(前スレは474Kと一つのリプレイを収めるには
中途半端になるかもしれないので新たにスレを建てます)
あちらが表のリプレイ記なら
こちらは裏のリプレイ記。
天下には縁が無いけれども
心に残る英雄たちのリプレイ記です。
過去スレ関連スレは(
>>2-5)辺り。
リプレイ記を書かれる方はsage進行でお願いします。
建てた本人がそのまま放置というわけにもいかないので
書き溜めしていたリプレイ記をのせていきます。
三国志7 シナリオ6 史実上級モード
[登場人物]
韓徳、韓瑛(長男)、韓瑤(次男)、韓瓊(三男)、韓h(四男)
……全て登録武将
225年3月現在
韓徳(42歳)武63知31政39魅50 一騎のみ 寿命4野望7義理5勇猛3冷静1
韓瑛(24歳)武55知24政27魅46 一騎のみ 寿命4野望5義理5勇猛4冷静0
韓瑤(21歳)武46知37政41魅26 一騎のみ 寿命4野望3義理3勇猛2冷静3
韓瓊(20歳)武51知34政33魅37 一騎のみ 寿命4野望4義理4勇猛3冷静2
韓h(17歳)武50知35政31魅36 一騎のみ 寿命4野望4義理4勇猛3冷静2
以下、韓徳という名でリプレイ記をのせていきます。
これは三国志上最も悲惨な一家、韓徳一家の物語です。
ある日のことでした。
西平の太守、韓徳はとても悩んでいました。
韓徳「はぁ…鬱じゃのう…」
韓瑤(以下次男)「父上、どうされました?」
韓徳「おお、瑤か。夏侯楙さまから
対蜀の先鋒を命じられたのじゃよ」
韓瑛(以下長男)「おお、戦か!腕が鳴るぜ」
次男「天下に我ら韓一家の実力を知らしめる好機ですね」
韓徳「阿呆め!蜀の先鋒はあの趙雲じゃぞ!?」
長男「ふん、あんな老いぼれ俺が片手でひねってやるわ!」
次男「何言っているんです、兄上は一合でやられたじゃないですか」
長男「なにぃ!貴様こそ生け捕られたじゃねえか!!
老いぼれに手ぇ抜かれるとは、情けねえ」
次男「兄上!言っていい事と悪い事がありますぞ!!」
韓瓊(以下三男)「まさに目くそ鼻くそを笑うだね」
韓h(以下四男)「だね(笑)」
長男「二人がかりだったのに一撃でやられたお前らに言われたくないわ!」
韓徳「ええい、下らないことで喧嘩するな!
わしら一家は全員趙雲に一撃でやられることに
変わりはないわい」
兄弟「……」
韓徳「今のうちに身辺整理して悔いを残さないようにしておくがよい」
次男「先鋒の任を断ることはできないのですか?」
韓徳「名門出身の夏侯楙さまの命令を断ったら処刑されるわい」
長男「だったらいっそのこと魏に叛いちまえ!」
韓徳「!?」
長男「命令に従っても死、従わなくても死ならば
一旗あげちまおうぜ!」
韓徳「……うむ、一理あるな」
次男「もしかしたら夏侯楙の指揮の下で戦ったから
力を発揮できずに趙雲にやられたのであって
独力で戦えば趙雲にも勝てるかもしれませんな」
三男「その考えは都合が良すぎると思うなー」
四男「思うなー」
韓徳「(無視)よし決心したぞ。
我ら韓一家は魏から独立し
趙雲を倒すのじゃーっ!!」
兄弟「おおーっ!!」
こうして225年3月、打倒・趙雲を誓い
西平にて韓一家は独立しました。
一方、魏では…
夏侯楙「何でおじゃると!? 韓徳一家が謀反じゃと?」
*「はっ。何でも夏侯楙さまの命令を聞いて
趙雲に殺されるのは断固拒否する、とのことです」
夏侯楙「あのへっぽこ一家め、麿をなめているでおじゃるな…」
*「どうします? 討伐なさいますか?」
夏侯楙「よいよい、放っておけい。麿の手を煩わすまでもない。
どうせさっさと降伏するじゃろう。
麿の恐ろしさを知らしめてやるのは
それからでも遅くはないでおじゃる」
*「はぁ;」
ということで目標は「趙雲を捕え斬首する」です。
趙雲が病死あるいは韓徳の勢力が滅びたらそこで終了です。
それではどうぞお付き合いくださいませ。
今晩は、とりあえず導入部ということで
一旦ここまでとします。
225年夏
韓徳「うーむ、独立したはいいが西平はろくな土地じゃないのう」
次男「開発するのに相当時間がかかりそうですね」
三男「そんな土地だから韓家が太守に任命されたんでしょ?」
四男「されたんでしょ(笑)」
韓徳「ええい、お前らは黙っておれい!」
長男「裕福な都市を奪っちまえ、と言いたいところだが
徴兵する金も民も無えしなぁ」
韓徳「行動力の全てを巡察と内政に使わなくてはならんか…」
225年秋
長男「晋陽の太守劉豹が呉に寝返ったそうだぜ」
韓徳「魏の矛先がそっちに向かうといいのう」
三男「時間稼ぎにもならないって。期待するだけ損々」
四男「損々(笑)」
次男「そんなはっきり言わなくても…」
225年冬
韓徳の元に魏の使者がやってきました。
韓徳「一体何のようかな?」
陳グン「今日は降伏を勧めに来ました。
今降れば、地位と財産は保証しますぞ」
韓徳「ええい、黙らっしゃい。
降伏してもどうせ趙雲にやられるんじゃ。
どのみち死ぬなら一国の王として死んでやるわい」
陳グン「え…なぜ趙雲が出てくる…?」
韓徳「問答無用じゃ!さっさと去ね!!」
陳グン「ふん。その言葉、後悔することになりますぞ」
こうして降伏勧告を退けた韓徳でした。
三男「さて、身辺整理しておこっと」
四男「おこっと(哀)」
韓徳「……」
226年春〜秋
魏の襲来に備え軍備を整えた韓徳でしたが
魏は韓徳ではなく蜀に侵攻。
あっというまに漢中、武都、梓潼を抜いたのでした。
韓徳「矛先が蜀にいったのはいいが
蜀が滅んでも困るのう…」
226年冬
再び陳グンが降伏勧告の使者としてやってきました。
陳グン「蜀ですらあのザマです。まして貴方達を滅ぼすなど
造作もないことです。無駄な抵抗はおやめなさい」
韓徳「ふん、何度来ても返事は同じじゃい。
さっさと出て行くがよい」
陳グン「何と愚かな。あえて賊として滅びることを望むのか…」
こうして曹操との友好度は0になりました。
227年夏
韓徳「軍備も大体整った。皆のもの出陣するぞ」
韓徳は武威に出陣しました。
韓徳を総大将に、他に長男と三男が参戦しました。
敵の総大将は楊秋、参軍は桓範。
ルールその1
君主と参軍以外は委任して指示を出す。
韓徳「作戦は『正面突破』をとる。
しかしそう見せかけて全ての拠点を落とすぞ
瑛は右手の拠点を、瓊は左手の拠点を目指せ」
長男「それじゃ、しばらくの別れだな親父」
三男「これが今生の別れになったりして」
韓徳「ええい、縁起でもないことを言うでない」
3日目
*「瑛さまの部隊が火罠にひっかかりました」
韓徳「あの猪めが、下らない罠にひっかかりおって」
5日目
*「韓徳さま、大変です」
韓徳「ったく、今度はなんじゃ?」
*「総大将韓徳さまが敵の刺客にかかり
あえない最期を遂げたとのこと…覚悟っ」
韓徳「ぐわっ!?」
韓徳は楊秋の刺客にかかり重傷を負いました。
*「これはひどい怪我です。退却しますか?」
韓徳「な…何のこれしき、へこたれぬわ。
わしよりも瑛の部隊が心配だ。
拠点を占領し次第、瑛の援軍に向かうぞ」
8日目
韓瑛は何晏の守る砦の攻略にてこずっていました。
長男「ちっ、兵の損害が大きい。やべえな…」
そこへ韓徳の部隊がやってきました。
長男「お、親父…って血まみれじゃねえか!?」
韓徳「わ…わしのことは構うな。
一気に攻めるぞ…うわっ!?」
韓徳の部隊は火罠にひっかかりました。
韓徳「ひえ〜、熱い〜」
長男「親父ぃ;」
そして韓瓊も合流しました。
三男「なーんだ、まだ砦を陥していなかったの?
だらしないねぇ」
韓徳&長男「(むかつく…)」
そして何晏隊を殲滅、砦を占拠し包囲を完成させました。
韓徳「わしと瑛の部隊は損害が大きい。
拠点で休ませてから敵本陣へ向かう。
瓊は先にいけい」
その後…
*「瓊さまの部隊、敵の火罠にかかりました」
韓徳「どいつもこいつも…」
長男「親父、人のこと言えるのかよ」
韓徳「……」
そして25日目に敵総大将楊秋の部隊を殲滅し
韓徳一家は初勝利を収めたのでした。
韓徳「西平の瑤とhを武威に呼び寄せよう。
武威だと騎馬隊を編成できて便利じゃ」
227年秋
韓徳の怪我は所持していた太平清領道によって
たちまち回復しました。
韓徳「ふう、一時はこのまま死ぬかと思ったわい」
長男「全く、一番足手まといじゃねえか」
次男「父上も若くないんだからもっと気をつけてくださいよ」
三男「老いって嫌だねぇ」
四男「ねぇ(笑)」
韓徳「……」
今回はここまでです。
次回は夏侯楙との死闘を繰り広げることになります。
頑張って下さいな 見てますよ
がんばれ韓徳殿。
久々に横山三国志のそのへん読んだとこなんで。
韓一家応援sage。
趙雲の寿命が尽きない内に頑張れ〜。
前回までのあらすじ
揃いも揃って趙雲にあっけなくやられる韓徳一家。
全て夏侯楙の指揮が悪いんだ、
独力で立ち向かえば勝てるはずだ、と
打倒・趙雲を誓い西平で旗揚をしましたとさ。
227年冬
今年の冬は大雪に見舞われました。
韓徳「大雪のせいで流通がストップし
商業値が大幅ダウンじゃよ…」
長男「ちっ、うっとうしい雪だぜ」
次男「ここ3ヶ月の内政が全部無駄になりましたね」
三男「僕達、天からも見放されたんだね」
四男「されたんだね(哀)」
韓徳「ええい、冗談に聞こえんからやめんか!」
228年春
韓徳「年も明けたしそろそろ出兵の準備をしようかの」
長男「よっしゃ、今度こそ暴れまくってやるぜ」
韓徳「誰かに西平の諜報にいってもらおうかのう…」
次男「それならば私しかできないでしょう」
長男「なにぃ?俺様には無理だというのかぁ?」
韓徳「これこれ。瑤が失敗したら瑛に任せるから
いちいち喰ってかかるでない」
次男「では、いってきます」
・・・・・・
次男「申し訳ございません。失敗しました」
長男「ざまあ無えな。次は俺様だ!」
韓徳「瑛だけでは心もとない。瓊とhにも行ってもらおう」
長男「大丈夫だって、必要ねえって」
三男「知力最低のくせに強がっちゃって」
四男「ちゃって(笑)」
長男「て…てめぇら、もいっぺん言ってみろ!」
韓徳「ええい、早くいかんか!!」
・・・・・・
長男「済まねぇ、しくじった」
三男「失敗しちゃった、ごめんよ」
四男「ごめんよ」
韓徳「うう、情けない息子たちじゃ。
諜報一つ満足にできんのか。
こうなればわし自らお手本を見せてやるわい」
次男「父上、多分無駄だと思いますよ;」
韓徳「そんなことあるか!
待っておれい、敵の尻の穴まで探ってきてやるわい!!」
・・・・・・
韓徳「……ただいま」
長男「そんなこったろうと思ったぜ」
228年秋
韓徳「西平は結局諜報できなかったが
このまま出陣するぞい!」
韓徳は長男と三男を伴い44000の軍勢で
西平に侵攻しました。
斥候の報告によると敵軍は55000の軍勢でした。
韓徳「この前と同じく正面突破とみせかけて
包囲するぞ。瓊は右手の砦に向かえ。
わしと瑛は正面の砦に向かい、それから
左手の砦に向かう」
長男「ちっ、親父と一緒かよ」
三男「二人で一人前だから仕方ないよ」
韓徳&長男「……」
1日目
韓徳「む、参軍の瓊から報告がきたか…」
三男『敵の総大将はケ艾、参軍は姜維だってさ。
逃げたほうがいいんじゃない?』
韓徳「……勝ち目ないわい;」
2日目
*「大変です。敵軍の罵声で士気がみるみる落ちています」
韓徳「うう、我が軍には鼓舞を使える奴が一人もいないから
どうにもならんわい」
兵士「韓徳なんて信頼できねぇ。こんな戦やってられっか!」
韓徳「わしも逃げたい;」
4日目
長男「砦の占拠を済ませたのに親父の次の指示がこねぇな…」
*「報告します。韓徳さまは敵将[赤β]昭の挑発にのり
指示が出せない状態になっています」
長男「あの馬鹿親父め;」
*「更に瓊さまの部隊も敵の挑発にのり統制が取れなくなっております」
長男「何たる醜態だ!しかたねぇ、救出にいくぞ」
(正確には挑発状態の回復した2ターン後救出の指示を出す)
7日目
韓徳「ふぅ、何とか統制がとれたわい」
長男「親父、何やってやがる!」
韓徳「おお、瑛よ。よくぞ来てくれた。
まずは楽[糸林]の部隊を叩くぞい!」
二人がかりでなんとか楽[糸林]の部隊を壊滅させました。
韓徳「さて、次は砦の攻略に…ん?
瑛の部隊が騒がしいのう…」
*「瑛さまの部隊は敵の混乱の計略にあって
統制不可能な状態になっています」
韓徳「わしら、いいようにもて遊ばれているのう…」
*「更に混乱騒ぎに乗じて瑛さまが
敵の刺客にやられ重傷です!」
韓徳「ひえぇ……た、退却じゃー!!」
韓徳軍は敵軍に恐れをなし退却しました。
228年冬
韓一家は敗戦のショックで落ち込んでいました。
長男「くそー、俺様としたことが無様な姿を…」
次男「ケ艾、姜維、[赤β]昭という面子なら仕方ないですよ」
三男「果たして相手が悪かったせいかな?」
四男「せいかな?(笑)」
長男「ぐ、きさまら…ぐわっ」
次男「父上が医術で治してくれたとはいえ
瀕死の重傷だったんだから安静にしてなきゃ」
韓徳「西平の攻略は諦めるしかないのう」
229年春
次男「安定の諜報に成功しました。
太守があの夏侯楙でしたから余裕でしたよ」
長男「安定にはあの夏侯楙がいるのか。
なら問題なく攻略できるな」
韓徳「うむ。韓一家にとっては因縁の相手じゃ。
きっちりお返しするぞ」
長男「んじゃ景気付けに狩りにいくぞ、親父」
韓徳「え…?そ、それは待ってく…」
長男「もたもたすんな、行くぞ!」
案の定、韓徳は虎に遭遇し大怪我をして帰ってきました。
韓徳「こ…この阿呆が。出陣前なのになんて事を…」
長男「すまねえ…」
229年夏
韓徳「わしの怪我も治ったことだし
安定に出陣じゃ!」
韓徳は長男、次男、三男を連れて出陣しました。
敵軍は夏侯楙が総大将、徐庶が参軍です。
韓徳「今回の作戦は正真正銘の包囲じゃ。
まずは正面の砦を落とし、その後
わしと瑛は中央の拠点を
瑤は左手の拠点を
瓊は右手の拠点を攻略せよ」
その頃魏では…
徐庶「夏侯楙さま、安定に韓徳が攻めてきました」
夏侯楙「韓徳…?それは誰でおじゃる?」
徐庶「魏に叛いて旗揚をした者です。
かつての夏侯楙さまの部下ですよ。
もうお忘れですか?」
夏侯楙「…思い出したでおじゃる!
麿が先鋒を命じたのに断った無礼者でおじゃるな。
麿の命令を無視するとどうなるか
思い知らせてやるでおじゃる!」
徐庶「二度と叛こうとは思わなくなるまで
叩きましょう。さて、敵の作戦ですが
『包囲』で来ると思われますので
張[合β]どのを最前線の拠点に配備して…」
夏侯楙「いや、敵は『迂回・左』で麿のいる本陣を
突いてくるに違いないでおじゃる。
張[合β]とお主には麿の近くに待機して
麿を守るでおじゃる」
徐庶「それって、最悪の配置…;」
夏侯楙「麿の戦術は完璧でおじゃる!
文句あるでおじゃるか?」
徐庶「いえ…何も…」
・・・・・・
徐庶「張[合β]どの、仕方ないので敵軍が近くの砦に
押し寄せるのが見えたら向かってください。
私も虚報や暗殺の策でもって援護します」
張[合β]「承知。それにしてもこんな将の下で
戦わなければならないとは…」
韓徳「敵の気配が全くないのう。
わしの作戦がズバリ的中したかの?」
長男「あるいは俺らにビビッて逃げ出したかもしれないぜ」
三男「(´_ゝ`) プッ」
長男「てめー、言いたいことがあるんならはっきり言いやがれ!」
韓徳「ええい、やめんかい! 作戦どおり三方に分かれるぞい」
韓徳軍は三方に分かれ、韓徳と長男の部隊は
敵軍との接触なしに一番近い拠点を落とし
4日目には魏の本陣に近い砦に押し寄せました。
夏侯楙「ひぃ!?何であんな所から敵軍が現われるでおじゃるか!?
敵軍は兵法をまるで知らぬでおじゃる!」
徐庶「(こいつ、正気で言っているのか…?)
張[合β]どの、頼みます」
張[合β]「承知。ただ与えられた兵は少ないわ
無駄に士気が落ちているわで
苦戦は避けられませぬが」
張[合β]は近くの韓徳の部隊に向かいました。
韓徳「うーむ、敵軍はどこにひそんでいるのかのう…」
*「敵軍接近です。敵将は…張[合β]です!」
韓徳「ひぃ、魏屈指の名将じゃないか;」
*「報告します。瑤さまの部隊が敵の虚報にかかり
武威に退却しました」
韓徳「我が軍一の知恵者なのに何たることじゃ…」
*「更に瑤さまは砦の占拠の途中でしたので
よろしく頼みます、とのことです」
韓徳「うそーん!?」
*「張[合β]軍、我が軍に突撃してきました!!
被害甚大!!!」
韓徳「ええい、ここの砦はもう落とした。
瑤が残した砦に向かえ!」
5日目
*「報告します。瑛さまの部隊も敵の虚報にかかり
武威に退却しました」
韓徳「まだ敵軍とほとんど戦ってもいないのに
我が軍は半減してしまった…」
6日目
*「報告します」
韓徳「またか…今度は何じゃ一体?」
*「総大将韓徳さまが敵の刺客にかかり(以下略)」
韓徳「ぎょえっ!? またこのパターン…」
韓徳は重傷を負いました。
そしてどこに潜んでいたのか
敵軍がいっせいに韓徳をとりかこみ
韓徳の部隊は一気にずたずたにされました。
韓徳「ひぃぃ、死ぬうぅぅ!!」
10分の1まで兵が減った韓徳でしたが
何とか追撃を逃れ、全軍退却することに成功しました。
夏侯楙「ほっほっほっ。麿に逆らう者はこうなるのじゃ。
ほーっほっほっほっ……」
徐庶&張[合β]
「(てめえの作戦ミスのせいで一歩間違えば負けるところだったぞ…)」
229年秋
夏侯楙に敗れたショックは大きく
韓一家は絶望のどん底にいました。
韓徳「所詮わしらはこんなもんなのかのう…」
長男「自分の情けなさに腹が立つぜ」
次男「夏侯楙にすら敗れるようじゃ
打倒趙雲なんて、とてもとても…」
三男「あまりにも哀れで声をかけられないよ」
四男「ないよ(哀)」
229年冬
蜀がいつのまにか盛り返してきて
ついに長安を奪取しました。
そして安定から魏の軍勢が
長安を取り返そうと出陣しましたが
返り討ちにあったようです。
韓徳「…これが最後のチャンスかもしれんぞい。
みなの者、出陣じゃー!」
韓徳は長男と三男を連れて安定に再び出陣しました。
韓徳「敵軍は長安の敗戦のダメージが回復しておらん。
ここは『正面突破』をとる。
速攻で本陣に向い、夏侯楙を叩くのじゃ!」
その頃、魏では…
夏侯楙「あの馬鹿親子がまた攻めてきたでおじゃるか。
麿の恐ろしさをまだ解らぬでおじゃるな。
再び叩きのめしてやるでおじゃる。ほっほっほっ…」
しかしこの時、徐庶と張[合β]は安定にいませんでした。
夏侯楙「今回こそ敵は『迂回・左』で来るに違いないでおじゃる。
そっちの砦に兵を配置するでおじゃる」
この愚かな作戦を止める者は誰もいませんでしたとさ。
4日目
順調に拠点を落としていった韓徳軍でしたが…
*「瑛さまの部隊が敵の虚報にかかり(以下略)」
韓徳「あの猪は何度ひっかかれば気がすむのじゃ!」
7日目
そして韓徳の部隊はついに夏侯楙の守る本陣へたどりつきました。
夏侯楙「ひぇ!? 何でそんなところから…(略)
敵は兵法を…(略)」
韓徳「恨み積もる相手が目の前にいるぞ!
皆の者、つっこめー!!」
夏侯楙「ひぇぇっ!? じ…徐庶はいないでおじゃるか?
なら張[合β]は…? え、いない?
あひゃ、敵兵が来るでおじゃるー!!」
遂に韓徳は夏侯楙の部隊を殲滅することに成功しました。
韓徳「うう…やった、やったぞぉ!
韓一族の悲願であった打倒・夏侯楙を達成したぞぉ!!」
三男「ずいぶんとみみっちい悲願だね」
韓徳「やった、やったぞぉぉぉ!!」
三男「あらら、聞こえてないよ」
その後正面突破を達成した韓徳軍は
敵の正規軍を全滅させ安定を落とすことに成功しました。
戦場で捕えた捕虜が韓徳の前に連れられてきました。
韓徳「久しいのう、夏侯楙どの」
夏侯楙「名門出身の麿にこんなことをしていいと
思っているでおじゃるか?
今すぐに麿を解放し、魏に降伏するのならば
口を利いてやるでおじゃるよ」
韓徳「ふん! 我ら韓一家は貴様の指揮のせいで
趙雲にやられてしまうのだ。
貴様だけは絶対に許さんと決めていたのじゃ!」
夏侯楙「ま…待つでおじゃる! 麿を解放してくれれば
莫大な富を与えてやるでおじゃるよ。
そ…それとも地位でおじゃるか?
麿の代わりに安定の太守につけてやっても…」
韓徳「無能さ故に安定という田舎に飛ばされた
貴様にそんな力ないじゃろが!
瑛よ、斬ってよし!!」
長男「今回も暴れることはできなかったからな。
その恨み晴らしてやるぜ!」
夏侯楙「助けて〜でおじゃる〜!!」
韓一家の宿敵である夏侯楙はここにその生涯を閉じました。
そして三日三晩、韓一家では大宴会が開かれました。
武威が落とされたという報が届きましたが
そんなの知ったこっちゃありませんでした。
今回はここまでです。
次回は趙雲の息子と激突することになります。
読んでて切なくなるよ(藁
頑張れ韓徳(藁
・・・って首筋が寒いのうw
応援sage
前回までのあらすじ
打倒・趙雲を近い旗揚をした韓徳一家。
そして宿敵の一人であった夏侯楙を
苦戦しながらもなんとかやぶり
韓徳一家は喜びに震えましたとさ。
230年1月現在
韓徳(47歳)武64知36政42魅50 一騎(医術) 寿命4野望7義理5勇猛3冷静1
韓瑛(29歳)武55知24政28魅46 一騎、乱射 寿命4野望5義理5勇猛4冷静0
韓瑤(26歳)武48知37政42魅26 一騎のみ 寿命4野望3義理3勇猛2冷静3
韓瓊(25歳)武51知34政34魅37 一騎のみ 寿命4野望4義理4勇猛3冷静2
韓h(22歳)武51知35政31魅36 一騎のみ 寿命4野望4義理4勇猛3冷静2
支配都市:安定のみ
韓一家が独立してから丸5年が過ぎました。
しかし支配都市は安定1都市のみで
ただ居場所を替えただけであり
戦果といったら夏侯楙を処刑しただけでした。
いずれ趙雲を倒すにしても
今は蜀と手を結び魏を攻めて
勢力を大きくするのが定石なのですが…
韓徳「韓一家の宿敵であった夏侯楙はいなくなった。
次はいよいよ趙雲の番じゃ」
長男「おうよ!一撃でやられた恨み、必ず返してやるぜ」
次男「私もきっと生け捕ってやりますよ」
三男「夏侯楙にすらあんなに苦戦したのにねぇ」
四男「したのにねぇ(笑)」
長男&次男「うっ…;」
韓徳「まぁ、気持ちはわかるが落ち着くのじゃ。
二正面対決は避けたいからのう。
夏侯楙亡き今、魏と同盟を結ぶのもいいかのう」
三男「魏の怒りを買いまくって何をいまさら」
四男「いまさら(笑)」
韓徳「うっ…;」
趙雲にこだわる韓一家の前途は多難のようです。
230年夏
魏の皇帝曹ヒが病死し曹叡が後を継ぎました。
韓徳「長安を蜀に獲られたのがショックだったのかのう」
次男「魏の臣は動揺しているでしょうね」
長男「これは引き抜くチャンスだろ」
三男「魏を見限ってあえて韓家を選ぶ無謀な人なんているかな〜?」
四男「いるかな〜?」
長男「ちっ、悔しいが否定できねえや」
韓徳「…やっぱりわしって、人望ない?」
230年秋
韓徳「わしに人望がないのはわかった。
しかし人は増やさなくてはならん。
ということでどんどん戦争をして
武将を捕まえるぞい」
次男「しかし捕虜にしたからといって
降ってくれるでしょうか?
特に有能な武将は…」
韓徳「その場合は斬りまくるしかないのう」
三男「多分全員斬る事になるかもね」
四男「かもね(笑)」
韓徳「……天水に出陣じゃ」
韓徳は長男、次男、三男を連れて
天水に出陣しました。
韓徳「天水の太守はわしら以上の雑魚である馬遵だし
他の将も文官ばかりじゃ。
ここは『正面突破に見せかけた包囲』で
敵の士気を落とし敵部隊を殲滅させるぞい」
2日目
韓徳「お、最初の拠点には敵部隊はおらんな。
よーし、一番乗りはわしじゃ…うぎゃっ!?」
韓徳の部隊は石罠にひっかかりました。
韓徳「あうう、兵が…兵がぺしゃんこに…」
結局拠点は次男が占拠しました。
3日目
*「敵軍の罵声で味方の士気ががた落ちです」
韓徳「拠点を占拠したというのに
出陣時より士気が下がってしまった…;」
4日目
韓徳「次の拠点こそわしが一番乗り…どひゃっ!?」
韓徳は移動中敵軍の何晏隊につっこんでしまい兵を失いました。
韓徳「あうう、なーんも功をあげんうちに
兵を5000人も失ってしもうた;」
長男「さっきから馬鹿親父は何をやっているんだか…」
三男「これはいい笑い話ができたよ」
韓徳「ええい、瑛に瓊よ。そこで見ておらんで
助けにこんかい!」
武力40台の文官に3人がかりという大人気ない戦い方で
何晏隊を殲滅することに成功しました。
10日目
4つある拠点の内3つまで占拠した
韓徳軍は最後の拠点に向かいました。
韓徳「さてさて、一足先に向かった長男と三男の加勢に
いかねばならんが、どうせ敵軍は文官だけじゃ。
余裕じゃろうて」
ところが長男と三男の部隊はぼろぼろになっていました。
韓徳「ありゃ? 一体どうしたことじゃ?」
長男「あ、親父ぃ! 何が余裕で落とせるだ!!
砦に篭もっている部隊、めちゃ強えじゃねえか」
韓徳「強い? しかし砦にいるのは文官の司馬孚じゃろ?」
長男「武力87あるんだよ…ぼけたか?」
三男「情報を生かせないんじゃ諜報しても無駄だよねー」
韓徳「すまん…」
その後4人がかりでなんとか司馬孚の部隊を殲滅し
拠点を4つとも落とすことができました。
韓徳「よし、敵の士気はがた落ちじゃ。
さあ敵本陣へ突っ込むぞ…ぎょへっ!?」
長男「まーた、敵部隊へ突っ込みやがった;」
次男「ああ、元々ぼけていたのが益々ひどくなりましたね…」
何だかんだありながら敵部隊を全て殲滅し
韓徳軍は勝利を収めることができました。
韓徳「うっほっほ♪ わしが戦功一位じゃ」
長男&次男&三男「(すっげぇむかつく…)」
捕えた武将の内、何晏と尹賞が登用に応じました。
6年目にしてようやく韓徳軍団に他家の人物が加わったのです。
そしていつものように安定から金、兵糧を全て天水に移動させ
天水に新居を構えました。
230年秋
韓徳「それでは新たに我が家族の一員となった何晏と尹賞に
褒美を与えようかの」
何晏&尹賞「(家族かよ…)」
ルールその2
俸禄アップは各武将1季節に1回だけ。
次男「何晏どのは知力79もあるので、父上の所持している
書物を与えて軍師に任命してはどうでしょう?」
韓徳「軍師…? それは一体何じゃ?」
長男「『我が一家は馬鹿ばかりだから軍師職は必要ない』
と言って、親父が廃止した職だろうが!」
韓徳「おお、そうじゃった。すっかり忘れておったよ」
三男「物忘れはボケの始まりだよ」
四男「だよ(笑)」
韓徳「……酷い;」
230年冬
ある日、韓徳は血まみれで帰ってきました。
長男「親父ぃ!? 一体何があったんだ?」
韓徳「あうう…わしは、わしは何てことを…」
次男「落ち着いて話してください!」
韓徳「ああ…悪気はなかったんじゃ…」
韓徳の話によると、魏から蜀に降った徐庶のところへ
訪問しにいった際、おみやげに立派な壺を持っていったのですが
足がもつれて転倒し、その時に手から離れた壺が
徐庶の後頭部を直撃しそのまま帰らぬ人となったそうです。
幸い衛兵に見つかることなく無事に帰ってこられたのですが…
兄弟「怖い… 自分もいつか殺られるかも…」
一家の見る目は変わったようです。
ルールその3
暗殺可能な状況の時は暗殺を必ず実行する。
今回はここまでです。
前回趙雲の息子と戦います、と言いましたが
今回のりプレイ記の中にありませんでした。
申し訳ありません。次回こそは戦います。
57 :
無名武将@お腹せっぷく:02/04/07 10:37
58 :
無名武将@お腹せっぷく:02/04/07 14:03
何度笑わせてもらったかわからんw
ガンバレ韓徳。
つーか親父と息子5人がかりで趙雲本人に親密度42暗殺を
仕掛けた方が話が早いような気がするのですが。
前回までのあらすじ
打倒・趙雲を近い旗揚をした韓徳一家。
待望の新戦力も加わったのですが
韓徳のボケ親父っぷりはますます酷くなるのでした。
231年春
呉の孫権が皇帝の位に即きました。
韓徳「いいのう。わしも皇帝になりたいのう」
三男「無官の分際で途方も無い夢を見ている奴がいるよ」
四男「いるよ(笑)」
韓徳「いいじゃんいいじゃん、夢ぐらい見たって!」
次男「駄々こねないでくださいよ。まずは州刺史から始めましょう」
長男「だんだん手がつけられなくなってきたな…」
ということで魏帝(ゲーム上は献帝であるが)に貢物を持っていきました。
231年夏
韓徳「劉備領の安定は兵糧が0じゃのう」
次男「兵糧攻めをすれば非力な我が軍でも
勝てるんじゃないでしょうか?」
韓徳「そうじゃのう。この面子じゃ打倒趙雲も難しそうだし
配下を増やすためにも出陣するかのう」
韓徳は次男を天水に残し、他の者を率いて安定に出陣しました。
韓徳軍は83000。総大将は韓徳、参軍は何晏。
対する蜀軍は62000+援軍。総大将は李厳、参軍は呂義。
しかし兵糧は0である。
韓徳「おお!? 策に鼓舞と罵声があるではないか!
他にも天変に風変があるぞい!」
何晏「あ、それは私と尹賞の特技ですね」
韓徳「うう…今まで策といったら暗殺と増計しか知らなかったのに…
感動で涙がちょちょぎれるわい」
何晏「はは…それは良かったですね。
それでは作戦についてですが…」
韓徳「うひょひょ♪ うひょひょ♪ 鼓舞じゃ罵声じゃ♪」
何晏「あの…」
長男「構うな構うな。近頃はああなんだよ」
何晏「はあ…」
韓徳軍の作戦は包囲になりました。
1日目
*「三男の瓊さまの部隊、火罠にひっかかりました」
韓徳「もはやそんなことでは驚かんわい!」
長男「おい;」
2日目に最初の砦を占拠し3日目には参軍何晏が
敵将の一人を混乱させることに成功しました。
韓徳「おお…我が軍の計略が初めて成功した…感動じゃあ」
*「尹賞さまの部隊、毒罠にひっかかり行動不能!」
韓徳「あうう、新戦力が加わっても同じパターンじゃ;」
4日目
趙雲の息子、趙統が視界に入ってから
韓徳は執拗に攻撃を続けていました。そして、
韓徳「憎っくき趙雲の息子、趙統捕えたりー!!」
趙統「な…何故私たち一家がこんなに恨みを買っているのだぁー!?」
5日目
駆けつけた蜀の援軍がいよいよ韓徳たちと激突しました。
韓徳「うぎゃー!? 軍がズタズタじゃー!」
長男「うるせえぞ! やられたらやり返せばいいじゃねえか!」
何晏「敵の士気は段々落ちていますから少しの辛抱です!
それより李厳の攻撃に遭っている三男の瓊さまに
新たな指示を出してください!」
韓徳「よ…よし、瓊に伝えよ。『逃げろ』と」
何晏「……」
6日目
*「瑛さま、我が部隊は敵に半包囲されて大損害を受けました」
長男「ちっ、魏延に馬忠に王基か。さすがの俺様でもどうにもならねぇ。
一旦退けー!!」
韓徳「わわわっ、こっちに来るでない!」
長男「馬鹿親父ぃ! 退路を塞ぐんじゃねぇ!!
てめぇも退きやがれーっ!」
韓徳「…はい」
形勢が悪くなってきたのですが兵糧が無い蜀軍は
8日目に士気が0になりついに安定城へ退却しました。
韓徳軍は初の功城戦へ挑むことになりました。
韓徳軍は城の周辺に集結しました。
李厳「よいか。我が軍は兵糧がない。短期決戦だ!
それっ、石の雨を降らしてやれい!」
韓徳「ぎゃーっ! 兵が3000人も減ってしもうた!!」
何晏「(無視)先ほどと同じく、敵軍の士気が0になるのを待ちます。
私は罵声で士気を落としていきますので
皆さんは兵士の少ない部隊を集中攻撃してください」
全軍「おおっ!」
韓徳「あの…総大将はわし…」
こうして少なからず損害を受けましたが
14日目に敵軍の士気は0になり、敵軍は退却しました。
韓徳軍の勝利です。
韓徳「うっほっほ♪ 戦功第一位はまたまたわしじゃ♪」
兄弟「(また、あいつか…むかつく)」
趙雲の息子、趙統が韓徳の前に連れてこられました。
韓徳「貴様があの憎っくき趙雲の息子の趙統だな」
趙統「くっ、何故お前らはこんなに我が一族を恨むのだ?」
韓徳「それは貴様の親父が、韓一家を虐殺したからじゃよ。
だから今度はわしらが趙一家を虐殺して恨みを晴らすのじゃ」
趙統「ふん。私を捕えることはできたようだが父上が果たして
おまえらへっぽこ家族の手にかかるかな?」
韓徳「なぁに〜! へっぽこ家族じゃと!?
その言葉取り消せい!」
長男「そうだ! こんな馬鹿親父と一緒にするんじゃねぇ!!」
韓徳「瑛〜;」
こうして趙雲の息子、趙統は韓一家の手によって処刑されました。
残るは趙雲と趙広の二人です。しかし趙雲には寿命が迫っています。
果たして間に合うのでしょうか?
231年秋
韓徳「我が軍は遂に蜀軍も破ったことだし
そろそろ本格的に趙雲を倒しにいってもよかろう」
何晏「この前は敵の兵糧が尽きていたから
勝利を収めることが出来ました。
まともにぶつかったら勝ち目はありませんぞ」
次男「確かに魏延や馬忠、李厳には全く歯が立ちませんでしたから
彼らより更に強い趙雲には小指一本でやられるでしょうね」
長男「馬鹿親父の言うことよりも軍師どのの言うことのほうが
信憑性があるな。悔しいがしばらくの辛抱か」
三男「親の威厳はどこへやら」
四男「どこへやら(笑)」
韓徳「あうぅ、あんまりだ…」
231年冬
韓徳「わしも腹を決めたわい。優秀な武人が加わるまで
どんどん戦争を仕掛けるぞい。まずは天水に出陣じゃ!」
韓徳はいつものように次男を残し
残り全員を引き連れて天水に出陣しました。
敵軍総大将:司馬昭
韓徳軍:84000
司馬昭:42000+援軍
作戦「正面突破に見せかけた包囲」
2日目
もはや定番となりつつある光景で幕が開きました。
韓徳「うぎゃーっ!? 岩が降って来たー!!
兵がぺちゃんこじゃー!」
何晏「ご主君!! 私を巻き添えにしないでください!」
6日目
敵の援軍が韓徳軍の背後に回りこみ
補給を断とうと試みているようです。
何晏「む、拠点を守りにいかなくてはいけませんね。
私が拠点の守りに入るので、
ご主君に援軍を派遣するよう伝えてくるように」
*「はっ」
しかしこの時韓徳は敵の混乱の計略にかかり指示が不可能な状態に。
何晏は独りで敵援軍と戦わなくてはいけませんでした。
幸い援軍は馬遵一部隊だけだったのですが。
そして韓徳の混乱は他の武将にも迷惑をかけまくっていました。
尹賞「作戦外の城に向かったはいいけどこの後どうしたらいいのやら…」
三男「えー!? 援軍こないの? 一人で徐質の篭る城を落とせると思ってんの?」
四男「えー!? 援軍こないの? 一人で司馬孚を攻めなきゃいけないの?」
7日目
韓徳の混乱は回復し、韓徳は三男の救援へ
長男と四男は何晏の救援に向かわせ
尹賞には拠点の占拠を指示し、何とか拠点を3つまで落としました。
韓徳「あの…ごめん…」
一同「……」
韓徳「うう、視線が刺さる…」
11日目
そして韓徳軍は最後の砦に向かったのですが
韓徳「うぎゃーっ!? 火が、火が、火が!?
熱いのじゃー!!」
*「韓徳さま、大変です! 敵の混乱の計略で
我が軍は行動不能になりました」
韓徳「しょえー!? この火の中で
一晩明かさなきゃならんの?」
何晏「ご主君は放っておいて我々で最後の砦を落としましょう」
長男「ああ。幸い親父から攻撃の命令はすでに受けていたからな」
三男「命令を出す前だったら作戦は完璧に失敗だったね」
四男「だったね(笑)」
こうして残りの部隊で司馬孚の篭る砦にとりかかりました。
韓徳は一晩どころか4日間混乱から抜け出せませんでした。
15日目
韓徳「ふぅ、何とか混乱状態から回復したわい…
おっ! 目の前にがら空きの砦があるではないか。
一番乗りじゃー!!」
韓徳が混乱を回復した丁度その頃、司馬孚の部隊が殲滅したところでした。
韓徳は抜け駆け同然で拠点を占拠しました。
韓徳「うっほっほ♪ 作戦達成じゃー!」
一同「(石をぶつけたい・・・)」
17日目
敵軍の士気は5まで下がり
さすがの司馬昭といえども持ち応えることはできませんでした。
韓徳軍は全部隊壊滅させ勝利を収めました。
韓徳「うっほっほ♪ 今回も戦功1位じゃー♪
皆のもの、だらしないぞい」
一同「(いっそ殺したい…)」
こんなのが君主だからというわけでもないんでしょうが
結局、今回も捕虜は誰も仲間になりませんでした。
232年夏
韓徳「うーん、困ったのう。魏領に攻め込んだら
必ず姜維と戦わなくてはいかんのう」
長男「趙雲と戦う前のいい予行練習になるんじゃねえか?」
次男「あの趙雲を退けたくらいの実力ですからねぇ。
姜維を破ったら自信がつきますよ」
何晏「ケ艾ももれなくセットでついてきます。
はっきりいって勝ち目はないでしょう」
韓徳「ふむう。それなら蜀に攻め込むしかないのう」
何晏「蜀軍は安定まで進出し武都は手薄になっているので
大丈夫でしょう。幸い魏延など有力な将はいません」
韓徳「よし、出陣じゃー!」
いつものように次男を残して、他全員で攻め込みました。
韓徳軍90000 総大将:韓徳 参軍:何晏
蜀軍62000 総大将:蒋[王宛] 参軍:楊儀
作戦は正面突破を取ることにしました。
この戦いでは珍しく韓徳に落ち度らしい
落ち度がなかったため簡略します。
韓徳「おい!」
蜀の援軍に駆けつけたのは諸葛亮。
韓徳は三男と何晏を生贄に差しだし
自らは敵陣に突撃。敵正規軍を殲滅しました。
緒将の制止を無視し、退却する諸葛亮を追撃しましたが
四男が伏兵にあって大損害を受けました。
やっぱり周りに迷惑を振りまく韓徳でした。
韓徳「……」
今回はここまでです。
次回はいよいよ宿敵・趙雲との初対決となります。
前回までのあらすじ
打倒・趙雲を近い旗揚をした韓徳一家。
蜀に攻め込み遂に趙雲の息子、趙統を葬り
韓徳軍の士気は高まったのでした。
232年7月現在
韓徳(49歳)武67知36政43魅51 一騎(医術) 寿命4野望7義理5勇猛3冷静1
韓瑛(31歳)武56知24政29魅47 一騎、乱射 寿命4野望5義理5勇猛4冷静0
韓瑤(28歳)武49知37政42魅26 一騎のみ 寿命4野望3義理3勇猛2冷静3
韓瓊(27歳)武52知34政35魅37 一騎のみ 寿命4野望4義理4勇猛3冷静2
韓h(24歳)武52知35政32魅36 一騎のみ 寿命4野望4義理4勇猛3冷静2
その他 何晏と尹賞
支配都市:武都のみ
232年秋
韓徳のところに魏帝の勅使がやってきました。
勅使「帝は貴殿と和することを望んでおられます。
もし拝命するならば州刺使の地位を与えましょう」
韓徳「おお、無官の放浪者であったわしにも
ついに官位が…感動じゃい」
三男「よかったね。これで滅んだときも格好がつくじゃない」
四男「つくじゃない(笑)」
韓徳「せっかく喜んでいるのに水をさすでない」
次男「趙雲が隣の梓潼にいるのを確認しました。
また息子の趙広も一緒にいるようです」
長男「おお、目の前に宿敵がいたか!
親父っ! 出陣しようぜ!!」
韓徳「うむ。趙一家を倒す絶好のチャンスじゃ」
何晏「お待ちください。我が軍の戦力じゃ
勝利を収めることは非常に困難です」
韓徳「何を言うか! 梓潼の軍勢は5万。
それに対し我が軍は10万いるのだぞ!
それに我が軍はこのところ連戦連勝。
士気も全然違うわい!!」
何晏「趙雲の武力は103ですよ!
それに援軍が来たら兵力差なんて
埋まってしまいます。
優秀な将が加わってからでも遅くありません。
どうかお考え直しを!!」
ところが宿敵を目の前にして
韓徳は熱くなっているようです。
韓徳「趙雲が寿命で死んでしまっては
我らが決起した意味がないわい。
もう何も言うでない。出陣じゃー!!」
長男&次男「おおー!!」
三男「あらら、こりゃ何言っても無駄だね」
四男「無駄だね(笑)」
何晏「仕方ないですね。できる範囲で最善を尽くしましょう」
韓徳軍は全軍こぞって宿敵のいる梓潼へ出陣しました。
蜀軍は剣閣で迎撃しました。
何晏「剣閣は非常に堅固な関が正面にあります。
ここは正面を避け『迂回・右』で敵本陣を目指しましょう」
韓徳「うむ。まずは作戦を達成して敵の士気を落としてから
趙雲と勝負したいからな。基本方針はそれでいこう」
何晏「思ったより平常心で安心しました」
韓徳「しかし趙雲が右側の拠点を守っていることも
想定して正面及び左側からも軍を進めよう。
全軍でかかっても趙雲は倒せないだろうからな」
次男「まるで別人ですね…」
長男「いつもの馬鹿っぷりはどこへ行ったんだ?」
三男「消え行く炎は最後に一瞬勢いを増すというけど
まさにその状態だったりして」
四男「だったりして(笑)」
韓徳「……お前らもよいか。決して趙雲を見かけても
戦うな。奴との決戦は作戦達成後からだ」
息子達「(おいおい、マジだよ…)」
1日目
何晏「どうやら正面の関には誰もいないようです」
韓徳「よし。作戦外の拠点だが占拠しよう。
瑤、何晏。お主らは正面の関を落とし
前方の拠点を攻略せよ!
そして別働隊が合流するまで待機せよ!」
次男&何晏「御意!」
韓徳「瑛、h、尹賞。お主らは作戦上の拠点に向かえ。
拠点に趙雲以外の部隊がいたら全力で落とせ。
趙雲がいたらこれを無視して進軍せよ!」
長男&四男&尹賞「御意!」
韓徳「わしと瓊は左側の拠点を落とす。
それから瑤の軍と合流し本陣を落とす!」
三男「御意!」
韓徳軍は三方に分かれました。
果たして無事に合流できるのでしょうか?
2日目
*「敵の援軍5万が到着しました。指揮官は…魏延!!」
韓徳「むぅ。手強い奴がきおった。各部隊に伝えよ!
魏延の軍と決して戦うな!」
3日目
こちらは正面の路から進んだ次男と何晏の軍です。
何晏「ふむ。前方の城を守るのは蒋[王宛]ですか。
すると趙雲は……うわっ!?」
何晏の部隊は火罠にかかりました。
次男「何晏どの!」
4日目
右側の進路をとった長男一行は…
長男「よっしゃー! 拠点には誰もいないぜ」
四男「んじゃ、占拠するね」
四男は拠点を占拠しましたが…
*「敵の援軍が接近です。敵将は…魏延に廖化!」
長男「ちっ、やべえじゃねえか。
h! 一旦退却だ!!」
また左側の進路をとった韓徳一行は…
韓徳「拠点を守るは楊儀か。よし、突撃じゃ!!」
楊儀「この拠点は放棄してもよい。一旦ひけ!」
こうして拠点を明渡した楊儀であったが、
楊儀「ふふふ。少しの間そこで黙っててもらおうか」
楊儀は韓徳に混乱の計略をかけ
韓徳は混乱してしまった。
韓徳「くっ、不覚!」
5日目
右側に進路をとった長男一行は魏延や廖化の
攻撃を受け、苦戦を強いられていました。
四男「うわー!? 部隊が壊滅状態だよー!!」
長男「頑張れ! 俺が敵の追撃を防ぐ。
落ち着いて退却するんだ!!」
なんとか敵軍の追撃をしのいた長男と四男でしたが
この遭遇戦で四男の部隊は戦闘続行不可能なほどの
損害を受け、長男の部隊も大きな損害を受けました。
一方左側に進路をとった韓徳一行は…
韓徳の部隊は混乱状態から回復し楊儀の部隊を殲滅しました。
楊儀「ふっ。私はただの囮さ。
韓徳、貴様をひきつけている間に
貴様の息子たちは今ごろ…はっはっはっ!!」
韓徳「くっ、ぬかったわ。急ぐぞ、瓊!!」
三男「あいあいさー!」
10日目
正面の進路をとった次男一行は
城を落とし蒋[王宛]の部隊を殲滅させることに成功しました。
何晏「よし! これで『包囲』が完成しましたぞ。
敵にも味方にも伝えよ!!」
韓徳軍の士気は振るい、対する蜀軍の士気は落ちました。
韓徳「よくやった! これで互角の勝負ができる。
趙親子は恐らく本陣付近にいるじゃろう。全軍突撃じゃー!」
いよいよ本陣を守る趙親子との激突です。
13日目
しかし趙雲の姿はなくそこには息子の趙広がいるのみでした。
韓徳「なにぃ!? 何故やつはいないのじゃ!!」
趙広「父上がおまえなんかを相手にするか!
私で十分だ!!」
韓徳「おのれ、小童が!!」
趙雲ならまだしも趙広ごときでは
韓徳軍の勢いは止められませんでした。
趙広「父上・・・さらばです!」
趙広は戦場に散り韓徳軍は勝利を収めました。
韓徳「おのれ、趙雲め逃げおったか。
きぃーっ、悔しい!」
三男「まるで恋人に逃げられたみたいだね」
四男「みたいだね(笑)」
質では圧倒的に劣っていた韓徳軍でしたが
作戦が成功し韓徳軍は梓潼を占領しました。
232年冬
次男「どうやら趙雲は現在漢中にいるようです」
韓徳「むむ、漢中に逃げ込んでいたか、趙雲め!」
何晏「漢中にはあの諸葛亮もいますし
梓潼よりもはるかに辛い戦いになるでしょう。
お気持ちはわかりますがどうか自制を…」
韓徳「ええい、敵を目の前にして
どうして指をくわえて待っていられようか。
今年は軍備を整え、来年趙雲と決戦じゃ!」
一家「おおーっ!!」
何晏「(どうも趙雲の名が出るとご主君の目の色が
変わってしまうようだ。この前の奇跡的な勝利で
我が軍の士気が高いのが救いだが…)」
233年春
年が明けました。
韓徳軍は漢中への出陣しようとしています。
韓徳「息子達よ。頼りないわしによくぞここまでついてきた。
いよいよ韓一家の宿敵、趙雲との決戦じゃ」
長男「遂にこのときが来たか。一家の汚名を晴らすぜ!」
次男「あの時の我々とは違うことを教えてやりましょう」
三男「また一撃で蹴散らされないよう頑張るよ」
四男「頑張るよ」
韓徳「全軍、出陣じゃ!!」
韓徳軍は104000。対する蜀軍は68000+援軍。
総大将は馬良 参軍は諸葛亮です。
<戦場の地図>
□□□□□▼□□□□□□ □=陸地(山岳)
□□□□□□□□□□□□ ▼=拠点
□▼□□□▼□□□□□□ ●=本陣
□□□□□□□
□□□□▼ □□□□
□□□□ □□□▼□□
□□□↑□□
□□ □□□□□□↑□□
□□ □●→→→→↑□□
韓徳「戦場を横切る河が厄介じゃのう」
何晏「はい。敵の援軍が駆けつける前に
渡河ができれば良いのですが
それは無理かと思います」
韓徳「ここは『迂回・右』かのう…?」
何晏「私もそう思います。河の手前の
拠点を占領し、岸で待機して
渡河中の敵軍を討つのが上策でしょう。
そして敵軍を釘付けにしている間に
別働隊が敵本陣を落としましょう」
韓徳「よし。まずは全軍右手の拠点に向かえ!
後の指示は追ってする」
2日目
蜀軍の援軍42000が到着しました。
これで兵力的には互角になりました。
3日目
次男「中央の拠点に趙雲を確認しました」
韓徳「よし。敵の裏をかくことに成功したぞい」
長男「くっ、宿敵が目の前にいるのに…もどかしい!」
韓徳「こらえるのじゃ、瑛。
まず敵の士気を落とさなければ
勝負にならんわい」
一方、蜀軍では・・・
*「趙雲さま、敵軍は『迂回・右』をとった模様です」
趙雲「むむ、正面突破ではなかったか。
孔明どのの考えが外れるとはな…」
*「出撃しますか?」
趙雲「いや、すでに郭攸之が迎撃に向かっている」
*「しかし、いくらへっぽこ一家とはいえ
郭攸之さまでは荷が重いのでは?」
趙雲「孔明どのの指示が出るまでは動くわけにはいかん。
…しかし計略を仕掛けて
郭攸之を助けるぐらいはいいだろう」
趙雲の混乱の計で尹賞が混乱しました。
韓徳「趙雲め、いまいましい奴じゃ」
三男「お、郭攸之の部隊がやってきたよ」
四男「やってきたよ」
郭攸之の部隊が上陸し次男の部隊を襲撃しました。
韓徳「瑤よ、郭攸之の部隊には構わず
hと供に岸の守備に向かえ!」
次男&四男「御意」
韓徳「瑛と瓊は郭攸之の部隊を殲滅せよ!」
長男&三男「御意」
4日目
次男は岸に到着しました。
それと同時に対岸に敵軍が現われました。
次男「間一髪ですね。郭攸之の部隊に構っていたら
敵の渡河を許すところでした。
父上の采配、恐ろしく冴えていますね」
韓徳「油断は禁物じゃ。我が軍は作戦が的中して
ようやく互角なのじゃからな。
わしと何晏は遠回りをして渡河し
敵本陣を突く。瑤とhはここで
敵の渡河を防ぐのじゃ」
次男&四男「御意」
・・・・・・
四男「あそこにいるのは朱褒だね。余裕だね」
次男「いや、もっと大物が後方にいるぞ」
朱褒の後方から馬忠(蜀)が対岸に姿を現しました。
一方、蜀軍では・・・
*「郭攸之さまの部隊、渡河に成功しましたが
敵の攻撃に逢い苦戦している模様です」
趙雲「孔明どのの指示がこない内は動けん。
混乱の計をどんどん仕掛けよ」
三男の部隊は趙雲の混乱の計にかかりました。
長男「ちっ、あの老いぼれめ。
やることにそつがない」
5日目
渡河中の何晏が水罠を発見。これを解除しました。
韓徳「おお!? 我が軍が罠を解除するのは
初めてじゃないかのう。これは吉兆じゃ」
何晏「初めてですか…。相当苦労なされたんですね」
韓徳「うむ。そして罠にかかるのは大抵わしで
息子たちからはダメ親父と言われたもんじゃ」
そして2日後、韓徳と何晏は兵を損なわず渡河に成功しました。
三男は混乱から回復し
長男と共に郭攸之を攻撃しました。
趙雲は引き続き混乱の計を仕掛けましたが
奇跡的にも三男はこれを見破りました。
その後2回に1回は趙雲の計を見破る活躍をしました。
そして次男は渡河中の朱褒を岸から攻撃し
大きな損害を与えることに成功していました。
各地点の戦況は非常にいいようです。
7日目
何晏「む。諸葛亮が本陣ではなく、
その手前の拠点を守っているようです」
韓徳「おお。敵は完全に中央突破に備えていたようだな。
諸葛亮や趙雲に邪魔されずに本陣を落とせるのは大きい。
『迂回・右』は大成功じゃ!」
一方、蜀軍では・・・
諸葛亮「しまった…。私としたことが韓徳ごときに
裏をかかれるとは…」
*「趙雲さまから出撃要請の使者が来ております」
諸葛亮「うむ。趙雲に拠点から出撃して
敵軍を討つよう伝えよ。
我が部隊は韓徳の部隊を叩く!」
しかしすでに何晏が近くに布陣し
諸葛亮の部隊を牽制していました。
諸葛亮の指示は完全に後手に回ったのです。
趙雲「まさか、孔明どのがここまで翻弄されるとは
思ってもみなかったな…」
*「郭攸之さまの部隊、全滅しました」
趙雲「間に合わなかったか…。
しかしまだ馬忠や朱褒の部隊が苦戦している。
救援に向かわねば。皆のもの、出撃だ!!」
趙雲の部隊が動き出した。
その知らせは韓徳軍を駆け抜け
全軍に緊張が走りました。
9日目
次男「よし、朱褒の部隊は全滅だ!」
次男の部隊は朱褒の部隊を
ついに上陸させることなく撃破しました。
しかし続いて馬忠が押し寄せてきました。
次男「さすがにきついな…」
*「趙雲の部隊、接近です!!」
次男「ついに来たか。瓊よ、趙雲を上陸させるな!」
三男「あいあいさー」
趙雲「遅い!!」
三男の部隊が趙雲の上陸地点に入るよりも早くに
趙雲は上陸を果たしました。
趙雲「この趙雲の相手はどいつだ!」
三男「うげっ、間に合わなかったよ。仕方ない当たって砕けろ!」
四男「当たって砕けろ!(泣)」
三男と四男の部隊が趙雲を迎撃しました。
幸い蜀軍の士気は低下しており
どうにか戦うことができました。
10日目
三男と四男は思った以上に健闘しました。
趙雲「むむ。予想以上に損害が大きい。
一旦退け」
趙雲は上陸地点を放棄し河に退避しました。
三男「あ、趙雲が逃げ出したぞ。やりー!」
四男「やりー!(喜)」
趙雲の後退は全軍の士気を奮い立たせました。
そして敵本陣に韓徳が到着しました。
韓徳「一気に本陣を落とすぞ! 突撃ーっ!!」
2日後、敵総大将馬良の部隊を撃破し
敵本陣を占拠。敵の士気は0となり敵軍は退却しました。
諸葛亮及び肝心の趙雲を捕えることはできませんでしたが
あの趙雲から勝利を収めたこの戦いは韓徳軍にとって
大きなものでした。
韓徳「やったぞ…。遂に…遂にあの趙雲に勝つことができたぞぉ!!」
長男「もう、あんな老いぼれなんて怖くないぜ!」
次男「ついに韓一家の汚名を晴らすことができたんですね」
三男「趙雲を退けた僕らがMVPだぜ!!」
四男「MVPだぜ!!(喜)」
韓徳「うう…。思えば長く苦しい屈辱の日々じゃった…ううう」
息子達「親父…泣くなよ…ぐしっ」
韓徳「お前らこそ…目が真っ赤だぞい…」
今回はここまでです。
次回は趙雲との戦いに決着がつきます。
韓徳覚醒か?
この間までのへタレぶりはどこに(w
どんどんイケイケ!
頑張れ韓徳!
