」
戸惑いながら早紀ちゃんの両脇を抱えて部長さんの前に持って行く。。
「でハ……」
すっと、部長さんは掌を早紀ちゃんの前に持ってくる。
そして、呪文を唱え始める。
「『ザンガ―』」
部長さんの掌に、さっきと同じ鈍い紫色の光が宿った。
558MLL D 元凶−b 3/6:2005/08/31(水) 01:44:33 ID:GNCjNXko
「『―ザザード―』」
その光は早紀ちゃんに伝わり、その体を包む。
「『―ウジュラ―』」
その時部長さんの掌と早紀ちゃんの体の間に魔方陣のようなものが幾重にも重なり、トンネルの様になった。
「『―ザザレ』」
部長さんの掌に溜まった光のが球状になり、魔方陣のトンネルをゆっくり抜けていく。
「…まるで映画みたいだわね…」
目の前の神秘的な光景に声を漏らす桃乃さん。
「マ゛〜……」
恐らくかなり高度な術なのだろう。珠実ちゃんが不満の声を上げる。
やがて光球は早紀ちゃんの目の前まで行き、すっ、と体内に入っていった。
「…………こレデ、第一段階終了デス」
「だ、第一段階?」
「ソうデス。こレカらタマなしさんト彼女にハ、あル事をシてもラいマス」
「ある、事…?」
「何ですか〜?さっさと言うです〜!」
「わわっ、だから落ち着けって珠キチ!」
再び珠実ちゃんをがっちり押さえ込む桃乃さん。
「それで、ある事ってなんなんですか?」
気を取り直して尋ねる。
「アる事と言ウのはデスね……」
少し間を置く部長さん。
そして再び口を開く……
「タマなしさんが…」
それは、
「彼女と…」
予想だにしないもので、
「……口付けをスる事デス」


………僕の意識を軽く奪うのには充分だった。
559MLL D 元凶−b 4/6:2005/08/31(水) 01:45:09 ID:GNCjNXko
「「「「口付けェェェェェェェェェェェ!!!?」」」」
コンマ一秒のズレもなく開口一番に絶叫したのは四人。
僕、桃乃さん、珠実ちゃん…そして早紀ちゃん。
「何を驚くこトガあるのデスか?
 呪いをカけラレたお姫様にハ王子様のキスが必要不可欠でショう?」
「確かに!!」
がっちりと珠実ちゃんを押さえつけたまま桃乃さんが言った。
「何が確かにですか!!」
僕がそれを否定する。
「部長〜〜!!馬鹿言ってないで早く早紀ちゃんを元に戻すです〜!!」
「だかラ戻すにハ口付けガ必要ナのデスよ」
「ソレが必要ないといってるで…ムガ〜!?」
「少し黙ッてイてクダさいナ、珠実部員」
部長さんがしゅっとお札のようなものを珠実ちゃんに投げると、それは口を覆い、その瞬間珠実ちゃんの動きまでが止まってしまった。
これも魔術…なのかな?
「サあ、タマなしさん、お邪魔虫の動キは抑エマしタ。口付けを!」
「え、え、ええ!?」
「ささ、白鳥クン!早く早くぅ〜!」
桃乃さんがぶんぶん手を振って促す。
「も、桃乃さんまでなんなんですか〜!?」
「え?だってホラ、楽しそうだし!」
「それだけでですか!?」
「なカナかわカッて来マシたネ、あばずれさん」
「ニャハ〜、それほどでもないわよ〜!そーれくっちーづけ!くっちーづけ!!」
「くッチーづケ…くッチーづケ…」
元気に囃し立てる桃乃さんといつもの抑揚の無い声で囃し立てる部長さん。
そんな陰と陽の混じったコール、凄く怖い!
「そ、そんな、早紀ちゃんだって急には……」
四面楚歌の八方塞な状態に、活路を見出すべく真上の、頭上の早紀ちゃんに話をふる。
「にゃ、にゃあっ!?あ、あたしか!?」
「うん、早紀ちゃんは?急になんて、困るよね!?」
早紀ちゃんの恥ずかしがりやな性格を考えれば、この場を―――――

「あ、あたし…は…白鳥、となら………いい、よ?」

ウゥゥゥゥゥオァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!
560MLL D 元凶−b 5/6:2005/08/31(水) 01:45:48 ID:GNCjNXko
「おおーーーっ!!?」
「おォ〜〜〜……」
早紀ちゃんの意外すぎる、唐突過ぎる、可愛すぎる、可愛すぎる、かわいすぎる、カワイスギルゥゥゥ……ッ!!!
そんな一言にどよめき立つ桃乃さんと部長さん。
早紀ちゃんを抱えて、ちょんと目の前の机に置く。
早紀ちゃんは猫耳をピコピコさせたり、しっぽを机に当ててくりくりとさせたりでもじもじしている。
「さ、早紀ちゃんッ!?ほ、本当…?」
僕の顔も真っ赤だが、目の前の早紀ちゃんの顔の方が多分相当赤い。
「…………うん」
もうッ!!
何でそんなに可愛いのッ!!?
おかげで横で桃乃さんと部長さんが楽しそうにニヤニヤしながらこっちを見てるじゃないか!!
「部長ちゃーん。あのフヌケのケツに火ィつけらんない?」
…ホントに火がつくから止めてくださいよ、桃乃さん…
「…確カに。コノまマでハ永久に彼女が戻レまセんネ。……『ウーザ・ウル』」
再び部長さんの声とくぐもった男の声が重なった。
そして再び光る早紀ちゃんの体。
「ぶ、部長さん!?今度は何したの!?」
「大しタコとでハあリマせン。あト一分三十秒以内に口付けをシナけれバ彼女が二度ト元に戻れなクナる様にシただケデす」
「「ええっ!?」」
僕と早紀ちゃんの驚きの声が重なる。
「さア、早くしタホうがイいデスよ?」
「うぅ…」
ヤバい!
僕がこのままでは早紀ちゃんは猫サイズのまま戻れない。
だけどそれを止めるには僕が早紀ちゃんとキスをしなければ…!
「……」
その時。
僕をずっと見ていた早紀ちゃんの視線に気が付いた。
そして早紀ちゃんの方を向いたのと同時に、早紀ちゃんが口を開いた。
「……白鳥…」
「え?」
「…なのか?」
ぼそぼそ、と早紀ちゃんが言った言葉は、聞き取れなかった。
「何?」
「……嫌…なのか…?」
早紀ちゃんは、猫っぽい潤んだ瞳で。
へにゃあと伏せた猫耳で。
へろんとたれた尻尾で。
僕に言った。

「あたしと……キス、するの………いや?」

―――――――――――――――ッ!!!
561MLL D 元凶−b 6/6:2005/08/31(水) 01:46:20 ID:GNCjNXko
「さき、ちゃん…」
すっ…と早紀ちゃんの両脇を抱え、持ち上げる。
「…残リ、十五秒」
部長さんが残り時間を告げる。
それすれも意に介さず。僕の瞳は早紀ちゃんだけを見つめていた。
「残り……十秒デス」
早紀ちゃんの顔を、僕の顔の目の前まで近づける。
「九秒」
「しらとり……」
「早紀ちゃん……」
早紀ちゃんは潤んだ瞳でこっちを見ている。
「八」
そんな早紀ちゃんに僕は優しく頷く。
「七」
それをみた早紀ちゃんは、顔をほころばせる。
「六」
そして今日一番の笑顔で、にかっと笑う。
「五」
それに応えるように僕も微笑む。
「四」
そして早紀ちゃんは目を閉じる。
「三」
安心したようなその顔を、すっと近づける
「二」
そしてその小さな唇と、僕の唇を………
「一」
 
―――重ねた。
562アトガキジゴク縮小版:2005/08/31(水) 01:48:03 ID:GNCjNXko
ちょっとオフザケが過ぎた…かも?
今回のネタは無論『魔法戦隊ry』からです。
明日は修羅場になるぞ…ウツダシノウ!
次回、終結編でお会いシマショー
563桜子:2005/08/31(水) 02:11:46 ID:zSL9hxRb
>>562
GJ!
564名無しさん@ピンキー:2005/08/31(水) 02:18:10 ID:jbgbEQfS
>>562
いま俺が言えるのはGJの一言・・・・・・
いや、いえるさ、最高もうまじでほんとGJですよぐうたらさん
565たろ:2005/08/31(水) 02:20:01 ID:+Mf9uE0t
流石ですね、素晴らしいの一言。
これからもがんばって下さい、と
ここんトコ毎日この時間帯にココをうろつくヒマ人が言ってみる。
566黒髪のメディラス ◆ogHXoHC0V2 :2005/08/31(水) 02:28:42 ID:hOXeQ06I
>563
すいません、うちの劇団ひとりが
567名無しさん@ピンキー:2005/08/31(水) 02:55:03 ID:V4RKFyRW
珠タンの次は早紀タンか orz

>>Mr.ぐうたら
キタ━━━('A`)━(A` )━(` )━(  )━(  )━(  ゚)━( ゚∀)━(゚∀゚)━━━!!!!!!!!!!

さてこれで95%まで回復と
 ∧∧
(´_ゝ`)οοο(あと1作で完全回復だな
(_つ/ ̄ ̄ ̄/
 \/___/
568ジズ:2005/08/31(水) 02:58:58 ID:fXW5F6wI
GJ
しかし誤字をはっけんしたぞ
何でも言いです〜!私がサバトの生贄にでも何でもなるですから〜!!
×言いです
○良いです
569ジズ:2005/08/31(水) 02:59:38 ID:fXW5F6wI
すまん下げるのを忘れていた
570名無しさん@ピンキー:2005/08/31(水) 05:28:10 ID:7/H9iQnh
>>507の勝敗条件とか敗北条件とかって
もしかしてサ○ンナイトでは?
571名無しさん@ピンキー:2005/08/31(水) 09:25:16 ID:hOXeQ06I
>570
タクティクスオウガとかタクティクス、スパロボとかも入るような
572名無しさん@ピンキー:2005/08/31(水) 13:19:41 ID:OnE2kmRX
なりダン3と言っては駄目ですか?
573ぐうたら ◆7b9DL4hJvA :2005/08/31(水) 13:54:07 ID:kiY8mzj+
無双シリーズしか思いつかない…
574名無しさん@ピンキー:2005/08/31(水) 18:44:33 ID:hzsYR+xS
さて、今日は早めに投下。

ああ、ヨーグルティングのクローズβ受かっちゃったよ…orz
2回分先までは書けてるけど週明けまでペースダウンするかもしれません。

では、投下。
575Unbalance:2005/08/31(水) 18:46:31 ID:hzsYR+xS
「どうでしたか〜? 白鳥さん〜」
「………」
一通り処理を終えた珠実ちゃんは僕に向かって微笑んだ。
屈託のないその笑みの向こうに何故か痛々しいものを感じてしまう。
僕はそんな状況でもしっかり快楽を覚え、絶頂を迎えてしまった自分に罪悪感を感じていた。
「白鳥さん、どうしました〜?」
「どうして、珠実ちゃん…? どうしてそこまで出来るの…?」
「なんのことですか〜?」
「珠実ちゃん…もっと自分を大事にしないとダメだよ…」
「…ああ、そのことですか〜」
そうだ、こんな投げやりな、勢い任せな状況でこんなことするのは間違ってる。
僕はそう思い、珠実ちゃんを諭そうと真剣な表情で彼女と向き合った。
けれど…彼女の気持ちは違っていた。

「別に私はいい加減な気持ちでこんなことしてるわけじゃありませんよ」
「え…?」
「さっきもいったと思いますけど、私は白鳥さんに抱かれたいんです」
いい加減な気持ちじゃないかという僕の問いかけにはっきりと否定の言葉が返された。

僕が珠実ちゃんの意図がわからぬまま困惑していると、珠実ちゃんはベッドの上に腰掛けた。
そして、両足を持ち上げるとゆっくりとM字に股を開いていく。
「なっ…!?」
「白鳥さん、よく見てくださいね」
「だ、ダメだよ!」
僕は口では否定しながらも、露わになっていく彼女の秘所に目を奪われてしまった。

溢れ出た愛液ですっかり潤った蜜壷がゆっくりと開いていく。
余計な痴毛がないツルツルな珠実ちゃんの秘所は綺麗なピンク色をしていた。
割れ目の上部には小さなクリトリスが存在を主張し、隠唇が息づくように開閉する。
珠実ちゃんはそこに指を押し当てると左右にぱっくりと開いてみせた。
ニチャァと粘液が払われるとひくひくと蠢く彼女の奥の奥が見えている。
止めどなく溢れる愛液がトロリとこぼれ落ち、ゆっくりと滴りながらシーツに水たまりを作る。

珠実ちゃんのさらけ出された女性器を前に僕の目は釘付けになっていた。

576Unbalance:2005/08/31(水) 18:47:55 ID:hzsYR+xS
「よく…見てください、白鳥さん」
「………」
「私……初めてじゃないんです」
「……!?」
珠実ちゃんは少し躊躇したあと目を伏せて呟いた。

僕はしばらく言葉の意味が飲み込めずに彼女の言葉を反芻していた。

珠実ちゃんは初めてじゃない…男性を経験している…!?

その事実に驚きもう一度彼女の蜜壷へと視線を向けた。
入り口を塞ぐものはなく、奥の方まで見えてしまっている。
確かに…彼女の秘所には処女膜が、ない。

「な、なんで…」
「以前…梢ちゃんが暴漢に襲われそうになったとき、私は身を挺して彼女を守りました」
「……!!」
「その代償が…これです」
そう言うと珠実ちゃんは指を離し、足を閉じると座り直した。
珠実ちゃんは俯いたままでその表情は伺えない。
「私はそのことは後悔してません…。 むしろ梢ちゃんのためだったら誇らしいくらいです」
「………」

それは…梢ちゃんのためなら全てを…純潔さえも捧げる覚悟があるという彼女の決意の証。

以前、彼女が言っていた言葉は嘘偽りのない誓いであると僕は改めて痛感させられた。

577Unbalance:2005/08/31(水) 18:50:25 ID:hzsYR+xS
「ま、そのことはいまは置いておきましょう〜」
俯いた顔を上げると珠実ちゃんはさっきまでの調子に戻っていた。

でも、あんな話を聞かされたショックからすぐに立ち直れるわけがない。
僕は彼女の笑顔の痛々しさの理由をようやく思い知ることになり、胸が締め付けられた。
「それはそれ、これはこれです〜。 さぁさぁ、白鳥さん、ばっちこーいです〜」
「でも……」
いつもの調子で僕を誘う珠実ちゃん。
けれど、それはもう悲しい演技のようにしか見えない。

「…白鳥さん。 私のことを気にかけてくれるのは嬉しいですがそれだけじゃ足りないんです」
「珠実ちゃん…」
「あなたには…私の体に優しさを刻んで欲しいんです」
「優しさ……?」
珠実ちゃんは真剣な表情になると僕をまっすぐに見据えた。

「確かに…梢ちゃんを守って処女を奪われたことは後悔していません…」
「………」
「でも…無理矢理犯され…辱められた記憶がずっと残っているんです」
「…珠実ちゃん」
「だから…私はあなたに抱かれて…優しさを全身で感じさせて欲しいんです」
「………」
「好きな人に抱かれる喜びを…少しでも私に教えて欲しいんです…」
僕を見据えていた目が言葉を続けるうちにどんどん下がっていく。

伏し目がちな珠実ちゃんは途切れ途切れに言葉を繋げた。
きっと思い出したくもない悲惨な記憶なんだろう。

彼女の瞳にはうっすらと涙が浮かんでいた。

578Unbalance:2005/08/31(水) 18:51:52 ID:hzsYR+xS
「でも…どうして僕なの…?」

珠実ちゃんの真意を知った僕はだいぶ落ち着きを取り戻していた。
彼女の過去を知ってしまった以上、僕もただ逃げるわけにもいかない。

僕は納得のいく理由を求めた。
「白鳥さんは気づいていないかもしれませんが、あなたはこのアパートのみんなから愛されてるんですよ」
「えっ…?」
「あなたには誰をも包み込む優しさがあるんです…それに惹かれない人なんていませんよ」
「そ、そうだったの…?」
「あなたは…この鳴滝荘という場所に似ているんです。 傷ついた私たちを癒してくれる、そんな空気をあなたは持っているんです」
「………」

そんなの買いかぶりすぎだろう…そう言おうとしたけど彼女の真摯な眼差しを見て何も言えなくなってしまった。
たとえ僕に自覚がなくても、間違いなく珠実ちゃんはそれを感じ取っている。
だから珠実ちゃんは…僕に安らぎを求めているんだ。
「…事情はわかったよ」
「………」
彼女は救いを求めている。
僕は出来ることならすぐにでも珠実ちゃんにその手を差し出してあげたかった。

だけど…僕の脳裏には一人の少女の姿が浮かんでいた。
そう…僕の最愛の人のことが。
「白鳥さんの考えていることはよくわかります…梢ちゃんのことですね?」
「…うん」
「そうですね…あなたが私を抱くと言うことは裏切りといってもいい行為かもしれませんね…」
珠実ちゃんは僕の迷いをすぐに察してくれた。

彼女とて、僕と同じで誰よりも梢ちゃんを愛しているんだ。
梢ちゃんを第一に考えるなら珠実ちゃんを抱くなんて答えは僕には出せない。

だけど…それで本当にいいんだろうか?

