3 :
1/4:2006/12/07(木) 00:08:49 ID:???
壊れてしまったロシエルの水晶。
あの双子を使った実験には手をかけていたのにと残念がるセラフィタ。
所詮は人形、宿業の前に潰れてしまった。
なのにお前までが同じ轍を踏もうというのか。
手の上で踊るだけの人形が、創造主に歯向かう事がいかに愚かな行いかをソの身で知っているはず。
今度は魔剣に魂を封じるだけでは済まない。
そう、追いついてきたルシファーに声をかける。
君のための至上の賛美歌 ACT.5
刹那は羽から流れ込むロシエルの想いを理解した。
彼は万能の力を得る天の板の力なんてどうでもよかったのだ。
元の美しい体に戻る事など…誰よりも自分を呪っていたから。
自分を苦しめた人間達を、この世界を憎んで呪って…道連れにするつもりだった。
永遠に手に入らないのならば消えてしまえと。
ただ、この世界を呪う程に愛していたのだ。
クライはそんな刹那の姿を見て涙を流す。
ロシエルは憎き敵だが…その羽がやっと一つになれた無限の力を持つ事は自分でもわかると。
まるで昔、廃工場で見たアダム・カダモンの輝きにそっくりだ。
だがさっきの彼からはあの懐かしい様な優しい光は全く感じられなかった。
ウリエルは紗羅を追いたいだろうが一緒に来て欲しいと言う。
天使が生まれながらに罪深いという証、天使がどこから生まれてきたのかを見てもらいたいと。
それは先程辿り着いていた部屋。そこにあるのは大きな卵…?
その物体には封印が施され、その中の物体からすべてのポッドへの養分が供給されている。
ポッドの胎児達はそのエネルギーを喰って成長する。それが天使のルーツだとして…
その卵形の物体に示された図形は「神的合一(ウミオ・ミステイカ)」五大元素を表す生命の樹。
すなわち原始の力を持つただ一人の聖隠者、アダム・カダモンを意味する!
言いながらウリエルは封印を破壊する。
もしここに封じられているのがアダム・カダモンの本体だとすれば、天使創造の母体となった者の肉体を喰らって生まれてきた。
母喰いの原罪を背負って生まれてきたのだ!
4 :
2/4:2006/12/07(木) 00:10:18 ID:???
中から現れたのは、老いさらばえたような大きな顔。
左目と、口にはチューブの様な物が接続されている。
ウリエル達はその姿に驚きを隠せず、刹那はそれが至高天に初めて来た時に見た幻影のイメージと同じだと気付く。
そしてその顔が切れ切れに語りだす。
自分が、探していたアダム・カダモンの本体だと…
さっきの霊体はもう、自分であって自分ではないと言う。
"アレ"は…一度はセラフィタが飲み込んだ創世神の意識が再び力を得、今度は彼を侵食した"モノ"。
時間がない、もうすぐ彼の意識は完全に消去されてしまうだろう。
さっきのアダム・カダモンが創世神だったのならば、椅子に座っていたのは?
刹那の問いに、創世神に実体はないと答えるセラフィタ。
"アレ"は皆が「神」という存在を思い描いた時の概念を形にした虚像にすぎない。
刹那は彼こそが間違いなくセラフィタであると感じていた。
姿こそ違えど、包み込むようなその優しい光が…
セラフィタは自分の子供達とも言える天使や人間への、創世神への扱いに反発して封じられた。
だがその前に力を有と無に分けアレクシエルとロシエルを産み出した。
…そして無残にも五体を裂かれ、頭部は永遠に天使達の養分にされ続けてきたのだ。
この永遠の責め苦にも、子供達のためと思えば耐える事もできるだろう。
だが創世神はアレクシエルとロシエルを利用して失敗作と見なした世界を無に帰し全てをリセットする計画を実行し始めた。
それが物質界崩壊の終末プログラム。
この塔への「鍵」をアレクシエルとロシエルの無意識下へ封じ込めたセラフィタは、
持てる力を持って創世神をこの「神の塔」ごと神性界より隠し、創世神を飲み込んだのだ。
だがこんな体では創世神の意識はいつか復活してしまう事はわかっていた。
だから崩壊しかけた地球の時間を止め、アレクシエルの魂を宿した刹那へ地球の運命を託した。
"あいつ"に見つかってしまうと、恐れていたのは創世神の事だったのだ。
だがセラフィタの力ももうここまで、話ができるのも最後になるだろう。
だから意識が完全に閉じる前に、この本体を五大元素で封じるようにと言う。
5 :
3/4:2006/12/07(木) 00:12:05 ID:???
創世神はいわば外宇宙の意識集合体。
ただ自分という個体がこの世で至高の存在であらねばという歪んだ概念が全ての元凶。
彼自身には元素を操る力のみしかなく、自分の世界をこの地球に創世させる為にアダム・カダモンを創造した。
無限の宇宙元素を得る媒体として…
彼は今最上階の天の板の間、「アカシック・レコード」を通じてこの世のあらゆる情報体に直結し、
セラフィタの体を門として無限の力を引き出しているのだ。
だから、元素天使がこの体を完全に閉じてしまえば神は力を得ることができなくなる!
そんな事をしては彼は永遠に…躊躇するウリエルに時間がないと返すセラフィタ。
だがここには火のミカエルと土のウリエルの2つの元素天使しかない。
水も風もないのだが…ミカエルはラファエルの「気」が感じられなくなっている事を不審に思う。
そこへ名乗り出たのはクライだった。
元素天使程の力はなくとも、ドラゴンマスターとして元素の聖獣 水龍と風龍くらい呼び出してみせる!
刹那は創世神の所へ向かうと言った。ルシファーも向かったし、紗羅もいる。
何より最後の決着を付けねばならない。
一人では無茶だと言うウリエル達に、ここで術を行っているのがバレないようせいぜい派手に暴れてやると返す。
はじめから彼もそのつもりなのだろうと…セラフィタに案内を頼む。
刹那の中にセラフィタの感情が流れ込んでくる。
刹那達の運命を嘆き、守りきれなかった自分を悔やんでいる。
姿は違っても、間違いなくあの母の様に包み込んでくれるアダム・カダモンだ…!
セラフィタは最上階への道を開いた。
今までの様にはいかないと心配そうな顔を見せるクライ。
刹那はかつてのクライの問いを引き合いに出して笑った。
「みんなで幸せになる」! そう言ったハズだ。
愛する者も、素直になれなかった奴、ムカつく奴も。優しかったもの、生きている者、みんな。
"また"会おう、と刹那は旅立った。
永遠に変わらないものなんてないとわかっていても、刹那の言う事は馬鹿みたいに信じたくなる。
永遠の無敵の少年だから…
6 :
4/4:2006/12/07(木) 00:14:01 ID:???
封印を開始するウリエルとミカエル。クライも風龍と水龍を呼び出す為に詠唱する。
セラフィタはただ、祈る事しかできない。
ああ…どうか私の最後の願いを叶えてほしい 私はもうすぐこの世から消えてしまうから
血を流し必死に生きたい 生きたいと叫ぶこの子達を どうか護らせたまえ
誰に祈るのかさえも 判らないけれど
まだ逆らうかと問う創世神に、目的はお前の首だけだと気丈に答えるルシファー。
あんな人形で誤魔化せると思っていたのかと…!
刹那が最上階に辿り着いたその時、攻撃音が響き渡った。
アカシック・レコード…天の板…それは、まるで…
巨大情報体(データバンク)、マザーコンピューターと考えればいいと声がした。
天の板は願いの叶う魔法の板ではなく、"それ"を手にした者が世界を掌握できるシステムの事。
創世神はここに居ながらにして世界を支配し、奇跡を起こし、人類を操作してきた…
説明していたのは攻撃を受け瀕死のルシファー。
そして、彼の前に立っていたのは…他でもない紗羅だった。
…肉体を持たない創世神は物体や誰かの体を媒体とし、戦いの後その器がどうなろうと感知しない。
さっきの玉座にいた創世神のレプリカの様に…
機械に付いた顔の様な物…創世神は、おもしろい趣向になったと言う。
最愛の女の手でいけるのだから本望だろう、彼女にはお前が化物に見えている事は思い知ったはずだと。
紗羅は刹那に攻撃を加えてきた。刹那は攻撃を避け…ルシファーが、加藤の不知火を持っている事に気付いた。
義の国でなくしたはずなのに、何故彼が持っているのか…?
自分にもよくわからないと言う彼に吉良の姿を見た刹那だが、そんな彼を紗羅の攻撃が襲う。
紗羅は次に刹那へ矛先を向け…刹那は涙を流しながら彼女の方へと向かった。
「大丈夫だ 紗羅 俺もすぐそっちへ いくから」
今度こそ 幸せになろう
七支刀が、紗羅の体を切り裂く…!
工エエェェ(´д`)ェェエエ工工
も り あ が っ て ま い り ま し た !
あんだけ周り巻き込んでおいて心中エンドォ?!
もしかしたら創世神以外に本物の神様がいるのかもしれん
ジブリールもラファエルも恋に狂ってぐだぐだなとこへ、同じく恋に狂って着いて来たドラゴンマスターが居合わせるなんて…
んー?
ロシエルは自分は神に作られたみたいなこと言ってなかったっけ?
でもアレクとロシはアダム・カダモンの単体生殖でできたんでしょ?
本物セラフィタ、グロい…
>>11 ドビエルに襲われた時、自分はアダム・カダモンの子供みたいな事を匂わせてる
神が創った云々は…パパって呼んでたから親だと思いたかったとか?わかんね
神様ってコンピュータだったのか…
いや、実体はないそうだからコンピューターはただのデータバンクでそこに取り付いてるだけじゃね?