おお、まずは一矢報いられたようですな。
応援sage
応援(さげー)
(四男風)
だいぶ間隔が空いてしまいました。
次回で最後となりますがもう少しお待ちください。
ゲーム自体はすでに終了して
リプレイ記を仕上げているところです。
勝利条件式のリプレイも中々…。
待遠しいですねえ。
ようやくリプレイ記書きあがりました。
お待たせして申し訳ありません。
<前回までのあらすじ>
打倒・趙雲を誓い旗揚をした韓徳一家。
漢中においてついに趙雲を破ることに成功しました。
しかし趙雲は長安に逃げ込んでしまいました。
234年3月現在
韓徳(51歳)武68知39政43魅51 一騎(神算、医術) 寿命4野望7義理5勇猛3冷静1
韓瑛(33歳)武57知24政30魅47 一騎、乱射 寿命4野望5義理5勇猛4冷静0
韓瑤(30歳)武51知37政42魅26 一騎のみ 寿命4野望3義理3勇猛2冷静3
韓瓊(29歳)武53知34政35魅37 一騎のみ 寿命4野望4義理4勇猛3冷静2
韓h(26歳)武53知35政32魅36 一騎のみ 寿命4野望4義理4勇猛3冷静2
その他 何晏と尹賞と朱褒
支配都市:漢中のみ
233年夏〜冬
その後長安へ逃げた趙雲を追いかけて
度々出陣した韓一家でしたが
なかなか長安を落とすことができませんでした。
韓徳「むむぅ、手強いのう。諸葛亮が北伐に
成功しなかったのもわかるわい」
三男「うわ、諸葛亮と比較しているよ。
身の程知らずとはこのことだね」
四男「身の程知らずとはこのことだね(笑)」
韓徳「ふん。わしらはその諸葛亮に一度とはいえ
完勝しているのじゃぞ!
ええい、気晴らしに狩りにでも行ってくる。
瑛よ、ついてこい!」
長男「おいおい、虎に会っても知らねえぞ」
気が付くと韓徳は一人っきりになっていました。
韓徳「うーむ、はぐれてしまった。こういうときは必ず…」
虎「がおーっ!!」
韓徳「やはり、出おったか。しかし今までのわしと思うな!!」
・・・・・・
長男「うーむ、親父とはぐれてしまったか。
多分虎に襲われているんだろうから早く見つけなくては…」
韓徳「お、瑛よ。ここじゃ、ここじゃ」
長男「親父ぃ、無事だったか。逃げ切ることに成功したんだな」
韓徳「ふっふっふっ、わしを見くびるでない。ほれ」
長男「げっ…虎を倒したのか!?」
韓徳「趙雲、諸葛亮をやぶったわしじゃ。虎ぐらい倒せんでどうする?
はぁっはっはっはっ」
長男「自信ってすごいな…」
234年春
次男「新野の蜀軍が魏軍に敗れ、宛の軍勢は半減しているようです」
韓徳「つまりは長安への援軍が半減するということじゃな」
長男「よし、長安を落とす絶好のチャンスだ!」
韓徳「そうじゃな。これを逃したら
趙雲をこの手で倒すチャンスは無いかもしれぬからな」
三男「僕たちには時間があっても、趙雲に時間が無いからねぇ」
四男「無いからねぇ」
韓徳「全軍、出陣じゃ!」
蜀軍では――
諸葛亮「ほう。へっぽこ一家が性懲りも無く攻めてきたか。
いつもどおり返り討ちにしてくれよう」
趙雲「孔明どの。奴らをあなどってはなりませんぞ」
諸葛亮「ふふふ、子龍も老いたものだ。
確かに漢中では油断したところをやられたが
ここ最近は奴らをきっちり撃退しておるのだぞ?」
趙雲「相手も馬鹿ではありません。
何度も同じ手が通用するとは限りません。
今回は私を最前線の拠点の守りにつけてください。
敵軍の士気が低いうちに叩きのめしてやります」
諸葛亮「ふふふ、拠点の一つや二つぐらい
奴らにやっても構わんだろう。
もういい。前回と同じ布陣でいく」
趙雲「……。『234年』『五丈原』と貴方にとっては
不吉な状況だというのに、あまりにも軽率ですぞ…」
韓徳軍は121000。対する蜀軍は55000+援軍。
総大将は王基。参謀は趙雲。
(諸葛亮は宛からの援軍として参加することになります。
それゆえ上記の諸葛亮が布陣を決定するというのは
あり得ないことですが、演出ということでご容赦を)
韓徳「今回の作戦は『迂回・右』と見せかけて包囲でいこう。
そして敵の士気を落としてから勝負じゃ。
三男と尹賞は左手の拠点に向かえ。
わしと何晏は中央の拠点に。
残りは作戦上の拠点でもある右手の拠点に向かえ」
一同「御意」
韓徳「皆のもの、死力を尽くすのじゃぞ。
それでは出撃ー!!」
1日目
*「四男のhさまの部隊、火罠にかかりました」
韓徳「わし以外の者が罠にかかるのは久しぶりじゃのう」
何晏「というか、ご主君は罠にかかりすぎです。
それにすぐに混乱したり
挑発にのったりするのもやめてください。
指示を出せるのはご主君しかいないんですから」
韓徳「はい…」
2日目
韓徳らが向かった中央の砦は関興が守っていました。
関興「来たな。それ、皆のもの!
奴を罵って挑発するのだ!」
*「やーい、やーい、へっぽこ親父ぃ」
韓徳「むかぁっ!! 何じゃとぉ!」
何晏「ああ…。言ったそばから…」
一方、他の部隊といえば、
次男が第一の砦を占拠し
三男が火罠にかかり遠回りを強いられるはめになりました。
3日目
韓徳「はぁ、ふぅ、なんとか落ち着いたのじゃ」
*「最近ボケが進んでいるんだってな。
やーい、痴呆症ー」
韓徳「ぬぉー、二度としゃべられんようにしてやる!!」
何晏「ああ…、もうだめだ;」
韓徳はまたまた挑発にかかりました。
そして4日間回復することはなく
全軍への指示はストップしてしまいました。
一方、四男も穴罠にかかり韓徳軍に暗雲がたちこめてきました。
4日目
*「蜀の援軍が到着しました。指揮官は諸葛亮です」
韓徳「ぬぉぉぉぉーっ!」
*「あ、あの…韓徳さま…?」
韓徳「うぉぉぉっ!!」
何晏「ご主君はあのとおり報告を聞くことができません。
瑤さまたちには各自で善処するよう伝えてください」
*「御意」
何晏「さて、関興に突撃をかましているご主君を
援護しなければいけませんな」
何晏は関興の部隊を混乱させることに成功しました。
長男「ちっ、親父の馬鹿野朗が。
挑発に乗る前に攻撃の指示をしておけば
一斉攻撃で早く片がついたのに。
しょうがねえ。弩をうちまくれ!!」
そして長男と朱褒が弩を放ち、韓徳を援護しました。
5日目
蜀の援軍が到着する直前に
四男は右手の拠点を占拠することに成功しました。
四男「これで安心だね」
次男「安心するのはまだ早い。
すぐそこに蜀の援軍が来ている」
諸葛亮「むむ、拠点は敵軍に占拠されたか。
ならば殲滅してくれるわ」
諸葛亮は四男の部隊に弩を放ちました。
四男「うわっ!? 大ダメージだよ」
次男「少しの辛抱だ。蜀の援軍が到着したことは
本隊も知っているはずだから
まもなく援軍が来るはず」
*「参謀どのより伝言です」
次男「何晏どのは何と?」
*「韓徳さまは挑発に乗り軍に指示を出すのは不可能。
よって各自で善処してくれ、とのことです」
次男&四男「…あの馬鹿親父め!」
6日目
諸葛亮「へっぽこ一家のために陛下より賜った大事な兵を
無駄に費やすわけにもいかないだろう。
前方の敵に混乱の計をかけよ!」
四男の部隊は諸葛亮の混乱の計にかかりました。
諸葛亮「今だ! 張翼よ、あの部隊を攻撃せよ!」
張翼「御意」
張翼の部隊は四男の部隊を攻撃すべく前進しました。
しかし蜀軍の死角に陣を構えていた次男の部隊に突っ込み
損害を受けてしまいました。
次男「諸葛亮の知略もだいぶ錆びついたようだな」
諸葛亮「くっ、儒子め! 生意気な」
7日目
韓徳は未だ挑発に乗っていました。
韓徳「ぬぉぉぉぉっ!!」
何晏「いい加減正気に戻ってもらわないと
一大事になりますね。
仕方ない…」
ウォォォッ トツゲキッ !!
| ご主君…… |
∫∫∫ |_ _______|
∧徳∧ ∧晏∧ |/
(`д´ #)(・∀・ )
と )と )
| | | | | |
(_(_) (_(__)
何ノ ヨウジ…
∧徳∧ ∧晏∧三
(#`д(と(∀・ #三
と ) ( と三
| | | ~ン 人
(_(_) (__) _)
ヤァァァァァァァァァァァ……ァァァァァ………ァン♥
∧徳∧ ∧晏∧
/¨)/¨) ∧徳∧ 彡 (゚д(# )つ (・∀・ #)_
∧徳∧ / 彡 (´д(# )つ 彡 ( つ) / /( と)⌒)
と(´д(# )つ 彡 と_ \ ( (_⌒) (__) ~ン ノ ノ
(__|  ̄ (__)~
/⌒)
/ /
/¨)/¨) ∧晏∧⌒)
/ / / (・∀・ #)_二つ
∧徳∧ ミ / / / /
と(+д(# )つ (__) (__/
WwWwW
韓徳「ぶべらっ!? ……ん? わしは一体…」
何晏「お気づきになられましたか?」
韓徳「おお、何晏か。何故か顔が痛むのじゃが…?」
何晏「それは緊張感が筋肉をひきつらせているせいでしょう。
気になさいますな」
韓徳「むむ、そうなのか…(なーんか納得いかんのう…)」
何晏「さて、現在の戦況ですが、カクカクシカジカ…」
韓徳「なにぃ!? それは一大事じゃ!!」
挑発から回復した韓徳は急いで全軍に指示を出しました。
左手に向かった三男たちには作戦外の拠点を占領するよう指示、
共に中央の拠点を攻略中の長男と朱褒には、右手の部隊の救援を指示、
そして右手に向かった次男たちには拠点を守りつつ
諸葛亮を牽制し一歩も通さないよう指示しました。
その頃、諸葛亮らと戦っている次男たちは・・・
四男「うわっ、諸葛亮の混乱の計にひっかかったよー」
諸葛亮「それっ! 張翼よ、突撃せよ!!」
しかし張翼は次男の部隊を抜くことができないでいました。
諸葛亮「くっ、こんなとき関羽がいたら…」
*「張翼さまにそこまで求めるのは酷です。
混乱の計をしかけなくともいいから
我が部隊自ら韓hの部隊を攻撃しましょう」
諸葛亮「いや。それは危険である。
我が部隊が混乱の計をしかけ
それを別の部隊で叩くのが万全の策だ」
*「はぁ…」
次男「どうも相手の動きが鈍いようだ。
これなら援軍がくるまで持ち応えられる。
hよ、もう少しの辛抱だ!」
四男「あいあいさー!」
諸葛亮の慎重な戦い方が韓徳軍に幸いしたようです。
蜀の本陣…
趙雲「遅い…。孔明どのは何をやっておられるのか…」
副将「諸葛亮さまの部隊は韓瑤と韓hの部隊と
戦っているようです」
趙雲「孔明どのの兵力なら多少の損害を受けようとも
さっさと突破することも可能なはずだが…」
副将「そう心配なさらなくても敵部隊を混乱させ
別部隊で攻撃するという万全の策ですから
敗れることはありますまい」
趙雲「馬鹿な!! 援軍が足止めを食っている間に
敵は本陣を着々と目指しているのだぞ!
右手の拠点が残っているのならばまだしも
すでに敵の手に渡ったのならば
すぐにでも残る拠点に向かい、守るべきだろう!!」
副将「ひぃっ!?」
*「報告します。左手の拠点が陥落し韓瓊と尹賞の部隊が
本陣手前の拠点に向かっております」
趙雲「そこを落とされては士気が激減してしまうな。
よし、我が部隊は拠点の守備に向かう!」
副将「趙雲さま! 我らは本陣を守るよう諸葛亮さまから
指示を受けていますぞ。
それは軍令違反になるのでは…」
趙雲「戦場では君命といえども従うべからざる場合がある。
そんな軍令に従っていては我が軍は惨敗だ!!」
副将「しかし敵の作戦は『迂回・右』で間違いはないのでしょう。
ならば諸葛亮さまの言うように本陣を守っていれば
大丈夫なのでは…」
趙雲「…敵の作戦は『迂回・右』ではない。
そう見せかけた『包囲』だ。」
副将「!?」
趙雲「孔明がそれを察知しているならば
拠点を守りに行く必要は認識しているだろう。
我が部隊が勝手に動いても咎められはしまい。
もし察知していないならば……
もはや軍師失格であろう。そんな奴の指示に従うことはない。
わかったなら我が命に従え!!」
副将「はっ!」
韓瓊と尹賞は、『包囲』を達成すべく
敵本陣手前の拠点に向かっていましたが
尹賞が趙雲の刺客にかかり重傷を負いました。
韓瓊「刺客…!? まさか趙雲がこの先に…?
へ…へへ。以前は勝っているんだ。
怖くなんか…な、ないぞ」
8日目
先日冷静さを取り戻した韓徳は遂に関興を追い詰めました。
韓徳「関興、お主の部隊にはもう戦う力は残っていまい。
素直に拠点を明渡し我が軍に降れい!」
関興「無駄なことを。誰がへっぽこ一家に降ろうや」
韓徳「仕方ない。皆のもの、突撃じゃー!!」
韓徳の部隊は関興の守る拠点に突撃し
関興の部隊を殲滅させることに成功しました。
関興「父上、今からそちらにいきますぞ…(ザシュッ)」
*「関興さまの部隊は殲滅し、関興さまは戦死なさいました」
趙雲「そうか…。未来ある若者が先に散ってしまったか…」
副将「関彝さまが援軍に向かったはずですが
どうやら間に合わなかったようですな」
趙雲「関彝では韓徳を止められはしないだろう。
…すまぬ、雲長。お前の息子達を守れなくて」
一方、長男と朱褒は右手の拠点を守る次男たちの軍と合流しました。
長男「待たせたな、瑤」
次男「おお、兄上! 皆のもの、援軍が到着したぞ!!」
援軍が到着し次男たちの部隊の士気が上がりました。
諸葛亮「しまった。援軍が到着してしまったか!?」
諸葛亮は万全の策で敵を壊滅しようとしましたが
緩慢ともいえるその戦法が敵軍の合流を許すことになり
もはや諸葛亮らが本隊と合流することは絶望的になりました。
長男「よっしゃ! まずは張翼からぶっつぶせ!!」
長男らは張翼を完全包囲することに成功し
張翼の部隊は一瞬で殲滅しました。
そして敵の拠点を更に2つ落としたという報が届き
韓徳軍はますます勢いを増しました。
9日目
*「報告します。最後の拠点には敵軍がいない模様です」
三男「そこを占拠すれば『包囲』が完成だね。
敵がいないうちに急ぐぞ!」
最後の拠点に向かった三男でしたがその時…
*「大変です! 突然砦に敵軍の旗が現われました。
将は…趙雲です!!」
三男「また、あいつに邪魔されたよ。
しかも今度は空城計!?」
本当のところはがら空きだった拠点に
間一髪で趙雲が守備についたのですが
三男が勘違いし計らずも度肝を抜いたようです。
趙雲「何とか間に合ったな。
幸い敵は空城計と勘違いし警戒して近づいてこない。
皆のもの、援軍が駆けつけるまで時間を稼ぐのだ!」
副将「しかし諸葛亮さまが来れない今、
我らは孤軍で戦わなくてはいけないのでは…?」
趙雲「将は自分が信じていないことでも
兵に信じさせねばならんのだよ」
12日目
関彝の部隊を撃破した韓徳らは趙雲の篭る拠点に向かいました。
韓徳「漢中では河を利用して趙雲を退けたが
今回はまともにぶつからねばならんのう」
何晏「拠点の背後には河が流れています。
まさに背水の陣ですな」
韓徳「死を覚悟した趙雲の部隊か…ぞっとしないのう」
何晏「そういえば趙雲と直接兵を戦わせるのはこれが初めてですな」
韓徳「うむ。今までは息子達に趙雲を足止めさせて
その間にわしが本陣を突くという作戦ばかりだったからのう」
何晏「どうです? お気持ちは…」
韓徳「ふむ… 不思議にも落ち着いておるのう。
もっと熱くなるかと思ったんじゃが…」
何晏「(それこそご主君の成長の証であります)」
韓徳「何か言ったか? 何晏」
何晏「いえ、何も…ふふふ」
韓徳らは先に到着し、少し離れたところで
陣を構えていた三男と合流しました。
韓徳「よし、揃ったな。
皆のもの! 退路のない敵は
死に物狂いでかかってくるであろう。
しかし我が軍は現在絶対的優位にある!
臆することなく戦え!!」
*「おおーーー!」
韓徳「かかれー!!」
韓徳、三男、何晏は趙雲の守る拠点を攻撃しました。
*「韓徳軍、一斉にやってきました」
趙雲「へっぽこ一家という噂だったがどうしてどうして…。
見事な采配と統率ぶりだ。
…いいだろう。この趙雲の最後の相手として不足は無い。
わしの底力、見せてくれよう!」
趙雲の反撃は凄まじいものでした。
蜀軍の士気は落ちているにも関わらず
韓徳軍には今まで以上の損害が出ました。
何晏「被害が甚大です。一旦退いて、
諸葛亮と戦っている瑛さまたちを呼び寄せましょう」
韓徳「ならぬ! ここで退いては作戦の期限には間に合わない。
例え瑛たちと合流しても
趙雲の篭る拠点は2,3日じゃ絶対に落ちん。
ここが我が軍の死に場所じゃ!!」
16日目
趙雲が拠点を守って5日目。
さすがの趙雲といえども韓徳軍の勢いの前に
徐々に押されてきました。そして・・・
*「韓徳軍、砦内に侵入!」
*「全軍崩壊! もう持ち応えられません!」
趙雲「退却だ! けが人を収容し長安へ向かえ!」
韓徳軍は遂に趙雲の部隊を真正面から撃破し
趙雲は長安に退却しました。
三男「やったぁ!! 真正面から趙雲を破ったぞ!」
韓徳「もはや我が軍に怖いものなどない。
ここの砦を占拠したら一気に本陣をおとすぞ!!」
18日目
最後の砦の占拠が完了し、『包囲』が完成。
期限まで残り2日とぎりぎりのタイミングでした。
敵の士気は13まで下がり勝敗は確定したも同然でした。
21日目
韓徳は敵総大将の王基を撃破し敵の士気は0になり
敵軍は退却を始めました。
追撃戦で諸葛亮の伏兵に大損害を受けましたが
諸葛亮を捕えることに成功。
そして長安から脱出しようとした趙雲も捕えられました。
長男「やったぜ。遂に趙雲を斬るときが来たぜ!」
次男「これで韓家も安泰ですね」
三男「趙雲もまさか韓一家にやられて生涯を終わるとは
思わなかっただろうねぇ」
四男「だろうねぇ(笑)」
韓徳「さぁ、凱旋じゃ!」
韓一家の前に諸葛亮が連れられてきました。
諸葛亮「・・・・・・」
韓徳「天下に名高い諸葛亮どのを生け捕れるとは
思ってもみなかったわい」
諸葛亮「緒将が私の策どおりに動いてくれれば
立場は逆転していたはずだ」
韓徳「息子たちの話では、おぬしの緩慢すぎる用兵に
救われた、とのことじゃぞ?」
諸葛亮「ぐ・・・」
韓徳「それにわしらが立てた作戦も見抜けず
完全に裏をかかれていたではないか」
諸葛亮「・・・・・・」
韓徳「正直いって趙雲の方があっぱれな戦いをしておったぞ」
諸葛亮「ふ、結局は貴様らへっぽこ一家に趙雲の部隊は
全滅させられたではないか。
五虎将たるものが情けないわ」
韓徳「…黙れ! 趙雲は貴様の拙劣な作戦に従いながらも
常に最善の行動をとり、勇敢に戦ったわい」
諸葛亮「う・・・」
韓徳「ええい、もういい。こやつは斬首だ!
さっさとひったてい!!」
諸葛亮「く…無念」
次男「何故そんなに怒っているのです?
趙雲は我が一家の宿敵でしょうに」
韓徳「うーむ、何故か無性に腹が立ったのじゃよ」
長男「おいおい、大丈夫かよ?」
三男「もしかして敵味方を越えた禁断の恋?」
四男「禁断の恋?(笑)」
韓徳「なわけないじゃろ!!」
そして趙雲が韓一家の前に連れてこられました。
韓徳「我が宿敵、趙雲よ。このときを心待ちにしておったぞ」
趙雲「ははは。この老いぼれに今更何の用で」
韓徳「わしら韓一家はお主のために
あっけなく滅ぼされることになっていたのじゃよ」
趙雲「ご冗談を。孔明を翻弄した貴公らの用兵は
この趙雲も一目置くほどだ」
韓徳「そう。一家が死力を尽くせば趙雲といえども
撃退することができる、ということがわかった。
つまりお主を斬首することにこだわらなくてもよい」
息子達「え・・・?」
韓徳「趙雲よ。そのあっぱれな武者ぶり
我が軍で役立てぬか?」
息子達「ええーーーー!?」
韓徳「(ふっふっふ、驚いておるな。
わしがこうするとは誰も思っていなかったじゃろう)」
趙雲「……この老いぼれを評価してくれるのは
ありがたいが、すでに残された時間も少ないこの身。
仕える主をかえてまで生き延びようとは思わん。
さぁ、疾く首を斬られい」
韓徳「うむ、そう答えると思ったわい。
後でお主の忠誠を称え、碑を建てておこう
(ああ…わしは今、最高にかっこいいぞ)」
趙雲「好きにしてくれい」
韓徳「また、お主の息子達はわしが責任をもって
盛り立ててやろう(やた。バッチリきまった…)」
趙雲「……え?」
長男「おい、親父…」
韓徳「何じゃ、せっかくいいところなのに邪魔するでない」
次男「趙雲の息子達はすでに全員死んでますよ…」
韓徳「……え?」
三男「自分の手で殺しておいて忘れたの?
困るなぁ、ボケ親父は」
四男「困るなぁ、ボケ親父は(笑)」
韓徳「あうう……(ああ、台無しじゃあ;)」
長男「趙雲さんよ、あんた親父のこと
ずいぶんと評価していたみたいだけど
ごらんのようなボケ親父さ」
趙雲「……わしはこんなボケ親父にやられたのか、くくぅ。
恥ずかしくてこれ以上生きたくない。さらばじゃ」
そういって趙雲は立ち上がるや否や
柱に頭をしこたま打ちつけて自決しました。
韓徳「あうう、名君として後世に語られるつもりじゃったのに…」
こうして非力な勢力でありながら魏や蜀に歯向かい
趙雲や諸葛亮など名だたる将を撃退し
長安を占拠する活躍を果たした韓徳一家でしたが
結局、講談師には笑い話として伝えられたのでありました。
終劇
最後は難産でしたがどうにか終わりました。
正直いって趙雲を倒すどころか
そのはるか前の段階で滅ぶかと思いましたが
無事に趙雲を斬首することができました。
ここまでお付き合いくださった方々
どうもありがとうございます。
最後の戦場の図をいれるのを忘れました。
もう手遅れですが一応参考までに。
<五丈原>
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●:敵援軍
,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,, ,,,,,,,,,,,,,, 0:高地
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韓徳さま、おめでとうございます。
ここまで徹底的にしくじる諸葛亮は初めて見ました……。
韓徳どのお疲れさまでした
オチに非常に笑わせていただきました
四男の話し方が妙に可愛くてハァハァでした
ああやはり最後はへタレか・・・
でも韓徳最高!
韓徳殿、お疲れ様でした。
楽しく拝読させて頂きました。
勝利条件達成おめでとうございます。
しかし趙雲浮かばれませんな…。
たっぷり笑わせて貰いました。
ageます。
ほしゅ
150 :
無名武将@お腹せっぷく:02/05/08 19:48
保守age。
最近リプレイの数が少ないから、スレの数が減ってもいいのかもしれないが。
近々、劉gリプレイを最初からやり直したいと思います。
152 :
無名武将@お腹せっぷく:02/05/16 02:44
おおいに期待
>>152 ありがとうございます。
マターリと続けていければと思いますので、
温かい目で見守ってください。
近々と言いながら、今日から始めますが・・・。
207年1月 劉玄徳 臥龍岡に三顧を顕し 袁兄弟 白狼山に烏丸を頼る
宿敵袁紹を破り、華北を制圧した曹操。
袁紹の愛息、袁尚も今や北平に追い詰められ、滅亡を待つばかりとなった。
北の脅威が失せた今、曹操が次に牙を向けるのは肥沃な荊州であることは周知の事実。
しかし、荊州を治める牧・劉表は老いていた。
今や頼みの綱は、新野に駐屯する流浪の英雄・劉玄徳であった。
恐るべきは曹操ばかりではない。江東の碧眼児・孫権も虎視眈々と
荊州を狙っているのは、柴桑に終結させている武将の数を見れば明らかだった。
その柴桑と軒を接する、江夏に男はいた。
劉表の嫡男・劉g(りゅうき)である。
後継を巡っての弟・劉j(りゅうそう)との争いに半ば敗れ、
江夏に逃れていたのである。
劉jの背後には、荊州を牛耳る蔡瑁とその一族がいた。
劉表の嫡子といえど、蔡一族に較ぶれば、劉gの力は微々たるものである。
そんな劉gが蔡一族の牙から、巧妙に逃れることが出来たのは、
劉gがある男から知恵を授けられたからである。
劉gの物語が今始まろうとしている。
【207年1月】 江夏
劉g(34歳)四品官
武力 24
知力 49
政治 72
魅力 73
特技:築城・水軍
戦法:火矢(弐)・斉射(参)・激流(参)
江夏は緊迫感に満ちていた。
孫権軍が柴桑・廬江に集結している。
荊州攻略の足がかりとして、江夏を狙っているのだ。
しかも江夏の太守は、孫権が不倶戴天の敵と言って憚らない黄祖。
身の安全を考えて、襄陽から遠くこの地まで逃れてきた劉gであるが、
ここも安住の地ではないらしい。
明日にでも戦が始まるかと思うと、命じられた技術の仕事にも身が入らなかった。
黄祖「これより評定をはじめる。ここ江夏を孫家の青二才が狙っているらしいが、
奴の親父も兄も、ここ江夏を攻略することは敵わなんだ。
江夏にはこの守護神・黄祖が居る。皆には日頃の勤務に専心してもらいたい。」
評定に出席した武官・文官を見回していた黄祖の目が劉gのところで止まった。
黄祖「特に御曹司。自ら志願してこの地に参られたなら、やるべき事はきちんとやっていただきたい。」
潘濬「まあまあ、太守殿。出来る範囲で頑張っておられではないですか。
色々と悩むことがおありなのですよ。御曹司は。」
潘濬が皮肉めいた笑みを浮かべた。
劉gは俯いた。
黄祖「明日にでも矢が飛び交おうかという、死地ですぞ。ここは。
物見遊山に来られたわけではありますまい。
それとも父君に命じられて、この黄祖の監視に参られたか?
いや父君ではなく、近頃調子付いている蔡瑁の鼠やろうかな?」
文聘「太守、御曹司に対して言葉が過ぎますぞ。」
流石に、文聘が顔色を変えて取り成したが、
蘇飛は素知らぬ顔をしているし、甘寧は退屈そうに欠伸をしている。
劉gは再度、己の荊州における立場を自覚した。
後ろ盾の無い後継者ほど哀れなものは無い。
劉g「以後気をつける・・いや、気をつけます太守殿。」
黄祖「これにて評定を終わるが、御曹司、あまり無理をされないことですな。
兵は足りておりますでな。御曹司に槍を奮って貰う必要もまだありますまい。」
ガハハと笑うと、黄祖は評定の閉会を命じた。
ぞろぞろと退廷する武官・文官の一番最後に劉gは並んだ。
次の評定まで三月。仕事は命じられなかった。
あの人の所にでも行こうと、劉gはほっとため息をついた。
隆中】
諸葛亮「また来られましたか。劉g殿。
さてもさても良く飽きぬことですな。何度目ですか?三度目かな。」
薄く笑うと、諸葛亮は劉gを庵に招じ入れた。
茶を入れるための湯を沸かす音が聞こえる。
外からは小川の流れるサラサラという音も聞こえる。
劉g 「江夏と比べるとここは別天地です。心が洗われる。
お邪魔とは思いながらもついつい足を運んでしまいます。」
諸葛亮「田舎というのですよ。それを。時が許すなら一月でも二月でも
居ていただいていいのですよ。私も放浪には、少し飽きました故に。」
諸葛亮が劉gに茶を差し出しながら、また薄く笑う。
男でも虜になりそうなほどの美貌の持ち主だ。
この田舎の庵に訪れるのは、何も自分のような弱々しい男ばかりではあるまい。
・・・そういえば、孫権の元には美周朗と謡われる天才軍師が居るとか。
だがその周朗も、この男ほどの怪しさはあるまい。もっと爽やかな・・・
ぼんやりとそんな事を思いながら、茶を受け取るために手を出した
劉gだが、諸葛亮がその手に触れてきたため、思わず身を硬くした。
諸葛亮「倦まれましたかな・・・江夏に。」
劉g 「い、いやその様なことは。」
手をさすろうとする、諸葛亮から慌てて逃れ、
がっと茶碗をつかみ、その熱さに思わず悲鳴を上げる。
諸葛亮「これはいけない。劉g殿、手をお見せなさい。」
劉g 「な、なんのこれしき。」
諸葛亮「放って置いて、火傷になってもつまりませぬ。」
嫌がる劉gの手を掴んでズルズルと外に引きずって行く。
その思わぬ力に抗せず、劉gは庵から引っ張り出された。
諸葛亮「ささっ、ここに手を入れてください。」
諸葛亮は劉gの手を掴んだまま、小川に手を突っ込んだ。
実はチリチリと痛んでいた手が冷たい水によって癒されていく。
思わぬ心地良さに目を細める劉gを見やりながら、諸葛亮が童子に声をかける。
諸葛亮「これ、塗り薬と、布か何か巻くものを持ってまいれ。」
劉g 「何もそこまでしなくとも・・・・」
止めようとする、劉gの口を孔明の手がふさいだ。
諸葛亮「些細な怪我が命取りになる事もありますぞ。」
劉g 「それは、そうであるが。これはただの小さな火傷・・・」
諸葛亮「小さな傷のうちに治せるものは治しておくことは意外と大事なのですよ。
怪我だけでなく、戦、政治、すべてに言えることですが。」
はっとした劉gの手に薬を塗りながら、諸葛亮は呟いた。
諸葛亮「分かっているようで、これが中々出来ない。
人とは愚かなものですな・・・・。」
劉g 「・・・・・。」
諸葛亮「北と南から押し寄せてくる炎は、このような熱さではありますまい。」
劉g 「・・・・。」
薬を塗り、童子が何処からか探してきた白布を巻き終えると、
諸葛亮は劉gのその手を両の手で優しく摩った。
諸葛亮「江夏に倦まれたのなら、襄陽に帰りますか?
お可哀そうに。随分痩せられた。」
劉g 「帰る?帰ると申しましても、襄陽にすでに私の場所は・・・。
北と南の炎とまでは行かなくても、私にとって襄陽は火のついた家。」
諸葛亮「江夏に逃れるように説いた私が言うのも何ですが、
やはり江夏は劉g様には騒がしすぎるようです。」
摩っていた手を、持ち上げ耳の横で抱え込むようにする。
その手を振り払う気力が劉gには無かった。
諸葛亮「居場所が無いなら作ればよろしい。」
劉g 「作る?」
諸葛亮「これより、劉g様はこの諸葛亮の噂を流すのです。
鬼才・天才の軍師がこの荊州に眠っている。
彼を擁せば、天下に覇を唱えるのも容易いと」
劉g 「おお・・・・」
諸葛亮「江夏に江陵に、そして襄陽に。劉表様のお耳に届くように。
劉g様は襄陽に一人も心を許せる方は居ないのですか?」
劉g 「伊籍と申すものが居る・・・。」
諸葛亮「では、その伊籍様を通じて、お父上に吹き込むのです。
劉gが諸葛亮を連れて襄陽に行くと。」
劉g 「なぜ・・何故そこまでして、私を助けてくださる?」
諸葛亮「さて・・・。何故でしょうなあ。根無し草の暮らし私も倦みました故に。」
そうではあるまい。
何か心に期するものがあるのだろう。
訝る様な劉gの視線を
薄く笑って避わしながら孔明は、劉gを立たせた。
諸葛亮「襄陽には必ず戻れます。そして・・・・」
劉g 「今の私が頼れるのは諸葛亮殿だけです。貴方が申すことは何でも実行いたしましょう。」
諸葛亮「その意気です。失礼ながら仕事を命じられず、暇なのでしょう。
三月の間、噂を流しまくるのですな。」
劉gは、諸葛亮に一時の別れを告げると、
江夏城内で、酒場で農村で市場で、彼に関する噂を流した。
無論、襄陽にも人をやって伊籍にも吹き込む。噂には尾ひれがつく。
たちまち荊州には諸葛亮の名は三歳の童子までが知るようになった。
そして、劉表から劉gに襄陽に帰還する命令書が届いたのは、
次の評定の時であった。
【劉gの帰還一】
劉gは襄陽への赴任許可を求めるため、評定に出席していた。
老いが進行している劉表だが、まだ何とか評定に出ることはできるようだ。
その老いた劉表を囲んで荊州の重鎮が揃っている。
荊州で飛ぶ鳥を落とす勢いの蔡一族。
蔡瑁を筆頭にその弟、蔡[王熏](さいくん)甥の蔡和・蔡中。
その昔、荊州を侵した孫堅を討ち取った軍師・萠リ良(かいりょう)
そして、その兄とともに劉表の補佐をつとめる萠リ越(かいえつ)。
他にも蔡瑁の腹心である張允。一徹漢・王威。後に名文家として名を馳せるであろう王粲。
さらには文官として名高い傅巽。弁舌が巧みな伊籍。
荊州の重鎮揃い踏みである。例外は末席に居る魏延くらいなものだ。
その魏延と伊籍を除き、重臣達が劉表の後継と見なしているのは、劉jと言って良いだろう。
その劉gの異腹の弟、劉jは劉表の横に付き従っている。
劉表は劉jを伴って評定に出ることが多いらしい。
これでは劉表自らが、後継は劉jであると宣言しているようなものだ。
重鎮達もそこに劉gが無いがごとく、視線は、“噂”に名高い天才軍師に注がれている。
【劉gの帰還二】
劉表「久しいなgよ。江夏の暮らしは・・・どうであった?」
劉g「はい。明日は戦場かと思うばかりの緊迫感に満ちておりました。」
劉表「で、あろうな。東呉の青二才が虎視眈々と荊州を狙っておる。
親父の代からしつこいことよ。曹操にしろ孫権にしろ、己の欲望のために
無駄に戦火を広げる事しか考えておらぬ。何故安らかなる暮らしを考えぬのか。
民のことを思わぬのか。」
そこまで言うと、劉表は咳き込んだ。
慌てて劉jが背をさする。
劉j「父上・・・あまり無理をなさいませぬように。」
劉表「本初殿が希望であった。あの男ならこの乱世を終息させ、
平和な世を作ることが出来ると思うた。
であるから、長年力を貸してきたのに・・・。曹操ごときに敗れるとは。」
愚痴とも歎きともつかぬ言葉を呟く劉表。
その口に劉gが水を運ぶ。
代わりに口を開いたのは、やはり蔡瑁であった。
蔡瑁「で、劉g殿。何ゆえ襄陽に戻ってこられた?」
劉g「父に呼ばれたからです。伯父上。」
蔡瑁「手土産が、その何処の馬の骨かもわからぬ青二才かな。」
劉g「伯父上も諸葛亮殿の噂は聞いておりましょう。」
蔡瑁「私にその信憑性も無い噂を信じろと?」
劉g「諸葛亮殿こそ、この荊州を救えると私は信じております。」
蔡瑁「救う?劉表様の横には我等、蔡一族が控えておる。曹操や孫権如きに
指一本触れさせるものか。」
【劉gの帰還三】
息巻く蔡瑁であったが、本当にその気があるのか疑わしい。
曹操に対抗する気があるならば、最前線である新野を客将の劉備に
任せず自分で乗り込むはずだ。荊州の軍事を握っている蔡瑁ならそれが出来る。
他の重鎮達も、劉表の手前、口には出さぬが曹操に降服と言うことを
考えているかもしれない。隆中で孔明が語ったことを劉gは思い出していた。
まだ若く、御し易い劉jを担ぎ上げて、荊州全土が降服する。
蔡瑁なら考えそうな事だ。
無論劉gとて自らが槍を奮って曹操軍に切り込むなど、出来るはずも無い。
しかし、むざむざと降服するのは恥だと考えるくらいの気概はあった。
敬愛する劉備将軍の影響もあるかもしれないが。
口に唾してさらに言い募ろうとする蔡瑁を劉表が止めた。
【劉gの帰還四】
劉表「もう良い・・・蔡瑁。」
蔡瑁「・・・はっ。」
劉表「使えるか使えないかは、まず使ってみなくてはわかるまい。
折角噂に名高い先生をgが連れて来てくれたのだ。
そのお手並みを拝見するとしよう。」
劉表 「先生・・・不肖、この劉表のためにそのお力をお貸しくだされ。」
諸葛亮「はい。若輩者ではありますが、出来うる限りの事はいたしましょう。」
他にも物言いたげな重臣達は居たが、劉表がそう告げたので、
諸葛亮の登用は決まり、劉gの襄陽赴任も正式に認められることとなった。
軍師の萠リ良が、会議を運営していく。
一時(約二時間)ほどでその日の評定は終わりを告げた。
散会の後、劉gは諸葛亮を部屋に誘った。
劉g 「評定ではあまり発言なさいませんでしたな。
てっきり蔡瑁を論破するかと思っておりましたが・・・・。」
諸葛亮「下手に言い負かしても、無駄に恨みを買うだけでしょう。」
劉g 「先生・・・。今更こんな事を言うのもなんですが、
本当にわが陣営に仕えてよかったのですか?」
諸葛亮「はて?」
劉g 「例えば曹操、孫権であれば先生をもっと重用すると思います。」
諸葛亮「“天才・諸葛亮”を作ったのは、劉g様ですぞ。
あの二人ならば、そんな噂話には流されますまい。
それに私は、曹操には仕えたいと思いませぬ。」
【劉gの帰還五】
劉g 「ならば、新野におられる劉備殿は如何でしょうか?」
諸葛亮「流浪の将軍ですな。お名前ばかりはよく聞きますが。」
劉g 「私は志の高い立派な将軍であると思っています。
先生も一度お会いしてみるといい。」
諸葛亮「劉g様がそう仰るなら。」
劉g 「本来ならば、我が軍も腰を入れて援護するべきなのです。
ここ、襄陽の盾となってくださっているのに・・・。
蔡瑁は劉備殿を厄介者扱いして、己の権力保持のためにしか腰を入れませぬ。」
諸葛亮「劉備殿の話は今は良いでしょう。
劉g殿が今後なさるべき事は・・・。」
劉g 「はい。」
諸葛亮「荊州の重鎮達と接触を試みるのです。私の見たところ、今荊州で力を持っているのは、
蔡瑁殿、黄祖殿、萠リ良殿、萠リ越殿、蔡[王熏]殿の五人です。
この五人と誼を通じておくと良いのですが・・・。」
劉g 「蔡一族とはあまり・・・」
諸葛亮「でしょうな。では残り三人に絞りましょう。
それが劉g殿がいずれ、劉表様の後継として起つ時、お役に立ちます。
そして各郡の太守とも出来る限りお会いになることです。」
【劉gの帰還六】
後継とはっきりと諸葛亮が口にした。
それは弟の劉gを推す蔡瑁と敵対することであり、
今の荊州の体制と対立することも意味していた。
劉g 「情けないことに、蟷螂が斧に立ち向かう心境です。
私は今まで蔡瑁に屈して来たのです。己の身の可愛さに逃げてばかりいた男です。」
諸葛亮「蔡瑁どころか今後、曹操、孫権とも伍してゆかねばなりませんぞ。
あの二人に比べれば、蔡瑁など可愛いものです。もっと自分に自信をお持ちなさい。
劉表殿の嫡子は貴方なのですから。」
劉g 「どうにも私は女々しいようです。江夏に行った事で一度は死んだ身と
思い定めて死力を尽くしましょう。」
諸葛亮「その意気です。」
涼やかに笑うと孔明は、劉gの杯に酒を注いだ。
この天才軍師と組んだことが吉と出るか凶と出るのかは、まだ分からない。
ただ風は少し自分のほうに吹いてきたような気がした劉gであった。
劉g様の運命。劉表の寿命・・・気になります。期待sage
【その男酒飲みにつき一】
鳴り物入りで登用された諸葛亮だが、早速劉表を唸らせた。
軍事の建策は今のところ全くする様子も無いが、
内政で驚くべき成果を次々に上げているのだ。
工業・商業・農業・補修・・・何を命じられても飄々とそつなくこなす。
特別に恩賞を受けたことも一再ではない。
諸葛亮効果で襄陽は更なる発展を遂げていった。
劉gは補修の仕事を得意としていた。
しかし、いつでも自分の望む仕事が出来るとは限らない。
苦手な分野を命じられて結果を出せず。劉表から直々に厳罰を処されたこともあった。
その度に重臣達の冷たい視線と嘲りに耐えねばならなかった。
諸葛亮とは頻繁な接触を断っている。襄陽には蔡一族の目がいつも光っているからだ。
監視は他の家臣たちにも及んでいるのだろう。
劉gは重臣たちと接触を試みようとしたが、反応は良くない。
その日も襄陽の軍師・萠リ越を訪れたものの、世間話を少ししただけで体よく追い払われた。
劉gは珍しく酒屋に寄った。
体があまり強くないので、酒は控えているが、
たまには気を紛らすために、一杯引っ掛けるのも良いだろうと思ったのだ。
劉gは、大勢の客で賑わう店に一歩を足を踏み入れて・・・・こけた。
男が入り口で寝転っがていたのだ。
【その男酒飲みにつき二】
勢い良く転がった劉gが悲鳴を上げる。
客達は一瞬視線を向けたが、すぐに興味なさそうにそれぞれの話題に戻っていった。
劉gは一杯引っ掛ける気が失せて、今日はもう帰ろうと出口に足を向けた。
そしてまた転びそうになった。足元を見やると男が劉gの足首をムンズと掴んでいる。
??「人を蹴飛ばしといてそのまま変えるつもりかい?」
劉g「ああ・・・申し訳ない。眠っていると思ったので・・・。」
??「あんたのお陰で目が覚めちまったよ。こりゃお返ししてもらわんといかんなあ。」
女中「何行ってんのさ、先生。今月分の勘定がまだだから酒が出ないんだよ。
それで勝手に入り口で不貞寝してただけだろう?
お客さん、こんな達の悪いのに引っかかっちゃ駄目だよ。」
見かねたのか忙しく働いていた、酒屋の女中が声をかけてきた。
劉g「いや、確かに私が彼を蹴飛ばしたのだから一杯奢る義務があるな。
お姉さん、私と彼に席を用意しておくれ。」
女中「物好きだねえ、お客さん。この先生ときたら底なしだからね。
一杯じゃすまないよ。先生、うちの評判が悪くなるからほどほどにしといておくれよ。」
【その男酒飲みにつき三】
女中から先生と呼ばれた男は、五月蝿そうにヒラヒラ手を振って追っ払った。
向かい合うと男は、にぃっと笑ってきた。お世辞にもいい男とは言えない。
男は、年来からの友のような気安さで肩に手を回してきた。
??「さあ、相棒。一杯やろう。あすこの席が空いてる。」
男にズルズルと引きずられる形で席についた。
そして、その男が飲むこと、飲むこと。
たちまち酒壺が一つ二つと空になり、気がつけば卓は飲み干した酒壺で一杯になっていった。
劉gは目をまろくして、杯を干すのを見ていたが、
女中が勘定を告げに来て、顔が青くなった。
男は満足げに最後の杯を飲み干した。
??「ああ飲んだ飲んだ。友よ、ありがとう。」
劉g「・・・せめて名前だけでも教えてくれないか?見知らぬ友よ。」
劉gはげんなりして尋ねた。
財布を空っぽにしてくれた男は振り返るとにやりと笑って告げた
「鳳統(ほうとう)だよ。じゃあな御曹司。」
鳳統と名乗った男は、機嫌よく去って行った。
【その男酒飲みにつき四】
伊籍「それは達の悪い男につかまりましたな。」
次の日、劉gは伊籍の館に居た。
襄陽の重臣達の中で、彼だけは昔から劉gを御曹司と仰いでいた。
劉gも伊籍の館でだけは日頃の重圧から逃れることが出来た。
劉g「財布が空っぽになってしまったよ。」
伊籍「そのような所にお一人で行かれるものではありません。
今回は財布が空になるだけですみましたが、何があるかわかりません。
酒が飲みたいのなら私がお相手します。」
劉g「すまぬ。たまには良いと思ったのだが。」
伊籍「で、その男は何と名乗ったのです?」
劉g「たしか・・・鳳統と言ったかな?」
伊籍「鳳統?その男は確かに鳳統と名乗ったのですな?」
劉g「ああ。凄まじい大酒飲みだ。知っているのか?」
伊籍「鳳雛・・・。」
劉g「鳳雛?」
伊籍「鳳皇の雛と称せられる男です。彼を要したものは天下を得ることが出来るとか・・・。」
劉g「何と!?」
伊籍「大変な男と出会いましたな・・・。諸葛亮殿の噂も大したものでしたが、
鳳雛の噂は諸葛亮殿のずっと前から流れておりました。」
天才・鬼才の軍師、彼のあだ名・臥龍を必要以上に煽ったのは劉gなのだが、
そのことは伊籍には告げてない。かすかな罪悪感から劉gは身を正した。
劉g「・・・そんな凄い男であったのか。」
伊籍「主を求めて放浪しているのでしょう。劉g様、これは何かの縁です。
彼とは誼を通じておくべきです。見事、登用できれば劉g様の声望も高まりましょう。」
劉g「では、またあの酒屋に行ってみる。」
伊籍「向こうは劉g様の事を知っているようです。
小細工なしで当たっていくべきでしょう。」
【その男酒飲みにつき五】
その日から劉gはあの酒屋に通い詰めた。
鳳統が溜めておいたらしい、つけも全部支払った。
しかし、鳳統は中々酒場に現れなかった。
今日はもう帰ろうかと腰を上げたときに、目の前に男が立った。
鳳統だった。
劉g「やあ、暫くぶりだな。友よ。いや、先生か。」
鳳統「先生はよしておくんなさい。
ここの払いは済ませてくれたんだってね。かたじけない。」
劉g「ふむ。では、今日も一杯どうかな?実は待っていたのだ。」
鳳統「一杯は良いが、あっしは文無しだよ。」
劉g「奢ろう。」
鳳統「ひょっ。では、お言葉に甘えますかな。」
鳳統は次々に酒を注文し、劉gにも勧める。
鳳統の飲み方を見ていると、一杯目は唇を濡らす程度、二杯目で乾いた喉を潤し、
三杯目でやっとこれは水ではなく酒であったかと気付くといったような始末。
劉gはと言うと、一杯目で天が裂け、二杯目で地が割れ、三杯目で前後不覚となる有様だった。
しかも椀は、大酒のみの鳳統に合わせての大椀だ。
劉gは何度も意識を失い、倒れた。それでも何とか鳳統に付き合い続けた。
【その男酒飲みにつき六】
もう何度、意識を無くしただろう。二日酔いで苦しんだだろう。
それでも、劉gは鳳統と酒を飲み続けた。
その日も劉gは酩酊していた。さすがに鳳統が止めた。
鳳統「そんくらいにしときなさいよ、御曹司。
こう毎日じゃ、金も大変だろうし、何より政務に差し支えるでしょうに。」
劉g「人の財布で酒を飲んでいる男に心配されるとは思わなかったな。」
鳳統「はっはっは。これは手厳しい。」
劉g「先生、どうせ暇でブラブラしてるなら我が陣営に仕官しませんかな?
城には襄陽の美酒が集まっておりますぞ。」
鳳統「ふうむ。これはまたいきなりですな。」
劉g「仕官しませんか?」
鳳統「酒を奢ってくれたから、正直に言うが、あっしは劉表陣営に魅力を感じないんだよ。」
劉g「曹操や孫権のところに言っても、重用されるとは限りませんぞ。
新参者がのし上がっていくのは辛かろう。
勿論、鳳雛と呼ばれる先生なら、向こうも放って置かないかもしれんが・・・。」
劉gは机に突っ伏しながら、手酌で酒をついで呷った。
鳳統は酒に手をつけず、考え込むような表情をしている。
劉g「先生ほどの男なら、父は喜んで先生を受け入れるでしょう。」
鳳統「あっしのこの顔ですからな。体面を重んじる劉表殿が受け入れるとは思えんのお。
しかも劉表殿の政策は私には合わん。」
劉g「個性的な顔で良いではないですか。私も青っ白い顔をしてるぞ。
それに貴殿と負けないくらい高名な、諸葛亮と言う男も父に仕官している。」
鳳統「孔明・・・。」
劉g「お知り合いか?」
鳳統「腐れ縁でね。ここの所の奴の声望は凄まじいものがあるが・・・。」
言って鳳統は劉gを見やる。
【その男酒飲みにつき七】
劉g「まあ・・・そうですな。」
鳳統「あ奴は、失礼ながら劉表殿に仕えることは無いと思ていたったが・・・。
何か考えがあるのかな?」
劉g「私もあの人が考えていることは、良く分からん。」
言って、さらに酒を呷ろうとする劉gの手を鳳統が止めた。
そして、女中に水を持ってくるように指示する。
劉g「まだ飲めますぞ。」
鳳統「もう止めるのですな。これ以上飲むと体から魂が抜けます。」
劉g「む・・・」
鳳統「劉g殿は私に随分色々なことを語られた。」
劉g「そんなに喋りましたかな?」
鳳統「心の奥底に隠していたものが、酒によって出てきましたかな。
父上のこと、弟のこと、蔡瑁のこと、搾り出すように語られました。
聞いていたのが私で良かった。」
劉g「・・・。」
鳳統「生きたいと・・・。そう言っておられました。」
劉g「私の人生は他人に左右される人生でした。それはこれからもどうなるか分かりません。
ただ私は自分の足で立ちたい。
劉gの生きた証を残したい。先生の力を貸してほしい。」
鳳統「劉表殿ではなく、劉g殿に仕えろと?」
劉g「劉表の嫡子は自分である。」
鳳統「面白いな。これほどはっきり語られるとは思いませんでした。」
劉g「仕えてくれぬか?」
鳳統「返事は・・・」
最後まで聞かずに劉gは意識を失った。
誰かの背の上で揺られていた。
目覚めると、屋敷の寝台の中だった。
昨夜の事があまり思い出せぬ劉gであったが、
出仕してみて驚いた。見慣れた顔の男が立っている。
男は劉gをみるとニヤリと笑った。
劉gは酒飲みの希代の軍師の登用に成功した。
>>169 ありがとうございます。
鳳統偏は長くなってしまいました。
荊州が激動するのは、もう少し先になりそうです。
【臥龍と鳳雛一】
襄陽が突如慌しくなった。
蔡瑁の出陣が決定したのだ。
空白地であった上庸への出陣の為に、軍営はおおわらわだ。
鳳統「また、大げさなことだ」
役所の窓からそれを見ていた鳳統が呆れ顔で呟く。
そこに諸葛亮が近づいてきた。
諸葛亮「大兄、暫く。」
鳳統 「孔明か・・・。」
諸葛亮「蔡瑁殿の久々の出陣です。多少賑やかであっても仕方ありません。」
鳳統 「お前、劉表に何か吹き込んだな?」
諸葛亮「いえ、別に」
鳳統 「10個の都市を制圧すると、公に即位できると噂が流れているそうではないか。」
諸葛亮「そのようですな。」
鳳統 「近々、永安にも兵を出す話が出ているようだが。益州の劉璋が永安に兵を出すという
噂も流れている。もし永安を劉璋より先に占拠できたとしても、まだ支配地は九つだ。
あとは敵地から切り取るしかないぞ。」
諸葛亮「おっしゃるとおり」
鳳統 「ここにきて今までの老衰が嘘のような貪欲さだな。
劉表に何があったのだ?今まで州牧としてそれほど官爵にはこだわって無かったようだが。」
諸葛亮「さあ・・・。後を継ぐ息子に何やら形を残したいと思ったのではないですか?
公になれば、おいそれと手を出せぬでしょうし。」
鳳統 「後継は劉g殿か劉j殿か、どちらか決定したのか。」
諸葛亮「新参者の私に分かるはずがないでしょう。」
臥龍と鳳雛二】
鳳統 「昔から何を考えているか、よく分からん奴だったが、
一つだけ忠告しておくぞ。」
諸葛亮「何でしょう?」
鳳統 「俺は劉表殿でなく、劉g殿に仕官したつもりだ。
お前が劉g殿を玩具かなんかと見なしているなら、俺は全力でお前を排除する。」
諸葛亮「これは怖い。しかし、玩具とは何ですか。私は劉g殿のことは敬愛しております。」
鳳統 「お前が何を思って劉表に仕えたのか今ひとつ分からんな・・・。」
諸葛亮「大兄とて一緒でしょうに。」
鳳統 「言ったろう。俺は劉g殿に仕えようと決めたのだ。」
諸葛亮「これはえらく惚れ込んだようですな。意外でした。」
鳳統 「最近、新野の劉備殿のところによく出入りしているようではないか?」
諸葛亮「劉g殿に薦められたからですよ。他意はありません。」
鳳統 「劉備という男、確かに人を魅きつけるものがあるな。徐庶が軍師として仕えているのも分かる。」
諸葛亮「中々に面白いお方です。」
鳳統 「まあな。だが、俺は劉g殿を劉備どころではなく、いず曹操や孫権とも並び称される男にしてみせる。
劉g殿を後継にすると言うことに関してはお前も否やはないのだな?」
諸葛亮「無論でしょう。そのために田舎から出てきたのですから。」
鳳統 「では、とりあえずは同志だと言って良いだろう。」
鳳統の物言いに思わず諸葛亮は苦笑した。
鳳統は言いたいことを言うと、酒屋に行くと告げて出ていった。
毎月決まったものを貰えるようになったため、酒屋へも堂々と出入りできるようになったようだ。
鳳統がこんなにも劉gに入れ込むとは予想外の出来事だったが、
まあ今は仕方ないだろうと、諸葛亮も馴染みの女のところへ向かうために役所を後にした。
蔡瑁は翌月、無事に上庸を制圧した。
蔡瑁自身は直ぐに襄陽への帰還を考えていたようだが、
劉表自らが、漢中の五斗米道への備えのため、太守を勤めてもらいたいという
旨を伝えたため、どうにも帰還することが出来なくなってしまった。
仕方なく、襄陽には一族の蔡[王熏]、蔡和、蔡中を残して目を光らせていくつもりのようだ。
しかし、劉gとしては、目の上のたんこぶの蔡瑁が居なくなったため、
他の重臣達に会う機会が随分と多くなったのであった。
かんばれ
がんばれ
りゅーうーきー
181 :
無名武将@お腹せっぷく:02/05/21 08:00
うむ。一時応援age
【分断工作】
蔡瑁が上庸太守として任命され、襄陽を離れたことで、
劉gは他の重臣達と比較的会いやすくなった。
しかし、彼らのところにあまりにも頻繁に通いつめすぎたせいか、
劉gにとって衝撃的な事が起こった。
劉g 「せ、先生方、移動を命じられたというのは本当でしょうか?」
諸葛亮「いやあ、それが本当なのですよ。」
劉g 「そ、そんな・・・。」
鳳統 「私は、江夏に。孔明は武陵への移動を命じられました。」
劉g 「江夏に、武陵。」
鳳統 「江夏はいわずと知れた孫家との激戦地。
武陵も先ごろ、劉璋軍が制圧した永安を攻略するために将兵が集結しています。」
劉g 「戦が近いのですね。」
諸葛亮「江夏からの出陣は無いにせよ、武陵は臨戦体制です。」
鳳統 「御曹司を残していくのは辛いのですが、戦とあればしかたありません。」
諸葛亮「内政の男だけではないことをお見せする機会でしょうな。」
劉g 「先生方は活躍する場が与えられて良いかもしれませんが、残された私は不安でなりません。
実は先ごろ、伊籍も武陵に移動を命じられたようなのです。」
諸葛亮「ほう。伊籍殿も。」
鳳統 「やれやれ。どこぞの太守がちょっかいを出してきたようですなあ。
ですが御曹司。これしきのことでへこたれてはなりません。」
諸葛亮「左様。陣営の中でも劉g殿の声望は高まってきております。
他の重臣達の心が折れるのも、あと一押しというところでしょう。」
劉g 「・・・・。」
諸葛亮「劉g様、ここは踏ん張りどころです。」
鳳統 「これも蔡瑁の嫌がらせとだけは受け止めることは出来ません。赴任先は前線なのです。
私と孔明が戦で活躍すれば、我等を登用した劉g殿の評価もあがります。
我等も死力を尽くします。」
劉g「わかりました。今生の別れでもあるまいに女々しい事を言ってすみませぬ。
実は、萠リ良と少し話が通じるようになりました。屈せずに接触を続けます。」
翌日劉gは、伊籍・諸葛亮・鳳統の三名が襄陽からそれぞれの赴任先に出立するのを見送った。
【萠リ良の翻意】
萠リ良は悩んでいた。この所劉gが頻繁に訪ねてくるようになったのだ。
最初は軽くあしらっていたが、このごろはそうもいかなくなった。
仮にも劉表の嫡子である。しかもこの頃、劉表自身が劉gを見直している気配がある。
萠リ良も以前の劉gでは無いと、会うたびに思った。
しかし後継問題では、萠リ良は蔡瑁が擁する劉j派である。弟、萠リ越もそうだ。
「劉g様が面会を求めて来ておられます。」
(またか・・・。)
「お通しせよ。」
萠リ越から来た読みかけの手紙を置いて、萠リ良は家僕に答えた。
近頃、劉gは弟のところにも頻繁に訪れているらしい。
弟の困惑した様子が、手紙からも見て取れた。
(私とて困る。劉g殿は一度、後継争いから降りたはずではないか。)
劉gが江夏に行くと行った時は、無駄な争いが避けられると安堵していたのだ。
このまま劉jを後継として担ぎ上げ、行く行くは・・・。
実は襄陽の重臣達の間では、そう言った所まで話は進んでいた。
【萠リ良の翻意二】
それが何を思ったか、襄陽へ戻って来た。
しかも何やら怪しげな男、諸葛亮を連れて。能力は有る・・・どころか秀でている。
劉gの知恵袋となっているのは間違いない。
(諸葛亮は三顧の礼を尽くされて、出盧を決意したようだが・・・)
諸葛亮どころか、また一人、非凡な男、鳳統まで連れて来た。
劉gが酒屋に通って飲んだくれているという話を聞いたときは、
自暴自棄になっていると思っていた。
しかしどうやら鳳統を説得するためであったらしい。
まだ二人とも若く、新参であるが、存在感は抜群である。
蔡瑁の分断作戦で、劉g派は散り散りになったが、劉gはめげていない。
(今度は私を取り込むつもりか・・・・)
簡単に考えを変えるほど自分は甘く無いし、
流れを変えるほどの気力も無い。
(気力も無い・・・私も老いたものだ。かつて孫堅を討ち取ったときは・・・・。)
いや、孫堅と戦った時は、若かったのだ。
それから劉表を担いで荊州を平穏の地にすることに専心してきた。
その劉表の役目も終わろうとしている。
「私には、萠リ良殿が必要だ。私は荊州を曹操にも孫権にも渡す気は無い。
仮にも劉氏を名乗るものが、他家の風下に立って良いものか。」
劉gにそう告げられたときに、面食らったのと同時に、忘れていた血が一瞬沸いたような気がした。
否。荊州はさらに力のあるものに譲り渡す時が来ているのだ。
相手も決まっている。それなのに、何故今頃こうも心が揺れるのだ。
「劉g様をお連れしました。」
家僕が告げる。
萠リ良は立ち上がって、劉gを出迎えた。
【氷解】
襄陽の軍師・萠リ良に続き、その弟、萠リ越も劉gに忠誠を誓った。
手土産の茶を持って、萠リ越を訪れたときだ。
「つまらないものですまぬ。しかし、この茶は商人が申すには、値百金の値打ちがあって・・・」
言い募る劉gの手を握って、萠リ越はしゃがみこんだ。
「不肖、この萠リ越。これまでの非礼をお詫び申し上げます。
私はこのたび移動が決まりましたが、武陵太守は、貴方のお味方と思われよ。」
通いつめているうちに、江夏・太守、黄祖も折れた。
最初は劉gの訪問を面倒くさそうにあしらっていた気の荒いこの男も、
訪れるたびに手土産を持って優しい言葉をかける劉gに情が移ったらしい。
「鳳統にも、蔡瑁に屈するのかと言い寄られましてな。いや、あの男は酒も強いが気も強い。」
他の都市を治める太守も、劉gに心を寄せるものが多くなってきた。
江陵太守・呉巨、零陵太守・劉度、桂陽太守・趙範などが劉gに好意をしめした。
さらに劉gは、「白眉」馬良と馬謖の兄弟の登用にも成功し、
勇将の素質の有る男、沙摩柯も劉gの誘いに乗ってきた。
これにより、劉gの声望はさらに高いものとなった。
風は本格的に劉gに吹き始めたようである。
hozem
あ、いつのまにか劉gが・・・応援sage
楽しませていただいております。
・・・しかし皆さん文才がおありで羨ましい。
190 :
無名武将@お腹せっぷく:02/05/23 23:40
sage保全でいいんですよね?