579Unbalance:2005/08/31(水) 18:54:21 ID:hzsYR+xS
僕は俯く珠実ちゃんをじっと見つめて考えた。

本当にそれでいいんだろうか…。

(梢ちゃんを守るために…彼女は犠牲になってしまっている…)
気丈な仮面の裏側にあった、弱く儚い彼女の素顔。
目の前にいる少女はこんなにも傷つき、僕に救いを求めている。
(僕の…僕のすべきことは…僕はどうすればいいんだろう…)

ぐるぐるとめまぐるしく思考が渦を巻く。
僕の脳裏には梢ちゃんの笑顔が浮かんでは消えていった。
(梢ちゃん…)

そして僕の思考はやがて一つの答えを導き出す。

彼女のその笑顔の意味を思い返したとき───

僕は珠実ちゃんに手を差し伸べていた。

580Unbalance:2005/08/31(水) 18:55:52 ID:hzsYR+xS
「白…鳥…さん…」
「珠実ちゃん、おいで」
「………。 いいんですか…?」
「…いいよ」
手を差し伸べる僕に驚きの眼差しを向ける珠実ちゃん。
彼女としても心の中では諦めてかけていたんだろう。
だけど、僕は自分の出した答えをはっきりと珠実ちゃんに示した。
「前に言ったよね。 誰も犠牲になっちゃいけないって」
「………」
「だから…珠実ちゃんも犠牲になっちゃいけないんだ」
「白鳥さん…いいんですか? 後悔するかもしれませんよ?」
「いいんだ」
「本当にいいんですか…? あなたは罪を背負うことになるんですよ…?」
不安げに戸惑う珠実ちゃんを僕はギュッと抱きしめた。

「いいんだ。 みんなの幸せが梢ちゃんの幸せ…それが僕の幸せだから」
「白鳥さん…」
「だから…僕が全部受け止めてあげる」
「しらとり…さん……っ…」
やがて僕の胸の中で珠実ちゃんは肩を震わせはじめた。
「うっ…ううっ……うああああああぁぁぁぁぁ!」
「辛かっただろうね…」
「あ、あああああああぁぁぁぁ! 白鳥さぁぁぁぁぁん!」
「もう…いいから…」
堰を切ったように泣き出した珠実ちゃん。

それはいままで背負ってきたたくさんの傷の痛みからだろうか…。
重荷から解放された彼女は小さな子供のようにただただ泣きじゃくった。

声を上げ泣き続ける珠実ちゃんを胸に僕は心に誓った。

僕は梢ちゃんの笑顔も、珠実ちゃんの涙も全部受け止めてみせる。
綺麗事かもしれないけど、僕はそう心に決めたんだ。

誰かのために誰かが涙する…そんな姿は見たくなかったから。

581名無しさん@ピンキー:2005/08/31(水) 18:57:49 ID:hzsYR+xS
と言ったところで今回の投下分は終了です。
エロ分がちっと足りないかもしれませんが、ご容赦を。
582ぐうたら ◆7b9DL4hJvA :2005/08/31(水) 19:01:13 ID:kiY8mzj+
ヤメロヨ!
…………泣いちゃうじゃないか…つд`)
ばっちこーいとおどけて見せた珠ちゃんが…うおぅ…
課題もはかどらずにMLLに走った俺が書いた珠ちゃんが暴走しすぎてて投下できないじゃないかぁ!
583名無しさん@ピンキー:2005/08/31(水) 19:03:24 ID:SS0cDv7P
( `_ゝ´)フォオオオオオオオオオ!
584名無しさん@ピンキー:2005/08/31(水) 19:12:40 ID:hzsYR+xS
>>ミスターG
あ、いや、うちの珠が暴走してるだけですから。
しかし、何回珠実を泣かせてるんだ、私は。
どうも私が書くと珠実は弱い子になっちゃいます。

てなわけでそれはそれ、これはこれ。ばっちこーいです〜。
585ぐうたら ◆7b9DL4hJvA :2005/08/31(水) 19:44:29 ID:kiY8mzj+
大変だ!>>583(きっと課題の人)がsageるのも忘れるほどに熱くなっている!
充電100%、いや、120%だ!!

そんな中、MLLがついに完成ですよ!!
課題の人をオーバーヒートさせろー!!

『MLL E 終結』いざ投下!!
586MLL D 終結 1/6:2005/08/31(水) 19:45:05 ID:kiY8mzj+
「おおおおおおおおおおっ!!?」
横から聞こえる桃乃さんの絶叫。
それにも耳を貸さずに僕たちはキスをしている。

…五秒。
……十秒。
………十五秒。
…………二十秒。
……………二十五秒。
………………さんじゅ「『ウガロ・ウザーラ』」え?
部長さんの声と共に、早紀ちゃんの体が今までで一番激しく輝きだした。
その光はどんどん大きくなり、僕を突き放し、早紀ちゃんが見えなくなるまでになった。
「さ、早紀ちゃんッ!?」
「もがが〜〜!!」
身動きの取れない珠実ちゃんも暴れだす。
「大丈夫デス。儀式は、成功デス」
そう部長さんが言ったのと同時に、早紀ちゃんを包んでいた紫の光は爆ぜた。
光の粒が舞う中、その中心にいた早紀ちゃんは…

「早紀ちゃん!!」

元に、戻っていた!

…………でも、気になる点が一つ。
587MLL D 終結 2/6:2005/08/31(水) 19:45:44 ID:kiY8mzj+
「部長さん?」
「何でスカ?」
「あの…さっきの呪文は……」
「あア、あれデスか?あレは彼女を元に戻ス呪文デスが?」
「ですがって……」
と、その時…

ズ、ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ 

「うわぁッ!?何々?地震!?」
桃乃さんが驚きの声をあげる。
確かに鳴滝荘全体が揺れている感じがする。
でも僕には分かる。
これは、この感じは!

「ぶ〜〜〜〜〜ちょ〜〜〜〜〜う〜〜〜〜〜」

 珠 実 ち ゃ ん !!!

「ソんナニ怒ッてドうシマしタ?珠実部員」
「ま〜さかとは思いますが〜〜〜……」
「マさカ、何デしョウ?」
「まさか、キス、をしなくとも、さっきの、呪文、だけで、呪いが、とける、とか、言わない、ですよねェェェェェェ?」
「ソのマサかデスが?」

その時。

聞こえた。

確かに。

聞こえたんだ。

何かが。

音を立てて。

―――崩れる音が。
588MLL D 終結 3/6:2005/08/31(水) 19:46:21 ID:kiY8mzj+
「マ゛〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!(CV:若本○夫)」

たまみちゃんがこわれました。

そこからの光景はまさに地獄絵図でした。

まずはじめに珠実ちゃんは横にいた桃乃さんに裏拳を決めて眼鏡を叩き割りました。

そしてソレ(=桃乃さん)をヌンチャク代わりに部長さんに襲い掛かりました。

部長さんはヌンチャク的なもの(=桃乃さん)の攻撃をモロに喰らいドアを突き破って中庭の池に沈みました。(桃乃さんごと)

それでも暴れたり無い珠実ちゃんは僕の部屋の家具を片っ端から倒し、奇声にも似た雄叫びをあげました。

ちなみに早紀ちゃんは既に恥ずかしさのあまりに顔からしゅうしゅう煙を出して気を失ってました。

残ったのは鍛えぬいた心と体を更に鍛えて鍛えまくり、鬼となった珠実ちゃん(命名:悋鬼)と僕だけでした。

僕は如何すれば良いか迷いました。

とりあえず散らばった文房具から鉛筆を一本拾い、それを珠実ちゃんにひょいと投げてみました。

その瞬間。

鉛筆は塵芥となりました。

僕はもう一度迷いました。

とりあえず僕自身で止めてみようと思いました。

ててて、と近付きました。

その瞬間。

お腹に鈍い衝撃が走りました。

ソレと同時に僕の意識は遠退いていきました。

おやすみ、なさい………
589MLL D 終結 4/6:2005/08/31(水) 19:46:56 ID:kiY8mzj+
朝の陽に照らされ、僕の意識は覚醒した。
僕、白鳥隆士が鳴滝荘に来て、二年目の秋がやってきた。
夏と違い蒸し暑い朝ではない。
冬と違い身震いする程の朝でもない。
だから僕は春や秋のような季節が好きだ。
天気のいい秋の日、今日は何か良いことが起こる予感がする。









……………………………………………………だからちょっと待って。
コレ三度目だから。さんどめ。
頭をごんごん叩いて周りを見渡す。
昨日?珠実ちゃんが暴れたままのはずだから。

……おや?
ちらかってない。
っていうか綺麗だよ。
家具がキチリと元の位置にある。
しかも文房具とか絵本とかも全部棚とかに入ってる。
布団もピシッとなってるし。
その上僕のパジャマまでパリッとなってる。
疑問に思いつつもいつもの服に着替えて(まるでクリーニングしたかのよう)、部屋を出る。
部屋を出ると当然ながら中庭が目に入る。
昨日?部長さんが落ちた(with桃乃さん)筈の池も、いつもどおりだ。
誰も犬神家風に沈んでたりしない。

どこも変わっていない。
何故だ?
昨日?はあんなに騒いだのに…
ふと、ある一つの結果を想定する。
590MLL D 終結 5/6:2005/08/31(水) 19:47:30 ID:kiY8mzj+

昨日までのことは、夢だった。

そう考えればコレまでの普通では考え付かない現象にも合点がいく。
小さくなった梢ちゃん。
猫になった早紀ちゃん。
魔法を使った部長さん。
全てが夢なら納得できる。

変わった夢を見たもんだ。
そう思い、朝食をとろうと炊事場に向かう。

炊事場のドアを開けると、まず目に付いたのは、梢ちゃんだった。
いや、正確には梢ちゃんではない。
真紅の瞳にポニーテール。

早紀ちゃんだ。

「お、おう白鳥!おはよ!」
「え?あ、うん。おはよ、早紀ちゃん…」
「今日は土曜だからって寝坊はよくないわよ白鳥クン〜」
桃乃さんが茶化す。毎日寝坊の桃乃さんが。
「あ、そうだ。白鳥!」
「何?」
早紀ちゃんはほんのり頬を朱に染めて、こっちにつかつかと歩み寄ってくる。
そして。
ガシッ!
「わわっ!?」
僕の肩を掴み、スクラムを組むような形にする。
「な、何?」
びっくりして聞くと、早紀ちゃんは照れたように、言った。
「き、昨日のことは…忘れろよ……?」
一瞬、言っている意味が分からなかった。
「え?昨日…って?」
だから聞き返してしまった。
「だ、だから…その…キス…の、ことだよ!!」

591MLL D 終結 6/6:2005/08/31(水) 19:48:03 ID:kiY8mzj+
キス。

そこが消え入るような声だったので、聞き取り辛かったが、確かにそういった。

夢じゃなかったのか。

早紀ちゃんはそれだけ言うと足早に自分の席に戻って、梅干をぱくつき出した。

僕は、その場に立ち尽くしていた。

そして、振り向き、中庭を見た。

秋に差し掛かり、これから少しずつその葉を紅くしようとしている。

涼しげな風が吹き込み、頬を撫でる。

そんな風景を見て、僕は何故か、満足げな表情になった。

ああ、そうか。

これは―――


―――これは、夏の終わりの、不思議な出来事だったんだ、と―――


592アトガキ男:2005/08/31(水) 19:52:41 ID:kiY8mzj+
と、言うことで。
ようやく完結しました『MLL』。
あしなみそろえてとかThe last momentまでとは行きませんが結構な期間連載してたなぁ…
思えば今年の春にひとりの〜を投下してその勢いであしなみそろえてを投下してそれでオサラバのつもりだったのになぁ。
気付いたらスレで一、二を争う古参だよ。
ま、楽しいからいいんですけど。
今日で夏も終わりなのケジメとしてMLLを終わらせました。
つぎは…『Happydays』かなぁ…
それからはまた今度考えよう。
9月頭には山口に二泊三日で行ってきます。
さ、風呂はいろ。
593名無しさん@ピンキー:2005/08/31(水) 20:07:26 ID:hzsYR+xS
ぉぉぅ…相変わらずのハイテンション。
勢い重視のぐうたらクオリティですな。
上と比べると珠実部員がまるっきり別人で面白いなぁ。

ネタは考えるものじゃなく、自然と沸いてくるのを待つのが
いいものを作るコツだと思うんでまったり行きましょう。
594名無しさん@ピンキー:2005/08/31(水) 20:39:59 ID:SkagE74J
AAサロンから参上、と
       ∧_∧
  ∧__∧ (´<_` ) まぁ、此処が本拠地なのだが
  ( ´_ゝ`)/  ⌒i  
_(__つ/ ̄ ̄ ̄/i |_
  \/ F M V / ヽ⊃

とりあえず
       ∧_∧
  ∧__∧ (´<_` )  >>581
  (´_ゝ` )(m9 ⌒i  >>Mr.ぐうたら
_(m9 / ̄ ̄ ̄/i |_  Victory Good Job!!!!!!!!!!
  \/ F M V / ヽ⊃ 

あと、言っておくが>>583は俺達じゃないからな
       ∧_∧
  ∧__∧ (´<_` ) 約150スレをカキコ圏内に入れている俺達が
  (´_ゝ` )(m9 ⌒i   sage忘れるとでも思うたか!!!!!!!!!!
_(m9 / ̄ ̄ ̄/i |_
  \/ F M V / ヽ⊃

age専用スレでsageる事はあるがな
       ∧_∧
  ∧__∧ (´<_` ) ミスは誰にでもある、と
  ( ´_ゝ`)/  ⌒i  
_(__つ/ ̄ ̄ ̄/i |_
  \/ F M V / ヽ⊃

さて、課題でもやりまつか
       ∧_∧
  ∧__∧ (´<_` ) 1学期休んだ分頑張んないとな
  ( ´_ゝ`)/  ⌒i  
_(__つ/ ̄ ̄ ̄/i |_
  \/ F M V / ヽ⊃


595名無しさん@ピンキー:2005/08/31(水) 20:52:19 ID:SkagE74J
言い忘れていたが
       ∧_∧
  ∧__∧ (´<_` ) まだオーバーヒートしてないから
  ( ´_ゝ`)/  ⌒i   大作投下おkです、と
_(__つ/ ̄ ̄ ̄/i |_
  \/ F M V / ヽ⊃

596名無しさん@ピンキー:2005/08/31(水) 20:58:39 ID:hzsYR+xS
あげさげいってるけどIDがsakageっぽい…。
597ぐうたら ◆7b9DL4hJvA :2005/08/31(水) 21:03:36 ID:kiY8mzj+
>>594
おまいは一体何者なんだwwww
598名無しさん@ピンキー:2005/08/31(水) 22:42:11 ID:SUkdko0X
>>581
うわぁぁぁぁ。・゚・(ノД`)・゚・。珠キチ…
久しぶりに泣きそうになった

>>ぐうたら氏
完結乙だります
呪いには関係のないキスとか
後で恥ずかしくなって「忘れろ」とかいっちゃう早紀ちゃんがかわいくてよかとです
599名無しさん@ピンキー:2005/08/31(水) 23:05:25 ID:aJt2GzZo
珠実が犯されそうになったら、自分が出て行ってやっつける(暴漢を)。
600名無しさん@ピンキー:2005/09/01(木) 00:05:44 ID:0ZFUPf/y
課題やりつつ600get
       ∧_∧
  ∧__∧ (´<_` ) 流石だな、俺達
  ( ´_ゝ`)/  ⌒i  
_(__つ/ ̄ ̄ ̄/i |_
  \/ F M V / ヽ⊃

601名無しさん@ピンキー:2005/09/01(木) 00:11:57 ID:NbyORrHv
さりげなく、このスレもあと100KB切りました。
またしても1000待たずに埋まるようです。

さて、八時のスレタイは…やっぱり全員集合?
602名無しさん@ピンキー:2005/09/01(木) 00:21:25 ID:e1zpI2vY
「××な8時だよ全員集合」で
603ぐうたら ◆7b9DL4hJvA :2005/09/01(木) 00:36:01 ID:iM4cs3fe
ここで五時ににぎやかなを使ったことが悔やまれる。

まろやかな
さわやかな
しとやかな
にこやかな
ゆるやかな
かろやかな

とりあえず前スレにあがったもの再び挙げておこう。
604たろ:2005/09/01(木) 00:41:00 ID:Qgk6fF/2
ぐうたらさん
最高っす、音速珠実ナイス!!

570さん
一応以前のスレに書き始める前にサ○ンナイトのシステムを使った
自作テーブルトークゲームの原作と言っております。

スレタイ候補の頭文字を読むと
「まさしにゆか(雅史に由香)」になる、一瞬面白いと思ってしまった…。
605名無しさん@ピンキー:2005/09/01(木) 00:41:30 ID:3TkzAOyj
すこやかな

でも八時なので全員集合かな?
606名無しさん@ピンキー:2005/09/01(木) 00:46:49 ID:NbyORrHv
まほらば〜鳴滝荘の八時だよ!全員集合〜
607テイル ◆5zZRlb1law :2005/09/01(木) 01:05:51 ID:Fu57zjmV
次はアレだ、「まほらば〜八時だよ、鳴滝荘全員集合!〜」とか。

>>581
ヨーグルティング……韓国版のプロモーション用の音楽が気に入ってね……
というかGJです。白鳥キュンかっこよすぎ。

>>ぐうたら氏
にゃー。GJ!早紀ちゃんスキーらしさが出てますな〜

というわけで、「Last Lovesong」の続編にして、夏限定の短編を投下。
イメージは勿論、9月号表紙で。
では、投下。

一応、早紀スキーなぐうたらさんも楽しめる内容……かも。
608線香花火(1):2005/09/01(木) 01:06:53 ID:Fu57zjmV
1.