コンピューターなのは天の板でしょ
吉良とルシファーが何となく重なって見えるのがいいな。
クライの役割が(単純な戦闘力というの以外)イマイチはっきりしなかったけど
不足の元素を補うという展開か。
神との決着をキッチリ付けてくれれば、心中エンドも有り…かな…。
この神がどうも最後の敵っぽいね、刹那がんばれ
全ての責任を神になすりつけて、
皆被害者ヅラして終わるのだけは避けてほしいな
それじゃなんにも変わらないし
>>13 アレク覚醒イベントに巻き込まれて瀕死のカタンを助けたときに
「自分は神の排泄物」って発言しているんだよね。
これは本当に排泄物って意味じゃなくて、神の汚い好奇心?の結果
自分が生まれたって事が分かってたからこう言ったのかな。
自分が神の手の中で踊らされているって気付きながらそうするしかなかったっていうのはキツイな…
ところで、アダム・カダモンの単体生殖って事はアレクもロシエルもIチャイルドって事ですか?
ってかここの住人誰も紗羅の心配をしてないww
神を倒したら、遺伝子的にはマズイけど近親相姦もおk?
やっぱセラフィタでかいよね…?
単体生殖なら十戒犯してるわけでもないからIチャイルドとは別物なんでは?
>>21 そうか、なるほど。
しかし発生した段階ではまともだったっぽいロシエルがなんでちゃんとした姿で生まれてこなかったんだろう
それも神が仕組んでいたことだったんだろうか
ロシエルが生き延びるために人間の業を背負わせた、とかあるけどどういうことなのかよくわかんね
24 :
1/10:2006/12/09(土) 00:30:49 ID:???
悪魔も…天使も、神の塔の光を見ていた。
天が嘆き、慟哭をあげている…
最終回
君のための至上の賛美歌 ACT.6
幼い頃刹那に買ってもらった指輪。
紗羅はうんと大事にすると喜んだ。
だがそんないつか壊れてしまうものに気をとられてまた転ぶ方が心配だと言う刹那。
大事なのはこんなおもちゃではなく、こっちの手の方だ。
そう言って手を繋ぐふたり。
紗羅は心で刹那に謝罪しながら倒れて行く…
刹那は唇を噛み締め、その体を抱きしめた。
創世神はそんな予測不可能な行動に動揺する。
こんな規格はずれのプログラムはあり得ないと。
その時、回路がおかしいことに気が付く…ミカエルとウリエルがアダム・カダモンを封印しようとしている!
ナンセンスだ、お前達の行動は間違っている――
そう判断した創世神は欠陥(バグ)の除去・修正を行うための行動にでる。
創造主に反する予測不可能な欠陥品、総ての生命の消去・リセットを行う。
世界を喰いつくすために…次世代の有翼亜種、アイオーン・メディアの解放を!
ウリエル達のいた部屋では、ポッドが割れ胎児があふれ出した。
彼らは飛び回り、周りのものを襲い始める。
愚かな人間達も…天使も悪魔も、もういらない。
創造主を必要としない世界などあってはならない。
実験は失敗だ!
25 :
2/10:2006/12/09(土) 00:32:45 ID:???
天界に夥しい量の胎児達がやって来る。
彼らは魂を…アストラル力を喰らっている。
戦争どころではないと大騒ぎだ。
創世神は総て吸い尽くした後の世界をその新しい種へ与えるつもりだ。
一方、胎児の被害のない星幽界だったが…
ドールは今まさに機能を停止しようとしていた。
彼女はただ必死にウリエルの名を呼ぶ。
胎児は時間が止まったままの地球にも押し寄せる。
天使も、悪魔も、総ての大地が滅びるのか。
これが神の下した審判なのか…ラジエル達は衝撃を受ける。
そして創世神は…紗羅に生命反応がある事に気が付いた。
刹那は笑いながらバレたかと言う。
もう少し時間稼ぎをしたかったのだが、と。
そう、紗羅は死んではいない。腹を殴って気絶させただけ、服には切りつけたが。
血は刹那の血…そう言って腕の傷に布を巻いた。
とっさにしては上手くいっただろうと。
創世神は彼らに攻撃を加え…その時、紗羅が意識を取り戻した。
押し寄せる衝撃波に自分がまた死ぬのだろうと思う紗羅。
だが刹那のいない今この指輪さえあれば、それでもいい。
『大事なのは指輪じゃねーだろ?』
そうやって現実を受け入れようとした紗羅に声が響き、"化物"が彼女を庇った。
そして指輪が、無残にも砕けて落ちた。
取り乱す彼女にもういいからと抱きしめる刹那。
こんなにも大事にしてくれてありがとう…だがもういいのだと。
26 :
3/10:2006/12/09(土) 00:34:00 ID:???
見てくれのキラキラした物だけが大事なものじゃない、大事なのは繋ぐ事のできるこの手…
かつて刹那にも言われた言葉。
目に見えるものだけが真実ではない…
目の前にいるのは、まさか…
「刹…那…?」
視界を遮断し、目の前のものに手を添える紗羅。
『チガウ コレハ化物ダ 目ヲ開イテ見ルンダ』
『やめて!!』
『コレハ化物ダ オ前ヲ殺ソウトシテイル』
『嘘よ!!』
目に見える姿ではなく、懐かしい物を感じる。
まるで刹那みたいな飾らない真実の言葉。
『ソイツは死ンダ!!!』
自分の意思と反する言葉。
『私の中から出て行って―――!!』
紗羅はサンダルフォンを追い出した。
そしてようやく、目の前の彼を刹那だと認めて涙を流す。
嬉しそうにバカ野郎と言いながら抱きしめる刹那。
お前をおいて死ぬわけがない…紗羅は喜びに涙を流す。
だがその現実に創世神は驚きを隠せない。
ジブリールとして覚醒していないただの人間が、サンダルフォンの妄執を追い出したなど。
刹那は自分が創った人間(こども)を侮りすぎだと言う。
どんなコンピューターでも計算できない感情を持つ種、それが人間。
子供だっていつまでも親を超えられない訳じゃないのだ。
27 :
4/10:2006/12/09(土) 00:35:24 ID:???
「おかしいのはあんただ 自分の創った世界を愛してさえいない
そんなあんたをどうして俺達が尊敬したり愛したり出来る?」
愚かで無意味な戦争や自然破壊を繰り返す。
それがわかっていながら止める術を知らない。
「バカでどうしようもない俺達だけど それでもいい方へ進もうとがんばっている 戦っているんだ
あんたが決めた一方的な境界線ではなく 自分達のやり方で――」
たくさん間違えて迷い傷つきながら、それでも奇跡を信じていたいから。
見えない物を、真実を求めて。
「この世に必要とされて生を受けたと信じていきたい」
刹那のその言葉を理解不能だと受け取った創世神は、その存在を消去するために攻撃を加えようとした。
その時、内部から破壊が起こる。
コードを引き千切る彼は…ルシファーだ。
彼は創世神の全神経が向くこの一瞬を待っていた。
だてに何度も創世神と戦ってきた訳ではない。
コントロール回路を切断するには、内部に侵入するしかないのだから。
天の板が内部破壊を起こす…そして、天界にいた胎児達は一気にどこかを目指すように去っていく。
ウリエル達は今の内に封印を完全な物にしようと急ぐ。
胎児を呼ぶ声がする…
彼らは天の板と創世神に向かっていく。創世神の言葉も聞かず。
驚く刹那達だが、紗羅はそれが誰かが呼んでいるためだと気付いた。
呼んでいるのは…アダム・カダモン!
28 :
5/10:2006/12/09(土) 00:37:24 ID:???
ルシファーは「刹那」に第五分子で創られた七支刀で"こいつ"を殺るようにと言う。
彼を「先輩」と呼ぶ刹那だが、ルシファーはそいつはもういないと言った。
ただ…お前が思い出させたのだ。吉良朔夜として幸せだったのではないかと言う言葉。
そしてあの時の加藤は、死に場所を探しているように見えたから…
彼は自分が押さえている間に早くするように急かす。
こいつはすぐ自己修復してくる。
それに…自由にしてやると、あの女に約束したのだから…
最後の願いを叶えろと言う彼の言葉に、瞳に涙をためて七支刀を構える刹那。
そして、彼の放った七支刀が…天の板の上部、創世神の宿った首を、破壊した。
同時に、ウリエル達の封印も完成する。
ルシファーの眼前にはアレクシエルの、幻…?
『ばかな男…』
二人は笑顔で抱きあい…
そして、辺りを光が包む…!
『聞こえますか? 私の声が…
今まさに私は創世神を飲み込んだその時です
けれどそれも長くはもたないのはわかっている…
だからここに私の最後のメッセージを留めようと思います』
何かのスイッチが入り、天界全体に声が響く。
神の塔から弾き飛ばされたウリエル達も、何事かと思いながらその声を聞く。
『答え等は初めからないのかもしれません
わからないから見えない真実に脅えて 人は"ソレ"を見失う』
天使も、悪魔も…その声を。
アダム・カダモンが意識を失う前に残したメッセージ。
最後のプログラム(祈り)。
29 :
6/10:2006/12/09(土) 00:39:10 ID:???