いやあ、ホント面白い。リプレー記というより、良質なエピソードを読んでいるような気がします。
応援してます!
>>187-190 ありがとうございます。
ちと体調を崩しまして、休養中です。
治り次第、続きか書きたいと思います。
【蛟竜得水 一】
荊州で劉gの信頼が劇的に増す間、父、劉表の病は篤くなっていった。
劉表は長らく病床にあったが、病のほかにも彼を悩ませるものがあった。
後継の問題である。
長らく床につくようになると、その問題を考えるのも煩わしかった。
彼は遅く出来た子、劉jが可愛くてならなかったし、
重臣達が、劉jを推すならそれも已む無しと頭の中にはあった。
世は乱世である。劉gでは、心もとない。そう思っていた。
しかし・・・
劉表の後妻、蔡夫人が薬湯を持って寝所に現れた。
夫人「殿・・・薬湯をお持ちしました。」
劉表「今は飲みたくない。置いて退がれ。」
今まで愛らしいと思っていた夫人も煩わしい・・・。
そんなものを飲むより眠っていたかった。ここは静かだ。
夫人「何時になったら兄をお手元に呼び返して頂けるのです?」
劉表「重臣達の間でも、米賊から上庸を守るのは蔡瑁しかおらぬと決定しておる・・・」
夫人「最近、重臣達は、あの男の言いなりではないですか。あの男の・・・」
劉表「あれも我が子ぞ・・・。そのように言うでない。」
夫人「私の息子の・・・jの事はどうなるのです!!」
鬱陶しさから、夫人に背を向けた。彼女の呪詛のような呟きが身体に染み込んでくるようだ。
この女もこれまでは頼りにしてきたが、今となっては・・・
劉表「gには、翼が生えたか・・・・。いや、今までじっと潜んでいた竜が水を得た如し。
どちらにしろ、天がそれを与えたものなら私にはどうする事も出来ん。」
絶句する夫人。ふいに寝所の外が慌しくなった。
軍師・萠リ良が劉表に急報を告げる。
劉表は起き上がり、萠リ良を招じ入れた。
【蛟竜得水 二】
萠リ良「殿、江夏で大事が起こりました。」
劉表 「・・・江夏で?」
萠リ良「はい。柴桑に終結していた孫権軍が大挙して江夏に押し寄せてまいりました。
たった今、その江夏から早馬が届きまして・・・。」
劉表「江夏は落ちたか・・・。」
目を閉じたまま、劉表は深く息をついた。
孫家の恨みの対象であった江夏太守の黄祖が討たれれば、奴らも荊州への執着心が薄れるというもの・・・・
萠リ良「いいえ。相当の激戦ではあったものの、黄祖殿は見事、孫権軍を撃退されました。」
劉表「撃退だと!?」
萠リ良「御意。我が軍におきましては近年稀に見る見事な戦であったかと。」
劉表「・・・・。」
萠リ良「先ごろ、劉璋領永安も無事攻略いたしました。その折に我が軍は名将・呉懿、張任を得ましたが
それに劣らぬ戦果でありますぞ。江夏を取られましたら、荊州は一大事でありました。
この二つの勝ち戦には、劉g殿の推挙された鳳統殿と諸葛亮殿の活躍があったのは周知の事実で・・・」
夫人「萠リ良殿、今、殿はお休みになられているのがわかりませぬか?
それを長々と・・・」
劉gの名が出た途端に、蔡夫人が反応して感情的に叫んだ。
萠リ良「これは、夫人。いらっしゃいましたか。ですがどちらかというと邪魔になっているのは
貴方のようですな。私と殿は大事な話をしているのです。」
夫人「なっ・・・・。」
劉表「よい。お前は退がっておれ。」
劉表が夫人に告げると、夫人は兄がいればこのような無礼は・・・などと呟きながら
寝所を退出した。
暫くの沈黙の後、萠リ良が話を続ける。
【蛟竜得水 三】
萠リ良「劉g殿の推挙された、鳳統殿と諸葛亮殿の力は皆の認めるところです。
劉g殿には先見の明があったということでしょうな。」
劉表「・・・gの話は良い、萠リ良。」
萠リ良「はっ」
劉表「それよりも、この江夏の勝ちを天が味方したと解釈せよ。次はおそらく無い。
江夏太守を交代せよ。」
萠リ良「はっ?」
劉表「孫家の若造は、江夏に執着しておる。その一端を担う黄祖を太守の座から降ろす事によってその
執着心を紛らすのだ。」
萠リ良「恐れながら、孫権は黄祖だけを狙って、江夏に兵を出したのでは無いと思われますが。」
劉表「私の命は、江夏太守を挿げ替えろということだ。分かったな?」
萠リ良「・・・御意。」
萠リ良が深く頭を下げてから退出した。
劉表「gの推挙した軍師の活躍か・・・。gは本当に水を得たのか。
gか・・・jか・・・ワシには決められぬ。だが、焦って決めることは無い。
ワシにもまだ時があるはずだ・・・・。」
それ以上深く考える事をやめて、劉表は再び眠りについた。
そして・・・それは死の床へつく事を意味していた。
江夏に辞令が飛び、勝利をあげたばかりの黄祖は太守から降格された。
歴史的と言っても良い勝利をあげて、恩賞間違いなしと思っていた黄祖はこの人事に愕然とした。
劉表政権に不信を持っても仕方が無い。
その憤懣やる方なしの黄祖を慰めるのに鳳統は苦労したらしい。
これを依然として権力の有る、蔡瑁の差し金に違いないとし、黄祖を留意した。
劉g派の一つの手段として、悪いことが起これば蔡瑁の仕業というのは良く使われた。
体調も落ち着いたので、続き書かせて頂きました。
体調と相談してマターリと続けて下さい。
>>196 ありがとうございます。お陰さまで復活いたしました。
油断大敵でありました。
では、今宵の分を。
【一時代の終焉 一】
死に至る病に取り付かれた劉表の横に劉gは黙して座っていた。
劉表の荒い呼吸が絶え間なく続く。劉gは劉表の手を握った。
寝所の外には厳重な警戒がしかれていた。
劉表の意識が混濁してからは、面会は劉gにだけ限定された。
押しかけた劉jも蔡一族も寝所の前で足止めをくわされていた。
寝所警護の任についているのは魏延。
夫人が激昂して叫ぼうが、蔡瑁の弟が蔡王熏(さいくん)が精一杯の強がりを見せても全て無視した。
夫人 「通しなさい。妾を何と思っているか」
蔡王熏 「君主の一大事である。通さぬか!!」
魏延 「通せませんな・・・。」
蔡王熏 「下郎が!!思い上がるなよ。今に兄が駆けつける。そうなるとどうなるか分からんぞ!?
我等を甘く見るな。下郎、通せ!!」
魏延 「何度も言わせるな・・・。通すなと命を受けている。私は下郎でも、私の帯びているこの剣は、下郎かどうかわからんぞ?」
ズラリと剣を抜いた魏延が蔡王熏の喉元に剣を突きつける。
同じく寝所の警護に当たっていた沙摩柯も剣を抜く。
蔡夫人がヒッと息を呑み、顔を青くした劉jがよろめく。
魏延はその劉jの手を掴み、引き寄せた。
魏延「ただ劉j殿だけは寝所に通すように劉g様から仰せつかっている。入って良し。」
【一時代の終焉 二】
その頃、襄陽城下には上庸太守である蔡瑁の軍が詰め掛けていた。
城門の真下に来ると、蔡瑁は叫んだ。
蔡瑁「上庸太守、蔡瑁である!!劉表様の一大事と聞き、馳せ参じた!!
開門を願う、ええい、何故門をあけぬか、開門!!開門!!」
城門は堅く閉じて開かない。苛立つ蔡瑁が城壁を見上げて愕然とした。
ずらりと並んだ弓兵が矢を上庸軍に向けている。
その弓兵の間から萠リ良が顔を出した。
萠リ良「上庸に戻られよ・・・蔡瑁殿。」
蔡瑁 「何?何を言う、萠リ良殿。君主の一大事と聞いて馳せ参じたのだ。門を開けてくれ。」
萠リ良「ならん。」
蔡瑁 「裏切ったか、萠リ良!!」
萠リ良「上庸へ戻り任務を全されよ。君主の命にそむくならば、こちらにもそれ相応の対応させていだたく。」
蔡瑁 「おのれ・・・・萠リ良ォ!!」
萠リ良が手を上げると、弓隊が弓を引き絞る。今にも矢が放たれそうな気配に、蔡瑁は歯噛みをする。
睨み合いが暫く続いたが、蔡瑁はむなしく軍を返した。
萠リ良が再び手を上げ、兵を緊張感から開放したが、厳戒態勢は解かなかった。
萠リ良は劉表と劉gの事を思った。
魏延「劉j殿をお連れしました。」
魏延は劉jを劉表の寝所に誘導すると、すぐ退がった。
寝所には意識の戻らぬ劉表と、腹違いの兄弟が残された。
劉g「父の側に来い。」
【一時代の終焉 三】
劉jがおずおずと近づく。劉gは劉jを座らせた。
劉g「父上が我等の手が届かぬ場所に逝こうとされている。
別れを告げよ。」
涙を流しながら、劉jが劉表の手を握った。父上と言った様だが、言葉にならず、そのまま泣き伏した。
泣き続ける劉jを劉gはじっと見守っていた。
劉g「別れは告げたか、j。」
劉j「・・・。」
劉g「ならば退がって良い。」
劉j「わ、私も最後まで父上を看取らせてください、兄上。」
劉g「ならぬ。」
劉j「兄上!?」
劉g「父上は私が看取る。お前は寝所の外で控えておれ。」
劉j「兄上、それはあまりの仕打ち・・・。何故、何故です!?」
涙ながらに叫ぶ弟の訴えに、劉gは一瞬が揺れたが、心を鬼にした。
劉g「ならぬ、退がれ。」
劉j「兄上・・・では、せめて母上に一目でも父上の最後を・・・」
劉g「ならん」
劉gが手を打つと、魏延が入ってきた。
泣き喚き劉表にしがみつく劉jを無理やり立たせると、そのまま寝所の外まで引き摺って行った。
静寂が再び寝所を支配する。劉gは劉表の手を握ると目を閉じた。
劉表の呼吸が荒さを増す。最早、再び目を開けることは適わない。
劉gは目を閉じたまま、父の痩せ衰えた手を握り締める。
劉表が目を開ける。
見つめる劉gに向かって呟く
「すまなかったな・・・。」
苦しげに続いていた呼吸が止まった。
劉gはっと目を開いた。一筋の涙が頬を伝う。
荊州牧・劉表死去。
享年70歳。一つの時代が幕を下ろした。
201 :
無名武将@お腹せっぷく:02/05/27 17:54
魏延カコイイ!
魏延ファンなのでとてつもなくうれしいです!
【後継者として 一】
劉表が死んで数日、襄陽では葬儀が執り行われた。
ただ問題が起こった。喪主を劉g・劉jのどちらかが務めるかで重臣達がもめたのだ。
しかし、上庸・太守蔡瑁は襄陽に帰還できず、残りの蔡一族も半ば拘束、監視の身にあった。
こうなると残りの劉j派の意見は弱まり、萠リ良・萠リ越・黄祖・伊籍等が推した劉gが喪主を務めることになった。
荊州の文官武官が揃う中、葬儀はしめやかに行われた。
劉gは、父の死を悼み、慟哭した。
弔事の途中でも声がつまり、萠リ良に助けられることもしばしばだった。
その様子を見ていた群臣達は、劉表に愛されていたとは言いがたい、劉gの
この悲しみ様に痛く感動し、涙を流した。
劉gの館に諸葛亮と鳳統が訪れていた。
劉gは葬儀を取り起こなっと疲労と、悲しみから憔悴しきっていたが、
これからの事を図らねばならない。
鳳統 「酒を一献いかがですかな、劉g様。時に酒は悲しみを紛らわす薬になります。」
諸葛亮「大兄、劉g様はお疲れです。あまり無理をおっしゃいますな。」
鳳統 「む・・・。」
劉g 「いや、一杯頂きます。諸葛亮先生もどうか。」
諸葛亮「はい。」
酒を杯に注ぐと、三人はしばし黙祷した。
劉g 「亡き父に。」
諸葛亮・鳳統 「劉表様に。」
杯を掲げると、一息で中身を呷った。
【後継者として 二】
劉g 「さて。今後のことですが、先生方。私に知恵をお貸しください。」
諸葛亮「よろしいのですか?」
劉g 「はい。」
諸葛亮「では喪が明け次第、直ちに後継者としての宣言を行うべきです。」
鳳統 「左様。荊州の群臣達の大半は劉g様の後継を認めるでしょう。
ただし反対派が居るのも確かです。そのうちの何名かは不穏な事を考えているかもしれませんな。」
劉g 「努力が足らなかった。」
諸葛亮「いいえ劉g様。これはいたし方ありますまい。
後継として立つ見込みが立ったことで良しとしましょう。」
鳳統 「その通りです。上庸太守の蔡瑁は間違いなく反発するでしょうが、
最早、彼奴に力はありません。ついて行く者もおらんでしょう。」
諸葛亮「では、劉g様。今更ですが、後継として立つ事に迷いはありませぬな?」
劉g 「はい。父と寝所で二人っきりになったときに決意しました。弟には可哀想なことをしましたが。」
鳳統 「けじめと力を示すために必要なことでした。よく心を鬼にして我等の要求に答えてくださいました。」
劉g 「父は口を開くことも最早かないませんでしたが、私は眠っている父に多くの事を語ったと思います。」
諸葛亮「劉表様の残された荊州は当然守っていかねばなりませんが、それに付け加え・・・・
以前から申しておりました、劉氏復興を方針として掲げましょう。これで納得し、追従する者もでるはずです。」
劉g 「劉氏復興の意思があることは、おぼろげながら萠リ良にも伝えてあります。
私もその方針に依存はありません。」
諸葛亮「御意」
劉g 「先生方に置かれましては、これからも私に力を貸していただきたい。」
鳳統 「御意。我等これより劉g様への忠誠と、一命を賭して働くことを誓います。」
【後継者として 三】
その夜遅く、鳳統と諸葛亮は劉gの館を出た。
二人で夜道を歩いた。
鳳統 「これから忙しくなるぞ、孔明。」
諸葛亮「ええ。」
鳳統 「劉g様は乱世には不向きな方だ。」
諸葛亮「はい。時に葬儀では泣かれておりましたな、大兄。」
鳳統 「ああ。貰い泣きしたよ。劉g様の哀しみは、本心であろうからな。
純粋だ。弱くもろいが純粋だ。私はあの方を守っいきたい。」
諸葛亮「同感です。」
鳳統 「本心か?孔明」
諸葛亮「失礼ですな大兄。」
鳳統 「いや許せ。これからよろしく頼むぞ。」
諸葛亮「はい。こちらこそ。」
数日後、喪を解くことが宣言された。
劉表は儒を重んじる人であったが、
乱世であるためいたしかない処置とされた。
それらは全て劉gの命で行われた。
そして、吉日を選んで劉gは群臣を集め、
後継者として荊州を統治することを宣言すると共に、
逆賊を討ち果たし、劉氏の建威復興に邁進すると誓ったのである。
劉g37歳。君主としての船出であった。
劉gカコイイ!
でも問題は迫り来る寿命ですね・・・
今までこんなにカッコイイ劉gが存在しただろうか・・・
職人さん、頑張れ!
更新をクリックするとき、「ニョニョニョ」と画面が動いた時は、ドキドキします
【混乱の気配 一】
「後継者があの劉gだと!?」
上庸城内で蔡瑁が激昂して叫んだ。
劉gの後継決定に関して完全に蚊帳の外で、
上庸待機を命じられたままだった。
蔡瑁「うぬ、蔡王熏(さいくん)何をしておる・・・。
蔡和は、蔡中は、張允は!!」
間者「それが・・・劉j様に組したと思われる方々は厳重な監視下にあり、
手も足も出せぬ有様でございます。」
蔡瑁「信じられぬ・・・ここまで劉gの力が増しているとは信じられぬ。
・・・ええい、お前はとっとと退がれ!!」
答えに窮している間者を追い払い、蔡瑁は室内をウロウロと歩き回った。
「劉g一人でここまで形勢を覆せるはずがない。あの諸葛亮とかいう男の仕業か。
ひよっ子と青二才めが組んで、この蔡瑁に歯向かうか!!
しかも劉氏の復興だと?何を今更とち狂ったことを言っておる。
馬鹿どもめ・・・。ここ上庸の全軍をもって攻め込んでやる。目に物見せてくれる。」
不穏な言葉を呟きながら、バシッと拳を掌にうちつける。
「だが襄陽を攻め落として、劉j様を解放しても、
他の奴等の同意が得られぬのはうまくないな。
うむ、まずは檄文を認めるとするか。こんな時に王粲がおれば役に立つんじゃが。」
【混乱の気配 二】
蔡瑁は筆を持ち出すと、頭を捻りながら書き始めた。
「劉表様臣、蔡徳珪申す。先君の墓の土も乾かぬうちに襄陽に賊有り。
今や荊州に大乱の兆しあり。此れ誠に危急存亡の秋なり。
然れども諸君等は沈黙を守るばかりであり、これは如何なることであるか。
先君の遺児を賊から解放し、あるべき場所におつけするのが臣下の、いや人の道ではないだろうか。
諸君等はこの蔡徳珪を旗頭に、襄陽に駆けつけるべし。」
「ううむ。こんなもんで良いだろう。今は事情が分からずに襄陽の言いなりになっている奴等も
これを読めば、兵を挙げるだろう。とくに永安太守の呉懿などは、我が陣営に帰順して
間もないし、食いついてくるに違いないぞ。」
先ほど、追い払った間者を呼び戻すと、各都市の太守に届けるように指示し、
上庸に駐屯する武将達に臨戦体制でいるように触れを出した。
が、武将達の反応は悪くそれがさらに蔡瑁の機嫌を悪くした。
数日後、間者が戻ってきた。蔡瑁は嬉々として間者を部屋に入れた。
【混乱の気配 三】
蔡瑁「やつらの反応はどうであった?返事はもらってきたか?」
間者「う・・・」
蔡瑁「どうした、食いついてきたであろう?」
間者「それが・・・」
蔡瑁「ええい、はっきりと言わぬか。」
間者「はっ!!各都市の太守におかれましては、取り付くしまもなく、
中には激怒し、剣を抜いて追いかけてこられた方もおりました。」
間者が心なしか涙ぐみながら報告するのを、蔡瑁は呆然としながら聞く。
蔡瑁「何故だ、何故だ!?これもあの青二才の仕業か。おのれぇぇええ、諸葛亮ぉぉぉおおおお!!!
ええい、この役立たずめが、退がれ!!」
間者「た、太守様。ただお一人からお返事をいただいて来ております。こ、これを」
手にしていた杯を投げつけられ、割れた額から血を流しながら間者がほうほうの体で書簡を取り出す。
蔡瑁「それを早く言わぬか、誰からじゃ?江夏の蘇飛か、それとも江陵の呉巨か?
いいや、やはり永安の呉懿だろう。ええい、もう良い、お前は退がれ。」
間者を追い払うと、蔡瑁は幾分気を取り直した。
「乗ってきたのが一人とは計算外だったが、
他の奴等もワシが兵を挙げれば、立ち上がるに違いない。
そして今に見ておれよ、我が一族を必ず再興してみせるぞ・・・・。
首を洗って待っているがいい、ひよっ子に青二才め」
一人呟きながら、書簡を広げる。
「この決起は重要だ。江夏か、江陵か、永安か・・・
ここ上庸と挟んで襄陽を火の海にしてくれるわ。」
書簡の書き出しには、端的に言えばこう書いてあった。
「ワシ韓玄だけど」
蔡瑁は絶句した。
>>201 ありがとうございます。
某も魏延は好きです。
>>205 ありがとうございます。
寿命に関しては結構ドキドキしますね。
>>206 ありがとうございます。
今宵もお楽しみいただければ幸いです。
ワシ韓玄ワラタ!
ワシ韓玄だけど <サイコーニワラタ!
私も絶句しました。
214 :
無名武将@お腹せっぷく:02/05/29 15:24
こりゃ凄い
215 :
無名武将@お腹せっぷく:02/05/29 15:28
>>劉g
普通、同族に対しては、姓(氏)をつけては呼ばないだろ?
>>215 ゲームリプレイだから、見ている方にも解りやすくしているんじゃないかな。
これだけ知識のある人だから承知の上でやっているものと思われ。
217 :
無名武将@お腹せっぷく:02/05/29 15:36
>>216 褒めすぎでは?
>>208の冒頭にある「劉表様臣、蔡徳珪申す…」のくだり、
うえにたいしては、諱で記すものだと思う。
こまかいツッコミですまないのは承知してる。
韓玄ゲキワラタ
>>217 > 中には激怒し、剣を抜いて追いかけてこられた方もおりました。」
それに怒ったやつも中にはいた。とでも解釈しとけー。楽しもうではないですか。
>>217 もっとおおらかに楽しもうよ
せめてこのスレぐらいは
【叛乱 一】
210年、上庸太守、蔡瑁は決起した。
「この蔡瑁、後継があの劉gなどと断じて認めることは出来ん。
亡き御主君の意向を踏みにじる、犬どもを討てっ
劉gの首をとれ、諸葛亮を殺せ!!
襄陽で囚われの身となっている真のお世継ぎを解放し、
荊州をあるべき道にもどすのだあ!!」
大音量で将兵に向って、演説をぶっていた蔡瑁だが、
周囲がザワザワと落ち着きの無いのに気がついた。
見下ろすと兵達が右往左往している。
部隊長等が静まれ、静まれと声をかけているが、一向に収まらない。
蔡瑁は見る見る不機嫌になって、周囲のものに当り散らした。
蔡瑁 「何を騒いでおるか、馬鹿者どもを黙らせろ!!」
某一 「いえ、それが将軍達のお姿が見当たらないのです。」
蔡瑁「何!?」
周囲を見回すと、さっきまでそこに立っていた武将達が居ない。
部下達に探してくるように言いつけると、苛々と待った。
兵達のざわめきは収まる気配が無い。
ついに部隊長達が青筋を立てて怒鳴り散らし始めたようだ。
【叛乱 二】
蔡瑁 「おお、戻ったか。奴等は居たか?」
某二 「はっ・・・先ほど最後の将軍が城門を呵呵大笑しながら出て行ったと
城門を守っていた兵達が・・・。」
蔡瑁 「ば・・な、何ゆえ引き止めなかったのか」
某一 「下級の兵達にそんな力は・・・」
某二 「将軍達は、叛乱者に付き合うことは出来ぬと。」
某三 「兵達に無駄に命を捨てるのは馬鹿らしい、止せ、止せと・・・
言っておられたようです。」
蔡瑁は口をあんぐり開けたまま怒鳴ることも忘れていた。
あらためて、城頭から見下ろすと、
兵達が混乱している様子が見て取れる。
蔡瑁「これでは・・・襄陽を攻めることが出来ないではないか。」
某一「は、はあ・・・」
ドシンと座り込むと蔡瑁はふいに恐怖感に囚われた。
この一万数千の兵が暴徒と化して、自分に襲い掛かってきたらどうなるか。
八つ裂きではすまない・・・。骨も残らないかもしれない。
「と、取りあえず、今日はこれで解散する。
兵を持ち場に戻せ。今後のことは追って沙汰する・・・」
青ざめ、裏返った声で周囲のものに告げると、蔡瑁は部屋に引きこもった。
そして誰かが呼びにきてもなかなか出てこようとはしなかった。
>>211-213、
>>218 ありがとうございます。
前回の「子育て韓玄」の時に引き続き、
「ワシ韓玄」を出してしまいました。
やはり、私は韓玄ネタから離れられないようです。
韓玄LOVEですから・・・。
>>214 ありがとうございます。
お楽しみいただければ幸いです。
>>215 本当は字で呼びたかったんですが、劉gの字が
わかりませんで、劉gとしました。ご了承ください。
>>216 ありがとうございます。
ですが、私の知識はたかが知れております。お恥ずかしや。
>>217 ありがとうございます。
自分も過分の言葉を頂いたと思っております。
今、赤面しておるのも、酒のせいだけでありますまい。
勉強不足で申し訳ない。お見苦しい所はこれからもあると思いますが、
ご容赦のほどを。
>>219-220 ありがとうございます。
楽しんでいただけると嬉しいです。
皆様のレスは本当にありがたいです。励みになります。
>>223 215、217です。少々、ですぎた物言いだったかもしれません。
韓玄ネタ、最高です。
永安太守の呉懿は張允と密談を行っていた。
この二人は元々は益州に勢力を持つ劉璋配下で永安に駐屯していたが、
劉表存命時に荊州軍に破れ、その折に降服し許され、呉懿はそのまま
永安太守の座につくことを許された。
劉gが後継を宣言したときは、呉懿は率先して賛同し、張任もそれに従った。
呉懿「上庸太守の蔡瑁が叛乱を起こした。」
張任「聞いております、太守殿。」
呉懿「配下武将は誰も従わなかったらしい。蔡瑁は上庸で孤立した。
実は俺も奴に誘われた口でな。これを見てみるといい。」
張任「拝見・・・ほう、檄文ですな。」
読み終えた檄文を張任は呉懿に返したが、呉懿はそれを火の中に放り込んだ。
バチッと音を立てて、蔡瑁の書き記した字が焼け落ちていく。
呉懿「誰も乗らんと思ったが・・・一人乗った奴が居る。」
張任「それが・・・長沙の」
呉懿「韓玄だ。奴も孤立した。」
張任「韓玄は間抜けの一言に尽きるとしても、これは厄介ですな。」
呉懿「うむ。よりによって孫権軍が集結中している柴桑の境界線で独立するとはな。
孫権が食らいついてくるのは間違いないぞ」
張任「劉g様も頭が痛いことですな。」
呉懿「それよ。我等には劉g様の苦しみを和らげる義務があると思わないか?」
張任「臣下としてそれは勿論のことです。」
呉懿「ワシは上庸の蔡瑁を攻めようと思う。
このまま放置すれば漢中の張魯が兵を出すのは見えている。」
張任「蔡瑁と劉g様は確か・・・」
呉懿「ああ。そのしがらみから劉g様も兵を出すのを躊躇うかもしれない。
我等が後押しして差し上げるのだ。」
張任「御意。」
呉懿「上庸にはお前に言ってもらうぞ。分かっているとは思うが、
荊州陣営で新参の我等が劉g様に忠誠を示す好機だ。」
張任「叛乱者を一瞬で踏み潰してきましょう。」
呉懿「襄陽にはワシから知らせを入れておく。」
【思惑 二】
叛乱が二箇所で起こるとは、上々の船出とは言えなかったが、
兎にも角にも劉gは荊州牧についた。
劉gは襄陽の軍師に新たに諸葛亮を任命した。
萠リ良は軍師交代を素直に受け、その補佐役に回った。
さらに、鳳統や伊籍を襄陽に呼び戻した。
新旧の臣下が配置良く並んだことで、荊州新政権の本拠、襄陽は安定していた。
予想通り、蔡瑁が叛乱を起こしたことは劉gを痛く悩ませていたが、
重臣達との会議の結果、討伐軍を出すことで話が進んでいた。
そんな折、永安太守呉懿から上庸攻略の援軍要請が届き、
叛乱者蔡瑁を討伐することは決定事項となった。
劉g 「永安太守の呉懿から援軍の要請が来ておる。」
伊籍 「永安からは総大将として張任殿が派遣されるようです。」
萠リ良 「張任殿だけで十分上庸は鎮圧されると思いますが。」
鳳統 「呉懿殿が独断行動を避けたのでしょう。」
劉g 「こちらから誰を派遣するか決めなければならないな。」
諸葛亮「それに関しては私に提案があります。」
劉g 「軍師、聞かせてもらおう。」
諸葛亮「蔡和殿と蔡中殿を派遣しましょう。」
その場にいた全員が呆気にとられた。
寝返りも考えられる無謀な策でもあり、
一族の不始末を一族で付けされるという、見せしめにもなるが。
残酷な仕打ちとも言えた。
優しげな顔をしてこのような事をさらりという諸葛亮。
だが劉gにはこのような非情な考えが出てこないことも確かである。
劉gは、一瞬迷ったが諸葛亮の意見を採用した。
【蔡瑁の末路 一】
蔡瑁は叛乱を決意して以来、失意の日々を送っていた。
部屋に引きこもったまま、酒を飲む日々が続いた。
聞けば、長沙の太守韓玄も叛乱を起こしたらしいが、上庸と長沙ではあまりにも遠く、
連携の取りようもない。蔡瑁は腐りきっていた。
太守がこの様だから軍にも規律が無く、上庸の治安は乱れきっていた。
蔡瑁はその日も部屋から出ずに大声で酒の追加を命じた。
しかし酒はやってこず、兵が一人転がり込んでいた!!
蔡瑁「な、何だ!?お前なんぞ呼んでおらんぞ、退がれ!!」
兵士「た、た、太守様」
蔡瑁「五月蝿いのお。出て行かぬか。」
兵士「敵襲でございます。」
突然の兵士の叫びに仰天して立ち上がった蔡瑁は、
酒びたりの生活のせいで足腰が持たず引っくり返った。
立ち上がろうとしてまた転んだ。
助け起こそうとする兵士を、振り払うと蔡瑁は真っ青になって叫んだ。
蔡瑁「は、はよう行け。」
兵士「は?」
蔡瑁「お、お前もはやく行って、敵を防がぬか、愚図愚図するな。」
兵士を追い出すと、転がるように部屋から飛び出る。
城内は蜂の巣をつついたような騒ぎとなっていた。
規律の取れてない軍はの有様は酷かった。
何が何だか分からないまま、とにかくあるだけの兵をかき集めて、
蔡瑁は出陣した。士気は最悪だった。
まもなく、目前に張の旗が迫ると、陣形を整えていない蔡瑁軍に襲い掛かる。
張任「劉g様に成り代わり、叛乱者を成敗する。
裏切り者を殲滅せよ!!」
【蔡瑁の末路 二】
蔡和と蔡中は必死で馬を走らせていた。
二人の率いる一千の軍の後ろからは、総大将魏延が指揮する一万弱がぴったりとつけている。
「二人に不穏な動きがあれば直ちに殺せ」
魏延は諸葛亮に命を受けていた。
蔡和も蔡中もそれを知っているから、必死である。
まもなく戦場に到着した。遠目から見ても討伐軍の優勢は見て取れた。
張任の指揮する軍が雑草を刈り取るように蔡瑁軍を始末している。
突如、戦場に響く魏延の大音声。
魏延「襄陽から援軍に参った。これより叛乱軍討伐に加わる!!」
張任「来たか・・・」
張任は援軍を確認すると、魏延に負けず叫んだ。
張任「援軍が到着したぞ。一気に殲滅する、押し包め!!」
討伐軍の勢いは俄然増した
蔡瑁軍はまとまりのとれないまま、そこかしこで討伐軍に突き落とされ、踏み潰されていく。
一万弱いた兵達は既に数千に減っていたが、さらにその数を減らした。
敵に背を向け、逃げ始める兵が続出する。
蔡瑁軍は討伐軍に百、二百と包囲され、そこかしこで武器を投げ捨て降服していく。
【蔡瑁の末路 三】
蔡瑁「なんたることだ、なんたることだ。」
兵士「蔡瑁様、敵援軍が到着した模様です。」
蔡瑁「言われんでも分かっておるわ!!」
上ずった声で蔡瑁が怒鳴り返す。その兵が顔に矢を受けて落馬した。
周りを囲ませて自分を守らせていた兵も、残り数百となった。
最早これまでと、兵を見捨て城の中に逃げようとした。
と、その背後から一軍が突っ込んできた。
蔡瑁「ぬう・・・ワシが城に入るまでしっかり守らんか!!」
振り返った蔡瑁は突っ込んできた一千ほどの軍を見て愕然とした。
見慣れた顔が居る。
蔡瑁「蔡和・・・蔡中・・・。」
蔡和と蔡中が鬼気迫る表情で蔡瑁軍を突き崩していく。
城門に向っていた蔡瑁は行く手をふさがれた。
可愛がっていた甥っ子達によって、自分の軍が殲滅されている。
蔡瑁「蔡和、蔡中、貴様等もかあああ!!」
絶叫した蔡瑁の目の前に、ぬっと現れる魏延。
あっと思ったときには蔡瑁は一撃で馬上から叩き落された。
魏延「捕らえろ」
魏延は馬上から蔡瑁に槍を突きつけたまま兵に命じた。
戦は終わった。
【蔡瑁の末路 四】
魏延は城外で幕舎を張り、戦後の処理に当たっていた。
蔡和・蔡中には上庸内を回って治安の維持に努めるように命じた。
魏延の幕舎には、両手両足を縛られた蔡瑁が転がされている。
生きた心地もしないのか、真っ青な顔をして黙りこくっている。
「張任殿がお見えになりました。」
兵士が張任の訪いを告げる。
魏延は立ち上がって出迎える。
張任「張任です。」
魏延「魏延であります。この度はお見事なお働き。」
向かい合った瞬間、緊張感が走り、兵が唾を飲む。
勇将同士の初顔合わせである。
張任「魏延殿、なぜ城内に入られないのです?」
魏延「劉g様からの命令書を預かっております。」
魏延は張任に書簡を手渡した。
魏延「叛乱軍討伐の後は、張任殿が上庸の指揮を取り、張魯に備えよとのことです。」
張任「私を上庸太守に?」
魏延「私は戦後処理が終わったあと、直ちに襄陽に帰還します。後のことは一切お任せします。」
張任「承った。で、魏延殿あれはどうするのです?襄陽に護送ですかな?」
張任は転がった蔡瑁を見やって言った。
魏延「いや・・・あれに関しても命令を受けております。」
魏延が剣を抜いた。蔡瑁がヒッと息を呑む。
張任「処断ですか・・・。」
蔡瑁「ま、待て、待ってくれ。」
口走る蔡瑁に向って、無表情に魏延は剣を振りかざした。
【蔡瑁の末路 四】
てっきり首と胴体が離れるものと思っていた蔡瑁は、
縄が解かれ、自由のみになっているのに驚いた。
口をパクパクさせる蔡瑁に魏延が言い放った。
魏延「去ね。どこにでも行くが良い。」
張任「魏延殿、宜しいのか?」
魏延「劉g様の直々の命令であります。捕らえたなら逃がしてやれと。」
張任「少々甘い処置だと思うが。」
魏延「私もそう思いますが、あれも先君に仕えて助けた者だからと劉g様が仰いましてな。」
張任「左様か。」
魏延「おい、蔡瑁。劉g様の温情に感謝するのだな。」
命が助かった安堵と、かつて襄陽で権勢を振るっていたときは末席に居た若輩者に
見下される腹立たしさから、蔡瑁は口走った。
蔡瑁「何が温情だ、感謝だ。末代まで呪ってやるわ。
あやつ如きが荊州を治めることが出来るはずがない。曹操か孫権に滅ぼされるが良い・・」
最後まで言わせず魏延が蔡瑁を殴り飛ばした。
魏延は吹っ飛んだ蔡瑁を踏みつけた。
魏延「俺の気が変わらないうちにとっとと出て行け。
一度、出て行けと告げたから、お前を殺しても俺は全然構わんのだぞ。」
蔡瑁がほうほうの体で、ヨロヨロと幕舎から出て行く。
魏延「おい。遠くに行くまで走らせろ。少しでも足を止めるようなら打ち据えて良い。」
命を受けた兵が二人、騎乗すると蔡瑁の後を追いかけた。
早速、蔡瑁の悲鳴が聞こえた。
魏延がベッと唾を吐く。
魏延「あんな男を一時期でも上官に仰いでいたかと思うと虫唾が走るわ。」
張任「同じ蔡一族の蔡和、蔡中が居ましたな。あれも処断ですか?」
魏延「その件に関してはあずかり知りません。軍師殿あたりが何か考えるのでしょう・・・。
では、張任殿。我等は今夜にも襄陽に戻ります。後のことはよろしくお願いいたします。」
張任「了解した。」
叛乱を起こした蔡瑁は鎮圧され、追放された。
代わりの太守として張任が任命され城内に入った。
魏延はその日の夜、蔡和と蔡中を伴って襄陽に帰還した。
>>224 ありがとうございます。
こちらは気にしておりませんから、そちらも気になさらず。
今宵も稚拙な文章ですが、お楽しみいただければ幸いです。
うお魏延渋カッチョイイたまらん。
蔡瑁が「蔡和、蔡中」というのも何か変ですね(w
どうかお目こぼしを・・・。
…魏延…イカしすぎ…
蔡瑁が「和!中!」って呼ぶのかな?・・・でもそれだと読む方には、わかりにくいし・・・
蔡和・蔡中の字なんて知らないし・・・
このままの表現の方が私は嬉しいな〜
・・・やっと自分のトリップ思い出した。
韓徳殿、遅れ馳せながらお疲れ様でした。
時々名無しで応援sageやってましたが、改めて・・・。
劉g殿、お疲れ様です。
個人的にお気に入りな魏延が活躍してて嬉しいです。
>>233、
>>235 ありがとうございます。
魏延は今のうちに活躍させておかねば(謎)
>>236 いつもいつもありがとうございます。
マッタリ続けていきますので今後ともよろしくお願いします。
>>237 神が自分のリプレイに降臨するとは・・・。
拝んでおこう。南無阿弥陀仏。
魏延は私も大好きです。でもちっと目立ちすぎかなあ。
申し訳ございませんが今宵はお休みさせていただきます。
蔡和、蔡中の呼称については、戚族であり、なおかつ蔡瑁を年長とするなら
叔(三男以降 単に弟を指す場合も)でもつけて、叔和、叔中あたりでいいかも
しれませんな。
もしくは、「和(蔡和)、中(蔡中)っ!」あたりでもいいかも。
あとひとつ、やはり主君の諱は避ける方が、現実的にも雰囲気の面でも妥当です。
「劉(g)伯さま」(伯は嫡流の長子を指す)が、いいかもしれませんな。
何度もの細かいツッコミ、失礼。
>>239 おいおい・・・。
気にしてないと言われたとたんそれかいな
貴方に充分知識があることはわかるし、
親切心で言ってるんだろうけど、あんまり細かいと嫌味だよ。
まるで昔リプレイヤーで、人の作品にあれこれ批評付けてた禰衡みたい。
>>239 もうそれで終わりにしておいた方がいいよ
俺もだんだんムカツキ始めてる
「なんちゅうウザイ奴だ」って
【孫権動く】
孫権は柴桑にあった。
彼は先年満を持して江夏に攻め込んだが敗れたことに大きな衝撃を受けていた。
黄祖を殺して父の仇を討ち、孫家の積年を恨みを晴らすと同時に
江夏攻略は荊州に足掛かるとなる重要な地点だ。
柴桑から出撃した大軍を指揮したのは、程普。さらに補佐として韓当、黄蓋。
父の代から仕えている宿老を見送ったとき、まさか敗退するとは孫権は思いもしなかった。
孫権は若い。敵に捕縛の後に解放され、屈辱に身を震わせた程普を出迎えたときに
「勝敗は兵家の常」と豪儀に許す気持ちになれなかった。
程普、韓当、黄蓋は兵権を剥奪され、一線を引くこととなった。
兄孫策の義兄弟であり、今は自分の片腕以上の存在である周瑜は秣陵にいた。
ついに北平を攻略し袁家を駆逐した曹操は、寿春を中心に大軍を展開した。
それと睨み合っている周瑜に柴桑まで来てくれとはいえない。意地もある。
思いにふけっている孫権の背後にスルスルッと初老の男が近づいてきた。
張昭「殿・・・・。」
孫権「おう張昭か。」
張昭「例の一件、けりが付きそうです。」
孫権「手を焼かせたな。しかし、あの男・・劉gがまさかここまで大きくなるとは思わなかったわ。」
張昭「劉gは劉表から荊州を引き継いだばかりで全ての部下を掌握しているわけではありません。
反対派の巨頭であった蔡瑁を始末したといっても、他にも不満を持っている者はまだ大勢・・・。」
孫権「だが襄陽は良くまとまっている。先年江夏を攻めきれんかったのも、劉表ではなく
劉gの影響があったせいだろう。」
張昭「その事はもう忘れなさいませ。江夏は無血で手に入ります。」
孫権「・・・うむ。力で捩じ伏せたかったがな。」
張昭「それは長沙で。」
孫権「あんな間抜けが相手ではな。吹けば飛ぶわ。」
張昭「宿老方はまだお許しになりませんか?」
孫権「そのうち復帰は考えておる。ワシもすぐには退けん。」
張昭「御意。寛大な処置を。」
【混乱の気配 一】
江夏太守蘇飛は悩んでいた。
孫家の間者が五月蝿いくらいやって来る。
悪い噂でも流れてはたまらんと、最初は追い払った。
しかし間者は江夏の何処にでもいるらしい。
酒を飲みにいけば隣に座る。寝ている間に書状が枕元に置かれている。
領内を視察していると商人や土工の姿で近づいてくる。
町で引っ掛けた女が間者だった時に蘇飛は音を上げた。
江夏を土産に寝返り・・・。
それで自分の立場は孫家で保障される。
支持したとはいえ劉gが後継では不安もある。
半分決意を固めていた蘇飛を後押ししたのは、
珍しく蘇飛の館に酒を持って現れた湖賊あがりの男だった。
男は単刀直入に切り出した。
甘寧「大将、決心付いたかい?」
蘇飛「何の話だ?」
甘寧「回りくどい話は好かねえ。ズバッというぜ、寝返りよ、寝返り。」
蘇飛「お前・・・。」
甘寧「最近大将の周りをブンブン飛び回ってる奴等のこと、噂になってるぜ。」
蘇飛「む・・・。」
甘寧「もう襄陽にも噂は届いてるなあ。大将、首切られちゃうぜ。
どこか遠くに飛ばされて一生を終えることになるなあ。」
蘇飛「・・・。」
甘寧「そんなのつまらねえだろ?俺もそんなのは耐えられねえ。
知ってるかい?黄祖が帰ってくるんだってよ。」
蘇飛「黄祖殿が?」
甘寧「新しい御主君の信頼が厚いって話しだし、太守返り咲きってやつだな。
そうなるとどっちにしろあんたは用無しだ。」
蘇飛「貴様・・・。」
蘇飛は甘寧を睨みつけると刀を引き寄せた。
甘寧はその様子に動じることなく、杯に入っていた酒を一気に飲み干した。
【混乱の気配 二】
甘寧「怒らずに最後まで話を聞きなって。俺はあんたには世話になったし感謝してるんだ。
だからこうやって忠告してるのよ。出て行く前にな。」
蘇飛「出て行く?お前、下野するのか?」
甘寧「ああそうよ。戻ってくる黄祖は嫌いだし、どうもこの荊州の水は俺に合わん。
だから出て行く。」
蘇飛「行く当てはあるのか?」
甘寧「実は、最近俺のところにも話が来てな。それに乗ることにしたよ。」
蘇飛「それは・・・孫権からだな。」
甘寧「おおよ。あんたと同じだろう?だが、俺はあんたが羨ましい。」
蘇飛「羨ましい?」
甘寧「裸一貫で出て行く俺と違ってあんたは土産がある。それもとびっきりの。」
蘇飛「江夏だな・・・。」
甘寧「あちらさんが咽喉から手が出るほど欲しがってるぜ。このままジリ貧の劉gに仕えるより
俺と一緒に孫権の旦那の所で一花咲かさないかい?」
蘇飛「・・・実はもう決心は付いているのだ。」
甘寧「おお」
蘇飛「お前がワシと同じに寝返りを決心していたとはありがたい。」
甘寧「じゃあ決まりだな。」
蘇飛「ああ。江夏を土産に孫権に願える。」
甘寧「嬉しいねえ、大将。じゃあ今日は2人の前途を祝って一杯やろうじゃねえか。
付き合ってくれるかい?」
蘇飛「良い店を知ってる。そこに行こう。」
肩を組んで蘇飛の館から出た二人だが、蘇飛が目を逸らした隙に
甘寧は草むらに小銭の入った袋を投げ込んだ。
甘寧と蘇飛が立ち去り暫くしてその袋を拾ったのは、蘇飛に付きまとっていた間者である。
その昔湖賊を生業にしていた男だった。
>>239 ども。
呼び名がおかしいのは自分でも分かっていますから、
どうぞご容赦のほどを。
>>240 いやいや。お手柔らかに。
禰衡氏は最近見かけませんな。
>>241 こんばんは。
私ごときのリプレイネタで貴殿がいらつかれるのは本意ではありません。
今宵の分を書き込みましたので、お楽しみいただければ幸いです。
訂正
×「ああ。江夏を土産に孫権に願える。」
○「ああ。江夏を土産に孫権に寝返る。」
他にもおかしいところありますけど。取りあえず。
>>245 劉g殿、了解
落ち着きます
湖賊イメージムンムンの甘寧に萌え〜
甘寧タンが敵になったら・・・・ガクガクブルブル
ドキドキしています。
【荊州混乱 一】
張昭の読みどおり劉gの影響力は今のところ荊州全域には及んでいなかった。
反劉g派であった武将達は次々と出奔するか、他勢力に引き抜かれたりした。
襄陽からも張允や王粲、傅巽の姿が消えていた。
書簡を携えた使者が各都市の太守の間を忙しく飛び回る。
時には劉gが直接太守を訪問して心のうちを語った。
だが時間が無い。荊南まで手が回らない。
それは突然やってきた。柴桑の孫権軍が長沙に攻め込んできたのだ。
長沙は劉gの後継就任に反発した韓玄が新勢力として独立していた。
襄陽の会議では、蔡瑁の叛乱を鎮圧した後は韓玄に軍を送ることが決定していた。
しかし、孫権は劉gにわずかの間も与えなかった。
韓玄軍は木っ端微塵に粉砕された。
韓玄は何が何だか分からなかった違いない。
長沙の城からは韓の旗が降ろされ代わりに孫の旗が翻った。
韓玄は捕縛された後解放され、曹操の所に落ち延びて行った。
後にちゃっかり業β(ぎょう)の太守に納まっていたりするが、
この男の話はここで置いておこう。
劉g配下の荊南太守達は震え上がった。
見たことも無い大軍が長沙に突如現れたのだ。
身の保身を考えて早くも孫権勢力に打診している者もいるらしい。
そして更なる衝撃が荊州を襲った。
江夏太守蘇飛、寝返り。
襄陽城内で劉gは思わず頭を抱えた。
【荊州混乱 二】
劉g「このままズルズルと孫権軍に押さえ込まれるわけにはいかん。
江夏と長沙の奪還は我が軍の急務である。」
襄陽では緊急会議が開かれた。
襄陽の重臣達の他に荊南の太守たちを代表して萠リ良の弟、
武陵太守の萠リ越も出席している。
劣勢に回っているといえど、重臣達の顔色は悪くない。
それよりも皆、奪われた領地をどう回復するか真剣に考え、意気も盛んである。
その様子を見て劉g派ほっと安堵した。
諸葛亮「直ちに荊南諸都市の建て直しが必要です。
兵力の補強とそれを指揮する武将を派遣する必要があります。」
萠リ良 「荊南は今までの平穏な暮らしに慣れきっておりました。
各都市の太守も兵の備えが万全でなく、今大慌てで徴兵を行っております。」
諸葛亮「徴兵は各都市の太守に行っていただくとして・・・・
問題は荊南における武将の欠如ですね。」
萠リ良 「そうですな・・・残念ながら孫権軍と張り合える武将がおりません。
襄陽から将軍を派遣するべきなのですが、江夏が敵の手に渡った以上
こちらも臨戦体制である必要があります。」
諸葛亮「危険が伴いますが、襄陽の武将を派遣するしかありますまい。
また江陵も再編の余地があります。」
萠リ良と諸葛亮のやりとりを聞いて誰もが難しい顔をする。
襄陽に身を置く武官は、黄祖、魏延、沙摩柯、王威、文聘などである。
これを二分するのは痛い。誰もが勇将であるが何処か決定力に欠けている。
最近特に劉gの信頼が厚い魏延もまだ将軍として経験不足である。
劣勢の状況を覆す総大将に任じるには、不安があった。
黄祖 「殿、何をお迷いあるか。この黄祖を派遣してくだされ。
裏切り者の蘇飛の首を跳ね飛ばして、江夏を奪い返して見せましょうぞ。」
諸葛亮「黄祖殿、将軍として経験のある貴方には襄陽で殿をお守りいただかねばなりません。」
黄祖 「む・・・。」
鳳統 「取りあえず私が荊南に参りましょう。」
劉g 「鳳統が行くとは心強い。形勢は思わしくないが、襄陽でも出来うる限りの
援助はする。どうか耐えてほしい。」
鳳統の派遣に皆が頷いたときに、荊南太守を代表して出席していた萠リ越が前に出た。
萠リ越 「僭越ながら、この萠リ越。殿に会っていただきたい武将がおります。
この男なら荊南の指揮を任せることが出来ると思います。」
劉g 「おお、萠リ越。そのような武将がおったか。」
萠リ越 「はい。私は武陵に赴任してから、荊南の武将を多く見てきました。
荊南いや荊州中を見回してもこの男ほど適任はおりません。」
伊籍 「荊州にそのような武将がおられましたか。」
萠リ越 「うむ伊籍殿。殿に皆に紹介したい。黄忠を呼べ!!」
【荊州混乱 三】
会議室の前で控えていた兵が、一人の男を中に通した。
誰もが部屋に入ってくるその男に注目した。
と、誰かが嘆息した。
萠リ越に黄忠と呼ばれた男は猛々しい気力を放っていたが、
初老の域に達しようとしていたのだ。
萠リ越 「この男は姓は黄、名は忠、字を漢升と言います。
以前は長沙太守の韓玄に仕えておりました。」
萠リ良 「韓玄の所におったのか。」
萠リ越 「はい。あの愚か者が殿に叛旗を翻した時に、それに乗ることなく
武陵に逃れてまいりました。私がそれを保護していたのです。
元々長沙では太守韓玄よりも、この黄忠の方が名が知れていたのです。」
劉g 「ううむ。恥ずかしながらこの劉g、今まで将軍の名を知らなかった。」
萠リ越 「殿、それは我々が悪いのです。反蔡瑁派の諸将は政治の中枢から外され、
不遇を囲っておりました。我等も蔡瑁の片棒を担いでいたのですから。」
萠リ良 「耳の痛い話ですが、その通りですな。」
劉g 「萠リ越がそのように手放しで誉めるとは、よほどの男なのであろうな。」
萠リ良 「はい。武術も並ではありません。特に弓の腕前は半端ではなく、
曹操、孫権の武将達の中にも黄将軍に比肩するものはおりますまい。」
劉g 「そんなにか・・・。」
改めて劉gは仁王立ちする黄忠を見直した。
確かに常人には無い気力を感じる。
劉gは黄忠が気に入った。
劉g 「皆に不満が無いようなら、私は萠リ越が推すこの将軍に荊南の指揮を任せたいが、どうか?」
諸葛亮「恐れながら殿。」
劉g 「軍師、何か意見があるのか?」
諸葛亮「はい。失礼ながら黄忠殿はお年を取りすぎているご様子。
果たして年若い孫権軍の猛者たちと戦えますでしょうか?」
若干ながら黄忠の顔に青筋が走り、諸葛亮を睨み付ける。
憤怒の黄忠に臆することなく諸葛亮は続けた。
【荊州混乱 四】
諸葛亮「戦の勝敗が個人の武術で決するとは言えませんが、萠リ越殿が申すには、
黄忠殿は並でない武術をお使いになるとか。それを見とうございます。
それで襄陽の武官の皆様も納得するのではないでしょうか。」
黄祖 「腕だめしか。それは良い。」
黄祖が愉快そうに笑う。
劉gは思わず止めそうになったが、鳳統が目配せしてきたので静観することにした。
黄祖 「で、軍師殿。誰で試すのだ?ワシが出てもよいぞ。」
諸葛亮「将軍のお手を煩わせることはありますまい。
沙摩柯!!」
沙摩柯「・・・オウ」
諸葛亮「黄忠殿にお相手してもらえ。それと誰か、稽古用の剣を持ってまいれ。」
沙摩柯が一歩前に出ると、兵士が持って来た訓練用の歯引きされた刀を手に取る。
同じく黄忠も受け取る。
黄忠「おい、若いの。手加減してやるからかかって来い。」
沙摩柯の顔に朱が差した。
「手加減・・・必要ナイ」
いきなり渾身の力で黄忠に剣を打ち込む。
しかし黄忠はそれを軽くいなして沙摩柯の手を打った。
沙摩柯「ガッ!?」
黄忠 「勢いは良いが、手元がお留守じゃわい。」
あしらわれた沙摩柯は剣を広い、握りなおすと再び打ちかかってきた。
二合、三合と打ち合うが、今度は五合目で剣を巻き取られた。
黄忠 「やっぱり勢いだけじゃのお。まだまだ精進が足りん。
今の荊州の将軍の腕前はこんなものですかな。」
諸葛亮「これはこれは御見それしました将軍。」
黄忠 「年を取っているからといって甘く見ない方が宜しいですぞ。
戦場ではそれが命取りになる。」
諸葛亮「これは耳が痛い。以後気をつけます。」
黄忠 「じゃが折角御主君の前で我が力を披露出来る機会。
出来ればもう少し誰ぞにお付き合い頂きたいが・・・。」
黄祖は苦笑いをしているし、他の将軍達も付き合う気はないらしい。
黄忠には軽くあしらわれたが、沙摩柯もまた並の腕前では無いことは知っているのだ。
黄忠 「誰ぞこの黄忠の相手をする者はおらんか?」
「ここに居るぞ!!」
突然、何者かが黄忠に剣を振り下ろした。
その鋭い打ち込みに黄忠も手に持った剣で危うく交わす
【荊州混乱 五】
黄忠「ほお・・・。なかなかやるのお、若いの。名は?」
魏延「魏延だ。黄忠殿、暫くお付き合いいただこう!!」
黄忠と魏延の激しい打ち合いが始まった。
十合、二十合、三十号・・・。
魏延の鋭い打ち込みの何度かは黄忠の見事な白髭をかすめ、
黄忠が気合と共に振り下ろす剣は、見ているものが危やと思うことが何度もあった。
黄忠「青いのお。そんな事ではこの黄忠からは一本取れんぞ。」
魏延「黄忠殿こそ、息があがってきておりますぞ。」
さらに激しさをます打ち合いに、劉gはたまらず叫んだ。
劉g「それまで、両者とも剣を収めよ!!」
二人の間に、兵や他の将が割って入り引き離した。
劉g「両者とも見事な腕前である。
だが戦を前に怪我でもしたら元も子もないではないか。」
黄忠「御意。」
劉g「黄忠、お主の腕前見せてもらった。皆も納得したであろう。」
居並ぶ将軍達も頷き、文官達も異論はなさそうであった。
劉g 「では黄忠をして、荊南の孫権軍に対しての柱とする。
鳳統、よく黄忠を補佐して、必ずや長沙と江夏を奪回してくれ。」
鳳統 「御意。黄忠殿のお手並みを拝見して、この鳳統も血が騒ぎました。」
劉g 「黄忠、厳しい戦となると思うがよろしく頼むぞ。」
黄忠 「御意。ご主君にご奉公できる事、無上の喜びです。」
劉g 「襄陽からは魏延、文聘、沙摩柯を派遣しようと思う。軍師、どうか?」
諸葛亮「よろしいかと。」
劉g 「その他の将軍の配置に関しては、軍師、黄忠、鳳統、萠リ越等で話し合って決めてほしい。」
諸葛亮「御意」
劉g 「沙摩柯、黄忠殿に鍛えなおしてもらうと良い。魏延、訓練中は構わぬが戦の最中に黄忠と張り合うことの無いように。」
沙摩柯が不器用に頭を下げ、魏延が憮然とした表情で軍礼する。
居並んだ諸将軍思わず笑みを漏らす。
【荊州混乱 六】
劉g「ではこれより戦地に赴く将軍達に心ばかりの酒宴をはらせてもらおう。
時が時ゆえにあまり派手なことは出来ぬが、今日ばかりはゆっくりしてくれ。」
鳳統「それは良い。戦場で酒を一杯という訳には参りませんからな。」
劉g「嘘をつけ。」
劉gと鳳統のやり取りに、今度は皆が大声で笑う。
戦況は思わしくないが、黄忠という新たな指揮官を得て、
皆が「これからだ」、「孫権軍何するものぞ」という気力に満ちていた。
酒宴でも黄忠は常人ならざるところを見せ付けた。
酒を樽のまま抱えて飲み、肉を塊のままムシャムシャと食らう。
これには魏延も諸手を挙げて降参し、飲み比べで復讐を図った沙摩柯は撃沈した。
黄忠に嬉々として付き合ったのは、鳳統くらいのものだ。
黄忠と鳳統、指揮官と参謀の打ち解けた様子に劉gも安堵したその時、
劉gばかりでなく、宴に参加していた者たちが全員冷や水をぶっかけられる事態が起こった。
駆け込んできた兵が行きも絶え絶えに報告する。
兵士「宛の曹操軍、大挙して新野に侵攻、劉備軍は激戦の末、敗れました。」
劉gは手に持っていた杯を落とした。
今宵の分、更新しました。
>>247 果たして今後甘寧に出番はあるのか(笑)
>>248 いつもありがとうございます。
お楽しみいただけるかどうか分かりませんが、
まとめてアップしましたのでご覧ください。
256 :
無名武将@お腹せっぷく:02/06/04 06:49
劉gたん、病弱だから寿命が心配。
曹操も負けずにがんばって欲しい。
黄忠キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!
