処女はお姉さまに恋してるSSスレ 第11話

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1名無しさん@初回限定
ここは「処女はお姉さまに恋してる」のSSスレです。
優雅に礼節をもって進行していきましょう。
sage進行で。

「処女はお姉さまに恋してる」まとめサイト−「おとボク」SS作品リスト
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処女(おとめ)はお姉さま(ぼく)に恋してる SSの書庫
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Q&Aテンプレは>>3-4
2名無しさん@初回限定:2006/11/22(水) 23:14:17 ID:UC+pO55R0
・前スレ
処女はお姉さまに恋してるSSスレ 第10話
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1156178671/

・過去スレ
【女装】処女はお姉さまに恋してる【百合】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1108774069/
【女装】処女はお姉さまに恋してる 第2話【百合】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1110222716/
【女装】処女はお姉さまに恋してる 第3話【百合】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1110659167/
【女装】処女はお姉さまに恋してる 第4話【百合】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1111234071/
【女装】処女はお姉さまに恋してる 第5話【百合】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1111757700/
【女装】処女はお姉さまに恋してる 第6話【百合】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1112791250/
【女装】処女はお姉さまに恋してる 第7話【百合】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1115118638/
処女はお姉さまに恋してるSSスレ 第8話
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1117971026/
処女はお姉さまに恋してるSSスレ 第9話
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1143304515/

・関連スレ
処女はお姉さまに恋してる 第50話
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/hgame2/1163298610/
キャラメルBOX Part30
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/hgame/1162696688/
キャラメルBOX やるきばこ
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/hgame2/1139827676/
3名無しさん@初回限定:2006/11/22(水) 23:15:35 ID:UC+pO55R0
Q&A その1

(;´Д`)<オリキャラ出したいんだけど……
(・∀・)<オリジナルキャラが原作キャラよりも目立つ物、また、同程度の立場である場合、受け入れられない
     事の方が多いようです。そんな作品の場合は投稿所の方が無難ですが、最終的な判断は作者さんに
     委ねられます。
     もし、これは大丈夫だ、と思ってスレに投下して、投稿した作品にケチをつけられたとしても、
     それはそれで一つの事実ですので素直に受け止めましょう。
     次の投稿時にその経験を活かしてください。

(;´Д`)<そんな固い事言ってたらオリキャラ使えないじゃん
(・∀・)<そんなことはありません。原作に登場してはいないものの、その世界に間違いなく存在しているキャラ
     (一般生徒・店員・通行人)等のいわゆるMobは、登場させても問題ありません。
     但し、それでもし投稿した作品にケチをつけられてとしても、それはそれで一つの事実ですので素直に
     受け止めましょう。次の投稿の時に(ry

(;´Д`)<原作キャラの性格を弄りたいんだけど、どの程度なら大丈夫なの?
(・∀・)<極端に変わっていなければ大丈夫です。が、だからといってスレに投稿してケチをつけられてとしても、
     それはそれで(ry
     例外的に、笑いを取りに行った場合には受け入れられる事もあるようです。
4名無しさん@初回限定:2006/11/22(水) 23:16:10 ID:UC+pO55R0
Q&A その2

(;´Д`)<瑞穂ちゃんがあまりにも可愛いので、おかま掘りたいんだけど……
(・∀・)<どうぞ掘ってください。但し、作品が出来上がったときはスレの方ではなく、投稿所へお願いします。
     逆に瑞穂ちゃんが掘っちゃった場合も投稿所を利用してください。

(;´Д`)<マリみてとか、極上生徒会なんかとクロスオーバーさせたいんだけど……
(・∀・)<クロスオーバー物は、混合物の元ネタを知らない人もいますので、投稿所の方へお願いします。

(;´Д`)<瑞穂ちゃんを襲った○○が許せません! お仕置きしてもいいですか?
(・∀・)<構いませんが、必要以上の暴力・陵辱・強姦・輪姦・監禁・調教・SM・スカトロ・グロ・強制妊娠・
     達磨プレイ・死姦・人体改造・触手・食人等、読み手を限定してしまうような表現がある場合は、
     投稿所の方へお願いします。
     また、直接的な表現が無くても鬱な展開になった時は受け入れられない場合もあります。

(;´Д`)<携帯だから投稿所使えないyo!使えるけど投稿所ヤダ!
(・∀・)<仕方ないので事前に1レス使って傾向報告、あぼーんできるようにコテ、ケチつけられても
     文句言うのはやめましょう。でも可能な限り投稿所利用してください。



(・∀・)<おとぼくの雰囲気に合わないと思われる作品は投稿所へ、どうすればいいか分からないときは
     皆に聞いてみて下さい。
5名無しさん@初回限定:2006/11/22(水) 23:39:35 ID:Wsvvh1Zp0
>>1子さん乙なのですよ〜
61:2006/11/23(木) 00:42:36 ID:7DGSQh1P0
失礼しました。作品別板の現行スレはこちらになります。

処女はお姉さまに恋してる 第51話
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/hgame2/1164156828/
7名無しさん@初回限定:2006/11/23(木) 13:14:53 ID:EgBnOdb60
突然、降臨したんだけれどキャラの割り当てが;カッとして投下する。反省はしていない。
おとボク英雄伝説(自分はSS書けないので台詞の使い回しだけかも)
瑞穂=ヤン 開正時代は成績優秀で「ミナクル鏑木」「魔術師鏑木」と呼ばれる。鈍感。
突然偽名と女装で転校させられ、エルダーの地位を得る。「奇跡のお姉さま」。
「紅茶を持ってきましたですよー、でも御邪魔ではないのですか?」
「奏ちゃんに向かって閉ざすドアを私は持っていないわ。」
無理をしたりストレスで紅茶にブランデーを入れる事多し。で、奏や紫苑に心配や怒られる事も。
まりや=アッテンボロー 瑞穂と幼なじみ。お祭り騒ぎ好き。 戦術に秀でている。
紫苑=フレデリカ 前エルダー、瑞穂に内なる想いを持つ理解者かつ補佐、奏を可愛がる。
学院や家に対して負い目がある。
奏=ユリアン 瑞穂の寮内の世話係、後の瑞穂の影響を受ける。
バーグ=ポプラン 運動神経抜群。後世、裏でエロの君と呼ばれるとか呼ばれないとか。
まりやの弄られ役。
圭=シェーンコップ 「演劇部のローゼンリッター」瑞穂に遠回しな助言をする。
美智子=設定無し 圭の恋人 瑞穂達に協力するが嫉妬深い。
貴子=ラインハルト 厳島の家を憎み、エルダーと生徒会長の座を目指すが瑞穂に負ける。
が、瑞穂に特別な感情を持つ。
凸=キルヒアイス 生徒会で貴子を敬愛し、補佐を務める。
「貴子お姉さま、学院を手にお入れください。」
葉子=ロイエンタール 生徒会の腹心。校内で密かに人気あり。
可奈子=ミッターマイヤー 葉子と親友、家庭的だがおっとり。
しかし、生徒会では以外と仕事が速い。
8東の扉:2006/11/23(木) 14:34:41 ID:kWpdgjpU0
東の扉です。

24日の一子ちゃんの誕生日には、事情があってPCをいじる時間がないので、
一日前の今日、聖誕祭記念SSを落とさせていただきます。

それでは、どうぞご覧ください。
9東の扉:2006/11/23(木) 14:36:41 ID:kWpdgjpU0
〜ゴーストバースデーズ〜

「ふふふ……もうすぐですね」
「一子ちゃん、何が?」
僕は自分の部屋で、一子ちゃんとお話をしている。
「えへへ。実は私の誕生日なんですよ」
「え? 一子ちゃんの?」
「はい。11月24日生まれなんですよ、私は」
そっか……一子ちゃんの誕生日か。今までにも一子ちゃんにはいろいろ助けてもらってたし、盛大に祝ってあげたいな……。
でも、一子ちゃんは幽霊だしな……どうやって祝ってあげようかな……。
そうだ! ああすれば一子ちゃんだって……!

そして11月24日の夕方……。
「一子ちゃん、お誕生日おめでとう」
「お姉さま……はい、ありがとうございます」
「今日は寮母さんはお休みだから、一子ちゃんも降りてきていいわよ」
「え? 本当ですか?」
「ええ。みんな待ってるから」
そう言って、僕は一子ちゃんと一緒に食堂へと降りていった……。
10東の扉:2006/11/23(木) 14:39:02 ID:kWpdgjpU0
「一子ちゃん、お誕生日おめでとう」
「一子さん、誕生日おめでとうございます!」
「一子さん、お誕生日おめでとうございますなのですよ」
一子ちゃんが来たのを確認したみんなが、口々にお祝いの言葉を述べる。
「あ、ありがとうございます、みなさん……」
一子ちゃんは、そう言ってテーブルの上を見る。
「わあ、お寿司……しかもこんなにいっぱい……」
一子ちゃんが夢の世界の住人になったようにうっとりしている。
「ううっ……こんな浮いてるしか能のない最悪お気楽役立たず能天気なみそっかす幽霊のために……嬉しくて涙が止まりませーん!!」
「もう、大げさね、一子ちゃんは」
「あ、でもでも、せっかくこんな豪勢なお料理をご用意してくださったのは嬉しいのですけど、私、何も食べられませんから……」
「何言ってるの、一子ちゃん。食べられるじゃない」
「え? どうやって?」
「どうやってって、7月の時のこと、忘れたか? 一子ちゃん」
「え? 7月の時って……」
「だから、私に取り憑いて食べればいいじゃない」
「はあっ、な、なるほど……しかしお姉さま、よろしいんですか? そんなことのためにお姉さまのお体をお借りして……」
「もちろんよ。みんな、一子ちゃんのために買ってきたんだから」
「でも、それだと、お姉さまはお寿司を食べられないんじゃ……」
「別にかまわないわ。お寿司なんて、いつでも食べられるから。回転寿司なら、気軽に食べに行けるしね」
「回転……寿司……? あの、それって、お寿司が手まりを転がしたようにぐるぐる回るんですか? ちょっと想像しにくいですが……」
「は……?」
僕たちは、全員驚いて一子ちゃんを見た。
11東の扉:2006/11/23(木) 15:22:57 ID:kWpdgjpU0
「………?」
「一子さん、回転寿司……知らないんですか?」
「ウソ……そんなの当たり前になってるのに……」
「ううっ……私は遥か時のかなたに忘れ去られた人間ですから……私が生きてた頃は、そんなものはまだなかったんですよ……」
「ああ、一子ちゃん、泣かないで……そうね、回転寿司って言うのはね、小さなお皿にお寿司が2カン乗ってるのを、
客席を回るベルトコンベアで流しているお寿司屋さんのことよ。それをお客さんが選んで取っていくの。
1皿あたり、100円から500円ぐらいかしら」
「はあ、そんなお店があるんですか……なんか、時代の変化を感じますね……」
「そうね……じゃ、一子ちゃん、いらっしゃい」
「はい……ではお姉さま、失礼します!」
一子ちゃんの身体が光ったかと思うと、僕の身体に一子ちゃんが乗り移ったのを感じた。

「はわあ……久しぶりのお寿司……おいしいです……」
そう? よかった。一子ちゃんが喜んでくれて。
「はい。お姉さま、ありがとうございます」
「……あれ、瑞穂ちゃんと話してるのよね。なんか傍目で見てると、独り言を言ってるみたいでちょっと不気味よね」
「なるほど……言われてみれば確かに……」
「そう見えなくもないのですよ」
「ええっ!? わ、私、不気味ですか? でも、お姉さまにお返事をしないのも申し訳ないですし、どうしようもないと思うんですけど……」
「いや、だから何も知らない人が見たらだって。あたしたちは事情を知ってるから不気味だなんて思わないって」
「そうですよ。それにしても一子さん、そんなにおいしいですか?」
「はい! 私の生きてた頃は、お寿司は超豪華なお食事でしたから! またいただくことができるなんて、夢みたいです……」
「一子さんが喜んでくれて、奏も一生懸命準備した甲斐がありましたのですよ」
「はい! みなさんも、ありがとうございます!」
12東の扉:2006/11/23(木) 15:24:34 ID:kWpdgjpU0
「それじゃ、次はケーキね」
「ケーキ……ですか。そこまで……わあ、お誕生日おめでとうの文字まで……」
ふふっ、一子ちゃん、このケーキは、由佳里ちゃんの手作りなのよ。
「ええっ、そうなんですか!? 由佳里ちゃん、ありがとうございます! では……」
そう言って、みんなは歌い始めた。
「♪Happy Birthday to you Happy Birthday to you Happy Birthday dear Ichiko Happy Birthday to you♪」
もちろん、僕も心の中で一緒に歌う。
「み、みなさん、すでにアンデッドモンスターになっている私のためにここまで……嬉しすぎて、お礼の言葉もありませーん!」
「一子ちゃん、それはお礼の言葉ではないのかね?」
いや、まりや、それ言っちゃったらおしまいだから……。
「まりやさん、お姉さまが『それ言っちゃったらおしまいだから』とおっしゃられてます」
「なはは……違いない」
「じゃあ、吹き消しますね」
ふーっ!!
「じゃ、一子ちゃん、おめでとう」
「おめでとうございます」
「おめでとうございますのですよ」
ふふっ、一子ちゃん、おめでとう。
「お姉さま……みなさん、ありがとうございます」
「じゃ、ケーキを切り分けるとしますかね」
「一子さん、甘いものがお好きだと聞いてましたから、好みに合わせた味になってると思いますけど……」
「ありがとうございます、由佳里ちゃん」
「わあ、奏のこだわりもちゃんと考えてくれていますのですよ……」
一子ちゃん、私の分も全部食べていいわよ?
「え? お姉さま、よろしいのですか?」
うん。私、甘いの苦手だから。
「じゃあ、ありがたくいただきますね」
それから、一子ちゃんの誕生パーティーは続いた。
13東の扉:2006/11/23(木) 15:26:49 ID:kWpdgjpU0
「みなさん、今日はありがとう……ございました……なんだか……疲れて……眠く……」
そして僕の身体は強い光を放った。
「あ、戻ったわ」
「え? お姉さまなのですか?」
「そうよ、奏ちゃん」
「じゃあ、一子さんは?」
「多分、私の部屋のクローゼットの中で寝てるんじゃないかしら」
「一子ちゃん、幸せそうだったね。精一杯のお祝いができてよかったね」
「そうね、まりや」
「私も、一子さんの幸せそうな顔が見れて嬉しかったです」
「奏もなのですよ」
「ふふっ、私もよ」

そしてパーティーは解散し、僕が自分の部屋に戻ると……。
「ふにゅひひひ……」
クローゼットの中に、幸せそうに夢見る一子ちゃんがいた。
「おやすみなさい、一子ちゃん」
僕は、大切なルームメイトの寝顔を見ながら、眠りについた。

Fin
14名無しさん@初回限定:2006/11/23(木) 16:50:31 ID:EgBnOdb60
何のひねりもありませんが、おとボク英雄伝説ショートショートを投下します。
誘拐未遂事件の後日、学院から防犯ブザーの携帯を通達された。
もちろん、瑞穂は自分は大丈夫だし、警察の見回りや警備も強化され学院全員
が持っていれば問題無いのかも。と漠然と感じていた。
「お姉さま?防犯ブザーをお忘れなのですよー」
「あら、大丈夫よ。いらないわ」
「お姉さま、でも手ぶらでは心配なのですよ」
「奏ちゃん。もし私が防犯ブザー持っていても使い道があるのかしら」
「でも・・・奏は、奏はお姉さまが、また恐ろしい目にあったら・・・うぅ」
「そうね、じゃあ持っていくわ。奏ちゃんに心配を掛けてごめんなさいね」
「良かった・・・・・・・・・お姉さま・・・」
「そういえば圭さんに演劇部で殺陣と護身術を習っているんですって?」
「はい・・・部長さんのおっしゃるには奏、筋がいいそうです」
「それは良かったわね、いざとなったら助けてもらおうかしら」
「はわわっ、お姉さまには奏、全然敵わないのですよー」
「もう、奏ちゃんてば、うふふっ」
「うふふですよー」
15名無しさん@初回限定:2006/11/23(木) 17:11:12 ID:EgBnOdb60
おとボク英雄伝説ショートショート投下します。自分に一子ちゃんが降臨しませんorz
紫苑ルート卒業後、とある土曜日
「瑞穂さん。受験勉強も宜しいのですが、お疲れの様ですわ。お食事をなさってください」
「紫苑ありがとう。だけど今は食欲が・・・。それより、紅茶入りブランデーを一杯いただけませんか?」
「もう、朝食も昼食も召し上がっていませんですのよ。それにお酒の量が過ぎると奏ちゃんにいわれませんでしたか?」
「もう奏ちゃんは・・・・・紫苑達は連帯していたのですね」
「はぁ、もう午後の講習の時間ですね。紫苑、せっかくだけど時間がなくってしまったから。帰りは一緒に食事しましょう」
「はい、瑞穂さん♪」
「来年、大学合格したら、紫苑の言う通り健康に留意しますからね」
「もう、瑞穂さんたら。約束ですのよ」
「あはは(適量なら許してくれるかな・・・)」
16名無しさん@初回限定:2006/11/23(木) 17:35:05 ID:EgBnOdb60
おとボク英雄伝説ショートショート。
十月革命直前
「勝てると思う、圭さん?」
「瑞穂さん。あなたに、本当に勝つ気があればね。」
「私は、心の底から勝ちたいと思っているんです。」
「ふふふ・・・いけません、ご自分で信じていらっしゃらないことを、
他人に信じさせようとなさっては。あなたが、勝つことだけを目的とする
単純なエルダーであるか、権力だけを欲する凡俗な野心家であるか、
どちらかなら私としても扇動するかいがあるんですが。」
厳しくなる顔が隠せない瑞穂。
言葉を続ける圭。
「ついでに、自分自身の正義を信じて疑わない、信念と責任感の人であれば、
いくらでもけしかけられるわ。」
その言葉を聞いて、少し瑞穂は表情を緩める。
「ところがあなたは、生徒会と闘っている最中でさえ、自分の正義を全面的には
信じていない人ですから・・・。
信念がないのに、立ち向かえば必ず勝つ。唯真的な精神主義者から見れば、
許し難い存在でしょう。困った方ですね。ふふふ・・・」
「私は、最悪の生徒自治でも、最良の専制主義に勝ると思っているわ。だから、
大事な妹、奏ちゃんのために、貴子さんと闘うんです。はぁ・・・、私が言うのも
何ですが中々勇気のいる信念だと思うんですけれど。」
「わかったわ、瑞穂さんの意志、確かに受け取ったわ。元々、演劇部としては
協力する気だったから。生徒総会、面白くなりそうね。ふふふ・・・」
「(もう、圭さん鎌掛けましたね)」
17名無しさん@初回限定:2006/11/23(木) 19:00:08 ID:EgBnOdb60
おとボク英雄伝説ショートショート。貴子さんサイドです。
君枝はエスカレーター式で学院の高等部に進学したばかりだが、貴子とは親交があった。
四月のある時、屋上で貴子は憤りをぶちまけた。
「あんな人達っ。あの方達は人を何だと思ってるんですか。支配するのが当たり前だという顔を。
人から奪うことも、人を踏みつけることも、自分たちには許された特権だとでも言うのですか。」
「あの人達は腐りきっている。厳島は腐りきっている。」
「貴子お姉さま・・・」
「私が、あの父と兄を許せなく思うのは、総帥になって何をしたか。
自分に媚びへつらう者達を部下に据えた。その結果が、あの為体です。
君枝さんも聞いた事がおありでしょう?」
君枝も聞いた事はあった。厳島の決して良くない話の数々。でも、貴子お姉さまは違った。
「こう考えたことはありますか。厳島家の繁栄は、あの祖父が創ってから、たかが一〜二代です。」
「ええ。」
「その前は、その前は強力な財など存在せず、厳島家もただの一市民に過ぎなかったって事。」
「元々、祖父は成り上がりの野心家にすぎなかった。」
「それを更に強引に進めて不可侵の企業グループなどに成ったのよ。」
「貴子お姉さま・・・。」
「君枝さん。」
「あ、はい。」
「私は今まで・・・いいえ、今でも籠の中の鳥ですが、それを飛び出す事は私に
不可能だと思いますか?大丈夫よ。誰もいませんわ。」
「あぁぁあの、貴子お姉さま、そ、そ、その様なことを口にされてはっ。」
「大丈夫よ。君枝さん、此処に居るのはあなだけよ。どうでしょう、不可能だと
思いますか? 」
君枝は思った。(出来るかもしれない、この方なら。貴子お姉さまを助けたい・・・)
「生徒会に来ませんか、君枝さん。この学院をステップに新しい世界を手に入れる事に協力して欲しいの。」
「私は貴子お姉さまについて行きます。学院を手にお入れください、お手伝いさせて下さいっ。
貴子お姉さま。(そして・・・)」
それから貴子は生徒会長としての道を歩み始めた。
18名無しさん@初回限定:2006/11/23(木) 20:13:42 ID:EgBnOdb60
おとボク英雄伝説ショートショート。十月革命後、会長の激高
「会長!会長!お考え直しください。」
「何故ですか?君枝さん。生徒会下部組織の石黒さんは自己の責務を全うしなかったのです。
処分して当然でしょう。」
「会長、怒っておられるのですか。」
「怒って悪いのですか!。」
「わっ私がお聞きしているのは、何に対して怒っておられるのかです。会長。」
「此処で会長はよして。何が言いたいの?君枝さん。」
「でっでは、貴子お姉さま。貴子お姉さまが怒っておられるのは、石黒さんの
失敗に対してですか。」 君枝は続けた。
「私にはそうは思えません。貴子お姉さまのお怒りは、本当は貴子お姉さま自身に
向けられているのものではなのですか?みっ宮小路瑞穂お姉さまに名をなさしめた貴子お姉さま自身に。 」
貴子は激高した。
「なっ!何んですって!!」
「みっ宮小路瑞穂お姉さまに名をなさしめたことが、そんなに悔しいんですか。」
「悔しいですわ、決まっています。エルダー投票、この十月の異議申し立て、何故、お姉さまは
いつでもわたくしが完全に勝とうとするときに現れては邪魔をするのですか。」
君枝は勇気を振り絞って言った。
「瑞穂お姉さまには自身の不満がありましょう。何故自分は、貴子お姉さまと仲違い
しなければならないのかと。」
「貴子お姉さまは、前面にお姉さま方、後背に厳島家と、二つの強敵を抱えておいでです。
この上、部下や下級生の中にまで敵をおつくりにならないで下さい。」
暫く考え込んだ後、貴子は静かに声を出した。
「・・・分かりましたわ。わたくしが間違っていたわ。石黒さんの処分は不問にします。」
「あ、ありがとうございますっ。」
「いえ、礼を言わねばならんのはわたくしの方ですわ。よく言ってくれました君枝さん。」
君枝は嬉しかった。 透き通るような声で貴子は声を掛けた「・・・君枝さん!」
「はっはい。」
「わたくしは真の自由を手に入れることが出来ると思いますか?」
「貴子お姉さま以外の何者に、それが叶いましょう。」
その後、貴子は生徒会室で一人、世界史の授業と生徒総会での瑞穂の姿を回想していた。
「お姉さま・・・貴女は一体・・・」
19名無しさん@初回限定:2006/11/23(木) 21:02:37 ID:DXgFMGiu0
20名無しさん@初回限定:2006/11/23(木) 23:30:57 ID:uohMJxHv0
>>1
前スレ容量オーバーとはSSスレとして本望ではないでしょうか。
21451 ◆GtN0Plfghk :2006/11/24(金) 00:27:54 ID:BdQXgAcD0
『 光と闇の狭間 その1 』

朝食の席に全員が揃ったのを確かめて、まりやが口を開きます。
「ねー、夜中に誰か洗濯機使った?」
「奏は使っていないのですよ〜」
「わたしはお風呂の前に使って…それっきりです」
「瑞穂ちゃんは?」
「え?わたしも夜中に洗濯はしないわ」
「そっか…いやー、夜中に喉が渇いて厨房に来たらさ…回ってんのよ、洗濯機」
「「「えええっ?!」」」
「誰か使ってるのかなーと思ったんだけど、明かりも点いてないから変だな、って」
「まままりやお姉さま、朝からやめてくださいよぉ〜」
「ミ、ミステリーなのですよ〜」
「一子ちゃんは…するわけないか。あれは何だったんだろなー」
「まりや、寝ぼけてたんじゃない?ちゃんと洗い場まで見たの?」
「そこまでは確かめてないけどね。でもあれは絶対回ってたと思うよ」
「何かの間違いだと思うのですよ〜」
「そそそうですよぉ〜」

…これはまだ、ほんの始まりでしかありませんでした。

「ふぅ〜やっぱりお風呂は気持ちいいね〜」
その日の夜、終い湯に浸かっているのは瑞穂ちゃんです。
「シャンプーの後はトリートメントか…女の子って大変だね」
『うふっ♪』
「………『うふっ♪』って?!なななに??」
慌てて目を凝らしても、湯気が立ち込める浴室に人影はありません。

「…言ってない…僕は断じて『うふっ♪』なんて言ってない…」

―続く―
22451 ◆GtN0Plfghk :2006/11/24(金) 00:30:46 ID:BdQXgAcD0
『 光と闇の狭間 その2 』

「外にも誰もいない…よね?空耳かな?」
念のために脱衣所を見ても、白熱灯の柔らかい光が灯っているだけです。
「もしかして…僕はますます変な方向に向かっているのかな…『うふっ♪』って…」
釈然としないまま体をシャワーで流して、浴室を出ます。
「ん〜、さっぱりした。後は寝る前のスキンケアだっけ」
『うふっ♪キレイよ』
しっかり巻いたはずのバスタオルがはらりと落ちて、露わになった全身が鏡に映ります。
「…な、なんでタオルが?…きつく巻いていたはずなのに…それに…今の声…」
恐る恐る振り返っても、そこには湯気に曇る模様ガラスの仕切り戸があるだけです…。
「…つ、疲れてるのかな…はは…ははは」

――同時刻・ゆかりんの部屋

「す、すごい…爆弾●ール…めちゃくちゃエロい…」
ゆかりんはベッドに寝転がってレディースコミックを読みふけっています。
「はぁ…だめだわ…いけないことしちゃいそう…ティッシュティッシュっと」
テーブルの上のティッシュを取ってベッドの方を振り返った時です。
「え?ちょっと…何??」
広げていたコミックが…パラリ…パラリ…誰かがページを繰っているかのようです。
「…ななななんなの?おかず用のページに栞はさんで、折り目も付けてたのに…」
瞠目するゆかりん。窓はしっかり閉じられているので、風のせいではありません。
「ちょ、ちょっと…や、やだ…誰か助けて…」
パラリ…パラリ…ゆかりんは半分腰が抜けた状態で後ずさりしています。
「そっ…そこに誰かいるの?お願いだから出てって!」
勇気を奮い起こして叫んだその時!
『すごいわ…』
「いやあああ〜〜〜〜っ!!」
ゆかりんの意識は奈落の底に沈みます…。

―続く―
23451 ◆GtN0Plfghk :2006/11/24(金) 00:36:02 ID:BdQXgAcD0
『 光と闇の狭間 その3 』

「うう〜朝晩は冷えるのですよ〜」
翌朝、厨房では奏ちゃんがお茶の準備をしています。
「ポットとカップを暖めて…っと、え?」
…カチャ…カチャカチャ…食器戸棚の中でカップがぶつかり合っています。
「どうしたのでしょう?もしかして…地震なのですか?!」
部屋を見回すと、照明やテーブルの上の花瓶は…揺れていません。
「おかしいのですよ…よ〜し、戸棚を開けてみれば…」
観音開きの扉に手をかけて、一気に開きます!
「あれ…?なんともないのですよ?」
いつもと変わらず、白磁製のカップが行儀良く並んでいます。
「…考えても仕方ないのですよ。準備しないと、そろそろお姉さま方が降りてくるのですよ〜」
カップとお茶を持って厨房を出ようとした時です。
『いい娘ね…お疲れさま』
「………え」
振り返るとそこには…鈍く光るシンクと、使い込まれたグリルがあるだけです…。

「…ちょっと、みんなどうしたのー?さっきからだんまりしちゃって」
「………」
「由佳里に至っては起こしに行ったらドアの前で伸びてるし」
「…す、すみません」
「最近…この寮、おかしくない?まりやも洗濯機がどうとか言ってたわね?」
「お姉さま…奏も今朝、不思議なことが…」「あああのわたしも…実は…」

「…つまり、あたし達以外に誰かいる、と。まさか変質者?」
「それはそれでイヤだけど…もしかすると、この世の者ではない何かかも…」
「じゃあ、ここはエキスパートの出番かな?」
「エキスパートって…とりあえず一子ちゃん呼んでくるわね」

―続く―
24451 ◆GtN0Plfghk :2006/11/24(金) 00:39:49 ID:BdQXgAcD0
『 光と闇の狭間 その4 』

「なーるほどー。最近、みなさんは何らかのおかしな体験をなさっていると」
「一子ちゃんは今まで何か感じたことはある?」
「感じたって言えば…そりゃあもぉー礼拝堂での一夜の逢瀬は感じまくって何度も絶ttもがーっ!」
「い・ち・こちゃん、マジメな話なの」
「はぁはぁ、しっ失礼いたしました!そーですねー、これといって妙な気配は無いと思いますが…」
「そっかー、じゃあ自分たちで実際に検証するしかないか…」
「どうするの?まりや」
「あたしと瑞穂ちゃんと由佳里が体験したのは夜中、奏ちゃんは早朝。だったらその時間に張込むのよ」
「奏もこの目で確かめたいのですよ〜」
「まりやお姉さま…夜更かしはお肌に悪いですよ?や、やめませんか?」
「由佳里はパスする?まぁ一人で恐怖体験したいってんなら止めないけど」
「あうぅ〜…参加させていただきますぅ〜」
「んじゃ今夜からね。一子ちゃんもスタンバイしててよ?」
「わっかりましたー!」

――深夜・明かりを消した食堂

「でも…本当に今日も来るのかしら?」
「さあーねー。意外とこういうのって構えていると出てこなかったりするよね」
「一子さんは今回のように、お散歩とかしなかったのですか?」
「わたしはずーっと寝ていましたからねー。無意識のうちに寝返りくらいは打ってたかもしれませんが」
「寝返りって…じゃあ、怪奇現象って亡くなった人の寝返りなの?」
「瑞穂ちゃん…素でボケてる?」
「で、できれば何事もなく済んでほしいですぅ〜」
「由佳里ちゃん、大丈夫ですか?あまり無理しないほうが…」
「あ、ありがとうございます一子さん。幽霊さんがみんな一子さんみたいだったら良いのに…」

『ギシ…ギシッ…』

―続く―
25名無しさん@初回限定:2006/11/24(金) 00:44:04 ID:BdQXgAcD0
『 光と闇の狭間 その5 』

「な…なに?!」
「シーッ!階段の方からだよ!」
「い…いやですぅ〜くわばらくわばら」
「二階に上って行くみたいなのですよ〜」
「一子ちゃん、先回りできる?…一子ちゃん?」
「…これは…いや、まさか…」
「なになに?もしかして…タチが悪いとか?」
「ま、まりやお姉さま〜そそそんな怖いこと言わないでくださいよぉ〜」
「…お姉さま、一緒に来ていただけますか?」
「わ、わたし?!」
「はい。わたしの感覚に間違いが無ければ…」
「わかったわ。みんなはここで待っててね」
「何かあったら呼んでね、瑞穂ちゃん」「気を付けてなのですよ…お姉さま」

「お姉さま、静かにドアを開けていただけますか…あと、何を見ても驚かないで下さい」
「何があっても声を出したりしてはダメなのね?」
「わたしがしゃべるまではそうして下さい」
瑞穂ちゃんは無言でうなずき、闇に閉ざされた自分の部屋に足を踏み入れます。
(別に何も無いようだけど…あっ!!)
机の前に視線を移すと――そこにはぼんやりとした靄が漂っています。
「…お姉さま…幸穂お姉さまなのですか?」
「い、一子ちゃん?!」
その声が聞こえたのでしょうか、わだかまっていた靄は徐々に人の姿を成して行き…
優雅な女性が二人の前に現れ、懐かしい声が流れ出します。

『久しぶりですね…一子…瑞穂』

「か、母様?!」

―続く―
26451 ◆GtN0Plfghk :2006/11/24(金) 00:47:38 ID:BdQXgAcD0
『 光と闇の狭間 その6 』

『懐かしくて、ついついあちこち歩き回ってしまいました…怖がらせてごめんなさい』
「でも…何のために?」
『一言お祝いを言いたかったのです…一子の誕生日の』
「幸穂お姉さま!わたしなんかのために…もったいないです!」
『一子と違って、私はもうこの世に留まってはいません。あなたと言葉を交わすことは出来ないのです』
「わたしが昇天できないばっかりに…みんなにご迷惑をおかけしているのですね」
『そんなことはありませんよ…現にこうして私と瑞穂の架け橋になってくれていますから』
「では、今は一子ちゃんの力で?」
『一子の意識の一部を借りています…ですから一子と本当に親しい人でなければ私の姿は見えません』
(おおおお姉さま!全部ばれてるみたいですよ?)(そ、そうみたいね)
『ふふっ…構いませんよ…一子が天に召される時が来ても、決してそれは無駄にはならないはずです』
「幸穂お姉さま…わたしもそちらに行くことが出来るのでしょうか?」
『慌てなくても大丈夫…今はまだその時ではありませんが、私はずっと待っていますよ』
「ありがとうございます…いつかきっとそちらに参ります!」
『そろそろ時間が来たみたいですね…瑞穂、これからも一子を頼みます…』
「母さま!」「幸穂お姉さま!」
『瑞穂…あなたが私の分まで一子を大切にしてくれて…安心しました…』
満足そうな微笑を浮かべて、幸穂さんの姿は消えていきます…。

「…消えちゃったね」
「…ええ。でも、寂しくないです。幸穂お姉さまも待っていると仰っていましたから」
「一子ちゃん、母さまに会わせてくれて…ありがとう」
「わ、わたしは何もしていませんよ!ただ成り行きにまかせていただけです」
「ううん、一子ちゃんのおかげだよ。んっ…」
「…あ」
一子ちゃんの額にそっと唇を寄せる瑞穂ちゃん。

「それと…お誕生日、おめでとう」

―完―
27451 ◆GtN0Plfghk :2006/11/24(金) 00:51:40 ID:BdQXgAcD0
>>1さん乙&一子ちゃんおめでとうございます〜!
途中でトリップ抜けてしまいましたorz…二週連続のバースデーSSはかなりしんどいです。
28名無しさん@初回限定:2006/11/24(金) 03:10:22 ID:MWadhEgW0
451さん乙なのですよー
そうですね二人は今ごろあっているのかもしれませんね
29名無しさん@初回限定:2006/11/24(金) 03:11:20 ID:cr+a2TPn0
おとボク英雄伝説を愚考しました者です。
遅れましたが、>>1さん乙で一子ちゃんおめでとうございます。
書いていて今更気づきましたが、初期プロットでは限界があるかな・・・とorz
科白をもっと言わせるのに、オリキャラあまり出したくないので一人何役か兼任
させたい愚考する次第です。まりあさんに、もっとからかう科白を言わせたいし。
一ちゃんには瑞穂お姉さまを補佐する他の参謀役も似合うかな?なんてね。
自分は文才無いので、何方かプロットを生かしていただけたら嬉しいです。
3029:2006/11/24(金) 06:29:45 ID:cr+a2TPn0
語>まりあ
正>まりや
ごめんねorz
31名無しさん@初回限定:2006/11/24(金) 17:48:02 ID:cr+a2TPn0
おとボク英雄伝説、一子ちゃん昇進記念日 ネタ被ってごめんなさいorz
「ねえ、一子ちゃん。」
「はい?お姉さま。」
「いつも、一子ちゃんには助かっているわ。」
「そんな事は当然のもちろんのロンマンガンチーです。はい。
お姉さまの為なら不肖、三等幽霊の高島一子は粉砕玉砕覚悟っ・・・」
「いっ一子ちゃん落ち着いてっ。ね?」
「はっ!すびばぜん・・・とほほ。」
「落ち込まないでね。でも一子ちゃんは色々相談事にのってくれていて
私も本当に感謝したいのよ。でもね、一子ちゃんはいつも自分を卑下しているから・・・
特別に一回だけ、一子ちゃんの言う事何でも言う事を聞いてあげるわ。」
「そんなお姉さまに、このヘッポコ三とう・・・」
「それよ、それ。一子ちゃんの口癖だと思うけれど・・・」
「一子ちゃんが上官になって私がその命令を受ける、と言うのはどうかしら?」
「えぇっ私が昇進ですか。お姉さまはエルダーだから、この高島一子は何階級昇進なんですかっ!」
「え・・えと、私も知識があまり無いから・・・一子ちゃんは今でも優秀な参謀だと思うわ。
あ、将軍とか元帥とか・・・で良いかしら?」
「げんす、元帥ですかっ・・・ありがとうございますっ一子感動しましたっ!」
「で、さっそくですが、エヘヘ・・・あーんな事やこーんな。」
「・・・いちこちゃん、あまり邪な考えすると昇天出来なくなっちゃうわよ。」
「はうっっ、とほほ・・・」
「それ以外なら何でも良いわ。」
「うーうー・・・、そうですね。・・・では、昔の思い出なのですが・・・」
「わかったわ。明日調べてくるわね。」
32名無しさん@初回限定:2006/11/24(金) 17:50:26 ID:cr+a2TPn0
おとボク英雄伝説、一子ちゃん昇進記念日その2
「それから、寮のみんなには内緒よ。」
「???」
「聞いたら、みんな同じお願いをされてしまうわ。」
「ただでさえ、まりあには引っ張りまわされているし」
「あはは、同情します。お姉さまとの約束は秘密にしますね。」
「ありがとう。一子ちゃん。では、おやすみしましょうか。」
次の日、教室
「美智子さん。少し聞きたい事があるのですが。」
「はい?何でしょう」
「・・・ですが、ご存知でしょうか?」
「今でもありますわよ、そのお店。」
「そうですか、良かったわ。」
「瑞穂っち・・・最近、運勢が良い方向に向かっているようね。」
「圭さん、って私は育成ゲーム機ですか?」
「よく知っているのね・・・感心だわ。」
「あらあら、皆さん楽しそうですわね。」
「紫苑さん、面白がっていますね。」
「あら、瑞穂さんが来てから楽しい事ばかりですわ。」
「では、明日は土曜日なのでお昼前に行ってきますね。」
「瑞穂さん、ご武運を・・・」
「駅前に行くだけですから、そんな大げさな事では無いですよ。」
土曜日のお昼前、瑞穂は駅前に制服姿で店を探し始めた。
「えーと、美智子さんが教えてくれた商店街の此処かな?」
33名無しさん@初回限定:2006/11/24(金) 17:52:09 ID:cr+a2TPn0
おとボク英雄伝説、一子ちゃん昇進記念日その3
そこは少し古びていたが、雰囲気の良い店だった。
『イゼルローン回廊』
「(面白い名前の店ね)」
「いらっしゃいませー」
「ありがとうございました」
「(何か店員さん、最初はトーン低かったけれど私の顔を見て凄く驚いていたな)」
同時刻
君枝は休日だったが、午後の生徒会の会議の準備で駅前へ出かけていた。
「あっあれは、お姉さまっ。」
ちょうど店から出てくる所と鉢合わせになった。
「あら、ごきげんよう。生徒会の君枝さんでしたわね。」
「お、お姉さまっごっごっごきげんよう。」
「そんなに緊張しなくてもよいわ。制服なのは今日は生徒会の用事かしら?」
「はっはいっ。」
「いつも、生徒会に迷惑を掛けて申し訳無く思っています。ごめんなさい。」
「そっそんな、めっ迷惑だなんて、とんでもない。おっ畏れ多いです。」
「そう、少しだけ安心したわ。今出てきたお店に御用かしら?」
「はっはい。」
「そう、私は初めてだけど、このお店は有名なのね。」
「私はこれで失礼しますが、生徒会の仕事がんばってね。」
「あっあっあのっそのっ、お姉さまっお気遣いありがとうございますっ。」
「うふふ、やっぱり君枝さんって可愛いわね。それでは。」
34名無しさん@初回限定:2006/11/24(金) 17:54:15 ID:cr+a2TPn0
おとボク英雄伝説、一子ちゃん昇進記念日その4
優雅に去っていく瑞穂をぼぉーっと見つめる君枝
「(お姉さまに「可愛い」「可愛い」「可愛い」・・・)」
「(はっ私は会長一筋なのにっ・・・でも)」
「あっ、会議の準備にに遅れてしまうっ。」
慌てて店に入る。
「いらっしゃいませ、あら君枝さん。」
「こんにちは」
「さっき、店を出てきた学院の方だけれど、あの方は?」
「あの方は今期のエルダーで宮小路瑞穂さまです。」
「そう・・・おね・・・いえ、宮小路さまの・・・やっぱり。」
「私がOGなのは御存知でしょう、同期ではありませんでしたが、宮小路さんの
お母様もOGでエルダーだったのよ。間違いないわ。遠巻きにしか見てなかったけれど瓜二つね。」
「!!そうだったんですか」
「でも、この話は秘密にして欲しいの。」
「何故ですか?」
「そのお母様は早くに亡くなられたらしいの。そんな噂が学院に流れたら同情はされても
宮小路さんはきっと傷付くと思うの。」
「分かりました。」
「貴子さまはお元気?この店も厳島グループになってから御贔屓にしてもらって嬉しいわ。」
「はい、生徒会長になってから素晴らしい活躍をなさっています。」
「そう、今日は久々にゆっくり出来て、とても良い日だわ。」
「あ、学院に戻らないといけないのでしたね。ごめんなさい。今、品物をお出ししますね。」
35名無しさん@初回限定:2006/11/24(金) 17:56:53 ID:cr+a2TPn0
おとボク英雄伝説、一子ちゃん昇進記念日その5
君枝は店を出た後
「(貴子お姉さまには、残念だけど先程の話出来ないわ・・・
きっと親子二代のエルダーだったなんて聞いたら自信を無くしてしまうかも)」
「(いえ、本当は瑞穂お姉さまが傷付くだけで無く、
貴子お姉さまの気持ちが瑞穂お姉さま移ってしまう私が怖いだけ・・・)」
君枝の足は重かった。
・・・数十分後
瑞穂は学院の寮に到着した。
「ただいま帰りました。」
「お姉さまっおかえりなさい。」
「お帰りなさいですのよー。」
「瑞穂おねえさまお帰りなさいっ。」
「おっ瑞穂ちゃんのお帰りだ。何処へ行ったのかにゃー?」
ぼそぼそ「一子ちゃん、約束だけ秘密にして寮のみんなにも分けようと思うの。良いかしら?」
「もちろんです。」
「そこの二人、何こそこそ話してんのよー。」
「いえ、一子ちゃんが、食べたい物があるって言うから駅前に出て行って買って来たのよ。」
「みんなの分もあるから一緒に食べましょ?」
「瑞穂ちゃんと、以前みたいにフュージョンするんだ。」
「まりあ、ネタが古いよ。」
「じゃあ、奏は紅茶の準備をするのですよー。」
「あたしも手伝いますっ。」
「ほんじゃ、あたしは先に食堂に行って待っているわ。」
「食事の最後のデザートにしましょうね。」
36名無しさん@初回限定:2006/11/24(金) 18:00:21 ID:cr+a2TPn0
おとボク英雄伝説、一子ちゃん昇進記念日その6
「奏ちゃん、私は紅茶にブランデーをたっぷ・・・」
ガスッっ
「アホか。エルダーが、まっ昼間から寮母さんに見つかったらタダじゃ済まないわよ。」
「うう、痛いわ。そ、そうね、香り付けに一滴だけ。」
「当たり前じゃ。」
「準備が出来たのですよー。」
昼食を食べた後
「それでは瑞穂ちゃんの戦果を頂くとしますか。」
「楽しみなのですよー。」
「それでは出してきますね。」
「もう一子感激っ。」
「(懐かしCM集観たから分かるけど古い、古いよ一子ちゃん)」
「「「これ」」」」
「見ての通り、ティラミスよ。」
「「「何処の」」」
「一子ちゃんに教えて貰ったお店何だけれど、駅前の「イゼルローン回廊」」
「瑞穂ちゃん、何時から並んだの?」
「えっ、並ぶの?お店に入って即買えたけれど・・・」
「よく見たら箱がそうだ。・・・これ、開店10分で品切れの超レア品よ。」
「まりあお姉さまっあたしも見るの初めてですっ。」
「奏も噂に聞くだけで・・・お姉さまは凄いのですよー。」
「一子ちゃんが在学中に食べた中で一番想い出深かった食べ物を聞いたの。」
37名無しさん@初回限定:2006/11/24(金) 18:01:58 ID:cr+a2TPn0
おとボク英雄伝説、一子ちゃん昇進記念日その7
「ティラミスってもうブームが去ったと聞いていたから何も疑問に思わなかったけれど。」
「瑞穂ちゃんの凄い強運は別として、学院では未だに伝説よ」
「ん?でも、一子ちゃんの頃にティラミスってあったのかしら?」
「そこよっ!あの店はブームの前からティラミスがあったのだ!!」
「老舗のあの店、ティラミスのメニューを輸入した元祖で、
昔のエルダーが食べたという口コミで未だに人気という訳よ。」
「私がが学院に在学中、幸穂お姉さまと帰りにそのお店で買って貰った時も並ばなくて
良かった記憶があります。今はそんなに凄い事になっているとは・・・」
「・・・そうだったのね。きっと神様がご褒美をくれたのじゃないかしら。
紅茶が冷める前に一子ちゃん、食べましょう。」
「はいっ。」
眩い光が一子を包んで瑞穂に移る。
「あたしらもご相伴に預りますか。」
「凄い美味しいですっ。」
「奏、美味しすぎて感動してしまうのですよー。」
「流石、幻のティラミスね。一子ちゃんと瑞穂ちゃんグッジョブっ!!」
38名無しさん@初回限定:2006/11/24(金) 18:03:33 ID:cr+a2TPn0
おとボク英雄伝説、一子ちゃん昇進記念日その8
一子も、
「でっではいただきますっ。」
乗り移られた瑞穂がフォークを口に運ぶ。
「・・・幸穂お姉さまと一緒に食べた時と同じ味です。一子は、一子は嬉しいです。」
涙が零れた。
「ううっ、一子ちゃん良かったね。」
「奏も一子ちゃんが幸せで嬉しいのですよ・・・グス・・・」
「もう、湿っぽくなっちゃうじゃないの。」
と言いながら、まりあの目にも涙が光る。
「(一子ちゃんが喜んでくれて私も嬉しいわ)」
瑞穂は憑依された中で一子に語りかけた。
「(一子ちゃん。また食べたい物があったら何時でも言ってね)」
「(今度は上官じゃなくても約束してあげるから)」
「お姉さま、ありがとうございます・・・私に自信を与えてくださって・・・」
一方、生徒会室
「君枝さん。これ、幻のティラミスではなくて?」
「私も初めて見ます。」
「加奈子もー感動ですー。」
「ぐっ、偶然買えたのですっ」
「わたくしは、(立場上)何度か食べた事はあるのですが、
並んでまで買おうとまでは思わなくて・・・会議の合間、良い息抜きになりそうですわ。」
貴子は微笑んだ。
「よっ喜んで頂けて光栄ですっ。」
「(今日はお姉さまにも会長にも微笑んで貰えて・・・悲しい秘密も守れそうです)」
39名無しさん@初回限定:2006/11/24(金) 18:08:51 ID:cr+a2TPn0
おとボク英雄伝説、一子ちゃん昇進記念日その9
週明けの教室
「おはようございます。瑞穂さん。」
「おはよう・・・ニュー瑞穂さん。」
「美智子さん、おはようございます。圭さん、私はファンネルを装備してませんから。」
「みまさま、おはようございます。あら、また楽しそうなお話ですの?」
「紫苑さんおはようございます。実は先日教えていただいたケーキの件で。」
「どうかなさいましたの?」
「それが、実は噂によると幻のティラミスだったのですが、並ばずに買えたのですよ。」
「それは良かったのですが、そこまでで話を伺い損ねてしまって、メニューも聞けば良かったと思ったんです。」
「噂は聞いていたのでおっしゃって下されれば。でも、圭さんにティラミスをお願いすると
必ず買ってきて下さるので、大げさな噂なだけかと思っていました。」
「わたくし、そのティラミスを一度食べたくて、朝早くから並んでやっと食べられた時が
嬉しくて・・・でも、体力を使い切ってしまいましたのよ。ちょっぴり、瑞穂さんが羨ましいですわ。」
「だから・・・奇跡を起こすニュー瑞穂さんは伊達じゃないのよ。ふふふ・・・」
「(美智子さんの分も簡単に、と言う事は・・・圭さんは何かやった。
絶対に何かやったれど怖くて聞けないよ・・・
でも、何かやってくれたなら本当はありがとうと言いいたいなぁ)」

追記
また、まりやを呼び間違えました。ごめんorz
40名無しさん@初回限定:2006/11/24(金) 18:52:22 ID:cr+a2TPn0
うーん、クロスオーバーって自分のおとボク英雄伝説ショートショートに該当するのかな・・・
元ネタが分からなくても楽しめるように微力は尽くしたいのですが、力が無ければ
投票所逝きかなorz
41なんとなく思いついた:2006/11/24(金) 19:02:13 ID:pn6SHCAL0
まりや「貴子ってば自分に出来ないことはないとでも思ってるの!?」
貴子「もちろん私にも出来ないことがありますわ」
まりや「ほほう、なにができないのかね?」
貴子「あなた以上の失敗をすることです」
瑞穂「二人とも喧嘩はやめてよう」
42名無しさん@初回限定:2006/11/24(金) 19:26:21 ID:v/5QrG5f0
ID:cr+a2TPn0氏乙
おとボク英雄伝説って表現だとドラスレ英雄伝説みたいだ……
などと書くと、鼎の軽重を問われそうだ。

そういえば、前スレにも銀英伝ネタがいくつかありましたね
43名無しさん@初回限定:2006/11/24(金) 22:29:57 ID:cr+a2TPn0
>>42さん
どうもです。名前は、ちょっと(いいえ、かなり)逃げが入っている証拠です;
実は、ノベルは一切持って無い(おとボクは買う予定)ので、読み返すと
台詞の統一性も無く記憶力も怪しいので早くも詰まってます。誤字脱字も多い。
そ・し・て、肝心の銀英伝のストーリー飛ばし読み多い。OVAからですし。
ブクオフで旧書買おう・・・。
実力派SSはまとめサイトから読んでおますので、スレ全部はまだです。
(正直ネタ気付いて無いだけ)
言い訳ばかりだorz 本当は貴子VSまりやしたいのですが、
次はドラマCD設定から引用したいと思います。
44名無しさん@初回限定:2006/11/24(金) 22:56:16 ID:cagELdnd0

え〜、大変言いにくいのですが…Q&Aを見返したほうがいいかと…。
>>4
(;´Д`)<マリみてとか、極上生徒会なんかとクロスオーバーさせたいんだけど……
(・∀・)<クロスオーバー物は、混合物の元ネタを知らない人もいますので、投稿所の方へお願いします。
45名無しさん@初回限定:2006/11/24(金) 23:01:43 ID:cagELdnd0

そうそう。
一子ちゃん、ハッピーバースデー。
何も用意できませんでしたけど、お誕生日おめでとう。
46名無しさん@初回限定:2006/11/24(金) 23:36:49 ID:cr+a2TPn0
>>44
前スレを読み返しました。FAQも読みました。
現状かなり黒なグレーゾーンSSが入っているのと、自分は元ネタの知識が足りないので
元ネタ薄くするつもりです。が、一定の反対レスが出てば空気読み、投票所移動したいと思います。
元ネタのトレースSSも読んだ事ありますが、他作品の色が濃すぎると理解不能で確かにツマラナイです。
いや、自分も例外では無いか・・・移動かなぁorz
47名無しさん@初回限定:2006/11/25(土) 05:39:55 ID:fBwHf3rU0
体育祭 秋桜の中での騎馬英雄乱戦(ドラマCD外伝を聞く事推奨・・・不親切だよね;)

簡易テントの下から奏のつたない声のアナウンスが流れた「きばせん出場の生徒は、
所定の場所に集合してください。なの(モゴモゴ)」
アナウンスに協力するのは演劇部の伝統だが、部長の圭は奏に睨みを利かせた。
「あなたをアナウンスに参加させたのは、公衆で話す事だけではないのよ。
これも舞台の一部と思いなさい。死ぬ気でやらないと、役に参加する以前に・・・死ぬ」
奏は半泣き、以前に恐怖で壊れ寸前「ぶ、部長、か、奏死ぬのですか。ヴァルハラ逝きですか(ガタガタ)」
校庭脇
瑞穂は焦っていた。陸上部で他校へ転校してしまう後輩で夏央の先輩まりやへの想い、
瑞穂や貴子になけなしの勇気を振り絞っての願い。
それは昔、まりやから陸上部勧誘を蹴って生徒会に入った貴子に対してまりやが挑発し、
体育祭の対抗リレーのアンカー勝負に乗った先輩である貴子の事を知った同じ白組の夏央。
それを対抗リレーのアンカーを譲って欲しいという願い。訳を知った貴子は夏央の熱意を認めアンカーを譲った。
しかし、同時に走れる保証など無い・・・。
白組の陸上部の夏央と赤組で陸上部を引退したまりやを対抗リレーのアンカーで同等に走らせるには
赤組の点数を白組に近づけなければ、最後の引退試合で満足な結果を出せなかったまりやのテンションが
更に足りなくなるかもしれないと。以前、夏央とまりあは記録タイムが近い、良き競争相手でもあったそうだ。
競技が進行するにつれ、赤組の点数は白組に差を付けられつつあった。

一方、貴子は夏央の想いを感じた瑞穂から、とある提案をされ情から黙認したが、
自分自身の競技では手を抜く事なんてプライドが許さない事を自覚していた。
「この勝負は負けられないわ。お姉さま・・・」
48名無しさん@初回限定:2006/11/25(土) 05:41:11 ID:fBwHf3rU0
体育祭 秋桜の中での騎馬英雄乱戦 その2
一方、貴子は夏央の想いを感じた瑞穂から、とある提案をされ情から黙認したが、
自分自身の競技では手を抜く事なんてプライドが許さない事を自覚していた。
「この勝負は負けられないわ。お姉さま・・・」
それは騎馬戦であった。
赤組の瑞穂も白組の貴子も対抗リレーに出場するが、エルダーと生徒会長の立場から
騎馬戦競技リーダーとして出場せざる得なかった。
幸い、リーダーは後方位置する事が多いので怪我をする可能性は低かった。
もちろん、長期戦に持ち込めば制限時間もあるのでリレーに万全の体調で出場出来る。
そして、騎馬戦の幕は開かれた。
「よーい、パーーンッ」
観覧席からは一斉に黄色い声援が飛ぶ。
「きゃーおねえさまー!!」
貴子は体育祭を何度も経験しているが、今回は策を念入りに行い、
参加生徒を集め、ミーティングも行った。
が、自分一人で競技をしている訳では無い。
生徒会のメンバーも競技に参加させた。
イレギュラーは何時でも存在する。そして、相手のリーダーはエルダーと前エルダー。
どんな手で来るのか・・・。幸いな事に姑息に思えるまりやがリレーを控えて居ないのが救いか。
しかし、こんな大人数を指揮する事は困難を極めた、そして乱戦状態に。
生徒会のメンバーも指揮しているが、焼け石に水。
「声援で私の声が皆に伝えられなくなるのは当たり前ですわ!」
「その為の連絡係を決めたのです!」
「何の為のグループ長分けですか!何もかも、わたくしが指示しなければならないのでのですか!」
49名無しさん@初回限定:2006/11/25(土) 05:44:27 ID:fBwHf3rU0
体育祭 秋桜の中での騎馬英雄乱戦 その3
赤組の瑞穂も同じ様に策は練っていた。と、言うより紫苑や周りの好意でミーティングは行われていた。
もちろん瑞穂は元々運動神経抜群で武道を習い、状況判断には優れていた。
が、瑞穂も乱戦の焦りは言葉からも読み取れた。
連絡係の問い合わせに対して
「申し訳無いけれど焦らずに、相手の出方で対応するしかないわ。」
瑞穂の騎馬も状況判断の為、前に出すぎていた。
近くの仲間が鉢巻きを奪われていた。
双方のリーダーの片方が鉢巻きを取られれば、大幅な失点となり事実上、負けであるルールになっている。
瑞穂の下にいる騎馬の生徒が叫んだ。
「お姉さま、このままでは狙い撃ちされます。後ろに下がって宜しいですか!」
「騎馬の動きは貴女に任せているわ。」
「では、後ろに下がらせていただきます!」
一方、白組の貴子
「君枝さん達は皆に伝える様に!」
「競技が混乱しているので各グループで判断するように、と!」
それを君枝達は前方に赴き伝えた。
「各グループで判断?」
後輩の疑問に文化系グループ長は答えた。
「それなら、後方に居る後方グループ文化部系の私たちにもチャンスがあるわ!」
「でも、先日のミーティングで決めた事は?」
「先頭の体育会系グループは赤組に未だ手こずっているわ。
今、向かえば憧れのお姉さまのマイ鉢巻きをゲット出来るチャンスよ。行くわよ!」
白組の体育会系先頭グループは、突然割り込んで来た文化系後方グループ達で更に混乱した。
「いったい何をやっているの!!ミーティングと全然違うわ!一体どうなっているのよ!」
50名無しさん@初回限定:2006/11/25(土) 06:01:58 ID:fBwHf3rU0
体育祭 秋桜の中での騎馬英雄乱戦 その4
貴子は混乱した。
「ええっ!勝手に!文化系グループ長は何をやっているの!!」
それを聞いた君枝は即飛び出して前方へ向かった。
「(残念だけど、普段の自治活動でも君枝さんから連絡して言う事聞いてくれない生徒も多くいるわ)」
「葉子さん!貴女も文化系後方グループに連絡して下がらせて!」
「はいっ!」
傍で待機していた葉子は騎馬形態で連絡しに先頭グループに混じった後方グループ長へ駆け抜けていった。

瑞穂は、これを遠くから混乱している様子は何となく分かったが、前に味方が多く独り言を漏らした。
「ふぅ、何故こんなに後ろに。これでは相手が良く見えませんわ」
「み・ず・ほ・さん」
近くで待機していた紫苑さんが後ろからゆっくり声を掛けた。
振り向いた瑞穂はちょっと青ざめた。
「うっ紫苑さん(微笑んでる様で、でも、ちょっと恐い顔してる;、エルダー投票の時以来かな;)」
瑞穂は下に居た騎馬の生徒に声を掛けた。
「ごめんなさい、今は白組の連携が乱れていてチャンスなんです。
もう少し見える所まで移動してもらえると嬉しいわ。」
「はいっお任せ下さい。お姉さま!」
51名無しさん@初回限定:2006/11/25(土) 06:12:18 ID:fBwHf3rU0
そして、白組の葉子の指示で後方グループがおずおずと後方に下がるとすかさず瑞穂は叫んだ。
「白組の一部が引いて混乱した今です!先頭グループの鉢巻きを取って!!」
赤組は体育会系の生徒が白組より若干少ない不利さはあったが、
現エルダーと元エルダーがいる事により結束力は他の組より強かった。
瑞穂の指示で一斉、赤組グループの攻勢により、白組先頭グループの鉢巻きは一気に奪われ、勝敗は決した。
「瑞穂さんおみごとですわ♪」
これで赤組と白組の点差は僅差となった。

