ごめんなさい
前スレ、データサイズオーバーで書き込み出来なくなりました
誘導とかまったくないですけど、みなさんちゃんと来て下さい、お願いします
ミラーワールドと現実世界の境界が無くなり、現実世界に大量に溢れ出したモンスターの群れ。
「城戸・・・・俺は今まで友と呼べる人間がいなかった。作ろうとも思わなかったしな。
だが・・・お前は唯一友と呼べる存在かもしれん」「蓮・・・・」
「だがわかってくれ 俺は闘わないワケにはいかない!
例え可能性がどんなに低くてもそれに賭けるしかない!俺と闘ってくれ」
「・・・ああ 俺の頼みを聞いてくれたら・・・闘ってやるよ」「何だ?」
「・・・・・・死ぬなよ蓮」
「!・・・・・・お前もな」
「約束通り生き残ったな、、、俺と闘うか?」「蓮っ、、、」
「いや、お前との闘いはしばらくあずけておこう、、まずはこの世界を何とかしなくてはな、、
この状態では恵理が意識を取り戻しても、可哀想なだけだしな、、」
「ああ、、、そうだな。ミラーワールドと現実世界の境目がなくなって、
モンスターが現実世界に大量にあふれ出して来た。このままだとこの世界が滅びちゃうもんな、、」
「だがいつか約束は守ってもらうぞ、、」
「ああ、、それまでは何があっても死ぬなよ蓮」
「お前もな」
真司と蓮の間に交わされた闘いの約束。
だがそれは2人が予想していた以上に早くに現実のものとなる。
しかもそれは2人が望んだものとは全く違う、最悪のカタチとして実現されるのであった。
【 仮面ライダー Heat on!外伝/Anoter 13riders 】
4 :
名無しより愛をこめて:03/05/21 00:22 ID:xWACsjNm
うっさい乙
別世界より『神の肉体の器』を求め、真司達の世界へやって来た天使・ミカエル。
ミカエルはこの世界の全生命体とすべてのライダーを巻き込み、食物連鎖のピラミッドの頂点を決め、
最後に生き残ったものを『神の肉体の器』とするというサバイバルゲームを開始する。
神崎士郎はこの世界の13人のライダー達の前に現れて言う。
「お前達この世界のライダーと、別世界から来たライダー達は共存出来ない。闘えっ!!」
そしてミカエルの配下の12天使達は、13人のライダーそれぞれの元を訪れ、
サバイブのカードを元にしてつくられた強化カードと、手数を補う為の増強カード、
そして、ライダー自身が自分の意志でカードの内容を決められる白紙のカードを手渡すのであった。
ミラーワールドと現実世界の境界が無くなり、現実世界に大量に溢れ出したハイドラグーンの群れを
一掃することに成功した別世界のライダー達であったが、
モンスターの群れはその後も現実世界に出現し人間を襲い続けていた。
そんな状況の中せめてもの救いは、今迄のところモンスターの群れは小規模で
前回のハイドラグーンの時のような大量出現はまだないということであった。
だが、突然現実世界に出現するモンスターの群れに、
龍騎世界ではARKのような統制された情報網を持つ支援組織がない、
本郷猛をはじめとする別世界の仮面ライダー達は、
モンスターの対応に関して後手に廻らざるを得ないというのが現状であった。
龍騎達のもうひとつの物語において、ここまでは単なる序章に過ぎず、
ここからが真の闘いの幕開けでもあった。
モンスターの群れが出現するのが日常のこととなり、街は徐々にその姿を瓦礫へと変えて行き、
人々の心は不安と絶望へと向かい、荒みはじめていく兆しを見せていた。
世界は破滅への予感に満ち溢れていた。
【2nd Survive 第14話「龍騎II」】
「何やってんだぁ!真司っ!早く記事まとめろっ!もう時間がねぇぞっ!」
OREジャーナル編集部内に大久保編集長の大声が響く。
連日の謎のモンスター群の出現により、OREジャーナルは不眠不休の大忙しであった。
編集部内には常に緊迫感が漂い、編集長も玲子も島田もめぐみもみな必死であった。
それは仕事に対する緊張感や懸命さでもあったが、
あるいはみな心の何処かでただならぬ不測の事態に人類の危機的なものを感じとっていたのかもしれない。
それだけ謎のモンスター群の襲来は人々に衝撃を与えていた。
真司は編集長にせかされるまま、パソコンに向かい記事の執筆に奮戦していたが、
もちろんその胸中は複雑なものがあった。
普通の人々にとっては未知なる生命体の襲撃であっても、
自分にとってはよく知るミラーワールドのモンスターで、
自分は今回のモンスター群襲撃事件の中心にいる人間である、
そのことをみなに教えてしまいたい気持ちもあったが、もちろん教えることなど到底出来なかった。
真司はモンスターの群れが連日出現する今の状況を早く何とかしたいと焦る気持ちでいっぱいだった。
それでもOREジャーナルの仕事を続けているのは、広範囲化しつつあるモンスターの出現位置、
その出現情報を知るにはOREジャーナルの情報網が有効であったからに他ならなかった。
OREジャーナルに入ってくるモンスター出現情報を、真司が本郷や一文字に伝え、
真司自らも取材と称してモンスター出現ポイントに向かい龍騎となって闘う。
ハイドラグーン大量発生以来連日これの繰り返しであった。
今の真司には日々のモンスターの撃退が精一杯で、ライダー同士の戦いを止める、ミラーワールドを閉じる、
その事態の根本を追求し、解決することは無理なことであった。
そのことが真司自身に焦燥感をもたらし、真司を苛立たせていた。
そしてミラーワールドを閉じるだけでは、救うことが出来ない人々が存在すること、
その事実が余計に真司を苦悩させるのであった。
真司はそうした気持ちを振り払うようにして、今目の前の仕事に集中する。
一心不乱にパソコンに向かいキーボードを叩く真司。
デスクに向かう真司の周囲は暗い闇の中へ包まれていく。気づかずに集中している真司。
真司が次に顔を上げ周囲を見回すと、そこへ闇の世界、そして目の前には天使・ミカエルが立っていた。
突然のことに驚き身構える真司。真司の目の前で腕組をして立つ天使・ミカエル。
「な、なんだよっ、突然現れて」
「赤い龍の騎士よ、私は君に知らせに来たのだよ。
君達この世界のライダーは、別世界から来たライダー達と共存することは決して出来ない。
君達の間にいかなる絆があろうとも、必ず最後は命を賭け闘う事になるのだ。君達が望もうと望むまいと。
それが定められえた運命というもの。抗うことは出来ないのだ。」ミカエルの静かな声が真司に語りかける。
「ふざけるなっ!!運命とかそういうのはもう聞き飽きたんだよっ。
俺は本郷さん達と一緒にお前達を倒す。そしてライダー同士の戦いを止めて、みんなを救い、この世界を必ず元に戻してみせる。」
「果たして君は本当にそう思っているのかな?
それが不可能だということに君も薄々気づきはじめているのではないのかな?」
まるで自分の心が見透かされているようぎくっとする真司。
「私はね、君の力をかっているんだ。いや龍騎の力と言った方がいいかもしれないね。
龍騎の潜在能力は大したものだよ。この全ライダーのサバイバルゲームで優勝するのも夢じゃない。
だが城戸真司、君がその龍騎の能力を封印してしまっている。
君の闘いを止めようとする気持ちが、龍騎の戦闘能力を随分と落としてしまっている、実に嘆かわしいことだよ。」
「それにね、我々を倒してもこの世界は最早もう元には戻らないんだよ。
壊れてしまったものは元に戻せないし、死んでしまった人間を甦らせることは出来ない。
君だってそれぐらいはわかっているだろう?」
「だ、だけど、お前達を倒せばこれ以上被害を出さなくて済むだろ」
「もし仮に君達が我々に勝てると仮定して、我々すべてを倒し、ライダー達の戦いを止め、みんなを救い、
モンスター出現の根本を無くす、そこに辿り着くまでに一体どれだけの時間がかかると思う?
その頃にはもう人類は全滅してしまっているかもしれないよ」ミカエルはそう言いクスクス笑う。
「現に君はこの半年の間に誰も止めることが出来なかったじゃないか。
私はずっと見ていたんだよ、君達のことをね。」
「君がこの戦いのすべてを止める頃には人類はとっくに滅んでしまっているよ」ミカエルは再び愉快そうに笑う。
「クッ、、」真司はその言葉に返す言葉がなかった。ミカエルの言うことは本当のことでもあったからだ。
「私はね、君に提案があるんだ。すべてを上手く解決する方法をね、知らせに来たんだよ。」
「君は止める必要は全くないんだ。君は闘って最後の勝者になればいい。
そして最後のひとりになった時、君は願えばいいんだよ。
『時間を戻して、ミラーワールドの存在しない世界にしろ』とね。
そうすれば死んだ人間は甦るし、壊れたものだって元の姿に戻る。この世界のライダーが闘う理由もなくなる。
君の気にかけているすべてのことがたったそれだけで解決してしまうんだよ、簡単なことじゃないか。」
ミカエルはかなりの核心をついていた。真司とて今迄それを一度も考えたことがなかった訳じゃない。
だがそれが願いとして通用するとはとても思えなかった。いや思っていなかった。
ミカエルの絶妙な提案に、真司は動揺を隠せなかった。
もちろんミカエルのことを信じることは出来ないが、
だがそれがこの世界を救う、みんなを救う唯一の方法であるかのようにも思えたからである。
「私達にとっては君の願いが何であろうと関係はないんだ。
私達にとっては最後のひとりが決まるということの方が大事なのだからね。」
「お前の言っていることは嘘だ!時間を戻せばお前達のやろうとしていることも白紙になるんじゃないのか?」
真司の言う事も最もなものであった。
「私達天使は時を越えた存在だからね。君達の時間は戻っても、我々天使の時間が戻る事はないんだよ。
それはただ単に時を越えたというだけのことであって、時間を巻き戻したということにはならない。
つまり君の願いでも、我々の目的は達せられるし、君の願いも叶うということだ。」
ミカエルの甘い誘惑に真司の心は迷い、揺らぎそうになった。
だが、今迄信じて進んできた道を捨て、全く正反対の道を取る事は真司には出来なかった。
「もし、もしお前の話が本当だとして、、
、、だからと言って、本郷さん達を裏切り、みんなの命を奪うなんてこと、そんなこと俺には出来ないっ!」
「それが結果的にはみんなを救うことになるんだ、それが何故わからない?
君なら、龍騎の力なら最後の勝者になることは可能なんだ。
それに君が望む結末を迎えるにはそれしか方法がないんだ。」
真司を説得しようとするミカエルの声にも力が入る。
「先のことじゃないんだ、今のみんなの命を奪うことが出来ないんだよ、俺には」
「この方法でなければ今迄モンスターによって失われた命は戻って来ないんだよ。
それでも君は今という時間にこだわるというのなら、それは単なる君のエゴではないのかい?
それでは君も結局は自分のエゴを通そうとするこの世界のライダー達と一緒になってしまうんだよ?」
ミカエルがついて来るところは真司の痛いところばかりであった。
真司はミカエルの言葉を断固として受け入れようとはしなかった。
だが、真司の心の内は大きく動揺していた。
すべてを解決する方法がそれしかないように真司にも思えていたからであった。
真司に迷いが生じてもそれは無理らしからぬことでもあった。
「残念だよ、赤い龍の騎士よ。
君になら私の提案の素晴らしさがわかってもらえると思っていたのだが。
君が選んだ道は君に過酷な未来をもたらすだろう。
そしてその先に待ち受けるのは大いなる絶望と後悔、ただそれだけだ。」
「君は何も出来ずにこの世界が滅び行くのを見ていることしか出来ない。
そう今迄誰も止められなかったのと同様、滅び行く世界を君は止められない。
だがそれも君が選んだ道、その時君は自分の犯した大罪を深く感じることになるだろう。気も狂わんばかりね」
ミカエルはそう言いながらクスクスと笑う。
「ふざけるなぁっ!!」
真司はミカエルの言葉に我慢出来なくなり、叫び声をあげ立ち上がる。
だがそこは暗い闇の世界ではなく、電話音がけたたましく鳴り響くOREジャーナル編集部であった。
編集部一同の動きが止まり、みながあっけにとられて真司を見ている。
「ふざけるなぁっ!!って叫びたいのはこっちだよ。その原稿いつになったらあがるんだよっ!!
早くしねぇと間にあわねぇだろうがっ!!給料減らすぞっ!!」編集長の罵声が飛ぶ。
「、、いや、、なんでもないっすよ、、なんでも、、」
悪夢でも見たかのように青ざめた顔で、興奮に息をきらせる真司が、
その場を取り繕うように、わざといつもの軽い口調ぶってそう言う。
だが明らかに真司の心は揺れ動き、迷い、どうしていいのかわからなくなっていた。
天使達をすべて倒し、ライダー達の戦いを止め、優衣を救い、みんな(恵理等)を救い、
ミラーワールドを無くしモンスター出現の根本を無くす。
そんな方法が本当にあるのかどうかもう真司にはわからなくなっていた。
どうすればそんなことが出来るのか真司には全く見当すらつかなった。
もし仮にそれが出来たとしても既に失われてしまった命は戻って来ない。
だとすればミカエルの提案が最良の方法なのかもしれない。
だがそれは自分には受け入れられるものではない。
真司の思考は袋小路に陥り、ジレンマの中いいようのない不安と焦りに駆られるのであった。
数日後、真司は迷いを抱えたまま本郷猛と会う。
「、、本郷さん、、俺、自信ないんです、、
天使を倒して、ライダーの戦いを止めて、優衣ちゃんを救って、みんなを救って、
ミラーワールドを閉じて、モンスターの出現を止める、、
本当にそんなことが出来るのか、どうすればいいのか、、
俺自信なくなってきちゃったんです、、」
「今迄だって俺ライダーの戦いを止めるとか言ってきたけど、誰ひとり止められなかったし、、
本郷さん達のおかげで誰も死なずには済んでいるけど、俺誰も止められなかったじゃないですか、、
こんなんで本当にみんなを助けることなんて出来るのか、、俺全然自信ないんです、、」
本郷猛は真司の言葉を聞いてある光景を思い出していた。
時空の激流に呑込まれその中を彷徨い続けた時に見た光景。
その時の本郷猛にはそれが何を意味するのかは全くわからなかったが、
今の本郷猛にはその意味が充分に理解出来た。
だが、本郷はそれを真司に伝えることは今は出来なかった。(この辺は最終回までのお楽しみです)
「真司、お前の信じるものは何だ?」
「真司、お前が信じるものを貫き通すんだ。この先お前にはいろんな未来が待っているかもしれない。
だが、どんな時でも、どんな状況でも、お前が信じるものを信じ抜くんだ。最後まで諦めずに貫き通すんだ。」
「人には信じる力というものがあるのを知っているか?
ずっと信じ想い続けることで、人間はそれを本当に実現させることが出来る、そういう力が人間にはあるんだ。
ミラーワールドだって本来はそういうものだったのかもしれない。
人の強い信じる想いが、人の強い願いが、人の力となって、想いを実現させる。」
「この先どんなことがあっても、何が起っても、お前の想いを信じ抜くんだ。
お前が信じるものを失った時、信じる心が挫けた時、それがお前の唯一の敗北だ。
お前が信じるものを失わなければ、それは敗北ではない。お前は何度でも立ち向かうことが出来る。
真司、お前が信じるものを貫き通せ、最後まで。」
「、、本郷さん、、」
本郷猛の言葉を胸に真司はもう一度自分の心と向き合う。
真司はその晩眠れる夜を過ごすことになる。
そして翌日、それは真司にとって過酷な運命への分岐点とも言える日であった。
街中に大量発生するレイドラグーン。そこへ駆けつける真司と連。
真司は生身の体で、逃げ遅れた一人の少女を守ろうとして、モンスターの攻撃をまともに食らう。胸を貫かれ深く傷付く真司。
蓮はそのことを知らずに、ナイトに変身しレイドラグーンと闘う。
真司も痛みに歯を食いしばりながら、龍騎へと変身する。龍騎の様子がおかしいのを怪訝に思うナイトは龍騎をカバーする。
龍騎は激痛に苦しみながらもナイトと共にサバイブ体へとパワーアップ。
ファイナルベントを炸裂させ、レイドラグーンとの戦いに決着をつける。
変身解除後、真司のただならぬ様子に気づく蓮。
「やっと答えらしいものが見つかったかもしれない・・・でも・・・俺もうダメかも」
そうつぶやいた直後、真司が倒れる。駆け寄り、抱きかかえる蓮。その時はじめて、蓮は真司の傷の深さを知る。
「城戸!しっかりしろ!」叫ぶ蓮。だが、真司の息は次第に弱くなっていく。
「俺さ・・・昨日からずっと考えてて・・・答え出なくて・・・でも・・・・さっき思った・・・
俺やっぱり闘いを止めたい。ミラーワールドなんか閉じたいって・・・
きっとすげえツライ思いしたりすると思うけど・・・それでも止めたい・・・
それが正しいか間違ってるかとかじゃなくて・・・俺もライダーの1人として・・・・
かなえたい願いが・・・それなんだ・・・!」消え入りそうな声で蓮に話し続ける真司。
「・・・・ああ!だったら生きろ!生きてその願いをかなえろ!
