もう、ブラインドタッチのスキル取得は諦めました。
今はボケ防止の一環に。。。
前スレ
>>3-5辺り
『やらなかった後悔よりやった後悔』
その歌を歌いきった後、私はつい先程まで
薄いドア越しから漏れ聞こえて来る
店員や他のお客達の中傷を内包した
話声がほんの僅かではあったが
気にならなくなっていた。
すかさずマイクをリモコンに持ち替えると
たった今、歌い終えたばかりの歌の
番号を入力した。
曲待ちの暫しの間、独りでは少し広すぎる部屋に
静寂が訪れる。
!!!まただ・・・何か聞こえる・・・・人の声だ。
!?どうしてお前達がそんな事まで知っている??
止めろ!!笑うな!!
統合失調症という名の現代病があるのは知っている
先程から私を苛む幻聴もその症状のひとつに違いない。
糞・・・なんでこんな目にあわなきゃならんのだッ!!
それもこれもみんな・・・
漸く今の私にとって長い待ち時間が終わり
画面が蒼く光った。再び汗でひんやりとした
マイクを強く握り締めると、画面の中の歌手に
なりきって歌いだした。
♪てぃくおふ〜今、宇宙(そら)たかく〜♪
※(漢の滑走路 キチガイリュウバンド)
『アクシデントだらけの人生と航空会社』
元、同僚が分譲マンションの最上階から子供を突き落としたという
ニュースを見たのは黄砂でひどく汚れた愛車を洗っていた時だった。
地上デジタル放送の影響ですっかり映りが悪くなってしまった
胡散臭いPSEマーク付のブラウン管にローキックを
数発お見舞いした後で、アンテナを調整する為に屋根に登ろうと
梯子に足をかけた時、表通りの向こうから
何かと口やかましい民生委員の面々がこちらに
やって来るのが見えた。
咄嗟に身を隠そうとしたが所詮、無駄な抵抗に終わった。
彼女達の更年期障害の副産物である
昨夜のカレーを危うく吐き戻しそうになるような体臭と
場末の女達が好んでつけるようなトイレの芳香剤に似た香水から
小一時間後に解放された時、もう何もする気が起きなかった。
足元のプライバシーが暴かれたゴミ袋を持ち上げようとした時
市指定の頑丈な筈のゴミ袋が派手な音を響かせて破れた。
『迷うことなく魚を選んだ』
心を掻き毟る過去の出来事と決別する為に
今は亡き妻と子供達と暮らしたこの街を出る事に決めたのは
私の圧勝に終わった裁判なのに、ほんの僅かばかりだった
カネを手にした時だった。
死刑の廃止に熱心であった弁護士が研修という名目で
審議をほったらかしにしたニュースは、私を時の人として
ワイドショーを賑わせた。
あれから数ヶ月後・・・
私は機上の人となっていた。
結局、BSE問題が有耶無耶のまま
片付けられてしまった今日において
一庶民が身を守る為の選択として
機内食は最初から魚と決めていた。
『見えないオーケストラとシュプレヒコール』
この街に来たのは間違いだった
そして、私が今やっている商売もやるべきではなかった。
芸術そして花の都と謳われたこの街は
無能な政治のツケを支払わされていた。
暴徒と化した若者達は街の至る所で略奪をした。
低い買取価格で有名な古本屋&古着屋の
フランチャイズ店主となった私は
余にも無防備すぎた。
太陽が真上に来た頃、私が目にしたのは
店があった地面から、紫の煙が幾筋も
棚引いているだけであった。
『すべて蹴飛ばし死んでやるぜ』
暴動は沈静化したものの、無能な政府が読上げる
小手先の政策では根本的な改革などというのは
やはり望めなかった。
社会の底辺で虐げられ続ける人々の怒りは
そのまま歪な形で弱者に向けられた。
暖かな日差しの中で爽やかな気分で目覚めた後で
広げる新聞には胸糞悪い事件ばかりが掲載され
今日も化粧の乗りの悪いキャスター達が
耳にするのもウンザリな事ばかり伝えていた。
炭化した私の店は保険がかけてあった筈なのに
パルドンの一言で片付けられてしまった。
食っていくために仕方なくこのアパートで
僅かな在庫を捌くための店を開いた。
『放射能+アスベスト+フェロシルト汚染Tシャツ』
今、私は若者達と一緒になって
街を練り歩いている。
中古家電などの安全の為の法律が
その昔、著名な音楽家達の反対運動によって
事実上、骨抜きとなった事例があるが
今回もそれと全く似たものであった。
議員達はどうやら学習機能が備わっていないらしい。
きっと脳年齢は・・・嫌、止めておこう。
ともかく今度の法律?も中古衣料や中古本にも
PSEマークをつけましょうと云う事だ。
全く馬鹿げている。
私の隣で腕を組んでいる若者・・・確か名前は
ジーンとか言っていたけな。今となっては
笑い話ではあるが、私の店のシャッターに落書きをした
学生の一人だ。そしてもう一人、気弱そうな
青年・・・スレンダー・・・彼は専ら見張り役として
悪友達にいいように利用されているようだ。
だが、そんな彼も生きる目的を見つけたようだ。
目が生き生きしている。尤もデモに参加する前に仲間?達に
散々、小突かれていたようだが・・・・
本気なのだろうか?なんと軍人になるそうだ。
あんな線の細い青年までもが軍人になると決心するという事は
本当に戦争になってしまうのだろうか?退役した私にも
召集がかかる日が本当にやってくるのだろうか?
そんなどうにもならない想いを掻き消すように
人々の怒れる声が通りに木霊し、私は流されていった。
(おわり)
何時ものように、寝室のカーテンを開けたのは
時計の針が既に正午を過ぎたという事を
私に告げ終えた後だった。
穏やかに晴れ渡る日差しを身体いっぱいに
浴びた瞬間、今日もまた胸の奥から込み上げて来る
二日酔いに似たムカつきと、自己嫌悪に苛まれた。
そして思わず深い溜息と供に心の呟きを
吐き出してしまった。
『また・・・公務のお役目サボっちゃった・・・』
どうしょうも無い閉塞感を紛らわす為に窓を開け放つ。
花粉やアスベスト、その他のアレルゲンが飛び交う
この街で無謀にも。
風に乗って何処か遠くの方の民家から
干した布団を叩く音が聞こえてきた。
そう言えば最後に布団を干したのは何時の日だったけ?
眩し過ぎる日差しに顔を顰(しか)めながら
鬱病と診断された私はまた鬱になるような事を
考え始めていた。
『どうして・・・私、こんなにもダメになっちゃったんだろう?
やっぱり排卵を促すというあのお薬の所為なのかしら?』
家事ひとつ何もやっていない所為なのかどうかは知らないが
近頃などは日長一日(ひながいちにち)テラスに腰掛けて
昔の事などを思い返して、時を遣り過す日々を送るようになってしまった。
まるで老人みたいに・・・orz
でも、こうやって風に吹かれていると
今日のように良く晴れた日の出来事を思い出すのだ。
まんざら悪いことでもない。
昔は・・・あの頃は本当に楽しかったから。
数年前の事である。
やはりその日も今日のように良く晴れた日であった。
しかしその日は私にとって特別な日であった。
暦(こよみ)では大安吉日とされている日でもある。
私と私の夫になる『彼』は膝を揃えていた。
目の前には私の生みの親である二人がいる。
何時もならば、単にだだっ広く感じる簡素でありながらも
上品な創りが自慢の客間である和室が、この日この時だけは
非常に狭く感じるのは無論、彼の幕内力士も顔負けの
体格の所為では無い事は確かであった。
私の両親から発せられる沈黙という名の
無言の圧力(プレッシャー)が先程から
この部屋の重苦しい空気を支配する。
もし、この部屋に気象予報士がいたならば
指し示されるhPa値(ヘクトパスカルち)に
仰天した事であろう。眉毛が逆立つぐらいに。
俯(うつむ)きながら私は舌打ちをせずにはいられなかった。
全く・・・意気地が無い!もうかれこれ小一時間が過ぎようと
いうのに全く行動に移せない彼の肝の小ささに。
彼に対する私の両親の好感度数を僅かでも上げる為に
予(あらかじ)め彼と合計100時間にも及ぶ
予行演習(シュミレーション)をこなしたのに
全く何たるザマであろうか?
