【リレー小説】えなりの奇妙な冒険〜冨樫の遺産編第12部
ルール!
それはここに書き込む際の最低限のルールである!
・過去ログを見てストーリーの流れくらいは把握しておくこと!
・リアル故人は出さないこと! なぜなら不謹慎だし色々あるからだ!
・漫画のキャラをあんまり出すな! ここのメインはあくまで漫画家だ!
・相談するのは自由だが、ルールを守り自分の書きたい物を書こうな!
・先人の意思をなるべく尊重しよう!壊すにも壊すルールがあるのさ!
4 :
王大人:03/09/05 21:54 ID:XLK083yi
それでは始めぃ!!
乙です。
荒川弘が同人軍艦の甲板にたどり着いたとき、
あたりは血臭にむせ返っていた。
夥しい“なりそこない”の死骸──殺し合いの結果だろう──が散乱されている。
あるものは血にまみれ、また、あるものは四肢を切断されて僅かに最後の蠕動を見せた。
その姿は既にそれが異形の化け物なのか、
または人間なのか、それさえ判断が付きにくいほどだった。
ほんの数匹──最後の生き残りだろう──の“なりそこない”が荒川のほうへ向かって来る。
血を流しながら向かってくるそれらを見て荒川は気が滅入るが、
それでも両手を合わせ、錬金術の手順を取ると、その手を地面へと着けた。
バン!!
錬成の光と共に、次の瞬間、“なりそこない”がいる地面が突如垂直に数十メートルほど伸びた。
不死身の“なりそこない”といえども、その高さから落下することの危険ぐらいは認識できたらしい。
せり上がった床の上で、その短い幅を右往左往する。その様子を見て取って。
荒川「しばらくそこでおとなしくしていることね…さて、土塚先生はどこに──」
荒川は土塚理弘を探すために辺りを見回した。その突如。
バシャン!!
上空から水袋を壊すような破裂音が響き、荒川は上空を見上げる。
そこでは荒川が押し上げられた床面ごと血飛沫と共に“なりそこない”が切り刻まれ、撒き散らされていた。
その中央にいるのは漆黒の翼を纏った女がいる。
その女は荒川の十数歩先の位置に着地するとその翼を畳んだ。
もっとも、畳まれた瞬間に翼は消え去ったので、それは正確な表現ではなかったのかも知れない。
荒川「高河…ゆん…」
荒川は目の前の女の名前を口にした。
高河「こんなのにわざわざ手加減するようじゃ駄目ね。
躊躇して失うことになるのは常に自分の命なのだから。」
高河は“なりそこない”の血で染まった手を僅かに舐めて言い放つ。
荒川「…土塚先生はあなたと戦ったの?」
甲板に居るのなら、騒ぎに気付いてもよさそうなものだった。
それが居ないと言うことは。
高河「さてね。甲板は峰倉先生が居たはずだけど。
私はここに着たばかりでちょっとそこら辺はわからないわ…それより、」
高河は一拍置いて続ける。
高河「自分の心配をしたほうがいいと思うけれど。私達が敵に対して
容赦するなんてありえないことだからね…」
荒川が黒乃との戦いで錬成していた槍を取り出すのと、
高河ゆんが叫んだのは同時だった。
高河「出でよ!戦闘妖精(ウォーエルフ)!!」
振動音と共に、獅子の頭をした小鳥大の大きさの妖精が即座に召喚される。
それは滑空し、一直線に荒川に向かって襲い掛かって来るた。
荒川「──っ!!」
それは構えた荒川の槍をかいくぐり、その肩口を抉った。鮮血が飛び散る。
戦闘妖精は荒川のはるか後方で方向を変え、再び背後から襲い掛かる。
見えない速度で。
その後背を。荒川は見ていなかった。
確認する代わりに、槍を脇で挟み、地面に手を着いて錬成をする。
錬成によって地盤が数十センチ浮き上がり、その反動で荒川が上空に飛ぶのと、
戦闘妖精が背後からその間を通過するのは同時だった。
目の前を通り過ぎる影に対し、荒川は攻撃に出ようとするが、
高河「出でよ!腐肉喰虫(キャリオンクローラー)!!」
高河は戦闘妖精をしまうと、新たなモンスターを召喚する。
人間の何倍もある、触手と、全身の一部分を占める顎を持った巨大な幼虫のような生き物が、
荒川の真下に出現した。荒川の体は腐肉喰虫(キャリオンクローラー)に吸い込まれ──
ザ ン ッ!
次の瞬間、腐肉喰虫の体が一文字に裂けた。
高河「手の槍を薄い刃に錬成しなおしたってわけね…得物は使っちゃったようだけど
もう少し楽しめるかな…」
荒川「言ってろ…!」
両断された怪生物の返り血を手で拭い、高河に向かって毒づいた。
腐肉喰虫の胃酸が肩と、黒乃奈々絵に傷つけられた傷口に染みる。
満身創痍である自身に対し、目の前の相手は傷も付いていない。
でも、折れるわけには行かない。
荒川は両の手の平を合わせ、錬成を開始する。
そのとき。
しかし、凄い量だ…
高河「…高橋先生。」
高河ゆんが振り返る。
高河の背後に居たのは高橋留美子だった。
外見はそのまま。
ただ、どうしようもないくらい禍々しい存在感を漂わせていた。
破壊的な妖気が渦巻く。
その瘴気に圧倒されながらも荒川は口を開く。
荒川「高橋先生には城平先生と水野先生が当たっていたはずよ…
彼らをどうしたの!?」
高橋留美子は面白くもなさそうに荒川に返す。
高橋「虫の息だけど、まだ生きてるわ。
腱を切って“なりそこない”にでも嬲り殺しにさせようかと思っていたのだけど…
もう全滅してしまっていたようね…残念だわ…」
荒川「…平気で言えるのね。」
荒川の言葉には怒りが含んでいたが、
高橋は意にも介さずに言葉を続ける。
高橋「高河ゆん、ここは私が代わってもいい?
このままだと舞台を壊された鬱積を晴らせそうにないからね。」
高河「別に構わないよ。」
高河はそっけなく言うと、興味もなさそうに後ろに下がった。
高橋「負けた相手を、どうしようが私の自由でしょう。
指図される言われはないわ。
それに──ガンガンの漫画家なんて居ても
役に立つようなものでもないじゃない。
荒唐無稽な話はいくつかのちゃんとした話の間に混じっているから、
面白いし、また、漫画自体が読み手のためにもなるのよ。
何冊も読者が本を読んでいるわけじゃないのだから、
一冊のうちにきちんとした“実在の世界”も組み込まなければならない。
ガンガンなんて荒唐無稽な話ばっかりで
残しておくだけで読者のいい迷惑でしょうよ。」
甲板には味方は誰も居ない。
誰も生き残っていないのかも知れない。それでも。
荒川「ガンガンの漫画は、そんなんじゃなくて、
こうしなければいけないというようなものはなくて…。
馬鹿みたいな、ありえないことを描いて、読者に突っ込まれて、
笑われたりしていればいいんだ。
それが一番いいんだ。」
荒川は声をいくぶん落として続けた。。
荒川「…だから私は、その状態を取り戻す。」
荒川が告げる。高橋がそれを笑い飛ばした。
高橋「あはははは!どうせだったら悲鳴でも聞かせてよ!」
高橋留美子が飛び掛る。
荒川は既に錬金術を準備してあった。
荒川はそれを発動させる。
荒川「錬成!!」
荒川弘が地面に手を付き、錬成の光と共に目の前に巨大な壁を構築した。
数十メートルを越えるその壁は傾いていたことと、
自重によってでバランスを崩し、高橋の上に落ち込んでいく。
高橋「こんなもの──!!」
高橋は鉄砕牙を構え、何十もの残像を作るほどの速さでもって、
それを迎え撃った。
高橋「突き突き突き突き突き突き突き突き突き突き突き突き突き突き突きっ!!」
高橋留美子の斬撃によって、瞬時に壁は抉り取られ、砕かれていく。
打ち砕かれた壁は岩石の塊となって高橋の上に降り注ぐが──
高橋は岩石に指を突き当てた。
高橋「爆砕点穴!!」
そして、次の瞬間、岩石は粉々に砕かれていた。
荒川「なっ…!?」
荒川は呻きながらも次の錬金術に入ろうとするが、
驚く間もなく、高橋は駆けた!
他の岩石が落ち込んでくるその前に高橋は飛び込み、
一瞬よりもさらに速いその一瞬に、高橋は荒川の喉元に爪を伸ばした指をあてがった。
それは何者をも切り裂く、破壊の爪。
荒川「………!」
背筋が凍る。
高橋は荒川が呼吸さえ出来ないうちに、冷酷に告げた。
高橋「さようなら…散魂鉄爪!!」
そして高橋の爪が振り下ろされるのと、叫び声が響いたのは同時だった。
??「 黒 の 賢 人 ( ブ ラ ッ ク ゴ レ イ ヌ ) ! ! 」
突如聞こえたえなり姉の叫び──それと同時に荒川弘と、えなり姉の念で作られた獣、
“黒の賢人”が入れ替わる!
高橋「──!!」
高橋の爪は“黒の賢人(ブラックゴレイヌ)”を切り裂き、消滅させたものの、
荒川を切り裂くことは出来なかった。
荒川はえなり姉のすぐ傍──もともと、黒の賢人の居た位置──で驚きの声を上げる。
荒川「えなり姉っ!?」 えなり姉「はやくっ!!」
えなり姉は叫ぶと通用口から荒川の手を引いて軍艦内に入り込む。
突然の乱入に混乱したとはいえ、その身のこなしは思ったよりも速かった。
高橋「待ちなさい!!」
高橋は反射的に追いかけようとしたが、その前に後ろから声が響いた。
高河「待って、高橋先生。」 高橋「何よ!?」
待ったをかけた高河ゆんに対して、高橋が抗議をする。
高河は高橋に説明した。
高河「そろそろタイムリミットよ。
さっき連絡があったのだけれど、十人集がこの同人軍艦に来るわ。
それに零寒(ゼロサム)のほうでちょっとしたトラブルが起きたし…
さすがにもう追いかけて、戦闘するほどの時間はないわ。」
高橋「……くっ!」
高河の言葉に高橋は舌を噛む。もう少しだったのだ。
もう少し爪を振り下ろす速度が速ければ少なくとも殺傷する余裕はあったはずだ。
速度が上がらなかった理由は、高橋自身、消耗していたことを認めなければならなかった。
秘石を使って、完全に妖怪化した後も水野、城平との戦闘にはてこずった。
結局勿体振ったのが悪かったのか、
死にぞこないとはいえ、その二人の命さえ奪っていない。
何もかも放棄して、ただ殺すために行動しようという衝動に駆られたが、
もともとこれは矢吹に会うための余興だ。
要らない時間を喰って、本末転倒になることは避けるべきだろう。
高橋「仕方ないわね…この目で死体を見れないのは残念だけど…」
高橋は続ける。
高橋「それは生き残れるってわけではないのよ…コントロールするものがいないのか、
見たところ、完全にエニッ糞は秘石の機能を失くしているわね…
それなら私にいい手がある…」
邪悪な笑みを浮かべながら、高橋留美子は呟いた。
****
荒川「えなり姉!?」 えなり姉「こっちよ!」
えなり姉は荒川の手を引き、駆けた。
その手に引かれて──ひとつ目の段差のあたりで手は離れたが──ついていく。
ところどころ錬成で背後を塞ぎながら、えなり姉と荒川は軍艦の内部まで辿り着いた。
えなり姉用にあてがわれた部屋の前で、二人は息を切らす。
荒川「えなり──」
えなり姉「城平先生と、水野先生は倒れていたところを避難させたわ。
土塚先生も海に落ちる直前に回収した──
まだ、誰も意識が戻らないと思うけれど多分大丈夫だと思う。
私が出来たのはこれだけ──」
矢継ぎ早にえなり姉は言葉を紡ぐ。
荒川「…あなたは」
えなり姉「ごめんね…私は使える力がないわけではないの。
でも、私は私がこれを使う意味がないことを知っている。
私は知っているから、もう動くことは出来ない…」
荒川「何を…」
荒川が言いかけたとき、えなり姉はびくんと体を跳ねさせた。
えなり姉「待って。まだ終わってない…」
****
エトセトラすげーオモロイんだが、シリアスな場面で「えなり姉」って叫ぶと妙に脱力するのはなぜだw
んじゃえなりかずこ
_| ̄|○ せめてかずみ・・・
えなりピン子
「えなり姉」というのを略してみるか。ついでにカタカナ変換
「エ ナ」
_| ̄|○ ダメか・・・
恵那(えな)なら岐阜かどっかの地名だぞ
可愛いし・・・ かずこよりはいい_| ̄|○
「えなりさん」でいいんじゃ・・・
どうせだから、いかにも漫画っぽい名前を考える。
えなりみずき
えなりはづき
えなりさつき
・・・うーん。
宙を飛んで、零寒(ゼロサム)へと移動しながら、
高橋留美子は体内から秘石『四魂』を抉り出す。
高橋「…はぁっ…はぁっ…!!」
秘石を取り出したことで高橋からは妖気が消えていく。
反面、秘石『四魂』には妖気が集中していった。
これまでよりも、はるかに。
黒い妖気──瘴気は軍艦を渦巻いて包む。
高橋「これで…終わりよ…あは…あはははははは…はははははは…」
高橋の哄笑は続く。
そして、次の瞬間、瘴気は同人軍艦へと向かう力に変わる。
****
軍艦内に浸透しようとする黒い瘴気──
それは触れただけでも人間の身体を滅ぼす瘴気だった。
その規模は同人軍艦を覆う全て。
対抗する術は力を使い果たした今の同人軍艦にはない。
同人軍艦はその基本となる材質をオリハルコンによって構成されている。
だが、全てがオリハルコンによって作られているわけでもなく、
瘴気は弱い材質ならそれをすり抜けて浸透していく。
そして、その瘴気が同人軍艦内で最初の犠牲者を出そうとしていたとき──
光がその瘴気を押し返した。
****
同人軍艦内えなり姉の部屋の前の通路。
押し出される圧力によって荒川弘が目を覆う。
圧力の中心にはえなり姉が居た。
えなり姉は瘴気に対抗するために力を込める。
えなり姉が荒川に話し掛ける。
えなり姉「あまりねえ…見せたくなかったんだ。私は、壊してしまうから。」
荒川「何を…?」
荒川の問いに、えなり姉は寂しそうな顔を見せた。
荒川にはその表情の理由は分からない。
何を言っているんだろう。
えなり姉は普段から自分の扱う力に対して訓練を積んでいるわけではない。
だから、扱いきれない力を自分から逸らすことも出来なかった。
えなり姉の肌に、陶器に入るような細かい傷跡が走る。
そして、その傷口からは血が滲んでいく。
えなり姉「もしもこの世界が現実のものだけでしかないとしたら、
世界はひどく退屈になものになるだろう。
でも、そのために偉大な作家達がいる…。」
荒川「何の…話よ!」
精神が壊れたのかもしれはない。そう思うほどにその言葉は唐突だった。
荒川にはえなり姉が何をしているのか、分からない。
だが、何らかの方法を使って、この同人軍艦を守っている。
そのことは知れた。
だが、その代償として、
精神が壊れてもおかしくない程度の激痛をえなり姉は受けているはずだ。
荒川はえなり姉の受けた傷の内容からそれを判断した。
そうなってもおかしくはない。
えなり姉「悲しい、と思う話さえ、
人は好きになるってことは、人は悲しいっていう感情が好きだからよ。
私は物語を作ってくれる強い情熱ある人物を否定することが出来ない。
矢吹さんも、あなたも──
物語は皆が紡いでくれる。
もしも紡いでくれる人がいなくなっても、
代わりに続きを綴ってくれる人がいてくれる。
そして、続きを綴る人が誰も居なくなったとしても、
どこかでまた違う物語が綴られるでしょう。
私達は彼らに運命を託せばいい──」
えなり姉は言葉を紡ぐ。
その言葉には意味があるようには思えなかった。
荒川は回復の錬成を施したかったが、この光がえなり姉の何らかの能力なのか、
錬金術を発動させることが出来なかった。
荒川「何を言っているのか分からないよ!」
荒川はえなり姉に向かって叫ぶ。
えなり姉は荒川に言葉を返した。
えなり姉「わからなくてもいいわ。
分かることに意味は無い。
もしもボールが自分から転がったわけでなくとも、私達は動いている──
でも転がす人は思い通りにボールを動かしていると言えるのか。
私はそれも違うと思う。
転がす人がそのたびに違えば、
誰が思い通りにボールを動かせるの?
結局のところ、答えは出ない──
私達は自由に動く──」
伝えようとする言葉。だが意味の無い言葉。
それはなんと言うのだろうか。
荒川「待ってよ!」
えなり姉「…それでも──
どうしてもそれを知りたいのならば──
真理を掴めば…わかる…ように…なるかも……ね……」
えなり姉の声がだんだんか細くなっていく。
言葉の意味がわからない。
だが、そんなことはどうでもよかった。
目の前の存在がなくなってしまう。
えなり姉の体は崩れていく。
私の前から消えてしまう。
彼女はそれほど親しかったとは言えない。
それでも。
えなり姉「綴るだけなのだから、ここで力を振るうことには意味がない──
だから必要なのはそれとは違うこと──」
えなり姉はもう一度だけえなり姉に向かって微笑むと、術を操るその手に力を込めた。
そして、ひときわ大きな光が放たれるのと同時に、えなり姉の体はその力に耐え切れずに崩れた。
危機は去ったのだろう、荒れ狂っていた力が引いていく。
荒川はその光景を見つめた。だが。
荒川「くそ…なんなんだ。どうして…」
ここは戦場だ。死は受け入れなければいけないことだ。それでも──
荒川「返せよ!」
運命にか、自分にか、ただ無意味に口に出しただけなのか、叫ぶ。
それは口にして言うには、陳腐なものなのかもしれない。
荒川「そいつは私の友達なんだぞ!!」
既に光が消えたことで、両の手のひらを合わせて円環を作る。
命を循環させる力──
錬金術──
荒川は両手を合わせると、
えなり姉に対しての“人体錬成”の構成を紡いだ。
えなり姉と荒川の周りに錬成による光が覆う。
****
魔空艦零寒(ゼロサム)艦上で。
高橋「馬鹿な…秘石の力に個人で対抗出来るだと!?」
高橋留美子は悲鳴を上げた。秘石は最大の力を出しているはずだった。
高橋「ふざけないでよ…そんなことはありえない!!」
高橋は闇雲に秘石の出力を上げようとするが、ひときわ大きな光が放たれたときに、
黒く染まった秘石、『四魂』はその力を押し切られ、その色を消す。
そして高橋の手の中から弾けるようにして吹き飛んだ。
高橋「くっ…」
光に対し、高橋は反射的に目を覆う。秘石はその間に海の中へ吸い込まれていった。
****
荒川弘は目の前に視線を注ぐ。
“人体錬成”の結果、構築されたのはえなり姉の身体だけだった。
えなり姉の精神まで回復させることは出来なかった。
荒川「…くっ…なん…で…」
血溜まりの中で、自らも血にまみれながら、荒川は苦悶の声を漏らす。
荒川の右肩と左足の付け根では、当然そこから繋がっている筈の続きがなかった。
錬金術を失敗したことに対する、リバウンドに拠って
右腕と左足を持っていかれた──荒川はそのことを激痛によって自覚する。
荒川は動かないえなり姉の身体に対し、いくらでも流れる自らの血で練成陣を描く。
そして一時的にえなり姉の身体を借りて、その“念”を傷口に当てることで止血した。
荒川「はっ…はぁ…」
荒川は少しでも落ち着くために呼吸を調整する。
そのうちに、通路を歩いて誰かが近づいてくるのがわかった。
そちらのほうを見やる。
大清水さちだった。
荒川「あなたも無事だったようね…」
苦しそうに呻く荒川の言葉に、大清水は答える。
大清水「貴女も生きていたのね。無事って感じではなさそうだけど…」
荒川「…生きているだけでも見つけものよ。
贅沢は言えないわ。」
大清水「とりあえず、今は軍艦の防御機能は期待できないから、
しばらく深奥に退避しなければいけないわね。
通信で連絡をつけたから、救護の人員がすぐこっちに来るわ。」
荒川「そうしてもらいたいわね。」
通路沿いの壁に背を当てて荒川が言う。
大清水「結局、戦いはどうなったの?」
聞かれて。
荒川は憶測交じりではあったが、かいつまんで事情を話す。
高橋留美子が秘石を使った攻撃に切り替えたこと。
それを何とか防いだこと──
だが、えなり姉が自らの意識でもって力を使ったことを言うのは止めた。
(──あまり…見せたくなかったんだ──)
そういったときの彼女の顔を思い浮かべ、
大清水にはただえなり姉が無意識下だけで力を使えたと説明する。
大清水はしばらく話──えなり姉の持つ能力について──を聞いた後、
唇の端を歪ませて呟く。
大清水「ふふ…そう、これは使えるわね。私がこれを使いこなすことが出来れば──」
その表情を見て。
荒川弘はふと、大清水に向かって尋ねる。
荒川「…あなた…大清水さち先生、よね──?」
言葉に対し、大清水は荒川のほうを振り向く。
いつもと変わりない表情で、
大清水は荒川に話す。
大清水「──そうよ。私の名前は大清水さち──」
大清水さちの意識を取り出し、
そして自らと融合させたそのプログラム体は自然な笑顔を作り、荒川に返した──
中編はここまでです。長くかかってスマソ。
乙乙
大清水先生ロボ化イベントはやっぱりうすら怖いですな〜
ボールの例え(・∀・)イイ!!
そういえば荒木が自殺したのもこの頃でしたね
クリードアイランドは熱い炎に包まれていた。・・・本物の。
巨大化もんがー(にわの)の『目から怪光線』で島は文字通り一気にヒートアップした。
山火事の場所は、かつて≪違反者捜索山狩り≫が行われていた区域のごく近く。
赤い風が、風下の海岸に徐々に近づいてゆく。
間の悪いことに、この区域には現時点での試合参加者14名のうち、
9名(推定)が海岸近くにおり1名が向かっていた。消火活動も、
運営管理者の柳田が有力なメカ類をほぼ引き上げさせてしまったため一向にはかどらない。
度重なるアクシデントに、残り時間が半分を切った今もなお情勢は予断を許さない。
地獄の鉄鍋と化したこの島を、果たして何人が無事生き残れるだろうか・・・。
・試合中
[川原vs岡村(海岸で野試合・詳細不明)] [石渡vs許斐(テニス・許斐進化中)]
・乱闘中
[猿渡vs鈴木(vs松江名審判・海岸近くの山。乱闘なのでポイント換算されない)]
・移動中
[にわの(バイクで海岸に進行中)][本宮&真倉+岡野ペア(海岸で川原達を捜索中)]
[澤井(海岸に向かい川原達を捜す)][ヒラマツ(ワープ)][高橋(猿渡達と程遠くない位置を移動中)]
・その他
[青山(松江名と修行中だった)][森田(意識不明で集中治療室)]
現在の状況
ジャンプスポーツ ☆4 1勝 鈴木 高橋 2勝 井上 1敗 鈴木 ※村田≪死亡≫
裏御伽 ☆4 1勝 本宮 にわの 2勝 乙一 1敗 岡野+真倉 澤井 乙一
チーム・タフ ☆1 1勝 猿渡 1敗 石渡 青山 橋本 ヒラマツ ※橋本≪死亡≫
「俺に勝てる奴ァいねえんだッ!!!」
つい何時間か前、思い切り負けた癖に、もう忘れているしげの。
この男、調子に乗りやす過ぎる。自分優勢だと、全てが自分中心に輝いてるように見えるんだ…
だが、そこに穴がある。
再びコーナー。
コーナーは、自転車の方が速く回ることが出来る。
だから、しげのはここは安全に行くべきなのだ。
ブレーキを利かせて、ゆっくりと回るべきなのだ。無駄にタイヤを使うべきではない。
しかし……
「があァァンっと!!おら――――っ!!!」
しげのは、力任せにハンドルを切る。タイヤが、激しく擦れる。
「ははァ――――ん、追いつけねぇだろ、チャリ…!?」
いない!?チャリが、消えた!!?
バックミラーにも、サイドミラーにも、写らない。
当たり前のこと。何故なら――
「なんで、前にいやがるんだァ〜〜〜!!?」
考えなしにハンドルを切ったために、外に膨らみ、インががら空きになった。
そこを高速で突く曽田。しげのは、勝ちを確信して、前しか見ていなかった。
そうなると、思うだろう。
「何故、しげのは曽田を見つけられなかったのか」と。
答えは、とても簡単なものだ。曽田がしげのに並んだ時、しげのはバックミラーを見ていた。
そして、曽田が抜き返した時には、サイドミラーを見ていたのだ。
偶然の産物だった。しかし、それは、曽田に勝ちを近づけるだめの偶然だった――
右手にかざした刀が、ぎらりと妖光を放つ。
口にくわえた刀が、ぎりりと悲鳴をあげる。
尾田はこれ以上ないほどの緊張感を抱いていた。
同時に頭はこの上なく冷え切っていた。
相手は隻腕の剣士。おそらく板垣との戦いで痛めたのだろう。
勝負は、一瞬。一気に、飛び込――――
ズ ッ
詰められ――
尾田「虎ぁ狩
―――ギン―――
尾田の三刀と、山口の一刀が、鋭い音をたてて噛み合った。
三刀と一刀、両腕に首と隻腕、眼光と眼光の鍔競り合い。
勝てる、と尾田は直感した。全身の力で、押し切ってやる。
―――押せない!?
(・・・山口先生の鍔迫り・・・あれは・・・辛い・・・・・・参ったとも言えず・・・)
ぐぐっ・・・
押し負けている。隻腕の剣士の一刀に、尾田の腕が、首が、背骨が軋み、悲鳴をあげる。
(・・・たとえ強力無双の剣客でも・・・山口先生の背面の隆りには・・・ガクッ)
必死に何かを伝えようと悶えていた森は、ついに負傷に耐えかね意識を飛ばした。
左右非対称。いびつに刻まれた背筋の流れ。
―――違う―――隻腕じゃない―――
この剣士の右腕は、全身は、腕三本以上の―――
ズ ダ ァ ァ ン !
ついに、尾田の体は、隻腕の剣士の一刀に押し伏せられた。
真夜中、竜の魔人と化した梅澤の背に、ふたりの男が乗っている。
高橋しんと福地翼。高橋しんの体は煤(すす)で薄黒く汚れている。
そんな彼を綺麗にするために(という表向きの理由で)3人は空の旅を続けている。
目的地である『温泉を内蔵した謎の巨大戦艦』の場所を、
そういえば詳しくは知らない彼らは、闇の中関東を離れ、
【温泉大国】九州の近くに来ていた。高橋しんはいつの間にか眠っていた。
「・・・うおー!九州だ火山だ温泉だー!梅澤さん本当にありがとー」
『何だとォ!?これじゃただの迷子じゃねーかガッデム!!』
ブチギレ寸前の梅澤には構わず、福地は急かすように真下の地の一角を指差す。
「あ〜鹿児島なんかオススメッスよ〜。バトルのケガにも温泉は最高ッス!
オレの夢はマイ温泉!!いつかザクザクでっかいお宝を掘り当てるのが・・・」
『あ゛〜〜〜こいつわァ!!そんなにしゃべりてぇんなら先に温泉見つけやがれ!』
「ラジャー!あ、あの森の辺りが怪しいなぁ・・・梅澤さん行ってみてくださいッス」
『・・・(なんなんだ、こいつわ・・・)・・・振り落とされるなよクソッタレ――――!!』
20分後。のほほんと天然露天風呂に動物たちと共に漬かる三人の姿が森にあった。
ビバノンノ。
「・・・でですね〜、自然療法を代表するものとして、温泉浴っつーのがあります。
火山大国日本には温泉が多く、「湯治」という言葉があるよーに、俺たちのご先祖様はみんな、
温泉で病気やケガの治療を行ってきたんです。体が浮力で浮く事でリハビリも楽!
水圧や温熱効果で血液の循環がよくなって新陳代謝や運動効果も得られて万々歳・・・」
「福地ー、おんせんタマゴって何だ?」「ロリロリほくほく」
「温泉に含まれてる化学物質もいろいろな形で薬効作用があってですねー。たとえば、
炭酸ガスや硫化水素、ラドンなどは皮膚や粘膜から、ヨードや鉄などは皮脂腺から体内に吸収され・・・」
「ボリボリ」「ロリ・・・おいガキ!そいつあカラぁ剥いて食うんだよ!!ったく手間かけやがる・・・ほらよ」
「ドイツでは早々と温泉療法が国家レベルで進んでて・・・」
福地は実はうんちく大好き人間なのであった。時はゆったりと、流れゆく。湯気が空に吸い込まれていった。
晴れてクビになって、マターリしてるなこいつらw
36 :
34:03/09/07 09:50 ID:1vqM8cBu
むうしまった戦艦ヤマトは九州にあったような気が
まあ福岡から太平洋経由して鹿児島に移動したと思いねえ(汗
大丈夫
たぶん屋久島沖の戦艦大和の沈没地点に基地があるると思うから。
強烈。あまりに強烈な膂力に、尾田は地に打ち倒された。
尾田「ぐっ……!!」 山口の刃が、尾田の首筋に押し当てられる。凄まじい腕力。
山口は本気であった。真剣勝負で手加減の出来るような器用な男ではない。
相対した以上は最悪、死を持って決着をつける。その決断にいささかのためらいも挟まない。
山口(潰 す !!) だが、山口は気付いていない。
組み伏せられた尾田の、刀を握る手の指先が、秘かに印を結んでいたことに。
尾田「三輪咲き(トレスフルール)!!」
叫んだ瞬間、異様な緊張を見せる山口の隻腕から、花が咲くように三本の『腕』が生えた。
山口「な………」 あまりに奇妙な光景に、さしもの山口も、一瞬鼻白む。
山口「!!」 ぺき。ぱき。小枝をへし折るような、乾いた音がした。
生えてきた『腕』のうち2本が、山口の親指と小指を掴み、へし折ったのだ。
握力の要となる指を砕かれては、刀を握り続けることは出来ない。
本人の意志とは関係なく、刀を握る力が弛んだ。その隙をつき、尾田が山口の腹を膝で蹴り上げる。
山口「ぐっ!」
怯んだのを見計らい、尾田が素早く山口の下から脱出する。さらに、その刹那。
尾田「クラッチ!!!」
ゴキ!
今度は、太い音。残る1本の『腕』が、山口の肘関節を砕いた証拠だった。
山口「任意の場所に自在に腕を生やせるとは……面妖な」
腕を破壊された激痛を意に介さぬかのように、山口が淡々と呟いた。
尾田「『ハナハナの実』……身体の各部を花のように咲かす能力だ。
自然(ロギア)系と同じくらい反則に近いんで、あまり使いたくねーんだが」
刀の柄を咬んだまま器用にしゃべる尾田の前で、山口が気を張る。
尾田「そのケガで、まだやるつもりか。まさか両腕もがれた状態で、
俺と勝負になると思ってんじゃねーだろうな?」
山口「そこまで自惚れてはいないつもりだ。だが、俺にはまだ武器が残っている!
その武器を全て使い果たすまで、ここは通さぬ!!」
言い放つと、山口の着ていたシャツが、筋肉の膨張でいきなり裂けた。
山口の鍛えあげられた上半身があらわになる。そのとき、尾田の目は奇妙な物を映した。
山口の鍛えられた上半身の各所に埋めこまれた、奇妙な鉄球を。
山口「零式鉄球 体内吸引!!」
山口の身体に埋まった『零式鉄球』が体内に吸引されていく。ほどなく、山口の肉体に変化が生じた。
砕けたはずの山口の右腕が、金属のように変化しながら修復されていく。
肘の上から切断されていたはずの左腕までもが、鋼のような輝きを発しながら生えてきた。
山口に埋められた8個の零式鉄球は、『強化外骨格・零』と同じ材質で出来ており、
体内に吸引することで、全身の56%を、比喩ではない本物の超鋼(はがね)と化すのだ。
このとき、山口は上半身のみを完全に超鋼化した!
山口「特 攻 形 態 !!」
両腕を凶器のごとき禍々しい鋼色に光らせ、顔中に瘤のような血管を浮き立たせたその姿は、
サイボーグか、はたまた超鋼の鬼かと思わせるような異様さだ。
尾田「な……」 山口「超鋼と化した我が身を、貫ける刃はなし!」
気炎を吐く山口に、すかさず尾田がつっかけた。
尾田「『牛』…」
刹那、背後に猛牛のオーラを沸き立たせながら、尾田が高速で突進する。
尾田「『針』!!!!」
目にも止まらぬ、乱れ突き。しかし、それを迎え撃ったのは、ダイヤモンドをも上回る圧倒的な硬度と、甲高い金属音のみであった。
尾田「フー…つまり、体も『刀』以上の硬度。鋼でも斬れなきゃ、お前は斬れねェと」
山口「一一そういうことになるな。打撃斬撃は、俺には効かぬ」
そう言われ、尾田は深々と腕を組んて、呟いた。
尾田「成程まいったな。鉄を斬れねェ今の俺じゃあ、お前にゃ勝てねえ」
山口「……ならばどうする」
尾田の気弱な発言に失望したのか、山口の声は冷たい。
しかし、尾田の次の台詞に、山口は眉をひそめることになる。
尾田「ああ…お前に同情するよ」 山口「!?」
尾田「こういう『窮地』をおれァ待ってた!!! そろそろもう一段階強くなりてェと燻ってたところさ」
羽織っていた上着を脱ぎ捨て、再度刀を構える尾田。
尾田「おれがお前に勝った時…おれは鋼でも斬れる男になってるわけだ」
最高の強敵に巡り会い、尾田の闘志がこれまでになくヒートアップしていく。
尾田(おれはさらに強くなる……見守っててくれよ、和月師匠!)
だがこのとき、尾田は気がついていなかった。
守護霊として尾田を見守ってきた和月が、いつの間にか忽然と消え去っていたことに。
40 :
34:03/09/07 20:37 ID:o4UIrAog
にゃり(゚д゚)ほろ
人間は、どうしようもなく死ぬモノだ。
どれだけ善行を積み重ねようと
どれだけ悪行を積み重ねようと
過ごしてきた人生の価値は、ソレの前では意味をなさない。
それは突然襲いかかってくる、圧倒的な理不尽。
人は生きているうちにはそれに逆らうことすら許されず、一方的に押しつぶされる。
だが、生を終え、死に向かう寸前
人は魂となり、形を得てそれに抗う。
ここは怨みの門。
殺害、自殺、事故死など、ありとあらゆる理不尽な死を遂げた物の魂がいきつく場所。
その門の番人を務めるは高橋ツトム
さ迷える霊に三つの選択肢を与え、己の生にけりをつけさせるのが彼の役割。
そして、今又一人、強き怨を持つ者が彼、と、門の元に辿り着いた。
その者の名は、和月信宏。
見るからに鬱葱とした密林。気候は熱帯に近いパプワワールドの温度と湿度はともに高く、
特にこのような場所ともなれば、立っているだけで不快指数の上昇は免れない。
だが、そんな密林を果敢にも踏破せんとばかりに行軍を続ける、三つの影があった。
「……ねえ、ノリコッちぃ〜……はっきり言って、ただ闇雲に歩き回っているだけな気がするニャ〜……」
猫の着ぐるみを着用しているせいもあるのか、心底ダレた様子でその中の一人、オザワがうめく。
「そうそう。いくら記憶の手掛かりったって、リンクみたくそうそこらへんにヒントなんて転がっておらんのじゃよ〜」
こちらは何故か狸の姿に身をやつしている柴田亜美。
どこから持って来たのか、何やらカゴなど背負いつつ、プヒーと間の抜けた息を漏らす。
そしてもう一人、ノリコ。こちらはオザワの猫の着ぐるみよりもはるかに暑苦しそうな、重みのある着物を身に纏っている。
「……黙らんか記憶喪失の張本人。それに貴様はそんなリンクでさえ余裕で路頭に迷わせておったではないか。
それにオザワ。何もわらわは、あても無く彷徨っている訳では無いぞ?」
三人を先導する形で歩いているノリコが、ぼやく二人に対し、後ろを振り返りつつ、そう、返した。
「へ?」
思わず、オザワが聞き返す。
「よいか。ここは間違いなく過去のパプワワールドじゃ。ナマモノどももおらんし、
方舟も、秘石の扉も、パプワハウスも存在しとらん……じゃがの」
ノリコが一旦、言葉を切る。本来ならその単語群に一番関わりのあるはずの人間はしかし、
ノリコの話を聞いても、以前、きょとんとした何が何やら分からないといった表情のままである。
「だからと言って何も無いわけではなかろう。少なくとも、こうやって急に過去に立ち戻った以上、
何かしらの齟齬があってもおかしくない筈なのじゃ。オザワ、お主はともかく、
わらわはそのつもりで先程からその『齟齬』を探しておるのだが?」
「ん、ぐ……いや、もちろんボクだって大体そのつもりでいるよ?……んでもさぁ……」
「何じゃ。言いたい事があるならはっきりと言うが良い」
「それって結局、闇雲に歩き回るってことには変わりないんじゃね?」
背景に思わず、すんごい稲妻が走った。
「本当にはっきり言いおったがそれは禁句と言う奴だったのじゃがのう……」
その後、またしばしの間歩き回り、結局、海岸へと舞い戻ってきた三人は、休息を取っていた。
そんな時だった。ふと唐突に、ノリコが低い声でそう呻いたのは。
「何だよォ〜。さっきの事まだ気にしてたのかニャ〜?」
「いや……それはもう良いんじゃがな。にしてもコヤツ……」
ノリコがチラリと柴田のほうに視線を巡らす。そこには実にさわやかな笑顔を浮かべた柴田が、
二人をにこやかに見つめていた。
「こっちがこれだけ苦労しとんのに思い出すことの一つも無いのくわぁぁぁぁっ1!」
「ノリコっち抑えなよ!むしろその台詞は本当ならオレも言いたいところだよ!」
「うおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「うわあああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
吼えたける和服女と異様に真顔で和服女を苛める猫の着ぐるみ男。
しかし、悲しきかなその咆哮の訴えは、これっぽっちも柴田に伝わっちゃいなかった。
それもそのはず、彼女の意識は、既に別の所へと囚われていたからだ。
一体“それ”が何なのか――密林の入り口近く、わずかに動いたその影を、柴田だけが目で追っていた。
やがてその足が、自然と影のほうへと向かう。好奇心がそうさせるのか、それとも自らの片鱗をそこに見つけた故か。
今は茂みに身を潜めているらしいその不確定な存在に、一歩、また一歩と距離が縮んでいき、遂に“それ”と出会う――
「うおおぉぉぉぉ――……ハッ!?ぬ、何時の間にかあの馬鹿がおらんぞ!?」
「何だって!?二人して愚痴を大海原にぶつけてる場合じゃ無かったね元ジャーマネっ!!」
するとすぐに密林に入ろうとしている柴田の姿を二人が捕捉した。
「あっ!あのポメラニアン大好き先生、性懲りも無く逃げようとしてやがる!」
「おのれ逃がすと思うてかァ!喰らうが良い、中裕司ばりのオンライン投げ縄アタックじゃあッ!!」
どこから取り出したのか、ノリコが電話線と接続ケーブルで出来た投げ縄を、大きく頭上で振り回す。
そうして放たれた投げ縄の輪っかは、鋭い風切り音を放ちながら、見事なまでに柴田の首にヒットした。
「やったねノリコっち!ちょっぴりヤバい部分に輪っかが引っ掛かった気がしないでもないけど!」
そんなオザワの声は、ノリコには届いていなかった。それは、ノリコがいざ縄を引っ張った瞬間、
明らかに何かの違和感を感じ取ったからである。その感じた違和感とは――
(何じゃこれは――重い!?)
そう、腕に伝わるその重さが、女性一人分のものより、確実に人間一人分はさらに重かったからだ。
しかし、一度縄に込められた力を今更どうする事も出来ず、違和感の正体を確かめる事も出来ないまま、
投げ縄に引っ掛かった哀れな漫画家は、こちらへと放物線を描いて飛んで来た。
それを見て、オザワは驚愕する。そしてノリコも驚き、違和感の正体が何であったかを、今この瞬間、ようやく理解出来た。
柴田とは別に、投げ縄に掛かった者がもう一人いたからである。
それは紛れも無く、柴田が見つけた“それ”と同一の存在であった。
「お……お主はまさか……」
「何でこんな所に居るんですか!?」
「ねえ、さっき向こうで見つけたんだけど、こちらはどなた?ところで縄が苦しいのでこのまま向こうで首吊って来て良いですか」
オザワにノリコが驚くのも無理は無かった。何故なら、そのもう一人の闖入者は、
オザワもノリコも、そして柴田も本来なら良く知る人物だからであった。
いかにもやる気の感じられない表情。茶色い体毛に覆われた何だか良く分からない生物の着ぐるみ。
そしてずんぐりと不自然に長い胴長の体形……それを隠すかのようなこれまた不自然に丈の長いシャツ。
「よ……よ……」
『吉田戦車先生!!』
あまりにもシュールさを漂わせるその人物の名を、二人は同時に叫んだ。そして、それにオザワがもう一言付け加える。
「……下の人も大変ですね」
「下の人などいない!」
明らかに吉田の胴の辺りに視線を注ぎながら言うオザワに、吉田が声を荒げて返した。
(吉田……戦車?)
柴田は一人、心の中で誰とも無く呟いていた。
「お主……どうも姿が見えんと思ったら、こんな所で何やっとんのじゃ」
四人……いや、正確には下の人も含めて五人は、砂浜で、採って来た果実を囲むようにして座り込んでいた。
そんな中でノリコが吉田に尋ねた。当然の疑問であった。『方舟』で秘石が得ていたどのビジョンの中にも、
吉田の姿は全く見当たらなかったからだ。ましてやここは柴田のいわば精神世界。他者が入ってくる余地など無かった筈だ。
至極最もなこの問いに対し、吉田の答えは実にシンプルであった。
「ハワイに……来たかったから……」
……………………
ざざーん。
ざざーーーーん。
波の音が虚しく響いた。
「そもそも……ギャグ漫画家にまともな回答を期待すること自体が、間違いであったな……」
「どうせ、『気がついたら来てた』とか、『少将殿の発明品で』とかそんなんに決まってるニャ〜」
「それと……一つ、言っておくが」
頭痛に似た感覚を覚えていたノリコが、思い出したように付け加えた。
「ここは、ハワイでは無いぞ」
………………………………
ざざざざーーん。
どっぱぁぁぁぁぁん。
今度は背景が日本海にチェンジした。
「……ハワイじゃ……無いの?」
吉田が背中に大量の縦線を背負う。どうやら相当にショックだったらしい。
その落胆振りは、ともすれば、ピアノの低音を一気に叩いたようなガーンという音さえ聞こえてきそうである。
「残念じゃが、ここは思いっきりパプワワールドじゃ。というか、気付かんか、普通」
「う……うおぉぉぉぉ!!」
無慈悲な宣告が、吉田を激しく慟哭させた。そしてやり場の無い悲しみは、足元の砂浜へと向けられる。
悲しみを打ち払うかの如く、何度も、何度も、砂浜に拳を叩き付け――
「ハワイじゃ……ハワイじゃ無いなんてェェ!!」
――いや、違った。一見、砂浜に勢い良く振り下ろされているように見える拳と砂浜の間で、
何か妙なものがその衝撃を引き受けていた。
「あ、それってまさかいじめてく――」
オザワが気付くも時、既に遅し。大爆発が巻き起こった。
「……ゲホッ」
潮風と煙の混じり合った訳が分からない匂いがあたりに漂う中、
オザワがスス焦げた着ぐるみの格好のまんまで煙を吐き出した。
「……お〜い、みんな無事かニャ〜……?」
「……わらわは、無事じゃ。というかギャクの爆発で怪我なぞ負ってたまるか。全く、とんでもないのォ……」
ノリコが砂浜から身を掘り起こし、オザワの呼び掛けに応えた。
「吉田先生とセンセーは?」
「あの二人なら、ホレ、向こうにおるぞ」
ノリコが指差した方向にオザワが目を向ける。そこには、爆発前と何ら変わりない格好で海を眺めて黄昏る吉田と、
こちらに背を向け、ボロボロの格好で砂浜に突っ立っている柴田の姿が確認できた。
吉田が無事な理由は聞くまでもないだろうとし、オザワは柴田へとまったくもうなどと軽い愚痴をこぼしつつ駆け寄る。
「オ〜イ、大丈夫かニャ〜?死んでも死にきれないゾンビ先生ェ〜」
柴田の顔を覗き込むようにしてオザワが声を掛ける。しかし当の本人に反応は無い。
「どうしたんだよセンセー。元気ねェぞ〜?」
「……………………たのよ」
「ん?何?」
ボソッと、消え入りそうな声で柴田が呟いた。視線は以前、俯いたまま。
思わず聞き返したオザワに対して、柴田が今度ははっきりと声に出して叫んだ。
「全部……」
キッと、顔を上げる。
「思い出したのよ!!」
「な……」
『なんだってェーー!?』
オザワとノリコが、MMRになった。
「吉田先生に出会って……何か忘れてたものを思い出しそうになったわ。
それに、いじめてくん……今度は、ジバクくんが一瞬、何故か頭に浮かんだ。それまで欠片も思い出せなかったというのに。
そして……最後に爆発のショック。我ながら、こんな古典的な方法で記憶を取り戻せるなんて思わなかったわ……」
「そ……それではお主……!」
「ええ!記憶はカンペキに元通り!まさか漫画家である事を忘れるなんて思いもよらなかったけど……」
柴田は、堰を切ったように流れ込んでくる自らの記憶に、歓喜した。歓喜し、感謝し、そして、大音量で、吼えた。
ナ マ モ ノ
「アタシが忘れちゃったら、誰がこのコ達を生み出せるって言うの――!!」
天をつんざく柴田の絶叫が無限の青空に響き渡った。同時に、島全体を轟音とともに白い波動が突き抜ける。
島全体が脈動を始めた。ドクン、ドクンと次第に大きくなるその鼓動の中、ナマモノ達が少しずつ、地面から這い出て来る。
まるで、パプワワールドという概念そのものが、その主の新たな目覚めを祝福しているかのようだった。
――同時刻、いささか崩壊したガンガン控え室にて。
鷹氏の放った黒球の脅威も覚めやらぬといった頃。
冬目と雷句が辺りを警戒し、金田一が、まだ若干しゃくり声をあげている夜麻に寄り添っていた時。
ふいに、金田一が自らの腹部に手をあてがい、さすりながら、呟いた。
「あ……動いた」
……そのかすかな呟きは、緊張で張り詰めたガンガン控え室に、実によぉーく響いた。
金田一のそばにいた夜麻は、顔いっぱいにハテナを浮かべるだけだったが、
冬目と雷句はその言葉と仕草の意味を考え、思わず数歩あとずさって驚きの表情で金田一を見つめた。
しかし相変わらず金田一は不明瞭な表情を浮かべるのみで――
――いや、まぁ……ただ単にそれだけの話なのだが。
「ここは・・」
和月は、少し戸惑った感じで眼前に聳え立つ不気味なオーラを纏う門を一瞥した後、その門の階段に腰を下ろし、一言も声を発さないまま、硝子玉のような瞳で自らを凝視する高橋に、視線を向けた。
明らかに異質な空間にいるにもかかわらず、和月の挙動には、戸惑いこそあれ、根本的な落ちつきとゆとりが感じられた。
不可解なことだった。
その挙動からは、初めてこの場所にくる人間が持つ疑問。
すなわち、自分はいったいどうなってしまったのかという疑問が欠けていた。
だが、対峙する高橋ツトムは、表情を変えることは無かった。
なぜなら彼は知っているからだ。
和月が落ちついている、そのわけを
「説明、してくれないのかな?」
数秒、ただじっと視線を交し合った後、相手が何も語らないことを悟り、やや焦れた感じで和月は言った。
そんな和月の言葉を受けて、高橋は視線をわずかに地にずらした。
「お前がここに来た理由は、怨み、というよりは心残りからだった」
だった、と何故か過去形で高橋は言った。
「そうだね、あの時死ぬ寸前、僕は確かに思った。もう少し彼の成長を見届けたい、と」
あの時―つまり高橋と和月が語っているのは、過去の話であるらしかった。
「だからお前は迷わず選択した、死を受け入れず現世をさまよい続ける道を」
「さ迷い続けるってのは語弊があるなあ・・」
そうわずかに唇の端を上げ、微苦笑を顔に浮かべてから、和月は続けた。
「でもまあそんなに変わりはしないかな。あの時―尾田君に殺されてここに来て、僕は彼を見守り続ける道を選んだ。それで、そろそろ教えてくれないかな?何故僕は今再びここに来てしまったのかを」
ゆっくりと、高橋は視線を再び和月に戻した。
その瞳は、あいかわらず硝子玉のように無機質な輝きを放っていた。
光が収まり、オザワにノリコ、そして吉田が気付いた時には、既にパプワワールドは元の姿を取り戻していた。
草木や海、それに雲に大地、もちろんナマモノ達も皆、歌うようにざわめいている。
「――ったく、こんなコトなら初めからゴルフクラブかなんかで殴っておけば良かったニャ〜」
「……オザワくん、妙に生々しいというか恨みこもってるわよその武器チョイス」
「まぁ、良いではないか。結果的に記憶が戻ったんじゃから、わらわとしては無事に使命完了、万々歳じゃ」
「それじゃ……」
柴田が、若干声のトーンを落とした。
「うむ、何となく分かっておったようじゃな。……わらわ達はこれで消滅する」
「随分迷惑かけられたからな〜。ちゃんと秘石継承しに来なきゃ死んじまうゾォ〜泣き虫センセ〜!」
二人の姿が徐々におぼろげになって消えていく。しかし、それを止める術は、その場の誰も持ってはいない。
あくまでかりそめの命を与えられたに過ぎない二人ではあるが、いざ、別れの時となると、
柴田は、感傷的な気分に成らざるを得ないでいた。
アニマとアニムス。秘石によって形作られたヒト二人は、最後の最後に、にこやかに笑って別れの言葉を告げた。
『締め切り守れよ』
――前言を撤回し、柴田はあくまで寂しげな表情のまま、心中で“早くどっかに消えやがれ”と呟いたのであった。
「――で、吉田先生はこれからどうすんの?」
消え行く二人を見送って、しばしの間を置いて。柴田が吉田の方に向き直り、聞いた。
「しばらく……ここに居ようかな。……ハワイじゃ無いけど」
「そう……なら、今日から吉田先生も『友達』よ」
いきなりの申し出に一瞬、戸惑いを見せた吉田ではあったが、少々照れながら、答えを返した。
「あ……どうも、よろしく」
「下の人もよろしくね」
「下の人などいないっ!!」
あくまで、そこは譲らない、吉田戦車であった。
やがて、島が少しばかり落ち着きを取り戻し、『復活記念一発芸大会』などが催され、
チョウチンアンコウのマミヤくんが過呼吸に陥っていたりした頃。
一人、ほくそ笑む影があった。
「ククク……気付いてない……気付いてない……
まさかこの私がこっそり柴田先生に『シークレット記憶細胞』を植え付けたなどとは、誰も思うまい……!」
――椰子の木陰で一人、笑みを漏らす吉田戦車。まさかそんな事が起こっていようとは、
柴田本人も、オザワにノリコもましてや神様仏様も気付きゃしなかったっていうか本当にどうでも良い事だった――
「あんたは一度選択した、俺はその選択を尊重する」
だが、と高橋は言った。
「あの時とは状況が変わった、選択肢は増えたんだ」
「増えた?」
わずかに、和月の顔に驚きが浮かぶ、高橋はそれを見ながら黙殺して話を続けた。
「その選択肢は、妖魔王の配下となり転生する、だ」
「―――――!?」
妖魔王、その言葉に和月は先ほどとは比較にならないほどの衝撃を受けた
「そんな・・ゴッドハンドに続き妖魔王までもが・・」
それからはっとしたように全身に緊張感を漲らせながら、和月は高橋を睨んだ。
「馬鹿にするな! そんな選択肢を僕が選ぶと思っているのか!」
闘気、否、殺気を体中に漲らせながら和月は言った。
「選ぶさ」
「ふざけるな!」
「所詮この世は弱肉強食、強ければ生き、弱ければ死ぬ」
歌うように、高橋は言った。
「それは・・・」
「あんたの漫画のキャラが好んだ言葉だな」
「そうだけど、でもそれは・・」
戸惑いの表情を浮かべる和月に構わず高橋はさらに続ける。
「でもそれは違う。強かろうが弱かろうが関係無い、死はいつだって理不尽だ」
「何が言いたい・・」
低い声で、和月は言った。
その体からは既に殺気は失せていた。
「あんたはその理不尽さを、尾田の傍らで骨身に染みるほど理解していたんじゃないか?」
「・・・・・・・・・」
和月は答えない。
だがその頭の中に、否が応にも思い起こさせる光景がある。
それは、生死のギリギリまでの闘いを行いながらもその顔に満ちたりた表情を浮かべる尾田の姿、そして、それを寂しそうな表情で見つめる哀れな自分自身の姿。
「嫉妬、焦燥感、寂寥感、色々あるが、結局のところあんたは・・・」
「言うな!!」
強い声で、和月は高橋の言葉を止めようとする。
「闘いたいんだろ?だからあんたはここに再び舞い戻ってきたんだ」
「ち、違う、選択肢が増えたからだっていったじゃないかあなたは!」
「だが、それに引き寄せられたのはあんた自身だ」
「な・・・」
「ずっと、尾田の成長に喜びながらも、あんたは感じていたはずだ。自分ももっと闘いたかったと」
「違う・・・」
か細い声だった。
自分の内に溜め込んでいた醜い感情を丸裸にされたかのような惨めな感覚に、和月は打ちのめされていた。
だが、そんな和月の様子を、真正面から見つめていた。高橋は、哀れむかのような声で言った。
「なあ、そろそろ気が付いた方がいいんじゃないか?」
「ふざけるな、僕は、妖魔王の手下になんかなるつもりはない・・」
その言葉を聞いて、高橋は今度こそ本当に全身から哀れみの感情を露わにして言った。
「じゃあ、なんでお前は笑ってるんだ?」
「え・・?」
高橋の硝子玉のような瞳の中、そこに写る和月の顔は、片方の唇の端がわずかに釣り上がっていた。
「あ、あれ・・?」
和月の手が自然に口の端に伸びる、確かに釣りあがっている。
「な、なんで?」
慌てて表情を変えようとしても、変わらない、和月の顔は笑ったまま
その笑みは、どうしようもない喜悦だった。
「はは、なんだ・・そういうことか・・はははは・・」
和月は今度こそ本当に心の底から笑った。
それは、全てを理解した男の狂笑であった。
「はは、はははっ、あははははっ!!!」
和月は笑う
笑い続ける。
そんな和月の狂騒を、高橋はじっとみつめ続けた。
それが、彼の役割だといわんばかりに、ただひたすらじっと―
どちら様のお話も
面白いですのけれけど
混ざると見辛うございます
今度から、なるべくサブタイトルをつけるようにした方が、読みやすくていいと思う。
ともあれ、ようやく柴田が動き出し始めましたな。それと、久々の新キャラ。
それと、和月キタ−−−!
また島時計がズレてました。
次からは(227/350)でヨロピキュ
Aブロック通路。
アウターゾーンから解放された安西たちは、遂に決勝会場へと辿り着いた。
安西「見えてきたぜ! あれが決勝会場か」
留美「果たして、鬼が出るか蛇が出るか。気をつけるのよ、安西君」
片倉「よっしゃ、気合い入れるで! 闘火薬点火(プライムファイヤード)!」
真島ヒロを倒すべく、安西たちはいよいよ闘いの場へと躍り込む。だが。
!!!!
そこで三人が見たものは、瓦礫の山と化した、変わり果てた決勝会場の様子だった。
片倉「な…なんやこら?」
安西「すっげェ……戦争でも起こったみてえだ」
留美「どうやら、ここで車田先生と真島が闘ったのは間違いないみたいね」
惨澹たる会場の入り口付近で、三人はなかば呆然となった。
片倉「で、2人とも何処に行ったんや?
もう勝負は終わってもうたんか。だとしたら、どっちが勝ったんやろ」
留美「あの車田先生が負けるってのは、ちょっと想像つかないわね」
安西「ああ。だけど、真島がそう簡単に殺られたとも思えねえ……」
高橋留美子は車田の鬼神のごとき強さを、安西は真島の反則じみた強さを、それぞれ知悉している。
両者の敗北する姿が頭に浮かんでこないのも、やむを得ないことだろう。
片倉「しっかし、肝心の真島がおらんのやったら、とんだ無駄足やったの。
こっからどないする安西…」
言いかけた片倉を、安西が片手で制した。その目が鋭くなっている。
すると一秒の間もおかずに、片倉もまた、その気配に気付いた。
留美子に至っては、ここに入った時から気付いていたようだ。
三人がいる観客席の1階部分から一望できる、会場中央のリング残骸。
そこに立つ2つの影が、ほとばしるような闘気をこちらに放ちつづけている。
片倉「なんやあれ、黒い剣士に犬ッコロ。変わった取り合わせやな。散歩の途中には見えへんけど」
呟く片倉に対し、安西は無言のまま2つの影のうち、黒い剣士を睨みつけている。
安西「あれは戸土野! ブレイドの戸土野正内郎か!!」
安西が大声で言うと、黒い剣士……戸土野がにやりと笑った。
戸土野「ハハハハ! 久しぶりだな、安西!!」
獅子を探して、虎に出会うとは・・・・
がんばれ安西!
戦うマンこと島本はただ空を眺めていた。
ハッと我に帰り、グラウンドを眺めると両チームの激戦が目に入る。
自分のチームを応援すべきだろうが、やはり素直には応援できない。
島本「、、、迷いがあるのか?」
自分に問いかける。返事は、もちろん無い。
ふと王者チームのベンチを見る。もともと違うチームだが、なんとなく居着いている内に自分の元のチームと同じくらいに愛着も沸いていた。
そして、いつのまにかメンバーを本気で応援していた。特に戸田は友人であり、同時に心の底でライバル視し、そして、共に強くなった。
島本「勝たせてやりたい、、、、。」
王者チームのこの試合にかける心意気は解る。解るからこそ、正面から
ぶつかってみたい。王者チームの強さを知っているからこそ、挑戦してみたい。もう心は決まっていた。
島本「、、、打ちたい、、、全力で!!」
ああ、自分は激突するんだな、と思う。それと同時に、
もう、帰れないんだな、と王者チームのベンチを見て思う。
60 :
59:03/09/08 20:04 ID:rEn0Gi5G
初書きです。改行下手でスマソ、、、。
環「……オイ。」
美樹本「……ここでゲッターロボか??」
環「…もーちっとまともなメカを出せよ。」
長谷川「俺は変な(褒め言葉)メカが好きなんだ!文句を言うな!」
さんざんな言われように、長谷川が返す。
美樹本「……全機、攻撃開始ぃ!」
美樹本の命令に対してすぐさまミサイルを発射するが、ゲッター2は右手のドリルを回転させて、地中へと逃げる。
オペレーター「マクロスの応急処置完了しました!」美樹本「よし、わかった……ツッ!」
オペレーターと受け答えしていた美樹本が、急に頭を押さえる。
オペレーター「どうしました!」美樹本「悪意だ、とんでもない悪意を感じる……」
美樹本は、そう言って安彦と富野が戦っている方角を向いた。
有賀「長谷川!何があった?」長谷川「……わからん。だが……このプレッシャーは……まさか。」
有賀の台詞に、頭を押さえながら答える長谷川。
富士原「大丈夫か?」
富士原が通信機ごしに聞いてくる。
長谷川「機体の方は大丈夫だ……だが……状況がまずい!」有賀「何がまずいんだ!」
長谷川「”あれ”が目覚める!」富士原「”あれ”?」
長谷川「”あれ”を形容する言葉は、様々ある……。
「ジオンの守り神」「超超巨大MS」「血まみれの巨神」「ロゴタウの巨神」そして「伝説巨神」……。」
安彦「何だ!何がおこってるというのだ!」
安彦は、目の前で起きている事にパニックを起していた。
強大な”怒り”を突如感じたと思ったら、ビルバインが急速に光に包まれていく瞬間を。
水が舞い上がり、ビルバインに吸い込まれていく。
そこより現れたのは、ヤスブレンの20倍は有ろうかという巨大ロボットであった。
赤い体。まるで塔のように縦に伸びる肩。バイザーのような目は、一体何を移すのだろうか?
そのマシンの名は……
長谷川「”イデオン”。」
ようやく目当ての敵を見つけ、戸土野が悦に入った哄笑を響かせる。
片倉「なんや、あの三浦健太郎のコスプレしたヤツは。安西、あいつ知っとんのか?」
安西「ああ、昔ちょっとな。まさか、まだ生きてやがったとはな」
戸土野を睨みつけたまま吐き捨てると、安西が前に出た。
安西「てめえかよ、戸土野。相変わらず、下衆野郎みたいで、嬉しーぜ?」
狂暴な笑みを浮かべる安西に、戸土野はどこか失望したように吐き捨てる。
戸土野「どうした、安西。しばらく見ねえうちに、随分と甘いツラになったな。
昔のおまえは、もっとギラギラしていたもんだが。
それじゃまるで、真っ当な漫画家みたいだぜ。
俺と矢吹、真島、そしてお前の4人で『四天王』と呼ばれていた頃のお前は何処へ行った?」
戸土野の嘲りにも、安西は眉ひとつ動かさない。
そして、安西が何か言おうとする前に、口を挟んだ者がいた。
留美「安西君は、もう貴方や真島とは違うわ。下らない名で、彼を呼ぶのはやめなさい」
凛、とした涼やかな声が、会場中に透き通っていく。
安西は一瞬きょとんとした後、照れ臭さに顔を小さく綻ばせる。
戸土野「なんだあ、女? 安西、戦場に女同伴たあ、大した身分だな」
軽口を叩く戸土野に、横からたしなめるような声があがる。
戸土野の傍らに立つ、独眼の狼。『PSYCLOPS』高橋よしひろである。
高橋(よ)「あの女を見くびるな若造。あれは、『サンデーの女帝』高橋留美子だ。
ジャンプ5聖人にも匹敵する、大物中の大物よ」
戸土野「へえ、あの巫女のコスプレした女がね。だけど、
高橋留美子ったらかなりのババアだって聞いたが……随分と若作りしてやがんな」
ゲラゲラと笑いだす、戸土野。そのとき、安西と片倉の背筋に冷たい物が走った。
すると、危惧通り、留美子の全身からとてつもない殺気が噴き出している。
まるで地獄の業火の真只中にいるがごとき、凄まじい熱量の闘気だ。
留美「だ れ が バ バ ア で す っ て ?」
普段は女神のように優しげな彼女の顔が、夜叉のそれへと様変わりした。
>60
島本の悩みがきちんとでてて良い感じです。
只、点は「、」よりも「…」の方が見やすいと僕は思います。
安西(あんの莫迦! 留美子さんに歳のハナシは厳禁だってえのに!)
留美子の悪鬼のような変貌ぶりに気圧される安西だが、その殺気が向けられている張本人、
戸土野の顔にはいささかの恐怖も浮いてはいない。ただ感心したように口笛を吹く。
戸土野「へえ、こいつぁ凄ェな。こんだけ離れててもビリビリ殺気が伝わってくるぜ。
安西にくわえて、こいつはとんだ御馳走だな」
留美子の殺気に呼応しようとした戸土野を、だがさえぎる者がいた。
高橋(よ)「待て、若造。高橋留美子はわしが相手をする。おまえは、小僧同士で遊んでいるがよい」
戸土野「オイオイ、獲物の一人占めはズルイぜ。皆で仲良く、乱闘と行こうじゃねえか」
天狼が牙を剥き、黒い剣士が大剣を抜き放つ。瞬間、颶風のような殺気が叩きつけた。
!!!
片倉「安西、あのコスプレ野郎と犬ッコロ……」
安西「分かってる。どっちも桁違いの闘気だ。戸土野の野郎、いつの間にこんな力を?
昔のヤツとは完全に別物だ。それにあの犬野郎……普通じゃねえ。
こいつら多分、あの真島よりも……強え!!」
片倉「なんやて!?」
留美「そうでしょうね…あの男、私の知っているブレイドの作家とはレベルが違うわ。
それにあの狼……もしかしてあれは……」
怒りにこめかみをヒクつかせながらも、状況判断能力は失っていない留美子が呟く。
すると、人間の数倍の聴力を持つよしひろが、耳聡くそれを聞きつけた。
高橋(よ)「わしを知っておるか、女帝よ。申し遅れたが名乗らせてもらう。
わしが名は、キユ軍特殊部隊『PSYCLOPS』のひとり、高橋よしひろだ」
その名乗りは、留美子たちに衝撃を与えるに十分だった。
留美「高橋よしひろ! かつて黄金期のジャンプで、『犬漫画』という新ジャンルを確立し、
不動の地位を得た、あの……!!」
片倉「なんやて!? そら5聖人クラスの超大物やないか!!」
安西「キユ……ってことは、てめえはキユの配下になったってことか、戸土野」
戸土野「ふん、キユなんざどうでもいいぜ。俺が忠誠を誓ってるのは、岡本倫様、ただひとりだけだ」
2つの異形たちの恐るべき正体を知り、留美子は驚愕を隠せない。
留美(KIYU…! まさか、これほどの戦力を貯えているとは!)
レディに年を聞くとは・・・命知らずだな、戸土野(w
KIYUの名を聞き、わずかに驚く留美子だが、その怒りが収まることはなかった。
留美「ちょうどいいわ……KIYUには色々と借りがあったのよ。
これで、アンタたちをブッ殺す理由が増えたってわけね!!」
美しい長髪が天を衝き、メラメラとした殺気が荒れ狂う。
なんというか、今すぐにでも『なりそこない』を召喚したり、妖怪化しそうな勢いだ。
片倉「おーい、なんか性格変わっとるでー彼女ー」
安西「無駄だ。こーなったら、もう手がつけられねえ」
相手の強さも未知数だが、この戦いが色々な意味で熾烈を極めるものになるであろうことを、安西は予感した。
留美「というわけで……くたばれ、こんガキゃあ!!」
腰から日本刀を抜くと、地を蹴り、突風のような速度で駆け出した。
戸土野「やってみろ、この年増が!!」
刹那、電光が走り抜けた。
イマジノス体の『電磁加速』を応用した戸土野の踏み込みは、実に音速を凌駕する。
地が広範囲に渡って砕け散った。留美子と戸土野の斬撃が、正面衝突したのだ。
戸土野・留美「!!!!」
強烈な力と力の激突。打ち負けたのは、なんと留美子の方であった。
留美「なに!?」 戸土野「シャッ!」
ほんの数歩後退しただけの留美子に、戸土野の連続攻撃が襲いかかった。
それは形容するなら、さしずめ黒い竜巻。触れる物すべてを呑み込む、圧倒的な猛威の具象化だった。
2人の撃ち合いは、観客席の1階部分へと場所を移す。
2人が刃を振るう度に、椅子がダ−ス単位で吹き飛んだ。
横薙ぎに振られた大剣を、留美子が跳躍して躱した。すかさず攻勢に移ろうとする留美子。
だがその瞬間、死角から鋭利な一撃が吹っ飛んできた。
留美「!」
それは、横薙ぎの勢いを利用し放たれた、戸土野の空中蹴りだ。
留美子が間一髪、屈んでそれを躱すと、その頭上スレスレを2つの蹴りが超高速で吹き抜けていく。
まともに当たれば、一撃でコンクリートをも粉砕しそうな蹴りだ。
戸土野の記憶に刷り込まれた『機甲術(パンツァークンスト)』の技術だ。
戸土野の猛撃が止まらない。さらなる大剣の一撃が、留美子の胴に吹っ飛んできた。
黒い刃風を肉厚の大剣でなんとか受け止める留美子。両腕に強烈な痺れが伝わる。
まだ終わりではなかった。大剣の柄を軸に戸土野が旋回し、十分に加速度のついた回し蹴りを叩きつける。
かろうじて片腕でガードするが、威力を殺し切れず、吹っ飛ばされる。
一方、戸土野は空中で反転すると、あり得ない体勢から大剣で突きを放った。
血風が舞った。必殺のタイミングで放たれた突きを、上体を逸らして躱した。
体操選手のような身軽さで空中でトンボを切り、客席のイスの上に着地した。
留美子の肩口がわずかに裂け、血がしぶいた。
留美(鋭い…! やはり他のブレイド作家とはまるで違う!!)
心中で驚愕する留美子を尻目に、戸土野が器用にイスの上に降り立った。
100キロは軽く超えているだろう大剣を、小枝のように軽々と振り回す。
戸土野「どうした年増! オレの本気はまだこんなもんじゃないぜ」
ウソではない。その顔にはまだまだ余裕があった。
それは、新しい車がどれだけ速度を出せるのか、試したがっているかのようであった。
安西「留美子さん!」予想を遥かに上回る戸土野の動きに、安西が思わず声を荒げた。
すぐさま留美子に加勢しようと駆け出す。が、そこへ疾風が吹いた。
すかさず飛び退くと、眼前を刃のような牙の一閃が通過していく。
高橋(よ)「余所見をしているヒマはないぞ、若造!」
それは相手を戸土野にとられた形になった、高橋よしひろの一撃だった。
安西「!」 流星のようによしひろが吹っ飛んできた。喉笛に、刃に等しい牙が迫る。
ユラリ。高橋(よ)「!?」
よしひろが自分の目を疑った。捉えたと思った瞬間、
安西の体が揺れ、すり抜けるように牙の一撃を躱したのだ。音もなく着地し、よしひろが呟く。
高橋(よ)「ほう、不可思議な体術を使いよる。やるな、お主」
安西「本当はオレの技じゃないけどな。咄嗟なんで使わせてもらった」
それは、安西がかつて戦った強敵、五虎神・山原義人が使った体術。
その独特の動きから、通称『柳』と呼ばれる技であった。
片倉「大丈夫か、安西」
安西「ああ。あの鎧武者とやったときは、焦ってたせいで『水の心』忘れちまってた。
だが、今のオレは澄んでるぜ。集中してる!」
安西の心には、水のひとしずくが映っていた。
とりあえず、冒頭部分だけ書いてみました。
ちなみに、留美子が使ってる剣は鉄砕牙じゃありません。
確か、蛮骨(だったっけ?)が使ってた大剣。名前忘れましたが。
留美「くうっ・・」
油断して初太刀を食らってしまったせいもあり、留美子は一方的に戸士野に押されていた。
戸士野「はーっはっはっ!!どうしたどうした!!もう終わりか年増!?」
留美「あ、あんたはあ〜!」
戸士野の挑発的な言葉に、思わず頭に血が上りガードが甘くなる留美子。
戸士野「けっ!かかりやがったな!」
そこに、狙いすました戸士野の回し蹴りが叩き込まれた。
ドガアッ!
留美「きゃあっ!!」
蛮骨ごしのガードごと、留美子は通路に数mほど吹き飛ばされた。
留美「ぐうっ!」
壁に叩きつけられなかったぶん、ダメージは少ないが、一瞬よろめき、片膝をつく留美子。
無論、その隙を戸士野が逃すはずは無い
戸士野「止めだああっ!!」
宙を飛び、大上段に留美子目掛けて大剣を振り下ろす
安西「る、留美子先生!!!」
安西が悲痛な叫び声をあげた。
だがその大剣の一撃が当たる寸前。
留美子の足元にコロコロと珠が転がってきた。
戸士野「(なんだ?)」
大剣を留美子目掛けて振るった戸士野は見た。
その珠に浮かび上がる、『護』の文字を
そして、戸士野の大剣が、留美子の体を薙ぐ直前、その珠から発せられた光が、留美子の周囲を包み込んだ。
戸士野「なにっ!?」
ドンッ
と、戸士野は驚愕の声をあげながら、体ごとその光の外に勢いよく弾き出された。
留美「ど、どうなったの?」
留美子はいきなり自らを包み込んだ光に呆然としたが、すぐに、自らの足元に転がる珠の存在にきがついた。
そして、それと同時に留美子の後ろから声が聞こえた。
??「やれやれ、皆川を追って来たはずが、とんでもない所に遭遇しちまったなあ・・」
留美「こ、この声は・・まさか!?」
慌てて後を振り向く留美子、果たしてその視界には、彼女の予期した人物の姿があった。
留美「椎 名 高 志 君 !」
少しだけ顔に笑みを浮かべた後、その男、椎名高志は眼前の戸士野を睨みつけて言った。
椎名「極楽へ、いかせてやるよ」
椎名キタ――――――――( ゜∀゜)―――――――――――!!
まさか、出るとは思わなかった(w
来るべき温泉バトルに華を添える人物がまた一人(゚∀゚)
クライマックスを迎え、ボルテージが上がりつづけるDブロック決勝戦。
その熱狂の渦中にあって、ただひとり、それとは性質を異にする熱を孕んだ者がいた。
??「くっくっく……相変わらずおもしれえ事やってやがんな。ヤツら……そして、えなり」
呟いた男は和服に全身を包んだ、精悍な体躯の男だった。
その男は、まるで観覧車のような独特の髪型をしており、
過去の負傷からか、その右目は眼帯に覆われていた。
他にもいくつか顔に刀傷が刻まれており、それが男に凄みを持たせる原因のひとつになっていた。
??「くっくっく……今、この俺が、もっと面白くしてやるよ…」
狂気に濡れた声で陶然と呟く男。そして、男の手が何かの合図のように、すうっと挙がる…
??「止めておけ、久保。こんなところで、ツマラン騒ぎを起こすな」
観覧車のような髪型の男……久保を止めたのは、軍服姿の左目に眼帯をした男だった。
久保「テメー、宇野か。俺の邪魔をするつもりか?」
宇野「そうだ。貴様のツマラン私怨で、素質ある者たちを失うわけにはいかんのでな」
軍服姿の男……宇野が淡々と言った。
久保「素質?」
宇野「えなりチーム、そしてチャンピオンチーム。彼らの中から『王』が生まれる可能性がある。
ゆえに『外側に立つ者』としては、来るべき時まで彼らには生きていてもらわねばならん」
久保「関係ねーな。今の俺は、えなりとその仲間たちをブッ殺してやりたいだけだ」
そう断言した久保の体から、夥しい妖気が発散される。
宇野(むう、なんという魄動の凄まじさ! この男、短期間の間にこれほどの成長を遂げるとは……いったいこの男に何があったというのだ)
真の夜族(ミディアン)として覚醒した久保は、以前とは比較にならない鬼気を有していた。
久保「なんなら…テメーからやってもいいんだぜ?」
ゾワ・・・
久保と宇野。2人の間に、殺気が満ちる。
強烈な睨みあい。最初に気を解いたのは、宇野だった。
宇野(ここで久保を倒すことは十分に可能だ。今の久保相手では苦労はしそうだが。
しかし、この妄執……ここでこいつを始末してしまうのは惜しい)
そう考えた宇野は、猛る久保にある提案をした。
宇野「久保よ、ここよりもっと面白い戦場があるとしたら……どうする?」
久保「ここより面白い戦場?」
いきなりの宇野の言葉に、久保が怪訝な顔をした。
宇野「そうだ。それは、ここDブロックでもなければCブロックでもない」
久保「回りくどいんだよ、さっさと言え」
宇野の言い回しに、短気な久保はさっそくイライラし始めた。
宇野「私と共にAブロックへ来い。あそこには今、猛者が集結している。
原哲夫、皆川亮二、青山剛昌、萩原一至……これ以外にもそうそうたるメンツが揃っている」
そのとき、久保の目の色が変わった。危険な感情の色を孕んでいる。
久保「ウソじゃねえだろうな、それ」
宇野「まぎれもなく本当の事だ。私が集めた情報だからな」
しばしの沈黙。その黙考は、1分もつづかなかった。
久保「くくく…おもしれえ。なら行ってやろうじゃねえか、Aブロックへ」
あっさり。あまりにあっさり、それは成功した。
宇野は数時間前、岡本倫に伝えられていた。Aブロックにおける一連の騒動のこと、
そしてKIYUのテリトリーに侵入した愚か者たちのことを。
宇野(今の久保は、『PSYCLOPS』の上位陣レベルに匹敵する強さを得ている。
ジャンプの若手の中では、今のこいつに勝てないだろう)
久保「まあ、新しい体の試運転が出来れば、とりあえずはいいけどよ。
えなりの血ィ吸ってやるのは、またの機会にするか。いいぞ、Aブロックへ行く」
そう言うと、久保は歩きはじめた。その背を、宇野がひきとめる。
宇野「待て、久保。『そいつら』を一緒に連れていけ」
久保「ん? ああ、すっかり忘れてた。……おまえら行くぞ!」
そう言ったとき、客席の一部が無言で立ち上がった。
数百人に及ぶその観客たちは、あまりにも似すぎた顔をしていた。
川三番地部隊。久保が保有する最強の戦力である。
並んで歩き出す宇野と久保の後方より、夥しい数の吸血鬼たちが従う。
Aブロックに、さらなる混乱が巻き起ころうとしていた。
長谷川「なんて…悪意だ……。」長谷川は頭を押さえながら呟く。
有賀「俺には、よくわからないが、そこまで凄いのか?その悪意という奴は?」
長谷川「ああ、おそらく洗脳装置を使って限界まで悪意を引き出しているのだろう。
例え作られた悪意でも、悪意は悪意だ……。」
長谷川はそこまで言うと、ゲッターロボから乗り換える。最初に乗っていたメカBURNだ。
富士原「おい!何をする気だ!」
長谷川「このまま富野さんを助けに行く!」
有賀「無茶を言うな!ゴッドハンドでもないお前が行って何になる!」
長谷川「少なくとも、ここでのんびりしてるわけにはいかないんでね。」
有賀「まったく……。俺は逃げさせてもらうぞ!」
長谷川「……好きに……。」
そう言いかけた時、竜の船の吉富から連絡が入る。
吉富「あいにくだが、それは無理のようだ。いつの間にかこの辺り一帯にバリアーが囲まれている。
矢吹艦のバリアーと似た性質を持っていて、中からの破壊はほぼ不可能と思って良い。」
有賀「……やるしかないってわけか。」富士原「ああ、そう言う事らしいな。」
三機は夜の闇を駆け、戦いの場へと向かっていった。
環「一体何が起ってるというのだ!」美樹本「わからん!」
そのころ、四霊の方も混乱を極めていた。自分たちの周りに突如バリアーが作成されたのだから。
美樹本「それに……この悪意は何なんだ?まずは調べてみる!ついてこい!」環「了解!」
安彦「うっおおおおおおおおお!光になれぇぇぇぇぇ!」
ズン。巨大な黒いロボット…ガオガイガーの持った金色の槌が振り下ろされ、
赤いロボット……イデオンのバリアーに阻まれる。
富野「………。」
イデオンが腕を一振りした瞬間、ガオガイガーは後ろへと吹き飛ばされる。
安彦「まさか、ガオガイガーの力を持ってしても傷一つつかんとは……。」
悪意はさらに大きくなっていく。もしかすると、何があっても止められないかもしれない。
安彦はそう考えて、さらにもう一度立ち上がった。
安彦「このまま負けるのはしゃくだからなぁ!全力で相手させてもらうぞ!」
長谷川達がたどり着いたとき、ガオガイガーはボロボロになっていた。
有賀「ガオガイガーがあそこまで……。」
長谷川「伝説巨神の名は伊達じゃないという事か。」
長谷川が手で汗を拭きながら、言う。
有賀「……んなこと言ってる場合かぁ!」
長谷川「俺は何時だって、まじめだぞ。あれを使えれば、何とか勝てるかもしれない……。
だがあれはバビルの塔に置いてきたままだ。あそこからここまで召還する事はできない!」
有賀「あれ、あれじゃわからないよ……。」
長谷川「こっちの話だ……来るッ」
その瞬間、イデオンの両腕が光り始める。
BIGーOと竜虎王はすぐさま後ろへと下がるが、長谷川のBURNは逆にイデオン向かって突進した!
BURNの口の中から、灼熱の息吹が現れて、そのままイデオンに体当たりをする!
予想外の攻撃だったのか、イデオンは倒れるが、両腕の光は発射され、そのままバリアーに吸収される。
有賀「長谷川っ!」
長谷川「大丈夫だ!だが………奴に…”巨神”に決定的なダメージを与えていない!」
富士原「そんな……。」
環「あの光は一体?」
美樹本「わからん!だが何か特別な物が現れる気配がある!気をつけろ!」
オペレーター「大変です!西の方を見て下さい」
突如入ったオペレーターからの連絡に、美樹本は反応する。
美樹本「何も見あたらないが……。」
オペレーター「何もないのが変なんです!」
美樹本はオペレーターを落ち着かせて、驚愕の原因を聞いた。
美樹本「そんな馬鹿な……。」
Aブロック
光原「さて、月には様々な魔力が存在すると言われています。」
みさき「あのさあ、講義は良いんだけど、月がどっかへ消えちゃったんだけど……。」
Bブロック
夜麻「カムイ、カムイぃ。」
夜麻みゆきが、カムイのマントの裾をひっつかんで、泣きじゃくる。
藤原「どうした?」
夜麻「お月様がね、いきなり光ったかと思ったら消えちゃったの。」
藤原「……何が起ってるんだ?」
ケルベロス
平野「今日は良い月夜だ……我らの戦いにふさわしい……。」
三峰「って、月消えちゃったんですけど……。」
平野「ふん、お前には見えないのか?あの夜族にふさわしい、あの月が。」
菊池「赤い月か……確かに我らの戦いの場所にはふさわしい……。」
温泉
福地「今日も月がきれいだなぁ!(←酔っている)
梅澤「よーし、俺が凄いのを見せてやる!スカルドラゴーラ!(同上)」
月に向かって発射されたエネルギー弾は途中で見えなくなるが、突如月が輝き消滅する。
高橋「??」
梅澤「いかんいかん、少々やりすぎたぁ!はっはっはっ。」
評議会基地近く
有賀「つぅき〜がぁ〜。ちぃきゅ〜うのつきがぁ〜。」
あまりの伝説巨神の力に、有賀が歌うかのように言う。
富士原「勝てねえ!勝てっこねえ!月が破壊された!もう勝てるわけがねえ!」
長谷川「月が破壊された? そ れ が ど う し た !
俺 達 は は ま だ 生 き て る だ ろ う が !」
富士原の弱気な言葉に、長谷川が叫んだ。
長谷川「まだ、地球を破壊されたわけじゃねえ!」
有賀「月を破壊されたんだ、もう勝ち目はねえ!」
富士原「それに見ろ!あれは最初、地面めがけて撃とうとしてたんだぞ!」
長谷川「……なら聞くが、
地球ってのは、月か?惑星か?半径四万キロメートルの空間か?
そんなもんは、やられたって痛てえなんて思わねえ!
やられて痛えと思う奴が乗ってるから地球なんだろうが!
悪意のせいで、富野さんはこの星を滅ぼそうとしている……。
こいつは最低最悪の殲滅戦なんだ。全てを滅ぼそうとするものと生きようとする者とのな……。
だからな……この戦いが終わった後、誰か一人でも息をしている奴がいるなら、俺達の勝ちだ!
まだ負けちゃいねえ!わかったかぁ!!」
有賀「……ああ。」
長谷川「わかったら、できる事をさっさとやれぇ!」
有賀「わかった!BIGーO!アックション!」
富士原「竜虎王!行くぞ!」
三人はそう言って、それぞれ、思うがままに気合を入れた。
安彦「……まだまだ!負けるわけにはいかんのだ!」
安彦もその様子を見て、立ち上がる。
安彦「ここで終わったのなら、勇者王の名がすたるわぁ!」
安彦のガオガイガーも再び立ち上がる。
吉富「こちらも、全力で援護する!」
吉富も竜の船から叫ぶ。
長谷川「なら……行きます!作戦名は……。」
五人「勝利の五人(ビクトリーファイブ)!」
今、まさにスーパーロボット達の最後の戦いが始まろうとしていた。
82 :
裏御伽担当:03/09/09 08:53 ID:RosH72Re
月消えた アワワ(゚д゚三゚д゚)アワワ (。_。)φ イベントカカネバ
>>82 ごめんなさい。どーしても伝説巨神の力を見せたくて月吹き飛ばしちゃいました。
>>80では複線的にしか書いてませんが、ここで破壊されたのは”現実”の月です。
”赤い月”はまだまだ残ってると言った感じで書いてますので、それほど月の有る無しを気にしなくて良いです。
(・∀・)つ 前スレのまとめ以降見てくれぴょ 月の女神様捜して来るね〜
砂浜をひた歩く本宮と岡野が、ふと頭上に異変を感じたその時には、
白い月の光が消えていたが、彼らにしか見えない≪赤い月≫の残影が、
さらに力強く空を支配していることもあり、2人に衛星の消滅は認識されなかった。
凄惨な戦場の真近くなので、とてもじゃないが空に意識をもってはいけないからだ。
しかし山火事がなかったら、島は漆黒の闇に覆われていただろう。
キャンプファイヤーの時のような幽玄のゆらめきに、御伽戦士たちの雄姿が明滅する。
不思議な流れ星が、地上から月の方角へと消えていった。
≪白い月≫――実在する地球の衛星としてのものではなく、夜を支配する女神の住処――
の制御を失った≪赤い月≫が、空に無数に舞う邪鬼を吸い形を歪めさせ、
髑髏を思わせる黒く窪んだ沁みを形成する。
≪月≫は【現実世界】と【おとぎの世界】をつなぐ扉。
おとぎの世界とは、実在が立証されていない世界。
妖魔王の領域。
死後の世界。
異次元、時空の彼方、異世界、多次元等と様々な呼び名がある世界。
二つの扉、その均衡が破られた時・・・世界は、変化する。取り返しのつかない変化を。
地上からの流れ星、それはかつて車田に敗れ、えなりに夫の技術【念】を伝授し、
現在はどこかでひっそりと療養中だったセーラー服戦士。月の女神・武内直子。
彼女は破壊された月を修復するために、現実世界の秩序を保つために、
単身月へと魔法で飛行していった。それはまた別のお話。
そして本宮に起きた小さな?異変は、流れ星が大気圏を突破して間もなく起こったのだ。
「?」 島の空から、何かが舞い降りて、本宮の頭上にぱさりと落ちた。
それは古い学帽であった。後頭部が敗れていたりと物々しい意匠である。
なんだなんだと帽子を掴み取る本宮。敵の罠ではあるまいかと、
学帽の表裏を念入りに調べると、中に一枚の紙切れが貼り付けてあった。
オレンジの光に照らしながら、なんとか10行程度の平仮名で書かれた文章を確認した。
つきのこどもたちへ
つきは いま ないています
わたしは つきを なぐさめにいってきます
あかいつきの こえは あなたを やみにおとさせる わなのこえ
みみを かたむけては いけません
おにたいじとは あいてのいのちを うばうことでは ありません
こらしめて はんせいさせ ひかりにみちびくのが やくめです
あななたち うらおとぎ には それができると しんじています
そのために このぼうしを わたします
ぼうしに ついている たくさんのばっぢをひとつ そらにかかげて こう さけんでください
≪むーんくりすたるぱわー・めいくあっぷ≫
こどもたちよ おねがい ちきゅうを まもって ください ひめより
「・・・なんだと思う?岡野」
「・・・とりあえず言われた通りにしてみるのが一番かと・・・・」
「・・・よし、俺がやる!俺の生き様、とくと見やがれ月の神様よぉ!」
ここで岡野に押しつけないのが本宮たる所以である。照れ隠しも交えてポーズを取って大声で叫ぶ。
「うおおおお!!ムーンクリスタルパワー・メイクアーーーップ!!!」
・・・数秒後、砂浜の上には【永遠のガキ大将】本宮の“バンカラ・ファッション”
――ハイカラの対義語・ボロボロの長ランに学帽、下駄等の番長スタイル――が、あった。
「・・・すげぇ。「男一匹ガキ大将」時代を思い出すぜ。血が、たぎるッ・・・!!」
恐怖の変身不良ヒーロー軍団 ≪バンカラ服美丈夫戦士・裏御伽チーム≫誕生!!
(´-`).。oO(真倉君なんか変身しなくても一緒じゃん・・・)
すげーワラタwなんて展開だYO!
ガクラン戦士なら、車田がいないのがちょっと残念かなー。
車田先生ならまこリンラインがあるからいつでも加入OKだョ(*´・`*)つ゜←変身バッヂ
うぉぉぉ!話が繋がっている!何となく嬉しいぞぉ!
今の話を読んでいたら、ものすごく、作成意欲がわき始めましたんで。
スパロボの方も、なるだけがんばってみます。
91 :
Nの鼓動:03/09/09 12:31 ID:houfK6b5
スーパーロボットたちの最後の激戦が始まろうとしていた頃、
戦場から数?H離れた場所で、一台の超大型トレーラーが荒野を激走していた。
その内部。
??「“静”!! 富野先生の位置は出たか!」
通信機に向かって、長髪の若い男がしきりに何かを言っている。
それに応えたのは、穏やかな女の声だった。
静「はいっ! ですが、超巨大な質量が突如として出現しました! マスター、これは!」
??「……恐れていたことが起こったか。この位置からではギリギリだな。戦闘体勢と同時にテレポートだ!」
静「危険です! テレポート使用後はパワーが25%に。フルパワーコマンドで15分しかもちません!」
??「かまわん! イデが暴走してからでは遅すぎる! セッティング急げ!」
静「わかりました! では戦闘モードを対スーパーロボットにプログラムを!
テレポート後、フルパワーにセット! パワーコントロールは1対1対3対1対1、
ジェネレーター出力バランス、5、2.5、2.1、3
重力変更、カラミティ星のパワーモードよりプラス0.0002
サスペンションポイントA-B-B-A-C-E-D-Dにバイパス、リリース!
冷却シールド油圧バイパス正常! カムギアトレインシンクロ!
火器コントロール 180mmHE(榴弾。当たると爆発する、通常弾と呼ぶことがある)、
AP(徹甲弾。装甲を撃ち抜く砲弾、爆発はしない)、
HESH(粘着榴弾。当たると張り付いて衝撃波で内部を破壊する砲弾)、
FSDS(飛行安定翼付ミサイル弾)、
T.S.マイン(グレネード弾。空中で爆発するSマインと地表で爆発するTマインがある)共、
ローディング中! あと10秒!」
??「対人レーザーを対物ブラスターに30mmMK108を、いや103だ!」
静「了解! 主軸武装MK103モーターカノン(胸部ジェネレーター内に装備する固定レーザーマシンガン)発火用電源入れます!
マスター、メインウェポンの選択を!」
??「“エネルギーソード”をたのむ!」
静「え? それは最高機密兵器です! 実戦での使用例は2例しかありません!」
竜の船の口の先より、白く輝く弾丸が発射され、イデオンのバリアーを砕く。
だが……。有賀「真剣白刃取りぃだとぉ!」長谷川「小惑星なら一撃で砕く星の涙(スターティア)さえ効かないのかぁ!」
吉富「……こいつ等を食うのには3時間ばかりかかった…使うのは1瞬だ!……完成!」
竜の頭に乗った吉富の腕から大量の武器が発射され、スターティアを押し込む!
だがイデオンは、上半身と下半身を分離して回避する。
安彦「分離したときなら、合体時のパワーはあるまい!」
分離した下半身めがけて、巨大な金色のハンマー……ゴルディオンハンマーを叩きつけようとするが、
全身に装着されたミサイルが、ガオガイガーを吹き飛ばす。
有賀「ぬぉぉぉぉぉぉぉお!」
これまで、数々の敵に敗れてきたサドンインパクトを有賀が叩き込むが、バリアーは砕けない。
長谷川「や・っ・て や る ぜ !」
口の中から灼熱の息吹が現れ、BURNがイデオンの足に組み付き、投げようとするが、合体が突如完成し、蹴り飛ばされる。
長谷川「まだまだぁ!」
ミサイルを重力壁で防ぎながら、接近戦を挑もうとする長谷川。
突如、イデオンの腕から光が発せられ、BURNの頭部をつらぬく。
有賀「えっ………?」富士原「嘘だろ……。」吉富「………。」安彦「……おい。」
有賀「長谷川ぁぁぁぁ!」
BURNはよろよろと後ろへ下がっていき、ついには池の中へと落ちる。
高温を発しているBURNは大量の蒸気を発してひびが入り始める。
イデオンは興味を無くしたかのように、有賀達の方へと向く。
有賀「……どうすりゃいいんだぁ!」
只、叫び声だけが、響いた。
眠い……
俺は池の中に落ちて……。
このまま、寝ているのも悪くないかもな……。
村枝さん……ごめんなさい、俺嘘つきました。
岩瀬……どうやら言づてはできないようだ。
有賀……すまねえな……せっかく覚悟を決めたってのに……。
熊谷……星を盗むより……宇宙を飛ぶ感覚の方が楽しいぜ……。
富士原……元気でな……。
……心でなら………
なんだろ?
富野さん……救えなくてごめんなさい……
………心でなら、どんな大きな物でも…
そうだ……自分で書いてて忘れてたよ…
心でなら……どんな大きな物でも!どんな遠くの物でも掴めるから!
長谷川「ダイソォォォォォォォド!」
バビルの塔、巨大ロボット格納庫。
そこに置かれていた、緑色の剣が突如消滅した。
評議会基地近く。
空中に緑色の剣が召還された。
でかい。スーパーロボットが両手を使ってようやく持てるかどうかだろう。
剣には鎖が巻き付けてあり、何かを封印しているかのようだ。
有賀「なんだあれは!」
有賀達はびっくりして、それを見上げる。
刃の部分が二つに割れ、先端の方が折れ曲がり巨大な足となる。
柄の部分が複雑に回り、鎖がついた腕となる。
様々なパーツが変化をし、巨大な人型となる。
富士原「なんだ?」
長谷川「行くぞダイソード!
空 気 の 槌 (エーテルハンマー) !」
空気の渦が回り、イデオンの視界を消す。
有賀「長谷川!無事だったのか!」
長谷川「何とかな!」
ようやく、一息ついたのか、長谷川が言う。
吉富「再会の所悪いが……何かが近づいてきている!気をつけろ!」
吉富の言葉に、一同が身構えた。
95 :
Nの鼓動:03/09/09 13:31 ID:houfK6b5
??「たのむ! 出してくれ持って来ているはずだよ。マトモに戦って勝てる相手ではないぞ!」
静「わかりました、エネルギーソード バイパス接続! 腰部エネルギーを引き込みます!
ジェネレーター始動します! 念のためベイルにエネルギーをチャージ
頭部識別用セント・ポールははずします!」
??「OK! トレーラーを開放! ベイ、オープン!」
静「モータヘッド リフトアップ! 出ます!!」
トレーラーが開放され、中から現れたのは、いかにも不格好なロボットだった。
ブボボボブボブボ・・と音までださい。
静『トレーラーより分離! このまま移動を続けます! イレーザーエンジン始動準備!
テレポートタイミングとシンクロナイザ−セット!
エンジン始動5分前!! マスターよろしいか?」
****
静「マスター スタート30秒前です! あら?」
??「どうした静! 電圧が不安定になっているが?」
静(どうしたの? お前…? ごめん…私、『聞きなれない』言葉を使っていたのね)
静「MASTER! “HE”is feeling uneasy so,I am swiching to mo ther tongue !」
??「わかった!」
静「Ejecting transport armorcovers!」
すると、子供がガラクタを寄せ集めて作ったような不格好なロボットが、変形を始めた。
次々と各部がせりあがり、次第に鋭角的なフォルムを形成していく。
静「Retracting head , chest block reverting to fixed point!
Extending down legs! Locking heal and aizin !
Engaging power to arms! Clipping!
Unfolding “MAIN BAIL”all weapons operational!!
“Spector shield”and “E-N-G SWORD” freefanctional!!
I'm reverting the head and positioning “BACK FACE”!!
continue…. Extending stabilizer!!」
96 :
Nの鼓動:03/09/09 13:56 ID:houfK6b5
静「5seconds till teleport …. “HORN MAST”locked! Opening basinet!
Please…. My “MASTER'S FRIEND”is in danger….
FACE OPEN!! “IZLEZER SYSTEM”gate open!! Wake up my boy!!」
“静”が叫ぶと、変形は完了し、至高のロボットが…いや“騎士”が降臨する!
静「“S.S.I. KULVULCAN”(エス・エス・アイ・クバルカン)
transformation complete!! Start to teleport!!」
刹那、地上に降誕した光輝く騎士は、その場から跡形もなく消滅した。
吉富「再会の所悪いが……何かが近づいてきている!気をつけろ!」
吉富の言葉に、一同が身構えた。
だが、その隙をついて、イデオンの全身から夥しいミサイルが発射された。
有賀「やべえ、すごい数のミサイルだ! 撃ち落とし切れん!」
長谷川「くっ、なんてこったあ!!」
安彦「やらせはせん、やらせはせん、やらせはせんぞお!!」
絶望的な数のミサイルがビクトリーファイブを襲った、そのとき!
グオッ! グワッ! バッ!
突然、不可視の衝撃波が炸裂し、ミサイルの全てを撃ち落とした!
有賀「なに!?」 富士原「あれだけのミサイルを……一瞬で!?」 長谷川「安彦さん、これは!!」
安彦「うむ、これは“ソニックブーム”!! まさか…」吉富「何だ? 右300mに何かいる!!」
それは切り立った崖だった。その上、砂埃の向こうに、全高14m程の影が立っている。
ボオオオオオオキュキュキュキュゴゴゴゴゴゴゴゴゴヒュルヒュルヒュルヒュルヒュル・・・・・
安彦「間違いない……これはモーターヘッド音!!」 長谷川「では、まさか、これはあの……」
そのとき、砂塵が晴れ、影の全貌が明らかになる。
それはまるで中世の騎士を彷佛とさせる、荘厳なまでに美しいロボットだった。
左手に持った大型のベイル(盾)と、その左肩に刻まれた紋章が印象的だ。
ブリキの騎士を象ったような、奇妙な意匠。それを目にした瞬間、安彦が叫んだ。
安彦「あのマークは“おどる人形”……やはり貴様か!!」
長谷川「あれがそうなのか……サンライズ史上最高の天才とうたわれた“彼”が創りあげたロボット!」
破 裂 の 人 形 (B A N G DOLL)!!!!
97 :
Nの鼓動:03/09/09 14:12 ID:houfK6b5
長谷川「し、信じられん…“彼”は、サンライズの“蝕”で死亡したのではなかったのか!」
安彦「それが生きているのだよ。しぶとい男よ……永 野 護 !!」
一方、その頃。モーターヘッド“バンド−ル”の中で、男…永野護が呟いた。
永野「静…何があろうと私に一任してくれないか?
むごたらしく死んでいったサンライズの仲間たちの恨み少しでも晴らしてやりたい…」
静「Yes…. I understand MASTER.This fight is yours.」
永野の真剣な嘆願に、彼のファティマ“静”は従順にうなずいた。
刃物のような冷たい眼光が、永野の両眼に宿る。
永野「憎むべきゴッドハンド……そして評議会……どちらの手にも富野先生を渡しはせぬ!
富野先生は私が止め、そして救う!!」
裂帛の気合いがモーターヘッドの出力と化し、戦場の気を震わせた。
その凄まじい威容に、安彦以外の全員が凍りつく。
長谷川「なんという圧倒的な存在感だ!
俺達とはケタが違う……これが“天才”たるもの造り上げたロボットなのか!!」
安彦「来るぞ、貴様ら! ヤツは我らの味方ではない! 各機警戒せよ!!」
永野「許されざる背信者にして大罪者……安彦良和よ。貴様もそこにいたか。
富野先生、今、邪悪なる手から、貴方をお救いします……」
紅き月光すら弾き返す神秘なる威圧感が、戦場を覆いつくす。
永野「私が作り上げた、このMHのパワーを! とくと味わえ!!」
騎士が咆哮し、地を蹴る。
紅き闇に、白き騎士が舞った。
すまん、割り込んでしまって。どーしても、永野を絡ませたくて。
ここを外したら、2度と出来無さそうだったし。
カコ(・д・)イイ!
長谷川「……くっ!さすがにこのままじゃ……まずい!」
本来イデオンとは5VS1で戦って、勝てるかどうかなのだ。
永野の乱入で、足取りがばらばらになっては、イデオン相手に勝てる確率は0が幾つ並んでも足りないぐらいだ。
MHのスピードはすさまじく、全機次々と傷が増えていく。
長谷川「……例え、どんな事があっても協力できない人間達……その愚かさ故……
うぉぉぉぉぉぉぉ!違う!人間はそれほど愚かじゃない!消えてなくなれ!悪霊め!」
長谷川は幻影に悩まされながらも、破裂の人形を探す。
永野「よそ見をしてる暇はないぞ!」
猛スピードでダイソード向けて駆けてくる破裂の人形……。
長谷川「只早ければ……強いと思うな!」
両機がぶつかりあい、火花が散る。
有賀「長谷川ぁ!」
永野「これで……ん!」
間一髪、鎖で受け止められるランス。
永野「何!」長谷川「中国の古い諺でね……」
ダイソードの鎖を振るって、イデオン目がけて投げつける!
長谷川「盾矛って言葉知ってるかぁ!」
ランスが吹き飛ばされ、イデオンの腹に大きな穴を開ける。
長谷川「有賀!」有賀「応!」
永野「させるか!」
そう言って、永野はBIGーO目がけてTマインを投げる。
BIG−Oは少し回避運動をとったが、Tマインは狙いあたわず命中し砕け散るBIG−O。
長谷川「有賀!!」有賀「ああ、大丈夫だ!」長谷川「奴を……伝説巨神を外側から破壊する事は不可能だ!」
有賀「わかってる……。だが俺は死にに行く気はない!!」
長谷川「それだけ聞ければ十分だ!俺達はおとりを続ける!だから……お前は絶対富野さんを助け出せ!」
長谷川はそう言って、破裂の人形を睨み付けた。
>>98 乱入上等です。基本的にリレー小説ですし。
それに先がわからない方が面白いですし。
執拗なる石渡の攻撃の果て! 許斐の中のサムライの血が動き出した!
氷のような三白眼が、石渡を射抜く。その全身を覆っていた輝きは、すでに消えている。
石渡(急に何だ……そもそも、な ん で 英 語 !?)
語学堪能な石渡には、許斐の英語の意味は分かっている。
分からないのは、なんでいきなり英語をしゃべり始めたかということだ。
石渡(そんなことはどうでもいい!それよりもの凄い集中力だな。さっきまでの汗が全て引いている)
不敵に笑うと、石渡がサーブのモーションに入った。
石渡(いいテンションになってきたじゃないか、許斐剛!)
いった。ソニックブームを発生させるほどの、人外のサーブ。
大気を軋ませ、石渡の必殺サーブ“横浜ランドマークタワーミサイルサーブ”が炸裂した。
ドオオオン!
バウンドしたボールが、勢い余ってフェンスに突き刺さった。それは許斐コートではない。
石渡(バカな……俺の爆裂フラットをまたも返しただと!!)
驚愕する石渡に背を向け、軽やかなステップを踏みながら呟く。
許斐「Nobody beats me in tennis.(テニスでは誰にも負けたくない)」
唖然とする石渡だったが、許斐の発言を正確に理解し、唇を噛む。
石渡(今まで出し惜しみしてたのか!? いや、そんなはずはない! まるで別人…!)
ここから先の展開は、許斐の独壇場だった。
不規則で予測不能なプレイに、絶えず変化するプレイスタイル。
石渡もあらゆる技術を尽すが、まるで勝負になりはしなかった。
石渡(そんな…こいつにこれだけの底力が秘められていたなんて…!!)
克「ゲームウォンバイ許斐。ゲームスカウント6−5。許斐リード」
まさかのブレイクポイント(レシーブ側がそのゲームを取る事)。
屈辱の石渡。その上、許斐の勢いはサーブでも止まらなかった。
股下を凄まじいスピードで抜いてくるノータッチエース。石渡は文字通り、手も足も出ない。
石渡(と、とれねぇ…)
克「フォ、40-0。(強い…石渡さんが手も足も出ないとは。あの強さ…全てを超越している!)」
遂にあと一球。それで、この勝負に決着がつくのだ。
石渡は絶望を持って、許斐は勝利への確信を持って、最後の瞬間を迎える。
今、夜空にボールが高々と舞った、その瞬間。異変は起きた。
日本某所の某大学。
講義室で、うつ向き気味に窓の外を見つめる少女が一人。
「……で、かのプラトンは…と言ったのである……」
教授の講義など耳に入らない。彼女の心にあるのは、ただ一つ。
貞本さんたち、どうしてるかな……
「天野!!」
講義が終わり、構内の休憩室で休憩していた天野に、みずしなが駆け寄る。
「みずしなさん…」
「なんや、まだ元気ないんか?全く、お嬢ちゃんはしゃあないのォ…」
「私…」
「ん?」
天野が語る。
「私、本当は、ついて行きたかった。でも…何故か、足が前に行かなくて……
多分、怖かったんです。あの人――二人を連れて行った、あの―― 普通じゃなかった。
恐ろしい人なんです。私、足手まといになるのが怖かった………」
その時、大学庭園に、空から何かが降りてきた。それは、天使の羽根を生やした男――
しかし、二人は気付かない。
異変はあまりにも突然だった。今まで鬼神の強さを見せていた許斐が、
いきなり左肩を押え、苦しみだしたのだ。その苦しみ方は尋常ではない。
克「ノ、ノットレディ!」 すかさず審判・克が試合を中断し、許斐に駆け寄った。
数分が経った。許斐の肩はすでに限界に達していた。
度重なる石渡の爆裂フラット、そして秘めたる力の発動。
これらは、許斐の肉体…特に利き腕に莫大な負担をかけていた。
克「許斐君、棄権した方がいい。肩を痛めて引退を余儀なくされた選手は数知れず。
許斐君ほどの選手なら、これがどういうことか…」
克がしきりに棄権を奨めるが、当の許斐は無言のまま宙を睨んでいる。
石渡にとっては、土壇場の大逆転だった。だが、石渡の表情は冴えない。
克が必死の説得を続けていると、許斐がやおら立ち上がった。
克「やめるんだ、テニスが2度と出来なくなってしまうぞ!」
しかし、許斐はその説得に耳を貸さず、ただコートへと足を進める。
その顔には汗が浮き、足取りもおぼつかない。すでに、先程までの鬼神の様子はない。
まさに、許斐がコートに入ろうとした、そのときであった。
??「ジャンプスポーツーー!! ファイオー!!」
いきなり、重苦しい静寂を打ち破るような声が響きわたった。
その場の全員の目が、声の方向……観客席に集中する。そこにいたのは。
許斐「た、高橋先生!!」
ハッピに鉢巻姿の男は、ジャンプスポーツリーダー、高橋陽一であった。
いつの間に作ったのか、手に『ジャンプスポーツ』と書かれた旗を持ち、懸命に振っている。
陽一「私の言ったことを憶えているか、許斐!!」
そう言われ、許斐は電撃に打たれたような衝撃を憶えた。
『おまえはジャンプスポーツの柱になれ』
あのとき、高橋陽一は、そう言ったのだ。さらに声が聞こえてくる。
『俺たちと別れてまで来た場所だ。最後まで踏ん張りつづけろよ』
それは奇妙に重なって聞こえた。それが許斐には誰の声なのか分かっていた。
許斐(えなりチームの皆…俺たちは離れていても繋がっているんだな。
そして、この絆がある限り、俺は先へ進める。限界を超えられる!)
そして今、戦場に貴公子は舞い戻った。
許斐「待たせたな、石渡。決着をつけようぜ」
両者の戦いは、遂に最終段階となった。
「私、何をしてるんだろう。ねえ、みずしなさん。なんであの時、私…」
みずしなは返事に困る。まさか、彼女がここまで重く考えているとは思ってもみなかったのだ。
そして、多分、自分には、彼女を楽にさせることは出来ないだろうな、と思った。
「……あのなあ、天野…」
みずしなが言いかけた瞬間――
「天野!!」
「はっ…はひ!?」
「温泉行くぞ!!!!」
あまりの出来事だった。何故、あの時いなくなった筈の貞本が、瀕死の木村を抱えてここにいるのだろう。
貞本は天野とみずしなの手をとり
「今事情あってテンションめっちゃたけーんだよ!!ハハハ!!!色々あって疲れたから、温泉いこう!!」
「ちょ…ちょいまち!! 俺、バイトはいってんねんぞ!!?」
「しにゃぁしない!! お前は来るよな、天野?」
天野の顔に涙が浮かび、溢れる。そして、それは笑顔に変わる――
「はひっ!!」
「目的地は…鹿児島だ!!勢いで決めた!!!」
かくして、4人(一人死亡中)は、温泉へと向かうのであった――
テニス書いてる方、かぶってスマソ。
温泉書く方、使ってやって下さい。
ゲームスカウント6−6。遂に、タイブレーク突入である。
12ポインツタイブレーク。交互にサーブを打ち、先に7ポイント取った方の勝ち。
6−6になった場合、一方が2ポイント連取するまで続く。そういうルールである。
克「12ポインツタイブレーク。石渡 トゥサーブ」
石渡「ハアア!」 すでに1時間を超えて戦っているにもかかわらず、石渡のサーブの勢いは一向に衰えない。
肩を痛めた許斐は圧倒的不利に思えた。だが、その直後の矢のようなリターンエースに、石渡が驚愕する。
石渡(こ、こいつまだ…!) 克「1−0。許斐リード」
呼吸が荒いが、その打球にはいまだ鋭さが失われていない。
しかし、次の許斐のサーブ。ここで、メッキが剥がれた。
全力時の閃光のようなサーブが見る影もなくなっている。
石渡「(やはり肩が上がらないようだな)なんだ許斐ぃ、このサーブは!」
今度は石渡の必殺バックハンド『竜巻(トルネード)』による石火のリターンが決まった。
続く許斐のサーブも、石渡にはあっけなくリターンエースに切って落とされる。
今の許斐のサーブの威力では、狙い打ちだった。
サービスで主導権を握れないとは、シングルスでは勝機ゼロという意味に等しい。
陽一「相当辛いな、許斐。普段COOLな君の顔が、その激痛の凄まじさを物語っている!」
いつもの涼しげな表情は、今の許斐からは微塵も感じられない。
歯を食いしばりながら激痛に耐え、それでもなお戦い続ける姿は、一匹の鬼だ。
克「6−5。石渡、リード!」
戦力差が圧倒的にもかかわらず、許斐は必死に食い下がる。
それを見つめる石渡の心中には、大きな波紋が広がっていた。
俺は…思い違いをしていたようだ
許斐…貴様はもっと冷静で思慮深い奴だと思っていた
まさかこんな姿の…こんな熱い貴様の姿を見る事になるとは思わなかった
こんな極限の状態で、これ程高度な試合を出来る選手が何人いるだろう
貴様にこんながむしゃらさがあるなんて、誰が想像しただろう
許 斐 が ジ ャ ン プ ス ポ ー ツ に 賭 け る 想 い を
俺 は 読 み 切 れ な か っ た
だが、許斐。俺も負けるわけにはいかない。
俺はまだ、チーム・タフの為に闘わねばならない。
例え、どれほど他人に蔑まれようとも、俺はチームの為に、ボスの為に闘う。
そう、あのとき。あの血と硝煙と死の地獄で、俺の命を救ってくれたあの人の為に。
俺は忘れない。うずたかく積み上がった死体の山に、雄々しく立っていた鬼神の姿を。
狂気に彩られた目の奥にある、鉛のような悲しみを。
だから俺は勝つ。全てを絞り尽し、強い貴様に勝つ。
この試合、間違いなく俺にとって、無二のものとなる!
だから俺も最高の力を、一球一球に込めよう。たとえこの対ブレークがどれ程続いたとしても!
そのタイブレークの長さは異常だった。
克「35-35!!」 どっちも2ポイントを離されない。それは凄まじい極限での試合であった。
海に近いせいか、波の音が聴こえる。石渡は思い出した。
かつて、小笠原の海の上で、船の上から打ったサーブの練習を。揺れる船上でやった壁打ちを。
石渡(小笠原の海の声が聴こえる。テニスを始めた、あの頃が蘇ってくる)
苛烈な打ち合いの中で、石渡と許斐は幸せだった。幸福の絶頂にあった。
どのくらい時が過ぎたろう。モニター席の観客の誰かが小さく呟いた。
『この試合、いつまでも見ていたいな』
…そして。許斐のラケットが3.2ミリ下がった。
『零式』…地についたまま跳ねずに、ボールが逆戻りする。許斐の必殺ドロップショット。
それは鮮やかに石渡に決まるかに見えた……
陽一(戻 ら な い …!)
ほんのわずか、ボールが跳ねた。今の許斐には、完全な零式を撃てなかったのだ。
そして、わずかに浮いたボールを石渡が打ち返した時。
試合は終了した。
克「ゲームセットウォンバイ『チームタフ』石渡!! ゲームスカウント7−6!!」
闘いは終わった。
沈黙が支配する中、死闘を演じた両雄が、コート中央で握手を交わす。
2人とも無言だった。語る言葉など、もはや何もないのだ。
滝のような汗を流しながらコートを去る許斐に、高橋陽一が近付く。
許斐が晴れ晴れとしながらも、どこか消沈した面持ちで言った。
許斐「すみません、俺は勝てませ…」
陽一「それ以上、何も言うな!」
言いかけた許斐を、陽一が制した。がっしりとその肩を抱く。
陽一「ナイスファイト…ナイステクニック……ナイススピリット……君は…私の誇りだ」
許斐「高橋先生……」
2人のチームメイトは、抱き合ったまま健闘を称える。
陽一「私は君に勇気をもらった。これで、私も自分の闘いに臨むことが出来る」
そう言った陽一の脳裏に浮かぶ顔。それは盟友にして、今は最大の敵となった男…猿渡哲也。
陽一の中で、かつてない闘志の炎が燃え上がろうとしていた。
一方、勝者・石渡は無言でその場から立ち去ろうとする。その背に声がかかった。
許斐「石渡先生……貴方に心から感謝したい。貴方がいなければ、俺は自分の限界を超えられなかった。
貴方は、俺の及ばない、偉大なテニスプレーヤーだった」
最大級の讃辞に、石渡は微笑しながらテニスウェアを脱ぎ捨てた。
その直後には、あの血臭ただよう軍服に身を包んでいた。
石渡「いや、真のテニスプレーヤーはおまえだ、許斐。
俺には、この純白のテニスウェアは似合わない。
そして、今度やれば、2度と俺は、お前に勝てないだろう。
そんな俺が、なぜ今宵、お前に勝てたのか。それは……」
そこで言葉を切り、石渡は振り返らずに歩き出す。
石渡「戦場の女神が、俺に微笑んでくれた……のかも知れないな」
そう呟く石渡の背を、2人は無言で見つめている。
石渡「許斐…おまえはおまえの道を行け。真のテニス漫画家の道をな。俺には……俺の戦場が待っている」
それを最後に、石渡は闇の中へと歩き去っていった。
やがて、それを最後まで見送った許斐も、いずこかへ転送されていく。
高橋陽一は、己の倒さねばならぬ相手を目指し、再び荒野へと歩を進めた。
そして、誰もいなくなった戦場の跡で、ただひとり克は思い出す。
許斐と陽一が見ることのなかった、石渡の顔を。
克(なんて穏やかな顔をしていたんだろう、石渡さん。
僕は今まで、あの人のことを“虎”だとか“鬼”だとか思ってきた。
でも、今のあの人は違う。あの人はもしかしたら……それを超えたのかも知れない)
この闘いは、両者にそれぞれ大きなものを残した。
テニスの貴公子は、サムライの血に目覚め、己の限界をひとつ超えた。
そして、戦場の虎には、新たなる名が冠せられることになる。
その名は……
ジャンプスポーツ ☆4 1勝 鈴木 高橋 2勝 井上 1敗 鈴木 ※村田≪死亡≫
裏御伽 ☆4 1勝 本宮 にわの 2勝 乙一 1敗 岡野+真倉 澤井 乙一
チーム・タフ ☆2 1勝 猿渡 石渡 1敗 石渡 青山 橋本 ヒラマツ ※橋本≪死亡≫
←TO BE CONTINUED
はふう、やっとテニス終わったー長かったー。
あ、コノミンに一敗つけるの忘れたー
凄かった・・感動したよ!!
バルバルバルバル!!ウォォォォォォォーーーーム!!(バイク音)
「♪温泉〜行きたい〜実家の鹿児島帰りた〜い♪
なんか知らんが温泉がオイラを呼んでいる〜〜ぅ♪」
嫌な即興歌を口ずさみながら、変態バイクに乗ったにわのが、
草木をかき分け爆走している頃。そのにわのと勝負して惜敗したヒラマツは、
案の定山火事のどまんなかに転送されていた。消火活動もされていない。
もうすっかり北島ヅラ虎刈りバージョンも焼け焦げてしまっている。
四方を火に囲まれ窮地に陥っていた、その時。
突如、足元の土が陥没し、ヒラマツはあっという間に大穴に沈んでいった。
「あ・・・あいちち。痛めた足に響きよる。しっかし突然何事バイ!?」
キョロキョロと周囲を見渡す。どうやら古い炭鉱の跡らしい。上の穴が数メートル上にあった。
炭鉱はいくつか通路が交差しており、空気も流れている。
これは九死に一生を得たというものだ。そう感じたヒラマツは、横穴のひとつに潜り込んでいった。
――それが、彼の悪夢の始まりとも知らず――
一方浜辺の本宮と岡野は何やら変な行動を取っていた。
「いやいらないッス本宮さん!学ランなら真倉のヤツ着てますし、
わざわざそんな変身バッヂなんか使わなくたって・・・」
「岡野〜そうじゃねえんだ!これは男の・・・俺たち裏御伽のユニフォームなんだ!
その照れ臭さを明日の力に変えて、オレと一緒に夢に向かって走らねーか!?」
「すいません、全然意味がわかりません!そんな不潔そうなの勘弁してください!」
「まあまあ!男の汗は勲章だぜ?それに馬力が違うのよこの変身学ラン。いいからほらよ」
「やーめーてーくーだーさーい〜〜!!」
岡野の鬼の手の中で眠っている霊体真倉が、うるさそうに顔をしかめた。
色んな奴らが温泉に大集結だ!!安西らも来て欲しい。
安西君ならガンガンルートで既に参戦が決定してるさベイベー
それ違う温泉だろ
いや温泉シリーズですぜ
鹿児島編は序章なの
ああ、シリーズ化するわけか・・まあ安西参戦は俺も嬉しい。だって奴シリアス戦闘結局パ○○なんだもん・・
温泉ってシリーズになるのォ!?(AA略
楽しげだからどんどんやってくれ。
シリーズの鍵を握るのはモチロン福地君で
福地先生の活躍が見れるのは温泉だけ!! 。・゚・(ノД`)・゚・。
>>118 もしかして、安西が『柳』を使ったこと言ってるんですか?
だとしたらすいません、あれ書いたの俺です。
少年漫画とかだと相手の技を見よう見まねで使うってのはよくあるし、
俺の脳内設定で安西は、「相手の技の本質を見抜く才能に長ける」ってのがあったんで、それをちょっと表現してみたかっただけなんですが。
……ここだとそれはパ○○になるわけかあ、それはちょっとまずいな。
主人公の人気が下がるのはヨロシクない。というわけで、2度とやりません。
以後は正真正銘、安西自身の能力だけで闘わせることにします。
長文スマソ。
主人公チガウ
安西「椎名!」
突然現れた男、椎名高志の姿を認め、安西が叫んだ。
片倉「なんや知り合いか、安西」
安西「あいつの名は椎名高志。『スプリガン』のひとりさ」
片倉「スプリガン……確か、サンデー最強の特殊部隊っちゅうハナシやったの。
それにしてもけったいな能力使いよるで」
安西「ありゃ『文殊』だ。霊力をあの小さな球の形に凝縮し、
あるキーワードを与えることで開放する術だ。相当な高等霊術だぜ」
片倉「名前に恥じないモン持ってるっちゅうワケやな」
安西「ああ、だが別の部分でアイツは恥ずかしいんだよな……」
片倉「?」
一方、戸土野と対峙した椎名は。
留美「ありがとう椎名君。助かったわ」
椎名「なあに、こんなのお安い御用ですよ。それより……」
そこで言葉を切ると、椎名が倒れている留美子に手を差し伸べる。
留美子がその手を取ろうとした瞬間!
留美「!!!!」
椎名「うお〜〜〜! これだこれ! この感触だ〜〜〜!!
柔らけー! 暖っけー!! 生きててよかった〜〜〜〜!!」
あろうことか椎名は、留美子の豊満な胸の谷間に、自分の頭をグリグリと押し付けたのだ。
この完全なセクハラに、留美子の顔がたちまち真っ赤になった。
留美「ちょ・う・し・に・の・る・・・・」
ドギャッ!
瞬間、ものすごい音がした。手を振り上げた留美子がきょとんとしている。
一瞬前まで柔らかなものに包まれていた椎名の頭部は、今は岩の間にメリこんでいた。
安西「テ・メ・エ・は久々に出たと思ったら、何さらしとるんじゃい、固羅!?」
突っ伏した椎名の頭を、青筋を浮き立たせた安西がグリグリと踏みつけている。
椎名の後頭部を思いきり蹴り飛ばしたのは、安西であった。
その速度は、その場の誰もが見切れなかった程、ちょっと壮絶なものであった。
すると、頭から血をダラダラ流しながら、椎名が飛び起きた。
椎名「やかましい! 美女の窮地を、ヒーローが颯爽と現れて救ったんだぞ!
だったら、これくらいの役得があってしかるべきだろうがー!!」
安西「五月蝿え! テメエは相変わらずだな、このエロガッパが!!
大体、テメエの『文殊』がなくても、俺の『円』でも同じことが出来たんだよ!」
椎名「ほざけ、この野郎! だったら勝負するか、コラー!」
安西「上等だ! やってやろうじゃねえか!!」
これが修羅場であることを完全に忘れ、2人は壮絶に罵りあいを開始した。
トントン。
安西「あん? なんだよ、五月蝿えな・・」
肩を小突く音に安西が振り向いた瞬間!
ゴオッ!
安西「うおおっ!」
刹那、眼前に迫った稲妻の速度の突きを、安西が飛び退いて躱した。
戸土野「なあに、俺の目の前で下らない茶番やってやがる」
突きを放ったのは、なかば無視されて少しキレ気味の戸土野であった。
安西「あぶねえ、あぶねえ。んじゃ、そろそろやるか、戸土野ォ?」
椎名「コラー、それは俺の役目だろうがー!!」
その叫びも虚しく、戸土野の猛攻が始まった。黒い刃風が、次々と安西に迫りくる。
そのあまりに猛烈な連続攻撃に、なんとか捌くのが精一杯だ。
安西「ちいっ!」
バク転し、安西が距離をとった。
安西「やべえな、なんつー剣技だ。躱すのが精一杯とは」
片倉「なんや安西、さっきの体術は使わんのかい?」
安西「莫迦、あんな難しい技、そう簡単に何回も使えるわけねーだろ。
あれは咄嗟に偶然出ただけだ。しかも、かなり強靱な足腰が必要な技だぜ、ありゃ。
正直、今の俺に完全にモノに出来る技じゃあねえよ。
だいたい、他人の技をそのまま使うのはパクリじゃねえか。
俺はもう、そういうのは止めたんだよ」
片倉「安西……どうでもええけど、『バカ』って言うな。言うなら『アホ』にしとけ」
安西の言葉に半分感心しながら、もう半分は怒りながら片倉が言った。
戸土野「あ〜ん? お前、本当に安西かあ?
まさかお前の口からそんな御立派な言葉が飛び出るとは思いもしなかったぜ」
大剣を構えた戸土野が、呆れたとばかりに吐き捨てる。
一方、その横では椎名が一転、ちょっと真面目な顔になって安西を見ていた。
安西「なんだよ?」
ジ〜ッと見られるのが気にさわったのか、安西が苛立って言う。
椎名「いや……なんつうか、お前変わったな。以前のお前だったら、考えられない台詞だぜ、それ」
安西「五月蝿えな。こっちにも色々とあったんだよ。ゴチャゴチャ言うな」
それだけ言うと、安西は戸土野に向き合う。
安西「ンなことより、今はこいつをどうにかする方が先だろうが」
椎名「んん、まあそうだな。だが、こいつは見たとこ、お前にはちっと荷が重いぜ。
かといって、俺ひとりってのは、ちと厳しいな。つーわけで、ここは2人がかりで行くぜ」
椎名が腕から光の刃…『栄光の手(ハンズ・オブ・グローリー)』を発生させ、構えた。
安西「ちっ、勝手に仕切るな。でもまあ、それが手っ取り早いな」
椎名「よっしゃ決まり! んじゃあらためて、極楽に送ってやるぜ!」
2人が肩を並べ、今、強敵と対峙する。
安西とサンデーの漫画家たちの溝は、またひとつ修復されようとしていた。
そのころ、安西と抗戦していたはずの犬・・いやいや高橋よしひろはというと
留美「お手!」
高橋「ワン!!」
留美子によってしつけられていた。
高橋「(ぐうううっ・・・何故だ・・理性で抗おうとしても体が勝手に・・)」
留美「ふふふ・・山千拳奥義、『猛虎開門破』、本来は強盗のごとく声に気を込め相手の動きを封じた隙に攻撃をする技だけど・・こんなふうな使い方もできるのよ」
高橋「こ、こんなことでえっ!!」
気合から解放され、高橋はすぐさま目の前にいる留美子に飛びかかろうとするが
留美「お手!!」
高橋「ワン!」
ぐしゃっ
すぐさま留美子の気合で動きを封じられる。
ちょっと浮いていたで地面に叩きつけられるおまけつきだ。
高橋「くっくそ〜」
悔しげな表情を浮かべる高橋を、留美子は晴れやかな笑みで見る。
留美子「ふふふっ、このままあっちの戦闘が終わるまでおとなしくしていてね、そうしたら・・」
そこで留美子の瞳が怪しく光り輝いた
留美「三人掛かりで袋叩きにして、あ・げ・る」
ゾクリ
その瞳は、歴戦の勇である高橋の背筋を凍らせるほど恐ろしいものであった。
対犬戦は無敵なのね(*´∀`)サスガ!
安彦「下がれ。長谷川。」
対面している長谷川を押しのけて、安彦が次の機体に乗り換える。
長谷川「それは……。」
顔は確かにガンダムである。
しかし、マントを被せたようなデザインがそれをガンダムであると言う事を忘れさせる。
長谷川「マスターガンダム!!」
安彦「ご名答……。ここは集団戦ではなく一騎打ちで勝負をつけさせてもらおう。」
永野「ほう、1対1なら勝負に勝てると思ってるのか?」
安彦「少なくとも、奴らがイデオンと戦う機会を与える事ができるわ。」
それを聞いて長谷川も後ろへ下がる。
永野「……貴様と戦うしかないという事か?」
安彦「その通りよ!行くぞ!」
白き騎士と黒き拳士が今ぶつかりあい、渦と巻く。
永野「うぉぉぉぉぉぉぉ!」
安彦「とはぁぁぁぁぁぁ!」
富士原「長谷川!」
長谷川「今の所、永野さんと安彦さんが一騎打ちで戦っている。後は……全力で戦うだけだ!」
長谷川は、ダイソードの中で、二人の帰還を待っている。
有賀「意外と中は脆いんだな……。」
自動防御システムを砕きつつ、有賀は中へと進む。
??「へえ……こんな所まで来るなんてねえ……。」
有賀「誰だ!」
有賀「誰だ!」
??「妖魔王様の新たなるしもべ、十本刀の一人とでも名乗っておこう。」
有賀「……つまり、作者が決めていないと言う事だな。」
??「……その話はおいといて、まさかここまでやられるとはね……ほんとは白い月を完全破壊する予定だったんだけど、
あの機体が体当たりするなんて思わなかったからあまり破壊できなかったんだよねえ。」
有賀「……よくわからんが、これ以上の破壊をさせるわけにはいかない!」
??「まあ、いいさ。もうそろそろ赤い月の波動を受けて伝説巨神が完全に覚醒する。そうなれば、どんな事をしても止める事はできない!」
有賀「もうそろそろだと?」
??「洗脳装置はこの先にあるけど、君をここから先通すわけには……。」
有賀「……タイムストッパー……。」
敵の台詞もほどほどに、有賀は特殊武器を発動させる。名前の通りの武器であり、一度使うとエネルギーを使い切るまで他の武器を発動させる事はできないが、
敵の横をすり抜けるのにこれほど便利な武器はあるまい。
??「……いかない……って何処いったぁ!!」
洗脳装置前
有賀「これが……洗脳装置かっ!」
巨大な装置の中に一人の男が繋げられており、それが複雑な行動を起している。
有賀「スゥゥゥゥパァァァアァァァムッ!」
そう言って、有賀は力任せに、洗脳装置から男を引きずり出す。
男「君は……有賀君か?」
有賀「はい、そうです。富野さんですよね。」
男「ああ、そうだ……だが、非常にまずい事態になった……巨神はもう俺の制御を離れている!このままでは確実に暴走する!」
有賀「なんだって!」
富野「これを止めるには、巨神を破壊するしかない!長谷川君達も外にいるのだろ?なんとか連絡を取ってくれ!」
有賀「長谷川!聞こえるか?」
ここは<<非戦闘区域>>。許斐との激戦を終えた石渡は、つかの間の休息に来ていた。
石渡「やれやれ、うちの連中は誰も来ていないか。…まあ、勝ってるのが俺とボスだけじゃな。
そのボスも、今はまた闘いに行っちまったみたいだし」
他の2チームに比べて圧倒的に不利な状況。
本当に俺たちは勝てるのか……そんな弱気が頭をもたげる。
その考えをなんとか打ち消そうとする石渡の視界に、ある光景が飛込んできた。
石渡「なんだあれは? なんだかやけに慌ただしいな、あそこ」
そこは救急治療室……意識不明の森田まさのりが床に伏している場所だった。
看護士「心拍数が低下しています!」
医者「すぐに昇圧剤を打て! くそ、なんとかならんのか!」
危篤状態の森田まさのりは、まさに死の淵にいた。
石渡「どけ」
戦場のような混乱の中、いきなり石渡が治療室にわけいった。
医者「なんだね、君は! ここは……って」
看護士「貴方はチーム・タフの!」
突然の闖入者を諌めようとした医師たちが、言いかけたまま硬直した。
今までのチーム・タフの狼藉まがいの暴れっぷりは、恐怖と嫌悪の的となっている。
いったい何をしに来たのかと、周囲の者が怯えるなか、石渡が静かに
石渡「何もしやしない。用が済んだら、すぐに出ていく」
そう言うと、森田の眠るベッドへと近付いていく。
緊張が場を包むなかで、石渡は静謐な眼差しで森田を見つめる。
すると、石渡はおもむろに、手荷物を入れたバッグの中から、ある物を取り出した。
それは、管楽器としては最も有名な物……トランペットである。
石渡「森田まさのり……お前の名は聞いている。黄金期のジャンプで活躍した漫画家のひとり。
特に、ボクシングと野球に注ぐ愛情は半端じゃないってこともな」
そう呟くと、石渡はトランペットに唇を押しつけた。
パ ア ア ア ア !!!
石渡が大きく息を吹き込んだ瞬間、魂を揺さぶるような音色がこだました。
長谷川「聞こえてる!」
有賀「俺達の事は気にするな!ちゃんと策は考えている!」
長谷川「わかった……!行くぞ!」
ダイソードが巨大な剣となってイデオンに体当たりを仕掛ける。
グォォォォォォォォォォオオン!大きな音と共にダイソードが跳ね返される。
富士原「駄目だ!奴にかすり傷しかつけられない!無駄なのか!」
長谷川「いや!一つだけ策はある!富士原!俺を使えぇ!」
富士原「??……そうか!わかった!」
竜虎王がダイソードを掴み、天高く舞い上がる!
長谷川「き・え・て・な・く・な・れ!悪霊めぇぇぇぇぇ!」
天空からの凄まじい一撃。肩から腰まで切り裂かれ、巨神はふらふらと倒れ込む。
富士原「うぉぉぉぉぉお!竜虎王!俺の全てをくれてやる!その力を見せてみろぉ!!」
竜虎王より、光の翼が生えダイソードを真一文字に振るう。
ズオン。巨神がダイソードを掴む。
それが巨神の最後の抵抗だった。パーツがボロボロに砕け、大爆発をおこす。
長谷川「……有賀!聞こえるか!」
有賀「……そんな大声出すなよ……うるさいじゃないか……。」
髑髏の形をしたエネルギーの固まりに囲まれて、有賀は富野をかばうかのように立っている。
富野「そんなことよりも、あの二人の馬鹿騒ぎを止めなくて良いのか?」
長谷川「ですが……一騎打ちしてる最中に……。」
富野「そうだな、それより先に月直しに行くか……長谷川君。ちょいとあの船貸してくれや。」
そう言って、富野が竜の船を指さす。
長谷川「いいですよ。しばらくおつきあいします。」
長谷川は苦笑いして、ダイソードから降りた。
その音色が夜に吼えた瞬間、医師や看護士たちを稲妻のような衝撃が貫いた。
大気を根こそぎ震わすその音は、嵐のようにその場を席巻する。
「す……」
「すげぇぜ、こいつは!!」
「体のシンまでビシビシくるわい!!」
石渡の凄絶な演奏に、医療スタッフたちは驚きを隠せない。
「いや…!! 魂だ!! 魂の奥までガツンときやがる!!
やつの心の叫びが…やつの魂の叫びが…こっちのハートまでガンガン揺さぶりやがるんだ!!」
「この音にこめられた…この力はいったいなんだ!?
森田選手への深い悲しみとともに感じる……このみなぎるような強い力は…!!」
その音には、全てがあった。怒り、悲しみ、慈愛、そして……
医師「わからないのかね!? 音が叫んでいるじゃないか…!!
死んじゃいけない…!! 生き抜かなければいけないと!!
これは彼の生への讃歌だ!! 彼の…運命への戦いの行進曲だ!!」
I W I L L L I V E (オレは生きる!!)
そして、演奏は終了した。刹那、凄まじい歓声があがる。
石渡は汗を拭い、一息つくと、眠っている森田に向かって言った。
石渡「最終ラウンド残り1分…!! せいぜいきばろうや、ボクサー!!」
そう言い捨てると、いまだ熱狂冷めぬ場を、石渡が静かに後にする。
その直後、奇蹟は起きた。
「!! ドクター、患者の心拍数が正常値に回復しています!!
呼吸も回復しました! 奇蹟です…!!」
それはまさに奇蹟だった。医術の限りを尽しても絶望的だった状況が、回復したのだ。
「戦士の魂に、戦士が応えたとでもいうのか!? なんにせよ、これはまさしく奇蹟だ…」
医療スタッフたちは、ただ呆然と、去っていく石渡を見つめることしか出来なかった。
そして、森田の目がゆっくりと開き始める。
ここに、ひとりの戦士の魂が、目覚めようとしていた。
イデオンが破壊され、戦局がひとまずの終局を迎えた頃、
評議会の四霊――美樹本と環はマクロスに乗り込み、その場を離脱していた。
美樹本「ようやくバリアーが消えたか、これで撤退できるな。
基地に爆薬はちゃんとセットしたか?」
環「それはぬかりない。あと3分もすれば、あの基地は消滅する」
美樹本「フン、元々あそこは、マクロスを保管しておく為の仮設基地に過ぎん。
このマクロスさえ無事ならば、あとは用済よ」
一旦会話が途切れると、環が脱力したようにイスに座り込んだ。
環「我々の――惨敗だな」
沈痛な面持ちで、呟く。しかし、美樹本は平然として言う。
美樹本「勝敗が、損害の差で決まるならば、確かに我々の敗北だ。
こちらはバルキリー小隊をかなり失い、何より岩瀬と岩村を殺された。
この被害は看過されるべきものではない。“黄龍”の耳に入ればただではすむまいよ」
美樹本がそう言うと、環の顔がわずかに強張った。
環「“黄龍”――我ら“四霊”の中央に位置し、我ら4人を統べる者。
確かに、奴が我らの失態を知れば、ただではすむまいな」
美樹本「それを言っても、今は詮無いこと。だが、我らの敗北は事実だが、それは奴らが勝利したという意味ではない」
環「――どういう意味だ、美樹本?」
環が問うと、美樹本がパイプを吹かしながら言おうとする。
オペレーター「艦長、ブリッジは禁煙です」
美樹本「む――」
すかさずオペレーターに注意され、美樹本がつけたばかりのパイプの火を消した。
美樹本「先程の話は、“勝敗が損害の差で決まる場合”の話だ。
だが、俺はこう考える。勝敗とは、“作戦目的を遂行したか否か”で決まるとな。
では、ここでお前に尋ねよう。奴らの“作戦目的”はなんだ?」
環「富野の奪回……。」
美樹本「そうだ、富野由悠季の奪回だ……だが今の富野にどれくらいの力があると思う?
『伝説巨神』の力を無くした富野に……」
環「ならば……!!」
美樹本「そうだ、富野は奪回しても、残ったのは只の抜けカスだ……。奪われようと問題は無い…
しかもゴッドハンドの連中は、ここぞとばかりにスーパーロボットをつぎ込んできた。
それの修理にかなりの時間がかかるだろう……。」
環「なるほどな……。そこまで頭が回るなんてお前はやっぱり凄いよ。」
美樹本「なに、少し考えたらわかることだ。」
美樹本はそう言って、コンソールを見た。
バベルの塔……通信室。
横山「任務は確かに達成しました。只…月が吹き飛ばされるのは予想外でしたね。」
石川「確かにな……長谷川の奴は、月の事をあまり知らなかったようだけどな……。外太陽圏での仕事が多かったからな。」
ちば「だがあいつの言った事は間違いじゃない……あそこで動きを止めていたら、確実に負けていた。」
松本「しかし妖魔王陣営も派手な事をする……。」
A「今の所、修復は可能ですけどねえ……。」
永井「しかし、『伝説巨神』の力が得られなかったのは、後々痛いんじゃねえか?横山。」
横山「おや、私がいつ『伝説巨神』の力を得たいと言いました?」
A「というと?」
横山「このまま、彼が矢吹の元へいると、矢吹がさらに強化されてしまいます。それを防ぐのが1点。
次に、彼のような有能な人材をあのまま籠の中に置いておきたくなかったが1点。
そして、妖魔王の活動の実体を知りたかったと言うのが1点。
それは全て、彼等の活躍で果たされました。」
永井「結局は、お前の掌の上と言う事か……。」
横山の顔は団扇に隠されて見る事ができない。だがこの場にいる全員が彼が笑っているのを感じていた。
長谷川「って、爆薬?」
長谷川は竜の船のコンソールから、基地内の異常反応を調べていた。
長谷川「安彦さん!基地に大量の爆薬が仕掛けてあります!!逃げて下さい!!」
安彦「逃げる……だと?笑止千万!!」
破裂の人形と戦っていた、安彦が言う。
長谷川「ですが………その機体では、基地の爆発には耐えられません!」
安彦「耐える必要など無い……。見るといい!我が最終奥義を!!」
富士原「…あの構えは!!」
安彦「永野よ!!見てみるがいい!!そして伝えよ!!天が驚愕するさまを!!」
永野「あの技は……!!」
安彦「流派!東方不敗!!最終奥義!!!
石 破 天 驚 拳 ! !
爆風と、マスターガンダムから出たエネルギー波がぶつかりあい、渦をなす……。
有賀「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」富士原「ぬぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
爆風の渦が巻き起こり、竜の船が揺らぐ。
長谷川「うそだろ?おい……。爆風を逆に吹き飛ばしただ?」
あまりの光景に驚愕する長谷川。その瞬間にマスターガンダムが頭の上に乗る。
永野「富野さん!!そいつらについていくんですか?そいつらは……。」
富野「わかってるさ!!だがな……俺は俺の道を行かせてもらう!!一番近い道はここなんでな!!」
永野「富野さん!!」
富野「さて、長谷川君……エクソダスするかい?」
長谷川「了解!!」
安彦「ふはははは、また会おう!!永野よ!!ファイブスター物語が終わったころになぁ!」
それって2度と会わないとどー違うんだと心の中で富野はつっこんだが声には出さなかった。
6人と、スーパーロボットの残骸を積んだ竜の船(ダート・ライ・ラグン号)は月へと向かった。
>133
と、勝手に続けてしまいましたが、どうでしょうか?
137 :
133:03/09/10 18:33 ID:goZ1/AOY
あ、なんか上手い具合に続けられてる。
自分が書いたのとは違うけど、こういうのも面白いね。
これだから、リレーって好きさ。
>134さん、乙。
静「マスター……」
全ての戦いが終わった、荒野。
“バング”――破裂の人形の正式名――の収納を完了し、憔悴しきった顔で、
モーターヘッド“ドーリー”(MH運搬の為の専用車)内部の応接間のイスに座りこむ永野に、
彼の忠実な“ファティマ”――静が声をかける。
永野「なあ、静。私にはあの人――富野先生の考えている事が分からない。
サンライズの仲間たちは皆、あの人にとっては息子のようなもののはずだ。
なのに、その彼らをあんなに惨たらしく皆殺しにしたゴッドハンドに、あの人が手を貸すなんて…!!
持っていたグラスを乱暴に叩きつけ、長い髪をグシャグシャとかき乱す。
静「マスター、私もあの方の事はよく存じております。
確かに、以前のあの方は敵には容赦しない残酷な気性の持ち主でしたが、
決して仲間を軽んじたり、権勢に尾を振るような方ではありません。
きっと、あの方には、なにか為さねばならないことがあるのでしょう」
そう言って永野を慰める静に、永野が言った。
永野「私もそうであると信じたい。あの人は心から奴らに与したのではないということをな。
だが――それにしても…………」
ダン、と大きな音をたて、永野が両手をテーブルに叩きつける。
永野「それに、あの大罪人――安彦を私は許すことが出来ない!
奴は富野さんとは違う……手に入れた力をただ楽しんでいるだけだ!
その力の為に死んだ何人もの同胞の命を全く意に介さずに!
しかし、あの男はあまりにも強大な存在になってしまった――
富野さんが“伝説巨神”の力を失った以上、サンライズの全てはあの男のものだ。
そして何より、ゴッドハンドにはその安彦と同格かそれ以上の者たちが数多いるのだ!
安彦ひとりさえ倒すことが出来ない私ひとりだけでは、どうすることもできない…」
――拝啓 森田先生
はじめまして。はじめてファンレターを書きました。ずっと前から先生の漫画のファンでした。
今日は先生にお礼を言いたくて手紙を書きました。今までありがとうございました。
ぼくは先生の漫画に影響されて、ボクシングを始めました。ボクシングはとても楽しかったです。
でもぼくは間違ってしまいました。ボクシングでけんかをして、相手を殺してしまったんです。
先生の漫画で、そんなことをしちゃいけないって、ちゃんと書いてあったのに。ごめんなさい。
ぼくはこれから責任を取りに行きます。最後に先生にお礼を言いたかったんです。
森田先生今まで本当にありがとうございました。ずっとずっと面白い漫画を描きつづけてくださいね。
ぼくはもう先生の漫画を読めなくなるけれど、遠いところに行っても先生のことは忘れません。
本当にありがとうございました。さようなら。いつまでもお元気で。さようなら。 敬具
柳田のスーパーメカ≪虎馬夢太郎≫の夢光線を浴び、漫画家としてのトラウマを植え付けられた森田。
しかし、その暗黒スパイラルの彼方から、文字通り魂に響く呼び声が彼の脳髄を貫く。
――“ファンレター”を握りながら、ボクシングリングの一角にある丸椅子に、
灰になったかのように座りつづけていた森田は、狼の咆哮を全身に浴びて目を見開いた。
・・・・過去は変えられない。・・・・二人の少年の死は変えられない。
・・・・なら、何を変える?・・・・自分の漫画で二人を死なせてしまったのなら。
・・・・その代わりに、自分の漫画で2000万人を救えばいい。もちろん人数の問題じゃあない。
・・・・せめてもの、つぐない。俺はまだ闘わねばならない。もう二度と、悲劇を起こさないために。
そう、そのためにも――― 「俺は生きねばならない!!」
集中治療室から出た石渡の背中に、歓声と雄雄しい叫び声が小さく伝わってきた。
戦場の狼は一瞬“人間の微笑”を浮かべた後、すぐさま獣に戻って闇へと消えていった。
森 田 ま さ の り 、 復 活 !!
静「これからどうしますか、マスター? やはりここは島本様に――」
永野「いや、私は宇宙(そら)へ上がる」
言いかけた静の言をさえぎるように、永野が言った。
静「宇宙へ……ですか?」
永野「宇宙へ上がる目的は2つ。ひとつは、ジョーカー星団最強の生物――あの5体の力を得ることだ」
永野の言葉に、静が驚く。
静「星団最強の生物――まさか、カステポーのドラゴンたちを!?」
永野「そうだ。彼らの力なら、ゴッドハンドのスーパーロボット軍団など何体いようが物の数ではない」
静「危険すぎます! それに無理です、彼らは人間に力を貸したりは――」
あまりに突飛な発言に、静は一瞬、己の主の正気を疑った。
永野「私は正気だよ。確かに、彼らの力は惑星すらも消し飛ばす、人智を超越したもの。
だが、ジョーカー星団の創造主である私には逆らえない。
これは最終手段だったが、やむを得ないのだ! あのゴッドハンドを倒すには!」
滅多に感情を見せない永野の、あまりの激昂ぶりに、静は何も言えなくなる。
永野「それがまずひとつ。そして、ふたつめの目的は――ある男に出逢うことだ」
静「ある――男…ですか?」
永野「彼は、“蝕”の影響で死の淵に瀕していた私を救ってくれた人物だ。
彼は、凄まじい力と、そして万象さえ意のままにする知謀を兼ね備える男。
彼とはわずかに言葉を交わした程度だが、私には分かった。
彼は、私が全てを託すにふさわしい男だ……!」
静はなかば信じられない様子で、永野の話を聞いていた。
主人が、これ程までに他人を絶賛することは本当に珍しいことなのだ。
静「その方は――今は何処へ?」
永野「彼は今、地球にはいない。ここより遥かに遠い、幾星霜の彼方。
宇宙の果ての惑星“カルバリ”――そこが彼のいる場所だ。
私は、そこまで彼に会いに行く」
静「――その方の名は?」
最後のその質問に、永野は一拍置いた後、こう答えた。
永野「冨樫――義博」
な、なんだってー!!! Ω ΩΩ
そおいや山崎と会話中なんだったっけ・・・
嫁も月に飛んでるしスケールでかい夫婦だなあ
地球より5億光年の彼方、惑星"カルバリ"
ハジマリの町の宿
山崎「よーし、このくだらないリングといまいましい鎖をはずして、地球に帰りキユ先生に賠償させるためにもがんがんレべルを上げるぞ(^^)ブルーーーチャーーーーージぁ!!」
山崎の体が一瞬ピカっと光り、戦隊物のヒーローのような格好になった。
ハジマリの町より2キロ、イイダチ城内
冨樫「お父様、このドレスどうですか?」
イイダチ王「ああ…よく似合っておるぞ、アパレル。」
冨樫(ああ…山崎君のあきれる顔が目に浮かぶ♪)
退屈しのぎのためなら他人の迷惑なんて屁とも思わないろくでなし、冨樫義博。
凄まじい力と、そして万象さえ意のままにする知謀を兼ね備える男、冨樫義博。
彼の目的は誰にもわからない、そう…このレスを書き込んだものにも…_| ̄|○
>>143 冨樫は、はかりかねるなあ。どれほどのモノなのか……
いやあ、スパロボおもしろかったなあ。
伝説編では、もっと派手なロボットバトルを期待しとりますわ。
それにしても、あの怪物達が地球に来るのか・・・>ドラゴン
たしかにあいつらなら、スパロボ軍団が相手でもLEDのクエーサーフレーム一発で全部消し飛びそうだ。つーか、地球が吹っ飛ぶ。
つくづく、すげえ規模の戦いになってきたな。
>>144 普通に考えても、五聖人クラスの力はあるんじゃないだろうか>冨樫
それに、このスレは漫画家としての格以外に、
本人の狂いっぷりとかも強さに加味されるから(例:キユ、山崎)
さらに強い設定になる可能性もあるが
評議会の『四霊』がゴットハンドに敗れ去った頃、評議会本部では。
そこは簡素な作りの部屋だった。
トップの趣味かファンタジックな荘重の本部の中で、その部屋だけは古式ゆかしい和室である。
畳が敷き詰められた部屋の中央で、評議会エージェントのひとり、熊谷カズヒロは悩んでいた。
今の彼は、あの黒い装甲服を脱ぎ、平凡な和服に着替えている。
片目を覆う眼帯は、彼の戦歴を物語っている。
熊谷「いつまでそこに隠れている。こそこそせずに出て来い」
いきなり虚空に向かってそう言うと、懐から愛用の連発式拳銃を取り出す。
??「あ〜タンマ、タンマ。今でていきますから、撃たないでください」
すると、どこからともなく、スーツ姿の優男が唐突に現れた。
熊谷「おまえか、押川。こんなところで油を売っていて、任務はどうした?」
垂れた目と肉厚の唇にイヤらしい笑みを浮かべた男は、熊谷と同じ評議会のエージェント、押川雲太郎であった。
押川「任務ですか? ひとまずは終了しましたよ。商談もすべて終わりましたし。
もっとも、タッチの差でしたがね。ワタシの仕事が早かったからよかったですが、
実は、仕事を終えた直後に、全エージェントに緊急召集がかかりまして。
なんでも、評議会は当分の間、活動を休止するそうですよ。
それにともない、貴方の謹慎も解かれるとのことです」
押川の口から飛び出した意外な一言に、熊谷が眉を吊り上げた。
熊谷「活動休止だと? バカな、いったい何が起こったんだ!?」
熊谷が聞き返すと、押川は困ったような顔をして、垂れた目尻をいっそう下げた。
押川「それが大変言いにくいことなんですが、2つほど・・いや、3つかな? その問題が発生しましてねえ」
熊谷「なんだ、詳しく聞かせろ」
そう言われ、押川がだるそうに溜息をつきながら、切り出した。
押川「では言います。まずは、ひとつめ。『四霊』が、
ゴットハンドの差し向けた『ビクトリーファイブ』とか名乗る皆さんに、
敗北しました。こちらは、富野由悠季を奪われた上に、『玄武の岩瀬』と『白虎の岩村』が戦死。
他にも多数の被害が出たとのことです、ケヒョ」
熊谷の掌の中の湯呑みが音をたてて握り潰された。
熊谷「あの四霊が敗れたと・・しかも、2人も戦死者が出たか。その上、富野を奪還されるとは」
押川「不幸中の幸いというべきか、『朱雀の美樹本』と『青龍の環』、
それに旗艦マクロスは無事とのことですがね。それから富野さんについてですが、
どうやら彼は『伝説巨神』を喪失し、ほとんどの力を失ったらしいですよ。
ですから、彼を奪還されたことに関しては、まあ問題はありません。
問題は、損害そのものの大きさですよ。当然、あちらさんも無傷ではありませんが、
戦死者が出たわけではありません。この差は大きいですよ」
熊谷「私が謹慎している間にそんなことが・・それでは『黄龍』もさぞ立腹していよう」
押川「そりゃもう、ぷんぷんに怒ってますよ。美樹本さんと環さん、始末されなきゃいいですけど」
わざとらしく呟くと、勝手に注いだお茶をすする。
熊谷「まあ、いくら『黄龍』でも、そこまではするまい。で、残り2つはなんだ?」
すると、押川がお茶をすすりながら、つづけた。
押川「それでは2つめ。実は、これが最大の問題です。
なんと、評議会の前線基地の、実に『7割』が壊滅してしまったんです!」
その報告に、熊谷は絶句した。一瞬、押川が何を言っているのか分からなかったのだ。
熊谷「それはどういうことだ、押川ァ!」
押川「ぐげっ、く、苦しいですよ、熊谷さん。チョーク入ってますって・・」
熊谷「おっと・・・」
勢いで押川の襟首を掴みあげた熊谷が、我に返って手を離した。
押川「ゲホゲホッ・・信じられないでしょうが、事実です。
ゴットハンド側と四霊との戦いは、2時間ほどのことだったらしいですが、
それとほぼ同時に、破壊活動は行われました。
たった2時間ほどで、評議会戦力の大半が崩壊したのです」
熊谷「し、しかし、連中は富野奪回に手一杯だったんじゃなかったのか?
四霊の部隊と戦う以外にも、連中にはまだ戦力あったというのか?
その破壊を行ったのは、いったいどのくらいの規模の兵力だったのだ!?」
すると押川は指を一本立てて、こう言った。それは熊谷をさらに驚愕させるものだった。
押川「敵戦力は、たったの『1人』。ゴットハンド『高屋良樹』という男です」
熊谷「なんだと!? ゴットハンド自ら・・それもたったの1人で・・」
押川「ワタシだって信じたくありませんよ。でも事実なんだから、しょうがないじゃないですか。
それにしても、高屋さんにはテレポート能力でもあるんでしょうかねえ?
世界各地に点在しているはずの評議会基地の大部分を、
たった1人で、2時間以内に壊滅させるんですから」
熊谷「信じられん・・・それぞれの基地には完璧な防衛システムと、
バルキリー部隊が配備されていたはず。
それをいかにゴットハンドが強大とはいえ、たった1人でだなどと・・・」
あまりに衝撃的な事実に、熊谷はもはや声もでない。
押川「高屋さんは、ゴットハンドの中でも特殊な地位にいますからね。
実際、彼は独自に動くことが多く、自分専用の戦力を持っているらしいです。
その戦力は、ゴットハンド全戦力の実に3割近くを占めるとか。
今にして思えば、富野奪還の為にあれほどの戦力を注ぎ込んできたのも、
全てはこちらの目をそこに釘付けにする為の、横山さんの策略だったのかも知れませんね。
以上の2つの敗北から、評議会の戦力は大きく削がれました。
従って、現時点では活動休止も止む無しとの、CLAMPの判断です」
押川が話し終えると、部屋を沈黙が支配した。やがて、熊谷が口を開く。
熊谷「2つは分かった。最後のひとつの問題とは、なんだ?」
押川「う〜ん、これは先の2つに比べるとあまり大したことではないんですが。
実は、『天王寺きつね』さんが死亡しました」
熊谷「それは聞いている。だが、ヤツにはスペアがいるはずだろう?」
すると、押川。う〜んと、難しい顔をつくる。
押川「それなんですが・・死んだのはそのスペアなんですよ。
どうやら、『力の継承』に失敗したらしいです。
原因は不明ですが、おそらく月が消えた影響かと。
おかげで、スペア君はあわれ『神殺し』の力の負荷に耐えきれず、肉塊と化しました」
熊谷は、もはや言葉を発する気力さえなかった。
熊谷「あいつは強大無比なゴットハンドに対する、最強の鬼札・・・それが失われたというのか」
押川「これに関しては、横山さんの裏をかいたと思ったんですがねえ。
彼には天運がついているのでしょうか・・いや、それとも彼はこれすら予見していたのか。
いずれにせよ、実に恐ろしい人ですねえ、ワタシ達の敵は」
話を終えると、押川は腰をあげた。
押川「それじゃ、ワタシはそろそろお暇しますよ。久しぶりの休暇でも楽しむとしますかね。
それにしても、きつねさんは惜しかったなあ。彼は本当に貴重な『レアアイテム』だったのに」
去り際の一言に、熊谷が反応した。
熊谷「・・押川、それが死んだ同僚に対する台詞か?」
怒りが殺気を孕んだ風となって、押川の肌を刺す。
かつて、ゴットハンドのAすら、一度は暗殺してのけた男の殺気である。
だが、押川はその殺気を身に受けたまま、そのニヤついた笑みを崩そうともしない。
押川「やだなー、熊谷さん、そんなムキになっちゃって。
ワタシがこういう人間だってことは長い付き合いでよく知ってるじゃないですか。
それにね、ワタシにとって人間ってのは2通りの価値しかないんですよ。
それは、ワタシの『得になる人間』か『害になる人間』です。
きつねさんは確かに『レアアイテム』でしたが、死んでしまった以上、仕方ありません。
そもそも、レアアイテムといっても、銃に例えるなら骨董品みたいなものですし」
熊谷「・・どういうことだ?」
押川「だって考えてみてくださいよ。彼が『神殺し』の力を持っていても、
どうやってゴットハンドの側まで接近するんですか?
連中には、十傑集や五虎将、スーパーロボット軍団、バベルの塔と、
何重もの障壁があるんですよ。それをどうやって、
あの横山さんを出し抜いて、その喉元まで彼を近付けさせるつもりだったんですか」
熊谷「むう・・・」
そこまで言われては、熊谷も反論できない。押川の意見は正鵠を射ていた。
押川「それにつけても、横山さんの知謀は計り知れません。
ワタシ達が必死になって『スペードの3』の使い方を考えている間に、
彼は『ジョーカー』や『2』を投入して、一気に戦局を有利に導いた。
格が違う・・・とは、まさにこのことでしょうねえ」
そう呟くと、押川は今度こそ、部屋を立ち去ろうとする。
最後に、熊谷が血を吐くように言った。
熊谷「押川・・・我々は勝てるのか? ヤツらゴットハンドに・・・」
押川「さあねえ、ですが勝たなくてはならんでしょう。
我らは一応、『正義の組織』なんですから。『正義』は絶対に負けちゃいけない」
振り返らずに押川が言った。
熊谷「『正義』か・・・だが、今の我らに正義があると思うか。
私は分からなくなった。何が正義なのか・・自分が信奉していたものがなんだったのか」
すると、押川は肩ごしに振り向くと、にや〜と笑った。
押川「ケヒョ、熊谷さん、そんなこと気にしてたんですかあ?
正直、ワタシには何が正義で、何が悪かなんて、どうでもいいですよ。
ワタシは、皆がどんどん戦争して、バンバン人が死んで、
ジャンジャン武器が売れればそれでいいんです。それで満足ですよ」
臆面もなくそう言ってのける押川に、熊谷は内心で呆れかえった。
熊谷(そうだ・・こいつはそういう男だった。実力は高いが、人間性は最悪のヤツだったんだ・・)
押川「じゃあ、ワタシはこれで行きますよー。それじゃ、熊谷さん。
作戦が再開される頃に、また会いましょう!」
そう言い残し、押川はあっという間に消えていった。
後には、疲れ切った様子の熊谷だけが、残された。
時を少し遡り、ビクトリーファイブと四霊の激戦が行われていた頃、別の場所の評議会基地では。
そこは地獄だった。炎と黒煙、爆発と血臭が覆い尽す、阿鼻叫喚の炎獄。
かつて基地として機能していた建造物は軒並み、無惨な瓦礫の山と化し、
夜空を焦がし、真紅に染めあげる炎が、あらゆる命、あらゆる物体を灰燼へと帰す。
その惨澹たる地獄を、無人の野を行くがごとく闊歩する黒き魔人が聳えたっていた。
生物的な禍々しい鎧のような装甲に身を包んだその男は、形容するならさしずめ地獄の騎士か。
その時、紅き夜空を、複数の音速が貫いた。この基地に駐留するバルキリー部隊である。
だが、その数は、本来配備されている十分の1程度しかない。
バルキリー乗り手「くそおッ!くたばれッ!くたばれよ、この化物があッ!!」
絶望を孕んだ罵りを吐きながら、バルキリーからミサイルが一斉に撃ち出される。
夥しい数のミサイルが、夜空に爪痕を残しながら、地上の魔人に殺到する。
すると、この無慈悲な破壊劇を演出した魔人が、静かにその掌を、
ミサイル群とそれを発射したバルキリーの編隊に向ける。
??「 空 間 圧 搾(プレッシャーブラスト)!!」
黒き巨人が咆哮すると同時、空中に向けられた掌が、獣の顎のごとく閉じられた。
刹那、重力の異常変化によって空間そのものが圧搾された。
数多のミサイル群、そしてバルキリーの編隊は、自分達の身に何が起きたのかも分からぬまま、
圧搾された空間に押しつぶされ、その生命を現世から完全に消滅させられた。
??「脆い・・・あまりに脆すぎる・・・この程度の力しか持たない者が、
卑しくも神の軍勢たる我らを粛正しようなどと・・・笑止」
無感情に吐き捨てる巨人の周囲で、新たな爆発が起こった。
巨大な重金属の塊・・巨獣のようなシルエットの名は、デストロイドモンスター。
バルキリーの支援用に開発された、強大な火力を誇る移動砲台である。
だが、見た目の通り鈍重な機動力では、残像すら見せずに超高速移動する巨人の影にすら触れる事が出来ない。
巨人に対して砲撃を行った次の瞬間には、デストロイドモンスター達は、
全ての分子結合を切断する『高周波ブレード』の一閃によって、細切れに寸断され、炎上した。
尾田の頭の中で和月の言葉が蘇る……。
鉄を切りたければ、鉄の心を知れ……。
尾田は、刀を全て鞘に収める。
山口も構えを取って、攻撃に備える。
両者にらみ合った一瞬……。
尾田「飛天御剣流奥義!!」山口「零式防衛術!」
「天翔(あまかける)!」「因!」「龍閃(りゅうのひらめき)!」「果!」
山口の拳が尾田の胸に当たり、尾田の刀が山口の脇腹をなぐ。
山口の拳より、血が流れる……。それは尾田の血である。
尾田の刃より、血が流れる……。それは山口の血である。
山口「見事なり……尾田!」尾田「あんたもな……。」
二人はそう言って睨みあう。尾田は逆手で刀を抜き口にくわえる。
山口「まだやるか?」尾田「当然よ!」
そう言って、二人はゆっくりと下がる。
山口「零式防衛術!」尾田「三刀流奥義!!」
「大!」「三千!」「義!!」「世界!!」
二つの奥義がぶつかりあい、強力な衝撃を放つ。
二人「うぉぉぉぉぉぉ!」
「漢には引けねえ時がある……あいつらには今がその時なんだ……。」
観客席で誰かが呟く。その言葉は誰にも聞こえる事は無かったが、全員がそれを信じていた。
やがて、ゆっくりと山口が倒れる。
尾田「や…った…ぜ。」
それにつられて、尾田も倒れる。
あだち「……アウトォ!」
あだちが確認を行い、尾田のアウトが決定する。
荒木「尾田君!大丈夫か!」
あだちの手によって、ベンチに運び込まれた尾田に荒木が治療を施す。
尾田「すまん……負けちまった……。」
本宮「いや!見事な男気であった!」
その言葉を聞いて、尾田はゆっくりと目を閉じた。
荒木「疲れてるようだ……しばらく眠らせてあげよう。」
この試合、荒木の治療能力によって持ってきた一面もある。荒木のスタンドパワーも限界が近づいている。
さすがに、あと最低でも3球は投げなければいけないのだ。
車田「そう言えば和月はどこへ行ったんだ?」
荒木「??さっきまでいたのに……」
だが、探している暇はない。やきうは戸田と岡田の対決が続いてた。
数秒後。基地に住まう全ての生命と戦力と機能を全て破壊し尽し、
黒き巨人・・・『巨人殖装ギガンティックダーク』と化したゴットハンド高屋良樹は、
炎と血の色に染め上げられた夜空を飛びながら、傲然と自らが作り出した地獄を見下ろしていた。
その時、横山からのテレパシーが、高屋に届いた。
横山『ご苦労様でした、高屋さん。貴方のおかげで、現存判明している評議会の前線基地のうち、
実に7割を壊滅させることが出来ました。礼を言います』
高屋「本命は安彦たちにとられてしまったからな。
こちらが相手したのは、芯の無い烏合の衆ばかりだ。
この程度の破壊劇など、現存する全てのゴットハンドに可能だろう」
これだけの虐殺をやってのけながら、その声にはいささかの感情の揺れもない。
テレパシーにのって、横山の慇懃な言葉がつづく。
横山『本来、この手の仕事は、貴方の役目ではないにもかかわらず、すみませんでした。
通常ならば大友さんあたりが適任なのですが、他のゴットハンドは手が塞がっておりまして。
今、最も身動きがとりやすい貴方にお願いしたというわけです』
高屋「なに、ちょうど現在行っている『研究』が滞っていてな。
いささか物足りなくはあったが、ちょうどいい気晴らしにはなった」
横山『それは何よりです。ここまでやれば、当分の間は、評議会は活動できなくなるでしょう。
ですから、今はこのあたりで結構です。貴方は引き続き、本来の任務『研究』にお戻り下さい』
高屋「そうさせてもらおう。あの研究は、我らゴットハンドの勝利の行方を左右するもの。
そして、それを成功させることが出来るのは、私だけだ」
横山『期待していますよ、高屋さん』
高屋「ああ、ではな」
そこで、テレパシーは切れた。会話を終了した高屋が、眼下の地獄を再度見下ろす。
高屋「では帰還するとしようか。その前に、後始末は最後までしていかなくてはな」
そう呟くと、高屋が胸部装甲を左右に開き、そこに凄まじい熱量を発生させる。
高屋「ギ ガ ス マ ッ シ ャ ー !!」
瞬間、巨大な破壊エネルギーの奔流が放射され、眼下の地表を直撃する。
かつて基地であった廃虚は、圧倒的なエネルギーの爪牙に蹂躙され、蒸発した。
バベルの塔・通信室。高屋との思念波による会話を終えた横山が、モニターに向き直った。
複数の画面には、各ゴットハンド基地に駐留する、ゴットハンド達がそれぞれ映っている。
横山「お待たせしました、皆さん」
団扇で口元を隠しながら、横山がそう告げる。それが会議再開の合図となった。
松本「これで、現在判明している評議会基地の7割が壊滅したことになる。
まだ我らの知らぬいかなる戦力が奴らにあるやも知れんが、
莫大な損害を奴らが被ったことは事実。これで当分は、評議会は活動休止を余儀なくされるだろう」
石川「安彦や長谷川が、あれだけ派手に注意を引きつけていたからな。
高屋も、さぞ仕事がやりやすかったことだろうぜ」
永井「大方、『ビクトリーファイブ』なんて大層な名をつけたのも、
演出を派手にすることで、陽動を成功させやすくする為たろう。
あいかわらず、お前のやることには、何から何まで無駄がない」
横山「これはこれは・・・そこまで持ち上げて頂けるとは光栄ですね」
他のゴットハンド達の敬意と畏怖を一身に受けながら、横山はなおも泰然としている。
そこには、強大無比な神の軍勢を統べる王の風格があった。
A「しかし、横山さん。貴方は、高屋を少々、放任しすぎではありませんか?
彼が優れた実力者であることは認めますが、
我らの現存戦力の、実に3割を彼ひとりに保有させるとは、いささかやりすぎかと」
Aの苦言に、居並ぶ全員がうなずいた。その事には全員が疑問を抱いていたらしい。
松本「俺もそれが気になっていた。奴はあくまでゴットハンドの一員にすぎぬ。
我らと比較した場合、奴の持つ戦力は、その度量を超えていると言わざるを得ん」
石川「どうなんでえ、横山。お前は、あいつに戦力を持たせて、何を考えている」
口々に述べられる提言に対し、横山は毅然として言い放った。
横山「確かにおっしゃる通り。彼の持つ戦力は、身分不相応なものでしょう。
ですが、忘れてはいませんか?
現在の我々が、前大戦時を遥かに超える規模の戦力を有するに至ったのは、
全て彼の『研究』の成果によるものなのですよ?」
横山のその一言に、全員が押し黙った。横山はつづける。
横山「彼は本来、戦士ではなく、科学者です。彼が持つ、現在の地球のテクノロジーを超越した理論。
そのノウハウは、我らの戦力向上に大きく貢献してくれました。
失礼ながら、ちばさん。高屋さんの理論は、
貴方の弟・七三さんの『ドリームス科学』すら遥かに凌ぐシロモノです」
いきなり話の矛先を向けられた形のちばだが、平然と笑って言う。
ちば「フフ・・そんなもん、とっくに承知してるさ。 俺が、
身内びいきが高じて客観的な判断を誤るとでも思ってるのか?」
横山「おっと、これは失礼を。・・ですが、これで理解して頂けたでしょう。
高屋さんは、皆さんとはまた違った形で、欠かす事の出来ない人材なのですよ」
赤塚「しかし、それにつけても奴の保有戦力は、やはりやりすぎなのだ」
横山「仕方ありません。彼の持つ戦力は全て、彼の研究が生み出した『獣化兵』です。
知っての通り、あの怪物達は、高屋さんでなければコントロール出来ません。
『獣化兵』は矢吹艦攻撃の際の、戦力の一翼を担う重要な存在。
それを上手く管理するには、創造主の元に置いておくのが一番いいのです」
大友「だが、もし万が一、奴が翻意したらどうする。俺達にとって大きな損害になるぜ」
横山「その可能性はありますね。彼は己の研究を第一に考える節がありますから。
彼の根底には権利欲とは別の意味での野心のようなものを感じるときがあります」
大友「なら・・・」
横山「ですが、心配は無用です。その為の『保険』はちゃんと用意してありますよ。
それに、全体戦力の3割と言っても、それは『表立った戦力』に過ぎません。
実際、我々にはまだ、他の勢力が存在すら知らない戦力を有しています。
それを含めれば、彼の持つ戦力の割合は、さらに低下します」
さいとう「・・・なるほどな」
モンキー「あ〜いかわらず、抜け目のないとっつぁんだぜ」
松本「ふむ、ならば問題はないか。・・ところで、話は変わるのだが。
高屋の現在行っている研究とはなんだ?」
ここで松本が話題を変えてきた。横山が団扇でそよがせながら答える。
横山「今の彼の任務ですか。さしあたり、最重要な任務ですよ。
矢吹の持つ『スーパーメカ』。あれへの対処策を、彼に考えてもらっています」
大友「なんだと!?」
かつて、そのスーパーメカに手も足も出ずに這う這うの体で逃走した経緯のある大友が、素頓狂な声をあげた。
横山「大友さんほどの方が不覚と取るとは、唯事ではありません。
下手に看過すれば、この戦争の趨勢を左右する事になりかねません。
これへの打開策を練る事を、私は急務と考え、高屋さんに研究を一任しました」
石川「なんだかんだ言って、我々には奴が必要ということか」
永井「そういうこったな」
大友「ちっ・・・」
それぞれが、それぞれの反応を示す。しかし、高屋に関しての議論は終了したようだ。
横山「では、議題は以上です。各自、本来の任務にお戻りください。
特に松本さん。戦艦ヤマトの修理を一刻も早く終わらせて下さい」
松本「了解した」
そして、全員が黙したのを見計らい、横山が言った。
横山「では、解散です・・・」
この後、横山の思惑通り、評議会はこれまでの活動を全て凍結することを余儀なくされる。
次に彼ら評議会が牙を剥くのは、いつの日か。
それは、最後の大戦が始まる時であろうことを、ゴットハンドの全てが予感していた。
←TO BE CONTINUED
>>145 そんな派手な戦いもあれば、温泉でまったりもあるこのスレが好き。
「ド派手なっ!喧嘩をよぉぉっ!」
野球場の、ド真ん中。熱狂の渦の中心。
二塁をめぐる攻防は、そこを異空間へと変える。
山口と尾田の戦いを明鏡止水と例えるならば、戸田と岡田の戦いは豪放磊落。
「唸れ!俺の拳!」
「我は、無敵なり」
煮え滾るようなテンション。
「反逆のぉぉぉっ!」
「我が影技にかなう者なし」
剥がれ、乱れ飛ぶ岩盤。
「ハイブリットォォォ!!」
「我が一撃は無敵なり!!」
尋常の域を遥かに超えた描き込み量!
拳が交錯、閃光、一拍遅れて、轟音、爆塵。
弾け飛んだ大きな影は、戸田!
追いすがる黒い影、岡田!
「我が一撃は、無敵なり」
爪ソ
|
刀ド
巻き起こる真空波に、再度戸田の体は舞う。
(こいつ・・・間違いねぇっ!決意で威力を何倍も高めていやがる!
こいつの戦い方は俺だ!いや、俺の先を行っている!)
それは、『武技言語』。身体能力を飛躍的にアップさせる最強の『ハッタリ』。
地に爪を立てるが如くしがみつき、戸田は睨む。
(間違いない、聖衣が無かったら俺が飛んでいた。
あの拳は只者ではない!次も受けきる保証は無い!
それは『ハイブリット』。雄雄しく拳を覆う最強の『自慢の拳』
血化粧を鮮血が新たに覆い、岡田の目が凄愴さを増す。
「「この戦い・・・理屈じゃない!!」
>尋常の域を遥かに超えた描き込み量!
ワラタw
炭鉱跡に転がり込んだヒラマツ。テーピングを施した足首が痛むが仕方がない。
どこか安全な地上を見つけられないかと歩き回る。が、道は下り坂ばかりである。
気がつくとずいぶん深い所に潜ってしまっていた。もはや光も熱も届かない。
ひんやりと湿った、トロッコの通り道を、右手を壁につけながらただ歩く。と。
「・・・鉄の扉があるバイ。なんね、
ノブひねったら腐りかけの鍵が壊れよった」
実にあっさりと扉を開けてしまい、せっかくなので中に入ってみる。
懐中電灯やら工事道具やらがないかと、手探りで闇の中を探り回るヒラマツ。
その手に、妙にぬめっとした感触と、毛の長い絨毯のくすぐったさが同時に伝わった。
やや丸みを帯びた巨大な壁がそこにあった。
・・・鉄でもない、セラミックでもない、ましてやコンクリートやスチロールでもない、
不思議な弾力を肩に感じる。なんとなく、ヒラマツは直感した。
これは、生き物だと。 ―――その時、壁が動いた。
突如、『壁』がうねうねとその巨大な姿態をくねらせ始めた。
何かがこすれて軋む音が響く。『壁』はいくつかの光源を持っており、
それらを覆うシャッターがゆっくりと開き周囲を照らす。
嫌な予感がしたヒラマツは身を翻して壁から離れるも、縦横への動きはどんどん激しくなる。
やがて地面が揺れ、『壁』がゆっくりと「立ち上がっ」た。昆虫のような足がついていたのだ。
明るくなった坑内の、鉄の扉近くまで避難したヒラマツは思わず自分の目を疑った。
そこには・・・体長100メートルはあるだろう真っ白いダンゴ虫がいたのだ。
ヒラマツはいつか見たアニメ映画を思い出して呟く。「お・・・王蟲・・・」
「違う」 「!!」 ――男の声が、した。
ダンゴ虫・・・いや、言われなければ判らないだろうが、
彼の生物≪ラ=レダルーバ≫は、艦橋を体内に持ち、人間が魔法で動かす≪生体宇宙船≫なのだ。
ヒラマツは恐る恐る声のした方向に首を向ける。まるで十字架の聖人のように、
両腕をもがれて鎖で大きな柱・・・いや爆弾の詰まった筒に括りつけられたひとりの“獣人”が、いた。
狼の顔と爪を持ち、身体中に狼の体毛を生やしながらも、首から下の骨格は人間そのもの。
「・・・人間を見たのは何年ぶりかねぇ。おいテメエ、この鎖を解きやがれ」
かつて白泉社の【忌み子】として様々な暗黒の歴史を刻み、
この放置された島深くに封印された男――真鍋譲治は、にやりと笑った。
「あんた・・・もしかして狼男ってヤツかい!?ひゃー、本物は初めて見たとバイ」
現実味のない光景だが、にわのとの一戦で感覚が麻痺していたのかも知れない。
ヒラマツはしげしげと真鍋の顔を見つめている。両腕のない肩をいからせて真鍋が怒る。
「ンなものァどーでもいいんだよ!!鎖を取るか取らねえかどっちだよ!?」
「・・・はぁ〜。オイ、こーゆーのはもう勘弁ね・・・」
良識派に戻っていたヒラマツは、ひとつ大きな溜息をつくと、
真鍋に向かって深々と頭を下げ、出口の扉に手をかけた。思わず目をひん剥く真鍋。
「おい・・・・オイ待てよデクノボー!!期待させやがってこのクソヤロォォ!!」
真鍋の罵詈雑言から逃げるように、危険の萌芽から立ち去っていった。
どうやら先の試合で余程懲りたらしい。危ない橋は渡らない。蜂の巣はつつかない。
やがて完全に部屋から立ち去った。残された真鍋は・・・・ブチギレた。
気の遠くなるほどに監禁生活を送っていた彼に、正常な判断はもはやできなかったのだ。
「腰抜けに用はねぇぇぇぇ!!!
ラ=レダルーバ、あいつを食いちぎれぇぇーーー!!」
真鍋と共に永年封印されており、力の殆どを失いながらもなお主人に忠誠を尽くす白い船。
持てる力の全てを振り絞って、レダルーバは立ち上がりヒラマツの後を追いかける。
土壁がもげ、地響きが鳴り、天井から岩が降り、白い船は突き進む。ひとりの男を喰らうために。
「あーっはっは!!はっはっは、はははは・・・
ざまあみやがれ、ついでに地上の人間も食い尽くせ!白泉社の馬鹿どもに鉄槌を・・・」
彼は最後まで台詞を言えなかった。
崩れた天井から一際大きな塊が真鍋の頭上に落ち―― 爆弾が、作動した。
島はゆっくりと、破壊と破滅に向かって動き始めた。その事を知る者は、まだ、いない。
「なんか揺れるな〜」
「またにわの選手でも巨大化しましたか?」
「地震測定器に異常が出ていますね」
「山火事も収まらないのに、頭が痛いなあ・・・早く試合終わらないかな」
「我々の身の安全も保障してほしいものですよねえ」
「ほんまほんま」
大会運営スタッフたちのぼやきが聞こえる中を、
森田の介護に回る医療スタッフが間を縫うように走り回っている。
まだ集中治療室を出たばかりだと言うのに、試合に戻ろうとする彼を引き止めているのだ。
クリード・アイランドは絶えず戦況を変化させている。
・・・・しかし、ここまでの【大異変】を読めるものがいたとしたら・・・・ 神か、悪魔である。
「た〜す〜け〜て〜〜〜」 ゴゴゴゴ・・・・!!
そして、≪非戦闘区域≫の真下近くで、ヒラマツと巨大虫の『死の追いかけっこ』が始まって、いた。
さて、ここに目立たない男が一人いる。
1回の表にさらに目立たない男をぶちのめし、4回誰もいないはずのファーストで吹き飛ばされ、
7回には、『工作員』によって敗北したこの男がいる。
鈴木「ほらよっ。」
鈴木が力を込めて、ロボットを殴る。その瞬間、ロボットは砕け散る。
鳥山「ほよよ?」鈴木「どうぞ、どうぞ、ご自由にお通り下さい。」
鈴木はそう言って、一塁を指さす。
鳥山「ほんとに良いの?」鈴木「どうぞどうぞ。」
にやついた笑いと共に、鈴木が頷く。
鳥山「うわーい!!キーン」両手を翼のように広げて、鳥山は駆けだした。
岡田「しまった!!その手があったか!!」戸田「よそ見してる暇はないぜ!不意打ちのシェルブリット!!」
後ろを振り向いた、岡田に猛烈な打撃が命中する。
渡辺「アウトォ!!」渡辺がアウトを宣言する。
戸田「こいつが、俺の自慢の拳だぁ!!」
鈴木「えっ……?戸田ぁ!何している!!」
戸田「何がどうしたってんだ?」
鈴木に話しかけられた一瞬で、戸田の横を鳥山が駆ける。
佐渡川「はや…!!」
言った瞬間に、三塁を鳥山がこえ、本塁へと到着する。
荒木「策士、策におぼれるとはこういう事だな。」
鈴木「俺ってすっかりヤラレ役ぅぅぅ!」
鈴木の悲痛な叫びが天に吸い込まれていった。
チャンピオンチーム 2 − 3 えなりチーム
えなりちーむ2アウト。次は島……戦うマンの打席。
165 :
164:03/09/12 09:10 ID:Xco5cN8D
と、意外と時間がかかりそうなんで、勝手に続けてしまいましたがいかがでしょうか?
乙。2、3時間後に、俺が続き書いていいですかね。
1レスだけ書きたいシーンがあるんです。
167 :
164:03/09/12 09:52 ID:Xco5cN8D
>166
どうぞ、基本的にリレー小説ですし、書きたいシーンがあるなら存分に書いて良いと思います。
最長で10レスだったからね、早めに終わるのもイイッ。
えなりチーム、遂に逆転。そして、なおも攻勢は続く。
次なるバッターは、ある意味、この試合の目玉というべき、この男の打順である。
だが、周囲の期待をよそに、その男・島……戦うマンは悩みの中にあった。
(遂に来た……アイツらともう一度、激突する時が。
俺はこれを望んでいる。だが、もう戻ることは出来ない……)
『熱血』をモットーに掲げるこの男に、このような悩む姿は似合わないと思う者もいるかも知れない。
この男が悩むとは、例えるなら熊や猪などが悩むようなものだろう。
しかし、実は熊や猪ほど悩むのである。そして、その悩みとはどれほど暗く重いものであろうか。
彼が身に纏う『シズナマンスーツ』。
『谷仮面』で登場したこのコスプレ戦士の装束も、『エアマスター』にあってはヘタレの象徴としてのイメージが強い。
この恐るべきヘタレスパイラルは、さしもの熱血ですら飲み込んでしまうのか?
その時、一陣の風が吹いた。それは、あらゆる曇りを吹き飛ばす、春の嵐だ。
「何を悩んでいる、若者よ」
「!?」
春風と化した声の主は、見事に禿げ上がった頭をした、精気を漲らせた男である。
「宮下あきら……」
戦うマンが、ぽつりと呟く。すると、宮下が豪放に笑った。
「フフ…貴様の悩みは読める。なにやら、つまらぬ事に囚われているようだ」
「なに!?」
自分の悩みがつまらないこと…? 戦うマンが激しく動揺した。
「敵だの、味方だの、男が命を賭けた場では、些末なこと…。
我が友が言っていた。生命を狙い合うことほど、深いつき合いがあろうか…とな」
その言葉に、戦うマンは雷撃に打たれたような衝撃を受ける。
「『グローリー・ノーサイド・ゴング』……ワシの好きな言葉だ。
リングの中でどれだけ激しく殴り合おうとも、ひとたび試合終了のゴングが鳴れば、
そこには、怒りも憎しみもない…………」
そう言うと、宮下はこの上なく男臭い笑みを浮かべる。
「存分に戦ってくるがいい。奴らは真の漢の集団……その奴らに恥じない闘いをしてこい!」
宮下の激励を受け、戦うマンは立ち上がった。表情は見えないが、そこにもはや懊悩の色はない。
彼の心には、すがすがしい秋風が吹いていた。
熱 血 復 活 !!!!!
書きますた。後の人、ドゾー
戸土野「図に乗るなよ、たかが虫ケラが」
安西と椎名。2人の一線級サンデー漫画家を向こうに回し、なお戸土野がうそぶく。
戸土野「おれはパクリ漫画家の頂点――未来を拓く新しい生物となった………。
今さら、貴様ら雑兵が何人集まろうと問題にもならぬわ、無礼者が!!」
一喝するや、暴風のごとき瘴気が、安西と椎名に叩きつけられる。
椎名(ヌウウ………こいつ、なんと圧倒的な悪の大気よ!
すでにパクリ帝になりつつある貫禄か!)
安西(なんてえ威圧感だ。正直、勝てる気がまるでしねえ……だがやるしかない!)
安西「弐竜召喚! 砕羽 + 火群 !!」
椎名「ハンズ・オブ・グローリー(栄光の手) !!」
安西は、弐竜同時召喚によって、“炎の刃”と“炎の鞭”を組み合わせ、“炎の鎖鎌”を作り出して攻撃する。
一方、椎名は右手から発生させた霊気の剣“栄光の手”によって、接近戦を試みる。
変幻自在の“炎の鎖鎌”と、椎名の卓越した動きより繰り出される剣撃。
その波状攻撃は、熾烈を極めた。
だが、戸土野は、それらの攻撃と互角に、否、それ以上に渡り合った。
2人の連続攻撃が、黒い嵐のような大剣捌きによって弾かれていくのだ。
椎名「ダメだ、一太刀ごとに手の内パクられていく! 奴は一合ごとにその強さを増していくぞ!」
たまらず退った椎名を、戸土野が間合いを詰める事で追撃していく。
安西「かかったな……。竜之炎弐式“崩”!!」
その瞬間、安西が火竜を召喚した。
いきなり戸土野の足下が砕け、その下から大量の火炎弾が飛び出した。
椎名「なるほど、地中に仕掛けておいたのか!」
これには、さすがの戸土野も被弾するかに見えた。しかし――
戸土野「くだらん……貧弱な発想だ!!」
吼えると、戸土野が大剣を横に円を描くように一閃させた。
すると、あろうことか視界を埋め尽す数の火炎弾が、全て消滅したではないか!
安西「なんだと!?」 椎名「安西の火竜が……消された!?」
呆気にとられる2人に、戸土野が含み笑いしながら、手の大剣を見せつける。
戸土野「くだらんネタだ……この程度、あっという間にパクれる。
これこそ、真のパクリ漫画家のみに許された至高の武器、“アルテマウェポン”だ!」
渡辺「どうしたー!さっさと位置につかんか!」
水島「いや、それが結構ボールが地中深く埋まってるんで、取れんとよ。」
渡辺「……なるべく早く頼む……。」
車田「……と言うわけだ。」
荒木「なるほどな……にわかには信じがたいがな……。」
今までのあらすじを聞いて、荒木は腕を組む。
荒木「そうなると、少なくとも彼等を助ける為には矢吹と真島両方を倒す必要があると言う事か。」
鳥山「んじゃ、さっさと倒せば……。」
荒木「そう簡単にはいかないさ。彼等にパクる暇さえ与えず攻撃できる能力は限られている。」
荒木はそう言って、腕を組む。
荒木「どれも決め手に欠けるな……。”あの能力”は絶対使いたくなかったが……。
最終的には使わなければいけないかもしれない。」
そう言って、荒木は空を見る。
宮下「ま、まさか荒木、”あの能力”を使おうというのか!!」
岸本・えなり「なにー!しってるんですか、宮下先生!!」
宮下「うむ、その名は”ステ……。」荒木「今日は月がないな……。」
宮下の台詞を遮り、荒木が言葉を呟く。
大和田「新聞だと、月は出てるはずだが?」
大和田の台詞に荒木は新聞を見る。
荒木「そんな……月が消えたとでもいうのか?」
板垣「残念だったな。お前が”決め手”と言うほどの能力……一回手合わせしたいもんだ。」
その台詞が終わるやいなや、板垣の胸ぐらを荒木が掴んだ。
荒木「……そんな能力じゃない。あの能力は無敵になる為の能力では無い!」
板垣「ではどんな能力なんだ?」
荒木「あの能力は……!!」岸本「荒木先生落ち着いて!!」
一発触発の中を岸本が取り持つ。
荒木「…ともかく、あの能力はそうそう使えるもんじゃないし、使いたくもない!!だが……最終的には使うかもしれん!!」
板垣「強くなる為じゃない能力にどんな意味がある……。」
二人は、そう言って、ベンチの反対側に座る。
この不協和音がどこまで続くのか……それは誰の知る事でもない。
戸土野の圧倒的パクリパワーの前に、二人は為す術も無い。
戸土野「貧弱にも程があるな…特に安西。貴様、そんなに弱い男だったか? 」
安西「なにい……ッ!! 俺は、パクリをやめてひたすら技の研鑽に励んだんだ、あの頃より
強くこそなれ、弱くなるはずがあるかよ!!! 」
戸土野「ああ……そうか、そういうこと、なんだな………」
戸土野は、何かを思いついたように微笑む。魔性の笑み――
戸土野「今、おれの中で結論が出た。貴様はまぎれもなく弱くなっている!! 」
戸土野は言い切る。その顔に迷いの色は無かった。
安西は、即座に
安西「莫迦な!! そんなことはねえ、絶対に……!!! 」
戸土野「では、聞くが…何故、貴様はそれ程に凡庸になったのだ? 」
安西「凡庸、だと……! 」
戸土野「昔話をしよう…パクリ四天王と呼ばれた男達がいた。矢吹・真島・おれ、そして…お前だ」
安西「止めろ…」
構わず続ける。
戸土野「四人は、圧倒的な力を誇った。それはもう、圧倒的な…力」
安西「止めろ……」
戸土野「強いのは当たり前さ。人の技をいかにも自分の技のように操れるのだからなあ……! 」
安西「止めろっつってんのが……分からねえかァ――――ッッ!!!! 」
戸土野「ああ分からない!! 分からないねえ! 何故パクりを捨てたのかねぇキミは!!? 」
二人の気持ちはヒートアップする。椎名は入り込めない。それは、かって同じ境遇にあった二人だけが共有し得る世界だった。
安西「俺は漫画家の信念と誇りを持って戦うんだ、人真似なんてしてたまるかッ! 俺は、俺だっ…!! 」
戸土野「だが弱い、いや、弱くなった――安西、かっての同士として貴様に忠告してやるよ……パクれ」
安西「なにいっ!!? 」
戸土野は言った。“パクれ”と――
戸土野「正義だの、信念だの、そんな綺麗な言葉にしがみ付いてたら気持ちいいだろうなあ、安西?だが、それでは、俺には勝てんぜ。
パクリこそ真理、パクリこそ摂理、だ。一番強い貴様を見せてくれよ……」
(´-`).。oO(ステアウェイがメイドインになったなんて言えないよなぁ)
安西「あれは真島が持っていた剣……なんで野郎が」
それは見れば見るほど奇怪な剣だった。月光のように薄く冷たく、青白い光を放つ刀身に映っているのは、
数えきれないほどに無数の、人が苦悶している顔のような紋様だ。
椎名「げえ! なんだ、あの顔みてえのわ!」
戸土野「くく…こいつは、俺が今まで殺してネタをパクった漫画家達の成れの果てよ。
この“アルテマウェポン”によって殺された者は、死んだ後も永遠にネタをパクられ続けるのだ」
なんたるおぞましい事実! 安西が怒り心頭に発した。
安西「テメエ―――いったい何人の生命をパクるために吸い取った!?」
戸土野「おまえは今まで食ったパンの枚数をおぼえているのか?」
元ネタがバレバレの台詞を、戸土野はさも堂々と口にした。
怒りに震える安西が、歯をきつく噛みしめる。
戸土野「お前がそれに怒るのか? 違うだろう、お前は俺と同じ人種だ!
いつから、真っ当な漫画家の真似事なんぞやるようになった!
テメーには、そんなのは似合わねーんだよ! お前もパクったらどうだ?
気ン持ちいいぜ〜〜、他の漫画家が必死こいて脳ミソから絞り出したネタを、
汗ひとつかかずに、堂々とパクリ去る時の、あの快感といったらねえ!!」
安西「てっめええええええええええええっっ!!」
椎名「待て、安西! ちいいっ!」
激昂して戸土野に飛びかかる安西を、椎名が慌てて追い縋る。
“火群”を纏った拳を、戸土野に叩きつける。
――が、渾身の一撃は、ジョジョ立ちした戸土野の片掌に、やすやすと阻まれた。
安西「か…片手で火群を止めた!?」
戸土野「貧弱ゥ…、だが以前よりは、ほんのちょっぴり成長したようだな。
この体になる前の俺ならば、お前ひとりに呆気無くやられていただろう。
しかし、今の俺は完全パクリ生物……すでに“アルテマウェポン”に頼らずとも、
全身のどの部分に触れても、相手の能力をパクる事が可能とした!」
やべえ、かぶった! どないしよ・・
トドノかっけぇー。キャラたってきたな、パクリだけどw
179 :
172:03/09/12 21:39 ID:Xco5cN8D
>174
これは、宮下の勘違いか心遣いと思ってくれると嬉しいです。
>173 >175
は>175→>173と繋げば繋がらない事はないと思う。
椎名「戸土野ォ!」
間髪入れずにつっかけた椎名が、“護”と刻まれた“文殊”を発動させる。
全ての邪気を退ける、絶対の結界が張られる。しかし――!
戸土野「無駄ァ! そのネタは一度見た! そして、パクリ漫画家に一度見たネタは、2度とは通用せん!」
そのとき、安西と椎名は音を聴いた。鼓膜を内側から揺さぶるような、振動音。
戸土野「安西、おれがおまえなら、いつまでも、おれの手に触れてないがね……」
ヴ オ ン !!
刹那、戸土野の掌から放たれた凄まじい振動波が、2人を貫いた。
これこそ、かつて木城ゆきとが、かの板垣をミンチにした、“機甲拳(パンツァークンスト)”の必殺技!
戸土野「周 波 衝 拳 (ヘルツェアハオエン)!!」
内部構造を振動させる、とてつもない破壊の奔流を喰らい、2人の肉体が盛大に血を噴いた。
椎名(つ…強すぎる。奴のパクリ力の方が、俺達ふたり分の漫画力より五倍は強い!
しかも、俺の“文殊”まで一発でパクられちまった!)
内臓をやられ、椎名が吐血する。戸土野に直接触れていた安西に比べれば軽傷だが、
掠っただけでこれだけのダメージを与える威力は尋常ではない。
椎名「現在のお…俺たちでは勝てん!! 今は! 今は! 安西だけはこれ以上負傷させてはいかん!
安西の成長の可能性のためにも! オアアッ!!」
必死の椎名が、“爆”と刻まれた文殊を取り出し、投げた。
戸土野「フン!」
しかし、戸土野が鼻で笑うと、もう片方の腕を一閃させる。
瞬間、肘から一本のブレードが飛び出し、椎名が投げた文殊を消し去ると、
その勢いのまま、椎名の片足を切断した。
椎名「ぐああっ!」 安西「椎名ァっ!」
戸土野「言ったはずだ、俺はもはや、完全パクリ体……
体のどこからでも“アルテマウェポン”を生やせるのよ!」
万策尽きた2人は、戸土野のパワーの余波を喰らい、まとめて瓦礫の一角に思いきり叩きつけられた。
レス番間違えた。
×175→178→173と繋がります
○175→180→173と繋がります。
というわけで、大変すみませんが、続きは
>>173からです。
混乱させて申し訳ありません。
戸土野が素敵すぎだ
最近ここまでの悪役がいなかったからかえって新鮮味がある
パクリこそ、真理
パクリこそ、摂理
恐らく、このセリフもパクリなのだろうが、やたら安西の中に響いてくる。
戸土野「さあ、言え。パクリをする、と――」
安西「いわねぇ…」
戸土野「言え」
安西「…俺は、昔、沢山の人たちに迷惑をかけ倒してきた。師匠・相弟子・先輩方…
俺を魔道から救ってくれたのも、またこの人たちなんだ。今さら…今さら、戻るわけにいくかァァッ!!」
戸土野「なら、そいつらをぶっ殺そう」
安西「!?」
戸土野「お前を縛り付けてるのはそいつ等だろう?なら、おれが解き放ってやるよ。まずは…」
目を向けたのは、うつ伏せに意識無く倒れる椎名。戸土野の顔が禍々しく歪む。
戸土野「コイツを殺すか」
戸土野が、銃を撃つ格好をする。指先に力が集まる。
戸土野「『霊銃』さあ、あと数秒で撃ち出すぞ?猶予時間だ、決めろ。パクリをやりますか?やりませんか?」
安西の脈が速くなる。体中の汗腺から汗が吹き出る。駄目だ、止められない。先輩が、殺されてしまう。
安西「ま…待て……俺は…俺はぁッ!!!」
戸土野「発射」
安西「やめろォ〜〜!!分かった!俺は――」
至近距離から、霊銃が発射される。椎名に向かう。ところが…
留美子「あああっ!!!」
椎名に命中する瞬間、前に出て身代わりとなった高橋留美子。
安西「たっ…高橋さんッ!!?」
留美子「あ…安西君。大丈夫、私は不死身だから……」
しかし、出血が激しい。いくら不死身とはいえ……
安西「アイツ、すげえ強くなってる…今の俺じゃあ……」
そういう安西を、留美子は強く抱きしめる。全ての力を振り絞るようにして、抱きしめる。
安西「なっ、何を……!!」
豊満な胸を押し付けられる。しかし、そこにエロスは無かった。あったのは、母の香り――
留美子「いい、安西君。今の自分をもっと信じなさい。あなたは強いわ…戸土野をやっつけられるくらいに……ゴホッ」
留美子は吐血した。見ると、腹に大穴が開いている。たとえ不死身でも、血が無くなったら、どうなるか分からない。
安西「いい、無理して喋らないでくれよ…すぐ、直してやるから」
留美子「なら…はやくあいつ等を倒してね?あなた自身の力で――」
安西「…ああ、分かった」
185 :
椎名の力:03/09/13 08:16 ID:vN5Dxv5O
椎名「ゆるさん……ゆるさんぞ〜!!」
椎名は突如として立ち上がり、めらめらと燃える炎を上げながら、戸土野目がけて走り出す。
戸土野「ゆるさんだと?だが貴様の能力は……。」
戸土野はそう言って、栄光の手(ハンズオブグローリー)を出して椎名に向かう。
椎名は真正面から駆けていき、腕に強力な光を作り出す!
椎名「サァイキィィィィィク!ソォォォォサァァァァアアアア!」
戸土野「なっ!!」
桁外れのパワーに戸土野の体に傷が付く。
戸土野「パクっているはずなのに……パクっているはずなのに!!奴が私の上を行くだと!なぜだ!!」
椎名「ふふふふ、貴様には永遠にわかるまい……あの豊満な胸の素晴らしさが!!」
安西「煩悩は奴にとってエネルギー増幅装置だったな……。」
あまりにもあきれ果てて、安西が呟く。
椎名「なのに!何で俺じゃなく、安西なんだぁ!!」
全員「…………。」
椎名「この怒り!!てめーにぶつけちゃるぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」
戸土野「逆恨みもいい加減にしろぉぉぉぉぉ!!」
煩悩パワーなんてそんなのいらないから、もっとまともな能力を出してくれ……。
戸土野は本気でそう考えた。
椎名を救う為に、そして安西の魂を救う為に重傷を負ってしまった高橋留美子。
そのとき、忘れられていたもうひとつの獣が胎動を開始した。
留美子によって動きを封じられていた、高橋よしひろである。
高橋(よ)「“女帝”とまで呼ばれた者が、なんたる醜態か……。
戦いの渦中にありながら、とるに足らぬ情にほだされ、戦いを忘れるとは…」
安西「やべえ、まだアイツもいやがったか……」
戸土野ひとりにさえ、これ程の苦戦を強いられているのに、ここで五聖人クラスの戦闘力を持つ、
よしひろまで加わっては、いよいよ勝ち目がない。
高橋(よ)「女帝よ……そのザマはなんだ。今の貴様は、雌(おんな)の顔をしているぞ。
戦士の顔ではない………貴様がそこまでせねばならぬ程、その若僧が大切か?」
失望を隠そうともせず、よしひろが吐き捨てる。
それに対し、瀕死の留美子が答えた。
留美子「ええ大切よ……私はどんな事をしてでも彼を…安西君を護る。
誓ったのだもの、彼の罪を背負ってあげる…生命にかえても死なせないって…」
安西「留美子さん……」
高橋(よ)「なぜだ? かって悪逆の限りを尽した、そのような男を……」
留美子「なぜって……? それは…彼がかって魔道に堕ちたのは……」
それに続く声は、かすれていた。朦朧とした意識と、そして悔恨の為に。
留美子「私の……せいなのだから……」
安西「留美子さん!? 何を言って……あれはオレが全部悪いんだ。なんで留美子さんのせいになる!」
高橋(よ)「どういうことだ? それは……」
いぶかしげなよしひろに、留美子は絞りだすように言った。
留美子「彼は……昔、私を助ける為に……漫画家として最も大切な才能……“独創力”を喪失ったの…」
思いもよらぬ告白に、安西は戸惑った。この人は、いったい何を言っているんだ?
留美子「もっとも……彼はその時のことを憶えていないわ……
なぜならその時の記憶も、彼は失ってしまっているから。
あの“キユドライブ”が起こった日、私を助ける為に使った“ある能力”の代償としてね…」
留美子「だから、私は彼を護る。彼の罪は、私の罪…。だから、彼が戦い続ける限り、
私は彼の背中を護ってあげる。それが私が今、ここに在る意味…」
背後で異様な盛り上がりを見せている、戸土野と椎名の戦いを背景に、留美子は言い切った。
それに答えたのは、失笑だった。
高橋(よ)「まるで、生娘の告白だな。女帝も地に堕ちたな。せめて、わしの牙で冥府に行け」
兇悪な爪牙が迫る。だがその時、炎の狼がその前に立ちふさがった。
安西「片倉!!」
片倉「安西、ここはオレに任せろや」
そう言うと、片倉がよしひろに眼光を飛ばす。
片倉「場違いやで、おっさん……。もうちっと、空気読もうや」
比喩ではない、本物の炎を燃え立たせ、仁王立ちする片倉。
対し、よしひろが面白そうに目を細めた。
高橋(よ)「ほう…感じるぞ、貴様から……わしと同じ“狼”の匂いをな…名を聞いておこうか、若僧」
片倉「GUNG-HO-GUNSの“4”……そして、月刊ジャンプ格闘指南役……」
刹那、炎狼が咆哮した。
片倉「片倉・ザ・マグナム!! あの世への土産話にせいや、おっさん!!」
高橋(よ)「では、我が牙をとくと味わうがよい、若き狼よ!!」
椎名と戸土野がヒートアップする中、炎狼と剣狼の死闘が始まろうとしていた。
片倉は“3”でした。
あと、割り込んでしまってすいません。
次からは、ちゃんとリロードせねば・・・
189 :
椎名の力:03/09/13 08:45 ID:vN5Dxv5O
まあ、割り込みあってのリレー小説ですから、それほど気にしていません。
このリレー、住人の思惑によっていろいろネタが被るときがありますから。
しかし……久保の出番有るのかな?
戸土野の虚化でもあれば・・・
191 :
椎名の力:03/09/13 11:10 ID:vN5Dxv5O
椎名「ぬぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
椎名の煩悩パワーは、もはや限界以上まで上昇しており、戸土野の体に傷を付けていく。
戸土野(こいつの煩悩……一体どれぐらい有るというのだ?)
さすがにあきれ果てて戸土野が呟く。
椎名「……トドメだ!極楽で……往生しろぉぉぉぉぉぉ!」
強力な光の腕、ハンズ・オブ・グローリーが戸土野に命中する。
戸土野(だめだ……こいつの煩悩パワー……パクれない!このままでは負ける!!そうだ!!!)
戸土野「おまえ……あの胸がパットだと言ったら信じるか?」
椎名「えっ?」
戸土野「くっくっくっ、パクリ四天王の名は伊達じゃない……そんな能力さえ有るのだよ(嘘だけど)。」
戸土野のはったりに見事に騙されて、椎名のハンズ・オブ・グローリーの輝きが失われる。
椎名「そんな…あの胸がパットだなんて……。」
戸土野(勝った!!賭に勝った!!)
戸土野がにやつき、アルテマウェポンを天に掲げる。
安西「椎名!!Bブロックには温泉があるぞ!!」
椎名の危機を読み取り、安西が声をかける。
椎名の思考(温泉→○浴→天国!)
単純な思考で椎名の思考は一気に限界を超える!
椎名「うぉぉぉぉぉぉぉを!煩悩全開!!くらえぃぃぃぇ!」
”爆”と書かれた文殊が投げつけられ、それが戸土野を一気に吹き飛ばす。
戸土野「ゆるさんぞぉ、ゆるさんぞぉ……。貴様。」
地獄のそこから響く声で、戸土野が呟いた。
戸土野「昔……少し見ただけの力だからな……うまく使えるかどうかわからんが……この能力で吹き飛ばす!」
椎名「ご託はいらん!往生せいやぁぁぁ!」
椎名の突撃を前に戸土野は目を見開く。
戸土野「ASTRAY R!!」
その瞬間、地面が我砕け、一体のロボットが登場する。
見た目は、戸田のレッドフレーム、ときたのブルーフレームに似ているが、色がはっきり言って違う。
戸土野「ふん、金色か……王者の色にふさわしい。」
椎名「待てぇい!それ反則!!」
戸土野「名前は……まあ複雑に考えるのはよして『ゴールドフレーム』で良いだろう。」
椎名「スーパーロボットも有りかよぉぉぉぉ!」
戸土野「くっくっくっ……。これが武器か?あっ?」
椎名の言葉には耳を貸さず、戸土野は腰に付けてあるビームライフルを取り出す。
椎名「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉお!!」
ビームライフルをすんでの所でかわし、椎名は走り出す。
戸土野「昔、少し見た物さえコピーできるとはな、だが私はまだまだ強くなる必要がある……さらばだ!」
戸土野はそう言って、ビームライフルを椎名に向けた。
>190
まあ、そしたら宇野に後ろから刺される気がするけど……。まあいいや。
“ゴールドフレーム”と化した、戸土野の牙が椎名に向けられた。
兇悪なる銃口に、憎しみの光が満ちる。
戸土野「虫ケラ……せいぜい灼かれる瞬間まで、見苦しく啼くがいい……」
刹那、圧倒的なエネルギーの塊が、椎名に発射された。
椎名(チイッ! よけられね…)
あまりの速度に、椎名はその攻撃を避けられない。
今まさに、閃光が椎名を焼きつくそうとした、そのとき!
安西「どけっ、椎名!!」
椎名「安西!?」
ビームライフルの巨大な閃光の前に、安西が立ちはだかった。
誰もが、安西の肉体がこの世から消滅すると、そう思った。
だが、最悪の予想は回避された。安西が、手に持った棒のような物を一閃した瞬間。
ふ っ ・ ・ ・
戸土野「!!?」
あり得ないことが起こった。何をどうしたか、ビームライフルの光熱が、突如として消滅したのだ。
椎名「ビ…ビームライフルを……相殺した!!?」
そんなこと、一流漫画家でも、おいそれとは出来ない。
しかし、それを行ったのが、安西の持つ、謎の棒……恐らく魔道具であろうことは疑いない。
椎名が驚愕するなか、そのとき悲痛な声が響いた。
留美子「安西君、やめなさい!! それは……!!」
叫んだのは、血まみれの留美子だった。その顔には、耐え切れない程の悔恨がある。
椎名「留美子さん、知ってるのか、あれが何なのか! 安西は、何をしたんだ!!」
椎名が指差す先には、安西の手に握られた魔道具がある。
特殊警棒のような形状をした柄に、“光”と刻まれた魔道具だ。
やがて、留美子が血を吐くように言った。
留美子「あれは相殺したんじゃないわ……文字通り“消した”のよ……。
そして、安西君が持っているあれは、最悪の魔道具……」
そこで言葉を切る。次の言葉は重く、吐き出すのに覚悟が必要なのだ。
そして、留美子は言った。
留美子「 “光 界 玉” 。 それがあの魔道具の名前よ」
椎名「光界玉?」
留美子「彼の作品“烈火の炎”に登場する数多の魔道具……その中でも最悪の魔道具よ。
あの棒……正確には、棒の柄にはめられた“光”と刻まれた玉。
あれは……こ の 世 の 万 物 を 消 し 去 る こ と が で き る」
物騒な一言に、椎名の顔色が変わった。
椎名「全てを――消す?」
留美子「漠然と消すのよ。紙に描いた絵を消しゴムで消すように――この世の存在を無くしてしまう。
それは物を砕き、破壊することでも……人を殺め、魂を抜く事でもない。
車田先生の力のように異次元に飛ばすのとも異なる。“消 滅” なのよ………」
そこまで言うと、戸土野が吼えた。
戸土野「おいおい……そりゃあやべえだろうが!!」
叫ぶや、ビームサーベルを抜き、安西に振り下ろす。
だが、安西の持つ“光界玉”が輝いた瞬間、ビームサーベルの刃までもが消え失せた。
戸土野「ビームサーベルも消された!! 反則に近えぞ、そりゃあ!!」
それを見た椎名が、ふいにあることに気付く。
椎名「留美子さん……それって形の無いものでも消せるのか?」
留美子「……ええ。形無きものとて例外の範疇には入らない。記憶でも――病魔でも打ち消す力を持つはずよ」
椎名「無敵じゃねえか!! そんな便利なもの、なんで安西は今まで使わなかったんだ!?」
もっともな疑問を口にする椎名に、留美子はいよいよ核心を話し始める。
留美子「光界玉の恐ろしさは、それだけじゃないわ。
何かを消したあとに術者に起こる――“反作用”こそ真の恐怖」
椎名「……反作用?」
血混じりの唾を呑み込み、留美子は言った。
留美子「安西君の顔を見て。さっきまであれほど流れていた血がもう止まっている。
あれは止血じゃない。ビームライフルとサーベルを消した代償に“血を消された”のよ。
消す物の価値に比例して……彼もそれ相応の物を奪われていく。
究極の――両刃の剣なのよ。
彼はそうして、画力を……、構成力を……、そして――独創性を消してしまった」
ここで話は過去へと遡る。
それは10年前――“キユドライブ”の日に全ては起こった。
10年前――
運命の日、安西と高橋留美子は、集英社へと続く道を歩いていた。その目的とは――
留美子「――ねえ、本気なの、安西君? “烈火の炎”の連載を止めるって……」
その問いに、安西は小さく、けれどもはっきりとうなずいた。
安西「――ああ」
留美子「どうして? ようやく手に入れた長期連載じゃない。いくら批難されたからって……」
安西「もう決めたんだ。あれを読む連中は、皆、パクリだパクリだって罵るんだ。
オレも最初は、パクるつもりなんてなかったんだよ。
だけど、なんとか違う物を描こうと思っても、描けば描くほど似てくるんだ!
どうしても、どっかで見たようなネタしか描けねえんだよ!
んでもって、気付いたらあんな有り様になっちまってた……。
“八竜”のネタだって、必死こいて考えたネタだったんだぜ?
なのに、あんなのとうに既出のネタだった……。案の定、パクリと言われた。
オレはもう、自分でも何描いていいんだか、分からねえんだよ!!」
留美子「安西君……」
怒鳴った瞬間、安西は我に帰った。
安西「――あ、すまねえ。だから、オレは決めたんだ。パクっちまった物は仕方ない。
だから、冨樫先生に謝罪した上で、烈火の連載は終わらせて、責任をとる。
そうして、一から新しい物を描こうと思うんだ。でも、冨樫先生ったら、大作家だろ?
そんなのオレ1人じゃ、会ってもくれねえだろうからよ。
だから、留美子さんにお願いしたんだ」
留美子「でも、それでいいの? 貴方の連載を楽しみにしてる人もいるんじゃ……」
安西「もう決めたんだ。ちょうど、トーナメントが終われば区切りもいいしさ。
それなら、読者にも顔は立つ。オレは、まだ諦めたくないんだ」
この頃、すでに安西にはパクリ作家としての種子があった。
しかし、この頃の安西はまだ、一欠片の良心や信念を持っていたのである。
だが、この直後に起きた悲劇が、安西と留美子の運命を狂わせる事になろうとは。
まだ、誰も知る由もなかった。
おお過去編だ
ドキドキ
それはあまりに突然だった。
太陽が落ちてきたのではないかと錯覚させるほどの、猛烈な光と熱。
プラズマ化した大気は、電子レンジにも似た作用を引き起こし、
あらゆるものを顎のごとく呑み込んでいく。
“キユドライブ”
後にそう呼ばれる惨劇。多くの者の生命を奪い去り、幾千幾万の悲劇を生み出した恐るべき災厄。
その渦中に、安西と高橋留美子は、突如として投げ出された。
第一陣の爆発は、何も気付かせぬまま、2人を吹き飛ばした。
留美子「ぐ…安西君、平気!?」
安西「あぐ……な、なんとか……な。しかし、何が起こったんだ……」
したたかに身を打ち付けた2人だが、どちらも何とか生きていた。
留美子「分からないわ……突然、目の前が真っ白になって……って!!」
安西「な……なんだい、こりゃ……」
悪夢は終わってはいなかった。否、これからが真の始まりだったのだ。
かつて集英社があった場所には、かわりに得体の知れぬエネルギー体の塊が生じていた。
安西「な、なんだこれ……なんか分からねえが、すげえヤバい気がする……留美子さん!!」
留美子「ええ、あれは危険だわ! なんだか知らないけど、感じる!
とてつもない悪意……そう膨大な悪意が、あの中心で渦を巻いている!!」
それは2人の本能がそう命じたとしか言いようがなかった。
とにかく、2人はその場から逃げようとした。
原因不明の“それ”の正体を探ったり、ましてや止めようなどと微塵も思わなかった。
それはまさに、2人が今までに見た事も聞いた事もない、本物の恐怖だったのだ。
瞬間、“それ”が猛悪なエネルギーを開放した。絶大な威力に、2人はまたも吹っ飛ばされる。
安西「うああ! な、なんなんだこれは!! はっ、留美子さん……」
留美子「安西君……」
果たして、安西の目の前には、安西をかばい重傷を負った留美子の姿があった。
安西「留美子さん、しっかりしろ! あれから逃げるんだ!!」
留美子「ダメよ……私はもう動けない……だから、安西君、逃げなさい」
なんか違和感があるなあ・・この話。
弱々しく言う留美子に、安西は首を目一杯、横に振った。
安西「そんなこと出来るか! 留美子さんを置いていけるわけがない!」
留美子「でも、このままじゃ2人とも死ぬわ。だから、安西君だけでも生き延びなさい。
もう一度、一からやり直すんじゃなかったの……」
呟くような声に、安西はほぞを嚼んだ。そして、決断する。
腰から、あるものを引き抜いたのだ。
柄にはめられた玉が、妖しく明滅した。
留美子「それは……」
安西「これは“光界玉”。烈火の炎に出す予定だった魔道具さ。
まだ実際に描いたわけじゃないんで、どうなるかは分からんけど、
上手くいけば、2人とも助かる。あのエネルギー体そのものを消す事は無理だけど、
オレたちを襲う攻撃くらいなら、打ち消すことが出来る!!」
そう言うと、安西は迫り来るエネルギーの嵐に、向き合った。
この位置からでは、もうあのエネルギー体の姿を確認することは出来ない。
だが、その絶大なる破壊力だけは、猛悪なまでに伝わってくるのだ。
留美子「安西君、やめなさい! 安西君!!」
安西「うおおお、いけえええ!! オレの魔道具!!」
留美子「安西君!!!」
安西の咆哮と、留美子の絶叫はたばしる光の中に吸い込まれていった――
どれだけの時が過ぎたのだろう。
全てが終わり、物言わぬ死と破壊の後の静寂が支配する空間で、安西は目を覚ました。
安西「こ…ここは……どこだ?」
目覚めた場所は、地獄だった。
視界を覆い尽すのは、瓦礫の山と、いまだに燻る炎、そして数多の死体……
安西「な…なんなんだ、ここは!? オ…オレは何をしていたんだ!?」
これこそ“光界玉”の反作用。安西は、この前後の記憶を失ってしまっていた。
それだけではない。彼はすぐに気付く。漫画家にとって、全てと言うべき物が失われた事に。
安西「な、なんだと!? う…浮かばない……何もネタが!!
いや、それどころじゃない! イメージ出来ない! 漫画を描くという行為そのものが!!」
したらば落ちてる?
見れないの?
つーかこの話はなんだ。
落ちてる。しかしツマンナイな、この展開。
キユドライブから2人分の命を守った代償はあまりに大きかった。
安西は、漫画家にとって必要な、あらゆるスキルを失ったのだ。
留美子の安否を気遣う暇もなく、巨大な絶望が安西にのしかかる。
そのときだった。安西の前に、“悪魔”が降り立った。
??「やあ、大丈夫かい、君」 その“悪魔”は人の形をしていた。
何かのゲームのキャラのような、黒いコートを羽織った長髪の男だ。
瓦礫の山の中で、しかしその男は春の草原にいるかのようにたたずんでいた。
安西「誰だ……おまえは……」
衝撃から覚めやらぬ安西が、惚けたように言った。すると、男は答える。
??「ボクの名前は、矢吹健太朗。ジャンプで連載している作家のひとりさ」
渦のような瞳をした男が、そう名乗った。
矢吹「お互いエライ目にあったねえ。君のことは聞いているよ、安西君。
なんでも、サンデー始まって以来のパクリ作家だとか」
呵責ない言葉に、状況も忘れて安西は激昂した。
安西「なんだと、テメエ!!」
矢吹「おおっと……悪い悪い。別に、ケンカを売ってるわけじゃないんだ。
いや、むしろその逆さ。ボクは、君のような作家を捜していたんだよ」
安西「!!??」
矢吹「クク…今の君は……とても“いい目”をしている。
何も持たない……何のオリジナリティも持たない者の目だ。
人は大抵、何かひとつぐらいは“個性”を持っているものだが……
今の君にはそれが見事なまでにない。すばらしい…サイコーだよ!
“そんな目”をした人間に巡り会えるなんて…!!
今日は、なんてすばらしい日なんだ、アハハハハハ!!!!」
狂笑する矢吹に、安西は言った。
安西「何が……言いたいんだ、テメエ……」
すると、矢吹は小さな小ビンを、安西の前に置いた。
安西「!? なんだ、こりゃ……」
矢吹「“神氣湯”さ。本来は、別の効力を持つ物なのだが……これはボクが改良した特注品でね。
君の中に眠る、“パクリ作家の種子”を萌芽させる物さ」
なんか悪い感じで突き抜けた作者ですな。
他の書き手の人も混乱するだろコレ
キユドライブが発動したときは、矢吹も、恐怖と戦慄を覚えていたのでは・・・。
何だこの展開は。何だこの状況は。何だこのサイコな同人的矢吹は。
この書き手は過去スレを見ているのだろうか・・お痛がすぎるよほんとに
ええと、とにかく、議論は現行スレでやるべきではない。
見守りつつも移動したほうがいいと思われ。
過去スレって長々と生きてるもんなんだね。スゴイ。
安西「なんだと、馬鹿な! 誰がそんな物を……」
矢吹「おや、飲まないというのかい? だけど、君はどうするつもりだ。
今の君は抜けカスだ……漫画家としての全てを失っている。
そんな君が、この先、どうやって漫画を描いていくつもりなんだ?」
安西「そ…それは……」
安西が言葉に詰まった。
矢吹「パクリ…剽窃というと聞こえは悪いけどね。ボクは、別にそれほど悪いことじゃないと思ってる。
だってそうだろう? この世に“本物”なんて呼べる物が、いったいどれだけあるというんだい?
ないよ、そんなものは。創作者というものは、全てが何かを“参考”にしたり、
既存のネタを組み合わせたりすることで、自分の作品を作っているんだ。
ところが最近、どうも“パクリ”という言葉が流行っていていけない。
昔にも、そのテの事例は多々あったのに、なぜ今になって糾弾される?
笑わせるよ。読者は、ちょっとでも共通点があれば、それをすぐにパクリと見なす。
パロディやオマージュの意味すら知らない者だって、ゴマンといる。
安西君、こんな現状を君はどう思う? 覆したいとは思わないか?
ボクらをパクリと蔑んだ者たちを見返したいとは思わないか?」
“神氣湯”のビンを目の前にしながら、安西が息を飲む。
矢吹「まあ、どの道、君に選択権はないと思うよ。
漫画を描けない漫画家なんて、死ぬしかない。
漫画を描く以外に、何の取り柄もないのがボクたちなんだからね。
さあ、君はどうする? 選択を聞かせてもらおう。
全てを失うか? それとも、全てをパクってでも、漫画家として生きるか?」
悪魔の囁きに、安西の思考がグルグルと回る。
自分をパクリ作家と嘲る読者、作家。全ての者が自分を嘲っていた。
全てが敵になったような錯覚が、安西を支配していた。
そうだ、読者が全て悪いんだ。あいつらは、共通点があればパクリパクりって……
吹き込まれた言葉が、安西を染めていく。黒く、黒く。
そして、安西は決断した。
引っつかむように、小ビンをとった。それが、安西の魔道への第一歩だった。
>211
これを見守れと・・?
八部に逝くか11部に逝くかどっちか決めましょう
まぁ、終わるまで待とう。割り込みにくい展開だし。
矢吹はキユドライブに戦慄したはずじゃ・・・
一応過去スレによるとその後キユと戦って勝ったけど勝因はキユの力が尽きたからだったらしい。
当時はまだロックパワーも完全じゃなかったんだな…
で、その後十年間封印されていた。
根本的にここのレスが増えているのは別に、したらばが落ちたからでは無いと思う。
とりあえず行くのなら埋め立ての意味も含めて八部でいいんじゃないかな。
何にしろ、ここで議論は良くないでしょう。
ていうか、終わったんか?>作者
中途半端な展開がダラダラ続いてるから判断しづらいぞ。
議論ッつーか、公開処刑が始まる悪寒。
一方、留美子はようやく目を覚ましていた。
留美子「ここは……」
しばし目をしばたかせた後、留美子は我に帰った。
留美子「そうだ……安西君は!?」
見回すと、ある瓦礫の山の一角。そこに、黒い影が立っていた。
目が縦にいくつも並んだ模様の刻まれた、仮面をかぶった男が。
留美子「安西君? どうしたの、その格好……」
仮面で顔は分からないが、服装が同じな為、それが安西だということは分かった。
すると、いきなり仮面をかぶった安西が哄笑を始める。
安西「ククク……ハハハハハハッッッ!!!」
留美子「!?」
留美子は困惑した。
その声が、とうてい安西と同一人物とは思えないほど、ドス黒い殺気に満ちていたからだ。
刹那、安西の掌から、黒い何かが飛び出した。それは龍を象った炎。
それも、安西の持つ火竜ではない。もっと禍々しい黒龍だ。そう、これはどこかで見たような。
留美子「これは冨樫先生の邪王炎殺……」
言うが早いか、ある場所が炎上した。それは、まだ息があった者がいた場所だ。
生きていたはずの人間が、一瞬にして黒いシミと化した。
留美子「!!」
安西「ククク……素晴らしい。パクリとはこんなに素晴らしいものか……
ああ、留美子さん、オレは目が覚めたよ。オレはパクり作家として生きる。
この絶大な力を持って、オレをコケにした全ての連中に復讐してやる!!」
留美子「何を言っているの!? 安西君、止めなさい!!」
狂気に走った安西を止めようとする留美子に、安西は黒龍を向けた。
安西「邪王炎殺黒龍波!!」
とてつもない黒炎の渦が、安西の腕から開放された。
その一撃に、留美子はあえなく吹き飛ばされ、地に叩きつけられる。
消し炭にはならなかったものの、その火傷は、普通の者ならとっくに死んでいてもおかしくない。
留美子「ぐっ……安西君、なぜ? なぜなの……」
その言葉を、留美子は最後まで言えなかった。その胸を、背後から剣が貫いていたからだ。
矢吹「ダメだな、安西君をたぶらかしちゃ。悪い魔女は退治しないとね」
留美子「がはっ……」
胸と口から盛大に血を吐き、留美子が崩折れた。
その霞んだ目に映るのは、自分を見下ろす安西と矢吹。
何も理解できぬまま、留美子は意識を失った。
安西「殺したのか?」
矢吹「いや、彼女は不死身の肉体を持っている……この程度じゃ死なないさ」
安西「殺さなくてもいいのか?」
矢吹「おやおや、君も言うな。パクリとはそこまで人を変えるものかね?
まあ、殺しはしないよ。もっと面白い事を思いついた」
そう言うと、矢吹は先程の“神氣湯”を取り出すと、留美子の口に含ませ、嚥下させた。
安西「何をしている?」
矢吹「彼女にはパクリ作家の種子はない……だが、この薬は人の秘めたる黒い衝動を顕在化させる。
さて、殺伐とした漫画に疲れた彼女の場合……何が起こるか」
安西「回りくどいことが好きな野郎だ。邪魔なら、殺せばいいだろうに」
矢吹「まあ、そういうな。これが後々、役に立つのさ。ボクと、そして君との覇業のね」
安西「覇業か……オレは何をすればいい?」
矢吹「とりあえずは、何も。ただ、ボクとは逐一連絡をとれるようにしてくれ。
いつでも事が起こせるようにね。これからは忙しくなる」
安西「そうか。では、オレはこれで行く」
そう言うと、安西は瀕死の留美子を背負い、歩き出した。
魔道へと。
そして、それを見送る矢吹は呟く。
矢吹「ここから、ボクの覇業が始まる。キユ……君の犠牲は無にはするまいよ。
たとえ、どれだけ後世の者に忌み嫌われようと、ボクは新たな秩序を打ち立てる」
平静さを装っていたが、手が震えている。恐るべきは、戦慄をここまで押し隠す精神力。
矢吹「まずは、ここからだ」
独白を終えると、矢吹は行動を開始した。
矢吹と安西。2人の行く道が、決定した運命の日であった。
そして、時は現代に戻る。
終わりです。
途中の反応見て外したと思いましたが、ケジメとして最後まで続けさせてもらいました。
このスレを汚すことになってしまい、大変申し訳ありません。
このスレに書き込むには、もう書き込みません。
大変、すみませんでした。
安西「椎名、留美子さん…下がってください…俺の過去に何があったか知らねえ……。
だけどな……。
仲間を傷つけた事実……。仲間を裏切った事実は消え去りはしねえ……。
だから……俺が戦うしかないんだ。」
戸土野「あん?今更…正義の味方になったつもりか?まあ良い……何を失うかは知らんが……終わるな貴様は。」
戸土野はそう言って、ビームライフルのトリガーを引いた。
カチッ、カチッ。
戸土野「あれ?」カチッ、カチッ。
カチッカチッカチッカチッカチッカチッカチッカチッカチッカチッカチッカチッ!
戸土野「安西何をしたぁぁぁぁ!」
安西「何もしちゃいないが……。」
感情のこもってない声で安西が呟く。
椎名「ひょっとして……弾切れって奴じゃないでしょうか?」
全員「………。」
戸土野「ならば、格闘戦でけりを……。なに!動かん!この王者のゴールドフレームが動かんだと!!」
戸土野が前の画面を見たら、原因はすぐわかっただろう……電力切れ。それが止まった原因であった。
椎名「これは……チャンスやぁぁぁぁ!安西!すまんが割り込ませてもらうで!」
安西「おい!これは……」
椎名「サァァイキィィィクソォォォォォサァァァァアァァ!乱れ撃ちぃぃぃぃぃ!」
椎名の腕からおびたただしい量の光の円盤が出てきて、ゴールドフレームに向かう。
戸土野「無駄ぁ!」
瞬時にして、全ての光の円盤が消える。
椎名「……何が起ったちゅうねん!」
安西「まさか……あいつ……。
光 界 玉 さ え も パ ク っ た の か !! 」
戸土野「ふふふふ、正解だよ……安西……。素晴らしいぞ!素晴らしいぞ!!この能力!!」
戸土野の高笑いが、Aブロックに鳴り響いた。
星明かりだけになった、でっかいでっかい空が、
世界中の宝石を黒い布に散りばめたようにとても美しく。
どこから調達したやら、日本酒の瓶が1ダース程温泉に沈めてある。既に何本か空になっている。
それらのお陰ですっかり酔いの回った魔人・梅澤。その横でふざけてお湯をかけあっている、
“元”の肩書きが付きそうな事を知らない横山十傑集の呑気な2人・福地と高橋しん。
雰囲気につられてか、森のどこからかたくさんの小動物がやってきた。
ここは天然露天風呂IN鹿児島。
ささくれ立った戦士たちの心と身体を癒してくれる、温もり。
「・・・・なんだな、たまーにはこんな日があっても悪かぁねえな。
ま、たまにあるからいいんだろうけどよ。・・・・酒はいい。何もかも忘れさせてくれやがる」
いつになくしんみりと、空の宝石群に向かって呟く梅澤。
彼の心は、過去を紡ぐ風に向かって飛んでいた。
――矢吹・・・奴は人間の温もりを知らない・・・
「 デ ス ト ロ ――――――― イ
パクリ漫画家及び電波漫画家は皆殺し!!! 」(第5章)
――車田・・・俺、そもそもなんでバガボンドチームで出てたんだっけ・・・先鋒だし・・・
「 観客の女、こいつを人質にッ・・・・ (船外に吐き出されて“お星様”になる)」(第3章)
――キユ・・・おめーの巻末コメント攻撃、最高にロックだぜ・・・
「 増殖するガン細胞。おまえらの生きてていい
場所なんて、地球上どこにもないんだって事
を思い知らせてやりますよ山崎先生?<キユ> 」
何人かの顔を瞳の中に写しながら、しみじみと酒瓶を見つめる梅澤。
「・・・・・・ん?なんか今思い出したな。酒・・・酒盛り・・・誰だっけ?」
記憶の底辺にチクチクと刺さるものがある。酒がキーワードのようだ。今みたいに、
何のしがらみもなく誰かと楽しい酒を飲み交わしていた、そんな感じの≪思い出≫だ。
「何悩んでるんですかー梅さん〜。鹿児島くんだりまで来て仕事の話はナシですやぅ」
ヘベレケに酔った福地が妙な踊りをしながら梅沢の元に近づいてきた。と、梅澤の表情が変わる。
「鹿児島?・・・あーあいつだ!!あの底なしザル男!!あいつとまだ決着がついてねえ!!」
ザバーッと豪快にお湯を岩壁の外に溢れ出させながら梅澤が立ち上がった。
そのせいでお湯の量が減ってしまい、動物もビックリして何匹か逃げてしまった。
高橋しんが波に流されひっくり返っている。そんな事にはお構いなく、梅沢は吠え続けた。
「にわの!にわのまことだ!俺とプロデビューが近かった男だ、俺の昔の飲み友達だ!!」
――まだ梅澤が一介のSF&ファンタジー作家(実は梅沢作品の8割方はこれ)だった頃の話。
明日のジャンプ界を背負うため、若手の漫画家達は共に切磋琢磨し競い合っていた。
しかしひとたび原稿用紙を離れれば、同じ夢を追いかける戦友(とも)だ。友と飲む酒は格別に美味い―――
「あの腐れ能天気男・・・あいつもいいかげん楽しいバカだったけどよ。
俺は当時の仲間と戯れで酒の大飲み大会を開いたんだよ。優勝商品は俺が用意した最新型テレビでよ。
俺には負けねえ自信があった・・・しかし奴は!!〜〜あークソッタレあのテレビ高かったのに!!
まだ若手で金がなかったから、大会後の生活はズタボロだー!!思い出したら死ぬほど悔しくなってきた・・・
今度どっかで遭ったらぜってぇーーーーー俺が勝つ!!そのために今から酒呑みの特訓だクソッタレーー!!」
れ〜れ〜れ〜・・・(こだま) 本気で悔し涙を流す熱血魔人が、そこにいた。
「肝臓、壊しても知らないッスよぉ〜」
あ、章じゃなくて部か・・・
ちなみにキユ編は第9部でしてんノホホホ
大荒れに荒れた後に、マターリ展開。
(゚∀゚)イイ!
そういや、別府は最高だったな。
ザクザクザクザク。チャンピオンチーム一同が、スコップを持ってボールを取り出そうと躍起になっている。
戸田「ようやく、掘り起こしたぞ!!」
汗を拭きつつ、戸田が叫ぶ。
水島「結構疲れたわ……。まあええわ。戸田、次は御前が投げい。」
戸田「俺か?良いぜ……。わかった。」
旭「きちんとかんがえてなげろよ。」
戸田「OK、OK!!」
手をひらひらとさせながら、戸田が言う。
戸田「てめーが何者かはわからんが……行くぜ!!」
鈴木(さっさと気づかんか!この馬鹿!)
戦う「こちらも全力でバットを振るまでだ!!」
戸田「考えて投げろと言われたからな……だが俺は考えるのは苦手だ!」
旭「おーい。」
戸田「だから、こいつに考えさせて、投げる!!ビバ・ノウレッジ!!」
その瞬間、戸田の後ろに巨大な脳型のアルターが出現した。
戸田「ありとあらゆる知識を吸収する能力を持つこのアルター、果たして止められるかな?」
戦う「知識を吸収する能力か……貴様は一つ見落としていることがある!」
戸田「なにっ!!」
戦う「貴様は俺のことを知らん!!だから……知識を吸収される前に打つ!!」
戸田「……できるかな??」
チャンピオンチーム一同(気付よ!)
戦う・戸田「どちらにしろこの勝負!一球勝負!!ストライクやボールなど不要!!」
戦う「ふふふふふふ。」戸田「くくくくくくく。」
戦う・戸田「勝負!!」
戸田がアルター化した右手をしならせて、オーバースローで投げる。
ズビシッ!!戦うマンの腰にボールが当たる!だが戦うマンのバットは振られていた。
渡辺「ストライクゥ!」
戦う「ストライクではない!アウトだ!!」
渡辺「何?」
戦う「男と男が約束して1球勝負と決めたら、1球で決めるのが道というものであろう!」
渡辺「うむ、わかった!!アウトォ!!」
戸田はがっくりと膝をついていた……。
戸田「何故だ!何故貴様はあの球を避けなかった!?」
戦う「確かに、あそこで避けようと思えば避けれた……だが……それは俺は本当の勝負ではないと思ったから!バットを振ったのだ!」
戸田「……おもしれえ奴だ。また勝負したいぜ!!」
戦う「9回の裏で決着をつけようではないか!!」
戸田「おうよ!!」
そして二人は、それぞれのベンチに戻っていった。
8回の裏。えなりチーム3アウト。
チャンピオン 2 ー 3 えなりチーム
次回打者:佐渡川、水島、松島
うわあ!間違えた!
×9回の裏
○9回の表
です!
モツ
戸土野が理不尽なまでのパクリパワーを発揮していたとき、戦場の隅でそれを見守る影があった。
??「す、すんげえ戦いだっぺ。おら、今にもションベンちびりそうだ。でも、おら頑張るだ、矢吹様のために!」
こそこそと隠れながらビデオカメラを回す影の正体は、矢吹に偵察隊(といっても1人だが)として派遣された、やまもとかずやだった。
それと同時。やまもとからリアルタイムで送られてくるAブロックの映像を、矢吹と久米田は眺めていた。
矢吹「なかなか素敵な展開になっている、が。今、高橋留美子が妙なことを言ったな。
言うにことかいて、この私が安西を洗脳しただと?
・・・・・・ ・・・・・・・・・・・
それも、あろうことか、あのキユドライブの日に?はっ、戯言もここまでくると呆れてモノが言えん!!」
矢吹が怒りをあらわにし、拳で手近な壁を殴り付ける。壁は、まるで発砲スチロールのように砕けた。
矢吹「ふざけるな!あの日に、私がどれだけの恐怖と戦慄を覚えていたか!
鳥山と戦い、力を使い果たしたキユにさえ手こずった、当時の私にそのような真似をする余裕などあるか!」
キユドライブは、矢吹にとっても最大の悲劇だ。それを汚す者は許されない。
久米田「しかし、高橋留美子のあの表情。あれがウソを言っているとも思えませんな。」
久米田の意見に、矢吹は冷静さを取り戻す。
矢吹「それよ、問題は。あの話には、いくつもの矛盾点がある。
・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・
ひとつは、私が安西に初めて会ったのはここ2、3年ほど前だということ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
もうひとつは、高橋留美子はなぜ、気絶している間のことまで知っているのか、ということ。ここに謎がある!」
矢吹「久米田、おまえに訊きたい。そもそも、当時の安西はネタをパクった相手に謝罪するような、殊勝な心構えの男だったか?」
いきなり話を振られ、久米田はしばらく答えに困ったのち、
久米田「・・いえ、あり得ません。現在はともかく、当時の安西は荒みきり、汚れきっていました。
誰かに頭を下げるなど、当時のヤツからは最も縁遠い人物像です。」
同じサンデーの漫画家として、久米田は断言した。
矢吹「うむ、私の知っている安西も、まさしくそうゆうヤツだ。
誇りも信念もなく、ただ自己満足と下らない意地のために、無目的にパクリを繰り返す。
かつてのヤツはそういう男だったはずだ。だとすると、安西がキユドライブ当日、集英社付近にいたことさえ怪しい。
久米田、キユドライブ当日、安西と高橋留美子が本当はどこにいたか、わかるか?」
久米田「お任せ下さい。小学館のホストコンピューターには、
これまでの小学館の漫画家のスケジュールが全て記憶されております。
検索をかければ、10年前の当日、安西と高橋留美子が何をしていたか、一目瞭然です。」
自信たっぷりにそう言うと、久米田は手持ちのモバイルを起動させ始めた。
久米田「10年前の○月×日における、安西信行および高橋留美子のスケジュールは・・え?」
矢吹「どうした、久米田。」
甲高い声を発した久米田に、矢吹が訊くと、久米田はうろたえながら、
久米田「こ、こんな馬鹿な!?データがない!キユドライブ当日のデータだけが、すっぽりと消えています!!」
矢吹「なにィ?どういうことだ!」
久米田「わ、わかりません。私にも何がなんだか・・ただ、10年前のあの日のデータだけが、全て消去されています。
そう、そこだけがすっぽりと、あまりにも不自然に。」
矢吹「見せろ!!」
語気を荒立てながら、矢吹が久米田の手からモバイルをひったくった。
液晶画面に映し出される文字の羅列を、矢吹がなめるように見ていく。
矢吹「・・たしかに、10年前のあの1日の記録だけがない。
ならば、久米田。なんでもいい、当日のことで、何か憶えていることはないか?」
睨らまれ、あわてて当日の記憶を絞り出す。だが、その結果は、
久米田「馬鹿な・・・何も憶えていない?あれだけの惨劇が起こった、あの日のことを何も!?」
突然、パニック状態になった。それを見た矢吹も、ますます混乱するばかりだ。
矢吹「(どういうことだ?コンピューターにも、久米田の記憶にも残っていないだと?
しかも、話を聞く限りでは、安西にも当日の記憶がないという・・
そして、高橋留美子の改ざんされたとした思えない記憶。これはいったい、何を意味する?)」
頭の中を整理するため、矢吹はもう一度、小学館のホストコンピューターの記録を見ていく。
しばらくボーッと眺めていたが、画面のある一点で、その視線が止まった。
矢吹「(なんだ?なにかわからんが、奇妙な違和感がある。なぜ、こんなものが気になる・・・)」
矢吹は、さらにしばらく、その『ある一点』を眺めていた。すると突然、閃いた。
近くにいた一般人の部下に、すぐさま命令を下す。
矢吹「小学館の現在のデータファイルを持ってこい!大至急だ!!」
部下「は、はっ!かしこまりました!」
矢吹が命じてわずかもしないうちに、部下は戻ってきた。一枚のディスクを手に。
矢吹「ご苦労。・・・やはり、そうか。久米田、これを見ろ!」
いきなり矢吹が、ディスクを挿入した別のコンピューターと、先程のモバイルの画面を、同時に久米田に見せる。
久米田「・・これは、現在の小学館の見取り図じゃないですか。矢吹様、これがなにか?」
矢吹「よく見ろ、久米田。おまえほどの男が、何も気付かないのか?」
いぶかしむ久米田だが、矢吹にうながされ、10年前と現在の両方のデータを交互に見比べる。
やがて、久米田はあることに思い至ったのか、驚きの声を出した。
久米田「や、矢吹様、これは・・・」
矢吹「ようやく気付いたか、久米田。そう、それこそが違和感の正体。
・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
10年前にあったはずの地下室が一室、現在の見取り図には記されていないのだ!」
世紀の大発見をしたように、矢吹が大声を張り上げる。
矢吹「資料によれば、現在はないはずの巨大地下室が、10年前の見取り図には記されている。
これはどういうことだ、久米田?
・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・
10年前にあったはずの地下室が、なぜ現在は失われているのだ!?」
矢吹の糾弾にも似た追求に、久米田は冷や汗をダラダラ流しながら、ただ首を横に振るばかりだ。
久米田「わ、私は知らない・・こんな、こんな部屋があったことすら知らなかった。
し、しかし、現在は使われていないので、封鎖されたという可能性も・・」
矢吹「それこそ馬鹿な!、だ。こんな巨大な部屋が、理由もなく存在していたり、
ある日いきなり使われなくなるはずがない。久米田、本当にこの部屋については何も知らないのか?」
再三にわたる矢吹の質問に、久米田はただ首を横に振るだけ。ラチがあかない。
矢吹「(いったい何を意味するんだ、10年前と現在の、この唯一の相違点は?
待て、ここは落ち着いて考えろ。そうだ、素数を数えて落ち着くんだ。
2、3、5、7、11・・・・・)」
やがて、冷静さを取り戻すと、矢吹は思考を再開する。
矢吹「(そもそも、この部屋の存在目的は何だ?久米田に言ったとうり、
こんな巨大な部屋が、意味もなく存在しているはずはない。
ただの倉庫にしてはあまりに巨大すぎるし、そもそも最下層に設ける必要がない。
・・・待てよ?この部屋、何かに似ている。どこかで見た記憶がある。そう、あれは・・」
そのとき、矢吹の脳裏にある光景がフラッシュバックした。それは忘れもしない10年前の・・・
矢吹「(そうだ、キユ!この部屋は、かつてキユを封じていた『あの部屋』にそっくりなんだ!!)」
矢吹「(可能性はある!集英社にキユが、秋田書店に浜岡がいたのだ。小学館にも、そういう存在がいても不思議はない。
だが、それならば、『この中身』は今、どこに行ったのだ?
ましてや、サンデーの裏事情に誰よりも聡い久米田ですら、記憶にすら残らずに、
封印されていた部屋の存在そのものが忘れ去られているとは、ただごとではない)」
改竄された高橋留美子の記憶、安西と久米田の10年前に関する記憶の喪失、そして地下冷凍施設の消失。
ここから導き出される仮説は、実に恐るべきものだった。
矢吹「(これらは偶然ではあり得ない。おそらく何者かが、あのキユドライブの日に、 小学館地下冷凍施設に封印されていた『何か』を、奪い去ったのだ!
そして、その時に現場に居合わせた者すべての記憶を操作し、さらには、
施設そのものと、当時の全スケジュールを抹消した・・・)」
矢吹「(一切の証拠を残さぬその手際、何者かは知らぬが、恐るべきものよ。
惜しむらくは、一見無意味な『社屋の見取り図』にまでは注意がいかなかったことか・・)」
久米田「・・矢吹様?どうかなされましたか?」
いきなり呼び掛けられ、矢吹はふと我にかえった。
矢吹「いや・・なんでもない。ちょっとした考え事だ。」
久米田「はあ・・」
矢吹「(そう、全ては憶測の域を出ぬ。誰が何の為に、『封印されていた何か』を持ち出したのか、
そして、それに関わった者すべての記憶を操作するとは、いかなる手練なのか?
本当に、そんな者が、存在するのか。そんな者が・・・)」
久米田「矢吹様・・・」
矢吹「おっとすまん、何かな?」
とりあえず、矢吹は思考を切り替えることにした。
これは今、考えることではない。
どうせ考えたところで、結論は出ない。
判断材料があまりに不足しているのだ。
さしあたっては、他にやることがあった。
久米田「Aブロックですが・・・このまま静観なされるおつもりですか?」
矢吹「うむ、今の戸土野は正直、危険だな。まさか、短期間にこれだけのパクリを身につけるとは。よし!」
パチン、と指を鳴らすと、矢吹が命じた。
矢吹「これより、実戦テストを行う!藤田の記憶を元にした、『クリムゾンO』をAブロックに派兵せよ!
目標は、戸土野をふくむ、あの場にいる者すべてだ!」
謎は残った。
だが、今は現状から出来ることをするという、矢吹の峻烈な判断があった。
孤独なる帝王の采配により、Aブロックはさらなる混沌を為そうとしていた。
あっあの矢吹タソが素数をまちがえてない!!
しまった、爪が甘かった!w
クメタン帰ってきたのね〜ヅラ地獄以来じゃのう
おつかれさま
高橋(よ)「む、そう言えば、戸土野。何故レッドフレームをパクってゴールドフレームが出てくるのだ?」
戸土野「ん?」
動かないゴールドフレームを四苦八苦して動かそうとする戸土野に高橋よしひろが聞く。
木城『ああ、それは私の方から答えます。』
戸土野「こちらからも、いくつか聞きたいことがある。さっさと教えろ。」
木城『いくら、巨大ロボットに変身したからって、戸土野君の体はイマジノス体です。ですから想い一つで体の色を変えることができるんです。』
高橋(よ)「だったら、何故金色なんだ!!」
木城『そのあたりは、個人の好みなんでしょう。そうそう気にすることはありません。』
戸土野「ふん、確かに王者の色にふさわしいからな……。それにあの馬鹿と同じ色の機体に乗るのはやめときたい。」
木城『その気持ちは、よ〜くわかります。でそちらからの質問は?』
戸土野「肝心のゴールドフレームが動かんのだが……。」
木城はしばらく画面を見て答えた。
木城『電力切れです。全く電池だけで動くなんて、なんて非常識な機体だ。』
戸土野「ちっ……。意外と使えん機体だ……。」
木城『まあ、良いじゃないですか、自分の能力を確かめられて。』
戸土野「ふん、それもそうだが、この破壊力、防御力、機動力は素晴らしい。捨てるのは惜しいな。」
木城『ぎゃははははは、そんなの気にせず、どんどん新しい能力をパクっていけば良いでしょう。』
戸土野「それも、そうだな……。もしかしたらほかの能力をパクれるかもしれん。
確かに重要なことを忘れていた……。失礼する。」
そう言って、戸土野はゴールドフレームのハッチを開いて外に出た。
木城(戸土野は確かに強い……だが、このままではゴッドハンドに対抗するにはまだまだだ……。)
木城はそう言って、コンピューターで検索をする。
岡本「木城、何してるにゅ?」
木城「戸土野の為に強い漫画能力を探してるんです。」
そう言って、いろいろ検索をかけていると木城の目を一際きわだたせるサイトを見つけた。
木城「全マンガキャラクター最強議論スレッド?」
岡本「おもしろそうにゅ……見てみるにゅ。」
人大杉。そのような表示が出てきて、表示されないことを示す。
木城「これは、私への挑戦ですね……表示されるまで…リロード、リロード、リロードォ!」
(よい子の皆さんは決して真似しないでください。)
木城「……ようやく表示されましたか……このxxxって所……私を馬鹿にしてるのでしょうか。」
岡本「疲れたにゅ。何が表示されるにゅ?」
木城「ふむ……読む限り……この五つの力は……とても使える……。
全知全能の能力……。一つ例外が有るが……。これらの能力を戸土野がパクれば、ゴッドハンドでさえ敵ではない。」
岡本「それはすごいにゅ!!でどいつがもってるにゅ!!」
木城「いま、調べます……。また変な表示がでた〜!!リロード、リロード、リロードォ!!」
(画面の前の皆さん、たとえ何があってもやってはいけません。)
木城「この裏五強の能力……。これを全て手に入れたら、ゴッドハンドが束になっても敵わないはずだ。」
岡本「それほど、すごい能力にゅ!!」
木城「ええ……最強の能力者の集まりと言うだけあって……無茶苦茶な能力ばかりある!!」
岡本「それはすごいにゅ!最高にゅ!!」
木城「まず、神帝ブゥアーの力を持つ男……。長谷川裕一という人物が書いた奴らしいですね……。」
岡本「そいつは、そのハセガワユウイチはどこへいるにゅ!」
木城「……マガジンZチーム控え室で、MONSTERに襲われ死んでます……。」
岡本「にゅ〜。役立たずにゅ!!」
只今、月に向かってエクソダスしているのだが、そんなことは知らずに、徹底的に馬鹿にされる。
木城「次に……このサノスってのはアメコミのキャラみたいですね……。知ってる人少ないでしょうし…、パスしましょう。」
岡本「にゅ〜。」
木城「次の、ラ=グースってのはゴッドハンドの石川賢って奴のキャラですね……。これまたパクルの大変そうだ……。」
岡本「まったく、大変な奴ばかりにゅ!!」
木城「次のラッキーマンは……ガモウひろしと言う奴の作品です。どこへいるかは不明ですが。」
岡本「探すのが大変にゅ。」
木城「そして、最後……。天照大神の能力……。これの力の持ち主は……永野護!!」
岡本「そいつは……。」
木城「こいつはまだ生きている!!えなりチームと協力をして……そして去っていった!!」
岡本「こいつを探し出せば良いのかにゅ!!」
木城「幾つか使えない奴がいるのは困ったことだが……2つ3つでも十分強い!!」
岡本「よーし、侵入者を排除したらそいつを探しに行くにゅ!!」
二人はそう言って手を取り合った。
宇宙逝っちゃうのかよおい・・・話のスケールがえらい事に・・・
>>245 もう行ってるじゃあありませんか
ザキと冨樫が
あ、あとにわのも
>246
あ、そういや梅澤も宇宙から落ちてきたんだった。
既に大気圏は当たり前のように突破していたのか・・
スパン! ミットにボールが収まる、心地いい音が響いた。
あだち「ストライク!!」
チャンピオンの9番バッター・佐渡川を前に、荒木が疲弊の極限にあった。
すでにこの試合では、スタンドパワーをあまりに酷使しすぎている。
だからこそ打たせて取るピッチングに変え、それでも後3人を相手に投げられるかどうか。
そんな状況にあって、このストライクは荒木にとって決して良い結果とは言えなかった。
一方、佐渡川もイライラしている。バット(岡持ち)を振れないのではなく、振らないのだ。
例によって、水島の策略である。とにかく球数を投げさせて荒木の疲労を誘う腹だ。
佐渡川「(たしかに、ダンナの言う通りさね。相手が弱ってようが関係ない。ただ全力を尽すだけさ)」
荒木「(まずい・・・上手く呼吸が練れない・・・だが!)」
残る精神力を振り絞り、魔球『香辛少女』を投げる。
だが、またしても佐渡川は振らない。ツーストライク。
荒木「(おそらく・・これが俺の使える最後のスタンドだ。せめて、このバッターだけでも打ち取る!)」
佐渡川「(次が最後の一球!荒木にもう最後の球はない!ここで打つ!)」
水島「(まだ打つんやないぞ、佐渡川。見送れ。
そうすれば、ワンアウトと引き換えに、荒木はリタイアや)」
それぞれの思惑が球場を駆けめぐる。そして、最後の勝負が始まる。
荒木が振りかぶり、投げた!
水島「あかん佐渡、打つな〜〜!!」
佐渡川「いいや、限界だ!打つね!!」
武闘派としての本能が、勝負への欲求に耐え切れなかった。
佐渡川の岡持ちが、信じがたい速度で、ボールをとらえた!
佐渡川「ボールが・・柔らかい!ちいい、まだ投げれたのかい!!」
水島「だから、言ったんや、荒木を甘くみたらあかん!!」
荒木「これで、1人目は打ち取ったぞ!!」
コンマ1秒にも満たない瞬間のはずが、それぞれやけに長台詞だ。
それはともかく、『香辛少女』は発動し、ボールはあり得ない弾力でもって、岡持ちにへばりついた。
このままではピッチャーゴロになり、打ち取られる。そう思われた。
佐渡川「だーーーーーーーーーっ!!!」
そのとき、佐渡川が超人的な反応を見せた。
ボールが岡持ちにへばりついた瞬間、渾身の力でもって、岡持ちを放り投げたのだ!
荒木「なにィィィ!?」 ボールを張り付かせたまま、岡持ちは一直線にスタンドにすっ飛んでいった。
弾丸のような速度で飛んだ岡持ちが、スコアボードに突き刺さった。
まだ余白の部分。9回チャンピオン側のボードに、岡持ちがめりこんだ。
やがて、思い出したようにボールがスタンドに落ちた刹那、場内が沸いた。
東『ホ、ホーーーームランッッッッッ!!!!
佐渡川選手、まさかのこの回先頭打者ホームランッッ!!
遂に、難攻不落の荒木選手の牙城を崩しましたあッッ!!
取られたら、すぐさま取りかえす!これぞチャンピオンイズム!!
この試合、最後まで予測がつきませんッッッ!!!』
勝利の味を噛みしめながら、佐渡川がダイヤモンドを回る。
そのとき、荒木が力尽きたようにガックリと膝をついた。
身体中から、すごい量の汗が滝のように噴き出している。
えなり「あ、荒木先生、まさかッッ!」
宮下「『氣』が尽きたとき、大量の発汗をともなうという・・・。
間違い無い、荒木のスタンドパワーは今、尽きたッッ!!」
荒木「(負けだ・・俺の・・・完全な敗北・・・・)」
守護神である荒木が遂に力つき、えなりベンチに暗雲が立ち込める。
そのとき、ひとつの燃え盛る魂が、マウンドに近寄った。
その光景に、沸いていた場内が一転、緊張を帯びて静まりかえる。
すると、マウンドに近付いた男は、荒木の腕をつかんで立たせた。
??「兄弟、おまえはよくやった。後は、俺に任せるがいい」
荒木「車田・・・すまない・・・」
東『おおーーーっとおお!!荒木選手のピンチに、車田選手が登場だあッ!!
これはひょっとしてえええッッ!!??』
場内の期待に応えるように、男・・車田が言い放った。
車田「そうだッッ!ここからの相手は、兄弟の代わりに、俺 が や る ッ ッ !!」
佐渡川さんが活躍した!!
岡田「車田兄貴!ついに、車田兄貴がマウンドに立つのか!!」
車田の舎弟・岡田は思わず興奮気味に声がうわずっている。
大和田「フッ、車田。おまえの球をまた受けることが出来るとは思わなかったぞ」
車田「フッ、大和田。こうしてまた、おまえとバッテリーを組めるとはな。
さあ、この手でもう一度、青い鳥をつかまえるぞ!!」
大和田「フッ、望むところよ!」
荒木「あの2人・・・知り合いなのか!?」
ベンチに引っ込んだ荒木が、かすかに驚く。
??「車田先生は昔、エースで連載を持ってましたからね。
あの2人は、その時に、エースの野球チームでバッテリーを組んでたんですよ」
突然、思わぬ方向から返事がきた。
慌てて荒木が振り向くと、そこには頭にターバンを巻き、杖を持った男が立っていた。
荒木「君は・・・」
荒木は、その男に見覚えがあった。
??「久しぶりですね、荒木先生。先の試合以来です」
男は、エース戦でえなり達を苦しめた、吉崎観音であった。
荒木「久しぶりだな、あの時はキミタチに随分苦しめられた。それで、ここには何をしに?」
吉崎「実は、大和田に頼まれましてね。ある物を取りに行っていたんですよ。
まったく、彼と来たら自分のチームには参加しなかったくせに、こんな所で出てるなんて。
しかも、偉そうにボクをパシらせるし・・・・・」
なにやら、色々とたまっていたらしく、吉崎が愚痴をこぼし始める。
荒木「で、持ってきたものってなんだい?」
荒木がそう訊くと、吉崎が我にかえり、答えた。
吉崎「ああ、これですよ・・・・」
そう呟いた吉崎が引っ張ってきたものは、台車に乗せられた岩だった。
荒木「・・・これは?」
荒木が胡乱げに訊いた。その目は岩に・・正確に言うと、岩に突き刺さった『ある物』に釘付けになっていた。
吉崎「これがエース創刊から伝わる、伝説の武具。
選ばれた者にしか引き抜けないという、いわくつきのシロモノです」
吉崎が言う間にも、荒木の目は『それ』から離れることはなかった。
まこリン宇宙行ったんかいΣ(・Д・ノ)ノ
まだ大気圏突入しかけたり時空飛んだり巨大化したり
光速バイクに乗ってるだけで宇宙は行ってませんよぉ
(´-`).。oO(行ってもおかしくないなアレは・・・)
>>253 えぇ!?行ってなかったか・・・
でも、行ったようなもんすよ、それw
苦悩の表情を浮かべる矢吹。それを感情のない眼で見守る久米田。
そこへ一匹のお客さま。久米田冷やかしについてきた“黒猫”クロこと横内なおきであった。
高級な革椅子に背もたれる、矢吹の膝上にチョコンと乗ってニャーと鳴く。
筆談可能なひねくれ猫・横内は、どうやら命の恩人に対して『だけ』は従順らしかった。
「・・・クロ、よく来たな。すっかり元気になって何よりだ。
・・・お前、サイボーグ手術はどうした?見たところ普通の猫と変わらんが」
久米田がギクリと冷汗をかいた。表情を固くしたまま後じさり部屋を辞そうとするも、
矢吹VIPルームの鍵はしっかり閉じていた。とりあえず物陰に身を隠す。
「そういえば何で久米田がここにいるのだ?あれは確か【手塚国光殺人事件】を、
解決するための探偵漫画家連中を柳田と共に捜していたはずだが・・・あ、俺が呼んだのか」
久米田はとりあえずコケた。クロがニャハハと変な鳴き方をした。
ふと、矢吹が溜息をつく。そしておもむろに黒猫の背をなでながら、つぶやく。
「・・・この大会が終わって、色々仕事を片付けて、時間が出来たら。
たまには南の島か温泉か・・・どこでもいいな。遠くの町で休暇を取ろうか、クロ」
「みゃー」
疲れたような表情の矢吹の背中が、久米田にはいつもより少し小さく見えた。
と、そこへ久米田を呼び出す携帯の着信音が部屋中を席巻した。
≪ちゃららー♪(運命)≫ビビッて衝立から飛び出し、慌てて携帯を取る久米田。
「(小声で)は、はいはいこちらクメタン・・・何、柳田が島の運営ほったらかし?
島に乱入した部外者の鎮圧に回って帰って来ない?あいつ給料三ヶ月没収!
・・・え?それと、探偵漫画家のひとりの所在がつかめそう・・・誰?ガモウ?
知らんな〜そんな探偵。とりあえず柳田を呼び戻してから会議ね。ヨロシク。じゃ!」
さっさと携帯を切ると、猫と戯れる矢吹の元に報告に向かった。
砂浜からやや内側に入った小高い丘。
火災現場から2キロも離れていない危険地帯。
上着を脱いだ猿渡と、舌なめずりをする鈴木≪リバース≫。
巻き添えを食う形になり悩むように腕を組む松江名審判。
彼らを遠巻きに見つめる青山。
これはただの“ケンカ”。
乱闘。三つ巴の争い。
決着方法は誰にもわからない。
地震が何度も起きたが、彼らは気がつかない。
猿渡の拳と、鈴木の足と、松江名の両腕が交差する。
戦いは始まったばかりだ。
岡野に変身学ランを装着させるのを諦めた本宮は、
とりあえずバッヂだけは渡して改めて川原と岡村を捜し始める。
砂浜には不気味な黒い足跡。これらを追うも途中で波に洗われ消え去っていた。
と、大きな崖を挟んだ向こう側の浜に行けそうな(気がする)洞窟を発見する。
期待を込めて2人は穴の中に消えた。
森田は制止する医療班を振り切る形で、
本来入場権利のない≪非戦闘区域≫を立ち去った。
断続的に地面が揺れ、心なし隆起したり陥没したりする足元に気をつけながら歩み行く。
彼の試合はこれからが本番であった。
そして誰も知らないところで、巨大芋虫とヒラマツの悲惨な徒競走が続いている。
炭鉱跡の横穴を必死に逃げ惑う覆面レスラー、そして前脚で穴を掘り彼を追いかける白い蟲。
横穴はほんの少しずつ、上方に傾き始めていた。奇妙な地震は、当分収まりそうになかった・・・。
安西「とりあえず、だ……」
椎名「ああ、とりあえず……」
二人の戦士は、戸土野を見据える。強い瞳で――
二人「「アイツを倒す!!この俺が!!!」」
安西「戸土野を倒すのは俺だ!話の流れからしても!!」
椎名「譲れんなァ。やっときた活躍の場だ、俺が倒す!!」
二人とも、自分が戦いたくてしょうがない。当然である。
安西は、過去の清算。
椎名は、あの巨乳を揉むため。
お互い譲れない――
金田一「勝負なさい・・・・・・」
安西「うをわっ!!?」
金田一がいた。いつもながら神出鬼没な女だ。
金田一「さあ・・・どうぞ」
口を開けて、二人を招き入れる。中で戦い、決めろというのか。
安西「歴史は繰り返す、か・・・」
椎名「お・・・お邪魔します・・・・・・」
戸土野「・・・・・・・・・おい」
金田一は、戸土野の前にちょこんと座っていた。
金田一「もうしばらく、待って・・・」
戸土野「・・・・・・ああ・・・・・・・・・」
戸土野は、何故か動きが取れなかった。
戸土野(何故だろう・・・この女は、パクれない気がする)
戸土野がこの世で一番恐怖するもの。それは、「パクれない存在」である。
金田一なぜかキチャッター
しかし、ここの戦い、マジで先が読めませんな。
原とかミナガーとかハギーとかオサレとか、みんなここに向かってるはずなんだが、今なにやってるんだろう。
一方、安西たちが激闘を繰り広げるAブロックの片隅――藤崎の空間宝貝『化血陣』の中。
矢吹艦からの離脱の準備を進めていた小畑と藤崎の前に、緑と紫のツートン髪で片目を隠した女(?)――
アウターゾーンの著者・光原伸が立ちふさがる。
光原「お久しぶりです。小畑先生、藤崎先生」
小畑・藤崎「いっ・・・いつの間に!?」
光原「さあ・・・その謎の答えはアウターゾーンの彼方にあるといったところでしょうか?」
突然の侵入者に驚愕の色を隠せない小畑。見ると藤崎も前髪を逆立てて驚いている。
小畑(アウターゾーン!?・・・光原先生か!?しかし・・・確か男のハズ・・・)
藤崎(『化血陣』を含む『十絶陣』はわしが意図しない限り、進入も脱出も不可能なはず・・・
光原先生の力は、わしの空間制御力を上回るのか!?しかし・・・この前髪の反応は・・・試してみるか)
藤崎「えっ・・・誰のことですか?おに・・・お姉さん誰?」
小畑「そうだよいきなり。どちらさん?」
光原「・・・下手なお芝居はおやめなさい。藤崎先生、この擬似空間はあなた以外の誰の物でもないはずよ。
そして小畑先生・・・そんな格好をしている人が他にいて?」
光原は冷静に、小畑の『サイボーグハンターZ』の格好を指摘する。
小畑「俺だけか・・・せっかく単行本にも『みんなでサイボーグハンターになろう!!』って書いたのに・・・」
すっかり肩を落としながら、変化を解き元の少年の姿に戻る小畑。藤崎もいつもの道化姿に戻る。
藤崎「そういうおぬしは誰だ?」
光原「あら・・・この格好で解からなかったかしら?ではあらためて・・・
私は光原伸。アウターゾーン――突き抜けた外側の世界の案内人。思い出していただけたかしら?」
小畑「前は違う呼び方してなかったか?たしか『ストー・・・』」
光原「誤解されるから止めたのよ。その読み方は。」
藤崎「ふむ、確かにお決まりのフレーズ。だが、おかしいではないか。
光原先生は男だぞ、ホレこのように・・・」
おもむろに少年ジャンプの1993年5・6合併号を懐から取り出す藤崎。
かつて週刊少年ジャンプには年初の表紙には執筆人の顔写真を掲載するというしきたりが有った。
その多くは礼服姿だったが、その年々の流行に習い、F1レーサーや
ドラクエの勇者の格好をした年も有った。何年経っても容姿の変わらない荒木に、
当時の少年・少女達は「やはり吸血鬼か?」と疑いの眼差しを向けたものだった。
が、そのしきたりも1997年のタキシード姿を最後に終わりを迎える。
その原因は・・・不明といっておこう。そういうことにしといて。
ともかく、1993年のジャンプにはタキシード姿の作者とそのキャラが肩を組んで並んでいた。
藤崎は『綿貫緑丸』と、小畑は『貴花田光司』と、そして光原は『ミザリィ』と――。
小畑「うわ、よくそんなの持ってたな・・・」
藤崎「ちょうどデビュー直後での〜。憧れの鳥山先生と一緒の表紙だったので
うれしくてうれしくて保存しとったのだよ。
・・・とソレはさておき、そこの光原先生の名を騙る女!
わしらの知る光原先生は、このようにれっきとした男性!
女装趣味も無い!・・・無かったハズだ!
何故、光原先生の名を騙る?おぬし、目的は何だ?」
光原「さて、月には様々な魔力が存在すると言われています――。」
小畑・藤崎「・・・シカトかい・・・」
連載中も今も常にアウターゾーンに位置しながら人心を惑わす女(?)――光原伸。
マイペースな彼女の目的ははたして?
∧∧ ,、
(;゜3゜)つ(_j_)<・・・ネタにフォローかたじけないのう〜。
フジリュー お礼に仙桃をやろう。ホレ
金田一の出現で、事態はあらぬ方向に進んだ。
体内で行われる安西vs椎名。そして、正体不明の金田一を前に膠着状態になる戸土野。
その様子を見て、留美子は呆気にとられた。
留美「なんの為に来たのかしら‥‥、彼ら‥‥」
頭を抱えたのは、2人に呆れたからだけではない。戸土野にやられた傷が癒えないのだ。
留美「(まずいわ‥‥、血が足りない‥‥、再生できない‥‥)」
自分さえ動ければ、この事態を一気に打開できるのに。
そういえば、正気を取り戻してからというものの、戦闘面でサッパリいい場面がない。
混濁した意識を必死に揺り起こそうとしたとき、ふいに留美子の体から苦痛が消えた。
まだ本調子には程遠いが、格段に体調が戻ってきている。
片倉「大丈夫かいや、姐さん。あんじょう、気張りや。」
後ろからの声に振り返ると、片倉が掌を留美子の体にかざしている。
片倉「これは俺の能力のひとつで、あんたの自然治癒能力を引き出しとる。
即効性はないが、しばらくすれば動けるようになるはずや。しばらく、休んどき。」
留美「ありがとう‥‥」
この関西弁の男はよく知らないが、どうやら好漢のようだ。
片倉に、留美子は感謝の意を込めて、微笑みを返す。すると、片倉は照れたように鼻を掻いた。
片倉「はっ、よせや。あんたは安西の大事な人みたいやからな、サービスや。」
なにげない片倉の一言。それに、反応する者がいた。誰あろう、金田一である。
金田一「大事な‥‥女(ひと)?」
呟くと、金田一が留美子を凝っと見た。値踏みするような視線。
留美「な、なに‥?」
ぶしつけな視線に耐え切れなくなったのか、留美子が思わず訊く。
しかし、金田一は目を極端に細め、
金田一「別に‥‥」
と呟きながらも、その視線は留美子から微動だにしない。
片倉「(な、なんや、この空気は? 耐えられん緊張感やで‥‥)」
自分の預かり知らぬ所で、水面下の戦いが始まったのを察知し、片倉が冷や汗をかく。
そのとき、その緊張を破る声がした。
高橋(よ)「準備は出来たか、若僧。では、そろそろゆくぞ‥‥」
いいのか!?安西の炎なのに離れて行動できていいのかぁ!?・・・・・・・まあいいか
そういや、そういう設定だったね・・・
すっかり忘れてたーよ。
有賀「……長谷川……月へ行くのは良いが……月はどこにあるんだ?」
長谷川「???どうした、つきはあちら側、大体……。」
有賀「おれはんな事を聞いているんじゃねえ!!月は御前と富野さんのせいで吹き飛んだだろうが!」
長谷川「……ああ、そういう意味ね……なら言い方を訂正するよ。月のあった場所ってな。」
富野「はいはい、ケンカはそこまで。まずは月を直しに行くのが先決でしょう。」
長谷川「まだしばらくかかりますよ……ここまで大型のを航時機(クロノダイバー)じゃ運べないし……。」
ズォン!竜の船が急に揺れる。
長谷川「高速の弾丸のような物がぶつかった!」
吉富「撃墜の可能性は?」長谷川「この程度では、宇宙戦艦は落ちないけど……。弾がなんなのか知りたいな……。」
長谷川はそういって、モニターに外の様子をうかがわせる。
長谷川「人間?危険な物質、細菌等は感知されない……船の中に収納する!!」
長谷川はそういって、小型のMSで三人を回収する。
有賀「こいつ、どっかで見覚えがあるんだよな……。」
長谷川「こいつは、ハオ……ボスチームの一員だ。生命反応は……ほとんど無し……か。
と……こいつのまわりと霧のような物は見えないか?」
有賀「……何言ってる?霧なんてどこに……。」
富野「のような物は俺にも見える……だがなんだ、この霧のような物は……。」
霧「うーん、うーん。」長谷川「うぉ!霧が喋った!」
長谷川は驚くが、姿の見えない有賀には、只長谷川が急に倒れたのようにしか見えない。
霧「ここはどこ?」
長谷川「まだ地球だよ。ハオさん。」
霧「ハオ……って、僕は武井宏之なんだけど……。」
「ぶへーっくしょい!!・・・うー、誰か噂でもしてんのかモン〜」
異次元規格バイク・ジェットモンガロンに乗り、やや空中を浮きながら島を疾走する男。
遠く鹿児島の温泉で勝負宣言されたことを知らない、にわのまことである。
先ほど通りすがりの人間を轢いてから、速度を落としたので未だ目的地は遠い。
ただでさえ入り組んだ地形であるし、目印の月もいつの間にか消えた。
風下に向かっているといっても、バイクに乗れば風など何の指針にもならない。
当たり前のように、道に迷ってしまっていた。本人は気づかない。
もんがーの眼球を模したヘッドライトが頼りなく夜の森を照らす。
似たような山道をグルグルと回り続けていた・・・。
――30分後、さすがに異変に気づいてバイクを降りるにわの。
どこかの崖の頂上から眼下を見下ろす。山火事で森に赤と黒の陰影がついている。
「テヘーまこリンボケかましちゃったぁ♪」ぺろりと舌を出すがかわいくない。
久しぶりに地に足をつけた直後、ぐらりと大きな地震が襲った。
慌ててモンペから防災頭巾を取り出して装着する。特に意味はない。
『まこリンのモンペって魔法のモンペみたいね、何でも出るもの(某映画より)』はともかく、
それは今までにない強烈な振動だった。島じゅうの動物たちが騒ぎ出す。
しかも・・・ただの地震じゃなさそうな気がした。
森の形が心なしか刻々と変化しているのだ。木が何本も倒れたり、外向きにせり上がったり。
危険を感じたので、重量級のバイクを時空の彼方に再送還したにわのは、
≪非戦闘区域≫の大会運営スタッフ達に連絡を入れた。
「もしもしもしもしー!?こちらまこリン。ちょっくらお聞きしたいんですけれどもー!」
地震や山火事の情報を、色々仕入れようと思ったのだが。
どうもスタッフ側でも対応が決まっていないらしく、モバイルの向こうから指令と怒号が聞こえる。
話を聞くに運営責任者の柳田博士が本来の仕事をサボっているらしい。困ったものである。
「んもー、しょーがないなぁ。まあ一勝してるし≪非戦闘区域≫でも冷やかして来るホ」
にわのは第二形態[もんがー]に変身すると、空を飛んで島の中央に向かった。
長谷川「武井宏之っていうと、えなりチームの一員だっけ?それがどーしてこんな所にいるの?」
武井「……まあ、色々あって。」
長谷川「……色々あっては良いけど。ちょっとコンピューターに計算させてみたら、武井さんの寿命はあと2時間も無いみたいなんだ。」
武井「えっ?」武井が凍り付く。
長谷川「なにやら、生命エネルギーが急速に抜けていってるんだよ。おそらく霊体としての活動時間が長すぎたせいだと思う。」
武井「………のぇぇぇぇぇぇぇぇぇええ!!計算違いというのは……」
長谷川「約13,543通りのシミュレーションをしてみたけど、おおよそにおいて2時間後だ。」
武井「………つまり助からないと……。」武井の顔は絶望に包まれた。
長谷川「いや、そうでもない……とりあえずでも良い……仮の肉体でもあれば、話は別だけど。」
そう言って、長谷川はハオの肉体を見る。
武井「でも、その肉体に憑依合体するってのは……さすがにハオの意志を無視してるんじゃ……。」
武井の台詞を遮って、長谷川が言う。
長谷川「死んだ奴は何もできない……。だからこそ……生きてる奴ががんばるしかないんだ……。」
武井「……まだ、ハオの魂は……!!」
長谷川「もう残っていない……。魂にさえ時限装置がついていた……。例えビメイダー(作られた物)の魂でも、消えてしまえば…もう無いんだ。」
武井「そんな……。」
長谷川「だから頼む!生き残ってくれ!どんなにつらいことがあっても、歩みを止めないでくれ!」
長谷川はそう言って、土下座をする。
武井「僕は……僕は……。」
そして、武井は一つの決断をした。
さて、長谷川が武井と話している最中、富士原は通信室で横山と話していた。
横山「……と言うことですので、あなたを十傑集の一人として任命します。」
富士原「ありがたく、お受けいたします。ところで長谷川の方は?」
横山「あの男の方は雑用のままで良いでしょう。まあ何時かは雑用係長ぐらいにはなれると思いますが。」
富士原「………。」
横山「あの男は、ゴッドハンドの様々な仕事(お茶くみ、メカの修理、資料のまとめ、etc…)を一身に引き受ける身。
他に雑用できる人間がいない以上。その仕事につかせるのが適任という物でしょう。」
富士原(すこし、ひどい言いような気が……。)
横山「まあ、そのことはどうでも良いでしょう……。
まずは壊れた月ですが、長谷川が宇宙でのコネを総動員して、修復に当たらせるそうです。」
富士原「はっ。(どんなコネなんじゃ)」
横山「まあ、このスレが終わる頃には戻ってるらしいですが……。」
富士原「そんなに早く!」
横山「……あまり気にしないでください。では通信を終わります。」
横山(しかし……長谷川裕一。奴は本当に神を信じているのだろうか?)
横山(少なくとも、奴は明日を変えようとしている。
今は昔の仲間を殺したことを悔やんでいる……。だがそれは決断した者にしかできないことだ……。)
横山(まあいい、たかが雑用一人……裏切ろうと裏切るまいとかまいはしない……)
横山の思考はそこで止まり、しばしの休みに入った。
>267
×三人→○人間
>270
×今は昔の仲間を殺したことを悔やんでいる……。だがそれは決断した者にしかできないことだ……。)→
○今は昔の仲間を殺したことを悔やんでいる……。考えようによってはそれは傲慢な考えかもしれない。
だがそれは決断した者にしかできないことだ……。)
です。
272 :
月:03/09/17 10:59 ID:5LP1OLa1
冨樫の嫁も向かってるよ(生身で)
よろすく
273 :
狼対狼:03/09/17 16:00 ID:prl4FEeD
闘気が凝縮された言霊が、場を震わす。片倉が振り返る。
片倉「なんや、おっさん。待っててくれたんか。」
高橋(よ)「背を向けている者を引き裂く趣味はないのでな。」
片倉「ええ根性しとるやん、狼のおっちゃん。なんやごっつ燃えてきたで!!」
勝 武 !!!!
片倉「いくでぇ、狼の大将!!!」
片倉が一歩を踏み出した。そのまま目まぐるしいフットワークで高橋の周囲を回り始める。
円の軌道を描く片倉のフットワークが、無数の分身を生み出した。
次の瞬間、幾体もの片倉が、同時に高橋に躍りかかる。
高橋「ほぅ‥‥。」
次々と片倉の手刀が迫った。只の手刀ではなく、一太刀がまるで真剣のように研ぎ澄まされている。
そのあまりに華麗な動きに、留美子は思わず見とれた。
留美「まるで‥‥、舞っているみたい‥‥。」
片倉「剣 牙 演 舞 陣 !!!」
片倉が修める格闘術のひとつ、『剣牙闘技』の動き。絶妙な運足が生み出す間合いは、片倉の絶対空間だ。
手刀の一撃が、高橋の頬をかすめた。刃物で斬りつけられたように、血がしぶく。
高橋(よ)「ふふ‥、なるほど切れる牙を持っている。人の身でありながら、狼を自称するだけはあるな。しかし‥‥」
高橋の動きが加速し始めた。その動きの迅さは、分裂したかと思うほどだ。
高橋(よ)「闘いとは往々にして、格下が格上の周りを回るものと決まっているのだ、若僧!!」
片倉「は、迅い!!」
片倉の攻撃は、どれもかすりすらしなくなった。片倉が遅いのではない、高橋が速すぎるのだ。
目前から消失したかに見えた瞬間、高橋が片倉の後方に回り込んだ。
高橋(よ)「滅法閉眼 破邪暗黒 動蛇龍蓮花‥‥‥‥‥」
片倉「しもた!!」
刹那、高橋が螺旋状に回転し、竜巻きのごとく片倉に突進した。
高橋(よ)「 烈 幻 夢 抜 刀 牙 !!!!」
274 :
狼対狼:03/09/17 18:20 ID:prl4FEeD
高橋の必殺技が炸裂し、片倉は地に叩き付けられ、転がった。
片倉「(こ‥この全身を貫く衝撃は一体‥!?)」
高橋(よ)「いい動きだが‥まだまだ甘いな、若僧」
骨の髄まで浸透する威力に、片倉が激しく咳き込む。
立とうとすると、そこにすかさず高橋が飛びかかってきた。
高橋「とどめだ!!」 片倉「させっけえ!!」
吼えると、立ち上がり様、ものすごい速度の蹴りが宙を裂いた。
しかし、その蹴りは高橋の牙に難なく受け止められてしまう。
高橋(よ)「ノロい蹴りだな。」
嘲る高橋だが、片倉は意味ありげに笑う。
片倉「アホやな、『気付け』や。」 高橋「!!?」
言われて、目の前に巨大な真空の十字架が生じていることに、高橋は気付いた。
片倉のあまりの蹴りの迅さが、巨大な真空地帯を作り出したのだ。
すかさず、片倉がもう片方の足を跳ね上げ、渾身の力を込めてその十字架を蹴り抜いた。
瞬間!!
ハ ン グ ド ク ロ ス ア ー ツ
逆 十 字 闘 技 ソ ニ ッ ク ト ル ネ ー ド !!!!
真空をブチ抜くことによって発生した巨体竜巻が、高橋を呑み込んだ。
高橋「うおおッ!!?」
ものすごい激風に、高橋の体が宙に舞い上げられる。
しかし、高橋はあえて流れに逆らわず、その中心に身を置くことで、被害を最小限にした。
それでも、ソニックトルネードの威力は凄まじく、高橋の体から浅く血がしぶいた。
高橋(よ)「凄まじき蹴りよ‥‥予想以上に出来るな貴様。これは存外に面白い戦になりそうだ‥。」
片倉「(なんちゅう身のこなしや。はっきし言って実力では、ヤツのが数段上や。
こいつは、しんどい闘いになりそうやで‥‥。)」
頭ではそう考えつつも、その顔には楽しそうな笑みが浮いている。
片倉「けんど、ワクワクすんのはなんでや!!!!」
叫ぶように言うと、片倉が銃のシリンダーを象った手袋をはめた拳を、高橋に突き付けた。
片倉「でぃんジャラスやで、このケンカ!!!」
275 :
鬼が来る:03/09/17 18:56 ID:prl4FEeD
片倉と高橋よしひろの闘いを、戸土野はあぐらをかいて見ていた。
戸土野「ふん、どちらもパクリがいのある動きしやがる‥‥、あの犬ッコロの技は人間体だと使いづらそうだが‥‥。」
戸土野は退屈していた。戦おうにもパクろうにも、相手がいない。
高橋留美子はまだ重傷で動けない。技をパクるか、あるいは安西に絶望を与えるか、
そのどちらも、この状況では出来ない。
つまり、留美子を今たおすことは、戸土野にとって何の意味もないことだった。
そして、残るは正体不明の金田一。こいつにはなぜか潜在的恐怖を感じる。
矢吹に迫る勢いのパクリパワーを持つこの男も、パクれない相手はどうしようもない。
ここは出直すか‥‥、そんなことまで考えたとき、木城からの通信が入った。
木城『戸土野君、朗報です。まもなく、その場所に、強大な力を持つ漫画家が来ます。』
戸土野「本当か!? そいつは、本当に強えんだろうな?」
木城『はい、その気になれば星すらも砕く男ですよ、彼は。』
戸土野「本当かよ? そいつは豪気な話だな。で、あとどのくらいでそいつは来る?」
木城『彼の位置は‥‥、おや、相当速いですよ、これは。距離にして、300メートル、いや240‥‥。』
そのとき、気のせいか、戸土野は音を聞いた。迫り来る蹄の音を。
木城『凄いスピードです!! あと130メートル、90メートル、40メートル、10メートル‥‥来ます!!』
その報告を聞くまでもなく、戸土野は立ち上がり、音の方向を向いていた。
感じるのだ、ここまで伝わってくるほどの強烈な闘気を。
そして‥‥
ドガアアン!!!!
と、いう音とともに、正面の壁が砕け、ものすごい速度で、巨影が踊りこんできた。
それは、まるで象のごとき巨馬にまたがった、ひとりの男だった。
かつて小柄だった体躯は、見違えるような巨体へと様変わりし、その全身は骨のような不気味な鎧で覆われている。
毛髪は一本残らず抜け落ち、剥き出しになった頭皮からは、かわりに2本の『角』が生えていた。
極限まで増大した憎悪が、その姿形まで変容させてしまったのか。
男は、赤黒く濁った眼に、殺意の炎を燃やしながら、絶叫した。
??「安西ぃぃぃぃぃっっっ!!!! おまえは、俺が殺すっっっっっ!!!!!!」
青 山 剛 昌 、 出 現 !!!!
ハゲ丸キター(゚∀゚)
真夜中の海岸の洞窟、そこは闇の中枢。
少年形態の岡野が、霊感を頼りにゆっくりと滑る岩肌を本宮と共に移動する。
「・・・あれ?まいったな。道が2つに分かれてますよ、本宮さん!」
「そうか、よし!お前そっち、俺はこっちな。健闘を祈るぜ!あばよ」
「・・・またそんな考えなしに〜。やれやれ」
本宮のどまっすぐな性格のせいで、相談する間もなく進路が決まる。
猿渡に殺されかけた際にも必死に持ち出した、いくつかの道具類も使ういとまがない。
さっさと右の横穴に消えた本宮に対し、心の中で肩をすくめつつ岡野は左の穴へ向かった。
慎重に歩くがしかし、自分にいくつかの不幸な偶然が積み重なりあっていた事を彼は知らない。
――突如、大きな地震が洞窟を襲う!!
その直後、岡野の足元が崩れて深い深い穴が開く。
岡野の体が一瞬、無重力状態になった。
「う・・・うわーーーーっ!?」
・・・・・・地下には、無軌道に掘り廻らせた炭鉱の跡が、あった。
一方、本宮は洞窟内に作られた螺旋階段を登っていた。
どうやら崖の頂上に抜けられる作りになっているようだ。島の“先人達”の意向であろう。
と、こちらにも大きな揺れが伝わってきた。ビルのように大きく横に振られる感覚だ。
必死に壁にしがみついて、地震をやり過ごした本宮は、再び階段を登る。
「お〜!こいつあ絶景だ。ここからなら川原達も一発だなこりゃ」
意気揚揚と、マドロスのポーズをしながら崖の下の風景を一望する裏御伽主将。
≪赤い月≫は心なしか、光が弱くなった気がした。そして。
「・・・・・・なんじゃ、ありゃあ・・・?」本宮は、何かを見つけた。それは意外な光景だった。
荒木「水島は、ストライクコースに弱い!気にせずど真ん中を狙っていけ!」
ベンチから、荒木の指示が飛ぶ。
岸本(なにか、荒木さんがピッチャーマウンドから降りたのに声を聞いただけで安心できるもんな。)
尾田(……和月先生……見ていてください!俺の活躍!)
板垣(ちっ、ピッチャーマウンドに立ってるときより、雰囲気が良くなってるじゃないか。)
大和田(ふっ、荒木。御前の執念……確かに受け継がれてるぞ。)
えなり(もともと、挑発で投げてたもんだからさ……。荒木さんが落ち着けばかなり流れは変わるさ。)
車田(しかし……。荒木の能力をフルに生かせないと言うのはつらいかもしれん。)
えなりチーム、それぞれの思惑を胸に荒木はベンチから指示を出す。
水島(やっぱ荒木がおるとおらんでは雰囲気が違うのお。)
鈴木(……荒木がいなけりゃ、何とかなるだろう。)
戸田(相手が誰だろうとかんけえねえ!俺は 反 逆 者 だ !)
山口(只、策を弄する人かと思いきや……見事なり!荒木!)
チャンピオンチームの思惑も絡み、話は進もうとしていた。
泣いても、笑ってもこの9回の表裏で勝敗は決する。荒木がいなくなった今、えなりチームは果てしなく不利だ。
誰もがそう思っていた。
荒木(少しでも良い……スタンドパワーさえ回復すれば、まだ『何か』できるはずだ!)
荒木はベンチの中で休息を取りつつ時を待っていた。
まさに執念。えなりチームの参謀として、また良き相談役として活躍した男の顔がそこにあった。
荒木かっこえー
終盤になってから鳥山、車田を投入したえなりチームの方が有利なような…
赤い月明りの下、本宮が見た意外な光景とは?
本宮「な、なんじゃあ、ありゃあ!? 何んで人が飛んでるんだ!」
??「それは、私が魚雷だから!!」
本宮が見た光景とは、<<赤い月>>をバックに夜空をカッ飛んでくる澤井であった。
魚雷と化した澤井が本宮の立つ岩場に激突し、そのまますごい勢いで転がってくる。
本宮「うおわあッ!?」
澤井「本宮先生、この先で川原さんと岡村さんが闘ってます! 僕が案内しますから、早く乗って下さい!」
本宮(乗る…って、まさかこいつの上に?) 澤井「早くッ! 時間がないです!」
戸惑う本宮と、急かす澤井。だが、本宮はあまり細かい事にこだわらない。本宮は、すぐさま決断した。
本宮「ヨシッ、そんじゃあ一走りたのむぜッ!」 澤井「任せて下さいッ」
そして、本宮が澤井の背に跨がって飛び立とうとすると。
??「待ってくれ、親父! 俺も連れていってくれ!」
本宮「真倉! なんでお前だけなんだ? 岡野はどうした!」
真倉「それが、変な穴に落ちちまったんだ! あいつ、直前に俺だけ分離して先に行けって!」
本宮「しかし、それじゃ岡野のやつは……」
真倉「大丈夫だ、あいつは俺が認めた男。あのくらいで死ぬわけがねえ!
それに、今はこっちを急がねえと取りかえしのつかない事になる気がする!」
霊体として単独行動となった真倉が、必死に訴えた。そして、本宮もその意を汲み取る。
本宮「よっしゃあ、分かった! それじゃあ、あらためて出ッ発だ!」
真倉「おう!」 澤井「行きますよッッ!!」
そして、魚雷は再び天空高く発射された。目指すは一路、川原と岡村の死合う血戦場である。
そして、それから一分もしないうちに、魚雷は目的地へと墜落…いや、到着した。
真倉「いってえ……もうちっと、マトモに降りられねえのかッ!!」
澤井「す、すいませんッ!」 本宮「そんな事より、見ろあれをッ!」
文句を述べる真倉に、平謝りする澤井。そんな2人を叱咤するように、本宮が怒鳴った。
本宮が指差す方向に、果たして彼らはいた。
赤い月光を浴び、血まみれの修羅と鬼神が対峙していた。
血のように赤い輝きを背に、真の血で互いの体を染めあげる鬼たち。
もはや、少し近付けば手の届く距離に、2人がいた。
真倉「川原ッ!」 川原の姿を確認するや、真倉が激昂した。
それを「待てッ」と、本宮が一喝する。そして、周囲を見渡し、ある事に気付く。
本宮「おかしいな、この試合の審判はどこに行った?」
??「ここにいますよ」
言ったそば、後ろから声がかかった。「うおッ!」と三人が驚いた。
そこに立っていたのは、テニスの審判を終えたばかりのはずの、克である。
相変わらずの神出鬼没。とりあえず、驚かせたことを克が詫びた。
本宮「そんなことより、あんた審判じゃないのか? だったら、なんでこんな離れた場所にいるんだ?」
すると、克はしばし押し黙った後、言った。「見ていれば分かります」と。
真倉「そうも言ってられねえんだ! こっちは川原の野郎を一発ブン殴んなきゃいけねえんだからよ!」
しかし、怒り心頭の真倉が制止もきかずに、2人に近付こうとする。
その瞬間、猛烈な闘気が、巨大な颶風となって真倉に叩きつけられた。
真倉「なっ!」 危うく、霊体が散り散りに消し飛ばされそうになるのを、真倉はなんとか堪えた。
それほどまでに、真倉が浴びた闘気は、そのケタが違っていたのだ。
真倉「な、なんだこれは、この気は…。近付いたとたんに、まるでせきとめていた川が一気に堰をきって流れだしたみたいに…」
それを見た克が、「だから言ったでしょう」とため息をつく。
克「この戦い…もはやどちらが勝ったのかを決めるのはルールや我々ではない。
それを決めることが許されるのは…あそこに立っている2人だけです。
彼らが戦っている限り、我々はただ見守っているしかないのです。
そして……、最後に立っていた者が……」
一度言葉を切り、そして吐き出した。
克「勝者なのです」
それを聞いた本宮たちは、ただ押し黙ることしか出来なかった。
本宮「ここまで来ながら……俺たちは何も出来ないというのか? ただ手をこまねいて見ているだけしか…」
グッ、と約束の証《金璽》を本宮が握りしめる。そして……。
沈黙を守っていた修羅たちが、ついに動いた。
>280
まあ、パワーだけならそうなんですけどね。
只、荒木のこれでもかって魔球の数々を見せられてると、感覚的に荒木が重要人物に見える。
まあ荒木は序盤の序盤〜序盤、序盤の後半〜今まで色々と活躍をしてるんだよね。
その間、苦戦苦戦の連続だからよけい強さが感じてしまうと言う面があるのでしょう。
また、能力も攻撃、防御、治療、支援、隠密等いいの意味でそろってるため、よけいに活躍してるという。
それから、修羅VS鬼神キター!!
キタキター(´∇`)
両者の姿は、あまりに悽愴だった。
川原は、首に巻いた布(道衣の一部だろう)から、今も酷い出血が見れる。
序盤戦において、岡村に声帯をもぎとられたのだ。
岡村は、左腕が不自然な方向に折れ曲がり、手首の部分は肉が抉れ、骨が露出している。
序盤戦において、川原に左腕をヘシ折られ、その激痛を消す為に自ら神経を喰い千切ったのだ。
そして、それから数分間、2人はこれまで微動だにせず、視殺戦をつづけていた。
きっかけは何だったのか分からないが、その2人がついに動いた。
先に仕掛けたのは、岡村だ。羽のように軽いステップワーク。
あまりの速さに、残像が尾を引き、肉眼では捉え切れないほどの猛攻が、川原に襲いかかった。
武 蔵 裏 天 流 『 影 卍 』 !!
澤井「し、信じられない! 人間がここまで速く動くことができるのかッ!?」
真倉「は、速いッ! 肉眼で追いきれねえッ!」
岡村の連続攻撃を、2人はまるで追うことが出来ない。
本宮だけが、かろうじてその動きを捉えることができるだけだ。
克「武蔵裏天流『影卍』…超高速で移動することで己の残像を相手に攻撃させ、
そのスキを衝いて全く予想外の方向から自分の攻撃を加えるという恐るべき必殺技です」
岡村の恐るべき猛攻に、川原は一見、防戦一方で押されまくっている。
真倉「すげえじゃねえか、岡村! こりゃあ、イケるぜ!」
複雑な表情で見つめる本宮とは対照的に、真倉が感嘆する。
そこへ水を差すように、克の解説がはいった。
克「いや……、残念ながら、ひとつもきいてはいませんよ。
陸奥圓明流『浮身』…川原さんは打撃を受ける瞬間、自ら後ろに跳ぶことで衝撃を逃しています」
本宮「ああ…、ダメージがゼロってこたないだろうが、決定的な打撃はまだひとつも喰らってない…」
克「この力攻めがしのぎきられれば、懐に入られる。そして、懐に入れば圓明流に敵はありません」
果たして、その言葉を裏付けるように、岡村の攻めてが弛んだ。
そのスキを逃さず、川原が攻勢に出た。左の正拳突きを走らせる。
だが、そのとき。岡村が不気味な笑みを浮かべたことに、克たちは気付かなかった。
川原の放った正拳突きを、岡村の手が捉えた。
そのまま背を向けるように跳躍し、伸び切った手に膝をあてがう。
武蔵裏天流『飛龍斬』。相手の突きを逆用し、膝でその腕をヘシ折る荒技である。
岡村が攻め手を緩めたのは、川原の反撃を誘う為であった。
だが、川原。ニィ…と笑い、素早く正拳を放った腕を引き抜くと、その場で旋回した。
フライングニールキックのような大振りの蹴りが、無防備になった岡村の背を直撃する。
「ぐうぅ…」と、岡村が呻くが、その直後にその顔面が跳ね上がった。
川原が、返す刀で、もう一方の蹴りを繰り出したのだ。
血反吐を吐き、岡村が吹っ飛んで、砂浜に叩きつけられる。
これら一瞬で起きた攻防の駆け引きに、本宮たちが息をのんだ。
克「陸奥圓明流『旋』…、岡村さんの『飛龍斬』を読み切り、あんな大技で切って返すなんて…」
岡村が口をぬぐいながら立ち上がった。
岡村「やっぱ強えなテメエは…ケタはずれだ。だが、俺は負けねえぜ…。
せめてこの一瞬だけでも、生きてるって輝きを手放さねぇために一一!!」
熱をこめて言い放つ岡村。対する川原の言葉には、冷気がこもっていた。
川原「なら……俺も『本気』になるぜ」
この場合、『本気』とは、『人殺しの技をつかう』という意味に他ならない。
間合いをつめ、岡村が右のミドルキックを出した。骨の折れる音が響く。
だが、激痛に呻いたのは岡村だった。岡村の蹴り足を、川原が肘と膝ではさみ潰したのだ。
片足を失い、ぐらりと倒れる岡村を、川原が右腕をつかんで引き寄せた。
そのまま右肘の逆関節を極め一一投げた。さらに、その瞬間。
ベキイッ! と、首が砕ける音がこだました。投げられ、空中で逆さになった岡村の後頭部に、ローキックを叩きこんだのだ。
川原「陸奥圓明流……『雷』」
その場が、重苦しく静まりかえった。岡村はピクリとも動かない。
それを冷厳に見下ろす川原に、真倉が絶叫した。
真倉「こ、この人殺し野郎があッ!!」
そのまま川原につっかけようとしたとき、岡村の体が発光し、ものすごい勢いで煙が噴き出した。
そして、全員は見た。身体中の骨が変形し、人型の異形と化した岡村の姿を。
武 蔵 裏 天 流 極 限 奥 義 『 骨 鳴 』 !!!!
≪島メンツまとめ≫
タフ
猿渡(乱闘中vs鈴木・松江名) 石渡(移動中) ヒラマツ(地下炭鉱跡で巨大芋虫に追われてる)
川原(試合中vs岡村) 青山(乱闘傍観中) 橋本(死亡リタイア後復活し逃亡中)
裏御伽
本宮(試合観戦中) にわの(非戦闘区域へ飛行中) 澤井(本宮の足・観戦中)
岡野+真倉(分離→岡野は地下炭鉱跡、真倉は本宮の所へ) 岡村(試合中vs川原) 乙(クリア)
スポーツ
高橋(猿渡捜索中) 許斐(敗者ワープ後不明) 森田(移動中)
鈴木(人格変化→乱闘中vs猿渡・松江名) 井上(クリア) 村田(死亡扱い) +稲垣(タフ以外の暗殺に回る)
バトルは得意な人に任せて、俺はイベントを作っていこうっと・・・
289 :
月に到着:03/09/19 07:16 ID:tthFwM0h
長谷川「と、武井さんが悩んでる間に月に到着しましたよ。」
武井「はやっ!」
富野「月までの出来事をリレーで長々と書けるかよ!」
有賀「誰かいる!」
吉富「俺たちより先にここについているというのは、何者なんだ!」
??「あなた達は一体何者です!」
何者かの誰何の声に全員がそれぞれ答える。
武井「ええと、えなりチームの一員です。」
有賀「ケルベロスの特攻隊長です。」
吉富「ゴッドハンドの者だ。」
富野「通りすがりの風来坊って所か?」
長谷川「月を直しに来た雑用です。」
??「……あなた達、一体なんなの?なんの集団かさっぱりわからないんだけど?」
長谷川「わからないならわからないで、ああそういうもんだなと思って納得してください。」
有賀(んなので納得しろと言われても……。)
武井「……ああ!あなたは武内直子さん!どうしてここに!!」
武井が、突如割り込んで言う。
武内「何者かが月を砕いちゃって、それで赤い月の影響が強くなり始めてるの……。」
富野「と、すまん(何者かA)」長谷川「月を壊したの俺たちです。(何者かB)」
武内「……意外と正直者なんですね……でもなんで月を壊したの?」
武内の言葉に二人が言う前に、有賀が言う。
有賀「なんか妖魔王の配下がこの人を操って、暴れてる所をこいつが止めようとしたら、勢い余って破壊したというか。」
武内「妖魔王……まさか……完全復活のための準備をしているのかもしれない……。」
武井「武内さん……勝手に自分の世界に入らないでください。僕たちにもわかりやすく説明してください。」
武内「まだ、その段階じゃないわ。ところであなた月を直しに来たと言ってたけど、どうやって?」
長谷川「ええと、壊れた破片を集めれるだけ集めて……。」
その台詞を聞いて、武内はため息をつく。
長谷川「……何か問題でも?」
武内(スケールはずれてるけど、意外といい人なのね。)「まあ良いわ……かなり飛び散った破片も有るし、修理はお願いするわ。」
自らの心の内を沈めて、武内は頭を抱えた。
“オオオオ・・・ オオオオオ・・・”
風とも咆哮とも地のうねりともつかない不気味な音が、岡野の全身を通り抜ける。
真っ暗闇の中、手探りで状況を把握しようとする彼の手にスイッチのような物が触れた。
押してみると、天井部に点々と吊るされた裸電球が数個温かな光を灯らせる。
無数の石砂利と放置された長くつや錆びたショベル。木枠で支えた通路。
「ここは、炭鉱か何かの跡地みたいだな。しかしここからどう登ったものやら」
とっさに分離させた真倉の様子も気になるものの、彼の宿主として、
ここから無事に抜け出さねばならない。岡野は白衣のポケットから何かを取り出す。
糸の先に水晶がついたもの――フーチと呼ばれる簡易ダウジングツールである。
目の前に吊るしたそれは、いきなりグルグルと強烈に回転した後ピタリと止まる。
あの咆哮がする方向を指し示したまま・・・。
「うーん、これは行ってみるしかないな。
しかし・・・あの墓石群といい本当に、嫌な島だな。真倉よ」
暗い表情のまま、フーチの指示に従い炭鉱の奥へと消えていった。
一方呑気に空を飛ぶにわのは、≪非戦闘区域≫が見えたため低空飛行に移行するが、
その途端に追突事故パート2。人間一名、数メートル先に飛んでいった。
「おひょーう!誰だか知らんがまた轢いちゃっただスー!!・・・あれ?」
「あいたた・・・どこの鉄砲玉だ!?・・・おや?てめーわ!」
「森やーん♪ひっさしぶり〜ぃ」「おー!まこリンぢゃねーか。まだ生きてやがったか」
旧友同士の再会であった。C決勝開始時にはお互い声をかける暇がなかったのだ。
たんこぶを作った森田の頭をなでなでするにわの。
もんがー状態のままなので手の感触がもっちりして気持ち良い。
「野球審判どーだった〜?噂ではもの凄かったらしーねぇ森やん!いやスポーツチームとウチ
(裏御伽)で、一緒にテレビ観ながら宴会してたんだけどさ。現場見たかったじゃーん」
「笑い事ぢゃねー。ったく大変だったぜアレ(第6部706)って宴会かよ!いいなぁ」
「そんじゃあ島出たらまたやる?慰労会って事で、よければタフの人たちも誘うけどー」
「おー!俺、賛成!はははそりゃいいぜ」
楽しげな笑い声が、殺伐とした島にひと時の安らぎを与えた。
それは奇妙な投法だった。
仁王立ちになっては体の回転力が生み出せない。
手を頭上に掲げては腕のしなりが生み出せない。
両手でボールを包むように持ってはボールをリリースできない。
そのまま、前へ突き出す。
車田「オーロラエクスキュージョン!」
アクエリアス・カミュからキグナス氷河へと継承された絶技。
打者には何が起こったかわからない。
車田が叫んだ後には絶対零度の寒氷地獄。
意識ごと凍りついて、死ぬ。
それは奇妙な打法だった。
爪先立ちではインパクト時の負荷に耐えられない。
両足を揃えていては踏ん張りがきかない。
なにより回転していてはボールを把握できない!
ズ ラ キ ー ン !!
敵味方の枠を超え、再会を素直に喜ぶ友人2人の邂逅はしばらく続く。
「やっぱりよ、リングを降りたらノーサイドな訳だ。それでこそ・・・」
「あっはっは!昔はよく街のゴロツキとケンカばっかりしてたのにねー森やん」
「若気の至りってモンがあらぁ。おめーだってしょっちゅう、
実戦格闘技だとか抜かしてヤっちゃんの家を壊滅させたりよー」
「それゆーなら梅澤クンだって・・・そおいや梅澤クン元気してるかなモン?」
「アイツこの前の試合でどっかにぶっ飛んだままだからなー。生きてんのか?」
「彼ならきっと彼の漫画みたいに雲の上で美女に囲まれ風呂にでも浸かってるデシ・・・」
「それもそーだな。俺達の世代のジャンプ作家はしぶてーからな!!わはは」
遥か鹿児島の奥地で男2人に囲まれて温泉に浸かる梅澤が、豪快にくしゃみをした。
談笑が続く所に無粋な客が来る。漫画家反応を確認した審判である。
覆面漫画家の一人らしく、中身が誰かはまだわからない。
審判はにわのの姿を確認するなり、胸元のポケットからイエローカードを取りだし、
ホイッスルを吹いてカードを空に掲げながら2人に近づいてきた。そして一言。
「にわの先生!試合前の他選手に危害を加える事は違反です。
ペナルティとして一時間、この場に待機していただきます!」
無情な宣告であった。災害情報を自ら確認しに来ただけなのにこの仕打ちである。
「ギャース!非道いだス!わざとじゃないモン〜ヘルプミーだモーン」
「そうだぜー覆面さんよぉ。俺達はまだ試合するかどーかすら決めてねえし来んじゃねーよ」
「いけません、柳田博士の決めたルールに則って下さい。例外を作るなら、
まずは博士にお伺いを立てないと・・・」どうやら相当にお堅い人物のようだ。
「その柳田クンが仕事サボって島がどーなってるのかワカンナイから、
わざわざ中央くんだりまで空飛んで来たんだモン!ボカァ職務怠慢の犠牲者だモーン」
よよよよと大袈裟に泣きのポーズを取るにわの。そんなにわのを撫で返す森田。
「困りましたねぇ。あ、ところで森田先生、お体の方は大丈夫なんですか?」
「?」にわのが首をかしげながら横の森田を見ると、彼の表情が憂いを帯びて、いた。
このスレには、青い鳥の神話を知ってる人はおらんのかな・・・
まあ、車田作品じゃかなりマイナーな作品だから無理もないか(*´Д`)
噂ではルール間違ってたとかなんとか>青い鳥
混沌としたAブロック。ここにもひとり、その場へと疾駆する者がいた。
自慢の怪物バイク(借り物だが)を疾走らせる男の名を、皆川亮二といった。
皆川「ようやくここでBブロックも終わりか。Aブロックまでもうすぐだな。高橋先生、青山先生、無事でいてくれ。」
祈るように呟くと、皆川はいよいよ、Aブロックに入ろうとする。
皆川を激震が襲ったのは、まさにそのときだった。
キィィイイイイイィィィィイイイイイイイイィンッッッッ!!!
「!!!!」
皆川の『ARMS』が唐突に、凄まじい『共振』を示した。皆川が咄嗟に、パイクを停止させる。
皆川「ぐっ……、なんだ、このバカでかい共振は!?」
共振だけではない。汗が逆流し、吐き気を催すような圧迫感が空間を支配する。
・・ ・・・・ ・・・・・・・・・・
皆川(いる……なにかが………とてつもないなにかが……!!)
戦慄を覚えながら、皆川が周囲を警戒すると、唐突に声がした。
??「そこの若いの、そんなに慌ててどこへ行く……なんてな」
弾けたように背後を振り向くと、いつの間にか、そこに1人の男が立っていた。
鋼のような筋肉のボディラインを、真っ赤なピッタリとした衣服に包んでいる。
太い首の上には、金髪のくせ毛をした、人を喰ったような笑みを浮かべる顔が乗っている。
美形とは言えないが、どこか人を無性に惹き付ける、そんな容姿だ。
男は火の点いた葉巻きをくわえながら、無造作に皆川に歩み寄っていく。
皆川(何者だ…この男!?一歩近付くごとに感じる、この…戦慄!)
潜在的な恐怖を感じる皆川に、男は笑って言った。
??「Aブロックへの侵入経路は多数あるが、ここで張っていて正解だったな」
数歩歩いたところで、男がピタリと歩みを止める。
??「悪いな…アンタに恨みはないんだが……ある野郎に頼まれた。
そいつは、自分たちの膝元で、あまり騒がしくして欲しくないらしい。
そいつには借りがひとつあるんで、嫌とも言えなくてな。」
皆川「だれだ…?アンタ……」 ??「おっとこいつは失礼……名乗ろう…」
そう言うと、男は葉巻きを旨そうにくゆらせ、そして続けた。
??「GUNG-HO-GUNSの1人、寺沢武一だ。そして、皆川亮二……ここがお前の墓場になる」
296 :
月の戦い:03/09/19 20:12 ID:tthFwM0h
長谷川「けっこー派手に吹き飛ばされとるなあ。」
長谷川が、作業用MSを動かしつつ月の破片を集める。
長谷川「まあ、核は残ってるというのは、不幸中の幸いか。」
長谷川はそう言って、仕事を続ける。
吉富「赤い月の影響も少しずつだが減っている……。問題は無いだろう。」
??「それは困る。」
謎の戦艦が登場して、声をかけられる。
有賀「てめえーは!! 小 野 敏 洋 !!何時の間に外に出た!!」
富野「????何者なんだ??」
有賀「コロコロに少しでも関わった者ならば知っている……。この大会が始まる前
コロコロの有能な連中全てが自分のコネを利用してあいつを封印した……。」
小野「やっぱりそーじゃねえかと思っちゃいたけどな……。ま、いいや……今日の俺は機嫌が良い……
武井と月を渡してもらおうか……。」
武井「僕と……月?」
小野「気づかなかったのか?何故貴様が分離したのかを……。それは”白い月”が破壊され”赤い月”の力が増したからよ!
赤い月の力のおかげでロリ魔人は10倍にパワーアップしたが、急なパワーアップに耐えられず分離した!
だが最初から赤い月の力が完全だったなら、ロリ魔人は……無敵になる!!」
297 :
月の戦い:03/09/19 20:13 ID:tthFwM0h
武井「つまり、”白い月”が完全に破壊されたら……。」
万乗「そう!ロリの世界は全世界!いや全太陽圏に広がる!!」
通信機を通じて、二人が熱っぽく喋る。
万乗「さあ!!どうする!!」
武井「……僕はどうすれば……。」
長谷川「それは、武井さんが決めればいい……。だけど月は渡さない!!」
小野「ほう……貴様も我らと同じく……。」
長谷川「俺はロリコン気味であってロリコンじゃない!!それに……月を直すと約束した!」
長谷川がきっぱりと言い返す。
有賀「長谷川……、こいつらの相手は俺達がする……御前は月を修復しろ。」
長谷川「有賀……。」
有賀「戦艦の操作では奴らの方が一歩上手だろう、だが奴は完全粉砕しなければいけない!!」
富野「……何があったか知らんが、ともかく、戦うということだな!」
吉富「だが……戦艦での戦いは俺達がかなり不利だぞ!」
富野「戦艦での戦いが不利だというのなら……有利な戦いをするまでさ。」
富野はそう言って、一隻の船を召還した。
298 :
月の戦い:03/09/19 20:31 ID:tthFwM0h
小野「ほう……戦艦相手に機動力だけで勝てると思っているのか?」
富野「このモビル・シップ『ジビア』をふつうの戦艦と同じと思っては困る!」
富野の台詞とともに、『ジビア』の前面の武装が顎のように開く。
島袋「ふん、波動砲でも撃つつもりなのか?」
万乗「いや……違う!体当たりだ!」
小野「なに!戦艦が戦艦に体当たりだと!緊急回避!!」
万乗「だめだ間に合わない!」
船同士がぶつかり合い、『ジビア』の顎が、小野の戦艦に突き刺さる。
小野「まさか……白兵戦を挑む気かぁ!」
富野「ご名答……。行くぞ!」
そう言って、次々と小野の戦艦に乗り込んでいく。
兵士A「無駄な事を……。」
吉富「こいつを食うのには1週間かかった……使うのは…一瞬だ!完成!!」
吉富の腕から銃が完成し、兵士を吹き飛ばす。
富野「弾は十分ある……狙うは敵の総大将のみよ!」
有賀「おう!小野敏洋!!奴だけは俺が倒す!!」
有賀はROCKMANとなって、戦艦内を走り出した。
水島の打球は滑稽な快音とともに飛び、
車田の頭上を越え、ゴムゴムの実の能力で伸びた尾田の手を飛び越え、観客席を越え、消えた。
回転することによって直球を悪球に見せ、遠心力を加えたばかりでなく、
苛烈な凍気から己を守り抜いた秘打。これぞ
水島「白鳥の湖、ズラ♪」
そう、白鳥を模した聖闘士の絶技は、白鳥の舞踏を模した秘打に敗れ去ったのだった。
東『に、ニ打者連続のホーーーームランッッッ!!!
勢いがついたら止められない!取っ付きは悪いがハマると強い!!
あっという間にに逆転!4対3ぁぁぁぁん!!!!』
俯いて、立ち尽くす車田。
荒木「車田っ!」
たまらず声をかける。
制止したのは岡田だった。
岡田「荒木先生、あれが落ち込んだ兄貴に見えますか?」
えなり「だってあれは・・・」
戦う「俺には車田の背中に宇宙が見える!」
断言したのは戦うマンの中の男。
岡田「そう、一度打ちのめされた聖闘士はより強い小宇宙を己の中にたぎらせる!」
車田はキッと前を向いた。その目には、迷いの欠片も無かった。
その瞳に映ったのは、盟友大和田、審判あだち、車、そして次打者松島。
車?一塁線に軽快なエンジン音をたてて今にも走り出しそうなオープンカーが一台。
その名も『くらっしゅ☆らっしゅ号』
旭「のってくかい?まつしまちゃんよう!」
「我輩は、そろそろ帰るであります。」
マウンド上の車田に声援を送っているえなりに向かって吉崎が声をかける。
「え?大和田さんの打席は見ていかないんですか?」
えなりは意外そうな顔で聞き返す。
「見ていきたいのは、ヤマヤマでありますが、実は人を待たせているんであります。」
そう言う吉崎の顔は、余り残念そうには見えなかった。
「そうかぁ、それじゃ仕方ないですねぇ…」
えなりは、残念そうに言う。
それもそうである、今、えなりチームのベンチには、えなりと吉崎しか居ない。
ここで吉崎が居なくなってしまうと、えなりには話し相手が居なくなってしまうのだから。
「ま、そういう理由でありますので今日の所は失礼するであります。」
そんな、えなりの気持ちを察する事も無く、吉崎はベンチルームを去っていった。
――ぽつん――
一人取り残されたえなりは、ふと空を見上げた。
キラキラと星々が瞬いている。満天の星空だ。
今にも落ちてきそうな星達を見つめながら。
えなりは子供の頃の事を思い出していた。
家族で初めてのキャンプをした時の事。
あの日の夜空も同じ星が輝いていた。
姉と二人いつまでも星を見ていた。
あの日の姉の笑顔は忘れらない。
―――姉さん、必ず助けてあげるからね―――
えなりは、おおぐま座に寄り添うように輝く青白い星に誓いを立てた。
生真面目な覆面審判――性別もよくわからない――が、森田の様態を心配する。
「森やん試合やってたのかモン?それとも病気?全然ピンピンしてるよーに見えるけどな〜」
しげしげと森田の全身を見つめまくるにわの。森田は覆面を見ながら語り始めた。
「・・・あの“悪夢”、俺は現実として受け止めよう。そして俺は・・・現実と闘う!!」
ボクサーのように両腕で拳を作り、脇を締める。彼の目は熱く燃えていた。
話がイマイチつかめないが、とりあえずパチパチと拍手をするにわのもんがー。
覆面審判は小さく頷くと、改めてにわのに矛先を向けた。もんがーは即座に森田の背に隠れる。
思わず捕まえようと手を伸ばす審判だが、もんがーのもち肌はツルツルで掴めない。
つる。スカ。へにょ。ズル。巧みなフットワークと天然美肌で華麗に捕縛から逃れる男。
ゲッゲッゲッともんがーが高笑いを始めた。長い事変身してたので脳までもんがー化したのだ。
突然、そこらのツタにぶら下がり、猿かターザンのようにツタ伝いで逃亡するもんがー。
「あ!こらーにわの先生待ちなさいー!なんて非常識な人なんですかー!?」
覆面審判が半泣き状態でもんがーを追いかけていった。闇の中、森田だけが残された。
「と思ったでしょー♪」元の体型に戻ったにわのが何故か森田の足元から生えた。
反動でコケる森田。とりあえず足元の生物は足で埋めて土に還す事にした。
「ギャースぺっぺっ、森やんまで非道いモーン」
「黙りやがれ」
ギャグで済むうちは平和である。
にわのがふっと、真面目な顔になって語りだす。
「んーまあ、中央に逃げ込む前にこれだけは言っておきたかったんだスけど。
・・・このトーナメント、ただでは終わらないから覚悟するホ。絶対、生き延びてね。森やん」
「あん?・・・ああ、よくわからんがわかったぜ。他の連中にも伝えておくわ」
「ヨロシク頼むでおじゃるよ♪でわ森やんサラバ!次は500年後に逢おうぞ〜〜〜っ」
おなじみ?の挨拶と共に、今度こそ土中に消えていったにわの。
多分このまま穴を掘って中央区へ向かうのだろう。森田は空を見上げながら、その場を立ち去っていった。
残り100切りましたな。
ウス
島炎上か巨大虫暴走か幽霊大挙か
オチが楽しみでごわす
304 :
月の戦い:03/09/20 09:12 ID:SX6aJSer
小野「自動防衛システム作動!」
シャッターが次々と降りていき、中に入ったメンバーの足止めをする。
有賀「ハードナックル!」
有賀の腕がとび、シャッターを破壊する。
吉富「これじゃ、俺の出番はないかな??」
吉富は、壊れたシャッターのパーツを食べながら有賀の後を追う。
吉富「ところで、有賀……。敵の位置はわかるか?」
有賀「知らん!」
吉富「おいおい。」
倒れ込みながら、吉富がつっこむ。
吉富「仕方ないな……。」
そう言って、吉富は精神を集中する。
与えられた目……。全てを見通す力…。075−1−74=0。--RAY--。
吉富「よし、場所はわかった。行くぞ!」
有賀「……どーやって!」
吉富「ま、あまり人に秘密を聞くもんじゃないさ。」
有賀「……了解……。」
小野「くっ!どうしてここがわかった!」
万乗「まだだ!白兵戦の準備を……。」
??「ダイブミサイル!!」??「完成!」
突如メインルームに有賀と吉富が飛び込んできて、攻撃を開始する。
小野「こんな時のためを思って、なにやら宇宙に来ていた商人から買い物をしていて良かった……。」
有賀「なにっ!一体……そうか、長谷川が呼んだコネか!!いかん奴はあれを使う気だ!」
吉富「あれだと?」
有賀「あれ自体たいした破壊力はない……だが、あれを使うシーンを見た者は……精神に多大なダメージを受ける!!」
吉富「なに?」
有賀「止めろぉ〜!」
小野「いや、限界だ!使うね!」
305 :
月の戦い:03/09/20 09:28 ID:SX6aJSer
小野「…………無い!」万乗「何が……?」
小野「無い……。」島袋「だから何が?」
二人のつっこみを無視して小野が叫ぶ。
小野「ば……。」
万乗・島袋「ば?」
小野「ば〜こ〜ど〜。」
吉富「まだやっとったんかい……。」
有賀「確かに宇宙人の品物に、地球のバーコードはつかんよな……良かった良かった……。」
島袋「何が良かったか知らんが……食らえ!リィダァー波ぁ!」
吉富「うぉ!」有賀「ぬぉ!!」
島袋からの謎のエネルギーを受けて二人は倒れ込む。
万乗「食らえ、300Yのスィングを!」
ゴルフボールを受けて、二人は吹き飛ぶ。
有賀「確かに……強い!!」
島袋「とどめ……。」
??「わるいけど……させないさ。」
突如、島袋の前に水の壁が作成された。
有賀「貴様は……ハオ!!」
ハオ(?)「武井です。」
島袋「憑依合体したか……だがハオほどパワーを感じないぞ!」
長谷川『悩んでる間に、ハオから結構力が抜けちゃったんだよね……。』
有賀「あ……あのなあ……。そんなご無体な……。」
小野「くっ……。まさか貴様がこの三……。」
武井「……あまり、萌えだけの世界ってのは好きじゃないんだよね……。」
小野「くっ!」
吉富「形勢逆転だな……。人にはいろんな形がある……。おまえ達は一つの意見を押しすぎた。
完 成 ! ! 」
吉富の腕から巨大な鉄塊が出現し、メインルームを吹き飛ばす。
小野「脱出だぁ〜。」
3人は、近くにあった、脱出ポットの乗込み口に駆け込む。
有賀「待て!」
有賀が声をかけるがそれで待つほど、3人は甘くない。
富野『船が爆発する!二人とも戻れ!」
有賀「ちっ!」
有賀の舌打ちとともに、二人は『ジビア』に戻っていった。
長谷川「月の修理はしばらくかかりそーだ。武井さんはどうする?」
武井「まず、何をするにしても荒木先生達の元へ向かうべきだろう。でも良いのかい?僕をこのままおっぽり出して。」
長谷川「きちんと吉富さんが送ってくれるそうだ。矢吹艦までは送ってくれるそうだよ。まさか宇宙空間から地球に投げて無事だと思うのかい?」
武井「僕は、宮下先生じゃないって。いや、そうじゃなくて……。」
長谷川「武井さんが、どこで何をしたのかは知らないけれど、捕まえろとも殺せとも命令されてないから、戻しても問題ないし。」
武井「で……。」
長谷川「こう言うと、理屈っぽく聞こえるけれど、理屈と軟膏は何処にでも付くってのが僕の持論だから、あまり気にせず……。」
有賀(武井の肩をたたいて)「わかってやりな。」
武井「はあ。」
武井は腑に落ちない物を感じながら、とりあえずは立ち去ることにした。
小野さんの作品紹介文にバーコードバトラーが何故か入ってないのは秘密・・・
>月の戦い
会話ばっかり。
>>308 セリフの前に名前付けるタイプの書き手の人は、会話ばっかだと読みにくいので
状況描写を上手くはさむことに気を使ってくれるとうれしい。
セリフの前に名前付けてなくても誰が喋ってるのかがわかる文章からは
書き手の実力が伺える、といち読み手が好き勝手言ってみる。
>308-309
貴重なご意見ありがとうございます。
只、一書き手の戯言として言わせてもらうと、状況を書くより、台詞の前に発言者を書いた方が、文量が少なくてすむという事もあります。
ですが、状況描写の少なさは確かにあるので、次書くときより、努力してみます。
○○「――――」
○○は〜〜〜
□□「――――」
□□は〜〜〜
こんな風に、名前が重複している文章は正直、読みにくいです。
いっその事、台本形式にしてみてはどうでしょう?
○○「――――」
〜状況説明〜
□□「――――」
〜状況説明〜
まあそこらへんは2のスレ辺りでどないでっしゃろ
313 :
作者の都合により名無しです:03/09/20 23:37 ID:TCqFYsI8
つーか、いつからここは書き手の実力云々について語りだすスレになったんだ。
書き手に文句つけるようなことは止めろよ。
見てて気分悪い。誰が書いたっていいじゃないか。
>308 >309 >311
なんか贅沢な意見だねえ・・・・・まあそれだけこのスレが栄えてるってことなんだろうけど。
いや、ほんと一年前とは比べ物にならない位繁盛してる。
去年の今頃は日に一本書かれてれば良かったもんな(つ∀`)。
マターリ逝こうや。
細かいこと言い始めたのって、「トーナメントなんか中止させて、さっさと伝説編に移ろうぜ」
なんて言い出す人が増えたからだったな・・・
伝説編の伏線引きまくった張本人が俺だったもので、随分焦ったものだよ(;´Д`)・・・・・・
昔からいた職人さんに申し訳なくて・・・・
>313
……被害妄想?
誰も書くな、なんて言ってないと思うが?
それに、書き手の実力がどうの、と書いてるのは>309だけだろうが
その>309や>311、>308にしたって、意見であって、文句って程のものではない
つーか、読者はマンセーだけしてろってか?
誰でも見れる場所(ココ)に書く以上、読者に意見や批判される覚悟は必要だろ
意見を受け入れた上で、きっちり答えを返した、月の戦いの作者の人をちっとは見習え
まあまあ、もうちっとマターリしましょうよ。
気持ちは分かるけど、言い方がちとキツイっすよ。
読み手あってのものだし、個人的には読み難い部分を指摘してもらえたりすると、参考になるので嬉しいです。
ところで、話はまったく変わるんですが、
>えなりは、おおぐま座に寄り添うように輝く青白い星に誓いを立てた
えなり、なにげに死兆星みえてませんか?
Q:バントはバントでもアドバンテージがほとんど無いバントはなーんだ?
A:打者がいない送りバント。
やりやがった。車田渾身のオーロラエクスキュージョンにバント。
松島の体はカチカチに凍りついてしまったが、
オーロラエクスキュージョンはその投球動作ゆえ軌道が見切りやすい。
凍ったバットがキン、と普段より高い音をたててボールをはね返す。
大和田がボールを掴んだのと、旭凛太郎が松島を掴んだのがほぼ同時。
旭がアクセルを踏み出したのと、大和田が一塁に送球するかそのまま旭にぶつけるか悩んだのが同時。
くらっしゅ☆らっしゅ号が一塁めがけてつっこんでくる。
一塁までの距離、27.43m。
旭がうまうま棒を満足げに齧りながらつっこんでくる。
松島はバントの姿勢のまま後部座席に積み込んである。
一塁直前での速度、100q/h超のモンスターマシンがつっこんでくる。
戦うマンはそれを手をこまねいて見ていた訳ではない。
拳を握り、雄叫びをあげ、全身全速で、そう、つっこんでくる。
「そこをぉぉぉっ!滝沢ぁ国電パーンチ!!!」
┌┐[][]┌┐┌┐ ┌┐ ┌┐┌┐
┌┘└─┐││││┌┐└┘┌┐││││
└┐┌┐│└┘└┘││ ││└┘└┘
││││ ┌─┘│┌─┘│┌┐┌┐
└┘└┘ └──┘└──┘└┘└┘
轟音とともに砕け散ったのは、くらっしゅ☆らっしゅ号。
戦うマンの装甲には傷一つない。
「だが、それがなんだってんだ!」
ガチッ!間髪いれず旭の鉄パイプが顔面にクリーンヒット。しかし・・・
┌┐[][]┌┐┌┐ ┌┐ ┌┐┌┐
┌┘└─┐││││┌┐└┘┌┐││││
└┐┌┐│└┘└┘││ ││└┘└┘
││││ ┌─┘│┌─┘│┌┐┌┐
└┘└┘ └──┘└──┘└┘└┘
あえて打撃を受けてからのカウンター。無論島本にダメージは無い。
島本がシズナマンの装甲を信頼し、自らヒーローとなったことを噛み締めるような一撃。
隕石のような拳をみぞおちに受け、旭は沈黙した。その傍らには、カチカチの松島。
えなりチームの遅れてきたヒーローは、一塁の守護者となった。
チャンピオンチーム、1アウト。ネクストバッター、鈴木ダイ。
島中央≪非戦闘区域≫。山火事や地震の対応に追われる、
大会運営スタッフ達が右往左往している。通信係は柳田の説得に必死だ。
「博士!とにかく大変なんです。乱入者なんか決勝後追えば・・え!?
もうすぐ見つかりそうだから帰れない?アホな事言わんでください!それじゃあせめて、
山火事を消せそうなロボを数体派遣・・もったいない?こっちの命がかかってるんですよ!?
それに正体不明の地震だってあるし、退避も検討したいので会議を・・・はぁ?
あと何時間もないんだからこっちで何とかしろですって?あんたそれでも責任者ですか!
じ、じゃあ博士の代わりの指導者を任命して・・って博士?あー通信切りやがった〜!」
悲惨極まりない通信員の青年は、ヘッドホンを外して地面に叩きつけた。
「クソ!こっちは見殺しか。所詮ロボの統率者ってだけで大会運営に回った男ってか。
俺たちはこんな小島で死ぬために仕事してるんじゃねー!なんだってこんな事に・・」
アクシデントはつきものとはいえ、半分以上は人為的なものなので、
スタッフ達の苛立ちと無力感は計り知れない。青年は自分の足を睨んでいる。と。
もこもこ〜。「400メートル地中クロール、1分30秒7!にわの選手新記録〜」
青年の足元から、水泳帽を被ったにわのが泳ぎながら外に飛び出した。
「あ!あんた、あの巨大化した・・」
「イカにもタコにも、にわのまこリンどぇーす♪」
「あほー!あんたが山燃やすから今大変な事になってんだ!責任取れ!」
怒りの矛先を向けられた(当然)にわのは、うーんと悩むポーズを取った。
「困ったモン。愛用の『どこでもふすま』から水持って来ればいいんだけど、
アレを召喚しようにも原始時代に置いて来ちゃったしー。まあ原先生たちが、
こっち帰って来てればいいんだけどモン。お兄さんAブロックの情報知ってる?」
「え?さあ・・・島の準備に忙しかったもんで。他に方法ないんですか?」
原哲夫は既にふすまを介して恐竜時代から現代に帰還しているのだが、彼らは知らない。
にわのが突然座禅を組みながら、『一休○ん』のポーズでぽくぽくちーんと何かを思いつく。
「そーだ!ここは・・ごにょごにょ」「ええ!?無理ですよー」 ――果たしてその方法とは?つづく!
MONSTERによって安西への憎悪を極限にまで肥大させられ、一匹の『鬼』と化した青山剛昌。
ほとばしるような剣気を放ちながら、大喝して吼える。
青山「どこだァァァッッ!!安西ィィィィッッ!!」
言霊は、それ自体が物理的な力と化して、暴風のごとく荒れ狂う。
留美「あ、青山君!?でも、この禍々しい姿はいったい!?」
変わり果てた青山の姿を見て、留美子が思わず声を上擦らせる。
一方、青山は留美子が眼中に入ってないらしい。おそらく全てが眼中にないのだろう。
今の青山にあるのは『安西を殺す』――それ意外はどうでもよかろうなのだ。
そんな、一個の憎悪の塊となった青山の前に、にやついた笑みを浮かべながら立ちはだかる者がいた。
戸土野「フフフ…、おまえが青山剛昌か……、その鳥肌立つような妄執……気に入った!」
青山「なんだおまえは……、邪魔するかァッ!!」
黒王号に跨がったままの青山から、いきなり数え切れないほどの太刀筋が煌めいた。
視界を埋めつくすほどの刃たちが、戸土野に肉薄する。
だが、戸土野は身じろぎもしない。すると、その刃群はあたかも幻のように霧消した。
青山「ほう……、惑わされもせぬか」
感嘆のため息をつく青山に、戸土野が言った。
戸土野「面白い技を使うなァ……、なんてぇ技だ?」
それに答えたのは、青山ではなく、留美子だった。
留美「『闘刃』――達人の気が生み出す、幻の刃。相手が達人であればあるほど、かえって惑わされる」
戸土野「へぇ――おもしれえなあ……、こんな感じかい?」
次の瞬間、青山と留美子が目を見張った。
戸土野の体から、先程の青山と同じ、光輝く太刀筋の残像が発生したのだ。
戸土野「所詮は実体のない幻の剣か。まあ、からめ手としては使える技かもな。
パクるにしても能力にはバリエーションがあった方がいい…」
戸土野に対する青山の声にこわいものが混じった。
青山「貴様……、いったい何者だ」
戸土野「戸土野正内郎――この世のすべてをパクリつくす男だ」
悪びれもせずに言い放つ戸土野に、青山の眼に新たな憎悪の火が灯った。
青山「戸土野――パクリ四天王のひとりか…。
漫画を貶めるクズめ…安西より先に貴様から殺してやるッッ!」
戸土野「殺す?そんなシャバいオドシにビクついて漫画家がやってられるかどうかは、てめー自身がよく知ってるはずだ」
どこかで聞いたような台詞に、青山は怒り心頭に発した。
カッ! 青山が抜き放った『魔王剣』の柄が、三日月型の光を放つ。
留美「あれは…、魔王三日月剣!!」
黒い刀身に負のオーラが結集し、青山の斬撃と同時に凄まじい衝撃の塊となって放たれた。
青山「魔王三日月剣!!」
三日月の形をした黒いエネルギー波が炸裂し、会場を大きく震わせた。
床は砕けちり、砂塵が吹きあがる。
留美「くっ……、なんて威力!前に私と戦ったときとは、比較にもならない強力さだわ!
これが理性のブレーキを外された、青山君の真の力なの!?」
青山の実力に改めて驚愕する留美子だが、さらなる驚きが彼女を襲った。
戸土野「ほう……素晴らしい破壊力だ………。
漫画家というものは、アイデア次第でこういう巨大な威力の技も体得できるのか」
青山「三日月剣をかわしたか……」
ひとりごちると、青山が黒王号の手綱を操り、戸土野に向かって疾駆する。
戸土野「フン!だがな、この戸土野様は一夜にして、この世のどんな漫画家も超えたのよ!
UREYYYYY!!そんな眠っちまいそうなのろい動きで、この戸土野様が倒せるかァ――――!?」
なんと戸土野は、黒王よりも素早く動くと、その頭部に拳を疾らせた。
戸土野「愚者がァ!手始めにその馬からカメを砕くように頭蓋骨を陥没してくれるッ!」
パースを完全に無視した巨大拳が、黒王の頭部をまともに撃ちぬいた。
その一撃で、黒王の頭部は粉々に吹き飛び、前脚が折って巨躯が沈んだ。
青山「黒王!!」
戸土野「フン!その駄馬は始末したァ!次にそうなるのは貴様よ!!」
青山「貴様ァァァァ!!」
憎悪に身を浸しているとはいえ、わずかでも連れ添った友を殺された怒りは大きい。
いよいよ憎悪の化身となった青山が閃光と化した。
「おまたせであります!」
えなりと別れ、球場の外に出てきた吉崎は、そこで待っていた男に声をかける。
その男はコンビニで買ったのだろうか、うどんを啜っていた。
・・ ・・・
「野球場で食べるやきうどんは美味いなぁ」男は、にやけながらそう言う。
駄洒落だ!それも三流の!!
「……」
吉崎は言葉も無く立ち尽くす。
以前、一緒に仕事をしていた時に散々聞かされて、慣れていた筈だったのだが、
久しぶりに聞かされると、やはり効いた。
しばらく放心していたが、目の前で高まる殺気に我に返る。
男の手には、いったいどこから出したのか、機関銃が握られていた。
「…ワラエ…ワラエ…笑えよォォォォ!」
狂気の叫び声と供に引き金が引かれる。
ズダダダダダダダダ―――機関銃が火を吹いた。
「うわぁぁぁっ、落ち着くであります!」
コロコロと転がり、必死に攻撃を避けながら抗議の声をあげる吉崎。
しかし、その声は男には届いていないようで、銃撃は緩まない。
もう駄目だ―――吉崎が死を覚悟した時、男の肩口から蛇のようなロボットが顔を出す。
「最高ジャン!最高ジャン!兄ちゃん最高ジャン!」
その蛇が、男の耳元で賛美の言葉を叫ぶ。
すると、男の表情が一変し攻撃が止んだ。
「おぉ解るか!さすが我が妹よ!かわいい奴ぅ。」
そう言うと、その蛇――奥谷かひろ≠フ頭をガシガシとなでる。
そして、地面に転がったままの吉崎に話しかけた。
「さて、お遊びはこの位にして、そろそろ『評議会』に指定されたエリアに行こうか。
遅刻したらあの話≠ヘ無かったことになっちゃうかもよ。」
それを聞いた、吉崎は飛び起きた。
「そ、それは無いですよぉ、さあ急いで出発するであります!」
吉崎は、男の奥襟を掴むと、猛烈な勢いで走り出した―――
――吉崎が、その男あかほりさとる≠ノ持ちかけられた仕事。
それは、あかほりと共に『四霊』の一角として働く事であった。
成果を挙げた暁には望みの物をくれると言う。
吉崎は、その話に一も二もなく飛びついた。
評議会の組織力ならば手に入ると踏んだのだ『ガンガルのプラモ』を――
戸土野「とりあえず、貴様の技を使わせてもらう。喰らえィ!」
そのとき、青山が気付いた。戸土野の持つ剣が、いつの間にか魔王剣へと変化していた。
戸土野「魔王三日月剣!!」 青山「!!!」
戸土野が放った魔王三日月剣は、青山のそれと寸分違わぬ破壊力だった。
青山はそれを、同じ三日月剣で相殺する。凄まじい威力の余波が周囲に飛び散り、壁や天井を破壊した。
戸土野「ステキな剣だ……、もっとワカリ合おう。
君が漫画に注ぎ込んだ……、情熱・時間・エネルギーをもっと知りたい」
戸土野「喰いたいものも喰わず……、抱きたい女も抱かず……」
しゃべり途中の戸土野に、青山の剛剣が迫る。
それを受け止め、打ち払い、とてつもない剣劇を演じる怪物たち。
戸土野「喰わず…、遊ばず…、楽しまず…、そうして丹念に積み上げたネタを……、蹂躙する……」
青山「うおおおおおッッ」
雷光がたばしり、圧倒的な力で会場が破壊されていく。
戸土野「最 高 の 娯 楽 だ !!!」
ズガアアアン!! ひときわ巨大なぶつかり合いの後、2人が距離をとった。
憎悪の塊である青山との戦いを、戸土野は心底楽しんでいた。
戸土野「初めて『敵』に出会えた……」
そう呟くと、戸土野の気が急速に膨らんだ。今までを遥かに超える邪悪な気が、会場を埋めつくす。
戸土野「いい戦いをしよう……」
ピシ…。そのとき、小さな音がしたかと思うと、戸土野の気が爆発的に膨張した。
トレードマークであった漆黒の鎧(それすらパクリだが)は弾け飛び、
その下から現れたのは、異形とも呼べる奇怪な筋肉で覆われた巨体だった。
それを見た留美子が、驚愕する。
留美「あ、あれは……、戸愚呂の『筋肉100%』……、まさかあれまでパクっていたなんて…」
考えてみれば、『霊銃』ですら使えたのだ。これが使えても不思議はない。
このまま真の力を開放し続ける青山と、このパクリの化物がぶつかり合えばどうなってしまうのか。
いまだ動けない留美子は、自らの無力さがうらめしかった。
そして、このような事態にいない、2人の仲間に毒づいた。
留美「あのバカ…!こんなときにどこで何をやってんのよ…!!」
「えーと、よーするに山火事が収まればええんでっしゃろ?
このまこリンにお任せあれ♪延焼を起こさずにレーザーで火事部分をすっとば・・・」
「あんたに期待した俺がバカだったよ・・・」
通信係の青年はがっくりと膝を落とす。まこリンはポリポリとこめかみを指で掻いた。
ピーピー! 中央区の別の通信部から連絡が入る。地震捜査班からだ。
悲しそうな顔の青年が力なくヘッドホンを耳にはめなおしてメモを取り始める。
と、見る間に青年の表情がこわばった。見守るにわのもつられてどシリアス顔になった。
「おにーちゃん、どうしたモン?」
「・・・最悪だ。この島の地下には、昔何かの鉱物を大量に掘り出した痕跡があった。
そのせいで地盤も緩みがち、かつ『巨大な生物反応』があるらしい。そう・・・怪獣ぐらいの」
「怪獣ぅ〜!?わー見たい見たい〜」にわのは怪獣オタクでもある。
「呑気なおっさんだな、もお!で、そいつが動き出したせいで地震が頻発してんですよ!
この島は近いうちに、火事で消滅するか陥没で沈むか怪獣に襲われちゃうんスよー!」
青年はパニックを起こしてのけぞった。なかなかにピンチである。
「ふ〜〜・・・。仕方がないッチ、柳田君を呼んで相談するのが得策だス」
――正論は青年の怒りの鉄拳で返された。「痛ぁおう!がっでむ!何しやがるモン!?」
「それができたら苦労はしねぇーー!!」・・・以下かくかくしかじか裏話。
「ふぅーん・・・(熟考)・・・そだ!ボクがココ(中央区)を乗っ取ったゆーウソシナリオで、
ビデオ一本作って柳田君を挑発するモン!そうと決まれば兄ちゃん協力するだス」
「へ?」
「さすがの柳田君も血管ちょちょ切れるよーな大傑作ビデオを送りつけるのじゃーん!
つーワケで今から島のスタッフ達とナイスなシナリオ作るデシ。ほら通信で呼んで呼んで」
「・・・どうなっても知らないよ、先生〜」
かくして、にわのまことプレゼンツ【恐怖!クリード・アイランド乗っ取り事件】が始まる。っぽい。
タイトルあんま関係なかった_| ̄|○
A会場で激烈な戦いが行われている頃、金田一の体内でも激しい戦闘が行われていた。
安西「ぐあっ!」
椎名による強烈な連続攻撃が炸裂し、安西が呻いた。もう幾度、苦い敗北を味わったのか。
圧倒的な実力の差に、安西は歯噛みし、悔しげに吐き捨てる。
安西「勝てん…!!何度やっても…!」
対する椎名の顔には、強者の優越感がにじみでていた。
椎名「これで俺の3000勝だな。まったく、おまえにはセンスがなさすぎる」
これ見よがしの挑発に、安西が怒りの声をあげた。
安西「やかましいッ!こんな下らん勝敗がなんだってんだーーッ!」
口泡を飛ばしながら叫ぶと、安西が手に持っていた『コントローラー』を放り投げた。
椎名「下らんとはなんだーーッ!これはあらゆる格闘モノの中でも、傑作中の傑作なんだぞーーッ!」
安西「五月蝿えッ!なにが格闘だ、ンなもんよりプロレスの方がずっとオモシレーわ!」
椎名「なにを、この格闘技ヲタがッ!」
安西「黙れッ、この、モテねえ万年セクハラ野郎めッ!」
椎名「も、モテねえだと……てめーに何が分かるんだーーッッ!てめーばっか美味しい思いばっかしやがってッッ!」
安西「どうでもいいことでつっかかってくんじゃねえッ!喰らえ、三沢光晴のエルボーッッ!」
椎名「やりやがったなーーーッッ!!」
安西のエルボースマッシュが見事に椎名の顔面を直撃し、椎名がコ○○ット越○のような声を出す。
醜さ極まる罵り合いは、とっくみ合いへと発展した。そこへ別の声がかかる。
??「あのー、安西さーん!椎名さーん!御飯できましたよーー!」
そう言ったのは、なぜかエプロン姿の、ガンガンチーム衛藤であった。
すると、2人はピタリと止まり、大人しく衛藤についていく。
誰もいなくなった部屋には、黒い箱と、つけっぱなしのTVの中で勝利ポーズを決める、ボロボロの道着姿の男だけが残された。
1時間後。
安西・椎名・衛藤の三人は、日当たりのいい縁側に座ってぼけ〜〜……としていた。
ここは金田一の体内なのに、なぜか外の風景はまともな緑に覆われており、陽光が眩しい。
やがて、安西が誰に言うともなく、ぽつりと呟いた。
安西「ここに来て、今日で…何日めだ?」
すると、呑気な顔でデザートのスイカをかじっている椎名が、
椎名「さあ…?」 と、気の抜けたような声で言い、その横で本を読んでいた衛藤が、
衛藤「ちょうど二ヶ月になりますね…」と、呟いた。
しばし、沈黙。
安西「もーやってられっか――――!!俺たちは何しにここへ来たんだよっ!!」
我慢が臨界点に達した安西が、スイカの皿をひっくり返した。
安西「おい、椎名!俺たちは、何の為にここにいるんだっ!?」
興奮する安西に、椎名は呆れたように言う。
椎名「あーあーダメだぜ。そんなに興奮して精神を乱しちゃあな」
その瞬間、安西の体に変調が生じた。
安西「!?」
突如、安西の体が眩い光を放ち始め、まるで受信電波の乱れたTV画面のように輪郭が歪む。
そして、それは安西だけでなく、椎名も同じだった。
椎名「ま、おまえならこの辺かな」
そう言うと、椎名が『神通根』を取り出すと、何もない空間を切り裂いた。
すると、のどかだった風景は幻のように消え去り、周囲が無機質な部屋へと変わる。
そこはまぎれもなく、金田一の体内にある『同人軍艦』の一室だった。
三人は、その部屋の中央に置かれた椅子に、腰掛けている状態だ。
ふと、安西が壁にかかった時計を確認し、驚いた。
安西「な…!?時間がたってない!?い…いったいこれは…」
混乱する安西に、椎名が言う。
椎名「準備運動は終わりだぜ。おまえの魂は、俺の精神エネルギーを大量にうけて加速状態にあったんだ。
あの仮想空間で、俺たちの魂はつながっていたんだよ」
安西「ただゲームしてただけじゃなかったのか…」
椎名「過負荷から解放された今、おまえの魂は一時的に出力を増している。
このスキに己の潜在能力をひきだせ!出来なければ、あの戸土野には勝てねーぞ!」
安西修行編キタ―――――――(゚∀゚)――――――――――!
バベルの塔内部、十傑集会議室。
そこに、単独任務中の岡田を除く全ての十傑集が集合していた。
円形に作られたテーブルに備えられた十の椅子
左側には、尼子、せがわ、そして新規加入の神崎、富士原の四人
右側には、鷹氏、富沢、石渡の三人
が座り、それぞれ空席が一つずつある。
そして、円の上座に座るは十傑集筆頭山口譲司。
まだこの空気に馴染めないのか、微妙に落ちつかない態度の富士原と、不敵な表情で面子を見渡す神崎の二人をちらりと見てから、山口は徐に口を開いた。
「まずは、我らが新しい同士を紹介する。神崎将臣、富士原昌幸の両名だ」
その言葉を受け、神崎はよろしく〜と軽く右手をひらひらとふることで、富士原は席を立ち、全員に挨拶することで答えた。
一同が顔合わせを終えたことを確認ののち、山口は本題に入った。
「さて、本日の議題だが、本日未明、我らが十傑集を離脱した福地翼の処遇についてだ」
その言葉に、彼らの内部、特に古参の人間の間でざわめきが起こる。
「まて、高橋しんについてはどうするのだ?」
と、鷹氏は思わず席を立ち上がり、皆が抱いているであろう疑問を口にした。
「高橋については横山様より直々に放任しろってご命令があった。みんな、異論はないな?」
「むう・・・」
横山の名が出た事により、鷹氏は納得のいかぬ表情を心持ち残しながらも、席についた。
富士原、尼子、富沢、せがわ辺りも似たような表情を顔に浮かべている。
だが、そんな中、今まで身じろぎ一つしなかった男―石渡洋司が眼鏡を指でずり上げながら、口を開いた。
「脱走者には、死の制裁を・・」
淡々とした、しかし凄みのある声だった。
「(へえ・・・中々やるねえあのにいちゃん)」
石渡の一言で、議席に再び緊張感が戻ったのを見て、神崎がわずかに目を細めた。
その石渡の発言を受け、山口が一同を見渡す。
「と、石渡は言ってるが他のみんなはどう思うよ?」
「賛成だ。しかし問題がある」
と、せがわが言った。
「今福地の側には、高橋しん、梅澤春人の二人がおる。中々、福地だけを討ち取るのは用意ではないぞ」
「問題はないだろう」
その意見に、鷹氏が反論する。
「尼子、そしてせがわ、お前の能力ならば、その二人に察知されずに福地だけを屠ることも十分可能であろうが」
「私が死を覚悟で突貫してもよい」
言葉尻にぼそりと石渡が付け足した。
「そうだな・・・(できれば俺自身そろそろ闘いてーんだがなあ・・)」
まあ・・その三人から刺客を選ぶか、山口がそう思ったとき、富沢が徐に立ち上がり、口を開いた。
「なるほど、その御参方ならば十分可能でしょう。しかしこれは戦闘ではない、ただの処刑です。処刑に怪我人、下手をすれば再び我らの内部に欠員を出すかもしれないリスクを背負う事はないでしょう」
そして、直立不動のまま、鉄の仮面を被っているかのような堅い表情を顔に貼りつけた富沢は続けた。
「ここは待つ事です。KIYUは言ってみればぱんぱんに膨れ上がった風船と同じ、いずれ四散する運命にある。あせらずとも福地を討ち取る機会は直ぐにやってくるのですから」
と、言い終え富沢は着席した。
「ん、まあそうだな、んじゃ福地はいましばらく放置ってことでいいな?」
一同その言葉にうなずく。
「念の為、我が配下の工作員を監視につけておこう」
と、いう石渡の言葉により、とりあえず議事に決着はついた。
「さて、じゃあ次の議題だが、これは鷹氏に直接説明してもらったほうがいいな」
「うむ・・・」
山口の言葉を受け、鷹氏が席を立ち、一同を見渡した。
「単刀直入に言う、我ら十傑集の情報が漏れている可能性がある」
今回の修行の元ネタは、『GS美神』21巻です。
サブタイトルも、原作と同じ。ちなみに、今回の修行は短いです。
もし、安西vs椎名がやりたい方がいれば、修行という名目で好きに繋げてもらって構いませんが。
あと、こういう円卓会議の場面ってのは大好きです。>十傑集会議
目黒タン(石渡)、あいかわらず大物感ただよってるなあ、カコイイ。
福地タンー(´Д⊂)ガンバ
鷹氏の話の内容は、Bブロックでの大乱戦でのことであった。
神崎が萩原を手玉に取り、あと一歩の所まで追い詰めていたその時、藤原カムイが突如乱入し、そしてそこで、神崎をゴッドハンドの走狗と言い、敵に回った。
そしてその後現れた怪しげな幻術を使う三度笠の女も、同様に十傑集の面子とそれ以外を完全に区別していたのだ。
ここに疑問がある、と鷹氏は言った。
「新規加入の神崎殿、そしてせがわの両名は無論のこと、私もこれまで一度も今回の戦では表舞台に立ってはいない。あの者達が我々が十傑集だという情報をいつ、どこで手に入れたのか?そこに疑問がある。我等はその情報の出所を探る必要があるだろう」
あるいはゴッドハンド配下の内部に裏切り者がまぎれ込んでおるかもしれんしな・・・と最後に付け加えてから鷹氏は再び着席した。
「内部の裏切り者ということはありえぬでしょう」
と、やや遠慮がちに富士原が言った。
「なにせ神崎殿がスカウトされたのは戦艦内部、そしてこちらにその情報が伝わる前に、既に藤原カムイはその情報を握っていたのですから」
「ふむ・・・・となると」
富士原の発言を受け、石渡はせがわを睨んだ。
「せがわ、貴様その男から片時も目を離さなかったのであろうな?」
その男、と言った所で石渡は視線をせがわの左隣にいる神崎に移した。
「む・・どいうことだ石渡」
せがわはわずかに渋面を作った。
どういうことだ、と説明を求めるような言い方をしたが、せがわは既に石渡の発言の意図を察している。
せがわ、そして神崎の両名以外にあの戦艦内で彼ら二人が十傑集であることを知っていた人間はいようはずがない、ならば―
「俺が間者だと疑ってるってわけかい?にいちゃんよ」
せがわの思考を引き継ぐ形で神崎が不敵な笑みを口の端に浮かべながら言った。
「可能性の問題だ、最も高い可能性ではあるがな」
「へえ・・・・で、俺がそうだったとしたら、どうするんだい・・?」
「言うまでもないであろう・・・」
徐々に二人の間の空気が剣呑なものに変わってくる。
「おいおい、手前如きが俺の首を獲れるとでも思ってんのか、グリーンボーイ?」
「ロートルが・・・」
完全に臨戦状態の二人の様子をみて、皆が警戒体勢に入るが、せがわはそれを止めるかのように、鋭い声を挙げた。
「神崎、お前とわしはあの場所にいくまでずっと一緒だったであろうが!煽るような真似はよせ!そして石渡も、被害を被ったのは他でも無い神崎自身だということを忘れるでない!」
「けっ・・・」
「ふん・・・」
二人はしぶしぶといった感じで席についた。
それを見て一同にほっとした空気が流れる。
「(あの様子じゃ結局二人とも闘いたかっただけのように思えるねえ・・)」
山口はそんなことを頭の片隅で考えながらも、議事を進行させるために、再び口を開いた。
「まあ、そんなわけで神崎の間者説は無し、と他に何か考えのある奴はいるか?」
「心当たり、無いこともないぜ」
「――――――――――!?」
その発言、いや、それを言った男に皆が驚愕の視線を向ける。
なにせ、それを言ったのはつい先ほどまでスパイの疑いを掛けられたいた神崎なのだから。
「貴様、それなら先にいわんか!そうすればあらぬ疑いをかけられる事も無かったろうに!」
その場にいる全員を代表してせがわが神崎に突っ込みをいれる。
が、当の本人はどこ吹く風といわんばかりにせがわの突っ込みを受け流しながらいった。
「カムイに情報を渡したのはおそらくはあの三度笠の女―冬目景だろうな」
「ほう・・・あの女は冬目景というのか・・・」
鷹氏が得心したかのように呟く。
「ああ、俺としたことが迂闊にも幻影なんざにだまされちまったが、斬られる寸前に、『透見者御船千鶴子』のDNAを発動して奴の思念を過去視さしてもらった。そしたら、おもしれえことがわかったぜ」
神崎の核心的な言葉を聞き、一同に緊張が走る。
「そのおもしれえことっていうのはなんだい?神崎さんよ」
やや引き締まった表情で山口は先を促す。
「ああ、その冬目景に情報を流した奴のことだよ」
「それは一体誰なのですか?」
富沢がわずかにその鉄面皮に焦れたような色を見せる。
それを楽しげに見やった後、神崎は口を開いた。
「九大天王が一人、『静かなるかわぐちかいじ』」
「――――――――――!?」
九大天王―その名を聞いて、十傑集の間に今度こそ真剣な驚愕が走り抜けた。
横山親衛隊五虎神の一人である蛭田達也は、バベルの塔にある鍛錬所の近くを通った時、
なにやら三度笠を被った不自然な人集りがあることに気が付いた。
蛭田「なんだありゃ?たしかあいつら血風党の奴らじゃないか?」
微動だにせず、何やら固唾を飲んで見守ってる、横山のアシスタント集団血風党の一団に、
いささか生来の好奇心を刺激された蛭田は、気配を消しつつこっそりと近づき、一番後ろにいた男に
背後から話し掛けた。
蛭田「よっ!おまえらそんなとこで何やってんの!」
蛭田の突然の登場に、肩をびくつかせて驚いたその男は、相手が相手が五虎神の一人だと分かると
さすがに安心したようで、いささか息を乱しつつも話し返した。
男「これはこれは、蛭田殿。実は山原殿が任務を終えてこちらに帰ってきたのですが・・・」
男が状況を話し出すと、周りも蛭田がいることに気付いたらしく場所を開け始めた。
男「どうも、その任務で山原殿がかの原哲夫と相対し、五分の戦いをしたらしく・・・」
話を続けながらも、男は人垣が空いて出来た道を蛭田を案内して歩いた、
蛭田「へー。そりゃすごいじゃん。でも、それとこれとどう関係あるんだ?」
男「はい、それがそのことを聞きつけた前川殿が、是非自分と手合わせしていただきたいと申しまして」
蛭田「ほお、それで?」
男「互いに棍を得物に試合う事になったのですが・・・」
蛭田「ですが・・・?」
男「実は、どちらも仕掛けようとせず、睨み合ったまま一刻もずっとあのままなのですよ・・・」
最前列に着いた蛭田は、一尺五寸ほどの棍を手に構え、気をぶつけ合う二人を見て、なるほどと、
一目で状況を理解した。
蛭田「一刻ねえ・・・なーにやってんだかあいつら・・・」
眉をひそめ、渋い顔をした蛭田は、やれやれといった感じで鼻の頭を掻いた。
蛭田「しょうがねえ、さっさとケリを付けさせてやるか・・・」
そう言うと、隣にいる先ほどまで状況を説明してくれた血風党の男から、持っている七節棍をひょいと取り上げ、
睨み合いを続ける山原と前川の間に無造作に投げ入れた
七節棍は弧を描き、二人の丁度中心点、気と気が衝突しせめぎ合う境界線に舞い降り、
絶妙なバランスのもと地面に垂直に立った。
その瞬間、二人は目を見開き歯を食いしばり、同時に同速度で動いた。
互いを押しつぶさんと気を吐き続けた二人は、突然現れた異物に拮抗する気の壁を切り裂かれ、
まるで針で突かれた風船のように自己を爆発させたのでる。
空を切り風を裂く二人の棍は、同時に寸分のずれもなく中心の七節棍に僅かに触れ、
その刹那の瞬間に、丈夫な樫の木と鋼鉄の鉄鎖で出来た棒を粉々に打ち砕いた。
棍に猛烈な回転を加えた突きにより、大岩すら打ち砕く、前川たけし最強の棒術 " 念 棍 "
同じく、棍の回転により螺旋状の気の渦を作り出し、爆発的な破壊力を生む、山原義人無敵の秘技 " 纏 絲 勁 "
もはや爆弾と化した二つの棒は、七節根を砕くだけでは飽き足らず、まるで二匹の肉食獣のように
お互いを喰らい合い、破壊し、粉々に砕け散った。
得物を失った二人だが、しかしそのまま止まることなく、超接近戦へと持ち込み、
今度は素手による掌底を、これまたまったく同時に打ち出した。
それを見ていた蛭田を除く血風党の全員が、その瞬間に全身の血液を凍りつかせてしまった。
あの二人が繰り出す掌底。それは、人体を破壊し、死に至らしめる分量を遥かに上回る威力を秘めた、
あの必殺の一撃であることは明確でだったからである。
大地を打ち砕くほどの踏み込みから生まれた力を、腕を伝い掌の一点に集中させ、
大滝すら断ち割る破壊力を生む前川たけし究極の一撃 " 通 背 拳 "
外からの勁力が掌を伝い、体の内へと凝縮し内臓と気脈を破壊する、
確実な死を相手に与えうる山原義人の必殺の奥義 " 仙 気 発 勁 "
五虎神同士の殺し合いを見せ付けられた血風党の面々は、二人をなんとしても止めようと前に乗り出し足を上げようとしたが、
その瞬間、両手を左右に広げ前を遮り、凄まじいまでの気合をぶつけてきた蛭田により、小指一本すら動かせぬ
彫像のように全身を大地に縫い止められてしまった。
絶望的な状況の中、修羅と化した山原と前川の両者は、寸分の狂いもなく同時に互いに死の掌底を放ち、受けた。
刻が止まる・・・・・
永遠の一瞬は、何事もなかったように拳を引き姿勢を自然体へと戻した山原と前川の両者によって、
再びゆっくりと動き出した。。
途端に、血風党の面々から安堵の息が漏れる。山原と前川を含めた彼ら全員、解凍された魚のように
大滝の汗を流し、全身びしょ濡れとなっていた。
前川「さすがですね」
緊張を解き、にっこりと笑った前川は山原に話し出した
山原「お互いにね!」
山原も笑顔を返す。
蛭田「なーに、勿体つけてんだよ!」
ただ一人だけ、汗もかかず涼しい顔をした蛭田が、小指で耳を穿りながら呆れた声で言う。
蛭田「お互い、本気でもねえくせによ・・・」
蛭田の言葉に、驚く血風党。
誤魔化すように、笑って頭を掻く二人。
男「あ・・・、あれで本気でないと・・・」
信じられないといった顔で、さきほど七節棍を取り上げられた男が蛭田に問い直した。
心胆が凍りつくような戦いを見せられた血風党の面々にとって、あれが茶番だとはとても考えられぬことであった。
蛭田「バカ、よく見とけよ・・・
山原の"実"の拳は一撃必殺なのに二撃目を放ってるだろ。
前川にしても"一本拳"を応用した力の流れを利用せず正面からの真っ向勝負だし。
それに、最後の掌底は、下着一枚に触れただけで体には当たってねえぞ」
信じがたい事実に、血風連の一同の顔に驚愕の二字が刻み込まれた。
男「しかし、何故お互い手加減を・・・・?」
先ほどの男が、恐る恐る聞き返した。
蛭田「バーカ!本気でやったらどっちか死んじまうだろうが」
やる気のない顔で、事も無げに言う。
血風党全員、五虎神の格の違いを見せ付けられた気がした。
蛭田「さて・・・」
長いおさげ髪をはらい、上着を脱ぎだした蛭田に、いぶがしげに男が聞いた。
男「なにを、なさるんです・・・?」
聞いてきた相手に上着を投げて渡した蛭田は、戦いを終えたばかりの二人に近づき、拳を構え、ニヤリと笑った。
蛭田「次は俺の番だ!今度は本気で頼むぜ!」
その瞬間、再び血風党全員の心臓が凍りついた・・・・・・
えーと、続きは書くないので、書きたい人がいたらどうぞ書いてください。
そのまま、何事もなかったように流れて大丈夫なので、後の人は好きにしてください。
てか、何の伏線にもなってないな・・・
イヤンな日常ですなぁ(苦笑
今度島終えたら裏御伽のアホな日常でも書こうかなぁ・・・
「こー簡単に月が破壊されるんだったら、おちおち月見もできないな。まあ星がきれいだから良いけどよ。」
熊谷の台詞に、そこにいる一同は心の中で同意した。
ケルベロス一同は、甲板の上で酒を飲んでいる。総大将の平野が菊池と戦ってる間、
暇なので、月が無くなってきれいな夜空を見ていた。
「ぷっはあ!やっぱ満点の空の下で飲む酒はうまいなあ。」
包帯を全身に巻いた内海(生きてた)は、ビールを飲みながらそうつぶやく。
「しかし一体誰が月を壊したんだ?」
あまりにも基本的なことを、宇野が考える。
「そーだなー。DブロックのえなりチームVSチャンピオンチームで鳥山先生が暴れ出して、
それを止めるため誰かが破壊したとか。」
三峯があまりにも的はずれなことを言う。
「いや、それはあるまい。一旦行ってみたが、鳥山先生が暴れた後はなかった。」
ワインを飲みながら宇野が言う。
「じゃあ、誰が?」
誰ともなく、言った台詞に一同が黙る。それを止めたのは熊谷の台詞であった。
「まあ、誰でも良いじゃないか!今日は無礼講だ!!」
「わ──────!!」
彼らはまだ気づかない……夜空に一際輝く星ができはじめていることを……。
346 :
月:03/09/23 19:57 ID:8nsFa+A1
龍の船……。
「おーお、進んどるなあ。」
富野がそう言って、月の修復状況を見る。
『まあ、今のところ、80%って所かな?』
長谷川の通信機ごしの台詞に富野は驚く。
「結構早いな……。」
「あまり、長々と書けない理由があるのでしょ。」
突如登場した武内に富野は驚きつつも、会釈をした。
『……こちとらパティ(Vガンダム外伝より)、バタラ(クロスボーンガンダムより)、ナマクラ(ダイソードより)をほぼ全部出して作業させてるからねえ。』
「……よくはわからないけど……、まあがんばって…。」
『あっと、武内さん、一つお聞きしたいのです。』
「えっ?」
『本物の富樫ファイルは今、何処にあるのですか?』
「どういう事だ?長谷川君……ゴッドハンドの調べだと、富樫ファイルは矢吹が開いて……。」
『力を得た……』
「それが、富樫ファイルでは何か問題があるの?」
『富樫ファイルには強大な力を得る方法が書いてあった……。それは良いのです……では富樫はその力を使って何をさせる気だった?何を目的としていた?』
「えっ?」
困惑する武内に長谷川は続ける。
『富樫ファイルを巡って様々な勢力が動き始めました……。ゴッドハンド、評議会、KIYU、妖魔王、ケルベロス……。
それらを動かしてまで、出てきた物が、只の力?その程度の物が富樫ファイルであるはずがないでしょう!』
「……意外と頭は回る方なのですね。」
『まあ、ある程度は……ね。』
長谷川はそう言って、月の破片を集めようとする。
「ですが、一つ間違っています……。あれは確かに富樫ファイルです。そしてもう一つの富樫ファイルが存在するのです!」
「『なんだって!』」
二人の驚愕の声を上げ、次の台詞を待った。
347 :
月:03/09/23 20:39 ID:8nsFa+A1
驚愕の台詞に、武内は少し耳を押さえ、言葉を返した。
「ええ、ですがもう一つの富樫ファイルと言っても、それは二度と開かれることはありません……。」
武内の台詞に、二人は驚く。
『何故です!何故なんです!』
「それは……富樫ファイルを納めたCDが……月と共に破壊されたからです……。」
「『……………。』」(←月を破壊した人たち)
「あれには……KIYUドライブの真実が書かれていたはずです……ですが、破壊された以上…もうどうしようもありません。」
あまりの台詞に、二人は唖然とする。
『もしかして……CDってこれの事ですか?』
長谷川はモニターを入れ、ぼろぼろになったCDケースを見せる。
「確かにそれです……ですが、もはや分析は不可能でしょう……。」
『もうほとんど粉になったようなもんだからな……。』
長谷川はそう言って、CDをそっとポケットの中に入れる。
「いや、そうとは限らないぜ。」
『富野さん!方法はあるのですか?』
「いや、知らない。だけどまだそれは残ってるんだろう?だったら策を探してみるのも悪くはない。」
『……そうだな。このCDもらっても良いでしょうか?』
「ええ、KIYUドライブの真実、それはほとんど証拠は残りません……。突き抜ける力が周りの記憶を吹き飛ばすのです。」
『はた迷惑な能力だな……。』
長谷川は、汗を流しながら言う。
「まったくだ。記憶をそうぽんぽん操るなって。」
富野がそう言って、苦々しく笑う。長谷川はなんと声をかけて良いのか知らず、言葉に詰まった。
武内は、赤い月を見ていた。そしてそこには一枚の紙が握られていた。
『砕けし真実の板を見つけし男、旅にいずる。
それは砕けし真実の板を戻すための千の旅路の最初の一歩、百の冒険の始まりの一つ。
道を開くための歩みで、その男、真実を知る。
そして、その男、世を救うための一人の魔物とならん……。』
夫の能力で作り出された予言文の一つ。
「彼が一体何を見つけるのか……世を救うとはどういう事なのか……。見守ってみましょう。」
武内はそう言って、少しずつ消滅していく赤い月を眺めていた。
天空に新たな月影が瞬き始めると、まだか細い月光が、三匹の獣の姿を照らし出した。
猿渡哲也。鈴木信也リバース。審判・松江名俊である。
三匹は、それぞれに闘気を燃え立たせたまま、動かない。三竦みである。
と――
「ハロー」
真後ろからのおどけた声に驚いた信也リバースが、振り返り様、バットを打ち下ろした。
だが、バットは振りかぶられた瞬間、閃光のごとき一撃に、粉々に破砕された。
信也リバースが反射的に後方に飛び退き、そして驚愕する。
(今のはパンチか…? だが、拳の影すら見えなかった……)
新たな乱入者の登場に、戦場の空気が変質する。
すぐに声を発したのは猿渡だった。軍服姿の乱入者に呼び掛ける。
「おう、石渡やないけ。おまえも混ざりに来たんか」
気さくに話しかける猿渡に、石渡はあくまで事務的な口調で言う。
「ボス、海岸の方でやってる川原の試合を、本宮が観戦しているらしい。
こんなところで余興に興じているより、そちらに行った方が有意義じゃないか?」
ふむ…、と猿渡が腕を組んで考える。やがて、闘気を収めると、脱ぎ捨てていた上着を拾い上げた。
「確かにそやの。ワシもそろそろ歯応えある奴とやってみたかったとこや。
分かった、ほならここはおまえに任せるで」
「待ちや…!」
言い捨てて去っていく猿渡を、信也リバースが追おうとする。その前に、石渡が立ちふさがった。
「どけ!さもねえとぶっ殺だ!」 「…できるものなら、な。四回戦ボーイ」
猛る信也リバースと、冷静な態度を揺るがせもしない石渡。そして、呆れ顔の松江名。
その様子を見た、去り際の猿渡が言った。
「小僧、言うとくがの。そいつは、ある意味、ワシより怖いで。せいぜい殺されんよう、がんばることやな」
そして猿渡はその場を去った。怒りに震える信也リバースが、目標を石渡に変える。
だが、そのとき。別の方向から、覇気に満ちた大喝が響いた。
「待てい――――――――――――――――――ッッ!!」
全員が声の方を振り仰ぐと、そこにあったのは雄々しい背中と、肩ごしに光る強い意思に満ちた眼光。
その男――森田まさのりの姿を認めた瞬間、全員は異口同音に叫んでいた。
「「「 ど う で も い い け ど な ん で 後 ろ 向 き な ん だ !!?? 」」」
「はー、いいお湯ッスねー。五臓六腑にしみ渡りますや」
「普通使わねーぞその用法。しみるってなぁこのぬる燗の事をゆーんだ」
「また酒ッスかあ?それよりしんがのぼせちゃって・・・水ないッスか?」
「うー」
「フン、あめーな。通はここで迎え酒だぜ!おらガキ口を開けな」
「あーん」
「うわぁー!殺す気ですかーバカー!!」
「バカって言う奴がバカなんだぜクソッタレがー!!」
「いってー!これだから酔っ払いは嫌いだ、もう・・・ヒック」
「・・・おい、泣くなよ福地・・・おいコラ」
「ほえー」
「・・・そっちは沈むな、クソガキ・・・ったく」
「ねえ梅さん」
「あん?もう酒はねーぞ」
「だからもういいですってば!・・・空見てください。月が、出てきてますよ」
「なーんでぇ。せっかくドラゴーラしたのにもう復活しやがったのか、しぶてえ野郎だ」
「月ってそんなもんなんですか?・・・俺、小さい頃月にも温泉があるって信じてました」
「福地ー、月ってなんだ?」
「・・・あの空のまあるい星だよ。宇宙船で、温泉探しの旅に出るんだって卒業文集に書いたっけ」
「おめでてーな、テメーわ」
「ハハハ!やっぱりッスかぁ?今もね、夢はでっかいままッスよ。温泉で世界平和、温泉フロンティア」
「?福地ー、温泉ってココだろ?空にもあるのか?」
「ケ、漫画家は大抵夢見がちだが、テメーも相当キちまってんなぁ」
「・・・あー、今夜は本当に空が綺麗だ。明日も見れるといいな」
「・・・あさっては見れねえかも知れねえぜ。もうすぐ戦争が始まる」
「せんそー?」
「・・・・・・」
「しあさってには、見れますよ。その時は・・・みんなで。みんなで温泉行きましょう。ね?」
(´-`).。oO(誰が誰やら…)
影が二つ、船の中で対峙していた。
平野「ふん、誰か知らんが月を壊してくれたおかげで戦いが盛り上がる。」
菊池「そうそう月を破壊することができる人間などおらんよ。」
二人はにらみ合って、笑う。
平野「いくぞ。」菊池「来い。」
両者が武器にしたとき、場違いな声が鳴り響いた。
??「申し訳ありませんが、月はもう直ってますよ。」
その声に反応して、二人は夜空を見上げる。
二人「「……全く誰だ!!せっかく壊した月を直したのは!!」」
??「それについては答える必要はありませんな。」
そう言って、仮面を付けた男……安彦が突如登場する。
菊池「……ゴッドハンドがここに何用だ?」
安彦「菊池殿。お気持ちはわかりますが、いまはその時期ではありますまい……。
今ここで戦うのは、ゴッドハンドとしても、横山殿個人としても、良いことではないとの伝言でございます。」
菊池「ふん、ゴッドハンドの都合などどうでも良い。だが興がそげたのもまた事実。ここは引かせてもらうか……。」
平野「確かにな……。わざわざ月を直しに行く酔狂な人物がいるとはな……。」
そう言って、二人は別の方向へ向く。
平野「またな、犬。」菊池「ああ、豚。」
有賀「ふぅ〜。こっちの迷惑も少しは考えろってんだ。」
ぼやきつつも平野の方へ向かっていく。
平野「誰が迷惑だ。迷惑を被ったのはこっちだというのに。まあいい、宴会ではあれの続きをやるぞ。」
有賀「あれって……まさか紳士の殿堂を!」
平野「そうだ!当然だ!そして開こうではないか!最高に狂喜に満ちた宴会を!!」
叫ぶ平野に有賀は頭を抱えた。
安彦「面白そうだな、私も参加してかまわんか?」
平野「良いとも良いとも、特別ゲストは宴会を彩る最高の花だ!今日は月が破壊されなかった残念パーティだ!
夜が明けるまで楽しもうじゃないか。」
安彦「ふっ。良いだろう。私も最高の宴会になるようがんばろうじゃないか!!」
そして犠牲者数多く。
(´-`).。oO(背景とか状況とか入れないんだったら、気にせずセリフの前に名前入れようよ・・・・)
俺はわかるんだけど…
口調に特徴があると分かりやすいやね。
一番分かりやすいのはまこリンだが(w
あれーわかりにくいかなぁ?キャラ的に、
ス=福地タン
てめーわ=梅さん
ほえー=高橋しん ッス〜
(´-`).。oO(まこリンすっかり馴染みで正直嬉しいモーン)
全部会話だし解読不能
まあ本編にリンクしてない話だからこそできる荒技だなw
(´-`).。oO(博士!実験は失敗に終わっただス!完璧な叙情的作品目指して頑張るホ〜)
「菊池」じゃなくて「菊地」ですよ。
どうでもいいが、菊地は結局、何の為に来たんだ・・・
すまん、元々菊地向かわせたの俺だが・・・・
色々あって、書きづらくなって放置しちまった・・・・
暖めてたネタは、また今度書くよ・・・
361 :
宴:03/09/24 22:42 ID:DfMvOiNp
平野「ほう、あと5mmでセイラさんだったのになぁ」
宇野「惜しい。まあ、『植田まさし』よりは・・・」
安彦「みっ認めん!『つの丸』の漫画にヒトの女が出てきたことなんてあったか!?」
平野「たーしーかーまきばおーにー」
安彦「同じ顔だから意味ないわっ!」
山本「『小林源文』」
久保「『ビッグ錠』」
熊倉「『楳図かずお』」
安彦(包丁人味平ならなんとか・・・)
平野「『三峯徹』」
安彦はがくりと膝をついた。
ありったけの単行本とジャンプ(ごっちゃんです!のページだけ)を持ってトイレへGO。
「アシも男しか描いてない!」「無闇に露出度が高い!」「そもそもヒトがおらぬわぁ!」
など勇壮無比な鬨の声が響いていた。
・・・東方不敗が最大のピンチを切り抜けたのは数時間後。
活路は「ときめき☆ラブポーション」にあったとだけ伝わっている。
ルーレットネタ大好き。フャイト
(´-`).。oO(喜べ356他!テンプレにあるしたらば板の冨樫語りスレに温泉話の補完がされておった!メンゴ)
皮膚の下に中世の甲冑でも仕込んだような、禍々しい変化が岡村の肉体に生じた。
真倉「バカな…」 澤井「し…信じられない…」 本宮「…不死身か?」
克「武蔵裏天流は粉々にされた骨すらも再生させることが出来るのか…」
そのあまりに人間離れした異形に、見守る者たちは戦慄を禁じ得ない。…ただひとりを除いて。
川原「へぇ……、おまえもとうとう、人の殻を脱ぎ捨てた…かよ」
魔性の巨体を目の当たりにしても、この小さな修羅は眉ひとつ動かさない。
岡村「ヘッ…、『骨鳴』がただの復活技だと思ったら大間違いだぜ。
その真の底力をてめえの身体に叩き込んでやるッッ!」
吠えるや、異形が疾った。猛速の踏み込みから、左拳を飛ばす。
その左ストレートを、川原が右腕で難なく跳ね飛ばそうとした瞬間、恐るべき光景が展開された。
なんと、跳ね上げられた岡村の左腕の骨…その2本の骨が大きく開いたのだ。
兇悪な顎は、川原が捌きに使用した右腕を、食虫植物のような俊敏さで『くわえた』。
さしもの川原も「なにっ!?」と、驚きの声をあげざるを得ない。
そのときには、岡村の猛烈な右の連打が、がら空きの川原の顔面に叩きこまれている。
ギャラリーが完璧に絶句している中、克が呻くように解説する。
克「こ…これが『骨鳴』の正体ッ!己の骨を自由自在に操り、相手の動きを制する事ができるとは!」
常識を超えた魔技であるが、それだけで川原の心を折ることはできない。
だが、川原が反撃に転じるも、今度は左腕。
果てには、両足までもが『骨鳴』の兇悪な顎に囚われてしまう。
川原「ちっ!」 川原の四肢を封じた状態で、岡村が天高く飛んだ。
武 蔵 裏 天 流 極 限 奥 義 『 五 芒 魔 弾 』 !!!!
完全に川原の肉体を捕えた岡村は、物理法則を無視し、宙空を乱舞した。
地面・岩肌・樹……あらゆる場所に、川原の肉体を叩きつけ、押しつぶす。
その動きは、あたかも夜空に五芒星を描くような、凄絶でありながら美すら感じさせるものだ。
赤き月は、死と破滅を奏でる滅びのダンスを肴に、ますますその輝きを増そうとしていた。
本宮「なんて連続攻撃だ!それ以上やったら、川原が死ぬぞ!」
岡村の『五芒魔弾』が織り成す惨劇に、本宮が叫んだ。
すると、嵐のような猛撃がピタリと止み、岡村が川原を砂浜に投げ捨てた。
それは無論、本宮の制止が耳に入ったからなどではない。
大の字になったままピクリとも動かない川原を一瞥し、岡村が「息耐えたか…」と短く呟く。
真倉「おい、岡村!いくらなんでもやりすぎだ!」
最も川原を憎んでいたはずの真倉までが、思わず絶叫していた。
複雑な想いがあるのか、言ってから初めて自分のした事に気付いたように、真倉は渋面を作る。
なんとか誤魔化そうと首を振った瞬間、周囲のざわめきを聞き、真倉は闘場に再度目を向けた。
そこには果たして、白い道着を紅く染め、仁王立ちする川原がいた。
川原「化物め……」 片目を瞑りながら紡がれた台詞に、岡村が苦笑する。
岡村「化物はどっちだ……、『アレ』喰らって立つなんてよ……」
掠れた声で言う、岡村の背を濡らす汗は凍るように冷たい。周囲の者モ同じだろう。
川原「だが…、まだ甘いな。外見は人を捨てても、中身はまだ人を捨て切れてない……」
見透かすような言葉に、岡村の表情が強張った。川原は続けて言う。
川原「引っ張りだすしかないか……」
その瞬間、川原の姿は霞のように消え去っていた。
岡村「!?」
あまりの速度に自分の動態視力が追い付かなかったのだと岡村が気付いたときには、鞭のようなローキックが右足に叩きこまれていた。
『骨鳴』も、岡村自身が反応できない攻撃は捉えられない。
ロー一発で巨体が沈み、石火の下突きが岡村の脇腹を撃ち抜く。
「がはっ…」と呻いた刹那、左の視界に川原の蹴りが吹っ飛んでくるのが映る。
それはガードし、蹴り脚を『骨鳴』の餌食にしようとするや、凄まじい衝撃が反対側の側頭部を直撃した。
一瞬、意識が頭蓋骨からはじき飛ばされ、岡村が膝をつく。
克「『双龍脚』……左右の回し蹴りをほぼ同時に叩きこむ、電光の技…」
真倉「なんて野郎だ…あの岡村を圧倒してやがる…」
澤井「格闘って…こんなにも凄いものなのか……」
本宮「強え…な」
修羅・川原正敏。異形を前にして、その強さ、なおも鬼神なり。
「これより緊急会議を始めるモン!リーブ・イット・トゥー・ミー(私の話を聞きなさい)!」
日本語の誤訳(「ご注文はこちらですか」)には誰もつっこめない。
なぜか、混乱する≪非戦闘区域≫の統率係になったにわのまことが、
大会運営スタッフの主だった人たちを20名ほど仮設テントの会議室に呼んだのだ。
柳田がいない今、ワラにもすがる思いなのだ。激しく間違ってる予感。
ホワイトボードににわのの落書き、もとい懸案がいくつか書き込まれている。
・マジで山火事 ・地震だじいさん ・怪獣はでっかいじゅう ・柳田が嫌なぎだ
(((・・・これから俺たちはどうなるんだろう・・・))) 苦悩するスタッフたち。
「えー、ボクは正直スタッフじゃないので細かい事はわかりません!(きっぱり)
差し当たりできる事を考えるでヤンス。いーち!事故で人死にを出さない!!」
「せんせー!人死にはもう出てます!それ関係の犯人を追って柳田さんが・・・」
「なにゃあー!?んじゃ改定いーち、これ以上人死にを出さなーい!
にー!島で闘ってるみんなの邪魔をしないつついつでも島から逃げれるよーにする!」
「先生、日本語おかしいです(さっきの英語も)」
「気にしたら負けだモン!金以外はビリと一緒だス!さーん、責任者出てこんかーい」
「センセーそれゆーたらおしまいやで」
「ふっふっふ、歩がみっつ!それならナイスな作戦があるでおじゃる。ほい台本」
にわのが一冊のノートを机の上に置く。表紙にけったいなタイトル。
マジック一発、【ドッ○リマル秘報告!恐怖・テロリスト漫画家Nに支配される島で家政婦は見た】
「・・・マジこれ?」
「ドッキ○って一体誰を騙すんです?視聴者?あ、まさか柳田博士?」
「あたり前田のニール・キック!まあ全国放送で柳田君にカエレコールする作戦と思いねえ。
シナリオは『いたいけなスタッフ達が謎の覆面漫画家にいぢめられてますー』と。
『覆面さんはスタッフ全員を人質にして、高飛びするのでスーパーロボ持ってこい』っと。
んで『人質は柳田君と交換で返してあげまふ』でしょ?とにかくこの人数じゃん。
ロボでもないといっぺんに島から逃げられないっしょ。ま、みんな頑張って演技するデシ♪」
どうなる事やら。
岡村(こんなに……、これほどまでに差があるのか…!?)
技では、自分よりも川原の方が上だとは思っていた。だが、これほどの差を誰が予想し得よう?
砂浜に膝をついたまま、岡村は驚愕に打ちひしがれていた。
川原「どうした……、まだ勝負はこれからだぜ…、立たないのかい…」
自信を喪失しかけていた岡村だが、この言葉に闘争心を刺激される。
岡村(そうだ、このまま何もできずに敗北を喫するわけにはいかん…ッ。まだ…、まだやれる…ッ)
ゆらめきながら立ち上がり、『影卍』による超高速のラッシュを仕掛ける。
しかし、それらは全て川原の鉄壁の捌きに防がれる。猛撃の間隙を縫って、川原が前に出た。
ドツンッ…、と重い衝撃が岡村の鳩尾にめりこんだ。川原の下から突き上げるような肘打ち。
川原「陸奥圓明流肘技……『裏蛇破山・朔光』」
技の名を呟くのと、岡村が「ぐふっ…」と細く血を吐き出すのは同時だった。
常人なら即死もあり得る激痛の中で、岡村は理解する。絶対的な戦力差を。
岡村「やはり…、勝てぬ……かよ。だが…ッ!」
崩れ落ちるかに見えた岡村が、いきなり跳ねるように川原に飛びかかった。
『骨鳴』により、先程のように川原の四肢を封じ、そのまま天高く跳躍する。
死に至る高度まで上昇すると、上下を反転させ、川原もろとも脳天から落下を開始する。
真倉「岡村の奴……川原と心中するつもりか!」
澤井「岡村先生…!川原先生…ッ!」
本宮「やめろおおおおおおおおおッッッ!!」
見守る者たちの絶叫も虚しく、猛スピードで落下する2人が、絶望的な勢いで砂浜に墜落した。
爆発でも生じたように、砂塵が舞い上がり、墜落の瞬間の2人を覆い隠す。
……やがて。煙が晴れたとき、4人は見た。岡村が上、川原が下の状態で、地に伏す2人の姿を。
本宮たちが唾を飲み込む音が聞こえるほどの静寂の中、2人は彫像のように動かない。
克「動かない……あの体勢からすると、岡村先生の勝ち……か?」
そう呟いた瞬間、岡村が動いた。否、それは動いたというより、細かい痙攣だ。
川原「これが不破圓明流奥義……」 岡村「ぐっ……」
次の瞬間、驟雨のような喀血が岡村の喉をほとばしり、川原の顔を彩った。
川原「 『 神 威 』 ・ ・ ・ だ 」
かぶってもーた。上のレスは、サブタイね。
いきなり血をあふれさせ、喀血した岡村。絶望的なダメージに岡村の意識が白濁する。
一方、川原は「ちええいっ」と気勢を発するや、そのままの体勢から岡村を投げ捨てるように巴投げ。
力なく空中を舞う岡村の着地点に、地獄が口を開けていた。
大自然の戯れか、着地点の岩場がまるで剣山のように、槍ぶすまを形成していたのだ。
白眼を剥いたままの岡村に、着地点を変えることはおろか、受け身すら取りようはずもなく…。
「「「岡村ァァァ――――――――――――――――ッ!!」」」
耳を背けたくなるような音色……硬く尖った何かが柔らかい肉を突き通す音がひどく鮮明に響いた。
一瞬、本宮たちの目に映る世界が、その黒白を反転させた。
あまりに衝撃的な光景。あまりにも残酷な事実。かすれた声で、克が呻く。
克「お…終わったのか…?岡村先生……ピクリとも動かない……」
目前の生命が物言わぬ肉塊となった……あらためて音声化されると一層、その無情さが増す。
川原「そう……終わったのさ……」 幕を下ろすように、川原が小さく呟く。
川原「武蔵裏天流が……、たった今……な…」
呆然とする本宮たち。あまりの事態に、いかなる感情も表せなかった。
澤井「今……なにが起こったんですか……、あの瞬間…川原先生は何を…」
克「『虎砲』…という技を知っていますか?」
これが解説者の悲しき性か、どんな事態でも解説は忘れない。
真倉「……昔、初めて奴に会ったとき、喰らったことがある。
あのときは、危うくこの世から成仏しちまうところだった…。
あれは密着した間合いで押しつけられた拳から、瞬間的にパワーを…って、まさか!?」
克「そのまさかです…虎砲と同じく全身の力と気を片膝にため、それを一気に放つ…それが『神威』。
結果的に、完全に動きを封じた状態では…死の河を渡る以外に、岡村さんに道はなかった…」
本宮「言うなああああああああああッッ!!」
克の朗々たる解説を、本宮の大喝が打ち消した。
本宮「岡村ああああああッッ!!」
凄まじい叫びが、天空にこだました。天地をも震わし、大山を咆哮のみで砕く、龍のごとき咆哮。
一匹の漢の慟哭が天地を貫く柱と化した、そのとき。
奇蹟は、起こった。
咆哮が天空を劈いた刹那、闇夜を斬り裂くように、雷光が煌めいた。
天地を繋ぐ一本の光の柱が、全身を無惨な串刺しにされた岡村に、大音響をともなって落雷。
周囲を、網膜を灼くような眩い闇が支配し、『奇蹟』が顕現した。
恒星のごとき眩い輝きが、ひとりの男の全身を覆っている。
長髪が帯電して逆立ち、ボロボロの道着の上に神々しい光気を纏う姿は、この世の者とも思えない。
武 蔵 裏 天 流 極 限 奥 義 『 雷 波 極 』 !!!!
異形の肉体は消え失せ、無惨な損傷も完全に癒えている。
眼光は燃えるような真紅と化し、今までを遥かに超える気が、戦場を激震させる。
こちらを静謐な眼差しで見つめる川原に、岡村がにやりと笑う。
「イッちまったぜ川原……、おまえのおかげで……な!!」
刹那、岡村が消滅した。と、いきなり川原の体が吹っ飛ぶ。
「がっ……!」 川原の表情に、初めて焦りの色が生じた。
神すら叩きふせるかと思うような、人の限界を完全に超越した動き。
力・速度・技、その全てが川原を圧倒し、一方的な岡村の攻勢がつづく。
真倉「なんだこれは……今までの岡村とまるで違う……何が起こったんだ…」
克「潜在意識の大爆発……あの時、尖岩の上に落とされた岡村先生は死を覚悟した。
その必死さゆえに、とことん無になった心が、岡村先生の潜在意識を呼び覚ました…」
本宮「これが岡村に眠っていた真の力……その潜在意識と能力の『扉』が今――確かに開かれようとしているッ……!!」
すでにボロボロの体で地を蹴り、猛然と川原がつっかける。
正拳。それを岡村が捕らえるや、自分の身体もろとも、川原を空中高く蹴り上げた。
空中で無防備になった川原に、煌めくような指拳が炸裂する。
武蔵裏天流『刃鎧』……筋繊維を気で刃のように硬化させ、相手を斬り裂く魔技。
凄まじい連打が、川原の全身を真っ白に発光させ、次の刹那、その身体が地面に激突した。
両腕を交差させた形で、両の裏拳が川原の顔面を挟み潰している。
武 蔵 裏 天 流 『 天 空 閃 光 斬 』!!!!
川原岡村戦、面白いな。
ただ岡村はここまでネタだすと死んでしまうような気がするな。
使う技がなくなってしまうw
【とにかく島から計画的に逃げましょう】と言う結論の緊急会議。
にわのとスタッフたちは、現在思いつく限りの問題点や知りうる限りの情報を、
かき集めて円滑に事が進むよう相談の詰めに入った。
「選手が島を出る時はみんなが持ってる“ワープバンダナ”が作動するんだスな?他の方法は?」
「審判長のほった先生に聞いてみないと・・・あ、今お風呂入ってますが」
「にわの先生ー!故障したり放置されたりしているバンダナの調査はした方がいいですか?」
「そりゃそーだモーン! えーっと通信係クン、後で選手全員のモバイルに連絡入れてくんない?」
「了解。でもどうやって伝えます?それにもし島の崩壊が午前7時のリミットより、
早かったらどうします?中央区は現在違反者退治用メカも出払っているので、
とりあえず誰でも入れはしますけど・・・ヘリポートを開放しておきますか?」
「う〜〜む、難問だモン。まあ『島が燃え尽きたり沈没したらゴメンちゃい♪』とかー」
「そんなんでええんでっか・・・」
「てゆーか先生!現在試合参加者のほとんどが、山火事現場周辺に固まってますよ!
やっぱり派手なところに人がいるのか思って近づいちゃうんですかねー?」
「そりゃーバカと煙は高い所からフライングクロスチョップと言いますしー♪」
「言わん言わん」
目まぐるしく動く会議室は、島に降り立つ全ての人間の命運を握っていたと言っても過言ではなかった。
「うーむ、ちょっとセコいかなーって思うんだけど、試合の放送見ていーい?」と、にわの。
一応参加選手なので、あんまり特権的行動は取りたくない・・・と思っていたのだが、
正直選手たちの置かれてる状況がちっとも掴めないのでは仕方がないと諦めたのだ。
「試合ですか?今かなりエグい事になっていますよ。先生裏御伽でしょ?ヤバイッス」
などと気になる返答をスタッフがするものだから、余計に困ってしまう。
スタッフ用モニターからは、実況の声すら入らない。包装事故でもないようだ。
脇にいる別のスタッフ達は、「視聴率が跳ね上がっている」とホクホク顔だ。
「うー・・・・い、いいモン!試合はビデオに撮ってあるモン、後でたっぷし見るじゃーん!」
泣きそうだけど我慢の子。モバイル連絡は後にして、別の調査班の元へそそくさと移動した。
バンダナ検査員から困った報告が。
数個のバンダナが既に機能を喪失、または放置されているとの事。
推定だが、多量の血を含んだり試合の影響で破壊されてしまったもの(川原?現時点では不明)や、
試合のさなかに外れたり不慮の事態でその場に置かれたまま人間が移動やワープしたもの(岡野?他数枚)が、
あるのではないかと言う結論である。バンダナがないと、タイムリミットや二勝後の、
島脱出強制ワープが不可能なのだ。○ッキリ計画以前に課題は山積みであった。
「柳田クンと最後に連絡が取れたのがさっきのあの時(
>>322)だったのかモン。
たくぅ、なーんでこのボクがこんなに働かなきゃならないんだホ?ぶつぶつ。
まあ火事起こしちゃったし責任取るってのもあるけどさ。はー早くカラオケ行きたぁい」
にわのが珍しくぼやいていると、プレハブ小屋のモニタールーム周辺で歓声が沸きあがる。
忍者のように駆け寄ると、条件反射でガラスのコップを壁に当てて中の会話を聞く。
(松江名先生が、どこかに消えたと思ったら乱闘なんか・・・)
(さっそくカメラを配置しました。森田先生も来てますね・・・)
(あれ?高橋先生も近くにいますよ。選手が密集してるな、カメラあと5台回して・・・)
「乱闘?森やん?高橋せんせ?はー、なんだか楽しそうだモン。センチメンタる〜」
闘いは、好きな方だ。てゆーか大好き。でもリングの上の、ルールある闘いの方が好き。
若い頃は諸国漫遊武者修行の旅に出て己を鍛えたものだが、やはり実力伯仲した者たちとの闘いはとてもいい。
あの日『猫先生』小林まこと先生にボテくり回されてからの人生は、さらに輝いている気がする。
≪明るく楽しく激しいなんでもバトル漫画≫に生涯をかける者として、正直もう一花咲かせたかった。が。
「・・・ま、ボヤいてもしょーがないやぁ。
ボクには島が終わってから、やらなきゃならない事がある。
そのためには少しでも多くの人たちを味方につけないとねっ!さーお仕事お仕事♪」
らねばならない事。未来を知ってしまったが故の決意。
トーナメントが閉幕したその時が・・・新たなる戦争の始まり。
自分はその時、生きて帰れないかもしれない。どれだけ人死にが出るか想像つかない。
裏御伽のみんなを悲劇に巻き込みたくない。自分は“10年前”に一度死んでいる。
あの時、壊れかけた魂を救ってくれた人――本宮せんせー。
普段全然仕事しない。お酒飲んでばっかり。はた迷惑ばかりしてメンバーを振り回してる。意外に涙もろい。
よく笑う。食べる。怒る。叫ぶ。しょっちゅうケンカしてる。変なおっちゃん。でも、そこがいい。
「せんせー。小林師匠。ボク、がんばります。だから今度なんかオゴってね♪」
にわのは満天の星空に向かってにっこりと笑った。赤い月はほとんど見えなくなっていた。
やらねば・・・のやが抜けた。・゚・(ノД`)・゚・。
あーもう文字数キッツイわぅう
放送事故直してないし。・゚・(ノД`)・゚・。
お目汚しスマヌー川原vs岡村戦がんばれー _| ̄|○
ガンガレ
力なく横たわる川原の上に、倒立状態の岡村が尖塔のように突き立つ。
やがて、岡村が音もなく着地すると、大の字になった川原の全身から鮮血が一斉に噴き出した。
静まりかえるなか、審判・克が岡村の勝利を告げようとする。
克「勝者、岡む…」
本宮「川原あああああああッッ!!」
克の勝者宣告を、本宮の大喝がさえぎった。近くまで駆け寄り、さらに叫ぶ。
本宮「てめえ、俺と闘うんじゃなかったのかッ!大口叩いといて、そのザマはなんだッ!」
真倉「親父……」 澤井「本宮先生……」 そんな本宮を見て、2人が呆然と呟く。
そして。
修羅は立ち上がる。その身を鮮血の朱と、内出血の青に染めて。
本宮「川原…ッ!」 真倉「川原……、おまえ…」
川原「おかげで……目が覚めたよ、おっさん……だけど…」
闘場のすぐ近くまで来ていた本宮に、川原が背を向けたまま言う。
川原「そっからこっちへは来るんじゃねえぞ……」
本宮「もう、誰も止めたりしねえよ……、好きなだけやってこい…」
川原「ああ……」
顔を見せぬまま、川原は前に歩みを進める。
川原「まだ……、終わっちゃあいないぜ……」 岡村「………」
そう闘いはまだ終わってはいない。修羅と鬼神の闘いは、苛烈さを増そうとしている。
本宮「ぞくぞくしてくるよなあ……あいつだけは……本当に…」
呟く本宮の目には、涙が光っていた。
本宮「あんな体でたちあがったって……、もう勝てっこない…、そうとしか見えないのによ……、
でも…あいつなら……、奇蹟を見せてくれるんじゃないか……、そう思わせてくれるじゃねえかよ…おい…」
真倉「親父……」
熱き男たちが見守るなか、両雄は幾度目か対峙する。
川原「岡村……おまえは強い……、もしかしたら格闘漫画の頂点に立てたかも知れない…
だけど残念なことに……おまえの前に今たっているのは……川原正敏…、俺だ……」
劣勢をものともせず、朱に染まった顔が笑う。岡村の頬に汗が伝う。
岡村(ちがう……今までの川原じゃない……これは…この戦慄は……)
大気が、闘気が、あらゆる気が変わっていく。
川原「起こしちまったよ……、俺の中の……獣をな…」
修羅が、目覚める。
(なぜ、おまえは立ち続けられる…、俺たちを裏切ったおまえが……、
何も守る者を持たないはずの…、道楽で闘っているはずのおまえが…)
死闘に立つ川原を、真倉は打ちひしがれながら見ていた。
自分に出来るだろうか?あんな状態になりながら、それでも己の勝利を信じ、立ち続けることが。
こんな事が出来るのは、本宮だけだと思っていた。なのに……、この男は……。
一方、川原。いったい誰を思って闘っているのか、その胸中は分からない。
(本宮のおっさん…、俺はやっぱり人殺し…って業から逃げられないみたいだよ…
もうダメだと思うのに……体が闘うことをやめようとしない……、
アンタを殺そうとしている奴に負けられるか……そう思ってた…
だから立っていられるんだ……と、でも違う……、違うんだ……、俺の中に一匹の…)
獣 が 棲 ん で い る ・・・
川原の中に眠っていた竜が、今めざめる。島中を、修羅の気が覆いつくす。
モニター越しでさえ感じる戦慄に、闘いを見る全ての者が、息をのむ。
(凄まじい……これが修羅の本性か……だが、あの体では今さら何を…)
奇しくも、克の心中に答えるように、川原は呟く。
「おまえの復活技はたしかに無敵だ……だが……」
ただしゃべっているだけなのに、気が奔る。鬼が戦慄く。
「それすら砕く技が……圓明流にはある……」 (なに……)
そのとき、モニターの向こうで歓声が爆ぜた。今や、島の闘いを見る全ての視線が、この闘いに集中しているのだ。
「おい、解説さんよ!?」
真倉が解説を求めるも、克には心当たりがない。
だがそのとき、ある事に思い至り、克の表情が愕然と強張る。
「まさか・・・ 『 四 門 』 ・・・?」
「シモン…?それはどういう技なんだ……」
「『四門』は『死門』……その四つの門のうち、どれが開いても死への道しかない…
それが圓明流で『四門』と呼ばれる『奥義』の上にあるものの総称…
『朱雀』 『青龍』 『白虎』 そして『玄武』……技で言えばそれが名にあたる…
『四神』は『四門』の上に成り立ち、それぞれの門を開ける……しかし…」
つ か え た 者 は 誰 も い な い 幻 の 秘 技 ・・・
残りレスがわずかだというに、長い戦いだ……
詰め込むネタは大分けずったんだが、それでも終わらんとは……
ともかく、あと少しなんでがんばります
>>370 出し惜しみしないのが、俺の主義なもんで……
まあ、岡村はあれで結構、作品多いから大丈夫だと思う、多分(月ジャン作品以外はマイナーだが)
>>375 応援サンクス。がんばりますわ
週刊少年チャンピオンは、ある意味不遇の吹き溜まりといえる。
発行部数は四大誌の最下位。ゲーム化アニメ化なんて一握り中の一握り。
下手をすると本屋にも置いてもらえない・・・いや、置いてもらうべきものすら・・・
鈴木「まだ、俺には残されている」
右手の感触を確かめながら、鈴木ダイは呟いた。
チャンピオンでも、鈴木はとびっきりの不遇者かもしれない。
彼は師に利き腕を斬り飛ばされた。理由は不明。師匠とはそれっきり。右腕はそのときに機械化した。
そのほかにも存在感が薄いとかトイレに入ったまま出てこないとかいろいろあるが、面倒なので省略する。
省略してもどうでもいい気がするのが、彼の不遇さに一層拍車をかけている。
鈴木「俺の能力の一つ、ヘルズ・ヘルツは分子の振動を止め、全てを凍てつかせる。」
オーロラエクスキュージョンは効かないという、鈴木の挑戦状。
ダメだって。お前そんなことするキャラじゃないだろ。
車田「フッ。知っていたとも」
ほら、余裕しゃくしゃくで返された。
鈴木「フッ」
余裕か?車田もう振りかぶってるぞ。ほらストレートだ。
カ ッ
投げた瞬間、車田は投げたボールを自ら追い抜いた。
車田「黄金聖闘士は光を越えるぞ」
鈴木「 知 っ て い た と も 」
車田「 ラ イ ト ニ ン グ ボ ル ト !」
鈴木「 フ ラ ッ シ ュ ス ト ラ イ ク !」
車田の光速の拳と、鈴木の超高速連続打撃がまともにぶつかりあった!
・・・押してるぞ鈴木!とても瀕死のヘタレが死ぬ1秒前に使った技だとは思えない!
押している!黄金聖闘士車田正美相手に一介のチャンピオン作家が、
久々に出した技の名前を(×フラッシュストライク ○ストライクフラッシュ)間違えながらも押している!
ハイキックが拳をすり抜けわき腹に命中!聖衣破壊!
軽々と回り込み左フック!聖衣破壊!
ボコってる!タコ殴りだ鈴木ダイ!
パチリ。
指を鳴らす音。
ボトリ。
首が落ちる音。
夢は、終わった。
振りぬかれた右腕は、巨大なバタフライナイフへと変形し、車田の首を斬り落としていた。
ボールを投げた瞬間から、車田は鈴木の幻惑の手中におかれていたのだった。
車田の胴体が膝をつき、首から血が噴水の如く噴出する。
赤い、赤い血。真っ赤、朱、紅、真紅、深紅、どれにもあてはまらず、あえて表現するならば・・・RED。
RED?REDがそこにある。鈴木の目の前には、一冊の雑誌「チャンピオンRED」11月号。
「それ」は唐突に開かれた。ただ、1ページだけ。そこには・・・
赤い、紅い、REDなページ。その中心には・・・
白スーツ、白い靴、胸には一輪の薔薇、車田正美!
鈴木「うわああああ―――――――――っ!!!」
車田「鳳凰幻魔拳。所詮走狗は鳳凰には勝てぬということだ」
眼前で崩れ落ちた鈴木ダイを見下ろし、車田は満足げに呟いた。
哀しいかな、鈴木ダイの戦術は一つとして車田正美を超えられなかったのだ。
車田「・・・しかし、俺のベストショットは刺激が強すぎたか。まだ攻撃には移ってないはずだが・・・」
チャンピオンチーム、2アウト。ネクストバッター、戸田。
「おおう!殺気で鳥肌ブツブツじゃん!いきなりなんじゃらホイ」
モニター室に入れてもらえず村八分の≪災害対策臨時委員長≫にわのが唸った。
さっきからこっそり試合中継を壁越しに聞いているのだが、凄い事になってるらしい。
いても立ってもいられず、とうとう裏技『バイオ・モンガー』を使用する・・・。
モニター室内部では、幾人ものスタッフが自分の仕事を忘れて死闘に魅入っていた。
そこへバイオ・モンガー・・・自らを溶解させてドアの隙間から進入・・・が現れる。
「ゲッゲッゲ・・・(変身を解く)あれ?ってうわぁー!!」
素で驚くにわの。20個以上はあるモニターから映るは【修羅と鬼神】。
そして今まさに彼らは最終決着をつけようとしていた。生か、死か。
(ヤバイっち!あんな試合かましてたらどっちも死ぬわい。あーどーしよー!
・・・・・・今のボクに使えるかなあ?≪あれ≫が。≪太陽の紋章≫が・・・でも行かなくちゃ!)
太陽の紋章。はるか古代、沈みゆくムー大陸の民を救ったとされる、神より授けられし力。
紋章の力に目覚めた者は、己の肉体を鋼鉄に変え、さらには他者の魂を呼び戻すことができる。
(ただし死後30分以内)紋章は力を使うときにのみ現れ、まるで炎を帯びたように光る。
にわのの紋章は手甲に隠れた両の腕と、マスクに隠れたこめかみの下にあった。
だが、まだ能力に目覚めていないらしく、せいぜい腕に気を溜める程度である。
「平たく言えば気合いでかますフェイ○フラッ○ュだモーン!ほっといてんかー」
「先生、どっから入ったんですか!対策本部に戻って下さいよ」
「チィィ見つかっちまったじゃん!ボクはちょっくら用事ができたモン!さらばっ」
「んな無責任な。一体どこに行くんですか!?あなたも僕らを見捨てるんですか」
「止めないでー!止めたら死ぬわ〜死んでやるわぁぁ〜〜(ジャラジャラ)」
「先生!マーブルチョコ飲んでも死ねませんよ!!」
泣き顔のスタッフに必死に止められる。確かにどちらの命も天秤にはかけられない。
それでも、「5分で戻るから!」と言い残して、にわのはモニターのひとつに手を触れ、文字通り飛び込んだ。
特殊能力のひとつ【時空移動】を、画面越しに行ったのだ。かくして裏御伽副将は戦場へと向かう・・・。
あれ?こめかみじゃない・・・
眉間だ _| ̄|○
地獄の釜の底が抜け、そこには白き魔獣があった。
「ひぃ〜、ひぃ〜!と、とにかく外に・・・」
地下坑道跡を必死の形相で駆け抜ける男、ヒラマツ。
背後に迫る巨大なダンゴ虫型宇宙船≪ラ=レダルーバ≫は、硬い地盤に引っかかって、
歩行速度を緩めている。この隙を生かそうと、痛む足を無理やり動かして距離を離す。
迷路のような道を、とりあえず地上目指して上がり坂ばかり選んで突っ切る。
幸い途中で電灯付きヘルメットを見つけたので、防災がてら被っている。
それでも背後から迫る圧迫感は相当なものだ。ヒラマツは肝を冷やしながらひた走る・・・。
「あっちだな・・・」
同じく地下坑道。こちらは海から島の中央へと続く道。
真倉と離れ離れになった岡野が、壮絶なまでの霊力(魔力?)を追って、
危険地帯に徐々に近づいている。鬼や妖怪の類だったら調伏するつもりなのだ。
愛用の白衣観音経と数珠の所在を無意識に確認する。
知らず知らず、冷汗が出る。地下にはゆるく涼しい風が吹くのにだ。
何かをゴリゴリと押しやる音が、その風に乗ってかすかに聞こえた・・・。
乱闘の場を石渡に投げ打ってその場を去った猿渡。
彼の目的は島の闘いの外にある。
『その先』――岡本倫――に辿り着くまでの行程は、ただの砂利石でしかない。
一歩一歩、踏みしめるのみだ。派手な音を放ちながら。
猿渡の眼前に、伸びた人影が突き刺さる。
「やあ。準備運動は終わったのかい?・・・・ずいぶん捜したよ」
「・・・・高橋陽一、か・・・・それはご苦労だったな」
山火事迫る地の、運搬用に道路が切り開かれた森の大通りで。ついに彼らは交錯した。
火を背負った高橋の顔は、たとえようのないほどに涼しげな笑顔。
猿渡は新しい一歩を、踏んだ。
川原「四門……それがおまえを、あの世につれていくものの名だ」
岡村「フフ……、背中をはしるものがあるぜ。ぞくぞく……とな。
裏天流によって作られた肉体すら砕く技……かよ。
しかし……、その体で、できるか…!?できるならば、見せてもらおう」
川原「できるさ……、俺ならば……な」
おそらくは、これが雌雄を決する攻防になる。
それを予感し、双方の緊張が増す。間合いが、ミリ単位で狭まってゆく。
と――。
岡村「しゃああ!」
先に動いたのは、岡村だった。顔面への正拳突きを川原がかわす。
さらに左の下突き(ボディーアッパー)。これはかわせず、川原が吹っ飛んだ。
血まみれの体が、波打ち際でかろうじて踏ん張った。もう後がない。
岡村「にがさん!」
左の鉤打ち(フック)が防御する腕にヒビを入れる。
左のミドルキックが内臓に悲鳴をあげさせる。
完全に追い込まれた川原、めった打ちであった。
克「川原先生……追い込みましたね」
ぽつりと呟いた一言に、真倉が眉をひそめる。
真倉「川原は追い込まれたんじゃ……?」
克「己を追い込んだんですよ…、後ろにはさがれない…岡村先生も気はゆるめない。
もはや通常の技ではなす術がない……、勝つ為には、もはや『四門』をやるしかない…」
サンドバッグ状態の川原。その足下で、川原の気に触れた砂が、重力を無視して浮かび上がる。
克「気を溜めている…、亀のように体をかためて…、しかし出来るのか…?」
岡村の凄まじい猛攻。汗と、そして血が宙に舞う。もはや倒れない事だけでも奇跡というべきか。
克「やはり…、無理か…、逆に出来たとしても、あの体では持たないだろうが…」
川原(『気』が…ぬける…、くそったれぇ俺の力は…こんなものなのかよ…)
飛び散る鮮血が、本宮に降り掛かり、その顔を濡らす。
その熱い感触に、本宮がぎりっと歯を噛みしめる。
本宮(俺は『勝て』とは言ってやれない…だが見せてくれ…『奇跡』ってやつを!)
そのとき、岡村の渾身の正拳突きが、川原の鳩尾を貫いた。
「ぐはっ…」と喀血し、川原の体がゆっくりと海に没しようとしていた。
血まみれの体が、ゆっくりと海に向かって倒れていく。
川原(おっさん……)
暗黒に堕ちかけた意識に、一条の閃光のごとく、その名がよぎる。
そのとき、極限まで体内に満ちた気が迸り、その体を今一度立ち上がらせた。
だが、そこへ無情にも、死神の鎌のごとき岡村の一撃が迫る。
川原「お お お ・ ・ ・ ・ !!」
修羅の意識が覚醒し、裂帛の気炎を吐いた瞬間、『奇跡』が起きた。
キイイイン……という鼓膜をつんざくような甲高い音と共に、川原の姿が消失した。
空を切る、岡村の拳。影はおろか、残像すら残さぬ、それはまさに消滅だった。
岡村「ちいいっ、後……かぁ!」
瞬間移動のように、砂浜の中央に突如として出現した川原を、岡村も石火の反応で追う。
本宮「はっ…疾え!だが、岡村もなんてえ反応だ……っ」
克「まさか……、川原先生……」
風を超え、一条の電光と化した川原が雄叫びをあげながら、突進する。
川原「おおあ!」 岡村「ぬうう…!」
克「 四 門 」
ヴ オ ン !!!!
大気が振動した刹那、岡村は見た。『4 人』の川原を。
岡村(バカな…、なんだこれは……!?3人…いや、4人だと?)
本宮(疾い、いや疾いなんてもんじゃねえ……、あれが人に可能な動きなのか!?)
次の一刹那、川原の姿は再び、幻のようにかき消えた。疾すぎて、もはや誰もその動きをとらえられないのだ。
音速すら超えた動きの中、川原の身体が悲鳴をあげる。それでも、川原は……飛んだ!
岡村(なにっ!?)
岡村が感じたものは、風だった。一陣の風が耳元を吹き抜けるや、視界が瞬転。
破滅の音が、鼓膜を貫く。川原の両足が、背後から岡村の首に回り、それを捻折ったのだ。
血を吐く間もなく、仰向けに倒れこむ岡村の眉間に、川原の肘が突き立つ。
技が完成したとき、眩い光が発した気がした。それは、死の門が開いた証か。
『 朱 雀 』 炸 裂 !!!!!
水を打ったように静かだ。時が止まる。島中のあらゆるものが、刹那ときを止めたようであった。
戦慄すべき、そして唾棄すべき光景が目の前にあった。
おびただしい血が砂に吸い込まれ、あるいは暗黒の海に溶け、流れていく。
克(死んだ……)
澤井(殺し……た)
真倉(殺した!!)
本宮(……っ!!)
誰もが、認めたくない、だがこれ以上ない現実に打ち震えた。
いかに不死身の再生力を持つ肉体とはいえ、頚椎を砕かれ、さらに頭部を破壊されては、生き残れるはずもない。
残酷なる静寂のなか、川原がよろめきながら立ち上がり、天を掴むかのように掲げた拳を握りしめる。
だがそれも一瞬、それっきり川原は立ったまま動かなくなった。その姿は、死の門をくぐったように思えた。
克「人の持つ『力』とは奥が深い。限界だと言われている処は、実は半分に満たない処です。
修練によって、その力の限界を、ある一瞬ひきだすことを圓明流では『奥義』という。
そして『四門』とは、それをさらに超えたものを無理矢理に精神の力によって引き出す…こと。
極限を超えた…、電光そのものの動き…、
おそらくはあの瞬間、岡村先生は4人の川原先生を見たでしょう。
その上で四神…『朱雀』が飛ぶ……いかな岡村先生でもなす術はない……それが四門…それが四神です…
しかし…、それゆえに…、体がその動きに…、たえられるわけもないでしょう……」
その瞬間、本宮が絶望的な声を吐いた。
本宮「川原あああっっ! 岡村あああっっ!」
龍の咆哮のごとき怒号。それが響いたとき、またしても信じられない事が起きた。
頭から血を溢れさせ、仰向けに倒れる岡村。その朽ちた目に、光が宿ったのだ。
まさしく亡者のごとく、鬼神の心臓が鼓動を打ち始めた。
頭から滝のような血を流しながら、鬼が立ち上がった。
その鬼気迫る姿に、もはや誰もが声も出せない。
克「バカな……四門を喰らって……ああなってはもう再生技も使えないはずなのに…」
岡村の目は虚ろなまま、這いずるように川原と向かい合う。
対する川原が動かない。周囲が絶句するなか、本宮が大喝を轟かせる。
本宮「川原あああああああああッッッ!!」
動かない川原に、岡村が組み付く。だが、その体を膝が打ちあげた。
岡村の体が、ずるりと沈む。すんでのところで、川原の体にしがみつく。
川原「よくよく…、あんたの声は頭にひびく……みたいだな。とまった心臓も動きだす…か」
そう言って本宮を振り向いた川原が、朱に染まった顔で笑う。
川原「地獄の底から、ひっぱり戻されちまったよ……」
本宮「ばかやろうが……」
そう呟く本宮の目には涙がにじんでいる。しかし、まだ本宮は駆け寄らない。
岡村がなおも川原にしがみつき、すがりつくように立ち上がったからだ。
本宮「岡村………」 岡村(本宮さん……)
悲痛な表情を浮かべる本宮に、岡村がちらりと笑みをかえす。そして川原に向き直る。
岡村(俺の中の宮本武蔵は敗れた…、その事に悔いはない…。川原、おまえは俺よりも強いんだからよ…
が……、ひとつだけやり残したことがある……)
岡村「まだ終わってない。川原正敏、そうだろう」 川原「ああ」
そして、2人がはなれた。そこから、なおも岡村がつっかける。
しかし、もはや神速は失われている。そこへ、川原の蹴りが飛ぶ。
左腕がヘシ折れた。右の下突きをしかける。これは、肘で撃ち落とされた。
岡村の右拳が破壊された。それでも、岡村はつっかける。その度に、川原の攻撃を喰らう。
川原も手加減しない。せっかく拾った命を、再び投げ打つような、果てしもない死闘。
この人外の死闘はどこまで続くのか。それは月がけが知っている。
真倉「もういいっ……もうやめろ、川原っっ!岡村っっ!!」
号泣する真倉が、タオルがわりに着ているガクランを投げようとする。
本宮「よせ、真倉!!」
真倉「なんでやめさせねえんだ、親父!このままじゃ、2人とも……!」
本宮「あいつが戦う事をやめないのに、なんで俺たちが止められる…!
男のケンカにタオルを投げることは、恥になるだけだ…!!」
血を吐くように叫ぶ本宮も、その顔は涙でグシャグシャだ。
もう、この戦いを見ている者で、涙を流してない者など1人もいない。
本宮「たとえ……死のみがその先にあるとしてもな……」
そのとき。岡村の動きが止まった。背を向けたまま、本宮に言う。
岡村「本宮さん……俺は今から、『現役』に別れを告げる……、よく見ていてくれ…」
本宮「お…岡村……」
岡村(できないだろうがよ)
すると、岡村が奇妙な構えをとった。いや、あけすけというべきか。
砕けた右拳をひき、折れた左腕が垂れ下がっている為、当然ノーガード。
顔面を無防備にさらしたまま、心もち前傾姿勢でジリジリと間合いをつめる。
まるで、『右正拳を打ちます』とでも言っているようにしか見えない。
岡村(本宮さん……あんたなら…俺のしようとしていることが分かるだろう…
これが現役の俺が見せる、最後の技だ……)
その構えを見て、本宮は思い出した。岡村と初めて出逢って、まだまもない頃。
岡村のトレーニング中にかわした、ある会話を。
****
岡村「本宮さん……武道の理想って、なんだと思う?」
本宮「さあな、俺は格闘技なんて、さっぱりわかんねえし」
岡村「正直な人だなあ……。いいかい、本宮さん。
それはな、『一 撃 必 殺』 だ!!
敵の攻撃を受ける前におのれの攻撃を叩きこみ、そして、そのただ一撃をもって相手を叩きふせる!」
岡村「まあ……、口で言うのは簡単だけどな……。たとえ石を割り、
レンガを砕く技と力を身につけても、そうは簡単に人は倒れてくれねえ。
急所への攻撃も、急所ゆえに簡単には打たせてくれない。
だから、数々の技があり、あるいはくらまし、あるいはつなぎ…とても一撃必殺とはいかない。
特にレベルが上がれば上がるほどな。おそらく…歴史上、その境地に立った奴はいない。だがな…本宮さん…」
振り向いて笑う岡村の笑顔には、一点の曇りもなかった。
岡村「それをめざすのは……、天へ拳をふりあげるのに似ているかもしれねえが…
いつかは…、いつかはそこへ立ちたい……、俺はそう思ってる…」
そして、現在。
真倉「親父…!?岡村は、何をするつもりなんだ……」
本宮「岡村から目をはなすな!見逃すんじゃない…これからの岡村賢二をしっかり目に焼きつけておくんだ!」
澤井「相打ち……ねらい……?」
克「できなければね……、できなければ相打ちですよ。
川原先生も、岡村先生にああでられては、注文通りスキだらけの顔面を狙うしか手はない。
それを…、岡村先生は…その瞬間を見切って…、川原先生の攻撃をかわす気も止める気もまったくなく…、
ただ一瞬早く、おのれの拳にすべてをたたきこむ……そのつもりだ…」
澤井「できるんですか?」
克「できない……でしょうね。できないから、世にはいろんな技があり、術がある。歴史がそれを証明しています」
そのような会話がなされている間にも、2人の間合いはつまる。殺気が満ちる。
あ れ は 神 を 凌 駕 し よ う と す る 試 み に ほ か な ら な い !!
今、果てしない戦いが、最後の刻をむかえようとしている。
岡村が砕けた拳を握りしめた。その拍子に、折れた骨が肉を突き破り、飛び出す。
無惨な光景だが、岡村の肉体はすでに痛みを超越していた。
それは川原も同じだ。『四門』を開け、『朱雀』を放った瞬間に、
その筋肉繊維は、戦うどころか歩くことすら困難なほど、ボロボロになっているのだ。
それでも、どちらも戦いを止めはしない。相手が動く限り、それに応えるのが闘士なのだから。
そして、止まった刻が動く。
修羅が、走った。破神が、駆けた。
千切れた筋肉で、川原が最後の一撃を放つ。
砕けた拳で、岡村が渾身の突きを繰り出す。
破 神 正 拳 突 き !!!!
必殺の右が火を噴き、片方の体が浮き上がった。
数メートルも後方に吹っ飛び、砂浜に叩きつけられる。
立っていたのは、黒の道着を身につけた男。砕けた拳を突き出したまま、仁王立ちする男。
澤井「川原先生が吹っ飛んだ!!」 真倉「岡村が勝った!!」
真倉が両手を天に突き上げ、歓喜をあらわにする。
だが、背を向けたまま、岡村は動かない。そして、呟く。
岡村「やっぱ……、できなかったか……」
真倉「え……」 澤井「!?」
呆気にとられる裏御伽の面々に、岡村が振り向く。それを見た本宮たちが絶句した。
血まみれの岡村の顔。その顔にはあるべき器官……左目がなかった。
すると、胸を押えながら、川原がゆっくりと立ち上がる。その右手の指が新しい血に濡れていた。
克「あの一瞬に、川原先生は正拳ではなく、二本貫手で眼を突きにいった…。
正拳ではなく、貫手……その指の長さ分、二・三寸の差が結果としての相打ちを生んだ。
おそるべき勝負勘というべきか。川原先生が正拳で勝負をかけていたら…、
まちがいなく……、川原先生の方が死んでいたでしょうね……」
本宮「岡村……おまえは、少なくともあの一瞬、神と並んだ……、それだけはまちがいねえ…」
やがて、岡村。川原に背を向け、ゆっくりと本宮たちの方へ歩き出した。
岡村「本宮さん……、見て……くれたか?」
血を引きずりながら、岡村が本宮へと歩み寄る。
本宮「ああ…」
本宮が首頷すると、岡村が満足そうに笑う。
岡村「そうか…見てくれたか…、本宮さん…、どこにいるんだ?…もう、眼が見えねえ…」
顔の右半分は血にまみれ、左目はすでにない。無惨な姿だ。
そんな変わり果てた岡村を、本宮がその両腕でしっかりと抱き締める。
本宮「ここだ…、俺はここにいるぜ……岡村」
滂沱の涙をとめどなく流す本宮に抱擁され、岡村は安らかな笑みを浮かべる。
その周りに、真倉が、澤井が、裏御伽のメンバーが集まる。
それを見てとった審判・克が、勝者を宣告しようとする。
しかし、手を挙げるべき勝者は、すでにいなかった。
修羅は、裏御伽の輪を見ると、淡く微笑し、そして静かに去っていこうとする。
その背が、たとえようもない悲しみと孤独をたたえているのを、克は見た。
岡村「まて……川原……」
その背に、かすれた声が届いたのはその時だった。修羅は足を止めるも、振り返らない。
岡村「本宮さん……、俺にはアンタに伝えねばならない真実がある…、聞いてくれ…」
本宮たちが固唾を飲むなか、岡村は語り始めた。
自分がタフの刺客であったこと。本宮の命が、目的だったこと。
そして、川原はそんな自分を討つ為、あえて裏切り者の汚名を着たこと。
真倉「そんな……、ウソだろ……?」
岡村「ウソじゃない……、あいつは…、川原は…、全てをひっかぶるつもりだったんだ。
裏切り者が俺を殺したなら、本宮さんにさして痛みを残さないだろう…そう思ってあいつは…」
真倉「バカな……、俺たちは……、あいつが裏切ったと思って……、それで…」
真倉は愕然と打ちひしがれ、川原を見た。当の川原は、背を向けたままだ。
岡村「だが…、これだけは信じて欲しい…、俺にはあんたを討つ意思はなかった。
短い間だったが、裏御伽は俺にとって本当の家族以上の存在だった。
孤独だった俺にとって、かけがえのない居場所だったんだ…」
本宮「ああ…信じるさ……、俺にとっても…おまえは家族だ。それは今も、変わっちゃいねえ…」
雄大な声に、岡村は安心したように微笑む。
岡村「その言葉が……、聞きたくて…、俺は戦ってたのかもしれねえ…な、
本宮さん…、あんたに認めてもらいたくて……、ずっと…」
本宮「岡村……」
岡村「でも…、俺はもうダメみてえだ……、でも…、大丈夫だよ…な。
俺がいなくても…、あんたの側には川原がいる…、他のみんなもいる…
何も心配しないで……、俺は…逝ける……」
本宮「馬鹿野郎!こんなところで死んでどうする!まだ、これからなんだぞ!」
岡村「はは…大丈夫さ…、なあ…、川原…」
ふと見上げた視線の先には、川原が立っていた。
何の表情も浮かべず、無言で岡村を見ている。
岡村「約束してくれ…、川原…、本宮さんを…守ると…」
嘆願を受け、ぽつりと川原が口を開く。
川原「俺はただの人殺しだ…、血みどろの獣だ…、そんな俺で…いいのか…」
岡村「ああ…、おまえじゃなきゃ……、ダメ…、なんだ…」
最後の力を振り絞るように言う岡村に、川原は応える。
川原「わかった……」
静かな、だが確かな答えを聞き、岡村は淡い笑みを浮かべる。
岡村「よかった……、これでもう……、思い残すことは……ない」
じ ゃ あ な ・ ・ ・
最強の好敵手に敗れ……
最も敬愛する男の腕に抱かれ……
『鬼神』は、最後に人間としての笑顔を残し……
そして……、逝った……
ジャンプスポーツ ☆4 1勝 鈴木 高橋 2勝 井上 1敗鈴木 許斐
裏御伽 ☆4 1勝 本宮 にわの 2勝 乙一 1敗岡野+真倉 澤井 乙
チーム・タフ ☆3 1勝 猿渡 石渡 川原 1敗 石渡 青山 ヒラマツ 橋本
悲嘆に暮れる裏御伽陣営。俯いたまま動かない川原。
黒い波は今、死者を招く腕(かいな)に見える。
慟哭する本宮の腕の中、人間に戻った鬼は・・・ゆっくりと冷たくなってゆく。
いくら叫んでも叫び足りない。そこへ遅れてやって来たひとりの男がいた。
モニター越しに全てを知りえながらも、間に合わなかった男が。
本宮は男の近づく気配に直前まで気づかなかった。驚いたように振り向く。
「・・・にわの、か。・・・元気だったかよ・・・」その声にいつもの力はない。
裏御伽副将は、黙って岡村の亡骸の前にしゃがむと、寂しそうな顔で笑いかけた。
岡村は幸せそうな顔をしていた。悲しいまでに。
にわのは暫く逡巡していたが、意を決して立ち上がり、胸の前で両の拳を握る。そして。
「失敗しても恨みっこナッシング!ボクの目の前ではもう、誰も死なせないぞーーっ!!」
全身に気合いを入れると、突然にわのの両腕が紅く燃え上がり・・・≪太陽の紋章≫を浮かばせた。
紋章は覆面に覆われた眉間の下にも現れ、夜明け近い空は小さな陽光に照らされた。
――ボクは、闘いが好きだ。だけどこんな悲しい闘いは嫌いだ。
岡村クン、こんだけ闘いきった君にはわかるよね。
だから・・・今、君の魂を呼ぶから。あんま自信ないけど頑張るわ――
(・・・やあ、もう夜明けか・・・頭いてぇや。また本宮さんの酒につきあわされたかな)
「おっかむらクン、ぐっもーにんだモン!朝ですよ〜起きてくださいな〜」
(なんだよ・・・にわのさんか。俺寝てるんスよ?今日は頭痛で欠勤!首も痛いし。さいなら)
「あー!ひーどいんだーひどいんだー。せーんせにサボりって言ってやろ〜♪おしりペンペン」
(クソ、人がせっかく気持ちよく寝てるのに耳元でワーワーと・・・このうすらバカは・・・)
「ププー、バカって言った人がバカなんだモーン!ゲラゲラ〜」
「・・・馬鹿はどっちだーーッ!! ・・・う?
ゲホッ、ゲホオッ!! ・・・ぜえぜえ。な、何だ?あ、痛ぇ!本当に首が痛ってー!目も痛ぇ!」
岡村が息を吹き返した!
気道に詰まった血痰を吐き出すと必死に息を整える。流血は止まっていた。
これ以上ない奇跡を目にして、本宮も他の男達も、川原さえも目を見開く。
「・・・あ〜ちかれたびー。初めて成功したモン!身体の回復までは無理だったけど、
とりあえずキビダンゴ食っとけや♪ただじきに澤井君共々筋肉痛その他で入院ですが!」
にわのは究極丸薬をちぎりながら、にっこり笑って岡村の口に入れる。
岡村はいまいち事態が掴めない表情だったが、黙ってダンゴを咀嚼し、嚥下してのち一言。
「・・・まずい。これ全部食うのなら、死んだ方がマシだぜ」
その声を皮切りに、わっと歓声の輪が広がる。男泣きで岡村の肩を抱く本宮。
抱き合って喜ぶ澤井と克。小さく微笑む川原に、照れ臭そうな顔でそっと握手の手を伸ばす真倉。
川原がためらいながらも握り返す。握手がてら瀕死の川原に、真倉はそっと霊気を送ってやった。
にわのは渋面の岡村に、かいがいしくダンゴを食べさせる。
――遥か水平線の彼方に、白い境界線。本当の、夜明けがやってきた――
カメラが去った後。審判の克が、心底申し訳なさそうに語る。
ルールにより岡村を島のどこかへ強制ワープさせねばならないのだ。
リタイアすると≪プリズン送り≫になる。その代わり治療は受けられるが。
「あ、皆に伝えておくモン。この島もーすぐ沈むから!ヤバくなったら高台に逃げてね」
さすがに驚く男達。(何もこんな時によぉ・・・)瀕死の戦友2人を見つめる本宮。
視線に気づいた川原と岡村は、互いを向き合いながら笑顔で言い放つ。
「俺はちいと、疲れちまったよ。リタイヤさせてもらうわ、おっさん」「俺もだ。身体中痛すぎる」
・・・島が沈む時、本宮はきっと最後まで自分たちを捜して島に残るだろうから。
「集合場所は島の中央だな。なぁに!牢屋ブチ壊してでも迎えに行くぜ。待ってやがれ!」
本宮の元気な声は、二匹の“鬼”の魂に、深く深く染み渡った。
やがて救護用のヘリが来た。
★リタイア★ チーム・タフ 川原(一勝) 裏御伽 岡村(一敗)
とゆーワケで裏御伽因縁シリーズ一時閉幕と相成りまする。
読者の皆様、書き手の方々。お疲れさまでしたモーン(*´∀`)v
いよいよ残り数時間(70レスちょい)。ラストスパートがんばりまっしょい〜
≪非戦闘区域≫に向かうヘリの中には、怪我人ふたりと克、そして・・・。
「んもう!こんなに狭くちゃ布団が干せないだスわ!ぷんすか」
「・・・なぜここで布団を」
「ハイハイ良い子の岡村君はネンネする!(ぽふぽふ)」
「うわっぷ」
「フッ」
「川原センセも早く寝なさいなー」
「ていうかなぜにわの先生までヘリに?」
「克さん実わかくかくしかじか」
「なるほど〜かくかくしかじか・・・ってこのネタよそのブロックのネタのパクリじゃ」
「はーーーい良い子の克君もネンネしませうね〜〜!!」
「わー私は毛布とかいりませんよ〜」
白々と美しく輝く明け方の満月が、おとぎの国の子供たちに優しく手を振った。
一方、かつて戦場だった海岸に残される形となった本宮一行。
少しずつ空が七色に染まろうとしている。遠くなる救護ヘリを最後まで見送ってから、本宮。
「・・・へへっ、やっぱり『仲間』ってのはいいぜ。最高やな」
溢れ出る涙を、げんこつでぐいっと拭いて天を見上げる。晴れ晴れとした笑顔だ。
赤マルジャンプチームから本宮に惹かれて移籍した男・澤井には、その笑顔が心に熱く響く。
彼は気づいていない。裏御伽の男達が月に導かれるままに、
リレーのように本宮を鬼の元に送り届けた事。そして鬼の魂を救わせた事。
人間たちに意思の伝達があった訳ではない。それはまるで、本当のおとぎ話のような。
≪めでたし めでたし≫で終わる、物語。
「よっしゃ!次は岡野の捜索だな。真倉も昼間は霊体だとキッツイんだろ?早く捜そうぜぇ」
「あ・・・ありがとうよ、オヤジぃ。でもとりあえず休んだ方がよくねえか?」
「バカ言ってんじゃねぇ。俺はまだまだ暴れ足りねえくれぇだ」
「あのー、ボクはまだ一勝してないのでどっかで闘ってきますね。お2人とも、お気をつけて・・・」
「ああ、元気でな!澤井よぉ!」「フン、テメーも牢屋行きにならねえよう・・・頑張んな」
―――そして彼らの旅は、再び始まる。
どうやら、ワープバンダナが壊れてたようで、2勝したのに、別の場所へ乙はワープしてしまった。
まずは、川原と岡村の方へ向かっていくことにしたのだが、
月が消滅していたり、いつの間にか輝いていたり、巨大地震が起きかけていたり、山火事を回避したりしたので、
到着したのは、全てが終わりった時であった。
仕方なく、スタッフ達の待つ、『非戦闘地域』へと向かう。
「おお!乙くん、無事だったのかもーん。」
「ええ、一応は……。」
ぼろぼろになった服をはらって、乙は疲れた顔で喋った。
「そんな姿になって、一体何が……。」
「ええと、どこから説明すれば……。」
「乙くん、こう言う時は『かくかくしかじか』と言えば全てがわかるんだほー。」
困惑する乙ににわのが言う。
「ええと、『かくかくしかじか』というと何故……。」
「全てわかったもーん!」「なんで!?」
「わからないなら過去ログ読んでほー。それより乙くん、2勝したんなら、ちと、手伝いをしてほしいんだもーん。」
「良いですけど……、それはともかく、この島一体何が起こりかけてるんです?」
「うーむ、ここは『かくかくしかじか』。」
「何故かわかってしまう自分がつらい……。」
頭を抱えた乙を連れて行き、にわのはスタッフ達の集まる部屋に向かった。
「でも……本宮先生があそこへ行けたのは『運命』があったのかもしれない……。」
乙は心の中で独白した。
戦いの場所へ、最初に自分が行ったのは『偶然』だろう、だがその戦いを守ったのは『自分の意志』だ。
澤井先生も、『自分の意志』で本宮先生を連れて行った。にわの先生も、真倉先生も岡野先生も……全員が『自らの意志』で動き、彼らを救ったのだ。
「『スタンド能力は漆黒の荒野に一筋の道を切り開くための能力……』。いや、誰だって運命を切り開く力を持っているんだ……。」
かつて、自分が岡村に行ったことを否定しながら、乙はにわのについて行った。
399 :
398:03/09/29 10:09 ID:gW8xDdhy
ほんとは裏御伽大集合のはずでしたが、先に書いていた人がいたので、にわのと乙の話だけになりました。
最後の部分を書きたくて、乙VS鈴木を書いていたのですが、不評だったので一時書き込みを控えていました。
『かくかくしかじか』ネタもほとんど同じように使っていたので、色々付け加えてみました。
>397
幾つ毛布あるんだろ……(^0^;)。
夜が明けたは良いけどまだ野球は続いている……。矢吹号の中の時間がずれてるのか、矢吹号が動いているからなのか……。
あとやきう、延長戦になったりは……しないか。さすがに。
乙君帰ってなかったにょね(*´∀`)⊃□ <あんたも毛布あげりゅ
まー助かるわモーン(主婦風)
>どうやら、ワープバンダナが壊れてたようで、2勝したのに、別の場所へ乙はワープしてしまった。
強引すぎ
海岸で、ひとつの死闘が幕を閉じた頃、山付近では依然、修羅場が展開されていた。
チームタフ、サブリーダー?T虎?U石渡治。ジャンプスポーツ、?T氷炎?U鈴木信也リバース。
審判、?T哲学する漫画家?U松江名俊。そして、?T遅れてきた男?U森田まさのり。
いずれも劣らぬ豪の者たち。4竦みの拮抗状態は果てしなく続いた。
全員が互いに攻めあぐねていたとき、その場に介入する者がいた。
闖入者は突如、黎明の夢のように、現れた。
??「松江名先生、何処にいらっしゃるかと思えば、こんな所で油を売ってらっしゃったのですか?」
朧のごとき影――ほったゆみは、開口一番、そう言った。
松江名「いやいや、ほった先生。立ち聞きですかな?」
審判の職務を半ば放棄している場面を見られても、松江名は泰然としたものだ。
表面上は困ったように頭を掻く松江名に、ほったはため息をつく。
ほった「とにかく、遊戯に興じたければ、仕事が終わってからにしてください。
ただでさえ人手が足りないのですから……」
自分は呑気に風呂に入っていたことは棚に上げ、ほったが言う。
審判のまとめ役として、この試合の全権限を委ねられている、ほったの命令である。
臨時とはいえ、雇われの身である松江名は従う他ない。
松江名「はいはい、それでは仕事に戻りますか」
呟くと闘気を消し、松江名はその場を退く。たちまち、鈴木リバースが喰ってかかる。
鈴木(R)「おい、てめえ逃げるんじゃ…」
ほった(貴方もです、鈴木さん)
言いかけて、ほったによる思念での言葉に、鈴木リバースの動きが止まる。
鈴木(R)(…どういうことだ?)
ほった(貴方には、これから重要な任務があります。ですから、ここは退いて下さい)
鈴木(R)(…そいつは、今やってることより楽しいんだろうな?)
ほった(ええ…それはもう。貴方にうってつけの仕事だと思います)
すると、鈴木リバースは小さく舌打ちすると、戦場に背を向ける。
鈴木(R)「……ここは俺も退かせてもらうぜ。?T虎?Uさんよ」
面白くなさそうに言うと、鈴木リバースはその場を去って行った。
落胆も憤りも表さず淡々とした石渡と、鈴木の態度に不振なものを感じた森田。
それぞれが対照的な反応を示す。ここに残るは、この2人だけとなった。
森田「あんたには世話になった。礼を言うぜ」
石渡「……何の事だ? 敵に礼を言われる覚えはないが」
そっけない返答に、森田は苦笑する。
森田「……まあ、いい。今の俺たちは確かに敵同士だ。なら…」
石渡「勝負……しかないだろう」
ザッ、と石渡が一歩を踏み出す。それを、森田が手を上げて制した。
森田「待て、あんたわ世界最強のボクサーだ。そのあんたと、ただ戦うのはつまんねーだろ」
石渡「!?」
そのとき、森田の言葉を見計らったように、バトルフィールドが出現した。
リングだった。だが、にわの達が戦ったリングと違う所がある。
それは、そちらのロープが3本だったのに対し、こちらは4本。つまり……
森田「ほらよ」
リングを呆然と眺める石渡に、森田がある物を投げつける。
それは、グローブだった。
石渡「俺と……、ボクシングで勝負するつもりか?」
森田「ああ、あんたと戦うのわ、俺の夢だった」
そう言うと、森田はさっさとトランクス姿にリングシューズを履き、リングに上がった。
しばらく、手に持ったグローブをジッと見ながら、何かを考え込む石渡。
森田が、リングの上から声をかける。
森田「どうした! 早くやろうぜ、最高の殴り合いを!」
その言葉に触発されたか、石渡がやがて、笑みを浮かべる。
それは殺気を内包した笑みではない、純粋な歓喜の笑みだ。
石渡「まさか、もう一度、この綺麗なグローブをはめられる日が来るとはな」
吹っ切るように呟くと、軍服を脱ぎ捨て、トランクス姿になる石渡。
グローブをはめると、華麗にロープを飛び越え、森田と反対側のコーナーに陣取る。
お互いの距離、八.八メートル。2人のボクサーが、火花を散らす。
森田「いい試合をしようぜ」
石渡「ああ」
そこには、余計なしがらみなどはない。純粋な2人だけの空間があった。
今、ゴングが打ち鳴らされた。
(*´д`)⊃[審判] 克君よこす?
>405
[審判]
ボクシングと言えばやっぱりあの人に来て欲しいが・・・・・無理か・・
岡野を捜す為、暗い坑道を本宮と真倉は歩いていた。
岡野の身も心配だが、真倉は霊体のままだとマズイ。早めに、宿主である岡野を捜さねばならない。
ようやく岡野の落ちた辺りに辿り着き、これから探索を開始しようとしたとき、2人は凄絶な気を感じた。
本宮「!!」 真倉「こ…この気は…!!」
それは強烈な気の衝突だった。ひとつは、涼やかさえ感じさせる爽やかな風。
そして、もうひとつは、それとは対照的な刃のように、闇を含んだ凍気だ。
2人は知っている、この強烈な気の持ち主を。
真倉「オヤジ……この気は…!」 本宮「ああ…『あいつ』だ…」
2人は同じ男を思い浮かべていた。真倉は自分が敗れた相手を。
本宮は、全ての因縁の始まりである、あの男を。
本宮の双眸が怒気を孕み、その拳が骨が軋むほど硬く握りしめられる。
さっきまで鷹揚でスキだらけだった、この男から、物凄い勢いで闘気が噴き出している。
それは、本宮をよく知る真倉でさえたじろぐ程の、凄まじい圧力だ。
その背中を見ながら、真倉がフッ…と笑って、
真倉「行けよ、オヤジ」
本宮「……すまねえ。だが、奴とは決着をつけなきゃならねえ。そして、それは裏御伽の大将である、俺の役目だ」
真倉「分かってる。だけど、あいつは強い。他の奴らとはケタ違いだ」
本宮「なんだ、俺が負けると思ってんじゃねえだろうな」
真倉「そんな事、想像もしたことねえよ。行ってくれ、オヤジ。あの野郎をブチのめしてきてくれ!」
本宮「ああ、徹底的にぶっちめて、引っ張ってくるぜ!!」
力強く拳を作ると、本宮は猛然と駆け、その場を後にした。
目指すは、ひとり。チーム・タフの首魁にして、最強の男、猿渡哲也。
因縁の相手との戦いを前に、本宮の闘志は、かつてないほど燃え上がっていた。
同時刻。
山火事の見える、森の大通りで、2人の巨魁が対峙していた。
猿渡哲也と、高橋陽一。かつては、同じ雑誌で連載した盟友。
今は、それぞれのチームを率いる、敵同士。
久方ぶりの再会にもかかわらず、2人の間に流れる空気は剣呑だ。
夜明けの光も、この深き森までは届かない。気は悽愴なり死闘を予感させた。
≪島メンツ行動まとめ・282レス目時点≫
タフ
猿渡(高橋と出会う) 石渡(森田と試合開始・ボクシング)
ヒラマツ(地下坑道で巨大虫に追われてる。距離離す) 川原(リタイアして治療中)
青山(松江名君といっしょ) 橋本(死亡リタイア後復活し逃亡中)
裏御伽
本宮(坑道にて岡野捜索中、猿渡の気を感じ移動) にわの(非戦闘区域で災害対策臨時委員長に)
澤井(敵を探して飛行中(?)) 岡野+真倉(分離→岡野は地下坑道、真倉は本宮と離れ岡野捜索)
岡村(リタイア・治療中) 乙(島を出損ねてしまいにわのの元へ)
スポーツ
高橋(猿渡みっけた) 許斐(敗者ワープ後不明)
森田(石渡と試合開始・ボクシング) 鈴木(人格変化→ほったに何か依頼されて消える)
井上(クリアしてC会場で試合見物中) 村田(死亡扱い〜隠遁中)
+稲垣(タフ以外の暗殺に回る)
ジャンプスポーツ ☆4 [1勝] 鈴木 高橋 [2勝] 井上 1敗 鈴木 許斐
裏御伽 ☆4 [1勝] 本宮 にわの [2勝] 乙一 1敗岡野+真倉 澤井 乙 岡村
チーム・タフ. ☆3 [1勝] 猿渡 石渡 川原 [1敗] 石渡 青山 ヒラマツ 橋本
★リタイア★ 橋本 村田 川原 岡村
備考 山火事で島の何割かが焼失、延焼中。地下に巨大な穴と生物反応、
それによる地震頻発。沈みそう。責任者柳田は私怨でサボり中。呼び戻し計画あり。
陽一「もう、海岸の方では太陽が顔を見せているだろう。明けない夜などない。
なのに、君はいつまで、暗い夜の道を歩くのか、友よ」
猿渡「夜明け……か。俺の夜が明けた事などない。
10年前の『あの日』から、俺の前に広がるは、果てのない暗黒だけだ」
冷厳に吐き捨てると、猿渡が髪を撫で付けながら、外した眼鏡を投げ捨てた。
現れた素顔は、悽愴だった。顔の中央には無惨な真一文字の疵が刻印され、その眼はどんな深遠よりも冥い地獄を孕んでいる。
変わり果てた友の姿に、陽一はいたたまれない思いになった。
陽一「君は変わった。否、変わり過ぎた。
誰もが尊敬し、誰もが慕った、あの頃の君はいったいどこへ……」
憐憫を含んだ声で語りかける陽一に、猿渡の返答はにべもない。
猿渡「人は変わるのだ。否、すでに俺は人を捨てた。今の俺は、復讐に狂った一匹の獣にすぎん」
双眸に狂気をたぎらせる旧友に、陽一は悲愴な決意を込めて言い放つ。
陽一「猿渡…。今の君は見るに耐えない。この俺が、君を止めよう」
それを受け止めたのは、果てしなく暗い殺気。否、凍気。
猿渡「面白い。怨念を鋼鉄のように塗り込めた、この拳。貴様に止められるなら、やってみろ」
猿渡が、上着を脱ぎ捨て、シャツ一枚に包まれた凄まじい肉体をさらけだす。
陽一が、リズムをとるように、リフティングを繰り返す。
2人の間の気が撓んだ、そのとき。
「待ちやがれええええええええええええっっっっ!!!!」
並の者では近寄ることさえ出来ない猛気の奔流を、裂帛の怒号が吹き散らした。
一陣の風と共に、男は現れた。その身を、バンカラ風の学ラン姿に包んで。
猿渡「ほう、おでましか。それにしても、裏御伽とは揃いも揃って、余程コスプレ好きらしい」
毒を含んだ声で揶揄する猿渡に、学ラン姿の男――本宮が怒気を孕んだ眼光を叩きつける。
本宮「随分と血が流れちまった……オトシマエはつけさせてもらうぜ」
猿渡(この男……これほどだったか。試合前とはまるで別人……)
とてつもない闘気の塊を目の当たりにし、猿渡はかつてないほど昂っていく。
猿渡「面白い……願ってもないハナシだ」
双方、臨戦体勢に入る。だが、そこへもうひとつの風が吹きつける。
突然の乱入者を、陽一は鋭い視線で射抜いた。
陽一「本宮先生……これは俺と猿渡の因縁だ。その因縁に介入するというならば、誰であろうと容赦はしませんよ」
一歩も退く気はない。だが、それは本宮も同じだ。
本宮「誰にモノ言ってやがる、若僧。こちとら、とっくの昔にハラくくってらあ。
それによ、こっちにも退けねえ理由がある」
陽一「是非もなし……というわけですか。すると……」
猿渡「三つ巴…か。しかも、それぞれの大将が三人。実にワカリやすいじゃないか」
本宮「ああ。最後までこの場に立ってた奴が、上へ上がる……」
ジャンプスポーツチームリーダー、高橋陽一。
チームタフ首魁、猿渡哲也。
そして、裏御伽チーム大将、本宮ひろ志。
ここに――――
C 決 勝 最 大 の 戦 い が 始 ま る !!!!
(つд・ )ドキドキドキ
島、ここに来て俄然盛り上がり始めたな。
期待age
「の・・・のぼせ・・・た・・・」
あまりに温泉に浸かりすぎて、福地翼は倒れてしまった。
梅澤はうっすらと明るくなってゆく鹿児島の空を、福地と高橋しんを乗せて竜形態で泳ぐ。
福地が水分不足で死にかけのため、自販機か何かを探しているのだ。
やがて『道の駅』を発見して着地、福地はそこらのベンチに放置する。
人間形態になった梅澤は彼のためにポカリを買ってきてやった。(正確にはしんにお使いに行かせた)
「ったく、おめー本当にゴッドハンド配下なのか?俺様情けなくって涙出かねんぞ」
ドクターペッパーを美味そうに飲みながら、心底呆れたように嘆息する梅澤。
高橋しんはメロンクリームソーダを、口の周りを泡だらけにして一生懸命飲んでいる。
「す・・・すんませ・・・あっ(目がくらむ)」
かなり駄目っぽい福地だが、ポカリを一気に飲み干すと少々元気が出てきたようで。
「はぁ〜生き返りましたよ文字通り!さわやかグリーンですよ!ハハハハハ」
少々テンパリなので、梅澤はとりあえず一発殴って黙らせておいた。
(・・・いったい本当、なんなんだろうなあ、コイツ・・・)
梅澤が首をかしげていると、ジュースを飲み終えた高橋しんが「ねむいー」と言い出した。
見てくれが小学生のこの男、たぶん生活サイクルも健全な少年のものなのだろう。
「フン、まあガキはおねんねの時間だな。ここの道の駅はでけえし、宿もあるだろ。待ってろ」
気まぐれか、性根か、それ以外の何かか。優しい目をした梅澤は気絶中の福地としんを抱えて、
24時間営業の道の駅に突入する。幸い宿泊施設もあった。しかし。
「おう!大人2名子供1名で一室頼むぜ!」
「すみませーん!野郎3名と女性1名で二部屋お願いします!!」
「・・・あの、すみません。宿はあと2室しかないんです。一室は団体用の大部屋でして。
よろしければ、女性の方は個室で、あとの6名さまは相部屋にしていただけないかと・・・」
「へ?」
――それは鹿児島温泉旅行にやって来た、貞本・木村・みずしな・天野の珍パーティとの運命の出会いであった―――
子供も女性と一緒の部屋でいいのでは?などど言ってみる。
(´-`).。oO(中身はええ年のロリ兄さんだがなっ・・・!)
>>416 なんだかヤバげな展開になってしまいそうっすね。
(‘-‘)フフフ
そういや天野は美少女設定…
大丈夫か!!
冗談じゃなかバイ。
ヒラマツミノルは人生最大のピンチを迎えていた。
足首を痛め巨大な化け物に追われ坑道内で敵遭遇。
冗談じゃない。
岡野剛はこれ以上ないほど狼狽していた。
炭鉱に落ち込んで妖気を追ってたら敵遭遇。
しかも敵以上に強大な「何か」が迫ってくる。
「「そんなことは問題じゃない!!」」
両者同時に悲鳴をあげた。
派遣された審判が問題なのだ。
丸っこい男だった。年のころ50代。髪も眉もヒゲも綺麗にそりあがっている。
その厳しい目つきがその道・・・極道での生き様をまざまざと語っている。
しかし・・・ヒラマツも岡野も「頭にドリルが生えた極道」を見たことはない。
「血まみれで転送されてくる審判」も初めて見た。
その極道がただならぬ気配を察すると同時に「ついて来い」とだけ言って穴を掘り出した。
もちろん頭のドリルでだ。あまりに常識からかけ離れた光景に判断力を失いつつある。
「あの・・・質問いいですか?」
審判が掘っている穴を進みながら岡野がついに聞いた。
「ちょっと、待て・・・ほら、地上だ。」
ぼこりと音がしたかと思うと、新鮮な空気と光が流れ込む。
地上に這い出して一息つくと、その審判は語りだした。
「ワシは『三上龍哉』。
スピリッツで『極道一直線』ちゅう連載持っとるがヒラマツさんとは面識ないのう。
この血は審判詰め所でちっとゴタゴタがあっての・・・
・・・今、三チームの大将格がドンパチ始めようとしとる。」
ヒラマツと岡野の顔がこわばった。
「・・・そいで、安永っちゅうもんが嬉々として『人生ゲーム』持ち出して審判につこうとしたもんじゃけえ
審判総がかりでそいつを止めたときの返り血じゃ・・・」
一息ついて、後ろを向く。
ボタンだ!後頭部にボタンがついている!
ヒラマツ、岡野((お、押してえ〜))
「あ、あの・・・勝負内容は・・・」
必死で押したい衝動に堪えながら岡野が尋ねた。
「そうじゃのう・・・男と男の勝負じゃ。これで行こかい」
拳を突き出す三上。
「ボクシング?」
「いや・・・ ジ ャ ン ケ ン じゃい」
ここに――――
C 決 勝 最 も シ ョ ボ イ 戦 い が 始 ま る !!!!
どっちも一敗してるから・・・・
負けたらプリズン送りなんだよね(´Д`) ガンガレ
「「祝!!ダイエーゆーしょーーーーっ!!」」
脳からなんかはみ出たセーラー服審判安永と、なぜか割烹着を着てるにわのが踊っている。
「なんの話ですか?それより早く会議を進めましょうよ」
常識派の乙一にたしなめられ、にわのは渋々会議席に座り、安永は医療室に連行された。
「えー、会議の続き!率直に言えば島は放棄!山火事消すのは正直諦めるモン。
一応延焼を食い止めるために木は切り倒させたし、あとは風向きに気をつけて退避!
島じゅうに散らばってるスタッフを早急に本部に戻して、試合をしてない選手に事情を通知!
してる選手には終了後連絡するモーン!あと陥没に備えて地盤の硬い高台に集合!
高級な機材とかヤバいものは今のうちからお片付けね。あと治療中の2人だけど、
手術中に地震とか来たらピンチだから早めに終わらせてね〜いやマジで!!
あーあとワープバンダナ反応がない選手を発見したらすぐさまブツを届けてプリーズ。
他は・・・えーっと、なんか他に気になる情報があったらおしえちくりゃ♪」
裏御伽の副将にして世話女房、にわのがてきぱきと指示を出す。
あの粗暴にして豪快な大将を、影に日向に支えてきた日々がしのばれる。
乙一が妙に感心した視線を投げかける。と、スタッフの一人がおずおずと手を上げた。
「あのー・・・こんな時にアレなんですけど、この島にですねえ・・・“出る”んですよ」
「出る?出るならあっちのトイレで片付けるだス」
「違いますって。いえね、島の北東の方角に大量の墓石群があるんですけどね・・・」
スタッフは何かを思い出したらしく、だんだんと顔が蒼白になる。
「岡野先生たちが試合をした辺りなんですけど、あの時カメラの片隅に映っていてですね・・・」
ゴクリと息を呑む一同。異様な空気に包まれる。
「・・・墓石が血を吸った時、古い墓の下から・・・う・・う・・・うわぁぁぁあぁあああぁぁ!!」
スタッフは、突然白目をひん剥いてつんのめる。そのまま崩れ落ち、失神した。
「な、なんかまこリン尿意がチョチョシビリって感じ」「怖いですね、一体何を見たんでしょう」
担架が運ばれていった後、にわのと乙一は向き合って溜息をついた。
嫌な予感は、当たる物なのだ・・・。
最終回表。ツーアウト無塁。バッター、4番ピッチャー戸田の登場である。
戸田「へへっ…、とうとうアンタとやれるときが来たな」
車田「フッ…、相変わらず反逆してるようだな」
まだ荒削りな野生を秘めた戸田と、磨き上げられ、野生の内に気品を内包している車田。
一見、対照的で、実は似たところも多分にある2人。この2人が、激突する。
車田が戸田に会ったのは、洗脳中の高橋留美子が暴れていたときに成り行きで加勢して以来だ。
あれからわずかしか経っていないはずだが、車田が見た戸田は、別人のように研ぎ澄まされている。
車田(少し見ない間に、いい顔になっている……、こいつは気を抜けんな)
すると、車田がフォームを変えた。今までの両拳を組んだ不自然な体勢ではない。
足を高々と差し上げる、豪快な、だが常識的な投球フォームだ。
大和田(いよいよ、それを使うか、車田!)
キャッチャー大和田も、車田の変化に気付き、気を引き締める。
そして、車田が投げた!!
車田「これが俺の、『フ ァ イ テ ィ ン グ ボ ー ル』 だ !!」
豪ッ!!
とてつもない豪速球が、ど真ん中を奔り抜けた。
戸田(青 い 鳥 ッ !?)
そのとき戸田は、なぜか見る事さえ困難なはずのボールに、青い鳥が重なるのを見た。
ズッドオオオオオオンッッッ!!!
あだち「ストライクッ!!」
戸田(な…、反応しなかった!? 俺の拳が!!)
熱狂する場内を一瞬にして静まりかえらせる、車田の凄まじいストレート。
次の瞬間、それは大歓声へと変わった。
大和田「ぐう…、相変わらずとてつもない球よ……」
車田の球の速度。あの怪物『Z』と比較しても、なんら遜色がない。
水島(なんちゅうボールや……、それにそのボールを受け止める捕手。
これで大和田がZの球を前に飛ばせた理由が分かったわい。
『怪物』を見るのは、初めてやなかったちゅうわけかい)
一方、戸田。その怪物的投球を見ても、その反逆魂は衰えない。
戸田「へっ…、いいねえ、反逆しがいがあるぜ!! その玉は……俺の拳が貫く!!」
車田「いい闘志だ…、何が今のおまえを支える?」
興味本意で訊く車田に、戸田がぶっきらぼうに答える。
戸田「俺にはな…ブン殴らなきゃならねえ野郎が山程いるんだ!
矢吹! 真島! 平野! そして、永井!!
そいつらを倒す為に、俺はこんなところでまごつくわけないかねえ!!」
それを聞いた車田が思わず目を見開いた。
どの名も、各勢力の首領クラスの名。おまけに、ゴッドハンドに名を列ねる男の名まで出た日には…。
車田「青いヤツだ。青くて、乳臭くて、考えなしのガキで、無鉄砲で。おまけに、バ カ だ。
その程度の力で、その強豪たちに対抗しようとは!」
戸田「俺じゃ、勝てねえってのか!」
車田「――当然だ。お前が挙げたヤツらを『10』とすれば、お前の力はせいぜい『4』……いや『3』か。それ程の実力差よ……」
断言する車田に、戸田が拳を軋ませる。
戸田「勝手なことばっか言いやがって……、実力差だ? 勝てねえだ?
そんなことはどうでもいい……俺は、そいつらとケンカするだけよ!!!」
車田「言ってもきかぬか……?」
戸田「ああ、聞かねェ!!!」
瞬間。再び、小宇宙が渦を巻いた!!
車田「バカは死なねば、わからぬかぁッ――――――!!?」
戸田「黙れ、糞オヤジィィィィィィィッ!!!」
ガ――――――――――ン !!
刹那、戸田のハイブリットと、車田のファイティングボールが正面衝突する!
双方の顔に、少なからぬ動揺が走る!
車田「と…止めただと!!?」
戸田「おっ…押し切れねェッ!!?」
拮抗した威力は、真上へと弾き飛ばされた。
巨大な柱のごとく、夜空に吸い込まれていく白球。
この打球はファールと認定され、ツーストライクとなった。
車田は、いつの間にか、自分が汗をかいている事に気付いていた。
実力では遥かに勝るはずの車田が、戸田の底知れぬ潜在能力に驚異を覚え始めていた。
車田「坊主、そうまでして俺に反抗するかよ!!?」
戸田「ああ、する!!」 車田「するか」
戸田「する!!!」 車田「しゃらくせえ!!!」
第3球!戸田「ぐあっっ!!」
さらに球威を増す、投球という名の巨大な暴力に、戸田は吹っ飛ばされた。
かろうじてファールにしたが、ダメージはデカい。
車田「その無鉄砲さ…、如才ある生き方…、未熟以外の…、何者でもない!!! この小僧がっ!!!」
第4球!! 戸田「うぐうっ!!!」
ファールと引き換えに、またしても甚大なダメージを負う戸田。
血を吐きつつ立ち上がる戸田に、車田が指をつきつけ、言う。
車田「坊主…、先人の忠告を聞け!!!」
そのとき突然、マウンドに植物型の珍妙な生物が現れた。
事実上、車田の専門雑誌と化した『チャンピオンRED』のマスコット、通称『キュウコン』である。
「そうキュー! 若僧のくせにデカい口叩いて生意気キュー!」
「まったくだコン! さて、そういうときこそ、『兄貴に訊け!』のコーナー!
さーて、まずは最初のお便りは…なになに?
『はじめまして、車田先生。私は、しがない漫画家です……』」
戸田「ううるせぇえッッ!!」
あまりにも空気を読まないバカ生物2匹は、戸田の拳一発で、遥か天空へと旅立った。さて、気をとりなおし。
戸田「小難しいお小言を宣いやがって」
舌打ちし、自慢の拳を構える。だが、その拳には細かい亀裂が入り始めていた。
戸田「俺はな、年の功ってのキライだ。なにかを始める前に、
忠告してくる大人を見てると吐き気がしてくる。
そうよ、俺はガキよ、青臭い小僧よ!!! け ど な !!!
失敗しねーと、反省もしね―――だろーがっ!!!」
車田「それを『バ カ』だと人は言う!」
戸田「 そ の バ カ を 極 め る !!!」
第5球が放たれた瞬間、それを迎え撃つ戸田の拳に変化が起こった!
戦「戸田の拳から光が!!!」
戸田「青 春 の ハ イ ブ リ ッ ト !!!」
車田「ムグッ!?」
5度目の衝突。結果は、またしてもファールだが、戸田の拳の威力が違った。
今までよりも強烈な衝撃が、余波となって車田に叩きつけられたのだ。
ダメージは負わないが、わずかにひるんだ。
一方、戸田は砕けた拳から血を滴らせながら、なおも立ち上がった。
戸田「まだだぜ……車田さんよぉ……。俺ぁ、まだ生きてる……」
車田(なんという成長の早さ! 次はこの男! 間違いなくファイティングボールを打つ!)
車田の目つきが変わった。これまでを超える量の小宇宙が解放される。
大和田(この小宇宙の高まり……車田め、あの魔球を使うつもりか!)
車田「……戸田」
戸田「なんだよ?」
車田「次の一球が最後だ。こいつは超特急でおまえをあの世に送る!!」
次の一刹那、天空に雷が煌めいた。
車田「これが魔球! サ ン ダ ー ボ ー ル !!!」
必殺の気合いとともに放たれたボールは、手元で一度斜め後ろに戻り、そして再び直進する!
そう、球筋が稲妻の形をしているから『サンダーボール』なのだ!
完全に運動力学の常識を超えた動きをする……それはまさしく魔球!!
変化球でありながら、直球を遥かに超越する威力を持つ球を、戸田の拳が迎え撃つ。
そのとき、車田は思い出した。先程の、5球目の攻防。
車田(先刻、奴は……!!! 俺の速度を吸収しやがった!!!)
車田「だとしたら、奴は今―――!!」
果たして、車田の危惧通り、戸田の身には劇的な変化が…いや、『進化』が生じていた。
戸田(車田……あんたは速い男だ。そんなあんたに憧れた。だから、俺は手に入れたのさ。
あ ん た の 速 さ を ッ !!!)
雷が猛然とたばしり、戸田の拳が輝く!
車田「何ィィッ!!?」
戸田「いくぜ車田――――!!!」
刹那、戸田の拳が、まさしく無数の閃光と化した!!
戸田「光 速 の ぉ … ハ イ ブ リ ッ ト ォ ォ !!!!」
車田「バカなッ! こ れ は 『 光 速 拳 』 !!!!」
バアアアアアアアアアン!!!
瞬間、音速を遥かに超え、まさしく正真正銘の光速と化したハイブリットが車田に牙を剥いた。
車田「おおおおッッ!!」
その凄まじい破壊力は、マウンドを消し飛ばし、車田を数メートルも後退させた!
車田は、両掌を突き出し、両足を踏ん張り、それら光速の拳を全て受け止めていた。
えなり「全て止めた! さすが車田先生だッ!!」
感嘆の声があがるが、車田の胸中は驚愕に埋め尽されていた。
車田「なんという……。あの一瞬だけ戸田は、
この俺の域にまで小宇宙を高め、爆発させ、さらに進化(エボリューション)した!!
そして、俺の渾身の魔球を跳ね返した……拳は防げても、球までは手が及ばなかった!」
その言葉通り、高々と舞い上がった白球は、センター前へのポテンヒットとなった。
車田は小さく笑うと、戸田に向かって言う。
車田「フッ……フフフ……、決着の言葉を贈ろう。戸田……、お 前 の 勝 ち だ !!!」
戸田「ああ、あ ん た の 負 け だ な 」
車田「フッ…、ならば走れ! 相手は俺だけではないぞ!」
戸田「言われなくても!」
言い捨てると、戸田が地を蹴り、全力で一塁へと駆け出した。
その背を見ながら、車田が呟く。
車田「奴はたしかに、画力・構成力・経験、すべてにおいてまだ未熟だ。
だが、奴にはひとつだけ、誰にも負けぬ潜 在 能 力 がある!
そして、奴の潜在能力は……」
イ ン フ ィ ニ ッ ト
無 限 大 ! ! ! !
山口「戸田は、まだ己のハイブリットの力を、完全には引き出せていなかったのだな」
水島「あのガキ……化けよったッ!! 初めてやで、ワイの想像を超えた奴はッ!!」
そして、戸田は走る。好敵手の待つ、一塁へと。対する一塁の守護神が、化鳥のごとく宙を舞った!
戦「両 方 戦 う キ ――――ック !!!」 戸田「迎撃のハイブリット!!!」
物理法則を無視して空中を回転する、戦うマンの蹴りと、戸田の拳が交錯する。
2人の、最後の決戦が始まった!!
福地「あ〜…あのコ可愛いなぁ〜」
こちら大部屋。ヤロー共の雑魚寝部屋とも言う。
高橋は、まだ子供と言う事で天野と同じ個室で一晩過ごすことになった。
福地「しん、いいなァ〜おれも一緒に……」
梅澤「うるせえぞ、ただひたすらに寝ろ」
貞本「アイツのようになりたいか?」
貞本の目線の先には、覗きに逝こうとしてドアの前で焼かれた木村の姿があった。
勿論、誰が焼いたかは言うまでも無いのだが。
貞本の、これ以上無いほどの冷酷かつ殺意のこもった声を聞き、福地は黙って布団を被った。
福地(にしても…大丈夫かなあ?アイツ、あんなナリでも中身は変態ロリコンだからなあ…う〜ん心…ぱ…)
福地は残念なことにここで深い眠りに落ちる。起きてればまだいいことあるかもしれないのにね…
静寂に包まれた部屋の中、目を光らせる男が一人。
みずしな(夜這いはオトコの浪漫や……)
彼はノーマークだった。他はもはやまどろみの中――
さて、どうなることやら………
ヒタヒタ。大部屋の片隅を歩く足音。
ヒタヒタ。ちんちくりん体型の貧乏臭い青年の忍び足。
ヒタ・・・。
「なんや。そのワクの向こうから突き刺さる冷たい視線はなんやねん」
みずしな孝之がこっち(どっちだ)を見て愚痴る。ヒタヒタ。
玄関に向き直りまたひっそりと歩き始める。
「止めるんやないで。俺は男の浪漫と目立つ事が大好きなんや」ヒタヒタ。
再度こちらを向き一言。
「・・・・そう思うやろ?あんたもォ!?」
知らん。
無事天野と高橋しんの眠る個室のベランダに到達したみずしな。ルートは謎だ。
にっしっしっと嫌な笑いを浮かべながら、そーっと中をうかがう。
果たしてそこには・・・
「ああああ!?ジャリガキがこずえちゃんの胸の谷間に挟まって寝くさってはる〜〜!!」
お子様(年齢以外)の特権をフルに生かし、高橋しんは天野と同衾していた。
ふたりともすやすやと気持ちよさそうに眠っている。
みずしなの目には特に、しんの寝顔が憎々しいまでに輝いて見えた。
「くぅぅっ!わて・・・わてこんな所で敗北宣言?箱の中で生活したい気分やわ。
せやかてなあ・・・ここで引き下がるわけにはいかんのや!こうなりゃ特攻・・・お?」
ガラス越し、ふと目覚めた天野と目が合ってしまう。しなっちの背中にゾゾ気が走る。
しかし天野は「見えざるもの」が見える能力(セカンド・サイト)持ちなので、細かい事は気にしない。
幽霊か何かと認識したらしく、彼女は再び眠りについた。
「なんやー脅かしよってからに。ま、ほんじゃ今度こそ・・・うっぎゃぁぁぁぁ!!?」
ベランダの枠に手をかけた直後、みずしなは地獄の劫火に焼かれて消し炭と化した。
どうやらチカン防止対策で、天野が妖怪退治?のお札を貼ってたらしい。めでたしめでたし。
「どこが・・・じゃ・・・(けふっ)」
「ぐはははははははははははははははは!行くと良い、我が可愛いスーパーメカよぉぉぉぉ!」
そのころ、柳田はKIYU陣営に向かって走っていた。
「狙いは、敵の大将、能条純一只ひとぉり!行けぇぇぇぇ!!」
「にゅ!こまったにゅ!」
「確かに困りましたねえ。一体どんな探索システムを組み込んでるんでしょう?」
木城が困ったかのように言う。
まさか、こっちを狙ってくるとは……。さすがにこの広い戦艦の中で能条を探し出すのは大変なことだ。
「大友の方には十分、科学の力を見せつけてやったわあ!次は能条貴様の番よぉぉぉ!」
それぞれ違う形のメカが30台近く飛び交うのは、恐ろしいとしか言いようがない。
「しかし、スーパーメカがこれほどの威力とは……この木城の目をしても見破れなとは!」
「今は梅さんに連絡するにゅ!」
そう言って、通信機を入れる。
「聞こえるにゅか?」「おんせんおんせん〜〜。」
知らない人間の寝言が聞こえる。仕方なく、次の人員に連絡を入れる。
「宇野!聞こえるか!」「そもそもヒトがおらぬわぁ!」
「光原……。」「さて月には様々な魔力が……。」「それ以外の事はいえんのかい!」
「………!」「申し訳ありません…あのメカにやられました……。」
精鋭ケルベロスが、こうもあっさり……。木城が思案している最中、
「ここは、能条さんを渡しちゃうというのはどうでしょうか?」
ゆうきが突如聞いてくる。
「それは……しても良いかな……?」
突如の台詞に心が揺らぐ木城。
「おいおい、人の身を勝手に売るなよ……。」
「ああ、安心して下さい。あなたもクローンですから。」
クローン能条(爆弾無し)を柳田に渡すと柳田は帰還を始めた。
「さて、帰ったら栗のイガの研究を進めるとするか。」
島の事はすっかり忘れている柳田であった。
「あなたは本物の人間かどうか……それを知るのは……誰でしょう?その答えはアウターゾーンの向こうにあります。」
「誰に向かって言ってるんじゃい……。」
二人の言葉を無視して、光原はお定まりの台詞を喋った。
432 :
431:03/10/01 18:36 ID:SJAAk60i
×ケルベロス→○サイクロプス
何処をどう間違えたんだろう……。
相棒であり母体でもある男・岡野剛の探索を続ける幽霊・・・真倉翔。
地下坑道は闇に覆われ実に居心地がよい。だがのんびりする訳にもいかない。
と、道の途中から僅かに生き残った照明が入り、洞がほのかに明るくなる。
影のつかない身体で、真倉は独り岡野の残した気配を追って移動し続ける。
「・・・なんでえ、この穴ポコは」
どうもつい最近掘られたような大穴が斜めに開かれている。穴の向こうから空気が漏れる。
岡野の気はここで土と混ぜられてしまったか、以降の行方が掴めない。
穴を伝って外へ出たのか、現在いる通路の奥へと進んだか・・・。
「チ、俺朝日浴びるとマジで成仏しかけるんだよなぁ。まだ死ぬわけにはいかねえ。
俺が成仏しちまったら、岡野が奴の腕に巣食う“鬼”を押さえつけられなくなっちまう。
死ぬ時は・・・・奴と一緒の時だと誓った。だから、まあ、外には出たくねえ。さー奥行くぜ〜」
真倉は自分に言い聞かせるように呟きながら、坑道の深部へと向かった。
どう考えても外の方が怪しいのだけれど・・・霊体の悲しい性であった。
10数分後、真倉は己の選択を心から後悔する。
小刻みに地面が振動する中を、僅かに身体を浮かばせながら進んだその先に。居た。
体長100メートルはあろうかと言う白い大きな蟲が。小さな足をばたつかせながら。
硬い地盤に挟まれてもがいているが、両壁にだんだんとヒビが入って来ている。
巨大蟲はこちらに真っ直ぐ姿勢を向け、半径数メートル大の白く空虚な単眼で真倉を眺める。
「・・・なんで島の下に怪獣がいるんだよ。聞いてねーぞ・・・クソ」
あまりに突飛な光景に思わず、真倉は真っ向から対峙してしまう。ガン付け返し。
任侠風学園(コメディ)漫画を描いてた名残だろう。ついつい・・・巨大な眼球レンズにワンパンチ。
「死ねや、バケモンーー!!」「シャギィィィッ!!?」
突然の攻撃に反応した蟲の、急激に紅く染まった眼球に・・・徐々に波動が集まってゆく。
「・・・こ、これって・・・コイツ目からレーザー出しやがるのかよ!?ヤベェ、消し飛ぶ!!」
真倉は光線発射のタイミングをギリギリ計り、発動寸前にとっさに飛び上がると、
巨大なダンゴ虫――魔力反応式昆虫型生体宇宙船≪ラ=レダルーバ≫――の頭部に飛び乗る。
直後、眼球から強力な熱線が発射され、真倉の背後に続いていた坑道の直径を倍以上に広げた。
ドロドロと地上を含めた周辺の土がじゅうじゅうと溶けてゆく。
上空からは島に直線状の傷跡が見えるだろう。線を始点に新たな火事が発生する。
小さなマグマの河が、一瞬で誕生したのだ。
「・・・おっとろしぃ奴だぜ!俺が生身だったら今頃熱気で焼けちまってる!!
もしこのバケモンが地上に出たら・・・試合どころじゃねえ!クソ、なんとかしねえと!」
ごうごうと赤く燃え盛る坑道を眼前にして、真倉は恐怖より先に怒りと使命感に、燃える。
この化け物を止める方法は何かないのか・・・しばし考える。と。
「・・・あれがあったな。岡野にやったのと似たようなのが。
・・・俺ひとりで出きっかな?まあいい、悩んでる暇はねえ。行くぜ!」
真倉は意を決して、両腕から霊力を発散させると、蟲の頭部を掴み・・・魂を同化させる。
『内側から支配して行動を制御させる』ために、真倉は蟲の内部に進入した。
そこは、異様な光景だった。そう、≪ラ=レダルーバ≫は改造生物。
なんと体内に宇宙船の艦橋――まさに宇宙戦艦――の機能が内臓によってしつらえてあるのだ。
椅子があり、球形のモニターがあり、計器類やレバーがあり、それらは有機物で構成されている。
壁が骨ばった狭い通路に縦横に張り巡らされたパイプは血管や器官なのだろう。
いったいどんな文明が、この蟲の存在を可能にしたのか・・・それは、
本来の所有者・・・瓦礫と爆薬の中に消えた『真鍋譲治』だけが、知っていた。
「フン、なんだかわかんねーが、コイツは一応生き物なんだよな!なら、とり憑いてやらぁ!
・・・どっちの精神力が強えか勝負だ!!悔しかったら、俺を逆に取り込んでみやがれ!!」
真倉は艦橋内の中心部にある、恐らく“戦艦”の中枢であろう巨大な水晶玉と同化した。
果たして、真倉はひとりで蟲の暴走を抑えきれるのであろうか・・・。
435 :
マコリン:03/10/02 01:52 ID:LwZ91Ghj
ギャァァーース ヾ(゜曲゜)ノシ シゴトガァァ!!
柳田理科雄が、意気揚揚と獲物を連れて久米田研究所に帰還した。
取調べ(拷問)をスーパーメカ13号・ロボット清掃局長≪鉄槌管司(てっついくだし)≫に任せ、
自分はメイン研究のひとつである『クリのイガの分化』を進めていた。
「むむぅ〜、いつ見ても芸術的な比率だな!さて青イガの本数の平均値を取らねば」
『柳田君、柳田く〜ん・・・お帰りー。よかったらテレビ観てくんない?』
「む?その通信機からの声は久米田先生。いけませんなー研究の邪魔するのは」
『・・・テレビつけてくれると嬉しいな〜。チャンネルはトーナメント番組がいいな〜』
「なんですか?言いたい事があるならはっきりとお言いなさい」
『Cブロックの試合は楽しそうだな〜山火事や地震もあるしね〜責任者どこだろうね〜』
「はて、それはまた面妖な。選手たちには頑張れと伝えてください。では研究があるので!」
『あーあと殺人事件の調・・・』
ブチッ!!(通信を無理やり切る音)
久 米 田 、 駄 目 ポ ス ト プ レ ー 失 敗 !!
「矢吹様。あいつクビにしたいのですけど」
「・・・あれだけの技術者はめったにいないぞ、諦めるんだな」
「にゃー」
「シクシクシク(じゃあ・・・とりあえず呪っておきましょうかね・・・)」
その頃。KIYU陣営内の、PSYCLOPS詰め所では。
??「申し訳ありません…あのメカにやられました……。」
いかにも這う這うの体といった感じで、その言葉は紡がれた。
通信機に向こうで、木城が驚愕と失望が入り交じった声を発したことを確認すると、報告者は通信を終了した。
??「隊長、御命令通り、報告しました。……よろしいのですか?」
報告者は、さっきまでとはうってかわり、精気に満ちた声でそう言った。
その者は、すらりとした細身の体躯を備えていた。
緑色の髪はショートカットにまとめられ、左目の義眼が透き通った光を放っている。
170センチ強という身長は、あまり高い方とは言えないが、それは男の場合だ。
女が見れば誰もが見蕩れそうな中性的な顔だちをしているが、その者が男でないことは、
さらしの下に窮屈そうに押し込められた、豊麗な盛り上がりを見れば分かる。
KIYU配下特殊部隊『PSYCLOPS』のひとり、『みさき速』。
元々は、チャンピオンの上位作家陣のひとりだったが、ある縁がもとでPSYCLOPSの一員となった女傑である。
みさきが『隊長』と呼んだ男――『野口賢』は、両の小指のみで倒立をしたまま、無機質に答える。
野口「構わん。我らはあくまで、梅澤様とKIYU様の為にのみ存在する。
木城ごときの為に、無駄な損耗を強いられる必要はない」
野口は、見事な体躯の持ち主だった。
黒いピッタリとした衣服の下には、バネのような筋肉の束が、躍動感を漲らせている。
小指2本のみで支えられた体には、いささかのブレもない。素晴らしいバランス感覚であった。
それにしても、これはどういうことか。
確かに、柳田とスーパーメカの大群は、この詰め所を通過したはずである。
なのに、そこに居合わす、総計4人のPSYCLOPS達は、誰もかすり傷ひとつ負ってはいない。
??「それにしても、あいかわらず見事ですな、隊長殿の能力は」
そのように呟いたのは、部屋の片隅で、ビシリと背筋を伸ばして正座した、
きっちりと和服を着こなした、精悍な老人であった。
今はなき、元バンチ作家陣のひとり、『クォン・カヤ』。彼もPSYCLOPSだ。
クォン「物事の『過程を省略する』能力。
スーパーメカとやらが大挙して押し寄せたとき、咄嗟に隊長殿がこの能力を使わねば……」
――過程を省略する能力。
要は、荒木の持つ『キングクリムゾン』と同質の能力である。
かつて、ジャンプで『竜童のシグ』という漫画を描き、わずか13話でつきぬけた野口は、
ラスボスとの最終決戦を丸まる省略し、強引に連載を終了させるという暴挙を行った。
(ちなみに、後にその最終決戦は、単行本で40ページも書き下ろされた)
野口は、この能力によって『過程を吹っ飛ばし』、スーパーメカをやり過ごした。
その上で、木城には偽の報告をしていたのだ。
野口「誇ることでもあるまい、要は、勝ち目のない相手から逃げたにすぎぬのだからな」
クォン「仕方ないですな。あのスーパーメカとやらは、
ゴッドハンドの大友ですら不覚をとったシロモノ……
常人の我らにどうこうできる相手ではありますまい」
野口「我らが『常人』か。おもしろいことを言うな、クォン」
すると、野口は棒のように伸びていた腕をたわませ、小指だけで跳躍すると、音もなく地に降り立った。
高く結わえた金髪がなびき、独眼が強烈な眼光を放つ。
野口「地稽古だ……、放て……」
呟くと、それが合図だったのか、部屋の壁の一部が機械音とともにせり上がる。
そこをくぐって、のそり、と姿を現したのは、500キロはあろうかという巨大虎だ。
クォン「そやつは、獣性細胞を植えつけられた改良種……。
本来を遥かに上回る筋力と敏捷性、耐久性、凶暴性、そして再生能力を備えているとか。
最新鋭のMTB(主力戦車)でも不覚をとりかねない、怪物虎です。
宇野殿が、戯れでお造りになられたそうですが……」
野口「宇野様も、困ったお人だ。本来なら、PSYCLOPSの隊長は、あの方こそが務めるべきだというに…」
戦車に匹敵する怪物を目の当たりにしながら、わずかの怯えすら浮かべている者はいない。
すると、極限の飢餓状態におかれていた『獣性細胞入り虎』が、熊のように前足を宙に踊らせ、
突っ立ったままの野口に、獰猛に襲いかかった。
だが、野口は、両手をかざすと、戦車の装甲ですら引き裂く前足の一撃を、
軽々と受け止めて、微動だにしない。それどころか、子供を押し倒すようにあっさりと投げ飛ばした。
すぐさま起き上がる虎に対し、野口は半身の構えをとり、虎と正対する。
右腕を前に突き出し、左腕は折り畳むように頭部の側面に添える。
両足を前後に大きく開き、右足は前、左足は後ろだ。
クォン「久方ぶりに見れますかな。隊長殿の、絶技……」
術 式 開 始
怒りに狂った獣性細胞虎が、牙を剥いて野口につっかける。
一陣の疾風が吹いた。
500キロの虎が、あえなく吹っ飛ぶ。
すると、その巨体が全身から血を噴き出し、断末魔を放つ間もなく絶命した。
対戦車砲の直撃を喰らっても死なない怪物虎を、いかなる魔技が襲ったのか。
その瞬間、重い音とともに、床に落ちる物があった。
それは、あまりにも奇怪な物だった。それは、怪物虎の、抜き取られた全身の骨であったのだ!
骨という骨を刹那に抜き取られた怪物虎は、筋肉の自重に耐え切れず自己崩壊したのである。
その人智を超えた破壊劇も凄まじいが、真に恐るべきは、コンマに満たぬ時間で、
その所業を行った、拳の速さ、身のこなしの速さである。
現に、周囲のPSYCLOPSで誰ひとり、野口が放った拳の影はおろか、体の動きでさえ見切れていない。
彼らが感知できたのは、瞬間の拳風と、技を放ち終えた野口の残心(相手の反撃に備え、構えを解かないこと)のみだ。
野口「獅子王院流、百式拳闘術抜骨法……『左転無拍子』」
技の名を呟く野口に、クォンが感心したように言う。
クォン「世に九十九の流派あれば、その全てを凌駕する術……ゆえに『百式』。
拍子なく動き、両の拳のみで闘う、無敵の拳闘術……。お見事」
しかし、対する野口は、淡々としている。
野口「これでは稽古にならんな……。残りは、お前らにくれてやる」
そう呟いた瞬間。
部屋中の壁が開き、10頭を超える獣性細胞虎が、出現した。
大挙して押し寄せる獣性細胞虎の大群に、飽きたとばかりに背を向けた野口を見て、みさきがため息をつく。
みさき「まったく……飽きっぽいところだけは梅澤さんにそっくりなんだから……」
呆れるみさきに、虎の一匹が顎を開いて襲いかかった。
トレーラーすら転倒させ得る怪物虎の突進が、しかし突然とまった。
虎が自ら止まったわけではない。
その証拠に、今もその四肢はコンクリートの床を削りながらもがいているのだ。
その原因としてただひとつ考えられるのは、虎の額にそっと触れられたみさきの掌。
繰り返すが、みさきは長身とはいえ、華奢で細身な外見をしている。
それゆえに、虎の突進を止めているのは、みさきの何らかの能力かと思ってしまうが、さにあらず。
――怪力乱神。
みさきの、PSYCLOPSにおける異名である。
恐るべきことに、この男装の麗人は、その細腕一本で500キロもある怪物虎を押えこんでいるのだ。
しかも、その表情にはわずかの変化もない。
その腕もさして力を込めているようには見えなかった。
次の瞬間、みさきの腕がひるがえると、虎の首が旋回した。
そのまま首は一回転し、そこからさらに捻られ、遂には力まかせにもぎとられた。
500キロもの虎の首を、片手で捻じ切る女。まさに、悪夢の光景だった。
みさきは、もぎとった虎の首を興味なさそうに一瞥すると、持っている手に力を込めた。
すると、その頭部があっけなく握り潰され、脳漿が飛び散る。
しかし、驚くべきことに、虎はまだ生きていた。頭部を失ったにもかかわらず。
その巨体が、再度みさきに飛びかかる。刹那、みさきの右足が跳ね上がった。
流麗な前蹴りが、虎の胴体に突き刺さると、その背面から内臓と脊椎が一度に吐き出された。
生体機能を完全に破壊され、虎が絶命する。
それもつかの間。すぐさま、血の臭いに飢えたもう一頭が、みさきにつっかけてくる。
それをみさき、今度はまるで力を使わずに、突進の勢いを利用し技だけでその巨体を投げ飛ばした。
虎が仰向けになるや、みさきの腰から午の首でも落とせそうなククリナイフが引き抜かれ、
それが飛燕の速度で閃くと、虎は哀れにも、再生不可能なまでに『解体』され、沈黙した。
みさき「まったく後始末させられる俺たちの身にもなって欲しいなあ…」
虎2頭を苦もなく殺しておきながら、当のみさきは平然として呼吸も乱していない。
そこへ、新たな虎が血臭に誘われて、近寄ってくる。
いきなり、その頭部が爆ぜた。さらにもう一頭が、全身を爆砕された。
見れば、その射線上に、黒い神父服の男が影のごとく立っている。
その手に握られた、持ち主の身長を超えるサイズの散弾銃が、牙のような硝煙を立ちのぼらせている。
男の名は、『三部敬』。この部屋に存在する、4人目のPSYCLOPSだ。
三部「エルディオス(神の導きを)・・・・」
今までわずかも口を聞かなかった、この無口な男が、一言いのりを呟くや、
その引き金を引き絞る。
刹那、銃火がほとばしり、熊でもミンチに出来そうな特大の散弾が吐き出される。
何十キロあるか分からない重量の散弾銃を、男はわずかな照準のブレもなく、
しかも片腕で、正確無比な射撃を淡々と繰り返していく。
その並外れた技量も凄まじいが、真に恐ろしいのは、その機械のごとき完璧な作業の遂行ぶりだろう。
片眼鏡の奥に光るのは、ただ金属のような冷え冷えとした眼差しだ。
三部の銃撃による犠牲者は、瞬く間に4頭を数えた。
それらを始末するのに、4秒もかかっていまい。
クォン「ふふ、若い者は元気がいい」
微笑しながら、予備動作もなく立ち上がった老人の視界に、6頭の虎が映った。
クォン「やれやれ、私のような枯れた老人を食べても旨くはないと思うが……」
そう呟いた瞬間、奇怪な現象が起こった。
クォンの視界に収められた6頭の虎たちがの肉体が、そろって捩じれていくのだ。
まるで雑巾を絞るように、虎たちの四肢が捩られていく。
次の刹那、6頭の虎は負荷限界を超えて肉体を捩られ、遂にはその肉体が崩壊し、
水を絞り出すように体内の血を吐き出し、やがてその存在を四散させられた。
自分の身に何が起こったのか全く理解できぬまま、断末魔をあげて生命を手折られた獣たち。
その如號が、クォンの耳にはこの上なく甘い旋律に聞こえる。
クォン「はは、いい声で哭く……これぞまさしく『ティポーの虎』、か」
自らが絶命せしめた虎たちを愛用の楽器に喩えながら、クォンは静かな笑みを浮かべていた。
――『捩る力』。
それが、この老人の能力。視界に映った者ならば、例え何体であろうと、同時にその存在を好きなように『捩る』ことが出来る。
好々爺のような外見ながら、この老人もまた、KIYUに与する魔人のひとりなのだ。
10頭を超える虎を一通り始末し終えると、部屋を満たす悪臭は凄いことになっていた。
すると、そこへ、白ずくめの男が現れた。
いきなり気配もなく、忽然と何もない空間から、『出現』したのだ。
白髪をなびかせ、右目の義眼を煌めかせる男の名は、『米原秀幸』。
先刻、荒川弘と伊藤真美のやり取りに介入し、謎の言葉と死の宣告を残して去った男である。
種も仕掛けもなく空間を自在に渡り、何処からともなく巨大な武器を取り出す。
『双剣』、『遠殺剣』、『マジシャン』。この男に冠せられた異名は多い。
米原「何やってるんでちゅか、お前ら?」
眉目秀麗なその男が発した珍妙な言葉遣いに、4人が固まる。
米原「血の臭いが凄いでちゅね。鼻が曲がりそうでちゅ。カンベンしてくだちゃい」
みさき「米原、おまえ今までどこに…って、それより。…なんだ、その赤ちゃん言葉は?」
米原「マイブーム」
みさき「…………」
気まずい沈黙が、場に流れる。
米原「……変かな?」
みさき「……………かなり」
はっきり指摘され、米原が考えこむ。
米原「そうかァ…。じゃあ、やめよう。俺的には結構、気に入ってたんだが…、ふうっ、やっぱりダメか…」
ちょっと凹んでいる。そんなにお気に入りだったのだろうか。
米原「まあいい。ところで、何だこの大量の生ゴミは?
臭くて、かなわんでちゅ。……あちゃ、口についちまってる」
奇抜な格好で、奇妙なしゃべりかた。このメンツの中でも、特に変人である、この男。
そのとき、開いた壁から、新たな虎の一群がゾロゾロと姿を現した。
みさき「げっ…、こいつらまだいたのか」
三部「……多いな」
クォン「年寄りにこの数はちと疲れますな」
現れた虎の数は、ざっと20頭あまり。三人が相手した、倍以上はいる。
米原「ちっ…、しょうがねえな。お前ら、ちょっとどいてろ」
そう言って、みさき達を退かせると、米原は単身、獣性細胞虎の大群と向かい合った。
米原は静かに目を閉じると、呟く。
米原「『ソニック』」
すると、どうだろう。眩い光が辺りを包んだかと思うと、米原の頭上に一羽の『怪鳥』が出現していた。
その全長は、翼を広げれば5メートルは有にあるだろう。
――化獣。
『ファルコン』と呼ばれた太古の超文明が生み出した、最強の生物兵器。
今、米原が呼んだ『ソニック』というのは、一瞬前まで米原の肩にとまっていたオウムの名だ。
『化獣』は、普段は通常の動物と見分けがつかない。
だが、『オールドブラッド』呼ばれる、ファルコン文明に連なる古の血を持つ者がその名を呼ぶとき、化獣はその本来の力を発揮するのだ。
その封印は厳重である。一段階でも、かなりの戦闘力を誇る化獣だが、
その真の力は、再度、その名を呼ばれ、第2段階になったときに100%解放されるのだ。
米原「『ソニック』」
再び、まぶしい閃光がたばしった。すると、そこには異形の人影が立っているではないか。
巨大な翼を広げて宙を飛ぶ姿は、しかし天使と呼ぶにはほど遠い。
触手のようなものに身体の半分以上を覆われた姿は、むしろ醜悪である。
これが化獣の最終段階。所有者たる米原と融合した、完全なる姿だ。
そして、その恐るべき真の力は、次の一刹那に発揮された。
肩口に突き出した奇怪な触手が、2条の閃光を放ったのだ。
閃光は巨大な熱量と破壊力を内包し、目前の虎たちを全て薙ぎ払った。
強靱な耐久力を持つ20頭もの獣性細胞虎が、一瞬でこの世から蒸発したのである。
そのあまりの破壊力は、周囲に転がっていた残骸までも、余波によって消し飛ばしていた。
米原「汚物は消毒だ〜〜って感じでちゅかね。……ヤッバ〜本気で口についてる」
化獣の最終形態を解除すると、米原はまたブツブツと独り言を始める。
それを呆れ半分で見つめながら、みさきが言った。
みさき「あ〜、やっと片付きましたね。まったく、どこかの誰かさんが無責任だから」
三部「同感」
クォン「年寄りに労働させよって、部下と老人を労る気持ちがないのお」
野口「…………」
口々に呟かれる文句を、野口は黙殺するだけだった。
それにしても、この5人のやり取り。
とても、つい今し方まで、恐るべき殺戮をやってのけた者たちとは思えない。
そう、彼らはPSTCLOPS。
鬼畜・梅澤に集められ、KIYUの尖兵となった怪異なる魔人たち。
彼らにとって、この程度の殺戮など、ささいな日常の一場面でしかないのだ。
PSYCLOPSの駐屯する詰め所は、いまだ平穏な空気が流れていた。
この勢いなら言える!!
こんな日常いらない ┐(´∀`)┌
フォローがてら、サイクロプスの実力披露を、と思って書いてみますた。
しっかし、当初は5レスくらいだと思ってたのに、9レス・・・長っが〜〜・・・
この鬼畜メンツで温泉慰安旅行書けたらそれはそれでステキですがね
あー470KB辺りになったら新スレ越しの季節ですヨロ
「………。こんなの祭りの度にやっているのか?」
東方不敗が倒れかけつつも言う。
「祭りのたびじゃないですけどやってます……。」
熊谷がビールを飲んで答える。
「さあ、次は誰がする?誰だ?誰だ?誰だ?」
進行役の平野が狂喜の顔を浮かべながら言う。
「………(もうやだ)………。」
「菊地も参加されれば良かった……。」
「おお、それは良い考えだ!」
「でも、どっかいっちゃったし………。」
「これから、誰かさらってやらせるとか……。」
「うーむ、作戦行動はあまり起こしたくない……。」
悩んでるところに、藤島が声を上げた。
「そう言えば、一人どさくさに紛れてやってない奴がいたな……。」
「ほう、それは誰だ?」「三峯徹。」
「さて、三峯徹君のネタは〜〜『広辞苑』!」
「あの、熊谷……それ漫画じゃ……。」
文句を言う三峯に他のメンバーが押し迫る。
「『植田まさし』」「『小林源文』」「『楳図かずお』」「『つの丸』」ETC……。
「それじゃあ、広辞苑もってトイレへGO!」
やんややんやと騒がれ、三峯をトイレの中とたたき込み、全員でビールを飲み始めた。
ちなみに……三峯がルーレッツを終えたのは、準決勝が終わった時らしい。
東方不敗………?
ヒラ「ふんぬっ!」
両手を合わせ、ねじり、拳の間から何かを覗く。
腕のねじりが一回転多いのは、彼のダブル間接の賜物だろう。
岡野「南無大慈大悲救苦救難広大霊感観世音菩薩・・・」
鬼の手の甲に人差し指を当て、何かが浮かび上がるのを待つ。
禍々しい左手が、亡羊とした薄明かりを放つ。
ジャンケン一発勝負。両者必勝のおまじないだ。
ヒラ「・・・知っとるね、最近国に認定された『新しい手』」
岡野「もちろん。知ってたら・・・」
ヒラ 岡野「「絶対出さねえ!」」
三上「さあ、準備はいいな。」
裂帛の気が張り詰める。先手も後手も、力の差も無い。
運と読みあいだけが存在する小宇宙。
お互い、大きく息を吸い込み、目を見開く。
「「ジャーンケーン ポイッ!!」」
ヒラマツ・・・パー!
岡野・・・パー!
あいこ、と思われた。しかし、岡野のパーは違った!
獲物に爪を立てる鬼の手が光を発し、ヒラマツのパーを丸めはじめた!
ヒラ「グ・・・ググ・・・なんね、この力は!」
三上「あ、あれは『S・パー』!念力を放つことによって相手の手を無理矢理グーにしてしまう!
最強のオリジナルジャンケンじゃあ!」
岡野「南無大慈大悲救苦救難広大霊感観世音菩薩・・・」
さっきの間違い!やっぱジャンケンに力のは差はある!ヒラマツ大ピンチ!
そろそろオナニールーレットも賞味期限切れですな。
東方不敗は安彦さんの愛称だお
高橋しんは、夢を見ていた。
夢の中でしんは、空を飛んでいる。ふわりふわり。
まわりは、見渡す限りの雲海が広がっている。ふわふわもこもこ。
しんは、雲の上をコロコロと転げまわり遊ぶ。ぽよんぽよん。
雲はマシュマロのように柔らかく、綿飴のような甘い香りがした。
あまりに美味しそうなので、雲に一口舐めてみる。ぺろり。
それは――とっても、とっても美味しかった。
しんは、夢中になって雲を舐めまくる。ぺろぺろぺろ。
すると雲がビクンと揺れる。それはまるで、雲がくすぐったがっているようであった。
しんは、それが面白かったので、更に激しく雲を舐めた。ぺろぺろぺろ。
ぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろ。
舐めるたびに、雲の揺れはドンドン激しくなっっていった。
ぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろ。
もう、しがみついているのが、やっとな程の揺れになっていたが、止めなかった。
ぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろ。
――――ビックゥゥン――――
雲が今まで以上に激しく揺れた瞬間、しんは雲から振り落とされてしまった。
空中に放り出されたしん。下を見ると碁盤の目のように整理された町並みが見えた。
(ここ、まえにきたことがある。)
その景色に、しんは見覚えが有るような気がした。
(でも、いつきたんだっけ?)
しんは、一生懸命思い出そうとした。
そして、なにか大事なことを思い出しそうになったとき―――――
――――ごつん。
畳に頭をぶつけ、しんは目を覚ました。
なにか、夢を見ていた気がしたが、思い出せなかった。
ふと横を見ると、天野こずえが荒い寝息を立てている。
その顔は真っ赤で、ハァハァと寝苦しそうであった。
「おねぇちゃん、あついのかな?」
そう思ったしんは、天野の浴衣の帯に手をかける。
―――しゅるるん―――
帯は緩んでいたようで、しんの小さな手でもたやすく解けた。
しんは、帯を放り投げると、天野の頭上に回り、浴衣の襟首を掴み、引っ張った。
「えいっ」
ぐいっずるずる―――すぽん。
最初、少し引っかかっていたが、少し引きずると勢いよく引っこ抜けた。
天野は、グリコの看板のような姿になっていた。
「おねぇちゃん、すずしくなったかな?」
浴衣を引き抜いた時の勢いで思いっきりスッ転んだしんが、頭を擦りながら近づき、天野の顔を覗き込む。
天野に目覚める気配は無い。
しんは、もう眠くなっていたが、ふと天野のTシャツがビショビショなのに気づく。
「うわぁ、あせでビショビショだぁ。きがええさせてあげないと。」
それは汗ではなく、しんのヨダレだったのだが…しんには解らなかった。
しんはTシャツの裾を掴むとグイグイと捲り上げて行く。
しかし、濡れたTシャツは、脱がせにくく首の辺りまで捲り上げたところで止まってしまった。
しんは眠いながらも何とか脱がそうとしたが、びくともしなかった。
もう、眠さの限界に達していたしんは、あらわになった天野の胸に倒れこみ眠りそうになる。
その時、昼間梅澤がいっていた事を思い出した。
――キ○タマを枕にすると気持ち良いんだぜぇ。やってみるか?―――
それは、酔っ払いの戯言に過ぎなかったのだが、その言葉はしんの心に刻まれていた。
「そうだ…ためしてみよう…」
ふらふらとした足取りで、天野の足元へとやってくると、
天野のぴたりと閉じられた太ももを、ぐいっと押し開きソコに顔をうずめる。
そして、そのまま眠りに落ちていった。
(‘-‘)ツヅキ カイテイイ?
(‘-‘) カイテルナラ ヤメトクワ
(‘-‘) コウカイスルカモヨ
(- -;) ヤッパヤメ オトコノロマンノ ジャマハモウシナイ
舐めたか……
>昼間
実は彼らが出会ってからこれが初の朝だったり(出会いは真夜中)
最終回表、一塁上では戸田と戦うマンの熾烈な戦いが行われていた!
戦う「両方戦うキ――――――ック!!」
戸田「双撃のハイブリット!!」
結果は相打ち! 2人は血反吐を吐きながら、吹っ飛んだ!
戦う「フ…フフ……やるなッ!」 戸田「へっ…、まだまだよ……」
双方、立ち上がりながら笑みを浮かべる。
戦う(むう、以前戦ったときより、遥かに強くなっている……嬉しいぞ、戸田!!)
戸田(へ…へへっ…、こいつぁ強ええや。だが、妙だぜ?
この蹴りの重さを、拳の熱さを、俺は覚えている……。
間違いねえ、俺は前にも、野郎と戦ったことがあるッ!!)
いかに馬鹿な戸田でも、さすがに拳を合わせた相手は忘れないのか。
わずかだが、戦うマンの正体に疑問を持ったようである。
戦う「どうした、戸田! 戦いの最中に考え事とは、この未熟者がぁッ!」
戸田「なにをッ? 上等だぜ、ドンドン行ったらあッ!!」
珍しく考え事をしたが、そこは根っからの単細胞。
即座にそんなことは忘れ、2人はすぐにまたケンカに没頭し始めた。
戦う「影山サイレントマシンガン!!」 戸田「連撃のハイブリット!!」
超高速の連続蹴りと、光速の域にまで高まった拳打が炸裂する。
2人ともダメージを負うが、打ち負けたのは戦うマンの方だった。
戦う「ぐあああっ!!」 フェンスに叩きつけられ、戦うマンは大きなダメージを受けてしまう。
戸田「へへ…、どうでえ……」
戦う(ぐむ…。つ、強い……。今の戸田は、この俺をも上回る強さか……。だが……)
戦う「この戦い……勝つ!!」
明らかな劣勢でありながら、戦うマンは根拠のない自信を燃え上がらせる。
尽きることのない不屈の闘志。折れる事のない魂。燃え上がる男気。
そのとき、戦うマンのひび割れた装甲から、目が潰れるほどの眩しい輝きがほとばしった!
車田「むう、この光はッ! まさか、奴も進化を!!」
戦う(体が熱く燃え上がる! かつてない力が湧いてくる!)
戦う「うおおおおおおおおおおおおッッ!!」
目の前の好敵手を、自分以上の強者と認め、さらにそれを上回る力を欲したとき。
戦うマンこと、島本和彦は新たな力に目覚めようとしていた。
装甲が剥がれ落ちた、剥き身の背中には、『4ケタ』の数字が刻印されていた。
燃え立つように輝く、金色の戦うマン! いや、島本和彦!
そして、それに呼応した戸田も、自らのアルターを黄金に光らせる!
反逆と男気。2つの熱き魂が、相乗効果でさらなる進化を遂げようとしていた。
戸田「いっくぜえええええッッ!!」
島本「燃えろ、キング・オブ・ハート! 俺のこの手が真っ赤に燃えるぅッッ!
おまえを倒せと、轟き叫ぶぅッッ! 喰らえ、必ィィ殺ッッ!!」
光速と化し、流星のように戸田が突っ込む。光気をまとう島本に突進する。
戸田「光速のぉぉ、ハイブリットォォォッッ!!」
島本「ばぁぁく熱ッッ! ゴッドッ!! フィンガァァァアアアッッ!!!」
激突の衝撃で砕けたナックルの下から、キング・オブ・ハートの紋章が刻まれた拳が突き出される。
五指が、煌めく聖剣のごとく炸裂する!
島本「石 破 ッ! 天 驚 けぇぇぇぇええええええええんッッ!!!!」
遂に発動した、流派東方不敗最終奥義『石破天驚拳』!
光り輝く黄金のエネルギーが、金色の獅子拳と正面衝突した!
戸田「うおおおおおおおッッ!」 島本「むおおおおおおおッッ!」
とてつもない光の氾濫が、会場中を席巻した。
東『こ、これはとんでもなぁい! 我々は今、何を見たのでしょうかあ!!』
ようやく光がおさまった頃、アナウンサー東が叫ぶ。
輝きがおさまり、晴れた視界に立っていたのは、戦うマン!
その足下には巨大なクレーターが広がり、その中で前のめりに倒れる戸田の姿があった。
戸田「負けちまったか……。へへ…、だがおもしれえケンカだったぜ……」
そこに、戦うマンが手を差し伸べる。その姿は、装甲がボロボロに剥がれ落ち、無惨だ。
戸田「へっ…止せよ。自分で立てるぜ、敗者にもそんくれえの意地はある…」
戦う「いや……。この勝負、引き分けだ……」
おかしな事を言う戦うマンに、戸田はけげんな顔をする。
戦う「俺はおまえに打ち勝ったが……」
すると、戦うマンに残された装甲……頭部の部分に亀裂がはいり、ゆっくりと剥がれ落ちた。
戦う「おまえの拳は、俺の魂を撃ち抜いた!」
装甲の下から、島本和彦の素顔が現れた。
熱くなれっ、島本!
戦うマン。その正体はバレバレだったが、戸田にとっては驚愕の真実だった。
戸田「し、島本!?」
島本「バカ者ォッ!!」 パグシャアッ!!
唖然とする戸田に、なぜか島本が鉄拳を見舞った。
尻餅をつき、さらにバウンドして顔面から地面に突っ込む。
戸田「この火のような燃えるパンチは、正真正銘、島本のもの…。それがなぜ、敵のえなりチームに!?」
島本「男の行動にはいろいろな理由があるもの! 心で理解しろ戸田!!」
戸田「こっ、心で…!」 いきなりワケの分からないことを言い出す島本。
しかし、その熱血ぶりと迫力ゆえに、なんか知らんが戸田は飲み込まれてしまう。
戸田(俺がもう一段階レベルアップする為に、あえて敵として立ちふさがったか…、
あるいは、敵チームに入り込むことで内部から攪乱しようとしたのか…、
あるいは、ただ単になんでもいいから試合に出たかっただけとか… ←『実はこれが正解』)
戸田「わ、わかった…ような気がするよ、島本!!」 島本「うむ、それでこそ男!!」
なんだかよく分からない内に分かりあってしまった2人。
それを見て、チャンピオンベンチはまたも膝をつく。
山口「ぜっ、全然理解できないが!?」
施川「戸田先生もきっとわかったふりをしてるんです!」
2人で肩を叩きあい、お互いの健闘をたたえる戸田と島本。
そこへ、熱血モードのあだちがやってきた。島本の肩を叩き、一言。
あだち「君、退場」
島本「うっそおおおおおおおおおおッッ!?」
水島「アタリマエやろが、あのドアホが」
伯林「結局、何の役にも立ちませんでしたね、あの人……」
こうして、島本をめぐる一連の騒動は一段落した。
そして、3アウトにより、攻防が入れ替わる。
最終回裏、えなりチーム最後の攻撃へと突入する。
い よ い よ 、 最 後 の 攻 防 が 始 ま ろ う と し て い た !!
がんばれ〜
そしてそろそろ引っ越し準備
さて、時間は少し遡る。
真・変態チーム控え室……。
桂「みんな!外を見てみろ!月が消えているぞ!」
全員が外を見て、あんどがすさまじいまでの驚愕を起こした。
あんど「むっ!これは一大事だ!一体何が起きているのだ!」
野中「ちょいと待てよ……、そう問題でもないだろう?」
あわてるあんどを野中が落ち着かせる。
あんど「何?」
野中「俺達人間の感覚で行くとさ、月が消滅するってのは大変なことかもしれないさ。」
徳広・木多(それはギャグで言ってるのか?)
茶筒型の体を見ながら、二人は心の中でつっこむ。
野中「だけどな、もし俺達の数億倍の体を持つ奴らがいたら、そいつ等からしたらお手玉程度の問題じゃないのか?」
桂「……そうかなあ?」
野中「別の話をしてみようか、昔さ少年達が一生懸命お金を貯めて買ったお菓子のオマケとかあるだろ?」
あんど「懐かしいなあ。」
野中「それが、大人になるとまとめ買いを始めるんだからさ、たいしたことじゃないだろう?」
桂「うーむ、それもそうかな……。」
納得しかける全員。
あんど「しかしなあ、大人買いってのは意外と大人げない行為だなあ。何故に大人買いと言う名前が付いてるのだ?」
徳広「大人でなければできないからではないでしょうか?」
あんど「なるほど!そしてその結論は?」
徳広「……大人買いは大人げないと言うことだ!」
木多「なるほど!」
桂「月はどうなった……。」
何故か桂の台詞は無視された。
五分が過ぎた。
ヒラ「ふぬぬぬぬぬッ!」
岡野「―――天羅神 地羅神 人離難 難離身 一切災殃化為塵―――」
ヒラマツは耐えていた。
S・パーはその名のとおり「超能力者(エスパー)」のみに許された必殺ジャンケン。
岡野の鬼の手の魔力は、ヒラマツの体力と気力と右手を攻める。
ヒラマツの骨が軋み、血が暴れ、肉が悲鳴を上げる。
余波が地を揺らし、木を割り、礫を舞い上がらせる。
ヒラ「負けんバイっ!」
岡野「言ってろっ!鬼の手フルパワーオーバードライブ!!」
コツン。
飛び散った石が岡野の肘に当たり、手がぶれた。その先には三上龍哉。
ヒラ 岡野 三上「「「あ」」」
ち ゅ ど ー ん
鬼の手コントロール失敗!爆発!
倒れ伏したヒラマツと岡野。その手のかたちは・・・
両者とも親指と他の4本の指でCを作り、伸ばしたようなかたち。
たとえるなら東京コミックショーの「レッド・スネーク・カモン!」の中の人の手だろうか。
気絶した両者の手を見比べ、三上は呟いた。
三上「おおっ!『ニョロ』!こっちは・・・やってもうたの〜。『レロ』、じゃ」
ニョロ・・・新しく国に認可されたジャンケンの手。いまだ数例しか確認されていない。
調子のいいときはチョキの200倍強い。しかし、よく似た手『レロ』を出すと
問答無用で地域住民による凄惨なリンチが行われる。
三上「酷な話やが・・・これもルールじゃ。」
片方の体が、消えた。
もう片方も、伸びたままではと考えたのか、中央管理区へ飛ばされた。
・・・岡野は目を開いた。
ゆら、ゆらと体が揺れている。ついでに天地もひっくり返っている。
逆さ吊りだ!
岡野を睨む目、目、目・・・
・・・岡野は目を閉じた。夢だ。夢に違いない。
俺が誤ってレロを出して島の地域住民にリンチされてるはずがない。
全身にラクガキされてるような感じがするのも妙に股間がスースーするのも
ましてやあんな偉業の怪物が地域住民のはずもうぎゃああああああああああああああああ
美形カタナシである。
三上「・・・ん?」
一人朝の風を心地よく浴びていた三上が違和感に気付いた。
木陰に入ってこっそりズボンの中を覗く。
三上「たっ大変じゃあ!ワシのチンチンがグーになっとる!!」
この顛末は大会後へと続く。多分。
ヒラマツ勝利。夜が開け、三チームは☆4つで並ぶ。血戦、いまだ止まず。
「え?岡野君負けたの?2敗でプリズン送りで謎の原住民に拷問受けてる?
そもそもこの島住人おるんかい!あーもーややこしいから早めにどっか追い出すモーン!」
にわのが呆れた顔をした。
そこへスタッフのひとりが怪訝な顔をして語りかけてくる。
「おかしいですねえ。この島は、矢吹様所有の島で、
原住民はもう何年も前に全員退去させたと聞いてるのですが」
「ほえ?」
「というかあの方々、いったいどこから入ってきたんですか?
いくら現在違反者退治用のロボが配置されていないからって、
唐突過ぎますよねえ。そう、まるで幽霊か何か・・・いえ、何でもありません」と乙。
幽霊と言う単語に反応するにわの。先ほどの≪異変≫を思い出したのだ。
「・・・この島、ホントに出やがるのかモン?墓石にかかった岡野君の血。
そして今、岡野君を襲う謎の人影。ヤバくない?気になるだス。
ボクちょっとプリズンに奇襲かけて来るぞな!乙君留守番頼むホ〜」
そういい残すと、単身プリズン――治療を終えた川原と岡村も収監――へと向かった。
「にわのまこと見参!オラオラ獄長とっととこの道通すモーン!」
敗者や失格者を収監する中央プリズン。いやにゴツい体型の男がにわのの道を阻む。
「敗者でもない選手がズカズカ入ってくんじゃね。入りてえんなら俺を倒すこったなぁ」
ニヤニヤと牢獄の管理人が笑って立ちはだかる。非常時とかそんな事は彼に関係ない事だった。
「ふーん・・・そーですか。ならば仕方がないモン」にわのはどこからかパクった、
備品のサッカーボールを出すと足元に落とし、リフティングを始める。
そしてボールを右足で踏んで止め、目を瞑って、開けて、笑う。
「よっしゃよっしゃ! 死 に た い 奴 は 前 へ 出 ろ ー ー ー ー !!」
ボールが光り、エネルギーがほとばしり、蹴り足が飛び・・・牢獄の内部が一部、破壊された・・・。
「岡野くーん、だいじょび?ってギャー!体が2つに分かれて妖怪に変形してる〜ぅ」
「・・・がっくし」
『未確認少年』形態の岡野が、仮の姿を解いて一対の異形に戻り、拷問部屋でぶっ倒れていた。原住民はいない。
“封印者”真倉が行方不明であり、どちらもヤバい状態なのをにわにが知るのはもう少し後で、ある。
にわに _| ̄|○
藁たw
なんとか自力で謎の原住民?を追い払った岡野だが、ジャンケンバトルから続く霊力の消費と、
霊力ストッパーであり増幅器官でもある真倉がいない状態では、上下に分離した肉体は元に戻せない。
それどころか封印してある鬼の手――本来の肉体を失ってもなお続く呪縛――が疼き始め、
岡野はふたつの肉体共々寝込んでしまった。最後ににわのに残した言葉、それは。
「吸血鬼、だそーな」
会議室に戻って報告をするにわの。
途中、麻酔で眠る病人用雑居房の川原と岡村にも鉄格子越しに挨拶して来た。
地に伏した獄長もついでに布団に寝かせて後の帰還。
その間は乙がてきぱきと仕事をしていた。彼にも挨拶をしてのち本題に入った。
「吸血鬼・・・ですか?その原住民らしき人々が」
「らしいモン。なんか血ー吸われそうだったとか。吉本のギャグだモーン(ゲラゲラ)」
「笑い事じゃあ・・・あ、そうだ。墓石が怪しいのなら、その時のビデオを観てみましょう。
スタッフの方が何かを見たと言っていますし、ヒントがあるかもし」
乙は最後まで言い切る前に、にわのに背負われて会議室を飛び出していた。
岡野(と真倉)が一敗した試合の即席ビデオ。対猿渡戦(10部100-103・109-112)を、
再びモニター室に押しかけたにわのが乙共々お願いして無理やり作ってもらった。
ちなみにどこからか飛来したミラマツが小屋の上で寝ていたが誰も気づかなかった・・・。
「スイッチおーん!(ポチッとなー)」会議室に備品を置いてセット、やがて凄惨な試合が流れ始める。
何故かうさぎの着ぐるみを着た岡野の、額が割れ首が半回転し、人形のように崩れ落ちた。
近くに転がる、猿渡が破壊した墓石が血を吸い、黒くテラテラとぬめり輝く。
画面の端で真倉が、怒りの顔で泣きながら滅しようとしていた。
そして猿渡の勝利宣告、岡野転送、ビデオ終了。
「僕が岡野先生達を治療したのは、この後だったんですね(同10部)。まったく、
生きていたのが奇跡ですよ。ああ、そう言えばあの時は島の時間のずれが気になってて・・・メイド・・・」
嘆息する乙に頷きつつも、にわのはビデオを巻き戻し、気になる部分で再生する。
再度現れる血の河。スロー再生に切り替える。と、何かに気づいたにわのが乙に聞く。
「ねえ乙君。どーやって岡野君達を治したのかモン?」
「ハイ、スタンドです。『ゴールド・エクスペリエンス』・・・ちょっと不調なので今は使えませんが。
なんでもない物に生命を与える能力で、材料は近くの木を使いました」
「木〜?これぞまさしく木の股から生まれた男・・・いかん、ギャグ(?)はやめとくモン。
えーっとそれじゃあ、岡野君達はどっかに本体を捨てて来てるって事かモン?
ねえスタッフさんや。どっかで誰かの遺体を発見したとかの報告ってあるの?」
聞かれたスタッフのひとりは進行メモを片手に返事をした。
チーム・タフの橋本(のちに復活し逃亡)とスポーツチームの村田(簡単な鑑定のみ)
の名が挙がったが、岡野の遺体に関する報告はなかった。
「むう・・・これ以上死人が出ないといいモーン」やや寂しそうな横顔のにわの。
他にも何か目撃情報はないかと、多くの人間に聞き込ませる。すると女性審判のひとりが、
おどおどと会議室に入ってくる。彼女は≪裏御伽ファンクラブ≫・・・岡野・真倉親衛隊のひとりだった。
「私・・・私、見ちゃったんです。飛ばされた岡野様を追いかけてひとりで彷徨っていた時に。
岡野様と真倉様は転送後すぐ移動したのですが、その後に何かが残されてまして。
今思えばあれは岡野様のお体でしたのね。で、その何かに私が近づこうと思ったら・・・」
「思ったら?」
「・・・土からゾンビか吸血鬼みたいな生き物がいっぱい生まれて、その何かをバリバリ・・・むしゃむしゃ、と・・・」
「い〜や〜〜!!それ以上聞きたくなあーい!!こげたら島即座に亜光速の彼方に消えるモーーン!!」
さしものまこリンも白旗で、あった。
その頃、赤く燃える島の一角では、
それ以上に燃え盛る三人の大将が屹立していた。
覆面の審判がどこからか現れ、彼らが動くのを遠巻きに待っている。
やがて、ひとりが口を開いた。
したらばのえなりスレに島の流れをまとめておきました。
ご意見よろ。いいのが出来たらこっち持ってきま〜
ところでウチ9部Bと10部のログを作成しましたが、
ドサクサに新過去ログ倉庫を作りたい気分なのです。
今の保管庫の方と相談したいのですがどーしたらええんでしょ?(つ, _ 、)
>>475 今の倉庫は機能してないからなあ。忙しいんでしょう…
したらばの方の話題だと思いますんで、向こうで切り出してみては?
ラジャなのです(*´・`*)∩
ここはCブロックのまとめとまとめが来るのでそろそろ移動したほうが良いのではと提案。
ですなあ
試しに建ててみますかな(失敗率80%)
482 :
なじみの:03/10/05 14:48 ID:t8RXL6OE
3 名前:作者の都合により名無しです[sage] 投稿日:03/09/05 21:53 ID:P/XBAQlM
ルール!
それはここに書き込む際の最低限のルールである!
・過去ログを見てストーリーの流れくらいは把握しておくこと!
・リアル故人は出さないこと! なぜなら不謹慎だし色々あるからだ!
・漫画のキャラをあんまり出すな! ここのメインはあくまで漫画家だ!
・相談するのは自由だが、ルールを守り自分の書きたい物を書こうな!
・先人の意思をなるべく尊重しよう!壊すにも壊すルールがあるのさ!
4 名前:王大人[sage] 投稿日:03/09/05 21:54 ID:XLK083yi
それでは始めぃ!!
11部が落ちてるのでまた作らねば〜なのです。
お待ちくださいね
乙彼。俺も立てられませんでした。というわけでお願いします。
↓
立ててみるかな。
487 :
王大人:03/10/05 17:33 ID:B+GSLCtA
乙。
すまん。割り込んじゃった・・・。
こういう続き物のスレ立てたの初めてだったから、緊張しますた。
>>487 あまりのタイミングの良さにワラタよ。
―――――では以降、まとめさん待ち―――――
【チーム・タフ】
猿渡(うさぎ岡野の前に登場・対もののけ用必殺技で退治〜中央区で仮寝・過去の回想〜
命を狙ってきた稲垣を陥れる〜松江名先生の格闘講座に乱入〜鈴木と三つ巴〜
その場を石渡に託して移動〜高橋と出会う→本宮交えて大将戦)
石渡(いきなり乙に出会いボコられる〜さらに稲垣に殺されかけ覚醒〜
許斐とのテニス勝負に勝利〜森田を起こし移動〜猿渡と入れ替わり→やって来た森田と試合開始・ボクシング)
ヒラマツ(変態しりとりバトルで負け北島三郎ワープ(負けカウントなし)〜にわのを捜す〜
テニスコートで出会いプロレスするも敗北〜火事場にワープし地下に避難〜
坑道で真鍋譲治の巨大虫に追われる〜岡野と出会いジャンケンバトル〜勝利するも気絶して中央区へ〜屋根の上に放置)
川原(基本的に消息不明〜陽神(岡野の項参照)の岡野と真倉に乙の位置を教える〜タフの刺客・岡村を捜す〜
試合・死闘後勝利〜元所属の裏御伽メンバーとのいざこざが終わりめでたし〜リタイア・治療後プリズンへ)
青山(本宮とガチバトル・惜敗〜審判の松江名の特訓に付き合わされる〜ヒラマツと一瞬の出会い〜
迷い道で山狩り発生(村田の項参照)〜松江名が戦いに巻き込まれ、自分はとりあえず見学(忘れ去られてます))
橋本(親殺しの回想〜澤井達の三つ巴を見かけたがシカト〜井上(真剣持ち)と空手で試合〜
死亡リタイア〜実は擬態で復活・乱入者の大友に連れられ逃亡〜柳田に追われてピンチ〜なんとか横山の下へ?)
【裏御伽チーム】
本宮(青山とガチバトル・勝利〜中央区で一休み〜かつての友・川原を思う〜≪赤い月≫発動〜
その川原と岡村の闘いが始まり追いかける〜乙→岡野+真倉→澤井のリレーで、
彼らと海岸の試合場へ(乙・岡野は脱落)その間ドサクサに学ラン戦士に変身〜
死闘を見届ける〜≪赤い月≫終焉〜坑道にて真倉と岡野の捜索中、猿渡の気を感じ移動〜高橋含めた三つ巴戦へ)
にわの(海で浮いてる間に流される〜数時間後救助〜ヒラマツに勝負を挑まれるもテニス見学〜瀕死の澤井が降って来る〜
ダンゴ渡してのちヒラマツとプロレス〜巨大化して島燃やす(山火事イベント)〜勝利〜何かの予感を感じてバイクで移動〜
稲垣を轢殺寸前に〜道に迷ったので中央区に連絡するも責任者不在〜空を飛んで中央区に〜復活後の森田も轢く〜
審判にペナルティ課されそうになり中央へ避難〜災害対策臨時委員長に〜途中死んだ岡村を甦らせる〜吸血鬼イヤー)
澤井(いきなり鈴木とバトル〜えなり審判と三つ巴〜負けて瀕死ワープ〜にわのにキビダンゴもらいマズーだが復活〜
魚雷化〜海岸へ(乙vs鈴木編に登場)〜本宮や真倉と川原戦を見学〜敵を探して飛行中(?))
岡野+真倉(口論で気合いフェロモン発動〜女性スタッフが中央区に連行〜ッスーパーロボ1号に殺されかけるが無事〜
変態しりとり〜負けてうさぎワープ〜猿渡に殺されかけ陽神(霊体)で移動〜乙にスタンド治療受ける〜
未確認少年化(一対の異形)〜ファンから逃げるため崖下に身を隠す〜本宮に会い彼を海岸へ連れてゆく〜真倉一休み〜
海岸線移動〜洞窟で本宮と別れた直後地震で崩落〜分離→岡野は地下坑道、真倉は本宮の元へ。
☆岡野・・・坑道でヒラマツに会いジャンケンバトル〜負けプリズンいやん拷問〜仮の姿が解け妖力暴走→寝込む。
☆真倉・・・本宮と川原戦に立ち会った後岡野捜索〜坑道で宇宙船蟲に会いとりつき中。朝日に弱い)
岡村(色々あるけどとりあえず川原は敵。コロス〜森で彷徨う〜人を求めて山狩り場方面へ移動〜
能条の企み・本宮の死と引き換えに最愛の女性を生き返らせてくれるとの事→でも裏御伽を選ぶ〜
海岸にワープ〜自分を刺客と知り殺しに来た川原とコブシで語り合う〜
仲直りするも語りすぎて死亡・にわのが蘇生〜リタイア・川原と共に収監)
乙(石渡とバトルで勝利〜荒木信者だが本宮さんも好きかも〜島の時計ずれてない?〜
計算中岡野達(陽神)が現れる〜スタンドで治療〜島の探索〜本宮発見するも山狩りの検問で別れる〜
検問突破〜鈴木リバースと死闘・勝利で二勝ワープ・・・のはずが機械壊れてた〜
島を出損ねてしまい中央区へ〜にわのの元で補佐)
【ジャンプスポーツ】
高橋(狙うは旧友猿渡(改心が目的)〜山狩り検問が長引く〜
出会った乙を軽くひねり勝利〜移動〜猿渡発見→本宮参上!三つ巴戦始まる)
許斐(石渡とテニス勝負〜ギリギリの戦いで敗北〜敗者ワープ後不明)
森田(崖からバット落として拾いに行ったら中央区→入区資格がなくスーパーロボに精神波食らって危篤〜
石渡の魂の演奏で復活〜にわのと歓談するがにわの逃亡〜石渡に出会い試合開始・ボクシング)
鈴木(澤井やえなりとごちゃバトル中に人格変化→勝利〜ほったとツルんでいるようだ〜
海岸で川原戦を邪魔しようとして乙に阻まれバトル・負けワープ〜松江名と猿渡の試合に乱入〜
ほったに別の依頼を受けて移動(依頼内容は不明))
井上(しりとりバトルで勝利〜中央区で裏御伽FCの姦計に遭う〜森田の治療に立ち会う〜
油断を反省したところに橋本が〜バトル・首掻っ切って勝利〜2勝で島を出るもトラウマさん)
村田(違反たっぷり5000円クラスな大量おやつタイム〜松江名に食い跡を見つけられ山狩り(違反者は失格)に〜
逃亡中川原戦見てビビリ〜松江名講座乱入編のドサクサに逃亡〜稲垣に撃たれる〜死亡→実は中の人は元気〜隠遁中)
+稲垣(石渡を襲撃するも返り討ち〜にわのに轢かれる〜猿渡に変な秘孔を突かれて余命5年→タフ以外の暗殺に回るハメに
猿渡の信用を得るために村田を射殺(実は着ぐるみスーツ)〜現在の行動は不明)
492 :
得点表:03/10/06 00:54 ID:0s/sq6VY
ジャンプスポーツ ☆4 [1勝] 鈴木 高橋 [2勝] 井上 [1敗] 鈴木 許斐
裏御伽 ☆4 [1勝] 本宮 にわの [2勝] 乙一 [1敗] 澤井 乙 岡村 [2敗] 岡野+真倉
チーム・タフ ☆4 [1勝] 猿渡 石渡 川原 ヒラマツ [1敗] 石渡 青山 ヒラマツ 橋本
★リタイア★ 橋本 村田 川原 岡村 岡野+真倉
なお三つ巴戦に関するルールは「負けたら一敗、勝ったら二勝」。
ただし現在の大将戦メンツは全員一勝しており、規定により☆はあと1つしか入りません。
現在の島のステータスは
・山火事(放棄決定)
・地震(原因は地下の“怪獣”)〜島崩壊の危機
・責任者不在
・謎の吸血鬼出没
くらいかな?島のスタッフ数百人を無事退去させるためにまこリン色々画策中。
乙「なるほど…Cブロックはこんな感じになってたんだな。いろいろあったんだなあ…(しみじみ)」
にわの「イカスー!まとめててくれた人、お疲れ様だモーン!」
大将 冨樫義博
副将 種村有菜
中堅 矢吹健太朗
次鋒 キユ
先鋒 島袋光年
キユ 「と、冨樫の遺産編、ついに第12部までいっちまった・・・。(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル」
矢吹 「フッ、いかにもこのスレらしい豪快なスレっぷりだぜ・・・!!」
島袋 「(・・・ゴクッ・・・!)まったく恐ろしいスレを持ったもんだぜ・・・!」
担当 「で、では・・・冨樫先生・・・恒例の巻末コメントをどうぞ・・・」
冨樫 「ここが冨樫の遺産編第12部まとめテンプレであるっ!!!!!!!!!!」
種村 「(ほんとの糞スレかここは・・・・・・?)」
第12部のエトセトラ(2chブラウザを使うと割と便利です。)
>7 >8 >10 >11 >12 >13 >22
>23 >24 >25 >26 >27 矢吹とえなり姉のエトセトラ中編
>31 地獄のアイランド情報(226/350)
>32 しげのVS曽田
>33 野球(1/10)
>34 たのしい温泉講座
>38 >39 やきう 尾田の試練(3/10)
>41 和月信宏 前編
>42 >43 >44 >45 >46 >47 >48 覚醒(おき)るんです 前編
>49 和月信宏 中編
>50 >51 覚醒(おき)るんです 後編
>52 >53 和月信宏 後編
>57 闘いの幕開け (Aブロック)
>59 悩める戦うMAN
>61 スパロボ戦線異状有り 前編 (ゴッドハンドVS評議会)
>62 >65 >67 >68 闘いの幕開け 後編 (Aブロック)
>71 >72 椎名登場 (Aブロック)
>76 >77 野球場観客席にて (D→A)
>78 >79 >80 >81 スパロボ戦線異状有り 後編 (ゴッドハンドVS評議会)(月)
>85 >86 ムーン・ヒーリング・エスカレーション(228/350)(月)
>91 Nの鼓動 前編 (ゴッドハンドVS評議会)
>92 >93 >94 伝説を打ち砕く者 前編 (ゴッドハンドVS評議会)
>95 >96 >97 Nの鼓動 後編 (ゴッドハンドVS評議会)
>100 伝説を打ち砕く者 後編 (ゴッドハンドVS評議会)
>102 覚醒、そして…(229/350)
>103 旅景色――温泉行きたい―― 前編
>104 応援(230/350)
>105 旅景色――温泉行きたい―― 後編
>107 >108 >109 >110 テニス対決、決着!(234/350)
>113 戦士の休息(235/350)
>123 >124 >125 >126 Aブロックでの戦い。
>128 >129 いま、必殺の 前編 (ゴッドハンドVS評議会)
>130 魂の復活 前編(236/350)
>131 いま、必殺の 後編 (ゴッドハンドVS評議会)
>132 魂の復活 後編(237/350)
>133 >134 >135 評議会とゴッドハンドの撤退 (ゴッドハンドVS評議会→月)
>138 永野の苦悩 前編 (ゴッドハンド)
>139 そして砕けた楔は魂の糧となる(238/350)
>140 永野の苦悩 後編 (ゴッドハンド)
>143 その頃の冨樫
>146 >147 >148 >149 >150 >151 評議会激震 前編
>152 >153 やきう斬鉄剣(5/10)
>154 >155 >156 >157 評議会激震 後編
>159 野球(6/10)
>161 >162 >163 禁忌の扉は突然に(241/350)
>164 やきう(7/10)(カウントはここまで)
>169 激突直前、えなりベンチ
>171 血も震えるパクリパワー 前編 (Aブロック)(被ったため、171→175→180→173、と続きます。)
>172 やきう。番外編
>173 魔性の問いかけ (Aブロック)
>175 >180 血も震えるパクリパワー 後編 (Aブロック)
>183 >184 留美子の願い (Aブロック)
>185 椎名の力 (Aブロック)
>186 >187 燃え上がれ狼 (Aブロック)
>191 >192 ゴールドフレーム (Aブロック)
>194 >195 >196 >198 >200
>204 >211 >221 >222 10年前――魔道に堕ちた日 (Aブロック)
>224 最悪の能力 (Aブロック)
>225 >226 酒は飲んでも飲まれるな
>229 >230 やきう・熱血の男達
>233 >234 >235 >236 >237 >238 10年前の謎 (Aブロックを見て・矢吹)
>242 >243 >244 ゴールドフレームへのフォロー (Aブロック)
>249 >250 やきう 最後の幽波紋
>252 やきう 青い鳥の神話
>255 ワーキング・ガイ
>256 スクランブルバトル(242/350)
>257 二人には意地がある (Aブロック)
>260 >261 アウターゾーンへの誘い
>264 それぞれの戦い (Aブロック)
>267 月へ行く途中 前編 (月)
>268 もんがっと島事変(243/350)
>269 >270 月へ行く途中 後編 (月)(訂正→ >271)
>273 >274 >275 狼対狼 (Aブロック)
>277 天国と地獄(244/350)
>278 荒木・奮戦
>281 >282 >285 >286 修羅のごとく、鬼神のごとく 1(248/350)
>287 語るスレで作ったので貼り (Cブロック状況テンプレ)
>289 月に到着 (月)
>290 再会(249/350)
>291 水島VS車田 前編
>292 来客(250/350)
>295 寺沢と皆川 (Aブロック)
>296 >297 >298 月の戦い (月)
>299 水島VS車田 後編
>300 やきう―番外(えなり)
>301 闘わなきゃ現実と(251/350)
>304 >305 >306 月の戦い (月)
>320 >321 スゴイ装甲
>322 柳田なんていらねぇよ、秋(前編)(252/350)
>323 >324 今、そこにある危機!! 前編 (Aブロック)
>325 >326 観音の旅立ち (D→評議会)
>327 今、そこにある危機!! 中編 (Aブロック)
>328 柳田なんていらねぇよ、秋(後編)(253/350)
>330 >331 今、そこにある危機!! 後編 (Aブロック)
>333 >334 >337 >338 十傑集会議 (ゴッドハンド)
>339 >340 >341 >342 五虎神の平穏な午後 (ゴッドハンド)
>345 ケルベロス (月)
>346 >347 月 (月復活)
>348 復活した魂(254/350)
>349 おんせんにおんねん
>351 月が戻って
>361 宴
>363 >364 修羅のごとく、鬼神のごとく 2(256/350)
>365 事件は現場で起こりまくりなの(257/350)
>366 >368 >369 修羅のごとく、鬼神のごとく 3(260/350)
>371 >372 >373 たたかうひとたち(262/350)
>377 >378 修羅のごとく、鬼神のごとく 4(264/350)
>380 >381 いかん。視点が変だ。
>382 戦場に駆ける男(265/350)
>384 今、そこにある死地(266/350)
>385 >386 >387 >388 >389
>390 >391 >392 >393 修羅のごとく、鬼神のごとく 5(最終)(275/350)
>394 >395 夜明け(277/350)
>397 新しい朝が来た(278/350)
>398 そのころの乙一(279/350)
>403 >404 拳で語る男たち(281/350)
>408 その因縁を砕け 前編(282/350)
>409 まいどおなじみおじゃまします (Cブロックテンプレ)
>410 >411 その因縁を砕け 後編(284/350)
>414
>>105が懐かしいですね
>420 >421 Mr.ドリラー(286/350)
>423 なんか出てます色々と(287/350)
>424 >425 >426 >427 >428 やきう 光速vs攻速
>429 >430 お泊り 大部屋編
>431 そのころの柳田達 (訂正 >432)
>433 >434 対決!未知なる生物(289/350)
>436 お久しぶりの
>437 >438 >439 >440
>441 >442 >443 >444 PSYCLOPSの極めて平穏な日常
>448 ケルベロスの極めて異常な日
>450 グー >チョキ >パー(290/350)
>453 >454 お泊り〜個室にて〜
>462 >463 >465 やきう 炎の戦うマン
>467 魁!真・変態チーム!
>468 ニョロ>>>絶対障壁その他>>>レロ(291/350)
>469 戦いの末に(292/350)
>470 天地無用でごめん(293/350)
>473 >474 禁断の島(295/350)
>486 次スレ
>489 >490 >491 >492 島メンツ行動まとめ・295レス目時点の大まかな動き。
種村「発言に関してはネタなので気にしないでください。
では、引き続きえなりをお楽しみください。(ぺこり)」
ミラマツ _| ̄|○
宮下「乙である・・・!!」
いや、本当にお疲れさまです。
規制で書けなかったから今言います。乙です。