応援sage
曹操軍キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!
魏延タンや沙摩柯タンが撃沈してしまうような酒豪黄忠タン。
その黄忠タンに嬉々として付き合う[广龍]統タン。
その[广龍]統タンと酒屋で飲んだ劉gタン。
劉gタンって無理を重ねているのですね。
目指せ!長生き!劉gタン。
【緊急事態 一】
にわかに宴の場は騒然となった。
衝撃の大きい劉gは、伊籍に抱えられるように出て行き隣室にて休んだ。
その間に宴席は全て片付けられ、一転緊急会議となった。
黄祖、文聘、王威らが襄陽に厳戒態勢を敷くため飛び出して行く。
諸葛亮は更なる情報を得るために間者の手配を急ぎ、
黄忠、鳳統、萠リ良、萠リ越などは意見を盛んに交換した。
魏延は沙摩柯をしゃっきりさせるために、桶三杯の水を被せていた。
暫くして劉gが伊籍に支えられて戻ってきた。
顔は青く、唇は震えている。
劉g「おお・・・何ということだ。まさか劉備殿がこういった事態になるとは。」
諸葛亮「宛太守、夏侯惇率いる大軍が突如として現れ、新野を占拠した模様です。
劉備軍は善戦むなしく敗れたと・・・。」
ボロボロな姿の兵士が諸葛亮の脇でしゃがみこんでいる。
新野から命からがら襄陽に逃げてきたのを、諸葛亮の間者が連れてきたらしい。
劉g「援軍の要請があれば、ここ襄陽から全軍を出して応じたものを。」
襄陽には今、荊州中でも指折りの勇将が勢ぞろいしている。
それらを派遣できなかったことを劉gは悔んだ。
諸葛亮「殿のせいではございません。劉備殿は恐らく援軍を出す暇もなかったのでしょう。
曹操軍の騎馬隊は恐るべき機動力をもっております。それが大挙して押しかけてきたら・・・。」
劉g「して劉備殿はいかがいたした?まさか討たれたのでは・・・あるまいな。」
兵士は劉備の護衛の任についていたものであった。
状況はより正確に分かるに違いない。諸葛亮が間者を使って落人から選び出したのだ。
護衛兵「夏侯惇軍襲来の報を受け、殿は直ちに迎撃体制を取りましたが、数で勝る敵軍に抗せず、
あっという間に乱戦となり、次々と押し寄せる敵軍にいつしか将軍達も散り散りに・・・。
勝負を決定付けたのは、汝南からの敵援軍が到着したときでした。」
劉g 「関将軍や張将軍の武も大軍に押し切られたか・・・。」
護衛兵「はい。しかしお二人とも討たれたという事は聞いておりません。
劉備様も恐らく・・・ご無事だと思います。私は最後まで劉備様に付き従っていたのですが、
敵の追撃から逃れているときに背に矢を受けて落馬しました。
それで劉備様とはぐれたのです。襄陽に来れば劉備様と会えると思ったのですが・・・。」
諸葛亮「劉備殿が襄陽に入られたという情報は入ってきておりません。
もう少し時をおけば正確な情報が伝わると思いますが。」
諸葛亮が首を振りながら答える。心なしか日頃冷静なこの軍師の顔も青い。
劉g 「よし・・・お前はもう退がってよいぞ。傷の手当てをして、
今宵はゆっくりと休むが良い。」
劉備の護衛兵は兵士に連れられて退がった。
孫権軍ばかりでなく、ついに曹操軍と軒を接するようになった。
会議は重苦しい雰囲気に包まれた。
【緊急事態 二】
襄陽に厳戒態勢が敷かれたまま、その日の会議は散会した。
翌日になると落ち延びてくる者も増え、詳しい情報も入るようになった。
劉備三義兄弟や趙雲らは何処かに落ち延び、消息不明である。
ただ劉備軍軍師、徐庶が捕縛の憂き目にあい、曹操の下に連れ去れたそうである。
この日も襄陽では早朝から会議が開かれていた。
萠リ良「黄忠殿を対曹操にあてますか?」
劉g 「いや、曹操軍の脅威が迫ってきたとはいえ、孫権軍を軽く見るわけにはいかん。
黄忠には予定通りに出立してほしい。」
黄忠 「御意。直ちに軍備を整え、桂陽に入ります。」
対孫権の本拠地は桂陽に置かれることになっていた。
桂陽太守趙範は大人しく太守の座を黄忠に譲った。
孫権軍の重責から逃れることが出来て安堵したこともあるのだろう。
武陵太守の萠リ越も桂陽と同等の兵力を置き、長沙の孫権に備え、
黄忠が長沙に侵攻する時には全兵力をもって援護する。
零陵の劉度には堅く守って出てくるなと指示してある。
返す返すも長沙を占拠されたのは痛い。荊南のどの都市も危機に晒される。
奪回出来るか否かは、は黄忠と鳳統の手腕に期待するしかない。
黄忠はその日のうちに、鳳統、魏延、沙摩柯、文聘らを引き連れて桂陽に出立した。
残された劉g、諸葛亮、萠リ良は新野の曹操軍に対する会議を続行した。
諸葛亮「劉g様、意見を申してよろしいですか?」
劉g 「おお軍師。何か良い策があるか?」
諸葛亮「はい。荊南にほとんどの将軍を派遣した今、襄陽の守備に不安が残ります。
永安の呉懿殿、上庸の張任殿に代わる者はその任地に無く、
呼び寄せることは出来ません。」
劉g 「うむ・・・。」
諸葛亮「ただし、この劣勢な状況を打開できる者達がおります。」
萠リ良 「軍師殿?最早荊州中の将軍は調べつくしたと思うが?」
諸葛亮「居るではないですか。先ごろ善戦むなしく曹操軍に敗れた・・・」
萠リ良 「まさか・・・」
諸葛亮「そのまさかです。劉備軍を襄陽に迎え入れるのです。」
【劉氏連合 一】
黄忠軍出立を見送っていた伊籍も会議に加わった。
諸葛亮の意見に劉gは興奮し、手で膝を打った。
劉g 「おお、その手があったか。そうだ、劉備殿は敗れたとは言え、曹操軍に取らえられた
わけではない。お迎えする事が出来れば、襄陽はぐっと厚みを増すぞ!!」
諸葛亮「先日来、間者を総動員して劉備殿等の居場所は掴んでおります。」
劉g 「流石は軍師仕事が早い。では早速・・・」
萠リ良 「殿、殿、暫くお待ちくださいませ。」
萠リ良が興奮する劉gを抑えるようにして、発言する。
萠リ良「確かに劉備殿の下には、関羽、張飛、趙雲などの一騎当千の猛者が揃っております。
我が軍に加われば強力な戦力となることは、この萠リ良も分かっております。」
劉g 「分かっておるならばいいでなはいか?何か問題があるのか萠リ良?」
萠リ良「殿、劉備殿は龍です・・・。」
萠リ良が嘆息して続ける。
萠リ良 「先君がご存命の頃、劉備殿に十分な兵力を与えなかったのは、
蔡瑁の我侭ばかりでなく、劉備殿が脅威であったからです。
黄巾の頃より乱世を駆け巡っていた劉備殿には胸に期するものがあるでしょう。
それを私は恐れたのです。荊州を乗っ取られると・・・。」
劉g 「杞憂である。劉備殿に限ってそのような事は無い。」
萠リ良「殿は、劉備殿の話となるとお目の色が変わりますな。」
【劉氏連合 二】
萠リ良「無論、今の荊州が先君の頃より纏っているのは認めます。
ただ劉備殿も今まで邪険にされていたのに、突如手のひらを返したように
一大事だから、我が軍に加わってくれと言われるのはどう思うでしょうか?
自勢力は滅びて最早この大地で立つ見込みは無いと言うのに。」
劉g 「萠リ良の申すこともっともである・・・。確かに虫のいい話だ。」
諸葛亮「ただし殿が、劉備殿と同じく劉氏復興、勤皇の志を示している以上、
劉備殿もそれを無視できますまい。」
劉g 「なるほど。では後は劉備殿の荊州の立場ということとなるな。」
諸葛亮「はい。」
劉g 「では、劉備殿にはこの劉gを後見してもらうということではどうか?
同じ劉氏であるし、私も何かと心強い。」
伊籍 「劉氏を強調するならそれはまたとない結びつきとなるでしょうな。」
萠リ良 「しかし、そんなに上手くいくでしょうか・・・。後継問題で揉めた矢先ですぞ・・・。」
諸葛亮「時は乱世であり、群雄達は一つでも多くの地をと相争っております。
ですが、その争っている土地も、無論この荊州も、元を返せば漢朝のものなのです。
領土、勢力に固執すれば殿の後見に劉備殿が付くことに異論を挟む者も居るでしょう。
しかし、荊州の地は許都におわす陛下のもの。荊州の軍は陛下の軍なのです。
そう考えれば劉備殿が劉g殿を補佐されても何ら問題はないのではないでしょうか。」
萠リ良 「ほう・・・・。」
諸葛亮「朝廷を曹操が牛耳ること長く、漢朝の威光は霞んでおりますが、
劉氏である殿と劉備殿が手を結び、劉氏復興、勤皇の志を高らかに叫べば、
独裁者であり逆賊の曹操を討つ大儀名分も明らかとなるのです。」
諸葛亮の現に場はしんと静まり返った。
萠リ良もこの男は、腹の底でのような事を考えておったかと驚くと同時に
自分よりはるかに若いこの軍師を見直した。
劉g 「よくぞ申した軍師。この劉g感服したぞ。
劉備殿と手を結び、逆賊曹操を討つのだ。これは言わば劉氏連合だ。」
諸葛亮「おお、劉氏連合・・・。」
伊籍 「我が軍の道もこれでさらにはっきりと示されましたな。」
萠リ良 「殿や軍師殿のお考えにこの萠リ良も賛同いたします。最早異論は挟みませぬ。」
劉備を招くことで会議は決した。
劉氏連合が提示されたとはいえ、まだ劉備自身を承諾していない。
まず劉備を説得する役目は、軍師の諸葛亮が自ら引き受けた。
うっ、今宵はことさらに誤字が多い・・・。
読みにくくてスミマセン。
>>256 ありがとうございます。
病弱ネタにはまだあまり触れておりませんが、
そのうち描きたいと思っております。
>>257 ありがとうございます。
今後、黄忠の出番は増えるでしょう。
>>258 ありがとうとございます。
しかも大軍です。夏侯惇怖いです。
>>259 ありがとうございます。
先にも触れましたとおり、病弱・短命を克服するために
ある方と接触を図っております。その話はまた後ほど。
夢破れて 一】
劉備は汝南にいた。
敵地曹操領土だが、身分を隠しこの地の宿屋に潜伏していたのだ。
だがその個性的な風貌から、見るものが見れば直ぐに劉備だと分かるであろう。
危険極まりないが、劉備は動こうとしなかった。
曹操軍に完膚なきまでに敗れたことが、この男から覇気を奪い去ったのである。
何のために新野で長年耐えてきたのか・・・。夢が破れて酒の量は日々増えた。
その日も昼間からしたたかに酒を飲み、酔いつぶれて部屋で眠っていた。
気が付けば夜になっている。腹が減ったが、動くのが億劫なのでこのまま寝てしまおう・・・。
そう思ってふと窓の外に目をやるとで何やら動いてる。
じっと見ているとそれはどうやら人であるらしい。しばらくもがいていたがどっさりと部屋に落ちてきた。
曹操軍の刺客かと思ったが、こんなにどん臭い刺客も無いであろう。
劉備は無視した。
窓から落ちた者は、暫く腰を摩っているようだったが、劉備を見つけるとスルスルッと近づいてきた。
なおも無視して眠った振りをする劉備の耳にふっと息を吹き込んだ。
劉備 「ぬわっ。」
諸葛亮「こんばんは。」
劉備 「ああ・・・お前か。何しに来た。」
諸葛亮「夜這いに来ました。」
劉備 「生憎と寝床は一人用でな。」
しがみ付いて来る諸葛亮を五月蝿そうにシッシッと追い払う。
諸葛亮「殿、起きて下さいませんか。」
劉備 「殿?お前の殿は劉g殿だろう。」
諸葛亮「そんな冷たい。私の殿は劉備様だけです。私と殿は一心同体、水魚の交わり・・・」
劉備 「何を言ってる。ワシを見捨てて今は襄陽の軍師様だろうが。」
諸葛亮「心の殿は、劉備様ですよ。隆中にお尋ねあった時からそう言ってるではないですか。」
実は劉gより先に諸葛亮に接触したのは、劉備だった。
この二人で密談が何度かあったようだが、劉備が所用に追われ、隆中に行くことが出来ない間に
諸葛亮は劉gの三顧の礼を受け、劉表に仕えた。
劉備 「全く裏切りもいいところだ。」
諸葛亮「その件に関しましては、手紙を出しておいたでしょう。」
劉備 「読まずに食べた。」
諸葛亮「またそんな事を・・・。それよりも起きてください。」
劉備 「嫌だ」
諸葛亮「起きてください」
劉備 「嫌だ」
問答を繰り返しながら、宿のボロ布団をひっぱるものだから・・・
劉備 「あっ!!」
哀れ布団は真っ二つになってしまった。
勢いよく裂けたせいで諸葛亮はゴロゴロと転がって机の柱に頭をぶつけた。
劉備 「あ〜〜〜っ、宿の姉ちゃんに叱られる・・・。」
諸葛亮「あイタタタタ・・・・。大丈夫ですよ。さっき充分に払いをすませときました。」
劉備 「それなら何でワザワザ窓から入ってくるんだ。」
諸葛亮「夜這いですから。」
布団が破れていじける劉備を無視して、
明かりをつけても良いですか?と、諸葛亮は立ち上がり、部屋に置かれている燭台
に灯を入れていく。そこで初めて部屋に篭る酒の匂いに顔をしかめる。
【夢破れて 二】
諸葛亮「あまりお酒を過ごされますな。」
劉備 「ああ〜〜ん?他にすることが無いから仕方ないだろうが。
我が夢は潰えたのだ。これが飲まずにいられるか。」
諸葛亮「今日は大事な話を持ってきたのですよ。しゃんとしてもらわねば困ります。」
劉備 「大事な話?流浪の男に何の大事な話があるか。」
駄々っ子のような劉備にも諸葛亮は辛抱強く話す。
部屋の隅にある壺から水を汲んできて渡す。
諸葛亮「もう少し殿のために工作するつもりではあったのです。
しかし同僚の鳳統の目が厳しく派手な動きが出来ませんでした。
鳳統があんなにも劉g殿に心酔するとは計算外でした。
出来れば味方になってもらいたかったのでが・・・。」
劉備 「ああ、劉g殿も立派に成長したからの。弱々しい男とばかり思っていたが
化けたもんじゃ。偉いもんじゃな。」
グビグビと水を飲みながら呑気に劉gを誉める劉備に諸葛亮は苦笑した。
確かに自分がかなり後押ししたとはいえ、劉gは驚くべき成長を遂げた。
しかし劉gを推したのは、荊州で自分の発言力が増すのを見越したため。
諸葛亮が真に惚れたのは、劉gでなく目の前のこの男なのだ。
諸葛亮「今日はその劉g様の言葉を伝えに参ったのです。」
劉備 「劉g殿の?」
諸葛亮「はい。ずばり連合の申し入れです。」
劉備 「連合?誰と誰の?」
諸葛亮「ですから、殿と劉g様のです。」
劉備 「何を馬鹿な。」
呆気に取られていた劉備だが、馬鹿馬鹿しいと笑い飛ばした。
劉備 「ワシは敗残の将だぞ。土地も兵力も無い。
そんな男に連合の話などとそんな上手い話があるか。」
諸葛亮「しかし貴方には命を賭けて仕える義兄弟と屈強な武将達が居ります。」
【夢破れて 三】
劉備 「義弟達とは逸れてしもうた。趙雲ともな・・・。」
諸葛亮「逸れた方達の居場所は分かっております。」
劉備 「義弟達は無事なのか?」
諸葛亮「はい。皆さんご無事です。」
劉備はそれを聞くと嬉しそうに云々と頷いている。
諸葛亮「その他の皆さんも多くは襄陽に流れてこられましたので保護しております。
殿が劉g様の下に参れば義兄弟の皆さんも勇んで駆けつけてこられましょう。
桃園の誓いは未だ終わらずです。」
劉備 「しかし・・・。」
渋る劉備に諸葛亮は会議で決したことを話して聞かせた。
話している間に劉備の気力が満ちてくるのが分かった。
劉備 「元よりこの劉備。勤皇の志に偽りは無い。
そうか・・・劉g殿がそれを旗印に掲げたか。
荊州が変わりつつあることは、新野におってもそれとなく伝わってきたが。」
諸葛亮「ですから劉氏連合が重要になってくるのです。」
劉備 「偉く持ち上げられたものじゃ・・・。」
諸葛亮「荊州は兵力はまだしも武将の数が不足しております。
劉備軍の武将が加わればこれは大きな力となるのです。
劉g様に殿、どちらも同じ志のもとで両方に利益があることなのです。
ですから臆することはないのですぞ。」
劉備 「む・・・。」
諸葛亮「さらに劉g殿は殿を自分の後見とすると明言しておられます。
劉g殿に万が一のことがあった時は、殿が荊州を率いることになります。」
劉備 「物騒なことを申すな。」
諸葛亮「万が一の話です。殿の居場所は荊州にあるのです。
これから曹操や孫権との争いも熾烈となってきます。その時荊州の諸将は殿の有難味を知るでしょう。」
劉備 「夢は破れたと思ったが・・・・まだワシにも戦える場所があるのか。
後見云々よりそれが嬉しい。」
諸葛亮「劉g殿が直々に殿をお招きに見えるとの事です。」
劉備 「それには及ばん。ワシが劉g殿の所に参る。立場はどうあれ、劉g殿に仕える身となるのだから。」
龍が再び立ち上がったことに諸葛亮は安堵した。
劉備は酒を断ち、身を清めて劉gの下に出向いた。
劉gは涙ぐむほど感激し、劉備を最高の礼を持って迎えた。
劉備が再び姿を現したことで、身を潜めていた関羽や張飛、趙雲達も襄陽に馳せ参じた。
劉氏連合が成り、劉g陣営は将軍不在の決定力不足が解決され、
劉備もまた志の為に生きることとなったのである。
三日ほど所用にて空けます。
×机の柱に頭をぶつけた
○机の脚に頭をぶつけた
はぁ・・・・。
>劉備「読まずに食べた。」
最高です。おもしろすぎ!
一見硬い感じですが、たま〜にポロって入るギャグが和らげてくれますな〜
応援sage
布団が破れたことでいじける劉備様に萌え〜
蒼天ぽい諸葛亮タンにモエ。
保全sage
275 :
無名武将@お腹せっぷく:02/06/11 22:59
すげえ面白いのでageときましょう
我、所用から帰還せり。
落ち着いたら続き書きます。
今回からトリップつけました。
>>270 軽薄な会話のやり取りは某の得意とするところ。
受けるかどうかは別ですが・・・。
>>271 ありがとうございます。
硬いですか。これまでとは一風変わったリプレイを
目指しております。
>>272 今回で劉備のキャラが固まってしまいました。
全く予期せぬことであったのですが。
>>273 蒼天孔明は私も好きです。
赤壁後にどう変わった姿で出てくるのか楽しみですね。
>>274 ありがとうございます。
>>275 ありがとうございます。
続き頑張ります。
こっちのリプレイスレは一風変わってて面白いね。
応援sage。
【魏王宮 一】
魏王曹操は雄大な宮殿で執務を取る。
愚かにも歯向かった宿敵袁紹の息子達を処断して河北を完全に制圧し、
中原は更に地盤を固め、司州、雍州も支配下に置き、
涼州の馬騰も今や陥落寸前。そしてつい先ほど、漢中の張魯は降服した。
勢いは留まるところを知らない。
今上帝をも手中に収めること長く、誰もが認める天下の第一人者である。
そして傍らには彼の張子房、荀ケがある。
世間で噂されているような不仲説は、その様子から見て取れない。
とかく噂とは尾ひれが付くものである。
その荀ケの報告に、曹操は走らせていた筆を止めた。
曹操「劉備が劉gと手を組んだと申すか?」
荀ケ「御意。」
曹操「相も変わらず拾われるのが上手い男よ。」
痩身をゆすって愉快そうに笑う。
曹操は今度こそ劉備の息の根を止めるつもりで、夏侯惇に命じて大軍を新野に侵攻させた。
狙い通り劉備軍は壊滅したものの、またもや劉備は逃げた。
曹操「劉備めまた逃げたか。まさに脱兎の如しだな。まあ、あれは兎の様な耳をしておったか。」
荀ケ「殿下、笑い事ではありませんぞ。
劉備を迎えた荊州は、存外強固に纏っております。」
曹操「鈍牛が死ぬのを待てばよいと思っていたが、意外な伏兵がおったな。」
荀ケ「狙いが外れましたか。」
曹操「うむ。鈍牛の息子・・・何といたっか」
荀ケ「劉gですか?」
【魏王宮 二】
曹操「劉g・・・一体何ものぞ。崩壊寸前であった荊州を見事に纏めおったわ。」
荀ケ「ただし、磐石とはいえません。現に叛乱は起こっておりますし、
揚州との全面対決も近いでしょう。」
曹操「それでも間者の話では意気盛んだと言うではないか。」
荀ケ「御意。劉gには中々の参謀が付いている様子。」
曹操「噂に聞く臥龍と鳳雛か。どれほどのものかは知らんが・・・。」
荀ケ「劉gと劉備めは、劉氏復興を旗印に掲げたと聞きます。」
曹操「この曹操を逆賊とするか。余には苦し紛れの詭弁にしか思えぬ。」
荀ケ「失礼ながら、最も分かりやすい旗印ですかならな。逆賊と言うのは・・・」
曹操「勝手に言わせておくが良いわ。これまで彼奴等と同じ旗印を掲げ、
歯向かったは良いが、成功したものを余は知らん。」
荀ケ「劉gという男・・・。私には無理をしているようにしか見えません。」
曹操「無理?」
荀ケ「燕雀が鴻鵠の真似事をしているような・・・。」
曹操「鍍金ならば何れは剥れよう。計画していた南征は暫し延期だ。
その燕雀がどれほどの者か見定めなくてはならん。
夏侯惇にはせいぜい新野から襄陽に圧力をかけるように申し伝えよ。」
荀ケ「御意。私は一気に広がった領土の安堵に努めます。」
荊州の劉gと揚州孫権の全面抗争は近い。魏王曹操はそれを傍観する立場を取った。
精々争ってお互いが傷つけあえば良いのだ。
その抗争の後、自分の前に立つのは、果たして劉gか孫権か。
常識的に考えれば、孫権が有利なのだろうが、曹操は何故か荊州・・・
劉gに不気味さを感じるのであった。
>>277 ありがとうございます。
一風変わっているところをお楽しみいただければ幸いにござる。
劉gリプレイ応援sage
個人的には劉備と孔明のかけあいや
魏延の活躍ぶりが好きです。
【大戦間近 一】
窓から眺める景色にも飽きた。
それでも若者は窓の外を眺めた。
襄陽中心からはなれた小さな屋敷の一室で若者は一人膝を抱える。
僅かながら通じる外からの話で、叔父の決起は失敗に終わったことを知った。
その時からその僅かな伝も届かなくなった。監視が強くなったのだ。
唯一の楽しみであった庭での散歩も許されなくなった。
母は無事だろうか・・・・。
それを知る術も無かった。
劉g「食事に手をつけなくなっただと?」
伊籍「はい。ここ数日何もお食べになってないご様子です。」
劉g「いかんな・・・。」
劉gは眉をひそめた。
義弟の監視は今も続いている状態だが、別に餓死などさせるつもりは毛頭ない。
劉g「伊籍。黄忠が長沙を奪回して荊南が落ち着いたら、私は義弟を
桂陽か零陵の太守に任命しようと思っているのだ。
一時は亡父の跡を継ぐはずだったのだ。それぐらいは許しても良いのではないか。」
伊籍「はい・・・。ただ軍師が認めますまい。」
襄陽軍師、諸葛亮は劉jの復帰は荊州の和を乱すと、
一貫して反対していた。劉j派の蔡瑁が叛旗を翻したのだから、
無理も無い話だが、その蔡瑁も放逐され、残りの蔡一族も権力の中枢から追われた。
今は襄陽の片隅で劉jほどでは無いにしろ、監視の目がついている。
「劉j様の復帰は、何処かで燻っている殿への反発心を持つものを刺激するかもしれません。
それは曹操や孫権に付け入る隙を見せることと成ります。
今暫く時を置き、劉g様への忠誠の証を見せてからでも遅くはありますまい。」
【大戦間近 二】
軍師、諸葛亮はそう言って劉jを許そうとした劉gに反対した。
その言葉に従っている劉gだが、流石に義弟が何も食わなくなったと聞くと
心穏やかではなかった。元来、気の優しい青年なのだ。
しかし今や荊州は揚州との決戦が行われようとしている状態。
弱い所を見せては成らぬと劉gも必要以上に気を張っていた。
義弟の事は気になる、それ所では無いのも確かだ。
劉g「劉jの事はお前が責任を持って面倒を見てくれ。
多少監視の目を緩めるのだ。望むなら外出させてもいい。
私は義弟を処断するつもりが無い事を伝えて安心させてやってくれ。」
伊籍「わかりました。」
劉g「軍師には私から伝えておく。」
数日後、劉gの頭から義弟の事はすっ飛んだ。
揚州との戦、勃発。
戦端を開いたのは、襄陽の軍でもなく、荊南を任されている
黄忠でもない。江陵太守の呉巨であった。
ここにこれより数年に渡る、荊揚二州の大戦の幕が開いた。
大戦・・・ワクワク
保守
【劉gと劉j 一】
江陵と江夏の間で戦端が開かれた。
激戦になるのは必至。
襄陽では直ちに会議が召集された。
荊州の家臣の他に、新しく加わった劉備軍の面々も参加している。
文官主体だった会議に、ぐっと厚みが増してそれが何とも頼もしい。
張飛「一体、呉巨って奴はどうなってんだ!?
江陵は長兄が任されるって話だったんじゃなかったのか・・・痛て。」
いきなり、がなり立てた張飛の顔を劉備がパシンと平手で止める。
劉備 「すみませんね。お歴々。どうにもガサツな奴で。」
諸葛亮「元より劉g様も我等もそのつもりでおりましたよ。」
済まして言う諸葛亮にカチンと来た張飛が再び噛み付く。
張飛 「大体手前は、何様だ。長兄との・・・」
今度は最後まで言えなかった。関羽が下腹にドスンと一撃思い拳をくれたのだ。
思わぬ一撃に張飛が悶絶する。
劉g 「・・・・?」
関羽 「諸葛亮殿は襄陽の軍師様だ。いい年して馬鹿者め。」
諸葛亮「お怒りを納めください。関羽殿。張飛殿のお怒りは重々承知しております。」
関羽 「はっ・・・。」
かく言う関羽も諸葛亮とは目を合わせようとしない。
劉備と諸葛亮の密談は二人には内緒だ。
二人とも諸葛亮を裏切り者と思っているだろう。
趙雲 「恐れながら申し上げますが、襄陽から援軍を出す必要がありましょう。」
趙雲が空気を変えるべく提案した。
劉備 「無論だな。劉g様、一宿一飯の恩義。ここで返させて貰いますぞ。」
劉g 「劉備殿らが言ってくれるなら、これほど心強いことは無い。
のお軍師。」
諸葛亮「確かにその通りです。ですが・・・」
諸葛亮の言に皆首を傾げて、この年若い軍師に注目する。
襄陽には劉備軍ほどうってつけの軍団はいないではないか。
諸葛亮「この戦負けます。準備万端整っている江夏にいきなり攻め込むとは
呉巨殿は軽率であると言わざるを得ません。この責めは負っていただくとして、
そのような地に精鋭の劉備軍を派遣して、万が一の事があってはなりません。」
劉g 「では他に誰を派遣するというのか?」
諸葛亮「恐れながら申し上げます。劉j殿、蔡和殿、蔡中殿を派遣なされますように。」
【劉gと劉j 一】
劉g 「何!?義弟をだと?」
思わず劉gが立ち上がる。他の面々も驚いた顔をしている。
伊籍 「お待ちください、軍師殿。恐れながら劉j殿には荷が重すぎます。
ましてや先ほど敗戦濃厚とおっしゃたではないですか。
その地に義弟君を派遣なさるのですか?」
諸葛亮「だから蔡和殿と蔡中殿もつけるのです。」
伊籍 「そんなもの・・・」
流石に居ないと一緒とまでは言わなかったが、伊籍は食い下がった。
伊籍 「見せしめにするにしてもあまりにも酷い。死に兵にするというのですか?」
諸葛亮「落ち着いてください、伊籍殿。見せしめでは有りません。敗戦処理です。」
伊籍 「詭弁。詭弁。敗戦処理とは名ばかりでありましょう。」
珍しく血相を変えて食い下がる伊籍に、萠リ良をはじめ他の面々も息を呑む。
劉備 「敗戦処理ならなおさら、我等がうってつけ。そう言った事には慣れておりますゆえ。」
諸葛亮「口を挟まないで頂きたい。」
劉備が気を利かせて発言するが、諸葛亮は一蹴する。
それに対して張飛がまた血相を変えたが、その前に関羽が立ちふさがる。
伊籍 「最早劉j様に劉g様に楯突こうとする気概はありません。それは他の蔡一族にしても同じです。
諸葛亮は劉氏連合・・殿の後ろ盾として、劉備殿を襄陽に招きました。
ならばそろそろ劉j様もお許しになっても宜しいではないですか。」
諸葛亮「伊籍殿が度々劉j様に気を使っていたのは知っております。」
劉g 「私が許したのだ。」
諸葛亮「それも存じております。一時弱っていた劉j様もそれで大分回復したご様子。
以前も言いましたが、これは劉j様が復権する機会なのです。
無理に勝って来い、死んで来いと言ってるのではありません。
恐らく壊滅するであろう、江陵軍の後方支援が目的なのです。」
伊籍 「それでも・・・。」
諸葛亮「勿論兵力は与えます。目的を果たしたなら、劉j様の復権に意を唱えるものは最早おりますまい。」
私もです。と諸葛亮を付け加えた。
諸葛亮「伊籍殿、上庸太守であった蔡瑁の叛乱はまだ記憶に新しゅうございます。
本来なら三族皆殺しの刑を受けてもおかしくない所。
それを殿の温情で未だ命を長らえておるのです。
ここで劉j様や蔡一族に借りを返させるのも人の道ではないですか。」
伊籍 「それは、その通りですが・・・・。」
伊籍は諸葛亮に押された。劉備も口を挟む所ではないと思ったのかじっと黙している。
諸葛亮は劉gに向き直った。
諸葛亮「殿、ご決断を。死地に行くのは兵も同じ。劉j様だけを特別扱いして、
後方で余生を送らせるというのは臣は納得行きませぬ。」
劉gと諸葛亮はじっと睨み合ったあっていたが、劉gが力なく頷いた。
劉g 「あい分かった。後方支援を目的に義弟等を江陵に派遣する。」
【劉gと劉j 三】
劉jが蔡瑁に担がれて荊州の主に立とうとしていたのは記憶に新しい。
劉gが劉jと蔡一族の力を覆すのに三年の時を擁した。
その時の苦労と受けてきた屈辱を劉gは忘れていない。
今は自分に忠誠を誓っている、重臣・萠リ良、萠リ越、黄祖などの態度も酷かったのだ。
劉gは蔡瑁を憎んでも憎みきれなかったが、劉jに対してはそうでもなかった。
腹違いとは言え、自分と同じく亡父の血をひいているのだ。
だがここは義弟の為に鬼になることにした。
この難題を解決すれば義弟には後方の太守の生活を送らせるつもりなのだから。
会議が終わった後、伊籍はそのまま劉jの幽閉されている屋敷に向った。
伊籍も蔡一族が力を誇っていた時は、劉g派であったために不遇を囲ってきた。
しかし諸葛亮と鳳統を味方につけた劉gが劇的に状況を覆した。
蔡一族を処分するのは伊籍もやむなしと思っていたが、劉jに関しては劉gと
同じくそれほど恨みを持っていなかった。
旗は風によって左右に良く揺れるものなのだ。
伊籍「出陣していただかなくてはなりません。」
伊籍の言葉に、劉jは茶器を落とし、震えた。
この所の伊籍の気遣いで、劉jは食事もとるようになり、回復して顔色もよくなっていた。
それでもこの命令は衝撃的なものだ。顔が見る見る青くなる。
劉j「いよいよ処分か・・・」
伊籍「気をしっかりお持ちなさい。処分ではありません。」
伊籍は劉jに会議で決した事を諄々と語った。
劉j「後方処理か・・・私にそんな大責が勤まるものか。」
伊籍「これを乗り越えれば、劉g様は劉j様の今後の待遇を保障しております。」
劉j「無理だ・・・無理だ・・・。」
伊籍「それでも出陣していただかねばなりません。劉g様のお顔をつぶすような真似をなさいますな。」
涙をこぼす劉jを無理やり立たせて、兵舎に連れてゆくとき、伊籍の心は痛んだ。
私は優柔不断なのだろうか。劉jが甲冑をつけるのを手伝いながら思った。
だが、この子も亡き劉表の血を引いているかと思うと、他の者達のように冷酷になることが出来なかった。
甲冑を着け終わった劉jの背を押して、兵舎から出ると既に蔡和と蔡中も準備を整えていた。
顔が青い・・・。無理も無い。残る蔡一族の蔡[王熏](さいくん)は失意からか、
病の床にあり、最早立ち上がることは適わないだろうとのこと。
劉j、蔡和、蔡中が三万弱の兵を率いる。
これは今の襄陽の状況から見れば大軍といっても過言ではない。
伊籍「ご武運を・・・。」
粛々と兵を率いて出てゆく劉jに伊籍は呟いた。
【劉gと劉j 四】
「これはいかんな・・・。」
江陵太守、呉巨は呟いた。
機先を制して江夏を攻めたつもりが、向こうは準備万端であった。
太史慈をはじめ、そうそうたる武士(もののふ)達が待ち構えていた。
兵力でも向こうが上だ。
襄陽では先ごろ、劉備一党が劉gに招かれて、この江陵を任されると言う
噂が立っていた。それは多分間違いない。
ならばその前に江夏を奪還してやると思ったのだが・・・甘かった。
東呉の武将の力は図抜けており、兵は精強だ。
引き際を見誤ったら、恐ろしいほどの大損害を受けるだろう。
そうなったら例え自分の身が無事でも、処分を免れない。
劉gは厳しいところの無い主君だが、その軍師、諸葛亮は甘くない。
「これ以上は危険だ。撤退するか・・・。」
首筋を撫でながら、呉巨はまた呟いた。
「申し上げます!!襄陽からの援軍が到着しました、その数約三万!!」
喜色を浮かべて、伝令の兵が告げる。
呉巨「率いているのは誰ぞ?」
噂の劉備一党か。頼るのは口惜しいが、むざむざと敗戦をするよりは、
ここで巻き返しを図ればもしかしたら江夏を奪還できるかもしれない。
呉巨は期待して尋ねた。
兵士「義弟君であらせられます。」
呉巨「義弟君と言うと・・・劉j殿か!?」
兵士「はっ。それに蔡和殿と蔡中殿です。」
呉巨は一瞬諸葛亮の済ました顔を思い浮かべた。
あの野郎・・・・。よりによって最前線に使い物にならない武将を送り込んでくるとは。
俺に死ねと言っているのか?それとも・・・・。
呉巨「撤退するぞ。軍に触れを出せ。」
兵士「はっ?しかし援軍が・・・。」
呉巨「触れを出せ。わが軍はこれ以上の激戦には耐えられそうも無い。
援軍に殿を務めてもらって、我等は江陵に引くのだ。」
兵士「はっ!!」
呉巨は手にしていた指揮棒を投げつけた。
あんな奴等を味方にして東呉の兵達と戦えるとは思えない。
死ねと言っているのでないならば、引き返せとい意図だろう。
呉巨は江陵に帰った後は、自分は太守の座に居る事は無いだろうと思った。
【劉gと劉j 五】
劉jたちが江夏にたどり着いたときは、勝負は歴然としていた。
なんとか撤退しようとしている、江陵軍に東呉軍が襲い掛かっている。
呉巨は何とか兵を纏めているようだが、これでは合流しようが無い。
劉j「如何すればよいか?」
援軍の総大将たる劉jは青い顔で参謀、蔡和に問うた。
蔡和の方も劉jに負けず劣らず顔色が青い。
蔡和「負け戦ですな。」
劉j「見れば分かる。我等は如何すればよいのだ。」
蔡和「如何すると言われましても・・・。最早勝敗は歴然としている以上、
兵を纏めて引き返すしかありますまい。」
劉j「待て。我等の使命は江陵軍の後方支援ぞ。
このまま見捨てて帰れば責任を問われる・・・。」
蔡和「では、これから敵軍に突撃しますかな。」
蔡和が引きつったような笑い声をあげる。
上層部の意見が纏らないので、三万の軍は成す術なく、撃破されて行く友軍を傍観している。
動く動かないで揉めていた劉jと蔡和だが、その問題は解決された。
援軍を察知した東呉軍が襲い掛かってきたのだ。
その勢い、長江の氾濫の如し。戦慣れしていない劉jは肝を潰した。
土手を削るように兵が削られていく。敵も柴桑からの援軍が到着したらしく攻撃に更に厚みが増す。
劉jは友軍と敵軍のぶつかり合いに揉まれて馬を制御するのが精一杯だ。
遠めに呉巨が逃げ落ちていくのが見える。犠牲を出しながらも何とか撤退に成功したらしい。
それを見て、劉jも自軍に撤退命令を出そうとした。
だが陣営は混乱しきっていて中々命令が伝わらない。
オロオロしてる間に、敵の一軍が凄まじい勢いで中央突破を図ってきた。
止めようとする、友軍が弾き飛ばされていく。ついに劉jの所まで迫ってきた。
劉j「や、槍を並べよ。通すな。耐えよ。いや、撤退だ。生きて帰るぞ、皆、生きて帰るのだ。」
劉jの言葉は、兵の喚き声にかき消されて消えてゆく。
三万の軍は、最早見る影も無い。
そして、先ほど中央突破を敢行した軍が目前に迫っている。
目に映る「甘」の旗が痛い。
馬を取って返そうとしたとき、劉jは襟首を掴まれて投げ飛ばされた。
これほどの痛みを受けたのは初めてだ。悶絶する劉jを雑兵どもが十重二十重に囲む。
恐ろしさのあまり劉jは失禁した。
【劉gと劉j 六】
劉jの軍を引き裂いたのは、東呉の甘寧という将軍であった。
劉jはこの将軍が、昔、亡父劉表に仕えていたのを記憶している。
義兄が跡を継いだときに、江夏太守の蘇飛とともに孫権に寝返ったはずだ。
甘寧「待て待て。手荒にするな。」
兵を掻き分けて甘寧が登場した。
堂々たる威丈夫。これが戦人というものだろう。
劉jは甘寧と己の違いをはっきりと感じた。
甘寧「坊ちゃん自ら軍を率いてきたのかい。」
馬上から劉jを見下ろして、甘寧が語りかけてきたが、
劉jに答える気力も余裕も無い。口から出てくるのはカチカチという歯が合わさる音だけだ。
甘寧「これが東呉の軍だよ。体験するには高い授業料だったね。」
劉jはさらに尿が漏れてくるのを感じた。
甘寧が一声命じれば、自分はたちまち串刺しにされるであろう。
甘寧「捕らえろ。戦勝祝いに殿に良い土産ができた。何せ荊州の主の義弟だからな。」
くるりと振り返る甘寧が、憐みの表情を浮かべたのを劉jは見た気がしたが、
あっという間に雑兵たちにぐるぐる巻きに縛られ、馬に乗せられた。
動きにくい首を無理して動かすと、同じように蔡和と蔡中も縛り上げられ馬に乗せられている。
これから見世物として柴桑の孫権の所に送られるのだろう。劉jの中で何かが折れた。
東呉の主、孫権は寛大なところを見せた。
降るというなら命の保障とそれなりの待遇を約束しようと言ったのだ。
もし、降るのが嫌でも荊州に還してやると。
例え荊州に帰ったとしても冷や飯暮らしが待っている蔡和と蔡中は孫権に降った。
劉jは・・・・
もし自分を孫権が擁せば、荊州の跡取り問題に口を挟めるかもしれない。
ただし荊州に還れと言ったからには、自分にはそんな魅力もないのだろう。
劉jは母の事を、亡父の事を思った。
そして・・・優しかった義兄の事を思った。
しかし、ここで荊州に還ったとしてもこの任務失敗は許されない。
更なる死地に送られる可能性がある。義兄は諸葛亮という鬼の言いなりであろう・・・。
折れた心を再び持ち上げる事は劉jは出来なかった。
劉j「孫権閣下に降服いたします・・・・。」
荊州と揚州決戦の第一幕は揚州に軍配が上がった。
出陣した江陵軍は、総大将は助かったと言えど壊滅。
そして襄陽から出た援軍の将、劉j、蔡和、蔡中の三人は孫権に降ったのである。
後日・・・
残る蔡一族の蔡[王熏](さいくん)は息を再び立ち上がる事のないまま
幽閉先で息を引き取り、劉jの母、祭布人の姿も消えた。
兵の目を盗んで襄陽から逃げ出したとも、己の身を儚み、
井戸に身を投げ、自害したとも言われた。
だが襄陽では徹底した長沙が行われなかった。
【劉gと劉j 七】
劉jが降ったことを知った劉gは流石に意気消沈した。
そして義弟の事を思って涙した。
兄弟が再び手を取ることは恐らく適わないであろう。
だが嘆く暇も無い。揚州との大戦は始まったばかりなのだから。
決して強くない心身に劉gは鞭打った。
珍しく諸葛亮は酒を飲んでいた。
一人で酒を飲む事などほとんど無い。
そこに劉備がふらりと尋ねてきた。
劉備 「祝杯かい?」
諸葛亮「祝杯?」
劉備 「体よく、劉j殿と蔡一族の追放に成功したじゃないか。こ
これで反劉g勢力は荊州から消えた。」
諸葛亮の手から酒壺を奪い取って、劉備は壺から直接酒を飲んだ。
劉備 「お前さん、思ったより嫌な奴だね。」
諸葛亮「嫌な奴?」
劉備 「劉j殿へのあの処分は頂けない。」
諸葛亮「確かに気の重い仕事でした。だからこうして酒を飲んでいるのです。」
劉備 「あの会議の時点で、やっぱり処分を決めていたんだな?」
諸葛亮「あの折には、反発してくれて助かりました。
あれならば私と貴方の結びつきを想像するものはおりますまい。
お二人の義弟達と言えど・・・。」
劉備 「そんなことはどうだって良いんだよ。劉g殿と劉j殿・・・憐れだな。」
諸葛亮「確かに。ですが、劉j殿も任務を全うすれば復帰の道はあったのですぞ。
あれは見せしめ半分、復権の機会を与える事半分でした。
劉g様はお優しい方です。しかしそれは統治に支障をきたす事もあります。
それを補うのも臣下の務めです。」
ものは言い様だと思ったが、劉備は諸葛亮に反発しなかった。
この年若い軍師が、自分が劉gの後ろ盾につくための邪魔な小石を取り除いたのを
劉備は感じていた。諸葛亮は口には出さないが。
腹立たしいところはあるが、それでもこの男は有能だ。暫くは厄介なるしかない。
そんな気持ちを劉備は酒とともに流し込んだ。
劉備 「次は俺が出るぜ。」
諸葛亮「無論。揚州との闘いは始まったばかりなのですから・・・。」
江陵太守、呉巨は帰還した後、太守の職を解かれ、襄陽の劉g指揮下に入った。
変わりに江陵太守に就任したのは、劉玄徳。
流浪の英雄が活躍する地を得て、東呉の孫権とぶつかり合う事となった。
間違い
>>287 ×【劉gと劉j 一】
○【劉gと劉j 二】
>>291 ×だが襄陽では徹底した長沙が行われなかった。
○だが襄陽では徹底した調査は行われなかった。
暫くぶりです。
先週、先々週と出張が重なり、書き込む事が出来ませんでした。
書き溜めていたた分を一気に書き込みました。
>>281(韓玄五代目)殿
おお、お久しゅう。そして応援ありがとうございます。
魏延はまたそのうち活躍の場を与えようと思っております故、お待ちください。
>>284 大戦・・・(やっと)始まりました。
何ともはや、ここまで来るのに長かった。
リプレイでは開始から三年くらいの出来事です。
>>285 保守、ありがとうございます。
それにしても誤字が多いですね。
お見苦しいところが多々ありますがご容赦を。
なるべく気をつけます。
激励sage
296 :
無名武将@お腹せっぷく:02/06/18 15:46
定期ageです 今この板で一番楽しみなスレです
( ゙´д`)ノ<劉g殿、面白いです。今から応援して良いれすか?
<幕末モノ読んでるような、権謀術数と青雲の蒼さに興奮すます。
<「わし、韓玄だけど」爆笑しますた。
<韓徳殿、4兄弟のキャラが秀逸れすた。
【劉備軍 一】
江陵。江夏と並ぶ荊州要害の地。
劉表存命時、東呉と長い睨み合いにあった時は、江夏への大兵站基地であった。
そして江夏を失った今、対揚州の荊北大本営が置かれている。
軍の指揮を取るのは、江陵太守の任も司る劉備である。
その下に名を連ねるのは、関羽・張飛の義兄弟に趙雲。更に劉封、関平、周倉、廖化、陳到などの
長らく劉備と苦楽を共にしてきた猛者達である。
そして麋竺、簡雍、孫乾という民政を主務とする文官達も居る。
若干名、劉gから劉備を補佐するために派遣された者達を除けば、
江陵には、新野を追われた劉備軍が再び集結したことになる。
ただしその扱いは新野に居た頃と比べるべくも無い。
関羽「襄陽から金と兵糧、さらに二万の兵が運ばれてまいりました。」
趙雲「明日には更に、荊南からも三万の兵が補充される事になっております。」
関羽と趙雲からの報告を聞き、劉備は頷いた。
本営では酒を交えた劉備軍幕僚達の歓談が行われていた。
張飛「全く新野に居た頃とは雲泥の差だな。兵も兵糧もこれでもかってくらい送られてくる。
おまけに酒も美味いときたもんだ。」
壺から直接酒を飲みながら、張飛が上機嫌で叫んだ。
劉備「それに胡坐をかくわけにはいかんぞ、益徳。今は、荊州の何処も徴兵、徴収で苦しかろう。」
張飛「分かってるよ長兄。ただあまりの変わり身に驚いているだけよ。」
劉備「劉g殿が劉表殿の跡を継がれてから、ガラリと体制が変わったと言うわけだ。」
関羽「元々あのお方は、兄上に好意的であったしな。」
見事な長髭をしごきながら関羽が劉備に同調する。
多少、白いものが混ざっているものの、今上帝に「美髭公」と称されたその美しさは健在である。
劉備「しかし、荊南を任されている黄忠って言う将軍も自分の所も大変だろうに
こっちに兵を回してくるなんざ、中々に大したもんじゃないか。」
関羽「我等と同じく此度の東呉との戦の指揮を取るべく大抜擢されたようですな。」
張飛「聞けばかなりの爺様って話じゃないですか。大丈夫なのかな?」
劉備「それは黄忠将軍の前では禁句らしいぞ。お前の頭に得意の薙刀が降ってくるかもしれん。」
張飛「ああいう年甲斐も無い爺さんは、俺は好きですよ、長兄。」
関羽「また爺さんと言ってるではないか。」
場を笑い声が包んだ。
これから激戦が続けば、こうしてのんびりと酒を飲む事も出来なくなるだろう。
【劉備軍 二】
「皆、聞け。」
杯を置いて、劉備が座を見回した。
雑談に花を咲かせていた者達が、居住まいを正し劉備に注目する。
劉備「この劉玄徳。新野で曹操軍に敗れた時、我が夢は最早敗れたと、天を恨み、地を呪い、
身は生きながらも心は屍のごとく腐るがままであった。
それが再びこの様な場で皆と交わる事が出来るのは、襄陽におわす劉g殿のお陰である。」
そう言って劉備は襄陽の方向に頭を下げた。
劉備「勿体無くも劉g殿は、この私を自らの後ろ盾として手厚く招いてくれた。」
張飛「ってことは、劉g殿に何かあったら長兄が荊州の主になるわけかい。」
口を挟んだ張飛の頭を、関羽が視線を劉備に向けたまま、はたいた。
劉備「そのような事は実はどうでもいいのだ、益徳。私が嬉しいのは、また志の為に生きる事が出来るからだ。
勤皇の旗の下、また戦う事が出来る。こんなに嬉しい事は無いぞ。」
頭を摩っていた張飛が眩しそうに劉備を見つめる。
関羽はじっと目をつぶっている。目を開けば涙が零れ落ちるからであろうか。
趙雲も、座にいる全ての者も、それぞれに胸に去来するものを堪えていた。
劉備「そしてお前達。一人として欠けず、よくもこうして集まってくれた。
感謝する・・・。」
今度は劉備が座に向けて頭を下げる。
息を呑んだ一同の前で頭を上げた劉備は、今度は茶化したような顔をしている。
劉備「じゃが、お前等は馬鹿だ。大馬鹿だ。
何も苦労してまたこの盆暗な私の下で働く事もあるまいに。
劉g殿に拾われなくても、お前等なら他に仕官する道もあったであろう。」
趙雲「殿、馬鹿は死なねば直らないという言葉があります。ならばこの趙子龍、
一生、馬鹿なままでおりますぞ。馬鹿なまま殿にお仕えいたします。」
感極まった趙雲が思わず立ち上がって、涙を流しながら軍令を取る。
劉備「馬鹿、子龍。お前の殿は私では無い、劉g殿だぞ。」
趙雲「公の立場はそうであっても、それでも・・・私の殿は貴方です。貴方だけです。」
涙を流す趙雲の手を引っ張って、関羽が座らせる。
今はその両眼から涙が流れている。
【劉備軍 三】
劉備「あまり泣かせる事を言うな、子龍。甲斐性なしには過分な言葉よ。」
劉封「劉g様に仕えたのは、義父上がいたからです。当然ではありませんか。」
廖化「この馬鹿の命も使ってくだされ。」
周倉「おお、ここにも馬鹿はおりますぞ。」
張飛「馬鹿野郎、手前等。一番の大馬鹿は俺に決まっておるであろう。」
劉備「威張るな益徳。馬鹿ばかりに囲まれる私の身にもなってみろ。」
涙を浮かべて笑う劉備に誘われて、皆が笑った。
劉備「皆、杯を持て。皆の気持ちありがたく頂く。
じゃが子龍にも申したとおり、我等は等しく劉g殿に使える立場。それを忘れてはならん。
そして、今は揚州の兵どもと向かい合っているが、これを片付けた暁には、
劉g殿に言上して北伐を敢行し、陛下をお救い申し上げる。それまで皆、劉の旗の下に集い、力を貸してくれ。」
おおっと諸将が杯を突き上げる。
劉備「劉g殿に。そして陛下に。」
全員で一気に杯の中身を干した。
数日後、劉備軍の面々は戦場にあった。
一気に江陵を押しつぶさんと、江夏と柴桑から敵兵が押し寄せ来たのである。
しかし劉備軍はよく闘い、襄陽、永安からの援軍とも力を合わせ、
これを見事、撃破したのである。
かくして荊州と揚州の争いは、一進一退であった。
>>295 激励ありがとうございます
>>296 おお、嬉しい事を言ってくださいますな。
期待はずれにならないよう、がんばります。
>>297 こちらもまた某には過分なお言葉。
お気持ちありがたく頂戴いたします。
>口を挟んだ張飛の頭を、関羽が視線を劉備に向けたまま、はたいた。
こういうちょっとした笑わせてくれる文章が好きです
保全
くそ・・・審判め・・・
保守です・・・
hozen
最近更新ないね、どうしたんだろ?
