富野関連の対談や発言を書き込むスレ2

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1通常の名無しさんの3倍
富野氏の対談を中心に書き込むスレです。

厳密には対談でなくてもコメント等でも結構です。形式も自由。
また、富野氏でなくても関連が深い人物の発言なら何でもOKとします。
カキコしてくれる神にお任せします。

基本的に保守を除いてあまりageずにsage進行でお願いします。

前スレ
http://comic.2ch.net/test/read.cgi/shar/1044472767/l50

富野&庵野語録倉庫(前々スレ57氏のサイト)
http://members.tripod.co.jp/wijayu/
2通常の名無しさんの3倍:03/04/15 21:03 ID:???
2
3通常の名無しさんの3倍:03/04/15 21:14 ID:???
スレタイの番号は本当は3だけども…
ご苦労様 and yet...
4通常の名無しさんの3倍:03/04/15 21:29 ID:???
>>3
ほんとだ、、、。すまそ。m(_ _)m
5通常の名無しさんの3倍:03/04/15 21:31 ID:???
俺が定年を迎える頃にはもうトミノーは生きてないだろう
6通常の名無しさんの3倍:03/04/15 22:17 ID:???
あと50年は生きてるから安心しろ
7高句麗 ◆OIZKOUKURI :03/04/15 22:32 ID:???

     /ヽヘ
     / ,ノ丿     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     ミ,,゚Д゚ミ  < 高句麗だぞブルァ!
    ,ミ v"v     \_____________
   C(,,η,,η
  /   ナー┐|ll /   / "  ┃
  /ヽノ  l  、l  /ヽノ  \    ・
8通常の名無しさんの3倍:03/04/15 22:41 ID:???
j3、(*****)ですわ・・・・・・る


(*****)の中に好きな言葉を入れてみよう。
9通常の名無しさんの3倍:03/04/15 22:48 ID:???
富野 なるほどね、はいはい。
10通常の名無しさんの3倍:03/04/15 22:51 ID:???
ブレンパワードの時に御大がブレンチャイルドを見てその永野に、言った言葉。
「こんな凄いデザイン貰っていいのか。」

ついでに書くと、御大がいつも言ってるのは、
「アニメ界の中から永野君のような才能をもっと見つけだしていかないといけない。」
11通常の名無しさんの3倍:03/04/15 22:58 ID:???
俺はブレンのデザインは失敗だったと思ってる
12通常の名無しさんの3倍:03/04/15 23:03 ID:???
>>11
スレ違い。
13通常の名無しさんの3倍:03/04/15 23:04 ID:???
富野 なるほどね、はいはい。
14前スレ975:03/04/15 23:04 ID:???
FSS OUTLINE 富野×永野

永野 僕ね、最初に監督と会ったころと同じ年代になりましたよ。

富野 あ、そう?

永野 でも僕が監督と対談するのって、じつは初めてなんですよ。

富野 そうそれを聞いて「ウソだ、一度や二度はしているはずだ」と思っ
   たんだけど、どうもしていないみたいなのね。でもそれにかんして
   いえばみんな永野くんがいけないだよ、対談をしてほしいという
   オーダーはサンライズ周辺でいっぱいあったはずなんだから。

── 監督は永野さんを「エルガイム」でキャラ&メカのデザイナーとし
   て大抜擢したわけですが、注目していたのはいつごろから?

富野 彼が描いた小物の設定画を50枚程度見たことがあって、それで「彼
   を呼んでください」とお願いした、それが初めてだったと思いま
   す。ただ、いまでもわからないのが、何を見て彼にキャラクターま
   で頼んだのか、ということ。彼と会う前に彼が描いたキャラクター
   を見たことがなかったの。

永野 あ、そうですか。僕は当時、メカだけ描いてもしかたがないんで
   キャラとか、いろいろと出していましたよ。

── 最初にメカデザインで決定して、その後にキャラクターも描くこと
   になったという話を聞いていますが。

富野 永野くんがキャラクターを描けるというイメージはなくて、企画を
   進めているなかで、なし崩し的にキャラまでお願いしたんだろう、
   という記憶しかなかったが、それはやはり正しいのね。
15前スレ975:03/04/15 23:06 ID:???
── では別のデザイナーを考えていた?

富野 いや、それも考えていない。僕は基本的に情報不足の人間なんで
   しょうね、いつも周囲にスタッフがいないという状況から始めてい
   るから。あまり意識はしていませんでしたがサンライズ・テリト
   リーがあったんだろうし、自分のフットワークが悪くてどこかで
   「自分は仕事師である。その自分の周囲にアーチストやクリエー
   ターは集まってくれないだろう」という妙な思い込みもありまし
   た。実際に作業を進めていくうちに「これなら永野に頼もう」とい
   う、よくいえば現場主義、手の届く範囲でお茶を濁していたという
   ことです。高名な誰某を連れてきて、こういう仕事をしましょうと
   いうのは一度もやらせてもらえなかった(笑)。

永野 それはしょーがないですよ、サンライズ自体に人材が少なかった
   し、「ガンダム」という作品を見て「こういうものをつくれる人が
   いるんだ」と監督に寄ってきたのは僕が最初の世代なんですから。

富野 永野君が初めての世代という意識はあります。だけれど僕は“さば
   き屋”だというのが嫌ではなくて「それでいいんだ、でなければこ
   んな日銭仕事はやっていられない」という意識もあった。いまの現
   場にもつながるけど、自分をアーチストだとかクリエーターだと
   思っている人ほど、ものをろくにつくれない人たちがそろってい
   る。アーチスト、クリエーターというのは自分がそうだと意識して
   いない人のほうが多いということです。天才に近いところにシフト
   している人以外はクリエーター、アーチストっていないんじゃない
   か、と最近わかってきた。
16前スレ975:03/04/15 23:06 ID:???
永野 「俺はアーチストだ、クリエーターだ」って言っている人に、
   「じゃ、芸術家なの?」と聞いたら大半の奴がことばにつまってし
   まう。つまり芸術家っていうのは周囲がそう言ってくれるものなん
   です。

富野 まったくそのとおり。ことばを大切にしたいから“クリエーター”
   “アーチスト”てことばは使ってほしくないです。自分自身が経験
   しているから言えるんですが「自分にも何かがつくれるのではない
   か」と思いたいとき、そういう自分にしがみついていないと自滅し
   ていく気分があって、そうしたときには「自分はクリエーターなん
   じゃないか」と思ってしまうことはありますね。

永野 (富野)カントクは“監督”で、それ以外のなにものでもないんで
   すよ。

富野 ……あのさ、これって僕の話をする場所ではないでしょ?(笑)

永野 いいの、監督をサカナに話そうという企画なんだから(笑)。で
   ね、富野さんの監督には「カントク」という愛称、そして監督、
   ディレクターという職業、それが全部入っているんですよ。でもそ
   れって類まれなことですよ? だって宮崎駿監督も押井守監督も、
   “職業としての監督”だけど富野さんは単純に“監督”(笑)。ア
   ニメ業界の中で「俺が監督だ」と言いはじめたのは富野さんが初め
   てで、それまでは誰もいなかったんだから。

富野 意識的に言ったというのはあります。それは「職業として確立させ
   る」ということではなくて、アニメ業界の中で自分の居場所を見つ
   けていこう、ということでした。自分は作家にも絵描きにもなれな
   い、それで“監督”しかないというのはあったね。
17前スレ975:03/04/15 23:07 ID:???
永野 富野さんが「ガンダム」で出てくるまでのアニメ雑誌って、作品イ
   コール作画監督、あるいはメカやキャラのデザイナーっていいう雰
   囲気がすごく強かったんだよね。「このキャラクターは誰某が描い
   たからすごい」とか。それがね、「ガンダム」は安彦良和さん、大
   河原邦男さんという強烈なキャラクターがいたにもかかわらず、放
   映が始まってしばらくすると「これは富野の作品だぞ。話を聞くな
   ら富野だ」って雑誌側もシフトしていった。

富野 うん、自分のことでいうと、だから悔しい。そのあとに自分がそう
   いう部分に乗れなかったというのがあって……。

永野 まぁた、何言ってんだろうなぁ。それは結果論で、あの当時は半年
   で「『ガンダム』は100パーセント富野の作品だ」ってみんな認識
   したんだから。

富野 でもね、「ガンダム」のとき、迂闊に「何年後の世界が舞台」と
   やったら物語が全部崩れるかもしれないと感じたから、「宇宙世
   紀」という年代をもち出して“らしく見せる”ということをやっ
   た。その程度のことは考えたしテクニックもあるのだけれど、仕事
   の仕方の問題で「弱虫で神経質なヨシユキちゃん」の部分が40歳に
   なっても50歳になっても払拭できなくて、そのあとに自滅したのか
   な、という思いはあります。永野くんに「エルガイム」の世界をあ
   げたあとも、じつは何年かして「あの世界を取り戻したい」とも思
   いましたもん。

永野 がーーーん(笑)!!
18前スレ975:03/04/15 23:08 ID:???
富野 つまり「Ζ」までをバタバタとつくっていって、そのあとスポンと
   時間が空いたときに「自分はもう何もつくれない」という心境に
   なってしまった。サンライズと僕の関係も良好とはいえませんでし
   たから、その程度には狂うよな、というのはあります。それは狂気
   というほどではなく、正常値に中のいちばんマイナスのところに
   ダーッと走っていった。それが「Vガンダム」の直前のころです
   ね。

── 「エルガイム」で永野さんを起用した理由というのは?

富野 アニメ全体、それ以外の部分も総合してビジュアルの仕事は変わっ
   ていくだろうし、変わらなくちゃならない。変わるためには永野く
   んのような才能を拾い上げなくては、という意識があった。それが
   15年たって、サンライズの外にはいくつか出ているようなんだけれ
   ど、サンライズ内に明快に後続が出てこなかったというのは問題で
   すね。

永野 ロボットアニメの寿命が尽きてんだから仕方ないですね。

富野 いや、ロボットじゃなくて“ものをつくるという回路”そのものま
   で変えなくては、と思ったんだけれども、それはできなかった。い
   まもビジュアルの世界でCGが増えてきたけど、、その回路そのもの
   は変わっていなくて本当にゲッソリしているところがあるの。ヘタ
   なアニメのサンプルをCG化しているだけで20年前のビジュアリス
   トの感覚なんだよね。僕はCGってよい道具だなと思いはじめている
   んだけど、手抜きのアニメレベルのCGをやって気持ちいいという感
   覚がわからない。それでいうと、この2〜3年で自分が意識するよう
   になったのは「僕は動く絵がすごく好きなんだ」ということ(笑)
   いままでそれほど好きだと思っていなかったんだけどね。だから
   「こんなにCG使ったぞ、金がかかってるぞ、すごいだろ、見ろ」と
   言われても僕は見ない。
19前スレ975:03/04/15 23:09 ID:???
永野 もうCGの時代は終わってるんだよね。CGを使ってどうするか、で
   しょ。道具を手に入れて、それをたとえばアニメ業界はどう使って
   いくのか。いまは彩色や撮影をコンピュータに置き換えているだけ
   であって、どうやってCGを取り込むかは考えていないところが多い
   からね。

富野 僕はそれも含めて、ビジュアルをもう一度つくっていくという仕事
   は絶対にあるって思いはじめてます。4〜5年前は打ちのめされてて
   「もうやることはない」と思っていたけど、この2〜3年は違うの
   ね。これから始まるぞっていうのがあって、ひどく困ってる。なぜ
   困るのかというと、具体的なハウツーが見えてこないからなんだけ
   ど。
20前スレ975:03/04/15 23:09 ID:???
── 話は変わりますが、永野さんがデビュー当時のアニメ界には永野さ
   んのようなスターがいた。でもここ数年、アニメ界にそういうス
   ターは出ていないですよね。

富野 ニュータイプやアニメージュのようなアニメ誌はパラパラとしか読
   まないからよく知りませんが、でも何人かはいるはずですよ。

永野 いたとしても、それってゲームから来たり、アニメとはぜんぜん違
   うところから出てきているわけでしょ? たとえば「∀ガンダム」
   の安田朗くんだってゲームなんだ し。安田くんは“ストII”であれ
   だけの絵を描いて、いまの若いゲーム好きの子にものすごい影響を
   与えているのに、名前は表に出てこない。それはゲームのある意味
   の弱さですね。で、どうして出てこないかっていうと、アニメー
   ションはハリウッド・スタイルで作品をつくる、つまりプロダク
   ションとして人を集めて1本つくって終わったら解散、という形に
   対して、ゲームは会社だからお互い足の引っ張り合い、企画のつぶ
   し合いなんですよ。

富野 初めに資本ありきだとそうなってしまうんだよね。ということは
   ゲーム会社は官僚になっていくし、いまがそうだものね。

── 「機動戦士Ζガンダム」以降、永野さんはサンライズ作品からしだ
   いに離れていく、という形になりましたね。

永野 「エルガイム」のあとは、監督には「これでやってください」とい
   う要求で僕がすごいデザインを出していたの。それは「僕のモビル
   スーツはこうだ」とか、「こういうものをやりたいんだ」というも
   のでもなかったんだけどね……。
21前スレ975:03/04/15 23:10 ID:???
── でも、それは採用されなかった。

富野 そのころ、僕がいちばん心身症にかかっていた時期だったんです。
   「これはヤバイな」というのがわかってきたころで、考えはじめて
   しまって、単純な言い方をすると守りに入ってしまって前に行くこ
   とを止めてしまったんだろうね。それが僕だけならまだよかったん
   が、サンライズ自身も同じ方向に走っていたために、全部がそう流
   れてしまった。僕はさばき屋だから発注される仕事がなければ話し
   にならない、だから適当なところで手合わせをするようになってし
   まったというのがある。そのころに本当の意味でうぬぼれることが
   できて「俺は作家だ、アーチストだ」と思えていたほうがよかった
   のかもしれません。自分は作家だという自信がもてないまま「Ζガ
   ンダム」をやるぞ、と決めたときに僕の敗北が始まった、と。そう
   いうことです。

永野 それ反論していい? 監督が敗北だという「Ζガンダム」が、実は
   いま唯一のタネとして残っているわけでしょ? 「ファースト」で
   はなく、なぜか「Ζガンダム」が。

富野 でも、いまはその残り方が気になって「こういう残り方はいけない
   んだ」という意識がある。自分の心身症も含めて業界全体へのカウ
   ンター的意味合いで「Ζガンダム」を出して「本当はお前らがこう
   なんだぞ」ということを言いたかったけど、その部分が15年たっ
   て、また同じ状況が回ってきて「Ζガンダム」が浮上しちゃってる
   のね。
22前スレ975:03/04/15 23:10 ID:???
永野 だったら監督は新しい「Ζガンダム」をつくっちゃえばいいんです
   よ。「Ζガンダム」はシャアの内ゲバみたいな話だったけど、いま
   の子たちはゲームの影響で「サイコガンダムのパラメーターは強す
   ぎ。こんなの反則だ」とか、そう思っているわけ。見方が当時の
   ファンとはぜんぜん違うんですよ。そういう子供たちの話を聞いて
   「Ζガンダム」はこういう話だったのか、と確認してつくる(笑)

富野 なるほどね、はいはい。

永野 たとえば「宮本武蔵」の物語はオリジナルの小説を読んでいる人は
   いなくて、マンガ家がかみ砕いた焼き直しの「バガボンド」(原作
   =吉川英治/画=井上雄彦)を読んでいるわけ。監督も自分の「Ζ
   ガンダム」を忘れて新しい「Ζガンダム」をつくっちゃえばいいん
   です。そしたら僕はタダで最新版ナイチンゲールを描きますよ(編
   注:永野メカの中で最もスゴイといわれるモビルスーツ。いまだ未
   発表)。

富野 うーん、いいのよ、新しい「Ζガンダム」も。いいんだけどね、僕
   は余命いくばくもないのよ?(笑)

永野 監督は10年前からそう言いながら「ブレンパワード」をつくった
   り、いろいろやっているんだから、まだまだつくれますよ。監督と
   いうのは作家と同じで、つくれる本数とか活躍できる年数は限られ
   ていることが多いけど、富野さんは長い間活躍してるでしょ。こ
   れってすごく希なことですよ。

富野 希だというのはわかるし、そこで自分の力を信じてもいいはずだ
   し、もっと乱暴に言うと「富野は天才で特別なのよ」という気持ち
   もある。でも前例がないから、どこにすがればことしと来年を生き
   延びられるか、というのがわからない(笑)。
23前スレ975:03/04/15 23:11 ID:???
永野 まぁた、なんでそーなのかな(笑)。監督はそれだけのネームバ
   リューがあるんだから、たとえばハイブリットな映画をつくったり
   もできるでしょ。“ハイブリット”ってのは、このキャラは安彦さ
   ん、こっちのキャラは安田くんがつくるってゆーさ。監督は脚本と
   コンテを統括していれば映画はできるでしょ。

富野 それはそうね。

永野 監督はサンライズの中に弟子や子供はつくらなかったけど、監督が
   思ってもないところで子供が大勢生まれているんです。僕は鬼子だ
   けど、いちばんの子供で「ブレンパワード」のときもけんかしたけ
   ど、あれは親子げんかなんだから、そういうレベルでけんかできる
   子供がいることを誇りに思いなさいよ。僕は富野さんをボロクソに
   言うけど、でも富野さんをバカにするヤツがいたら、僕はマジギレ
   しますよ。そういう子供たちを集めて次の作品をつくったらどうで
   すか、と僕は言いたい。

富野 自分の中でわかっていることがあって、友達とか僕を応援してくれ
   ている人、目の前にいる永野くんのような人を忘れてしまうのね。
   いつもその向こうを探している。いま、いっしょに仕事をやってい
   るスタジオの連中が言ってくれているのは「富野の周りにものをつ
   くれる人間がいない。それにどうしていままで気がつかなかったの
   か」と。それはうれしいんだけど僕は現場では極端なものを求めて
   しまうから、すぐにネクストを探してしまう。
24前スレ975:03/04/15 23:12 ID:???
永野 それは「エルガイム」のころからそうだったね。こっちは「エルガ
   イム」の話をしているのに監督は次の「Ζ」のことしか考えてなく
   て「『エルガイム』の話ふってんのになんで『Ζ』の話するんだ
   よ」って怒ったことあったじゃない(笑)。でね、話を戻すと
   「Ζ」や「ΖΖガンダム」の当時、雑誌とかで「これが俺のガンダ
   ムだ」という企画がいっぱいあったじゃないですか。ああいうのを
   見て僕は「ふざけんじゃねぇぞ、お前ら!」ってのがあったの。僕
   にとって「ガンダム」は富野監督がつくったものが「ガンダム」で
   あって、それ以外の人間がつくったものは、どんなによくできてい
   てもパチモンだっていう大前提があるわけ。そんなふうに思ってい
   る子供がたくさんいるんだから、いろんな業界にいる富野の子供た
   ちに向けてニュータイプで「興味のある人は連絡してくれ」って告
   知すりゃいいじゃん。そうすればゲーム業界からも人が来るし、優
   秀な原画マンだって集まってくる。原画マンが15人いれば映画を1
   本つくれるでしょ。

富野 できるけど、そういうことをよく平気で言えるなあ(笑)。

永野 でもそれはやらないとね。そうやってサンライズではないスタッフ
   をつくっていけばいい。子供がいるなら、その子供を使いなさい
   よ。富野監督だったら、何をやっても許されるんだから、やっちゃ
   いましょう。

富野 僕はねぇ、それがダメなの。みんなに好かれたいから(笑)。

永野 若い女の子から好かれればいいんですよ、サンライズから嫌われて
   もね(笑)。

                       (2001年2月20日)
25前スレ975:03/04/15 23:12 ID:???
スレ立て乙です
おまたせー
26通常の名無しさんの3倍:03/04/15 23:15 ID:???
>>前スレ975さん乙!


>僕 にとって「ガンダム」は富野監督がつくったものが「ガンダム」で
 あって、それ以外の人間がつくったものは、どんなによくできてい
 てもパチモンだっていう大前提があるわけ。
いいこと言うなあ、ナガーノ。
27通常の名無しさんの3倍:03/04/15 23:23 ID:???
>>14->>25
ありがとう。

富野 自分の中でわかっていることがあって、友達とか僕を応援してくれ
   ている人、目の前にいる永野くんのような人を忘れてしまうのね。
   いつもその向こうを探している。

↑この辺りが興味深い。
28通常の名無しさんの3倍:03/04/15 23:25 ID:???
ここまでぶっちゃけ話出来んの永野くらいだよなあ。

それは置いといて、やっぱり永野を今の御大と組み合わせてみたいってのはある。
キンゲ後ってどんなのが出てくるのかちょっと想像出来ないし。
29通常の名無しさんの3倍:03/04/15 23:33 ID:???
>>14->>25
乙。

>>28
同意です。何かやってくれないかなあ。
30通常の名無しさんの3倍:03/04/15 23:55 ID:???
唐突にすみませんが御大のデビュー作ってなんすか?
31通常の名無しさんの3倍:03/04/16 00:04 ID:???
>>30
初代アトムだよ。
詳しくはスニーカー文庫から復刊された「だから僕は…」を読め。
32通常の名無しさんの3倍:03/04/16 00:07 ID:???
>>30
鉄腕アトム96話「ロボット・ヒューチャー」でいいのかな?
これが初演出ってトップランナーでも言ってた。
33通常の名無しさんの3倍:03/04/16 02:47 ID:???
>>32
「全仕事」によると演出デビューは96話みたいだけど
演出助手としては76話『モンスター・マシーン』が初らしい
34通常の名無しさんの3倍:03/04/16 07:20 ID:???
── 進行から途中で演出部に移られたわけですが、
   演出助手になったということは?

富野 虫プロは厳密に言うと演出助手というパートはないんです。
   進行か演出か。だから僕は96話の「ロボット・ヒューチャー」の時に、
   いきなりコンテと演出をやらせてもらって、
   その翌週から演出部の方に移行しました。
   なしくずしにやってかなくちゃいけない体制だったので、
   「ロボット・ヒューチャー」は半分進行もやっていたはずです。
35通常の名無しさんの3倍:03/04/16 12:44 ID:???
何だかんだ言って、永野って御大にずいぶん可愛がられてるよな。
36通常の名無しさんの3倍:03/04/16 20:26 ID:???
しかしここまで御大に対しズカズカ言える人間も居ないよな。
37通常の名無しさんの3倍:03/04/16 20:47 ID:???
しかしやっぱりオムライスにはチョコソースだよな。
38通常の名無しさんの3倍:03/04/16 21:39 ID:???
永野は監督にとっては恋人の一人らしいから(w
39通常の名無しさんの3倍:03/04/16 21:58 ID:???
息子だろ。
あ、そうそう、都内の書店ではFSS11巻出てるね。早速買ってきたよ。
40通常の名無しさんの3倍:03/04/16 22:20 ID:9QIfniW6
すいませんけどFSSってなんですか?
41通常の名無しさんの3倍:03/04/16 22:24 ID:???
永野信者になっていいですか?

つーか良い対談だね、言ってる事もその通り。
監督が集まってくれっつったらかなり凄い勢いで来るだろうし。
とりあえずFSS読んでみようかな。
42通常の名無しさんの3倍:03/04/16 22:30 ID:???
ナガノはなんかキモチわるい

FSSも5回ぐらい読み返さなきゃ
話が理解できないのでなんかイヤ
43通常の名無しさんの3倍:03/04/16 22:39 ID:???
正直カトキの方がキモチわるい
44通常の名無しさんの3倍:03/04/16 22:40 ID:???
>>42
それいったら、トミノ小説は何回読みk(ry
45通常の名無しさんの3倍:03/04/16 23:20 ID:???
>>40
ファイブ・スター・ストーリーズを知らんのか?
ここ見れ。
http://www.toyspress.co.jp/fss/story.html
46あぼーん:03/04/16 23:20 ID:???
   ______________
 /:\.____\
 |: ̄\(∩´∀`) \  <先生!こんなのがありました!
 |:在  |: ̄ ̄ U ̄:|
http://freeweb2.kakiko.com/mona/
47通常の名無しさんの3倍:03/04/16 23:21 ID:???
メス豚どもメ!!!!ヽ(оДо)ノ
48通常の名無しさんの3倍:03/04/17 00:34 ID:???
>>42
5回読んで理解出来る君は立派
あれは、永野の1枚絵を堪能する為の本だよ
49通常の名無しさんの3倍:03/04/17 00:47 ID:???
うーん目頭が熱くなったよ。富野信者の代弁者だ、、永野タンは。
世界の意思が永野フィルターを通して話している感じさえする。
キンゲでは、これがほぼ実現してしまったわけだ、、、。
Z再編集版も全部新作カットで創れそうな勢いかも。
つうか、そうなってほすぃ。
50通常の名無しさんの3倍:03/04/17 00:59 ID:???
てか、よくZに再度手をつける気になったな。トップランナーで鬱になってたのが嘘みたいだ
51通常の名無しさんの3倍:03/04/17 01:36 ID:???
え、FSS11巻とかΖ再編集とかマジ話なの?
52通常の名無しさんの3倍:03/04/17 01:48 ID:???
>>51
ゼータの話は知らんが、FSSは都内では出版されてる
しかし、連載中のコミックの新刊が出るのと、10年以上昔のアニメが再編集されるって話が
同レベルのネタっぽく聞こえるのは、永野の人徳だな
── 監督は『ブレンパワード』制作にあたって、ロボットアニメでは
   ない、ということを言われたそうですが、改めてそれを言われた
   理由というのはなんだったんでしょう。まずそこからうかがいた
   いと思います。

富野 改めてでもなんでもなくて、元々ものを作ることというのは、前
   例を踏襲するもんじゃないとは思ってます。だけど、『ブレンパ
   ワード』を始めるまでの15年間ぐらいは、創作活動をやってな
   かった。そう自己認識しないと、これ以後ものは作れないし、こ
   のままフェイドアウトして死んでいくだろうと自覚したんです。
   『ガンダム』のような長期のシリーズにのって、自分のものを作
   るっていう衝動というものを減速させてしまっていた。その自覚
   があったところで、改めてという言葉を使わざるを得なかったと
   ころが悔しいところなんです。
   これは、アニメ業界全体にいえることで、テクニックは上がった
   んだけれども縮小再生産ばかりで、物語を作るとか、アニメとか
   映画の記号で語るべきもの、見せるべきものはなんなのかってい
   うことをきちんとやってるふうには思えない。どうもこの15年
   間に、全体が沈んてたんじゃないかという気がして仕方がありま
   せん。
── 『ブレンパワード』の宣伝コピー「頼まれなくたって生きてや
   る」は、監督自身の作ですよね。『もののけ姫』を意識している
   ことが伝わってきましたが。

富野 『エヴァンゲリオン』と『もののけ姫』が、97年に発表され
   て、日本のアニメのいい区切りになったと思えたんです。その翌
   年に1度、作品を形にしておかないと『エヴァ』と『もののけ』
   がずっと続くんじゃないのか、それはさせたくない、というのが
   ありました。ですから『ブレン』はその2つに対しての回答とか
   なんとかではなく、現象を受けて僕が急いで作ったものなんだと
   いうことに関しては、いわれてもしょうがないですね。2作品を
   僕が知らずに『ブレン』を作ったということは、これは口が曲
   がっても言えません。けれど企画の骨格とかストーリーの半分ぐ
   らいは、あの2作品を観る前に創っておいて良かったと思ってい
   ます。全部創るのを2作品を観てからやっていたのでは、もっと
   ひどいものになっていたでしょうね。影響されすぎて。
   とにかくあの時期で一度、幕を引く必要があったと思った。それ
   はキャリア論として思ったんです。そうは言っても『ブレン』は
   ご存知の通り、視聴率的にも、作品的にも成功しなかったと思っ
   てます。では、無価値な作品かといえば、そうではなくて、わけ
   の分かんないのだけれど何かを作ろうとしてると指摘してる文章
   に出会って、ああ、やってみて良かったんじゃないのかなと思い
   ました。少なくとも『ブレン』的なものは、うーん……もう1、
   2度チャレンジする意味はあるだろうなと思えたし、そこから出
   てくるものの作り方っていうのもありそうで、むだではなかった
   と思っています。
── オーガニック・マシンというアイデアが特徴的で、設定とテーマ
   のリンクが興味深かったんですが。

富野 「これまでのメカとは違う造型っていうのがあるのではないか」
   と思ったとき、僕に一つだけあったヒントは『ダンバイン』だっ
   たんです。オーラバトラー(『ダンバイン』に登場する人型メカ
   の総称)をやったときと系譜的には似てると思ったし、2、3本
   目のコンテを切ってるときに『ブレン』のアンチボディは、これ
   こそオーラバトラーで一番やろうとしてたことだったとわかった
   んです。それが2、3本フィルムを作るまで僕自身が気がついて
   なかったっていう粗忽さっていうか、迂闊さはちょっと問題です
   ね。ですから『ブレン』の最大の問題は、そのオーガニック・マ
   シンという概念を、スタッフの中に定着させるところまでいかな
   かったことです。
   それから、永野護がオーガニック・マシンのありように対して意
   義申し立てをしたんですが、僕がそれを承知しながらも永野デザ
   インを採用し続けていったこともあったし、オーラバトラーに近
   いかもしれないアンチボディ、本来的な意味でいうオーガニッ
   ク・マシンを画面上に完成させられなかったということもありま
   す。そういうことが決定的に表現の上の致命傷となって現れてい
   るんです。それで物語性が極度に伝わらない作り方になってしま
   いました。
   ただ、もう永野君ではなく無理に他の人だったらどうなるかとい
   えば、もう『ダンバイン』になっちゃうだろうと。それも嫌です
   から、永野デザインでいったのです。ルックスとしてはああいう
   ふうに見えるんだけれども、オーガニック・マシンの話というの
   を僕はやっていきたいんだよ、ということが僕にとっての『ブレ
   ンパワード』なんです。ですから基本的に完成もしませんでした
   し、いわゆる唾つけただけで終わってしまった。それが僕の中に
   ある『ブレンパワード』です。
── とはおっしゃいますが、監督の作風を大きくわけて“クライシ
   ス”と“ドタバタみたいなもの”に分けたとき『ブレンパワー
   ド』はその二つを上手い具合にエンターテインメントという
   フィールドでのせようとしているのが、これまでの作品以上に明
   確に感じられたんです。そして後半は、上手くいったところもあ
   ると思っているんですが。

富野 それは勿論目指してはいたんだけど、それがこちらが思っている
   ほど上手くいかなかったのは、作り方の意識としてその辺がはっ
   きりした形で……ごめんね、こういう言葉しか思いつかないん
   だ、アウフヘーベン(二つの矛盾・対立する概念を合わせて、よ
   り高次の概念に統合・発展させること)してなかったということ
   なんです。後半も、僕の思いには近づいちゃいませんもの。あん
   なもんじゃダメだっていう方が強い……。じゃあ、その、あんな
   もんじゃダメだっていうものをお前は作って見せたのかといわれ
   れば、そうではないとも言えるんです。
   要するに手習いで『鉄腕アトム』から『ザンボット3』『ダイ
   ターン3』までの歴史をやったんで、ようやくやれやれと思えた
   から『∀ガンダム』にかかれたという手順でわかるとおり、創
   作っていうのはチャレンジの連続ですから、『ブレン』は次の
   『ブレン』のために創ったと思ってしまう自分が、今ここにいる
   のです。
   だから、1クール終わってからですね。少しわかってきて。最終
   回見たときに「ああこうだったら始めから言ってくださいよ」っ
   ていう自覚があってね。始め分かんなかったよって(笑)。ただ
   僕も、なんとなくコンテではやってはいるんだけれども、その意
   味説明っていうのをできなかった。それからできなかっただけ
   じゃなくて、僕はもう一つ悪い癖がありまして、パッと見せて分
   からなければそれは表現として完成されてないんだから、説明し
   てもしょうがないなっていつも思っちゃう人間なんですよ。だか
   ら、お前ら分かれっていう気が本当にないんです。それは20年
   前の『ファースト・ガンダム』の時もそうでした。全部分かれと
   いうふうにして強要はしてません。だから、そのあたりがディレ
   クターとして、作り手として、なんていうのかな……自分ではか
   なり我が強いつもりでいたんだけれども、作り手としての業って
   いうのは、僕はかなり希薄ですね。
── 監督は以前から自分のフィルムがゴツゴツしている、他人の手が
   入ればもっとマイルドになるんではないかとおっしゃっていま
   す。今回、作劇についてはかなりライター陣に任せられたそうで
   すが、それはどうでしたか。

富野 最大公約数でいえば、うまくいったんじゃないですか。だから、
   本当にそれは良かったと思っています。けれども、そのあたり
   で、まさにこの15年で現場に入ってきて仕事を始めた人たちの
   持っている要素、物語をプライベートなものに捉えすぎてる、と
   いうところは感じます。それは本来、表現者として大衆に向けて
   表現する言葉ではないんじゃないのか、と感じました。僕自身
   だってどこまでわかっているのか、わかりませんけれども……。
   ただ、『ブレン』のときには、句読点を打つんだ打つんだといい
   ながら、やっぱり時代が顔を覗かせているという部分がありま
   す。だから今にして思うのは、悔しいなということですね。時代
   の気分はかなりメンタルな部分まで支配する、というのを今回つ
   くづく感じてます。それは『∀』をやってなければわからないこ
   とでもありました。
   だから『ブレンパワード』は、『∀』から見たときに「プレ・ガ
   ンダム」の作業をやったんだけれども、『∀』をやってみて思え
   るのは、やはりプレではなくて、まだプレ以前だったかなと思っ
   ています。そういうステップを順々に踏まないと、天才が集まっ
   て作ってるわけじゃありませんから、ものを創るのって手間がか
   かるっていうのが今の実感です。
── 当初は映画版の企画だったわけですが、企画書を拝見すると『ブ
   レンパワード』というより、かつての富野作品に近い感じがしま
   した。これは、いつぐらいから最終的な完成図のほうへシフトし
   ていったんでしょう。

富野 うん。やっぱり変わりましたよね。それで、映画版でやってると
   きに基本的にモビルスーツの臭いが抜けてないんですよ。それを
   抜いてく作業というのは、それこそ頭じゃなくて体に染みついて
   いる、僕の場合、やっぱり20年、もう、モビルスーツ漬けなわ
   けですから、それは抜けようがないですよね。だから、作って見
   つけてくしかないっていうことで、やっぱり体を動かさなけれ
   ば、身に付くものって身に付きません。
── そういうことは、映画版の企画を錬っているときから感じていた
   んでしょうか?

富野 いや、終わってみないと分かりません。そのときそのときの限界
   でやってますから。そういうことで言うと、企画の段階っていう
   のは全部吐き出すぐらいのつもりでやってるはずですから、それ
   は気がつきません。それで、後になって気がついたときに、その
   落差のリーチが自分で読めるようになるんです。わかるだけの表
   現をテレビ版を製作してるときにやらない限り、その距離ってい
   うのは取れません。だから、ものは作り続けなくちゃいけないん
   じゃないのかなっていうのは感じましたね。
   ものを作り続けなくいちゃいけないっていうのは、すごく阿漕な
   商売だとは思います。でもこの間、たまたま『サバイビング・ピ
   カソ』っていう映画をWOWOWでチラッと見て思ったし、それを
   見ながら『アマデウス』のことも思い出したんです。ピカソや
   モーツァルトの創作活動を想像すると、順々に手直しするなんて
   いうことじゃなくて、ずーっと継続してて、こういうふうに、こ
   ういうふうに行くっていう感じっていうのは、あの天才にしてか
   らそうなんだから、凡才は天才以上にやり続けるしかないって思
   うんです。
   それで、なにかいいことが起こるっていうフロック的なものって
   いうのは、ふつうの人は一生の内に一つあれば御の字で、おおむ
   ねそれはないはずですよね。ですから作り続けるしかない。作り
   続けていって初めて、その落差っていうのがわかるわけですよ。
   で、そうなったときに、ああ、前よりは良くなった。悪くなっ
   たっていうのが見えてくるわけです。
   だから、ピカソも「青の時代」までのピカソとそれ以後のピカソ
   みたいなものも、それ以後が見えたときに初めて前のものもわか
   るわけです。そうじゃなければ「青の時代」のままのピカソで
   行って、なんかちょっと崩れたかな、でお終いになった作家かも
   知れないっていうのが、作り続けない作家に押される判定になり
   ますよね。

── 継続して制作する重要性は、『ブレンパワード』で苦労したから
   『∀』は楽しく作業ができると、スタッフの方の話から感じられ
   ました。

富野 それはあります。それからもっと重要なことでいうと、勘があり
   ましたね。『∀』をやるためには、前に一本作らなければ絶対に
   作れないっていう明解な勘がありました。ですから『ブレン』の
   ときから必死でした。その部分だけはまさにキャリアが読みとっ
   た手順でしょうね。ふつうはこの手順は読みとれないでしょう。
   だから、3年前から『次のガンダム』やるんだったら新作一度
   やっておかないと絶対に作れないっていうのだけは、プロダク
   ションにも言ってきたのです。
── すると『ブレンパワード』らしさが、明確にフィルムに定着され
   た、と感じられたのは、どんな部分なんでしょうか。

富野 一カ所しかないんです。その一カ所が実は一番作画がひどかった
   6、7話(双子のアンチボディ、ブレンチャイルドが登場するエ
   ピソード)なんですよ。双子のあそこを触ったときに、全部分っ
   たっていうのがあったんだけれども、結局そこが製作的に一番落
   ち込んじゃったんで、なんていうか、片鱗があったはずなのが見
   えなくなっちゃったんですね。だけど、あの物語ラインを引っ
   張ってるときに、かなり『ブレンパワード」的なるものっていう
   のは……簡単に言うからこういう言葉になるのかも知れないけれ
   ども……豊穣な物語が作れるなとは思いました。
   スケーティングの話(18話のネリー・ブレン)で言うと、シ
   リーズの中で落としどころを見つけなくちゃいけないからってい   うんで急いだっていうことのほうが大きくて、戯作者としてはあ
   まり感心したことではないっていうのがあります。ただ、これは
   はっきりいって欲です。だから、スケーティングは好きですよ。
   だけど、好きだけどちょっと手前味噌だなっていう感覚は残って
   います。
   つまりね、ネリー・ブレンが出てくる以後のところから回想が多
   くなってくあたりが、作り手の心の中、心性の部分で作られてい
   て、実を言うとちょっと困ったな、と感触しかないんです。でも
   「もうちょっとシャープにカラッといかなきゃいけない」「嫌
   だ」っていうのを僕の立場から、意義申し立てできなかったので
   す。というのは、まだ基本的に、僕自身が元々持ってる物語性を
   俯瞰していくという力がなかったために、それを容認せざるを得
   なかったのです。
── トマトが物語の最初と最後に非常に印象的に登場します。そこに
   監督の思い入れがあったんでしょうか。

富野 それに関して言うと、その発想は僕の発想じゃなくて他のスタッ
   フの発想です。だれが言いだしたのかよく分からないんだけれ
   ど。僕はトマトは嫌だなというふうには思ってましたから。あま
   りにも安易過ぎるからです。ただ、若い連中を含めて認めてるの
   は、分かりやすいんだからしょうがないな、トマトでいこうとい
   う納得の仕方をしています。本当はもし僕だったら、本当に僕が
   言い出してたら、ゴボウにしましたね。

── (笑)なんですか、それ。

富野 一見、木の根っこみたいに見えるけれど、食い物だ。

── ああ、なるほど。

富野 それで、土の中で育っていく。それを食わなくちゃいけないって
   いう構造を大事にしたい。ただ、問題なのは、ゴボウにしたら
   きっとエンディングが……(笑)。地面の中に埋まってるゴボウ
   のアップから、カメラ、パンアップしたって、そんなことできね
   えよっていう(笑)。だから、トマトはあくまでもサインとして
   起用したっていうだけのことです。表現上、執着してないからあ
   んなもんになっちゃったんです。もうちょっとトマトに惚れてれ
   ばああじゃなかったでしょうね。
── 惚れてる、といえば、企画当初から、いのまたむつみさんがキャ
   ラクターを描かれているわけですが、監督は目の大きなキャラク
   ターは苦手だとか。

富野 苦手じゃなくて、大っ嫌いです(笑)

── では、どうしていのまたさんだったんでしょうか?

富野 やはりこの30年、40年のマンガとかコミックの世界、アニメの
   世界が育てちゃった、記号の問題なんですよ。それとは別に、企
   業の認識論というのは基本的に、いのまた的なあのキャラクター
   を、今、みんなが慣れてるし、それを求めてるから、これは容認
   せざるを得ないということ認めました。
   なんで目をこんなに大きく描くのかっていう問題を、ある時期、
   徹底的に考えたことがあるんです。いのまたさんだけではなく、
   全マンガ、このテの絵を描く人の全部の人の心理の最大公約数っ
   て一体なんなんだろうなっていうことが分かったんです。きっと
   それは正しい。

   社会がカプセル化し、エゴの増大まで含めて認めるようになって
   いったときに、現実生活の中で、みんな対人関係が下手になって
   いったんです。僕も下手ですけどね。しかしだからといって、人
   間っていうのは一人でいられないですよ。いつも自分を見ても
   らってる目が欲しいんです。つまり、目を大きくしたのは、いつ
   も他人に見てもらいたいからです。それは読者も描き手もそうで
   す。これだけ大きな目を欲しがっているなら、要するに「お前、
   外に出ていって、ヌードになって歩きなさい。本当はそれがした
   いんでしょう。しなさいよ」っていう感じです。もしそれができ
   ないなら、そこまで行けないところでの、人間関係、広い人間関
   係を獲得するように外に出ればいいじゃないって言ったときに、
   それはできない。だから目を使うんです。
   こういうものが流行っちゃうっていう社会っていうのは、かなり
   不幸なんです。これはマンガの問題ではありません。ですから、
   いのまたキャラクターは求められていると認識しています。
── そうすると『ブレン』の狙っていたテーマとベクトルがちょっと
   違う個性っていうことになりますよね。

富野 違います。そんなことはありません。今いった時代性も含めた人
   の問題をテーマにしたのですから、いのまたキャラクターは邪魔
   ではありませんでしたし、僕は好きですね、いのまたさんの力量
   は。だけど困ったことなんだけど、手法として使わざるを得ない
   のと、それから、今目の大きいキャラクター欲しがっている人を
   叱ってもしょうがないという現実に直面はしています。が、そこ
   から軌道修正していくには、社会構造と社会認識論が変わらなく
   ちゃしょうがないことなんです。これは一監督とか一絵描きとか
   一作品で怒鳴ったってしょうがないことです。でも、これは50
   年かけてでも元に戻したいとは思っています。
   ところで、今の目の大きさの話に関して、対極にあるいい例をご
   存知ですか? とってもいい例。

── 対極にある……?

富野 『源氏物語』の絵巻物ってあるでしょう。みんな切れ目で細いで
   しょう。小さいでしょう。あの頃の人たちは、絵で大きな目なん
   て要求しなかったという証拠です。人の関係が極度に濃密でなけ
   れば、あの顔が美人だなんて口が曲がっても言えないけれど、あ
   の絵巻の女性はみんな美人ということになっています。それは、
   なぜかと言えば、絵で求めてないんです。当時は、目を見るって
   いうのは現物の目を、こういうふうに向かい合って、この距離で
   見ていることに人々が慣れているんです。庶民も貴族も、身近な
   視線をいつも獲得できるだけの人間関係があったということで
   す。
   だから、現在の編集者で、目をでかく描けっていうことを要求す
   る人がいたとしたら、商売のことしか考えてない奴か、じつは寂
   しい人かのどっちかなんですよ。
── 今回、スタッフが守るべき演出五カ条があったと聞いたんです
   が。(演出チェックの5原則と書かれた文書で「死に体のポーズ
   は禁止」「アップ気味よりヒキ気味で」「カメラ位置はアオリが
   原則」「つまったレイアウトではなく、距離感を」「固定した
   ポーズから動かさない」という内容だった)

富野 あれは、別に特別なものではないんです。基本的な原理原則でし
   かありませんから、五カ条にもなりません。それが五カ条になっ
   てしまうっていうのは、基礎学力のない人が集まって、この15
   年間、ものが作られ続けた現実があります。それは若い人だけ
   じゃなく、僕自身も含めた僕の世代、僕の上もそうです。映画界
   が衰える中で、映画的なる技法を衰えさせるというようなことを
   してしまいました。
   映画っていうのは、見えるものだから、要するに自分の感性で勝
   手に作っていいじゃないかっていう歴史をやってきたんです。そ
   のため本来的な意味の映像作家が育たなかった。アニメという
   ジャンルではそれがもっと端的に現れてたので、ああいう映像表
   現から技法を身につけてもらおうと考えたのです。映像を作るの
   は感覚が第一だなんて、社会全体が認知しちゃってるっていうあ
   たりは、映像文化に対してひどい国だなと思います。
── 映画を構成する原理原則がないがしろになっていると

富野 アニメや映画を作ろうという、特に日本人に関して言ったとき、
   映像作品の機能というのを基本的に知らなさすぎるんです。だか
   ら、ドラマの流れという以前に、映像の流れのコンストラクショ
   ンというものを……なんていうか……感性で作れるものだという
   ふうに思いすぎているんです。ところが、コンテを切っていくと
   いう段階は、じつは楽譜を書いているという作業でしかないんで
   すよ。で、作画は、今度は楽譜を清書していくっていう作業でし
   かない。そして、最終的にそれが作品というふうに出るために
   は、ビデオなりフィルムなりにしたものを走らせない限り絶対
   に、絶対に分からないんです。それで、走らせたときに初めて、
   「エッ!、こういうふうに見せられるからこういうふうに見える
   んだ」っていうことがわかる、その見え方そのものがドラマを既
   に含んでいて、それでドラマの大半は描けるんです。でも、これ
   を映画作法で説明しようとしたとき、恐るべきことに、古今東
   西、ほとんどそう書いたマニュアルがないんです。
   コンテまでは完全に楽譜です。それも手書きの楽譜です。そのコ
   ンテが読めない限り、絶対にフィルムっていうのは分かんない。
   そして、コンテが読めるとだいたいフィルムの仕上がりが分か
   る。つまり、楽譜が読めなければ、紙屑以下でしょう。だけど、
   読める人はパッと読んでハイッと納得できる。たとえば菅野よう
   子は楽譜が分かるわけ。悔しいけど(笑)。
   それとね、コンテって形がマンガに似てるために、マンガみたい
   に読めないといけないとか、あるいはマンガみたいに描けば済む
   と思ってるっていう人がほとんどでしょう。だから、それが映像
   作品を作ることをものすごく間違わせているんです。
   そして一方では、今度はシナリオ重視に傾いて、シナリオで面白
   ければいいとなる。けれど、これも嘘です。日本では、かつて文
   芸映画と言われる作品もあって、むしろ文芸的な物語のラインの
   部分が良ければ、芸術的っていうふうな観念がありました。そこ
   では映像作品という概念はないんですよ。だけど、映像作品って
   いうのは厳然として固有の文化なわけで、つまり、コンテをどう
   いうふうに理解しているか……楽譜の例えで言うなら、楽譜を見
   て演奏するところまでのリーチを想像できる奴でないと、映像作
   品を監督してはいけない、とはっきり規定できる。
   こういうふうに口にした人は、とにかく世界で5人といないはず
   です。本当、恐ろしいんですよ。現実は。

── 監督は以前、ムックの中で、コンテの読み方について書かれてい
   ますが。

富野 いや、あんなもんじゃなくて、そろそろ、ちゃんとしたテキスト
   書かなきゃいけないなっていうところまで来ました。というのは
   ね、監督術を教えたいとか演出術を教えたいんじゃないんです。
   もっと重要なことでして、今言った通り、映像を知らなくていけ
   ないのは、映像作品に出資する側もそうなんです。シナリオで判
   定してるっていうことで全部止まってるわけです。その後の評価
   論がないために、じつは社会全体が映像、俗に言う映像作家とか
   監督とか演出家を育てる機能を全く持ってないっていうのが、わ
   れわれの社会なんです。
   じゃあ、ハリウッドの人が利口なのかっていえば、利口だなんて
   思っちゃいません。ハリウッドの出資者側が、コンテが読める奴
   はいません。だけど、ハリウッドというブランドと、たまたま百
   人スタッフが集まったときに、何人かちゃんとフィルムになるこ
   とを予見できる奴がいるから、なんとかカツカツにやってるだけ
   なんです。それは1カ所にあれだけいろんな種類の才能が集ま
   りゃ、それは当たる確率高いですよ。
   そうしたことを伝える暇がなかったのと、これは僕のような映画
   界に入れなくて、テレビアニメでお茶を濁してた人間にしてみれ
   ば、生活していくことが精一杯だっていう、本当のエクスキュー
   ズがあるわけです。若い奴らに仕事取られてたまるかっていうこ
   とで今日まで来ましたから。だからフィルム見れば原理原則は
   守ってるんだから、それを見てくれればいいのにと言いたかった
   んです。
   しかし、こうやって地上波でない電波、チャンネルが増えて、昔
   のフィルムを嫌でも見るようになったときに自分でもあきれるの
   は、俺も下手だった(笑)。だからそれは伝わるわけはないって
   いうのも分かりましたんで、教えるとか教えないとかじゃなく
   て、はっきり分かってることぐらいは言葉にして残しておかなく
   ちゃいけないって思うようになりました。やっぱり、年寄りの任
   務だろうなと。年寄りなりキャリアという部分での話をさせても
   らうのは、ここだけです。そのことと、ものを作ることは全然違
   うことですけど……。

── その映画についてですが、監督は映画はエンターテインメントで
   あるべきだと、以前からおっしゃっていますよね。そういう意味
   で『ブレンパワード』は、ここ15年間の監督作品の中でも、明
   確にその方向へ歩いている感じがしたのですが。

富野 本当にそう思える? だったらありがたいな。助かる。

── 2度目に見るとすごくよく分かるんです。分かりにくく見えるだ
   けですごくシンプルな話だし。つまり、泣いて笑って喧嘩して
   じゃないけれど……。

富野 全くそうです。
── そういうお話なんだっていうのが分った途端に、こちらもロボッ
   トものを見る側の習い性がボロボロはがれ落ちるような感じが
   あったんで。そういう意味で面白かったです。

富野 いや、本当にそう言って頂けたらありがたいですね。『ブレンパ
   ワード』をカルトって言われたことに関して、本当にカッともし
   たんだけれども。カッともしながら、そうだよね、これだけ分か
   りにくかったらカルトだよねって……(笑)。そう了解もする。
   了解もするから、それで本当にこの2年ぐらい「芸能」っていう
   ことを僕の中できちんと取り込むように努力してるつもりなんで
   す。だから、映像の芸能っていうのは有り得るはずなんだ。そう
   いうふうに思えるようになりました。
   今の若い人たちは本当にご存知ないんだろうけれど、松竹ヌー
   ヴェルヴァーグ(大島渚、篠田正浩、吉田善重らのデビューによ
   り60年代に生まれた日本映画の新しい波)、そんなのは映画
   じゃねえよっていうところに、僕としては言葉を戻していきたい
   んです。基本的にエンターテインメントであるための、つまり、
   構造なり、それからなによりも作り手の心の軽さみたいなものは
   持っていきたいなっていうことを『ブレン』ではかなり意識し
   た。

   それでも、一つ、そうは言ってもインテリの私小説的な部分を
   引っ張ってるっていうのはなんなんだろうかっていう疑問はあり
   ます。どうも今の20代後半から30代のような人たちでも、映画
   を作るということはどこかで、先に芸術っていう言葉が頭に浮か
   んでるんじゃないかっていう気がしてしょうがないんですよ。作
   るんだったら私のことを分かって欲しいとか、作るんだったら俺
   の作り手の気持ちを分かれよっていう部分がありすぎて、見ても
   らって楽しむ、楽しませるっていう一番原理原則を言葉としてと
   か認識として排除してるような気がしてしょうがないんです。
   それには一番適切な媒体として、小説とか評論とかっていうレベ
   ルがあるじゃないか。だから、映画とかテレビでやる、つまり、
   ビジュアルのものっていうのは、もっとエンターテインメントで
   いいと思っているんです。
   だけど、それは嘘ですよっていう言い方もあるわけです。ピカソ
   だって、ダダイズムだってそうですし、シュールレアリスムもそ
   うなんだけど、視覚的なものでも哲学的ななもの、心性をそのま
   ま表現できるものがあるじゃないか、と。確かに、絵画はそうな
   んです。しかし、映画は、鑑賞する側が決定的に現実の時間軸の
   中に乗っているところで見せるものですから、絵画のような心性
   描写、心情の吐露、それから心理面での、つまり、精神鑑定をす
   るときの素材には映像はそぐわないと思うのです。もっと機能的
   で、矛盾した言葉を使いますと……ものすごくデジタルなんです
   よ。デジタルなものを時間軸に乗っけてエンターテインメントや
   るとしたときに、さっき言った「芸能」をやるしかないのではな
   いかと思うようになったのです。こんな言い方したの初めてなん
   だけれども、こういう言葉を持たないで映画を作るとか映像いじ
   るのやめて欲しいのです。そうでなかったらコンピューターゲー
   ムの映像を作ってるだけで我慢してくれって言いたいですね。
── デジタルっていうのは、つまり、一定の刺激の与え方をすると、
   観客に一定の心理効果を起こせる、そういう関係ということです
   よね。

富野 はい、そういう関係性での「デジタル」でしかありません。『時
   計じかけのオレンジ』みたいに、多少シンボリックにその部分描
   いてる作品もあるわけですが、ああいう時間軸にのっとったとこ
   ろでの心理感っていうのは、つまり人間を楽しませようと思った
   ときに、そこはやっぱり芸能しかないんじゃないんでしょうか。
   だから、芸能の中にはエロチックな部分も含んでますから。映画
   志望者ってその芸能を一括りにしないで、分けたり芸能の部分を
   嫌ってるっていう気がしてしょうがないんです。それは僕自身も
   学生時代そうだったっていうのがあるからよく分かるんですよ。
   ただそれを30歳、40歳すぎても引っ張っててもらっちゃ困るん
   です。僕の同世代の人間、特に映画志望者、映画青年の中にそれ
   は多いですね。それはなんなんだろうと考えると、映画芸術とい
   う言葉を使ったための誤解がすごく大きいような気がしていま
   す。
── その辺、結構難しい問題があると思うんです。日本映画は明らか
   に、そういう芸能的なものがすっぽり抜け落ちたけど、いわゆる
   芸術的なレベルは高いと思うんです。その半面、芸能という部分
   が全然産業として成り立たなくなった。ところがアメリカ映画の
   芸能化というか、それこそ雛に餌を与えてるようなやり方も、い
   きすぎなんじゃないかと。

富野 アハハハハ、ひどい言い方。それ、カットしないで下さいね。あ
   のね、それは行き過ぎですよ。行き過ぎなんだけれども、最大公
   約数を取って、オープン・エンターテインメントの機能を使った
   ときに、「このくらいやっとかなかったら百万の客は取れない
   ぞ」っていう恐怖感がかなり支配してるんじゃないのかな。それ
   と、資本家ですね。資本家の論理が入ってると思う。投下した資
   本に対して、ペイは絶対よこせよという恫喝があって。昔の絶対
   階級差ある中での王侯貴族の芸術家に対する寛容なスポンサーで
   なくなっちゃってるっていうところが、キリキリしたものを作り
   続けさせてますね。資本家たちが芸能を汚染させてるという部分
   は感じます。
   これは、中間管理層には分かってもらえないと思う。トップの出
   資家は分かってるでしょうね。トップの人々がそんなにさもしい
   人間ばっかり揃ってると思えないんで。年収が十億単位で稼いで
   るような人たちが、それほどさもしいとは思えないんですよ。と
   いったときに、その間でシステムを稼動させたり、責任があると
   いったことが順々にかかって濾過されていくと、末端に責任だけ
   がドンッとくるっていうのがあるんでしょう。
   だからアクションがどうだの、裸のシーンがこうだの、ここはあ
   と1分増やせ、こうなら1分増やせというようなことを言う。そ
   れは芸能を作るということとは全然違う心を育ててるんですよ
   ね。
── すると、ハリウッド的な落とし穴に入らないところで、監督は芸
   能をやりたいと願ってる。

富野 やりたいと思うと同時に、やらなければ……病人が増えるだけで
   す。やはりきちんと芸能、つまりお祭りを年に三回なら三回ちゃ
   んと仕切るぜ、という生活をしている生活者と、なんだかなあ、
   だったらこちらでゲームやってるほうがいいやっていうメンタル
   は、僕はかなり違うと思います。その「なんだかなあ」ってゲー
   ムやってる心性に添う作品だけを提供していったらどうなりま
   す?
   だから、オープン・エンターテインメントという言い方の側面と
   いうのは、1人で楽しんでいるよりもみんなで楽しんだときのカ
   タルシスっていうのは、僕はかなり深いと思っています。で、カ
   タルシスが深いだけじゃなく、それで自分が一つのコミュニティ
   の成員だっていう安心感を得ることもできる。そうでなかったら
   人間がお祭りというシーンに集まらないはずなんですよね。もち
   ろん、個は尊重しなければならないけれど、それイコール芸能の
   拒否にまで繋がっていったり、あるいは逆に個室の人々に500万
   枚売れればいいんだっていうところに突き進んでいったとき、そ
   れはどちらも芸能論は一切なくなってしまいます。それで進んだ
   社会が健全になりうるかと考えれば、そうはなり得ないと思いま
   す。
   だから、ソフトビジネスだって本気で言ってるんだったら、ソフ
   トっていうのはそういうものにしばられない、なにかもう少し大
   きな、緩やかな中で遊ばされるものではないのではないのかと思
   います。
── その芸能というのを、もう少し詳しく説明していただけますか?

富野 芸能っていうのは、僕は基本的にストリップだと思ってます。つ
   まり、そのくらい、言っちゃえば健やかなもの。つまり、これは
   とても重要な要素があるんですよ。これは本当に若い人は考え違
   いしないで欲しいんだけれど、たとえばお毛々丸出しのオネエ
   チャンを見るにしても、あなたたちって病人の体を見る気します
   かっていうことなんです。つまり、ストリップの決定的に重要な
   ことは健康であるということです。これを抜きにして、セクシャ
   リティとか、裸を見せるということは考えて欲しくない。そうす
   ると、ストリップというのは、健康であるということに対して、
   「オオッ、いいじゃねえか」っていう気分が基本なわけです。芸
   能っていうのはどういうことかって、やっぱり……ああ、嫌な言
   い方だけど……健康の賛歌だね(笑)。
   「私、今、調子いいのよねえ。私が調子いいの見たら、みんなも
   気持ちいいでしょう」「うーん、いいねえ。オネエチャン。股開
   けーっ」そのときにコンコンコンって咳されたらさ、みんなで白
   けるよね。芸能の基本構造っていうのはここにあって、そこには
   人間のつながりが確認されるんです。
   子供がキレるキレないという話にしても、認識論では歯止めなん
   かかからない。そんなインテリのゲームにはついていけない。
   だったら、お祭りやれ。お祭りやるっていうことの重要なこと
   は、さっきの健康の賛歌っていうこともあるし、十代のセックス
   的な欲望なんかも全部吐き出せる。御神輿マニアの発言っていう
   のを聞いて、感動しましたもん。「布一枚でねって。女のケツに
   ね、チンチンこすりつけられる。こんないいときはない」って。
   そうかーっ。了解!(一同笑)。それで、殺しにもならなけりゃ
   売春もしてねえ。こんないいことはない。あの乳は良かったって
   いって、そういう部分で発散することは、犯罪の喚起にはならな
   いんですよ。
   それともう一つ、今度は実際に、特に季節の変動の激しい日本み
   たいな風土の衣食住を考えたとき、冬が越せたことでみんな喜べ
   ると思えるのは、これも病気の賛歌じゃないんですよね。基本的
   に健康を支えあえるっていうことに対して、確認しあってるのが
   芸能の本位なんです。
   食料が物量的にこれで冬越せる。OK、じゃあ、これでみんなで
   順々に分けて、それこそカプセルの中に入って暮らすようだった
   らどうなります? 暮らせないでしょう。秋の収穫が始まった。
   「おーし。みんな行けよ」というふうに、一応神様に御礼参り
   やって、それから酒くらって大騒ぎして、そのうちに「ちょっ
   と、春には子どもが生まれそうなのよね」って言ったとき、春に
   生まれるのは、めでたいっていう話になるじゃないですか。
── すると、父性が物語の軸になることが多かった富野監督の作品の
   中、『ブレンパワード』では女性や母親の役割が大きかった理由
   が分かってきました。

富野 僕は男の中には芸能は基本的にないと思います。男の中にある芸
   能的なものっていうのは、それが理念にまでいったときに初めて
   芸能として告知されるんじゃないでしょうか。能とか歌舞伎で
   す。あれは理念なんですよ。お祭りでやってるほど簡単な宗教的
   な心性に則った芸事ではなくて、観念論的なものを昇華していっ
   たとき、芸能や芸っていうのはこうであるべきだ、道を究めるっ
   ていうのはこうであるよ、というふうに突き詰めた理念のもので
   あって、あれは芸能ではないんです。男っていうのはそっちに
   行っちゃうんです。
   芸能っていう言葉とか意味性の持ってる柔らかさっていうのは、
   僕は母性的なものだというふうに思ってるんです。男っていうの
   は基本的に外に出て戦う動物なんです。つまり、メスと子ども
   を、子どもという自分の次のものを守るために外で戦って死んで
   いく存在ですから。
── 芸能というのは、エンターテインメントよりももっと原初的なも
   のなわけですね。

富野 芸能の構造っていうのはそうだと思います。われわれは今、エン
   ターテインメントという言葉を使ってとてもヤバイことをやって
   るのは、本当のエンターテインメントをやってないからです。と
   りあえず気持ちのいい、とりあえず気晴らしのものであって、見
   た後、読んだ後、聞いた後に、ウンッていうふうに気分が完全に
   ガラッと変わるっていう芸能を我々は知ってるのかなって疑問で
   すね。

── すると、芸能というのは身体性と切り離せないと思ったんですけ
   れど。ただ、実写映画なら役者の体がどうしても写ってしまうけ
   れど、セルアニメはそこをどうするかが、難しいのではないです
   か。

富野 あのね、だから本当にやっかいだなと思ったのは、そのことなん
   です。僕は結局アニメというものは表現媒体としては使えないか
   ら、コンセプトを伝えるだけのものにしたっていうふうに落とし
   たんです。これはさっき言った意味で男の仕事ですよ。これは本
   当はそうじゃなくて芸能のこういうところに肉薄できたらいいん
   だけど、でもセルアニメでねっていうのはこれはこれでありま
   す。僕は基本的に、セルアニメとかコンピュータでは無理だと
   思ってますから、全部理念的にやるしかないと覚悟してます。理
   念でやろうと思えばこそ、その理念が鬱屈した心情から出発した
   ものでは絶対にダメだと気をつけるようにはなりました。
── 『ブレンパワード』では、コックピットから落ちそうっていう描
   写がすごく多くありました。そういうシーンを設定することで、
   つまりセルでも、登場人物の肉体を感じさせようとしたのかと思
   いましたが?