死んだら・・・ッ!死んだら終りだぞッ!!」
「へへ・・・そうなんだよな・・・蓮・・・お前は・・・なるべく生きろ・・・」
「お前こそ生きろ!城戸・・・死ぬな城戸!」
「・・・お前が俺に・・・そんなふうに言ってくれるなんてな・・・・・・・・・・・」
「・・・・おい城戸・・・城戸・・・・城戸ぉおおおおッ!!!!!」
蓮の腕の中で真司は、今まさに息を引き取ろうとしていた。
そこへ駆けつける本郷猛「真司っ!!」
本郷猛は真司の様子を見て一目で危険な状態であることを悟り、真司の服を破り胸に自らの掌をあてエネルギーを放出する。
今にも息を引きとろうとしている真司の心臓に直接自らのエネルギーを送り込むことで、真司の心臓を動かし続ける本郷猛。
だがこの延命措置とていつまでも続けられるものではなかった。
今はかろうじて命の灯火はつなぎとめられているが、早急に何とかしなければ、
真司の心臓が機能停止するのは時間の問題であった。
そこへ忍び寄るひとつの影。それは最悪のタイミングで現れた最悪の敵。
「なるほど、モンスターの大金星で早くもひとり脱落という訳か。」天使・ミカエルがその場に立っていた。
「しかし、それも面白くないな。彼には人類が滅びる様を是非見て欲しかった。
私の提案を断った報いとして大いなる絶望と後悔を味わってもらいたかったのだがな。」そうおかしそうに言うミカエル。
「貴様っ!!何をしに来たっ!!」真司を助けたいと必死になっている蓮はミカエルに噛みつくように言う。
「この状態で本郷猛を襲うというのも悪くはない。そうなれば本郷猛は果たしていつまでそうしていられるかな?」
ミカエルがからかうように笑いながら言う。
「そんなことは俺がさせんっ!」身構える蓮。興奮している為相当熱くなっている蓮。
「大丈夫、そんなことはしない。もっと面白いことを思いついたのでね。
ただ君達にとっては苦渋の選択になることは間違いないがね。」
「城戸真司の傷は私が癒してやろう。我等にとっては傷を癒すことなど容易なこと。
死んだ人間を甦らせることは不可能だが、幸いにも本郷猛のおかげで彼もまだ死には至っていない。
ただし、彼の命を助ける代わりに、彼には我々の僕(しもべ)になってもらう。
彼の精神を我等の支配下に置かせてもらうということだな。我等の僕となり君達を倒す使者として戦ってもらおう。」
「貴様っ!!」蓮はぶち切れて、ミカエルに飛びかかる。軽くこれをかわすミカエル。
「城戸真司を生かすも殺すも君達の決断次第だ。
彼をこのまま死なせるか、我等の僕となるのを知りながら彼を生かすか。
君達の好きな方を選びたまえ。私は君達の判断に従おう。」不敵な笑いを浮かべるミカエル。
「ふざけるなっ!!」蓮は再びミカエルにとびかかろうとする。
「力ずくで来るというなら私はそれが君の答えだと捉えよう。
私は一瞬でこの場から姿を消すことも出来る。その時は彼がその後どうなるか私には関係がない。
答えはもっとよく慎重に考えてから出した方がいいと思うがね。」
「クッ、、」動きを途中で止め唸るしかない蓮。
究極の二択を突きつけられ、決断に迷う本郷猛と蓮。
「、、城戸は、城戸がお前達の仲間となって生きることを望むとは思えない。」
「だからと言って君は彼をここで見殺しにするのかい?それでいいのかい?
君が彼を見殺しにすると決断したことになるんだよ」ミカエルの反論に言葉を無くす蓮。
「本郷猛、いや仮面ライダーよ。これが貴様の限界なのだよ。
貴様達、別世界のライダーは究極の二択に答えを持たない。
どちらかしか救えぬのに、みなを救おうとする。
仮面ライダーは人間同士の戦争には参加しない。人間同士の戦争にはそれぞれ言い分があるからな。
どちらが正しい訳でもないし、どちらが間違っている訳でもない。
お前達は究極の二択が出来ないから決して人間同士の戦争に参加することはない。
それでもお前達は世界の完全なる平和を願っている。理想のみを追い求めているのだ。
お前達の立場と城戸真司の立場はよく似ているな。
究極の二択が出来ない者が、みんなが幸せになる方法を探している。
だが私には究極の二択を選択して闘うことを決意したこの世界のライダーの方が余程潔く見えるぞ、本郷猛よ。」
「そうしたそれぞれの主張を持つ人間達をとりまとめようと思えば、絶対的な統制者が必要となる。
そのことを貴様ならわからないはずがない。それでも貴様は我等に刃向かおうとする。
それこそが世界をより一層混沌へと導いていることに何故気づかないのだ?
人間の世界だけの話ではない。貴様も時空の激流の中で見たはずだ。
天界、魔界、霊界、様々な生命体の世界、世界は無数に存在しているのだ。
そうした世界をひとつにするためには絶対的な統制者が必要なのだよ。
それを成し得る方こそが『我らの主(あるじ)』であり、その為には『神の肉体の器』が欠かせないのだよ。」
「さてお喋りはここまでだ。彼を見殺しにするのか、生かすのか、結論は出たかね?」
「、、わかった真司を助けてもらおう」ミカエルの問いに本郷猛はそう答える。蓮はまだ迷っているようでもあった。
「ここは堪えるんだ、真司が生きてさえいれば必ずチャンスはあるはずだ」本郷は蓮を諭すように言う。
「俺達別世界から来た仮面ライダーの多くは、敵対する組織によって改造人間にされた者だ。
組織の手先となるべく改造されたが、人間の心を持ち続けた者達だ。
真司だって生きてさえいれば、必ず人としての心を取り戻すことが出来るはずだ。
真司のことを信じて、今は真司を生かすことだけを考えよう。」
「確かにな、死んだ人間を生き返らせるよりは可能性は高そうだな」
「、、俺も意義はない、、」蓮は本郷の意見に同意した。
「果たしてお前達が考えるように上手くいくかな?」ミカエルは挑戦的に不敵に笑う。
「その決断が後で後悔に変わるのは間違いないだろう。君達は彼の手により討たれることになるのだからね。
もしくは君達は自らの手で彼を討つことになるか。どちらにしてもこのまま死なせてやった方が彼の為であっただろうよ。」
ミカエルはそう言うと、金色の光りを放ち、真司を包み込む。ミカエルのヒーリング能力が発動する。
真司の胸から流れた血が体内へと戻って行き、傷が完全にふさがりもとに戻る。真司は再び目を開く。
「城戸っ!!」真司が再び立ち上がる姿を見て蓮は思わずその名を呼ぶ。
だが再び息を吹き返した真司は、真司であって真司ではなかった。
それは一目見ただけで誰の目にも明らかだった。その雰囲気はリュウガこと裏真司に近いものがあった。
「では早速、君達には後悔してもらことにしよう。城戸真司、いや龍騎を生きながらえさせたことをね。」
「赤い龍の騎士よ。今からお前は我等の僕だ。我らの僕としてすべての仮面ライダーと闘うのだ。
お前が途中で朽ち果てようとそれはそれで我らは構わない。お前は我らの僕として死ぬまでライダーと闘い続けるのだ。」
そう言い勝ち誇ったかのように高笑いするミカエル。すべてはミカエルの思惑通りであった。
龍騎を自分達の思いのままに動く駒とする為に、最初に真司に揺さぶりをかけ、
瀕死の真司の前に現れて、本郷猛と蓮に究極の二択を迫ったのだった。本郷猛がこの選択をすることを見越した上で。
ミカエルの僕と化した真司は、ミカエルの命のままにカードデッキをかざす「変身っ!」
カードデッキをベルトに装填し赤い龍の騎士・龍騎の姿へと変身する真司。
人間の心を失い、死ぬまで闘い続けるファイターと化した龍騎。
今迄はその人間の心故に己の戦闘能力をすべて出し切ることはなかったが、今度は違う。
人間の心という束縛から解放された龍騎の戦闘能力は今迄とは比べものにならない程であった。
龍騎の背後で雄叫びをあげ、うねりながら空を飛ぶドラグレッダー。
人間の心を失った契約主(マスター)をドラグレッダーは喜んでいるのか、悲しんでいるのか、
その心は誰にもわかるはずもなかった。
龍騎は蓮と本郷猛の方へ向かってゆっくりと歩を進める。
「まさかこんなカタチでお前と闘うことになるとはな、、城戸、、」
ほんの十数分前、死に直面していた際に生きていて欲しいと望んだ相手、
何の迷いも無く心の底からそう思った相手と闘わなければならない秋山蓮。
「今のお前を止める自信はないが、今のお前に俺を殺させる訳にはいかない。
それが今の俺に出来る唯一の、お前の友としての証。」
秋山蓮は心にそう誓うとカードデッキを手に持ち構える「変身っ!!」
カードデッキをベルトに装填しナイトへと変身する秋山蓮。
ナイトへ向かいゆっくりと歩を進める龍騎。
カードを一枚取り出してバイザーに装填する『ソードベント』ドラグセイバーを手に受け取る龍騎。
ゆっくりと進めていたその歩みは、ドラグセイバーを手にした瞬間一気に走り出し、ナイトを襲う。
『ソードベント』ナイトもまた槍状の大型剣・ウイングランサーを手にし、身構える。
龍騎の手にするドラグセイバーが大きく振り上げられナイトに襲いかかる。
これをウイングランサーで受け止めるナイト。
「まさか立場が逆転して俺がお前を止めるはめになるとはなっ」
互いの剣と剣を交え拮抗する龍騎とナイト。
「城戸!!やめるんだっ!!城戸!!」
「この闘いにこそ全く意味はないっ!!これ程無意味な闘いはないっ!!」
ナイトこと秋山蓮の言葉は人間の心を閉ざされた龍騎こと城戸真司に届くはずもなかった。
ナイトの叫びが虚しく空をに響きたるだけであった。
「これ程の憤りを覚えたのは久しぶりだっ」
本郷猛のカラダからは怒りのオーラが放たれていた。
「真司の信じるものを奪い、その心を弄ぶミカエル、貴様だけは許すわけにはいかないっ!!」
鬼神の如く、すざましい怒りのオーラを放ちミカエルの前に立ちはだかる本郷猛。
「戦争などの人間同士の争いに干渉することのない貴様達、別世界のライダーは、
この世界のライダー達の争いにも深く介入することが出来ない。違うか?本郷猛。
貴様達はせいぜいこの世界のライダーが死なないように見守ることしか出来ない。そうだろ?本郷猛。」
本郷猛と対峙するミカエルは言う。
「確かに俺達は戦争などの人間同士の争いに干渉することはない。
そうした争いを乗り越えて人間は本当の平和を掴むことが出来ると信じているからだ。」
「それが理想のみを追い求めているというのだよ、本郷猛、いや仮面ライダー。」
「人間の体を犠牲にしてまで得たこの能力(ちから)だ。理想を追い続けなければ意味がない。
俺の人間の体の代償はそれ程安いものではないのでなっ!」
砂塵舞う地平に立ち、本郷猛は腕を振り上げる。
「ライダァァァァァァッ!!変身っ!!!」「トゥッ!!」
変身ポーズをとり空高く跳ぶ本郷猛。仮面ライダー1号の姿となって宙を舞う。
宙をひるがえり、ミカエルに向かってキックを放つ1号。1号のキックは空を切り裂き音を立てミカエルを狙う。
これを腕でブロッキングするミカエル。1号の強力なキックを左腕1本で防ぎきる。
「貴様にだってもうわかっているのだろう?この世界のライダーは貴様達とは根本的に違うのだよ。
この世界のライダーは普通の人間なのだ。心か弱き人間なのだよ。」
1号ライダーとミカエルとの超接近戦での攻防がはじまる。
互いの拳を交わし、防ぎ、自らも拳を繰り出し続ける1号とミカエル。
「空を飛ぶ鳥に地を這う蟻の気持ちがわからぬように、
人智を越えた能力を持ち、理想を追う仮面ライダーに、
普通の心か弱き人間の気持ちがわかるとでも言うのか?