保全age。
>306
最近っつーても5日間だし…
これだけの文章を毎日書くだけでも相当きついと思われ
マターリ待ちましょう
>>307 ですな。
私も別スレで職人の真似事みたいなことしているが、最近更新できてない
仕事中にネタ考えたりしてんだけど、けっこうキツイんですよね
【長沙奪還 一】
黄忠「江陵の劉備殿が揚州軍に勝ったそうだな。」
鳳統「江陵は守られました。」
黄忠「江夏どころか江陵までも獲られたら襄陽はいよいよ危なかった。」
鳳統「まったくですな。」
黄忠「劉備殿は劉g様の後ろ盾とはいえ、新参の将軍達にばかり良いところを見せるわけにはいかんな。」
鳳統「桂陽に居る将軍達は荊州屈指の将軍達ですからな。」
黄忠「奴等もうずうずしておろう。」
鳳統「では将軍。長沙奪還の機は熟しましたぞ。今、長沙の兵は少数。江夏と柴桑の軍は劉備殿によって打ち破られた
傷は癒えておりませぬ。兵力が補充される前に一気に・・・。」
黄忠「うむ。一気に殲滅する。」
鳳統「長沙太守の程普は猛将ですが、彼奴一人ではどうにもなりますまい。」
黄忠「武陵の萠リ良殿に伝令を出せ。これより、長沙を奪還する!!」
鳳統「御意」
桂陽中の将軍が召還され、
魏延、文聘、沙摩柯、李厳、霍峻などなどが続々と参集した。
魏延 「いよいよだな。」
沙摩柯「ウウ」
魏延 「江陵の劉備殿は大した人だが、それに負けてばかりもおれんぞ。」
沙摩柯「ウウ、オレ王。王ハ強イ。」
魏延 「そういえばお主は、土着の少数民族の王だったな。それにしても、物騒な武器を持ってるな。」
沙摩柯「オレノ相棒・・・。」
魏延 「では相棒にもしっかりと働いてもらわんとな。」
沙摩柯の手の鉄シツ藜骨朶が光る。矛の先に無数の鉄の棘が植えてある
沙摩柯愛用の武器である。沙摩柯がはブンブンと振り回すとその精悍な面構えと合わせて何とも頼もしげである。
しかしそれを見ていた元桂陽太守の趙範が深々と溜息をついた。
趙範「ふーっ・・・・やっぱりワシも出陣しないと駄目なのかのお。」
文聘「桂陽中の将軍に出陣命令が出ております。」
趙範「トホホ・・・。ワシは戦なんてやったことないぞ。」
陳応「趙範殿、この飛叉の陳応がついておりますぞ。」
鮑隆「虎殺しの鮑隆もおります。案じる事はありません。」
趙範「う、うむ。頼りにしておる。ああ早く天下泰平の世にならんかのお。」
黄忠「その世を劉g様とこれから作るのではないか。」
魏延「将軍・・・。」
黄忠「何としても長沙を奪還するぞ。皆、死力を尽くせ。」
青い顔をしている趙範をのぞき、全員が頷き、雄たけびを上げた。
【長沙奪還 二】
桂陽・武陵の連合軍が長沙に攻め寄せた。その数十万余。
長沙太守の程普はよく軍を纏めたが、衆寡敵せず、徐々に荊州軍に押された。
柴桑から援軍が到着した時には、形勢をひっくり返すのは不利な状況であった。
三代孫家に仕えたこの百戦錬磨の将軍は再び窮地に立たされた。
程普「やっと復帰できたと思ったら、またこの様か・・・。殿に顔向けが出来ん。」
虞翻「今は嘆いている暇はありますまい。敵軍が押し寄せてくる前に早くお逃げを。」
徐盛「血路は某が切り開きます。」
朱桓「私も殿を務めましょう。さ、将軍お早く。」
程普「馬鹿者。一軍の大将たる者がさっさと兵を見捨てて逃げる道理があるか。
ワシはこれより敵軍に斬り込む、勇気のあるものはワシに続け。」
徐盛「御意」
長沙を守る揚州軍の将軍達は、死に兵となって戦った。
だが朱桓は魏延に一騎打ちで破れ、虜となり、徐盛も沙摩柯、文聘の猛攻の前に力尽きた。
総大将の程普は愛用の鉄脊蛇矛を振り回し、一人気を吐いた。
陳応、鮑隆の軍を退け、その勢いで趙範の軍に突撃し、散々に蹴散らしたが、
率いる兵達は、次々に討ち取られその数を減らしていた。
満身から湯気を発し、肩で息をしながらも程普は戦う事を止めない。
程普「この鉄脊蛇矛の錆となりたい者は前にでよ。あの世へ送ってやるわ。」
その時、赤いものが程普の頭上から降ってきた。火矢だ。
火はたちまち原野に燃え広がり、程普軍の足をとめた。そこに今度は雨のように矢が打ち込まれる。
胸を押さえ、顔を押さえ、兵たちが馬から転がり落ちる。
程普「おのれ・・・。卑怯なり、荊州の将。堂々とこの程普と闘おうという者はおらんのか。」
歯噛みをする程普は無理やりに火を飛び越えると、敵の弓兵達に斬りかかった。
蜘蛛の子を散らすようにバラバラになった弓兵たちは、また纏ると遠目から弓を撃ってくる。
軍師、鳳統の率いる一軍だ。そして魏延、文聘、沙摩柯、李厳等の程普包囲網がジリジリと狭まり、
程普の軍は削がれていった。
今は程普も覚悟を決めた。
そして十重二十重に囲まれた挙句、総大将、黄忠の突貫を受けて軍は壊滅したのである。
長沙の城の孫家の旗が降ろされ、黄忠率いる荊州軍が入城した。
虜となった揚州の将達は襄陽に送られ裁かれた。中には劉gに忠誠を誓う武将もいたが、
宿将程普は決して頷かず、劉gによって放免された。
こうして長沙は再び荊州軍の手に戻り、荊南は劉gの治めるところとなった。
黄忠は新たに長沙太守に任じられ、今度は柴桑の孫権と向かい合う事となったのである。
ふはー!ここのも面白いね。
魏延と沙摩柯のコンビがなんともいい味。
( ゚Д゚)ノ<弱小4君主は、良いアクセントになってますなあ
マタ-リと書き進めて下さい
【孫権不快 一】
柴桑の孫権は不機嫌であった。
好きな酒を飲んでいるが、痛飲といって良いだろう。
何倍も杯を重ねる孫権に対して、相手をしている参謀二人の杯は進んでいなかった。
孫権「荊州の弱卒どもに、よもや連敗するとはな。」
魯粛「何の、殿。馬鹿には出来ませんぞ。特に江陵の劉備将軍などは歴戦の勇将です。」
孫権「曹操に敗れて劉gに犬のように拾われた男ではないか。」
魯粛「ただ拾われただけではありますまい。今や実質、劉gの後継でしょう。
何より黄巾の乱の頃より闘い続けたその経験は馬鹿に出来ません。」
孫権「劉備など、わが父文台が活躍していた頃には、雑兵同然だった男ではないか。
恐るるに足りんわ。」
魯粛「劉備の下には、関羽、張飛、趙雲などの音に聞こえた猛将がおりますぞ。
関羽はあの曹操が恋焦がれた将軍。官渡の戦いの折には顔良、文醜ほどの猛者を
一撃で葬り、張飛はその関羽が敵将の首をとることなど、袋から物を取り出すようなものだと称したとか。
それは新野の戦いで数倍の曹操軍を大喝で震え上がらせた事でも頷けます。
また趙雲などは、同じく新野での戦いにおいて、群がる大軍の中で単騎駆けを敢行し、敵中置き去りにされた
劉備の息子を見事救出したと言われております。」
孫権「やかましい!!刃を交えておる敵軍の将を持ち上げる奴がおるか、馬鹿め!!」
魯粛「甘く見るなと申し上げておるのです!!今や荊州は劉表が生きていた頃とは全く別物ですぞ!!」
孫権が不機嫌に怒鳴りつけるが、魯粛も負けていない。
双方掴みかからんばかりの勢いで激論を交わす。
黙って聞いていたもう一人の男。張昭が手にしていた杯をカツーンと卓の上に置いた。
【孫権不快 二】
張昭「殿も魯粛も頭を冷やされますように。」
孫権「むっ・・・。」
張昭「殿のご不快の原因は、長沙が陥落した事だけでなく、我が軍の将数名が
荊州に鞍替えしたこともありましょう。丁奉、潘璋、呂虔・・・李異もでしたか。」
孫権「それもある。荊州の弱点は将の居ない事であったのに、それを我が軍から補ってやる馬鹿があるか・・・。」
張昭「先ごろ魯粛が劉備の部下の事を言っておりましたが、揚州にも孫家三代に仕える
将軍はおります。彼等は、決して関羽や張飛に引けを取るものでありませんぞ。」
孫権「分かっておる。」
張昭「ただ宿将の程普殿江夏攻略失敗に続き、今度は長沙を奪われましたが、その処分は・・・。」
孫権「ない。程普はあの状況では善戦したと言えるであろう。江夏へ送って、黄蓋や韓当と共に劉備に備えさせる。」
張昭「では、残りのご不快の件は、零陵太守の劉度への離間の策が成就できなかったことですな。」
孫権「・・・そうだ。」
実は、孫権陣営によって零陵太守の劉度は篭絡されていたのだ。
孫権は劉度に叛旗を翻させ、長沙の後方を攪乱した後に、柴桑から大軍を送り込み、
一気に長沙を攻略・・・と思っていたのだが、黄忠は甘くなかった。
即座に魏延、沙摩柯の二将を派遣し、あっという間に零陵は陥落した。
零陵太守劉度とその子劉賢、武将の刑道栄は襄陽に送られたが、
劉gによって罪を許された。
今、零陵太守には劉gの信頼も篤い向朗が務めており、
これで荊南には手の出しようが無くなった。
【孫権不快 三】
孫権「あの黄忠とか言う爺も馬鹿に出来んわ。」
魯粛「あれほどの将軍が今まで不遇を囲って来たというのですからな。」
孫権「その爺についておる、軍師があの鳳統か・・・。確かに手強いかもしれん。」
魯粛「魏延や文聘などの将軍も力をつけてきております。」
孫権「だがまだ我が軍の太史慈、陳武、宋謙、周泰、董襲、甘寧等には及ぶまい。
魯粛よ、我が軍は長沙を失ったとはいえまだまだ挽回は可能だ。」
魯粛「御意。」
張昭「殿、江陵の劉備を無視して一気に襄陽を急襲という策もありますが。」
孫権「それは襄陽でも警戒しておろう。江陵と上庸からの援軍も来るであろうし、
下手に大軍を送って敗れたら、江夏に嬉々として劉備が攻め寄せてくるであろう。
それどころかここ、柴桑も危ういわ。」
魯粛「黄忠もこの地(柴桑)を狙っているでしょうし。」
張昭「殿、周瑜将軍を秣陵から召還しますか?あちらの戦線は今、膠着状態にあることですし。」
孫権「周瑜を?張昭、ワシ自ら柴桑を守るのは心もとないと申すか?」
張昭「そのような意味ではありませぬ。」
孫権「ならば二度と申すな。」
張昭「御意。ですがこれはお聞きいただいたほうが良いかと。」
孫権「何だ?」
張昭「領内を鼠が蠢いているようです。今の所被害は出ておりませんが・・・。」
孫権「ふんっ。荊州からの鼠か。見つけ次第、始末せい。」
張昭「御意」
この後、何とかして長沙を奪還しようと自ら出陣した孫権だが、
黄忠を始め、長沙を守る荊州の将たちに猛反撃を食らい、撤退を余儀なくされた。
危うく虜になりかけるところを、配下の将の奮戦で何とか身一つで逃れる事が出来た。
孫権は身をもって荊州の将が甘くない事を思い知ったのである。
一方、孫権を撃退した黄忠は、柴桑に攻め入るべく準備を整えるのであった。
ara? futabanntuzukete.okakininarareteoraretenoka
>>312 ありがとうございます。
ヽ(´ー`)ノと続けて行こうと思ったのですが、
2chどうなるんでしょうね。
>>313 沙摩柯は真・三国無双2の魏延っぽいイメージで。
どっちかというと魏延より沙摩柯のほうが
あんな感じだったかもしれないと思いまして。
>>314 ありがとうございます。
荊州四君主残りは金旋ですが、多分出番は無いでしょう(笑)
>>318 えーっと・・・
「あら?二晩続けてお書きになられておられてのか」
ちょっとお休みが続いてますね。スミマセン。
【長沙 対 柴桑 一】
柴桑から攻め寄せた揚州軍を撃退した、黄忠率いる長沙軍の意気は高かった。
一気に柴桑を攻略せんとの勢いである。
柴桑。柴桑を取れば、いよいよ揚州に食い込むことになる。
今まで守勢に立っていた荊州軍が攻勢に転じる事になるのだ。
しかも江陵の劉備軍との連携も容易になり、江夏攻めも有利となる。
もし江夏を奪還し、柴桑を攻略すれば、それを足場にさらに揚州奥に侵攻出来る。
黄忠「だから柴桑攻めだ。」
鳳統「少し慎重になることをお勧めします。」
黄忠「む?」
鳳統「確かに柴桑を取ることは、今後の戦線を有利に拡大する事になりますが、
柴桑は君主孫権が自ら守っておりますぞ。容易ではありますまい。」
黄忠「孫権なぞ戦の駆け引きもまだ出来ぬ若造ではないか。」
鳳統「相手を呑むのは結構ですが、孫権には百戦錬磨の将軍達がついております。」
黄忠「だが時を与えれば、柴桑は持ち直すじゃろう。我らに敗れて混乱しておる今こそ
畳み掛ける好機じゃとワシは思う。」
鳳統「では、江陵の劉備将軍に援軍をお願いしましょう。」
黄忠「いや・・・。劉備殿には江夏奪還という使命がある。負担をかけたくない。
長沙軍だけで柴桑を陥とすのだ。」
鳳統「新参の劉備将軍に意地を張られているわけではありませんな?」
黄忠「意地?軍師よ、軍人である以上ワシにも意地はあるぞ。ただ依怙地にはなっておらん。」
鳳統「はっはっはっ。流石は将軍。分かりました、そこまで仰るなら軍を出しましょう。」
黄忠「うむ。軍師と柴桑であげる祝杯を楽しみにしておる。」
黄忠は軍を纏めると、直ちに柴桑へ向けて出陣した。
【長沙 対 柴桑 ニ】
一方その頃柴桑では、敗戦の衝撃が大きく軍は沈み込んでいた。
君主孫権自ら長沙に攻め込んで敗れたのだ。
衝撃の大半を占めているのは、は荊州兵の思わぬ強さにあるのかもしれない。
将軍達も深刻な顔をしたものが多い。
ただし、例外もいる。
二人の将軍が幕舎の前で盛大に火を焚き、食事中であった。
「ちっ、この頃の辛気臭さは飯にも出てきてやがる。なんだこの不味さは。」
「・・・。」
一方の将軍が不満そうにしかめっ面をしながら椀のものを啜っているのに対し、
もう片方の将軍は一心不乱にかきこんでいる。
「こんな不味い飯を作る料理人は誰だ?腹立つから・・・ぶっ殺してやろうかなあ。」
今度は物騒な事を呟く。
「お前もこんなもの有り難そうに食ってんじゃねえ。」
一気に椀の中身を飲み干すと、口の中に残った何かの滓をベッと火の中に吐き捨て、
相棒の将軍の頭をはたいた。
ブッと椀の中に顔を突っ込んだその将軍は顔をぬぐって呟いた。
「・・・当番兵」
「あん?」
「この飯を作ったのは、炊き出し当番に当たっていた兵士ですよ、将軍。」
「けっ。分かってんだよそんな事は。どこ所属の兵士だ?こんな不味い飯を作るのは。」
「私の隊の兵士ですが、何か?」
「それも分かってるよ。」
「相変わらずですな、甘寧将軍。」
「お前も相変わらず面白えな。呂蒙ちゃんよ。」
仲良く並んで飯を食っていたのは、甘寧と呂蒙の二将軍だった。
【長沙 対 柴桑 三】
黄忠が柴桑急襲の為に将軍達に緊急招集をかける前、
魏延と沙摩柯の2人は飲み屋で一杯引っ掛けていた。
魏延 「おい、沙摩柯の旦那。」
沙摩柯「ウ?」
魏延 「あんた何で劉g様の下で働こうと思ったんだ?」
沙摩柯「何デ・・・ソンナ事ヲ聞ク?」
魏延 「いや、何と無く。」
沙摩柯「オ前ラシク無イナ・・・。」
魏延 「そうかな?酒の肴に聞かせてくれよ。」
沙摩柯「拾ワレタ」
魏延 「拾われた?」
沙摩柯「小サナ部族カラ出テ、一旗アゲヨウト思ッテ、武陵ニ居タ時ニ、
劉g様ニ拾ワレタ。」
魏延 「それは登用されたというんじゃないか?」
沙摩柯「イヤ・・・。腹ヲ空カセテ、畑デ倒レテイタ。ソコニ劉g様ガ通リカカッタ。」
魏延 「それで飯を食わせてもらったと。ついでに働き口も世話してもらったわけか。」
沙摩柯「ウ」
魏延 「劉g様が太守の萠リ越殿を味方につける為に、武陵に通いつめてた頃だな。」
沙摩柯「オ前ハ?」
魏延 「俺?俺は劉表様が生きていた頃から荊州には仕えていたんだよ。末端の将軍だったがな。」
沙摩柯「ウ」
魏延 「あの頃は言っちゃ何だがあの頃は劉g様の肩身も狭くてな。
蔡瑁の大馬鹿野郎が襄陽を牛耳ってたしな。劉g様も一人でも味方が欲しいって心境だったんだろう。
俺をよく酒宴に招いてくれてな。気を使ってくれたわけよ。」
沙摩柯「ウ」
魏延 「俺も鬱屈してたからなあ。劉g様の気遣いが嬉しかった。同情・・・でも無いが、
この人に付き従おうと決めたんだな・・・これが。俺らしくない決断だが。」
沙摩柯「ソウカ・・・。」
魏延 「まあ正直、劉g様がここまで大きくなるとは思わなかったよ。」
沙摩柯「見ル目ガ合ッタ」
魏延 「お互いにな。」
沙摩柯「オレハ、劉g様ニ拾ワレタ、恩ヲ忘レナイ。コイツニ誓ッテ!!」
魏延 「おいおい。そんな物騒な武器を振り回すな。」
さらに杯を重ねようとした2人の前に、黄忠の命を受けた兵が駆け込んできた。
柴桑に出陣、それを聞いた魏延と沙摩柯の顔は軍人のそれに変わった。
長沙 対 柴桑 四】
甘寧「いい加減に食うの止めろっての。」
呂蒙「勿体無い。」
甘寧「いいから箸を休めて聞け・・・来るぞ。」
呂蒙「来る?」
呂蒙が上を見上げる。
甘寧「雨じゃない!!敵が来る。」
呂蒙「確かですか?」
甘寧「確かだよ坊や。」
気のせいか肌にざわつく感覚を覚えて呂蒙が立ち上がる。
甘寧「勝ち戦に調子こいて乗り込んでくるぜ、あの爺。」
呂蒙「むう。では・・・」
その時、一人の男が走り寄ってくると甘寧に耳打ちした。
頷いていた甘寧がニヤリと笑う。
いくらかの銭を手渡されると男はまた駆け去っていった。
呂蒙「今のは?」
甘寧「昔からの部下は大事にしなきゃなあ。」
そう言うと甘寧は呂蒙に背を向けて歩き出した。
慌てて呂蒙が走り寄る。
呂蒙「甘寧将軍、今のが急を知らせる報告なら、すぐに戦の支度を!!」
甘寧「ふんっ。」
「敵襲ーーーっ!!」
伝令が駆け込んで来たときには、甘寧はすでに馬上の人となっていた。
甘寧「備えあれば憂い無しってな。覚えときな、呂蒙!!」
甘寧率いる軍勢は真っ先に敵軍に向って飛び出していった。
【長沙 対 柴桑 五】
文聘「総大将、敵軍の展開が思いのほか速い模様です。」
黄忠「読まれたか・・・。」
文聘「ご命令を!!」
黄忠「躊躇うな、迷うな、一気に敵軍を揉み潰すぞ。」
文聘「御意」
思いのほかに迎撃してきた柴桑の軍は纏っており、長沙軍の急襲を真っ向から受け止めた。
乱戦になった。砦に篭る敵将を激しく攻撃していた黄忠は、伝令の報告に愕然とした。
黄忠「軍師の軍が?」
後方から弓兵で黄忠を援護していた鳳統の軍が攻撃を受けたというのだ。
振り返った黄忠の目に映ったのは「甘」の旗!!
鳳統の背後から突撃を繰り返している。弓兵隊が乱れた。
黄忠「いかん!!」
とって返して鳳統の救助に向おうとした黄忠だが、じっと耐えていた敵砦が一斉に反撃を
開始し、動く事が出来ない。それどころか気が付けば戦場は揚州軍の旗で満ちている。
江夏からの援軍も柴桑に到着したようだ。
太史慈、周泰、陳武、韓当、黄蓋等が長沙軍に襲い掛かる。
そして君主孫権が自ら柴桑を守らんと奮戦している姿に揚州軍の士気が上がる。
長沙軍は劣勢になった。趙範や陳応、鮑隆の軍は撃破され、文聘や李厳の軍も苦戦中、
魏延も群がる敵兵をなぎなぎ払うのが精一杯だった。
【長沙 対 柴桑 六】
魏延「駄目だ、大将。このままじゃ全滅だ。」
黄忠「くっ。」
魏延「退くも兵法!!撤退を。」
黄忠「軍師殿の軍が甘寧の急襲を受けている、それを助けねば・・・」
魏延「某が行きます。」
だが魏延も総大将の黄忠を守る為にそう簡単に動く事は出来ない。
その時魏延の目に、誰かが鳳統の軍の援護に回るのが見えた。沙摩柯だ。
沙摩柯は鳳統軍に襲い掛かる、甘寧のさらに背後に回って攻撃した。
さしもの甘寧の軍も勢いが止まる。沙摩柯は鳳統を救い出すと、
闇雲と言って良い勢いで、他の軍勢にも突撃を敢行していく。
そのお陰で黄忠と魏延の軍も少し動きが取れるようになった。
その隙を見逃さず、黄忠と魏延は一気に飛び出し撤退を図った。
各将軍の判断で長沙軍が撤退する。
ただ沙摩柯の軍は襲い掛かる敵軍の間を飛び回っている。
魏延「殿(しんがり)をつとめるつもりか?」
自軍を安全な所まで導いた魏延は単騎、沙摩柯の所に駆けた。
魏延「沙摩柯、もう良い、退がれ!!」
沙摩柯は聞こえないのか、鉄シツ藜骨朶を振り回し敵兵の頭蓋を砕いてゆく。
魏延 「退がれ、沙摩柯。囲まれる、逃げられなくなるぞ!!」
沙摩柯「オ前、逃ゲロ、俺闘ウ!!」
魏延 「もう良い、軍を立て直してまた攻め込めばいいんだ。」
切りかかってきた敵将の矛を交わし、魏延が声を枯らして叫ぶ。
沙摩柯「俺ハイイ、オ前、早ク逃ゲル!!」
魏延 「馬鹿野郎、劉g様に恩を返すんだろうが!!」
沙摩柯「ソレガ今!!」
沙摩柯が魏延に向って鉄シツ藜骨朶を振り下ろした。
それは魏延の身体を逸れて、愛馬の尻を撃った。
馬は大きく嘶いて、走り出した。
魏延「沙摩柯!!」
魏延は勢い良く走り出した馬を、敗走していく兵の中で制御するのに精一杯だった。
沙摩柯の姿が敵兵に紛れて見えなくなった。
魏延「馬鹿野郎!!」
魏延は叫んだ。
【長沙 対 柴桑 七】
どうやら勝ち戦のようだが、敵軍師鳳統を逃した事が甘寧は面白くなった。
それを邪魔した蛮将は今、揚州軍の将軍達に囲まれている。
だがその勢いは止まらない。見慣れない異様な武器を振り回している。
太史慈や周泰などの将軍も手を焼いているようだ。
それを見ていた甘寧は、鞍の横に留めてあった弓を手にした。
甘寧「あんたは良くやったよ。だからこれは・・・・」
満身の力を込めて弓を引き絞る。
甘寧「俺からのご褒美だ」
解き放たれた矢は、味方の歩兵達の頭上を飛び越え、
周泰に向って鉄シツ藜骨朶を振りかぶっていた沙摩柯の肩に深々と突き刺さった。
沙摩柯「!?」
思わず沙摩柯の手から鉄シツ藜骨朶が落ちる。
周泰がそれを見逃すはずは無かった。
手にした大刀が沙摩柯に向って振り下ろされる。
「敵将、沙摩柯討ち取ったり〜〜〜〜」
誇らしげな周泰の声が戦場に響き渡り、揚州軍は歓声を上げた。
大勝利の報告を聞いて、久々に孫権は笑顔を見せた。
そして独断で敵襲撃に備えた甘寧を戦功第一として重く賞したのである。
孫権「劉gには劉備、黄忠あれどワシには甘寧がおる。」
その夜の孫権は久々の美酒に酔った。
kita-
え?沙摩柯死んじゃったの?
生きてるよね?きっと生きてるよね?
マジで死んでいませんように・・・
解放されるのか処断されるのかドキドキ
マターリ保守
週刊連載でマターリ
332 :
無名武将@お腹せっぷく:02/07/02 01:06
神スレの予感
【諸葛亮立つ 一】
210年7月・・・
元江陵太守の呉巨が揚州軍との戦端を開いてから、荊州と揚州の争いは三ヶ月が経過した。
その間荊州軍は江夏に攻め寄せた揚州軍を撃退し、長沙も奪還した。
しかし柴桑に攻め行った黄忠率いる長沙軍は大敗し、勇将沙摩柯が散った。
劉gは居室で深いため息をついた。
現在荊州は、襄陽、上庸、永安、江陵、長沙と五つの都市が敵勢力と隣接している。
曹操軍は今の所荊州に攻め込んで来る気配はないが、
襄陽と隣接している新野には10万を越す大軍が常に駐屯している。
その計り知れない重圧・・・劉gはそれと闘わねばならなかった。
諸将の前では何とか体面を保っているが、
一度一人きりになると不安に押しつぶされそうになったり、ひどい動悸や目眩に苦しんだ。
幸い前線を任せている太守はどれも有能だ。それが救いだが、
対揚州戦線の要、江陵と長沙には常に兵力や兵糧、金を補充しなくてはならない。
他の後方都市からの輸送では間に合わず、襄陽、永安、上庸からも輸送隊を派遣している。
その時、従者が伊籍と諸葛亮が来た事を告げた。
劉gは読みかけの報告書を片付けると、部屋に通すように伝える。
ほどなくして伊籍と諸葛亮がやってきた。諸葛亮は鷹揚としたものだが、
伊籍は緊迫した顔をしている。
【諸葛亮立つ 二】
伊籍「殿、急ぎ申し伝えたい事が。」
劉g「どうした?兵糧の問題か?」
襄陽の兵糧管理を主に取り仕切っているのは、伊籍である。
襄陽の兵糧はかなりギリギリであるが今の所何とかこなせているはずだ。
ただ伊籍の心労も計り知れないであろう。
伊籍「いいえ。江陵のことです。」
劉g「劉備殿がいかがいたした?」
伊籍「江夏への奇襲攻撃が失敗したとの早馬が到着しました。」
劉g「何と!?」
伊籍「黄忠殿が柴桑に大規模な攻撃をしかけて、江夏の兵が手薄になった隙を狙ったと
思われますが、あと一歩の押しが足らず惜しくも撤退したとの事です。」
劉g「全将、恙無く撤退したのであろうな?」
劉gの脳裏に戦死した沙摩柯の事が過ぎった。
沙摩柯は崩れ行く長沙軍の殿をつとめ、敵将の包囲にあい討ち死にしたとの事だった。
自ら見出した武将だけに劉gの悲しみも大きかった。
伊籍「江陵の将は全員撤退に成功した模様です。」
劉g「そうか・・・それは不幸中の幸いだ。」
劉gは椅子に深々と座り込み、従者の運んできた茶を呑んで一息ついた。
劉gが落ち着くのを待って軍師、諸葛亮が口を開いた。
【諸葛亮立つ 三】
諸葛亮「劉g様。実は私が本日参ったのは、お願いしたい事があるからなのです。」
劉g 「ほう。軍師の願いとは?」
諸葛亮「次の評定で、私の江陵赴任を認めていただきたい。」
劉g 「軍師を江陵に?」
諸葛亮「はい。長沙の黄忠将軍には参謀として鳳統がついております。
しかし江陵には勇将数多くあれど、参謀がおらぬ状態です。戦略に幅が出来ません。」
劉g 「ううむ。」
諸葛亮「今、揚州との戦線は五分五分の状態です。揚州は収める地も広く、
補給も事欠かない状態と思われがちですが、武将の多くは前線に集中し、それが上手く機能していません。
さらに寿春の曹操軍が頻繁に抹稜に攻撃をしかけており、大都督の周瑜はそちらにかかりっきり。
今が一気に押し込む好機なのです。」
劉g 「・・・。」
諸葛亮「私が江陵に赴任した暁には、江夏を必ずや攻略するとお約束いたします。」
劉g 「勿論軍師の力量は疑うべくも無い。だからこそ・・・この襄陽から居なくなるのは痛い。」
伊籍 「私もそれを申し上げたのですが。」
諸葛亮「確かに私も劉g様の元を去るのは、後ろ髪惹かれる思いです。
ですが、今のままでは江夏は落ちません。長沙の黄忠軍と江陵の劉備軍の仲介を取るものも必要です。」
劉g 「そうか・・・。」
暫く劉gは考え込んだ。この襄陽は荊州の象徴である。父が愛した土地である。
その地を軍師諸葛亮無しで守りきれるかどうか自身は無い。
だが前線を任されている太守や武将達は自分よりさらに過酷な状況で闘っているのだ。
甘えてはならない。劉gは諸葛亮に向って大きく頷いた。
【諸葛亮立つ 四】
劉g 「分かった。江陵に行ってくれ軍師。そして見事江夏を奪還してみせよ。」
伊籍 「殿・・・。」
劉g 「良い。私にはお前や萠リ良、黄祖等が付いていてくれる。今は揚州との戦に全てを注ごう。」
諸葛亮「お聞き届けくださりありがとうございます。」
劉g 「頼むぞ。」
諸葛亮「御意。殿重ねてお願いしたい儀があるのですが。」
劉g 「何だ?この際だ、申してみよ。」
諸葛亮「私のほかに、あと2名。江陵への赴任をお許しください。」
劉g 「ほう。誰だ?」
諸葛亮「馬謖と楊儀です。」
劉g 「馬謖は上庸軍師、馬良の弟だな。楊儀は・・・先ごろ我が陣営に加わった男だな。」
諸葛亮「はい。まずはこの2人を手足にして働きとうございます。」
劉g 「そうか。流石の軍師といえど、いきなり劉備軍の武将達を使うのは気が引けるだろうからな。
よい。その2人の赴任も認めよう。」
諸葛亮「ありがたき幸せ。」
伊籍 「では殿、我等の用件はこれで済みました故、ゆっくりとお休みください。」
2人を送り出し、劉gは寝所に入ったが中々寝付けなかった。
この所睡眠が浅い。見る夢は暗いものが多い。
自分の悲鳴で目が覚め、それが夢だと知って安堵する。
そんなときはたいがい酷い寝汗をかいている。
揚州軍に襄陽を攻められる夢が最も多かった。
自分を捕縛する敵の総大将が孫権ではなく、義弟の劉jであったりするのだ。
大きく寝返りをうって劉gは何とか眠ろうとした。
軍師諸葛亮が江陵に赴任する事によって揚州との戦線は大きく動く。
それが吉なのか凶なのか、この時の劉gは知る由も無かった。
微妙に胡散臭い諸葛亮(・∀・)イイ!
>>327 kimasita-
>>328 残念ながら名誉の戦死・・・でございます。
私も沙摩柯はお気に入りのキャラであったのですが。
>>329 残念ながら・・・
>>330 ありがとうございます。
>>331 申し訳ありませぬ。
この7月は仕事の方で束縛されて、中々更新が難しいと
思うのですが、隙をついて書き込みたいと思っております。
>>332 とんでもない。
武田騎馬軍団VS三国志[のハーゴンリプレイをご覧になりましたか?
あれこそ神・・・。
少しでも近づきたいと思っております。
沙摩柯死んじゃったのか・・・
いいキャラだっただけに残念
馬謖と楊儀に期待します!
340 :
無名武将@お腹せっぷく:02/07/03 05:59
諸葛亮、いよいよ謀反か?
期待age
仕事が忙しいとは羨ましい(泣
のーんびり待ってますから、マターーーリとお書かき下さい
孔明、胡散臭すぎ(藁
そう言えばハーゴンリプレイって、落ちちゃったんでしたっけ?
↑読んだ。
・・・・・・スゲエ・・・・・・・・・
諸葛亮のメガンテは背筋が凍ったよ・・・。
応援sage
保守
劉g殿
憧れの劉g殿から暖かいレスをいただき、心から感激致し申した
一度の敗戦に挫けず、目標達成に向けて頑張る所存にございます
孫賊との戦いで劉g殿が輝かしき勝利を収められること、遠く成都よりお祈り申し上げます
あと、これは沙摩柯殿への香典にござる
それと馬謖、楊儀の両将によろしく(藁
200年9月、成都にて
保守
ほしゅ
【未知との遭遇 一】
カポカポと馬が畦道を進む。
2人の若武者が従者を連れての道中である。
収穫の終わった畑にちらほらと働く者達の姿が見える。
それを見やりながら、一人が鞍の横に結わえてある皮袋から水を飲んだ。
「まだかな?」
「もう直だとは思うのですが。」
その時、先行していた従者が駆け戻ってきた。
「若様、見つけたようですぞ。」
「おお、どちらにおられるか?」
「この先の大樹の陰で休んでおられます。」
行き絶え絶えになりながら、従者が告げる。
ご苦労、とその従者に皮袋を投げてやると、若様と呼ばれた方が馬を駆けさせた。
「お前達は後から来い。」
もう一人の若武者が槍を抱えて走り出そうとする従者達に告げると、馬を叱咤し後を追った。
この若武者2人は、江夏太守劉備の養子の劉封と、同じく関羽の養子関平の両名で、
襄陽から江夏赴任が決まった、諸葛亮の出迎えに来たのである。
【未知との遭遇 二】
2人の操る馬はあっという間に目的地に到着した。
諸葛亮は木陰に腰かけ、羽扇をパタパタと扇いでいる。
その傍らに若者が2人直立している。一人は武者姿で一人は文官姿である。
馬謖と楊儀、この若干21歳の若者達も、この度諸葛亮と共に江夏に赴任が決まっていた。
劉封と関平が近づいてくるのを見て、馬謖が駆け寄り馬の手綱を取る。
劉封と関平は諸葛亮に対して軍令をとった。
劉封「軍師諸葛亮殿、この度父の命を受けてお迎えに上がりました。」
関平「関雲長が子、関平でございます。お初お目にかかります。」
諸葛亮は扇ぐ手を止め、涼やかな笑みを向けた。
諸葛亮「これは、劉備殿の若様自ら足をお運びいただけるとは。
しかし劉封様、襄陽を出た私は既に軍師ではありませんよ。」
劉封 「はっ。」
関平 「城内へは我等が先導いたします。」
諸葛亮「はい、よろしく頼みます。」
そう言って諸葛亮は腰を上げたが、暫く農地のほうに目を向けたままであった。
劉封と関平が怪訝そうに顔を見合わせる。
諸葛亮「では参りましょう。」
諸葛亮はまた涼やかな笑みを浮かべると馬上の人となった。
【未知との遭遇 三】
騎馬隊の訓練を終えた張飛が城内に戻ってきた。
鎧を脱ぎ捨て上半身裸になると、水を被り汗を洗い流す。
40を過ぎたといえ、その筋骨隆々の肉体は衰えを知らない。
従者が持ってきた布で身体を拭うとパシンと身体に打ち付けた。
そこに義兄の関羽が近寄ってくる。
関羽「帰ったか張飛。」
張飛「おお兄者、今日は馬の調子が良くてな。いつも以上に訓練がはかどった。」
関羽「そうか。俺も歩兵隊の訓練を終えたところだ。」
張飛「そういや、今日じゃなかったか?あの男が来るのは。」
関羽「もうとっくに到着していると思うぞ。まだ顔は見てないが。」
張飛「長兄は待っておられるのだろう?」
関羽「ああ。だが約束の刻限まではまだある。」
張飛「けしからん。」
関羽「何がだ?」
張飛「我等の兄を・・・いや、太守を待たせるとは。到着したらさっさと挨拶するのが筋であろう。」
関羽「まあ・・・そうかもしれんが。」
張飛「けしからん」
今度は呟くと張飛が宿舎の方に向けて歩き出した。
関羽「こらこらそんな格好でどこへ行く。」
張飛「一言文句を言ってやる。最初が肝心だからな。」
関羽「お前ももう良い歳なんだから、そろそろそういった軽率な行動はだな・・・」
関羽が言い終わらないうちに張飛は歩き出していた。
がっくりと首を落とすと、関羽は仕方なく張飛の後を追いかける。
諸葛亮にあてがわれている宿舎の前には若者が立っていた。
門番を務めているらしい。それを物陰から関羽と張飛が伺っている。
【未知との遭遇 四】
張飛「ん?あの顔は見た事ないな。」
関羽「あれは上庸軍師馬良の弟の馬謖であろう。」
張飛「ああ、あの眉の白い、若いのか老けているのか微妙な奴の。」
関羽「うむ。」
張飛「生意気そうな餓鬼だ。」
と言って張飛は馬謖に見つからないように宿舎の反対側に回り込もうとする。
それに気付いた関羽が慌てて後を追いかける。自然声は低くなる。
関羽「おい、訪いをいれるなら、堂々と正面から行けばいいじゃないか。」
張飛「んにゃ。中で何をしているか見届けてやる。」
宿舎の裏側に回ると、諸葛亮のいる部屋の窓は開いていた。
そこから張飛がそっと中を覗き込む。
関羽「いたか?」
面倒くさそうに関羽が後ろから声をかける。
頭を引っ込めた張飛が首を振る。
張飛「いや。若造が一人竹簡と睨めっこしてやがる。」
関羽「ああ・・・それは楊儀であろう。」
張飛「楊儀?」
関羽「諸葛亮が馬謖と一緒に連れてきた文官だ。」
張飛「いけ好かない顔をしてやがる。」
関羽「諸葛亮は何処に居るのかな?」
代わって関羽が中を覗き込む。
なるほど大量の竹簡と、それにブツブツ何事か呟いている楊儀が見える。
その楊儀の陰からチラリと見えるものがある。
それが何か良く見ようと関羽が首を傾けた。
【未知との遭遇 五】
関羽「いた」
張飛「いたか。野郎、何してやがる?」
関羽「寝ている。」
張飛「寝てるだと!!」
思わず張飛が声をあげたので、ビクッと楊儀が顔を上げる。
その時には既に関羽は首を引っ込めている。楊儀は再び竹簡との睨めっこに没頭した。
関羽「馬鹿野郎。急に大声を出すな。」
張飛「くそったれめ。あの若造。長兄を待たせて昼寝だと。」
関羽「だから約束の刻限まではまだあるというのに。」
張飛「だからって昼寝するなんて法があるか。」
ブツブツ言っていた張飛だが、やおら周りの枯れ木やら枯れ草やらを集めだした。
関羽「何をしている?」
張飛「野郎、火がついていも寝たままで入れるかどうか確かめてやる。」
関羽「おい!!こんな事に付きあわせた上に、そんな無体な事をしようとするなら
お前の虎髭に火をつけるぞ。」
張飛「止めるな兄者。」
関羽「止めるだろう普通。」
関羽と張飛が揉み合っていると、そこに趙雲が通りかかった。
一人で稽古をしていたらしく、汗にまみれた身体と槍が光っている。
趙雲「関羽殿に、張飛殿。何をしているのです?」
大声で趙雲が問いかける。関羽と張飛はピタッと動きを止めた。
張飛が何んでもないという風に手を振る。
趙雲「お2人とももう兵の調練は終わったのですか?
私も槍の稽古を終えたところなんですよ。一緒に戻りませんか。」
【未知との遭遇 六】
槍を振り振り、趙雲が近づいてくる。
関羽はふと視線を感じて上をみた。
諸葛亮がニコニコして窓際に立っていた。
しかしその後ろに立っている楊儀の顔は憔悴しきっている。
諸葛亮「関羽殿に、張飛殿、それに趙雲殿。お久しぶりでございます。」
趙雲 「おお、これは諸葛亮殿。元気にしておられたか。」
諸葛亮「はい。皆様もお元気そうで。趙雲殿は槍の稽古ですか?」
趙雲 「武士たるもの、精進あるのみです。それはそうと関羽殿と張飛殿は何をしておられたのです?」
知らん顔を決め込んでいる張飛のわき腹を関羽がこづき、仕方なく口を開いた。
関羽 「時に諸葛亮殿は、まだ太守の所に挨拶に来ていないようだが。」
諸葛亮「はい。お約束した刻限までまだありますので。ちょっと調べ物を。
楊儀、言いつけたことは終わったか?」
楊儀 「いえ・・・それがまだ。」
諸葛亮「まだ出来てないのか。仕方のない奴だ。馬謖にも手伝わせるか・・・。
では関羽殿、張飛殿、趙雲殿。また後ほどお会いしましょう。」
そう言って諸葛亮は窓を閉めた。
何やら楊儀に言い聞かせている様子が聞き取れる。
そこに馬謖らしい若者の声も加わった。
趙雲「で、結局お2人は何をしておれたのです?」
怪訝そうな顔をする趙雲に張飛は大きなクシャミで答えた。
【訂 正】
諸葛亮は江夏赴任ではありません。江陵に赴任です。
>張飛「止めるな兄者。」
>関羽「止めるだろう普通。」
もう大好き!
359 :
無名武将@お腹せっぷく:02/07/10 10:00
応援age!!
保守!!!!!!
ああ、するさ!
保守を!!
俺は!!!
保守派
保守だす
364 :
無名武将@お腹せっぷく:02/07/16 14:03
待望sage
期待。私生活も大変だろうから無理なさらず。
定期sage
368 :
無名武将@お腹せっぷく:02/07/21 14:16
age
断固!
保守!
俺も!
保守!
あといま少しで時間が出来ます。
保守していただいている皆様、真にありがとうございます。
不出来な作品ではございますが、もう暫くお待ちくださいませ。
俺は待つぜ!いつまでも待つぜ!
次のうPがあるまで、保守は俺に任せろ!
>371
マターリお待ちしてます
保守sage
保守っと
保守
376 :
劉g ◆VeT1GV9o :02/07/29 22:02
【新軍師誕生】
襄陽軍師孔明は江陵に赴任し、劉備から新軍師に任命された。
孔明から届いた報告書によると、まず江陵の内政を根本的に立て直すらしい。
対揚州軍の最前線として、軍事だけでなく兵糧も自給できるように耕作に力をいれ、
商いを活発にし物資の流れを良くする。さらに余った力を城壁の補修や技術力を
高める事に注ぐ。民が安心して働ける環境を作れば江陵はさらに発展し、
輸送に頼らずに独自の力で揚州戦に臨める。そのために江夏奪還にはいま少し時が欲しい。
劉備軍の諸将が内政の指揮を取るのに必死で、中でも張飛が憮然として治安に当たっていると
締めくくられた書簡を、苦笑いと共に劉gはまとめた。
いくら孔明でも揚州軍の精鋭が揃っている江夏を奪還するのは時がかかるだろう。
劉備配下の武将達と上手くやってくれればと願いながら、劉gは次の報告書に眼を通した。
評定の間がざわめいた。劉gから新軍師の発表があったのだ。
指名されたその男自身が驚いている。困惑した表情を浮かべ劉gを見つめる。
劉g 「伊籍、襄陽の軍師として私を支えて欲しい。」
伊籍 「あ、いや・・・我が君。」
萠リ良「伊籍殿、劉g様直々のお頼みですぞ。」
伊籍 「萠リ良殿まで。萠リ良殿こそ劉g様を支えるのに相応しいと某は思います。
長らく先君にもお仕えされた実績もありますし。」
萠リ良「私はもう年だよ、伊籍殿。」
伊籍 「そんな・・・それはあまりにも。私とてもうすぐ50に手が届くのですぞ。」
萠リ良「これからこれから。これまで劉g殿を影日向無く支えたお主が軍師となってくれれば
私も安心だ。」
劉g 「萠リ良もこう申している。伊籍、これは私の意思だ。受けてくれ。」
伊籍 「我が君。」
劉g 「皆、異存ないな?我が軍師はこれなる伊籍を置いて他にはない。」
お〜〜っと文武両官が立ち上がる。
伊籍の隣にいた将が伊籍を立たせて、肩を叩いた。
面映い顔をしながら伊籍は劉gに向って力強く頷いた。
伊籍「不肖、伊機伯。軍師の任お引き受けいたします。」
劉g「よろしく頼むぞ。萠リ良、長年の経験から伊籍を補佐せよ。」
向かい合った伊籍と萠リ良が手を握る。
場内割れんばかりの拍手が鳴り響いた。
諸葛亮に変わり伊籍が襄陽軍師に就任した。
劉gが君主に就いてから、自身最も喜ばしい決断であった。
お久しぶりです。皆様。
久々なのでageて再開させていただきました。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
度々重ねてスミマセン。
保守していただいた皆様全員に感謝しておりますが、
>372様、貴方の一言。一杯一杯だった私の胸にズシンと来ました。
貴方の為にも私は頑張ります。
おかえりなさいませー
最初から一気に読ませてもらいました。
お仕事しながらこれだけの文章、素晴らしいです。
この孔明が司馬懿に見えて仕方ないですw
>>378 とんでもございませぬ
威勢良く保守宣言しておきながら、作品うPまでの保守はそれがしではなく、ほかの方々によるものでした
とにかく、それがしを含め、多くの方々が劉g殿の作品を待ちわびていることをお忘れなきよう
2チャンネラーはマターリには慣れておりますゆえ、お時間がございます時に、また我らを楽しませてくださいませ
382 :
無名武将@お腹せっぷく:02/07/30 08:29
age
現在三戦板内スレ500オーバー
本スレ死守!
【諸葛亮の仕事】
諸葛亮が江陵に赴任して、一年と数ヶ月。
江陵は確実に発展していった。内政の指揮を取る傍ら、諸葛亮は別の事でも忙しかった。
幾度となく揚州内に潜入しているのだ。勿論計略のためである。
まず自らが揚州の特定の武将にそれとなく近づき、心の隙をさぐる。
少しでも相手が動揺すれば間者を使いさらに煽る。疑心暗鬼となったその将を、
馬謖や楊儀を使い、言葉巧みに誘う。これで幾人かの将の寝返りを成功させていた。
勿論生粋の劉備軍の将にはこのような事をやらせてはいない。
あれらの将には向かない仕事であるし、何より人の心を操る事を諸葛亮は楽しんでいた。
劉備の為・・・そう思えばもっと楽しい。
にこやかに関羽や張飛と歓談している劉備を見ながら思った。
【会談 一】
鳳統と諸葛亮が睨み合う。
黄忠は黙して腕を組み、劉備は鷹揚と耳をいじる。
江陵城内では、揚州軍との一戦を担うる幕僚達の会談が持たれていた。
荊南、長沙にあり、柴桑の孫権と対峙している黄忠。
かたや江陵で江夏奪回の機を狙う劉備。
長沙側からは黄忠、鳳統、魏延、文聘が出てきているが、
江陵側からは劉備と諸葛亮のみである。
鳳統 「江夏のために柴桑に大規模な攻撃を仕掛けろと?」
諸葛亮「出来ますか?」
鳳統 「出来る出来ないの問題ではない。」
諸葛亮「このまま攻め続けても江夏も柴桑も落ちません。
無駄に人命と物資を費やすばかりです。
連携を取って一気に攻略する必要があります。」
文聘 「では先に柴桑を攻め落とせばよい。」
今まで憮然と鳳統と孔明のやり取りを聞いていた文聘が江陵側を睨み付けながら発言する。
先年柴桑に攻め寄せて破れ、沙摩柯を討たれた事を長沙軍は忘れていない。
そして柴桑攻略を目指して、臥薪嘗胆、苦しい中を兵力を補充し、兵糧を遣り繰りしているのだ。
【会談 ニ】
文聘 「それが柴桑を攻略を目的とせず、攻められるだけ攻めたら撤退せよだと?
納得の行く話しではない。」
魏延 「柴桑を攻めれば江夏から援軍が出る。大軍がな。そして我等がそれを減らせるだけ減らし、
手薄になった江夏を劉備殿が奪還すると・・・。 諸葛亮殿はそうお考えだな。」
頭に血を上らせつつある文聘を制して、魏延が口を開いた。
魏延「我等にこんな場を与えてくださるとは、軍人冥利尽きるというものだ。」
魏延の顔に冷笑が浮かぶ。諸葛亮は涼しい顔でそれをやり過ごす。
諸葛亮「いや流石に一気に攻略と言うわけには参りません。江陵軍は二つに分けます。
まず第一軍が攻めて江夏を混乱させ、続け様に第二軍を派遣。江夏を攻略します。」
鳳統 「江陵にそんな大軍があるとは思えんが・・・まさか。」
諸葛亮「第一軍の主力は襄陽から出していただきます。」
諸葛亮の発言に場の誰もが呆気に取られた。
【会談 三】
文聘「馬鹿な。」
文聘が吐き捨て、話にならないと言うように首を振った。
文聘 「新野の曹操軍が虎視眈々と襄陽を狙っている状況で、襄陽から兵を割くだと!?」
諸葛亮「全軍を出していただくとは言っておりません。」
文聘 「当たり前だ!!我が荊州の州都が、いや、劉g様が危機に晒されるのだぞ。」
鳳統 「落ち着け、文聘殿。孔明、いや、諸葛亮殿。かような話はこの場だけで決められるものではないぞ。
劉g様の許可が居る。」
諸葛亮「無論です。これには既に劉g様の内諾を得てあります。」
黄忠 「我が君は既にご承知だと言うのだな。」
それまで黙っていた黄忠が口を開いた。
劉備は既にこの事を知っていたのだろう。発言は諸葛亮に任せて一切口を出さない。
諸葛亮「はい、将軍。いずれ正式な沙汰があるはずです。」
黄忠 「決定事項であるならばそれに従う。長沙軍は全軍を持って柴桑を攻めよう。」
文聘 「将軍、納得のいく話ではありません。何ゆえ劉g様はこうも江陵の劉備殿の肩を持つのか・・・」
黄忠 「口を慎め、文聘。お主も軍人ならば与えられた任務を忠実にこなすのだ。」
文聘 「はっ・・・。」
諸葛亮「黄忠将軍、我等が江夏を攻略すれば貴方は直ぐに柴桑を攻め落としていただきたい。」
黄忠 「ほう。」
諸葛亮「兵力の補充は、武陵の萠リ越殿にお願いしてあります。襄陽へは桂陽と零陵から兵を回します。」
劉備 「黄忠殿、柴桑攻略には江夏から援軍を出す。連合して柴桑を落とすのだ。」
初めて劉備が口を開いた。黄忠は劉備に眼を向けた。
黄忠「お頼みいたす。」
劉備「承知。」
【会談 四】
諸葛亮「黄忠将軍にお願いがあります。襄陽からの第一軍の指揮を魏延殿にお任せしたいのです。」
黄忠 「魏延に?」
諸葛亮「はい。襄陽の守りも考えると、多くの将を出すわけにはいきません。
襄陽からは魏延殿の他に三人将を出す予定です。
そして上庸太守の張任殿にもその折には、襄陽に一時赴任していただき、参戦していただきます。」
黄忠 「まさしく次の戦は、乾坤一擲のものとなるな。魏延やれるか?」
魏延 「否とは申しません。」
諸葛亮「ありがとうございます。猛将魏延殿を欠いては、柴桑攻めも苦しいものとなるでしょうが、
よろしくお願いします。」
黄忠 「心配無用。」
鳳統 「諸葛亮殿、ただ江夏と柴桑を落とす事だけを考えているわけではあるまい。」
諸葛亮「流石は鳳統殿。江夏奪還は言わば序章。柴桑攻略から次の幕が開くのです。」
黄忠 「ほう。」
諸葛亮「柴桑を落としたらそこで手を休めず、一気に[番β]陽、廬江も攻め落とします。」
文聘 「揚州侵攻・・・。」
諸葛亮「はい。黄忠殿は柴桑から[番β]陽を、劉備殿には廬江を落としていただきます。」
鳳統 「寿春と広陵の曹操軍が今、激しく抹陵を攻めている隙を狙うのだな。
曹操軍をも利用して一気に揚州攻略を図るわけか。」」
諸葛亮「はい。曹操軍の猛攻を受けて、揚州軍は確実に弱っております。」
劉備 「言わば我等江陵軍は、荊州領であった江夏を奪還するわけだが、
黄忠殿が柴桑を落とす事は、そこから揚州侵攻が始まることを意味するのだ。」
黄忠 「成功の鍵は我等にかかっていると?」
劉備 「左様。」
黄忠 「劉g様のために死力を尽くすのみです。」
劉備 「お互いに。」
黄忠と劉備が向かい合って軍令を取った。
今度黄忠が柴桑に攻め寄せるのを契機に、江夏奪還、いや揚州侵攻作戦が始まるのだ。
黄忠の軍人としての血は騒いでいるだろう。
先ほどまで江陵側に反発的だった文聘も納得がいったらしく、気合が充実しているのがわかる。
【会談 五】
しかし・・・揚州侵攻。
襄陽の劉gが果たして本心でそこまで狙っているのか鳳統は疑問に思った。
諸葛亮は襄陽軍師であったために、劉gに接していた時間は自分より長い。
その時にこの話を劉gに進めていたのだろうか。
軍事に疎い劉gは、恐らく諸葛亮に一切任せたのであろう。
「蚊帳の外で、命令を聞くばかりではいかんな。」
鳳統は一人会議の間に残って呟いた。
劉gが自分の後ろ盾として一目置いている劉備が活躍するのは構わないが、
その参謀の諸葛亮が何を考えているのか分からない。
「私の人生は他人に左右される人生でした。
それはこれからもどうなるか分かりません。ただ私は自分の足で立ちたい。」
そう自分に切実に言った劉gの言葉を鳳統は忘れていない。
「孔明、劉g様をそうそう好きには操らせぬぞ。」
鳳統は立ち上がった。大きな戦が始まる。劉gのための戦だ。
>>379 ただいま帰りましたヽ(´ー`)ノ
>>380 司馬懿を越えて欲しいですねえ。
>>381 ありがとうございます。
貴方のお気持ちいただきました。
>>382 ありがとうございます。
>>383 ありがとうございます。
dat落ちしないように頑張ります。
[广龍]統が意外にいいキャラになりそうで期待
武将間の派閥の違いがはっきり描かれてていい感じっす。とりあえず、
文聘、少なくともファンが一人いるぞー。負けるなー
これ、そのまま活字風に文章を改めたら出版できそうなくらい面白いなあ。
ホウ統イイ感じ 文聘もイイ
魏延と張任再び今度は同じ軍で参戦。期待sage
1日1保守
それ乗った保守
【作戦発動 一】
長沙軍集結。馬上の黄忠が諸将に告げる。
「此度の戦、我が軍の両翼を担っていた沙摩柯と魏延がいない。
厳しいものとなるが諸将の活躍を期待する。」
この戦が江夏軍の誘導のための戦だと言う事は、黄忠、鳳統、文聘、
襄陽に一時赴任していた魏延しか知らない。
黄忠は諸将の戦意を高めるために腕に白布を巻かせた。
「先年の戦は、この黄忠の短慮の為に沙摩柯を死なせた。
我等の退却を身体を張って殿を引き受けて散った沙摩柯。
皆。この戦、沙摩柯の仇を注ぐために死力を尽くそう。」
おーっと諸将が拳を突き上げる。
「全軍進めーっ。」
黄忠の号令で長沙軍が陣太鼓の音も勇ましく進発した。
黄忠は流石に一軍を率いる総大将らしく、その顔には微塵も曇りが見られない。
ただ事情を知る文聘は複雑な表情で黙然と馬を進めている。
その様子に気付いた鳳統が馬を寄せた。
【作戦発動 二】
鳳統「文聘殿、ここは黄忠殿に乗らなくてはならんぞ。」
文聘「おお軍師殿。いや、この作戦頭では分かっているのですが・・・。
どうもこの鍛え上げた軍が囮に使われるかと思うと複雑な気分で。
そして沙摩柯の死をを利用する事も。」
文聘が頭をかきながら、苦笑する。
鳳統「沙摩柯の死を利用して戦意を引き上げるのは私が黄忠殿に進言した。
軍師とは、軍が有利に動く事だけを考えるものだからな。」
文聘「それで良いのでしょう。作戦を立てるたびに兵や将の気持ちを
一々考えたら軍師は勤まりますまい。」
鳳統「そうだな。それが軍師という生き物だ。私も諸葛亮も。」
文聘「私は当たえられた任務を全うします。それが軍人というものでしょう。
そしていつかあの済ました諸葛亮を驚かせて見たいものだ。」
鳳統「そうだ。その意気だ。魏延が居ないのは心細いだろうが頑張ってくれ。
文聘「ご冗談を。この文聘が魏延に劣っているとお思いか?」
豪快に笑い飛ばすと文聘は馬に鞭を入れた。
【作戦発動 三】
堂々と進軍してきた長沙軍に対して柴桑の孫権も防備を十分に整えていた。
孫権「ふむ。先年叩きのめしたのにまだ懲りていないと見える。
こうも堂々と攻めてくるとは。」
魯粛「黄忠率いる八万の軍です。柴桑だけで十分迎撃できます。」
孫権「そうだな・・・。江陵の劉備軍が江夏を虎視眈々と狙っている状況であるし
江夏からの援軍は必要ないかもしれんな。」
魯粛「では柴桑だけで迎撃すると言う事で宜しいでしょか。」
朱治「あいや、我が君。しばし待たれよ。」
魯粛の進言に許可を出そうとした朱治が止めた。
先々代の孫堅から揚州に使えるこの重臣の中の重臣である。
孫権「いかがした朱治?」
朱治「確かに柴桑だけで長沙の黄忠如きは叩きのめせるでしょうが、
ここは江夏からも一気に兵を呼び寄せて殲滅する必要があるのではないでしょうか。」
孫権「ふうむ。」
魯粛「しかし江陵の劉備が江夏を狙っている状況でそちらから兵を割くと言うのは・・・。」
朱治「勿論主力となるのは柴桑の軍だ。江夏の軍には掃討を任せればよい。
そして長沙軍を叩きのめした後は、間髪居れずに長沙に攻め込む。
長沙さえ落とせば後の荊南は我が君のものになること同然かと。」
孫権「ほう。攻め込まれたのを機に逆に荊南に攻め込むか。」
朱治「御意。」
一瞬孫権に迷いが見られた。
朱治「ここで叩いておかねば何度も攻め込んできますぞ。
抹陵の周瑜殿も曹操軍の猛攻を常に受けております。
荊南を一気に平らげて揚州軍の負担を軽くしましょう。」
孫権「分かった。朱治の意見を採用して、江夏から援軍を要請する。
ここで長沙軍を殲滅してしまうのだ。」
朱治「ありがたき幸せ。」
孫権としてもここでいい加減に荊州に片をつけて、曹操軍に備えたかった。
そして自ら出陣して長沙軍を迎え撃つ事を高らかに宣言したのである。
【作戦発動 四】
柴桑の軍と直接ぶつかるのは極力避けて江夏軍が到着するのを待った。
柴桑の砦には、孫権自らが出陣して指揮を取っている。
黄忠は罠を一つ一つ潰して、砦にジリジリと近づいた。
「無駄に兵を失うな。罠を丁寧に探索するのだ。」
砦に近づくと大量の弓が降ってくる。
黄忠はまず、砦の外に陣を構える軍に狙いを定めて突撃を繰り返した。
文聘、李厳も縦横に駆け回り敵を攻撃していく。
鳳統は敵をしきりに混乱させ時間を稼いだ。
趙範や鮑隆、陳応らはその鳳統の周りを囲み、敵軍から守った。
その時、敵陣から歓声が上がる。江夏からの援軍が到着したのだ。
太史慈を筆頭に程普、黄蓋等が急行してくるのが見て取れた。
直ぐに孫権を保護するように江夏軍が砦の周りを囲んだ。
黄忠「援軍が邪魔だ。皆、江夏の援軍を先に叩くぞ!!!」
黄忠が叫んだ。
李厳「江夏軍に!?」
思わず馬を止めそうになった李厳を文聘が叱咤する。
文聘「足を止めるな。将軍の命令に従え!!」
そういって文聘は太史慈と剣を馳せあう。
その様子を見て取って李厳もその援護に回った。
【作戦発動 五】
砦の中で孫権はその乱戦の様子を見ていた。
孫権「あの老いぼれめ。何を考えいてる。我が軍を無視して援軍に兵を回すとは。」
魯粛「狙いは江夏軍にあったのでは?」
孫権「だとしても何が出来る。見よ、我が軍が圧倒的に優勢だ。
ここで一気に殲滅してしまうのだ。」
砦の兵達にも総攻撃に移るように命令を出した孫権の目に、
鳳統の軍が砦に近づいてくるのが眼に入った。
「あれを見よ、敵軍師の鳳統ぞ。あれを討ち取れ!!」
鳳統に殺到しようとした軍から悲鳴が上がった。
思わず立ち上がった孫権はそこから盛大な火柱が上がるのを確認した。
鳳統が火を放ったのである。その勢いが凄まじく砦にまで及ぼうとしている。
魯粛「混乱するな。火を消しとめよ。」
魯粛が兵を集めて必死に消火作業に務める。
しかしその兵たちが敵軍からの弓で次々に倒されていく。
火をつけて回る鳳統を止めようとした軍は、鳳統により奇襲攻撃や
攪乱攻撃を受けて痛手を被った。
鳳統「この鳳統をただの文官と思うな。御主らよりも何倍も上手く軍を扱えるぞ。」
それに激昂した将が誘導されて不用意に近づき、今度は岩を落とされる。
混乱した軍は、長沙軍の将が必死に猛攻に次々と数を減らす。
江夏から出た援軍も、黄忠や文聘、李厳等によって足を止められている。
そこにまたも鳳統が出現し、江夏の将を混乱させていく。
【作戦発動 六】
しかし一時優勢になった長沙軍も、やがて数の差によってジリジリと押されだした。
火から飛び出した甘寧や呂蒙が暴れまわる。
鳳統は長沙軍が個別に動き回らないように、将達を呼び寄せて軍を纏めた。
そして配下の将校に旗を大きく振らせた。
孫権「何だ、あの旗は?退却の合図か?」
不振に思った孫権が、総攻撃の命令を出そうとした時、
上空から矢が自分に向って飛んでくるのを見て取った。
思わず顔を逸らしたその横を矢が通過していく。
魯粛「何事だ!!」
魯粛が孫権を守るように兵に指示する。
突然、けたたましい銅鑼の音と共に一軍が蜂起した。
「朱治殿、朱然殿、寝返り!!」
孫権は驚愕した。
対して長沙軍から歓声が上がる。
朱治寝返りは、このたびの戦の切り札だったのだ。
諸葛亮と鳳統が内密に進めていた作戦である。
文聘「これが軍師の仕事か。たまらんね・・・。」
この事を知らなかった文聘は唇の端に笑みを浮かべると
再び強敵、太史慈に向っていった。兵は削られているが士気は高い。
文聘は作戦の成功を確信した。
【作戦発動 七】
孫権「寝返りだと!?何を馬鹿な事を言っている。」
魯粛「我が君、ここは冷静に。かの二将が寝返っても戦局は最早変わりませぬ。」
確かに、長沙軍は江夏軍に襲い掛かっている一軍を除き、戦線から離脱して行っている。
こちらの勝利は目前だ。
孫権「おのれ、朱治。先々代から受けた恩義を忘れおって。
あの裏切り者だけは何としても討ち取るのだ。」
今や孫権は完全に激昂していた。しかし朱治と朱然の軍はさっさと黄忠の軍と
合流すると江夏軍を攻撃している。江夏軍も混乱すのが見て取れた。
3万近くの増員を受けて、黄忠は江夏軍に対する攻撃の手を強めた。
鳳統が今度は江夏軍に対して火を放つ。太史慈や黄蓋、程普等の動きが止まる。
江夏軍はその大半の兵を失っている。これは敵にとっては大誤算の筈だ。
そしてそれは作戦成功を意味している。
潮時と感じた黄忠は、鳳統を見やる。鳳統が頷く。
黄忠「全軍長沙に退却。」
黄忠は高らかに命令を出した。そして最後の将が退却するまで、自分が殿を務めた。
魯粛「敵軍は撤退していきました。我が君、勝利です。」
孫権「朱治はどうした?」
朱治の軍は、黄忠が軍を引いたのと同時に忽然と姿を消した。
一緒に退却して言ったものと思われる。
孫権は佩いていた剣を投げつけた。
魯粛「我が君・・・。」
駆け寄ろうとした魯粛を孫権は制した。
孫権「この私の不徳で多少の混乱があったが、勝利には間違いない。
皆、勝どきを上げよ。」
柴桑軍、江夏軍から勝どきが上がる。
孫権はそれを複雑な表情で眺めた。
その頃、襄陽では魏延が出動の準備を完了していたのである。
今日は早めに書き込みました。気力があればまた夜に・・・。
>>391 鳳統は今の所、孔明に食われてますから、
何とか活躍させたいです。
>>392 派閥争いは今後も描いていきたいです。
三国志[にはそんな概念はないのですが、オリジナルで(笑)
>>393 出来れば日替わりで将軍を活躍させていきたいとは
思っていますが・・・。
>>394 それは過分なお言葉。
>>395 ありがとうございます。今後とも活躍できるよう、
プレイの方でも使っていきます。
>>396 おお、覚えていただいているとは嬉しいです。
期待に答えられる様に頑張ります。
>>397-398 ありがとうございます。
>>399 おお、私もデビューは「韓玄スレ」でしてね。
あちらの劉g様ともども頑張りたいです。あとで拝見いたします。
伝 説 再 臨
孔明「こちらの劉g様のご足労の返礼の使者として参りました(笑
わが主曰く『文聘タンハアハア(´Д`)』とのことです(笑」
プレイヤー(私)「◆VeT1GV9o殿、無理せず頑張ってくだされ。
ご健勝を祈っておりまする」
保守さげ
訳の解らんスレが乱立しているので保守も頑張らないとな。
昨日一気に読みファンになりました
これからもがんばってください
保守さげ
>415.416
まぁまぁ、マターリsage
まったり応援sage
あぶない、応援sage
420 :
無名武将@お腹せっぷく:02/08/11 14:07
読者獲得age
>>420 上げはリプレイヤのプレッシャーになるのでやめれ
>>421 まあ、そう厳しく言わなくてもいいかと。
ここ数日、板も大人しいし。
1日あいたんで保全sage
おもしろい
【江夏へ 一】
黄忠が柴桑に撤退した事を早馬で知った魏延は、直ぐに軍を出動させた。
江夏へ与える三撃のニ撃目。五万の兵が江夏に向ってひた走る。
どこまで江夏の兵を減らせるかにこの作戦の成功はかかっている。
魏延の部隊の横には、ピタリと張任がつけている。
張任はこの戦の為に一時的に上庸太守の任を解かれていた。
長沙から襄陽に帰還した際、主君劉gと作戦の確認を取った。
張任もその折説明を受けている。
有り体に言えば「負け戦」。しかも完膚なきまでの。
兵一人一人が死に兵となって食らいつく。
三撃目に全てを賭けて。
江夏に駐屯する揚州軍は流石に臨戦体制を解いていなかった。
砦には兵が充満している。しかし、先ほどの黄忠の柴桑攻めの傷跡は
確かに残っているはずだ。
襄陽軍は真っ向からぶつかって行った。
血飛沫の舞う戦場で魏延は鬼になった。
張任としては、必ずしも納得のいく作戦ではなかった。
「負け戦」を指揮する為に呼ばれたのだから。
新参者としての立場はとっくに返上したと思っている。
襄陽をかばう形で、漢中に陣取る、魏王曹操の軍と上庸で睨み合っていたのだ。
諸葛亮やら鳳統やらの言うなりになるのも面白くは無い。
くれぐれもよろしく頼む。そして、どうか生きて帰ってきてくれ。
伏し拝まんばかりに劉gに手を握られた時、張任も覚悟を決めた。
あんな風に頼られた事は前の主に仕えていた時は無かった・・・とふと思った。
真っ向からぶつかって行く魏延を補佐するように張任も戦場の人となった。
【江夏へ ニ】
襄陽軍苦境。
江夏の太史慈率いる揚州軍は強い。
混乱に陥る友軍を叱咤して魏延は血刀を振るった。
血糊で切れ味が落ちたため、叩きつけるように振り下ろす。
魏延に顔面を砕かれた敵兵達が累々と屍をさらす。
しかし何とも数が多い。部隊長が魏延の元に馬を寄せてきた。
部隊長「将軍・・・・」
魏延 「泣き言は聞かんぞ。」
部隊長「しかし、このままでは全滅です。」
魏延 「黙れ。」
魏延は部隊長の胸倉を掴むと、殴りつけた。
何とか馬から転がり落ちずにすんだ部隊長が軍礼を取る。
魏延 「泣き言を言うなよ。言うと気が抜ける。」
部隊長「はっ」
魏延 「張任殿も踏ん張っている。我が軍が負けるわけにはいかん。」
張任の軍も激しく押されている。
魏延は部隊長の馬の尻を叩いて前線に送り込むと、何度目かの突撃に備えた。
魏延 「全滅は覚悟の上だが・・・援軍は果たして来るのか。」
その時、天地がどよめいた。
【江夏へ 三】
江陵からの援軍到着。
伝令を受けた張任は、力の限りに叫んだ。
「援軍が到着したぞ。今一度力を振り絞れ」
同じくして魏延も援軍の到着を確認した。
汗と返り血にまみれた顔を拭い、その旗印を見て取って
友軍と知りながら魏延は驚愕した。
関羽 「漢寿亭侯、関羽である。賊軍ども道をあけい!!!」
関羽の大喝が響き渡り、揚州軍が震え上がる。
そこを突き崩していく颯爽たる騎馬軍団。
趙雲「常山の趙子龍見参!!」
魏延「関羽に趙雲だと。てっきり・・・」
果たして襄陽軍の援軍である江陵軍の主力は、関羽と趙雲であった。
関羽の率いる重歩兵隊と趙雲の騎馬隊は次々に揚州軍を薙ぎ倒していく。
魏延 「てっきり、三撃目の劉備殿に従うと思っていたが。
なかなかどうして。これで思いっきりぶつかる事が出来る。」
大きく息を吐いた魏延は、敵兵の血に塗れた刀を振り上げた。
魏延「全軍、突撃せよ!!」
【江夏へ 四】
襄陽軍は敗れた。
最後の一兵まで戦い抜いた末の壊滅的惨敗である。
魏延も張任も敵の捕縛の憂き目にあった。
十重二十重に縛りあげられたうえに、檻車に放り込まれた魏延は、
何とか首を動かした。隣の檻車には同じような状態で張任が放り込まれている。
魏延「生きていたか張任殿。」
張任「ああ・・・。」
咽喉元近くまで締め付けられた縄のせいで、喋るのも一苦労だ。
張任「江陵からの関羽殿や趙雲殿は何とか逃げ切ったらしい。」
魏延「それは何より・・・。」
張任「いいな、赤兎馬は速くて。」
笑おうとした張任が少し顔を歪めた。
幾らかの手傷を負っているらしい。
荒縄が傷口の上から絞り込むように固く結ばれている。
魏延「傷が痛むか。」
張任「いや・・・この縄のお陰で血が止まるわ。」
【江夏へ 五】
「捕虜が無駄口を叩くな」
突然、兵士が檻の隙間から棒を突いてきた。
魏延は胸を、張任は腹を突かれた。
魏延「何だ、そのへっぴり腰は。」
張任「気合が足りんな。そんなんでは人は死なんぞ。」
揶揄された兵士は顔を真っ赤にして無茶苦茶に突いてくる。
周りの兵は笑ってそれを見ている。
魏延「おい・・・。」
息切れしている兵士を睨みつけて魏延が呟いた。
魏延「お前の顔は覚えたぞ。」
気圧された兵士は、「に、二度と無駄口を叩くこと許さんぞ」と叫ぶと
走り去っていった。
【江夏へ 六】
揚州の君主孫権は、捕虜を引見した。
中には恭順を誓う者もいたが、幾人かは頑として降服を拒んだ。
斬ってしまおうかと思ったが、それは家臣に押しとどめられた。
孫権「逃がせばまた敵となって戻ってくるものを何故逃がさねばならぬ。」
魯粛「我が君が悪名を被る事になってしまいます。」
孫権「そんなもの・・・。」
魯粛「敵君主の劉gもこれまでの戦で、我がほうの将軍を幾人か解放しております。」
孫権「・・・・・・。」
忌々しそうに孫権は、立ち上がると降服を拒む敵将を解放するように命じた。
孫権「ただし、次は無いぞ。」
魯粛「御意。」
魏延や張任など降服を拒んだ将軍達は、荊州との州境で解き放たれた。
引取りの荊州軍の兵が用意した新しい着物に着替え、魏延と張任はやっと一息をついた。
2人で黙然と酒を酌み交わす。
【江夏へ 七】
捕虜となるのは、武人にとっては最大の屈辱である。
それを押し殺す。張任も同じだろう。
江夏軍の有様からして、自軍は完敗したものの、作戦の成功を魏延は確信していた。
魏延「虜囚にされた借りは、何れきっちり返させてもらわんとな。
私は長沙に戻って柴桑攻略の軍に加わる。」
張任「三撃目の軍は江陵からもう出ているな。」
魏延「劉備将軍なら江夏を落とすだろう。」
張任「落としてもらわねば困る。ここまで周到に準備したのだからな。」
魏延「劉備将軍はお嫌いか?」
張任「何とも・・・。」
ぐっと杯の中身を干すと張任は傷を摩った。
張任「私は上庸に戻って、再び曹操軍に備えよう。」
魏延「張任殿」
張任「ん?」
魏延「この度の戦、貴殿が居てくれたお陰で踏ん張れた。礼を言う。」
張任「そう言った事は無しにしよう。同じ旗印の下、闘っていくのだから。」
魏延は柴桑に、張任は上庸にそれぞれの役目を果たすべく戻った。
長沙に到着した魏延は、出迎えた黄忠と鳳統から
江陵から劉備率いる第三撃目の軍が出撃した事を知らされた。
魏延「勝てよ・・・。」
遠い江夏の空を魏延は睨んだ。
遅々として進みませぬのに、皆様にレスを頂き、
恐縮の至り。これからも頑張る所存でございます。
>>409(二代目劉g殿)
お互い頑張りましょう。
関羽と趙雲の登場がかっこいい。
型どおりに描かれているみたいなんだけれど、それが彼ららしくていい。
435 :
無名武将@お腹せっぷく:02/08/14 13:07
頑張ってください。
あえてageて応援
一気に読んでしまいました
人物が生きてて面白いです
sageは辛いですが、応援sageです
ほっしゅ、ほっしゅ。次はいつかな?