瑞穂は一旦安堵したが、気を引き締め直した。
「これで最後の対抗リレー、夏央さんとまりやの奇跡が起こる事を願いたいわ(私も信じて協力しますから)」

貴子は、負けた事に少々ショックではあったが、夏央の事を思い出した。
「競技に悔いは無いわ。それにしても、お姉さまも情に厚い方です。それから、夏央さんが悔いの無い想いを願うだけ。
相手がまりあさんというのが少々気に障りますが・・・後で、からかい甲斐がありますわ。」
52名無しさん@初回限定:2006/11/25(土) 06:57:49 ID:fBwHf3rU0
出典に外伝という表現は変だと思うので
正>ドラマCD〜晩夏の秋桜初秋の茉莉花〜
でも、まりやも夏央も出てこないorz
それから連投規制初めてです。壺で回避出来るのですね。
この後、貴子は自治の甘さを感じて生徒会の圧力を強め十月革命に至ると脳内補完。
連投続きですが、この手駄目ですか?とりあえず、題名は不統一にしていこうと愚考します。
53名無しさん@初回限定:2006/11/25(土) 16:41:58 ID:fBwHf3rU0
十月革命〜妹の為に出来る事
生徒会への異議申し立てから暫くして後、嫌な予感が的中してしまった。
事態は予想以上に悪化していた。
由佳里ちゃんの知らせで、学院の生徒達に囲まれていた奏ちゃんを助け出す事が出来た。
そして、奏ちゃんから真実を聞かされた。
でも、先日から怪我をしていた事や良くない噂を聞いていたいたのに私は・・・
圭さんの遠回しだけど、助言をも生かす事が出来なかった。
まりやからは下手に動かない方が良いと言われていたけれど後悔していた。
「(あの時、生徒達を叱責したけれど、それで奏ちゃんの立場が変わるとは思えない。)」
「(まりやは、ああ言っていたけれど私にも何か出来る筈)」
もちろん華美な装飾に関しては、他の生徒達に説得出来る事は問題無いとは思う。
数日後の生徒総会でも勝つ事が出来るだろう。
紫苑さんやまりや達なら知力に長けているし安心して任せる事が出来る。
でも、それは表面的な事だと今は思う。
新たな問題はエルダーとしての立場が仇になっている事と奏ちゃんの立場は
理屈では無い。感情論なのだから・・・。
「(今からでも、遅くは無いわ。ちょっと、まりやには少し迷惑が掛かるだろうけれど)」
次の日、瑞穂はある計画を実行した。
そして授業も終わり寮へ帰って来た。
「ただいま帰りました。」
54名無しさん@初回限定:2006/11/25(土) 16:43:30 ID:fBwHf3rU0
十月革命〜妹の為に出来る事 その2
「瑞穂ちゃん!」まりやが血相を変えて、どたどた走って廊下を走って来た。
「(あ、やっぱり;)」
「瑞穂ちゃん。あんたぁー、やってくれたわね。」
「あら、私は大した事はしていないわよ。」
「あたしは大変だったのよ。周りから色々聞かれてさ。」
「瑞穂ちゃん、クラスのホームルームの時間に議題を提案したんだって?」
「そうよ。」
「んで、皆に書かせたんでしょ。」
「問題のある様な事を書かせたつもりは無いわ。」
「あんたが、問題ある事を書いたんでしょうが!」
「そう?」
「それも、人生の標語をテーマにして瑞穂ちゃんが書いたの!」
「『伝説より生きた母様』ってさ。幼い頃大騒ぎしたの知ってんのよ。」
「まりや、良く憶えていたわね。」
「学校は違ったけれど、周りが大変だったんだから当たり前でしょ!」
「今は幼い頃と違うし、クラスのみんなにも出来る範囲で説明して納得して貰えたわ。」
「で、噂が広がって幼なじみのあたしにも説明を求める生徒が殺到した訳だ。」
「まりや、ごめん。」
溜息をついてまりやが続けた。
「いいのよ。あたしも適当に答えたから。瑞穂ちゃん。これは奏ちゃんの為でしょ?」
「そうね。奏ちゃんを感情論で擁護するには、これしか無いと思ったから。」
「あたしもさ、奏ちゃん自身の立場の問題は、貴子に勝っても難しいと思っていたし。」
55名無しさん@初回限定:2006/11/25(土) 16:44:58 ID:fBwHf3rU0
十月革命〜妹の為に出来る事 その3
「でも、エルダーの威力は絶大だわ。この騒ぎが問題なる所か、放課後には噂が
美談になって奏ちゃんへ嫉妬の話はたちまち消えてしまったわよ。」
「そう、私もこれで安心だわ。奏ちゃんに、もう辛い思いはさせたく無いもの。」
「それに、瑞穂ちゃんはエルダーとして一層信頼も厚くなったわ。」
そして、まりやは呆れる様に言った。
「あたしも、流石に此処までは思いつかなかったわよ。あんた、チェス弱い癖に策士ね。」
「うっ、人聞きが悪いわね。まりあが、あまり動くなって言うから楽な方法を考えただけよ。」
「ほー、楽な方法ねぇ。で、瑞穂お姉さまは、何故あたしに相談しなかったのかしらぁ?」
「だって、急に思い付いて・・・それに、まりあに相談しても反対されそうだったから。」
「ま、当然反対するわね。リスクもあったし。でもさ、瑞穂ちゃん、成長したわね。」
「何時までも子供じゃ無いわ。それに、私をエルダーにしたのはまりあ達じゃないの。」
「まぁ、そうなんだけどね。それにしても、瑞穂ちゃんから仕掛けられたのは何だか癪だわ。」
「な、なんなのよ。まりあ;」
「(まりあの、この表情はマズイわ;)」
「あたしに黙っていた罰として・・・実家の余った服を送って着て貰おうかしら。紫苑さまも呼んじゃうわ。」
「えぇっ、またっ酷いよっ!」
「えぇい、うるさい!!フリフリのゴスが良いわね。あたし似合わないし。」
「(うぅう、男としてのプライドが)」orz
数時間後、
まりやは夕食とTVを観た後、部屋に戻ってから少し寂しい表情になった。
「(何か、何だろう。あたし。少し疲れているのかな?)」
「(きっと数日後、貴子の悔しい顔を見れば、清清するに違いないわ)」
「あぁ、もう寝よ、寝よ。明日になれば疲れなんて取れるわっ」
まりやはベッドに飛び込んだ。
56名無しさん@初回限定:2006/11/25(土) 16:52:14 ID:fBwHf3rU0
自分の駄文に、まりやの誤字が余りに多いので書いてみました。
奏ちゃんは舞台でイメージアップされるだけでは物足りないと思ったので。
それから生徒総会後、瑞穂の功績である事を貴子から指摘され、寂しさでまりやが荒れる前触れは
どうだったのかな、と思いつつ。
瑞穂は「伝説」が、あまり好きではなさそう;
でも、鈍感だけど真っ直ぐな描写はしたいです。
あれ、その3も間違えた。orz
57東の扉:2006/11/28(火) 15:29:28 ID:oAvqHR6q0
SSスレ第10話の10−004、010、026、040からの「勝手に続編」である「ほころび始めた縁」も、
10−062、064、071を経て最終章に入ります。
ご存知でない方は、そちらからご覧ください。

まりやが由佳里ちゃんの恥ずかしい秘密をネタにレイプしてから、2人の間には、決定的な溝ができてしまった。
でも、僕たちの働きとまりやが反省したおかげで、なんとか由佳里ちゃんもまりやのことを許してくれたみたいだった。
そして、ようやく寮生全員が勢ぞろいするようになってから、次の日曜日……。

〜ほころび始めた縁 エピローグ それから〜

由佳里ちゃんを抱いた次の日、まりやが由佳里ちゃんに許してもらったと知らせに来た。僕と一子ちゃんが、よかったねと言うと、
まりやは迷惑をかけて悪かったと謝ってきた。奏ちゃんにも、後で同じことを言ったらしい。
僕がその時のことを思い返していると、声をかけられた。
「お姉さま、どうなさったのですか?」
「うん。まりやと由佳里ちゃんが、仲直り出来てよかったなって」
「そうですね」
「いやー……やっぱみんなそろってのお出かけはいいねー……ホント久しぶりだから気分が晴れるよ」
まりやってば、原因は自分のクセに……。
そう思いながらも、僕たちは買い物のためにデパートに入った。
58東の扉:2006/11/28(火) 15:31:42 ID:oAvqHR6q0
「あっ、あの小物かわいい」
「由佳里ちゃん、どれなのですか?」
「ほら、あそこのあれ」
「わあ、本当にかわいいのですよ」
「ふふっ、2人とも、あれが気に入ったのね? すみません、これ2つください」
僕はそう言ってレジにその小物を2つ持っていく。
「ねえ瑞穂ちゃん、さっきから由佳里と奏ちゃんにいろんなもの買ってるけど、大丈夫なの?」
「大丈夫よ」
「あんまり買いすぎると、おじ様に叱られるんじゃないの?」
「心配いらないわよ」
「どうして?」
「だって、今日の買い物を私が計画したのは由佳里ちゃんを励ますためだもの。だから、今日は全部御門まりやの名前でつけてあるのよ。
由佳里ちゃんを傷つけたことへの制裁もかねてね」
「なあっ!?」
それを聞いて、まりやの表情が変わった。
「えーっ!? そうなんですか? それじゃあ、遠慮なんてするんじゃなかったな」
「ふふっ、由佳里ちゃん、いいじゃないの。これからはお好きなものを存分にお言いなさい」
「はいっ!」
「あああああっ!!」
まりやの顔から、ますます精気が失われていく。
「あ、あの、まりやお姉さま、奏もできるだけお支払いしますから、お気をお落としにならないでくださいなのですよ」
「ううっ……奏ちゃん! 嬉しいよ。他の2人が冷たいからこそ、奏ちゃんの優しさが身に染みるわ」
「あらやだ、お聞きになりましたか、由佳里姫様?」
まりやのセリフを聞いた僕が、芝居がかった口調で由佳里ちゃんに言う。
「うむ。わらわもしっかり聞いたぞえ。瑞穂姉や」
すると由佳里ちゃんも、同じく芝居がかった口調で返事を返す。
「こやつめ、まだ反省いたしておらぬようですな」
「そのようじゃのう」
「あら? みなさんおそろいで、いががいたしましたの?」
すると、聞き覚えのある声で話しかけられた。
59東の扉:2006/11/28(火) 15:37:16 ID:oAvqHR6q0
「貴子さん!」
「な、何よ貴子、なんでこんなとこにいるのよ!?」
「わたくしは生徒会の備品を買いに来るついでに、個人的な買い物をしに来ただけですわ。意図しない出会いまであなたに文句を言われる筋合いはありませんわ」
貴子さんを見て、僕はひとつ思いついたことを話してみた。
「そうだ、貴子さん、よろしければ貴子さんもご一緒にどうですか? 今ならタダですみますよ?」
「お姉さま、どういうことですの?」
「実は、まりやの“おいた”が過ぎて、由佳里ちゃんがそれで深く傷ついたんです。それで、罰として今日の費用は全部まりやのおごりになってるってわけです。お仕置きなんですから、貴子さんが恩に着る必要はありませんよ?」
「なあっ、み、瑞穂ちゃん、ちょっと!」
「あら、よろしいですわね。そういうことでしたら、わたくしもお仕置きに参加させていただけないでしょうか?」
「もっちろんです!」
「ゆ、由佳里ーっ!!」
「ふふふ……雉も鳴かなければ撃たれないのにね?」
「瑞穂ちゃん! このことは貴子には関係ないじゃない!」
「まりやに反省の色が足りないみたいだから。それに……」
「それに、“今回のことは”関係なくても、わたくしは普段まりやさんから散々な目に遭わされていますからね。参加する権利はあるはずですわ」
「そういうことよ。まりや、観念しなさい」
「ううう……」
まりやは、力なくうなだれた……。
60東の扉:2006/11/28(火) 20:20:18 ID:oAvqHR6q0
「もうお昼の時間ですわね。みなさん、何をお召し上がりになりますの?」
「そうですね。今日は由佳里ちゃんのためのショッピングですから、ハンバーグの店に……貴子さん、どこか知りませんか?」
「そうですね。この近くに厳島の系列のハンバーグがおいしい高級料理店がありますの。そこでいかがでしょうか?」
「どんなお店なのですか?」
「1食で1万円前後するお店ですのよ。ほとんどが会社の接待や食通の方々が通うお店ですから、一般の方々は滅多に行けないところですわ」
「私は高級料理より一般的な家庭料理のほうが好きですけど……たまにはそんなのもいいですね」
「生徒会長さん、グッジョブです!」
「ああああああ……」

僕たちは、その高級料理店に入った。
「由佳里ちゃん、ハンバーグのお替りも自由にしていいわよ? まりやのおごりですから」
「もちろんそのつもりです!」
「わあ、イチゴのデザートがいっぱいあるのですよ」
「奏ちゃん、食べたかったら全部食べていいわよ」
こうして、僕たちは高級料理店で普段食べられない料理をたくさん食べた。
61東の扉:2006/11/28(火) 20:22:11 ID:oAvqHR6q0
その後も、貴子さんを含めたみんなは次々とお気に入りのものを買っていった。特に貴子さんと由佳里ちゃんは、高価なものをどんどん選んでいく。
「あああ……あたしの今月のお小遣いーっ……」
「わあ、このアクセサリー可愛い……つけてみよっかな」
「上岡さん、それもお買いになればよろしいですわよ」
「そうですね。すみませーん、これお願いしまーす!」
「そ……そんなあ……絶対欲しかった今月しか発売されないレアものの衣装があったのにー……これじゃ買えないよ……」
まりやがすっかり落ち込んだ声で言った。
「当然の報いですっ!」
それに対して由佳里ちゃんが、そう満面の笑顔で返した。
「あの……お姉さま、会長さん、本当によろしいのですか?」
「いいのよ。まりやには、思い知らせることが必要なんですから。それに、由佳里ちゃんがまりやに奪われたものに比べれば、
これぐらいなんでもないわ」
「ま、何があったのかは存じませんが、ここまで徹底的にやれば、さすがのまりやさんも少しは懲りるでしょう。ねえ、まりやさん?」
「ううう……ばがりばじだー……あだじがばるがっだでずー……どぼぼー……」
「あははははっ」
そこには、目と同じ幅の涙を流すまりやと、それを見て笑う僕と貴子さんと由佳里ちゃんの姿があった。
62東の扉:2006/11/28(火) 20:24:58 ID:oAvqHR6q0
そしてその後、まりやと由佳里ちゃんがどうなったのかというと……。
「きゃあっ!」
「あはは、相変わらず可愛い反応するねえ、ゆかりん」
「っ! 私はゆかりんじゃありません! だいたいお姉さま、あれでもう私をいじめたりしないって誓ったじゃないですか!」
「だからさ、あれから由佳里の唇とか胸とか大事なとことかには1度も触ってないじゃない。偉大なる成長を遂げたあたしの姿、
ちゃーんと心に刻みつけときなさいよ。なははっ」
「ううっ……結局、今までと五十歩百歩なんですね……」
ご覧のとおり、相変わらずなのでした。

あと、もう1つエピソードが……。
「由佳里、もうすぐあの時代劇が始まるわよ。降りてらっしゃい」
「いえ、いいです。見たくないですから」
「またね。今までは楽しみにしてたのに、いったい何があったのかしら?」
「でも、由佳里ちゃん、他の時代劇は楽しそうに見ていますのですよ」
「由佳里ちゃん、その時代劇を見るとすっごくやなことを思い出すからって言ってたけど、まりや、またなんかやったんじゃないの?」
「知らないわよ? 今回はあたしはホントに心当たりないわよ。あたしだって不思議に思ってるんだから」
「由佳里ちゃん、いったいどうしたのかしらね?」

どうも、上岡由佳里です。懸命なみなさんなら、私が見たくない時代劇がなんなのかと、その理由についてはおわかりいただけていると思います。
ヒントは、Qooさんが書いた段階のどこかにありますよ? それではこれで。
63東の扉:2006/11/28(火) 21:02:17 ID:oAvqHR6q0
東の扉です。

こんなSSに最後までおつきあいいただき、ありがとうございました。
個人的には、すっきりした、というところでしょうか?
Qooさん、もし「ゆかりんのひとりでできるもん!」「まりやさまはしってた」に続きがあるとしたら、こんな感じでしょうか?
それでは、「処女(オトメ)レジェンドスペシャルプロジェクト バースデイ・カプリッツィオ」の制作、頑張ってください!

それでは、これにて失礼します。
64東の扉:2006/11/29(水) 03:16:25 ID:uQHs7AMU0
「んっ……」
「あ、お姉さま、おはようございます!」
僕が目を覚ますと、僕と一緒に暮らしている幽霊の一子ちゃんがそう挨拶してくる。
「おはよう、一子ちゃん」
僕は優しく挨拶を返した後、一通りの世間話に花を咲かせる。
ふと、一子ちゃんが気になることを言った。
「……そういえば、今日は解禁の日でしたね」
「解禁? 釣りか何か?」
新聞は毎日欠かさず隅から隅まで見ている僕だけど、法律なんかで何かが解禁になったという話に心当たりはない。
「あ、いえいえ違います。お姉さまもご登校なさればわかりますよ」
「……何、それは?」
なんとなくイヤな予感がするな……。
「ねえ、何かあるの? 僕に関係あること?」
「まあそれは、行ってからのお楽しみということで」
僕は一子ちゃんの言葉に不安を感じながらも、聖央女学院に向かうことにした。

〜夢幻郷の歌姫〜

「おはようございます!」
「おはようございます、お姉さま」
今日も生徒たちが、僕に挨拶をしてくる。
「おはようございます、みなさん」
僕はいつものように、彼女たちにそう挨拶を返した。
「お姉さま、再来週の日曜日は、頑張ってくださいね」
「私たちも見に行きますから!」
「ああ、今から楽しみですわ」
「………?」
再来週の日曜日? なんのことだろう? 予定は特に入ってなかったし……。
65東の扉:2006/11/29(水) 03:17:53 ID:uQHs7AMU0
「貴子さん!」
僕は登校するとホームルームが始まる前に、生徒会室にやって来た。
「お姉さま……おはようございます」
「おはようございます。あの、確認したいことがあるのですが……」
「なんでしょうか?」
「再来週の日曜日、私、何かみなさんと行事の予定が入っていたでしょうか?」
「再来週の日曜日……ああ」
貴子さんは思い当たったようで、そう返した。
「何か心当たりでも?」
「ええ。お姉さまも、しばらくすればわかるはずですわ。このことには、私たち生徒会も全面協力、ということになっていますので」
「……なんのことですか?」
「まあ、それは私たちよりも、企画者にお聞きになられた方がよろしいかと。私たちも詳しくは聞かされておりませんので……」
企画者? 全面協力? いったい何が起こっているんだ?

疑問に思いながらも、学校を終えて寮に戻ってくると、答えは見つかった。
「やっ、瑞穂ちゃん、お疲れ」
「まりや、再来週の日曜日って、何かあるの?」
「ああ、今日から言っていいってことになってたっけ。瑞穂ちゃんのコンサートを開くのよ」
「ええっ!? それどういうことよ!?」
僕は、驚きのあまりそう叫んでいた。
「ま、まさか企画者って……」
「そう。そのま・さ・か・よ、瑞穂ちゃん」
「聞いてないよ! 何のコンサートなの!?」
「まあ、主に恋愛ゲームの歌ね。瑞穂ちゃん、本番で恥かかないように、今からしっかり練習しときなよ?」
「やだよ! どうせ女物の歌なんでしょ?」
「当然じゃない。恋愛ゲームの歌を男が歌ったら寒いだけよ」
「……まりや、じゃあ僕が歌っても寒いだけじゃないの?」
「にゃはは。今さら何言ってんだか。瑞穂ちゃんなら素敵なコンサートになるわよ。モノホンの女の子より、ずっと可愛いしね」
ガーン!
「か、可愛い……本物の女の子より……」
ううっ……僕って……僕って……。
66東の扉:2006/11/29(水) 03:20:24 ID:uQHs7AMU0
「お姉さま、お帰りになりましたのですか?」
「お姉さま、お帰りなさい!」
あ、奏ちゃんと由佳里ちゃんが降りてきた。
「奏ちゃん、由佳里ちゃん、ちょうどよかったわ。再来週の日曜日のことだけど……」
「ああ、お姉さま、頑張ってくださいなのですよ!」
「私たち、楽しみにしてますから!」
「……え?」
「ふふふ……瑞穂ちゃん、道路のアスファルトのでこぼこより浅はかよねえ。瑞穂ちゃんの大ファンの2人が、このコンサートを中止しようなんて考えると思う?」
「ううっ……」
奏ちゃんと由佳里ちゃんも、もうまりやの味方になってるのか……これじゃ四面楚歌だよ……。
「え? お姉さま、出場したくないのですか?」
「お姉さまも楽しみにしているって聞いたから、私たちてっきり……」
「瑞穂ちゃん、イヤならこの場でそう言ってくれればいいわよ? その場合は、あたしが全校生徒にぬか喜びさせて悪かったって、頭を下げて撤回するから」
ううっ……でももう噂が広まってるってことは、みんな僕が出るものだと思い込んでるだろうしな……。
奏ちゃんと由佳里ちゃんを見ると「お姉さまのコンサートを見たい、でも……」という目で僕を見ている。ううっ、僕はその目に弱いんだよ……。
「……まりや、曲目と歌詞カードは?」
「え……?」
「コンサートの準備、今からしないとダメなんでしょ?」
「さっすが瑞穂ちゃん、エルダーとして申し分ない判断ね。はい、これ」
奏ちゃんと由佳里ちゃんも、大喜びで僕を見ている。
「ううっ、僕に拒否権はないの?」
僕がそう小声で言うと、まりやが返してきた。
「何言ってんの。たった今あげたじゃないの」
そんな、出るというしかない状況であげたなんて……そんなの、拒否権ないよりタチ悪いじゃないか……。
67名無しさん@初回限定:2006/11/29(水) 03:40:56 ID:osFhNAqi0
前スレ>>598
遅レスだけど…
とりあえず圭ヒュンケルはまりやがかなり危険かとw(あの人が居ますから…
という訳で、バーン=美智子・ミスト=圭
愛する圭さんとの合体シーンも有るので美智子様も大満足でしょうw
何となく瑞穂&一子でやった方はまり役のような気がしなくも無いけど…
68東の扉:2006/11/29(水) 03:55:17 ID:uQHs7AMU0
「おはようございます、美智子さん、圭さん」
「あら、瑞穂さん、おはようございます」
「オッス、オラ小鳥遊圭」
……えっと、今のはどう反応すれば……。
「瑞穂さんには、わからなかったかしら、このネタ」
「いや、そうじゃなくて、面食らってしまって……」
「それで、何か?」
「ああ、そうでした。圭さんにお願いがあるんですが」
「何かしら?」
「再来週の日曜日まで、コンサートの練習につきあってくださいませんか?」
「それはいいですけど、なぜ私を? 合唱部にでもお願いした方がいいのでは?」
「私は、歌唱力だけは自信がありますから。それに、コンサートは歌唱力だけではありませんから。より映えるように特訓してほしいんです」
「……了解」
「というわけで、美智子さん、ごめんなさい。再来週の日曜まで圭さんをお借りしますね」
「ええ。かまいませんわ。コンサートが終わったら、ツケは払っていただきますから」
……大丈夫かな、圭さん? ちょっと悪かったかな?

「瑞穂さん」
「紫苑さん、おはようございます」
「圭さんに特訓を頼むということは、コンサート、お出になりますのね」
「ええ。というか、出ざるを得ない状況ですから」
「ふふっ、まりやさんと知恵を出し合った甲斐がありましたわ」
「……紫苑さんもグルだったんですか」
「だって、瑞穂さんのお歌いになる姿、ぜひ拝見いたしたかったですから」
そう言ってにこやかに笑う紫苑さん。ううっ、完敗です。
69東の扉:2006/11/29(水) 03:59:01 ID:uQHs7AMU0
そんなこんなで、圭さんの地獄の特訓は続いた。そして、コンサート直前の土曜日……。
「ねえ、どうして今日このメンバーの前でやらなければならないの?」
「リハーサルよ、リハーサル。本番前になれといた方がいいでしょ?」
まあ、それはそうだけど……。
「で、この衣装は何?」
「何って、瑞穂ちゃんが着るステージ衣装に決まってんでしょうが」
「こんなアイドルみたいなフリフリのミニスカドレスで歌えって?」
「コンサートだもん。問題ナッシングじゃない。にははっ」
……問題大ありだよ。
「それじゃ、失礼」
僕は、机の上にいるまりやたちに手錠をかけた。
「ちょっと瑞穂ちゃん、何のマネよ!? あたしは犯罪者か!」
……人を無理やりコンサートに出場させるのは犯罪じゃないの?
「そうじゃなくて、圭さんがみんなに手錠しとかないと危険だって……机の上下の範囲なら手は動かせるようになってるから。それじゃ、行ってくるわね」

そして、僕のコンサートリハーサルは始まった。
歌うのは、昔なつかしの恋愛ゲームから、最近のまでいろいろと。
きらめきメモリアルの「もっと! もっと! きらめき」とか、上級生の「真夏のシンデレラ」とか、上級生2の「17」とか、
センチメートルグラフィックの「虹の向こう」とか、サクラ合戦の「花開く乙女」や「夢の果てに」とか……
メモリーズオンシリーズの「ピアノとオルゴール」に「微熱LOVER」とか、あとキャラソンも歌わされたっけ。
上級生2の「誰よりもいちばん光ってるあなたへ」、メモオン5の「ハート☆ラブリウェイ」とか、
圭さんの特訓を受けたおかげで、アイドルになりきって歌うことが出来た。あれがなかったら、きっと死ぬほど恥ずかしかっただろうな。
でも、キャラソンを歌うなら、メモオンシリーズの「晴れの日の想い」「リズム」「忘れない想い出」「by my side」なんかも歌いたかったな……。
最後は「You make my day!」「さよならの囁き」「いとしいきもち」の3つを歌ってコンサートのリハーサルは幕を閉じた。
70東の扉:2006/11/29(水) 04:01:57 ID:uQHs7AMU0
リハーサルが終わってみると、まさに手錠をつけて正解、と言いたくなる大惨事だった。
貴子さんは鼻血の海に顔を埋めて溺れていたし、すぐに手錠をはずして保健室に連れてったけど……。
紫苑さんと奏ちゃんはうっとりとして心ここにあらずって感じだったし、正気に戻すのに何回呼びかけたっけ……。
まりやは血走った目で必死に手錠をはずそうと手を動かしてたし、怖いからちょっとそのままほっといたけど……。
由佳里ちゃんはぐったりしてはあはあ荒い息を吐いてたし、座っていた場所には妙な匂いのシミができてたし……
気づかなかったことにして後始末もしといてあげたけど。

コンサートの時も、万が一を考えて救急車を呼んどいて正解だった。
倒れた生徒が全体の約6割という前代未聞の結末。
チケット代は1人2000円だけど、聖央のほぼ全部の生徒が見に来てくれたし、
内容を録画したDVDや録音したCDもダビングが追いつかないくらいの売り上げだった。

「ねえ、まりや、こんなあぶく銭、ほんとにもらっちゃっていいの?」
「何言ってんのよ、瑞穂ちゃん。それでもコンサートとDVDやらCDやらの売り上げの2割なんだから、立派な瑞穂ちゃんの取り分よ」
「でもさ、僕が歌った歌を作った人への著作権はどうするのさ? これじゃ犯罪だよ?」
「その点はぬかりなし。ちゃーんと交渉はすんでるからさ。瑞穂ちゃんは大手を振って歩いてていいわよ。じゃ、あたしはもっといっぱい
ダビングしなきゃいけないから、これでね」
そう言ってまりやは去っていった。
「少女趣味丸出しのコンサートでこの5倍の収入があったなんて……僕っていったい……」
まりやから受け取った万札の束を見て僕は、自分の男としての尊厳が失われるのを感じずにはいられなかった。
71東の扉:2006/11/29(水) 04:40:32 ID:uQHs7AMU0
その数日後……。
「うわっ、何これ? ラブレターの山?」
みると僕宛にラブレターがダンボールに詰まれて置かれていた。
「瑞穂ちゃんもコンサートで魅力を十分発揮したからねえ。そんだけは来るんじゃないの? ところでさ、一つ見せてくれない?」
「ダメだよ。僕以外には見られたくないって人もいるだろうし……」
「一枚だけ。誰にも言わないからさ。ってことで、これに決定!」
まりやは、手紙を一通だけ選ぶと、僕に差し出した。
「さ、読んでみて?」
「いいのかなあ……」
「サンプルってことでさ、あたしも次に何するか考えなきゃならないから」
「むう、わかったよ。じゃあ、絶対に秘密だからね、えっと、差出人は神尾ゆりか……まりや、別のにしよう」
「えーっ!? なんでよ、いいじゃない、じゃああたしが読む」
「ちょっとまりや……」
「えっと、『前略 お姉さまへ 私は、以前からお姉さまの優しげな雰囲気と声が大好きでした。
お姉さまのお顔を拝見するたび、胸が高鳴り、どうしようもないほどいやらしい……ことばかり……思い浮かべて……しまい……ます?
昨日もお姉さまのコンサートのDVDを見ながら、1人で快楽の泥沼に……おぼれてしまいました? 
どうかこんないけない私に、お姉さまのお仕置きを……』って、な、なんじゃこれはーっ!?」
「だからやめようって言ったのに……」
「むう……瑞穂ちゃん、なんでこういう内容だってわかったの?」
「僕のところによくラブレターを送ってくる娘の名前ぐらい覚えてるよ。どういう内容なのかもね」
「なるほどねえ……しかしこの神尾って娘も、いつもこんな内容のラブレターばかり送ってくるわけ?」
「まあね」
「いったいどこの誰なんだか……あとで名簿見てみよっかな」
「まりや、悪趣味だよ。それに、名簿調べてもムダだよ」
「え? なんでよ?」
72東の扉:2006/11/29(水) 04:43:26 ID:uQHs7AMU0
「まりや、こういう内容のは偽名のもあるって言ったでしょ? 神尾ゆりかってのも多分偽名だよ」
「偽名? 神尾ゆりか……かみおゆりか……プククッ……そういえばこの字は……」
「……まりや?」
「そう、そういうことだったの……神尾ゆりか……神尾ゆりかねえ……ふふ……ふふふ……ぬふふふふふふふ……!」
神尾ゆりかの名前を呼びながら笑いを浮かべるまりや。曖昧に言っても不気味だ。
「ど、どうしたんだよ、まりや?」
「いやー、今まで気づかないなんて、瑞穂ちゃんも甘ちゃんねえ……神尾ゆりか……神尾ゆりか……なははははははは……」
もしかして、まりや、この手紙の差出人の正体に気づいたんじゃ……あああ、ごめんなさい、『神尾ゆりかちゃん』。
今日か明日あたり、死ぬほど恥ずかしい思いをするのは覚悟してください。
この日、1人の生徒が、瑞穂の予想通りの目に遭いましたとさ。合掌。

Fin
73名無しさん@初回限定:2006/11/29(水) 15:38:39 ID:tXC62Ilh0
>>72
バーグいじられ
再びほころび始めた縁に(´ω`)
(o^-')bb
74名無しさん@初回限定:2006/11/29(水) 18:28:12 ID:XMpA7gw+0
>>7-18,
>>31-39,
>>47-51,
>>53-55
を書いた者です。コテを付ける身分ではございません。
前レスで、気分を害された部分があるのでお詫びします。orz

降臨したネタはハウツー物?です。
独断と偏見のウンチクは多いですが;
間延び部分は御容赦を;
注)そのSSは特定の名称、団体とは関係ありません。
今回は戦術も戦略も出て来ません。
大学生、厳島貴子が初めての体験に一人、四苦八苦します。
ハッピーEND。レス数は10〜11の予定です。(校正?中)
小ネタは2レス程度。(降臨段階)

東の扉さま初めまして。ラストの締めくくりが良いですね。
コテの皆様の様に上手く書けないのが難しいのですよー;
75doku:2006/11/29(水) 20:53:26 ID:bP9OSWzt0
『限界に挑戦』

「こっちの服も瑞穂ちゃんに似合うわねー」
その日も瑞穂ちゃんはまりやのお部屋でお着替えさせられていました
「お姉さまは何でも似合うからうらやましいです」
「男の方のお洋服も似合ってしまいますのですよ〜」
奏ちゃんとゆかりんもいます
「ま…まだ着なきゃいけないのかな…?」
そういいつつもくるりとターンしてしまうクセがついてしまった瑞穂ちゃん
「ね、みんな明日ヒマ?瑞穂ちゃんの服買いに行こうと思うんだけど」
「もちろんヒマです!ヒマ!一緒に行きます!」
「奏も行きますのですよ〜」
奏ちゃんとゆかりんは即答しましたが瑞穂ちゃんは…
「私…図書館でお勉強しようと思ってたんだけど」
かわいらしいお洋服を着た瑞穂ちゃんはちょっと抵抗
「あんたねー各種有名大学軒並みA判定でしょ!これ以上勉強してどうするのよ!」
「一応、念には念を入れて…」
「それはRPGでいったらLv.99にしてラスボス戦いくよーなもんでしょ」
「でも…」
「やかましー!あんたはどこの国の大学受ける気じゃー!」
こうして瑞穂ちゃんの拒否権は剥奪されました

76doku:2006/11/29(水) 20:57:19 ID:bP9OSWzt0
そして翌日
電車に乗ってやってきたのは
「ここがお年寄りの銀座かー」
「あの…まりやお姉さま?」
ゆかりんの疑問を瑞穂ちゃんが続けます
「なんで地蔵通り商店街なの?」
「ああ、今回はね、瑞穂ちゃんに似合わなそうな服を探しにきたの」
「「「へ?」」」
まりやの言葉の意味をイマイチ理解できない三人でした
「じゃ、とりあえずあそこのお店に入ろう」

「若い娘はウチみたいなお店には来ないと思ってたんだけどねぇ」
お店のおばちゃんとまりやが色々とお洋服を選んでいます
「まりやさん、これなんてどうでしょうか」
「あ、紫苑さま、これはいいですねー、けばけばしい紫色といい微妙なフリル使いといい…」
「あの、紫苑さん?なんでいるんですか?」
瑞穂ちゃんは突然姿を現した紫苑さまにびっくり
「まあ、瑞穂さんたら、こんな面白そうなこと仲間はずれにしようなんて非道いですわ」
「紫苑さまには現地集合してもらったのよ」
「うわ…この服煮しめ色してますよ、まりやお姉さま」
「由佳里ちゃーん、こっちもすごいのですよ〜」
奏ちゃんとゆかりんもはしゃいぎながらお洋服を物色しています
そしてみんなから渡された服をみてまたびっくり
「ねえ、みんな…さすがにこれは…」
「おばちゃーん!これ試着させてもらうわねー!」
まりやはしり込みする瑞穂ちゃんを無理矢理試着室に押し込めました

77doku:2006/11/29(水) 20:58:36 ID:bP9OSWzt0
「う〜ん…」
試着室から出てきた瑞穂ちゃんを見て唸るまりや
「意外と…似合っていますね」
紫苑さまがぽつりと一言
奏ちゃんとゆかりんは唖然としています

その後も珍妙な色使いの服やら微妙な素材のパンツやらを着せられた瑞穂ちゃん
フリフリの服を着せられるより精神的ダメージは大きいようです
やがて日も傾いて一同は帰り路につきました

「瑞穂さんに似合わない服を探すというのも大変ですわ」
紫苑さまが感嘆をこめて呟きました
「お姉さまは何を着ても似合うのですよ〜」
「お年寄り向けの服が最新のファッションに見えてしまうから不思議です」
「お年より向けの服が似合ってもうれしくないわ…」
瑞穂ちゃんはダメージ大、疲れ果てています
「なんつーか今日は当初の目的が果たせなくて不満が残るわね」
まりやはちょっと不機嫌そうです
「結局瑞穂さんに似合わない服は見つりませんでしたものね」

78doku:2006/11/29(水) 21:01:34 ID:bP9OSWzt0
さらに後日
「ねーみんなプール行こー」
その日もまりやに振り回される一同
「私、水着なんか持ってないわよ」
当然のごとき瑞穂ちゃんの発言
「大丈夫、買っといたから、服の下に着てっちゃいましょ」
瑞穂ちゃんのお部屋でお着替えが始まりました
そして寮の廊下で奏ちゃんとゆかりんが瑞穂ちゃんの絶叫を耳にします
『こんなの着るの〜〜〜!!!?』
「お姉さま、すごい水着着るみたいね」
「楽しみなのですよ〜」
がしっっと腕を組む奏ちゃんとゆかりん
そしてプールにやってきました
更衣室に入り出てくると…沈んだ顔をしている瑞穂ちゃんと奏ちゃんとゆかりん
でもまりやは面白そうに笑っています
「…まだいっそ…きわどいビキニとかのほうがマシだったかも…」
「期待してたのに…期待してたのに…期待してたのに…」
「裏切られたのですよ〜……」
瑞穂ちゃんの着ている水着はいわゆるパジャマ型
赤と白のボーダーラインが可愛らしいといえば可愛らしい一品です
まりやが瑞穂ちゃんの耳元で囁きます
「これなら体形がでないから男だってばれないでしょーが」
「でも…これはさすがに恥ずかしいよ…」
顔を真っ赤にしてうなだれてしまった瑞穂ちゃん
「うわ〜〜〜んまりやお姉さまのばかーーーー!!!」
ゆかりんが絶叫してプールに飛び込んでいきました
プールにいる男性陣もさすがに引きぎみです、だれも瑞穂ちゃんに声をかけません

「ま、瑞穂ちゃんにも似合わない服があったってことね、これは水着だけど」
79名無しさん@初回限定:2006/11/29(水) 21:54:58 ID:XMpA7gw+0
>>74です。誤記の訂正です。
正しくは>>7,>>14-18です。
東の扉さま御迷惑を掛け大変失礼致しましたm(__)m

dokuさま初めまして。
似合わない服というアイディアには脱帽です。想定外です。
楽しませていただきました。次作も期待しています。
80名無しさん@初回限定:2006/11/30(木) 12:27:27 ID:Id2Dtq1N0
>>79
どうも無理に持ち上げようとしている風にしか見えない。
何をそんなに気にしているの?
81名無しさん@初回限定:2006/11/30(木) 15:46:00 ID:S4iXGHE/0
>>79です。>>80レスありがとうございます。
決して無理はしておりませんよ。文章力、誤字脱字、アイディアに自信の無い
小心者なんですよ。羨ましいのです。SS新参者で自身礼儀が欠けている部分も
心配で。でも、このスレで書きたい衝動が優先してしまうのですよ。
でも、今後の感想レスは短く自然体を心がけたいと思います。
指摘、批判は向上心の栄養ですから大歓迎です。

原作で疑問があった部分があったので新たなネタ降臨しました。
その疑問は、既にあるSSで色々解決策が出ていますが、
自分の見た角度からはどうかな?と思い書いてみたいと思います。
これは見積もり2〜3レスです。
長いのは校正で12レスになってしまいました;連投規制が心配です;
バッサリ、ハウツーうんちく部分を切れば短くなりますが・・・。
前レスの小ネタは9割書けましたがオチが降臨待ちです;
もしかしたら、先に短い方を投下するかもしれません。
82名無しさん@初回限定:2006/11/30(木) 17:03:30 ID:Id2Dtq1N0
指摘ではあるけど、批判ではない。
別にそんなにかしこまらなくてもって思うんだ。
礼儀作法とか、正直気にしすぎると逆に煙たがられるよ?
心配しなくてもここの住人は程よく冷たいから、いい作品なら褒めるしダメならシカトするだけ。

あと連投規制は掛かっても2,3分すれば解けるからまた落とせばいい。
それと、これから色々落とすつもりなら、やっぱコテつけたほうがいいよ。
まとめサイトの人も見分けやすいし。
83名無しさん@初回限定:2006/11/30(木) 17:24:52 ID:S4iXGHE/0
>>82
ご指摘ありがとうございます。
そうですね。今度投下する時にコテ付けます。
まとめサイトの方には感謝してます。
84ダルマが転んだ:2006/11/30(木) 21:19:36 ID:S4iXGHE/0
鏑木グループ当主 慶行が出来た事
大学生 鏑木瑞穂は居間で慶行に話を切り出した。
「父様、お話したい事があります。」
「どうしたんだ?改まって。」
瑞穂は新聞の切り抜きを出してきた。
「父様は御存知の筈です。」
「やはり、この事か・・・。」
「僕は説明を聞く権利があると思います。」
「新聞の記事は事実で経緯もその通りだ。」
「僕は父様から直接聞きたいのです。」

慶行は暫く考え込んだ後、話始めた。
「そうだな、お前にも迷惑を掛けたし、あの女学院に愛着あるだろう。私とて例外では無い。」
「幸穂にとっても、大事な思い出の場所だからな。」
「では何故?」
「鏑木グループ、いや他の勢力でも同じだろう。どんな力でも逆らえない場合がある。分かるか?」
「・・・時代ですか?」
「その通りだ。あの女学院の歴史は古いが時代の波で変化せざるを得ない状況もあった。」
「戦後の改宗の件は聞いた事があります。」
「それを知っていれば宜しい。」
「しかし、今回の改革は性急過ぎませんか?」
「聞け瑞穂、お前も次期当主の身だ。私もグループの当主であれば、その責は重い。
全体だけでは無く、先を見越す事が出来なければ、グループを守る事など出来ない。」
「・・・だから、少子化の先を考慮して、女学院を共学制に移行させるんですか?」
85ダルマが転んだ:2006/11/30(木) 21:21:17 ID:S4iXGHE/0
鏑木グループ当主 慶行が出来た事 その2
「そうだ、このままでは入学生が先細り、学院存続自体が危機になってしまう。それだけは避けたいのだ。」
「それに記事にも書いているだろう。ラジカルでは無く段階的に移行だ。」
「もちろん校風を守る為、一定数の男子生徒が揃えば、別棟に専用校舎を増築する。」
「だが、私も伝統を守りたく悩んでいた。何時かは決断しなければならんと思っていた。その時だ。」
「その時?」
「瑞穂が転入するきっかけとなった、お祖父様の遺言だ。」
「えっ、あの時は確かに、尊敬していましたお祖父様の遺言は普通では無いと思いました。
しかし、運が良い事に転入出来ましたし、こうして無事卒業して大学生となりましたが?」
慶行は溜息を付きながら語った。
「その幸穂にそっくりな部分も良いが、考えてみるんだ。」
「鏑木の力でも女学院で名と性別を偽って卒業出来たり、その内申書を大学に提出して受け入れられる事なんて現実に可能か?」
「あっ!」
「今頃気付いたのか。それに、次期当主が女学校在籍なんて後々でも問題がある。」
「だから、瑞穂が転入する前、私は学院で緊急理事会を招集し、経営悪化を理由として共学制を決定させたのだ。
無論、反対者も少なく無いので『段階的』という条件を入れた。移行開始期日は明記しなかったがね(ニヤリ)。」
「だから瑞穂、お前が学院共学制、最初の男子生徒となったのだ。合法的にな。」
「そんな・・・それなら、もっと早く発表しても良かったのでは?」
「反対者が少なくないと言った筈だ。政財界の子女を預かる学院では此処までが限界だ。
しかも春にお祖父様が亡くなって、準備や根回しで瑞穂を転入させる時期が遅れてしまった。」
「瑞穂が大学に入ったこの時期に、新聞記事をリークしたのは私の指示だ。
将来、お前も母校に名や性別を偽って、OGを名乗る事や隠す事は辛かろうと思ってな。」
「まぁ、それでも問題にする輩は居るだろう。その時は、瑞穂と学院とグループの為に徹底的に守るから安心しろ。」
「父様・・・ありがとうございます。」
86名無しさん@初回限定:2006/11/30(木) 22:01:44 ID:WZhtva1X0
1人の話が続く時は「」を分けるべきではないと思います。読みづらいです。
87ダルマが転んだ:2006/11/30(木) 22:35:06 ID:S4iXGHE/0
鏑木グループ当主 慶行が出来た事 その3〜エピローグ
瑞穂の公文書による性別、学歴詐称問題は初めから父、慶行の御陰で解決されていたのだ。
慶行による情報操作を含めたリーク記事は概ね上手く行き、競合他校でも同様の共学化移行記事はあったので
自然に受け入れられた。批判記事は事前に潰され、何時の間にか、公でも学院の共学制開始は瑞穂が転入した年になっていた。
経済雑誌のインタビューでも瑞穂はイメージアップされ、
その美貌や知性、品格は学院出身者や大衆の心を掴みネガティブな感情論は消えていった。
交際している女性が居るかもしれない、との不確定なリーク情報は、微妙な賭であったが結果的に瑞穂を助けた。

瑞穂が心配しつつも、奏や由佳里に会う為、学院をOG訪問した際は全校から黄色い声援が掛けられた。
当人曰く、
「嘘も付いて、既にバレているのに何故だろう???」

「瑞穂さんって相変わらず鈍感さんなのですわね。」
「瑞穂ちゃん、男に免疫無い女の園でさ、少女漫画の容姿でノンケ、鏑木の次期当主、最大投票数のエルダー、
詐称部分を差し引いてもおつりはラスベガスよ。もうちょっと自覚しろっ。」
「まったく、学院や生徒会は何しているのかしら・・・でも、瑞穂さん相手なら仕方ありません。」

「女装でも無く、本名で、安心して、それも歓迎されて学院にOG訪問出来るなんて一番嬉しいよ。
この学院も変わっていくけれど僕も成長して行きたいな・・・。」
END
88ダルマが転んだ:2006/11/30(木) 22:38:26 ID:S4iXGHE/0
>>86勉強になりました。貯金の校正やり直します。
89ダルマが転んだ:2006/12/01(金) 12:48:49 ID:aYfUJvXP0
鏑木グループ当主 慶行が出来た事 補足〜リーク記事について
当編集部は、学院経営関係者Aとコンタクトが取れ、記者とのインタビューの応じてくれた。
記者「少子化対策の共学制へ向け、初めての男子生徒転入を今まで公表しなかった理由は?」
A「理事会では決定済みでしたが、公表は時期尚早と判断しました。現場での混乱を避けたからです。」

記者「最初の男子生徒を、学院設立者の親族にした理由は?」
A「試験的な試みだったので、理事からの提案だった事もあり、自ら責任持って転入させたと伺ってます。」

記者「男子生徒を女装させたのは?その生徒への人権的配慮は?」
A「混乱を避けたかったのと、男子用制服が存在しなかったからです。似合わない可能性もありましたので、
私服も検討しました。が、写真で御存知の通り良く似合いました。男子生徒には強制せず、快く御理解頂きました。」

記者「他の生徒への人権的配慮は?」
A「男子生徒は寮で管理され、手洗い等に関しては個室でした。不手際があった際は即退学との条件もありましたが、
卒業まで何も問題ありませんでした。これは予想外な事ですが、他の生徒から信頼され、生徒の代表役にもなりました。
それと、全ての生徒が知らなかった訳ではありません。一部の生徒に協力をお願いし、フォローしてくれました。」

記者「知らなかったら当然、戸惑う生徒がいるのでは?」
A「公表しなかったのは学院側なので、男子生徒に責任はありません。共学制移行への試行錯誤は当然ありますので
他の生徒の皆様には御理解して頂けたい。父兄、生徒の皆様からの問い合わせには常に応じています。
今後は男子用制服や設備も準備中です。」

記者「今から知り、責任問題にしている父兄も居ると聞きましたが?」
A「ノーコメントです。この質問は取り消して頂きたい。でなければ、全ての記事搭載を拒否します。」
ノーコメントの質問記事は削除され、この様に紙面に搭載された。
90小ネタを一つ:2006/12/01(金) 18:31:07 ID:EA81OLvF0
美智子「あっという間に12月ですね」
紫苑「旧暦では師走…お師匠様も走り回るほど忙しい月ですね」
瑞穂「お師匠様は借金から逃げ回るのに忙しいという話もありますね」
美智子「江戸時代の笑い話に
    お師匠様が借金取りに成りすまして借金取りを撃退するお話がありますね」
圭「ところがどっこい『師走』と書くのは間違いなのよ」
瑞穂「またネタですか?」
圭「ふ…今回は本当の話」
紫苑「ではどう書くのが正解なのですか?」
圭「正解は『至果つ』一年最後の月という意味ね」

とくにオチなし

91東の扉:2006/12/02(土) 07:50:27 ID:z4bVEonX0
東の扉です。

>>79
私は特に気にしてないからいいですよ?
誰にでもミスはありますし。
あと、私の締めくくり方がいいかどうかはわかりませんが、おそらくいろんな作品をご覧になればうまく締めくくるコツが見えてくると思います。

ところで、やはりわかりにくいようですので、「ほころび始めた縁」の前に、
「「ゆかりんのひとりでできるもん!」「まりやさまはしってた」後日譚」の挿入をお願いします。何度も勝手を言って申し訳ありません。

最後に、「ショートトークドラマ:やるきねこがみてる」は、私ではなくQooさんの作品ですので、作者別作品リストの修正をお願いします。
92東の扉:2006/12/02(土) 07:53:18 ID:z4bVEonX0
「………」
私は今、うちの人と一緒に、国際親善ダンスパーティーに出席しています。
最初は、初めてのこんな舞台に緊張でドキドキしましたが、それにはある程度慣れました。
でも、今はまったく別の理由でドキドキしています。
きっと、ここに出席している皆さんは、想像すらしていないでしょう。
日本有数の財閥、鏑木グループの御曹司の新妻であり、ダンスに関しては世界レベルの技量の持ち主と噂される私が、
豪華なドレスに身を包み、一人前のレディーとしてふるまっている私が、まさかそのドレスの下に、“こんなもの”をつけているなんて……。

〜もうひとつの親善パーティー〜

「あ……」
ふと、私の手が、ドレスの中に隠してある“こんなもの”を自在に操るプラスチックに触れました。
それだけで、のどの奥から甘酸っぱいものがこみ上げてきます。
やってみたいな……この場で、ドレスの中に隠してつけているものを動かしてみたい……その衝動が、次第に強くなってきます。
「どうしたの、由佳里? 体調悪いの?」
ふと、うちの人が声をかけてきました。そういえば、このことはうちの人……瑞穂さんでさえ知らないんだ……そう思うと、さらにドキドキします。
「いえ、大丈夫です」
「そう? あまりムリしないでね」
ダンスパーティーの初舞台の緊張にも慣れてきた頃、ふと思いました。このドレスに身を包んだまましたら、いったいどんな感じなんだろう……と。
93東の扉:2006/12/02(土) 07:55:15 ID:z4bVEonX0
自分の部屋で休んでいるとき、ふとバッグの中にそれが紛れ込んでいるのを見つけました。
高校時代の私のお姉さまにプレゼントされて以来、瑞穂さんがいないときには何度もお世話になっていた、
快楽を与えるために作られた、インモラルなおもちゃが……それも、3つも……。
その瞬間、私は思いました。やってみよう……これを身につけて、パーティーに参加してみよう……と。
心臓が早鐘を打つ中、私は唾を飲み込むと、それをランジェリーの下に1つ、そしてブラの中に2つ、それをしまいます。
「あ……」
それが自分の性感帯に触れただけで、全身が震えます。
もうガマンできない……今この場で、これのスイッチを入れよう……入れて、一度、この部屋でイっちゃおう……。
そう思い、スイッチを入れようとして、ふと目に入ってきた時計を見ると……。
「やだ! もうこんな時間……」
もう休憩が終わり、パーティーに戻らなくてはなりません。私は未練を残しながらも、スイッチを入れるのを断念して、パーティー会場に戻りました。

パーティーに戻った私は、それまでと同様、立派な一人前のレディーを演じています。でも、頭の中では……
ドレスの中にしまった3つのものを強く意識せずにはいられませんでした。
スイッチを入れたい……でも、こんなところでするわけには……さっきイきそびれたこともあり、私の敏感なところは強い刺激を欲しがっています。
ふと、私と踊っていた相手の手が、私のつけているもののスイッチの近くを通りました。私の心臓が、ドキン……と大きな音を立てます。
私は思いました。もし瑞穂さんが、何らかの事故でコントローラーのスイッチをオンにしてしまったら……と。
もしそうなったら、私は、瑞穂さんの知らないうちに、瑞穂さんの手で、イっちゃうことになるんだ……このドレスを着たまま……。
そう考えただけで、じゅん……とあそこが濡れてきました。
94東の扉:2006/12/02(土) 08:38:12 ID:z4bVEonX0
「あの……鏑木グループの奥様」
はっ……私はそこで呼びかけられ、正気に戻りました。
「世界レベルのダンスの技量をお持ちのあなたらしくないですね。どこか体調でも?」
「いえ、このような場は初めてなので、緊張してしまいまして。もう大丈夫です」
そうだよね。今はこの人の相手に集中しなきゃ。私はエッチな気分を奥にしまいこんで、相手を務めることにしました。

「由佳里、お疲れ様」
「あなた……そちらこそお疲れ様です」
その後、瑞穂さんが私に話しかけてきました。途端に、しまいこんでいたエッチな気分が心の中に溢れてきます。
今までの平常心がウソみたいに、鼓動は高鳴り、胸は硬くなり、あそこはひくひく動き始め、
頭の中は3つのおもちゃとコントローラーを強く意識します。
瑞穂さんの手がコントローラーの近くに……お願い、あなた……そのままスイッチを入れて……ローターを動かして……。
しかし、そんな私の願いもむなしく、瑞穂さんの手が、私のコントローラーのスイッチを動かすことはありませんでした。
私の願いをはっきりと口にできたら、どんなに楽でしょう。でも、瑞穂さんだって知らないことだし、
仮に知ってたとしても、こんなところで言うわけにはいきません。
ダメ……これ以上じらされたら、おかしくなっちゃう……仕方ない、忘れよう。忘れて別のことを考えよう。
でも、私の頭に浮かんでくるのは、瑞穂さんをネタにした、エッチなことばかりでした。
電車の痴漢みたいに、大勢がいる中で、誰にも知られないように、瑞穂さんが私の胸やあそこをさわって、いじくり回してくれたら……。
ヤダ、そんな夢みたいな素敵なこと、本当にされたいよ……。
逆に私が、瑞穂さんの股間をいじくり回すっていうのもいいかも……いったいどれくらいで硬くなるのかな……?
95東の扉:2006/12/02(土) 08:40:56 ID:z4bVEonX0
私の顔がどんどん紅潮していくのがわかります。
そんなことを思っただけで、身体はローターにかき回されてるみたいに、反応しちゃいます。
まだスイッチは入れてないのに……私って、なんていやらしい……。
何度も使っているせいでスイッチをどこに設定すればどんな刺激が来るのかも、すっかり身体が覚えてしまっているせいもあるのでしょう。
私は、完全にその刺激を思い出し、快楽に身をゆだねてしまいたくなりました。
「由佳里、気分が悪いなら、少し休んでれば? みんなには僕から言っとくから」
「は……はい……」
私は、瑞穂さんにそう言われて、おぼつかない足取りでトイレに向かいました。

「はあーっ……」
私はトイレの中に、今までたまったものを流しながら、ため息をつきました。
よかった……これで一息つけた。
ここは最上階のトイレ。そして、最上階は、今日は使われないはず……ってことは、ここで何しても、誰にも気づかれないんだ……。
そう思ったら、あの存在を思い出しました。
ローターのスイッチ……今度こそ入れよう。一度このドレス姿のまま、イってみたいし……。
私は意を決すると、コントローラーのスイッチを入れました。
「ひゃああああっ……!」
私は、求めていた刺激が来たことに、思わず大きな悲鳴を上げてしまいました。
「すごい、すごいよ……」
豪華なドレスを着て、こんな大事な場所で人知れずしていることが、こんなに気持ちいいなんて……というか、こんな場所であんなことばかり考えて、
挙句に体調不良を理由に重要なダンスパーティーをすっぽかして、こんなことをしているなんて……。
「はあはあ……私って……ホントにすごいエッチだよお……」
でも、仕方ないよね。だって、私のだんな様は、魅力的すぎるもの。そう思っていると……。
「ひゃあうっ……!」
突然胸とあそこが強い刺激に襲われ、私の意識は一瞬とぎれました。
96東の扉:2006/12/02(土) 08:42:39 ID:z4bVEonX0
「う……なんだったんだろう? さっきの強い刺激は……」
私は意識を取り戻すと、さっきの刺激の疑問を口にしました。でも、その原因らしいものは何一つありません。
「コントローラー……かな?」
私はコントローラーを見ると、私が設定した弱から、いつの間にか中に設定が変えられてます。
「なんで強くなって……もしかして……」
私はどうやら、刺激を求めるあまり、本能的に強く設定していたようです。
「あはは……ホントにエッチだね、私って……」
私はスイッチを切りながら、その事実に、我ながら呆れてしまいました。
さて、これで、ドレス姿のまま、イくことはできたわけですが……。
「でも、こんなの、イっちゃったうちに入らないよね」
そう、これは予定外のアクシデント。だって、私はイくときは瑞穂さんのことを考えながら……って決めてるもん。
「じゃ、じゃあ、もう1回……」
今までエッチなことを考えながらも満たされなかったこともあって、私はもう1度ローターのスイッチをオンにしました。
「ああっ……!!」
求めていた刺激が、再び私を襲います。
「はあはあ……1回イっちゃったのに……私、なんてやらしい……」
自分でスイッチを入れるだけでこんなに気持ちいいんだから、瑞穂さんに入れてもらったら、
瑞穂さんに私の胸とあそこをいじくり回してもらったら……。
「はああああんっ……!!」
そう考えるだけで、すごく興奮します。もっと、もっと満たされたい……。
「じゃあ、スイッチをMAXに……」
もうすぐイっちゃうんだ……このドレスを着たまま……どうせなら、スイッチを一番強い状態にしてイきたい……。
97東の扉:2006/12/02(土) 09:26:33 ID:z4bVEonX0
「ひうわああああ……!!」
胸とあそこに来る強い刺激を味わいながら、私は思います。瑞穂さん……瑞穂さんのことを考えなきゃ。瑞穂さんのことを考えながらイくのが、
一番気持ちいいんだから……。
今のままでも十分気持ちいいのですが、そこは私のポリシーなので、絶対に譲れません。
瑞穂さん……瑞穂さん……!!
途端に思い出す、優しげな澄んだ瞳と声、そして笑顔……。
「ああああああああっ……!!」
そこで、私の身体と心は最高潮になり、大量の蜜と排泄物を放出して、私は身体の支えを失いました。

「う……ん……」
私は意識を取り戻すと、今までのことを思い出しました。
「あ……私ったら……」
途端に顔が真っ赤になり、恥ずかしい思いがこみ上げてきました。
でも、どうせなら瑞穂さんにエッチなことをされてるシーンを思い浮かべながらイきたかったな……。
もう1度挑戦したいとも思うけど、瑞穂さんや他のみんなにこれ以上心配をかけるのもよくないよね。
ある程度は満足したんだし、この辺で戻らないと……。

そして私は、戻った後も、他の人相手なら平常心でいられるのですが、瑞穂さんの姿を見るたび、身体は火照り、胸と大事なところに存在するものを
意識してしまいます。
そしてパーティーが終了すると、私は再び最上階のトイレに行きました。

「ふう……」
ここに来るまでの間、鼓動はどんどん強くなっていきます。でも、何度もこんな場所で1人エッチをしちゃうなんて……。
でも、ただでさえ素敵過ぎる瑞穂さんが、今日はいつもに増して素敵なんだもん。普通そんな気分にもなるよね、
「じゃあ、もう1回……」
この辺で処理しておかないと、どうなるかわからないから……そう思って、ドレスのスカートをめくりあげると……。
98東の扉:2006/12/02(土) 09:30:04 ID:z4bVEonX0
「由佳里ーっ!」
今のは、うちの人の声?
ガチャッ……。
ドアを開ける音がします。どうやら1人エッチをすることにあせるあまり、鍵をかけ忘れていたようです。
「きゃっ!」
私は反射的にドレスのスカートを下ろしました。
「あ、いたいた」
入ってきたのは、なんと瑞穂さんです。
「あ、あなた! ここは婦人用トイレですよ!? 紳士用は隣です!」
「わかってるよ、そんなこと」
私がそう言うと、瑞穂さんは普通にそう返してきました。
「わかってるって……」
「別にいいじゃない。由佳里以外の女性はここにはいないんだから」
「よくありません!」
「どうして? 由佳里は用を足しに来たんじゃないんでしょ?」
「……え?」
一瞬、私の思考が停止しました。瑞穂さん、どこまで知っているの?
「欲求不満になっちゃったから、処理しようと思って来たんじゃないの? だったら、僕が手伝ってあげようと思ってね」
ドッキーン!!
私の心臓の鼓動が、一気に跳ね上がりました。顔は火照り、湯気が出てきます。
「やっぱりね。だったら、僕にも手伝ってほしいでしょ?」
「あ、あなた……どうしてそれを……」
「どうしてって、普通に用を足すなら、近くのトイレに行けばいいでしょ? それをこんな人気のないところに来るなんて……
それに、今日は別に体調悪くなかったのに、こんなに頻繁にトイレに来てるし……
ていうか、つきあい始めてから、いったい何回由佳里とエッチしたと思ってるの?」
「あ……あはは……そうでした」
今までに瑞穂さんとエッチした回数は、もう数えきれないもんね。私のほうから求めることの方が圧倒的に多かったし。
「……で、今ここで由佳里にエッチなことしたいんだけど、ダメかな?」
うちの人が、そう聞いてきます。もちろん、NOなんて返事を出すわけはありません。
「ダメなわけないじゃないですか! むしろお願いしますよ!」
99東の扉:2006/12/02(土) 09:31:54 ID:z4bVEonX0
「くすっ、わかったよ」
うちの人はそう言って、話しかけてきます。
「ところでさ、由佳里、いつからエッチな気分になったの?」
「そ……それは……」
私がためらっていると、瑞穂さんが言います。
「ひょっとして、最初から?」
「ち、違いますよお……パーティーの緊張にある程度慣れてきてすぐくらいからです……」
「あんまり変わらないじゃない。このドレスを着たまましたら、どんなに気持ちいいだろうって?」
それを聞いた私の顔は、真っ赤になりました。
「そうなんだ。それで、どんなことを考えてたの?」
「どうしても……聞きたいですか?」
「うん。聞きたいな。由佳里が何を考えてたのか」
「私……今日あなたを見ながら……ずっと思ってたの。このドレスを着たまま、みんなの前で、気づかれないようにあなたが
私のあそこや胸をいじくり回してくれたらって……それに、あなたのものを私がいじくり回してみたい……とも思って」
「ふーん……由佳里もそう思ってたんだ」
え? 由佳里『も』? ってことは……。
「じゃ、じゃあ……」
「うん。僕もこのドレスを着た由佳里の胸とかあそことか触れたらな……ドレスを着たままの由佳里とやりたいな……
ってドレス姿の由佳里を見た時から、ずっと思ってたから」
ウソ……!? 瑞穂さんもそんなふうに思ってくれてたの?
「ああ……嬉しい……あなたも、私のこと、そんなやらしい目で見てくれてたなんて……」
「じゃあ、ご期待通りに……」
瑞穂さんは、そう言って後ろに回りこんで私の胸とあそこを触ります。
「はあああ……」
気持ちいい……私の心は安らぎの境地にいるみたいで、それでも、心臓はドキドキして……。
「はあ……ふう……」
ドレスを着たままの私の身体を存分にもてあそぶ瑞穂さん。やっぱり1人でするのもいいけど、瑞穂さんとの方がずっと気持ちいいよ……。
「もう濡れてるの?」
そう言われて、私は自分の胸もあそこも感じてしまってその証が表に出てしまっていることに気づきました。
「だ……だってえ……瑞穂さん……気持ちよすぎるんだもん……」
私は真っ赤に染まった顔をしながら返します。
100東の扉:2006/12/02(土) 10:05:25 ID:z4bVEonX0
「ねえ、由佳里、僕のも触ってくれる?」
瑞穂さんはそう言って私のあそこをいじくっていた手で私の手を持つと、自分の大きくなったものに触らせました。
「あ……」
途端に、私の心臓が大きな音を立てます。もうこんなに大きくなってる……瑞穂さんも、興奮してるんだ……。そう思うと、全身が震えます。
私は、瑞穂さんのものをまさぐり始めました。
「はあはあ……あなた……気持ちいい?」
「う、うん。すごく気持ちいいよ」
瑞穂さんの言葉を聞いて、私のあそこから蜜がドクドク流れ落ちてきます。
「あ……溶けちゃう……私、もう溶けちゃいそうだよお……」
「そう? 早すぎると思うけど、そんなにたまってた?」
「だ、だってえ……」
今日の瑞穂さん、素敵過ぎるもの。
「じゃあ、由佳里の素肌も見せてもらうよ。はだけたところも魅力的だからね」
そう言って、瑞穂さんは私のドレスのスカートを捲り上げ、胸の部分を下ろしました。
「な、何これ……?」
え? あ……。
瑞穂さんに言われて、私は今まで、胸とあそこにローターを入れっぱなしだったことに気がつきました。
「由佳里、今までこんなものしてたの?」
「そ、それは……」
「こんなもの、どうして持ってきたの?」
「紛れ込んでたんですよ……それ見て、これつけたままパーティーに出たらどんな感じかなって思って……パーティーのの最中も、
あなたにスイッチを入れてほしいって……思ってた……そしたら、瑞穂さんの知らないうちに、瑞穂さんの手でイっちゃうんだって……」
「ふーん、じゃあさっきも、トイレでこれ使ってしてたの?」
「そ、そうです……」
「ふーん……」
そう言ったきり、うちの人は不機嫌そうな顔をしてしまいました。。
「あ、あの……ひょっとして、怒ってます?」
「当たり前じゃない」
そうだよね。こんな大事なイベントでこんなことやってたら、怒られても仕方ないよね。
101東の扉:2006/12/02(土) 10:08:00 ID:z4bVEonX0
「ローターにばかりいい思いをさせてさ。パーティーの間中ずっと由佳里の胸とあそこの中にいて、やわらかさと蜜の中で浸らせてるんだもん。
そんなこの世の極楽を僕を差し置いてローターにばかり味わわせてるんだもん。うらやましくないわけないでしょ!?」
え? 怒ってるって、そっちの理由で?
っていうか、私のそんなところがこの世の極楽なんて言われると……怒られてるのに、すごく幸せな気分になってきます。
「あなた……そんな……それがこの世の極楽だなんて」
嬉しさと恥ずかしさのあまり、そのセリフだけで達してしまいそうです。
「それで、僕がするのと、どっちの方が気持ちよかった?」
もちろん、瑞穂さんにしてもらう方に決まってます。でも私は……。
「ど、どっちかって言うと……ローターの方……かな……?」
思うところがあって、そうウソをつきました。すると……。
「ふーん。あっそう。じゃあ、僕はこれで」
そう言って、立ち去ろうとする瑞穂さん。そんな……。
「ま、待ってください!」
私は慌てて、瑞穂さんの腕を掴みます。
「なんで? ローターの方が僕とするより気持ちいいんでしょ? だったら1人でしてればいいじゃない」
瑞穂さんは、すっかりへそを曲げてしまったみたい。まあ、考えてみれば当然だけど……。
「あーん! ごめんなさい! ホントはあなたとする方がずっと気持ちいいの……でもああ言ったら、瑞穂さん怒って、
もっと激しくしてくれるかななんて思っちゃったから、つい……」
「ふーん……そうだったんだ……由佳里って、意外と知能犯だね」
瑞穂さん、機嫌が直ったみたい。
「ああ……あなた……由佳里はすぐローターに浮気しちゃうほど淫乱なの……そんないけない私に、旦那様の気持ちよさを、
もう1度しっかり教えてください」
「くす、ほんとしょうがないね、由佳里は。でも、そんな旦那様を操ろうとするような人には……」
そう言って、瑞穂さんは私のローターのコントローラーを探り当て、スイッチをオンにします。
「あうっ……!」
そして、私の正面に来て私の手を掴んで自分のものに触らせると、自分も私の胸とあそこを再びまさぐり始めました。
「両方同時にしてあげる」
102東の扉:2006/12/02(土) 10:10:01 ID:z4bVEonX0
「あ……あ……ふぁあああああん……!」
気持ちいい……すごく気持ちいいよ……まるで瑞穂さんがローターの動きで愛撫してくれてるみたいで……。
考えてみれば、私が今日瑞穂さんにしてほしいって思ったこと……それを全部一緒にしてくれてるんだ……それに気づくと、すごく嬉しくて……
今まで以上に気持ちよくて……。瑞穂さんのものをじかに持つ手にも、自然と動きが伝わってきます。
「やあっ……ダメ、もうダメーっ!! イっちゃうーっ!!」
「由佳里、僕もだよ……」
「じゃ、じゃあ、同時に……」
「う、うん……」
最後は、やっぱり同時でないと。それが本当に1つになれたってことだし、一番気持ちいいんだから。
「くうううううっ……!!」
「ああああああっ……!!」
瑞穂さんのものと私のあそこから、同時に大量の愛の証を放出して、私たちは同時に果てました。

「はあ……はあ……はあ……」
意識を取り戻した私は、瑞穂さんとのエッチの余韻に浸っています。
「……由佳里、どうだった? 全部してもらった感想は?」
「……なんていうか、すごくよかったです」
「あ、ごめん。僕のが、由佳里のドレスにかかっちゃったね」
「あ……」
私がドレスを見ると、瑞穂さんのがべっとりと……。
「すぐ拭かないと……ちょっと待って」
うちの人はそう言ってハンカチを取り出します。
「いやです!」
「いやですって、拭かないと外に出れないでしょ?」
そう言う瑞穂さんの前で、私は瑞穂さんのを手ですくって口の中に運びます。
「こういう処理方法もあるんですから、ハンカチで拭いたりしちゃもったいないですよ。ふふっ、おいしい……」
「そう? じゃ、僕も」
うちの人はそう言うと私の蜜にまみれた手をなめつくします。
「あ……」
やだ、そんな瑞穂さんを見てたら、また感じてきちゃった……。
103東の扉:2006/12/02(土) 10:41:29 ID:z4bVEonX0
「でも由佳里、そんなに僕のが好きなら、今度ハンバーグにかけて食べてみれば?」
それを聞いて私は、すぐにそれを想像します。
「瑞穂さんのがたっぷりかかったハンバーグ……うわあ……」
考えただけですっごくおいしそう……私の口からは、よだれがどんどん流れていきます。
「じょ、冗談なのに……」
それを聞いてうちの人は、半ば呆れた口調で言いました。
「じゃあ由佳里、そろそろ帰ろっか」
「えーっ!? もうですか? もう1回、入れてくださいよお」
「もう、わがまま言わないの。帰ったら、ドレスのままで、朝までしてあげるから」
「わあ……」
その言葉に、私の心は喜びと期待で満たされてきました。
「あ、でも、全部中に出してくださいね?」
「……そのセリフ、もう耳にクラーケンができるほど聞いてるんだけど?」

※ クラーケン……北欧神話に登場する、タコの怪物。ちなみに「耳にたこができる」のたこはペンだこや竹刀だこのたこであり、動物のタコではない。

「あはは……」
「じゃあ帰るよ。父様や楓さんとの話が終わったら、由佳里の部屋に行くから」
「あんまりじらさないでくださいよ? まちくたびれたら、1人でしちゃうかもしれませんから」
「わかったよ。なるべく早く行くから」
そう言って私たちは、最上階のトイレから出ました。
104東の扉:2006/12/02(土) 10:47:31 ID:z4bVEonX0
「あらあら、やっと一時休戦ですわね」
「あんだけやっといて、もうすっきりしただろうなって思ったらまだなんて、ゆかりんすご過ぎよねえ……」
「ま、まりや!! 紫苑さん!!」
「お姉さま!! 紫苑さままで!!」
私たちがトイレの個室を出ると、そこにはまりやお姉さまと紫苑さまのお姿が……。
「でも、これで帰っていただいて、やっと肩の荷がおりますわ」
「ええ。正直、精神的にかなり疲れましたから」
「2人とも、なんでここにいるんだよ!」
「なんでって、上流階級の人間が集まる国際親善パーティーだよ? 御門家のあたしも、当然参加してるわよ」
「もちろん、あなた方鏑木家や貴子さんの力で立ち直った十条家の私も、ですわ」
そうでした。私はそこまで考えてなかったけど、このお姉さま方が参加しておられる可能性も、当然あったわけで……。
「それにしても、若いっていいですわね」
「ええ。よく聴くことができましたから」
「聴くことができたって、こんなところで何を聴いてたんだよ!?」
「何をって、ねえ、まりやさん」
「ええ。そうですわ。紫苑さま」
そう言うと、お姉さま方は意地悪そうな笑みを浮かべました。
「『私……今日あなたを見ながら……ずっと思ってたの。このドレスを着たまま、みんなの前で、気づかれないようにあなたが
私のあそこや胸をいじくり回してくれたらって……それに、あなたのものを私がいじくり回してみたい……とも思って』」
「『僕もこのドレスを着た由佳里の胸とかあそことか触れたらな……ドレスを着たままの由佳里とやりたいな……
ってドレス姿の由佳里を見た時から、ずっと思ってたから』」
「『ああ……嬉しい……あなたも、私のこと、そんなやらしい目で見てくれてたなんて……』」
紫苑さまが瑞穂さんの、まりやお姉さまが私のセリフを口調までそっくりにして言います。途端に私とうちの人の顔は真っ赤になり、
顔から大量の水蒸気を放出しました。
105東の扉:2006/12/02(土) 10:49:54 ID:z4bVEonX0
「『ローターにばかりいい思いをさせてさ。パーティーの間中ずっと由佳里の胸とあそこの中にいて、やわらかさと蜜の中で浸らせてるなんて、
そんなこの世の極楽を僕を差し置いてローターにばかり味わわせてるんだもん。うらやましくないわけないでしょ!?』」
「『ああ……あなた……由佳里はすぐローターに浮気しちゃうほど淫乱なの……
そんないけない私に、旦那様の気持ちよさを、もう1度しっかり教えてください』」
「わーっ!! わかったわかったわかった、わかったからやめてーっ!!」
うちの人が顔を真っ赤にしながら両手で耳を塞いでそう言います。私はというと、恥ずかしさのあまり、腰を抜かしてしまいました。
「なっはっはっはっは……いい味出してるーっ!!」
「ええ、こんな反応されたら、クセになっちゃいそうですわね」
「ええ。まったく同感ですわ、紫苑さま」
……お姉さま方、そんなことクセにしないでください。お願いですから。

「もう、2人とも悪趣味が過ぎるよ」
「あら瑞穂ちゃん、あたしたちは感謝されることはあっても、文句言われる筋合いはないよ!?」
「な、なんでだよ?」
「お2人の秘め事を、どなたにも聞こえなかったと思えば、私たちが聴いたことなんて、差し引いてもお釣りがくるでしょう?」
「で、でもどうせ、こんなところ、使ってないから誰も来ないでしょ?」
「イベントではね。でも、ダンパの後、この近くで明日やるイベントを見に来たいろんな国の大使が最上階に泊まるのよ。
そのチェックをしないなんて、2人とも抜けてるわよね」
え? そうだったの? 完全に見落としてた。
106東の扉:2006/12/02(土) 11:18:44 ID:z4bVEonX0
「では、ここで問題ですわ。どうしてこのトイレに、どなたもお入りにならなかったのでしょうか?」
「ま……まさか」
「そのまさか、ですわ」
「私と紫苑さまが、このトイレに『清掃中』の札をかけたり、大きな音の音楽を流したりと、トイレの中の声が聞こえないように
懸命に細工をしたからなのでありまーす!」
ガーン!
絶対に秘密を知られたくないない人たちの前で無防備にやってたばかりか、その人たちに致命的なミスのフォローまでしてもらっていたなんて……。
私は、腰を抜かしたまま、がっくりと両手を床につけました。
「あらあら、夫婦そろって落ち込んでしまわれましたわね」
「瑞穂ちゃんは由佳里のエロいとこが完全に伝染っちゃったみたいだし、お互い変なとこばかり影響受けまくりよねえ」
この後私たちは、1週間ほど立ち直れませんでした。
あと、私たちの絡みがお姉さま方に隠し撮りされてたのは言うまでもなく、聖央の友人たちの前でそれを見せられて、
再び死ぬほど恥ずかしい思いをすることになったのでした……。

Fin
107東の扉:2006/12/02(土) 11:27:39 ID:z4bVEonX0
東の扉です。

11話初のエロネタ、ということで書いてみました。
相手が由佳里ちゃんばかりで申し訳ありません。もう見飽きている方も結構いるんじゃないかな、と思いますが。

EDを見てふと思いついたのですが、由佳里ちゃんならありかな、と。

こんなのばっかり書いている自分はもうダメかな……と思ってしまいます。
それでは、駄文失礼しました。
108名無しさん@初回限定:2006/12/02(土) 12:45:05 ID:9giR+yOh0
前スレでも言われてなかったか?
作品リストの修正等、まとめサイトに関する件は直接サイトの方に申し出るようにと。
ttp://takayan.s41.xrea.com/otoboku/index.shtml
109おとボクまとめ中の人 ◆OTBKTbDm8M :2006/12/02(土) 13:29:42 ID:+0Gs6b0U0
>>91
東の扉さん:

(1) 「「ゆかりんのひとりでできるもん!」「まりやさまはしってた」後日譚」
とは、具体的にどの作品のことでしょうか?

(2) 「ショートトークドラマ:やるきねこがみてる」
の件は、私のリスト作成時のミスです。申し訳ありません。きょうの更新時に修正します。
(Qooさんもごめんなさい……)

>>108
一度ルールを整理しておきます。

まとめサイトへの反映/修正依頼については、

(1) 葱板のSSスレ(ここ)に投稿された作品についての依頼はここでOK。
(2) まとめサイト別館のSS投稿掲示板に投稿された作品についての依頼は、まとめサイトのメールフォームまたはWeb拍手から。

ご覧になっていらっしゃる方々の混乱を防ぐためにも、使い分けのほどよろしくお願いいたします。 m(_ _)m
110東の扉:2006/12/02(土) 15:20:08 ID:z4bVEonX0
>>109

「「ゆかりんのひとりでできるもん!」「まりやさまはしってた」後日譚」は、「ほころび始めた縁」です。
以前も書きましたが、「ほころび始めた縁」の舞台は、Qooさんの作品であるその2つの作品の直後からの続き、という設定です。

念のために書いておくと、「ゆかりんのひとりでできるもん!」「まりやさまはしってた」は、
作品番号10−004、010、026、040の4つです。

それでは、よろしくお願いします。
111おとボクまとめ中の人 ◆OTBKTbDm8M :2006/12/02(土) 17:28:21 ID:+0Gs6b0U0
>>110
わかりました。
「第10話の作品リスト」と、「作者別作品リスト・その2」の記述を少しいじってみます。本日中には一度更新します。

それから、作品番号でお話しいただいていること、ご配慮ありがたく存じます。でも、レス番号でお話ししていただいた方が、ここだけにいらしている方には通じやすいと思います。
それでは、失礼します。
112451 ◆GtN0Plfghk :2006/12/07(木) 19:04:48 ID:O7FkW59G0
『 甘い罠 その1 』

「うう〜、12月になったらやっぱり寒くなったね〜」
寮に戻ってきた瑞穂ちゃん、ドアの取っ手の冷たさが厳しい季節の訪れを告げています。
「ただいま戻りました」
「お姉さま、お帰りなさいなのですよー!」
「お帰りなさい、お姉さま!」
「あら?奏ちゃんに…由佳里ちゃん?」
いつもの寮母さんの出迎えではありません。
「どうしたの?今日は早いのね」
「えへへー、帰り道にちょっと思い付いたことがあって」
「奏も由佳里ちゃんのお手伝いなのですよ〜」
「二人で何をしてるの?」
「お姉さま、とりあえずカバンを置いてきてくださいなのですよ〜」
「よろしければ厨房にいらして下さいね」
「…何だか楽しそうね。わかったわ」
二人に急かされるように、瑞穂ちゃんは自分の部屋に向かいます。

厨房に来ると、ほんのり甘い香りが漂って来ます。
「…良い匂いね。何か煮ているの?」
「はい。あずきです」
「奏は白玉係なのですよ〜」
「あずきに白玉っていえば…お汁粉ね?」
「はい!粒餡と濾し餡を用意しますから、ぜんざいとお汁粉、どちらもできますよ」
「へぇ…凝ってるわね」
「白玉もちゃんと粉から練ってあるのです。本格的なのですよ〜」
「さすがは由佳里ちゃんね。でもどうして?」
「甘味処に行ったんですけど、結構高かったんです。なら自分で作っちゃえ!って」
「それに、みんなで食べた方が美味しいと思うのですよ〜」
「そうね…体も温まりそうだし、何だか楽しくなりそうね」

―続く―
113451 ◆GtN0Plfghk :2006/12/07(木) 19:07:31 ID:O7FkW59G0
『 甘い罠 その2 』

「じゃあ、わたしにも何か手伝えることはないかしら?」
「いえ、お姉さまは待っていて下さい!あずきが煮えたらほとんど終わりですから」
「そうなのです!餡を濾すのも二人で大丈夫なのですよ〜」
「なんだか悪いわね…本当に良いの?」
「うーん…それならこれをお皿に取っていただけますか?」
「これは…柴漬けと小梅?」
「はい。餡の甘さは控えめですけど、口直しにこれをつまむと良いんですよ」
「たくさんいらないと思うので、人数分小皿にお願いしますのですよ〜」
「お安い御用だわ。他には?何でも言ってね」
「えーと、お椀は…ここには無いんですよね」
「代わりになりそうなのは…スープカップで何とかなりそうなのですよ〜」
「入れ物は仕方ないわね。じゃあ、テーブルの方の準備はわたしがするわ」
「すみませんが…お願いします、お姉さま」

「う〜さむさむ!たっだいまー…あれ?何だか良い匂いだねー」
「お帰り、まりや。外は寒かったでしょう」
「うわ!瑞穂ちゃんがエプロン姿でお出迎え!って…まっまさか?!」
「どうしたの?とんでもなく驚いてるみたいだけど」
「瑞穂ちゃん…もしかしなくても…コスプレに目覚めた?!」
「あ、あのねぇ…」
「いや…何も言わなくて良いのよ。半分はあたしの責任だから」
「いやその…」
「うんうん。良く似合ってるよ…でも…胸の奥に悲しみが湧き上がるのは何故?」
「えーと、何か激しく勘違いしてない?」
「でも…これだけは言わせて…は●かエプロンだけは…そこまで逝ったらあたしは止めるよ?」
「なななっ!とにかくカバン置いたら食堂集合、わかった?」
「にゃはは〜冗談よ、冗談。何か作ってるみたいだね。すぐ来るよ〜♪」
「はぁ…急に疲れが…」

―続く―
114451 ◆GtN0Plfghk :2006/12/07(木) 19:09:19 ID:O7FkW59G0
『 甘い罠 その3 』

「お待たせしましたー!」
「おっ、お汁粉じゃない。由佳里もなかなか気が利くわねー」
「粒餡と濾し餡、お好きな方で召し上がって下さいなのですよ〜」
「二人ともお疲れさま。用意は出来てるから席に着いてちょうだい」
「んじゃさっそく…」
「「「いただきまーす!」」」「なのですよー!」
「ん〜しつこくない甘さが良いねぇー。こりゃ三杯はいけるわ」
「まりや…また後で泣いても知らないわよ?」
「甘いものは別腹って言うじゃない。いや、でもホント美味いよコレ」
「たくさんありますから、どんどんおかわりして下さいね!」

「いや〜食った食った。由佳里、奏ちゃん、ごちそうさま」
「はい、お粗末さまでした」「なのですよ〜」
「たまにはこういうのも良いわね。またお願いできるかしら?」
「わたしはいつでも良いですよ。作っていて楽しいですし」
「奏もいつでもお手伝いしますのですよ〜」
「ん〜でも何か物足りないな…ねぇ、あたしもちょっと作っていい?」
「………え」「まりやお姉さまが…」「料理…なのですか…?」
「なによー。あたしが料理するのは不服?」
「い、いや…そうは言わないけど」
「なーに、ものの10分もありゃ出来るから。ちょーっと待っててね」
言うが早いか、まりやは厨房に駆け込みます。

「自信満々…だったわね」
「何だか…とてつもなくイヤな予感が…します」
「奏…ここで終わっちゃうのですか…?」

「よーしっと。みんなー、出来たよー!」

―続く―
115451 ◆GtN0Plfghk :2006/12/07(木) 19:11:24 ID:O7FkW59G0
『 甘い罠 その4 』

「お・ま・た・せー!」
両手ナベを持ったまりやが食堂に現れます。
「な…何を作ったのかな…」
「そんなに警戒しなくても良いよ。ただの甘酒だから」
「えっ?見た目はまとも…ですね」「ちゃんと麹の粒々も浮いているのですよ…」
「あんまり甘くしなかったから、お汁粉の後でもいけるはずだよ」
「じゃあ…い、いただきます」「主のご加護がありますように…」「奏…生きていたいのですよ…」

「…あれ?」「普通の…」「甘酒…なのですよ」
「でしょー?まりや様を見くびってもらっちゃあ困るなー」
「でも…普通よりも辛口なのね。酒粕が新しいのかしら?」
「は?酒粕…何それ?」
「何って…甘酒って酒粕を溶いて、砂糖で味付けするんじゃなかった?」
「…ヤバ」
「まりやっ!何使ったの?!」
「まぁ…今さら見ても仕方ないと思うけど…」
いったん席を立ち、厨房から戻ったまりやが手にしていた物は、空の一升瓶です。
「活性原酒…濁々(だくだく)?!これって濁り酒じゃない!」
「いやー、お徳用の甘酒の素だと思ったら…違ったのね」
「「…ってことは…」」
「なんらか…からだが…ヒック」「奏…ふわふわするのれすよ〜ヒック」
「あの二人…出来上がっちゃった…?」「ど、どうするの〜?!」

「ま〜り〜や〜おね〜さまっ!ここに座ってくらさい!もち、正座で…ヒック」
「瑞穂ちゃ〜ん!由佳里が絡んでくるよー!助けて〜!」
「んふふ〜♪おね〜しゃま〜!奏と踊るのれすよ〜ヒック」
「こっちも離してくれそうもないよ〜!何とかしてぇー!!」

狂乱の宴は、夜半過ぎまで続きました…。                                          
                                                              ―完―
116451 ◆GtN0Plfghk :2006/12/07(木) 19:12:28 ID:O7FkW59G0
忘年会シーズンです…呑み過ぎにはご注意を。
117名無しさん@初回限定:2006/12/07(木) 21:19:55 ID:nej/GnUi0
GJです。
エプロン姿の瑞穂ちゃんは意外でいいな
118小ネタを一つ:2006/12/08(金) 19:12:40 ID:noMeJUBf0
圭「もうすぐ二学期も終わりだから演劇部のみんなで忘年会でもしましょうか」
奏「そういえば名簿に名前があるのに一度も部活に出てきていない人もいるのですよ〜」
圭「幽霊部員ね…」
奏「そういう人たちにも声をかけるのですか?」
圭「一応、聞いてみようかしら」
じゃら
懐から何かを取り出した圭さん
奏「ぶぶぶぶぶぶぶ部長さん、なんで数珠なんて取り出しているのですか〜〜」
圭「必要だから」
奏「へへへへ変なお経唱えないでくださいナのですよ〜〜なんだか寒気がするのですよ〜〜」
美智子「本物の『幽霊』部員は呼ばなくていいと思いますよ、圭さん」
圭「ちぇ、つまらない」
119東の扉:2006/12/09(土) 08:31:25 ID:T0CsnZQi0
「うーっ……」
僕、宮小路瑞穂こと鏑木瑞穂は、今、ものすごく落ち込んでます。
「瑞穂ちゃん、いつまで落ち込んでるのよ。たかが芝居のセリフでしょ?」
まりや、だけど、圭さんに“なりきって演じる”ように言われたから、あのセリフがめちゃくちゃへこむんだよ……。

〜禁じられたセリフ〜

僕がこの劇……というか、2時間ドラマみたいに映像で動くゲームキャラを演じたのは、圭さんが持ちかけた話からだった。
「恋愛ゲームのシーンを演劇で演じる?」
「そう。それでリアルに楽しめるようにしようという話。その試作品」
「そんなこと言われても……」
「試すには、エルダーの力が必要。ちなみに、紫苑さまと生徒会長には、承諾いただいた」
……またまりやあたりが動いてるのか? 受けざるを得ない状況だな……。
「それで、私はなんてゲームのなんてキャラを演じればいいんですか?」
「ゲーム名は『恋週間』」
「恋週間?」
「で、瑞穂さんの役は、メインヒロインの安岡美穂と、その双子の弟の平木美央の2役」
「メインヒロイン……」
エルダーであることを考えれば、必然かな……。
「……安岡美穂って、どんな女の子なんですか?」
「そうね。気が強くて意地っ張りで行動的な女の子、かしら」
「なんか私と似ていない気がするんですけど……」
「でも投票で決まったもの。仕方ないわ」
「投票……ね」
「それで、美央の名前で男装して主人公の住む男子寮のルームメイトになるの」
……そこは僕と真逆だな。
120東の扉:2006/12/09(土) 08:33:36 ID:T0CsnZQi0
「じゃあ、平木美央は、どんな男の子なんですか?」
「美穂とは正反対の性格ね。ちなみに美央も攻略対象のキャラだから」
「え……?」
そ、それってどういう?
「美央は外見美穂とほとんど同じだから。美央は主人公に自分を一途に思う美穂のことを告げるけど、それでも美央を選ぶの」
緋紗子先生と詩織さんのような感じか……男じゃなくて美央が好きってこと……。
そうやって、圭さんのキャラの解説は続いた。

「それで、瑞穂さん、お受けいただけるかしら?」
「ちょ、ちょっと待ってください! それってPCゲームですよね!? ってことは、なんていうか、その……」
「大丈夫。エッチシーンは省くから」
読まれちゃった……でも、それなら大丈夫だよね。
「ええ。わかりました」
思えばこの時、台本の確認もせずに安易に引き受けてしまったのが失敗だった。

「瑞穂さん! 声が小さい!」
……そんなこと言われても、まさかこんなセリフがあるなんて……このセリフを大声で言えって方が無理だよ……。
恋週間の練習で、指導している圭さんに怒られながら僕はそう思った。
「え……えっと……ね……『ねえ、僕の身体、貧弱だろう? 僕は本当は、女として生まれてくるべきだったんじゃないかと思うんだ。
君はどう思う?』」
「やっぱり声が小さい……自分のことじゃないんだから、軽い気持ちでやるように」
いや、半分は自分のことみたいなんだけど……こんなの軽い気持ちでやれないよ……。
まさか美央に、こんなセリフがあったなんて……。

「じゃあ、今日はお疲れ様でした。これで解散」
「お疲れ様でした」
そしてようやく2時間の練習は終了した。僕にとっては、拷問のような2時間だったよ……。
121東の扉:2006/12/09(土) 08:35:45 ID:T0CsnZQi0
「うふふふ……瑞穂さん、あのセリフを言うときの顔ったら……うふふふふふ……」
「紫苑さん……勘弁してください」
「でも、ホント見ものだったわよねえ。瑞穂ちゃんにとっちゃ、シャレにならないセリフだもんねえ」
……だから、それを言わないでよ。気にしてるんだから。
そんな感じで、練習後の僕は同じ出演者のまりやと紫苑さんにからかわれ続けた。

「いけない。こんなこと気にしていちゃダメなんだ! ただの他人のセリフなんだから」
で、でも、あのセリフは……。
『僕の身体、貧弱だろう?』『女として生まれるべきだった』
や、やっぱりシャレにならないよ……。
「うううう……」
僕は、その場で両手をついて落ち込んでいた。

「ううううう……」
練習が終わり、今日も僕は寮で1人落ち込んでいた。
「ねえ、瑞穂ちゃん、そんなことでいつまでも落ち込んでちゃ、身が持たないよ?」
「そ、それはそうなんだけど……ううう……」
正直、もう泣きたいよ……。
「でもさ、瑞穂ちゃん、ホントに生まれてくる性別間違えちゃったんじゃないの?」
まりや、それだけは言わないで……誰か、誰でもいいから否定してほしいよ……。
「まりやお姉さま、何おっしゃってるんですか!」
「そうなのですよ、まりやお姉さま! そんなわけないじゃないですか!」
そこへ、奏ちゃんと由佳里ちゃんが降りてきた。
「由佳里、奏ちゃん、いつからそこに」
「たった今ですよ! 一緒に降りてきたら、まりやお姉さまがお姉さまの性別がどうとかいう声が聞こえたので……」
「まりやお姉さま、ご冗談にもほどがあるのですよ!」
「そうですよ! 瑞穂お姉さまが生まれてくる性別を間違えてるなんて、そんなわけないじゃないですか!」
奏ちゃん、由佳里ちゃん……嬉しいよ、そこまでまりやのセリフを否定してくれるなんて……。
122東の扉:2006/12/09(土) 09:17:11 ID:T0CsnZQi0
「お姉さまは、間違いなく女性として生まれてくるべき人なのですよ!」
「そうです! お姉さまのどこに男性の方がふさわしい面があるっていうんですか!?」
ガクッ……そ、そうだった……奏ちゃんと由佳里ちゃんにとって、まりやのセリフは真逆の意味を持ってるんだった……。
「生まれてくる性別を間違えたというのなら、まりやお姉さまの方だと思うのですよ!」
「……確かに瑞穂お姉さまより、まりやお姉さまの方が100万倍男っぽいよね」
あ、まりやも落ち込んじゃったみたい……そういう僕も、今のセリフでますますへこんだ……。
「ゆ、由佳里ちゃん! まりやお姉さまも落ち込んでしまわれましたのですよ!」
「……ってことは……か、勝った! 私、初めてまりやお姉さまを言葉で打ち負かしたんだ! ちょっと感動……」
由佳里ちゃん……普段まりやにどんなこと言われてるの?
「でも、お姉さま、落ち込まれたままなのですよ」
「そんなにまりやお姉さまに言われたことがショックだったのかな……私たちの言ったこと、ウソだと思われてるの?
それとも聞こえてなかったのかな?」
いや、聞こえてたし、ウソだとも思ってないよ……だから落ち込んでるんだから……。
「お姉さま、しっかりなさってくださいなのですよ! どこのどなたがなんと言おうと、
奏はお姉さまは女に生まれて正解だと思っていますのですよ!」
「私もですよ! お姉さまは、女性らしさに溢れた、最高の女だと思ってますから!」
奏ちゃん……由佳里ちゃん……悪いけど、一生懸命励まそうとしてくれてる気持ちが嬉しいだけに、その分へこんじゃうよ……。
ちなみに撮影が終了してから、僕は1週間ほど立ち直れなかった……。

「さあて、おかげさまをもちまして、ゲーム発売と相成りました!」
「わあ……」
奏ちゃんと由佳里ちゃんが、拍手でゲームの完成を祝う。
「じゃあみんな、私は部屋でお勉強してますから、楽しんでね」
「えーっ!? いいじゃないですか、お姉さまもご一緒に楽しみましょうよ!」
「でも、私は恥ずかしいですから……みんなで楽しんで……」
正直、できれば全部のゲームデータを抹消してほしいくらいだからね。
123東の扉:2006/12/09(土) 09:19:09 ID:T0CsnZQi0
「いやー、恋週間聖央バージョン、大好評だわ」
僕としては、あんまり嬉しくないんだけどね。
「お姉さまがご出演なさってますから、当然だと思うのですよ」
「そうよね。瑞穂ちゃんのとこにも、絶賛する手紙が後を絶たないそうよ。中には変な内容のも3割くらい来てるらしいし」
「ま、まりや……」
「瑞穂ちゃん、安岡美穂と、平木美央、どっちで欲情してる方が多い?」
「ぶはっ! な、何聞いてるのよ、まりや?」
「いいじゃないの、減るもんじゃないし。で、どっちの方が多いの?」
「さ、さあ……数えたことないけど、半々ぐらいかしら?」
「まあ、確かにあれだけで何回かおかずにできるけどね」
まりや、なんなんだよそれは!? っていうか、そんなこと言わないでよ……。
「由佳里なんか、あれで2ケタはおかわりしてるんじゃないの?」
「……なっ!」
「で、由佳里はどっちを使ってんの? 美穂? 美央? それともまとめて姉弟どんぶりかにゃ?」
「い、意味さっぱりですよ! そ、そんなことしてるわけないじゃないですか!」
由佳里ちゃんは真っ赤な顔で声を裏返して必死で否定する。
「まーたまた。今さら隠さなくてもいいじゃなーい。で、どれが正解なの?」
「まりや、あんまり由佳里ちゃんをいじめないの」
「へいへい……でもさ、どっちの瑞穂ちゃんも素敵よね」
「そうですね。男装しておとなしくて優しいいつもに近い少年を演じてるお姉さまも、
元気いっぱいで活発な女の子を演じてるお姉さまも輝く魅力に溢れていましたよね」
「はいなのです。お姉さまは、何を演じても素敵なのですよ」
その後も、恋週間の話題は至る所で耳にすることになった。僕はそのたびに、あの忌まわしいセリフが脳裏をよぎり、落ち込みそうになるのだった……。

「瑞穂ちゃん、瑞穂ちゃんを主役にしたリアルな恋愛ゲーム第2弾の希望が殺到してるんだけど……」
「い、イヤだーっ!! もう勘弁してーっ!!」
僕のこの後も、この手の恋愛ゲームに出演することになり、また振り回され、落ち込むことにもなるんだけど、それはまた別のお話……。

Fin
124名無しさん@初回限定:2006/12/09(土) 09:59:59 ID:o0MtKLQb0
>>119-122
GJ!
アニメ化作品のサントラにはいってる「Amusement」をBGMにして読んだら、はまったも何も……。
125ダルマが転んだ:2006/12/09(土) 10:03:56 ID:QVFBk73j0
>>91東の扉さま
遅レスですがどうもです。
先日、パラダイムの小説2冊買って読みましたが、ゲームとはまた趣が違いますね。
ジャイブ版は手に入りませんでした。orz
126792 :2006/12/10(日) 14:37:39 ID:1PZu+L6c0
貴子が好きならジャイブ版は外せない
127あまの めぐみ:2006/12/10(日) 15:14:08 ID:91zfd+W40
『紫苑さまのひみつ』

「瑞穂さん、次は体育の授業ですわ。」
「ええ、まりやさんがまだ来てませんけど、先に参りましょう。」
瑞穂は、よいしょっと声を出し机の横にぶら下がっている体操着袋を取り上げると、紫苑と共に着替えを持って更衣室に向かった。
「はっはっはっ。あ、瑞穂ちゃんじゃなかった。お姉さま、紫苑さま。遅れましてごめんなさい。」
「まりやさん、どうしたんですか?」階段に向かう廊下を、息を切らしながら走ってきたまりやに、恐る恐る理由を聞いた。
「ごめんねー、また貴子のやつに、ねちねちねちねちと嫌味をいわれちゃってさー、」
「ちょっと、まりやさん、言葉遣い!地が出てますよ。」
「あら、ごめんあそばせ、お姉さま」ペロッと舌を出すまりや。
「うふふふ」
「紫苑さま〜、何お笑いになってるんですか〜」
「まりやさんと貴子さん。相変わらずの関係でうらやましいのです。わたくし、病気がちだったからそのようなお友達もいなかったの。」
「紫苑さま?ケンカ友達はあんまり精神衛生上良くないですよ?」
「紫苑さん・・・・」
「今は瑞穂さんのおかげで、こんなにお友達が増えましたわ。わたくしとってもうれしいんですの。」

やがて更衣室にたどり着くと、紫苑とまりやが瑞穂をブロックして、着替えを始める。
とはいえ、かなりの生徒がすでに着替えを終えて校庭に出て行っているのであまり隠さなくてもいいような雰囲気になっている。
「瑞穂ちゃん、たまにはブルマーで授業受けなよ。」
「え?えええ?何言い出すのよ。まりや・・・さん?」
「わたくしも、瑞穂さんのブルマー姿見たいですわ。」
「はい、これ瑞穂ちゃんの為に買っておいたブルマーだよ。」
まりやは自分の体操服袋から「3A 宮小路瑞穂」と書かれたブルマーを取り出すと、着替え始めようとしている瑞穂に渡した。
「そんな〜、紫苑さんまで・・・・とほほ・・・」がっくんとしゃがみこむ瑞穂。
「「あ、落ち込んだ♪」」二人とも悪人ですよ。と瑞穂は落ち込んだ背中で抗議した。

128あまの めぐみ:2006/12/10(日) 15:14:58 ID:91zfd+W40
『瑞穂ちゃん、ショーツの時だって見えないように処理してるんでしょ?
大丈夫だって、ショーツだってこんもりなんかしてないしさ。女の子でも土手高の娘もいるからさ。』まりやが瑞穂に耳打ちをする。
(それはそれで、男の矜持をいたく傷つけられるんですけど・・・)瑞穂はさらに落ち込む。
「な・・・何おっしゃってるの、まりやさん・・?」完全に目が泳いでいる。
「まあ、女の子だって聖人君子みたいなわけじゃないんだからさ。」
「うぐ・・・やっぱり着ないと駄目ですかぁ?」
そういうと、諦めたのかワンピースを着たまま、ブルマーを履き始める。
(あら、ま。こういう所はすごく女の子だよ。瑞穂ちゃんv)
恵泉女学院の制服はワンピースというと少々語弊がある。
バスト部は下に着込んだブラウスが露出する胸当て部の無いワンピースだ、厳密に言うと2ピースなのだがそれはさておき。
瑞穂が、そのスカート部を脱ぐとそこにはスラッとした美脚が現れた。
「う、相変わらずあんた女の敵ね。」まりやは自分がそそのかしてブルマー姿にさせたのを棚に上げて文句を言っている。
「まりやは運動してるから筋肉がついてるでしょ。」
「うー、最近は筋肉がつきすぎて、子持シシャモなのよ。」
「うあ!?ちょっ・・・ちょっと紫苑さん、何してるんですか!」
まりやが足元を見ると紫苑がうれしそうに瑞穂の足に頬ずりをしたり両手でなでまわしたりしている。
「あら、わたくし妬けちゃいますわ。こんなに綺麗なおみあしなんですもの。」
「私は紫苑さんくらいの方が女性としては魅力的だと思いますよ。その。胸も大きいし・・・」
「むきーーー、瑞穂ちゃん!なんでそこであたしの胸を紫苑さまの胸を見比べるかなあ?せくはらよせくはら。」
「わたくしは、薬の副作用で太ってしまうの。だから。」
(そういえば、紫苑さまはいつも食事の量が少なめだ。)とまりやは気がついた。
(瑞穂ちゃんは男だから運動部に所属しているあたしや、由佳里ほどではないが、そこそこ食べる。
というか、横道にそれるが瑞穂ちゃんは平均的女子の食事量で済んでいるのが不思議だ。
奏ちゃんほど少食ではないが、紫苑さまのお弁当は小さめだし、学食メニューは、おかず交換レートが1:2位の分量比なので実際は半分ぐらいしか食べてないのだろう。)
129あまの めぐみ:2006/12/10(日) 15:17:17 ID:91zfd+W40
「えーと、ごめんなさい。」瑞穂があやまる。
「? 瑞穂さんは何も悪いことしてませんけど?」
「いえ・・・でもやっぱり・・・」
「そういえば、紫苑さまって体育のある日はいつもロングブラですね。」まりやが話題を変えようとした。
「ええ、やっぱり普通のブラだと胸を支えきれなくて、痛くなってしまうんです。わたくしとしては、瑞穂さんくらいの大きさがいいのですが。」
「し・・・紫苑さん!そこで胸を揉まないでください。あん♪ 今日はへんな気持ちになったらまずいんですってば!」
「お姉さま、紫苑さま、まりやさん。予鈴がなりましてよー!早くお着替え済ませてくださいねー」
すでに更衣室には3人以外残っていない状況だった。あわてて着替えをすますと校庭に急いだ。

キャーーーーーーーーーーッvvv黄色い歓声が上がる。それを聞きつけた校舎の中に居た生徒たちも窓から覗き込み歓声をあげる。
「え、なに?」
「瑞穂ちゃん、悩殺しすぎ。」
「あ、お姉さま珍しいですね。今日はブルマーですか?」
「・・・・瑞穂さん・・・・ぐっじょぶ・・・・」
「け・・・圭さんまで。」

「お、宮小路。今日は強烈かわいい格好してきてるな。あんまり他の生徒を悩殺したらダメだぞ。授業にならなくなるからな。あっはっは。」
「先生まで・・・・とほほー」
「はい、せいれーつ!。おはよう!じゃあ、今日の授業は新体操をやりたいと思います。」

130あまの めぐみ:2006/12/10(日) 19:57:00 ID:91zfd+W40
準備運動はペアで柔軟体操だ。身長の関係から瑞穂は紫苑と一緒だ。
「瑞穂さんがいらっしゃるおかげで、体育の準備運動も安心して出来るようになりました。感謝してますわ。」
「この学院の同学年で165以上の方は瑞穂さんだけです。昨年もそう変わりませんでした。だから私、相手の方が押しつぶされちゃわないかと気が気ではありませんでした。」
「そんなことないですよ。紫苑さん。」
「瑞穂さん、体重49キロだったじゃありませんか。」
「はい。そうですね。もう少しあってもいい気がするんですが。」
「あの、わたくし・・・ろ・・・60キロもあるんですよ・・・・」
「え?何が問題なんですか?」
「瑞穂さんの正体のこと忘れてましたわ。まあ、女心を判ってらっしゃらないのね。」くすりと笑うと、開脚前屈をしようとしている瑞穂の背中にきゅっと体重をかけてきた。
「し・・・紫苑さん!胸!胸が当たっています!」
「あら、女の子同士なんだから気にしないのよ。それにしても瑞穂さん柔らかいのですね。180度開脚してるの瑞穂さんくらいですわ。」
「ええ、実は幼稚園くらいの頃に体操教室へ通わされまして。やっていたのは床運動とか平均台とかばかりでしたけどね。」
「良家の子女はあまり活発な運動はしない。と言うのもあるのでしょうね。わたくしも日舞とかはやりましたけど、もっともわたくしは激しい運動は禁止されてましたから。でも、今日の授業は楽しみですわ。」
131あまの めぐみ:2006/12/10(日) 19:58:29 ID:91zfd+W40
「この中に、新体操やったことあるものはいるか?」
おずおずと手を挙げる瑞穂。
「なんだ。この組は宮小路だけか。じゃあ、リボンの模範演技やってみてくれ。」
「はぃい?」
とんっ。誰かに背中を軽く押される。振り返るとにっこり笑った紫苑であった。
「がんばってくださいねv」
ハートマークまで散っていた。

瑞穂はリボンのスティックをにぎると、くるくると回し始めた。
「きゃあーーーーっv」黄色い歓声があがる。
新体操のリボンは6m以上あるちょっと重い素材で出来ている。このリボンを試技中に絶対床に触れさせてはならないという、見た目の優雅さとは異なり結構ハードなスポーツである。
しかも手先は優雅に、女性らしさを忘れずに。
2分くらい、昔の練習を思い出しながら、リボンを高く投げタンブリングして受け取る。
「すごいな宮小路。1年から在学していたら新体操部作って、全国目指そうと思うレベルだな。」
先生もちょっとびっくりしている。

132あまの めぐみ:2006/12/10(日) 21:13:30 ID:91zfd+W40
この授業の話は尾ひれがついて、全校に広まってしまうのだが、このときはまだ瑞穂たちはそこまでは知らなかった。
「まあ、いきなりみんなにこのレベルをやってもらおうとは思っていないが、新体操は女性らしさを表現するスポーツだ。
宮小路は非常に女性らしい繊細な表現をしていたな。どこが女性らしいか気がついた人は居るか?」
「はい」と何人かが手を挙げた。
「指先が揃っていて、とてもきれいでした。」
「他には?」
「柔らかい物腰で優雅でした。」別の生徒が答える。
「君たちに日舞をやっているものはいるかね?」
何人かの生徒が手を挙げた。もちろん紫苑もだ。
「新体操も日舞に通じる物がある。手先・足先に心を配るということだ。だらしがない格好をしていたりしたら、
いくら着飾ってもみっともないからな。とはいえ、新体操は楽しいからまずは、リボンを持ってやってみるところから始めよう。グループに分かれて始めなさい。」

「ふふっ。瑞穂さん、また評価が高くなりましたわね。」紫苑が笑う。
瑞穂のグループは瑞穂、紫苑、美智子、圭、まりやのオールスターだ。
「瑞穂さん、あだるとたっちで変身しなさいよ。」
「えっと、圭さん。そのネタついて行けないんですが・・・」
「瑞穂ちゃん、新体操なんてやってたんだ。」まりやがおどろく。
「え?一緒の体操教室通ってたじゃない?」
「え?そうだっけ?あたしは体育館のトラックコース走ったりするばっかりだったんで、覚えが無いよ。」
「まりやは技術系じゃなくて体力系の方だったよね。」
133あまの めぐみ:2006/12/10(日) 21:14:20 ID:91zfd+W40
「で、どうしてこうなっちゃうのかなあ、瑞穂ちゃん・・・」
リボンでぐるぐる巻きになっているまりやが瑞穂をにらんで言う。
「まりやさん、縛られるのが好きなのですか」
「み・・・美智子さん。なに危険な表現炸裂してるんですか。」
「瑞穂ちゃん、美智子さんや由佳里のエロエロ空間に染まらないでね。」からまったままのまりやが文句を言う。
「ところで、もしかして・・・まりやさんって物事に対しておおざっぱなんですか?」美智子が改めて問う。
「自慢じゃないけど、そうだわね。って、ほどけない。むきーーーーーーっ」
「まりやさん!そんなに無理してひっぱったら固くしまっちゃいますってば。」一生懸命ほどいている美智子さんがあわてる。
その後、からまったリボンからまりやが脱出できたのは5分後だった。

「ほ〜れ。くるくるくる〜」さすが演劇部部長の圭は、体を使った表現力が豊かだ。しゃべらなければもっといいのだが。
「うふふ、瑞穂さん楽しいですわね。」紫苑がめずらしくはしゃいでいる。
紫苑はリボンをくるくると回しながら、小走りに走ったり、スティックを目の前に掲げて、下向きにして水平にくるくると回し始める。
「でもさ、こういうのって室内でやるもんだよね?」まりやは疑問をもちかけてくる。
「多分、60人近い生徒が同時にくるくるとリボンをまわすのに、体育館が充分大きくないのではないかしら?」瑞穂が答えた。
「うーん、そうかもね。結構場所とるしね。流石は名探偵瑞穂ちゃんよね。」
そんな軽口をたたき合っていた時だった。
どさっ。
嫌な音だった。
瑞穂は音のした方向を振り返って叫んだ。
「紫苑さんっ!」
「「紫苑さまっ!?」」
134あまの めぐみ:2006/12/10(日) 21:16:25 ID:91zfd+W40
「せ・・・せんせいっ!紫苑さまがっ!」駆けつけた生徒が叫ぶ間もなく、瑞穂が紫苑を抱きかかえて、保健室へ掛けだした。
「お・・おい!宮小路!」先生があわてて瑞穂の後を追って保健室に向かっていった。
「み・瑞穂さん。また倒れてしまったのですね。」申し訳なさそうに紫苑は言った。
「大丈夫。もうすぐ保健室ですよ。」ブルマーから伸びるすらりとした足が韋駄天の如く駆けて行く。

「先生、紫苑さんは大丈夫なんですか?」瑞穂は心配そうに保健医に訪ねた。
体育教師は紫苑の容態が悪くなかった事を確認すると、瑞穂に残って世話をするように言って
授業に戻っていった。
「ええ、いつもの発作、といっていいのかしらね。どうしちゃったの十条さん?」保健医は苦笑している。
「はい、授業ではしゃぎすぎてしまったのが原因です。」紫苑は答えた。
「今までのあなたらしく無いわね。ふふ。わかってますよ。宮小路さんの影響かしらね。以前のあなたと違ってとても明るくなってるもの。」
「はい、そうですね。瑞穂さんのおかげですわ。うっ。」紫苑は少し顔をしかめて、胸の下を押さえた。
「十条さん。すこしブラを外した方がいいわ。」
「はい。」
そういうと紫苑はブラを外そうとした。
「くっ。」また顔をしかめると、保健医は瑞穂に言った。
「悪いけど、十条さんを手伝ってあげて。」
「は、はいぃ。」何故か顔を真っ赤にする瑞穂。
「ん?どうしたの。宮小路さんは恥ずかしがり屋さんなの?」
「あ、はい・・・じゃなくていいえ。そんなことは。」
「瑞穂さん、お願いします。」紫苑は体操着の上をまくりあげると背中を向けた。
135あまの めぐみ:2006/12/10(日) 23:28:19 ID:91zfd+W40
ロングブラのホックは普通のブラが1個か2個で留めるところを9個くらいで留めている。ぽちっぽちっ。と、下側からブラのホックを外していく。
さすがに毎日ブラをするようになってからは、瑞穂もブラの留め外しは手慣れたものになってしまったので戸惑うことはないが、
果たして男がこんなに女性用下着の着脱に慣れてしまってもいいのだろうかと、瑞穂は疑問に思ってしまった。
「ふう。やはり締め付けがきついのはダメですね。」紫苑はひとごこちついたかのように、息を吐いた。
「そうね、十条さんはここに手術後もあるし、隠したい気持ちは判るけどね。あんまり押さえつけちゃダメよ。」左の乳房下あたりを指さしながら保健医は言った。

「あ、あの・・・そんな話の時に私がいてよかったんですか?」瑞穂はあわてた。
「瑞穂さん。いいのよ。あなたには聞いてほしかったんですの。」紫苑はにっこり微笑むと瑞穂に向かって、傷跡を見せた。左のバストのすぐ下に小さいけど手術の傷あとがあった。
「わたくしね、生まれつき肺に奇形があるの。」紫苑は続けた。
「!!」瑞穂は驚いた。
「去年、エルダーに選ばれた直後だから7月はじめですわね。発作が起きて、胸を切って中に溜まった膿を排出しないと生死にかかわるという状況になってしまいました。
秋に一度学校には戻れたのですが、また再発して・・・結局出席日数が足りなくて留年してしまったんです。」紫苑の話は結構ヘビーだった。
瑞穂は紫苑が病気で留年をした。と言うことはまりやから聞いたが、病気がどんなものでどんな状況だったのかは知らなかった。
「わたくしも女の子のはしくれですから、やはり見られるとつらいのです。だから、皆さんにランジェリーを見られる体育の授業にはロングブラで登校してきたんですわ。」
「そうね。十条さん。もともとロングブラはストラップレスでブラをしたいとき用の補正下着なんだから、もう少しアンダーバストが飾りになっているものにした方がいいわね。」
保健医の先生は笑って諭した。
そういえばこの先生、緋紗子先生と仲が良かったんだよなー。ふんわりとした雰囲気で似たもの同士なのかな。と瑞穂は思った。
「ともかく、傷あとの件は皆に気づかれないようにした方がいいですね。」瑞穂は紫苑に尋ねた。
「じゃあ、これもわたくしたちだけの秘密と言う事にしましょう。」紫苑は微笑んだ。
136あまの めぐみ:2006/12/10(日) 23:31:26 ID:91zfd+W40
(うふふ。瑞穂さんと共有する秘密がまた出来てしまいましたわ。)紫苑はうれしかった。去年、倒れてから腫れ物をさわるように距離をとった級友たち。
病気であることを知って、紫苑に負担を掛けないようにしてくれたのだと思うのだが、やはり寂しかった。
エルダーに選出された後では、エルダーであるが故に後輩たちからも神聖化され距離をとられてしまった。

瑞穂さんはそんなわたくしの心の壁をポンと乗り越えて来てくれた。去年あれだけ腐心していたのにもかかわらず、同級生から離れてしまった自分という存在を、一瞬でわたくしが渇望していた位置に戻してくれた。
瑞穂さん。ありがとう。大好きよ。紫苑は心の底から瑞穂に感謝した。


さて、宮小路瑞穂嬢がブルマー姿で校内を駆け回り、新体操のリボン演技で同級生たちを悩殺しまくり、あまつさえ紫苑を助けるために再び白馬の王子様を演たという事は、瑞穂のエルダーの地位を揺るぎないものにするのに充分すぎたのは言うまでもない。が、
恵泉女学院内に秘密結社『お姉さまにレオタードを着て新体操をしてもらう会(会長 御門まりや)』が結成されるというおまけまでついた。ちなみに会員数は745名というかつて無い規模の秘密結社だったという。

「ぼ・・・僕にレオタード着て新体操しろっていうの!」orz。瑞穂の落ち込みようはいかばかりであったろうか。だが瑞穂は知らない。もうすぐ体育の授業に水泳が登場し、また一悶着起きる事を。

(『紫苑さまのひみつ』おしまい。)

※:本当は倒れた人を抱きかかえて連れ回すのは良くありませんよ。瑞穂さん。
137あまの めぐみ:2006/12/10(日) 23:42:32 ID:91zfd+W40
135訂正。

×「そうね、十条さんはここに手術後もあるし(以下略
○「そうね、十条さんはここに手術痕もあるし(以下略

紫苑さんのランジェリー姿がなぜかロングブラばかり(P-mateイラストや1話の着替えシーン。その他グッズでもそう)
なので、ロングブラのバンド部に秘密がかくれているのかとおもっていました。

本来ロングブラはおっぱいの大きな女の人用。もしくは肩にストラップが掛けられないドレス向けのブラです。
紫苑さんはお嬢様なのでデコルテ全開なドレス(ローブデコルテ)を何着もお持ちなのでしょうから、ロングブラなんか
何着もおもちなのでしょう。つーか、高けえよ。ドレス向けランジェリーめ。ぐう。高いのだと1着10万円もするんですよ。

ちょっと途中で燃えつきかけましたが、おそまつさまでした。
138名無しさん@初回限定:2006/12/11(月) 00:37:43 ID:dIifjEna0
>>127-137 乙
確か黒服が出てきたときに
恵泉には教師を含めて男性はいないとあったはずだけど(守衛さん除く)
記憶違いだろうか?
139あまの めぐみ:2006/12/11(月) 04:27:23 ID:qivIZtVL0
>>138
ううにゅ?
男の人は出てませんですよ?
体育教師は男っぽい喋りをする女の人なのです。
水泳の休みのときとかに出てきた人をイメージしてるのですけどー

140名無しさん@初回限定:2006/12/11(月) 11:57:58 ID:dIifjEna0
>>139
了解なのです
141名無しさん@初回限定:2006/12/11(月) 13:09:55 ID:+Rks6UY10
>>136
一人称で表現した直後に三人称を混ぜて、また一人称になったり
めちゃくちゃですね。
142名無しさん@初回限定:2006/12/11(月) 13:20:29 ID:+Rks6UY10
> (うふふ。瑞穂さんと共有する秘密がまた出来てしまいましたわ。)
紫苑の一人称で独白する

> 紫苑はうれしかった。去年、倒れてから腫れ物をさわるように距離をとった級友たち。
> 病気であることを知って、紫苑に負担を掛けないようにしてくれたのだと思うのだが、やはり寂しかった。
> エルダーに選出された後では、エルダーであるが故に後輩たちからも神聖化され距離をとられてしまった。

ここで主語が三人称の「紫苑」になる。
だが内容は一人称表現になっている

> 瑞穂さんはそんなわたくしの心の壁をポンと乗り越えて来てくれた。去年あれだけ腐心していたのにもかかわらず、同級生から離れてしまった自分という存在を、一瞬でわたくしが渇望していた位置に戻してくれた。
> 瑞穂さん。ありがとう。大好きよ。紫苑は心の底から瑞穂に感謝した。
また一人称に戻る、かと思いきやまた「紫苑」
143小ネタを一つ:2006/12/11(月) 17:34:07 ID:oSqEq5A90
みんなで下校中のこと

ゆかりんが転んで
由佳里「あいたたたたたた…」
瑞穂「大丈夫由佳里ちゃん?」
奏「すりむいているのですよ〜」
まりや「ちょうど消毒液持ってるのよ、あたし」
まりやがかばんの中からビンを取り出して
中身を口に含みました
瑞穂「何してるの?まりや」
まりやは口に液体を含んだままゆかりんの傷口に顔を近づけ
ぱぷぅっ!
傷口にそれを吹き付けました
ゆかりん「!!!っっ!!いったあああああああああああああ!!!!!」
奏「由佳里ちゃん?どうしたのですか?由佳里ちゃん?」
まりや「ちょっと、おおげさよーゆかりん」
瑞穂ちゃんがまりやの手にあるビンを奪い取りました
瑞穂「まりやっこれ…ショーチューじゃないっ!」
まりや「今日の家庭科の実習で使ったのよ、ちゃんと消毒できるわよ」
由佳里「…ううううう〜〜めちゃくちゃしみる〜〜〜」

奏「まりやお姉さま、漢らしくて素敵なのですよ〜」
144名無しさん@初回限定:2006/12/11(月) 17:34:50 ID:V4KNR6Ls0
>>141を見れば充分わかるのにいちいち抜き出して曝す意図がわからんのだが
145名無しさん@初回限定:2006/12/11(月) 18:28:43 ID:kl8XCgGT0
アニメ回想時みたいな幼瑞穂がユニタード着て体操のレッスンを受けている様を想像してうぎぎ
146名無しさん@初回限定:2006/12/11(月) 19:33:48 ID:uVjAsNa20
>>144
単に空気読めない奴か、ただ荒らしたいだけだろ。
スルー推奨
147名無しさん@初回限定:2006/12/11(月) 19:45:19 ID:+Rks6UY10
俺に絡んでないで感想なり批評なりしてやれば?
自分達でさらに空気悪くしてることに気づかない無能どもよ。
148あまの めぐみ:2006/12/11(月) 21:34:03 ID:qivIZtVL0
はわわ〜。まりやお姉さまと貴子お姉さまみたいに言い争ってはダメなのですよ〜。



えっと、実は視点のぶれは判ってます。実際には2本の話を繋いでたのですが、紫苑視点の話と三人称視点の話を繋ぐ気力が
なえなえ〜になってしまったので。「ちょっと途中で燃えつきかけました」わけですー。

冬のアレの準備もあったりして、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい・・・・
すいません。完全版は冬アレに恵泉女学院夏服のコスプレして配布します(><)ノ
149名無しさん@初回限定:2006/12/12(火) 00:07:22 ID:FxKVvKjj0
>>147
批判しかできないテメエが無能だ。テメエが消え失せれば全て解決。
よって、直ちに氏ね。喧嘩なら買うぞゴルァ!
150名無しさん@初回限定:2006/12/12(火) 00:33:19 ID:irM0zLI40
批判っつーか、指摘だけど。
個人的に、読むに耐えなかったので指摘しかできなかったが。
作者は指摘を取捨選択できる。
生かすことができるかもしれんし、スルーもできる。
だが感想批評の一言もなしで絡んでるのはどうよ、何の生産性もないだろ。
絡んでグダグダ言ってもしゃーねーだろ。

>>149
カルシウム取って落ち着いたら感想書いてやれよ。
151名無しさん@初回限定:2006/12/12(火) 00:57:13 ID:5P+UReyc0





      \   _  /
     ( (  '´  、ヽ ) )
       /(((从リ))i,\  パタパタ…
        レ'リ、ヮTリツヽ、j
        ⊂i夭(つ
           〈i__ヽ>
             ヽ_ヽ.)

     慈悲と寛容の精神なのですよ…
152名無しさん@初回限定:2006/12/12(火) 01:21:16 ID:FxKVvKjj0
>>150
ああ?あんだとゴルァ!喧嘩なら買うって言うとろうが!
テメエ早く俺の目の前から消えねぇとぶっ殺すぞ!
153名無しさん@初回限定:2006/12/12(火) 01:31:53 ID:irM0zLI40
>>151のおかげで慈悲と寛容の精神が少しばかり身に着いたので
おまえの暴言も許してしんぜよう。
154名無しさん@初回限定:2006/12/12(火) 02:03:50 ID:FxKVvKjj0
>>153
逃げたか。
とんだ腰抜けだったなw
155あまの めぐみ:2006/12/12(火) 03:49:02 ID:4Pw6lUi70
>>150
>個人的に、読むに耐えなかったので指摘しかできなかったが。

う。。。。。。(T_T)
orz
156名無しさん@初回限定:2006/12/12(火) 04:00:51 ID:CZzuKtAu0
>>155
まぁ、そんなに落ち込まなくても。
次回作で頑張って見返せばおk
157名無しさん@初回限定:2006/12/12(火) 11:03:36 ID:WDs+QXGQ0
>>155
個人的にここ2ヶ月くらいに読んだSSの中で一番おもしろかった。
次も期待してるので頑張って。
158名無しさん@初回限定 :2006/12/12(火) 11:53:04 ID:+R+jIJwP0
>体育教師は男っぽい喋りをする女の人なのです。

ゴメン。そうだろうとはわかったけど、
文章でそうとはわからない。
(どこにでもいる中年親父体育教師と変わらない台詞だし。)
そこらへんの微妙なニュアンスが表現できるといいね。

>「瑞穂さん、体重49キロだったじゃありませんか。」

瑞穂ちゃん173センチだよね。それで49って。
モデル並だ。(でも学生だと不健康な体型に見えるかも・・・。)
159名無しさん@初回限定:2006/12/12(火) 16:34:28 ID:yU3kr2aU0
>>155
面白かったよ。雰囲気も出てたしね。
細かいことはともかくちょっと気をつけたほうがいいなと思ったのは改行かな。
別スレだけど初めて投稿したときに俺も言われたんだけど
あるていど一行あたりの文字数をそろえる事でずいぶん見やすくなるし、印象も違ってくる。
160名無しさん@初回限定:2006/12/12(火) 18:45:47 ID:1/FeczuQ0
>>155
批判は真摯に受け止めないと先に進めないし、受け入れないと上へは登れない。
まぁ、ただダメだというような批判は受け入れる必要などないが。

でも、正直確かに色々と気になった。とりあえず一つだけ。
初っ端「瑞穂さん、次は体育の授業ですわ。」という説明口調。これはちょっといただけない。
「瑞穂さん、行きましょう」くらいから、
瑞穂は「そうですね」とうなずくと、机の横に掛けてある体操服の入っているバッグを掴み、立ち上がった。
軽めの笑い話に華を咲かせながら、更衣室へと向かう。
次の授業は体育。嫌いではないが、少し苦手な時間だ。…色々な意味で。
みたいに軽い説明を入れるといいかな。

SSにとって序盤は命、終盤は肝。特に序盤は頑張ってよく見せないと、見てすらもらえない。
実際自分は最初から調子のおかしいSSは飛ばす。
逆にここさえ良ければ中盤調子崩しても多分最後まで見てもらえる。
序盤は気合を入れて書き込むようにしたほうがいいと思う。
161あまの めぐみ:2006/12/12(火) 22:12:55 ID:4Pw6lUi70
漢(をとこ)は兄貴(あたし)に惚れているぜ!

あたし、鏑木瑞穂。花も恥らううら若き乙女。の筈なのに・・・
厳格だったお婆様の遺言ってのがとんでもない話で、「瑞穂は鏑木の経営している男子校(!)
に編入しなさい」・・・ですってえええ!?。
従兄弟の御門真利矢兄が、「俺に任せな!」なんて言ってくれるから、私立聖鷹学院の
男子寮に入寮することになっちゃった。男装して、男子高校生としての卒業までの9ヶ月を
男子寮で過ごせって!?無理無理ぶっちゃけありな〜い、!もうイヤ!なんとかして頂戴!



第1話 梅雨空は憂い顔と共に

「・・・はあ、何でこうなっちゃったのかしら・・・」昨日から何度目の溜息だろう。
 ぽっちゃりしたほっぺが、見る者に強烈な印象を残す紅顔の美少年(?)は、その
かわいらしい顔に似合わないほどの陰鬱な雰囲気を漂わせていた。
「あっはっは、まあそんな暗い顔をしないで行こうぜ。それからな、女言葉になってるぞ!」
真利矢は、バンカラな笑い方をして瑞穂の肩をバンバン叩く。
「もー、真利矢ったら。何でそんなに平気なのさー?」
「ん?だって人ごとだから。」悪魔ちっくな笑いを浮かべる。
「そんなぁ〜。」
男子寮からの小道から、正門前の大きい通りにさしかかると、いろいろな生徒が真利矢と
瑞穂に向かって挨拶をしてくる。もっとも、挨拶されているのは真利矢の方なのだが、瑞穂
は軽いパニックになっているので判っていない。
「お、おはようございますっ!」初々しさからみて初年度生のようだ。緊張しているのが
わかる。
162名無しさん@初回限定:2006/12/12(火) 22:13:08 ID:q6HctAqd0
>>155応援してます
163あまの めぐみ:2006/12/12(火) 22:13:58 ID:4Pw6lUi70
「うぃーっす」真利矢が軽口のように返事をする。
「おはようございますっ!真利矢さん!今日の試合頼みます!」
「おっす!今日もぐっちょんぐっちょんのけっちょんけっちょんにしてほえ面かかせてやらあな。」
実はこの真利矢、聖鷹学院ではかなりの有名人なのである。というのも実家が古武道の
道場をやっている為、武道全般に秀でている。ほとんどの体育会系クラブの試合に助っ人
というかほとんど主戦力として参加している。しかも強い。絶対に強い。われらが真利矢。
と言われるほど。まさに聖鷹の頼れる兄貴なのだ。
 挨拶を繰り返す内に、真利矢の顔色が曇った。真利矢が見据える先には、薔薇とブランデ
ンブルグ交響曲を背負った、ものすごい金モールがかかった学生服を着た男が立っていた。
「御門君。何度言ったら判るのかね?紳士たるもの粗暴な言葉を使ってはならぬと。」
「へっ。貴(たかし)お坊ちゃま、ご機嫌麗しゅう。ってか?」
「だ・・・誰が貴お坊ちゃまだ!心底、不愉快なやつだな。君は。」
「ふん。行こうぜ瑞穂。」真利矢は地獄の底にでも居るような声を出して瑞穂に言った。
「ちょ・・・ちょっと待ってよ。真利矢〜」ぽてぽてと真利矢の後をついて行こうとす
ると、貴が瑞穂に声をかけた。
「待ちたまえ。君は誰だ?見かけない顔だな?」
瑞穂はびくっとして振り向いた。
「あの・・・み・・宮小路・・瑞穂です。て・・転入生です。」
「すまない、人に尋ねる前にまず自ら名乗るべきであったな。私は厳島 貴だ。」
軽くウェーブのかかった、栗色の髪。さわやかな笑顔で瑞穂に微笑んだ。
「学生会会長として忠告しておく。あのような馬鹿者とは即刻縁を切った方が君のためだ。」
、と真利矢を指さした。
「なんだとう!」真利矢は烈火のごとく怒った。
164あまの めぐみ:2006/12/12(火) 22:15:56 ID:4Pw6lUi70
「確かに我が校の主戦力なんだろうが、いささかどころか大いに我が校の品格を損なう言動
を繰り返すのは、馬鹿者のそしりを受けるに十分な挙動であろう。」
「おいおい、対外試合の時にお上品に『きゃー』とか言っててみろ、『あそこはお嬢様学校
でいらっしゃるの?わっははは』と嘗められるだけだろうが。そもそも、おまえら学生会が
もっとよその学校に対して、シャキッとしねーのが悪いんじゃねーか。」
「ほんっとうに君は、下品だな。君の御門の家名が泣くぞ。まあいい後で先生方にも説諭して
もらおう。」貴はくるっと振り返るとスタスタと校舎の中に歩いていった。

「今日から、君たちと一緒に勉強をすることになった宮小路瑞穂君だ。御門の親戚だから、手を
出すと怖いぞ」担任の梶浦 緋紗夫先生が軽口をたたいた。
「了解でーす!」
「さー、いえっさー!」
「らじゃー」
などと口々に返答するクラスメイトたち。
「えぇっとお・・・宮小路です。よろしくお願いしますぅ・・・」瑞穂はビビリまくっていた。
ライオンを目の前にしたインパラの様な感じだった。
「うおー!かわいいいー。うちにも姫制度があったら姫確実なのになあ。」
「萌えだよ。萌え!」

なにやら、とても難しい専門用語が飛び交っているようで瑞穂の理解を超えていた。

挨拶をすませて、梶浦先生に指定された席に座った。
165あまの めぐみ:2006/12/12(火) 22:34:40 ID:4Pw6lUi70
「やあ、はじめまして・・・かな?僕は十条 紫皇(じゅうじょう しおう)」にっこり笑って
話しかけてきたのは瑞穂にとって見覚えのある優しげな人だった。
「あ。もしかして昨日・・・会いませんでしたか?」瑞穂は尋ねた。

------------
真利矢にいろいろと特訓されていた瑞穂は夕方休憩を取りたいと言って、男子寮から抜け出した。
『〜♪』誰かが歌っている。瑞穂はきょろきょろと見回した。
その刹那、風がざわついた。
「歌はいいねえ。リリンの生み出した文化の極みだよ。」
「!」瑞穂は声のした方向に振り向いた。
「君は歌は好きかい?歌は魂を揺さぶるのさ。きっとドリルと同じ漢のロマンなんだろうね。」
「・・・・す、すきですけどぉ?」
ザザァッ。風で木立が揺れる。
「XXXX」男は瑞穂とすれ違いざまに何かをささやいた。だが瑞穂にはそれを聞き取ることは
出来なかった。
------------

「ああ、やっぱり。男子寮のところで会った人だよね。雰囲気が違うんで判らなかったよ。」

166名無しさん@初回限定:2006/12/12(火) 22:42:43 ID:IMKwwJD6O
SSと呼ぶのもおこがましい一発ネタ投下します。
167今週のザ・ベスト:2006/12/12(火) 22:44:43 ID:IMKwwJD6O
楠田「さて、今週のザ・ベストはこちら!」
ジャン(効果音)『乙女はお姉さまに恋してる』
楠田「とある女学院に通う少女、彼女には驚くべき秘密があったのです」

この、並木道を颯爽と歩く少女。名前は宮小路瑞穂。
某お嬢様女学院に通う彼女は、学院内でも1、2を争うほどの美人と噂されている。
……確かに美しい。澄んだ瞳、風になびく髪、透き通るような白い肌、まるで芸術品のようだ。
だが、彼女には他の生徒とは決定的に違う点がある。
皆さん、お分りいただけるだろうか?

なんと実は彼女、男性なのである!        これは、女学院に転入することになった彼の軌跡を記録した、驚異のドキュメンタリーである。
168名無しさん@初回限定:2006/12/12(火) 22:46:36 ID:IMKwwJD6O
勢いでやった、後悔はしていない。
要望あったら本編書くかもしれない。
169名無しさん@初回限定:2006/12/12(火) 23:00:34 ID:zSiIuDw70
いや、これなら本編はゲームやればいいんじゃないの
170名無しさん@初回限定:2006/12/12(火) 23:38:13 ID:BYsNPDsm0
「それにしてもこの瑞穂、ノリノリである」

と書きたいだけと見た!m9(`・ω・´)
171名無しさん@初回限定:2006/12/13(水) 08:42:06 ID:E9smUTrB0
「それにしてもこの奏、ロリロリである」
172東の扉:2006/12/13(水) 10:36:45 ID:cOxQheZu0
〜おとボクエスト〜

「まりや、今度のゲームは何?」
「スーパーまりやシスターズ2、なのですか?」
僕たちは、再びまりやにゲームが出来たからと視聴覚室に集まるよう指示され、こうして集まっている。
「違う違う。今度作ったのはRPGよ」
「……また私が悪役ではないでしょうね?」
「大丈夫よ貴子。あたしも同じネタを2度使うようなマネはしないからさ」
……ってことは、僕もお姫様じゃないのか……。
「ああ。瑞穂ちゃんは今度は王子様よ。何でも出来て優しい性格なんだけど、国と瑞穂ちゃんを思いのままに操ろうとする
ラスボスにさらわれてしまうの」
「ふうん……」
まあ、男になっただけよしとしよう。
「それで、そのRPGはここにあるの?」
「はい、これ。タイトルは“聖央ファンタジー”よ」
「聖央ファンタジー……舞台は?」
「一応ヨーロッパみたいな世界。王国の時代のね」
……それで聖央の名前を出すのはどうなのかな?
「主人公は、聖央女学院に通う女生徒。名前は自在に入力できるよ」
「自在に?」
「うん。だから、みんな自分の名前を入れてやるといいよ。最後は王子様とラブラブになるんだから」
「で、では私の名前を入れたら、私とお姉さまがラブラブに……」
あ、貴子さんがトリップしちゃった……。
「奏、今からやるのが楽しみなのですよ」
「私も……お姉さまとラブラブ……いいなあ……早くやりたいなー」
奏ちゃんと由佳里ちゃんまで……。
「でもまりやさん、どうして瑞穂さんを男性の役にしようと思いましたの?」
紫苑さん……普通に聞かないでよ、そんなこと……。
173東の扉:2006/12/13(水) 10:38:29 ID:cOxQheZu0
「……で、名前はなんて入力すればいいの?」
「一応デフォルト名もあるけど……誰か入力してほしい人のですればいいんじゃない?」
「じゃ、じゃあ、自分の名前を入れてやってほしい人、手を挙げてくれる?」
僕がそう言うと、その場にいたまりやと緋紗子先生と美智子さんを除く全員が挙手する。
「圭さん……そうですか、圭さんもご自分の名前を入れてほしいんですか……」
美智子さん……がっかりしているように見えて裏に強烈な殺気を感じるのは気のせい?
「ふ……冗談よ、冗談」
あ……圭さんが手を下げた。
「冗談、ですか。私、圭さんに嫌われたのかと思いましたわ」
「そんなこと、あるわけない」
「よかったですわ」
この2人は落ち着いたみたいだけど……。

こっちは「私の」「私の」と手を挙げた人たちがもみくちゃになってる。なんとかしないと、けんかになりかねないぞ……。
「じゃ、じゃあ、じゃんけんで決めましょう。勝った人の名前を入れますから……」
僕がそう言うと、みんなすごい気迫でじゃんけんをしている……。
「あらあら、これも一種の瑞穂さん争奪戦よね。どうしてここまで一生懸命になれるのかしらね?」
「緋紗子先生……それはこっちが聞きたいくらいですよ。私にはなぜなのかさっぱりわからないんですから」
「ふふふ……きっと、そういうところが魅力的なのね。あら? 勝負はついたみたいね」
「か、奏、勝ちましたのですよー!」
奏ちゃんが、嬉しそうな顔ではしゃいでいる。
「あーあ、負けちゃった……さすが奏ちゃん、こういうのには強いよね……」
「えっと、じゃあ、奏ちゃんの名前を使わせてもらうわね」
「はいなのです。使っていただきたいのですよ」
「じゃ、ゲームスタートっと」
そこは、聖央女学院だった。ゲームの中の主人公は、普段と変わらない一日を過ごす。
「いつもの日常……といった感じね」
「そりゃそうよ。ここの生徒って設定なんだから。いきなり普通じゃない展開で始まるわけないじゃない」
「まあ、それは確かに、ね」
174東の扉:2006/12/13(水) 10:40:35 ID:cOxQheZu0
しかし、ふと見つけたネックレスを軽い気持ちでつけた瞬間、異世界に飛ばされてしまった。
「こ、これ、何なの?」
「異世界にワープする道具。ま、お約束ってヤツね」
「と、飛ばされていきなり救世主扱い? なんか話が飛躍しすぎてない?」
「だから、拾ったネックレスが、代々この国を救った英雄たちの力がこめられていて、つけるとその救世主の証として認められるのよ」
「……なんか、ものすごくご○○主義な感じがするけど」
「瑞穂ちゃん、こういうゲームで、そういうことは言わないのがお約束」
「はいはい……敵はサキュバスのリュカン……か」
「まりやお姉さま、仲間はどこで加えるんですか?」
「ああ。モンスター園で適当なの見繕うのよ。英雄たちは魔物使いなんだから」
「魔物使い……まりやさん、魔物ばかり連れていたら、気味悪いでしょう。もう少し設定をお考えになった方がよろしいですわよ。
これだからデリカシーのない人は……」
「あーら、言ってくれるわね貴子。この御門まりや様が、そんなこと配慮にいれてないと思う?」
「まりやお姉さま、どういうことなのですか?」
「モンスターは、気味悪い系は存在ナッシングよ! 可愛いのとかっこいいのがほとんどすべて! 敵のモンスターも含めてね」
「あ、ホントね、マーメイドにアルラウネ、ラミア、ウィッチ、ワーキャットにカーミラにハルピュイア……女性モンスターも結構多いのね」
確かハルピュイアは本当は顔は醜く不潔極まりないモンスターだったはずなのに、これでは可愛い顔で清潔な感じのデザインになっている。
「でも、こういうモンスターのCGを見てると、すっごく素敵な女性がこういう仮装してるところも、無性に見たくなりますよね」
由佳里ちゃんが、ねばっこい目で僕を見てそう言う。ううっ、なんかいやな予感が……。
「……えっと、由佳里ちゃん、すっごく素敵な女性って、もしかして……」
「はい! もちろんお姉さまのことです!」
や、やっぱり……。
「そ、そう、ありがとう……」
「そうなのですよ! 奏もお姉さまのああいうモンスターの仮装、見てみたいのですよ」
「由佳里、奏ちゃん、よく言ったわ! じゃあ次の日曜は、瑞穂ちゃんのモンスターファッションショーってことで……」
ああ、やっぱりこうなるのね……。
175東の扉:2006/12/13(水) 11:11:21 ID:cOxQheZu0
「で、でも私、恥ずかしいし……それに、次の日曜は、受験勉強に専念しようと思ってたから……」
僕がそう言って断ろうとすると……。
「ああ、瑞穂さん……瑞穂さんがそんな、可愛い妹たちのお願いを無慈悲に一蹴しようとするような人だったなんて……でも、これも私の責任ですわ。
私が先代エルダーでありながら、選んでくださった生徒の皆さんに対して、不義理の限りを尽くしてしまいましたから……」
紫苑さんが、悲しそうにそう言う。ううう……そんなこと言われると……。
「いいえ紫苑さま、紫苑さまは悪くありませんわ。悪いのは私です。
瑞穂ちゃんのお目付け役の私が、しっかりと聖央の生徒としてのなんたるかの手本を見せてこなかったから……」
まりやが目から雫をこぼしながらそう紫苑さんをフォローする。だけど、僕は目薬を持ってるのを見逃さなかった。
ううっ、ここでファッションショーに出なければ、僕は完全な悪者になってしまいそうな雰囲気だ……。
「わかったわ。奏ちゃん、由佳里ちゃん、次の日曜日、楽しみにしてらっしゃい」
僕がそう言うと、奏ちゃんと由佳里ちゃんは心の底から嬉しそうにしていた。
一方まりやと紫苑さんは、顔を覆い隠した手のひらの下で、悪魔の笑顔でほくそ笑んでいた。
「……ちょっとやりすぎてしまいましたかしら?」
「いいえ、いい仕事でしたわ、紫苑さま」
まりやと紫苑さんがひそひそ声でそう話しているのが聞こえてきた。

僕はその後も調子よくゲームを進めていった。レベルを上げ、お金をためて、城や町の人たちの情報をもとに先を進むために中ボスを倒したり……と。
「じゃあ、とりあえず今日はここまでにしておきましょう」
もう程よい時間だし、ね。
「奏、早くお姉さまとラブラブなシーンが見てみたいのですよ」
「まあまあ、奏ちゃん、こういうRPGは1日ではクリアできないもんだから……もし早く見たいんなら、続きは自分でやりなよ。
ゲームの大体の感じはつかめたと思うし」
「はいなのです。奏、やってみるのですよ」
「わ、私も、今この場で購入いたしますわ」
その後も、貴子さん、由佳里ちゃん、紫苑さんをはじめ、ほぼ全員がその場で聖央ファンタジーを購入した。
176東の扉:2006/12/13(水) 11:13:51 ID:cOxQheZu0
「はい、どうぞ。1個5,000円ね」
まりやがその場でゲームCDを渡す。用意がいいな……。
「圭さんも、買われたのですね」
「大丈夫。デフォルト名でやるから。私は演劇のヒントになればと思っただけ」
「……圭さん、私、何も聞いてませんけど?」
そんな会話が聞こえてくる中、僕はまりやに聞いてみた。
「ねえ、まりや、もうやらなくていい?」
「うん。いいわよ。みんな買っちゃったんだから、あとはみんなが勝手にやってくれるわよ」
よかった。僕とのラブシーンをみんなの見てる前でやるなんて、恥ずかしいからね。

それから、数日後……。
「瑞穂さん、おはようございます」
「おはようございます、紫苑さん」
「そうそう、聖央ファンタジー、私、クリアしましたわよ」
「えっ!? あれを」
「ええ。なにしろ勉強そっちのけでそればかりしていましたから」
「勉強そっちのけって……」
紫苑さん……のんきというか、お茶目というか……。
「それで、主人公には、紫苑さんの名前を入れたんですか?」
「ええ。もちろんですわ。他のみなさんも、そうだと思いますわよ?」
……エルダー相手ってことを考えれば、そうだろうな。
「しかし、王子様の瑞穂さんのセリフ、とっても素敵でしたわよ」
「そ、そうですか?」
実際に僕が言ったセリフじゃないので、そんなことを言われるとなんだか複雑な気分だ……というか、なんて言ったのかが気になるな……。
「ええ。まるで本物の殿方みたいでしたわ」
……紫苑さん。僕はまるでじゃなくて、本物の男なんですけど。
177東の扉:2006/12/13(水) 11:16:06 ID:cOxQheZu0
「貴子さん」
「お姉さま、なんでしょうか?」
世界史の授業が始まる前、僕は貴子さんに話しかけた。
「その、貴子さんはクリアしたんですか? 聖央ファンタジー」
「え、ええ……」
「そうですか。じゃあ、少し聞きたいんですけど……」
「なんでしょうか?」
「その、ラスボスを倒して助けた王子様の“僕”は、主人公になんて言ったんですか?」
「あっ、いえ、それは、その、あの……」
貴子さんの顔が見る見る赤くなっていく。
「貴子さん?」
「きゅうううう……」
そのまま貴子さんは倒れてしまった。
「ああっ! 貴子さん!」
僕は、教室に入ってきた世界史の先生に告げた。
「先生! 厳島さんが倒れたようですので、保健室に連れて行きます!」
「そう。じゃあ、お願いね」
貴子さんが倒れるなんて……ゲームの中の“僕”は、いったいなんて言ったんだろうか?
その後保健の先生に任せて僕は教室に戻った。貴子さんもしばらくしてから戻ってきたけど、僕は王子様のセリフについては怖くて聞けなかった。
いろんな意味で。
178東の扉:2006/12/13(水) 12:16:51 ID:cOxQheZu0
「そういえば、聖央ファンタジー、クリアしましたのですよ」
「そう。おめでと」
寮で夕食を食べているときに、奏ちゃんがそう言った。
「いいなあ、奏ちゃんは。お姉さまに最初の方やってもらったから……」
「でも、最後のサキュバスのリュカンが、強くて戸惑ってしまったのですよ」
「サキュバスって確か淫魔だったわよね。殿方に淫らな夢を見せて精気を吸い取るっていう……」
「そうだよ。それで瑞穂ちゃんの精気を吸い取って、自分の思いのままにして、ついでにシュライン王国も乗っ取ろうとしてるってわけ」
「ところでそのサキュバスのリュカンなのですけど……」
「どうかしたの?」
僕は奏ちゃんがこだわっているのが気になって聞いてみた。
「なんか、由佳里ちゃんに似ているような気がするのですよ」
「そうなの? まりや、原画とか持ってる?」
「これだけど……」
僕は原画のサキュバスをじっと観察する。
「うーん……確かに似てるわね」
「気のせいだよ、気のせい」
「でもまりやお姉さま、リュカンって並び替えると、ゆかりんになるのですよ」
あ、そういえば確かに……。
「まーりーやーおねーさまー」
由佳里ちゃんがまりやを睨みながら呼ぶ。まあ自分をこんなことに使われたら、由佳里ちゃんじゃなくても怒ると思うけど。
「なんで淫魔のモデルが私なんですかー!?」
「ゆ、由佳里、今度はホントにわざとじゃないのよ。あたしも今言われて初めて気がついたんだし……じゃ、ごちそうさま」
……逃げたな。
179東の扉:2006/12/13(水) 12:19:58 ID:cOxQheZu0
「うーっ……」
由佳里ちゃんは、まりやが逃げていった先を睨みながらうなっている。
「……えっと、由佳里ちゃん、まりやはホントに気づいてなかったと思うわよ? もしわざとなら、まりやはあんな反応はしないもの」
「じゃ、じゃあ、本当に偶然……なんですか?」
「うーん……」
おそらくまりやは無意識に淫魔で由佳里ちゃんを連想してしまったんだろうけど、そのまま言ったら由佳里ちゃんが傷つくだろうしな……。
「多分、貴子さんを2回も悪役にするわけにはいかなかったから、誰をって考えてたら、
無意識に手近にいる妹の由佳里ちゃんをモデルにしていた……そんなところじゃないかしら?」
「そう……なんでしょうか?」
「きっとそうよ。まりやにも悪気はないと思うし、気にするだけ損よ」
「そう……ですよね。気にしないことにします!」
よかった。立ち直ってくれたみたいだ。

そして、聖央ファンタジーは、スーパーまりやシスターズ以上の売れ行きを見せた。
多分、前と違って自分がお姉さまとラブラブになれる……という状況を味わえるからなんだろう……。
180東の扉:2006/12/13(水) 12:23:02 ID:cOxQheZu0
「お姉さま、王子様のセリフ、お姉さまの口から聞かせてくださいませんか?」
僕はよくそのお願いをされている。
「ごめんなさい、私はどんなセリフか知らないのよ」
「そうですか……失礼しました……」
女の子たちは、がっかりした様子で立ち去った。すごい罪悪感を感じるな……。

「で、瑞穂ちゃんは感謝されたときのセリフを教えてほしいと?」
「うん。断るたびに、女の子たちが意気消沈するのが辛くて……」
「なるほど、しかしそれでこそのエルダーよね。じゃ、教えてあげる」
僕はまりやに王子様のセリフをすべてメモに書いてもらい、暗記するまで朗読して覚えた。

「はあ……」
その後、女の子たちの頼みを聞くことは出来るようになったんだけど、聞いたら聞いたで女の子たちは倒れてしまうし、
まりやは僕のセリフの録音したテープまで商品化してしまうし、しかもそれがバカ売れだし……。
「僕……これからどうなるのかな……?」
どんどん暴走していくエルダーの人気に、僕は自分の未来への不安を感じずにいられなかった……。

Fin
181あまの めぐみ:2006/12/13(水) 23:53:04 ID:j9sSCBPa0
1時間目の授業が終わると、真利矢が瑞穂の教室に入ってきた。まっすぐ紫皇と瑞穂の席に
向かってきた。
「やあ、真利矢君。瑞穂くんに用事かい?」
「あ、紫皇さん。ちょっと心配だったので、見に来ました。」
「ちょっと耳を貸したまえ。」そう言うと、紫皇は真利矢になにかささやいた。
「え!!何でわかったんですか!」驚く真利矢。
「うん、僕には不思議な力があってね。でも大丈夫だよ。他の人はまず気がつかないだろうね。
ところで、これだけの逸材はめったにないね。例のアレ、行けるんじゃないかな?」
にやりと笑う。
「そう思いますか。紫皇さん。お代官様も悪ですのう。てひひひひ」
「いやいや、そういう越後屋、おぬしこそ。」
時代劇の悪役さながらの会話をしたあと、二人は瑞穂の顔を見た。
「決戦は金曜日!ですね。あと正味4日しかないから、昼休みに作戦会議しましょう。紫皇さん。」
「にやり。」
「・・・二人とも悪人ですか。そうですか・・・・」瑞穂は呆然とやり取りをみていた。

昼休み。怪しげな裸電球がぶら下がっている準備室に、入りきれないくらいの人物がいた。
「紫皇さん、寮の初年度生も連れてきましたよ。」真利矢は握り飯と食べ食べやってきた。
「紫皇先輩。ご無沙汰しておりますです。」周皇院 奏(すおういん かなで)が真利矢
の背後から挨拶をした。「七生●報国」のハチマキがトレードマークの若人だ。
「押忍!紫皇先輩!」こちらは上岡由佳(かみおか ただよし) 空手部の初年度生。
「えー、こほん。さて本日皆様にお集まりいただいたのは、他でもありません。お集まり
の皆様はすでに宮小路瑞穂をご存知の方ばかり。そこで・・・・・」真利矢が演説を始めた。
結局、男たちの悪巧みは昼休み一杯続いた。
182あまの めぐみ:2006/12/13(水) 23:53:38 ID:j9sSCBPa0
「真利矢〜、お昼休み、どこ行ってたんだよう〜。みんないなく・・ぼしょぼしょ。」
5時間目の授業後、やってきた真利矢に瑞穂は泣きついた。後半はぼしょぼしょと口ごもって
聞き取れない。
「か・・・かわいい♪」紫皇は、うれしそうな顔をしてつぶやいた。

その日の夜、寮の食堂。現在4人しか入寮者はいない。
「え?兄貴選挙〜!?何それ?」瑞穂は口に含んだご飯を吹き出しそうになった。
「あ、瑞穂にいさんは、外部から来たばっかりですからね、知らなくて当然でしょうね。
聖鷹には、毎年6月に知性・教養・品格が優れている紳士たる人物をみんなで選ぶという
行事があるんですよ。今年の有力候補が厳島 貴先輩なんですよ。」由佳が説明をする。
「兄貴選挙で選ばれるとエルダーブラザー(長兄)と呼ばれるようになりますが、みんな
親しみを込めて「アニキ」とか「兄貴」とか呼ぶようになります。」奏が後を継ぐ。
「でだ。通常先輩を呼ぶときに「誰々兄さん」とか関西のお笑いタレントみたいな呼び方を
するんだが、このエルダーブラザーは、兄貴オブ兄貴なわけで、まさに『THE兄貴』な
わけで単に「兄貴」と呼ばれるとエルダーブラザーを指すんだな。」真利矢がさらに継いだ。
「で、わ・・ボクとどういう関係があるの・・・さ?」瑞穂はきょとんとした目でみんなを
見た。
「決まってるじゃないですか、瑞穂にいさんが兄貴候補になるんですから。」由佳が言った。
「☆○▽〜♪◇(!!)」言葉にならない。
正気に戻るのにきっかり27秒かかったが、瑞穂は真利矢の手を引っ張って食堂の片隅に来た。
「真・・・真利矢〜。何考えてるのよっ。あたしは女なのよっ!兄貴なんてなってどうするの!」
他の二人に聞こえないよう小声で叫んだ。女言葉全開だった。

「瑞穂にいさーん。兄さんなら間違いなく兄貴になれますって。」由佳が無責任極まりない台詞を
投げかける。
がっくりうなだれる瑞穂は『どうか、厳島 貴が選ばれますように』とお星様に祈るしか道は
残されていなかった。
183あまの めぐみ:2006/12/13(水) 23:54:24 ID:j9sSCBPa0
さて、瑞穂の知らないところで暗躍を続ける、悪巧み集団。根回し工作もバリバリと行い、前日の
校内トトカルチョブックメーカーの発表ではなんと厳島 貴に対して50−50というオッズにまで
なっていた。

「あ。ありえないから。ありえないんだってば〜。」瑞穂は呆然としつづけていた。

『全校生徒の皆さん。各クラスに配布された投票用紙に候補者の名前を書いて近くの投票箱に投票して
ください。この投票は15時を持って締め切ります。開票は即時行われますので投票の済んだ生徒から
講堂に集合してください。繰り返します・・・・』投票日当日、学内に投票のアナウンスが響き渡る。

15時の締め切りが過ぎる頃、ほとんどの生徒が講堂に集合していた。
笑ってしまうことに、掛け率は90−10で宮小路瑞穂の圧勝状態だった。
「みんな大穴にかけてるんだよ。きっと」瑞穂は自分に言い聞かせるように言った。順当に本命が当選
してくれれば問題ないのにと思った。

『第72回聖鷹エルダーブラザー選挙の結果を発表いたします!、有効投票数1626で、得票率が
90%を超えた候補者が居たため、今回の投票で決定になります。エルダーブラザーは3年A組の
宮小路瑞穂君です。では、宮小路瑞穂君前に出て就任の挨拶をお願いします。』

「な、なんだってぇ〜!!」キバヤシの言葉におどろくナワヤ以下のMMRスタッフのような驚きの
表情を見せるが、みんなに「ほら、行ってこい!」と押し出されてしまう。

「・・・・み・・・・宮小路 み・・瑞穂です。・・・」それだけ言うのが精一杯だった。
「うぉおおおおお!兄貴〜アニキー!」講堂が揺れた。

かくて、前代未聞の兄貴(おにいさま)が爆誕したのであった。

「まぢでずがー!?」
184あまの めぐみ:2006/12/14(木) 03:38:44 ID:NnkqnDGx0
激励いただいたみなさま、がんばるですよ〜。
お礼方々、ゲームのサントラ聞きながら口ずさんでくださいね。
つまんない歌詞ですけど。


maiden's restサウンドトラック 05:バーグのテーマ

お昼のごはんはハンバーグ♪
とろとろチーズもかかっている♪
晩のごはんもハンバーグ♪
いくつ食べても飽きませんよ
ねえ、お姉さま、はやく、ハンバーグ食べに行きましょうね!

明日のご飯もハンバーグ♪
毎日、三食ハンバーグ♪
夢の食材、それはハンバーグ〜

挽肉定食じゃなく
ハンバーグランチって言ってね!
とてもおいしいハンバーグ♪
和風イタリアンなんでもいいの。

それと、お姉さま、わたし「バーグ」なんかじゃありませんからね!

そんなことよりハンバーグ♪
夢にまでみるハンバーグ♪
まりやお姉さま、「エロの君」ってなによ!
185名無しさん@初回限定:2006/12/14(木) 03:58:59 ID:cxJpED500
>>181-183

  orz  カンベンシテ
186あまの めぐみ:2006/12/14(木) 04:05:55 ID:NnkqnDGx0
>>185
161からの続き物なので、ごめんね。

187名無しさん@初回限定:2006/12/14(木) 04:06:00 ID:DHpbjUfP0
>>184
つまらんっ おまえのSSはひっじょぉお〜にっ つまらんっ
188あまの めぐみ:2006/12/14(木) 04:10:47 ID:NnkqnDGx0
>>187
では、どういうのが、面白いのですか?勉強しますから。おながいします。
189名無しさん@初回限定:2006/12/14(木) 13:49:03 ID:FnG5WtYZ0
女装潜入ラブコメディを根底から覆しちゃあまり受けが悪いんじゃないかな。
190名無しさん@初回限定:2006/12/14(木) 13:54:26 ID:oko9tDNU0
アニメスレにあったこれ↓を誰かタノム

678 :風の谷の名無しさん@実況は実況板で :sage :2006/12/13(水) 14:11:49 ID:jqtzXZKu
男バレの後、突如として姿を消した瑞穂。
貴子、まりやが必死になって探すも、全く手がかり一つ見つからない。
まりやは瑞穂を学園に引き込んだ自分が悪いという自責の重圧で狂ってしまう。
下級生組も半狂乱となるが、そこは紫苑が「大丈夫、きっと見つかりますよ」
といって慰める。

んで、その瑞穂はというと。
厳島家の地下室で、使用人(♂)の精液処理玩具として飼われていたのだった。
すでに完全に狂ってしまった瑞穂は男たちのイチモツを口でほおばり、アナル
で咥えながら

あへええっ、いいいいいいっ! オチンチンいいよおおおっ!!
ボクのおちんちんからエッチなトロトロお汁がぴゅーーーーーっって! 
ぴゅぅううってでちゃうよおおおっ!!

と喘ぐ。既にそこにはエルダーのカケラも見られない。
そしてその瑞穂の傍には聖母マリアの如き慈愛の笑みを浮かべた紫(ry


乙女はお姉さまに恋してる 〜BADEND〜
191名無しさん@初回限定:2006/12/14(木) 20:44:23 ID:cxJpED500
>>190
>>4     トイウワケデヨソノスレニタノンデクレ
192名無しさん@初回限定:2006/12/15(金) 17:10:57 ID:EBinv//cO
校舎の屋上にあがるとすでに先客がいた。
「あ、紫苑さん。って、何してるんですかあ!?」
紫苑は火のついたタバコを胸の前で腕組みしながら右手に持ち、手摺りに背中をあずけていた。
「ん。一服中ですわ。瑞穂さん。どうしました。?」
「タバコ吸うんですか?」
「意外でしたか。?初等部の頃から嗜んでおりますの。まりやさんも同じ穴のムジナですのよ。おほーほっほ。」
「そうなんですか、ああそれでちょっと一服なんだ」瑞穂はちょっと考えて紫苑のタバコをとりあげて口にくわえ、いきなり口でおもいっきり煙を吸い込んだ。
「げほ、ごほ。」
「もお、しょうがない娘ね。はじめてなのに無茶しすぎ…かわいい♪」紫苑は瑞穂に顔を近付けるとキスをしてきた。舌をからます濃厚なやつだ。
「あん♪、あ…そんなとこだめえ」
紫苑の指が瑞穂のスカートの奧、乙女の秘所をまさぐる。
「こんなに濡らしちゃっていやらしい娘ね。ご褒美にこのバイブで貫いてあげる。」
「あん♪紫苑お姉さまぁ、瑞穂は紫苑お姉さまの肉奴隷になります。だからもっと…」


「だあーはっはっは、お腹の筋肉が死ぬう」
「ひどいよ、まりや。自分は出てないからって。ところで、これなんなの?」
「由佳里の部屋から応酬してきた同人誌ってやつ。学内にあるサークルらしいんだけど」
「まあ、まりやさん。どきどきな内容でしたわ。あの、これいただけませんか。」
「いいですよ。じゃあ、おまけに正月のおみやげのダブルバイブもどうぞ」
「ちょっとまりや。」あわてる瑞穂。
「ありがとうございますね。そうそうまりやさん。しばらく屋上でタバコはやめましょうね。」
「そうですね。」
「えー二人とも吸ってるのお!?知らなかった。」
「当たり前でしょ。乙女の秘密なんだもん。」紫苑とまりやはほほえんで言った。
おわり
193名無しさん@初回限定:2006/12/15(金) 20:06:31 ID:fOWp/bu80
うわぁぁぁ…
まりやはともかく、紫苑の喫煙姿はどうやっても想像できん。

おおお…俺の中の紫苑のイメージが爆音を立てて派手に崩壊していく〜…orz
194名無しさん@初回限定:2006/12/15(金) 20:23:49 ID:5/FN4a8U0
紙巻きは想像できんが、水パイプなら似合うかも<紫苑さま
195名無しさん@初回限定:2006/12/15(金) 21:46:28 ID:LsoWiHAO0
>>194
GOSICKのビクトリカ・ド・ブロワお嬢様(14歳)みたいな、パイプの似合うヘビースモーカーですね。
196名無しさん@初回限定:2006/12/15(金) 23:15:42 ID:pp8CTOF10
紫苑「見た目はタバコですけれど…」
圭「…実は黄金の蜂蜜酒の代用品なのよ」
紫苑「あ、圭さん、バイアクヘーが来ましたわ」
圭「それじゃ行きましょうか」
197名無しさん@初回限定:2006/12/16(土) 13:55:32 ID:NKZW00qa0
>>192
男装或いはハードボイルド系アメリカ映画な女主人公の格好に、紫苑嬢の服装を脳内変更してみた。
結構似合うような・・・
198名無しさん@初回限定:2006/12/16(土) 15:01:13 ID:KtEIT4LwO
タバコネタで思いついた。各キャラ似合いそうなタバコ

紫苑:フィリップ・モリス
まりや:ラッキーストライク
バーグ:マルボロメンソール
奏:マイルドセブン1mg
貴子:バージニアスリム
一子:デス

瑞穂:吸えない

こんなの思いついたが、どうだろう?
199名無しさん@初回限定:2006/12/16(土) 18:40:43 ID:mcUmrJgY0
>>196
二人ともホラーハンターですか?
200ダルマが転んだ:2006/12/16(土) 21:35:20 ID:SOPEMReS0
やっとジャイブ版補足。年末だし、TVシリーズも佳境。アニメスレで遊んでます。
エトワールも最近読みました。校正が疎かでネタ帳ばかり増えてます;
キャンディキャンデ○の設定は何気にツボ。
瑞穂:養女を引き取った名家の御曹司(ラストまで秘密)
まりや:幼馴染み
奏:孤児院から名門校に進学した娘
凸:眼鏡の友人
一子:親友
初期貴子?:キツいライバル (先輩)
バーグ:後輩
視点で変わるけれど紫苑:憧れの人
二人のジュリエット恋のライバルは貴子vs???
ロミオとジュリエットを演じた者は必ず結ばれる。と云うジンクス
201あまの めぐみ:2006/12/17(日) 08:04:44 ID:LU7f7mqs0
>>199
「妖怪はんたあ」稗田さんのコスプレをする圭さん。

ぱらいそは眷属の世界なのでしょうか?
202名無しさん@初回限定:2006/12/17(日) 16:59:41 ID:e73W59gL0
>>201
稗田さんってどちらさん?
203名無しさん@初回限定:2006/12/17(日) 22:15:30 ID:LU7f7mqs0
204小ネタを一つ:2006/12/17(日) 22:34:33 ID:yhzkJGPv0
瑞穂「もうすぐクリスマスですね」
紫苑「ちょうど日曜日ですし、翌日からは冬休みですからみんなで騒ぎましょうか」
美智子「いいですねぇ」
圭「…でも」
瑞穂「都合が悪いんですか?圭さん」
圭「…サンタが…」
瑞穂「サンタクロースのアルバイトですか?」
紫苑「それとも自宅にいないとサンタさんが来ないとか」
圭「いえ…そうじゃなくて…」
美智子「ああ、圭さんの所にはサンタではなくてサタンがきますものね」


圭「ジングルベルがシングルヘルになってサンタの代わりにサタンが来るの」
205名無しさん@初回限定:2006/12/17(日) 22:42:34 ID:0XFISdku0
紫苑「あら、私はてっきりサンタクロースの代わりにサタンクロスが来るのかと思ってましたわ」
206名無しさん@初回限定:2006/12/17(日) 23:29:01 ID:+mj/3AX40
相田と園生か・・・。最近読んでねぇな。
圭さんと相田はちょっと相通ずるものがありそうだw
207kugi:2006/12/18(月) 20:58:10 ID:+f+Uq8WS0
208くぎバット:2006/12/18(月) 21:19:26 ID:+f+Uq8WS0
ごめんミスった
>>192
>>196
のネタを使って

屋上にたなびく紫煙を目にし扉を開けた瑞穂
そこにはタバコを吸っている紫苑
「紫苑さん…何をしているんですか…」
状況の判断が出来ず戸惑う瑞穂
「見られてしまいましたか…ふふ…共犯になっていただきましょう」
紫苑が瑞穂に一本のタバコを差し出す
「でも…」
タバコを受け取る瑞穂、半ば興味本位で火をつける
「これ…蜂蜜の味がしますね」
瞬間
瑞穂の意識が拡散する
紫苑の奇妙な呪文の詠唱を聞いたような気もした

「Ia! Ia! Hastur!
Hastur cf'ayak vulgtmm,
vugtlagn, vulgtmm!
Ai! Ai! Hastur!」

209くぎバット:2006/12/18(月) 21:21:33 ID:+f+Uq8WS0
次に目を覚ますとそこは禍々しい星星の瞬く暗黒だった
視線を移動させると見知った姿
「…紫苑さん…ここは一体」
その問いに紫苑のものではない野太い声が答える
「ここは星間宇宙の深奥」
その声の主は赤い服を着た白い髭をたくわえた痩せ老人
そこだけの板の間に胡坐をかいている
「またきたか小娘」
続けざまに紫苑に向けて言い放つ
「今年こそはプレゼントを頂いていきます」
「へ?」
瑞穂には何がなんだか分からない
「ならばワシを倒して往け」
立ち上がりざま老人は紫苑に襲いかかる
痩せていたその体躯は筋骨が盛り上がっている
激突
すでに瑞穂は蚊帳の外
数手打ち合い両者は一旦離れた
老人は息を整え、紫苑は蜂蜜味のタバコを吸う
「シュルズベリイの蜂蜜タバコか」
老人が面白くなさそうに呟いた

再び激突
高まった両者の気が黄金色に輝く

その夜、世界中の人々が黄金の流星群を見たという



210名無しさん@初回限定:2006/12/18(月) 22:42:49 ID:ESOVaZtH0
この調子だと紫苑さまは“機械仕掛けの神”を呼び出しかねないなw
211名無しさん@初回限定:2006/12/19(火) 12:17:29 ID:ml9Y1Acm0
>>210
たしか瑞穂ちゃんが呼び出してた

サンタって星間宇宙にいるんですね
212名無しさん@初回限定:2006/12/19(火) 21:40:58 ID:k8iMiAaa0
むむむ
213名無しさん@初回限定:2006/12/20(水) 16:42:24 ID:wdLGhtxr0
お?
214:2006/12/21(木) 11:08:43 ID:s60SdCVe0
書きたかったので書いた。後悔はしていない。

-------
『扉』 1/2

「瑞穂さん……」

紫苑は下腹部にそっと手を当てて、痛みを堪えながら静かに窓の傍に立って外を見ていた。

つい先ほど、自分の希望を、未来への扉を開いてくれた愛しい人の名前を呼ぶ。
それだけで、世界が鮮やかに煌くように輝いていく。

「瑞穂さん……」

部屋に差し込む夕陽が、世界を黄金色に染め上げるように感じていた。
そっと目を閉じ、再び名を呼ぶ。
その名前を呼ぶ度に、その姿を思い浮かべるたびに彼女の心は軽くなっていく。
時折存在を主張する下腹部の痛みも、今の彼女にとっては幸せの証としか思えなかった。


「あ、瑞穂さん……」

病院から見える広場に、長い髪を風になびかせて歩いている”彼女”がいた。
扉が閉ざされていた時は、その姿を心の印画紙に焼き付けるだけしかできなかった。
でも、今は違う、セピア色に変色する筈だった、その”写真”は鮮やかな色と躍動感を持って
紫苑の中に満ちている。

これから先のことは分からない。でも、明らかに分かっていることが一つある。
これからは彼女の愛しい人が傍にいてくれること。
――なんと素晴らしいことか。
――なんと幸せなことか。
夕焼けの光の中の彼女の頬が、朱に染まる。
215:2006/12/21(木) 11:09:40 ID:s60SdCVe0
『扉』 2/2

ふと気がつくと”彼女”の周りに2人の女性がいた。
「あら、まりやさんと……緋紗子先生?」

通りがかったのだろうか? しかし、珍しい取り合わせでもあると紫苑は感じていた。
しばらく見ていると、”彼女”が両手をついてがっくしと落ち込んでいた。
その場の状況が手に取るように分かる。

「うふふ。」

と、同時にあることに気がついて、彼女の顔が明らかに夕焼けではない違った色に染め上げられる。
あの二人がここにいるということは、見舞いに来るはずだったのだろう。
で、ここに来ずに、広場で"彼女"を取り巻いているということは……そういうこと。

「あら、まあ、どうしましょう」

窓の下の”彼女”は、まりやに突かれながら歩きだしていた。

思わず、くすっと微笑みが漏れる。
翳りの欠片も無い、紫苑の今の心から溢れだした微笑みが。

「それも、いい想い出……ですわね。 瑞穂さん」

紫苑は幸せそうに夕陽に目をやった。
今までは夕焼けは嫌いだった。校舎の屋上から見ている夕日は彼女の安息の地の終焉を意味していたから。
でも、今は違う。世界を朱に染める夕陽が限りなく優しく、美しいものに見えた。
今は世界のすべてが美しいと感じる。

そう、彼女の扉は今開いたのだから。
216あまの めぐみ:2006/12/21(木) 22:22:51 ID:Aa2c2oL90
緋紗子「この勢いだとエルダーにまでなりそうね。」
瑞穂「エルダー・・・ですか?Elderというと旧神ですか?」
緋紗子「くすくす、違うわよ。おもしろい娘ね」
圭「Ia Ia Hastur Ia Hastur cf’ ayak ‘vulgtmm vugtlagln vulgtmm!」
瑞穂「あの圭さん?何旧支配者呼び出して、戦わせようとしているんですか?」

次回「エルダーファイト!」乞うご期待!
217名無しさん@初回限定:2006/12/21(木) 23:46:31 ID:nmoMBqRU0
紹介文だけでお腹いっぱいなのでもういいです
218あまの めぐみ:2006/12/22(金) 00:04:13 ID:hLVl7Si60
>>217
本文はありません。
219名無しさん@初回限定:2006/12/23(土) 21:38:19 ID:6Xu4AR8n0
SS投下期待age
220くぎバット:2006/12/23(土) 21:52:07 ID:BDILP7oh0
12月24日深夜

なんとなく目が覚めてしまった瑞穂ちゃん
お茶でも飲もうと食堂に下りてきました
「あれ?明かりがついてる」
不審に思った瑞穂ちゃんは警戒態勢で食堂を覗き込みました
そこにいたのは
紫苑さま、貴子さん、まりや、奏ちゃん、ゆかりん
「みんなそろってどうしたの?」
瑞穂ちゃんの問いかけに貴子さんが答えます
「ある…男性を待っているのです」
一瞬、自分の正体がばれたのかと表情をこわばらせる瑞穂ちゃん
でも、まりやが貴子さんの言葉を継ぎます
「その人は瑞穂ちゃんも良く知っている人よ」

221くぎバット:2006/12/23(土) 21:53:07 ID:BDILP7oh0
その言葉と同時
赤い光が輝き、鈴の音が響きます
「来ましたわ!」
紫苑さまが優雅に立ち上がり、奏ちゃんとゆかりんの表情が明るくなります
「サンタさんが来たのですよ〜〜」

全員が外に出てサンタさんの正面に立ちました
「ふむ、初めて見る顔がいるのう」
赤い服と白いお髭のおじいさんが、巨大な角をもつトナカイに引かれたソリに乗っています
よくみるとサンタさんは白髪を三つ編みにしています
「今年こそはプレゼントを頂くわよ!」
まりやがサンタさんに指を突きつけました
「「「へ?」」」
瑞穂ちゃんと奏ちゃんゆかりんが不思議な顔になりました

222くぎバット:2006/12/23(土) 21:57:31 ID:BDILP7oh0
紫苑さま、貴子さん、まりやの三人がサンタさんに飛び掛りました
「ふはははは、数々のサンタ狩りを突破したこのワシにかなうと思うたか!」
サンタさんは圧倒的な技と力で三人の攻撃を退けてしまいました
そして瑞穂ちゃんたちのほうを向き問いかけました
「貴様らもワシからプレゼントを奪ってみるか?」
瑞穂ちゃんたち三人は怯えた小動物のように首を横に振りました
サンタさんは愉快そうに笑ってソリを走らせ何処かへ去ってしまいました
紫苑さまは悔しそうに拳を地面に叩きつけました
「このために留年までしたというのに!!」
まりやはゆかりんの肩に手をかけ
「来年からはあんたたちがサンタからプレゼントを奪うのよ」
悔し涙を流しながら言いました
「あの…たぶん私には無理です…」
「かかかかかか会長さん〜〜そんな顔で見ないで下さいナノですよ〜〜」
「周防院さん…来年こそは…」
貴子さんががっしりと奏ちゃんの手を握りました
「瑞穂さん…」
「あの…紫苑さん?私に留年しろって言うんですか」
「ダメですか?」
紫苑さまは心底残念そうな表情で瑞穂ちゃんを見つめました

223くぎバット:2006/12/23(土) 21:58:43 ID:BDILP7oh0
瑞穂ちゃんは視線をさまよわせてしまいました
すると地面に光るものがあります
「みんな!サンタさんが何か落としていったみたい!」
その光に駆け寄るとそれは一振りの剣でした
紫苑さまがそれを拾い上げます
「銘が刻んでありますね」

その剣に刻まれていた銘は

 RHINDON

「どこの世界から来たのよ、あのサンタ」
瑞穂ちゃんはがっくりと膝をついてしまいました
224名無しさん@初回限定:2006/12/24(日) 16:21:11 ID:6L1YssXe0
ナルニアからきたんだね
225東の扉:2006/12/25(月) 14:18:07 ID:kvjvnRE60
東の扉です。

>>172-180のおとボクエスト(作品番号11−017)ですが、10−035の続き、ではと思います。
あと、紫苑さんも登場しているのですが……。
次回作品掲載時で結構ですので、修正をお願いします。

誰も待ってはいないと思いますが、「もうひとつの親善パーティー」の続きが前半出来ましたので、書かせていただきます。
226東の扉:2006/12/25(月) 14:23:03 ID:kvjvnRE60

〜ふたりきりの親善パーティー・前編〜

いろいろな意味で波乱の国際親善パーティーから十数日が経ち、そこはいつもと変わらぬ鏑木家の夕食の光景……。
「由佳里の料理は、ほんといつもおいしいよね」
「まったくだな。由佳里ちゃん、いっそのことプロの料理人を目指してはどうだ?」
「お、お義父さま……何度も言ってますけど、私はそんなつもりは……」
「でも、こんな料理を毎日出されては、メイドの私が形無しですわ。由佳里さん、
ダンスにしろ料理にしろ、もっと真剣に考えた方がいいと思いますが……」
「楓さん……そうだね。僕もそう思うよ」
みなさんはそうおっしゃってくださいますけど、私は瑞穂さんのためだけにしているんですから、世界に羽ばたきたいとは思っていません。
「しかし瑞穂、おまえもいよいよ来年は卒業だな。今のうちから会社のことを勉強しておいた方がよくないか?」
「経営学なら勉強しているけど、会社のことというのはもっと別のこと?」
「ああ。社長や会長というのは、部下の報告を聞くだけじゃなく、下の方まで自分の目で見て回らないといけないからな。
素直すぎるおまえでは、腹黒い部下に騙されてしまいかねないぞ?」
お義父さま、楓さん、そして瑞穂さんは、私の作ったやまかけハンバーグを食べながら、今日も夕食の団らんに会話が弾ませています。
「由佳里、どうしてハンバーグを食べないの?」
ふと、瑞穂さんが、不思議そうに私に話しかけてきました。
そう。いつもなら真っ先にハンバーグをがっつくように食べているんですから、この時はまだハンバーグに手すらつけていないのは
さすがに変だと思われても仕方ないですよね。
「え? へ、変ですか? ちょっと恥ずかしくて……」
「いつも美味しそうに食べてるのに、今さら恥ずかしがることはないだろう」
「そうだよ由佳里。今さら料理に自信がなくなるってこともないでしょ?」
でも、やっぱり恥ずかしいです。だって、私のハンバーグの上に乗ってるのは、
他のみなさんの分の上に乗っている山芋のとろろじゃないんですから……。
227東の扉:2006/12/25(月) 14:25:37 ID:kvjvnRE60
「じゃ、じゃあ……」
でも、どうやら後には引けなくなったようです。私は、それの乗っているハンバーグを一口口に運びました。
「あ……」
ダメ……やっぱり……ハンバーグの上に乗っているものがなんなのか考えただけでもドキドキしてるんですから……
予想はしていましたが、食べた途端に感じてしまいました。
「はあ……はあ……はあ……」
顔は紅潮し、悩ましげな吐息を吐き出しているのがわかります。
「どうしたの、由佳里? 体調でも悪いの?」
「い、いえ……平気です」
そうは答えたものの、実のところ、あまり平気じゃありません。
瑞穂さんがほしくてほしくてたまらない……その気持ちがどんどんふくらんできます。
「もしかして、もう食べたくないの?」
「ち……違いますよ! ダンスパーティーの時からずっとこれを食べたかったんですから」
「え……?」
ちょっと考えた瑞穂さんの顔が真っ赤になりました。
「ま、まさかそれ……」
どうやら気づいたようです。私のハンバーグに乗っているものが山芋じゃないってことに……。
「どうかしたのか、瑞穂?」
「い、いえ……父様、楓さん、後は僕たちでなんとかしますから、お2人で先に休んでいてください」
「あら、瑞穂さん、私たちを邪魔者扱いなさるんですか?」
「邪魔者なのはお互い様でしょ?」
「瑞穂さん、言うようになりましたね」
「ははは。では、わしらはこれで失礼させていただくよ」
お義父さまと楓さんはそう言って退室なさいました。
「ふふふ……父様や楓さんの前ではさすがに恥ずかしくて食べられなかったのかな?」
「は……はい」
「じゃ、僕がたべさせてあげよっか? はい、あーん」
瑞穂さんはそう言ってナイフで切ったハンバーグのかけらを私の口の前に運んできます。やっぱり恥ずかしいよ……。
228東の扉:2006/12/25(月) 15:00:15 ID:kvjvnRE60
「どうしたの? 食べたくない? 僕の身体の中で作ったものなんか」
「そ、そんなわけないじゃないですか! でも恥ずかしくて……」
「でも早く食べないと、本当に冷めちゃうよ?」
「はあはあ……じゃ、じゃあ……」
そう言うと私は瑞穂さんに瑞穂さんのが乗ったハンバーグを食べさせてもらいました。
私、今、瑞穂さんのものを、瑞穂さんの手で飲ませてもらってるんだ……それに気づいた私の身体はより敏感に反応します。
「んうーっ!!」
大好きな食べ物と大好きな人のエッチな液を同時に味わってることの官能の波に、私は必死に抵抗します。
「はあ……はあ……はあ……」
「ふふ……一口ごとにこれじゃ、いつ終わるかわからないね」
「だ……だってえ……」
こんな夢のような状況、じっくり味わうなという方が無理な相談です。
「じゃ、僕から、早く食べられるおまじない」
「え?」
そう言うと瑞穂さんは、私の胸とあそこを……正確に言えばその近くをまさぐり始めます。
「ふぁああ……」
気持ちいい……だけど、ゆっくりな動きがじれったい……。
「んっ……くう……」
タイミングはゆっくりだけど、だんだんと気持ちよくなっていきます。
「はあはあ……ねえ……も、もっと速く……」
「悪いけどダメ。速くしたらおまじないにならないから」
「そ、そんな……あああん!!」
非常に遅いのが苦しいけど、次第に頂点を迎える予感がしていました。
ああ……やっとイける……そう思った途端、瑞穂さんが手を私から離しました。
「あ……ど、どうして?」
もうちょっとでイけたのに……私は非常に残念でなりません。
「これがおまじないだよ。後は自分で考えてみて?」
瑞穂さんはそう言います。
229東の扉:2006/12/25(月) 15:04:35 ID:kvjvnRE60
「み、瑞穂さんの意地悪……」
ここまでじらされた上にこれで終わりなんて……早くイきたいのに……。
自分で胸とあそこを揉んでみますが、大して効果がありません。どうすれば……
ふとそこに、瑞穂さんのがたっぷり乗ったハンバーグが目に飛びこんできました。
あれを食べながらすれば、あるいは……。
「はむっ、んぐ、んんん」
私は夢中で瑞穂さんのが乗っているハンバーグを食べました。少しでも感じたくて……イきたくて……。
「んーっ!!」
「よくできました。じゃ、お望みどおりに……」
食べ終わると、瑞穂さんがそう言って私への愛撫を再開してくれました。
「んあっ……やああああ……!!」
じらされ続けて苦しさでいっぱいだった私の身体は、すぐに絶頂を迎えました。
私は自分から大量の液体を放出する光景を見ながら、意識が遠のいていくのを実感しました。

「んっ……」
私が目を覚ますと、瑞穂さんが床やいすの上をすくいながらすくった手をなめています。
「あなた……?」
「ああ、由佳里、お帰り。どうだった、僕のおまじないは?」
「おまじない……?」
「ハンバーグ、残さず食べられたでしょ?」
「あ……」
私はおまじないの意味に気づきました。瑞穂さん、やっぱり意地悪……。
「僕も、後始末でおいしい思いをさせてもらってるしね」
瑞穂さんは、私のエッチな液を飲んでくれているようです。その光景を見ると、イったばかりなのに、また胸がキュン、となって感じてきちゃいます。
「あれ? また僕が由佳里の蜜を飲んでるとこ見て欲情しちゃった?」
「そ、それは……」
「今さら恥ずかしがらなくてもいいでしょ? まあ、どんどんエッチになってるのに
いつまでもそういう初々しいとこがあるのも、由佳里の魅力なんだけどね」
「もう、あなたったら……」
私はハンバーグを食べていて、思い出したことがあります。それを言ってみることにしました。
230東の扉:2006/12/25(月) 15:08:43 ID:kvjvnRE60
「そういえば、あの時の約束、まだでしたね」
「え? あの時って?」
「忘れたんですか? パーティーの後、ドレス姿で、朝までしてくれるって約束ですよ!」
そう。あの後、まりやお姉さまや紫苑さまに見られてたことがわかって、それどころじゃなかったので、お互いすっかり忘れていましたが。
「ああ、そういえばそうだったね。ってことは、したくてしたくてたまらないのかな?」
「もう、意地悪……したくなかったら、こんなこと言うわけないじゃないですか」
「ふふ……それにしても、ホントにエッチが好きだね、由佳里は。まだ20歳でこの調子じゃ、将来どうなるのか、ちょっと心配になってくるよ」
「瑞穂さんとエッチするのが好きなんです! ほかの人となんてイヤですよ!」
「わかってるよ。じゃ、1時間後に由佳里の部屋に行くから。それまでに用意しておいてね?」
「はい……」
久しぶりに瑞穂さんと朝までできる……私の心は喜びでいっぱいでした。

「はあ……」
私はあの時の約束どおり、国交親善ダンスパーティーで着ていたドレスに着替えて、瑞穂さんを待っています。
あと30分……でも、なんだか着替え終わってから何時間もたったみたい……。
「早く……もう待ちくたびれちゃうよ……」
ガチャッ……その時、ドアが開きました。
「あ、あなた……」
入ってきたのは、瑞穂さんです。あの時の精巣に……じゃなかった、正装に身を包んで……。
「どうして? まだ30分もあるんじゃ……」
「そうなんだけど、あと30分も待ちきれなくて来ちゃったんだけど、悪かったかな?」
瑞穂さんの言葉で、私はとても幸せになります。
「悪くないですよ! 私も待ちくたびれてたんですから」
「そう? よかった」
「瑞穂さん、じゃあ……」
「あれ? それは……」
ふと、瑞穂さんがめざとくDVDを見つけました。
「この間まりやに返してもらったのね。それ見て1人でしようとしてたんだ?」
「そ、それは……そうなんですけど……」
「でも、あの時の由佳里の言葉、まりやたちにとってよっぽど同情を誘ったんだね」
瑞穂さんは、まりやお姉さまに私たちの行為を隠し撮りしたDVDを返してもらったときのことを語ります。
231東の扉:2006/12/25(月) 15:09:05 ID:RISVAV/O0
「おまんこハンバーグ食べてください」
232東の扉:2006/12/25(月) 15:32:37 ID:kvjvnRE60
……なんか>>231に偽者が出現してるようですが、ほっといて続きを書きます。

「ふふーん。ここでみなさんにとっておきのものをご披露しまーす!」
あの時、旧聖央のメンバーの同窓会で、と言っても、まりやお姉さまと親しい人だけのごく内輪の、ですけど……。
まりやお姉さまはその同窓会の場で、1つのDVDを取り出しました。
なんだろ、あれは……なんか、とてつもなくいやな予感がします。
「………!!」
それを見た私と瑞穂さんは、声を失いました。
DVDの中身は、国交親善ダンスパーティーでの私たちのトイレでの秘め事……それが、音声付きで隠し撮りされていたのです。
考えてみれば、まりやお姉さまなら、このぐらいしかねないわけですが……。
「ふにゃあー……」
「きゅううう……」
奏ちゃんと貴子お姉さまは、それを見て顔を真っ赤にして倒れてしまいました。
「おおおお姉さま、ここここんなところで、ふふふ不潔ですっ!!」
君枝お姉さまは、両手で顔を覆うフリをしながら指の間から見ていらっしゃいました。
「まあまあまあまあ……若いっていいわね」
緋紗子先生は、興味津々といった顔で、堂々と前のめりになってご覧になってました。
「むむ……」
「圭さん、興味深そうですね。私のことが嫌いになったんですか?」
圭お姉さまは興味深そうにしてらっしゃいましたが、美智子お姉さまの殺気に気づいてすぐに見るのをおやめになったようです。
「わわっ、返してください!!」
しばらくして正気に戻った私は、まりやお姉さまに必死に頼みました。
「ダーメ。これは作者の東の扉に抗議する材料に使うんだから」
「え……?」
「そうですわ。いくら東の扉がボンクラな方だといっても、由佳里さんだけいい思いをさせてるんですもの。
ここにいるほとんどの方が、瑞穂さんのことをお好きですのに」
「そうよ。あのアホ作者があたしたちの分も書くまで、由佳里と瑞穂ちゃんの絡みを書くのを禁止してもらうためにね」
「そうなのです。由佳里ちゃんばかりずるいのですよ」
「う……ううう……」
私は、それを聞いて泣きそうになりました。
233東の扉:2006/12/25(月) 15:36:14 ID:kvjvnRE60
「なんですかそれは! みんなゲーム本編では瑞穂さんに何度もしてもらってるじゃないですか! 私だけ1回しかしてもらってないのに!」
「あら由佳里、そんなことはないわよ」
「そうですわ。私と貴子さんも1回だけなんですから」
「……でも紫苑さまと貴子お姉さまは、やるきばこでもう1回、瑞穂さんにしてもらってますよね?」
「そ、それは……」
「私だけ瑞穂さんにしてもらえなくて、惨めに1人さびしくしてるっていうのに!」
「………」
「まりやお姉さまと一子さんは3回、奏ちゃんなんか4回も瑞穂さんにしてもらってるのに、
こういう場所からでさえも私に瑞穂さんにしてもらう機会を奪おうっていうんですか!?」
「あ、いやその、なんだ……」
「ひどいです! 差別です! そんなのあんまりです! いじめです! 虐待です! うわーん!!」
「そっか……考えてみれば、由佳里だけ1回なんだよね……」
「しかも私たちがいるから我慢できたのに、やるきばこで裏切ってしまった分、ダメージが大きかったのですわね」
「いくら脇役落ち寸前のヒロインとはいえ、エロいのに由佳里だけ1回だけなんて、ちょっとかわいそうだね」
「由佳里ちゃん、あてつけてしまってごめんなさいなのですよ」
「ううう……」
「わかったよ由佳里、あたしたちが悪かった。これは返したげるからさ、
こんなヘボ作者の話の中でよかったら、いくらでも瑞穂ちゃんに満足させてもらいなよ、ね?」
まりやお姉さまはそう言って、DVDを取り出し、私に渡してくださいました。

「本当にみんな、かわいそうだって顔してたもんね」
「……なんか、あんまり嬉しくないです」
「そう? じゃあ、気持ちを切り替えて嬉しくなることしよっか」
「はい!」
私は声を1オクターブ上げて返事をします。
234東の扉:2006/12/25(月) 15:38:16 ID:kvjvnRE60
「ふふ、現金だね。でも……」
「でも?」
「考えてみれば、そのドレス、今日は僕とエッチするためだけに着てるんだよね?」
「あ……」
その事実に気づいて、私の心臓が一気に高鳴りました。
そっか、私はこの豪華なドレスを、瑞穂さんに興奮してもらうために、そして私自身が興奮するためだけに着てるんだ……。
そのとてつもなく淫靡なシチュエーションに、心臓がバクバクいい始めます。
「じゃあ……」
瑞穂さんはそう言うと、なぜか忍び足で私から遠ざかり、ドアの前まで来ました。
「あなた、どこ……」
「シッ!」
瑞穂さんの牽制に私が黙ると、そのままドアをすばやく開けました。
「あ……」
「父さま、楓さん、何か御用ですか?」
そこでは、お義父さまと楓さんがドアに張り付いていました。
「いやその、瑞穂がタキシード姿で由佳里ちゃんの部屋に入ってくから、何事かと思ったんだが、心配なかったようで……」
「じゃ、そういうことで、ごゆっくりー」
お2人はそう言ってそそくさと逃げ去ってしまいました。
「まったくもう……」
瑞穂さんはそう言ってドアの先を苦笑いで見ます。
「追わなくていいんですか?」
「もう2人とも来ないでしょ? 今は由佳里の相手をするほうが大事」
その言葉に酔ってしまった私に、瑞穂さんは思い出したように言います。
「そういえば……」
「どうかしたんですか?」
「いや、由佳里が1人でするところ、1度も見てないな、と思って……」
「な……」
私はそれを聞いて、恥ずかしさでいっぱいになりました。1人エッチなら今までに何度もしてきたけど、それを瑞穂さんの前でするなんて……。
235東の扉:2006/12/25(月) 16:00:23 ID:RISVAV/O0
誰も褒める者がいない駄文をよく書き続けていられると感心します。
236東の扉:2006/12/25(月) 16:10:15 ID:kvjvnRE60
「見たい……ですか?」
「うん。見たいな」
「で、でも、声なら聴いたことあるはずですよ?」
「え? 全然覚えないけど」
ないはず、ですよね。確かに聴いてるんですけど、瑞穂さんは私だと気づいてないんですから。
「どこで? 教えてほしいな」
こういうとき、私は瑞穂さんには逆らえません。死ぬほど恥ずかしかったけど、話すことにしました。
「覚えて……ないですか? 瑞穂さんが転校してきてすぐ、トイレで変な声が聴こえてきたのを……」
私がそう言うと瑞穂さんは遠い記憶を探り始めます。そして、思い出したように目を見開きます。
「そういえば、確かにそんなことがあった……でも、まさか由佳里だったなんて……」
告白するときもですけど、改めてそう言われると余計恥ずかしいです。
「あれ? でも、どうしてあそこに僕がいるってわかったの?」
「……まりやお姉さまに、声で私だってバレたんですよ……それで、あとであそこに瑞穂さんもいたって教えてもらって……」
「なるほど……それでまりや、あの時由佳里のことエロいって言ってたのか……」
「もう、まりやお姉さまったら……」
そう言いながらも、私は半分あきらめていました。そして、まりやお姉さまでさえ知らないことを話し始めました。
これは、私と瑞穂さんだけの、2人だけの秘密……。
237東の扉:2006/12/25(月) 16:15:58 ID:kvjvnRE60
「実は、瑞穂さんが転校してきた前の日、溜まってた分処理したんです。だからあと1週間は大丈夫なはずだったんですよ」
「そうなの? じゃあどうして?」
「瑞穂さんに初めて会った途端、急に欲情がこみ上げてきて……それで、次の日……ホントは放課後まで待つ予定だったんですけど、
お弁当を届けに行ったときの瑞穂さんの嬉しそうな顔を見たら、とうとう放課後まで待てなくなってしまって、それで……」
「1人でしちゃったんだ?」
「……あの時音がする前、瑞穂さんの笑顔を思い浮かべて、名前を口に出す寸前だったんですよ?」
「ふーん。僕が女子トイレの使い方がわからなくてしどろもどろになってる時、由佳里はもう僕のことを思ってしてくれてたんだね」
「やあっ……」
私はもう恥ずかしさでいっぱいでした。こんなこと、言わなきゃよかったかな……。
「でも、すごく嬉しいよ。じゃあ、今度は声だけじゃなくて、姿も見せてもらおうかな」
「は、はい……」
私、これから瑞穂さんの見てる前で、瑞穂さんの視線にさらされながら1人でするんだ……そのとんでもない恥ずかしさは、私の中で、
すでにとんでもない快感に変わっていました。
私は、バクバクしている心臓の動きを抑えようとする右手を左手に移し変え、スカートをめくり上げました。
238東の扉:2006/12/25(月) 16:29:44 ID:kvjvnRE60
とりあえず、前半はここで終了します。

おわかりかと思いますが、>>231>>235は偽者ですので。

ところで、『処女(オトメ)レジェンドスペシャルプロジェクト バースデイ・カプリッツィオ』
まだ結末をどうすればいいのか迷ってらっしゃるのか、それとも書き込む時間がないのか……。
続きを期待していますが、どうなのでしょうか?

「ゆかりんのひとりでできるもん!」「まりやさまはしってた」の後、ああなっていたんじゃないかと思っていますが、
Qooさんはいかがお思いでしょうか?
次の落とすときで結構ですので、もしよろしければお答えください。

それでは。
239名無しさん@初回限定:2006/12/25(月) 16:39:55 ID:RISVAV/O0
なあ、物語に自分の名前を入れて絡めるのはやめた方がいいと思うぜ。
こういったところで公開してるんだから、他人に読んでほしいって思いが少なからずあるんだろ?
だったら他人が読んでどう思うかまず考えてくれよ、
作者の名前が入った二次創作なんて、そんな自己満足のためのオナニーはみたくないよな。
240名無しさん@初回限定:2006/12/25(月) 16:42:47 ID:jr9XEwCR0
>>239
別にいいんじゃね?俺は気にしないし。
そもそも、二次創作というジャンルそのものが自己満足のオナ(ry
241名無しさん@初回限定:2006/12/25(月) 18:40:25 ID:Cet01dvH0
>>238
そろそろ、別キャラのエロ展開キボン。由佳里ばかりではちょっと…

>>239
感想書くなら最後まで待ってからにすれば?
242名無しさん@初回限定:2006/12/25(月) 23:03:07 ID:+DfmCi+YO
そもそも読んでない&飛ばしてる俺は勝ち組
243名無しさん@初回限定:2006/12/25(月) 23:09:31 ID:tNtigY1o0
494 名前:ラーメン大好き@名無しさん 投稿日:05/02/13 13:17:19 ID:0YkCCBn+
今朝渋谷の一蘭行ってきました
日中の混雑時間を避けたとはいえ
人気の店だけ会って結構並びました
殺伐とした雰囲気を覗けば
すごく美味しくいただけました。


495 名前:494 投稿日:05/02/13 13:18:47 ID:0YkCCBn+
あわわ!!!
偶然縦読みすると犯行予告になってしまいました!
そういった意図はありませんすみませんでした
スルーして下さい!!
244名無しさん@初回限定:2006/12/26(火) 01:05:33 ID:tYuCkgRk0
トリつけてくれたら あぼーん しやすいのだけど…?
245Qoo:2006/12/26(火) 01:12:08 ID:weTim9GM0
え〜…Qooです。

東の扉さんへ。
え〜っと…ゆかひとは私の中ではもう終わった話なんですけれど…、
でも「もし」で考えてもやっぱりもうまりやの話で終わってるんです。
私の話の中のまりやの信条は一撃必殺ですから。
またゆかりんの新しいネタでも仕入れれば別だと思いますので、
続けるにも、話の起こりに変化を与えるとよかったかも。
でも人それぞれにストーリーがあって然るべきですし、
それに感想求められるとちょっと答えるの難しいです…。

「バースデイ・カプリッツィオ」の方ですが、プロットは出来上がってるんですが、
時間があっても書くモチベーションが上がらないのです。
またやる気が回復すれば書くかもしれないので、もし待ってくれてる人がいるのなら、
期待しないで気ままに待って頂けるとうれしいです。…プレッシャー掛かると弱いタイプなので (´Д⊂) Qooでした。m(_ _;)m
246名無しさん@初回限定:2006/12/27(水) 08:48:15 ID:Lsw2DonbO
>>242
どう考えても負け組ですほんとにどうもあ(ry
247名無しさん@初回限定:2006/12/27(水) 11:58:04 ID:J3fvZsHt0
オレもスルーしてるから負け組みか
248名無しさん@初回限定:2006/12/27(水) 18:52:42 ID:sEXXbBiJ0
いうまでも無くスルー
249名無しさん@初回限定:2006/12/28(木) 03:00:43 ID:2awi5D0r0
エロパロ板におとボクスレ建ってたよ。
でも大半が瑞穂ちゃん陵辱ものばっかり○| ̄|_

乙女はお姉さまに恋してる
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1166226552/
250名無しさん@初回限定:2006/12/28(木) 09:17:22 ID:2awi5D0r0
瑞穂ちゃん受けの電気アンマネタ連載中を探してきたよw
まりやがやけにドSな性格になっとるがな。
瑞穂ちゃんはそんなまりやの調教三昧を受けてMな性格にw

保管庫の オリジナル・シチュエーションの部屋その2
【♂⇒♀】女の子が電気あんまで悶絶!7【♀⇔♀】
6-278様:『女装娘が電気あんまされて悶絶!』(乙女はお姉さまに恋してる)を参照
http://sslibrary.gozaru.jp/

現行スレも載せとく
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1149700144/
251名無しさん@初回限定:2006/12/28(木) 22:41:17 ID:wbq38XMd0
成龍

「ちょっとまりや!またそんなにお酒飲んで!」
瑞穂ちゃんがたっぷりとアルコールのはいったまりやの肩をつかむ
まりやの肩を摑んだはずの瑞穂ちゃんの掌から手ごたえが抜ける
「?」
バランスを崩した瑞穂ちゃんの頭にお酒をかけるまりや
ちょっとキレ気味の瑞穂ちゃんがまりやを抱きすくめようとするけど
まりやはするりと瑞穂ちゃんの腕から逃れる
「まりやっ!」
何度も何度も抱きすくめようとするけど失敗
「酔えば酔うほど強くなる〜〜〜〜」
瑞穂ちゃんをからかうように小躍りするまりや
「にょほほほほほほ〜〜〜〜〜〜〜」
「まさか…まりやが酔拳の使い手だったなんて…」
「エチルでもメチルでももってこ〜〜〜い」
252名無しさん@初回限定:2006/12/29(金) 00:38:07 ID:B/RuZ9XT0
>>251
ジャッキーか…
なんとなく思いついたので

紫苑「これは…」
奏「ご存知なのですか?紫苑おねえさま」
紫苑「酔拳。それもこれは酔八仙の拳…
   これを修めた方が実在するとは思いませんでしたわ」
253名無しさん@初回限定:2006/12/29(金) 03:47:21 ID:qbNARKXo0
アニメスレにいぬかみっ!ED友情物語のおとボクverがあがってたから持ってきたw
めちゃおもろいから見てみろwww

676 :風の谷の名無しさん@実況は実況板で :2006/12/28(木) 15:26:12 ID:1GY5gfKu
>>674
俺も同じくつぼったのでこんなの作って和んでいる
ttp://swfup.info/view.php/5811.swf
254名無しさん@初回限定:2006/12/29(金) 19:51:29 ID:aH7+7XU00
>>251-252
木曜洋画劇場か
テレ東の予告はなんであんなに面白いんだろうな
255名無しさん@初回限定:2007/01/02(火) 02:48:12 ID:UkiwvcRr0
エロパロ板の理想の女性スレにこんなのあったんだけど、持って来ちった。
もしかして既出?そうだったらスルーしてチョw

105 :名無しさん@ピンキー :2005/06/27(月) 18:53:32 ID:wPipg305
下らんネタ投下 元ネタわかる人手あげて

「ええーーー!!」
寮で暮らす僕。朝起きたら何故か女の子になっていた。
「ななななな何でーー」
「どうしたの瑞穂ちゃん?」
「ま、まりや・・・これみて・・・」
「何じゃこりゃー!!って別に都合が悪いどころかむしろいいわね・・・」
そ、そんな・・・酷いよ・・・まりや・・・・
「だって解決法が無いんだもん。だったら利用するまでよ」
「そ、そりゃそうだけどさ」
「お姉さま〜どうかしたのですか〜」
「か、奏ちゃん・・・」
同じく寮に住む下級生周防院も部屋に入って来た。
そして僕の体を見ると、
「う、美しすぎます〜お姉さまの体〜」
パタンと奏ちゃんは倒れてしまった。

こんな調子で何も変わらなかった僕の生活
僕って一体?
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;        ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;         ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;     _,.'⌒  ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;    '´  `ヽ  ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;   . /  j ))ソ    ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;    / / / /ノ      ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;   ノノノノj{_)       ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;   ´θ^θン) u        ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
256東の扉:2007/01/03(水) 07:21:21 ID:Ho+zr7RL0
遅レスですが、ご意見くださった方、ありがとうございます。参考にさせていただきます。

>>245
Qooさん、コメントありがとうございます。
私は、とある作品を連想してしまったせいか、なんか由佳里ちゃんがちょっとかわいそうに思えてきたので続きを書いたのですが、
確かにもう少し工夫の余地はあったかもしれませんね。
まあ、どう転んでもあの後由佳里ちゃんはしばらくまりやに辛く当たるとは思いますが。

「処女(オトメ)レジェンドスペシャルプロジェクト バースデイ・カプリッツィオ」
気長に待っておりますので、ご自分のペースで結構ですから、気が向いたらお願いします。
257東の扉:2007/01/03(水) 07:23:04 ID:Ho+zr7RL0
〜甘すぎる自説〜

今日も寮で朝食をとる寮生たち……。
「へえ、今日は目玉焼きなのね」
「いつもスクランブルエッグだったからね。たまにはいいよね」
「そういえば昔、『目玉焼きって、2つそろって目玉焼き。1つだと独眼竜政宗』だって意見を聞いたことがあります」
「言われてみれば確かにね……」
「そういえばさ、みんな、ホントは目玉焼きに何かけて食べる?」
「急にどうしたの、まりや?」
「だってさ、目玉焼きって普通何かかけて食べるじゃない。みんなホントは何をかけて食べるのが好きなのかな……と思って」
「私はお醤油ね。基本的に和食の味付けが好きだから」
「瑞穂ちゃんは醤油ね」
「そういうまりやはどうなの?」
「あたしはケチャップ。由佳里は?」
「もっちろんハンバーグの上に乗せてですよ! 目玉焼きなら、それに勝るものなんてありません!」
「……あのね、由佳里ちゃん」
「由佳里、あたしは目玉焼きだけで、何をつけて食べるか聞いてんだけど?」
「それだけなら塩ですね。一番目玉焼きそのものの味が引き立ちますから」
「由佳里らしいわね」
「そういえば、奏ちゃんはどうなの?」
「奏は、いちごミルクソースなのですよ」
「………!!」
その場にいる全員が、ムンクの叫びのような表情になった。
「いちごミルクの甘ーい味が、半熟のどろどろと混ざるのが、とってもおいしいのですよ」
奏は、うっとりした表情で語る。
「あれ? みなさん、どうしましたのですか?」
奏が見ると、彼女以外の寮生たちは全員顔を机につけ、手を痙攣させて「うーっ……」とうなっていた。

Fin
258名無しさん@初回限定:2007/01/03(水) 12:54:31 ID:u719mbe50
>>257
と言うことは、生徒会長はソース派かな?
全員の好みはどうなのだろうか?

あと、目玉焼きって、醤油派、ソース派、お塩(+コショウ)派とかが居るらしく、ケンカになることもあるらしい。
解決策として、和食のときは醤油、洋食(パン食)のときはソースとしたりするのがいいとらしい。
259名無しさん@初回限定:2007/01/03(水) 14:29:31 ID:tFZcuCLQ0
>>258
じゃあ目玉焼きには何もかけない
サラダにもドレッシング類をかけない人はどうすんだ?
260名無しさん@初回限定:2007/01/03(水) 16:39:15 ID:u719mbe50
>>259
そこは臨機応変に・・・、こんな事で引っ張るのも嫌なので
>>258
は「上2行」だけを・・・、「下2行」は深く考えないようお願いします。
261名無しさん@初回限定:2007/01/03(水) 16:50:48 ID:JxIC4o170
宴会で酔って俺の刺身にソースかけた奴を本気で殴った事がある

慈悲とか寛容の精神とかもうそんなもんじゃねぇ

もっと恐ろしい何かの片鱗を味わった
262名無しさん@初回限定:2007/01/03(水) 19:14:57 ID:HVeQq9y70
間違えてウスターソースで刺身食ったことあったが、不味くは無かった
ウスターなら大丈夫な人も結構いると思う

ちなみに、目玉焼きは、塩+唐辛子派
263名無しさん@初回限定:2007/01/03(水) 23:18:02 ID:OtdalKNR0
冬休みのある日

まりやと一緒に寮の食堂に来た瑞穂ちゃんが一言
「なんだかいつもと食堂の様子が違うんだけど」
「ん?みてのとーりコタツを出したのよ」
いつもテーブルがある位置にはなぜかコタツが
「いいのかなあ」
そうは言いながらもコタツに足を入れる瑞穂ちゃん、すると
「うわっ、中に何かいるよ、もふもふしてる」
コタツ布団をめくり上げ中を覗きこむと
「にゃあ」
「ねこっ!ねこがいる」
「や〜ね〜瑞穂ちゃん、おこたに猫はつき物でしょ、圭さんが貸してくれたのよ」
「寮に動物入れて大丈夫なの?」
「冬休みの間は寮母さんいないし大丈夫なんじゃない?」
二人でそんな風にしゃべっていると、奏ちゃんとゆかりんも来ました
「おこたがでてるのですよ〜〜」
「日本の冬はやっぱりコタツですよね〜」
「おこたといえばミカンなのですよ〜奏ミカン持ってきますのですよ〜」
「あ、私お茶入れてきます」
二人はパタパタとスリッパを鳴らして厨房に向かいました
「ゆかり〜番茶でよろしくね〜」

264名無しさん@初回限定:2007/01/03(水) 23:19:25 ID:OtdalKNR0
お茶とミカンを持って二人が戻ってきました
「こたつこたつ〜〜」
ハンバーグを食べるときぐらいの笑顔でゆかりんがコタツに足を入れました
奏ちゃんもそれに続きます

ずずずずずずずず

お嬢様らしくない音を立ててみんなが番茶を飲み始めました
「ふい〜〜やっぱり日本の冬はこうでなくちゃねぇ」
まりやが感慨深げに言いました
ところが奏ちゃんとゆかりんはぽやっと瑞穂ちゃんを見るばかり
「ん?どうしたの二人とも」
「あ…はやや…お姉さまがあまりにも和んでいらっしゃるものなので」
テーブルに顎をのせた瑞穂ちゃんの顔はいつになく和んだ表情
「なに瑞穂ちゃんてばそんなに和んでるのよ」
まりやが聞くと
「うん、この猫のもふもふ感が最高で」
「「ねこ」」
その単語に反応した奏ちゃんとゆかりんがコタツに手を入れました
「あ、本当だ、すごーいやわらかい毛ー」
「本当にもふもふなのですよ〜しっぽなんかこの世のものとは思えないさわり心地なのですよ〜」

265名無しさん@初回限定:2007/01/03(水) 23:20:01 ID:OtdalKNR0
「へ?奏ちゃん?尻尾は私がもふもふしてるんだけど」
「「「「?」」」」
全員がコタツ布団をめくりあげ中を覗きこみました
「にゃあ」
一鳴きして猫はコタツの外に出てきました
「ねえ、尻尾が二つあるんだけど」
瑞穂ちゃんはちょっと後ずさりしてしまいました
奏ちゃんは震えながら瑞穂ちゃんの腕にしがみつきました
ゆかりんはまりやの胸に顔を埋めてしまいました
「にゃあ」
もう一回鳴くと猫は寮から出て行ってしまいました
「圭さん…一体何者なんですか…」
266名無しさん@初回限定:2007/01/04(木) 00:30:25 ID:NG01zTis0
ふぁ〜あ……ねむ。
267名無しさん@初回限定:2007/01/04(木) 00:55:17 ID:IcCaTbIt0
「ました」が多すぎるかと
268名無しさん@初回限定:2007/01/04(木) 10:26:20 ID:cMK0ZwTn0
>>267
きっと踊る大捜査線のファンなのでました。
269名無しさん@初回限定:2007/01/04(木) 23:19:47 ID:xROzs5rd0
圭「瑞穂っちの精気はどうだった?ネコマタ」
猫「極上だったnya」

ってことか
270東の扉:2007/01/04(木) 23:52:17 ID:aUu2MnXM0
>>265
つまんね。
271名無しさん@初回限定:2007/01/04(木) 23:53:07 ID:aUu2MnXM0
あ、上は偽者です。
272名無しさん@初回限定:2007/01/06(土) 09:50:31 ID:p/RuqnzMO
今酷い自演を見た。
もう言う事なんて無い
273東の扉:2007/01/06(土) 13:56:33 ID:Ctp/B54X0
〜お姉さまの麻雀体験記〜

「ふーっ……掃除も終わったことだし、そろそろ帰ろうかな」
僕は、当番の掃除を終えた後、いつものように寮へ帰ろうとしていた。すると……。
「ねえ、それじゃあどうすんのよ?」
歩いていたら、部屋から声が聞こえてきた。まりや?
「仕方ありませんわ。どうしてもはずせない急用なんですから」
「そうね。キャンセルされたんだから、やりたければ、代わりに誰か連れてくるしかないわね」
紫苑さんと緋紗子先生も? いったい何の話だろう?
「どうかしたんですか?」
「瑞穂ちゃん!」
「瑞穂さん!」
僕がドアを開けると、みんながそう反応する。
「そうだ! 瑞穂ちゃんに加わってもらおうよ!」
「あら、よろしいですわね」
「そうね。瑞穂くんなら楽しくなりそう」
「あ、あの……いったい何の話ですか?」
「麻雀よ、ま・ー・じゃ・ん。ちょうど1人すっぽかされて困ってたのよ」
「ど、どうして私が……」
「瑞穂ちゃん、麻雀のやり方知らないの?」
「……やったことはないけど、ルールは大体……」
「じゃあ問題ないじゃない。瑞穂ちゃんも大人になったら接待とかで麻雀やることもあるだろうし、やろうよ」
「う、うん……まあいいけど……」
別にいいだろう。どうせ帰っても特にやることはないし。
274東の扉:2007/01/06(土) 14:00:00 ID:Ctp/B54X0
「どうせでしたら、お金、賭けませんか?」
「ちょ、ちょっと、紫苑さん」
「あら、いいわね」
「緋紗子先生! 先生が賭け事なんかに賛同しないでください!」
「別にいいじゃないの、瑞穂ちゃん。バックに『や』のつく人たちがいるわけじゃないし、
どうせ大勝ちしてもボロ負けしてもせいぜい2,000〜3,000円なんだから。遊びよ、遊び」
「そうですわ。たまには少しくらい羽目を外しても」
「う、うん……」
そして、僕とまりやと紫苑さんと緋紗子先生の4人で麻雀は開始したのだった。

「ロン!」
「ああっ!!」
麻雀を開始してしばらく、僕はまりやをはじめみんなに負かされ続けていた。
「ふふーん。またあたしの勝ちね」
「そ、そんなあ……筋だから通ると思ったのに……ずるいよ」
「ずるくないって。こんなの基本よ。っていうかさ、瑞穂ちゃん、引っかけリーチにかかったの、これで何回目?」
「ううっ……聞かないでよ」
「まったく、瑞穂さん、素直すぎますわね」
「いいのよ。それが瑞穂くんのいいところですから」
「そうよね」
「そうですわね」
「……なんか、褒められてる感じがしないんだけど」
「ほらほら、瑞穂ちゃん。点棒が風前の灯よ」
「ううっ……」
やっぱりこういう駆け引きのあるゲームでは、まりやたちには勝てないのかな……。
275東の扉:2007/01/06(土) 14:02:40 ID:Ctp/B54X0
「しっかし瑞穂ちゃん、始めてから1回もあがってないわね」
初めてなんだから仕方ないでしょ、まりや。
「そうね。まりやさん、紫苑さん、たまには瑞穂くんに振り込んであげたら? 1回もあがれないままじゃかわいそうよ」
「そうですわね。たまには瑞穂さんにあがらせてあげましょう」
「やめてください……もっと惨めになるだけですから……」
「あら、聞こえてた?」
……そりゃ聞こえますよ、緋紗子先生。
「じゃあ始めましょうか」
「うん……」
これで、僕が負けたら最後の局だ。そして、何回か牌を引いた後……。
「あ……」
「瑞穂さん、どうかしましたの?」
「やった……ツ、ツモ……国士無双……」
僕は、ようやくあがることが出来た。今まで負かされっぱなしだっただけに、その分嬉しいよ……。
「やったじゃないの、瑞穂ちゃん!」
「よかったわね、瑞穂くん」
「まりや……緋紗子先生……」
「でも、国士無双って……」
「国士無双がどうかしたんですか、紫苑さま?」
「ええ。それであがるのは、運がどん底になった証拠だという話を聞いたことがありまして……」
「………!!」
人がせっかく浮かれてるのに、そんな話しないでよ、紫苑さん……。
276東の扉:2007/01/06(土) 14:33:00 ID:Ctp/B54X0
「ううっ……ボロ負けだよ……やっぱりこういうゲームではまりやたちには勝てないのかも……」
結局、1回国士無双であがったものの、その後もまりやたちの狡猾な作戦に僕ははまり続けてしまった。
「でも瑞穂さん、初めてで負けるのは仕方ありませんわ」
「そうよ瑞穂くん。誰だって最初から勝てる人なんていないんだから」
……まあ、そりゃそうだろうけど、最初ぐらい入門編らしいやり方でしてよ……。
「瑞穂ちゃんも1回だけど、高い手であがれたんだからいいじゃない」
「そうですわ。こういうのは前向きに考えないと……」
そうだよね。その方がいいよね。でも紫苑さん、後ろ向きにさせてしまうようなこと言ったの、忘れてませんか?
「でも瑞穂ちゃんって、ホント接待麻雀の才能あるよね」
「……なんかさりげなくバカにされてるような気がする」
「まあまあ、麻雀ってのは運の要素も大きく作用するからさ。チェスとかよりは、あたしたちに勝てる確率高いわよ?」
……なんか五十歩百歩のような気もするけど。

「ねえ、次は脱衣麻雀でしない?」
緋紗子先生は、とんでもないことを言い出した。
「ぶはっ! だ、脱衣って……」
「よろしいですわね。今度はそれでいきましょう」
「い、イヤですよ! 僕は勝っても負けても地獄じゃないですか!」
「瑞穂さん、その発言は女性に対して失礼ですわよ」
「そうよ瑞穂ちゃん。あたしたちのストリップなんか、見る価値がないくらい醜いっていうの!?」
「そうは言ってないじゃない。目のやり場に困るってことだよ。っていうか、まりやたちはだって負ける可能性もちょっとはあるのに、
男に見られてもいいの?」
「瑞穂くん(さん)(ちゃん)になら、見られてもかまわないわ(かまいませんわ)」
……見事にハモってるし。

「多数決の結果、賛成3、反対1で、次は脱衣麻雀で決定ね」
「ううっ……」
多数決って……こんなの反則じゃないか……。
277東の扉:2007/01/06(土) 14:34:39 ID:Ctp/B54X0
しっかし瑞穂ちゃん、ホントいじり甲斐があるよねえ。そうだ、次の勝負では瑞穂ちゃんの脱衣シーンを隠し撮りして、
貴子とか由佳里あたりに高く売りつけてやるのも悪くないわね。
瑞穂の落ち込む姿を見ながら、まりやはそんなことを考えているのでした。

Fin
278東の扉:2007/01/06(土) 14:39:25 ID:Ctp/B54X0
>>272
念のために書いておきますが、>>270は本当に私ではありません。

>>231 >>235でも偽者の荒らしに遭いましたので、多分それと同じではないかと……。
信じるか信じないかはそちらのご判断にお任せしますが……。

それでは。
279名無しさん@初回限定:2007/01/06(土) 15:02:46 ID:4HtkXSEq0
なんでトリップつけないの?
そんなだから騙られるんだと思うんだけど。
280名無しさん@初回限定:2007/01/06(土) 15:19:46 ID:fx5S3d070
じゃあ俺は信じないほうに。
281東の扉:2007/01/06(土) 21:12:14 ID:Ctp/B54X0
>>279
トリップってなんですか? どうやってつけるんですか?
282名無しさん@初回限定:2007/01/06(土) 21:19:39 ID:h19WqagC0
ネットで検索すれば分かるよ
283名無しさん@初回限定:2007/01/06(土) 21:43:11 ID:axj9ryIcO
名前入力の時、名前の後に半角#好きな文字列。
自分の覚えやすい文字にして他にバラさないこと。
284名無しさん@初回限定:2007/01/07(日) 00:51:40 ID:wJAKQOnS0
91あたりを読んでいても思ったが、フュージャネイザンしそうな奴だな。
285名無しさん@初回限定:2007/01/07(日) 02:18:44 ID:qITDhjuKO
じゃあ俺も信じない……っつーか信じるだけの信用が無いっつーか
286名無しさん@初回限定:2007/01/07(日) 19:27:10 ID:KQtzpTNY0
>>276
読んでていつも思うんだけど、会話文ばかりで深みがない。
これだけ書き続けてるのにいつまでたっても進歩がみられない。
もうどうしようもない。
287名無しさん@初回限定:2007/01/07(日) 22:41:02 ID:SEX8Usch0
⊂二二二( ^ω^)二⊃ ブーン が来ました

満月の綺麗なある冬の夜
いつものように瑞穂ちゃんが勉強していると
ブーーーーーーーーーーーーーン
ちゅいんちゅいんちゅちちちん
聞いたことがあるようなないような音が聞こえてきた
授業を受けていると聞こえてくる草刈機の音かなと思った瑞穂ちゃん
「用務員さんが草刈でもしてるのかな?」
ふと時計に目をやると時刻は夜の11時を回った頃
「って、こんな時間に草刈するわけないじゃない!またまりやねっ!」
部屋を飛び出して階下に降りる
明かりが漏れている食堂に入ると目に飛び込んできたのは
食堂の隅っこで抱き合って震えている奏と由佳里
「二人ともどうしたの?」
瑞穂ちゃんが聞くと奏が大粒の涙をこぼして指をさす
その指をたどるまでもなく、瑞穂ちゃんが振り向くと案の定まりやの姿
「まりや…その手に持ってるの何?…あああああああ!壁が穴だらけになってる!!」
まりやの向かいの壁は一面がハチの巣状態

288名無しさん@初回限定:2007/01/07(日) 22:41:59 ID:SEX8Usch0
「いやーーー乙女の敵が出現したもんだからねーちょっとガトリングガン使っちゃったわ」
「おと…乙女の敵…?」
脱力して乙女座りしてしまう瑞穂ちゃん
そんなやりとりをしていると
ちゅう
「ぬうっ!またでたかっ!!」
まりやがガトリングガンを振り上げる
ブーーーーーーーーーーーーーン
瞬く間に壁や床に穴が生産される
耳をふさぐ瑞穂ちゃんと奏、由佳里はすでに失禁して失神している
まりやがトリガーから指を離し、発射音がやむ
乙女の敵、ねずみをやっつけたのだ
「お、尻尾が残ってる」
ねずみのしっぽをてにいれた
「これアダマンタイトと交換できないかしら」
「いつの時代のFFの話よ…」
289名無しさん@初回限定:2007/01/07(日) 23:12:52 ID:PESKLi+G0
不覚にもオチにワロタ
290名無しさん@初回限定:2007/01/08(月) 01:42:38 ID:aH1qiucz0
>>287-288
「僕は信じるよ。まりやは未来から来た殺人ロボットだったんだ。
 映画と違うのはシュワルツネッガーが演じていないってことだけだ」
291名無しさん@初回限定:2007/01/08(月) 02:28:56 ID:I2wxowas0
>>290
「・・・・・・・・・・・・面白くもねぇし、笑えねえよ。」
292名無しさん@初回限定:2007/01/08(月) 10:11:35 ID:Tb92qMPw0
>失禁して失神…
293名無しさん@初回限定:2007/01/10(水) 18:35:13 ID:og62iwKs0
FF4か
294名無しさん@初回限定:2007/01/11(木) 02:31:59 ID:nWEMRdVi0
>>290
まりやが狂犬メイドなら・・・
由佳里、黒服に向かって
「ひ、控え目に見てもあなた方は、由緒正しい女学院にナイフを持ち込むような無頼の輩にしか見えないですよっ!」

奏、生徒会長に向かって
「か、奏は……ネバーダイ、永遠なのですよ。部長さんの魔力の及ぶ限り……」(ガクガクブルブル)

貴子、姫君を想いながら独白
「私は紫苑様と同じ生き方を望むべきではありませんわ」
295名無しさん@初回限定:2007/01/12(金) 23:17:58 ID:52euopQy0
ある日、寮からまりやと由佳里の姿が消えた

「ねえ、奏ちゃん、あの二人どこへ行ったか知らない?」
「なんでも修行に行くとか行っていたのですよ〜」
「修行?」
「はいなのですよ〜滝に打たれた来るそうなのですよ〜」
「滝に?」
「エンゼルフォールに行くといって出て行きましたのですよ」
「可愛らしい名前の滝ね」
「きっと落差が1メートルくらいなのですよ〜」

−南米ギアナ高地−

「い〜や〜だまされた〜」
「エンゼルフォールに行くって言ったら喜んでついてきたじゃない!」
「エンゼルって名前で落差1000メートルなんて想像できませんよ〜!!!」
「ええい!ここから飛び降りるくらいできなきゃ立派なガンダムファイターにはなれないわ!」
「パラシュートもナシでむ〜り〜!」

翌日、
世界遺産で飛び降り自殺を図った日本の女子高生が奇跡の生還を遂げたと全世界に報道されたそうな

296名無しさん@初回限定:2007/01/15(月) 12:05:58 ID:f2gAkk2Y0
>>295
まりや嬢、中の人同様立派なサドっぷりで…
297名無しさん@初回限定:2007/01/17(水) 17:18:58 ID:A2X5QkQh0
>>295
「滝に打たれに行ったんでしょ、何で飛び降りたのよまりや」
「いやさ、1000メートルの落差だからどれだけすごい水圧なんだろうと思ったら…」
「落差がありすぎて水が拡散しちゃってるんです」
「由佳里ちゃんも災難だったのですよ〜」
「災難てレベルじゃないわよ、まりやに付き合ってたら命が1ダースあっても足りないわよ」
298名無しさん@初回限定:2007/01/21(日) 14:36:47 ID:ws+WFumx0
保守
299名無しさん@初回限定:2007/01/21(日) 16:18:42 ID:SYsI/Vck0
男子1「なあ、あの鏑木の父親がこの人だっつったら、お前信じるか?」
男子2「……親父も何も女の人じゃねーかよ。」
瑞穂ちゃんの娘「でもそれ本当にあたしのお父様なのよ。これで男だなんてどんな詐欺だ!! っていう気持ちは痛いほど分かるけど。」
男子1「信じられん。きっとあれだ、鏑木がメスゴリラなのは母おウヴォワァァァァッ!!!」
まりや「ねえ、この連中シメて良いかしら?」
瑞穂ちゃんの娘「……母さん、気持ちは分かるけどやってから言わないでよ。」
まりや(ギロリ)
男子2「ひ、ひぃぃぃぃぃぃっ!!」

後日

男子1「やっぱり鏑木の奴がああなのは母親からの遺伝だな。」
男子2「まったくだ。あれじゃどっちが男だか分かんねえよ、あの夫婦。」
まりや「ほおぅ?」
300294-295:2007/01/21(日) 23:04:35 ID:bwuWqEsQ0
ある日再びまりやと由佳里が姿を消した

「で、今度はどこにいったの?あの二人、奏ちゃんは聞いてる?」
「何でも沖縄にキャンプに行くといっていたのですよ〜」
「ふ〜ん、沖縄ね〜、前回の罪滅ぼしかしら」
「きっとそうなのですよ〜」

−沖縄…米軍キャンプ!−

「ま〜た〜だ〜ま〜さ〜れ〜た〜!!!」
「ええい!沖縄にいくっていったらほいほいついてきたのはあんたでしょーが!」
「い〜や〜帰る〜〜〜!!」
「泣くな〜!心男軍曹がこっち見てる!!」
301名無しさん@初回限定:2007/01/22(月) 00:39:28 ID:htlBg3Dd0
>>299-300
ディスプレイにダイエットコーラ噴いちまったじゃねーか!www
どうしてくれるよおい!www
302東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/01/22(月) 06:27:20 ID:pxXZ0Xwv0
〜淑女が過去に帰る日 共通編〜

今日は日曜日。僕たちは、寮生みんなでどこかにお出かけすることになっている。
「おはようまりや、昨日出かけるから用意してって言ってたけど、どこに行くの?」
昨日のうちに用意を整えておき、服を着替えた僕は、疑問に思っていたことをまりやにぶつけた。
「おはよう、瑞穂ちゃん。まあそれは、着いてからのお楽しみ。瑞穂ちゃんも、最初っからわかってたらつまんないでしょ?」
まりやは、愉快そうな顔をしてはぐらかす。
「まあそれは……だけど、またロクでもないこと考えてないでしょうね?」
こうやってまりやにひどい目にあわされたことは非常によくあるので、僕は疑いの視線を向けて確認した。
「ああ、今回は大丈夫よ。瑞穂ちゃん」
まりやが苦笑いの表情でそう返した。この反応は、僕の嫌がることをしようってわけじゃないようだ。
「ならいいけど……じゃ、楽しみにしてるね」
「まりやお姉さま、おはようございますのです。準備できましたのですよ」
「おはようございます。まりやお姉さま」
そこへ、同じくよそ行きの服に着替えてきた奏ちゃんと由佳里ちゃんが降りてきた。
「おはよう、奏ちゃん、由佳里ちゃん」
「お、お姉さま、おはようございます」
「おはようございますのですよ」
僕に挨拶をした2人は、それから驚きの表情になった。
「……どうかしたの、2人とも?」
「……いえ、お姉さま、そのお洋服を着られるのは初めてですよね」
「そうよ。変かしら?」
新しい服を着るたびにこういう会話をしているんだけど、やっぱりいまだに不安になるんだよね。でも、今日も2人の返事は同じだった。
「いえ、とってもお綺麗ですので、見とれてしまいましたのですよ」
「ほんと、お姉さまは何を着てもお美しいです……」
「ふふっ、ありがとう。そういう2人も新しい服よね」
恥ずかしかったので、2人の服に気づいた僕は、そっちに話題を振ることにした。
303東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/01/22(月) 06:29:41 ID:pxXZ0Xwv0
「はいなのですよ。お姉さまに見ていただきたくて、選んだのですよ」
「えへへ、お姉さま、似合いますか?」
2人とも少しはにかんだ笑顔を浮かべて、僕に感想を求めてくる。
「ええ。2人とも、とっても良く似合ってると思うわ」
新しい服を着るたびに幾度となく繰り返されてきたセリフだが、僕にとっては形式的なものではなく、本当に似合っていると思う。
おそらく、まりやにも意見を聞いているんだろう。まりや、こういうセンスは抜群にいいもんな。
「わあい、お姉さまに褒められちゃった」
「褒めていただけたのですよ」
いつものことながら、2人とも、満面の笑顔で喜ぶ。
「もう、奏ちゃんも由佳里ちゃんも大げさよ」
そう言いながらも、僕はそれぐらいのことで天真爛漫に喜ぶ2人がとても可愛いと思う。
というか、こういう人の幸せそうな顔を見ると、こっちも嬉しくなってくるから不思議だよね。
304東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/01/22(月) 06:31:40 ID:pxXZ0Xwv0
そして、朝食を食べ終わり、電車に乗って僕たちが着いた先は……。
「わあ、遊園地なのですよ」
「なんか、懐かしいね」
「キャラメルランドか……2年前にオープンしたのは知ってたけど、来るのは初めてね」
奏ちゃんは嬉しそうに、由佳里ちゃんは懐かしそうに入り口の手前から遊園地を見上げていた。
「どう? 瑞穂ちゃん、安心した?」
まりやがふふん、という感じに笑って聞いてくる。
「確かにしたけど、隠すほどのことでもないんじゃない?」
「隠すことだよ? 話しといたら、瑞穂ちゃん、一子ちゃんに話すでしょ? そしたらあの娘、
『えーん! 行きたい行きたいお姉さまと一緒に遊園地に行きたいですよお!!』とか言って、騒ぐんじゃないの?」
まりやは、口調まで一子ちゃんのマネをして反論した。
「ま、まあ確かにね……」
あの娘、こういう楽しいこと大好きだからね……。
僕は、一子ちゃんの物まねと一子ちゃんが実際にそう言ってくるシーンを簡単に想像できたことで、苦笑せざるを得なかった。
「もし一子さんが遊園地に来れたら、どこに行きたいのか少し気になるのですよ」
「そうね。あの娘なら、お化け屋敷以外ならどこでもいいって言うんじゃないかしら?」
「そうね。もしお化け屋敷に入ったら、途中でもうイヤって、壁をすり抜けて外に出ちゃうんじゃないかしら? 
でもって、それ見たお化け役の従業員が驚いたりして……」
「……十分ありえるわね」
聞いてるだけで、その光景が目に浮かぶようだ。
「でもさ、本物のお化けがお化けのカッコの人間にびびるなんて、考えてみりゃ笑い話よね」
「でも、偽者だってわかってても怖いと思いますよ、普通は……」
愉快そうに話すまりやに、由佳里ちゃんが一子ちゃんの気持ちを考えてフォローする。
そして、しばらく一子ちゃんが遊園地に来たら、という話で盛り上がっていた。
305東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/01/22(月) 07:01:42 ID:pxXZ0Xwv0
その頃、瑞穂の部屋では……。
「ふぇーくしょん! ぶぇーくしょん! ふぇっくしょん! えーくしょん!」
突然、お留守番をしていた一子はくしゃみをした。
「……変ですねえ。幽霊も風邪をひくんでしょうか?」
瑞穂と会ってから今まで1度もくしゃみをしたことのない一子は、そう首をかしげていた。
306東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/01/22(月) 07:03:26 ID:pxXZ0Xwv0
「こらこら、そんなにはしゃがないの」
僕は、まるで小学生のようにはしゃいでいる奏ちゃんと由佳里ちゃんに優しい声で言った。
「まあまあ瑞穂ちゃん、今日ぐらいいいじゃない。遊園地ってのは、はしゃぐためにあるんだからさ。
『遊園地でお固いことを口にするものは人にあらず』ってことわざがあるくらいだしね」
「そんなことわざ、いったい誰がいつ作ったの?」
僕は、そのことわざにまったく聞き覚えがなかったので、疑問に思ってまりやに聞いてみた。
「あたしが、たった今」
するとまりやは、しれっとした表情でそう答えた。
聞いた僕がバカでした……僕はあきれ返って言葉を返せなかった。
でも、まりやたちの気持ちもわかる。そういう僕も、なんだか子供の頃に帰ったような懐かしい気分だ。
よし、僕も今日だけは難しいことは考えずにぱっと遊ぼう……今日だけは。
「ふふっ、じゃあみんな、最初は何に乗りたい?」
僕は、優しい笑顔を作ってみんなに問いかけた。すると……。
「メリーゴーランド!」
「コーヒーカップなのですよ!」
「ジェットコースター!」
3人が同時に答える。
「……みんな、バラバラなのね」
僕は思わず苦笑してしまった。
「それで、結局どれにするの?」
みんなで話し合ったけど、結局誰も自分の意見を譲らなかった。遊園地に来ると、性格も子供に戻ってしまうのかな……
なんてことをのんきに考えながらも、じゃんけんで決めることを提案した。
307東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/01/22(月) 07:05:55 ID:pxXZ0Xwv0
結局、最初は一番勝った奏ちゃんのコーヒーカップから乗ることになった。
「……えへへ。なんだか、奏たちがお飲み物になったみたいなのですよ」
奏ちゃんがそう言った。
「そういえば、小学生の頃乗ったときは、もっと大きく感じたわね」
「そうね。あの頃より、随分小さく思えるわ。あの頃からだいぶ時間が経って、私たちも大人になっているのよね」
……きっと公園に行ってブランコとかジャングルジムとかを前にしても、あの頃とは全然違って見えるだろうな。
「そっかな、あたしは大人になったって実感が全然わかないんだけど……」
「……それは、単にまりやお姉さまの精神年齢が低いままだからじゃないんですか?」
まりやが言うと、由佳里ちゃんが呆れたように返した。
「ほう。そういうこと言うかね」
まりやが1オクターブ低い声で言う。
「ちょ、ちょっとまりや……」
僕は不安になった。こういうときのまりやは、たいてい何かとんでもないことをしでかす前兆だから。

「わああああ!!」
「め、目が回るー」
「け、景色が、二重にも三重にも別れているのですよー」
コーヒーカップが動き始めるのと同時に、まりやは出来る限りの速さで、ハンドルを回した。
「ま、まりや、回しすぎよ」
「あたしの辞書に、やりすぎという文字はない! こういうのは、回して回して回しつくしてこそ、気が晴れるものよ!」
「で、でも乗ってるのはまりやだけじゃないのよ。もう少しその辺を……」
「問答無用! 恨むなら、あたしを怒らせた由佳里を恨みなさい!」
いくら僕が説得しても、まりやは回すのをやめなかった。こういう時のまりやには、何を言ってもムダだってわかってるけど……。

「うう……うっぷ」
「いやー、スッキリしたあ」
晴れやかな顔のまりやとは対照的に、僕たち3人は悪酔いして今にも吐きそうだった。
308東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/01/22(月) 07:37:06 ID:pxXZ0Xwv0
「まりや、他の人の迷惑を顧みずに自分のやりたい放題やるクセ、いい加減直しなさいよ」
「だって、コーヒーカップなんて、ぐるぐる回さないとつまんないじゃない」
なんとか落ち着いてきた頃、僕はさすがに疲れてそうまりやに抗議するが、まりやはいつものようにかわしてしまう。
「まだふらふらするのですよー……」
「ほら、奏ちゃんもこう言ってるわよ。奏ちゃんの希望で乗ったのに、その奏ちゃんをこんな目にあわせてどうするのよ」
僕は、いまだに足取りがおぼつかない奏ちゃんを見てもう一度言う。
「ああもう、うるさい! だいたい、あたしを怒らせるようなことを言う由佳里が悪い!」
「なんで私のせいなんですか……」
自分に責任を擦り付けられた由佳里ちゃんは、不服そうに抗議する。まあ当然だけど……。
「そうやってすぐキレて当り散らしたり、すぐ人のせいにするから、精神年齢が低いって言われるのよ」
「ぐうう……」
僕の一言に、まりやは黙ってしまった。
「あははははっ」
その光景に、妹2人の笑い声が聞こえてきた。
309東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/01/22(月) 07:38:48 ID:pxXZ0Xwv0
「あれ? あんなところでヒーローショーやってる」
「ホントだ」
由佳里ちゃんに言われてまりやが反応する。僕も見ると、子供たちが集まる中で戦隊もののショーが行われていた。
「『努力戦隊タンレンジャー』か。懐かしいわね、こういうの。子供のころよく見てたわ」
僕がそうつぶやいた。すると……。
「え? お姉さま、こういうの見てたんですか? 女の子はこういうのにはあまり興味示さないと思うんですけど……」
由佳里ちゃんが疑問を投げかけてきた。血の気が失せていく。
し、しまった……僕も童心に返ったせいで気を緩めてしまってた……。
「ほら、瑞穂ちゃんって、昔から格闘技とか習わされていたじゃない。でもさ、使い道がなかったから、
ああやって戦隊ものみたいに大切な人を守るのに憧れてたのよ。だから、女の子にしてはよく見てた方ね」
様子を見ていたまりやがそうフォローしてくれると、由佳里ちゃんと奏ちゃんは納得してくれた。た、助かったあ……。
「あ、あの、お姉さま……」
「なあに? 奏ちゃん」
奏ちゃんが遠慮がちに呼ぶので、僕はしゃがんで、奏ちゃんの顔を見ながら聞いてみた。
「も、もし奏が危険になりましたら、お姉さまが助けてくださいますのですか?」
照れたように聞いてくる奏ちゃんに微笑ましさを感じながら、僕は奏ちゃんの望む答えを出してあげる。
「ええ。もちろんよ。奏ちゃんも由佳里ちゃんも、危なくなったら、遠慮なく頼ってね」
「はい!」
「はいなのですよ!」
2人は、頬を赤く染めながらそう返事した。
310東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/01/22(月) 07:40:49 ID:pxXZ0Xwv0
「じゃあ、次は由佳里ちゃんのメリーゴーランドね」
「ちょっと、なんであたしのジェットコースターが一番後なのよ!」
まりやが不服そうな顔で文句を言ってきたので、僕はそれに返事をした。
「妹のお願いを先に聞いてあげるのは当たり前でしょ? 一応お姉さまなんだから、そのぐらい気を遣いなさい」
「へいへい、わかりましたよ」
まりやは、まだ不満そうな顔をしながらも、引き下がってくれた。

「なんかファンタジーの世界に入ったみたい……」
「メルヘンなのですよ」
メリーゴーランドに乗ってる途中、奏ちゃんと由佳里ちゃんが、うっとりした顔でそう言った。
「まあ、確かにそんな感じの乗り物ではあるけどね……」
僕には、そんな2人の様子が微笑ましかった。
「私、子供の頃、これに乗ったとき、よく思ってました。
こうやって乗り続けていると、白馬の王子様が、私のこと迎えに来てくれるんじゃないかって……」
由佳里ちゃんが、懐かしそうな表情でそう語った。
「あら、由佳里ちゃんって、結構ロマンチストなのね」
「っていうか、完っ全にお子ちゃまな考え方よねえ」
「だから、子供のときの話だって言ってるじゃないですかあ……」
まりやの揶揄するような発言に、由佳里ちゃんは頬を膨らませながら抗議する。
「でも、奏、由佳里ちゃんの気持ちもわかる気がするのですよ」
奏ちゃんが、陶酔半分の表情で由佳里ちゃんに賛同した。
「そうね。こういうのって、おとぎ話の世界でよく出てくるものね」
子供の頃なら、そういうこと考えながら乗ってた人って、多いんじゃないかな。
そんなことを考えながら、僕たちはメリーゴーランドに乗る時間を過ごした。
311東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/01/22(月) 08:10:17 ID:pxXZ0Xwv0
「ねえ、由佳里、久しぶりにメリーゴーランドに乗って、どうだった?」
「どうって……昔を思い出して、とても懐かしい気分になりましたけど……」
愉快そうに聞くまりやに、由佳里ちゃんは戸惑いの表情を見せた。
「だから、そうじゃなくって、瑞穂ちゃんあたりが白馬の王子様になって、由佳里を迎えに来るとことか、想像しちゃったの?」
「………!! そ、そんなこと……」
由佳里ちゃんの顔が、途端に真っ赤になった。
「ふーん、図星か」
意地悪そうに言うまりやに、由佳里ちゃんはますます顔を赤らめる。
「でも、お姉さまなら、白馬の王子様にピッタリなのですよ」
奏ちゃんが、満面の笑顔でそう言ってくれる。
「ありがとう、奏ちゃん。お世辞でも嬉しいわ」
「い、いえ、お世辞じゃないのですよ」
僕が優しい笑みを作って返すと、奏ちゃんはしどろもどろになった。
「でも奏ちゃん、瑞穂ちゃんならお姫様でしょ? 王子様なんて言ったら、瑞穂ちゃんに失礼よ」
いや、まりや、お姫様の方が失礼なんだけど……っていうか、真顔で言わないでよ……。
「はやや、確かにまりやお姉さまの言うとおりなのですよ! お姉さま、ごめんなさいなのですよ!」
「そうだよね。お姉さまを男の方にたとえるなんて考えてみれば失礼ですよね」
……奏ちゃんと由佳里ちゃんも、すぐに納得しないで。
312東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/01/22(月) 08:12:22 ID:pxXZ0Xwv0
「いやー、待った待った! いよいよ次はジェットコースターね!」
「……まりや、嬉しそうだね」
熱くなりながら言うまりやに、僕は冷や汗が出てしまった。
「そりゃそうよ! あのスリルが、あたしの魂を熱く呼び起こすのよ!」
もう完全に興奮しているな、まりや。
「あ、私、なんか飲み物買ってきますね」
途中で由佳里ちゃんが遠慮がちに言った。
「あら由佳里、気が利くじゃないの」
「……それでみんな、何にしますか?」
「奏は、いちごジュースをお願いしますのですよ」
奏ちゃんが、満面の笑みで答える。
「奏ちゃんはいちごジュースっと……お姉さまは、ブラックコーヒーでよろしいですか?」
「ええ、お願いするわね」
由佳里ちゃん、僕の好みをちゃんとわかってくれてるみたいだな……こういうところがちょっと嬉しく思う。
「あたしはメロンソーダね」
「はい! わかりました! じゃあ行ってきますね」
由佳里ちゃんは笑顔でそう言うと、早歩きで駆け出していった。
「由佳里ちゃん、こういうところ、よく気がつくわね」
「どうかな? 案外、絶叫マシンが怖いだけだったりして……」
まりやがそう返してきた。
確かに飛行機恐怖症の由佳里ちゃんなら、同じ理由で絶叫マシンのことを怖がっている可能性は十分にあるな。
「奏ちゃんはどうなの? こういう絶叫マシンは」
「奏は、大好きなのですよ」
「奏ちゃんにもわかるのね。この快感が。あたしたち、気が合いそうね」
僕の質問に笑顔で答える奏ちゃんに、まりやが共感した。
それから僕たちは、ジェットコースターのスリルを存分に楽しんだ。
313東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/01/22(月) 08:14:16 ID:pxXZ0Xwv0
「お姉さま方、奏ちゃん、こっちです!」
ジェットコースターの降り場の近くのベンチで、由佳里ちゃんが飲み物を買って待っていてくれた。
僕たちは、由佳里ちゃんから飲み物を受け取って、ベンチに腰掛ける。
「由佳里ちゃん、ありがとうね」
「ありがとうございますのですよ」
「どういたしまして」
僕たちが礼を言うと、由佳里ちゃんが笑顔で返してくれた。
「由佳里、ジェットコースターの怖さから逃げることが出来てラッキー、とか思ってるんでしょ?」
「………!! お、思ってませんよ!」
まりやが意地悪そうに言う。由佳里ちゃんは、蒼白になりながら声を裏返して否定した。
「なんなのかな、今の間は?」
「もう、まりや、お礼を言うのが先でしょ?」
さらに意地の悪い声で追及しようとしたまりやを、僕は「めっ」っという顔をでたしなめる。
「へいへい、ありがとゆかりん」
「私はゆかりんじゃありません!」
結局、どうしてもこの調子は変わらないのか……僕はまりやと由佳里ちゃんを見ながらそう思った。
314東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/01/22(月) 09:01:10 ID:pxXZ0Xwv0
それから僕たちは、僕の希望であるゴーカートに乗った。
「ねえ瑞穂ちゃん、なんでこれに乗りたいと思ったの?」
「私、子供の頃、車に乗ってて、よく自分で運転したいって思ってたから……」
「そういえば瑞穂ちゃんって、よくこういうの乗ってたわね」
「うん。だから懐かしくて……」
乗りながら、僕とまりやは懐かしそうな顔で昔話に花を咲かせる。
そこへ、ふと……。
「そーれっ!」
ドン!
「わあっ!」
突然、まりやが自分の乗ってる車を僕のに後ろからぶつけてきた。僕はびっくりして思わず叫ぶ。
「ちょ、ちょっと、何するのまりや!?」
「いやあ、ちょっとぶつけてみよっかなって思ったから……別に大破するわけじゃないんだからいいじゃない」
まりや、そういう問題じゃないでしょ。当然のように言わないでよ。
「もう、びっくりしたじゃないの」
「びっくりさせようと思ったのよ。じゃあお次は……」
まりやはそう言うと、由佳里ちゃんの車の後ろに回り、背後から突いた。
ドン!
「ひゃあんっ!!」
由佳里ちゃんは、突然の衝撃に、びっくりして悲鳴を上げた。
「おっ、色っぽい声だね。由佳里、もしかして感じちゃった?」
まりやがニヤニヤしながら由佳里ちゃんをいじりにかかる。
「お、お姉さま! 冗談はやめてくださいよ! そんなわけないじゃないですか!」
由佳里ちゃんは途端に驚いた表情に変わり、必死で否定するが……。
「そうか、感じちゃったのかあ。それじゃ、もっともっとやってあげようかのう」
と、まりやはなおも由佳里ちゃんの車に何度も何度も体当たりする。
「ひーっ!! お姉さま、やめてくださーい!!」
その光景を見て、僕はまりやが将来免許をとっても、まりやの運転する車にだけは乗らないでおこう、と固く心に誓った。
315東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/01/22(月) 09:03:25 ID:pxXZ0Xwv0
「さて、次はどうする?」
全員の希望のものに乗ったところで、まりやが僕に問いかけてきた。
「そうね。そろそろお昼にしましょうか」
そういうわけで、僕たちは、遊園地内のレストランに入ることになった。

「いやあ、食べた食べた」
「……ていうか、まりや、食べすぎじゃない?」
僕たちは、食事中、まりやの注文したメニューのあまりの量にあきれていた。
「奏でしたら、あれだけの量、1日かかっても食べきれないのですよ」
小食の奏ちゃんが信じられないといった顔で言う。僕でも、2食分ぐらいはあると思ったからね。
「ところで奏ちゃん、あれ、デザートに砂糖入れすぎだよ。見てて気持ち悪くなったもん」
「そうですか? 奏はあれくらいで普通だと思うのですが……」
思い出して困ったような顔をした由佳里ちゃんに、奏ちゃんはきょとんとした顔で返した。
奏ちゃん……普通デザートに砂糖は入れないって……僕も思い出しただけで吐きそうだし……。
「奏ちゃん、そんなに味覚が偏ってると、身体に悪いよ?」
「ハンバーグマニアのあんたが言うな!」
由佳里ちゃんの指摘に、すかさずまりやがツッコミを入れる。
「マニアって……確かに好きですけど、それに狂ってるほどじゃないですよ」
まりやのツッコミに、由佳里ちゃんは不服そうに小さな声で反論した。
「じゃあ由佳里、もしハンバーグキャンディとかハンバーグアイスとかハンバーグガムとかハンバーグチョコとか発売されても、
絶対食べてみたいとは思わない?」
「そんなこと絶対思わ……」
由佳里ちゃんは勢いよく反論しかけたものの、そこで止まってしまった。
「どっちなの?」
「思わない……とは言い切れないですけど……ていうか、一度作って食べてみたいし……」
まりやの問いかけに、由佳里ちゃんは弱々しい声で、両手の人差し指を合わせて言った。
「ほーら、やっぱりマニアじゃない」
「うう……」
由佳里ちゃんは反論できなくなってしまった。
僕としては、想像するだけで気持ち悪いからね。まりやの意見にうなずくしかないよ。
316東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/01/22(月) 09:05:25 ID:pxXZ0Xwv0
「で、でも遊園地だってわかってたら、私がお弁当作って差し上げましたのに……」
気まずくなった由佳里ちゃんは話題を変えてきた。
「まあそれも悪くないんだけどね。ここにはせっかくレストランやらカフェやらが中にあるんだしさ。どうせならそこで食べたいじゃない。ねえ?」
まりやが考えながら言った後で僕と奏ちゃんに賛同を求めてきた。
「確かにこういうところは遊園地に来たときしか入れないですから、一度食べてみたいと思うのですよ」
「ま、まあ……言われてみれば、そういう気持ちもわかりますけど……」
まりやと奏ちゃんに言われ、由佳里ちゃんもそう思い始めたようだった。
「外食もいいと思うけど、でも私としては、どちらかというと由佳里ちゃんに作ってもらった方が嬉しいわね」
お世辞でもフォローでもなく、僕は自分の素直な意見を言った。
「……え?」
瞬間、由佳里ちゃんの頬がピンクに染まった。
「瑞穂ちゃん、そんなこと言ったら誤解されるわよ?」
一方まりやは、心配そうな顔で僕に忠告してきた。
「……えっと、何を誤解するのかわからないけど、私はそういうファミレスなんかのお料理より、一般的な家庭料理の方が好きだし、
由佳里ちゃんのお料理には温かい愛情がこもってるのが食べていてよくわかるから、由佳里ちゃんにお弁当の方がおいしく感じると思ったのよ」
「お、お姉さま……ありがとうございます……」
僕の説明を聞いて、由佳里ちゃんはますます顔を赤くしてしどろもどろになってしまった。
「……瑞穂ちゃん、誤解を解きたいと思ってるなら、今の説明じゃ逆効果よ」
「え? どうして?」
まりやが、呆れたように僕の肩を叩いて言ってきた。
「……ていうか、世の中には誤解だとわかってても誤解したままでいたいってこともあるってこと、覚えといてね?」
「え? え? え?」
訳がわからない。なんで誤解したままでいたいってことがあるの?
「……瑞穂ちゃんは筋金入りの鈍感さんだからね。こういう話はまだ早いか……」
こういう話ってどういう話?
僕は、まりやのつぶやきにますます意味がわからなくなってしまった。
317名無しさん@初回限定:2007/01/22(月) 09:26:35 ID:OMq5MPlo0
支援
318東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/01/22(月) 09:35:37 ID:pxXZ0Xwv0
食後の談義も終わり、僕たちは再び遊ぶことにした。
「奏ちゃん、次はどうしたい? 何か希望はある?」
僕はどうしようか考えて、奏ちゃんに聞いてみた。すると……。
「お姉さま、あ、あの、どんなお願いでも聞いてくださいますか?」
奏ちゃんは、もじもじしながらも必死な顔で僕に質問を返してきた。
「ええ。とりあえず話してごらんなさい」
僕は、優しい声と表情で奏ちゃんに言った。
「あ、あの……奏、お姉さまと2人っきりになりたいのですよ」
顔を真っ赤にしてお願いする奏ちゃんを見て、僕は微笑ましいというか、とても優しい気分になった。
「なんだ、そんなこと。ええ、いいわよ」
「ほ、ホントなのですか!? 嬉しいのですよ」
奏ちゃんは満面の笑顔で喜びを伝える。
「もう、奏ちゃん、おおげさよ」
「ちょ……奏ちゃん、お姉さまも……」
由佳里ちゃんが驚いた表情で僕たちに何か言いたげになった。
「どうしたの、由佳里ちゃん?」
僕は由佳里ちゃんにそう聞いてみる。
「あ……あの……」
「はーいはいはい。由佳里はあたしが面倒見るから、瑞穂ちゃんは奏ちゃんと2人で遊んで来なよ」
由佳里ちゃんが何か言おうとすると、背後からまりやが由佳里ちゃんの首根っこを掴んで、僕たちに2人で行くよう言ってくれた。
「じゃ、奏ちゃん。行きましょうか」
「はいなのですよ!」
僕が言うと、奏ちゃんは本当に嬉しそうな笑顔で僕についてくる。
「ちょ、奏ちゃん、ダメえっ!!」
「由佳里、奏ちゃんのほうが先約なんだから、わがままはいけないわよ?」
背後から聞こえてくるまりやと由佳里ちゃんの会話をBGMに、僕たちは次の乗り物に向けて歩みだした。

To be continued……
319名無しさん@初回限定:2007/01/22(月) 20:14:31 ID:RdatrW+J0
おとボク分回復率…
0           50           100%
LLLLLLLLLLL
320名無しさん@初回限定:2007/01/23(火) 01:03:17 ID:GssaKfg30
お姉さまのモテ話を書きたいと思ってたらこんなの出来ました。

『家庭科ハーレム』

調理実習で何故か皆の視線が僕に集まっている。

「瑞穂さんは盛り付け係ですね。うふっ」
一緒の班の美智子さんや紫苑さんが、腕を振るってくれているので僕の出番はあんまりない。
い、いいのかな?まがりなりにも授業なのに。
黒板には調理方法が書かれている。
先生は出かけていて、料理が出来上がったころにまた、来るそうだ。
手持ち無沙汰にしている僕を見て、紫苑さんが楽しそうに笑いながら小皿を差し出した。
「ちょっと味見をしてもらえますか、瑞穂さん」
差し出されたシチューを一口飲んで、
「ええ。とっても美味しいですよ」
「あら、そうですか。ちょっと味が濃すぎるような気がしてたのですが…」
「そうですか。ちょうどいいと思いますよ」
ちょっと苦笑いを浮かべながら小皿を返した。ほとんど手出ししていない僕が、アレコレと云える筈もない。
紫苑さんが、その小皿にもう一度シチューをすくうと今度は自分で味見をした。
「そうですね。まあ、辛すぎることもないですし…あら?どうしたんですか、瑞穂さん」
「えっ、なんでもありません」
間接キスにちょっと照れてしまったなんて、恥ずかしくていえない。
ギンッ!!!
えっ!なんだろう。今、辺りの雰囲気が一瞬おかしくなった様な…。
「お姉さま」
「わわっ!」
急に後から声をかけられて驚いた。
321名無しさん@初回限定:2007/01/23(火) 01:04:04 ID:GssaKfg30
「な、何でしょうか?」
となりの班の娘が小皿を持って立っていた。
「あ、あの…、味見をお願いしたいのですが」
「でも私は隣の班ですよ」
「はい」
じ〜〜〜
そのまま黙って立っている。
まあ、いいか。どうせ僕に手伝えることなんて盛り付け以外ないんだし。
「それじゃあ、ちょっとだけ味見させていただくわね」
小皿を受け取り、入っているシチューを味見する。
「ちょっと薄味かしらね。でもとっても美味しいわよ」
「そ、そうですか!有難うございます、お姉さま」
小皿を受け取ると直ぐに、その娘は自分の班に帰っていった。
そして、その小皿にシチューをよそって……。
「お姉さま!!」
「ひゃっ!」
いきなり声をかけられ、慌てて振り返ると、今度は前のテーブルの班の娘が小皿に肉を載せて立っていた。
「味見をお願いしたいのですが」
「で、で、でも、私は違う班ですよ?」
「はい」
判っているといわんばかりに、力強く頷いている。
「………」
ふと先ほどの娘の方を見てみると、なにやら揉めている様子。
先ほどの小皿を振りかざして、同じ班の女の子たちが奪い合ってるようだ。
なにやってるんだろう?
「……わかりました。味見させていただきますね」
322名無しさん@初回限定:2007/01/23(火) 01:05:00 ID:GssaKfg30
差し出された小皿にはスープと一切れの牛肉片が入っている。
「お姉さまにお肉の煮え具合をみて頂きたいのです」
お肉の煮え具合って…。それは味見ではないような…。
「さあ、このお箸をお使いください」
綺麗な塗り箸。なんで割り箸じゃないの?というか菜ばしでもいいんだけど。
「それが、菜ばしが先ほど使用不可能になりまして…」
へっ?使用不可?
女の子が指差す方を見てみると、机の上に真っ二つに折れた菜ばしが2本転がっていた。
どういう状況だったら料理中に菜ばしが2本とも真っ二つになるんだろう?
なんとなく半目になりながら菜ばしを見ていると、
「ささっ。ぜひお味見を!」
「え、ええ。じゃあ」
お肉をいただく。柔らかい。本当にみんなお料理上手だなあ。
ふと、前を見ると固唾を呑んで僕の口元を凝視している娘が1人。
いや、周りをみると全員が僕の味見を固唾を飲んで見守っている。
唯一、僕と同じ班の圭さんだけが、黙々とシチューをかき混ぜている。
紫苑さんと美智子さんはちょっと離れたところから、不思議な笑みを浮かべてこちらを見ている。
ゴゴゴゴゴッッッ
いつの間にか皆の話し声も聞こえず、只、コンロの音と圭さんの鼻歌と僕が肉を咀嚼する音だけが聞こえている。
な、なんだろう?鳥肌がたってるよ。急に口の中が乾いてきたような…。
「食べましたね」
「えっ、ええ」
小皿とお箸を返すと、女の子はどこから出したのか、箸入れを取り出すと塗り箸をその中にしまいこんだ。
「あれ?そのお箸はあなたのですか?」
「ええ」
女の子はにっこり微笑むと、小皿と箸入れを持って自分の席に戻っていった。
323名無しさん@初回限定:2007/01/23(火) 01:08:16 ID:GssaKfg30
ア、アレ?僕、味見をしてたんだよね?感想まだ云ってないんだけど。
ガンガンッ!
バキッ!!
急に周りが騒がしくなり始めた。なんだかみんな、菜ばしを手にとって、机に叩きつけたり足で踏んづけたり、コンロの火に焚きつけたり

している。
「あ、あは、あは。な、何してるのかな?みんな。」
「家庭科ですわね」
「ええ、家庭科ですわ」
紫苑さんと美智子さんが薄く笑いながら僕をみている。
なんだか、その生暖かい目がとても怖いんですが。
「まりやさんが見たら大喜びしそうですわね」
「神聖な授業が一転して嫉妬と欲望の坩堝。さすがは魔王・瑞穂っち」
圭さんが感に堪えないように頷く。
「誰が魔王ですか!大体、ホントにみんな何をしているんですかっ!?」
「まあまあ、興奮しない、興奮しない。エルダーのあなたは同級生にとっても、憧れの存在だということね」
圭さんが僕の手をとってお鍋の前まで引っ張ってくる。
「それはさておき瑞穂っち。味見をしてほしいの」
「ええっ?さっき味見したじゃないですか」
「この事態を収拾したくはないの?」
見渡すと塗り箸をもって僕をじぃぃぃっとみつめている女の子たち。
ううっ、怖いよう。
「その為の味見」

「あら、小皿がないわね」
「え、小皿ならそこに…」
324名無しさん@初回限定:2007/01/23(火) 01:09:20 ID:GssaKfg30

圭さんが手を横に振って小皿をはね飛ばすと、床に落ちて割れた。
「あら。割っちゃった。失敗、失敗」
「………」
「仕方ないから、お玉から直飲みしてちょうだい」
そう云って、鍋のシチューを軽くすくうと僕の目の前に差し出した。
えっと。
ぐつぐつと煮えたスープがかなり熱そうだ。
横をみると、紫苑さんと美智子さんが興味深げに事の成り行きを見守っている。
いや、二人だけじゃなく教室のみんなが見守っている。
「ほら、味見する」
仕方ない。ふう、ふう。お玉に息を吹きかけて少し覚ましてから、一口、二口くちにいれる。
半分ほど飲むと、
「はい!そこまで!」
圭さんが僕からお玉を取り上げると、そのままジャボンと鍋に突っ込んだ。
教室のみんなが息を飲むのがわかる。
「どう?ちょっと味が濃かったかしら」
「熱くて味が良く判りませんでしたよ」
「あら、そう。じゃあ、コレを」
今度はコップになみなみと注いだ水を僕に差し出した。
「有難うございます」
コップに口をつけると一気に飲み干そうと…。
「はい!そこまで!」
半分ぐらい飲んだところで、またもコップを取り上げられる。
「な、何ですか?圭さん」
「ちょっと味が濃かったみたいだから、少し薄めなくてはね」
といって、コップの水をそのまま鍋に注ぎ込む。
325名無しさん@初回限定:2007/01/23(火) 01:11:14 ID:GssaKfg30

きゃあああ
「味も薄まって、隠し味もOK。エルダーシチューの完成ね」

エ、エルダーシチューって……何?ソレ?
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;      ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
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;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;    '´  `ヽ  ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;   . /  j ))ソ    ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;    / / / /ノ      ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;   ノノノノj{_)       ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;   ´θ^θン)u        ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;

「なるほど」
紫苑さんが感心したように頷く。
「さすが圭さんですね」
結局、エルダーシチューを希望者全員に振舞って、エルダーによる他の班の味見は禁止という暗黙の了解が出来上がって家庭科の授業が終
了した。
帰ってきた先生が大量の折れた菜ばしを見て首をかしげたのと、このことを聞きつけたまりやが暗躍するのはまた後日の話。

   Fin
326名無しさん@初回限定:2007/01/23(火) 01:14:28 ID:GssaKfg30
どうもお粗末さまでした
327名無しさん@初回限定:2007/01/23(火) 01:20:01 ID:W359iKzX0
>>327
グッジョブ!!
328名無しさん@初回限定:2007/01/23(火) 03:20:07 ID:Fcz2vrPi0
>>327
グッジョブ!!
329名無しさん@初回限定:2007/01/23(火) 11:16:55 ID:MKkxL8ot0
>>327
グッジョブ!!
330327:2007/01/23(火) 11:36:00 ID:W359iKzX0
>>328だけじゃなく>>329まで……
う、ううっ……orz
331名無しさん@初回限定:2007/01/23(火) 12:47:52 ID:WSwQftfC0
グッジョブジョブ!!
332名無しさん@初回限定:2007/01/23(火) 14:13:11 ID:Y1jMKEQu0
姉汁ぐっじょぶ
333名無しさん@初回限定:2007/01/23(火) 16:10:41 ID:g4hEPzKp0
おとボク分回復率…
0           50           100%
.LLLLLLLLLLLLLL           .l
  ↑
最初はこの辺だった
334名無しさん@初回限定:2007/01/23(火) 17:04:46 ID:xyEKNKHk0
誰か瑞穂ちゃん×まりやSS書いてくれ〜
335L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/01/24(水) 01:22:04 ID:/T/kx2AV0
昨日のエルダーシチューと一緒に書いてた分、投下します。
まりや暗躍話。
2日連続のバカ話です。
336L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/01/24(水) 01:22:49 ID:/T/kx2AV0

『アンタ鬼ですよ、まりあさん』

……日曜日、寮にて
「ねえ、瑞穂ちゃん。お願いがあるんだけど?」
まりやが甘えた声で瑞穂に尋ねる。
「なに?まりや。変なことだったらイヤだよ」
「変なことじゃないわよ。あのさ、瑞穂ちゃんにあたしのお弁当を作って欲しいんだ」
「お弁当?ムリだよ。僕、お料理できないの、まりや知ってるくせに」
「いやいや」
まりやがぱたぱたと手を振りながら、
「難しいのじゃなくていいの。おにぎりとかでいいからさ。ね?」
「まあ、おにぎりくらいなら…。でも何で急に?」
「最近さ、色々考えるのよね。もうスグ卒業じゃない。その後のこととか…」
まりやが幾分、顔の表情を暗くする。
「瑞穂ちゃんはさ、行く道が決まってるでしょうけど、私はね…。自分が一体、何ができるのか、
その為に今、何ができるのかなあなんてね…」
「…ふうん」
「お昼ご飯食べてる時なんかにね。思っちゃったりするんだ。瑞穂ちゃんが料理できないのは百も承知だけどね、
瑞穂ちゃんの愛妻弁当ならちょっとは楽しくお昼が食べられるんじゃないかなって思ったの」
一転、気を取り直したように明るく言うまりや。こんな風に云われて断れる瑞穂ではない。
「OK、わかったよ。明日からまりやのお弁当は僕が作ってあげる。その代わり不細工でも文句言わないでね」
軽い表情で瑞穂は了承した。



337L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/01/24(水) 01:23:43 ID:/T/kx2AV0

……裸電球がぶら下がった一室にて
「500円」
「800円」
「900円」


次の日の夜、まりやが空になった弁当箱を瑞穂に渡した。
「ご馳走様♪瑞穂ちゃん」
「うわあ、キレイに食べたね。しかもお弁当箱、洗ってあるし」
「ふふ、まあね」
ピカピカのお弁当箱を渡してちょっと得意げなまりや。
「味はどうだった?ただの塩おにぎりと玉子焼きしか入ってないお弁当なんて。食べる時恥ずかしくなかった?」
「そんなこと無い無い!!!」
ブンブン首を振る。
「何より気持ちの問題だし。瑞穂ちゃん、明日もお願いね」
「わかったよ、まりや」

次の日
……裸電球がぶら下がった一室にて
A「500円」
B「600円」
M「…しけてるわね」
B「真っ白と黄色の二色ではこんなものです」
338L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/01/24(水) 01:26:26 ID:/T/kx2AV0

その夜、まりやが空になった弁当箱を瑞穂に渡した。
「ご馳走様♪瑞穂ちゃん」
「お粗末さまでした^^」
今日のお弁当箱は洗っていない。
「ごめんね、瑞穂ちゃん。今日は洗ってなくて」
「いいよ。そんなの。文句も云わずにこんなお弁当、ホントにおいしいの?」
「さすがに2日連続だと不評だったかな…」
「えっ?不評?」
驚いて瑞穂がまりやの顔を見る。
にこにこ
やわらかな笑みを浮かべて見つめ返しているまりや。
「今、不評っていったよね?」
「…ん?」
にこにこにこ
無邪気な笑みをうかべて、訊ねなおすまりや。
「…いや、なんでもないよ」
「ねえ、瑞穂ちゃん。お願いがあるんだけど。明日のお弁当のことで…」
そう云ってまりやは、台所のテーブルの上を指差す。
その先にある物は……山○山の海苔だった。
339L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/01/24(水) 01:27:45 ID:/T/kx2AV0
次の日
……裸電球の……
M「今日は三色よ。これで文句ないでしょ」
A「ありますよ。こんな黒、一色の内には入りません。500円」
B「確かにファンとしては逃すことができないのですが栄養面を考えるとこうも毎日同じでは…600円」
T「そもそも証拠がありませんわね、700円」
C「か、会長!?」
  ざわざわざわ……
M「あ〜静粛に!ここは秘密クラブなのであるからして、特定の名称で呼ばないように!」
T「え〜、おほん。マニアネットで噂になり始めたと聞いて調査に来たのですが、こんなニセモノを売っているとは…」
M「この弁当がニセモノですってえ!アンタ、あたしが信用できないっていうの?」
T「ええ、信用できませんわね。こんなデコボコ弁当、誰でもつくれますわよ」
B「そういわれれば……800円」
T「という事です。証拠をお出しなさい。さもなければこのようなクラブなど解散させますわよ、900円」


その日の夜、まりやが弁当箱を……
「ご馳走様♪瑞穂ちゃん」
「はい、お粗末さま」
今日の弁当箱はきれいに洗ってある。
「わざわざ洗わなくてもいいのに」
「ううん、やっぱり感謝の心がないとね!それと瑞穂ちゃん、明日はあたしも一緒にお弁当作るわね」
「え?別にいいけど」
そこに今の会話を聞きつけて由佳里がやってきた。
「お姉さま、まりやお姉さまのお弁当を作っていらっしゃるんですかあ、いいなあ〜」
「ふふ、もしよかったら由佳里ちゃんのも一緒に作りましょうか?」
「えっ、いいんですか?やったあ!」
340L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/01/24(水) 01:28:28 ID:/T/kx2AV0

……次の日の朝……
「はいこっち向いて〜。軽くわらって〜」
おにぎりをむすぶ瑞穂をまりやがデジカメで写真を撮っていた。
「……一緒につくるんじゃなかったっけ?」
「つくってるじゃない。いま!こうして!これも美味しく食べる為よ」
「写真を撮ることとお弁当をつくることに、どういうつながりがあるのか理解不能なんだけど。
しかもパジャマのままだし。せめて制服に着替えさせて…」
「ダメよ!!!味が落ちる!!!こら、由佳里。アンタは手伝っちゃダメ。価値がおちる!」
「まりやお姉さま…こわい」
「ふっふっふ、見てなさいよ。あたしが本気になったらどれだけ凄いか…」



裸電球……
M「さあ、今日はお安くありませんわよ。証明写真付きの三色弁当。しかもその写真はパジャマエルダーの激レアだぁぁ!!」
  ヒィイイイイイ
静かな悲鳴が部屋に響き渡る。
当初、5名ほどで始まった秘密クラブが現在では20名を超える。
  1000円、2000円、3000円……
T「アナタ、朝から電算教室のプリンターを使ってたのはコレでしたの!?」
M「おや、そこに見えるは昨日のお方。あたしを信じない貴女はよもやこんなものは欲しがりませんよねぇ?」
T「え?いや、その、疑ってた訳ではありませんですわよ。誤解をされていましたら御免なさい、5000円」
M「にひひ、まあいいでしょ。さあ、皆さん今日はWチャンス。さらにもう1個おつけしますわ」
  キャアアア!
さらに部屋全体のボルテージが高まる。
Y「なんで私の分まで…。せっかくのお姉さまの手作り弁当なのに…」
M「まあまあ、分け前はちゃんとあげるから。それに瑞穂ちゃんの秘蔵写真も。だけど、このことは絶対に内緒だからね!」
341L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/01/24(水) 01:31:31 ID:/T/kx2AV0

夕方寮にて……
「ごちそうさま、瑞穂ちゃん」
そう云ってまりやが弁当箱を二つ差し出す。
「あら、由佳里ちゃんの分まで。どうしたの?まりや、顔色悪いわよ」
「何でもない。ちょっと凄かったから……」
「えっ?凄いって?」
瑞穂はまりやの顔を見たが、まりやはただ微笑んでいるだけだった。
ニコニコニコ
「………」
「ん?」
「いや、何でもない。ところでさ、今日のおにぎり、慌ててたから塩をつけるのを忘れちゃってて、
ただの海苔むすびになっちゃったんだけど大丈夫だった?」
「とっても美味しかったわよ」
ニコニコニコ
瑞穂が弁当の包みをほどいてフタを開くと、中身はからっぽ。
ただし、ご飯粒があちこちについていて、かなり乱雑に食べられている。
「…ねえ、まりや」
「うん?」
「なんで弁当箱、割れてるの?」
プラスチック製の弁当箱は二つとも大きくひび割れている。
「ああ、ちょっとエキサイトしてたから…」
「………」
そこへ由佳里が帰ってきた。
「ただいまかえりました〜」
「お帰りなさい、由佳里ちゃん」
「あ、お、お、お姉さま…」
342L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/01/24(水) 01:32:44 ID:/T/kx2AV0
「お弁当どうだったかしら?」
「トトトトッテモオイシカッタデスヨ?」
「ホントに?ちゃんと私の目を見て」
「ホホホントデスヨ、イヤデスネエ、オネエサマタラ。ア、シュクダイガアリマスカラコレデシツレイシマス」
そう云ってそのまま自分の部屋に駆け込んでいってしまった。
「………」
瑞穂が振り返った時には、まりやも既に部屋に引き上げてしまっていた。


…翌朝5時
パシャッ、パシャッ、パシャッ
瑞穂はシャッター音で目を覚ました。
「あら、お早う。瑞穂ちゃん」
「まりや、何やってるの?」
「なんにもしてないわよ」
「今、フラッシュ焚いてなかった?それに一子ちゃんは?」
「クローゼットの中」
クローゼットを開けるとすやすやと眠っている一子がいた。
「さあ、早く準備して、お弁当つくってね。瑞穂ちゃん」



…昼休み、裸電球…

キャアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
343L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/01/24(水) 01:33:19 ID:/T/kx2AV0


放課後、廊下で瑞穂は貴子とすれ違った。
「あら、貴子さん。これから生徒会室ですか?」
「あっ、お、お姉さま!」
次の瞬間、貴子の鼻から真っ赤なモノがおびただしく噴出した。
「え?えええええぇぇぇ!貴子さん、大丈夫ですか、貴子さん」
「ダ、ダイヒョーブでう。ダ、ダイヒョーブ」
そう云って鼻を押さえている貴子の指の間からポトポトと流れ落ちている。
「体の具合でも悪いんですか?直ぐに保健室に行きましょう」
「いへいへ、ダイヒョーブです。ちょっとしゅごいものが…」
「凄い?」
「ほたからひゃひんが…」
「お宝?」
「はれは、しゅべてわたひのもの……」
「………」
貴子はポケットからティッシュを取り出すと丸めて両方の鼻の穴に詰め込んだ。
直ぐに先端までティッシュが赤く染まる。
「ごひんぱいおかけいたしました、おねーはま。もうだいひょーぶです。きっと食べふぎでふわ」
「本当に大丈夫なのですか?ムリをしないでくださいね。ところで、今、何かおっしゃってましたが…」
「では、ごひげんよう、おねーはま」
貴子はそのまま、早歩きで廊下を去っていってしまった。
「………」
344L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/01/24(水) 01:36:41 ID:/T/kx2AV0

夕方、寮にて…
台所で瑞穂は空になったお弁当箱を静かに見つめていた。
アルマイト製のドカベン。
昨日、お弁当箱が割れたせいで代わりのお弁当箱を探したが、これしか見つからなかった。
由佳里はいらないと云っていたので、まりやの分だけだったがそれでも丸々2合ご飯をつめこんだ。
ダイニングでは、まりやが由佳里と奏に「旅行に連れてってあげようか」などと景気のいい話をしている。
「まりあ、今日のお弁当はどうだった?」
「すごく美味しかったよ。瑞穂ちゃんも腕があがってきたねえ。にはは」
2合ご飯をつめたあと、塩をふりかけ、梅干を1個真ん中に乗せただけの弁当だった。
…なぜか由佳里がそわそわとしている。
「さてと、お風呂に入ってくるかねえ。明日もよろしく、瑞穂ちゃん」
「あ、待ってください。私も一緒に」
まりやが席を立つと、由佳里も慌てて後を追いかけた。
「………」


「ねえ、まりや。私のブラが一枚足りないんだけど知らない?」
「知らなーい」





345L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/01/24(水) 01:37:40 ID:/T/kx2AV0

次の日の夕方…
台所で瑞穂はその物体を静かに見つめていた。
元、アルマイト製のドカベン。
ボコボコに歪み、へこみ、フタをかぶせることさえ不可能に捻れたその物体。
コレに今朝はご飯をぎゅうぎゅう詰めに3合つめこみ、砂糖をふりかけ、梅干のかわりにカロリーメイトをのせておいた。
「美味しかったよ〜、瑞穂ちゃん」
何故か、夕方、青い顔でヘロヘロの足取りで廊下を歩いていた貴子の姿が思い出す。
まりやはダイニングテーブルで腰を抑えながら机に突っ伏していた。
なんでも、あちこち体中ひどくぶつけたそうだ。しかし顔つきは嬉しそうだ。たいした事ないのだろう。
由佳里は青い顔でガタガタ震えながら帰ってきて、そのまま自分の部屋に入ったまま。
「来週もお弁当必要かしら、まりやさん」
「ん〜おねがい〜」
「…じゃあ、お弁当箱を買ってこなくちゃね」
「そんなのいいよ。そこのタッパーでいいわよ」
「・・・・・・・・」




翌週月曜日…
お弁当はタッパーに食パンを詰め込んだだけのモノだった。
346L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/01/24(水) 01:38:41 ID:/T/kx2AV0

昼休み、裸電球…
この部屋に50名という人数は既に限界を超えていた。
T「もうムリですわよ。まりやさん」
M「バカモノ、私はまりやなどという名ではない。オークショニアだ」
Y「というよりブルセラ屋ですね」
M「ええい、黙れ。皆、くれぐれも当局に感づかれないよう気をつけてくれたまえ。
  エルダー秘密クラブ存続のために」
A「いまいちのネーミングですね、まりやさん」
M「そんなことはどうでもいい。それでは始める。本日最初の出し物は、エルダー使用ショーツで梱包した弁…」

バアアアアアアアアアアアアアアアァァァァンンンン!!!!!!!!!!!!

その時、凄まじい勢いで扉が引き開けられた。
衝撃で扉のガラスにヒビが走る!!!
「まああぁありいいぃぃややぁああ」
「ひっ!」
その迫力に50人が一瞬金縛りになった。
「よくもこの一週間騙して…ってまりや?」
まりやの姿が見当たらない。部屋の後ろ側の扉が開いていた。
「早っ。この一瞬で!」
「さすが陸上部元部長。逃げ足はマッハですね」
「由佳里ちゃん…それに貴子さんまで…」
貴子が見も世もない風情で顔を俯けている。
その他、生徒会の面々、A組の同級生から見知らぬ下級生まで多彩な顔ぶれがそこにいた。
「ごめんなさい。お姉さま。気がついたら足抜け出来ないくらい浸かっちゃってて…」
「仕方ないわね」
347L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/01/24(水) 01:45:00 ID:/T/kx2AV0
瑞穂は赤い顔で頭を下げる由佳里の肩に、優しく手を置いた。
「もういいわよ」
「でも、お姉さま、どうしてココがお分かりに?」
「美智子さんに訊いたんですよ、学校内で美智子さんが知らないことはありませんから」
「さすがに下着までとなると行過ぎですから。瑞穂さんのプライバシーを護らないと」
そういいながら瑞穂の背後から美智子が現れた。
「さて、調子に乗りすぎたまりやにキツイお灸を据えてやらないと。皆さん、手伝ってくださるわね?」
そういってみんなを見渡す瑞穂に、50人はただウンウン頷くしかなかった。

1対50の鬼ごっこは昼休みの内に片がつき、まりやは泣くほどきつく絞られたが、それはまた別のお話。


一週間で売り上げた金額は40万。それは全て元の人物に返されて、売った商品も出来る限り回収された。
T「それって写真も全部ですの?予約販売の『お姉さま寝姿36景』もナシ!?」
M「当たり前でしょ」
T「そんなあ〜」
M「泣きたいのはこっちだよ」


「まりや、最初に云ってた今出来ることってのはコレなの?」
「まあ、進学するにしろ留学するにしろ先立つものは必要ってことでね。にゃはは」
「……留学も進学も必要ないよ。まりやの天職はブローカーだよ…」

 Fin
348L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/01/24(水) 01:46:05 ID:/T/kx2AV0
タイトル まりやの名前間違えた・・orz

これにてネタ打ち止めです。
もう逆さに振っても何も出ません。
お粗末さまでした。
349名無しさん@初回限定:2007/01/24(水) 02:52:59 ID:61z2qMZC0
>>348
GJ!

導入で、弁当をつくるきっかけが唐突な気がしますが、
まりやのエスカレートぶりがおもしろいですね。

しかし、最初のAとBは誰だ?
350名無しさん@初回限定:2007/01/24(水) 02:54:33 ID:ZbNsSFgZ0
>>349
GJ!
351名無しさん@初回限定:2007/01/24(水) 16:26:07 ID:LTBb1qTi0
おとボク分回復率…
0           50           100%
.LLLLLLLLLLLLLLLLLL      .l
352名無しさん@初回限定:2007/01/25(木) 10:01:06 ID:mmxDAOlL0
>>348
朝から大笑いさせてもらったGJ!
353名無しさん@初回限定 :2007/01/27(土) 04:47:15 ID:Y3pd9s0U0
>>351
回復率ってもっと低くない?
アニメも終わったから残念だけどもうすぐ過疎になるよ・・
354名無しさん@初回限定:2007/01/27(土) 14:30:07 ID:L3sEyg0A0
おとボク分は
回復率は大きく
減りも大きい
ここはPC時代からの人がほとんどで
アニメから入った人は少数です
傾向として誕生日が近づくと増えます
355名無しさん@初回限定 :2007/01/27(土) 14:34:56 ID:Y3pd9s0U0
自分はアニメから入った者なのでそれ以前を知らないんですよ。
勘違いしてすみませんでした。また、ご指摘ありがとうございました。
356名無しさん@初回限定:2007/01/28(日) 00:15:01 ID:YeEYz2bV0
子供達の主張 ※全員父親は瑞穂ちゃんです

母親が奏ちゃんの場合
女「お母様と一緒に歩いてたら『可愛らしい妹さんね』って言われました。
  私って実の親より老けて見えるんですね……はぁ。」
男「いや、それはお母様の方がおかしいから。」


母親が由佳里の場合
女「あのあの、私この前お父様の事をうっかり『お姉さま』って呼んでしまったのです。
でもでも私は悪くありません。
お父様の美貌では家族でもついうっかり性別を間違えてしまうほどなので……あら、お姉さま?」


母親が貴子さんの場合
男「とりあえずお父様に萌えて鼻血噴出しながら転げまわった挙句ぶっ倒れるのはやめて欲しい……」


母親が紫苑さんの場合
女「私、実は男性に生まれてきたかったのです。
女に生まれてきたばかりに、毎日のようにお母様やお父様、楓さんと見比べられる日々……
あのような天上の美貌を持つ美女三人と比べられては、私など……あら、どうかなさいましたか、お父様?」


母親がまりやの場合
男「はぁ、お母様に似てれば女の子と間違われる事なんてなかったろうに……」
女「はぁ父親似に生まれたかったなぁ、あたし。
  お父様の美貌と性格を受け継げれば誰もがうらやむ淑女になれてたってのに、よりによってお母様に似ちゃったおかげで学校じゃゴリラ扱いよ。」

まりや「とりあえずあんた達、ちょっとこっちに来てくんないかしら?」
357130:2007/01/28(日) 00:24:29 ID:NQfxYEfQ0
>>356

ひとつ間違い
紫苑様との子供ならどとをどう間違っても美人にしか生まれませんw
358名無しさん@初回限定:2007/01/28(日) 07:38:23 ID:bKzszmgv0
紫穂好き好き!!
359名無しさん@初回限定:2007/01/28(日) 23:02:34 ID:QisPiHg80
>>357
>紫苑様との子供ならどとをどう間違っても美人にしか生まれません
親子2代で(幸穂さまを含めると3代?)
エルダーになったりしたら、瑞穂ちゃんはどう思うのだろうか?
360名無しさん@初回限定:2007/01/29(月) 01:53:24 ID:dUju5HXs0
>>356
まりや似でも結構可愛い子どもになると思うのは自分だけ?
まあ性格のほうはともかk(ry
361451 ◆GtN0Plfghk :2007/01/29(月) 13:53:22 ID:o90N5Tct0
『 学院であった怖い話 その1 』

移動教室の時間に、西階段を上る瑞穂ちゃんと紫苑さん。
「そういえば…瑞穂さん、学院に伝わるこんな話をご存知ですか?」
「いえ、聞いていませんが…何ですか?」
「東階段は普段、人通りが少ないと思いませんか?それにはわけがあるのです…」

新校舎になって間もない頃、一人の生徒が机と椅子を運んで東階段を上っていました。
新しい校舎では、机や椅子が人数と合わないことがたまにあります。
この日もどこかの教室で机が足りない・余ったということがあったのでしょう。

机と椅子を持って階段を上れば、女性でなくとも息が切れます。
ちょっと一休みをと思い、持っていた机を下に降ろそうとした時です。
「あっ!」
置き方が不安定だったのか、机と椅子もろとも生徒は二階から踊り場まで転落しました。
すぐに医務室に運ばれて手当てを受けたものの、傷痕が残るほどの重傷を負います。
悲観した生徒は学院を辞め、その後の消息は不明とのことです…。

それからというもの、東階段では奇妙なことが起こるようになりました。
突然、叩きつけるような大きな音がする、「傷が…」という呻き声がする…
それ以外にも、東階段でけがをする生徒が後を絶ちませんでした。
以来、東階段をなるべく使わないで、西階段を迂回するのが習慣になります。
現在でもこの噂は、まことしやかに語り継がれているのです…。

「…というお話なのですが、瑞穂さん」
「し、紫苑さん…でも、今は何も起きていませんよね?」
「ありがちな怪談話といえばそうですが…もしかすれば何かあるのかもしれませんね」
「そんなぁ…きっと作り話ですよ」
「どうでしょうか…ただ旧家の間では『娘をこの学院に入れたら気をつけろ』とは言われていますわ」
「それって…有名な噂ってことじゃないですかぁ…」

―続く―
362451 ◆GtN0Plfghk :2007/01/29(月) 13:55:19 ID:o90N5Tct0
『 学院であった怖い話 その2 』

放課後、瑞穂ちゃんは圭さんを呼び止めます。
「あの…圭さん、こんな話をご存知ですか?」
「そんな昔の話は知らないし、邪悪な気配は感じないわ。けど…」
「けど?」
「…面白半分で近寄ってはダメ。それじゃ」
「あっ…圭さん…面白半分はダメって?」
いつもの帰り道は西階段〜昇降口のルートなのですが、やっぱり気になる瑞穂ちゃん。
「よし、今日は東階段回りで行ってみよう」
意を決して、東階段を目指します。

人影の少なくなった校舎、東階段はさらに陰鬱な影を形作っています。
「ここの二階から…でも変なことが起こるはずないよね…」
一階から二階へ上ってからまた降りて…何も起こる気配はありません。
もう一度、二階に上って上から踊り場の様子を窺ったその時!
「………ぅぅっ」
「!!い、今のはっ?!おおお落ち着けっ!今は男の子、男の子!」
「ぅっ…はぁ…」
「逃げようか…いやダメだダメだ!確かめなくちゃ!」
「んんっ…くはぁっ」

「あれ?」
注意深く声のする方向を辿っていくと、階段のすぐ近くのトイレが目に入ります。
「なんだか…ここから声が聞こえるような…」
見た目には、トイレに目立った異変は認められません。
「…おかしなのは階段…だったよね。もしかして…別口?!」
背筋に嫌な汗が流れる感覚を覚える瑞穂ちゃん。
「だだだ大丈夫、怖くない怖くないっ!」
自分に言い聞かせながら、問題のトイレのドアに一歩一歩近付きます…。

―続く―
363451 ◆GtN0Plfghk :2007/01/29(月) 13:57:28 ID:o90N5Tct0
『 学院であった怖い話 その3 』

問題のトイレのドアの前まで来ると…
「ううん…ああっ…んはぁっ」
「え?!これって呻き声…じゃなくて喘ぎ声?」
「圭さん…もっと…ああっ!」
「今日はいつもより激しいじゃないか?美智子」
「なっ!圭さんと…美智子さん?!」
思わず声が出そうになるのを必死で堪えます。
「圭さんのことだから、立ち聞きしたなんてバレたら…まずい、逃げないと!」
瑞穂ちゃんはこっそりその場を立ち去ろうとします。が…
「うっ…あ、歩きにくい…」

「おはようございます、瑞穂さん」いつもと何一つ変わらない朝の教室の風景です。
「お…おはようございます、美智子さん」
「おっはー」
「け、圭さん。おはよう…ございます」
(バレて…ないようだね。良かったぁ…)
「…覗きは軽犯罪、なんて甘くないわよ…ふっ」
「けけけ圭さん?!な、なんですかいきなりっ!」
「瑞穂さん、どうかなさったのですか?ものすごい汗が…」
「な、なんでもありませんよ美智子さん…圭さん、ちょっとこちらへ」
「何かな?狼狽する瑞穂っち」

「…聞こえただけで覗いていません!信じていただけませんか?」
「ふーん、まぁ信じてあげよう。それと…他言無用…わかってるわね?」
ポケットから取り出した小さな人形の頭を圭さんが指で押し曲げると…
「は…はい…うっ?!」
自分の意思とは無関係に、瑞穂ちゃんはこくりと頷いてしまいます。
「じゃ」

―続く―
364451 ◆GtN0Plfghk :2007/01/29(月) 13:59:24 ID:o90N5Tct0
『 学院であった怖い話 その4 』

「い、今のは何だったんだろう?手品?それとも…」
思わずへたり込んでしまった瑞穂ちゃん。
「圭さんって…一体」
冷や汗を拭いながら教室に戻ると…
「瑞穂さん?…圭さんと 何 の お 話 で し た か ?」
「あああっ!み、美智子…さん?!」
背後にドス黒い炎が渦巻いています。
「べっ、別にたいした話ではありませんよ」
「そうですか?お顔の色がすぐれませんわ。お気を付けて」
「ご心配には及びませんよ。あは、あはは…」
(この二人だけは絶対に敵に回してはダメだ…)

昼休み、食後のひとときをテラスで過ごす瑞穂ちゃんと紫苑さん。
「ところで、東階段の謎はいかがでしたか?ご自分で確かめられたのでしょう?」
「そ、それは!それだけは紫苑さんでもお話できませんっ!!」
「あら…瑞穂さんって意外と怖がりなのですか?●の方なのに…」
「それとこれとは別です!…わたしも命は惜しいですから」
「命、ですか…少々大仰ではありませんか?」
「すみません、これ以上はわたしの口からは…ぐあっ?!」
「み、瑞穂さん?!今首があらぬ方向に向きましたわ!」
(け…圭さん…勘弁してぇ〜)
早々に話を切り上げ、二人は教室に戻ります。

新旧エルダーのお墨付きによって、東階段の噂には更なる箔が付きました。
―東階段で見聞きしたことを口外すれば、命の保障は無い―新たな尾ひれが付いて。

「裏の校史にまで名を残すとは…ふっ、やるわね瑞穂っち」
「…誰のせいですか、誰の」

―完―
365451 ◆GtN0Plfghk :2007/01/29(月) 14:03:00 ID:o90N5Tct0
季節感の無いネタですみません…
366名無しさん@初回限定:2007/01/29(月) 20:09:37 ID:/v/gUare0
>>365GJ面白かったよ
367東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/01/31(水) 00:38:01 ID:YW/Ll/EX0
「じゃ、奏ちゃん。行きましょうか」
「はいなのですよ!」
僕が言うと、奏ちゃんは本当に嬉しそうな笑顔で僕についてくる。
「ちょ、奏ちゃん、ダメえっ!!」
「由佳里、奏ちゃんのほうが先約なんだから、わがままはいけないわよ?」
背後から聞こえてくるまりやと由佳里ちゃんの会話をBGMに、僕たちは次の乗り物に向けて歩みだした。

〜淑女が過去に帰る日 瑞穂&奏編〜

僕と奏ちゃんは2人になって一緒に歩いているが、奏ちゃんは照れたように赤い顔でもじもじして、僕に話しかけてこようとしない。
奏ちゃん、緊張してるのかな? 僕が緊張を解いてあげないと……。
「奏ちゃん、何に乗りたい?」
僕が優しく言うと、奏ちゃんはピクンと反応して、慌ててしまった。
「あ……ああああの……か、奏は……」
「ふふっ、奏ちゃん、そんなに固くならないで。もっと柔らかく行きましょ。ね?」
「ああああの、柔らかくと言われましても、どうすればいいかわからないのですよ」
リラックスするよう優しく言っても奏ちゃんの緊張が解けないみたいなので、僕は少しおどけてみることにした。
「そうね。マシュマロくらい柔らかくすればいいわ」
「ふぇ? マシュマロさんはお姉さまにそんな態度をとるのですか?」
すると奏ちゃんから、思いがけない返事が返ってきた。驚いて奏ちゃんの顔を見ると、まじめに言っているようだ。
「……ふふっ、いやだわ、奏ちゃんったら」
「え? あはは……」
僕が笑うと、奏ちゃんも自分がからかわれていることに気づいたのか、笑い出した。
「あははははは……」
僕たち2人は、そのまましばらく笑いあった。
368東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/01/31(水) 00:40:11 ID:YW/Ll/EX0
「それで、奏ちゃん、どこに行きたい?」
「それでは、奏、あれに乗りたいのですよ」
さっきのことで緊張がほぐれたのか、そう言って奏ちゃんが指差したのは……。
「お花鉄道?」
それは、小さな電車のような乗り物で、周りを一周するもので、その道の周りには一面花畑だった。
「は、はいなのです! あれにお姉さまと乗ってみたいのですよ!」
奏ちゃんはまだ少し緊張しているみたいで、それでも勇気を振り絞ったように言った。
「でも奏ちゃん、絶叫マシンはもういいの?」
僕は、ふと気になったので、奏ちゃんに聞いてみた。
「はいなのです。奏は確かに絶叫マシンは好きなのですけど、お姉さまと2人で乗るときは、もっとロマンチックなものに乗りたいのですよ」
すると奏ちゃんは、照れたように顔を赤くした。
「まあ、奏ちゃん、まるで愛しい恋人に話しかけてるみたいね」
それを見た僕はちょっといたずら心が出たみたいで、優しくからかってみることにした。
「は、はいなので……え? ええっ!?」
奏ちゃんは、そこまで言って、何かに気づいたように驚いて顔から水蒸気を放出した。
「は、はややっ!! あ、あの、ち、違いますのですよ! 奏、お姉さまが男の方みたいだとか思っているわけでは……」
そして、両手を大きく振って必死で言い訳しようとしている。
……えっと、僕が男だって感づいたわけじゃ……ないんだよね?
「うふふっ、誰もそんなこと聞いていないじゃない。おかしな娘ね」
「ふぇ? か、奏、変なのですか?」
奏ちゃんは、驚いたようにそう返してきた。
……うーん。どう答えればいいんだろう?
「もう、違うわよ。ちょっとからかってみただけ。少なくとも、悪い意味じゃないわ」
「はうぅ……お姉さま、意地悪なのですよ」
奏ちゃんは、困ったような照れたような顔つきでそう反応した。
「ごめんごめん。奏ちゃんがあまりに可愛いから、ちょっといたずらしたくなっちゃったの」
僕はそう謝るが、やはりこの光景が微笑ましすぎて笑いがこみ上げてくる。
369東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/01/31(水) 00:42:18 ID:YW/Ll/EX0
「お姉さま、あまりおからかいにならないでほしいのですよ」
「今度は本気で言ってるのよ。からかってなんかないわ」
まだからかわれてると思って顔を赤くしている奏ちゃんに、優しいお母さんのような表情と口調を意識して僕はそう言った。
「じゃあ、乗りましょうか」
「はいなのですよ!」
そして、僕たちは「お花鉄道」に隣同士で並んで乗った。

「ホントにどの乗り物も小さく感じるわね。子供の頃は世界そのものが大きく感じられたのに……価値観の移り変わりを感じるわ」
「はうう……奏、小っちゃいですから、昔よりも小さいとは思えないのですよ」
しまった……そういえば奏ちゃん、自分の身長と体型を気にしてるんだった……。
「ごめんなさい。奏ちゃんを傷つけてしまったかしら。私、今まであまり人付き合いしてなかったから、
そういうことにまで気が回らなくて……ホントにごめんなさい」
僕は奏ちゃんの心の傷がいえるように考えて、申し訳ないという気持ちを前面に出して謝った。
「お、お姉さま、よろしいのですよ。お気になさらないでくださいなのです」
「でも……」
僕が謝ると、奏ちゃんは驚いてそう返してきた。
「それに、逆に今まで人付き合いの少なかったお姉さまが、そこまで奏のことを考えてくださっているのが、すごく嬉しいのですよ」
そして、僕に後ろめたい気持ちを抱かせないために、そんなことを言ってくれる。
「ありがとう奏ちゃん」
そんな会話をしていると、乗り物が動き出した。

「一面のお花がとってもきれいなのですよ」
奏ちゃんは周りをうっとりした表情で眺めながら酔っているような口調で言った。
「そうね。まるでお花の世界を旅しているみたいね」
「はいなのですよ」
奏ちゃんとそう会話をしながら一面の花畑を何気なく観察していた僕は、ふとあることに気づいた。
「でも、このお花畑、よく考えられてるわよね」
「ふぇ? お姉さま、いったい何のことなのですか?」
首をかしげながら聞いてきた奏ちゃんに、僕は今気づいたことを説明してあげる。
370東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/01/31(水) 01:12:42 ID:YW/Ll/EX0
「花言葉よ、花言葉。今見た限りでは、恋人同士で来てもそういう気分に浸れるものばかりで、
マイナスのイメージの花言葉を持つ花はないもの。私の知っている限り、だけどね」
「そ、そうなのですか?」
すると奏ちゃんは、驚いたように僕を見た。
「そうよ。たとえばあそこのタマスダレは汚れなき愛とか潔白な愛。この赤いアネモネはキミを愛す、でしょ? 
そっちの胡蝶蘭は幸福が飛んでくると変わらぬ愛。あと、希望が花言葉のガーベラとか、祝福、純粋な愛のサンダーソニア、
あなたと一緒なら心が和らぐのペチュニアもあったわね」
他にも言っていったらきりがないのでこの辺でやめることにした。
「どうかしら? 恋人同士で来るのにもぴったりでしょ?」
「うわあ……お姉さま、すごいのですよ……」
奏ちゃんは、僕の説明にただ呆然としている。
「そんなことないわ。好きで調べたことがあっただけよ」
「お姉さま、そういう女性らしい知識があって、うらやましいのですよ」
女性らしい、ね……。
「ひょっとしてお姉さま、誕生花もご存知なのですか?」
「ええ。私は5月12日生まれだから、アスチルベで自由、あと落ち着いた明るさ、恋の訪れなんて意味があるわね」
「お姉さまのイメージにぴったりなのですよ」
奏ちゃんがそう言ってくれる。
「ふふっ、ありがとう、奏ちゃん。奏ちゃんは確か8月26日生まれだったわよね?」
「は、はいなのです」
「奏ちゃんの花はムクゲで花言葉は尊敬、あと柔和、信念、デリケートな美ね」
「か、奏、お姉さまのこと尊敬していますのです。いつかお姉さまみたいになりたいのですよ」
「まあ、奏ちゃんもお世辞がうまくなったわね。でも、奏ちゃんも、いつか尊敬されるような人になれると思うわ」
僕はそうなる未来を心に思い描いて言った。奏ちゃんは努力家だからね。きっといつか……。
「お姉さまに言ってもらえると、そうなろうと思えるのですよ」
「ふふっ、頑張ってね、奏ちゃん」
「はいなのですよ!」
自分に言い聞かせようとする奏ちゃんの必死の言葉を、僕は微笑みながら見ていた。
371東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/01/31(水) 01:14:34 ID:YW/Ll/EX0
「あと紫苑さんはマダガスカルジャスミンで2人で遠くへ旅を、とか清らかな祈りとかね」
「紫苑お姉さまと遠くへ、なのですか?」
紫苑さんは自分の未来から逃げたいって気持ちはどこかにあるだろうからね。ある意味合ってるのかもしれないな。
「まりやはタイサンボクで前途洋々とか威厳、とかね」
「言われてみればまりやお姉さまはいつも前途洋々と言う感じなのですよ」
「ふふっ、確かにそうね」
僕は奏ちゃんの言葉に、苦笑せざるを得なかった。
「由佳里ちゃんは確かキンポウゲで栄誉。あと栄光とか子供らしさって意味もあったわね」
「お姉さま、由佳里ちゃんはあまり栄誉とか栄光とかにこだわらないような気がするのですよ」
奏ちゃんが考えながら理解不能、といった顔で主張した。
「そうね。私もそう思うわ。でも、由佳里ちゃんは気にしなくてもそういったものがついてくるってことかもしれないわよ?」
由佳里ちゃんはやればできる娘だからね。そういうものをつかめる可能性は十分あるよ。
「あ、なるほどなのですよ」
奏ちゃんはそれを聞いて理解不能から理解可能な表情になった。
「あと、由佳里ちゃんは子供らしいところもあるわよね。もちろんいい意味でだけど」
奏ちゃんもこれはすぐに理解できたようだ。
「貴子さんのは赤いサザンカで謙遜だったわ」
「謙遜なのですか? 確かに会長さんはいつもご自分のことを低く評価してらっしゃるようなのですよ」
そうだよね。貴子さんは自分で言うよりずっと素敵な人だと思うよ。
「あと、プルメリアもあったわ。こっちの花言葉は恵まれた人とか、風刺、内気な乙女、情熱、熱心、気品ね」
でも貴子さん、自分が恵まれた人だとは思ってないんだけどね。それ以外は合ってるとも思うけど。
「ふぇ? お姉さま、誕生花は1つではないのですか?」
「そうよ。2つある日もあるわ。それに、誕生花や花言葉も、国や地方なんかで、色々違うもの。私が知ってるのは、日本での一般的なものよ」
「お、奥が深いのですよ」
奏ちゃんは、すっかり興味津々、といった感じで聞いていた。
372東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/01/31(水) 01:16:23 ID:YW/Ll/EX0
「一子ちゃんのはガマズミで結合と無視したら私は死にます、だったわ」
「死ぬ……のですか?」
奏ちゃんは混乱したような顔になっている。そんな様子がなんかおかしい。
「まあ、そっちは一子ちゃんには関係ないわね」
僕は、冷や汗混じりに笑いながら言った。
「結合の方は関係あるけど」
「あ……そうですね」
一子ちゃんはずっと母さまと“結ばれたかった”わけだしね。
「もう1つはペペロミアでかわいらしさとか艶やか、片思いよ」
「艶やかなのかどうかはわからないのですが、後の2つは一子さんらしいのですよ」
「そうね。一子ちゃんって、見てて飽きないしね。ずっと母さまに片思いしてもいたから、そこもうなずけるわね」
こうしてみると、花言葉って面白いんだな。自分で言ってみて初めて気づいたよ。

そうしているうちに、お花鉄道は一周し終えたようだ。
「とっても楽しかったのですよ」
奏ちゃんが、満面の笑顔でそう言った。
「そう? もしかしたら私の講釈のせいで風景とか存分に楽しめなかったんじゃないか、なんて思ってたけど……」
僕が心配そうに聞くと、奏ちゃんは、
「いいえ。奏としては、お姉さまと2人だけの時間を共有できることの方が嬉しいのですよ」
そう一点の曇りもない表情で答えてくれた。僕はほっとする。
「ありがとう。あ、奏ちゃん、私が花言葉に詳しいことは2人だけの秘密よ。いい?」
もしまりやに知られたら、絶対ネタにされるだろうからね。
「は、はいなのです! お姉さまと2人きりの秘密を持てるなんて、奏、幸せなのですよ」
「私って、本当に慕われてるのね。嬉しいわ。ありがとう奏ちゃん」
僕たちはそんな甘い会話を交わしながら、あてのない次の目標を探して歩いていた。
373東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/01/31(水) 01:46:40 ID:YW/Ll/EX0
「……どうしましょうか? これではとても……」
「この役の2人が来れなくなったら、中止するしか……」
僕たちが歩いていると、ふとそんな会話が聞こえてきた。なんだか穏やかじゃなさそうだな。
「あの、一体どうしたんですか?」
僕は、そう話の中に入って聞いてみることにした。
「ああ、申し訳ないんだが、これからやる劇は中止になったんだよ」
「もうどうしようもない状況だもの……」
すると、そう役者やスタッフの面々から謝罪の言葉が投げかけられた。
「あの……どうしてなのですか?」
今度は奏ちゃんが聞いてくる。
「役者が2人も急な事情で来れなくなったのよ。子役の女の子と優しい女神様役の人なんだけど、1時間じゃとても代役はここまで来れないから……」
それを聞いた奏ちゃんは、何かを考えていた。そして……。

「『……というわけで、私は、このお花を摘んでくるまで、おうちには入れてもらえないんです』」
悲しそうな顔で泣きながら主役の少女は語る。この少女は、父を病で亡くし、継母とその娘にいびられ続けているという、
すでに使い古されてぼろぼろになっている設定。
「『まあ、それはかわいそうに。わかりました。さあ、このお花を持ってお行きなさい。
私の大切な花たちを、その小さな身を犠牲にして守ってくれた、せめてものお礼です』」
それに対し、花の女神様は慈悲に満ちた優しい言葉でその少女に花を渡す。
そうして物語は進んでいくにつれ、観客のみんなは、この少女と女神様の存在感にどんどん魅きこまれていった。
374東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/01/31(水) 01:49:03 ID:YW/Ll/EX0
「いやあ、おかげで助かったよ、周防院さん、宮小路さん」
「いえ、こちらこそ、お役に立てて嬉しいです」
本当に嬉しそうにお礼を言うスタッフの言葉に、僕は照れながらそう返す。
「本当、代役をやらせてくれって言われたときはちょっと不安だったけど、ここまで見事にやってくれるなんて……」
そう。僕たちは奏ちゃんの提案で、抜けた2人の代役をやることになったんだ。
初めはみんなも戸惑っていたけど、演劇の経験があることと、役に入っていく僕たちを見て、賭けることにしてくれたみたいだ。
スタッフのみんなに何度もお礼を言われながら、僕たちはその場を後にした。

「みなさんのお役に立ててよかったのですよ」
「ふふっ、奏ちゃんに私たちが代役をやらせてほしいって言ったときはびっくりしたけど……」
嬉しそうな奏ちゃんに、僕はその時を思い出しながら言った。
「はややっ、お姉さま、ごめんなさいなのですよ」
そうすると勘違いしたのか、奏ちゃんが謝ってくる。もう少しポジティブに考えてくれてもいいと思うけど……。
「謝ることじゃないわ。だって、そんなことを言うなんて、最初の頃の奏ちゃんからは考えられないじゃない。
積極的になってるのを見て、奏ちゃんもここまで成長したんだって思ったら嬉しくて……」
最初の頃ならきっと自信が持てなくてそんな考え自体浮かばなかったはずだしね。
「お姉さまのおかげなのですよ」
「いいえ、奏ちゃん自身の力よ。お客さんも、主人公の奏ちゃんのファンがいっぱいできたらしいしね」
「そういう女神様のお姉さまにも、いっぱいファンがついたって聞いたのですよ」
僕たちは、役になりきっていたため、そのことはスタッフの方々から後で聞いてわかったんだけど、今までで一番の大盛況ぶりだったそうだ。
「あらあら奏ちゃん。返すのが上手になったわね」
「奏も、いつまでもお姉さまのおもちゃじゃないのですよ」
「まあ……ふふふ……」
「あはははは……」
僕たちは、そう笑顔を浮かべながら舞台にあがったときの話をして歩いた。
375東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/01/31(水) 01:51:42 ID:YW/Ll/EX0
そうやって僕たちが話していると、お土産屋のところを通りかかった。
「そうだわ」
「お姉さま、どういたしましたのですか?」
「ここ、見ていこうと思うから、ちょっと待ってて」
僕はお土産屋を見てふと思いついたので入ろうとすると、奏ちゃんが不思議そうな顔をする。
「ここ、お土産屋さん、なのですよね?」
「ええ、そうよ」
僕がそう返事を返すと、奏ちゃんは不安そうな顔になった。
「お姉さま……あの、ひょっとして、もうお帰りになるのですか?」
「あら、どうして?」
「だって、お土産を買うのは、最後と相場が決まっているのですよ」
奏ちゃんは、やっぱり遊び終えてお土産を買いに来たと思っているようだ。
「ふふっ、違うわよ。お土産を買いに来たんじゃないの。お土産はまた後でよ。
さっきまりやと連絡取ったけど、今日は帰るまでずっと2人で回っていいって言ってたから。すぐ戻ってくるから」
僕はそう言って店に入り、小物系のお土産のあるところを見て回った。
「あっ、これなんかいいわね」
僕は目当てのものを見つけると、レジに持っていって購入した。
376名無しさん@初回限定:2007/01/31(水) 02:21:38 ID:jbyblNIxO
せめて最初と最後に一言ずつ欲しいのですよ。
後の人に迷惑かける事になるのです。
377東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/01/31(水) 02:21:53 ID:YW/Ll/EX0
「奏ちゃん、もういいわ」
僕は奏ちゃんの待つ外に出てそう言った。
「お姉さま、いったい何をお買いになったのですか?」
「ふふっ、これよ、これ」
首をかしげる奏ちゃんに、僕は買ったものの入った袋を見せて、中身を取り出した。
「これは……髪飾りなのですか?」
中に入っていたのは、お花をかたどった髪飾り。
「奏ちゃん。ちょっとじっとしててね」
そして僕は奏ちゃんの後ろに回りこみ、そっとそれをつけてあげた。
「はい。これでいいわ。どうかしら?」
奏ちゃんに鏡を見せると、奏ちゃんは少し驚いたような顔になった。
「お姉さま、もしかして奏にプレゼントしてくださるのですか?」
髪飾りをつけた自分の姿に少し戸惑いながら奏ちゃんそう聞いてきた。
「ええ、そうよ。精一杯劇を頑張った奏ちゃんに、花の女神様からのごほうび」
優しい声ながらも、僕はちょっとおどけて答えた。奏ちゃんに似合いそうなものを選んだけど、似合ってよかった、なんて安堵しながら。
「あ、ありがとうございますなのですよ! 奏、このリボンと同じぐらい、大切にいたしますのですよ!」
奏ちゃんが、まるで時価数十億の財宝を手に入れたかのように喜び、僕にお礼を言ってくれた。
「ふふっ、喜んでくれて嬉しいわ」
それを見て僕は、奏ちゃんのお願いを聞いてあげて本当に良かったと思っていた。
僕がそのお願いを聞いたことで、後に奏ちゃんの身に何が降りかかるのかを知るよしもなく……。
378名無しさん@初回限定:2007/01/31(水) 02:22:24 ID:IxN06aKc0
それは真っ黒なディルドー、つまりバイブだった。
僕はどうしてもこれを使いたいのだ。
あのハンバーグ少女のケツ穴にブッ挿してやりたい、
どんな顔をするだろうか、驚くのか悲鳴を上げるのか……はたまた嬌声か。
レジ前にもかかわらず、僕のモノは硬くなっていまい店員さんにニヤニヤされてしまった。
379東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/01/31(水) 02:26:50 ID:YW/Ll/EX0
そして、日が暮れかけ、もうそろそろ終わりにしようかという頃になっていた。
「ねえ奏ちゃん。次で最後にしようと思うんだけど、何に乗りたい?」
僕は奏ちゃんに優しく問いかける。
「あ、あの、奏、観覧車に乗りたいのですよ」
「観覧車?」
「はいなのです。観覧車に乗って、今日一日お姉さまと遊んだ想い出の場所を、しっかりとこの目に焼き付けておきたいのですよ」
僕はそれを聞いて、自分もそう思っていただけに、嬉しくなってきた。
「実は私もそう思っていたのよ。空の上から、この場所を見ておきたいって」
「お姉さまも同じ気持ちでいてくれたなんて、奏、嬉しすぎるのですよ」
それを聞いた奏ちゃんは、酔ってしまったように顔をうっすらと赤めて言った。
「ええ。私の心と……」
僕は、そう言って右手で自分の心臓をさわり……。
「……奏ちゃんの心が、今、つながったわね」
左手で奏ちゃんの心臓を優しくさわった。
「はっ、はややっ!!」
一瞬奏ちゃんの動きが止まり、その後、奏ちゃんは耳まで真っ赤になった。
「おおおお姉さま、おからかいにならないでください。奏、照れますのですよ」
「ごめんごめん。嬉しかったからつい。迷惑だった?」
そうは言いながらも、口調に嬉しさが自然とにじみ出ていた。
「い、いえ、奏もやってもらって、嬉しくてドキドキしたのですよ」
奏ちゃんは、赤くなったまま続ける。
そして僕たちは、最後を締めくくる観覧車に乗った。

観覧車に乗った奏ちゃんは、顔を赤くしてあまりしゃべらない。
「どうしたの、奏ちゃん? 私と2人っきりだから、緊張してしまったのかしら?」
僕は気まずい雰囲気を何とかしようと、少し挑発的に奏ちゃんに話しかける。
「はうう……今日のお姉さま、とってもお優しくて、とっても意地悪なのですよ……」
奏ちゃんは、もじもじした感じでそう返してきた。
「とても優しくて、とても意地悪? それってどういうこと? 私はどう反応したらいいのかしら?」
本当にどう言ったらいいのかわからず、僕は困ったような顔で奏ちゃんを見て微笑んだ。
380東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/01/31(水) 02:29:06 ID:YW/Ll/EX0
「あ、えっと、奏はお姉さまのこと、いい意味で意地悪だと申しましたのですよ」
奏ちゃんは僕の言葉に、慌てて意味を解釈しようとする。
「いい意味で意地悪? どういうこと?」
「あの……今日のお姉さま、言動がいつもにも増して魅力的で、奏の心を掴んで離してくださらないのですよ……ですから……」
奏ちゃんが何が言いたいのかははっきりとはわからないけど、褒め言葉であるというのは間違いないだろう。
「……えっと、私、その言葉に喜んでいいのよね?」
「はいなのです。奏、今日のお姉さま、一緒にいるだけですごくドキドキするくらい素敵だと思いますのですよ」
そこまで言われると、正直こっちの方がドキドキする。
「ふふっ、ありがとう奏ちゃん」
気まずくなりそうなので、僕は話題を変えることにした。
381名無しさん@初回限定:2007/01/31(水) 02:29:33 ID:IxN06aKc0
次の瞬間、僕は奏ちゃんの顔を押さえ込み僕の真っ黒なディルドー、つまり性器を顔に擦り付けた。
「おねえさまなにするですか!」
「ふふ、観覧車では当たり前の行為なのよ」
382東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/01/31(水) 02:56:22 ID:YW/Ll/EX0
「奏ちゃん、ほら見て。今日一日遊んだ遊園地が、あんなに小さい……」
僕に言われて、奏ちゃんは身を乗り出して外の景色を見る。
「わあ、ホントなのですよ……遊んでいるときは大きく感じましたのに、今はあんなに小さいのですよ」
奏ちゃんは、感嘆の表情で景色を眺めていた。
「お空から見れば、私たちの存在も、きっとちっぽけなものなんでしょうね……」
「……お姉さま?」
僕が物思いにふけっていると、奏ちゃんが少し心配、といった感じで僕の顔を見てくる。
「でも、私は、そのちっぽけな中で、出来るだけ多くの人に、笑顔でいてほしい……そのために、私も出来る限りのことをしたいって思うの……」
僕は将来鏑木グループを率いていくんだろうけど、出来るだけ多くの人を幸せに出来るような、そんな鏑木グループにしたい……と思った。
「お姉さま……お姉さまなら、きっとたくさんの人を笑顔に出来ますのですよ」
奏ちゃんが、感動した感じで、そして真剣な顔でそう言ってくれた。
聖央にも、奏ちゃんのように僕を慕ってくれる人は大勢いる。その娘たちのためにも、僕はもっと頑張らないといけないんだよね。
「ありがとう奏ちゃん。奏ちゃんも、多くの人を笑顔に変えられるような、そんな人になれると思うわ」
「はい! 奏も頑張りますのですよ!!」
僕の言葉に、奏ちゃんは決意に満ちた表情をした。
「うふふ、いい娘ね」
僕はそう言って奏ちゃんを抱き寄せた。
「お、お姉さま……次に乗っておられる方に見られてしまいますのですよ」
すると奏ちゃんは、顔を赤らめて、弱々しい声で僕に抗議してきた。
「大丈夫よ。ほら、もうすぐ頂点にさしかかってきたでしょ? その間は、誰にも見られないから……」
僕はそう言って、奏ちゃんのおでこにキスをした。今日一日、とても楽しく過ごせたことへの、感謝の気持ちをこめて……。

To be continued……
383東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/01/31(水) 02:59:56 ID:YW/Ll/EX0
東の扉です。

>>376
どうも申し訳ありません。
いまだに暗黙のルールとか、そういったものがわかっていない部分も多々ありますので。
以後は気をつけます。それでは。
384名無しさん@初回限定:2007/01/31(水) 04:06:27 ID:q+xWH3etO
302-318の続きなのですよ。GJ
385名無しさん@初回限定:2007/01/31(水) 14:09:26 ID:D1pTV7uoO
>>383
なんかまた悪戯されてるようだが…
理由として考えられるのは、長セリフ等一行あたりの字数が多過ぎて、作品が冗長に見えるのが原因ではないかと。
一レス完結の短編を練習してみてはどうだろうか?ここでなくても、まとめサイトの練習スレあたりで。
386名無しさん@初回限定:2007/01/31(水) 17:25:02 ID:wUgY6Pz/0
いいものを読ませていただきました
花言葉か…

GJ
387名無しさん@初回限定:2007/02/01(木) 00:04:04 ID:id+BhnVq0
一行あたりの字数が多すぎるってことは無いと思うよ。
過去にはもっと一行が長くてもおもしろいSSはたくさんあったし。

ただ、地の文による情景描写が少ないから、状況を想像するのが難しい。
ありきたりな展開ばかりで、しかも冗長で無駄が多いから読んでいて飽きてくる。

なんにせよ花言葉の部分は悪くはなかったというか、結構良かったのでがんばってください。
388L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/02/01(木) 02:09:35 ID:2YzKytcZ0
今回もバカ話投下します

『独占禁止法違反』

早春のある日、3−Aにて現国の時間。
各自、川柳を作るということになった。
瑞穂は隣の机の紫苑のほうを向いて、
「こんなのはどうでしょう、<学び舎に友の笑顔に躍る胸>」
その言葉に少し頬を染める紫苑。
「あら、それは私のことですか?」
「ええ」
微笑む瑞穂。
「またこうして教室で机を並べていられる私の率直な気持ちですよ」
「では、<かけがえのないひと時に胸満たす波> 僅かな日数でも…私…本当に…」
「ふふ、頬を染めてる紫苑さんも可愛らしいですね。<染まりゆく夕暮れ色に固唾呑む>」
ますます赤くなる紫苑。
「恥ずかしいですわ、瑞穂さん。瑞穂さんは、ときどきいけずになりますのね」
「日頃やられているお返しです」
「まあ」
瑞穂を軽く睨む紫苑。
「でも有難うございます、瑞穂さん。…私のことでこの胸を躍らせていただけるなんて」
照れ隠しなのか、紫苑が瑞穂の胸をぎゅっとつかんだ。
「ひゃ、し、紫苑……さん。ちょっとやめて。あん。揉まないで」
「ああ、<天上の心地もかくやの雪触り> 本当に感激ですわ」
「コラ。十条さん、宮小路さん。授業中だということを忘れていませんか!?」
先生の注意にハッと我に返るふたり。
気がつけばクラス中の視線が自分たちに集中していた。
「十条さんも嬉しいのはわかるけど」
「申し訳有りません」
ふたりとも赤い顔で姿勢を正した。
389L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/02/01(木) 02:10:30 ID:2YzKytcZ0
「先ほどは驚きましたわ。紫苑様が瑞穂さんに…」
「授業中に愛撫するなんて」
「やめてください。美智子さん、圭さん」
休み時間になってクラスメート達があちらこちらで雑談をしている。
が、瑞穂と紫苑の方をちらちら見ているのは内容が、さきほどのことなのだろう。
「きっと学校中に広まりますわよ」
「…やっぱり?」
紫苑が瑞穂に抱きついたことさえ、あっというまに広まったのである。
刺激を求める女子高で、授業中に胸を揉んだことはそれ以上にインパクトのある好材料だろう。
「それにしても紫苑様、すごい表現ですわね。瑞穂さんの胸を雪に例えて天上のさわり心地だなんて」
瑞穂の胸を興味深げにみる美智子。
「私も触らせていただいてもいいですか?」
「いやですよ」
「うふふ。だけど雪というより実際は大きなマシュマロみたいな感じなんですが」
「へえ、どれ…」
圭が無造作に瑞穂の胸をさわった。硬直する瑞穂。
もにゅもにゅ
「なるほど。確かにちょっとない感触だわね。これは紫苑様のおっしゃることも…あたっ!?」
美智子が圭の耳を引っ張った。
「け・い・さ・ん!!何をしてますの?」
笑顔を絶やさない美智子の背後に黒い炎のようなものが……。
390L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/02/01(木) 02:11:05 ID:2YzKytcZ0
「え、あっ、いや、その。つい…」
「圭さんにはちょっとお話したいことがありますの。来てください」
そういって、圭の腕をつかんでズルズル歩き出す。
「ちょ、ちょっとまって美智子。お願い。ほら、休み時間ももう直ぐ終わりだし」
「ダメです」
教室のドアからふたりが完全に姿を消すまで黙ってみていた瑞穂と紫苑だった。
(…なんだか判らないけど…大丈夫かな、圭さん)

現国の時間の話はやっぱり学院中に広まった。本来、芸能人のゴシップのように単に噂話として終わるはずだったが、
瑞穂の胸を触ったことがある人物が他にもいることが発覚。意外な方向へと変わっていった。

瑞穂の胸の感触について・・・

証言者K・S「抱きしめてもらったことがあったのですよ〜。とてもやわらかでいい匂いがしたのですよ〜
     弾力があってお餅のようで、まさに極楽なのですよ〜」

証言者M・M「あの胸はいいものだ〜!」


391L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/02/01(木) 02:12:59 ID:2YzKytcZ0
瑞穂が廊下を歩いていると、曲がり角で向こうから来た女生徒にぶつかった。
「あ、御免なさい」
女生徒は足をもつれさせたのか瑞穂の胸に顔をあててしがみついてきた。
「大丈夫だった?」
「………」
もにゅもにゅ
「あ、あの、もしもし?」
「…えっ」
我にかえった女生徒は慌てて体を離すと、真っ赤な顔で頭をさげた。
「も、申し訳有りません。お姉さま!」
「いいのよ。お互い無事でよかったわ。次回からは気をつけましょうね」
「はいっ!」

・・・・・・

昼食の時間、瑞穂がランチを運んでいると見知らぬ女生徒が声をかけてきた。
「お姉さま、お待ちになってください!」
「はい?」
「胸元に糸屑がついておりますわ。とらせていただきます」
「へ?け、結構です。あとで自分でとりますから」
「いいえ、ぜひ、私にとらせてください!ああ、どうかお姉さまそのまま、トレーはそのままで。
すぐお取しますから!」
そう云って瑞穂の胸に手を伸ばした。
ふにっ
「ひゃっ!」
ふにふに
手のひらを瑞穂の胸に当てている。
392L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/02/01(木) 02:13:41 ID:2YzKytcZ0
「あ、あの、もしもし?」
「…えっ。は、はい、お姉さま。とれましたわ」
「そ、そう。ありがとう」
「いいえ、それではこれで…」
そういうと女生徒はにっこり笑って去っていった。
「………」

・・・・・・

君枝の報告に貴子が興味を示した。
生徒会は引退したが、事あるごとに貴子は生徒会室に顔をだしている。
君枝たちもまた、それを喜んで未だに貴子に判断を仰いでくることが多々ある。
いつもなら、もう引退したからと意見は控えるのだが…。
「噂ですか?」
「Mネット(※学院内のイントラネットを利用した裏掲示板のひとつ。別名マニアネット。教職員には秘密♪)
で昨日から話題になってます」
そう云って差し出されたプリンター用紙に貴子は目を通した。

  〜エルダーは誰のもの〜
  
  名無し    みんなのエルダー
  名無し    そww
  名無し    紫苑様のものでは?
  紫苑様命   そうです。瑞穂様は紫苑お姉えさまのヽ( ´¬`)ノ
名無し    ま、確かにそうかもΣ( ̄ロ ̄lll)
  お姉さまっ子 逆。紫苑様はお姉さまのもの。今朝も紫苑様と手を繋いで登校なさってました
393L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/02/01(木) 02:16:46 ID:2YzKytcZ0
「いつものゴシックの類ではありませんか。なんの問題もないでしょう、お姉さまと紫苑様というのがアレですが」
ちょっと頬を赤らめる貴子。
「いえ、その続きをよんでください」

  名無し    となるとやっぱり無理ね。(o´_`o)ハァ・・・
  名無し    頼んでみたら?
  名無し    どうやって?紫苑様の前で?
  お姉さまっ子  ムリムリ 誰の前でもムリ
  名無し    でも触ったひとは複数いますわ^ω^あまつさえ揉んだ方まで
  名無し    キャーーー\(≧▽≦)/
  名無し    なんでも極上の手触りとか
  紫苑様命    天上の味ともおっしゃってました
  名無し    天上!!Σ(゚∀゚*)
  名無し    つまりまだソレについて紫苑様のものではないと?
  紫苑様命    紫苑お姉さまのものですo(*≧д≦)o″))
  名無し    お姉さまの卒業まであとわずかですし

「何ですか、これは?」
さっぱり訳がわからないというふうに貴子が訊く。
「これはですね、えっと、お姉さまのむ、む、胸の話をですね…」
「むね!?つつつつまり、バストですか!?」
「は、はあ。そういうことです」
君枝の声が自然、小さくなる。
394L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/02/01(木) 02:24:47 ID:2YzKytcZ0
「誇りある恵泉の生徒が破廉恥な」
「なんでもきっかけは紫苑様だそうです」
「?」
「授業中お姉さまの胸を触りながら極上だとおっしゃったとか…」
「??????」
「最新の書き込みがこれです」
   
  名無し   ワッショ━━(∩´∀`)∩´∀`)∩´∀`)∩´∀`)∩´∀`)∩━━イ

「………」
「そして川柳のようです」

  <極楽の餅はだれにも渡しゃせぬ>

「…なにがなにやらさっぱり判りませんが、とりあえず注意が必要のようですね。書き込んだ人の特定は?」
「不明です。不特定多数としか…」
「何故です。イントラに書き込める端末は電算教室以外では生徒会用と教職員用しかありませんよ。
使用した端末から特定できるでしょう?」
「それが…普段使われてない放送室や用務室のPCも使われているようでして…。
さらにネットに詳しい何者かが外部からノートPCを持ち込んでイントラに接続した可能性もあります。
IPを確認してわかったのは本日のアクセス数は一昨日までの10倍になっているということだけです」
「なんですの、それは!我が校の生徒が!」
「はあ、すいません。それで…。具体的な措置はなさいますか?」
「…なにか被害があるのですか?」
「いえ、特定のひとりを除いては被害はゼロかと」
「特定のひとり?」
「つまり、お姉さまの胸のさわり心地をみんなが話しているわけですから」
395L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/02/01(木) 02:30:46 ID:2YzKytcZ0
「お、おおお姉さまのムネが狙われていると!!そそそそれは由々しき事態ですわ。
…くっ、仕方ありません。ではMネットの当面の利用停止勧告を生徒会よりの通達として書き込んでおきなさい。
あと、生徒会室前の掲示板に校内風紀強化の張り紙を張っておくように」

・・・・・・

「なんだか昨日から視線を感じるんです」
休み時間、圭と紫苑に話しかける瑞穂。
「それに不自然に体を触られるような…」
「ふっ。鋭いんだか鈍いんだか…。今のあなたの立場は信仰の象徴とでも云えばいいのかしら」
「えっ?何ですか、それ」
「まあ、瑞穂さん。宗教をお始めになったのですか」
「始めてません」
「なんだか知らないけど瑞穂さんの胸に触ることが信者の目的になってるみたい。
聖地メッカに巡礼することを目標とするモスリムのようなものかしら。つまり天界への扉というわけね」
「なんですか、ソレ!信者ってナニ!?」
「そのバストに三千世界を体現しているなんて。さすがね、魔王・瑞穂っち」
圭が無造作に瑞穂の胸を掴んだ。
モミモミ…
「えっ、えっ…ちょ、圭さん」
「…たしかに心地よい弾力ではあるけど…。天上界にはあとひとつなにか……あたっ!?」
いつの間にきたのか、美智子が圭の耳を引っ張っていた。
「け・い・さ・ん!ナニをしてらっしゃるのかしら?」
美智子の背後にはどす黒く燃え盛るコロナが……。
396L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/02/01(木) 02:32:33 ID:2YzKytcZ0
「ひっ…あ、あの、その…」
「今、なにか素敵なことをおっしゃってましたが、是非私にもお聞かせ願えませんか?」
そういって圭の耳を持ったままズルズルと歩き出す。
「えっまた!?いや…ちょっと待って!…ほら…休み時間もあまりないし…」
「ダメです」
そうしてふたりが教室から完全に姿を消すまで黙ってみていた瑞穂と紫苑だった。
「……えっと、よくわからないけどつまり、私の胸をみんなが触りたがっている、ということでしょうか?」
「そのようなお話でしたわね」
ハア〜とため息を吐く瑞穂をみて紫苑が笑顔を浮かべた。
「楽しそうですね、紫苑さん」
「ええ、とっても。毎日が驚きですわ」
「全く…。なんでこんなことになってるんでしょう」
「さあ?」
元凶の紫苑がにこにこ笑いながら首をかしげた。
「でも瑞穂さんの胸にさわりたいとおっしゃるのなら触らせて差し上げたら宜しいのでは?」
そして声をひそめて
「つくりモノですが手触りはホンモノ以上ですわ」
「イヤですよ。なんで私がよってたかって女性に胸をさわられなくちゃいけないんですか。
なによりちょっと触る程度ならともかく揉まれたりしたら、ばれる可能性もあるじゃないですか」
「そう云われるとそうかも知れませんね。それによく考えると、
瑞穂さんが不特定多数の女性におもてになるのは私としても嬉しくありませんわ」
397L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/02/01(木) 02:36:04 ID:2YzKytcZ0
・・・・・・

Mネット書き込みにて…

   生徒会    通告です。当分、書き込みは自粛するように!!!
   名無し    お姉さまに隙がなくなってきました
   名無し    休み時間にもあまり教室からおいでにならないようです
   名無し    移動教室のときがチャンスかしら( ̄ー ̄)ニヤリッ


瑞穂が東階段を二階から三階に上っている時だった。
上から降りてくる生徒に気がついて、その娘の10段くらい手前でふと足を止めた。
相手も瑞穂が止まったのに気がついて、お互いの顔をみる。一秒くらい。
と、いきなりダイブしてきた。
慌ててよけようとするが、ここは階段途中であることを思い出す。
よけるとこの娘が、怪我するかも…
そう半瞬考え、その娘を受け止めるとそのまま踊り場に倒れこんだ。
「いたたっ…」
踊り場までの距離がたいして無かったのが幸いだったようだ。
「ねえ、大丈夫?怪我は?」
瑞穂は仰向けに倒れたまま、抱きかかえている生徒に尋ねた。
「は、はい。有難うございます」
むにむに
赤い顔で女生徒が謝る。
398L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/02/01(木) 02:38:08 ID:2YzKytcZ0
「足を滑らせてしまって」
「そ、そう?なんかダイブしたように…」
むにむに
「考え事をしながら歩いていたもので」
「…さっき目が合ったと思うけど…」
むにむに
それにしても、先ほどからこの娘は瑞穂の胸に倒れこんだまま、立ち上がろうとしない。
周りの生徒に目をやると、嫉妬というか、上手いことやりやがって的な視線をなげかけている。
「それはともかく、怪我がなくて何よりだわ。あと胸を揉み続けるのは止めていただければ嬉しいのですが」
「あっ、気がつきませんでした。申し訳ありません。お姉さま」
慌てて女生徒が立ち上がろうとすると、なにやら急にフラフラとしだした。
「あっ、ちょっと」
「す、すいません。なにやら少し足をひねったようで。お、お姉さま。保健室まで肩をお貸しいただけるとありがたいのですが」
「わ、わかりました」
なにやら強引な展開に瑞穂が女生徒の手をとろうとした瞬間、別の女生徒があらわれてその娘を抱きかかえた。
「お姉さま。有難うございます。お姉さまのお手を煩わせるまでもありません。
クラスメートの私がこの方を保健室へ連れて参りますので、どうかお気遣いなく。それではごきげんよう、お姉さま」
早口でまくしたてると、手荒く凄いスピードで娘を引きずって去っていった。
「………」
399L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/02/01(木) 02:40:18 ID:2YzKytcZ0
Mネット書き込みにて

   生徒会    通告です。当分、書き込みは自粛するように!!!
   名無し    10揉みさせていただきました゜*。(*´Д`)。*°
   お姉さまっ子 見ておりましたがお姉さまを危険な目にあわせるなど言語道断です
   名無し    邪魔が入らなければもっと触れましたが?
   名無し    アレ以上はゆるせません(−−)
          ----削除されました---
   生徒会    こら!あなた達!やめなさいと云ってるでしょ!
   名無し    でもうらやましー。感想をお聞かせください
          ----削除されました---
          ----削除されました---
   名無し    つまりやったもん勝ちと?
   お姉さまっ子 危険なのはダメですダメです o(*≧д≦)o
   生徒会    ゴ ラ アー!!  いいかげんにシロー!!


放課後、瑞穂が廊下を歩いている時だった。
廊下の前方の給湯室から女生徒がでてきた。

手にやかんを持っている。

なんとなく瑞穂は立ち止まって、その娘を眺める。
女生徒も、さもそこで気がついたようにドアの前で立ち止まり瑞穂の方を向いた。

手にやかんをもっている。
400L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/02/01(木) 02:42:44 ID:2YzKytcZ0
じーー
およそ3秒立ちすくしたあと、やおら瑞穂に向かって歩き出した。
「ひいいぃぃ」
(やかん!あのやかん!!)
奇矯な声をあげて逃げ出す瑞穂。
もと来た廊下を駆け出すと途中にあった生徒会室に飛び込んだ。
「おおおお姉さま!!!どうなさったのですか?顔が真っ青ですわ」
中にいた君枝たちが驚いて声をかけてきた。
瑞穂は腰が抜けたようにその場にずるずると腰を落とした。
「や、やかんが…危険…」
「へっ?やかんですか?」
何のことがわからず首をかしげる君枝たち。
「い、いいえ。なんでもありません。ほほほ」
瑞穂は慌ててその場を取り繕い、そしてここに飛び込んだのが幸いと生徒会にお願いしてみようと思った。
「ところでちょっと困ったことがありまして、そのことでお願いが…」
「ああ!はい、わかってます。お姉さま」
「わかってる?」
「そのことで我々からもお姉さまにお話が…」

……生徒会室の端末から内容がエスカレートしているMネットを見せてもらい、説明を聞いた瑞穂ががっくりと肩をおとした。
「アレが発端だったなんて…」
「会長…いえ貴子お姉さまからも指示をいただいて対処しているのですが一向に止みそうにありません。
申し訳ありませんがお姉さま、今後、校内はあまりお歩きにならないか、移動の際には複数人で行動して
いただくほか対処のしようが…」
「……登下校の注意は聞いたことがあるけど、校内の一人歩き注意は初めて聞きますね…は、ははは…」
なんだか笑い声も乾いている。
「あとひとつ、試していない方法が有りますが」
401L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/02/01(木) 02:51:33 ID:2YzKytcZ0
葉子が提案する。
「校内放送です」
校内放送ならネットにアクセスしていない生徒にも伝わるし、
この騒動にかかわっていない人の協力が得られるかもしれない。
ただ放送する人物は生徒達からの支持が出来るだけ高い人物が効果的だろう。
最初、瑞穂が自分ですると云ったのだが葉子に反対された。
「お姉さまの口から来る者を拒絶するような言葉は、お姉さまの人気にキズがつきます」
瑞穂自身、人気が下がろうと気にしなかったのだが結局、貴子か紫苑が適任だろうということになった。
瑞穂と葉子はそこで先ず貴子に話をすると
「私よりも紫苑様が適任です。私からお話いたしますわ」
貴子を交えて、紫苑の元へいき状況を説明する。
「…お願いできますでしょうか?」
「判りましたわ、勿論お引き受けいたします♪」
「紫苑さん、…なんか楽しそうですね」
「ええ、とても!!」
屈託ない紫苑の笑顔。
402L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/02/01(木) 02:54:00 ID:2YzKytcZ0
「ただ、紫苑様。お願いがあるのです」
葉子が紫苑に云う。
「校内放送ですと生徒だけでなく先生方もお聞きになります。
その、こういう騒動になっていることやネットのことは触れないで出来るだけあいまいにぼやかして欲しいのです」
「確かにそうですわね。お姉さまを中心に騒動が起こっていることは隠しておくほうが良いでしょうね」
貴子も同意する。
その通りだが、それだとあいまいにしか云えず、結局はたいした効果は期待できないかもしれない。
「まあ、それでも良いではありませんか瑞穂さん。そのときは卒業式まで私が一日中べっとりとついていてさしあげます」
「…は、はは紫苑さんてば…」
瑞穂としてはなんとしても事態を収めてもらいたいのだが、紫苑ののほほんとした口調に意思が萎える。
「まあおふたりとも、仲が良いのは結構ですが今回の発端が何なのかをお忘れなく。
それでは放送は明日のお昼休みでお願いいたします」

次の日の昼休み、紫苑は貴子とともに放送室に向かった。
瑞穂は騒動がすむまで食堂に行くこともできず、圭や美智子、隣のクラスからまりやもやって来てお弁当を広げている。
「今回のこともまりやが噛んでいるといわれても不思議ではないんだけどね」
「あら、それは買いかぶりですにゃ〜。確かに面白いけど、瑞穂ちゃんを危険に晒すようなことはしないわよ」
「ええ、確かにそうね。階段の上からフライングアタックはやりすぎね」
403L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/02/01(木) 02:56:45 ID:2YzKytcZ0
ピンポンパンポ〜ン
《風紀委員会よりお知らせです。今週の風紀強化についての案内です》

「これね」

《………以上が項目の要点となります。皆さんの御協力をお願いいたします。
続きまして生徒会からのお知らせです。今週、校内で気になった点を3-A 十条紫苑さんよりお話していただきます。
………紫苑様どうぞ……いえ、それではなく……こちらで…》

「なんかもたついてるわね」
「いま後の話し声は貴子さんだったみたいね」

《……これですか?………そうです…あ…それは触らないで…ガチャ…ブー……判りました。え〜皆様》

「やっと始まったわね」
「紫苑様が校内放送をされるのは初めてじゃなかったかしら」
瑞穂は口の中のものを急いで飲み込んでコーヒーパックに手をのばした。
まりやと美智子は手を止めて放送に耳を傾け、圭だけは変わらずもぐもぐとサンドウィッチを口に運び続けている。

《皆様にお話したいことがあります。3-A 宮小路瑞穂さんは私のですので一切手を触れぬようにお願いいたします》

ブウウウウウゥゥゥゥ!!

コーヒーをおもいっきり噴出す瑞穂。

《………ゴトゴト……これで宜しかったでしょうか……え?ダメ……スイッチですか……あら貴子さん、凄い鼻血…》
ピンポンパンポ〜ン  ブチッ!
404L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/02/01(木) 03:03:37 ID:2YzKytcZ0
「し、紫苑さん…」
「何だったんでしょうか、今の」
さすがの美智子さんも動揺を隠し切れないようだ。
「…十条紫苑…恐ろしい人ね…」
まりやの顔も引きつっている。
「…あたしはどうしたらいいのかしらね」
みるとコーヒーまみれになった圭がそこにいた。
「す、スイマセン、スイマセン!圭さん」
「あなたの胸に係わってから良いことが全然ない気がするのは、あたしの気のせいかしら」
瑞穂はただ、ひたすら謝ってハンカチで圭をぬぐった。

紫苑の玉音放送(?)の威力は絶大でこの昼休み以降、瑞穂の胸を狙うものは皆無になった。
かわりにMネットへの書き込みが物凄い量にのぼり、
この負荷を怪しんだ職員により後日、Mネットの存在がばれてしまうことになる。

405L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/02/01(木) 03:05:09 ID:2YzKytcZ0
〜えぴろーぐ〜

寮の食堂にて夕食をとっている寮生4人。
「<愛しき人の危難を救う妻>」
「川柳はもういいわよ、まりや。妻ってなに…」
「いや〜鎧袖一触とはまさにこのことね。紫苑様の所有宣言で一気に片がついちゃったわ。
貴子じゃああはいかなかったわね」
「私はあの放送自体が問題だったとおもうんだけど。その…女同士なのに」
「でもお姉さま、奏のクラスでもみんなあたりまえだと受け止めているのですよ〜」
「ま、そういうことね。あら、どうしたの、由佳里。泣きそうな顔して」
「ううっ。あたしだけ…」
「へ?」
「あたしだけ、まだ無いんですう!寮生の中であたしだけがお姉さまの胸に触ったことがないんです〜」
ふええ、と半泣きになる由佳里の頭をなでるまりや。
「ああ、泣かない泣かない。そんなこと、今触らせてもらえばいいじゃない。ね、瑞穂ちゃん?」
「え?ええ、もちろんよ。由佳里ちゃん」
「でも、紫苑お姉さまに怒られちゃいます」
「紫苑様には黙ってりゃわからないって!ほら、触らせてもらいなさい」
「どうぞ、由佳里ちゃん」
「じゃあ…」
ツイっと手を伸ばして瑞穂の胸に触る由佳里。
406L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/02/01(木) 03:09:21 ID:2YzKytcZ0
ぷにぷにぷに
「………」
ぷにぷにぷに
「………」
「あの、由佳里ちゃん?」
ぷにぷにぷに
「もしもーし!由佳里ちゃん!!」
「………」
「ありゃあ、いっちゃってるわね。この子。返ってこ〜い、由佳里」
すぱ〜ん
まりやが軽く由佳里の頭をはたくと、はっと我にかえる由佳里。
「す、すいませんでした。お姉さま!」
「で、瑞穂ちゃんの胸の揉み心地はどうだった?」
「まりや、いやらしい云い方をしないでちょうだい」
「やっぱり違います。みんなが云ってるように普通のおっぱいの感触とお姉さまのは違います。
天上界への扉というのも納得です!!」
興奮して一気にまくし立てる由佳里。
瑞穂としてはリアクションに困る。
「そ、そう。褒めてくれてありがとう…」
「良いものをもらったって感じです。あたしの方こそお姉さまにお礼を」
「…なにかしら、それ…」
「にひひ、つまりこういうことよ。
ゆかりんは、スキル『一生つかえる感触』をおぼえた!ということね〜」
「ままままりやお姉さま!いいいいやらしい云い方しないでください!」

 Fin

私の書くものはこんなのばっかで…
スンマセン
お粗末さまでした
407名無しさん@初回限定:2007/02/01(木) 04:00:00 ID:LfAihN5D0
>>406
ワロスwwwwwww
GJ!
408名無しさん@初回限定:2007/02/01(木) 05:28:56 ID:GriyFhQp0
GJ!コレを思い出した

970 :名無しさん@初回限定:2005/11/15(火) 08:51:51 ID:jTeONnTf0
その昔、こんなカキコがありましたわ…

恵泉板@2ch
1:お姉さまをオカズにオナってる香具師Part53→ (248) 2:【タチ】会長xお姉さま16【ネコ】(181) 3:学食の
メニューが少ない件について 3皿目 (871) 4:学園寮に入ってる人限定 1部屋目 (226) 5:友人が真
性レズで困ってます Vol.9 (69) 6:うはwwwwwおkkkkkwwテラワロス wwwwww(28) 7:お嬢様学園
生活マンドクセ('A`) 6 (204) 8:生理がきたらageるスレ 67日目 (936) 9:女教師K淫行疑惑 被害者二人
目 (693) 10:究極超人Mizuho (742) 11:オナテク議論スレ27 (498) 12:次期エルダー選出レース 第3
コーナー (187) 13:お姉さまに付きまとってるチビUzeeeeee4 (26) 14:彼氏( ゚д゚)ホスィ 9 (54) 15:【天
下無双】お姉さまx会長2【下剋上】 (94) 16:恵泉板の名無しをきめよう!その3 (447) 17:↑お嬢様学園
格付けスレ↓ (697) 18:71th x 72th PART12 (581)
409名無しさん@初回限定:2007/02/01(木) 09:14:36 ID:MeQjTecW0
L鍋氏GJっす!
410名無しさん@初回限定:2007/02/01(木) 22:31:39 ID:k8Xxi1B/0
>>406
GJ!です。
>美智子の背後にはどす黒く燃え盛るコロナが……。
ちょw100万度w

あとMネットというのはまりやネットの略なのかと思ってしまいました。
411名無しさん@初回限定:2007/02/02(金) 00:38:50 ID:iTaLm0pH0
L鍋さんGJ!
こういうはっちゃけ方はいいな。素直に面白かった。

オレは文が固くて、コメディを作ってもどうも面白味のないものしか書けないのでうらやましいよ
412L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/02/02(金) 01:19:02 ID:5tyV2d+g0
有難うございます。
>>410
私も最初はまりやネットにしようかと思ったんですが、
生徒会を絡ませたかったんでマニアにしました。
主に紫苑さまや瑞穂お姉さまたち、人気生徒のマニア板ということで。

>>411
私は逆にシリアス物を書きたいのですが、どうしてもパロにいきます。
どうも仕事のうっぷんのはけ口がこういう形になるのだと思います。
413名無しさん@初回限定:2007/02/02(金) 16:15:05 ID:D4S8ob14O
>>411
シュールレアリスムみたいにすればいいのでは?
414名無しさん@初回限定:2007/02/02(金) 23:30:27 ID:vCwtNX0R0

新潟県にスキーをしに来た瑞穂ちゃん御一行

「それにしても雪が少ないわねー」
ゴーグルを外しながらまりやが文句を言う
周りを見渡して貴子さんがそれに答える
「ところどころ土が顔を出していますわね…」
「紫苑お姉さま〜フキノトウがありますのですよ〜」
「まぁ、お宿でお料理してもらいましょう」
紫苑さまと奏ちゃんは食材を採っていく
「じゃ、瑞穂ちゃん車の運転よろしく〜」
「ええ〜〜〜」
文句を言ってみたものの、まりやの強引さに逆らえずに車を出す瑞穂ちゃん

415名無しさん@初回限定:2007/02/02(金) 23:31:03 ID:vCwtNX0R0
御一行様の泊まるお宿は「ペンションよしお」
かつてはボクサーだったオーナーが瑞穂ちゃんたちをお出迎え
「猫田さ〜ん、雪が全然なくてスキーできないわよ〜〜」
開口一番まりやの文句が飛び出した
「しかたないだニ、今年は暖冬で雪が降らないからスキー客も少ないだニ」
雪が降れば陸の孤島と化してしまうペンションよしおも今は雪に閉ざされていない
「どこか雪の多い場所はないんですか?」
車から荷物を降ろしながらゆかりんが尋ねる
「そうだニ〜、もう少し山の上の方に行くと雪も多くなるだニ、明日連れて行ってあげるだニ」

翌日、軽トラックにキャタピラを装備した奇怪な車に乗って瑞穂ちゃんたちは山奥まで遠征していた
「ここらは雪も多いだニ、下まで滑ったらまた車で上に連れて行ってあげるだニ」
ふと、瑞穂ちゃんの視界に奇妙なものが飛び込んできた
「あの、猫田さん、あれなんですか?」
瑞穂ちゃんがその物体を指差し、全員がその先のものを見る
「大きなジャンプ台なのですよ〜」
それは一見すると巨大なジャンプ台、ラージヒルの数倍はあるだろうか
ただしその角度たるや絶壁とほとんど変わらない

416名無しさん@初回限定:2007/02/02(金) 23:31:43 ID:vCwtNX0R0
「あれは人工雪崩発生装置だニ、雪崩の研究施設だニ」
「へえ〜さすが雪国ですね〜」
ゆかりんが感心しているが貴子さんが異変に気付いた
「ところでその研究施設の頂上に人がいるようですが…」
「あれ…あのウェアはまりやお姉さまのですよ…」
ゆかりんが雪上にへたりこんでしまった
紫苑さまも口元を美しい指で押さえ半ば絶句状態
「まりやってばなんですぐ高いところに上っちゃうの!」
「あの…まさかとは思いますが…あそこから飛ぶ気では…」
「紫苑お姉さま〜さすがにそれはないと思いますのですよ〜」
「でもまりやお姉さまこっちに向かって手を振ってますよ」
「上岡さん…信じましょう…まりやさんにも人並みの恐怖心があることを…」
しかし貴子さんの言葉も虚しいものに終わった
ゆかりんと奏ちゃんはかるく息を吐き出して失神してしまった
残りの者はただ茫然自失で飛行物体を見守るばかりだった

得意気に帰還するまりやを出迎えたのは叱責の嵐

それが新たなスキー競技が誕生した日の出来事だったという



417名無しさん@初回限定 :2007/02/02(金) 23:35:47 ID:aRh/r4Cy0
読者として読ませていただいてる身で言うのもなんなんですけれど、
意味がわからない。話し始めが唐突すぎ・・・
418名無しさん@初回限定:2007/02/02(金) 23:40:29 ID:MOo3gxs70
>414
もしや、内閣総理大臣 織田信長ネタ?
419名無しさん@初回限定:2007/02/03(土) 00:18:00 ID:5F+vdNw6O
はじめの一歩?
420名無しさん@初回限定:2007/02/03(土) 03:13:53 ID:z6ee3QN20
フォローなしで書きっぱなしにするなら投稿所に書いたほうがいいと思うよ
421名無しさん@初回限定:2007/02/04(日) 10:44:27 ID:TfhC0LuT0
>>414 確か随分前にも同じペンションネタ無かった?
なんか描写に記憶があるような無いような。うーん。

話変わって、>>356の子供達の主張ネタで、

紫苑の息子の場合
「父様、母様どちらに似ても女顔なら、母様に似たかったです。
母様似なら凛々しくて、少しは男らしい顔立ちになれたでしょうに」

まぁ誰の息子・娘だろうと、性格はまりやの影響を大なり小なり
受けそうな気がするのは私だけだろうか?
422名無しさん@初回限定:2007/02/04(日) 15:37:05 ID:y1Yb2DrS0
>>421

> 紫苑の息子の場合

「父様、母様どちらに似ても細身なら、母様に似たかったです。
母様似なら、少しは男らしい体つきに(ry

> まぁ誰の息子・娘だろうと、性格はまりやの影響を大なり小なり
> 受けそうな気がするのは私だけだろうか?

押しかけてくるからってこと?
4233-180:2007/02/04(日) 19:07:18 ID:lD3UzNEA0
調べてみたら第9話の52から81の『春スキーに行ってきました』 が前作みたい>414

>押しかけてくるからってこと?
 そりゃあ瑞穂ちゃんの子供ですし、ちょっかいかけまくりそうな気がしますけどね。
424名無しさん@初回限定:2007/02/04(日) 23:43:54 ID:AooV1bsK0
INFOMATION HIGHT

学食で昼食中のこと
「ねえ、みんんなでさ今日バーゲン行かない?」
いきなりなまりやの提案
「あら、バーゲンですか、いいですねぇ」
おっとりと紫苑さまが答える
「なんでバーゲンなの?それより何のバーゲン?」
「質問は一つずつよ、瑞穂ちゃん、
あのね、今年は暖冬でしょ、それで冬物が売れないもんだから在庫一掃セールやってるのよ」
「でも、バーゲン品なんてまりやお姉さまが気に入るような物ないと思いますよ」
ハンバーグを飲み込んでゆかりんが言う
「まあ、なんか掘り出し物があったらめっけものということで」

425名無しさん@初回限定:2007/02/04(日) 23:44:32 ID:AooV1bsK0
そして放課後

「デパートなんて久しぶりですわ」
みんなでお買い物がうれしいのかとてもにこやかな紫苑さま
対照的に瑞穂ちゃんはなんとなく沈んだ顔
「…人ごみってなんだか苦手なのに…」
「で、なんで貴子までいるの?」
「な…なんでって…社会勉強!そう!社会勉強ですわ!」
「もー素直に瑞穂お姉さまと一緒にいたいからって言えばいいのにー」
まりやが真っ赤な顔になった貴子さんのほっぺをつつく

そんなこんなでデパートに入店

426名無しさん@初回限定:2007/02/04(日) 23:45:55 ID:AooV1bsK0
瑞穂ちゃんが大きく息を吸い込んで床に向かってため息を放ち
再び顔を上げると目に飛び込んできたのは白人男性と同じく白人女性の姿
「あの…この人たちまりやのお友達?」
「あ…えーとね」
まりやが説明するより速く、白人男性がポケットから身分証を取り出し説明する
「僕はFBIのモルダー捜査官、こっちは相棒のスカリー
偶然たちよったデパートで絶滅種の「お姉さま」が見れるって言うから来たんだ…」
その言葉を聴いて、かなり怖い顔になった相棒のスカリーがモルダーの耳をひねり上げる
「ほら、満足したでしょ、さっさとDCの帰るわよ」
「おい、せっかくだから一緒に写真でも…」
「あなたたち、この男はただのHENTAIだから相手にしなくていいわよ」
彼女は相棒の耳をひねり上げてどこかへ連れていってしまった
聖應学院一同はただ呆然としているしかなかった

「瑞穂ちゃん、あんたX−FILEに登録されちゃうかもね…」
ぽつりとまりやが呟いた





427名無しさん@初回限定:2007/02/04(日) 23:48:35 ID:AooV1bsK0
「はやや〜すごい人なのですよ〜」
「これがバーゲンセールですか…」
バーゲン初体験の奏ちゃんと貴子さんは唖然棒然
「…少しどいて頂きたいのですが…素人さん相手に攻撃的小宇宙を叩きつけるわきにもいきませんし…」
紫苑さまは神妙な顔つきで思案にふけっている
「紫苑さん…お願いですからそんなこと言わないで下さい」
瑞穂ちゃんが今にも泣きそうな顔で紫苑さまの袖にすがりついてしまった
すでにまりやとゆかりんはバーゲンセールに突入している
貴子さんと奏ちゃんも後に続いているが勝手がわからずにもみくちゃにされている
「まあまあ、奏ちゃんをもみくちゃにしていいのは私だけですのに、助けてきますね」
紫苑さまが奏ちゃんを助けに向かう
瑞穂ちゃんもその後を追うがバーゲン品争奪戦参戦者たるおばちゃんたちに押し流されてしまった

一時的に方向感覚を失い、再びバーゲン会場に戻ってみるとまりやたちの姿はなかった
「…僕を探しに行ったのかな……それとも他のバーゲンに行っちゃったか…
 やれやれ…インフォーメーションで呼び出してもらお」

瑞穂ちゃんが呟くと同時、館内アナウンスが流れた
「「聖應学院よりお越しのお姉さまー、お連れ様がお待ちです、迷子案内センターまで起こし下さい」」
「って!うわー!先手をうたれた!」
瑞穂ちゃんは大慌てで迷子案内センターまで走る
到着するとそこにはまりやたちと数名の聖應学院生徒の姿
「まあ、お姉さまでも迷子になってしまうんですね」
「いやー瑞穂ちゃんの意外と抜けたそういうところが意外と好感度UPだわ」
まりやがにやにや笑いながら言い放つ

428名無しさん@初回限定:2007/02/04(日) 23:49:38 ID:AooV1bsK0
瑞穂ちゃんが大きく息を吸い込んで床に向かってため息を放ち
再び顔を上げると目に飛び込んできたのは白人男性と同じく白人女性の姿
「あの…この人たちまりやのお友達?」
「あ…えーとね」
まりやが説明するより速く、白人男性がポケットから身分証を取り出し説明する
「僕はFBIのモルダー捜査官、こっちは相棒のスカリー
偶然たちよったデパートで絶滅種の「お姉さま」が見れるって言うから来たんだ…」
その言葉を聴いて、かなり怖い顔になった相棒のスカリーがモルダーの耳をひねり上げる
「ほら、満足したでしょ、さっさとDCの帰るわよ」
「おい、せっかくだから一緒に写真でも…」
「あなたたち、この男はただのHENTAIだから相手にしなくていいわよ」
彼女は相棒の耳をひねり上げてどこかへ連れていってしまった
聖應学院一同はただ呆然としているしかなかった

「瑞穂ちゃん、あんたX−FILEに登録されちゃうかもね…」
ぽつりとまりやが呟いた

書き込み失敗、ごめんなさい
>>426は見なかったことに…
429東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/02/06(火) 16:10:08 ID:43IVA0nR0
東の扉です。

>>302-318
>>367-382の続編を投下させていただきます。よろしくお願いします。
430東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/02/06(火) 16:12:19 ID:43IVA0nR0
遊園地で一通り遊び終えた僕たちは、紫苑さんや貴子さんをはじめ、みんなへのお土産を買って、奏ちゃんと一緒に寮へ帰ってきた。

〜淑女が過去に帰る日 まりや&由佳里編〜

僕たちが寮に帰ると、まりやと由佳里ちゃんはまだ帰ってなかったので、部屋で休むことにした。
一子ちゃんへのおみやげである遊園地の写真の入ったはがきを2人で一緒に見ていると、
まりやと由佳里ちゃんが帰ってきたようなので、玄関まで出迎えた。
「たっだいまー!」
まりやが元気にそう挨拶する。
「おかえり。思ったより遅かったのね」
僕と奏ちゃんは、笑顔で2人を見る。
「いやー、途中大変だったよ。由佳里とはぐれちゃうし、探しても携帯で呼んでも、全然来ないし」
「そう。大変だったのね。まあ、とりあえず部屋でお休みなさい。もうすぐ夕食だから」
僕たちは、おそらく疲れているであろうまりやと由佳里ちゃんにしばらく休むことをすすめた。
431東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/02/06(火) 16:14:21 ID:43IVA0nR0
「ねえねえ、瑞穂ちゃんと奏ちゃんは、あの後どうだった?」
夕食の途中、ふとまりやが別行動した後の僕たちのことを聞いてきた。
「……とても楽しかったわよ。ねえ、奏ちゃん」
「はいなのですよ!」
僕は笑顔でまりやにそう言って奏ちゃんに賛同を求めると、奏ちゃんも心底嬉しそうに、元気いっぱいにそう答えた。
「お姉さまと一緒にお花畑を見れましたし、一緒にイベントの舞台にも上げれましたし、
この髪飾り、お姉さまにプレゼントしていただけたのですよ」
「よかったじゃない、奏ちゃん」
嬉しそうに話す奏ちゃんに、まりやも嬉しそうだ。
「はいなのです。それに、お姉さまが両手で自分の胸と奏の胸を同時にさわって
『私の心と奏ちゃんの心が、今、つながったわね』とおっしゃってくださって……今思い出しただけでも照れますのですよ」
「もう、奏ちゃん、恥ずかしいわ」
「へえ、瑞穂ちゃんもやるじゃない」
嬉しそうに、照れくさそうに言う奏ちゃんに僕が恥ずかしがっていると、すかさずまりやがニヤニヤしながらつっこんできた。
「最後は観覧車でお姉さまと本当に2人っきりの時間を過ごせて、とっても幸せでしたのですよ」
とろけるような笑顔で話す奏ちゃん。幸せな雰囲気が食堂を包む中、1つだけ違う空気が流れていた。
「う……う……」
「由佳里……?」
「由佳里ちゃん……?」
僕たちが由佳里ちゃんを見ると、由佳里ちゃんの身体が小刻みに震えていた。それに、夕食にもほとんど手をつけてなかった。
「どうしたの?」
「う……ううう……うわああああああん!!」
由佳里ちゃんは、突然テーブルに顔を埋めて、大声で泣き始めた。
「由佳里!」
「由佳里ちゃん……どうしたの? 由佳里ちゃんは楽しくなかったの?」
僕は突然の事態に面食らいながらも、由佳里ちゃんに優しく問いかけてみる。
「う……ひっく……た、楽しめるわけ……ないじゃないですかあ……」
由佳里ちゃんは、嗚咽交じりにそう答える。
「由佳里ちゃん……いったい何があったの?」
僕が心配して聞いてみると、由佳里ちゃんはあの後のことを、泣きながら話してくれた。
432東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/02/06(火) 16:44:22 ID:43IVA0nR0
「じゃ、奏ちゃん。行きましょうか」
「はいなのですよ!」
そう言って、お姉さまは奏ちゃんと2人になろうとします。
「ちょ、奏ちゃん、ダメえっ!!」
私はそれがイヤで、何とか止めようとしましたが……、
「由佳里、奏ちゃんのほうが先約なんだから、わがままはいけないわよ?」
背後からまりやお姉さまに首根っこを捕まれて邪魔されたので。それは出来ませんでした。
そして、お姉さまと奏ちゃんは、私の視界から完全に消え去ってしまいました。
「ああ……そ、そんな……」
私の心の中で、絶望感が次第に大きくなっていきます。
「由佳里、奏ちゃんは由佳里にとって大切な親友でしょ?」
私があきらめたと知ったまりやお姉さまが私を解放した後、そう強い口調で問いかけてきました。
「そ……そうですけど……」
「その大切な親友のささやかな望みを邪魔しようとするのか、君は?」
責めるようにまりやお姉さまが言います。なんかとてつもなくイヤな予感が……。
「い、いえ、奏ちゃんを邪魔したいってわけじゃ……」
「でも、奏ちゃんが瑞穂ちゃんと2人になることを望んでいるのはわかってたんでしょ?」
なんとかそんなつもりじゃなかったことを話そうとしますが、先にまりやお姉さまにその機会を封じられてしまいました。
私が返せずにいると、まりやお姉さまはそれを肯定と受け取ったようです。
「だったら、どう言い訳しても一緒」
「うう……」
また始まる……これからまりやお姉さまが何をしようとしているのかは、今までの経験ですでにだいたいの予想はついていました。
「そんな大切な親友の幸せを妨害しようとするような性根の曲がった娘は……」
まりやお姉さまは大げさなくらい芝居がかった口調で続けます。
「奏ちゃんと、天に代わって……おしおきよ!」
「………」
どこかで聞いたようなフレーズと、見覚えのあるポーズをとるまりやお姉さま。後ろにそういう背景と高い効果音があるかのようです。
自分の身に危険が迫っていることは理解していたのに、よくこんなところでそんな恥ずかしいこと出来るな、とか、
ちゃんとセリフが五、七、五になってる……すごいな、とかまるで他人事のように考えている私がいました。
433東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/02/06(火) 16:46:27 ID:43IVA0nR0
「ほら、来なさい。次はここよ」
まりやお姉さまが、そう言って連れてきたのは……。
「ピ、『ピサの斜塔フォール……?』」
ピサの斜塔から落ちるって意味だよね。やっぱり……。
私が見ると、イタリアの観光名所であるピサの斜塔みたいな、高さ20メートルぐらいの建物がいくつか建っていて、
その垂直に近い形で降りるところにレールが走っています。
コースターを見ると、斜塔から降りた後は、コースターが地面と垂直になったり、一回転もあったりと、見ているだけで気が遠くなりそうです。
「お、お姉さま、いくらなんでもこんなの……」
私は普通の飛行機でさえ怖いっていうのに、こんなのに乗ったら、命がいくつあっても足りないよ……。
「これも由佳里が奏ちゃんの幸せをぶち壊そうとした報い。ほら、わかったらさっさと乗る!」
まりやお姉さまは、ジェットコースターに乗った後の私の反応を見て、絶叫マシンが大嫌いなことに気づいたんでしょう。
それで、言いがかりをつけて、私をこんなこの世の悪魔が作った全ての希望を奪い去る地獄行きの乗り物に無理やり乗せようと……。
確かに奏ちゃんには悪いとは思ったけど、でも私にだってちゃんとした理由があったから止めようとしたのに……。

「ピサの斜塔フォール」には、長い列が出来ていて、並んでから乗るまでに1時間近くかかりました。
その間私は、恐怖のあまり、並んでいるだけでおかしくなりそうでした。
「ほら、次は私たちの番よ」
そしてそこには、無間地獄への入り口が私に限りなき恐怖と苦しみと絶望を与えるべく待ち構えていました。
「………」
怖すぎる……こんなの、怖すぎるよ……。
私はもう、言葉を発することさえ出来ませんでした。そんな私を、まりやお姉さまはニヤニヤしながら眺めています。
乗った直後の遅く登っていくところなんか、もうハルマゲドンでも来たようでした。
私には、こんなものを楽しむ人の気持ちがどうしても理解できません。
「いやああああ!!」
「いやっほう!!」
隣同士の席で、最初の2文字は一緒ながら、私たちはまったく逆の気持ちで乗っています。
まりやお姉さま、こんなので楽しめるなんて、よっぽど肝がすわってるか、無神経なのか……多分両方だろうな。
434名無しさん@初回限定:2007/02/06(火) 16:47:18 ID:/Mac4Wcc0
まとめてから投下しろって前に言われたのを忘れたのか?
435東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/02/06(火) 16:54:17 ID:43IVA0nR0
>434 自分ではまとめているつもりですけど……なかなかうまくいかないみたいですみません。

「もうイヤー!! 帰るー!!」
何回か三途の川の直前まで行くところをかろうじてやり過ごし、「ピサの斜塔フォール」を終えた私は、半泣き状態でそう叫びました。
「こら由佳里、脱獄なんて見苦しいわよ」
「脱獄って、ここは刑務所じゃないですよ……」
「聖央の生徒のはしくれなら、罰はきちんと受けなさい!」
言いがかりをつけて、私をいじめて楽しみたいだけのくせに……私は自分が悪者にされてることが、悔しくてたまりませんでした。
そんな私の表情を見て、まりやお姉さまはますます意地悪な笑みを浮かべました。
「もう十分受けましたよ……もう解放してください」
「ダメダメ。誰だって逃げたくてそう言うのよ。そんな風に目薬をつけて言えば見逃してもらえるなんて思ったら、大間違いよ」
「そ、そんな……あんまりです」
私はそんなこと一度もしてないのに……この涙は本当に出ているのに……。
「本当はお姉さまだってつらいのよ。私だって由佳里の言うとおりにしてあげたい。でもここで甘やかしたら由佳里のためにならない。
だから泣く泣く心を鬼にして厳しく臨んでるのよ」
まりやお姉さまは目を閉じてもっともらしく言いますが、口調に喜びがにじみ出ているのがはっきりとわかります。
「甘やかされて育った子供は、ダメな大人になっちゃうのよ」
ええ。よくわかりますよ。まりやお姉さまを見ていれば……。
436東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/02/06(火) 17:25:25 ID:43IVA0nR0
お姉さまたちと別れてから、もう100年たったみたい……。
その後2個の絶叫マシンに続けて乗らされ、私は魔神の攻撃を受けるような激しい精神破壊の魔術の前にふらふらになりながら、
吐きそうになるのをこらえて言いました。
「お、お姉さま……たまには絶叫マシン以外にも……」
「わかった。次は絶叫マシンじゃないヤツね」
意外にもまりやお姉さまは私の要求を聞いてくださいました。そしてつれてこられた場所にあったのは……。
「マ、『マーメイドの潜水艦』ですか」
聞いた話だと、側面からガラス越しに水中を見ることが出来るトンネルの中を走るレールで、海の光景がとてもきれいだとか……。
よかった。やっと一息つける……そう思って喜んで行こうとすると……。
「これこれ、どこへ行くのかな?」
後ろからまりやお姉さまに腕を掴まれて止められました。
「どこって、マーメイドの潜水艦に入るんじゃないですか?」
「違う違う。入るのはこっち」
と、まりやお姉さまが指差した、その向かいにある建物を見ると……。
「お、お化け屋敷……」
「そうよ。絶叫マシンじゃないでしょ?」
確かに絶叫マシンじゃないけど……。
「そ、そんなのあんまりです! 私が休めるところにしてくださいよ!」
「ああもううるさい! 奏ちゃんの幸せを邪魔しようとするからこうなるんだって言ったでしょ? 自業自得よ」
まりやお姉さまはそう言って私を突き飛ばすようにお化け屋敷の中に入れました。

「ううう……」
お化け屋敷に入ると、薄暗い中、まるでこの世とあの世の境目にでも来たかのようです。
私は入っただけでもう涙がこぼれてきました。
そしてしばらく進むと、突然木の扉のところからガタガタ……と何かの音がしました。
「ひっ!」
いきなり扉が開いて中からキミのこと呪い殺してやるもんねって言いたそうな感じの骸骨が……。
「いやあああああああ!!」
私は、そう叫ぶと、手をじたばたさせながら全力で遠ざかりました。
437東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/02/06(火) 17:27:22 ID:43IVA0nR0
「もういやーっ!!」
中盤まで差し掛かったあたりで、あまりのおどろおどろしい、千年の呪いをかけられそうな雰囲気に耐え切れなくなった私は、
そう叫んで何も考えずにダッシュで出口まで向かおうとします。
「これこれ、何をそんなに急ぐのかなゆかりん。お姉さまはゆっくり見たいんだから、もう少し一緒につきあいたまえ」
しかし、行こうとした矢先、まりやお姉さまに捕まってしまいました。
「うわーん!」
結局、私をいたぶることに快感を覚える、非情極まりないまりやお姉さまの非常にゆっくりのペースで、
発狂してしまいそうなほど怖い思いをしながら回らされてしまいました。

「はあ……はあ……はあ……し、死ぬかと思った……」
やっと呪われた閉鎖空間を出た私は、恐怖のあまり、まともに息をすることさえ出来ませんでした。
もう1000年もたったみたい……。
「由佳里、いくらなんでも大げさすぎ。っていうか、いつも幽霊のいるとこで生活してるくせに、なっさけないわねえ」
幽霊のいるとこって、確かに一子さんは幽霊であることには違いないですけど……。
「い、一子さんは、言動とか、普通の女の子と変わんないじゃないですか……」
「ほら、次はあれ」
まりやお姉さまは、私の反論なんかまったく聞いていないように、私を次の乗り物まで連れて行こうとします。
438東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/02/06(火) 17:30:54 ID:43IVA0nR0
「お、お姉さま……トイレに行かせてください……」
お化け屋敷と絶叫マシンで、私はおもらしするのを必死にこらえていたので、もう限界でした。
「しょうがないわね。早く戻って来なさいよ」
私ははやぶさのように大急ぎでトイレに駆け込みました。
「ふう……」
やっと与えられた、つかの間の安心感。出ればまた終わりなき阿鼻叫喚の世界が待ってるんだろうけど、少し休んでいたい……。
私は便座に座って、ショーツをおろそうとしました。
「ゆーかりん。くれぐれも逃げようなんて甘い考えは起こさないようにね」
私はそのまりやお姉さまの声にびっくりして全身の動きが止まってしまいました。
「あ……あああ……」
私はそのためにおもらししてしまったようです。汚れてしまった。このショーツ、お気に入りだったのに……。
それにショーツに染み込んだおしっこの感触が気持ち悪い……。
「と、とりあえず、応急処置しないと……」
私は泣きたい気持ちをこらえてショーツを下ろしてトイレットペーパーで拭いた後、新しいそれをショーツの下に敷きました。
トイレットペーパーがもそもそしていやな感じです。まあ、それでもさっきよりはいくらかましですけど……。
「おっ、逃げずに出てきたわね。感心感心」
まりやお姉さまはそう言うと、休む間もなく次の乗り物に私を連れて行きました。
439東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/02/06(火) 18:00:01 ID:43IVA0nR0
「お、お姉さま……私が悪かったです……十分反省しましたから、もう許してください」
まりやお姉さまの「罰」という名のいじめが始まってから、もう1万年たったみたい……。
あれから、何個か絶叫マシンを回され、私の心は疲れきっていました。
もう自分が悪者でもいい……早くこのまりやお姉さまに押し付けられた無間地獄から解放されたい……私の願いは、それだけでした。
「うむ。まあ確かに反省の色も見えるし、そろそろ許してやるとしよう」
それを聞いて、私はホッとしました。が……。
「最後にあれに乗ったら、おしおきは終わり。あとは自由にしていいわよ」
そう言ってまりやお姉さまが指差したのは……。
「あ、『悪霊峡谷特急!?』」
名前だけで、内容は大体想像できます。つまり、お化け屋敷と絶叫マシンの……。
そして私は、途中でお化け屋敷と絶叫マシンがダブルで放つ史上最悪にありえない恐怖の嵐に耐え切れず、意識を、いえ、魂を放出してしまいました。
440東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/02/06(火) 18:01:40 ID:43IVA0nR0
「う……ん……」
私が気がついたときには、ベッドの上にいました。
「気がついた?」
従業員らしい女の人が、私にそう話しかけてきました。
聞くと、ここは休憩室で、「悪霊峡谷特急」の終点で1人気絶していた私を、従業員の方がここまで運んでくださったそうです。
「どうも……ご迷惑をおかけしました」
「こっちは仕事だから……それより、早く戻って楽しんだほうがいいよ」
私がそう謝ると、従業員の人は笑顔でそう言って部屋を出て行きました。
プルルルル……。
と、私の携帯が鳴っていました。見ると、まりやお姉さまからメールが届いています。
「今どこにいるの? お仕置きが終わったってのにいなくなって」
メールには、そう書かれてありました。
「すみません。今すぐ行きます」
私は、すぐにそう返信します。そして部屋を出て、その建物から出ようとすると……。
「おい、ここだぜ。あの女が入ってったの」
「あの悪霊特急でもらした姉ちゃんが?」
扉の向こう側から、小学生ぐらいの男の子たちのそんな会話が聞こえてきました。
おもらしした姉ちゃんって、ひょっとして、私のこと?
どうしよう。このままじゃ笑いものにされちゃうし、出て行くに出て行けないよ……。

「なかなか出てこないな」
「つまんねえよ。それより、もっと遊びに行こうぜ」
しばらく柱の影に隠れて待っていると、複数の足音が遠ざかっていきました。よかった。これでやっと出て行ける。
私は、まりやお姉さまとの待ち合わせ場所に行くことにしました。
441東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/02/06(火) 18:06:58 ID:43IVA0nR0
目的地の付近まで来ると、再び携帯が鳴ります。
「何やってんのよ! すぐ来るって言ってたくせに、どこほっつき歩いてんの!」
「すみません、ちょっとハプニングがあって、もうすぐ着きます」
まりやお姉さまと、そうメールのやり取りをします。すると……。
「あ、あの時もらした女だ!」
「………!」
私がその声のした方を見ると、複数のいかにも悪ガキって感じの男の子たちが私を意地悪そうに見ています。
「おまえ、乗り物汚していいのかよ?」
「汚しに来た妖怪じゃねえの?」
「やーい、妖怪おもらし女! 寄るとばっちいのが感染るぞ!」
「………!」
私は泣きたい気持ちを必死でこらえて、その場を逃げ出しました。なんで、なんで私がこんな目に……。

しばらく走って、落ち着いて辺りを見ると……。
「こ、ここどこ?」
全然見たことのない場所。どうやら、私は迷子になってしまったようです。そして、何度も迷いながら、やっと待ち合わせ場所に着くと……。
「遅すぎるわよ! 今までいったい何やってたのよ!」
予想通り、まりやお姉さまは怒りに頬を膨らませていました。
「す……すみません……色々巻き込まれてしまいまして……」
「さ、帰るわよ」
「え……?」
まりやお姉さま、次は私の行きたいところに連れてってくれるんじゃ……。
「え? じゃないわよ。今何時だと思ってんの?」
まりやお姉さまに言われて時計を見ると、午後6時……確かにもう帰らなきゃいけない時間です。
「そ……そんな……」
やっと楽しめると思って今まで筆舌に尽くしがたい恐怖と苦しみの中、泣きたいのを身を削る思いで我慢してたのに……こんなのってないよ……。
「まりやお姉さま、せめて1個だけでも……」
「却下。だいたい由佳里が勝手にはぐれてなかなか来ないから悪いんでしょ? 何度もすぐ行くって言っといて」
私を何度もやりたい放題絶望のどん底に叩き落した悪魔の使者は、責めるようにそう言います。私は身も心も完全に崩れ去りました。
お義姉さん……私、何か悪いことしましたか?
帰路に着く間、私は泣き叫びたい衝動を必死でかみ殺していました。
442名無しさん@初回限定:2007/02/06(火) 18:56:11 ID:73fgX4dU0
支援なのですよ〜
443東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/02/06(火) 19:24:06 ID:43IVA0nR0
「………!!」
僕たちは、由佳里ちゃんの話に、強い衝撃を受けていた。
「まりやお姉さまと2人になったら、絶対こうなるってわかってたから、あの時、2人に離れて行ってほしくなかったのに!」
「………!」
僕はハッとした。そうだ。まりやの性格を考えれば、僕があの時奏ちゃんと2人になるにしても、
まりやに由佳里ちゃんをいじめないよう釘を刺すことぐらいはできたのに……しなきゃいけなかったはずなのに……。
「みんな遊園地で幸せいっぱいに過ごしたってのに、なんで私だけ……うわああああん!!」
「ふええ……由佳里ちゃん、ごめんなさいなのですよ……奏、お姉さまと2人になれるって浮かれて、そこまで考えていなかったのですよ」
奏ちゃんは、半泣きで由佳里ちゃんに謝っている。
「私もうかつだったわ。あの時由佳里ちゃんは甘えてるだけだろうって、聞きもしないで勝手に判断してたもの。
こんなんじゃ、エルダー失格よね」
僕も由佳里ちゃんに対し、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。あの時僕が判断ミスしなければ、さすがにここまで悲惨なことには……。

「うっ……ぐすん……ふぇっく……」
「由佳里ちゃん、どうか元気を出してくださいなのですよ」
「そうよ由佳里。泣いてたって何の得にもならないんだから、もっと前向きになりなよ」
みんなで一生懸命なぐさめても、由佳里ちゃんは泣きやまなかった……ってまりや、全ての元凶は自分だってわかってる?
「困ったわね……」
とはいえ、なんとかしてあげないと、このままじゃ由佳里ちゃんがあまりにもかわいそうだ。
「そうだ! ねえ由佳里ちゃん。今度の日曜は、私と2人でどこかお出かけしない?」
「………!」
その言葉に、やっと由佳里ちゃんが反応してくれた。
「え? お姉さまと、2人っきりで……ですか?」
「そうよ。迷惑かしら?」
「いいえ! 全然迷惑どころか、大歓迎ですよ!」
由佳里ちゃんは立ち上がり、全身を使って表現したけど、言い終わった後で、思いついたようにジェスチャーを止めた。
444東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/02/06(火) 19:26:25 ID:43IVA0nR0
「あ、でも……」
「でも?」
「奏ちゃんにしてあげたっていう『あなたの心と私の心が今つながったわね』っていうの、私にもやってくださいね!」
「え? そんな……恥ずかしいわ」
あの時は勢いでやってしまったけど、今思い返すとさすがにね……。
「そう……ですか」
つまらなさそうに由佳里ちゃんはそう言って座り、独り言をつぶやき始めた。
「みんな幸せいっぱいの中で、私だけこんな惨めな思いさせられてるんだから、それくらいのわがまま聞いてくれたって……」
うっ……そこをつかれると痛い。
「もう……わかったわ」
僕はため息をついて由佳里ちゃんにそう返事した。
「え? でも、よろしいんですか?」
それを聞いて由佳里ちゃんは、嬉しそうに、でもすぐ戸惑ったような表情になる。
「そんなこと言われちゃ、断るに断れないじゃない、甘えん坊さん?」
僕が優しく言うと、由佳里ちゃんはびっくりしたように言う。
「……ひょっとして私、声に出して言ってました?」
「言ってたわよ。しーっかりとね」
まりやのセリフを聞いて、由佳里ちゃんの顔が真っ赤になった。
「ともかく、次の日曜日まで待ってて。詳しいことは、また話し合って決めましょ」
「はい! えへへ……じゃ、お姉さま、失礼しますね!」
「奏も失礼いたしますのですよ」
2人の部屋に戻っていく姿を見ながら、僕は由佳里ちゃんが元気になってくれて本当によかった、と思っていた。

To be continued……
445東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/02/06(火) 19:32:21 ID:43IVA0nR0
東の扉です。

このまりや&由佳里編で終わると思ってたのに……また続いてしまうとは……。
SSを書くことの難しさを思い知らされました。

なんか誰にでも予想できそうな内容ですので、由佳里ちゃんの表現を大げさにしてみました。
少しはましになっているといいんですけど……。

もしよろしければ、次の完結編までお付き合いください。
それでは、今回はこれで。
446451 ◆GtN0Plfghk :2007/02/06(火) 20:39:18 ID:FhaBwTVY0
『 学院であった怖い話 Part2 その1 』

「瑞穂ちゃん、ちょっといい?」
夜更け過ぎ、そろそろ休もうかという時間です。
「まりや?どうしたの」
「こんな時間にごめんね。ちょっと相談したいことがあってさ…」
椅子に腰掛けて、まりやが話し始めます。

最近、陸上部の後輩が妙なことを言ってるんだ…あ、由佳里じゃないよ。
練習が終わって部室で着替えていたら、変な音が聞こえたんだって。
重い物を引きずるような、ズズー、ズズーって。
最初は、誰かがグランド整備でもしてるのかな、って思ったみたい。
だけど、陸上部が練習終わった後も、外で活動している部は無いはず。
おかしいと思って校庭やジョギングコースを調べてみても、誰もいない。
万が一変質者だったら…ってことで顧問の先生にも相談したらしいんだ。
でも、何も見つからないし、警備上も問題無かったんだってさ。
これからも見回りを強化するとは言ってたらしいけどね。

その後も、居残り練習していた娘が何回か音を聞いたらしいよ…
石でも引きずっているように、ズズー、ズズーって。
で、ある娘は「学院に伝わる噂の一つじゃないか」なんて言い出しちゃって。
その噂っていうのがさぁ、『正門の横の創立者の像が、夜になると歩き出す』なんだって。
あたしは、今どきそんな迷信みたいな話はあり得ないよ、って言っておいたんだ。
ただ、変に噂が広まって、パニックにならなければ良いんだけどね…。

「どう思う?瑞穂ちゃん」
「どう、って言われても…」
「むっきー!あたしが後輩の事でこんなに気を揉んでるってのに!!」
「わわっ!まりや落ち着いてよ!!」
「後輩たちが困っているんだから、瑞穂ちゃんがやるべき事は一つでしょ?!」

―続く―
447451 ◆GtN0Plfghk :2007/02/06(火) 20:41:16 ID:FhaBwTVY0
『 学院であった怖い話 Part2 その2 』

「つまり…僕に事実を確かめろ、と?」
「んふふ〜。それでこそ瑞穂ちゃん!なんせ護身術も完璧だし、何かの時も任せてあん♪心」
「いや…あん♪は関係無いと思うんだけど…」
「今日はもう遅いから、明日の夜どうかな?あたしも付き合うから」
「わかったよ…とりあえず調べてみるから」
「んじゃ、よろしくね〜」
「はぁ…何でこうなっちゃうんだろ」
またまた厄介事を押し付けられ、重いため息の瑞穂ちゃんです。

翌朝―正門でふと立ち止まる瑞穂ちゃん。
手入れの行き届いた植え込みの中に、『学院創立者 鏑木伯之像』が立っています。
「考えてみたら、僕のご先祖様だよ。でもこの像が動くなんて…まさか、ね」
複雑な表情でご先祖様の像を見上げます。
(どうか、ご先祖様に関わりがありませんように…)
軽く目礼を送り、瑞穂ちゃんは教室に向かいます。

「聞き込みしたけど、誰もそんな噂は知らないって」
「ん〜そっか。あたしの方も新しい情報は無かったよ」
昼休み、まりやと情報交換です。
「やっぱり自分で確かめるしかないってことだねー。頼むよ、瑞穂ちゃん」
「結局…そうなるわけね」

その日の夜半過ぎ――「んじゃ、行ってみようか」
月明かりに照らされて、瑞穂ちゃんとまりやの姿が浮かび上がります。
「まりや…音がするのは校庭からなの?」
「うん…校庭から校舎に向かって進んでるみたいだって言ってたよ」
「じゃあ、その通りに調べようか」
校門を過ぎて、校庭の半ばまで進んだその時です!!

―続く―
448451 ◆GtN0Plfghk :2007/02/06(火) 20:43:14 ID:FhaBwTVY0
『 学院であった怖い話 Part2 その3 』

ズズ〜ッ…ズズ〜ッ…重々しい音、校庭を横切る黒い影!!
「ででで出たー?!」
「ちょっ、ちょっとお〜!マジ?!」
「むっ?!誰かおるのかっ!」
少し慌てたような男性の声が響きます。
「あ、あなたは一体どなたですか?こんな時間に何をなさっているのですか?!」
不審者?の前で身構えて、瑞穂ちゃんが問いただすと…
「見つかってしまっては仕方ない。すまぬ…悪さをするつもりは無かったが…」
黒い影は徐々に初老の男性に姿を変え、逃げる様子も攻撃してくる気配もありません。
「あれ…?瑞穂ちゃん、この人、どこかで見たことあるような…」
「まりや…この人、正門の横に立ってる…」
「いかにも。この学院の創立者、鏑木じゃよ」

(…ってことは、瑞穂ちゃんのご先祖様?)
(そういうことになるね…認めたくないけど)
「驚かしてすまんのう。ついでと言っては何だが、少々話し相手になってはくれんか?」
「わ、わたしたちで良ければお相手いたしますが」
「ありがたい。この学院の生徒なら、わしがこの学院を創立したいわれは聞いておるな?」
「はい…近代化と共に女性にも教養の場が必要、という理想に基づいてと伺っています」
「さよう!腐…婦女子の勉学の場をという理想に萌え…あ、いや燃えてわしは一念勃…発起したっ!」
「「………」」
「そして、理想の楽園…もとい学園の創立者として称えられ、わしはこの地に顕彰された」
「は、はぁ…」
「じゃが…わしとても人の子、学園の華やかな空気に触れていると…若かりし頃を思い出してのう…」
「それで…校内を歩き回っていたのですか?」
「騒ぎを起こすのは本意では無いからな。昼間の残り香を求めて、課業の終わった校舎を徘徊しとった」
(瑞穂ちゃん…ずいぶんファンキーなご先祖様だね…)
(…い、言わないで)

―続く―
449451 ◆GtN0Plfghk :2007/02/06(火) 20:44:59 ID:FhaBwTVY0
『 学院であった怖い話 Part2 その4 』

「しかし、時代が変わってもそなた達のような聡明な生徒を擁しているとは…喜ばしいことじゃ」
「いや〜はっはっは!お上手ですわ〜鏑木様!」
おだてられて舞い上がりまくりのまりや。
「で、だ。そなた達を見込んで、一つだけ頼みがあるのじゃが…」
「もっちろん!あたしらに出来る事なら遠慮無く仰って下さい!!」
「では…ほんの少しでいいのじゃが…その…腰布の裾をじゃな、ちらっと」
「え…えええ〜〜っ?!」ご先祖様の爆弾発言に驚く瑞穂ちゃん。
「できればそちらの…背の高い方にお願いしたいのじゃが」(ぽっ)
またまたとんでもないことを言い出します。
「そそそんなはしたない真似はわたしには出来ません!」
「そこを曲げて何とか!さればわしも二度と徘徊などせんと誓う!この通りっ!!」
瑞穂ちゃんの前で土下座する鏑木伯。
「瑞穂ちゃん…聞いてあげようよ。命まで取られるわけでも無し、問題解決で一石二鳥だよ?」
「他人事だと思って…わ、わかりました。お手をお上げ下さい…とほほ〜」
「なんとっ!頼みを聞いてくださるかっ!」

「こ…これで…よろしいでしょうか…?」
羞恥に震えながら、瑞穂ちゃんは半分涙目で自分のスカートを少しずつたくし上げます。
「ぬおおお〜〜〜っ!これぞ究極のおかず!至高の逸品!!まーべらすぅ〜〜〜っ!!」
ガッツポーズ?のまま、鏑木伯の姿は少しずつ闇に同化していきます。
「あ…消えちゃった。なんかお騒がせだったけど、これで万事解決だね…って、瑞穂ちゃん?」
「…ご先祖様にまでおかず呼ばわりって…僕はどうすれば…ううっ」
「男のプライド丸つぶれか…まぁ良いことしたんだからさ。ほら、帰ろうよ」

翌朝――正門前です。
「にひひ〜瑞穂ちゃんのご先祖様…また動かないかなぁ?」
「まりや…思い出させないでよぉ…もう二度と動かなくて良いよ」
微妙に色つやが良くなった『鏑木伯之像』がそこにありました…。

―完―
450451 ◆GtN0Plfghk :2007/02/06(火) 20:48:06 ID:FhaBwTVY0
書いているうちにご先祖様がただのエロじじいに…合掌
怖い話はとりあえずこれで打ち止めです。
451名無しさん@初回限定:2007/02/06(火) 22:28:13 ID:UPZEJQzi0
最低だ、最低な爺をありがとう、知らなかった、銅像の艶出しにはいいおかずが必要なんだw
理想と現実はこんなもん……かもしれんが、やっぱりいやじゃあああああああ
でも糞爺、漢としてある意味格好いいぜ


あ、>>450 もちろん、GJだ!
452名無しさん@初回限定:2007/02/06(火) 23:11:33 ID:pRP/jf9r0
>>445
なんかあまりにも由佳里をいじめすぎるので、正直気分が優れません。
453名無しさん@初回限定:2007/02/06(火) 23:28:39 ID:SE0XHq1E0
452にはげどー
454名無しさん@初回限定:2007/02/07(水) 01:24:51 ID:N7grgCSXO
読んだ事無いから452の言う事がわからないな
……読む気はしないけど。
455東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/02/07(水) 01:28:57 ID:fWknIDoT0
>>452

たしかにちょっとやりすぎたかな、とは思います。が、
由佳里ちゃんのフォローはちゃんと完結編でするつもりです。
456名無しさん@初回限定:2007/02/07(水) 02:34:31 ID:K4Vxk9Tq0
俺もスルーしてるから>>452の気持ちが分からない
457おとボクまとめ中の人 ◆OTBKTbDm8M :2007/02/07(水) 11:57:48 ID:yffwbCvH0
東の扉氏、451氏、GJです!

>>東の扉氏
15レスのSSを投稿するのに、3時間以上かかっているから >>434 のような割り込みがはいってしまいます。
自分のPCのエディタですべて書き上げた上で、
それを「32行、2048バイト以内」の制限に合うように分割して、まとめて一気に投稿する、
というワザを覚えてください。
Windowsユーザーなら、たとえばMKEditorのように、
MDI(一ウインドウ内に複数のタブを作ってそれぞれのファイルを編集できる)で、
かつ編集中のファイルのサイズが表示されるエディタが便利です。
あと、この板では、板全体で最近10の書き込みのうち3個以上が同じ人からだと書き込み制限が働きますが、
2分ぐらいの間隔で落ち着いて投稿すれば、ほとんど引っかからないと思います
(はじめとおわりに1レスを、というのはそれを前提としたアドバイスです)。

せっかくの由佳里ちゃんへの愛が、つまらないことで批判の対象にならないように気遣いすることも、
SS作家として必要なことだと思いますよ。
458名無しさん@初回限定:2007/02/07(水) 17:34:27 ID:MAyeC1i80
>>424-428
にも突っ込んでやれ
459L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/02/07(水) 19:30:56 ID:3XZczml00
お姉さまのモテ話を書こうとしたらまた変なのが出来たので投下します。
460L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/02/07(水) 19:31:30 ID:3XZczml00
『最凶の応援』

寮での朝食での場面
「お姉さま、明日のコンクールは来て下さるのですか?」
「もちろんよ、奏ちゃん」
「あたしも応援いくね」
「有難うございますなのですよ〜。お姉さま、由佳里ちゃん」
横に座っているまりやにも声をかけた。
「まりやは行かないの?」
「う〜ん。残念だけどムリね。あたしは明日はバスケ部の応援に行こうと思うの」
「バスケ部の?」
「うん。明日はウチのバスケ部、聖M学園と練習試合なのよ」
「M学園ってあの…お嬢様学校の?」
「そう。ウチもお嬢様学校だけどね。ウチは財界人の息女が多いけど、向こうは政界人の息女が多いのよね。
だからって訳でもないけどお互いライバル意識が強くて。明日の試合はM学園の体育館でするのよ」
「へえ。その試合に応援にいくの?」
「うん。キャプテンがあたしが可愛がってる2年生なの。ちなみに対戦成績は3勝3敗。きっと向こうの応援は凄いわよね〜」
「うちからの応援はないの?」
「明日は演劇コンクールにみんな行っちゃうわよ。演劇部にはスターが多いから…ね、奏ちゃん」
「いえ、あの、そんななのですよ〜」
奏が顔を赤らめてもじもじする。
「だからせめて、あたしが応援にいってあげようと思って」
461L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/02/07(水) 19:32:38 ID:3XZczml00
次の日、M学園の体育館。
たかが練習試合ではあるが、M学園側の応援の生徒が大勢ひしめき合っている。

(○○先輩がんばってー)
(△△さんファイトー)
黄色い声援が既にひしめいている。

その体育館の一隅で恵泉バスケ部キャプテンが部員に檄を飛ばしていた。
「みんな、相手の応援に飲まれないようにしっかりね。敵地なんだから相手の応援があるのは当たり前。
うちは運悪く、応援が誰もいないけど…」
「あたしがいるでしょう」
壁際でみているまりやが声をかけた。
「すすいません。まりやお姉さま」
そのとき、体育館の反対側にいたM学園バスケ部のキャプテンが挨拶にやってきた。
「ごきげんよう。恵泉バスケット部の皆様。本日は宜しくお願いいたしますわ」
「ごきげんよう。こちらこそ宜しくお願いします」
キャプテン同士互いに会釈を交わすが、そこはかとなくライバル心がにじみ出る。
「当校の応援の声が大きくて申し訳ありません。どうか御容赦ください」
「いいえ、全く気にしていませんから。お気遣い有難うございます」
「我が校の生徒は愛校心が過剰なものですから。そういえば、恵泉の方の応援はおいでになっていないのですか?」
わざとらしい!!恵泉キャプテンが心中、憤慨する。
しかし、まりやはこの光景をにやにやしながらみていた。
462L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/02/07(水) 19:37:15 ID:3XZczml00
「たかが練習試合に応援なんて必要ありませんし。お断りして参りましたの」
「さようですか。そうですわよね。応援と実力は関係なんてございませんよね。
負けたのは応援がなかったからだなんて……ある筈がございませんものね」
ほほほ…と高笑いするM学園キャプテンの顔が急に固まった。
「皆さん、ごきげんよう」
体育館の扉をあけて紫苑があらわれた。
「し、紫苑お姉さま!?」
それまで黙ってキャプテン同士のやり取りを見ていた部員たちが慌てだした。
「なな何故、こちらに!?」
「あら、私、皆さんの応援にきましたの。まりやさんから本日の試合のことをお聞きしまして」
バスケ部部員たちがわっと紫苑のまわりに駆け寄った。
まりやが、にひひと笑った。

相手の応援生徒も紫苑に気がつき始めた。
それまで大声で黄色い声援を飛ばしていた応援団が急にヒソヒソ声でしゃべりだした。

(あの方はいったい…?)
(もしかしてあの方が、かの学園のエルダーシスターという人では?)
(エルダーシスター?)
(おキレイなかたね。優雅で威厳があって…)
463L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/02/07(水) 19:40:41 ID:3XZczml00
「え、えっと、どうやら応援の方が少数ながらいらっしゃったようですわね。
ところで…あの…御紹介いただいて宜しいでしょうか」
M学園キャプテンがなんとかプライドを建て直し、恵泉キャプテンに声をかける。
「ええ、こちらは我が校の三年生で…」
「十条紫苑と申します」
紫苑が軽く会釈した。
「あ、こここちらこそ宜しくお願いいたします。どうぞごゆっくり応援していってください」
M学園キャプテンはちょっと嫉妬心が芽生えるのを感じたが、
しかしたったひとりだ、うちの応援は負けてないと自分を励ました。
「十条さま、あの、失礼ですが十条さまが、かのエルダーシスターという方なのですか?」
「いいえ、私は…」
瑞穂が扉をあけて現れた。
「あっ、瑞穂さ〜ん。こっちこっち」
楽しげなまりやの声にそれまできゃっきゃと騒いでいた部員たちがピタリと固まる。
体育館中のざわめきが一気に止んだ。
しーんと静まり返る中、瑞穂が優雅にやってくる。
長身で、背筋のピンと張った美しい立ち居振る舞いに体育館中の目が釘付けになっている。
「遅れてごめんなさい、まりやさん。バスケ部キャプテンの方は?」
まりやに紹介されて、瑞穂はバスケ部キャプテンに挨拶する。
「ごきげんよう。応援に参りました。頑張ってくださいね」
「あ、あああ有難うございますぅぅぅ…」
口調が完全にうわの空になっている。
464L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/02/07(水) 19:43:20 ID:3XZczml00
続いて瑞穂はくるりとみんなの方をむくと、優しく微笑みながら、
「みなさん、全力で頑張ってくださいね。微力ながら応援させていただきますよ」
と声をかけた。
「はははは、はい」
「ああああ、ありがとうござ…」
「………」
全員、感激のあまり全力で首を縦に振るばかり。
「あの方が当学院のエルダーシスター宮小路瑞穂さんですわ」
紫苑がM学園キャプテンに瑞穂を紹介した。
「………」
しかし、M学園キャプテンは瑞穂をみて惚けたように固まってしまっている。

相手の応援団も、相手のバスケット部員も体育館中の全員が、瑞穂たちの会話を固唾を飲んで聞き耳を立てていた。

(あの方が…)
(あの人がエルダー…)
(噂どおりですわ)
(写真!写真を)
(携帯ではダメです、カメラを…)
(光学部なら…)

一気に会場が爆発した。
凄い勢いで始まる会話。応援のことは全員の頭から吹き飛んでいる。
465L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/02/07(水) 19:46:28 ID:3XZczml00
「にひひ、始まったわね」
面白そうに笑っているまりや。
昨日、瑞穂はまりやから話をきくとその場で奏に謝って、バスケ部の応援に行くことに決めた。
そのことを紫苑に説明すると紫苑もまた応援に行きたいと云い出したのだった。
「椅子を、お姉さま方に椅子を!」
壁際に3つ椅子が並べられる。
「お姉さま、お茶をどうぞ」
水筒のお茶が出される。
M学園キャプテンはふらふらと自分のチームへと戻っていった。
バスケ部キャプテンはみんなを集めて改めて檄を飛ばしている。
「エルダーおふたりの応援を賜るなんて我が部創設以来の快挙です。
これほどの応援、かつて経験したことがありません。あなたたちも悔いはないでしょう?」
云ってる内容は危ないが、本人に自覚はない。
聞いている部員たちも感無量な表情だ。涙を流している娘もいる。
「では死力を尽くしましょう。これでもし負けるようなら…。いいわね」
『はいっ!!』
悲壮な覚悟の檄を聞いて慌てる瑞穂だが、まりやは全く慌てていない。
「大丈夫だってば。決着はもうついてるわよ」
466L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/02/07(水) 19:49:12 ID:3XZczml00
まりやの云うとおりだった。
相手の応援生徒達が先ず、自校を応援しない。
それどころか、瑞穂たちが声援するのに合わせて恵泉を応援してしまっている。
なぜ自分は恵泉女学院に入学しなかったのかと悔やむ生徒も多数いた。
何よりもM学園バスケ部員たちの闘志が削がれてしまっている。
なかでも間近で瑞穂と紫苑をみたキャプテンの虚脱ぶりは顕著だ。
なにかぶつぶつ云っている。
「負けた…負け…うらやまし…」
云っている内容は自校の生徒にかなり失礼だが、
実際、大部分の生徒がもはや応援していないのだから仕方ないだろう。

結局、この試合は大差で恵泉が勝ち、バスケ部員達はふたりを連れてきてくれたまりやに心から感謝した。

この試合以降、エルダーの応援は勝負に大きく影響すると認識され、近隣の学校から
恵泉エルダーは最凶兵器である、と呼ばれたとか・・・。

  Fin


超お約束な展開で・・・
どうしても変な方向に行ってしまう・・・orz

お粗末さまでした
467名無しさん@初回限定 :2007/02/07(水) 20:25:22 ID:VW7vle310
最終兵器・・・・わろた
468名無しさん@初回限定 :2007/02/07(水) 20:31:09 ID:VW7vle310
最終兵器・・・・わろた
469名無しさん@初回限定:2007/02/07(水) 21:06:07 ID:q6EnJjsN0
>>459-466
GJ!です。これが、これがおとボクというものです。
470名無しさん@初回限定:2007/02/07(水) 22:28:20 ID:UiUpdkUB0
L鍋氏GJです
こういうジャンル好きじゃー
471シンデレラ外伝:ゆかでれら:2007/02/07(水) 23:21:02 ID:C67bKME40
電波受信したので投下を試みてみる。
---------

 むかしむかしのことです。
 ゆかでれらはいじわるなお姉さまにいつもいじめられていました。
「ほらほら〜、ここがええのんか〜、うりうりっ!」
「やぁ、やめてくださいぃぃ〜〜!」
 もとい、いじられていました。

「ううっ、もっとまともなお姉さまがいてくれたら……」
 でも、紫苑お姉さまも貴子生徒会長もメイドの楓さんもみんな奏ちゃんとばかり仲良くしています。
「はぁ……」
 そんなゆかでれらは宮小路城のダンスパーティーに思いを馳せるのでした。
「瑞穂お姉さまみたいな素敵なお姉さまが出来て、わたしのことを…………あん♪」
 こうして、ゆかでれらは眠れぬ夜を過ごすのでした。
472シンデレラ外伝:ゆかでれら:2007/02/07(水) 23:22:47 ID:C67bKME40
 そしてダンスパーティーの夜。
「魔法使いさんお願いです。私をダンスパーティーに連れて行ってください!」
「あー、残念だけど由佳里、圭なら奏ちゃんのところに行ってるわよ」
「な、なんですってー!?」
 ゆかでれらにとって更に気の毒なことに、魔法使いの圭さんは奏ちゃんの所属する演劇部の部長さんでした。

「そんなぁ……頼みの綱の魔法使いさんまで奏ちゃんの味方なんですかっ!
 ……っていうかなんでまりやお姉さま出かけてないんですかっ!?」
「いやだって、あんたはあたしにふりふりのドレス着て踊れっていうのかい?」
「う……」
 想像したら怖いことになった、のですがそれを言ってしまうともっと怖いことになるのでゆかでれらは黙っていることにしました。

「……まあなんだ、けっきょくあたしたちは似たもの姉妹だ、ってことね」
「……うううぅ……」
「でも大丈夫、由佳里にはあたしがついてるから」
「お姉さま……」

「っていうわけで! ふふふっ、今夜は寝かさないわよゆかりんっ!」
「な、なんですかそれ、っていうかゆかりんじゃありません、っていうかなんですかその怪しい手の動きは!!」
「ふっふっふ〜。泣いても叫んでも助けは来ないにゃ〜?」
「だ、だーれーかー!?」

 こうしてゆかでれらは、いつまでもえろえろにくらしましたとさ。
 めでだしめでたし。

「め、めでたくなんかないです〜〜〜!」

---------------
473名無しさん@初回限定:2007/02/07(水) 23:24:25 ID:C67bKME40
以上です。
…まりやもゆかりんも嫌いなわけではない、
むしろ好きなのに、どうしてこうなってしまうのでしょうか…。
474名無しさん@初回限定:2007/02/08(木) 00:41:41 ID:g1pLXbZw0
>>473
だがそれが(・∀・)イイ!!
475名無しさん@初回限定:2007/02/08(木) 01:14:29 ID:Q/qnLVRJ0
>>459
ジャンル名、瑞穂モテ、始まったな
受けや攻め等生易しい、瑞穂こそ正義!なあんた、大好きだぜ。

>>473 報われないバーグって、輝いてるな、素晴らしい
476名無しさん@初回限定:2007/02/08(木) 18:54:23 ID:O28n9GLZ0
>>459
L鍋さんGJ! 
原作の雰囲気を出しつつ、自身の味も出しててすごいですね
原作ゲームやってる時みたいにニヤニヤしてしまった

>>473さんGJ!
つくづく、まりやとゆかりんはいいコンビですな
二人だけでも話が転がる いや、なんともいい物です
477名無しさん@初回限定:2007/02/08(木) 19:45:26 ID:OWg/WrqX0
酔っ払ってキス魔になった瑞穂ちゃんSS誰か書いてくれ〜
478名無しさん@初回限定:2007/02/08(木) 22:11:43 ID:uZNEEGYD0
【手作り】バレンタイン総合スレ56個目【チョコ】
バレンタインに関する総合スレです。慣用と慈悲とルールを守って書き込んでください。
注意事項:宮小路瑞穂様、十条紫苑様、厳島貴子様、小鳥遊圭様以上4名に関する話題は専用スレ(2参照)をご利用ください。
・チョコレートの受け渡しは直接あるいは机の上推奨。・下駄箱の中は衛生上の問題がありますので非推奨です。
詳しくは生徒会裏HP tp://seiou .edu.jp:70214/seitokai_ura.html
関連スレ
【本命/エルダー】チョコに幾らかける?40個目【義理】
【材料】チョコレート販売情報スレ25TH【プレミアチョコ】
ユカリンのお料理教室チョコ分室4TH
その他関連スレ2
よくある質問3-6参照
過去スレ7-10参照
234:名無し:》221スレ違い》1を熟読のこと。まあ良いでしょう。お姉さまは甘いものがお得意でないようです。  参考スレ お姉さまを見守るスレ80TH
235:名無し:甘やかさない
236-238: ----削除されました---
239:221:スマソ》ALL H.K先生にお叱りを受けてまいります
240-248: ----削除されました---
249:名無し:奏さんの好み誰か解りませんか
250:名無し:劇甘イチゴチョコレートで宜しいかと。
251:名無し:》249むしろプレゼントはホワイトデーの方が宜しいのでは?
小ネタ 季節ネタということで、スレ汚しスマソ
479名無しさん@初回限定:2007/02/08(木) 22:54:06 ID:PP/82FFL0
まりや「瑞穂ちゃんて転校してくる前はいっぱいチョコ貰ってたんでしょ?」
瑞穂「え〜ぜんぜん貰えなかったよ」

証言
「いくらなんでもね〜同性にはあげられないわよ〜」
「どの男にあげるか興味あったけど結局誰にもあげなかったね」
「男子どもは瑞穂ちゃんが誰にもチョコあげないから逆に安心してたわ」
「ホワイトデーにあげようとしたら綺麗な背負い投げを喰らっちゃったよ」

まりや「なんつーか想像通りね」
480名無しさん@初回限定:2007/02/09(金) 00:05:04 ID:6wqimQbC0
>>473 GJです
短文ながらも影の薄いゆかりんの特徴を凝縮した作品かと思います
481名無しさん@初回限定:2007/02/09(金) 19:15:12 ID:hFrt7i740
>>479
前の学校には制服が無かったのか・・・?
まさか男子の制服を着てても?
482名無しさん@初回限定:2007/02/09(金) 20:00:45 ID:rThjdvMx0
>481 恐らくwwwww
483名無しさん@初回限定:2007/02/09(金) 22:25:49 ID:Z/1J2rVE0
男の子にも大モテの瑞穂きゅん
貞操の危機をどうやって乗り越えたのだろう
484くぎバット:2007/02/09(金) 22:46:33 ID:VtXWo8GG0
その日の朝、瑞穂ちゃんが教室に入ると圭さんの姿がなかった
予鈴が鳴り授業が始まっても姿を見せなかった
授業が終わり美智子さんに圭さんの事を聞いてみる
「圭さん風邪でもひいたんですか?」
「あら、圭さんならチョコレートの材料をそろえると言っていましたけど」
「もうすぐバレンタインですものね。でも学校を休んでまで材料を買いに行くんですか」

「今年も来たかね」
「一年ぶりねウムル=アト・タウィル」
「それでは行くがいい!銀の鍵の門をくぐって!」
「いざ!未知なるカダスにチョコを求めて!」
−小鳥遊圭の冒険は今、始まったばかり!−

485くぎバット:2007/02/09(金) 22:50:53 ID:VtXWo8GG0
2/14
「というわけでバレンタインチョコよ、瑞穂っち」
圭さんがチョコを瑞穂ちゃんに手渡す、にこやかに、怒りのオーラを放ちながら見つめる美智子さん
「あ…ありがとうございます…かわいくラッピングまで…」
ぐげっ…げっげっげっげっげ……ぐげげげげ
「なんか…中から奇妙な鳴き声が聞こえるんですけど…それにとてつもない臭いが…」
がさがさがさっ
「中で何か動いてるっ!」
瑞穂ちゃんはあわててチョコ?を落としそうになる
「大丈夫…」
「無表情に言わないで下さい…何を材料にして作ったんですか…」
「イブン・カズィの薬粉をベースにイホウンデーの角とチャウグナルフタグンの牙の粉末
 黄金の蜂蜜酒を適量混ぜてトッピングは星の精。
 それをアルハザードのランプの炎で煮込んだの、ブーアミタドレス山の山頂で」
チョコ?を圭さんの胸に押し付ける瑞穂ちゃん
ほとんど悲鳴に近い声で圭さんに頼む
「気持ちだけ貰っておきますので、丁重に!そして適切に処分して下さい!」
486東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/02/10(土) 03:21:54 ID:kG+UMACw0
>>457

遅レスですが、すみません。
SSが完成してから投下してはいるんですが、
以前4スレ目を投下しようとして、30分連続投稿規制が解除されなかったことが何度かあったので、
それだけの時間が必要だと思い込んでいました。
どうすれば規制時間を狭められるか、方法を考えてみることにします。
487名無しさん@初回限定:2007/02/10(土) 10:52:48 ID:rxeiUHn20
>>485
もしかして、いや推測だけど、アリスマネタ?
488名無しさん@初回限定:2007/02/10(土) 15:12:54 ID:Gcy+j1xq0
>>485
14/14まであるのかと思ったw
489名無しさん@初回限定:2007/02/10(土) 16:43:18 ID:fTZxsMx70
>>478
テンプレに
【裸電球】作戦『みんなはひとりのために』 設計図3枚目【黒き尖塔】
も追加していただきたいわ。
490名無しさん@初回限定:2007/02/10(土) 17:25:01 ID:GZ/AjRvW0
>>487
クトゥルーネタでしょ
ランドルフ・カーター・シリーズ
491L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/02/10(土) 19:22:08 ID:0AbN2qtJ0
バレンタインもの、いつもと違う感じの投下してみます
492L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/02/10(土) 19:22:57 ID:0AbN2qtJ0
『火山噴火』

昼休み、教室で瑞穂、紫苑、圭、美智子の四人でお弁当を食べていた。
「明日のバレンタインですが…」
瑞穂が紫苑に尋ねる。
「エルダーにはかなり多くのチョコレートが贈られると寮で聞いたのですが本当でしょうか?」
「ええ、そうですわね。去年は私は入院していたので戴くことが出来ませんでしたが…」
ちょっと寂しそうな顔をする紫苑。
「でも代々のエルダーは学院中の皆さんからチョコを贈られるそうですよ」
「今年は瑞穂さん、きっと凄いですよ。なにしろ歴代最多得票ですから…」
美智子がにこにこと微笑みながら云った。
「もちろん私も贈らせて頂きますね」
「数知れない愛と欲望が一身に集中…、ふっ、生まれてきて良かったわね、瑞穂っち…」
「物凄くいやな云い方しないでください…。そういう圭さんもチョコが多いんじゃないですか?」
「そうでもないわよ。去年は3つくらい手渡しで貰ったけど。そのうち1つは美智子だし」
「意外ですね。圭さんは凄く人気があって、多分ファンクラブもあるかもって奏ちゃんから聞きましたよ」
「そうですわね。圭さんは人気がありますものね」
美智子がにこにこしながら云う。
「………」
ぶるるっ
「あら瑞穂さん、どうしました?」
紫苑が尋ねた。
「いえ、なんか…。ちょっと寒くなってきましたね」
「そうですか?特に寒くはないですが…」
「でもね瑞穂さん、圭さんは云われるほどにはモテないんですよ。ね?圭さん?」
笑みを絶やさない美智子。
「………まあね」
493L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/02/10(土) 19:25:54 ID:0AbN2qtJ0
「そうでしょうか?去年の劇はすごく素敵でしたよ」
「もういいわよ」
少し顔を顰めて圭が遮るのを、照れと受け取ったのか瑞穂が調子にのってついつい軽口をつづけてしまった。
「舞台の後も下級生の子たちが噂してましたしね!きっと今年はいっぱい貰うんじゃないかしら。
もし沢山もらえたら圭さんも嬉しいんじゃありませんか?ね?美智子さん」
ぶるるっ!瑞穂が自分の腕をみると鳥肌が立っていた。
「……本当……やめて、ちょうだい…………墓穴を掘るのは…」
なぜだか圭が少し青ざめているようにみえる。その横でにこにことお茶を飲む美智子。
「ねえ、ほんとに寒くありませんか?」
「いいえ。でもなんだか少し空気が澱んでいるような気がしますね。換気したほうがよろしいかしら」
ほんわかとした紫苑、理由不明の鳥肌を立てている瑞穂、少しひきつった表情の圭。
「圭さんは自身のバレンタインには興味がありませんの。そうですよね?圭さん」
ゴゴゴゴゴッッ………
終始、笑みを絶やさない美智子。
「………ぁぁコワイ……」

         ・
         ・
         ・
494L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/02/10(土) 19:28:53 ID:0AbN2qtJ0
美智子が毎年恒例にしていること…それはバレンタイン当日はいつもより10分早く一人で登校すること。
そして今年も…。
下駄箱に到着して、下駄箱の扉を開けるとチョコレートが1個入っていた。
名前を確認するが、記名しているものは何もない。美智子は軽く微笑んでカバンの中にそのチョコを入れる。
バレンタインにチョコをもらうのは、やはり好意を寄せられているからで美智子としても嬉しい。
学内受付嬢の筆頭として隠然たる影響力をもつ美智子を、敬慕の目で見る女生徒も少なからず存在する。
続いて、小鳥遊と名札のある下駄箱を躊躇いなく開ける。
チョコが7個入っていた。辺りを見渡し人気が無いのを確認すると、そのチョコを全てとりだし名前を確認する。
そして、メッセージカードや手紙は全て抜き取り、自分のカバンの中に入れる。これでチョコの身元が判るものは何もない。
そしてチョコレート本体は……。チョコレートに直接名前が書かれているかも知れない。
(それなら…)
今度は、宮小路と書かれた下駄箱を開ける。そこにはチョコが30個以上入っている。
…木の葉を隠すなら森の中、チョコを隠すなら…


…10分後、瑞穂とまりやが登校して来る。
「ひっ」
「どうしたの?瑞穂ちゃん。ありゃあ、下駄箱からはみ出してるわね。こりゃすごいわ」
「と、とにかく上履きを発掘しないと…」
下駄箱の扉を開けると、中からチョコが落ちて……来ない!!
「うわあ!手前の方は完全に潰れちゃってる!掻き出さないとだめね」
「うううっ」
手前の箱から一つずつ引っ張り出す。潰れた箱の隙間から中のチョコがポロポロとこぼれ出す。
「す、凄いわね…。わっ、ロイズの生チョコがグチャグチャ…。
うわ、こっちはエリーのトリュフがボロボロ…。あたし、こんなの初めてみたわ」
「…こうまでして下駄箱にいれなくても…」

495L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/02/10(土) 19:31:52 ID:0AbN2qtJ0
教室に着いた美智子がドアを開けると、中にいた下級生らしき生徒が慌ててお辞儀をして後のドアから出て行った。
どうやら瑞穂の机にチョコレートを置きに来たようだ。他には教室に誰もいない。
美智子は先ず、自分の机を見てみる。机の中から1個チョコレートが出てきた。
名前を確認すると一年生だった。美智子は軽く微笑んでカバンの中にそのチョコを入れる。
バレンタインチョコを貰うのはやはり嬉しい。
続いて圭の机を確認すると、机の中から5個チョコが出てきた。手早くそのチョコ全て名前を確認する。
そして、メッセージカードや手紙は全て抜き取り、自分のカバンの中に入れる。これでチョコの身元が判るものは何もない。
今度は、瑞穂の机を確認する。
机の中には既にいっぱいのチョコが入っていた。
美智子は素早くあたりを見渡した…。


程なくクラスメートが次々と登校してくる。
「お早う、美智子」
「お早うございます。圭さん」
圭は今日は一人で登校である。
「チョコレート手渡しされましたか?」
「うん。校門のところでひとつ」
「それ、見せてもらえますか?」
にっこり笑って手を差し出す美智子。一瞬躊躇するが、何も云えず圭はチョコレートを差し出す。
「………」
美智子はチョコレートを素早く確認すると、添えてあるメッセージカードを抜き取ると、チョコを圭に返した。
「このチョコはお返しします。好きな人に手渡しをする、私もその勇気を認めるのには吝かでは有りませんから」
「………」
496L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/02/10(土) 19:34:56 ID:0AbN2qtJ0
やがて、紫苑と紙袋をもった瑞穂が教室に入ってくる。
その紙袋には粉々のチョコがたっぷり入っている。
「お早うございます。みなさん」
「お早うございます。圭さん、美智子さん」
瑞穂が自分の机の上の山をみて呆然とする。
「なに、これ?」
「40個くらい有りそうですね」
紫苑が面白そうに云った。
「で、でもこのくらいなら何とか紙袋に…」
「あら、机の中にも入ってましてよ」
「あっ、本当! と、とりあえず中の物を発掘しないと」
ごそごそとチョコをひとつずつ引っ張り出す。
「あれ?え?うわ、まただわ」
机の中を見て声を上げる瑞穂に美智子がそ知らぬ風に声をかける。
「あら、大きな声でどうなさいましたか、瑞穂さん」
「机の中にチョコが押し込まれて潰れているんです」
「まあ、それは大変」
まるっきり棒読み口調の美智子。しかし瑞穂は気づいていない。
紫苑も興味深げに覗き込む。手前の方の箱が完全に潰れていた。
「まあ凄いですわね。さすがは瑞穂さん、人気があるというのも大変ですわね」
「紫苑さん、変な感心の仕方をしないでください。むしろこれは逆の感じが…」
がっくりうなだれる瑞穂。にこにことそれを見ている美智子。
さらにその美智子をちょっぴり冷や汗をたらしてみている圭。
「もしかして、私、みなさんに嫌われてます?」
「そんなことはないと思いますよ。瑞穂さんは過去最多得票のエルダーですよ。誰も嫌ったりなんて。
まあ、恨みや怒りというものは知らないうちに買ってしまうものですけど……」
497L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/02/10(土) 19:37:54 ID:0AbN2qtJ0
「美智子、それフォローになってない」
圭がやや焦り気味にたしなめた。
「きっとみなさん、焦って机の中に詰め込んだんですね」
「……誰が焦ったのやら…」
ぼそりと呟く圭。
「と、とにかくチョコを片付けないと…」
美智子と圭も手伝って、机の上のチョコと机の中の砕けたチョコを瑞穂が持参した紙袋の中に入れていく。
「はい、瑞穂さん。コレをさしあげますわ」
すべて紙袋に入れ終わってから、美智子がチョコレートと白紙のメッセージカードの束を差し出した。
「私から瑞穂さんへのチョコとメッセージカードですわ。はい、紫苑様もどうぞ」
「あら、いただけるのですか。うれしいですわ」
「メッセージカード?」
「200枚ありますから。チョコレートを贈ってくださった方に全員にお礼状を書いてくださいね」
「ぜ、全員!?」
ぐちゃぐちゃにチョコレートをつっこんである紙袋をみて瑞穂は声を上げる。
「名前の分かる人すべて。もちろん。私も手伝わせていただきますから。
それから全部のチョコレートを最低でも一口は食べてあげてくださいね。砕けている分もあわせて」
「砕けた分もですか!?」
「はい、もちろんですよ」
「……分かりました」
がっくりと深いため息を吐く瑞穂を、楽しげにみつめる美智子だった。
498L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/02/10(土) 19:40:58 ID:0AbN2qtJ0
放課後、図書室にて。
「……やったわね、満足かしら、美智子」
「圭さん、何のことですか?」
「とぼけるわりには随分と用意周到だったじゃない」
「勿論です。私は瑞穂さんのことが大好きですもの」
「…よくいうわね」
「大事な人だから、瑞穂さんの人気にキズがつかないように気をつけてますわ。
あの方の友人でいられるのは私の誇りでもありますから」
「……でもやり過ぎだったんじゃないの。今日の瑞穂さん、ちょっと可哀想だったわね」
「それに何か問題でも?」
全く躊躇いなく微笑みながら即答する美智子に、とっさに言葉がつまる圭。
つくづく思う。美智子を敵に廻してはいけない。
499L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/02/10(土) 19:43:52 ID:0AbN2qtJ0
「……いや……、それであたしあてのチョコは?」
「何のことです?」
「わかってるのよ。美智子が毎年、早く登校する理由」
「だから?」
「………」
「私は嫉妬深いんですよ、圭さん。友人以上に大切な人が私以外の愛情を受け取ることを、
黙って見過ごすことは出来ませんの。だから、圭さん……」
美智子がにっこりと圭に笑いかける。

「圭さんが私以外のチョコレートを気にかける必要はないのですよ」
「………」

害意のなさそうな表情の美智子をみて圭は思った。
絶対に美智子を敵に廻してはいけない…。
決して美智子を怒らせてはいけない…。

「圭さんの分のメッセージカードはすべて私が代筆して返答しておきました。
あなたのファンの子を傷つけるのは私の本意ではありませんから」

たぶん美智子には10年、20年先も敵わない…と。


  Fin



バレンタイン、嫉妬の祭典といえば、圭さんが唯一恐れるこの人でしょう。
私が好きなこの黒い人、ということで投下しましたが…

お粗末さまでした。
500名無しさん@初回限定:2007/02/10(土) 20:26:45 ID:WCbetOdR0
乙!
この黒さが た ま ら な い
501名無しさん@初回限定:2007/02/10(土) 23:23:08 ID:zj6ccwUx0
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   ミ彡ミミ    | : :.:l : ;' i : :.|: :| l_L」 : !  || 」l_.l : : :|: : :'; ヽ:,     ミ
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  ミ         |!: : |: :|:ト!: l|,r,.´ラヾ|`ヾ!   イ'^lヽ :|: :ト.: : | |: l.      ミミ
ミミミ ..         | |: : |:i'|:l |:ハlハ{ky.lc!      |Ic| リ:l:. :|.|: : | .!.l.         彡
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     ミミ      |!.ヘ: ';. lーl :ト.ヾ      、_   /:/: :リ |.:.:;'         ミミ
        ミ       .ヾlソヘト、:ヽl\      ,.イ:/ソ:./ |:/         ミ
         ミ彡ミミ    ヽ ヽrL_ ` .ー- イ////  /      ミミミ彡
                     .r|_    ̄ 「  !´  ´
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┃┃┃ 何か…美智子さんの笑顔の後ろに………何かが見える……ような。
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502名無しさん@初回限定