『この世に真の善悪や境界線はなく 天国も地獄もないのだと
それは貴方達が自らで答えを出し これからも悩み迷いながら見付けていくべきもの』
悪魔達は今さら我らに何の祈りが通じようかと哀しく想う。
懐かしい御方、天に坐(ましま)す我らが…
崩れ落ちる神の塔の中。
気を失った紗羅を運ぶ、満身創痍の刹那。
そんな彼に声をかけるものがある。
「羽根の力…全部使っちゃったみたいだね 少し分けてあげようか?」
見下ろすのは…ロシエルと、カタン…?
刹那は自分の力で立てると答えた。もう、必要のない力だから。
だが紗羅だけ地上に戻してあげてほしいと頼み、彼らはそれを承諾した。
刹那は、必ず後から行くからと…!
俺の還るべきところに あいつらと 約束したからな
きっとみんなで幸せに… 幸せになる…!!!
神の塔の外壁が崩れ、その真の美しい姿を示しながら消えていく。
刹那と共に…クライは涙を流してその名を叫んだ。
『私が出来る事は唯一つ
貴方達に悲しい事がない様に祈り続ける事だけ
心のままに 会いたい人に会って下さい 真実に気付いて下さい 幸せでいて下さい
どうか愛されて生まれてきた事を忘れないで下さい
またいつか会いましょう いつかどこかで時の巡る空間で…
いつかきっと…』
30 :
7/10:2006/12/09(土) 00:40:57 ID:???
会いたい人に会いに…ウリエルは何かを思い出す。
悪魔軍が撤退して行った。
天界も地獄も今回の痛手は大きく、戦争は一時休戦だろう。
だが本当の戦いはこれから…天界を正しい姿にする。ラジエルは決意を固める。
クライは今も救世使を探して神性界にいる事を心配するノイズ。
紗羅は救世使と一緒に行ってしまった。
それでもこれからもジブリールに仕えるとリルは言う。
ウリエルは大事な事を思い出したと星幽界に帰ったらしく、ミカエルはラファエルを探していた。
そこに彼を呼ぶ、バービエル。
ラファエルは瀕死の彼女を蘇生させるため、重傷の体で無理をした。
そして失った力を甦らすためコールドスリープに入らざるを得なかったのだ。
目覚めるのは一年先か…何十年か…!
そんな彼からの伝言、「目覚めたらケンカの続きがしたいので約束どおり側にいてくれ」と。
ミカエルは自分は気が短いんだと悪態をついた。
しゃーねーからしばらく暴れて待っててやる、と。
ウリエルはドールの姿を探していた。
そして動力切れで倒れた彼女を発見し、必死に彼女を呼び起こす。
その時ドアの影からウリエルが植物繊維で作った動物が姿を現した。
ドールの魂はその中に避難していたのだ。
ウリエルはその体を抱きしめ謝罪する。
すぐ元の体に戻してやるから、またお茶を入れてくれ、と…
31 :
8/10:2006/12/09(土) 00:42:29 ID:???
『時がゆっくりと動き出し あたり前の日常を刻み始めても
忘れないでいてほしい 目に見えない犠牲の上に生きていく悲しみを』
地球の胎児達は、その姿を全て羽根へと変えて消えていく。
動き出した地球、崩れた建物に驚く人々。
だが、空から雪の様な物が降り出し…
『私の祈りは結晶となり砕け 舞い落ちるだろう
幾千もの 思いの破片となって…』
世界は元へ戻っていく。
吉良の父も、出張の準備をした姿で空から降る羽根に驚いていた。
そんな彼の背後に一つの影。
飛び立つ音に振り返ると、黒い羽根が舞い散った。
黒い鳥がいたのだろうか…?
『貴方を抱きしめていたい 懐かしい歌を口ずさみながら』
その羽根を手に取った時、吉良の父は何故か涙を零した。
彼の背中を優しく抱きしめる、朔夜の霊体。
『大丈夫…これからも色々あるけど…"二人の息子"が貴方を守るから
貴方の幸せだけを願っていくから…』
あれでいいのかと黒い羽へ訊ねる一匹の蝶。
黒い羽はただ、居るべき処へ還ると言った。
廃工場の中、敷き詰められた羽根の上で紗羅が目覚める。
彼女は頼りなく刹那の名を呼んだ。
32 :
9/10:2006/12/09(土) 00:43:53 ID:???
この真夏に雪が降るのかと驚く人々。
だが"力"のある一部の人には、それが羽根であると認識できるらしい。
その姿に感動して涙を零しながら…
『私の手はもう 貴方を抱く事は出来ないけれど』
その時空に、飛行機ではなく、大きな鳥…まるで竜の様なものが姿を現して騒然となる。
紗羅はその騒ぎに、いち早く何かを感付いた。
ボロボロの姿で、周りの人間に邪険にされながらもそちらへ向かう紗羅。
微かな記憶に残る、おかしくなっていた頃の醜い自分。
みんなを傷つけ足手まといになり、そして刹那さえも…
意識の底に潜んでいた一番汚い感情をクライにぶつけた。
自分がこんなにもひどい人間とわかっていても、不安で怖くて死にそうだった。
こんな自分の処に彼は還って来てはくれないのかと。
ただ、刹那の名を叫ぶ。
『どうか祈りは届いてほしい 不完全な子供達よ…』
竜の背の上、アレクシエルの体はウリエルに管理してもらう事に決めたと言うクライ。
彼なら信用できるし、ラジエル達の組織と組んで新体制作りにも期待している。
いつかアレクシエルとしての真実の目覚めの日まで待つのだと言っているそうだ。
だがわかっているはず、刹那はもう何の羽根の力もない普通の人間として生きていかねばならない事を。
刹那はただ初めに戻るだけだと言った。
地上で生きるには元々無用な力なのだから。
吉良が刀ごと消えたから加藤殺しの事件は迷宮入りだろう。
第一戻ったところで刹那と紗羅が実の兄妹だという事実は何も変わってはいない。
このまま一生二人っきりで、親や世間の目から逃げ続け、戦っていかねばならないのだ。
「一生二人で…?
それって…信じらんねーくらい幸せだな!」
33 :
10/10:2006/12/09(土) 00:45:45 ID:???
幸せそうな刹那の言葉に、それでこそ自分の好きになった刹那だと思うクライ。
ノイズと共に、必ず邪鬼族の生き残りを探し出し国を再建してみせると誓う。
誤魔化すように刹那を殴り、その時はまた会いに来てやると言う。
「目ん玉飛び出る様な美女になった俺を見て 後悔すんなや――!!」
そんな彼女にいつだっていい女だったと告げる刹那。
一瞬切なげな顔を見せたクライは、刹那の耳を掴むと痛みに怯んだ彼にキスをした。
そして彼が何かを言う前に…竜の背から、突き落とした。
『不完全な模造太陽は 貴方達を 今も愛し続けているんだと』
落ちた先には、紗羅の姿が…
クライはただ黙って去って行った。
『愛し子達の幸(さいわい)を…狂わんばかりに願い続ける
永遠に変わらぬ祈りを送る者達よ 天を翔る有翼亜種…愛を運ぶ幸福の翼を掲げよ
いつか巡り会う刹那 これが最後ではないと 確信にも似た予感がする
確かに魅かれ合った事を 運命の名の元に集いし愛しい者達よ
神でもなく人でもない めくるめく様な愛に包まれて生まれた者達よ
その名は天使(エンジェル)――』
刹那と紗羅は、固く抱き合った。
THE END
Special Thanks to
Assistants & Compiler
Family & Friends
and you...
34 :
補足:2006/12/09(土) 00:52:06 ID:???
上記あらすじは単行本掲載に伴って書き直されたものです。
本誌掲載時は以下。
細かいものは省略。
表紙前後の各1P(あらすじではタイトル前の文)、
紗羅が刹那の顔を掴むページ(あらすじでは目を閉じて触れるシーン)、
最後から3〜4P(あらすじでは「いつか巡り会う刹那(しゅんかん)〜」から)がオール描き下ろし。
アレクとルシファーも描き下ろし。(本誌だとウリエルの直後にセラフィタのセリフがくる)
ロシエルの後ろにカタンはいなかった。
「(サラが生きてるって)バレた?」のページの刹那(2コマ)も描き下ろし。
本誌では紗羅生存確認→アイオーン出撃の順番。
だから前半は数ページ分入れ替わってる。(コマの入れ替えもある)
おお、ついに完結か!
ルシファーも刹那も良かったが、
操られっぱなしだった紗羅が漢を見せたのに感動。
ただ助けられるだけのハッピーエンドで無くてよかった。
あとクライは本当に良い子やなー、美女になった姿見て目ん玉飛ばしたいぜ。
にしても結局近親相姦問題はそのまんまで、世間から後ろ指さされるのも変わらないのか…
親との和解ももう無理だろうし。
まぁ本人たち幸せそうだし、創造神に喧嘩を売ることに比べたら何てこと無いか。
うん、素直に大団円と思って喜ぼう。
ウリエルとドールで幸せになってほしいが、アレクシエルの身体はウリエルが預かるのか…
表紙から心中エンドかと思ったがハッピーエンドか
いや、ハッピーかどうかは微妙だが…どうなんだろう
塔の外壁にロシエルが…!最後まで泣かせおって
吉良パパに泣いた
そうだよな、地球崩壊直前まで時間が戻ってんだからこれから出張に行くとこなんだよな…
最後のはやっぱりロシエルなのか。
横にカタンらしき人がいるけど、
羽2枚しかないみたいだし、だいたい刹那に
羽全部あげちゃったんじゃ?とか考えてたら
わかんなくなった。
そこはジブリールでもいいかなと思ったんだが。
沙羅の前世がジブリールって、意味ない設定だったのか・・・
意識覚醒後に自分の肉体が、実兄とガチ近親相姦済みに絶望して「この娘もお前も汚らわしい
罪人が!」とかって沙羅の体で刹那の手を払いのける展開とか期待してたんだけどな。
アレクがルシファーと行っちゃったなら刹那が死んでも甦らない可能性もなくないか…?