体調不良と、暫くの帰郷のため更新できません。
申し訳ございません。
英気を養って帰ってきてください。
440 :
無名武将@お腹せっぷく:02/08/18 00:42
>>438 劉gと孫権が同盟→劉gが孫権の妹を娶る、という展開になったら面白いですね。
>>440 韓玄スレ上げてたヤシと同一か?
基本的にリプスレは下げ進行だ。
感想一言程度で上げんな。
>>441 まあまあ、落ち着いて。
マターリとしましょう。
では、我々はリプレイヤーの復活までsage進行で行きましょう。
しかし何も知らずにageる御仁があっても一切咎めず。
劉gの健康も心配ながら、リプレイヤーの健康も心配。
必ず元気になって欲しい。
一気に読ませていただきました。
各登場人物のキャラが立っていて面白いです。
個人的には孔明と鳳統の確執が生々しくて(・∀・) イイ!!
お仕事しながらの執筆はキツいと思いますが、是非頑張ってください!
なんか間があいていたので保守sage
劉g殿、今現在の勢力状況はどのようになっているのでしょうか?
よろしければ、地図なりで教えていただければ嬉しいなーと思ったり。
お時間ができた時、よろしければお願いします。
448 :
無名武将@お腹せっぷく:02/08/23 12:11
ちょっと下がり過ぎなので期待age。
h
450 :
無名武将@お腹せっぷく:02/08/27 01:21
すこぶる(・∀・)イイ!! リプレイ日記でこんなに面白いと思ったのは初めてです。
続き期待してます!
す、すいません。sage忘れちゃいました。(汗)
>>447 これに現在の勢力を埋めてくれると助かりますね。
×××××××××××晋陽××××薊×××××××北平××××××××
西涼 ┓×××上党┏━━ ━━━━ ━━━┳━━━━ ━━━ 遼東×
×××┃××××× ┓×××業β┏━━━┳ 渤海┏━┛×××××××
×××┃×弘農××┃┗━━━━━ ━┓×┗━━━ 平原××
西平 ┫×┏ ━┓┃洛陽××陳留┃×┃┏━━━ ┻━┓×
×××┃×┃××┗ ━━━┳━━ ×┗ 濮陽×済南×┃×
天水┏ ×┃長安×┗┓宛┏ 許昌┗━━┫×××┏━ ┛××
××┃┗━ ━━━━ ━┛┗┳━━ ━ 小沛×┃×北海
××┃×┏┛××××┣━━━ ━┓言焦┃┏━━┛
武都 ━ 漢中×新野 ×××汝南┗┓×┗ 下丕β
××┃×┃上庸×××┃襄陽××××┃×┏┛×××
×倍 ━┻ ━━━━ ━┓××寿春 ━ 広陵××
××┃××┗┓永安┏┛┏ 江夏×┏┛×┃××××
××┣━┓× ━┳ ━┫┗━┓┏┻━━ ┓抹陵×
××┃巴 ━┛×┃江陵┃柴桑┗ 廬江×┃┃×××
成都 ━┛×武陵 ×× ━━━┫×┏━┛┗ 呉×
××┣ 建寧××┣━ ┛××× ━┛××┏┛××
永昌 ┃××零陵 ×┃長沙××翻陽×××┃××
××┃┃××××┗ ┛×××××××会稽 ×
三江 ┛××××桂陽××××××××××××
誤差はあると思いますが、文中で判る限りをまとめてみました。
×××××××××××晋陽××××薊×××××××北平××××××××
西涼*┓×××上党┏━━●━━━━●━━━┳━━━━○━━━@遼東×
×××┃×××××●┓×××業β ┏━━━┳●渤海┏━┛×××××××
×××┃×弘農××┃┗━━━━━●━┓×┗━━━●平原××
西平*┫×┏●━┓┃洛陽××陳留┃×┃┏━━━●┻━┓×
×××┃×┃××┗●━━━┳━━●×┗●濮陽×済南×┃×
天水┏回×┃長安×┗┓宛┏●許昌┗━━┫×××┏━●┛××
××┃┗━●━━━━●━┛┗┳━━●━●小沛×┃×北海
××┃×┏┛××××┣━━━回━┓言焦┃┏━━┛ □=空白
武都回━※漢中×新野◆×××汝南┗┓×┗●下丕β ○=袁紹
××┃×┃上庸×××┃襄陽××××┃×┏┛××× ●=曹操
×倍〓━┻□━━━━☆━┓××寿春回━回広陵×× ◆=劉備
××┃××┗┓永安┏┛┏☆江夏×┏┛×┃×××× ★=孫権
××┣━┓×□━┳☆━┫┗━┓┏┻━━★┓抹陵× ☆=劉表
××┃巴〓━┛×┃江陵┃柴桑┗★廬江×┃┃××× 〓=劉璋
成都〓━┛×武陵☆××★━━━┫×┏━┛┗★呉× *=馬騰
××┣回建寧××┣━☆┛×××回━┛××┏┛×× @=公孫度
永昌回┃××零陵☆×┃長沙××翻陽×××┃×× ※=張魯
××┃┃××××┗☆┛×××××××会稽★× 回=不明
三江回┛××××桂陽××××××××××××
207年1月 スタート時
×××××××××××晋陽××××薊×××××××北平××××××××
西涼*┓×××上党┏━━●━━━━●━━━┳━━━━●━━━@遼東×
×××┃×××××●┓×××業β ┏━━━┳●渤海┏━┛×××××××
×××┃×弘農××┃┗━━━━━●━┓×┗━━━●平原××
西平*┫×┏●━┓┃洛陽××陳留┃×┃┏━━━●┻━┓×
×××┃×┃××┗●━━━┳━━●×┗●濮陽×済南×┃×
天水┏回×┃長安×┗┓宛┏●許昌┗━━┫×××┏━●┛××
××┃┗━●━━━━●━┛┗┳━━●━●小沛×┃×北海
××┃×┏┛××××┣━━━●━┓言焦┃┏━━┛ □=空白
武都回━※漢中×新野◆×××汝南┗┓×┗●下丕β ○=袁紹
××┃×┃上庸×××┃襄陽××××┃×┏┛××× ●=曹操
×倍〓━┻蔡━━━━☆━┓××寿春●━●広陵×× ◆=劉備
××┃××┗┓永安┏┛┏☆江夏×┏┛×┃×××× ★=孫権
××┣━┓×☆━┳☆━┫┗━┓┏┻━━★┓抹陵× ☆=劉g
××┃巴〓━┛×┃江陵┃柴桑┗★廬江×┃┃××× 〓=劉璋
成都〓━┛×武陵☆××★━━━┫×┏━┛┗★呉× *=馬騰
××┣回建寧××┣━韓┛×××回━┛××┏┛×× @=公孫度
永昌回┃××零陵☆×┃長沙××翻陽×××┃×× ※=張魯
××┃┃××××┗☆┛×××××××会稽★× 回=不明
三江回┛××××桂陽××××××××××××
210年 劉g旗揚時
×××××××××××晋陽××××薊×××××××北平××××××××
西涼*┓×××上党┏━━●━━━━●━━━┳━━━━●━━━@遼東×
×××┃×××××●┓×××業β ┏━━━┳●渤海┏━┛×××××××
×××┃×弘農××┃┗━━━━━●━┓×┗━━━●平原××
西平*┫×┏●━┓┃洛陽××陳留┃×┃┏━━━●┻━┓×
×××┃×┃××┗●━━━┳━━●×┗●濮陽×済南×┃×
天水┏回×┃長安×┗┓宛┏●許昌┗━━┫×××┏━●┛××
××┃┗━●━━━━●━┛┗┳━━●━●小沛×┃×北海
××┃×┏┛××××┣━━━●━┓言焦┃┏━━┛ □=空白
武都回━●漢中×新野●×××汝南┗┓×┗●下丕β ○=袁紹
××┃×┃上庸×××┃襄陽××××┃×┏┛××× ●=曹操
×倍〓━┻☆━━━━☆━┓××寿春●━●広陵×× ◆=劉備
××┃××┗┓永安┏┛┏★江夏×┏┛×┃×××× ★=孫権
××┣━┓×☆━┳☆━┫┗━┓┏┻━━★┓抹陵× ☆=劉g
××┃巴〓━┛×┃江陵┃柴桑┗★廬江×┃┃××× 〓=劉璋
成都〓━┛×武陵☆××★━━━┫×┏━┛┗★呉× *=馬騰
××┣回建寧××┣━★┛×××回━┛××┏┛×× @=公孫度
永昌回┃××零陵☆×┃長沙××翻陽×××┃×× ※=張魯
××┃┃××××┗☆┛×××××××会稽★× 回=不明
三江回┛××××桂陽××××××××××××
210年 劉備敗退
×××××××××××晋陽××××薊×××××××北平××××××××
西涼*┓×××上党┏━━●━━━━●━━━┳━━━━●━━━@遼東×
×××┃×××××●┓×××業β┏━━━┳●渤海┏━┛×××××××
×××┃×弘農××┃┗━━━━━●━┓×┗━━━●平原××
西平*┫×┏●━┓┃洛陽××陳留┃×┃┏━━━●┻━┓×
×××┃×┃××┗●━━━┳━━●×┗●濮陽×済南×┃×
天水┏回×┃長安×┗┓宛┏●許昌┗━━┫×××┏━●┛××
××┃┗━●━━━━●━┛┗┳━━●━●小沛×┃×北海
××┃×┏┛××××┣━━━●━┓言焦┃┏━━┛ □=空白
武都回━●漢中×新野●×××汝南┗┓×┗●下丕β ○=袁紹
××┃×┃上庸×××┃襄陽××××┃×┏┛××× ●=曹操
×倍〓━┻☆━━━━☆━┓××寿春●━●広陵×× ◆=劉備
××┃××┗┓永安┏┛┏★江夏×┏┛×┃×××× ★=孫権
××┣━┓×☆━┳☆━┫┗━┓┏┻━━★┓抹陵× ☆=劉g
××┃巴〓━┛×┃江陵┃柴桑┗★廬江×┃┃××× 〓=劉璋
成都〓━┛×武陵☆××★━━━┫×┏━┛┗★呉× *=馬騰
××┣回建寧××┣━☆┛×××回━┛××┏┛×× @=公孫度
永昌回┃××零陵☆×┃長沙××翻陽×××┃×× ※=張魯
××┃┃××××┗☆┛×××××××会稽★× 回=不明
三江回┛××××桂陽××××××××××××
210年 長沙奪回
どうもお久しぶりで御座います。
体調は復調しました。ついでに帰省もすませましたので、
近々に復活いたします。長らくの無沙汰、お詫びいたします。
>>447 ああ、私はAAとかリプレイの勢力図ってやったことないんです。
ずれるのが怖い(笑)
現在の状況は、
>>456殿で大体あっております。
馬騰は既に滅んでおりますが。
ガンガレ
遅レスすみません。
地図ありがとう。状況つかめました。
劉g殿、復活楽しみにしています。
この名スレを、保守できる栄誉。
【奪還 一】
一撃目の黄忠の柴桑出陣への援軍、決死となった魏延と張任のニ撃目の防備、
これには、さしもの江夏軍も兵の補充が間に合わない。
そして、劉備による間髪入れぬ三撃目である。
江夏軍の将軍達は城門の前に幾ばくかの兵を率いて待ち構える。
太史慈「荊州の弱卒共に、揚州の兵がいかに勇敢かを教えてやれ。」
幾度となく、荊州の侵攻を跳ね返してきた江夏太守の太史慈は、
怪我を抱えた兵士達の間に馬を進めながら諭すように語り掛ける。
後方都市の廬江、[番β]陽は徴兵が間に合わず、支援は期待できない。
頼みは柴桑からの援軍だが、これも厳しい。江夏だけで耐えるしかないのだ。
太史慈「ここを耐え切れば、また構えなおす事が出来る。
凌ぐぞ。絶対に凌ぐぞ。」
太史慈の鼓舞で、江夏の兵たちが沸き立った。
巡回を終えた太史慈が本陣に戻ると、軍師の顧雍が出迎えた。
顧雍 「荊州兵は、この江夏にだけに狙いを絞ってきておりましたな。」
慣れない鎧を着込んだ顧雍は、重たさに耐えて何とか立っているように太史慈は見えた。
太史慈「だが、荊州兵もこの機を逃せば暫くは立ち直れまい。
ワシは盾となって江夏を守ってみせる。」
顧雍「・・・・・御意。」
【奪還 二】
張飛の騎馬隊が無人の砦を破壊し、城門前に殺到した。
劉封や、関平、廖化、陳到がそれに付き従う。
張飛 「燕人、張飛見参!!揚州の小童共、死ぬ気でかかって来い!!」
その魂切るような大喝に、江夏兵が動揺する。
太史慈「何たる重圧か。だが皆の者、恐れる事はない!!
虎髭の相手はワシが引き受けた!!」
太史慈は槍を一度水平に上げると、それを張飛に向ってゆっくりと突き出した。
そして次の瞬間、馬腹を蹴ると太史慈の指揮する騎馬隊は張飛に向って突撃した。
劉備 「はじまったな。」
後方から弩兵隊を率いた劉備がゆっくりと城門に近付く。
隣には軍師、諸葛亮が控えている。
諸葛亮「如何に太史慈が勇猛果敢な武将と言えど、此度は凌げますまい。」
劉備 「江夏奪還は劉g殿の悲願でもあった。ようやく成就するか。」
諸葛亮「ご自分が州牧を継いだ直後に謀反で失っただけに、思い入れも違いましょう。
二年以上の時が掛かりましたが・・・。軍師だった某の不徳と致す所。」
劉備 「今日はやけに愁傷ではないか。だがこれで戦局は大きく動くぞ。」
諸葛亮「御意にございます。」
【奪還 三】
柴桑からの援軍を捨て置き、劉備率いる江陵軍は江夏軍だけを集中的に叩いた。
必死の抵抗を見せた太史慈だが、張飛の無尽蔵な突撃の前に力尽きた。
大将を討たれた江夏軍は混乱し、次々と江陵軍に撃破された。
江夏は陥落した。
城頭から孫の旗が降ろされ、劉の旗が掲げられた。
翻る旗を見上げる劉備の顔にも安堵の表情が浮かぶ。
劉備 「大任を果たせたな。黄忠殿や魏延殿にも顔が立つ。」
諸葛亮「次は柴桑攻略だと逸りたっておりましょう。」
劉備「劉g殿に伝令は出したのであろうな。」
諸葛亮「勿論です。揚州軍からの降将も増えてまいりました。
それもお喜びになるでしょう。」
劉備 「うむ。」
諸葛亮「劉の旗。美しいですな。」
劉備 「ああ・・・。劉g殿の旗だ。」
いつまでも旗を見上げている劉備の横から、そっと諸葛亮は辞した。
遠くで控えていた馬謖が駆け寄ってくる。
身に帯びていた冑や、剣を渡しながら諸葛亮は呟いた。
諸葛亮「これから揚州の城には次々と劉の旗が立つ。劉の旗が・・・。」
馬謖 「御意。」
したり顔で答える馬謖を無視して、重たいものを身から外した諸葛亮は軽やかに歩いた。
ああ、やっとこさ江夏奪還まで書くことが出来ました。
メモ程度の記録しか取っていなかった為に、内容に四苦八苦で
アップアップしております。
応援していただいている皆様に、感謝と残暑お見舞い申し上げます。
劉の旗から漂う陰謀の香りが素晴らしい。
狂喜乱舞カキコ
ヽ(`Д´)人(・∀・)人(`Д´)人(・∀・)人(`Д´)ノ
頑張ってくだちい!
応援sageだゴルァ!
保守
469 :
無名武将@お腹せっぷく:02/09/03 14:59
【回顧 一】
江夏奪還の知らせは直ぐに襄陽の劉gに届けられた。
蘇飛が背いて江夏を孫権に取られてから2年、やっと荊州の領土に復帰したのである。
劉g「ようやく亡き父の頃の領土に戻ったな。」
伊籍「御意。」
劉g「今朝方墓前に報告に行った。」
伊籍「それは孝行をなさいましたな。」
劉g「・・・。」
劉gは茶を一口飲むと、一息ついた。
劉g「果たして孝行と言えるかどうか。父が愛した義弟は追放したも同然。
そして義弟は、荊州に戻っては来れぬ。」
伊籍「殿・・・。」
劉g「揚州にやった間者の報告によると、jはもう、揚州には居らぬらしい。
魏の曹操の所にでも逃れたのであろう・・・。」
伊籍「殿、失礼ながら、これは悔やんでも仕方ありますまい。」
劉g「うむ・・・そうだな。朝から暗い話をしてすまなかったな。」
伊籍「いえ。茶をもう一杯お入れしましょう。」
【回顧 ニ】
伊籍「諸葛亮殿から贈られた茶ですな。何でも滋養強壮に効くとか。」
劉g「先生は、身体の弱い私を気遣ってくれてな。
乾燥した鹿の角、熊の肝、薬草やらを粉末にして混ぜ込んでいるらしい。
高価すぎて私に過ぎた茶だよ。惜しむらくはちと苦いことかな。」
笑って劉gは椀から茶を熱そうに啜った。
劉g「上庸、長沙、江夏を奪還できたのは、出来すぎかもしれんな。」
伊籍「おお、どうしましたか?突然に。」
劉g「いやな、伊籍。惰弱な私にしては出来すぎという事よ。」
伊籍「あまりご謙遜なさいますな。数ある武将を使っての堂々の君主ぶりですぞ。」
劉g「武将も文官達もよく働いてくれる。ありがたいことだ。」
伊籍「高祖の例もございますれば。」
劉g「それは言い過ぎだ。」
【回顧 三】
劉g「何より劉備軍の面々が味方についたことは大きい。」
伊籍「御意。」
劉g「長沙の黄忠や魏延らも素晴らしい将軍達であるが、
やはり百戦錬磨の劉備軍は違うな。彼等が居なければ江夏奪還どころか、
江陵も獲られてズルズルと押し込まれていただろう。」
伊籍「そうですかな。」
劉g「そうだとも。それに劉備殿に付き従う武将を見てみよ。関羽、張飛、趙雲。
魏王、曹操が欲しがったのもわかる。惚れ惚れする武者ぶりよ。」
伊籍「荊州の禄を食んでいる以上、あれらも殿の臣下です。」
劉g「そうではあるがな。我が後継としては劉備殿こそ相応しい。まずは軍団長に据えて・・・」
伊籍「殿が劉備殿に並々ならぬ好意を持っていらっしゃるのはわかりました。
しかし、軍団長はさておき、後継の事は微妙な事ゆえに軽々しく口になさいませぬように。」
劉g「む、うむ・・・。」
コホンと劉gは咳払いをした。
劉g「いや、後継の事で私は苦しんだからな。自分の時にははっきりさせようと思ってな。」
伊籍「まだ殿に跡継ぎが出来ぬわけではありませんぞ。」
劉g「ハハハ。私はもう、39歳ぞ。残念ながら子は無理だろう。」
伊籍「実は、殿にお会いしていただきたい女性が居るのですが。」
劉g「よせよせ、馬鹿者。劉備殿や黄忠が揚州と死闘を繰り返しているときに、そんな事が出来るか。」
【回顧 四】
劉gは顔を赤くすると、一生懸命に伊籍が持ってきた縁談の話を断った。
伊籍は残念そうな顔をしたが、あまりに劉gが固辞するので、無理強いするのをやめた。
江夏奪還を果たした今、荊州軍の方針は、揚州侵攻に切り替わっていた。
そのため今以上に厳しい戦が予想されていた。
伊籍「(折を見て、鳳統殿にでも頼んでみよう。)」
劉g「おお、そろそろ時間だな。早くせねば。」
伊籍「そうでうな。遅刻すれば萠リ越殿に叱られてしまいます。」
劉g「あれも最近、調子が優れぬようだが・・・。」
伊籍「最近の仕事の打ち込み様は凄まじく、私では太刀打ち出来ません。」
劉g「あまり無理をさせないようにせんとな。たまには休息をとらせんと。
では、伊籍。また話につきあってくれよ。」
伊籍「御意。」
荊州君主劉gが伊籍と歓談をして居た折、揚州君主孫権は苦渋に満ちた顔をしていた。
長沙軍がまた柴桑に侵攻してきたのである。
孫権「おのれ・・・。」
迫り来る敵軍を睨みながら、孫権は唇を噛締めた。
砦を火が包んでいた。
今宵はここまでとしとうございます。
御降臨SAGE
お疲れ様保守sage
【柴桑燃ゆ 一】
荊州攻略の一大拠点、柴桑。
孫権は、この地を基盤に荊州を飲み込むつもりであった。
事実、劉表存命時には荊南に兵力を割いておらず、いつでも落とせる状況にあった。
しかし、劉gが跡を継いでから何かが変わった。
序盤こそ計略を駆使し、長沙、江夏、零陵を奪ったものの、
対揚州軍の総大将として黄忠が派遣されると、長沙、零陵を奪い返され、
激闘の末に、先ごろ劉備軍により江夏も失った。
そして今、この柴桑の砦も燃えている。
先を制しているつもりで、後手後手に回っていたのかもしれない。
迫り来る黄忠率いる長沙軍を信じられない面持ちで眺めながら孫権は思った。
魯粛「殿、[番β]陽、廬江からの援軍は期待できませぬ・・・。」
孫権「そうか。ならば仕方が無い。」
魯粛「殿だけでも退却を。」
孫権「それは出来ぬな。」
砦に取り付く敵兵を兵士達が必死の形相で薙ぎ払っている。
だが敵は後から後から湧いてくる。
孫権「最後まで諦めるな。矢を撃て、剣を振るえ。」
孫権は力の限り叫んで、自らも弓を構えた。
【柴桑燃ゆ ニ】
柴桑攻略に向けて長沙軍も必死だった。決して余裕のある戦いではない。
10万の兵士は掻き集めたと言っても良い。
後方都市は出せるものを出し尽くして限界を越えていた。
この機を逃せばまた兵を立て直すのに時を要する。
急増の兵士達は決して士気が高いとはいえない。
鳳統「それを何とかするのが貴殿等の腕の見せ所。」
のんびりとした口調ながらも発破をかける軍師、鳳統。
黄忠「江夏を奪還した劉備将軍に負けまいぞ!!」
重ねて黄忠の鼓舞で兵士の士気も徐々に上がる。
何より、自分達こそ荊州生え抜きであるという自負がある
長沙軍の将軍達は、それを聞くと目の色が変わる。
魏延「敵将韓当を魏延が捕らえたぞ!!」
文聘「こちらも勇将徐盛を捕らえた!」
李厳「何の、宋謙軍を撃破だ!!」
趙範「うわ〜、誰か〜周泰じゃあ〜」
次々と朗報が本陣にもたらされる。
本陣といっても総大将の黄忠も騎馬隊を率いて砦を攻めている。
黄忠「もう一押し、もう一押しで孫権に手が届く。」
【柴桑燃ゆ 三】
黄忠の願いが届いたか、ふいに砦を攻撃する友軍の圧力が増した。
劉備「遅くなったな、黄忠殿。約束どおり江夏から馳せ参じたぞ!!」
黄忠「おお、劉備殿。ありがたい。」
江陵での会合の約定どおり、江夏太守劉備自らが、
関羽、張飛、趙雲、関平を引き連れて援軍として参戦した。
黄忠「今こそ好機!!全軍かかれ〜〜〜!!」
黄忠の号令の下、長沙・江夏の連合軍が一斉攻撃にでた。
砦を守っていた柴桑軍の将軍達は、一人、また一人と撃破されていく。
声を枯らして、弓兵を指揮していた軍師魯粛も捕らえられた。
残すは君主、孫権のみ。鳳統は、砦を十重二十重に囲み、孫権の退路を完全に絶った。
【柴桑燃ゆ 四】
長沙軍総大将黄忠は、孫権の篭る砦を攻める手を強めた。
荊州軍一方の雄、劉備が江夏を奪還して見せたのだ。
劉g直々に対孫権軍の総大将を任された自分が負けるわけにはいかない。
鳳統が長沙軍を使って砦を包囲したのも、実は江夏軍に手出しをさせない様にとの
意図もあったのだが、黄忠はそんなことは気付かない。
砦を守備する最後の兵を切り捨てると、黄忠は一気に奥まで突進した。
居た。まだ歳若い武将が数名の兵に囲まれるようにして、立っている。
紫髯、碧眼。揚州の主、孫権に間違いない。
黄忠「揚州牧、孫権殿だな?」
孫権「貴様は誰だ?」
黄忠「荊州牧劉gが配下、長沙太守黄漢升と申す。」
孫権「貴様が黄忠か。いかにも私が揚州牧孫仲謀だ。」
黄忠「柴桑軍は最早貴殿を残すのみ。覚悟されよ。」
孫権「この首が所望ならとっとっと持っていくが良い。」
黄忠「それを決めるのは主、劉gである。神妙に縛につかれよ。」
剣を握り締める孫権の手が怒りのためか震えたが、それも一瞬、
護衛の兵士達に剣を捨てるように言うと、自分も黄忠の前に剣を放り捨てた。
孫権「良いだろう。好きにするがいい。」
「黄忠将軍が、孫権を捕らえたぞ!!」
【柴桑燃ゆ 五】
砦を囲んでいた将軍、兵士達にその声は届いた。
わっと歓声が上がる。やがてそれは万歳、万歳の声に変わってゆく。
黄忠が捕縛した孫権の檻車を先頭に出てくるとその声は一段と大きくなった。
孫権は両眼をつむったまま微動だにしない。
文聘「やったな。」
魏延「ああ。先ごろの戦で俺が檻車に放り込まれた借りは、
これでで良しとするか。」
文聘「劉g様は孫権を処断するかな?」
鳳統「いいや、処断はすまいよ。」
孫権を捕らえたと言っても、まだ揚州軍が壊滅したわけではない。
攻略しなかければならない地も多い。
鳳統「無駄に恨みを買うべきではないからな。」
文聘「しかしちと惜しいような気もするな。」
魏延「また捕らえればよい。揚州侵攻は始まったばかりだからな。」
鳳統「何にせよ、この勝利は大きいぞ。
荊州と揚州の明暗を分けた一戦となったのは間違いない。」
魏延「江夏の劉備殿、柴桑の黄忠殿のどちらがより多く揚州を攻略するかな。
手柄の競い合いになるな。」
鳳統「黄忠軍きっての猛将としては、譲る気はないのだろう?」
魏延「無論。」
兵士達の歓声は、黄忠万歳、劉備万歳から、劉g様万歳に変わっていた。
長年荊州を脅かし続けた揚州軍の拠点、柴桑は陥落した。
ここから荊州軍の揚州侵攻は本格化していくのである。
>>477-481 お疲れさんです!
>魏延「敵将韓当を魏延が捕らえたぞ!!」
>文聘「こちらも勇将徐盛を捕らえた!」
>李厳「何の、宋謙軍を撃破だ!!」
>趙範「うわ〜、誰か〜周泰じゃあ〜」
>次々と朗報が本陣にもたらされる。
ここ激しくワロタ!趙範ってば…。
御降臨ラッシュsage
最近劉g殿のカキコサイクルが短くて、当初からのファンとしては嬉しい限り。
体調に気をつけて、マタ〜リと頑張ってくだされ。
応援しておりまする。
劉g殿応援sage。
残暑益々厳しいですが頑張って下され〜。
保守
保全sage
保守しておきます
489 :
劉g ◆VeT1GV9o :02/09/09 23:38
【韓公 一】
劉g「柴桑攻略軍は見事だったな。」
伊籍「御意にございます。時に孫権を引見した感想は如何でしたか?」
劉g「流石は揚州を束ねる剛の者よな。中々の器量と見たぞ。」
伊籍「引見の間は終始黙して語らずでしたな。」
劉g「うむ。孫権は荊州に対する恨みは一方ならずの所があるからな。
腸は煮えくり返っていたであろう。」
伊籍「昔の事とは言えど、父の孫堅を討っておりますからな。
しかし荊州(こちら)の側からすれば、侵略してきた敵軍を迎撃しただけの話ですが。」
劉g「それで割り切っていたら一方の君主なぞ出来まいよ。
これからも孫権とは確執が続くな。だが、こちらも今更退けぬ。」
伊籍「御意。こちらがその気は無くても孫権は荊州を狙ってくるでありましょうし。
我等にしても曹操と争う上でも広大な揚州はどうしても必要です。」
劉g「荊州は今弱りきっておる。酷使している民を休ませてやらねばならん。」
伊籍「劉備殿と黄忠殿、このお2人に引き続き揚州攻略をお任せするのですな。」
劉g「うむ。2人から書状が届いた。劉備殿は江夏から廬江を、
黄忠は柴桑から[番β]陽侵攻を任せるつもりだ。二人とも意気盛んだぞ。」
伊籍「揚州軍も防備に死力を尽くしてくるでしょうな。」
劉g「今回思ったほど揚州の将軍が寝返って来なかったのは残念だ。」
伊籍「韓当、黄蓋、程普の宿将達や、太史慈や甘寧などの勇将ですか。」
劉g「うむ。またあれらが相手では、劉備殿や黄忠も苦労するだろう。」
伊籍「揚州三代、その絆を断ち切るのは容易でありますまい。
あれの調略は、諸葛亮殿や鳳統殿にお任せするのが得策かと思われます。」
劉g「あの二人が揃えば怖いもの無しよな。」
伊籍「はっ・・・。」
鳳統と諸葛亮の自分を巡る暗闘に全く気付いていない劉gは呑気に茶を啜った。
薄々とだがそれに気付いている伊籍だが言及はしなかった。頭が痛いところではあるが。
従者「劉g様!!」
突然、静けさを破って、従者が転がり込むように飛び込んできた。
【韓公 ニ】
伊籍「騒がしい、何事か?」
従者「ちょ、ちょ、ちょ」
伊籍「何だ、落ち着かぬか。」
劉g「茶を飲むか?」
従者「失礼いたしました。朝廷のご使者が参っております。」
劉g「朝廷からのご使者だと!?」
伊籍「これは・・・。殿、お待たせしてはなりませぬ。お早く。」
劉g「う、うむ。しかし伊籍よ、何事だろう。」
伊籍「臣には分かりかねますが・・・。」
衰えたといえ、漢室未だに健在である。
さらに劉gは漢復興、勤皇の志を旗印に掲げている。
思いは一方ではない。
劉g「き、着替えを」
伊籍「そうですな。これ、衣と帯をお出ししろ。」
従者「はっ。」
劉g「冠も確か新しいのが。」
伊籍「お似合いですぞ殿。とにかく急ぎませぬと。」
劉gは小走りに謁見の間に向った。
部屋の前で止まると、大きく息を吐く。従者が額に浮かんだ汗を拭いた。
伊籍を従えて劉gは出来るだけ落ち着いた素振りで使者と対面した。
劉g「ご使者殿、お待たせいたしました。」
伊籍「(ああ殿、声が裏返っておりまする。)」
【韓公 三】
劉g「ごほん。ご使者殿、ようこそお越しいただきました。」
使者「劉g殿におかれましては、益々ご活躍の事、お喜び申し上げます。」
劉g「恐れ入ります。」
型どおりの挨拶の後、使者は急いでいるらしくいきなり本題に入った。
使者「さてこの度参ったのは、劉g殿に陛下のお言葉を伝えるためです。」
劉g「謹んで承ります。」
使者「近頃の劉g殿ご活躍、都の陛下の所にも届いております。
孫権との戦では、江夏を奪回し、柴桑を攻略したそうですな。」
劉g「ははっ。」
使者「陛下は劉g殿のご活躍をお喜びで、公の位を与えるとの事です。」
劉g「こ、公でありますか?」
使者「はい。韓公を名乗るようにと。」
劉g「恐れ多い話でございます。」
使者「劉g殿如何に?」
劉g「陛下のお心、この劉gどうしてお断りする事が出来ましょう。
謹んでお受けいたします。これからも陛下のため、漢室の為に邁進する所存に御座います。」
使者「そのお言葉陛下にお伝えしましょう。韓公就任おめでとうございます。」
使者は要件を伝えると去っていった。
残された劉gは、やや呆然とした面持ちで座り込んだままであった。
【韓公 三】
伊籍「殿、いや閣下。大丈夫ですか?」
劉g「殿で良い。」
伊籍「公就任、おめでとう御座います。」
劉g「私が韓公で良いのかな?」
伊籍「勿論でございますとも。領内に触れを出しましょう。」
劉g「よいよい、大事にしなくて良い。」
伊籍「そういうわけには参りますまい。文武諸将の気の入り様も変わりましょう。」
劉g「喜んでくれるかな。私は漢王室復興を旗印にしている。それが王室を蔑ろ
にしているのではないかと・・・。いや、思わず受けてしまったんだが。」
伊籍「曹操が魏王として漢から半独立している今、殿の存在は勤皇の大きな旗印となります。
公就任は、こちらから望んだのではなく、言わば陛下が望んだ事なのですから。」
劉g「私を公と認めて陛下は大丈夫なのだろうか。」
伊籍「朝廷を牛耳っている曹操も殿の力を認めたということです。」
劉g「そうか。だが公になったからと言っても私が私である事には変わりない。
皆には日頃の業務を疎かにせぬように伝えよ。揚州との戦を抱えているしな。」
伊籍「御意にございます。ですが殿、今日は拙宅においでください。
てささやかながらお祝いをしとうございます。」
劉g「あい分かった。」
劉gは執務中を抜け出し、劉表の墓前に報告に行った。
劉g「(父上、恐れ多くも陛下からの詔を受け、公の位を頂きました。
父上から引き継いだ荊州牧の大任をこなせるかどうかも不安ですのに、
さらに分不相応な位まで頂いて・・・。どうかgを見守ってください。)」
長い事黙祷していた劉gだが、ようやく立ち上がった。
劉g「うう、重圧で胃が・・・。」
劉g39歳。
公の位を頂き、韓公となった。
今宵はこれまでにしとうございます。
毎度保守ありがとうございます。
>>484 体調を崩す事が多々ありますが、最近は大丈夫です。
自分ではそんなに弱くないと思ってるんですけど。
不摂生ですな(笑)
>>485 項鵜殿、ありがとうございます。
感謝カキコヽ(´ー`)ノ
劉gさんの性格の良さが滲み出ていて心温まりました。
そろそろぁゃιぃ諸葛亮が何かしかけてくるかな…(ワクワク
【思惑 一】
劉gが朝廷から韓公として認められた事は、領内を駆け巡った。
劉gの心配とは裏腹に、好意的な声が多く聞かれた。
群臣の中にもこれと言って反対意見を持っている者は居ないようだ。
お祝いを述べに現れる者や、地方の産物を届けに来る者など、
有事中であるため控え目であるが、祝賀ムードが漂っていた。
「あの劉g様が韓公となられた。」
「何とめでたいことではないか。」
「先君の跡を継がれたのは間違いではなかった。」
「我等も見る目があったということよ。」
しかし、江夏の軍師、諸葛亮と柴桑の軍師鳳統は他とは違う反応を示していた。
【思惑 ニ】
<江夏>
劉備 「・・・。」
諸葛亮「どうしました?殿。」
劉備 「お前の殿は劉g殿だというのに。何度言わせる。」
諸葛亮「私の心は貴方のものです。」
劉備 「いらない。」
<柴桑>
鳳統「・・・。」
黄忠「どうした?軍師。」
鳳統「太守殿か。」
黄忠「まだ飲み足り無いと思ってな。」
黄忠は鳳統の前に酒壺をドンと置いて杯をつきだした。
黄忠「今宵は特別の夜じゃ。主の慶事だからな。
将や兵たちにも特別に酒を許すのに、お主も同意したではないか。」
鳳統「皆、浮ついておりましたからな。」
黄忠「酒好きのお主が飲まねば皆、遠慮して飲めぬでは無いか。」
鳳統「ふむ。」
黄忠「まあ、飲め。」
黄忠は杯をグイっと干したが、鳳統は杯を揺らして波打つ酒を眺めていた。
黄忠「悩み事か軍師?」
【思惑 三】
<江夏>
諸葛亮「劉g様が韓公に成られたのがご不満ですかな?」
劉備 「不満というわけではないが・・・。」
諸葛亮「不敬であると?」
劉備 「陛下が望んだ事だから仕方が無いではないか。
曹操と違って劉g殿に野心があるとは思えん。裏工作の気配は無いのだろう?」
諸葛亮「劉g様に限っては、ございませんな。」
劉備 「公ともなれば、社稷を認められ、漢の支配から半ば独立した事となる。
では次は、曹操と同じように王となるのか?私は漢の臣ではなく、韓の臣となるのか?」
諸葛亮「ふふふ。」
<柴桑>
黄忠「主が公となられたのは、曹操の陰謀だと申すか!?」
鳳統「そういう考え方もあると。」
黄忠「何故じゃ?これは・・・陛下が望まれた事であろう。」
鳳統「今、朝廷を支配しているのは誰とお思いか?」
黄忠「それは曹賊ではあるが・・・」
鳳統「太守殿は、劉g殿が漢室再興、勤皇の志を持っておられるのは
ご理解しておられるな?」
黄忠「無論じゃ。何を今更。」
鳳統「しかし劉g様は韓公という立場で漢から半ば独立された。
これは魏王曹操と同じではないのか。」
【思惑 四】
<柴桑>
黄忠「お・・・」
鳳統「曹操が劉g様を自分と同じ立場まで引っ張り挙げて来たと。」
黄忠「つまり・・・何だ?」
鳳統「漢に仇為す逆賊を討つという大義名分が使えなくなる。」
<江夏>
劉備 「何を笑っておる。気持ち悪い。」
諸葛亮「殿のその真っ直ぐなお気持ちが私の心をくすぐるのです。」
劉備は心底嫌そうに諸葛亮を睨んだ。
諸葛亮「そのような目で誘わないでください。」
劉備 「黙れ。」
諸葛亮「真面目な話をいたせば、曹操の陰謀とも取れなくもないですな。」
劉備 「曹操の?」
諸葛亮「劉g様が勤皇の志を持って大々的に兵を挙げたというのは、
廷臣の口から陛下のお耳に入っておりましょう。
それを曹操が上手く使ったとすればどうか。」
【思惑 五】
<柴桑>
黄忠「曹操と劉g様は違う!!」
突然黄忠が大声で叫んだので、鳳統は驚いて黄忠の顔を見つめた。
黄忠「己の野望の為に漢室を利用している男と、
漢室を一途に思っておられる方のどこが一緒だというのだ。」
鳳統「突然大声を出されると、身体に悪いですぞ。」
黄忠「年寄り扱いするか!!」
<江夏>
劉備 「曹操なら考えそうな事ではあるが・・・。」
諸葛亮「そのような考えもあるわけです。」
劉備 「劉g殿は利用されていると言うことではないか。」
諸葛亮「さて。」
劉備 「さて。では無い!!分かっておるなら何故一言忠言せぬか。」
諸葛亮「相談もなく即答されたのでは止め様が御座いませぬ。
無論、劉g殿も陛下のご意思を足蹴にするなど出来るわけが御座いませぬ。」
劉備 「むう・・・。」
諸葛亮「殿が懐疑の意を示せば、劉g様が不安になります。
ここは使者をやってお祝いを申し上げるのが良策かと。」
劉備 「そうだな。劉g殿が勤皇の御旗を降ろさぬ限り、私の心は劉g殿と共にある。」
諸葛亮「御意に御座います。」
【思惑 六】
<柴桑>
鳳統「そのように青筋を立てずに落ち着かれよ、太守殿。」
黄忠「むう・・・。」
鳳統「公になられた以上、それを守り立てるのも臣の務め。
恐れるべきは、我等の驕りと油断、それに漢への忠心の欠如です。」
黄忠「いかにも。」
鳳統「揚州との戦も予断を許さぬのは、周知の事実。
将にも兵にも今以上の引き締めを徹底させましょう。」
黄忠「それなら今日の酒宴もさせるべきではなかったか。」
鳳統「いや・・・」
ニヤリと笑うと鳳統は、杯の中身を干した。
鳳統「心が決まったところで、飲み直しといきましょう。
某はまだ飲み足りない。」
<江夏>
諸葛亮「孫権に臥薪嘗胆の機会を与える事はありませんぞ。」
劉備 「わかっておる。一気に揚州を平らげ、曹操を討つ。」
諸葛亮「私も死力を尽くします。」
劉備は迷いが吹っ切れ、晴れ晴れとした表情をしていた。
その傍らに立つ諸葛亮はいつも通り涼やかな顔で羽扇を扇いだ。
「(迂闊に公の地位に登った事は、あの方の汚点の一つとして数えられましょう。
それは貴方の大義名分ともなりますよ。)」
今宵はここまでとしとうございます。
>>494 ありがとうございます。
揚州編はそろそろ片付けてしまおうと思っています。
次か、その次か、それともその次か・・・・。
(;´Д`)ウワァ… >諸葛孔明
そーか、こういう描写もできるのかと目から鱗が落ちますた。
劉gを取り巻く暗雲・・・心配やで〜
鳳統先生に期待(´人`)ナンマンダー
劉備 「・・・。」
諸葛亮「どうしました?殿。」
劉備 「お前の殿は劉g殿だというのに。何度言わせる。」
諸葛亮「私の心は貴方のものです。」
劉備 「いらない。」<<o(__)ノ彡_☆バンバン!!
【怒涛 一】
213年劉g、40歳。
この年、揚州との戦は熾烈を極めた。
前線の指揮を任されているのは、変わらず劉備と黄忠の二将である。
劉gの後見であり跡継ぎと噂される劉備、荊州生え抜きの武将、黄忠。
第二軍団長に就くのは、この二人のどちらかとなるだろう。
劉備の知恵袋となった諸葛亮、黄忠を補佐する鳳統、
軍団長の軍師となるのは果たしてどちらか。
積極果敢に兵を出したのは、劉備軍であった。
1月、4月と[番β]陽を攻め立てた。
しかし、ここを抜かれれば揚州奥に食い込まれる事となる
揚州軍は必死に防備した。
7月に何と劉備軍は、2回に分けて廬江に攻め入った。
だが後一歩の所で攻めきれず撤退する事となった。
この間、柴桑の黄忠軍は境界が接していないため、
援軍を出す事が出来なかった。だがじっと[番β]陽攻略の機を狙っていた。
【怒涛 二】
10月、ついに廬江が陥落した。
江夏の劉備軍が大挙して押し寄せ、揚州牧孫権は、[番β]陽に逃れた。
しかし、時を置かずに黄忠の号令一下、柴桑軍が[番β]陽に押し寄せたのである。
廬江への援軍で疲弊していた[番β]陽軍は、この間ずっと兵力を養っていた
黄忠軍に粉砕され、孫権は、周瑜の統治する抹陵まで後退した。
揚州残すは、抹陵、呉、会稽の三都市のみ。
荊州と揚州の争いは、ここに来て荊州軍の圧倒的有利となったのである。
報告書を読み終えて劉gは一息ついた。
従者が淹れた茶を飲みながら、伊籍と向かい合う。
劉g「劉備殿、黄忠、両将とも見事だ。」
伊籍「御意」
劉g「しかし江夏の民はさぞかし疲れておろうな。」
伊籍「はっ。我が領土に復帰する前から孫権軍の拠点として
酷使されておりました上に、廬江軍と一年激戦を繰り返しました。」
劉g「出来うる限りの手当てをして欲しい。」
伊籍「御意。我が軍も後方支援都市が増えましたので、
各都市の負担もいくらかは軽減されるとは思います。」
劉g「うむ。」
頷いた劉gの顔に、まだ憂いの表情があるのを伊籍は見逃さなかった。
伊籍「何かお悩み事でも?」
【密議 一】
劉g「階級が上がったものは、俸禄を上げてやることが出来るが、
奮闘を繰り返している将達に何らかの恩賞を与えてやりたいものよ。
だが私の財力では十分なものを与える事は出来ん。」
伊籍「実はその事で殿にお話があるのです。」
そういうと伊籍は、従者に命じて少し大きめの黒い木箱をもってこさせた。
伊籍「恩賞に関してなのですが、この一年で我が軍に降った
揚州の将の数も増えております。その者達にも何らかのものを
与えてやる必要があると思うのです。」
劉g「ふむ。」
伊籍「物で釣るというわけではないのですが、やはり貰うと貰わないのでは、
降った者達の気持ちにも差が出ましょう。」
劉g「それはその通りであるが、だが荊州に将達に分け与えるような財物は無いぞ。」
伊籍「これをご覧ください。」
そう言うと伊籍は木箱の封印を解き、それを開けた。
鈍い光が放つそれを見て劉gは驚いた。
劉g「金ではないか・・・伊籍これをどうした!?」
伊籍「これを劉g様に使っていただきたいのです。
軍資金と思って頂き等ございます。」
【密議 ニ】
劉g「軍資金は結構だが、伊籍これは一体どこから出てきたのだ?」
訝しげに劉gは木箱に詰まった金塊と伊籍の顔を見比べた。
伊籍は穏やかに笑ってそれに答えた。
伊籍「今朝方、蔵を開けて会計方に届けさせました。一万金に相当します。」
劉g「い、一万金!?いや、それよりお主、これを、
こ、こ、国庫から捻出したのか!?」
伊籍「御意にございます。」
劉g「これを私にどうしろというのだ・・・。」
劉gが驚くのも無理は無い。
いくら揚州との戦で優位に立っているとは言え、
どこの都市も苦しい状況である。
その中での一万金相当を引き出すことは、度し難い事と言えた。
【密議 三】
中々受けとうろとしない劉gに、伊籍はゆっくりと説明した。
伊籍「勿論、これは私から殿への賄賂ではありませんぞ。
殿にはこの金を使って、将達を労い、
色々な都市で売られている宝物(ほうもつ)を買い集めていただきたいのです。」
劉g「宝物を?」
伊籍「はい。それを将達に授与すれば、彼等の殿への忠誠も増すことでしょう。」
劉g「しかし、そんな事が許されるのだろうか・・・。」
伊籍「集めた宝物を殿が独占すれば、それは私利私欲と取られても仕方がございません。
しかし、配下に平等に分け与える事によって殿の評価は上がります。
これも政策の一つと思っていただきとうございます。」
劉g「言わんとしている事はわかる。しかしもう少し領土に余裕が出来てからでも
良いのではないか。」
伊籍「いいえ。すでに降将達に孫権は元より、曹操からも調略の手が伸びていると思われます。
彼等を思いとどまらせるのに、今が遅すぎるという事はございません。」
劉g「・・・分かった、出来るだけの事はしてみよう。」
伊籍「ご理解いただき感謝いたします。宝物を買い集めるために、
全土に散らす者は私が手配いたします。
無論、この資金は直に無くなるでしょうから、そうなればまたお渡しいたします。」
劉gは伊籍から渡された軍資金を元に、
様々都市で売られている宝物を買い集める事と成った。
それが君主の仕事として正しいかどうかは定かではないが、
この事が劉gとある男を引き合わせる結果と成ったのである。
>>505訂正
劉備軍が江夏から1月、4月と激しく攻め立てたのは、
[番β]陽ではなく廬江でした。
>>502-504 孔明は描いてて楽しいです。
序盤に思い描いていた孔明とは違ったものになりつつ
ありますが、それもまた良し。
今宵はここまでにしとう御座います。
>>500の最後の一行に至るまでの諸葛亮描写は神。
感激sage
千秋万歳
保守!