逆もまた然り、この世界のライダーに貴様達の気持ちがわかるわけもなかろうっ」
「だが、この世界にも真司のように我らと志を同じくする者もいるっ!」
「この世界の人間の希望の代表である城戸真司こと龍騎は既に我らの手中にある。
貴様達と同じであるからこそまず最初に龍騎を落とさせてもらったのだよっ、厄介なことにならないうちにね。
この世界のライダーも後は心か弱き人間達ばかり、奴らがまとまることは決して有り得ないだろう。
すべては私の思惑通りにことが進んでいるということだよ、仮面ライダーよっ!」
超接近戦から一転して距離をとり、1号とミカエルは猛スピードで地上を激走、崩れ落ちた街、瓦礫の中を駆け回る。
ミカエルは真司の不思議な力に気づいていた。真司の存在が無ければ、
この世界のライダー同士の戦いは全く違ったものになっていたはずだった。そのことにミカエルは気づいていたのだ。
高速で動きまわる2つの影が、その距離を縮め、激突して火花を散らす。
「城戸真司、その影響力は微々たる物だが、彼の存在はこの世界のライダー達、神崎士郎、
そしてその妹君・優衣に少なからず影響を及ぼしている」
「それが人間の信じる力というものだっ!!」
「だからこそ真っ先に彼を潰させてもらった、と言っているっ!!」
龍騎の猛攻。これをウィングランサーでしのぐナイト。ナイトの背後に忍び寄るひとつの影。
その影は背後からナイトをドラグセイバーで切りつける。
不意の背後からの攻撃によろけるナイト。そこへ正面から龍騎のドラグセイバーが直撃する。
崩れ落ちるナイト。後ろを振り返るとそこには黒い龍の騎士・リュウガの姿があった。
最悪のタイミングで現れた敵の増援。リュウガは龍騎と共にナイトを攻める。
リュウガは龍騎と共に闘いこそすれ前回のように、龍騎と融合しようとはしなかった。
リュウガは知っていたのだ、今現在ミカエルの僕と化した龍騎と融合を果たせば、
リュウガ自らもミカエルの支配下に置かれることになってしまうことを。
だからリュウガは敢えて龍騎との融合を試みず、共闘という方法を選んだのであった。
「黒き龍の騎士か。いいところへ来たな。」ミカエルはリュウガの姿を見て不敵に笑う。
龍騎とリュウガのダブルライダーのドラグセイバーの猛攻を、
片手にウィングランサーを持ち、もう一方の手にダークバイザーを持った二刀流でしのぐナイト。
当然2対1の闘いは分が悪くナイトは押され気味であった。龍騎とナイトの攻撃に耐え切れなくなり崩れるナイト。
ナイトは契約モンスターである闇の翼「ダークウイング」と合体、
ダークウイングを翼のようにして空を飛び、その場を離れる。
だが空では龍騎とリュウガの契約モンスター、
ドラグレッダーとドラグブラッカーがナイトを待ち構えていた。
赤と黒の2匹の龍は絡み合うかのよう空をうねりながら舞い、空に逃れたナイトを襲う。
空中で高熱火炎「ドラグブレス」を放つドラグレッダー、これをかわし飛ぶナイト。
ドラグレッダーの攻撃の回避に懸命になっていたナイトに、その隙をついたドラグブラッカーの体当たりが直撃する。
その体当たりに大きく弾き飛ばされるナイト。吹き飛ばされ、ビルの瓦礫に直撃、そのまま瓦礫の山へ埋もれ姿を消す。
龍騎とリュウガが次に狙うのは1号ライダーであった。
ミカエルと交戦中の1号。突如としてその両脇に現れる龍騎とリュウガ。
龍騎とリュウガはそのまま両脇から1号の腕を押さえつけ身動きをとれなくする。
「ここまでかな?本郷猛、いや1号ライダーよ。」
ミカエルは掌を1号に向けて突き出し、掌にエネルギーを集中させる。
ミカエルがその掌よりエネルギー光球を放とうした瞬間。
1号ライダーにも増援が現れる。
2号ライダーの蹴りがミカエルに炸裂、無防備だったミカエルは体勢を崩しよろける。
その隙に1号ライダーは龍騎・リュウガの拘束を脱する。
「遅くなったなっ!!本郷」「助けられたなっ!!一文字」
そして闘いは1号2号のダブルライダーと龍騎・リュウガのダブルライダー対決になる。
地を駆け、宙を舞い、激突する4人のライダー達。
攻める龍騎・リュウガ、これをかわす1号、防ぐ2号。
防御からそのまま攻めに転じる1号2号、これをガードする龍騎・リュウガ。
攻めと防御が目まぐるしく入替わり、両チームともに一進一退の攻防を繰り返す。
それを空から高みの見物を決め込んでいた天使・ミカエル。
だがミカエルの一計によりこの戦局は大きく動こうとしていた。
「黒き龍の騎士よ、お前に新たな力を授けよう。これを使うがいい。」
ミカエルは指の間に挟んでいた一枚のカードを、そのまま手首を返してリュウガに投げる。
回転しながら空を裂き飛んで行くカード。リュウガもこれを指の間に挟むカタチで受け取る。
そのカードとは烈火のサバイブのカード。
「そのカードは烈火のサバイブのカードの完全複製品だ。
龍騎とほぼ同一形態であるお前がそれを使えば、どうなるかはだいたい想像がつくだろう」
ミカエルはそういい不敵な笑みを浮かべる。
地に並び立つ龍騎とリュウガ。立ち尽くす地に亀裂が走り、大地が裂ける。
大地の裂け目から炎が溢れ、その炎はやがて大地を突き破り巨大な炎の火柱となって噴き上がる。
天を焦がさんとばかりに赤く燃え上がる巨大な炎の柱。柱から無数に現れる龍の姿をした炎。
龍の姿をした炎は、龍騎とリュウガのカラダにまとわりつく。まるで2人を覆い尽くすかのようであった。
その炎の一部がドラグバイザーツヴァイとなり、龍騎とリュウガの手中に現れる。
龍騎とリュウガは共に手に持つ烈火のサバイブのカードをバイザーに装填する。
火柱はまるで火山が噴火したかのようにその激しさを増し、轟音と共に爆発する。
ドラグレッダーとドラグブラッカーは絡み合うようにしてその火柱の中を天に向かい昇って行く。
そして昇天して往く2匹の龍はその姿を赤いドラグランザー、黒いドラグランザーへと変えてゆく。
2匹の龍の変身に呼応して龍騎とリュウガもその姿を変える。
赤く燃えさかる巨大な火柱を背に立つ龍騎サバイブとリュウガサバイブ。
その背後で轟くような雄叫びを上げる赤いドラグランザーと黒いドラグランザー。
「最悪の展開だな」2号ライダーこと一文字隼人はその光景を見て呟いた。
「ああ、だが今は真司を信じるしかない」1号ライダーこと本郷猛もその光景を見ながら返事をする。
「この世界を救う為には、どうしても真司の力が必要だ。
真司の信じる力こそがこの世界を救う鍵となるのだから。」
龍騎サバイブとリュウガサバイブ、この世界のサバイブの力が
今まさに1号2号のダブルライダーを急襲しようとしていた。
【2nd Survive 第15話「ナイトII」につづく】
スレ移行でご迷惑をおかけしました、すいません
新スレ一発目なのに長くてとんでもない話ですいません
27 :
秋山ロン ◆ICIZO8h8rM :03/05/21 00:50 ID:kPA7mV2c
>>仮面ライダー Heat on!外伝さん
初めて、リアルタイムでHeat on!シリーズを拝見させていただきました。
スピーディな展開で、とても面白かったです。
真司をミカエル達の僕としてしまうそのアイデア、脱帽です。
足元にも及ばないかもしれませんが、私の作品もこちらに移動しようと思います
仮面ライダーアギト AnotherStory 『PROJECT DARKNESS』
第6章 「私の最高傑作です」
ソルブレイン本部で華月の過去が明かされているその頃、G3ユニットの3人は警視庁電子工学研究所を訪れていた。
先のA・G4との戦いで中破したG3−X、その修理を依頼していたのだが、その修理が完了したのだ。
修理の完了したG3−Xを受け取る氷川達。そして―
「氷川君、付いて来なさい。紹介したい男がいるわ」
そう言うと小沢は修理の完了したG3−Xを尾室に任せ、氷川と共に電子工学研究所の最深部へと進んでいった。
「『地球防衛技術研究本部』……相変わらずのようね。あの男」
たどり着いた部屋のドアにかけられたプレートに、思わず溜息をつく小沢。だが、すぐに立ち直り、氷川のほうを向く。
「氷川君、1つアドバイスするわ」
「はい」
「この部屋の主は、私の大学時代の同期なんだけど…相当な変わり者よ。油断したらすぐにペースに巻き込まれるわ。十分に注意して」
「は、はい」
小沢の言葉に緊張を新たにする氷川。
「それじゃ…いくわよ」
ドアを開け、部屋に入っていく小沢と氷川。
28 :
秋山ロン ◆ICIZO8h8rM :03/05/21 00:51 ID:kPA7mV2c
そこには1人の男がいた。昼食中だったのか、カップの焼きそばを啜っている。
年は20代後半、髪の毛はボサボサで皺の入った白衣を着ている…。どうやら服装などにはあまり関心がない男のようだ。
「久しぶりね、月夜野君」
月夜野君、小沢からそう呼ばれた男は箸を止め、小沢達のいる方を向いた。
「おお、小沢じゃねえか、久しぶり―」
そう言いながら月夜野は、机に積んでいたカップ焼きそばを1つ手に取り―
「喰うか?」
と、小沢に聞いてきた。
「残念だけど、昼はもう済ませてきたわ」
「そうか、少し…待ってろ」
そう言うが早いか、再び焼きそばを食べ始める月夜野。かなり、マイペースな男のようだ。
「小沢さん、この人が…」
「ええ、私の大学時代の同期…月夜野真樹よ。かなりの変わり者だけど、知識と腕は超一流よ」
そんな事を話しているうちに月夜野の食事は終了した。
「で、今日来た用件は?」
「わかっているでしょう。頼んでいた例の物よ」
「ああ、あれか…出来てるぞ」
そう言うと月夜野は壁の装置を操作し、隠し部屋を出現させると―
「こっちだ」
2人を室内に案内した。
29 :
秋山ロン ◆ICIZO8h8rM :03/05/21 00:51 ID:kPA7mV2c
室内にあった物、それは―
「追加装甲…ですか?」
「そう、小沢に頼まれて、俺がG3−X用に開発したHWS(Heavy・Weapon・System)と、新型の武装一式だ」
「…どこかで聞いたようなネーミングね」
「ああ、アレ」
月夜野の指差した先にあった物、それは―
「1/100、RX−93 νガンダムHWS…アレのネーミングをそのまま使わせてもらった」
「そのマニアぶりも相変わらずね…」
「いやぁ…それほどでも……」
「褒めてないって…まあ、ネーミングなんてどうでも良いの。問題は性能よ」
「じゃあ、試してみるか? 試験場で」
「そうね…氷川君」
「はい!」
「尾室君にG3−Xを試験場まで持ってくるように連絡して」
「はい!」
それから数分後、試験場にはHWSを追加装備したG3−X・HWS装着仕様(以後、G3−X)が立っていた。
胸部、腰、肩、背中、脚部に追加装甲を装着した為か、一回り大きく見える。
「G3−X・HWS装着仕様…略して―」
「略称なんて、どうでも良いわ」
「あ、そう…装甲のデザインは、デュエルガンダム・アサルトシュラウドを参考に―」
「聞いてもわからないから、説明は良いわ」
「…残念」
「氷川君、テストを始めるわよ」
『はい!』
「それじゃ…まずは物理的な衝撃に対しての防御力を…第一段階スタート!」
30 :
秋山ロン ◆ICIZO8h8rM :03/05/21 00:52 ID:kPA7mV2c
月夜野の声と共に、試験場の壁が展開し、そこから4門の機関砲が出現。弾丸の嵐がG3−Xに襲い掛かる。
その弾丸を仁王立ちで受けるG3−X。装甲表面で火花が散るが、装甲自体にはたいしたダメージはない。
「クラステクターやソリッドスーツのデータも参考にしているからな。G4のギガントが直撃しても耐え切れるぞ」
「氷川君、状態は?」
『特に異常はありません』
「じゃあ、今度はエネルギー系の攻撃に対して…第二段階スタート!」
今度は高熱火炎や冷凍ガス、高圧電流などがG3−Xに襲いかかる。が、これにもG3−Xは耐えている。
「追加装甲の耐熱性は3400℃、耐冷性は−215℃まで耐えられる」
「…耐電性は?」
「320万V」
「殆ど完璧と言える数値ね」
「だが、欠点もあるぞ…追加装甲の総重量は100kg、機動性がかなり落ちちまう」
「その位のデメリットは承知済み…この氷川誠には大した問題にはならないわ」
「ほぉ…ずいぶん高い評価だな。聞いた話じゃ、箸で豆腐を掴めないほど不器用だと聞いていたが…」
「確かに彼は不器用…でも、決して逃げない男よ」
「なるほど…それじゃ、新兵器のテストといくか。氷川君、『GB−07』アクティブ」
『了解』
氷川の声と共に、G3−Xの背中に左右1丁ずつ接続されていたバズーカ砲が、アームによって前面に自動で引き出される。
「射撃開始!」
月夜野の声と共に2丁の『GB−07』が火を噴き、目標として設置された廃車を次々と吹き飛ばしていく。
「ギガントのデータを元に設計したバズーカ砲『GB−07』。1発の威力は約25t…まあ、GXランチャーやギガントには劣るが、装弾数と、連射性能で上回ってる。続いては…氷川君『GHG−08』アクティブ」
31 :
秋山ロン ◆ICIZO8h8rM :03/05/21 00:52 ID:kPA7mV2c
『了解』
『GB−07』を収納したG3−X、両脚の装甲内部に収納された大型ハンドガンを取り出す。
「随分変わった形のハンドガンね。レーザーサイトに…あれはエネルギーユニット?」
「まあ、見てなって…氷川君、射撃開始!!」
G3−X、2丁拳銃を構え、ターゲットへの射撃を開始する。
『GHG−08』から放たれる弾丸。厚さ10cmはある鉄板で作られたターゲットを次々と撃ち抜いていく。
「どうなっているの…いくらアーマーピエシング弾を使ってもあんな威力は…まさか……」
「そう、あの『GHG−08』から放たれる弾丸は、エネルギーユニットを通過することにより、エネルギーコーティングを施され、戦車の複合装甲さえ貫くハイパーブリッドになる。凄いだろ」
「何処でそんな技術を?」
「ああ、ここに来る前に数ヶ月だったけど、ある研究所に招かれていてな。そこのスタッフ、たしか…そうそう、『シグさん』って人から仕入れた」
「『シグさん』…外国人?」
「いや、日本人だった…変わった名前だな…とも思ったけど、別に気にしなかったし…」
「そう…」
懸命な読者の方ならもうお気づきであると思うが、月夜野が出会った『シグさん』というのは国連の対異星人組織『ブルースワット』のメンバー『シグ』の事である。
彼は仲間のショウ、サラと共に凶悪なスペースマフィアと孤独な戦いを繰り広げた訳だが、それはまた別の話。
32 :
秋山ロン ◆ICIZO8h8rM :03/05/21 00:54 ID:kPA7mV2c
「さて、これで最後だ。氷川君、『ギガストリーマー』アクティブ!」
『GHG−08』を収納したG3−X、背後のツールボックスからギガストリーマーを取り出す。
「計算上、HWSを装着した状態なら…マキシムモードの反動にも耐えられる筈だ…氷川君、撃て!!」
G3−X、ギガストリーマーを発射。だが反動に押され、狙いを大きく外してしまう。
「氷川君、もう一度やってみて!」
再挑戦。さっきよりは修正された物の、狙いはまだ逸れている。
「氷川君、根性見せなさい!!」
3度目の挑戦。自分を吹き飛ばそうとする反動を堪える氷川。両足に全体重をかけ、必死に踏ん張る。
ついに命中!ターゲットのトラックは粉々に吹き飛んだ!!
「これで全テスト終了だ。氷川君、おつかれさま」
安堵の表情を浮かべる小沢と月夜野。
「これで、ここでの俺の仕事は終わった。何の悔いもない」
「どういう意味?」
「上層部から睨まれちまってな…俺の研究は『税金の無駄遣い』だって……査問会にも呼ばれたよ」
「………」
「だからさ。査問会で言ってやったよ。『アンノウンへの対策を小沢達に任せっきりで、何もしねえ連中が偉そうな事言うな。お前らが天下りに使う金を減らせば済む事だろうが!』ってな…」
「月夜野君…」
「本当なら、その場で首切られる所を朝比奈博士達が庇ってくれてな…おかげでこれを渡す事が出来た」
「これからどうする気なの?」
「ああ、前から俺をスカウトしたいって、言ってくれてる民間の企業があってな。そこに行く事になってる」
「民間の企業?」
「…『スマートブレイン社』俺専用のラボも作ってくれるって言うし…好きにやらせて貰う」
「そう、頑張ってね」
月夜野に手を差し出す小沢。
「お前らもな」
握手を交わす2人。
友の協力により、新たな力を得て復活したG3−X。彼の新たな力は、この戦いの勝利の鍵となる事であろう。
33 :
秋山ロン ◆ICIZO8h8rM :03/05/21 01:17 ID:kPA7mV2c
前スレでスペック公開のリクエストを受けたので公開します。
見たくない方は飛ばしてください
G3−X・HWS装着仕様
身長/192cm
体重/276kg
パンチ力/約3.3t
キック力/約9.8t
走力/100mを10秒
ジャンプ力/通常時・ひと飛び15m
エルロードとの遭遇(TV版アギト第34話参照)により、小沢澄子はG3−Xの更なるパワーアップの必要性を感じていた。
そして、A・G4との遭遇を機に、大学時代の同期で警視庁電子工学研究所所属の科学者、月夜野真樹(つきよのまさき:演・萩野崇)博士にG3−Xの強化プランの作成を依頼。
その結果完成したHWS(Heavy・Weapon・System)を装着した強化型G3−X、それがG3−X・HWS装着仕様である。
従来のG3−Xに、クラステクター、ソリッドスーツを研究して開発した追加装甲を装着する事で、防御力を飛躍的に上昇させた他、背面部装甲内部に小型バッテリーを内蔵することによって出力と稼働時間が約30%アップしている。
武装も従来のG3−Xの装備に加え、固定装備として、G4の必殺兵器『ギガント』を再設計したロケットランチャー『GR−07』2丁を新たに装備。
更には、国連の対異星人組織『ブルースワット』のスタッフ、シグからの技術提供によって開発された大型ハンドガン『GHG−08』、ウィンスペクターの最強ツール『ギガストリーマー』など豊富な火器を装備している。
G3−Xの火力、防御力を驚異的に強化するHWSであるが、勿論欠点も存在する。
総重量100kgにもなる追加装甲が足枷となり、機動性が低下してしまうのだ。
だが、小沢澄子は『その位のデメリットは承知済み…この氷川誠には大した問題にはならないわ』と言っている。
ちなみに『HWS』の外見は、月夜野博士曰く「デュエルガンダム・アサルトシュラウドを参考にした」らしい…。
34 :
秋山ロン ◆ICIZO8h8rM :03/05/21 01:17 ID:kPA7mV2c
新装備
GR−07
:G4の『ギガント』の運用データ等を元に開発したロケットランチャー。
1発の威力は25tとギガントを下回るが、装弾数と連射性能で上回っている。
普段は背中に左右1丁ずつ装備されているが、戦闘時はアームによって前面に自動で引き出される。
ちなみに見た目はνガンダムのハイパーバズーカに酷似しているらしい(核爆)
全長:1.44m
重量:15.66kg
口径:86mm
初速:320m/s
最大/最小射程:2200m/10m
有効射程:550m
弾頭重量:1.8kg
装弾数:6発
GHG−08
:国連の対異星人組織『ブルースワット』が使用している特殊大型ハンドガン『ディクテイター』のデータを元に開発された大型ハンドガン。
弾芯に人造ルビー、弾頭にチタンコーティングを使用したアーマーピアシング弾を弾丸として使用。
発射される際、特殊ユニットを通過することにより、エネルギーコーティングを施され、戦車の装甲をも貫くハイパーブリッドになる。
普段は両脚追加装甲内に収納されている。
全長:365mm
全高:200mm
全幅:50mm
重量:2.3kg
装弾数:15発
35 :
名無しより愛をこめて:03/05/21 12:12 ID:7Hg7Xn0Q
誘導age
36 :
名無しより愛をこめて:03/05/21 13:43 ID:VqzowWdJ
37 :
名無しより愛をこめて:03/05/21 21:36 ID:0HdPkVoI
だれか、Heat on!外伝のリュウガサバイブや、 『PROJECT DARKNESS』のG3−X・HWS装着仕様のフィギュアでも作らねえかな?