まぁ、こうなる事は頭の奥で薄々、感じていたのだが。
漸(ようや)く、彼が乾いた唇を開けたのは
無言の圧力に耐えかねて、大の珈琲党でありながら
付き合った当初などは『苦すぎる』という子供みたいな
言い訳をして飲むのを嫌がっていた日本茶を
何杯も飲み干した後の事であった。
「あ・・・あの・・・」
大関も驚く立派な体格に似つかわしくない
蚊の鳴くような声が呻(うめ)きと供に
発せられた。
しかし・・・しかしである。
彼の呟きは間の悪い事に(部屋の障子を開け放っていたままであったので
その効果は抜群であった。)
庭の筧(かけひ)が勢い良く鳴ってしまったのと
全く同時だったので
その声はすぐ隣に座っていた私でさえも
良く聞き取る事が出来なかった。
「ああ・・・うう・・・(汗)」
間合いと呼吸を完全に外され、虚を突かれてしまった形となった
彼は見苦しい程に取り乱した。脂汗がその傷だらけの額を伝う。
そんな彼の醜態に父は無言のまま底光りする眼をさらに光らせていた。
落ちぶれ、流れ流され、更に老いさらばえたとは言うものの
かつては大陸の東の外れに位置する
『日、出ズル国』の象徴として民等に奉ぜられた家系に
連なる父はやはり偉大だった。
若かりし日などは武の門を叩き、その身を投じ
掛け値なしの実力で免許皆伝の武勇伝は嘘ではなかった事が
改めて証明された。(秘伝書を手に入れるために山で
遭難しかけた事も真実味を帯びてきた。)
彼にとっては荷が重過ぎる。
しかもその父の隣には、父以上の武勇伝の持ち主である
母までもがいるのだ。
やはり無謀な試みだったのだ。
私は知っている。彼女の・・・母のにこやかな微笑みの
裏側で見え隠れする底意地の悪さを。
今にも特大の『ぶぶ漬け』を彼に差し出しそうだ。
京(きょう)女は怖いどすえ・・・。
少々蒸す、天気のせいも手伝ってか
私も正直な所、催(もよお)してきた。
お茶を飲みすぎたのだ。だが、彼には我慢してもらいたかった。
話を切り出すまでは。
やっとの事で声を絞り出し、発した彼の言の葉が
鼓膜を振動させた時、危うく父は
あのK−1選手のように見事な前転の後、そのまま彼を
マウントに持ち込み、華麗な関節技を極めかねない勢いがあったし
母は母で、年度の区切りの度に『あざとい』商戦が
そこかしこで繰り広げられる作曲家の物語が破綻した歌劇(オペラ)の
登場人物よろしくメゾソプラノ音域の高飛車笑いを
きっとこの部屋に響かせた事であろう。
私がこの場にいないとするならば・・・
それから・・・彼はついに帰ってこなかった。
そのまま我が家の憚(はばか)りで膀胱の
緊張を和らげた後、私の耳元で
『急用が出来た!!』
と・・・囁くと、逃げるように車に飛び乗り
姿を晦ましてしまったのだ。
「フン!腰抜けめ!」
父は吐き捨てるように言い放つと
書斎にこもったきり出てこなかった。
そして母は困惑する私の表情を
隈なく観察し終えると、鼻歌まじりに
部屋から出て行った。
「フーン♪フフーン♪」
・・・やっぱりそのメロディーは
『夜の女王』のアリアを奏でていた。
しかも鼻息で。
私が駆け落ちさながらに身体ひとつで家を出た後
薬指にリングを嵌めたのは『トイレの変』から間もなくであった。
周囲の心配をよそに始まった彼と私の新婚生活は
幸せ一杯であった。
世紀のブライド?としてマスコミに取り上げられ
私と彼の2ショットは数々の女性週刊誌の表紙を飾った。
そして・・・大掛かりな挙式から数ヵ月後のある日の朝
吐き気と供に、私は彼の子供を
その身体にゲットした事を知ってしまった。
『ポケモン、ゲットだぜ!!』
『ゼナさま ご懐妊!!』
そのニュースは国民全員が知る事となり
駅前などで配られた号外に人々は殺到し
怪我人までもが多数出る騒ぎとなった。
毒舌で鳴らしている元、歌手であり今ではお笑い芸人に
成り下がっている?司会者などは
手にした指し棒でパネルを激しく叩いて
柔道家のあの娘が産んだ子供と、私が産むだあろう子供とを
比べるコーナーを嬉々として行っていた。
だが、そんな俗世の騒ぎも数日後には沈黙する事となった。
身篭った子供が流れてしまったのだ。
家出同然に家を出て、この家に『トツギーノ』した
私は後悔していなかった。それは、やはり正しい選択だったのを
実感したのは、この家の家族達が私に見せてくれた
本当の優しさと暖かさに包まれた時だった。
己の信念と理想の為ならばたとえ身内であっても容赦なく
裁きの鉄槌を下すであろうと世間一般に囁かれている
夫の兄などは、私と亡くなった子供の為に
その爬虫類のような眼を赤く晴らしてくれた。
(断じてワニの涙なんかじゃないと・・・思う)
そして、そんな風評の兄よりも更に冷徹でなかろうかと
実は一族の間で囁かれている夫の妹さんは
私に暫くの間、公務に煩う事が無いように手配してくれた。
働く女性ならではの心の細やかさに私は
『イナバウアー・リバース』の様に頭の下がる想いがした。
無菌室でもないのにマスクを着用したままの彼女はやはり
只者ではない。
しかしながら・・・残念な事に、どんな高貴な家の
家族、兄弟にも優劣が存在するように
私と夫のこの家の家族にも少々、間の抜けた者がいた。
私の夫の弟である。今は引退したとは言え
この家の家長である年老いた父親が図らずも創って
しまった子ゆえに、文字通り箱入りにして
育てた所為であろうが、ベッドに横たわる私に届いた
彼からの贈り物を眼にした時、私は付き添う看護婦と供に苦笑した。
成る程、全く彼らしい。
優秀すぎる兄と姉を持つ身の彼も
きっとあの番組を毎週欠かさず視聴しているに違いない。
なんとも微笑ましいではないか。
私は篭(かご)一杯に山積みされた
『山芋(やまいも)』
を見ていた。やがて・・・耐え切れずに笑い転げた。
傷口が開くのも構わずに。
こういうめげない?悪気のなさが
多分、この家では潤滑油になっているのだろう。
確かに彼は頼りない『お坊ちゃま』だ。
だがそれが救いなのだ。言葉は悪いかも知れないが
彼のこの家における役割というのは王宮に仕える
道化(クラウン)のようなものだ。
甘いマスクのおかげで国民達から(特に女性、若手男性演歌歌手に
熱を入れあげているのおば様達も含む)絶大なる人気を誇る彼ではあるが
多分、その人気も彼の毒の無い無邪気な性格と愛おしさ?から
来るものかもしれない。
彼が本当に王冠(クラウン)を頭上に頂くのは実は
そんなに遠い日ではないのかもしれない。
一頻(ひとしき)り笑った後、私は結果として
彼の幼稚さに元気付けられた。
(尤も、私も彼を見習うべき所があった点に
少々驚いただけの事なのだが)
だが、私は冷静に分析を終えていた。
それは、傷心の私に山芋を送りつけた
彼も視聴している事であろう
あの大河ドラマを制作している放送局が
躍起になって徴収する受信料を支払う気には
どうしてもなれなかった事だ。
これは動かせぬ。
医師達の当初の予想に反して入院生活が長くなった所為で
私が実はもう子供を創れない身体になってしまったのではないか?
という噂が広まるのは時間の問題であった。
各、女性週刊誌には私の名前と実年齢(!!なんで書くのかな〜怒)と
供に2ちゃんねるも裸足で逃げ出す煽り見出しと記事が
刷りだされていた。それは記者と編集部デスク達の思惑通り
私の血圧を上昇させる事に成功していた。
だが、私が気にしていたのは実は自分の事ではなく
他国の領土である島をぶんどる事も厭わない
某国のにやけた笑いで有名になった眼鏡マフラー俳優の年齢が
いつまでたっても33歳のままであるミステリーだ。
私も早速、彼に習って事務所を通して編集部に圧力を行使する事を
決めたのは無論である。
子供を亡くしたとは言え、欝状態となってしまった私が
公務をさぼり続ける事が流石に難しくなったのは
退院してから数ヶ月が過ぎた頃だった。
私達のような身分を支えるために苦しい生活の日々を送る
為だけに生きる事が生まれながらにして運命付けられている
庶民達の中にはやはり、税金の無駄遣いとして
この私を槍玉に挙げる事も辞さない者達が出てくるのは
致し方の無いことかもしれない。
どんなに時代が移ろいでも、私達のように生まれながらにして
高貴な血筋はこれからも形を変えても続くだろうし
そして同時にそんな身分の差というものに反発する
育ちの良くない、恵まれない人々がそれこそ星の数程
生まれるのは結局、人間の力などではどうしょうもない事なのだ。
その証拠に神様や仏様の世界にもヒエラルキーが存在するではないか。
だが、そんな簡単な世の中の道理が
彼らには理解できないでいるようだ。
当然の如く、彼らの日々の鬱憤は
私に向けられていた。全く八つ当たりも良い事だ。
2chには削除しきれない程の
中傷スレが量産され、鯖が落ちるがもはや珍しいことでは無く
私のHPは改竄され、ウィルスの見本市となっていた。
ここで一言、おまいらに言っておきたい。
春先は番組の改編時期であって
深夜アニメ等の入れ替わりが激しいのだ。
『公務なんかに構っていられるか!!』
ちょっとスッキリした。
結局、私のささやかな抵抗も虚しく
公の場に引きずり出される羽目になってしまった。
ああ、めんどくさい・・・
一応、ゼナスマイルが健在なのには
自分でも驚いた。全く習慣とは恐ろしい。
今日の公務という仕事は夫と供に
産業廃棄物や放射性物質などで汚染された土壌で埋め立てられた地で
家を購入し生活していた庶民達に労いの言葉をかけてやる事だった。
何人かの握手の後、私はその庶民達の列の中に
私の両親が紛れ込んでいたのを見た時、不明だった
流産の理由が理解できた。
私は、いたいけな子供達に囲まれ、満面の笑みを浮かべる
夫に体外受精を進める事と、妾を取らせる事を
密かに心に決めた。
(おわり)
終電に揺られて、今日も家路に向かう。
外を流れる街の灯が、車内の明かりと一つになり
薄汚れた窓硝子を光らせている。
『疲れたなぁ・・・』
お決まりの呟(つぶや)きと供に
人知れず漏らしてしまった大きな溜息を
誰かの耳に入ったかもと感じて、照れ隠しに乾いた咳払いをする。
大丈夫だ。誰も私の事なんて気にはしていない。
『何だつまらん』
・・・と、ちょっぴり残念に思いながら
同じ車両に乗り合わせている人々を見渡してみた。
鈍い光に浮かぶ人々の表情は
この私も含めて、誰も彼もが疲れ切っていて
やり場の無い憤(いきどお)りと
云ったものさえ垣間見えていた。
『俺・・・嫌、私も歳をとったな。』
窓に映り込む自分の姿を見て
感慨に耽る。
『あの頃は自分が歳を取るなんて事、考えも
しなかったものだが・・・』
暫し目を閉じて、今では本当に遠い過去の出来事と
なってしまった若かりし日々の頃を思い浮かべた。
『あの時には、まだ私にも夢があった。私は・・・
私の音楽で糞に塗れた世間の奴等を・・・嫌、世界そのものを
変えて見せると、愚かしくも本気で思っていたものだ。』
身の程というモノを
やはり知らぬ若者達の一人だった
在りし日の自分に苦笑しつつ、再び瞼(まぶた)を
開くと、闇夜をひた走る列車の薄汚れた窓の向うには
夢に破れて失望し、今となっては言い訳ばかりで
ただ単に惰性で生きているのみとなった
冴えないオヤジの姿が陽炎(かげろう)のように揺らめいていた。
「何、笑ってんだよ!? オッサン!!」
突然、列車が揺れる音しかなかった車内に
罵声が響く。
ついさっき迄、自分の事を嘲(あざけ)っていたので
心の臓が止まるかと思ったが、やれやれ・・・どうやら
私の事では無いらしい。冷や汗を拭って
声を辿(たど)って視線を走らせると
この車両の、後ろの隅の席で二人の若者が一人の中年男性と
罵(ののし)りあっていた。
彼らの喧嘩の元は、やっぱり座席を巡るもので
「もっと詰めろ!」
と若者達に詰め寄る中年男性と
「やなこった!!」
と突っぱねて自論を主張する若者等が
醜く言い争っていた。
一緒の乗り合わせた客の事なんて、全く眼中にない
彼等、双方の体には悪い酒が多分に入っているのだろう。
本来ならばそんな小さな事でTVドラマの様に
大の大人達が声を荒げる事なんて滅多に起きぬ。
だが、今回はちょっと様子が違うようだ。
挑発された中年男性の顔色が見る見るうちに変わってゆく
同様に彼を睨み付ける若者の顔付きも変わっていた。
長く続いた不景気の所為もあってか、格差という二文字に
代表される社会の歪は、人々の心の奥底に澱(おり)の様に
溜まり続け、ほんの些細な出来事で爆発しかねない危うさを
誰もが肌で感じていたのだが、まさかこの様な形で
私が巻き込まれる事になろうとうは思いもよらなかった。
『おいおい、勘弁してくれ・・・こっちはつまらん昼間の仕事で
疲れてんだ。やるなら他所でやってくれ・・・』
そう願いつつ狸を決め込もうとしたが眠れたもんじゃない。
五月蝿いのと同時に内心、火の粉がこちらに飛んでこないかと
実はヒヤヒヤものだったのだ。
『こんな時、あのアマちゃん隊長がいてくれたら・・・』
昔の事を思い出しついでに
私は心から彼の登場を願わずにはいられなかった。
翌朝、TVのニュース番組は
常軌を激しく逸脱した日勤教育を
社員に課した為に起きた列車事故が
本日、一周年を迎えた事と
昨夜あの車両で起きた喧嘩が元で
意識不明となっていた中年男性が死亡した事を報じた。
そしてニュースは死亡した男性が
あの戦争の最中に行方知れずとなり
ほんの数年前に発見されて、かの地から故郷へと帰還した
あの人である事を付け加えた。
そう、死亡した男性とは隊長の事だったのだ。
今となって思い返してみると合点がゆく。
全くもって本当に隊長らしい青臭さだ。
何もかもが狂っていた。
独裁国家からの侵略を防ぐという名の下の戦争は
数多くの矛盾を抱えながらも、辛うじて
自由民主主義を掲げた我等の勝利で幕を閉じたかに思えた。
だが、やはりそれは長くは続かず
さらに多くの犠牲を我等に強い続ける事となった。
この私を含め、数多くの仲間達が命を賭して
守り抜いた筈のこの国と、そしてその為政者達に
何度、裏切られた事か・・・。
そして、我々が得た社会は
昨日の列車内の出来事に代表される
若者等の傍若無人ぶりと企業のモラルの低下だ。
身寄りのない男を送る簡単な式が終わった。
私はこの時、初めて隊長が何故あの夜、自棄酒(やけざけ)を
飲みつぶれるまで飲んだのかを知らされた。
実は・・・社会を揺るがしたあの列車事故で
隊長は最愛の人とその間に生まれた子供を亡くしていたのだ。
そして酒に飲まれ、若者に席を譲れと詰め寄ったのは
何も自分の足が義足だった所為では無いのだ。
私はついに式の最後まで
他の仲間達に声をかけられる事がなかった。
同じ車両に居合わせていた事を
式に参列した誰もが知っていたからだ。
死神とあだ名をつけられた彼の落ち込み様は酷かった。
彼はつい先日、隊長と偶然にも再会したと聞く。
棺に最後まで縋り付いていて係りの者を弱らせた。
ジンクスはやっぱり生きていたのだ。
元、看護婦で現在も病院で働いているという赤毛の
ウエーブはあからさまに私を軽蔑の眼差しで見ていた。
尤も侮蔑の眼差しとは云え、彼女のように視線を送ってくれる
のはまだマシなほうだった。
あの時、他の誰よりも同じ時間を同じ場所で過ごし
顔の見えない女性と文通をしていた気弱な男は
今ではメール配信会社の重役となっていた。
彼の月収は私の年収を遥かに超えていた。
そんな彼は最初から最後まで私の存在を無視し続けた。
彼も人が変わっていた。
数年前、街で偶然に再会した時の事を私は今でも
覚えている。私の肉体労働者が着るような作業着姿を
目にすると彼は鼻で笑ったのだ。
安アパートの鍵を開け帰宅する。
人並みの幸せを手に入れる為に頑張って来たつもりだが
どうやら幸運の女神は私を見放したらしい。
喪服を出す為に箪笥の奥から
埃にまみれて一緒に出てきた古ぼけたギターが
とっくの昔に子供を連れて出て行った妻の代わりに
私を迎えてくれた。
彼女は・・・焚き染めた香の匂いでまだ噎せ返る筈の
私に文句の一つもあげず、そのまま抱きかかえられた。
『・・・泣いてもいいのよ?』
彼女は私をそんな優しい言葉で包んでくれる気がした。
私は涙の代わりにあのメロディーを口ずさみ
リコール隠し続けた企業の車の事故の所為で
今ではほんの僅かな感覚しか残っていない左手を
動かそうとした。
(おわり)
『へのつっぱりは、いらんですよ!!』
春の園遊会が冷たい雨の中、今年も行われた。
微熱が続き、体調が優れない筈なのにも関わらず
傘もささずに、ご公務に勤しむ陛下のお姿に
手を合わせる想いを抱いたのは私だけではないだろう。
想いを馳せれば、元号が昭和から平成に移り変わって
早、2年・・・光陰矢の如しとは良く言い得たもので
私の愚娘もカレッジスクールに通う歳となった。
いつの日か・・・平成生まれの子供達が目出度く
成人の日を迎え、やがてこの国を背負って起つ
頼もしい若人になるのもそう遠くない事であろう。
(その為に陛下に於いては、なんとしても長生きをして頂かなければ。)
平成が目出度く二十年を迎えた時、その頃にはこの国は
どんな社会になっているのだろうか?
あの首相が退陣した後、内閣は深刻化する格差問題について
どう対処しているのだろうか?
不公平極まりない議員年金はどうなっているのだろう?
消費税は?BSE問題は?
それよりも何よりも、私の・・・・年金じゃ無かった
私の娘はちゃんと子供を(私にとっては孫にあたるが)
産み、虐待する事無く育てているだろうか?
いや・・・その前に幸せな結婚を終えているのだろうか?
心配で堪らない。
いや、止めておこう・・・自分が今まさに、置かれている
どうしょうも無いこの現実から逃げ出せないのに
(愛していた筈だった妻が娘を連れてこの屋敷を出て行った事など)
先の事、ましてや何十年も先の話の事を
とやかく考える事なんて・・・鬼が来て笑い飛ばすばかりか
食べられてしまうに違いない。働かないニート達を扱下ろした
CMのように。
雑念を振り払うかのように頭を二、三回振った後
私は久しく掛けたことも無く、又、鳴った事も無かった
電話機の前に立ち、ダイヤルを回し始めた。
私の思考回路の全てをリセットして、新たな1ページを
書き入れる為に・・・。
「いらっしゃいませ!!こんにちは!!」
一人の店員が甲高い声を響かせる。
すると、間髪入れずに他の店員達が次々に声を
揃えて後に続いた。
まるで、山彦(やまびこ)の様だ。
聴覚が感じる声の残像とも言うべきか?
正直、五月蝿くてたまらない。
尤も、賢いと言うべきか、小賢しいと言うべきか
携帯音楽プレイヤーで自らの聴覚を封じる輩には
効果が薄いのかもしれぬが
兎に角、比較的大きな店の中でもこう何度も
連続して間近でやられると、いくら温厚な人でも
殺意を覚えるだろう。
ここで働いている店員の僕自身が言うのだから
間違いない。
最早、めまぐるしく変わる時代の流れについて行けず
問題が多かった刑法がやっと改正されて、所謂(いわゆる)
万引きという軽犯罪に罰金刑が科せられるようになったのは
今年になってからだ。
その効果というものがどれ程のものなのかは
まだ判らないが、兎も角、この場所で頻繁にやらされている
山彦こえ掛けが無くなる事を期待したい。
店内のBGMが僕の好きなアーティストの曲になった。
(どうか、どうか神様・・・サビの部分で山彦こえ掛けを
しなくても良いようにして下さい。)
祈る思いで、自分の両手をあのアニメの様に合わせた時
けたたましく店の電話が鳴り響いた。
「シーブック君?電話お願い!!」
時給1000円が声を僕にかける。彼もちょっぴり
イラついているようだった。
ああ、リライトしてぇ・・・・・。
「すみません、遅くなりました!」
僕は今、現在進行形で出張買取のサービス中である。
「うむ・・・少々、遅刻だがまぁ、良しとしよう。上がり給え。」
広々とした庭園と立派な屋敷の構えに驚いたのは勿論だが
僕がもっも驚いたのは、独りでは住むのに広すぎるこの屋敷の主人が
変なマスクを被っている事だった。
(なんだろ・・・あのマスクは??ポポラッチかな?それとも筋肉マンかな??)
次から次へと、お客様の人格に疑問符が沸いて来たが
敢えて、ふれないでおいた。何せ、こっちは独りなんだ。
安い時給で命まで売るつもりはさらさら無い。
見なかった事にしよう・・・うん。
「それにしても広い屋敷ですね?びっくりしました!
なにせ、お庭から玄関までたどり着くのに5分近くかかってしまいました!
こんな経験なんて生まれて初めてですよ!!」
幾分、声の調子が外れながらも、営業トーク&スマイルをする。
正直、180度反転してお店に帰りたかったが。
「うむ・・・早速だが、この部屋にある本を全て買い取って貰いたいのだが
君・・・ひとりで来たのかね?」
学校のホールのような玄関から
薄暗い屋敷の中でもさらに暗い部屋に入った時
依頼主は、振り向きざまに言葉を掛けてきた。
マスクの目の辺りが怪しく光る。
僕は・・・半分泣いていた。
この時ほど、自分の残像とも言うべき
店のみんなが恋しかった。
この不気味な依頼主が住まう屋敷から
一刻も早く、逃げ出したい一心で僕は
通常の3倍?のスピードで本の査定を始めた。
沈黙があまり長く続くと怖すぎなので
僕は時折、声を出して手に取った依頼主が所有する
蔵書の趣味の良さを褒め称えた。
「うわー凄いですね!ラフレシアっていう花なんですか!
初めてみました! おっと!? この本は・・・古代バビロニア文明に
関する本ですか・・・・すごく難しそうな本ですね・・・・」
まるでキャバクラ嬢がお客を接待するかの様に
歯の浮くような台詞を吐きながら作業を進める。
上目遣いに依頼主を盗み見てみると、彼は満足そうに
何度も微笑んでいた。
うう・・・笑顔もきんもー☆
依頼主の蔵書の多くは、業界では重くて金にならないと
評される豪華本ばかりで、持ち上げたり、裏返したりするのに
本当に骨が折れたが、なんとか全部やり遂げ終える事が出来た。
人間、死ぬ気になればなんでも出来ると言う事を証明してしまった。
その少年から買取金額の総額を聞いた瞬間
私にもイナバウアーが出来るかも知れないと思った。
おのれ、庶民の癖に・・・・足元を見おって!!
思わず、そう口汚く罵りたくなる衝動を
なんとか押さえて、彼がその金額を提示した理由を
尋ねてみた。この時ほど表情が隠れるマスクを
着用しておいて良かったと思った時はない。
「お客様には誠に申し訳ありませんが専門書ばかりでしたので
なかなか市場一般的には・・・値が付けられないんですよ。」
少年は本当に申し訳なさそうに応えた。
この時、私はゆとり教育が社会に齎(もたら)した
負の部分を垣間見た気がした。
なんたる事だッ!この程度の教養や歴史文化、芸術さえも
理解出来ぬ者が世に満ち溢れていようとは・・・!!
私は口惜しかった。
身を粉にして働いたこれまでの苦労は一体なんだったのか?
こんな無能な連中を養うために我々、高貴なる身分の
公の為に奉仕した数々の名誉と犠牲は全て無駄だったというのか?
愛する妻が娘を連れて出て行く対価を私は支払ったというのに!!
変えねばならぬ。このままこの社会を放置すれば
我々は近い将来、脳死状態に陥ってしまうだろう。
世に蔓延(はびこ)る脳年齢ブームとやらが
その兆(きざ)しとも云えるッ!!革命を起こさねばなるまい。
山のように私の思考の欠片達を台車に積み、屋敷を出てゆく
少年の後姿を見送った後で
怒りの余り彼から受け取った僅かばかりの金を床に叩きつけた。
翌日、カネを拾い集め、数え終えた時
500円足りないのが余計悔しかった。
この部屋の隅から隅まで探せる
虫のようなロボットがあれば良いのになぁ・・・。
【青春】シーッ!ブック@フでもお静かに!【アミーゴ】編
(おわり)
門(トンネル)を抜けると、そこは光の国だった。
この銀河に瞬く、幾千幾万の星の輝きが私を照らす。
一瞬たりとも絶える事の無い光の点滅が、危うく
古代ローマの英雄カエサルもが患い、悩まされたと聞く
癲癇(てんかん)の発作をこの老いぼれめに
及ぼそうとした。
顔を顰(しか)め、手で周囲を制しながら
私は徐(おもむろ)に口を開き、声を発した
「・・・・、・・・・・!!」
だが、私の帰還後の記念すべき第一声は
周囲の喧騒にかき消されてしまった。
「私の記憶が確かならば・・・」
マイクの調子を確かめた後
照れ隠しに咳払いをし、声を整える。
どうやら、今度は大丈夫なようだ。
「えー、私の記憶が確かならば・・・その昔、
学生時代に読んだ 『史 記』 によれば・・・」
(本当は故、横山光輝先生の漫画の方なんだけど)
「『敗軍の将、兵を語らず』とあります。
しかしながら私は、先のルウムでの大戦で
負けたとは全く思っておりません。
そう、髪の毛の細さ程も思っていないのです!」
(うう・・・痒(かゆ)い。耳の穴に髪が入ってしまったか?
ずいぶん伸びたんだな。失敗した。)
一瞬、私を取り囲む記者団達に、どう反応したら良いのか
戸惑う空気が流れる。気まずい瞬間だろう
彼らにとっては・・・だが、私は構わず自論を続ける。
「確かにあの戦いの最高司令官であった
私でさえ、艦を沈められ、囚われの身となってしまった。
だが、肝心なのは、そんな瑣末(さなつ)な事では無いのです!」
私は苦しい時ほど、ついつい大振りになりがちな
ジェスチャーを制しながら力説する。
「いいですか?みなさん・・・現にあの戦いで
勇猛なる我が軍は、敵のコロニー落としを断念させる事に
成功したではありませんか?」
そう語り終え、私が軽く両手を広げた時
かねてからの打ち合わせ通りに拍手が沸き起こる。
取材に来た記者達も疎(まば)らではあったが
手をたたくものが現れた。うむ。まあこんなもんだろう。
論点のすり替えやデータの改竄(かいざん)は
政治家達が好んで使う手ではあるが
まさか私も使う羽目になろうとは思ってもみなかった。
だが、今回は形振(なりふ)りなど構ってはいられない。
私の首もかかっているのだ。
敗軍の将としてレッテルを貼られ、軍からも社会からも
爪弾きにされ、収入を得ることが許されない私と家族達は
路頭に迷い、やがて残された道は死のみである。
その死でさえも許されない。A級戦犯とされた私の魂を
かの靖国に祭られる英霊達が許すはずも無い。
この歳になって就職情報紙と睨めっこするなんて
考えただけでもゾッとする。
私は、記者団達やこの中継放送を耳にするであろう
国民達や軍の高官達を説得させるのに必死だった。
戦いはまだ始まったばかりなのだ。
我々は決して負けてはいないし、そんなのは認められないのだ。
私の願いはきっと彼らに通ずる筈だ。
演説の効果を高める為に暫し、瞳を閉じる。
アドリブは本当はあまり得意な方ではないのだが
私は原稿に書かれていない自論をぶちまける事にした。
食べ物の恨みは根深いものなのだ。
「敗軍の将とは云え、拘留中に私に出された
食事は本当に酷い物でした。もし仮に、脱出に成功していなければ
多分、私は牢獄の中で餓死していたでしょう。
ほんの僅かな期間ではありましたが
私の体重が8kgも減ったのが何よりの証拠です。」
私はこけた頬を指差し、カメラに良く映るように
半身に構える。効果は抜群な筈である。
一斉にカメラのフラッシュが焚かれる。
なんだかちょっぴり気持ちよくなって来たw
「だが、驚くべき事に私に差し出された食事さえも
彼らにとってはご馳走なんですッ!!
かって、アジアのとある半島に地上の楽園を目指した
独裁国家が存在していた事はみなさん良くご存知でしょう。」
私は今では誰も覚えていないような
半島にあった国家?の
過去の忌まわしき歴史を引き合いにして力説する。
「かの国の食料事情以上に、我々の敵は貧しいのです!
ハンストではありませんが、当初、私はその食事に
手をつけないでおりました。無論、毒が入っているとも限りませんし・・・
(学校の給食にヤクが仕込まれるこのご時世である。用心に越した事はないだろ?)
しかしながら、かのウィーン条約にあるように捕虜のとり扱いについては
きちんと両国で同意していた筈であります。・・・にもかかわらず
にもかかわらずであります!
あまりの粗末さに最初は何かの冗談だと
私は思っておりました。」
記者団達は一斉に驚嘆の声をあげる。
なにか今、私の体には神が降り立ったのかもしれない。
滑らかに口が動く。痩せたおかげで噛み癖が治ったのかもしれない。
私はノッていた。このままアドリブでいけそうかも?
「更に私が驚いたのは、かの国と軍隊の内情であります。
彼らの国力と人口は我々の30分の1であるのは
データが証明しております。
そして先の戦いで、彼らも貴重な戦力と数多くの人員を失いました。
その証拠に私を監視する任務にあたった敵の将兵は
なんと!まだ年端の行かぬ子供が務めておりました。」
そこまで語り終えると、記者団のどよめきが最高潮になった。
だがこれはまだまだ序の口である。
「セーラは・・・嗚呼、これは失敬。
彼女の名前はセーラでした。同年齢の子供に比べて
明らかに痩せすぎな彼女は、実はもう何日も
満足な食事を採っていないと、敵である筈の私に
涙を浮かべて告白致しました。居た堪れなくなった私は
内緒で私に割り当てられたその粗末な食事を彼女に与えました。
独裁国家の目指す理想は現実的にはこの様なものなのです!
幸い、私には国際弁護人を通して私を支援してくださる
皆様から缶詰等の差し入れがありましたから
なんとか餓えを凌ぐ事が出来ました。
皆様に於いては、改めて御礼を申し上げます!!」
私はそこまで語り終えると、不祥事を引き起こした企業の
社長が見せるパフォーマンスを見事に演じ切った。
(セーラはちょっとやりすぎだったかも?)
そう内心はらはらしながらも、頭(こうべ)を元に戻すと
記者会見の場となった会場は密かに仕掛けられた爆弾が
爆発したかのような音量の拍手が巻き起こった。
再び、カメラのフラッシュは絶える事無く続き
私にハグをし、握手を求める人々の列は万里の長城の如く
長く長く連なっていた。
そんな彼らを適当にあしらい、なんとかやり過ごしたつもりだが
やはり、残念ながら私の右手は
握手のしすぎでちょっと痺れてしまった。
(おわり)
67 :
訂正:2006/05/01(月) 11:39:28 ID:???
>>10 ×暖かな日差しの中で爽やかな気分で目覚めた後で
広げる新聞には胸糞悪い事件ばかりが掲載され
今日も化粧の乗りの悪いキャスター達が
耳にするのもウンザリな事ばかり伝えていた。
○麗らかな日差しの中、爽やかな気分で目覚めた後
広げた新聞には、胸糞悪い事件ばかりが掲載され
今日も、化粧の乗りが悪いキャスター達は
耳に入るたびにウンザリな思いをさせる
事ばかりを伝えていた。
68 :
訂正:2006/05/01(月) 11:42:33 ID:???
>>12 ×そして思わず深い溜息と供に心の呟きを
吐き出してしまった。
○そして思わず、深い溜息と供に心の呟きも
吐き出した。
69 :
訂正:2006/05/01(月) 11:48:31 ID:???
>>14 ×でも、こうやって風に吹かれていると
今日のように良く晴れた日の出来事を思い出すのだ。
まんざら悪いことでもない。
昔は・・・あの頃は本当に楽しかったから。
○でも、こうして風に身をまかせていると
過ぎ去ってしまった昔の事を良く思い出すのだ。
それは、まんざら悪いことではない。
昔は・・・あの頃は本当に楽しかったのだから。
70 :
訂正:2006/05/01(月) 11:52:30 ID:???
>>15 ×数年前の事である。
やはりその日も今日のように良く晴れた日であった。
しかしその日は私にとって特別な日であった。
暦(こよみ)では大安吉日とされている日でもある。
私と私の夫になる『彼』は膝を揃えていた。
○数年前の事である。
その日は、本当に良く晴れた日であった。
そしてその日は私にとって特別な日でもあった。
暦(こよみ)では大安吉日とされている日である。
私と私の夫になる『彼』は供に
神妙な面持(おもも)ちで膝を揃えている。
71 :
訂正:2006/05/01(月) 11:55:33 ID:???
>>20 ×やはり無謀な試みだったのだ。
○やはり無謀な試みであった。
72 :
訂正:2006/05/01(月) 12:03:39 ID:???
>>32 ×どんなに時代が移ろいでも、私達のように生まれながらにして
高貴な血筋はこれからも形を変えても続くだろうし
○しかし、どんなに時代が変わったとしても、私達のように
生まれながらにして恵まれ、かつ高貴な血筋とされる
一族はこれからも姿、形を変えながら続くだろうし
73 :
訂正:2006/05/01(月) 12:13:46 ID:???
>>34 ×産業廃棄物や放射性物質などで汚染された土壌で埋め立てられた地で
家を購入し生活していた庶民達に労いの言葉をかけてやる事だった。
何人かの握手の後、私はその庶民達の列の中に
私の両親が紛れ込んでいたのを見た時、不明だった
流産の理由が理解できた。
○近年、明らかになった事件・・・所謂(いわゆる)土壌汚染問題で
産業廃棄物や放射性物質等で汚染されてた埋め立て地などで
家を購入し、生活していたという愚かな庶民達に
労(ねぎら)いの言葉をかけてやる事だった。
何人かの握手の後、その可哀想な庶民達の列の中に
私の両親が紛れ込んでいるのを見た。
私は・・・この時、不明とされていた流産の原因が理解できた。
74 :
訂正:2006/05/01(月) 12:18:33 ID:???
>>35 ×お決まりの呟(つぶや)きと供に
人知れず漏らしてしまった大きな溜息を
誰かの耳に入ったかもと感じて、照れ隠しに乾いた咳払いをする。
大丈夫だ。誰も私の事なんて気にはしていない。
○お決まりのボヤキと供に
思わず漏らしてしまった大きな溜息を
聞かれてしまったかも?と感じて
照れ隠しに咳払いをした。
ところが・・・誰一人、私の事なんて気にも止めていない。
75 :
訂正:2006/05/01(月) 12:23:50 ID:???
>>37 ×
突然、列車が揺れる音しかなかった車内に
罵声が響く。
○
突然、レールを跨(また)ぐ列車の
音だけだった車内に、罵声が響いた。
76 :
訂正:2006/05/01(月) 12:31:24 ID:???
>>40 ×
翌朝、TVのニュース番組は
常軌を激しく逸脱した日勤教育を
社員に課した為に起きた列車事故が
本日、一周年を迎えた事と
昨夜あの車両で起きた喧嘩が元で
意識不明となっていた中年男性が死亡した事を報じた。
○
翌朝、ニュースは教育という名のもとに
個々の自尊心を激しく損なわせる日勤教育を
社員に課した為に起きたと言われる列車事故が
本日、一回忌を迎えた事と
昨夜、あの車両で起きた喧嘩が原因で
意識不明のままになっていた
一人の中年男性が死亡した事を報じた。
77 :
訂正:2006/05/01(月) 12:46:29 ID:???
>>42 ×
だが、やはりそれは長くは続かず
さらに多くの犠牲を我等に強い続ける事となった。
この私を含め、数多くの仲間達が命を賭して
守り抜いた筈のこの国と、そしてその為政者達に
何度、裏切られた事か・・・。
そして、我々が得た社会は
昨日の列車内の出来事に代表される
若者等の傍若無人ぶりと企業のモラルの低下だ
○
しかし、偽りの平和などというものは永遠に続く筈もなく
さらに多くの犠牲を我等に強い続ける事となった。
失望した。
この私を含め、数多くの仲間達が命を賭して
守り抜いたこの国は、我々を裏切ったのだ。
そして、我々が勝ち得た社会は
昨日の列車内の出来事に凝縮される
若者達の傍若無人ぶりと
事故や不祥事ばかりが続く国と企業だ
78 :
訂正:2006/05/01(月) 12:50:31 ID:???
>>44 ×
ウエーブ
○
ウェーブ
>>45 ×
リコール隠し続けた企業の車の事故の所為で
○
リコールを隠し続けた企業の事故の所為で
79 :
訂正:2006/05/01(月) 12:54:34 ID:???
>>54 ×
何度も微笑んでいた。
○
何度も頷(うなず)き、微笑んでいた。
80 :
訂正:2006/05/01(月) 13:01:44 ID:???
>>59 ×
「『敗軍の将、兵を語らず』とあります。
しかしながら私は、先のルウムでの大戦で
負けたとは全く思っておりません。
そう、髪の毛の細さ程も思っていないのです!」
○
「『敗軍の将、兵を語らず』とあります。
しかしながら私は、先の戦いで
敗北したなどと毛頭、考えてはおりません!
寧(むし)ろ、我々は勝利したのでありますッ!!」
81 :
訂正:2006/05/01(月) 13:10:16 ID:???
>>60 ×
一瞬、私を取り囲む記者団達に、どう反応したら良いのか
戸惑う空気が流れる。気まずい瞬間だろう
彼らにとっては・・・だが、私は構わず自論を続ける。
「確かにあの戦いの最高司令官であった
私でさえ、艦を沈められ、囚われの身となってしまった。
だが、肝心なのは、そんな瑣末(さなつ)な事では無いのです!」
○
一瞬、私を幾重にも取り囲む記者達に、
どう反応したら良いものかと、戸惑う空気が流れた。
詭弁(きべん)と言いたい者は言えば良い。
凍りついた雰囲気など構わず、私は自論を続けた。
「なるほど、確かにあの戦いの最高司令官であった
私(わたくし)でさえも、艦を沈められ、囚われの身となってしまった。
この点に於いては負けと言うならば負けなのかもしれません。
だが、肝心なのは、そんな小さな勝ち負けの事では無いのです!」
『お前も蝋人形にしてやろうか!!』
・・・と怒鳴りつけ、殴り飛ばせたらどんなに
気分が晴れる事だろう。
私は、一向に教育の成果が現れない部下?達に
罰としてこの屋敷の草むしりを言いつけたかった。
「やあ、フラナガンさん・・・ご精が出ますな。」
「出来の悪い生徒達を受け持って大変ですね。」
「彼女達、まだ上手くならないんですか?」
政府のアスベスト対策が遅れた所為で
こんな山奥に引っ越す羽目となってしまった。
宮崎アニメに出てきそうな造りの屋敷(元、パチンコ店らしい)を借り
活動を再開したまでは良かった。だが、ちょっとした悩みがある。
それは・・・ご近所のおば様やおじ様方のお節介と好奇心だ。
一言で言えば、ウザイという事である。
田舎に住んでいる住民達は私達が余程、珍しい者と見える。
事ある毎に声をかけてきた。
83 :
訂正:2006/05/09(火) 15:34:43 ID:???
84 :
訂正:2006/05/09(火) 15:44:18 ID:???
>>36 ×
夢に破れて失望し、今となっては言い訳ばかりで
ただ単に惰性で生きているのみとなった
冴えないオヤジの姿が陽炎(かげろう)のように揺らめいていた。
○
儚(はかな)い夢に破れて失望し、今では言い訳ばかりを
考えて生きている・・・そんな情けない男の姿が
まるで、蜃気楼(しんきろう)の様に揺らめいていた。
>>82の続き
バブルがはじけ、それまでの価値観や人生設計を
(学校で良い成績を取り、良い大学、良い企業に就職し、
やがては幸せな結婚生活を送り、自分を生んだ親の世代よりも
豊かに、より幸せになりたいといった類のもの)
根底から覆された世代に当たると思われるこの村の?住人達は
不幸にも所謂(いわゆる)格差社会の凄まじさを
最初に実体験した世代でもあった。
かつて、この国には年金制度というものがあった。
そして、一般庶民よりも遥かに優遇された
議員年金というものもあった。
半世紀にもわたり、優遇され続けていた議員年金の
是正に関する法案は、既得権益を決して手放そうとはしない
大多数の議員の抵抗(必死)もあって、骨抜きになってしまった。
そんな国会内の茶番劇はついに国民の怒りを買うことになり
年金未納者が全体の6割を超える結果を齎(もたら)した。
結局、国は自己責任の名の下に、全ての年金制度を廃止した。
この国は、国が取るべき責任を免れる事に成功したのである。
幸い、この村の住人達は子供を生み、育む事を経験したらしい。
だがそれは、ほんの一握りの富裕層のみがなし得る生き方なのだ。
村人達の里帰りに来た孫達を愛でるかのようなお節介?を
苦々しく思いながらも、格差社会の齎(もたら)した
超、少子化時代の弊害を私は改めて痛感していた。
今の時代、社会に通用する人間として、子供一人を育て上げる
労力とコストそしてリスクは、先進国では最早、天文学的な
数値になっていたからだ。
季節外れの暑さと、村人達の撒き散らす加齢臭に
辟易(へきえき)しながらも、草を毟(むし)り続ける。
そして、私はここでも近年、私が発表し著わした
『脳観論(のうかんろん)』
が通用しない事を身をもって体験してしまった。
全く、何たる事だ・・・
ここで、手前味噌で申し訳ないが私の著書
『どんと来いデブリども』(税込み価格2500円)
について軽く触れておきたい。この本は広く一般の人達(凡人)にも
私の長年の研究成果である『脳観論(のうかんろん)』 をわかり易く
解説したもので、内容を一部、紹介すると・・・
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
・・・我々の視覚という感覚が殆んど効かない暗闇の世界で
亜光速で飛び交うデブリの嵐から身を守る為には如何すれば良いだろうか?
高価な防護服に身を鎧(よろ)うのは勿論の事ではある。だが
先の電力会社の事故の例にもあるように所詮、人間がその肉体に身に纏(まと)う
質量や体積には限界もあるし、経済コストの問題もある。
結局のところ、人間が本来、一生命体(いちせいめいたい)として
持っている力や、学習と経験に裏付けられた『勘(かん)』のようなものが
身に迫る危険を察知し、回避するのに大きな役割を持つのではなかろうか?
( 中 略 )
宇宙(そら)は良く海(うみ)に例えられる。
私は視覚に大きな影響を及ぼす光・・・太陽光を遮るこの深蒼の海中で
我々に尤も近く、そして今では絶滅してしまったと思われていた
動物に出会った。皆さん良くご存知の『海豚(いるか)』である。
彼らは退化してしまった視覚の代わりに聴覚を発展させ、その脳に特殊な
機能を獲得した。所謂(いわゆる)ソナーの役割を果たす
エコロケーションというシステムである。
( 中 略 )
この様に自然界に存在する様々な感知システムと、我々の直感というべき
第六感的な感覚を数値化し、融合させたのがこの次世代CPUの特徴であり
それを真の意味で使いこなす為には、まだ聴覚が衰えていない若い世代の
協力は勿論の事、人生経験を数多く積み、勘を鍛えてきた世代の
智慧(ちえ)が何よりの実験データとなろう・・・。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
私は、滴る汗に苛立ちながら、未だに私を取り巻いて
世間話に花を咲かせる勘の鈍いこの老人達に
私が今まさに感じていることを必死に念じ続けていた。
青臭い臭いが染み付いたままスタジオに戻ると
私を追い出した?彼女達は露骨に顔を背けた。
「セクハラです。」
最初に怪獣みたいな名前のシンガーに容姿が(特に眼鏡が)良く似た
彼女が声をかけた。彼女が私にかけた言葉が表わす通り、髪を束ねたら
名作劇場に出てくるような意地悪な院長先生役が似合うだろう。
「ち、違うんだ!シムス君!」
「禿げオヤジの言い訳、きんもー☆」
私の弁明の言葉を遮って、反抗期特有の語調と高い声を出す彼女は
丁度、名作劇場に出てくるような意地悪なクラスメイト役がお似合いだろう。
それに彼女の家は代々続くインドのマハラジャの家系だそうだ。
「ハマーン君!そんな言葉使いをするもんじゃありません!お父上が聞いたら・・・」
「あら、いいじゃない?何も喋らないよりはマシよ?ねぇ?」
壇上のさらに上から声がかけられる。その声の主は一昔前、時間帯も弁(わきま)えず
頻繁に放送され続けた消費者金融のCMに出てきそうな踊り子の格好をしている。
もし、彼女も名作劇場に出てくるとしたら、苛められ続けられている
主人公の相談役&理解者って所か?
「ハモン君・・・君にはこのメンバーのまとめ役になってもらいたったのだが・・・!?」
「・・・・・・・・・(ニヤリ)」
不気味な視線を感じて振り返ると、諍(いさか)いの原因となった彼女が
いつの間にか私の後ろに立っていた。名作劇場ならば・・・・いや、止めて置こう。
放送コードに引っかかってしまう。
喫煙や、プログで盗作作品を披露していたなどという問題もあって
私が苦労して召集したメンバーもだいぶ数が減ってしまった。
苦肉の策として急遽、メンバーに入れた問題の彼女は
当初から他の古参のメンバー達と仲が悪かった。
(特に意地悪なクラスメイト役との関係は最悪だった。)
そして娯楽施設が豊富な都市から、老人達しかいない僻地のスタジオに入った日から
彼女達の緊張した均衡(きんこう)状態はついに破られた。
老人達しかいないこの村に言わば、軟禁状態になり
肉体的、精神的欲求不満と、苦しい練習の日々のストレスの相乗効果もあって
女達のジェラシーがついに爆発したのであった。
彼女は・・・ララァはこの僻地にても、何処からともなく現れる
『赤い薔薇の人』と密かにコンタクトをとっていたようだ。
それが彼女達には気に入らないらしい。
普段ならば、温厚でかつ自己に厳しいハモン君が
私の手など煩わさずに取り成す所なのだが・・・・整理前なのだろうか?
私は肩を竦(すく)めながら、男に生まれた事を髪に・・・いやさ神に感謝していた。
全く、ミーティングなどと称して私だけを草むしりに追いやった癖に
なにも解決していない。やれやれ、今日の練習はもうお開きだな。
そう感じた瞬間、今まで聞いた事もないようなドラムの音が響いた。
何だ、シムス君やれば出来るじゃないか!?
彼女達にしてみれば単純にストレスを発散したかっただけなのかもしれない。
原始時代、人々の村に響いた音は・・・音楽はこのような衝動から生まれたのだろうか?
ドラムの音に続いてベース、ギターがすばらしいハーモニーを奏でる。
ボーカルの彼女・・・・ララァは一瞬、仲間達の鬼気迫る演奏に気後れしたかのように
思えたが、すぐに持ち前の粘り強さを発揮して彼女達の挑戦を受けた。
すばらしい!これなら本当に紅白出場も夢じゃないかも・・・・・
私は感激のあまり録音ボタンを押す事さえも暫し忘れていた。
やはり音楽は人を変える。儒家 孔子(こうし)が語っていた事は本当だった。
使い古されたアニメのテーマかもしれないが、私は今度、改訂版を出すつもりの
脳観論で聴覚を刺激する事について深く掘り下げてみたいと思った。
演奏が終わりに近づく。このままミスがなければ
すばらしい作品になるのは間違いない。彼女達もそう感じている筈だ。
だが・・・・その期待は見事に裏切られた。
「動くな!!!」
ドアを蹴破る音と共にスタジオに乱入してきた
警官達に私達は取り押さえられてしまった。
私達の罪状は
『響暴罪(きょうぼうざい)』
とういうものだった。
取調べに中った警官から私は初めて事実を聞かされる。
実は、頻繁に村の老人達から
怪しげな集団が廃墟に篭り、夜な夜な騒音を撒き散らして困ると
訴えがあったそうな。
胡散臭そうなハゲ男一人と年若い少女達の共同生活?も老人達には
目障りだったらしい。
私は再び著書が売れなくなることを心から悔いていた。
(おわり)
92 :
訂正:2006/05/16(火) 15:19:28 ID:???
>>43 ×
実は・・・社会を揺るがしたあの列車事故で
隊長は最愛の人とその間に生まれた子供を亡くしていたのだ。
そして酒に飲まれ、若者に席を譲れと詰め寄ったのは
何も自分の足が義足だった所為では無いのだ。
○
実は・・・世間を騒がせたあの事故で
隊長は、奥さんとその間に生まれた
お子さんを亡くしていたのだ。
年甲斐もなく
若者に席を譲れと詰め寄ったのは
モラルが欠如した社会や企業に対する
隊長なりの反発だったのかもしれない。
単に、己の両足が義足の所為では無いのだ。
93 :
訂正:2006/05/16(火) 15:27:11 ID:???
>>85 ×
結局、国は自己責任の名の下に、全ての年金制度を廃止した。
この国は、国が取るべき責任を免れる事に成功したのである。
○
結局、国は自己責任の名の下に、全ての年金制度の廃止を決定する。
長年の問題解決を放棄する事によって、この国はついに
国家が取るべき責任そのものを免れる事に成功したのであった。
語感に患者を侮蔑(ぶべつ)するものがあるとして
痴呆症が認知症と言い換えられて、早2年が過ぎようとしていた。
だが、どんなに上辺を繕(つくろ)ったとしも
行政が弱者を見捨てる方針は何ら変わりがなかった。
今朝もまた、認知症の老いた親の介護に
経済的にも肉体的、精神的にも疲れ果てた子供が
実の親を殺し、その自分も自殺を図るというニュースが
この狭い職員事務所に鳴り響いた。
「おい、クランプ!聞いたか?全く、酷い世の中になったもんだな。」
やっと休憩が取れ、眠気覚ましの熱いコーヒーを
入れた筈だったのに。毎度の呼び出しの所為で
すっかり冷めてしまった茶褐色の液体を飲み干して
同僚(もう暫くで同僚ではなくなってしまうけれども)の
アコースは私に語った。
「なぁ、本当に辞めちまうのか?アコース・・・考え直さないか?」
無駄だと判ってはいたが、一応、この施設のチーフでもある
私は長年、一緒に働いた彼を引きとめようと試みた。
「すまない・・・もう俺、疲れたんだよ。」
そう、ぽつりと呟く彼の言葉に嘘など無かった。
彼の窪んだ目がさらに陥没したかのような印象を与える目の隈(くま)が
ありありと語っている。私は、入れ直したコーヒーを勧めながら
彼の近況をそれとなく尋ねてみた。
「・・・親父さんやっぱり、ボケて・・・あ、いや、認知症なんだって?」
職務上、口に漏らすことは固く禁じられている
呆けという言葉を思わず出してしまった私を
一瞬、睨みつける表情を見せた彼ではあったが
すぐに何時もの、人懐っこい顔付きで笑った。
「ああ、全く様ねぇよな。他人の親の面倒ばかりみて
自分の親の事をほったらかしにした所為だ。
・・・神様が罰をあてたんだな。」
涙を堪えているのか、天井に向かって声を張り上げた後
寂しそうに微笑んだ。
彼の眦(まなじり)に光るものを見た時、私はそれ以上
何も言えやしなかった。
97 :
訂正:2006/05/20(土) 03:51:10 ID:???
>>94 ×
その自分も自殺を図る
○
自殺を図る
×
この狭い職員事務所に鳴り響いた
○
この狭い事務所に響く
>>96の続き
現実は冷酷である。私を含め、この時代に生きる
多くの人達が、何時も何処かでやっている様に
虚構の世界でどんなに強がったり、粋(いき)がったり
してみても多くの場合、結局は何かを変える事なんて
出来はしないものだ。
私は長年、苦楽を共にした同僚が去ったその日
現実の厳しさを改めて思い知らされ、そしてその夜
自宅にて彼の身に起きた不幸な出来事が決して
他人事ではない事を実感した。
生活時間などの擦れ違いが原因で、妻や子供と別中の私を
深夜にも関わらず、労(ねぎら)い、暖かく
迎え入れてくれたのは僅(わず)かばかりの年金で暮らして
生きて行かなければならぬ、年老いた母親だったからだ。
『孝行したい時に親は無し』・・・・という格言?は既に
時代にそぐわないモノになっていた。
私は、母が用意して置いてくれた食事を噛み締めながら
何かと先延ばしにしていた自分自身の、これからの人生について
真剣に考えなければならない時が来たのを知った。
同僚が辞めた事によって生じた職務上の『穴』は
すぐさま、代わりの要員によって埋められた。
少子高齢化という問題に対して、金をばら撒く事しか
考えが及ばなかった政治家達のお陰でこの国では
私達の様な多くの外国人が、福祉医療などの現場で働く事が
当たり前となっていた。そして、それは最早、私達の様な
労働者の待遇が、始めの頃よりも決して良くなる事など
無いという事を意味していた。会社に言わせれば、代わりの
人員などというモノは幾らでもいるらしい。
実際、辞めていったベテランの同僚が居たという痕跡は跡形も無く消えた。
会社の言い分は正しかった。しかし、それが意味するのは
只管(ひたすら)虚しいものであった。
私を含め、他の仲間達の多くは長年、勤めていたこの仕事が
以前よりも好きでは無くなってしまった事を、認めざるを得なかった。
そして、何時になっても決して終わることの無い
山のような仕事・・・・精神的にも肉体的にも
負荷をかける仕事を目の前にした時
私は密かに転職について考え始めていた。
数ヶ月後・・・・私は相変わらず『オムツ』を代えている。
目出度く転職した私がしている仕事の内容は、ぶっちゃけ『オムツ』が
大人用から子供用に代わっただけであった。
現在、私はこの複合娯楽施設の託児所を担当する身になっていた。
本来ならば私は経理課に配属される筈だったのだが、会社の上層部が
それを認めなかったらしい。
ひょっとして外国人というのがネックになったのだろうか?
何かと送金の仕組みとか、依存症といった問題等で紙面を賑わす
複合娯楽施設を経営する会社に職を得た事は、ゆくゆく私のキャリアの
汚点になってしまわないだろうか?
様々な思いが頭を駆け巡りながらも、私は新たに得た仕事に馴染み始めていた。
実際ここだけの話、呆けたり、妄想に取り付かれた老人達
(例えば、カードを集める事を生きがいにしていたかつての少女や
羽根を集める事に人生を賭けたかつての少年)
などを相手するよりも遥かに子供達の方が楽であった。
俗っぽい言い方をするならばオイシイ仕事である。
健全な社会に対して、何かと問題の多いこの複合娯楽施設ではあるが
働き盛りの青年や壮年達が子供の頃に見たアニメやアイドル達を起用した
新たな娯楽を提供したり、託児所等を設ける事によって駐車場などで
死亡する子供を減らすといった、かつての消費者金融並みの
イメージ戦略と努力は目出度く?実を結びつつあった。
だが・・・それは結局、他人ならば他人の不幸ならば許せるという
程度のものでしかなかった。
ある日、私はかっての同僚がこの娯楽施設内で
「弾切れだ!」
と大声で叫ぶ、荒み切った姿を見て
なんとも言えない気持ちにさせられた。
そして私が決定的に、この複合娯楽施設に嫌悪を抱いたのは
私と妻の間に生まれた私達の子供
娘がこの託児所に預けられた時であった。
「何で、こんな所に子供が・・・・」
そう呟きながら、私は彼女に駆け寄った。
何日も洗っていないような娘の汚れた服と顔を見て、私は全てを悟った。
衣装デザインの仕事をしていた独立心旺盛な妻も依存症になっていたのだ。
(おわり)
ないた
>>105 保守カキコトンクス♪
てっきり落ちてると思っていたよ・・・ノシ
107 :
訂正:2006/05/30(火) 03:42:27 ID:???
訂正
>>61 ×
路頭に迷い、やがて残された道は死のみである。
その死でさえも許されない。A級戦犯とされた私の魂を
かの靖国に祭られる英霊達が許すはずも無い。
○
路頭に迷い、やがて残された道は死のみである。
だが、その死でさえもこの社会では許されない。
A級戦犯とされた私の魂を仮に何十年後に慰霊しようとも
それを快しとしない輩が、私を訴える事だろう。
そして何よりも私の心を痛めるのは、かの靖国に祭られる
英霊達がこの売国奴となった私を許すはずも無いという事だ。
『このスピードについてこられるか??』
(ふっふふ・・・プロの運び屋の俺様に勝負するとはいい度胸だ!)
と内心、私は何度も舌打ちしながらサインをする。
またもや違反切符を切られてしまった。迂闊であった。
立て替えた金は会社の経費で落ちるとは言うものの
経費削減に血眼になっている上司の目がものすごく怖い。
「スピード出しすぎですよ?運転手さん。もし、子供が飛び出して
来たらどうするつもりですか?」
「すみません、すみません・・・」
警官に何度も頭を下げて許しを請う。
確かに子供を轢いたらヤバイ、事件になってしまう。
だが、本当に背に腹は変えられぬ。最近のはっきりしない天気の所為で
作業が物凄く遅れているのだ。
その作業とは・・・
あんまり大きな声では言えないが、産業廃棄物とされてしまった
土地の埋め戻し材の埋め変え作業の事だ。
(これもたぶんつづかない)
(この味・・・懐かしい・・・
お袋の味ってこんな感じかしら?)
不味いというのが定評だった
社員食堂がついに、リニューアルした。
いつもなら某、宮廷料理人見習い少女アニメの
EPにあったような空気が渦巻いていた
この食堂であるが、今日は流石に違った。
・・・そこかしこで微笑みが溢れている。
(本当に良かった。これで頑固な父も私の進言が
正しかったと判ってくれるだろう。)
巷に流れる社員に優しくないとの風評も、これで少しは消える筈だ。
私はダイエット中なのにも関わらず、ご飯のお代わりが
欲しくなってしまった。危ない危ない・・・
長く続いたデフレに漸く、区切りが付き
不況に喘ぎ続けた我が社でも業績が好転しつつあった。
成果主義の名の元に容赦なく人員をリストラし
賃金をカットし続けた『改革』で成し得た喜びは
それまでの致命傷の痛みを暫し、忘れさせる事が出来たのである。
私は・・・父に社員待遇の改善を申し出た。
近年、社会的に責任の持てる経営というのが
私達のような企業にも求められる時代となっていた。
全く同感である。金が全ての世の中は余りにも寂しすぎる。
予知夢とか既視感(デジャヴ)という様な
言わば、オカルト的なものを私は本気で
信じるつもりは無いけれども
流石にこう何度も続くと不安になって来る。
しかも悪夢に限って当たるものなのだ。
(我が社が乗っ取られて潰れてしまう?まさか!?)
汗だくになって跳ね起きたあの日の事を
今でも鮮明に覚えている。
同族経営というものは何かと波風が立つものだ。
それはどの国、どの時代に於いても変わりが無い。
極々、普通の家庭内でも親子の間の関係が悪かったり
長年連れ添い、愛し合っていた筈の
夫婦の間でも『熟年離婚』という様な問題が
クローズアップされているではないか。
それに加えて企業という枠組みが足枷のように
家庭内に入って来た時、一体どうなるのか?
皆さんは想像した事があるだろうか?
一端、金が絡むと血の繋がりなんて脆いものである。
判りやすく例えるのならば、某相撲部屋のイザコザなんてのが
良い例だろう。
食事を終えるのを、見計らっていたかの様に
父からの呼び出しが入った。何か・・・嫌な予感がする。
こんな時は無視するのが一番だ。
だが・・・それは所詮、無駄な努力であった。
適当な理由を創って社を出て、十分時間を潰した上で
オフィスに帰った来たつもりだが、私の机の上には
一度、交際を断った筈の『彼』からの花束が
山の様に積まれていた。なんてこった。
秘書の話では週末、彼の父も交えてのパーティが
建設中のコロニーで計画されているという。
秘書の報告を聞きながら、私は胸の奥で殺意に似たようなものが
こみ上げてくるのを防げなかった。
私の人生なのに!家族が・・・会社が私の夢も希望もとりあげてしまう!
私は父の操り人形でしかないの?そんな人生、虚しすぎる・・・
私の本当の夢が叶う日なんて来ないのかしら?
それならばいっその事、みんな死んでしまえばいいのに!!
私は時間潰しで観た『あの映画』にかなり影響されていた事を
改めて気づかされた。いけない、いけない・・・
これでは私が密かに目指している『孟母』像とは
かけ離れている。これじゃぁまるで『鬼子母神』ではないか!
嗚呼、『良妻賢母』の道は果てしなく遠いなぁ・・・
(おわり)
114 :
訂正:2006/05/31(水) 07:39:43 ID:???
>>99 ×
妻や子供と別中の私を
○
妻や子供と別居中の私を
今年になって初めて蚊に献血をしてしまった男が
ほの暗い部屋の中で注射針を腕に刺している。
仕事とは言え、長く続いた不規則な生活習慣と食生活の
所為で男は・・・デミトリーは糖尿病患ってしまっていた。
医療技術が進み、メタボリックシンドロームという
新たな用語が世間一般に認知されてから早、数年が
過ぎようというのにも関わらず、自分自身の歯並びの悪さを
全く意に返さない豪快な?性格の成果もあって
彼は文字通り身を削って、製薬会社に多大な貢献をするのであった。
116 :
訂正:2006/06/02(金) 04:12:21 ID:???
>>115 ×
糖尿病患ってしまっていた。
○
糖尿病を患ってしまっていた。
針の傷みに慣れっこになったと云うものの
食事の度に注射をするのは面倒な作業であった。
顔を顰めながら、インスリンを注入する。
自業自得と言い捨てるには聊か気の毒ではあるが
なってしまったものは仕方がない。男は・・・デミトリーは
自問し、自答していた。そして糖尿病患者特有の甘酸っぱい
体臭と共に、自分の過去の病気に纏わる
甘酸っぱい失敗を思い出さずにはいられなかった。
実は・・・注射を打つという作業の煩わしさに嫌気が差し
食事を摂らずに暫く過ごした事があった。
当然ながら、男は低血糖による昏睡?で派手にぶっ倒れてしまった。
しかも、よりによって『地下鉄』のホーム内で
泡を吹きながら悶え苦しむ彼を見て、そこ居合わせた何も知らない
善良な市民達はパニックに陥ってしまった。
折りしも、ワールドカップイヤーであった。
開催国でテロリスト達からも注目されていたであろう
街の地下鉄で起きたその珍事は翌日、面白おかしく
メディアに取り上げられ彼は一躍、時の人となった。
尤も、それもすぐに忘れ去られてしまうスレとレスのように
他人には意味のないものであったが、この時ばかりは
豪快?な彼も流石に意気消沈した。そして、彼にとって
甘酸っぱい思い出になるまで、かなりの時間を必要とするのであった。
(余談ではあるが彼は、たまたまその場に居合わせた
見ず知らずの男が差し出した弁当に助けられた。)
9 :通常の名無しさんの3倍:2006/05/23(火) 03:39:34 ID:???
【オカルト板】
衝突し、滅亡するスレ
http://hobby7.2ch.net/test/read.cgi/occult/1148317317/l50 10 :通常の名無しさんの3倍:2006/05/23(火) 04:13:00 ID:???
まずスレタイに笑った。
そしてこの誘導され具合にわらった。
ある意味GJ
11 :通常の名無しさんの3倍:2006/05/23(火) 04:16:32 ID:???
梅雨入りにはまだ早いというのに
ここ数日の間、雨の日が続いている。
シトシトと降りつける雨音に紛れ
近くの田んぼから蛙の鳴き声が聞こえて来る。
日照不足によって野菜価格の高騰が予想されると
今夜のWBSは報じた。
実家が農家である人が割と多く住むこの街に
引っ越した所為もあってか、私は柄にも無く
今年のお米の出来具合について、早くも
心配をしていた。
12 :通常の名無しさんの3倍:2006/05/23(火) 04:26:44 ID:???
>>10サン、トンクス♪
>>11の続き
私が最近、嵌っている、やたらと功名を競う
大河ドラマで『石高(こくだか)』という言葉が頻繁に出てくる。
その石高の基準?となる『一石(いっこく)』という目安が
平成を生きる私にとって、どれ程の分量なのか
さっぱり見当がつかないので、辞書で引いてみる事にした。
13 :通常の名無しさんの3倍:2006/05/23(火) 04:44:44 ID:???
辞書の項を繰りながら、私は
つい先日、国連食料農業機関(FAO)が
温暖化等に代表される地球環境の悪化により
途上国の食糧難が深刻化するという
暗い見通しを発表した事に眉を顰める。
これを材料に仕手筋は、色々と暗躍する事だろう。
少々、熱く感じる電気スタンドの照明の元で
『一国(いっこく)・・・一刻(いっこく)・・・』と辞書の
単語を指でなぞって行く。
すると、視線の先に見慣れぬ単語が記されているのに
気づいた。何なんだこれは?
『・・・いっこてん???』
14 :通常の名無しさんの3倍:2006/05/23(火) 04:52:11 ID:???
『一壺天(いっこてん)』後漢書 方術伝下・・・(略)
※推奨参照サイト
ttp://www.lib.hiroshima-u.ac.jp/dc/kyodo/ochibashu/7.html 私は、その単語についての記述を読み終えた時
この広い世界の何処かにきっと、斯様(かよう)な
摩訶不思議な『 壺 』が存在する事を信じ始めていた。
(つづく)
15 :通常の名無しさんの3倍:2006/05/30(火) 03:59:06 ID:???
実は・・・下戸である私が、この単語を知る機会は
辞書を引かない限り、余り多くは無かった事だろう。
壺の中にある別世界・・・成る程、確かにこの世には
不思議な壺が数多くある。例えば、あの有名な
『千夜一夜物語』の中で『魔法のランプ』というものが
出てくるが、あのお伽話の元となったのは
中国の古い民話で、しかも壺に纏(まつ)わるものらしい。
(NHKでやっていた)
16 :通常の名無しさんの3倍:2006/05/30(火) 04:15:15 ID:???
まだある。実は・・・また告白しなければならないが
文系出身の私にとって、尤も縁遠いものの一つである世界・・・
物理学か何かかな?(さっぱり解からない)取り敢えず
この私を含め、数多くの人が一般常識として
名称だけは知っていて、凡その形も知っているであろう
謎めいた壺がこの世には存在する。
それは・・・そう、あの・・・壺の事
『 ク ラ イ ン の 壺 』の事だ。
17 :通常の名無しさんの3倍:2006/05/30(火) 04:58:57 ID:???
気になったのでついでに『クラインの壺』を辞書で引いてみた。
そして、ネットでも検索をかけてみる事にした。
数分後・・・
私は、軽い知恵熱を出してしまった。
頭が少々、重く感じる。やはり私のような凡人には
全く理解出来ない範疇(はんちゅう)の世界だ。
だが、こんな愚かな私でもこれだけは言える。
そんなに遠くない未来・・・この空の果てには
人類の英知が創り出した円筒形の壺が数多く存在する事であろう。
そう、植民地(コロニー)だ。
皆さんも薄々、感じている事なのかもしれない。
私も、その中の一人である。
残念ながら人類の新たな世界は多分、宣伝される様な
夢の楽園とは程遠いものであろう。
これまでの現実がそれを証明している。
(耐震偽造マンションとか、第三セクターによる開発予定地とか
ドミニカ移民問題とか)
そして、私の心にこうも告げている。
全く夢の無い話ではあるが・・・致し方ない。
私もいつまでも子供ではいられないのだ。
それは・・・お伽話の中の、壺の別天地や、異次元?の世界も
きっと、『正直、しんどい』世界だという事だ。
現に壺の絵がトレードマーク?の『2ちゃんねる』でも
かなり・・・しんどいし、痛い世界ではないか。
(多分、つづかない)
クラインの壺について
※推奨参照サイト
ttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%81%AE%E5%A3%BA 18 :神父 ◆wdeniv/TvA :2006/06/04(日) 11:58:25 ID:???
実はあの壷200円の価値。
鑑定団で中嶋先生が看破。
19 :通常の名無しさんの3倍:2006/06/07(水) 04:23:18 ID:???
>>18 神父サマ・・・それはきっと
ダ@ソー製品でつねw
ところで・・・
悪魔の子が生まれたって本当ですか?
脳死状態でライフカードも少ない為
相変わらず、ロボットとか
手歩ドンとかは出てきません
前ネタが完結しないのにも関らず
平気で新ネタをやったり
止めちゃったりもします。。。
『隙とか・・・気合いとか、最初から無いんじゃないのか?』
折角の休日なのに、朝方みた悪夢の余韻が、頭に重くのしかかる。
上司の嫌味で目覚めた私は、家族の中で私に心を開いてくれる
唯一の存在『どろん』に慰めてもらう事にした。
リードを繋ぎ終え、一身同体となった私達は
森へ駆けてゆく・・・・
明日になれば、また社畜として組織の犬として
繋がれる事が運命づけらている身にとって
『どろん』との散歩は最高の癒しであった。
尤も最近では、彼は私の地位を低めに見る節がある。
散歩の途中、マウントされて赤っ恥をかいたのは
つい先日の事だ。ここは気を締めてゆかねばなるまい。
ワガママし放題のリードを手繰り寄せながら
ついつい仕事の事を思い浮かべてしまう。嗚呼、嫌だ。
最近、社内では営業成績が振るわない私を、絶好のチャンスにも関らず
点を取る事が出来ない某国FWになぞらえる節があるようだ。
大本営の発表とそれに続くマスコミの煽り立てる
情報を鵜呑みし、踊らされていたのは私だけではない。
一般の市民の殆んどが騙されていたのだ。残念ながら。
あの瞬間、あわよくばと・・・期待がバブルの宛らに膨らんだのを
ここに告白しなければならない。
私は、圧倒的な国力のと物量の前に敗れた戦いを経験した
あの国のゴールキーパーが
特攻作戦の末、満身創痍となった戦艦YAMATOに思えて仕方が無かった。
聞くところによると沖縄慰霊の日にサッカーをしていたそうだが
沖縄出身のアーティストを使った時点であの結果は既に
運命づけられていたのかもしれない。
そんなサムライブルーと並び評価するのは
ちゃんちゃら可笑しいけども
私の勤める会社は私の事を過大評価していた。
実力以上に周りから期待をされた者にとって
その立場や行動及び言動は非常に危ういものであった。
何もかもが空回りし、浮いた存在になってしまったと
己が気がつく頃には大抵、取り返しのつかない事態に
陥っている。今ならそれが良く解かる。
上司の口調がいつの間にか変わっていた。
もっと早く気づけば良かった。やはり私にはこの仕事は無理だったのだ。
そんな取り留めの無いことを
思いながらリードに引っ張られてゆく
まだまだ夢の中のようだ。
だが、そんな時間も終わりがきたようだ。
「おはようございます。」
私の家の隣に住むバツ1の女性・・・
口元がちょっぴり、ロナウジーニョ似のハーフ
『 海田(うみた)ベルカ 』
が、声をかけてきた。
『やってしまった。。。orz』
129 :
通常の名無しさんの3倍:2006/07/16(日) 09:39:37 ID:S0AWkc7f
煙草を吸う権利はあるが、「義務」と「責任」がある。
禁煙者には、煙草の煙を吸わされない権利」もある。
法律で認められていても、マナーがあるだろうや!!
他人の居る車内、密室、飲食店での喫煙の全面禁止!
煙草を吸う時は、自分で「灰皿・煙草・ライター類」を用意!
屋外で!、煙が迷惑にならぬ様に気を遣い喫煙をして下さい。
吸い殻も、自己責任で片付けて下さい!
喫煙マナーを守って円滑な社会生活を送りましょう。
http://life7.2ch.net/test/read.cgi/cigaret/1131217757/1-100 煙草の値上げ、小学生の小遣値上げと同程度か!
1箱¥1000になれ〜! 税収は目的税に限定し、健康保険の赤字補填に!
たばこを吸う人は雇いません−。世界保健機関(WHO)は1日、喫煙者を雇用しない政策を導入した。たばこが健康に有害であることを訴える国連専門機関として、政策の一貫性と「反たばこ」のイメージ強化を狙う。
WHO当局者によると、職員の新規採用で喫煙者を排除するのは国連諸機関でWHOが初めて。
WHOは、喫煙を原因とする疾患で毎年世界中で500万人近くが死亡していることを挙げ「たばこの害を減らす運動の先頭に立つ機関としての責任を雇用面でも果たさなければならない」としている。(共同
『に、逃げろ〜〜!!』
>>129氏
保守サンクス
長文を書く気力が無いので専ら
駄洒落や川柳を詠んで誤魔化しています
575板には癌を詠むスレが
無いのでちと寂しいです
そんだけ
>>131氏
情報サンクス
(このスレってば、遊びに来る人いるんだ・・・
なんと、奇特な・・・いやさ、個性のある人ですねぇ・・・
今更だけど正直、こっぱずかしいっぺ・・・あうあう)
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
>>127のほんのちょっぴりの続き
不意に彼女に声をかけられ、心の準備?が
出来ていなかった私は文字通り
『まるごし刑事』の気分を味わってしまった
密かに彼女に好意を抱いていた私は
慌てると吃音が出る癖を知られたくない為に
わざと、ぶっきらぼうに挨拶を返した
所謂、『つんでれ』ってやつである。
(多分つづかないだろうなぁ。。。オチは三角@馬で15禁っぽいし
エロとか実は苦手なんだよなぁ。。。)
『っしゃ〜〜〜〜!!!オラッ!!!』
『ヨネ姫〜〜〜〜〜!!!!』 (号泣)