【激戦の合間 一】
214年、その年劉gは、武将達の恩賞を買い集める旅に出発した。
先ず、襄陽内の市場を回る事にした。
お供をするのは庭掃除の得意な小間使いと、
伊籍が万が一の為にと劉gの護衛につけた襄陽間者衆の頭である。
寡黙な男だが腕前は確かのようである。
常に劉gの側にピタリとくっついている。
小間「ご主人、予算は幾らですか?」
劉g「伊籍から預かったのはこれだ。」
小間「うわあ、たくさんありますね。私のお給金何年分だろう。」
涎を垂らしそうな小間使いに危険を感じて、劉gは巾着袋を後ろに隠した。
それを見て小間使いがケラケラと笑う。
小間「嫌ですねえ。冗談ですよ。」
劉g「で、お前はこういった市場の買い物に詳しいのか?」
小間「お野菜とかは買いに来た事があります。
ご主人様のお食事を作らなければなりませんから。」
劉g「・・・もういい。頭、お前が頼りだ。」
頷いた頭が市場に数多く開かれている店の一軒を指差した。
そこにはたくさんの商品が並べられていた
【激戦の合間 ニ】
襄陽にこんな品物を売っている商人がいたのかと、劉gは驚くと共に、
珍しさから広げられた商品の間を目を輝かせて歩いた。
小間使いはヒョコヒョコと後ろからついて歩き、
頭は隙無く、さりげなく劉gを護衛している。
商人「えらっしゃい、お客さんいいのあるから見て行ってねえ。」
商人が愛想良く呼び声を上げる。
目ぼしいのがちらほらとある。
劉g「おお、史記ではないか。」
劉gは分厚い書物を手に取った。
商人「お客さん、目の付け所がいいね。それはここら辺じゃ中々手に入らないよ。」
劉g「史記くらいは読んでいるが・・・」
商人「何の、それはただの書物だ。これはね。これを読んだら政治の
イロハが分かるというお勧め品だよ。内政にも役立つ。なんたって能力が10も上がる。」
劉g「(訳の分からん呼び込みだな。)」
小間「(ちょっと、ご主人様これ高いですよ。)」
劉g「(うっ・・・。)」
史記はなんと3000金もした。これでは伊籍にもらった金は直ぐになくなってしまう。
小間「(こう・・・もう少しお安くて見栄えのするものをたくさん買ったほうが
宜しいんではないかしら?)」
劉g「(そ、そうだな。)」
商人「何だ、お客さん買わないのかい?買わないなら手垢がつくからあまり触らないでねえ。」
劉g「じゃあ、この論語と礼記をもらえないかな?」
商人「あいよ。二つ合わせて2000金だあね。」
巾着袋からゴソゴソと金を出そうとした劉gを小間使いが止めた。
【激戦の合間 三】
腰に手をあてた小間使いがびっと商人を指差して交渉(いちゃもん)を始める。
小間「ちょっと、定価通りに売りつけるとは何事よ。」
商人「私、何か間違った事言ってますか?」
小間「まけなさい。」
商人「こっちも商売よ。」
小間「商売できなくなるわよ。」
商人「何を言うあるか?」
小間「こっちは、襄陽のさるお方の知り合いなのよ。
こんな店潰すの分けないんだから。」
商人「脅しには乗らないよ。こちとら董卓の暴政にも中原の大混乱も乗り切ったよ。」
小間「襄陽で息の根止められたいの?」
劉g「(こら、やめんか。)」
顔を赤くした劉gが小間使いの袖をひいて、とめようとする。
店の前には人だかりが出来始めている。「姉ちゃん、やれ〜」
という無責任な声も聞こえる。
散々やり取りした後、結局商人が折れた。
小間使いの剣幕と頭の無言の圧力に屈したというべきか。
商人「二つで1400金でいいよ。お嬢ちゃん買い物上手ね。」
小間「もっと安くなるんじゃないの。」
商人「勘弁してくださいよ。」
劉g「もう良い、ほら、お金ここに置くよ。どうもありがとう。」
劉gはそそくさと勘定を済ませて小間使いを引っ張った。
品物は頭が劉gの手から受け取って抱えた。
劉g「あんまり恥をかかせないでくれ。」
小間「でも安く買えてよかったでしょう?」
劉g「ああ・・・。」
【激戦の合間 四】
襄陽で買い物を済ませた一行は、江夏、江陵へと移動した。
そこで壮子や算盤を買い求める。
小間使いの交渉術と頭の無言の圧力がここでも役立って、
定価より幾らか安くなった。
しかし、漢書や墨子は1500金もして少々高いため、大量に購入する事は出来ない。
劉g「1000金のものばかりだが、結構買えたな。」
小間「そうですね。でも文官の皆様が喜びそうなものばかりです。」
劉g「そうえいばそうだな・・・。」
小間「お金はまだ残ってますか?」
劉g「うむ。まだ少しあるかな。」
小間「では、武具も見ておきますか。」
劉g「そうしよう。」
しかし、江夏や江陵には鉄鎖や短戟といったようなものしか置いていなかった。
劉g「でも買っていくか。」
小間「お安いですしねえ。ついでにお茶も買って行きますか?」
劉g「そうだな。贈り物程度にはなるだろう。」
伊籍に渡された金も底をつきそうになったので、劉gは帰還する事にした。
買って来た品物を小間使いと従者が整理した。
【激戦の合間 五】
伊籍「どうやら上手く購入できたようですな。」
劉g「ああ、中々良いものを買えたと思う。」
伊籍「気晴らしにもなりましたかな。」
劉g「うむ。領内の巡察も出来たし。」
頭 「ただ・・・」
ぼそっとそれまで控えていた頭が口を挟む。
頭「もうご領内で目ぼしいものは購入できないと思います。
荊南には商人もめったに訪れませんし。」
小間「田舎はこれだから嫌よねえ。」
軽口を挟んだ小間使いは、頭にジロリと睨まれて首をすくめ、
作業に戻った。
伊籍「むう。じゃあ、後は敵領内で購入するしかないのか。」
頭 「主に曹操領になります。」
伊籍「それは劉g様が買いに行かれるのは危険だな。」
頭 「私の手のものを行かせます。劉g様にはそれを吟味して頂ければ。」
敵領土に侵入するのは危険という事で、襄陽間者衆が変わりに購入する事になった。
劉gがあの男の噂を聞くのは、その者たちの報告によってである。
取り合えず劉gは購入したものを評定ごとに配下武将達に授与した。
それは武将達の忠誠を高めるとともに、劉gの名声を上げるのにも役に立ったのであった。
今宵はこれまでにしとうございます。
保守ありがとうございます。
出張先のホテルにジャージ忘れた・・・。
>>520 いつもこまめに更新頂いて感謝ですヽ(´ー`)ノ
頭と小間使いさんがそれぞれいい味出してますねぇ。
ジャージ、ちゃんと帰ってくるといいですね。
>劉g殿
なんというか…すごいです。展開とか描写とかいろいろと。
先が楽しみでわくわくします。これからも頑張って下さい。
ジャージが返ってくるといいですね。
小間使い
特技:商才・挑発
頭
特技:威風・警備
お疲れ様です、劉g殿
ゲーム上の一つ一つの出来事に魂を吹き込まれている感じが好きです〜
>>509の最後の4行が気になる・・・誰だろう
【制圧戦 一】
武都●━●漢中×新野●×××汝南┗┓×┗●下丕β
××┃×┃上庸×××┃襄陽××××┃×┏┛×××
×倍〓━┻☆━━━━☆━┓××寿春●━●広陵××
××┃××┗┓永安┏┛┏☆江夏×┏┛×┃××××
××┣━┓×☆━┳☆━┫┗━┓┏┻━━★┓抹陵×
××┃巴〓━┛×┃江陵┃柴桑┗☆廬江×┃┃×××
成都〓━┛×武陵☆××☆━━━┫×┏━┛┗★呉×
××┣〓建寧××┣━☆┛×××☆━┛××┏┛××
永昌〓┃××零陵☆×┃長沙××翻陽×××┃××
××┃┃××××┗☆┛×××××××会稽★×
三江〓┛××××桂陽××××××××××××
●曹操
☆劉g
★孫権
劉gが恩賞の品を買い集めている頃、
勿論前線では戦が続いていた。
[番β]陽軍師、鳳統は地図を睨んでいた。
揚州孫家攻略は大詰めに来ており、残すは抹陵、
呉、会稽を残すのみ。
あのギリギリの状況からよくぞここまで来たかと思うと
感慨深いものがあるが、今は感傷に酔いしれている暇は無い。
廬江の劉備軍が抹陵を占拠してしまうと、[番β]陽の黄忠軍は
先を塞がれてしまうのである。そうなると廬江に合流して、
黄忠を劉備の下につくことになる。軍団長争いは劉備に有利になるのだ。
それを防ぐには先に抹陵を占拠しなくてはならない。
【制圧戦 二】
幸い兵力の心配は無い。
武将の数も揚州からの降将達からで十分補える。
必ずしも服従したとは言えない降将達を劉gが引き止めるかのように
恩賞を分け与えたのには感謝していた。寝返りを恐れず闘う事が出来るのだ。
軍師だか降将達と話す機会はある。
「あれが劉表の息子の劉g殿か。大人しそうな方だ。」
「優しいお顔をしておられるな。」
「とても乱世を切り抜けることが出来るとは思えないが。」
「だが何となくそれが不快ではない。」
「忘れていたものを思い出させていただいたようだ。」
【制圧戦 三】
降将達の劉gに対する評価は良かった。
韓公となった劉gにはある程度風格のようなものが出てきたらしい。
身分が人をつくるという事はある。
劉gの自信無さげな弱々しい笑みも、人によっては自愛の満ちた顔と見える。
それに劉gは間違っても降将達を酷使するような事はしない。
わざわざ襄陽に呼び出して打ち解けるまで酒宴を開いたりしているようだ。
それも降将たちには、好印象を与えていた。
そんな事を聞いたりしていると、鳳統は劉gに会いたくなってきた。
是非聞いててもらいたい事もある。
「とにかくは、抹陵を攻略する事が先だな」
【制圧戦 四】
鳳統の思惑とは裏腹に、廬江の劉備軍が先に抹陵に兵を出した。
しかし、揚州軍最後の砦とも、周瑜の活躍で、廬江軍は敗れた。
その知らせを聞いて不謹慎ながら鳳統はほっと一息ついた。
こちらには好機だ。
鳳統「太守、廬江軍の仇を討たねばなりません。」
黄忠「おおでは、出陣じゃな。」
鳳統「速やかに抹稜を攻略し、揚州軍を押し込めましょう。」
黄忠「うむ。抹陵さえ抑えてしまえば最早揚州軍は恐るるに足らず。」
鳳統「ご命令を。」
[番β]陽の黄忠軍が抹陵に向けて出陣した。
無論、廬江に救援を出す事も怠ってはいない。
連合軍の大攻勢の前にさしもの抹陵も陥落した。
最後は城に篭っての徹底的抗戦だったが、城門をぶち破られて
揚州軍の大半の将軍は雪崩込んできた荊州の将軍達に捕らえられた。
【制圧戦 五】
最早、揚州軍は崩壊したといっていい。
呉に逃げ落ちた孫権に従ったのは大半が文官で
武官は少数である。
韓等、黄蓋、程普、太史慈、呂蒙、徐盛、周泰、宋謙、陳武・・・
数多くの武将達が荊州に降った。
先々代の孫堅や先代の孫策の頃から揚州に仕えていた武将達が
多いため、説得には多くの時間を費やした。
しかし劉gの孫家を根絶やしにしないという約定と、
諸葛亮や鳳統の説得でどうにか折れた。
劉gは鳳統の進言もあり、揚州攻略を黄忠に任せ、
降将達を襄陽に集め、心を慰撫する事に務めたのである。
【廬江 一】
張飛「畜生、黄忠の野郎にいい所取られちまった。」
張飛が怒鳴りながら樽を蹴っ飛ばす。
樽は凄い勢いで転がり、柵にぶつかった。繋いであった馬が驚く。
馬の世話をしていた趙雲はお陰でそれを宥めるのに暫く時間を要した。
関羽「落ち着かんか、益徳。」
張飛「だってよ兄貴。黄忠と鳳統の奴にしてやられたんだぞ。
揚州制圧はあいつ等のもんだ。」
関羽「味方だぞ。」
張飛「そんなこたあ、わかっちゃいるけどよ。」
関羽「分かっているならいい。」
張飛「でも、面白くない。」
揚州戦は途中から黄忠と劉備の手柄争いの様な形になった。
劉備は江夏、廬江を攻略したが、黄忠は柴桑、[番β]陽、そして揚州の
州都とも言える抹陵を攻略したのだ。
そして残りの呉、会稽も黄忠軍が落とすだろう。
張飛はそのことが面白くないのだ。
【廬江 二】
関羽「それにここが前線ということには変わりない。」
廬江は曹操が揚州制圧の最前線としている寿春と向かい合っている。
揚州攻略を黄忠が担った今、劉備軍は曹操軍と睨み合いに入っていた。
張飛「まあ、そうだがよ。」
それでも張飛は収まりがつかないようで、今度は空樽を抱えあげて、
屈伸を始めた。
張飛「体でも動かさんと、破裂してしまうわ。」
困ったようにそれを眺めていた関羽が疑問を口にした。
関羽「なあ益徳。俺たちは何処に向っているんだろう。」
張飛「・・・何が?」
関羽「俺たちは新野で曹操に敗れて以来、何を目標に闘っているのかと思ってな。」
張飛「そんなことは決まってるじゃないか。曹操の奴をぶっ倒すためさ。」
関羽「だが兄者は今や劉g様の部下だぞ。形はどうあれな。
今まで兄者は数々の群雄を頼りはしたが、臣従はしなかった。」
張飛「う〜〜〜ん・・・・。」
廬江 三】
運動をやめて張飛は関羽のほうに向き直った。
汗をかいてすこしすっきりした顔をしている。
張飛「長兄がそれでいいなら、弟の俺はそれでいいよ。」
関羽「しかしな・・・」
張飛「それに新野で負けて抜け殻のようになっていた長兄が立ち直ったのは
正直、嬉しいよ。荊州での立場も悪くないしな。」
関羽「弟達は兄に黙ってついて行けば良いということか。」
張飛「そういうことだな。」
関羽「やれやれ、お前を慰めていたと思ったら、
逆に私がお前に慰められるとはな。」
張飛「兄弟じゃないか。」
関羽「ああ、そうだな。今日は酒でも飲むか。」
張飛「奢りだぜ。それと・・・」
関羽「何だ?」
張飛「長兄の事以外は、ごちゃごちゃ考えるのは、
あの諸葛亮とかに任せて置けよ。あいつの方が兄貴より頭良いしな。」
関羽「五月蝿い。」
関羽は諸葛亮が劉備の立場向上を狙って、
黄忠についている軍師、鳳統としばし裏で攻防を繰り広げ居るのを知っていた。
それは争いという域にまでは達してはいないが、あまり良い事とは思えなかった。
それに何故、諸葛亮がここまで劉備に入れ込むのかも何となく不気味だ。
どちらかというと鳳統の方が均衡を保とうと腐心しているのかもしれない。
謀略という事に向いていない関羽は、身体を張る事でしか劉備を守れないことに
少し苛立ちを感じていた。
【諸葛亮の秘密 一】
廬江城の一角に諸葛亮の部屋がある。
そこは密かに謀略府とも呼ばれて、出入りするのは数人だ。
時には劉備が諸葛亮と戦略の相談をする為に訪れたりするが、
それ以外は寄り付かない。
常に諸葛亮に従っているのは、馬謖と楊儀の2人である。
諸葛亮「大兄(鳳統)が抹稜を速攻で落としたのは流石というべきか。」
地図を見やりながら諸葛亮は呟いた。
楊儀「我等の揚州攻略への道は閉ざされました。」
残念そうに楊儀が拳で腿を叩いた。
諸葛亮「揚州以外にも相手はいる。」
馬謖 「寿春ですか?」
諸葛亮「そうだ、馬謖。近々殿に軍を出すように進言する。
揚州への楔とも言える寿春を落とすのは、
揚州攻略の公績と同等か、それ以上の価値がある。」
楊儀 「御意にございます。それは抹陵への援護ともなり、
黄忠殿、鳳統殿にも大きな借りとなります。」
馬謖 「同じ韓公、劉g様の軍だ。助け合わなくてはな。」
どこか冷めたところのある楊儀よりも、心に純なものがある
馬謖の方を諸葛亮は好んでいた。
諸葛亮「馬謖、頼んでおいたものは出来たか?」
【諸葛亮の秘密 ニ】
馬謖 「はい、お指図通りに。」
馬謖が壺を持ち出してきた。
馬謖 「誰が服用するのですか?劉g様のものとは
少し効能が違うようですが。使用しているものも抑え目ですし。」
諸葛亮「彼は弱っているからね。劉g様と同じものを服用すると
身体が驚いてしまう。」
馬謖 「彼?」
楊儀 「茶といえば、軍師殿が劉g様に毒を持っていると噂をしている輩もいるようで。」
馬謖 「何!?軍師様のお指図通りにこの馬謖が調合させているのだぞ。
そんな事があるものか。」
楊儀 「私に怒るなよ。」
諸葛亮「言わせたいものには言わせておけばいい。
劉g様にはまだ倒れてもらっては困る。精々養生していただかなくては。」
馬謖 「では、これは何方に飲ませるのです?」
馬謖が再び疑問を口にした。
馬謖 「軍内にだれか身体の悪い方でもいらっしゃいましたか・・・。」
諸葛亮「正確にはまだ我が軍の者ではない。」
馬謖と楊儀は顔を見合わせた。
その様子を見て諸葛亮は薄く笑った。
諸葛亮「ついて来なさい。引き合わせよう。」
【諸葛亮の秘密 三】
謀略府のさらに奥にその部屋はあった。
諸葛亮「ここは私の私室としていただいている。
だから誰も立ち入らない。」
よく見るとそこかしこに見張りのための者が潜んでいるような気配がする。
自然、馬謖と楊儀も息を潜めて諸葛亮の後に続いた。
少し薄暗い部屋は、殺風景だった。
大きな寝台が一つあり、そこで誰かが横になっている。
諸葛亮が灯りを近づける。
その男を見て、馬謖と楊儀は驚いて思わず声を上げた。
楊儀 「この方はもしや・・・」
馬謖 「しゅ、しゅ、周瑜!?」
2人の様子を見て、諸葛亮は可笑しそうに笑い、
シーッと人差し指を口に当てた。
諸葛亮「起こしてはいけない。お休みになっているのだから。」
馬謖 「で、ですが、軍師様。これはどうした事ですか?
何故、敵の将軍がこんなところに居るのです。」
諸葛亮「先ごろ抹陵攻略のときに倒れているのを拾ってきたのだよ。」
【諸葛亮の秘密 四】
楊儀 「拾ってきたとは、犬でもあるまいに・・・。」
楊儀が顔をしかめて恐る恐る周瑜の顔を眺める。
息が細く、なんとか生きているという状態だ。
諸葛亮「どうも戦場で血を吐いて気絶していたらしい。
大混乱の中で倒れたままだったのを私の手の者が救出した。」
抹陵が陥落した際に、孫権を補佐していた周瑜は行方不明となっていた。
それがこんな所で諸葛亮の保護を受けて眠っている。
顔色が白いのは血を吐いたためか。しかし、自分がこんなところに居る事を
知ったら顔が白くなるだけでは、すまないのではないか。
馬謖 「ぐ、軍師様は何を・・・」
何を考えているのですか?という言葉を馬謖は飲み込んだ。
諸葛亮「どうした、馬謖?」
馬謖 「いいえ。軍師様は周瑜殿をどうするおつもりですか?」
諸葛亮「どうするもこうするも、回復するまでは寝かせておくよ。
ただ・・・孫権の所には返さないがね。暫くは行方不明という事にしておけば良い。」
楊儀は我関せずと顔をしているし、馬謖もそれ以上疑問を口にすることを止めた。
諸葛亮「美しいだろう?こんな美しい人を見るのは私は初めてだよ。
あのまま戦場で朽ち果てていくのは惜しいではないか。」
【諸葛亮の秘密 五】
周瑜に魅入っている諸葛亮を置いて、楊儀と馬謖はそっと部屋を辞した。
2人で競い合うようにズンズンと歩いて、やがて外に飛び出した。
2人で大きく息をすって吐くことを繰り返した。
遠く調練する兵たちの姿が見える。
馬謖「軍師殿は何を考えているのだ?」
楊儀「知らん。傷ついた敵将を看護する・・・美談ではないか。」
馬謖「あれは、看護ではなくて監禁じゃないのか?」
楊儀「性的嗜好は普通の方のはずだ。」
馬謖「う、うむ。」
楊儀「ただ面白がっているというのも違う気がする。」
馬謖「時折、あの方が分からなくなる。」
楊儀「分からなくて良いと思う。兎に角この事は他言無用だ。」
馬謖「そうだな・・・。」
その時ドドドドと音を響かせて張飛の馬が2人の目の前で止まった。
張飛「おい、そこの2人。油を売っているなら調練に参加しろ。
俺が一つ鍛えてやろう。」
楊儀「遠慮しておきます。」
深々と頭を下げると楊儀は去っていった。
張飛「ちっ、青二才め。お前はどうするんだ?」
馬謖「ご教授願えますか?」
張飛「おっと、そうこなくっちゃな。」
馬謖「少々きつめにお願いします。」
張飛「そりゃいいが・・・どういう風の吹きまわしだ?」
馬謖「何でもありません。」
【諸葛亮の秘密 六】
一刻後、馬謖はボロボロになって寝転がっていた。
張飛の調練で無茶苦茶に振り回され、何度も突き転ばされた。
身体は痛むが、それが心地よくあった。
諸葛亮の秘書官となる前は武将として一本立ちしたいと思っていたのだ。
ボーッとしている馬謖に張飛が水を被せる。
張飛「おい、生きてるか?」
馬謖「・・・生きてますよ。」
痛む身体を無理して、何とか持ち上げる。
張飛「根性あるのは認めるが、まだ戦では使い物にならんな。」
言われても馬謖は腹が立たず、じっと張飛を見つめた。
張飛「何だ?」
馬謖「いいえ、何でもありません。軍師様の所に行かねばなりませんので、
これで失礼します。また稽古をつけてください。」
張飛「お、おう。」
ヨロヨロと去っていく馬謖を見送って「何じゃありゃ?」と
張飛は呟いた。
張飛「ま、あんな変態の所に居たら頭がどうになるのも当然か。」
諸葛亮は大きくくしゃみを一つした。
諸葛亮「風邪かな・・・。しかしあの2人の驚いた顔ときたら。」
諸葛亮は一人でクツクツと笑った。
諸葛亮「まあ多少、異常がある男と思われるのも一興だな。」
諸葛亮は楽しんでいた。
今日はここまでとしとうございます。
>>521 名前募集中です。
>>522 五代目殿、お久しぶりです。
ジャージは、安物で穴あきなので恥ずかしいから諦めます。
>>523 おお、素晴らしい。
>>524 そのうちに登場しますので、お楽しみに。
あ…あ゛……
僕の中の諸葛亮が、壊れていく…(((((((;゚д゚))))
それはそうと、毎度お疲れ様です>劉g ◆VeT1GV9o様
>>527訂正
×自愛
○慈愛
自分を愛してどうするんだ・・・。
>>528 ×揚州軍最後の砦とも、
○揚州軍最後の砦、
他にもたくさんありますが、どうかお許しを
542 :
無名武将@お腹せっぷく:02/09/17 05:02
たまにはage
諸葛亮が怪しい、妖しい、( ゚д゚)アヤスィ…
((;゚д゚))))) 劉[王奇]さまの運命や如何に・・・
【噂の男 一】
襄陽間者衆からは、次々と各都市で売られている品物が届けられてくる。
それと同時に間者衆は色々な話を劉gの所にもたらした。
その話を聞くのが劉gの楽しみとなっていた。
間者一「長安で不思議な女性と出会いました。」
劉g 「女性とな。」
間者一「蔡文姫と名乗っておられました。」
劉g 「おお・・・かの蔡ヨウ殿のご息女か。」
間者ニ「ご領内に水鏡先生と呼ばれる方がいらっしゃいます。」
劉g 「司馬徽殿と言えば、諸葛亮先生と鳳統先生の師匠に当たられる方ではないか。
領内ということなら、私からもご挨拶に行かねば。」
間者三「淮南で神医に会いました。」
劉g 「ほほう神医とな。」
間者三「華佗の名は聞かれた事が御座いましょう。」
劉g 「おお、噂は聞いておるぞ。恐ろしく腕の立つ医者らしいな。」
間者四「冀州、[亠兌]州で生と死の神に会ったことがあるという方とお会いしました。」
劉g 「生と死の神?」
間者四「はい。」
【噂の男 二】
生と死の神に有った事があると言う男というのが劉gの興味を誘った。
劉g 「それは如何なる人か。」
間者四「巷では、神卜(ぼく)と呼ばれるお方です。」
劉g 「卜者か。」
間者四「はい。かのお方に関しては、不思議な話が色々と御座います。」
間者は管輅が占ったとされる例を次々に持ち出した。
中でも劉gが身を乗り出して聞いたのは、管輅に死期が近いと予言された
若者の話だった。
間者四「・・・そこで若者は、管輅に教えられたとおりに碁を打っている南斗と北斗に、
供え物を捧げることによって寿命を延ばす事が出来たのです。
南斗は生を司る精、北斗は死を司る精だったのでございます。」
劉g 「ほほう、そのような話が本当にあるものか。」
間者四「真実かどうかは定かではありませんが、管輅にはそれくらいの知識と
力があるという事でございましょう。」
劉g 「ふうむ・・・不思議な話よな。私も一度お会いして話を聞いてみたいな。」
間者四「ただその話から、管輅は滅多に占いをすることがなくなったそうでございます。」
劉g 「それは残念だ。」
間者からの品物の引渡しと報告は、無事に全て終わったが、劉gは物思いに耽った。
【管輅を求めて何千里? 一】
小間使いはその夜、遅くまで野菜の皮むきをしていた。
最近、宴が多く開かれ休む暇もないのだ。
野菜の皮むきを終えて、次の仕込みに入ろうとしていた小間使いは
外でガタンと物音がしたのを確かに聞いた。
小間「(ど、泥棒かしら。仮にも韓公の館に入るなんて随分度胸があるわね。)」
小間使いはゴクリと生唾を飲み込むと、窓からそっと外を覗いた。
小間「(ああ・・・居るわ。)」
頬かむりをした男が壁をよじ登ろうとしているのが見える。
小間「(見回りは何をしているのかしら?
でも・・・随分鈍臭い泥棒ね。)」
男は壁を越える事ができず、息切れを起こしている。
韓公劉gの館の壁はかなり高いのだ。
目を凝らしていた小間使いは、その男の特徴に気付いて「あっ」と声をあげた。
【管輅を求めて何千里? 二】
小間「ご主人様、何をしておられるのですか?」
壁を登るのを諦め、別の出口を探ろうとしていた劉gは、
突然声をかけられて驚きのあまり、胸をおさえた。
慌てた小間使いが厨房に戻り水を持ってきて、ゆっくりと飲ませた。
小間「お出かけならもう少し早い時間にしないと、こんな夜更けでは・・・。」
辺りを見回した小間使いは、劉gと自分の周囲に間者衆が潜んでいる事に
気付いた。頭が手を振ると、間者衆は闇に消えた。
小間「しっかり護衛されていたみたいですよ。まあ私が気付くくらいですから。」
劉g「うう・・・。」
小間「何処に行かれるおつもりだったのですか?」
劉g「頼む・・・行かせてくれ。」
小間「ご主人様・・・もしや・・・」
劉g「・・・。」
小間「あ、逢引ですか?」
顔を赤らめ、両手を頬にあてて首を振る小間使いを、劉gは慌てて否定した。
劉g「ち、違う。冀州に行かせてくれ!!」
小間「き、冀州!?」
今度は小間使いが驚いた。
頭「詳しくお聞かせ願えますか?」
いつの間にか間者衆の頭が近づいて来ていた。
【管輅を求めて何千里? 三】
劉g「・・・というわけなのだ。」
間者から聞いた管輅の話を、劉gは2人に話した。
頭 「で、その管輅とか言う男に会いにわざわざ冀州まで行かれると。」
劉g「そ、そうだ。」
頭 「劉g様の気休めになればと思って、部下達に会話を許しておりましたが、
返って劉g様を惑わす結果となろうとは・・・。」
鉄面皮の頭の顔が少しだけ無念の色を浮かべているように思えた。
劉g「ま、待て、待ってくれ。間者達との話は私の救いとなっているのは
間違いないのだ。」
小間「ですがご主人様・・・冀州は遠すぎます。それより何より、
大敵曹操の領土でございますよ。」
劉g「そんな事は、分かっている。」
小間「見つかったら・・・殺されるかもしれませんよ。」
劉g「た、多分私を見て誰も韓公とは気付かぬはずだ。はははは・・・・。」
小間「荊州から流れた者もいるのですよ。」
劉g「な、何とかなると思った。」
小間「伊籍様が慌てて大捜索を行いますよ。恐らく州境も越えられません。」
日頃見られぬ劉gの無謀に小間使いも頭も(恐らく)驚いていた。
【管輅を求めて何千里? 四】
頭 「それほどまでに、その易者と会いたいのですか。」
劉g「会いたい。行かせてくれ。」
拝むようにして劉gが懇願する。
引き止めていた小間使いも困惑した様子で、無表情な頭の様子を伺った。
頭 「そこまで仰るなら、私が手引きいたします。」
劉g「おお・・・。」
小間「ちょ、ちょっと伊籍様はどうするのよ。」
頭 「品物を買いに領内を巡られるという事にしよう。その辺は私が上手くやる。
お前も着いて来い。女を連れて行くと言えば伊籍様も疑うまい。」
小間「いっ・・・。」
劉g「き、危険ではないか。」
頭 「心配要りません。」
頭は顎で支度しろと、小間使いに命令した。ぶつくさ文句を言いながらも
小間使いは素早く準備を整えた。
翌日・・・
劉gの館を訪れた伊籍は、「朝日を拝むためにちょっと早めに出る。心配無用。」
との置手紙をワナワナと震えながら読んだ。
すぐに捜索の為に間者を散らしたが、どの間者からも領内の市場に居るとの報告があり、
一先ずは安堵したのであった。
今宵はここまでにしとうございます。
>>542-544 ありがとうございます。
孔明の話はまた後日・・・。
アテブレーベ・オブリガード。
劉gの日常、生き生きと楽しそうに書かれていて面白いです。
管輅に会いに行くのはやはり…
…ずばり恋占いですね?
(んなアホな)
>顔を赤らめ、両手を頬にあてて首を振る小間使い
か、かぁいいじゃねーか(゚д゚)ゴルァ
このスレ、最高です
【管輅 一】
劉gは商人として平原に滞在していた。
小間使いは家僕、頭は用心棒である。
ここまで至る道のりは、すべて頭がうまく捌いた。
関所も役所も偽造文書で問題なく通過出来た。
曹操領にも襄陽間者衆は潜伏している。
突然現れた主劉gに、間者達は驚愕したようだ。
しかし頭の号令一下、冀州中に散らばり、
管輅が平原の宿屋に逗留している事をつきとめたのである。
劉g「間者衆の働きは見事に尽きるな。
このような者達が居るとは私は知らなかった。」
管輅が逗留している同じ宿屋に部屋を取り、劉gは小間使いの淹れた茶を啜っていた。
頭 「裏の仕事ゆえに、お目に止まる機会もございません。」
管輅とは頭が繋ぎを取っていた。商人である主の運勢を占ってもらいたいと頼み込んでいるようである。
戻ってきた頭によると、占いそのものは拒まれたようではあるが、
面会自体は拒否していないらしい。しかし、土産として差し出した金品は受け取らなかった。
その報告を聞きながら、劉gはふと間者衆に興味を持ったのである。
【管輅 二】
劉g「うむ。だが知っておいておいた方が良いと思った。
襄陽には昔から間者衆は居たのか?」
間者衆は常に劉gの側に居たが、劉gは伊籍に言われるまでその存在に気付かなかった。
だから何時編成されたのかも知らない。
頭 「我等が最初に編成されたのは、劉表様が荊州に入られた時です。」
最も活躍したのは、孫堅と交戦したときらしい。
間者衆は萠リ良の下で働き、孫堅暗殺に成功した。
頭「最もその頃私は、駆け出しのひよっこでしたが。」
その後、荊州中に散らばった間者衆が、
急速に力を失いバラバラとなったのは、蔡瑁が力を握ってからだ。
間者衆は蔡瑁の私兵の様なものとなり、蔡一族に反対するものを
追い落としたり、暗殺するのに使われた。間者衆は金で動き、金の為に人を殺した。
腐りきっていた間者衆の大部分が粛清され、再び訓練されたのは、
劉gが劉表の跡を継ぎ、その影響力が増した頃からである。
再編に当たったのは萠リ良である。伊籍に軍師職を譲って一線を引いて以来、
萠リ良はそれに掛かりっきりだった。間者衆の質が高まり、その数が増えると、
各都市にも配置された。そして萠リ良は現軍師、伊籍に間者衆の全権を委ねたのである。
【管輅 三】
頭「私は萠リ良様、伊籍様のお目に止まり、襄陽の間者達を束ねる役を仰せつかっております。
最も重要な任務は劉g様の護衛です。」
頭の話に聞き入っていた劉gは、ごくりと唾を飲み込んだ。
劉g「ううむ・・・。人に歴史ありだな。」
小間「間者衆の護衛は領内に限られていると思いますよ。」
小間使いが劉gに簡単な食事を出しながら、愚痴を言った。
日頃から言いたい事を言っている彼女ではあるが、敵領内という緊張が続いているからか、
多少神経質になっているようだ。
劉gは面目なさそうに俯いた。そのせいで頭が小間使いに睨みつけたのに
気付かなかった。と、思い出したように劉gが顔を上げた。
頭と小間使いは睨みあいを止める。
劉g「そういえば小間使い。お前もいつの間にか私の側に居たな。」
小間「あ・・・ええ、伊籍様に雇われました。」
その時、部屋の外で微かな気配がした。頭が扉をあけて間者と小声でやりとりをしている。
頭「管輅と会う手はずが整いました。」
【管輅 三】
頭 「劉g様は商人です。それをお忘れないように。」
頭に念を押されて劉gは頷いた。小間使いも後ろに控えている。
狭い廊下を進むと目的の部屋にはすぐ辿り着いた。
頭が訪いをいれると、暫くして反応があった。
「どうぞ、開いてますよ。」
頭が戸を開け、劉gは室内に入った。
中は数多くの蝋燭が灯され、奇妙な模様の入った掛け軸が
垂れ下がっている・・・という事はなく、質素で綺麗に片付けられていた。
管輅「お初お目にかかります。商いをされている方とか?」
劉g「趙と申します。無理を言って申し訳ございませんでした。」
頭に言い含められたとおりに名乗り、無難に最初の挨拶をこなした。
管輅は微笑みを浮かべている。容姿は並以下、年を食った貧乏書生のようにも見える。
それでも不思議な気配を持つ男である。
その管輅、劉gを見て少し眉を顰めたように見えた。
管輅「運勢を占って欲しいといわれましたが、私はそう言った事は止めておりまして。」
劉g「何か訳でも?」
管輅「特に訳はございませんが・・・天道に逆ら事と思いまして。」
管輅は微笑むと劉gに席を勧めた。
頭と小間使いは、挨拶が済んだところで辞し、外で待機するようだ。
【管輅 五】
他愛も無い世間話を交わしていた管輅と劉gだが、会話は直に尽きた。
所在なしに出された茶を啜ったり、部屋を見回したりする。
頭から商いの話を叩き込まれてはいたが、詳しく話しているとどうしてもボロが出る。
管輅も黙然としていたが、やがて意を決したように口を開いた。
管輅「先ほどは天道がどうのと大きな口を叩きましたが・・・
貴方を見ていると、どうも気になります。」
劉g「気になるとは!?」
不安半分、期待半分で劉gが身を乗り出す。
管輅「お気を悪くしないでください。貴方のような人は始めてみましたもので・・・。」
劉g「・・・・。」
管輅「そう、まさしく天道に逆らっている人を。」
思わぬ事を言われて、劉gはあんぐりと口をあけた。
劉g「逆らう?私が?」
管輅「はい。」
【管輅 六】
管輅「貴方は私が見るまでもなく、ご自分で運命を変えていらっしゃる。」
劉g「いや・・・今の商いを広げる前に、まかり間違ったら、
義弟が父の跡を継ぐところではあったのですが。」
劉gは何とか自分が商人であるということを忘れていなかった。
管輅「商い・・・大きなお店なのでしょうな。それも近頃益々隆盛でいらっしゃる。」
劉g「ま、まあ・・・皆が良く働いてくれますので。」
そこまで言って管輅が突然笑った。劉gが驚いて管輅の顔を見つめる。
管輅「いやいや申し訳ない。運勢など見ぬと言っておきながらこの始末。
忘れてください。」
忘れてくださいと言われても、天道に逆らっているとまで言われて
忘れるわけにはいかない。
劉g「先生、私はどうすればいいのですか。私は・・・私は確かに自分を変えて行こうと
努力してきたつもりですが、このような事となるとは・・・。私は・・・恐ろしい。」
両手を顔に当てて項垂れる劉gの方を優しく管輅が叩いた。
【管輅 七】
管輅「突然不躾なことを申して真に申し訳なく思っております。
ですが、どうかご自分の信じる道を進んでいただきたい。
今の所それは、悪い方向に動いておりません。」
劉g「しかし・・・」
管輅の様子を伺うに、慰めを言っている訳ではなさそうだ。
要するに管輅にも劉gの運勢ははっきりとはわからないということだろう。
管輅「これは別件ですが、はっきりと分かる事がありますので、
お知らせしておきます。。」
劉g「なんでしょう?」
管輅「早くお帰りになったほうがよろしいでしょう。何らかの知らせが待っているはずです。」
劉g「吉事でしょうか、凶事でしょうか。」
管輅「恐らくは両方です。」
言われて改めて劉gは、自分が荊州の主である事を思いだした。
長らく留守にしている事が気になった。
劉g「そ、それは、急いで戻らねば。」
管輅「縁がございましたら・・・またお会いしましょう。」
管輅は劉gを送り出しながら微笑んだ。劉gは改めて礼を言う。
頭が幾ばくかの礼金を差し出したようだが、勝手にやったことだからと管輅は断った。
その夜、劉gは襄陽に戻るべく、平原を出立した。
吉事と凶事があると言われた。凶事というのが気に掛かった。
今宵はここまでにしとうございます。
>>552-555 ありがとうございます。
管輅との面会は何か書いていて曖昧なものになってしまいました。
まあ、劉g自身もまさか自分が短命だとは思ってないでしょうし・・・。
【別れ 一】
襄陽の館に辿り着いた劉gを待ち構えていたのは伊籍だった。
伊籍「此度は随分長い間お留守をされましたな。」
少し伊籍がやつれた様に見える。
劉gは自分の我侭の為に伊籍に心配をかけたかと思うと
申し訳なさで一杯になった。
劉g「すまない。ちょっと新しい領土まで足を延ばしてしまった。」
劉g一行は領内を巡っていることになっていた。
辻褄を合わせるために武将達に配る品物も購入してはいた。
伊籍「お疲れの所を申し訳ないのですが、悲報をお伝えせねばなりません。
今朝方、黄祖殿が亡くなれました。」
劉g「何と!?」
黄祖は亡父劉表の頃からの重臣である。
劉表から江夏太守の任を解かれてからは、襄陽の重鎮として劉gに仕えていた。
生来粗暴の士で、揚州孫家の恨みを一身に集めた男でもある。
蔡一族の手から逃れるために劉gが江夏に逃れていた時は、
両者の関係は必ずしも良好とは言えなかったが、
度々の劉gの訪問に折れ、後継争いのときは劉gを支持した。
それからは信頼関係のようなものがあった。一抹の寂しさを感じる。
伊籍「それだけではありません。萠リ良殿が・・・明日をも知れぬ重体です。」
【別れ 二】
追い討ちをかけるかのように伊籍が告げた。
劉g「萠リ良が!?」
劉gは絶句した。管輅の言った凶事という事が頭をかすめる。
萠リ良。黄祖と並んで荊州の重臣中の重臣。
この男の心をこちらに向けさせるために劉gは一方ならぬ苦労をした。
しかし心が通じてからは、萠リ良は劉gに忠誠を尽くした。
若い諸葛亮や鳳統が台頭し、伊籍に襄陽の軍師職を譲って一線から外れたとしても、
古参の重鎮としてその影響力は大きかったのである。
劉g「会えぬのか。」
黄祖の死を看取ってやれなかったこともあり、劉gは何とかして
萠リ良だけは看取ってやりたいと思った。
伊籍「ご支度を。ご案内いたします。」
すぐに劉gは輿に飛び乗り、伊籍と数人の供回りを従えて萠リ良の館に向った。
館に着くと伊籍だけを伴って中に入った。
硬い表情をした家僕が先導する。館は静まり返っていた。
【別れ 三】
萠リ良は寝台に横たわっていた。何処か痛むのか、呼吸が荒い。
そっと近付いて軽く手を握る。痩せ衰えて軽い。
ふと、劉gは父を看取ったときの事を思い出した。
あの時、劉表は劉gに気付くことなくそのまま逝った。
その時、萠リ良がうっすらと目を開けた。
劉gが側にいる事に気がついたようで、起き上がろうとする。
それを劉gは押しとどめた。
萠リ良「殿・・・・」
劉g 「ああ、萠リ良よ。すまない。お前がこのように苦しんでいる事を
知らずに私は・・・・。」
萠リ良「滅相も御座いませぬ。いよいよお迎えが来ただけのこと。
こればかりは仕方が御座いませぬ。」
無理に笑おうとして、萠リ良が咳き込む。
その背をさすりながら劉gは懇願した。
劉g 「無理に喋ってくれるな。そのまま寝ておれば良い。」
萠リ良「知らないうちに歳を取っていたようで、少し気分が悪いと思って横になったらこの有様。」
萠リ良が起き上がりたいという仕草をしたので、家僕が劉gに一礼して近寄り、
上半身だけを起こす。
萠リ良「くたばるには、まだ数日はかかりましょう。」
【別れ 四】
萠リ良「黄祖が先に逝ったようですな。」
劉g 「・・・今朝方」
萠リ良「あれも戦場でしか死ねぬ男と思っておりましたが・・・
本来なら孫権に血祭りに上げられてもおかしくなかった。」
劉g 「襄陽を離れていた私は、黄祖を見取ってやることが出来なかった。」
萠リ良「そんな事は殿がお気にする必要はございません。
本来なら私もひっそりと逝くつもりだったのですから。」
劉g 「そのような事言ってくれるな。」
萠リ良「黄祖が死に、私も死にます。これで揚州側の恨みも薄れましょう。」
劉g 「何と?」
萠リ良「劉表様、蔡瑁、黄祖、私。孫堅の死に関わった者はこれで居なくなるのですから。
新しく殿の下に仕える事になる揚州の武将は恨みどころがなくなります。」
劉g「頼むからそのような事を言ってくれるな。」
劉gは涙を流していた。
萠リ良は自分が居る事で、揚州の武将が不満を持つ事を危惧していたのであろう。
そこまでしてこの老臣が自分の事を思っていてくれた事に劉gは今更ながらに気付いたのである。
【別れ 五】
萠リ良「頃は良しという所です。私の死にも少しは意味がある。」
劉g 「頼むから・・・」
萠リ良「何の殿。最早これくらいしかお役に立てぬことをお許しくだされ。」
劉g「許すだのと。お前は良く私に尽くしてくれた。
私が今あるのも、お前が私を支持してくれたお陰だ。」
萠リ良「殿・・・聞いていただきたい事があります。」
劉g 「何だ?」
萠リ良「私は・・・最初、弟君の劉j様を推しておりました。
劉j様が跡を継がれた暁には、あの方を奉じて、曹操に・・・」
劉g 「分かっている。いい、みなまで言わなくてよい。」
しかし萠リ良は弱々しく微笑んで続けた。
萠リ良「曹操に荊州を譲り渡す算段であったのです。」
劉g 「そのような事は最早過去のこと、この劉g何とも思っておらぬ。」
萠リ良「許してくださいとは申しませぬが・・・どうか、どうか・・・。」
劉g「あの頃の私がお前達に先行きを心配させるほど不甲斐なかっただけのこと。
頼む、誤らないでくれ。」
萠リ良「本来なら劉g様が跡を継がれた所で、隠居でもしなくてはならなかった身。
ですがこの老骨に分不相応な物が宿ったのです。」
【別れ 六】
萠リ良「劉g様に夢を見ました。そうなると恥じも外聞も無く幕閣に居残り続けてしまいました。」
劉g 「随分助けられた。」
萠リ良「劉g様の掲げられた漢王室復興の御旗、勤皇の志。あれに年甲斐も無く血が滾りました。」
劉g 「どこまでやれるか分からぬ。だがこの身の続く限り、旗は降ろさぬ。
萠リ良にはそれを見守っていて欲しい。」
萠リ良「出来れば私もそうしていたかった。韓公となられた劉g様の今後を見て居たかった。
ですが・・・私はそろそろ幕です。」
劉g 「萠リ良・・・」
萠リ良「今更ながら申し上げます。韓公となられた事、躊躇してはなりませぬ。
例えこれから先・・・どのようなご身分となられても・・・殿の志には変わりは御座いませぬな。」
劉g「変わらぬ。変えてはならぬと思っている。」
萠リ良「諸葛亮や鳳統・・・若い者の時代です。あれらを良くお使いになって必ずや志を
成就してくだされ。私は一足お先に劉表様の所に参ります。
貴方のご子息は立派な君主になられたとご報告せねば・・・。」
【別れ 七】
そこまで言うと力尽きたように萠リ良は咳き込んだ。
慌てて劉gが寝かせつけようとしたが、萠リ良は拒んだ。
萠リ良「さあ殿。もうお帰りください。私はひとりで自分の死を見つめとう御座います。
伊籍殿、殿をお頼み申しますぞ。」
これまで黙って2人のやり取りを聞いていた伊籍が頭を下げる。
劉g「逝くのか、萠リ良。」
萠リ良「御意。」
劉g「弟の・・・萠リ越の事は心配要らぬ。」
萠リ良「いかようにも。殿のお心のままに。さあ、殿。」
促されて劉gは立ち上がった。震える手で萠リ良は軍令を取った。
劉gも礼を返す。萠リ良は劉gが去るまで倒れこむ事は無かった。
数日後、萠リ良が眠るように死んだとの報告が入った。
劉gは喪を発し、その死を悼んだ。
あれ変だなモニター壊れちゃった、文字がにじんでるよ(つД`)
いつのまにか危険な位置にまでスレが落ちてる。
dat落ちさせるわけには、いかない。失礼、ageます。
dat落ちは最終書き込みで判断されます。
sageでも書き込みが有れば落ちません。
んにゃ。あげる価値のある文だ。
最終書き込みのことは知ってる。ただ、時々スレの刈り取りが
あるんじゃなかったっけ?スレッド数を調整するために、
下の方にあるスレッドが定期的に刈られると思ったんだけど。
スレ違いの話で失礼。劉g殿応援sage。
応援sage。
劉g殿の後に誰かリプレイ予定してる職人さんはいるのかな?
>>575 >下の方にあるスレッドが定期的に刈られる
いや、そういうことはないよ、あくまで足切りは書き込み順。
ま、あげちゃいかんということはないけど、上の方には変なのもいるからね。
404スレ中、378位まで落ちている…
保守
580 :
無名武将@お腹せっぷく:02/09/28 16:26
このままでは落ちてしまうのでage
581 :
無名武将@お腹せっぷく:02/09/28 16:45
なんかリクエストある?
582 :
無名武将@お腹せっぷく:02/09/28 20:24
>>582 それって誰もやってなかったっけ?
しかし久しぶりに破滅型リプレイになりそうな予感w
【同盟 一】
215年、劉g42歳。
萠リ良の死で意気消沈している劉gに招かざる客が現れた。
疫病である。
襄陽領内至るところで倒れる物が続出した。
劉gもその一人である。寝台に篭りっきりになってしまった。
代わって政務を司った伊籍の顔は暗い。
領内を見回りながら、領民の保護に回っている彼が
頭を痛めているのはこの疫病のせいだけではない。
抹陵の黄忠が呉を攻めあぐねていた。
最早後が無いはずの孫権が必死の抵抗を見せているのだ。
孫権「公瑾が何れ戻る。それまで耐えるのだ。」
行方不明の周瑜が必ず戻ってきて体勢を挽回する。
孫権も将や兵達もそれが唯一の支えであった。
【同盟 ニ】
伊籍「寿春を攻めるだと!?」
今度の報告は伊籍を驚かせた。
廬江の劉備軍が寿春に向けて出陣するとの報告が入ったのだ。
使者「広陵、寿春の軍が抹陵を狙っているとの事です。」
すなわち魏王曹操の軍である。
抹陵の黄忠は呉の攻略に掛かりっきりであるため、
その隙をつかれれば、抹陵が陥落する事も考えられる。
そうなると曹操軍が呉、会稽を一気に制圧してしまう恐れがある。
揚州に曹操軍が侵入することだけは何としても避けたかった。
寿春に先制攻撃をかけることは、牽制にもなる。
だが・・・
伊籍「曹操軍に宣戦布告ということになるぞ。」
そのような大事を劉gに許可なしで決められない。
伊籍は、廬江に出陣を待つようにとの使者を出した。
だが入れ替わりに襄陽に駆け込んだ廬江からの使者が
すでに劉備軍が出陣したことを告げた。
【同盟 三】
伊籍「あまりに独断専行ではないか!!」
伊籍は思わず机を拳で叩いた。
あまりの勢いに彼の秘書官達もビクッと身を竦める。
伊籍「抹陵の黄忠殿に廬江軍の援護をするように伝えよ。」
秘書官の一人が慌てて飛び出していく。
伊籍「もう間に合わんか・・・・。」
「援軍は出ますよ。」
緊張が高まる中で、一際のんびりした声に伊籍は振り返った。
伊籍「鳳統殿!!」
抹陵黄忠軍軍師、鳳統が徳利を片手に立っていた。
鳳統「揚州の酒も美味いが、荊州の酒を懐かしく思っておった頃でしてな。」
伊籍「この非常時に酒などと・・・・。」
伊籍は苦笑した。鳳統はもう一杯くいっと開けると徳利を置いた。
鳳統「では、これくらいにしておきましょう。」
伊籍「襄陽に帰還とは何とされた?」
【同盟 四】
鳳統「黄忠殿が劉g様の病を心配されておりまして。お見舞いと、
此度の寿春出陣のご説明をと思いましてな。
すでに劉g様には会ってきました。」
伊籍「もうお会いになったのか。」
鳳統「抹陵軍は廬江軍を全面的に支援するからご心配無きようにとお伝えしました。」
伊籍「此度の劉備殿の独断は、一体如何なる事です?」
鳳統「廬江の事情は抹陵の居た私には掴みかねます。しかし、
劉備殿の軍事件に関しては、劉g様がお認めになっているはずですが。」
伊籍「それは対揚州軍に関してだけで、曹操軍との事に関しては別であろう。」
鳳統「仰るとおりですな。」
さながら軍師会談の様相を呈してきた。
一方は、揚州制圧司令官の軍師、鳳統。
もう一方は本拠襄陽の軍師、伊籍。
各都市に軍師として名を連ねる者は多数居るが、
それらの頂点に立つのは、君主付きの軍師、伊籍である。
さらに今、劉gが病で倒れているため、伊籍はその代行者とも言える。
【同盟 五】
伊籍「抹陵の黄忠殿と、廬江の劉備殿。合意の下で軍が動いたのですな。」
鳳統「はい。揚州への楔ともいえる寿春は是非とも落としておかねばならない要所です。」
伊籍「鳳統殿はその非常時に戦線を離れて良いのか?」
鳳統「全ては黄忠殿にお任せしてあります。私は劉g様に会う必要もございましたし、
それに、伊籍殿ともお話したかった。」
伊籍「私と?」
鳳統「全ては寿春攻略が上手くいけばですが。失敗すると建て直しの為に、
また抹陵に戻らなくてはなりません。」
数日後、廬江と抹陵の連合軍が寿春を陥落させたとの知らせが入った。
寿春太守曹仁は汝南まで兵を引いた。
鳳統「曹仁め、我等からの攻撃は無いと油断でもしておりましたかな。」
再び伊籍と鳳統は会談を行った。
寿春を攻略した劉備軍はそのまま駐屯している。
伊籍は襄陽の防備を固めるように支持をだした。
新野からの報復攻撃も十分考えられる。
【同盟 六】
鳳統「劉g様は病から回復されたご様子ですな。」
伊籍「もう暫くしたら政務に復帰される。」
鳳統「それまでに伊籍殿とお話をしておきたかった。」
伊籍「この前もそんな事を言っておられましたな。」
鳳統「揚州攻略に関しご相談が。」
伊籍「勿論揚州攻略に向けての援助は惜しみませんぞ。」
鳳統「兵や兵糧、軍資金だけではなく、将を派遣していただきたいのです。」
伊籍「将を?」
鳳統「揚州から荊州に降った将軍達です。」
伊籍「それは・・・。」
伊籍は流石に即答できなかった。
揚州から降った将軍達の大半は襄陽に集めらていた。
劉gが彼等とのわだかまりを解く必要があったからだ。
伊籍の進めもあり、劉gが最も心を砕いたのがそれと言って良い。
【同盟 七】
伊籍「劉g様は、孫権討つのに彼等を使う意思は無いと思う。」
鳳統「寿春が陥落したとは言え、まだ抹陵は広陵と軒を接しております。
抹陵を空にするわけには、いかんのです。」
伊籍「それはわかる。」
鳳統「黄忠軍は、全軍を持って呉を攻略します。その間、抹陵の留守を預かって貰いたく。」
伊籍「これまで、我が軍と死闘を繰り返してきた将達です。
黄忠殿や他の将たちは、派遣に納得しているのでしょうな。」
鳳統「ご心配には及びません。これは私の独断ではなく、黄忠殿と話し合った結果です。」
伊籍「では、劉g様には私から伝えておきましょう。」
鳳統「早ければ早いほど助かります。」
伊籍「分かりました。他にも何か相談事がありますか?」
鳳統「ええ、実は・・・内密な話なのですが。」
伊籍「ほう。では、私の館に参りましょう。酒でも飲みながらお話しましょうか。」
【同盟 八】
伊籍「で、お話とは何ですかな?」
伊籍は鳳統の杯に酒を注ぎながら促した。
伊籍「ご心配なく。家人にはこの部屋に近付くなと命じてあります。
最もそんなに人数はいないのですが。」
鳳統「軍営で相談していたのでは、人目につきますからな。
お招き頂いたのは助かります。さらに酒を飲みながと言うのが良い。」
鳳統は注がれた酒を一気に呷った。
鳳統「筆頭軍師である伊籍殿と話し合いたかったのは、劉備殿のことです。」
伊籍「劉備殿の?」
鳳統「襄陽での劉備殿の評価は如何ですか?」
伊籍「悪くない。第二軍団の軍団長に推す声も大きい。」
鳳統「軍団編成の話は?」
伊籍「劉g様には私からもしばしば進言してはいます。
揚州を全て制圧した時が節目となるでしょうな。」
鳳統「軍団長にはやはり劉備殿が?」
伊籍「日頃から劉g様は、劉備殿を後ろ盾として公言してますし、
ここで軍権を与えられる事は考えられます。」
鳳統「黄忠殿も候補者の一人なのでしょうが、そちらに関してはあまり興味を
持っていないようです。命じられれば第二軍団の支配下にも入りましょう。」
少し歯がゆそうに鳳統は口を曲げた。
伊籍が空になった杯に酒を注ぐ。
【同盟 九】
伊籍「劉備殿の軍団長就任に何か問題でもあるのですか?」
鳳統「ふむ・・・。軍団長は仕方ないにしても、
私は劉備殿がそれ以上に権力を持つ事は好ましくないと思います。」
伊籍「しかし先も言ったとおり、劉備殿は劉g殿の後見役。
劉g様の劉備殿に対する信頼は益々高まっています。」
鳳統「後見と言うだけで、後継者ではございますまい?」
伊籍「むっ。これは微妙な話になって参りましたな。」
鳳統「劉g様は韓公となれらました。その後継者となるのは、州牧を継ぐのとは訳が違う。
その辺りは伊籍殿もお考えになったことはございましょう。」
伊籍「ふうむ。」
鳳統「僭越だとは思いますが、臣下として考えずにはいられません。
この度劉g様が病にお倒れになったことで、少なからず動揺が見られました。
幸い病自体は対したことは無かったようですが、お家の一大事でしたからな。
口さがない者達は、後継に関して好き勝ってを言っていたようです。」
伊籍「確かに劉g様が劉氏連合と言う名目で劉備殿を遇している以上、
劉g様の中で、劉備殿が後継でも第一候補というのは考えられます。」
鳳統「だが反発を示している者もおります。荊州の将の中にも、
そして元揚州の将軍達も。自分達は韓公劉gに降ったのであって、
その武将たる劉備に降ったわけではないと。」
【同盟 十】
伊籍「まだ劉g様はお若い。後継に関しての噂が出るとは甚だ心外ですな。」
鳳統「しかし何れ出てくる問題です。先人の轍を踏むわけにも参りますまい。」
伊籍「劉g様が劉備殿が後継である事を望んでいるのなら、すんなりと通るのが望ましいのですが。」
鳳統「孔明辺りは劉備殿を全面的に支持するでしょうな。」
伊籍「諸葛亮殿が?確かにあの方は、劉備殿付きの軍師ではあるが。」
鳳統「それを抜きにしても、あれは劉備殿に心服している気配があります。
これまでの奴の動きはいかにも怪しい。
最初から劉備殿の地位を固めるために動いていたのではないか。」
伊籍「諸葛亮殿は、貴殿と同様、劉g様自らが探してこられたはずだが。」
鳳統「もしも孔明が劉g様と会う前に劉備と接触を持っていたとしたら?」
伊籍「まさか、そんな事は。では、劉備殿を招くように進言したのも何れ劉g様から荊州を譲り受けるためだと?」
鳳統「辻褄が合います。」
伊籍「貴殿と諸葛亮殿が水面下で争っていた節があるのは知っております。
その事が原因だったのですか?」
鳳統「いや、私がそう思っているだけの事。孔明もまさか認めますまいよ。
だが釘を刺して置く者も必要だと思いましてな。
劉備殿と対抗するように黄忠殿を推していたのは事実です。」
伊籍「劉g様が劉備殿を後継者として指名するなら、
それを支持するのは配下としての務めと思っていましたが、
最初から乗っ取りを企んでいたのであれば話は別。」
鳳統「劉備殿自身が後継を狙っていると聞いた事はありません。
だがその“配下”である孔明が、主の立場向上を狙うのは必然でしょう。」
【同盟 十一】
伊籍「劉備殿と諸葛亮殿、引き離す訳には参りませんかな。
いや、劉g様がお2人を信頼している以上、難しいか・・・。」
鳳統「例え引き離したとしても孔明は動きます。それにあの2人の組み合わせが、
今や我が軍最強であるのは周知の事実。無理な事をいたしますと無用な反発を招きます。」
伊籍「劉備殿を指示している者たちも当然いるか。
後継を巡っての派閥争いだけは何としても避けねばなりませんぞ。」
鳳統「お家を安定させるためには、劉g様自身のお子があれば宜しいのですが。」
伊籍「妻帯は以前から私も進めているのですが、劉g様が中々承諾されない。
父君の事で、家庭を持たれることに抵抗があるのかもしれません。」
鳳統「実は私に心当たりがあるのですが、ご紹介しても宜しかろうか?」
伊籍「願っても無い事。鳳統殿ご紹介とあれば劉g殿も無下にお断りになりますまい。」
鳳統「お子が出来るのは、天からの助けを待つしかありませんが、奥方を持たれねば
その可能性もありませんからな。」
伊籍「諸葛亮殿の事に関しては、劉g様には伝えず、私の胸一つに留めて置きましょう。」
鳳統「それが宜しいでしょう。あくまでも私の憶測の話ですから。
しかし筆頭軍師である伊籍殿には是非聞いておいて頂きたかった。」
後継問題を巡って、伊籍と鳳統が手を組む事が事実上決定したわけである。
韓公劉gの陣営は、劉gの関知せぬところで、伊籍や鳳統が属する荊州閥、
降将組みで構成されるであろう揚州閥、そして荊州閥から独立した形の劉備閥(含孔明)の
三つが混在する複雑な様相となりつつあった。
ううむ。何やら辻褄が合わない文章かもしれませんが、
伊籍と鳳統が「後継者」の為に、本人達はその気は無くとも
派閥を作ってしまったとご解釈ください。
>>571 ゲームではあっさりと「報告」だけで終わるのが不満の一つです。
>>572-580 保守ありがとうございます。
>>581-583 新しいリプレイ楽しみにしております。
長らく続けてこのスレッドを占拠している事、
まことに申し訳ない。
派閥争いサイコー!