富野 そうです。基本はそうです。だからそれをロジック的な所作のあ
   りようで、描けないのかというふうに思っているわけです。もっ
   と言っちゃうと、今回使っているフリュイドスーツなんかでもそ
   うなんだけど、あの永野君の馬鹿なデザインをいのまた君がOK
   してくれるかな、と思ったら、まんまでOKしてくれました。
   だったら、これは使っちゃおうと思ったのはセルで表現するとき
   に身体性っていうのは、あんなものでしか表現できないのかも知
   れないと思ったからです。素っ裸を出すよりです。
── でも、オープニングからして裸でした。

富野 だけど、それは今言った、まさに理念的なブレインワークでやっ
   てるだけのこと。基本は僕はフリュイドスーツのああいうボテッ
   としてるラインのほうが体を表現するにはいいんじゃないのかと
   思ってるのがあります。
   いろんなものを体に付けるというのは、体の誇示なんですよ。完
   全に。隠すんじゃないんです。だから僕は、スカートっていうデ
   ザインを発明した女っていうのはすごいなと、改めて思っていま
   す。あれは股を隠すためにスカートが発明されたんじゃなくて、
   足が割れていてお股があるんだよっていうことを想像させるため
   にあの形にしたんだって思っています。どこの民族を聞いても、
   スカート的な腰に巻くっていうことをやっている。着物にしても
   そうですね。
   だから、今のファッションっていうのは外面の問題言ってますよ
   ね。でも、ファッションを外面の問題として捉えたときにファッ
   ションのコーディネートというのは失敗するんだと感じていま
   す。
── エンディングについてもうかがいたいんですが、荒木惟経さんの
   写真を使われたのが新鮮な驚きがありました。

富野 荒木さんはご存じの通りのカメラマンですが、写真を撮るってい
   う技能を先天的に持ってらっしゃると思ってるんです。そういう
   作品を、実を言えば一度側に置いてみたかった。それだけのこと
   です(笑)。
   僕も20歳の頃にカメラマンになりたいと、思ったこともあった
   し、かなり意識してカメラやってみたことあるんですよ。で、僕
   にはできないということがわかったんです。シャッターを切るの
   がいつも5秒遅いんです。それで、写真になるフレームが採れな
   いんです。
   一度新宿で、荒木さんがカメラを持って歩いてるの見たことがあ
   るんです。その時にも荒木さんの写真の撮り方、タイミングを見
   て、俺にはできないなと思ったんです。 荒木さんが、パッと見
   て写真にしちゃうっていうことは、つまり、見たときに絵にな
   るっていうことを見通せるっていう、あの感度はなんなんだろ
   うって思います。
   エンディングに使わせていただいた花の写真は、逆の意味で
   ショックだったんです。パッと見て撮るというのではなく、ここ
   までフィックスしていった場合に、今度は光に関しての感度が素
   晴らしかった。一度会いたかったというのが、ホントの話で、お
   願いにあがったんです。
                     (インタビュー終わり)
83通常の名無しさんの3倍:03/04/17 06:18 ID:???
乙です。なかなか興味深い。

>シャッターを切るのがいつも5秒遅いんです。
>それで、写真になるフレームが採れないんです。
5秒も遅いってそれはちょっとまずいんじゃないかと、、、。
84通常の名無しさんの3倍:03/04/17 07:40 ID:???
>>83
確認したけど打ち間違いじゃなかった
確かに遅すぎ・・・0.5秒の誤植かなあ?
85通常の名無しさんの3倍:03/04/17 07:55 ID:???
スパイラル乙!
86通常の名無しさんの3倍:03/04/17 08:43 ID:???
>>71-82
乙。

>>83-84
物の例えだろ・・・、きっちり5秒遅れるわけじゃ無いだろうに。
ちょっと考えちゃうもんだから、少し遅れる、タイミングを逃す。

逆にファインダー除いた瞬間、写真撮れるアラーキーは凄いってことでしょ。
そのくらい出来てこそ、真のカメラマンだと言いたいんではないかな。
(本当かどうかは知らんが・・・)
87通常の名無しさんの3倍:03/04/17 09:51 ID:???


そして>52マリガト。
88通常の名無しさんの3倍:03/04/17 11:52 ID:???
うp感謝。御大はコンテの大事さをこれでもかこれでもかと繰り返し言ってるけど、
この手書き楽譜のたとえ話は分かりやすかった。
89通常の名無しさんの3倍:03/04/17 13:32 ID:???
うお、本当に11巻があった。
買った。読み始めた。18ページで休憩はいった。
90GUNDAM OFFICIALS:03/04/18 01:58 ID:???
考証学《黒歴史論》
                   黒歴史論提唱者 ヨック・ワック・オニモット
                   正暦2001年 秋分の風吹く頃


還暦を過ぎようとしてしている頃といえば、現在の風潮に迎合するもあたわず、
また流行を喚起することもならず、かの黒歴史なるものの実証を成さんと欲しながらも
死にゆくものかと憂いていたのでありますが、実証考証学なる手法に信じるべき自らを
鼓舞され、最後の発掘調査を敢行したものでした。

アメリア大陸にあるいくつかのマウンテン・サイクルの一角(詳細は伏す)
に潜入したのは、その直後であり、研究者の間で“ライブラリィ”と称されている
A窟からF窟までのAのさらにその下、技術的に申せばaのダッシュ窟の発掘に
挑戦したのです。

常識的には無謀な行為であったのですが、
すでに生涯に必要な資産もいらない身でありましたから、
残った財産すべてをその発掘にあてたものです。

そして、その二年後に、文書(もんじょ)として完璧な体裁を成しているものを
入手したのでありますが、二千年以上の歳月を経たものでありますから、
その修復と解読に五年あまり歳月を要し、
それを現代語にして書籍の形に整えるのにさらに二年を必要としました。

しかも、黒歴史をテーマにした活字出版は、
現今にあってもいまだ自らの社会的評価をおとしめるものであるのは、
読者諸兄姉がじゅうぶんにご承知のところであります。
出版するための協力者を得るのに、また老躯に鞭打たなければなりませんでした。

そして、ここにようやく本書が満天下の白日のもとに刊行される運びになったのです。

91GUNDAM OFFICIALS:03/04/18 01:59 ID:???
この文献は、一冊の事典ともいうべき体裁をもったものでありまして、
その著者は、時のエリートの参集する象牙の塔、地球連邦総合大学リーア分校の助教授、
ミナカ・ユンカースであります。まず、この一点からしても、驚愕の一事であります。
三千年前、と断ずるほうが正しいのですが、
当時の総合大学助教授という役職にある研究者が、
若くして、地球連邦政府軍とジオン公国軍という
敵対する両陣営の軍事体系ともいうべきものを事典にして発刊していたのです。
公職につく者は、領主の許可を得なければ一般的な書籍は書いてはならない現在と
なんという違いでありましょうか。

しかも、この著作にあっては、軍事のみならず、
その組織全般にまで言及いたしているということで、
その視野の広さに目を洗われる思いがいたしました。
そのことから、我々が黒歴史の真実、黒歴史で語られていた断片が、
まちがいなく実存した古代史であるという実感を得られ、
本書は、黒歴史が語る“初史”の解説をしていると理解できるのであります。

細目の信憑性については、一事についての関連項目を前後左右に読み解いていけば、
そこに矛盾が存在しないことで証明されます。

当時であっても、ミナカ・ユンカースという編者の詳細なる確認作業が、
いかに精緻であったか想像でき、その時の事実事項を一冊の文書にまとめたにしても、
二年有余の時間がさかれ、その直接労働を充当するための膨大な資料収集に、
ミナカ・ユンカースが要した時間は最低でも十余年であったのです。
現在以上に科学技術が発達していた当時であっても、
実直な学究的労働成果があってのこと、と感嘆するのであります。

92GUNDAM OFFICIALS:03/04/18 02:00 ID:???
本書は、黒歴史が“歴史的事実”であったと実証し得るだけの物量をもっておりますので、
黒歴史がオカルトであったという常識を覆すのですが、惜しむらくは、
本事典はやや軍事一般に偏りすぎているという欠点があります。

歴史学では、資料文書に語られていることだけが事実で、
その集大成したものだけが歴史と言われてきました。
しかし、歴史とは、民俗学も民族学もふくんだものでありますから、
書籍あるいは電気的記録(レコード盤の記録のようなもの)のみをもって実証し得る
と考えるのは間違いなのです。

歴史も人の体感の累積であり、体温の総和であるのですから、
記録に残らない常識を収集し、それをベースにして歴史を構築する必要がある
と考えております。これが学問をする者たちに欠落している視点で、
学問であり過ぎるために、政治的に利用されることが多い
という事実を研究者は率直に認めるべきなのです。

くりかえしますが、その時代の人々にとってあまりに常識的な事物や習慣というものは、
歴史学に記録されることがありません。
現在の我々の知識でいえば、ラジオのある家庭では、
夜の一刻を家族があつまって番組を聴き、
それが団欒の一部になっているのは当然のことなのですが、
このような事実が歴史の資料に記述されることはないのです。

事件しか記録しない資料を基にする歴史学では、政治、経済、大事件、
という順序に表層的事実が羅列されますので、人々の暮らしはわかりません。

民俗学は、その時代のふつうの人々がどのように暮らしたかということから、
生き生きとした生活史を再構築することを試み、
そのうえに、歴史的事実が発生していったと考えます。
その研究を補完するものが発掘考古学者なのであります。
93GUNDAM OFFICIALS:03/04/18 02:01 ID:???
地下に埋蔵されているものから、生活臭を想像できる資料が発見でき、
そこから生きた歴史学を構築する要素が入手できると考えているのですが、
この分野は、いまだ歴史学の本流からは排斥されています。

この思想があるからこそ、小生はマウンテン・サイクルの発掘に
生涯を傾けたのであります。その成果が、本書の発見でした。

この小生の視点からミナカ・ユンカースの視点の問題点を指摘いたしますれば、
先に記した民俗学的な土着の記述が欠落しているということでありますが、
若き学究の力をもってすれば、民俗学的調査は不可能なことではなかったであろうに、
なぜそれができていないのか、という疑問にこそ、古代宇宙時代、
地球を自滅させた原因があるのではないかと推察するのです。

科学一辺倒の思想が宇宙戦争を拡大した、とか、
一般の日常が科学技術のなかに生気を失っていったことが原因で、
人類の日常が地球を人が暮らせないような環境に変貌させていったのではないか
と推測するのです。

黒歴史では、過去に地球規模の大戦争があった時代があり、
しかもそれは地球だけではなく、宇宙まで戦場にしたと語られます。
あの月にも巨大な軍事基地があり、
巨大な機械人形が敵味方にわかれて戦っていたと語り継ぎます。

黒歴史の“本史”の項目にはそのように書かれて、
不詳オニモットが、その一部の解読をしたのは、まだ若輩という頃でありました。
その時に、古代イングリッシュウを解読し得ていたために、
今回のミナカ・ユンカースの文書を容易に読み進められ、
この事典は黒歴史の“本史”のなかの“前史”の部分に該当するとの
確信をもつに至ったのです。
94GUNDAM OFFICIALS:03/04/18 02:01 ID:???
むろん、今後、“中史”“後史”を解読していき、
その突き合わせ作業と改訂しなければならない事項があるのですが、
その研究は小生以降の世代の課題になりましょう。


では、なぜ我々は宇宙まで舞台にした大戦争という大、大事件があったにもかかわらず、
それを黒歴史としてしまって、歴史学の本道で語らなかったのでしょうか?

政治的に不都合な事件は、その時の政体によって記されるのが歴史です。
しかし、それ以前に、人間という動物は、本能的に己に不利なことを記さず、
また、精神的傷になっていることを忘れるという性癖があります。
自己に不利になるようなことは、よほど個人的な日記にも記すことはないでしょうし、
記したにしても、自己正当化をしようとする心理が働くもので、
懺悔でもしないかぎり己の罪を語ることなどはまずしないものです。

我々の知る歴史“正史”のレベルでは、
黒歴史に記されているような人類の痛みの事件については、
人々は事実ではなかったと思いたかったのです。
それほど、古代の人類史には、人々が記すことをはばかられるような
大、大、大事件があったのです。

それで、古代の人々は、我々が想像する以上にひどい手傷を負い、
その記憶をもった後代の人々は、その古代史を忘れる努力をし、
その後、我々の祖先たちが、それら古代史を黒歴史と呼ぶようになったのです。

これが小生の仮説なのです。

そのように考えますと黒歴史という存在が明確に理解でき、
また、それゆえに“正史”というものの機能も見えてくるものであります。

95GUNDAM OFFICIALS:03/04/18 02:02 ID:???
正史を記すようになった我々の祖先たちは、
後世の人々に絶望をさせない歴史を記すと決断したのです。
それで、我々の歴史は進歩し、人類の未来は明るいと書くようになったのです。

そして、我々は暦を数えるにあたって“正暦”という言葉を使うようになったのです。

そのように考えれば、アメリア大陸の古代史もガリアの混沌とした歴史も
極めて納得できるものと理解できるようになりましょう。

現在の我々の正史が、ウソをついているのです。

しかし、それは善意に満ちた衝動がさせたもので、
我々がまちがいのない歴史を重ねるために意図されたものであったのですから、
恒久平和、無限エネルギーである電気の歴史を構築したと記されているのです。
二千年前から電気をつかっている我々人類史は、平穏で豊かであったという歴史観です。

しかし、黒歴史が事実であれば、この事典で知られるような極度に高度化した組織、
複雑な思考、圧倒的な科学技術(電気が機械人形を動かしているらしいのですぞ!)
をもった高度に知恵のある人類が、地球と月までの宇宙を舞台に活躍していたらしい
と想像できるのです。

96GUNDAM OFFICIALS:03/04/18 02:03 ID:???
しかし、その高度な技術や組織が地球というものを破壊して、
人類が暮らすことができない状態にした。そのように想像すれば、
そのようなことをしてしまった人類は、
そのような忌まわしい過去を忘れたがっていると考えるほうが当然でありましょう。

だからです。正史に古代に宇宙戦争があったと書くことをやめて、
神話の歴史を描くことを決意したのです。

本事典は、オカルトであったかもしれない黒歴史が、
事実であったと証明するものになりました。
同時に、小生にとっては、発掘考古学も有効であるという証明をしてくれたのです。

今後は、読者のなかから、実証民俗学の視点、発掘考古学者の視点から
“黒歴史の事実”を解明する方に出てきていただきたいのです。
我々は、古代にあった歴史からのトラウマを脱しているという認識を育てている
と理解していますから、事実を知らされても、もう絶望しない、と断言できるのです。
 
                Yokk Wakk Onimott, Lecturer in Black History
97ごはんギリシャ:03/04/18 04:22 ID:???
90さんおつかれ
98通常の名無しさんの3倍:03/04/18 08:55 ID:???
正暦の世界では黒歴史はムー系に分類される伝承だったのか。
99通常の名無しさんの3倍:03/04/18 12:05 ID:???
>>98
超古代文明アトランティスのナントカはナントカだった!
ってアオリが実は史実だった、みたいな事か。
100通常の名無しさんの3倍:03/04/18 12:40 ID:???
ライディーンから受け継がれてるサンライズの伝統ですな。
101MEAD GUNDAM:03/04/19 01:24 ID:???
「ENCOUNTER MEAD at ∀」
                             総監督 富野由悠季

『PLAYBOY』誌2000年1月号の「ミレニアム特集号」未来志向イメージの記事の一端
に、シド・ミード氏の未来居住スペースの提案として、宇宙船内のキャビンのイラストが
掲載された。スフィスティケーテッド・ポットというコンセプトの安らぎの空間の記事
は、その宇宙船の外観のイラストもキャビン内の数点のイラストも若々しく、「ランド
ヨット」(これも30年ほど前の『PLAYBOY』誌に掲載されていた)1枚のイラストで
ファンになってしまった小生には、うれしい成果として映った。

67歳であるアーティストは、一時期、あきらかにパワーがなくなって終焉かと思わせた
ときもあったので、今回の∀(ターンエー)の仕事を発注するに当たっては、アニメ・ロ
ボット物の仕事をさせて潰してしまうようなことになったら困ると危惧し、これが最後の
仕事になってしまうようだったら困るとも思っていた。そんな思いが昨年末まで続いてい
たので、スケジュール的に∀の仕事が一段落したあとの仕事になる『PLAYBOY』誌のイ
ラストが、∀の仕事をしたことでミード氏がまた元気になったかもしれないと思える(自
画自賛!)成果を見せてくれたのだから、それは嬉しかった。

ミード氏と僕の出会いは、∀が初めてではない。『Ζガンダム』の時代に、ポスターを1
枚描いていただいたという縁があって、それなりに人物像を承知していた。また、僕も
『Vガンダム』以後、体調不全の時期もあったので、氏が死に体になっている時期の、仕
事に苦戦している人の悲哀というものも実感できたので、『PLAYBOY』誌のイラストは
ことのほか嬉しかった。
102MEAD GUNDAM:03/04/19 01:25 ID:???
●スタジオワーク

だから、今回の仕事をお願いするに当たって、氏のマネージャーの市川実英子女史には、
気をつけてフォローをしてくれというお願いはした。年齢的な問題は本人も分かっている
ことだから余計なことは言うな、と叱られもしたし、こちらも簡単にオーケーなど出さな
いぞ、ということも通告したりして、∀の仕事始めの頃は、マネージャー女史との間はか
なり険悪になった。マネージャー女史を泣かせたこともある。

この経緯をミード氏が知っていたかどうかは知らないが、全体のプロジェクトの注文が簡
単ではないという情報は、サンライズのメカニック・オーダーマンの堀口滋君、SF考証
の森田繁君から頻繁に入れてもらった。それについては、堀口、森田両氏はよくやってく
れて、大河原ガンダムの歴史から、SF設定的に膨大な条件をミード氏に叩き付けるよう
にしてくれた。作業がすすんでいっても、造形そのものについては、バンダイのホビー事
業部の川口克己氏より具体的な是非論を提出してもらい、重田敦司君のアニメライズする
ための修正をどのようにしていくかということを見せたりもした。デザイナーにすれば、
アニメにもならず、具体的な立体にならない段階で、アニメーターの修正ラインが入った
イラストを見せられたりすれば、面白いはずはない。国内でこれをやれば、腹を立てて仕
事を止めるデザイナーもいるのだが、ミード氏はよく付き合ってくださった。

僕がやったことといえば、物語のテーマと歴史観の説明だけで、ときには、メカニック設
定についての考え方を口にしたがそれは概略だけで、物語の流れとキャラクターとメカと
の関係などは、文芸制作をやってくれている河口佳高君、高橋哲子君から喋ってもらっ
た。

このようなシフトをミード氏に示すことによって、一機のモビルスーツのデザインであっ
ても、スタジオワークがあってのことで、ハリウッド映画の製作現場と同じようなもの
か、むしろそれ以上の条件と環境を考えているということを見せたのである。つまり、個
人の仕事ではなく、歴史のあるプロジェクトだという説明である。だから、大河原邦男氏
とも会ってもらい、ミード氏なりに大河原デザインを了解すること、また、大河原デザイ
ンの問題点がどういったところにあるかも感じてもらった。
103MEAD GUNDAM:03/04/19 01:25 ID:???
このような面接、ディスカッションを行ったのは、なにも仕事のレベルを舐めないでくれ
というではない。ミード氏がプロであることを信じていたので、スタジオワークの環境を
見せることはさして重要だとは思っていなかったのだ。が、あくまでも、このような環境
を示すことで“年寄り仕事”が見えたら断る、とプレッシャーをかけたのである。

さすがに、この意図を了解してくれたミード氏は、謙虚に我々のミーティングに時間を割
き、そのつど、啓発され触発されたアイデアをラフの段階で、我々の目の前に示してくれ
たりもした。

このやり取りがとても大切だった、と思い出すことができる。

これをしてくれたデザイナーを僕は今日まで一人も知らない。

現在の我々トウキョウ・サイドのスタッフは、若いくせにもっと偉ぶっているのか、臆病
なのか知らないが、要求に対してどう応えるか、という仕事ができなくなっている側面が
ある。勝手に好きなものを描いて、それが独自性だと信じている気配がある。必ずしもス
タッフワークを理解しているとは思えないというのが大半なのである。

太平洋を間におきながら、これほどスタジオに入り込んで仕事をしてくれたプロは、ミー
ド氏が初めてであった。

基礎学力があればこそ理解できる事、基礎学力があれば謙虚に若者に対応してくれる、そ
ういった度量をみせられて、我々は偉ぶらない凄さというものを教えられたのが、今回の
仕事の最大の収穫であった。
104MEAD GUNDAM:03/04/19 01:26 ID:???
●カルチャーワーク

デザインワークについては、プロセスと完成作品を見れば分かることであるし、それは本
文に譲るので詳細に書くことはしない。仕事のプロセスを見れば、急所などは分かる奴に
は分かるのだし、感じられない奴には感じられない、というだけのことであるのだから、
心ある方は自ら鍛えていただきたい。

とはいえ、書くべきことはある。

現実に文化の違う人と仕事をしてみて、圧倒的な違いというものを感じることができたこ
とはエキサイティングだった、という一点である。

観念的にとらえている問題というものは、それは所詮、独自(勝手、狭い)の観念である
と思い知らされたのである。

おおむねの「独自性」という意味が、その人を育てた社会の文化が持っているひとつの理
屈とか価値観でしかなく、それは、絶対に真理ではない、ということである。しかしなが
ら、我々は、自分が信じている価値観が狭いものであったにしても、それにしがみついて
生きていくしかないのである。我々の人生は、たいていひとつのものにこだわるしかない
人生を送っている。

が、人生はそうであっても、創造という行為行動は、新しいものを生むことであるのだか
ら、ひとつの価値観や狭い趣味に縛られているような者に、新しいものを生み出すことは
できない。我々がふつうに知っている事例からしても、創造者とか天才は、旧来のものに
縛られなかった人たちではなかったろうか?

創造者としての才能がなければ、異質なものを取り込むことによって、次の創造を生み出
していくという手法がある。ふつうの人に出来ることは、これである。
105MEAD GUNDAM:03/04/19 01:27 ID:???
例えば、昨年亡くなられた日本画家の東山魁夷は、第2次世界大戦前に2年間、ドイツ留
学をして西欧美術史を専攻したためんい、その素養が氏に新しい日本画を開拓させたとい
う事例がある。あの昔の日本軍の「零戦」でも「戦艦大和」でもいいのだが、あれらも、
西欧技術を採取した日本人が、その技術を国内にもちかえってきて消化したうえで、製
造・建造されたものであるということで、すべてが独自な発想から生まれ出たものではな
い。

この簡単な考え方がいつの間にか失われてしまっているのが、ガンダム・ワールドに棲息
する人々である。『ガンダム』のデザインを今日までろくなアレンジも加えることができ
ず、20年という歳月を経過させてしまった人々。それらの人々は、異質なものを取り込
むことを拒否したのであるから、アレンジ以上のものは生み出せなかったのである。

想像力が発動せず、枯渇させていた、と言ってもよい。

それは、僕が車のデザインは『ホンダのSハチ』と『トヨタの2000GT』『モーガンの2
シートのオープンカー』しか認めないというのと同じ心である。が、現実はあのダサイ
『クラウン』に乗っている。我慢できないが、これしかできないという現実。性能は、比
べようもなく良くなっているだろうしさ。

106MEAD GUNDAM:03/04/19 01:27 ID:???
人は、独自性のなかに固有のものを発見して、そのなかで生きようとする。それは当然の
ことなのだが、それらの独自性なるものがすべて独創であると誤解してしまうのは、孤高
でありたいという欲求があり過ぎるからだし、じつは、それは保守でしかない。

新しいフォルクスワーゲンのヴィートルだっていいし、MRSは格好いい。

よほどの天才でない限り、独創性はありえないのだ。

だから、凡俗には、異種格闘技が必要なのである。

それを現在のトウキョウのカタログ世界、スペック社会の風土に席巻されている我々は、
この当たり前の真理を忘れ過ぎていると思えた。その反省を強いられたのが、我々のミー
ド体験だったのだ。

それは、ミード氏にしても同じで、何度も「トウキョウのバカどもが!」と、一人仕事場
で罵ったことだろう。留守電に出ないというのは、その証拠である。


すでに何度か活字にされたことなので、ご承知のことであろうが、最初の∀のデザイン
は、「こちらが零戦を頼んだのにグラマンが上がってきた」という結果になった。

つまり、現在のスモーの原型が∀と指定されてきたのである。だから、前項に記したよう
なディスカッションが頻繁に行われ、ミード氏への教育も必要ではあった。

とはいえ、スモーのデザインには文化の違いが生み出す力というものも感じたので、ス
モーをかつての太平洋戦争の時代のグラマンのように、敵機として採用することを認めた
のである。だからといって、ミード氏のラフのまま採用するのではなく、スペック、使い
方については、物語の構造から変更、追加の作業をやっていただいた。
107MEAD GUNDAM:03/04/19 01:28 ID:???
そのために、堀口君がロスに飛ぶということも一度ならずあった。FAXのやり取りですべ
てが完了するということは絶対にない。人間が行動してはじめて伝わることというのは山
ほどある。

そのことは、ターンXという固有名詞がフィックスされる過程にあらわれている。

∀の物語上の意味性がミード氏に理解され、かつ、数話のビデオを見るに及んで、ミード
氏の方から、冗談のようにターンXという単語が出てきた。それを冗談として受けとって
いた我々トウキョウ・サイドが、物語を書いていく作業のなかでその単語が再浮上してき
て、採用してもいいのではないかと思い始めていった。このことなどは、一緒に「お好み
焼きを食い」、「サケ」を飲みという時間があってのことで、書類のやりとりだけで発生
する性質のものではない。

ターンXという呼称が採用されるという話がロスに飛べば、とりあえず「みつばちハッ
チ」頭のターンXが、ミード氏の手のなかで重量感のあるデザインになって戻ってくる。

その結果が、この本に示されているデザインである。
108MEAD GUNDAM:03/04/19 01:29 ID:???
●デザインワーク

ミード氏といえ、すべてが万全ではないし、癖がある。その癖の部分が∀とスモーとい
う、本来まったく違う文化のものとして建造されたモビルスーツのデザインが、類似性と
いう問題になって現れている。

これは、∀の物語上、世界観の上では、決定的な欠点である。これは、僕と文芸設定のス
タッフがチェックしそこなったミスである。

スモーのデザインの決定は、初期作業のながれのなかで行なわれたために、対ミードとい
う問題だけに囚われていた我々が、デザインの癖を見落としてしまった結果なのである。
∀の輪郭ができあがれば、ともかく制作は始められるという安心感に囚われてしまった
我々のミスなのである。

それに似たことでいえば、モビルリブについては、現場的なプレッシャーがあって、ミー
ド氏の提案どおりにすると作画する時間がなくなるという理由から、タイヤでもキャタピ
ラでもつけて使ってしまえ、と許可を出してしまった僕の甘さが原因になっている。だか
ら、デザインとして完成したものにならず、物語上での使い方も曖昧なままに終わってし
まった。

そのような事例については、ミード氏にまことに申し訳ないと思っている。


しかしながら、『カースタイリング』という国内で唯一の車のデザインの専門誌が、∀の
特集を組んでくれたという意味はどういうことであったのか、とか、このような作業を通
して我々がが知った意味性がどういうところにあったのかは、本書を通して読者に理解し
ていただきたいと念ずる。

109MEAD GUNDAM:03/04/19 01:30 ID:???
それは、本文を詳細に読み込んでいけばおのずと理解できることであろうが、基本は、デ
ザインというのはなにかという設問に尽きるだろう。

それは……と、僕にデザインの何たるかを語る資格はないのだが、ひとつだけ書いてしま
えば、人が使うための道具としての機能は、形に現れるということにすぎない。

機能を示すことができた形は美しい、という哲理である。航空機のデザインにこの哲理に
反するようになったステルス機は不幸だし、怒りに燃えるのだが、それでも、形がシンプ
ル・イズ・ベストであることに変わりがない。

想像上のメカニックなのだからどうやってもいいといいながらも、ミード氏の手は、形を
構成するラインの根本をシンプルにつなげていくという手業を示している。

それは、進化した形がバロック的になってしまう、という原理に棹さすものである。

現在の我々のCG環境を体感すれば、まさに装飾過多のなかに我々人間が埋没してしまっ
て窒息状況にある。それは、本当に気持ちがいいものなのか? この状況の是非を考えれ
ばいいことであろう。

創作は、独自のものではあるのだが、そこに至るための基礎学力は絶対に必要で、それを
培うには異種も取り込む(広い視野をもつ)といった素養がなければならない、と繰り返
して、我々のミード体験を締めくくらせてもらう。

同時に、ミード∀の出現によって、大河原ガンダムは、ビジネス・シーンにおいてもデザ
イン史の上においても、かつての「零戦」と同じような位置付けになって、永遠不滅の機
体として残るだろう。

今後の諸君の健闘を祈る。

Yoshiyuki Tomino
110子孫製造業:03/04/19 02:54 ID:???
>>101-109
モツカレー!!(・∀・)

>『ホンダのSハチ』と『トヨタの2000GT』
何処かでヨタハチと読んだ覚えがあるが、
やはり編者の混同による間違いだったか。安心した。
111通常の名無しさんの3倍:03/04/19 23:00 ID:???
乙カレー
坊な私にはためになるなー
《イデオン》の海       
                               富野 喜幸

 門外漢に音楽を語る資格はないけれど、なに、お楽しみのために
あるのが音楽、と割り切ればなに言っても構わないだろう。
 そんな軽薄さからでもいい、本楽曲を手にして下さった方を僕は
うらやましく思う。
 アニメ好きからアニメ音楽、それ以外の流行の各種楽曲(ミュージ
ックといういい方のほうがなじむのだろうが……)を聞き知った方が、
一つアニメの因縁で交響曲の型を知ってくれることは良いことだからだ。
 はじめはBGMの羅列にしか聞こえぬかも知れない。それは、なまじ
の旋律を知っている不幸といえる。しかし、各楽章の細かい組み立て
と流れを産むテクニックを知っていった時そこに作曲者の顔と技が姿
をあらわす。
 その作曲者の創意とそれを演ずる指揮者とオーケストラの呼吸が
聞こえてくるためには、二、三度は聴きこんでほしいと思う。
 僕は未だにすぎやま先生の作品歴も、音楽家としての立場も知らない。
けれど、現代という時代の中で成すべきことと、その表現の仕方をご
存知の数少ない作曲家であろうと想像できる。
音楽はこういうものである、という個人の狭量な感性を排除して、
音楽を創意することのできる方であるから、そういうのだ。
 だが、それを聞く側が洞察するためには、多少の訓練が必要になって
くるのも止むを得まい。鑑賞力は感性だけに頼ると、多少心もとなくなっ
てくるからだ。
 そして、なまじ映像とか論理とかを排除した音楽という表現の世界が
示してくれたイデオン世界は、透徹である。聞き知って、ようやく感性と
しての世界がみえてくるのである。
 イデオンという海が、きこえる。
 これはすでに独自の世界である。後に残されたのは、この交響曲イデ
オンをマイル・ストーンとして僕が何を示すか、である。
 交響曲という仕立てはハードである。そして、それ故に一つ海を形成
し得る力があるということを知っていただけたら幸いである。
 飾りでない、と……。
114山崎渉:03/04/19 23:59 ID:???
   ∧_∧
  (  ^^ )< ぬるぽ(^^)
115山崎渉:03/04/20 01:18 ID:???
   ∧_∧
  (  ^^ )< ぬるぽ(^^)
116山崎渉:03/04/20 02:38 ID:???
   ∧_∧
  (  ^^ )< ぬるぽ(^^)
117山崎渉:03/04/20 07:40 ID:???
(^^)
118112:03/04/20 09:51 ID:???
続いて交響詩ガンダムのライナーです。富野×安彦はこれしかないのかな。
119交響詩ガンダム:03/04/20 09:52 ID:???
対談 
原作・総監督 富野喜幸
作画監督 安彦良和

藤田
本日は「交響詩ガンダム」のジャケットのために、わざわざ
お集まりいただきましてありがとうございます。ガンダムに
ついては言いつくされ、書きつくされた感がありますが、富
野さんと安彦さんが対談されるのは、初めてだそうで、珍し
いお話が聞けるのではないかと、期待しております。特に
安彦さんは御病気のあと実作業から離れていらっしゃった
訳で、そのへんのところからお話を始めていただければと
思いますが……

富野
入院してから後も、「ガンダム」の最後の方は、何本か見
たわけでしょう。当事者としてではなく、外から見ると、問
題点が非常によく見えるから、まずその辺を聞かせてくれ
ませんか。要するに、安彦さんの立場に立った時に、どう
いう所が一番違うなって思いました?
120交響詩ガンダム:03/04/20 09:52 ID:???
安彦
やはりヒフ感覚ですね。普通TVアニメは、外見だけとりつく
ろって行けば、それで通ってしまうんです。しかし、「ガンダ
ム」の場合は、各キャラクターからにじみ出てくるヒフ感覚が、
非常に重要な位置をしめていたわけです。ところが、それが
そうでなくなってくると、見てて大変つらいんですよ。
 たとえばララァというキャラクターは、描き始める時に、ニ
ュータイプというアプローチが普通のキャラと違っていた事
もあって、僕はあまり好きになれなかったんです。だけど、
大変大事なキャラクターだから、何とかして好きになる手
がかりをつかもうと、富野さんに色々と立ち入った事を聞い
たし、逆に、富野さんも色々とコンテ上の操作をして、大丈
夫だよ、うまくやって行けるよ、と言って下さった。一種のお
見合いですね(笑)。それで何とか好きになれそうだって感
じになって作画し始めたらダウンしたんですが、画面に出
て来ているララァをお客さんとして見ていて、やっぱり好きに
なれなかったんですよね。
121交響詩ガンダム:03/04/20 09:52 ID:???
富野
それは、僕もそうなんです。ララァってのは結果論として好
きになれるキャラクターじゃない。だけど、最終的に絵で表
されるはずの、あたたかさとやさしさとかいうヒフ感覚が、
もう少し出てくれれば、ララァってもうちょっと少女らしくなっ
たと思うんです。その辺を伝えていく上での的確な絵とい
うものを考えた時に、安彦さんが倒れた後は、演出者の立
場上、泣くに泣けない気持ちでしたね。

安彦
もうひとつ41話で、キシリアとシャアが会話を交わす長い
カットがありましたね。ただイスに座っているだけで、セリ
フは起伏に乏しい、おまけにマスクかぶってて顔は見え
ない(笑)。普通、あんなカットを出されたら、リミテッドア
ニメでやってきたアニメータは芝居なんか出来やしないん
です。だけど、あの後、最終回でシャアがキシリアを殺し
たりするのは何故かって事を考えた時には、コンテが不備
であろうが、セリフが不都合であろうが、作画的にねじまげ
てでも何か含みを持たせた芝居をさせなければいけない、
という事が暗黙の要求としてあるわけですよ。今までアニメ
ータが、ヒフ感覚とかそういった芝居を要求された事がなか
ったから、とまどってしまうんですね。大変キツイ課題だった
とは思いますが、それでも何とかしなければという考え方を
していかなければ、いけないんじゃないでしょうか。
122交響詩ガンダム:03/04/20 09:53 ID:???
富野
そういう事を考えると、「ガンダム」という作品は、一つの時
代の流れの中で、結果的に間違いなくラフスケッチでしか
なかったんですよ。本来、作品というのは、少なくともその
時点での完成品でなければならないわけで、それがそうで
なかったというあたりが、視聴者に対して申し訳ないと思い
ますし、僕自身、一番つらい事なんです。だから、これを丸々
一つやり直す時代が、もう一度来るぐらいにして行かないと、
駄目だという気がしますね。
 もう一つ問題があって、いわゆる漫画映画の延長として
のアニメーションと、今の日本のアニメーションというのは、
そろそろ色んな事が違ってきている、という仕分けを、いず
れ現場の人間は絶対につけなければならない、という事
なんです。

安彦
それに類することを、この間“ガンダム記録全集3”に書き
ましたが、言わなきゃいけない事なんですよね。
123交響詩ガンダム:03/04/20 09:54 ID:???
富野
そうなんです。今、手塚アニメに対する信仰が、対外的な
所であるとすれば、明らかにこれは権威主義ですよ。そし
て、これは本来現場の人間が、一番避けなければならな
いものだと思うんです。
 80年代のこれから10年間は、作品のあり方が、そんな
意味で曲がり角に来ているのは事実ですし、去年から今
年にかけて様々な作品がありましたが、単純にこういう
状況がこのまま後へ続くとは思えません。支える現場が、
自分たちの携わっている映像媒体を、まだまだ本気で考
えているようには見えないんですよ。その辺は、休んでて
どう思いました?

安彦
はっきり言って、作り手の心情が問われるという事は、と
にかく大変いい事だと思いますね。今までは、権威の上
に立たないと、より以上のものが出来ないと、みんな卑屈
にあきらめてたんです。実際は、心情あふれるものは、こ
の技量でもできるわけで、そういう所に見方が設定される
状況は、まさに待ち望んでいたものなのです。「ガンダム」
なんかは、テクニックとしては無残なものだけど、心情の
次元だけは、自分のタッチした部分に誇りをもてますね。
それはシャレた言い方をさせていただければ、自分の生
き様に関わってくる問題ですから。富野さんにしても僕に
してもね。
124交響詩ガンダム:03/04/20 09:54 ID:???
富野
ただ、これは作り手側の大きな反省なんだけれど、「ガン
ダム」みたいな作り方をすると、損だなァとは思いますけど
ね。本当はあまりホンネは出しちゃいけなくて、もう少しタテ
マエ論ですいすい行った方が、ああ楽だな気がして(笑)。

安彦
でも、こういう同業者からもバカにされるロボットものという
ホンネと一番縁遠い所から、ゲリラ的にホンネを忍ばせた
作り方をした作品が出て来たという事は、皮肉だし、面白
いですね。これがもっと正面から、ホンネでものづくりして
ごらん、みたいな持ちかけられ方をしたら、多分できないと
思うんですよ。身構えて、ホンネ自体を見失ってしまう……
大半の作り手は、そうだと思うんです。

富野
これは日本人の体質かな、ともよく思うんですよ。僕は日
本の映画界で、正面きって本気でやんなさいよ、と言わ
れて作った作品で、うまく作れた作品ってのは、まずない
と見てるんです。黒沢監督でさえ、そうでしょ。ところが、
「スター・ウォーズ」の第2作はお金も充分あって、好きに
やれると言いながら、ちゃんと娯楽作品に徹して作られて
るというあたりに、ジョージ・ルーカスという若い才能の持
つ凄さがあると思います。日本人だったら、すぐコッポラみ
たいな行き方しちゃうでしょ。
125交響詩ガンダム:03/04/20 09:54 ID:???
安彦
日本人ってのは、ホンネに対する信仰が強すぎるのかも
しれませんね。ホンネは、大変崇高で、哲学的なもので、
シリアスだという考え方があるけど、向こうでいうホンネ
は、一番自分の好きな事とか、興味のある事とか、もっと
フラットな事なんじゃないですか。
 話の成り行きで言わざるを得ないんだけど、そろそろ富
野さんもゲリラの親分じゃいけないんじゃないかと(笑)。
もう少し正直に作っていいよって客観情勢が出て来たわけ
だから、もうからめ手じゃなくて、割と真正面から応えるも
のづくりを、スタンバイして欲しいな、と思うんですが。

富野
だけど、それは仕事に対する基本的な考え方の違いがあ
って、僕の場合はむしろ永遠にマイナーで、永遠にゲリラ
屋のほうが性に合っている部分があるし、そう簡単にはふ
っ切れないですよ。それと僕は、身体を動かしてないと何
も出て来ないんです。まずキチンと出せるものがあれば、
今カッコ良く身をひいてね、あとは好きなものだけ出してい
けるけど、やはりそういう状況にはないと僕は思うし。これ
は「ガンダム」のテーマにもなったけど、僕の場合は生き
残り論しか考えてませんから……安彦さんと違って、僕は
直接的な表現方法ってのは持ってないから、与えられた場
は最終的にそれを利用するという発想しか持ち得ないんです。

安彦
だけど、それはやっぱりアニメ・ディレクターという立場を
卑屈に考えすぎてますよ(笑)。
126交響詩ガンダム:03/04/20 09:55 ID:???
富野
ただ、一般的にTVアニメのディレクターは、たえず仕事を
やらなければ食っていけないから、仕事を好みで選ぶな
んてとんでもない話で、とにかくやらなければいけないと
いう状況が続いていたのは、経済的にも作り手の立場で
も自転車操業になっていくTVアニメの現場というもののせ
いだったと思うんです。TVアニメの世界で、絵描き物書き
含めた上で、いわゆる“作家”という人たちが出て来なか
ったのは、それが集団作業だったから、という事だけじゃ
ないんです。仕事に対してのシビアーな、各スタッフの個
性に対するつきつめみたいなものが、ないからなんですね。

安彦
大変おこがましい言い方だけど、やはり皆さん処世術が
下手だと思います。食わんがために仕事をやらなきゃい
けない、というのはわかるんだけれど、ただそれで100%
あきらめがつくってものでもないし、つけちゃいけないわけ
ですよ。2歩前、3歩前の問題ばかりじゃなく、もう少し長い
射程をもって考えたら、絶対ほかの処世の仕方ってあると
思うんです。

富野
それは、安彦さんがいわゆる安彦キャラクターを持っている
から言えるんですよ。実際にルーカスや実写の人たちは、
作り屋としては、生々としてマメでしょ。だから、アニメの演
出家が絶対にまっとうにやってはいけないかというと、そん
な事はないと思うんですけど。
127交響詩ガンダム:03/04/20 09:55 ID:???
安彦
汚れ仕事を逃げておさまってる人と、すりへって疲れたなァ
っていう人と、極端なんですね。アニメできれいな仕事をし
ている人は、あくまできれいな仕事をしていると。やっぱり
奇形的な世界って気はしますね。
 でも、スポンサーつき、局つきという事が言われてるけど、
小説家や劇画家、作曲家にしても、ニーズのない所で勝手
にものを作ってるわけじゃないでしょ。だから、そういうところ
でアニメって、あまり特殊化したくはありませんね。

富野
僕だって、そう思います。たとえばスペシャルものの作品
条件は、大変ゆるいわけです。だけど、過去のアニメスペ
シャルものの中で、名作といわれる作品の中に何がある
か……本当にホンネ言っていいんだよ、好きに作りなさい
と言われた時に、自分のスタイルなり方法なりを持ち合わ
せていないと駄目なんですよ。要するに“作家”の問題です。
 それより、ものを創るという事に関して言うと、僕はアニ
メだから、という考え方はしてませんし、所詮は作家性の
問題ではないでしょうか。つまり、如何にものを創造(クリ
エイト)するか、という骨格論を、わかるかわからないかの
問題でしかないと思いますね。究極的には、“奴はいった
い何者なんだ”ってつきつけられた時に、“俺は俺だよ”っ
て言えるか言えないかで、作家であることが決まると思い
ます。やはりそういう意味での、オリジナル性を含めた自
意識を持ちうるか持ちえないか、だけじゃないかと……
128交響詩ガンダム:03/04/20 09:55 ID:???
安彦
この前、ある人から仕事を持ちかけられたんですが、現場
仕事はいいから、ホワイトカラーとして、ブレーンとして参加
してくれないか、と言うんです。それ聞いて、いや、違うんだ、
アニメ作ってる人間は、みんなブルーカラーなんだって答え
たんです。全部が全部つくりごとの世界だから、自分も実
作業者の一員として、物理的にもやって行かなかったら、
最後のアガリまで責任持てないんです。だから、アニメの
演出家不在だ、というので実写の監督を連れてきたところ
で、その人は実作業者にはなれない。これはその人の責
任じゃないんですよ、わからないわけだから。やはり4年な
り5年、あるいは10年なりの経験をつまないと、原画の良し
悪しや、撮出し…音の問題などわかってこないし、そういう
事の絶対的なハンディを考えると、アニメのリーダー=作家
は、アニメ屋の中からしか生まれないというのは、絶望的な
くらいはっきり言えるんじゃないでしょうか。

富野
そうとしか言えないからなんですよね。
 これ以後のアニメを考えた場合、ここ10年くらいにすでに
発生してるビデオ文化を含めたトータルな映像文化におけ
る位置づけが、そろそろちょっと違ってきています。そして
当事者としては、その辺まで見透かした上で、ものづくりを
しなければいけないんです。日本のリミテッド・アニメという
世界中どこにもないジャンルが、将来どうなっていくかという
先達者意識をもっと現場の人が持って、色んな形での作り
方をしていって欲しいですね。要求がなければフィルムな
んか作れるわけないですから、もう局やスポンサーといっ
たかくれミノを使うのは、やめていただきたい。本当の意味
での“作家”が出なければならないんですよ。
129交響詩ガンダム:03/04/20 09:56 ID:???
安彦
それに関して言うと、大変長いつき合いをしているアニメ好
きの方が、イタリアの雑誌を訳して送ってくれたんです。そ
れで面白かったのは、海外から見ると、日本のアニメ産業
は、日産、トヨタじゃないけれど、かなり脅威になってるらし
いんです。日本には厖大な数のアニメ技術者がひしめいて
いて、圧倒的な生産基盤があるというのが、向こうの一般
的な認識で、一体何をやらかすのやら、と固唾を飲んでい
るんですね。ところが、それに応えるような状況は日本には
何もないわけですよ。とめどもなく卑屈な精神しかない。よ
く我々は、アニメブームとは現象だけで、浮かれちゃいけな
い、なんて言ってますが、もうちょっと大きなスケールで、
自信をもって世の中変わってるんだなって認識を持って欲
しいですね。

富野
ひょっとして世界の期待も日本に向けられているかもしれ
ないから、これから10年、我々もまたがんばりましょうね(笑)。
という所でおしまいにしましょうか。

藤田
どうも今日は、お忙しいところ有難うございました。御二人の
今後の御活躍をファンの方々と共にお祈りしております。

昭和55年7月8日 
高田馬場BIGBOXローズルームにて収録
(文責キングレコード制作部)
130通常の名無しさんの3倍:03/04/20 19:29 ID:???
スレの流れと関係なくてすまんけど、
「決定日本のベスト100」の「巨人の星にアトムがマル秘出演」
てっていうの、御大が演出やった幻の映像のことかな?
131通常の名無しさんの3倍:03/04/20 23:05 ID:???
>>119-129
乙彼様

そういや、安彦さんも御大と対談してそうでしてない人か
本人を目の前にしてるせいか、ニュータイプへの不快感がやや弱めでつね
132通常の名無しさんの3倍:03/04/21 05:01 ID:???
133山崎渉 ◆yGAhoNiShI :03/04/21 12:09 ID:???
|    あなた達は愚行の数々を繰り広げる低脳で無知で強欲な生物です(^^;   . |
|     しかしこのFLASHを見ればきっと神は御救いになられるでしょう(^^)     |
\      (^^) http://f2.aaacafe.ne.jp/~eagle/flash/flash.htm (^^)        /
  \                                            /
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                   ∧_∧
                   (  ^^ )
            (っ)    ,,,,l ` γ l,,,,,
             \ \/~~.... |。  ~~ヽ
               \,,/ |   |。田}}\ \
                    |   |。  |  ヽ_ヽ
              _    |   |。  |   ゝつ
             |\  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
   ∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧
 <      山  崎  !   山  崎  !   山  崎  !   >
  ∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨
    、        、        、       、        、
  /っノ      /っノ      /っノ     /っノ      /っノ
 / /  ∧_∧ / /  ∧_∧ / /  ∧_∧ / /  ∧_∧ / /  ∧_∧
 \\(    )\\(    )\\(    )\\(    )\\(    )
134通常の名無しさんの3倍:03/04/21 23:12 ID:???
保守。FSSアウトラインの対談良いですね。
135Symphonic GUNDAM:03/04/22 00:15 ID:???
「20th Anniversary Concert Symphonic GUNDAM 1979〜1998」CDライナー
 『オーケストラに惹かれ』

ないものねだりのあさましい心があったからです。
TVアニメのBGMという厳しい予算枠のなかでも、
フルオケを鳴らすスコアのベースを創っていただきたいと要求しつづけてまいりました。

ですから、今日という日に巡り会えた自分は、幸せとしかいいようがありません。

しかも、二十年という歳月は、思わぬ結果も手に入れました。
スコアにも時代相が含まれ、その時々の才能が現れて、
ついに洋楽という言葉を死語にした仕事を聞かせて下さっているということです。

文化の一翼を担えるかも知れないと思っていたジャンルが育ち、
さらなる可能性、豊かさを手に入れられるかも知れないという陶酔の波!!

これが、ガンダムというひとつの名前に収斂されるのではなく、
固有の楽曲としてはばたいてもらいたい。
それが、次の野望であります。

                                  富野由悠季
136Symphonic GUNDAM:03/04/22 00:16 ID:???
「20th Anniversary Concert Symphonic GUNDAM 1979〜1998」CDライナー
 『「アトム」から遠く離れて』

「機動戦士ガンダム」が私たちに投げかけた最大のテーマは
「未来の社会は決してバラ色ではない」という事実である。

手塚治虫氏の「鉄腕アトム」には、技術の進歩が理想社会に直結するという、
ユートピア思想があったように思う。
それは戦後の平和と繁栄を謳歌した時代を反映したものであった。
しかし日本の社会がほころび始めるのと時を同じくして、
作品世界を構築していったのが「ガンダム・シリーズ」である。

技術の進歩や宇宙への進出があっても、絶え間のない戦いの中でしか存在できない、
おろかな人類に対する壮大なレクイエム。
作曲者として、このシリーズに取り組んだ時、こんな複雑な感情を抱いたように思う。

現実の世界では、恒久的な宇宙ステーション建設も始まったという。
そんな時に、人類の近未来を描い「ガンダム」を回顧するのも、
この世紀末にふさわしいと思う。

                                   三枝成彰
137Symphonic GUNDAM:03/04/22 00:16 ID:???
「20th Anniversary Concert Symphonic GUNDAM 1979〜1998」ビデオ
 富野由悠季×三枝成彰

三枝 えー、総トータルで、10人ぐらいの人が、
   この20年間でガンダムを書いてるんですね。

富野 はい。

三枝 やっぱり一番最初にお作りになった、松山さんの「ガンダム」
   というのがやっぱり、みんな引きずってるっていうか、
   やっぱり聴いて、このスタイルを受け継いでいるんですね。
   それはね、非常に面白いなと。今日初めて分かったんですけど。
   松山さんの最初の「ガンダム」を、みんなこう、
   引き継いで、曲を書いてるんですね。

富野 はい。あの、それはあの三枝さんのおっしゃるとおりで、
   僕自身もここまで、全作曲家に打ち合わせをしてもらった覚えはないんです。
   しかし、そうなってしまった。と同時に、それだけじゃなくって、
   やはりその作品が移り変わることによって、時代時代の匂いとか、
   カラーっていうのが出ている、っていうのも、
   じつはここで聴いてみて本当にすごいなと思いました。

三枝 この後半に入りますと、千住さんの曲なんてもうこれは、
   えー、なんて言うんですかね、あの、アニメの音楽という世界を越えてまして。

富野 越えてます。
138Symphonic GUNDAM:03/04/22 00:17 ID:???
三枝 越えてますね。で、私はすごいと思うんですけど、
   まあ、みなさんみんなそう言うんですけど。
   一番大きな問題は、このもうひとつ対向する
   「宇宙戦艦ヤマト」というのがありまして。
   この宮川さんの音楽というのが、やっぱり非常に、
   あれを越えられないひとつの壁があるんですね。
   なにかと言いますと、大衆性なんですね。
   この大衆性と、もうひとつ、マニアックな音楽の世界という、
   この狭間でどっちを選ぼうかと、迷ってうろうろするのが僕なんですよ。

富野 確かに「宇宙戦艦ヤマト」があって、あの大衆性に対して、
   ネクストをどういうふうに出していくかっていうことは、
   あの、松山先生もそうでしたし、当時、渡辺岳夫先生なんかとも、
   結局考えたことで、とにかくそういうものを乗り越えていく、
   方法っていうものを手に入れたいっていうことがありました。
   で、そういう部分から始まっていった成果が、
   「ガンダム」の場合にはこういう形で継承されているっていうのは、
   とってもすごいこと。

三枝 そうですね。
   ですから新しいひとつの音楽の系譜みたいなジャンルがあると思うんですよね。
139Symphonic GUNDAM:03/04/22 00:18 ID:???
富野 はい、はい、はい。
   ですから、あの、ひとつの作品としてのすごさとか、
   時代性っていうものがあるんですが、むしろ15、6年前の三枝先生の楽曲でさえ、
   現在、この2、3年売り上げがむしろ伸びてるんです。
   ということはいったいどういうことなんだろうかな、という意味での、
   なんていうのかな、あの、作品の作り方とか、
   それから系譜を作っていってもいいもの、そういうものがあるんじゃないのか。
   時代によって、それからなによりも、あの、聴いてくださる方が、
   きっとこうだろうなとか、こういうふうにしてくれみたいな要求っていうのを、
   やはり、それぞれのその作曲家が、あのやはり、肌で手に入れてくれて、
   そしてそれを今こうやって具体的に、今度はみなさん方におかえしし、
   で、今度はまたそれで我々が、受け取るものをネクストに持っていく、
   というふうなキャッチボールが、間違いなく、
   この10年に関していえば、僕は行なわれていると思う。
   
三枝 あの、少なくとも、最近のこの“ガンダム・シリーズ”を聴きますと、
   ジョン・ウィリアムズを越えていることは間違いないですね。
   あの、音楽のテクニック的な問題。
   問題はその大衆性というものに関して、あるいは、
   全世界に広まるとかいうことに関しては、まだ差があるかもしれない。
   ただ、テクニックというか、音楽の質からいえば、もう越えてますね。
140Symphonic GUNDAM:03/04/22 00:18 ID:???
富野 と思います。
   ですからもう、あの僕自身、洋楽という言葉が死語になったとも思ってますし、
   オーケストラのものが、あの、なんていうのかな、
   日本人のものでないっていうことも言わせない。
   問題なのは、だからそれをもっとワールドワイドに広げていくための、
   もうひとつの力ってのが必要なんじゃないのか。
   で、それが今、なんなのかってことが、
   今の現在現場に立っているクリエーターたちが、
   分かってるのか、分かってないのか。
   それから、どういうふうにやったらいいのか、ということを今、
   模索し始めたのが、この2、3年の状況だし、これから数年、
   我々がやらなくちゃいけない仕事だし、作曲家のみなさんには、
   そういう部分にチャレンジをしていただきたい。
   で、そういう場としての“ガンダム・フィールド”っていうものを、
   利用していただけたらとてもありがたいし、
   なによりもその作曲家の方とか、演奏者の方が、
   “ガンダム・フィールド”の中で仕事をやることを、嫌がってくださらないで、
   お手伝いいただければうれしいなっていうのが、僕からの方のお願いです。

三枝 あのー、「ガンダム」が当たる理由っていうのは、
   あの、富野さん自分でなんだと思います?

富野 ええと、僕が作っているからです(笑)。

三枝 なるほど(笑)。
141Symphonic GUNDAM:03/04/22 00:19 ID:???
富野 ていうのも、ちょっ……あの、半分だけでして、本気で言ってるのは。
   だって、全部が全部僕が作ってるわけではありませんから。
   ただ、その、今言った“フィールド”を、
   作りうるだけのコンセプトがあったんだろうな。
   で、それは僕流の言葉でいえば、
   “ニュータイプ”というような言葉に込めた何か思いがあったんだ。
   ただ、僕はそれが上手に作品の中で説明できなかった、
   語ることができなかったな、というところで、
   えー、言ってしまえば20年のうちのこの10年ぐらいはちょっと惨敗感がある、
   というのがあります。
   ただ、そういうコンセプト、そのたかがロボットものに、
   つけ加えてともかくやってみようという、
   思ったその……心意気みたいなものだけで、生き延びたんじゃないのか、
   という部分だけは、これはあの確信的に持っている思いです。

三枝 ただ、僕は一番面白いのは、青臭さだと思ってるんですよね。
   笑い声が聞こえましたね(笑)。

富野 今笑ったやつとは、あとで仲良くしようね(笑)。
142Symphonic GUNDAM:03/04/22 00:20 ID:???
三枝 (笑)このね、青臭さがね、やっぱり今まであんまりなかった。
   つまりその、正義感みたいなことね、
   が、格好悪いという時代が長く続いたと思うんですよ。

富野 確かに承知はしていたことです。
   ただ、あの本当に、19年から20年目にかけて、あの初めてですよ。
   その、三枝さんに……のような人から、初めて青臭いって言われた。
   それまでは、あの、「ガンダム」の制作関係者とか、その周辺にいる評論家、
   ていう言われているようなレベルの人たちから、
   そういう、とっても分かりやすい言葉で、えーと、
   「ガンダム」の一番いいところっていうものを指摘されたことがないんです。
   だから、そういうふうなご指摘ってのは、僕はとてもうれしいし、
   むしろその、この青臭さを今後どういうふうに維持していこうか、
   というふうに考えたときに、あんまり手練手管であってはいけないし、
   技術があの、高くなっていけばいいのかっていうと、やっぱりそうではない。
   その、青臭さが持っている初心っていうものを、
   とても大事にしていかなくちゃいけないんじゃないのかな、
   というふうに思います。

(拍手)

富野 (客席に向い)どうもありがとうございました。

           (1998年12月18日東京オペラシティコンサートホールにて)
143通常の名無しさんの3倍:03/04/22 00:20 ID:???
聞き取りなので、多少間違ってると思います
三枝成彰の声が、ところどころ聞き取り難かった
144通常の名無しさんの3倍:03/04/22 04:03 ID:???
>>143
おつです。興味深く読ませてもらいました。
145通常の名無しさんの3倍:03/04/22 18:51 ID:???
「なんて、スリリングな話なんだ・・・」

その時富野の読んでいたものは「めぞん一刻」

爆笑しますた
146通常の名無しさんの3倍:03/04/22 23:27 ID:???
>>145
誤爆?
147通常の名無しさんの3倍:03/04/23 05:15 ID:???
監督のめぞんの感想なんじゃないかな
148通常の名無しさんの3倍:03/04/23 11:33 ID:???
>>145
確かにスリリングな話ではある<めぞん一刻
149通常の名無しさんの3倍:03/04/23 22:12 ID:???
双葉社から発売中のエルガイム大全に御大のインタビュー載ってるんだが、高いから買えんかった。
内容的には、エルガイムの事だけじゃなくて、FSSのことにも少し言及してる。
150通常の名無しさんの3倍:03/04/24 04:36 ID:???
あー、それ、俺も読みたいな
誰ぞ、うpして、神様
151通常の名無しさんの3倍:03/04/24 04:38 ID:???
>>149
聞き手は誰だった? 岩佐?
152通常の名無しさんの3倍:03/04/24 19:42 ID:???
キングゲイナーがジョジョに影響受けたって発言は、どこで見れますでしょうか?
153通常の名無しさんの3倍:03/04/24 20:09 ID:???
イントロダクションの大河内発言じゃねえの?
154通常の名無しさんの3倍:03/04/24 20:15 ID:???
オーバースキル=ジョジョのスタンド(の能力)って感じか?
へ〜。
155通常の名無しさんの3倍:03/04/24 22:34 ID:???
>>152
へー、初めて知った
ジョジョオタでもガンヲタでもある俺にはすごく嬉しい事だ
156通常の名無しさんの3倍:03/04/24 22:56 ID:???
ジョジョのスタンドじゃねえかって突っ込みもありです、
という感じの発言だっけ、大河内氏。
157通常の名無しさんの3倍:03/04/24 22:57 ID:???
ジョジョは2部で終らせて、3部からは別のタイトルで話を始めるべきだったと思う(DIOも出さずに)
158通常の名無しさんの3倍:03/04/24 22:59 ID:???
>>157
残念ながら荒木(作者)は最初から3部作にすると決めてたみたいです
あとすれ違い
159通常の名無しさんの3倍:03/04/25 00:56 ID:???
でも、スタンドって概念は2部の途中くらいで考えたんだろうな。
160通常の名無しさんの3倍:03/04/25 02:21 ID:???
ダンバインノスタルジアの富野湖川対談で、
2人して剣構えてる写真に笑った。2人とも若いねぇ〜。
161通常の名無しさんの3倍:03/04/25 02:23 ID:???
★在日韓国人★キム・テギョンのインタビューより


−岡山一成選手(川崎)は日本代表のチャンスがあったときに、それを逃したくないから
ってことで帰化したし、他の外国人と少ない枠を争うのを避けるために帰化するとか、そ
ういうことは考える?

金「そこまでしてやりたくないっすね。やっぱりプライドとかあるじゃないですか。帰化
して他の外国人と争わないため、とかいうのならサッカーやめたほうがいい。Jに行
かないで普通に会社行くとしても、帰化していない、ありのままの自分を必要として
くれる会社とか、そういう人についていきたいですね」

−日本が他の国と対戦するときは?

       ∧         ∧
        / ヽ        ./ ヽ
     /   `、     /  `、
    /       ̄ ̄ ̄    ヽ     
    /:::::::::      金      .\    
   /:::::::::: ヽ-=・=-′ ヽ-=・=-′ / 「…やっぱ、ちょっと日本負けてくれって
   ヽ:::::::::::::::::   \___/    /  思うことはありますね(笑)」
    ヽ:::::::::::::::::::  \/     /  

◆金大慶(きん・てぎょん)
1985年1月6日、兵庫県生まれ。18歳。滝川第二高から、★明治大学★に進学。
高校3年時の高校選手権では中盤の底でゲームをコントロールし、チームをベスト4
に導いた。175センチ、65キロ。血液型はB。

http://www.hochi.co.jp/html/soccer/highschool/interview/0418kim.htm
162通常の名無しさんの3倍:03/04/25 22:18 ID:???
カレンマンセー
163通常の名無しさんの3倍:03/04/25 22:27 ID:???
スレ違い
164通常の名無しさんの3倍:03/04/26 00:29 ID:???
>>152-156
 そのあたりの発言抜粋。
 (オーバーマン キングゲイナー イントロダクション より)

 Q.キンゲの見所について

 大河内
 やはりまず、オーバースキルみたいな「少年ジャンプ」的バトルの要素。

 (中略)

 それに、作品をどう楽しむかということの中に、作品をネタに人と話すことも
 含まれていいと思うんですよ。『キングゲイナー』もそれでいい。
 「これ『ジョジョ』じゃん!?」と言われても、それはそれでありです。
 「このあいだのキングゲイナー、こんな変な敵が出てきてさー。見ろ見ろ!」
 みたいに、なんだかんだ言って友達に話したくなってくれればね。
 そこまで含めて楽しんでもらえたら嬉しいです。
165通常の名無しさんの3倍:03/04/26 23:33 ID:???
保守。金沢の講演情報きぼん。
166通常の名無しさんの3倍:03/04/26 23:57 ID:MmcOD5+q
俺は行ったぞ
今頑張ってるから三日程待ってくれい
てか富野教のスレとこっちどっちに書き込めばいいよ?
167通常の名無しさんの3倍:03/04/27 01:46 ID:???
>>166
長くなりそうならこっちの方がいいんじゃない?
ゆっくり待ちますので、がんがれ〜
168通常の名無しさんの3倍:03/04/27 20:05 ID:???
169THE IDEON LD:03/04/28 01:49 ID:???
「10年目の『THE IDEON』」

 『イデオン』の劇場版ですか、そうですね。作った時のうっすらとした印象
しかないのと、実は『イデオン』は作ってから一度も見ていないんです。

─そうなんですか。

 だからよく覚えていない。……いや、嘘だな。よく覚えている(笑)。

─よく覚えているというのは。

 『ガンダム』に続く作品ということと『ガンダム』に引き続いて打ち切りに
なってしまったということで、その怨念返しをしようという気持ちがあった。
だけど『ガンダム』の映画化があったから『イデオン』も、という予感もあっ
た。だから、打ち切るんだったら勝手にしてくれ。そっちの方がこちらには都
合がいいんだ、と。でも実際に作ることが決まったというのは運が良かったで
すね。その時代の運の良さみたいなものにのれたというか、そういう点では幸
せでした。だから、どんな形であれ世に出たというのはうれしいし、作品冥利
に尽きると思っています。もうひとつ思い出すのは、最後のシーンが、こちら
が思っていたほどの圧縮感で作れなかったということですね。技術的なことを
思い出すとすごく悔しい。

─最後のシーンというと、あの実写を使ったシーンですか?

 そうです。それと、あのオールヌードのシーン。実は何箇所か演出ミスがあ
る。実写シーンにしても、使い方というか、ちょっとね…。作っている時はわ
からないんだけど、いざ完成してみると、思っていたやつの3倍は長い。そう
いうことはきちんと思い出しますね(笑)。
170THE IDEON LD:03/04/28 01:50 ID:???
─この作品は宣伝もかなりすごかったんですが。

 そうですね。どうしてあんな形になってしまったんだろうと思いますけど。
 宣伝に関しては、僕はいっさい関わらないということでずっときてしまった
ので、ああいうお祭り騒ぎを、誰がどう仕切っているのかとか、まるで知らな
かった。今思うと、時代がそれを要求した部分があったんじゃないかなという
気がしますね。時代の現象といった部分があったのじゃないかな、と。アニメ
というものが、何回かのブームを経てこうしてひとつのメディアとして定着し
てきた。その第2期的なファンの時代の象徴的な現象だったと思いますね。宣
なるかな、というか。でも、そういうお祭り騒ぎを起こすきっかけとなったと
いうことでも『イデオン』は幸せだったなという気はしています。

─『イデオン』という作品がその後の作品に何か影響を与えたということは。

 それは基本的になかったと思ってます。『ガンダム』ほど一般的な嗜好に対
して受け入れられるように作ってはいませんでしたし、言ってしまえばマニ
アックな作品だったという気がします。でもそれは結果論であって、作ってい
る間はそんな気はまるでありませんでした。こちらには、第2の『ガンダム』
を作るんだという気があったわけですから。でも、それでは力が出なかった。
力が出なかったというのは『ガンダム』ほど一般的には拡大しなかったという
意味でのことですが、別の視点で見るとやはり『イデオン』という作品は完結
しているんですね。その完結性の厳しさみたいなものが、真似させることを拒
否した。そういう意味では『イデオン』という作品は、まとまったいい作品だ
と思っているんですけどね。
171THE IDEON LD:03/04/28 01:51 ID:???
 それは劇場版のまとめ方でも証明されていて、本来なら『発動篇』的な作り
方をしたかった作品であるわけです。だから『発動篇』ができたことでは幸せ
なことなんですけど『ガンダム』みたいに大きなファンをつかめなかったとい
う点で『接触篇』『発動篇』という形を取らざるを得なくなってしまった。そ
のために、かなりぎくしゃくした作りになってしまっているわけですが、それ
はもともと『イデオン』という作品が、テレビと映画の橋渡しの中で、かなり
曖昧な立場に置かれた作品であったからだという気がしますね。時代的にもそ
うだった。作品として締まりきらなかったという意味では、とても残念です。
作り手として、こういう風にしか作れないんだよね、という自分の力量を感じ
させる作品だったと言えるでしょう。
 だから、今回LDという形でまた世に出るわけですが、若いファンの方に見て
もらえるならば、ガマンして『接触篇』から『発動篇』まで見て下さいと言い
たい。少なくとも『発動篇』に関しては、アニメ屋さんとしての、ひとつの夢
みたいなものを、それなりに作りおおせたという自信もありますのでね。10
年前であっても、こういう形での作品があったんだということを知ってもらえ
ればとてもうれしいです。

─それは新しく見るファンに対してですね。

 そうです。だって当時5歳だった子供は『イデオン』見てないでしょうし、
その子供が今、ようやく15歳になって、高校生のレベルで見てくれたら、こ
れは作り手の人間が言ってはいけないことでしょうけど(作品として完成して
いないということもありますが)きっとブッ飛ぶぜって(笑)。アニメの現場
でも、例えば20代前半の人なんか見てないっていう人もいるんじゃないかな。
 『イデオン』は湖川アニメのかなり完成された部分というのがよく出ていま
すから、自分達の資料として見ていただければと思います。
172THE IDEON LD:03/04/28 01:52 ID:???
─当時からのファンに対しては。

 商売上は、そうした層がいちばんのターゲットになると思いますけど、僕み
たいな送り手の立場からいえば、そういった人たちはもうターゲットじゃない
んですね。
 『イデオン』を見た若い人たちから、こんな作品を作る人間に、また新しい
ものを作らせろという声が出てくれるようにしてくれるとうれしい。

─スタッフを見るとかなり著名な方が参加されてますね。

 作曲のすぎやま先生をはじめとして、作品のテーマを読み込むことのできる
方が参加してくれましたし、そういった方はたぶんこの作品を悪い作品じゃな
いと思って下さっているんじゃないかな。ただ、やはり作品としての体裁をな
していないということが、『イデオン』の評価をかなり低くしていると思うん
です。
 例えば『発動篇』だけ見た人がいて『接触篇』も見てみようかと思う。でも
見れないんです。作りがメチャメチャだから。後は何を見るかというとテレビ
シリーズだけなんだけど、ここからテレビシリーズを全部見るなんてことはも
う、信じられないくらいうっとうしいことでね。そうなると、じゃあ『イデオ
ン』て作品は何だったの、ということになってしまうんだけど、それは僕の中
にもあることでね。だから『イデオン』て、世に出るための仕掛けとしてはい
い形で終わっていなかったなと思うんです。かわいそうな作品だったんです
ね。そしてそのへんが、この種の作品の限界じゃないかな。
173THE IDEON LD:03/04/28 01:52 ID:???
 この種の作品というのはふたつの意味があります。ひとつは巨大ロボットも
のというイメージ。そしてもうひとつは、あのテーマですね。あれは映像でや
るにはちょっと重すぎたかな、きつすぎたかなという気がするんですね。その
へんでも観客に拒否反応があったんじゃないか。それは一般大衆になじまかっ
た。やってはいけなかった仕事という気もするんですけど、それはあくまで結
果論であって、作っているときは、物事をきちっと見ていこうぜ考えていこう
ぜという気持ちでやっている。第2の『ガンダム』を狙ってね。僕は『ガンダ
ム』『イデオン』と続けてやらせてもらったわけだけど、そうか、あの頃が花
だったんだ、だからあれ以後うまくいくわけないんだ(笑)。あとは死ぬだけ
なんだ……なんて話は誰も見たくないわけなんです。『イデオン』はそれを
やってしまったわけだからね、これはたまんないぜという(笑)。
 ただ、小説版でいうと『ガンダム』より『イデオン』の方がいいという話を
かなり聞きますんで、やはりあれは活字でやるべき作品だったのかなと思いま
す。

─そういう『イデオン』を生み出した背景には、やはり当時のアニメ界のパ
ワーみたいなものがあったと思うんです。

 今ではなかなか作りにくい作品ではないでしょうか。
 それもあったとは思いますけど『イデオン』という作品は『ガンダム』があ
ればこそ、というところもかなりあって、10年前だろうが今だろうが『イデ
オン』みたいな作品は本来、作らせてもらえないはずの作品だと思いますね。
だからもし、今後作る可能性があるとするならば、映画なりビデオなりの状況
がもっと良くなった時じゃないかな。誰かだまって50億ぐらい出してくれれ
ば出してくれれば別ですけど(笑)。いや、冗談じゃなくそれくらいかかりま
すから。作るということになったら面白い結果が出て来るでしょうが。50億
あったらもっと明るい話作るかな。

174THE IDEON LD:03/04/28 01:53 ID:???
─富野さんご自身は『イデオン』は暗い話だと。

 いや、僕は暗いとは思っていません。あくまで一般的にはそう思われるだろ
うな、ということです。で、暗い話だと思っていないところがあるというあた
りが、映画屋さんとしての僕の決定的な欠陥なんでしょうね。映画というのは
もっとアッパッパなものじゃないかという気がするんです。
 だからといって、例えば『ダンス・ウィズ・ウルブス』がそうだといってい
るんじゃありません。あれは、映画産業を支える基盤がしっかりしているから
こそできるのであって、日本にはそういうところがない。だからこそサーッと
『イデオン』みたいな作品を作ってみせようぜ、と思うんだけど、僕にはそ
の、サーッという部分が抜けているもんでね。映画って『イデオン』的なもの
であってはいけないんだよね。もっと気持ちよく見られるもんじゃないと。
『イデオン』はそこを逃げましたからね。一般的にはつらいんじゃないかな。
でもあれはアニメでやったからこそ、つらい部分をケロッと見られるところも
あるんですよ。これを実写でやったら地獄ですね(笑)。好きなんですよ、好
きなんだけど、これはやばいな、という部分が『イデオン』にはありますね。
あのエンディングが、テレビで打ち切られた部分がやりたいから映画をやった
のであって、映画を作りたいからやったんじゃないんですね。

─やりたいことをやっている、というパワーが感じられますよね。

 そう。だから『イデオン』って決して嫌いじゃない、というか好きなんで
す。好きだからこそ、何かきっかけがないと見返すことができない。自分の好
きな部分というのは、そう簡単にさわれるもんじゃないでしょう。だからこの
10年、1カットも見てない。その後、何も仕事がなければ見たかもしれないけ
れど、あったからね。それに『ガンダム』みたいに継続するということがな
かったら、見る必要がなかったんでしょう。
175THE IDEON LD:03/04/28 01:54 ID:???
─もしテレビシリーズが打ち切られなかったらどうなっていたんでしょうか。

 ひとつの作品としての評価がもっとあがったと思いますね。巨大ロボットも
のという歴史の中に、きちっと位置づけられたという気がする。映画にして
も、こんな形だったからそんなに動員できなかった。例えば、道に置いてあっ
た石としてそこに置けたのだけど、誰かのつま先が当たって落っこちてしまっ
た、というような作品じゃないのかな。だから、実写で作り直す機会があった
なら作り直してほしいなという気はするんだけど、映画に見合う作品なのかな
という疑問もあります。
 『イデオン』が好きな人はかなり多いとは思いますけど、正直僕の手に負え
なくなっている部分というのはありますね。

─これは噂なんですが『イデオン』のラストに別バージョンがあると聞いたこ
とがあるんです。イデが発動すると、テレビシリーズの1話の冒頭に話が戻
り、地球人とバッフ・クランが、今度は善き出会いを果たし、握手するところ
で終わるというものだったのですが。

 それは本当に噂だと思うんですが、僕が忘れているだけかもしれない。たぶ
ん噂だと思いますけど、それは送り手としてよくわかる。そういう風にもって
いかないと、とてもじゃないがたまらないという気持ちが一般にあるんでしょ
う。民話みたいなものでね。ああなるほど、そうすれば映画になるのか、とい
うことですね。
 悔しいけど、それは僕のアイディアじゃない。それは、きっと多くの人の話
が入っているんじゃないかと思います。だから、もし実写でできるんだった
ら、そのエンディングを採用せざるをえませんね。映画としてオープンにした
お楽しみにする場合は。それをやっても『イデオン』という作品が歪められる
とは思わない。
176THE IDEON LD:03/04/28 01:54 ID:???
 『発動篇』までのものがあって、ここまでは作り手が趣味としてやってきた
ところもあったけど、その上でもう一度『イデオン』って何なのかということ
を考えた場合、そのエンディングが決定的に必要になってくるんじゃないか
な。映画というのは、哲学論集でもなければ私小説でもないわけでしょう。現
実の人間はこんなにバカなんだ、とか言われても、そんなことはもう、みんな
判っているし、その通りなんだけど、でもやっぱり気持ちのいいラストにしな
きゃいけないんだというね。
 10年前の僕のメンタリティーではそういうラストは考えられなかっただろ
うし、結構生真面目にこうなんだと個人的に納得してやっていたところがある
から。10年たってそうした新しい劇場版以後の『イデオン』の話が固まって
くれば、あるいは、新しい『イデオン』ができるかもしれない。誰が作るんだ
ろ(笑)。
 日本の風土では、これまでずっと巨大ロボットものをやってきた富野由悠季
さんという人がいたら、そういう人にはレッテルが貼られてしまって、実写を
撮らせようという発想はないでしょう。残念ながら僕は50億の金は用意でき
ないし、やるんだったら7〜80億の金がほしいなと思いますもん。かなりCG
の精度も上がってきたし、コストも下がってきたし。でも『イデオン』ってロ
ボットを数多く出す戦闘シーンをやらなきゃいけないとなると、へたすりゃ
50億なんて半年ぼーっと見ていたらなくなっているかもしれない。100、
200のロボットが飛んで腕を動かすなんてやった日には大変ですよ(笑)。

─実写版をやるとしたら役者は。

 キャラクターが多いから、ひとりやふたりは既存の役者にお願いするとし
て、残りは全部新人というふうにするしかないでしょうね。例えば『スター
ウォーズ』と同じですよ。ハリウッドみたいなところで撮影してくれれば、若
い人でも人脈が多いし、役者の土壌は日本より深いからね。ドバ・アジバなん
か、あの『羊たちの沈黙』のアンソニー・ホプキンスとかいいんじゃないかな
あ。あと僕の好きな女優にジョディ・フォスターがいるんだけど、彼女にもぜ
ひ出てほしいなあと。彼女はキープしたいですね。彼女がキープできるんだっ
たら、特撮のカットなんか100カット削れって言うよ(笑)。
177THE IDEON LD:03/04/28 01:56 ID:???
─アニメで新作を作るという可能性があるとしたら、やはり巨大ロボットもの
で。

 やはり、メカものでやることになるでしょう。ロボットものという言葉を使
うかどうかは別として、メカニカルなものとして。これから10年くらいのス
パンで考えてみた上で、21世紀の観客をを相手にした場合、その方が動員を
かけられると思いますから。

─キャラクター的な部分はどうでしょうか。

 劇場版には、カララの生んだ赤ちゃんも出てきましたけど、あれは作品の中
では所詮、水先案内人でしかない。その後の明確な形での成長物語があるとも
思えません。さっき、今度『イデオン』を作るとしたらこんなラストシーン
が、というようなお話もありましたけど、でもあれは、たぶんかなり世代を重
ねた後のことだと思いますからね。それに『発動篇』に登場したキャラたち
は、あまりにも戦争という極限状態の中で正直すぎましたからね。みんな死ん
でしまったけど、がんばったんだよね、としかいいようがないわけです。だか
ら今後、もし『イデオン』のリプロダクションがあるとするならば、考えなけ
ればならないことがたくさんあります。
 ここ数年で、われわれをとりまく世界環境とかがかなり変わってしまった。
とりわけ戦争というものに対する考え方というのはそうですけど、まだそれが
具体的な言葉として固まっていないのが現在の状況です。ユーゴスラビアもそ
うですし、イラン、イラクもそうですが、旧来のメンタリティーで行なわれる
戦争というものもしばらくはなくならないでしょう。だけど、2大陣営という
ものが崩壊してしまって、われわれが危機的に考える戦争状況とは何なのかと
いうことが、文脈的に明確にされていないと思うんです。
178THE IDEON LD:03/04/28 01:57 ID:???
 なおかつ、旧来のメンタリティーで行なわれる戦争というものも、起こらな
いとは限らない。そういう形の中での戦争は決してなくならないだろうし、何
よりこれ以後、戦争をなくすための戦争論というものを見つけていかなくちゃ
ならない。そんな中で、ロボットを使った戦闘ものは、もう少し描いていく必
要があるんじゃないかと思うんです。だから『イデオン』をリプロダクション
する機会があったら、今言ったような問題を明確にリライトしていく力を手に
入れたいな、と思います。それが、今の僕自身の中で『ガンダム』ももう少し
作っていきたいし『イデオン』もまた作る機会があればいいなと思う所以なん
ですけどね。

─それはやはり、何かプロデューシングがあった上ですか。

 そうですね。やはり『ザンボット3』から15年くらいのキャリアというの
は、全部が全部無視できるもんじゃありませんし、なかったことにできるもの
でもない。ここまでは謙遜です。自惚れて言わせてもらえば、戦後の日本人か
らは考えるということがなくなってしまいました。だから、もう少しちゃんと
した物の言い方というものを見つけ出せるんじゃないかなと思うわけです。そ
れを見つけだしていくためにも『イデオン』を出発点にして、これから10
年、20年という時間の中で考えていかなくちゃいけない問題を、さっきの戦
争論も含めてのことですけど、見ていきたいな、と思っています。それがネク
スト『イデオン』かどうかはわかりませんけど、それを僕の仕事にしていいん
じゃないかなと思いますね。
179THE IDEON LD:03/04/28 01:58 ID:???
 今こんな話をしていても、若い人には遠い話なんじゃないかなと思います
よ。日本では、義務教育で戦争論って教えませんからね。でも、これから若い
人が、たとえばヨーロッパなんかに行ったりしたときに困ると思うんですよ。
向こうは日本でいう戦国時代みたいな状態が長く続いていましたし、そういう
メンタリティーが継続してるわけで、自分の目から見た戦争というものがあ
る。日本だけですよ、戦争というものにパープリンな民族というのは。だから
こそ戦争論というのはあってしかるべきじゃないかと思うんです。そして、そ
れが持っているイメージで身を引き締めるということができれば、逆説的な意
見になりますけど、戦争阻止論にもつながるんじゃないかと思いますんでね。
専門家の自衛隊だけに任せておいていいわけじゃない。戦争論というのはあっ
てしかるべきではないかと思います。
 僕はロボットものをやらせてもらったおかげで、戦争論というのは市民の問
題だということを、かなり承知したつもりですから、そういうことを明確に描
いていきたいと思いますね。ただ『イデオン』のリプロダクションがあるなら
ば、また別な観点で作っていきたいということはありますけど……『イデオ
ン』もね、このタイトルから離れられなくて困ってます。

─離れられないというのは。

 ネーミングとしてね、変なタイトルなんだけど、このネーミングからはなか
なか逃げられないんですよ。テリトリーが広くて。だから困っているんです。

─新作を作るときはロボットものとしてということですが、ロボットものとい
うことへのこだわりは。

 個人的に、ロボットものに対してこだわっているわけではありません。た
だ、ロボットを使わないと『イデオン』以上に最悪の作品にしかならないだろ
うと思っているだけです。だからロボットから離れられないだけです。
180THE IDEON LD:03/04/28 01:59 ID:???
─それはさっきの戦争論とも関わるとか。

 たとえば、論文という形で書いても誰も読んでくれない。商売にならない。
もっとわかりやすく小説で書いたとします。するとそれは、すごくリアルに戦
争を俯瞰した戦記物にしかならない。
 檜山さんという「もしこうだったら」という戦記物を書いてらっしゃる方が
いますけど、ああいいものを書くためには、かなり基礎学力がいるんですが、
それを今からやるのは無理。だから、ロボットという、とてもいい加減なもの
を使う。ロボットものは、フィクションにする手段としては手っとり早いし、
まずルックスがいいというのは、じつは俗受けするということでも都合がい
い。ロボットさえ出しておけば、あとはこちらの好きなことを潜り込ますこと
もできるわけです。ロボットものという媒体の持っているいい加減さというこ
とですが、そのいい加減さというものが持っているパワーはすごいわけです。
 本当はロボットものはやりたくないんですよ。でも、ロボットものだからで
きるということがある。本人は困ってますが、ここまで来てしまいましたから
ね。檜山さんみたいな小説を書けるバックグランドを、ロボットものを作る上
では僕も持っているわけです。テレビから入った人間はこういうものが好きな
んだよね、ということもあるんですけど(笑)。
181THE IDEON LD:03/04/28 02:00 ID:???
 だから、ロボットものを作るためにロボット好きから入ったスタッフはいら
ないんです。そういう人たちは、そこから先には絶対行きませんから。物語な
んか作りようがない。ロボットの世界で何を書くのか、という設問があった
時、ロボットの世界を書くことが答えじゃないでしょ、ということを解らせる
のに、10年以上かかってもたどり着けないこともあるわけです。ロボットも
の、というのはジャンルじゃないんですね。僕の場合。それはひとつの媒体で
しかない。その意味はかなり有効なのかもしれないということをわかってくれ
る今の若い人がいて、これからアニメの仕事に参加してくれるといいですね。
ロボットものが嫌いな人が仕事を手伝ってくれるといい(笑)。
 例を言えば『2001年』を作ったキューブリックはメカ好きだったわけじゃ
ないですよね。でも、好きじゃない人が作った方が、すごいものができること
がある。正直言って、アニメ好きの人にアニメ作ってほしくないわけですよ。
アニメ作ることが目的じゃなく、アニメを使って何を描くかということが重要
なわけですから。その「何か」にこだわりを持つ人じゃないと作品は作れな
い。
 アニメの勉強なんかしなくていいんです。企画とかそういう段階にいる人、
つまり、そこから先の、専門職に入る前の段階の人が専門職であっては困るん
です。
 「学生時代、ほとんど学校行ってません、でも世界中回ってきました」とい
う人が来てくれるといい。2、3カ国語をしゃべれるともっといい。そういう
人は連絡して下さい(笑)。

                      (発行日1992年6月25日)
182通常の名無しさんの3倍:03/04/28 04:33 ID:???
乙イデ!
183通常の名無しさんの3倍:03/04/28 06:05 ID:???
掃除中に見つけた富野&神谷明対談番組が
あまりに面白いのでキャプってうpしてみる。

ttp://tom-an.hp.infoseek.co.jp/tom.html
184通常の名無しさんの3倍:03/04/28 10:55 ID:???
>>183
いただきました。乙です。
非常に面白いですね。
185通常の名無しさんの3倍:03/04/28 19:11 ID:???
>>183
サンクスです、後半禿しくワラタ
>>181の様なことも言ってましたね
186通常の名無しさんの3倍:03/04/29 13:04 ID:???
>>183いやー、芸能を見たw
187通常の名無しさんの3倍:03/04/29 19:25 ID:???
最後の5.6分が振り切れていて面白かった。途中からなんか対談というより独演会に
近かったね。
188通常の名無しさんの3倍:03/04/29 21:42 ID:???
○○やればいいだけの話よっ!!
189通常の名無しさんの3倍:03/04/29 23:27 ID:???
>>183
いいものを見させてもらいました、ありがとうございます。
ここ近年言ってることが凝縮された内容ですね。面白かったです

全然対談じゃないよなー 神谷明がインタビュアーになってる(w)

おさわり
190通常の名無しさんの3倍:03/04/30 00:06 ID:???
俺は思ったよりも神谷明が物言ってて意外だった
御大に噛み合わない事言って怒られるってパターンかと思ってたから
191通常の名無しさんの3倍:03/04/30 01:08 ID:???
神谷明くらいの世代なら、俳優を目指して
結果的に声優になってしまった人がほとんどだと思うから
富野とは噛み合うとは思う
声優になりたくて声優関係の学校出て声優になった人とだったら
噛み合わないと思うけど…

192通常の名無しさんの3倍:03/04/30 01:21 ID:???
ピー音が入るわ、最後には目の前の撮影スタッフを
コケにするわ、さすがだなあ。
193通常の名無しさんの3倍:03/05/01 00:21 ID:???
徳間書店デュアル文庫の
ハイストリーマー三巻の後ろに載ってた
御大インタビュー(2002/11収録)は既出?

出てないなら日頃ROMらせて貰っているんでうpしますが
194通常の名無しさんの3倍:03/05/01 00:48 ID:N3YbHQhH
うpキボン
195通常の名無しさんの3倍:03/05/01 23:18 ID:xpd2bIz/
カムバック、トミノ対アキラ
徳間書店デュアル文庫 ハイストリーマー三巻に収録

富野由悠季インタビュー

=今回完結したこの作品は、旧来『徳間版/逆襲のシャア』(アニメージュ文庫)と呼ばれていました。
それは、同タイトルの角川版(スニーカー文庫)が存在したからなのですが、
もともと『ハイ・ストリーマー』という副題で映画『逆襲のシャア』公開の一年前(1987年5月号)から
「アニメージュ」に連載されていたという、ちょっと混乱しそうな経緯のもとにありました。
それを14年ぶりに正式なタイトルに戻して刊行したわけですが、まず監督にお訊きしますが、
どうしてアニメージュ版では『ハイ・ストリーマー』というタイトルで連載されたのですか?
またその時には映画の企画はどれぐらい進んでいたんですか?

富野
そんなの覚えてないですよ。ただ、当時は、どうガンダム離れをするかというのが
重要な命題としてあったので、とにかく何か新しいタイトルが欲しくて『ハイ・ストリーマー』
というタイトルをつけました。僕自身、器用な人間ではないから『ガンダム』すべてを
フィックスなんてできないけど、当時の気分的なものでいえば絶えず、走り続けていたい、
向かい風に向かっていたいという意味もあったんです。
=『ハイ・ストリーマー』というタイトルで、この作品の先も書きつづけたい気持ちがあったと、
旧版のあとがきで書かれていました。物語の時間軸的として考えると、後の『閃光のハサウェイ』
がその構想の一環にあたるだけですか。

富野
そうですね。物語的なつながりはないんだけれど、意識としてはそうです。『ハイ・ストリーマー』
では「悲劇を書く」ということができるのかというのが、僕にとってのテーマでしたし、
『ハサウェイ』もその延長上にある作品ですから。『ガンダム』の外伝という形だけでなく、
オリジナルな作品としてきちんと成立させられれば良かったんだけど、二十年近くたっても
御覧の通りですから、駄目だったんですね。

=駄目ですか?

富野
何いってんの!これだって『機動戦士ガンダム』ってタイトル消えてねーじゃねーの(笑)。
成功しているんだったら、君だって「タイトルは『ハイ・ストリーマー』でいきましょう。
『ガンダム』はいりませんよね」っていってくれたでしょう(笑)。
傍系で始めたもので本家に勝つってことを考えていたんですよ。
枝葉のところででも何かを成立させられないかと思ったんです。それはクリエーター的な発想ではなく、
ビジネス論的な発想だったんですよ。だから駄目だったし、ちょっと下がって見てみると、
やっぱり本家の『ガンダム』に取り込まれている。話が少しずれますけど、現実のなかで、
取り憑かれるとか祟りとか、「うちの家系は、こういう因縁に縛られている」なんて言い方があるけど、
僕にとって『ガンダム』なんて、一時期は怨霊そのものでしたね。
自分では『ハイ・ストリーマー』という分家を成立させたつもりでいたけれど、気が付いてみれば、
本家筋の一角でグダグダやってるだけで「あんた、ちゃんと本家立ててないじゃないの」となってしまった。
そりゃ悔しいけど、自立するだけの力を持っていなかったのは認めるしかりありません。
二十年だった今でも、編集者や色々な人を通して、『ガンダム』怨霊は未だに僕の所にきているんだけど、
最近の僕は、もうそういうのはどうでもいいと言えるようになった。それは本人の気持ち次第なんだよ。
慣れるようになりましたね。
=それはいつぐらいからですか?

富野
『∀ガンダム』を作り終わって、すべてがすっきりしました。
『ブレンパワード』にとりかかる前までは、こういう構造を含めて『ガンダム』に呪われてるって
本当に思ってました。だけど自分の心的な構造とかがわかってくると、
勝手に自分が思っているだけなんだ、と気付くようになりました。当時は、本当にひどいものでしたけど。

=『ブレンパワード』ではまだお払いが終わってなかったのですか。

富野
『ブレンパワード』は『∀ガンダム』を作る為のリハビリでしたから。『ブレンパワード』の企画は、
次にもう一度『ガンダム』を作る事を前提としてはじまったものだったんです。
ただ、言えるのは、『∀ガンダム』をやっていなければ、今回の再刊行でも
「やっぱり『ガンダム』は外してくれないんだ。ちくしょー」って人を呪っていたかもしれない(笑)。
でも人を呪うって辛いのよ。自分が屈折していくことがわかるからね。

=『∀』という作品は、富野監督だけじゃなくて『ガンダム』という作品全体にかかった
呪縛みたいなものをお払いしてくれた感じもしますよね。

富野
だといいんだけど…。今『ガンダムSEED』をサンライズは作っているけど、関っているスタッフは、
これでガンダムを終わらせてやる、というつもりでやって欲しいですね。
いろいろなことを気にしないで好きにやって下さいとは話したんだけどね。他人の作ったタイトルを
作らなければいけないってのは、クリエーターとして悔しい筈だから、その悔しさを全開にして
凄い事をやって貰いたいのです。呪いって本当に大きいし、個人的な事じゃないから難しいですけどねぇ。
=映画の『逆襲のシャア』はファンの評価も高いのですが、あの制作時期のメンタリティは
どんな感じだったんですか?

富野
信じられないだろうけど、やけっぱちもいいとこでした。この間ニューヨークのイベントで上映されて
改めて見た……というか見せられたんだけど、映画が作れるってんで前向きにやろうとはしていたんだけど、
どこかまとめる事だけを考えているから、見やすい作品になっていない。気持ちいいものになっていないですね。

=すごく"熱"のある映画だったと思いますが。

富野
それは当たり前ですよ。当時の僕だって当然、プロなんだから。プロのスキルというのは、
作り手の心情なんて隠して当たり前なんです。それが、最近の映画ではそのスキルがないのが沢山ある。
アニメだけをいってるんじゃなくて、ハリウッドの大作とか観ても、しょうがなく作ってるみたいな
不節操さが凄く見える。それでも僕の映画より売れたり、賞を取るんだから悔しいよね。
ニューヨークの上映会ではブロードウェイに面した大きな劇場でフィルムをかけてもらったんで
嬉しがっていいんだけど、所詮ロードショーでかかった訳じゃないから喜べないです。
僕の場合は目標を達成しない限り、敗残者でしかないと思ってしまうから。
これだけファンが付いてくれているから敗残者という言葉は使えないのかもしれないけど
『ハリーポッター』とか『千と千尋』に勝てない自分のディレクションのまずさとかには情けなく感じます。

=多くの人間が気にしないでいられることや、自己防衛のために無視したり、諦めてしまうことを、
決して諦めないというところが凄いですよね。「ニュータイプ」というのは『ガンダム』世界における
最重要キーワードだと思うのですが、アムロとかシャアを見ているとその能力というのは
「不幸に対する感受性が強く、だけど絶対諦めない意志」なんじゃないかと思うのですが。
つまり富野監督そのもの(笑)。

富野
そうかもしれない(笑)。最近は我慢できない人が増えたけど、我慢できないことと諦めないことは、
言葉の表面は似てるけど全然違うことなんだよね。
=ガンダムという物語から「ロボットもの」というフィルターを外したとき、
根底に残るのが「ニュータイプ」という「ものが諦められない人間」の物語だとしたら、今の若いファンや
クリエーターはそこにどのぐらいシンパシーを感じとっているんでしょうか。

富野
ほとんどないのかもしれないですね。作り手の側でも、アニメという媒体が社会的に認知されてから、
職業の一つとして参加してきている人が多くなっています。絵を描くことが好き、ガンダム的な世界や
キャラクターが好きということであって、それ以上の「何か」を持っている人というのは、少ないと思います。
個々のスタッフにあたっていないから、断言するわけにはいかないけど、社会的な状況が公認している
職業に参加してくる人が、公認されていない職業をやらざるを得なかった時代の人間達とは、
メンタリティとか考え方が根本的に違うのは当然のことでしょう。
僕は、諦めずに表現を模索してたことで、初期のガンダムとかを生み出せたはずなのです。
だったら次の世代で、あの時代のガンダムのような新しい「何か」を描きたい、手に入れたいと
考えている人は、毅然として富野は敵だと思って欲しいのです。僕に対してシンパシーを感じるということは
極度に警戒しなくちゃいけません。何故かというと、不遜な言い方かもしれないけど、僕は虫プロに
一時在席していましたが、手塚治虫という人は根本的な部分で敵だと思っていました。
当然、尊敬しているし、年長者を敬う部分もあるけれど、仕事で物語を作るという上では、
絶対に敵だと思ってました。だから『トリトン』では、手塚原作の枠から逸脱しようと抗ったわけです。
その後になってやっと、手塚先生とはよく話をできるようになったのです。

=講談社の手塚全集の『海のトリトン』のあとがきには、逆に手塚先生のアニメ版を認めざるえない
悔しさが滲みでていました。

富野
おぼろ気しか覚えていないけど、ありましたか?

=ありました。いい師弟関係ですね。ところで『逆襲のシャア』によって、アムロとシャアではじまった
ガンダム物語は完結するわけですが、監督にとってこの二人はどのぐらい重要なんでしょうか?
富野
全然、重要じゃない(笑)。戯作を作るというのは、こんなものなんだからそんなこを気にしていたら
「近松」に勝てないじゃないですか。近松は古典を作ろうと思った訳じゃなくて大衆小説でしょ。
それに勝ちたいと思わなきゃ。僕は茶川賞も直木賞も狙えるような技量はないから、近松に勝ちたい。
いけないかぁ(笑)。

=近松といわれると富野さんの書かれる小説が恋愛率が高いのがわかりますね。
『ハイ・ストリーマー』のアムロはおねーちゃんをくどいちゃ、次のおねーちゃんって。
『好色一代男』みたいですもの(笑)。ところでアムロは当時のアニメファンに対する
アンチテーゼとして設定したと伺いましたが。

富野
アムロとカミーユは明確にアンチテーゼとして配置しました。戯作として世相を見て意図的に産み出した
ことは当然ですが、ファンに受け入れられるとは思っていませんでした。

=ララァのキャラクターはいかかですか?

富野
あれも全くの意図的なキャラクター。僕に戯作者としての才能があるかと考えたときに
全くないんじゃないかと考えてしまうのがララァですね。僕の中に存在しないキャラクターだからこそ、
ロジカルに突き詰めて動かしているだけです。つまり、枝葉論的なものを意識し過ぎていて、
戯作が持つべきもっと大きな膨らみみたいなものを創造しきれていないんです。
だから、ララァとかクェスとかを動かすと僕は全く駄目ですね。
=監督にとって戯作のもっている力とはどんなものなのですか。それが発揮できたキャラクターというと?

富野
ガンダムの登場人物の中ではビジネス論的な意図がなく、無意識に作り上げられたのは、
ランバラル夫妻です。今でもとっても好きですね。あの二人は本当に自然に生まれてきたもので、
この年齢になっても「うーん、この男女はいいよな」と思います。明確に戯作上に存在するキャラクターを
獲得できたと感じられますから。だから、ハモンの最後の台詞はこれだよなって覚えてるからね。
『逆襲のシャア』はこの間観るまではなにも覚えてなかったんですよ。そういった無意識の意識みたいな、
これしかないだろうと言う部分をちゃんとおさえて、アニメをやっていても
戯作者だといってもらえるような仕事をしていこうと思っています。
だからこそ今、戯作者たらんとして自分の柵をかけるつもりで『キングゲイナー』みたいな作品を
やっているんです。これは僕にとって凄く幸せなことです。僕が昔、そぎ落としてしまったものを
もう一度手に入れられるかもしれないと思うと、本当に嬉しいです。
時代を生きてるという感覚は、今まさに僕は『ハイ・ストリーマー』です。

(2002/11 構成・編集部)
203通常の名無しさんの3倍:03/05/02 02:58 ID:???
うp完了。
誤字脱字あったら脳内変換して下さい。

暖かくなったので、全裸になってスカラー波に当ってきます。
204通常の名無しさんの3倍:03/05/02 03:18 ID:???
乙カレー
アニメージュ文庫版持ってるからスルーしてた
こんなおまけがあったのね

お礼替わりじゃないけど、アニメージュ文庫版のあとがきと
ベルトーチカ・チルドレンのあとがきうpろうか?
205通常の名無しさんの3倍:03/05/02 14:00 ID:???
今出てるザ・スニーカーで
御大がまた自作の小説についてコメントしてるね
ガイア・ギアについては全部忘れたとか
206通常の名無しさんの3倍:03/05/02 22:39 ID:df/xKha3

堪能しますた。

>>204
おながいします。
207通常の名無しさんの3倍:03/05/02 23:38 ID:???
ハイ ストリーマーってどういう意味?
『ハイ・ストリーマー』として、『アニメージュ』誌上に連載をさせて
いただいたものを、『逆襲のシャア』として発表されたことで、
戸惑っている読者がいらっしゃると思います。

小生も、この事情については、裁定ができる立場ではなかったために、
困ったというのが現実でした。なぜこうなったかという事情については、
関係各位の善意がすれ違った、と理解していただきたいのです。

当初は、本稿を『ハイ・ストリーマー』として、
テレビのビジネス・ラインから離れたものとして、
長く描いてみたかったという作者個人の願いがあって、
それをアニメージュ編集部が了解して下さいました。
つまり、『逆襲のシャア』版の映画化に平行して、
そのストーリーを組込みながらも『ハイ・ストリーマー』として、
さらに継続する物語を想定しておりました。

しかし、本稿を『逆襲のシャア』のためだけのものと理解されますと、
物語は継続不可能になります。
小生の思惑は、宙に浮いてしまうという感じになるのです。

そのために、二巻目からは『ハイ・ストリーマー』のタイトルを併記して、
復活させていただいたのですが、今後、読者の皆様の助命嘆願でもおこらない限り
『ハイ・ストリーマー』としての復活はないと思えます。

この種のテーマについては、永遠に『ガンダム』として継続するのだ
という宿命を想定するのは、作者としては辛いのですが、この経過ひとつ取っても、
『ガンダム』という現実が迫ってくるのを、作者としても認めざるを得ません。

思えば、『ガンダム』を始めた当初、フィクションが現実の生活に
かくも食い込むものだということは、想像しませんでした。
本当に、ありがたいことです。
前に記した思いは所詮、個人として、大人としての賢しい計算だったのです。

一人の男として自立したい、いつまでも『ガンダム』のトミノでは厭だという思いから、
『ガンダム』離れしたいという欲が始まったのだと自覚せざるを得ません。

このように、我々の仕事は、応援してくださる読者と観客がいて
成立するにもかかわらず、大人の欲を出してしまって、
自分勝手になんでもできるのではないかと思ってしまうのです。

これが、大人の嫌らしいところであり、現実の生身の人間の問題なのでしょう。

ですから、他人に感謝する心を持て、という先人の訓戒を身にしみこませる時なのだ、
と実感する今日この頃なのです。

あとは、皆様の御批判次第です。

その上で、次なる物語を描かせていただけたらと、
今は、被告席に座る気持ちで、日々悶々としているのです。

皆様の御声援には、本当に感謝いたします。ありがとうございました。
映画を本編とすれば、本書は、モチーフ小説と位置づけられるもので、
本来、発表されるべきものではないでしょう。
また、小生は、今期、別の出版社でも映画のストーリーに即した
『逆襲のシャア』のノベルス版も提供しております。

それ故に、なぜ、このような仕事をしたかという点について、
お答えする義務が多少あると考えました。

他社版の『逆襲のシャア』は、現業をすすめながら、
前後に次なるストーリーを展開する人物たちを登場させる
という方法を試みさせてもらっているのです。
このような手段を講じないと、若い人に負けてしまうという、
小生の恐れがさせていることです。

そして、本書については、次のふたつの理由があって、
このような形で発表させていただいたのです。
ひとつは、映画と活字では表現が違ってくるために、
そのサンプルを提供したかったということです。

もうひとつの理由は、『逆襲のシャア』のモチーフではあっても、
小生の思いはこうであったということを知ってもらいたかったということです。

しかし、前者の理由は、企画の段階では、小生自身もわきまえることができず、
その反省だけが痛切にある問題でした。この問題は、ケースバイケースで、
その時々に判定しなければならないために、とても難しいのです。
たとえば、小生の独断でありますが、今日までの日本映画は、
その企画段階で、この間違いを正確に理解せずに、今日に至ったと考えます。
映画版『逆襲のシャア』のシナリオは、当然、小生が書きました。
その提出第一稿が、このストーリーだったのですが、
『ガンダム映画化委員会』とも言うべきインべスターの審査にかけられた時に、
このシナリオについて各種の意見と批判が出ました。

その中で、最も重要な意見は、この小説になっているテーマは、
モビルスーツ否定であるという指摘でした。
当然、それは、小生の目論みでありました。

しかし、ガンダムは、モビルスーツの玩具が売れ、それによって厚い市場が形成され、
映画を制作する資金が提供されているのです。
その現実的な基盤を、作品そのものが否定するのであれば、
出資者たちが映画制作を拒否して当然です。
これは、立場が違うから仕方がない、という性格の問題ではありません。
小生が、夢を追いすぎたのは、認めざるを得ませんでした。

さらに、もうひとつ、小生に鉄槌を下した意見は、
『映画で、アムロの結婚した姿は見たくないなー』というものでした。
この意見は、世俗的でくだらないと思う方もいらっしゃるでしょうが、
小生には、映画を制作企画する上で、もっとも重要な意見と思えて、
最重要ポイントとして採用させていただいたのです。

小生がそのように直感できたのは、映画という媒体の性格に対して、
その意見と同じような思いがあったからです。
しかし、思いがありながらも、できないのが小生なのです。
映画は、オープン・エンターティメント、つまり、大勢の人が一緒に見て、
パーッと楽しめるものでなければなりません。
過去には、日本も文芸映画といわれるものが受け入れられた時代もありましたが、
時代が変れば、企画の発想は、根本的に変えなければなりません。

ニ十年前の映画企画レベルは、現代ではテレビかビデオ、
ミニシアター、ケーブル・ソフトで毎日のように公開されて、
しかも、その表現のレベルは上がっています。
しかし、かつて基幹産業的な性格を持った映画会社は、
優等生しか入社させませんでしたから、その優等生たちが芸術を振り廻し、
栄光の時代から抜けだせない習い性の映画が制作され続けたのです。

もちろん、映画界の柳の下にどじょうが二匹的企画も変りませんが、
問題は、体力がなくなった人々には、スピルバーグの真似はできないという点です。
この体力こそオープン・エンターティメントをやってみせるという気概になります。
勿論、ガンダムは、まだそういうレベルを語れるものではありませんが、
それを目指したいと夢を見ているのです。

映画のヒーローは、丹下左膳からランボーの時代まで独身であり、
俳優が変っても同じジェームス・ボンドでありシャーロック・ホームズなのです。
年齢も顔も関係がなく、素敵に恋をし、冒険をしなければなりません。

なぜならば、映画は、現世に疲れている人々が、チョット気晴しに見るものなのです。
プロパガンダ映画ほど、危険なものはないのです。

まして、ガンダムはロボット物です。
その主人公が、劇中の誰かさんの所有物になって、
『生活』をしたのでは、見る必要はありませんし、
さらに、PTAから顰蹙を買うくらい戦闘シーンがなくてはならないのです。
小生は、戦闘については、この原則を忘れなかったつもりですが、人物については、
ガンダム世界は、進化していく人間の物語ですから、その行きつく先が、
『物否定』『マシーンの否定=モビルスーツ否定』になってしまうのです。
これが『アムロの結婚否定』の感想の意味なのです。
これでは、インべスターに対しての糾弾映画になる危険さえあるのです。

それで何が起るのでしょうか? 何も起りません。
次のガンダムはなくなり、小生自身も、ガンダムを作ったということで手に入れた
小さな成功まで否定することになります。

さらに、重要なことは、ガンダムのファンの存在が教えてくれた、
現実のなかにもニュータイプ的な感応を得させるものがあるという事実、
それさえも否定することになりそうな危機感意識を持ちました。

つまり、個人の思いだけで、映画を作ってしまうという危険を、
この指摘から承知したのです。
この認識は、小生にとっても、みなさんにとっても、
まちがいなく次のステップになるという確信があります。

そのために、小生は、映画版の改訂を快く行ない、
ガンダムの成功をより拡大したいと願いました。
映画は、個人のものではないのです。
一人の監督、一人の原作者の意思だけで製作されてはならないのです。
この考え方が先に述べた『体力』ということになります。

ガンダムの生み出したマーケットは、単に興業としてのマーケットの問題だけではなく、
ガンダムを存立させている『場』の真の意味を知ることができれば、
新しい映画の復権だってあり得るのではないかとうぬぼれているのです。
そして、小生もその末席にあって、それを発見し、
次の機会を手に入れたいと願っているのです。
ですから、この仕事から、小説と映画の仕方の違い、
個人と集団の仕事の仕方の違いといったものを見抜いて下さったら嬉しいのです。

故に、ここに収めたものは、ノベルスの形態にのみ許される方法であって、
厳として、映画になるフィールドではないということを、
若い読者には知っていただきたいのです。

しかし、個人という動物の欲は、深いものです。
本来描きたかった自分の中のガンダムを、
このような形で上梓する機会を与えて下さった関係各位には、
心から感謝いたすとともに、この一文を読んでいただいたことに、
本当に、心から御礼申し上げます。
 
                              昭和62年11月5日
215通常の名無しさんの3倍:03/05/03 00:22 ID:???
うp終わり
>>196-202と併せて読むと面白いんじゃないかと
216通常の名無しさんの3倍:03/05/03 00:53 ID:oSud3uRk
サンクス
なんて謙虚な御大(w
217通常の名無しさんの3倍:03/05/03 01:06 ID:???
>>215
オツカレ様
>そのために、小生は、映画版の改訂を快く行ない、
>ガンダムの成功をより拡大したいと願いました

ここは>>196-202読んじゃうとちょっと文字通りには受け取れないね。
218通常の名無しさんの3倍:03/05/03 03:36 ID:???
>>215乙です。
やー逆シャアその当時としての建前と
2002年末の時点で言える本音みたいなものの
コントラストが出てて面白いです。

インタビューを書き移す時には>>183を思い浮かべながら作業すると
脳内富野率が非常に高くなっていいです。マジで
219通常の名無しさんの3倍:03/05/03 03:58 ID:???
>>183
not foundになっちゃったね。漏れは頂いたからいいけど。面白かったよ。
220名無しさん@Emacs:03/05/05 17:01 ID:???
sage
221通常の名無しさんの3倍:03/05/05 21:43 ID:???
今売ってるザ・スニーカーでは、
逆シャア小説群は完全にマスターベーションの類の物だったみたいな事言ってるね。

閃光のハサウェイは富野小説の中で一番「小説」に近づいた作品だと自負しているらしい。
そして逆シャアの小説がアレより売れてる事にむかついてるそうです。
今の御大にお願いすれば多分映像化にGOサイン出るんじゃないかな。
執筆した当時の事良く覚えてないらしいよw
222通常の名無しさんの3倍:03/05/05 22:30 ID:r0fO2YPb
ランバラル並に実直で世渡りが下手な御大萌え・・・
223通常の名無しさんの3倍:03/05/06 00:18 ID:???
堂々と転載してるけどこのスレもろ著作権に引っかかってないか?
224通常の名無しさんの3倍:03/05/06 00:35 ID:???
転載じゃなくて引用です
225通常の名無しさんの3倍:03/05/06 00:43 ID:???
全文引用=転載だとおもうけど、判例的にはどうなってるのかな?
226通常の名無しさんの3倍:03/05/06 01:14 ID:???
ヤバいです。だからsage進行だし、容易に入手できるものは載せないという暗黙の了解がある。
227通常の名無しさんの3倍:03/05/06 01:31 ID:???
ヤバイと思っても聞かないで下さい。
228通常の名無しさんの3倍:03/05/06 10:06 ID:???
オタクがニュータイプになれないワケ 富野由悠季
“鉄仮面”は彼ひとりではない。それは−

今回の「F91」は、基本的に敵方にあたるクロスボーン・バンガードの理想を描くことがテーマになっています。
特に僕自身の性格を反映している鉄仮面という男は、我ながらよく作ったキャラクターだと自負しています。
鉄仮面は、「F91」でフロンティアサイドの4つのコロニーを制圧し、そのうちのひとつを無差別殺人マシン、バグの実験場にします。
彼は心から大衆に絶望しているので、地球圏の環境を回復させるために、人口の大幅な縮小を考え、実践した。
今後の労働力と、資源、資金に関しては、フロンティアサイドと木星輸送船サウザンス・ジュピターをおさえたことで、
十分にC・Vを機能させてゆくことができるでしょう。
この虐殺によって、C・V=悪という図式が他のスペースコロニーに広がるかというと、そうでもない。
コロニーという隔離された環境は、現在の中東に対する日本仁のメンタリティと同様に、
バグによる殺戮も対岸の火事といった趣にとどめてしまう。
支配者にとっては情報操作をしやすい独特の地域性があるわけで、
万一バグの件が他のコロニーに噂となって流れても、実感をともなった物にならないでしょう。
人間は弱い生き物ですから、「おまえのコロニーにバグは向けないよ。そのかわり・・・」
という支配の方法を取ることが出来る。
こうした支配者に有利な環境を利用して、「F91」以後にC・Vに現れるであろう第2の鉄仮面は
独立国家コスモ・バビロンを統制してゆくことになります。
そう、鉄仮面は彼(カロッゾ)一人ではない。
ここがスター・ウォーズのダースベイダーとは違う部分で、続編を作る上でたいへん巧妙な設定になっています(笑)。
229通常の名無しさんの3倍:03/05/06 10:12 ID:???
今後は、コスモクルスなどの宗教組織も使って、彼は社会変革をめざす。
ああいう無機質な外観を持ったキャラクターは生なイメージを与えないと絵空事になってしまう。
ですから鉄仮面にはなるべく直接的な言葉を使わせました。
特に「私は妻を寝取られた情けない男だ」というセリフを生み出せた時に
「あ、鉄仮面ができ上がった!」と感じました。
そのセリフが出るまでは苦しかった、本当。
 一方ヒーローとヒロインは、今回は紹介のみにとどまっている。
ただひとつ明確なのは、アムロを見つけた時と同様の感覚が、シーブックの登場に感じられるということ。
今から12年前、当時はまだ潜在的な存在だったオタク的(あまりこの言葉は使いたくありませんが)
少年の出現を僕なりに予見したのがアムロという少年でした。
つまり僕自身の少年時代に似た少年です。
それに対してシーブックは、僕が、「こうありたい」と思っていた少年に近い。
アムロが’78年の現状認知ならば、シーブックは’90年代の希望です。
230通常の名無しさんの3倍:03/05/06 10:21 ID:???
僕のアイデアではなく、時代の要求から生まれたキャラクターという気がする。
今、「アムロの世代」の少年が成人していますが、あまりにも自己中心的なまま社会に出てしまい、
周囲と順応することができない一部の大人は、普通の…まともな青少年が現れた時に
追い抜かれる可能性がある。
特に新団塊の世代といわれる今15〜19歳くらいの少年少女は、
その成長段階で自然に社会適応力を鍛えられているので、
彼等の中からはシーブックやセシリーのような力を持つ人々が出てくるでしょう。
そんな時、「大人になったオタクたちはさあどうする?」という局面が必ず出てくる。
シーブックやドレルが「F91」の中で見せる行動と、それに対する大人たちの反応は、
それを予見していると思います。
ガンダムみたいに「歴史」を持っている作品には自然にそんな世相が反映されるものですね。
僕自身、自分のオタク的な心根をよく自覚していますので、ある時期徹底して自己改革を行ったわけです。
若い人は居心地よすぎる環境に浸りきっていない方がいい。
もっとも、日本もこれからは経済的に苦労する時代がくるでしょうから
その部分に関してはあまり心配していません。
「F91」は日本社会の動きの線上に乗ったいい仕事になった実感があります。
ロボットものを見て湾岸戦争を考えろなんて口が裂けても言えません。
でもロボットものだからこそ素直に語れるメッセージもあるわけで、
自分の在り方を考えるきっかけにはなりますよ。(談)

   (月刊ニュータイプ1991年4月号より)
231通常の名無しさんの3倍:03/05/06 11:11 ID:???
おつかれ。
前スレ935氏がアップしてくれたF91LDのインタビューと
鉄仮面やシーブックに対する物言いに共通する部分がありますね。
232通常の名無しさんの3倍:03/05/06 15:24 ID:???
日本仁のメンタリティ

日本人のメンタリティ

でした。スマソ。
233通常の名無しさんの3倍:03/05/06 20:40 ID:???
>>223-225
マターリ進行だったスレに何か変だな?と思ったら
シャア専用ポータルでここが晒されていたからなんだよ

http://char-custom.net/
2003/05/05 (Mon)
;゚д゚) <シャア板復活したらしいよ

小説版逆シャアの後書き比較アニメージュ文庫版ハイ・ストリーマー(1988年)
ベルトーチカ・チルドレン(1988年)
徳間書店デュアル文庫 ハイストリーマー三巻(2002年)

正直、荒し依頼に等しいポータルでの紹介は辞めて欲しいな
ポータル作ってるアンタだって、優良スレが潰れるのは嫌だろう?
人に教えて広める行為というのは一見楽しいかもしれないけど
自己満足だけが加速して、自分の楽しみの場を潰す事もあるんだぜ
という事も分って欲しい

234通常の名無しさんの3倍:03/05/06 21:02 ID:???
>>90-96
凄い!オニモット最高!

なんか感動してしまった。
こんな文章も書けるんやねぇ。
235通常の名無しさんの3倍:03/05/06 21:10 ID:???
>>233
著作権関係のツッコミは過去1スレにつき1回は入ってる
それでもたいして荒れたりしないで
このスレまで続いているわけだから、そう気にしなさんな
236通常の名無しさんの3倍:03/05/06 21:12 ID:???
>>233
あそこで曝される事の良し悪しは別として、コンスタンスにこのスレの
こと取り上げてますよ。あそこは。
自分も前スレの段階であそこからここに来た口ですが、雰囲気
変わったとは思わないのだけれど・・・
237通常の名無しさんの3倍:03/05/06 22:52 ID:???
>今後の労働力と、資源、資金に関しては、フロンティアサイドと木星輸送船
>サウザンス・ジュピターをおさえたことで、 十分にC・Vを機能させてゆく>ことができるでしょう。

……おいおい、いくら何でも大まかすぎですよ、御大。
ガンダム見てるといつも「こいつらなんで飯喰ってんのかなぁ」と
不思議になるでよ。
238通常の名無しさんの3倍:03/05/07 00:44 ID:???
>237
どの程度細かく書けば「間違ってない」記述になりますか?
239通常の名無しさんの3倍:03/05/07 03:22 ID:???
183氏は、まだこのスレ見てます?
落とせなかった人もいるだろうし、内容が濃くて面白かったから、
富野×神谷対談を文字に起こそうと思うんだけど、いいだろうか?
240通常の名無しさんの3倍:03/05/07 04:14 ID:???
>>239
オレは落としてみたけど、がんがれ!!

でも、むっちゃ長い気がするなぁ。
241通常の名無しさんの3倍:03/05/07 07:25 ID:???
>>239
大変だろうけどぜひおながいします。見たかったのに消えてたんで。
242183:03/05/07 08:33 ID:???
>239

183に置いたファイルは三日と持たずに削除されちゃったみたいだし、
いいんじゃないすか?

って言うか、俺みたいに映像アップするより
文章に起こす方がよっぽどいいと思います(w

一応データ補足しておくと、
あれは二年位前にスカパーのファミリー劇場で
ライディーンが始まった時の番組宣伝を兼ねた特番。

ピー音が入ってる所は、唇の動きから「おめこ」
もしくは「おまんこ」だと思います(w
243通常の名無しさんの3倍:03/05/07 08:56 ID:???
富野ならおまんこだろう多分、おめこは関西系の人が言うと思う
244239:03/05/07 13:06 ID:???
許可がいただけたようなので、がんがってみます
では近日中に!
245通常の名無しさんの3倍:03/05/07 13:08 ID:???
耳が聞こえない俺のためにがんがってくれ!
246通常の名無しさんの3倍:03/05/07 17:50 ID:???
ちんぽに皮かぶってる俺のためにもがんがってくれ!
247通常の名無しさんの3倍:03/05/07 18:36 ID:???
最近下痢気味の俺のためにもがんがってくれ!
248通常の名無しさんの3倍:03/05/08 09:47 ID:???
つ●ぼと仮性●茎と下●症がエールを送るスレはここですか?
249通常の名無しさんの3倍:03/05/08 09:55 ID:???
>>248
そういうことを平気で書くのか、君は!







真性かもしれんだろ?
250通常の名無しさんの3倍:03/05/08 09:57 ID:???
>>249
そんなものにいちいちレスするなよ、君は!
〜ナレーション〜

神秘の力が、今、よみがえる。
巨大ロボットアニメブームが巻き起こっていた1975年。
1本のTVアニメがスタートした。
現在まで、独自の存在感を保ち続けているその作品は、『勇者ライディーン』!
その総監督である富野由悠季氏と、主人公ひびき洸役の神谷明氏による、夢の対談がついに実現。
制作当時の秘話や、クリエイターたちの迸るエネルギーを、存分に感じて下さい。

『勇者ライディーン』特別対談 富野由悠季 VS 神谷明


神谷 大変ご無沙汰をしております。
   ええとね、3年ぶりぐらいだと思いますけど。

富野 スキー以来とか(笑)。

神谷 そうなんです。最近は、富野監督とは、仕事場でお会いするよりも、
   遊び場でお会いすることの方が多いという感じで(笑)。
   で、やっと、なんて言うんですかね、富野さんと普通にお話しを、
   できるような場所ができたという感じで。

富野 はい。それはありますね。

神谷 まあ、『ライディーン』当時というのは、
   もう恐れ多くて、とっても僕なんかは近づけないというか。
富野 あのね、だからそれは実を言うと僕の立場もまったく同じで、
   神谷さんを指名したにもかかわらず、結局、現場で、スタジオで、
   話をしたっていう記憶がないんですよね。
   今日ここに来るにあたって、昨夜ちょっと当時の日記を調べてみたら、
   僕ね、あの頃の制作が本当に状況が厳しかったんで、
   アフレコにほとんど顔を出してないと思ってたんです。
   そしたら、5、6回といわずアフレコに行ってるらしいんですよ。
   
神谷 僕はね、いらしていたと思うんですよ。
   ところが今は、スタジオにいて、副調整室によく行って、
   みなさんと交流してるんですけど、当時は、あまりそういう機会とか、
   システムみたいなものがなかったですよね。

富野 なかったということもあるし、あともう一つ、絵を作るスタッフサイド側から見た時の、
   音響スタッフと、それから役者さんっていうのは、
   今ほど、つまり、声優っていう認識はありませんでした。
   だから、役者に対して、自分たちが演技指導ができる立場じゃない。
   つまり、役者が演技論で言うと上だ、という意識がものすごくあった。
   それから、あと具体的に、僕に関して言えば、
   具体的な演技の注文がつけられなかったんで、キャスティングの段階で、
   こういうふうな組み合わせにしておけばいいだろうっていうところで、
   ほとんどの仕事が終わってしまったっていう印象があるんですよね。

神谷 なるほどね。
   でね、実はまずね、今日お伺いしたかったのは、
   先ほどチラッと出てきましたけれども、
   なぜ僕があの役にキャスティングされたのか?
富野 いや、だから、それについて言うと、
   当時まだ、今ほど選択肢が多くなかったってことが当然あります。
   それから、いわゆるその、俗に言うヒーローを張れる、
   つまり、張れる声、を出せる人としての神谷さんの印象しかなかったような気がする。
   ただ、あともう一つあったのは、そうは言っても、
   ロボット物なんだけれども……ロボット物だから、
   武器の名前とか、必殺技を叫べる、っていう声量を絶対的に要求する。
   だけれども、怒鳴る奴だったら、ひょっとしたらあの当時だって何人かいるだろう。
   その中で、やっぱり言葉をしゃべれる人っていうことを、
   僕はすごく意識したような気がする。

神谷 ああ、そうですか。

富野 ええ。ていうのは、……少しは声優っていう言われ方が出始めているんだけれども、
   声優の声でない人を選ぼうっていうキャスティングを、すごく意識しましたよね。
   だから、その真骨頂が、相模太郎さんみたいな、
   本来、講談師──浪花節か、あの人──みたいなものをOKしたっていうのも、
   そういうことだったんじゃないのかなっていう気がしてます。

神谷 でも、当時のキャスティングを、今思い返してみると、
   たとえば、猿丸の西川幾雄さんとか、あと桜野マリの高坂眞琴ちゃんとか、
   僕らにとってみれば、ちょっと年齢が上だったり同世代で、
   すごく和気あいあいと、スタジオで楽しくお仕事ができたんですよね。
   で、今でも思うことなんですけれども、すべてのスタッフが、
   その作品で一同にまみえるってことは、なんか、
   言ってみると奇跡的な出会いのような気がするんですよ。
富野 うん、そうですよね。嫌な言い方なんだけれども、アテレコの現場で、違う人?
   をこれだけ積み上げていって、何かをやっていくっていうのは、
   僕は、初めはアテレコしかさせられなくて申し訳ないっていうふうに、
   役者さんに本当に思った時期があったんだけれども、
   ある時からどうもそうじゃなくって、違う体験?をできる場として、
   決して無意味なことではないんじゃないのかな。
   と思いはじめたっていうのは、それはありますね。
   だから、それは『ライディーン』の時に、初めて感じましてね。
   で、そうなってきた時に実を言うと、僕が一番気にしたことがあるのは、
   やっぱり『ライディーン』で、役者に対して、今度は演出家として、
   いわゆるその、演技の注文をできない。
   演技の注文ってのはどういうことかっていうと、
   そのセリフはそういうふうにしゃべっちゃいけませんよ。
   ていうそのていどのことじゃなくて、一つの人格を作り上げていくための、
   つまり、演技指導とか、演技論てのがあるんだろう。
   それに対しての言葉を、何も持ってなかったってことを、
   本当に骨身に沁みて知らされて、やっぱりその、本来演技をするという演劇?
   に近いものを、フィルム上でもフィックスするっていう仕事を覚えさせてもらえたな。
   ていうようなことも、僕にはあるんで、『ライディーン』てのは面白かったな、って。

神谷 そうやって考えますとね、たとえば当時は、
   新人をとりあえず核に置いて、ベテランを配するという、
   そういう理想的なキャスティングができた時代だったと思うんですね。

富野 では、ありますね。
神谷 そんな中で、つまり新人の僕としては、井上真樹夫さんの格好いい芝居とか、
   市川治さんの、やっぱりその、敵役のね、お芝居とか、そういうバイプレーヤーでも、
   そうとう力のある方がゲストで来られたりとか、いろいろしていたと思うんですけども、
   そういう方たちから学んだことってのは、ものすごく多かったですね。

富野 ああ、なるほどね。その辺は役者サイドの立場に立てないんで、
   よく分からないんだけれど、演出の側で言うと、
   結局そういうベテランの方にもお願いするっていうことで、なんていうのかな?
   アニメのフィルムってのは基本的に二次元の薄っぺらいものじゃないですか。
   その薄っぺらいものに対して、つまり、世界観みたいな、三次元?にするために、
   そういう役者の配置にしなくちゃいけない。
   つまり、一元的な声しか聞こえてこない、演技しか聞こえてこないものの構成では、
   それは、ドラマとか、芝居っていうのは成立しないんだっていうことです。
   それだけのことです。ですから、ああいう形で、
   キャスティングをしてもいいもんなんだってことを教えられて。
   ああ、やはりお芝居の世界っていうのは、
   極端な言い方をすると、どんなチープなものであっても、
   それは、三次元に組み立てていく時には、役者っていうのはこういう覚悟をもって、
   こういう場に臨んでくれるんだ、ってことを教えてもらえた。
   て意味では、本当に、あの、『ライディーン』の時に、本当に(教えてもらえた)、
   だから、かなりアフレコには出てた。
   ただ、その時には録音監督任せにしちゃって、ただ黙って、
   こうなんだ、こうなんだ、こうなんだ、ってことを勉強させてもらったってのは、
   僕にとってのあのスタジオだったんですね。
神谷 僕も当時は、本当に演じることに一生懸命で、余裕なんてのは本当になかったんです。

富野 いや、それは信じられない(笑)。

神谷 本当ですよ。で、最近ですね、今、富野さんがおっしゃったようなことを、僕らも考えて。
   つまり、作り手の立場になって、自分がどう演技すればいいのかっていうことを、
   考えられるようになったというか。それは15年以上かかりましたね。

富野 ああ、そうですか。だから、本当にねぇ、
   一つはヒーロー声っていうことがあって、僕なんか誤解してたんでしょうね。
   もう、かなりベテランっていう認識しかなかった(笑)。

神谷 そんなことなかったんですよ、はい。

富野 (ベテランという認識)しかなかったんで、それは違うだろうってことは、
   たとえば僕は、神谷さんに、あの当時は言えなかったっていう……(笑)。

神谷 本当ですか?(笑)

富野 それだけは覚えてる(笑)。

神谷 そうですか。
〜ナレーション〜

1975年の『勇者ライディーン』放映開始当時、
TVアニメはまだ、現在のような市民権を得てはいなかった。
アニメが、子供だけのものでないことを知らしめた名作、
『宇宙戦艦ヤマト』や、『機動戦士ガンダム』が、ブレイクする以前の時代である。
そのような時代、ロボットプロレスというレッテルを貼られていた、
当時のロボットアニメから飛翔し、新しい流れを生み出そうとしたのが、
富野監督ほか、野心的なスタッフたちである。
しかし、スタートの時点では、放送するTV局も決まってはおらず、
混乱した状況の中での、船出となった。
監督の当時の心境は、いかなるものであったのだろうか?

──『勇者ライディーン』を手がける事になった経緯とは?

富野 その、ロボット物の総監督をやるという意味では、
   それは、つまらない仕事だとは思っていませんでしたんで、
   それでは、とにかくうれしかったんだろう。
   それで、むしろ日記になにも書いてないってことは、
   一つはっきり分かることがあるのは、ものすごく忙しくなった。
   基本的に、ロボット物が好きでアニメの仕事をしたわけじゃありませんで、
   もともと映画をやりたかった人間が、結局、就職ができなくって、
   TVアニメの仕事になってしまった。
   それで、TVアニメの仕事も、きちんと続かなくって、フリーになってしまって。
   で、フリーで今度は食ってく……食べてくためには、
   どんな仕事でもやるってテーゼでやってましたんで、ロボット物であろうが、
   今で言う──女児物っていう嫌な言い方があったんですけどもね──女の子向けの物でも、
   いや、もっと小さいチビ向けの物でも、仕事はなんでもやりました。
──他のロボットアニメを意識していましたか?

富野 基本的にオリジナルストーリーを、
   鈴木良武っていう、メインのシナリオライターが書いてました。
   で、書いた上に、じゃあそれをどういうふうに、
   言っちゃえば、作品化していくかっていった時に、
   面白いからやってみようっていうふうに、受けて立ったっていう気分があります。

神谷 あ、そうなんですか。

富野 はい。で、それこそ何度も仕事をやったっていうことは、逆に言うと仕事師です。
   ですから、当然その、まあ、『マジンガーZ』っていうのが出てきて。
   巨大ロボット物として、『鉄人28号』がちょっとショボイ番組でしかなかった。
   それで、『マジンガーZ』がそれなりに形になってきた時に、むしろその、
   原作者の永井豪さん──今でこそ“さん”付けで呼びますけども──を含めて、
   永井豪っていう若僧が出てきて、それの原作で、東映動画みたいな大手が、
   巨大ロボットをやるってことが、ものすごく悔しかったっていう思いがある。
   だから、それを乗り越えるためにはどうするか?
   そして、もうその時には『ゲッターロボ』っていうのが始まってましたんで、
   そうですね、『マジンガーZ』から3本ぐらい東映動画がやったのかな?
   なので、2番手になるわけです。
   2番手で、つまり、先発部隊をどう潰すかとか、
   乗り越えるかっていう……仕事師ですから、そういう意気はあった。
   だから、むしろその初めてのロボット物であるからどうのこうのっていうのは、
   一切なくって、仕事として、東映動画をどうやって乗り越えるか?
   といった時に、ああ『ライディーン』は面白そうだな、と思ったってのは事実です。
──ロボットアニメを通じて表現したかったものとは?

富野 それはね、物語を作るっていうことと、ロボット物をやるってことは全然違うことでして、
   もともと物語を作るということが、課題としてありましたから、
   それは、なんて言うかな、考えないんです。ハナからそれが大命題ですから。
   で、それを、つまり、ロボット物を使って、
   どこまでできるのかっていうふうに考えるわけです。
   で、その辺が、おそらくこの10年で出てきたスタッフと、根本的に違うとこなんです。
   ロボット物を何とかしたいじゃないんです。
   物語を作る上で、ロボット物をやらざるを得ない。
   それを利用して、じゃあどういうふうに物語を作るか。
   ていうことしかありませんでしたし、原作である鈴木良武さんもそういう世代でしたから。
   東映動画がああいうふうにやってる。それから新人のマンガ家で、
   よく分かんない永井豪みたいなマンガが、こういうふうにやった。
   だったら、俺たちだったら、こうやってみせる!みたいな。
   まず、そこから始まってました。
   最低限このていどの作家性を持たないと、ものは作っちゃいけない!と、それだけです。
   だから、マンガありきで、たとえば始めて、TVアニメを作るのかと、
   それはもうマンガ家に対しての敗北だろう、それだけのことです。
   
神谷 ああ、いや、でもその、……多分、気概を持った方が、   
   あの時代に、多分いらっしゃらなかったんじゃ……。

富野 違う、違う、違います。それは違う。

神谷 そうですか。

富野 そういう奴しか、いませんでした。
   で、そういう人たちが上手に仕事ができなかったから、
   歳とってから、みんなで、ダメになってくじゃないですか。
〜ナレーション〜

原作者の鈴木良武氏が目指していたものは、神秘的な世界観だった。
オカルト的な要素を採り入れることによって、
作品に摩訶不思議な魅力を与えようと考えていたのである。
富野監督もまた、鈴木氏の意向を受けて、巨大ロボットアニメと、
オカルティズムとの融合に取り組んでいた。そこには、当時一世を風靡していた、
『マジンガーZ』の真似だけはしたくないという、強い意志があったからだ。
しかし、基本設定が決まり、第1話のフィルムが完成しようかというその時、
スタッフに、新しい要求が課せられた。富野監督の思惑とは、180度違う路線の変更である。
もっとメカニック的要素を増やし、子供たちを喜ばせようとしたのだ。
富野監督は、27話を境に降板。
『勇者ライディーン』の基本コンセプトは、大幅な軌道修正を余儀なくされる。
結果的にこの作品は、奇しくも、二人の偉大な演出家を引き合わせた。
後任は、長浜忠夫監督。

──監督降板劇について…
   
富野 あのう、どうってことないんですよ。
   つまり、仕事をしていく上で失敗したら、それは降ろされるって、それだけのことです。
   
神谷 失敗があったんでしょうか?

富野 僕の立場では、失敗は一切なかったんです。
   が、途中で、要するに失敗になるような原因が、具体的に3話目ぐらいから、
   具体的な要望が入ってきまして、全部失敗する要因が、注文として入ってきたんです。
神谷 それは局側の方から?

富野 はい。で、そのために、それで路線変更しなくちゃいけなくなってきて、
   その路線変更を上手にすることができなかったために、降ろされたんです。
   それだけのことです。

神谷 ああ、そうなんですか。

富野 ですから、『ライディーン』の1話っていうのだけは、間違いなく、
   まだ、いわゆる強権力の入る前でしたから、極めて、極めてオリジナル的な、
   気分が残っているっていう、そういう作品になっているんです。
──その対処策とは…

富野 ガンテの話が出れば簡単に言えるんですけど、
   つまり、ガンテとか、ドローメのようなものを出してもらっちゃ困る!って、
   フィルムを作ってる時に言われたんです。

神谷 えっ!あれが一番面白いのに。

富野 はい、そうです。ですから、そういうこと言う人たちは、
   はっきり言ってバカだ、ってことです。それだけのことです。
   だけど、ビジネスってのはそういうもんですから、腹は立ちませんでした。
   ああこれが現実なのか、事実なのかって……。
   でも、しょうがないや、じゃないんです。このしょうがないのを、どういうふうに、
   しょうがなくしないようにするか、っていうことをやってみたんだけれども、
   なんせ初めて──初めてでなくて2本目の作品──でしたから、まあ上手にできなかった。
   上手にできないから、ほとんど途中で、一度切ったはったみたいなところまでいきました。
   で、切ったはったみたいなところまでいったときに、
   やっぱ権力がある方がそりゃ勝つわけだから、
   そりゃ僕は降ろされますって、それだけのことです。
──失敗から得たモノとは?

富野 その時代の空気?が、まだ、あれをやるのは早かったっていうのはあります。
   
神谷 ああ、そうかもしれないです。

司会?らしき女性の声(以下、司会) 富野さんの先見の明があったってことじゃないですか?

富野 それは違います。やっぱり『ライディーン』をやって、
   そういう現場的なことだけじゃなくって、その時代?みたいな、
   空気感みたいなことを、やっぱり読めよ、ってことを教えられたってのはあります。
   だからやっぱり、個々の、プロダクションの、あの制作の人間たちがバカだとか、
   局の担当プロデューサーがバカだとか、スポンサーがバカだとかっていうのとは、
   ちょっと違いますね。
   で、個々の立場の中での、確かに視野は狭い中での発言かもしれない。
   それからあとは、ビジネスだからこう言わざるを得ないって立場もあるわけ。
   で、そういうものを作り手ってのは、全部こうやって寄せ集めていって、
   トータルにしてまとめたところで、じゃあ次に何が出せるか、っていうことが、
   作り手ってのはそれができるんです。で、それを教えてもらった。
   僕はそういうことがあったおかげで、その後、
   『ライディーン』をオンエアした局のプロデューサーとは友達になって、
   別の仕事を、助けてくれってんでいっぱいもらいました。
──これからロボットアニメを作る人達へメッセージ

富野 だからものを作るっていうのは、少なくともTVアニメの仕事を通して、
   僕の場合、ものを作るっていうのは、こういうことなんですけれども、
   自分の好きな、気分だけで作ってない、作れないんです。
   やっぱりそういうものを読んで、作っていったっていうのが、
   僕にとっての、『ダンバイン』までの経緯ですね。
   だから、スポンサーの都合だけでもないし。
   その、ある都合はいただく、オファーはいただく。
   その上で、じゃあ今何やるかっていった時に、こういうアレンジをさせてもらいますよ、
   みたいななことは、やってきましたから。
   むしろその、ロボット物っていうのを、
   こういう形で利用させてもらえる媒体になったとか、そういう媒体であった、
   利用させてもらえる媒体にしたっていうことを、
   むしろ若い人ってのは、見抜いていただきたいなって。
   今は逆なんですよ。ロボット物を好きだから、たとえばアニメをやるとか、
   アニメが好きだから、こういうのをやってみたいっていうように考えているんだったら、
   それは、その媒体の枠以上のものは絶対に作れない。
   もっと急いだ言い方をすると、アニメが好きな人とか、ロボットとかメカが好きな人が、
   アニメを作ることはやめていただきたいっていうのが、僕の基本的な考え方です。
神谷 この、『ライディーン』っていうのは、
   当時、僕、平行して『ゲッターロボ』というのをやっていたんですが、
   ああいうその、永井さんのお作りになったロボットアニメーションのロボットと、
   また、ちょっとこう、違った印象があるんですね。
   その辺りってのはやっぱり、そうとう意識なさいました?

富野 もちろんです。むしろその、『ゲッターロボ』の後発作品だったっていう認識があったし、
   逆に言うとその先発が見せてくれてるものがあって、たとえ子供向けのものでも、     
   それだけで、気がすんでちゃいけないよ、物語を作る側は、
   ていうことがあって、本当にあの、それを意識して演出したってことはありますね。
   たとえば、ああ(モニターを指差し)現にこういうようなとこの、
   芝居じゃないんだな……その、こういうシーンをなぜ作ったのか?
   ていうことに関して言うと、たとえば全部が絵空事のSFの、
   SFっぽい背景でいいのかって時に、そうではないだろう。
   で、やっぱりその反射望遠鏡を見るっていうのは、実を言うと、
   脚立の上に乗って見るんだよ、っていうようなダサイところもある。
   それが、実を言うと生活感?を出すことにつながるし、
   さっき言った役者の選定と同じなんですよ。
   物語ってのは、SFだから、巨大ロボット物だから、
   一面的な世界でいいのか?って時に、そうではないだろう。
   だから、だからやっぱり『ライディーン』で本当に間違いなく意識したのは、
   こういう日常的な景色と、それからあと、食事をするシーン……物を食べるシーン?
   ていうものは、きちんと入れなくちゃいけないってことは、本当に意識しましたし、
   本当は、お風呂にも入る、それから寝る、それからトイレにも行くっていうことも、
   本当は劇中に取り入れなくちゃいけないってことを、本当に意識したのは、
   この作品の時なんですよね。
神谷 ああ、そうですか。僕ね、まったく同じことを考えてて、前半後半て、
   監督がお代わりになって、僕としても両方にとても印象を持ってるんですが、
   前半は、とにかく生活感があった。それと同時に、やっていてそれが楽しかったんですよ。

富野 うん、分かります。

神谷 つまり、ひびき洸は子供なんですよね。
   で、みんなと一緒にサッカーに興じたり、スカートめくりしたり、
   日常的なキャラクターとして描かれていた。
   それがやっているものとしても、いわゆる等身大として感じられて楽しかった、と。
   ところが後半は、ストーリー展開で、
   もうグイグイ、グイグイ母物で押していったじゃないですか。
   そうなっちゃうと余裕が、なんかなくて、ただもう闇雲に、
   ガンガン、ガンガン戦ってるというね。

富野 うん。というふうに感じられるのも当然あるし、
   逆にそれこそ前半で降ろされた立場でいった時に、
   後半の方も何本か演出、っていうよりもコンテの段階で手伝ったりして、
   分かったことがあるんですよ。
   僕のような『ライディーン』の在り方もあるんだけれども、
   本来、お楽しみ、つまり、エンターテインメントとして考えた時の、
   ああいう突っ込み?っていうのは、やっぱり悪くはない。
   むしろ、作り物の世界?っていうのは、こういう骨太の物語でいいんではないか。
   ていうことも、僕自身は教えられた。

神谷 ああ、そうですか。
富野 ただ、問題なのは──ああ、問題なのはじゃなくて──重要なのは、
   後半の長浜節に対して、一つだけ僕は、意義申し立てがずっとあったのは、
   そうは言っても、日常感ってのは必要だろう。
   つまり、これだけ母物で押していったにしても、やはり飯も食うだろうし、
   朝も起きるだろうし、トイレにも行くだろうしっていう部分が、
   本当はもう少しあった方が、TVのルックスには似合うんじゃないのかな、
   ていうのがあったってのがあります。
   僕はその後、『コン・バトラー』もそうですし、『ダイモス』もだな。
   かなり仕事を、演出まで含めて、手伝わせてもらって。
   やっぱり、本来、演劇的なものってのは、作り物的なところもあるじゃないですか。
   といった時に、僕はね、それは全否定はしませんね。
   むしろ、また時代が下がって、この最近の10年ぐらいでいうと、
   そういう意気がなくなりすぎてしまった。
   つまり、日常がどうも嘘八百の絵空事が多いために、本来、物語でやるべきことも含めて、
   日常で体験しちゃってるからなんでしょうね、若い人たちが。
   本来、劇にそういう力がなくなったんじゃないのかなって気が、
   すごく僕は、むしろしてますね。


神谷 このライディーンの格好ですよね、非常にスタイリッシュで、
   洗練された印象があるんですけれど、これなんかもそうとう意識された?

富野 いや、僕はライディーンのデザインがフィックスされるまでは、
   参加してない人間なんです。

神谷 そうなんですか。
268通常の名無しさんの3倍:03/05/09 02:05 ID:???
    。。   連貼りに触発されて泣きダッシュ!
   。     。 +   ヽヽ
゜ 。・ 。 +゜  。・゚ (;゚`Дフ。ウワァァァン
            ノ( /
              / >
富野 そうです。ですから、全部、当時のバンダイのポピーっていうブロックと、
   安彦君の仕事です。
   この間、安彦君に久しぶりに会って、「どうしてああいうふうにしたんだ?」
   みたいなことで言うと、単純に、まさにその『ゲッターロボ』までも、
   もう観ているわけですから、永井豪に対抗するキャラクターとして、
   何を意識したかと言うと、“スタイリッシュである”という、それだけを意識した、と。
   だから、動かすっていうことを、ほとんど考えないで作っちゃったんで、
   作画が……つまり、この製作に入ってから、酷い目にあったっていうことを言ってますね。

神谷 や!そうですか(笑)。

富野 だって、動くことを想定してないのを……。

神谷 ああ、そうか!はい。

富野 うん。フィルム上で動くことを要求したんで……。
   そうすると、足が動くわけないのに、(モニターを指差しながら)こうやって、
   ヒザなんか曲がるわけないのに、曲げなくちゃいけないってのがとても辛かった。
   で、それが今度はそれで、もう一つ理由があるんですね。
   結局、当時の超合金?

神谷 ありましたね。
富野 (超合金)に、しなくちゃいけないために、
   あんまり細かい、まだ、その、動かすパーツができなかったんですよ。
   ですから、デザイン的にシンプルにせざるを得なかった。
   つまり、動かなかったものを、動かすようにしたっていうところが実は、
   アニメの本来持ってる機能、性能だと思うんです。
   それをやはり、ああいう不自由な時代に、やりおおせることができた。
   で、そのことがあったんで、長浜さんはそれこそ、先ほど言ったように、
   その後のいわゆるロボット物の何本かで、今で言う長浜スタイル?
   を確立したわけじゃないですか。

神谷 そうですね。

富野 はい。やっぱり、こういう……、
   あ、今たまたまこういう絵(画面は『ダイモス』の戦闘シーン)が出ているんだけども、
   本来、動くもんでないものを、こういうふうにアニメというフィルムの上で、
   動くものにしてみせるという、まさに“まやかし”ですよね、嘘八百。
   それで、これが本来持っている、僕にとっては映画的なものであるし、
   アニメ的なものなんだろうって。
   今、こういうことを、むしろその、好きな絵がいっぱいできるから、CGも含めて。
   ……なために、そういう感動なんか忘れて、
   絵を作っているスタッフが多すぎるんじゃないのかな。
   
神谷 ああ、なるほどね。

富野 という気がしますね。
神谷 当時ちょうど、いわゆるアニメブームというのが、
   声優さんを起点にしておこったじゃないですか。

富野 うん、おこり始めた。『ライディーン』が本当の火付け役なんですよ。

神谷 そうですね。ああいうことというのは、お仕事になにか影響ってのは?

富野 それはしてません。むしろ、僕に関して言えば、
   そういうことがおこればおこるほど実は、本来、エンターテインメント、
   つまり、芸能の世界ってのは、こういうのが当たり前なんだ。
   当たり前だから、それにははしゃいじゃいけない。
   むしろ、このていどの客がついてくれなければ、こちらが飯の種にならないんだから、
   これは冷静に受けとめて、この子たちをいつまでも引っぱってく作品を作っていきたい。
   ていうふうに、僕の場合には、してきました。

神谷 ああ、すっげぇポジティブですよね!そういう意味ではね。うーん。

富野 だって、そう思わなければ……。
   だって、チーフディレクターを降ろされたってだけで、
   鬱屈することは簡単にできるんだもん。

神谷 まあ、そうですよね。はい。
富野 だけど僕、本当に自分でも覚えてなかったんです、昨日調べるまで。
   えっ!後半の『ライディーン』も何本か手伝ってる!?(笑)
   その後もダラッと、長浜さんのそばで仕事を手伝ってる。なんでだったんだろう?
   一つだけ理由が、覚えているのは、あのスキルは全部いただく。
   いただくためには、一度真似するしかない、ってことだけは覚えてたんです。

神谷 もう、あそこでスパッとね、手をお離しになったっていうふうに思ってました?

富野 うん。だから、かなりしぶとかったですね。

神谷 はい。

富野 というのはどういうことかっていうと、まさに学習するということを、
   やっぱりあの当時、むしろチーフディレクターをやらせてもらったからでしょうね。
   やはりその、ものを作るにしても、それから、ディレクションをするにしても、
   一つの目線だけでは対応できないってことは、本当に教えられたんですね。
   それで、だから、ここではたとえば、とりあえず長浜さんって人は、
   ものすごく腹が立つ嫌な監督なんだけども、僕にとっては。
   だけれども、だけどもこう作れてるっていう技術論──さっき言った通りです──は、
   あれは本当にお世辞じゃなくって、これはもう我慢してでも盗もう、と。
   だから、個人的な好き嫌いは全部目をつぶるっていうんで、僕は、その後3年ぐらい、
   長浜さんの仕事はとにかく手伝ってった。

神谷 うーん。
富野 アニメはやっぱり、どうしても好きになれない。
   それで、やはり映画とか、映画的なものしか好きではない。
   それで、じゃあその映画的なものって、一体なんなんだって言った時に、動く絵なんだ。
   で、動く絵の物語って、なんなんだって。
   で、それだけを作りたいっていうのがあるんだっていうところから、
   ロボット物も利用させてもらってるんですよ、ってことがやっぱり分っていただきたい。
   だけどそれを、ロボット物が好きだとか、アニメが好きだとか、
   ……それからもう一つ嫌な言い方をします。
   声優が好きだから声優になる。いや、それは違うんじゃないの。
   
神谷 うーん。

富野 役者から入っていって、声優のお仕事もあるんですっていうふうに、
   思わなくっちゃいけないのが、この数年、ひっくり返ってるでしょう?

神谷 そうですねぇ。

富野 それではやっぱり、ものが見えてこないよっていうことを、
   キャリアがある人間が、きちんと話をしていかなくちゃいけない時代が、
   来ちゃったんじゃないかのかな、っていうふうに僕は思ってる。

神谷 そう思いますね。だから結局、あの、とっかかりとしてはいいと思うんですよ。

富野 まったくそうです。
神谷 で、入り口入ったら「あっ!違うんだ」っていうことで、
   つまり、視野を変えてほしいというか。

富野 (変えて)ほしい。だって、右と左にいる人たちが全部、
   声優志望ではない役者さんがいるはずなんだよ、っていうことを、
   なんで気がつかないのだろうか?ってことですよね。

神谷 そうですね。で、たとえばね、作品の中で、自分が、たとえアニメであっても、
   生きようと思ったら、ドラマをね、演じられなかったらダメなんですよ。

富野 そうそう、ダメなんです。

神谷 でね、それができなかったら、またね、つまんないんですよ。

富野 そうです。

神谷 ですから、最初の頃は、(自分を指差し)合わすのすっごい上手かったんですよ。
   でも、なんかむなしくて。

富野 (笑)分かる、絶対そう(笑)。

神谷 で、それを感じた時に、“芝居だ!”って、改めて思って。
富野 総論的に言えるのは、もっと生っぽいもの?もうちょっと身近なものを、
   つまり、僕の言葉にすれば、皮膚感から通じ合えるようなものになってくると思う。
   それで、今は、本当に過渡期にいましてね。
   変にCGみたいなものが面白かったりなんかするのと、
   それから、すごくビジュアルっぽく見えるんで、
   なんかその、嘘八百のところにみんな走り込んでるんだけれども、
   こんなの、あと10年も続かない。飽きるもん。

神谷 そうですよねぇ。

富野 それはもうお客さんも飽きると思う。

神谷 はい。

富野 それで、こんなチビちゃんみたいな子が、
   すごくシンボル的なキャラクターが好きだとは言いますけれども、
   いつまで好きなのかって言った時に、もう少し生っぽいシンプルなものを好きだと思うの。
   どういうことかと言うと、たとえば、お母さんのおっぱいに、
   吸いつくってことを知っている赤ちゃんっていうのは、
   やっぱり、そういうもの……それから、お母さんの笑顔とか、
   抱かれた時のお父さんの皮膚感みたいなものが、絶対に好きなはずなんです。
   で、やっぱり物語っていうのは、僕はそういうところにいくと思える。
   だから、そういうためには実を言うと、今見えている技術っていうのは、
   ものすごく便利になったんだから、それは使うべきなんだよ、
   利用するべきなんだけれども、それは、あいつが、あの人の、あの……息吹きとか、
   皮膚感とかっていうものを、見たいとか、聞きたいとか、触りたいんであって……。

神谷 そうですよね、うん。
富野 そんなもの、パリンパリン、パリンパリンしたものなんか、
   そんなのは観たくはないはずなんだ。
   ただ、今、そういうものしかないから観てるのと、
   それからもう一つ、困ったことがあるのは、今、ビジュアルを通してとか、
   アニメを通して表現をしようと思っている人たちってのは、まだね、
   ビジュアル的なものが、珍しいというレベルの人たちが作っているの。
   
神谷 ああ。

富野 ところが、本当に映画を観こんでる人とか、演劇を観こんでる人とか、
   いわゆる海外に対して、いいセンスを持っている人なんてのは、
   もう10年も20年も前に、ビジュアル的なものに対して飽きてるんですよ。
   
神谷 やっぱね、俺、今の声優さんとか見てて……上手いんだよ。

富野 上手いよ。

神谷 でも、どう見ても魂が入ってないんですよ。

富野 だからそれは、絵を描く人もそうなの。
   上手いよ、みんな。うん。
   みんな上手いけれども、キレイな絵がなんなのさ、っていう話。
   だから、そろそろ分ってほしいの。
   美男美女の組み合わせのカップルが、永遠不滅に離婚しないで、
   つまり、完結したかっていう話はあんまりないんだからぁ。

神谷 ウヒヒヒヒヒ(笑)。
富野 そろそろさぁ、もう少し味のある、つまり、本当の意味のテイスト?を求めるもの。
   だからなんです、エンターテインメントとは一体なんなんだ?
   お楽しみってなんなんだ? 芸能でしょ?って。

神谷 そうそうそう。それはもう絶対そうですよ。

富野 だから芸能であって……僕はもうこの2年一生懸命言ってることがあんの。
   芸能の原点は何?って言ったら、お祭りなんだよねって。
   年に1度か、2度やるお祭りなんだよねって。
   この番組だったら言っていいのかな?
   フヘへへへ(笑)。

神谷 ヘヘヘ(笑)。

富野 カットしてね(笑)。
   究極的にね、男と女が入り混じってね、(ピー音)やればいいだけの話よ!って。

神谷 まあね。うん。

富野 で、そこにいくまでのプロセスが芸能なんですよ。
   それは、最近もあの、沖縄でやってる……なんだったっけなぁ?
   踊りの大会なんか見た時に、本当にねぇ、格闘技だもんね!
   
神谷 ほう!そうですか。
富野 うん。ああ、あんなもの見た時に、まさにこれは、
   一般市民てのは、みんな平気でやってたんだ。
   そういうものを忘れすぎてる。で、それを、TVモニターとか、
   スクリーンの中に閉じ込めてゆく時に、なおかつ、やっぱり観てる奴がみんなで、
   「ウオーッ!やっぱりやってみたいぞー!」って、
   ただ観てるだけでいいんじゃないんじゃないかなあ?って思えるものを作っていく。
   それを目指すのが、今後のエンターテインメントとか、クリエイターたちの、
   僕は任務じゃないのかな、と。

神谷 そうですね。

富野 今の、少なくともアニメっていう、せまーいところに関して言うと、
   アニメのスタッフが一番いけないのは、体を動かしてないってことです。
   
神谷 うーん。

富野 で、体動かしてない奴に、芸能が分かるわけがない。
   芸能ってのはなんだ!って言ったら、
   もうハナから(両手を挙げて踊る真似)これだもん!
   
神谷、ああ、そうですね。はい。

富野 で、そこに引き込んでくまでのプロセスを、提供するのが、まさにクリエイターなのさ。

神谷 そうだねぇ。
富野 で、それがなくって、机の上だけで(絵を描く仕種)、全部気がすんでます。
   キーボードこうやって(キーを叩く仕種)やってるだけで、お絵描きができます。
   それででき上がってきたものなんてのは、ろくなものができるわけがないじゃないですか。

神谷 うーん。

富野 一番いい例がある。CGいっぱい使ってる映画で、
   面白い映画があったら教えてよって(笑)。

神谷 うーん、そうだねぇ。

富野 それと、アニメってのはもともとCG的に、全部作るもんです。
   だから、手描きの絵で全部作りながら、
   なおかつ、手描きの世界じゃないんだよ、って見せる、
   嘘八百の世界を作っていくっていう、三次元性?を作ってくってのは、
   これは本当に僕は、別の意味での、芸能的な真骨頂だと思った時に、
   アニメが好きで、そんなものが作れるわけがない!
   
神谷 うん。

富野 「お前はお祭り好きなのか? 今夜、上手くしたら、
   なんかワケのわかんないネェちゃんと、2、3人でヤレるぞ! いいこと!」

神谷 アハハハハ(笑)

富野 ていう気分がない奴に、芸能ができるわけがない。
   本当はこういう話したかったの(笑)。

スタジオ一同(笑)
〜ナレーション〜

独特の演出論をくり広げる、アニメ界の革命児、富野由悠季。
そして、日本の声優陣をリードし続ける、神谷明。
この偉大な二つの才能が出会ったという事実にこそ、
『ライディーン』の神秘の力を感じずにはいられない。
神秘的な設定、ドラマティックな展開、流麗なキャラクター。
『勇者ライディーン』は、素晴らしいスタッフ・キャストと、
数奇な運命が作り上げた、ロボットアニメ界の孤高の作品と言えるだろう。
富野由悠季監督と神谷明さんのスペシャル対談、いかがでしたか?
白熱した展開に、観ている方も思わず、グイグイ引き込まれてしまいましたね。
それでは最後に、富野監督にこんな質問をぶつけてみました。

──今のロボットアニメをどう観ていますか?

富野 僕は知りません。

神谷 最近のは知らない?

富野 あの、アニメ嫌いですから。

神谷 アニメを観ていない?

富野 観ない。自分の作品でさえ、ほとんど観ません。
   
神谷 ああ、そうなんですか!?
281通常の名無しさんの3倍:03/05/09 02:13 ID:???
凄い、よくこんなに書いたなあ。乙です。
富野 嫌じゃないですか。で、自分のを観てるヒマがあったら、
   優れた他のものを観るべきだし、読むべきだし、知るべきだし、
   お触りさせてもらうべきだし(笑)。

司会 フフフフフ(笑)。

富野 そうでなかったら、全部自分のもので終わっちゃうじゃないですか。
   そんなヒマありませんもん。
   もうあと、来年死ぬか、10年後に死ぬか分かりませんけども、先がないんだから。
   人間てのは動物ですから、動物っていうのは、その皮膚感?を働かせなかったら、
   動物じゃなくなるわけだから、なんで、インターネットだけのぞくのか?ってのが、
   僕にはよく分からないし、それでガマンできるというのは、
   極めて、生態的な力が、それから健康的にも、不健全な人たちだと思います。
   
神谷 そうですね。

富野 言い切ります。

司会 本当、なんか巨匠の言葉って感じがするんですが、そんな富野さん……

富野 (司会を遮って)巨匠じゃないよ、普通だって!これ。
   普通の考え方だって!感じ方だって!
司会 それが私たちからするとやっぱり普通じゃ思え……

富野 (またも遮り)だからさ、東京でこういう仕事しすぎてるからそうなるの。
   だから、こうしちゃいけないの。
   だから、こういうふうにキレイに撮影することも、
   本当はよくないんだよ、ってこともあるの。
   今の、とにかくビデオカメラはこれだけ性能が良くなったんだから、
   もっと普通に撮影したって、ちゃんとしたものが撮れるはずなの。
   だけど、こういうふうにしなくちゃいけないっていう、
   なんとかみんなで頭の中で信じてる人たちが、さらにいっぱいにダーッといるのよ。
   それが間違いなの、もともと(苦笑)。


テロップ:未来に生きる神秘のロボットよ、永遠に… 
284通常の名無しさんの3倍:03/05/09 02:14 ID:???
うp終了
データの補足は
>>242
を参照してください

脳内補完した部分が多々ありますので
間違い等含め、他に落とせた方フォローよろ

183氏に感謝!
285通常の名無しさんの3倍:03/05/09 02:17 ID:???
本当に最近の御大は祭りと性の話が好きだなぁ。楽しいけど。
286通常の名無しさんの3倍:03/05/09 02:32 ID:???
乙です!

性の話は昔から好きだよね〜
今後、また祭りをモチーフに新たな作品を作るのかしらん?
287通常の名無しさんの3倍:03/05/09 06:58 ID:???
乙!
色々面白かったがとりあえず

>今日ここに来るにあたって、昨夜ちょっと当時の日記を調べてみたら、

日記なんかつけてんのか。

キ モ 〜 〜 イ
288通常の名無しさんの3倍:03/05/09 09:23 ID:???
著書を読むと日記や日付入りのメモからの引用が多くあるぞ。
かなり昔からネタ帳のつもりでメモを書き残してたらしい。
289通常の名無しさんの3倍:03/05/09 09:41 ID:???
ライディーン対談って何時頃行われたんですか?
290通常の名無しさんの3倍:03/05/09 10:48 ID:???
>>289

>>242見れ
291通常の名無しさんの3倍:03/05/09 13:48 ID:???
>>284
労作ですね。乙。
292通常の名無しさんの3倍:03/05/09 15:22 ID:???
富野はどんなことして体動かしてんのよ
293通常の名無しさんの3倍:03/05/09 16:37 ID:???
NHKに出演した時はモンキーダンスしてたyp!
294通常の名無しさんの3倍:03/05/09 17:36 ID:???
>>292
この前ラジオ出た時、プール行って泳いでるって言ってたぞ。
295通常の名無しさんの3倍:03/05/09 19:41 ID:???
>293
ガシャーン!!ガシャーン!!
296183:03/05/09 20:10 ID:???
>284

乙です。

ただ、>257-265や>280-283などのインタビューシーンの聞き手は
神谷明ではなく、宮内亜弥子と、きだつよしの二人です。

音声レートもかなり下げてたんで区別つかなかったかもしれませんが。
297通常の名無しさんの3倍:03/05/09 20:19 ID:???
禿のいう事には神谷明も戸惑ってるな。
298284:03/05/09 23:05 ID:???
>>296
フォローありがとうございます
どうりで御大しか映ってないわけだ

他にも何かあれば、訂正よろしくおながいします
299通常の名無しさんの3倍:03/05/10 00:56 ID:???
>>287は「だから僕は……」を読むとキモさを十分堪能できて(゜Д゜ )ゲローと思われる。最近本屋によくあるよ。
300通常の名無しさんの3倍:03/05/10 01:02 ID:???
>284
乙。

やっぱ禿御大は普通じゃねーな(藁
301通常の名無しさんの3倍:03/05/10 01:39 ID:???
アニメが爆発する!のはウソではなさそう???

 その、あざやかさ、憧れ、あくなき探求、壮大無比な夢と情熱、
強靭な精神、才能、その純真無垢な心としなやかな感性がなさしめ
る涙とためいき、夜ごとのささやき……。
 これが、みんなアニメの世界!……とは、信じる人も信じない人
も、アニメトピアに汚染され、10年前をなつかしむのも良いでしょ
う。えっ!?アニメトピア、まだ、やってるの……か……!アセ


                               富野由悠季
302通常の名無しさんの3倍:03/05/10 11:39 ID:???
>>284
お疲れ〜
やっぱトミノッチは最高ですなヽ(;´▽`)ノ♪
303通常の名無しさんの3倍:03/05/11 05:10 ID:???
このスレは新板に移転ですか?
304名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/11 06:12 ID:???
移転しちゃった。
305名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/11 20:59 ID:???
富野と原恵一の対談、読んだ人いる?
306名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/11 23:14 ID:???
>>287-288
創作業をしてる人はほとんどの人が日記をつけてる
何がネタになるか分からないから
307名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/12 18:38 ID:???
>>305
御大が原監督をベタ誉めしてた。
あんなに他のアニメクリエーターを誉めてる対談は珍しいのでは?

しかし、対談中に「萌える女の子とロボだけ出せばいいってのはどうか?」
とか、「アニメ雑誌は誉めるだけじゃなく、批評も大切」みたいなコメントが
出てきたんだが、掲載されてる「アニメージュ」の巻頭記事が「種」誉めまく
りなのはネタですか?
308名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/12 18:50 ID:???
御大がロボットアニメでしか食っていけない監督ですと発言するように
あれはちょうちん持ちでしか食っていけないという編集者のメッセージです。
309名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/12 19:05 ID:???
劇場版クレしんは作画が良けりゃ本気でアカデミー賞狙えるって言ってたよ。
自分も同感。

>>307
もう随分前からキャラ萌えしか買ってないでしょ。
白黒ページは編集者のせめてもの抵抗です。
310名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/12 19:05 ID:ycbxJl5/
俺も富野・原対談は驚いた。
めっ誉めてるし
311名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/12 19:25 ID:3OcwplaO
富野・原対談ウプ希望
312名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/12 19:26 ID:???
ハヤオがトミノについて何か言ったものは無いの?
313名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/12 20:46 ID:???
ttp://milk-cafe.tripod.com/ 最近できたサイトだけどここに全部富野関係載ってる。
314名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/12 20:54 ID:???
>>313
ブラクラかよ。氏ね。
315名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/12 21:23 ID:UmcNH3M+
嫌です。氏にません。
316名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/12 21:34 ID:???
313は友達がいなくてサビシイんだよ。暖かく見守ってやれ
317名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/12 21:39 ID:???
ブラクラでPCに被害が出たら損害賠償できるらしーから
あんまりチョーシこかない方がええよw
318名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/12 21:48 ID:IlfeBWC/
あんなブラクラ程度で壊れるPC今どきあるかよw
319名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/12 22:58 ID:???
>>287
>日記なんかつけてんのか。
>キ モ 〜 〜 イ

おれこの前nyで富野出演のテレビ番組見て初めて動いている富野みたんだけど。
おすぎとピーコのような人だった。

何がいいたいのか、判断は君に任せる。

320名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/12 23:20 ID:???
>>311
漏れからもおながい
321名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/12 23:38 ID:???
富野、原対談はメージュ出たばっかだしまずいだろ
とりあえず本屋いっとけ
322名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/12 23:55 ID:???
前にも誰か言ったが
御大もギャラ貰ってああいうのやってるんだから
アップするならもう手に入らない物だけにしとけや
323320:03/05/13 00:10 ID:???
了解
買ってまで読む気はしないので気長に待つ
324名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/13 02:06 ID:???
>>323
公立図書館とかにあったりするよ。
325名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/13 08:57 ID:???
富野がそんなに原を絶賛してたら、次回作に参加させたりして。
326名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/13 09:08 ID:???
来年のクレしんを富野が監督したりして
327名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/13 09:55 ID:???
鬱展開のしんちゃん・・・・・(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル
328名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/13 11:03 ID:???
お得意の寒いユーモアセンス爆発するかな?見てぇ
329名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/13 12:55 ID:???
春日部防衛隊全滅……(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル
330名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/13 17:33 ID:???
富野台詞連発のクレしんか…
331名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/13 19:33 ID:???
ぶっちぎりで子供に見せたくないアニメワースト1になるな
332名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/13 19:59 ID:???
>>330
「まさおくん、君は良い友人だったが君の父上がいけないのだよ」
「謀ったな、しんちゃん。謀ったな!!」

イヤだ、こんなの。
333名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/13 20:45 ID:???
さいたま紅さそり隊は、まず魚の目おぎんがやられるわけですね
334名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/13 20:46 ID:???
いやっていうか いまいち…
335名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/13 23:41 ID:???
ネネちゃん「ちがう!?いつものママと!」

336名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/13 23:52 ID:???
まさお「く、悔しいな、僕だけこんなんじゃ。
    シロにもぼーちゃんにもかなわないなんて。な、情けないよ」
ねね「なに言ってるの、まさおくん。立派よ、あなただって」
まさお「やめてくれよ慰めの言葉なんて。こ、こんな僕だってね、春日部幼稚園に
    入ってからこっち、しんちゃんに勝ちたい、勝ちたいと思っててこのざまだ」
ねね「まさおくん。しんちゃんは…違うわ。あの人は、私達とは違うのよ」
337名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/14 00:17 ID:pZhArG6N
しんのすけ「認めたくないものだな。若さゆえの過ちというものは。」
338名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/14 00:19 ID:???
しんのすけ「ひまわり…いい女になるのだな!」
339名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/14 00:21 ID:???
ひまわり「兄上も甘いようで…。」
340名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/14 00:22 ID:???
モマエら、無駄にスレを消費するのはやめてください。
341名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/14 00:24 ID:???
しんのすけ「(自分を差し置いて)坊やだからさ」
342名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/14 00:28 ID:???
しんのすけ「(ミス)ユニヴァーーーーース!!    に会いたいぞ」
343名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/14 00:29 ID:C5iaoQeI
スレの方向が変わってきとる。 【もしも】冨野版クレヨンしんちゃん【トミーノ監督なら】でネタスレたてれ。
344名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/14 00:32 ID:???
しんのすけ「(ミス)ユニヴァーーーーース!!    に会いたいぞ」

クレしんならこれが正解
345名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/14 00:46 ID:???
富野・原対談読みたいんだけどアニメ雑誌買ったり立ち読みしたり
するの恥ずかしいよー
346名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/14 01:18 ID:???
>>345
同意
表紙がSEEDやキャラ萌え路線のだったら触れることも出来ない
347名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/14 01:25 ID:???
アレの中のもう一つ、吉田健一のインタビューも
御大繋がりでかなり面白かった
勇気を出して手にとれ
348名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/14 07:28 ID:???
クレシンネタはこっちに移動しる↓
「富野も嫉妬のクレヨンしんちゃん!」
http://comic3.2ch.net/test/read.cgi/x3/1048941790/
349名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/14 08:37 ID:???
アレの中には御大の人生相談もあるぞ。
今月のお題は「30過ぎて独身なのは変でしょうか?」だ。
御大のお言葉に耳が痛くなる者も多いはずだ。
勇気を出してレジに向かえ。
350名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/14 08:46 ID:???
シャア板にクレしんスレがあったのにビックリです。

富野・原対談目当てにアニメージュ買ったけど、相当つらい雑誌になってるね
351名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/14 12:48 ID:???
>>350
いや、昔からつらかったと思うがw
352名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/14 14:00 ID:???
今はOUTとかメックみたいな立場の雑誌がないから結構ツライねえ。
353名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/14 17:35 ID:???
ここは親父度が高いスレですね。
うーん、アニメ誌とか10年位買ってないけど今月のメージュは買うかな…
偶に書店で見るとすげえ恥ずかしい表紙になってるんだよなあ>メージュ

やっぱりアニメ雑誌って特殊な人しか買わないよな。と冷静に思う俺が
10代の頃はあまり深く考えないでニュータイプとメージュを両方買ってたけど
354名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/14 17:57 ID:???
アニメージュは批評家気取りのダメ論客
アニメディアは痛い厨房
ニュータイプはガンダムとFSS信者

という辛さのイメージがあったんだけど、メージュはダメ論客+厨房って感じになってたよ。

あと、カラーページとモノクロページの温度差がすごい
355名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/14 18:52 ID:???
こういう痛い系の雑誌は雑居ビルの中の書店で買うのが一番だな。
秋葉でいうとK-BOOKとかたちばな書店とか、中野ならまんだらけとか
そっち系御用達書店なら恥ずかしくあるまい。
356名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/14 19:08 ID:???
>>355
そこに行くのが恥ずかしいです。
357名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/14 19:12 ID:???
>>356
いくこと自体はそんなに恥ずかしくない、と、もれは思う・・
秋葉は家電屋のすぐとなりだし中野は客層広いし、商店街が下にあるから
入っていくだけならそんなでもないかと・・・。

それとももう漏れがだめオタクなんだろうか。
358名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/14 19:22 ID:???
スレ違いのかもしれんが恥ずかしい序にさ

俺、WOWOW入ってないんだけどキンゲイナーのOPが凄いと聞いて
発売日二日目ぐらいにCD屋さんに買いに行ったんだけどね。
地元のタワレコとか、CD売ってる店に置いてなかったから恥ずかしさ1000%を偲んで
アニメイトに行って買ったのさ。店内にはガキしかいないし恥ずかしかった。

コンビニで姉ちゃんのレジの時にエログラビア雑誌を買うのよりも恥ずかしかった。

>>354
メディアは昔から入門雑誌のようなもんだからね。
俺は消防の頃、メディアから入った。で、アニメ倶楽部とかいうのが小学校の倶楽部活動にあって
その当時、創刊されたばかりのニュータイプをその倶楽部に持ってきてた奴がいて、
子供ながらに本のレイアウトとかデザインのセンスがいかしてて、大人なカッコ良さがあったね。
今考えるとある意味で昔からずーっとデザイン性だけで押してるのも凄いような

メージュは子供ながらに少し入っていけない敷居の高さ、というか新参者のアニヲタからすると
古参ヲタ達用の記事も案外多くて本式のヲタ雑誌のような感じが
俺が読み出したのが宮崎プッシュが1番凄かった頃かも?宮崎絡みでアニメ雑誌なのに環境問題云々という記事も
多かったし、厨房だった俺としてはその記事とか読み飛ばしてたけど
359名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/14 20:34 ID:???
メージュの読者コーナーには「母校の女子の制服をギャルゲーみたいにしろ!」という投稿をする28歳とかがいます
360名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/14 20:39 ID:???
このスレには「地味だった母校の制服がちゃらちゃらしたブレザーに変わって悲しい」という書き込みをする29歳とかがいます。
361名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/14 20:57 ID:???
俺の胸の中には「メガネを外すとわかる美しさの少女」が棲みついています。
362名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/14 22:20 ID:???
なあおまえら、雑談は他のスレでやらないか? どう考えてもスレ違いだ。
誰か、俺たちにマタリと禿話をできるスレを紹介してやってくれ。
363361:03/05/14 22:53 ID:???
>362
例えばキムが北朝鮮のエライ人の座をひきずりおろされ、民衆から唾吐きかけられてるときを
8800ショボーンとすると、今の俺は6000ショボーン。
わるかったよ。
364名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/14 23:10 ID:???
禿話ならここだな。

【天上天下】大富野教信者の会part3【唯我独尊】
http://comic3.2ch.net/test/read.cgi/x3/1046865291/l50
365名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/14 23:36 ID:4724RKwZ
乙彼。
最後の辺りは富野節全開だったな。
ときめく御大です。
366名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/15 00:55 ID:???
富野氏の対談を中心に書き込むスレです。

厳密には対談でなくてもコメント等でも結構です。形式も自由。
また、富野氏でなくても関連が深い人物の発言なら何でもOKとします。
カキコしてくれる神にお任せします。

基本的に保守を除いてあまりageずにsage進行でお願いします。

御大萌え話は>>364のスレへ。
367名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/15 02:23 ID:???
『機動戦士ガンダム』富野由悠季ロングインタビュー
──ガンダムの子供たちへ──

アニメで初めてリアルな戦争を描き、
「ガンダム世代」を
生み出した鬼才・富野由悠季。
現場を離れ小説家としての
活動が続いていた彼に、
いよいよ復活の時がきた。
沈黙を破りつつある富野に問う、
親子とは何か。戦争とは何か。
「ニュータイプ」とは何か。
そして『ガンダム』とは何だったのか──。

切通理作(文筆者)


 富野由悠季氏と会うのは二度目になる。一度目は、オウム事件が
起きた九十五年の夏、『週間プレイボーイ』誌でインタビューした
(九月十二日号)。
 アニメという虚構の世界がティーンエイジに与えた影響について、
富野は自分のものとして引き受けようとした。『宇宙戦艦ヤマト』
に登場する空気清浄器のコスモクリーナーという名がオウムのそれ
に使われていたり、富野の『機動戦士ガンダム』での「ニュータイ
プ」という概念への憧れをオウム信者が口にしたり……といったこ
とが話題になった頃である。当時、松本零士や宮崎駿がその手の取
材の依頼を断っていたことを知った富野は、彼らの態度を「日本人
的な警戒心」と批判した。
 今回も、私が質問を始める前に、富野は、私が最近書いた、サリ
ン事件の被害者に取材した記事に対する感想を言ってくれた。あれ
だけ騒がれたテロ行為なのに、被害者への救済や被害の実態調査も
行われていないという事実を記した拙文に対して。
「あなたのような当たり前の切り口が伝わりにくいのが今の世の中。
簡単に言っちゃうと、一般庶民とか愚民とか国民とかいわれている
人間っていうのは、結局、順々に死んでいくしかないんだろうなっ
ていうところに落ち着いてしまいそうだね。人類全体がまだ幼いま
んまなんだから、もうしばらくひどい世の中が続くんじゃないかな」
 今回のインタビューの主旨はもちろんオウムのことなどではなく、
アニメ界のエポックを作った富野由悠季氏の作品世界を『ガンダム』
を主にして振り返ろうということだったのに、このいきなりのカウ
ンターパンチ! だが、彼の発言はすぐその本題に入っていける呼
び水でもあった。
368名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/15 02:23 ID:???
 だってこの愚民批判、まるで『機動戦士ガンダム』の登場人物、
シャア・アズナブルそのままではないか。富野のつるりんとした顔
が美青年シャアとダブッて見えた時、私の心は私の身体を離れ、
『ガンダム』シリーズの舞台である宇宙世紀のスペースコロニーへ
と飛んでいた。

■天誅だ! 粛正だ!

 シャアは、八十七年の劇場版『機動戦士ガンダム・逆襲のシャア』
で、いつまでも地球の重力に引かれ、スペースコロニーに散った移
民たちを棄民視する地球在住民に対し、宇宙から隕石を次々と落と
し、「天誅」を加えようとする。逃げ惑う地上の人々。シャアは今
や再興を目指す独裁国家・ジオン公国の代表になっている。スペー
スコロニーの一つであるサイド3の住民が、地球連邦の棄民化政策
に怒って民族主義的急進派になったもの、それがジオンなのだ。だ
がシャアにとっては、そのジオンの大義すら利用すべきものでしか
ない。彼は、人間そのものがシステムに縛られない段階、すなわち
「ニュータイプ」(富野の作った概念)に進化するのを待っている
のだが、そう早くは世の中が変わらないのに焦り、隕石を落下させ
て地上の人間を無理やり覚醒させる挙に出たのである。
『ガンダム』最初のテレビシリーズから主人公のライバルとして登
場し、貴公子然とした美丈夫で、当時の女の子ファンを引きつけて
いたシャア・アズナブル。富野は以前のインタビューで、オウムの
上祐史浩のような幹部がテレビに出演し続けているうちにアイドル
視されてしまう土壌を、メディアで自分も作ってしまったと語った。
まさしくあの上祐も、人間の科学は自分の生きている間には進化し
ないと、宇宙開発事業団を辞め、ヴァジラヤーナを目指したのだっ
た。
「そういう気持ちは、ハナッから僕のリアリティですよ。アニメの
中の架空の話ではなく、リアリズムで天誅はありなんじゃないかと
思う。天誅を下せる立場に立てたらいいな、とも思ってます。僕は
シャアのキャラクターそのものには愛着はないけれど、彼を通して
いちばん言いたいことをかなり喋っちゃったってのはありますね」
 我々は、現在手に入れてるシステムをコントロールしきれないん
だから、本当は放棄すべきだというのが富野の考えだ。
「古代ローマの本を読んでて、紀元前の人のメンタリティっていう
のは、とても大事にしなくちゃいけないと思いました。古代ローマ
時代に、人間っていうのは今以上にいい形でシステムを機能させる
ことができた。人間が少ないから目配りが効いたんだ。つまり、百
万とか億という単位のマスになった時に、古代ローマからあるよう
なシステムとは違うを構築しなくちゃいけないはずなんだけれど、
なんせ億の単位になって日が浅いじゃないですか。だって人口増加
のグラフを見ても、急激に増えたのはこの四、五十年なんです。ホ
ントの意味でのマスとシステムの関係と、そのマスの中に閉じこめ
られているエゴと個の問題。それをキチンと使い分けるシステムを
持ってないのに、社会を動かすシステムだけで動いてしまっているっ
ていうの、この間違いいちばんが大きい。で、この二十年、ガンダ
ムなどで語ってきた、人間が多すぎるんだから殺しちゃえっていう
のは、やっぱり正義だなと思わざるを得ない」
369名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/15 02:24 ID:???
 富野の話を聴く場合、インタビュアーはあることを覚悟せよ、と
ライター・編集者間で囁かれている。それは、主に新聞記事から実
例を取った、現代社会がいかにシステムに縛られているかという話
を長時間、膨大な量聴かされることだ。私の場合も、前回は阪神大
震災の際の企業の建築不備隠しや福祉施設の食堂でのキャベツ切り
の機械化による風紀の乱れ、今回は生鮮食品の備蓄量が全体の10%
を越えているため我々がたとえば新年に買う荒巻ジャケが十年前の
ものかもしれないという可能性、などを拝聴した。
 私は彼がそうしたことを立て板に水のように話すのが嫌いではな
い。どこか懐かしい感じがするからだ。しかし聞いていて奇妙な思
いに囚われるのは、彼がそうした問題群があることを知る手段は、
結局、新聞やテレビといった情報システムであるということだ。
 私は、富野のそうした話から受ける懐かしさを反芻しているうち
に、私自身の過去の風景にブチ当たった。私は高校に入ってから初
めて電車で通学した。そして、電車の吊り広告や向かいの席に座る
サラリーマンが開くスポーツ新聞の裏面などが目に入る度にショッ
クを受けた。「私を食べて!」「ああ無惨!リンチ殺人」……世の
中はなんて色と欲にまみれているのかと、毎朝つらかった記憶があ
る。富野は五十を過ぎた今でも、そうした純粋な思いを持ち続けて
いるのではないだろうか。だから私には、彼の話しぶりが懐かしい
のだ。
 私の高校時代は最初のガンダムブームの頃でもあった。当時出た、
富野の自伝『だから僕は……』(徳間書店、八十一年刊)には、母
校である小田原の白山中学で、千三百人からの同窓生に向かって、
「行儀よくしてくれ!」と怒鳴ったという中学時代の自分を顔から
火が出るくらい恥ずかしいこととして語るくだりがある。『ガンダ
ム』を作り、問題を投げかける姿勢はその頃の自分と同じなのだと
富野は自己暴露的に語っていた。『逆襲のシャア』の劇中で、かつ
ては地球連邦軍の一員としてシャア達と戦い、今は地上で主婦をやっ
ているヒロインの一人ミライは、落下する隕石から避難しながら、
シャアのやっていることに対してこうつぶやく。「彼は純粋なの
よ」。
 古今東西、被害者側に「純粋なのよ」と言われてしまう敵役なぞ、
そうあるものではないだろう。
370名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/15 02:24 ID:???
■宇宙少年の夢「ニュータイプ」

 富野の中学時代は宇宙に本気で憧れ、そして挫折した時代でもあっ
た。
「中学二年生ぐらいまでに、いちばん、趣味としてもっとも埋没し
たのが、宇宙旅行の仕方の研究(笑)。これを小学五年の後半から
かなり本気でやってたんです。ロケットの構造を調べてね。しかし、
自分には決定的に足んないもんがあるってことに気がついたわけ。
数学と化学が苦手だった(笑)。それで完全にギブアップして文科
系に切り替えたっていう(笑)。後のロボット物アニメをやるよう
になって呆れたのは、僕にとっての常識だった宇宙空間での力学と、
太陽系程度の基礎的な天体の運動力学とかを、こうも知らないで宇
宙物のシナリオを書いてる連中がいるのかってわかったとき。のけ
ぞるくらい驚いた。僕は宇宙空間でのモノの動きかたとか空気のな
さ感というのは、もう完全に中二までに擦り込まれてたから。それ
はガンダムを作る時にかなり有効だったね」
 文系に転じ、映画を志した富野。『だから僕は……』には、大学
四年の時に書いた彼の習作シナリオが収録されている。「小石」と
名づけられたその短編は、こういう話だ。
 家の玄関の前の敷石に火星人の落書きをしていた八歳の少年とお
る。と、通りかかったタクシーが撥ね飛ばした小石が家の窓ガラス
に当たり、割れる。とおるは母親に怒られるが、自分がやったので
はないと叫ぶ。すると、急用でいちどは走り去ったタクシーの運転
手が舞い戻ってきて、母親にお詫びする。死んだ母から「良心に恥
じぬよう生きろ」と言われ、信条としてきたというその運転手は、
ガラスを割った小石が欲しいという。とおるは、道路脇の川にいち
どは投げ捨てた小石を必死になって捜し、遂に拾い出す。運転手は
言う。「この小石は、僕の良心、いや、君との良心のマスコットと
して大事にするよ、ありがとう」。
 一見、柄の悪そうなタクシーの運転手と、宇宙に夢を馳せている
ひたむきな少年の心がひとつの石で結ばれる。この話、なにかに似
てないだろうか。
 そう。『逆襲のシャア』のラストである。これを落とせば地球は
遂に全滅するという最後の隕石が落下しようとする時だった。シャ
アと立場が異なり、自らはニュータイプでありながら人類の覚醒を
待つべきだと主張するヒーロー、アムロが乗るモビルスーツ・ガン
ダムは、無理を承知で隕石を下から支えようとする。その時、まる
で天啓が下ったかのように、それまで戦っていた敵味方のモビルスー
ツが、我も我もと隕石を下から支えはじめる。シャアも、その姿に
節を曲げ、アムロに力を貸してやる。サイコパワーが隕石を宇宙に
押し戻すという奇跡を産むところで、映画は終わる。
「地上の人間が組んだシステムがあって、そこにエゴを持った人間
がいる限り、シャアのやり方を止める理由はない。けれど、歯止め
が効く方法は一つだけあるだろうっていうのが、本来のニュータイ
プ論なんだっていうところに話がいくわけ」
371名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/15 02:25 ID:???
 ここで、ニュータイプという概念についておさらいしておこう。
酸素もない宇宙空間では眠っていた脳の認識力が増大する、これが
ニュータイプになる条件の第一である。戦争状態という、人間の極
限状態の力を引き出させる状態もその土壌になる。ニュータイプに
覚醒すると、遠く離れた場所でもお互いの意志を通じ合えるように
なる。かつてジオン公国は、この力を独裁国家の精神的基盤となる
選民思想に利用しようとした。宇宙に住む人間こそ地上に住む人間
よりも優れており、選ばれた人間であるというわけだ。だが、ニュー
タイプ本来の力は、争いを超克する力なのだ。
「アムロとシャアの間にいて、ニュータイプの能力を覚醒させる少
女であるララァを、肌の色の違う第三世界から来たっていう設定に
しました。テクノロジーの限界ってのが見えてきて、ヤバイなと思っ
た時に、どこに帰っていくかっていうと、やはりそういう所しかな
い。劣等民族に見えるかもしれないエスニックのいる場所に、実は
一番原理的な感性が残っているとするならば、やはりそこに戻って
行かざるを得ないのではないか。で、やっぱり何にも知らないまま
で絵にするのはまずいよってんで、慌ててインドに行ったんです」
 ニュータイプは、東洋思想に可能性を見出す富野の心性を背景に
登場したのだ。宇宙に思いを馳せ、人間の「良心」に純粋であろう
とした富野の『ガンダム』は、宇宙と宗教が合体した世界だった。
『ガンダム』に続く『伝説巨神イデオン』では、共に母星を「地球」
と呼ぶ二つの星の争いの果てに、かつて絶滅した数億の民族の意志
の集合体である「イデ」の力が発動する。「イデ」は憎しみ合い、
争い合う二つの星の人間の間に産まれた子を守り、それ以外の人間
たちを全滅させる。二つの地球は破壊され、登場人物は全員死に、
半透明で全裸の霊魂のような姿になって、時空を越えてつながり合
う。
 公開当時、アニメファンである私の友人はこのラストに涙したと
言った。だが私は素直に感動できなかった。富野の純粋さに感情移
入するのを妨げるものがあった。この作り話には、あまり乗りたく
ないと思ったのだ。なぜか?
372名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/15 02:26 ID:???
■戦争という現実

 私が当時疑問だったのは、ニュータイプやイデは争いを越える力
であると言いながら、それを富野は、戦争状態においてしか目覚め
ぬものとして描いているという点である。争いを越えたいのなら、
初めから戦いに参加しなければいいではないか。たとえ周りが戦争
していても、非戦を貫けばいい。
 それではヒーローものにならないって? そりゃそうだ。だけど
『ガンダム』以前のヒーローものには、戦争色を極力抜いて、主人
公の側の自由を抑圧する敵との戦いを描くレジスタンス的な作品が
多かった。戦後民主主義のもとで自由を謳歌したい当時の私のよう
な子どもにとっても、つらい想いをしないで安心して受容できるス
トーリーだったのだ。
 それに比べて『ガンダム』 は、主人公が社会状況を背負ってい
ないという点で、ある種、画期的なアニメといえた。平凡なパソコ
ン少年だった主人公のアムロ・レイは宇宙戦艦ホワイト・ベースに
自分の意思とは無関係に乗せられ、戦争状態にむりやり巻き込まれ
ていく。国どうしの戦いの理由と彼の精神状態は全く関係がない。
戦いたくないというアムロに、年長者は容赦なくビンタを加える。
「個の自立、てなことをよく言うけれども、自立する個なんてほと
んどあり得ないだろうと僕は思っている。仮に、本当に自立した個
であり得たとして、それは我が儘でしかない。我が儘で生きられる
と思ってる人はホントは幸せな人たちだよね。『だって、おまえ、
飯喰って糞して寝るんだろう?』物を喰う行為を誰が成立させてい
るんだってった時に、『お前のエゴで、成立させられるもんなら成
立させてみろ』ということです」
 シリーズも後半になり、ニュータイプに目覚め始めてきたアムロ
は、戦いの理由が見えず疲れてきた仲間に言う。戦っていくうちに
何かが見えるんじゃないか、と。「♪まだ怒りに燃える/闘志があ
るなら/巨大な敵を/撃てよ撃てよ撃てよ」という、富野自身が作
詞した(井荻麟名義)主題歌に見られるように、状況に対して逃げ
ずに向き合っていく人物を富野は肯定的に描く。
 そして、非戦中立区域であるコロニー・サイド6の人物を富野は
矮小的に描く。サイド6の住人であるカムランは、ホワイト・ベー
スに乗る女性ミライの婚約者だった。だが今はもうミライの心はカ
ムランにはない。「あの人は、戦争をどこか遠い出来事だと思って
いるのよ」とカムランを評するミライ。サイド6のテレビ中継機は
ジオンとホワイト・ベースの戦いを捉える。「これは本物の戦争で
す!」。『ガンダム』の劇中でテレビの中継機が登場するのはここ
だけ。富野の痛烈な皮肉が見てとれる。「戦争をどこか遠い出来事
だと思っている」サイド6は、テレビの前に座る日本の小市民その
ものだとでも言いたげじゃないか。
「僕の父親ってのが実は、戦争中に軍需工場の技術屋だった。で、
僕はなんのために太平洋戦争があったのかとか、(日本軍が)中国
に侵攻してたということも知らない子どもだった。中学時代ぐらい
まで、ウチの親父はやっぱり特別な人だと思ってたわけよ。子ども
の頃にね、自慢だった。軍隊に行かないで済んだから。だから戦後
も生き延びて、戦後は学校の先生だけども、今になって思えば、親
父の作った道具がアッツ島に行ったんだよね。そんなことが判ると、
これは一つのステータスです。つまり、カムランのような人ってい
るってこと、知ってるってことです、僕は。リアルに」
 
373名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/15 02:26 ID:???
 アムロの父親はガンダムを開発した技術者だった。それは富野そ
のものだったのだ。
「体制が例えば戦争やるって言ってた時に、戦争の是非は、それは
言えない。そうすると、つまり個というのは、実はどこかで体制に
係わってる。それが現実です。いちばん気の毒なのは、死んでった
奴が居ることね。実はハナから勝つなんて思ってないのに、『お前
ら聖戦だから行け』って言われてさ、死んじゃった奴(人達)に対
して、行けって言った奴は、いったい何をやったのかという問題。
その意志ルートってのをつなげていく作業は、結局、近代人、現代
人も含めてなんだけれども、実はほとんど出来る回路は持ってない。
そういう認識があるんです」
 だからこそ、それをあらわにするために、富野は戦争における身
近な人間の死を次々と描くのだろう。また、連邦軍の機密を引っさ
げ、自分の結婚を父であるジオン軍総帥に納得してもらおうという
動機で戦い戦死するガルマ・ザビや、父母がいないので妹弟のため
に金を貰ってスパイする少女ミハル、兵士の生活のためにガルマの
仇討ちを買って出る軍人ランバ・ラルなど、『ガンダム』劇中で非
業の死を遂げる一人ひとりは、生活のために戦っている。
「自分が逃げ出せない状況があれば、逃げ出せない状況を、なんと
か自分のためになるように活用しなかったら、即、死ぬかもしれな
いわけでしょ? 生身の肉体を持たされてる動物の本能があって、
なまじ知恵が使えちゃうところがやはり、人間っていうもののどう
しようもなさと、それとは裏腹なしたたかさであってね」
 私が、『ガンダム』や富野の世界に拒否反応がありながら結局観
てしまうのは、そうした人物の生臭さに引っ張られるからだろう。
「『ガンダム』以前に『無敵超人ザンボット3』ってのをやった時
に、人間爆弾というシチュエーションを作った。主人公の側にいる
女の子に時限爆弾が仕掛けられて、その子が主人公の前で爆死して
しまう。そういうシチュエーション作ったら、放映後にある人から
『あれだけはひどいからやっちゃいけないよ』って言われた。ムカッ
と来たのね。こちとら趣味じゃない、遊び事でやってるんじゃない
だっ! そんなに物事が都合よくいくわけないじゃない。時限爆弾
仕掛けられたら死ぬんだよ、そりゃ。だからああしたんだ。それを
何にも分かってなくて、子どもが見るロボット物なんだから穏当に
というのは嘘だろうと思ってます。あの当時の印象ってのは、二十
年以上経ってもやはり、きちんとありますね。そんなに便利に仕分
けをする頭を持てるっていうのが、簡単に言っちゃうと僕ね、戦争
のいちばんの原因だと思ってる」
374名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/15 02:27 ID:???
■親子物語としてのガンダム

 アムロは故郷のサイド7で技術者である父に命令されホワイト・
ベースに乗り、後にサイド6で父と再会する。しかし彼は空気欠乏
症で気がおかしくなっていた。父は、ガンダムに付けるメカを開発
したとアムロに渡す。だがそれは、アムロからみても使い物になら
ない古い機械に過ぎなかった。
「親との断絶っていうのは、視聴者がたいがい経験してることじゃ
ないんですか。自分だって親として子どもとに対してどれだけ責任
持てたかっていったら、たぶんそんなに出来なかったし、自分の親っ
てのはやってくれなかったっていう記憶がたいがいでしょう? だ
からいちばんわかりやすい話を作っただけのこと。アムロの母との
話も同じです」
 また、アムロは地球に離れて暮らしていた母と再会するが、彼女
は、目の前で敵を撃ったアムロを悲しむ。「優しい子だったのに…
…」。アムロは、母とも離れ、ホワイト・ベースで戦う仲間たちの
元に帰る。これはアムロの母からの自立とも取れるし、銃後に生き
る母を守るという、子としての役割を放棄して戦いに逃避した、と
も取れる。私は、当時、アムロの態度に後者を感じて、違和感を抱
いた。
「あなたが子どものときにそう思っちゃったってのは、とても重要
なことなんです。家に帰ればいいじゃねーか。なんで帰らないんだ
ろうって思ってくれて、五年経ち十年経って、いつの間にか、自分
にも子どもが出来ちゃって、で、仕事が忙しいっていう大義名分で
家にも帰らなくなって、会社に十時過ぎまでいたときに、おお、あ
そこに、ケツ触らしてくれた女がいて、だったら今夜やっちゃおう
かとかみたいな大人達にみんななってくわけでしょ。なったときに、
うん、『ちょっと思い出してよね』って」
 親と断絶し、守るべきものが見失われたまま戦い続けるアムロの
心に、「あなたは戦う目的を持っていない」と問いかけてきたのが、
ニュータイプのララァだった。ララァは、ジオン側のシャアが連れ
てきた戦士だった。アムロとシャアの戦いの渦中に巻き込まれ、死
んでしまうララァ。その直前、アムロとララァの意志は通じ合った
はずなのに……。
 それから十七年を隔てて、アムロとシャアが再び対決する劇場用
オリジナル『逆襲のシャア』では、二人にとってララァの存在が未
だ大きいものであることが語られる。ニュータイプの未来をめざす
シャアにとっても、ララァは自分を導いてくれるはずの少女だった。
「僕の、母になってくれるかもしれない人だったのに……」
 第一シリーズでは、流麗かつ強大な戦士だったシャアが初めて見
せた本音。彼は『逆襲のシャア』では、周囲から「ロリコン」とま
で噂されている。愛人とベッドを共にしても寝ながらララァの名を
口にするからだ。
375名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/15 02:27 ID:???
「恋人でも女房でもそうなんだけれど、いちばん初めにひっかかっ
た女と同質のものを選ぶか、全く対局のものを選ぶかっていう二つ
しかないでしょ? あのなかでシャアは若い女の子とつき合うんだ
けど、それは自慰的な行為。年上の女ともつき合うけど、膝の上で
甘えることしか出来ない。シャアはロリコンになって逃げようとし
たんだ。今から十五年近く前、『Zガンダム』で、やっぱりガンダ
ムの続編をやらされるってことになって、ならやるしかないだろう
と覚悟したときに、一作目でファンに人気のあったシャアをヒーロー
にするのだけはやらないと決めた。それからもう一つ、これはオジ
サンのロマンチシズムなんだけども、やっぱりララァをほんとに愛
してたのよっていう(笑)」
 シャアをマザコン風に描いた富野は、登場人物を一新した続く劇
場用作品『機動戦士ガンダムF91』では、主人公の母親がニューガ
ンダムの技師という設定にする。この母は戦いの最後まで息子を見
守る。かつてとは正反対の展開だ。
「それは心境の変化ですね。自分が親になって、娘二人から造反さ
れて、家出に近いことまでされると、『少しは親たちを分かってく
れよ』ってのは言いたくなります(笑)。欲はあるけれども、それ
はやっぱり所詮親の欲なんだ。で、やっぱり分かることがあるのは、
基本的に、子どもっていうのは、こういう風に育っていくものであ
るし、って言うことを否定するつもりはない。だからといって子ど
もの特権を認めるつもりもありません」
 たしかに『逆襲のシャア』にして既に、ニュータイプに憧れてイ
ンドに修行してきたという繊細だがミーハーな少女クェスや、地球
からコロニーに着くだけでニュータイプになれたように思う少年ハ
サウェイといった新世代は、もはや最初から地に足が着いていない
ような存在で、富野から見た若い世代の遠さを象徴しているように
も見える。
376名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/15 02:28 ID:???
■「生身」の復権に向けて

 富野から見た若い世代への乖離感は、アニメの世界を地でいって
しまったオウムへの当惑にも通じる。
「オウムの事件が表面化してきた時に、要するに僕がいちばん困っ
たのは、アニメで考えてアニメの劇の中で実行する、というのを、
『えっ!今年やったの、こいつら本気かよ!』っていうこと。デジ
タル信号で身につけた情報と正義が、ついにああいう事件を起こし
たんじゃないのかな。アニメのセル画の主張をリアリズムでやろう
としたっていうのは、これはもう幼さ以外の何物でもないと断じら
れる。でも、僕はね、幼さだけではないんじゃないかっていう思い
もあるんで。つまり、人間のある感性が、いままでの言葉で感性っ
て言われているような感性が作動しない人々が出始めているなって
ことを、ひどく感じます。この数年具体的に起こっている、ホーム
レスを殴り殺したとか、それから自分の部屋に入れたガールフレン
ドを殺しちゃったとかっていう事件。死ぬまで叩いたり刺したりし
ても、相手が死んだっていうふうに思ってないらしいっていうとこ
ろまで来ちゃった。それは、いわゆる瀕死の人を、あまり見ないか
らです」
 その変化は、アニメの現場にも起り始めていると富野は言う。
「演技としてどう考えても死に体じゃないんだけれども、死に体の
画(絵)を平気で描く。どういうことかって言うと、例えば壁にぶ
つかってパーンっとよろけるでしょ。でも立とうとするじゃない。
それがなくて、ぶつかったとたんに死んでる。で、死んだかと思っ
てたら、次の瞬間、起き上がってたりする。そういう画を平気で描
ける。これは五〜六年前までには、絶対になかった。どんな下手な
画を描く奴でも、絶対になかったんだ」
 最近アニメが「ジャパニメーション」という謳い文句で、かつて
の自分の作品も含め知識人の批評の対象になってきたことに、富野
はかえって文化的なものの揺らぎを感じてしまうと言う。
「上野俊哉さんが『ユリイカ』に書いたりしてるでしょう? モビ
ルスーツやニュータイプの意義付けなんかを。あれ、ニ十年前にやっ
て欲しかったんだよね(笑)。でも、僕のはしょせんミーハーの理
論武装ですから。ニュータイプにしたって、ロボットを最初から操
縦出来る能力を持った普通の少年っていうのは、実はエスパーだっ
てこと以外に考えられないだろうと。でもエスパーという言葉は使
うのよそうとか、そんなところからこねくりだしているに過ぎない
んですよ。あまり大層なものだと言って欲しくない」
377名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/15 02:29 ID:???
 ガンダムはオモチャにせよ、プラモデルにせよ、産業として増殖
して久しい。作品自体も富野の手を離れている。
「それはそれでいいんだけど、皆、産業システムの中に組み込まれ
ているんだと自覚しつつやって欲しいんだよね。だから僕は自分を
作家だなんてとても言えない。上野さんが書いてるような作家論っ
ていうのは、認めたくないけど認めもするっていう部分なのね。つ
まり、本来、たとえば今話題になってる『エヴァンゲリオン』なん
ていうアニメは作品じゃないはずなんだと。だけどそういうものを
俎上に上げてしまう。そういうカルチャー論、サブカルチャーって
言葉でなんでも認めていく。それはサブカルチャーの側の問題とい
うより、すでに評論する側も全部デジタル化している。これは、か
なり深刻でやばいぞっていうふうに思います」
 SFアニメでは『ガンダム』以来の話題を呼んでいる昨年のアニメ
『新世紀エヴァンゲリオン』を富野が嫌いだということは巷間漏れ
伝わっていた。
「と言っても、オンエアの一本しか見れなかったです。それ以上は
見られなかった。エヴァが、僕みたいな年代とか、僕みたいな感覚
を持つ人間から見たときに、あのキャラクターは生きてるキャラク
ターではない、と感じます。ドラマは、生気ある人によって描かれ
るはずなのに、その根本を無視している。かくも腺病質なキャラク
ターとメカニックで、ドラマらしいものを描けるというのは、頭の
中で考えていることだけを描いていることで、短絡的に言えば、電
脳的だと。セックスにしたって生きているから出来ることでしょ? 
その境界線を分っていない年代、つまり、ビデオとかインターネッ
ト上のオマンコ見てセンズリかいているだけで、生のセックスに興
味を持てない、本物の女性を怖がる病理現象があるだけで、さっき
言った『死ぬこと』が実感出来ないっていうことが一緒になった感
性の人々の実在を見せつけられただけで、そう、あれはカルテに見
えるんですね」
 だが、『エヴァンゲリオン』の監督庵野秀明は大の富野ファンで
あり、スタッフとしても参加した『逆襲のシャア』にこだわってい
ることで知られている。『エヴァンゲリオン』自体に『ガンダム』
への返歌とも取れる描写もある。
378名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/15 02:29 ID:???
 かつて押井守は宮崎駿を批判し、宮崎駿は高畑勲を批判していた。
その論拠は、基本的には、アニメの虚構性に自覚的であれ、という
ことだった。同じ批判の刃を彼らは自分にも向けている。彼らアニ
メーションの監督は、虚構世界を見事に作り上げてしまったことが
現実に対してまるで罪であったかのごとく、己に対して内省し、同
業者の仕事を厳しく見つめる。それは私からは珍しい人種に思える。
ポルノ映画の監督が自分の映画観てホントに痴漢するやつが出てこ
やしないかとか、ヤクザ映画の監督が自分の映画観てヤクザになっ
ちゃうやつが生まれやしないかとか、そんなことで悩んでいるとい
う話は聞いたことがないからだ。多くのアニメ監督は、他人に影響
される前に己の表現の現実への影響を憂慮してみせる。それは裏を
返せば、彼らに自分の仕事への自負があるからだろう。自分たちは
充分ティーンエイジに影響を与えてきた、そして他人を批判するか
らにはその分だけ、自分の作品で落とし前を付ける、と。
「『ガンダム』でいえば、ホワイトベースの最前線で戦っている人
間と、地球にいてそれを命令している人間の図式ってのは、セル画
をはみ出した部分があるんです。自分たちアニメ屋と会社との関係
とかね。切通さんはさっき、富野のアニメには、後から助けに来て
くれた人に対して『私がいちばん辛かった時に知らん顔して、今に
なって……』となじる科白が多いって言ってたけど、ああいうのは
本音だもん。お前の都合で俺んとこへ来やがって、とかね。いちば
ん辛いときには誰も来てくれないって、それは実感ですよ。実感を
そのまま入れていいのかという話もあるんでしょうが、実写の監督
なんかはロケハンするわけでしょ。そこで練り上がってくるものが
ある。でもアニメの世界でガンダムのようなものを作ってた時に、
頭だけでやってると劇にならない。僕は、こちらの生身をかけてやっ
ているんですからね」
 富野は今、OVAの新作『ガーゼィの翼』に取り組んでいる。この
作品は、富野にとって『ガンダム』の前後以来二十数年ぶりにロボッ
トが登場しないアニメ作品だ。異世界バイストン・ウェルに迷い込
む主人公の高校生の持つ生身の身体をどれだけ感じさせるものにな
るか、期待大だ。
379名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/15 02:30 ID:???
今更な気もするし、既出かもしれないけど
とりあえずうpってみました
380名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/15 02:32 ID:???
>>379
乙でございます!
381名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/15 03:18 ID:???
御大の人生相談、本にまとまらないかなぁ
マス大山の人生相談みたいに
382名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/15 07:24 ID:???
>>379
切通理作のインタブーとは、ずいぶんとおもしろ物件ですな。乙です。
掲載誌と時期も教えていただけると幸いです。
383名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/15 07:39 ID:???
>>382
書くの忘れてた
別冊宝島「このアニメがすごい!」より
384名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/15 17:17 ID:???
845 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 メェル:sage 投稿日:03/05/15 14:35 ID:???
東京ヘッドもバーチャファイターが題材でなかったら誰も買ってねーよ。
実際には余りのひどさに即廃棄だったが。

>>835
誰かニュータイプマーク2の富野インタヴュー打ち込んでくれる人がいたら神。
あれは凄い。おれ買ってないんだよね。余りに腹立ったもんで。

↑誰かいませんか? インタビュアーは大塚ギチ。
385質問者:03/05/15 23:45 ID:???
先ごろ創刊された「サンライズエイジ」より、「監督という仕事−ヒットメーカーたちの軌跡−」という
サンライズ歴代名監督達についての記事の富野監督についての項をうpします。
富野監督の紹介文なのでご自身のコメント等はありませんが、ご容赦頂きたく。
386孤高の天才1/2:03/05/15 23:47 ID:???
サンライズエイジ Vol.1「監督という仕事−ヒットメーカーたちの軌跡−」文/池上隆之
■孤高の天才 〜テレビアニメ黎明期から第一線にあり続ける巨人〜 富野由悠季

富野由悠季(喜幸)といえば『ガンダム』の監督として名高いが、それだけで富野の全てを
言い表すことはできない。まさしく巨人と呼ぶにふさわしい活躍を見せる富野由悠季とは
どのようなアニメ作家なのだろうか?
まず、サンライズ作品だけ見てみても、第1作の『ハゼドン』以来、フリーの演出家として
幾多の作品に参加。総監督を勤めたサンライズ作品はテレビシリーズだけでもゆうに
10本を超え、そのほとんどが今なお高い人気を誇っている。
例えば、ロボットものにファンタジーの要素を導入し、美形敵キャラに多くの女性ファンを
生み出すこととなった『勇者ライディーン』。正義と悪の価値観を相対化し、戦いの悲惨さを見せつけた
『無敵超人ザンボット3』。アメリカアクションドラマを思わす大人のドラマとコミカルさ、
そして重いテーマを融合させた『無敵鋼人ダイターン3』。言わずと知れた『ガンダム』シリーズ。
哲学的命題にまで踏みこんだ『伝説巨人イデオン』。
これらの作品により、まだ発足より数年しかたっていなかったサンライズはその名を不動のものとした。
特に『ガンダム』のヒットは今更語るまでもないだろう。だが、この大きすぎる成功は富野を縛る呪縛ともなった。
引き続いて総監督を務めた『戦闘メカザブングル』『聖戦士ダンバイン』『重戦機エルガイム』は
常に『ガンダム』と比較され、番組終了後には富野が出す「失敗宣言」が恒例となった。
さらに『ガンダム』自体、営業主導で度々続編の制作が要請される。
さらに、ファンにもスタッフにも、十人いれば十通りの「ガンダムかくあるべし」のこだわりがあり、
新たなる『ガンダム』の制作は抵抗勢力との戦いと言ってもよかったかもしれない。
だが、長い苦悩の果て、富野自身が「リハビリ」だったと語る『ブレンパワード』の制作で復活。
自身の中の『ガンダム』に決着をつけたとでもいうべき『∀ガンダム』の制作に至った。
387孤高の天才2/2:03/05/15 23:47 ID:???
『ガンダム』とサンライズを軸にざっと俯瞰するだけで、これである。
その枠を外し、富野を語るということは、そのまま日本のテレビアニメの歴史を語るに等しくもある。
なにせ、富野の演出家デビューは国産発のテレビアニメシリーズ『鉄腕アトム』。1965年にまで遡る。
それ以来、現在までテレビアニメ作品の演出に断続的に関わり続け、一時期は"千本切り"と呼ばれるほどの
スピードで絵コンテを切りまくっていた。その速度を語るエピソードにはことかかないが、例えばこんな話がある。
1980年『機動戦士ガンダム』と『伝説巨神イデオン』の制作のはざま、放映期間で言えば3ヶ月しか
間がない時のこと。同じサンライズ制作の『ザ・ウルトラマン』最終回三部作のラスト2本の絵コンテを
斧谷稔名義で切っている。あれほどの大作の準備に追われる最中に、である。
広く知られていることではあるが、絵コンテで見かける斧谷稔、作詞の井萩麟は富野のペンネームである
(ただしこのペンネームには共同名義の意味合いもあるらしく、必ずしも富野本人とイコールではないらしい。
だが、連名であることが多いとはいえ、斧谷名義の絵コンテのなんと多いことか!)その膨大な仕事をこなす能力、
仕上げた作品の質、そして作家性。その結果、富野は「天才」と言い表されることが多い。
それは事実だろうが、そんな手あかの付いた言葉を使うのはためらわれる。
もちろん天才的な洞察があるのも確かだが、その作家性を裏打ちするのは不断の勉強であり、それによって
蓄えられた知識でもあるからだ。たとえば、『∀ガンダム』で描かれたミリシャの姿を思い出して欲しい。
そのベースには19世紀的な軍隊についての正確なリサーチがある。それは武器や軍服といった外面的なもの
だけではなく、19世紀的な思考で暴走するキャラクターたちや、それゆえ生まれる誤解などなど。
付け焼刃ではなく普段から積み重ねられた勉強、そうして身につけたファクトが咀嚼され、説得力ある
フィクションを生み出してきた。この事実を踏まえた上で、やはり富野由悠季は「天才」であり「巨人」だといえる。
そして、この巨人が虫プロからの流れでサンライズ作品に参加したからこそ、今のサンライズがあるのは間違いないだろう。
388孤高の天才 追加:03/05/15 23:48 ID:???
■富野由悠季
WORKS:1『無敵超人ザンボット3』
『海のトリトン』で戦いの悲惨さを描いた富野由悠季が、それを全面に押し出してみせた
巨大ロボットアニメの記念碑的作品。ここで試みられた善悪を相対化する手法が
『ガンダム』の成功につながったと言っても過言ではない。

WORKS:2『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』
シャアとアムロの物語、引いては『ガンダム』というシリーズに決着をつけるべく
制作された作品。自らを「道化」と語るシャアの姿は、この時期の『ガンダム』という呪縛に追われる
富野由悠季の精神を強く反映している。

WORKS:3『オーバーマン キングゲイナー』
『ガンダム』の呪縛から解き放たれた富野由悠季監督が制作した最新作。
着ぐるみロボットであるオーバーマンが、オーバースキルを駆使して戦うなど、
今までとは一味も二味も違う物語世界と前向きな富野節が堪能できる快作。

経歴
1975年『勇者ライディーン』:原作・総監督(第1〜26話)
1977年『無敵超人ザンボット3』:原作・総監督
1978年『無敵鋼人ダイターン3』:原作・総監督
1979年『機動戦士ガンダム』:原作・総監督
1980年『伝説巨人イデオン』:原作・総監督
1982年『戦闘メカザブングル』:原作・総監督
1983年『聖戦士ダンバイン』:原作・総監督
1984年『重戦機エルガイム』:原作・総監督
1985年『機動戦士Zガンダム』:原作・総監督
1986年『機動戦士ガンダムZZ』:原作・総監督
1988年『機動戦士ガンダム逆襲のシャア』:原作・脚本・総監督
1991年『機動戦士ガンダムF91』:原作・脚本・総監督
1993年『機動戦士Vガンダム』:原作・総監督
1998年『ブレンパワード』:原作・総監督
1999年『∀ガンダム』:原作・総監督
2002年『オーバーマン キングゲイナー』:原作・総監督
389名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/16 11:01 ID:???
>>384
>ニュータイプマーク2
あのNT誌より一回り小さい本でしょうか?
家に帰ったら探してみます。
390名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/16 11:37 ID:???
>>385
発売間もない本をうpするのはできるだけ控えた方がいいですよ。
391名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/16 11:55 ID:???
まあこの本についてはどっちかというと種のアレがメインだし。
392名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/16 12:08 ID:???
>>391
そういう問題じゃないと思われ
393名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/16 12:55 ID:???
アニメージュ1979年2月号フジテレビ・アニメ16年史より
新造人間キャシャーン

富野喜幸(演出)
●ゲストの演出家として参加しましたが、アニメの主人公としては
ひと味ちがったナイーブな青年をイメージに持ちました。
非常に人間のにおいのする作品だと思いますが、もっと戦場・バトル
を追求してもおもしろかったと思う。吉田竜夫さんの設定がみごとで、
生身の人間を動かしている印象が残っています。
395名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/17 00:15 ID:???
ttp://eva-2ch.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/imgboard/img-box/img20030503145445.jpg
これいつ頃の記事だったかな?庵野が富野の事語ってるんだけど。
ブレンとか言ってるから5年くらい前かも。
396名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/17 00:20 ID:???
>>395
1998年のものです
397名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/17 03:55 ID:???
>>395
それは同人誌です
398名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/17 10:47 ID:???
>>395
本のタイトルは教えません
399名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/17 10:58 ID:???
某専門学校生ですがうちの学校に先日富野監督が講義
に来ました、録音等はしてないので覚えてる内容をかいつまんで

・こんな学校来た時点で人生の敗残者だ、
本当にクリエイターとして優秀なら10代で成功している
(宇多田ヒカルみたいに)
最底辺であることを自覚してそこから這い上がれ

・60代でこんな仕事をしたり、こんな講義をしたりしてるのは
「変なおじさん」なんです。普通のおじさんでいたいという気持ち
もあるけど、もしアニメの仕事に携わってなけらばここで講演
することもなかったでしょう、いろいろあったけどこの仕事
続けてみて「悪くはなかったよ」とみなさんに言いたいです

・(千と千尋の日本での興行的成功について)
ストーリー、キャラクター、宣伝の巧みさもあるけどそれだけだと
ここまで興行的成功は収めない、宮崎さんが日本人の心の琴線に触れる
何かをつかんでいたからだと思います


400名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/17 11:14 ID:???
>>390
なんで発売時期気にするの?
401名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/17 11:15 ID:???
>>399
乙!

>・こんな学校来た時点で人生の敗残者だ

飛ばしてるな〜、御大称(w
その場に動揺とか走らなかった?
402名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/17 11:25 ID:???
>>400
一応著作権とか気にしてるのでは?俺もいくつか書きこんでるが、
発表されてから10年くらい経って現在入手困難なものしかやってない。
403名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/17 11:34 ID:???
続き
・(千と千尋、アカデミー賞について)
内容的に言えば、長編アニメーション賞じゃなくて一般の賞を受賞しても
おかしくない、長編アニメーション賞は日本のアニメ(映画)
を押し込めるためのもの。毛唐はこういうことをよくやる、日本人が
実力をつけてきたらルールそのものを変えてしまう。水泳競技のように

同年代のアニメ関係者としては宮崎さん受賞はとてもうれしい。同時に
同じアニメ関係者として嫉妬している、みなさんが考えている以上に
悶え苦しむくらいに…
今自分が出来ることで、宮崎さんが出来ないことはロボットアニメ、
だから(ロボットアニメで)「宮崎ぶっ潰す」そのくらいの
気持ちは今あります
「ガンダム」を作った時も、当時人気だった「ヤマト」を意識して
「西崎ぶっ潰す」という気持ちでした、その結果潰したかどうかは
わかりませんが、少なくとも拳銃の不法所持はしてないです(笑)

・昔はアニメーション作家と職業欄に書いても確定申告に通らなくて
毎年質問されていた
「漫画は描くのか?」「アニメなのに絵が描けないのは変じゃないか?」等々、
それを毎年説明していた。今アニメの仕事が社会的に認められつつあるのは
自分たちの世代のおかげ、
でも逆に言うとサラリーマン的な人が今の業界には多い、
顔見ただけで普通の人だもの、昔は顔見ただけでヤバそうな人が多かったし
実際ろくでもない人達の集まりだった。
でもサラリーマン的な人が普通に仕事していいものが出来るわけがない、
今のアニメがつまらないのはそういう人が多いから。一年、二年先
はいいかもしれないけど、十年先はこのままでは残らない。
今もてはやされているものを追いかけても、もう商品化されているのだから
意味がない。周りを見たり新聞を読めばきっと新しい何かがきっと見つかる
2週間以内に、見つからない人はそういうセンスが無いのだからこの仕事は
やめてもらいたい、それを形にしていくスキルはこれから何年もかけて習得
してください

・あとは映像の原則を中心に、
ウル覚えスマソ

404名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/17 12:17 ID:???
著作権とかの問題もあるだろうけど
御大がギャラ貰って言ってる事なんだから
買えるような奴は買っとけって話
405名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/17 13:45 ID:???
>>399
>>403
406名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/17 13:45 ID:???
>>399
これは面白い物件だったな。乙!
407大阪の名無しさん:03/05/17 17:42 ID:???
>>399

いいな〜
漏れの大学にも来て欲しい
映像学部あるんだけどな
408名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/17 18:41 ID:???
>>399 乙
最初のほう読んだときネタかと思った
金もらって呼ばれながらこの発言はカコイイ(w
409名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/17 19:30 ID:???
専門学生として最初の一文が耳に痛い…まあ、その通りなんだが。
410名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/17 19:42 ID:h2dPSoGf
富野みたいな老害野郎どもが全員消えればアニメが面白くなるのは確実なんだがな
411名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/17 19:46 ID:???
あの一文は、
専門学生に競争心を奮い立たせるために
言ったんじゃないのか?
412名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/17 19:46 ID:???
>>410
釣られませんよw
413名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/17 19:54 ID:h2dPSoGf
このハゲは半分ボケかかった単なるジジイじゃん。
アニメの中で富野がやった部分、脚本とかコンテよりも、かっこいい動きで
人気が出たのに、何か勘違い!お前の手柄じゃないんだよ!ボケ!
414名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/17 19:55 ID:???
ソカントクって、業界一行動力があるのでわ。
415bloom:03/05/17 19:56 ID:2WxezCLB
416名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/17 21:03 ID:???
>>399
> 本当にクリエイターとして優秀なら10代で成功している
『だから僕は…』の24歳ごろ(たぶん)書いたメモでも
自分に対して似たようなことを述べてたよ。
若い奴らを奮起させなきゃ、というサービス精神の表れだろ。
417名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/17 21:18 ID:???
なんか人生の敗残者が暴れてるね
418名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/17 21:51 ID:v5VfMsMI
>同年代のアニメ関係者としては宮崎さん受賞はとてもうれしい。同時に
>同じアニメ関係者として嫉妬している、みなさんが考えている以上に
>悶え苦しむくらいに…

こういうことを若造たちの前で言えちゃう富野萌え

419名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/17 22:08 ID:???
>>413
どうでもいいけど日本語がオカシイぞ(ww
420名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/17 23:17 ID:???
5月31日、東大に御大が講演にするというのはほんと?
今月のアニメージュに載ってたのだが
421名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/17 23:19 ID:???
>420
五月祭だね。ほんとだよ。
422名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/18 00:07 ID:???
>>421
まじなのか・・・
いきたいよ〜
423名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/18 00:34 ID:???
>本当にクリエイターとして優秀なら10代で成功している
>(宇多田ヒカルみたいに)
宇多田ヒカルを例えとして出したのなら富野はアフォだなw
424名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/18 00:47 ID:???
>>423
60のおっちゃんが頑張って若者にも分かりやすい例を出そうとしたんだろ
まあ、宇多田ヒカルは無理だよな
425名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/18 01:26 ID:???
宇多田ヒカルなんてクリエイターじゃないだろ。ただのアイドル歌手。
426名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/18 01:30 ID:???
>>425
そこんところが皮肉なんじゃないの?ただのアイドル歌手なのに
クリエイターとして祭られてるってのわかってて「売れてますよねぇ」っていう。
427名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/18 01:38 ID:???
上智や東大なんかじゃなくてタマビ来てくんねーかな
後継者候補いっぱいいるのに。富野ならそいつらのハート掴めると思うんだけど
428名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/18 01:38 ID:???
売れるセンスと、アーティスティックなセンスって、別物だからな。

つーか、グチグチ言わんとちゃんと下積みせいよって意味じゃねぇの?
何しろ、底辺から這い上がらんといけないわけだからな。
429名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/18 01:49 ID:???
自分で作詞作曲した歌を歌ってあれだけ稼いでりゃ勝ち組だと思うが。

最近の富野は、とにかく客を楽しませる芸能が素晴らしいって言ってるんだし、
宇多田ヒカル自体は本当に認めてると思うよ。

ただ、富野自身が宇多田ヒカルの曲を好きなのかって聞けば、
多分、理屈をこねた上で好きじゃないって答えるんじゃないか?(w
430名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/18 01:58 ID:???
モー娘。を例えに持ってきたら、本当にアフォなんだろうけどな。
431名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/18 02:10 ID:???
別に分野がどうこうではなく才能があって成功する一例として、分かりやすい10代の例を出しただけだろ。

おまえら底辺だ!って言ってるんじゃなくて、並外れた才能で成功しちゃう10代の香具師もいるけど、
大抵の人間ははそうじゃない。おまいらのスタートラインはそういう凡人からだと。
それを出しておいて、自分らが底辺だと認識して這い上がるくらいの努力をしなければ業界で成功しないし、
凡人からスタートするなら計り知れない努力と人と違う価値観と目標がなきゃ挫折するよって事。

それと、アニメファンの延長的な気持ちで業界で仕事しようと思ってるならやめてくれって言ってるんじゃない?

・・・深読みしすぎか?
432名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/18 02:18 ID:???
しかし富野が悶えるほど嫉妬するパヤオはコナンで初監督をやったのが37歳。
この世代のアニメ業界人としてはかなりの遅咲きなんだよね
まあ才能自体は東映動画入社当時からまわりに認められていたけど
433名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/18 03:27 ID:???
>>431
いやいや、その通りだろう。
434名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/18 12:48 ID:???
ちゃんと若い人応援してくれるよな、富野御大。
435399:03/05/18 12:54 ID:???
うる覚えなのでカキコが断片的でわかりにくくになってしまいましたが。
監督が言いたかったことは431のようなことだと思います。

講義といってもずーっと前に立ってしゃべる形式ではなく監督が教室内を
うろうろして学生に「将来どんな仕事がしたいか?」「その理由は?」
「千と千尋は何故成功したと思う?」等々質問をしていました。
その中で一番多かったのは「好きなことが仕事になればいい」という回答
が多かったので、その発言を受けて、
既存の映画、絵、アニメ、ゲームが好きな人がそれを好きだからといって
10年も仕事になるはずがない、その程度の個性など無いと思え、で上記の
敗残者という発言に繋がりました。
うちの学校は毎年監督を呼ぶようなので、監督のこういう発言は承知の上だと
思います。身振り手振りがオーバーアクションでかなり「熱い」人でした
436名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/18 14:01 ID:???
なんか禿ってガウディみたくだーれも知らん所でぽっくり逝きそうだな。
437名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/18 15:03 ID:???
毎年、禿が来るの!?

すばらしい環境だな。羨ましい
438名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/18 16:04 ID:???
うらやましいな
うちの大学にも来たらいいのに‥‥‥
439名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/18 16:49 ID:???
>>416
だね。

ウタダだって生で歌えるほど歌唱力があるとは思えないし。
まぁ自分の声をクリエする才能ならたしかにあるし。

しかし流石御大(w
440名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/18 16:51 ID:???
>>431
いや、そう思ったほうが徳だし前向きな考えしたほうが利益に繋がる。
まぁあまり調子よく考えると福田になるが。

441名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/18 20:23 ID:???
>>439
おいおい、自分の声をクリエイトしてるんじゃないぞ。
周りのプロデューサーやスタッフに作ってもらってるだけのアイドル。
本人はメロディ作るセンスが少しあるだけだよ。
442sage:03/05/18 20:36 ID:H5stJC1v
>>441
作ってもらってる「だけ」?
ぷ、作ってもらえる「才能」が有るだけでも十分なんだよ
それとも、作ってもらえれば自分も
アイドルになれるとでも思ってんのか?
大ヒットを飛ばす監督になれると思ってんのか(w

作ってもらえないから自分で這い上がれと御大はいっとるだろが。
443名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/18 20:42 ID:???
>>441
実際ウタダの才能はすごいと思うが・・・・
444名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/18 20:52 ID:???
>>442
sageいれる場所間違えてる奴には説得力なし。

ウタダを出したのは時代に合った個性を出した例の1つでしょ
445名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/18 20:58 ID:???
>>444
その程度で説得力なくなるのか。すげーな・・・
446名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/18 21:02 ID:???
やっぱり創作は才能だなという感じを強くした
残酷な事実だけど、歴史が証明している
もちろん努力は必須だが
個性を育てようなんて、世の中じゃ簡単に言ってるが
個性なんてのはそうそう生まれるもんじゃない
447名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/18 21:03 ID:???
>>444
コネがあればね。それと宇多田の才能は10代で終わったよ。
今はメディアとコマーシャリズムが持ち上げているだけ。
いまだに宇多田に才能があるとか言ってる奴は、メディアに流されてるだけだ。
448名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/18 21:03 ID:???
>>447
現実で本人作詞作曲でめちゃくちゃ売れてるわけで。
それでも才能無い、だの何だの言っても個人の主観の問題になるから
議論は無意味だと思うですよ。
449名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/18 21:05 ID:???
訂正>>447>>442へのレス
450名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/18 21:08 ID:???
まあ、物事の捉え方は一通りじゃないから。
鼻歌を曲にしてそれで売れちゃうってすごいと考えるか、
鼻歌を曲にして儲けてんなよクズ! と考えるか。
451名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/18 21:10 ID:???
「宇多田に才能なんてない」みたいなのこと、俺らみたいな凡俗が言うことか?
御大はそのあたり心得てる分マシだよな
売れたものを素直に受け入れられないのって見苦しくて、卑しいぞ
452名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/18 21:11 ID:???
売れれば才能があるなんて思ってるとはねえ、、、。
453名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/18 21:12 ID:???
ようするに凡俗と認めたくない、のしあがる能力のないヤシが一人いるってこった。
454名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/18 21:18 ID:???
人の才能を云々する以前に三点リーダーぐらい憶えようよ、みんな。
455名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/18 21:28 ID:LXajcAwN
>434

若い奴はね、30〜40代なんて完全に見捨ててるんじゃないの?
ゲイン見るとそうでもないのかも知れんが。
456名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/18 21:29 ID:???
スマソ
457名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/18 21:31 ID:???
雑談はいいから対談よろしこ
458名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/18 21:33 ID:???
>>452
どれを受けての発言だ?誰もそんなこと言ってないぞ
459名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/18 21:34 ID:???
>>452
だから聴いて素晴らしい素晴らしくないは主観の問題になっちゃうから
議論の意味が無いんだってw
460名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/18 21:39 ID:???
>>455
つうか10代以上は完全に見捨ててた。
特に20代と老人に駄目人間が多かったし。
20代のシャアなんて自分を慕ってきた連中全部見捨ててトンズラこいたしw

ゲインを見るに何かその辺変わったんだろうね。
461名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/18 22:00 ID:???
人間巧くなるのは16辺りまで。18越えると下降線、はたち過ぎればお年寄り。
462名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/18 22:02 ID:???
どうでもいいけどスレ違いって早く気付け人生の敗残者
463名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/18 22:16 ID:???
技術は10代でも30、40代でも身に付く
センスは子供の頃〜10代に見てきたもので差がついてしまうと思う
自分の考えはこれくらいにして…
だれか物件があれば書き込んで!


464名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/18 22:59 ID:???
>>440
でも俺生でウタダが歌ってるところ見たとこないなー
なんかプロモーションのビデオとかばかりだな・・・不思議だ。
465名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/18 23:01 ID:???
作詞作曲は確かに良かったけど、声は100%機械で合成してるだろ(w
しかしもう枯れてるな。
466名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/18 23:01 ID:???
御大・・・常人では真似できないことを易々とやってのけるな〜・・・
467名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/18 23:01 ID:???
ウタダ=さだまさし。
468名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/18 23:02 ID:???
ガノタはうただをどう評価するか スレたてろ。
469名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/18 23:04 ID:???
声加工しないでCD出すやつがいたら、そっちのほうが客舐めてる
470名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/18 23:08 ID:???
>>469
和田アキオ
471名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/18 23:11 ID:???
富野氏の対談を中心に書き込むスレです。

厳密には対談でなくてもコメント等でも結構です。形式も自由。
また、富野氏でなくても関連が深い人物の発言なら何でもOKとします。
カキコしてくれる神にお任せします。

基本的に保守を除いてあまりageずにsage進行でお願いします。

御大萌え話は>>364のスレへ。
472名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/18 23:28 ID:???
>>468
立てるなら新シャアの方でな。
473名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/18 23:51 ID:1sjXTX+v
リーンの翼 6巻

●作者のことば

物語が終ったのは、ぼくが根負けしたのだろうし、
ぼくの中に何もなくなったからなのだろう。その両方が理由かも知れない。
そして、分ったことがひとつある。ぼくごとき凡俗には、心を安んずる行為というものは、
絶対にないということである。これを不幸とはしないが、
多少辛いし、恥かしいことだと思う。しかし、小さい容器の中でも、
自分として納得できた経験をさせて貰ったことに、心から嬉しく思っている。

略歴=一九四一年小田原生。アニメの演出家として知られ、著書は『機動戦士ガンダム』『伝説巨神イデオン』等。
474399:03/05/19 01:03 ID:???
宇多田ヒカルを出したために無駄にレスがついてしまいましたね、スマソ
監督は宇多田に関して上記の成功者の一例として挙げただけで、
特に感想、批評は述べてませんでした。
ハリーポッターはつまんないって言ってました
(何故つまんないかは述べてませんでしたが)


475名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/19 01:15 ID:???
タイトル 富野の対談・発言で盛り上がる専用スレ

このスレは
富野関連の対談や発言を書き込むスレ2
http://comic3.2ch.net/test/read.cgi/x3/1050408195/
で書き込まれた内容を読んで盛り上がるスレ専用です。

なお↑のスレでは議論しないで下さい。

富野&庵野語録倉庫(富野関連の対談や発言を書き込むスレ1のスレ57氏のサイト)
http://members.tripod.co.jp/wijayu/

誰かこれでスレ立ててください。
476名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/19 02:31 ID:???
>>469
おまーの頭の中にはぽっぷすしかないんかと(ry
477名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/19 02:46 ID:???
>>476
ポップスとか関係なしにどんなジャンルでも音は機械でいじってるよ
478423:03/05/19 03:28 ID:???
何故、漏れの発言が間違って受け取られる・・・
479名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/19 04:06 ID:???
>>478
うっさい負け犬
480名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/19 04:45 ID:???
もういいよ、ここは富野発言の中身を吟味するスレではない、
トミノの発言を書き留めておくスレなのだ。

ウタダの成功と商業アートの本質やらなにやらについて
やりたきゃよその板にいけや。
481名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/19 08:19 ID:???
富野氏の対談を中心に書き込むスレです。

厳密には対談でなくてもコメント等でも結構です。形式も自由。
また、富野氏でなくても関連が深い人物の発言なら何でもOKとします。
カキコしてくれる神にお任せします。

基本的に保守を除いてあまりageずにsage進行でお願いします。

御大萌え話は>>364のスレへ。
482名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/19 10:18 ID:???
昔監督が専門学校の講師をしていた頃からの縁なんでしょうかねぇ?
講演する学校って。
483さがわ ◆TJofV9lhao :03/05/19 12:22 ID:???
うさだヒカル>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>ウタダヒカル

↓というわけで引き続き禿萌え続行
484名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/20 03:22 ID:???
>>435
> その中で一番多かったのは「好きなことが仕事になればいい」という回答
> が多かったので、その発言を受けて、
> 既存の映画、絵、アニメ、ゲームが好きな人がそれを好きだからといって
> 10年も仕事になるはずがない、その程度の個性など無いと思え

なんかわかる。
俺、今の研究が好きで、研究者になりたいなあと思ってたのよ。
そしたら大先輩のジジイ教授に、「40年間同じ研究をやり続けるのが研究者だよ。その覚悟が君にあるかい?」
って言われ、絶句した。
好きなことを職業にするっていうことの厳しさが少しわかったよ。
485名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/20 22:35 ID:???
>>484
いや好きだったら絶句も何も「多分やってるだろうなあ(苦笑)」
となるぜ。
486名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/21 01:18 ID:???
>>485
そうなるヤシが研究者になれるんだろうよ。
487名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/21 01:20 ID:???
趣味のレベルならそう言えるやつは多いだろうが、天職として
そこまで覚悟して言えるヤツはそういない、ってこったな。
「好きな事が仕事に」ってのは目先にある楽したさから出てる
こともあるだろうに。
488名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/22 00:42 ID:???
確かに、萌え萌えいっとる奴が、10年20年後のアニメ業界を背負うって考えるとぞっとする物がある。
ま、その頃は、俺自身がどうなっているか分からんが。
489名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/22 01:21 ID:???
既に「萌え萌えいっとる奴がアニメ業界を背負ってる」状態のような気も……
490484:03/05/22 01:59 ID:???
>>487
天職って言う抽象的なことはわからんけど、
生業・・・っていうのかな。
同じ研究を40年やって、なおかつそれでメシ食って家族養って・・・って考えたら絶句してしまったのよ。

そういえば御大は、ずーっと「アニメの監督なんか不本意」って言ってたよね。
だからこそ職人に徹して生業として続けられたのかもしれん。

「好きだから」とものすごい覚悟してその世界に飛び込むか
食っていくためと開き直ってその世界に飛び込むか

のどちらかだと思われ。
まあ、今の業界の人間はどちらでもない奴が大半で、だからこそ御大が危惧してるんだろうけど。
491名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/22 02:21 ID:???
俺なにかのビデオでみたんだけど、アフレコ本番最中なのにミキサールームでは内輪ネタで笑ってたの。
ああいう業界の人間は見苦しいなと思った。
492山崎渉:03/05/22 02:46 ID:???
━―━―━―━―━―━―━―━―━[JR山崎駅(^^)]━―━―━―━―━―━―━―━―━―
493名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/22 02:48 ID:???

富野氏の対談を中心に書き込むスレです。

厳密には対談でなくてもコメント等でも結構です。形式も自由。
また、富野氏でなくても関連が深い人物の発言なら何でもOKとします。
カキコしてくれる神にお任せします。

基本的に保守を除いてあまりageずにsage進行でお願いします。

御大萌え話は>>364のスレへ。

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494名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/22 21:13 ID:???
ガンダムエース7月号「富野さん、こんにちは」VOL.2は
軍事アナリスト中村好寿を迎え「イラク戦争から戦争の変革を考える」が御題。

ガンダムというロボットアニメを通して、僕は懐古的ではなくリアルに戦争を考え、感じられる物語を作ろうとしました。
ガンダムをきっかけに漫画やアニメ発の戦争論や国家論もたくさん登場して来ましたが、それらはあくまでもフィクションです。
問題は、実際の戦争を嫌悪し目を背け続けてきた日本人は、戦争を現実的にとらえる糸口さえ持っていないということなんです。
ガンダムで行なわれる古典的な戦争を、実際の戦争も同じだと思いこみかねない現実があります。
しかし、今回のイラク戦争は物語の戦争とかなり違い、戦争に大きな変革が起きている現実を見せてくれました。
早くからそれを指摘されていた軍事評論家の中村好寿先生に、現在の戦争の実態を伺い、現実として戦争を考えてみたいと思います。

と言う巻頭言以下、かなり興味深い対談になっている。
495名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/23 01:01 ID:???
情報さんきゅ。ダムA買てくりゅ
496名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/23 15:47 ID:???
>>495
今月号は26日(月)発売ね
497名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/23 19:37 ID:???
>>496
書店で目を皿のようにして探してしまった。未発売だったか……。
498名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/23 21:37 ID:???
明日は東大ですね、行けないので誰か内容まとめたものを
お願いします
499名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/23 23:22 ID:???
>>498
来週だぜ、ダンナ
500保守:03/05/25 02:01 ID:???
パンチラでいいのです。が、条件はあります。画描きも演出家もですが、
最近のアニメ(雑誌の画も含めて)、ただの裸みせ、下着みせの画とか
演出論は作り手の欲求不満のあらわれでしかなく、ムセッソーのそしり
を免れません。表現に節度が必要です。らしく描かれないのならば、裸
画なぞは欲求不満の表現でしかないのです。上手に描けないのは、下
品になりますからやめましょう。熟練が見えない時は全てカットします。
上手に、節度をもって! すっ裸がいいと思う人は女の子を全然知らな
いということになります。ビニ本ではなくアニメですから!
 (#1C21・岩場を転げ落ちるアム)
501名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/25 06:27 ID:InCJD5HW
>>500
なんじゃこりゃ?
あと保守なら上げた方いいのでは。
502名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/25 08:46 ID:???
>>500はエルガイムの時の富野メモだね、たしか。
503名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/25 10:28 ID:???
ZとVガンは”作り手の欲求不満のあらわれでしかなく、ムセッソーのそしり ”でしかなかった訳だが。
504500つづき:03/05/25 10:47 ID:???
Aセリフ展開はシナリオに準じるよりもこういったメカに関するものから発展させていって
下さい。特に1クールぐらいは! これがメカ物らしくさせるコツでしょう。
 (#1C60・アム、エルガイムを見て、「いやだ! このヘビーメタル、半完成品じゃない
の?!」)
Bニャンニャンに迎合しない男の表現とはこうなる。いいかね、年の差、オジンというのも
結構だが、本来、男ってこういう風にキゼンとしていなければ、いい女には惚れられない
んだよ。どこかの番組のように、ニャンニャン男が、女にひっつくなんてのは、その女も、
ニャンニャン以下なのだと承知すべきなのだよ。男、女の性の差というのは、こういうとこ
ろにあり、これがあるから性差があるのであって、そうでなけりゃ男も女もいらんのだ、と
いうことを演出だけでなく、現実生活の中にもカクゴして求め、男は男になること!
 (#1C121・アムを初めて見たダバ、ムッ!! と眉ぴくりしただけで)

>>501
書きこみがあればageなくても構わないんじゃなかったっけ?
別のスレでそう言われたことがある。

>>502
そう、それ。
505504つづき:03/05/25 11:18 ID:???
C本来、このブリッコポーズはとてもよくない。人間の描写がこれひとつで
終わってしまって豊かな表現を手に入れることができないからだ。よくよく
気をつけて描かないと貧相な演出家とかアニメーターになってしまうという
ことを忘れないようにしてやること。
 (#3C230・ミスったアム、照れて思わずブリッコポーズ)
Dバカというセリフを気楽に使うようですが、いけません。児童のみるもの
です。使わないように、気をつけるべきです。
 (#3C321・キャオ、邪魔するリリスをしかって「邪魔する気か」)
Eリリスはいつも戦いたくないという本能が働いている。
 (#4C77・思わず頭取をキックしたリリス、「あっ…あたし…人をけと
ばして……)
Fこれは物理的なストーリー描写という演出でなくて、レッシィの肌合いを
感じさせるということなのだよ。これがフィルムにボリュームをつける。
 (#6C366・砲撃を邪魔したリリスを砲座の下にもぐりこみ、あられも
ないカッコで追いかけるレッシィ)
G各演出へ──シナリオになくともエルガイムが主人公のストーリーなら
(エルガイムを)目立たせてやろうというような精神を持てないというのは
不思議なのです(シナリオではエルガイムは出てないのですが前後のつなが
りで不都合なければこのくらい創作すること。本来演出家というのは創作者
ということを忘れているのですねー、みなさんは)。
 (#11C28・ぺティ村を正規軍から取り戻す戦いで活躍するエルガイム)
506505つづき:03/05/25 12:28 ID:???
H各演出へ──以上のメモをつけたのはなぜだか分かりますか? 我々は仕
事をもらっているのです。その発注者の要求に応えられなければ仕事はなく
なりますし、なにより各員が対外的な部分に立てば、これ以上にひどい言い
方で要求を受けます。むしろトミノ・バリアーのため、楽に仕事をしている
と自戒して下さい。しかし大人はいつかひとり立ちしないと本当の大人には
なれない。使用人になって終るのです。慣れて、自分のものを出すという方
向へ向かって下さい。
 (#11C28・絵コンテの頭から細かくチェックを入れて)
I各演出へ──フィルムは動きで現わされるものです。ということは「動き
=時間の流れ→テンポ・リズム」(←音楽と同じ物です)、「視覚的=目で
見て分かるもの・分からせるもの」(←レイアウト、画のディテール、踊り
の振りつけみたいなもの)が、根本的な表現であるということが分かってい
ないようです。流動するものが、フィルム、ビデオfらるのです。
 (#13トビラ)
J上品さとか、規律正しい言葉遣いを知って下さい。いわゆる芸術的な香り
のするものを見、読んで教養の幅をひろげるしかありませんが、大丈夫、今
から気をつけてゆく努力をすれば30までには身につきます。気をつけずに身
につけない人々よりよほど良い結果が出ます。ただ育ちから出たものではな
いので所詮つけ焼き刃です。そこをいつも気をつけて謙虚な姿勢を忘れなけ
れば、メジャーになれます。
 (#17トビラ)
507506つづき:03/05/25 12:29 ID:???
K礼を失する、礼を維持するということの違いが他人に自分を認めさせるこ
となのさ。こうしないとダバはマンガなのだよ。分かれ!
 (#18C77・フル・フラットにわびるダバ)
Lお姉様のキスっていうのはこういうのさ、分かれ! 若者たち!!
 (#18C82・ダバにキスするフル)
M感動を生む、感情を作るというのが演出家なのだよ。
 (#19C126・グルグル内にとり残されたキャオをレッシィのディザード
が救いにきて)
Nセリフの間、とかセリフの作りを学ぶために落語全集のようなものを読み
なさい。よく分かるよ。できたらカセットで聞くなり、TVで落語を見るこ
と! 但し名人、真打ちクラスを!
 ○小説を読め! 文章の書き方を習え! とくにセリフを!
 ○一度決めた目線とか方向性を途中で買えてはいけない。
 ○動く画というのは大変やわらかいものである。が、やわらかい故に、や
わらかさを感じさせるためには、それを支える技術があるということ!
 (#17トビラ)
O予備知識のない観客にショックを与え(面白がらせる)分からせてゆくと
いう基本テクニックが未だ分かってないようですね。
 (#24C12・冒頭からいきなりエルガイムと子パードナ戦闘開始して)
508507つづき:03/05/25 12:30 ID:???
Pどうもギャグというものをムゲに笑いを生むものと理解しているようです
ね。全体の流れの中で、許される時、許されない時、シリアスさが逆にギャ
グとなることを分かっていませんね。
 (#24C20アム・ニッコリと笑うをここでは笑わないとして)
Q自分が面白がり、自分が作りあげてやるという欲望が演出家を鍛えます。
 (#25トビラ)


以上、おしまい。

出典
ザテレビジョン別冊・重戦機エルガイム-1
昭和59年12月5日発行

>>500の冒頭は

とみのごろく【富野語録】
@パンチラで〜

に差し替えてください(掲載誌ではそうなっているので)。
509508:03/05/25 12:35 ID:???
訂正
>>506のIの文末

× フィルム、ビデオfらるのです
○ フィルム、ビデオであるのです
510名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/25 12:39 ID:???
機種依存文字
511マカー用:03/05/25 15:12 ID:???
>>504
A=(2) ・ B=(3)
>>505
C=(4) ・ D=(5) ・ E=(6) ・ F=(7) ・ G=(8)
>>506
H=(9) ・ I=(10) ・ J=(11)
>>507
K=(12) ・ L=(13) ・ M=(14) ・ N=(15) ・ O=(16)
>>508
P=(17) ・ Q=(18)

sageでもカキコがあれば保守できる。以上。
512名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/25 18:06 ID:???
やっぱりとみのっちは生粋の演出家やね
513名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/25 19:08 ID:???
>>508
おつかれさまです。gj
514既出だったらスマソ:03/05/25 20:02 ID:???
515514:03/05/25 20:04 ID:???
ゴメン富野語録にあったね
しかも直リンしてるし・・
516名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/25 23:48 ID:???
いつの時代を切っても富野は富野だなぁ。

パンチラは書き手の欲求不満ではなくて、
視聴者の興味を繋ぐ最も安易な方法なわけで……
517渡邉哲哉発言:03/05/26 00:54 ID:???
テレビアニメ「Z.O.E Doroles, i」の同人誌での渡邉哲哉監督へのインタビューより、御大についての発言の抜粋
(Vガン・ブレン・∀にスタッフとして参加されてます)

(宇:インタビュアー T:渡邉監督)
-------------------------------------------------------------------------------------------------------

宇:「Z.O.E」に影響を与えた作品は他にもありますか?
T:一番オレ的に近づけたいなって思ってたのは「ブレンパワード」だから。ロボットと人間の交流みたいなものを描きたかったし。
宇:「ブレン」は未見なもんで、どの辺を…。
T:見ろ!あのロボットはしゃべらないけど明らかに意思が通じ合っているし、気持ちの悪い顔も後半はいい顔に見えるんだよ。
  キャラの後でロボットが遊んでたりとか、もろにドロレス(転載者注:「Z.O.E」の主役ロボの名前)でやってます。
宇:やっぱり富野さんの扱うものは一味違う?
T:富野監督の凄いところは定番からはずれようはずれようと常に試行錯誤しているところだから。そして、恐ろしいことに
  あの人のはずれたほうがやがて定番になっていく事だよ。

-------------------------------------------------------------------------------------------------------

インタビュアーと渡邉監督は高校時代からの友人だそうで、かなりくだけた口調になってます。
518名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/26 01:20 ID:???
>そして、恐ろしいことに あの人のはずれたほうがやがて定番になっていく事だよ。

ワロタ。まあ、そうなんだけど。
マイルス・デイヴィスみたいだよな。
519名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/26 07:44 ID:???
>>504
(3)あたりの演出方針はキンゲにいたるまで受け継がれてるね。
それにしても単なるメモなのに富野口調全開で笑った。乙です。
520名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/26 19:14 ID:???
(12)、(13)の口調が笑える。シャアというかギャブレーというか。
521時を経て師1:03/05/26 21:41 ID:???
KAWADEムック 文藝別冊 手塚治虫総特集より
----------------------------------------------------------------------------
 虫プロ時代の四年間、先生との間に特別なことはなかった。
 虫プロ一期生ともいうべき先輩のバリア、アニメーターにあらずんば人にあらずの気風、
マンガ絵を描けない僕などは近づけもしなかった。ぼくら大学出も先生を社長とは呼ん
でも、口が曲がっても先生とは呼ばず、日本のディズニーになるのなら経営者に徹してくれ
と組合員として要求もした。
 当時、先生が漫画家としてもっとも低迷していて、クリエーターとして悩みぬいてい
たのだが、そんな苦しみなど想像することは一切なかった。ひどいことを口にしたのでは
ないかと、今になって恐れている。
 とはいえ、ぼくが演出家になれたのは、すべて先生のおかげである。生まれてはじめて書
いたぼくの絵コンテにOKを出して下さったのは先生であり、その直後、喫茶店で「トミ
ノ氏は製作志望らしいけど、演出部にいってくれないか」と言ってくれたのも先生である。
 ふつうの能力したもたない先輩製作マンには、人の才能を見抜く力も決定権もない、と
そのとき思い知った。
522時を経て師2:03/05/26 21:52 ID:???
 ぼくのアトムの最後のフィルムチェックして下さったのは先生で、なぜかそのとき、
一人の役員が同席していただけで、バリアとなっていた先輩諸氏はいなかった。そのとき
退出なさる先生の背中とお尻が寒々としていたからというのが直接の理由ではないのだが、
手塚時代がおわるなら虫プロはつぶれるだろうとかんじて、ぼくは虫プロをやめた。
 その後も先生は雲の上の人でありつづけて『トリトン』や『メルモ』のアニメをやって
いるときにも深くお会いしたという記憶はない。
 『ガンダム』以後、外でお会いできるようになってから、あの「トミノ氏」という口癖と
ともに優しくニコニコなさる笑顔とあのブ厚くもやわらかい握手に、神技が宿ると感じ
るようになった。ぼくが四十代になってからである。
 オリジナル作品をやるようになってはじめてぼくは、午前三時にスタジオにいらっしゃ
った先生が、翌朝九時には朝食をすませて原稿を手にしていらっしゃったり、ピアノを弾
いていらっしゃる先生の記憶が逆流するようになった。五十才になるころ、先生の全集百
巻を通読したあとでは、さらにあの握手をして下さった手の凄さ、熱がよみがえってしまう。
 先生が亡くなられたと聞いた翌朝、失礼をかえりみず先生のお宅にあがりこんで、死に
顔を拝見できなくとも近くにいたいと願った。その行為は今も恥じていない。
 師のエキスの万分の一も真似することはできないだろうけど、ここに従うものがいると
知ってほしいと思うのは、生きている者の欲である。
523名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/27 00:55 ID:5lNFRoWK
和光大学 表現文化学科 連続レクチャー
「アニメの帝国」
??アニメの帝国から/へ、エクソダス(脱出)するのは誰か???
http://www.wako.ac.jp/whats_new/event_X_20030526_01.html
日時:2003年6月11日(水)15:00〜17:00 開場14:30
場所:和光大学J棟401教室(Jホール)
入場無料

講師(パネリスト)
  富野由悠季、大塚英志、村井紀、上野俊哉
 かつてロラン・バルトは日本を「記号の帝国」と呼び、
風呂敷からパチンコ、料理まで幅広く論じながら、
日本をめぐる幻想と現実を浮かび上がらせた。
 今日、日本はフジヤマ/ゲイシャの国としてよりも
「アニメの帝国」として知られている。
そして、その「帝国」は現実の世界の戦争や政治状況とも
微妙に絡み合っている。
またこの「帝国」は巧妙に分散して配置した
ネットワークのような権力のあり方に対応している? 
2001年の9/11以後、世界の政治的、軍事的状況と
アニメやサブカルチャーとの連関をとりあげるべく、
本学教員・上野俊哉と兼任講師である大塚英志は
富野由悠季へのロングインタビューを試みた
(『戦争と平和』、徳間書店、2002)。
 このインタビューから一年余、今回のパネルセッションでは、
イラク戦「終結」、北朝鮮「危機」などの情勢をふまえ、
この世界の戦争と平和を左右する「帝国」のありようを
「アニメ」から考える。
524名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/27 02:02 ID:???
>>523
えーと、和光大学に行っている人には悪いけど、どこだよ?そこ
525名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/27 02:06 ID:???
わからないことがあったらgoogleで調べる癖をつけましょう。
526名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/27 02:15 ID:???
>>524
リンク先クリックすればいいだけじゃないか。
ちゃんと交通アクセスも載ってるよ、大学のHPなんだから
527名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/27 02:27 ID:???
>524
書き込んでおけば誰かが答えるだろう、そういう気分、非常に嫌ですね
そういう身体性を欠いた受動的な気分で祭りなんて出来るわけがない、
祭りなんてハナっから(手をヒラヒラさせながら)これだもの
528名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/27 02:59 ID:???
>527 ワラタ。それ違うスレだろ。
529名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/27 03:04 ID:I8P30XMr
>>524
俺卒業生・・・・゚・(ノД`)・゚・
530名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/27 05:44 ID:???
またオーツカか……
531sage:03/05/27 09:08 ID:hxNzyQ6C
すんまそん、星山博之氏が当時放送中だった「Zガンダム」について語ってる
いんたびうを発掘したのですが、どこでうPすべきでしょう?
532名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/27 09:35 ID:CpVqpp7y
手塚と富野の話、ちょっと泣けた。
師匠の悪口をいいまくってるどこかのロリコンとはエライ違いだ。
533名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/27 09:53 ID:6u0I30tk
>>532
宮崎は東映出身で手塚プロに在籍したことは無いから手塚は師匠でもなんでもないよ。
漫画家としては尊敬してたみたいだが。
534名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/27 11:05 ID:???
>>531
あー、ここはちょっと違うか。どこがいいもんか……
個人的には気になる話なので、ぜひうpしてもらいたいもんだ
535名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/27 11:25 ID:???
1には富野監督に関連が深ければOKとあるのでここでも良いかと思う。
ということでリクエスト一票。
536名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/27 18:29 ID:CpVqpp7y
>>533
俺の勘違いでした。
でも、あの人、よく手塚の悪口いってるよ
537名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/27 20:39 ID:???
批判=悪口 と思ってないか?
538名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/27 20:42 ID:???
いや、アリャ悪口に近いぞ。
明らかに悪意がある。
539名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/27 22:03 ID:???
悪意は持ってるだろ。
手塚がアトムを身銭切って(当初は)ビジネス度外視して始めなきゃ
いまのローコストの量産低品質アニメは存在しなかったんだから。

東映で金と手間の掛かったアニメ作ってた宮崎から見れば
日本のアニメを俗悪化させたA級戦犯でしょ。
540531:03/05/27 22:20 ID:???
sageをしくじった531でつ。>>534さんと>>535さんの需要にお応えして
星山氏のインタビューの抜粋をうpりますです。 
(サンライズ作品に関わったきっかけ―『ザンボット3』の脚本を鈴
木良武氏に見せてもらい、自分にもこういうのをやらせてくれと言っ
たこと―や、当時放送中の『レイズナー』、終了したばかりの『バイ
ファム』が13人に決まったいきさつ等の話題があって)

星山 アニメの場合、キャラクターを生かすってのは、面倒でも、
ダサイ事でも、それなりの事をやって芝居を作らないと、見ている
人に訴えられないというのはありますね。それは痛切に感じてます。
『バイファム』で言うとそういう話をかったるいと言われるぐらい
6〜7話使わないと、キャラクターってのは出せないんですよね。
特にオリジナルの場合は。その代わり出来ちゃうと後は楽だと思う
んです。やっぱり、あそこまでやっとかないとスコットのエロ本の
話なんかもやったときに笑えないんですよ。まだ誰も見てないキャ
ラクターに、初めて感情移入させていくってのは難しい。ある程度
作らないと。この無駄がもう少しすっきり見せられれば本当はいい
んでしょうけどね。
 実は、スコットというのは完全にブライトの逆をやったわけなん
です。ロディは、アムロから暗さを抜いて健康少年にしたかったん
で…
――カイがいませんね(笑)。
星山 最初は、カイがバーツだったんだけど、もう時代が変わって
きていて、かえってそういうはっきりわかったアンチってのはあん
まり魅力もないから。カッコよく、偉そうなこと言ってもイヤミに
ならないようにね。
――いわゆるリアルロボットものの始まりみたいな『ガンダム』を
おやりになったわけですが、いかがですか?
星山 『ガンダム』って、今改めて見てみると結構まだ巨大ロボッ
トものなんですよね。それでなんだかんだとミノフスキーとか出て
くるけど、個々の具体的なコンピュータの性能とか、燃料は何かと
か、そういうことは脚本ではさほど気にしなかった。そういう意味
では最近ロボットものがメカ設定にリアルになり過ぎているようで。
そのリアルっていうのは、もっともらしいって意味ではあるけど、
それがハートに返ってくるリアルとはなんか違うような気がするん
ですよね。だから僕の言うリアルはかなりテレビという媒体を意識
したリアルなんです。見ている人が「あっ、こういう奴っているん
だよな」って言ったときに、僕はそれはかなりリアルになったのか
なって思いますけど。
――そうしますと、今のロボットもののリアルと『ガンダム』がや
ったリアルとはニュアンスが違うという?
星山 リアルっていうところでは同じだと思うんだけど、とにかく
人間の方をよりリアルに描こうと思ってたから、わりとロボットと
かなんとか気にならなかったですね。例えばアムロなんか出すとき
第1話からこいつは内向的だっていう芝居を入れといてね。そうし
ないとやっぱり後の内向的ってのが出ないんですよ。家でコツコツ
やってるとこで、まず視聴者に「どっか俺に似てるな」ってところ
から接点をもっていかないとね。
――『ガンダム』の頃はそういう芝居が新鮮だったんですけど、今
『Zガンダム』なんか見てますと、そういう芝居が入っているにも
かかわらず、どうも、いまいちって気がして…。
星山 それは、キャラクターに積み重ねを置いていないからじゃな
いかな。何か言う時、その前に、そいつがどんなキャラクターかを
描いていないんですよ。
――でも、富野さんはそういう事を知っている人のハズだから…と
考えると、わからなくなるんですよね。
星山 僕は、彼の中で、小説を書いたって事が大きく関わってると
思うんです。フィルム作ってからガンダムの小説書きましたよね。
そうすると一つ一つの人間のひだってのが、逆に、もう、うっとお
しくなるんですよ。言葉でこういう風に言えば、全部説明できるん
だっていうふうにね。時間で追ってく手続きをもう踏まなくなっち
ゃったんじゃないかな。
――星山さんの『Zガンダム』評みたいなものはいかがでしょうか?
星山 第1話見て、ちょっとついていけそうにないかなって、予感
はしましたけどね。『ガンダム』の時っていうのはまだ“虫”の視
点で、ものを作ってるようなところがあったけど、最近、黒澤明が
『乱』作ったみたく、俯瞰になってきちゃってるのが、ちょっと富
野さんにもあるような気がするね。こう、神様が見てるみたく…。
絵はちゃんとしてるんだけど、いまいち面白くない。人物をよりど
ころにして、ものを作っていくはずが、『Z』見てると、動かして
る人物に愛着を持ってないんじゃないかって気がしてくるんですよ。
例えば「もうお前はいらん」って平気で言えるようなね。

――最終的に、富野さんは『Zガンダム』で何をしようとしている
のか、どうお考えになりますか?
星山 一つには、人間はこういうものであると、習性、あるいは生
物学的なものからの考え方があって、それを『ガンダム』というフ
ィクションの中で語っている気がしますけど。
――ということは、『Zガンダム』は物語というよりむしろ富野由
悠季の“論”であるということでしょうか?
星山 ええ。そんな気がしますね。全部見てから言わなきゃいけな
いんだけど。
――そういう意味では、星山さん御自身の方法論では『Z』みたい
な作り方はできない?
星山 そうですね。『ガンダム』の7年後が富野さんにとって『Z
ガンダム』だとしたら、僕の場合は『バイファム』って形で出てき
たんじゃないでしょうかね。『ガンダム』から、ニュータイプを通
過して『バイファム』へと。
(後略)
545531:03/05/27 22:32 ID:???
つーか、この当時のOUTのインタビューは本当にオモシロイ。
スレ違い承知で『Z』当時『アリオン』準備中だった安彦良和氏の
インタビューも発掘してきましたんで続けてどうぞ。

(製作中の『アリオン』と、『クラッシャージョウ』『巨神ゴーグ』
との製作コンセプトにおける対比等の話題があって)
――『ゴーグ』でひとつ吹っ切れて、次の『アリオン』をターニング
ポイントにという気持ちはありますか?
安彦 そうですね。どこでターンするのかはわからないけど、『アリオ
ン』でターニングポイントといってしまってもいいんだろうと思います。
 本当は『ゴーグ』で吹っ切って、そこをターニングポイントにしたか
ったんだけれども、『アリオン』は行きがかり上からいっても、どうし
てもやらなきゃならなかったし。そう言うとすごく消極的に聞こえるけ
ど、これまでにも『アリオン』を映像化したいという話は何度かあって
、それを自分でも本来は映像化したいと思いつつも断ってきたので、そ
のまましないで済ませてしまうのはシャクだな、と思う気持ちが頭をも
たげてきてね。よし、なんとか『アリオン』までもっていって、そこを
ターニングポイントにしようという感じなんです。
――『アリオン』という作品のテーマに関することですけれども、これ
は『ガンダム』のアムロや『ゴーグ』の悠宇についても言えることだと
思うんですが、主人公のアリオンに託しての“少年の成長”を描く物語
であるという印象を、原作で強く受けたのですが。
安彦 それはありますね、強くこだわってしまったというか、さっきの
ターニングポイントということで言うと、やっぱり少年テーマというの
を『アリオン』で総決算したいという気持ちです。ただし、大きな意味
での少年テーマはまだ後に残るかもしれないけど。
 すごいキザな言い方しちゃうと、少年が自己のアイデンティティを模
索するという(笑)。そういうテーマをね。
(中略)
――そういう事をアニメの中で意識して描き始めたのは、やはり『ガン
ダム』あたりからですか?

安彦 そう、『ガンダム』のころからね。なんとなく、アニメでもこう
いうものを素材にして、表現で深入りできるなという感じがしたんです
ね。アムロという性格的に問題のある、三白眼の男の子で、赤毛の―。
彼にものすごい親近感持ったというのが、きっかけだったような気がす
るんです。その時のこだわりが何か根っこにあるという感じで。
 だから7年後という形で『Zガンダム』が出て来たりすると、ちょっ
とつらいですね。あれは残酷だという気がして。アムロにしてもシャア
にしても。『Zガンダム』は絵コンテでずっと読ませてもらってるんで
すが、非常に場違いな状況にアムロが置かれて、彼が醜く戸惑うという
ところがいっぱい描かれているんですね。そうならざるを得ないだろう
とは思っても、ちょっとこれは残酷だなと。設定がそうなっているにし
ても、なんでこういうフォローの仕方をしなければいけないんだろうと
いうね。で、出来ることならやめときたかったなぁという感じがしちゃ
うんですよね。
 カミーユにしても、最初キャラクター設定見たときに、これはちょっ
と救われないんじゃないかという事で、心配だなとは思ったんです。
 プロデューサーにも「これだと、同世代ドラマができないけど、いい
の?」って聞いたりしてね。家庭環境に問題があったりとか、ああいう
ところに子供を入れておいたら、やっぱり性格悪くなりますよ(笑)。
 未だにそういう気がするし、主人公がかわいければかわいいほど、何
とかしてやりたいと思うんですよね。
――安彦さんなりに、また少年テーマとしてとらえているわけですね。
安彦 自分の世界を切り開いていくというか、世界を獲得していくとい
うか、そういう事に血まなこになるわけですよね、少年の時代っていう
のは。いろんな意味での仲間が欲しい。と同時に敵を探すんですよね。
それは両親であったり先生であったり、社会一般であったりするんだけ
そ、その時に自分の周りに仲間がいてくれればいうことないと思うんで
すよ。でもカミーユの場合には、あんたも俺の事わかってくれないと、
ひたすらあんたも敵だあんたも敵なんだと。ああいうとんがり方という
のは一面真実だと思うんですけど、その時彼の周りに誰も仲間がいない
というのは、非常に吹こうな状況の誇張なんでね。物語の対象としては
ちょっと、という気が僕にはするんです。
『アリオン』の場合もその辺似てるんだけども、この敵に勝てば人生の
幸せは約束されてるぞみたいな事をアリオンが他人から吹き込まれて、
でもそれで敵をやっつけようとする過程でどうも話が違うというので右
往左往する。しかもその中で確実に仲間を得ていくという事で、一方的
に注入された敵味方の図式が崩れて行くわけです、そういう両方のアプ
ローチがないと、少年の物語はとてもつらいという感じがしますね。
 実際に、俺の敵はこいつとこいつで、こいつら何とかすれば世の中何
とかなるという偏見に陥った青少年っていっぱいいるんだけれども、そ
れは非常にやばい状態ですよ。わかりやすい図式だからかえって問題だ
と思うんだけど。肯定的にとらえちゃいけない。それで、今回『アリオ
ン』で、ここは区切りなんだってわりと機械的に切らないと、なかなか
視点が広がっていかないような感じがしてね。先細りはまずいけれど、
これが自分のこだわりなんだっていうのを深めていくのと先細りとでは
似ているようでやはり違うと思っていますから。
――こだわりの成果に期待しています。本日はありがとうございました。
549531:03/05/27 22:40 ID:???
以上、スレ違いなら御容赦。やり逃げ。
550531:03/05/27 22:47 ID:???
一緒に発掘したOUT1985年9月号の富野御大の『Z』いんたびうが
某種夫妻に読ませたい超傑作!長いんでちょっと待って下さい。
551名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/27 23:36 ID:???
やべえ。OUTって宝の山だったんだな
552名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/27 23:41 ID:???
御大が「∀の癒し」で1st以来星山氏と仕事をする機会がなかったと
書いてたけど、その空白期間の一部分が見られて嬉しい。
553名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/28 15:01 ID:???
乙。
OUTってOガンダムや芦田コーナーみたいなバカネタが印象に残ってるけど、
その一方でこういうインタビューや批評もきわめて充実していたんですよね。
554名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/28 16:54 ID:???
ていうか星山氏今何やってるんだ?
∀以外名前聞かないんだけど。別名で別の仕事してるのか、
もう隠居しちゃったのかな。
555山崎渉:03/05/28 17:16 ID:???
     ∧_∧
ピュ.ー (  ^^ ) <これからも僕を応援して下さいね(^^)。
  =〔~∪ ̄ ̄〕
  = ◎――◎                      山崎渉
556名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/28 18:15 ID:???
一応保守っておこうと思うんです。
557名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/28 19:49 ID:???
OUTで思い出したけど、例えば今の映画秘宝みたいな馬鹿雑誌ってアニメじゃ出来ないもんかね?
アニメのユーザー層が極端に狭すぎるから無理かな?
558名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/29 00:10 ID:???
>>557
採算を取るのが…
OUTも結局、趣味に走りすぎてスポンサーが離れて終わったラスィ
559名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/29 00:34 ID:???
ちゃんとマンセー記事も書かないと制作会社が設定やらなんやらの
資料をくれなくなったりするみたいだからね。
560名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/29 02:29 ID:???
アニメージュの対談では、
富野氏と原氏は最後にのアニメ誌はマンセー記事ばかりだって
批判してたね
561名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/29 03:13 ID:???
>>559
OUTやらアニメックやらはカラー原稿のスチール(セルかもしれん)が、メ−ジュとかの
メジャー誌がもらった後の残り物しかなくて悲惨なのが多いと、当時の編集者が言ってたよ。
562名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/29 10:04 ID:???
>>554
>ていうか星山氏今何やってるんだ?
>∀以外名前聞かないんだけど。別名で別の仕事してるのか、
>もう隠居しちゃったのかな。

星山氏も、来年には60歳だしなあ…。
雑誌とかネットで調べたけど、今年はやってないみたいですね。

563名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/29 23:20 ID:???
>>562
すれ違いみたいなのがあったのかもしれないが
それでも∀でまたタッグ組んでいいの作るってのはたいしたもんだよね

そういえば星山氏の∀に対するコメント載ってるものある?
564名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/30 00:15 ID:???
>>563
「∀ガンダム全記録集1」に脚本家座談会があるよ
565名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/30 00:16 ID:???
富野氏の対談を中心に書き込むスレです。

厳密には対談でなくてもコメント等でも結構です。形式も自由。
また、富野氏でなくても関連が深い人物の発言なら何でもOKとします。
カキコしてくれる神にお任せします。

基本的に保守を除いてあまりageずにsage進行でお願いします。

御大萌え話は>>364のスレへ。
566名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/30 00:20 ID:???
>>564
おおサンクス
星山氏のトミノ評価がどうなってるか気になったもので
さっそく探しに行ってみますわ
567名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/30 05:12 ID:???
どなたか、VガンダムのLDに入っている
解説書みたいなヤツ(ライナーノートっていうのか?)を
持ってませんか?
それにトミーノのインタビューやコメントがのってたら
ぜひアップしてください。
当時、学生でLD買えんかった……。
568名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/30 06:12 ID:???
>>541-549
当時工房でOUT読者だったんで、このインタビュー読んだ記憶があるんだが
やっぱ当時は理解してなかったんだね。改めて読むといいこと言ってるねえ。
569名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/30 14:07 ID:???
ほっしゅ
570名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/30 22:24 ID:???
>>563
NEWTYPE100%コレクションのVol2に
星山さんのインタビューが載ってるよ。
571名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/31 01:25 ID:???
落ち防止age
572名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/31 01:51 ID:qGC1yE94
星山インタビュー懐かしい。
誰のインタビューだったかは忘れていたけど、
「小説を書いたって事が大きく関わってると」
「俯瞰になってきちゃってる」
この二つのコメントは、とても印象深くて、しっかり憶えてたよ。
Z辺りから数作の富野アニメに対する違和感を
こんなに的確に表現してくれた発言は他に無かった。



573名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/31 02:02 ID:???
富野氏の対談を中心に書き込むスレです。

厳密には対談でなくてもコメント等でも結構です。形式も自由。
また、富野氏でなくても関連が深い人物の発言なら何でもOKとします。
カキコしてくれる神にお任せします。

基本的に保守を除いてあまりageずにsage進行でお願いします。

御大萌え話は>>364のスレへ。
574名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/31 02:14 ID:???
 ,.-、
           /.n l  /⌒ヽ
             | l l | ,' /7 ,'
        , '' ` ー ' '-' /
       / ≡、  :==≡ `ヽ  
         l|・==|=f・==- |   l 
       | ,⊂__)、`ー'    |   いっぱい(コンテ)切って〜♪
       |三: : : : 三    |   いっぱい否定する〜♪
         ヽ_;===.、;     /    (TOMIなら)
         ヽ ̄____,/     いっぱい切って〜♪
         /  ,. - 、  )     いっぱいキャラ殺す〜♪
      (( ( n ([T],ハ_う      (TOMIなら)
         ゝ)ノ  ̄   ヽ
            /   _   l ))
            〈__ノ´   `(_ノ

575名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/31 02:41 ID:???
>>560
キャラクター商品には、批判は付きません。
576名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/31 05:37 ID:???
>>531
今更ながら乙。
そーか、バイファムやZの頃はガキだったからここまで読めなかったよ。
やっぱりZは星山さんにも安彦さんにも評判悪かったんだね…
今読んでみると一々、言ってる事は頷ける。そーか星山さん。
本当に爺だけど最後になんか仕事して欲しいよね。TVシリーズの構成か、監修とか
577名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/31 08:08 ID:???
>>560
映画雑誌みたいに「けなすところはけなす、誉めるところは誉める」という風にしないと、若いスタッフは図に乗る、とか言ってたね。
メカと美少女でてりゃいいのか、とか。
まさにその通りだけど、その対談が載っているアニメージュの現状ときたら。
578名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/31 08:13 ID:???
もうアニメ−ジュも引くに引けない所に来てるだろうから。
ここで引いたら間違いなく廃刊に…

徳間は売れん雑誌はことごとく消し去ったから。
579名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/31 12:04 ID:???
>>574
うん。
トミノはコンテいっぱい切ってたらふく稼いだ。
試写室の憂鬱

 Vガンダムは、ぼくにとって、何年ぶりかのTVの仕事であったために、方に力が入りすぎたという反省がある。
それに、自分の年齢を隠したいという意識が直結して、ますます厄介なものを抱え込んでしまったと自覚している。
 こう書いてしまうのも、このVTRが発売されている現在も、作品の制作とオンエアは続行しているから、直接的な
痛みをともなう反省となっているのだ。
 だから、毎週、フィルムの最終チェックと納品チェックをかねた試写は、憂鬱な行事になっている。
 来週か、再来週にオンエアをされるフィルムを見ながら、そのとき、並行的に進めている三ヶ月後にオンエアされる
フィルムのプランとか、コンテをチェックしている作品では、どうTVシリーズらしくするかということを、考えてしまう
からだ。
 さらには、試写されているフィルムの中に、現在は忘れてしまっている設定事項を発見すれば、それが、現在、
作画におわれている作品では、ちゃんと受け継がれた物語になっているのか、撮影をしている話数(これは業界用語)
ではどうなっているのか?
 それを考えながらも、見ているフィルム用の物理的な問題点は無いか、ストーリーはうまく表現されているのか、
まずいなら、それは、どういう作劇上、演出上の判断ミスがあって生まれたのかも、考えなければならない。
 それでいて、自分が監督したフィルムでありながら、ぼくは自分のフィルムを感動してみるのが好きなために、
楽しんでしまう。
 それでいて、楽しめない要素(構成、演出、策が、彩色プラン、美術設定等の問題があったとき。音響設定とその演出。
効果音の効果!役者の声と演技!!何よりも、各カットの秒数の基本設定のミスは、僕にとって致命傷に感じる)が
あったときには、当然、楽しめないわけだから、オチコム!!
 それでも、楽しめる要素を発見して、最後まで楽しもうとするヤジ根性にもとらわれつづけて観おわるのである。
 が、僕にとって面白いと感じる作品が、Vガンダムを見てもらえる視聴者にとって、ほんとうに面白いものなの
だろうか、という疑問と不安にさいなまれてしまうのは、この試写がおわった直後なのだが、自分が面白くないと
感じるものをオンエアするのは、視聴者を馬鹿にすることなのではないかとも思っているから、唸るのである。
「いいのだろうか?」と考えながら、試写のおわったフィルムの大変な仕事をこなしてくれたスタッフにニコニコした
顔をみせて、お礼をいう。これも仕事だし、その上で、スタッフの何人かには、問題点も指摘しておかなければならない。
 そして、極のプロデューサーという納品を受ける立場の方からの意見も聞いて、それを今後にどう反映させて
いくかも考えなければならない。
 しかし、そこでの大問題は、やはり、僕は、十歳の子供ではないという事実と、何をどう考えようとも、噛み砕いて
表現することができないぼくにとっては、ともかく、このシリーズは、君たちにとって、絶対にいいんだよ、というしか
ないのだ。
 このフィルムが、きょう現在の最低のレベルだ、といってしまうために、結局、ぼくの指揮する作品は、みんなに
好かれるまでの作品には仕上がらず、主義主張という観念が先走ってしまうものになってしまう。
 それが、作品としての感動を足らないものにしているのだ。
 だから、結局、試写室で、えらいゴツイものを作っちゃってるんだよねぇー、と嘆息するのである。
 これが、冒頭に書いた問題点なのである。
 でもね、こうやって、ビデオになったりすることを考えちゃうと、何度となく見てくれる人にたいして、隙のないものを
作りたいと考えてしまうのだ。
 その強迫観念が、ぼくに、ロボットものというより、別の何かを見せたい見せたいと思いすぎる感覚をつきまとわせて
しまうのだろう。
 その別の何かというものが、なにか、は、わからないから、もっと面倒なのだが…。
 その気分が、フィルムに出てしまうのだろうなーとは感じる。
 いいことではない。
 どうせ見てもらうなら、気持ち好く見てもらえるものにしておきたい、というのが理想なんだ。
 本当にそう思って、ガンバッテいるんだけど、ぼくには、これしかできない…。
 だから、試写室で唸りながらも、ともかく、最終回まで、どういうストーリーになるかもわからないけれど、ともかく、
全力投球させて欲しい、というのが、現在の心境。
 ガンダムがシリーズとしてどうの、なんて、考えている暇がないんだよね。

1983年8月15日 つまり、20話オンエアのあとの日曜日。
583名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/31 14:09 ID:???
ほぅ、83年にVガンダムが。
584580-582:03/05/31 14:13 ID:???
休日で時間があったんで打ち込んで見ました。
10年経った今の時点で読み直してみると、当時感じた味とは別の味が判ってくる文章ですね。

最後の一行、今の時点で見ると非常によく判る。
「バイク戦艦まで出したのに、お前らまだシリーズ続けるつもりかー!」
「俺はもう関わらんぞー!!」
たぶん、このころバンダイやサンライズの人間と、こういう話ばっかしてたんだろうなぁ(^^;

そういやサンライズがバンダイの完全子会社になったのは、Vガンの終わった直後だったな。
585580-582:03/05/31 14:15 ID:???
>>583
うわぁ、スミマセン…。
もちろん原文では「1993年8月15日」になってます。
こちらのタイプミスです…。
586531:03/05/31 14:39 ID:???
すすすすみませぇ〜ん!
星山氏インタビューは1986年“2月号”の間違いでしたぁ〜!
お詫びして訂正をば。
つー訳で、待っていた人がいるかどうかわかりませんが
月刊OUT1985年9月号・Zガンダム特集より
トミーノVSアウトシャイダー編集長のぶっちゃけガチンコ対決!
大徳
『機動戦士Zガンダム』の富野さんの最初のメッセージというのは、ニュータ
イプっていうものの実体がかなりわかってくるような物語になるんじゃないか
なっていうふうに感じたんですけども。
富野
 僕は現状認知の話という、過渡期だっていう言い方をしたと思うんですけど。
ニュータイプのことに関して言えば、それは最初からわかるわけがない、でも
言ってしまうと最初からわかってることでもあるんです。問題なのは一人一人
の人間がニュータイプとして現れるか現れないかでしかないわけで、それが結
局、ドラマの骨格になるんじゃないかなってことは言えますよね。現れるって
ことはどういう意味かと言うと、ニュータイプを一つの能力論として考えてい
った場合、その意味はいつまで経ってもわかりません。現れ方としてエスパー
になっていっちゃうわけですから。
 では、エスパーがニュータイプかというと、それだけは極度に避けてますよ
ね。でも『Zガンダム』の一番初めにエスパーかも知れないっていう言い方を
一度したので、特に『Z』が好きな人から「そうじゃないでしょ!」っていう
セリフが出てくるんです。すべからく、そういう言葉の持っている意味は実は
とても危険で、じゃ、テレパシーが出来たからといって、その人にとってそれ
はいったい何なんです?って言った場合、その後のことが具体的に見えてこな
い限り、本当の意味でのニュータイプになんかなれるわけがないんですね。だ
から、ニュータイプって何なんだろう?ってことをロボットもので説明しきれ
るはずがないんです。
 本来、「みなさん、悟りなさい」という話を宗教家たちが延々と言い続けて、
2千年、3千年にもなるんだけど、悟るハウツーと悟った形と悟った結果は誰
も教えてくれてませんよね。そう簡単に言えるわけがない。ただ、そういうも
のを目指すべきではあるという意味で、『Z』をやっていく以外にないんじゃ
ないのかなって思います。
大徳
 ニュータイプって言うものがどういうものなのか、ニュータイプの意味自体
には、追求する程の意味があるとも思ってませんし、また、富野さん自身、最
初の『ガンダム』を作った時は、ニュータイプというものに深い考察があって
打ち出したものではないんじゃないかなって気がするんです。ただニュータイ
プのイメージみたいなものが、すごく受け入れられたというのはなんか、それ
なりの理由があるように思うんですけど。
富野
 間違いなくあります
大徳
 ニュータイプというのは、おそらく希望というもののイメージじゃないかな
って気がするんですよね。というのは、ひと昔前だったら、例えば革命を起こ
して新しい社会を作るとか、幻想であるにしてもそういった理想あったわけで
すが、今の時代って、人類がおよそどういうふうに行ったらいいのか、という
イメージが国家にしても社会にしても全然無いでしょ。一時期はマルクス主義
とかに理想のイメージがあったけれども、現実の共産主義国家とか見てるとす
ごく裏切られた部分があるわけで、じゃあ資本主義かっていうとそうでもない。
 ただ一方的に科学だとかそういったものが発達してきちゃって、それに人間
のメンタルな部分がついて来なくなっちゃってるところがあるでしょ。そこに
パッと人間の革新というものが出てきて、それにすごく今の若い人たちが反応
する部分があったんじゃないかなって気がするんです。
富野
 全くそうです。
大徳
 僕がすごくニュータイプを好きなのは、社会とか国家というイメージじゃな
いからなんですよね。人間そのものをどうにかしなくちゃいけないっていう、
個人の問題という部分で入ってきてるから、それがすごく面白いなって気がす
るんです。
富野
 旧『ガンダム』の第1回目は、子供をロボットに乗せてから操縦させなきゃ
いけない。そのためには何か方法がなくちゃいけないからってことが、ニュー
タイプを生み出した一番のキッカケなんです。ニュータイプという言葉を生み
出して以後、自分を含めてずっとニュータイプというものを考えるんじゃなく
て、そうなりたいと思ってるんです。つまり、ニュータイプたらしめなくちゃ
いけないと思ってます。ですが、では、それは一体何なのかって言った場合、
宗教的なもの、政治的宗教的な主義主張の一切合財を含めて、それら全部を包
含していくようなわかり方をしない限り、絶対ニュータイプにはなれないと思
います。
富野
 卑近な例でとてもわかりやすい言い方をしますと、こういうテーマというの
は、日本にこそ突き付けられているんです。少なくとも日本という国だけを取
った時に、これほどの老人国家というものを、有史以来、人類は持ったことが
ないんですよね。それを維持していくのか乗り越えて行くのかはわからないん
だけども、やっぱり人間が生き死にを続けていく中での一番いい形で、一つの
体制を認知しなくてはいけない時に、実は人間は1億の人間が80歳になった時、
みんな幸せに生きられるという強さを絶対持っていないと思います。だけど、
もし人が死んではいけないということを大前提にするなら、その80歳の時にみ
んながハッピーでいられるような図式というか体制を、そのメンタルな部分も
含めて持っていない限り、福祉政策だけならば、1億の人間がハッピーでいら
れるわけがないんです。だから、その問題を抜きにして福祉論だけで話を進め
るのは困るし、そういった問題の一切合財を包含しているのが、やはりとても
現実的な部分でのニュータイプ論じゃないのかなって思ってるんです。
大徳
 ただそういう意味でいうと、ニュータイプの概念ってそれこそ大人とか老人
の人たちにわかってもらいたいっていうのが……。
富野
 そうです。むしろ、こういうテーマがあるからターゲットは20代ではないん
です。コレから父親母親になろうとする人や30代中頃の人たちですね。自己改
革っていうと白けるんですが、本当に今自分たちの生命というものを、社会人
としての立場を一番用心深く配慮しなくちゃいけない時代が来てしまったので
はないのか?って思うんです。それなのに、戦争中あたりのイデオロギー論と
か感性論が未だに残ってて一つの国家が運営されていくっていうのはとてもヤ
バイなって、今はとにかくそういうことしか思いつかないんです。
 ただ、あくまでも『Zガンダム』はショーでドラマなんだから、ニュータイ
プは完結してないわけ。何だかんだ言っても。だからこそニュータイプの世界
を作りたい。こうやって現実の裏側の部分でニュータイプ論を考え始めている
から『Z』ではなくて『ガンダム』という物語は、単純に言っちゃうと10年や
20年で終わりようがない。だから現実認知の物語にならざるを得ない部分があ
る、って最初に言ったんですよ。で、それは最初『Z』だけの問題だと迂闊に
も思ってたんですが、これは死ぬまで考えてもいい問題だ、もっと拡大して行
かなければならない問題だと思ったんですよね。ひょっとしたら、40代をもタ
ーゲットにしなくてはいけない時代が来てしまったのじゃないかって……。本
当の意味で過酷な時代が来たなっていう認識だけがあります。
富野
 ただ番組としては、やはり受けたいと思ってる部分があるから、ロボットも
のとして見やすいものにしたいなとも思いますよ。その辺で裏腹になってる部
分が出てきて困ってはいますが……。例えば先週オンエアしたホンコンシティ
でのサイコガンダムの話なんかを見てると「うん、番組としてはこうなんじゃ
ないのかな」とは思うんですが、例えそれが現実認知の物語であったとしても、
じゃ、どこまで触われるのかなっていう点で、フォウ・ムラサメというキャラ
クターは大事にしたいとは思うわけです。フォウのまえではロザミアなんです
けど、その辺のキャラクターを含めて、もう一度再考はしてみたいとは思って
います。ただ、今言ったような気持ちでのニュータイプ論があるから、『Z』
の中でロザミアやフォウが再登場したらどうなるかというふうな話のプロット
は一切持ってません。持てないんですよ。キャラクターの生き死にを見ていく
中で、ニュータイプというものがちょっとでも見えればいいなぁとか、ニュー
タイプの本当の理想はこういうもんじゃないのかなっていうのが、前の『ガン
ダム』以上に見えてくれればいいなぁとは思いますけど、やっぱり僕には出来
ません(笑)。だって僕、悟っていませんから(笑)。
大徳
 その現実認知の物語という点で、例えばカミーユの両親が殺されるといった
重苦しいシーン、つまり過酷な部分を子供たちに見せるということがあります
よね。
富野
 あるから人気がパッとしないんですが、それも承知してます。ただ、あまり
にも現実認知にこだわりすぎたために、現実との対比論としてのニュータイプ
論を浮かび上がらせることで、企画の当初の段階でその過酷な物語を作り過ぎ
てしまったと言う反省はあります。でも、もう現実から逃げたくないと言うか、
現実から逃げてニュータイプの話をして、みんながニュータイプになるという
ハッピーな話を『Z』ではする必要もないんじゃないかという理解も僕の中に
あったんで、カミーユがああいった、いわゆる地下鉄暴力少年だというふうに
描いていこうと思ったんです。だから、そこの部分に偏りすぎたために重苦し
い話になってしまって、スポンサーに迷惑をかけたり、見ている人ももうひと
つ楽しめなかったり、それは申し訳ないなぁと思いますけどね。
大徳
 『Z』は息抜き的な部分とか笑いの部分が非常に少ないですよね。そこら
辺がいまいちファン達が感情移入しにくいんじゃないかと思うんですが。
富野
 それはわかります。とても自覚しております。初めはそういうつもりでわか
っててやりました。やった上で「ああ、あまりにもひどいかな」って。だから
いろいろとやって行ったけれど、やはりベースにこだわってる部分がありすぎ
るから一つ吹っ切れない。巨大ロボットものにしちゃえ!ってまだ思ったりも
するけど、なかなかそうはならない。ニュータイプ論に掛かる部分が鬱陶しい
んですよね。かと言って放棄することも出来ない。20代〜30代の人に対して突
きつけなきゃいけないっていうテーゼになってるってことが具体的にわかって
しまったからです。ホントにどうしたもんでしょうねぇ(笑)。『Z』は言っ
てしまえば、これ以上にもこれ以下にもならないんでしょうね。「期待してく
ださい」とも「応援してください」とも言えないし。ひたすら、やるしかない
っていう。マズイですねぇ。とってもマズイ話ですねぇ。
大徳
 例えば『ヤマト』以後のアニメブームの中で、若い人の支持を受けてる作品
の共通点を考えたんですけど、『ヤマト』にしても『ガンダム』『イデオン』
あるいは『バイファム』『マクロス』にしても、ロボットものというより、宇
宙をみんなで漂流する話なんですよね、基本的に。どうしてそういう話に今の
若い子たちが惹かれるのかなぁって考えた時に、子供たちは今の時間や空間と
いうものに、すごく抑圧されてて、そこから解放されたいっていう気持ちが見
えてくるんですよね。
富野
 そうですね。だから『Z』が人気があるっていう言い方は間違いで、人気は
無いんですよ。何故って、その漂流感みたいなものがなさ過ぎるからでしょう
ね。視聴率もそれほどないという点、正直言って悔しいと思いますけど、やっ
ぱり僕自身、言っちゃえばアニメファンじゃないんでしょうね。溺れてないん
でしょう。昔以上にリアリストになっちゃったし。元々そういう人間だったか
ら、地が出ちゃったんだなっていう納得もしてます。
大徳
 読者の投稿や反応を見てて、まずいなぁと思うのは、『Z』をクールに見ら
れないで、今までの作品はこうだったのに、と言った個人攻撃のような形が出
てきた部分がありますよね。そうなると「キミたち、富野さんの存在を一体どう
考えてんの?」って逆に聞きたくなっちゃうんですよ。
富野
 それに関して言うと、OUTの8月号の投稿を見ましたけど、僕はやはり、
アレは良くないと思う。ああいうふうに編集側が僕のことを弁護しちゃいけな
いんですよ(笑)。絶対ダメです。全部、判断は彼らに任せるべきなんです。
それでいいんじゃないですか。批難の手紙ってとっても苦痛で、僕なんかそれ
こそ2〜3日仕事が出来なくなっちゃうけど、やはりそれはそれでいいと思う。
中間媒体のところで弁護する必要は一切無いと思います。
富野
 今年は個人攻撃されていいんです。何故って、そうされるようなことを僕自
身が言ってますし、僕が現場に対して個人攻撃をしたのを挙げつらってる声が
意外に多いんです。ホントだったら、もっと大人になって優しくしていいんじ
ゃないっていう言われ方もされますが、それもよくわかってます。特に若い人
にはその辺が鬱陶しく見えて、「あの人は今頃何を言ってるんだろう」って、
要するに責任転嫁してるんじゃないかっていう言われ方をされるのはしょうが
ないと思ってるんです。事実がそうならば、僕は構わないと……。
 だから、問題はむしろその後なんですよ。やっぱり、もうひとつ間違えない
舞台と言うものが、きっとあると思うし、それをもし見ていくことが出来るな
らば、見ていくだけの力があるならば、それでいいと思ってるんです。だから、
今のこの当面の僕への攻撃は、ファン達にとっても一つの訓練になるし、いい
と思いますよ。これが他の人への個人攻撃だったら困りますけど。
大徳
 僕は決して弁護するつもりじゃないんですよね。ただ、富野さんはすごく損
しちゃってるなって思うんです。これだけ実績があるんだったら、例えば一つ
富のさんにオリジナルの映画を撮ってもらおうとかって形があってもよかった
んじゃないかと思うし……。
富野
 僕にはそれだけの力がまだないから、そういう話が来ないだけですよ。本当
にそういう力が見えてくれば、話はあります。
大徳
 でも、テレビシリーズにおいて、富野さんに頼らざるを得ない部分が業界に
はあるのでは……。
富野
 それはあるでしょうね。自慢ではなく、そういう現実を生きているし、そう
いう意味ではそれなりに力があるんでしょうけど、でも、だからって実績があ
るのかって言った場合、ただ作品を作ってるだけで実績を示したとは思えない
し、過大評価していただく必要はないような気がしますね。
大徳
 僕は映画でオリジナルものをやって欲しいなと思うんですよね。
富野
 そりゃ僕だってやりたいですよ。でも個人に出来るようなものじゃないでし
ょ、映画って。僕は20億の金を集められませんよ。そういう風になってみたい
とは思いますよ。ただ、それは時の運を待つって言うのかな。だからこの1年
ぐらい個人攻撃があって構わないんです。全部ハッピーに生きられて、何でも
かんでもやれて運のいいヤツだって見方よりも、叩かれたりして苦痛があって、
そうやって年を取っていった時に、実は人間ってようやく何かをやれるんじゃ
ないか、力がつくんじゃないかって思いたいんですよ。だからそういった個人
攻撃も全部乗り越えたいとまだ思ってるんですね。ある意味ではとても有り難
い事かもしれませんね。だって個人攻撃も“富野”という名前がある程度定着
してるから出てくるんですよね。そういう意味では大したもんだ思いますよ。
同時に何だかんだ言われてるうちは華だって……。だから、僕は「おまえら、
若造が何を言うか!」と言う気はありません。ただ、目の前で言われたならば
殴りますよ(笑)。相手を罵るっていう事は、相手から殴られるという事を覚
悟して言うわけでしょ。そうでなければいけないと思うんです(笑)。
 僕が残念だなと思うのは雑誌に投稿するんじゃなくて自分でやって見せて欲
しいなって事なんです。僕のやっていることが気に入らなければ、貴方がたが
自分でおやりって。でもやるためには10年かかる。だから10年後にやって見せ
てくれれば、それでいいんです。もし誹謗するだけで終わるなら、それはしな
い方がいいなってね。雑誌に投稿するっていうのは既に僕とのあいだにフィル
ターがあるわけで、それで気が済むんだったら、それはとても安易な方法だか
らやめていただきたいって気はします。悔しければ僕をつぶせばいいんです。
つぶすためのものを作ればいいんです。「アニメの歴史の中に、最後に残るの
はオレの作品なんだ!」っていうふうに、自分自身を持っていくことが大事な
んであって、投稿してもし1週間ぐらいの痛みが薄らぐんだったら、その程度
の痛みだったら人を誹謗してはいけないような気がしますね。
大徳
 ファンに関して言えば、先日の『Zガンダムファンの集い』にしてもかなり
ひどかったっていうふうに受け取ったんですが。
富野
 もっとひどい話も聞いてますよ。でも、今の形でのアニメというものがある
ならば、もうアニメはない方がいいんじゃないのかなんて極端に言えば思うこ
とがあるくらいなんです。
大徳
 富野さんへの質問でも、年収がいくらかとか、別荘を建てたって本当かとか、
ちょっと今までに想像つかなかったようなものが出てたでしょ。
富野
 僕だってビックリしましたよ。アニメが俗悪の極みだって言うのは、作品自
体がそうなのではなく、あまりにも当たり前の媒体になり過ぎちゃったために、
受けた側が求めるものが、自分の問題として作品を見ず、一つの寄せ木として
の総監督、あるいは職業としてだけのアニメ監督というだけで、とても世俗的、
現実的な興味を持ってるファンが出来すぎちゃったんじゃないかって事なんで
す。ああ。時代だな、と今になって思うのは、『ヤマト』の頃までのアニメフ
ァンって、やはり志がありましたよね。アニメやってみよう程度の志じゃなく
て、媒体やジャンル、その他色々なものに対して「アニメもこうなったのか、
じゃあ、オレはああしたい」みたいな志が何かひとつあったような気がするし、
それは現にファンジンに現れてましたよね。そういう志を持った人たちがアニ
メから離れていったってことは間違い無く言えますよね。だからアニメが普通
のものになっちゃったんです。アニメファンも。となったら、ああいった質問
が出るのは当たり前で、自分が30〜40歳になった時に、どの程度の収入がある
のかが気になるのは、とても現実的な風潮の中で育ってしまった人たちにとっ
て一番重要な問題だからです。でもここまで来てしまったのは、メディアとい
うものを提供している大人側の問題がとても深刻だって事なんですよ。だから
僕は、鬱陶しくなろうが、ここから始めなくちゃいけないんだって言う部分で、
ニュータイプにしても対比論から始めて、カミーユならカミーユでああ言った
環境にしたんです。
 つまり、今の我々の現実の中で、カミーユの状況っていうのは『Z』を見る
子供たちの現実だとして見ていった時、あんなものは当たり前だろう、当たり
前に近い状況であるはずだ。だから少なくともその対極論みたいなところから
始めていって、それで10年前のあっけらかんとした巨大ロボットものになるの
なら、番組としてはそういうふうにやっていきたいと。そのほうが人畜無害だ
からです。問題の所在は少なくともアニメを見ているファン達にあるのではな
く、我々アニメというものを媒体にしている人間、アニメ専門誌といった送り
手側が、本当の意味で過渡期に来ちゃったんじゃないか。だから、雑誌側も今
年と言う時間の中で言えば僕への批判とかを掲載せざるを得ないし、数量比率
から言っても掲載していった方がいいんじゃないかと思うのは、確かな判断だ
と思うから、それを批難しようとかって気はさらさらない。重要なのはそれを
僕がどう受け止めるかってことだけなんです。だから、それを掲載した側が、
ああいう弁明論じゃない部分でクリアにしなくちゃいけない問題があるんじゃ
ないのかな、って気がします
大徳
 そうですね。
富野
 それこそ、「そんな投書で気晴らしになると思っちゃいけないよ。そこまで
気がついたんなら、落とし前つけるのはあなたでしょ、富野なんか捨てちゃ
え!」ってなぜ編集者側がいえないのか(笑)。あるいは、「我々もあなた方
の言うことに共感するから富野のコメントなんかもう一切載っけない」(笑)
とかね。そういう編集方針でもいいんじゃないですか。ただ、投書に応える形
で言うなら、誰が見ても失敗作なのに成功作だって言う顔だけはしたくない。
かと言って作ってる段階で失敗作を作ろうなんて僕でさえ思わない。その辺の
ところはわかってほしいな、って気がしますけど、それはもう余分のことでし
ょうね。
大徳
 最初の『ガンダム』ファンが、引き続いて歳を取ってきちゃってる部分があ
りますよね。
富野
 あり過ぎます
大徳
 そうなると、とても辛いんじゃないかなと思うのは、そういう人たちも作品
を作る上で想定して、また新しい人たちも対象にしなくちゃいけない部分が当
然出てくると思うんですよね。そうなってくると、巨大ロボットものはそれな
りにあっていいし、でもそれとは違う高い年齢層の人たちを対象にしたものと
いう区分けというか、そういったものが、今、出来てませんよね。
富野
 出来るはずがない。その部分に視点を置いて考えると辛いからもしれないけ
ど、僕は今、辛くないんです(笑)。そういうふうに辛がることも既に僕は無
視してるんです。『ガンダム』のようなもの――でしかない、というように切
らなければ『Z』からは降りる以外ないんですから。個人の感情論で降りるの
は簡単だけど、降りられないんですよ。それはオールドタイプの現実なんです
(笑)。こうなったら、かくだけ恥をかいて正面きってやったほうがいいでは
ないですか。そうでどうなるかわからないけれど、一つだけ言えるのは、恥を
わかっててかいていれば、少しは何かを手に入れられるような気がするんです
よね。そうでも思わなかったら、とっくにキチガイになっています。こんな仕
事から逃げてますよ。逃げないで『Z』をやるのも、そういう確信があるから
です。人っていうのはそういう意味でのポテンシャル、つまり力というものを
持っているんじゃないですか。でも今までのスタッフ、関係者というのは
「恥」と言う言葉さえ言わないでパート2をやりましたよね。それはいけない
と思う。僕は本当に恥をかいているつもりでやってます。その分、何で捕って
るかというと、それなりの報酬をいただいているからです。けれども、僕にだ
ってプライドがありますから、反面十分だとは思ってません。いや僕はそんな
に安いものだとは思ってません。だから、その未知の恥をかき続けて行った時
に、手に入れられるものが、現金なのか、よくやったというお褒めの言葉なの
か、自分が次に何かを作るための全く新しい自分自身なのかはよくわかりませ
んが、でも何らかの収穫はあるだろうと信じてます。
富野
 そうじゃなかったら、とてもやっていけませんよね。みっともなくてやって
られません(笑)。『ヤマト』の二番煎じですから。だからそう見せないよう
にするにはどうするかということを最初の企画書に書いたわけで、でも厳然と
したパート2になることは間違いない。でも、わかってくれる人は抗議する人
と同じくらいいると信じてます。だって、僕への個人攻撃だけが正しかったら
視聴率は1パーセントにも行きませんもの(笑)。大人が清廉潔白であるわけ
がないし、個人攻撃される総監督がいてもいいんじゃないですか。今まで、そ
ういうものがあまりにもないところでアニメのスタッフが育ちすぎた気がする。
だからいいんですよ(笑)。
大徳
 なんか心情論になっちゃうんですけど、雑誌もいい時だけ持ち上げておいて、
少し落ちて来ると足を引っぱるみたいな……。そういう感じにはしたくないん
ですよね。
富野
 していいんですよ。当たり前の事ですから(笑)。していいんです! 悔し
かったら足を引っぱられるようなものを作らなければいいんです。作らないか
ら足を引っぱられるんです。僕は足を引っぱられないようになりたいと思いま
すよ。だからやってるんです。足は引っぱられてもまだやっているんです
(笑)。大人の理(ことわり)はとにかくそれで進んでいるんですよ。でも、
それが一番問題だって話がきっとあるはずなんです。だけどそれだって。それ
こそみんながニュータイプにならなければ出来ないんだから、やっぱり頑張る
しかないって、それでいいんじゃないですか(笑)。そういうのを大徳さんが
気にするのはおかしいし、ひょっとして自己不信が働きすぎるんじゃないです
か(笑)。
大徳
 でも、少なくてもアニメ雑誌は、富野さんに対して恩義があるんです。
富野
 ありがとう(笑)。でも利用価値が無くなったら黙殺して結構(笑)。恩情
が厚ければ厚いほど、人間というのは堕落しますよ。よほどピュアな精神を持
っていない限り。僕はピュアな精神を持ちたいと思ってるし、どんな恩情をか
けてもらっても、自惚れないような人間になりたいと思ってますよ。本当に利
用価値のある人間に恩義をかけられます? そんな事だったら、僕はもっとみ
んなに貸しを与えたい(笑)。そのためには、やっぱり自分を高める以外には
無いんじゃないですか。ありあわせの優しさっていうのは人を堕落させるから
止めてください。こちらの波長にだけ合わせてくる人って、僕はインタビュア
ーとして無視しますよ(笑)。お互いに切磋琢磨にならないんだから、それは
必要ありません。そういう意味での無駄な時間は使いたくないんです。だから
大徳さんがむしろ何でヘンに揺らいでるのかわかりません(笑)。だってまだ
お若いんですから(笑)。
大徳
 なんかちょっと逆になっちゃったなぁ(笑)。
富野
 時にはいいですよね。でも今の日本っていう国を考えたら、やらなくちゃい
けない事が山ほどあるんですよね。この歳になってようやくわかったんですが、
何で学生時代に「ああ、もう日本には夢も希望も無い、いい職業が無い」と思
ったのかが、とても悔しいのよね。それぐらい世界を知らなかったんだなぁっ
て。そういう意味での日本のインテリゲンチャの在り方とかアカデミックな思
考の在り方とかに、そろそろとっかかる時代が来なくちゃいけないんじゃない
ですか。かと言って、それをアニメ雑誌でやってもしょうがないんですがね
(笑)。本当の若さっていうのは、メンタルな部分で自分のどこに価値付けを
して、向上心を持てるか持てないかが勝負だと思ってますから。とりあえず、
丁と出るか半と出るかわからないけれど、でもやっているんだったら『Zガン
ダム』については、どんどんやればいいんですよ。それでいいと思います。僕
もやるしかないんですから。
大徳
 わかりました。やります。いや、だから今月号でダーーーッとやるんじゃな
いですかぁ(笑)。ただね富野さん、ホントは今日、富野さんを弁護しような
んて思ってここに来たんじゃないんです、逆なんです。イチャモンつけてケン
カしようと思って来たんです(笑)。僕だってファンや読者に対してだけでな
く、製作者側に対して甘えの構造的なところで雑誌を作りたくはないぐらい、
ちゃんとわかってます。ただ今はアニメの製作者もファンも作品の価値判断を
求めてはいないんです。ファンが欲し、製作者が提供したがってるのは情報な
んです。だから、一つの価値判断で雑誌を突っ走らせると、間違い無く雑誌は
売れなくなってつぶれます。現状で富野由悠季の監督作品するOUTが全く無
視したら、OUTはつぶれるんです(笑)。気に入らなきゃ無視するぐらいで
なきゃいかん、というのは全くの正論だけど、それで雑誌をつぶしちゃったら
僕は多くの人々を路頭に迷わせた無責任編集長ってことになるんです(笑)。
ホント、どうにかしてください。今日はいったいどうしちゃったんだろう? 
まいりましたよ。もうこの辺で勘弁してください。では本日はどうもありがと
うございました(笑)。
インタビュー後記
『Zガンダム』を見ていて僕の心の中に次々と湧いてくる疑問。そして、『Z
ガンダム』に対する批判的な読者投稿の多さ。さらにファンや業界の間でささ
やかれ、しばしば耳にする富野氏に対する個人攻撃的な言辞。
このインタビューのキッカケとなったのは、そうした疑問点や批判を富野監督
自身に正々堂々とダイレクトにぶつけてみるべきではないか、と考えたからで
ある。正直なところ、今回のインタビューはケンカになるだろう、とそのぐら
いの覚悟でインタビューに臨んだのであった。
 が、実際は以上のとおりである。
つまり、富野氏自身、全部わかっていらっしゃるのだ。完全に肩すかしを食ら
った僕は内心動揺してしまい、仕舞いにはケンカどころか逆に富野氏を弁護す
るような形になり、「僕の弁護をなんかするようじゃダメだ」とお説教をたれ
てしまうという体たらく。
今から思えば、富野氏に対するんだったらそれぐらいは見抜いていなければな
らなかったと反省はしても後の祭り。やはり、役者が二枚も三枚も違うのだ。
“修行がまだまだ足りん”とつくづく実感したマンダラの哲であった。
599531:03/05/31 14:53 ID:???
以上です。長いです。トミーノもアウトシャイダーもぶっちゃけまくりです。
打ち直してて、なんか、泣けてきました(笑)。アニメ者として、イチ社会人
として、バイトで孫受けライターの手伝いやってる身としても。
更に、たぶん今のアニメ誌じゃあ、いろんな意味でこんな記事読めねぇんだろ
うなぁとか思うと余計泣けてきます。まぁ、当時としてもOUTかアニメック
ぐらいしかなかったんだけれども。

お待たせしたお詫び&口直しに、OUT1987年5月号のOUT10周年記念時の
黒トミノのコメントもオマケにつけときます。
エエッ! じゅうねぇん〜!? 怒りの富野ソー監督
 
 編集長氏が「OUT十年なんですよね」と言った時、ボクは言葉が出なかった。
呆れた、情けなかった。ショックで膝が震えた。「アンタねぇ……!」
 ボクはガンダム以前のOUTは知らないんだ。ボソボソと暗くやってる雑誌
は嫌いだ嫌いだって言っていたのに、あんたはズーッと送りつけて来て、それ
でガンダムが始まったら遠慮しないでさ、ガンダムのパロディ載っけてくれてサ。
そりゃ、載っけていいよ。読者がいなければ、買っくれないわけだし、買って
くれなければ、あんたらの給料なんかビタ一文出ないんだから、そりゃいいん
ですよ。読者にコビ売るのはさ。だけど、なんだい! 読者にコビを売るに
かこつけて、ボクのハゲは出すしさ。イイカイ? 読者の投書があってもさ、
大人の付き合いってもんがあるんだから、読者に内緒で髪の毛を描き足して掲
載するくらいの気配りというものがあったっていいだろうに、それがないんだ
よな。若いモンの顔色ばかりうかがって、十年なんて冗談じゃないよ。ボクは
ズーッと恨み持ってOUTを見てるんだぞ。ズーッとだよ。それでもボクのこ
とはいいよ。なんだい! あのセイラさんのオールヌードの嫌らしさ。オジサ
ンは裸は好きですよ。だけどね、程度ってもんがあってね、オジサンは気持ち
Eーィ裸でなけりゃボッ、キーしないんだよね。若いのには裸ならなんだって
いいんだ。裸の男でも女でもいいんだ。けどね、ボクは趣味がいいのよ。とっ
てもいいんだよ。編集長よりいい趣味持っているんだ。なのにさ、なにさ、こ
ともあろうにさ、セイラさんだよ、アルテイシアさんだよ。ソープランドの女
の子だって、もっときれいなヌード見せてくれる子知ってんだ。自慢するけど
さ、この子はいい子なんだから、この恨みは十年間じゃないけど、ボクにとっ
ちゃあ、十年以上の重さを持っているんだよ!! なのにさ、もう十年だっ
て? 本当に十年だって? そりゃ疲れるな。そりゃ、こっちは歳取るよ。カ
ラーページのアルテイシアさんは、全然歳取ってないもんな。ズーッと嫌らし
いマンマだもんな。
 この恨み、さあ、あんたがた、一体、これからナン十年も続けるつもりなの!?
601531:03/05/31 15:10 ID:???
急いだんで誤字脱字等あったらご容赦。
602名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/31 15:57 ID:???
>>600
おつ。凄く面白い。OUTってもう廃刊になったんだっけ?
603名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/31 17:10 ID:???
>>531さん乙
なんか泣けてきた、Zは辛かったのね
好きなさくひんだけど

∀、キンゲを手に入れられてよかったねトミノ。・゚・(ノД`)・゚・。
604名無しさん@お腹いっぱい。:03/05/31 17:48 ID:???
VガンLDのコメントうぷ、ありがとう!
見たくて見たくて、たまらなかったんだ。

コメントは20話OA時だから、まだ監督の神経も
それほどささくれ立っていないように感じました。
2巻3巻のコメントから、だんだんヒートアップしてくるんだろうな。
バイク戦艦のグチとかも出てくるんだろうか……。
605通常の名無しさんの3倍:03/05/31 19:30 ID:???
俺、ライターとか編集とかの人ってあんまし知らないんだけど、大徳編集長ってどういう人なの?
ツボを押えた良いインタビューをするなあと思った。
606通常の名無しさんの3倍:03/05/31 22:04 ID:???
乙です。いやあ、面白かった>OUTインタビュー
やっぱインタビューって、聞く側の力量が大切なんだなあ。
607通常の名無しさんの3倍:03/05/31 22:26 ID:???
>>605
どこかの哲学科か何かを出てみのり書房に入社。
当時はドラえもんすら知らんかったそうな。
最初に配属されたのがエロ劇画誌。

その後OUTの編集に。はっきり言ってOUTの全盛期=大徳編集長時代。
紙面にも「灰皿の哲」「宇宙編集者アウトシャイダー」等のキャラで登場。
特にアウトシャイダーは馬鹿企画の極北。

その後、みのり書房を退社して樹想社を設立。講談社の∀全記録集とか
旭屋出版のガンダムフィルムコミックなんかを編集してたり。

俺の知ってるのはこのくらい。
608通常の名無しさんの3倍:03/05/31 22:44 ID:???
>>607
Oガンダムの時は大富野哲悠季もやってたな。
609通常の名無しさんの3倍:03/05/31 23:02 ID:???
>>605
ガンダム神話の編集したのがこの人だったような
俺が持っていたのはZの方だが
610通常の名無しさんの3倍:03/06/01 00:40 ID:???
OUT大徳氏とアニメック小牧氏のインタビューが双璧。
氷川なんぞはカス。
611通常の名無しさんの3倍:03/06/01 01:58 ID:???
樹想社さん∀全記録集の3巻マダー?
612通常の名無しさんの3倍:03/06/01 05:12 ID:???
つうか講談社(出版社)が出してくれないんだろうな… 
613通常の名無しさんの3倍:03/06/01 16:00 ID:???
御大とOUT(というか大徳編集長)の関係がなんかうらやますぃと思った。
614通常の名無しさんの3倍:03/06/01 20:08 ID:???
>>613
∀の癒しにも一瞬出てきたよね、大徳氏
615通常の名無しさんの3倍:03/06/01 20:14 ID:???
>>614
∀が流行らないのは模型厨が悪いんだーってやつね
こんな風には書いてないけど
616通常の名無しさんの3倍:03/06/01 20:16 ID:???
>>615
あんま変わらん(w
617通常の名無しさんの3倍:03/06/01 22:41 ID:???
>>599

乙!

しかし、本当に痛々しい。
作品以上にプロジェクトの不成功がダメージだったんだろうな。
数字も取れなかったし。
618アニメV98年3月号(1):03/06/01 23:10 ID:???
ブレン放映直前のコメントです。

(編集部コメント) ===========================================================================
'98年、新たな決意をこめて富野由悠季が語る!

'98年、期待の新作「ブレンパワード」、そして次作がウワサされる新時代「ガンダム」に向けて、富野監督が
抱負と今後の展望を熱く語ってくれたぞ!
*********************************************

*「ロボット物」ではないロボット物を創りたい!!
「機動戦士ガンダム」から20年経って思うことは、当時はロボットアニメを作っているつもりだったんですけど、
あれは「ロボット物」じゃなかったんですよ。ロボット物じゃなかったからこそ、低視聴率の中での女の子のお客さんの
占める割合が凄く多かった。アフレコのときもファンがかなり来てましたよ。一番、多いときは女の子ばっかりのファンが
7,80人いました。そこで彼女たちに僕はロボットじゃなくて、人なんだって言うことを教えてもらいましたね。女の子の
間ではロボットだのMSだのって話はありませんでしたよ。その後、TVのオンエアが終わって、映画になってプラモデルが
発売して、そこで男の子に移行して行ったんです。それから、男の子を対象として全体のマーケットが動いてしまったので、
女の子のことは忘れられてしまった。その部分は不幸なことだったな、と思っています。
619アニメV98年3月号(2):03/06/01 23:13 ID:???

 今年、僕は乗るかそるかの仕事を15年振りにやらせてもらうことになりました。WOWOWでオリジナルアニメとして
オンエア予定の「ブレンパワード」という作品によって、「アニメ番組」とか「ロボット物」が今までと違う見え方をしてくると
思っています。何故そう思うかと言うと、ファーストガンダムと呼ばれる「機動戦士ガンダム」も地方局から出てきた物、
という事で違う見え方がしてきてたんですよ。そういった部分ではファーストガンダムと同じ出発点だと思っています。
 この作品は、女の子の目線で見たら…という部分をすごく意識してます。それは女性の感覚で言うと”何”が動いてる
じゃなくて、”誰”が動いてるかってことなんですよね。そのポイントは僕なりにはずしてないつもりです。そういう意味では、
「ブレンパワード」はロボット物にはならないと思います。ロボットは出てくるけど、「メカ物」ではない、やさしいフィルムを
作ろうと思ってます。苦労している点は、僕もスタッフもそうですけど物語を作る、コンテ、演出…全ての段階で「メカ物」
の作り手の手が入ってるんですよ。それを消すのに、ものすごく苦労してます。習い性で身につけてしまった技術って、
実は作品を作るための技術ではないんです。作品という物はいつも新しい物でなくてはならない。ただ、サンライズは
ずっと「メカ物」を創ってきたので、何をやっても「メカ物」になってしまうし、その匂いが残ってるんですよ。フィルムの硬さ
みたいなものがね。だから、最近ようやくスタジオにもそれを無くそうという部分が定着し始めています。誤解を生んで
しまう表現かも知れないけど、「大きな人形」を作ろうと思ってます。キャラクターがいないと「ブレンパワード」という大きな
人形は動かないんです。それは、近い将来に「ガンダム」のような「メカ物」を創る時のためにもメカ物ではないメカ物を
創らなくちゃならない。今までと変わらないなら、「ガンダム」は新しい作品にならない。行ってしまえは、今まで手に入れた
技術を全部捨て去る必要性があるんです。
620アニメV98年3月号(3):03/06/01 23:16 ID:???
今、その作業をしていますが、5年程前に「Vガンダム」をやったときにはその方法に気付かなくて、
結局は創れなかったんですよ。それでここ数年”違うんだろうな…”と思い始めたんです。出来るか
どうかはわかりませんけど、やってみせる気持ちはあります。だから、結果的に今スタッフをいじめて
ますね(笑)。”この描き方ではダメなんだ”っていうリテイクが出るから。あとは、見てくださる方の
評価ですね。ロボットが出てくるから”ロボット物じゃないか”というはんこが押されるのも覚悟でやってます。
ただ、フィルムを見て”あれ、何か違うな”と感じてもらうために、56歳のおじいさんが(笑)、ほとんど
命をかけてます。だから、今後「ガンダム」を創る機会が来たら、今までの物とは違う自信がありますね。
「ブレンパワード」を創ってそこから次の「ガンダム」が見えてくる。’97年はそういった方向性を見つける
段階で辛かった1年でしたが、’98年は走れると思います。実は僕、公開前にこういう風に言ったことが
無かったんですが、今年は言えます。楽しみにしてて下さい!

******************************************
(編集部コメント)
…と、今年の意欲を熱く語る富野監督だった。「ブレンパワード」、そこから生まれる新「ガンダム」。
’98年、新たに展開される富野ワールドに期待せずにはいられない。
621通常の名無しさんの3倍:03/06/02 01:10 ID:???
>>618-620
622通常の名無しさんの3倍:03/06/02 01:31 ID:???
ブレンで思い出したけど、
ここってガイシュツだっけ?

ttp://www.geocities.co.jp/Playtown/3512/bignews.html
623通常の名無しさんの3倍:03/06/02 01:32 ID:???
ダ・ヴィンチ’02年6月号の富野由愁季が選ぶ「面倒な」10冊ってもう上がってたっけ?
みなもとたろうの個人詩買ったら風雲児たちのところが採録されてたんで
まだなら打つけど

              一緒に載ってる禿の自画像がなんとも言えん
624通常の名無しさんの3倍:03/06/02 02:56 ID:???
>>623
お願いします。期待待ち!
625通常の名無しさんの3倍:03/06/02 06:01 ID:???
遅レスながら、OUT対談乙です。
こっちの対談は記憶に残ってるなあ。
626富野由悠季×筑紫哲也:03/06/02 18:44 ID:???
筑紫 『ポップコーン』を読んで僕が一番感心したのは、現代社会のまさしく
  今を見事に切り取っているところなんですよ。テレビの仕事をしていると
  今を切り取ることの難しさを痛感するんですが、作者のベン・エルトン、
  アメリカという巨大なメディア社会が今このとき抱えている様々な問題を、
  「自己責任とは何か」という大テーマを軸に見事に描き切って入る。

富野 稀に見る傑作、快作だと僕も思います。彼自身の才能によるところも大
  きいでしょうが、世界中に植民地を持っていた大英帝国崩壊後、ヨーロッ
  パの端っこからその世界を観察してきたイギリス人の視線というのは、や
  っぱり素晴らしく客観的でシニカルだなあと。そんなところもあらためて
  感心させられました。だからこそ模倣殺人という問題もシリアスになりす
  ぎず、コメディとして描けるんでしょうね。

627富野由悠季×筑紫哲也:03/06/02 18:45 ID:???
筑紫 外交の世界で、「オブザベーションポスト」という言葉があるんです。
  その国をよく分かろうとしたら、その中にいるより、むしろあまり遠くな
  い、適当な距離のところから見るのが一番だということなんですが、アメ
  リカという国を知るのにもっとも適した距離にあるのがイギリスだと思い
  ますね。アメリカの文化の基盤はアングロサクソンですから。


富野 実を言うと、ここ十数年、僕の中にはずっと向き合ってたテーマがあり
  まして、それはつまり、我々はメディア社会と呼ばれる中でさまざまな情
  報を手にいれているように見えるけれども、それを知識として身に付ける
  のに肝心な根幹の部分を見失いつつあるんじゃないか、ということなんで
  す。そしてインターネットまでがダーッと普及した今、明らかに根幹の部
  分を捕まえていない世代がドンと出てきた。そのギャップの大きさと、バ
  ブル経済にはしゃいで、根幹の部分の大切さをきちんと言葉として下の世
  代に伝えなかった我々世代の責任とを実感しているところに、この『ポッ
  プコーン』が出て、いやぁ困ったな、全部やられたなと(笑)。
628富野由悠季×筑紫哲也:03/06/02 18:47 ID:???
筑紫 まさにそういう状況を背景にした作品ですね。日本には日本の社会、ア
  メリカにはアメリカの社会の基本的な根幹があるはずなんだけれども、そ
  れが抜け落ちているという状況がどちらにもある。

富野 僕が一番怖いなと思うのは、メディアの送り手側がビジネスとしてどん
  どん消費者に与えるという姿勢です。

筑紫 情報そのものが非常に消費型になっているんですね。しかもスナック菓
  子のように食べ続ける、とりあえずの消費。そのシンボルとして作品中に
  出てくるのが、あの監督の作った映画ですよね。

629富野由悠季×筑紫哲也:03/06/02 18:49 ID:???
富野 ええ。エンターテインメントというのは本来、人間が持っている喜怒哀
  楽の根源に対してするはずのものが、今は「ワア凄い!」とか「キレイ!」
  とか、そのときだけの刺激に対してのエンターテイメントになってしまっ
  ている。たとえばゲーム業界の人たちが明らかにそうですね。新しいソフ
  トを次々に消費者に提供するというビジネスであり、本来的な娯楽論はな
  いんです。これは文化をも消費しちゃうということで、僕は凄く怖いこと
  じゃないかと考えているわけです。

筑紫 その場限りの消費ということと、もう一つ、情報の捕らえ方が非常に断
  片的になっているという一面もあると思うんです。たとえばこの『ポップ
  コーン』に出てくる殺人カップルの女の子のほうが自ら教養がないと認識
  しているにもかかわらず、最後のほうの場面で「アメリカの半分は地獄に
  住んでいて、ほかの半分はそれを眺めて楽しんでいる」なんて言葉を吐く
  のは、本当にぞっとする。つまり、根幹の部分はすっぽり抜け落ちている
  けれども、自分のエゴを正当化したり、プロテクトするのに有効な断片は
  情報として鋭く捕らえているわけです。


630富野由悠季×筑紫哲也:03/06/02 18:51 ID:???
富野 まさにそういう情報の捕らえ方をしている言葉を、今の日本でもよく耳
  にしますね。お前、自分の言葉でしゃべれよと(笑)。ところで、この
 『ポップコーン』という作品では、無差別事件の犯人が自分たちを救済する
  手立てとしてテレビを利用するわけですが、筑紫さんは実際にテレビの仕
  事をされていて、しかも作品の舞台であるアメリカに住んでいらしたこと
  もある。実感として僕よりもずっとリアリティを持って迫ってくるんじゃ
  ないですか。

筑紫 それも、とても皮肉なリアリティなんです。現実の非現実化、非現実の
  現実化というか。この作品の中に描かれているアメリカ人のある種の虚飾
  性を、アメリカに住んでいるというときの僕はいやというほど見てきまし
  たけど、これは実はテレビというメディアの発達と非常に関係あるんです。
   それはつまり、世の中には二通りの事実があって、ひとつは現実に起き
  たこと、もう一つはそれがどう見えたかということで、大事なのは後者、
  どう見えたかなんです。この方向へもっともアクセルをかけて進めていっ
  たのがテレビであり、それを大衆のメディアとして受け入れることで、ア
  メリカ人は自分たちが見たことが現実であると認知するようになっていっ
  た。いい例が湾岸戦争です。テレビゲームのような画面を通じて、爆弾を
  落としたのは見えても、落とされた側の苦しみや悲惨さは見えないという
  形で、多くの人がこの戦争を認知した。そして、こういう認知の仕方が人
  間の振舞い方というものにものすごく影響するんですよ。
631富野由悠季×筑紫哲也:03/06/02 18:52 ID:???
富野 テレビカメラや人々のよく目に映るように、内側はどうであれ、表向き
  を装うテクニックを身につける。いわゆる外面重視の自意識というやつで
  すよね。

筑紫 まさしくそうで、アメリカのテレビ界ではその手の有象無象がしのぎを
  削っている。
   セレブリティっていうんですけど、要するに有名人ですね。この人たち
  の嫌らしさというのは、この作品の主人公のブルースがまさに体現してい
  ますが、もうたまらないものがある。

富野 見ているこっちが恥ずかしくなりますよね。

筑紫 しかしアメリカに限らずメディアが広がっていく社会においては、そう
  いう種類の人間がどんどん作られていく。わが国でもすでに相当作られて
  いますよ。
632富野由悠季×筑紫哲也:03/06/02 18:55 ID:???
富野 ああ、分かります分かります。それぞれ個性らしきものをアピールして
  いますね。

筑紫 カメラを向けたとたんに皆それぞれの芝居を始める(笑)。まだ下手な
  んだけど、みんなそれぞれ指向はあるんですよ。どう見えるかが重要だと
  考えているのは、テレビの世界を職場にしている人たちだけじゃないんで
  すね。政治家にしろ何にしろ、いまやテレビ写りで上手に説明できるのが
  勝ちであり、テレビというメディアを使いこなせないものは敗者であると
  言う構図が完全に成り立っている。いわゆるメディア作戦ですよね。『ポ
  ップコーン』のなかで殺人犯ウェインが企てたメディア作戦は、現場での
  テクニックに勝る監督に揺さぶられて悲惨なカタストロフィを迎えてしま
  うわけだけれども、断片的な業界用語を知っていたり、視聴率で状況の操
  作を試みたりするあたりには、生まれてこの方テレビを見続けてきた世代
  らしいリアリティを感じますね。

富野 この作品のなかで描かれているアメリカ社会の問題が、そのまま今の日
  本の問題なんだと改めて考えたとき、さっきも少し話に出ましたが、映画
  にしろテレビにしろ、もちろん僕がやっているアニメにしろ、作り手側が
  お金を生み出してくれるマーケットに擦り寄っていくという状況はもう続
  けてはいけないんじゃないか、と思うんですね。消費型の情報、ひいては
  消費型の文化というのじゃ困る。
   たとえば、自動販売機で飲み物を売るというのは、どんどん与え、どん
  どん消費させるビジネスの典型だと思うんですが、おかげで一般大衆はこ
  れだけ汚く空き缶を捨てるようになった。この始末は誰がつけるんだとい
  ったら、誰もつけてくれない。なぜなら自己責任を取るという意識が売っ
  た側にも買った側にもないからという状況を一足先に露呈しているわけで
  す。それなら、自動販売機をなくしちゃえ、一回で飲みきれる缶のような
  容器は法律でやめさせろ、という発想が僕にあるわけです。少々不便にな
  ったって、それくらいはいいじゃないかと。もちろんそれをやったら規制
  です、統制です。ということになる。
633富野由悠季×筑紫哲也:03/06/02 18:56 ID:???
筑紫 当然なるでしょうね。

富野 ええ。で、それは大衆をコントロールする方向に向かっていくことにな
  るから、やっぱり自由競争はあってもいいんだとは思います。でも、われ
  われはすべての物事にこれを繰り返してきた結果、問題山積の今の社会を
  作ってしまったわけですから、システムを根本から考え直すなり何なりす
  るべきじゃないかと思うんです。

筑紫 確かにそうなんですね。そうなんですが、作り手と受け手の間の問題と
  いうのは必ず両面あるんです。それが厄介なところで、『ポップコーン』
  を読む一人もそういう感想を持つ人がたくさんいるんだろうと思いますよ。
   その両面というのは、一つは作り手側がビジネスとして観客や視聴者に
  追従していくときの問題ですよね。もう一つは、全く矛盾する話なんだけ
  れども、送り手側が消費者を操作する場合の問題。『ポップコーン』には
  この両方が描かれていて、しかも誰にもコントロールできないんです。
634富野由悠季×筑紫哲也:03/06/02 18:58 ID:???
富野 ええ、できないですね。

筑紫 それがぞっとするくらいうまく描かれているのが、犯人が視聴率モニタ
  ーをチェックしながら「テレビを消せば殺さない」という、まさにあの部
  分です。あのときに視聴者としてテレビを消すことは不可能ですよ。自分
  をコントロールできない。じゃあメディア側がコントロールできるかとい
  ったら、これもコントロールできない。あの自体を仕掛けた犯人自身さえ
  コントロールできない。あの自体を仕掛けた犯人自身さえコントロールで
  きなくて、結末のカタストロフィへ流れ込んでいくわけです。
   自己責任というこのドラマの主題は、最後のあの部分に凝縮されている
  と思うんですね。誰も自己責任をとろうとしない社会。これは、お前は無
  責任だという問題ではなくて、責任がなかなかととりにくい社会になって
  しまったということだと思います。

富野 日本でも、バタフライナイフを使った少年の問題に関して、ナイフを持
  っていたのはテレビのドラマを真似たからで、だからテレビが悪いとか、
  いろいろやってますね。

635富野由悠季×筑紫哲也:03/06/02 19:00 ID:???
筑紫 まさにこの件は、自己責任が取りにくい社会になってしまったことを物
  語っていますよ。バタフライナイフを軸にした教育の議論をずっとやって
  いて、その中で一番明らかになってきたのが、誰もが誰かの責任にしたが
  るということなんです。親たちは学校の責任を非難したがるし、学校の先
  生は親たちについて言い立てるし、社会が悪い、教育のシステムが悪い、
  いやマスコミが悪いと、責任の所在を指し示す様々な言い分があらゆる角
  度に飛ぶ。自分に責任がある、もしくはあるかもしれないという自覚が、
  非常に持ちにくい状況であることは確かです。それでバタフライナイフを
  使った少年自身はというと、少年院に収監された後、自分がこういうこと
  をしてしまったのはバタフライナイフが出てきたドラマのせいだ、弁護士
  に語ったそうです。つまり誰もが自分の責任ではないといっているわけで、
  これはまさに『ポップコーン』と全く同じなんですね。

富野 このドラマでは犯人自身がO・J・シンプソンの例などを持ち出して、殺
  人を犯した加害者が被害者になりうる現実を語っていますよね。で、自分
  の場合は監督の映画に影響されてしまった被害者であると。これはいった
  いどういうことなんだと考えていくと、それはつまり殺人を犯した人間に
  対して、この殺人はなかったことだ、という論法を編み出した弁護士たち
  がいるということですよ。彼らが今の自己責任を取りにくい社会を作った
  とはいいませんけれども、かなりの部分で責任があるように思うんですね。
   それと、誰もが自分の責任ではないという状況は、そもそも自己責任と
  は何なのか、というコンセンサスをきちんと手に入れていない中で生まれ
  たものではないかと、僕には思えてならないんです。
636富野由悠季×筑紫哲也:03/06/02 19:02 ID:???
筑紫 いや、根源的なテーマはまさしくそこですよ。

富野 早い話、自己がない人に自己責任が取れるわけありませんからね。僕が
  しばらく前からここのところは勘違いしてもらっちゃ困るよなと感じてい
  ることがありまして、それは自分は今こうしたい、これが欲しいというよ
  うな欲望のエゴと、自立した人間の自意識、自己といったものを指し示す
  エゴとは違うんだよ、ということなんです。今の日本の社会で横行してい
  るものは、欲望としてのエゴはあるが、本来意味するところの自己はない
  という状況。だから僕は自分のしたことに対して責任を取らないのは自己
  がないということだよと、本来的なエゴイズムを崩壊させていることに気
  がつかないで、ペラペラと薄っぺらな理屈をつけて他人に物事を押し付け
  るのは不幸だし迷惑だ、と言いたいんです。
   僕が『機動戦士ガンダム』でやったのはそんなやつはみんな死んじゃえ!
  (笑)。現実で人は殺せないから、作品の中で正義の味方はバンバン悪者
  を退治しちゃうわけです。

筑紫 富野さんがおっしゃることはそのとおりで、自己がないというのは、さ
  っきのアメリカ社会も日本社会も根幹が抜け落ちているという話とつなが
  っているんですね。だからバタフライナイフの件一つにしても、誰もが自
  分の責任ではないといっているこの状況はどこかおかしくないかとか、そ
  ういうことも含めてじっくり議論する必要があるんです。にもかかわらず
  、子供の事件が多発しているんだから、すぐ少年法でワーッとやっちゃえ
  と、大人自身が凄いショート・サーキットで短絡的なんですよ。それじゃ
  本質的な問題解決にはならないですよと異議申し立てするたびに、猛烈な
  抗議の電話がかかって来る。何でも早く決着をつけないと苛立つこういう
  大人たちが、一番困るんですよ。
637通常の名無しさんの3倍:03/06/02 19:02 ID:???
>筑紫 まさにそういう状況を背景にした作品ですね。日本には日本の社会、ア
>  メリカにはアメリカの社会の基本的な根幹があるはずなんだけれども、そ
>  れが抜け落ちているという状況がどちらにもある。

てめえチクシ・・・。
中韓の前では日本の社会の根幹など無視するくせに・・・。
638富野由悠季×筑紫哲也:03/06/02 19:03 ID:???
富野 筑紫さんはテレビの公開討論などで若い人たちと積極的に意見を交わし
  ていらっしゃいますけど、自己、あるいは自己責任というテーマを関連し
  てくる内容も多いんじゃないですか。二十一世紀を担う世代ですから、や
  っぱり非常に気になります。

筑紫 いろんな世代とディスカッションしてきた実感として思うのは、若い人
  たちの方がその親世代の大人たちよりも、きちんと物事を考えようとして
  いるというところです。大人たちはさっきも言ったようにすぐ一件落着し
  たがって、しかも起承転結の「結」までのスピードが年々速くなっている。
  ワイドショーなら誰々の離婚は一件落着、ハイ、誰々の不倫も一件落着で
  かまわないけれどもね(笑)。その点、若者世代は物事の根本の部分をち
  ゃんと納得したいという正しい欲求を持っている。で、これはそういう若
  者の一人である高校生の男の子が投げかけた議論なんですが、彼は何故
  「人を殺してはいけないのか」と質問したんです。

富野 なるほど。非常に根源的なテーマですね。
639富野由悠季×筑紫哲也:03/06/02 19:05 ID:???
筑紫 このときのテーマは『彼らの戦争・僕らの戦争』というもの八月十五日
  に生放送でやったディスカッションなんですね。というのは、今の子供た
  ちにとっての現在というのはまさに今このときなんであって、二、三日前
  のことは立派な過去なんですよ。そんなスピードで生きているうえに、今
  の学校教育では現代史を教えないから第二次大戦のことなど何も知らない。
  つまり、戦争について考えるというのはある意味で人間の本質を考えるこ
  とでもあるのに、彼らにはその時間も機会もなかったわけですから。もち
  ろんそういう生活環境や教育システムを作ったのはわれわれ大人の責任で
  ありまして、これは反省させられることも多々あるだろうとは思っていた
  んですね。子供の戦争というのは、子供の世界でもいじめ、暴力という戦
  争が起きているわけだから、この機会にこれも基本に立ち返って考えてみ
  よう、ということでセッティングしたんですけどね。
   それでディスカッションを始めたら、この「なぜ人を殺してはいけない
  のか」という正に本質を突いた質問が飛び出して、われわれ大人たちは説
  得にてこずった。で、なぜそういうものを放映するのか等々、われわれの
  番組は猛烈なバッシングを受けることになったんですけどね。

富野 それは違いますよね。「なぜ人を殺してはいけないのか」という質問を、
  正にこの『ポップコーン』の中の犯人ウェインがなぜ殺すのかと聞かれて
  「ただヤっちまうんだ」と答えたのと逆の方向から、自己、自己責任とい
  う本質を考えるきっかけになるんだから。それはやっぱり大人がきちんと
  答えて納得させないといけないんです。でも、無茶苦茶手こずるよなあ(笑)。
  だって、彼らには殺す、殺されるという実感がないし、人類が初めて法を
  作ったときにまず最初に「人を殺すな」と書いたことから始まって、現代
  史のヒットラーはもちろん、その間も先生が教えたがらないことがいっぱ
  いある殺し合いの歴史だって知らないんですから。
640富野由悠季×筑紫哲也:03/06/02 19:07 ID:???
筑紫 そうなんですよね。その高校生は人を殺そうと思っているわけでもなん
  でもなくて、こういう機会に物事を根源的に考えたいという非常にまとも
  な子なんですよ。
   結局、大人が説得するのに手こずったのは、ひとつにはそういう根源的
  な質問に対してきちんと答えられる思考とそれを表す言葉を持っていなか
  ったからなんですが、それよりもやはり、学校教育をはじめとする様々な
  部分で、我々が彼らに与えなかった物事、押し付けてきた物事に対する反
  省のほうが私には大きかったですね。

富野 本来果たすべきだった自己責任の重さを突きつけられた……。

筑紫 そういうところもあります。我々人間というのは喜怒哀楽の豊かな感情
  を持っていて、だからこそ殺しあう動物なわけで、そういう本質を知って、
  自分勝手でエゴじゃない自己を確立するには「人間とはいったい何者なの
  か」ということを洞察することは重要ですが、これが難しい。特に生き死
  にの極限的な実感が無い世代にとってはね。
641通常の名無しさんの3倍:03/06/02 19:11 ID:???
割り込みスマソ&支援カキコ
642富野由悠季×筑紫哲也:03/06/02 19:12 ID:???
富野 僕は、若い人たちの周りにいる大人というのも、彼らの立派な洞察の対
  象だと思うんですね。そこで大人たちには、自分の言葉で話して欲しいと
  いいたい。これは別に難しいことではなくて、挨拶でも、普段の会話でも、
  自分にフィットしたうそっぽくない言葉で表現するということです。とい
  うのは、最近特にこの自分の言葉を無くしてしまう大人たちが増えていて、
  大抵は職場に埋もれてというか、無個性化してしまうんですけども、そう
  いう人たちの言葉には説得力がないし、素直な喜怒哀楽も伝わってこない。
  もちろん、その人らしい自己も感じられないですから。

筑紫 そうですね。それはつまり自分の言葉に自信を持つ。自信を持って発言
  する、ということだと思うんですよ。その積み重ねで自分らしい言葉が身
  についていくわけでね。それと言葉にするしないは別にして、人が誇大妄
  想といっても自惚れと言っても、自分はこれだと思った物事に確固たる自
  信を持つ。そうすると自己責任も出てくるんですね。
             (1998年5〜6月公演『ポップコーン』プログラムより転載)


「ポップコーン」 1999年ベン・エルトン作 ハヤカワ文庫より抜粋
643通常の名無しさんの3倍:03/06/02 19:14 ID:???
>筑紫 そうですね。それはつまり自分の言葉に自信を持つ。自信を持って発言
>  する、ということだと思うんですよ。その積み重ねで自分らしい言葉が身
>  についていくわけでね。それと言葉にするしないは別にして、人が誇大妄
>  想といっても自惚れと言っても、自分はこれだと思った物事に確固たる自
>  信を持つ。そうすると自己責任も出てくるんですね。

自惚れて自信を持って、責任取らないやつに言われたくない。
あーだめだ。御大の言葉が目に入りにくい。チクシ邪魔。

乙!
644通常の名無しさんの3倍:03/06/02 19:17 ID:???
長文乙ですた
トニたけのギレンの自販機演説の元ネタはここだったのか(w

あと>>637>>641はお願いですから空気呼んでください
645富野由悠季×筑紫哲也:03/06/02 19:23 ID:???
以上。
「ポップコーン」のあらすじを簡単に言うと暴力過多な映画からヒントを得て
殺人を繰り返すカップルが追い詰められた挙句にその映画を撮った監督宅に押
し入り自分たちの責任を監督に押し付けようとする小説。その手段としてマスコミ
を用いるというのがこの小説のキモ。
 
646通常の名無しさんの3倍:03/06/02 19:55 ID:???
これが∀の癒しに書かれていた筑紫さんとの対談だな?
647通常の名無しさんの3倍:03/06/02 20:14 ID:???
キンゲ関係のインタビューある?
648通常の名無しさんの3倍:03/06/02 20:33 ID:Ao2IXCOn
1981年3月24日の禿の講演録(劇場用アニメ映画第一作フィルムコミック巻末記載)あるけど、
既出?若しまだ出ていなかったらのっけてもいい??
649通常の名無しさんの3倍:03/06/02 20:37 ID:???
オーイ、紙くれ
650通常の名無しさんの3倍:03/06/02 22:49 ID:???
>>644
641は、UP者が連続カキコ判定で投稿不可能にならないように
支援してるんだと思われ。気を使ってsage1行なあたりがそう見える。
651通常の名無しさんの3倍:03/06/03 00:00 ID:???
俺は筑紫好きなんだが、
富野信者は嫌いな人多いのか?
ちなみに俺も(自称)富野信者だぞ
652通常の名無しさんの3倍:03/06/03 00:02 ID:???
俺も富野好きだが、筑紫はいつ氏んでくれても積極的に構わないな。
653623:03/06/03 01:03 ID:???
みなもと太郎の『風雲児たち』は、そういう意味で認めざるを
得ない立派な物語でしょう。あの絵じゃなあって部分は確かにあって、
僕も最初は苦心した。ところが3巻ぐらいまで読むとあとはもう一気に
全30巻を読ませてしまう(※潮出版社版は全30巻)。
だって、まさかなんなことが描いてあるとは思わないわけ。
この作品、オビの時間でアニメ番組にしたいって本気で思ってるくらい。
でも周りは、そりゃ商売にならないからやめてくれっていうんですよね(笑)

禿の自画像
http://char-custom.net/cgi-bin/img-box/img20030603010124.jpg
654通常の名無しさんの3倍:03/06/03 09:16 ID:???
みなもと太郎の『風雲児たち』は大好きなマンガだ・・・・青臭いけど。
655通常の名無しさんの3倍:03/06/03 10:22 ID:???
>>651
2chのニュース・社会系板では筑紫は敵として設定されてるからじゃないか?
しかし敵といっても彼一人倒した所で世の中が変わるわけじゃないと思うんだが。

>>644
自分もギレンの自販機廃止論ネタを思い出した。
そういえば、F91の小説でも主人公の住むコロニーでは牛乳の販売は
人の手でビン売りする方法のみに規制されている描写があったな。
656通常の名無しさんの3倍:03/06/03 11:21 ID:???
基本的に朝日新聞系の人は叩きやすいからね。
657通常の名無しさんの3倍:03/06/03 12:06 ID:???
昨日の23でもキティぶりが目に余ったよ
658通常の名無しさんの3倍:03/06/03 12:43 ID:???
キティだろうが何だろうがそれを受け入れるマスがいるから
そういう物が放送に乗る現実があるんだと考えるのがガンダム的ではないかい?

それと、そろそろスレ違いっぽいから筑紫話の続きは別の場所でな。
659通常の名無しさんの3倍:03/06/03 13:47 ID:???
このスレで続けないのは同意。
ただ、いつも思っていたんだが、自分の意見を書いた直後に終了を宣言するヤツは汚い。
そしてこう指摘されて「それは済まなかった。今後気をつける。」というやつも汚い。

汚い人間だと自覚して、自分の”実績”に基づいて汚名を受けながら、それでも
何も書かない奴だけが、汚いなりに成長してると言える。
660通常の名無しさんの3倍:03/06/03 15:21 ID:???
坊やだからさ
661通常の名無しさんの3倍:03/06/03 17:57 ID:???
まあ落ち着けよ…俺の予感だと、そろそろ

富野氏の対談を中心に書き込むスレです。(略
テンプレを貼り付けて鎮火する奴が出てくる予定。

さあ、貼り付けて!

662通常の名無しさんの3倍:03/06/03 18:13 ID:???
君は!
663通常の名無しさんの3倍:03/06/03 19:56 ID:???
富野はけっこう筑紫に好感もってるようだ
確か何かいい言葉をかけてもらったとか何とか
何処で読んだか探してくるよ
664通常の名無しさんの3倍:03/06/03 20:22 ID:???
>>662
ワラタ
665通常の名無しさんの3倍:03/06/03 23:07 ID:???
まあこれでも見て落ち着けや
http://mito.cool.ne.jp/grayfox/2/tikubi.swf
666通常の名無しさんの3倍:03/06/03 23:41 ID:???
なかなかのキモさです、どうせなら虫をプチプチつぶせたらよかったのに、、、
667通常の名無しさんの3倍:03/06/04 02:32 ID:???
でもまぁ、こういう意見出すときの筑紫ってのはカコイイよな…
論が妙な方向にズレてくるから嫌われてるだけで、筑紫本人はかなり頭の良い論理的なヤシだ。

嫌筑紫を積極的に謳うのって、なんだかコヴァ臭くないか?
668通常の名無しさんの3倍:03/06/04 03:50 ID:???
富野氏の対談を中心に書き込むスレです。

厳密には対談でなくてもコメント等でも結構です。形式も自由。
また、富野氏でなくても関連が深い人物の発言なら何でもOKとします。
カキコしてくれる神にお任せします。

基本的に保守を除いてあまりageずにsage進行でお願いします。

筑紫話は鼬街です。
669通常の名無しさんの3倍:03/06/04 05:56 ID:???
>>668
>鼬街
読めない。教えてマジで!
670通常の名無しさんの3倍:03/06/04 07:05 ID:???
>>669
「いたちがい」
671669:03/06/04 07:53 ID:???
>>670
ありがd
672通常の名無しさんの3倍:03/06/04 15:47 ID:???
うーんつくづくとみのっちには映画撮らせたいな
サンライズ以外で作品作っちゃ駄目って契約むすんだのかな
673通常の名無しさんの3倍:03/06/04 20:17 ID:???
>>672
ガーゼィの翼はサソライズ噛んでいませんが?
674通常の名無しさんの3倍:03/06/04 20:26 ID:???
昔なんか先代の社長に恩があってどうこうって話があったよね>サソライズ
文字媒体で残っているのかな。
675通常の名無しさんの3倍:03/06/04 21:50 ID:???
>>672
むしろ自分でプロダクション作っちゃえよ、っていつも思ってるんだが。
集まってくるスタッフもたくさんいるだろうに。だめなのかな?
676通常の名無しさんの3倍:03/06/04 21:54 ID:???
>>675
経営者としての資質はなさそうだ。
677通常の名無しさんの3倍:03/06/04 22:33 ID:???
パヤオに対する鈴木Pみたいな商売上手な人がいればね……。
もう十年以上は遅きに失した感は否めないが。

そういや御大×原恵一対談ってまだ載ってなかったよね。頃合を見計らってUP希望します。
678通常の名無しさんの3倍:03/06/04 22:44 ID:???
>>675-675
オフィスアイって富野の会社じゃないの?
なにするところか知らんけど
679通常の名無しさんの3倍:03/06/05 00:42 ID:???
オフィスアイ
確か富野由悠季というタレントをマネージメントする会社。じゃなかったっけ?
税金対策とか、そういうやつ?
680通常の名無しさんの3倍:03/06/05 00:55 ID:???
オフィスアイ、一応は法人なんだからプロダクション方面に展開すれば…
経営者もどっかに有能な人材いるんじゃないかな?
精勤滅私奉公も厭わないガンダム者で。
681通常の名無しさんの3倍:03/06/05 01:24 ID:???
ガイア・ギアサウンド版のプロデューサー、高梨由美子氏もオフィスアイ所属ですね
682通常の名無しさんの3倍:03/06/05 03:18 ID:???
>>680
ガンダム者じゃだめっしょよ。
御大はそーゆーヤツにいいかげん辟易していたと思ったけどな。
683通常の名無しさんの3倍:03/06/05 03:27 ID:???
>>682
「有能な人材」の部分がポイントと言ってみる。
作品を理解する心は重要、愛すればもっと良し。

迂闊に愛のないヤシを入れると、着服や横領といった問題が起こる。
一昔前の業界は大変だったラスィ
684通常の名無しさんの3倍:03/06/05 03:32 ID:???
オフィスアイって、「ターンエーモビルスーツ」という
商標を登録してるね

ttp://www2.ipdl.jpo.go.jp/beginner_tm/TM_DETAIL_FRAME.cgi?8&1&1054751590923438
685通常の名無しさんの3倍:03/06/05 17:16 ID:???
富野作品のマーケットとしてのパイの大きさはパヤオと比較して小さいと思うよ。
キンゲの映画化でナウシカ、ラピュタといい勝負が出来ればいいけど。
『テレビアニメ20周年と私』特集より

『戦闘メカ・ザブングル』の最終絵コンテを描き上げ、現在は『聖戦士ダンバ
イン』の準備に忙しい。かたわら小説も手がけている。

『ヤマト』の映画化というのが、一番印象的ですね。僕自身にとっても、客観
的に見てもそうだと思います。こちらが想像していた、「アニメーションの受
け手の動向が変わってゆくな」という動きが証明された。そして、その具体的
な証明があったから、僕にとっては『ガンダム』をやる気になったわけです。
『ヤマト』がアニメの歴史の上で大きな役割を果たした――という事をきちん
と踏まえたから、『ガンダム』という形になって現れたわけですから。『ヤマ
ト』は、その刈り込み作業のようなことを春の『ファイナル』でやろうとして
いるようですが、それは違うと思いますね。アニメーション全体の流れという
ものを見て、刈り取ってしまったのは『ガンダム』だからです。それを間違う
から、失敗した映画が出来てしまうのでしょう。
 そういう意味では、今『マクロス』という第3勢力が出てきました。『マク
ロス』の今の状況の是否論はあるだろうけれど、第3勢力の台頭が具体的にな
った、ということです。今までは散文的に、スタジオZ5の評価などの形では
ありましたが、作品としてグロスに行われない限り絶対に評価できないわけで
す。同人誌レベルではなく、作品として出てきたのは『マクロス』が初めてで
すよね。それを『マクロス』が刈り取れるかはまったく別の問題ですが。だか
ら個人的では『マクロス』などの勢力をどういう形で乗り越えてゆくか――と
いう“札”を出した。それが『ダンバイン』です。ただ、『ダンバイン』の企
画の時には、僕は『マクロス』のことは全く知らなかったんです。けど、アニ
メの全体的な流れを見てた時に、『ガンダム』『イデオン』『ザブングル』以
後のメカのグレードアップというものが全体にあるはずでした。それは、こち
らはやらない。何故か。それをやっていたら第3勢力に負けるから……という
ことが想定出来るからです。『ダンバイン』を持ち込んだのは、そうした大き
な流れを見ているからです。だから、『ダンバイン』は3年後まで残ります。
マンナーチェンジではない、大きな流れを持っているからです。
 だから、我々は『ガンダム2』というものを具体化するには来年中にはでき
ないんです。『ガンダム2』があり得る――という構想はあったとしてもね。
それを最終回に打ち出してゆくのは、いつか? 『ガンダム2』というものが
マイナーチェンジにしか見えない時期に出すのは損だろう、というのは当然な
がら考えます。

『Z』の2年も前に、お題とまったく関係ない
聞かれもしない『ガンダム2』の企画構想をバラす御大に萌え。
687通常の名無しさんの3倍:03/06/05 18:58 ID:???
マネージメントはともかく富野がやる気になれば映画を作るだけのスタッフは集まりそうだが
キンゲの終わりの方を見る限りでは
688通常の名無しさんの3倍:03/06/05 19:38 ID:???
686名前:アニメック28号(1983年2月発行)(sage)投稿日:03/06/05 18:31 ID:???
『テレビアニメ20周年と私』特集より

『戦闘メカ・ザブングル』の最終絵コンテを描き上げ、現在は『聖戦士ダンバ
イン』の準備に忙しい。かたわら小説も手がけている。

『ヤマト』の映画化というのが、一番印象的ですね。僕自身にとっても、客観
的に見てもそうだと思います。こちらが想像していた、「アニメーションの受
け手の動向が変わってゆくな」という動きが証明された。そして、その具体的
な証明があったから、僕にとっては『ガンダム』をやる気になったわけです。
『ヤマト』がアニメの歴史の上で大きな役割を果たした――という事をきちん
と踏まえたから、『ガンダム』という形になって現れたわけですから。『ヤマ
ト』は、その刈り込み作業のようなことを春の『ファイナル』でやろうとして
いるようですが、それは違うと思いますね。アニメーション全体の流れという
ものを見て、刈り取ってしまったのは『ガンダム』だからです。それを間違う
から、失敗した映画が出来てしまうのでしょう。
 そういう意味では、今『マクロス』という第3勢力が出てきました。『マク
ロス』の今の状況の是否論はあるだろうけれど、第3勢力の台頭が具体的にな
った、ということです。今までは散文的に、スタジオZ5の評価などの形では
ありましたが、作品としてグロスに行われない限り絶対に評価できないわけで
す。同人誌レベルではなく、作品として出てきたのは『マクロス』が初めてで
すよね。それを『マクロス』が刈り取れるかはまったく別の問題ですが。だか
ら個人的では『マクロス』などの勢力をどういう形で乗り越えてゆくか――と
いう“札”を出した。それが『ダンバイン』です。ただ、『ダンバイン』の企
画の時には、僕は『マクロス』のことは全く知らなかったんです。けど、アニ
メの全体的な流れを見てた時に、『ガンダム』『イデオン』『ザブングル』以
後のメカのグレードアップというものが全体にあるはずでした。それは、こち
らはやらない。何故か。それをやっていたら第3勢力に負けるから……という
ことが想定出来るからです。『ダンバイン』を持ち込んだのは、そうした大き
な流れを見ているからです。だから、『ダンバイン』は3年後まで残ります。
マンナーチェンジではない、大きな流れを持っているからです。
 だから、我々は『ガンダム2』というものを具体化するには来年中にはでき
ないんです。『ガンダム2』があり得る――という構想はあったとしてもね。
それを最終回に打ち出してゆくのは、いつか? 『ガンダム2』というものが
マイナーチェンジにしか見えない時期に出すのは損だろう、というのは当然な
がら考えます。
689AX vol9 /1998/12 より:03/06/05 22:24 ID:???
最終回放送直前記念
製作現場に聞くブレンパワード秘話

キャラクター
デザイン
作画監督

●永野護氏といのまたむつみ氏がコンセプト
デザインで参加されていますが、お二人のデ
ザインをアニメーション用デザインにリファ
インされる際に、どのような点で苦労しまし
たか?

キャラに関しては、原則として「ブレンパワ
ードは“ い の ま た キ ャ ラ ”である」とし
ながらも、設定作業に入った段階ではいのま
たさんの絵は大ラフしかなく、しかも目の大
きさとか、鼻の描き方など変更を指示されつ
つ、かつ自分自身の絵で描いてもいけない
( や っ ぱ り “ い の ま た キ ャ ラ ” で す
か ら )という、なんだかとっても難しい作業
でした。おまけに設定画を上げて作画作業に
入ったあとで、いのまたさんから新たな比瑪
のラフをいただいたために、それまで使用し
ていた設定をボツにし、改めて比瑪の設定修
正版を作ったりしたおかげで作画の皆さんが
混乱してしまったり・・・・。その他のキャラに
ついても、必要最低限の設定しか出せなかっ
たので、色々と不満が残る結果となってしま
いました。
メカに関しても、準備稿が決定稿になって
しまったり、変な風に簡略化してしまったた
めによくわからなくなってしまったりと、ま
あ色々ありました。(重田敦司)

●メカニックではないブレンとグランチャー
の描写で気を使ったところはどこですか?

外見がメカメカしいのですが、 実 は 生 き
た 鉄 板 ( ? ) の 集 合 体 であるという
雰囲気が本編でもう少し出せたら良かったか
もしれません。外皮がゆがんだり、力んだ関
節のアップを見せたりとか、チャクラとブレ
ン本体との関わりも他にも色々あったかなぁ、
と今にして考えています。(重田敦司)

●『ブレンパワード』では場面が会場や日本
の田舎の風景、さらには寒冷地帯の山中など
変化が著しいですが、各場面での描写で苦労
した点はどこですか?

場面というより、エフェクトのある時が面倒
でした。(重田敦司)
690AX vol9 /1998/12 より:03/06/05 22:24 ID:???
演出

●オープニングで女性キャラが
全員裸体なのは何故ですか?

 好 き だ か ら で す

監督 富野由悠季(直筆サイン)

●富野監督の演出意図とのギャップを感じら
れたことはありますか?

ギャップを感じる、というよりも絵コンテな
どから受けた印象が画面上にきちんと表現で
きたか、ということはいつも感じていました。
自分の仕事内容と理想とのギャップは大きか
ったようです。(渡邊哲哉)

こんな質問されると
ボ ク が リ バ イ バ ル
しちゃいます。(森邦宏)

あったら一緒に仕事しません。(西森章)

ありません。(南康弘)

●『ブレンパワード』は、一言でいうとどん
な物語だったのでしょうか?

親子、友人、恋人、他人、まったく違う生き
物とかとのコミュニケーションの話かな(よ
くわかんねーや)?(渡邊哲哉)

ヒ メ ち ゃ ん の 家 族
さ が し 日 記 。(森邦宏)

ラ ブ ラ ブ な 物 語(西森章)

それは富野監督に聞いて下さい(南康弘)

●『ブレンパワード』で目指した演出とはど
のようなことだったのでしょう?

「普通の画面」を作る。「普通」というのが、
どうも説明しずらいんですけど・・・・。「普通」
ってのが「理想」なんだと思います
( 書 い て る 自 分 も
よ く わ か ん ね ー や 、
こ り ゃ ) 。(渡邊哲哉)

乾坤一擲(森邦宏)

S M A P の 歌 が バ ッ ク に
流 せ る 様 な フ ィ ル ム 。
ちなみに第21話は『夜空ノムコウ』、最終話は
『たいせつ』です。(西森章)

あ り ま す が
ど う 書 い て い い か
解 り ま せ ん 。(南康弘)
691AX vol9 /1998/12 より:03/06/05 22:27 ID:???
絵コンテ
脚本

●『ブレンパワード』では、いわゆる「富野
ブシ」とも言えるセリフ回し、レイアウトな
どが見られますが、脚本、絵コンテ段階では
そういったことを意識されるのですか?

セリフ、レイアウトでは、していません。
(絵コンテ・南康宏)

意 識 し た っ て 、
他 人 な ん だ か ら
全 て マ ネ す る の は
無 理 で し ょ う 。
(絵コンテ・西森章)

「 富 野 ブ シ 」 は富野さんにしかできま
せんが、必死にマネしようとしている形跡が
コンテにもホンにもあると思います。富野さ
んチェック後のコンテに自分の足したセリフ
が残ってるとうれしいんです(絵コンテ・森
邦宏)

脚本段階では意識していません・・・・というか、
極力入れないようにしています。今回のブレ
ンは、今までの作品とは違った雰囲気にしよう
ということで 「 富 野 ブ シ 」 はやめよう
という話だったんですが・・・・なぜか入ってい
ますね(笑)。(脚本・西出明美)

特 に 意 識 し た
こ と は あ り ま せ ん 。
(脚本・浅川美也)
692AX vol9 /1998/12 より:03/06/05 22:28 ID:???
●『ブレンパワード』という物語を一貫して
いる「親子関係」というキーワードを、1話
の物語として絵コンテや脚本に変換する上で
苦労された点はどこですか?

苦労はありませんでした。ボクのやった第22
話では、具体的な親子は出てきませんでした
が、子供たちを元気に描くことで、ノヴィス
・ノア自体を親として存在させることができ
たかと・・・・。(絵コンテ・森邦宏)

親 子 ど ん ぶ り
(絵コンテ・西森章)

救いようがない家族関係を、いかに肯定する
か。最近は否定するだけ否定して、救いのな
い話が多すぎる。ブレンでは、登場人物もそ
してそれを見ている視聴者にも、 ど う す
れ ば 幸 せ に な れ る か 、 考えて欲
しいと思いながら書きました。(脚本・西出
明美)

勇の、親に対する気持ちを理解するのが大変
でした。「これこれ、こうだから、こう思って
いるのだよ」と、説明されて頭で理解するの
ではなく、感覚的にわかりたいと思いました
ので、色んな若い男の子の話を聞いたりして
みました。(脚本・浅川美也)
693AX vol9 /1998/12 より:03/06/05 22:28 ID:???
●『ブレンパワード』ではアンチボディがロ
ボット的な描かれ方をしていないのが特徴で
すが、ガンダムに代表されるロボットアニメ
的なものを捨てるのは相当大変だったのでは
ないでしょうか?

意 識 は し ま し た 。
(絵コンテ・南康宏)

キ ー ポ イ ン ト は 飛 ん で る と き
の 足 音 !!(絵コンテ・西森章)

今までのパターンを使えない分大変だったか
もしれませんが、アンチボディもヒメたちの
一員だと考えれば、自然にアンチボディのキ
ャラクターが発想されました。第22話で、勇
の代わりにブレンが働くシーンはその成果で
しょう。(絵コンテ・森邦宏)

第1話の時から、 「 こ れ は ロ ボ ッ ト ア
ニ メ で は な い 」 と思っていましたから、
戸惑いはありませんでした。戦闘がメインで
はなく、人間のドラマに重点を置いています。
(脚本・西出明美)

今回、初めてアニメシナリオを書かせてい
ただいたので、捨てるものが私にはありませ
んでした。(脚本・浅川美也)
694AX vol9 /1998/12 より:03/06/05 22:29 ID:???
富野分少なくてスマソ
695通常の名無しさんの3倍:03/06/06 01:26 ID:???
Vガンスレより
>――・・・・そういう意味ではガンダムシリーズの中でも「Vガンダム」は特筆すべきすごい
>作品じゃないかと思いましたけど。
>富野 ぼくもそう思います。だけど、もう作っている時からわかったことがあるんです。
>つまりそういう特別な位置づけにある「Vガンダム」なんだということは、直接関係者とか
>周辺関係者、誰一人気が付かないだろうということです。ましてやアニメ雑誌の編集者も
>気が付かないだろうな、と。実際「ああ、やっぱりそうだった」と思いました。
>――さっきの黒歴史の意味と同じで、伝わってない。
>富野 そのとおり、まったく同じです。だから、そういうこと、こういうこと、いろいろ含めて
>あった後、かなり時間をおかせてもらったので、「∀」を作ることができたんだと思います。
696通常の名無しさんの3倍:03/06/06 01:27 ID:???
>――ある意味では∀以上に、Vガンダムはさらに反応が鈍かったような印象がありますが?
>富野 はい。
>――あのV、ヴィクトリーというタイトルは、富野さん自身が考えてお付けになったんですか?
>富野 もちろんそうです。ぼくとしては、そのヴィクトリーという言い方も含めて「お前らね、
>ここまで当事者にコケにされてるっていうことをわかれよ!」という言葉が聞こえてくるよう
>にと・・・・。
>全員(笑)
>――見ていて、「この内容でいったいどこがヴィクトリーなんだ?」と思いました。
>富野 はい。それを出資サイドで気が付いている人はどれだけいたか、ということです。
>「富野さん、いくらなんでもあれはやめてくださいよ。あてつけもひどいじゃないですか」と
>いう発言を、本当に待ってたんです。
>――言われませんでした?
>富野 誰も言いませんでした!
>全員(笑)
>富野 そういう現世との関わりあいを持っている部分があるんで、「切ないなあ」と思って
>いました。
>――確かにそうですね。文句言われないのも切ないなあ。
>富野 だから本当に、ほとほといやになりました。
>――じゃあ「V」というのは、そういう富野さんの屈折した思いがかなり入ったタイトル
>なんですね。
>富野 屈折した思いじゃなくて、屈折そのまんまです。
697通常の名無しさんの3倍:03/06/06 01:48 ID:???
御大好きだが、こういう態度はいただけないな。
やせ我慢してでも、プロであることに固執するのがかっこいいのに。
698通常の名無しさんの3倍:03/06/06 02:37 ID:???
そういや、誰か新海誠との対談保存してる人いない?
この間御大が原対談でちょこっと名前出してから気になってるんだけど
699通常の名無しさんの3倍:03/06/06 07:32 ID:???
Vガン終了時にあったアニメージュ1994年7月号の富野×庵野対談ってまだ書き込まれてなかった?
なかったら手元にあるんで書き込んでみたいです。

なんかだいぶ昔にどこかで書き込まれてたのをちょっと見たことがあるような気がするんだけれど。
700通常の名無しさんの3倍:03/06/06 08:00 ID:???
>>698
もう見れないの?

>>699
いいんじゃないかな?
以前のは確か抜粋だけだったし
701699:03/06/06 11:43 ID:???
できましたんで書き込んでみます。
13レスくらい使う予定です。
打ち間違いがなければ漢字から句読点のつけ方に至るまで原文に忠実である筈です。(さすがに改行は見やすいようにしてあります)
アニメージュ1994年7月号より 富野×庵野"機動戦士Vガンダム対談"
「醜いものから目をそむける日本の子どもたち」

―この対談は前回、AM5月号の『Vガンダム』特集で、庵野さんに取材した折に、富野監督の熱心な
 ファンである庵野さんから希望が出て、実現したものである。昨年のTVアニメでは『Vガンダム』
 こそベストとする庵野さんの熱意に、独自の視点で文明観、作品観を語る富野さん。話題は多岐に
 わたって続いた。
庵野   時期が遅いですよね。放映中にこの手の企画はやるべきでしょう。

富野   だけど『Vガンダム』に関してはしょうがないとも思っています。本当にごった煮
    になってしまって、よくわからないシリーズになっちゃったから。手紙も少ないし、
    視聴率も上がらないし……。

庵野   あの時間帯は小さい子しか、テレビを見ていませんからね。

富野   でも本当にぼくに力があれば、どんな時間でも見てもらえるハズでね。心掛けと
    しては、いつもそのつもりでやってるんだけど(笑)。

庵野   でもやはり、小さい子どもにはつらかったと思いますよ。

富野   それは最初はゴールデンタイムといわれて、その予定で製作に入っちゃったから。
    もちろん時間帯の変更が決まった時点で軌道修正はしましたが、やはり直しきれなかった。
    ただ軌道修正自体は決して悪いことではなくて、それがあったからこそ、最初の頃の
    わかりにくさから、少し抜け出せたんだと思います。
     本当はもっといい形にして見せたかったんだけどできなかった。それはプロとして、とても
    悔しいことだ。―――というのがありましたので、今の『Gガンダム』に関しても、確かに
    『ガンダム』という名前にこだわるなら問題はあるんだけど、今後もサンライズが、夕方5時で
    番組を作っていくなら、名前にとらわれないで時間帯を考えた路線変更をしていくべきだ、と
    思いましたので、むしろ積極的に押しました。だから『Gガンダム』は他人の作品なんだけど、
    まったくわきの作品でもない。どういう風に見えてくるか、フォローしていきたいと思って
    います。
庵野   『Gガンダム』は期待してるんです。子どもには受けるんじゃないかと思って――。
    だけど『Vガンダム』のようなドロドロした作品は、今の子どもは受けつけないんじゃない
    かな。20歳くらいでもクリーンなものばかり好んで、汚い部分が見えるものは、嫌悪される
    ようになってきていると思います。

富野   ぼくもそう思います。まさにそういうトレンドの時だと承知しているからこそ、ゴールデン
    タイムでやらせてもらえるとなったときに、視聴者層の幅を想定して『Vガンダム』の初期
    設定を押し切った。だから後でどれだけリメイクしようと思っても、根が深すぎて、それを
    抜き取ることができなかったんです。
     それは『Vガンダム』にとって不幸なことだったけれども、ぼく自身にとっては、その
    リメイク作業を通して5時台のルックスを身に着けようとしたことは、ムダではなかったと
    思います。その上で、もし次の機会があったときには、『Gガンダム』の成果も踏まえて、
    トレンドとしての今のマーケットにどう対応して、作品を作っていくか。勉強させてもらい
    たいと思っています。
     ただそれは、今の視聴者がクリーンなものが好きだからといって、それに合わせて商品を
    作っていけばいいのかといったら違うと思う。だってそのマーケットに合わせた作品は、既に
    いっぱい出ているわけだから。そこにスタンスを置いてしまえば、ぼくが作ることの意味は
    なくなってしまう。表現とかのハウツーは学ばせてもらうにしろ、コンセプトに関しては、
    そうそうすり寄れないようにと。
     それに今のマーケットの性癖は、さらに極端な方向へ突き進むだろうとは思うけど、それを
    病的な現象として反省する時代も近々くると思うので、そのときにアニメの世界にもこういう
    作品があった、という部分はあっていいんじゃないかな。

庵野   ぼくも強くそう思いますね。
富野   実は今の日本でいちばん問題なのは、企業の偉い人とか経済人、大人たちが、商売のために
    若者にすり寄り過ぎてることだと思うんですよ。若者に対してアンチテーゼを示すべき大人が
    いなくなってしまっていることが問題なので、実はそれは若い人の問題だとは思っていないん
    です。
     別にぼくは学者ではないから、どうしてかという説明はできないけれど、ぼくが具体例とし
    てあげられるのは、ビートルズのことなんです。
     なぜビートルズはイギリスから生まれたのか、というのはとても大事な点でね。だってイギ
    リスなんて、それこそ大人の伝統だけでガチッと作られた国で、その中でもリバプールなんて、
    涙が出るくらい悲しい田舎町なんだよね。そんな陰々滅々としたところで、エレキギターは
    弾いてきたんだけど、パッとしない連中がいて、このまま田舎町にいてもどうしようもないん
    だけど、何をどうしたらいいのかわからなくて……。結局、反発しつつも、具体的な活動を
    はじめていくキッカケは、ドイツでなければつかめなかったというのがね。この問題を考え
    るのに大事なことだと思う。あのイギリスという重しがあったからこそ、ビートルズが生まれ
    たのであって、アメリカでは決して、彼らのような人たちは出なかったでしょうね。
     ところが今の東京はどうかというとね、ちょうどぼくくらいの年齢のおじさんたちが、高校
    生を集めてきて、商品企画会議をやって、彼らの好みに合うように、一生懸命、商品を作って
    いる。仕事のため、会社をつぶさないため、というまさにそれだけを金科玉条にして、大人の
    正義を何も見せないという部分が、いちばん今の日本を狂わせていると思う。
     それが本当に正しいか正しくないかはわからないけど、齢をとってきたことの価値という
    のは、そういうところにあると思うわけ。若いやつらから"古い"だの"おじさん"だのいわれた
    ときに、"だけどもオレたちは、これで生きてきたんだ。それがなぜ悪い!"となぜいえない。
    自分たちが生きてきた価値観を、若い人にぶつける方が正しいのではないか。おじさんたちが、
    若いやつの好みにあわせた商品を作って、"わあ、おじさんすてき!"と若い子から好かれて、
    おじさん気持ちいい、それで会社も繁盛するという社会は、やはり構造的におかしい。

庵野   やはりマーケティングと大量消費が原因ですかね。あと、テレビ。
富野   データ論の持っている正義が、本当の正義なのか、といったら、それはまさに効率論の正義
    でしかなくて、人を育てるための正義ではないということだ。
     社会差別が厳然として残っているイギリスという国で、その重圧の中から反発して出てきた
    ビートルズの、そのポリシーとか価値観というのは、絶対に老人たちが参加して作ったもの
    ではない。そういう社会構造がいいのか悪いのか、というのは別にして、老人と若者の関係と
    いうのはまさにそうであるべきだ、ということはまちがいなくいえる。
     だから、ぼくの場合、さっきいったように表現論の問題で、ぼくの下手な部分というのは、
    作家として反省しなくちゃいけないし、もっと洗練させたいと思う。だけどポリシーに関し
    ては、オレはいまさら変えようとは思わない。絶対間違ってないと思うもの。そうでないなら
    隠居するだけだものね。
     だけど、今の日本の大人たちが作った社会構造というのは、若い人たちに対してアンチテー
    ゼを設定する大人というのが、もろにいなくなってしまった。ところがこの不気味さを、経済人、
    企業人という人々は感じていないんじゃないか。すべて経済効率だけでできている。
     アニメーションに近い例でいえば、乗用車のデザインがそうです。マーケットリサーチをして、
    いちばん売れるものをとやってきたら、この10年くらいは各社とも同じようなものになってしまっ
    て、2年前の大きなモデルチェンジでは、それがもっとひどい形で出てきて、みんな"オレの趣味
    じゃないよね"って感じてるのにみごとにそればかりになってしまった。これだけのメーカーが
    日本にはあるんだから、ほんとうはとんでもなく違うものがでてきてもいいのに、各々のデータ
    ベースが全部、今の若者の指向であって、同じ基盤。それをおじさんたちが一生懸命調べてきて、
    そのマーケットに合わせて作るから、みんな同じものになってしまう。
     これだけの数の車が、街を走っているのに、車を見る楽しみがなくなってしまったというのは、
    すさまじいことだと思いませんか?

庵野   確かにどの車を見ても今は区別がつきませんからね。

富野   楽しくないんですよね。何で今の若い人たちが、車を好きでいられるのか、ぼくにはわからない。
富野   『Vガンダム』の作品的な問題というのは確かにあって、それは制作者としてちゃんと了解し
    なければならない。だけどソフトの世界というのは、自分のオピニオンをかなり露骨に出していけ
    る部分もあるんだよね。それでなぜ悪いとは言わないし、言えない。結局、上手に表現できなかっ
    たわけだからね。でもぼくが『Vガンダム』でやろうとしたことで、20代、30代の人間ではできな
    いことが、絶対にあるはずだ。ということはいえると思う。
     だけど"なぜ悪い!"という部分も含めて、気にいらなければ、おまえら徹底的にこれを否定して
    くれて構わないんだ。いや、むしろ全否定してほしいのよ。庵野さんなり、あるいは他の若い人でも、
    全否定するだけのパワーを持ったときに初めて、本当に新しいものがでてくる。なぜ今のアニメが
    こうもボルテージが上がらないのかといえば、やはりお父さんたちのマーケティング論、今のトレ
    ンドに合わせて作ろうとする部分で、その渦中にはまっちゃってるから。

庵野   そうなんですよね。

富野   バリエーションということも、"ユーザーの要求に応えて"とか、"お客様のご希望に沿うように"
    とか、ということでよくいわれるんだけど、実は今いわれているバリエーションというのは、ものす
    ごい幅の狭いところで、差別化しているだけで、本当のバリエーションとは違うと思える。

AM   5月号で、庵野さんにお話をうかがったときにも、多様化しかないんじゃないかとおっしゃってま
    したが。

庵野   逆にいうと今のアニメ界は特殊化が進みすぎていて、もうダメになるんじゃないか、と思うんです
    けどね。

富野   これはアニメに限らないんですけど、一時期、特殊化、多様化をやったの。個性が大事ってね。
    それから日本語になってしまった"アイデンティティーを大切にする"ということがある。でもそれも
    結局は、やはりごく狭い幅のものでしかない。もう少しみんな、外へ出て行って、違う人間が寄り集ま
    っているところを知ってほしいな。話がわきへ行きすぎるねぇ……。『Vガンダム』の話をするように
    努力します(笑)。
庵野   これはぼく個人の感想なんですけど、結局『Vガンダム』って、土と女の話だな、と思ったんですが。

富野   そうですよ。実はぼく自身もフィルムの試写を観るたびに、"あっ、そうか!"と思うことが何度も
    あって、特に"女"の部分に関しては、今回ようやく、おれ"女"を描けるかもしれない、と思えるように
    なった実感がある。

庵野   今回、ようやくですか!?

富野   ようやくです(笑)。それほど自信なかったもの。
     そういう意味では、おれも捨てたもんじゃないな、という――それはアニメのレベルでいえば描けて
    いるといえるかも知れないけど、やはりそんなもんじゃないからね。本当に女の性を描けるかな、と
    いうところまできたというのは、ものすごくうれしかった。

庵野   自信がないというのは、それだけ女にこだわっているということですね。

富野   全くそういうことです。それで実際にやってみて、あれっと思った。かなりずけずけと(フィルムの
    中に)女の気分が見えてきているんだよね。これはちょっと自信を持って、もう少し女を描いていいん
    じゃないのか。初号を観て、そう思ったことが、2、3度あるの。

庵野   今回が初めてですよね。地球から出て、地球に帰ってくる『ガンダム』は。

富野   深く意識したわけではないんですけれども、最終的にカテジナの落としまえをどうつけていくか、
    ということを考えていったときに、ああしました。ただ、あれで良かったのか、というと決して全面的に
    いいとは思ってないし、ロボット物ということを考えた場合、あそこまでうっ屈してほしくなかったよね、
    というのはちょっとあります。だけど一度やってみたかったんだよね(笑)
庵野   女に比べて『Vガンダム』では、いい男が出てきませんでしたね(笑)

富野   だから今回は女を描くことにすごく集中しちゃって、男に対する興味をほとんど持っていなかった。

庵野   なかったですね。初めてじゃないですか、全編を通して何かひとつのことに、こだわり続けたのは。

富野   今、こうやって話していてわかったことなんだけど、13歳のウッソを描くために、男を描くことへの
    興味を全部ウッソに吸い取られちゃったんだね。他の男にふり向けられなかった。あの年齢の男の子を
    本気で描こうというのは、ぼくの年齢ではものすごく大変だった。そうしたら他の男に全然手が回らない。

庵野   かろうじて老人くらいですね。若いのは全然だめでしたね。

富野   あの老人達はぼくの同世代でしょう。自分の気分をそのまま移せばいいだけのことだったから、実は
    何も考えないでできた。いわゆる壮年を描くことができなかった。

庵野   クロノクルは今の若者をそのまま反映しているんですか?

富野   そうじゃない、本当にちゃんとしたロボット物の敵役にしたかったの。だけど、それこそワタリー・
    ギラのあたりでクロノクルがすっぽぬけてしまった。ワタリーみたいなキャラクターで振りぬけちゃいけ
    ない。あれを全部クロノクルに持ってこなくちゃいけなかった。それにまだあの頃、ウッソのことがよく
    わかっていなかった部分があったために、ウッソに集中したまま、12、13話までいってしまったので、
    クロノクルが完全に抜け落ちてしまった。
庵野   ピピニーデンも余計でしたね。本来、クロノクルに集中すべきキャラクターが分散しすぎて、結局、
    若い男はどれも立ちませんでしたね。
     クロノクルには期待していたので残念です。でもクロノクルがああいう男だったから、カテジナさんも
    ああなってしまったのかな、とも思いますけども。

富野   それに関してはちょっと違うんです。カテジナのあのラストシーンというのは、かなり早い段階で
    構想があったんです。スタッフにもまだ1話のオンエアが始まる前に、キャンセルするかもしれないけ
    ども、といいながら話している。ところが、みんなかなりそのラストを気に入ってしまったのね。ちょっ
    と映画っぽすぎて、いやかなとも思ったんだけれども……。それがずーっとスタッフの間に残っていて、
    クロノクルはあれでいいという風になってしまった部分が、どうもあるみたい。

庵野   カテジナの、あのラストシーンのために犠牲になってしまったわけですね。

富野   それで2クールに入ってすぐ、もう最終回をどうするか、決めなくちゃいけないという時に、ぼくが
    「もうカテジナは盲目にするしかないね」といったらみんなもそれだけで、「そうですね、落としどこ
    ろは他にありませんね」って答えて、そのままポンといってしまった。

庵野   カテジナさんの目が見えなくなってしまった理由というのが、ぼくには今ひとつわからないのですが……。

富野   それはカテジナとクロノクルの関係が、あまり上手に描けてないのでわからなかった、ということだと
    思います。その辺、もうちょっと描けていれば、それはあり得ることなんだ、ということはいえるんです
    けど、結局その部分を触っていないので何をいってもしょうがない。
     ただ、こういうことはあります。カテジナは何としても殺したくなかった。では殺さない代償として
    どうするか、といったときに、このくらいのペナルティは負ってもらわなければ困るという、作劇上の
    整理はあった。
AM   そのペナルティというのは?

富野   あのカサレリアのウッソを勝たせるためのペナルティとして、うそでも敵になってしまったということ
    で、カテジナだって、自分の中で疑問に思っている部分があるわけだから。それがわかるから、原作者と
    しても、そう簡単に"おまえ死んでくれ"といえないシチュエーションにしちゃったんだから、殺しはしな
    い。けれども敵になったんだから、申しわけないけどひとつペナルティ。だけど、それで劇としては飾ら
    せてもらうから、かんべんしてくれと、そういうことです。

庵野   いやあ、いいのかなあ。

富野   「いやあ」というんだったら、教えて下さいよ。

庵野   盲目にする必要はあまり感じなかったんです。逆にそちらの方が目立ってしまって。むしろ生き残っ
    た以上は手がないとか、足がないとか……。

富野   それらのことについては、すべてテレビコードに引っかかるから却下したんです。だからカテジナも
    見えないかもしれない、という以上の表現はいっさいしていない。
     もう少し言えば、ウッソたちの側にもペナルティはあるわけだから、ウッソだって手がなくなって
    いるとか、話としては当然そうだったけども、どうせやるんだったら、きちんとした絵を作りたい。で
    もそれは許されないだろう。他にもいくつかあったんだけど、どれをやっても今の視聴者には生理的に
    受け入れられないだろう。

庵野   引っかかるでしょうね。

富野   だけど、本来は引っかからせたいんだよね。それがあれば、カテジナがああいう形で出てきても、お
    互いがそうなら、庵野さんが感じている"カテジナだけああなの?"という違和感は……。
庵野   作為を感じるんですよ。

富野   すっと受け入れられたんだろうね。だけどそれは、きっとどれをやってもヤバイぞ、というのと、上手
    にできないだろうというためらいがあって、カテジナだけで収めさせたんです。

庵野   小説ではカテジナが火傷を負いますよね。あれが好きなんです。

富野   本当はそうしたいんだけれども、でもテレビでは絶対にタブーだから。それにクリーンなことが好き
    な観客に対して、そういう表現がどこまで許されるのかといったときに、ちょっとね……。

AM   マスコミにおける表現のタブーとして問題になる以前に、視聴者側が生理的に、それを受け入れるか
    どうかということですね。

富野   全くそういうことですね。そういう意味では、確かに折衷案でありすぎたということは事実です。

庵野   やはりそうでしたか。
富野   昨日たまたま、TVで『ロードス島戦記』ですか?やっているのを観ていたんですよ。技術的にい
    えば、やっぱり"りんたろうさん、上手だなあ"と思うよ。演出以降の処理も"これでいいんだよなあ"と
    思う。だけど実際に、制作者としてあれに足を踏み入れたら、その瞬間に全面否定しちゃうんだよね。
     あれはどうなんですか、評価としては。

AM   絵はきれいだし、商品としては大ヒットしましたね。

庵野   あの作品が売れるというのはよくわかります。でも面白くないな、とぼくは思ってしまうんです。

AM   受け手もある種、予定調和的なものの方を、安心して受け入れていくところがありますね。

富野   それは本当に気持ちの悪い部分とか、いちばん自分が見たくないものを、なにもビデオとか、ア
    ニメのレベルで突きつけられたくないもの。

庵野   代償行為ですから、金を払ってまで気持ちの悪いものを見せてほしくはないでしょうね。
     『Vガンダム』でもやはり、ウッソのお母さんが死んだときに"もう見るのやめる"とか、いった子が
    いましたからね。"こんなアニメは見たくない"とか。人の死に予想外に反応してるんですよ。

富野   そういう子はいるでしょうね。

AM   でも今、バブルが終わって、不況になって、社会がだんだんシビアな方向に変わってきたら、また
    違ってくると思うんですけどね。
庵野   いや、そうなったらますます閉じこもるだけだと思いますね。

富野   今の子どもたちには、まさにそういう時の活力がないですからね。本当の意味の自閉症の人というのは、
    そうなったら生きていけないんでしょうね。でも一寸先が闇でも、死ぬまでがんばってみたいというの
    がぼくの立場だから。何で生きるのかわからなくても、生きることはそう悪いことじゃないですよ、と
    いうことだけは伝えていきたいなと思います。

庵野   人は生きようと思わないと、生きていけないと思うんです。口を酸っぱくして言わないと、人間って
    生きていかないですから。何で宗教が、人は苦しいことがあっても生きなければならない、なんて当た
    り前のことをいうのか。それは言われて自分がそう自覚しないと、多分生きていけないからだと思うん
    です。

富野   全くそうです。そのぐらい世の中というのは、うまくいかないものなの。だからね、もう少し覚悟を
    持ってやろうよって、単純にそれだけでね、ぼくらの伝えたいことというのは。
     でも今の子たち、特に中高生にとっては学校生活そのものが、うまくいかないものなのかも知れない。
    だからアニメを見るときくらい、そういう話も含めて、見せられたくないんだろうね。
     でも、もうひとつ重要なのは、その程度のことを過酷に感じちゃう子どもがいる、ということなんだ
    と思う。

庵野   そうなんですね。
富野   最近、お米がなかったりするでしょ。とてもいいことだなあと思ってるのね。食うものが本当になかっ
    たら、どうなるか、ということをちょっと真剣に想像させてくれることができたからね。
     そういったときに、ソフトを作っている人間の強いところは、そのようなシビアな部分も、申しわけな
    いけど、皆さん方がお楽しみにしている、アニメの中でもやっておくよ、といえることですね。10年後、
    20年後に効くように(笑)。

庵野   やはり作品には毒を混ぜておかないと(笑)。特に子どもには毒を見せるべきだと思いますね。

富野   絶対そうです。

AM   わかりました。本日はどうもありがとうございました。

(新宿・中村屋にて)
716699:03/06/06 11:52 ID:???
以上です。
717通常の名無しさんの3倍:03/06/06 13:31 ID:???
これほんとう?双葉での書き込みですが・・・
--------------------------------------------------------------------------
無念 Name としあき 03/06/06(金)13:15 No.1698507
御大がクラブのホステスにアトムとウランちゃんのセクス
絵をその場で描いてプレゼントしたらしく、その話を御大が嬉しそうに編集者に話したら、
速攻で絵は回収されたそうだ…
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718通常の名無しさんの3倍:03/06/06 13:43 ID:???
御大の絵の技術がいかほどかを知っていれば…  
719通常の名無しさんの3倍:03/06/06 14:16 ID:???
>>717
それは手塚治虫絡みのエピソードじゃなかった?
720通常の名無しさんの3倍:03/06/06 14:24 ID:???
>719
俺もそんな話聞いた。多分手塚だと思う。
まあ手塚も御大と呼ばれているんだろうし。
721通常の名無しさんの3倍:03/06/06 14:34 ID:???
722通常の名無しさんの3倍:03/06/06 14:42 ID:???
>>716
乙です。読みやすくてNICEです

>庵野 カテジナさんの目が見えなくなってしまった理由〜
小説まで読んだのなら解れよ
723通常の名無しさんの3倍:03/06/06 14:46 ID:???
>>719-720
おお、もうちょっとでケコーンするところだった。
たしか初代アトム放送時エピソードだったと思う。
それまでクラブとか言っても、「漫画家?ふーん」てな感じだったのが
その時はたまたまホステスの一人が、子供が毎週一生懸命見てる!
ってことで、他もまきこんで盛り上がって
手塚も嬉しくなって、そういうサービスをしたという話だと記憶してる。

今では想像もつかない、当時の手塚の知名度の低さと俗っぽい一面を語る
エピソードとしてよく出てくる話ですな。
724通常の名無しさんの3倍:03/06/06 15:13 ID:???
今読み返すと「手がない、足がない」てのは庵野監督の
発言を受けてなんだな。ウッソは別のペナルティを考えてたかも。
確かにそういう不虞は分かりやすすぎる。
庵野監督がトウジの手足亡くした理由はここから来てそうだ。
725通常の名無しさんの3倍:03/06/06 17:12 ID:???
へー手塚治もよっぽど気分よかったんだろうな〜(w
726通常の名無しさんの3倍:03/06/06 19:29 ID:???
>>724
庵野の父親は若い頃片足無くしてるよ
727通常の名無しさんの3倍:03/06/06 21:12 ID:???
>>724
朝日新聞の「おやじの背中」とかいうコーナーで726が言っている
ような内容をコメントしていたよ>庵の
「自分の描くロボットなどが手足がもげたりするのは、そのせいかも」云々
728通常の名無しさんの3倍:03/06/06 21:36 ID:???
乙です!
庵野   逆にいうと今のアニメ界は特殊化が進みすぎていて、もうダメになる    
     んじゃないか、と思うんですけどね。
↑この部分はワラタ、あんたが言うなよー
729通常の名無しさんの3倍:03/06/06 22:57 ID:???
富野がエヴァに拒否反応を示すのはこの会談が
あったからかもな(w
730通常の名無しさんの3倍:03/06/07 05:25 ID:???
このメージュ持ってるぞ。
対談といいつつほとんどインタビュアーじゃねーか。庵野さんよぉ。
731通常の名無しさんの3倍:03/06/07 05:48 ID:???
>>730
富野信者である庵野が同レベルで話しかけるわけなかろうに。
732通常の名無しさんの3倍:03/06/07 12:47 ID:???
∀のサントラで御大と菅野ようこが
手紙でやりとりするって形でお互いの事を語ってるんだけど
御大の方は、菅野の才能を褒めるだけでつまらないので
菅野が御大に返した手紙の方をうpします。
733通常の名無しさんの3倍:03/06/07 12:48 ID:???
∀GUNDAMU The MOVIE SOUND TRACKS
惑星の午後、僕らはキスをした 返信より抜粋

富野さんがかつて、自分を痛めつけ過ぎて、家から一歩も出られないような
数年間を過ごされたと聞き、そんなにまで傷つくということがどういう事なのか、
想像もできませんでした。
奥様が「それでも、(コンクリートの上じゃなく)土の上だけは歩けたのよ、気持ちがいいって。」とその時のことを話して下さいました。
でも監督は、そう思ったことすら覚えてない、とおっしゃっていました。
数年間、霧の中にいたような感じだと。
傷ついた心の有り様を思いやるのは、私には難しく、それよりも、心を閉ざしていても
足の裏は土の柔らかさを覚えていたということに、人間の不思議を感じました。
ターンAという作品に関わりながら、私は、富野さんがいっとき癒された、
土を踏んだときのハダシの感覚のことを、ずいぶん長いこと考えていたように思います。
734通常の名無しさんの3倍:03/06/07 12:48 ID:???
中略

私は愛されて育った記憶があり、何か大きな力に守られていると感じていて、
土の暖かさを知っている。そんな音を、富野さんに届けたかった。
私がそうである、と言うより全ての人間に、そう感じる権利があるという思いを込めて。
文章は本業ではないので・・・。
劇場版のエンディングに流れるすべての曲たちが、ラブレターへのお返事です。
また、一緒に遊びたいな。

      かんの ようこ
735通常の名無しさんの3倍:03/06/07 12:51 ID:???
関連が深い人のだったらOKって事でうpしました。
スレ違いだったらごめんなさい。
736通常の名無しさんの3倍:03/06/07 14:23 ID:???
>>733‐734
泣ける文章だな…かんのは御大のカウンセラーのようだ。
ところで、御大が引きこもっていた数年と言うはいつ頃の事なんだろう?
737通常の名無しさんの3倍:03/06/07 14:53 ID:???
>>736
お前、人に貴重な文書をアプしてもらって読む前に、
今でも手に入る(売っている)御大関連書籍を買って読んでからにしろ。
お前のせいで感動も醒めた。
738通常の名無しさんの3倍:03/06/07 15:40 ID:???
>737
俺はお前のせいで感動がさめた
739通常の名無しさんの3倍:03/06/07 15:44 ID:???
とりあえず、みんなオチツケ。
740通常の名無しさんの3倍:03/06/07 15:50 ID:???
おじんおばんの馴れあいはサブ疣がたつ
741通常の名無しさんの3倍:03/06/07 16:03 ID:???
おじんて聞いたの10年ぶりくらいかも
742通常の名無しさんの3倍:03/06/07 16:26 ID:???
とりあえずここは雑談スレじゃないから、モマエら全員引越し汁。
743通常の名無しさんの3倍:03/06/07 16:35 ID:???
>>736
疑問や好奇心をもつのは結構だが空気も読めず、また感動できる文章の第一声の書き込みの
タイミングに自分が中心となる書き込みするようでは、将来入学式で先輩やクラスメイトの
ワンパク君な人に呼ばれてしまいますよ。











そう俺みたいに・・・・
( ´Д⊂ヽ
744通常の名無しさんの3倍:03/06/07 16:56 ID:???
俺はお前のせいで感動がさめた

745736:03/06/07 17:36 ID:???
>>737
気分を害されたようで申し訳ありませんでした。
言い訳はしません、単純に無知なだけです。
なお、>>738は私じゃないので誤解なきよう。
746通常の名無しさんの3倍:03/06/07 17:56 ID:???
>>737
てゆかな、スルーしてたらこんなにゴチャゴチャ雑談が伸びなかったと思わんか?
747通常の名無しさんの3倍:03/06/07 20:03 ID:???
>>745
気にしすぎ

では気を取り直してどうぞ
748通常の名無しさんの3倍:03/06/07 22:52 ID:???
>746
Vガンダム制作終了後〜ブレンパワード制作開始前くらいらしいです
749通常の名無しさんの3倍:03/06/07 23:01 ID:???
>>748
94〜97年ぐらいかな?そのころのアニメって印象にないな〜エヴァ大嫌いだし。
750通常の名無しさんの3倍:03/06/08 00:30 ID:???
御大発言で無かったのが不味かったかな?
板が少し荒れてしまいましたね。

久しぶりに家で休日を過ごしているので
今度は菅野ではなく御大をうpします。

アニメージュ 1987年 10月号 逆襲のシャア プレインタビュー
昭和56年 3月発行 TV版 ストーリーブック あとがき
どちらかをうpしたいと思います。
日曜の昼にリクの多い方を採用、夕方ごろ、うpします。

過去スレで出てない本だとコレくらいで、家にある本は模型系中心なもので・・
選択肢が少なくて申し訳ないでふ
751通常の名無しさんの3倍:03/06/08 02:05 ID:???
保守age
752通常の名無しさんの3倍:03/06/08 03:38 ID:???
>>750
>∀GUNDAMU The MOVIE SOUND TRACKS
>惑星の午後、僕らはキスをした

そういや、それもう倉庫にあるよ
753通常の名無しさんの3倍:03/06/08 05:00 ID:???
つーか、現行で売ってる物のアプはやめとけよ。。。
754750:03/06/08 07:00 ID:???
>>752
倉庫にありましたね。
ごめんなさい

>>753
ごめんなさい、反省してます。

ストーリーブックは倉庫は4でしたが自分のは1です。
とりあえず、しばらく投稿は自粛してロムに戻って反省します。
しばらくしたら、またうpしますのでなまあたたかく見守って下さい。

すみませんでした。

755750:03/06/08 09:32 ID:???
・現在販売中の物に対しては不可とします。

次回スレ立て人さんは自分ようなアフォが出ないようにコレを入れてください。
756通常の名無しさんの3倍:03/06/10 03:28 ID:???
捕手
757これ ガイシュツ?:03/06/11 05:18 ID:???
岡田 まんがではなく小説ですけど、
『ロードス島戦記』も向こうでは好評のよ
うですね。小説といえばショットさんも小説
版ガンダムの翻訳をなさっていて、あれはひじょうにいい仕事でした。
ショット 富野由悠季さんが書いた、ファ
ーストシリーズの『機動戦士ガンダム』小説版。残
念なことに今は絶版なんですよ。
岡田 富野さんの日本語って変でしょ(笑)、
よくあれを翻訳できましたよね。
ショット いやあ、なかなか面白いですよ。
岡田 中身は面白いんですけど、あの人の日本
語って日本人が読んでも分かりませんから(笑)。ショットさん、どうしてそんな神妙な顔するんですか(笑)。
ョット こういうときはツラい(大笑)。僕自身は富野さ
んの文章好きなんですけど、これがアメリカで出版されたときは
アニメのビデオすら出回っていなくて、売れ行きの面で
だいぶ苦戦していたんですよ。さらに『スター・ウォーズ』と比
較されてしまったりなんてこともあって、ちょっと残念でした。同じ
デルレイ社から出ていた『スター・ウォーズ』小説版の売れ行きと
比較されちゃったんですね。それでも三巻合計で75000部売れました。
岡田 え
758通常の名無しさんの3倍:03/06/11 20:16 ID:???
>>757
続きが禿げしく気になる!
75000って原作より売れてる?
知らないけどそんな印象。
759通常の名無しさんの3倍:03/06/11 21:44 ID:???
やっぱり富野の日本語って変なんだな。
俺だけが感じたことではないんだ。
760通常の名無しさんの3倍:03/06/11 23:02 ID:???
え?アレがいいのではないのですか?
ガンダム見てて一番おもしろいのは口喧嘩

と思う初心者
761通常の名無しさんの3倍:03/06/12 00:27 ID:???
あの変な日本語が富野の個性であり持ち味、
でも富野本人は実は直したいとおもってるんでないかと思ふ。
762通常の名無しさんの3倍:03/06/12 00:56 ID:???
私はカレーを食べた。
カレーを食べることに戸惑えないのも私なのだ。
763通常の名無しさんの3倍:03/06/12 01:32 ID:???
>>755
・雑談は他所でやれ

も追加してください。
764通常の名無しさんの3倍:03/06/13 10:19 ID:???
自分で個性だと思うような個性はハナから捨ててしまえとか言ってるしな
765通常の名無しさんの3倍:03/06/13 23:50 ID:???
他人から個性的だと云われる人は、それが褒め言葉でないことを知っていて、
大いに悩んでいたりするんだがな。
766通常の名無しさんの3倍:03/06/14 22:20 ID:???
NT92年1月号巻頭特集「劇場アニメは何処へ行く? 19992核のない時代へ」より

結論からまず言いますが、アニメーションに将来があるかどうか問われたら、僕は絶対に“YES!”と答えます。
確かに、アニメを取り巻く状況は、僕がガンダムを作っていた’79年と今ではかなり違ってきています。
それは、社会的、文化的な背景もありますが、なによりも人的変化に顕著です。
特に、単に技術を超えたつくり手の質の問題からいえば、今は、明らかにかつてより落ちてきているといえるでしょう。
それは、人そのもの、いわば資質の問題もありますが、
本質的には、クリエーターとしての意識のもち方、そのあり方が問題なのです。
たとえば、今、世の中はまさにAV情報過多の時代です。
それこそ、やろうと思えば、365日、ただひたすらソフトだけで過ごす事ができるほどで、
その結果、人の意識も明確に変わってくるようになってしまいました。
つまり、今は、新たに入ってくる人のほとんどが、かつて自分の見たソフトの焼き直しをやりたいだけで、
基本的にオリジナリティーのある作品をやりたがるような人が極端に減ってきたのです。
確かに、これは受け入れ側のほうにも責任があるかもしれません。
今、アニメ業界はあまりにも効率主義一辺倒に走りすぎて、たとえば一般大学の卒業生や、
もっと極端にいえば、アニメの嫌いな人をスタッフに加えられなくなってきています。
しかし実際、こと表現のオリジナリティーということに関しては、そういった人のほうがよほど面白い作品を作ることが多いのです。
それは、ひとつにはアニメに対するスタンスの違いがあるかもしれません。
アニメに首までどっぷり漬かっていないような人は、アニメを単なる表現手段のひとつぐらいとしか考えません。
しかし、だからこそなにか強烈に表現したいものをもっていないと勤まりませんし、またそれでもついてくるような人は、
強い表現意欲とともに、その意欲を支える広い背景世界をもっているのです。
767通常の名無しさんの3倍:03/06/14 22:21 ID:???
実際、僕自身、映画科出身だったせいもあり、表現として稚拙に見えるアニメーションが大嫌いでしたから。
でも、それが気がついてみるともう20年以上もこの世界で飯を食っている。
しかし、その中で、嫌いだからこそ、アニメで何ができるかを追求してきたと思うのです。
僕たちがこれから入ってくる人たちに求めるのもそこなんです。
常に、アニメを使って何をするんだ、何ができるんだ、ということを考えない限りは、
たとえどんなに絵が描けても、それは単に絵が上手なだけです。
確かにある部分では、優れた、ということばを付けることのできる表現をするかもしれません。
しかし、それでは総体としてのグレードは上がってきません。
表現の幅がどんどん狭くなってきて、必ずや袋小路に陥ってしまいます。
それを防ぐのは、先ほどもいったように広いバック・グラウンドです。
特に、プランナーたる者は、絶対にそのバック・グラウンドをもたなければいけません。
そして、表現の幅が狭くならないように、いつも企画を意識的に広げつづけなければならないのです。
ところが現実はどうかというと、ほとんどの場合、受け線を狙うだけになってしまう。
これは、よほど気をつけていてもすぐにはまってしまう落とし穴です。
たとえば、今20代後半から30代前半のアニメーターにアニメ雑誌の絵を見せると、大部分が嫌いだと言います。
しかし、現実にやっていることはその逆です。
流されているんです。
768通常の名無しさんの3倍:03/06/14 22:21 ID:???
捨ててしまえ、って言ってるんじゃなくて
それが才能に昇華されるまでは偉そうに掲げるんじゃねえ
って言ってるんだと俺は思ってるが
769通常の名無しさんの3倍:03/06/14 22:22 ID:???
まあ、こんなこと、10年以上も「ガンダム」をつくりつづけた僕が言えることではないかもしれませんが、
しかし「F91」でも新しい表現にはチャレンジしたつもりです。
そして、この2〜3年、アニメの最も嫌な面を見つづけてきた中で、それでもまだ作っていけるんだ、と知ったとき、
これまでやってこなかった部分がたくさん見えてきたことも事実です。 
今、僕は’92年にむけて、全く新しい「ガンダム」のTVシリーズの構想を考えています。
それは、もういちどアニメーションの原点に帰った作品で、言ってしまえば「コナン」のような「ガンダム」です。
これは、はっきり言って、若い人にはできない作品でしょう。
しかし、自分ならできると思いますし、また、ぜひやってみたいとも思っています。
これは、明らかにチャレンジです。
あえて難しい道を選ぶ。
果たして、僕に新しいものをつくり出す力が残っているかどうか、自分にはわかりません。
物理制約も多いと思います。
しかし、新しいものをつくるという魔力には抗し難いものがあるのです。
もう一度言いましょう。
たとえこんな状況の中でも、新しい表現は必ずあります。
それがどんなものかはわかりませんが、あるということだけは言えます。
最後にNT読者へ。
学生時代にうんと自分を広げる努力をしてください。
それはそのときが純粋に学ぶために勉強できる最後の機会だからです。
770768:03/06/14 22:40 ID:???
悪い、思いっきりマズイタイミングでレスっちまった
771NT92年10月号:03/06/14 23:57 ID:???
NT 特に今回は、富野さんご自身が現在考えておられること、それはアニメについてでも、
もっと広く一般的なことでもかまわないわけですが、それについて伺いたいと思いまして・・・・・・。
そこで、まずいわゆる全体的な状況についての感想なんですが、ことしの夏の劇場アニメは何かご覧になりましたか?
富野 いや、実はまだ見てないんですよね。「紅の豚」は機会があったら見ようと思ってるんですけど。
でも忙しくて、なかなか思うように時間が取れなくて・・・・・・。
ただ、絵なんか見ていて感じるのは、たとえば角川の3作品などは、もう僕らの感覚ではわからないというか。
それがいいのか悪いのか、何処に魅力があるのか、理解できなくなってきているんです。
そんな中でも、「紅の豚」は見てみたいと思うのは、その絵とか映画の内容に興味があるというのではないんですよね。
要するに、もう我々のイメージの中に確固たる宮崎アニメのクオリティーというのがあるでしょ。
だから、少なくとも見て損はないだろうなぁ、と。
現に日航で機内上映していて、サラリーマンたちもけっこう喜んで見ているということですが、
あれなんかもそのクオリティーに対する評価であって、必ずしも「紅の豚」に対する評価ではないわけですよね。
NT そうですね。過去培ってきたものも含めて、みたいな。
富野 だから「紅の豚」が入る入らないというのは、僕らから見ると、あくまで実績論なんです。
でも角川3作品の入りのほうは、今の客―これは、本来我々がターゲットにしなければならない相手という意味での―
がどういう方向に動いているかを示すものであって、
僕なんかにとって本来基本的に考えなくてはならないのはこちらの方ですし、それだけに重要なんです。
NT あれは、いわゆるアニメ・マニアがどういうエネルギーを持っているかですものね。
富野 だから、無理にでもそれを次の仕事につなげる、ということですよね。
しかし、そのようなことがもう根底からわからなくなってきている。
それと、僕自身、もし次の作品をTVでやるなら、もう一度、TV戻りするような作品をやってみたい、というのがあるんです。
それも、次回作がたとえ“ガンダム”という名のつく作品であったとしても、
今度は、過去「F91」までやってきたような“ガンダム世界”をそのままステップ・アップしていくようなつくり方ではないものを、というのが。
それは、今仮にTVということばを使いましたが、これから、
たとえば衛星放送も含めたかなり広いスタンスで将来的にどういうソフトを提供していくかということを考えたときに、
“ガンダム”という名前を据える限り、そうしたステップ・アップしていくやり方ではもう何も新しいことはできないだろうなって、
単純に思うからなんです。
つまりどういうことかというと、ファンのつきすぎた作品というのは、
認知のされ方が宮崎アニメなんかとは恨本的に違うわけですよね。
もうこれは、作品のクオリティーとかなんとかよりも、まず第一に、
それぞれのファンの中に侵し難い“ガンダムの虚像”というのができ上がってしまっているんですよね。
772NT92年10月号:03/06/15 00:00 ID:???
NT それは言ってしまえば、作品世界がひとり歩きしてしまうという。
富野 ええ。だから、もし次の作品をTVならTVでやらせてもらえるなら、僕の頭の中にあるのは、そうした垣根を取り払ったようなものをという。
それはきっと、ある面、自分の首を絞めることにもなるだろう、とも思いますが、やはりそういったつくり方をやっていかなくてはならない。
口はばったい言い方をすれば、その、マーケットリサーチをするような気持ちでいきたいと。
そして、なによりもアニメの原点に立ち戻っていかないと、いくらメカものだ、ロボットものだと言っても、結局はジリ貧になってしまうと思うんです。
そういうストーリー・ラインをつくっていきたいなあ、と。
そこで、今僕がいちばんわからないのは、リサーチする相手の求めているものはなんなのか、なんです。
角川の3作品も含めて、何がいいのか、悪いのか、全くわからない。
でも逆に、その辺りがわからないからこそ、もうちょっと違うスタンスで何かやってみたいという。
まぁ、よく言えば冒険心みたいなものはあります。
ただ冒険とは言っても、少なくともこれまでサンライズというテリトリーの中でロボットものをつくりつづけてきた実績はありますし、
サンライズ自身も俗に言う幼児戻りしているような作品をきちんとやってきているわけですから、
それはそれで、どういう形で商売になるかな、というのは見えてはいます。
もちろん、それだけでガンダムがある部分を構築してきたマーケットをカバーするのは、やっぱり無理だと思います。
じゃあ、その部分をカバーするのが角川3作品のテリトリーなのかとなったときに、
長年アニメをやってきた人間の立場で言わせてもらうと、ちょっとマニアの方向に走りすぎているのではないかと。
むしろ、対極に宮崎アニメとかディズニーのラインがあるとするなら、その辺りを取り込んでみたい。
そんなロボットものをやってみたいというのがあるんです。
NT その、TV戻りというのは、やはり年齢も含めて・・・・・・。
富野 そうですね。実は、宮崎アニメとかディズニー・アニメは、ロボット・アニメで使う年齢を使ってないんですよね、今は。
僕自身、実は「F91」で大失敗したと思っているのは、主人公の年齢設定なんですよね。
つまり、17歳とか18歳という年齢のもっているうっとうしさや、
それがいちばん怪しい年代なんだっていう問題に気がつかずに、そこに手をつけてしまった。
その為に、作品としてはどうしても弾まなかったという感触を、これはつくり終わって抱いたんです。
だいたい、あの年齢を扱って気が済むというのは、こんなこと言ったらメカマニアの人に怒られるかもしれませんが、
あれはメカマニアのレベルで好かれるということでしかないんです。
それだって、メカマニアが本当に喜んでいるかというと、必ずしもそうは見えない。
それよりも、12〜13歳という、人間の完成がいちばん鋭敏な時期の、しかも皆が最低限の共有体験をもっている年代を描いたほうが、
よほど生き生きとしますし、見る人の共感も得られるんですよ。
だから、できるなら次はそこでやってみたい。
773NT92年10月号:03/06/15 00:03 ID:???
NT ところで、つくり手として、現在の状況自体については?
富野 今僕がやりたいこと、やろうとしていることは、ある意味でアニメに最も勢いがあった時期、
具体的には15年ぐらい前に向いているわけですが、
それは、たとえば最近特に増えている過去に向った作品づくりというのとは根本的に違うんですよね。
それは、ただ懐古で物をつくっていくか、いつの時代も同じ混乱した状況の中で、
それでも自分は正統を歩んでいるかということを意識して作っていくかの差なんです。
この差は決定的で、きちんとした意識をもっている人間は、2〜3年したらきちんとした作品をつくってくれる。
それと、こうしたグチャグチャしているときに、むしろいろんなことを積極的にやっていって、
作品づくりとか企画の立て方なんかを覚えたヤツが結局は勝つんですよ。
たとえば宮崎さんだって、なにもスルスルと今みたいな立場に立てたわけではなくて、東映やめてから一般に認められるまで、
それこそどれだけの量の仕事をどういうふうにやっていったかということを、知っておいてほしいんですよね。
NT それこそ、設定の量やレイアウトの量にしても尋常じゃないですからね。
富野 僕もはたで見てましたけど。
その果てしない労働をやりながらも、宮崎さんはどんどん吸収していくんですよ。
だから、若い人たちがやっている量のやり方は凄く問題があると思うんですよ。
それこそ、本当にクソにもゴミにもならない仕事を一生続けることになるか、10年後にスタジオを建てられるまでになっているか。
それは本当にチョットした意識のもち方の違いなんです。
じゃあその違いは何なのかというと、これは残念ながら教えられない。
それはやっぱり現場で、体を使って覚えてもらうしかない。
そういうことで言えば、宮崎さんだって勉強家だし、高畑さんだって勉強家なんですよね。
今、僕がつらいのは、そうした才能が10年おいたら出てくるのか、というと、ちょっとそれが見えなさすぎるということなんです。
だけど、僕自身としては、そうした状況はありがたいと言えばありがたいところもあって。
何せ、こうやって次のチャンスが与えられそうな気配があるんですから。
あと、僕自身、もし60歳ぐらいまで仕事をさせてもらえるなら、やはり仕事をしていきたいということはあります。
まみれるっていうのか、宮崎さんもそうだと思うけど。
単に、自分の好きな作品をつくっていきたいというようなバカなことではない。
最近やたらとフリーになる人が多いですが、もっとそのあたりを考えて欲しい。
あと、やはり現場の風に当たらないと。
現場の風は情報を運んできますから。
そのなかで自覚をもって自分を磨く。
松本清張だって、デビューは40歳を過ぎてからなんですよ。
僕は今、そのことを次の世代のつくり手たちに伝えたいんです!
(了)

※本文中の「角川の3作品」とは「サイレントメビウス2」「アルスラ―ン戦記U」「風の大陸」
774通常の名無しさんの3倍:03/06/15 01:14 ID:???
>>770
>>768
山田にあやまれ
775通常の名無しさんの3倍:03/06/15 12:21 ID:???
言葉の端々からVガンへの流れが見えるね。
原点に帰りたいとか主人公の年齢とか。
776通常の名無しさんの3倍:03/06/15 18:11 ID:???
とは言ってもVはまったく弾んだ作品にはならなかったけどな。
777通常の名無しさんの3倍:03/06/15 21:42 ID:???
これだけカッコいいこと言っておいて、Vかよ・・・
778通常の名無しさんの3倍:03/06/16 18:37 ID:???
F91やりたかったんじゃねーの?
779通常の名無しさんの3倍:03/06/17 00:28 ID:???
庵野氏は取材中、作中において死をたやすく扱う行為について
「少しでも想像力があるならば、簡単に人を死なせることはできないはずだと思います」と話した。
780通常の名無しさんの3倍:03/06/17 03:02 ID:???
でも人間なんて簡単に死んでしまうものなのよね
781通常の名無しさんの3倍:03/06/17 17:05 ID:???
古い雑誌の整理をしてたら、アニメージュ2002年3月号に
トミーノ×菅野よう子 の
地球光・月光蝶の公開直前対談ってのが出てきた。
これは既出か?ていうかまだ新しいから自粛すべきもの?
782通常の名無しさんの3倍:03/06/17 18:18 ID:???
1年前の雑誌に載ったきりで、現在書店流通してる刊行物に再録されてなきゃOKだろ。
とか勝手にルールを制定してみる。
783通常の名無しさんの3倍:03/06/17 19:53 ID:???
一定時期が来てもバックナンバーで取り寄せ可能なものは自粛した方がいいかもしれない。
784通常の名無しさんの3倍:03/06/17 19:58 ID:???
>>778が正解じゃねー?

そんで出来なかったから鬱になってVと・・・
785通常の名無しさんの3倍:03/06/17 20:22 ID:???
>>784
主人公を低年齢に云々書いてあるから・・・
もしかして本命はクロボンだったのか?
786通常の名無しさんの3倍:03/06/17 21:13 ID:???
とりあえずもうちょっと細かいルール決めといた方がいいな
787通常の名無しさんの3倍:03/06/17 22:50 ID:???
>>784
Vガン制作発表時のコメントから(NT93年4月号)

Vガンダムをマンガチックにでき、完全に色合いの違うガンダムがつくれたならば、
かなりずうずうしいですが、F91以後のガンダムが別にあって、
ひょっとしたら来年2本立てができるかもしれません。
もちろんF91を継承した物語は当然あり、それをつくる機会を狙っているのです。

合掌。
788通常の名無しさんの3倍:03/06/17 22:56 ID:???
今からでもイイから作ってくれ!

キンゲ作った今なら、ハゲ、お前の思う通りのものが作れるはず!
789通常の名無しさんの3倍:03/06/18 13:54 ID:???
>>787
たしかクロボンを作る予定だったんだがG、Wが以外に好評だったからXに取って代わられたんだけっか
富野節のクロボン見てみたかった・・・・
マンガのは長谷川節が強すぎて・・・
790通常の名無しさんの3倍:03/06/18 18:13 ID:???
10年放置とか絶対あり得ないもんな。
791通常の名無しさんの3倍:03/06/18 20:00 ID:???
>>790
長谷川そんなん好きそうだもんな・・・
792通常の名無しさんの3倍:03/06/19 02:00 ID:???
F91はかなり本気で取り組んでたんだな。
793通常の名無しさんの3倍:03/06/19 11:12 ID:???
ハゲは人気取りに行こうとするほどぽしゃるからなぁ・・・
794通常の名無しさんの3倍:03/06/19 23:30 ID:???
東山紀之と森光子入籍、しかも養子縁組
795通常の名無しさんの3倍:03/06/20 07:49 ID:???
796通常の名無しさんの3倍:03/06/20 12:48 ID:???
>>795
フケ専かよ……。
797通常の名無しさんの3倍:03/06/20 17:41 ID:???
ロランも老け専
798通常の名無しさんの3倍:03/06/20 23:40 ID:???
>>797
いや、確かにディアナ数百歳だけどさーw
799通常の名無しさんの3倍:03/06/22 05:12 ID:???
ロランなんか一生おあずけ(しかも本人満足)なわけだが。
800通常の名無しさんの3倍:03/06/22 11:43 ID:???
この場合、ロランの方がよっぽど理解できる
801通常の名無しさんの3倍:03/06/23 17:12 ID:???
>>799
一生じゃないよ、ディアナはじき死ぬから。
802通常の名無しさんの3倍:03/06/23 18:22 ID:???
ロランとディアナ様は密かにやってるよ。
803通常の名無しさんの3倍:03/06/23 18:59 ID:???
ロランはアレで女好きだからな。
804通常の名無しさんの3倍:03/06/23 19:07 ID:???
尻ヘチだしな。
805754:03/06/24 19:43 ID:???
かなり、反省してますた。
そろそろ、うpしたいのですが宜しいでしょうか?
1987年のアニメージュ10月号から
逆襲のシャア プレインタビューです。
CCA関連の本を持っていないため現在発売中の本に載っているか不明です。
また、ガイシュツの場合も教えてください投稿を自粛したいと思います。
806通常の名無しさんの3倍:03/06/25 00:30 ID:???
>>805
がんばれ。ガイシュツかどうかは確かめてないが。
807通常の名無しさんの3倍:03/06/25 00:54 ID:zrsw4Pfa
>>805
カマーン
808通常の名無しさんの3倍:03/06/25 00:54 ID:???
わ、sage忘れすまそ
809通常の名無しさんの3倍:03/06/25 08:05 ID:???
>>806-807
ありがとうございます。
一応、明日の夜まで情報を待ってうpしたいと思います。
それまで、アニメージュの同じ1987年10月号の
記事を読んでお待ちください。
810通常の名無しさんの3倍:03/06/25 08:06 ID:???
富野監督ファンに語る

さる8月7日(金)水戸市民会館にて、市内の川又書店主催による
「アニメフェスティバルin水戸」が開催され、富野監督講演会もおこなわれた。
まず、ガンダム第一話「ガンダム大地に立つ」と「逆襲のシャア」の
未公開予告フィルムの上映の後、ファンとの対話という形式でおこなわれた。
質問は多数あったが、主なものとしては、
「今回の『逆襲のシャア』には、セイラは登場しないのですか」
「噂になった『実写版ガンダム』はどうなっているのですか」
など興味ある質問がとびかい、富野監督はそのひとつひとつに対して、
「セイラは声優さんが、ぼくにやさしくしてくれないから出ません(笑)」とか、
「残念ながら『実写版ガンダム』は話の折り合いがつかなかったのです」など、
あらゆる質問に対し、監督から正直な答えがかえってきて、
ファンにとっては、興味をそそられる話だったようだ。

811通常の名無しさんの3倍:03/06/25 20:37 ID:???
63  通常の名無しさんの3倍  NEW!! Date:02/01/25 09:46
まず、トミーノをブチ切らせるには、頭髪ネタでしょ。
昔、エルガイムの放送開始特番(名古屋オンリー?)かなんかで、
「監督はなんで、髪の毛が少なくなったんですかぁ?」
と、質問したツワモノがいたが、
トミーノ「だからっ、ボクはっ、こういう若造が嫌いなんですヨっ!!!」
と、顔が見る見る硬直しツバを撒き散らしながら激しく力説していたのを今でもハキーリと覚えてる。
812通常の名無しさんの3倍:03/06/26 03:12 ID:???
>>811
師・手塚御大は終生人前ではベレー帽を取らなかったという・・・
813通常の名無しさんの3倍:03/06/26 10:21 ID:???
ところで富野って怒鳴ると声でかいんだろうか。
トップランナーでも、なじったりヒートアップして手がつけられなくなったりしたが、
声はわりと小さくてこもってたんだけど。「!」つけるような部分はあんまなかったし。
814通常の名無しさんの3倍:03/06/26 11:22 ID:???
>>812
「ヒポクラテスたち」って映画でハゲ晒してる。
815通常の名無しさんの3倍:03/06/26 18:46 ID:???
アニメージュ 1987年10月号 逆襲のシャア プレインタビュー

「ガンダム」という作品を語るにあたっては、
やはりシリーズの総監督である富野監督を忘れるわけにはいかない。
そこで今回はプレインタビューとして、作品世界の基本的な考えなどを語って頂いた。

――まずお聞きしたいのですが、なぜ舞台を宇宙世紀0093年に設定したのでしょうか。

「ぼくは年代設定は確定していないのです。
大雑把に言えば、企画周辺のスタッフが書いた企画書などにあるように、
30歳というあのあたりの年齢が物語の決着をつけられるギリギリの線ですね。
ぼくも、アムロたちに30歳は超えてほしくなかったです。
けれども、何なのかな・・・作り手として困っている事は、
年代設定をして、年齢をわりだして、まじめにその年齢を描こうとする人が多くて、
監督のぼくとしては困っているわけです。
816通常の名無しさんの3倍:03/06/26 18:47 ID:77ycekvp
それはどういう事かと言うと、わかりやすい例としては『スーパーマン』ですね。
1作目の作品から現在に至るまで、ずっと作られ続けているけれども、
あの作品で登場人物の年齢をあげつらう人はいないでしょ。
けれども『ガンダム』では、基本設定を年代物としたわけですから、
年表を作りたくなる、というのはわかります。
しかし、物語、とくにエンターテイメントの場合は、
主人公の年齢をあいまいにしたくなることがあるのです。
それはわかってほしいと思いますね」
817通常の名無しさんの3倍:03/06/26 18:48 ID:???
―そういう部分にはこだわらないということですね。

「彼らは30歳前後だけれども、基本的に主人公の理想は30歳前後までなんだよね、ということです。
でも、十何年も彼らはズルズルやっているという人もいるけれど、
ぼくは、無視してやっています。
作画を作るという点は、ショーアップのことしか考えていないからで、
なるべく若く描かせようとしているんだけれども、
このところ原画チェックをしていても、みんながキャラクターを老けて描いてくるので困っています。」
818通常の名無しさんの3倍:03/06/26 18:48 ID:???
――年齢は問題ではないと・・・・・・

「もし、年齢とかのディティールを追う人がいて、
たとえばそれが正義だとするのならば、
ぼくは今回の映画をアムロとベルトーチカの物語にしましたよ。
それを、彼女を無視せざるを得なかった一番の理由は、
やはりこれは映画でしょ、という企画の骨幹があるわけです。
それをぼくは了承したし、映画とはそうであると思っていますから。
だから、その企画の基本決定の時点で、年齢は無視してやるようにしています。
これが本当の歴史学だったら、1年のズレが持つ意味というのを考えていきますけれども、
ぼくの中にはそれだけのディティールを考えていくだけのブレーンがいないから、それはできません。
だから、ぼくは年表を含めて、一切関知していない。
そして、今度の映画の画面の中にも宇宙世紀0093年という数字は出てきません。
しかし、作り手とは別のところに存在してしまっているガンダムワールドを
否定する気もないですし、あってもらって困るものでもありません。
観賞して楽しむということと、
内容を理解してフィクションの世界を造るということは
『ガンダム』では上手くいっていないということですね」
819通常の名無しさんの3倍:03/06/26 18:49 ID:???
――「ガンダム」を歴史として解釈する映像にしたくないわけですね。

「ぼくも、ある程度は年代を追って作るべきではないか、
ということでアムロとベルトーチカのシナリオを書いてみました。
しかし、それは出資者集団が拒否しました。
そして、その拒否はとても正しい、ということがやってみてわかったのです。
そうなると、その瞬間から年表というものは、なくなっていきます。
つまり、アムロは結婚していたのではないのか、
みたいな話で映画を作っていったら、それこそ夫婦の痴話ゲンカを描かなければならなくなってしまいますから、
そうなったらシャアなんか登場しませんよ(笑)」

820通常の名無しさんの3倍:03/06/26 18:50 ID:???
――確かに本末転倒してしまいますね。

結局、映画を作るということは、年表をつくることとはチョット違う。
ただ、ぼくがそう考えても、年代記物のフィーリングだけはとるために、
ある程度は年齢を上げることは、やらざるを得なかったのです。
それが、いまは癌となってしまっていると、
今回の「逆襲のシャア」はそういうように理解しています。」
821最後です:03/06/26 19:03 ID:???
――「ガンダム」が観る人ごとに世界観を構築できるということが、かえって、
作品自身を拘束してしまっている、と考えていらっしゃるのですか。

「しょせんは『ガンダム』はロボット物なんだ、と語ってもらいたいのだけれども、
ことが『ガンダム』になると、なぜか製作周辺部にそういってひとが全然いなくなって、
みんながまじめすぎる働きをみせてくれるのです。
でも、本当はぼくのやり方と、もうひとつ別のガンダムワールドが厳然として存在しているということは、簡単にかたづけられる問題ではないんですね。
けれども、現実に映像の部分は、走ってしまいますし、
そのことによって、ぼくが恥をかくということは『Ζ』の時にもう覚悟していますから、
それをイヤとはいいません」
822通常の名無しさんの3倍:03/06/26 19:09 ID:???
途中で下げ忘れますた。
大変申し訳ないです。
823通常の名無しさんの3倍:03/06/27 00:11 ID:???
>>822
お疲れです
きになさらず〜

ベルトーチカ・・・・観たかったよ俺は。・゚・(ノД`)・゚・。
824通常の名無しさんの3倍:03/06/27 00:43 ID:???
俺も角川版の小説のほうが好きだったので、
ベルトーチカ・チルドレンはぜひ観たかったよ…
825通常の名無しさんの3倍:03/06/27 11:19 ID:???
>それをイヤとはいいません

後に富野は語る。
「イヤでしたね。ええ、とてもイヤでした。」
826通常の名無しさんの3倍:03/06/27 14:09 ID:???
「いいません」であって「思いません」でないとこがミソですな。
827通常の名無しさんの3倍:03/06/28 16:27 ID:???
富野に訊け!が読みたいが、あれは単行本になるんだろうか。
828通常の名無しさんの3倍:03/06/29 20:25 ID:???
>>827
あれは立ち読みしなされ
アニメ氏だから恥ずかしいかもしれんが・・・・

けっこう身につまされるというか励みになってるよおいらは
829通常の名無しさんの3倍:03/06/30 08:30 ID:???
富野本スレっつーか、信者スレなくなった?
830通常の名無しさんの3倍:03/06/30 13:59 ID:???
>>829
本当だ・・・、落ちちまってるね
何ということだ、ハゲ神様の天罰が下りそうだ新スレどうしよう?
831通常の名無しさんの3倍:03/06/30 17:13 ID:???
立てました。

【斧谷稔】大富野教信者の会part4【井荻麟】
http://comic3.2ch.net/test/read.cgi/x3/1056960673/l50
832通常の名無しさんの3倍:03/06/30 18:31 ID:???
劇場版イデオンパンフレット

DOBULE RELEASE
A CONECT 接触編     Be INVOKED 発動編
THE IDEON  イデオン

これはがいしゅつですか?
それとも現在発売中の本に載ってますか?
もし、そのような場合うpを控えますので情報をお願いします。
833通常の名無しさんの3倍:03/06/30 20:13 ID:???
ガンガンいこうぜ!
834通常の名無しさんの3倍:03/06/30 20:17 ID:???
いのちをだいじに。
835通常の名無しさんの3倍:03/06/30 21:38 ID:???
お金だいじに
836通常の名無しさんの3倍:03/06/30 22:20 ID:???
いろいろ犯ろうぜ
837通常の名無しさんの3倍:03/06/30 23:14 ID:???
お金つかうな
838通常の名無しさんの3倍:03/07/01 08:37 ID:???
>>833
ガンガンいきますよ〜
>>834-837
何か、よくわからんがとりあえず
今回の「これでも読んでお待ちください」のコーナーでは
御大以外発言スレ「08劇場版」パンフをうp
これでも読んでもちつけ。

イデオンのパンフは明日の夜まで情報を待ってうpします。
839通常の名無しさんの3倍:03/07/01 11:24 ID:???
>>838
ぬわーい、嬉しいぜ
840通常の名無しさんの3倍:03/07/01 18:47 ID:???
>>838
パンティ脱いで待ってま〜〜〜〜〜〜〜す☆
841通常の名無しさんの3倍:03/07/02 03:08 ID:???
そういや、ターンAの時にプロレス誌で富野X佐竹対談があって、
「カプコンの人に絵を頼んだけど、僕は対戦ゲームなんて物は、
嫌悪するね。だって痛めつけるだけで痛みが伝わらないなんて、
絶対間違ってるっ!」と熱く偏った主張をしてたね。
842通常の名無しさんの3倍:03/07/02 06:37 ID:???
ならガノタを痛めつけないでください
843通常の名無しさんの3倍:03/07/02 14:15 ID:???
>842
痛みは伝わってるから無問題。
844通常の名無しさんの3倍:03/07/02 18:14 ID:???
ガノタはMだから痛めつけられるほど、ハゲを愛してしまうのです。


・・・すまん、そりゃトミノ信者だった。
845通常の名無しさんの3倍:03/07/02 18:15 ID:???
DOBULE RELEASE
A CONECT 接触編     Be INVOKED 発動編
THE IDEON  イデオン

MESSAGE 最終回のために
総監督  富野喜幸

映画監督という作画的行為を成す物が己の作品を公開するにあたって
言うべきことではないと承知しながらも、
やはり書かざるを得ないということは苦しい。
作り手側の事情があるからといって、
評価なり評論される対象は作品であって作品が生まれる事情ではない。
しかし、この"イデオン"については
どうしても記しておかなければならない事と思えるので、ここに記させていただく。
元来がテレビのシリーズ物であった"イデオン"はかなり膨大なストーリーを抱え込んでいて、
3時間強の分量の中に収まるものではなかった。
にもかかわらず、あえて一挙公開という暴挙に出たのに3つの理由があった。
1つは、物語の気分が全くみえないダイジェストとすることを嫌ったということ。
846通常の名無しさんの3倍:03/07/02 18:15 ID:???
2つ目はテレビ版のダイジェストでしかない作品を映画版と銘打って2本、3本と上映して、
ファンたちに必要以上の出資を強要することを嫌ったということ。
特にこれについては、この数年のアニメ・ブームとかいう風潮の中、
所詮はテレビ版の改さんでしかない映画版が
大手を振って通るということへの疑問があるからである。
小生に関して言えば、それを先の"ガンダム"でやった張本人である。
張本人であるから、その痛みが分かる。
殊に、ファンに対して3度まで出資を強要したということには
申し訳ないことだと思っている。
同じ金を使うのならもっと他の良きことへ使って欲しいという思いが、
他の世の父親たちと同じにあるからだ。
しかし、"ガンダム"の時は、"ガンダム"を成立させたティーン・エイジャーの力を
大人たちに示したかったという発意があった。
847通常の名無しさんの3倍:03/07/02 18:16 ID:???
だから、決して間違ったことはやってはいないという自信があった。
しかし、出資を強要したのではないかといううしろめたさは変わることなくあった。
それらを回避するためには"イデオン"は一挙公開しかないと決意していた。
そのために己が泥をかぶってすむことならば、それで良いと・・・・・・。
その結果起こる作品についてのあらゆる非難を被ることを覚悟で、
小生は針の筵に座っている。
848通常の名無しさんの3倍:03/07/02 18:17 ID:LHVRkAqy
そして、第3の理由はもし、一部、二部という興業形式をとった時に、
一部の入り(作品の出来でなく)の状況によって、"イデオン"の本来の完結編が、
再び公開されること無く、終わった場合、"イデオン"は本当に未完に終わってしまう。
それを最も恐れた、といえる。
それは事情論とは別に、作り手側が最も恐れることである。
そのために、ともかく完結部分を描き、発表したいという作り手のできる
最小限度のことをやってみようとしたわけである。
我々スタッフはファンと共に、
かつてみることのなかったエピローグを見たかったのだというたった1つの点に賭けて、
今回のダブル・リリース方式を採用したのである。
そのために映画版のドラマは、ドラマとして成立することなく発端と発動を直結させた。
まとめたのではない。直結でしかない。
これは作劇を遠く離れ、そのために各スタッフから声優から「冗談じゃない」という声があがった。
849さいごです:03/07/02 18:17 ID:???
矛盾に満ちて、何が物語なのかという思考さえも働かせることなく、
"イデオン"は"発動編"のラスト・アクションに入る。
どう断罪されてもそれに抗弁する術を小生は持たない。
しかし、それを承知で公開の機会を与えて下さった松竹及びに各劇場の関係者には、
心から御礼申し上げる。
そして、それを承知で観に来てくださった皆様方にも心から御礼申しあげたい。
そして、各スタッフに対しても・・・・・・。
本映画は"イデオン"の最終回でしかないと言える。
ここに至る間に我々スタッフの万感の思いが込められている事もまた事実である。
非は全て小生にある・・・・・・。
850通常の名無しさんの3倍:03/07/02 18:25 ID:???
また、sage忘れた・・・
次こそ気をつけます。

髭の話題が出てたので、
Newtype 1999年 1月号
富野由悠季1999ガンダムAプロジェクト監督インタビュー
GUNDAM RISING 胎動

こちらはがいしゅつですか?
それとも、現在手に入る出版物に載っていますか?
そのような場合、うpを自粛したいと思いますので
情報を宜しくお願いします。
851通常の名無しさんの3倍:03/07/02 18:47 ID:???
ガンガンいこうぜ!
852通常の名無しさんの3倍:03/07/02 20:48 ID:???
髪の毛をだいじに
853通常の名無しさんの3倍:03/07/03 08:44 ID:???
>>851
ガンガンいきたいんですが、土日は家に居ないので
明日の夜まで情報をまってうpしたら小休止。

自分的にはすでに恒例コーナーになった
「これを読んでお待ちください」では
Newtype 1999年 1月号
富野由悠季1999ガンダムAプロジェクトから
メッセージ部分だけを抜粋

また他監督スレに高松信司をうp
854通常の名無しさんの3倍:03/07/03 08:44 ID:???
"ガンダムAプロジェクト"と富野監督へメッセージ

大河原 邦男
新たな20年に向けて、新たなガンダムがどう動くのか、大変な仕事だとは思いますが、
スタッフとしてもファンとしても楽しみにしてます(談)

北爪 宏幸
当時と現在では世相もかなり違うと思います。
ですから、また「あのガンダム」ではなく、当時のアニメを変えたように、
今度も現在のアニメを一新するような魅力のある新しい
「ガンダム」が発表されることを富野監督に期待してます。

出渕 裕
「1stガンダム」からの宇宙世紀をとことん掘り下げ、
スキ間を濃く埋めていくか(アイデアだけはあるんですけどね)、
「ガンダム」というブランド名を最大限利用してまったくの別物、
たとえばガンダムという名の宇宙船で舞台も地球圏から離れたくらいの代物に
創造しなおすか・・・くらいしかないのでは。
中途半端は却って身を滅ぼすよーな気がする。
あと、富野アニメはロードムービーがキテル!キーワードはこれですかね
855通常の名無しさんの3倍:03/07/03 08:44 ID:???
美樹本 晴彦
最初のガンダムが見せてくれた新鮮さと興奮をまた期待したいですね(談)

カトキ ハジメ
監督がどんな「ガンダム」を創るつもりなのかまだわからないが、
これまでのトミノスタイルが変わるとは思えない。
それまでの若者の好みや流行なんかを意識しないで、
我流を全開にしてやって欲しいです。
煮詰めた挙句ににじみ出るトミノ演出に期待しています。

佐野 浩敏
わがままいっぱいにやって欲しい。
何から何まで冨野さんの「匂い」がプンプンするものが見たいです(談)
856さいごです:03/07/03 08:45 ID:???
川元 利浩
新しいスタッフがつくる流れと、
富野監督の演出スタイルが融合してつくられる新しいガンダムに期待しています。

逢坂 浩司
悶絶、絶頂、虚脱の中から生み出されたドラマの上に、
キャラクターたちがどういう人間性を見せ、なによりも富野由悠季という男でもあり、
親でもある人がフィルムを通じて今度は何を我々に問いかけてくるのか。
ワクワクしながら見届けたいと思います。
がんばってください

村瀬 修功
ガンダムというよりもディレクションのもとで仕事したときに得たものが、
現在、ものをつくる上での基礎になっていると思います。
サンライズのプロデュースに期待します。

石垣 純哉
安田朗さんの新キャラ、シド・ミードさんの新メカが動くのを見たい。
その魅力を存分に伝えてくれるのを楽しみにしています(談)

857通常の名無しさんの3倍:03/07/04 06:03 ID:???
そして破綻。
858通常の名無しさんの3倍:03/07/04 07:16 ID:???
そして公的資金導入
859通常の名無しさんの3倍:03/07/04 16:08 ID:???
破綻戦死りそなガソダム
860通常の名無しさんの3倍:03/07/04 18:59 ID:???
富野由悠季1999ガンダムAプロジェクト監督インタビュー
GUNDAM RISING 胎動

実は"Aプロジェクト"の話は、すでに'96年の春に出ていたんです。
そして、僕がそのとき一生懸命に考えたのは
『ファーストから始まったガンダムのシリーズを、個々の作品の内容だけでなく、
それを取り巻く状況もひっくるめて、全肯定するようなものにできないか』ということでした。
そのための世界観や物語のアウトラインができたところで、
次のガンダムは僕にとって本当の意味での新作になるだろうから、
そのための準備として「ブレンパワード」を監督させてもらって、
シリーズ創りの練習をしました。
そうして「ブレンパワード」の練習をやりながら、
'97年から'98年にかけて「タイタニック」が大ブームになり、
アニメでいえば「エヴァンゲリオン」と「もののけ姫」がそれぞれのスタンスで成功した
――という経緯を見てきたわけですが、
そのなかで僕は「タイタニック」以後、映画の作り方は完全に変わるだろうと実感しました。
861通常の名無しさんの3倍:03/07/04 19:00 ID:???
そして、自分がAプロジェクトに関して考えていたことが、
決して間違ってはいないという確信をもちました。
と同時に、Aプロジェクトを実際にオンエアさせていただくことができれば、
これまでのガンダムとは違うものができるだろうという確信もまた生まれたんです。
これについて僕は、先月号のカトキハジメくんとの対談のなかで映像作品を
つくる立場から自分の考えを述べましたが、
直接のテーマからはずれているということで、その部分は活字にはなりませんでした。
ここで改めてお話しておくと、こういうことです。
まず「タイタニック」という映画は、これまで主にSFXを駆使した
アクションものを撮ってきたジェームス・キャメロン監督が、
脚本まで自分でタッチして《物語》をつくろうとした
862通常の名無しさんの3倍:03/07/04 19:00 ID:???
――つまりストーリーテリングに重点を置いている点で監督の姿勢が変わったと思いました。
それだけでなく、キャメロンがあえて巨費を投じてチープなラブストーリーを
つくったということには大きな意味があって、
映画とはこういうものでいいんだということを、
彼は実際の作品として、提示してみせてくれました。
つまり、これだけ日常的にCGがあふれているいま、
もはや映像的なセンス・オブ・ワンダー(驚きの感覚)だけでは映画は成り立たない。
SFXでいくら刺激的な映像をつくっても、すぐ飽きられてしまいます。
そんな時代に、なおかつ映画をつくっていかなくてはいけない立場として、
何を目指せばいいかなと考えてキャメロンと彼の周囲にいる、
とてもいいインテリジェンスをもった人たちが、ああいう映画をつくったのです。
それはどういうことかというと、
みんながおもしろがれる、みんなが泣ける、みんながサスペンスを感じられる、
そういうわかりやすいところに話を落としたんです。
要するにキャメロングループのスタッフたちは、映画とか物語の原理原則に立ち返ったわけです。
863通常の名無しさんの3倍:03/07/04 19:01 ID:???
ヒロインが絶世の美女でなく、親しみを持てる程度の美人であることも含めて、
みんながとっつきやすい映画にしたから、あれだけヒットしたんでしょう。
「タイタニック」には、高尚なテーマやメッセージはありません。
ですが、映画というのは本来《活動写真》だし、
なによりもまずエンターテイメントであり、芸能であるわけですから、それでいいんです。
最近の日本でインド映画のコメディーが受けているのも
同じようにみんなが楽しめるオープン・エンターテイメントだからこそです。
そういう映画状況を考えた時に、僕は確実に"「タイタニック」以後"
という言い方ができるとおもいました。
映画は、ついにSFXやCGの技術を使いこなしながら、
そういう刺激だけに頼らない原理原則のお楽しみという部分を手に入れてきた、と。
だは、アニメはどうなんだと考えたときに、
アニメの場合は実写と違ってすべてを嘘八百のところから積み上げていく世界ですから、
その根もとを支える設定がなければならない。
ガンダムの場合、それは人型ロボット=モビルスーツなんだから、
それを組み込んだ活動代写真をつくればいいんじゃないかと思ったんです。
そういう意味で、これまでのシリーズを全肯定しながら新しい世界をつくっていくという
Aプロジェクトの方向性は、僕はそれほど間違っていないと思うし、
映像作品として、「タイタニック」以後に発表するガンダムとして、
とてもあっけらかんとしていていいなという作品にしたいのです。
864通常の名無しさんの3倍:03/07/04 19:02 ID:???
その上でいうと、今度のガンダムはみんながわかるような話で、
ちょっとだけミステリアスな部分がある。そういうものになります。
それがドラマ上のサスペンスを生むだろうし、技術論でいえば、
人と巨大なモビルスーツが物語のうえでどう絡みうるのか、
その点も改めて考えて製作に入っています。
また、内容的には「ブレンパワード」の後半で試みたように、
敵味方が入り乱れた話になるでしょう。
ですが、それはとても複雑な話になるのかといったら、
決してそうではないんです。構造としてはすごくシンプルです。
ひとつヒントになることをお話すると、
昔からあるチェンジリング(取り替えっ子)の話も出てくれば、
かぐや姫やシンデレラのような要素もある。
つまり、おとぎ話とか童話がもっている原理原則が物語のベーシックな部分、
これを全部、今度のガンダムには入れました。
こういえば、すごくわかりやすいでしょう?(笑)
実はこれが、いまお話できる範囲での嘘偽りのないAストーリーの骨子、
ということになりますね。
865通常の名無しさんの3倍:03/07/04 19:03 ID:???
以上です。
土日はうpはお休みさせて頂きます。
申し訳ないです
866通常の名無しさんの3倍:03/07/04 21:12 ID:???
タイタニックについてはアニマックスの特番でも言ってたな
録画しとけばよかった
867通常の名無しさんの3倍:03/07/04 22:29 ID:???
パイパニック
868通常の名無しさんの3倍
>>866
話自体は確かに限りなくチープだが、なにか世界に奥行きがある
名前のない脇役一人一人の演出に手を抜いていないというか
まあとにかく見て損は無い