「暑い…………」
「暑いわね…………」
「暑いです〜……」
「暑いね〜……」
「暑いナ……」

「あの、皆さん大丈夫ですか?」

「あ〜……大丈夫だよ梢ちゃん。なんとか持ちこたえられるから」
何故こうなったか。
答えは簡単。
キッチンのエアコンが、また壊れた。

「しっかし……去年壊れたときよりも、派手に壊れたわね……」
「桃乃さん、機械に嫌われているなんてコト無いですよね?」
「アタシはそんなんじゃないわよ……」
「桃さんに恨み節を言っても無駄です〜……でも、どうにかならないですかね〜……」
流石の珠実ちゃんも、この暑さにダウンしている。
鳴滝荘は都会のど真ん中。
ヒートアイランド現象をもろに受ける。
夏の暑さは半端じゃない。
この空間だけアフリカに移ったかと思うほどだ。
「少し風があればいいんだけどね……」
「この都会でそれは期待できるものじゃないですよ……」
「今年は扇風機も壊れましたからね……スイマセン、私のせいで……」
「梢ちゃんのせいじゃないです〜」

部屋に籠っても蒸し暑い。
キッチンは使えない。
結局、縁側に集まる始末。
みんな汗がタラタラ。
そんな中。

「……春高〜楼〜の 花の宴〜 巡る盃〜 影さして〜
 千代の松が枝 分け出〜でし〜 昔の光〜 今い〜ずこ〜……」
609線香花火(2):2005/09/01(木) 01:08:54 ID:Fu57zjmV
意外に透き通った声。
沙夜子さんだった。

「……お母さん?」
「荒城の月……いい唄ね……」
幸せそうな沙夜子さん。
大方、内職をしないで済むんで嬉しいんだろう。
去年もそうだったような。

……いや、何で荒城の月なの?
確かに滝廉太郎の誕生日はこの時期だけどさ……

「沙夜子、今は昼だが」
「……昼…………しょぼーん…………」
「お、お母さん、いい唄だったから!落ち込まないで!」
「うぅ…………」

不毛だ。
暑いと余計に空しくなる。

「ふぅ…………どうにかならんかネ……ん?」
手に持っている新聞で扇いでいた灰原さんが、何かに気付いた。
「…………」
「……灰原さん?」
何を読んでいるんだろう。
チラシ……のようだけど……

暫く眺めていた灰原さんは。
「……オイ、桃」
「な〜に〜バラさ〜ん……?」
「コレ」
そのチラシを桃乃さんに渡す。
「何コレ…………!!!!!!」

何?
桃乃さんの表情が一瞬で変わった。
これは……

何かを思いついた顔だ!

急に桃乃さんは立ち上がって。
「みんな!ちょっと出掛けてくるね!」
「どこですか〜桃さん〜?」
「ちょ、ちょっとね!夕方頃に戻ってくるから!」
そして駆け出す桃乃さん。

「桃乃さん……どちらに行くんでしょう……」
「さあ……」
「……水ようかん……」

610線香花火(3):2005/09/01(木) 01:09:24 ID:Fu57zjmV
2.

夕食後。

鳴滝荘に。

宴会娘が、高らかに宣言した。

「第5回!鳴滝荘大花火大会!華やかに開幕〜!!!」

「……花火?」
花火だって?
「うわ〜、花火ですか〜!いいですね〜!」
梢ちゃんは嬉しそうだ。
「去年は何だかんだで結局出来なかったからね〜、今年はちゃんとやらないとネ」
「桃乃さん、毎年やってたんですか?」
「うん、半ば宴会だけど」
「結局酒が飲めれば良いんですか……」
相変わらずだ、この人。
季節に関係なく宴会だ。
「お母さん、花火だよ花火!」
「……楽しみね……」
「桃さんが昼間出掛けてたのは、花火を買いに行くためだったんですか〜」
「セールだったからナ」
「とにかく!」
仕切り屋が叫んだ!
「女子ども!着替えるぞ!アタシに着いて来い!」
「いえ〜」
「はいっ!」
「はーい」
「……はーい……」

5分後。

中庭に。

「お待たせ〜」
「…………梢、ちゃん」
611線香花火(4):2005/09/01(木) 01:10:48 ID:Fu57zjmV
浴衣を着た梢ちゃん。
すごく、色っぽくて。
とても、艶っぽくて。
「……すごく、似合ってるよ、梢ちゃん」
「ありがとうございます、隆士さん!」

「……またまた……二人の世界ね……」
「マ゙ー…………」
「まあ、恋人同士だしナ」
「お、大人だね!」
「……涼しい……」

「さあさあ、楽しむわよ〜!」
「うわ〜、お母さん、キレイだね〜!」
「……花火……きれい……」
「珠実特製スペシャル花火を打ち上げるですy〜」
「それはやめロ」

それからはというものの。
ねずみ花火やナイアガラや普通の花火で、煌き立つ中庭。
……ナイアガラなんて、市販してたんだ……
知らなかった。
田舎じゃ、普通のミニ花火どまりだからな……

そんなこんなで。
時間は過ぎて行って。

僕は、梢ちゃんと線香花火をしている。
プチプチという音が心地良い。
「綺麗ですね……」
「そうだね……」
線香花火なんて久しぶりだ。
確か、長続きしなくて泣いてたっけ。
「……私、線香花火って、好きですけど、悲しいんです」
「……え?」
梢ちゃんは続ける。
「線香花火って、長く続くようで、あっという間に落ちちゃいます。
 普通の花火は、あっという間に散っていくのに……
 私、どうしても、線香花火を、自分に重ねちゃうんです」
「自分に……?」
「幸せは、短いものなんだって」

そうだった。
梢ちゃんの過去。
多重人格。
4人の「彼女達」。
彼女の安息は、あるようで、ない。

「……私」
「ん?」
「隆士さんに出会えて、本当に幸せです」
「梢ちゃん……」
「隆士さんといると、心が暖まるんです。心地良くて、懐かしくて……
 だから、この幸せを、手放したくないんです」
「……」

それは、梢ちゃんの本心。
だったら。
僕の解答は、ひとつ。
612線香花火(5):2005/09/01(木) 01:12:08 ID:Fu57zjmV
「……僕は、いつまでも梢ちゃんの側にいるよ」
「隆士、さん……」
「僕も、梢ちゃんの側にいられて、幸せだから」

見詰め合う僕達。
時が、止まる。

そこに。


どっかーーーーーーーーーーん。

「な、何してるんですか桃乃さん!」
「ゴメンゴメン!ちょっとはしゃぎ過ぎちゃって打ち上げ花火やっちゃった」
桃乃さん、酔っている。
酒飲みながら花火なんて、大胆な人だ。
燃えるぞ。
「大丈夫、梢c…………」

振り向いたそこに。

がばっと、肩を組まれて。

「白鳥〜〜〜〜〜〜!!!!アタシの浴衣姿、似合うか〜〜〜〜!!??」

「さ、早紀ちゃん……」
瞳が紅い。
どう考えても、早紀ちゃんだ。
「に、似合ってる似合ってる!」
「そ〜か〜……嬉しいぞ白鳥〜〜!」
頬ずりする早紀ちゃん。
にんニコフェイスだ。
駄目だ……
こんなことされちゃあ、僕…………

「お〜、花火か〜!去年もやったよな〜!」
「あれ、早紀ちゃん?」
「こら桃、アタシを差し置いて花火なんてどういう神経してるんだ!
 アタシにもやらせろ!」
……ちょっと待て。
何か違う……

と、考える間もなく。

どどどどかーーーーーーん。


それからはというものの。
中庭が、煙だらけになった。
前が見えない。
どれもこれも、早紀ちゃんだった。

613線香花火(6):2005/09/01(木) 01:12:58 ID:Fu57zjmV
3.


深夜。

寝静まった鳴滝荘。
「兵どもが〜」とはよく言ったものだ。
「何か、久々に騒いだな……」
ここのところ、梢ちゃんの話を聞くばかりで、遊びに行ってなかったっけ。

だから。
たまには。

こういう日も、あって良いと思う。

僕は、膝の上で眠る早紀ちゃんの頭を撫でながら、そう思った。

夏の終わりの、小さなお祭りだった。


ちなみに、桃乃さんは買い物を名目にデパートへ涼みに行っていた事で、
早紀ちゃんと珠実ちゃんにボコボコになりましたとさ。
614ぐうたら ◆7b9DL4hJvA :2005/09/01(木) 01:21:24 ID:iM4cs3fe
リアルタイムキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!!
と、課題に追われている ハ ズ のぐうたらです。
明日はテストなのになぁ…
読まなきゃ答えが分からない課題図書も読んでない…
誰か井上靖のあすなろ物語の要約してくれません?

ってか。

浴衣早紀ちゃんキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!!

……チクショウ、先手を取られた…
水着にはもう遅いしなぁ…
ともあれGJ!
いろいろと忙しい中でのまほログとか投下とかお疲れ様です。

まほログですが、MLLの終結編は6です。5になっているようなので…
615テイル ◆5zZRlb1law :2005/09/01(木) 01:25:09 ID:aFsyf/ci
訳あって携帯から…

一応、後で手を加える予定です。
あるいは放置プレイかも…。
内容が薄いような、ありきたりなような…

ああ…どうするかな…半年間の長いトンネルが待っている…orz
もういや…(現実逃避

何?家の垣根に酔っ払いが酔い潰れてる?>親父
面白そうだな…迷惑なDQNめ。
616名無しさん@ピンキー:2005/09/01(木) 01:46:53 ID:Njc0PrI6
管理人で神で受験生なんてハイスペックだな
617テイル ◆5zZRlb1law :2005/09/01(木) 01:48:05 ID:aFsyf/ci
>>614
…ぐうたらさん、歳がバレるって。
井上靖の「あすなろ物語」なら、Wikiあたりに載ってないですかね…
あそこ、情報量多いし。

例の酔っ払いが声を荒げててうるさい…orz
これじゃあ寝れない…頼む、公務執行妨害で(ry
618名無しさん@ピンキー:2005/09/01(木) 02:12:06 ID:NbyORrHv
>>604
ああ、前スレの立案のとき、それ仕込んだの私だ…。
思いついた順番はバラバラだったけど並べて遊んでみたの。

凄いロングパスになったけど気づいてくれてありがとう。
619名無しさん@ピンキー:2005/09/01(木) 02:36:24 ID:Sk+d+GsY
訳あって携帯から orz
>>テイル
早紀タン!!早紀タン!!早紀タ(ry
VGJでつ。

なんでエロパロにアクセス出来ないんだろう orz
620名無しさん@ピンキー:2005/09/01(木) 08:48:21 ID:NtKm8bwh
さて、今日から9月なのだが
       ∧_∧
  ∧__∧ (´<_` )職人タンの今後の投下予定はありますか、と
  ( ´_ゝ`)/  ⌒i  
_(__つ/ ̄ ̄ ̄/i |_
  \/ F M V / ヽ⊃
621ヘブン ◆1fPWtvDjaQ :2005/09/01(木) 14:31:18 ID:PnxycoRz
9月・・・になってもさして何も変わらないわけで

>>614
ぐうたらさんハイブリット杉です

>>620
Fatumを終わらせたら何か小ネタを一つ投下と考えていますヨ〜、と
622ぐうたら ◆7b9DL4hJvA :2005/09/01(木) 16:15:26 ID:3HuKQtdu
とりあえずMLLの修正版のうpが目的。
623名無しさん@ピンキー:2005/09/01(木) 16:45:16 ID:MRLRMiO2
前投下時のレス番忘れた…orz

きずなB書いた者ですが今日中にでも短編ひとつ投下しようかと思ってます
624名無しさん@ピンキー:2005/09/01(木) 17:25:51 ID:YvrFeQHo
>>623
楽しみにしてます。頑張って下さいね。
625ぐうたら ◆7b9DL4hJvA :2005/09/01(木) 20:23:03 ID:3HuKQtdu
とりあえず修正版うpしました〜

ディレクターズカット版みたいに細部の変更や誤字脱字の修正等あります。
あと改行のタイミング自分の好きな感じに。
細部の変更といっても仮面ライダーの劇場版DVDのDC版の如く大した変更点は無いのですがとりあえず。
ところでMLLがThe last momentより要領デカイんだけど?

さーて出来なかった分の課題だー。
626名無しさん@ピンキー:2005/09/01(木) 22:30:34 ID:YZDDOQgf
こんばんは、ヨーグルの合間に投下に参りました。
うん、面白いんだけどね…PSOに及ばないかなって思うんだ。

…話が逸れました。

それでは本日分を投下します。
今回からエロスイッチオンよ。
627Unbalance:2005/09/01(木) 22:31:52 ID:YZDDOQgf
それからどれくらいの時間が経ったんだろう。

僕と珠実ちゃんはただじっと抱き合っていた。
珠実ちゃんはひとしきり涙を流し終え、僕の胸に身を預けて目を閉じている。
眠ってしまったのかと思ったけどそうではないらしい。

やがて珠実ちゃんはゆっくりと口を開いた。
「白鳥さん…暖かいです…」
「ん…そっか…」
「男の人の腕の中はこんなに暖かかったんですね…」
珠実ちゃんは温もりを確かめるようにギュッと僕にすがる手を強めた。
「夢みたいです…」
「僕もちょっと信じられないなぁ…。 あの珠実ちゃんがこんなになるなんて」
「それってどういう意味ですかぁ〜?」
「えっ!? いたたたたたたっ!」
しおらしい珠実ちゃんの姿は僕の軽口で一変してしまった。
抱きしめていた手をギリギリと締め付ける。
そんなところはやっぱりいつもの珠実ちゃんだった。

「も〜、せっかくのいいムードがぶち壊しじゃないですか〜」
「ご、ごめん…」
「はぁ〜、白鳥さんももう少しデリカシーを持って欲しいものですね〜」
「うぐ…」
珠実ちゃんは一通り文句を言うと満足したのか腕を緩めてまた僕の胸に身を預けてきた。
「ちゃんと私の心、受け止めてくださいね…?」
「う、うん…」
また甘えるような声になって呟く珠実ちゃん。

変わり身の早い彼女に戸惑いながらも僕もまた彼女を抱き返した。

628Unbalance:2005/09/01(木) 22:33:09 ID:YZDDOQgf
「じゃ…白鳥さん…」
「…うん」
「あっ! 待ってください」
「えっ…?」
僕が彼女の体に手を伸ばそうとすると珠実ちゃんは思い出したように僕を制止した。
「あの…最初に……その…キスしてくれなきゃイヤです…」
「…あ、ああ、うん。 ゴメンね、気がつかなくて」
「いえ…それじゃお願いします」

僕と向き合った珠実ちゃんは恥ずかしそうにしながらゆっくりと瞳を閉じる。
そんな珠実ちゃんの初々しい姿に戸惑いを覚えながらも、僕は彼女の肩を抱いた。
僕は珠実ちゃんの顔に、濡れて震える唇にゆっくりと顔を近づけていった。
間近に見る珠実ちゃんの艶やかな顔に躊躇したけど、僕は意を決して目を閉じると珠実ちゃんと唇を重ねた。
「んっ…」
彼女の熱くて柔らかい唇の感覚が僕のそれにも伝わってくる。
僕たちは唇を重ねたまま身を寄せ合って抱き合った。
唇からも肌からも珠実ちゃんの甘い体温が伝わり、僕の心を熱くさせた。

しばらく優しいキスを続けていたけど、それだけじゃ満足しきれなくなったのか
珠実ちゃんは唇を開いて僕の口に舌を差し込んできた。
「んっんふっ」
僕も戸惑いながらも彼女の舌に絡めるように自分の舌を伸ばした。
僕たちは口と口を合わせて、その中で互いの舌を絡め合う。
ぬるぬるとした唾液が互いの口の中で混ざり合い、次第にその行為に興奮を覚え始めた。
「んっんんっふっ、んむぅ」
絡め合う舌の動きがどんどんエスカレートし、口内で暴れ回る。

僕たちは互いの舌を十分に堪能するとゆっくりと唇を離した。
離れていく唇の間に名残の唾液が橋を架け、どちらともなく甘いため息が零れた。
629Unbalance:2005/09/01(木) 22:34:03 ID:YZDDOQgf
「はぁ…」
「…なんだか夢みたいです」
惚けたようなとろんとした瞳で珠実ちゃんは呟く。
少し焦点の合わない熱っぽい瞳が僕の心を揺さぶった。

「こんなにドキドキするんですね…キスだけしかしてないのに」
「うん…そうだね」
「白鳥さんもドキドキしてますか?」
「うん…なんだか珠実ちゃんが凄く可愛く思えるよ」
「…それっていつもは可愛くないってことですか〜?」
「あ、いや…そうじゃなくて、知らなかった一面を見たからって言うか…」
「む〜」
また珠実ちゃんの機嫌を損ねそうになって僕は慌ててフォローした。
でも、いままで知らなかった彼女の一面に興味を覚え始めたのは事実だった。

「白鳥さんは素直すぎます〜」
「ご、ゴメン」
「まぁ、そこがいいところなんですけどね〜」
珠実ちゃんは小さくため息をつくと、また軽くキスしてくれた。
そんな可愛らしい一面を見せる彼女にいつものとげのある言葉もなんだか愛らしいものへと変わっていく。
「んっ…」
「…それじゃ、あなたの知らなかった私をもっと見せてあげますね」
「うん…」

そう…珠実ちゃんが求めているのはそう言うふれあいだけじゃない。

もっと先のことを求める彼女はそう言うとゆっくりとベッドに身を横たえた。

630Unbalance:2005/09/01(木) 22:35:27 ID:YZDDOQgf
僕は横たわった珠実ちゃんの上に覆い被さるように身を置いた。
すでに全裸になっている珠実ちゃんの全てが僕の目に映る。

「…梢ちゃんと比べたら物足りないかもしれませんけど」
「ううん、珠実ちゃんも可愛いよ」

控えめな胸、くびれの少ない体つき、そしてまだあどけなさの残る顔。
正直、梢ちゃんと比較すれば珠実ちゃんの発育はお世辞にもいいとは言い難い。

けれど、彼女には彼女の魅力があり僕にとっては些細な違いでしかなかった。

「珠実ちゃんは珠実ちゃんだよ」
「…ありがとうございます」

僕のお世辞抜きのありのままの感想に珠実ちゃんは嬉しそうに目を細めた。
631Unbalance:2005/09/01(木) 22:36:28 ID:YZDDOQgf
珠実ちゃんが小さく頷くのを合図に僕は彼女の小さな胸へとゆっくりと手を伸ばした。
控えめな膨らみは僕の手のひらにすっぽりと収まり姿を隠す。
包み込んだ手をそっと狭めると柔らかな弾力とつんと張った先端が僕の手の中で確かな存在を主張した。
「んくっ…」
小さくても柔らかいその膨らみをゆっくりと回して捏ねるように愛撫していく。
ピンク色の突起も指で挟み、ころころと転がして刺激した。
「ふっ…ぁ!」
その行為一つ一つに珠実ちゃんはピクンと反応を見せる。
発育が遅れているといっても彼女の体はきっちりと性感を覚えていた。

「珠実ちゃん、怖い…?」
「いえ、大丈夫です…でもなんだかドキドキして…ふあっ!」
彼女に不安な様子がないとわかった僕はもう片方の胸に唇を当て、その先端を口に含んだ。
「あっ…ゃ…そんな…吸っちゃダメ…ですぅ…!」
僕は珠実ちゃんの両胸を手と口で責め立てる。
左右の乳首を転がし、つまんで引っ張り吸い上げる。
初めてする愛撫だったけど珠実ちゃんは敏感に反応し、みるみる息を荒げていった。

「やっ、ダメっ、ダメです、白鳥さんっ!」
「えと…気持ちいい、かな?」
「は、はい…」
潤んだ瞳でおずおずと答える珠実ちゃん。

どうやら僕でも彼女を気持ちよくしてあげることは出来そうだった。

632名無しさん@ピンキー:2005/09/01(木) 22:38:38 ID:YZDDOQgf
とりあえず、短いけど本日の投下はここまで。
なんだか行為描写だけで何日かかかりそうですよ…。
633名無しさん@ピンキー:2005/09/01(木) 22:40:43 ID:mURsI3h3
リアルGJ!
634623:2005/09/01(木) 23:08:49 ID:Fku5RPWW
>>632
お珠エロカワイイ…GJです!

予告通り短編投下します

エロなし短編
「セピア」

それでは投下ー
635セピア:2005/09/01(木) 23:10:17 ID:Fku5RPWW
海の底から意識が浮かび上がってくる様な感覚を思えながら、僕はふと目を覚ました。
時計を見る。9時20分。
カーテンの隙間から射す陽の光。
その光が照らす、テーブルの上のやりかけの課題。
朝。
何も変わらない。いつも通りの、朝。


       ◆


洗面所に行くと、既に先客が居た。
「ありゃ? 今朝はゆっくりなのね、白鳥クン」
にゃはは、と笑いながら、桃乃さんは片手をひらひらと振る。
「ええ、今日は午後からなんです」
僕も挨拶を返して、コップに水を汲む。
「桃乃さんは?」
僕が訊ねると、彼女は少しばかり豪快に歯ブラシを動かしながら、
「ん、あたしも同じよーなモン。て言っても講義は1時間だけで後はサークルだけどね」
そこまで言うと、桃乃さんはコップの水をぐいと呷った。当然だが飲んではいない。
「因みに沙夜ちゃんは庭でシゴト。バラさんも部屋でシゴト。後はみんな学校だわよ」
タオルで顔を拭き、眼鏡を掛け直しながら、彼女はそう言った。
636セピア:2005/09/01(木) 23:12:11 ID:Fku5RPWW
他愛のない会話。
何も変わらない。
昨日も、一昨日も、先週も―――いや、もっと、ずっと前から。
いつも通りだ。何もかもがいつも通り。
目の前の桃乃さんも。
他の皆も。
そして、きっと僕も。

「いつも通り」は、いつからいつも通りになるのだろう。
それは、僕には―――いや、きっと恐らく、誰にもわからない事だ。
しかし、それは―――物事が「いつも通り」という色に塗り潰されていく瞬間は―――確実にやって来る。
桃乃さんが大学に復帰した事も。
沙夜子さんの彫刻が徐々に評判になり始めている事も。
灰原さんの書いた本を、本屋で良く見掛けるようになった事も。
珠実ちゃんが鳴滝荘を離れて、写真の勉強の為に海外に留学に行った事も。
現にその時は大きな事件だった出来事に、何時の間にか「いつも通り」のレッテルを勝手に貼り付け、
今ではもう「いつも通り」の事として片付けてしまっている。
それはきっと、僕だけではない。
皆が皆、レッテルの貼られた思い出を無数に抱えて歩いているのだ。

―――そうとでも思わないと、僕はとてもじゃないけど落ち着けない。


       ◆
637セピア:2005/09/01(木) 23:13:11 ID:Fku5RPWW

桃乃さんは遅めの朝食を摂ると言って炊事場へ向かった。
僕は僕で、何時ものように庭へ下り、お楽しみ畑の方へ歩いていく。
僕はいつもの様にそこにしゃがみ込み、畑というより花壇に近いその場所にぽつんと生えているものに向かって笑顔を向けた。
僕に気付き、笑い返してくる"彼女"。
紛れも無い。
僕が創り出した。
否、"模作"の結果に造り出された。
絵本の中の存在。
絵本の中だけの存在。
そういう存在である筈だったもの。
そういう存在であるべきだったもの。
なのに今、僕の目の前に居る、もの。

それ。


「…おはよう」
僕はそれの頭を撫でながら、何時ものように挨拶の言葉を掛けた。

「―――梢ちゃん」

薄らと、目に涙を浮かべながら。

638634:2005/09/01(木) 23:14:23 ID:Fku5RPWW
という訳で短編「セピア」でした

ネタを思い付いてから一気に書き上げました
結構バッドエンドぽいですね
何つーかスイマセン
たまにはこーいうのが書きたくなるのですよ

また暫く潜伏及び充電する事にします

では
639名無しさん@ピンキー:2005/09/01(木) 23:19:47 ID:YvrFeQHo
>>632
GJ!!GJ!!GJ!!
すごくいいですよ!!
あぁ、この後どうなるんだろう・・・。
と、考えるとすごくドキドキします。
640テイル ◆5zZRlb1law :2005/09/01(木) 23:28:31 ID:aFsyf/ci
>>638
リアルタイムGJ!

しかしまた…珍しくシュールだ。何そのハガレン。
怖い話であると同時に、悲しいですね…インパクト大きいっす。
梢ちゃんは何を思っているのだろうか…

不思議とブラックでも受け入れる俺だったり。

>>不安定
そんな所で止めないでくれ!
残った課題に手が付かないですorz

でも眠いや……
641ぐうたら ◆7b9DL4hJvA :2005/09/02(金) 01:09:32 ID:nGk7T2eU
>>638
久しぶりにキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!GJ!!!!!
なんだこの雰囲気…すげえよなぁ、改行の仕方とか。
ラストが少し分からん俺は阿呆の子orz

課題………
642名無しさん@ピンキー:2005/09/02(金) 01:15:02 ID:XNArAXJZ
それの下には梢の死体が埋まってる。
だからそれは梢のようなのだ。
なんて想像をしてしまった。
643名無しさん@ピンキー:2005/09/02(金) 01:20:04 ID:7BQI1ZOw
>>641
この作品、「ハル」をなぞってるんだと思いますよ。

そこに「男」がいて、「それ」がいて。

「男」に何が起こったか、それを思い返せばそこに答えが───。

皮肉にも自分が描いた物語が自分の運命となったとき、「男」は何を思うのでしょうかね。
644桜子:2005/09/02(金) 01:41:27 ID:/++RtDjc
>>638
GJ!
仕事つれぇ…
645名無しさん@ピンキー:2005/09/02(金) 01:50:26 ID:6FDtDofU
劇団ひとりは消えてください
646名無しさん@ピンキー:2005/09/02(金) 01:51:33 ID:XNArAXJZ
桜子って俺の妹の名前だ。
647名無しさん@ピンキー:2005/09/02(金) 02:06:58 ID:XvPHD1XO
>>632
Victory Good Job!!!!!!!!!!
('A`)感想マンドクセ

>>638
此処は長編が多いから新鮮に感じるな
GJ

>>Mr.ぐうたら
課題がんがれ、と
       ∧_∧
  ∧__∧ (´<_` ) 俺達は9月下旬まで休みだからな
  ( ´_ゝ`)/  ⌒i  
_(__つ/ ̄ ̄ ̄/i |_
  \/ F M V / ヽ⊃
648イレイザ− ◆.x0jKy2nk2 :2005/09/02(金) 02:19:49 ID:9qr1zzpg
ではでは投下しますか。
5分の1以下ですけど。
では、投下(一部)!
649イレイザ− ◆.x0jKy2nk2 :2005/09/02(金) 02:22:02 ID:9qr1zzpg
影、重なる時―――
大いなる守りは開かれる―――



こんこん。
「はい?」
「白鳥さ〜ん。大掃除の時間ですよ〜」
…大掃除?
梢ちゃんが事実を知ってから一週間。
梢ちゃんも落ち着き、鳴滝荘も元通り静かになった。
でも、大掃除ってなんだろう?
いや、意味はわかるけど…
考えていると、ドアが開いた。
「白鳥さーん」
「あ、はいはい」
重い腰を持ち上げ、立ち上がった。
「梢ちゃん、大掃除って?」
「え?…ああ!白鳥さんはまだ知らないんでしたね」
声を弾ませて梢ちゃんは言った。
「倉庫の大掃除をするんです。
…私の気が向いたときに」
後ろ半分がどうにも気になるんですけど。
なんかこのごろ梢ちゃんがユーモアたっぷりになってきたのは気のせいだろうか?
「ということで、こっちですよ〜」


倉庫の部屋。
ダンボールが5号室並に多く積まれている。
「さぁて、気合入れるわよ〜!」
桃乃さんは年がら年中入ってる気がするけど…
「んあ?白鳥クン、なんか言った?」
「ふえ!?いいいいえ、何も」
「白鳥さん、なんか挙動不審です〜」
桃乃さん、地獄耳。
珠実ちゃん、毒舌。
平和ですこと。
大まかに言えば。
「それでは、開始〜!」
「なんで桃さんが号令かけるですか〜?」
「いいからやるの!」
「マ゙〜…」
いつものかけあいで、大掃除は始まった。
650イレイザ− ◆.x0jKy2nk2 :2005/09/02(金) 02:23:35 ID:9qr1zzpg
がさごそがさごそ。
ごとごとごとごと。
がしゃがらっ!
「お母さ〜ん、何やってるの〜!」
「…起こして…」
これまたいつもの風景…。
で、起こすのは僕。
がたがたがたがた。
がらん!
あ、まず。
落としちゃったよ。
…「がらん」?
重そうな音だな。
下も見ずにそれを持ち上げようとすると、
「痛っ…」
小さな痛みが走った。
そーっと足元を見ると、
「………………………梢ちゃーん」
「はい?どうしたんですか白と…」
梢ちゃんは硬直した。
僕の足元のそれを見て。


「なんなんですかね〜」
大掃除を中断して会議。
議題は倉庫で見つかった剣。
僕がさっき見つけたものだ。
「明治時代くらいのものでしょうか〜?」
「…それにしては錆びてないわ…」
沙夜子さんも興味があるらしく、時々口をはさんでいる。
「総一郎のコレクションかナ?」
と、ジョニ…灰原さん。
「父さんはこんなもの集めてなかったと思いますよ」
梢ちゃん。
「…あのー」
朝美ちゃんが、何かいいたげに手を上げた。
「どしたの?朝美ちゃん」
「これ…倉庫で見つけたっていうか…お母さんがこけたときに出てきたんだけど…」
朝美ちゃんは持っていたダンボールの中から色々取り出した。
杖、短剣、ナックル、盾、などなど。
…なにこれ?
「…ねえ…」
沙夜子さんの言葉に、場が固まった。
「…さっきこけたときに…これを…拾ったの…」
沙夜子さんが持っていたのは、『武器の説明』と書かれた古びた紙。
すぐに桃乃さんがそれを取り上げて読み始めた。
「…『この武器を使うときは、それこそ危機というときだろう。』
…どういうことかしらねぇ?」
桃乃さんは時々感想を口にしながらも読み続けた。
651イレイザ− ◆.x0jKy2nk2 :2005/09/02(金) 02:25:16 ID:9qr1zzpg
「『この武器は、本当にヤバイ時にだけ現れる』…言葉づかい悪いわね、これ…
『ほっとけ』…なんでつっこみがはいってんのよ。
『…とにかく、説明をする。
剣と筆は、男が持て』
…決定事項。白鳥クンとバラさんね。
剣は、想いが最も強き者。
筆は、…
かすれてて読めないわね。
とりあえず、剣は白鳥クンということで。
異議のある人?」
「はい〜」
珠実ちゃんが手を上げた。
「そんな重そうな剣、白鳥さんに扱えるですか〜?」
…確かに。
見た目、かなり重そうだし…。
「大丈夫みたいだよ」
朝美ちゃんが剣を軽々と持ち上げながら言った。
「…朝美ちゃんが持てるなら大丈夫ですね〜」
「えーと…『使う者によって形が変わる。
いくつかの顔を持つものに持たせるのが効率がいいかと思われる』
…いくつかの顔」
…梢ちゃんに決定。
「…私ですね」
桃乃さんが梢ちゃんに杖を渡した瞬間、梢ちゃんの杖は30センチほどの長さになった。
「形が変わるみたいですね」
興味深そうに梢ちゃんが言った。
「あ〜もう読むのだるい!
あたしの見つかったら外にいるから!
ヨロシク〜」
「無責任です〜」
652イレイザ− ◆.x0jKy2nk2 :2005/09/02(金) 02:30:10 ID:9qr1zzpg
…それぞれの武器が行き渡った。
珠実ちゃんは短剣、朝美ちゃんはナックル、沙夜子さんは…数珠。灰原さんは筆。
桃乃さんは、軽装鎧のようだった。
「さて、渡しに…」
「に゙ゃああああああああああああああああああああっ!!!!!!!!!!!
何よあんたあああああああああああああっ!!!!!??????
放せええええええええええええっ!!!!!!!!!」
「!?」
外から響いてきた大きな桃乃さんの絶叫。
それに全員が反応し、梢ちゃんがドアを開け…
そこには、異様な風景が広がっていた。
「何…あれ…?」
珠実ちゃんも茫然自失の口調で問いかけ、
その疑問に答えられる術を誰も知らなかった。
犬に羽が生えたようなモノと、槍を持った、人間とは程遠い――顔がない――モノが二体だった。
「に゙ゃあ!に゙ゃあ!に゙ゃああああっ!!」
意味不明の叫び声を上げながら、必死に桃乃さんは逃げ惑っている。
そこへ、脳裏に文章が浮かんだ。
自分の意思とは関係ない、無機質な文字。

『VS 悲しみの化身 and 邪神の兵隊×2
 Mission 桃乃恵を救出せよ!
 勝利条件:敵の全滅 or 5ターンの経過 
 敗北条件:桃乃恵 or 白鳥隆士の戦闘不能』

「うわ゙っ!?」
みんなの声がハモリました。
どうでもいいけど、倒せってことだよね!?
思っていると、桃乃さんが邪神の兵隊に殴りかかった。
「でぇいっ!」

『桃乃恵の攻撃!
邪神の兵隊Bに9のダメージ!』

うわまた!
653イレイザ− ◆.x0jKy2nk2 :2005/09/02(金) 02:32:38 ID:9qr1zzpg
…今度は僕が!
剣を構え、一気に切りつける。
見た目の割りに軽い剣は、とても振り易く、いとも簡単に邪神の兵隊を切り裂いた。
そこへ、また文字が浮かんだ。

『白鳥隆士の攻撃!
邪神の兵隊Aに21のダメージを与えた!』

21!結構なダメージだよね…
思ったとたん。
邪神の兵隊がこちらへ突進してきた。
…腕を切られた―。
痛みが、全身を駆け巡る。

『邪神の兵隊Bの攻撃!
白鳥隆士に11のダメージを与えた!』

「ぐ…っ!」

只今の状況

白鳥隆士
HP:19/30
MP:0/0

蒼葉梢
HP:26/26
MP:15/15

桃乃恵
HP:45/45
MP:0/0

茶ノ畑珠実
HP:42/42
MP:0/0

黒崎朝美
HP:35/35
MP:5/5

黒崎沙夜子
HP:19/19
MP:23/23

邪神の兵隊A
HP:9/30
MP:0/0

邪神の兵隊B
HP:21/30
MP:0/0

悲しみの化身(BOSS)
HP:60/60
MP:30/30
654イレイザ− ◆.x0jKy2nk2 :2005/09/02(金) 02:34:11 ID:9qr1zzpg
…と、ここで終わr…タイトル…
「影、重なるとき」
で。

執筆、がんばりますので…。
655名無しさん@ピンキー:2005/09/02(金) 18:11:25 ID:3WbQO+JI
部長のスーパーミラクルウルトラドM変態〜!!
656名無しさん@ピンキー:2005/09/02(金) 18:26:27 ID:3Mld7d5w
>>イレイザー氏
新作モツだります
と、気になった点を少々

>「総一郎のコレクションかナ?」
>「父さんはこんなもの集めてなかったと思いますよ」
>梢ちゃん。
総一郎サンはひいおじいさんでわ?

あと>>653にバラさんがいないような…
657名無しさん@ピンキー:2005/09/02(金) 18:38:17 ID:cXEE8UYv
>>654
あの・・・・・
バラさんは・・・・?
658名無しさん@ピンキー:2005/09/02(金) 18:48:16 ID:7BQI1ZOw
>>647
めんどくさがられたからもっと焦らしてあげます。

>>654
デジャヴ?
なんかMMOを思い出す…どうなるんだろう。

>>655
落チ着きなサイ、珠実部員。
ソりゃァ、私はスーパーウルトラセクスィオカルティストでスけド。


…なんか微妙なノリになってきたんで投下します。
今回からエロ全開です。
659Unbalance:2005/09/02(金) 18:50:10 ID:7BQI1ZOw
「珠実ちゃん」
「はい…」
僕は胸への愛撫を中断し、いったん彼女の上から身を引いた。
珠実ちゃんは次の段階へ進むため、頬を赤く染めながらゆっくりと足を開いていく。
彼女の足がM字に開かれ、しっとりと濡れたツルツルの恥部が露わになった。
先ほどからの愛撫ですっかり潤った珠実ちゃんの大事な所を目にし、僕は思わず息をのんだ。

「………」
「は、恥ずかしいです…」
さっきも同じように見せつけた珠実ちゃんだったけれど、今度は恥じらい目を背ける。
「珠実ちゃん…? さっきは平気じゃなかったっけ?」
「…さっきとは違うんですよ〜。 もう、白鳥さんのニブチン〜!」
「ははは…ゴメンゴメン」
僕は苦笑しながらも珠実ちゃんの大事なところへと顔を近づけていく。

むき出しになった割れ目を目前にすると彼女の香りが鼻を突き、僕の興奮を高めていった。
しばらくそこを観察すると僕はゆっくりと手を伸ばし、濡れた花弁を左右に押し広げてみる。
思ったよりも弾力のある肉襞を開いていくとまず小さな突起が目に映った。
(これがクリトリス…ってやつだっけ)
だいぶ前に教科書で見た記憶を頼りにその構造を観察していく。
たしか、胎児が男女に分かれる前の名残でこれが男性器へとなるはずだったものだ。
器官としては何の役割もないけど、女の子はここを触られると気持ちよくなると聞いたことがある。
「…ふあっ!?」
試しに小さくふくらんだそこを指で少し転がしてみると珠実ちゃんはビクンと背を仰け反らせた。
つまんだり撫でたりすると珠実ちゃんはビクビクと身を悶えさせて反応する。
「そ、そこ、あんまりいじっちゃいやです…」
「あっ、ゴメン…痛かった?」
「いえ…痛くはないんですが…その…」
(なるほど…)
頬を染め、瞳を潤ませた珠実ちゃんはモジモジと口ごもる。
確かに彼女は性感を覚えているようだ。

僕は珠実ちゃんの感じ方に驚きつつも、彼女の性器の観察を再開した。

660Unbalance:2005/09/02(金) 18:51:29 ID:7BQI1ZOw
クリトリスから下がっていくとそこには小さな穴と大きな穴が空いていた。
(この小さい方がおしっこの出る尿道、大きい方が膣口…)
もうそのあたりはどこを触っても彼女は敏感に反応していた。
(ここに僕のが入るんだ…)
大きい穴といってもそれは尿道と比べての話。
僕にはとても入りそうには思えなかった。

「えと…そこ、結構広がるんです」
「そ、そうなの…?」
「はい…いつもはこれを使ってましたから…」
「それは…」
僕の行動をじっと見ていた珠実ちゃんが僕に説明する。
彼女は枕元にあった黒くて太いものを手に取り、僕に見せてくれた。
それは立派な男性器をかたどったもの…いわゆる電動バイブレータだった。
「これくらいなら入っちゃうんです」
「そ、そうなんだ…。 凄いの持ってるね、珠実ちゃん…」
「もう処女じゃないですから…それに…えっと…大きい方が……」
「そ、そっか…」
語尾を濁しながら珠実ちゃんは恥ずかしそうにぼそぼそ呟いた。
珠実ちゃんが手に持つそれと彼女の秘所を見比べる。
彼女の手にある大きな玩具が目の前にある小さな穴に入るなんて僕には想像も出来なかった。

にわかに信じがたかった僕は試しに彼女のそこに指を宛いゆっくりと押し入れてみる。
「っは…ぅ」
僕の人差し指はみるみる飲み込まれていき、やがて根本までずっぽり入ってしまった。
しかし、中は指を動かせるくらいの余裕があり、もっと奥がありそうだ。
珠実ちゃんの膣内は滲み出る愛液で熱く、内壁は入り込んだ指をきつく締め付けてくる。
指を入れているだけなのにとろけるような感覚が僕の心を熱くさせた。
「は、入っちゃうんだ…」
「んっくぅ…白鳥さぁん…あっ…あぁ…」
挿入する指を2本に増やしてもまだ余裕はありそうだった。
ゆっくり指を出し入れしてみると珠実ちゃんが甘い喘ぎを上げる。

僕の指を締め付けるそこは突き入れるたびにクチュクチュと音を立て、ますます愛液を滴らせる。
とめどなく溢れる粘液は指だけではなく手まで濡らし、びっしょりになってしまった。

661Unbalance:2005/09/02(金) 18:52:52 ID:7BQI1ZOw
ひとまず挿入した指を抜きとるとそれをまじまじと見つめた。
「凄いよ、珠実ちゃん。 こんなにびしょびしょだよ…」
「…っ! な、なにまじまじ見てるですか〜!」
「ほら…」
「……っ」
僕は彼女から溢れ出たものでテラテラと濡れた手を珠実ちゃんにも見せつけた。
想像以上に大量の液体に僕は驚きを隠せずにいた。

「こんなにいっぱい出ちゃって大丈夫なの…?」
「だ、大丈夫ですよ…。 いつもそうですから…」
「そ、そうなんだ…。 でもどうしよう、なんかで拭かないと…」
さすがにこれだけ濡れてしまっているとそのまま行為を続けるのも大変だ。
シーツで拭くわけにもいかず、何かないかとキョロキョロしていると半身を起こした珠実ちゃんが僕の腕を掴んできた。

「…珠実ちゃん? どうしたの?」
「………」
珠実ちゃんは何を思ったのか、びっしょり濡れた僕の指に口を近づけ舐め始めた。
彼女の舌先が僕の指についた彼女の愛液を舐め取っていく。
「た、珠実ちゃん!?」
「んっ…こうした方が…早いです…」
頬を染めながら珠実ちゃんは丹念に粘液を舐め取っていく。
「んっ…んあ…あむ…ちゅっ…」
彼女の行動は次第にエスカレートしていき、ついには指を口の中に含んでしまう。
舌を指に絡ませ、吸い、甘噛みする。
ちゅぱちゅぱと指先をしゃぶる姿は先ほどの奉仕とダブらせる。

僕は珠実ちゃんの指フェラにすっかり淫靡な気分にさせられてしまっていた。

662Unbalance:2005/09/02(金) 18:53:38 ID:7BQI1ZOw
そんな珠実ちゃんの姿に興奮を覚えた僕はふとあることを思いついた。

僕は再び珠実ちゃんを押し倒すとまた股間を大きく開かせる。
枕元あったものを拾い上げるとそれを彼女の股間へと宛った。
「あっ! 白鳥さん…!?」
「これ、いつも使ってるんだよね?」
「やっ、ちょっとまってくださ…あっ…! ふああぁ!」
珠実ちゃんの返事を待たずに太いバイブを彼女の蜜壷へと押し込んでいく。
小さな膣をいっぱいに押し広げ、黒い物体はずぶずぶと進入していった。
隙間から溢れ出た愛液が僕の指とバイブを濡らしていく。
「あっあああぁぁ!」
「珠実ちゃん…!」
「ひっ、あぁぁぁぁっ!!」
珠実ちゃんは背を仰け反らせ、黒光りする剛棒を飲み込んでいく。

入りそうもない大きなモノだったけど、珠実ちゃんの蜜壷はそれを2/3も飲み込みついに最深部へ到達した。

663Unbalance:2005/09/02(金) 18:55:05 ID:7BQI1ZOw
「はぁ…はぁ…」
「すごい…ホントにこんな入っちゃうんだ…」
「し、白鳥さん…あんまり…強くしないで…ください…」
「あっ、うん」
僕は珠実ちゃんの秘部に突き刺さったそれをまじまじと見つめた。
珠実ちゃんの隠唇はいっぱいに広がり、しっかりとそれをくわえ込んでいる。
彼女の下半身はヒクヒクと蠢き、まるでおねだりをしているような錯覚を覚えた。

「珠実ちゃん、動かしてみていい?」
「………はい」
僕は珠実ちゃんが小さく頷いたのを見て、彼女の中に侵入したものをゆっくりと引き抜き、また押し込んでみた。
出し入れする黒い玩具に肉襞がめくれ上がり、愛液が溢れ出す。
珠実ちゃんは全身を仰け反らせ、大きく反応した。
「んっ…! くふぅうっ…!」
挿入を続けるうちに溢れ出る潤滑剤のおかげでバイブの出し入れがどんどん楽になっていく。
僕は彼女の反応にすっかり興奮し、徐々にその勢いを増して突き入れた。
「あっううっ!! ふあああぁぁ、しっ白鳥さぁん!」
「可愛いよ、珠実ちゃん…!」
「やぁっ! だ、ダメェ!!」
僕の手の中で為すがままに翻弄され、身をよじり悶え喘ぐ珠実ちゃん。
普段からはまるで想像できないその姿に僕の理性のたがは外れかけていた。

グチュグチュと音を立て彼女の蜜壷は止めどなく愛液を滴らせる。
激しくかき回す音がするほど、そこはぐっしょりと濡れてしまっていた。
664Unbalance:2005/09/02(金) 18:58:29 ID:7BQI1ZOw
「はぁはぁ…はぁ」
「ゴメン、珠実ちゃん…大丈夫?」
珠実ちゃんが限界を迎えそうになったところで僕はひとまず責める手を止めた。

ゆっくりとバイブを引き抜くと中にたっぷり溜まっていた愛液が溢れ出した。
隠唇がひくひくと息づき、半開きになった膣口からはとろとろと潤滑剤が流れ続ける。
珠実ちゃんは恍惚とした表情で肩で息をしていた。
「もう…そんなに激しくしたらすぐイっちゃうですよ…」
「気持ちよかった?」
「…白鳥さんのエッチ〜。 そんなこと…聞かないで欲しいです」
「ゴメンゴメン、珠実ちゃんが可愛くって、つい」
「白鳥さんのバカ…。スケコマシ〜」
頬を染め、目を背けながら非難する珠実ちゃん。
その仕草と普段の彼女とのギャップがまた僕の心を揺さぶる。
いまの珠実ちゃんは僕の理性を突き崩すほどの可愛らしさを秘めていた。

「珠実ちゃん…」
「えっ…? あっ!? ちょ、ちょっと白鳥さん、何するですか〜!?」
僕は珠実ちゃんの股間に顔を近づけ、びっしょりと潤う秘所に意識を集中した。
その扇情的な光景と、彼女の香りがますます僕の本能を刺激する。

もう…我慢の限界。
僕にはもう自分を押さえることが出来なかった。

「珠実ちゃん、もっと気持ちよくしてあげる」
「な、なにを…ひぁっ!? ふあああああああぁぁぁぁぁぁああああっ!!!」
僕は彼女の秘唇に口を押し当て、ディープキスするように舌を差し入れると彼女の愛液を一気にすすった。
じゅっ、じゅるるるるるるるるるっ!
はしたない大きな音を立て、彼女の胎内から溢れ出た粘液が僕の喉に流れ込んでくる。
股間から滴る液体であるにも関わらず、嫌悪感はなくむしろ興奮剤のように僕を滾らせた。

珠実ちゃんは強烈な快感に支配され、身悶えながらあられもない嬌声を上げる。
そこにはもはやいつもの気丈さは微塵も感じられなかった。

665Unbalance:2005/09/02(金) 19:01:29 ID:7BQI1ZOw
「ひっ、ああぁぁああぁ!! ダメェ、白鳥さんっ!! そんなっ、吸わないでぇぇぇ!!!」
強烈な刺激に珠実ちゃんは身をよじりながら激しく喘ぐ。
僕はそんな声をもっと聞きたくなって彼女の性器全体を責め立てた。
「や、あぁぁっ! すご、すぎるぅぅ!!」
しかし、珠実ちゃんもまた、非難を浴びせるでもなく僕の愛撫を受け入れていた。
それどころか、自ら足を抱え、腰を突き出してくる。

「はぁっはぁっはぁっ…うぅああ…す…ごいです…ぅ!」
「っ、…珠実ちゃん、気持ちいい?」
「はっはいぃぃ、すご、い、き、気持ちいですぅっ!!」
「もっとよくしてあげるね」
「あっああああっっ、私…私、…いっいいいいぃぃっ!!」
もう羞恥心もかなぐり捨てて、珠実ちゃんは快楽に溺れていた。

やがて彼女の体は全身がビクビクわななき、限界が近いことを示す。
そんな珠実ちゃんの姿をもっと見たくて僕は構わず責め立てた。
僕はとどめとばかりに彼女の膣内に舌を突き入れ、一気に愛液を吸い上げた。
「あっあああっ、イク、イっちゃうっ! イっちゃうぅぅ、もうっ! イっっっあああああああっ!!」
背を仰け反らせて腰を高く掲げ、全身を硬直させる珠実ちゃん。
深いオーガズムに体を痙攣させ、息も絶え絶えにはしたない声で喘ぐ。
それでも僕は彼女を責め続け、断続的に何度も何度も絶頂をプレゼントしてあげた。

「ひっああああっっ、ダメッ! そんなっ、ふあああっもうダメ…もうダメッ…やぁあああっっ!!」
珠実ちゃんは限界に限界を重ね、ついに全身から脱力しぐったりと崩れ落ちた。
それと同時に彼女の秘所から大量の液体が溢れ出し、僕の喉に流れ込んでくる。
珠実ちゃんはこれ以上ないくらいの絶頂感を味わったのか、もう愛撫にも鈍い反応しか示さない。
「あ…ああ……ん」
全身で息をして、小刻みに体を震わせている。
どうやら、本当に限界を迎えたようだった。

僕はそんな彼女の姿に満足するとゆっくりと彼女の股間から口を離した。

666Unbalance:2005/09/02(金) 19:02:54 ID:7BQI1ZOw
「はぁ…はぁ…」

「珠実ちゃん…えっと、大丈夫?」
「白鳥さん…やりすぎ…ですぅ……」
虚ろな目をした珠実ちゃんは息も絶え絶えに答えた。

やっぱりやりすぎだったらしく、彼女はぐったりと脱力してしまっている。
「ゴメン…。 珠実ちゃんが可愛くて、つい…」
「はぁ…はぁ……バカ……」
それでも珠実ちゃんも満足したのか艶っぽい笑みを見せてくれた。

僕は力尽きた彼女を優しく抱きしめてキスしてあげる。
珠実ちゃんの嬉しそうな笑みが僕の心に大きな満足感を与えてくれた。

667名無しさん@ピンキー:2005/09/02(金) 19:06:04 ID:7BQI1ZOw
といったところで、今日の分は終了です。
今回はわりときりのいいところですかね。

いや、もうなんかエロいだけですが。
ちなみに明日は投下できるかちょっと微妙なところです。



ああ、あと50KBなんでもうすぐ次スレの時期ですね。
タイトル&天ぷらも考えていきましょう。
668名無しさん@ピンキー:2005/09/02(金) 19:47:42 ID:oeCq1Glo
ちょっとGJにも程がありますよ、アナタ。
669テイル ◆5zZRlb1law :2005/09/02(金) 20:15:35 ID:gc032XAx
>>667
凄い!凄過ぎる!なんて素晴らしいんだ!そこに痺れ(ry

次スレですか……史上最速の速さだ、これは。通常の三倍?
スレ立てに関して、一応ルールをまた決めておきますか?
私案ですが

・基本は970が立てる
・容量オーバーが近い場合、残り10KBになってからキリのいい人が立てる(重複防止)

こんなとこでしょうか。
あと、テンプレに修正SS用うpろだを追加しましょう。
他に必要だと思うものや、意見があれば言ってください。

次は誰が担当ですかね……やはり桃乃?有志の作成を願います。

この勢いなら、単行本の巻数に追い付きそう……職人の数が多過ぎて供給過多だからな……
感想批評が大切です、なんて。
670ぐうたら ◆7b9DL4hJvA :2005/09/02(金) 20:56:13 ID:NAeLxxD0
前スレのテイルさん作の梢ちゃん(千百合ちゃん)で良いのでは?
テンプレにうpろだ追加はOKだと思います。
タイトルも>>606>>607の方向で。
とりあえず細かいところはスレを立てる人にお任せで。

しばらくの間はSS書きぐうたらとしての生活とはオサラバだー!まぶしー!
…………と思いつつHappydausとかもあるし自然とSS書いてる俺バルログ?
671ヘブン ◆1fPWtvDjaQ :2005/09/02(金) 22:48:34 ID:mOyVJan6
>>670
アーぜひうpろだ追加していてください。
使わないと意味がないので

>>667
今信じられないことが起こった・・・・
俺はいつものように流し読みをして後からじっくり読むつもりだったのに・・・・
気がついたらじっく読んでいた!超能力とか(ry
GJ
672名無しさん@ピンキー:2005/09/02(金) 23:31:42 ID:uPriqF17
>>667
もう感想すら浮かばないぞ・・・
       ∧_∧
  ∧__∧ (´<_`;) 神だな・・・
  (;´_ゝ`)/  ⌒i  
_(__つ/ ̄ ̄ ̄/i |_
  \/ F M V / ヽ⊃

次スレのタイトルは、
「鳴滝荘の流石な8時」、と
       ∧_∧
  ∧__∧ (´<_`;) 叩かれても知らんぞ・・・
  ( ´_ゝ`)/  ⌒i  
_(__つ/ ̄ ̄ ̄/i |_
  \/ F M V / ヽ⊃
673名無しさん@ピンキー:2005/09/03(土) 15:05:52 ID:RImHH48o
ただただグッジョブとだけ言っておこう!
674イレイザ− ◆.x0jKy2nk2 :2005/09/03(土) 16:59:40 ID:SzXCcVzl
>>667
最初から読ませてもらってますが、
(゚д゚)ポカーン
です。
神&GJ!(GJってGoodJobの略か?)

>>656-657
…!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
灰原さん……忘れてた…………(もはや原作並みにひどい扱い)
……………orz



>>656
うわ。
すんごいミスですね…。

私は馬鹿である。脳はまだない。(『我輩は猫である』風に)
675名無しさん@ピンキー:2005/09/03(土) 19:12:36 ID:fjsiJY8L
むむ、なんか凄い凄い反応…。
妄想駄文ですが、喜んで頂いてるようで何よりです。

で、エロエロはまだ続きます。
第6回、どうぞ。
676名無しさん@ピンキー:2005/09/03(土) 19:13:47 ID:fjsiJY8L
珠実ちゃんがダウンしてしまったため、僕たちはしばらく小休止していた。

僕はもう抱き合っているままでも満足だったけど、珠実ちゃんはまだやる気らしい。
「もうちょっと休んだら再開ですよ〜」
「まだやるの? やっぱり…」
「当然です〜。 ここまで来て本番なしなんてドッチラケじゃないですか〜」
「ははは…元気だね、珠実ちゃん」
だいぶ回復してきたのか珠実ちゃんは不敵な笑みを見せる。
彼女の強気発言には僕も苦笑するしかなかった。
「白鳥さんなら頑張れるって信じてますよ〜」
「う、うん…善処するよ」
「期待してるです〜♪ …あっ、そうでした。 忘れるところでした〜」
「どうしたの…?」
僕の腕をすり抜けた珠実ちゃんはベッドから降りるとふらふらと机まで歩いていった。
引き出しを開けてごそごそと何かを探している。

「え〜と、たしかこんなこともあろうかと買っておいたアレが…」
「……?」
「あっ、あった、ありました〜」
お目当てのものを見つけた珠実ちゃんはそれをそのまま僕に放り投げてきた。
驚いた僕は慌てて飛んできた物を受け止めたけど、そんなに大きな物ではなかった。
いや、手のひらサイズの小箱と言った方がいいだろう。
「ちゃんとそれ使ってくださいね〜」
「…『明るい家族計画』…」
パッケージに大きく書かれていた文字でそれがどういう物か理解した。
まぁ、確かにこれがないと困ったことになるかもしれないけど…。
「さすがにまだ妊娠はしたくありませんから〜」
「は、ははは……」
あまりに用意がいい珠実ちゃんに僕は苦笑するしかなかった。
なんでちゃんと用意してあるのかは敢えて考えないことにしておこう…。

「出来ちゃったらちょっと嬉しいんですけどね〜」
「ちょ、ちょっと、脅かさないでよ!」
「うふふです〜♪」

677Unbalance:2005/09/03(土) 19:15:07 ID:fjsiJY8L
「んっ…あむ…んくっ…あん…ふぁ…ちゅぱ…あっあぁん…」
「んぐ…ちゅっ…くっ…」
休憩を終えた僕たちは、萎えた体に再び気合いを入れるため、お互いを愛撫しあっていた。

珠実ちゃんは僕の体にまたがり、丹念に肉棒を舐めしゃぶっている。
彼女のテクニックはなかなかのもので萎えたモノはみるみる力強さを取り戻していった。

僕も負けずに覆い被さるように向けられたお尻に顔をつきつけ、珠実ちゃんの中心を押し広げていく。
さっきの行為で彼女が感じる場所はだいたい把握したので指と舌を使って的確に刺激していった。
今度はやりすぎない程度に加減してはいたけど、すぐに珠実ちゃんの秘所からはとろとろと愛液が流れ出す。

僕の肉棒が力強くそそり立つ頃には珠実ちゃんの膣内もたっぷり潤滑液を湛えていた。

「ぷはぁ…白鳥さん…私…そろそろ…」
「うん…」
程よく準備が出来たところで珠実ちゃんは行為を中断して僕の上から退いた。
僕も身を起こすとさっき受け取った箱から例のモノを取り出して用意する。
初めてだから使い方はよくわからなかったけど、説明書きを見てなんとか肉棒に装着することが出来た。
カバーをかぶせられたモノは少し違和感があるけど、嫌悪感を覚えるほどでもない。
「えっと、これでいいのかな」
「うーん、私も実際に見るのは初めてだからわからないです〜」
「まぁ、大丈夫かな…たぶん」
「そうですねぇ〜。 ま〜、大丈夫でしょう〜。 使っててもしちゃうときはしちゃいますし」
「…脅かさないでよ」
「くすっ」
どこまで本気なのかわからない冗談を言いながら珠実ちゃんは小さく笑った。

僕たちはどちらともなく抱き合うと深くキスを交わして、お互いの温もりを感じあう。
絡み合う舌先から伝わるとろけるほどの甘美な熱さに気持ちは高ぶっていった。

しばらく唇を啄んで一頻り満足すると珠実ちゃんはベッドの上に身を横たえた。

678Unbalance:2005/09/03(土) 19:16:13 ID:fjsiJY8L
「白鳥さん…」
「珠実ちゃん…うん」
珠実ちゃんは少し緊張した表情で僕を迎え入れるように股を開いていく。
僕は彼女の股間に割ってはいるように身を置くと、滾る肉棒を彼女の隠唇の上に置いた。
彼女の性器から火照るような熱さが僕の剛直に伝わり、否応なく興奮させていく。
それは珠実ちゃんも同じことで、期待に満ちた熱っぽい瞳で僕を見つめていた。

僕は今すぐにでも突き入れて彼女の性器を味わいたいところだったけど、
すぐには実行に移らずに焦らすように肉棒を割れ目の上に走らせた。
「んっ…ぅん…」
彼女の秘部から溢れ出た潤滑液でぬるぬると滑り、スムーズに割れ目をなぞる。
僕は珠実ちゃんに徐々に刺激を与えながら、彼女の愛液をたっぷりとこすりつけていく。
肉棒を覆っているカバーは外部をしっかり濡らしておかないと破れてしまうという注意書きがあったからだ。

「はぅっ、く…白鳥さぁん…」
徐々に押しつける強さを増していき、秘唇を押し広げていく。
中に入らない程度に押しつけて滑らせると、珠実ちゃんは悩ましげな声を上げた。

しばらくそれを繰り返していくとやがて僕のものはすっかりと濡れ、彼女と繋がる準備は整った。

679Unbalance:2005/09/03(土) 19:17:28 ID:fjsiJY8L
「珠実ちゃん…」
「はい………来て…ください……」
僕は珠実ちゃんの中心に狙いを定めると痛いくらい固くなったモノをぴったりと宛った。
珠実ちゃんが頷くのを確認すると僕は彼女の腰を両手で掴み、ゆっくりと蜜壷へと突き入れていった。
「珠実ちゃん、いくよ」
「あっ……はあっああぁ、はっ、入ってくるぅっ!」
「くっ…あぁ…」
入り口部分で少し抵抗があったけれど、それを過ぎるとどんどん奥へと招き入れられた。
ぬるっと締め付ける、いままで体験したことのないような快感が僕の性器へと伝わってくる。
ぐぐっと腰を突き入れるとそれは肉棒全体を覆うようになり、彼女の最深部に到達するころには軽く絶頂を迎えそうになってしまった。
さすがにそんな情けないことは絶対に避けたいので必死に堪えたけど、幸い珠実ちゃんは気づいていないようだ。

「うく…はぁぁ…珠実ちゃん、奥まで入ったよ…」
「は、い……白鳥さんの…おっきくて…熱い…です……」
珠実ちゃんは恍惚とした表情で僕を迎え入れてくれた。
その姿には男に犯される恐怖心、というものは微塵も感じられない。
「珠実ちゃん、大丈夫…? 怖くない?」
「はい…怖くなんかないです…嬉しい……」
うっすらとまつげを濡らして笑みを浮かべる珠実ちゃん。
幸せそうなその顔に僕も自然と微笑みを返していた。
「ようやく、白鳥さんと繋がることが出来ました…」
「暖かいよ、珠実ちゃん…」
「白鳥さん…好きに動いていいですよ」
「うん、わかったよ」
と頷いたものの、正直どう動いていいものかよくわからなかったのでとりあえず小さく腰を動かしてみた。

ゆっくり腰を引き、また挿入していく。
突き入れるたびに中の襞でこすれ、引き抜こうとすると逃がさないと言わんばかりにキュッと締め付けてきた。
珠実ちゃんの膣内は別の意志で動いてるのではないかと思うくらい僕のモノを求めている。
その快感はいままで味わったものとは全く異なるものだった。

「はっ…ああああぁぁぁぁ…」
彼女の奥に僕の肉棒が沈んでいくたびに珠実ちゃんは悩ましげなため息をついた。
僕は引き抜くときにキュッと締め付けられるのが気持ちよかったけれど、珠実ちゃんは挿入時が気持ちいいらしい。
最深部まで到達するたびに彼女の体はビクンと跳ねた。
680Unbalance:2005/09/03(土) 19:19:07 ID:fjsiJY8L
(なるほど…何となくわかってきた)
少しずつ要領を得て、腰の動かし方を覚えていく。
徐々にスピードを上げ、時には下げ緩急をつけて珠実ちゃんに快楽を与えていく。
「はっあぁん…白鳥さぁん…気持ちいいですぅ…」
「気持ちよくなってきたよ、珠実ちゃん…」
「はい…私も…あぁ…ん」
僕に突かれて甘い声を上げる珠実ちゃんだったけど、彼女もまたタイミングを合わせて僕を締め付けてきた。
それだけではなくリズムを合わせて腰を動かし、より深い結合を求めている。
やがて二人の動きが同調すると何倍もの快感が全身へと駆けめぐった。

(すごい…セックスってこんなに気持ちいいモノなんだ…)
次第に僕たちの動きは加速していき、結合部はグチュグチュと卑猥な音を立て始める。
突き入れる強さは徐々に増し、力強く彼女の蜜壷をかき回した。
互いの腰がぶつかるパンパンという音が室内に響く。
「はああぁぁぁぁん! き、気持ちいいですぅ!」
「す、すごいよ…!」
「ふあぁぁっ…! お、奥に、当たってる、ですぅ!」
珠実ちゃんは全身をよじりながら甘い喘ぎを上げ続けた。
その恍惚とした表情が与えられている快楽を明確に表している。
僕はもっと彼女と一つになりたくて夢中で腰を振った。
「し、白鳥さぁん! もっと、もっとぉ! ひぁぁああぁぁっ!!」
「たっ、珠実ちゃん!」
珠実ちゃんは逃がさないと言わんばかりに僕の首を抱くように手を回し、両足もがっちりと僕の腰を捕まえていた。
全身を使って抱きしめられた僕は、それでも彼女に快楽を与えようと無我夢中で突き続けた。
結合部がグチョグチョと激しい音を立て、下半身からしびれるような感覚が迫り上がってくる。

「珠実ちゃん…! 僕、もう…!」
「はっ…はいっ…私、もっ……! あっああああぁぁぁぁっっ!」
駆け上る快感が限界に達し、僕は珠実ちゃんの中で最初の絶頂を迎えた。
それと同時に彼女も背を仰け反らせながら限界に達し、膣内が激しく締め付けてくる。
ヒクヒクと蠢く膣壁が僕の精液を催促するように何度も刺激を与えてくるが、
僕の肉棒を覆ったモノのおかげで珠実ちゃんの胎内にそれが届くことはなかった。

681Unbalance:2005/09/03(土) 19:20:12 ID:fjsiJY8L
「あっ…あぁん…ぅん…やぁ…」
「くぅ…」
珠実ちゃんは僕の上に跨り、夢中で腰を振っている。
ぐりぐりと腰を押しつけてより深い結合を求めるように僕の上で踊る。
その動きにギシギシとベッドがリズミカルな軋みを上げた。

「し、白鳥さん…おっぱいも…触ってください…」
「えっ…? あ、うん」
珠実ちゃんは僕の手が遊んでいるのに気づき、更なる愛撫を求めてきた。
僕は彼女に請われるままに小さな双丘の手を伸ばし、桜色の先端を指で刺激した。
手のひらを巧みに動かし、小振りな胸を揉みしだく。
「あぁぁん…気持ちいいぃ…」
珠実ちゃんはすっかり快楽の虜になって乱れていた。
それは僕も同じことで、乱れる彼女に興奮しより力強く彼女を責め立てた。

「ふああぁ…白鳥さぁん…!」
珠実ちゃんは天を仰ぐように背を仰け反らせ、うわごとのように僕の名を呟く。

夢中で腰を振り続ける彼女に合わせるように僕も腰を突き上げ、その甘美なリズムに酔いしれた。

682Unbalance:2005/09/03(土) 19:21:21 ID:fjsiJY8L
「やっ! あぁ…んくっうっ!」
「はぁ…はぁ…!」
僕は四つん這いになった珠実ちゃんの背後から覆い被さるように挿入を繰り返した。
両手で後ろから胸を揉みしだき、突き入れるたびに珠実ちゃんは荒い息を漏らす。
3度の絶頂を迎えても、僕の中に芽生えた欲情は衰えることを知らず、珠実ちゃんの体を求め続けた。

「やぁぁ…すごぉい…ですぅ…!」
「珠実ちゃん、珠実ちゃん…!」
「あっあっああっ、やぁっ!」
それは珠実ちゃんも同じことで、快感に溺れ僕に突かれるたびに嬌声を上げる。
流れ落ちる玉のような汗が疲労感を示していたけど、火のついた肉欲はとどまることを知らない。
それでも僕たちは我を忘れて貪りあい、お互いの隅々を感じようと体を絡ませ合う。

もうそこにいるのは親しい家族のような同居人ではなく、性欲を貪る一対の雄と雌でしかなかった。

683Unbalance:2005/09/03(土) 19:22:53 ID:fjsiJY8L
「いっ、いいっ! も、もっと、もっと突いてぇ!」
「た、珠実ちゃんっ! もっと締め付けて!」
「は、はいぃ! あぁん、いいですぅ!!」

4度目の絶頂を迎えても、僕たちはとどまることを知らなかった。
再び正面から抱き合い、力の入らなくなってきた体を奮わせてまで性交を続ける。
一度味わってしまった快楽はもはや忘れられるものではない…。
僕は痙攣するように腰を動かし、激しく珠実ちゃんを責め立てた。

「ああああぁぁぁぁん! い、いいいぃぃぃぃっ!!」
「珠実ちゃん…珠実ちゃん…!」
「も、もうダメ、もうダメぇ! また、イっちゃう、イっちゃうぅぅ!!」
「ぼ、僕もイクよ!」
「いやぁぁぁ! イクッ、イクイクイクッ、イっちゃうぅぅぅ!!! イ、っああああああっっ!!」
互いの限界をこれでもかと示しあい、僕たちは深い絶頂に達した。

珠実ちゃんの膣内は激しく痙攣して僕の射精感を煽る。
でも僕は限界に達する直前で彼女の蜜壷から爆発寸前の肉棒を引き抜き、それを覆っていたゴムを一気に外した。
その瞬間、僕の欲望の結晶は容赦なく珠実ちゃんの全身に降り注ぎ、彼女の顔を、胸を、お腹をその白濁で染めていく。
自慰する時では考えられないような大量の精液が彼女を汚し、どろどろにしてしまった。
限界に限界を重ねた僕はとうとう力尽き、ガックリと膝から崩れ落ちた。

「あ…あぁ…」
「はぁ…はぁ…はぁ…珠実ちゃん…」
「ああ…白鳥さんのが…こんなにいっぱい…」
珠実ちゃんは自分の体に着いたものを確認するように指ですくい上げ、それをまじまじと見つめている。
ゆっくりと指に着いたものを舐めながら、珠実ちゃんは満足げな笑みを浮かべた。

684Unbalance:2005/09/03(土) 19:24:08 ID:fjsiJY8L
「これで…私は…白鳥さんのものですね…」
「………」
「はぁ…嬉しい…」
「珠実ちゃん…」
「気持ち…よかったです…」
白濁まみれのまま、恍惚とした表情を浮かべる珠実ちゃん。
僕は彼女を満足させられたことに確かな達成感を感じていた。

きっと、珠実ちゃんの傷も癒してあげることが出来る…。
そんなことを考えながら僕は彼女に優しくキスをした。

でも───

僕はまだ気づいていなかった。


己の中に確かな肉欲が目覚めてしまったことに。

685Unbalance:2005/09/03(土) 19:25:38 ID:fjsiJY8L
それからというもの、僕たちは機会があれば体を重ね合っていた。
僕も珠実ちゃんも情欲に溺れるようにお互いを求め合う。
いつの間にか家族のような同居人は性欲の対象へと変わっていた。

「は〜、気持ちよかった…」
「私もです〜♪」
今日も一戦終え、僕たちはベッドの中で抱き合っていた。
心地よい疲労感が胸を満たし、お互いを労うように優しく寄り添い合う。
そんな光景もいまではすっかり当たり前のものになっていた。

「でも珠実ちゃんって本当にエッチなんだね」
「な、なんですか、唐突に〜!?」
「だって…お尻が気持ちいいだなんてびっくりしちゃったよ」
「そ、それは…。 仕方ないじゃないですか〜!」
「今度からそっちもやってあげるね」
「…むぅ〜」

世間ではこういう関係をセックスフレンドと言うんだろうか?
恋人とは違う、肉体のつながり。
それでも僕たちは自然と互いを求め合い、体を重ねていく。

ことあるごとに抱き合い、日に日にその行為をエスカレートさせていった。
珠実ちゃんもそれを嫌がるでもなく…いやむしろ積極的に望んでいた。

そんなおかしな関係が続き、日常の一部になりかけていた頃、僕は大切なことを忘れ始めていた。

686名無しさん@ピンキー:2005/09/03(土) 19:27:01 ID:fjsiJY8L
さて、ひとまずここにて終了です。
エロパートはとりあえずここまでですかね。
話はまだ続きますよ〜。

続きはまた明日(?)
687名無しさん@ピンキー:2005/09/03(土) 19:31:52 ID:c7qL0Pms
>>686
リアルタイムで激しくGodJob!!!!(;゚∀゚)b
はやく続きを読みたい

でもこのあとがダーク展開っぽくてちょっとこわい…かも
688名無しさん@ピンキー:2005/09/03(土) 20:42:48 ID:dGDWeI9J
>>686
GJ!GJ!GJ!
思わず興奮してしまいましたよ。

でもこの後の展開がなんか怖い。
珠実ちゃんとのつきあいが深くなって、梢ちゃんを傷つけてしまいそうな予感が・・・。
梢ちゃんが目に入らなくなってしまいそうで・・・。
689梢・千百合テンプレ:2005/09/03(土) 22:16:13 ID:vn3wW+2L
ここは、ガンガンWINGで大人気連載中の『まほらば』の二次創作SSを投下する場所です。
短編から大長編、全年齢対象の作品から……あ、あの、じゅ、18禁のものまで、いつでも大歓迎です。
で、でも、あまりにもキツい作品には、注意書きを前もって書いてください。大家からのお願いです。
18禁……私と……白鳥さんの……そんな……わたし……(バタッ)

前スレ
まほらば〜鳴滝荘のしとやかな七時〜
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1123903476/l50

過去スレ
まほらば〜鳴滝荘のなごやかな六時〜(890レス)
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1122299842/

まほらば〜鳴滝荘のにぎやかな五時〜(913レス)
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1120612364/

まほらば 〜鳴滝荘のうららかな四時〜
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1119067293

まほらば 〜鳴滝荘、ほがらかな三時〜
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1117367671/

まほらば 〜鳴滝荘、2時…、かも。〜
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1113669362/

まほらば 〜鳴滝荘での一時〜
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1106131763/

原作スレ
小島あきら まほらば26号室
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1124954936/l50

まほらば小島あきら 第8回鳴滝荘お絵描き大会
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/ascii2d/1124802073/l50

保管庫
まほログ(管理人:テイル氏) ttp://blog.livedoor.jp/maholog/
まほらば 二次創作保管庫(SS&CG) ttp://whitebrown.hp.infoseek.co.jp/mahoraba/index.html
修正SS用うpろだ(管理人:ヘブン氏) ttp://mahoraba.dw.land.to/ss/upload.html


ホーーーーーッ!……次のスレは、>>970さんが立てるのが基本です。
また、容量が500KBに近付いている場合は、残り10KBを切った時に、切りのいい方が立ててください。
Correctな作品を期待してますよ!……隆ちゃん!隆ちゃんはどこですか!ホーーーーーーッ!!

690テイル ◆5zZRlb1law :2005/09/03(土) 22:29:06 ID:vn3wW+2L
前スレに投下した梢・千百合テンプレです。細かい所を修正。

>>686
エローーーーーい!(スピードワゴン風)
さすが>>686さん!俺達に出来ない事を平気で(ry
これで絵も描いてくれれば……スイマセン、これは高望みでした。

ついでに業務連絡。
生扉のブログのサーバーがとうとう新鯖に移転しました。
おかげで長文が一度に投下できません。撥ねられます。
というわけで、分割して保存する事になりそうです。ハイ。

ソーラン節は足腰が疲れます。痛いです。
テイルでした。……何か書こうかしら……
691ココナッツムーン ◆YP5KAYH.gg :2005/09/03(土) 22:33:47 ID:CA/aI982
>>686
VVGJ
お珠・・・

>>テイル氏&ALL
>>486>>490の魚子の不思議(仮)のタイトルを決め忘れて申し訳ありません。正式名称は
「as an infant」です。

あと、どうも九州旅行編が暗い話になってしまいそうなのですが大丈夫ですかね?
何でレチにあんなこと言わせたんだろ・・・OTL
692名無しさん@ピンキー:2005/09/03(土) 23:55:16 ID:JOWaSo/s
何となく思うんだがスレタイの「○○の〜」って風なタイプにするとそのうちネタ切れしそうな気がするんだがその時どうするんだろう。
693名無しさん@ピンキー:2005/09/04(日) 00:08:45 ID:LEveSUcW
>>686
やっと話が峠まで来たな
       ∧_∧
  ∧__∧ (´<_` ) ここからが重要な部分だな」
  ( ´_ゝ`)/  ⌒i  
_(__つ/ ̄ ̄ ̄/i |_
  \/ F M V / ヽ⊃

>>692
いざとなったら、「流石な」とか「課題な」とかで
       ∧_∧
  ∧__∧ (´<_`;) 課題はともかく、流石は無理だろ・・・
  ( ´_ゝ`)/  ⌒i  
_(__つ/ ̄ ̄ ̄/i |_
  \/ F M V / ヽ⊃

694ぐうたら ◆7b9DL4hJvA :2005/09/04(日) 00:26:52 ID:lNQrfCny
>>693
課題の人!逆だ!
「課題の」が無理だから!「流石な」も無理だが!
695名無しさん@ピンキー:2005/09/04(日) 01:39:47 ID:H8XLlnC2
天ぷらに隆士キュソか銀タソを使えば逝けるはずだ!





最終手段として
696名無しさん@ピンキー:2005/09/04(日) 02:39:01 ID:sIICLzcf
スレタイ案

○まほらば〜八時だよ!全員集合!!
○まほらば〜鳴滝荘ののびやかな八時
○まほらば〜鳴滝荘のあちゃらかな八時

まぁ〜なシリーズでも無くてもいいと思うがな。
697名無しさん@ピンキー:2005/09/04(日) 02:56:30 ID:4SAfyVmC
「まほらば〜鳴滝荘のハチャメチャな八時〜」ってのはどうですか?
698名無しさん@ピンキー:2005/09/04(日) 04:01:55 ID:H8XLlnC2
もう一つの最終手段
つ「まほらば〜鳴滝荘のエロエロな8時〜」
699イレイザ− ◆.x0jKy2nk2 :2005/09/04(日) 06:30:42 ID:9wvid0ym
うーん。
スレタイで激しい議論が繰り広げられてるときに投下してもよいのだろうか(前スレでは投下したけど)
何はともあれ、「影、重なるとき」の続きです。
それではどぞー。
700影、重なるとき:2005/09/04(日) 06:31:21 ID:9wvid0ym
「…くぅ、っ…」
ずきずきとした痛みが、腕に、胸に、脳に移ってゆく。
まずい――!
思った瞬間。
「白鳥さんっ!」
梢ちゃんの声が聞こえ…
そのまま、その声は聞いたことのない呪――そうとしか言いようがなかった――を紡ぎだした。
そして、文字が現れ…
僕の腕の痛みが消えた。

『蒼葉梢はリペアを唱えた!
白鳥隆士の体力が11回復した!』

そういうのもあるのね。
「よくもお兄ちゃんを〜!」
口調では楽しんでいるような言い方で朝美ちゃんが悲しみの化身(多分)に斬りかかった。
…ナックルを当てられるのもすごいけど、そんなのに近づいていくのもすごいと思う。

『黒崎朝美の攻撃!悲しみの化身に6のダメージ!
黒崎朝美の攻撃!悲しみの化身に5のダメージ!』

に、2回攻撃!?
身が軽いなぁ。
流石中1。
701影、重なるとき:2005/09/04(日) 06:32:17 ID:9wvid0ym
「今度は俺だナ」
と、ジョ…灰原さんが前に出てきた。
んで、筆を取り出して紙に何か描いている。
何を描いてるんだろう。

『灰原由起夫は魔呪符を使った!』

魔呪符…?
なんだかいかがわしい名前だな…
思ったら。
邪神の兵隊の体が凍りつき、割れた。

『灰原由起夫は魔氷封印を使った!
邪神の兵隊Aに43のダメージ!
邪神の兵隊Aを倒した!』

おおう。すごいダメージだ。
……………この前の投下のとき忘れられてたけど。
「……………………………………白鳥………何か言ったか………………………………?」
「い……………………いえ!な、何も言っておりません!本当です!あ゙あ゙許して灰原さん!」
「ったく…………」
ぎぃぃあああぁぁぁ。
今、何にもありませんでした。
すみませんでした。
702影、重なるとき:2005/09/04(日) 06:32:53 ID:9wvid0ym
…!?
邪神の兵隊が梢ちゃんの方へ走っていっている。
梢ちゃんは、動かない。
いや、動けないのだろう。
そこへ。
「梢ちゃんに何するですか〜〜〜!!」
た、珠実ちゃん!?
無茶…!

『邪神の兵隊の攻撃!
茶ノ畑珠実はカウンターを放った!
クリティカルヒット!
邪神の兵隊Bに95のダメージ!
邪神の兵隊Bを倒した!』

き、95ぉ!?
高っ!
あんな短剣で…
その時、沙夜子さんが言った。
「…気をつけて…
増えるわ…」
一瞬、その意味がわからなかった。
が、直後に気づくことになった。

『悲しみの化身は仲間を呼んだ!
邪神の兵隊C・D・Eが現れた!』

うわ゙あ゙!
現れたっていうか降ってきたというか。
ともあれ、敵の数が増えたことは事実だった。
「…私が…」
沙夜子さんが前に出た。
「さ、沙夜ちゃん無理よ!
そんな数珠じゃ無理!」
桃乃さんが叫ぶのも気にせず、ゆっくりと邪神の兵隊の傍へ歩み寄っていった。
「…帰りなさい」
…え?
沙夜子さんが、邪神の兵隊にそう言った。
すると、邪神の兵隊の体が激しく震え出した。
「もといたところへ、帰りなさい。
安息は、そこにあるわ…」
言うなり、邪神の兵隊の姿が掻き消えた。

『黒崎沙夜子は魔獣語をつかった!
邪神の兵隊Cは何処かへ去っていった!』

魔獣語?
日本語だったよね、今の。
703影、重なるとき:2005/09/04(日) 06:35:01 ID:9wvid0ym
戦闘は、かなり劣勢だった。
人数が多いにもかかわらず、戦い慣れしていない僕たちは次々と攻撃されていった。
邪神の兵隊が攻撃し、悲しみの化身が仲間を呼ぶ――。
そんな繰り返しが続いた。
確かに、ダメージは与えていたが、回復や、攻撃がそれに追いつかなかった。
そして。
邪神の兵隊の攻撃を受け止めようとして、
梢ちゃんの
杖が
折れた。
…Help us prease...
いや、本気で…

只今の状況(5ターン目終了時)

白鳥隆士
HP:11/30
MP:0/0

蒼葉梢
HP:9/26
MP:6/15

桃乃恵
HP:12/45
MP:0/0

茶ノ畑珠実
HP:23/42
MP:0/0

黒崎朝美
HP:6/35
MP:5/5

黒崎沙夜子
HP:10/19
MP:3/23

灰原由起夫
HP:15/35
MP:11/25

邪神の兵隊S
HP:16/30
MP:0/0

邪神の兵隊T
HP:21/30
MP:0/0

悲しみの化身(BOSS)
HP:41/60
MP:15/30
704イレイザ− ◆kOM7DzmM6o :2005/09/04(日) 06:41:01 ID:9wvid0ym
ということで。
今回はちゃんと灰原さん書きましたよ(苦笑
見て分かるとおり、かなりヤバイ状況ですので、一回は全滅させてみようかと思ったところ、話が続かないので没〜。
勝利条件を見ると流れが見えると思います。
では。
705ぐうたら ◆7b9DL4hJvA :2005/09/04(日) 09:45:32 ID:t6LL3umI
流れが見えるも何も、今回で5ターン終了ならそれでもう勝ちじゃまいか
706ココナッツムーン ◆YP5KAYH.gg :2005/09/04(日) 10:48:02 ID:3tbz+yz1
ここで聞くことじゃないのかも知れませんが、皆さんは
梢ポンの誕生した年をいつとして書く or 読んでますかね?
国鉄民営化を重要なキーワードにしてるので、年令設定が変になったらoutですから。
作品は次スレで投下しますね。スレタイは
「鳴滝荘のぬくぬくな8時です〜」でどうでしょうか?
707イレイザ− ◆kOM7DzmM6o :2005/09/04(日) 11:01:54 ID:9wvid0ym
>>ぐうたらさん
ソレを言ワれタらおシマいデスよ クッ
708名無しさん@ピンキー:2005/09/04(日) 11:37:49 ID:6ww8LRS3
>>706
学園祭にて、で平成1X年度って書いてあったりします。
いや、\かもしれませんがああいうところでローマ数字記述はなさそうだから、
おそらくそんな感じかと。

あとは逆算です。
709名無しさん@ピンキー:2005/09/04(日) 12:04:40 ID:SrVdZt92
ぬくぬくはもう少し温存すべきかと
710名無しさん@ピンキー:2005/09/04(日) 12:06:32 ID:6ww8LRS3
まあ、〜なシリーズもそうだけど25スレ目になったら時間もまずいわけで。
…そこまで行くのに1年くらいかかりそうだけど。
711名無しさん@ピンキー:2005/09/04(日) 12:56:05 ID:wIGg57aL
25スレ目に行ったら「2日目の1時」見たいにしたら良さげのような。
「○○の〜」がネタ切れしたときにもいいセーフティラインになりそうだし。
まあそこまで行くのかという問題もあるしその前に「○○の〜」がネタ切れする可能性も十分あり得るわけだが。
712名無しさん@ピンキー:2005/09/04(日) 13:21:16 ID:NCSIUg8Q
まほらば〜鳴滝荘の八時だよ!全員集合!!
713名無しさん@ピンキー:2005/09/04(日) 15:12:40 ID:6zGFZhCT
抜く抜くな八時
714名無しさん@ピンキー:2005/09/04(日) 15:26:58 ID:SrVdZt92
抜く抜くももう少し温存すべきかと
715名無しさん@ピンキー:2005/09/04(日) 15:44:12 ID:6ww8LRS3
>>690
挿絵…いや、構図とかは頭ん中にあったりしますが描いてると
本編がおろそかに…。
っていうか7話がまだ真っ白です。
構想はもう完全に出来てるんですが、今日は暑くてオーバーヒート中。

とりあえず、今日は保管庫にあるおしゃぶりブラブラを見て脳内保管お願いします。
実はあの絵に触発されて書き始めたSSだったり…。
716名無しさん@ピンキー:2005/09/04(日) 17:06:31 ID:tVK8rHWf
>…そこまで行くのに1年くらいかかりそうだけど。
泣きそうになったw
あの頃が懐かしい…
717名無しさん@ピンキー:2005/09/04(日) 17:57:36 ID:BWYGmyVh
お前は何を懐かしんでいるんだよ
718名無しさん@ピンキー:2005/09/04(日) 18:48:11 ID:NCSIUg8Q
何もかもみな懐かしい…
そんな年頃なんだよ。
719名無しさん@ピンキー:2005/09/04(日) 19:22:06 ID:lQNp6KRx
>>718
IDがそれっぽいw
720ぐうたら ◆7b9DL4hJvA :2005/09/04(日) 22:33:08 ID:1yYKjmcg
テイルさーん、まほログのMLLをうpろだのに差し替えをお願いします。
暇なときで良いので…
721テイル ◆5zZRlb1law :2005/09/04(日) 22:38:27 ID:zMoREgn5
>>720
了解です……が、一括で保存できない場合は分割されますorz
ふざけるなホリエモン。

でも、MLLでの白鳥クンを見てると、藍蘭島の行人クンを思い出すのは何故だろう。
気のせいか?

大雨に雷……東京じゃなくて四国に降らせと小一(ry
722名無しさん@ピンキー:2005/09/04(日) 22:46:48 ID:fsHVhQ5d
>>786
分かったぞ!大切なことってのは「壁が薄いから声が筒抜け」ってことだな!
723名無しさん@ピンキー:2005/09/04(日) 22:49:19 ID:6ww8LRS3
未来レス…!
しかし、このスレに786が来ることはないのだった(完)
724名無しさん@ピンキー:2005/09/04(日) 23:04:55 ID:lQNp6KRx
まだ分からんぞw
725ぐうたら ◆7b9DL4hJvA :2005/09/04(日) 23:09:08 ID:1yYKjmcg
うがー、水曜から山口に二泊三日なのに何この台風!
7月の悪夢はもう勘弁…(ぐうたらは七月二十九日に平戸の海に行き損ねました)
九州、中国に降らせるなら東京に降らせと小一ry

>>テイルどん
分割の場合は@とかAを基準に分けれるなら分けてくだされ。
お疲れですー

最近SSを書かないから時間はあるけど何か物足りないぐうたらでした。
726名無しさん@ピンキー:2005/09/04(日) 23:26:36 ID:YyaUXV47
>>722
>>786までこのスレは生きてはいまいに・・・
727名無しさん@ピンキー:2005/09/05(月) 00:56:18 ID:NFBkFWrs
灰原×隆子な陵辱ものキボン
728名無しさん@ピンキー:2005/09/05(月) 01:27:07 ID:tnIyN1CD
いや、隆子タン女装オナヌーネタが先だ。
729名無しさん@ピンキー:2005/09/05(月) 01:35:51 ID:k8xA9pG6
前の方に出てたけど漏れも珠実凌辱モノきぼんぬ
730名無しさん@ピンキー:2005/09/05(月) 01:36:08 ID:huC4IgpE
>>728
ごめんね、それ途中まで投下したけど凍結中なの…。
731名無しさん@ピンキー:2005/09/05(月) 02:41:30 ID:tnIyN1CD
(゚∀゚)トウケツ??
732名無しさん@ピンキー:2005/09/05(月) 07:49:07 ID:jRyQ0k10
このスレの
775
Getしたい。
733名無しさん@ピンキー:2005/09/05(月) 09:19:46 ID:UPfBSFMu
トラキア775
734イレイザ− ◆kOM7DzmM6o :2005/09/05(月) 15:11:28 ID:MaChu7Sh
うがー。
台風で吹っ飛ばされて体調が悪いです。
東京に降るな四国へ降れ!
735名無しさん@ピンキー:2005/09/05(月) 17:25:18 ID:YYG3TuQc
さあみんな、頑張ってこのスレを786まで続けようじゃないか
一人2〜3行での書き込みでお願い。

もし続いたら722を新たな鳴滝荘住人に認めよう
736名無しさん@ピンキー:2005/09/05(月) 17:47:10 ID:hA8ZVROb
>>735
たいふう来ちぇるよ・・・
737ぐうたら ◆7b9DL4hJvA :2005/09/05(月) 18:25:53 ID:+RPDIffr
台風で山口行きが一日延期になりました。ぐうたらですね。
明日は臨時休校なのでダイソーで買った百円落語でも聴きまくるか。

ってか>>786を目指すのは新スレ立ててからにしようね
738名無しさん@ピンキー:2005/09/05(月) 18:43:35 ID:huC4IgpE
なんか面白い展開になってるから投下せずに静観してみよう。
暇だから挿絵でも描こっと。
739名無しさん@ピンキー:2005/09/05(月) 18:56:34 ID:swNudhFA
>>735
うらやましすぎるぞ>>722
740名無しさん@ピンキー:2005/09/05(月) 19:22:08 ID:JA3M1PeZ
>>737
ぐうたらさんがぐうたらしてる……



クッ
741ヘブン ◆1fPWtvDjaQ :2005/09/05(月) 19:25:15 ID:FHJxzp6D
イタズラな運命が降り懸かろうとも壊れやしない♪
色んな意味で勘弁してくれorz状態
742名無しさん@ピンキー:2005/09/05(月) 20:16:51 ID:hA8ZVROb
>>740
お姉ちゃん、とってもおもしろいよー
743名無しさん@ピンキー:2005/09/05(月) 21:17:12 ID:huC4IgpE
挿絵っていろいろ想像させる言葉ですね。
ttp://black.skr.jp/mahoraba/pbbs/data/IMG_000074.jpg

>>681あたり
744名無しさん@ピンキー:2005/09/05(月) 21:25:49 ID:hA8ZVROb
>>743
こう言うしかない・・・

   _、_
 ( ,_ノ` )      n
 ̄     \    ( E) GJ゙!!
フ     /ヽ ヽ_//
745名無しさん@ピンキー:2005/09/05(月) 21:43:45 ID:huC4IgpE
>>744のAAで>>742を言ってる所を想像して吹いた。
746名無しさん@ピンキー:2005/09/05(月) 21:44:51 ID:KHLobvcE
台風が東京の明日に直撃します。
747名無しさん@ピンキー:2005/09/05(月) 22:18:15 ID:kkrzcyOJ
しつもーん。梢ちゃんたちの学校の制服の夏服は、どんな構造になってるのでしょう?
前をボタンで留めるだけのワンピースかと思ってたら、胸んとこにリボンと胸当て?
がついててよくわかんないよ。
748名無しさん@ピンキー:2005/09/05(月) 22:23:32 ID:huC4IgpE
ワンピースで前ボタンのみ(隙間から見えない構造になってるけど)
襟の部分も服にくっついてる。
リボンは後付。

…ってこんな知識ナニに使うんだろう。
749名無しさん@ピンキー:2005/09/05(月) 22:38:46 ID:kkrzcyOJ
そりゃあ剥くために決まっとろーが!

いやもうね、最初冬服の設定だったのが脱がすのめんどいんで
ワンピースの夏服にしたけど、もう最初から脱いでることにしようかと。
750名無しさん@ピンキー:2005/09/05(月) 22:45:49 ID:hA8ZVROb
>>745
想像うすんなや・・・
ホンマ台風迷惑やな・・・
751テイル ◆5zZRlb1law :2005/09/05(月) 22:47:30 ID:4tTE26Cd
>>722は神になれるだろうか……

>>743
何と言いますか……ちょっと珠実の雰囲気が違うけど、GJ!
俺達はこういうものを待っていた!

>>748
……着衣プレイか?ほなみんよろしくはにh(ry
>>747が何かSSを書いているなら、投下を待っていまつ。

台風に大雨に……ここは水関係に弱い人が多いスレでつね。
東京は7日あたりが酷いらしくて……

祭の準備が……orz
752ココナッツムーン ◆YP5KAYH.gg :2005/09/05(月) 22:51:39 ID:28r15RWF
どうせ台風が来るなら月曜は全しRがスト、火曜、水曜は私鉄がスト
木曜、金曜は筑肥線の爆音汚物が故障、土日は、まあいいや・・・
753ココナッツムーン ◆YP5KAYH.gg :2005/09/06(火) 00:38:12 ID:8geCB4fW
九州旅行編の正式タイトルは「ヒノクニ〜SUNRISE〜」です。
連投スマソ
754テイル ◆5zZRlb1law :2005/09/06(火) 00:43:59 ID:fG9AS7Ph
しょうがない、あまりにも静かだから一本作ってしまった。
>>722には悪いが、投下させてもらおう。

まあ、メインは沙夜子さんだけどね。
755MoonLight Promise(1):2005/09/06(火) 00:44:46 ID:fG9AS7Ph
夜。

縁側。

縁側に座る、影が一つ。

「…………」

特徴的な黒髪。
十二単を着れば似合うのではないかと思われるほどの、長髪。
そして、赤みがかった瞳。

黒崎沙夜子。
それが、彼女の名前。

「……月……」
誰にともなく、彼女は呟いた。
「……綺麗ね……」

そう呟く彼女の顔は、どこか悲しげだった。

――元始、女性は実に太陽であつた。今、女性は月である。――――

昔の人が、そんな事を言っていた。
言われてみれば、そうだと思う。
自分の人生を振り返れば、あまりにも痛感してしまう。

あの人との出会い。
朝美との出会い。
家出。

永劫の別れ。

苦労。
バイトの数々と失敗。
内職の日々。

ほら、まるでひっそりと動く月ではないか。

この9年間、感じていた事。

私は弱い。
そして、世間はあまりにも広過ぎた。

だから、私は月のような生活を送っていた。
ひっそりと。
こっそりと。

でも。
756MoonLight Promise(2):2005/09/06(火) 00:45:20 ID:fG9AS7Ph
「――――――お母さん?」

その声に、私は振り向いた。

太陽のように純真爛漫な瞳。
人ごみでも目立つ、緑色の髪。

私の、太陽。

「お母さん、大丈夫?」
「―――――ええ、大丈夫よ」
朝美の頭を、ゆっくりと撫でる。
少し、こそばゆそうだ。
「お母さん、今日はもう寝よう。明日は日曜日だし、内職する時間も十分あるよ」
「―――ええ、そうね―――」

もう一度、空高きにある満月を仰ぐ。

月の光は、弱い。
科学的に言えば、太陽光の照り返し。

でも。

「―――月の光だって、温かいわよね―――あなた」

真っ暗闇の中に、唯一つ、綺麗な黄色い光。
それは、昼の太陽とは一味違う、温もりのヒカリ。

「太陽も月も―――――似たものだものね」

昼間、太陽は明るく照らし。
夜中、月は温かく導く。

だから。
私は、朝美を、しっかり照らしていきたい。
夜道に、迷わないように。


―――気をつけろよ―――

「…………?」

気のせい、だろうか。

満月の温もりは。
あの人のにおいがした。

<<Sun And Moon, Light and Black>>is the end.
757テイル ◆5zZRlb1law :2005/09/06(火) 00:47:17 ID:fG9AS7Ph
というわけで、「MoonLight Promise」でした。製作時間15分強。

メインテーマは「太陽と月」です。どちらがどっちかはお解かりですね。
結局、太陽も月もお互い依存している、という所です。
まるで黒埼親子のようですね。

ついでに新スレ立ててみます。
758テイル ◆5zZRlb1law :2005/09/06(火) 00:49:14 ID:fG9AS7Ph
759名無しさん@ピンキー:2005/09/06(火) 00:50:53 ID:o7i2SsEL
どっちの意味でも乙。
さて、あと10KBですな。
760名無しさん@ピンキー:2005/09/06(火) 02:23:30 ID:CWtNuW1Z
着衣プレイ期待!
761名無しさん@ピンキー:2005/09/06(火) 06:57:42 ID:xSTi6cm8
なんか変な期待させちゃってるようだけど、書いてるのはこないだ言った凌辱モノだから。
762名無しさん@ピンキー:2005/09/06(火) 11:23:01 ID:o7i2SsEL
>>761
あなたはこのスレにとって貴重なエロ補給担当なので頑張ってください。
763名無しさん@ピンキー:2005/09/06(火) 12:01:14 ID:m1dhRpz4
>>761
あなたはこのスレにとって貴重なエロ補給担当なので頑張ってください。
きっと夏厨も喜んでますよ。
764名無しさん@ピンキー:2005/09/06(火) 12:06:18 ID:RaC+kdIh
凌辱と強姦の間には大きい隔たりがある事を知っていてもらいたい。
765名無しさん@ピンキー:2005/09/06(火) 16:45:09 ID:jcFtzh28
786まであと少し。さあみなさんご支援を、クッ
766名無しさん@ピンキー:2005/09/06(火) 16:55:31 ID:MjOl2WvU
ぁぁぁぁぁぁぁ((((((;゚Д゚))))))巨大AAハリタイ巨大AAハリタイ

ぁっぁぁっぁぁ((((((;´Д`))))))ぁぁっぁぁっぁっ
767名無しさん@ピンキー:2005/09/06(火) 17:43:37 ID:YtBO6eyi
>>766 ヤメレ・・・このスレを伸ばすんだ・・・
768名無しさん@ピンキー:2005/09/06(火) 17:50:18 ID:o7i2SsEL
まぁ、待て。
まだ慌てるような時間じゃない。
769名無しさん@ピンキー:2005/09/06(火) 17:56:29 ID:b5RZFwGi
残り何バイトよ?
770名無しさん@ピンキー:2005/09/06(火) 18:19:22 ID:o7i2SsEL
現在491KB、さぁ、どうなるドナルドどっきどき
771ヘブン ◆1fPWtvDjaQ :2005/09/06(火) 18:36:48 ID:3g2700F0
あぁ、凄くなんかあれだよ
こっちに投下しt(ry
772ぐうたら ◆7b9DL4hJvA :2005/09/06(火) 18:38:21 ID:60Nc3wlz
だが一番の問題は>>786>>722のレスに見合った内容かどうかが問題だろうと思ふ
773名無しさん@ピンキー:2005/09/06(火) 18:59:20 ID:b5RZFwGi
>>786には「鳴滝荘にはもっと大切なことがある」とか何とか言ってもらおう
774ヘブン ◆1fPWtvDjaQ :2005/09/06(火) 19:06:12 ID:3g2700F0
>>773
壁なんてただの飾りです!偉い人にはs(あwせdrftgyふじこl;p
775名無しさん@ピンキー:2005/09/06(火) 19:51:04 ID:MjOl2WvU
       _、_
     ヽ( ,_ノ`)ノ 残念、それは私のおいなりさんだ
    へノ   /
     786ノ
       >
776名無しさん@ピンキー:2005/09/06(火) 19:59:55 ID:Lp07ddSf
まだだ! まだ終わらんよ!
777名無しさん@ピンキー:2005/09/06(火) 20:05:26 ID:7HC6ZoJu
要は>>786は壁に関するネタならいいんだな。
778名無しさん@ピンキー:2005/09/06(火) 22:07:17 ID:YtBO6eyi
伸ばすぞ伸ばすぞ
779名無しさん@ピンキー:2005/09/06(火) 22:11:01 ID:MjOl2WvU
ぁあぁっぁぁぁ((((;゚Д゚))))貼り足りねぇ…貼り足りねぇょぉ…
780名無しさん@ピンキー:2005/09/06(火) 22:16:02 ID:YtBO6eyi
  _  ∩
( ゚∀゚)彡  786!786!
 ⊂彡
781名無しさん@ピンキー:2005/09/06(火) 22:18:11 ID:Lp07ddSf
一つ!
782名無しさん@ピンキー:2005/09/06(火) 22:19:45 ID:Lp07ddSf
2つ!
783名無しさん@ピンキー:2005/09/06(火) 22:20:30 ID:Lp07ddSf
3ゲリア
784名無しさん@ピンキー:2005/09/06(火) 22:21:18 ID:Lp07ddSf
4霊のはらわた
78511位の人:2005/09/06(火) 22:23:12 ID:hA5C+lVz
786はいただいた
786名無しさん@ピンキー:2005/09/06(火) 22:24:19 ID:Lp07ddSf
786日の金曜日
787名無しさん@ピンキー:2005/09/06(火) 22:25:58 ID:Lp07ddSf
クッ。
788名無しさん@ピンキー:2005/09/06(火) 22:26:19 ID:YuG8H/z6
さぁ埋め埋め
789名無しさん@ピンキー:2005/09/06(火) 22:27:05 ID:MjOl2WvU
       ヽ(・ω・)/   ズコー
      \(.\ ノ
790名無しさん@ピンキー:2005/09/06(火) 22:27:26 ID:xSTi6cm8
一言いいですか〜


ちっとも面白くないんじゃボケ〜
風呂屋に沈めんぞワレ〜
791名無しさん@ピンキー:2005/09/06(火) 22:28:00 ID:MjOl2WvU
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:. .:::::。:::........ . .::::::::::::::::: _ i/ = =ヽi :::::::::::::。::::::::::: . . . ..::::
:::: :::::::::.....:☆彡::::   //[||    」  ||]  ::::::::::゜:::::::::: ...:: :::::
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::::::...゜ . .:::::::::  /ヽ ノ    ヽ__/  ....... . .::::::::::::........ ..::::
:.... .... .. .     く  /     三三三∠⌒>:.... .... .. .:.... .... ..
:.... .... ..:.... .... ..... .... .. .:.... .... .. ..... .... .. ..... ............. .. . ........ ......
:.... . ∧∧   ∧∧  ∧∧   ∧∧ .... .... .. .:.... .... ..... .... .. .
... ..:(   )ゝ (   )ゝ(   )ゝ(   )ゝ無茶しやがって… ..........
....  i⌒ /   i⌒ /  i⌒ /   i⌒ / .. ..... ................... .. . ...
..   三  |   三  |   三  |   三 |  ... ............. ........... . .....
...  ∪ ∪   ∪ ∪   ∪ ∪  ∪ ∪ ............. ............. .. ........ ...
  三三  三三  三三   三三
 三三  三三  三三   三三
792名無しさん@ピンキー:2005/09/06(火) 22:28:05 ID:o7i2SsEL
死のようかん!
793ぐうたら ◆7b9DL4hJvA :2005/09/06(火) 22:29:04 ID:60Nc3wlz
: : |:l: : : ',ヽ;、: : :, く: -─` ̄ ̄l`_: : : :|: : '、
: : :|:l; : : ヽ,ヾ- 一     _ _ _ ',|´\:l: : : '、
: : : |'、: ,、r '' `      ィォ~'"´ ̄` 〈、  |: : : : :'、
|: : : ;>゙´           `┌─────────────┐
ト;: : '      ,_       │                     |
: ヽ,     ィfr'" ̄      _.|   >>786               |
: : _ヽ   Z'       ,  '´ |                      |
: ::! -\ //      ヽ   !    >>722に土下座するデス〜 │
: :.:',  ゙ゞ、        \ _.|                         |
: :.: `'ー-‐\      ,.r‐ 、|                       |ry´
: : : : : : : : : : ` ー──ユ 、   \                       レ
: : : : : : : : : : : : : : : :./ノ ヘ  ヽ                    / ´
\: : : : : : : : ,、 ‐'  l´、   ヽ,`ニ´____________ゝイ
794名無しさん@ピンキー:2005/09/06(火) 22:30:37 ID:Lp07ddSf
orz
795ぐうたら ◆7b9DL4hJvA :2005/09/06(火) 22:30:48 ID:60Nc3wlz
               ___
               | | ・∀・|
               | |.    |
             | ̄| ̄ ̄ ̄ ̄|
           | ̄ ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
           |    |.  恐怖!   |
           |    |. 死の羊羹  |
           |__|______|
796名無しさん@ピンキー:2005/09/06(火) 22:32:18 ID:Lp07ddSf
俺は生きる! 生きて珠実と添い遂げる!
797名無しさん@ピンキー:2005/09/06(火) 22:36:21 ID:CnI8c1dO
…みずようかん…
黒崎沙夜子はそう呟いた。
朝食を食べた後、眠りについた彼女が、12時丁度に目を覚ました後の第一声である。
彼女は、部屋の中を見回した後、部屋中に積み重ねられたダンボール箱の中の一つをのぞいた。
当然、水羊羹は無い。
部屋を出ると、真っ直ぐに食堂へ向かう。
食堂を探し回った後で、非常時用の備蓄羊羹を切らしている事に気付いた。
しかたなく白鳥隆士のお茶を飲んだ後、しばらく食堂をうろうろしていた。
その後、水羊羹で頭がいっぱいなのか、昼食をとらずに部屋に戻る。
「すいませーん。宅配便でーす。」
部屋に戻る途中、玄関から声が聞こえた。
「ハンコお願いします。」
配達員が言った。
彼女はハンコを探しにいった。
約三分後、彼女は泣きながら戻ってきた。
「…はんこ…ないの…」
「あっあの、サインでもいいですよ」
配達員が慌てて言った。
彼女は配達員に渡されたペンでサインをした。
「ありがとうございまーす」
配達員が去った後、彼女は荷物を見た。
どうやら、白鳥隆士宛てのようだ。
しかし中身は水羊羹だと思っている彼女は、そんな事にはお構いなく荷物をあけた。
当然、中身は水羊羹ではない。
がっかりした彼女は、荷物をそのままにして部屋へ戻っていった。
798名無しさん@ピンキー:2005/09/06(火) 22:49:27 ID:Lp07ddSf
終わりか?
79911位の人:2005/09/06(火) 22:53:49 ID:hA5C+lVz
書き込めるかテスト
800名無しさん@ピンキー:2005/09/06(火) 22:54:27 ID:hA5C+lVz
なんか残ってたorz
801名無しさん@ピンキー:2005/09/06(火) 22:57:40 ID:JHDmS9Vq
中身はなんだったの?
802ヘブン ◆1fPWtvDjaQ :2005/09/06(火) 23:04:17 ID:3g2700F0
ネタ考えてたら逃した
ショボーン
803名無しさん@ピンキー:2005/09/06(火) 23:23:28 ID:CWtNuW1Z
アアア
804名無しさん@ピンキー
: : |:l: : : ',ヽ;、: : :, く: -─` ̄ ̄l`_: : : :|: : '、
: : :|:l; : : ヽ,ヾ- 一     _ _ _ ',|´\:l: : : '、
: : : |'、: ,、r '' `      ィォ~'"´ ̄` 〈、  |: : : : :'、
|: : : ;>゙´           `┌─────────────┐
ト;: : '      ,_       │                     |
: ヽ,     ィfr'" ̄      _.|   私にエッチなことさせる    |
: : _ヽ   Z'       ,  '´ |      ID:o7i2SsEL         |
: ::! -\ //      ヽ   !     は逝ってヨシDeath〜    │
: :.:',  ゙ゞ、        \ _.|                         |
: :.: `'ー-‐\      ,.r‐ 、|                       |ry´
: : : : : : : : : : ` ー──ユ 、   \                       レ
: : : : : : : : : : : : : : : :./ノ ヘ  ヽ                    / ´
\: : : : : : : : ,、 ‐'  l´、   ヽ,`ニ´____________ゝイ