展開が読めなくて、次がすごく楽しみです。
劉gは誰と結婚するんだ?
そのことが心配で夜も寝られないぞ!
応援レスしたいが残容量を考えるとなかなか…。
【韓公として 一】
劉gが床をはらう頃には、初春となっていた。
劉g「ああ〜ようやっと、伸び伸びと手足が伸ばせる。」
伊籍「臣も安堵いたしました。」
劉g「うむ。もう、粥以外のものも口に出来るぞ。」
伊籍「益々のご回復の兆し。たんとお召し上がりなさいませ。」
快気祝いに来ていた伊籍も嬉しげに杯を口に運ぶ。
滋養に効く食べ物が色とりどりにと卓上に並んでいる。
韓公劉gの為に、各都市の太守が贈ったものである。
劉g「疫病はもう静まったのか?」
伊籍「御意。」
劉g「どれほど兵を配置し、城壁を高くしても、疫神と飛蝗とは防げぬ。
ただ去り行くのを待つしかないとはな。」
伊籍「人智の及ばぬ事はこの世には多ございます。」
劉g「まことよの。」
春の香も清々しい風に誘われて、劉gの杯も進んだ。
伊籍「時に、殿。お耳に入れたきことが。」
劉g「おお、何であるか。」
【韓公として 二】
伊籍「この度寿春を落としたことにより、いよいよ魏王曹操との
抗争に火蓋が切られました。」
劉g「うむ・・・。」
伊籍「ご病床にあられた殿のご判断無く、劉備殿が軍を出した事、
いかがいたしましょうや。」
劉g「いかがいたすとは、何の事だ?」
伊籍「寿春を落としたことは功ありと言えど、先も申したとおり劉備殿の独断。
太守の任を解くべきかと存じます。」
劉g「待て、待て伊籍。」
伊籍「はっ。」
劉g「お主も劉備殿が帝に対してどのようなお気持ちであるか知っておろう。
此度、曹操領に兵を出したのもその表われであろう。」
伊籍「では罪には問わぬと仰られますか。」
劉g「不問に付す」
伊籍「ご君命とあれば従います。殿に置かれましては、やはり劉備殿を
軍団長にとお考えでございますか?」
劉g「他に適任が居ろうか。」
伊籍「それにつきまして、臣の意見を申してよろしゅうございましょうか。」
【韓公として 三】
劉g「意見とは何か?」
伊籍「軍団長と申せば、かなりの権限が許されることとなります。
領地を与えられ、兵を動かし、軍を出すもその判断次第。」
劉g「うむ。」
伊籍「ならばこそ君臣のけじめをつけることが肝要。劉備殿を第二軍団長に
任命すると同時に、臣下であるとはっきりとお示しなされませ。」
劉g「劉備殿は我が後ろ盾ぞ。何より、“劉氏連合”を結んだ間柄ではないか。」
伊籍「“連合”とは即ち志の上でのことと心得まする。」
劉g「しかし・・・」
伊籍「劉備殿が良い例にございます。劉備殿、関羽殿、張飛殿は義兄弟であるのは
ご存知でございましょう。劉備殿が長兄、関羽殿が次兄、張飛殿は末弟でございます。
心の上では義兄弟でも、彼等は君臣の間柄を忘れておりません。」
劉g「・・・。」
伊籍「殿と劉備殿もご同様。同志なれども、公には君臣の間柄。その差をつけるべきです。」
劉g「いかがいたした、伊籍。今までこのような事を申した事は無かったではないか。」
伊籍「韓公とお成りあそばし、殿は今や魏王曹操に次ぐこの国第二の勢力でございます。
殿と劉備殿、二つの頭があるは混乱の下であると、危惧いたしておる次第でございます。
これは殿のためにも劉備殿のためにもなりません。」
劉g「劉備殿は、承知いたすであろうか。」
伊籍「せねば去っていただくのみでございます。軍団長に相応しい物が
他にも居ないわけではございません。荊州にも新しく加わった武将達の中にも。」
劉g「伊籍・・・。」
伊籍「が、この伊籍も軍団長には真、劉備殿が相応しいと思っておりまする。
どうか劉備殿のためにも、この愚臣の申し出、お聞き届けくださいませ。」
劉g「分かった。軍団長に劉備ど・・・劉備を任命する共に、第二軍団には、
韓公劉gの名の下に、打倒、魏王曹操の命を発する事といたす。」
伊籍「御意。」
【韓公として 四】
伊籍「折角の快気祝いの場に、ご無礼申し上げたこと、お許しくださいませ。」
劉g「良い。お主には苦労かけておること、知らぬわけではないのだ。」
伊籍「ありがたき幸せ。では、殿。無礼ついでに今ひとつお聞き届けくださいませ。」
劉g「まだ何かあるのか?」
伊籍「抹陵が軍師、鳳統殿の申し出でございます。」
伊籍は、鳳統が願い出たことについて説明した。
“婚姻”の事では無く、元孫権配下であった武将達の抹陵への赴任の事である。
劉g「あれらを抹陵にな・・・。」
伊籍「殿のお心、この伊籍知らぬわけではございません。
しかし非常な事態のゆえに何とぞご再考を。」
劉g「ううむ・・・。」
伊籍「劉備殿ばかりでなく、元からの荊州の武将達にも、どうか寛大なお心を。」
劉g「黄忠が・・・苦労しておるのか。」
伊籍「このままでは、広陵の曹操軍に気を取られ、孫権を討つことに集中できません。」
劉g「相分かった。数名の武将の赴任を許可する。」
伊籍「ありがたき幸せ。早速手配を進めまする。」
劉g「あれらに無理をさせる事だけが、気にかかる。」
伊籍「ご安堵なさいませ。彼等は殿のご心情を理解しておりまする。
そこまで殿に思われて、彼等も武将冥利に尽きるというものです。」
劉g「伊籍・・・。」
伊籍「はっ。」
劉g「人の上に立つのは難しいな。」
伊籍「殿は立派に君主として、韓公としての立場を全うしておられます。」
劉g「病明けに酒が過ぎたようだ・・・今日は帰ってよい。」
伊籍「御意にございます。」
伊籍が去った後も劉gはじっとその場を動かなかった。
静かな館が、今日は普段以上に静かに感じた。
今宵はここまでしとうございます。
>>596 ありがとうございます。
私にも先が読めません(泣)
>>597 もう暫くお待ちを。
知ってから安眠できるとはお約束いたしかねますが。
>>598 読みやすいかと思って、改行を入れていたのですがやめました。
容量食ってそうだし、何より「改行いれすぎす」でちょくちょく
エラーが出てましたので。
どこまでが限界でしょうかね。
板移転に気付かずにさまよってました(;´Д`)
劉g殿、頑張って下され。
>>598 新スレ立てりゃいいことじゃん。
んなこと言ったら、ほかの連中がレスしずらくなる。
>>605 横から失礼。
スレ立ては劉g殿か、その次の人がリプレイ開始する時に
立ててるようにすれば良いのでは?
下手に読む側が立てると、リプレイ書き込みの前に
荒らされる恐れもありますし。
【鳳統の決断 一】
鳳統は軍営で昼食を取っていた。
給仕役の兵卒が食事を並べていく。
荊南にいた頃は、兵糧不足から、将校も切り詰めた食事を取っていたが、
揚州をほぼ制圧した今、随分と良いものが用意されるようになった。
鳳統「海の魚と言うのは美味いな。河のものとはまた違った味わいがある。」
河の魚や貝は採れたてでも生で食すると怖い。
だが海の魚や貝は大丈夫なのだ。それも鮮度によるのだろうが、ここは抹陵。
海に近い。鮮度が良い物が幾らでも手に入る。
鳳統「秋には鱸が食いたいな・・・・。おい、これの代わりをくれないか?」
鳳統は椀を兵に突き出した。
お盆を差し出してそれを受け取った兵が、頭を下げて部屋を出て行く。
鳳統「へへへ・・・鬼のいぬまにっと・・・。」
鳳統は懐から竹簡を取り出した。
それは見た目は竹簡であるが、竹筒をそれらしく覆っているだけだ。
中身は言わずもがなである。
きゅぽっと栓を抜き、呷ろうとしたその時、
「軍師様」という声が部屋の外で聞こえた。
鳳統「うひっ・・・随分早いな。」
厨房からこんなに早く帰ってくるはずは無いと思っていたので、鳳統は慌てた。
軍営で酒を飲んでいたのが、黄忠の耳に入ったら唯ではすまない。
しかし、入ってきたのは給仕の兵ではなかった。
鳳統の決断 ニ】
兵 「将軍達がご到着でございます。」
鳳統 「分かった。通せ。」
素知らぬ顔をして、鳳統は竹簡もどきを懐に入れた。
兵に引率されて数人の男達が部屋に入ってくる。
韓当、黄蓋、程普、太史慈、宋謙、周泰・・・かつての揚州軍
中枢を担っていた将軍達である。兵は拱手するとその場を去った。
残された鳳統と将軍達が無言で向かい合う。
先に口を開いたのは鳳統だった。
鳳統「よく来られた。待ちわびていた。」
程普「襄陽からの命で我等抹陵に赴任となりました。」
代表して程普が答える。鳳統は将軍達に席を勧め自分も腰掛ける。
程普「太守殿には先ほど着任の挨拶を済ませてきました。
軍師殿はこちらと伺いましたので。昼餉の途中で失礼いたしました。」
鳳統「いや・・・もう終わったところです。どうかお気になさらず。」
程普「その様な改まった口の聞き方をされずとも結構です。
我等は一介の将にしかすぎませぬ。」
鳳統「歴戦の将軍達を目の前にして、いささか緊張したようです。
では、抹陵軍師として応対させて頂く。」
【鳳統の決断 三】
鳳統と程普をはじめとする将軍達は、荊南で、揚州で、
激戦を繰り広げた間柄である。因縁浅からぬものがあるが、
今は同じ韓公劉gの武将である。
揚州制圧には黄忠や劉備が活躍したが、
この将軍達が降ったというのも大きいのだ。孫権は牙をもがれた。
鳳統「襄陽から呼び出したのは他でもない。この抹陵の留守を任せたいのだ。」
程普「それは伊籍殿からもお聞きしています。」
鳳統「うむ。貴殿らには辛いことではあろうが、いよいよ孫権との抗争に決着をつけねばならん。
今年中に最低でも呉を落としてしまいたい。」
程普「魏王曹操との戦も、いよいよ始まりましたしな。」
鳳統「そうだ。我等の“志”については、劉g様や伊籍殿から既に聞いていると思う。
魏王との戦は、我等の本質を問われるものとなる。早くそれに集中したいのだ。」
程普「分かります。その一端を担う者として我等をどう使っていただいても構いません。
劉g様は志について我等に根気良く話してくださいました。」
鳳統「三代に仕えたお家から鞍替えして、こちらについた貴殿らの苦しみを、
この鳳統理解しているつもりだとは言えん。だから、ただこうして欲しいと命じるだけだ。」
程普「それで宜しいかと。ただ軍師殿にお願いがあります。」
鳳統「聞こう。」
程普「此度の呉攻略戦、我等の中の何人かを従軍させて頂けるよう、太守殿に口添え頂きたい。」
聞いて鳳統は驚いた。
先ほど将軍達の気持ちを推し量らないと言ったばかりだが、率先して攻め手に
加わりたいと言うとは思わなかったのだ。
【鳳統の決断 四】
程普「出来れば、残りの揚州制圧は我等に任せて頂き、太守殿や軍師殿には、
広陵攻略に集中していただきたい。最早揚州は敵ではございますまい。」
鳳統「・・・。」
程普「功を競うつもりなどは毛頭ござらん。韓公の為に良いと思う事を申しているだけでござる。
これまで揚州制圧に力を注いできた貴殿を始めとする他のお歴々には申し訳ないことですが。」
鳳統「貴殿らの実力は疑うべくは無い。それは実際刃を交えた私が良く分かっている。
抹陵に駐屯する将達の事も心配ない。だが、しかし・・・。」
韓当「孫権を討てと命じて頂ければ宜しいのです。」
黄蓋「望みとあらば首を取って参ろう。」
それまで黙っていた韓当や黄蓋が口を挟んだ。太史慈や他の将達は、
黙したままだが異論は無さそうだ。
彼等は彼等なりに既に踏ん切りをつけているのであろう。
ここで旧主を討ち果たして、完全に韓公の武将であると宣言しようとしているのか。
鳳統は一息つくと、無用に心を動かす事を止めた。
鳳統「分かった。申し出ありがたく受けよう。太守には私から報告しておく。
貴殿らに揚州掃討を任せることとしよう。我等は我等で広陵に兵を出す。」
程普「お聞き届け頂きありがとうございます。」
拱手した程普等が部屋から出て行こうとしたのを鳳統は止めた。
懐から竹簡もどきを取り出す。怪訝そうな顔をした程普らの目の前で、
鳳統は中身を呷り、程普に差し出した。
鳳統「着任祝いとしてはつまらんもんだが、受け取ってくれ。
貴殿らとはこれから長い付き合いになるだろう。韓公の為にその力貸して欲しい。」
頷いた程普が一口飲むと、黄蓋に回す。次々と竹簡もどきが将達の喉を潤した。
鳳統「断っておくが、いつも飲んでいるわけではないぞ。」
鳳統が笑うと、程普達も軽い笑みを漏らした。
彼等が攻めかかれば、孫権の気も萎え、完全に揚州は制圧される事となるだろう。
そして来るべき戦、魏王曹操との争いに鳳統は思いを馳せた。
>>604 項鵜殿、お久しぶりでございます。
項鵜殿の作品は、こちらの2に貼られてあります、
「三 国 志 プ レ イ 日 記 」で
ご覧いただけます。まだ見ておられぬ方がいらっしゃいましたら、
是非一読される事をお勧めいたします。まさにリプレイの新機軸。
私、大好きです。
>>606取り合えず限界まで、使って見ます。
リプレイ中に自分で立てるのはあれなんで、
何方かに立てていただきたいのですが、我侭かしらん。
>>605 作品読んでいただけるだけでありがたいのですが、
レスは大歓迎です。調子に乗る男ですぞ、某は・・・。
>>611 いつも楽しく読ませて頂いている者です。
一声かけていただければ、スレ立て致しましょう。
(勤め人故、レスポンスは遅いかも知れませぬが)
次スレではスペース空けるの止めよう。
検索しづらい。
あと韓玄スレとの差別化としてあっちは同時に複数連載可能、
こっちは一度に連載一つだけって事がいいと思う。
保守でござる。
615 :
無名武将@お腹せっぷく:02/10/10 01:37
定期的にage
616 :
無名武将@お腹せっぷく:02/10/12 09:41
保全ageです。
すいません。
ネタの推敲に四苦八苦しております。
近日中に書き込みますです。
あれ、トリップ変えたつもり無いのに・・・。
ううむ、職場ではなく、自宅から書き込んだ方が良かったか。
>618
いつの間にかトリップが10桁になっております
上に2桁ついただけですのでご安心あれ
保全ついでにトリップ確認sage
hosh
保守
劉g殿、体調不良の模様。
mata~ri hosshu
444まで下がってるけど大丈夫かな?
保守
がんばれ、しんぱい。保守。
場のつなぎのため、王粲やります。
目標は一騎打ちで勝つことなんですが、まあ、ダラダラと。
メディアは7。シナリオは3かな? 194年スタートのやつ。
王粲 18歳 名声2000
戦闘16 知力83 政治87 魅力60
特技 商才 評価
*自己ルール 移動や探索は隣の土地までしか行かない。人材登用も同じ。
194年
魔王、董卓が養子、呂布に殺害されたことにより、群雄割拠の時代が幕を開けた。
もはや漢朝の権威は失墜し、曹操、袁紹、呂布、劉備らが中原を争い、大陸は激動
の時代を迎える。
長安。董卓が遷都した都もまた、戦乱から逃れぬことのできぬ場所であった。
商人「先生、このような戦乱ではたいしたものはないのです。このような品で申し訳ありません」
先生と呼ばれた男は、まだ顔にあどけなさを残していた。
王粲。弱冠18歳ながら、高い名声を誇る名文家であった。
王粲「先生はやめてください。私はただの客です」
王粲は商人から茶壺を受け取り、代金を手渡した。
商人「先生。今でもお茶は高価な品です。お気をつけてお帰りください」
王粲「ありがとう。では、しつれいするよ」
茶壺を大事そうに袖に隠し、王粲は店を出た。
男「そこのお前」
どれくらい歩いただろうか。王粲は男に声をかけられた。振り返ると大男が数人、たむろしている。
王粲「何用ですか?」
男「お前、茶を買ったな。俺たちに寄越せ」
あまりの無礼さに王粲は眉をひそめた。
王粲「何のために、あなたたちへ茶を渡さなければいけないのか」
男「李カク様が茶を欲している。お前みたいな若造にお茶の味なぞわかるまい。
せっかく俺たちが役立ててやろうと言うんだ。さっさと寄越せ」
王粲は抵抗する構えをみせた。しかし相手は多勢の上、武装した屈強な男たち。
男「ひょろひょろした若造が虚勢を張るな。へたに抵抗すると怪我どころではすまんぞ」
硯よりも重い物を持ったことがないと揶揄される王粲には、彼らに抵抗する術は無かった。
ただ歓声を上げ、茶壺を手に立ち去る男達の背中を見過ごすだけだった。歯がみと共に。
蔡ヨウ「いかがした、王粲。ずいぶんと暗い顔をしているではないか」
王粲を出迎えたのは、後漢の議郎で学問、天文、音楽と多くの才能を評価される老人だった。
董卓にその才を買われ、補佐を務めていたで多くの者から恨みを買っていた。
本人としてはやむを得ず補佐を務めたのだろうが、周囲はそうと見なかった。董卓亡き今でも
無事でいられるのはその才能を惜しむ者も多いためだった。
王粲は蔡ヨウ宅に向かう途中、手みやげとして茶を買い求めたのだが、ならず者に大切な茶を
奪われたのだった。
そう話す王粲に対し、蔡ヨウとその娘、蔡エンは暖かく彼を励ました。
蔡ヨウ「いくら多くの知識を頭に詰め込んでいても、命を失ってしまえば意味がない。
私の余命も長くはないだろう。それまでに出来る限りの知識を世に残したいのだ」
王粲「私にできることでしたら、何でも手伝わせていただきます」
蔡ヨウ「うむ。期待しているぞ」
王粲は蔡エンとともに蔡ヨウの言葉を記し、著作をまとめる作業に取り組んでいた。
あの日が来るまでは……。
すいません、仕事と長引く体調不良のため
続きを書くことが出来ませんでした。
申し訳ない・・・・。
王粲殿、頑張ってください。
体調第一、気にされず!!
王允「蔡ヨウ殿はおられるか」
蔡ヨウ「これは王允殿。朝早くから騒がしですな」
王允「貴殿には董卓の暴政に荷担したと嫌疑がかけられている。ご同行願おうか」
蔡ヨウ「……確かに私は董卓の補佐を務めていた。紛れもない事実……これも天命か」
蔡エンから事の次第を聞かされた王粲は、蔡ヨウに一目会おうと獄へ何度も足を運んだ。
しかしその願いはかなわず、やがて蔡ヨウは獄中で殺害された。
王粲「馬鹿な! 蔡ヨウ様は自ら望んで董卓の補佐を務めたのではあるまい。
なのになぜ、今更そのことが罪に問われるのか!」
蒼天は死んでしまった。その想いが徐々に王粲の心の中へ染み渡っていく。
これからは乱世の時代となるだろう。学問ができたからといって、自分の身を守れなければ、
意味はないのだ。
王粲「剣だ。これからは剣を手に出来なければ」
自分の道を貫くための力。王粲は力を手にすることを誓った。
194年10月 長安
蔡エン「長安を離れるというのは本当ですか?」
蔡ヨウ亡き後、王粲は久々に蔡エンと会った。
王粲「ええ。長安ではいろいろありすぎました。少し離れてみようと思います」
王粲が長安で過ごした数年は、蔡ヨウ一家と出会ったこと以外は良いことが無かったのでは
ないかと思えた。
長安は今、董卓を殺害した呂布を追放し、李カクが握っている。蔡ヨウを死に追いやった王
允もやがて、李カクによって殺されてしまった。蔡エンも父の故国、呉へ疎開することが決まっ
ている。
王粲「もう私がここにいる理由が無くなってしまいました」
蔡エン「そうですか。どちらへ参られるのです? やっぱり戦乱の少ない成都や襄陽あたりで
しょうか?」
王粲「まだ決めていません。もっと自分を磨く、鍛え直すために旅をしようかとも考えており
ます」
蔡エン「では、呉の近くまで来たら、ぜひお立ち寄りください。道中、無事で」
王粲「あなたこそ」
王粲は都を離れる蔡エン一行の背を見送った。
王粲「さて……どこへ行こうか」
自分を鍛える旅とはいえ、剣さえも持ったことのない身。いきなり戦地へ赴くことは自殺行
為だろう。まずは比較的平和な土地で、剣術を身につける必要がある。
王粲は漢中を選んだ。
194年11月 漢中
王粲「ここが漢中か。私はこの地で生まれ変わるのだ」
腰には長安を離れる時に買い求めた剣がぶら下がっている。
郊外に庵を構えた王粲は、剣を振るう日々を過ごし始めた。
お目汚ししております。
劉g殿、体は資本。くれぐれもご自愛を。
195年2月 漢中
王粲は時に、民に学問を教え、道中に巣くう盗賊退治に出かけて負傷するなど多忙な日々を
送っていた。やがて民の間に彼の名は知れ渡っていた。そんなある日……。
男「王粲殿のお宅はこちらですかな」
戸口に立派なヒゲを蓄えた男が立っていた。
王粲「どちら様でしょうか」
男「張魯と申す」
五斗米教の師君であり、漢中を支配する男。その男が王粲の目の前に立っていた。
王粲「私は世をはかなみ、隠遁した身。そのような男にどのようなご用でしょうか」
張魯「隠遁したと言われるが、日々剣を振るっていると聞く」
王粲「……」
張魯「まあ、いい。王粲殿。ぜひその力を我が陣営で発揮してほしい」
王粲「今はまだ、この生活を捨てる気はありません」
張魯「そうか。では、また出直すとしよう」
王粲は張魯の後ろ姿を見送った。
王粲「さて、今日もがんばるか」
劉g殿、王粲殿がんがれというわけで保全
642 :
無名武将@お腹せっぷく:02/10/31 20:53
終わり?
196年2月 漢中
その日も王粲は1人、剣を振るっていた。
通行人「王粲様、精が出ますね」
王粲「これはお恥ずかしい所を見られましたね」
通行人「何をおっしゃいますか。王粲様にはみな、学問を教えていただくなど感謝しております」
長安を出て1年をすでに超えている。持ち出した金もすでに尽きており、王粲は漢中の民
を相手に学問所を開き、なんとか食いつないでいた。
通行人「見たところ、剣術の修練のようですが、あまりはかどっていないようですね」
王粲「……わかりますか?」
通行人の言ったことは事実だった。剣術なぞ何も知らぬ王粲は、ただ剣を振るうだけ。大きな
成果が表れているとは言えなかった。
通行人「いかがでしょう、王粲様。張魯様に仕えてはいかがでしょうか。張魯様には武勇に優れ
た張衛様がいらっしゃいます。張衛様にご指導してもらえば、効果的かと思いますが」
夜。王粲は通行人が言った言葉を頭の中で反芻していた。見よう見まねさえできていない
自分の修練。このままで剣術が身に付くとは思えなくなっていた。
しばし熟考したのち、王粲は手紙を書き始めた。
王粲「張魯殿に仕官を断られたら、この地を離れるだけだ」
王粲殿、リプレイ中、割り込み申し訳ありません。
中々時間がとれずに、こちらに頻繁に書き込むことが出来ませんので、
自分でサイトを立ち上げてそちらにリプレイを載せることにいたしました。
中途で立ち去ることはリプレーヤーとして真に恥ずべき行為ですが、
もし機会がありますれば、またご一読くださいますようよろしくお願い申し上げます。
最近、リプレイ記「冬の時代」って気がする・・・。
あれもこれも止まっている
196年3月 漢中
張魯「お主のような才知豊かな男を必要とせぬわけがあるまい。よろしく頼むぞ」
翌日、張魯に面会した王粲は無事、仕官することが出来た。
王粲「私は五斗米教の信者ではありません。入信しようと思いませぬ。
それでもよろしいのですか?」
張魯「かまわぬ。信者となってもらうのがありがたいが、そこまで強制はせんよ。
少しずつでも五斗米道教の良さを知ってもらえれば良い」
王粲「ありがとうございます」
張魯の配下には、張魯の知恵袋と評される閻圃、政治に長けているものの悪い噂がつきまとう
楊松、武を好む楊柏、そして漢中一の武勇を持つ張魯の弟、張衛がいた。
王粲はさっそく張衛へ手紙を書くこととした。剣術の指南を頼むために。
張衛は張魯の陣営では最年少だった。王粲とも年が近いこともあり、親しくなるには時間を
必要としなかった。
王粲「さっそくですが、張衛殿。剣を私に教えてほしいのですが」
張衛「剣を? あんたが剣を習う必要はないだろ。戦場は俺たちの仕事場だ」
王粲「あなたに剣を教えて欲しいので張魯殿に仕官したのです。ぜひお願いします」
張衛「……変わった御仁だな。まあ、教えてもいいが条件がある」
王粲「条件?」
張衛「俺に学問を教えてくれ」
王粲「そのようなことでしたら、お安いご用です」
王粲は張衛から剣術を習い始めた。
196年8月 漢中
張衛「王粲、ここにいたか」
張魯に仕官して半年。王粲の剣術の腕は、張衛の指導もあって飛躍的に向上していた。
しかし張衛が武都へ進撃することが決まり、師事することが難しくなってしまった。
張衛「と、いうわけだ。武都を攻略するのに不覚をとるとは思えぬ。
もし剣術の腕を磨きたいなら、そうだな兄上に口添えしておこう」
そう言い残し、張衛は出征した。
王粲「仕方あるまい。張魯様にお願いしてみよう」
張魯「おお、王粲殿。よく来たな」
王粲「張魯様、お願いがあって参りました」
張魯「ん、後にしてくれ。それよりも武都の太守になってくれんか」
王粲「太守? 私がですか?」
張魯「そうじゃ」
王粲「私はまだ若輩者。太守の器ではありませぬ」
張魯「これは閻圃と張衛の推薦があってのことだ。信者ではないものを太守にすることに反対
の声もあったのだが、そなたしか適任者がおらぬ。頼むぞ」
王粲「は、はあ」
王粲が武都に到着すると、張衛が出迎えていた。
張衛「思ったよりも早い再会だったな」
王粲「あなたの差し金でしょ」
張衛「まあな。これでビシビシと鍛えてやれるぞ」
王粲「それはありがたいですが、武都の開発も必要でしょう」
張衛「それはお前の専門分野だ。俺も楊柏もそっち方面は苦手でな。ま、太守様よろしく頼むぜ」
王粲「先が思いやられますね。まずは治安の強化から始めましょうか」
197年1月
王粲 21歳 名声2796
戦闘26 知力83 政治88 魅力60
特技 商才 評価
197年2月 武都
この日、王粲は内政の指示を配下に与えた後、いつも通り巡回を行っていた。
武都の住人「王粲様」
王粲「いかがなされた?」
武都の住人「王粲様のおかげで治安も良くなりました。ありがとうございます」
王粲「いえ、まだこの地を豊かにするという大仕事が残っています。これからですよ」
武都の住人「これからも王粲様に協力させていただきます。
あとこれを受け取っていただきたいのですが」
王粲「これは?」
住人は押しつけるように長い箱を王粲へ受け取らせた。
武都の住人「私たちからの感謝の気持ちです。では、失礼します」
王粲は館に戻り、箱の蓋を開けた。
王粲「こ、これは……」
箱の中からは、鏡面のような刀身を持つ剣が出てきた。
七星宝刀。王允の家に伝わる名刀だが、王粲は知らない。
王粲「このような見事な剣を……。剣の輝きに負けぬよう、私もがんばらなければ」
えー まだ見捨てずに見ている御方がいればお伺いしたい。
>>630で決めた自己ルールですが、一部改正してもよろしいでしょうか?
それは「探訪」と在野の武将のみ離れた国からスカウトできるようにすることです。
理由付けとしては名馬を買ったから。
正直、武都周辺では在野武将もおらず、まっっっったりとした展開から抜け出せない
ので……。いかがでしょうか?
ちなみに現在の張魯陣営は張魯・張衛・張繍・胡車児・楊柏・王粲・閻圃・楊松
武都のお隣天水には馬騰を筆頭に馬超、ホウ徳、韓遂、馬岱など9人9万の軍勢。
梓潼には孟達、黄権、呉班、ホウ義。
上庸には劉表、高沛、張允、王威、蔡勲、伊籍。
長安には楊彪・士孫瑞・伏完。
……長安おいしいな……。
という状況です。
>劉g様
今まで乙
>王粲様
応援sage
>>650(王粲殿)
各リプレイで書き手の方々が自己ルールを課す最大の理由は
「物語を面白くしたいため」でありますから
そのためのルール改正もまた良しと愚考いたしまする。
う〜ん……
思ったんだけど、鍛錬有りじゃちょっと簡単すぎやしないかな
ひたすら戦場に出て一騎打ち挑みまくってそのうち、ってのが話的にも面白い気がするけど
>>635 アドバイスありがとうございます。
>>654 かつての武安国殿のように呂布を倒す! とか目的を掲げなかったのが
まずかったようで・・・。
戦場にすぐ出ることも考えたんですが、いかんせん武力18ではと。
あと武力が低いと、特技の一騎も付かないのでは、と思ってしまったので。
うーん。確かに面白くないし、これから面白くなるのやら・・・。
鍛錬は武力しかしないのかな?
だったら縛りとしてはいいんじゃないかな。
訪問による特技取得はありか。
7は一騎打ちしても死なないし、名馬があれば
捕まらないので、戦に負けてもアイテム没収されず、
だから 654 さんの案もありか。一騎の特技がついたらやってみては。
…などと思いました。でも、自由にやってみてください。
期待してます。
197年7月 武都
この月。安定の李カクが天水を攻め落とした。武都も前線都市となったのだ。
張衛「いますぐここが攻められるとは思わないが、軍備は整えた方がいいだろうな」
王粲「私はそちらに関しては無学な身です。お任せします」
張衛「わかった」
王粲はますます内政、師事にと忙しい日々を過ごすことになる。
199年1月
年が明けた。この日、王粲は張衛の館へ出向き、酒を酌み交わしていた。
王粲「昨年は激動の1年だった。呉の厳白虎や北海の孔融殿の勢力が滅びている」
張衛は王粲の言葉に耳を傾けながら、杯の中身を飲み干す。
王粲「どんどん力無き者が滅びてきている」
張衛「左様。武都もこのままでは強者の餌食になるだけだ。
北は李カク、南は劉璋。圧力がますます強まるだろう」
王粲「まずは人材です。せめて人材の数がいなければ、対抗できません」
張衛「人捜しか。一番、難しい問題だな」
王粲「何か耳にしたらすぐに教えてください」
張衛「わかった。さあ、堅い話は抜きにして飲もう」
武都の夜は更けていく。
王粲(呉へ移った蔡エン殿は無事であろうか……)
王粲 23歳 名声4632
戦闘39+3 知力83 政治89 魅力61
特技 商才 評価 修復
アイテム 七星宝刀
>>657 サンクス、読み損ねたリプレイ有り難く拝読してます。
王粲殿応援sage
>>656 とりあえず鍛錬は武力のみです。
時期を見てどんどん戦場へ出てみようと思います。
普通にゲームをやるみたいに、守りに入る必要もないですしね。
>>660 ありがとうございます。
199年8月 武都
楊柏「太守様!」
王粲が武都に集まってきた商人と話をしていた時、楊柏が血相を変えて駆け寄ってきた。
楊柏「大変にございます。天水が馬騰の軍勢に攻め落とされました!」
楊柏の言葉を聞き、王粲の周囲がざわめく。
これまで天水を治めていた李カクと張魯は友好関係を築いていた。これまでは馬騰軍と隣接
することがなかったため、脅威に感じることはなかった。
王粲「慌てることはない。皆はまず、武都の商業を盛んにすることだけを考えてくれ」
そう言い残すと王粲は、楊柏を従え政庁へ向かった。
張衛「厄介なことになったな。李カクの軍勢だったら蹴散らすこともできるんだが」
王粲「すぐに攻め込んでくるとは限りませんよ。ただ、備えだけはしておきましょう。
張衛殿と楊柏殿はこれまで通り、城壁の整備に取りかかってください」
楊柏「お待ち下さい。それはあまりにも消極的すぎるのではありませんか。ここは先手を打って
天水に一撃を与えるべきです。例え天水の城門を破れなくとも、張師君の武威を示すことが
できます!」
王粲「張魯様はそのような些細な功名など求めてはおりますまい。第一、誰が天水を攻めると言
うのですか」
楊柏「それがしと張衛様で十分でございます」
王粲「そしてここ武都は梓潼の劉璋軍に落とされ、張魯様の漢中は2方面からの重圧を受けるの
ですね。天水を得ることができなければ、四面を敵に囲まれてしまうのですよ」
楊柏「しかし…」
王粲「楊柏殿。まだ天水の報告を全て聞いていません。馬騰に降った将はいないのですか?」
楊柏「あ、はい。張繍と胡車児、金旋が降っている模様です」
王粲「天水にいた張繍という人物と交友があります。張魯様の元へ誘えないか試してみましょう」
張衛「無闇に馬騰を刺激することもなかろう」
王粲「天水に出撃するよりはましでしょう。今はまず、人手が欲しいところです」
張衛「それはそうだな。張繍殿なら政もわきまえているだろう。楊柏2人分の働きが期待できるな」
楊柏「張衛様……人のこと言えないでしょうに……」
天水
張繍「これは王粲殿、よく参られた。手紙は何度かいただいておるが、お会いするのは初めて
ですな」
王粲「はい。先の戦いではなかなかの奮戦をみせたとか」
張繍「負け戦でござるよ。せっかくの初陣を飾れず、無念に感じている」
王粲「なにをおっしゃるか。武功を立てる機会はこれからいくらでもありますぞ」
張繍「……張魯軍を相手にかな?」
王粲「弱者よりも強者を相手にしてこそ武人ではありませぬかな。
失礼ながら張繍殿の武は目を見張るものがありますが、馬騰の嫡男、馬超や配下のホウ徳
に及ぶものではありますまい」
張繍「……確かに。腕に自信はあったのだが、恥ずかしながら彼らを見ると世の中は広いと痛感
した」
王粲「だからといってこのまま安穏と過ごすべきでもありますまい。
あなたの居場所は張魯様の元にあるのですから」
張繍「李カク殿を裏切り、馬騰殿の元にいる身。また張魯殿を裏切らぬとの保証はないぞ」
王粲「私がいる限り、あなたは裏切りますまい。それに張魯様の下では、やりがいのある仕事も
待っているでしょう」
張繍「ふむ。馬騰軍に一泡吹かせるのも面白いかもしれぬな」
王粲「さあ、ともに参りましょう」
張繍が張魯軍へ寝返った。
199年10月 武都
王粲「張繍殿、いらっしゃるか」
張繍「おお、王粲殿。いかがされた」
王粲「張魯様から、漢中に来るよう指示があります」
王粲は竹簡を張繍に手渡した。
張繍「……確かに」
王粲「いろいろお話もしたかったのですが、残念です」
張繍「なあに。漢中と武都は近い。いつでも会えよう。そうそう」
張繍は机の上に置いてあった竹簡を取り、王粲へ渡した。
張繍「天水時代の同胞で、胡車児という剛の者がいる。竹簡には君のことを紹介している。
きっと仲間になってくれるだろう」
王粲「お心遣い感謝します」
張繍「少しは役に立ちたいからな」
胡車児を陣営に引き入れた。
203年1月 武都
王粲の日々は相変わらず内政と鍛錬で費やされた。
中原では曹操と袁紹の激突が始まり、劉備の勢力はショウへ追いやられている。
揚州では追いつめられていた王朗が孫策に一矢を報いた。
荊州は李カクも乗り込み、4勢力で争う事態となった。
ただ涼州方面のみが平安を保っている。
張衛「平和だな。中原では英雄たちが覇を競っているが、兄貴はただ傍観しているだけだ。
ちっ。面白くない」
王粲「飲み過ぎではありませんかな」
王粲はさり気なく酒瓶を遠ざけようとしたが、張衛が無理矢理奪い取った。
張衛「これを飲まずにいられるかってんだ。こう暇だと体がなまっちまう」
直接、瓶から酒を飲む張衛の姿をあきれた様子で眺める王粲に、家宰が近付いてきた。
王粲「なに? 張繍殿が?」
王粲「これは張繍殿。雪の中、わざわざお越し下さるとは」
張繍「なあに。ちと貴公に頼みがあってな」
王粲「私に何か?」
張繍「この馬を買って欲しい。恥ずかしながら、ちと金が必要なんじゃ」
張繍が連れてきた馬。素人の王粲から見ても名馬であることはひと目でわかった。
張繍「爪黄飛電という。かつて涼州から帝に献上される予定だったのだが、賊に奪われた馬だ」
王粲「し、しかし、私にはもったいなさすぎます。ろくに馬にも乗れる人間ですぞ」
張繍「馬に乗るのが下手な貴公だからこそ、この馬がいいんじゃよ。
慣れてくれば、乗っているだけで好きな所へ連れて行ってくれるだろうさ」
張衛「なんの騒ぎだ? おお、これはなかなかの名馬ではないか」
張繍「……酒臭いな」
張衛「新年早々、無粋なことを言ってくれるな。
ところでこの名馬はいかがした? 俺にくれるのか?」
張繍「たった今、王粲殿に売ったのじゃよ」
張衛「わしに売ってくれ」
張繍「だめじゃ。お前は酒の飲み過ぎで金を持っておるまい」
張衛「確かに金はない。出世払いでどうだ?」
2人は王粲に断りもせず屋敷に上がり込んでいった。王粲が飛電の手綱をつなぎ、部屋に戻ると
すでに祝宴は始まっていた。
張衛「まったくもって悔しい。おい、王粲殿。明日から騎乗の特訓だ」
王粲 27歳 名声9037
戦闘64+3 知力83 政治92 魅力62
特技 商才 評価 修復
アイテム 七星宝刀 爪黄飛電
203年2月 呉
王粲は初めて海というものを見た。
黄河も広々としたものだが、海はさらに広い。
王粲は一ヶ月間、みっちりと張衛から騎乗の特訓を受けた。おかげで疾走こそはまだ慣れない
ものの遠出くらいはできるようになった。
それでも呉へ行くと言いだした王粲を見て、張衛はあきれ顔だったが。
王粲「あれから10年か。蔡エン殿はいかがしているか……」
王粲は活気にあふれる呉の城下町を歩きながら、蔡エンの消息を訪ねた。
おそらくは隠遁しているのだろう。知っている者はいなかった。
気が付けば、王粲は海辺へ出ていたのだった。
王粲「いい加減、戻らないと皆が心配しますか。また出直すとしましょう」
王粲が馬首を返すと、こちらに向かってくる騎影が見えた。無意識に右手が七星宝刀をにぎる。
「やあ、身近で見るとますます良い馬だ」
駆け寄ってきたのは青年だった。青年は陸遜と名乗った。
陸遜「失礼ですが、あなたの馬を拝見してよろしいでしょうか? この辺りにはこのような名馬
がなかなかいないのですよ」
陸遜は下馬すると、飛電を撫でてはじっくりと眺めていた。
陸遜「うん。見れば見るほど惚れ惚れしそうだ。失礼ですが、あなたと愛馬の名を教えていただ
けませんか?」
王粲は下馬し、青年に名乗り、飛電を紹介した。
陸遜「これは……高名な王粲様とは知らず、失礼しました。しかし王粲様は武都の太守と聞いて
おります。ここ、呉は大陸の反対側ですが、なぜこのような地に?」
王粲「昔の知り合いに会えるかと思い、遠出してきた次第です。
あなたは蔡エンという女性を知りませぬか?」
陸遜「申し訳ありませんが、存じませぬ」
王粲「そうか……」
陸遜「お役に立てず残念です。そうだ。しばし我が家に滞在しませんか?
何か蔡エン殿についてわかるかもしれませぬし、ぜひ王粲様のお話をお伺いしたい」
王粲「……」
落胆していないと言えば嘘になるが、王粲はせっかくの青年の好意を無下にする気もなかった。
なかなか利発そうな若者でもある。天下の逸材に出会えた気がした。
2月が終わろうとするある日。
王粲は陸遜を連れ、漢中の城門をくぐった。
7は評判悪いけど好きな作品。王粲殿応援sage
203年5月 武都
この日、王粲は武都を訪問してきた陸遜と話していた。
陸遜は張魯に謁見した後、見識を評価され、漢中にとどまっている。軍師に請われる日も近い
と漢中の民は噂している。
陸遜「張魯様の軍に足りないのは人材です。もっと人を集めなくてはいけません」
王粲「私も過日、張魯様にその旨を進言しました。各地で戦争が起き、囚われの有能な人材もおり ましょう。私もそのような人たちと交流を持とうと思っております」
陸遜「確か先日、河内の張燕が滅ぼされましたね」
王粲「ええ。董昭という人物がおりましたので、今盛んに手紙を送っているところです」
陸遜「さすが手が早い。私も負けていられませんな」
王粲「正直申し上げて、武都にいる将は政治を得意とする者が少ないのです。董昭殿を武都へ迎え
ることができれば民も潤うのですよ」
陸遜「なるほど」
王粲「近いうちに河内へ向かい、董昭殿を説得しようと思います」
陸遜「まだ戦後の混乱があるでしょう。お気をつけて」
翌月、袁紹配下の董昭が張魯のもとへ出奔した。
>>669 私も7,好きです。評価はよくないですけどね。
8は戦場で捕らえた武将を配下にするのが難しかったけど、7ならまだ我慢できる。
>>657 かちゅ〜しゃのログフッ飛ばしたときに消えた韓玄スレが
また読めて嬉しい限り。ありがとうございます。
そして王粲殿応援sage。
203年7月 漢中
王粲「陸遜殿。軍師就任おめでとうございます」
この月、陸遜は閻圃に代わり、軍師に任命された。
陸遜「まだ若輩者の身。王粲殿をさしおいて恐縮することばかりです」
王粲「なに。あなたの才能は皆が認めるところですよ」
陸遜「ところで漢中にはどのようなご用で?」
王粲「うん。董昭殿を武都に迎え入れたのは良いのですが、張衛殿が漢中へ戻ることになりまして
な。ここまで共に参ったところです」
陸遜「確か張衛殿は王粲殿の剣や乗馬の師匠でしたね」
王粲「それは耳が早い。一向に腕が上がらずお恥ずかしいところです」
陸遜と別れ、武都へ向かう王粲だったが、胸中には一抹の不安があった。
王粲「……武都の防備を一層整えなくてはいけないな……」
不安は的中した。
王粲が武都の政庁に戻り、兵の再編を指示していた時、早馬が駆け込んできた。
楊柏「太守様! 天水の馬騰が攻めてきました!」
王粲にとって初陣を迎えることになる。
王粲「董昭殿、漢中に援軍を求める早馬を」
董昭「わかりました」
王粲「楊柏殿、皆を集めてください。軍議を開きます」
武都の戦い。
王粲「馬騰軍の動向を知らせてください」
董昭「総大将は馬騰。総勢11万を超える大軍ですな。漢中には急使を送っておきました」
楊柏「我が方は5万か……」
胡車児「張衛殿が漢中に移動したのが痛いな」
王粲「今更仕方あるまい。董昭殿。この戦い、どう見ます?」
董昭「馬騰軍は数の上でも優勢。自慢の騎馬軍団で正面突破してくるでしょう。ここは馬騰軍の
勢いに抗わず、籠城が良いかと」
楊柏「参軍! それは弱気すぎますぞ。汗水流した田畑をみすみす荒らされてしまうではないか」
胡車児「俺も楊柏の言に賛同する。籠城しようにも弩が少ないしな」
楊柏「ぜひ私に先陣を。必ずや馬騰軍を打ち破ってみせます!」
王粲「楊柏殿、落ち着いてください。あなたの兵は新兵揃い。とても乱戦に耐えられるものでは
ありませんよ」
楊柏「しかし……」
王粲「董昭殿。馬騰軍は正面突破で来ますかな?」
董昭「西涼の軍は騎馬の力で押してくる戦い方しか知りません」
王粲「……では、私たちは川沿いに陣を張り、渡河中の敵を攻撃します。
胡車児殿は右翼、董昭殿は弩隊を率いて中軍を。私は左翼に。楊柏殿は……」
中軍の砦
董昭「これは太守殿。左翼はよろしいので?」
王粲「援軍が到着したそうですね」
董昭「はい。現在は前線の砦を落とした韓遂を包囲しているようです」
王粲「敵本隊の居場所はわかりますか?」
董昭「偵察隊を出していますが、まだ渡河の途中かと」
兵士「董昭様! 西の砦から狼煙が上がっております!」
董昭「なんだと!?」
王粲は董昭とともに楼台へ登った。
河の対岸にある西の砦から煙があがっているのが見えた。
王粲「……あの様子では落ちましたか」
董昭「申し訳ありませぬ! 私の献策が謝っておりました。この償いは」
王粲「今はそのようなことを言っている場合ではないでしょう。
董昭殿はこの砦を死守してください。私は本陣の首尾へ回ります」
董昭「胡車児殿にはどのような指示を」
王粲「西から渡河してくる敵を押さえるようお願いします」
董昭「はっ」
王粲は飛電にまたがると自分の部隊へ戻っていった。
敵は騎馬隊。時間との勝負になる。
王粲が本陣に戻るとすぐに騎影が山陰から現れた。間一髪だった。
王粲「敵軍は……ホウ徳、程銀、張ガイの3軍か。ほかの部隊は董昭殿たちが足止めして
くれているか」
本陣に対する馬騰軍の攻撃は激しかった。なぜなら別働隊の楊柏が空き家同然の敵本陣
を落としていたからだ。馬騰軍は前進するしか手がなかったのだ。
しかし本陣を固める王粲の部隊を攻撃するも、攪乱を受けて張ガイと程銀の部隊が恐慌
状態に陥っている。単独で突撃を繰り返すホウ徳はいたずらに兵を損なっていた。
王粲「ホウ徳殿の武勇は西涼随一というが兵がいなくては意味もあるまい。
打って出て敵将を捕らえるぞ!」
幾度目かの突撃を敢行し、兵を引き始めたホウ徳隊に王粲の部隊が襲いかかった。
虚を突かれ、騎馬隊は算を乱して逃げ始め、ホウ徳は捕らえられた。
王粲「よし、本陣に戻るぞ」
王粲が本陣の門を閉じると遠方から砂塵が待っているのが見えた。
馬騰の大軍が到着したのだった。
馬騰「本陣が見えた。程銀、成宜、青二才を蹴散らすぞ!」
兵士「胡車児様。本陣が見えました。大軍に囲まれております」
胡車児「おお……さすがは馬騰軍の騎馬隊。見事な突撃だ。だがな!」
馬超らの足止めを董昭と合流した張衛たち増援軍に任せ、胡車児は本陣に向かって強行
していた。やがて突撃を追え、休止している程銀の部隊をとらえる。
胡車児「突撃! 敵は多数だ。目をつぶって剣を振っても空振りすることはないぞ!」
叫声とともに胡車児の部隊は程銀に襲いかかった。
程銀の部隊が壊滅すると、混乱が馬騰の軍に広がった。同じころに馬超も撤退を始め、
馬騰は退却を決断した。
追撃戦の末、馬騰と張ガイが捕らえられた。
204年6月 武都
軍備と開発を整える武都は飛躍的に発展していた。
張魯の下には王粲の誘いを受けた呂岱、李厳、軻比能、公孫範、賈逵が加わった。
張魯の勢力は小規模ながら、力を蓄えている。
李厳「太守様、長安の楊彪が安定を攻め、大敗を喫しましたぞ」
昨年の12月。長安で専横を振るっていた李カクが、遠征先の宛で孫策に殺された。
孫策はこれで、荊州の大部分を押さえたことになる。
李カクのあとを継いだのが楊彪だった。
王粲「馬騰に降った者は?」
李厳「楊彪に不満を持っていた徐晃と賈クの両名です」
思わぬ僥倖だった。
王粲「董昭殿を呼んでください。私は2人を説得に向かいます」
いきおい馬騰に降ったものの徐晃の心は揺れていた。彼よりも巧みに騎馬を操る人材が
多い涼州軍では徐晃の剛勇も色あせてみえる。
巧みに徐晃の心理をついた王粲の説得を受け、徐晃は張魯のもとへ出奔することを決めた。
王粲「次は……」
王粲は賈クの屋敷へ足を運んだ。
賈ク「これは王粲殿。お懐かしい。今は武都の名太守とか。ご活躍ですな」
王粲が長安で蔡ヨウに指示していた頃、賈クは李カクへの仕官を勧めたことがあった。
王粲「まだ私は若輩者です。ぜひ賈ク殿に先人の知恵をお貸し願いたいのです」
賈ク「……」
王粲「馬騰軍の軍師を務めるのは馬騰の義兄弟でもある韓遂。あなた様が必ずしも重用される
とも限りますまい」
賈ク「……」
王粲「張魯様のもとには張繍殿や胡車児殿など賈ク殿と旧知な者も多いのです。
知らぬ者の多いここよりも、張魯様もきっと重く用いるでしょう。
賈ク「……ふむ。王粲殿は学はできてもまだお若い。
私がここ涼州の武威郡出身ということはご存じなかったか。馬騰殿や韓遂殿はじめ、関
中の軍閥のほとんどは旧知でござるよ」
王粲「まじっすか?」
賈ク「だから王粲殿はまだお若いと申し上げた。まっすぐな心もよろしいいが、もっと別な角
度から物事を見て、情報を集め、分析することも必要ですぞ」
王粲「……」
賈ク「それにそれがしは先ほど、馬騰殿から軍師就任の依頼を受けたばかり。断る理由もありませぬ」
王粲「……わかりました。残念ですが、今回は引き下がらせていただきます」
賈ク「次にあうときは戦場ですな」
賈クの一言に、王粲の背中に冷たいものが走った。初陣は馬騰軍を打ち破ったが、騎馬隊の
威力を前に肝を冷やす場面も多かった。次の攻撃時には、賈クの鬼謀が加わる。
王粲「賈ク殿のお言葉、肝に銘じておきます」
賈クの屋敷を辞した王粲は飛電を駆けに駆けた。
王粲「馬騰が攻撃を諦めるぐらいの防備を整えなくては……」
>リプレイヤー諸氏及びリプスレファンの方々
『三国志リプレイ集』の掲示板にて、
「もう少し宣伝すべきではないか」という意見を頂きました。
私は他人の作品を纏めているだけにすぎないため、
2ch外への紹介に躊躇いがあり、今まで2chにしかアドレスを晒しておりませんでした。
友人がリプレイヤーをしているので(名前は伏せといてくれと言われております)
意見を聞いたところ、
「リプスレを紹介するのは意味があることだし、
纏めてあるサイトがあるということは宣伝もしやすいし、
スレの活性化にもつながる。
リプレイヤーとして言わせて貰うと、自分の作品をせっかうだからもっと多くの人に
見てもらいたい」
との事でした。
皆様にも意見が聞きたいです。
検索サイトやウェブリンクに登録すべきか、否か。
お願いいたします。
劉g改め韓玄四代目でございます。
”管直”入@有 ◆Ko6hC9mnzc様に置かれましては、
私の駄作を広く公開していただき感謝しております。
ちょうど貴殿が三国志リプレイ集を立ち上げたのと同じ頃、
私も自サイトを立ち上げ、劉gリプレイなど自分のやったリプレイを
紹介しております。もちろん何処にも登録しておりませんので、
数人の知り合いにしか来て頂いておりませんが。
私個人としても、勿論たくさんの人に見ていただきたいという気はございますので、
私は検索サイトやウェブリンクに登録していただいても問題ございません。
ただ他のリプレイヤー様たちがどう思われるかは分かりませんので、
一人でも嫌だと言う方がいらっしゃったらそれに応じるべきであると思います。
不特定多数の場にアップしているのですから、今更隠す必要もないと思います。
ましてわざわざ足を運ぶ人も興味のある人たちでしょうし。
駄作をあげている身ではありますが、気兼ねする必要はないかと。
現在スレ数612につき、保守。
現在スレ数540につき、保守。
保守〜
保守。
686 :
無名武将@お腹せっぷく:02/12/05 23:05
保守?
晒し上げ。
687 :
無名武将@お腹せっぷく:02/12/06 11:31
途中で終わってしまうリプレイ記ばっかだな
このスレに限らず
688 :
無名武将@お腹せっぷく:02/12/06 12:02
面白くないリプレイを書かれるよりはましかと。
自然淘汰だろうし。
一度試みたころがあるが、なかなか面白い展開にならない場合もあるしな。
新しく始まったリプレイ記を見て、「これはすぐに終わるな」
ってわかるようになった。
というか、最近のリプレイ記の多くがそうなんだが。
もちろん例外もあるが、かなり少ない。
げ、ageちまった。すまん。
saggeってなんだよ・・・
>>691 自分が気に入っているスレを余所で晒す馬鹿がいるとでも?
なんかもう面白いリプレイのネタがなくなっているのかも。
転がっている原石にただ気付かないだけかもしれないけどね。
単に能力が低い奴じゃあきついだろうなあ。
能力最低 鍛錬なし 交友なし 巡察もなしってのは?
ずっと在野
使用武将の能力は、どっちかというと二の次のような気がする。
実際にプレーする中で起こったイベント(戦争、登用、移動etc)を
どれだけネタに絡ませ「続ける」ことができるか、じゃないかな。
この「続ける」ってのが、一番エネルギーがいるように思う。
現在スレ数581につき、保守。
現在スレ数562につき、保守。
現在スレ数567につき、保守。
ノンたん氏
いつも保守してご苦労様…と思うんだけど、正直なところ、このスレはどうだろうって最近思う。
リプレイスレとして稼動してないし、ほかにリプレイ記書き込めそうなスレもある。
このまま落とすのもありではないか、って思っているんだが。
>>704 >リプレイ記書き込め”そうな”スレも…
と、あるだろ?
敢えてくどくど言わんが、わかるか?
句読点くらい、うとうね。
>>701 う〜ん。まぁ、「現在多忙につき、三ヵ月後に再開します」
みたいなリプレイヤーのアナウンスがあれば落としちゃって構わないでしょうけど、
ただ、これでメシ食ってるワケでもない方にそこまで要求するのは酷に思いますし。
しかし、最近はここ以外のリプレイスレも、年末と云うこともあってか中断続出だなぁ。
ふと思ったんだが、のぶやぼのリプレイスレって今まで立ったことないの?
もしあるのなら、過去ログ持っている人upしていただけませんか?
ありがトン。
さっそく読んでみる。
710 :
無名武将@お腹せっぷく:02/12/25 15:45
保守
現在スレ数527につき、保守。
死んだスレを保守する奴は次分でリプレイをかけ
保守ろう
>>712 自分のリプレイすらまともに書けない糞コテが保守してんじゃねーよ
(^^)
716 :
無名武将@お腹せっぷく:03/01/11 13:22
(゚Д゚)ハァ?
なんだか不毛…。
この機会に、どなたか参意を表明でもすれば…。
このスレはすでに死んでいる
マジで提案。
もうレプレイヤーの最終書き込みから二ヶ月近く経ちますし、
他にも書き込みの止まってるリプレイスレがある訳ですから、
板の為にも、これから四〜五日以内にリプレイヤーからの何らかのレスがなければ、
そのままdat落ちさせるというのはどうでしょうか。
(^^;
722 :
無名武将@お腹せっぷく:03/01/23 15:58
ギギギ・・・・
723 :
無名武将@お腹せっぷく:03/01/24 11:44
\ オオオオオオ―――――ッッッッッ /
\ /
(゚∀゚)(゚∀゚)(゚∀゚)(゚∀゚)(゚∀゚)(゚∀゚)(゚∀゚)(゚∀゚)(゚∀゚)(゚∀゚)
(゚∀゚) (゚∀゚) (゚∀゚) (゚∀゚) (゚∀゚) (゚∀゚) (゚∀゚) (゚∀゚) (゚∀゚) (゚∀゚)
(゚∀゚) (゚∀゚) (゚∀゚) (゚∀゚) (゚∀゚) (゚∀゚) (゚∀゚) (゚∀゚) (゚∀゚) (゚∀゚)
(゚∀゚) (゚∀゚) (゚∀゚) (゚∀゚) (゚∀゚) (゚∀゚) (゚∀゚) (゚∀゚) (゚∀゚) (゚∀゚)
.( ゚∀゚)( ゚∀゚)( ゚∀゚ )( ゚∀゚ )( ゚∀゚ )( ゚∀゚ )( ゚∀゚ )( ゚∀゚ )(゚∀゚ )(゚∀゚ )
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( ゚∀゚)( ゚∀゚ )( ゚∀゚ )( ゚∀゚ )( ゚∀゚ ) ( ゚∀゚ )( ゚∀゚ )( ゚∀゚ )( ゚∀゚ )( ゚∀゚ )
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724 :
無名武将@お腹せっぷく:03/01/25 18:05
725 :
山崎、今日のかくれんぼ:03/01/26 01:24
726 :
無名武将@お腹せっぷく:03/01/27 15:11
727 :
無名武将@お腹せっぷく:03/01/27 20:35
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DAT行き阻止age
>>728 やたらとリプレイスレを上げまくってるようだが。
DAT落ちは最終書き込み時間で線引きされるのであって、
スレッド一覧の最下層にあっても、sage書き込みがあれば
大丈夫って知ってる?
もう死者に鞭打たずにdat落ちさせてもいいような気がするが…
なんか適当に羅列して、1000逝きにさせたらどうよ。
劉g殿もなあ、ここできちんとけり付けてほしかったなあ。
自分でサイト作ったらしいけど。
残り60kbだから、適当にAA張ればすぐに埋まるな・・
劉g殿のリプレイ続き見たいんだが、サイトを見つけられん……。
三国志連環で検索したら776もヒットしやがった。
助けてくれ。
三国志連環で検索したら776もヒットしやがった。
助けてくれ。
PCの調子がオカスイぞ。
(^^)
>>738 違ったスマン。三国志サーチのリプレイで絞込みね。
桜の季節まで続けて欲しかった…
はわわわわわわ
誤爆しました。すみません。
このままDAT落ちと思って書き込み控えていたが、
誤爆があったようなので書く。
740サンキュ。
無事たどり着けた。
745 :
無名武将@お腹せっぷく: