銀河系の遥か彼方、地球から6万光年の距離に惑星Ziと呼ばれる星がある。
長い戦いの歴史を持つこの星であったが、その戦乱も終わり、
平和な時代が訪れた。しかし、その星に住む人と、巨大なメカ生体ゾイドの
おりなすドラマはまだまだ続く。
平和な時代を記した物語。過去の戦争の時代を記した物語。そして未来の物語。
そこには数々のバトルストーリーが確かに存在した。
歴史の狭間に消えた物語達が本当にあった事なのか、確かめる術はないに等しい。
されど語り部達はただ語るのみ。
故に、真実か否かはこれを読む貴方が決める事である。
過去に埋没した物語達や、ルールは
>>2-5辺りに記される
ルール
ゾイドに関係する物語なら、アニメや漫画、バトスト等何を題材にしても良いです。
時間軸及び世界情勢に制約は有りません。自由で柔軟な発想の作品をお待ちしています。
例外的に18禁描写はご遠慮下さい。
鯖負担の軽減として【450〜470Kb】で次のスレを用意する事。
投稿された物語の感想等も大歓迎です。
ヴォルフ「これが定めさ。知りながらも突き進んだ道だろ!
正義と信じ、分からぬと逃げ、知らず!聞かず! その果ての終局だ!
もはや止める術などない!そして滅ぶ、人は! 滅ぶべくしてなァ!」.
レイ「そんなこと!そんな、貴男の理屈!」
ヴォルフ「それが人だよ、レイ・グレック!」
レイ「違うっ! 人は、人は、そんなものじゃない!」
ヴォルフ「ハッ!なにが違う!何故ちがう!この憎しみの目と心と、
引き金を引く指しか持たぬものたちの世界で、なにを信じ、なぜ信じる!?」.
レイ「それしか知らない男がッー!」.
ヴォルフ「知らぬさ!しょせん人は己の知ることしか知らぬ!
まだ苦しみたいか!いつか…やがていつかはと!そんな甘い毒に踊らされ、
いったいどれほどの時を戦い続けてきた!?」.
レイ「そんな理屈!」
ヴォルフ「人が数多もつ予言の日だ!」
レイ「そんなこと!」
ヴォルフ「それだけの業、重ねてきたのは誰だーッ!」
>>5 ヴォルフのキャラがおかしいぞw だが激しくワロタ。
トーマス「ヘリック、ローザ、君達はこの扉の向うにあるものを 手に入れる権利がある。」
扉に向かうヘリック、ローザの2人。
「おめでとう」「おめでとう」「おめでとう」「退院おめでとう」 次々と掛けられる言葉。
ゼネバス「なんじゃこれ!?」
トーマス「君はまだだめだ、婦長お願いします」 婦長に連れて行かれるゼネバス。
エコー「うわっ!!」
トーマス「コラ研修生、勝手に入ってきちゃダメだろ」
エコー「コレって彼等が作ったんですよね?」
トーマス「そう。コレが彼等の作り出した世界、惑星Zi」
目の前には恐竜型や動物型のロボットが戦うジオラマがある。
トーマス「自分達の世界を作ることで良い方向に向かって欲しかったんだ グループによる試みには不安があったけどね。」
エコー「すごいですね」
トーマス「最初は名も無き戦争から始まった世界が少しづつ設定が増え、 ついにはこんな大きな世界になった。そしてこの世界で彼等は永延に架空の 戦争を演じていたんだ」
病院を退院して去っていくヘリック、ローザの2人。
トーマス「2人ともまってくれ!」
ヘリック、ローザ「?」
貯金通帳を渡すトーマス。 「社会に出たら色々入り用だろ?いいから使ってくれ」 遠慮する2人だが結局受け取り、去っていった。
エコー「見ましたよ先輩。ただがめつく貯めていたわけじゃないんすね」
トーマス「ひやかすなよ・・」
去っていく2人を見ながらトーマスは心の底からそれを願った。 「2人に幸あれ」
海にきた2人。 僕達の住んでいた世界は大きかったけれど、その外にはもっと大きな 世界があって、この海の向うにはもっともっと大きな世界が広がっているんだ。
>>5 ちなみに、クルーゼとキラ…じゃなくてヴォルフとレイが搭乗している機体は何ですか?
ゼロフェニとエナジー
その後ファルコンが飛んできてガターイでエナジーアボーン
ZACXXXX年、ヘリック共和国とガイロス帝国の争いが表面化。
本格的武力衝突へと発展した。
ガイロス帝国のオリハルコン製ゾイドに苦戦を強いられた共和国は、新技術を
組み込んだ新型ライオン型ゾイド5機を開発。
しかし最終テストを前に5機のうち4機を強奪されてしまう。
共和国に残された新型機は高速、格闘、砲撃の3タイプの武装を使い分ける
ことでどんな戦況でも対応できるライガーゼロ1機のみ。
4対1の熾烈な戦いが今始まる!!!!
悪魔の遺伝子オープニングテーマ(と言ってもモロに“鉄人28号”の替え歌ですorz)
ブルーシティーに ギャオーン ゾイドロードに ギャオーン
ダダダダダーンと 弾が来る バババババーンと 破裂する
ドドドと駆けてく ゴジュラス ギガカンウ
ある時は 賞金稼ぎ ある時は Ziファイター
何をするかは マリン次第 カンウ カンウ どこへ行く
ドドドと駆けてく ゴジュラス ギガカンウ
ブルーシティーに ギャオーン ゾイドロードに ギャオーン
ダダダダダーンと 弾が来る バババババーンと 破裂する
ドドドと駆けてく ゴジュラス ギガカンウ
手を握れ ゾイドバトルだ 叩き潰せ 対戦相手
敵に渡すな バトルの賞金
カンウ カンウ はやくゆけ
ドドドと駆けてく ゴジュラス ギガカンウ
エンディングテーマ(これはもろ“進め正太郎”の替え歌orz)
進め! 進め! 陸へ海へ 進め! 進め! チャンスだぞ
カンウ 私に 付いてこい
力あわせ ギャオッと進め!
私はマリン=バイス 負ける物か
いそげ! いそげ! S・O・S いそげ! いそげ! ピンチだぞ
カンウ 私が ついてるぞ
力あわせ ギャオッと進め! 私はマリン=バイス 負ける物か
私達は仲間だ マリン=バイス進め!
「奴等…本当に酷い事しやがるな…。」
「うん…何もここまでしなくても良いのにね…。」
マリンとルナリスはタイガタウンの近くの山の頂上で食事の準備をしながら、焦土と化した元タイガ
タウンの辺りを見つめていた。かつてタイガタウンのあった焦土からは今だに火や煙が上がっており、
さらに別所から駆け付けてきたと思われる治安維持部隊などが生存者等の調査などを行っており、それがさらに彼女等にズィーアームズへの怒りを募らせるのであった。
「やはりズィーアームズにはその報いを受けてもらわないと死んだタイガタウンの人達が浮かばれ
無いだろうな…。確かにズィーアームズをどうかした所で死んだ人が生き返るワケでは無いが…、
それでもズィーアームズには報いという物を受けるべきだと思う。“法の裁き”と言う名の報いをな…。」
「そうだねルナリスちゃん。」
「ちゃん付けするな!」
鍋の中の具ををかき回しながら例の言葉を言ったマリンはやはり例のごとくルナリスの鉄拳制裁を
受けていた。もちろん2人のその行為はいつもの事なので、後に引きずる事も無く、再びタイガタウンのあった場所を見下ろしていた。
「せめて…線香でも焚こうか…。」
そう言ったマリンは服の袖から線香を取り出し、火を付けたのであった。そして、手を合わせ、
目を瞑った後にお経を唱え始めたのだ。発音などがかなり難しそうなお経を空でスラスラと唱えて行くマリンの姿にルナリスは驚いた顔をしていた。
「お前…お経とか出来たのか?」
「まあね…。伊達に和尚さんからの教えは受けて無いよ。」
「…………。」
そして、ルナリスもマリンに習い、タイガタウンのあった方向へ向けて手を合わせるのであった。
時は同じくして、ズィーアームズの超巨大飛行要塞ハイGホエールの格納庫にブラストルタイガーとブロイの姿があった。
「畜生!何だったんだあのガキは!!しかもブラストルタイガーの機能も停止するし…それにしてもあの声は何だったんだ?」
ブロイは壁を乱暴に殴りつけてその様に愚痴っていたが、そんな彼にズィーアームズの科学者、ドクタードボルクが近付いて来たのだった。
「ご機嫌ななめの様じゃな?何かあったのか?フェッフェッフェ!」
「ドクタードボルク!今すぐにブラストルタイガーを調べてくれ!さっきの戦闘中、急に動かなくなりやがったんだ!!」
「ホゥ〜…。ならばワシに見せてみぃ…。」
ドクタードボルクはブラストルタイガーのコックピット内に乗り込み、コンピューターなどを調べ始めた。
「ほうほう…なるほど…そう言うワケかの〜…。」
ドボルクがそのヨボヨボした身体からは想像も出来ない程の速度でキーボードを操作していた時、ブロイが顔を出してきた。
「ドボルク爺さんよぉ!!一体どうしたんだぁ!?」
「まあせくで無い!簡単に言えばゾイド制御プログラムが完全では無かった事じゃな。後ワシに任せてお前はゆっくり休むが良い!」
「本当かぁ?とにかく早い所頼むぜ!」
ブロイは疑問深そうな顔をしていたが、そのままブラストルタイガーを後にしてそのまま去って
行った。無論ドボルクはブラストルタイガーに残り、コンピューターを操作していた。
「やはりあの制御プログラムでは紅の神を完全にコントロールする事は出来なかったか…。しかしその問題も“アレ”が完成するまでの我慢じゃな…。フェッフェッフェ!」
不気味な口調で独り言を続けるドボルク。と、その後でブラストルタイガーのコンピューターに記憶されていた一つの画像が彼の目に付いたのだった。
「こ…これはぁぁ!!!」
ドボルクの目が驚いた様に見開いた。そして不気味な笑みを浮かべ始めたのだ。
「レートの奴め…あやつをまさかこんな所に逃がしていたのか…。しかも自分からこちらに飛び込んで来るとはな…。フェッフェッフェ…。」
笑うドボルクの眼前に映し込まれている画像にはまさしくチョコの姿があった。
ブロイは機嫌悪そうな口調で1人通路を歩いていた。彼からはもの凄い殺気が放たれ、すれ違う人は誰もが思わず道を避けていた。
「畜生…あのガキめ…今度あったらタダじゃおかねえぜ…。」
ブロイはチョコの事を思い出し、イライラしながら歯ぎしりをしていた。と、その時彼の前に1人の男が現れていた。それはドラゴスだった。
「どけ、若いの…。」
「そうは行かねえな…。」
ドラゴスは不敵にもブロイを睨み付けながら立ちはだかっていた。そして2人は互いににらみ合いを始めたのだ。
「今日の出撃…なぜ俺にも教えなかった?」
「どう言う事だ若いの…。」
その時ドラゴスはさらに凄い形相になって一歩踏み出した。
「しらばっくれるんじゃねえ!!お前等が襲撃した連中の中には緑の悪魔の曾孫がいたんだぞ!!」
「緑の悪魔?」
ブロイは眉を細めた。
「お前が今日襲撃した連中の中にはメタリックグリーンで塗装されたゴジュラスギガがいたはずだ。」
「そう言えばそんな奴がいた様な気がするな…。」
「そうだ!!そのギガにこそ緑の悪魔の曾孫が乗っていたんだ!!お前だって知っているはずだ!!
その昔の大戦で俺の爺ちゃんを含めてネオゼネバス帝国軍兵士を殺しまくった魔性の女の事を…。
その血を引く魔女が現代に生きているんだよ!!だから俺はこの手で奴を倒したかったんだ!!この手でぇ!!」
ドラゴスは目を充血させ、手に力を入れてプルプルと振るわせていたが、ブロイは動揺する素振りすら見せなかった。
「確かに俺も緑の悪魔の話は聞いている…。が、俺が見た奴はその様な凄い奴には見えなかったぞ…。
まあとにかくだ。そこをどいてくれないか?それに仮に奴が本当に緑の悪魔の血を引く者だったとしても、俺の眼中には無い。」
「く…。」
ドラゴスが睨み付ける中、ブロイは1人歩き去って行き、ドラゴスは舌打ちをしながら彼を見送るしか出来なかった。
一方、ドラグネスは一時着陸し、陸上を歩いて移動していた。
「紅の神…もう少し…待っていてね…。」
チョコは無表情ではあったがやや疲れた表情になっており、ゆっくりと操縦桿を前に倒した。
新スレ立てられて自分の書く分としては最初の書き込みになります。
テーマソングとか作ってみたけど余計だったかな?
余裕があるならば今までのあらすじとキャラ紹介とかも書こうと思っています。
もしかしたらフューザーズ効果(?)で新しく入って来る人がいるかもしれませんし。
>>5 種の最終決戦ネタワロわせてもらいました。にしてもキラって完全にクルーゼに言いくるめられていた
様な気がしましたね〜。その辺当時もかなり叩かれていた様な・・・。
せっかくの最後の戦いなのだから理屈を理屈で返すとか、それがどうしたーとか
漢らしい切り返し方とかしてほしかったと当時は考えていたり・・・
>>7 何か悲しげですが良い話と言う感じですね。これ読んでると何か
ドラ○もんの物語は植物人間になったの○太が見た夢だったとか言う、
今考えてみると眉唾物な話を思い出したりしました。
>>11 これも種ネタキターと言う感じでしょうか?
今日から種運命が始まるみたいですから、これからもさらに種ネタが増えそうな気が・・・
おお…また増えてる。新たなネタが。
>>5 余りにも最終回が投げっぱなしでポカーン。
実質奴を仕留めたのはジェネシスの攻撃。結局キラタン重要な事してね〜。
このネタも終わりは投げっぱなしでOKなのでしょうか?
>>7 夢落ち。何とも優美な響き…。
コアボックスの中に有る漫画板無印の上山論儲の自分はキターーーーーーーーーとか思いました。
>>11 これは…前回の物かそれとも今回の物か?一気に4機強奪なので前回だと思いますが。
それだと先の戦場で3虎辺りに乗った砂漠の虎に翻弄されそうですね。
鉄獣28号さんへ
〇ミー〇ミー〇ーミーイー…と聞えてきそうな予感(古すぎ)。
やっぱりイグアンでは航続距離が足りなかったみたいですね。チョコさんの潜入劇と成るのかそれとも?
「しかし手緩いな…奴は何か別の事を狙っているのか?」ベンハルトはざわざわと大音響だが何処か優しさの感じる葉の大合唱の中思考を巡らせる。
「!」直ぐ様その場を離れるペイルバイター。「これは…暗示術式か!」そして素早くノイズキャンセラーを起動させ葉のせせらぎを遮断する。
「あっばれた…。」ファインの目算はやはり当てが外れる。緊張感を長期的に保つのは難しい。それを利用して普通なら掛かる筈の無い術に相手をはめようとしていたのだ。
緊張の糸が切れ疲労から暗示に掛けて眠らせてしまえば後はペイルバイター本体からコアとコクピットを引き抜き残りを処分すれば終わると考えたからである。気付かれるのがかなり早かったが。
「まだやるのか?」「当然!暗示と言っても色々手が有るので後2つ3つは仕掛けるつもりでありますよ。」ベルウッドの問いに答える。「…とその前に。」今居る場所からの狙撃。
今度はペイルバイターを狙って撃つ。それに釣られてまた移動を開始するペイルバイター。それに合せて今度は音も無く移動する。
海岸線の森の中…。
「嫌な感じがしますね…。」海岸線から森林へ移動した時にリエット率いる部隊の凱龍輝のパイロットがそう呟く。「如何したの?ベルカッセ少尉?また何時もの勘かしら?」それに「そうなんですが…何時もとは何かが違うんです。」
「そう…。」リエットは考え始める。「よう!また霊感少尉の危険察知かい?」クロスはそう言うと彼もその可能性を予想し始める。霊感少尉と言われた彼女の名はセイレン=ベルカッセ。
彼のサイモン=ベルカッセの孫に当たる人物だ。祖父に敵わぬもそう言った力を生まれ付き持っているので周りから離れて居たという。セイレンの名が悪い意味で働き軍に入隊するまでは爪弾きの生活を送っていたというが?
「じゃあリック!俺達は警戒頽勢を執るぞ!」「了解!」マックスとリックは素早く部隊の外周を中心点に取り対称の位置で警戒を始める。
ディスペロウとエヴォフライヤー。それと月光4機を従えその方位を限定しようとするセイレン。「!?収束荷電粒子砲っ!!!」
その声と共にセイレンは素早く月光4機と並んで集光パネルでそれを受け止める。その威力はかなり遠くから来た物であるが威力は相当な物だった。
結果空撃ちの集光荷電粒子砲を撃たねば成らなくなりそそくさととその場から退散する一行だった。
「だあっ!?何だってんだ!あの荷電粒子砲は!?」クロスは無茶苦茶だと言いたいらしい。「そうね…あの威力をこの距離に届かせるのはゼネバス砲でも無理。だとしたら?」
「如何やら流れ弾みたいですよ?さっきのは…。」尚悪い。流れ弾でアレとなると推定拡散消滅距離が1000kmを超える。更にそれだけの威力なら周囲が焼け落ちる筈だがそれも無い。
思考を巡らすリエットにクロスがこう言う。「やっこさん…セイレンの爺様の言った技術を投入したんじゃねーか?周囲に対する反応率の悪さを見ても多分間違い無いぜ。」
リエットとセイレンの表情が青く成る。「この周辺から急速離脱!脇目も降らず2次合流地点へ向かうわよ!」リエットは叫び機体のその重苦しい外装を脱ぎ捨てさせる。
ケーニッヒウルフの背のバインダーに高機動ブースターと流線型の燃料パックが有る。「取り敢えずクロス!掴まって!貴方の機体が一番足が遅いから!早く!」「りょ〜かい!そりゃ!」
クロスのギガの両手が確りとブースターにそれにしか使い道が無い取っ手を掴む。「セイレン!次の流れ弾に備えて一気に逃げるのよ!2人は別の敵戦力に備えて援護をお願い!」「「「了解!」」」
「行くわよ!クロス!確り掴まってないと落ちるからそのつもりで!」地表近くを音速で移動できるこのブースターの威力は身を以て知っている為取っ手を掴むギガに月光2機を降ろさせる。
「ブーストファイア!!!」一筋の線になってリエットとクロスはその場を離脱した。
「残っちゃったね。」リックは別段気にしない感じでそう言う。「やっぱりお前はマイペースだよな。少尉!我々も移動しましょう。」「了解しました。」
しかし目の前にはあの轟音を聞き付けてフューチャーズリベリオンの量産ギガが立ちはだかっている。その数12機。しかしセイレンにはまた悪い予感がする。
「直ぐ離れましょう!」「「了解!」」その声に従い部隊が一歩バックステップすると…先の収束荷電粒子砲が量産ギガを貫いていた。その数4機。
「やっぱり使い勝手が悪いでありますね…第4種荷電粒子砲。」ファインは言う。この狙撃も失敗だがしかしこれの流れ弾が敵の危機を救っていたとは心にも思ってないだろう…。
その後もペイルバイターが小刻みに回避する為その場に数発のそれが飛んで来る。偶然そこに”ニ虎競食”の状況が発生し危機を脱した3人だった…。
それからドラゴスは上司の部屋へ移動していた。そして椅子にドッシリ腰掛けている年輩の上司の前にドラゴスが1人立っていたのだ。
「我が社が現時点において攻撃対象に定めているゾイテック社が作った2体の伝説古代虎型に対する次の攻撃作戦では自分も参加させて下さい!」
「ほう…君が自分からその様な事を申し出てくるとはな…。どうせ何かあるのだろう?言ってみなさい…。」
上司に心の中を読み透かされていた事に気付いたドラゴスは無言のままポケットの中から数枚の写真を取りだして上司の前に差し出した。
「この写真は何だね?」
「ゾイテックの伝説古代虎型ゾイドと行動を共にしているゾイドです。正直の所、私の目的はこの写真に写されたゾイドにあります。」
上司がドラゴスから渡された写真にはカンウの姿が写されていた。
「ほぉ…ゴジュラスギガかね…。しかし、なぜ君はこの機体を仮想敵としているのかね?ゴジュラスギガごとき我が社のデカルトドラゴンの相手ではあるまい。」
「しかしこのゴジュラスギガはただのギガではありません!あの緑の悪魔が愛機としたカンウなんですよ!!」
「なな!!緑の悪魔じゃと!!?」
その時、上司の目つきが変わり、思わず机をバンと叩いた。
「そうです!その緑の悪魔なんですよ!正確にはその曾孫ですが…。とにかく写真の2枚目を見て下さい!!」
「むむ!!」
2枚目の写真には紛れもなくマリンの姿が写し出されており、またも上司の表情が変わった。
「その写真に写されている女こそ、今のカンウに搭乗している緑の悪魔の曾孫です。」
「なんとこの娘が…。一瞬アイドルプロマイドかと思ったぞ。それにしても可愛いな…。」
ずげげげげっ
殺伐とした空気を一瞬で粉砕した上司の言葉に思わずドラゴスはすっ転んでおり、それには上司も驚いていた。
「スマンスマン!冗談じゃよ!可愛いと思ったのは本当じゃが…。とにかく…この娘が本当の緑の悪魔の曾孫であると?」
「そうです!これを見て下さい。写真の女とこの大戦時代のエースパイロット名鑑に写された大戦時代の緑の悪魔の顔なんか瓜二つと言いたい程そっくりですよ!」
「おお…確かに本当じゃ…。」
ドラゴスが写真と共に用意していたエースパイロット名鑑に紹介されていた緑の悪魔の写真を見比べた上司は納得していた。
「それにですよ!自分は念には念を押して戸席なんかも情報部に調べさせたワケですよ!そしたらやっぱりそうですよ!この女!紛れもなく緑の悪魔の曾孫だったんですよ!」
「なんと…。」
ドラゴスの力説に上司は本当に納得していた。さらにドラゴスから渡された戸席に関して書かれた書
をコピーしたと思われる証拠資料にもその様な事が書かれており、さらに上司を納得させていた。
「なるほど…とにかく君はこの緑の悪魔を倒したいと?」
その時ドラゴスは思い切り胸を叩いた。
「そうです!実際我々ゼネバス人には緑の悪魔を怨みに思っている人も多いとか…。」
「確かにそうだ。現に当時ネオゼネバスの兵士をしていたと言うこの私の親父も奴に…。」
「でしょう!!?ならば奴の相手は私に任せて下さい!!奴を押さえる事が出来れば本来の標的で
あるゾイテックの古代虎の捕獲も容易になるでしょうし、ゼネバス人の怨みも晴らせる!一石二鳥じゃないですか!」
その時、上司は机をバンと叩いて立ち上がった。
「よし!ならば君の好きなようにやりたまえ!そのシチュエーション作りに関しては私が何とかしよう。ただし…失敗は許されんぞ!」
「任せて下さい…。」
そして2人は互いに不敵な笑みを浮かべるのであった。
日も落ちた頃、マリン等は明日に備えて寝る事にしていた。タイガタウンからはなおも火の手や煙が
もくもくと上がっており、月明かりに照らされる事でそれが良く見えていた。
「ったく本当に腹立つな〜…。」
「まったくだ。」
焦土と化したタイガタウンの惨状にマリンとルナリスはまるで自分の事の様に怒っていた。
「とにかく早く寝よう…。明日のためにも…。」
「そうだね…。」
マリンとルナリスの2人は怒りを押さえ、そのまま寝静まった。
「ああ…本当に生きて帰る事なんて出来るかしら…。」
一方ラッキーは1人その様な事を考えながら横になっていた。行くとは言った物の、やはり彼女は怖くて仕方がなかったのだ。
「それに比べてタイガス君は…。」
ラッキーは眉を細めながらタイガスの方を向いた。タイガスは何も考え無しにグガーグガーと大声でいびきを掻いて眠っていたのだ。
「は〜…。」
ラッキーは深くため息を付いたが、一時して眠っていた。
そうして、皆が寝静まった後、1人起きあがり、ゼノンの方へとそろりそろりと近寄るハガネの姿があった。
「やっぱり皆にまで迷惑は掛けられない…。」
ハガネは1人でハイGホエールに乗り込むつもりであった。チョコの事が心配で、1秒でもはやく
駆け付けたいと言う気持ちもあったが、その一方で、生きて帰れる保証は決して出来ない…。
いや、生存確率など絶望的とも言える様な場所にまだ若い皆を連れていく事などは出来ないと
考えていたのだ。ハガネは大戦時代に兵器として生を受け、これまで生きてきた約100年の間、
多くの人間の“死”を見てきた。戦場で命を落とした者もいれば、戦闘のとばっちりを受けて
死んだ民間人もいた。兵士だけでは無い、老人や子供の死も大勢見てきたのだ。ハガネ自身が殺した
人間も大勢いる。だからこそハガネはマリン等に死んで欲しくは無かったのだ。
「(ふぅ…あの頃はあんなにマオちゃんを殺すことばかり考えていたと言うのに…今じゃその曾孫に
は死んで欲しく無いと考えるなんて私も変わったな…。やはり…時代と時の流れがそうさせたのだろうか…。)」
ハガネはそう考えながら1人ゼノンに乗り込んで行った。
「1人で行くなんて人形のクセに水くさいぜ!」
「んん!!?」
突然背後から聞こえた声に反応し、ハガネがゼノンごと後ろを向いた時、そこにはトランサーに乗るタイガスとラッキーがいたのだ。
「俺だってあんたと同じ伝説古代虎のパイロットなんだぜ!お前1人で行くなんて本当に水くさいぞ!白の神だってやる気になってるんだぜ!」
「しかし…。」
「しかしもあるかよ!!俺だって奴等に一泡吹かせてやりたいんだよ!!なあラッキー!!」
タイガスが後部座席に座るラッキーの方を向くと、ラッキーは複雑な表情をしていた。
「もうどうにもして下さい!!!」
ラッキーはもう完全にヤケクソになっていた。
「よしこれで決まりだな!あっちで寝てるゾイキュアには悪いが…こっちはこっちで行かせてもらうぜ!」
「それはどういう意味じゃー!!」
「!!!」
突然マリンの叫び声が聞こえ、ハガネ等は思わずビクっと身震いした。が、マリンはなおも横になっているだけだった。
「な…何だ…ただの寝言か…。」
「しかし…寝言とは言え…寝ていても例の単語に反応するとはやはりザコとは言えあなどれんな…。」
ハガネ等は横になって寝ているマリンとルナリスの方を見ながら唖然としていたが、ハガネはすぐに真顔に戻ってタイガスの方を向いた。
「言っておくけど…あんた等…死ぬかもよ…。」
「俺達を舐めるなよ…。今までだって色々と危ない橋は渡ってきたつもりだぜ…。」
タイガスの決意は崩せないと分かったハガネは一息ついた。
「フゥ!わかったよ!ついて来な!」
「よし来た!」
「みんな!とにかく生きて帰ろうね!」
それぞれの思いを胸に、ハガネ等は出発した。そして闇夜を切り裂いて2体の虎神が静かに、かつ素早く走り去っていくのであった。
その頃、ブロイはハイGホエール内部のトレーニングルームで1人サンドバックを殴りつけていた。
「畜生!畜生!あのクソガキめ!この俺があれ程までにコケにされたのは正直初めてだ!次会った時は…次会った時は…絶対ぶち殺す!!!!」
そしてブロイの怒りの込められた突きがサンドバックを突き抜け、中身の砂が床中に散乱するのであった。
「親父…今帰ったぜ!」
一方ドラゴスは1人実家に帰省していた。
「おーおー!帰ったか息子よ!会社の方はどうじゃな?」
ドラゴスを早速迎えたのは彼の父親であった。しかも父親なだけにドラゴスが老けたらこんな感じになるという顔をしていたのである。
「まあ会社については順風満帆!特に問題は無いぜ!それはそうと…親父…。」
「何だ?息子よ…。」
その時、ドラゴスは部屋の奥の仏壇に飾られた一つの遺影を見つめていた。それは大戦中に命を
落としたと言うドラゴスの祖父の遺影であり、その遺影には将校と思しき立派な軍服で身を包んだ
ドラゴスによく似たナイスミドルな叔父様的な男が敬礼をしている写真が写し出されていた。
「親父よ…、昔ネオゼネバス帝国の軍人だったって言う爺ちゃんは…本当に緑の悪魔に殺されたんだよな…。」
「そうじゃ…。その当時ワシはまだ物心も付いてはおらんかったが…とにかくワシはそう聞き及んでおる!」
「そうか!ならばその爺ちゃんの敵を討てるかもしれねえぜ…。」
「何?それはどういう事じゃ!?」
先程まで椅子に座っていたドラゴスの父は思わず立ち上がった。
>>7 ヘリックはまだしも今時のゾイダーで果たしてどれだけの人が
トーマス、エコーを知っているだろうか?
コアボも出たし金に余裕のあった奴は知っているかもしれんがね。
諸事情により今日から1日4回にペースアップする時がありますが良いですよね?
>>恐怖の亀裂作者さん
霊感を持つ人キマシタァァァ!!!
やっぱりどんなに科学が発達してもそう言うのは無くならないと言うのが良いですよね〜。
それと、ゼネバス砲より射程の長い?荷電粒子砲は一体誰の物なのでしょうか?
ちなみに現在、登場人物紹介とあらすじを新規リニューアルバージョンで作っています。
完成したら書き込む予定です。
鉄獣28号さんへ
サンドバックを破ってしまう毫腕。コワーーーー。そして旅立つ2匹の虎。
置いてけぼり!?主人公が!?
復讐鬼の方が肩透かしを喰らう寸前のな気もしますね…。
「そろそろ移動した方が…って…来ましたか。」全高の3倍もの長さの誘導砲身を持つ第4種収束荷電粒子砲を素早く解体してその場を離れるベルゼンラーヴェ。
ターゲットを敵に設定した物に接触するとその存在が実体になる理論上最高の使い勝手を持つ荷電粒子砲。しかし当の本人が使い難いと言う理由は色々有る。
先ずは完全に射撃体制を執らないと全く当たらない事。それに連射性は絶望的。最後に流れ弾が何処までも直進する事。
最後の物は流石に認識の限界と言う射程は有るがそこに到達すると…爆発すると言うしょうもない代物に成っていた。
「しょうもない言うな!折角整備班長とやらと作ったと言うに…。他の使い道も有る!そっちに期待しておけ!」「読心術はプライバシーの侵害ですよ…。」ベルウッドの行動にファインは非難の声を上げる。
「良いのか?もう来ているぞ?」目の前にペイルバイターのサイドアームが迫っている。ショックブラスターの発射が目前に迫っている状況に陥っているが焦る様な素振りを見せないファイン。発射音が12機同時に発生する。
だがその後そこには無傷の機体がそのままの状態で立っていた。
「おや?何か当たりましたか?」「ふむう…何で在ろうな?」惚けた口調で2人は言う。ペイルバイターより先行したサイドアームが虚しくショックブラスターを照射し続ける。「御忘れでありますか?」勿体ぶってファインは言いそして2人揃ってこう言う。
「「我等は森を統べし者!舞い散る木の葉すら我が意の中に有り!!!」」ベルゼンラーヴェの周辺の木々の葉と宙に舞う木の葉が風に揺れながら機体を護っている。「サイレンサー効果というのはご存じでありますか?ベンハルトさん?」
ショックブラスターは照射直後の地点では威力は全く無い為多少の距離を取る必要が有る。それを利用しサイドアームとベルゼンラーヴェの間の位置からベルゼンラーヴェ周囲までを小枝と葉で包み込んだのだ。
直接の威力を発生する振動波を阻害されてはどれだけの出力で撃とうと涼風に晒されるのと同じでしか無い。
枝達が素早く下がったと思うとその時12機のサイドアームは第4種収束荷電粒子砲の別形態ダブルレーザーハーケンに3枚に降ろされていた。
「少し前にも言いましたが…こう言う長獲物を使うのは得意中の得意なんでありますよ。」その言葉が終わると同時にサイドアームは爆散した。
折角ベルゼンラーヴェを見付ける事が出来たベンハルトとペイルバイター。しかしその代償はサイドアーム全損と割に合わない物だった。
「森を統べし者か…しかしこの程度で倒せると思うなよ。」Eボールを連射する。連射性を高める為に内包されるレーザーのエネルギーは少なめだが数で補う事にする。
「どわたたた〜〜っ!!!」弾けるEボールの数々。レーザー光を辺りに撒き散らして木々が黒焦げになる。燃え上がる炎。だが逆にそれは陽炎を起こしそれ以降のレーザーが上方に屈折するように成る。
それを見てペイルバイターは突撃を開始しベルゼンラーヴェとの距離を詰めようとする。が距離を詰めてきたのはペイルバイターのみでなくベルゼンラーヴェの方もそうしていたのだ。
一気に距離が詰まり目算を誤ったベンハルトはベルゼンラーヴェを後方に取り逃してしまう。その背後から当然の様に襲い掛かるベルゼンラーヴェ。その何も握られていない手には光が宿っている。
「何っ!?ストライクレーザークローかっ!?」そもそもライガーゼロは帝国の機体。その技術を応用していないとは言い切れないと言う事だ。ペイルバイターの尾の3連ドリル棍棒が応戦するが一足遅い。
右手の一撃がEボール発射機構を叩き割る。更に左手の一撃はペイルバイターの背部装甲に深い切り傷を刻み込む。そしてそのままアーバレストで後方に飛びさるベルゼンラーヴェ。
「ほう…これは以外だな。これ程早くあれを押し始めるとは。スケジュール調整が必要だな。」建物らしき物が何も無い空間に椅子に座って覗く男。退屈凌ぎに始めた遊戯だがその絡繰りに気付く者が多くなり過ぎた。
その為今回のこれを持って今までのサイクルから新しいサイクルへ移行しようと企んでいる。「今回は思い通りに行かないみたいですね。」男の背後に立つ女性。「ちょっと良いかな?彼処に適当にちょっかいを出してくれ。」
「ちょっかい?それなら。」女性はそう言うと何も無い暗闇に何処からか持ち出した絵を立て掛ける。「さあ。お出でなさい…ジェノホーク。」その声に答え数羽のゾイドが絵より飛び出して来る。それを見て満足した男は立ち上がる。
「これから余は大風呂敷の解れを直してくる。その間ここを頼むよ?マリエス。」その声に「仰せ付かりました。御主人様。」マリエスの周囲を8羽のジェノホークが飛ぶ。「さあ彼処に行ってらっしゃい。」
「確かに緑の悪魔本人は既にこの世の者じゃねえみたいなんだが…。その曾孫がいたんだよ!
しかも奴と同じ緑色のゴジュラスギガに乗っている。正しく奴こと2代目の緑の悪魔と言っても過言では無い!」
「ま…まさかその2代目を相手に…。」
「お!鋭いぜ親父!正しくその通りだ。曾孫とは言え、奴を倒す事が出来れば大戦中に緑の悪魔によって命を落とした全てのネオゼネバス兵士の敵が取れる!」
ドラゴスが腕に力を入れて意気揚々とそう言った時、父親の顔は何処か悲しげになった。
「息子よ…まさか本当にやるつもりなのか?いくら何でもその曾孫とやらを相手にすると言うのは…。第一緑の悪魔の血を引いているとは言え曾孫は無関係では無いのか?」
「安心しろ親父!会社の方が色々バックアップしてくれてるし、合法的に奴をなぶり殺しに出来るシチュエーションも用意してくれるそうだ!」
「いや…そう言う問題では…。」
父親がうろたえていた時、ドラゴスは一歩後ろに下がった。
「と言うワケで親父!これからまたすぐに社に戻らなくてはならねえんだ!すまんがまたな!」
「待つんじゃ息子よ!」
父親が呼び止めるも、すでにドラゴスはドアを開いて外へ出ていた。そして、父親は半開きになったドアの外を悲しげな顔でずっと眺めていた。
「何故じゃ…何故今更になって…何故今更になって敵討ちなどと…。」
そして父親はそのまま両膝を付いた。
「あああああああああああああああ!!!!!」
一晩明け、朝起きたマリンとルナリスは驚きの声を上げていた。何故ならハガネ等がそのゾイド共々姿を消していたのである。
「な…何で?何処に行ったの?」
「ま…まさか逃げられちまったとか?」
慌ただしく周囲を見回す2人だったが、その時タリスがやって来て言った。
「ハガネさん達はもう既に出発した後の様です。」
「な!!じゃあ私達も食事を済ませたら早い所出発しよう!!」
ハガネ等を追う事より、さり気なく食事の方を優先させていると言う事実は、やはり腹が減っては
戦は出来ぬと言う事を意味していた。無論早速マリンは朝食用の簡単な料理…と言ってもいくつかの
パンだが…を用意するが、それを大急ぎでがっつきながら2人はタリスの話を聞いていた。
「良いですかゾイキュアのお2人さん…。ハガネさん達はもう出発しましたが、例え2体の古代虎
でもあれだけの戦力を誇るズィーアームズに真っ向から喧嘩を売るのは正直難しいと思うのですよ。だから、貴女方には可能な限り2体の援護を行って…。」
「もうね…正直に言ってよ…私等に死ねって…。」
「つーかゾイキュアってどういう意味だ?」
2人は眉を細めており、タリスは苦笑していた。
「まあとりあえずだ!私等も言ってくるよ!」
食事を終え、その他の準備などを済ませた2人は早速それぞれのゾイドに乗り込んでいた。
「ズィーアームズのハイGホエールはここから北に行った所にあるはずです!2人の御武運をお祈りしております!」
「ああ!分かったよ!」
2人とタリスは互いに手を振り合うと、早速カンウとハーデスは北へ向けて走り出すのであった。
「いざ出発して見たものの…先行しているハガネさん達に追い付けるかな〜…。」
「それは無理だろう…。あちらは300キロくらい平気で出るからな…。まあ、ハーデスの
スラスターを全開させて飛べば追い付けるだろうが、それだとお前のカンウが置いてけぼりを食うし、
カンウを抱えて飛ぶ事が出来ない事も無いが、ハイGホエールとやらに到着した後の事も考えてエネルギーの節約をしておかいとならんし…。」
「じゃあ…やっぱり徒歩で追跡するしか無いって事ね…。」
「ああ…だが、お前はしっかりレーダーを見張ってろよ。ズィーアームズの連中がいつ刺客を送ってくるかわからんからな!」
一方その頃、北のズィーアームズ勢力圏にある超巨大飛行要塞ハイGホエールに接近する1機のゾイドの姿があった。
「曲者接近!曲者接近!直ちに撃ち落とせ!!」
ハイGホエールに接近する機体へ向けてハイGホエールから夥しい数の対空機銃が向けられ、さらに
その周囲を護衛するホエールキングからも多数のフライシザースなどが迎撃の為に出撃していた。
高高度の高さで展開される弾幕とフライシザースの大軍。しかし、ハイGホエールに接近している
と言う1機のゾイドはその絶対的な包囲網にももろともせずに、恐ろしい程までのアクロバッティングな飛行を見せ、たちまちハイGホエールの甲板上に着地した。
「紅の神…待っていてね…。」
ハイGホエールに接近した1機のゾイドはドラグネスであった。パイロットであるチョコは無表情の
まま一言そう言うと、そのままドラグネスを走らせるのであった。
『曲者が甲板に取り付いた!!直ちに迎撃しろ!!』
ハイGホエール内部ではそのようなアナウンスが響き渡り、艦内の誰もが慌ただしく走り回っていた。
「奴め…自分から来やがった…。」
ゾイド格納庫に設置されたモニターから映し出されたドラグネスの映像を見たブロイは笑みを浮かべていた。そして直ぐさまにブラストルタイガーに乗り込んだのである。
「ようし!!今すぐに出撃する!!ブラストルタイガーは行けるか!!?」
「今すぐに行けます!!」
「よっしゃ!!ブラストルタイガー出撃する!!見ていろ!!今度こそ奴を…。」
ブロイは何時にも増して力を込めて出撃した。自分のプライドを傷つけたチョコに復讐する為、リベンジの為に…。
時は同じく、ドラグネスは甲板上を走り回っていた。何とか内部に侵入できる場所を探していたので
ある。ハイGホエールは巨大であるだけに、その自らの巨体に耐えられるように相当頑丈な作りに
なっており、対空機銃ですらゴジュラス程の大きさがあった。無論それだけにイグアンであるドラグネスの武装では穴など空けられるワケも無かったのだ。
「このままじゃ…紅の神が…。」
何処か破壊できそうな場所を探してドラグネスが甲板上を走り回っている間にも上空のフライ
シザース軍団は襲いかかっていた。甲板上にいるために対空機銃からの攻撃は無いとは言え、フライシザースの群は問答無用にドラグネスへ突っ込みを掛けていたのだ。
「邪魔しないで…。」
ドラグネスはフライシザースの突撃を鮮やかにかわしつつビームガンで倒し続けていたが、いくら
倒そうともフライシザースの群は無限に沸いて出てきていたのだ。甲板上にフライシザースが山の
様に積み重なる程になってすら上空には夥しい数のフライシザースが飛び回っており、このままでは
いずれやられてしまうのは目に見えていた。チョコとしてもこんな所で無駄なエネルギーを消耗する
ワケには行かなかったのだが…、とその時彼女の頭にあるアイディアがひらめいたのだ。
「これなら…。」
チョコの操作に従い、ドラグネスは甲板上に積み重ねられたフライシザースのコアを1つに集め始め
たのだ。そして集め終わった後で一旦距離を取り、そのゾイドコアブロックを集めた物にビームガン
を撃ち込んだのだ。ドラグネスはすぐさま対空機銃の背後に隠れるが、ビームを受けたゾイドコア
ブロックは誘爆から誘爆を繰り返し、たちまち大爆発を引き起こしたのだ。無論その爆発によって
ハイGホエールの甲板に穴が空き、進入路が確保できたのだ。ドラグネスはすぐさまその穴を通ってハイGホエール内部へと突入していった。
『曲者艦内に侵入!!曲者艦内に侵入!!ただちに迎撃しろ!!』
そのようなアナウンスが何度も響き渡る中、ドラグネスは通路をひたすら進んでいた。チョコが目指すのはただ一つ。それは紅の神であるブラストルタイガーであったのだ。
「紅の神…もう少し我慢していて…。」
と、その時だった。通路の奥が一瞬光ったと思うと数条にもわたるレーザーがドラグネス目がけて飛んできたのだ。無論ドラグネスは横に身体を傾けてその一撃をかわした。
「ほう…この一撃ですらかわすか…。だが今度は負けんぜ…。」
通路の奥に広がる広大なフロアにはブラストルタイガーが立っていた。ブロイの目的はただ一つ。そいれは自分をコケにしたチョコを倒し、リベンジをする事なのである。
「今度は負けんぞぉぉぉ!!こぉのクソガキィィィ!!!!」
「紅の神…今度こそ助ける…。」
それぞれの思いを胸に、ブラストルタイガーとドラグネスの2機は激突した。
その頃、マリン等はハイGホエールへ向けて出発…していなかった。決して怖じけ付いたワケでは無い。タリスに呼び止められたのだ。
「タリスさん…一体何で…。」
「良いですから少し待って下さい!」
早速行く気になっていた2人はタリスの行動にやや拍子抜けしていたが、タリスはそんな2人を尻目に南の方を見つめていた。
『タリスサン!キマシタヨ!』
Z−12が南を指差した時だった。なんと南の方から巨大な1機のゾイドが飛んできたのだ。
取り合えず登場人物紹介。今日は主役級のお二人です。
マリン=バイス(15)
本作の主人公であり、Ziファイター兼賞金稼ぎ。小柄な外見とはうわはらに、自分より遥かに
大きな大男を力でねじ伏せたり、100キロ以上は有にありそうな対ゾイドライフルを片手で
軽々持ち上げたりというバカ力に加え、拳法や関節技も使いこなすテクニシャンな側面もある。
ぶっちゃけ割り箸で銃弾受け止める事もできる。と、聞けば聞こえは良いが、まだまだ未熟らしく、
すぐに弱腰になったり、ピンチになると泣き出したりと、精神面に不安が残る。
ちなみに格闘技の流派はマオ流格闘術。愛機としているゾイドはゴジュラスギガ“カンウ”
その一方で、実家が料理店とゾイド修理工場の兼業なので、料理とゾイド修理などもこなせる。
100年前の大戦時代に大暴れした、緑の悪魔の異名を持つマオ=スタティレルの曾孫であると言う理由だけでズィーアームズ社に目を付けられる事になる。
ルナリス=バッハード(17)
世界に名だたる大企業バッハードコンツェルンの社長令嬢。次期社長となるべく幼少の頃より勉学
から武術になど、様々な英才教育を受けてきたがその縛られ過ぎた生活に嫌気がさして家出、
そのまま街の不良グループのリーダーとなる。強いて言えばスケ番。しかし、その運動能力は
マリンと同等。性格は一応クール(?)で、本人は悪を気取っているつもりだが、マリンの方が
時に黒かったりする為(?)、不良だったワリには結構常識人的な所がある。また、幼少の頃から
受けてきた英才教育は無駄では無かった様子で、結構色々な事に詳しい側面もある。
格闘技の流派は死竜流。ファイトスタイルは打撃系格闘技に特化していると言う感じ。愛機は
デスザウラー“ハーデス”。当初は最強の敵として登場したが、マリンとの戦いを通して友情が
芽生え、今ではドツキ漫才やってる始末。とりあえず現在はマリンと共に旅をしているが、
バッハードコンツェルンの令嬢という事でズィーアームズ社に目を付けられる事になる。
他の人達はまた明日。
>>恐怖の亀裂作者さん
ジェノホークキタキタキタァァァァ!!!!
確か電ホの設定ではバスターイーグルなどにもその技術が応用されているらしい(だったような?)
その幻の飛行ゾイドがどんな活躍を見せるのでしょうか?
「読心術はプライバシーの(略)」には笑いました。
鉄獣28号さんへ
やっぱり遅れるべくして遅れる2人w宿命の対決?も始まりました。
VS3にZOITEC専用ホエールキングが在ったと文中に在りましたが…もしかして出番!?
ジェノホークに関しては武装等の正式な設定が無いのでジェノザウラーを基準にした装備を持たせてみようかと思っています。
後はバスターイーグルに繋がるデザインを如何するか?です。さ〜て如何成ることやら?
その男は戦場で任務遂行に失敗しその上ベンハルトの乱入で出撃自体が無駄に成ったっフューチャーズリベリオンの面々の前に現れる。
「未来から遠路遥々よくぞ参った。如何やら貴公等の仕事は終わりの様だが…?」その声にデッドクローンペイルバイターに乗る者達は空を見上げる。
そこに開いているのは虚空への穴。「片道切符とは心憎い事をしたものだ…だが貴公等はここに居る必要は無い。だから消えて貰う。」
その声にレーザーや荷電粒子砲が殺到するが擦り抜けてしまい効果が無い。
冷ややかな声でその男は言う。「しかし…暴力を暴力で返すのは甚だ無粋。そこで余は貴公等を元の世界に帰そうと思う。何?遠慮はいらん…はぁっ!!!」
その言葉と共に穴が彼等を飲み込む。それが消えた後にそこには残骸すら残っていなかった。「多少送り易い場所で助かる…流石に時間と平行世界を位置に要する転送は面倒だな。」
言葉とは裏腹に汗一つ流さず男はその場から消える。そして…「な…戻って来ただと…?」彼等には見慣れ荒れ果てた世界で呆然とするしか手が無かったと言う…。
「お呼びでしょうか?マリエス様。」ジェノホークの1体の頭部より何かが舞い降りる。「ご苦労様。ワーロック。それでは貴方にあれの相手を依頼します。」マリエスはそう言って虚空に映るベルゼンラーヴェを指差す。
「おおっ!?真逆奴との再戦をでありますか!?」「そうです。御主人様はちょっかいと言いましたが多少荒くても構いません。」ワーロックの顔に引き攣った笑みが零れる。「それでは!ワーロック出撃いたします!」
またワーロックはジェノホークに跳び移ると開いたゲートを進み現地へ赴く。誰も居ない空間にマリエスだけが残される。「たまにはこう言う事もあります…。」その言葉には清楚ではあるが彼女が悪魔である事を証明する含みが或る。
ちょっと悪戯をしたと言う含みが多分に含まれたイントネーションだった。
「これだけ揺さ振れば隙ができる気がするのでありますが?」深い森の中また姿を晦ましたベルゼンラーヴェ内でファインは呟く。「嫌な気配がする。片を早く付けたい物だな。」ベルウッドは何かを察知したらしくそう言う。
止めを刺せるならサッサと刺せと言っているのだ。当然…無理である。そんな事が出来るならこんな周り諄い事はしない。しかし彼女の警戒は相当の物で周囲を油断無く伺っている。
「これは…思い切った事をしたなマリエス。」男は別段怒るでも無く熱心に虚空に映る状況を眺めている。「申し訳ございません。」
その声には答える必要は無い。彼はそろそろストレスをちょっとした悪戯で紛らわすマリエスの癖を知っている為咎める必要も無い。
そもそもそう言う行為は今の状態の彼等にとって取るに足らない事なのだ。今一番重要なのはこれからの戦闘を観戦し愉しむ事のみに尽きると言った所だろう。
「この鳥臭は!ワーロックかっ!?」臭いぞこの野郎な顔でベルウッドが毒吐く。「わーろっく…でええっ!?”ワーロック”でありますか!?あの紅蓮の魔鳥?」
これもかなりマイナーな御伽噺やら伝承に登場する者だが相手はそれが正しいならばそのランクはアークデーモン。人レベルで太刀打ちできる存在ではない。
「案ずるな!奴の強さは妾と同格かそれ以下。今の状態でも充分相手は出来る!問題は…」そこでベルウッドの言葉は途切れる。
ベルゼンラーヴェの足元に複雑な文字や模様が浮き上がり突然質量を持った叫び声が機体を呪う。「うがぁ!?イービルデッド!」八法陣(オクタグラム)から強力な攻撃が行われる。
その点は位置が対称では無くワーロックの存在を示す二つの鳥の鍵爪を象徴した点で結ばれている。その上空には点の位置に留まり力強く羽ばたくジェノホークの姿がある。
「ナンマンダブナンマンダブ…。」突然両手を合せて念仏を唱えるファイン。「何をして居るっ!」幸い相手の使用した物は呪殺系統では無く降魔系統の攻撃だった事でダメージは非常に少ない。
「何でって…あの…その…あれは自分が墜落させて量産中止になったからでありますよ。」「何ぃぃぃぃぃ〜〜っ!?お主!幾つトラウマが在れば気が済むのだ〜〜!!!」
ジェノホーク。OS搭載機体の開発で産まれた飛行ゾイドの1機で高空からの収束荷電粒子砲での拠点制圧と空中戦での強力な格闘能力を併せ持つ機体として制作された者である。
当時オリンポス山での戦闘の際ストームソーダーの開発プランが漏洩した上自軍の資料の喪失。それによって奪われた制空権を取り戻すためジェノザウラーを参考に大型化を行った鷹型ゾイドとして完成した。
知る者ぞ知るその荷電粒子砲のチャージの速さはジェノブレイカーをも凌ぎ備蓄機構無しで砲身が焼け落ちるまで連射し続ける。その秘密は翼付け根の小型連装吸入ファン2機に因るものだ。
ああ…やっちまったtでも設定_| ̄|●でもストームソーダーに勝てる機体となるとこれぐらいしか思い付きませんでした。
と言う事で強引ですが…
【人名】
セイレン=ベルカッセ:サイモン=ベルカッセの孫娘で共和国軍強行偵察隊所属の少尉
霊感少女な幼年期を経て軍に入隊し実は第1次全面開戦にも参戦している
強力な危機察知力と叩き上げの実力で凱龍輝のパイロットの中では最高の逸材としてリエット等の部隊に編入された
ワーロック:紅蓮の魔鳥と呼ばれるアークデーモン、ベルウッドと因縁がある模様
同じアークデーモンのマリエスと比べるとその力は劣るがその中では上から数えた方が遙に速い実力の持ち主
背に翼、フルフェイスのヘルメットを思わせる両開きのスモークグレーの嘴型フェイスガードとパイロットスーツを着用した男の姿をしている
【技術】
第4種荷電粒子砲:第4種結界を使用して爆発的に射程を伸ばした荷電粒子砲で術士にしか使用できず認識限界を超えた位置で爆発する
それ以前の距離では敵対者に接触したとき以外は周囲と反応しない為拡散率が非常に低い
とここまで聞けば使い勝手が良さそうだが実際はだから如何した?と言うレベルの武装
【ネタ】
ジェノホーク:この作品では収束荷電粒子砲を使用できる大型空戦ゾイドに成っています
その他の武装等は本編で
「お?おおおお!!?」
それはネオタートルシップだったのだ。しかもゾイテックの社印がマーキングされている。これは
ゾイテック所有のネオタートルシップである事が容易に想像が出来た。そして、ネオタートルシップはマリン等のいる場所の近くへ着陸したのである。
「これに乗って下さい!これならばかなりの移動距離が稼げると思います!」
「ほ…本当に良いんですか?」
タリスのすすめに2人は申し訳なさそうにしていたが、ネオタートルシップのハッチは開き、
マリン等の受け入れ準備は完璧と言う感じだった。が、やはり2人は乗り込みを渋っていた。
「とにかく今すぐにこれに乗って下さい!今は1秒でも早くしなければならないんです!」
「分かりました!分かりましたよ…。」
カンウとハーデスは早速ネオタートルシップへ走った。その間、マリンは焼け野原となったタイガタウンの方向を見つめていた。
「本当にズィーアームズには痛い目にあってもらわないと…ね…。」
「ああ!」
2人はますますこの作戦を成功させると言う決意を固めていた。そしてネオタートルシップへ2機が、
さらにタリスとZ−12の乗るグスタフが続いて着艦し、ハッチが閉じられた後、ネオタートルシップクルーが2機へ通信を送ったのだ。
『それでは大急ぎで出発します!準備は良いですか?ゾイキュアのお二方!』
「いや…だからそれどういう意味よ…。」
やはり例の言葉を言われてしまっていたが、それに対するツッコミに答える事無く、クルーはさらに言ったのだ。
『ここからハイGホエールの位置までネオタートルシップを飛ばしても数時間掛かります。その間ゆっくりしていて下さい。』
「そ…そうか?」
「それじゃあお言葉に甘えて…。」
2人は早速身体の力を抜いてリラックスしていた。そしてマリンはルナリスへ言ったのだった。
「それにしてもネオタートルシップまで動かすなんてゾイテックも本気なのかな?」
「まあそりゃ社長が拉致られたんだからしょうがないだろうな。下手をすれば社長を人質に色々と
脅迫されてそのままゾイテックそのものがズィーアームズに吸収されかねない。本当にそうなったら
ゾイテック社だけじゃなく、その社員やその家族、ましてやゾイテックの子会社や下請け会社なんか
も被害を受けるだろう。ならばもうなりふり構ってはいられないって事だろうな…。」
その時マリンはため息を付いた。
「は〜…何か想像以上にスケールの大きい戦いになりそうな気がするよ…。」
「実際そうだと思うぞ…。今度の相手はその辺の野盗や町でカタギの連中相手にデカイ顔してる
極道や犯罪組織とはワケが違うんだ。何しろ相手は世界の大企業、しかも街そのものを吹っ飛ばす兵器を持ってる奴等だ。これは相当気合いを入れて臨まな!」
「そうだね…。」
一度リラックスした2人であったが、やはり再び気合いを入れ出したのだった。そしてタリスはその姿を遠目で見つめていた。
「やっぱり…2人とも緊張している様子ですね…。」
『ハゲシクフアン!』
タリスとZ−12が不安に感じていた時、2人に1人のクルーが近付いてきたのだった。
「あの…タリスさん…1つ良いでしょうか…?」
「何ですか?」
「あの2人…本当に期待出来るのでしょうか?やはりもっとベテランのZiファイターを選抜した方が…。」
タリスは首を左右に振った。
「いいえ…。確かに私だってあの2人の実力にはやや不安を感じています…。実力的に考えても
ハガネさんの足下にも及ばないでしょう…。しかし、それでも何か思う所があるんですよ…。」
「思う所?」
クルーは一瞬眉を細めた。
「2人はああ見えてあのキレヌさんの調査した古代虎のデータを奪おうとしていたズィーアームズの
刺客からキレヌさんとデータを守ったと言う話ですし…。あのコロンズ団が壊滅したと言う話にしてもあの2人が大きく関わっていたとか…。」
「しかし…それでも…。」
「……………。」
タリスは突然黙り込みだし、そのままカンウとハーデスを見つめていた。それを見たクルーは思わず彼女におじぎを送ったのであった。
「し…失礼しました!それでは自分はこれで…。」
クルーはすぐさま自分の持ち場へいそいそと戻っていたが、タリスはただカンウとハーデスを見つめるだけであった。
それから数時間後、ハイGホエールより離れた場所にネオタートルシップは降り立っていた。そしてハッチが開くと同時にカンウとハーデスが外に出たのだ。
「ここからしばらく北へ行けばハイGホエールが見えてくるはずです。それでは御武運をおいのりしています!」
「分かったよ!それじゃあ…。」
マリンとルナリス、そしてカンウとハーデスが手を振って見送る中、上昇したネオタートルシップは
元来た道を戻って行った。ちなみになぜネオタートルシップが直接ハイGホエールに向かわ無かった
のかと言うと、それはネオタートルシップがズィーアームズの直接攻撃を受ける事を考慮しての事で
ある。輸送機でしか無いネオタートルシップにとって、敵の攻撃を受ける事は致命的な事だったのだ。
そうして、ネオタートルシップが去った事を確認したマリン等は早速北のハイGホエールへと進み始めたのだ。
カンウとハーデスは辺り一面に広がる広野をただひたすらに北上していた。
「それにしても…ネオタートルシップに乗って…どれほどハガネさん達との距離を縮める事が出来ただろう…。」
「余り期待は出来んな〜…。何しろハガネさん達は真夜中のウチに出発したワケだしな…。」
マリンとルナリスがそう言い合っていた時だった。カンウのレーダーが何かをキャッチした事にマリンが気付いたのだ。
「ぜ…前方一帯に何かあるよ!!」
「何?敵機か!?」
2人はとっさに身構えたが、レーダーの反応は全く動く事は無かったし、無論攻撃も来る事は
無かった。その事実を不審に思った2人は早速カンウとハーデスをレーダーがキャッチした何かを目視出来る距離まで接近したのだった。
「ってこれはぁぁ!!?」
2人が驚くのも無理は無かった。前方一面には夥しい数のゾイドの残骸が転がっていたのだ。
「な…何!?この残骸は!!」
「ここは戦場かぁぁ!!?」
自分達を待ちかまえていたズィーアームズの新たな刺客の部隊が展開されていると考えていた2人の
意表を突き、あるのは夥しい数の残骸が転がるだけと言う事実に2人は戸惑っていたが、その時
カンウのマグネッサー3Dレーダーと連動したコンピューターが、辺りに転がる残骸から元の機種を解析していた。
「この残骸の内訳は凱龍輝・エヴォフライヤー・ディスペロウ…。」
と、マリンがコンピューターの解析結果を読み上げていた時だった。ハーデスがある一方を指差したのだ。
「おい!あそこに生存者がいるぞ!!」
確かにルナリスの言った通りだった。凱龍輝の残骸の半開きになったコックピットから、傷だらけの
パイロットが這い出ていたのだ。無論カンウとハーデスは大急ぎで走り寄り、2人は降りてそのパイロットの方へ向かった。
「おい!そこのお前!大丈夫かよ!」
「い…今助けるから…。」
ルナリスは大急ぎでパイロットを外に出して横に寝かし、マリンはやはり大急ぎで服の大きな袖口に手を突っ込んで治療薬などを取りだしていた。
「お前!しっかりしろ!傷は浅いぞー!!」
「そうそう!傷は全然大した事無いからとにかくしっかりしてー!!」
本当はかなり深い傷を負っているのであるが、2人はパイロットを励ます為にあえて傷は浅いと言っていた。と、その時パイロットが目を開けたのだ。
「う…うう…。」
「おお!気が付いたか!?」
「よかった!生きてた!」
2人は喜んでいたが、やはりパイロットの傷は深く、その意識は朦朧としていた。そしてパイロットはその朦朧とする意識の中、カンウとハーデスの姿を見たのであった。
「う…うう…ゴジュラスギガにデスザウラー…。そうか…お前等が…タリスさんが…言っていた…ゾイキュアか…。」
「良いから喋らないで!!傷に障るよ!!と言うかその意味は一体何なのさ!!」
やはりお約束は忘れる事は無く、さらに2人はパイロットに黙るように言うも、彼はさらに言った。
「い…良いから言わせろ…。俺ももう長くは無い…だから…最後に…伝えたい事を伝えさせてくれ…。」
「伝えたい事?」
2人は黙ってパイロットの話を聞く事にした。
「俺達は…社長奪還の…為に出撃…した…ゾイテックの…私設軍隊…だ…。が…しか…し…見ての
通り…このザマ…だ…。奴等の…ズィーアームズの…戦力は半端じゃない…。お前等が…本当に行く気で…ある…ならば…気を…付ける…事…だ……………。」
パイロットはそれ以上口を開く事は無かった。今度こそ本当に事切れてしまったのだ。
登場人物紹介パート2!!
と、その前に少し訂正したいところがありまして、
>>34のマリン=バイスの項。彼女の曾祖母の苗字(旧姓)の方はスタティレルでは無くて、
「スタンティレル」です。「ン」の字が抜けていました。済みません。
SBHI−03 ハガネ−03(百歳以上)
大戦時代、ネオゼネバス帝国のゾイド制御AIを発展させた人型インターフェース、つまり人造人間
計画によって作られた3番目の機体。(1号機と2号機の詳細は不明で、ハガネ自身も分からない)
SBHIとはスーパー・バトル・ヒューマノイド・インターフェースの略。
つまり平たく言えばロボットなのであるが、人間で言う18〜19歳位の外見で美少女型。
なぜその様に作られたのかと言うと、やはりあえて可愛くする事で敵を油断させると言う視覚効果を
狙ったと言えば聞こえは良いが、本当はただの開発者の趣味だったりする。とはいえ、その実力は
お墨付きな物であり、小柄な体型からは想像もできない重装甲重武装を持つ一面もある。それ故に
ハガネ本人の性能だけでも並のゾイドを圧倒出来るだけの力がある。ちなみに大戦時代において
マリンの曾祖母のライバルであり、また当時帝国の少将であったと言うルナリスの祖父とも面識が
あった。ロボットなのに超常現象に興味を持っていると言う一面もあり、超常現象研究家として
そこそこ有名らしい(?)。また、自らの愛機とするゾイドには代々ゼノンと名付けており、
現在は25代目ゼノンとしてゾイテックからもらったレイズタイガー(の試作品)に乗っている。
なぜか世間のメイドブームに便乗したとか言う理由でメイド服を着用している。
ちなみに実力はマリンやルナリスすらもザコと言ってのける程。実質最強キャラ。
チョコ=レート(10)
現在ハガネが面倒を見ている少女。ハガネの知り合いの科学者の娘らしく、その科学者が何者かに
殺されてしまった為にハガネが彼女の面倒を見ている。服装はハガネのコーディネートにより
ネコミミリボン付けていたりと結構明るい服装になっているが、本人は極めて無口無表情。
マスコットキャラ的な感じに思われがちだが、その実力は生身でも、ゾイド戦でも超強い。
愛機はプテラスの翼を装備したイグアン“ドラグネス”現時点に置いて謎の多い少女だがその正体は?
登場人物紹介に関して、大急ぎで作ったので少し変な所があってもご勘弁してください。
>>恐怖の亀裂作者さん
ジェノホーク・・・。電ホのデザイン画ではかなりかっこよい物でしたよね〜。
当時は(今も?)何か帝国ゾイドばかり強いの出てない?って感じでしたから
実際に出たら戦力バランスもう少し考えてほしいと思っていたでしょうが・・・。
>VS3にZOITEC専用ホエールキングが在ったと文中に在りましたが…もしかして出番!?
確かにいましたね〜。白ホエールキング。しかし、今日書き込んだ分は
VS3が出る遥か前に作った物なので、ブラストルタイガーキット付属バトストの描写を
採用してネオタートルシップになっています。個人的にはこっちの方が好きなんですけど、
ことごとくネオタートルシップが無視されるのはなぜなのでしょう。
自分の話の前作シリーズに登場したジャイアントトータスもネオタートルシップの
戦闘用バージョンがあったら?という考えから始まった物なのに・・・。
「白と黒のプライド」書き終えましたのでこちらに移動いたします…
>>恐怖の亀裂作者氏
ジェノホーク恐るべし…てか是非ともCGで見てみたい!
マリエスと聞いて某ギルのパイロットが浮かぶ漏れはアフォかと。もうね、(ry
>>鉄獣28号氏
とりあえず、名も無き凱龍輝のパイロットに敬礼。
デカイ空中要塞は前作から登場してましたね。マグネッサーで何でも出来ちゃう不思議世界なので
実際あってもおかしくは無いですが。
予告とか書いてしまったり…
年号の概念さえ忘れ去られた、遥か未来の惑星Zi。
使われなくなった年号で数えれば、時はZAC5013年――2年半前に一人の男が起こした戦いは、世界に変化をもたらした。
大戦後の混乱を仕切っていた大企業“ギルド”が崩壊し、実権を握ったのは貧弱な暫定政府。
戦後の復興が終わらぬうちに再び起きた混乱は、彼らの軍隊だけではとても留められる物ではなかった。
一方、決戦の舞台となった“市街”と呼ばれる町は中心部がほぼ全滅。逃げ遅れた者は多く、この戦いで
親を失った子供たちは生きる術を持たない。たった一つを除いて――。
「能力者」。ゾイドと融合し、強力な特殊能力を得ることのできる者たちを人はそう呼んだ。
戦争終結後に市街で生まれる新生児の2%が能力者となり、彼らはみな若い。
“ギルド”が成功したのは、この能力者を使った治安維持活動が大きかった。そして、彼らもまた多くが親を、家族を、
家を失って生きる術を失くした者達だ。
彼らが生きるためには、持って生まれた力を活かすしかない。暫定政府は能力者を集め、悪化する世界情勢を改善すべく
政府直属の能力者部隊「星光の鎖(スターライト・チェインズ)」を組織し、身寄りの無い能力者に仕事を与えた。
隊員達は「鎖の輪(チェーンアーツ)」と呼ばれ、ある程度の自由が認められた。だが、やっている事自体は
“ギルド”にいた頃と大して変わらない。
結局、彼らの命を繋ぐのは皮肉にも戦いだけだった。
Innocent World 2 円卓の騎士
48 :
↑:04/10/12 16:01:04 ID:???
と、今になって前作の恥ずかしい間違いに気付きました…
開始からずっと「Inocent」と書いてましたが正しい綴りは
「 I n n o c e n t 」でした。nが足りないよnが…
以後はnを一個増やして続けます。
新たなる力、新たなる敵、新たなるライガー。
共和国と帝国の争いに決着は付いていなかった!!
奪い、奪われ、追い、追われ、共和国・ガイロス・ゼネバス、三つ巴のドラマの幕が今、切って落とされる!!
何の為に戦うのか? 守る為に力は必要なのか? 正義とは何なのか?
迷い、悩み、そして自らの決断を迫られる人間達のドラマが再び展開する!!
ゾイドそれは運命の邂逅。力と出会い魅入られた少年の運命は?!
ムーロア。それは運命の輪舞(ロンド)。 繰り返される悲劇を止める事が出来るのは一体?!
その運命、打ち砕け!!ライガーZERO!!
ワラタ。今度は機獣新世紀ZOIDS SEED DESTENYかいw
>ムーロア。それは運命の輪舞(ロンド)。 繰り返される悲劇を止める事が出来るのは一体?!
この辺は結構的を得ていると思う。
>>49 つーかネタスレじゃないから、ここ。
ネタスレは他にあるからそっちでやって欲しい。
まぁ待て、この後物語を続けてくれるのかもしれないぞ
鉄獣28号さんへ
凄い事に…Zi-ARMSの戦力は一体どんな規模なのでしょうか!?
凱龍輝が負けるとなるとかなりの実弾火力が集中した模様ですが…。メガセイスモも出陣したのでしょうか?
確か集光パネルはデカルトドラゴンのエレクトリックディスチャージャーをも吸収しますから(DVD三体の虎伝説より)
Innocent World2としろと黒のプライドの作者さんへ
純粋に抜いてると思って居ました_| ̄|●
ぬぬっ!?気付かれた!?バトルカードのキャラ絵とギルベイダーの組み合わせから悪魔っぽいなと言う事でお名前借りたのです。
〇神転生の合体かよ!?
>>49 ネタは良いですねぇ〜。続く場合は更に良い気も?言葉で語られると???な事も字にしてみると格好良かったり。
-------
ジェノホーク関連事件は省きたいので前のスレに書き込んでみようかなと?
「………………。」
2人は黙り込んだまあパイロットを見つめた。そしてカンウとハーデスの方へ向いたのだ。
「本当に気合いを入れてかからんとな!」
「そうだね…。この人達の犠牲を無駄にはしない為にも…ね…。」
そうして、2人はそれぞれカンウとハーデスに乗り込み、移動を再開したのだ。
「あれだけの数の残骸だ…敵も本当に半端な物では無いはず…。」
「勝てるかな…私達…。」
「それでも勝つしかないんだ。勝つしか…。」
その後、2人は高高度に浮遊しているハイGホエールが辛うじて見えるとある山の頂上まで来ていた。
「うわ〜…本当に多いでやんの〜…。」
見つからない様に山の麓を見下ろすと、そこにはもの凄い大軍団とも言えるズィーアームの私設軍隊
の部隊が展開されていたのだ。その大部隊がハイGホエールの下方を護衛し、その上空には航空隊や
数々のホエールキングがハイGホエールを護衛するように随時飛び回っていたのだ。
「これじゃあもはや企業じゃない…完璧な軍隊だな…。」
「そうだよね…。」
そのズィーアームズの完璧とも言える防衛網に2人は驚くしか無かったが、それをいかにして突破するかを考えていたのだ。
「小型機の大部分が無人キメラ隊で占められていると言う点はせめてもの救いだろうな。あれならマリン、お前のカンウに装備されたジャマーで押さえる事が出来るだろう?」
「そうだね。後はジェノザウラーとか色々あるけど…ってアレ何?何かバスターイーグル背負ったフューラーがいるよ。」
確かに山の麓に展開されている地上部隊には、バスターイーグルを背負ったバーサークフューラーであるバスターフューラーが数多く展開されていたのだ。
「う〜ん…こりゃ大方ライガーゼロフェニックスにでもあやかったつもりなんじゃないか?私はそれ
よりもむしろ航空隊の方が気になったな。見ろよアレ!かなりの数のデカルトドラゴンが飛び回ってるだけじゃなく…何か初めて見る機体もあるぞ。しかもかなりデッカイ!」
航空隊の方にも、フライシザースやキメラドラゴン、シュトルヒ、ロードゲイル、そしてデカルト
ドラゴンなど、数々の飛行ゾイドが飛び回っていたが、その中で見慣れぬ機体もあり、それは周囲を
飛ぶデカルトドラゴンなどとの対比により、全長80メートルはあると思われる鯨型のゾイドであったのだ。
「ありゃ何だろう…。見た感じ火力はありそうだが…。」
ルナリスの見立ては正しかった。その謎の鯨型ゾイドは“ボムホエール”と呼び、ズィーアームズ社
が製作した爆撃ゾイドであったのだ。ボムホエールは大きさこそホエールキングの半分以下だが、
輸送機として作られたホエールキングと違い、戦闘爆撃機として開発された機体であり、装甲も厚く、
かつ空飛ぶ火薬庫と呼んでも過言では無い程の爆弾やミサイルなどを積載しているのである。
「あ〜…何か寒気がしてきたよ〜…。」
ズィーアームズ私設軍隊の恐るべき戦力に本当にビビッた2人は身震いしていた。
「あ〜あ〜…こんな時に獣王教の奴等が来たらな〜…。互いに潰し合ってる間にあのなんとか
ホエールってのに取り付く事も出来るんだけど…。つーかあれだけの戦力がそろってるのに何で
獣王教は攻撃を仕掛けないのかね〜…。連中が嫌いそうなティラノサウルス型やドラゴン型は沢山いるし、エナジーライガーはおろかライオン型はいないし…。」
「マリン!無い物ねだりしてもしょうがないだろう?と言うか、ハガネさん達はどうしたんだろう?もしかしてあの防衛網を突破したとか?」
「う〜ん…。」
2人は頭では攻撃を仕掛けなくてはならない事を分かっていたが、どうもあれだけの大軍団に喧嘩を
売ると言う自信は無く、その場で考え込むだけだった。と、そのまま事が進展せずにただ時だけが
空しく流れるかに見えたその時だった。なんとマリン等のいる場所へズィーアームズ航空隊の哨戒機のシュトルヒが飛んで来たのだ。
『そこのお前達!!そこで何をやっている!!』
「ヤベ!!見つかったぁ!!」
ついにマリン等の姿がズィーアームズ私設軍隊に見つかってしまった、慌ててハーデスが頭部ビーム
ガンを撃ち込んでシュトルヒを落とすが、既に遅く、騒ぎを聞きつけた他のゾイドも駆け付けてきていたのだ。
「ああもう!!こうなったらやるしかない!!私は航空隊をどうにかするから、マリン!お前は地上部隊をなんとかしろ!!あと、ジャマー掛けるのも忘れるなよ!!」
「分かったよルナリスちゃん!!」
「ちゃん付けするなぁぁぁ!!!」
お約束を忘れる事も無く、ハーデスはダブルウィングスラスターを噴射して飛び上がり、カンウはジャマーを放射しながら山をもの凄い勢いで駆け下りて行った。
「曲者だぁ!!であえであえ!!」
「御用だ御用だ!!曲者を引っ捕らえろ!!!」
「曲者は何処だぁぁ!!」
カンウとハーデスの姿を確認したズィーアームズ私設軍隊は時代がかったかけ声合わせ、一斉に攻撃を仕掛けてきたのだった。
「あ〜あ〜…勝てるかな〜…。」
見渡す限りに広がる敵機の大軍にマリンは本当に唖然としていた。
一方上空ではデカルトドラゴンやシュトルヒなどの航空隊が慌ただしく飛び回っていた。そして
ディメトロドンに飛行ウィングを搭載し、飛行可能にした“スカイディメトロ”が指令機として各航空機ゾイドへ向けて指令や情報を送っていたのであった。
「曲者の機種はゴジュラスギガが1体!そしてデスザウラーが1体!」
「何だぁ!!?たったの2機かぁ!!ならば楽勝だな!!」
各航空機ゾイドパイロット達は笑っていた。が、スカイディメトロパイロットは違った。
「ならばなぜ先程たった1機のイグアンを取り逃がした!!?」
「う…。」
各航空機ゾイドパイロット達は思わず黙り込んでしまった。そしてスカイディメトロパイロットは言うのである。
「今度ハト一匹逃がすんじゃないぞ!!話を戻すが、ゴジュラスギガの方は地上部隊に任せるとして、
デスザウラーの方は飛行能力を有していると言う情報が入っている!故に貴様等はデスザウラーを攻撃するのだ!」
「了解!!」
各航空機パイロット達は思わず皆敬礼を送っていた。そして皆は一斉に飛行能力を持つデスザウラー、
すなわちハーデスを探し回り始めたのであったが、そのハーデスは一向に姿を現さなかった。
「ど…どこだ?デスザウラーなら割と目立つからすぐに見つかるはずなんだが…。」
「お…俺にもわからん…。」
航空隊は一向に見つからないハーデスを探し回り、慌ただしく飛び回っていたが一向に見つからず、ついにスカイディメトロに救いの手を求めたのだった。
「デスザウラーの姿は発見できません!そちらのレーダーで何か分かりませんか!?」
「それが…妨害電波が出ている様子でレーダーの感度が良くないんだ!」
「妨害電波?」
先程皆を怒鳴った時とは打って代わって戸惑うスカイディメトロパイロットの行動に各航空機ゾイドのパイロット達は眉を細めた。
「無人キメラ隊行動不能!!戦闘フィールド全体に展開されている妨害電波のせいでこちらのコントロールが各機にとどきません!!!」
妨害電波が展開されているのは空だけに限らず、地上ではさらに大騒ぎとなっていた。なぜならその
妨害電波により、地上部隊の大部分を占める無人キメラ隊の遠隔コントロールが無効化され、指令機
からのコントロールがあって初めて行動できる無人キメラはその場で行動を停止していたのである。
「おい!!この妨害電波をどうにか相殺できんのか!!?」
「ダメです!!妨害電波の出力に差がありすぎます!!」
地上部隊のディメトロドンやダークスパイナーなどが妨害電波の相殺に躍起になっていたが、全く
歯が立っていない様子だった。現在展開されている妨害電波はそれだけ強力な物だったのである。
登場人物紹介パート3
タイガス=ハンシーン(20)
ワイツウルフ“トランサー”に乗るZiファイター。結構大雑把な男であるが、Ziファイター
としての実力は確かな物であり、マリンとカンウを終始圧倒し、破壊寸前まで追いつめた事がある。
ラッキー=トルワート(19)
タイガスの幼なじみであり、共に度をする仲でもある。愛機はサビンガ“ティニィ”。マリンの手料理に感激し、彼女を師と仰ぐようになった(?)
ドラゴス=チュウニッチ(25)
ズィーアームズ社の社員であり、デカルトドラゴンパイロット。彼の祖父は大戦時代、マオによって殺されていたらしく、その為にマオの曾孫であるマリンを敵視している。
タリス=クライム(24)
ゾイテック社の技術者であり、レイズタイガーの開発に携わっている。タイガスにワイツウルフ、ラッキーにサビンガを渡したのもこの人。
ブロイ=エベレス(45)
ブラストルタイガーのパイロットとしてズィーアームズ社に身を置くZiファイター。歴戦の勇士で
あり、経験も豊富。ゼノンと、ワイツタイガーに合体したトランサーを圧倒する力を見せ付けたが、
チョコのドラグネスに翻弄され、そのせいもあってチョコを敵視するようになる。
ドクタードボルク(百歳以上)
ズィーアームズ社の科学者。一見ヨボヨボな老科学者であるが…。
>>恐怖の亀裂&Nightmare in The Nixie作者さん
ジェノホーク話良かったです。デスマンティスまで出てくるとは・・・。
さしずめデススティンガーのカマキリバージョンですね。
の割りにはパルスレーザーでEシールドジェネレーター壊れていましたから
装甲は意外と貧弱?
ドジだけど何処か憎めない工作員ワロタ
>>Innocent World2&白と黒のプライドの作者さん
レイヴンは結局このままおたずね者、そしてバンの敵である事を選んだようですね。
本当に今後も色々な戦いをやりそうな気がします。
バンが温泉旅館に行ったら→「バン!!卓球で勝負だ!!」
食堂に行ったら→「バン!!今度は大食い勝負だ!!」
お爺さんになったら→「バン!!今日はゲートボールで勝負じゃー!!」
とか勝手な想像を膨らませてしまいました。
それと、新作の予告。全く新しいシリーズでは無く、前作の数年後と言う事ですが、
今度は一体どんな人が、そしてどんなゾイドが主役となるのでしょうか?
>デカイ空中要塞は前作から登場してましたね。マグネッサーで何でも出来ちゃう不思議世界なので
実際あってもおかしくは無いですが。
公式のストーリーではホエールキング上で戦ったと言う事になってますが、どうせなら
もっとデッカイ所で戦った方が縦横無尽に出来るんじゃないか?と思って巨大空中要塞で、と言う事になりました。
>>49 これも種ネタでしょうか?しかも種運命の方?さてさて、これははたして今後も続くのか、
それともタダの一発ネタで終わるのか・・・。気になる所です。
続けるのは凄く大変だと思うw
ネタOKとか平気で言ってる香具師は、今現実に何が上がってるのかよく読み直してから言って欲しい。
既に完成された台詞回しの、固有名詞やらをちょっと改変しただけだよ?
吉野屋ネタとかと同じ、コピペ改変ネタ。一番簡単なネタじゃないか。
そういうものを同列に置いちゃったらこのスレ、ネタで埋まっちゃうかも知れない。
そういう覚悟は必要だろう。だって、コピペ改変の方が遥かに作るのが楽なんだから。
亀裂の人、鉄獣氏、貴方達はもっと苦労して書いてるんじゃないの?
もう少しプライドを持って発言して欲しいんだが。
ネタ専用スレを作れば無問題
そう言えば、鉄獣の人が前スレで、「自分のバトスト世界に2ちゃんねるがあったら」
って感じの奴書いていたんだが、それみたいに何かマイバトストと絡ませた様な奴なら
ネタでもOKと思わない事も無い。
…そこまで、やるならね。
でも鉄獣氏の場合、今まで書いてきた実績があったからこそ許される類いのもの。
今上がってきてるのはそうじゃないから。
>>67 別に、これからパロディ物を書こうとする為のネタ振りだったら
良いんだけどさ。なんてことないネタの一つや二つくらいね。
雲行きが怪しい…。でも気にしないんだ!気にするな気にするな気にするな気にするな気にするなあああ!!!_| ̄|●
スレが進んだと来て見れば会議中で書き込み難いなんて気にするな…漏れ。
あからさまに書き込みを不当だとか不適格だとか書くと傲岸不遜な気がしてどうも…。一応ルール基準内ですし。
誘導でそれぞれ最適なスレに移動してもらうのが一番かと。それ以上の介入は嵐的な物に成ってしまうので。
テンプレにネタスレの場所を書いても行ってくれるかはその人次第ですから。
鉄獣28号さんへ
やっぱりキメラか!やっぱりキメラが足を引っ張るんだな!やっぱりw…_| ̄|○
Nightmare in The Nixieのパルスレーザーはインフィニティ基準の奴です。シールド無効の…。
更にシールドジェネレーターの破壊は直接接触ではなくパルスレーザーガンの起した振動による2次災害的な物と思ってもらえれば幸いです。
その他にも固有振動数を変えEシールドを擦り抜けるパルスレーザーガンを装備している。流石に緊急時に装備したネットミサイルポッドは無い。
在ったら絶望的だったりしたので一安心するファイン。「それよりも問題はワーロックがイービルデッドで呼び出した存在だ!ろくでもない輩だと言う事は解るがな。」
ベルウッドはそう言って周囲の気配を探る。ワーロック率いるジェノホーク軍団は今だオクタグラムの陣形を崩さずその場に居る。「くふふふ…ベルウッド?久しぶりだな?」
ワーロックは可笑しくて堪らないと言った口調で喋る。「テレマ・スクラフトスの借りここで返させて貰うぞ!」突然口調はリベンジャーに成る。悪魔とて固体毎に特徴が在るようだ。
その姿は全身を3回覆っても残りそうな背の翼嘴っぽいバイザーを付けたパイロットスーツの人。かなりきている格好だ。きれているのは…と隣を見るファイン。「ほっとけ!」ベルウッドが言う。
「はははは…今回も夫婦漫才用のパイロット込か!運が無いなパイロット!残念だがここでそいつを降りる事を私は進めるぞ?」何か物凄く根に持っているらしい…その上”今回も”と言いました。
やはり今ここにいらっしゃる人外風情様はかなり根を持たれる事をしてきたらしい。もう一度見る。「〇〇でもしたか?ならば殺す!臆病風に吹かれても殺す!」両方外れなのだが頷いて置く本当に殺されたら溜まったものでは無い。
「あの〜と言う事で降りるの無理みたいです。見逃して…くれませんよねやっぱり…はぁ…。」溜め息を吐くファイン。
「貴様!面白いな…良し!気に入った!安心して死ね。その後は我等魔族の一員に転生させてやるさ!」とんでもない事を宣われてしまう。死後の身の振り方?まで勝手に決められている。迷惑千万だ。
「それは後日相談という事にしては貰えませんか?」「やだ!決定!即決行!」にべも無く断られ交渉決裂。戦闘が始まる。「来い!ファルケンシュトゥール!!!」ワーロックの声と主に足元から突然鳥が出現する。
それはベルゼンラーヴェを転倒させそのまま上昇ジェノホークの創り出した陣形の中央に静止する。ワーロックの周囲が光球に包まれファルケンシュトゥールに吸収される。「やってやるぜ!敵討ちと新人招聘!やったる〜!!!」
ジェノホークは思い思いに散開しファルケンシュトゥールを援護する準備を終える。
早速ジェノホークの収束荷電粒子砲がやってくる。十字封剣八法陣をミラーコートさせてそれを捌くとベルゼンラーヴェは空中に跳び出す。
「ははは!やはり翼だよな鳥の翼!空飛ぶ者は鳥で有る事程素晴らしい事は無い!」かなり偏った考えを持っている事は充分解ったのでこれ以上続けて欲しくない。
ワーロックはアスピトルテの外套を見てご満悦らしい。どうやら相当の鳥好きと言うより鳥類至上主義の域に達している。
両腕のショックガンランチャーでファルケンシュトゥールを攻撃するが舞を踊るかの様に見事に躱される。「当たらないな。その程度で挑むの勇気は評価に値するぞ!」
ジェノホークの攻撃では無い全く別方向からの攻撃。それを見てファインは驚く。「羽!?突き刺さっているのでありますか!?」深々と装甲を抉る巨大な羽毛。如何言う仕組みかは解らないが刺さっている。
「ハリケーンフェザー!」その羽毛の群が竜巻を起こしてベルゼンラーヴェに襲い掛かる。「ていっ!」その竜巻をダブルレーザーハーケンで一刀両断する。「何と!?無効化が備わっているのか!」
有り得ない物がその場に在る場合それを攻撃してその事象が起こる前に戻す機能がダブルレーザーハーケンには搭載されている。ベルウッドの入れ知恵だろう。
本来有り得ない現象はそれを維持するのに大きな力が必要になるがこの機能は一歩前の状態の力の流れを切ってしまう為その結果その事自体が無かった事にされるのである。
元から有り得ない結果はその発生源を切った場合元から有る物と違い結果を再構築できないと言う法則があるのだ。
「うわっ!?」ファルケンシュトゥールの相手をしている隙にジェノホークは格闘戦の間合いに入り込んでいる。強力な鍵爪の攻撃がヒットして薄い切り傷が機体に刻み込まれていく。
8機が相手では数に差が有りすぎる。何とか地上に降り立つがそこへパルスレーザーガンの雨。足元が熱くて跳ね回る人の様に足を動かして足元へのダメージを避ける。
「何だ?その屁っ放り腰のダンスは!面白いじゃないか!」そこへ更に刃の如き羽が降り注ぐ。バックステップで距離を一気に空け森の中に隠れる。しかし「突撃だぁ!」
ファルケンシュトゥールの突撃で森その物が削られる。「どこに隠れても無駄だ!隠れ場所毎削り取ってやるからな。」ワーロックは言う。その間にファインは或る事をしていた…。
「あ〜らら〜…意外と効果覿面?」
妨害電波を放出している犯人はカンウだった。が、その余りの効果と、敵の錯乱ぶりにパイロットで
あるマリン自信も驚きを隠せない様子だった。そもそも、カンウに装備されているマグネッサー3D
レーダーは確かにゴルドスやゴルヘックスなどの電子戦ゾイドのノウハウが生かされる形で作り出さ
れた代物であり、見かけ以上に高い性能を持つレーダーであるが、かと言って、あれだけの広大に、
かつディメトロドンやダークスパイナーですら相殺出来ぬ程の強力な妨害電波を出す事が出来るはず
もない。で、あるにも関わらず、カンウから実際に強力な妨害電波が放出されている原因はカンウ
自身の出力にあった。カンウの高すぎるコア出力と、さらにブロックスリンクが可能になっている
カンウの機構により、マグネッサー3Dレーダーは本来の性能を遥かに超える力を発揮していたのである。
「ああ!そうだった!今のウチに攻撃しないと!!」
妨害電波によって錯乱する皆を唖然と眺めていたマリンであったが、ふと我に帰った彼女は敵の錯乱を好機として一気に攻めに入ったのであった。
「どこだ!!曲者は何処にいる!!?」
強力な妨害電波によってレーダーが使用できぬ今、敵の位置を特定する方法は目とパイロットとして
の勘以外には頼れる物は無く、各航空機ゾイドは辺りを飛び回って周囲を探査していた。
「くそ…一体何処にいると言うのだ…?」
指令担当のスカイディメトロパイロットもモニターで周囲を見渡しながらも横目でチラチラと
レーダーを見つめていたが、そのレーダーには依然何の反応も無かった。と、その時だった彼等いる高度より遥かに高い位置が一瞬キラリと光ったと思われた時、何か巨大な物が超高速で上からスカイディメトロに衝突したのであった。
「な!!?何だ!!?」
パイロットは脱出していた物の、機体の各部は砕け、真っ黒な煙を吹き出しながら墜落していく
スカイディメトロの姿を見た皆は唖然とした。と、その時1人のパイロットが何かに気付いたのだ。
「おい!!下に何かい…。」
そう言い掛けた時、彼の乗るデカルトドラゴンが下からもの凄い速度で飛んで来た何かに衝突され、
破壊されてしまった。パイロットは脱出した様子であったが、デカルトドラゴンは体中が砕け、黒い煙を吹き出しながら墜落して行った。
「曲者だ!!曲者がついに姿を現したぞ!!」
スカイディメトロとデカルトドラゴンを破壊したのはハーデスであった。ダブルウィングスラスター
から叩き出される恐ろしいまでの推力により、高度な空戦能力を持ったハーデスの速度は凄まじく、ズィーアームズ航空隊を圧倒していたのだ。
「御用だ御用だ!!曲者を捕まえろ!!」
各航空機ゾイドはマグネッサーウィングを全開し、ハーデスを追撃した。しかし、スラスター推進と
言うマグネッサーウィングよりも前の世代の方法で飛行していながらハーデスの速度は彼等を凌駕していたのだ。
「ダブルウィングスラスターはミライロさんの作った物だ。お前等ごときに追い付けるはずも無い!」
その時ハーデスは、ウィング部のスラスターを噴かす事でもの凄い速度で反転し、自らを追撃していた航空機ゾイドへ向けて突撃を掛けたのだった。
「な…そんなバカなぁぁぁぁ!!!!」
各航空機ゾイドとハーデスが一瞬のウチにすれ違った後、各航空機ゾイドは全身が砕け、黒い煙を
吹き出しながら墜落していったのだ。しかし、不思議な事にやはりパイロットは全員脱出していたのである。
「そんな馬鹿な…なぜデスザウラーにあれだけの飛行能力を持たせられる…。」
「しかもあんな無茶な旋回じゃあパイロットがGに耐えられるはずが無い…。」
脱出したパイロット達はパラシュートを開いて減速しながら降りて行ったが、なおももの凄い速度で
壮絶な空中大立ち回りを披露するハーデスを唖然とした表情で見つめながらその様に愚痴っていた。
確かにハーデスのあの速度と、無茶な急旋回から考えれば、発生するGももの凄い物であり、
中のパイロットが平気でいれるはずがないと考えるのは当然の事であった。が、ルナリスは結構平気
だったりする。まあ強いて言うなら鍛え方が違うのである。と、そう説明している間にもハーデスは
次々にとズィーアームズの各航空機ゾイドを撃ち落としていた。そして、その一方的とも言える戦い
に痺れを切らせたボムホエールがついにハーデスへ向かって来たのだった。
「くそぉ!!たった1機に何をやっていると言うのだ!!曲者へ向けてミサイル一斉発射せよ!!」
「しかし!!強力な妨害電波のせいでミサイルのロックオンが出来ません!!」
「かまわん!!下手な鉄砲数撃ちゃ当たると言う言葉もある!!」
「曲者がこちら接近しています!!」
「何ぃ!!?」
確かにその通りだった。ハーデスは猛スピードでボムホエールへ向けて真っ直ぐに突っ込んで来ていたのだ。
「あれを下に落とせば地上部隊もいくらか削れるかもな…。」
ルナリスは笑みを浮かべながらそう呟くと操縦桿をさらに前に倒した。一方ボムホエールでは大騒ぎだった。
「落とせ!!何としても落とせ!!」
「しかし!!先程申した様に妨害電波のせいでミサイルの追尾はおろかロックオンすらも出来ません!!」
「かまわん!!撃ちまくれぇ!!!」
ボムホエールの各部の分厚い装甲が展開し、内部から夥しい数の大型ミサイルが現れた。一発一発が
小型ゾイド並の大きさを持つと言う、直撃すれば巨大ゾイドも一溜まりも無い恐ろしいミサイルで
あった。が、一斉に発射されたミサイルは妨害電波によってハーデスを追尾する事無くすれ違うだけ
であり、一発も当たらなかった。それどころかそのミサイルの流れ弾を受けて破壊される各航空機
ゾイドなども数多くいたのだ。その事実にボムホエールパイロット等は唖然とするしか無かった。
「そ…そんなバカな…。」
「曲者!!真っ直ぐこちらへ突っ込んできます!!」
「何!!?」
ハーデスはスピードを落とす事無く、ただひたすらに真っ直ぐボムホエールへと突っ込んできていたのだ。ボムホエールは慌てて回避行動をとろうとするが間に合わない。
「う…うわぁぁ!!特攻かぁぁ!!!?」
「し…死ぬ気か!?」
ボムホエールパイロット等が恐怖に打ち震えた時、ハーデスはさらに加速した。そしてその超音速の
ままボムホエールへ突っ込み、玉砕…するかに見えた。なんとハーデスはボムホエールの身体を思い
切りぶち抜いき、そのまま飛び去っていったのだ。それだけでは無い。他のボムホエールに対しても
同様の攻撃を行い、次々にボムホーエルの分厚い装甲をぶち抜き、身体そのものにも大穴を空けていたのだ。
「な…そ…そんなバカな…。何て無茶な攻撃だ…お前は死ぬのが怖くないのか!!?」
パラシュートを開いて脱出したボムホエールのパイロットはハーデスの戦いを見ながら口々にそう愚痴っていた。
ハーデスによって次々に落とされたボムホエールは地上にも影響を与えていた。無理も無い話である。
ボムホエールには空飛ぶ弾薬庫と言わんばかりに数百トン以上の爆弾、ミサイルなどが満載されて
いたのだ。それが地上に落ちればどうなるか想像に難くはないと思う。無論落下したボムホエールの
下敷きになってやられた者、爆発に巻き込まれてやられた者、その際の誘爆によってやられた者など、
ボムホエールの落下は本来味方であるはずのズィーアームズ地上部隊にも多大な被害を与えていたのである。
「うわぁぁぁ!!!」
「ヒィィィ!!」
「怖いよママーン!!」
ボムホエールの落下による巻き添えによって、地上は阿鼻叫喚の地獄絵図と化していた。が、その巻き添えを食いそうになったのはカンウも同様だった。
「うわっとっと!!下に私もいる事を考えてよねー!!」
カンウもボムホエールの下敷きになりかけたがどうにかかわし、事無きを得ていたが、空のハーデス
はそんなマリンとカンウの苦労もつゆ知らずになおも空中大立ち回りを演じていた。
「は〜…ったくも〜…。」
マリンがため息1つ付いていた時だった。カンウの足下の地面が爆発を起こしたのであった。地雷が埋まっていたワケではない。それは砲撃による物だった。
「妨害電波の発信源はあの曲者だ!!!あの曲者を破壊せよ!!!」
カンウの前方に夥しい数のバスターフューラーによる包囲網が敷かれていたのだ。
「あらら〜…まだまだ頑張るね〜…。」
マリンは感心していたが、バスターフューラーは背中のバスターキャノンを一斉にカンウへ向けたのだった。
>>ネタの合否について書いている皆様
これについては、それでいっぱいになるのは確かに困りますが、
たまにちょこちょこやる程度の小話って感じの物ならば問題無い様な気がします。
ゾイド関連のお話として成立していれば良いのでは無いでしょうか。
その一方で吉野家ネタは良いな〜って思った自分をお許しください。
「ちょっとちょっと皆さん聞いてくださいよ、この間ハイGホエールに行ったんですよ。」とか、
「家族全員で緑の悪魔か?おめでてーな。」とか、そういうのをいずれおまけ的小話
として書いてみようかな〜と思ってみたり・・・。やっぱダメですか?orz
>>恐怖の亀裂作者さん
死んだら悪魔にされるって本当迷惑千万ですよね〜・・・。
ろくな死に方もできそうになさそうですし、さらにその死後も不安・・・?
あと、鳥類至上主義者ってのはゾイドだとあまりなさそうな感じだったので
かなり新鮮でした。羽の一本一本を武器にするというのも地味に痛そう。
つかここしばらくの種ネタはこのスレ的には明らかにルール違反でしょ。>亀裂の人
話しの根底がゾイドでお話しとしても成立していたら誰も文句は言わないです。>鉄獣氏
2ちゃんって良くも悪くも開かれた場だから、人格者もろくでなしも集まる。
ちょっと箍が緩むとそこに付け入る香具師も出てくる。甘い処置はスレの命取りにもなる。その辺を考えて欲しいのですよ。
暗黒大陸――名前も忘れられた山脈に、その施設はあった。
旧名をゲフィオン山脈と言ったこの山岳地帯の、地下へと続く巨大なハッチが見える。偽物の木まで植えての
巧妙なカモフラージュがなされた入り口である。
そこは暫定政府の秘密研究所。外部の物は誰一人として知る事の無い、大戦中から存在した古い施設だった。
「博士ぇ、お茶入れましょうか?」
甘い声に呼ばれ、シュバルツバルト博士はまどろみから目覚めた。
午前2時。いつの間に眠ってしまったのかと、彼は自分に心中で鞭をくれて立ち上がった。
ヴィクター=シュバルツバルトはこの施設で行われている「研究」を一任された研究主任だった。その有能さから
暫定政府研究機関内でも一目置かれる存在であり、二十代半ばにしてこれほどの計画を任される地位に上り詰めた
いわば天才と言うべき男。
「ああ、じゃあ気付けにコーヒーを頼む。…ブラックでな」
笑顔で頷き、部屋を出て行った女性研究員の背中を見ていたシュバルツバルトは同僚に突然背中を叩かれた。
「いーいなぁぁ〜!! あんな凄え美人をお茶汲みにして、顎でこき使ってんだからよォ〜」
「しかもあの娘、お前に惚れてんのが見え見えだしなァ〜」
彼はずり落ちた眼鏡を元に戻し、動揺もなく答えた。
「彼女は…悪い子ではないが、ドジを踏みすぎる。茶汲みくらいにしか使えなかっただけさ。
それに、私は直属の部下と関係を持つほど間抜けな男ではない」
味気ない答えに、同僚からブーイングが巻き起こる。だが、こんな光景はいつものことだった。
たとえ研究している物がいかに危険であろうと、この施設の防護システムは完璧だ。地下の秘密研究所とは思えぬ
平和な日々――それは、当たり前のように続くと思われていた日常。
その「完璧な安全」がどれほど脆い物なのか、彼らは考える事もしなかった。
同研究所、地下500m。この施設の最下層である。
ここの施設が扱う計画とは、暫定政府以前より発動していた「強化人間」に関する研究だった。
「GX-00、細胞活動異常なし。脈拍安定。アドレナリンやや上昇――そりゃ、あんな状態じゃストレスも堪るわな」
「こら、仕事中に私語は禁物だ!」
スピーカーを通してさえ、研究者の冗談が聞こえてくる階層。だが、その奥にある扉は滅多に開かれる事がない。
その扉の奥には特殊チタニウム合金製の柵に囲われ、強化金属繊維ベルトで雁字搦めに拘束された「実験体」が存在したからだ。
十数体の実験体の中で最初に作られ、最も完成度が高い“GX-00”が主に実験対象となっている。「彼」が誕生したのは
既に38年も前の話であり、「彼」自身も38歳の男性と変わらぬ外見を有していた。
だが、GX-00が過剰とも思える拘束を受けているのはそれなりの理由がある。12歳時の身体能力テスト中に、壁を破壊して
脱走を試みた実績のためだ。
それ以来彼の拘束が解かれる事は無く、細胞などのデータ収集に30年近い歳月が費やされた。
しかし既にGX-00は強化人間として完璧な完成度を得ている。このまま死ぬまで施設の底に拘束していては、
研究の全てが無駄になってしまうのだ。
そこで提案を持ちかけたのがシュバルツバルト博士だった。「絶対に逃げ出せない環境で、戦闘テストを行う」と。
研究成果を無駄にしたくない思いに加え、聡明な博士の意見も背中を押したのだろう。研究者会議はGX-00の
戦闘テスト実行を決定し、そうしてこの日、研究所の上には巨大なトレーラーが停車しているのだった。
「そーれにしても…コイツ、縛られてても危険ってどういう事なんだ?」
「さあな…柵つけて縛った上に、常時薬を投入して抑えなければいけないなんてのはおかしいな」
GX-00を地上付近の階層まで運ぶ大型エレベーターの中、運搬役の作業員二人が実験体の威容を見上げた。
「これじゃあまるで、人外のバケモノみたいなヤツかと思っちゃうよなー」
「でも、外見はごく普通にいる中年のオッサン。しかも中々カッコイイと来た」
エレベーターが地下100階を通過した。
「つーか、ここまで拘束されてて『何か出来る』奴なんている訳ねーだろ、っつーの!」
「はは、違いない――なあ、バケモノ君?」
作業員は何気ない動作で、合金製の柵に手を掛けた。
が、その瞬間――拘束器具に付いていた緑色のランプが、赤に変わった。
「え…? 何だ、このランプ?」
作業員は柵の中に身を乗り出し、近くでそのランプに書いてある警告を見ようとした。だがその前に、
もう一人の作業員が異変に気付いた。
「…おい、あの拘束具どうなってんだ…? な、何かおかし……!?」
バチンッ
強化金属繊維で編まれたベルトが、ゴム風船のように弾け飛んだ。柵の中に身を乗り出した作業員は身を引こうとしたが、
時既に遅し。次の瞬間彼の上半身は下半身と離れ、エレベーターの床に血溜りを形成した。
「う…あああぁぁぁぁッ!!? 何だコレはぁッ、何が起こってるんだ!?」
叫ぶ間にも同僚の体が何か見えない力で粉砕され、原形を留めない肉塊と化している。
40階。まだ目的の階までは時間がある――逃げ場は無い。
合金の柵が玩具のように吹っ飛ぶ。作業員はただ、裸体のまま歩み寄ってくるGX-00を見ているしかなかった。
「博士、この仕事が終わったら…休暇とかもらえるのかなぁ…」
「茶汲み」と呼ばれた女性、シャルロット=ブラウンの溜め息が人気の無い通路に響く。
――シュバルツバルト博士が、自分に振り向いてくれるなんて思ってない。私はドジで、仕事もろくに出来ないし…
それでも、彼に休む時間ができたら嬉しいと思った。まるで自分の事のように。
その時、施設内に警報と第一級警戒のアナウンスが流れた。
「え? 何かあったのかな…あ、コーヒー冷めちゃう」
彼女は博士の研究室へと急いだ。もうすぐだ。あの大型エレベーターの所を左に曲がって――
エレベーターのドアが開いた。
中には、裸の男が血まみれで立っている。
「?どうしたんですか…って! 何も着ないで施設内を歩かないで下さいよぉ!」
顔を赤くして叫ぶシャルロットに、男はゆっくりと近付いてきた。と、何かを感じたように右手を挙げる。
ふっ――と衝撃音も無く、何処からか飛んできた銃弾は男のすぐ横で静止した。
「何をやって――シャルロット、逃げろ!!」
シュバルツバルトが走ってくる。状況が理解できないシャルロットの首に、血で濡れた手が触れた。
冒頭からいきなり…とは言っても。
>種ネタ等の合否について
「話としてできているもの」=短くても小説形式 のものならばスレの趣旨に沿っていると思います。
ただ流石に1レスで、予告編形式の文となると…パロディスレに投下すべき範疇ではないかと。
内容は良かっただけに残念。
>>恐怖の亀裂作者氏
デスマンティス…妄想を膨らませたゾイドの中でも一番思い入れのある機体です。
第1シリーズ2作目でちょっとだけ登場しましたが、結局活躍せずに終了してしまい、
パイロット共々惜しい事をしたと思っております。
>>鉄獣28号氏
2機相手に薙ぎ倒される大編隊哀れw
今更ですが「ハーデス」って名前は好きですよ、何となく。
瞬く間に通路は、武装した兵士で埋め尽くされた。が、誰も発砲できない。
ここまできてやっとシャルロットは、自分が人質にされているのだと気付いた。
「あ…は、博士…」
「シャルロット、動くな! …くっ、そいつを放せ、GX-00!!」
相手はまったく動じず、シャルロットを盾にしてじりじりと出口の方に向かい始めた。
シュバルツバルトの頭脳が、必死に彼女を救う方法を模索する。だがヤツの反射神経では何処から撃っても、銃弾が届く前に
シャルロットが盾にされてしまう。――そもそも、盾など必要ないはずなのに。
十代で博士号を取った彼の頭は、一つの結論しか導き出せなかった。
「…シャルロット、今考えてみたが…君を救う方法が、ない」
それはつまり、彼女に「死んでくれ」と言っているような物だ。
シュバルツバルトは当然、彼女が泣いて助けを求めると思っていた。だがその声は聞こえず、代わりに
薄い笑いが耳に入った。
「もしそれで、博士の…お役に立てるのでしたら、私はどうなっても良いです」
手が震える。その手で自身も拳銃を手に取り、GX-00に――シャルロットに向ける。
「私、好きですよ。――博士の事」
ぶしっ
シャルロットの背中から胸の辺りに掛けて、GX-00の腕が突き抜けた。心臓を抉る突き――あれでは、即死だ。
その場に崩れ落ちるシャルロット。地上に向かって走り出すGX-00。
溢れ出る涙を拭いもせず、シュバルツバルトは絶叫した。
「…て……撃てぇーーーッ!!!」
兵達の持った機銃が一斉に火を噴く。GX-00はその全てを児戯のごとくかわし、地上へ出るハッチの前で立ち止まった。
「馬鹿が、そのハッチは5mの厚みを持つ鋼鉄製で――」
GX-00が手を突き上げる。その動作だけで5mの鉄板が歪み、もう片方の手を突き上げるとハッチの一角が完全に吹き飛んだ。
呆然とする追っ手を尻目に、星空が見えるハッチの穴からGX-00は地上へと消えた。
安らかな顔のままで倒れているシャルロットの側に屈みこみ、凄惨な目つきでシュバルツバルトが呟いた。
「…シャルロット…お前は役立たずなんかじゃない。お前の仇は、上司であるこの俺が…必ず! この手で討ってみせる…!」
やっぱり駄目ッスか。でも今回のケースはネタ一発としても丁度時期が”種死”の開幕時期と重なった運の悪い出来事で済むとは思いますが…?
最近はと言うよりかなり前から略4人で回している状態なのでもう少し人が来れば…と思っていたり。
鉄獣28号さんへ
今回はルナリスさん大活躍!その煽りを受けて逃げるマリンさんw「酷いよルナリスちゃん!」と言う声が聞こえてきそう…。
鳥類至上主義な方はかなり考えて見ました。それにそろそろ何でこんな連続して戦闘が起こっても時間が余り進んでないかも理由付け構想中です。
使うネタがネタだけに直ぐ思い付きそうですが判明までは間が空くと思います。
Innocent Worid2の作者さんへ
〇〇〇o〇リートからですか!?ここから如何成るのか…?
「じゃあそう言う事で。」「良し!任せた!」そのやり取りで今後の方針が決まる。
素早くコクピットを跳び出しオケアノスユニットのコクピットに跨るファイン。その後分離してオケアノスユニットαを切り離す。
「さて…あの悪魔さんは付いて来るでしょうか?」αユニットは切り離し後チェンジマイズしモサフリッパーに成る。
モサスレッジの顔とイルカの上顎部分をくっつけた顔それが反転した状態で胴体に繋がる。
一応胴体背中に保護されてはいるが真横には何も無い。一部で酷評を受けるライダー型の操作機体だ。
胴体は略モサスレッジの装甲強化型な姿にイオンブースター4機と思い切った姿である。
「ぬ!?あれは…奴の股関節辺りの装甲がゾイドに成ったものか!逃がさん!」乗った!ワーロックはモサフリッパーの存在に気付き後を居って来る。
ファルケンシュトゥールが相対速度を合せて追撃してくる。「先ずは…。」モサフリッパーより対空用ネットミサイルが発射される。「ぬおっ!?小癪な!」
ネットミサイルに突っ込みファルケンシュトゥールは墜落する。見事な程の相性差が発生し動きを止める事に成功した。ファルケンシュトゥールからワーロックは跳び出しモサフリッパーを追う。
「私から逃れられるとは思わない事だ!」その体躯に合わない巨大な翼はぐんぐんとモサフリッパーとの差を縮めていく。生身の方が速いぞ?と言う突っ込みは彼に通用しそうもない。
「ふふふ…真逆この様な手が有るとはな。」ベルウッドは嗤う。ファインにコントロールユニットの一つを付けさせたままで離脱させる。
それをまんまと策に掛かりワーロックをベルゼンラーヴェから遠ざけと悪鬼呪法機関で機体の修復をゆっくりと行うと言う作戦だ。本来はパイロットが居ないと使えない物でも今回ベルウッドが伝達機の代わりを勤める為問題は無い。
強いて問題が有るとすればこの状態をペイルバイターに見付かる事だ。しかし見た所相手も機体の修復中で無理な行動は起こさないだろう。
要するに安牌(あんぱい)の作戦だ。完全に安全な状態で修復を進めれるベルゼンラーヴェは今の所は最も安全な機体である。後はベルウッドが離れたファインを何処まで補助できるかになる。
「つ〜かまえた!」ワーロックはモサフリッパーの攻撃を躱し遂に機体に取り付く。素早く機体の上を這いコクピットに到着する。
「あっ…自動操縦。居ない!?何っ!?急ブレーキ掛けますだとっ!?」その言葉はワーロックと共に空中に投げ出された。
しかも急ブレーキとターンを同時に行った為遠心力で余計遠くに飛んでいる。「油断大敵でありますね…。」コクピットの後ろに有る緊急時用品のコンテナからファインは言う。
コンテナから這い出し地に足を付けると凄い勢いで飛んで来る者が居る。ワーロックだ。「やるな!一度ならず2度もはめるとは…だが生身で如何する?」
「こうする。」ウェイブレイダーをホルスターから素早く引き抜き早撃ちをする。元々が誘導弾なのでどう撃とうと問題は無いがここは雰囲気と見た目の問題だった。
如何にワーロックに自身を強敵に見せるか?それが命題なのである。
誘導弾がワーロックに迫る。「追尾術式弾か。」ワーロックは翼を振るい何とそれを叩き落とす。1発のみの発砲なので被害は少ないがこれでウェイブレイダー単体ではどうにもならない事が解る。
「次は此方からだな。」目に残像すら残らない疾風の突きがファインの喉元に迫る。しかしそれは外れる。その驚異のスピードが風を起こしたのでファインの方は軽くジャンプしたのである。
突きの前より迫った風の力で仰向けに転倒する形でその攻撃を避けたのだ。「木の葉に風は不味いですよ?」そのままがら空きの腹部を蹴る。「舐めるな!」ワーロックも同時に蹴りを放ち蹴り足同士が交差する。
激しい横回転で両者は空中と地面を回る。ワーロックが速度を最後に落していた為両者にダメージは無いがファインは土煙の中に放り込まれる結果となった。
右のホルスターからカラミティシャドウを引き抜きワーロックを撃つ。壮大な発砲音と共にファインやワーロックを超える大きさの火球が銃口から発射される。その反動は膝を付いて居なかったら転倒する程の勢いだ。
「でか!?ウィンドポケット!」ワーロックの前に空気の無い空間が産まれる。それに当たり弾丸は歩の鵜の勢いを失いながらもそれを突破する。だがその勢いの炎では大した威力は望めない。案の定羽ばたき一つで掻き消されてしまう。
しかも弾丸まで粉々だ。「怖っ!?」距離が離れていた為ファインに影響は無いが近距離であれを喰らったら今後の未来は余り嬉しくない物に成る。しかし今の2発で面白い事を思い付くファイン。
「問題は相手が黙ってこれを受けてくれるかでありますね?」
カラミティシャドウとウェイブレイダーの2丁をホルスターに戻して今度はカスタムハンドガンを2丁引き抜く。
弾倉部分が倍の長さを持ちカウンターウェイトとして銃身のカバーも勤めるカウルトンファーが装備されている。
特にそれ以外の違いは無いが使う弾の方に手を加えて有る。炸薬の炸裂に反応し起動する炸裂術式を弾に彫り込んで有るのだ。
対称に接触すると炸裂し共に彫り込んだ無効化術式で相手の術式や空間干渉、錬金を阻害する。
ちょっと心細いが無いよりは充分すぎる程ましな物だ。ワーロックがファルケンシュトゥール同様の攻撃をしてきた場合も多少は安全になる。
「ブレスウィング!」やはりと言うか当り前と言うかワーロックは羽毛を強烈な疾風を伴い放ってくる。それに向かってファインは銃弾を撃ち込む。
通常の3倍の45発装弾できるのが非常に助かる。弾が羽に当たり炸裂すると周辺の風が無くなり羽が物理法則に従いひらひらと舞い落ちる。
「そっち方面は万全か?なら!」翼を纏って突撃してくるワーロック。ファインは右手の手袋を外してシュトゥルムシュナイダーを握る。すると直ぐに周囲から集まった力で放電現象が起こる。
「そうそう…これを忘れてしまう所でありましたね!」右手の甲にはこれまでのゴタゴタで本人でさえ存在を忘れかけた甲殻皮膚”輝眼”だ。「あれっ?何方が攻めているか微妙な状況に!」
ワーロックの言葉は当たっている。ファインはワーロックが突撃してきたら端からこれを叩き込む事にしていたらしいのだ。
「ストライクボルカニックブロウ!!!」「バニッシュメントウィンド!!!」二つの攻撃が激突する。因みにファインは名前を適当に言っているので前と技の名前が違ってたりする。本人も当然気付いていないだろう。
強力な術式圧縮高圧電流と高密度に集積された衝撃波の激突。その結果は爆竹の様な軽い破裂音と共に両者は数m意思に反して跳ぶと言う結果になる。
ファインの方はバク宙の状態なので何とか足を先に着き両手で地面を掴み何とかする。一方空中に居たワーロックの方は激しく回転した後翼を広げ何とか態勢を立て直す。
「手を抜いて悪かったな…うえええ気持ち悪い…。」ワーロックは気分が悪くなったらしい。回転のし過ぎだろう。ちょっと悪魔っぽく無いので思わず笑みが零れるファイン。
「情けない所見せて悪かったな…。今度は本気だ!」
距離を置いてワーロックが詠唱を必要とする術式を使用し始める。「天の暴風地の旋風…。」詠唱中に攻撃されるのを防ぐ為に結界を発生させている。
その中では翼でその身を覆い不測の事態に対応する構えも有る。有る事をやろうにも結界がこうも強いと結構辛い。ファインは最善を諦める事にした。
ホルスターからカラミティシャドウとウェイブレイダーを引き抜き使用した分1発づつを再装填する。「凶行を呼ぶ風塵アバドンの息吹…。」詠唱は最終段階が近付いて来て居る。
膝を突き両手の銃を構えてファインは全弾一斉に発砲する。
6発の火球と6発の閃光の矢が銃口より放たれる。「何の真似だ?そんな物通用しないと知っての自暴自棄か?」口が詠唱で使えないので脳内に直接言葉を送ってくるワーロック。サービス精神旺盛だ。
だがこれで終わらない。更に弾倉を入れ替えまた全弾発砲。これで12発づつ系24発になる。しかしワーロックから見えるのは12発の火球のみ。それが連続で結界に炸裂する。流石にアークデーモンを名乗るだけ有る。
11発まで受けて結界に罅一つ入らないが12発目に罅が入り銃弾3発分程の穴が開く。だがそれで良いのだ。残るウェイブレイダーからの誘導弾が12発結界の中に雪崩れ込む。カラミティシャドウの12発目の後ろに隠れていたのだ。
ウェイブレイダーの高性能誘導弾丸だからこそ成功した妙技だ。
「どおおおおおおお!?」詠唱を中断しワーロックは12発の弾丸を必死に叩き落とす。流石は歴戦の兵らしく見切りを付けるのも速い。普通の相手なら勿体ないと詠唱を続けてウェイブレイダーの弾丸で串刺しになっている筈だ。
余り費用対効果は望めなかったがこれで大規模な術式の使用に制限を掛ける事が出来た。そして中間距離での余りパッとしない銃撃と羽吹雪の応酬に戦闘が切り替わる。「なあ…?地味だな?」戦闘中にそれも無いがワーロックはそう言う。
「地味ですね。」そう答えるファイン。「ちょっと派手にしないか?」悪魔の囁きだ。しかし選択権はファインには無い。何処までいっても先行はワーロックの方からなのだ。
「ジェノホーク!」遂に恐れていた事が現実になる。ジェノホークを呼び寄せたのだ。パルスレーザーが迫る。「ていっ!逃げるが勝ち!と言っても勝てる訳なし!!!」ファインは大慌てでモサフリッパーに逃げ込んだ。
”r”だった_| ̄|○
急いでEを押してたらしいです。
一応終わりです。別シリーズとなって続く可能性や合流の可能性も合ったりして?
没ネタ供養お許し下さい。
前スレに止めを刺してしまいました…。
「奴の妨害電波によってミサイルは使えないがバスターキャノンならば問題無いはずだ!!
いかに頑丈さが取り柄のゴジュラスギガでもこれだけのバスターキャノンを連ねれば一溜まりも無いはずだ!!」
バスターフューラー隊の一斉砲撃が始まった。次々にバスターキャノンが火を噴き、超高熱砲弾が
超高速でカンウ目がけて空を斬って突き進んでいった。その一発一発が大型ゾイドも一撃で破壊する
強力な物である。しかもそれが一度に何十発も放たれているのである。これだけの物を食らえば
どんな装甲を持つゾイドであっても一溜まりも無いはずである。が…、カンウは横っ飛びでその砲撃
の雨ををかわしたのだ。しかもその横っ飛びは一度に数百メートルも跳ぶと言う驚異的な物だった。
「あ〜怖い怖い!あんなの食らったら本当に曾お婆ちゃんのいる所に逝っちゃうよ…。」
そして激しく砂埃をあげての横滑りでバスターフューラー隊の側面に回り込んだ後、カンウはMB
ユニットの砲口をバスターフューラー隊へ向け、超ハンデンシティービームバスターキャノンを撃ち
込んだのだ。メガセイスモサウルスに対してにはお世辞にも通用出来たとは言え無い物であったが、
バスターフューラーに対しては効果覿面であった。荷電粒子砲に次ぐ威力を持つ超高密度ビームは
バスターフューラーの重装甲をやすやすと消し飛ばし、一度に数機まとめて吹き飛ばしていたのだ。
「怯むな!!砲撃を続けろぉ!!」
バスターフューラー隊のパイロットは良く訓練されていた様子であり、先程のカンウの攻撃にも
すぐに体勢を立て直し、再びカンウへ向けて一斉砲撃を再開したのだ。それにはカンウも逃げるしか無かった。
「きゃぁぁぁ!!もう本当に怖いんだってばー!!」
自らへ向かって降り注ぐ超高熱砲弾の雨にカンウは逃げ回っていたが、それを好機と見てバスターフューラー隊は追撃を開始したのだった。
「曲者は逃げるぞ!!逃がすな!!一気にたたみかけろ!!奴を倒せば妨害電波も消えるはずだ!!」
「了解!!」
逃げるカンウと追うバスターフューラー隊。そしてバスターフューラー隊のバスターキャノンの連撃がカンウを襲った。
「きゃぁぁぁ!!怖い怖い怖いぃぃぃ!!!」
圧倒的な物量差と、バスターキャノンによる一斉砲撃の恐怖にマリンは泣きわめいていたが、逃げ回るカンウの前にジェノザウラー隊が立ちはだかったのだった。
「は…挟み撃ちぃぃぃ!!!?」
バスターフューラー相手でも手一杯だと言うのに、さらにバスターフューラー隊と同じ位の物量を
誇るジェノザウラー隊の参戦に、マリンの涙がカンウのコックピット中に飛び散った。
「アンカークロー一斉発射!!曲者を捕まえろ!!」
ジェノザウラー隊は一斉に両腕のアンカークローをカンウ目がけて発射した。これでカンウを捕まえ、
動きを止めた上で、バスターフューラー隊に攻撃させようと言う作戦であった。
「いぃぃやぁぁぁ!!!!」
バスターキャノンの雨に襲われて錯乱状態になっていたマリンは慌てて回避行動を取ろうとするが、
バスターキャノンの連撃に襲われていたと言う極限状態の中での事であった為、アンカークローに
捕まってしまったのだ。超合金ワイヤーを通じて伸びた各ジェノザウラーの両腕がカンウの各部をガッチリと掴んだ。
「きゃぁぁ!!もう嫌ぁぁ!!」
マリンは慌ててカンウの各部に絡みついたアンカークローを外そうとするが、その夥しい数のアンカークローにカンウは身動きがとれない状況にあった。
「よし今だ!!曲者を破壊しろ!!」
「恩に着る!!」
アンカークローに掴まれて動きを止められたカンウへ向けてバスターフューラー隊は一斉に
バスターキャノンを向けた。そして各機のパイロットがカンウへ照準をしっかりと付けた後でその引き金を引こうとしたその時だった。
「ふぅぅぅざけんなぁぁぁぁ!!!!」
逆切れしたマリンが超大音量の叫び声をあげた。そして、それに呼応したカンウの出力が増大し、
自らを束縛していたアンカークローと各ジェノザウラーを繋ぐワイヤーを逆に掴むとその何十機と言う数のジェノザウラーをまとめて振り回したのだ。
「うわぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「そんなバカなぁぁぁぁ!!!」
何十機と言う数のジェノザウラーを振り回すカンウはさらに振り回す速度を上げて行き、その空を
斬る音とジェノザウラーパイロット達の悲鳴や絶叫が辺りに響き渡った。それだけでは無かった。
「何てパワーだ…あれ程のジェノザウラーを振り回すとは…。」
「つーかこっち来るぞぉぉぉ!!!」
カンウが何十と言う数のジェノザウラーを振り回していると言う事実は、バスターフューラー隊を
含め、その周囲にいた他の部隊の者達を唖然とさせ、恐怖を与えていたのだ。しかし、真の恐怖はここから始まったのだ。
「お前ら全員逝ってしまえぇぇぇぇ!!!!!」
涙をボロボロと流し、同時に激しく怒っていたマリンの叫び声がそう周囲に響き渡ると同時に、
カンウが振り回していたジェノザウラー隊をハンマーに見立ててバスターフューラー隊に叩きつけ一気に全機吹き飛ばしたのだ。
「うわぁぁ!!バスターフューラー隊が全滅したぁぁ!!」
「つーかこっちにも来るぞぉぉ!!!」
バスターフューラー隊を蹴散らしたカンウはさらにジェノザウラー隊を振り回したまま他の部隊に襲いかかった。
「オラオラ待てぃやぁぁぁ!!!!」
なおも逆ギレ状態のマリンは言葉も乱暴になり、カンウはジェノザウラー隊をブンブン振り回し
ながら逃げ回るズィーアームズ私設軍隊の各部隊を追撃し、次々にジェノザウラーハンマーの餌食として行ったのだ。
「ぎゃぁぁぁぁ!!!」
「ひぃぃぃぃ!!!!」
「助けてママーン!!」
「やっぱ都会(?)は怖い所じゃぁ!!大人しく田舎で畑耕してるんじゃったぁぁぁ!!!」
皆はジェノザウラーハンマーを振り回すカンウから逃げ回るしか無かった。と、その様に一気に一発逆転出来ている時、マリンは冷静になって事を分析していた。
「(それにしても…これだけの数のジェノザウラーを振り回すなんて…カンウにこんなパワーが?ギガスパワーも使ってないのに…。)」
先程は怒りに身を任せていたから細かくは考えていなかったが、今になってマリンは真面目に不思議
に思っていたのだ。お世辞にも頭が良いとは言えない彼女だがそう考える事に無理は無かった。
ジェノザウラーが何十機も集まれば数百トンどころか、数千トンは平気で行く物となるのである。
自重の十倍近い超重量となるそれを、ギガスパワーによる出力の増幅無しで軽々と振り回すカンウの
パワーは恐るべき物と考える以外に他ならなかったが、マリンは知らなかった。この時発揮した
カンウのパワーこそ、あのメガセイスモの巨大ゼネバス砲を全て吸収したあの時の様に、マリンの
怒りをきっかけとして発揮されたカンウの本来の力の断片的な物であったのだ。もちろん
先代パイロットの頃はそれ以上の力を当たり前に発揮できた事は言うまでも無い。
それから一時、カンウは地上で、ハーデスは空中で大立ち回りを演じていたが、ハーデスは地上へ降り、ルナリスはマリンへ通信を送ったのだ。
「おい!そろそろ本命の所に乗り込まんか?これだけ数を減らせば不可能は無いと思うぜ!」
「た…確かに…このままじゃ本当にキリが無いからね…。」
相変わらずジェノザウラー隊をハンマー代わりにして敵を攻撃していたカンウは全身の装甲が砕けて
ぐしゃぐしゃになったジェノザウラー隊をゴミの様にその辺にポイと捨ててハーデスのもとへと走り始めた。
「ゾイキュアがそろったぞぉぉぉ!!」
「撤退撤退ぃぃ!!一時撤退して体勢を立て直せぇぇ!!」
「おいこらそれどういう意味じゃ!!」
合流し合ったカンウとハーデスの2機に、皆は撤退と称して逃げ出していたが、2人はやっぱり
お約束通りの突っ込みを入れていた。と、その時だ。撤退して行く各部隊へ向けて何か強い光が横に薙いだと思ったその直後、そこを中心として大爆発が巻き起こったのだ。
「な!!こ…これは…。」
「まさか…。」
大爆発の際に起こった強烈な閃光に2人は目を塞いでいたが、その大爆発に2人は見覚えがあった。
それはあのタイガタウンを一撃の下に吹き飛ばした悪魔の光。メガセイスモサウルスの巨大ゼネバス砲であった。
>>ネタの合否について書いている皆様
物語としてきちんと続ける気があるのなら多少は目をつぶりたいと思いますが・・・、
やはり単なる一発ネタで終わる物ならばやっぱりダメな物なのでしょうか?
>>恐怖の亀裂&ZOIDS Hazard作者さん
新型ゾイド登場ですか?しかも操縦系がバイク形式。何か危なそう・・・。
ゾイドハザードの件も、ゾイドと人間そのものを一つにくっつけるというのは
違う意味で非人道的に思えますね。研究施設が破壊されるのも無理ないかと。
今後はそのゾイドハザードをいかに抑えるかと言う物語でしょうか?
>>Innocent Worid2の作者さんへ
何かスッゲェバケモンキタァァァァ!!!いわゆる人造人間って奴ですか?
自分の話に出てくるロボット型では無く、遺伝子操作型(?)か何かの・・・。
にしてもこれはかなり怖い様に思えました。読んでるだけで身震いするほどです。
なんというか、ホラー物でも通用できそう(?)な気がします。
>2機相手に薙ぎ倒される大編隊哀れw
何と無く大立ち回りを書きたかったのであんまり細かく考えていません。
しかし、ただ数が多ければ良いと言うワケでは無いとは考えていました。
その物量を生かせる事も無く、ただ数が多いだけでは烏合の衆も同然でしょうし、
下手に密集していても同士討ちの危険性がありますからね。
「ふーッ…ここまでくりゃあ、治安局の連中も追ってはこないだろーよ」
「ま、治安局とはいっても、ただの自警団だしなァ!」
2年の間に、市街は驚くほど復興されていた。とはいってもそれは物質的復興で、即ち人々の心に残った傷はいまだ消えない。
そして混乱の後に必ずやって来るのが、治安維持が困難な状況に便乗しての略奪、殺人、その他諸々の犯罪だ。
市街の外、荒野を駆けるエレファンダーもそんな略奪者の二人が操縦するものだった。
「でもよ、大丈夫か? もし『星光の鎖』に見つかった日にゃあ…」
「んな事ねぇって! 連中はこんな、ショボイ事件をわざわざ追っかけたりしねえよ! “ギルド”ん時と同じさ」
<おーーっとしかし残念! その予測は素晴らしく的外れだ!>
通信回線がいつの間にか外部から干渉を受けている。驚愕に目を丸くする盗賊の前に、白いライガーゼロ・イクスが現れた。
「白いイクス…まさか!」
<ん〜、俺ってばやっぱ有名人か? そう、この超美少年能力者にして『星光の鎖』のエースである俺様――>
「マズい!“チェーンアーツ”か!!」
スピーカーから飛び込んできたのは少年の声。だが、その少年は犯罪者にとって最も恐れるべき敵だ。
<――オリバー=ハートネットが犯行現場を目撃したからには! お前達の監獄逝きは既に確定した!>
イクスが「発動の光」を放ち、エレファンダーが反転して逃げ出す。が、スピードがあまりにも違う。
迎撃しようとエレファンダーのビームガンが火を噴く。その射線はイクスの機体を捉え――後方へとすり抜けた。
「!? 馬鹿な、確かに直撃したはず…」
<これまた残念。獄への手土産に教えてやるよ…俺の能力“ビューティフル・ドリーマー”は、機体の移動に合わせて
残像を作り出す力――ま、お前らに撃てんのは俺の残像が関の山だな>
オリバーと名乗った少年がニコニコ笑いながらトリガーを引く。恐怖に縮み上がる盗賊二人の機体を、あやまたず
エレクトロンドライバーの閃光が貫いた。
「治安維持ってのも辛いねぇ…こんな退屈な仕事してまで、ポイント稼がないといけないんだからさ」
気絶した二人を縛り上げ、本部に座標を連絡するとオリバーは早々にその場を立ち去った。
「――“円卓の騎士”?」
「そ。別の読み方でナイツ・オブ・ラウンド。最近、仕事に出たチェーンアーツがこいつらに殺られてるんだとさ」
市街の一角、賑わう街道沿いのカフェテリアで二人の少年が話している。
話を聞いている一人はツンツンの金髪、青いジャケットを羽織った大人びた少年。もう一人、喋っている方は
淡い茶髪と緑のシャツが人目を引く、やはり妙に大人びた少年だ。
「つーか、そいつら能力者だよな?」
「いやいやオリバー君。ここがミソでね…円卓の騎士は13人居るが、全員が20〜30代の大人なんだ」
「は? じゃあ、能力者を破るなんてのは並みのゾイド乗りじゃないが…それが13人居るってのか?」
金髪の少年、オリバーはこの話に好奇心をそそられた。大人で能力者を破ったなんてヤツは、一人しか知らない。
更にいえばその一人も、2年前の戦いで死んでいる。
逆に語るほうに回っている茶髪の少年、マキシミン=ブラッドベインは雄弁だ。
「正解ともいえるが、最も驚くべき事はそこじゃない。そいつらは全員、『大人なのに能力を使う』連中なのさ」
「んな…それって、どーゆー事…」
今度こそ愕然とし、マキシミンを問い詰めようとしたオリバーは駆け寄ってくる人影に気付いて手を振った。
「やあ、エル! こっちだ――」
「お前さ、あの子も『狙い目』なワケ?」
マキシミンがぼそっと呟いたが、オリバーは無視した。近付いてくる少女に微笑んで見せる事が先決だ。
その少女は、今では珍しいブーツカットのジーンズとTシャツ――何より、その顔が印象に焼きつく。
質問に対する答えを得られなかったマキシミンも、彼女を近くで見て納得した。――オリバーが狙う訳だ、こりゃ。
「会うのは初めてだな、マキシ? 彼女がエルフリーデ=ラッセル――俺の、ガールフレンドさ」
「やだ、恥ずかしいよ〜…」
マキシミンは「もう見てらんない」とばかりに肩をすくめ、後ろを向いてゲーゲー吐く真似をした。
――オリバーは…まあ、なんだ。容姿は疑いの余地なく美少年なんだが、性格がな…
この可愛らしい少女には言わないで置く事にした。オリバーが、チェーンアーツ随一の女たらしであると言う事を。
衝撃的に期待を裏切るヤツが主人公ですw
>>恐怖の亀裂作者氏
流石ですね…元ネタはその通り、○○○ェ○リートです。
流石にパクリ杉か?と不安になりましたが、導入部が面白くないとどうにもならない物で…
前スレの話、良かったです。ジェノハイドラ大好き(゚∀゚)=3
如何やら前スレ末の2本は意外と好評?らしくて嬉しい限りです。
実はあれを…VSVのフューザーズ世界に放り込んでやろうか?とかも画策してました…。
どれでも良いから余計に迷うのですね…。
所で…キールアーマーって今回有るのでしょうか?
鉄獣28号さんへ
メガがキターーー!!!遂に最終決着!?と言うよりハガネさんとタイガスさん等は何処行った〜〜!?
真逆もうハイGホエールに潜入済み?
Innocet World2の作者さんへ
パクリは兎も角として…銃弾の雨に晒されてないだけ良いのではとか?あれは酷かったので_| ̄|●
新たな秩序は実るのか?それとも…?と言う感じですね。
「おっと?逃がさないよ?」ワーロックが行く手を阻むがそこで今回用意した切り札の一つを使う。
「カムヒア!アサガオライガー!」「どわっ!?」ワーロックの背に人を乗せて走れるぐらいのサイズのアサガオライガーが落ちてくる。
「にゃお〜〜ん!!!」見た目とは反比例する可愛い雄叫びを上げてファインに走り寄ってくる。
「こっちもこれを使うとは思いもしませんでね!餓鬼結晶!イークイップ!」アサガオライガーとファインの影が重なる。
「幾ら何でも…それは…無いだろうよ…。」ワーロックは呆けた顔でそれを見ていた…。
「発想の転換が大事でありますよ?」地面に降り立った一つの影はアサガオライガーを装甲として装着しているファイン。ちょっとぶかぶかなのはご愛敬と言った所なのかもしれない。
「洒落た事を!」ジェノホークのパルスレーザーの雨の中ファインとワーロックは再び対峙する。やはり先に動くのはワーロックの方だ。素早く飛び上がり速度を乗せて体当たりをする。
それを軽くサイドステップで躱すファイン。アサガオライガーの見た目はエナジーライガー。序でにその機構も働く様で背のエナジーウィングで宙に浮く事も出来る様だ。
今度はもう一度迫るワーロックに名前由来にも成ったアサガオで叩く。「ぶへっ!?」見た目ソフトなアサガオに殴られた痛みは金属の塊で打ち据えられたような威力だ。しかもアサガオの方は確りへこんでいる。
「ソフトメタルアサガオクローなんちゃって?」接続は金属製の蔓草がエナジーチャージャーっぽい部分に繋がっていて叩くとへこむので最大限の威力を相手に与える意外な複兵装だ。
しかしそれを喰らってもワーロックは軽い脳震盪程度のダメージしか無い様だ。「その羽!格好良くないぞ!やっぱり鳥の羽が一番!それを引ん剥いて取り替えてやる!」何か妙な方向に趣旨が逸れている様な気がして成らない。
「交換!交換!」ワーロックは猛然と迫ってくる。「あひゃああああああ〜!?」情けない声を上げてファインは逃げる。ワーロックの目付きがおかしい。嗜好は大体解るが何故それを強要されなければならないのかは全く以て不明だ。
しかし速度が足りない。どんどん差を縮められ焦りの為か何故か地に足を躓かせファインは壮大に転倒する「有れ絵えぇぇぇぇぇ〜〜〜っ!?」そこにワーロックが突入。「何故こう成る〜!?」団子状態で森へと飛び込んだ。
「「どわああああああああ〜〜〜〜〜〜っ!?」」最早アークデーモンの威厳もへったくれも無い。揃って盛大な悲鳴を上げながら森を転がって行く。
しかもその先には…ペイルバイターが居る。衝突音と共に団子状態から解けた2人が虚しく宙を舞う。その光景が突然モニターに入ってきたベンハルトは吹き出す。
「ぶふっ!?何だこれはっ!?」何か良くあるギャグ漫画の風景…実写成らぬ現実でお目に掛かるとはさぞかし幸運だったのかもしれない。
「あっ…。」「ありゃ…?」確りエナジー擬人化コスプレファインとベンハルトの目が合う「「あ”〜〜〜〜〜っ!?」」最悪のタイミングだ。ペイルバイターの修復は完全ではない。
ベンハルトの方も困っている状態だがファインの方は更に状況が悪い。前門のアークデーモン。後門のペイルバイター。
「あれっ?これは…もしかして…”ざんねん!わたしのぼうけんはここでおわってしまった!!”状態でありますかぁ!?」”しんのゆうしゃ”じゃないのでそれだけは勘弁して欲しいファイン。
「「〇oドウゲイト(〇C)かいっ!?」」何故知っている?この2人は?ワーロックとベンハルトが何処でそんな知識を知ったかは知らないがこれで逃げる隙ができた。
「アロンジ〜〜ッ!!!」空中で体勢を変えてそのままエナジーウィングで逃げるファイン。両者は何故か知らない事を口走って突っ込んでいた為反応が遅い。
「如何やら”あの存在”の悪戯みたいでありますね…。」ついでと言ってはなんだがこのコスプレ状態は術の影響をダイレクトで体が受けるので本来意味の無い甲殻皮膚からもマグネッサーの効力が発生している。
”強盾””布刃””甲翼”の3種全てがそれを持つのでブレーキが間に合わずモサフリッパーに顔から激突するファイン。「あいたたたた…ひとまず逃走成功でありますね。解呪!」
アサガオライガーは元のサイズに戻ってファインの頭に乗る。「やっぱりそこ…。」偉く気に入られた様で頭は暫く彼の定位置となる。
モサフリッパーを起動させジェノホークの攻撃を避けながら更にベルゼンラーヴェより遠ざかる。そろそろこの行動自体が罠だと言う事に気づいても良い頃合だ。
だが罠と言うより潰しやすい今の状態はワーロックやベンハルトにとって好都合である為そのまま追撃してくる。ペイルバイターのガトリング砲とジェノホークのパルスレーザーが降り注ぐ。
「それだけの戦力でよくもこれだけ暴れてくれたなゾイキュアよ〜…。」
「だからそれはどういう…。」
マリンとルナリスの2人は例のお約束通りの突っ込みを入れようとした時、絶句した。
爆風と爆煙が晴れた時、地平線の彼方に確かにそれが現れたのだ。前足一本だけでデスザウラー
一体分の大きさを持つ超巨大ゾイド。ズィーアームズ社が製作した超兵器の一機、メガセイスモサウルスであった。
「また出たまた出たよぉぉぉ!!!」
「やっぱりやるしか無いのかよ…。」
最も戦いたく無い相手に出くわしてしまった2人はうろたえていたが、メガセイスモの方はゆっくり
と一歩一歩カンウとハーデスへ接近していた。そして先の戦いで破壊された脚部の損傷も完全に修理されている。
「ふっふっふ…覚悟しろよ…今度こそお前達を…。」
「ちょっと待てよ!!」
メガセイスモパイロットの言葉を遮ったのはルナリスだった。そして彼女はさらに続けた。
「お前さっき何をした?何故その巨大ゼネバス砲で味方を撃ったんだ?」
「そんな事は決まっているだろう?あんな不甲斐も無い腰抜けな役立たずはもういらないって事だよ。クビにする手間が省けたって物だろう?ハッハッハ…。」
メガセイスモパイロットは笑っていた。しかし、それとは対象にルナリスに怒りが満ちあふれてきたのだ。その気迫にマリンとカンウが思わず後ずさる程にまで…。
「ふざけるな!!」
「!!!」
感情をむき出しにして叫ぶルナリスの気迫にセイスモパイロットは思わず黙り込み、うろたえてしまった。
「確かに私だって…親父に人の上に立つ物の責任に関しての事柄を叩き込まれたし、不良グループの
リーダーとかもやってたから分かるんだ…。この私だって失敗した仲間を叱ったり殴ったりした事はあったさ!だが…お前みたいに殺す事なんかしなかったぞ!!」
「そ…それがどうした…。第一不良グループなどとは物が違うだろう?」
「違わないさ!お前がやった事はあきらかな味方殺し!!何の関係も無い一般市民を町ごと消し飛ばしておいて…今度は自分の仲間すらも殺すか!!?」
ルナリスの力説に対し、メガセイスモパイロットはややうろたえを隠せないでいたが、体勢を立て直した後で反論した。
「だからそれがどうしたと言うのだ?今ここでお前達に倒され、殺された者も数多くいるだろう?」
「私等は良いんだよ!!コイツ等とは敵同士だからな!!」
「うわ!!凄ぇ理屈!!」
敵同士だからOKと言うルナリスの理屈はマリンすらも思わず退いてしまう物だったが、意外と理にかなっていたりする…?
「とにかくだ!!言わせてもらうがな!!?お前が激しく憎んでいるあの緑の悪魔が味方を虐殺した
事があったか!!?何の関係ない一般市民を虐殺した事があったか!!?だが、お前は現に味方や
一般市民を虐殺しやがった。本当の悪魔はどっちだよ!!えええ!!!?」
ルナリスは思い切りメガセイスモパイロットにガンツケした。伊達に不良はやって無いと言わん
ばかりのその気迫にメガセイスモパイロットはおろか味方であるマリンすらもうろたえていた。
「ええいうるさい!!そう言う寝言はメガセイスモに勝ってからぬかせぇぇ!!!」
メガセイスモパイロットは切れたのか、はたまた開き直ったのか、全火器の一斉放火でカンウと
ハーデスを襲ったのだった。無論カンウとハーデスはその場から飛び退く事で攻撃をかわした。
「やっぱやるしか無いの〜?ねえ!ルナリスちゃん!?あれだけ奴を挑発してたんだから何か良い方法とか無いの?」
「無い!!つーかちゃん付けするな!!」
自信たっぷりに言うルナリスの言葉にマリンはカンウごとすっ転んでしまった。さらに転んだカンウ
にメガセイスモの火力が集中し、カンウは素早く起きあがってハーデスと共に逃げ回っていた。
「ちょっとぉ!!じゃあ何で自信ありげに言うのよ!!」
「すまん…。私も少し頭に血が上っていた…。しかし…奴の固すぎる装甲を破るのは正直難儀だぞ…ん?」
ルナリスはある事に気付いた様子だった。
「そうだ!奴の装甲は破壊できなくても奴の全身に装備された各砲塔は破壊できるかもしれない!!」
「ああ!!そうか!!アイツから火器さえ取っちまえば、後は簡単に逃げられるしね。アイツ足遅いし!」
対処作戦が決定されたカンウとハーデスはその場で素早く反転し、メガセイスモの方を向いたと思うと、共にその口を大きく開いたのだった。
「食らえ!!ダブルブレス!!」
カンウの超灼熱火炎放射砲ギガファイヤー、そしてハーデスの大口径荷電粒子砲が同時に
メガセイスモに放たれ、メガセイスモを中心として大爆発が巻き起こった。しかし、その攻撃ですら
メガセイスモの装甲に決定的なダメージを与えるにはほど遠い物だったのだ。
「ハッハッハ!無駄無駄!」
メガセイスモコックピット内で笑うパイロットは先程の大爆発の際に巻き起こった分厚く、濃い爆煙
が晴れる時を待ってカンウとハーデスを狙い撃ちする準備をしていた。そしてメガセイスモの背中に
装備された超巨大ロングバレルストームガトリングが回転を始め、ガトリング荷電粒子砲の発射準備に入っていた。と、その時だった。
「そっこだぁぁぁぁ!!!!」
なんとカンウとハーデスが煙を割って超高速の跳び蹴りを放ってきたのだ。いきなり眼前に飛び
込んできたそれにはメガセイスモパイロットも驚き、慌てて回避行動を取ろうとするが、2機は
メガセイスモの頭部の側面をすれ違うように跳び去っていくだけだった。
「なんだ?ただのミスか?」
2機の跳び蹴りはコックピットを直接狙った攻撃であると考えていたメガセイスモパイロットは、
ほっと胸をなで下ろした。が、それもつかの間、重金属が砕けるような甲高い音が響き渡ったのだ。
「な!!何だぁ!!?」
メガセイスモパイロットが慌てて後方を見た時、そこにはカンウとハーデスの蹴りによって完璧に
砕かれた背中の超巨大ロングバレルストームガトリングの姿があったのだ。それだけでは無い。
素早く反転した2機はまたもメガセイスモへ向けて跳び蹴りを行い、今度は横っ腹に装備されたクレセントレーザー砲とチェーンシザーをそれぞれ蹴り砕いていたのだ。
「くぅぅぅ!!!奴等の狙いはこれかぁぁぁ!!!!」
メガセイスモパイロットは慌てて体勢を立て直して反撃に移ろうとするが、照準を向けた時には
カンウとハーデスの姿は時に無く、全く逆方向から現れると言う有様だった。そして今度はメガ
セイスモの首や尾、胴体に装備された小型レーザー機銃が破壊されていくのだ。2機の目に留まらぬ速攻にメガセイスモは翻弄されていたのだ。
「クソォ!!何て速度だ!!冗談は程々にしてくれ!!」
カンウとハーデスの速攻、そして正確にメガセイスモの砲塔を破壊していく様子にメガセイスモ
パイロットは驚愕していた。彼は慌てて操縦桿を前後左右に動かし、反撃に転じようとするも、
カンウとハーデスの動きを捉える事は出来なかったのだ。その時の2機の速度は並の高速ゾイドすら
も凌駕する程の物だった。直線的な速度も、旋回速度も何から何まで全て…である。それだけの
超高速で移動していながらもメガセイスモの身体にぶつかる事無く正確に砲塔だけを破壊していくと
言う事実は、反応速度なども高いレベルで持ち合わせていると言う事を意味していたのだ。
そして全ての砲塔を破壊し終わった2機は一時その場から飛び退くのであった。
「よし!!奴の火器はあらかた破壊したね!!」
「しかし肝心なのが1つ残っている…。奴の最も恐ろしい最大の武器が…。」
メガセイスモの砲塔を全て破壊したと言えども、内蔵火器である巨大ゼネバス砲は別であった。
そして如何にすればそれを破壊できるか2人は悩んでいたのだ。相手が普通のセイスモサウルス
ならば首や尾に穴を空けたり折ったりとかで何とかなるが、相手は超巨大なメガセイスモサウルスで
あり、超高密度ビームやテラティックレールライフル、果てにはギガファイヤーと大口径荷電粒子砲
の同時攻撃にすら耐える怪物である。その怪物の持つ巨大ゼネバス砲を破壊する方法を上手く思いつく事が出来なかったのだ。
「畜生ぅぅぅ!!!もう許さんぞ緑の悪魔とバッハードの娘ぇぇぇ…。」
「やっばぁぁ!!結構怒ってるよぉぉ!!」
先程の一方的な攻撃は確かにメガセイスモの巨大ゼネバス砲を除く全火器を破壊する事に成功したが、
その一方でメガセイスモパイロットをさらに激怒させると言う結果となっていた。そして、彼は巨大ゼネバス砲発射ボタンを押し、メガセイスモの口が光を放ったのだ。
「やばい!!奴はまたアレを撃つぞ!!」
「きゃぁぁぁ!!怖い!!」
2機が慌てて横に跳んだ時、先程まで2機がいた空間を巨大ゼネバス砲の粒子線が切り裂いて行った。
直撃こそまぬがれた2機であったが、その直後に巻き起こった大爆発により、天高く宙を舞ったのだ。
>>恐怖の亀裂作者さん
今回はコメディーなお話でしたね。カムヒア!の所で思わず吹きました。
それはそうと、アサガオライガーって実は鎧になる事も出来たんですね〜。
やっぱり鳥の羽の方が好きなワーロック・・・。
>実はあれを…VSVのフューザーズ世界に放り込んでやろうか?とかも画策してました…。
自分も今やっている三虎動乱編(w)が終わったらフュザ編っぽいのやろうと考えていたりします。
ただ、上手く話を組まないとフュザファンの反感を買いそうとか勝手な被害妄想膨らましてもいます。
いかにフュザキャラを踏み台にしないように物語を成立させるか?とか
>>Innocent Worid2の作者さんへ
主役は白イクスですか?それと、○○○ェ○リートって何でしょうか?
あと、タイトルに円卓の騎士とありましたから、円卓の騎士と呼ばれる
人々の戦いを描く物語と思いきや、彼等は敵役の方だったんですね。
さあこの後どうなるのでしょうか?
「そういや聞いてなかったけどさ…エルの家って、市街のどの辺にあるの?」
「あ、私…2年前に家が『アレ』で無くなっちゃったから…政府のプレハブ住宅暮らしなの、今は」
オリバーは身振りで「悪い事聞いたな」と示し、エルフリーデは「聞き流して」と笑う。
2年と言う歳月は長く、同時に短い。心の傷が塞がるには充分な時間だが、痛みが消えるには短すぎる時間だ。
「で、オリバーはチェーンアーツだから…『星光の鎖』の寮で暮らしてるんだよね?」
「ま、そうだ。この町は仕事が多いから、俺とかエース級の連中が集められるワケ。言わせてもらえば、
下のほうの連中は暇な所に送られるから手柄も立てられない――悪循環さ」
――ま、俺には関係ないけど…
仕事の成績では「職場」のトップ10に入るオリバーにとって、仕事のできないヤツはどうでもいいというのが本音だった。
「…うーん、今日はどこへ行こうか?」
「あ、チェーンアーツはいろんな特権が認められてるんでしょ? 民間人立ち入り禁止区域にも入れるの?」
「もちろん。…て、もしかして“グラウンド・ゼロ”?」
その場所は、市街の中心から少し離れた所にあった。
“グラウンド・ゼロ”――奇しくも20年前、「Ignorance catastroph」によって形成されたクレーターと
同じ名をつけられた2年前の戦いの跡地。
そこには銀色の砂が降り積もり、他には何も存在しない虚ろな土地だ。
「俺もさぁ…2年前、デス・メテオに集中砲火かましてた一人なんだけど」
デス・メテオの名にエルフリーデの体がびくっと震える。無理もない――ナノマシンの分解に巻き込まれた彼女の両親は、
他の多くの犠牲者と同じく遺体も残らなかったのだから。
この銀色の砂の中には、かつて数千人の人間だったものが混ざっている。そういう意味でここは、エルフリーデにとって
特別な場所――両親の墓とも呼べる場所だった。
「慰霊碑に彫りこまれた名前、総数3000名以上…その中の二人が、君の両親か。そして、俺の家族もここに居る」
エルフリーデはしばし言葉を失い――何も言わず、二人は長い黙祷を捧げた。
どちらからともなく、やがて二人は顔を上げた。オリバーが風に吹かれて舞う銀色の砂を目で追いながら、
淡々とした口調で語りだす。
「あの時、俺は何もできなかったんだ。ビビっててね…あのオッサンがいなかったら、俺もみんなもあのまま死んでた」
「あのオッサン」――“師匠(マエストロ)”ルガールは慰霊碑の一番上に名を刻まれ、英雄として人々に広く認知されている。
非能力者でありながら、命と引き換えに最強の能力者を倒したという美談が人々の心に響いたのは当然かもしれない。
「…だから、俺はこの2年で自分を鍛えた。かなり頑張って、もう誰を相手にしてもビビって硬直したりしない自信がついたんだ」
「カッコイイね」
「ああ。今は君に何かあっても、守ってあげられる」
再び顔を赤くするエルフリーデを横目で見ながら、オリバーは心中で確かな感触を掴んだ。
――『落ちた』な…
「まーた円卓の騎士か…これで犠牲者何人目だ?」
マキシミンの手には新聞が開かれ、2面を独占しているのは円卓の騎士に関する記事だ。
「『今回の被害者はわずか11歳の少年』…珍しくも無えな。『事件現場には激しく戦った形跡』…」
――どんなヤツだ? 大人で、能力を使いこなし、訓練を受けたチェーンアーツを圧倒する“円卓の騎士”。
好奇心を膨らませる彼は、「星光の鎖」のロゴが入ったリストバンドが震えるのを感じて思わずほくそ笑んだ。
「…クソやたらとタイミングがいいじゃねーか、こいつはよ」
マキシミンの手が動いた。リストバンドの通信機能――繋げる相手は勿論、オリバーだ。
「おい、出番だぜ」
彼は街の郊外まで走っていくと、愛機のハッチを開けてコックピットに飛び込んだ。
オリバーと並ぶチェーンアーツのエース格であり、希少ゾイドのデススティンガーに乗る変わり者。
それが彼――マキシミン=ブラッドベインだった。
「…どうやら、俺たちが解決すべき事件がすり替わっちまったみたいで」
「まったくだ。 ――で、アレが“円卓の騎士”か?」
現場に急行した二人を待ち構えていたのは、湾曲した巨大な鎌を持ったデスザウラーだった。
一応補足。
・チェーンアーツが標準装備を義務付けられているリストバンドは隊員である事の証明に加え、
緊急出動時に命令や現場の座標を伝える機能、更には通信機能をも備えたハイテクツール。
>>恐怖の亀裂作者氏
自分も鉄獣氏と同じく「カムヒア!」に吹いた者ですw
「交換! 交換!」も含め、いろんな意味で「趣旨がずれている」模様。
キールアーマーは既存のオリジナルゾイドでは最も好きですが、VS3には出ていません。
>>鉄獣28号氏
○ル○ェ○リートは…表紙と中身のギャップが凄い事で知られる漫画です。
円卓の騎士は悪?の軍団だけども複雑な事情が…というのを上手く描ければいいと思います。
それはそうとやはりメガセイスモ圧倒的。VS3のセイスモも目じゃない…しかし攻略法が?
鉄獣28号さんへ
やっぱり武装は特殊な形に成るので破壊しやすいという事でしょうか。
宙に跳ばされたゾイキュアの運命は如何に!?
Innocent World2の作者さんへ
でないんですか…がっかり。
やばい事件の臭いがプンプン…生き残るの誰か!?な状態に突入でしょうか?
土煙が舞う。機体が小型サイズのモサフリッパーにとっては良い目隠しだ。ワーロックの方は追撃をジェノホークに任せる。
そしてファルケンシュトゥールを回収に向かう。ベンハルトはペイルバイターで追撃を開始するがジェノホークの邪魔で司会が奪われた事に気分を害した。
ベンハルトはジェノホークにガトリング砲を向けて砲撃する。
ジェノホークもそれに気付くと素早く回避運動を執りながらもモサフリッパーを追撃する。狙うターゲットが丁度バラバラに成った具合だ。土煙はなおも上がる。
ファインは土煙に乗じ森の中へ再びダイブする。少ししてモサフリッパーを止めて身を隠す。なおもパルスレーザーで土煙は先に続く。
「うむ!そうか上もできたか!迂回軌道を執らせてこの場所に…否!今ここより近い所に主が居る。そっちに連絡を取って送ってくれ!」「了解だ!お嬢ちゃん!」
通信が終わる。「全く…何で人は見た目でそう言うのだ!生きた時間は妾の方が数千倍も上だというのに…ぶつbつ…。」ベルウッドは整備班長の言葉にムッとしながら状況を探る。
モサフリッパーからの状況報告は途切れて居る。多分機体を止める必要が有る状況であろう事からアサガオライガーの方に連絡を取ってみる。
予想とは一味違った状況に眉をひそめるベルウッド。「失敗だったか?」この状況でモサフリッパーにあれを送るのは不味い選択だった。
「誘導電波…?」頬に付けたまま使用は御無沙汰だったアナライズグラスを使用してそれを分析するファイン。「げぇっ!?何ですと!?」完成したユニットがこっちに送られて来るらしいのだ。
折角隠れて相手をやり過そうとしていたのだがどうも無理らしい。つまりは”死にたくなければ動け!”と言う事だ。諦めて木々の狭い間を移動しながら迅速に合流し易い場所に移動する。
この近くには3日前のマッドサンダーとの戦闘場所に近かった筈だ。急ぎ先を行くファイン。その後ろでは目標を見失いおろおろ跳んで攻撃を躱すジェノホークとそれを攻撃するペイルバイター。
ワーロックが居ない事だけが気掛かりである。
「よし!ネットは取り払った!飛ぶぞ!ファルケンシュトゥール!」大地に縛り付けられていたファルケンシュトゥールが隼の翼を広げ羽ばたく。その勢いは増し空中に浮き上がるファルケンシュトゥール。
そしてマグネッサーが起動し一気に天空へ飛び立った。
「おっ?あれは何だ?」早速ファインの予想しうる最悪の結果の1つが確定する。ワーロックは静かに土煙を上げて居る物を発見する。
それはベルゼンラーヴェの頭部から不要っぽいので外された芙雀の尾羽根パーツを何個も連結し長く少ない本数に押えた放熱器を付けた謎の物体。
「何だろう…???」ワーロックには良く解らない物だ。だが1つだけ解る物が有る。それは孔雀の尾羽根である。それに引き寄せられる様にワーロックはフラフラと近付いて行く。
結果は「どわっ!?」ファインより先にワーロックが近付いて居た為に空中戦用の機体らしからぬ相手に撥ねられると言う状態に陥っている。ファルケンシュトゥールは何回も地面に叩き付けられながら何とか立ち上がる。
「良し!今の内に!」ファインはモサフリッパーを全速力で加速させそれと並走。それにモサフリッパーを乗せる…。
システム認証が行われて変形機構とブロックスのチェンジマイズ機構が起動する。謎の移動物体が分離し各部が変形モサフリッパーもそれに合せてパーツが分離する。ファルケンシュトゥールが転倒していたのが幸いし無傷での変形が完了する。
相変わらずライダータイプの危ないコクピットだがその姿は翼の大きな孔雀。鳥の翼だけでは足りないのか装甲らしき物を甲虫類の羽の様に使用している。良く見れば足りない物として足がある。孔雀というより何処ぞの話に出て来る極楽鳥の様だ。
しかしそれが極楽鳥では無いと主張するかの様に腹部に釣り下げられたソードレイの発生機構を覆う装甲等は端が刃物の様に成って居りその名が示す通りの巨大な剣と化している。
一気に機体を上昇させると可能な限りの速度でこの場を離れる。横から飛んで来るジェノホークの収束荷電粒子砲やペイルバイターのガトリング砲は全く気にする必要は無い。理由はまだジェノホークとペイルバイターは戦闘中でこっちに狙いを正確に付ける暇は無いからだ。
ファルケンシュトゥールが追い掛けてくるがそれも気にする事は無い。「ちぃ!」収束荷電粒子砲が森の中よりファルケンシュトゥール目掛けて飛んで来る。ベルウッドの操縦でベルゼンラーヴェが狙っているのだ。
「ベルウッドめ!端から奴は囮だったか!?」「正解だ!と言う事で受けとれぃ!豪華賞品をっ!」今度は第4種荷電粒子砲をファルケンシュトゥールに放つベルゼンラーヴェ。
「うわぁぁぁぁ!!!!」
「きゃぁぁぁぁ!!!!」
爆風によって回転しながら天高く舞い上がる2機はそれぞれが装備しているブースターで姿勢制御
する間も無く地面に叩きつけられてしまった。それだけでは無い。なんと倒れ込んでいる2機を
メガセイスモサウルスの前足が襲い、左前足でカンウを、右前足でハーデスを思い切り踏みつけたのだ。
「ハッハッハ!さっきのお返しをしようじゃないか?」
「くぅぅぅ…。」
2機を踏みつけるメガセイスモはグイグイと徐々に力を強くしていく。メガセイスモのパワーなら
一瞬で2機を踏みつぶせるだけの力があるはずなのにも関わらず、そうはしないのはメガセイスモ
パイロットが2機をじわじわと殺そうと考えていたからである。が、その事実はマリンとルナリスの2人とってチャンスにもなりえる事が出来た。
「そうは…させるかぁぁぁ!!!」
2機は自らを踏みつけるメガセイスモの前足をそれぞれ掴みかかった。そのまま持ち上げようと
言うのである。しかし、圧倒的なパワー差にメガセイスモはピクリとも動かなかった。
「ハッハッハ!無理無理!その程度のパワーでメガセイスモをどうこう出来るほど世の中甘くは
無いよ。ましてやメガセイスモの重量は2000トンを有に超えるんだからね〜!」
必死にメガセイスモの前足を持ち上げようとする2機の姿を見てメガセイスモパイロットは笑っていたが、2機はなおもメガセイスモの前足を持ち上げようとしていた。
「うぉあぁぁぁぁ!!!!」
「おいおい!もういい加減に諦めたらどうかね?たかだか数百トン程度の君等の機体が十倍以上の重量を持つメガセイスモを力比べでどうこう出来るとお思いかね?」
諦めの悪い2機を哀れむような目つきでメガセイスモパイロットは問い掛けていたが、マリンとルナリスの脳内に"諦め"と言う文字は無かった。
「なら…これならどうさ!!」
その時、メガセイスモの前足をそれぞれ掴んでいたカンウとハーデスの手がゆるんだと思うと、
一斉にメガセイスモの足をくすぐり始めたのだ。その奇行にも思えたメガセイスモパイロットは思わず笑ってしまった。
「はっはっは!何をするかと思えば…。そんな子供の遊びで勝てるほど世の中甘くは…。」
2機はなおもメガセイスモの足をくすぐり続け、メガセイスモはたまらずさらに仰け反ったと思うと
同時に2機を踏みつけていた両前足が大きく持ち上がり、そのスキを突いて起きあがる事が出来た2機は逆にメガセイスモの前足をそれぞれ掴んだのだ。
「そぉれぇ!!今だぁぁ!!」
「何ぃ!!?」
2機は大きく仰け反るメガセイスモの前足をさらに押し出した。メガセイスモの仰け反ろうとする力
に2機の押そうとする力が加わり、メガセイスモの巨体が大きくひっくり返ったのだ。
「うわぁぁぁ!!!そんなバカなぁぁぁ!!!2000トン以上の超重量を誇るメガセイスモがぁぁぁ!!!」
「今だぁぁぁぁ!!!!」
カンウは背中のMBユニットを両腕に持ち替え、マグネーザーを回転させたのだ。そして、ひっくり
返って腹を見せたメガセイスモの唯一の弱点とも言える荷電粒子吸入ファンにそのマグネーザーを深々と突き刺したのだ。無論起きあがろうとしていたメガセイスモは生命力を失い、その全機能を停止させた。
「やったぁぁぁ!!勝ったぁぁぁ!!!」
とても勝てぬと思っていたメガセイスモに…、絶望的な戦力差をひっくり返し、勝利した2人は子供のように喜び、お互いを抱き合ってその大勝利を祝していた。
「いや〜やったやった!」
「そうだな〜…。何か随分と精神的に楽になったよ…。」
と、その時だった。下の方から小銃を発砲するような音がかすかに聞こえたのだ。ふと2人が下を
見たとき、コックピットから這い出てきたメガセイスモパイロットがカンウとハーデスへ向けて拳銃を乱射していたのだ。
「うおぉぉぉ!!!貴様等のスキにはやらせん!!やらせはせんぞぉぉぉ!!!」
拳銃の攻撃など効くはずも無いのにメガセイスモパイロットは弾が続く限り拳銃を撃ち続けており、2人も困った顔をしていた。現に彼の乱射した拳銃はカンウとハーデスに直撃こそする物の、装甲によって弾かれ、傷1つ付いてはいなかった。
「屈っしはせんぞ…緑の悪魔に屈っしはせんぞぉぉぉ!!!!」
『うるさいよ!!!』
マリンはマイクの音量を最大にしてメガセイスモパイロットを黙らせていた。カンウから響き渡ったその大音量に彼は思わず耳を塞いでいた。
>>113の最初に書き忘れがありました
と、その時だった。足へのくすぐり攻撃は効いていた様子で、メガセイスモが急に笑い出し、大きく仰け反ったのだ。
「うわぁぁ!!どうしたメガセイスモ!!?」
ここから
2機はなおもメガセイスモの足をくすぐり続け、メガセイスモはたまらずさらに仰け反ったと思うと
同時に2機を踏みつけていた両前足が大きく持ち上がり、そのスキを突いて起きあがる事が出来た2機は逆にメガセイスモの前足をそれぞれ掴んだのだ。
に続きます。
『あんたねえ!!人の事散々悪魔悪魔言ってるけど、殺した人の数で言えばあんたの方が遥かに上じゃないのさ!!悪魔はどっちだよ!!』
「…………。」
マリンの言葉にメガセイスモパイロットは唖然とし、そのまま黙り込んでしまった。そして、カンウの肩をハーデスがポンと叩いたのだった。
「マリン!良く言った!では、そろそろ本命の所に行くか?」
「うん!」
マリンがカンウ同様に頷くと、ハーデスがカンウの背中を掴んで抱え、ダブルウィングスラスターを噴かして飛び上がり、残存する他のズィーアームズ私設軍隊の部隊が見送る中、ハイGホエールへ向かって飛び去っていくのだった。
「…………。」
そして、メガセイスモパイロットも唖然としながらカンウとハーデスを見送る事しか出来なかった。
こうして、ズィーアームズ私設軍隊の防衛網を振り切った2機はハイGホエールの甲板へ降り立った後、周囲を慌ただしく見渡していた。
「さ〜て!ハイGホエールの上に付いたと言ってもどうやって中に入るかね?」
「ちょっと待ってて!今からマグネーザーで適当な所に穴でも空けるから…ん?」
カンウがMBユニットを腕に再装着しようとしていた時、ある物に気付いたのだった。
「ねえルナリスちゃん!あんな所に大穴が…。」
「ちゃん付けするな!!と、それはそうとして本当に大穴が開いてるな!!」
確かに紛れも無く、2機のいる場所からある程度離れた場所に空いているのは大穴であった。
そして、その穴はチョコとドラグネスがハイGホエールへ侵入する際に、フライシザースのコア
ブロックを大量に集めて爆発させた際に空いた穴でもあった。ハーデスが例のお約束通り、カンウの頭を小突いた後で、2機は大急ぎでその穴へと走ったのだ。
「こんな穴…誰が空けたんだろう…。それにどうやってこれだけの穴を…。」
ハイGホエールの甲板にポッカリと空いた穴はハーデスとカンウが同時に入り込んでもまだまだ
余裕がある程の大きさがあり、穴から見える装甲の断面も相当に分厚い物であり、ルナリスが疑問に思うのも不思議な事では無かった。
「けどさ…これで先客がいるって事は分かったよね…。」
「ああ…。それがチョコやハガネさん達だと良いがな…。」
「それじゃ!行くよ!」
そして2人は互いに頷き合った後で、カンウとハーデスは一斉に穴の中へ飛び込むのであった。
時は同じく、ハガネ等は既にマリン等に先だってズィーアームズ私設軍隊の防衛網を突破し、
ハイGホエール内部へ侵入しており、ゼノンとトランサーは長い長い通路をただひたすら疾走していた。
「チョコちゃんは大丈夫かな〜?チョコちゃんは何処にいるの〜?」
ハガネはよほど心配していると思わんばかりのオロオロした表情となっており、ゼノンごと慌ただしく首を左右に動かしながら周囲を見渡していた。
「おい人形よ!そんな事より社長さんとやらを見つけるのが先じゃないのか!?」
「そ…そりゃそうだけどさ…。」
タイガスの言葉にやはりハガネはうろたえていた。ハガネにとっては社長よりもチョコの方が大事なのである。
「それにしても…その社長さんって何処にいるんだろうね?」
トランサーの後部座席に座るラッキーは、あらかじめタリスより渡されていた社長の写真を見ていた。
しかし、それは写真と言うより、プロマイドと言わんばかりの代物であり、社長と思しき立派な
スーツを着込み、正しく婦女子が見たら「きゃ〜おじさま〜!」とか言ってしまいそうなナイス
ミドルな男性がモデルみたいにポーズを取った状態で写っていると言う、今の状況から考えると何か萎えてしまってもおかしくない代物であったのだ。
「は〜…。本当に大丈夫かな〜?」
ラッキーがため息を付いた時だった。ゼノンとトランサーが突き進む通路の正面から夥しい数の
ライガーゼロやバーサークフューラー等で構成されたズィーアームズの守備隊が現れたのだ。
「曲者だ!!であえであえ!!」
「御用だ御用だ!!」
まるで時代劇の1シーンの様なセリフが飛び交ったと思った矢先に、守備隊はゼノンとトランサー目がけて跳びかかったのだ。
「ったくお前ら時代劇がそんなに好きなら家に帰ってテレビでも見てろよ!!」
イオンブースターを全開させ、レーザークローを叩き込んでくるライガーゼロの攻撃をトランサーは
やすやすとかわすと、逆にトランサーがライガーゼロの横っ腹に爪を叩き込んでいた。巨大ゾイド
相手にすらも通用できるワイツタイガー=トランサーの攻撃である。装甲の薄いライガーゼロはたちまちひしゃげ、潰れ、あっという間にその機能を停止させた。
「い…一発でぇ!!?これが古代虎の力なのかぁ!!」
トランサーの実力に守備隊はうろたえ、後ずさりする物すら現れるが、その者達に対してトランサーは跳びかかったのだ。
「邪魔するんなら容赦はしねーぞぉ!!」
「うろたえるな!!応戦しろ!!」
ライガーゼロ隊はトランサーへ向けて一斉に衝撃砲を撃ちまくるが、ことごとくかわされ、さらに
トランサーは彼等に跳びかかると同時にライガーゼロが回避行動に移る間も無く1体をたたき壊して
いたのだ。さらに背中に装備されたエレクトロンハイパーキャノンはライガーゼロを2〜3体一度に貫く程の威力があった。
ああ何という大失態・・・orzもうムードぶち壊し・・・?
しかも自分的にはかなり大切な所で・・・。済みません・・・。
>>恐怖の亀裂作者さん
またも新しいゾイドの登場でしょうか?
ワーロックとの戦いはまだまだ続く?
>>Innocent Worid2作者さん
前作との関連(?)が早くも出てきましたね。
やっぱりルガールさんは英雄と呼ばれていたのですね。それ相応の事をしましたから。
それと、○ル○ェ○リートが一体何なのかはやっぱり分かりません。
「あ〜あ〜、派手に殺ってくれちゃって」
鎌を持った改造デスザウラーの足元には、かつて同僚が乗っていたであろうゾイドの残骸が転がっている。
原形を留めないほどの、徹底した破壊振りだ。
「ひょっとして、俺様をおびき出す為の罠かい?」
冗談交じりにオリバーが呟くが、通信回線を閉じている相手には届かない。
ただマキシミンは警戒を強くしていた。能力者がこれほどまでに無残な負け方をするとは――しかも、あの機体は無傷だ。
いつもの様に自分語りを続けるオリバー。相手の脚部が僅かに動いたのを見て、マキシミンが叫んだ。
「黙りな! ――来るぜッ!!」
鎌を持ったデスザウラーが飛んだ。恐るべきスピードで漆黒の機体がオリバーに迫り、イクスの光学迷彩が起動する。
「あーもう、俺の自己紹介を邪魔すんじゃねーよー」
オリバーの指がトリガーを引く。中型ゾイドならば一撃で葬る、エレクトロンドライバーの閃光。
だがその砲撃も、流石にデスザウラークラスの装甲には無力だった。自慢の攻撃を易々と弾かれ、オリバーの薄笑いが消える。
「…チッ、機体性能で能力者を破ってきたってか?」
ならば、本当の「能力者の力」を教えてやる――オリバーの体がシートの下へと沈み、白い機体が輝いた。
デスザウラーの改造機は、近くで見ると元の機体とは相当違う。腕に搭載されたミサイルは大型の物が3本、
恐らくはアイアンコングの戦術ミサイルと同等以上の威力があるだろう。鉄仮面を被ったかのような頭部は、荷電粒子砲の発射口と
レーザーサーチアイのみが穴から覗く不気味な顔だ。
そして何よりもやはり、ゾイド本体よりも更に巨大な鎌を得物として持っているところが目を引く。
「あんな物を振り回していては、逆に機動力が落ちるだろうに…まあいい。欠点があるならあるで、キメさせてもらおうかッ!」
マキシミンは注意を引くために敵の正面へ出て、そのまま荷電粒子砲を放った。避けたら避けたで、
オリバーがとどめを刺せる必殺の連携。
しかしその機体は回避せず、真っ向から荷電粒子砲の閃光を受けた。
「をぃをぃをぃ…正面から荷電粒子砲受ける馬鹿がいるかっつー…」
光の奔流が残光を残して消える。その先には、無傷のまま仁王立ちする黒い機体があった。
「な…野郎ッ! 何をしやがった!?」
「慌てんなマキシ、反荷電粒子フィールドジェネレーターだろ…パーツとしちゃ珍しいな。逮捕のあかつきにはそのパーツ、
この俺が『接収』させてもらうぜ!」
パーツをパクるつもり満々で、オリバーが姿を消したままスタンブレードを展開し、斬り付けた。
出力次第でシュナイダーのブレードをも上回る格闘兵器だ。デスザウラークラスの装甲でも簡単に切り裂ける。
「おっしゃあ、初ダメージ頂きィ!」
ゲーム感覚で浮かれるオリバー。光学迷彩と残像を使い分け、巧みに敵機を切り刻んでいく。
「…本当にコイツ、円卓の騎士か? 能力を使うって話だったが…」
閃く巨大な鎌。イクスはそれをかわし、スタンブレードが鎌を柄の部分から真っ二つに切り裂いた。
「おーし、マキシ! とどめ刺すぜ!!」
腑に落ちない思いを押し隠し、マキシミンは荷電粒子砲のトリガーを引き絞った。フィールドで跳ね返されても、
オリバーが強制吸入ファンをぶち抜くまでの足止めになればいい。
反荷電粒子フィールドに散らされ、拡散する閃光。姿を隠したまま敵の背後を取ったオリバーは勝利を確信し、
エレクトロンドライバーの照準を吸入ファンに定めた――と、その時。
<…やれやれ…チェーンアーツのトップエースって、あんまり信じてなかったのに…
…やっぱりちょっと武器無しじゃ、分が悪いね>
オリバーとマキシミン、どちらの声でもない。発信源はあのデスザウラー。――紛れもなく、「敵」の声だ。
そしてその声が聞こえた瞬間、二人は突然心臓が凍りつく様な感覚に襲われた。
「…!? な…こ、コレは…ッ!!?」
「足が…手が…硬直して動かねえ…!?」
突如漆黒の改造機から発せられた、圧倒的な気迫。それは怒涛のような殺気の波となり、二人の自由を奪う。
<――僕も、『剣(ソード)』を取ろう…!!>
冷たい殺気が更に強まり、二人が間違いなく「殺される」という確信を持ち始めた時――黒い機体に、どこかからの
荷電粒子砲が浴びせられた。再びフィールドに弾かれる閃光。
「…誰だッ!?」
撃ったのはマキシミンではない。仮面の機体が向いた先を、二人も釣られて凝視する――と、小さな光点が
夜の闇を切り裂いて彼らに近付いてきていた。
<おっと…タイムリミットだ、“天使”が来てしまったよ>
夜闇に紛れ、姿を消そうとする異形のデスザウラー。こらえ切れずにオリバーが叫ぶ。
「おい! お前は――何者だ!?」
答えは期待していなかった。だが闇の中に姿を消した敵から、最後の返信が届く。
<僕は…いや――我が名は円卓の騎士、“処刑人(エグゼキューショナー)”ジークフリート!
次に会う時までその命、預けておいてやる!>
完全に反応をロストした敵。入れ違いに、近付いてきた光点がその姿を見せた。
その機体はまたも、「夜」を流したような漆黒。基本形はバーサークフューラーなのだろうが、
背中に背負われた9枚の翼は元の機体に無いものだ。
「…だ、誰なんだ?」
全周波で呼びかけるマキシミン。だが答えは得られず、黒いバーサークフューラーもまた闇の中へと消えた。
「ふーッ…生き延びたな。おい、オリバー? 怪我や損傷は無いか?」
見慣れた白い機体は沈黙し、モニターに映る相棒は俯いたまま動かない。
まあ外傷は見当たらないし、多分大丈夫なのだろう。
「じゃあ、俺はとりあえずお仲間の残骸拾って…支部まで行って来るけど。――って、オリバー!?」
マキシミンの言葉が終わらぬうちに、オリバーは操縦桿を目一杯傾けていた。最高速で走るイクスの速さに、
デススティンガーといえど追いつく事が出来ない。
そのうちオリバーも、夜の市街へと消えてしまった。
「…そうか、アイツ…」
プライドの高いオリバーにとって、威圧されて動けなかったなど屈辱以外の何物でもない。
完全な、敗北だった。
「う〜ん…明日ちゃんと、仕事に来りゃあ良いんだがなー…」
マキシミンも市街へと戻り、戦いの後には誰も居なくなった。
あー、どうしてこうも「書いてて楽しい話」になってしまうんだろうw
「読んで楽しい話」でないと意味が無いんだけれども。
>>恐怖の亀裂作者氏
キールアーマー…VSには永遠に出られないと思いますよ?
あの凹凸の多さでCG組んだら間違いなくスタッフが死にますから。
>>鉄獣28号氏
メガセイスモパイロットwドズ○中将じゃないですか。
恨み持ちキャラなんだから、そいつは名前アリでも良かったと思うのは自分だけですか?
>>鉄獣28号氏
ドジッ娘秘書 首 でぐぐるんだ。
なんというか、伏せ字の方がいいんですかな?
初見での正直な感想としては、あそこからネタを引用するのは
「うーん……」なんだけど、でもあのInnosent Worldを書き上げた
物体氏のことだから、今後どうなっていくのかについてはあんまり不安を覚えない。
じっくり見守ってるよ。
鉄獣28号さんへ
何かZi-ARMSの人達って…御侍さんっぽいw「曲者だ!!であえであえ!」って。
今回はワイツタイガーが本気らしいですね。エレクトロンハイパーキャノンの威力が偉い事に…。
Innocent World2の作者さんへ
今回は早々にデスザウラーが…。負けてショボーンなオリバーさんは家に帰って涙で真裏を濡らす?
全く関係無いのですがデスザウラーと書こうとすると始めにデスズラーと書いてしまう事が多いのですが…病気!?
「やられたな…囮はともかくとしてベルウッドの奴が操縦をするとは。」ワーロックもこれ以上遊び半分で戦闘するのを諦める。
生身の人間風情に行動その物を押さえ込まれたと言う結果が有る以上機体に乗る相手に手加減などしていたら塵になるのはワーロック自身の方だ。
「ジェノホーク!鍵爪の法陣!来たれ!アビスシュライク!」ジェノホークがファルケンシュトゥールを中心にして法陣を形成。ワーロックのもう1体の使い魔を呼び出す。
不吉の象徴と呼ばれる鳥であるウィップアーウィルの鳴き声の大合唱に見送られて鍵爪の法陣より地獄の百舌鳥が出現する。
狡猾な鳥の顔に足のあるべき部分より更に翼の生えた異形の百舌鳥。それはファルケンシュトゥールを自らの翼に包み覆い隠す。そしてファインを乗せたフレスベルクユニットはベルゼンラーヴェに到着する。
「良し!良く耐えた!」「…死ぬかと思ったであります。」ベルウッドに答えるファイン「無駄口を叩くだけの余力は有る様だな!行くぞ!」ベルゼンラーヴェのコクピットに乗り込み駆動を開始するファイン。
時間稼ぎが多かった分今度は攻めるべきだと攻撃体勢を執る。「?時計が…壊れている!?」今まで全く気にしていなかったがこれまでの経過を考えると時間的に夕刻に近い筈だが周囲は青空でまだ正午にもたっしていない様だ。
「時間の流れまでも歪んで来て居る!急がんととんでもない事になるぞ!」「了解!」気合いを入れて攻撃を仕掛けようとするファインを制してベルウッドが言う。「先ずはあれを装備しろ!」
フレスベルクユニット。見た限り完全攻撃型のブロックスゾイドパーツの集合体に見えるどうやってもこの状態ではベルゼンラーヴェにくっつける事は出来ない形だ。「あれを…如何やって?」
「おいっ!柔軟な発送を持っていると思えば今度は素ボケかっ!?一度オケアノスユニットを分離させて再接続だ!」ベルウッドは明らかに”いい加減にせいやボケェ!”な顔でファインを睨み付けている。
「そんなに怒らなくても…オケアノスユニットパージ!ダブルコンタクト!リファインユニットチェンジマイズ!!!」アビスシュライクの翼の影で何をしているか解らないワーロックを警戒しながら二つのユニットを再構築、再装備する。
オケアノスユニットとフレスベルクユニットが先ず特定のパーツに組み上がって行く…。
「ふん…手まで似たり寄ったりとは恐れ入るっ!」ワーロックは毒吐く。しかも相手の力は良く解らない分遂に五分にまで持って行かれた。
相手にも此方の手は読めているがそれが如何言う物かは打つかって見ないと解らない。ワーロックの目の前で組み上がった6つのパーツがベルゼンラーヴェに接続されていく。
ベルゼンラーヴェは一応系統としては一般的な機体寄りの立ち位置に居るがその最大の特徴は”その癖ブロックス規格の分離等がある程度自由”な事である。普通の機体より認識誤差が広いのだ。
例えばゴジュラスはジェノザウラーの機体にコアを入れても動かすのに一苦労だがベルゼンラーヴェの場合その程度の違い(同型異種)なら何もしなくても起動するのである。ゾイドの起動制限をかなりのレベルで克服しているのだ。
ベルゼンラーヴェ本体もユニットの都合で分離しなければならない所が分離している。それ等が素早く一つに為ると最後に背の環状半円の装甲からアスピトルテの外套が機体を覆う。
それと同時にアビスシュライクもその翼を開く。「羽ばたけ!冥界の翼!ラビゼルフリューゲリオッ!」ワーロックの声と共にアビスシュライクとファルケンシュトゥールの融合体が現れる。聞いた事の無い名からして今回初披露目の手駒だろう。
それに対抗して大見得を切るファインとベルウッド。「「ベルゼンラーヴェJK(ヤクトクライト)獲物を求めて只今見参っ!!!」」挑発の意味を込めてワーロックに言葉を返す。
「JK(狩猟装束)だと!巫山戯るなっ!!!」それを見てジェノホークの攻撃を躱し戦線に完全復帰したペイルバイターを含めて3勢力の三つ巴になる。派手に大見得を切って見せたもののペイルバイターの戦線復帰であっさりと雲行きは怪しくなっている。
サイドアームこそ排除したが余り慌てた様子の無い事からまだまだ手札は残っていると見て良いだろう。一方ワーロックは手駒の数が多くその上今まで使用しなかった僕のラビゼルフリューゲリオを更に投入している。
一番手の内が限られているのはファイン達でありJKユニット装備という飛び道具を見せたが初見だから無闇に手を出せない程度の物だ。ここからが腕の見せ所となる。
真っ先に動いたのはベルゼンラーヴェ。ジェノホークに向かって更に追加された分も合せて全領域耐圧バルカン砲を斉射し撃墜はできないが多少の被害を与える。
「あ〜あ〜…こんな事しないで早い所チョコちゃん探したいんだけどな〜…。」
トランサーがライガーゼロ隊の相手をしていた頃、ハガネとゼノンはバーサークフューラーの相手を
していた。バーサークフューラーの果敢な攻撃にも関わらず、ハガネは余り気乗りしない様子で
あったが、であるにも関わらず器用に壁を掛け登って回避し、さらにそこから跳びかかってその爪を
1体のフューラーに叩き込んでいた。レイズタイガーであり、ゴジュラスも吹っ飛ばしたゼノンの
爪を受けたフューラーの重装甲はその身体ごとたちまちひしゃげ、潰れ、あろうことかそのまま吹っ飛び、別のフューラーを2〜3体巻き込んでいた。
「奴のパワーは強力だぁ!!距離を取って攻撃するんだ!!」
ゼノンのパワーに驚いたフューラー隊は慌てて後退し、ビーム砲や集束荷電粒子砲による攻撃に
切り替えていたが、それこそハガネとゼノンにとって好都合な展開であった。そしてフューラー隊が
荷電粒子砲やビームを矢継ぎ早に撃ち出し、そのエネルギーの嵐にゼノンの姿が見えなくなる程であったが、フューラー隊はなおも攻撃を続けたのだった。
「砲撃やめ!!」
隊長と思しき男の号令の元、フューラー隊が砲撃を停止した時、ゼノンがいた場所には分厚く、そして濃い爆煙に包まれおり、その姿を見たフューラー隊は安心していた。
「あれだけの攻撃を受ければどんな奴だって…。」
「とは言えやりすぎだったかもな…。通路…かなり壊しちまったもんな…。」
「こりゃ大目玉食らうぞ〜…。」
フューラー隊は苦笑しながらその様に言い合い、残るトランサーの方へ方向転換しようとしていた時だった。突如として爆煙の内部から強烈な光が放たれたのだ。
「な!!何だ!!」
フューラー隊が思わず爆煙の方へ向き直った時、爆煙の中から傷1つ無いゼノンが現れたのだ。そう、
ゼノンはその集光パネルでフューラー隊の荷電粒子砲やビームを全て吸収していたのである。
「え?ええええええ!!!?」
「う…うっそぉぉぉぉ!!!!」
フューラー隊の各パイロットはフューラー共々に思わず驚愕の声をあげていたが、ハガネは両手をパンパンと叩いていた。
「さあさあ皆様お立ち会いお立ち会い!集光パネルで十機以上のフューラーから吸収したエネルギー
ですが!そのエネルギーをこれからどうするか見て欲しいワケですよ!そこのお爺ちゃん?お婆ちゃん!?これは必ず見ないと極楽浄土は語れないよ!」
「オイオイ!爺ちゃん婆ちゃんなんか何処にもいねーぞ!!」
タイガスが思わず突っ込みを入れていたが、ハガネは無視して事を続けるのだった。
「さあさあお立ち会いお立ち会い!しっかり穴が空くまで見て逝っちゃってよねー!!」
と、その時だった。全身の集光パネルと放熱チューブを輝かせていたゼノンのエネルギーが両前脚部
の3連ピンポイントレーザー砲に集まり、そこから超高出力レーザー砲が放たれたのだ。
「え?ええええええええ!!!!!?」
十機以上のフューラーの荷電粒子砲やビーム砲から吸収したエネルギーが込められたレーザー砲の威力は壮絶な物となり、たちまちフューラー隊を壊滅させたのだ。
「よ〜し!いっちょあがり〜♪」
「こっちも全部倒したぜ…。それにしてもスゲーな〜…。」
トランサーもライガーゼロ隊を全滅させており、ゼノンの方へ歩き寄っていたが、先程のゼノンの攻撃には思わずタイガスとラッキーの2人は苦笑していた。
「それじゃあ行こうか?」
「ああ!」
こうして、ゼノンとトランサーは社長とチョコの捜索を再開し、通路を走り始めようとしていた時だった。
「御用だ御用だ!!」
「曲者だ!!であえであえ!!」
「また何か来たよ!!」
なんと間髪入れずに新たな守備隊が現れたのだ。しかし、今度の守備隊はライガーゼロやバーサークフューラーでは無かった。何とデススティンガーだったのである。
「で…デススティンガーァァ!!!?」
「どうしよう…強敵だよ〜…。」
流石に今度ばかりはタイガスとラッキーもうろたえていたが、それとは対照的にハガネは表情1つ変えず、なおかつ余裕をかましていた。
「デススティンガーか〜…。私も大戦時代何度か乗った事あるけどあれは良い機体だよ。でも、別に怖がるような物でも無いよ。」
『その人形の言う通りだ!幻魔蠍ごときザコを恐れる必要な無い!』
しばらくセリフの無かった蒼の神が久々に会話に入っていたが、その言葉にタイガスとラッキーは首を傾げた。
「幻魔蠍?」
「ああ!何でもそれは蒼の神が言うには、デススティンガーって古代の時代には“幻魔蠍”って
呼ばれてたみたいなのよ!しかも古代の時代においては結構下位クラスのゾイドだったんだって!」
「へ〜…そうなんだ〜…。」
ハガネの説明に2人は唖然としながらも何となく納得していたが、守備隊のデススティンガーは2機へ向けて攻撃を開始していた。無論2機は慌てて回避する。
「とにかくコイツ等も倒さないと!!」
「ああ!!」
「しかし本当に勝てるかな〜…?」
その頃、マリンとルナリスは一旦ゾイドを降り、居住区の方を歩き回っていた。
「それにしてもみんなは何処にいるのかね〜…。つーかここの設備や装備は凄いよな。もはや企業じゃねえ。立派な軍隊だ!」
「それよりも社長さんって言うのも探さないと!」
マリンの手にはやはりタリスから渡された社長の写真が握られており、2人は周囲を見渡しながら歩き回っていた。
「ん〜…。」
「どしたの?」
「いや…この人何処かで見た事があるなと思ってな〜…。」
ルナリスは社長の写真を見つめながら何か考え込んでいる様子だった。と、何か思いだした様子で彼女はポンと手を叩いた。
「そうだぁ!!私がまだ8歳だった頃、色々な方面の金持ちとかが集まりパーティーに両親や
爺ちゃんと一緒に招待された事があったんだが、その時に会った事があるぞぉ!!」
「へ〜…。」
と、マリンが感心していたその時だった。突然向こうの方からズカズカズカと言う大勢の人間が走る様な足音が響き渡ってきたのだ。
「いたぞ!!曲者だ!!であえであえ!!」
「御用だ御用だ!!」
「何か出たぁぁぁ!!!」
彼女等の前に現れたのは大勢のズィーアームズ守備隊員達であった。しかもあろう事か、彼等は
全身を覆うパワードスーツや大型マシンガン等で武装し、マリンとルナリスの2人を相手にするには相応しく無い程の重武装を誇っていたのだ。
「何かもう見つかっちゃったね〜…。」
「今まで見つからなかった方が不思議だがな…。しかし…この状況はやっぱヤバいだろ?」
守備隊の様相に、2人は青ざめながら思わず後ずさりしていた。が、守備隊は構わずにそのマシンガンの銃口を2人へ向けたのだ。
「曲者を撃ち殺せぇぇ!!!」
「うわぁぁ!!やっぱり撃ってきたよぉぉぉ!!!」
守備隊員達は情け容赦無く一斉に発砲してきたのだった。無論2人は逃げ出した。
「うわぁぁぁ!!!怖い怖い怖いぃぃ!!!」
「逃がすな!!追えぇぇ!!!」
逃げる2人を守備隊はなおも発砲を続けながら追撃した。しかし、2人は元々陸上選手も真っ青な
程の足の速さを持つ上に、守備隊は守備隊で、パワードスーツで武装した為にその重量によって動き
が鈍くなっていたのだ。無論2人と守備隊の間にはどんどんと差が広がっていくが、守備隊員達が
マシンガンを連射している事も無視できない。むしろ2人に当たらない方が不思議なくらいであった。
「うわぁぁぁ!!!!」
2人は通路の先にあった曲がり角に飛び込むように隠れ、体勢を立て直すと反撃の準備に取りかかっていた。
「ったくコイツ等もう少し容赦してくれよ〜…ったく〜…。」
「本当だよね〜…たった2人にこれだけの事やるなんて資金の無駄遣いも甚だしいよ!」
2人はさり気なく自信に当たりそうになっていた銃弾を両手で受け止めていたと言う冗談の様な事を
しており、その銃弾を地面に散乱させるように投げ捨てると、マリンは服の大きな袖口の中に、手を
入れて中から機関銃を、ルナリスは黒いスカートの中の両足の太股の部分にホルスター、いわゆる
拳銃を収める奴が巻かれており、そのウチの右足に巻かれていた方のホルスターから拳銃を取りだしていた。しかもその拳銃は結構大きめである。
「うっひゃ〜それってマグナムじゃない!ルナリスちゃん結構良いの持ってるね〜!」
「ちゃん付けするな!!つーかそんなデッカイマシンガン持ってるお前が言える立場なのか!!?」
補足・・・と言うよりこのバトストにおけるオリジナル設定↓
その1
伝説の古代虎は古代の時代において神と崇められた存在でもあり、ワイツタイガーは“白の神”、
レイズタイガーは“蒼の神”、ブラストルタイガーは“紅の神”となっている。
さらにそれぞれの虎神の乗り手以外には秘密にされている事であるが、人語も理解し会話する事が
可能、また、彼等は伊達に神と崇められていたワケでは無く、その強さもさることながら、様々な不思議な力を持っている。
その2
デススティンガーは、古代の時代においては“幻魔蠍”と呼ばれており、数ある古代ゾイドの中でも
下位の存在でしか無かった。この事実はそれだけ古代の時代はレベルが高かった事を意味する。
>>恐怖の亀裂作者さん
ベルゼンラーヴェがまたも新武装でパワーアップですか?ベルゼンラーヴェそのものの
秘密も少し明らかになった(?)ようですし。
ワーロックも遊び半分で戦うのをやめるとありますが、やはりここからが本番ですか?
>>Innocent Worid2作者さん
大鎌を持つデスザウラー、どことなく旧のデスエイリアンを思い出させてくれます。
まああちらは大斧でしたが・・・、それはそうと、鎌持ちデスザウラーは最初は
オリバーと白イクスが押していた(様に見えた?)から結構大した事無い?なんて
思ったら凄い能力を隠し持っていましたね。オリバーのリベンジはいつになるのでしょうか?
>>123 ありがとうございます。検索したら何となくわかりました。確かにあれならば
自分も以前古本屋で見つけた事があります。表紙が結構萌え系だったんで
可愛い系漫画かと思ったら凄い血なまぐさい内容で即効で本棚に戻した経験があります。
やはり可愛い系の絵で血なまぐさいのは苦手です。これが石○賢とか宮○あき○とかなら
血なまぐさくても問題無いんですが・・・。
翌日、マキシミンは職場に着くなり耳を疑った。
「いやまあそんでね、流石に円卓の騎士といえど俺には敵わないと思ったのか、勝手に逃げ出してさァ!」
――あの馬鹿野郎。負けたことが認められずに現実逃避とは…あまつさえ「自分が勝った」ことにしている!
何も言わず、廊下ですれ違う二人。マキシミンの懸念どおり、既に支部内では「オリバーが円卓の騎士を破った」という
噂が一人歩きを始めていた。
「なーあ、どうした? 朝から顔が硬いぜ」
午後1時、昼食の場での何事も無かったかのようなオリバーの言葉に、マキシミンの口調が刺々しくなる。
「…どう言うつもりだ、『勝った』なんて…あの黒いフューラーが来なかったら、俺達は確実に死んでいた」
「そんなヤツは見てねーよ…」
ドンッ
「ふざけるな…嬉しいか!? 現実逃避で、自分に『勝った』という妄想を信じ込ませて…! それで満足するような器か、お前は!?」
マキシミンの腕がオリバーを壁に叩きつけ、周囲の同僚が一斉に彼らの方を向いた。
幸いにして話の内容は聞かれていなかったようだが、オリバーは彼の手を振り切って食堂から出てしまった。
「待てよ!」
追いかけて外に出たマキシミンを、今度は不意を突いてオリバーが壁に叩きつけた。そのままの体勢でマキシミンを睨みつけ、彼は呟く。
「…なぁマキシ、俺がこの世で一番嫌いな事は何か知ってるか…?」
それなら、普段から腐るほど聞かされている。
「『カッコ悪い事』だろ。それが何だと…」
「お前さぁ…『今話題の能力者キラーに負けました』なんて言って…カッコいいと思うのか?」
呆れて絶句するマキシミン。そんな彼から手を離し、去り際にオリバーが吐き捨てた。
「俺はアイツを探す。――そして、俺自身の言葉を本当のものにしてみせる…必ずな!」
振り向きもせず去っていく相棒の背中に、マキシミンは小さく呟くのだった。
「…オリバー、本当に『カッコ悪い』ことは…今まさに、お前がやっている事だ…」
「アイツとまた会う為には…とにかく仕事に出るしかねぇ」
オリバーはこの日、いつもの倍以上ミッションをこなした。だが、夕暮れ時になってもジークフリートが現れる気配は無い。
結局その日は、目的を達成する事が出来なかった。
次の日も、また次の日もオリバーは仕事を受け続けた(同僚の中からはオリバーの異常な行動を危惧する者も出てきたし、
この2日間もマキシミンは口をきかずミッションは一人で遂行した)。だが、円卓の騎士は彼の思いに答えてくれない。
「何が足りない? ヤツは…どんな時に、どんなチェーンアーツを襲っている?」
被害者のリストを探っていたオリバーだったが、ふとある事に気が付いた。
「殺られたのは全員…高ランクの能力者ばかりだな」
ならば俺にもチャンスはある。気を取り直し、オリバーは次のミッションへと急いだ。
いくつ目の仕事を終えた時か――オリバーがそろそろ寮へ戻ろうかと思い始めた頃、郊外の闇の中に何かが見えた。
その「何か」は近付いてくる。そして、その姿が見えるにつれ疲れ切ったオリバーの身体に力がみなぎって行く。
「…出たか、デスザウラー…!」
その機体はこの間と違い、黒の機体にくすんだ金の装飾が見える。手に得物は持っておらず、頭部の形状からしても
ジークフリートの機体では無いようだった。
「何だっていいか、とりあえず俺には…“騎士”を倒したと言う確証があればいい」
今時デスザウラーを使うのは、円卓の騎士以外に考えられない。
「…円卓の騎士、だな?」
オリバーは全周波で呼びかけた。この間の事もあるし、もしかしたら相手は答えるかもしれない。
そして予想通り、今度の相手も返答を返した。
<そうだ。白いイクス…話には聞いているぞ、ジークフリートが取り逃がした2機の片方だと…>
その声は低く、中年の男のものだった。ジークフリートの声はもう少し若い感じがしたが、むしろこちらの方が
重々しい気迫さえ感じさせる。そしてその声には、揶揄するような響きが含まれていた。
「何故チェーンアーツを狙う? 組織であるからには、目的があって動いているんだろう」
<その通り。我々は大いなる目的の為動いている…だが、当然の事ながらお前に説明するつもりは無い>
「そいつは結構…で、お仲間の尻拭いに来た訳か?」
オリバーの挑発めいた台詞にも、敵はまったく動じない。
<ジークフリートは騎士の仲間だが、私の部下でもある――私が直々にお前を仕留めに来たのは、そろそろ『潮時』だからだ>
――部下? 騎士の間で上下関係があるってのか? それに「潮時」って…?
<さて、お喋りはここまでとして…お前には我らの目的の為、死んでもらう>
その言葉にただならぬ凄みを感じ、オリバーはさっと身構えた。
<どうやら、ジークフリートは“処刑人”の称号を持ちながら…わざわざお前に手加減してやったらしいな?
本当の円卓の騎士が如何なるものか――その力が何なのか、見るがいい>
ほんの一瞬、オリバーはまた「あの殺気」を感じた。
<――我が『剣(ソード)』よ、その刃を見せろ! “エックス・キャリヴァー”!!>
改造機が紅い閃光を放った。発動の光とは明らかに違う、まったく別の閃光。
そしてその姿が消えた。光学迷彩かと訝るオリバーだが、突如側面からの一撃を喰らって吹っ飛ぶ。
「姿を消した」わけではない――「速すぎて見えない」のだ。
「ちッ! だが、増速の能力程度なら…!」
改めて見ると、敵機に先程までとはただ一つ違う点が見受けられる。それは右手に握られた巨大な両刃の剣であり、
刀身こそ細いがその長さから相当の破壊力が予想できる。
「スピードを増しただけでは、俺を捉える事はできねぇ!!」
オリバーの機体も青白く光り、残像を残しながら漆黒の敵機に迫る。並みのゾイド乗りならば絶対に対処しきれない攻撃だ。
だが黒い機体は長大な剣を構えたまま、避けようとはしない。
スタンブレードを閃かせ、イクスが突っ込む。と、垂直に構えられていた剣が僅かに動いた。
「受けろ、俺の必殺――ミラージュ・ナイトb…」
< ぬ る い >
これまで数多くの犯罪者を葬ってきたオリバーの必殺技。それが、剣先だけで止められた。状況が理解できないオリバーに、
嘲笑うような敵の声が聞こえる。
<まったくガキの発想だ…『必殺』とは――こうやるものだ!>
振り下ろされる刃の軌跡が輝く。一撃目――イクスの右足が飛んだ。
ニ撃目でスタンブレードが吹き飛び、三撃目がドラムコンデンサーを破壊する。
「うあああああッ!!?」
<この程度でエースになれるのなら、『星光の鎖』は我らの障害になり得ないな>
四撃目以降は、刀身が見えなかった。斬撃、刺突、あらゆる攻撃が凄まじい速さで繰り出される。
オリバーの意識がだんだんと薄れてきた。頬を伝う生温かい液体が自分の血である事も、
自分が今まさに否定しようの無い敗北を体感した事も頭に入ってこない。
<とどめを刺してやろう、オリバー=ハートネット…>
「 待 ち や が れ ッ !!」
オリバーが霞む視界に捉えたのは、見慣れた友の機体――マキシミンのデススティンガーだ。
<…もう一人の方か。相棒の危機に、これまた随分とお早い到着だな>
「黙れよ…そいつはどうしようもないアホで、目立ちたがり屋でナルシストだが!
やっぱり俺の親友である事に変わりは無い…それ以上やるんなら、俺が相手になるぜ!」
聞こえた会話はそれまで――オリバーの意識は、そこで途切れた。
――どこだ?
オリバーは目を開けたが、初めて見る場所だ。どうやらどこかの病院らしい事は解る。
「――そうだ、あの野郎…それにマキシ…!」
耳の神経が働くようになると、後ろにおいてある小型テレビから声が聞こえた。ぎょっとして振り返るオリバー。
何故なら、その声は紛れも無く「あの野郎」の声だったからだ。
<…我々は“円卓の騎士”…>
数時間前に放送されたモノを、ニュースで再放送しているらしい。と言う事はつまり、オリバーが寝ている間に
円卓の騎士が公然と姿を現したことになる。
<大いなる意思の元に、我らは能力者を殲滅し…この星の生物が辿るべき進化の道を、正しく示すことが使命である!>
愕然とするオリバー。――奴ら、能力者差別主義者の集団だったのか?
<覚悟せよ、能力者よ! 我々は決して、貴様らを見逃さない。
我が名は“ソードマスター”アーサー! またの名を――“キング”!>
晩飯ギリギリまで書いてて4連投ダウン_| ̄|○
補足:オリバーの必殺技は全部言うと「ミラージュ・ナイトブレード」
>>123 期待していただいてるのでしょうか? 読んでくれる方が居る事こそ何よりの励みになります。
それと、フォローに感謝。伏字はなんとなく…です。
>>恐怖の亀裂作者氏
オリバーは開き直りましたが今度はもう駄目かとw
デスズラーはハゲの方が好んで乗りそうな機体ですか?(デスヅラーになるか)
>>鉄獣28号氏
そーですか、速攻で戻しちゃったんですか…
内容が好きだったもので。あのギャップもストライクゾーンなんですw
鉄獣28号さんへ
遂にHGホエール内部に突入。レイズさんの集光パネルの限界は大口径荷電粒子砲2〜3発は優に吸収できそうですね…。
新装備は…前の機体説明の拡張性が広いと言ったのを徹底的に利用した形になります。
しかもくっついてる間は外付け後付けお構い無しに可能な限り再生可能な書くだけなら無敵っぽいですが…。
Innocent World2の作者さんへ
能力者狩りの人はデスザウラーみたいなタイプを使っているんですね。
そこまでしないと能力者に勝て無い普通の人達…あの方の偉大さが身に染みます。
銃撃に見舞われジェノホーク達は散開する。その隙を縫ってペイルバイターがベルゼンラーヴェにパワーブレイカーを発射する。
「っ!?」見る事も無くアーバレストを起動しペイルバイター側の上空に素早く逃げる。更にそれを確認してからラビゼルフリューゲリオがそこに向かって攻撃する。
「…暴風渦旋の息吹!エアイルミネント!」突然ベルゼンラーヴェ周辺に何かやばい化学反応を起こして輝く竜巻が発生する。「って詠唱を飛ばした!?」
「ぬうっ!?奴目チャージスペルを使い居ったな!」中途半端な状態で術式を発動待機させ残りの詠唱を発動スイッチとして使用する術式だ。しかも人外様専用である。
如何やら三つ巴に見えた戦場はワーロックとベンハルトのターゲットが同一である事から不自然な10対1の戦闘に成っている様だ。
上空に残る逃げ道を塞ごうとする輝く竜巻を見てファインはベルゼンラーヴェに十字封剣を使用させる。八法輪に組み合わせたそれを逃げ道に向かって投擲する。
それは塞がれた出口より迫る輝く暴風を受け回転数を上げる。全ての異質な力を回転力に還元する刃の風車はエアイルミネントの暴風を逆に吸収し始める。「何だと!?そこまでの力がっ!?」
貪欲な食欲でエアイルミネントを喰らい尽くした八法輪はそれだけでは飽き足らずラビゼルフリューゲリオを狙い医師を持ったかの様に飛ぶ。「相手にしていられるかっ!」
ラビゼルフリューゲリオは腕を毟ると八法輪に投げ付ける。
しかも直ぐその場所から真新しい腕が既に生えきって居る。その投げ付けた腕を切り刻んだ八法輪はベルゼンラーヴェの手の内に戻る。「がっつき過ぎだぞ!本能的に力を求める癖まで憑いておるとは…。」
ベルウッドはその後閉口したと言う様な目でファインを見る。本質的に男と言うか雄は何かしらの力を求める傾向が或ると言われている。何故か十字封剣を産み出す時にその様な意思が込められてしまったのだろう。
しかしこれはそう言う存在に対して高い追尾性を持つと言う事にも成る。「うわっ!?何をやっておる!」ジェノホークのパルスレーザーが当たったらしい。
「こう敵が多いとっ!」残り弾数の少なくなったウェイブレイダーを構えて1発発砲する。狙いはジェノホークだ。風を切り誘導弾が飛ぶがそれは既にワーロックに知られている手の内。
強烈な翼の一撃で弾丸は砕け散る…。
弾丸を打ち砕いたワーロックのラビゼルフリューゲリオ。しかしその目の前に迫る物は巨大な光の刃だった。
「一刀両断!」ベルゼンラーヴェのソードレイがラビゼルフリューゲリオを縦から真っ二つに切断する。だが「手応えが無いっ!?」
確かに真後ろには作り物でも幻影でもない確かに汚れた血を流しラビゼルフリューゲリオは真っ二つに成って地面に激突して居る。
「くくくく…良い踏み込みだ!だが相手が悪かったな。」かなり離れた位置に落下した2つの体が立ち上がり切断面を摺り合わせる。
「何と…。あれが悪魔と言う存在なのか?」その光景を見てさしものベンハルトすら動けずそれを見据えている。いやらしい音を立てて両断された体がくっつく。
それは摺り合わせを始めほんの少し経つと元通りの姿に戻る。「いやあ危ない危ない…こいつや私が魔族でなければ即死だったよ!お見事!」ラビゼルフリューゲリオがベルゼンラーヴェに向かって拍手する。
気持ち悪い上に全然嬉しくない。そんな褒められ方では余計に馬鹿にされている様にしか思えない。
「しかし…戦闘ゾイドの形式は便利だな。コアに致命的な損傷が無ければ何度でも立ち直れる!素晴らしい技術だ!」ワーロックは嗤う。
この言葉が示す事はあのラビゼルフリューゲリオが戦闘ゾイドの形式を取った別の存在である事を差している。「何だその顔は?シュレーディンガーの方程式の定理を知らんのか?勉強しろよ…。」
流石に頭に来たファインは「それでは貴方は猫ですか?それは可愛くない猫でありますねぇ?」ベルウッドとベンハルトの頭が疑問符の海に生る様な事を言う。
「…貴様!私をあの汚らしい猫だと言うのかっ!?」ワーロックには通じているらしい…。
とても遠回しな悪口。その言葉が差す意味は或る事例…毒ガス入りの箱の中に猫を入れ少し待つ。しかしその後その箱の中の猫が生きているか?死んでいるか?は箱を開けて調べないと解らない。
あらゆる可能性は観測を以て現実となると言う定理の一例の事だ。その定理の拡大解釈では世界すらもそこに世界が有ると誰かが観測して初めて産まれると言う不思議な法則である。
つまり受取手が「お前死んでんじゃね〜の?」とその意味を執らないと怒る筈が無い言葉だ。しかもこの場合自分から切り出した以上答えないと今度は〇〇式極大電波スパイラルな屁理屈で罵られる事になるのだ。
マリンが取りだしていた機関銃はただの機関銃では無く、重量的に100キロ以上はくだらない程の
かなり大型の機関銃だったのだ。しかもそれをマリンは軽々と片手で持っているし、さらにそれは
彼女の服の大きな袖口の中から取り出された物である事から、ますます彼女の服の袖の謎は深まるばかりであった。
「ええい!!とにかく反撃するぞ!!」
「うん!!」
反撃の準備が整った2人は曲がり角の壁から少し出て、自らへ向かって突き進んでいる守備隊へ向け
て発砲したのだ。大音量の銃声が通路中に響き渡り、その床の周囲には大量の薬莢が散乱した。
が、守備隊はマリンの大型機関銃やルナリスのマグナムの直撃を真っ向から受けていたにも関わらず、
少しも怯む事も無く、ただひたすらに真っ直ぐ突き進んできていたのだった。それには2人の思わず壁に身を隠した。
「おいおいおい!!どうゆうこったよこれは!!まさかあのパワードスーツみたいなのは防弾装備なのかぁ!!?」
「まあ想像は出来たけどね…。」
「でもこれからどうするよ!!拳銃が効かないとなると…。」
やはり射殺の危機と言う極限状態の上に、相手にこちらの銃が効か無いと言う状況であった為か、
ルナリスは錯乱していたが、対照的にマリンは冷静な表情をしており、袖口の中に手を入れて何かゴソゴソとやっていた。
「おいマリン!こんな時に何やってるんだよ!!」
「大丈夫だよ。相手が防弾装備してたとしても、それ以上の攻撃を叩き込んでやれば良いじゃない?」
「良いじゃない?って!お前何か良い方法あるのかよ!!」
「まあ見ててよ。」
マリンはなおも冷静な表情のまま壁の向こうへ身を乗り出し、さらに右腕を守備隊の方へ向けた。
「曲者が出たぞ!!撃て撃て!!」
守備隊のマシンガンがマリンの方へ集中する。が、マリンは身体を器用に傾けるだけの動作でその
銃弾をかわし、それでもかわせない様な物を左手で受け止めており、なおも右腕を守備隊の方へ向けていた。
「よし発射ぁぁ!!」
「な…。」
その時ルナリスは絶句した。なんとマリンの右腕の大きな袖口から何発ものミサイルが守備隊へ向けて発射されたのだ。
「え?えええええ!!!?」
突然のミサイルに守備隊も驚愕の声を上げていた。そして慌てて逃げようとした時には既に遅く、
ミサイルの爆発によってまとめて吹き飛んでいたのだ。ちなみに、吹き飛んだと言っても、なぜか
パワードスーツの中身の守備隊員本人は無傷であり、そのままギャグ漫画の様にポーンと飛んでいくと言う意味で吹っ飛んだのであるが…。
「ハッハッハッ!どうよ。いかに防弾処理を施したパワードスーツもミサイルには一溜まりも無いでしょうよ!」
「おい…お前…。」
「ん?」
マリンがルナリスの方を向くと、彼女は眉を細めた表情でマリンを睨み付けていた。
「おい…今までにも色々な物を出していたが、やっぱり言わせてもらう!!お前の服の袖の中はどうなってるんだぁ!!?果てにはミサイルなんかまで出しやがって!!」
「企業秘密。」
「企業って何だよ…………。」
ルナリスの必死の訴えも、マリンの間髪入れぬ返答に、ルナリスは唖然として思わず黙り込むしか
無かった。が、彼女はすぐに立ち直り、マグナムを太股のホルスターに収めると、その場に立ち上がったのだった。
「もう良いや…。とにかく奴等を蹴散らす事が出来たんだ。みんなや社長とやらの探索を再開しようじゃないか。」
「そうだね!」
進み始めたルナリスの後を追うようにマリンも進み、2人はその通路を後にするのだった。
「ま…まてぇ〜…。」
「あ…あの曲者…何でミサイルまで…。」
「う〜…。かーちゃん…やっぱりオラ…かーちゃんの言う通り田舎で畑耕してりゃよかっただよ…。」
先程ミサイルの爆発によって吹き飛んだ守備隊員達は、ギャグ漫画の様にポーンと飛ぶだけで済み、
命に別状は無いと言う都合の良い展開となっていたが、やはり全身を強く打った事は変わらず、誰もが身体をピクピクと痙攣させながら唸っていた。
「それにしても…社長社長っと…。」
2人は相も変わらず社長の写真を見つつ、周囲を見回しながら歩き回っていた。と、その時ルナリスが口を開いた。
「つかよ…。こんな所に社長がいるのか?何か社長はズィーアームズの奴等にとってもVIP
(重要人物)だろうから、そう簡単に見つかるような場所に拘束してはいないだろう。」
「そんな事言われてもね〜…。」
マリンは困った顔をしていたが、2人にはただただ通路を進んでいく事しか出来ず、通路の先に
あった自動ドアの向こう側にある次のフロアへと行き着いた。と、その時だった。
「ってうお!!」
2人の目は丸くなり、そして絶句した。何とそのフロアには、やはりパワードスーツや大型マシンガンで武装したズィーアームズ守備隊が待ちかまえていたのだ。
「あ…あ…あ…あ…。」
「お…お仕事ご苦労様で…す…。」
2人は青ざめたまま守備隊達に一礼すると、そのまま横道へゆっくりと立ち去ろうとした。が、守備隊は素早く2人の行く手を塞いだのだ。
「お前ら曲者だろうが!!」
「撃て!!撃ち殺せ!!」
「きゃぁぁぁぁぁ!!!!!」
守備隊はやはり情け容赦無く2人へ向けてマシンガンを乱射した。2人は思わず悲鳴を上げながら
逃げ回り、元来た自動ドアから外へ出ようとした。が、その自動ドアは開かなかったのだ。
「ハッハッハッ!残念だったな嬢ちゃん達よ〜!そこの自動ドアはロックさせてもらったぜ…。」
「な…なんだってぇぇぇ!!!?」
出口を塞がれ、なす術無しとなった2人を取り囲んだ守備隊はマシンガンの銃口を向け、2人は恐怖の余り思わず抱き合っていた。
「ハッハッハッ!何が目的かは知らんが…このハイGホエールの中に侵入したのが運の尽きだったな…。撃てぇぇぇ!!!!!」
「ああああああ!!!!!」
守備隊は一斉に2人へ向けてマシンガンを発砲した。超高速で撃ち出される弾丸の雨によって、
マリンとルナリスの2人は断末魔の悲鳴を上げる間も無く原形をとどめる事の無い見るも無惨な肉片
に…ならなかった。守備隊が発砲すると同時に、先程まで涙目だった2人の目が急にキッと鋭くなり、
目にも留まらぬ速度で銃弾の雨をかわしながら守備隊の懐に飛び込むと、共に守備隊の1人を蹴り
飛ばしたのだ。そして蹴り飛ばされたその守備隊員は別の守備隊員を3〜4人巻き込み、そのまま一度に5人くらいが倒されたのだ。
「な!!何が起こったんだ!!?」
「み…見えなかったぞ!!」
守備隊はたちまち浮き足立った。先程の2人の動きは守備隊員達の動体視力で追い付ける速度を遥かに凌駕していたのだ。
「私等をなめんなぁぁぁ!!!」
守備隊が浮き足立ったスキを突き、2人は反撃に転じた。浮き足立ち、戸惑う守備隊員達の間を縫う
様に高速で走り回り、パワードスーツのわずかに残った脆そうな部分に撃ち込んで倒し、さらに
倒した隊員の足を掴んでジャイアントスイングで振り回して周囲の隊員も倒していたのだ。
「うわぁぁぁ!!!バケモン女だぁぁぁ!!!」
「人の事言える気!?この妖怪パワードスーツ男!!」
守備隊員は必死にマシンガンを乱射するがマリンは跳びかかりながら両手で銃弾を器用に受け止め、そのまま肉薄したと同時に蹴り飛ばしていた。
「うわぁぁぁぁぁ!!!死ね死ね死ねぇぇぇ!!!!」
次々と倒れていく仲間達に、ヤケクソになり、もう敵味方構わず周囲に滅茶苦茶に乱射する守備隊員
もいたが、ルナリスは倒れた守備隊員を抱え上げ、そのパワードスーツを弾除けにして接近し、その隊員を一撃の下に倒していた。
「そ…そんな馬鹿な…精強たる我が精鋭部隊が…たった2人の小娘に…グフ!」
ついに最後に残った守備隊の隊長も倒された。真に信じがたい事実であるが、2人は本当に30人
くらいいた重装備の守備隊を壊滅させていたのだ。が、そんな2人も流石に疲れた様子であり、ゆっくりとその場に座り込んでいた。
「は〜…何とか生き残れた〜…。」
「だがよ…こんなのがこの中にはまだゴロゴロいるんじゃね〜のか…?」
「う…。何か目眩がしてきた…。」
>>恐怖の亀裂作者さん
悪魔の恐ろしさを改めて思い知らされた話と言う事でしょうか?
猫に毒ガスを・・・の理論については、つまりワーロックは本当は死んでいると言う事ですか?
>しかもくっついてる間は外付け後付けお構い無しに可能な限り再生可能
確かに本体にくっ付いていればコアのエネルギーの恩恵で再生出来そうですね。
というか普通のブロックスパーツももしかしたら・・・
>>Innocent Worid2作者さん
オリバーさんまた負けてしまいましたね。やっぱり取らぬ狸の皮算用ですね。
今度は金色のデスザウラーが登場したとの事ですが、
もしかして他にも色々なタイプのデスザウラーがいるのでしょうか?
しかもアーサーって・・・まさか・・・
あと、恐怖の亀裂作者さんは円卓の騎士の乗るデスザウラーに対し、
>そこまでしないと能力者に勝て無い
と申しておりましたが自分はそうは思いません。
自分もデスザウラー乗りを描いているからなんとなく分かるのですが、
お世辞にも機動性が高いとは言えない(高速ゾイドとかに比べて)デスザウラーで
高速ゾイドももろともしない動きをさせるのは相当の技術が必要だと思うのです。
あのトビー=ダンカンもデスザウラーを飛行ゾイドの様に操縦する事で
あれだけの戦闘力を持たせる事が出来たのですから。
時間が経つにつれ、アーサーの演説もマキシミンのことも頭の中から消えていった。たった一つの思考が彼の頭を覆ったためだ。
――負けた。
それも、完膚なきまでに圧倒的な敗北。
これまでの彼の人生において、「負けた」戦いは2度しかなかった。動く事すら出来なかった2年前の戦いと、
先日のジークフリート戦だ。
だがデス・メテオは死んだしジークフリートも逃げた。だからこそ、オリバーは自分に「負けてはいない」と
言い聞かせる事で心の平穏を保てたのだ。
しかし、今回の敗北は弁解の余地など存在しない。完璧な「負け」である。
「…くっそォォォォォ!!!」
オリバーは何度も壁を殴りつけた。――こんな事はありえない。俺があんな負け方をするなど…
「オリバー、入るよ?」
ドアの所に立っていたのはエルフリーデと、その後ろにマキシミンが居る。オリバーの無事な姿を見て、
安堵の溜め息を漏らすエルフリーデの愛らしい瞳も、傷心のオリバーを慰めるには至らない。
「すごく…すっごく、心配したんだから! 彼が助けなかったら、今頃…」
暗い面持ちで部屋に入ってきたマキシミンに、オリバーは急き込んで答えた。
「アイツは…アーサーとか言う騎士はどうした!? あの後何があったんだ!?」
何もかもが解らない。アーサーの戦闘力は彼らとは次元が違っていた――マキシミンが勝つことはありえない。
ならば、どうやって彼らは生き延びたのだ? あの男は「殺る気」だった。見逃してくれたとも思えない。
疑問が渦巻く中、マキシミンは静かに答えた。
「あの後…俺は、あいつに戦いを挑んだ」
やはり二人は戦ったのだ。尚更の事、どうやって生き延びたかの疑問がつのる。
「俺はあいつに、掠り傷さえ与えられなかった。あんな能力は見た事がない…幾つもの能力を、同時に使いこなしていた」
今聞いたことを頭の中で反芻するのは後だ。沈黙したまま、オリバーが先を促す。
「流石に勝てないと思った。俺は能力を発動し、再び奴に打ち掛かった――その時、あいつは逃げた」
「何だって?」
「どういうわけか、奴は俺の能力に見覚えがあるらしかった。そして俺にこう言った…
『血塗られし剣の使い手を、こんな形で見出せるとは』…そして、あいつは自分から消えたんだ」
「どういう意味だよ…アイツ、お前の知り合いか?」
「んな訳ない。…今解ってんのはそれだけさ。お前、気付いてないみたいだけど生死の境を彷徨ったんだぞ?
連中についての情報収集は俺に任せて、ゆっくり休んどけよ――なっ」
マキシミンは軽くオリバーの肩を叩くと、そのまま部屋を出て行った。取り残された二人はしばらく何も言えず、
早朝らしい病室が重苦しい沈黙に閉ざされる。
エルフリーデは無理矢理テンションを上げようとするほど気の利かない少女ではなかった。しかし、
ずっとこんな状態で居させるのもしのびない。
「…有限不実、だったな。誰にも負けない自信があったのに、このザマだ」
ただ何か言おうとして口にした言葉だったが、エルフリーデは強く首を振った。
「誰だって…無敵になんてなれないよ。それに、あなたは生きてるから…強くなれるでしょう?」
強くなれる。その言葉が、オリバーの意識を強く刺激した。
「それだ――よし、決めた! 俺は強くなって連中をブッ倒し、口先だけじゃない本物の英雄になる。
自分の身も守れないようじゃ、君を守るなんて言う資格はないしな」
言うが早いか、オリバーは畳んで置かれていたジャケットを羽織るとベッドを降りる。
「え…ちょっと、まだキズは完治してな――」
「大丈夫さ、動けるからな!」
廊下を走っていく彼を、エルフリーデは複雑な面持ちで見送った。
「つーか…ここ、『星光の鎖』の医療棟じゃねえか」
そういえば、今まで一度として利用した事は無かった。その事実が、オリバーの決意をさらに固くする。
「もう二度と、ここを利用する事は無い…!」
廊下をすれ違う同僚達は、口々にオリバーの敗北を噂していた。
だが、彼は立ち止まらなかった。
――見とけよテメーら…俺は絶対強くなって戻って来てやる。
オリバーの向かう先は、とある路地裏。そこには彼が知る限り最も巨大なネットワークを持つ
「情報屋」が住んでいた。
今日の投下分は、全部書いてから一回全て消し、それからまた書き直したものですw
>>恐怖の亀裂作者氏
え〜…騎士に関しての見解は鉄獣氏の方が正しいです。
むしろ強力な機体+超強力な能力=最強の軍団、としたかった訳で。
アーサーは多分モルガでもオリバーに勝てます。
>>鉄獣28号氏
「金色のデスザウラー」と言うと誤解されそうなのですが、「ベースが黒に金の装飾が施された機体」
が正しいかと。
射撃より格闘のほうが強い二人…そして、深まる袖の謎w
鉄獣28号さんへ
袖の下キターーーーー!今度はミサイルまでもが登場…。恐るべし。
Innocent World2の作者さんへ
モルガでイクスに勝つ…ポカーン…。何処の最強さんなのだと小(以下略)w
能力者狩りをしていたのでてっきり機械的な方法で擬似的に能力を使用できる機体に乗って居る者だとばかりおもってました…。
もっと良く読め…_| ̄|●
「うぐぐ…。」何かとても失敗したという呻き声がラビゼルフリューゲリオの中から聞こえて来る。「お主?何をした?」
ベルウッドが興味津々でファインに聞く。「ああ…あれは相手が先に切り出した例を逆手に取っただけであります。しかも相手は逆手に取られると言い返す事ができない例を出したのでああ成ったという事であります。」
「そうか!奴はバカだったと言う事か!」これも拡大解釈甚だしい事なのではあるがどうもわざとらしい。「きっ貴様にまで!」釣られやすい方である事は間違い無いワーロック。
「ふっはっはっは…そうか馬鹿だったのか…。」確信犯的な便乗でベンハルトにまで馬鹿にされてしまうワーロック。
”プチン”何かとても不吉な音が聞こえた気がする3人。
「お前等…内蔵を引きずり出して全部ウィップアーウィルの餌にしてやるぞ!その後中身の無くなった貴様等にウィップアーウィルの〇(自主規制)を詰め込んでさらし物にしてそれからそれから…。」
切れたらしい…しかも危ない妄想爆進中とやばい雰囲気がぷんぷんする。
「シャアアアアア〜〜ッ!!!」突然ワーロックが動きラビゼルフリューゲリオがベルゼンラーヴェとペイルバイターの装甲を切り裂く。腕を振り抜いて発生させた真空波…鎌鼬だ。
ジェノホークも一斉に動き出し収束荷電粒子砲を2機に向かって発射する。アーバレスト機関全開で逃げる2機。しかしベルゼンラーヴェの目の前には恐るべき速さで立ち塞がるラビゼルフリューゲリオの姿が有る。
「せいやあああ!!!」またしても別の相手より貰う拳の弾幕。成す術無くそれを貰い続けるベルゼンラーヴェ。「何をしておる!このままでは…。」「でえぇぇいっ!!!」
唯々恐るべき速さで撃ち出される拳が或る位置に来る時だけ遅くなるのをギリギリまで調べていたらしいファイン。その声と共にラビゼルフリューゲリオの両手を掴む。その手には破滅の結界が宿っている。
「ちぃいいっ!」背の翼で強引に肩口より自らの腕を切り落とすラビゼルフリューゲリオ。落ち行く両腕は1つの光球に包まれ焼却される。「くうっ…再生が効かん!あれは消滅呪法かっ!」ワーロックは素早くその場を離れる。
失った物は大きいがこれで相手は1つ多くの手間を取らせた。その後素早くペイルバイターに攻撃を仕掛ける。
突然ラビゼルフリューゲリオの正面に現れる不気味な光は金切り声を上げた。
「何だ?あの高圧縮物体は!?」その異様な光景に回避運動が遅れるペイルバイター。その光弾は一定方向に回転する圧縮衝撃波。
接触したペイルバイターの一部分を回転方向に削り取る。「スフィアサクションの直撃を避けるとはな…だが貴様等は何時まで持つかな?はははは…。」
勝ち誇ったワーロックの嘲笑。そしてそのままスフィアサクションが辺りにまんべんなく降り注ぐ…。
耳に悪い金切り声の群がラビゼルフリューゲリオから放たれると何を思ったかワーロックはそれをジェノホークに撃たせる。攻撃が命中したスフィアサクションはその場で衝撃波の渦に成る。
それが連鎖で他のスフィアサクションに反応し複数の渦が産まれる。その中心部に有り得ない物が発生する。「重力異常!?空気中にマイクロブラックホールの種を産み出すだとっ!?」ベルウッドは焦る。
幾らその力が強く装甲が厚く結界を使用できてもあれの消滅に伴い発生する力の前には無力だ。星どころか場合に依っては反物質発生から世界その物の消滅すら有り得る。
「はああああ!!!」ワーロックはその種を反応前にラビゼルフリューゲリオに喰らわせる。異様な黒い光としか表現できない物に包まれる機体。
「くくくくく…全てが返る時が来た。そして消える時がな!常世の枷を外し三千大世界へ旅立て!インフィニティゲイト!!!」
「おお?真逆こんな物まで使うとは…はしゃぎ過ぎだな。」戦況を覗いて如何した物かと首を傾げる男。「止めに入りますか?」傍らに居るマリエスはそう聞いてみる事にする。
「いや!如何やらあれを消す手立てがあるらしいぞ?これは新展開だ。如何成ることやら?ふふふふ…。」失敗したときに手を出せば良い。簡単な話だ。男は興味深そうにそれを覗いている。
ベルゼンラーヴェは腰を降ろし膝を突くと第4種荷電粒子砲の射撃体勢を執った。「馬鹿な!?そんなもので”門”に如何立ち向かうというのだ!」ベルウッドはファインのその行動原理が理解できない。
「”門”だから…ね?」狙いを定めた先は明後日の方向。「余計に訳が解らん!目標は彼方であろう!」発生した異形の門を差して必死に言う。「見た目で騙されてはいけませんよ?あれは…門でありますから!」
更に意味不明な事を言い始めるファイン。頭を抱えて右往左往するベルウッドにこう言う。「門の後ろに有る物は?」そう言ってその方向を撃つ。
確かにトリガーは引かれそれが発射されるが門の後ろに到達した途端荷電粒子は消滅してしまう。
しかもその後に有り得ない轟音。「ビンゴ!」ファインは親指を立ててベルウッドに見せる。歯を見せて輝かせるのも忘れない。「うげっ!?」
「キモイわっ!!!」その顔面には投げ付けられたアサガオライガーのヒップアタックが炸裂している。そんなやり取りの中インフィニティゲイトに異変が起きる。
異形の門は突然何の前触れも無く空中で潰れる。「「「何だって〜〜〜っ!!!」」」ワーロックとベルウッドとベンハルトは同時に声を上げる。
その光景を別の場所で見ている2人は「「…。」」何も言えない。原理を理解すればなる程と思うが使用した道具と掛かった力が大掛かりな割りに稚拙な解決法なのだ。
「門の後ろには…遍く三千大世界があるのでありましょう?」ファインは嫌らしい声でワーロックに言う。「門の繋がった先はまだ何処に繋がっているか?未定の状況であります。」
そこで「「あ!?その手があったかっ!」」ワーロックとベルウッドが同時に叫ぶ。「如何やら答え合わせは出来たみたいでありますね…。」
「繋ぐ場所を指定すべきだった…。」ワーロックはぶつぶつ言っている。倒れた門はそのまま消えて行く。それだけでは無くこの為に集まった力も何時の間にか消えている。
事象の解決に失敗した結果である。ワーロックは”繋ぐ場所”を指定していなかった為その全ての可能性が門の後ろに有った事になりその背後に有る物を不特定に狙った第4種荷電粒子砲。
形こそ門をしているが実際にはそんな形など持っていない空間に開いた穴。そこの周辺にを通ればその先に繋がった何処かの何かに当たるのである。
最終的にはそれ等不特定多数の世界に或る何かに当たりそれでいて倒壊する物が其の一撃により崩れその重みで穴が塞がれてしまったと言う事になる。
一段落ついた事でまた少し状況は変わるが三つ巴の状態に戻る。しかし相変らず戦況は落ち着き無く彼方に傾いたりこっちに傾いたりと図ったかの様に相手の優位を誰かか排除するサイクルで続く。
ペイルバイターのギガクラッシャーファングがベルゼンラーヴェを捉えようとするとラビゼルフリューゲリオが漁夫の利を狙いスフィアサクションを放つ等。全てが噛み合わずにもうそろそろ10分が経過しようとしていた…。
2人は本当に途方に暮れていた。が、ズィーアームズはそんな2人に容赦はしなかった。すぐさま新たな刺客を送り込んでいたのだ。
「よお…。ガキのくせにお前等中々やるじゃねぇか…。」
「ってまた来たよ何か!!」
フロアの向こう側から聞こえた男の低い声に反応し、2人は思わずその場を飛び退いて身構えた。
声のあった方向から来たのは先程の様な大人数では無く、たった1人であり、パワードスーツも
マシンガン等の装備もしていなかったが、その男の身長は2メートル30センチは有にアリ、
なおかつ全身の筋肉も鋼鉄の様に鍛え上げられており、正しく自らの身体そのものが武器とアピールしている様な男であった。
「オイオイ…何かうすらデカイのが出たな〜…。」
「でもパワードスーツとかで防護して無いし、武器も持ってないから楽勝かも…。」
2人は全く丸腰な大男の姿に安心していたが、大男はなおもニヤリを不敵な笑みを浮かべながらその指をポキポキと鳴らしていた。
「ふっふっふ…。女子供をいたぶるのは趣味では無いが…お前らならば俺を楽しませてくれるだろう…。」
「何が楽しませてくれるだろうだよ!!」
ルナリスが跳んだ。目にも留まらぬ速度で大男の懐に飛び込むと、その速く、そして重い突きを大男の腹部にたたきこんだのだ。
「やったな!!」
ルナリスの顔に笑みが浮かんだ。その突きは本当に大男の腹部に綺麗に撃ち込まれていたのだ。
ましてや彼女は今までにも様々な大男を倒した事があり、これで大男は腹を押さえて苦しみ倒れると、
そう考えていたのだ。が、しかし、大男はダメージを感じさせぬ程、その場からピクリとも動いては
いなかった。しかもその顔も表情1つ変えずになおもニヤリと不敵な笑みを浮かべていたのだ。
「え?あれ?うそだろ?」
「オイオイ…もっと楽しませろよ…。」
男が軽く平手打ちを当てた。それだけの攻撃でルナリスの身体が宙に舞ったのだ。そして、そのまま吹っ飛ばされたルナリスをマリンが慌てて受け止めていた。
「うわぁぁ!!ルナリスちゃん大丈夫!!?」
「受け止めてくれた礼はするが、ちゃん付けはするな!!」
2人は例によるお約束を忘れてはいなかったが、大男はやはり不敵な笑みを浮かべながらゆっくりと一歩一歩2人に近付いており、2人はすぐさま身構えた。
「奴のパワーは半端な物じゃないぞ…。相当の鍛えられている…。しかも奴の身体なんか比較的筋肉の薄い傾向にある腹部ですら本当に鋼鉄のように固かったぞ。」
「ならばこれならどうよ!!!」
今度はマリンが大男へ向かって跳んだ。目にも留まらぬ速度で大男の背後を取ると、そのまま大男の図太い首に組み付くと一気にスリーパーホールドを掛けたのだ。
「これで眠っちゃえよ!!」
マリンはグイグイと大男の首を締め付けた。例え大男の全身の筋肉が鋼鉄の様に鍛えられていたと
しても、首の筋肉はほとんど無いに等しい上、その頸動脈を絞めれば倒せると考えていたのだ。が、それを持ってしても大男はピクリともしなかったのだ。
「え?うそ!!」
驚愕するマリン。が、その時大男は上半身をグイッと横に大きく傾けたのだ。それによりマリンは
横の金属製の壁に強く叩きつけられ、そのまま大男の首から離れ落ち、床に叩きつけられしまった。
とはいえ、しっかり受け身を取ってダメージを最小限に止めていたのか、すぐに立ち直り、ルナリスの方へ駆け戻っていた。
「あ〜いつつ〜…なんちゅ〜奴よアイツは〜…。」
「だろ〜?」
マリンは先程金属製の壁に叩きつけられた際に頭を打ったのか、頭を必死に押さえ、その目からは
涙が流れ出ており、そのマリンが叩きつけられた金属製の壁には大きくマリンの頭の型が綺麗に出来ていた。
「どうしたどうしたよ…。もっと俺を楽しませてくれよ…。」
大男はなおも不敵な笑みを浮かべながら2人へ近付いており、2人は大男のタフさに驚愕していた。
「打ってもダメ…。絞めてもダメ…。一体どうすれば…んん!!?」
その時何かひらめいたルナリスは再び大男の方へ跳びかかったのだった。
「どんな奴でも!どんな物にでも!"ツボ"と言う物がある!!そこを突けば…。」
ルナリスは大男の身体の急所となるツボを正確に狙い澄まし、突きを叩き込んだ。いかに鋼鉄の
ように鍛えられた大男でも、鍛える事の出来ない急所ならば一溜まりも無い。と思われたが、それですら大男はピクリともしていなかったのだ。
「え?えええええ!!!!?うっそぉぉぉぉ!!!」
ルナリスはやはり大男に吹っ飛ばされていたが、クルリと一回転した後で綺麗に着地し、マリンの
所に駆け戻っていた。一方マリンは服の大きな袖口に手を突っ込み、中から医学書の様な物を取りだし、“人体のツボ”なる項が紹介されたページを開いてルナリスに見せていた。
「あれ〜…?おっかしいな〜…。」
ルナリスは困った顔をしていた。マリンが見せた医学書で何度確認しても、大男は確実に急所を
突かれていたはずなのである。であるにも関わらず、大男には少しのダメージも見えなかったのだ。
「バケモンかよこの男は!」
『どうかな?私が作り上げたサイボーグ戦士の実力は!』
「!!?」
「サイボーグ戦士!!?」
突然聞こえてきた別の声に2人が反応した時だった。動きを止めた大男の正面に白衣を着た老人の立体映像が現れたのだ。それは正しくドクタードボルクであった。
「何だこの爺さんは…。」
『フェッフェッフェ!お初にお目に掛かる…。ワシはズィーアームズ社で研究員をしておるドボルクと言う者じゃ。皆はドクタードボルクとワシを呼んでおる。』
「で?そのドクタードボルクさんが何の用よ!今本当に取り込んでるんだから邪魔しないでよね!」
と、その時だった。ドクタードボルクは大きく笑い始めたのだ。
『フェーッフェッフェッフェッフェ!!話には聞いておったが…本当にマオの奴にそっくりじゃなのう…。』
「!!!!!?」
ドクタードボルクは嫌らしい目つきでマリンの体中をジロジロと眺めていたが、マリンはドボルクが先程言った言葉に驚いていた。
『フェッフェッフェ!あの時のマオに本当にそっくりじゃのう…。本当に美しい…。』
「………。」
ドボルクがエロ親父な笑みを浮かべていたが、マリンは“美しい”と言う言葉に反応し、眉を細めると素早く袖口から鏡を取りだして自分の顔をじっくりと眺め始めたのだ。
「やっぱりワカンネ!こんな顔に2つも大きな傷が付いた顔が美しいとか言う奴の感性が理解できね!もうね!アホかと…。」
マリンが首を左右に振りながらその様な事を呟いていた時、ドボルクは大笑いを始めたのだった。
>>恐怖の亀裂作者さん
プチンと言う音とか自主規制笑いました。
インフィニティーゲイト・・・、何か凄いブラックホールっぽい物が発生して
新たな展開の始まりかと思いきや、繋ぐ世界が無かったと言うだけの理由で
あっさりと終わってしまいましたね。三千大世界ってのも気になります。
>>Innocent Worid2作者さん
幾つも能力を使いこなすアーサー強!!!
しかし、それはオリバーに強くなるための努力を促す結果となった様ですね。
情報屋とは一体誰なのでしょうか?
>射撃より格闘のほうが強い二人
この2人は最近良く格下扱いされたりしますが、それでも常人から見れば超人的な力を持っている事にかわりはありませんから。
お久し振りです。ちょっとだけ、戻ってきました。新作、発表します。
…と言うか、第一話。チーム・ギルガメスのお話しの「第一話」です。
いい加減、本筋の話しをやりたくて仕方がなかったものですから。
完結までには結構掛かるかと思います。二、三ヶ月に一回という投稿ペースですし。
「お前そんなもの根気よく続けられるのか?」とか、
「それよりゾイド板がいつまでも続いていると思ってるのか?(失礼)」とか、
言われちゃうと言葉に詰まっちゃいますが、まあやらぬよりはやった方が
自分自身の精神衛生上は絶対に良いでしょうから、気長に、まったりまったり続けたいと思います。
それじゃあ、恒例の? 次回予告。
「夢破れた少年がいた。愛を亡くした魔女がいた。友に飢えた竜がいた。
大事なものを取り戻すため、結集した彼らの名はチーム・ギルガメス。
魔装竜外伝第一話『泣き虫と魔女と、わがままな竜』 ギルガメス、覚悟!」
明日から四回に分けて連投します。
あと、一応自分の投稿した分に関してはサイトを用意しました(実はちょっと前からある)ので、
興味がある方はどうぞよろしく。但し、こっちに掲載したものは誤植・表現など
修正した部分がかなりありますので、それだけ了解頂ければと思います。
ttp://masouryu.hp.infoseek.co.jp/
>>157 キター!!
新着レス1だから何かと思って来たら・・・
またこのスレ見る楽しみが更に増えちゃうじゃないですか。
HPのアドレスもなかなか良いです。。。
◆.X9.4WzziA さんへ
魔装竜外伝第一話が始まる…。ウワーイ!!!
しかもホームページのアドレスまで!?未だにゴーストページの自分とは偉い違いです_| ̄|●
鉄獣28号さんへ
何とも強いサイボーグ戦士キターーー!!!しかも実用的なタイプで。こう考えるとハガネさんの見た目って制作者の趣味丸だし?
ーーーーー
変な物を出したので…
【ネタ】
鍵爪の法陣:一応誤植から産まれたものです
ワーロック等の鳥さんな魔族を招喚する際に使う魔方陣の様式の一つ、法陣に置かれる結界石(けっかいし)には鳥を象徴する存在を置く必要が有る
汎用的な魔方陣と違い特定の存在しか呼べない代わりに必要な労力や代償が必要無い意外と便利な物
今回は結界石にジェノホークを使って使用者がワーロック、そして呼び出す対称が自分の眷属である為簡単に終わったが実際はもっと時間の掛かる行為
インフィニティゲイト:彼等の世界に繋がる一方通行の”門”を呼び出す術式、特に入り口から出口を設定する必要無く発動できるがその場合何処に飛ばされるかは不明
使用者がそれの発動を確認しやすくする為に”門”の姿をしている、特定の場所を選んだ場合は確実に通った対称をそこに送り込む事ができる
三千大世界:元ネタ有で世界はそれだけ有ると言う例えだったりしますがこの話では今居る場所(世界)からかけ離れた沢山の世界の事
当然物理法則やら何やらもその世界毎に違いワーロックが飛ばそうとした先は彼が知りうるまったく別の世界で実はそこの生き物は全部魔族だったりします
「くそっ…単体を相手にしていたらこのまま体力切れを待つだけであります!もう一度!」
ベルゼンラーヴェが何かをしでかす構えを取る。それを察知してペイルバイターもラビゼルフリューゲリオも動きを止める。
腕と指を動かし印を組んでいるらしい…先ずは見た目なのが術を使う基本だったりする。
起源は曖昧だが今の所印や詠唱、ゼスチャーはそれを導き易くする為の行為だと言われている。
手の開いているジェノホークが後方から攻撃を試みるが「バックファイア!」ファインの掛け声と共に無駄に出っ張った方の後方の物体が反り返る。
そこにはストームガトリング1対が隠されている…そのストームガトリングからの攻撃にジェノホークは退散する。「また隠し武器か…。」
ワーロックは呆れて言う。それ以前の10分程の戦闘でも細々した物を状況に併せて巧みに使っていたのでうんざりしている様だ。そうこうしている内にそれが終わった様だ。
「はあっ!」ベルゼンラーヴェは両手を大地に付ける。すると発生した力が大地に流れて行く…だが何も起こらない。「これで良し!」そして何故か満足そうな言葉をファイン歯言う。
「お疲れ。これで汗でも拭いておけ!」タオルを投げよこすベルウッド。「おお!ナイスタイミング!」それで汗を拭いているらしくベルゼンラーヴェは何か随分と恥ずかしい動きをしている。
「「リンク切れよ…。」」余りの情けなさにワーロックとベンハルトは思わずそう呟く。だが大地に流れた力は何処に行ったのか?それは両者には解らず終いだった…。
ベルゼンラーヴェはまたしてもせかせかと何かを始めている。流石に痺れを切らしたらしい両者は一斉に飛び掛かる。しかしそれを待っていたらしいファイン達。
「主!今だ!」「おう!樹術!百華繚乱!華界降誕っ!!!」その声と共に大地より巨大なお花畑が出現する。「しまった!鶴縛りかっ!?」ワーロックはこれに見覚えが在るらしく素早く空中に逃げようとする。
しかし発生し無茶な成長を遂げていくお花畑の魔の手からは逃れられない。有り得ない太さに成長した蔓草がラビゼルフリューゲリオやペイルバイター、ジェノホークを絡め取る。
そしてそれを一纏めにして1箇所に集める。「今度こそ!決めるであります…あっ。第4種荷電粒子砲の回路が焼き切れているでありますねぇ…。」世の中上手くはいかない様だ。
「それなら!カラミティシャドウ!!!」カラミティシャドウを可能な限り発砲する。素早くマガジンを交換して素早く撃つ。
20を超える火球が巨大な鶴で雁字搦めになった鶴玉に捕らえられた獲物に向かう。この火力は周囲の温度を10℃以上を一瞬で上げる劫火。
中心部に居るラビゼルフリューゲリオやペイルバイターでも耐えれる筈は無い…理論上の話ではあるが。
「勝負あり!そこまで!」あの声が聞こえる。その言葉と共にカラミティシャドウの弾丸が全て消滅する。しかしこの場を逃す訳には行かない。
ファインはベルゼンラーヴェを突っ込ませる。ニュークリアインフェルノを叩き込むつもりだ。「まあ待て…と言っても聞く耳は持たぬか。それならば余がお相手しよう!」
突然ベルゼンラーヴェの右手の前に人影が現れる。溢れんばかりの力の洪水。男が手を翳し真正面からニュークリアインフェルノを押さえ込む。
ワーロック以外誰もがその目を疑う。この戦闘を何とか監視していたツヴァイザーシュライエントのアービン達も悪夢を観る様な目でそれを見ていた…。
「如何した?この程度では余には届かぬぞ?」男が嗤う。「届かない!何と場違いな存在でありますかぁ!!!」全力を込めて押している。アーバレストまでもフルパワーで稼働しているにもかかわらず1mmも前に進まない。
それ所か後退している。「つまらん…せい。」男が掌を握り拳に変える。それで全ては終わる。ニュークリアインフェルノは男の手の中で消滅しベルゼンラーヴェは巨大な花畑に沈む。
視界が奪われるその時にファインは男の顔を見る。「そんな…。」それ以上は恐怖から声が出ない。その男の顔は彼が良く見ている顔だったのだ。
「馬鹿な!お主はここに居るではないかっ!!!」その顔はファイン自身その物。背や体格も同じで紺の法衣と闇を落としたかのような外套を纏っている。
左手には場違いな食べ掛けの焼き鳥を持ちそれを弄んでいる。この状態を見て全ての者は彼が遊んでいる事を心底確認する。弄ぶのにも飽きたのか残りを胃袋に収め串をベルゼンラーヴェに投げる。
竹串はベルゼンラーヴェのコクピットを貫通。しかもわざとファインの左頬を掠るように機体を貫いて行く。元々常識外れな状況は承知だがこれは流石に度が過ぎている。
「左の鼓膜が。」今の一撃で鼓膜が敗れたらしい。「さあ!続きは余が引き継ごうではないか!」
『フェーッフェッフェッフェ!絶世の美女でありながら肝心の本人はそれを全く自覚していない。容姿だけで無くそこまでマオの奴と一緒とはなぁ!』
「爺さん!!貴方まさか曾お婆ちゃんの事知ってるの!!?」
真剣な顔になったマリンに、ドボルクも笑いう事をやめてマリンの方を見た。
『そうじゃ…。ワシは君の曾祖母を知っているよぉ…。あの頃のあやつは本当に美しかったのう…。
そりゃもう本当に抱いてやりたい位の物じゃったよ…。フェッフェッフェ!』
「何か典型的なエロジジイだな…。」
「そだね…。」
不気味な笑みを浮かべて笑い始めたドボルクの姿に、2人は思わず眉を細めながら後ずさりしていた。
ちなみにドボルクの立体映像が映されている場所の背後に立つサイボーグ戦士と呼ばれた大男はなおもその場を動かずに立ち止まっている。が、その時ドボルクの顔が怒りに満ちた物となった。
『じゃがな!!あやつは…100年前の大戦時代にワシの可愛い息子達を次々に叩き壊しおったのじゃぁ!!』
「!!!!!?」
ドボルクの老人とは思えぬ気迫に思わず2人は黙り込んだ。そしてドボルクは続けた。
『100年前の大戦時代…当時ワシはネオゼネバス帝国の技術者じゃった…。今でこそワシは
この様な死に損ないの老いぼれじゃが…当時は光り輝く様な紅顔の美青年での〜…婦女子達をキャーキャー言わせとったもんじゃ!』
「何か貴女の爺ちゃんみたいな事言ってるよ。」
「うるせ…。」
マリンはさり気なく小声で突っ込みを入れていたが、自らの力説に熱中していたドボルクはそれに気付く事も無く、さらに力説を続けていた。
『当時のワシは容姿が端麗なだけでは無かった…。技術者としても一流であり、若き天才と呼ばれた
程じゃった…。無論ワシは数々の傑作機を作り上げてきた…。ザカリオン…、バルガチュラン…、
ルシファーザウルス…、ジャッカリード…、皆ワシが作り上げ、どれもが単機で大部隊とやりあえる
まさに一騎当千の力を持つ傑作ゾイド…可愛い息子達じゃ…。しかし!!あやつは…緑の悪魔
マオ=スタンティレルはワシの可愛い息子達を全て叩きつぶしおったんじゃぁ!!』
「そりゃあ戦争だからね〜…。兵器が敵に破壊されるのは仕方が無いんじゃないの?」
眉を細めながら突っ込みを入れるマリンであったが、ドボルクは彼女を思いきり睨み付け、その手に持っていた杖の先を彼女の方へ向けた。
『黙れ小娘!!貴様には分かりまい!!ワシがこの手で作り上げた息子も同然のゾイドがおきなみ破壊された悲しみを…。』
ドボルクは真剣だった様子であり、その目には本当に涙が浮かんでいた。が、2人はそのドボルクの気持ちを全く理解しておらず、
「何か泣いてるよこの人!!」
「うわ!!マジ泣きかよ!!」
とか冗談交じりの言葉を放つ程であった。そしてそれが余計にドボルクを怒らせる結果となり、彼の力説にも怒りが込められていたのである。
『ワシは何としても奴を倒したかった!!奴は…緑の悪魔はワシの科学者としてのプライドを唯一
傷つけた奴じゃったからじゃ!!奴を倒す為ならワシは何でもした!!数々の戦闘ゾイドだけじゃ
無く、戦闘サイボーグ兵士や遺伝子操作生物兵器を作り上げて奴本人を襲わせた事もあった!!
毒ガスや細菌兵器を開発した事もあった!!しかし…どれも失敗に終わった…。ワシが手塩に掛けて
作り上げた数々の戦闘ゾイドは奴と奴の乗るゴジュラスギガの前に敗れ去り、奴自身を狙った
戦闘サイボーグや遺伝子操作生物兵器軍団も奴の常人を遥かに凌駕した力によって破れてしまった…。
奥の手の毒ガスや細菌兵器もその使用を未然に防がれて…。結局一勝も出来る事無くワシは終戦を
迎えたのじゃ…。その際、禁断の毒ガスや細菌兵器を作った罪でワシは戦犯になり10年以上の
投獄生活…。釈放後にどうにかズィーアームズ社に再就職する事が出来た物の、この100年間は本当に苦しく、屈辱にまみれた人生じゃった。』
「何か波瀾万丈な人生を送ってるんだな〜…。」
ドボルクの力説に2人は腕組みした状態で感心していたが、ドボルクはその手に持つ杖の先をマリンの方へ向け、思い切り睨み付けたのだった。
『じゃがなぁ!!!貴様の曾祖母は緑の悪魔とあだ名される程の事をやっておきながら戦犯にも
ならず、あろう事か共和国では英雄扱いされ、しかも勲章までもらいおった!!軍を退役した後で
立ち上げた料理店も商売繁盛順風満帆で子や孫も普通に生まれて相当に幸せな人生を送ったそうじゃ
ないか!!何じゃこの格差は!!ワシが本当に許せんのはそこなんじゃぁ!!ワシなんぞ戦後は10年以上も投獄されていたと言うのに…。』
「な…何か妙に詳しいね…。と言うか、曾お婆ちゃんは確かに緑の悪魔とあだ名される程、大勢の
帝国兵士を殺してきたかもしれないけど、別に戦犯になる様な事はしてなかったんじゃない?」
「あ〜あ〜…それにしても本当にお前の曾婆ちゃんは色々な奴から怨み買ってるな〜…。」
ドボルクは真剣であったが、2人は相も変わらず眉を細めながら、余り危機感の無い様な事を言い合っていた。が、またもドボルクはマリンへ杖の先を向けたのだ。
『マオの曾孫よ!!奴に会ったら言っておけ!!今度こそ…今度こそワシの科学がお前を地獄に叩き落とすと…。』
「無理です!」
『なんと!?』
マリンの即答により、ドボルクは一瞬転けてしまいそうになったが、どうにか杖で体を支えながら体勢を立て直し、マリンへ向けて問い掛けた。
『む…無理って…奴はお前の曾祖母じゃろうが!!何で無理なんじゃ!!?』
「無理な物は無理なの!第一曾お婆ちゃんはもう5年も前に亡くなってるし!」
と、その時だった。先程まで怒りに満ちていたドボルクの顔に笑みが浮かんできたのだ。
『フェーッフェッフェッフェッフェッ!!!死んだか!!あやつももうのたれ死におったか!!
フェーッフェッフェッフェッフェッ!!ざまあ見さらせぇ!!あやつワシが手を下さぬとも自分で
地獄に墜ちおった…フェーッフェッフェッフェッフェッフェッ!!笑いが止まらんわい!』
「く…。」
その様な事を叫びながら笑い続けるドボルクにマリンはフツフツと怒りが込み上げ、思わず叫ぼうとした。が、その前にルナリスが先に前に立ったのだ。
「爺さん!!あんたがどれほどマリンの曾祖母を恨んでいるのかは知らんが、死人を笑うのは良く無いんじゃぁなのか!!?」
『黙れぇ!!ゼネバスの誇りを失った裏切り者のルーガスの孫が偉そうな口を聞くでない!!』
「うう!!」
ドボルクの杖の先は今度はルナリスの方へ向けられており、ルナリスも一瞬うろたえた。その後でドボルクは両目を左手で覆い隠したのだった。
『それにしても嘆かわしい…。忌まわしき共和国将校の曾孫と誇り高き帝国将官の孫が一緒にいるとは…。貴様等一体何を考えておるんじゃ…。もう世も末じゃ!』
「何か変な事でもあんのかよ!!そんなの私等の勝手だろうが!!法的にも何ら間違った事はしてないぞ!!」
「そうよそうよ!!それに帝国と共和国が啀み合っていたのはもう100年も昔の話でしょ!!?そんな大昔の事を今更に私達に押しつけないでくれる!!?」
『黙れぃクソガキ共がぁぁ!!!もうええわい!!』
と、2人のブーイングにドボルクの怒りが頂点に達し、彼は後ろにいるサイボーグ戦士の方へ向いたのだった。
『おい!プランザー!もうあやつ等を殺してしまってもかまわんぞ!もう見るに耐えない程の惨い
殺し方をしてやれい!緑の悪魔の曾孫は特にじゃ!あやつは特に念入りにぶち殺せ…。楽な死に方
など絶対にさせるな!!もうあやつの指を一本一本切り落としたり、直接内蔵をグチャグチャに
したりして、じわじわと嬲り殺しにしてやれい!!それにだ!あやつは容姿や正確こそ緑の悪魔そっくりじゃが、実力の方はまだまだ奴にはほど遠い様じゃからのぅ…。』
「ラジャー!ボス!!」
プランザーと呼ばれたサイボーグ戦士である大男がドボルクへ敬礼を送ると、ドボルクの立体映像は消え、そのままプランザーは2人へ向かって歩み始めたのだ。
「お前等に怨みは無いが、これは命令だ。本当に惨い死に方をジワジワとさせてやるから覚悟しろ!」
プランザーの視線は特にマリンの方へ向けられており、マリンは恐怖の余り一気に青ざめ、頭を抱えながら泣き出したのだった。
>>◆.X9.4WzziA さん
魔装竜シリーズ新作キタァァァ!!!今度はどんな意外なゾイドが出てきて
意外な強さというものを見せてくれるのか楽しみです。
貴方のホームページ良い感じです。
>>恐怖の亀裂作者さん
>鍵爪の法陣:一応誤植から産まれたものです
これ笑いました。
それと、本編の方に話を戻しますが、巨大な花畑ってのも結構想像してみると
優雅な反面怖いと言う様にも感じられますね。
串が左頬を掠めたときに破れた鼓膜ってのも何か痛そう・・・
>こう考えるとハガネさんの見た目って制作者の趣味丸だし?
一応言っておきますが、ドボルクはハガネの開発者ではありません。
今日の書き込み分に書かれた、ドボルクの作った対マオ兵器の中に
ハガネの事はまったく書かれていない事こそがそれを意味しています。
「泣き虫と魔女と、わがままな竜」
【第一章】
底知れぬ、闇の中。
徐々に視線を落としていく内に、いつしか下方から差し込む淡い光。照らし出され、朧
げな実体を表した周囲はどす黒い光沢の鉄壁で覆われているが、思いのほか広く、奥底に
まで続いている。
下へ、下へと視線が降り、遂に最下部にまで到着した時。その中央に据え置かれた、殺
風景な鋼の空間を彩る物体。…これに目を向けた者はその簡素な造型美と、薄明かりが醸
し出した海藍色の幽玄さに尽く息を呑むであろう。
杯の形にも似た基部の上に、はめ込まれたガラス張りの箱。内側にはうっすらと霜が掛
かっている。…氷の棺。そう形容して良いのかも知れない。
霜と霜との間に、垣間見えたのは人影。
雪のように真っ白な柔肌。すらりとした肢体、長くしなやかな手足。それに…豊かな、
乳房。棺の中にはうら若き女性が、一糸纏わぬ姿で極上の裸身を横たえていた。
その上彼女の顔を覗き込んでみれば、端正で面長の顔立ち、奇麗に切り揃えられ肩にも
届かぬ短い黒髪。その瞳は閉じられ唇に血色が伺えぬものの、各部分の配置には寸分の歪
み・狂いも伺えない。気品すら漂う造作故に、女神・精霊などと讃えても大袈裟ではある
まい。
氷の棺に、眠る美女。しかし彼女は、果たして生きているのか死んでいるのか。それと
も、そもそも作り物に過ぎないのか。
答えを導き出すかのように、どこからともなく囁きかける、嗄れた男とも女ともつかぬ
声。
《目覚めよ。…目覚めるのだ、蒼き瞳の魔女よ》
声に対し、眠れる彼女が口を開いて答えよう筈もなかったか。が、しかし。
囁きに対し、やはり何処かより聞こえる別の声。目前の裸身に相応しい、落ち着いた淑
女の響き。
(イブよ、私の目覚めを促すなかれ。
私は呪われた女。私が愛した者は必ず傷付き、儚き命を散らす。
最初に失った時も、二度目に失った時も、私はこの命を以て償おうとした。なのにイブ
よ、貴方はそれすらも許さない。
だから、私は眠り続ける。我が刻を止め、愛する者との出会いを捨て去ることが、私に
できるせめてもの償い)
彼女の訴えを全て呑み込むように、間を置き、嗄れ声はゆったりとした口調で答え始め
た。
《ならば、お前に裁きを下そう。
再び時を刻め。命に代えても愛する者を守り抜くのだ》
この凍り付いた棺の中で起こった、ごくささやかな奇跡。
美女の瞼から、溢れ出た一筋の雫。
緩やかにではあるが、霜が水滴に変化し始めていく。
やがて、開いたガラス張りの棺の蓋。立ち篭めた水蒸気が外へと溢れ、瞬く間に棺の外
側を包み込む。
それと共に、ゆっくりと、彼女の瞳は開かれ始めたのである。
双児の月は、今日も惑星Ziの荒野を見守っていた。
常ならば随伴するだろう星屑も、今日は見受けられない。水入らずの夜更け。
そのもとでは槍のごとく連なる山脈が、今日も天の神々を睨み、切っ先たる頂を突き上
げる。だがそれらが本懐を遂げよう筈もない。だから哀しき山脈は、せめて高く聳え立つ
ことで、光を遮り抗うのだ。
稜線が、突如、揺らいだ。
幻か、否か。すぐに止んだかと思われたかに見えた揺らぎは、間を置いて、今度は尾根
の中腹に浮かび上がる。又、消えた。かと思えば又その下方で確認される。人の手に近付
いてくる内に、揺らぎの正体は誰の目にも明らかになった。…土煙だ。
遂に麓にまで降り立った土煙。素早い動作で岩影に潜むその主の姿を見れば。
民家二軒分程もある、二足竜。但しその皮膚は果実のように赤く、月明かりに照らし出
され鋼の光沢を浮かべている。…この二足竜は、金属生命体「ゾイド」だ。更に注意深く
観察しよう。巨大な鶏冠を生やした小さな頭。胴体よりも長くしなやかな尻尾。それらが
背を屈めた姿勢により地面に平行な一本線を描き、美しいことこの上ない。四肢はいずれ
も鋭利で長い爪が生えている。前肢は隙を隠すかのごとく胸元に引き寄せられており、直
立し大地をしっかり踏み締めた後肢と好対照だ。これらの要素をつなぎ止める胴体は思い
のほか小さく簡素な造作で、但し胸元には奇妙な箱が植え付けられている。だがこのゾイ
ドの最も奇妙な点はその背中にあるだろう。背中に覆い被さるように生えている、大きな
二枚の翼と細長い六本の鶏冠。
翼の生えた、深紅の竜。その姿、伝説のキマイラにも例えられる程、禍々しいことこの
上ない。
岩影から首だけ伸ばし、様子を伺う。
視線の向こうは見渡す限りの荒野。そこには、やはり金属生命体ゾイドの群れが身を寄
せ合っている。…いずれも二足竜ながら、深紅の竜の半分以下の体躯。それでも人の何倍
もの大きさではある。皮膚はいずれも鈍い光沢の銀色。姿勢や各部の構成は深紅の竜に似
てはいる。だがやはり、その奇妙な背中を見せつけられた後では何の変哲もない只の竜達
だ。
深紅の竜が値踏みを始める。体躯の大小、生命力、怪我の有無など、隙が目につけばそ
の都度睨み、注意深く観察する。
徐に、身を屈める。その様は弓弦のよう。そして。
飛び跳ねたその勇姿。さながら放たれたる矢の如く、群れの中央に突き刺さる。地響き
し、途端に舞い上がる土煙。
不意の出来事に慌てふためく銀色の竜達。逃走を開始しようとするがそれよりも早く、
深紅の竜は二枚の翼と六本の鶏冠を大きく広げ、身構える。その刹那。
深紅の竜の全身に埋め込まれた灰色の突起。突如高速で回転し、それらが凄まじい唸り
声をあげる。同時に突起の隙間から溢れる火花。リミッターが解除されたのだ。
標的にとってそれは悪魔の雄叫びにも匹敵する。途端に浮き足立ち、もつれたり、転倒
したりして散り散りになる銀色の竜達。その中でも特にもたつき、逃走に遅れた幼い竜に
視線が向けられた時はもう手遅れだった。深紅の竜は顎を大きく広げ、幼い竜を噛み付き
銜えると、その勢いで再び岩影の向こうへ飛び去っていったのである。
幼い竜の、鋼の皮膚を噛み砕いていく深紅の竜。時折、顎から溢れる輝きは消化器官か
ら発せられる高熱によるものだろう。それと共に幼い竜の動きが鈍り、やがて完全に静止
した時、深紅の竜は生き存えることに成功したのである。
強引に餌を顎で引きちぎる。その度、滴り落ちるのは油。人や獣なら血液に当てはまる
だろう。そして邪魔する者などいないのに大急ぎで食らい付く。勝者も又相当に飢えてい
たのだ。
だが、ふと、中断された晩餐。何かに気がついた深紅の竜。代わりに首をもたげると、
目前の食事すらも霞んでしまう興味の対象目掛け、遥か遠方を睨んだのである。
切り出した林檎の欠片にも似た薄く赤い装甲を何枚も背負った虫が、無人の荒野を走り
ゆく。「虫」と言い切れるのは長い触角と無表情で小さな頭が先頭についているからだが、
この虫も又先程の深紅の竜同様民家二軒程もある体躯の持ち主、しかも各パーツが尽く鋼
の光沢を浮かべているところまで同じだ。どうやらゾイドの一種と見て間違いあるまい。
連なる装甲の形状から月の満ち欠けの表情にも似たこの虫の名はグスタフ。通称「月相虫」。
その月相虫の脇には、二匹のこれも巨大な鋼鉄の狼が随伴していた。くすみのかかった
白い体色が印象的な狼達は決して虫程大きくはない。だが背中に長尺の銃を背負い、華麗
に大地を疾駆する様は体躯以上の勇ましさを感じさせる。狼達の名はコマンドウルフ。通
称「神機狼」。
二匹の神機狼の頭部には、大きなキャノピーに覆われたコクピットが一席ずつ埋め込ま
れており、そこにパイロットが一名ずつ搭乗中だ。…そう、ゾイドはコクピットを埋め込
むことにより、人の手で操ることもできるのだ。パイロットはいずれも官製と思しき清潔
感のあるパイロットスーツを着込み、ヘルメットを着用している。腕や胸、それにヘルメ
ットに描かれているのは惑星Ziのマークを月桂樹と稲妻で囲い覆ったヘリック共和国軍
の紋章である。彼らは、軍人だ。
「進路より左30度の方向、中型ゾイドの熱源、停止。小型ゾイドの群れは散開。
…どうやらやっこさん、餌にありついたようだな」
月相虫の左側を固める神機狼のパイロットが、目前のコントロールパネルを睨みつつ無
線で話し掛ける。
「全くヒヤヒヤさせる。イブと大自然の掟に感謝だ」
そう応じた右側につくパイロット。二人は深紅と銀の竜達のやり取りを監視しながら歩
を進めていたのだ。万が一深紅の竜が狩りに失敗しようものなら彼らに標的を変更する可
能性もある。惑星Ziの旅は命懸けだ。
「それにしても…」
「ん?」
「あの中型、最近『出る』って噂の…」
「さあな。でも、本当に噂のあいつなら、俺達の装備じゃあどうにもならんよ」
二人は肩をすくめた。
さてこの群れ中央の月相虫、後ろには何やら車両と思しき鉄の箱を数個、引き摺ってい
る。側面には無数の窓が開いており、そこからは横並びの座席と無数の人影が伺える。ど
うやらこの群れの使命は定期便で、箱は旅行者を載せた車両のようだ。
無数の窓は、社内から発する光を闇夜に向けて放っている。その軌跡が荒野に映り地面
は束の間の明るさを取り戻すものの、月相虫が通り過ぎれば辺りは再び闇に閉ざされ、そ
れが刹那であったことを思い知らされよう。
だが照らし出された地面をよく観察すれば、こんな刹那の輝きをも遮る影が車両の左方
に見受けられる。…人影だ。
車中にいた影の主。少年が、只独り。子供と言う程幼い雰囲気ではないが、大人ぶるに
は体も小さく痩せているため説得力に欠けるだろう。ボサボサの黒髪に大きめのTシャツ、
半ズボン、そして素足に運動靴と別段目立つ格好ではない。だが表情は寧ろ正反対で、大
きめで円らな黒い瞳と真一文字に結んだ口からは際立った雰囲気が伝わってくる。
半ば虚ろげな表情で窓越しに荒野を見つめる少年。若干いる乗客が尽く眠りについてい
る中、彼だけはあくびもせず地面に影を描いている。生気が抜けたり眠かったりというわ
けでも無さそうだが、夜明けを楽しみに待っているようには到底思えない。そんな表情の
まま両手に小さなリュックサックを力なく抱きかかえていた。
突如。彼の両手が力んだ。リュックサックには大したものが入ってなかったらしく、途
端にペシャンコとなる。それを打ち捨て、立ち上がった少年。すかさず窓を開けると一気
に流入してきた風と冷たい外気に一瞬は手で遮るものの、すぐさま首を伸ばし遠方を睨む。
月明かりに照らされた荒野の遠い、遠い向こう。佇むのは深紅の竜。
蛍光灯に浮かび上がった車中の人影。目を見張ったのはボサ髪の少年。
見たこともない竜の姿。真っ赤な瞳に、少年は息を呑む。
それが、彼らの出会い。
車両を引き摺るグスタフは彼らの邂逅などお構い無しに高速で走っていく。お互いが闇
夜に溶け込んでいき、数十秒にも満たない彼らの出会いは終わった。
竜の方は、やがて何事もなかったかのように久々の食事を再開。
一方、少年はといえば。
先程まで、あれほど表情に乏しかった彼が、今や不敵な笑みを浮かべている。そして徐
にリュックサックの中をまさぐり、引っ張り出したもの。
封筒が、一通。
中から取り出したものは、まず写真が一枚。集合写真のようだ。…すると何を思ったの
か、少年は両手で写真を真っ二つに破る。いや、写真の運命は真っ二つでは済まず、重ね
られて又二つ、又重ねられて更に二つと細かにされていく。やがて数センチ程の大きさに
まで引きちぎった写真を、少年は手放した。風に飛ばされていくのをじっと見つめる。
次は大きめの書類が一枚。何かの証書のようにも見える。これも先程の写真のように細
かく引きちぎり、風に流す。最後に、それらが入っていた封筒も、だ。
さて、左方のコマンドウルフに搭乗したパイロット。レーダーで紙切れが飛ばされてい
くのに気付き、慌ててグスタフの後方に続く車両を不審げに見つめる。
「…おい、何だよあれ?」
無線で呟いたパイロットはそう言って端末を叩く。右方を固めるコマンドウルフのコク
ピットに情報を転送したのだが、これは右方のパイロットのごく簡単な一言で解決した。
「ん? あ〜、お前…失恋したこと、ないか?」
「…成る程」
そんな彼らのやりとりを余所に、遂に紙切れを全て捨て去った少年。浮かべていた笑み
は遂に声となった。それも、微妙な震えが年不相応な感情を滲ませる乾き切った笑い声に。
「フフ…クックックッ、ハッハッハ…。
いたんだ、本当に…」
腹から絞り出すように、呟く。瞳には輝きが宿ってはいるが、禍々しさが感じられてな
らない。
依然眠ったままの乗客を余所に、少年はいつまでも、深紅の竜のいた方角を見つめてい
た。
既に夜が明け、陽がそこそこ高く登る位の時刻。
遂に群れの前方に見えてきた目的地。青空に向かって伸びゆく山脈を背にしたその街は、
周囲を高い城壁で覆い尽くしている。その外側左右でおとなしく伏せているのは数十匹の、
大小様々なゾイド達だ。人間よりは遥かに巨大、且つ暴れでもしたら手に負えない彼らを
都市内に入れるわけにはいかない。ここら辺一帯は街の言わば「ゾイド溜まり」である。
「レヴニア〜、レヴニアに到着〜。お出口は左側です、降りる方はお忘れ物のないよう…」
車両を引き摺った群れが、レヴニアと呼ばれた城塞都市の正面の門に横付けされる。わ
らわらと、下車していく人数は百人を下るまい。
その中に、あの少年もいた。やがて発進した群れをしばらく目で追い、気が済んでから
初めて前方を向く。
旅人達のために一時的に開放された正門。くぐった先に広がる光景を見るより早く、耳
に飛び込んできた祭り囃子にはっとなる。
街の中は屋台がひしめき合い、素朴な飾りつけが至る所で行なわれ、それが収穫祭の季
節を物語っている。但し余所の祭りとの決定的な違いは祭られる対象にあった。
壁に描かれ、飾りに象られているのは主に三種類。…一つは全身黒づくめでマントを羽
織った、背の高い美丈夫。二つは青を基調としたドレスを着込んだ背の低い美少女。彼女
に限っては必ずその瞳を蒼く且つ大きく描くのがポイントのようだ。そして最後に、真っ
赤で、背中に羽根の生えた奇妙な姿の竜。この二人と一匹の意匠を見さえすれば、この星
では誰もが「ああ、あの伝説を描いたのか」と気付く筈だ。
黒騎士伝説。一千年もの昔、「蒼き瞳の魔女」と恐れられる女戦士の助力を得た若き勇
者「黒騎士」は、その異形と暴虐ぶりで「魔装竜」と渾名される赤いゾイドを屈服し味方
に付け、長きに渡り今も栄えるヘリック共和国の圧政に立ち向かった。後に黒騎士と魔女
は結ばれ、最後はこの地・レヴニアで生涯を終えたと伝えられる。
「…なんて話しをする度、ヘリック人の子とはいつも喧嘩になったっけ」
独り言する少年の微笑み。そう、伝説は所詮伝説なのだ。何しろ千年前の出来事、かつ
てこの地を治めたガイロス帝国、或いはネオゼネバス帝国といった諸国の度重なる資料改
ざんにより、信頼のおける記録はほぼ失われたと見て良い。…但し、これだけは誰もが確
信している。そんな伝説にすがりつかなければならない程、この星は息苦しい。
「黒騎士だぁっ! 魔装竜ジェノブレイカー、覚悟しろぉっ!」
「おとなしく従いなさい、魔装竜よ! 私達と共に戦いましょう!」
「信用できるか、黒騎士〜っ! 蒼き瞳の魔女よ〜っ!」
少年の脇を、駆け抜けていった子供達。それぞれが伝説に従ったごくごく簡単な仮装で
所謂「ごっこ遊び」の真っ最中だ。
一方、更に前方に続く大通りを見れば、老若男女が思い思いに意匠を纏い、今まさにパ
レードの準備中だ。良く見れば、人よりは若干大きめな程度の体躯の竜型ゾイド(流石に
この程度の大きさなら許されてはいる)に赤い布切れと翼の意匠を被せているものも見受
けられる。
今やパレードへ向けて、この街の雰囲気はピークに達しつつあった。その時のこと。
「誰かぁっ! そのゾイドを止めてくれぇっ!」
声に反応し、少年は後ろを振り向く。
今まで歩いてきた大通りの遥か遠方から舞い上がる土煙。それと共に転んだり、散り散
りになって逃げ回ったりする群衆。通りの中央を駆け抜けようとするのはやはり人よりは
大きい程度の二足竜。全身に透き通った青い鎧を纏ったこのゾイド、「墨小竜」バトルロ
ーバーという。
バトルローバー一匹の暴走に、今まで喜々として祭りに望んでいた誰もが道を開けざる
を得ない中、少年は、何を思ったのか。
厳しくも落ち着いた眼差し。向かってくる二足竜を見つめると、リュックサックを脇に
捨て、仁王立ちになる。
「お、おい君!? は、早く逃げるんだ! 聞こえないのか!?」
既に退避した大人達のことなどお構い無しに近付く竜を見つめる。間合いが縮まる、縮
まる。…突如、竜に向かって突っ走る!
幾つもの悲鳴が重なりあう。だがそれが如何に取越し苦労だったのか、彼らはものの数
秒も経たぬ内に思い知らされることとなった。
バトルローバーの首に、がっちり掴まった少年。そのままこの竜の背中まで伝っていく。
年齢には余りに不釣り合いな熟練の技。だが真骨頂はこの後だ。
「さあ、落ち着いて。おとなしく…しよう?」
跨がった竜の首に頬を寄せ、囁く。まるで慈しむかのごとき優しく、低い声。それと共
に柔らかな手触りで竜の青い鋼の鎧を何度も撫でさすってやる。
数十秒も経たぬ内に。この暴れ馬ならぬ暴れゾイドは疾走を止め、ゆっくりとその場に
しゃがみ込んだのである。
少年が再び、大地を踏み締める。溜め息が幾つか漏れたがそれも直後に起きた割れんば
かりの拍手と歓声によって完全に消し去られた。
「く、黒騎士の再来だ!!」
「黒騎士が魔装竜を鎮めたぞーっ!」
収穫祭の真っ最中故か、絶妙な賛辞。盛り上がりは留まるところを知らず、少年は気恥
ずかしそうに頭を掻き、先程捨てたリュックサックを拾い上げる。おとなしくなったバト
ルローバーにお別れのキスをして、早々にこの場を立ち去ろうとしたが。
人ゴミを掻き分けて現れた男達。いずれも薄汚れたジーパンにTシャツ一枚、背の高さ
に違いはあれど屈強な筋肉が手に取るようにわかる。
「ありがとう、君…」
息を切らして少年の前に立つと深々と頭を下げた彼ら。釣られるように、頭を軽く下げ
ようとした少年。だが彼の視界に映ったものは。
男達の一人が、懐に、手を当てている。
慌ててしゃがみ込もうとした少年だったが。
乾いた破裂音。すぐ後、鳴り響いた破壊音。たちまち周囲を覆い尽くす爆煙。
…体ごと、吹っ飛んだ少年。彼を取り囲んでいた群衆も例外ではない。屋台も、飾り付
けも。
死屍、累々。先程までの喧噪が嘘のように静まり返る中、ゆっくりと身を起こしたのは
先程発砲した男達だった。いずれも耳に手を当てており、埃を被った以外は無傷のようだ。
「馬鹿野郎、合図しろよ。結構大量の爆薬、積んだんだぜ?」」
「仕方ないだろ、あんなガキがローバーを止めるとは思わなかった。もう少し先の方で爆
発させたかったが…」
「もう済んだことだ。見ての通り、効果は十分。さあ、おっ始めようぜ」
(こ、こいつら、ゲリラか…。ひどいこと、する)
倒れた群衆の中、生きている者もいた。先程の銃撃をしゃがみ込んでどうにか避けた、
あの少年。だがあのローバーに爆薬が仕込まれていることまでは察知できず、こうして死
体か気絶しているだけかわからぬ人々の中に紛れ込んでいる。
(どうにかここから、抜け出さないと…)
チャンスを待つ。だが好機は、思いのほか早く到来した。
突如の、爆音。辺りに轟く。
大通りが、振動に大きく揺れる。崩れ掛かっていた屋台や飾り付けが次々と崩れていく。
「な、何だ? あいつらもう到着したのか!?」
ゲリラまでもが予定外の事態に驚いている。
続く爆音。一発、もう一発。
三発目の爆音と共に、屋根瓦が次々と砕け、大通りにもばらまかれる。
(一体、何が起こったと…)
うつ伏せのままゆっくり頭を持ち上げようとした少年。だがあの男達が、無言のまま空
の向こうを睨み付けているのに気付くと視線の先を目で追う。
視線が標的に辿り着いた時、少年は絶句した。
上空、遥か彼方に浮かぶのは鋼の要塞。銀色の全身が実に眩しい。円盤のような胴体に
鰭状の長い翼が四枚生え、短かめの尻尾で舵を取っているようだ。そしてこれもごく小さ
な頭部には、巨大なドームが埋め込まれている。
「た、タートル…カイ、ザー…」
腹から絞り出すような声で、眼前に現れた災厄の名を呟くのが精一杯だった。
鉄獣28号さんへ
精一杯頑張っていたみたいですねドボルク博士…。頑張りすぎて牢屋に放り込まれるとかすると逆恨みもするでしょう…。
執念は実る寸前!ドボルク博士の望みはかなうのか!?次回を待てwと言う感じでしょうか?
…えっ?主役が違う?そりゃそうだ_| ̄|○
◆.X9.4WzziA さんへ
初っ端から恐ろしい目に遭ってる…。未来は怖いですね…。
燃料を取れなければ相手を捕食するゾイドとか。しかもそこまで未来になっても都市間の道が無さそうなのも…。
何か格好を付けるわけでもなく自然にそう見える振る舞い。そこで何かを思い出したらしい…。
「そう言えば…名乗るのを忘れていたな。ふっ所詮余は余でしかないという事か。2度目にお目に掛かる…。」
文法がおかしいがそれすらも黙らせる存在。「余の名は…何であろう?御主人様と呼ばれて久しいので忘れてしまったか?すまんな。」
「「「…。」」」そこまで来てそれか!ととんでもない相手を前に脱力感と倦怠感が噴出する。
「申し訳ございません。御主人様の御名はエントヴァイエン=リヴァーレです。神聖を汚す競争相手と言う意味です。」
突然エントヴァイエンの後ろに現れる女性。「私はマリエス。アークデーモンの端くれです。どうぞお見知りおきを…。」彼女の言うとおりそれを示す姿をしている。
長い髪の間よりそれの流れにに一度逆らいその後従う美しいと言う表現しか合わない4本の角。「…余より目立っているな。場違いじゃないのか?」
そのエントヴァイエンの言葉に多分全力で周りの者はこう思っている”お前の方が余程場違いだぞ!コンチクショ〜ッ!!!”と。
「良くは聞えませんがとても愉快で不愉快な言葉でありますね。」ファインは左手を左耳に添え痛みを我慢しながら言う。竹串の威力は有り得ない程の物だ。
威力は一点に集中しエネルギー保存の法則を簡単に捩じ曲げ圧力の法則を破壊してファインに接触している。その煽りで鼓膜が破れると言う状況がそれを物語る。
耳からは疲労により薄汚れた血が流れ出して首から下に一筋の道を作っていた。「ハンデだ。余はこのままで良い…チャンスだぞ?もしこれを掴むことができれば余を完全に排除できる。」
見え透いた挑発だが乗らない訳には行かない状況。「…それなら!頑張ってみましょうかっ!!!」何とかベルゼンラーヴェを立たせる。
「気を付けろ!奴はお主の姿をしているが全くの別物だ!今の妾達に太刀打ちできる術は無い!生き残る事を考えろ!」ベルウッドが釘を刺してくるが状況はそんな生易しいものでは無い。
「相談は終わったか?ならば!」視界からエントヴァイエンの姿が消える。次の瞬間には優雅な動きでベルゼンラーヴェにアッパーカットを放ったらしい。それがらしいというのは一瞬見えた映像がそうで在ったからである。
その一撃で今ベルゼンラーヴェは地上から追い出されデルポイの半分が見える程の位置に居た。
「…はっ!?」如何やら急速な上昇の為の気圧変化で鼓膜が破れた影響を諸に受けて一瞬気を失っていたらしい。
激しい痛みが左耳より脳に送り付けられている。そのお陰で気が付いたのだろう…。
「先にその耳を治療する!じっとして居れ!」貴重貴重と口を酸っぱくして言っているメリクリウスシャードを治療に使用する。
「妾には…と言うより治療をする術式というのは元来存在せん!儀式と生け贄を以てそれを可能とするのだ…。良し!治った筈だ!この声が聞こえるか?」
ベルウッドの声が途中から聞こえて来る。「大丈夫であります。しかし大陸が半分見える位置にまで飛ばされるとは…。」
今は自由落下の最中でぐんぐん加速している。流石に機体毎バラバラに成るのは目に見えている高さ。推進器をフル活用して速度を抑える。
「遅いじゃないか?」今度は横からの衝撃。蹴りらしい…。これも断定以上の確認は取れない。桁違いもここまで来ると笑う他は無いレベルに達している。
何とかバルカンを斉射しては見たが如何やら当たっていない。普通ならある程度の位置に居れば風圧等で人如きは充分始末できる。
だが常識の全く通用しない相手にはヒットしても倒せるかどうか不明な事だ。体勢を立て直し何とか地上にダメージ無く着地に成功するベルゼンラーヴェ。
「奴はっ!?」最悪な事にレーダーやセンサーにすら捕まらないと成ると戦闘行為その物が無駄だ。
突然急激な威圧感が迫ってくるのを感じたファインはその方向に向かって咄嗟に殴る。それは丁度空間転移を終え攻撃を繰り出そうとしたエントヴァイエンに当たる。
「ぬうっ!?」しかしそれは防御体勢を執ったエントヴァイエンの防御結界を全て破るには到らない。「…危ない危ない。真逆こうも簡単に当てて来るとは恐れ入る!」
エントヴァイエン右手の指先が光るとそこには賢者の石を石突きにした長大なハルバートが出現する。「それっ!避けて見せよっ!」重さ等端から無い様にそれ振り回す。
「どわあぁぁっ!?」必死に回避するベルゼンラーヴェ。その外れた先には哀れな巻き添えが無残に切断されている。木や大地、倒れて屍を晒した者分け隔て無く切り刻む。
その場から動かずにそれを振り続けるエントヴァイエンに可能な限りバルカンを放つ。「芸の無い!芸とはこうするものだ!」
バルカンの弾丸を全て真っ二つにしてしまうエントヴァイエン。
「まだまだぁ〜!」意固地になってバルカンを斉射し続ける。結果は全弾真っ二つ。そしてそれを成しても息一つ切らしていない。
「弾切れか…以外と速かったな。そのサイズと砲門数なら20000発は在ると思ったが…?」嫌らしい洞察力。余力を残し撃っているのがばれている。
わざと大盤振る舞いをして見てもお見通しとなればそろそろ手は限られて来る。
「ソードレイか?それとも…ドールの招喚でもするか?」掛かって来いと指を動かしエントヴァイエンは挑発する。だがベルゼンラーヴェは後ろを向く。「なっ…真逆貴公…。」
エントヴァイエンは驚愕の表情をする。その後ベルゼンラーヴェは一目散に逃げ出したのである。「ままままま…待てっ!」慌てて追い掛けるエントヴァイエン。
「これで…五分に持って行けると嬉しいのでありますが?」「無理だ!」何とかその場を凌いだファインにベルウッドは釘を刺す。
「しかし思い知ったであろう…何でも思い道理に成らない事を。」釘を刺しながらもここで逃げを堂々と行ったファインに感心するベルウッド。
「何と…後ろから撃ち抜かれる可能性を無視して逃げる?否!罠に掛かったのは余の方だな。」ちょっと表情が曇るがやがてそれは笑いに変わる。
掛かった罠。それは一方的な見解と言う物でエントヴァイエンの視点では後ろを向いて真っ直ぐ逃げるベルゼンラーヴェを仕留めるのは簡単だ。だがそれが盲点だったのである。
逃げる方は粗方狙いを外す為に距離を取る事よりそちらを優先する。しかしセオリーを無視して真っ直ぐ逃げる。これは相手に背を狙わせると言う事に繋がる。
相手はそれを疑うのが当然と言うのが今回の落とし穴と言う事だ。この場合はエントヴァイエンは疑いながらも攻撃を仕掛けて足を止めるのが正解だったと言う事になる。
「さて…困ったものだ。メインイベントと言うのに主役が退場するとは。」困った顔をする事はかなり前に一度したきりだ。百年以上は前の話。内容は忘れっぽい彼は覚えていない。
しかし笑いが止まらない「ふふふ…ははははは…今回は一味も二味も違う!愉しいじゃないか!」折角のお楽しみなのだから焦る必要は無い。特大サイズのウサギ狩りとしゃれ込む事にしようと移動を再開する。
「ウサギの穴は…ふふふっなる程。隠蔽術式か何処まで逃げ果せるかな?」気配を探り森を見渡す。無駄なスケールの隠れん坊だ。
「ヒィィィィ!!!!指を一本一本切り落とされるとか、内蔵を直接グチャグチャとかそんなの嫌だよぉぉぉ!!!」
マリンはドボルクがプランザーに言っていた殺し方の注文に、変な想像を膨らませたのか、錯乱状態
となっており、あっちの世界へ行ってしまいかねない物となっていた。が、そんな彼女を守るかのように、ルナリスが前に立ったのだ。
「この野郎!!んな事はさせねえぞぉ!!」
ルナリスは両股に巻いたホルスターから2丁のマグナムを抜き、プランザーへ向けて発砲したのだ。
自動車のエンジンもぶち抜くと言われ、拳銃の中でも最強と名高く、同時に扱いにくい銃でもある
マグナムの銃弾がプランザーへ向かって空を斬り、プランザーの胸板に直撃した。今度ばかりは流石
のプランザーも大きく怯んだ。が、それだけだった。すぐさま体勢を立て直すと、2人への進撃を続けたのだ。
「ったく…マグナムにすら耐えるのかよ…。このバケモンがぁ!!」
サイボーグに改造されているとは言え、、マグナムの直撃にも耐えると言うプランザーのタフネス
さにルナリスもうろたえていた。と、その時マリンが小さい子供の様に泣き叫びながらルナリスの抱きついてきたのだった。
「うわぁぁぁぁん!!助けてよおぉぉ!!指一本一本切られるとか嫌だよぉぉぉ!!内蔵グチャグチャなんて嫌だよぉぉぉぉ!!!!」
「泣くなぁぁ!!!死にたくなかったら奴を倒せぇ!!!」
ルナリスはマリンに泣き付かれたままなおもマグナムをプランザーへ向けて撃ちまくった。されどプランザーはそれに耐え、じりじりと近付いてくるのである。
「畜生!!バケモノめぇぇぇ!!!」
ルナリスはひたすらマグナムを撃ち続けていたがついに弾が切れ、慌てて給弾しようとしていた時に、プランザーの巨大な右拳が2人を襲ったのだ。
「うおおおお!!!!」
「ってあぶね!!」
ルナリスはマリンに組み付かれたまま慌てて飛び退いたが、プランザーの拳は超合金製の床を物の
見事に破壊しており、その際の衝撃波によって2人は大きく吹っ飛ばされてしまった。
「うわぁぁぁぁ!!!!」
吹っ飛ばされた2人はかなり離れた壁に叩きつけられ、そのまま倒れ込んだ。ルナリスはどうにか起きあがろうとしていたが、マリンはなおも泣き続けていた。
「もうダメだよ…。あんなバケモノに勝てないよぉ…。うわぁぁぁぁぁん!!!!!」
と、その時、バチンと言う高い音が周囲に響き渡った。ルナリスがマリンの頬に思い切り平手打ちを叩き込んでいたのだ。
「…ルナリス…ちゃん…?」
「ちゃん付けはするな…。」
マリンは平手打ちを受けた頬を右手で押さえ、驚いた顔でルナリスの方を見つめていた。そしてルナリスは言ったのだ。
「お前いい加減にしろよ…。泣くのはかまわんが、人の足を引っ張る様な事はやめろ。出なければ
お前…本当に死ぬぞ?それにだ!お前のこんな姿を見て…曾お婆ちゃんはどう思うか?」
「……………。」
マリンはルナリスの顔を見つめながら黙り込んでしまった。が、その間にもプランザーは一歩一歩
2人へ近付いてきており、その事に気付いたルナリスは給弾を終えたマグナムを両手に持ち、無言のままプランザーの方へ走ったのだった。
「…何で…何で行くの…ルナリス…ちゃん…?ねえ…何で…。」
マリンは涙を流しながらルナリスの姿を見つめるだけだった。ルナリスは果敢に立ち向かうが、
そのマグナムは全くと言って良い程歯が立たず、何度も殴られ、叩きつけられた。しかし、それでも彼女はプランザーに立ち向かっていたのだ。
「ねえ…何で…何でなの…?」
マリンは分からなかった。なぜ絶望的に勝ち目の無い相手であるにも関わらず、ルナリスは立ち向かっているのかを…。
「邪魔だ…。どけ…。お前より先にアイツを殺す…。」
ルナリスを殴りつけ、床に叩きつけたプランザーはマリンの方へ歩み寄り始めたのだ。
「ひ…ヒィ!!」
マリンは恐怖の余りさらに涙があふれ出始め、逃げようとしてもその足がすくんで動けなかった。
そのままマリンはプランザーの毒牙に掛かって…と思われたその時、プランザーの首にルナリスが組み付いたのだ。
「そうはさせないぃぃ!!!お前の相手は私だぁぁ!!!」
ルナリスは至近距離からプランザーへマグナムを撃ち込むが、やはりプランザーには効いては
いなかった。が、その時マリンは気付いたのだ。ルナリスは自分を守ろうとしている事を…。
「ルナリスちゃん…。ゴメン…。」
涙を拭いたマリンはその場にすっくと立ち上がると、両手をプランザーへ向ける様にあげたのだった。
「ルナリスちゃん退いてぇぇ!!!」
「分かったがちゃん付けするなぁぁぁ!!!」
復活したマリンの姿を見て嬉しそうな顔になったルナリスは笑顔のまま、その場から素早く飛び
退いた。と、同時にマリンの服の両手の大きな袖口からプランザーへ向けて一斉にミサイルが放たれたのだ。
「またミサイルかい!!やっぱりお前の服の袖はどうなっとるんじゃぁ!!」
ルナリスはやっぱり突っ込みを入れていたが、その間に、プランザーはミサイルの直撃を受けて
大爆発を起こしていたのだった。そして、その際の爆発によって発生した爆煙を見つめながら、
ルナリスはマリンへ近寄り、その頭を軽く小突いた。マリンは痛そうに頭を押さえていたが、2人の顔には笑みが浮かんでいた。
「ったくよ…世話焼かせやがって…。」
「ゴメン…。」
マリンはやけに素直にルナリスに頭を下げていたが、ルナリスは笑顔のまま彼女の頭に手を添えて優しく撫でるのだった。
「もう良いよ。とにかく行こう…。」
「いいや…。まだ行かせはしない…。」
「!!!!?」
突然割り込んできた言葉はプランザーの物だった。彼は生きていたのだ。そして2人が思わず
プランザーを覆い隠していた爆煙の方を向いた時、そこから各部の機械が露出したプランザーの姿があったのだ。
「うっわぁぁ!!!コワ!!」
2人は思わず抱き合っていた。内部の機械が露出したプランザーの姿はもう人間としての原形を
とどめてはおらず、外見上はもはやロボットと言う感じの物となっていたのだ。恐らく、体の一部を
機械に置き換えるだけでは飽きたらず、脳以外の全てを機械に置き換えていたのであろう。
「あわわわわ…。」
「ふっふっふっふ…。」
互いに抱き合いながら恐怖に打ち震える2人に対し、プランザーは笑っていた。そして彼の右腕が2人に向けられた時その右腕がガトリング砲に変形し、それを連射したのだ。
「うわぁぁぁぁ!!!!」
「きゃぁぁぁぁ!!!!」
雨の様に降り注ぐ銃弾の雨に2人はちりぢりになって逃げ回っていたが、やはりプランザーの狙いはマリンにしぼられていた。
「きゃぁぁぁぁ!!!!やっぱり私狙いぃぃぃぃ!!!!?」
マリンは泣き叫びながら逃げ回っていたが、素早く反転し、右手の袖口をプランザーへ向けたのだ。
「ええいもう一発ぅぅ!!」
「甘い!」
マリンの服の袖口からミサイルが発射されるのであったが、プランザーに直撃する前に彼が
ガトリング砲で撃ち落としており、途中で大爆発を起こし、その爆風でマリンは思い切り飛ばされるのだった。
「きゃぁぁぁぁぁ!!!!」
「まずは右足だ…。」
宙を舞い、体勢を崩したマリンに対し、プランザーの目からレーザーサイトに使用されるレーザー
光線がマリンの右足に向かって放たれていた。そしてプランザーはレーザーを当てた点を完全に
狙い澄ましていた。プランザーはそのガトリング砲でマリンの右足を撃ち砕こうとしていたのだ。
「させるかぁぁぁ!!!!」
ルナリスはそれを阻止せんとプランザーへ殴りかかった。が、プランザーは全く動じてはいなかった。
「学習能力の無い奴め…。私の体にお前の攻撃が通じるわけ…。」
と、その時だった。重金属がぶつかり合う音と共にプランザーがその場に倒れ込んだのだ。そして、
超合金製の彼のボディーが大きくへこんでいたのだ。それには終始余裕の表情を見せていた彼も驚かずにはいられなかった。
「そ…そんな馬鹿な…。銃弾すらも跳ね返す俺の体が…。ただ殴られただけで…。」
「固い物を壊すには固い物をぶつけろってなぁ!!」
ルナリスの右手にはメリケンサックが握られていた。
「し…しかし…いくらメリケンサックでも俺の超合金の体をうち砕けるワケ…。」
「このメリケンサックはデスザウラーの装甲と同じ金属で出来ているんだなこれが。」
「………。」
>>◆.X9.4WzziA さん
最初の部分の蒼き瞳の魔女(?)が蘇る(?)所は幻想的にも思えました。
惑星Ziの自然描写も時代が変わろうともそこまでは変わりませんね。
そして少年の運命やいかにと言う所でしょうか。
>>恐怖の亀裂作者さん
破れた鼓膜、結構あっさりと治りましたね。
しかし、新たな敵(?)とか色々出てきて、さらに場所まで変わる。
されど戦いはまだ続く。さあこの後いったいどうなるのでしょうか?
暫定政府。正式名称を知る者は少なく、その要因はほかでもない、名前の無駄な長さにある。
「新・世界統一暫定政府機関ZZZ(スリーゼット)」――その名を正確に言えるものはこの世界に二人しか居ない。
「連中の動向は掴めたか?」
「ああ、現在『能力者を狩る』と電波ジャックで宣言し、活動を開始したと」
暫定政府本部、250階にその部屋はあった。部屋の中では二人の男が話している。
着ている服こそ違えど、二人は外見上の違いが見受けられなかった。
「我々の研究機関が生み出した失敗作だなどと…知られる訳には行かん。私の失脚に繋がる」
「能力者嫌いは世界中に居るけどね。そんな単純な物でもない――2年前にあの男が余計な事を言わなければ…」
「そういうなヴォルフィ、我らが権力を手に出来たのも彼のおかげなのだからな」
スーツ姿で椅子に腰掛けている男は、名をアルフレッド=フォイアーシュタインと言った。彼は政府の正式名を
正答できる者の一人であり、暫定政府最高議長の職に就く――現時点での、世界最高権力者だ。
そしてもう一人、壁に寄りかかっているアルフレッドに瓜二つな男は黒いマントの下に戦闘スーツを着込んでいる。
「兄さん、どっちみちマクドガルにあのまま会社を続ける事は出来なかったさ。
セディールが反乱を起こすことは、随分前から計画されていたらしいしね…」
彼の名はヴォルフガング=フォイアーシュタイン。アルフレッドの弟にして、影武者やボディーガード、
武力行使を引き受ける「暴力の議長」ともいえる存在。
ヴォルフガングは政治に関して疎いが、彼は時に議長の政敵を排除する役目を負う
アルフレッド直属の暗殺隊「死者の鎚鉾」を率いる凄腕のゾイド乗りでもあった。
「まあ、とにかくその――円卓の騎士と名乗っているのだったな?――GXシリーズの追跡に関しては、
今のところ手を打つ必要もあるまい。私に直接的な打撃を与えているわけではないしな」
「…そういえば。GXシリーズが破壊した研究所…あそこの主任が、GX-00をしつこく探し回っているようですが…」
ヴォルフガングの言葉を聞き、アルフレッドがしばらく考え込んだ後、答えた。
「やらせておけ。連中の詳細な居場所が解ればいつでも始末を付けられるし、第一
シュバルツバルトにどうにかできる相手でもない」
暫定政府本部から遠く離れた西方大陸東部、星屑の砂漠。
夜明け前の砂漠を疾走する一台のバギー。そこに、ヴィクター=シュバルツバルトは居た。
「連中が現れるのは常に、市街周辺に集中している…それは能力者が多いからに他ならない!」
彼の頭からは、数日前に見たアーサーの演説が焼き付いて離れない。
「“ソードマスター”アーサーだと…? ふざけるな、ヤツは確かに――GX-00だ!!」
あの事件の後、研究所を一機のデスザウラーが襲撃した。
細身の長剣を持った機体――後に解った事だが、あれこそがアーサーの乗る機体だったのだ。
そして、その機体は完成状態にあった残りの実験体GX-01からGX-12までを奪い、施設を破壊して逃げ去った。
シュバルツバルトは二度までも、アーサーを取り逃がしたのだ。とは言え、二度目は生き延びただけでも奇跡としか
言いようが無いのだが――何しろ、彼以外の職員は結局全員死んでいる。
こうしてシャルロットだけでなく、彼のよく知る同僚達全ての命が奪われた。生還できた事を喜ぶ気持ちなど、微塵も無い。
「13人の騎士…アーサー…絶対に逃がさん! 必ず、この手で…!!」
聞き及ぶ情報によれば円卓の騎士は13人。逃げ出した実験体の総数も13体、そして騎士のリーダーはGX-00。導き出される答えは
一つしかない――円卓の騎士の正体は、強化人間の実験体だ。
だが、彼らは「大人であるにもかかわらず能力を使う」との情報もある。強化人間は人知を超えた力を持つが、ゾイドとシンクロする
能力を持たせた覚えは無い。
「…となれば、自ら進化したかあるいは――外部的干渉を受けたか」
どちらにしろ、市街に着かぬ事には現地の情報も手に入らない。砂漠の向こうに見え始めたビル群を凝視し、
シュバルツバルトはアクセルを目一杯踏み込んだ。
「…おーい、デイビッド居るかぁ?」
――居るかと言っても、ここ以外にアイツの居場所は無いけど…
そして奥から、予想通りのくぐもった声で答えが返ってくる。
「ん、オリバーか。最近来なかったなァ…ま、入れよナ」
奥に進んだオリバーは、鼻を突く匂いに顔をしかめる。ここはある意味、この世で最も異質な空間だった。
時間NEEEEEE!
>>魔装竜シリーズ作者氏
新作ですか、しかも最初の話とは実に興味深い。
今更ですがあなたの話も完全オリジナル世界観な1000年後の話ですか?一応ヘリックとかはありましたが…
>>恐怖の亀裂作者氏
バルカンの弾20000発って何処に入っていたのでしょうか…?
VSとかやってても疑問ですけれど。パンツァーの何処にミサイルが450発も(ry
>>鉄獣28号氏
クレイジードクターキタ――(゚∀゚)――!!!
どう考えてもターミネーターなシーンですね。人造人間の方はアーノ○ド・シュ○ルツェネッガーでFA?w
【第二章】
「『ロブノル』乗組員に告ぐ! 『ロブノル』乗組員に告ぐ!
本機は午前10時15分、予定通り目的地レヴニアより10キロ以内に到着した。
引き続き攻略地点を砲撃しつつ、上空百メートル以内にまで降下する。
作戦参加の各機は出撃準備せよ。繰り返す…」
ドーム内に鳴り響く音声。ちょっとしたプラネタリウム程の広さはある。外周には通信
士と思しき面々が忙しくコントロールパネルを叩き、或いは真剣な眼差しで画像の変化に
注意している。…一方部屋の中央。その辺一帯は円錐状に小山程も盛り上がっている。中
腹の所々には座席が備えられ、それらに着席している者が高位の乗組員であろうことは疑
う余地はあるまい。だがその頂上。ドーム内を十分見渡す位置にあり、本来ならば最高責
任者がいそうな部分には、何故か誰も着席していない。
と、その時。ドーム中腹、初老の高官がつく座席のコンソールに、突如描かれた映像。
「そ、総大将! 如何なされましたか?」
慌てて敬礼する高官だったが。
「楽にしてくれ。それより、そちらも抜かりはないな?」
「無論であります。これも日頃の訓練の賜物!」
高官が話す相手は、どうやらゾイドのコクピット内と思しき狭い室内にいた。…異相の、
男。馬面と形容できる長い顔。こけた頬、落ち窪んだ上に守宮(やもり)のように大きな
瞳。だがその発する眼光からは、有り余る才気と将たる者の風格が伺えてならない。頭髪
は短く刈り揃え、まさに精悍。只不思議なのはコクピット内にも関わらず水色の軍服と軍
帽を折り目正しく着こなしているところだ。自信の現れなのか。
「そうでなければ困るな。
では、これより出撃する。後を頼むぞ」
「了解!」
再び、敬礼を返す。その姿に集まる、乗組員一同の視線。高まる緊張。
「『ロブノル』、口部ハッチを開け!」
鋼の要塞・タートルカイザー。その威風から「玄武皇帝」とも渾名される。それがレヴ
ニアの城壁・建造物に向けて砲撃を加えながら徐々に降下。…そして、遂に開いた口。
中にはゾイドが犇めいていた。見受けられるのは数十匹にも及ぶ小型ゾイドだ(とは言
っても高さだけなら民家二、三階程度はある)。いずれも黒色と銀色を基調とし、人のよ
うに直立しつつ待機していた二足竜。人呼んで「小暴君」ゴドス。背中には用途に応じて
様々な武装が施されている。
さて最前列に立ったゴドスだけは、他のそれらと体色を異にしていた。銀色の部分が明
るい水色に塗り上げられている。そして…右手に見えるのは、凡そ戦場には似合いそうも
ない不思議な道具だ。自らの身長の倍程もある、細い金属の棒。
ハッチの縁にまで歩を進める水色のゴドス。その、頭部を覆ったオレンジ色のキャノピ
ー内に、あの異相の男はいた。
「始めよう、諸君。後の手筈は打ち合わせ通り。…良いな?」
異相の男の僅かな一言。だがたったこれだけの言葉に、他のゴドスのパイロット達(異
相の男とは違い、皆パイロットスーツを着込み、ヘルメットを被っている)は大きく頷い
ている。
「出撃、開始! 惑星Ziの、平和のために!」
「惑星Ziの平和のために!」
最初に水色のゴドスが、続いて銀色のゴドス達が相次いで飛び降り始めた。
人がしゃがみ込むように着地するゴドス部隊。土煙が、舞い上がる。
レヴニアの城門前のゾイド溜まりには沢山のゾイドが臨戦体勢にあったが。
「水の軍団である! 抵抗の意志なくば、道を開けよ!」
大喝する異相の男。スピーカーを通じて聞こえたその声に、大半のゾイドが驚き、平伏
する。
だがその中にあって、たった一匹、立ち塞がるゾイドがいた。…一体ゴドスの何倍ある
のか、このゾイドは! 水色の鎧に紺の背鰭が美しい二足竜。背を屈め、尻尾を地面に水
平に伸ばして歩行するが、巨大な頭部から背鰭、そして長刀のごとき美しさを誇る尻尾へ
の繋がりは惚れ惚れする程美しい。ゴジュラスギガ、又の名を「大刀暴君」。近付けば頭
突きと鉤爪のコンビネーション、離れれば徒名にもなった尻尾の一閃。おまけに相当な力
持ちで強力・大型の火気類を多数携行できる、まさに格闘・銃撃両方に対応した万能ゾイ
ドだ。
「おおっと、ここから先は通さねぇぜ!」
スピーカーで怒鳴り返す、ゴジュラスギガのパイロット。彼も又ゲリラの若者だ。
だが声と共に発する恐るべき威圧感に対し、ゴドス部隊は怯む様子も見せない。
「…これは意外。ギガたった一匹です、総大将」
部隊の一人が異相の男に無線で囁く。
「楽な展開だな。では手筈通り、こいつは『我ら』が倒す」
「了解! 第一陣・第二陣は『草刈り鎌』で正門をこじ開ける!
第三陣、第四陣は援護しつつ正門突破を待て!」
合図と共に、銀色のゴドス達が一斉に姿勢を傾けた。ゴジュラスギガと同様、胴と尻尾
を地面に水平に傾けた優美な姿勢。
途端に、疾走。ゴジュラスギガなど構うこと無く散らばり迂回し、又正門に向かって収
束していく。
「な…!? て、てめぇら卑怯だぞ!」
そう言いつつ振り向こうとするが、その鼻先が小突かれた。…水色のゴドスが握る、長
尺の金属棒だ。
「お前の相手は、『我ら』だ」
「…んだと、この野郎!」
大刀暴君は振り向きざまに、突進を開始した。
その頃、レヴニア大通りでは。
パレードの衣装を着た若者達が大通りの向こうから群がってきた。別働隊のようだ。集
まるなり衣装をかなぐり捨てていく。
「もう来やがったのか、あいつら!?」
「作戦は中止! 中止っ!! 俺達は応戦しつつ友軍の撤退を待つ!」
「この辺にも隠しておいたよな?」
「ああ、結構あるぜ。もともとここで仕掛ける予定じゃなかったからな」
崩れ落ちた屋台や飾り付けを払い除ける。するとどうだ、その下からはライフルがゴロ
ゴロと出てくるではないか。一方、打ち捨てられたパレードの衣装をほじくると、出てき
たのは拳銃や手榴弾だ。
それらを次々と手にした男達。斯くして城門まで走り去ろうとするが。
「お、お前らゼネバスゲリラか!?」
「畜生、俺達の祭りを滅茶苦茶にしやがって!」
倒れていた群衆の内数名が立ち上がり、男達に対して猛然と抗議を始める。だがそれも
束の間。彼らに向かって瞬く間に浴びせかけられた銃撃。舞う鮮血、再び飛び交う悲鳴。
度重なる事態の急変に、少年も声が出ない。うつ伏せのまま、震えが止まらぬ足、口元。
驚きと恐怖故か、目前に転がっていく死骸に対してでさえ目を背けることができずにいる。
今一度踵を返し、走り去る男達。その行く先を少年はどうにか目で追うが。
再度の爆音は、遂に爆炎・爆風といった形となって辺りを包み込んでいく。
慌てて両手で遮る少年。だが炎の勢いは留まるところを知らず、怒濤の勢いで広がって
いく。倒れている他の群衆の生死を確認する余裕も無く、少年はこの場へから逃げ去るよ
りほかなかった。
たった一歩の蹴り込みで、大量の土が舞う。それが大刀暴君ゴジュラスギガの脚力だ。
「洒落臭い! たかがゴドス一匹、一気に押し潰してやる!」
竜巻きのごとき突進。だが水色のゴドスも、騎乗する異相の男も不気味なまでに冷静だ。
ふと、大きく一歩、後方に跳ね下がった水色のゴドス。奇怪な動作は次の瞬間。
突如、地面に突き立てられた例の金属棒。
「な、何だぁっ!?」
しなやかに金属棒が弧を描く。放たれた弓弦のごとく元の張りを戻した時、水色のゴド
スは遥か上空にあった。ゴジュラスギガの身長さえも遠く及ばぬ高さへと…!
太陽の光を背にし、浮かび上がった影。ゴジュラスギガのパイロットが眩しさに手をか
ざす余裕も与えず。
惑星Ziの重力を味方につけた水色のゴドス、渾身の蹴り一閃!
矢のごとき激流に転じた小暴君が着地した時、既に大刀暴君の顎はへし折られていた。
不意の衝撃。うつ伏せに昏倒する巨大な竜。騎乗のパイロットもコクピット内でシェイ
クされる。
「く、くそ…あ、あいつは…!?」
どうにか意識だけはつなぎ止め、コントロールパネルに視線を戻そうとする。だがキャ
ノピーに覆い被さる影に気付き、慄然したパイロット。
「…たかがゴドス一匹、では無い。
最強のゴドスと、最強の私とのコンビだ」
鋭利な爪を、自らの上半身程もあるゴジュラスギガの頭上に突き刺した水色のゴドス。
「あの世で、仲間に詫びるが良い」
ゆっくり引き抜かれた爪。それと共に、力を失うゴジュラスギガ。…沈黙の、証。
たった二合。それが彼らの顛末だった。
疾走し、たちまちレヴニアの正門前に近付いた銀色のゴドス部隊。
「草刈り鎌、てぇーっ!」
たちまち数匹のゴドスが体を勢い良く時計回りに捻る。背中を見せたかと思いきや鞭の
ように伸びる右足。通称ゴドスキック。大型ゾイドの装甲をも打ち砕く破壊力の正体は、
全身のバネを生かした「後ろ蹴り」にある。
揺れる城壁。それと共に城門に刻み込まれた大きく、深い数個の足跡。慌ててゲリラ達
が壁上に登り、応戦を開始するが後方の「第三陣・第四陣」と呼ばれたゴドス部隊が銃撃
し、虚しく命を散らしていく。
「第二陣、てぇーっ!」
いとも簡単に、穴を開けた城門。いやそれ以前に、特大の蝶番がへし折れた。ゆっくり
と音を立てて崩れていき、その向こうで断末魔の悲鳴が響き渡った。
「第三陣、第四陣、乗り込めぇーっ!」
先程まで後方で援護していたゴドス部隊が遂に乗り込む。箱のようなものを背負い、そ
こに五、六名程の兵士を載せている。いずれも白色と青色で彩られた鋼鉄の鎧を纏った彼
ら。城内に乗り込むと、ゴドスがしゃがみ込むと同時に散らばり作戦行動と相成った。
既に大通りはタートルカイザー「ロブノル」の砲撃により、瓦礫で埋め尽くされていた。
それでもゲリラ達は応戦を試みるが、鎧の兵士達の銃撃には為す術も無い。一方、乗り込
んだゴドス部隊はコントロールパネルに映る見取り図を元に、着々と目標の建物を自慢の
爪で破壊していく。砕けば砕く度、武器や兵糧、それに潜伏していたゲリラが露になるが、
前者は逐一無線で報告し、後者は殺してから又報告。最早事務処理と同レベルで状況は推
移していき…。
「戦況は?」
城門まで近付いた水色のゴドス。付近のゴドスが振り向き、無線で応対する。
「徐々に終結しつつあります、総大将」
頼もしい返事に、男は大きく頷いたのである。
その、異相の男が歩いている。
恐ろしく、背が高い。2メートルはあるのではないか。その上良く引き締まった筋肉は
彼を「痩せっぽち」にも「マッチョ」にも感じさせない。身に纏った水色の軍服・軍帽の
上には更に水色のマントを着た、まさに水色尽くし。腰にはサーベルを携えている。
「本作戦で殺害を含め死亡したゲリラは現時点で五百余名、捕虜は百名を超えております!」
「引き続き死体の回収・身元の割り出し、及び逃亡者の追跡を急げ」
「第七方面軍から援軍の派遣について打診がありました!」
「対処が遅すぎる、後始末位は責任を持てと伝えよ」
異相の男の後をついて回る部下達。その進言に対し即座に下される判断。
「民間人の被害状況、確認を怠るな。隠匿武器発見の際は安全装置確認の上、早急に回収。
敵はゲリラだけではない、忘れるな!」
叱咤しつつ歩いていくその姿を見かける度に兵士の誰もが背筋を正し、敬礼を返してい
く。そんな最中。
「総大将! 御判断を仰ぎたいことがございます!」
異相の男の前に、両腕を押さえ付けられながら連れ出されたのは…あの、ボサ黒髪の少
年だ。すっかり呆然とし、顔を伏せたまま引っ張られている。
「この少年、後門から脱出するところを取り押さえました。ゲリラの一員かと思われます」
声にハッと顔をあげる少年。異相の男は手を軽く上げ、それ以上の報告を中止させた。
異相の男の、背筋も凍るような視線。それに気付いた少年も、負けじと睨み返すが。
「掌のゾイド胼胝(だこ)、実に年不相応だな」
気がつけば、男の視線は少年の掌に向けられていた。慌てて拳を握る。溜まらず身震い
するが、それでもどうにか言葉を紡いだ。
「人殺しの訓練、した覚えはありません」
「…名前は? 年齢は? 出身は?」
見る間に青ざめ、目を背けた。…あれ程の勇気の持ち主が。敢えて歯を食いしばり、自
らの氏素性を述べるのをためらう理由は、一体。
「連行しろ」
再び男に抗議の視線を向けようとする少年だったが、それは叶わず兵士に引っ張られて
いく。もがけばもがく程拘束にも力が込められ、無理矢理の拘束を余儀無くされるが、そ
の時のこと。
「地上より連絡。戦闘行動はほぼ終了、引き続きゲリラの死体回収及び捕虜の拘留を行な
うとのことです」
タートルカイザー「ロブノル」頭部指令ドーム内では安堵の息が漏れた。この超巨大ゾ
イドは依然、レヴニア上空付近を浮遊し続けている。
「のろまの正規軍が到着するまで、引き続き監視を怠らぬよう、いいな?」
初老の高官が引き締めに掛かる。だが彼を始めドーム内の乗組員の表情に明るさが戻っ
たことだけは確かなのだが。
「…ん?」
外周コントロールパネル付きの通信士が気付いた異変。
「どうした? どんなに些細なことでも即報告だぞ」
「は、はいっ! れ、レヴニア…山脈内に、熱源、発生。…中型ゾイドです!」
その一言に、ドーム内の誰もが意表を突かれたのか、立ち上がったり、顔を見合わせた
りしている。
「馬鹿なことを。あそこはレアヘルツの影響でこのロブノルですら通り抜けが叶わない…
んっっ、こ、これは!?」
士官の一人が半信半疑で目前の端末を叩いたが、彼の想像を越えた事態に声を失う。
「滑空…ま、マッハ、1だと! 何なんだこのゾイドは!?」
連行される少年、それを冷ややかに見つめる異相の男、彼の部下たる兵士達。だがその
いずれもが耳にした咆哮と、爆音、そして地鳴り。砂埃が辺りを覆い尽くし、砂利や瓦礫
が吹き飛ぶ。一瞬誰もがよろめき、手をかざしたその時。
異相の男の背後に被さる巨大な影。廃虚の上に舞い降りたのは、あの翼の生えた深紅の
竜だ。
躊躇せず振り向き睨み付ける男。だが深紅の竜は意に介さずその右手を大きく伸ばして
みせる。
標的は男ではなかった。それより先、少年を連行しようとする兵士達がいとも簡単に払
い除けられ、吹っ飛ばされる。
そしてむんずと掴んだその掌に、握りしめられた少年。
「わ、な、何だよ一体!?」
怒鳴り散らす。無我夢中で。さっぱりわけがわからない。だが意に介する素振りを一向
に見せず、そのまま踵を返した深紅の竜。
竜の胸元に付いた袋状の装甲が開く。と、少年そこには押し込められた。天地さかさま
に、ひっくり返る。
「い、痛…え?」
真っ暗やみの中に、ぼんやり浮かび上がる計器類。その数字の一つを見て、この空間が
以上であることを思い知らされた。
「最高速度…三百…四百…五百ぅっ!?
ま、まだ上がってるよ。…揺れは、感じる。確かに動いてる。でも、じゃあ何故…」
座り直そうとしたが、遠のいていく意識。
「僕は、圧力を…感、じ…」
彼の世界は、暗転した。
「『ロブノル』よ、一体どうしたというのか!? あれ程のゾイド、早期発見できぬわけ
があるまい!」
腕時計型の無線機で、異相の男が怒鳴る。
「そ、それが…れ、レアヘルツで覆われた山脈内を、マッハ…1を越える速度で滑空、し
てきたのです」
「なんだ、と」
沈黙した異相の男。だが、決断は速かった。
「よいか? あの赤いゾイドの行き先はレヴニア山脈。しかも武装蜂起に参加した疑いの
ある少年を抱えて逃走したのだ」
「そ、それではまさか…!」
「少年は…覚醒する可能性がある。あれがゲリラの切り札だとしたら…」
会話する異相の男のもとに、兵士が集まる。容易ならざる事態を察知したのだ。
「総大将! 我らに出撃許可を!」
「慌てるな! 諸君らは目前の作戦遂行が責務だ。今追ったとしてもレアヘルツに阻まれ
てしまうからな。
引き続き作戦遂行。追って到着する第7方面軍に引き継いだ後、改めて作戦を練る。…
諸君らにはもうしばらく頑張って欲しい。良いな?」
「了解! 惑星Ziの、平和のために!」
「惑星Ziの平和のために!」
両の翼と六本の鶏冠を広げ、地面すれすれを滑空していく深紅の竜。良く見れば一定距
離を進む度、一歩又一歩と地面を蹴り込んでいる。まるでスケート靴を履いて氷上を滑っ
ているようだ。
土煙も砂埃でさえもまとわりつく余裕を与えず、滑走するその行き先や如何に?
デイビッドと呼ばれた情報屋は床に菓子袋やゴミが散乱し、壁際のラックにはゲーム機や無数のフィギュアが並んだ部屋に居た。
「よぉ〜最近有名らしいな〜…死にかけたらしいけど」
「お前…この部屋何とかしようとか思わないわけ?」
よく見ると、床にまでフィギュアやゲームソフトが散乱している。だが当のデイビッドは
もはや慣れたと言わんばかりに無視する。
「あぁ〜。この部屋も快適なもんだぜ、うん」
“世界一の情報屋”デイビッド・O=タックはオリバーと大して歳も違わぬ少年だ。
体型は明らかな肥満で、度の強い眼鏡をかけているところから視力も低いことが解る。
視力に関して彼は生まれつきだと主張するが、オリバーはゲームやPCの使い過ぎが原因だと知っていた。
敢えて言うならば彼は、典型的な「オタク」である。それも重症の。
「…で? まさか俺のところに遊びに来た訳じゃーあるまい。何の情報をお探しかな?」
本題に軌道を修正したデイビッドの言葉に、オリバーは飛びついた。
「そうだ、情報だよ! …強くなれるところを探している。ゾイド戦でもっと、ずっと強くなれるところを…!」
「そーいつぁー珍しい注文だぜ。だが待ってな、この超巨大掲示板『Zちゃんねる』で解らん情報は無い」
そう言うとデイビッドは、その外見からは想像も付かないほどのスピードでキーを叩き始めた。
――「Zちゃんねる」は大戦後、世界で組み直された臨時インターネットで生まれた小規模な掲示板だった。だが
いつからか人が集まり、拡張を繰り返して世界最大のネット掲示板となったのである。
情報屋を仕事にするもので、ここを利用する者は彼だけだ。他の情報屋は大体が大人の、それも自分の仕事に
確たるプライドを持った古参ばかりで、そういった者達はこの掲示板を馬鹿にし、敬遠していた。
彼はあくまでも現実主義者だったので「Zちゃんねる」に集まる情報量に注目し、成功した。
「…うーん、訓練場とかゾイドバトルや何かばっかりだけど…そう言うのじゃなくてか?」
「違うんだよ、お遊びやトレーニングじゃない…本当の戦いを鍛えられる場所だ」
オリバーの求める条件は意外にも難しい。この巨大掲示板に集まる無数の情報を持ってしても、
完璧に彼の需要を満たす情報は見つからなかった。
「なんだ、悪名高き『Zch』も大した事無いな」
「ナヌーーッ!!? 馬鹿にすんなよ、ここはどんな諜報機関よりも大量の情報と生のk」
「はいはい、もう良いよ。お前に解らないんじゃ、他の誰にも解らんだろうし」
玄関に向かおうとしたオリバーだったが、ふと立ち止まって呟いた。
「…そうだ、代わりの仕事を頼もう。俺が次に来る時までに、円卓の騎士に関して可能な限りの情報を集めておいてくれ」
「オッケー了解」
オリバーはドアを開け、外に出ようとした。やけに空気がうまい――と、今度はデイビッドが彼を呼び止めた。
「あ、そうだ! 町の東にある豪邸を訪ねてみると良い、あの人なら何か知ってるかもしれねー!」
町の東にある豪邸。それだけで、どこの事かわかる。ただそこに住んでいる人物については何も知らなかった。
「…ま、ありがとよ!」
オリバーは急ぎ、その家へと向かった。
「いつ見ても…でかっ!!」
そこは確かに「豪邸」だった。3m近い高さの正門、広大な敷地。そして学校の校舎ほどもありそうな館。
表札には「スミス」としか書いていない。――名前か?それとも名字か?そして、どんな人物なのか?
オリバーは一抹の不安を覚えながらも、ベルを鳴らした。
しばらくして、スピーカーから若い男の声が聞こえてくる。
<はい、どちら様でしょう――>
「デイビッド・O=タックの紹介で来た者です」
これだけ広大な屋敷だ。さぞ、家中にメイドが居たりするのだろう…そんな事を考えていた物だから、
オリバーは玄関からすぐに男が出てきたのを見て内心驚いた。
近寄ってくるにつれ、男の姿がはっきり見え始めた。やや跳ねた黒髪に、眼鏡を掛けた色白な顔。上から下まで
家の中に居たとは思えないようなスーツ姿で揃え、長い足で一歩一歩門に近付いてくる。
門が開き、じきじきに出迎えた館の主が名乗った。
「ハートネットさんですね? 新聞に載っていました…デイビッド君とも友達でしたか。
会うのは初めてですね――私は、アレックス・ハル=スミスといいます」
今回も際どいネタが…とりあえず補足
・ヴォルフガング=フォイアーシュタインはサイドラの人とは無関係。
>>魔装竜シリーズ作者氏
む…自分の読解力では、どうやら凄い未来である事くらいしか解らず_| ̄|○
ただ、1000年も栄える国家はかなーり凄いと思います。
なんとなく「惑星Ziの平和の為に!」が某青コスモスの決め台詞と被ってしまう…
プランザーは唖然としていた。一方、飛ばされていたがどうにか立ち直ったマリンがルナリスのもとへ駆け寄っていた。
「ルナリスちゃん!!そういうのがあるならもっと早く使ってよぉ!!」
「すまんすまん!何しろ極限状態だったせいでこれのことすっかり忘れていてな…ってちゃん付けすんな!!」
ルナリスは例によってマリンの頭を小突いていたが、その右手には超重装甲に使用される素材と同じ
金属で出来たメリケンサックが握られていた事をすっかり忘れていた。マグナムにも耐える
プランザーの体も打ち砕いた物である。こんな物を生身の人間が食らってはたちまち頭蓋骨が砕けてグチャグチャになった脳味噌が周囲に散らばるのであるが…。
「うわぁぁぁん!!痛いよぉー!!」
何と驚くべき事に、痛いで済んでいたのだ。マリンは頭を抱えながら泣き叫んでいたが、本当言うと
プランザーの超合金製のボディーよりマリンの生身の体の方が実は頑丈なんじゃないのか?とか
思ってしまう所である。まあ、彼女の曾祖母に到っては後頭部にゴーレムのハンマーナックル受けても痛いで済んでいた程であるが…。
「うおぉぉぉ!!!もう許さんんん!!!!」
先程の一撃が効いたのか、それまで余裕を見せていたプランザーは打って代わって怒り顔になり、
2人に襲いかかっていた。が、彼は怒った事によりその冷静さが欠け、その攻撃にも先程までの正確さは無かった。
「死ね死ね死ねぇぇぇ!!!!」
「ったく…。」
ルナリスはまたもや超重装甲金属製メリケンサックを握りしめた拳で迎撃しようとしていた。が、そんな彼女の前にマリンが立ったのだ。
「マリン!!」
「貴女が奥の手を見せてくれたように…私も見せてあげる!」
「奥の手?」
ルナリスが眉を細めた時には既にマリンはプランザーの懐に飛び込んでいた。
「はっはっはぁぁぁ!!!飛んで日にいる夏の虫とはこの事だ!!そのまま絞め殺してやるぅ!!」
プランザーは笑いながらその巨大な両腕でマリンをベアハッグの体勢で絞め潰そうとした。が…
「マオ流格闘術奥義!!掌底鋼破!!」
マリンがそう叫ぶと同時に彼女の手がかすかに光を発し、そしてプランザーの腹部に張り手、
つまり掌底突きを叩き込んでいた。が、それだけの一撃でプランザーの巨体が大きく吹っ飛んだのだ。
「うぉぉぉぉぉ!!!!!」
「へ?」
その光景にルナリスの目は点になっていた。そして、そのままマリンを手招きしたのだ。
「ちょっとちょっと…そこのマリンさん?さっきのあれは一体何ですか?」
「ああ!掌底鋼破の事?まあ簡単に言えば、気功術を応用した技でね。気の力で威力を増幅させた掌底突きを相手に叩き込むって結構簡単な技なんだけど…。」
「キコウジュツ?」
「“気功術”だよ。誰もが持っている生命エネルギーである“気”をコントロールする事!気功術は
大きく分けて、格闘技に使われる物と、医療に使われる物とあるけど、私が使うのは前者の方!」
と、その様にマリンが説明を終えた後、ルナリスがマリンへ組み付いてきたのだった。
「そんな凄いのがあるなら何で今まで使わなかったんだぁ!!?それがあれば今までの戦いも随分と楽になったはずなのに…。」
と、その時、マリンの顔は急に悲しげな物となった。
「正直言うと…この技は…ううん!気功術そのものをあまり使いたく無かったの…。」
「な…何で?」
マリンは悲しげな目のまま自分の右手を見つめた。
「私は…この技で…人を殺した事があるから…。」
「こ…殺したって…賞金稼ぎやってるなら殺す殺されるは結構当たり前だろ?」
「確かにそう…賞金稼ぎになった後ならそうだけど…でも…あの時はそうじゃ無かった…。」
「あの時?」
その後でマリンは悲しげな目のまま昔を語り始めた。
「それはまだ私が8歳の頃…。無論まだ私は賞金稼ぎじゃなかった…。ある日…、何気無く町の外の
山道を1人で歩いていた私は、何でか分からないけど野盗に襲われたの…。そりゃあ本当にあの時は
怖かったよ。だってあの時は別に全然強いワケじゃなかったし、今程に実戦をこなしてはいなかったからね。どうにか10人倒すのが精一杯だったよ。」
「強いワケじゃ無いって言ってるワリにさり気なく10人倒してるのは何だよ…。」
ルナリスは拍子抜けしていたが、マリンはさらに続けた。
「けど…最後の1人の野盗の親分っぽい奴にはそうは行かなかった。その親分っぽいのは本当に
強かったから…。私は何度も蹴りつけられ、殴りつけられた。そして本当に殺されそうになった時、この技を使った…。この…掌底鋼破を…。」
「で…どうなったんだ?」
「死んだよ…。掌底鋼破を受けた腹部がぐちゃぐちゃになって…。確かに最初に襲って来た
のは奴等だから、しっかり正当防衛が適用されて無罪にはなったし、その野盗団もそこそこ有名
だったらしくて、当時その周辺を荒らしていた事もあり、私は殺人者と後ろ指を指されるどころか
逆にみんなからヒーローならぬヒロイン扱いされたけど…私自身は…当時8歳だった私は…
初めて人を殺したと言う事実がしばらくトラウマになったのよ…。だから私はこの技を…いや、気功術そのものを封印した…。」
その時、ルナリスはマリンの体を優しく包み込むように抱いた。
「そうか…お前も色々大変だったんだな…。って8歳の頃ってまさかその頃から既に色々な技をマスターしていたって事か!?」
ルナリスは改めてマリンの奥の深さに驚きを隠せない様子であったが、マリンは言った。
「でもさ…。やっぱり私もまだまだだね…。"気の練り"が全然上手く行って無いから、和尚さんや曾お婆ちゃんみたいには上手く行かないよ…。」
「う…?上手く行かない?あのサイボーグおばけを吹っ飛ばしておいて?」
拍子抜けするルナリスに対し、マリンはゆっくりを頷いた。
「そう…。掌底鋼破の本当の力はこんな物じゃ無いよ…。和尚さんや曾お婆ちゃんはこの技でゾイドも吹っ飛ばしていたから…。」
「オイオイ…。」
ルナリスが何か言いたげな顔で眉を細めていた時だった。倒されたと思われたプランザーが2人へ向けて歩み寄っていたのだ。
「まだ戦いは終わっておらんぞぉ…。」
「ゲェ!!!!まだ生きているぞコイツ!!」
プランザーのタフネスさに2人は驚きの余り抱き合っていたが、その時予想だにしない事が起こった
のだ。突如として何か壁の向こう側からその分厚い金属製の壁を突き破って巨大な腕の様な物が現れ、プランザーを掴み上げると同時に遠くへポイと投げ捨てたのだ。
「カンウ!!」
「ハーデスもいる!!」
突如として壁を突き破って来たのはカンウの腕だった。そして、その後ろにはハーデスの姿もあった。
何と都合の良い事に、マリン達がいたフロアの隣が丁度ゾイド移動用の巨大通路となっていたのだ。
「っておい!!何か来てるぞ!!」
「ええ!!?」
やはりカンウとハーデスの行動がバレたのか、通路の先にはズィーアームズ守備隊のゾイドが大勢集まってきていたのだ。
「曲者だ!!であえであえ!!」
「御用だ御用だ!!」
ズィーアームズ守備隊のゾイドはライガーゼロやバーサークフューラー、量産型デススティンガーで
構成された凄い組み合わせの混成部隊であった。その大部隊が通路全体に展開していたのである。
「ええいこうなったらゾイドに乗るぞ!!」
「うん!!!」
慌てて2人はそれぞれカンウ、ハーデスに乗り込み、迎撃を始めるのだった。
その頃、ハイGホエール内部のある格納庫にて、ドラゴスが自身のデカルトドラゴンの調整などを行っていた。
「フッフッフ…首と尾をそれぞれブロック2つ分延ばし、さらに尾にもネオコアブロックを
搭載する事で出力を格段に上げた強化型デカルトドラゴンならば…。どんな相手にも勝てる!!」
そのようにドラゴスが独り言を言いながらコンピューターを操作して、デカルトドラゴンのパーツ換装等を行っていた時、彼の前にリューコが現れるのだった。
「ドラゴスさん、あの人達がこのハイGホエール内部に突入したそうよ。」
「そうか…。メガセイスモのオッサンも強がっていたワリにはだらしのないこった。だが、それで
こそ好都合だ!何故なら奴は、緑の悪魔の血筋は俺が直接この手で息の根を止めるのだからな!」
と、ドラゴスがそう意気込んでいた時、リューコが悲しげな表情でさらに一歩踏み出した。
「ドラゴスさん…。本当にやる気ですか?」
「当たり前だ!せっかく上だって奴との戦いのシチュエーションを作ってくれたんだぞ。そのご期待に添えるのが俺の勤めってもんだ!」
「しかし、あの人だって、伊達にあのメガセイスモサウルスを倒してはいないんですよ。これは私の
憶測ですが…あの人達は戦うたびに強くなっている…。それに、新兵器を搭載したと言う報告も
あります。もしかしたらドラゴスさんが以前戦った彼女とは全く異質な物となっているかもしれませんよ!」
新シリーズに入ってからという物、ずっと封印してきた物をここでやっと解除しました。
>>◆.X9.4WzziA さん
棒高跳びゴドスキタァァァァ!!!
前の話でもゴドスが活躍してましたし、よほどゴドスに思い入れがあるのですね?
いきなり襲われる街の惨状も想像してみるとかなりの物みたいですし、
少年は何か軍隊みたいなのに連行されていますし、この後どうなるのでしょうか?
>>Innocent World2作者さん
しばらく音沙汰の無かった怪物人間の話題がやっとキタァァァァァ!!!!
さらに2ちゃんねるもどき掲示板までキタァァァァァ!!!!
(数回の深呼吸の後、気を落ち着かせて)
とりあえず、円卓の騎士=最初に出てきた怪物人間なんですね。強いはずです。
と言うより生身で戦っても滅茶苦茶強いのでは無いですか?
情報屋とZちゃんねるとかも意表を突いて面白かったですし。
【第三章】
道なき道を、いとも軽やかに疾駆する深紅の竜。だが山脈の頂上付近にまで至った時、
突如、消えた。
物陰に隠れると、静かな羽毛のように着地。
横笛のごとき風の値が吹きすさぶ中、目前に広がるのは、自らの数倍程もある縦穴。
迷う表情も見せず、深紅の竜は身を踊らせた。
「…ん、うぅっ…」
ゆっくりと見開かれた、少年の瞳。慌てて上半身を持ち上げる。
「こ…ここ、は…。へ、へっくし!」
薄暗い部屋。
前後、左右を、見渡す。恐ろしく、広い円形の部屋。ジュニアハイスクールの校庭位も
結構な広さだったが、ここはその数倍はありそうだ。どす黒い光沢の鋼の壁や床は、所々
置かれたこれも鋼の燭台が灯す人工的な淡い輝きによって、ぼんやり海藍色に照らし出さ
れている。それらが温度を下げているせいか、室内はかなり涼しくTシャツ一枚に半ズボ
ンの少年には少々厳しい。
頭を徐々に持ち上げてみる。鋼の壁は、恐ろしく高い。途中、手すりと足場が数段、見
受けられる。更に上。天井は…。あれ、天井は…何処? 真っ暗闇に、吸い込まれるよう
な錯覚。少々気持ちが悪くなってきた。
頭を下げ、再度周囲を見渡せば、入り口のやけに大きな通路が伸びていることに気がつ
いた。…前後左右に、それぞれ一つずつ。まず前方の穴に向けて、目を凝らす。ここも天
井と同じ、吸い込まれるような闇。次いで左。後ろ。右。
正面を向き直して、大きく溜め息。行ってみるしかないのかと、立ち上がったその時。
背後から轟く爆音、叩き付ける突風!
不意の事態によろめき転倒。その上を飛び越えていったものは。
「き、君は、さっきの…。
あ、ありが、と…え?」
少年を救った、あの深紅の竜。十数メートルは離れて着地し、彼のいる方へ振り向いた。
ところが何を思ったのか、うつ伏し丸くなると、左の前肢の爪で何かを弾き飛ばす。
クルクルと回転しながら滑り込んできたものを、驚き飛び跳ねて避けた少年。それは後
方遠くまで滑っていき、失速、やがて静止した。何のつもりかと竜の方を見渡せば、眠た
げにあくびをしているではないか。わけもわからず竜が弾いたものの方へ向かい、手に取
ってみる。
「これは…ナイフ? ゾイド猟用の、だよな…」
少年の両手に余る程長いそれは、既に柄も鞘もボロボロだ。だが抜いてみて、思わず魅
入ってしまう。よく手入れの行き届いた刀身には自らの姿が映り込んでいた。
「何故、こんなものを…」
今一度、竜を見遣る。あくびどころか、首まで丸めている。が、少年は気付いた。ちら
りと、投げ掛けてきた視線。…挑発? それとも誘惑?
鞘を、捨てた。刀身を、目元で水平に構える。それを確認した深紅の竜。徐に首をもた
げ、下目を使ってみせる。
「…そういうこと、か」
刀身に映り込んだ挑発の姿は、首から胸元に隙を見せることの裏返し。だが危険な誘惑
は寧ろ少年の望むところ。
「ありがとう。じゃあ、いくよ!」
柄を両手で握り締め、この鋼の室内に響き渡る程吼える。それよりも激しい足音と共に、
深紅の竜目掛けて突っ込んでいった。
「…完了。…完了」
鋼の室内に谺する声は、やや不機嫌そうだが凛とした淑女の響きであることには間違い
ない。
「地理、インストール…完了。
国際情勢、インストール…完了。
法律、インストール…完了。
ゾイド繁殖状況、インストール…完了。
…完了。…完了」
氷の棺の上では、あの精霊と見紛う程の美女が上半身を持ち上げ、何度も呟いていた。
頭の上半分まで何やら怪しげな機械を被せており、表情までは伺えない。依然として周囲
は水蒸気が立ち篭めており、頭髪、柔肌、足の爪先までしっとりと濡れている様は妖艶で
すらある。
「最新のファッション、インストール…完了。
…フゥ、終わったわ。私には余り意味がないと思うけれど。
次のメンテナンスまで、あと何時間?」
機械を外しながら、彼女以外誰もいないこの部屋で問いかける。するとうっすら浮かん
できた立体映像。
「168時間は、切ってるのね。…痛っ!」
額を不意に襲った痛み。溜まらず押さえる。
「…償えるわけ、ないわよ。何を今更…」
噛み締められた、唇。
だが不思議な夢による頭痛もようやく和らぐと、やがて両足を棺の外に出す。と、足回
り付近の床が急に凹み、やがて何かが競り上がってきた。
立ち上がった彼女の脇に、丁度良い位置まで競り上がったのは清潔なバスタオルを載せ
た、鋼の床と同色の盆であった。それを広げ、全身を隈無く拭きながら呟く。
「…構ってあげようかしら。あの子、起きてるんでしょう?」
その声に応じ、又浮かび上がった立体映像。目を凝らした彼女は息を呑んだ。
「生命反応…ゾイド、一匹。
…Zi人、一名!? あの子ったら!」
慌ててバスタオルを巻きつつ、彼女はそそくさと棺を後にした。
「おおおおおおおおっっ!」
広い室内を谺する、少年の雄叫び。続くのは余りに激しい金属音だ。
斬り付けられたナイフを、眼前で受け止めた深紅の竜。…左手の長い、爪だ。渾身の力
を込める少年。一方竜はまるで意に介さず容易く爪で、弾く。
鮮やかな放物線。鋼の床を二度、三度とバウンドする少年の身体。少年の、骨が軋む。
「い、痛ぁ…」
対する竜は静かに少年を見つめるのみだ。唸りも、吼えもしない。
「ば、馬鹿に…するな、よっ!」
立ち上がるなり、再度向かっていく。
「まだだぁーーーーっ!」
今度も、爪によって受け止められる。少年も又力を込めるが、一瞬、わざと力を抜いて
みせる。持ち上がった竜の爪。反動の隙だ! そのまま竜の左掌をくぐり抜けていく少年。
だが次に立ち塞がったのは竜の右手の爪。
又しても、放物線が鮮やかだ。気がつけば、少年の鼻の下から上唇にかけて、何やら生
ぬるい感触。…鼻血だ。
「て、手加減…なしかよ…」
依然として竜は少年を見つめている。
「まだまだぁーーーーっ!」
ドサッ。
ドサッ。
ドサッ。…。…。
少年の細い身体は何度鋼の床に叩き付けられたのだろう。遂にはその手からナイフが滑
り落ちる始末だ。
「八…回、いや…九、回だっけ?」
もう、身体が持ち上がりそうにない。全身の擦り傷、切り傷、打撲、下手すりゃ骨折、
鼻血、腫れ上がった右瞼…。満身、創痍。普通ならとっくの昔に誰かの止めが入り、病院
にでも行ってる。どうにか動いた左目だけ動かして竜の表情を伺う少年だったが。
立ち上がりそうにない少年を暫しじっと見つめていた深紅の竜。やがて何を思ったのか。
大あくび。そして再び丸くなった。
「…な、何様の、つもりだぁっ!」
力を込め、無理矢理起き上がる。落としたナイフを拾い上げると、足元をふらつかせな
がらもズボンのポケットからハンカチを取り出す。…傷口を拭うのではない。ナイフを握
った右掌を、きつく縛るためだ。
左手で縛っているため力を込めにくい。片方を口で銜え、もう片方を左手で持ち、でき
る限り強く引っ張る。不格好だが、見た目にも頑丈そうな結び目ができた。
結び目と、覚悟の固さを確認しながら相手を睨む。
(とにかく、懐に入って胸のハッチをこじ開ければ僕の勝ち。
さっき僕が押し込められた、あそこが間違いなくコクピットだ)
「ねえ、君…」
ゆらりと、動き始める。
「伝説の…魔装竜、ジェノブレイカー、なんでしょ?」
その言葉に、再び反応を示した深紅の竜。
「ジェノブレイカーッ! 僕の、ゾイドにぃっ!」
二歩、三歩、四歩と、進める度付き始める加速。
「なれぇーーーーっ!」
咆哮と共に、ナイフを振り上げ、疾駆。
これが最後と言わんばかりの全速力で、一気に竜の目前に肉迫する。振り上げられたナ
イフと、振り降ろされた左爪との交わりは鮮やかな火花。だが早々に横に薙ぎ払うと開い
た左掌をくぐり抜ける。次は右の爪の攻撃。だが少年は、今度はナイフを合わせるのでは
なく、全身で爪を抱き締める。胸から腹にかけて叩き込まれた痛みを堪えつつ、そのまま
よじ登ってみせるではないか。予測を越えた行動に慌てたのか、大きく口を開けて迫る竜
だったが。
その唇に左手を引っ掛けると、竜が口を閉じるよりも早くその手を離す。揺れる振り子
のように落ちていった先こそが竜の胸。
「ハッチを、開けろぉーーーーッ!」
渾身の力を込めて、胸とハッチとの隙間にナイフを突き立てる。
金属音、破裂音、電子音…様々な非生物的音色と共に、眩く明滅した隙間。…いや、そ
の時輝いたのはハッチを構成するパーツだけではなかった。
「な、何だ、これ…」
竜の皮膚が、ぼんやりと照らされる。そこに映し出された己自身の変貌に、声を失う。
「ひ、額…光ってる。印(しるし)だ…。
何なんだ。僕はどうなってしまったんだ!?」
自身の身体に起こった重大な変化に混乱する。だがそんな余裕を許さない者が一匹。
少年をむんずと引き離した深紅の竜。遠くへ投げ付ける。
今までで最も遠い距離まで飛ばされた。バウンドの数も、滑っていった距離も。普通な
ら間違いなく死ぬだろうし、実際そのように事態は進行しつつある。
さっき輝いた筈の少年の額の印は、既に消え去っていた。一方、彼の全身を覆う生暖か
い感触。ああ、僕の血がどんどん外へ流れ出しているんだな。
そんなことはお構い無しに、ゆっくり歩み寄っていく深紅の竜。
「…終わり、なのか。
ここで…これで、終わっちゃうのかよ…嫌だ…嫌だ…」
頬を伝う涙も生暖かい。が、最早瞼を閉じることもできない。
やがて足元にまで来た竜。大きくその右手を振りかぶった次の瞬間。
竜の顎に叩き付けられた、稲妻のごとき飛び蹴り一閃。
不意の一撃に、身体ごと横倒しになる。何が起こったのかと慌てて立ち上がろうとする
竜の前には般若がいた。
否、あの精霊と見紛う美女の姿だ。竜の目前で仁王立ちになると透かさず放たれた舌鋒。
「貴方、子供相手に何やってるの!!」
突き刺さった声に、あれ程の蛮勇を振るっていた深紅の竜が震え上がり、硬直する。
「暫くおとなしくしていなさい」
だが美女の落ち着いた声に対し、竜は不満たらたらだ。そっぽを向いて大きく口を開け
てみせるが。
「ふーん、言うことが聞けないと…」
眩く輝いたのは、美女の額。そう、あの少年と形状に違いこそあれど、不思議な形の印
が浮かび上がっている。そして見開かれた切れ長の、蒼く、凍てつく程に鋭い瞳!
めきめきと、竜の身体が凄まじい音を立てて軋んでいく。まるで見えない錘で圧殺され
るかのようだ。竜もこれには叶わずピィーッと甲高い声を上げて哀願する。
五秒か、十秒か。恐るべき秘技をやがて解いた美女は今一度その眼光で睨み付ける。平
伏せざるを得ない深紅の竜。うつ伏せで、翼も四肢も大きく広げたのは観念の証しか。い
じらしく、長い尻尾の先を振ってみせる。
美女も降参した竜の態度に満足したようだ。早速踵を返すと、急いで向こうへ走ってい
く。…瀕死の少年のもとへ。
それなりの距離なのに息切れもせず彼のもとに駆け寄った美女。不思議なことに、少年
の流したおびただしい流血にも全く動じるところがない。
しかし、彼女の視線が少年の顔に映った時。
息を呑んだ彼女。
ひどく驚いた表情で少年の表情に見入るばかりだ。
だがそれも数秒。慌てて首を左右に振ると、少年の生死を確認しようとする。
「君…大丈夫?」
その声に、眼球を傾けた彼。…明らかに生死の淵にある。にも関わらず、声にもならな
い声を上げ、目を背けた。
「な、何? …どうしたの?」
「服…服、着て下さいよ、お願いですから」
先程両者の決闘に割って入った時、彼女の身体に巻かれたバスタオルはものの見事に吹
き飛んでいた。今の今まで彼女はそれに気付かず、美しい肢体を露にしていたのだ。言わ
れて己自身を見つめ直した彼女は少々ばつの悪そうな顔をした。
鋼の室内中央に、深紅の竜とボサ髪の少年が畏まっている。竜の方はといえば相変わら
ずうつ伏せのまま降参のポーズを強いられている様子。一方、少年は。
膝を両手で抱え、竜の左隣でしゃがみ込んでいる。…今度は彼が、素っ裸だ。靴とリュ
ックサックと、ナイフとハンカチは脇に置かれている。不思議なことに、彼の全身に刻み
込まれた無数の傷がすっかり消えていた。
「何だったんだ、あれは…」
少年は先程の出来事を思い出す。…瀕死の僕を救ってくれた、あの奇麗な女の人。でも
まさか、素っ裸だなんて。僕も目を背ける余裕があったのが不思議だけど。
(まず自分のことを気にしなさいよ、もう…)
そう言うと、あの人の額が輝いた。さっきの僕と同じみたいに。そうしてあの人が掌を
僕の傷口に当てると、妙に暖かい感触の後…次々と、傷口が消えていったんだ。
あの人は汗びっしょりだ。
(疲れは簡単には抜けないから、ちょっとおとなしくしてなさいね。あと…)
解かれるハンカチ。そしてスルスルと、妙な感触。あ…つ、冷たい!?
(服、洗っておくから)
はぁと少年は溜め息をつく。
「パンツまで持ってかないで欲しかったよ。でも、それにしても…」
奇麗だったなと彼女の姿を思い出したところ、余計なところに力がこもりかかる。
「ば…馬鹿馬鹿馬鹿っ! 命の恩人だぞ!」
組んでいた膝に顔を埋める。それにしても、彼女は、そして…。
深紅の竜の方を見遣るが、竜はふて腐れた様子でそっぽを向いた。
「はい、お待たせ」
少年の頭上に乗せられたのは、彼がさっきまで着ていた服一式だ。清潔で、暖かい。洗
濯から乾燥まで一通り手が施された様子。…後ろには、少年を助けた美女が立っていた。
今度こそバスタオルを巻き、隠せる素肌は隠してはいる(それでも少年には刺激十分では
あるが)。全身を湯気が取り巻いているのは、シャワーでも浴びたのだろう。何しろ少年
の治療で結構な汗をかいていた。
「早く、着てね」
そう言うと、後ろを向いた彼女。初心な少年に配慮したのだろう。短い黒髪。項(うな
じ)が、奇麗だ。
少年も彼女に背中を向けて服を着始める。
「…どうやって、ここに入ったの?」
唐突な質問。驚き一瞬手を止める。が、声色に他意は感じられない。止まった作業が再
開される。
「そこの、ゾイドに連れてこられ…ました」
ふーんと、腕組みし、顎に手を当てる美女。
「その子はね、『刻印』を発動できるか、その可能性がある者にしか懐かないわ」
「…刻、印?」
「古代ゾイド人の、証。…言わば超能力の、源よ」
「ぼ、僕は…古代ゾイド人なんかじゃ、ない」
「そうよね、どう見たってZi人だものね」
「でも、さっき…」
深紅の竜と立ち回っていた時、自らの肉体に起きた異変を話す。
「不思議な話しね。一体なんだったのかしら…。
そう言えば貴方、何故あの子から逃げなかったの?」
ズボンを履き終えたところで、少年の手が止まった。
「…ゾイドが、欲しかった。ゾイドウォリアーになりたかったから」
「ゾイド、ウォリアー…」
「知らないんですか? ゾイドバトルのプロのことです」
言われて彼女は額を押さえる。…自己の脳にインストールされた情報の再確認だ。
「成る程。つまり貴方…『ジュニアトライアウト』不合格だったわけね」
彼女の言葉に、少年は唇を噛み締める。
「…ウォリアーになるためには、二つの方法しかない。
一つは『ジュニアトライアウト』。受験費無料、ゾイドは無料で貸し出しされる。合格
すればプロチームにスカウトされ、ゾイドも無料で手に入る。何より、金持ちへの一番の
近道。でも、ジュニアハイスクールの最高学年でしか受験できない。
もう一つは、数カ月に一度各地で開かれる『トライアウト』に合格すること。こっちは
誰でも受験可能。だけど馬鹿高い受験費が必要だし、ゾイドも自前で用意しなければいけ
ない。武器も、弾薬も雑費も。
だから貧乏人がウォリアーになるためには、ジュニアトライアウトに合格するしかない。
…不合格だったら、それで人生終わり。ゾイドが買えないから自由に旅することもできな
い。監獄みたいな街の中で一生みじめに暮らすしか、ない」
「で、ジュニアを受けて不合格、と」
「実戦テスト三戦全て一本勝ち、筆記ほぼ満点、健康に異常無し」
「え…?」
「僕の、ジュニアトライアウトの成績です!
六年間、練習に明け暮れた。操縦練習だけじゃない、僕は身体が小さいから基礎体力も
上げていかなきゃいけなかった。それでも越えられない奴がいて、でも土壇場の実戦テス
トで蹴落として、最高の結果だったのに、届いたのは不合格通知。幾らゾイドバトル連盟
に問い合わせても取り合ってくれない。これで諦めろって言うんですか!?」
彼の苦闘を証明する胼胝(たこ)や血豆だらけの掌で自らの顔を押さえるが、それだけ
では込み上げてきた感情を押さえ切れない。がっくり、膝をつくと着る筈だったTシャツ
に顔を埋める。
「諦められない。諦められるわけ、ないよ…」
しくしくと、Tシャツのお陰で声が潜められながらも漏れ聞こえてくる泣き声。できる
限り隠そうとするのが彼のせめてものプライドか。
「…だから、この子が欲しかったわけ?」
コクリと頷く少年。
「只で伝説の魔装竜・ジェノブレイカーが手に入るなら、後はトライアウトの馬鹿高い受
験費だけですから」
「それで、家出してきたんだ。…随分勝手な話しね」
「…!」
「自分の我が儘で親御さんにも、この子にも物凄い迷惑かけてるのよ?」
その声に初めて深紅の竜が賛同の鳴き声を上げるが美女に厳しく睨み付けられ、再び首
をすぼめた。
一方少年はと言えば。
着る筈のTシャツを落とし、項垂れていた。返す言葉を、思いつかない。
暫し沈黙する鋼の室内だったが。
「…ま、いいわ。それでも」
そう言って竜と少年の正面に回った美女。まずは竜の方を指差す。
「貴方は彼に、忠誠を誓いなさい」
驚きの余り一瞬ぽかんと口を開けた竜。慌てて抗議の悲鳴を上げようとするが。
「一度は見込んだんでしょ? それに、伝説通りじゃないけど彼は見事一太刀浴びせたわ。
貴方も少しは潔くなさい」
あの鋭い瞳で睨まれつつそこまで言われては、さしもの深紅の竜も抗議できず悄気るば
かりだ。
「…伝説ではね。黒騎士は、魔装竜との十合目に口の中まで飛び込み、相討ちを望んだわ。
死をも恐れぬ勇気に感動した魔装竜は、黒騎士との主従の誓いを結んだ。別にハッチをこ
じ開けなくても良かったのよ」
そう言って、少年の肩に軽く触れる。震えながらもゆっくり持ち上がった少年の驚きの
表情。
美女の切れ長の蒼い瞳は、竜に見せるそれとは打って変わって穏やかだ。
「貴方の面倒は、私が見るわ。この子の乗り方も、持てる知識もできる限り教えてあげる」
「…!?」
「但し、これだけは約束して。結果が出たら、親御さんに謝りに行きましょう」
踵を返そうとする彼女だったが。
「あ、あのっ!」
「…ん?」
「何故…そこまでしてくれるんですか?」
「貴方に疑問を抱く余裕はないと思うけれど? 保護者だって、必要でしょ?
そうね、貴方が無事トライアウトに合格したら、稼ぎの上前を頂くわ。ギブアンドテイ
ク、わかるわよね」
もう一度振り向き、少年を見遣る。
「私の名前はエステル。これからは『先生』と呼びなさい。…貴方は?」
「ギル。ギルガメス…です、エステル、先生」
「…そう」
短い黒髪・蒼き瞳の美女エステルは、ほんの一瞬だがひどく哀しそうな微笑みを浮かべ
た。ギルガメス少年がその真意を理解するのは当分先の話しである。
鉄獣28号さんへ
恐るべし超重装甲素材メリケンサック。下手に扱うと使った方が怪我しそう…。
遂に力の一端を見せ始めたマリンさん。カンウ達とも合流。そして襲ってくるZi-ARMS部隊。
次回も凄い事になっちゃうかも!?_| ̄|○(あからさまなパクリは行けません)
Innocent World2の作者さんへ
二人三脚!自作自演!手前の暫定政府…危なっ!強くなる為に道を探す必死なオリバーさん。良いな〜…。
>20000発の多分最低条件は先ずケースレス弾。それでサイズの小型化。これでも駄目なら根性!と言うのは冗談で…
…自慢の穴開きフレームに弾薬庫!が妥当な線かと。パンツァーのミサイルは多分リロード時間中にミサイルを組み立てているのではないかと?
アイスのコーンをそれだけ並べるとスペース省略みたいなやり方で…。中身も別でその間に合体!とか。
◆.X9.4WzziA さんへ
貧乏人は牢獄の様な街で一生を過ごす…。何かACの世界観並みに殺伐で監理が厳しい社会に成っていますね。
一定の自由はウォーリアーに成らないと手に入らない。世間は厳しい。
1000年もの統治の間に共和国の性質は両帝国よりも統治や治安に対してより厳しい姿勢で望んでいる気もします。
共和国軍の手に渡ってパイルバンカーもかなり改良されてるみたいで乗り手の実力とセットで恐ろしい強さに。
パイルバンカーの杭がしなると言う表現が新鮮でした。
「しかし…気配を残して隠蔽術式とは?あからさまな罠だな。」地上を踏み締めてエントヴァイエンは進む。
すると…ガシャンと音がしてトラバサミが足に食い込んでいる。「!?そんな馬鹿な!何時の間にこんな物を仕掛けたと言うのだ?」
良く見ればそれはとても古い物だ。彼の年齢に比べれば充分若い物ではあるが。怪我も無く足を引き抜くのも容易でそれを取るとさっさと進む。
「アルトアイゼンに掛かったらしいであります。」「そうか。」ベルゼンラーヴェ内では上手い事四つんばいになり低い姿勢で移動している。
それに併せて機体もそう動くのだが機体の向きはかなり怪しい物である。「にゃ〜…。」サブシートのアサガオライガーは必死に落ちない様にしていたが力尽きファインの背に落ちる。
「うにゃ〜。」その目は非難の目だった。「しょうがないですよ。簡単に見付かる訳には行かないのですから…。」そう言ってそう早く移動する。
だが…「あるえぇぇ?」如何して空いていたのだろうか?機体がすっぽり入る穴の上に着てしまっていたらしい。当然落下して行った。
「情けない…貴公も罠にはまったか。」しかし彼にも解せない話だ。鬱蒼とした森の中でそれだけの穴が在ればレーダーの反応等でそれが解る筈である。
それが見付からずに落ちてしまうのであればこの辺一帯はかなりの異状が在ると言う事だ。エントヴァイエンはそっと一歩踏み出す。「またしてもか!?」
今度は木のうろから矢が飛んで来る。「甘い!」それを手で叩き落とす。「この周辺は何か隠されているのであろうな。」ファイン達よりそちらに興味が移り気味のエントヴァイエンだった。
森の地下深く…。
「これは人避け見たいでありますね。」寺院の様な場所にそれに近付けまいと金属の針が乱立し有刺鉄線も張られていた様ではあるが経年劣化と錆。そして止めの超重量物体の落下。
それで略全てが破損して用を成さなくなっている。周りが暗いが機体のライトで周囲を見渡す。「何と!これは妾も初めて見る純度よのう。」鍾乳洞と化した周囲は高純度の透過鉱石で埋め尽くされている。
「いやあ〜綺麗でありますねぇ〜。」その中に佇むやはりそれで出来ている建物。規則正しく並べられた柱。厳重に屈折率を計算した様な透明の靄を創り出す外壁。古代ゾイド人の遺跡らしい事は理解できる。
しかしその厳重さが何を意味するかは解らない。
「ほう…奇遇だな。余も今付いたところだ。」エントヴァイエンの声が聞こえて来る。しかしこの声の含みからは今はあの遺跡の方に興味がいっているらしい。
「できれば2度と遇いたくは無かったのでありますが…。」「そう邪険にするな。余はこの時を一日千秋の想いで待っていたと言うのに…つれないな。」
何故恋人を待つ者の言葉で言われたかは理解に苦しむ。だがそれよりも…この遺跡だ。ベルウッドは何か得体の知れない気配を感じ取っているらしい。
「気を付けろ!今直ぐにでも逃げる準備だけは怠るな。」「了解!」ベルゼンラーヴェを浮遊状態にして油断無く周囲を観察する。
透明で不透明な壁に何かの影が走る。それと共に周囲の気配が増大。圧倒的な敵意が発生する。「…誰だ?我の眠りを妨げたのは?…」声では無く意識の方に直接投げ込まれて来た言葉。
「…そうか。運の無い者よ!観念するが良い!」影が跳び出す。「詰まらん。余は蚊帳の外か…。」エントヴァイエンは落胆の色を顔に浮べる。「否!貴様もそちらも元となる繋がりが別の同一物。まとめて始末してくれるわ!」
「このパターンはもう勘弁であります〜〜〜〜っ!!!」素早くベルゼンラーヴェを地上に撤退させる。
しかし地上には着かない。「空間湾曲!繋がる先は真下!ループでありますか!」逃げれない様だ。しかも「ラプターチャージャー停止。術式は使用不可でありますか…。」如何にも成らない。
機体が重く感じられる。遺跡の影が膨れ上がり厚みを持つ。「ふっ…これは驚いた。ラスタンドルクの狂犬が祀られているとはな。」大して驚いた様子の無いエントヴァイエン。
漆黒の魔犬が吼える。ここで気付くおかしな状況。エントヴァイエンにはこの状況が発生していないのだ。「生身には影響が無い?」そう言ってコクピットの外に出ようとするファイン。
「馬鹿者!来たぞ!」ベルウッドの声で我に返る。狂犬はベルゼンラーヴェの喉元に咬み付き食い千切ろうとする。
「ぐううう!離れろ!」狂犬の胴体に両側から拳が唸る。悲鳴を上げて狂犬は吹き飛ぶ。だが周囲の効果は消えない。新しい気配が発生する。
それは遺跡の入り口から跳び出しもう一度咬み付いてきた者と同じ姿を取る。更に増殖。あっと言う間に周囲を包囲されてしまった。
数で攻める者なのだろうか?それはまだ解らないが数が多い事だけは事実だ。
1体1体の戦力はそれ程でも無いが数が多すぎる。十字封剣をエネルギー無しで使用して複数の相手を倒す。
しかし遺跡の入り口からそのつど後続の増援が発生する。エントヴァイエンの方にも群がっているらしくあちらさんも素早い動きで排除している。
「疾ぃぃぃぃぃぃぃ!!!」影の狂犬を素手で排除するエントヴァイエン。規格外の化け物の本領発揮と言った所だろうか。数が増えるのもお構い無しで攻撃を繰り返している。
遺跡の柱に何か書いて有るのに気付くファイン。狂犬共を排除しながらそれを読んでみる。「1文字…”ウ”でありますか。」
「彼方は”ヨ”だ」!ベルウッドが隣りの柱の文字を読んでくれたらしい。そのまま遺跡の外周の柱の文字を読んで行く…。
それ等を並べ換えて言葉にする。この言葉は昔の文字で法則性はベルウッドの助言により如何すれば良いかも解った。後は叫ぶだけだ。
「輝け!光陽の棺!太陽の輝きを浴びて!」祈るような声で叫ぶ。しかし目立った効果は望めない。「やっぱり信仰が無いから駄目でありますか!?」
狂犬を排除しながらそう思うがそれは突然起こる。
太陽の光が大穴に差し込み遺跡と同じ構造の柱に光が当たる。それから光は伸び幾つもの柱を辿り遺跡の内部に到達する。それは遺跡内を幾週も回りその度に奥へ進んで行く。
それが如何やら”光陽の棺”に到達したらしい。「愚かな!光陽の棺を開くとは…。人よ汝等に絶望有れ。」それを残して異様な気配は消失。狂犬の群は消失する。「ほう…良くやった!流石は…。」
その言葉をベルウッドが遮る。「主が此奴と同じ訳が無かろう!起源を元に正せば世界も命も1つの場所に帰る!幾重もの世界を又に掛けたお主が気安く同一の存在等と言い張るのは片腹痛いわ!」
物凄い剣幕だ。ファインはそんな事は如何でも良いので何故むきになるかは良く解らない。
「それよりも…。」ファインの目はカメラを通して光陽の棺をとやらが有る遺跡を見据えている。「うにゃ〜…?ふっー!!!」アサガオライガーが突然警戒行動を執る。遺跡に何かが起こったらしい。
太陽の光に充ちた遺跡から何か巨大な存在が遺跡を破壊して出現する。「我は…畏怖すべき者…その者の記憶より畏怖すべき姿を得たり!」
さもちんぷんかんぷんな事を言っているがそれはその姿が物語っている。それは明らかなオーバーサイズのウルトラザウルスだった…。
全身太陽の光を蓄え異様な光を上げるウルトラザウルスの背には如何やら封印された物が突き刺さっている。
「主よ…何故お主の頭の中にはあれが浮んだのだっ!!!」ベルウッドがファインに対して怒る。「そんな事を言われましても…ねぇ?」
それに相槌を打つ様にエントヴァイエンも「ねぇ?」とそれに併せて言う。軽い音。「つっ突き刺さっていますがっ!?血が出ていますがっ!?何故このパター…。」
「だまれ!」切れ掛かっているベルウッド。「とにかくあやつの背からあれを引き抜かん事には終わりは無い!さっさと引っこ抜くぞ!」
その目の前をエントヴァイエンが塞ぐ。「おっと…隠れん坊が終わったのだから余ともう一曲付き合って貰うぞ。」相変らず何処から出したかハルバートを振り回す。
「はっ!よっ!とあっ!?」素早く避けるが避け損なった一撃が目の前に振り下ろされる。
しかしその後真っ二つになったベルゼンラーヴェが残る筈だった場所にはハルバートを片手で押さえ込んだベルゼンラーヴェが居る。「余り長いのも考えものでしょう!」
柄の部分を掴み取ったベルゼンラーヴェは柄を握り潰す。そして「ストライクサークル!」強力な回し蹴りをエントヴァイエンに叩き込む。ダメージは無さそうだが壁に埋め込む事には成功した。
「何と?」身動きの取れなくなったエントヴァイエンはジタバタしている。やはり分厚い多重構造の防御結界を突破することは無かった様だ。
突然背後から一撃を喰らってベルゼンラーヴェは派手に宙を舞う。「の〜っ!」そして俯せ状態で着地というより落下する。派手に土煙を上げて機体が視界より消える。
ベルゼンラーヴェの背後で先に居た場所には太陽光線を圧縮した光の柱が複数立っている。あれが機体を吹き飛ばした張本人?らしい。「ソルピラー…こんな光届かぬ地下であれを使えると言うのか!?」
ベルウッドは頬を軽く叩き気合いを入れる。「あれを連射されれば妾達に勝ち目は無い!上手く後方に回り込み背の獲物を引き抜くのだ!」「了解!では参りますかっ!」
リニアキャノンの砲門からソルピラーが発射される。ミサイル発射口からは球体状の太陽光。それ等を引き付けてからアーバレストで一気に避ける。そのまま後方へ移動。調節をして壁に機体が当たらない様にする。
直に背中が見えるが長大な尾に阻まれる。蠅叩きで叩かれた蠅の様に地面に叩き伏せられる。
「何だ?俺が心配か?」
「そ…そんなワケは…。」
ドラゴスに茶化されたリューコは顔を赤面させながらうろたえ、そして一歩二歩下がった。が、そんな彼女の肩をドラゴスがポンと叩くのだった。
「安心しろ。俺は死なねーよ。奴が強くなったとしても…俺も強くなったし、この強化型デカルトドラゴンならどんな奴にも負けない!」
「………。」
リューコは無言のままドラゴスを見つめていたが、ドラゴスはすぐに手を離し、作業を再開していた。
「俺にはまだ作業が残っているんだ。続きは戦いに勝ってからだな…。」
「死なないで…下さいよ…。」
リューコはそう一言言い残すと、その場を去って行った。が、それにすれ違う様に大柄の3人の男がドラゴスの方へ向かってきていた。
「よう!ドラゴスよ!」
「何だ?今度は黒い三銃士の皆さんか?」
ドラゴスの前に現れた大柄の3人組は、ゴイア、アルテガ、モッシュの黒い三銃士であった。
「ドラゴスよぅ。あのゾイキュアに怨みがあるのはお前だけじゃ無いんだからな!それだけは忘れるなよ!」
黒い三銃士の三人から、歴戦の勇士とも言える雰囲気と気迫などが放たれていたが、ドラゴスは全く臆してはいなかった。
「安心しろ。俺の目標は緑の悪魔…つまりゾイキュアの白い方だけだ。残りの黒はお前らにやんよ!」
「どうせならその白の方も…と言いたい所だが、上の方もお前と奴の戦いのシチュエーション作りをしている様子だからな。俺達は黒だけで我慢するぜ。」
黒い三銃士は妙に聞き分けが良かった様子で、黒=ハーデスのみ狙い、と言う事で了解した。
「それにだ、アンタ等黒い三銃士だって勝てる自信とかあるだろう?」
「その通りだ。お前のゾイドが新型のデカルトドラゴンならば、俺達だって例の機体に乗り換えた!」
「そうか…例の機体はかなり強いらしいからな…。まあいずれにせよ御武運をお祈りしておくぜ。」
「ああ!」
こうして、ドラゴスはそれぞれ黒い三銃士の3人と握手をし合うと御武運を祈り合い、それぞれの持ち場へ戻っていた。
ズィーアームズ守備隊とやり合っていたカンウとハーデスはさり気なく守備隊を壊滅させていた。そして守備隊の残骸の山の上で、2機は座り込んでいたのである。
「は〜…。もう次から次へと…心休まるヒマが無いね〜…。」
「本当だな…。早い所ハガネさん達と合流して、社長も発見しないとな!」
「は〜…。何か気が遠くなりそう…。」
マリンがため息を付き、カンウがゆっくりと壁に寄りかかった時だった。突如としてカンウの
寄りかかった壁が一回転し、壁の向こうへ吸い込まれる様に放り込まれたのだ。
「きゃぁ!!!」
「マリン!!どうした!!?って忍者屋敷かここは!!」
ルナリスは大急ぎでカンウが吸い込まれた地点へハーデスを急がせた。が、その壁は完全に固定され、回転する事は無かったのだ。
「畜生!一体どうなってるんだぁ!?」
ルナリスはハーデスの爪を壁に叩き込ませたが、何故かその壁だけは妙に固く作られていた様子でビクともしなかった。
「ったく何てこった!マリーン!!マリーン!!」
ルナリスは何度も呼び掛けるが、返事が返ってくる事は無かった。そして何度も力任せに爪を叩き込むのであったが、やはり壁にはビクともしなかった。
「くそ!!一体どうなってるんだ!!」
「ゾイキュアの白の方は別の所に行かせてもらったぜ!」
「それはどういう意味だ!?ってうわぁ!!!」
背後から聞こえて着た謎の声に反応し、ハーデスが振り向いた時、そこには漆黒のカラーリングを施された3機のエナジーライガーの姿があったのだ。
「畜生!!もう新たな刺客が来やがった!!」
ハーデスは慌てて身構えていたが、エナジーライガーから通信が送られて来た。そしてハーデスの
コックピット内部のメインモニターに漆黒エナジーライガー3機のパイロットの姿が映し出されたの
である。それは正しくゴイア、アルテガ、モッシュの黒い三銃士の3人であった。
「よぉ…久しぶりだなぁゾイキュアの黒い方…。俺達の事覚えているか?」
「おっさん達誰?つーかそれどういう意味だ!」
ずげげげげっ!!
完全に忘れ去られていた事実に黒い三銃士は愛機の漆黒エナジーライガーごと派手な前転を見せるのであった。
「オイオイ!何勝手にすっ転んでるんだ?」
その場に倒れ込んでゾイドごとピクピク痙攣している黒い三銃士の姿に、ルナリスも拍子抜けしていた。
「俺達だよ俺達!!黒い三銃士だよぉ!!アイアンコングで戦っただろぉ!!?」
漆黒エナジーライガーを起き上がらせたゴイアの叫びに、ルナリスはハーデスごと腕組みして考え始めた。
「んんん?ああ!何かそう言うのがいた様な気がするぞ!確か背中のエナジーチャージャーが壊れた途端にザコ化した奴等だったよな!」
「ザコ言うなぁぁぁ!!!」
「どうでも良いけど血涙しながら言う様な事かよ…。」
黒い三銃士に対しそれほど危機感を持っていなかったルナリスも、血の涙を流すほど必死になっていた3人の姿にはややうろたえていた。
「とにかくだ!!マリンは一体どうなったんだ!!?」
「フッフッフ…それは後のお楽しみ…。とにかくお前の相手はこの俺達がしてやるぜ…。」
「もう一体何が何だか…。」
黒い三銃士は冷静さを取り戻しており、3機の漆黒エナジーライガーは一斉にハーデスへ跳びかかっていた。
一方、回転した壁の向こう側へ吸い込まれたカンウを待っていたのは大型滑り台の様な物であり、有無を言わせずに滑り落ちていたのだ。
「きゃぁぁぁぁ!!!忍者屋敷もどきの次はサン○ーバー○ォ!?」
まるで地獄の果てまで続いていると思われる程の長い道をカンウは滑り降りていた。そして、滑って
いる先がやや明るくなったと思った時、カンウはある場所に吐き出されるのであった。そうしてマリンとカンウを待ちかまえていたのは巨大なフロアであった。
「こ…これは?」
その巨大なフロアの周囲には高く分厚い壁で被われていた。さらにその外側には客席の様な物があり、大勢の人間が座ってワーワーと叫んでいたのだ。
「え?え?え?」
その不可解な事態にマリンは錯乱し掛けていた、がその時、フロア中にアナウンスが響き渡ったのである。
『これよりっ!!!ズィーアームズ社主催のゾイドバトルを開始したいと思います!!!』
「ええ!!?ゾイドバトルゥ!!?」
マリンは心の底から驚いていた。確かに冷静に考えれば、マリンとカンウが放り込まれた巨大な
フロアは何かの競技場の様な形をしており、それはまさしくゾイドバトルフィールドであったのだ。
「ふ…ふざけるんじゃ無いわよぉ!!何でこんな時にゾイドバトルなんか…。」
「ふっふっふ…。これは演出だよ。合法的に貴様をぶっ殺す為のなぁ…。」
「!!!!?」
カンウのいる地点の向こう側には一機のデカルトドラゴンの姿があった。そして、そのデカルト
ドラゴンのコックピットにはドラゴスの姿があった。と、その時、またも放送席からアナウンスが響き渡ってきた。
『それでは!!出場選手及びゾイド紹介をしたいと思います!!まずは挑戦者ぁ!!!
100年前の大戦時代に大暴れしたという緑の悪魔の血を引き、さらに当時緑の悪魔が搭乗していた
と言われていながら、100年経った今でも普通に稼働しているゴジュラスギガ“カンウ”を受け継いで2代目緑の悪魔となったマリン=バイス選手です!!』
「死ねぇぇ!!!」
「ぶっ殺せぇぇ!!!」
「帰れぇぇ!!!」
「地獄へ逝けぇ!!!」
「こぉの○△□野郎!!(放送禁止用語です)」
マリンとカンウの選手紹介が終わるや否や、突如として周囲を埋め尽くす観客から数々の罵声や
ブーイングが飛んでいたのであった。無理も無い話である。観客は皆ゼネバス系人民で構成された
ズィーアームズ社員やその家族達である。そんな彼等にとって緑の悪魔と言えば大戦時代において
帝国軍を散々コケにしまくった極悪人なのである。その血を引くマリンが彼等に憎まれるのは仕方のない事であった。
「い…一体何で?え?」
マリンはなおもワケが分からずに眉を細めていたが、放送席からのアナウンスはまだまだ続いていた。
>>224の分を書き込んだ直後に急にゾイド板そのものが開けなくなり、(他の板は平気でしたが)
本当にハラハラさせられた物ですが、なんとか復活できて安心していますorz
>>◆.X9.4WzziA さん
ここで主人公がなぜジェノブレイカーを持っているかやエステルとの出会いが描かれたワケですね。
しかし、ウォーリアになるための条件ってのはかなりリアルっぽく表現できたと思います。
自分なんかはそこまで細かく考える事は出来ないでしょう。
主人公が合格条件は満たしているのに何故不合格なのか?と言う疑問もありますが・・・
>>恐怖の亀裂作者さん
トラバサミの罠キタァァァァ!!!!
しかし、今回も今回で色々出てきましたね〜。狂犬の群とか、ウルトラザウルスとか。
様々な世界も本を正せば一つの物だったって言う下りも、何か哲学的で考えさせますね。
確かに並行世界と言う物が本当に存在するならば、それもあり得るかも知れませんし。
「――ほう、強くなりたいと…」
アレックスの私室に招かれたオリバーは、彼と向かい合って話をしていた。
「そうなんです。俺は負けたまま黙っていられるほど人間が出来てないもので…子供の思考だと思われますか?」
「いえいえ、解りますよ。かつて似たような事をやった知り合いが居ましたのでね」
館の中は全体的に優美な装飾が施された造りだったが、アレックスの私室だけはあくまでもシンプルな部屋だった。
ソファと机(PCや書類などが乗っている)、本棚が置いてあるだけの簡素な風景。
「そういえば、俺の記憶がおかしくなければ…この家は2年前、被害を受けた地区だった筈では?」
オリバーの記憶は正しかった。2年前、保管していたセフィロトのエレメントがアレックスの家を破壊してしまったのだ。
だが、今こうしてここに豪邸は存在する。
「ああ、確かに2年前私の家は吹っ飛んでしまいましたよ。ですが、“ギルド”が無くなって失業してしまったので
新しく会社など立ち上げてみたんです。そうしたら、何だかまた家を建てる余裕が生まれましてね…」
やはり、アレックスは「成功するべくして生まれた男」のようだ。“ギルド”で瞬く間に人事部長の座を射止め、
更なる出世も囁かれていた彼ならば不思議ともいえないが。
「それに、僕は…両親が物凄い額の遺産を残してくれましたので」
2年前までの屋敷も、両親から受け継いだものだった。あまり知られていないが、彼の家系は代々続く名家で
莫大な財産を蓄えていたのだという。だが、戦争によって肉親をみな亡くした彼に残されたのは家と金。
幸い、良心的な隣人により金の使い方を学ぶ事ができたアレックスは今に至るまで一人で生きてきたのである。
「ま、両親は僕を愛してくれませんでしたが…」
「そんな過去があったと…波乱万丈と言うべきですか」
アレックスは微笑み、コーヒーを一口飲んだ。
「…話が脱線しましたね。強くなりたいのでしたら、強いゾイド乗りに弟子入りしてはいかがでしょうか?」
「弟子入り…誰か、心当たりでも?」
「はい。今のその人は恐らく…“師匠”ルガールさんを上回る腕の持ち主です。もっとも、
弟子を取るかは知りませんから頑張るのはあなたですけれど…」
【第四章】
満天の、星の夜空。悠々と泳ぐように飛ぶのはタートルカイザー「ロブノル」。
その、頭部ドーム内では依然として相当な数の乗組員が働いている。部屋の中央、盛り
上がりドーム内を見渡す頂上の位置には、あの異相の男が机上のモニターを険しい表情で
睨んでいる。
「…申し訳、ございません」
異相の男が脇に振り向けば、そこには朝の作戦でロブノルの指揮をとった初老の高官が
いた。
「気にするな。貴官のせいではない。…見てくれ」
机上のモニターを高官にも見せる。赤い光点はあの深紅の竜を表すようだ。それがレヴ
ニア山脈を駆け上がるにつれ、その前方を覆い尽くす黄色の平面に亀裂が生じ始める。…
光点が上昇すると共に、亀裂も元通りに戻っていく。
「な、何と…」
「赤いゾイドの通り道のみ、レアヘルツが止んでいる。道理で無事な筈だ。
仮に空軍戦力で追ったとしても、この仕掛けに加えてあの伝説の魔装竜が相手では歯が
立たないだろうな」
「ますます、悔やまれます。…時に、総大将」
手元の書類を差し出す高官。
「赤いゾイドが拉致した少年ですが、身元が判明しました。名はギルガメス、十五才。ア
ーミタ出身、現地のジュニアハイスクール在学。…ウォリアー専攻、です」
「ほお、アーミタとは随分遠くから来たのだな。
ジュニアトライアウト…合格か、不合格か」
「不合格に、『処されました』」
「役人用語だぞ」
苦笑する二人。だが彼らの瞳からは笑みなど一片も感じられない。
「とにかく、共和国政府が誇るゾイドバトル政策も道徳教育も意味を為さなかった以上、
非・正規軍たる我ら『水の軍団』が動くしかあるまい。
レヴニアに第七方面軍が駐留する今、赤いゾイドがこちら側に戻ってくる可能性は皆無
に等しかろう。…予定通り山脈を迂回して、リゼリアを目指す。プテラス五機へのゴドス
の接続は?」
「十五分以内で終了します」
「急がせろ、真の最悪の事態を阻止するためにな。惑星Ziの、平和のために!」
ギルガメスと深紅の竜(伝説の魔装竜・ジェノブレイカーらしい)の前で背中を見せた
美女・エステル。彼女の目線にぼんやり浮かんだ立体映像。不意の出来事にギルは目を丸
くする。コントロールパネルのような形状のそれに対し、軽快に指先で触れてみせる。
途端に、目前の鋼の床が人の数倍も大きく凹み、続いて競り上がってきた。
お目見えしたのは年代物のビークル。ごつごつした形状に使い込まれた雰囲気が感じら
れる。そしてその手前には大きなトランクが幾つかと、彼女の衣服らしきものが折り畳ま
れている。
するとエステルは何を思ったのか、いきなり身に纏ったバスタオルをその場に落とした。
目前に現れた裸身にギルは慌てて声を上げ、後ろを向き直す。
「ごめん、すっかり忘れてたわ」
「な…何でそんな、見せるのに抵抗ないんですか…」
「見せて恥ずかしくなるようなもの、持ってないわよ?」
これには二の句が継げない。そうこうする内に衣服を纏ったエステル。
「さあっ、出発準備に取りかかりましょ?」
振り向き直したギルの目前には、紺色の背広で身を固めたエステルがいた。…初心な少
年を困らせるような色気が消え去ったかと言えばそんなことはない。寧ろ背広越しに、す
らりとした長い手足の絶妙な曲線がくっきり描かれ、却って優美だ。まさしく男装の麗人。
途方に暮れたギル。だがエステルがトランクをビークルに積み始めると、慌ててこれに
追随する。
「ああ、こっちは大丈夫。それより、貴方の荷物は?」
「荷物は、あのリュックサックと…」
先程深紅の竜と立ち回った時に使ったゾイド猟用のナイフ。あれは…。
「あのナイフは、大事にしまっておいて。きっと…きっと、力になる時が来るわ。…さて」
リュックサックにナイフを突っ込んだギルの前に、積み荷を終えたエステルが向き合う。
「私達は今、レヴニア山脈の地下深くにいるわ。問題はここからどこへ行けばいいか。
山脈の東側・レヴニアの街へ引き返す手はないわ。貴方の話しが本当なら今頃は共和国
軍が駐留しているでしょうからね。なので山脈の西側・リゼリア平野に出ましょう」
「リゼリア、ですか…」
ギルは生唾を呑み込む。
「リゼリア以西は少数民族が結集して成り立つ『民族自治区』。共和国軍も下手に手は出
せないわ。それに、物価も低い。受験費も安く上がる…かもね?」
微妙な言い方にギルは怪訝そうな表情を浮かべる。彼女に頼らざるを得ないのが現実だ
が、少々不安になってきた。
「そしてもう一つ。…これから、刻印解放の儀式を行ないます」
「刻印、解放…」
「この子はオーガノイドシステム搭載ゾイド。…普通に操縦もできるけれど、『刻印』の
力を備えたパイロットと同調すれば、無限の力を発揮できるわ。
でも、今の貴方は自由に刻印を使うことができない。だから必要に応じて、私が刻印を
解放するわ。いいわね?」
こくりと、頷くギル。
「じゃあ、まずは私の目を見て」
声に応じたギルは、彼女の切れ長の瞳に魅入られた。心の中まで見透かされるような感
覚に、凍り付くような感触を覚える。
「私に続いて。例え、その行く先が」
「…例え、その行く先が」
「いばらの道であっても、私は、戦う!」
「いばらの道であっても、私は、戦、うっ!?」
ギルの額を襲う、急激な熱さ。慌てて押さえようとするが、その手に照らされた輝きに
対し、自らの肉体が確かに変化したことを悟った。
「さあ、行きましょう。…ハッチを開けて」
深紅の竜に促すと、渋々胸のハッチを開けてみせる。
「ありがとう」
礼をし乗り込んだギルに一瞬きょとんとするが、結局は溜め息を付きつつハッチを閉じ
る。エステルに視線を投げかけるが。
「落とせるシステムは、落としちゃうから。…なぁに、その表情は?
これが私への裁きみたいね。貴方も自分の意志で今までついてきたんだから覚悟してね」
一方閉じられたコクピット内。真っ暗だが不意に室内が光で覆われる。…室内は球の内
側のよう。中央に据えられた座席につくと、ギルの上半身を固定器具が覆う。シートベル
トを付けながら全身を見渡した彼は、室内の壁面が全てスクリーンと化していることに気
がついた。
(エステル…先生と、このゾイドは何を話してるんだろう?)
外の様子を眺めていると、彼女はビークルに飛び乗り、コントロールパネルを通じて何
か色々弄っている。暫く待っていると、不意に右手側のスクリーンに彼女の顔が映し出さ
れた。
「これから、最上部のハッチが開くわ。貴方達は私のビークルを抱えて飛び出してね。
操縦の要領自体は簡単よ。他の竜型ゾイドと同様、手綱と思ってレバーを扱えばすぐに
慣れるわ」
「は、はい! あ、あの…、こいつの、名前…」
「ん? ああ、それはこの子に直接聞くと良いわ」
「はあ…」
教えてよ、先生がああ言ってるんだ。ギルの呟きに応じ、モニターに文字が踊るが。
「MY NAME IS ■■■■■■■■■■■■? ば、馬鹿にするなぁッ!」
ギルが怒るのを無視するかのように、エステルが乗ったビークルを抱えて翼を広げた深
紅の竜。途端にギルの全身を不思議な感覚が襲う。
「最高時速、三百、四百、五百…。あの時と、同じ。圧力を感じないのも、だ。
でも…風、感じる! これが、オーガノイドシステム…!」
鋼の室内の天井までは実に遠い。いつしか月明かりを浴びて、舞い上がる。
一気に、開けた視界。月明かり、満天の星、それに朝焼けが竜を照らす。レヴニア山脈
の、頂上付近だ。…前方の麓を覆うのは暗闇。後方を見渡すと、あのレヴニアの街と、そ
こに群がる軍隊の様子が見える。
「目指すは暗闇の向こう、リゼリアよ。…さあ!」
エステルに促されてレバーを引くよりも早く、深紅の竜は翼を水平に、六本の鶏冠を扇
状に広げる。たちまち青白い炎が吹きこぼれる鶏冠の先端。
「あっ、こらちょっと…うわぁぁぁぁっ!?」
ギルの意志など全く無視して、深紅の竜は地を蹴ったのである。
既に夜明けを迎えようとする中、高速で飛行する小型ゾイド五匹。いずれも網状の羽根
が美しい。人呼んで「小翅竜」プテラス。五匹全ての腹に、背を屈めたゴドスを各一匹ず
つ釣り下げている。プテラス、ゴドスの各パイロットとも雰囲気は、重い。
「大変なことになったな…」
「止むを得ん。リゼリアは民族自治区、早々に蹴りをつけねば総大将の首ですら危うい」
「だな。総大将は足止めで構わないと言うが…」
「叩けるなら、叩く!」
「ゴドス部隊、やっこさん、見つけたぜ!」
「おう、映像、送ってくれ」
ゴドスのコクピット内・コントロールパネルに描かれた映像を見て、パイロット達は一
様に声を失った。
「レアヘルツで覆われた山脈を、走ってやがる…」
「しかも推定時速七百キロ!? 無茶苦茶だな」
「別に速ければ強いってことではない。このまま行けば、あいつがレアヘルツ地帯を抜け
出した頃には俺達は一万メートル以内に近付くことができる。プテラス部隊はその時点で
俺達を投下してくれ」
「了解! PT−GD01よりロブノルへ! 魔装竜を確認、直ちに攻撃体勢に入る!
惑星Ziの、平和のために!」
噂の深紅の竜。レヴニア山脈の急傾斜を疾駆している。翼は左右に広げ、背中に生えた
六本の鶏冠からは青白い炎を上げて、あのスケート靴で氷上を滑るようなアクションのま
ま実に、軽やかに。
「うわっ!? ば、ばば馬鹿っ! もうちょっと優しく…!」
深紅の竜が耳を貸す素振りは見えない。
「ほらっ、『主人』がああ言ってるんだから素直に聞きなさい!」
エステルが叱りつけ、ようやく乱暴さは影を潜めた。それでも非常識な速度での滑空は
変わってはいないが。
「す、すみません、先生…」
「気にしないで。いずれこの子の機嫌も直るわ。それより、速度は維持して」
だが二人の目前のコントロールパネルに、映し出された五つの機影。
「それに、熱反応!?」
ギルの声に応じるかのごとく、身を屈め、ビークルを懐に収めた深紅の竜。全身の灰色
の突起が唸り声を上げ、隙間から火花が溢れる。リミッター解除の証。
深紅の竜の後を追うかのごとく、何本も突き刺さる爆炎。右に、左に、揺れながら爆炎
を回避し、やがて麓へ降り立った時、彼らの左側遠くに降り立ったのは。
低空飛行で飛んできたプテラス五匹。いずれも腹に括り付けた荷物を落としていく。言
うまでもなく落とされたのはゴドス五匹。
「…追っ手、か。ビークルを離して」
エステルの求めに応じ、放たれたビークル。エンジンを吹かし、空中浮遊を始める。
「そこの赤いゾイドに告ぐ。おとなしく降伏しなさい! 身柄は保証する!」
お約束だがなと拡声器のスイッチを切ったゴドスのパイロットは舌を出す。
「知るかよ! エステル先生、行きましょ…あっ、こらぁっ!」
何を思ったか深紅の竜、猛然と突っ走っていくではないか。
「ば、馬鹿ぁッ! こんな奴ら、相手にしなくていいんだから…!」
「いや、ひとまず追い払う必要はあるわ」
「せ、先生!?」
「あちらにはプテラスがいる。数も武器も多いからね」
「わ、わかりましたけれど…何でこいつ、こんなにムキになってるんだ!?」
深紅の竜の突撃にゴドス部隊も背中を傾け、載せた銃器を乱射する。だが左の翼を前方
に広げた深紅の竜。弾幕が火花を散らすものの、翼には傷一つ刻まれていない。
「ば、馬鹿な!AZ(アンチゾイド)ライフルでは全く効果がないというのか!?」
パイロット達が驚くよりも早く、接近する深紅の竜。今度は右の翼を広げると、内側か
ら展開されたのは二本の剣。それを平行に伸ばしてみせると、ゴドス部隊の目前で薙ぎ払
う。仰天するゴドス部隊だが透かさず後方に飛び跳ね逃げると、空を斬った深紅の竜目掛
けて銃撃。上空からもプテラス部隊の狙い撃ち。たちまち辺りを硝煙と土煙が覆い隠す。
だがそれを離れて見つめていたエステルは至って平静そのものだ。
やがて煙が収まった時、その理由が明らかになった。
両方の翼で身を覆い隠していた深紅の竜。全くの、無傷。
「す、凄い…。君は、一体…」
ギルの驚愕の表情は恍惚のそれに似ていたかも知れない。
「この程度の力技では負けないわ。安心なさい」
「は、はいっ!」
ゴドス部隊も意外な苦戦に気付く。
「正確な攻撃を加える必要がある! 草刈り鎌っ、てぇーっ!」
掛け声と共に一気に駆け込んでいく五匹のゴドス。深紅の竜の膝目掛けて自慢の後ろ蹴
りで襲い掛かるが。
それすらも、深紅の竜はがっちりと翼で受け止める。たちまち払い除けると何を思った
のか。
突如の、飛翔。
「な…何、どうしたんだよ、君!?」
ギルの問い掛けにも全く反応しない。レバーを何度引き直しても。エステルは頭を抱え、
やけっぱちの表情でマイクに向かって怒声を浴びせる。
「飛ぶの、止めぇッ! ギル、貴方も驚いてないで止めさせなさいッ!」
「や、やってるんですけど…全く、聞いてくれなくて…」
上空のプテラス部隊よりも高く、舞い上がった深紅の竜。背中の、元々は六本の鶏冠が
覆い被さっている部分が突如口のように開いた。その中へ、眩い光の粒が集まっていく。
それと共に全身を三日月のように反らす。
全方位スクリーンに表示された情報を見て、ギルは青ざめた。
「こ、これ…まさか…!? う、撃っちゃ駄目だぁーッ!」
渾身の力でレバーを引く。
奇麗に反転した三日月。姿勢を戻した深紅の竜の、口から放たれたのは光の、槍。
レヴニア山脈の頂上付近に突き刺さる。衝撃音は落雷にも似た。
たちまち辺りを覆った土煙。風に流され、朝焼けにその付近が照らし出された時、呆然
となったギル。…光の槍は見事、稜線を破壊し、辺りに扇状の痕を残した。
ギルの、両手が震えている。
「もし下に撃たせていたら…!」
その光景をロブノルのレーダーも察知していた。
「総大将! リゼリア平原からレヴニア山脈にかけて、強大な熱源、発生。
…山脈の頂上付近が破壊されました。荷電粒子砲によるものかと思われます」
「やはり伝説の魔装竜であったか…! ロブノル、急ぐぞ!」
一方、ゴドス&プテラス部隊の面々は青ざめるより他ない。自らが深紅の竜の業火に焼
き尽くされていたかも知れないのだから。
「いけない、ゾイドが浮き足立っています!」
「水の軍団所属のゾイドが怯えるとは…! 残念だが一旦、撤退する!」
そして、エステルは惨状に目を覆わざるを得ない。
「先が思いやられるわよ、本当…」
人々の驚愕を余所に、空中で大きく伸びをした深紅の竜。鬱憤を払ったかの様子で気持
ちよい咆哮。
だが主人たるギルガメスは、相棒に秘められた凶悪なまでの力に、身も心も消耗し切っ
ていたのである。 (つづく)
【次回予告】
「ギルガメスが出会ったゾイドは、永い孤独に耐えかねていたのかも知れない。
気をつけろ、ギル! ホエールカイザーの鬚(ひげ)、撃破の秘策は我にあり!
次回、魔装竜外伝第二話『僕のゾイドになれ!』 ギルガメス、覚悟!」
****
【後書き】
とにかく設定説明をしながらきちんと物語を進行させることを念頭に書きました。
上手くいった部分もあればもっと工夫が必要だった部分もあります。もっと頑張らないと…。
レスを下さった皆様に感謝。一行で済んでしまいそうな返事はメール欄に書いちゃったりしてます。
ネタバレ&本文にヒントが明確に書いてある部分はレス勘弁ということで。
申し訳ないですが、そこは色々推理して楽しんで頂けると嬉しいです。
次は最悪でも大晦日〜正月に間に合わせたいですね…。
魔装竜外伝第一話、掲載レス番号は以下の通りです。是非御覧下さい。
http://hobby5.2ch.net/test/read.cgi/zoid/1097215306/167-177n
情報の無いオリバーは、その話にすがるしかない。誰かを「師匠」なんて呼ぶことに抵抗はあったが、それよりも
強くなりたいという気持ちが先に立った。
「教えてください、その人は何処に居るんですか?」
「…行くんですね。その人は、郊外のパーツショップ『TASHIRO』に居ます。ただ――」
「ありがとうございました! では、早速行ってきます」
「えっ!?」
アレックスの言葉を最後まで聞かず、オリバーは早くも玄関に辿り着いていた。落ち着きの無い珍客が
外へ出て行くのを見送りながら、彼は微笑ましい気分で小さく呟く。
「…ただ、良くも悪くもルガールさんに似てきたんですよね、“彼女”…」
「パーツショップ『TASHIRO』…ここだな」
オリバーは道も聞かずに飛び出したが、
「ごついオッサンが出てくるのか、それとも能力者か…?」
恐る恐る中へ入ってみると、店内には人が居ない。だが放置されている様子も無く、
棚に陳列されたパーツ類は綺麗に整えられている。
「英雄ルガールを上回るゾイド乗り…弟子入りできれば、強くなれることは間違い無い!
――あのー、誰か居ませんかー!?」
覚悟を決めて呼びかけたオリバーの耳は、2階から階段で降りてくる足音を聞いた。階段の方を見やると、続いて人影が現れる。
「…お前は誰だ? ここに、何をしに来た?」
問い掛けたのは彼とあまり歳も違わないであろう少女。そのぶっきらぼうな物言いが無ければ、オリバーはその少女を
本物の天使だと誤認していた事だろう。だがその口調も逆に、可憐さと落ち着いた美しさを際立たせる。
口も開けなかったオリバーだが、何とか硬直した舌を動かした。
「あ…俺はオリバー=ハートネット。アレックス・ハル=スミス氏の紹介で、ここに凄腕のゾイド乗りが居ると聞いてきた」
「…それで?」
先を促す少女に、オリバーは用件を伝える。
「俺は、その人に弟子入りを申し込みに来た。…強くなるために」
円卓の人、流れを切っちゃって本当、申し訳ないです。
h抜きでもURLの連続記入は切られるのですか…。
167-177n、190-198n、207-217n、229-236nが第一話。是非御覧下さい。
自分は回線切って首吊ってきます…。
「うわあぁぁぁーッ!! や、やめ」
「駄目駄目、逃がさないよ」
巨大な剣が一閃し、瞬く間に一機のライトニングサイクスを両断する。爆発の閃光を背に受け、
黒い機体が湾曲した緑色の剣を降ろした。
「…こちらジークフリート、チェーンアーツ一名撃破」
“処刑人”ジークフリートは、またも走ってくるゾイドを見て呆れ返る。――どうして、わざわざ死にに来るのだろう?
円卓の騎士は能力者を狩る集団だ。非能力者は、必要が無ければ殺しはしない。だが、騎士に殺される能力者を
助けようと考えるバカな偽善者も一応粛清の対象となる。
「…ま、僕達の目的の為にはなるべく多く殺しておくに越した事は無いけど…」
走ってくるのは街の自警団に、数機の「偽善者」。ジークフリートは禍々しく光る刃を構え直すと、機体を走らせた。
「君達じゃ勝てないよ――僕の剣“ラグナロク”にはね!!」
オリバーの言葉を聞いた少女は、しばし彼を値踏みするような目つきで見たが、不意に背を向けた。
「…お断りだ。お前も能力者らしいが、力に頼りすぎている」
「な…何でそんな事が解るッ! 第一、それを決めるのは君じゃなく、その『凄腕のゾイド乗り』だろ!?」
思わず声を荒げるオリバーだったが、不敵に笑いながら少女が呟いた言葉に愕然とする。
「いいや、私が決めるのさ。ここには私以外誰も居ないし、その『凄腕のゾイド乗り』ってのは多分私の事だからな」
「…んなバカな、君みたいな女の子があの“師匠”ルガールを凌ぐゾイド乗りだって?」
ルガールの名を聞いて彼女は一瞬顔を翳らせたが、出口の方に歩きながら肩越しに言った。
「ゾイド乗りに性別が関係あるか? …まあいい、そんなに必死ならテストを受けてみろ」
「テスト?」
ドアを開きながら、少女は振り返る。
「私と戦って、私が認めればお前を弟子にする。ゾイドに乗れ」
外に出た少女に、追いかけてオリバーが聞いた。
「あ、ちょっと! 君の名は?」
「…私はこう見えてもお前より年上だ。『君』などと呼ぶな――私の名は、リニア=レインフォード!」
砂煙を上げ、リニアの後ろに黒いバーサークフューラーが現れた。
2年の間に人は変わるものだ…w
>>魔装竜シリーズ作者氏
いやいや、こちらこそ挟んでしまって申し訳ないです。
吊らないで下さいw
>>恐怖の亀裂作者氏
4次元ポケットから弾丸供給、てのが理想系でしょうか。
太陽光兵器…吸血鬼退治に一役買うことは間違いない。「太陽ぉぉ〜〜」と。
>>鉄獣28号氏
まあ、強化人間らは生身でも超能力者みたいなモンですし。
サイヤ人とまでは全然行かなくとも、小型ゾイドくらいは素手であぼーん可能?
…やっぱジェットス○リームアタックは機動力のある奴でやるべきですよね。
鉄獣28号さんへ
三銃士の方々再登場!でも機体はエナジーライガーになったのですね。
何か何処かの闇バトルっぽいバトルフィールドとかも有るらしく気になります。/0の様に端には仕掛けとか有ると…?
逆にドラゴスさんが危なそうですね。
>平行世界の話は根底が”あの時何々がこうだったら?”の選択肢を人や自然がどれを選んだかで無限に分岐する…。
と言う物らしく基本モデルは1っ個らしいです平行世界の概念。
Innocent World2の作者さんへ
真逆…あの月曜6:30のおされアニメのメーカーが出したあれですか?〇等の太陽。
随分と立派になったリニアさん。確りとしたお家でアレックスさんも健在。
でも…リニアと聞くと某ゲームやアレックスと聞くと〇ミスさんとヘタレコンビとか思ってしまうのは毒されすぎなのでしょうか?
◆.X9.4WzziA さんへ
お疲れさまでした。
不合格処置…何も知らない少年には酷い扱い。実力はともかくやはり刻印の発動の可能性は相当危険なものなのでしょうね。
前例とかもありそうですし。
「うげっ!」相変わらずの声でファインは呻く。今回もコクピットの裏側真正面に有るレーダーパネルに顔面からダイブしていた。
そっちの方は大丈夫だが案の定ファインの方は顔面真っ赤になっている。しかし新しく受け取っていたアナライズグラスは丈夫で壊れていない。
すなわち…「のおおお〜…。」その部分に強い圧力を受け頬にアナライズグラスの枠の跡がそのまま痣になっている。
「硬いのも考え物よのう…。」最早突っ込みに疲れ始めているらしいベルウッド。しかし巨大ウルトラザウルスの尻尾叩きは執拗だ。
「だあああ!しつこい!」思い切り尻尾を掴み立ち上がるベルゼンラーヴェ。そのまま思い切り尻尾を引っ張る。
するとすっぽりと抜けてしまう尻尾「あれえ〜っ!?」思い切り尻餅をついて転倒。転がって壁に叩き付けられてしまう。しかもベルゼンラーヴェの手の中には尻尾が無い。
相手には尻尾が有る。「うぬぬ…面白い!妾を虚仮にすると言うのならば!」何と状況が元に戻ったらしくベルウッドの操作でカラミティシャドウが発砲される。
「あ〜〜〜!!!駄目じゃ無いでありますかぁ〜〜〜!!!」そんな言葉はもう遅い。発射された弾丸は火球を発生させ周囲の空気を奪う。しかも広いと言えども閉鎖空間。
ウルトラザウルスに当たる頃にはただの弾丸に成っていた。軽い金属音が虚しく周囲に木霊する。「てへっ!失敗!」見た目の年齢相応の仕草で舌を出し上目使いでファインを見詰めるベルウッド。
「…減点39万点であります。」「…微妙な数字だな。」反応は今一だったらしい。受けも良くない。「苦しいな…ピューリファイエア!」壁のめり込みジタバタ状態でエントヴァイエンが息苦しいらしく術を使用する。
「…おや?息苦しいみたいでありますね?」それを目敏く見ていたファイン。「ほう…息苦しいとな?」ファインとベルウッドは競一番の嫌味な顔をしていた。
「「あはは。あはは。あはははは。」」何故か楽しそうにカラミティシャドウを撃ち始める。声は楽しそうだがベルゼンラーヴェの動きは忙しそうだ。最早必死の域に達している弾丸装填の速さ。
その動きは無駄なまでに神速の域に到達しそうな勢いだった。「な…何も余に嫌がらせをする為だけに貴重な弾薬を?」理解に苦しむエントヴァイエン。
それらはウルトラザウルスに直撃し派手な火柱となるウルトラザウルス。
『次はディフェンディングチャンピオン!!ズィーアームズ社のスーパーヒーロー!!ドラゴス=
チュウニッチィィ!!!そして愛機はズィーアームズ社の最新型、デカルトドラゴンをさらに強化した強化型デカルトドラゴンです!!!』
「きゃー!!!ドラゴス頑張ってぇぇ!!!」
「行け行けぇ!!やっちまえぇぇ!!」
「うおぉぉぉぉ!!!!」
観客席を埋め尽くす観客はマリンの時とは打って代わって一斉にドラゴスへ声援を送り、ドラゴスも
強化型デカルトドラゴンの外に出て皆に手を振っていたのだった。無論それがさらなる声援を誘発したのは言うまでも無い。
「あ…あんたは!!」
「ふっふっふ…久しぶりだな二代目緑の悪魔…。」
ドラゴスの姿を見たマリンはうろたえを隠せない様子であったが、ドラゴスは余裕かつ不敵な笑みを浮かべていた。
「こ…これは一体どういう事よ!!」
「言っただろう?合法的にお前をぶっ殺す為の演出だと…。何しろ試合中ならば例え相手を殺してしまったとしても、事故として処理されるからなぁ…。」
その時、マリンはもう見てられないと言う感じで右手で両目を覆い隠したのだった。
「つーか何で私がこんな事しなくちゃならないのよ!!タダでさえ忙しいってのに…。」
「まあそう言うな…。何でも貴様はゾイテックの連中の依頼でゾイテック社長を救出しに来たらしい
じゃないか…。ならば、お前がこの試合に勝てば、社長の居所を教えてやろうと考えているが…どうかな?」
「じゃあ…私が負けたら…どうなるの?」
その時、ドラゴスはマリンを見下す様な不敵な笑みを浮かべた。
「お前が負ける事はすなわち貴様の死だ!!ここにいる観客達はみんな俺同様に緑の悪魔に殺された
兵士やその家族の血を引く者達だ。お前の死はここにいる誰もが望んでいる事なんだよ…。」
「や…やっぱやるしか無いの?」
マリンとカンウは有無を言わせずにゾイドバトルをせざる得ない状況となっていたが、その観客席
からはなおもドラゴスへの熱い声援と、マリンへの罵声、ブーイングが響き渡っていた。
『なお、実況は私、イチロウ=フルタチ、解説は新Ziプロレスのシテツ=ヤマモトさんです。』
『よろしくお願いします!』
放送席にて、実況解説の2人がこのように言っていたが、メガネを掛けた方が実況のフルタチ、ハゲ頭の方が解説のヤマモトであった。
『それでは!!試合開始のゴングです!!』
カーン!!
フロア中に金属のぶつかり合うような甲高い音が響き渡った直後、バトルフィールドの外周に、
試合の流れ弾から観客を保護する為の、不可視型超高出力電磁シールドが張り巡らされ、さらに強化型デカルトドラゴンは一気にカンウへ跳びかかっていた。
「速攻で決めさせてもらうぜ!!!」
「やっぱマジでやんなきゃならないのぉ!!!?」
一方その頃、ハーデスはダブルウィングスラスターの噴射による飛行により黒い三銃士の追撃から逃げ回っていた。
「ったくただでさえ忙しい時にお前らの相手なんぞしていられるかよ!!」
ハーデスは三機の漆黒エナジーライガーの追撃をどうにか振り切ろうとしていたが、通路の広さの
関係で上手く速度を出せずにおり、黒い三銃士の追撃も依然続いていたが彼等の顔に焦りは無かった。
さらに言うと、不思議な事に彼等は追うだけでハーデスへ全く攻撃を仕掛けていなかったのだ。
「奴が向こうへ逃げてくれて本当に好都合だな…。」
「ヘヘ…確かにそりゃそうだ。」
「“あそこ”なら思い切り戦えるからなぁ!」
なおもハーデスは黒い三銃士の追撃を振り切ろうとしていたが、やはり通路の広さの関係で速度を
出すのは難しく、無理に速度を出そうとすると壁と接触してしまう危険性があった。その事に
ルナリスは歯がゆく思っていたが、その時ハーデスの前方に巨大で分厚そうな扉が現れたのだ。
「ええい邪魔だ!!どけぇ!!」
ハーデスは前方の巨大な扉へ向けて荷電粒子砲を撃ち込み、さらに荷電粒子砲の高熱による溶解で
脆くさせた扉をスピードと頑丈さに物を言わせて一気に突き破るのだった。と、その直後にルナリス
の目に飛び込んできたのは広大なフロアと周囲を覆い尽くす大勢の観客達であった。
「え?」
ハーデスが到着した場所はマリン対ドラゴスのゾイドバトルの試合が行われている闘技場と全く同じ
形をした物であった。そして驚くルナリスを尻目に、ハーデスの背後から黒い三銃士も闘技場へ到着していたのだ。
「これは一体どういうこった!?」
「フッフッフッフ…今に分かるさ…。」
オロオロしているルナリスに対しゴイアがニヤリと微笑んだ時、闘技場の壁に掛けられた大型スクリーンからフルタチとヤマモトの姿が映し出されるのであった。
『第一会場ではマリン=バイス選手対ドラゴス=チュウニッチ選手の試合が行われているのですが、
一方第二会場の方でも、出場選手が到着した模様ですよヤマモトさん!』
『そうですね〜!高機動型デスザウラーですか〜!これは良い試合が出来そうですね〜!』
「試合?」
ルナリスは突然の事にワケの分からないと言った様子となっており、同時に拍子抜けしていたが、
その時、大型スクリーンからカンウと強化型デカルトドラゴンの試合が映し出されていたのだった。
「マリン!!」
「どうだ?ゾイキュアの黒いの。白の方は第一会場でドラゴスの奴とゾイドバトル形式で戦っている。そしてお前はこの第二会場で俺達と戦うと言う寸法よ!」
「本当言うと、ふたりはゾイキュア対ズィーアームズ連合の団体戦がやりたかったんだが、ドラゴスがどうしても奴とは1対1で戦いたいと言う物だからな〜…。」
「何ぃ!!?ゾイドバトルゥ!!?ってゾイキュアっていい加減どういう意味か教えてくれ!!」
いきなりゾイドバトルをやれと言われてもルナリスにはやはりワケが分からなかったが、彼女を尻目にフルタチは選手紹介を始めるのであった。
『まずは挑戦者!!バッハードコンツェルンの社長令嬢でもあり、さらに第一会場で戦っている
マリン=バイス選手と共にふたりはゾイキュアをやっているルナリス=バッハード選手!!そしてその愛機は高機動型デスザウラー“ハーデス”です!!』
「ゼネバスの裏切り者は死ねぇぇ!!!」
「バッハードは帰れぇぇ!!!」
「バッハードコンツェルンなんぞクソ食らえだぁぁぁ!!!」
「こぉの○△×□野郎!!」
やはりルナリスに対しても、マリンの時と同様に観客からブーイングの嵐が飛び交っていた。
『それにしてもヤマモトさん!マリン選手もさる事ですが、ルナリス選手に浴びせられるブーイングもかなりの物ですねぇ。』
『それは仕方が無いでしょう。彼女の実家はマリン選手の実家とは違う意味で恨まれているのですから…。』
それも無理の無い話である。ルナリスやその祖父であるルーガスは確かに観客席を埋め尽くす観客達
同様にゼネバス人である。が、ルーガスの創設したバッハードコンツェルンはズィーアームズ社に
協力するどころか、逆に敵対する形を取っており、あろう事か今だに多くのゼネバス人がひそかに
憎み続けているヘリック共和国の財界においても大きな影響力を持つ存在となっていたのだ。
会社として敵対すると言うのはやはり経営とか商売とかの問題で仕方が無いかもしれないが、
共和国財界において強い影響力を持ち、かつ重要な存在となっていると言う事実は多くの
ゼネバス人達にとって我慢なら無い物であり、故にバッハードコンツェルンは憎まれていたのだ。
『続いて、ディフェンディングチャンピオンの紹介です!!第一会場において戦っている
ドラゴス選手同様に、ズィーアームズのスーパーヒーローと呼ばれ、三位一体のコンビネーションを
得意とする黒い三銃士こと、ゴイア選手、アルテガ選手、モッシュ選手です!!愛機は漆黒のカラーリングを施された強化型エナジーライガーです!!』
「きゃぁぁぁ!!!黒い三銃士ぃぃ!!!」
「頑張ってぇぇぇ!!!」
「ゴイア様ぁぁぁ!!!」
ルナリスの時とは打って代わり、黒い三銃士には観客から熱い声援が送られており、黒い三銃士の
3人は観客の声援に応え、漆黒エナジーライガーのコックピットから出て手を振っていた。
『いや〜ヤマモトさん!歳を取っているとは言え、黒い三銃士の人気は衰えませんね〜!』
『確かにそうですね。特に彼等には歳を取ったが上の魅力と言う物もあるのでしょう。現に彼等は年輩女性層にも人気があるらしいですよ。』
『まさにマダムキラーですね!』
フルタチとヤマモトはそれぞれそのような事を言い合っていたが、黒い三銃士への声援とルナリスへの罵倒はまだまだ続いていた。
>>◆.X9.4WzziA さん
お疲れ様です。第二話もがんばってください。
主人公が不合格って言うのはやはりその力を恐れられたからと言う事だったのですね?
ジェノブレイカーもかなり速く強く描写されていましたし、次にはいったいどんな戦いが
待っているのでしょうか?彼は晴れてウォーリアになれるのでしょうか?
>>恐怖の亀裂作者さん
火柱って・・・ウルトラザウルスもうやられました?
そのウルトラザウルスも尻尾を虚?にできたのですからもしかしたらやられたのも虚だったとか?
ジョークの交えられ方もなかなかよかったです。
>>Innocent World2の作者さん
アレックスさんスゲェェェ!!!何か自分の話に出て来たルーガスを髣髴とさせてくれます。
(丁度今日の書き込み分に彼についての話が少し出てきましたし・・・・)
タシロさんの店もまだ存続してますし、リニアさんも凄い人になってますし・・・
黒いフューラーはもしかしてセディール(でしたっけ?リニアの兄)が使っていた奴の再利用ですか?
>2年の間に人は変わるものだ…w
まあ確かにそういう事はいえますよね。自分もそういうの描いてますし。
自分がかつて書いていた前作シリーズであるマオも似たような、いやもっと極端な変わり方してます。
最初は弱虫泣き虫ないじめられっ子だったのが真面目に強くなろうと努力し始めた途端に
後々敵から悪魔呼ばわりされる程の人になりましたし。
あと、本編では書く事はありませんでしたが、戦後、母親になった彼女は
これまた今度は「子離れの出来ない超親馬鹿」に変貌していたと言う事になっています。
彼女自身孤児院育ちで親の愛を知らずに育ったので、その反動がこんな所に来たのです。
子供にとっては迷惑千万でしたが・・・。まあ料理や格闘技教える時は厳しい人なのですけどね。
とか色々懐かしい話に浸っていたら、久々に書きたくなったな〜・・・
余裕があるならいつか書いてみたいと思っています。戦後の彼女が過去を振り返る話とか
「あのフューラーは…じゃあ、俺達を助けてくれたのは、君…じゃなくて」
リニアは彼が何と呼べばいいのか迷っているらしいことに気付いた。そんな事を気にする余裕があるのも今のうちだが…。
「リニアでいい。まあ、『さん』くらいつけてもらっても良いが?」
「なっ…冗談! こっちこそ、話が本当が確かめさせてもらうぜ!」
二人がゾイドに乗り込む。リニアが戦場に選んだのは、近郊の荒野。
〔…歳からしてあの娘も能力者か…だが、俺の“ビューティフル・ドリーマー”と光学迷彩を同時に見破るなんて事は不可能だ〕
オリバーは円卓の騎士に敗れたとは言え、いまだ自分の技術には相当の自信を持っていた。確かに、彼は「並みのゾイド乗り」に
負けることは本来ありえない。
風が吹き、赤土色の砂が煙となって舞う荒野。そこに二体のゾイドが立つ。
間隔は1000mあるかどうか。闘技場のゾイドバトルならいざ知らずも、実戦においてはあまりに狭い間隔だ。
「さて、お前に先制攻撃のチャンスを与えてやろうか」
余裕たっぷりにリニアが両手を広げ、オリバーを挑発する。
「ちッ…後で後悔するなよ!?」
そう叫ぶと、白いイクスが発動の光を放つ。アーサーとの戦いで破壊されたパーツは奇跡的に修復され、元通りの機動力で
黒いフューラーに迫る。と、その機体が幾重にも残像を生み出した。
「俺の能力“ビューティフル・ドリーマー”は、超高機動での残像によって敵を翻弄する能力!
まずこの一撃にどう対処するか見せてもらおうかッ!」
黒いフューラーは9枚の翼を背負った威容で、微動だにせず突進してくるオリバーを睨んでいる。そのコックピットに居る
リニアもまた、左右に機体を揺らして巧みに残像を残しながら迫り来る白い機体を見ていた。
「まさか、それが全力じゃないだろうな?」
黒い翼の一基が動いた。その先から光の刃が現れ、無数の残像と共に飛び込んでくる「本体」へと正確に向けられる。
ビームブレードが閃く。一瞬の軌跡――その一撃で、イクスが振り下ろしたレーザークローを弾いた。
「…俺の技を、簡単に弾いた!?」
「これは、円卓の騎士に勝てるはずも無いな」
右翼のブースターが火を噴き、黒い機体が噴射の勢いで回転する。超高速の回し蹴りがまともにイクスを直撃した。
「くぅぅッ!!」
コックピットにも凄まじい衝撃が掛かり、数百mも吹っ飛ばされる機体。何とか受身の態勢をとろうとするも、
速度が速すぎて着地のバランスが取れず、イクスは派手な砂煙を上げて赤茶けた大地を転がった。
「お前、やる気があるのなら小手調べなどと言ってないで…本気で来い」
リニアのフューラーは、回し蹴りの軸足も考えれば戦闘開始から一歩たりとも動いていない。
さらに、先程ビームブレードで一気にとどめを刺すことも可能だった。
「…本気でなけりゃあ、動く必要も無いってか…良いぜ、アンタが本物だって事は解った。だが!
どんな力があろうと…人間である事に変わりは無い!」
オリバーの機体が徐々にその姿を消していく。光学迷彩を起動したのだ。
「肉眼でもレーダーでも捉えられないコイツなら…!」
姿を消し、足跡も荒野を舞う砂が隠してくれる。完璧なステルスアタック。
それを見たリニアは、背部ブースター上部から放射線状に何かを撃ち出した。
「…ミサイルか? イクスの隠密性を追い切れるミサイルなんて、そうは無…」
オリバーの独り言はそこで途切れた。チャージも無しに、突如リニアが荷電粒子砲を放ったからだ。
「――ぉあッ!!?」
間一髪で巨大な射線をかわすオリバー。何故自分の位置が解ったのか――そんな疑問を考える暇も無く、被弾の衝撃が機体を襲う。
〔何だ? ヤツは何もしていないのに、四方からビームが飛んできやがる!!?〕
光学迷彩を解除し、残像を残しながら絡み合う射線を必死に避け続けるオリバー。数秒後には彼も、自機の周囲を飛び回る
何かの存在に気付いていた。
「『ビーム砲』が…飛んでいる!?」
再び、唐突に荷電粒子砲が彼を襲う。飛んで避けた空中で、周囲を飛ぶビーム砲がその回りを囲った。
――しまった! 完全に退路を断たれた…!!
蜘蛛の巣のように無数のビームが集束する。一発ごとの威力は大した事無いものの、それらの一斉掃射は
装甲の薄いイクスをフリーズさせるのに充分な攻撃力を持っていた。
動かない機体。その前に、見下ろすように黒いフューラーが立つ。
「…やはりお前は、弱いな」
すごく「詰まった」生活を送ってるな、と自嘲的な気分になるこんな日は…
>>恐怖の亀裂作者氏
毒されてるという表現はいかがな物かとw
リニアという名前は知る限り三つほどのゲームに登場しますが、アレックスと○ミスさんのヘタレコンビは知りませんね…
ウルトラは死んで…ないですよね。
>>鉄獣28号氏
そうです、バーサークフューラー・シャドーエッジ(セディール専用機)。
妹が鬼子であった兄の機体を使うまでの経緯は後に説明がある(?)として。
マオさんは何と無くキャラ的にも親馬鹿化しそうな感じでしたので、過去話ちょっと見たい気も。
鉄獣28号さんへ
今回のネタには〇〇ンが〇ノ〇伝(アニメ)等結構練り込んだ記憶が有るので露骨な物も有りましたが…。
>「ゴイア様ぁぁぁ!!!」がつぼにはまりました。あんた等!輝いてるぜ!みたいな感じで。
Innocent World2の作者さんへ
ヘタレコンビはTHE ビo〇オーの主人公ロジャー=スミ〇さんと敵役の大ボスのアレックス=〇ーズ〇ォーターさんの2人組。
あんた等シリーズ通して赤っ恥掻いただけじゃん!と一部の方から強烈な突っ込みを受けたアニメ作品です。
しかしリニアさんは2年の間に強く逞しく成られたようで。しかもあの店に居たとは…。
強さが…鬼レベルになってますし。
少しして何の前触れ無く火柱が消える。すると今度はベルゼンラーヴェ周辺の足元の温度が急上昇する。
「うわっ!?あちちちち〜っ!」アーバレストでその場を緊急離脱する。新しく現れる巨大な火柱。背に火柱を背負って現れる巨大なウルトラザウルス。
「…謎解きの時間でありますか?」「そうだよ!ヘイスティング君!」〇ャーロック=〇ームズとエ〇キュー〇=〇〇ロが混じった変な文句でベルウッドが宣言する。
「余は…。」「ガルルルルッ!!!」エントヴァイエンが話に割って入ろうとするのをベルウッドは阻止する。「何もそこまで…。」強烈な”部外者は話に関わるな!”的な行動に黙る。
「さて…あちちちち!この忌々しい神出鬼没の規格外ウルトラザウルスだが…?」勿体ぶってベルウッドは言う。「それで?ベルウッドさん?」勝手に役割を決められたので口を挟めないファイン。
「二三おかしい所が有る。解るかね?」そこまでやって答えをこっちに振るか?とファインは微妙な顔をする。
「ご…ごほん!いやいや悪い!」もう何処の誰だかさっぱりになって来て居る。無理して形から入るからだ。「まあ良い。とにかくあの姿自体は存在して居る。」
少し間を置いて何かを喋ろうとするがソルピラーが飛んで来るので回避しながらとなり舌を噛まないようにしていて見ている方は面白い。
「奴の姿は偽りであり全身をカバーする程の質量は無い!そして!尾を掴んだ時と尾に連続で叩き付けられた時!良く見ればサイズとその行動が当て嵌まらんのだ!」
凄い洞察力だ。結構見落としたりする事である。「まあ映像で見せよう…。」その映像には明らかに有り得ない位置にめり込むウルトラザウルスの尾が映っていた。
「流石は迷探偵!いよっ!決まってるね!」ファインはそれとなく嫌味を言ってみるが「良きにはからえ!」気にしていない。相当上機嫌だ。怒ってばかりだからちょっと嬉しいのだろう。
まあ機嫌をとれたのは良いが根本的な問題は解決していない。結局は背中のごつい何かを引き抜かない限りは何時までもここで立ち往生だ。エントヴァイエンは動き出すと此方を狙ってくるだろう。
さっさと何とかしないと成らない。しかし背中は…「見事な火の海でありますねぇ〜。」正直な発言。まあ火を付けたのは彼等なのでしょうがない。
「所で…主よ?お主忍術の印を知って居るか?」突然そんな事を聞いてくる。
「これまた無茶な事を言うのでありますね?それで何をでありますか?」一応聞いてみる。「水遁だ。」
またしても無茶な事を言う。一応使えるか如何か確かなのか如何かは不明だがメイドインアースの映画の奴なら有名なので知っている。
「…これで良いので?」「うむ…映画も馬鹿にできんな。」如何やら使えるらしい。
しかしここには水が無い筈だが如何使うのだろう?熱さと太陽光線兵器を必死に避けながらベルウッドに聞いてみる。「こうする!」
突然自分の頬を抓るベルウッド。次第に無意識の反応で涙が目に浮かぶ。「準備良しだ!やれい!」「へい親分!戌・午・辰・子…。」
物凄く面倒な印を手で組んでいく…「水遁!天の御柱!」しかし残念な事に相手のサイズが違いすぎる。水柱はウルトラザウルスの腹部を濡らしただけだった。
「依代が少な過ぎでありますね…。」そんな感想をぽつりと言うファイン。「うつけ!もう一度だ!今度は水も有る!どでかいのを打ちかましてやれ!」
「はいはい…巳・亥・卯…。」今度はかなり長い。しかしそんな物を覚えているファインもかなりのお馬鹿さんな事は間違えようは無い。「覚えてるのか…。」エントヴァイエンは壁に埋まったまま感心する。
「…辰!水遁!爆水波っ!!!」空中に現れた一滴の水が破裂する。それは有り得ない量に増大して穴の1/8を沈める水量を発生させて燃え盛るウルトラザウルスに降り注ぐ。滝の様な豪雨に付いた炎は瞬く間に消え去る。
カラミティシャドウの炎は水神の炎。消えるのは一際速い。迅速に相手を燃やし素早く消える。これがカラミティシャドウの特徴だ。
「ずぶ濡れか…しかしこれこそ”年寄りに冷や水”の亜種か?」エントヴァイエンは誰も聞いて居ない様な事を口走っている。それは加速度的に向こうの世界へ逝きそうな勢いなので全力で無視する事にするファイン達。
「背中のそれを頂きましょうか!」一気に距離を詰めて背に跳び移るベルゼンラーヴェ。今度は擦り抜けてしまう。「今度はそれかい!」派手な水柱を上げて沈むベルゼンラーヴェ。あっと言う間に底に着き足を付く。
その目の前には降って湧いた水に因り格段の機動性向上を果たしたウルトラザウルスが目の前に居る。「…何か勘違いをしてるらしいでありますね。」ウルトラザウルスを見てファインは笑う。
逆にベルウッドは無言でウルトラザウルスを睨んでいた。
「畜生…何だってんだよぉ!!!」
なおも鳴りやまぬ罵倒の嵐に、ルナリスは怒りに任せ、ハーデスの爪を床に思い切り叩きつけていた。
そして、さらに何度も壁や床を殴りつけるハーデスの姿を見た黒い三銃士は笑っていたのだ。
「ふっふっふ…流石にこれだけ周りから罵倒されればショックを受けて当然だよなぁ…。」
と、その時だった。ハーデスの手が止まり、ルナリスはキッとタカのような鋭い目つきで黒い三銃士を睨み付けたのだ。
「ああ?お前等何か勘違いして無いかぁ?私がいつショックを受けたってぇ?」
「え?今壁や床に八つ当たりしてたのって…観客から罵倒されショックで…じゃ無いの?」
ルナリスに対し拍子抜けしたアルテガがその様な事を言った時、ハーデスは一歩前に踏み出し、ルナリスは言ったのだった。
「元不良を舐めるなよ!!こちとら罵倒されてるのは慣れてるんだよ!!罵倒が怖くて不良やってられるかよ!!」
「えええええええええ!!!!!?」
黒い三銃士の三人は心の底からビビっていた。しかもしっかりとガビーンと言う効果音まで流れていたのだ。
「じゃ…じゃあ…じゃあ…お前は何でさっき壁とか床とか殴りつけていたんだ…?」
「そりゃ決まってるだろうがぁ!!!!ふたりはゾイキュアってみんなにしょっちゅう言われるけどそれは一体どういう意味じゃぁぁぁぁぁ!!!!」
ルナリスはさらにもの凄い形相となり、ハーデスはまたも壁や床を殴りつけ始めるのであった。その時ハーデスから発せられる気迫に黒い三銃士は恐怖していた。
「誰か教えてくれぇ!!ゾイキュアってどういう意味じゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
ルナリスはなおも血涙を流しながら叫び続けていたが、やはり例によって誰1人として彼女にゾイキュアの意味を教える者はいなかった。
『と言うワケで!!第二会場の試合開始のゴングです!!』
カーン!!
第二会場においても、観客を保護する為の不可視電磁シールドがバトルフィールド外周に展開される
と同時に有無を言わせずに試合が開始されてしまい、黒い三銃士の漆黒エナジーライガーは一列に並んだ状態でハーデスへ向かって駆けたのだった。
「行くぞ!!トリプルコンビネーションアタックだ!!」
「だからゾイキュアの意味教えろぉぉぉぉ!!!!」
一方第一会場では強化型デカルトドラゴンがカンウを圧倒していた。
「オラオラ!!どしたどした!!」
強化型デカルトはカンウへ迫りながらその前足の爪を叩き込もうとし、カンウは両腕でどうにかガードしつつ、後ろに一歩一歩下がりながら避けていたのだ。
「行け行けドラゴスゥ!!緑の悪魔をぶっ殺せぇぇ!!」
「キャードラゴスカッコイイ!!」
「そこだ!!行け!もう少し!!」
観客達はなおもドラゴスへ声援を送り、マリンに対してうるさい程のブーイングを浴びせていた。
『それにしてもマリン選手への観客のブーイングは本当に凄いですね〜。ヤマモトさん!』
『そりゃそうですよ。緑の悪魔は共和国の人間にとっては英雄ですが、ここの観客の大部分を占める
ゼネバス人にとっては悪魔その物ですからね。ブーイングしない方がおかしいでしょう…。』
実況解説のフルタチとヤマモトは冷静にそのような検証を行っていたが、マリンにはなおも観客のブーイングが浴びせられていた。
「ったくぅ!!勝手な事言っちゃってぇぇ!!」
カンウは強化型デカルトへ手を伸ばした。が、しかし、強化型デカルトは素早く飛び退いてそれをかわしたのだ。
「ふっふっふ…流石に組まれれば危ないからな…。」
「何を!!」
カンウは素早く跳びかかった。どんな高速ゾイドでも回避は難しいと思われる程の速攻。しかし、それすらも強化型デカルトは容易くかわしていたのだ。
「次はこっちから行くぞ!エレクトリックディスチャージャー!!」
先程のカンウの突撃をかわした強化型デカルトはそのまま飛び退きながら胸部のエレクトリック
ディスチャージャーを放射した。デスレイザーの時とは…、嫌、マリンとルナリスが以前戦った
通常のデカルトドラゴンのエレクトリックディスチャージャーと比べても比較にならぬ程の高圧電流であったのだ。
「どうだぁ!!しかも今回はアース代わりになる様な物は無いぞぉ!!?」
「くぅ!!!」
確かにドラゴスの言った通りであった。以前の戦いではこのような一面金属の壁と不可視電磁
シールド被われたバトルフィールドでは無く、土や砂の存在する荒野で行われたのである。
その際、マリンはその土や砂を利用し、カンウの尾のテイルスタビライザーを地面に突き刺して
アース代わりにすることで、エレクトリックディスチャージャーの電撃を無効化させていたが、
壁も床も金属であるここではそれは不可能な話であった。しかもエレクトリックディスチャージャー
電撃系の武装である分、相手が金属である限り装甲の強度に関係無くダメージを与える事が出来、
その高圧電流によって装甲の分子結合そのものを砕いてしまう可能性があり、装甲が耐えたとしても
内部回路のショートやパイロットそのものの感電死と言う危険性も容易に考えられる物だった。
「そのまま感電して曾婆さんの所へ逝けぇぇぇ!!!」
「まだまだぁぁ!!!!」
エレクトリックディスチャージャーの超高電圧ビームがカンウへ直撃すると思われたその時だった。
突如カンウの周囲の空間に歪みが生じたと思われた時、その超高電圧ビームがその空間の歪みに
弾かれたのである。それはまさしく意外と使用頻度の低め(?)なハイパーEシールドであった。
「く!!それがあったか!!」
「私とカンウを侮りすぎだよおじさん!」
「おじさん言うなぁ!!俺はまだ20代なんだぞぉ!!!」
今度は強化型デカルトがカンウへ向かって跳びかかっていた。が、カンウはその突撃を横っ飛びに
よってかわし、素早く側面を取った後にMBユニットの超高密度ビームを放射したのだ。
「これならどよ!!ってうわ!!」
マリンは思わず声を上げていた。なんと強化型デカルトの全身を覆う多面体装甲が超高密度ビームの
高エネルギー波すらも屈折させ、ほとんどダメージを受けていなかったのだ。しかも、屈折させられ
たエネルギー波はそのままバトルフィールドの外周を覆う不可視電磁シールドに阻まれて消滅してしまった。
「ジーザス…。」
「フッフッフッ!強化型デカルトを舐めるなよ…。」
『これは一体どういう事なのでしょうか?ヤマモトさん?』
『それはですね。ドラゴス選手の強化型デカルトドラゴンはただ、尾や首を長くし、さらにコア
ブロックの数を増やして出力を上げただけの機体では無く、装甲に関しても強化が行われている
ワケです。もちろんただ装甲を固くするだけでは無く、デカルトの特長とも言える多面体装甲の
角張やトゲトゲなどもより鋭くされているようです。だからこそカンウのビーム砲を屈折させて
ダメージを最小限に食い止める事が出来たのでしょうし、同時に鋭く研ぎ澄まされた多面体装甲は防御だけで無く、全身凶器として攻撃にも使えると思われます。』
「説明ご苦労さんよヤマモトのおっさん!!確かにご名答だ!!しかし、それだけじゃねぇぜ!!
強化型デカルトの装甲にはビーム兵器を弾く為の耐熱強化コーティングを施してあるんだ!!
言っておくが緑の悪魔ぁ!!貴様の吐く炎ももう効かねーからなぁ!!!」
「えええ!!?」
強化型デカルトはただ出力が強化されただけ物では無く、伊達にドラゴスも学習して無いと言わん
ばかりにビーム兵器に対する防御力強化はおろか、ギガファイヤーに対する対策も施されていたのだ。
「そ…そんなの口から出任せでしょうが!!ならば直接受けて見なさいよ!!超灼熱火炎放射砲!!ギガファイヤァァァァ!!!!」
マリンはうろたえながらもギガファイヤーの放射ボタンを押し、カンウの口から数千度と言う灼熱の火炎が放たれるのであった。
『おおおおっと!!カンウが火を吐いたぁぁぁ!!!!』
『火を吐く事もカンウの特長ですからね。その昔の大戦時代に活躍した数々のギガの中でも、
火炎放射砲を搭載したのは緑の悪魔であるカンウのみですからね。』
『ではヤマモトさん!やはりあのカンウは本当にその昔の大戦時代に活躍した緑の悪魔が搭乗したカンウ自身と言う事になりますね?』
『そうですね。しかし、ゾイドにも寿命という物がありますから、あのカンウが何故100年経った今でも普通に稼働できているのかはさっぱり分かりません。』
>>恐怖の亀裂作者さん
探偵ネタキタァァァァァ!!!
その存在はあるのだけど、質量がそれに追いついていないウルトラザウルスと言う事は
半分立体映像みたいな物なのでしょうか?それとも霊的な物・・・?
>>Innocent World2作者さん
リニアさん反能力使ってなくても強!!
しかし、フューラーのフ○ン○ルもどきの変則的な攻撃も始めて見る人にとっては
さすがに戸惑いますよね。オリバーは果たして合格なるのでしょうか?
>過去話ちょっと見たい気も。
これはまだしばらく後になると思います。
「くっ、機能停止したくらいで!」
「戦場において、機能停止はそのまま死を意味する――もっとも、こんな戦い方をしているようでは
本当の『死』に直面した事がないのだろうが…」
イクスのコンバットシステムが回復した。リニアはそれを見て取ると、わざわざ間合いを取る。
「アレが最強の一手ではないのだろう? …避けないでいてやるから、全霊の一撃を見せてみろ」
二度目となる挑発。だが、オリバーは彼女が決して自分を過小評価しているのではない事に気付いた。
十数秒の動きを見ただけで、その者の力量を見極める洞察力。リニアはあくまでも偏りなく、オリバーの実力を測っている。
――遥かな高みから。
「…そうだな…俺は生憎、『死』を意識するような時はいつも相棒が助けてくれてた」
イクスが立ち上がり、その姿がかき消すように見えなくなる。
「だが、決して一度もそんな状況が無かった訳じゃあない…ジークフリート、アーサーとの戦い…
…それに、2年前セディールが暴れた時」
セディールの名を聞いたリニアが微かに震えたことにも気付かず、オリバーはドラムコンデンサーの発電量を最大まで引き上げた。
「そんな時でも、俺は生き延びた…誰かの助けを借りて。だが、最も大事な時に生き残るには…自分自身が
強くなければいけないと、気付いた!」
イクスが飛ぶ。姿を消しながらも残像だけを残し、その居場所は完全に解らない。
“ビューティフル・ドリーマー”の残像は、オリバーの意思によって一定時間その場に残す事が出来る。もちろん
それにはより多くの体力と精神力を消耗するが、残像の森と化した荒野で本物を見つけることは――光学迷彩で姿を消した
本体を見つけ出す事など、不可能といっても良い。
事実、リニアは数秒間の間完全にオリバーを見失っていた。上空からビームを雨のように降らせてみるが、残像をすり抜けるだけで
手ごたえが無い。気配を読もうにも、残像に残る微かな波動が邪魔をして読み切れない。
「…私にこの力を使わせるとは、正直予想外の健闘だ」
リニアが目を閉じる。一瞬の後、その機体を中心に同心円状の光輪が広がっていく。
その輪は無数の残像をかき消しながら拡大し、リニアの周囲から全ての残像が消えた
「な…!?」
オリバーは確かに、全力を持って残像を留めていた。力が切れた感触ではない――それに、ひどい頭痛がする。
とっさに能力を解く。――どっちにしろ、この距離で避けられる訳が無い。
黒い機体の背後に回り、彼はスタンブレードに電力を集中させた。
「俺の勝ちだ…ッ!」
残像を消したリニアが気配を読んで振り返ると、今しも光学迷彩を解き、スタンブレードで斬りかかろうとしているイクスが
視界いっぱいに広がった。だが、背後から放たれる超高速の一撃でさえも、彼女を仕留めるには遅過ぎた。
「…しかしやはり、能力に頼り過ぎている」
これで王手とすべく、ビームブレードがイクスの喉元を狙う。崩れ落ちるかと思われた機体――しかしイクスは爪でビームブレードを
根元から弾き飛ばすと、錐揉み回転しながらスタンブレードで斬りつけた。
「…まさか、私に一発当てるとは」
衝撃に揺られながらリニアが呟く。その顔が面白がるように笑い、9枚の翼すべてから光刃が伸びた。
「お前の実力はよーくわかった――チェックメイトだ…」
と、一瞬前とは違う衝撃がリニアを襲う。モニターをチェックすると、側面で爆発と共に吹っ飛んでいくイクスが見えた。
「まさか…スタンブレードでの斬撃と同時に、エレクトロンドライバーの零距離射撃だと!?」
「どうだ、これが正真正銘――俺の最強必殺技“残影斬(シャドーミラージュ)”だ!
コイツを喰らって、ただで済むなんて思わない方が、い…」
リニアは何もしていない――にもかかわらず、オリバーの機体はそのまま倒れ伏した。それはパイロットとゾイドが限界まで
力を引き出したが為の事であり、もはや完璧に彼らは動けない。
「…何と言う奴だ、あれほどの実力差を見せられてなお『勝つ』つもりだったとは…」
最初の一撃で電力を大きく削がれていた為、エレクトロンドライバーの威力は半分以下に落ちていた。だが、最大出力であったなら
リニアが無事で居たかどうかはわからない。
4度目の敗北を喫したオリバー。その機体を抱え、黒いフューラーは飛び立つ。
「オリバーとか言っていたな…お前は弱い――だが、面白い。『テスト』は合格だ」
既に日は沈み、星の見え始めた空をリニアは飛んで行った。
「――少年は力を求め、“天使”に教えを求める。一方で動き出す影、そして地の底へと赴く友。
次回『奪われた力・前編』――強さの秘密、手に入れろ、オリバー!」
↑
冗談で次回予告…
>>恐怖の亀裂作者氏
またも知らない作品が…
リニアは鬼というか、兄が“堕天使”だったので妹は“天使”にしようと。
まあ「天使の様に強い」ってのもしっくりこないのは事実。
>>鉄獣28号氏
弱点を克服したデカルトにどう立ち向かうのかが見所ですかね。
関係ないですが、VS3のデカルトはエレクトリックディスチャージャーが使えなくて_| ̄|○
…フoン○ルもどきはNTでなくても避けられるようにしないと一撃必殺の武器に…
鉄獣28号さんへ
何と逃げ場無し!エレクトリックディスチャージャー!でも…確かレイズタイガーは集光パネルで吸収していたような気が?(DVDレイズタイガー登場編)
でも威力が強すぎれば吸収し損ねた分がダメージになるので問題無いですね。
しかも攻撃も上手く効かないみたいですし。
Innocent World2の作者さんへ
東端だったのですかあの作品_| ̄|○それじゃあ解る筈無いですよね…。有線系の放送が見れなければ東端でなくても見れませんし。
でも漢字が違うような気も?
〇ァ〇ネ〇もどき…そこで〇ンバレルとかドラグーンとか言ってみたり…意味は変わりませんがちと弱いです。
そんなこんなしている頃各人はそれぞれ行動を開始している。
ーレクス&エルザの場合ー
「何か…非常に長い時間寝ていたような気が…って何故!あんたが横にいる!しかも寝てるし!」
如何やってコクピットのキャノピーを開けたかはこの際如何こう言っても無駄だろう。しかし問題は何故わざわざここまで来て寝ているかだ。
因みに…彼女の機体は自動操縦で元気よく確実一方的に襲撃者を排除していたらしく道が塞がる程の高さまで何か色々な者が死屍累々を晒している。
グロウエイムは巧みにカイザーザウルスへの変形も行い戦闘を続けている。その様子は…「この人が乗ってない方が強い気が?」
アホ毛丸出しで寝ているエルザを不本意だが叩き起こし機体に戻るように促すレクス。
「う〜〜…グルグルまわ〜るグ〜ルグルまわ〜る。ふらふらな振りしてア・ナ・タ・の胸にとびこみ〜た〜い!」
寝起きも確り電波だったと言う…。
ー第五層の場合ー
「そろそろ逝くか!」レミントンの気合いの入った声に「言葉を〜間違えてぇ〜いますよぉ〜?」ゆったりとした声で速攻の突っ込みをルディアは行う。
「そうか…。」でも直に気を取り直して出撃の命令を出す。「お世話になりました。今度合う時は戦場でもこんなおかしな状況でない事を祈りますよ。」
レミントンはサーベラスにそう言うと機体を出発させる。「全機微速前進!警戒を怠るなよ!注意一秒怪我一生だ!」当り前の事を言いながら部隊は前進を始める。
「さて…今度はどんな奴がこの機体の錆になる事か。」クロームは機体のブレード類を見ながら呟く。気分は爽快と言った感じだ。
対照的に「今回って…乗り換えばっかりで辛いのですけど。少佐?如何にか成りませんか?」シュミットは溜息一杯でルディアに言う。「それはぁ〜運命とぉ〜言う奴ですぅ〜。諦めてぇ〜下さい〜。」
「そうですか…了解。」ニードルガッシュを上手く操りながらシュミットは黙った。心の中では…「中尉みたいに進んで違うコンセプトの機体に乗る癖を付けて置くべきだった。はぁ…。」
幸せは遠そうなシュミットを他所に部隊は第6層に侵攻する。異質な気配が漂うそこに踏み込む部隊に忍び寄る敵影。
しかしそれは何かに掴まれ振り回されている。隠れデスザウラーのナイトウォーカーの襲撃。「楽勝楽勝。」リディアは少しサドの気があるらしい…。
フルタチとヤマモトがそのように実況解説している間に、すでにギガファイヤーの灼熱火炎は
強化型デカルトドラゴンに襲いかかっていた。マリンが以前ドラゴスと戦った時、彼の乗る
デスレイザーの装甲を一瞬にして溶かし、黒こげにした強力な火炎放射である。が、にも関わらず
強化型デカルトは全く回避しようとせず、それを真っ向から受けたのだ。無論強化型デカルトはたちまち炎に包まれる。
「あ〜あ〜…言わんこっちゃ無い…。」
炎に包まれる強化型デカルトの姿を見つめながら、マリンは困った顔をしており、観客席も大騒ぎとなっていた。
「キャァァァ!!ドラゴスがぁぁ!!」
「負けたぁぁぁ!!!」
「何でぇぇぇ!!!!」
ドラゴスを大いに応援していた観客達は悲しみに暮れ、中には泡を吹いて気絶する者すら現れる始末であった。が…
「オイオイ…だから炎は効かねーって言っただろ?」
「!!!!!!!!?」
その時皆は絶句した。なんと炎の中から何事も無かったかのように強化型デカルトが出てきたのだ。
しかも、その装甲は溶けるどころか、小さい焦げ目すらも全く見受けられなかった。
『凄い!!真に凄い!!強化型デカルトが炎に強いのはただのハッタリでは無かったぁぁ!!』
「そ…そんな〜…。」
「次はこっちから行かせてもらうぜぇ!!!」
反撃とばかりに跳びかかった強化型デカルトはその圧倒的なパワーでカンウを蹴り飛ばしていた。
一方その頃、第二会場にてルナリス対黒い三銃士の試合が続けられていた。
「どうしたどうしたよ!!!嬢ちゃんの力はそんな物じゃねぇだろう!!!?」
「ったくウザッてぇんだよおっさん3人集まってむさ苦しいったらありゃしねぇ!!」
漆黒エナジーライガーの性能もさることながら、それを操る黒い三銃士の操縦技術とその巧みな
コンビネーション、流石のルナリスとハーデスも苦戦を強いられていた。どうにかブースター噴射に
よる回避を続けていたが、反撃に転じる事が出来なかったのだ。
「ったく私はこんな所で遊んでるヒマは無いっつーのに!!」
ハーデスは頭部や腹部に装備されたビーム砲を連射するが、それも漆黒エナジーライガーには当たらず、逆に重レーザークローによるカウンターを受けてしまった。
「ハッハッハッ!どうした?やっぱり白とのコンビネーションが無いとダメかぁ?ゾイキュアの黒よ!」
「だからゾイキュアってどういう意味じゃぁぁぁ!!!」
ルナリスの怒りが込められたハーデスの速攻の指拳突きがゴイアの漆黒エナジーライガーを襲うが
空しく床を引き裂くだけで漆黒エナジーライガーには当たることは無かった。
「くそ!!」
ハーデスはそのまま素早く右腕を軸にする形で回し蹴りを放った。しかしそれもかわされた。
そして漆黒エナジーライガーは一度距離を取り、一列に並んでトリプルコンビネーションアタックで突っ込んできたのだ。
「またそれかぁ!!!」
真っ直ぐに突っ込んでくる黒い三銃士に対し、ハーデスは3機まとめて吹き飛ばそうと右腕を
振り上げた。しかし、3機はハーデスへ接近した直後に方向を変え、そのまますれ違うように過ぎ
去り、ハーデスが急いで反転した時には、またもすれ違うようにハーデスの背後に回り込んでいたのだ。
「な!!速い!!?」
ルナリスとてエナジーライガーがライガーゼロの倍の機動力を持つ事は知っていた。しかし、目の前
の漆黒エナジーライガーは多少強化してある事や黒い三銃士自身の操縦技術を踏まえて考えた上でも、彼女の想像以上の機動力を持っていたのだ。
「伊達に3機が一列に並んでるワケじゃねえぜ…。」
『ヤマモトさん?これは一体どういう事でしょうか?』
『これはスリップストリーム現象を利用しているんですね。』
『スリップストリーム?』
黒い三銃士の漆黒エナジーライガーの機動力が高い理由はスリップストリーム現象にあった。
アルテガ機とモッシュ機の2機がゴイア機の後方に回って走った際、先頭のゴイア機が空気の抵抗を
真っ向から受ける為、後方のアルテガ機とモッシュ機はほぼ真空状態の中を走る事になる。
故に後方の2機の速度は増し、さらにその際2機に引き寄せられる事により、先頭のゴイア機も速度を上げるのである。
『と、こういうワケです!』
『なるほど…。そう言う事ですか!』
実況解説の2人が冷静にそう検証していた時、速度を上げに上げた漆黒エナジーライガー3機が
両前足の重レーザークローを輝かせながらハーデスへ向けて突撃を開始したのだ。
「これが真なるトリプルコンビネーションアタックだぁぁ!!!」
ハーデスの眼前にまで接近した直後、漆黒エナジーライガー3機は一斉に散開し、そのまますれ違い様にハーデスの各部に重レーザークローを叩き込んでいたのだ。
「くぅぅぅ!!!」
3機の一斉攻撃を受けたハーデスは大きく怯んでいた。漆黒エナジーライガーの重レーザークローは例え超重装甲と言えども無視できぬ威力があったのだ。
「どうだよ…。俺達のコンビネーションは…。」
「いきがるなよオッサン…。3対1で圧倒できても自慢にならんぞぉぉ!!!」
素早く体勢を立て直したハーデスは漆黒エナジーライガーへ向けて大きく口を開いた。そして口腔から30式荷電粒子光弾砲を連続発射したのだ。
『おおおおっと!!ハーデスの口腔から弾丸状の荷電粒子ビームが機関銃のように高速で連射されたぁぁぁ!!!』
『これは荷電粒子砲を“線”では無く、“弾”として発射する“30式荷電粒子光弾砲”ですね。
荷電粒子砲を弾として発射する事で、威力は低下しますが、エネルギー消費量の大幅削減と連射速度
の大幅向上が可能になるのです。まあ、威力が低下すると言っても、直撃を食らえば大抵のゾイドは致命傷でしょう。』
『ズィーアームズ社のデスザウラーにこういう装備を持ったデスザウラーはいません。と言う事は…?』
『ハイ!30式荷電粒子光弾砲はバッハードコンツェルンの独自技術です。また、ハーデス自身も
バッハードコンツェルン製デスザウラーですから、ズィーアームズ社のデスザウラーとはまた違った特性を持っている様ですね!』
ハーデスの口腔からはなおも弾丸状の荷電粒子が高速で連射されていた。しかし、黒い三銃士の漆黒
エナジーライガーはそれを巧みにかわし、荷電粒子弾丸は空しくバトルフィールド外周を覆う不可視電磁シールドに衝突して消滅するだけだった。
「な…なんだと…?」
「嬢ちゃんよぅ…俺達を舐めるなよ…。俺達だってお前等に負けて減某処分を下された事を機に、
特訓に特訓を重ねたんだ…。だから以前の俺達と同じと思ったら大間違いだぜ!!」
「く…。」
絶大な自身と共に気迫があふれている黒い三銃士にルナリスはうろたえていた。
第二会場でルナリスが黒い三銃士に苦戦していた頃、マリンもドラゴスの猛攻に苦戦していた。
「ハッハッハッ!!!どうだどうだぁ!!お前の攻撃はもう効かんぞぉ!!」
「きゃぁぁぁ!!!!」
ゾイドコアブロックの数を増やす事により出力をさらに増幅させた強化型デカルトドラゴンの
スピードやパワーはカンウを凌ぐ物があった。それだけでは無い。特に尾部の通常機に比べて
やや長くなったブレイクニードルテイルは、出力の増加と、長くなった分により絶大な破壊力を持っていたのだ。
「ビームもダメ…火もダメ…ならこれならどうよぉ!!!」
素早く飛び退いて距離を取ったカンウは頭部側面のミサイルランチャーと胸部側面の70ミリマシン
キャノンを強化型デカルトへ向け、それらを高速で連射したのだった。が、ドラゴスは顔色1つ変えてはいなかった。
「そんな武装でも当たれば地味に痛そうだからな…。」
強化型デカルトは体を器用にくねらせ、ミサイルやマシンキャノンの雨を巧みにかわしていた。
それどころか、一気にカンウへ接近し、懐に飛び込んだと思うと腹部へ頭突きを掛け、そのまま頭を上へ突き上げる形で吹っ飛ばしていたのだ。
「やったぜドラゴスぅ!!!」
「カッコイイ!!!」
「そのまま緑の悪魔へトドメを刺せぇ!!!」
カンウを圧倒する強化型デカルトの姿に観客達は興奮していた。そして熱い声援を送る観客達に応えて強化型デカルトは手を振っていたのだ。
「きゃぁぁぁ今こっちに手を振ったわぁぁ!!!」
「カッコイイ!!」
「やれやれぇ!!!」
観客達の興奮は激しさを増していた。が、その中にも1人だけは悲しげな目で試合を見守り続ける者がいた。それはリューコであった。
「(確かに試合はドラゴスさん優勢で進んでいます…。しかし…何か嫌な予感がするのは何故…?)」
>>恐怖の亀裂作者さん
懐かしい人々&ゾイドが出てきましたね〜。
その頃あの人達は?って所でしょうか?
>確かレイズタイガーは集光パネルで吸収していたような気が?(DVDレイズタイガー登場編)
確かにありましたね〜。しかし、あれはまだコロコロだけだったりして、
まだ不確定な要素にも思えるので、やりませんでした。
とりあえず「彼女は集光パネルが電気まで吸収できるとは思ってなかった。」
って事で勘弁して下さい。
>>Innocent World2作者さん
負けはしましたが、なんとか合格。オリバーさん大健闘って所でしょうか?
次は一体どんな特訓が彼を待っているのでしょうか?
鉄獣28号さんへ
スリップストリーム!生き物のように動く上に速度の速いエナジーライガーでそれをやるなんて!
三銃士凄いぞ!三銃士!
あとその時彼等は?はもう少し続きます。頭数が多いので…。
ーザクサル達の場合ー
「来たぞ!」何やら襲撃が始まったらしい。寄生体と異形。低級邪神の混成部隊。これで1時間に襲撃された回数は20回の大台に到った。
理由は簡単である。防衛側の戦力が強過ぎるのだ。「雑魚が。」ザクサルのディアボロスウイングは口で1体。両手に1体づつの3体の目標をあっさりと葬る。
そこから少し離れた場所では「デストロイドバンカー!!!」巨大な機体が更に大量の敵戦力を薙ぎ払っている。「おじさん!これで200機目だよ!」
喜んで居るイド。一緒になってボルクも無言のまま頷いている。「が〜はっはっはっは!まだまだこれからじゃわい!」魔獣大帝の声は周辺に響く。
獣魔宮殿デミウルゴス。5つの機体の融合体であり地神である魔獣大帝の体である。何と機体の中の5人は上手い事作業を分担して戦闘を熟している。恐るべき適応力でる。
操作が簡単なのが拍車を掛け何故かコーチ代りに同乗させられたローキスの驚く顔が終始戦場を見回していた…。「また来ます!21回目です!」
「おうっ!」戦場と言うよりは最早屠殺場と言った方が良い状況になっていた。
ーヴィゾールの剣の場合ー
「はっはっはっは…何もかもがゴミの様だ!」その戦況を見て笑う事しか彼に出来る事は無い。
グラハムの改修を受ける羽目になった事で未だに本体は動けないで居る。複数の罠や仕掛けを労したが色々な所で一斉にそれ等を排除されている状況。
ただ黙って無い指を咥えて見ている事しか出来ない。まあそれでも相手の掛けているリミッター程度なら破るのは簡単だ。諦めてゆっくりと体の完成を待つ事にした…。
ーグウェイン&ロバートの場合ー
「…暇だな。」「しょうがないさ…そう言う仕事だ。」彼等も待ちの一手。待った無しの状況で介入をする為に交代で仮眠を取り食事を済ませ必殺の時期を見極めている最中。
聞こえて来る戦闘の音はザクサル等の物。位置的には最深部の隣りである。
ーワーロック&ベンハルトの場合ー
「それ?取りましょうか?」雁字搦めのままの状態にマリエスが助け船を出す。「「お願いします。」」結局自力では蔓の球からは自力で脱出できない。
マリエス達は消えベンハルトは1人残され何か如何でも良い空気がその場に残された様だ。
何処に居るか解らないファインとエントヴァイエンを探してペイルバイターは森に消えて行った。
ーソウエン&アヴィターラの場合ー
「もう!非道いじゃないのよ〜ん!本当に貧血なの〜ん?」アヴィターラは信じられないという声を上げる。
「確かに拙者は貧血症状が有る貴様が調べたのであろう?」「そりゃまあそうだけど〜…。」その理由は今この場の状況に有る。
テストマッチとは言え更にはタイラントタイガーがズタズタに引き裂いたベルゼブブが直に再生可能でもこの状況はアヴィターラに非道いと言わせるには充分な結果だ。
ソウエンは素っ気なく言う。「再生が出来るのであれば問題あるまい…しかしここ最近では一番手強かったぞ。」
それに「嫌味な褒め言葉〜ん!!!ふんだ!今度怪我してら有料よ!覚えてなさい!」負け惜しみも確りしているので凄惨な状況なのはベルゼブブだけで済んだらしい…。
ーラフィーレ&セフィーナの場合ー
「暇ですねお姉様。」その言葉に容赦の無いハリセンが飛ぶ「はぎゅっ!?」「何が暇だ!こっちは奴から連絡を受けて出撃準備中だ!サーラが危ないらしい。」
相も変わらず正反対の姉妹。暇と言ったセフィーナは御茶の時間とばかりに紅茶を嗜んでいる始末。対照的にラフィーレの方は色々と指示を飛ばしている為か対比としては物凄く忙しく見える。
「天河の滴の事ですか?」理由をピンポイント原因を当ててラフィーレの動きを固まらせるセフィーナ。「知っているのか?あれの狙われる意味をっ!?」
「勿論です。あれは貴重な細工を施された上に有り得ない圧縮率を持つディオハリコンですから。売るにしても何かに使用するにも最適ですわ。何に使用するかは流石に解りませんが…多分武器辺りでしょう。」
「そうだな…急げ!ストームラプターはAM装備で行く!」ヒュージスター内は大忙しだ。
ーリミィの場合ー
「残念だったな…共和国軍の再上陸で折角の記事がインパクト薄になっちまって。」編集長はリミィを慰めている。「いえ…しょうがないですよ。それより!キマイラ要塞を取材に行きませんか?」
「本気か?確かに航空戦力としては最強なのかもしれないが下から撃たれないとも限らないだろ?」かなり引き気味で編集長は言う。「大丈夫ですよ!ネオゼネバス以前からこの機体は使っているじゃないですか?」
かなり前からウィンテクターは取材に使われている。それを盾に取材に跳び出そうとしているリミィ。しかし社内総出で取り押さえられてしまった…。
「それじゃあ…そろそろトドメと行こうかい…。」
吹っ飛ばされ、倒れ込んだカンウへ向けてドラゴスは強化型デカルトの歩を進めた。一歩一歩カンウ
へ近付いていく強化型デカルト。が、カンウは立ち上がる気配も無く、マリンのコックピット内部で大きくもたれ込んでいた。
「は…はは…本当にもうダメかも…。」
マリンは朦朧とする意識の中、もう笑うしか無かった。それだけ戦況は絶望的な物があったのだ。そして彼女は完全に自らの死を覚悟していた。が…その時だった。
『諦めるの?マリンちゃんはあんな奴等に良いように言われて平気でいられるの?』
「!!!!!!!!」
突然心の底にまで響くような声にマリンの目はバッと見開いた。何処からか聞こえてきたその声は
彼女にとって聞き覚えのある物であり、そして何処か懐かしく思える物だったのだ。
『カンウの力を信じなさい…。そして貴女自身の力を…。私は…貴女が生まれてたった10年間しか
一緒にいる事が出来なかったけど…、それだけは分かる…。貴女は…マリンちゃんは…この私も
比較にならぬ程の素晴らしい才能を持っているから…。だから…貴女が自分の眠る力を引き起こし、
そしてカンウの本来の性能を引き出す事が出来れば…。どんな相手にも…負けない…。だから…信じなさい…自分と…カンウの力を…。』
「…………。」
謎の声はそこまでだった。もうそれ以上マリンの耳に入る事は無く、マリンは何か考え込む様に黙り込んでいた。
「自分の力を信じる…そしてカンウの力を引き出す…。しかし…それは一体どうやって…。」
と、その時だった。強化型デカルトは既にカンウと目の鼻の先にまで接近していたのだ。
「そのままコックピット潰されて死ねぇぇ!!!」
強化型デカルトの前足がカンウのキャノピーを襲った。如何に通常キャノピーから集光パネルに
交換し、ビーム吸収能力と同時に強度を高めたキャノピーでもその一撃を受ければ一溜まりも無い。
が、その時、マリンの頭には先程の声からある人物の姿が浮かんでいたのだ。さらにその直後、彼女の目が大きく見開くと同時にカンウの目が強い光を放ったのだ。
「せい!!!」
カンウは目にも留まらぬ速度で頭を横にずらし、強化型デカルトの前足の一撃をかわしていた。
「な!!!」
「そこだぁぁぁ!!!!」
予想外の事態にドラゴスがうろたえた一瞬を突き、素早く立ち上がったカンウは強化型デカルトを掴み、大きく一本背負いで投げつけたのだった。
「な!?うおぉぉぉぉ!!!!!」
強化型デカルトは大きく宙を舞った。そして、マリンは目を瞑って心の中でこう一言つぶやいたのだ。
「(ありがとう…曾お婆ちゃん…。)」
『カンウ復活しましたぁぁ!!それどころか強化型デカルトを投げ飛ばし、強化型デカルトが初めて地面に突っ伏したぁぁぁ!!』
『まだ勝負は最後まで分からないと言う事ですね。フルタチさん。』
カンウが復活したと言う事実に会場は大騒ぎになっていた。そして、誰もが今度こそトドメを刺すようにドラゴスへ声援を送っていたのだ。
「ドラゴスドンマイドンマイ!!!」
「次がある次が!!」
「だからがんばってー!!!」
こうして、観客の声援を受けたドラゴスはすぐさま体勢を立て直し、反撃の機会をうかがうのであった。
「先程投げ飛ばされたのは驚いたな…奴にもあんな力が残っていたとは…。だが…勝敗とは関係無いぞ!!!」
強化型デカルトはカンウへ向けて飛んだ。先程のように頭突きで吹っ飛ばそうとしたのだ。しかし、
強化型デカルトの頭部がカンウの腹部へ叩き込まれると思った直後、強化型デカルトの体がカンウをすり抜けたのだ。
「んな!!?何だぁ!!?」
意表を突いた事実にドラゴスは一瞬混乱した。が、カンウは強化型デカルトの背後に回り込んでいたのだった。
「何だ何だ!!?」
「今の…速すぎて良く分からなかったぞ!!」
「何が起こったんだ!!?」
この事実は観客達も混乱していた。それだけ一瞬の出来事であり、彼等の動体視力では見切れる動きでは無かったのだ。
『ヤ…ヤマモトさん!!こ…これは一体どういう事なのでしょうか!!』
先程の強化型デカルトの体がカンウをすり抜け、一瞬のうちにカンウが強化型デカルトの背後を
取っていたと言う映像はしっかりカメラに収められており、ビッグスクリーンからスローモーション映像を流していたが、それでも良く分からなかったのだ。
『これは…恐らく残像でしょうな。』
『残像…ですか?』
『そう…残像です。超高速で動く事で残像を作り出し、あたかもすり抜けたように錯覚させたのでしょう…。』
ヤマモトは冷静に検証を行っている様子であったが、ドラゴスはうろたえを隠せない様子だった。
「な…何だ…?今の奴の動きは…さっきまでとは違う…いや、全く異質な動きだ…。」
一方、カンウ内部のマリン本人も驚きに耐えない様子を見せていた。
「う…うそ…。今の…これが…カンウの力なの…?それに…自分の予想以上に機体が動く…。」
マリンはカンウの性能の奥深さに驚き、同時に感激していた。そして彼女はさらに実感したのだ。ゾイドは心で動かす物だと言う事を…。
「だがよ!!いかに貴様の動きが良くなった所で勝敗とは別だぞ!!第一貴様の武器ではこの強化型デカルトに傷1つ付けられんでは無いか!!!」
ドラゴスの叫びに呼応し、強化型デカルトも大いに吼えていた。が、観客もそれに反応し、安心していたのだった。
「そ…そうだった!奴の武器は効かないんだったよな!」
「奴の動きの速さに驚いて我を忘れていたよ。」
「ああ!ならばドラゴスの優勢は変わらんよな!」
観客達は落ち着いて椅子にどっしり座り込んだ。が、落ち着いていたのはマリンも同様だった。そして同様にカンウも落ち着いた状態でその場にたたずんでいたのだ。
「な…何だ…?これはどうした事だ…。奴はうろたえるワケでも無く…凄く落ち着いている…。これが凶暴ゾイドの代名詞であるゴジュラスシリーズか?」
恐らく全てのゾイドの中でも凶暴の部類に入り、“冷静”と言う言葉が最も似合わないと思われる
ゴジュラスシリーズには似つかない程カンウは冷静だった。もはやカンウはただのゴジュラスギガ
では無い。機体の機構や構造等の問題では無く、カンウ自身が他のギガとは一線を画した存在だったのだ。
確かに、人間にも強い弱いがあるように、カンウも改造される前の状態からギガノトサウルス
野生体の中でもひときわ強い存在だった。が、その一方でギガの中でもひときわ凶暴なゾイドでも
あり、共和国軍によって改造された当時はゴジュラス・ジ・オーガ並にいかなるパイロットも寄せ
付ける事も無く、デススティンガー並の暴走を度々見せた事もあった。そして、その度に他のギガを
数機投入し、ようやく押さえ込むことが出来、倉庫の奥深くに厳重に封印する必要があったと言う
代物だったのだ。そんな厄介者扱いされていたカンウも1人の運命のパイロットとの出会いによって
転機が訪れる事になる。その運命のパイロットはマリンの曾祖母であり、当時18歳で士官学校出た
ばかりの新米将校であったマオである。凶暴凶悪、どんなパイロットにも慣れる事の無かったカンウ
も彼女に対してのみは違った。それどころかむしろ、彼女に対しては恐ろしいほどにまで従順であり、
そして素直であったのだ。そして、その素直さがあったからこそカンウは様々な戦術的な行動を
取ることが出来たし、他のギガならば絶対に拒絶しかねない物であったマオの持つ様々な格闘技の
技術などを違和感無く吸収し、自らのスキルとする事が出来たと言えるだろう。さらに時代は変わり、
パイロットがマオの曾孫のマリンへと変わろうとも、カンウがパイロットに対しては素直で従順と
言う特性は変わらず、だからこそマリン時代おいて新規に付け加えられた電子戦能力に関しても
違和感無く受け入れる事が出来たのだ。そして今のカンウのゴジュラスシリーズに似つかわしくない
冷静さは、マオとマリンの2人と共に戦い、成長してきた証拠なのである。と、色々説明していたその時だった。カンウがゆっくりと右腕を上げたのだ。
「確かにさ…。カンウの武装じゃアンタの機体にはダメージを与えられないかもしれない…。超高密度ビームも…ギガファイヤーも…。けど…これならどうかな?」
と、その時だった。ゆっくりと上げられたカンウの右腕の爪が淡い光を放ったのだ。
「ほぉ…レーザークローを装備しているか…。しかし…そんな物が効くと思ったら大間違いだぞ…。」
ドラゴスはうろたえる事も無く、逆に余裕の笑みを浮かべていた。が、マリンは表情一つ変えずに落ち着いていた。
ネタバレするとここから本領発揮だったりします。
>>恐怖の亀裂作者さん
懐かしい人達がいっぱいキタァァァァァ!!!!
下手をすれば「あ〜・・・いたっけこういうの・・・。」って半分忘れかけていた
人達もいて・・・、ほんとうにすんませんorz
色々やっている間にも皆はそれぞれの戦いを続けていたのですね?
オリバーは目を覚ました時、どこか暗い部屋のベッドに寝かされていた。
埃っぽい部屋で、天井の形から屋根裏部屋であることが解る。梯子があったので降りてみると、
何故か畳敷きの部屋とその向こうに台所が見え、リニアがフライパンを片手に何か作っているところだった。
「…? 俺は確か、あいつに負けたはずじゃ…」
彼が降りていくとリニアも気付いた。フライパンから炒り卵を皿に落とし、それをコンロに置いて
オリバーの方を振り返る。
「やっと起きたか。気分はどうだ?」
「俺は…アンタに負けたはずだ。どうして俺がここにいる?」
水道の蛇口を捻りながら、エプロン姿のリニアはやれやれと言った様子で肩をすくめる。
「おっと会話の成り立たないアホが一人登場…質問文に対し質問文で返すと、テストで0点になるのを知ってたか?間抜け」
何処かで聞いたような台詞にコケるオリバー。体勢を崩した彼に、今度は真面目な答えが返ってくる。
「…お前は弱かったが、もしかしたら強くなれるかも知れないと思った。それに、ワケありのようだったしな」
「じゃあ、テストは…」
彼女は皮肉めいた不敵な笑みを浮かべ、頷いた。
「…合格だ」
唖然とし、畳にへたり込むオリバー。そんな彼をリニアが手招きする。
その時になってオリバーは、朝食が二皿作られていることに気付いた。
「さて、今日だけは私が朝飯を作ってやったが…明日以降は、自分の飯くらい自分で作ってもらうからな」
オリバーは香ばしい香りのする朝食を見下ろし、感激に打ち震えて呟いた。
「――師匠と呼ばせてください」
「おいおい…現金な奴め。まあ、それが適当な呼び方かもな」
エプロンを外し、自分も食事を口に運ぶリニア。彼女の様子を眺めていたオリバーは、不意にリニアがこちらを向いてギクリとした。
「…何を見ている? 冷めるぞ」
「あ、はぁ…」
――口調はアレだが…やっぱコイツ、凄え可愛い…
デイビッド=O・タックの「事務所」に、再びベルが鳴り響いた。
「…うーるせェな…誰だ、こんな時間に?」
時刻は午前5時。市街の多くが眠っている時間である。デイビッドは面倒そうに、ドアの覗き窓から外を見た。
と、覗き込んだ側からドアがぶち開けられ、デイビッドは鼻と額を打って吹っ飛ぶ。
「何だァ!? 本当に珍客の多い週だな――何か用か、ブラッドベイン!」
名字で呼ばれたマキシミンは、倒れこんだデイビッドの巨体(横幅が)を無理矢理起こすと、
半ば脅迫するように問い詰めた。
「な〜あオタ君…市街の地下に降りる方法、知ってるよな?」
「知ってるが…相当危険だぜ。それを承知の上で言ってるんだろうな?」
「YES YES YES! つーか地下が危険な事くらい誰でも知ってるっつーの。いまや都市伝説の部類だしな」
誰もが聞いたことのある話だ。犯罪者、ワケありの者、その他諸事情により表社会では
生きていけなくなった者達が何処かへと消える――
地質調査で、町を支える巨大なフレームから深い地下に巨大な空洞が存在する事がわかっている。伝説は、
その空洞に「表で生きられぬ者達」が集まってもう一つの市街を作り上げたという物だ。
「『深地下市街(ディープグラウンド・シティ)伝説』か…確かにその町は存在する。裏の世界だけに、集まる情報やパーツ類も
半端じゃないって話も聞く。――もう一度聞くぞ、本気でそこに行くのか?」
デイビッドは一応、マキシミンの身を案じて言っているのだ。深地下市街の危険さは、数多くの情報を集めた彼だからこそ
知りうる物であり、それほどの危険も氷山の一角に過ぎない。
だが、マキシミンは首を横に振らなかった。
「必要があるんだよ。…しっかし、客にいちいち事情を問い合わせるモンじゃねえぞ、
『本物』はもっと――求められた情報だけを金に応じて引き渡す、ギブ&テイクに徹底した奴さ」
マキシミンも、数日前の客と同じ様に玄関から出て行く――ただし、金を置いて。
「…けどよ、『本物』になりきれねえお前みたいな奴が居ても、俺は良いと思うがな」
ドアが閉まり、再び事務所に静寂が戻る。デイビッドは一人突っ込みを入れるのであった。
「――どっちなんだYO!?」
「徐々に」奇妙な冒険…w
>>恐怖の亀裂作者氏
ガ○バレルもドラグーンも、その搭載機は好きですよ。
シャドーエッジのアレも摂理のドラグーンがイメージ強かったもので。
時代が変わろうとラスボスはやはりオールレンジ攻撃…でもシャドーエッジはラスボスじゃなかったな。
>>鉄獣28号氏
天使の顔をした鬼のごとく地獄の特訓を考案中w
アレックスの「ルガールさんに似てきた」発言が性格の激変をさらに自分で煽る結果となり
このままでは完璧に乗り移られたような状態に…まあ、前作のリニアは性格設定がしっかりしてなかったから
師に似てきたというのもそれはそれで個性かと。
曾祖母のスピリットに元気付けられて真の力解放ですか? 再びパワーアップですね。
鉄獣28号さんへ
曾お婆ちゃん登場!そしてまた一歩その域へ前進!飛躍の時は来たり!?
一杯居るので忘れ去られている人多し!全部のログや記録分を読みあさり驚愕の事実も有ったりw
人物説明の所属間違い等…。やっちまってるな〜…。
Innocent World2の作者さんへ
地下都市…。何たらアンダーグラウンドと言う作品が嘗て有ってかなり鬱な気分になった記憶が…。
でもどんどんあの人に似ていくリニアさん…最後は〇〇〇ンの気まで!?そんな訳無いかw
ーベルゲンの場合ー
「むにゃむにゃ〜もう羽根は勘弁して〜。」羽根の後片付けをし終わって就寝したらしいが悪夢に魘されている様だ。
ーマリエラの場合ー
「そこや!そこでパンチや!あ〜っ!!!何やっとんねん!さっさとそないな奴片付けんかい!!!」
ベルゼンラーヴェの戦闘を観戦中でヒートアップしている。所詮は見てるだけの人。戦場の厳しさなんて何処吹く風っぽかった。
「そこや!そこで24連コンボかましたれ!!!」
ーベルフの場合ー
「出番無しだねっ!僕は後は見送り組に確定〜〜!がっくり。」機体が破損し完全にパーツ取りに使われ無残な姿で壁の隅に置かれるキメラコアを見ている。
更にその隣りには苦労の末に完成させたブロックス規格を応用したアジャストデスザウラーのコアが悲しく佇んで居た。
コア機能のフレキシビリティと言えば聞えは良いが結局大量のパーツが必要になるので早々体を造れない弊害と言った所なのだろう。
ーラミューズ&サーラの場合ー
「「ひぃ!?」」突然産まれた心因性暗黒星雲に驚く2人。偶々ベルフの横を通りすぎたからである。現実の厳しさを目の当りにして暫く声が出ない。
それ所かベルフに声を掛けて良いのか?それすらも解らない。そして振り向くベルフの顔は魂の抜けた亡骸に見えたと言う。
「おお御2人さん?これから何処へ?」声には切れがない。物凄く引いてしまう2人だった。
ーノワールの場合ー
「ん?異様な気配が。」黒蓮のコクピット改修される様を見ながら察知した気配。それは格納庫の奥に居る3人の周辺にねっとりと巻き付いている。
やがて少しづつ実を得ようとしている気配。本能的にそれが危険だと警告する。コクピットから持ち出していたガンブレードを構える。
気配は既に一部を実体化させ行動に出ようとしているが逆に好都合だ。実体化前は中枢を狙うのは難しい。
だが一部でも実を結べばこの弾で全体を排除できる。「伏せろっ!」その声はそこに居る3人に届き俯せになる3人。それを確認し半分以上が実体化したそれに発砲する。
その一撃はその不確定な存在に当たりそれの存在を0にする。実体での存在を破壊されその余波で実を待たない場所も同時に破壊。
ガラスの結晶が砕け散るようにそれは甲高い音を立てながら砕け散った。「全てがこの程度で片付けば誰も苦労しないな。」目を黒蓮に向ける。
ーアービン達の場合ー
「おらおらおら!雑魚はどけぇ!」ツヴァイザーシュライエントの周辺に群がる敵を引き裂くロードサーベリオン。
これから近付こうとする敵を排除するパラスパラサウロン。「完全ニ雑用ダナ。シカシコレガ重要デモ有ル。」
相変らず不満そうなラスキドールとは対照的にベレディケンは冷静だ。決して爬虫類が基本だからではない。
擱座した状態を何とかして司令部部分を水平に保ち情報の収集に回る。アービンの知り得る所で3箇所は戦闘が行われている。
だがそれ以外にも戦場があるかもしれない…少しでも多くの情報が欲しいのだが完全に把握する事などできはしない。
「ウェイトリィ…貴公が生きていれば少しは楽だったのだがな。」今は無き者を求める。情けないと思いつつそうしてしまうので少し悲しくなった。
ーリエット&クロスの場合ー
「やっと終わった…ったく何つー加速力だよ!」クロスはギガをアンカー代わりに減速してようやく地に降り立つ。
しかし自重を遙に超えるギガ付きで無茶な事をしたつけは確り払う事になる。着地と同時にケーニッヒウルフ本体が機能を停止する。
「後は3人を待つだけね。幸い有れ以降あの荷電粒子砲はこっちに向かって飛んで来ないし…ラッキーね。」
キマイラ要塞への攻撃が始まったらしい。急いで合流する必要は無いだろう…。と言うより合流したところで役に立ちそうもない事だけは確かだった。
ーセイレン達の場合ー
「もう飛んで来ませんね良かった。」セイレンは流れ弾の気配が消えた事でようやく安心する。「それじゃあさっさと抜けちゃおう。こんな所は。」
リックは励ます様に言う。「そうだな!少尉!ここからは任せてくれ。確り護衛するから。」マックスもやっと出番かと息を荒げている。
「宜しくお願いします。相手が荷電粒子砲持ちなら防御はこちらに任せてください!」やっと移動ができる様になり意気揚々としてきた。
早速運の悪い帝国軍の偵察隊が接触。結果は帝国軍の惨敗だった…。
水中に場面は戻る。地底湖と化した遺跡周辺。巨大なウルトラザウルスですら沈む深さでエントヴァイエンは結界を使用して空気を確保している様だ。
彼程の存在ですら生命体と言う枷から逃れる事は出来ないらしい。機械万能でもないがやはり魔術万能でも無い様だ。
今回は水中戦だが特性上優劣は存在しない状態である。
「へ〜…これがレーザークローね〜…。ふ〜ん?これがレーザークローなんだ〜…。」
と、その時だった。カンウが爪を輝かせたまま右腕を振り上げたと思うと、強化型デカルトへ向けた
状態のまま空を殴りつけた。と、思われたその時、カンウの右腕から、カンウの爪を模したエネルギーの塊が強化型デカルトへ向けて真っ直ぐ飛んできたのだ。
「う…うわぁぁぁ!!!!何だぁぁぁ!!!!?」
意表を突いた出来事にドラゴスは驚愕した。そして辛くも回避することに成功したが、カンウの右腕
から放たれた、カンウの爪を模したエネルギーの塊は超高密度ビームや荷電粒子砲にも耐えた
不可視電磁シールドをやすやすと突き破り、そのまま闘場の分厚い外壁に巨大な爪痕を残したのだ。
『ななななぁぁんと!!カンウの右腕から巨大なエネルギー弾が放たれ、闘場を覆うシールドを突き破ってしまったぁぁぁ!!!』
「な!!!!!」
この事実に誰もが絶句した。そしてドラゴスはうろたえたままカンウの方を見たのだ。
「い…今のは…な…何だ…?」
「今のは私が持つマオ流格闘術の中でも私自身が封印していた技の1つ…。拳にため込んだ“気”を
正拳突きと共に相手に撃ち出す“気功飛砕拳”…。」
「き…キコウヒサイケン…?」
マリンの言葉に、ドラゴスはうろたえ、ワケの分からない様子であったが、それは他の皆も同じであった。
『や…ヤマモトさん!これは一体どういう事でしょうか…。』
『マリン選手の曾祖母であるマオ=スタンティレルは格闘技だけで無く、気功術の達人でもあったと
聞きます。そしてその気功術を格闘技にも応用し、数々の技を作り出してきたとか…。ならば、
彼女の血を引き、その技も受け付いていると思われるマリン選手が同じく気功術を使えてもおかしくは無いでしょう…。』
『なるほど…。気功術ですか…。』
ヤマモトはそのように解釈し、フルタチも納得している様子であったが、ドラゴスはどうも納得できないと言う顔をしていた。
「ち…畜生…何が気功術だ…。漫画見たいな事しやがって…。」
「行っておくけどさ、気功術は魔法じゃないよ。結構科学的にも認められてたりするし、簡単に
説明すると、誰もが持ってる“気”、つまり生命エネルギーをコントロールして、それを一気に爆発
させるって言う感じの物なんだよ。例えばさ、テレビ番組で見た事無い?気功の達人が体の一部に
気を送り込むとその部分が固くなって刃物も通さないって奴!違う部分こそあれ、大方それに似たような物だよ。」
マリンは冷静に説明を行っていたが、ドラゴスはまだ納得できず、さらにもの凄い形相となるのだった。
「認めねえ…俺は認めねえぞぉ…。第一そんなスゲエ技があるなら何で今までお前は使わなかったんだぁ!!?」
「そりゃぁ使おうとしなかったからだよ…。」
「何で使おうとしなかった!!!そんな技があるなら今までの戦いだって随分と楽が出来たはずだろうが!!」
と、その時だった。急にマリンが悲しげな顔になったのだ。
「ま…昔色々とあったのよ…。8歳の頃…相手が盗賊で、しっかり自分に正当防衛が適用される状況
であったとはいえ、この気功術系の技で人を殺してしまったからね…。その盗賊は当時あちこちを
荒らし回ってた奴らで…、私は殺人者と後ろ指を刺されるどころか逆に周囲からヒーローならぬ
ヒロイン扱いされたりしたし…、先程言った様に正当防衛が適用されて私は無罪だったんだけど…
やっぱり当時の私にとってはこの事がトラウマになって…、だからそれ以降私は気功術を封印した…。」
『おぉぉぉぉっと!!マリン選手の意外な過去があきらかになりましたぁぁぁ!!と言うか、マリン選手は8歳の時点で気功術を会得していたのかぁぁぁ!!!!?』
「でもまあ…私もまだまだだよね!さっきの“気功飛砕拳”一つにしても、気の練りが全然上手く
行ってないから、和尚さんや曾お婆ちゃんが使ってたそれと比べても全然大した事無いもん!」
ずげげげげっ
その時、マリンが言った言葉に誰もが拍子抜けし、中にはすっ転ぶ者すら出る始末であった。
『なななななぁぁぁんとぉ!!!あれだけ凄い技を見せてくれたマリン選手のあの技ですら彼女にとっては大した事の無い技なのかぁぁぁ!!!!?』
「じょ…冗談だろ…?じゃ…じゃあ…、初代緑の悪魔や和尚とか言う奴はもっと凄い事が出来たと言うのか?」
超高出力な物であった不可視電磁シールドはおろか、頑丈な外壁すらもやすやす打ち砕いたマリンの
気功技ですら大した物では無いと言う…。その事実には誰もが唖然とする物であった。
「ほう…あやつ等プランザーを倒しおったか…。フェッフェッフェッ…。」
マリンやルナリスがズィーアームズ主催のゾイドバトルで戦っていた様子を、ドクタードボルクは
彼の研究室におかれたモニターから観戦していた。が、彼は急にコンピューターを操作し始めたのだ。
「ならばワシがもっと面白くしてやるわい…。」
ドボルクはその老体からは想像もできない速度でキーボードを叩いて行き、瞬く間にゾイドバトル会場をハッキングし、そのコントロールを奪うのであった。
その時、試合が行われていた第一会場と第二会場の両方からゴゴゴと言う音と共に振動し始めたのだった。
「な!!何だ!!?」
「一体何が起こったぁ!!?」
その事実には誰もが困惑し、無論試合も中断となった。と、思われたその時、第一会場と第二会場のそれぞれの闘場や客席が分割、変形し、フロアごと何処かへ移動して行ったと思われた後、なんと第一会場と第二会場が合体し、その闘場までもが一つになっていたのだ。
『ななななぁぁぁんと!!これはどうした事か!!何かワケが分からぬウチに第一会場と第二会場が一つの会場になってしまったぁぁぁ!!!』
『これは一体どういう事なのでしょうかね?』
流石に実況解説の2人も戸惑いを隠せないと言った様子であったが、観客席や闘場にいるマリン等も同様だった。
「ルナリスちゃん!!」
「ちゃん付けするな!!…とにかく…これは一体どういう事だ?」
「ドラゴスよぉ!!これは一体どうなってるんだ!?」
「俺に聞くなよ…。」
本当に皆は突然の出来事にワケが分からず困惑し、観客席もざわめきが耐えなかったが、マリンとルナリスは互いに合流できた事で精神的にやや楽になっていた。
「とにかく…私があのデカルトドラゴンと戦ってた時、ルナリスちゃんはあの黒いエナジーライガー3機と戦ってたって事だよね?」
その時、例によってハーデスのゲンコツがカンウの頭部を襲った。無論カンウはマリンともども痛そうに頭を抱える。
「お前いい加減にちゃん付けするな!!」
「うわ〜ん痛いよ〜…。」
「泣くなぁ!!!でもまあ…お互い無事で良かったよ…。じゃ!行くか!」
そうして、合流を果たした2人がその場から立ち去ろうとし始めた時だった。ドラゴスと黒い三銃士が彼女等を呼び止めたのだ。
「ちょっと待てぇ!!」
「まだ試合は終わってねーぞぉ!!!」
「ああ!!そうだった!!試合中だったのすっかり忘れてた!!」
肝心な事を思い出したマリンは戸惑っていたが、ルナリスは冷静に言った。
「しかしよぉ…この状態で試合なんか出来るのか?いきなり会場が何か変な事になるし…。無効試合になるんじゃねーの?」
「そ…そう言われてみればそうだよな〜…。それもと再度仕切直しにするか?どちらかの組が一度休んで、もう一方の組がまず試合をすると言う事で…。」
と、そんな時だった。突如としてどこからかアナウンスが響き渡ったのだ。
『フェッフェッフェッフェッ!どうじゃ?このワシの演出は?』
「あああ!!!この声はあの変な爺さん!!!」
「この下品な笑い声はドボルクのジジイだなぁ!!?」
アナウンスから響き渡った声はドボルクの物だった。そして闘場端に備え付けられたビッグスクリーンからドボルクの姿が映し出されたのだった。
『おおおっと!!突如としてズィーアームズ社研究員のドクタードボルクの登場だぁぁ!!そしてこの騒ぎは彼が仕組んだ事なのかぁぁ!!!』
「畜生!!神聖な試合に水刺すようなマネしやがってぇ!!ジジイお前何考えてるんだぁ!!」
「死ねー!!」
「帰れー!!」
皆はドボルクへ向けてブーイングの嵐を浴びせていた。が、ドボルクはそれに対しても表情一つ変えはしていなかった。
『フェッフェッフェ!まあお前達が怒るのも仕方はあるまいて!しかしなぁ、ワシが考えた事はもっと面白い事じゃぞ!』
「面白い事だと!!?」
『そうじゃぁ!もう1対1とかみみっちい事はもうやめてしまえ!!これから始まる第二ラウンドは
ふたりはゾイキュア対ズィーアームズ連合軍に変更じゃぁ!!』
「それって一体どういう意味!!?」
「と言うかゾイキュアってどういう意味じゃぁ!!」
マリンとルナリスはやはり“ゾイキュア”と言う単語の方に突っ込みを入れていたが、ドラゴスは納得がいかないと言う様子だった。
よくよく考えてみるともう421KB行ってるじゃありませんか。そろそろ次スレの事を
考えても良い頃でしょうか?そして余った分は現在軽く構想中のおまけ短編でも書いて埋めるとか・・・
とりあえず、軽く新キャラ紹介しておきます。
イチロウ=フルタチ
球技からプロレスまで様々なスポーツの実況中継を勤める敏腕アナウンサー。もちろんゾイドバトルの実況中継も担当する。
シテツ=ヤマモト
かつては“新Ziプロレス”と言う格闘団体のレスラーであったが、現在は引退し、解説者として
活躍している。格闘技に関してだけで無く、ゾイドバトルにも何故か造詣が深く、ゾイドバトルの解説者を行うことも度々ある。
>>恐怖の亀裂作者さん
まだまだ出てきますね懐かしい人達。そしてその風景もシリアスだったりギャグだったり様々ですね。
そしてこういう人もいたっけ〜と懐かしい気分に浸ってみたり・・・
>>Innocent World2作者さん
オリバーさんの特訓がこれから始まる?一方で、マキシミンさんは地下都市?へ向かっている様子ですね。
これからは二人の視点を交互に描写していくのでしょうか?
>曾祖母のスピリットに元気付けられて真の力解放ですか? 再びパワーアップですね。
正確には「本来持っていたんだけど、今まで中々発揮できなかった力を発揮する」のが正しかったりします。
「…あの〜、師匠…? コレ、ゾイドと関係ないような気が…」
「当たり前だ。…ここに泊めるからには、それなりに手伝いもして貰う。それだけの事」
オリバーは箒を片手に、店内の掃除を手伝わされていた。リニアは慣れた手つきで戸棚の埃を叩き出していくが、
これまでまともに掃除などやった事の無い彼は苦戦するばかりだ。
「先に言っとくが、昔の漫画にあった『実は数々の雑用も修行の一つなのだ!』みたいな展開は無いからな」
とどめを刺され、黙々と掃除に取り組むオリバー。その後も洗濯やら洗い物やらで、彼は昼過ぎまで雑務に追われた。
「――よし、そろそろ本題に入るか」
オリバーは汗をかいて畳に倒れこんでいたが、その言葉を聞くなり飛び起きる。
「本当か!? んー…やっと本物の『修行』に…」
「『修行』か…お前が私のところに来たのは、ある意味正解だったよ」
歩み寄ってきたリニア。その指が、オリバーの額に触れる。――と、その瞬間激痛が彼を襲った。
「な…うあぁぁぁぁッ!!?」
「喚くな。お前を傷つけるつもりも、殺す気も無い」
しばらくして、リニアが手を離す。崩れ落ちるように膝をついたオリバーは、リニアがその手に
何か光る物を持っていることに気付いた。
「…今、何をした? 何かを失くした様な感じがする!」
手に持った光を指先で弄びながら、リニアは平然と答える。
「お前の能力を奪った。今のお前は能力者でなく、一人の凡庸なゾイド乗りだ」
先程の激痛は嘘のように消え、身体に異常もない。だが、なんとなく感じる喪失感はそのままだ。
「昨日私は、『お前は能力に頼りすぎている』と言ったな。そんなお前を鍛えるにあたってこれ以上の方法はあるまい」
「待て――待ってくれ! 俺の能力、いつ返してくれるんだ!?」
小さな光を掌に包み込み、リニアはドアの方に歩いていく。そして後ろ向きのまま答えた。
「いつ返してくれるか…だと? 聞かなくても解ると思っていたがな。
私がこの力をお前に返すのは、お前が能力を使わず私に勝った時だ!」
昨日と同じ様に、リニアが黒いフューラーに乗り込む。コックピットから身を乗り出し、彼女は身振りで「来い」と伝えた。
「お前の場合…基礎的な部分は大体出来ている…ならば、実戦練習が最も効率的だ――さあ、ゾイドに乗れ!」
デイビッドの情報を頼りに、マキシミンは市街のとある民家の前で足を止めた。
「ここか…ただの空き家に見えるが?」
何でも、この空き家の戸棚の中にもう一つ引き出しがあり、その内の一つは地下へと繋がる階段の入り口なのだと言う。
「高い情報料払ったんだ、嘘だったらあのデブぶち殺…お、本当にあったよ…」
何の変哲も無い引き出し。だが、その奥には確かに階段が存在した。
狭い入り口から入って、地下へと降りていくマキシミン。暗い蛍光灯がまちまちな間隔で並び、狭い階段の壁は
一見して用途を計りかねるようなパイプや、スプレーによる落書きなどが埋め尽くしている。
「…つーか! ク ソ 深 い ん で す け ど 、 こ こ !!」
何十分降り続けても、地下都市が見える気配は無い。疑わしい気分になってきた時、
彼はふと壁に掛かった看板に目を留めた。
「ディープグラウンドシティに逝きたいヤシは、エレベーターに乗ってくだちい(笑」
「エレベーター?んなモン何処に…」
その瞬間、彼が立つ踊り場の壁が開き、その向こうに地味な小部屋が――エレベーターが現れた。
ここまで降りて来た数千、数万もあろうかと言う階段の旅は無駄だったのである。マキシミンは思わず絶叫する。
「…んなああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ―――ッ!!! シィィーーット!!!!」
「ふ、ふふ…マジかよ。完璧に手加減無しじゃねーの、師匠…」
「手加減して欲しいか?」
イクスはまたしても、殆ど動けない状態まで追い詰められていた。
その間、戦闘開始からたったの2分。リニアは昨日と打って変わって、自ら攻撃に出る戦形を取っていた。
「…やっぱ、遠慮しとくけどさァ! いきなり本気の師匠に勝てって、そりゃ無理でしょ!」
リニアの機体が超高速でオリバーの眼前に迫り、ビームブレードを一閃する。カッターフェアリングの寸前で止められた
光刃にひるむオリバーを見ながら、リニアが呟いた。
「さーて。これでお前、何回死んだかな?」
「11回…クソ、12回はやらせねぇ!」
夜になるまで、荒野には重い金属音が鳴り響いていた。
最近時間が無いよママン…(´Д⊂)
>>恐怖の亀裂作者氏
アニメが打ち切りになったあの漫画ですか?
結局地下深くに眠ってた最終兵器も動かさなかったし…
――いくらなんでも、リニアは流石にそこまで似ません!
>>鉄獣28号氏
力を発揮する理由が見つかった、ということでしょうか。
大体の場合それは極端な怒りだったり、劇的なイベントだったりとしますが…
(´ー`)。o(しかし、セル戦で切れた悟飯は強かったな…
鉄獣28号さんへ
未だに2人は意味不明のゾイキュアw
でもステージ変形の間に誰も巻き込まれないのは流石としか言い様がありません。
昔の姫路城?と大坂城?が有る漫画で空中合体していたのを思い出して吹いていたりして…。
Innocent World2の作者さんへ
封印完了!これで貴方は唯の人!頑張って〜な展開。〇仙人の甲羅とは違う意味で酷な修行。
〇拳の様に雑用も修行の内には成らず厳しい修行のようで…。
その内口の中に炭をぶち込まれたり顔面の半分を火傷で模様を描くとかならない様に祈るばかりです。
後火傷の後に毒とお薬の坪に交互に腕を付けるとかも…。
ってゾイドじゃね〜…それをやって強くなるのは本人じゃん。しかも間違った方向にw
「さあて…水中でのお手並みを拝見。」ウルトラザウルスが動くの待つ。その姿は水に透け輪郭のみが内部を覆っている様な姿をしている。
素早い動きで践み潰そうと動くウルトラザウルス。しかし化けの皮が剥がれている。足から遠い部分が最早ワイヤーフレーム状にすら成って居るのだ。
その踏み付けを腕で弾くベルゼンラーヴェ。正体さえ解ればこれ程楽な対処が出来る存在は居ない。次に掟破りのソルピラーの水中発射。
素早く回避する。多少の追尾性能が有るらしいがウェイブレイダーの様なアホな誘導率では無いので大きく回避すれば当たらない筈だった…。
後方で柱となる太陽光。そこからは七色の綺麗な輝きがベルゼンラーヴェに向かって泳いで来ている。「ちぃ!レインボーフィッシュか!厄介な者を呼び寄せ居った。」
ベルウッドが叫ぶ。各々の色の波長を持つ光の禁忌。有り得ない色に固定された水妖は魚の姿で襲い来る。しかし彼等にも誤算が有った。ベルゼンラーヴェの水中での機動性と運動性である。
特に動く気配を出さずに水中がベルゼンラーヴェの周辺だけスライドした様に移動する。発生している水流の関係上泳いでいる事だけは確かなのだがレインボーフィッシュにはそれを理解するだけの知能は無い。
「対水圧値修正…拡散率良し。水温に因る誤差修正問題無し。うねり及び波の波動係数2!」ファインは必死に何かをしている。「お主そんな物を計算して何をしておる?疲れるだろうに?」
「そうそう術式にばかり頼っていると使えなくなった時に困るのでありますから…良し!荷電粒子拡散領域固定!」そのままの状態で動きながらレインボーフィッシュを有る一定の距離の中に納める。
「荷電粒子メーザー照射!」以前とはスケールも使用エネルギーも桁違いのメーザーを照射する。荷電粒子を異常に含んだ衝撃波がレインボーフィッシュの群を掻き消す。「ぬう!?何故奴等は?」ベルウッドは興味を持ったらしい。
「単一波長の光彼等はできているのでありますから…その波長を乱してやれば?と言う事であります。」単一の光の波長でできている物に別の光を照射すると結果は波長の長い光に押し流されてしまうと言う訳である。
意味は違うのだがそう言った方が解り易いと思ってファインは説明する。すると…「一つ言って置きたい事が有る!」
「はい?」「事象は正確に説明するべし!」「細かっ!?」
”そうそう術式に頼ってられない”この言葉は後に痛い程知る事になる。だがそれはまたほんの少し先の話。
そろそろ別の意味で本気でいかないとまたレインボーフィッシュ覧たいな者が湧き出すかもしれない。ベルゼンラーヴェは体も使って水中で急加速。
ウルトラザウルスの背中に向かう。両手には十字封剣を構え向かってくるプリズムスプライト弾を切り刻む。これだけ消費してまだ攻撃できる。
それはあのウルトラザウルスの姿をしている存在が輪郭を持った太陽の様な者である事を裏付ける結果でもある。
「ぬう?また輝き出しておる!攻撃を仕掛けて来るぞ!」これまでとは違う攻撃。砲門が激しく輝くと4つの砲口より巨大な光が溢れ出す。
「おのれい!防御結界!第4種法陣展開!」それを見ただけでその攻撃が4種類の属性のどれかを一瞬で判別するベルウッド。その結界に触れた熱を持たない太陽。
激しい押し合いの後防御結界に軍配があがり太陽は結界の露と消える。「何という奴だ!判断が遅ければ今頃光に掻き消される所だったな…しかしそれ程までにあれを護る必要が有るというのか?」
背に光る謎の物体。それの正体は解らないがそれにより解った事も有る。エントヴァイエンの笑み。彼はその存在が何かをしっている様だ。
そんな事を考えている内にそれが目の前に迫る。「引き抜けえぇぇぇ!!!」ファインの操縦に習いベルゼンラーヴェはそれを掴み取る。だが「おわあ!?」何処誰かが良く使う声と共にベルゼンラーヴェはそれに掴まって振り回される状態となる。
振りきられない様にもう片方の手と尾を巻き付け必死にウルトラザウルスの背に食い下がる。それを確認してかしないでかは不明だが突然暴れ出すウルトラザウルス。如何しても振り落としたいらしい。
「しつこい!ボルカニックストライク!」膝装甲がウルトラザウルスに接触するのを見計らって叩き込むボルカニックストライク。周囲が水のために電力は多少奪われるがこの際関係無い。相手に不自由を強いれば何でも良いのだ。
手は確りと”それ”を掴んでいるが中々に手強く幾ら引こうにも一向に抜ける気配は無い。「ESBストライク!!!」今度は空間すら打ち砕く一撃を浴びせる。しかしそれを持って尚引き抜く事は叶わない。
「何かおかしいでありますね?これだけやって抜けないとなれば理由は限られてくる気がしますが…?」
盲点は以外にも多い事がある。大抵〜〜と言う奴で先入観で物事を見る為に起こる事だ。これもそう言うケースなのである。
「!!!」突然何かに気付いた様で目が嫌らしく輝いている様に見えたベルウッドは「ひぃ!?」と声を上げる。それを見て心外だなあと言う様な顔でファインは言う。
「引いて駄目なものはこうっ!!!」何を血迷ったか”それ”をウルトラザウルスの更に奥に突き刺す。
その力の入れ方通りに”それ”は更に深くウルトラザウルスに突き刺さる。しかし何か起こる訳でもない。「たわけ〜〜っ!!!余計にどつぼに嵌まっておるではないか!」
「何の!これからが本番。見てれば解るのでありますよっ!」今度は押し込んだ物を左右に引き戸を引く様に動かす。それを行う度にウルトラザウルスが身悶えする。
「もう少し!」引いた跡にそって零れる太陽光は何かの印を刻んでいる。「これは…太陽の結印!気を付けろ!相当やばい物らしいぞそれは!」「了解!これでっ!」
印を刻み終える。「何という事を…人よ。それを握り扱う無かれっ!!!」ウルトラザウルスはそれだけを告げると”それ”の中に吸い込まれて行った。
如何やらウルトラザウルスの姿をした者は”それ”に宿った守護者がウルトラザウルスの形で現れた者らしかった…。
湖底に一定の深さで浮き沈みする”それ”を見ながら思案中のファインとベルウッド。しかし忘れてはいけない事が有った。
じろりと2人はエントヴァイエンを見る。何かを知っているらしくニヤニヤしている。「殺れ!」「アイサー!」カラミティシャドウを構える。
「それは…大人げないと余は思うぞ?」恐ろしく引いた表情でエントヴァイエンは言う。「いえいえ!大丈夫でありますよ!きっと…。」「そうだなきっと…。」
「断定系では無いか?それは?」おおよそ不変一般の人物がする様な事では無い事を平然としようとしている2人。エントヴァイエンは困った顔をする他手は無かった。
「お疲れさまです。御2人とも。」コクピットの中に強烈な殺気が漂う。「それは反則臭いのではっ!?」「いえいえ。お構いなく。同じ穴の貉ですから…。」
何一つ表情を変える事無くコクピットに現れたマリエスは言う。同じ貉でも格にはかなりの差が有るように思えるファイン。
「申し訳有りません。如何在ってもアポロンリュカネイオスは手にしなければならないので…。」
「ふざけるなよドボルクのジジイ!!!緑の悪魔は俺が1対1で倒すと決めたんだ!!勝手な事するなぁ!!!」
「いや!俺達はドボルク爺さんの提案に賛成だ!」
「何ぃ!!?」
ドラゴスに対してそう口を挟んできたのは黒い三銃士だった。
「何故だ貴様等!!!」
「勘違いするなよドラゴス。ゾイキュアに怨みを持つのはお前だけじゃない。俺達も同様なのだ!故にゾイキュアを地獄に叩き落とす権利がある!」
「く…。」
黒い三銃士のもっともらしい言葉にドラゴスも流石に納得せざる得ないと言わんばかりの様子で
あったが、ゾイドバトル役員の方はドボルクの提案をどうするか話し合っていた。
『現在ゾイドバトル役員会の方でドクタードボルク氏の提案を呑むか否かに付いて審議中です!』
『それにしてもまさかこんな事になろうとは誰が想像出来たのでしょうかね〜…。』
それから十分後、役員会の審議は延々と続いており、役員達も色々とあーでも無いこーでも無いと
言い争っている様子で全くと言って良いほど終わる気配は無かった。無論試合は中断。
マリン、ルナリスやドラゴス達もそれぞれのゾイドから降りて一休みしていた。と、そんな時にマリンはドラゴス達の方へ呼び掛けた。
「ねー!もう私達帰っても良いー!?試合はあんた達の勝ちで良いからさー!」
「ダメだぁ!!!」
「やっぱり?」
もの凄い形相で速攻に言い返されてしまったマリンはシュンとなるしか無かった。
「つかよ〜…何時になったら終わるんだ〜?」
「あ〜…こうしている間にもハガネさんやチョコちゃんは…。」
延々と続く審議に流石のマリンとルナリスもイライラしていた時だった。突然観客席から審議中の役員目がけて空き缶が投げつけられたのだ。
「お前ら何時までグチグチやっとんじゃぁ!!!もう団体戦で良いじゃねーか!!」
「そうだそうだ!!1対1なんかよりそっちの方が迫力あるぞー!!」
延々と続く役員達の審議にストレスを溜めていたのはマリン等だけでは無かった。観客も同様であり、その怒りが爆発した彼等は一斉に役員達へ野次やアキカンを飛ばしていたのだ。
『アキカンを投げないで下さい!!アキカンを投げないで下さい!!』
『こうなった以上彼等の要求を呑むしか無いでしょうな…。このままでは暴動も起きかねませんよ。』
ヤマモトの言った通りであった。ゾイドバトル役員会は観客の要求通り、ドボルクの提案した団体戦、
マリン&ルナリスのふたりはゾイキュア対ドラゴス&黒い三銃士のズィーアームズ連合軍の試合を行う事で合意したのだ。
「は〜…やっぱり試合すんの〜?」
「グチグチ言っても仕方あるまい…。とにかく今は勝つしかない…。私も不本意だがな…。」
マリンとルナリスは試合内容よりも試合そのものが嫌、と言うか面倒くさいと言った様子であったが、同様にドラゴスもまだ納得言っていないと言う感じであった。
「ふざけるなぁ…。俺は認めねーぞぉ…。緑の悪魔は俺が倒すんだぁ…。」
「オイオイドラゴスよぉ!あんまり頭に血登らせてると勝てる試合も勝てねーぞ!」
「そうそう!」
と、こうして闘場にそれぞれ向かい合う形でカンウとハーデス、そして強化型デカルトと3機の漆黒
エナジーライガーが立ち、それぞれ睨み合うと同時に闘場周囲に観客を保護するための不可視電磁シールドが展開されるのであった。
『それでは!!!第二ラウンド!!ふたりはゾイキュア対ズィーアームズ連合軍の試合開始です!!』
「だからゾイキュアってどういう意味じゃー!!」
カーン!!
マリンとルナリスの例による突っ込みをかき消すように試合開始を告げるゴングがフロア中に響き渡り、試合が開始されるのであった。
「覚悟しろぉ!!今度こそぶっ殺すぜ!!!」
「きゃぁぁぁ!!!やっぱりやんなきゃならないのぉぉぉ!!!!?」
試合開始早々強化型デカルトと漆黒エナジーライガーはカンウとハーデスへ向かって跳びかかっていた。が、その俊速の突撃をカンウとハーデスは楽々と回避していたのだ。
「な!!?」
「このスピードは!!?」
黒い三銃士は彼等の想像を超える速度で動いた2機に驚いていたが、それを尻目に2機は彼等から
数百メートル離れた地点に向かって跳び、ぞれぞれ隣り合う形で着地するのであった。
「ええいもうこうなったら本当にやるしか無いぞ!!」
「ぶっちゃけありえなーい!!って言ってる場合でも無いか…。それじゃ行くしかないよね!!」
と、その時だった。カンウが左側へ、ハーデスが右側へ立つ形で一斉にドラゴス達へ向けて指差したのだ。
「ズィーアームズ社のしもべ達よ!!さっさとお家に帰りなさい!!!」
「帰ってたまるかぁぁ!!!」
「つーかお前等本当はノリノリだろ!!?」
何か怪しげなポーズを取っていたカンウとハーデスへ向け、強化型デカルトと漆黒エナジーライガー
は再度突撃した。が、いかなり高速ゾイドでも回避不可能と思われる程の俊速の突撃を、2機はまたも楽々と回避していたのだ。
「何ぃ!!」
最高速での突撃をかわされた強化型デカルトと漆黒エナジーは体勢を一瞬崩した。と、そのスキにカンウとハーデスが目にも留まらぬ速度で突っ込んできていたのだ。
「今度はこっちから行くよ!!!」
「なぁ!!速い!!!」
それは一瞬だった。2機に狙われたモッシュ機の漆黒エナジーは回避する間も無く機体左右に装備
されたエナジーキャノンとエナジーバルカンを破壊されたのだ。その事実に黒い三銃士等は唖然とするばかりであった。
「なななな…。」
「一体どうなってるんだ…。」
「さっきまでとはスピードが段違いだ…。」
そして、ドラゴスも無言のまま冷静に考えながらもうろたえていた。
「(緑の悪魔の奴…またもスピードを上げやがった…。それだけじゃねぇ…。あの取り巻きのデスザウラーも奴の動きに追随している…。一体どうなってやがるんだ…。)」
先程までの劣性ぶりがウソのように優勢になったカンウとハーデスに唖然としたのは黒い三銃士やドラゴスだけで無く、その観客達も同様に驚きを隠せない様子である。
『これは一体どうした事でしょうか!!それぞれ別に戦っていた時とは別人の様に、マリン選手とルナリス選手はドラゴス選手達を圧倒しています!!!』
『これは恐らくコンビネーションでしょうね。』
『コンビネーションですか?』
『そうです。あの黒い三銃士が3人のコンビネーションで異常な力を発揮する様に、あの2人も共に
コンビネーションで戦う事により本来以上の力を引き出しているのでしょう。まさしくふたりはゾイキュアですな!』
「いやだからゾイキュアってどういう意味じゃ!!」
「良いから誰か教えて!!」
冷静に検証していたヤマモトに対しても2人の例のツッコミはとどいていた。が、やはり誰1人として彼女等にゾイキュアの意味を教える者はいなかった。
>>恐怖の亀裂作者さん
久々に本筋の話に戻りましたね。
ウルトラザウルスの形をした何かにはどうにか勝てた様子ですね。
>そうそう術式に頼ってられない
これは良い言葉だと思いました。何事も過信しすぎるのは危険と言う事ですね。
>>Innocent World2作者さん
能力奪われるって・・・うわキッツイ修行・・・。でも思ったのですが、
雑用が修行とは関係ないと申してますが、考え方を変えると役に立つ可能性もあると思うのですが・・・
例えば、雑用をすることでオリバーさんの生活力が鍛えられるとか、細かい物を
見定める目を養うとか、一見関係なくても意外な事に役に立つ事は良くある事です。
マキシミンさんも地下都市で何かやってる見たいですし。
>大体の場合それは極端な怒りだったり、劇的なイベントだったりとしますが…
怒りをきっかけに〜ってのは自分も過去にやってました。
メガセイスモ戦(第一ラウンド)でその右前足を破壊した時と、数十機のジェノザウラーを振り回した時です。
今の状態は、その時の様な爆発力はありませんが、ある程度自分の意志でコントロールが可能になってます。
少なくともそれ以前の普通の状態よりかは随分と強くなっています。
と書いていると、ギガ付属ファンブックに書かれた文章の
「ゴジュラスはパイロットの怒りを力に変える機体」なんてのを思い出しました。
公式ファンブック3やアロ付属とかにも精神リンクがどうこう書かれていましたし、
そう言う意味ではゾイド世界って随分と精神論が通用できる世界なんだな〜と改めて実感。
「…師匠が直々に手当てしてくれるんなら、ボコられる甲斐もあるってか…」
「何を言っている、そうならないように特訓するんだよ」
畳みに座ったオリバーに、リニアが消毒液のしみ込んだガーゼを当てる。結局夜になるまでオリバーは
一発としてリニアに当てられず、傷だらけになって帰ってきたのだ。
〔それにしても…〕
始めは、可愛いがお高く留まった少女だと思っていた。そうでなくとも、冷徹なイメージがある。
だが、今こうして自分を気遣ってくれるリニアを見ていると、何というか…冷徹になろうとして、
そうなりきれなかった少女――そんな印象を受ける。
〔もしかして彼女も…ワケあり、って奴か?〕
過去に何かあったからこそ、こんな所でたった一人暮らしているのだろう。オリバーと同じく2年前の戦いで
家族を失くしたか、あるいは別の理由があってか。
どちらにしろ、オリバーはそんな事を単刀直入に訊くほど野暮な男ではない。その質問は胸の奥にしまっておく事にした。
「で、まさか実戦形式だけってこともないでしょう?」
「それは勿論。明日は、私が一緒にイクスに乗って操縦の手引きをする」
もしこの時オリバーが口に何か入れていたら、間違いなくそれを噴いていただろう。
耳を疑う、といった様子でリニアに確認する。
「なに――師匠が?俺と一緒に? イクスに乗る!?」
「不満か?」
さらりと言ってのけるリニアに、オリバーは返す言葉を失う。
「べ、別に不満て訳じゃないけど」
――いや、そうじゃなく…
「ああそうだ、いくらお前がイクスの性能を限界まで引き出せるようになっても身体がそれに耐えられなければ意味が無いな。
どうしたものか。…対G訓練もしとくか?」
始めから考えていた事ではあったが、オリバーはあくまで自然な彼女の言葉を聞いてこの時実感した。
リニアほど「落とす」ことが難しい女は他に居ないであろう事を。
こんな時間にーッ!w
でも単発。
>>恐怖の亀裂作者氏
本人が強くなってもいいのですがね…ちょっとヘタレのナルシストというキャラは凄く難しいです。
太陽光のアイデアは、諸事情で非常に親近感というか…そんな物を感じてしまうのですw
>>鉄獣28号氏
あ、将来的に役立つとw そんな考え方もアリか…
怒りのパワーといえば、某漫画では「敵に掛けられたマイナスの呪いが、逆に主人公の精神力を増大させた」という
ちょっと意外な展開もありました。でもアレはアレで(・∀・)スキ
鉄獣28号さんへ
あーーーーーーーーーーっ遂にやってもうたw知らないのに同じ事を偶然に!
お前等知っててやってるだろ!は当然の突っ込みですw
>何かはとてもではありませんが追っ払うだけで精一杯の存在です。勝には違い有りませんけど。
Innocent World2の作者さんへ
あくまで”落そう”としているオリバー萌えw
確りナルシーしてます!彼はw
「そう言う貴方も確りしておいでで…ふふっ。」嫌味の気無く笑うマリエス。その首筋には尖角刀の刃が煌めいている。
「こっちは何時何刻首を撥ねられるか冷や冷や物ですが…何か?」圧倒的な優位に立てなければこの様なことはしない。つまりこの時点でファインは決定的な敗北を宣告されている事になる。
エントヴァイエンはようやく壁より抜け出す。「ふう…全く彼方にふらつき此方にふらつき。だが中々面白かったぞ。」マリエスが”それ”を呼称したアポロンリュカネイオス(狼のアポロン)に接触する。
「そして偶然とは言えこれを手にする事が出来た。真逆こんな場所に有ったとはな。」触れた手より流れる光。それにより真の姿を現すアポロンリュカネイオス。サイズはコマンドウルフ程の者。
しかしその姿は野生体その物で有り得ない神気を纏う絶対存在。「如何かな?この星に数多眠る神の獣の1体を見ての感想は?はっはっはっは…。」
「おっと…逃がしはしない。」動き出そうとするアポロンリュカネイオスを呪縛術式で雁字搦めにするエントヴァイエン。「ふふふふ…やはりお気には余より奴か。まあ当然であろう。お前の封を破ったのは奴だからな。」
その光景を黙って見ている事しかできないファインとベルウッド。「うぬぬ…そこの悪魔っ子さえ居らなんだらこの様な不覚は取らなかった物を…!」それにマリエスは反応しベルウッドの方を向く。
「せいっ!」その隙を逃さず首筋に軽い切り傷を負いながら状態を屈めて逆回し蹴りを放つファイン。それはマリエスの顔面を直撃する。
「残念でした。人の子1人の蹴り如きで傷は付きませんわご安心なさって。」コクピットの壁に叩き付けられてはいるがその言葉通り傷一つ負ってはいない。「痛いのはこっちの首と足だけと…。」余り深く傷は付いていないので血は少ししか出ていない。
しかし行動を阻害する障害は取り除けた。それにより一気に攻勢に出るベルゼンラーヴェ。何時の間にか消えたマリエスの事が非常に気に掛かるがこの際如何でも良い。
何の道エントヴァイエンにアポロンリュカネイオスを渡す訳にはいかないのだから。レーザーウィップを取り出し攻撃する。しかし素早い反応で結界が組まれ阻まれる。
「如何したというのだ?そんなに慌てずとも貴公の相手はしてやるぞ?がっつく事等無い。」そう言い終わった途端機体が動かなくなる。
そう感じた時には既に遅くペイルバイターからも喰らわされた重力結界が何の前触れも無く発生していたのだ。
「ふふふ…しかもこれはサービスだ。勿体ないがオ・スペルを使用させてもらったぞ?はっはっはっは。」
足元に発生した重力発生用法陣のスペルサインは全く見た事も無いもので出来ている。
エントヴァイエンの方はそれこそ必死でアポロンリュカネイオスを取り押さえている。本当に余裕が無いらしい。
「やはりアルテミスの時の様にはいかんか!」前例があるらしいがそれはそれと言う事なのだろう…。
「何という荷重力だ!オ・スペルでここまでの物を使用するとは一体何者なのだ!?」”オ”と言うのはオリジナルと言う事で専用術と言う事になる。
つまりは…「解呪(ディスペル)不能でありますかっ!?厳しい!」通常の方法では打ち消しが不能なのだ。じりじりと湖底毎更に深く沈みいくベルゼンラーヴェ。
ベルウッドが必死にこう言う。「しかしオ・スペルは穴が多い!それを突くのだ!」そんな事を言っているが「だから?如何やって?うぐぐ…。」
初心者インスタント君なファインにはさっぱりだ。「しまった!?妾とした事が基本を忘れておったっ!!!」
「お…面白い事になって居るな。だか余も相当きついのだが?」神の獣。そう言われるだけ在りその力は呪縛封鎖を次々に破っている。その都度新しい呪縛を施して抑える。
しかし元に持つ力の差からかエントヴァイエンを以てしても完全に押さえ込むには到らない。「恐れ入る。嘗てはこの様な存在が我が物顔で彷徨いていたのだからな。」
しかし双方疲労の色が濃くなって来て居る。だがそもそも彼等からみれば普通なファインと力を出しきれないベルウッド及びベルゼンラーヴェでは御話にもならない差が有る。
だからこそ重力結界の中で呻くのみだ。
「詰まらん。貴公はその程度で余とやりあっていたのか?甚だ不愉快だ。」言うに事欠いて侮蔑の言葉を嗾けるエントヴァイエン。しかしそこで妙案を思い付いたらしい。
「そのままでは面白くないな…動け!それを破って見せよ!さもないと…この周辺にある貴公の知り得る全てを全力を以て焼き払う。」
その宣言の成す意味はデルポイからの全ての生命体の消滅。「なっ何様の心算ですかっ!!!」その声に「何?余は移り気多い神を気取っているのだよ。」絶望的な答えが返って来る。
「やはり!だから言ったであろう!貴様と此奴は別だと!」そのベルウッドの声にも「違いは無い!余とて始めはそこに居る奴と同じく無能で無用な存在だった!」
何か苛ついているのだろうか?言葉の節々には刺が在りさっきまでの余裕等微塵も感じられない。彼にとってはこれが最低限の妥協点なのだろうか?それにしては敷居が偉く高いのだが。
蚊帳の外に放り出されているのに話題は自分の事と何か嫌な感じのファイン。「何かむかつくのですが…一体誰と誰の話をしていることやら?」
子供の喧嘩じみて来た会話。それに釣られてか結界の出力が弱まった様に感じる。ベルゼンラーヴェを気付かれない様にほんの少しづつ動かし結界の外に手を出そうとする。
「甘いわっ!」結界がエントヴァイエンの声と共に移動して中心に引き摺り戻される。「余の術より逃げ出そうとするとは…凡人無能とは言い難いな。ベルウッドよ!これが証拠だ!」
「何が有っても諦めない!前のみを目指して歩く!それが能無き者の出来得る全て!それが何よりも己の存在を高める理想の修練だ!その証拠に見よ!」
エントヴァイエンはベルゼンラーヴェを指差す。諦めて可能な限りの速度で結界を抜け出そう御行動を開始している姿を外側の映像から確認しベルウッドは表情を変える。
「無茶をするな!そんな事をすれば機体もお主も待たんぞ!」しかしそれを止めない。加速は増し通常とは言い難いが動き出すベルゼンラーヴェは結界の端を掴み取る。
「はあああああああ〜っ!!!」ベルゼンラーヴェは結界の外周を湖底毎握り潰した。
「何っ!?スペルブレイクを要せずにオ・スペルを解除したっ!?」さしものエントヴァイエンも驚く。この手の常識を逸脱した方法に自嘲の笑みすら零れる。「ははははは…面白い!面白いぞ!」
アポロンリュカネイオスを押さえ込みながら嗤う。「さ〜て…これで如何在れ何とかしたので前言は自粛してもらいたいのでありますが?」さして息を荒げた様子も無くファインは言う。
「残念だがルール違反だ。」煽るエントヴァイエン。空いた手には先頃まで振るっていた超が二桁付きそうな巨大なハルバート。「せいっ!」それを振り下ろす。
それを軽く躱しエントヴァイエンに殴り掛かるベルゼンラーヴェ。その拳にはここ数回何時準備したかベルウッドにも解らないがニュークリアインフェルノを発動させている。
「馬鹿な!?既に使いきっていた筈では!?」これにはエントヴァイエンも肝を潰す。「ノンノン!甘いですね?」
これにも種は確り存在する。少し前までワーロック相手に生身で大立ち回りした時がある。その時機体は休止状態に成って居たのでその間にチャージをしていたのだ。
「注意一秒!怪我一生!であります!ニュークリアインフェルノ!!!」拳が放たれる。
突然空間を割って伸びた手がニュークリアインフェルノを押さえ込む。「!」その手の中にはマリエスが立っておりその言葉を言い放つ。
「レコードブレイカー。」その声と共に存在が消滅するニュークリアインフェルノ。正にその行動ニュークリアインフェルノの発動を世界の記憶から抹消したのだ。
更に「アビサルストライク。」その手より高圧縮高密度の闇が発生しベルゼンラーヴェを湖底に叩き付ける。それだけでは飽き足りないのか暗黒の繭はベルゼンラーヴェを包み込む。
そして止めは内部で強力な電撃をこれでもかと浴びせられる。
「よくぞ余にゾイドを使わせた!褒めてやるぞ!」呼んだのはエントヴァイエンらしい。余力はもう無いぜチクショー!な感じがするがそれでも彼の優位は全く動かない。
「型破りな解呪方法!余すら欺くその行動!賞賛に値する。だがまだまだだね?」何か最後が物凄く引っ掛かる口回しだがファイン等には気にする暇は無い。
アビサルストライクの威力の影響で浸水しているからだ。「うおおおお〜!?セラミックテープをっ!?」「こっちからも水が来ておるぞ!急げ!」「ふにゃあっ!!!」
しかしエントヴァイエンも何か忘れている事が有る。「余とした事が…。」ニュークリアインフェルノを捌くのに必死でアポロンリュカネイオスを取り逃がしてしまっているのだ。
「なんたる失態!?これでは余が完全な道化では無いか!?」その言葉に”あんたは充分道化だ”と言う視線が3方より来る。「マリエスまで…。」折角の上機嫌が一瞬で鬱モードに突入。
”偉い人”も忙しいものだ。
アポロンリュカネイオスは拘束を解かれ地表に出ている。しかし何処に行く当てが有るわけでもなく軽く吼えると森の中へ消えて行く。
存在その物が危険だと言った封印の守護者の言葉も何処吹く風。ベルゼンラーヴェを置き去りにして外に跳び出したエントヴァイエン。
しかし彼の探知能力を以てしてもアポロンリュカネイオスを見付ける事は叶わない。
「ゾイキュアがなんぼのもんじゃぁぁぁ!!!!」
「だからそれはどういう意味よぉぉぉぉ!!!!」
黒い三銃士の漆黒エナジーライガー、ゴイア機とアルテガ機は一斉にエナジーキャノンとエナジー
バルカンを撃ちまくった。しかし、カンウが素早くハーデスの前方に立ち、ハイパーEシールドで全て弾いたのだ。
「くそ!!こうなったらトリプルコンビネーションアタックを掛けるぞ!!!モッシュ!行けるな!?」
「お…おお…。」
体勢を立て直したモッシュ機も加わり、漆黒エナジーライガー3機が一列に並ぶとそのまま速度を上げ、2機へ向かって突撃を開始したのだった。
「食らえ!!トリプルコンビネーションアタックゥゥ!!」
「ってまたそれかい!」
漆黒エナジーライガーは背中のエナジーチャージャーを全開にして突っ込みを掛けた。スリップストリーム現象により3機の速度はますます上がって行く。
「ああ!!こら!!てめえら!!」
3機並んで突撃を掛ける漆黒エナジーライガーの直線上にはカンウの姿があった。無論彼等は
ハーデスの前にカンウを潰そうと考えていたのだ。無論ドラゴスにとってそれが納得の行く物であるはずが無く、彼は思わず止めに入ろうとしたのだ。
「ふふ…奴が横に避けようとしても無駄だ…。例え左に避けたとしても、右に避けたとしても、その時にはそれぞれ散開したアルテガとモッシュが貴様を討つ!」
「こら!!てめえら!!そいつは俺の獲物だぁ!!!」
カンウへ向かって突っ込む漆黒エナジーらいがー3機とそれを止めようとする強化型デカルト。
それに対してカンウはその場を全く動こうとしない。このままカンウはトリプルコンビネーションアタックの一撃を真っ向から受けてしまうのか?と、そう思われた時だった。
「ったく本当に突っ込むしか能が無いの貴方達はぁ!!」
「なぁ!!?」
その時マリンとルナリスを除く全員が驚愕した。なんとカンウは漆黒エナジーライガーのトリプル
コンビネーションアタックの突撃を上へ飛び越える形でかわしたのだ。そして先頭のゴイア機の背中に軽く乗り上げた後、さらに軽く跳んで後方に回り込もうとしていた。
「なぁ!!!お…俺を踏み台にしたぁ!!?」
「させるかぁ!!!」
しかし、すぐさま2番目のアルテガ機の漆黒エナジーがグングニルホーンを煌めかせ、カンウの腹部を襲った。が、カンウはそのグングニルホーンの一撃を左脇で挟み込む形で受け止め、そのままバキンと言う音とともに叩き折ったのだ。
「く…くそ!!」
次にカンウへ跳びかかったのはモッシュ機の漆黒エナジーだった。背中のエナジーウィングを展開し、
ウィングスラッシュで一気に斬り掛かる…と思われたその時だった。
「待てぇぇぇ!!!」
「なぁ!!!!」
なんと、モッシュ機の側面から強化型デカルトが体当たりをかけ、ウィングスラッシュを妨害したのだ。そして2機はそのまま床に叩きつけられ、100メートル近く転がる。
「こうらドラゴス!!貴様何考えているんだ!!あと少しだと言うのに…。」
「うるせぇ!!奴を倒すのは俺なんだ!!貴様等に邪魔なんぞさせるか!!」
「邪魔したのはドラゴスの方だろうが!!言っておくが俺達も奴に怨みがあるんだぞ!!」
「おい!お前達やめろ!!」
ドラゴスとモッシュは試合そっちのけで言い争いを始め、ゴイアとアルテガは慌てて止めに入って
いたが、その言い争いは止まる気配が無く、マリンとルナリスも思わず呆然と見つめているだけだった。
「ねえ…今のウチに攻撃したら楽勝じゃない…?」
「でもな〜…。それだと何か罪悪感が…。」
確かに彼等が言い争いをしている間に攻撃を仕掛ければ一網打尽に出来るのは事実であるが、しかし
それが分かっていても、何か卑怯なんじゃないか?とか妙な事を考えてしまった為に彼女等は踏みとどまっていた。
『それにしてもドラゴス選手とモッシュ選手の言い争いは終わりませんね〜…。試合中だと言う事
自覚しているのでしょうか?ゾイキュアの2人はなぜか攻撃を仕掛けてませんから良いかもしれませんが、普通なら速攻でやられているでしょう。』
『そうですな!ゾイキュアと比べてズィーアームズ連合軍のチームワークは最悪ですな!』
「だからゾイキュアってどういう意味よ!!」
やはり冷静に検証していた実況中継の2人にマリンとルナリスは突っ込みを入れていたが、やはり
その返答が返ってくる事は無かった。そのせいでムシャクシャした彼女等はその怒りをドラゴス等へ向けるのだった。
「つかよ!!もうあんたらケンカやめれ!!」
「今まで我慢していたがもう我慢ならね!!」
カンウは背中のMBユニットを両腕に再装着した後でマグネーザーを回転させ、ハーデスはその口を
大きく開いた後で荷電粒子砲のエネルギーチャージを開始するのだった。が、にも関わらずドラゴス
とモッシュは言い争いを続けており、それが彼女等をさらに怒らせる結果となった。
「もう容赦しない!!マグネイズサイクロン!!!」
「大口径荷電粒子砲発射ぁ!!!!」
「って何だぁ!!?」
「うわぁぁぁ!!!!」
ドラゴス達が気付いた時にはもう遅かった。マリンとルナリスの怒りを込めた、超電磁嵐と荷電粒子
の極太エネルギー波がドラゴス達を襲い、飲み込み、吹き飛ばしていたのだ。ちなみに、超電磁嵐と
荷電粒子砲のエネルギーは闘場周囲を覆う不可視電磁シールドと衝突し、観客の被害は無く消滅した。
『カンウとハーデスの必殺攻撃がズィーアームズ連合軍にクリティカルヒィィィットォォォ!!!
このまま勝負が付くのかぁぁぁぁ!!!!?っと思ったらぁぁぁまだ生きてます生きてますよぉぉぉぉ!!!』
「あら意外とタフちゃん?」
実況のフルタチの言った通り、強化型デカルトと漆黒エナジーライガーは何故か生きていた。が、
ダメージは大きかった様子で、装甲を対物理、対エネルギーの両方で強化した強化型デカルトですら装甲がやや焦げ付いていたのだった。
「畜生…不意打ちたぁ卑怯な手を使いやがって…。」
「ってあんたらが何時までもケンカ終わらせないからでしょ!!?」
とはいえ、強化型デカルトと漆黒エナジーは共にまだ戦える様子で、ドラゴスと黒い三銃士もまだ試合を続行するつもりであった。
「まあよ…お前等のさっきの一撃で目が覚めたぜゾイキュア!」
「だからそれどういう意味よ!!」
「もう俺達は余計な事は考えねぇ!!目的はただ一つ!!貴様等ゾイキュアを倒す事に集中する!!」
「だからそれはどういう意味よ!!」
「行くぞゾイキュア!!」
「だーかーらー!!」
ドラゴスと黒い三銃士はマリンとルナリスの疑問に答えてくれるはずも無く、有無を言わせず高速で跳びかかっていた。まあ、やっぱりカンウとハーデスに避けられるのだが…。
「ったくぅ〜…どういう意味か教えて欲しいよね〜…。」
「でも連中は本当にやる気になってるから気を抜くとやられるぞ!!」
強化型デカルトと漆黒エナジーの突撃をかわしたカンウとハーデスは華麗な空中大回転を行いながら
数百メートル後方へ後退した後で綺麗に着地し、強化型デカルトと漆黒エナジーの方を向いた。が、やはり彼等は間髪入れずに跳びかかっていたのだ。
「かー!!もう来たよ!!」
「俺達を舐めるなよ!!さっきは一時後れを取ったが今度はそうはいかんぞ!!」
カンウへは強化型デカルトが、漆黒エナジー3機はハーデスへそれぞれ跳びかかっていた。
そして前足の爪で斬り掛かると言う素早い速攻を見せていたが、カンウとハーデスもそれをどうにかかわしていた。
「せい!せい!せい!せい!」
「ってせいせいうるさい!!」
何時までもかわしていられるかと言わんばかりにカンウとハーデスはそれぞれ強化型デカルトと漆黒
エナジーライガーへ足払いを掛けた。強化型デカルトと漆黒エナジーは空中大回転を見せるが、瞬時に体勢を立て直し、攻撃を再開したのだ。
「って速!!」
「どうだぁ!!今度の俺達はひと味違うぞぉ!!」
「なら!!」
今度はカンウの方が強化型デカルトへ跳びかかっていた。が、強化型デカルトはその攻撃をかわそうとはせず、懐に飛び込んだ上でのカウンターを狙っていた。
「忘れたわけではあるまいな!!?貴様の武器では強化型デカルトの装甲はビクともせんと!!」
「ならその装甲を崩せば良いじゃないの!」
「そんな事出来るかよ!!」
「フフ…こうすんのよ!!」
カンウは強化型デカルトへ突撃を掛けながら両腕のMBユニットを背中に戻すと、その両腕を振り上げながら爪をバッと大きく開くのであった。
>>309の下から5行目のライガーと言う文字がひらがなになってる・・・orz
とりあえずもう459KBなので、本編書き込みはここまでにします。
後はまたおまけ的小話でも書くとして・・・
この後は次スレ立てに挑戦するつもりですが、何も立ってなかった時は
立てられなかったと言う事なんで誰かお願いしますね。
>>恐怖の亀裂作者さん
神の獣・・・それはそれまで出てきた邪神等とはまた違った存在に思えるのですがどうでしょう?
一方ワーロック戦やウルトラみたいなの戦が終わったと思ったらエントヴァイエンってのとの
戦いが始まってこれはこれでかなり苦戦しているご様子ですが・・・・
>>Innocent World2作者さん
落とすって・・・・。
そっちに夢中になりすぎて本来の目的忘れなきゃ良いのですが・・・
「…どうした、寝不足か?」
「あーいやいや。何でもないよ師匠」
朝になって外に出た二人は、曇り空の間から射す朝日を浴びながら身体を伸ばした。
リニアと一緒にゾイドに乗る。それはオリバーにかつて味わった事のない緊張と、ある種の興奮を覚えさせる。
〔…何を本気になってやがんだ、俺は?〕
「落とす」時はいつもクールにカッコ良く。今までいつも心がけ、実行してきた事だ。
しかし今は何故かそれが出来なかった。その感情の昂りを何と呼ぶか、彼は知らない。
――これまでの人生で、「本気」になった事など無かったからである。
「おい、先に乗れ。私は座席の後ろに乗る」
イクスのコックピットは一人乗りだ。もちろん身体の小さい子供ならば二人くらい入れるであろうが、
オリバーが危惧するのはシートベルトの問題だった。
時にとんでもない動きを必要とする高速ゾイドのコックピットでは、ベルトで身体を固定しない事は死を意味する。
だがイクスには一人乗りらしく、ベルトは一人分しか付いていない。
その事をリニアに話すと、何も言わず彼女はイクスのコックピットに飛び乗った。そしておもむろに訊く。
「――このベルト、どこまで引き出せる?」
「え…何で?」
リニアはシートベルトを目一杯伸ばしながら答えた。
「結構伸びるな…これなら足りるだろう。こいつをシートの後ろまで回して、私の身体も固定する」
座席に乗り、言われたとおりベルトの端を後ろのリニアに渡すオリバー。その顔に浮かんだ奇妙な表情に、
思わずリニアがベルトのロックを掛け損ねる。
「…どうした? その変な顔は」
「あ、何でもないよ本当に」
オリバーは首を横に振り、納得したのか解らないが今度はリニアの手がしっかりベルトのロックを掛ける。
実の所彼は、この体勢にますます緊張が高まるのを感じていたのだ。
〔――いきなり密室で縛(ry は過激すぎっしょ、師匠!〕
オリバー達がどこかへとイクスを走らせる頃、エルフリーデ=ラッセルは市街を歩き回っていた。
ウィンドウショッピングをする訳でもなく、ただ歩きたかっただけの散歩だ。
「…オリバー、あれから大丈夫だったのかな…マキシさんも連絡取れないし、はぁ…」
そろそろ冷え込んでくる季節だ。カレンダーが無いというのは本当に不便な事だが、
今となってはそれを発行する会社すら存在しない。
「もうちょっと寒くなったら、雪が降るかな?」
そういえば、オリバーと初めて出会ったのも雨季の寒い日だった――ぼんやりとそんな事を考えていたエルフリーデは、
前から来た長身の男と正面からぶつかってしまった。
「あっ、ごめんなさい!」
「いや、いい。君は大丈夫か?」
その男は眼鏡をかけ、理知的な顔立ちをした男だった。その男の後ろには黒服で固めた男が二人付き従っている。
眼鏡の男は手に何かを持っていたらしく、ぶつかった時に落としてしまったのだろう。足元に落ちていた
懐中時計のようなものを拾い上げると、エルフリーデとすれ違いながら「すまんな」と言い残し、去っていった。
「? あのひと…優しいけど、悲しそうな顔してた…」
「なかなか可愛い娘とぶつかるじゃないですか、博士」
「そんな事はどうでもいい」
今しがたエルフリーデとぶつかり、一礼してすれ違ったのはヴィクター=シュバルツバルトだった。
彼が持っていた懐中時計のようなものはゾイドコアが持つエネルギーの熱量を感知するレーダーである。ゾイドごとに
コアが持つエネルギーは異なり、現行のゾイド全てを識別可能なこのレーダーはアーティファクトの一つだった。
さらに、大戦前の技術力はやはり伊達ではない。このレーダーは広域に広がり、市街全域を丸ごとカバーできる。
「今のところ最も大きな熱量は、ガンブラスターにエナジーライガー…デスザウラー級の反応は無いな」
黒服の二人は、シュバルツバルトの動きを聞いた議長が「増援」として送ってくれた者達だという。だが、
彼はとっくにその男達が「監視役」も兼ねている事に気付いていた。
だが、邪魔をされなければ彼らも気にならない。むしろ一応は部下として動いてくれるので、それなりに便利だった。
「…? 待て、この反応は…地下からか?」
そのレーダーはホログラムを利用し、立体的なエネルギー探知も可能としている。そして今彼が気付いた反応は、
立体映像に映る最も深い地下数千メートルの位置からのものだった。
「まさかとは思うが…『ディープグラウンド・シティ』か…?」
「何です、それ?」
黒服の一人が聞くのも構わず、シュバルツバルトはポケットから別のレーダーのようなものを取り出した。
「…それは何ですか、博士?」
今度は答えてもらう、と言わんばかりにやたら丁寧な口調で黒服のもう一人が聞く。
シュバルツバルトは「それ」の電源を入れながら、不敵に笑って見せた。
「――Sランク(非常に珍しい)アーティファクト、僕の秘密兵器さ」
マキシミンは驚愕した。彼の目の前に広がる光景は、とても現実とは思えないような景色だ。
一つの街。それも、地上の市街に匹敵――あるいはそれ以上の規模を持つ、巨大な街。
高山が丸ごと納まってしまうのではないかと思われるほどの空洞は、底面だけでなく壁面や天井からも
住居が伸び、天井から垂れ下がるような形のビルは巨大な鍾乳石を思わせる。それらと壁面の間に無数の橋が渡され、
この街の移動手段となっているのだろう。
これが伝説の街、「ディープグラウンド・シティ」である。
「まさか…これ程のモンだとは…」
壁面を渡る通路の中には、ゾイドが通っても大丈夫であろう巨大な物が複数ある。
一体これ程の街ができ上がるのに何年掛かったのだろう――そんな思いを振り捨て、マキシミンは歩き出す。
景色に感動している暇など無い。デイビッドの情報が確かなら(間違っている事は99%無い)
ここは世界で最も危険な街なのだから。
「さーて…情報収集と行きますか」
街中に入ってみると、やはり何処までも異質な街だ。そこら中に、大戦時の軍服姿の男やら仮面をつけた女やら
地上では明らかに変人の部類に入る者達がうようよしている。
だが彼の探す物は一つ。求める情報を得るべく、マキシミンは人ごみの中へと分け入って行った。
466KB! とても危険ッ!!
>>恐怖の亀裂作者氏
書けているのならこのまま逝きます。ヤツが更生する過程も重要な要素の一つですから。
鬱モードに突入激しく笑w
>>鉄獣28号氏
大丈夫ですよ…流石に彼とて「リベンジへの執念>>>>落とす」なので。
ただまあ癖といいますか。
名シーン再現されましたねwしかしモッシュ沈まず。
スレ立て終了です。
自分でバトルストーリーを書いてみようVol.16
http://hobby5.2ch.net/test/read.cgi/zoid/1099232806/l50 鉄獣28号さんへ
とても固いゴイアのエナジーライガーwギガに践まれたら多分ぐしゃりと潰れる気がちらほら?
流石Zi-ARMSと言った所でしょうか。とても固い金属に装甲やフレームが交換されている予感!!?
Innocent World2の作者さんへ
”偉い人”はとても忙しいのでw焦れば獲物を取り逃がす。切れれば格下に弄ばれると得なお仕事ではないですw
〇ミラ〇星とか何処かの地底空洞説を彷彿させる地下都市スゲー…。
そして…最高の特訓!何たらに耐えて平常心を鍛えるべし!前途は余りにも多難w
設定大荒れ気味…スレ待つという事で。
【技術】
オ・スペル:個人専用術式の事でどの系統に於いても一般の解呪(ディスペル)や術式破壊(スペルブレイク)では効果を排除できない術
その代わり術式保管が総じて甘く術式に穴が多数有るので本編の様な打ち消しも出来たりする他威力が一般術式に比べて効率が悪かったりする
スペルブレイク:解呪(ディスペル)とは違う法則の対抗術式でディスペルが結果をそれ以降無効化するのに対して術式その物を阻害するのがスペルブレイク
本編には未登場だがそれが成功した場合見た目にも奇怪なその効果が実空間で割れると言う現象が起きる
理論としてはその術の最重要部分に自己破砕術式を上書きする技術
レコードブレイカー:その名の通り記録抹消術式でこれは術式のみならず他の事象すら限定範囲で発生を無効化する物
世界に干渉しそれの発生した事その物を”無かった事にする”究極の防御術式
弱点は必要な技量が非常に高く限定する物を間違えると全てが無効になる事の他にそれを確認した時にその対称が”何で有るか?”を正確に認識しなければならない事
【ネタ】
神の獣:古代種のゾイドの中でも一際力を持つ存在を指す言葉で非常に強力な生命力と圧倒的な戦闘力を有する
彼等は”他の神”と違い肉体を持って居る為その力が変質する事は無い
対義存在として他の世界からやってくる”神(邪神)”と比べてもその力の差は歴然としており純粋な力が形を持った者と考えられている
彼等のコアに手を加えた物がエルダーコアとなるが簡単に言うとリミッターを付けるような物で人の手でその全ての力を利用する事は出来ない
アポロンリュカネイオス:狼のアポロンと訳される狼型の神の獣で太陽光を自在に編集できる力を持つエントヴァイエンの話では対の存在を持つと言う
対存在としてのアルテミスリュカネイオス”狼のアルテミス”はエントヴァイエンが手にしているらしい
ー紅の疾風ー
「ん?何だあれは。」不審者の追撃に失敗しZOITEC本社敷地内にレイズタイガーを向かわせるアロー。
その時偶々彼の視界に正体不明のゾイドが映る。直に消えてしまったそれは幻だったのかもしれない。
しかし「ちょっと待ってくれ。不審なゾイドが居る!」レダにそう伝えるとアローはレイズタイガーをそれを見かけた場所へ向かわせた。
「やっぱりな…光学迷彩を使っていたらしいが足跡は流石に消せないよな。」それは3本の爪を持つ足跡。しかも間隔の開き具合からホバリング機能を持つゾイドの物だ。
それは真っ直ぐ本社敷地内に向かっている。「しまった!この先はZOITEC本社だっ!」
全速力でレイズタイガーを走らせ空間の揺らぎに追い付く。そろそろ光学迷彩の切れ時らしい。現れる影…。アローはその姿に呆れる。
サイズからしてジェノザウラー等のタイプである事は解る。しかしその姿は異質で異彩を放ち一目見ただけで彼の乗るレイズタイガー同様ワンオフの試作型である事が読み取れる。
「止まれ!そこのゾイド!」ついさっき乗ったばかりのゾイドだがこの機体の力に簡単に拮抗しうるゾイド等まず居ない。それが彼の盲点だった。
「丁度良い。お前はZOITECの者か?社長に用が有るのだが…案内を頼めないか?」そのゾイドより通信が入る。モニターに映った顔はフルフェイスのヘルメットと言うよりパワードスーツ。
当然バイザーの色は暗く中の表情は読めない。「残念だが社長は居ないぜ?何せつい最近誘拐されたばかりだっ!何処の何奴か知らないが怪しすぎる奴は通せないな!」
レイズタイガーが地を蹴る。それを合図に戦闘が始まる…。
「速い!ホバリングではこんな瞬発性は得られない筈!」通常の相手なら確実に捕らえている筈の距離からのストライクレーザークローが獲物を逃し再び地を掴む。
「そんな事をペラペラ喋っても良いのかな?紅の疾風?」背より6つの何かが跳び出しビームを放つ。しかしそれは集光パネルに吸収され効果が無い。「集光パネル…分が悪いが格闘戦を挑む他無いらしい!」
照明用のサーチライトが一瞬謎の機体を闇夜に浮き上がらせる…。アローの目に入ってきたその姿は九頭竜。透過金属らしき淡い緑に装甲内側の更に儚い黄色い光。
それが機体を青に染め不気味に煌めいていた。「あれだけ光っていて闇に紛れるっ!?」
驚きが隠せないアロー。ブラックライトか何かの応用とは解れどここまで隙の無い物は珍しい。
しかもほんの少し競っただけで自分の存在を見破る男。相当知識の豊富な物で有る事は充分理解できた。
「じゃあ?あんたは何者だ?」その問い掛けに答える男。「ミストだ。それ以上でもそれ以下でも無い。」
「流石は紅の疾風…動きを目で追うので手一杯だ。流石にクラッカー兼ジャーナリストの俺では荷が重い!ハイドラ!」
「応!任せておけ!」ジェノハイドラ”ファンタズマ”に力が宿る。青い姿は直に紫と青の斑と毒々しい姿に変貌する。
機体を覆う寸足らずの装甲が跳ね上がりそこより外界に突き出すスタンフレームニードル。背の半円バインダーが左右に割れる。
そして開くサイズに不釣合いな程小さい甲虫類の羽根。
「こいつは…噂に聞くハザード273かっ!?」やばいなと思うアロー。ここ最近Zi-ARMS関連の施設がこの機体に襲撃されているとニュースで聞く。
しかも新型機開発を主に行う所ばかりを念入りに襲っていると言う事だ。他の施設は見向きもせずにそこに突撃し防衛戦力を物ともせず荒らし回っているとも情報屋から聞いた事が有る。
まだ乗ったばかりのゾイド。幾ら自分の思いどうりに動くとは言え正体不明のゾイド…しかも噂のハザード273だ。しかしここを引き下がる訳にもいかない。
依頼主が危険に晒される事だけは断固として避けなければ成らないからだ。
お互いがお互いを過大評価している為その戦闘は消極的極まりない。正体不明のゾイドに立ち向かうアロー。伝説の凄腕Ziファイターに手が上手く出せないファンタズマ。
底が知れない相手と戦闘するのは非常に気が滅入る物だ。予想以上に時間の経過が遅く感じる。口の中が乾きヒリヒリする感覚を覚える。
便利屋(エージェント)を始めてからは久しくの無かった強敵との遭遇とゾイドバトル。だんだんと体中の血が沸き上がる様な高揚感を不覚にも感じるアロー。
「面白く成ってきた所だが決めさせてもらうぞ!」レーザーネストから強力な収束レーザーキャノンが発射される。耳障りなざわめきと共に迫る高収束高出力レーザー光。
「ハイドラ!」その声に応じて二手に分かれた背の6つの首が格子状に前に展開しEシールドと超電磁シールドの2枚構造の複合Eシールドを張る。避ける訳にはいかなかった…。
戦争が終わって何年経ったか…、世間じゃ一応平和な世の中と言う事になっている…。
しかし、あの戦争で敵味方双方に大勢の死者が出たのも事実だ。そして生き残った仲間達も
それぞれの故郷へ帰り、新たな人生を歩んでいるらしい。だが俺は今だに軍にいる。
何故なら天涯孤独な俺には軍人以外にやる事が無いからだ。しかし、俺は戦争が終わってから
と言う物…軍人らしい事は全くと言って良い程やった事が無い。訓練もしないと言う事は無い
が、必要最低限の物であっという間に済まされ、後はひたすら戦災で破壊された瓦礫の片づけ
作業だ。大戦中、俺と共に戦場を駆けたアロザウラーも今では土木作業用に改装され、
周囲のスピノサパーと一緒に瓦礫の片づけや掃除をする毎日。これではまるで軍隊じゃなくて
工事現場の仕事をやってるみたいだ。と言うより、俺を含め、皆はここを軍隊と思っている
だけで、本当は工事現場の仕事だったりしないだろうか?と言う事は考えすぎか?
まあとは言え、こんな仕事でも食うには困らないのだからあながち不安があるワケでも無い。
俺は自慢じゃないが、大戦中アロザウラーでエナジーライガーを三機倒した事がある。
と言っても、味方が随分と消耗させたエナジーライガーにたまたま俺がトドメを刺したと言う
事なのだが…、そのおかげで俺の名は少しは上がったと思うし。大幅軍縮の際にも俺が軍に
残れたのはこのおかげなのでは?なんて考えたりもしたがやはり考えすぎだろうか?
とは言え、アロザウラーでエナジーライガーを、味方が随分と消耗させてくれたおかげとは
言え、三機も倒す事が出来た事実は本当に運が良かったと思っている。と、運と言えばこういう話もある。
俺がまだ訓練生であった時、教官達は口々にこう言っていた。
「戦場では間抜けな奴から死んでいく。」
と、しかし、実際に戦場で戦って見て、それは大嘘である事が痛い程分かった。実際はこうだ。
「戦場では運の無い奴から死んでいく。」
と言う事こそが正しいのだと思う。実際強くても運の無かったせいで死んだ奴も大勢いたからだ。
俺と同じ部隊には、絵に描いた様な間抜けな奴がいた。奴は力もなければ頭も悪い。何をやらせても
てんでダメな男で、よく上官にぶん殴られていた。コイツは戦場じゃあ真っ先に死ぬだろうなと、
誰もがそう考えていた。もちろんこの俺もだ。しかし現実はどうだ。奴はこの戦争を五体満足は
おろか、怪我等もほとんど負うこと無く(と言っても切り傷擦り傷程度の怪我はあったが)生き残り、
戦争が終わるや否や故郷へ帰って行きやがった。そう、これこそ奴は運だけは良かった証拠になる
のだ。奴が今どこで何をしているのかは分からないが、多少間抜けでもあの戦争を生き残ったのだから他でも何とか生き残っているだろう。
と、長々と話をしてしまったが、そうしている間も俺はただただ瓦礫の片付け掃除作業を続ける。
今俺が出来るのはこれくらいの事なのだろうから。しかし、こんな毎日もそれほど悪くは無いかも
しれない。軍人にあるまじき考え方だと思うが、やはり戦う必要が無いと言う事は良い事だと思った。
これからは戦争のない平和な時代が訪れることを祈りたい物だ。
これがいわゆるおまけ小話です。明日まだ余裕があるならさらに幾つか書いてみたいと思います。
>>恐怖の亀裂作者さん
スレ立てお疲れさまです。
>ギガに践まれたら多分ぐしゃりと潰れる気がちらほら?
これは確かにエナジーの方も装甲を強化とかしてありますが、潰れなかった理由に付いて
まああんまり細かく考えてなかったと言うのが本音なのですが、とりあえずは
「それはマリン&カンウのテクニックに起因する物だった」と言う事で勘弁して下さい。
漫画とかでもたまにあるじゃないですが。水に浮いた葉っぱから葉っぱを起用に跳ぶ乗って
行くと言う・・・。簡単に言うとその重量が伝わる前に別の方向へ跳ぶと言う奴です。
ゾイドハザードの物語も面白い物だと思いました。確か以前にやった分の続き的な物ですよねこれは。
ジェノハイドラとそのジェノハイドラに入ってる人格?の様な物でピンと来ました。
それにしてもこれを読んでみるとジェノハイドラの強さと言う物が感じられますね。
ゲームだとVS&サーガ関わらずに余り強く感じないのですが・・・
この勝負はどうなるのでしょうか?と今までにも書いた事を書いていた時に思ったのですが、
ジェノハイドラの人はジャーナリストの様子ですね?何か種○ス外伝の主人公を思い出したり・・・
>>Innocent World2の作者さんへ
イクスのコックピットと言う閉鎖された空間で何か(オリバーさんにとって)大変な事になってる時にも
別の場所に目を向けると色々な事が起こっている見たいですね。
あの懐かしい科学者の人も久々に出てきましたし。
マキシミンさんの方も地下都市で色々やってる見たいですし。
「味方が随分と消耗させた」が2回も出てくるのが少ししつこく感じられました
328 :
326:04/11/01 22:45:30 ID:???
>>327 別に悪いことしたわけではないと思いますよ
鉄獣28号さんへ
巻末小咄キィタァー!(外人棒読み)キター!(同じく)
アロスピナー(勝手に命名アンオフィシャル!!!)の人の運の良い奴が生き残ると言うありがたい御言葉…。
それ程役に立ってない癖に生き残って無駄飯を喰らい軍を止めて帰って行く…w
葉っぱを踏む…もしや!主は甲賀者かwと言う位素晴らしい技術ですね。
速掛けまで使えるなら以前や100年前の話で300km/hオーバーの駿足も設定保管完了!
ギガスパワーと併せるとエナジーライガークラスも夢じゃない!?
実は名前こそジェノハイドラですがオリジナルとは違っています。中身云々引っ括めて…。
「放熱効率がダウン…粒子変換収束率上昇。こいつは来るか?」コクピット内で呟くミスト。外周のEシールドを突破し超電磁シールド出止まったレーザー光。
しかしレーザーネストの一撃はファンタズマのリミットを突破させるのには充分な物だった。
「紅の疾風!死にたくなければ此奴の後ろに行け!死にたいならその場に居る事だ!」口調の急激な変化に真意を汲み取りアローはファンタズマの後方にレイズタイガーを移動させる。
「如何言う事だ!?」そう言うアローに答える一言。「これが…ハザード273の由来だ!」機体から高熱原物質が多数レイズタイガーのセンサーに検知される。「総数273!」アローの目の前で273の物質が虚空に放たれる。
その頃…丁度別口で雇われた者達はレイズタイガー奪取の為に砂地を移動中だった。「あのゾイドを捕まえれば当分遊んで暮らせるだけじゃねえ!天下のZi-ARMSのテストパイロットのおまけ付きだぁ!行くぞ野郎共ぉ!」
「へい!親分!」しかしそれは虚空より飛来する273の衝撃波の前に機能を停止する。
「?…命中観測?運の悪い奴等が居た様だ。」放たれた物。超高熱の超小型プラズマ弾。その数273発。背に搭載されたサーミックディスチャージャーより強制排出されるプラズマ弾…これがハザード273。
正式名称”プラズマショックバースト”俗称”273門プラズマッシャー”である。俗称を付ける意味が有るか如何かは開発者に聞くべきだと思うが…。
「…あんなの全部喰らったら大型ゾイドもやばい。」避けて良かったとアローは心底思う。後にブラストルタイガーに正式に搭載されたサーミックバーストの試作機である事はまだ誰も知らない。
「さて…続きをするか?紅の疾風。」脅しも充分相手に心理的負目を産み出した後でじっくりと…大人な戦法である。威力に委縮してしまうなら圧倒的に有利。
背部のサーミックディスチャージャーを狙ってくるなら多少有利と悪い事ではない。しかしそれは唐突に入って来る通信で打ち切りとなる。
「アロー!何をやっているのですかっ!」こんな危険度最大値の場所にヘルキャットに乗ったアルマがずかずかと割って入ったのだ。「あちゃ〜…。」しかしアローの口から出た言葉はやっちまった程度の物。
「何をボーッと…って何ですか!?このゾイドは!?」見事な御言葉。高まった空気は一瞬で醒めてしまった。
更にアローに追い打ちを掛ける出来事。「…アルマか?」「その声は…ジャーナリストのミストさん?」
知人かよ!と言う事である。危うく知り合いの客を力ずくで門前払いにする所だったらしいのだ。
ZOITEC施設内ラボ。
「それにしても…物凄い格好ですね?確か重症で入院中と聞きましたが?」この場にアローは居ない。ばつが悪いので仕事の準備をしてくると外に居るのだ。
「まあ色々有ってな…裏取引の付けを払纏めて払わされたらしい。」当然コクピットの中からは出られないのでそこでの会話だ。秘書のレダが色々調べてくれているらしい。
「折角彼奴にこの姿を見せて驚かせてやろうと思ったのにこれだ。遂に実の娘にまで迷惑を掛けやがった!」苦笑いしてみせる。「確か一週間以上前に面会を求めていましたね。」
アルマが言うと「そうだった…だが遅かったみたいだな。」半年のブランクがこんな結果を生むとは思いもしなかった。
「全く同期一番の出世頭がこれだと万年最下位の俺はこうか…?世の中世知辛いものだなあハイドラ?」「全く以てその通りだ!」人工音声で喋るジェノハイドラ。半年の間にプログラムを改竄に次ぐ改竄。
その甲斐有って今では言葉で喋る事が出来る。しかしマンマシーンインターフェイスとしての機能はからっきしで所詮専門家に聞かなければ何も解る筈が無い。その為のZOITEC訪問だったのだ。
何か目を丸くしているアルマが居る「如何した?」その声にはっと気付いて「いえ…まさか…ゾイドに喋らせる何て前代未聞だったので…。」以前前例が幾つか有るにせよ珍しい事には違いない。
しばらくしてレダから連絡が入り何とかコクピットからは降りれる様にできるらしいと報告が来るが根本的な解決には成らないらしい。外見は全部ダミーで体内にインプラントされている物は取り除けないそうだ。
「すみません。専門の…医師の方でないとそれは如何にもならない様です。」それを聞き「そのチップの効果は解るのか?」そう言うとレダはこう答える。
「半径150km以上機体と離れると証拠隠滅の為チップが爆発するそうです。」それにしては随分と距離を取れるものだ。有る意味余程の事が無い限りそんな距離を離れる事は無いだろう。
今の所命の危険はそれ程でも無いらしいと言う事だけ解れば充分だったが逆にZi-ARMSの捜索範囲がそれだけ広い事も指している。
「ふっ…プラズマッシャーの跡か。運の無い奴等だ。折角獲物を両手に花で我が手に収めるチャンスだったがまあ良い。」
砂地に擱座する盗賊のゾイドを見下して男は言う。「ファンタズマ!逃しはせん…だが精々頑張る事だ。所詮はそれすらZi-ARMSの計画と知らずにな。」
そして男は自分に宛てがわれたゾイドに乗り込む。その姿もまた背に背負う物が違えどジェノハイドラである事は確かだった。
「全てのファンタズマは私の物だ!」
ー紅の疾風 終ー
次回予告選択
A:そう言えば1年以上も娘と息子に会ってないな…行ってみるとしよう。 ー追跡者ー
B:奴なら何か知っているかもしれないな…バートンにでも会ってみるか? ーZi-ユニゾンー
C:先ずは医者探しだな。 ー治安局強襲ー
のどれかでお送りする予定です。
そんな事よりドラゴスよ、ちょいと聞いてくれよ。スレとあんま関係ないけどさ。
このあいだ、ハイGホエール行ったんです。ハイGホエール。
そしたらなんか人やゾイドがめちゃくちゃいっぱいで入れないんです。
で、よく見たらなんか垂れ幕下がってて、二代目緑の悪魔ぶっ殺せ、とか書いてあるんです。
もうね、アホかと。馬鹿かと。
お前らな、二代目緑の悪魔如きで普段来てないハイGホエールに来てんじゃねーよ、ボケが。
二代目緑の悪魔だよ、二代目緑の悪魔。
なんか親子連れとかもいるし。一家4人でハイGホエールか。おめでてーな。
よーしパパ二代目緑の悪魔ぶっ殺しちゃうぞー、とか言ってるの。もう見てらんない。
お前らな、デカルトドラゴンやるからその席空けろと。
ハイGホエールってのはな、もっと殺伐としてるべきなんだよ。
通路ですれ違った奴といつ戦闘が始まってもおかしくない、
殺るか殺られるか、そんな雰囲気がいいんじゃねーか。女子供は、すっこんでろ。
で、やっと入れたかと思ったら、隣の奴が、ゾイキュアをぶっ殺せ、とか言ってるんです。
そこでまたぶち切れですよ。
あのな、ゾイキュアなんてきょうび流行んねーんだよ。ボケが。
得意げな顔して何が、ゾイキュアで、だ。
お前は本当にゾイキュアをぶっ殺したいのかと問いたい。問い詰めたい。小1時間問い詰めたい。
お前、ゾイキュアって言いたいだけちゃうんかと。
ハイGホエール通の俺から言わせてもらえば今、ハイGホエール通の間での最新流行はやっぱり、
初代緑の悪魔の亡霊。これだね。
何か曾孫の二代目緑の悪魔がピンチになった途端に霊告を送って勇気付けさせる。これが通の選択。
亡霊ってのは既にもう死んでる。そん代わり何か霊告送ったりしてる。これ。
で、それに今でもあの世で曾孫を見守ってる。これ最強。
しかしこれ信じると次からズィーアームズ社に電波扱いされるという危険も伴う、諸刃の剣。
素人にはお薦め出来ない。
まあお前、ドラゴスは、その辺のゾイテック社の犬でもぶっ殺してなさいってこった。
友人に貸したVS2が帰ってきません(´A`)
>>恐怖の亀裂作者氏
またもジェノハイドラキタ――(゚∀゚)=3――!!
なんかキールアーマーを更に強化したようなイメージが沸きます。「ジェノハイドラ○○」と付けては?
>>鉄獣28号氏
しみじみと語る一兵士。
「戦う必要が無い」のは軍人にあるまじき考えなどではなく、それが理想なのではないかと思います。
「――守りたいものがあるから、戦うのサ」な台詞の究極形かと。
あからさまに変な物書いてごめんなさいorz
それにこれって、自分のマイバトストをしっかり読んでないと絶対理解出来ないですよね・・・。
明日、まだ容量が残っているならば、真面目な話と言う奴を用意しているのでそれで勘弁して下さい。
>>恐怖の亀裂&ゾイドハザード作者さん
試作サーミックバーストキタァァァァ!!!(?)
戦闘は特に荒くならないウチにあっさりと終わった様子ですね。
しかも敵にもジェノハイドラがいるみたいですし、さらに以後のルートが
三本に分岐してる・・・。どのルートも内容が気になりますね。
>前例が幾つか有るにせよ珍しい事には違いない。
その前例とは一体何でしょうか・・・?
良く見ると消し忘れた”払”が…。
鉄獣28号さんへ
>前例
は笑い話の種に用意する予定のZOITEC VS ZI-ARMSの新製品開発競争で鳴かず飛ばずのアクセサリー商品と言う設定です。
ファンタズマの場合は強制リンクが有るので正確に言語の意味がゾイドに伝わっていると言う状態です。
保管不足なのでこれより小咄を…。
Innocent World2の作者さんへ
〇〇ユニット…どんな物が良いのでしょうか?ZI-ARMSが作りそうな物…色々有りそうで困ります。
彼処はVSVで色々なゾイドを無差別に使用していましたから。
ーーーーーー
一応設定保管を。
【人物】
ミスト:ジャーナリストを隠れ蓑にクラッカーを生業としている男でZOITECの社長(VSV)とは学生時代の同期らしい
相当のおっさんである事は間違い無い他妻子持ち、計画的な偽装事故とその保証を装いZi-ARMSの新兵器開発の生体ユニットに使用されてしまう
【技術】
6ヘッドバインダー:ジェノハイドラ”ファンタズマ”共通のユニットベースで6つの首を持つそれ以外は別物
ミストのファンタズマにはプラズマショックブラスターと有線式ヘッドウェポンポッド、二層複合Eシールド発生装置が付いて居る
【ゾイド】
ファンタズマ:貴重なジェノハイドラの野生体を使用した高性能戦闘ゾイド、ゲーム設定とは別物で東方大陸に稀に発見される完全野生体をベースにされている
その特徴はT−レックス型の亜種で両手が顔に偽装されている3本首の野生体である、その為ジェノハイドラお馴染みの回転ヘッド機構は有りません_| ̄|○
Zi-ARMSのメガデスザウラー計画の裏でひっそりと行われた計画で開発されていた
ー外伝 やってもうた…ー
「「やってしまった…。」」全く違う場所で全く同じタイミングでそう言い頭を抱える社長が2人…ZOITECとZi-ARMSの社長である。
多少の被害で済んだものだが彼等は開発競争の末”希代の色物ゾイドアクセサリー商品”を開発してしまったのだ。
それは…ゾイドと肉声で会話できると言う物である。それを取り付けるとゾイドに肉声で命令できるだけで無くゾイドの方からもパイロットに話し掛けてくると言う物だった。
だがしかし…それは顧客から不評の嵐を両社に叩き付ける事になったのだ。
理由その1
「俺の相棒がそんな事言う筈無いだろ!」とあるZiファイターの証言。
如何やら無駄撃ちが多いらしくゾイドに「真面に狙え!へぼガンナー!」と言われたらしい。事実を指摘され怒り狂っている様だ。
同種の苦情が殺到。中にはファンキーな性格のゾイドも居たらしくジョークしか言わないと言う苦情が数件確認されている。
理由その2
圧倒的なシステム負荷
これを装備するとシステム領域をかなり消費するのでメインの顧客たるZiファイターへの受けが良くなかったのだ。
当然会話機能以外これと言って有益な機能が無い為値段に対する効果が非常に薄い事も原因であろう…。
等の理由で自主回収された。「「言語選択の幅が有り過ぎた…。」」両社とも技術を売りにしているので妥協できなかった事も問題に上げられる。
今から十数年程前の話だ。
そして…今ファングッズとしてネットオークションで高値の商品でも有る。
「だあっ!?こいつ壊れてるじゃないかっ!!!」とある男が愛機に取り付けたらしいが反応が全く無く頭を抱えている真っ最中だ。
「何をしている?シグマ?」マスクマンは頭を抱えているシグマに声を掛ける。マッハストームの格納庫だ。「ダン。シグマの機体を覧てやってくれ。」
マスクマンに呼ばれダンはボルドガルドのコクピットに潜り込むそして…「駄目駄目!シグマ?これはブロックス非対応の物だよ。」そう宣告される。
「あれだけ金を積んだのに…。やってもうた…とほほ。」
ー外伝 やってもうた…。 終ー
父さん、母さん、お元気ですか?こちらではかすかに肌寒くなって来ましたが、僕は毎日頑張って
います。戦闘は日に日に激しくなっていますが、僕は大丈夫です。気にしないで下さい。
この僕が父さんや母さん、そして町のみんなを共和国軍の残党から守って見せます。
それに、僕は先日、セイスモサウルスと言うゾイドのパイロットに任命されました。セイスモ
サウルスと言うゾイドは、ネオゼネバス帝国軍の最新型ゾイドで、その戦闘力はデスザウラーをも
超え、もちろん共和国のいかなるゾイドにも勝ると聞きました。このゾイドさえあれば共和国の
残党だってあっという間にやっつける事が出来るはずです。そして僕はこの戦争を一日も早く
終わらせて、必ず帰ってきます。だから、父さんと母さん、僕の事は心配しないで下さい。
ネオゼネバス帝国軍青年将校が故郷に残した両親へ送った手紙より抜粋。彼は後に、当時緑の悪魔と
恐れられていたと言うグリーンのカラーリングを施されたゴジュラスギガと遭遇。戦闘の末に乗機のセイスモ共々戦死したと言う。
やあ、そっちは元気かい?こっちは…まあ大丈夫とも言い難いが、まあ何とか頑張ってるさ。
生傷は絶えないけどな。ハッハッハッ!とにかく心配するな。戦況はこっち側が不利らしいが、
俺も含め、皆は絶望していない。むしろますますやる気になっている位だ。本当に負ける時は
完全に絶望した時なんだ。実際これから本格的な大攻勢が始まるらしい。この作戦が成功すれば
俺達は奴等に奪われた首都を取り戻す事が出来るんだ。激しい戦いになると思うが、もちろん
俺は必ず生きて帰る。だからこそ俺は絶対に勝つ。そして必ずお前のもとへ帰ってくる。その時は…俺は…お前と…
ヘリック共和国軍曹長が恋人へ送った手紙より抜粋。彼はその後、共和国首都奪還作戦の際、
乗機としていたダブルアームリザード共々セイスモサウルスに踏み潰され、戦死している。
鋼獣書房とは・・・以前も自分のマイバトストで何度か出てきたりしましたが、
ここで一応改めて説明させて戴きますが、これは中央大陸の最大手であり、老舗でもある出版社と言う設定です。
ちなみに西方大陸出版界の最大手は”オリンポス書林”
東方大陸出版界の最大手はゾイテック系列会社の一つと言う設定の”ゾイテック出版”と
なっています。今度は本筋の方でもちょこちょこ出す予定なので、こういう事知っていてくれるとありがたいです。
>>恐怖の亀裂&ゾイドハザード作者さん
いわゆるトホホ話と言う事ですね。ワロわせてもらいました。
ほぼ同時に頭を抱えるダブル社長とか・・・
凄い商品が必ずしも受けるワケでは無いと言う良い例にもなりましたし・・・
しかも最後にさり気なくマッハストームのメンツまで登場してますし・・・。
確かにブロックスは暴走して野良化した物ならいざ知らず、普通に使用されている奴が
そう言う意思感情と言う物を持たないのは仕方ありませんよね。
高い金を支払ったのに代償も大きかったトホホ話。
でもこういう話も良いかもしれませんね。ゾイド世界のテレビ番組などでも
現代のトホホ人物伝に酷似したテレビ番組が放送されていて、
プロイツェン等にもトホホはあったーとか本当にやってそう・・
誰しもが普通に使用しているゾイドの火器…。
その中には幾つか物理法則を無視している火器が有る。多少射線が意図的に曲る粒子兵器やレーザー兵器の類だ。
そしてつい最近私はグローバリーVの数少ない残骸の中より奇妙な姿の火器を見付けるに到る。
そしてその火器が戦闘記録を保持する機能がありそれを偶然解析に成功したのだ。
しかし私は思う…これは絶対に公開してはならない物だと。そしてこの手記と共にここに埋める事にする。
その火器は低速高誘導レーザーニードルガンと言って置こう。
ー記録映像ー
「急げ!グローバリーVがあの星に墜落したぞ!」「了解!直に周辺に…。」「駄目だ!もう現地民族に包囲されている!」
その銃口は見慣れない機器を映している。そして持ち主が動いたのであろう…突然目の前に恐ろしい姿の存在が映される。
全身重装甲のパワードスーツに身を包み左腕に接続された巨大な火器がガチャガチャ動いている。そしてそれが言う「出撃だ!我等は地球人の救出に向かう!」
…その後ノイズが酷くなり映像や音声を確認できない。その後少し経ってから記録は正常に戻る。
「何という事だ!我々が…宇宙最強を誇る戦闘民族集団ゼレウスが手も足も出ないだと…!?」指揮官らしき存在が奇妙な形のテーブルを叩いている。
その周辺のノイズ混じりの映像より確認できる事はアルダンヌ開戦以降の状態だという事だ。銃口を向けている者に対して話し掛ける指揮官。
「それに…外を調べて貰っていた斥候からの連絡だ。如何やらここは…ビーストエデンらしい。」そこで終始無言だったこの銃の持ち主が口を開く。
「そんな…伝説とまで言われた場所なのか?ここは?」驚愕の声。彼等にとって”惑星Zi”は伝説の星らしい。しかも彼等ゼレウスと呼ばれる存在は我々Zi人より先に地球人と接触を持っていた様だ。
それも話ぶりからかなり友好的な関係を持っていたと推測される。「クローネンブルク…あんたは無事なのか…?」銃の持ち主はそう言う。
驚きだあのクローネンブルクと旧知の仲らしいのだ。
これ以降の映像は見るに耐えない物だった。必死に地球人の救出の為無謀にもゾイドに立ち向かう彼等。それを蹂躙するゴジュラス…。正に悲劇である。
彼等は夢にも思わなかっただろう…彼等を踏み躙った者こそクローネンブルク等だ産み出した者等とは…。
この映像を裏付ける事も幾つか有る。晩年のクローネンブルクの言葉。
「私は友の屍を辱めて今この場に居る。もし今直ぐにその場へ赴けるのであれば全身全霊を以て罪を償うであろう…。」
つまりクローネンブルクは自らの技術と彼等の技術を使って今の名声を手に入れたと言う事だ。
しかし技術者の良心としてより良い技術で物を作り上げるのが技術者の勤め。誰も批判はできない。
…だからこそ私はこの記録が日の目に当たる事を避ける事にする。これの公開はこの記録と銃に関係した者へ対する冒涜であるからだ。
そして…果てない高見へ到達したと勘違いを起こした愚か者を産むのを恐れて…。
ー 終 ー
一応これがアニメやゲームの曲る射撃兵器そして…セイスモサウルスのゼネバス砲の曲らないとそこまで性格な射撃が出来ない的理由を妄想してみたものです。
エイリアンさんのモデルは今度第2作目が出る〇イロー2の敵のエイリアンです。
342 :
名無し獣@リアルに歩行:04/11/06 21:20:02 ID:whO4LdJU
スレ終了ならageてみよう。
>>340-341 地球人・ゾイド人以外の知的生命体ってのは面白いネタですね
これで終わらせておくのはもったいないかもしれないけど
腹八分目くらいが良いのかもな、と思いました。
この話だけだと、別にZiがそのエイリアンにとって
伝説の星だったりする必要性は無いんじゃないか、とか
何も知らないまま死んでいったエイリアンにとっては
記録が公開されても冒涜にはあたらないんじゃ?とか
設定に限っていえばそういう細かいところが気になったのですが。
そろそろ倉庫格納出す?