なんかいろいろ壊しっぱなしで放り出したような感じだけど、
とりあえず刹那と沙羅はハッピーエンド?か
あまり周りに迷惑掛けないように、お幸せに・・・って言っていいのかどうかも迷うんだけど
ロシエルはアレクの胎内に入ったのに
何であの場にいたんだろ。刹那と仲良くなってうれしいけどさ。
九雷の最後のキスが良かったー。
最後の意地って感じで。
>>41 てっきり天使の変態性が感染ったもんだとばかり思っていたが、
結局、刹那と沙羅が愛し合ったのって、中の人関係無しにあくまで現世の刹那と沙羅が普通に(?)惹かれあった結果って事か。
いや確かに前世だのなんだのに翻弄されたんじゃなく、あくまで本人たちの意思ってのは大いに結構だとは思うが……うーん
刹那は転生プログラブ通り、近親相姦で追い詰められて非業の死。
紗羅は兄と愛し合った罪でジブリールに戻った後に天界裁判にかけるため。
2人が愛し合ったのはセヴィーがそうプログラムしたからでしょ。
それを超えて愛し合ったっていうのがミソなんだろうけど
吉良父、地味に好きだったから、最後にこんだけ
取り上げられて嬉しい。そして泣けた。
ところで黒い鳥はルシファーで、蝶は帽子屋さん?
ルシファーはアレクと共に逝ったのかと思ったけど
やっぱしぶといってことかね。
>>44 >なんかいろいろ壊しっぱなし
確かにw
刹那と紗羅は近親相姦でどうするんだろとか、
アレクとジブの魂の行く末とか、
天地大戦の結末とか、
神が去って存在意義の無くなった天使達や地獄と地続きになった天界は今後どうなるのかとか、
九雷は生き残り見つけられるだろうかとか、
ドール生きていて良かったけどウリー中途半端で家帰るなよとか、
吉良オヤジ息子も世間体も職も失うのか・・・とか心配したらキリがないけど、
だからこそ明るい希望に満ちたここで終わるのがいいのかも
最後ぐらいジブリール覚醒して欲しかったなあ
サンダルフォン叩き出すのを期待したんだけど、紗羅に見せ場取られたね
>>51 投稿時間がすごいw
そういや、ウリエルとドールは完璧死亡フラグたったと思ったけど生き残ったな。
良かったなあとは思うけど、ちょっと肩透かし感もあったり…。
決して死んだ方がいいとは思わないけど、
最終決戦の場において、なんとなく存在感が薄い気がするんだよな。
あと、紗羅が正気を取り戻すのには、九雷の喝みたいなのが
一役買うかと思ったけど、まったく関わりなかったな。
でもラストの九雷は良かった。
最後らへん怒涛の勢いでちょっと「?」となる部分も多かったけど
まあうまくまとまって終わったね。
51と同じくジブたんには覚醒して欲しかったが、紗羅が生き返ったから
また意識なし状態に戻っちゃうんだね…哀れ。
ていうか吉良父に泣いた。正直刹那&紗羅より幸せになって欲しい。
ジブの魂はサラの魂だから覚醒しなくても一応サラ=ジブでしょ?
水の力はクライがいれば無問題だったし、一人だけ影が薄いね。
アレクは特別だから覚醒するんだろうけど、ジブは違うしな。
紗羅が死んだ後ジブもいずれ覚醒するんでしょ?
サラが死ぬまで魂なしの死体にも似た状態が続くということね
状況を把握しているアレクもどうかと思うが
たぶん状況を把握していないジブは覚醒したら驚くな
でも紗羅の時にジブリールっぽい発言した事もあったしなあ
(ラジエルのアイオーン発言)
現状はジブリールとしての意識はなくても、紗羅が死んだら全部覚えてるんじゃないのか
>>53 吉良家は父も母も子もお互いを想って、地味だけど良い家族だったな
四大元素は引継ぎできるってあったから、
水の元素を誰かに継がせてジブリールは自己犠牲で死亡、の展開が来るかと思った
結局キャラ多すぎて、ジブリールどころかその他キャラもあまり出番なく終わったね
アスタロトなんて読者に気づかれてないような
サラ蘇生イベントまでは、ジブが覚醒してサラの意識は消えて
セツナは人の世界で生きていくラストを想像していたのだが
刹那人気投票2連覇おめでとう
そりゃ主人公なんだから
話題豚切りで申し訳ないが、地獄編で吉良先輩が刹那に
「あいつの切り替えの早さが誰かに似ている」とか意味深な感情を
抱いていたけどその誰かって誰の事?
多分加藤
自分も天禁でその伏線だけがわからなかったクチ。
そうか、加藤なのか…
ま、いいか
そういや吉良はあの時点では加藤が星幽界でどうしてるかなんて知らなかったのか
読み直してみよ
花とゆめ平成5年1号より「砂礫王国」という漫画が掲載されました。
この漫画について語りませんか。
尚、この漫画は水の女神の魔力で2日に1話ずつの速度で連載されるようです。
なお、4話までの短期連載になります。
68 :
1/5:2006/12/13(水) 00:38:53 ID:???
砂礫王国 第一話"煌(キラメキ)"
森羅万象 久遠の時を 地獄の熱砂の中 血の泪を流し 砂を喰らって生きてきた
砂漠…叶(カナイ)は仲間と共に煌(キラ)皇子を探していた。
皇子の短剣を発見してこの近くだとアタリをつけた彼は古代王都の遺跡の方を探してみることにする。
さて、砂に食われてなきゃいいが…
一方皇子は生まれて初めて出られた砂漠に興奮気味。
護衛付きでは城と変わらない、と自ら逃げ出したようだ。
その時彼の足元の砂が動き、砂の中から何かが飛び出してきた!
それは砂竜だったが、その上に乗っている何者かが煌を襲うのを止めさせた。
まだ子供、食いではないと。
彼は助けてやるから一緒に遊ぼうと言う…年頃にして、煌と同じくらい。
煌は初めて見る砂竜の大きさと、上に乗る子供の金色の瞳に釘付けになった。
砂竜に乗せてくれるのなら一緒に遊んでもいいと言う煌を了承する少年。
共に砂に沈んだ古代王都まで行こうと言う。
遺跡にて、追いかけっこをして遊ぶ二人。
だが追いかけていった煌は突如少年の姿が見えなくなったため無邪気にその姿を探していた。
そんな彼の背後の壁から、手が…!
その手に突然投げつけられたナイフ。
壁からは少年が姿を現し、煌は驚く。
ナイフを投げたのは皇子を探していた叶だ。
何をするのかと言う煌に、彼は魔物だと言う叶。騙されるなと。
砂を根城に人を喰らう砂喰族(サンドバイターズ)。
少年は自らを砂の砂牙(サガ)と名乗った。
砂牙は笑いながら砂を撒き散らし、また一緒に遊ぼうと言いながらどこかへ消えて行った…
69 :
2/5:2006/12/13(水) 00:41:31 ID:???
叶は王が何故砂漠へ出るのを禁じているかわかっただろうと言う。
砂喰族は砂竜の様な砂鬼達を使い、砂に住まう人喰人種。
何百年もの間、人間は奴らと戦って…中にはこの古代王都の様に砂に沈んだ国さえある。
我々も、いづれ奴らと決着をつけなければならないだろう。
そう、金色の目は魔物の証拠。
さびしげな誇り高い野獣のような瞳、砂の子供 砂牙…
砂漠での出来事について報告を受けた誘(イザナギ)王。
砂牙はまさかあの時の子供ではなかろうかと思う。
煌(キラメキ)を襲ったのは偶然ではないのだろうか…まさか…
悩む王の姿を、物陰から見守る王妃。
そして6年後――時の王国。
誘王は自ら足を運んで剣士養成場を視察していた。
その訓練にて、小さな兵士が大男を負かした事に感心する王。
ちなみに審判は叶だ。
だが…小さな兵士が兜をはずした時、王はあまりの事に言葉も出なかった。
隊長は彼が叶の紹介で最近修行に来ている子供、なかなかの剣の冴えをしていると誉めている。
王は怒りに、息子である煌皇子を怒鳴りつけた。
皇子は悪びれる事もなく剣術の練習だと答えた。
王位は継がず、叶みたいなこの国一の高等剣士となり戦で勇敢に戦うのだと。
頭を抱えた王は世話役である叶を怒鳴りつけるが、皇子が全ては自分の意思だから咎めも自分が受けると言う。
だが煌ももうすぐ15、次の水の精霊祭では時期国王としての戴冠式をしなければならない。
少しは自覚を持って欲しい王だったが…話は終わったと煌は去って行く。
怒りの収まらない王に、麗(ウララカ)王妃が宥める様声をかける。
男の子なのだからもう少し大人になればわかるはず。
この国は砂漠の中心の緑の国(オアシス)、最近は戦もなく政権争いも無縁となれば退屈にもなるだろう…
70 :
3/5:2006/12/13(水) 00:43:06 ID:???
煌の事をバカみたいと罵り笑う少女がいた。
彼女は何のとりえもないガキである煌が運良く王家に生まれたのに自分から放棄するのがバカだと言っているのだ。
その彼女、愁(ウレイ)は巫女になったばかりらしく、本来ならこんな所でお喋りしている時間はないらしい。
もうすぐ水の精霊祭、作法やら教本の暗記で忙しくてやってらんないと愁はあっけらかんと笑う。
「ね 一緒にどっか逃げようか!? そしたら愁 お嫁さんになったげてもいーよ」
自分達はただの幼馴染だと真っ赤になる煌を本気にするなと愁は一蹴した。
だいたい愁が巫女など世も末、こんなはねっかえりじゃ女神シェラフィータも気を悪くすると毒づく煌。
彼が高等剣士になるよりは簡単だと毒づき返して叶に確認する愁。
叶は皇子の剣技は素晴らしい…が、まだお遊びでしかなく実戦では通用しないと言った。
どういう意味かと確認しようとした時…
修行をサボって逃げ出していた愁を、先輩である天上巫女が発見してしまった。
彼女達が戻ろうとした所で、地中から腕が現れて愁の足を掴んだ。
砂鬼だ!
叶は皇子によく見ている様に言って砂鬼に斬りかかる。
戦いは勝とうと気負った方が負け、自分の気は隠し相手の動きを目を瞑っても読み取れなければいけない。
安っぽい感情に流されれば死ぬだけ…
背後からの敵もあっさりと倒した叶に感動する皇子だったが、もう一匹小型の砂鬼が残っていた。
愁に襲い掛かる砂鬼だったが…彼女の体が光り輝き、砂鬼はダメージを受けた。
そのスキをついて砂鬼を倒し、愁を庇う煌。
愁は大丈夫そうだが…今の光は何事かと思う。
そして、天上巫女もまた何かを感じていた。
去って行く二人を見ながら、様子のおかしい愁に煌は少しだけ疑問を抱く。
はずれとはいえ王都まで砂鬼が入ってくるとは…王の言いたいのはこの事だと叶は言う。
刻々と街に砂の量が増えている。
東では井戸から砂が出て水危機になり、人々は砂鬼に生活を脅かされ続けている。
このままではこの時の国までが砂に沈むのではないかと危惧する王は、だからこそ立派な跡継ぎが、若い王が必要だと思っているのだ。
71 :
4/5:2006/12/13(水) 00:44:29 ID:???
それに叶は煌が王になった姿を見たいと言った。
お前まで父の味方なのかと拗ねる煌だが…叶は皇子だけの従者だと言って額の傷を示した。
かつて皇子のくれたこの傷ある限り、永遠にあなただけの従者(しもべ)だと。
煌もわかってはいる。
この時の国は緑のオアシス、でも本当は強風とそれによる砂嵐を恐れ、砂喰族に脅え…
砂の檻の中に一生閉じ込められて肩寄せあい、ビクビクと生きている。
だからこそ水の女神シェラフィータをあがめ、愁のような子供までが神道に入る。
わかっている…
叶は愁が神殿に金で売られて巫女になったのだと明かした。
もちろん、実の両親の手でという事実にさすがの煌も驚きを隠せない。
水の年・水の月・水の刻に産まれた水の巫女にうってつけの子供はそうはいない。
今の政治が悪いとは言わないが…完璧でもない。
彼女の様な子のためにも、と叶は言う。
だが愁はそんな事は一言も言っていなかった。
ただ一緒に逃げないかと、笑っていただけだ…
流れる砂、笑い声が砂漠に響く…
きっとあそびに行くよ、煌 約束したろ?
突然の物音に何事かと叫ぶ誘王。
ふらふらと寝所にやってきた衛兵が、「砂が」と言い残して砂になって崩れた。
その背後から、少年が姿を現す。
72 :
5/5:2006/12/13(水) 00:45:15 ID:???
「はじめまして父上…お妃 俺は砂の砂牙」
砂と骨と化した衛兵を踏みつけて現れた少年に、王は驚きを隠せない。
彼は王を父と呼び、何故会いに来てくれなかったのかと問う。
ずっと待っていたのに…
自分を忘れたのだろうか?
もうすぐ水の精霊祭、王位を継ぐのは煌ではなく自分だと言う砂牙。
だが王は慄く、そんなはずはない、砂牙は死んだはず!
「そう…暗くて熱くて苦しかったよ… 砂の下から甦ってきたんだ
父上と煌を食い千切る日だけを夢見て」
砂牙の手にしていた柄から刃が伸び、王の胸を貫いた。
血を流して倒れる王に、何故自分を殺したのかと砂牙は問う。
王妃の悲鳴の中、死体になっては答えられないと砂牙はただ笑っていた。
砂礫王国 第1話 "煌"/おわり
新連載wktk
砂漠とか好きだからこの世界観気にいった
好みにストライクの新連載キタワァ
砂牙の笑い方なんとなく気に入った
>ただ一緒に逃げないかと、笑っていただけだ…
始まったばかりだけど愁けっこう好きだ
「愁」という字面や音はいいと思うけど、意味的には不幸っぽいな
77 :
1/5:2006/12/15(金) 00:28:23 ID:???
第2話 "叶(カナイ)"
血を流して倒れた王の姿を見てただ叫ぶ事しかできない王妃。
砂牙から伸びたコードのようなモノが、彼女の意識を奪った。
この王妃はどうするのかと背後に尋ねる砂牙。
砂樹羅王と呼ばれた男が、砂から姿を現した。
彼は王妃の心を封じて砂人形にでもしておくようにと言う。
殺すのは精霊祭の後だと。
そして誘王の死体に、その姿をしばらく借りると告げた。
この国を砂礫の王国にするまで…!
変な夢を見たような気がして目覚めた煌。
そこへ侍女が大変だと呼びに来る。王のお呼びだから、王宮広間へと。
王は第一皇子である砂牙をその場に集まった皆に紹介していた。
煌とは双子の兄だと言う。
突然のことに皆は驚きを隠せない。
煌もまた、そんな話は初耳だった。
それに砂牙といえば8年前に会った砂喰族の子と同じ名前。
魔物の証拠である金色の目をしていたあの子。
目の色こそ違うが、ムードは似ている気がする…
いつまでも静まらない皆に砂牙の怒号が飛ぶ。
誘王はいぶかしむのも無理はないと言った。
知っての通り双子は古来より不吉の前兆、彼らの誕生の時に祈祷師は信託を告げた。
「王となる兄の方、つまり砂牙を15の精霊祭まで聖地へ送り人知れず修行させよ」と。
そして15年間の学務を終え、精霊祭で王位を継ぐために戻ってきたのだと言う。
78 :
2/5:2006/12/15(金) 00:34:58 ID:???
なんて話だろう、迷信深い長老達(ハーミット)が大騒ぎして王に進言したのだろうか。
でも急に王位を継がなくてもいいと言われても拍子抜けする煌。
王に依存はないかと聞かれ、了承した。
砂牙は会いたかったといって煌に手を差し出した。
ここでは新参者だから、いろいろよろしく頼むと…
だが握手を交わした手は痛みを感じた。
腑に落ちないと言う煌に同調する叶。
あんな世継ぎがいたのなら何故煌を王位につけたがっていたのか…
だが煌の言いたいのは砂牙に憎まれているような気がするという事だ。
水の天上神殿――愁に会いに来た煌は、彼女は禊の最中だと天上巫女から面会を拒否された。
愁は天上会の決定で水の精霊祭の姫巫女に選ばれた、そのための準備。
のん気に何時に終わるのか聞く煌だが、愁はたとえ皇子とはいえもう男性とは会うことも触れ合う事も出来ないと言われてしまう。
冷たく追い返された煌は納得がいかない。
愁に直接聞くと、天上神殿へ忍び込む。
姫巫女というのは水の女神が降臨した聖なる乙女の事。
もう100年以上も現れていないと言う。
そして時の国最高位の聖女、あんなジャジャ馬の見習い巫女がなれるわけがない…
泉に彼女の姿を発見した煌は声をかけるが、振り返ったその色気に思わずときめいてしまう。
『皇子よ』
そして、愁の額に水の印が表れる――
『運命の皇子よ 我が名はシェラフィータ』
様子のおかしい彼女をいぶかしむ叶。
煌はあれは愁ではないと気付いていた。
『よく聞くがいい 昨日 来たりた一陣の風は災いの砂塵なり』
79 :
3/5:2006/12/15(金) 00:40:17 ID:???
不穏な言葉を告げた彼女は次に叶に問う。忠誠心はその額の傷かと。
生死に関わる運命の時が近付いている。
信じる道を貫くには灼熱の砂漠のごときつらい試練の山を越えなければならない。
それでも修羅の道を行くのか?
抽象的な問いかけに、何の事か理解できないまでも進む道は皇子の進む道だと返す叶。
『ならばそれも良い…お前の選んだ運命(さだめ)ならば…』
ひときわ水が騒ぎ、愁が意識を取り戻した。
心配する煌の姿を確認した彼女は、涙を浮かべて抱きつく。
何事か確認する煌だが、愁もわかってはいなかった。
昨夜急に自分の中で別の人が喋り始めた、シェラフィータ様だと。
先輩の天上巫女は彼女に女神が降臨したのだと言ったそうだ。
愁は煌に王になって欲しいと頼む。
次の水の精霊祭で、愁は正式に聖なる姫巫女にさせられてしまう。
自由もない、神託を告げるだけの毎日…恋も結婚もできない。
姫巫女の退位を決められるのは王だけだから、煌に王になって欲しいと。
愁は姫巫女にはなりたくないのだ。2度と煌と会えなくなってしまうから…!
部屋で悩む煌に、叶は自身の額の傷が出来た時の事を覚えているかと問うた。
8年前の隣国との戦、叶は剣の腕に溺れたただのチンピラだった。
その思い上がりが率いていた小隊を無理な戦闘で全滅させた。
怒った誘王に手打ちにされようとしていた叶の前に、自分にやらせて欲しいと煌が現れたのだ。
王の許可を受け、煌が剣を振るう。
これで叶は死んだと言う煌だが、その剣は彼の額を切りつけただけだった。
煌は王に叶は既に罰を受けていると進言した。
小隊の残党の手で彼の恋人は惨殺された…!
煌は王に叶の身を貰い受ける事を願った。
そして叶はこの小さな王を守るために生まれ変わったのだと気付いた。
あの時から叶は煌だけの下僕(しもべ)、彼が王になった日その傍に座すのが夢だった…
80 :
4/5:2006/12/15(金) 00:41:23 ID:???
叶は愁の気持ちがわかると言う。
みんな心の底では緑の国を築いてくれるであろう若い王(煌のこと)に希望を抱いていた。
それを突然現れた見慣れぬ皇子に取られ「さいですか」とひきさがれるか?
叶は砂牙の事が納得できないと王に直訴すると言う。
そんな事をしたらまた王の怒りに触れるかもしれない、会うのもこれが最後かもしれない…
素気なく言って去ろうとする叶に、自分の事だから自分で行くと煌も覚悟を決めた。
父の元を訪れた煌。
突然見た事もない兄に第一王位継承権を奪われ困惑していると訴える。
これは今まで煌自身を、国民をたばかっていたという事だ。
王は優しく微笑み、大人になった、その怒りはもっともだと答えた。
もっと早く話すべきだったと。
だが信仰が厚い我が国では国王であろうと神託には逆らえない。
これもみな、国の為にしたこと…
国王の話す傍ら、叶は部屋中に砂の臭気が充満している事を不審に思う。
そして王の手が、煌の肩に触れた瞬間!
王の指は砂となって崩れ落ちた。
彼は王ではなく、砂喰族だ!
王に化けた者は煌のショールにはあの忌々しい女の聖水が染み付いていると呻く。
さっき愁に抱きつかれた時についた水だ。
そしてバレたみたいだと砂牙の笑う声がする。
彼は王妃の椅子の背もたれの上にいた。
王妃は意味のわからない呟きを手に抱いた人形に話しかける。
「母上に何をした! 貴様達…一体何者なんだ!!」
81 :
5/5:2006/12/15(金) 00:45:02 ID:???
「俺だよ 煌 8年前約束したろ? 必ずまた会いに行くって…!」
砂牙の目が、金色に光った。
砂喰族である砂牙の母は昔、人間である誘王と道ならぬ恋に落ちた。
そしてくしくも煌と同じ日に産まれたのが、砂牙だった。
彼らは異母兄弟という事になる。
けれど砂人と人との恋愛は死罪、御法度。
事の重大さに気付いた王はその存在を命取りに思い、信じて待っていた彼らに刺客を放った。
砂牙の目前で無惨に殺された母。
命からがら逃げ延びた砂牙がやっとの思いで辿り着いた時王国。
だが、楽しそうに過ごす誘王、麗王妃、煌皇子の姿。
そこに彼の居場所などあるわけもなく…砂喰族とバレて囚人の行く地下刑場"黄泉"でドレイにされた…
手を直しながら、誘王に化けていた者もまた語る。
砂喰族の王たる砂樹羅、黄泉から砂牙を救い出し「人間共に復讐したい」という彼に協力しているのだと。
人の国を得るのは長年の夢であった事だし…
本物の父の行方を尋ねる煌に、その死体を晒してみせる砂牙。
叶が背中の長刀を向けて砂牙に切りかかるが…彼の動きの方が、速かった。
お前の選んだ運命…シェラフィータの言葉。
「煌…皇子 この額の傷にかけて…
久遠の時を地獄の業火で焼かれようと 時の…王たるあなたを守護し… あなたと供に光の王国を…!」
言葉も出ない煌に最後の力で縋る叶に、砂牙はとどめをさした。
彼自身の長剣が、その背に…墓標のように突き刺さる…!
砂礫王国 第2話 "叶"/おわり
え… 展開早杉
そりゃ短期連載だからな
にしても、2人の女に同時期に子供産ませる王様がどうなの
それとも砂人は人間とは胎内期間が違うのか
あーん叶さまが死んだ!
この作者は献身的に仕える従者とか好きなのかな
カインシリーズといい、そんな感じだね。
短期ってことは怒涛の展開続きになりそうだな。
87 :
1/5:2006/12/17(日) 00:39:15 ID:???
第3話 "愁(ウレイ)"
これがこの国一の剣士とは笑わせる。
叶を殺した上に死者を冒涜する言動をした砂牙に怒りのまま切りつける煌。
だが何故か砂牙は避けることもなく、笑いながらその刃を受けた。
未だ誘王に化けたままの砂樹羅が衛兵を呼んだ。
煌皇子の反逆だ!
叶と供に砂牙皇子の王位を狙い暗殺を企てたため、反逆罪で牢へ繋げと命じる。
煌は砂牙はニセ者だと言うが、"王"の命令を不審に思うものはいない。
心配された砂牙は殊勝な顔で「ショックだ」と発言している。
反逆者…叶の屍は砂漠へ捨て、砂鬼のエサにしろと王の命が下る。
連行される煌は、涙を流しながらきっと砂牙を殺してやると誓い叫んだ。
父と母と…叶のために…!
鎖につながれた煌を見下ろし砂牙が笑う。
これから煌は地下刑場"黄泉"に送られるという。
陽の全くささない地下で荒くれた罪人供にけられ、なじられ…
地下用水の発掘や石切り場の重労働、逃げようにも掘っても掘っても砂ばかり。
熱病や飢餓で弱いやつからバタバタ死んでゆく。
そこで憎み続ければいい、8年間砂牙がそうしたように。
味わった事のない屈辱で眠れない日々を過ごせばいい。
そういえば水の女神が宿ったという娘はお前のG.F(おんな)なのだろうと確認する砂牙。
彼自身は怖くはないのだが、砂樹羅が殺せとうるさいらしい。
愁に手をだすなという煌に、今のお前は皇子でも何でもないただの罪人のガキだと笑う砂牙。
運がよければまた会えるかもしれないが。
その時こそ、8年間待ち望んだ時がやってくるのだ。
88 :
2/5:2006/12/17(日) 00:43:38 ID:???
水の女神シェラフィータに祈りを捧げる愁。
もし本当に自分の体に宿っているのなら願いを聞いて欲しい。
煌を助けて欲しい…!
叶が処刑され、煌までが反逆罪に問われているなど信じられない。何かの間違いだ。
煌を助けてくださったら、この身を一生神道にささげる。
いつか煌が他の人と結ばれても、つらくてもつらくても、この国の巫女として見守り続ける。
だから…!
その時、とてつもない砂の邪気と共に天上巫女の悲鳴が響いた。
愁いが顔を出すと、神殿は魔物に襲われ無惨な姿をさらしていた。
魔物は愁の姿を見つける。
1番強い水のにおい、水の娘。あいつを殺れ!
襲い掛かる砂鬼だったが、彼らは愁に触れる事もかなわず崩れ落ちた。
ききしにまさるジャジャ馬、下級の砂鬼ではさわれもしない。
砂樹羅が恐れるわけだ、だが同じ手は食わないと言いながら現れたのは…半分は人間の、砂牙。
地下刑場、黄泉――連行されていく煌。
内部では今度来る罪人は皇子だという噂が流れていた。
蹴り入れられた煌に、歓迎したように笑う男。
ここの連中は貴族だの何だのがだ嫌いな連中ばかり。
年や種族、ましてや身分なんて関係ない無法地帯。文字通り、黄泉なのだから。
散々嫌がらせを受ける煌。
だが連日の重労働でやせこけてはいるが目はギラギラしていると罪人達は評する。
生意気だから、思い知らせてやろうか…
彼らは煌の食事を奪い、下劣なモノは口に合わないだろうと泥水を浴びせる。
煌はフォークを使って反撃に出た。
砂牙を殺すまで死ぬわけにはいかない、そのためならたとえパン1個でも、人を殺しても生きてやる!
その態度に、殺せと憤る罪人達…!
89 :
3/5:2006/12/17(日) 00:50:30 ID:???
だが煌が黄泉に連れて来られた時に初めに会った男が、彼を殴った。
甘ったれるな、自分の身1つ守れないくせにと。
悔しさに呻く煌を、顔を見てるとメシがまずくなると連れて行かせる男。名は轢(キシル)。
仲間はどういう風の吹き回しかと尋ねた。
今、あいつが殺られるのを助けただろうと。
轢は黙ってブタのエサでも喰ってろと突き放した。
ベッドで眠る煌の元に、砂竜の子供が近付いてきた。
よくこんな地下までこれたものだと手を出す煌。
傷だらけのその砂竜はそうとうイタズラ者なのだろうか。
誰かを思い出す…撫でる煌になつく砂竜。
そこへ現れた轢が、魔物を手なずけるとは大したものだと言った。
砂竜は魔物の中でも1番頭がいい。
人の言葉がわかり、1度主人と決めた者の命令は絶対聞くのだそうだ。
轢は噂は聞いたが真実を教えてくれと煌に問う。
叶は何故死んだのか?
轢と叶は同じ道場で競った仲だった。
殺したって死ぬような奴じゃないと叶を評する轢。
煌は叶の事を思い出す。
国事に追われ息子を顧みない両親、だが叶はいつだってそばにいてくれた。
背中の黒い十字の兆件、誰よりも強くて憧れだった。
煌を心から信じ、誇りにしてくれていた。
だから許せない。父を、叶を無惨に殺し汚名を着せ、愁や母までも手中に収めている奴らが。
砂を喰らっても生き延びてここから逃げてやると誓う煌。
砂牙を切り裂くまでは死なない!
90 :
4/5:2006/12/17(日) 00:54:50 ID:???
轢は危険だが抜け出す方法がないわけじゃないと言って煌を案内する。
それは通風口、あの砂流はここから侵入したのだろう。
小さすぎて轢達には無理だが、煌なら這い上がっていけない事はないだろう。
だがここは砂漠の地下深く。地上まで何百…いや、何kmあるかわからない。
もちろん手すりもないそこを、手と足で1歩1歩登らねばならない。力尽きて落ちればおだぶつだ。
万が一地上に出られても、時の国までは大人でも6日はかかる。
しかも砂漠で飲まず食わず、自分ならばやらないと言う轢。
だが他の道はない。煌は実行する事を選ぶ。
そして砂竜に自分のピアスを愁宛てに託した。言葉がわかるのなら…
水の女神に守られた娘に砂樹羅は触れられないはずだから、多分どこかに捕えられているはず。
砂竜は心得たように先に旅立って行った。
轢は煌を待たせ、庚と言う人物に紙巻3本で例のモノを要求する。
そのうち役に立つかもしれないと煌に渡されたそれは、爆薬…! それから、刀。
どこからそんな物をと問う煌にいつまでも大人しくはしていないという事だと答えが返る。
礼を言って旅立とうとする煌に、砂牙の事を語る轢。
無表情なガキ、どんな目にあっても声1つたてやしない。手強い。
煌のようにチヤホヤされて育った奴にはわかるまいが、砂牙には熱くなる物がない。
とっくの昔に心が凍っている。孤独に慣れてしまっている…
今度会う時は地上で、とだけ別れを告げた轢を後に、煌は旅立った。
かれこれ30分はのぼったのに日の光さえ見えない。
全部の爪がやられて死ぬほど痛い。手の感覚もなくなって力が入らなくなってきた。
だがこんな所で死ぬわけにはいかない。砂樹羅と、砂牙を殺すまで。愁を助けるまで…!
そして…光…!
衛兵に砂牙の行方を尋ねる誘王…に化けた砂樹羅。彼は外の様子を見てくると言っていたらしい。
さらに姫巫女の様子を確認する王に、相変わらずふさぎ込んでいると衛兵は答えた。
91 :
5/5:2006/12/17(日) 01:07:12 ID:???
煌が黄泉に落とされ、神殿がおそわれ、何故自分がこんな所に閉じ込められているのか。
落ち込む愁の元に、邪気を感じない砂竜の子供が訪ねてくる。その足には、煌のピアスが…!
お礼を言って砂竜に水の洗礼を施す愁。
この印は砂族の呪縛から解放された証、もう私達と同じ水の子供、自由なのだと。
煌が生きている事を確信した愁は、ただ涙を流した。
砂牙は、客と揉め事を起こした商売女の場に出くわし、その容貌を目にして驚く…砂喰族の少女…?
彼女の客として入った砂牙は、その少女が誰かに似ていると思っていた。
砂人かという砂牙の問いに、曾祖母あたりにいたらしいと答える少女。おかげで時々自分みたいなのが生まれる。
母親が全財産なげうって洗礼を受けさせてくれたのだが外見までは変わらない。
だからこんな商売しかできないのだ。
それに少しならば人の心が読める、うまく化けてはいるがあんたも砂人だろうと言われうろたえる砂牙。
伝わってくる、悲しい物や冷たい物でいっぱいの心…
少女の様子に、母に似ているのだと思い至る砂牙。
きっと父が迎えに来てくれる、"煌"という兄弟もいるのだと笑っていた母。
だが王令により処刑人が現れた。そんなはずはないとうろたえる母を連れ逃げる砂牙。
『砂人よ 冥府をはいずる死屍人となりはてよ!』
逃げ切ったと思った砂牙が見たのは、首が落とされ、砂となって消えた母の姿。
砂人は死ねば亡骸すら残らず、神に忌み嫌われたかのように弔うことすら許されない。ただ砂に還るだけ…
頭を抱える砂牙に優しく口づける少女。こんな慰め方しか知らないと、体を重ねる。
全てが終わったら、砂のない国に一緒へ行こうと約束するふたり。
行けなかった、果てしなく遠く…恋のように焦がれ求め続けた緑と木漏れ陽の国へ…
斧で鎖を切り落とした煌の元へ馬車が通りかかる。
うまい具合に王都まで連れて行ってもらえることになったようだ。
明日は水の精霊祭、国をあげての王の即位式。新しい王の顔を拝んだ事があるかと馬車の男は陽気に問う。
「…ああ あるよ よく知ってる」
第3話 "愁"/おわり
92 :
訂正:2006/12/17(日) 01:45:04 ID:???
砂のない国ってあるんだろうか
こういう話は父親が頭にくる
この話ではもう死んでしまったが
95 :
訂正:2006/12/17(日) 12:50:26 ID:???
キラがキシルの質問には答えていない件
愁の話にしては目立ってなかったな
ヒロインカワイソス
あげ
4回で終わりってことは次回でラストかー早いね、やっぱ
なんか危険なフラグ立ってる感じだけど
砂喰族の少女に期待
砂牙は初めてだったのかそうか
102 :
1/5:2006/12/19(火) 00:30:50 ID:???
第4話 "砂牙(サガ)"
愁の周りに砂の結界陣を張る砂樹羅。
目覚めた彼女は既にシェラフィータとなっており、砂樹羅と皮肉気な挨拶を交わす。
また生きて会えるなんて、と言いたいところだがそうでもないようだと…
その言葉で砂樹羅は、彼女はシェラフィータの宿った女というよりは彼女の生まれ変わりなのだと気付く。
この様な事態でなければ目覚めの日も来ず、平凡な少女として生きられたものを。
高くつくとシェラフィータは薄笑う。
国民の目があるから、結界の中だが精霊祭には出席するよう言い残し、砂樹羅は去って行った。
砂牙はシェラフィータに煌が生きている事を確認する。
彼女は砂牙を可哀相な子だと言う。
思い出してみるがいい、お前の母を殺した男を。
その男は時の王国人にあるまじき忌み言葉をとなえなかったか?
だが彼女の真意が理解できない砂牙は、自分は可哀相なんかではないと怒ってその場を去ってしまう。
木陰に潜み、通りかかった女性を気絶させて衣装を奪う者がある。
時の王国第36代国王の戴冠式。
だがまさに王冠を賜ろうとしたその瞬間、それは切って落とされた。
誘王に刃を向けるのは…女性の衣装を纏っていた、煌だ。
騒がしくなる場に煌は宣言する。
「我は偉大なる父王の名において告発する! 父の姿をした砂の魔物と父殺しの皇子よ!
この王国はお前等の手にはわたさない!!」
向かっていこうとした衛兵を、砂牙が止める。
「めでたい日に正装じゃなくて悪いな お兄ちゃん」
「おそいぜ煌 招待した覚えはねーけどなあ」
103 :
2/5:2006/12/19(火) 00:34:20 ID:???
煌は手にしたものを示して見せた。
黄泉には地下用水路の発掘作業があった。
その、作業用の爆薬を仲間の男がくれた。
小さい頃、よく城の地下にある水をせき止めてある用水路で遊んで叱られたことのある煌。
示したものは、その大岩にかけた爆薬のスイッチ。
それがどうしたのかと強がる砂牙に、煌がスイッチを押す!
響く音に、何事かと騒ぐ民と、自らの呪縛を解いておくれと想うシェラフィータ。
そして、大広間に大量の水が流れ込む!
砂牙は寸でのところでそれを避けるが、直撃した砂だった兵が溶けていく。
シェラフィータと、王妃の呪縛が解ける。
王妃は煌の姿を認めるが…次に、恐ろしいものを見た。
大きな魔物…それは砂樹羅…?
水を浴び、誰も見るなと呻く砂樹羅。
シェラフィータがそれを、今の砂樹羅の本当の姿だと言う。
砂樹羅は300年前この時の王国の王だった男。
ところが禁断の魔導書(グリモワール)の封印を解き城となった。
城はシェラフィータの力を借り、死闘の末彼を追放したのだ。
だが砂樹羅は自分を追い出した国民に復讐せんがため、
自らの肉体を砂鬼に食ませ、その体を生贄にささげ彼らと同化した。
魂を砂の悪霊へ売り渡し大いなる魔力を得た砂樹羅は、新たな国を作るべく時の王国の死せる人々の魂を揺り起こす。
ある者は砂鬼へ、ある者は砂喰族たる人型へ生まれ変わらせ、支配し、人の王国を次々と砂に沈めた。
だから砂樹羅が死ねば、砂喰族はその魔力と供に砂に還るだろう。
そして砂樹羅は誘王と砂人との禁断の恋に目をつけた。
王に母を殺された砂牙の憎しみを利用し、再び時の王国を手に入れようと企んだ…!
104 :
3/5:2006/12/19(火) 00:36:18 ID:???
だがそれは違うと麗王妃が否定する。
誘王は彼女が止めるのも聞かず、自分の責任において砂の母子を引き取ると言い張ったのだと。
けれどその矢先、母子は何者かに襲われたことがわかり、とても悲しんでいた…
そんなのは嘘だ、ならば母を殺したのは? うろたえる砂牙。
そこに、砂樹羅が叫んだ。
「だまれ! 下民ども 身のほど知らずな… 冥府をはいずる死屍人となりはてよ」
その言葉、母を殺した処刑人と同じもの。まさか…
砂牙の母を殺したのは、砂樹羅なのか。
砂牙を利用するために。
嘘だろうと叫ぶ砂牙を、用済みだと切り捨てる砂樹羅。
その触手が、砂牙の体を貫く…
砂樹羅は次に煌へと矛先を向けるが、その時何者かが煌を庇って砂樹羅に水を浴びせた。
それは、あの時地下に来ていた砂竜。
煌を背に乗せて運ぶ彼…
『私はあなたを守護するもの…!
この額の傷にかけて たとえ何度生まれかわろうとも…!』
まさか、叶…!?
気付いた煌は愛おしさに竜の首を抱きしめる。
叶に導かれ、砂樹羅へ向かっていく煌。
だが砂樹羅の力のほうがわずかに強く、押され気味だ。
砂樹羅の攻撃が煌に向かったその時…砂樹羅を背後から突き刺す、砂牙の刃…!
自分が死ねばお前ら砂喰族も砂に消えると呻く砂樹羅。
105 :
4/5:2006/12/19(火) 00:38:26 ID:???
「よくも…! 俺の8年間を!! 俺のすべてを!!
俺の母さんを…父上を…! 兄弟を!!」
血を流し慟哭する砂牙に何かを想う煌。
砂牙は煌に首を狙うように言う。
本体である東部を切り落とせ!
「悪霊よ!! 地に堕ちよ!」
そして砂樹羅は…砂になって消えていった。
愁は自分の意識が戻った事、額の水の印が消えている事に気付いてシェラフィータが天に戻ったのだと思った。
そして彼女を呼ぶ煌に、涙を流して抱きつく。
その時、煌は砂牙の姿をみつけた。
砂となって消えなかった…半分の人の血が勝ったのだろうか?
彼を許せると言えばウソになる、だがもし自分が砂牙の立場だったらやはりすべてを憎んで同じ事をしただろう。
煌は砂牙に、これから自分とこの国を立て直す責任があると言う。それが償いだと。
砂牙はただ呟く。
小さい頃から1人ぼっちだったから、母から兄弟がいると聞いて嬉しかったのだと。
8年前煌と会った時は何も知らない子供だった。
ただ一緒に遊びたかった、それだけだった。
そして触れ合ったふたりの手…砂牙は…砂へと、還っていった…
まだ何も終わっても、始まってもいないのに…!
煌はその場に膝を落とした。
砂牙と関係をもった少女は何かを感じて外へ飛び出した。
足元に風が纏わりつき、悟った彼女は涙を零す。
うそつきだ、一緒に行こうと、連れて行ってくれると言っていたのに…
そして彼女は、その胎内に何かを感じた…
106 :
5/5:2006/12/19(火) 00:41:48 ID:???
行こう…僕らは一緒に行こう
緑と木漏れ陽の王国に きっといつかたどりつく あのなつかしい日々…
そこで いつまでもいつまでも 僕らはみんなで遊ぶんだ…
「用意はいいかいおてんば王妃」
「ええ 前科者の国王陛下」
数年後、国王となっていた煌と愁の結婚式。
時の武勇王である煌に国民の喜びと祝福の声があがる。
ちなみに叶は退屈そうに城の上であくびをしている。
愁は子供から花束を受け取った。
その子は煌に、いつかあの砂竜に乗せてほしいと頼む。
今度城に遊びに来るといい、と優しく声をかける煌…
本当かと笑う少年の、砂喰族の特徴を残した姿に砂牙を思い出す煌。
雷砂(ライサ)という名の少年を、母が呼ぶ。
微笑んで会釈をする、同じく砂喰族の面影のある女性。
煌と愁はその幸せそうな母子の姿に何かを感じた…
森羅万象…久遠の時を…
めぐりめぐり また再びたどりつく
砂と水の神話を紡ぎ 笑いさざめく子供達の王国に
僕らは…いつか必ずたどりつけるだろう
107 :
訂正:2006/12/19(火) 01:08:22 ID:???
>>103 下から9行目
×城となった ○邪王となった
うおーすげえ大団円だー
>>94で「頭にくる」とか言って
すまんかった、誘王…
叶は砂竜に乗りうつったのか?
死んだの数日前だし、生まれ変わりじゃないよな。
この話のちょっと変わった名前がなんか好き。
死体を砂鬼に食ませろって描写があったから、そのまま砂竜に生まれかわったんじゃ?
時の王国で死んだ人の魂が、砂樹羅によって砂の生き物に生まれ変わらせられてたらしいし、
砂樹羅本人も砂鬼に自分の体を食わせることであんな魔物になっちゃったみたいだし
そう考えると叶は喰われたのか。思いつきもしなかった
砂牙の消えた後の笑顔1カットがいい笑顔過ぎて切ない
宣言遅くなりましたが、以降は楽屋裏としてお使いくださいませ
長い間、稚拙な文章にて時間も遅れがちでご迷惑をおかけいたしました
お付き合いいただいた方々には感謝しております
本当にありがとうございました
>>113 丁寧なあらすじ、乙でした!
自分は天禁後半からの参加でしたが、懐かしくて楽しかった。
砂礫王国も好きな作品なので、やってくれて嬉しかったよ。
ありがとう!
乙です。
砂礫の
>「用意はいいかいおてんば王妃」
>「ええ 前科者の国王陛下」
あたりはコミックスで描き足された分だよね。あと庚も本誌ではいなかった。
あらすじ乙でした!
原作読み返さなくても、充分細かいところまで思い出せたよ。
楽しかったです。
お疲れさまでした。ある意味よくわかんない由貴作品をわかりやすく伝えられる才能に敬意を表します。
それから4スレ、ここまで生き残った読者の皆様、
すっかり変態に染まっておられると思いますが、今後もどうぞ精進なさってください。
118 :
マロン名無しさん:2006/12/23(土) 02:22:09 ID:fN2y/CV5
乙でした。楽しかったよ。
>>115 そうなんだー。初耳で驚き。
由貴タンって初コミックスのときから描き下ろし(クレオのやつ)してたから
初期作品にも描き足し多いのかな、とは思ってたけど。
自分も知らんかった
詰め込みまくってるって柱でも書いてたしなあ
個人的には最終回に轢が出なかったのが残念なので、彼のシーンを付け足してほしかったなあとか
ページ配分ができない人が長編かくとgdgdになる
当時は雑誌の切り抜きも持ってたんだけどな。コミックスと違ったから。
どっかいっちゃった。
由貴タンの場合はページ配分の問題ではないような気もするが…
ルシアレ読みてぇ
最終回まで山場を持ってくるスタイルは好きだよ。
ページ配分云々は置いといて、捻じ込む力はあると思う。
最近の少女漫画って連載終盤は後日談ばっかりだから
由貴タンにはこのスタイルのままでいて欲しいな。
天禁はちゃんとまともなエンディングだったから
よかったよ。
不幸エンドの方がいいとかは好みの問題だし。
126 :
【豚】 【1438円】 :2007/01/01(月) 10:08:57 ID:tB4gQ4gV
ほしゅあげ
人が居なそうだから気ままに質問。みんな教えて。↓
【知ったきっかけ】
【好きなキャラ】
【好きな○○編】
【好きなシーン】
【驚いたシーン】
【泣いたシーン】
【裏話教えて】
【ユキの他漫画も読んでる?】
読んでないので答えられないのです
じゃあ暇つぶしに投下。
【知ったきっかけ】友人から借りた。
【好きなキャラ】ロシエルと加藤
【好きな○○編】神性界編
【好きなシーン】加藤の死。タバコ吸って泣いてるのが何とも。
【驚いたシーン】予告編にはいろんな意味で驚いた
【泣いたシーン】20巻ロシエル大暴れ、中空回廊が沈むところ
【裏話教えて】最終回のネーム?は2つ存在してた
【ユキの他漫画も読んでる?】ほとんど持ってる
【知ったきっかけ】花ゆめの予告
【好きなキャラ】ウリエル、ドール、ティアイエル、アレク
【好きな○○編】決められない
【好きなシーン】僕って美しい? とかロシエルの狂気満開のシーン
【驚いたシーン】アラクネが裏切っていたことが判明したシーン
【泣いたシーン】意外にも「なし」
【裏話教えて】 うーん。
【ユキの他漫画も読んでる?】単行本になったものは全て持っている。単行本になっていない初期の由貴たん変態修行中時代も雑誌で読んでいる(はず)。
>>130 ちょっと裏山
もっと早く出会って雑誌とコミックスを読み比べしたかったなー
あと書き直しがあった部分の雑誌が捨てられない自分・・・
>>129 ロシエル大暴れww
【知ったきっかけ】母親から
【好きなキャラ】ロシエル、キリエ、セラフィタ、メタトロン、サンダルフォン、アスモデウス、アスタロス兄妹
【好きな○○編】至高天・創造界編
【好きなシーン】ジブリールとセヴィーの裁判シーン、ロシエルがアレクの体を奪うシーン(単行本14巻)
【驚いたシーン】セヴィーの正体
【泣いたシーン】カタンの首を刎ねた後の、正気に戻ったロシエルの一人語り
【裏話教えて】ごめん分からん
【ユキの他漫画も読んでる?】大好き!
>【知ったきっかけ】母親から
ここに衝撃www身近に語れる人がいていいな
うむ
ロッシー大好き
って言ったら変態漫画のド変態キャラを好きになるなんてお前もry
って笑われた思い出ナツカシス
そう言われて名誉と思えば真の変態。
...
ほしゅ