装着変身やR&Mを改造すればできるだろうし…挑戦する勇者はいないのか?
小説を書いている皆さんにお聞きしたいんですが、
どういう基準で競演させている作品を選んでますか?
あと、今まで小説を書いてこられた方に頼みたいんですが、
一応、こんどのキリ番あたりで自分が書いた小説のアピールを
しといたほうがよかろうかと・・・・・。(小説の数が少し
多いもんで・・・。)
39 :
ライブロボ:03/05/22 00:29 ID:jdl3YIlv
>>37 リュウガサバイブは何とかできるかも…
でも、G3−Xは…装着変身とガンプラのスケールが違うから難しいかも…
40 :
氷川君好き:03/05/22 16:02 ID:fbRSyQTs
スレ探しちゃったよf(^-^; ポリポリ
沈没さんも来てくれますように☆彡 (-人-;) 願い事願い事...
41 :
名無しより愛をこめて:03/05/22 18:31 ID:UC++W/HI
我等極悪非道のageブラザーズ!
今日もネタもないのにageてやろう!
 ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
∧_∧ ∧_∧ age
(・∀・∩)(∩・∀・) age
(つ 丿 ( ⊂) age
( ヽノ ヽ/ ) age
し(_) (_)J
43 :
スペック厨:03/05/22 18:49 ID:UC++W/HI
秋山ロンの作品に登場するA・G4とG3−X・HWS装備仕様。
この2つの強化装甲服を比較してみよう。
G3−X・HWS装着仕様
身長/192cm
体重/276kg
パンチ力/約3.3t
キック力/約9.8t
走力/100mを10秒
ジャンプ力/通常時・ひと飛び15m
ANOTHER・G4(仮)
身長/200cm
体重/190kg
パンチ力/約7.5t
キック力/約15.0t
走力/100mを5.0秒
ジャンプ力/ひと飛び30m
44 :
スペック厨:03/05/22 19:01 ID:UC++W/HI
続いては武装面での比較だ!
G3−X・HWS装着仕様
GM−01(サブマシンガン)×1 GG−02(グレネードランチャー)×1
GS−03(超高周波振動ソード)×1 GAー04(アンカーユニット)×1
GX−05(ガトリング砲)×1 GK−06(近接戦用電磁コンバットナイフ)×1
GR−07(ロケットランチャー)×2 GHG−08(大型ハンドガン)×1
ギガストリーマー×1 ガードアクセラー×1
ANOTHER・G4
ガトリングシールド×1 グレネードリボルバー×1
機関砲×2 リニアレール式ニードルガン×2
背面部にキャノン砲×2 展開式鉤爪×2
展開式ブレード×2 展開式クロー×2
45 :
スペック厨:03/05/22 19:21 ID:UC++W/HI
ここからは、俺の妄想で作ったG3−X・HWS装着仕様の設定だ!!
修理を受けたG3−Xは、外見こそ変わっていないけど、色々なところがパワーアップしているんだ。
改良点は―
1:マスクの目の部分に当たる『レッドアイザー(MDSS・Ver2)』は『レッドアイザー(MDSS・Ver2.3)』にパワーアップ!
視認感度が18%も上昇したんだ!!
2:氷川誠が着込んでいる『G3パワージャケット2』も『G3パワージャケット2.2』にパワーアップ!
内部に編みこんでいる特殊鋼の硬度が11%も上昇したんだ!!
3:左腕の『G−COM(Ver・2.0)』も『G−COM(Ver・2.3)』にパワーアップ!
OSのバージョンアップでアクセススピードが10%上昇したぞ!!
他にも色々な改良点があるけど、『機密事項』で教えてはくれなかった。
でも、読者の皆のリクエスト次第ではわからないよ!
46 :
秋山ロン ◆ICIZO8h8rM :03/05/22 19:57 ID:HqiQafvd
>>45 スペック厨さん
わざわざ、G3−X・HWS装着仕様の隠し設定を考えてくださった感謝です。
個人的に気になるので、他の改良点を教えていただけると幸いです。
前スレ544,557-561,596-601の者です。
新スレ立ちへの祝辞と、
職人様降臨ラッシュへの歓喜の声をあげに参りました。
>日本沈没対仮面ライダー様
すごいです。台詞回しでしか情景を表現できない私には理想の文体を
してらっしゃいます。続編心待ちにしております。
>仮面ライダー Heat on!
外伝燃えです!マジ燃えです!ロム時代からファンでした!
大先輩への挨拶、遅れて申し訳ありませんでした。
>秋山ロン様
新作お疲れです。強化されたガンダム・・・もといG−3、
マグネットコーティングか!アギト=人類の進化
が装着したらビットが飛ぶとか!・・・暴走失礼。
前スレで応援してくれた方も、レスを付けられませんでしたが、
謹んでお礼をさせていただきます。
あと、この際なのでトリ付けてみました。遅筆な私ですが、
どうか今後もよろしくお願いします。
50 :
秋山ロン ◆ICIZO8h8rM :03/05/22 23:05 ID:PqJnVDCu
仮面ライダーアギト AnotherStory 『PROJECT DARKNESS』
第7章 「決戦 パートT」
東京より東南へ約1900km、日本の最東端南鳥島にも程近い無人島の地下300mに、ショッカーの秘密研究所はあった。
「最終チェックはどうだ?」
「ハッ! 動力炉、火器管制システム、推進システム全て正常。エネルギー充填が完了次第、いつでも発進できます」
「よろしい…この『ヴァルハラ』が飛び立てば、世界は恐怖と混沌に包まれる。ショッカーの悲願が遂に達成するのだ!!」
そう言いながら、目の前の『物体』に目をやる死神博士。ショッカーの最終作戦がスタートしようとしていた。
ソルブレイン本部に鳴り響くサイレン。
その場にいた全員の視線が、スーパーコンピューター『クロス』に集中する。
『気象衛星より緊急入電、南鳥島西30kmの海底で異常振動を感知』
「振動の原因は?」
『周辺に海底火山等は確認されず』
「クロス、現場の映像を写せるか?」
『気象衛星を中継し、映像でます。誤差、0.4秒』
本部のスクリーンに映像が映し出される。次の瞬間、全員が驚愕した。
海底から巨大な飛行物体が出現したのだ。
「……全長は10km、全幅…4km 全高は…300mってところか…」
「間違いなく人工物…そして、あのような巨大飛行物体を所持できるのは…」
本郷と滝がそんな事を話していたその時!
『飛行物体より入電、映像、入ります』
「仮面ライダー、そしてソルブレインの諸君。ご機嫌は如何かな?」
51 :
秋山ロン ◆ICIZO8h8rM :03/05/22 23:32 ID:PqJnVDCu
「死神博士!」
「ショッカーの最終兵器『ヴァルハラ』の雄姿を見た感想を、是非お聞きしたいものだな」
「『ヴァルハラ』…それがその飛行物体の名前か!」
「いかにも、この『ヴァルハラ』そしてA・G4、A・G4Aを使い、我らショッカーの最終作戦『PROJECT DARKNESS』を実行する!!」
「博士! レーダーに反応、米軍機…数10!」
「蚊トンボか…ちょうど良い、君達に『ヴァルハラ』の力…そのホンの一片をお見せしよう…やれ」
「CIWS、VLS起動!」
「対空対艦両用砲、全砲門展開!」
「………やれ」
次の瞬間、『ヴァルハラ』の圧倒的ともいえる攻撃によって、10機の米軍機は跡形もなく消滅した。
「な……」
「いかがかな? では、予告しよう。只今から6時間後、我々は東京に攻撃を行う。逃げるなり、ささやかな抵抗を行うなり、好きにするが良い…では」
『通信途絶しました』
「東京を攻撃だと…」
「あんな物が東京に来たら…」
「間違いなく…東京は地獄になる……なんとしてでも阻止しなければ…」
「だが、あのデカぶつをどうやって破壊する。生半可な火力じゃ太刀打ちできんぞ」
「…破壊が駄目なら、動きを止めるだけだ」
「そうか…内部に侵入し、動力部を破壊。あのデカ物を倒すには、それがベストだな」
「皆、これがショッカーとの最後の戦いになるだろう…俺達の命に代えてもアレを沈めるぞ!」
「「「「「「「「「おう!」」」」」」」」」
「俺も手伝います、皆の笑顔を守る為に」
「勿論俺も手伝いますよ、氷川さんと葦原さんは?」
「乗りかかった船だ、俺も戦う」
「一般市民を守るのは警察官の役目です。当然お供します」
52 :
秋山ロン ◆ICIZO8h8rM :03/05/22 23:35 ID:PqJnVDCu
「本部長、俺達もライダーの皆さんと共に行きます。いいな? 大樹、華月」
「ええ」
「当然です」
「玲子さんとドーザーは念の為、ここに残っていてくれ」
「「はい!」」
「大樹、竜馬、華月、そしてライダーの諸君。諸君の健闘を祈る!!」
正木、敬礼。全員敬礼を返す。
それから30分後。ライダー達は米軍横須賀基地にいた。数百m先の滑走路では、ソリッドステイツTが発進の準備をしている。
「作戦はこうだ。ソリッドステイツTで、ぎりぎりまで近づき―」
「シュノーケルをジャンプ台代わりにして、艦に乗り込む…でしょ?」
「そう言う事だ。艦に乗り込んだ後は、とにかく動力部を目指す。そこさえ叩ければあれほどの巨艦だ。勝手に沈んでくれる…」
「なお、護衛には米軍機がついてくれるそうだ…本来なら自衛隊にも協力をお願いしたいんだがな…」
「何か不都合でも?」
「政府が『法解釈の違い』とやらで無駄な議論を続けていてな…」
「出撃したくても出来ない…」
「そう言う事だ」
「こう言うときまで何やってんだか……」
「政府とはそう言うものだ。悲しいがな」
などと、作戦の再確認兼雑談をしていると―
「五代!」
「一条さん!」
突然の一条の登場に驚く五代。聞けば、ライダー達に同行する為に来たと言う。そして―
「小沢博士の協力で、G3ユニットの量産型試作機を使わせていただける事になっている。足は引っ張らんさ」
「一条刑事だけじゃない。俺もそのG3マイルドとか言う奴を使わせてもらう事になってる」
滝も一条に続く。もはや止める事は出来ないようだ。
その時、ソリッドステイツの発進準備完了の知らせが入る。遂に出撃の時だ。
53 :
秋山ロン ◆ICIZO8h8rM :03/05/22 23:36 ID:PqJnVDCu
「よし、皆行くぞ! ライダァァァ、変身! トゥ!!」
本郷猛が変身する仮面ライダー1号。
「変身! トゥ!!」
一文字隼人が変身する仮面ライダー2号。
「変身…V3!!」
風見志郎が変身する仮面ライダーV3。
「ヤァーッ!」
結城丈二が変身するライダーマン。
「大・変・身!」
神敬介が変身する仮面ライダーX。
「ハァァァ…アーマーゾーン!」
山本大介が変身する仮面ライダーアマゾン。
「変・身、ストロンガー!」
城茂が変身する仮面ライダーストロンガー。
「スカイ、変身!」
筑波洋が変身するスカイライダー。
「変身!」
沖一也が変身する仮面ライダースーパー1。
「変身! ゼークーロース!!」
村雨良が変身する仮面ライダーZX。
「変身!」
南光太郎が変身する仮面ライダーBLACKRX。
「変身!」
五代雄介が変身する仮面ライダークウガ。
「変身!」
津上翔一が変身する仮面ライダーアギト。
「変身!」
葦原涼が変身する仮面ライダーギルス。
「氷川君…根性見せてきなさい」
「はい!」
氷川誠が装着する仮面ライダーG3−X。
54 :
名無しより愛をこめて:03/05/22 23:37 ID:PqJnVDCu
「「「プラスアップ!」」」
香川竜馬がプラスアップするナイトファイヤー。
西尾大樹がプラスアップするソルブレイバー。
そして、藤宮華月がプラスアップするソルカイザー。
更に滝和也が装着したG3マイルド1号機と一条薫が装着したG3マイルド2号機。
総勢20人の勇者を乗せたソリッドステイツ1は米軍機の護衛を受け、飛び立っていった。
続く
55 :
氷川君好き:03/05/23 03:14 ID:68ID8Euo
>>ロンさん
(特)って何て書いてあるの?
macだとそういう風に表示されてて…
正直、機種依存文字への理解を求めたいです。
俺の好きだった本部長シリーズへの愛は重々承知ですんで、
作品には一辺の悪意もございません、ただ…
せっかくの登場なのに、スッと読めなくて残念なだけ…
なんで他の方にもお願いしますねm(_ _)m
56 :
名無しより愛をこめて:03/05/23 19:12 ID:mL+W2lM+
>>55 機種依存文字ってどのあたりの事なんだ?
自分Windowsなもんで詳細希望
57 :
名無しより愛をこめて:03/05/23 20:09 ID:Mufl6LiH
ローマ数字の1だと思われ。
T←これ
スレがいい感じな所、水を差すようで悪いのですが、
「劇場版人造人間ハカイダー」のリョウを、仮面ライダー
と競演させる話というのは無理かな?
無理ですか?
>>58 原作版BLACKのラスト、崩壊した世界で自分が誰だか分からずにさすらう南光太郎。
そして、光太郎は何者かに引きずられるようにその町へやってきた。
その町の名はジーザスタウン。ジーザスタウンの守護者、
ミカエルが不穏な空気をまとう侵入者・南光太郎と相対する。
ジーザスタウンを護るモノ。
それに対するは守るものを、自分の存在さえ失い、狂気をまとった魔王。
美しき守護者と黒き魔王の戦いが幕を開けようとする中、
目覚めたもう一人の黒い戦士がギルティの爆音とともにその街へと近づいていた……。
60 :
58:03/05/24 01:51 ID:bEGXS/vE
>>59 マジで燃えそうなストーリーです!光太郎
&ハカイダーコンビ、マジでかっこ良すぎです!
どことも知れぬ次元の狭間に、彼は存在していた。
俺は、誰だ……。
幾度と無くつぶやき、そして今もつぶやいている言葉。
俺は、誰だ……。
彼の最後のそして唯一の記憶。
麗しい白い戦士と、そして、禍々しい黒い戦士との激闘の記憶。
それすらもおぼろげになる中、
彼はつぶやくことによってその記憶を己の心の中に繋ぎ止めていた。
俺は、誰だ……。
不意に、彼は意識をひとつの世界に向けた。暴力が渦巻く世界。
ありうべからざる戦いで命を落とした彼は、未だ暴力に飢え、乾いていた。
俺は、誰だ……。
不意に、彼の心にある感情が芽生えた。
意識の中で感じた暴力の臭いが、彼の中のかすかな記憶を甦らせた。
なんだ? イライラする……。
暴力が彼を呼ぶのか、彼が暴力を呼ぶのか。
気づいたとき、彼はそこにいた。
軽く脱色した、しかし、手入れの行き届いた髪。
胸元をルーズにはだけさせたジャンパー。
そして、その手に握られたカードデッキ。
彼の者、浅倉威。
彼が降り立った地はジーザスタウンと呼ばれていた。
>>58さん
とりあえずパッと考え付いたの文にしましたけど、
こんな風にすれば可能だと思いますよ。
ただ、ハカイダーをライダー世界に登場させる方法は
ちょっと思いつきませんでした。
……っと、バダンの時空破断システムや
あかつき号事件の天変地異でのタイムスリップとかなら可能かな?
63 :
58:03/05/24 05:59 ID:bEGXS/vE
>>62 有難うございます!でも、俺先輩みたいに文才無いし・・・。
謎の青年(白)につれて来てもらうってのも可かな?
誘導あげ
65 :
名無しより愛をこめて:03/05/25 13:51 ID:KwJ7A4y+
誘導あげ
66 :
名無しより愛をこめて:03/05/25 19:34 ID:2ksy6szk
age
67 :
名無しより愛をこめて:03/05/25 20:28 ID:pr9lYeyT
お邪魔します、最近このスレを知りました。共闘スレですが
オリジナルライダーは可でしょうか?龍騎の世界観で、神崎から
カードデッキを譲り受けるか、奪い取るのか、はたまた偶然拾うのか?
主人公は12歳の少年で、ライダーバトルという残酷な現実に蝕まれていく
話を思いついたのですが、いかがでしょうか?
>>67 良いと思う、できればもっと詳細キヴォンヌ
69 :
名無しより愛をこめて:03/05/25 20:53 ID:SQ4JAWW9
>>67 オリジナルライダーは諸刃の剣、気をつけな。
優れすぎた設定は叩きや荒らしの原因となるからな
70 :
サダ:03/05/25 20:57 ID:TGX5p2Fg
>>68 67です、上記のHNを使用します。
まだ詳しくは設定が決まってませんが、主人公と神埼士郎との関係を
軸に展開していけたら、と思います。非日常な世界に巻き込まれてしまった
という状況を、主役だった城戸と違って突き詰めた描写してみたくて投稿して
みようと思いました。一応契約モンスターも含めてオリジナルライダーに
するつもりです。
72 :
サダ:03/05/25 21:02 ID:TGX5p2Fg
>>69 あまりライダーを倒していく展開をメインにするワケでないので、
優れたオールマイティな設定は必然的にまず除外されると思って
その辺は安心してくれれば、大丈夫かと
。
>>70 あと、能力などを数値で表すスペック展開とかは遠慮してね。
(龍騎で言うと『ファイナルベント AP20000』とかいうアレ)
これも荒れるから。
契約モンスターも気になるね。
出来たら鳥、魚、陸上歩行動物の
複数モンスターをきぼんぬ。
>>74 期待するのはわかるが、あまり無理に注文つけるのはよくないよン(w
76 :
74:03/05/25 21:37 ID:nF1WGH4C
>>75 すいません。
ところで、
>>59の小説を見てみたいと思うのは俺だけ?
77 :
サダ:03/05/25 22:29 ID:onHxLuvC
【仮面ライダー龍騎】〜ライダーバトルの迷い子〜
雨。鼓膜に響く雨音
雨。全身に浴びせられる冷たい水の感触
雨。誰も居ない公園、色彩さえも溶けて流れたのかその世界は灰色だった。
『工藤 誠』 少年はただ、そこに居た。
帰るべき家が無かった訳ではない、帰るべき「家庭」がそこには
無かった。
少年に残された唯一の家族『工藤 唯』が謎の怪物に襲われたあの日から。
怪物に狙われる事を恐れていた訳でない。自分にとって守るべき最愛の妹を
守れなかった事。何も出来なかった、それが悔しかった、情けなかった。
妹にどんなに語りかけても
決してその目が僕を見ることはない。
決してその口が僕に開くことはない。
もう、届かない 届くことは無い・・・
そう思っていた、「あの人」が現れるまでは。
〔続〕
78 :
サダ:03/05/25 23:38 ID:Fz0oNcxQ
【仮面ライダー龍騎】〜ライダーバトルの迷い子〜 その2
所々塗装の剥れたオレンジ色のカードデッキ
「戦え」
「ライダーを倒せ」
「最後に勝ち残るのは唯一人」
「そして妹を守ってみせるんだな・・・」
素性の知れない奇妙な男、目の前に居るのにどこか幽霊のようで
生気すら感じさせない。その目は恐ろしく冷たい・・・
79 :
サダ:03/05/25 23:39 ID:Fz0oNcxQ
少年はカードデッキを受け取る。
狂人の妄言ともとれる男の言動を信じていた。
どこか、どこか・・・
感じていた、ああ・・この人は同じだ・・・僕と。
少年がそう認識していたかは知らない。
暗く鈍く光る・・・瞳の奥に宿る、危うい情念の炎が
男にも少年のも渦巻いてるのを誰が知り得よう・・・
〔続〕
80 :
サダ:03/05/25 23:42 ID:Fz0oNcxQ
ごめんなさい!改行が多いというので二つに分けたら
このような無駄なスペースが出来てしまいました。
気分を害されたら申し訳ありません。
81 :
サダ:03/05/26 00:00 ID:BbHRMj8Z
ここまで書いといてなんですが、御覧のように私のSSは
他の職人さん達と明らかに毛色が異なるので、このスレに
そぐわないんじゃないか?という方居られましたら申し上げて
下さい。なるべく期待に添えようとします。
82 :
サダ:03/05/26 00:40 ID:nARFpCMX
【仮面ライダー龍騎】〜ライダーバトルの迷い子〜 その3
金属音がこだまする、周りに鏡は無い・・・
確かに感じたのだ餓狼の如く剥き出しな殺気。
未知の恐怖に震えるている・・・
「このカードでモンスターと契約しろ」
「あの男」はそう言った。
ピチャン・・・ピチャン・・・ピチャ・・・
雨が止んだ。
湿った風が頬を撫でる。
緊張が和らいだ・・・その刹那―
83 :
サダ:03/05/26 01:05 ID:2UEHMwn4
【仮面ライダー龍騎】〜ライダーバトルの迷い子〜 その4
「うわあぁっ!!」
黄金色の巨大な「獣」が視界をかすめた。
全身が怒髪を突くかのような、天に逆立つ体毛。
純粋なまでに凶暴に光る眼光。
血の臭いを死体の臭いを生臭く撒き散らす牙。
大猿型ミラーモンスター『マッドコング』
背後の水溜りより出でしその怪物は目の前の補食物へ襲いかかる。
防衛本能か、少年は考えるより咄嗟に右手を突き出していた。
その手には『契約のカード』 眩い光が「獣」を包む
〔続〕
いいんじゃないの
ただ設定年齢が低すぎて、想像上あまり見栄えしないのは難点かと。
あえてその年齢にこだわる説得力が欲しいな。
85 :
サダ:03/05/26 01:25 ID:ljcYQa3f
【仮面ライダー龍騎】〜ライダーバトルの迷い子〜 その5
「俺に出来ることはここまでだ・・・」
「あの人」が呟く・・・
雨が止み雲が晴れ日差しが差し込み―天の祝福か、それとも嘲笑か。
「獣」の契約主となった少年『工藤 誠』
果てには己の心まで「獣」を飼う事になるのか否か―
『仮面ライダー』として戦地へ赴くその先は
希望か、はたまた絶望か・・・
〔続〕
86 :
サダ:03/05/26 01:28 ID:ljcYQa3f
>>84 その辺については一応理由があるので、そういう描写が
書かれると思いますので、待ってて下さい。
87 :
サダ:03/05/26 02:16 ID:Pw+au/R4
【仮面ライダー龍騎】〜ライダーバトルの迷い子〜 その6
「はあああっ・・・!」 ―ファイナルベント―
深紅の龍が天を駆け『龍騎』と呼ばれるライダーが高く飛びあがる
最強の必殺技「ドラゴンライダーキック」が龍の爆炎とともに放たれる
標的は勿論ミラーモンスターだ。百発百中のこの技から逃れるすべは皆無
と言っていいだろう、現にたった今現実世界に響き渡る事無いであろう
爆発と轟音がモンスターを覆い尽くした。
「おっしやあ!」
真司がお決まりの勝利の雄叫びをあげた。後はライドシューターに
乗り現実世界へ帰るだけ、ところが・・・一つだけのライドシューター
が二台?今日は真司だけだ他のライダーは居ない筈・・・
「蓮?・・・いや違う(もしやまだ俺の知らないライダー?)」
その瞬間、不穏な気配を感じた。しかし時すでに遅かった。
「いってぇええ!!」
不覚にも背後から強烈な不意打ちを食らってしまう真司だった。
「誰だっ!・・・お前は?!」
目の前の見知らぬライダー、そのライダーこそ『工藤 誠』本人
だった、見慣れぬオレンジ色のスーツが一瞬たじろかせる。
仮面ライダー猿迅(えんじん)
これが彼の初の戦いだった・・・
(続)
88 :
サダ:03/05/26 02:40 ID:ydCWhblG
【仮面ライダー龍騎】〜ライダーバトルの迷い子〜 その7
「いっとくが俺はライダー同士戦う気はないからなっ!」
真司の必死な説得が届いてるのか、猿迅は動く気配が感じられない。
ふと、真司は奇妙を感じた。何故眼前のオレンジ色のライダーは
獣のように四つん這いにして構えるのだろう?
「お、おい・・・」
真司が歩み寄ったその刹那―
猿迅は驚異の跳躍力で飛びあがる!一瞬の動揺を見せた真司
猿迅はその機に、ベルトからカードを抜き左腕の「コングバイザー」
へと装填させる。
―ロッドベント―
マッドコングの尾を模した棒状の武器が瞬時に猿迅へ手渡される。
落下速度も手伝ってロッドを真司へ振り下ろされた!!
(続)
89 :
サダ:03/05/26 03:08 ID:iaUiiJKk
【仮面ライダー龍騎】〜ライダーバトルの迷い子〜 その8
猿迅がロッドを真司へ目掛けて振り降ろす!
先程の戦闘でガードベント使用していた真司はなすすべも無かった。
いや、厳密にはあったのだ「サバイブ」のカードだ。だが真司は
それを使いたくなかったのだ。見知らぬライダーに襲われても真司は
あえて非戦を貫き通したかった。
しかし真司の苦悩などよそに、蒼い飛行物が猿迅に追突したのだ。
「うわぁあっ!」
突然の奇襲に強く狼狽する猿迅、あっけなく無様に地に落ちた。
「大丈夫か?!」
猿迅にかけようとする真司に
「止せ!近づくな!」
「蓮!」
さっきの蒼い飛行物はダークウィングだった。
「そいつもライダーなら俺達の敵だ」
戦いを止めようとする真司を、蓮はけん制する。
「蓮!後ろ!!」
蓮の背後に猿迅の契約モンスター、マッドコングが
襲いかかってきた!!
(続)
90 :
サダ:03/05/26 03:57 ID:51hWveW5
【仮面ライダー龍騎】〜ライダーバトルの迷い子〜 その9
突然の猛襲にも、生来の反射神経でかわす蓮。マッドコングから
すかさず距離置き、一分の無駄なくダークバイザーにカードを
装填させる。 ―ファイナルベント―
「来い!ダークウィング!」
空高く飛翔したナイトの体をマント状のダークウィングが包み込み
マッドコングへ、一目散に貫通していく。瞬時に爆炎が彼らを包む。
また一匹のモンスターが倒され光の玉を食わせる、そのつもりだった
だが、妙な事に爆心地は虚空が広がるだけ・・・光の玉など無い。
「どういうことだ・・・」
ふと、城戸に目をやる。だがそこに蹲っていたオレンジ色のライダーの
姿が見えない。
―スモークベント―
突然の黒い煙幕が辺り一面を覆い尽くす。
「うわぁっ!」
「脱出するぞ!」
二人はライドシューターに駆け込みミラーワールドから
瞬時に脱出する。
ほぼ同じに仮面ライダー猿迅も脱出していた。彼の初陣は無残な
結果に終わることになった。
工藤は全身打撲の痛みを必死に堪えながら歩き出す・・・
「どうやら俺が倒したあのモンスターは偽者だったらしいな」
「偽者ってあの猿みたいな・・・」
「おそらくアイツの契約モンスターだろうな」
「なぁ蓮、あいつ何か・・・」
「何か・・・何がだ?」
「いや、よく解らないけど何か引っ掛かるんだ」
真司の疑問は、まだその時は解明される時でなかった。
(続)
91 :
名無しより愛をこめて:03/05/26 20:12 ID:5f/ZnUTR
誘導あげ
92 :
秋山ロン ◆ICIZO8h8rM :03/05/27 22:36 ID:BUJu1X7H
仮面ライダーアギト AnotherStory 『PROJECT DARKNESS』
第8章 「決戦 パート2」
仮面ライダーとソルブレインを乗せ、発進したソリッドステイツ1。
米軍機の護衛を受け、ショッカーの最終兵器『ヴァルハラ』に今、突撃しようとしていた。
「『ヴァルハラ』を視認、シュノーケル展開用意」
「キャプテン、米軍機から通信です」
「内容は?」
「『只今より先行し、攻撃を開始する。作戦成功と貴艦の命運を祈る』」
「護衛ならびに作戦協力を感謝する。と返信を」
「了解」
「米軍機、加速開始。攻撃に入ります!」
「博士! 本艦に接近する物体、数21…その内1機はソルブレイン所属、ソリッドステイツ1!!」
「ふむ、予想通り無駄な足掻きに出たか…迎撃用意」
「CIWS、VLS起動!」
「対空対艦両用砲、全砲門展開!」
「射程に入り次第、跡形も無く吹き飛ばせ」
米軍機、一糸乱れぬ動きで攻撃開始。数十発のミサイルが、『ヴァルハラ』に炸裂する。
だが、全長10kmを越す巨体の前では、ミサイルも豆鉄砲に等しい。
逆に『ヴァルハラ』の対空砲火の前に1機、また1機と撃ち落されていく。
しかし、米軍機の奮闘により僅かではあるが、対空砲火の薄い場所が出来上がる。
94 :
秋山ロン ◆ICIZO8h8rM :03/05/27 23:32 ID:BUJu1X7H
「今だ! 出力最大、最大船速で突入する!」
フルスピードで『ヴァルハラ』に突撃するソリッドステイツ1。対空砲火で船体にダメージが刻まれていくがお構い無しだ。
「シュノーケル展開!」
ギリギリまで接近し、シュノーケルを展開。『ヴァルハラ』までの距離を数十mに縮める。
「行くぞ!」
シュノーケル内部を走り、『ヴァルハラ』へとジャンプする1号、2号のサイクロン。V3達も続く。
そして、G3−Xのガードチェイサーがジャンプに成功したその時―
爆発音。ソリッドステイツ1が大きく揺れる。
「第1、第3エンジンに被弾!」
「姿勢制御用スラスター、出力低下。艦の姿勢維持できません!」
「もう少し……カットできる内部電源は全てカット、そのエネルギーを全て姿勢制御にまわせ! 全員を送り届けるまで…沈む訳にはいかん!!」
決死の操縦により、ソリッドステイツ1の姿勢安定。同時にファイヤースコード、ソルギャロップ等が一気にジャンプ。『ヴァルハラ』に着地する。
次の瞬間、シュノーケルにミサイルが被弾。ソリッドステイツ1、爆発に煽られ墜落していく。
ソリッドステイツ1、不時着水。乗員達に怪我は無かったものの、航行不能に陥る。
「ソリッドステイツが…」
「彼等の犠牲、無駄には出来ん。一刻も早く動力炉を潰すぞ!!」
「残念だが、そうはいかん!!」
声と共に出現する再生タイガーロイド、再生カメバズーカ、再生ミサイルヤモリ、再生タイホウバッファロー&10体のA・G4A。
「死ねぇ!」
一斉に砲撃開始。ライダー達、間一髪で回避。
「どうやら、動力炉は立ち入り禁止らしい…」
「皆さん、ここは僕が引き受けます。動力炉へ行ってください!」
G3−X、1人敵の真っ只中へ―
「俺達も残って、奴らをひきつけます。行くぞ、大樹、華月!」
「皆さん、後を頼みます!」
「俺達なら大丈夫ですから!」
ナイトファイヤー、ソルブレイバー、ソルカイザー、G3−Xに続く。
95 :
秋山ロン ◆ICIZO8h8rM :03/05/27 23:45 ID:BUJu1X7H
「君達の思い…確かに受け取った! 皆行くぞ!!」
1号の号令の元、『ヴァルハラ』内部へと突入していくライダー達。
立ち塞がる戦闘員たちを次々と薙ぎ倒し、やがて東京ドームの3杯ほどに広さを持った空間にたどり着く。
「なんだ、ここは?」
「ここは闘技場だよ…」
「その声は死神博士!!」
死神博士、空間の中央部に登場。同時にライダー達と反対方向から3体の巨大メカが出現する。
「今回の演目は仮面ライダー軍団vsショッカーの新兵器『ディカスティス』だ…楽しんでくれたまえ」
死神博士消える。それと同時にディカスティス3体が一斉にライダー達に襲い掛かった!!
続く
>>92-95 乙。>93は運が悪かったね。
長文連続カキコの時は、他の書き手さんみたいにsageで
進行して、最後にageるのをおすすめする。
>>96 sageを付け忘れると言ううっかりミス、申し訳ないです。
今後、気をつけますm(_ _)m
あーゆー広告の後には
ちゃっちゃちゃーじゃじゃじゃじゃん
という1行レス入れるとか(^-^)
>>98 SS付ける時は連投規制とかで結構イラ突くからそこまで気が回らない罠w
100 :
山崎渉:03/05/28 08:55 ID:lKJHryPE
∧_∧
ピュ.ー ( ^^ ) <これからも僕を応援して下さいね(^^)。
=〔~∪ ̄ ̄〕
= ◎――◎ 山崎渉
秋山ロン ◆ICIZO8h8rM
昭和ライダーの名物、再生怪人を出してくるとは…わかってるねぇ(^^b
よかったら、『ヴァルハラ』や『ディカスティス』のスペック希望
>秋山ロン
再生怪人を出すとは…わかってるな(^^b
よかったら、ディカスティスとヴァルハラのスペック掲載希望
連続投稿、申し訳ないッスm(_ _)m
>>101-102 すまんが、スペックのみの表記は荒れる原因になるので感心しないぞ。
前スレの惨状を忘れたか?
ロン氏や他のライターさんたちにいい環境を作るのも読み手としての
努めだと思う。
仕切りみたいで申し訳ないが、意見として受け止めてくれ。
105 :
名無しより愛をこめて:03/05/28 16:37 ID:jzNGzknn
>>101-102 >>104の言うとおりだな。
どうしてもスペックを見たかったら、それ専用のスレでも作ったらどうだ?
それはそれで、荒れる原因かもしれんが…
106 :
名無しより愛をこめて:03/05/28 18:18 ID:Y5Vb4Vwt
誘導age
107 :
101-102:03/05/28 18:28 ID:Y5Vb4Vwt
続きのナイト編は今週末ぐらいを予定。
書く度に1話あたりが長くなってきているので、
その辺はお許しください。
シザース編以降も荒唐無稽、破天荒な話が目白押し(予定)
TVの龍騎の面影が全くなかったらごめんなさい(汗
半ば拉致されるような形で五代が小沢澄子の研究室に缶詰にされてから一週間がたった。
その間、新設された未確認事件対応、対策班は一条の予想通り、
ちょっとした失踪者から犯人のはっきりしない殺人事件まで、
ほぼあらゆる事件に駆り出される、本来の目的とは違った形での活躍を見せていた。
しかしそんな中、一条の不安は増すばかりだった。
(五代が小沢博士に協力するのに反対しなかったのは正解だったのだろうか。
確かに五代が協力することでより強力な装備が完成するかもしれない。
しかし、少しでも開発に関われば、何があっても必ず奴は出張ってくるだろう。
それが五代雄介という男なんだ。装着員と一度でも会うことがあれば尚更。
・・・俺が小沢博士に会わせたのがそもそもの間違いだったか・・・いや、
そんなことは・・・)
思考の坩堝にはまりこんでいく一条。腰掛けている椅子が、
まるで底なし沼のように思えてくる。
「・・・監。一条総監!」
「ああ、どうした。」話しかけられたことにも気づかなかった。
「どうしたって、こっちが言いたいですよ。これ、ここ数日起こった中で、
興味深い事件を自分なりにまとめてみました。見ていただけますか。」
実際この部署に来た警官達は良くやっている。一条はそう思っていた。
前身の部署のような事件も今のところ無く、各事件を渡り歩く現状の中で
危険を知りながらも志願してきた彼らの緊張が、切れて
悪い方向に向いてしまうのではないかと気懸かりにしていたが、
それは一条の取り越し苦労に終わった。
相変わらず警官達はよく働いているし、
出先の刑事、署長などからも悪い噂が流れてきたこともない。
この刑事のように自分の意見をまとめて来る刑事も少なくない。
それが単に正義感に燃えての事なのか、
一条をはじめとする未確認生命体に関する、一連の事件に関わった
たいしたキャリアでもない警官達が、皆そろって大出世をしているのを
目にしているからなのか、一条には判断しかねた。が、一瞬でも
警官が、それも自分の部下がそんな理由でこの部署に来た
と考えてしまった自分には嫌悪感を感じていた。
そんな部類に入る人間がいるのも分かり切ったことであり、
段階はあったものの、刑事から警視という急激な出世によって、
そんな人間と・・・それも地位を得ても現場に出たがる一条が
気に入らないらしく、最悪な形で・・・関わった事も少なくない。
それでも自分の部下にはそう言う人間でいて欲しくないと思うのは、
それもまた出世によるものと五代雄介という人物と知り合った事によるのかもしれない。
「つまり、ここ最近は不可解な失踪事件が増えている、というわけだな。」
ホチキスで簡単に束ねられた紙の束を机に起きながら、一条は言った。
「はい。彼らは特に失踪するような理由もありませんし、
家族が気づかない間や、ちょっとした外出の間に消え失せたケースもあります。」
「またどこぞの工作員でも動いたか?よりにもよってこの時期に。」
一条の隣にはいつの間にか、コーヒーカップを二つ手にした桜井がいた。
「不謹慎ですよ桜井さん!それにしても行方不明者の数が増加しているのは
確かですね。」カップを受け取りながら一条がたしなめる。
桜井は先ほどから立ち呆けの刑事がまとめた資料をめくっていた。
「うーん・・・長谷川光永、風間久美子、加賀友之、佐藤B作、ねぇ。
自室から突然いなくなるなんてのは、ある種の怪物が関わっているとすれば
未確認と言うよりはアンノウンに近い者だな。」
「もし事件なら不可能犯罪ですからね。君はこれが事件だと思っているんだな。」
一条が急に話しかけても、刑事は臆することなく言った。
「はい。それも私は、過去に出没した人外の存在が関わっていると
一種の確信を持っています。」その言葉に、桜井が興味深げに尋ねる。
「根拠はなんだ。」 「・・・刑事の・・・カンですよ。」
「面白い奴だな。君は・・・一条、誰だ?」即座に一条が答える。
「須藤、、、雅史君ですよ。」
セコク小出しにしていこうかなんて思って(汗
次回から本格的にクロスオーバーしていきたいと思ってます。
ベースは龍騎、555で。
小沢の新装備とどうしても五代に戦わせてしまう一条の動向
あたりが今後のメイン?担っていく予感な未定
叱咤、ダメ出し等よろしくお願いします。
蟹キター!
110の後半あたりが微妙にわかりづらいかも…指示語の使いどころと
文章の区切りを検討するともっと良くなると思いますよ。
ともあれ、今後の展開に期待。がんがってください。
>>113さん
とにかく地の文を書くのが苦手なので、
直そうと1レス分ほぼ台詞無しでやってみようと思ったのですが、
やっぱりわかりにくかったですか・・・。
一回主語を書いてしまうとそのまま色々と書き連ねてしまうのは
やはり悪い癖ですよね。建設的なご意見ありがとうございます。
あと112の「担って」は「に、なって」のタイプミスです。
そのままでも意味が通る感じでイヤーン。
佐藤B作は名前考えるのメンドクなりました(アヒャ
連続投稿すいません!
でも大きなミスが!名前が桜井なのにしゃべり方は杉田だ!
やっぱライターズハイ(あるのか?)はろくなもんじゃないですね。
というわけで桜井じゃなく杉田の方向でよろしくお願いします。
それにしてもどうしょうもねぇな漏れ・・・
回線切って首吊って逝ってきます
「おや、あそこを歩いて行く三人連れは…」
「おお、氷川警部補に尾室管理官、それに小沢澄子女史だな」
「じゃああの人たちが伝説のG3ユニットなんですね」
「見るの初めてか、ああ、アンノウン事件の頃はお前さんまだ学生だったな
最近またぞろ似たような事件が増えてきてるからな、しかも今度は例のアギトや
第4号の親戚みたいなのもゾロゾロ出てきてるらしいと来た。餅は餅屋って事で
あの女史をイギリスから呼び戻して再結成したって訳だ」
「なるほど…あ、誰かと話して…って!いきなりケリ入れたぁ!?」
「あー、一課の北條刑事がまた余計な一言口走ったようだな」
「い…いいんですか…突っ伏して悶絶してますけど」
「いいんだ。ありゃ彼らの挨拶みてえなもんでな、あれでもイザと言う時には
不思議と協力して結果的にはうまくやってきたもんだよ。それにだな、あの程度の
ケリなんざホンの序の口なんだぞ」
「って言いますと…?」
「実はアンノウン事件の末期にだな、お上が何トチ狂ったか、アンノウンを保護して
アギト…つまり超能力者を取り締まれとか言い出しかけた事があってな」
「ああ、聞いた事があります、米国でも時々取りざたされるミュータント登録法案
みたいな物ですね。しかしなりたくてなる訳でもないのに取り締まられるってのは
ちょっと理不尽な気がしますがねえ」
「それがだな、事件が終結してみるとその法案を推進してたお偉方の一人が公の場から
姿消してるんだ。名前は…白川何とか言ったかな」
「まさか言ってる側から自分がアンノウンにやられたってオチじゃないでしょうね」
「いや、なんでも以来ずっと入院してるって話しだ。げにおそろしきはおみ足の
破壊力…ってのが密かに衆目の一致する所だが、な…」
「((((;゚Д゚)))ガクガクブルブル」
…特にどちら様の、と言う訳ではありませんが、とにかく
「怪事件再発・内外ライダー集結で小沢さんも帰国して指揮ってる」状況の
おありなSS全てに捧げます。
2、邪霊の森
白い霧が満天の星空を覆い隠していく。伊豆天城の山々はどこまでも深い静寂に包まれて
いた。すべてが眠りにまどろむ暗闇の中、風のように駆け抜けていくひとつの影があった。
蔦を掴み、枝を蹴りあげて樹から樹へと渡っていく逞しい肢体。そこから繰り出される野性
の技で幾多の獣人を屠り、人々の幸せを護ってきた青年――人は彼をアマゾンと呼ぶ。
(……なにかが、おかしい)
アマゾンはひときわ荘厳なブナの大樹に登り、節くれだった支幹に腰をおろして周囲の暗闇
を見つめた。南米の密林に育った彼にとって、鉄とコンクリートで塗りかためられた大都会
よりも遥かに馴染み深いはずの原生林。
しかし、彼の心にはやすらぎではなく奇妙な違和感と不安だけが湧きあがっていた。
(鳥が、いない。獣も、いない…みんな、いなくなった)
夜を謳歌する梟の声も、藪にひそむ動物達の息遣いも彼の耳に届きはしなかった。
不気味な沈黙に胸騒ぎを覚えつつ、アマゾンは再び夜闇へと駆けだした。
「これから山に入るつもりなのかい?やめたほうがいいよ」
山腹のゴルフ場で警備員がアマゾンを呼びとめたのは、数時間前のことだった。
「そのうち日も暮れるし、八丁池まで着いた頃には帰りのバスもなくなってるからね」
それでも構わないという素振りのアマゾンに、警備員は声を潜めて語りはじめた。
山の地理には明るいはずの営林署員や地元の若者が、なぜか林道を見失って朝まで同じ場所
を延々と彷徨い続けていたという話。夕暮れの森を黙々と行進していく黒衣の一団を見たと
いう登山客の話。そして、東京からサークル合宿に来ていた大学生達が忽然と姿を消してし
まった話――悪いことは言わない、夜の山歩きはやめておけ。彼は噂話をそう締め括った。
ぎこちない笑顔で彼に感謝を伝えながらも、アマゾンは迷わず薄暗い林道へと足を踏みいれ
ていった。なぜなら、噂の真偽を確かめ、行方不明になっている大学生達を救うことこそが
まさに彼がこの天城山を訪れた目的だったのだから。
(どれほどの時間、俺達は逃げ続けているんだろう)
途切れることのない石楠花の森で、若者達の精神は限界を迎えつつあった。恐怖に支配され
た彼等の耳には、夜風にさざめく枝葉の音さえ悪魔の嘲笑に聴こえた。梢のわずかな隙間を
見ても、その暗闇にひそむ追手の姿を想像して足がひるんだ。
「…もう駄目よッ!」
「頑張るんだ!せっかく、あの連中から逃げ出してきたんじゃないか!」
地面にへたりこんだ少女をひき起こし、青年は仲間の姿を見渡した。
疲労と恐怖、そして深い絶望。誰もが、同じような表情を浮かべている。
無理もないな、と青年は思った。できることなら、彼も地面に倒れ伏してそのまま眠ってし
まいたかった。それでも、彼は精一杯の力強さで皆を励ました。
この群生地を抜けてしまえば、林道に出られるはずだ。あと一息じゃないか――。
「…洋、悪いな。もう、俺も歩けそうにないよ。…置いていってくれ」
「何言ってるんだよ、遠藤。お前らしくも……」
わざと明るく笑いとばそうとして、洋は友人のただならぬ様子に気付いた。
悲しそうに目を伏せたまま、自分を置いていけとしきりに繰り返す遠藤。
なにげなく彼の視線を追った若者達が凍りついた。小刻みに震えている彼の両脚は、地面か
ら這い出すように現れた一対の黒い腕にしっかりと掴まれていたのである。
「みんな、逃げろぉっ!」
遠藤が絶叫する。蜘蛛の子を散らすように駆け出す若者達。
途端に、腕は凄まじい勢いで遠藤を地中へと引き摺りこみはじめた。洋は、傍に落ちていた
石楠花の細枝を掴むと、渾身の力でそれを黒い腕に突きたてた。ギャッという叫びをあげて
怪物は思わず獲物を取り落とす。
「いくぞ、遠藤!」
しかし、次の瞬間。
遠藤の思慮も若者達の逃走も、そして洋の機転も。
すべてがごく一瞬の気休めにしかすぎなかった事を彼等は思いしらされた。
森の至るところで不気味な土饅頭が膨れあがり、無数の黒い腕、そして全身を黒衣に包んだ
男達が地中からぞろぞろと這いあがってきたのだ。
誰もが、呆然と立ち尽くした。
アマゾンは困惑していた。密林で鍛えられた彼の聴覚は、はっきりと若者達の悲鳴を捉え
ていた。研ぎ澄まされた野性の五感には、彼等の恐怖と混乱がひしひしと伝わってきた。
それなのに、アマゾンが現場に向かおうとした途端にその気配はふっつり途切れてしまう。
そして、今度はまったく別の場所から悲鳴が聴こえてくる――その繰り返しだった。
砂漠で蜃気楼を追い求める旅人のように、アマゾンは彷徨い続けた。
やがて、霧の奥に一本の大樹が見えた。節くれだった樹皮を持つ、ブナの巨木。
(…そうなんだよ、営林署でもベテランの連中がね。朝まで、同じ場所をぐるぐると)
警備員の噂話が脳裏をよぎった。
愕然とするアマゾンの姿を嘲笑うかのように、何処からともなく若者達の声が響いてくる。
時間は刻々と過ぎ、焦燥だけが高まっていく。
――――――静寂。
アマゾンは目を瞑り、大樹の幹にそっと手を添えた。
夜風に揺れる樹々のざわめき、大樹のゆるやかな呼吸、彼方を流れていく河のせせらぎ。
森の風景が彼の心にひろがっていく。
焦燥に掻き乱されていた心臓の鼓動が、次第に穏やかさを取り戻していく。
「森には、よくない精霊も棲んでいる。呪術師に操られた悪霊も居るかもしれぬ」
かつて、長老バゴーは幼き日のアマゾンに語った。
「悪しき精霊に惑わされたならば、良き精霊に身を委ねよ。そして、森の声に従え」
今、アマゾンは大樹の森と生命をひとつにしていた。
彼の感覚には、樹々が織りなす生命の流れがはっきりと伝わっていた。そして、その澱みな
い流れにひそんでいる奇妙な歪み――悪霊達が仕掛けた罠の姿も。
一瞬、ギギの腕輪がきらめいた。
暗闇めがけ、アマゾンは豹のように跳躍した。
草叢に突きたてた右腕を引き抜くと、周囲がぼんやりとした輝きに包まれた。地面に叩きつ
けられてキィキィと喚いているのは橙色の霊光を纏った不気味な小鬼だった。
闇を裂いて、醜い小鬼達が次々と跳び出してくる。蜘蛛のように長い腕でアマゾンに掴み
かかり、鋭い爪をふるう小鬼。ほとばしる鮮血。だが、南米の野生児も負けてはいない。
剛毛に覆われた怪物の喉笛に犬歯を突きたて、力任せに引き裂く。緑色の体液が噴きあがり
小鬼の四肢がびくびくと痙攣して動かなくなった。仲間の小鬼が憤激し、アマゾンの腕に喰
らいつく――ときならぬ地獄絵図がひろがった。
「洋、こいつらビクともしないぞ!」
若者達もまた、暗闇から湧きあがってくる黒衣の群れを相手に死闘を続けていた。
どんなに殴りつけても、異形の男達は僅かにひるむだけで再び立ち上がってくる。
だが、諦めるわけにはいかなかった。
この数日間、若者達は何処ともしれない洞窟のアジトに監禁されていた。
彼等はそこで、黒衣の集団に命令をくだす邪悪な威厳に満ちた声を聞いた。
(よいか、この人間どもは貴様達と同じ新型戦闘員の素体となる。丁重に扱うのだぞ)
もしも、再び捕えられたなら――
待ち構えている恐怖の運命を想像し、若者達は最後の力を振り絞っていた。
怯える少女達を背にかばい、懸命に敵を食いとめる洋。短槍を構えた戦闘員が彼を狙った。
洋が体捌きで辛くもその襲撃をかわすと、戦闘員は夜露でぬかるんだ地面に脚をとられて前
のめりによろめいた。
「今だ!」
鋭い手刀を叩きこみ、敵の手から短槍を払い落とす。洋は拾いあげた短槍を我流に構えて、
周囲の戦闘員達をゆっくりと威嚇した。黒衣の包囲網が次第に崩れていく。
しかし、短槍を構えた青年を強敵と認めた黒衣の集団はここで戦法を切り替えてきた。
一斉に捕縄を構え、奇声とともに次々投擲する。
降りそそぐ無数の縄に身体を絡めとられ、若者達はあえなく制圧されてしまった。
これまでか――誰もが希望を失いかけたそのとき。
野獣の雄叫びが谺した。
石楠花の森に獰猛な雄叫びが谺する。黒衣の集団は機敏な動きで隊列を展開し、暗闇にひ
そむ突然の闖入者に備えた。何処から来る?右か、それとも左か? 注意深く周囲を見廻す
戦闘員達の遥か頭上から、アマゾンが舞い降りた。
双眸に闘争心を燃え滾らせた密林の狩人は、爪を突きたて、牙で噛み裂き、群がる敵を次々
に屠っていった。戦闘員達は慌てて隊列を組みなおし、再び捕縄を構える。
しかし、すでに小鬼達との死闘で充分に野性の血を覚醒させていたアマゾンにとって、彼等
の仕掛ける小細工などもはや何の意味も持たなかった。縦横無尽に跳躍し駆け抜けていくア
マゾンを捉えることすらできないまま、黒衣の男達は一人、また一人と倒れていった。
少女が、声にならない悲鳴をあげた。捕縄に縛られて地面へ横たわっていた彼女のほんの
目の前に、アマゾンが葬った戦闘員が倒れ込んできたのである。頚椎をひねり壊された戦闘
員は虚ろな瞳で彼女を見つめていた。やがて、こときれた戦闘員は全身から得体の知れない
白煙を噴き出すと、溶けるように消滅した。今度こそ、少女は絶叫した。
「…大丈夫、か?」
黒衣の集団を一掃したアマゾンは、笑顔で彼女に問い掛けた。
「…俺、アマゾン。お前達を、捜しにきた…」
人懐こそうに話し掛けてくる野生児は、しかしあまりにも禍々しい姿をしていた。ほとんど
半裸にひとしい装束は鮮血と緑色の飛沫にまみれ、全身には痛々しい爪痕が刻まれていた。
そして、少女の脳裏には異形を殲滅していく荒ぶる修羅の姿と、断末魔の白煙をあげる戦闘
員の姿が鮮明に灼きついていた。
捕縄をほどかれた少女の貌には、恐怖がくっきりと浮かびあがっていた。慌てふためいて後
ずさっていく彼女を見つめるアマゾンの姿は、ほんの少しだけ哀しそうだった。
洋は、狼狽する少女を諭すように軽くかぶりを振ると、アマゾンに歩み寄った。
――助けてくれてありがとう。
彼は、そう伝えたかった。しかし、洋が口を開いたその瞬間。ぐったりと地面に頽れていた
はずの戦闘員が突然跳ね起きた。黒衣の男は糸が縺れたマリオネットのようにきりきりと不
自然な律動を繰り返すと、無言のまま拳を振りあげてきた。
アマゾンは洋を庇い、掲げた両腕で戦闘員の一撃を受けとめた。思いがけないほどの衝撃
が疾り、彼の身体は宙に弾き飛ばされる。どうにか体勢をたてなおして着地したアマゾンは
妖しい変貌を遂げた敵の姿に目を凝らした。
(…精霊憑きだ)
黒衣の隙間から覗いている瞳には、橙色の燐光が宿っていた。
アマゾンは樹を蹴って跳躍し、果敢に反撃した。しかし、憑依した小鬼によって限界以上に
能力をひきだされた怪人はアマゾンの噛撃をまったく意に介さなかった。驚くべき腕力で彼
を引き剥がした怪人は、その頭部を鷲掴みにして何度も何度も地面に叩きつけた。
洋は、ゆっくりと仲間を振り返った。彼が意図するところを察し、躊躇する若者達。
「…無理だよ。俺達はあのターザン野郎みたいに強くないし…お前ほど勇敢でもないんだ」
「馬鹿言うな、俺だって怖いさ…あんな化物、相手にしたくなんかない」
だが、それでも――洋は震える両手で短槍を握りしめた。
誰かが勇気を奮わねばならない時があるとしたら。
それは、今だ。
黒衣の怪人めがけて、洋が駆け出した。残された若者達は一瞬だけ互いに顔を見合わせると
誰からともなく武器を手にして立ちあがった。こみあげる恐怖を払いのけるため、精一杯の
声を張りあげて叫びながら彼等は友人のあとを追った。
あえて結論から述べるならば。やはり、若者達の攻撃では怪人に傷ひとつ負わせることす
らできなかった。軽く身じろぎしただけで、怪人は煩わしく群がる人間どもを一蹴した。
だが、その瞬間。ほんの僅かだけアマゾンに対する攻撃の手が緩んだ。
たった一拍の呼吸。それだけで彼には充分だった。澄みきった山の空気が肺を満たし、熱く
燃えたぎる血液の奔流が全身の隅々にまで生命力をみなぎらせていく。
「アァァァ…マァァァ……ゾォォォォンッ!」
振り絞るような咆哮。
ギギの腕輪が輝き、身体の奥底に眠っていたもうひとつの姿を呼び醒ます。
その名は、仮面ライダーアマゾン!
(つづく)
123 :
◆HqKATooXaI :03/05/31 12:23 ID:M0z2hRUN
そんなわけで、ご無沙汰してました。
『日本沈没 対 仮面ライダー』の第2回です。
前回レスを下さった皆様、ありがとうございました。
資料収集にてこずっている間に漫画版「日本沈没」がコンビニ販売されてたりして
微妙な気分ですが、なんとか漫画版の刊行ペースに遅れないように頑張っていこう
と思います。今後とも、どうぞよろしくお願いします。
…しまった、今回ちっとも日本沈みそうな気配がない。
日本沈没キター!!
緊迫感というか何というかすごい文章だなあ…
>日本沈没
魑魅魍魎VS野獣の図式がイイ!今後にも期待。
で、『洋』というのはもしや時系列を考えれば改造前の…?
126 :
名無しより愛をこめて:03/05/31 16:19 ID:aOvIzfEW
>116さん
ご苦労さまです。隙間をうめる短編も良いですね。
誰かのSSに乗っかるってのも手かもしれませんね。
また御願します。
>日本沈没対仮面ライダーさん
アマゾンらしさが出てて良いですね。
日本沈没は漫画がでてるのですか。ちょっと読んでみようかなぁ。
>>116 その白河某はどこぞの精神病院に入院していて涎をたらしてわめくと言うオチですか(笑)。
日本沈没キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
お待ちしてました!
しかし凄いタイトル、そして内容ですね。まず誰も思い付かないですよ。
わだつみの前にクルーザーがっ…なんてゾクゾクしました。
つづきお待ちしてますm(_ _)m
昔、少年チャンピオンコミックスで日本沈没持ってたこと思い出しました(古)
129 :
名無しより愛をこめて:03/06/01 01:44 ID:lllV3Jzv
あのぉ、新スレって過去スレのリンク貼って無いですよね。
どなたか貼れる方はいませんか?
…隔離スレ、凄い勢いで倉庫落ちした?
いろいろ修正したい気もするけど、とりあえず出します。
後で辻褄あわなくなってきたらごめんなさい(汗
轟音と共に天を焦がさんばかりの勢いで巨大な火柱が立ち上がる。
火柱の中を赤と黒の2匹の龍が昇天して行く。
2匹の龍が再び地上に降り立つ時、その姿は全く違ったものになっていた。
ゆらめく炎の中から現れる龍騎サバイブとリュウガサバイブ。
その後ろで空を舞い雄叫びを上げる赤いドラグランザーと黒いドラグランザー。
この世界のサバイブの力が今まさに1号2号のダブルライダーを急襲しようとしていた。
【 仮面ライダー Heat on!外伝/Anoter 13riders 】
【2nd Survive 第15話「ナイトII」】
2匹の龍、赤いドラグランザーと黒いドラグランザーは雄叫びと共に、1号2号のダブルライダーに向け火炎弾を連射する。
それがこの闘いの幕開けだった。それは同時にこの世界を破滅へと導く究極のサバイバルゲームの真のはじまりの合図でもあった。
空から無数の火の玉が降るかのような火炎弾の連射。これを飛びかわす1号2号ライダー。
火炎弾は地上に激突、天高く激しい爆煙と火柱を上げて、周囲を焼き尽くす。
ドラグランザーの放つ7000度の超高熱火炎弾、その威力は1発でも当れば致命傷になりかねない程であった。
さらに天使の力を得て2匹の龍も今迄以上にはるかにパワーアップを果たしているようであった。
2匹のドラグランザーの空からの集中砲火をかわし続ける1号2号ライダー。
1号2号がその強烈な攻撃に気を取られている隙に、忍び寄る2つの影。
隙をついて距離を詰めた龍騎サバイブとリュウガサバイブが1号2号ライダーに襲いかかる。
ドラグバイザーツバイから刃が伸び、剣形態となったドラグブレードで1号2号ライダーに切りかかる。
不意をつかれ直撃をくらうダブルライダー。よろめく1号2号。
龍騎サバイブとリュウガサバイブは次の攻撃をせずにすぐに距離を取る。
そこへドラグランザーの火炎弾がダブルライダーを襲う。これを間一髪でかわすダブルライダー。
だが十分な距離が取れずその爆風に巻き込まれ吹き飛ぶ1号2号。
1号・2号のダブルライダーと龍騎サバイブ・リュウガサバイブのダブルライダー、
2対2ではあるが、ダブルサバイブにはその忠実な臣下・赤と黒のドラグランザーがいた。
このダブルサバイブとダブルドラグランザーの連携に追い詰められる1号2号のダブルライダー。
龍騎サバイブ・リュウガサバイブのダブルサバイブチームは、
それぞれ赤と黒のドラグランザーの背中に乗り、今度は空から1号2号ライダーを狙う。
『シュートベント』上空からドラグバイザーツバイからのビーム・メテオバレットを放つリュウガサバイブ。
龍騎サバイブはドラグランザーに乗ったまま急降下、ドラグランザーに体当たりをさせ、
騎乗したまま自らもソードベントを振り回す。
これをかわし続ける1号2号のダブルライダー。
かわすことのみに集中している為、この連続攻撃をかろうじて喰らわずに済んではいるが、
ダブルサバイブ・ダブルドラグランザーの波状攻撃をいつまでもしのぎきるのは困難なこと、
当るのも時間の問題と言ってもよかった。
だが1号2号のダブルライダーにも予期せぬことが起った。
それは彼らにとって幸運なことに他ならなかった。
地平の彼方より砂塵を巻き上げ猛スピードで疾走し、ダブルライダーに駆け寄る影。
ダブルライダーの愛車、2台の新サイクロン号が出現したのだった。
それは以前も登場したライダーシューターが1号2号ライダーのイメージを受けて新たに具現化されたものなのか、
それともライダーの意識を感じ取り時空を越えて現れたのか定かではなかったが、
ダブルライダーにとってはまさしく天の救いでもあった。
それぞれ新サイクロン号に飛び乗る1号ライダーと2号ライダー。
ビルの瓦礫の山を飛び越え、地平を駆け、縦横無尽に疾走する2台の新サイクロン号。
思わぬ新サイクロン号の出現で、戦いはバイク戦へとその局面を移すのであった。
龍騎サイバイブとリュウガサバイブを引き離す為、全く逆方向へと走り出す1号・2号ライダー。
疾走する1号ライダーの新サイクロン号。空からこれを追う龍騎サバイブとドラグランザー。
ドラグランザーの口からは超高熱火炎弾が連射される。
これを右へ左へかわす1号の乗る新サイクロン号。連続して爆発が起る。
爆煙と炎の中を猛スピードで走り続ける1号ライダー。
その姿は往年のショッカーの闘いで見せて姿そのままであった。
2号ライダーもまた龍の背に乗るリュウガサバイブの追撃を振り切るかのように、
新サイクロン号を駆って爆煙と炎の中を激走するのであった。
空からの攻撃を諦めた龍騎とリュウガのダブルサバイブ。
ドラグランザーをバイクモードへと変形させ、それぞれ赤と黒のドラグランザーに乗り、1号2号ライダーを追撃する。
1号ライダーを追走する龍騎サバイブと赤いドラグランザー。
砂煙を上げて高速で激走する2台のマシン。
ある程度まで龍騎サバイブとリュウガサバイブを引き離すことに成功すると、
今度は1号ライダーはおもむろに新サイクロン号を反転させて、
自分を追って来た龍騎サバイブの赤いドラグランザーへと向かって走り出す。
ドラグランザーがバイクモードに変形したことは、ダブルライダーの思惑通りでだった。
今迄契約モンスターを入れて2対4の闘いを強いられて来ていたが、
ダブルサバイブがバイク形態のドラグランザーに乗っている間は2対2、
さらにダブルサバイブの2人を引き離したことで1対1の闘いが出来る状況となっていた。
1号ライダーに向かって突っ込んでくる龍騎サバイブの乗るドラグランザー。
1号ライダーもまた新サイクロン号で龍騎サバイブに突っ込んで行く。
新サイクロン号とドラグランザーは相手に向かって互いに突進し、その距離をあっという間に縮める。
火花を散らして交錯する新サイクロン号とドラグランザー。
反転して再び突っ込んで行く新サイクロン号とドラグランザー。
龍騎サバイブはその状態でカードを使う。『ファイナルベント』
向かって来る1号の新サイクロン号に龍騎サバイブのファイナルベントが発動する。
龍騎サバイブを乗せたドラグランザー(マシンモード)がウイリー走行。
その口から1号の新サイクロン号目がけて火炎弾を連続発射しながら突っ込んで行く。
1号の新サイクロンは、前部カウルから2枚のスタビライザー(サイクロンカッター)を出して滑空能力を上昇させ、
ドラグランザーが放った火炎弾を上空に大きくジャンプしてこれをかわす。
1号はそのままサイクロンカッターを展開させて体当たりするサイクロンアタックをドラグランザーに決めようと狙う。
だがウイリー走行状態のドラグランザーは上半身だけマシンモードを解除、龍のその2本の手でサイクロンを受け止める。
一瞬だが新サイクロン号はちょうどドラグランザーの頭部の真正面に位置することとなる。
ドラグランザーは超近接状態から新サイクロン号に向かって口から火炎弾を放とうとする。
それを察知した1号ライダーはドラグランザーの顎を下から蹴り上げる。
蹴られた勢いでドラグランザーの顔は上空を向き、そのまま口から火炎弾を発射する。
空の彼方へ向かって飛んで行く火炎弾。1号ライダーはあやうく超近接状態から火炎弾の直撃を喰らうところであった。
息をもつかせぬ攻防を繰り広げる1号ライダーと龍騎サバイブ。
新サイクロン号に乗る2号ライダーと黒いドラグランザー(マシンモード)に乗る龍騎サバイブもまた激闘を繰り広げていた。
宙を飛ぶ新サイクロン号とドラグランザー。
新サイクロン号のスタビライザー・サイクロンカッターが空を裂き、ドラグランザーの超重量級が空を突き破る。
空中で火花を散らし交錯する2台のマシン。着地後反転して互いに向き合う新サイクロン号とドラグランザー。
2号の新サイクロン号が黒いドラグランザー目がけて再び突進を開始する。
黒いドラグランザーは後輪を宙に浮かせ、前輪だけで立ち、前輪を軸にその場で回転をはじめる。
その体勢のままでドラグランザーの後部はマシンモードを解除。
ドラグランザーの黒い巨大な尻尾が高速回転しながら、新2号のサイクロン号の側面に襲いかかる。
これを空中にジャンプしてかわす2号の新サイクロン号。そのまま回転の中心軸を目がけ、サイクロンアタックを試みる。
だがその中心軸ではリュウガサバイブがこれを迎撃、ドラグバイザーツバイからのビームが新サイクロン号に放たれる。
2号ライダーは新サイクロン号から空中で飛び降り、そのままリュウガサバイブにライダーキックを炸裂。
これを防御するリュウガサバイブ。
ダブルライダーとダブルサバイブ、その闘いを高所より見ているミカエル。
「なるほどな、1対1の状況に持ち込んだか。1対1ならキャリアでどんな相手でも引けは取らぬということか。
さすがは歴戦の勇士だけのことはある。攻撃力・破壊力のダブルサバイブ、キャリアのダブルライダーというところだな。」
冷静にその戦局を分析するミカエル。「だがこちらもそれでは困るのでな」
今迄見ているだけであったミカエルが動き出した。
ミカエルは上空より光球を発し、1号ライダーを襲う。
龍騎サバイブもドラグランザーのマシンモードを解除し、空を舞うドラグランザーの背に再び乗る。
そしてミカエルと共に上空より火炎弾を連射する。
光球と火炎弾の集中砲火の中を、新サイクロン号を駆る1号ライダー。
だがその行く手はミカエルの光球で遮られ、1号の新サイクロン号が走るルートは自ずと決められてしまっていた。
そう1号ライダーが走り着く先にあるもの、それは2号ライダーとリュウガサバイブの戦場であった。
ミカエルは引き離された龍騎とリュウガを合流させたのであった。
赤と黒、2匹のドラグランザー、龍騎サバイブとリュウガサバイブのダブルサバイブ。
それぞれが放つ火炎弾とビームの集中砲火が、1号2号の新サイクロン号を襲う。
いたる所で爆発が起り辺り一面が火の海と化す。
2台の新サイクロン号は遂に攻撃を避けきれなくなり、爆風に巻き込まれ吹き飛ばされる。
新サイクロン号から投げ出される1号と2号ライダー。ダブルライダーは地面に強く叩きつけられる。
そこを狙い撃ちする黒いドラグランザー。
雄叫びと共に放たれる火炎弾が空を焼き焦がしながら、ダブルライダーを目がけ加速する。
もはやダブルライダーにこれをかわす術はなかった。
その瞬間であった。『ブラストベント』ダークレイダーが翼のホイールを回転させて竜巻を起こす。
ドラグランザーの火炎弾はその竜巻に呑み込まれて威力を弱め軌道を変える。
1号2号ライダーの窮地を救ったのは、誰あろうナイトサバイブであった。
『トリックベント』ナイトサバイブ自身が数体に分身する、シャドーイリュージョン。
数体のナイトが宙を舞い、空を駆け、2匹のドラグランザーと龍騎サバイブ、リュウガサバイブを撹乱する。
その隙に体勢を立て直す1号2号ライダー。
再び上空より高みの見物をしていたミカエル。その見つめる先はナイトサバイブの姿であった。
「彼はもう手遅れなのかもしれない。
彼は城戸真司と共にいる時間が長すぎたのだ。城戸真司の影響を受けすぎてしまっている。
本人もおそらくは気づいてはいないだろうがな。いや認めたくないだけかもしれんな。
いずれにせよ彼の真意を確認する必要がある。」ミカエルはそう言うとその場から姿を消す。
「彼らの目的は人間を襲うことでも、街を破壊することでもない、俺達ライダーを抹殺することだけだ。」
「わかっている、ここで一時撤退しても問題はないということだな。」
「ここは一度引いて体勢を整えよう。少なくとも龍騎一人の時でなければ、真司を説得することも不可能だろう。」
1号2号ライダーはこの場を離脱することを決意する。
「ナイト、ここは止むを得んが撤退するぞ」2号ライダーはナイトにその意志を伝える。
「仕方あるまい。」ナイトもこれに同意。「上手く奴らを振り切れよ」「あんた達こそな」
1号2号とナイトはそれぞれ新サイクロン号、ダークレイダーに乗りその場を離脱する。
廃墟と化した教会に戻っていたミカエル。
ミカエルの前に姿を現す、12天使のうちのひとりガブリエル。『神の力』の名を持つ者。
「ナイトとやらの担当は貴公であったな、ガブリエルよ。」
「いかにも。ナイトは今迄我らとは関わりを持たぬというスタンスを貫いてきた。
それ故、我も今迄あ奴に干渉することはしてこなかった。」
「ガブリエルよ、今一度ナイトの意志を確認するのだ。彼もまた我らに弓引く者となるやもしれん。
いやもう既に遅いかもしれん。奴は城戸真司と長く時を共にし過ぎたのだ。
もし奴が我らの意向に添わない時、その時は奴の人間のか弱き心を突くがいい。」
「助けられたな、秋山君」人間の姿に戻った1号ライダー・本郷猛は、ナイト・秋山蓮に礼を言う。
「この間助けれられた借りを返しただけだ」相変わらずクールさを装う蓮。
「それに今の城戸にあんた達を殺させる訳にはいかない。
それが本当の城戸の意志なら俺も止めはしないが、操られた城戸では話にならん。
あんた達を殺した後では、元の城戸に戻ったとしても自ら再び死のうとしかねないからな。
そんな大騒ぎはまっぴらごめんだ」蓮流の口ぶりだがそこには真司への想いが見え隠れする。
「神崎が言うように、俺達この世界のライダーとあんた達別世界のライダーが共存出来ないのなら、
いずれは俺もあんた達と闘うことになるだろう。」
「だが今はまだその時ではないと俺は思っている。
城戸を元に戻すまでは、俺はあんた達の敵となることはない。それだけは言っておこう。」
蓮は本郷猛・一文字隼人に自らのスタンスを語った。
「真司を元に戻したら、真司とはどうするつもりだ?」本郷猛は蓮の気持ちを確かめる。
「城戸を元に戻したらか、、この世界を正常に出来るものなら正常に戻したい。
俺は今迄天使とやらとのいざこざを避けて来たが、今日の奴らのやり方を見ると、
奴らとも闘わなければならなくなるだろうな。」
「真司とはやはり闘わなければならないのか?」
「城戸が正常に戻り、この世界が正常に戻ったら、
互いの覚悟を確認した上でとことんまでやりあうしかないだろうな。それがこの世界のライダーの掟だ。」
「・・・」本郷猛は蓮の決意が変わってはいないことを知る。
今度は一文字隼人が蓮に尋ねる。
「真司を正常に戻す、その可能性はゼロかもしれないし、そうではないかもしれない。
だが俺達は真司を元に戻せると信じてその為の最善を尽くす。
秋山、それは恵里さんに対しても同じことではないのか?
お前は恵里さんを救う道はもはやライダー同士の戦いで最後のひとりになるしかないと
思い込んでいるようだが、果たして本当にそうなのか?
他にも恵里さんを救う可能性があるんじゃないのか?
お前はその選択に辿り着くまでに本当に最善を尽くしたのか?」
蓮にとってその一文字の言葉は痛いところをつかれたものであった。
確かに蓮とてそれを考えなかった訳ではなかった。
ことの元凶である神崎士郎を倒せば、恵里の意識は戻るかもしれないし、
恵里が意識をなくした直接的なきっかけとなったダークウィングを倒せば、
恵里の意識は戻るかもしれないと考えたこともあった。
(ライダーの闘いにしても、契約モンスターのみを倒して現実世界でカードデッキを破壊すれば、
他のライダーを殺さずともリタイアさせることが出来るかもしれにないと考えたこともあった。)
だがどれも可能性は100%ではなかった。
さらに失敗した時は確実に恵里の意識はもう2度と戻らないという大きなリスクがあった。
それ故、蓮には絶対的な確信を持てぬ方法を試すことは出来なかったのだ。
「あんたの言う通り他に可能性はあるのかもしれない。
だが不確実なものに恵里の命を賭ける訳にはいかない。
唯一確実な方法は俺がこの闘いで最後のひとりになるまで生き残ることだ。」
「ライダーの闘いで最後のひとりになるまで勝ち続けること、それも不確実なことには変わらないだろう?
お前が死んだら彼女の命はそこで終わりだ。それはお前自身充分にわかっているハズだ。
お前は他の方法を選択して、恵里さんの意識が2度と戻らなくなることを怖れているだけなんじゃないのか?
秋山、俺にはそんなお前が、恵里さんを守れなかったことを責めて自らに罰を科し、
死に場所を求めているようにも見えるんだよ。」
「それは違うな。確かに俺はこの命惜しくはないが、
例え俺が死んでも恵里は救わなければならない。それが俺の覚悟だ。」
恵里の病室を訪れる蓮。ベッドに横たわり意識もなくただひたすら眠り続ける恵里を見つめる蓮。
モンスターの大群によって瓦礫の山、ゴーストタウンと化した街は今はまだごくわずかであった。
恵里が眠る病院もまだモンスター襲撃の被害にはあってはいなかった。
「、、恵里、、」蓮の心の中には今迄のこと、真司のこと、そして一文字隼人の言葉が何度も浮かぶのだった。
確かに蓮にとっては神崎士郎が提示した、闘って最後のひとりになること、それ以外の道は選べなかった。
自分が他の方法を試すことで恵里を失ってしまうこと、それだけはどうしても避けたかった。
それならば自分が最後まで命を賭けて闘うことを選んだ、それが蓮の選択でもあったのだ。
だが改めて一文字隼人によって突きつけられた言葉が蓮の心には引っかかっていた。
眉間にしわを寄せ、じっと一点を見つめ考え込む蓮。
恵里を見つめる蓮とベッドに眠り続ける恵里。その病室は次第に暗い闇の世界に引きずり込まれて行く。
蓮と意識のない恵里だけを残して。そして闇の中より姿を現すミカエル配下の天使・ガブリエル。
「天使というのは、どうやら随分無粋らしいな。」驚きを隠し、突如現れた天使・ガブリエルに強気の姿勢を見せる蓮。
「それは誤解だな、青き闇の騎士。そなたが闘う理由はその女の為。
それ故我は、そなたとその女をこの闇の世界に招いたのだ。その女の前でそなたの本心を聞く為にな。」
「我らはその女をどうにでも出来る、その事を知っておいてもらいたかったのだよ。予めそなたにな。」
「人心操作の次は脅迫か?天使というのは、どうやら随分と姑息らしいな。」蓮は強気の姿勢を崩さない。
本心はかなり焦ってはいたが、ここで弱気を見せる訳にはいかなかった。蓮はその事を充分に承知していた。
「それも誤解だな、青き闇の騎士。確かに我らにとってはその女を生かすも殺すも容易きこと。
我らに瞬間移動の能力がある以上、いくらそなたが必死になったところで、守りきれるものではない。
だが、我らにとってはその女を殺す価値はない。その女を殺したところで、そなたの願いが
『意識を取りも出す』から『死んだ人間を甦らせる』に変わるだけであろう。」
「それともうひとつそなたは誤解している。城戸真司とやらは、決して我らに操られただけでそなた達の敵となった訳ではない。
あ奴は悩んでいた、この世界を救う方法を知って。
ライダーの闘いを止め、ミラーワールドを閉じ、すべての人間を救い、死んだ人間ですら甦らせる方法があることを知って。」
我らはあ奴にこう教えたのだ。すべてのライダーを倒し、最後のひとりになったらこう願え、
『時間を戻して、ミラーワールドの存在しない世界にしろ』と。だからあ奴は迷っていた。」
強気を見せ続けていた蓮の顔色が若干変わった。蓮とてそれを考えたことがなかったわけではなかった。
だがミラーワールドの存在自体を否定する願いが通用するとは到底思えず、自らそれを却下してしまっていた。
それが願いとして適用されるのであれば、城戸が迷っていたという言葉も全くの偽りと否定することも出来ない、蓮はそう思った。
「あ奴は本心では、それを望んでいた。すべてをなかったことにする、その選択をしたがっていたのだ。
だが、そなたをはじめとするこの世界のライダー達、そして本郷猛をはじめとする別世界のライダー達、
そのしがらみがあ奴にそれを選ばせることを許さなかった。」
「だから我らはあ奴の心を解放してやったのだ。しがらみを捨て、自分の心のままに行動すること、
その自由をあ奴に与えてやったに過ぎない。だから我らがあ奴を操っているというだけではない。それはあ奴が望んだことであるのだ。」
蓮の心の中に大きな波紋が広ろがりはじめていた。
そこへ天使・ガブリエルからダメ押しの提案がなされる。
「その女をこの空間に呼んだ、もうひとつの理由がある。
先程も言ったが、その女を生かすも殺すも我らにとっては容易いこと。我らにはその女の命を狙う理由はない。」
「だが逆にその女の意識を取り戻すことには意味があるかもしれん。その意味をそなたがつくってくれるというのなら。
我の言っていることがわかるか?青き闇の騎士。」蓮は息をのむ。
「つまり、恵里を助ける代わりに、俺にお前達の僕(しもべ)になれということか?城戸のように」
「城戸真司とやらのように、僕である必要はない。ただ我らと敵対しない、そう約束を交わすだけで良いのだ。
そう約束を交わすだけで今目の前で眠り続ける女の意識を取り戻すことが出来る。そなたの願いが叶うのだ。
そうなってもライダーである以上、そなたは闘い続けなくてはならないが、
既に願いは叶えられているのだ、途中でそなたが倒れても悔いはないだろう。
どうしても生残りたければ今迄通り必死で闘えばいいだけのことだ、そなたの好きにすればいい。」
天使は蓮に再び究極の選択を突きつけたのであった。
当然、蓮には天使の言う事を信用することは出来なかったが、
これが恵里を救う唯一のチャンスかもしれないという思いもあった。
蓮も30人を越えるライダーの中で生き残って最後のひとりとなることが困難なことであることはわかっていたからだ。
「お前達はいつもそうやって人の心の弱みにつけ込んでくるんだな」
「心外だな、青き闇の騎士。我らはそなたの為を思って提案しているのだ。
そなたにとってはむしろ千載一遇のまたとない機会だと言ってもいいだろう。」蓮の心中は激しく動揺していた。
「お前達はこの世界は滅び行くと言っていたな、、、
だとしたら、今恵里を元に戻してもいずれは滅んでしまうということ、、、
だったらやはり順序は逆だな、この世界の破滅を回避してから、恵里を救うべき、、」
蓮は動揺する心を落ち着け、冷静に考え答えを導き出そうとする。
だが天使の甘い囁きはその蓮の冷静さすらをも奪おうとするのだった。
「我らの目的はこの世界の破滅というわけではない。モンスターの大量出現が結果的に破滅に繋がるというだけだ。
我らの目的はもっと別のところにある。そなたに語って聞かせるわけにはいかんがな。
破滅を止めたいのなら止めても構わないのだ。そなたはただ我らと敵対さえしなければいいのだ。」
見つけかけた答えを失う蓮。
「お前らのやり方を目の前で見た今、お前らを信用しろと言うのは難しい話だな。」
「我らのやり方が非道かどうか城戸真司とやらに聞いてみるがいい。
今のあ奴の状態では答えてくれるとは思えんがな。」天使・ガブリエルは皮肉な笑みを浮かべる。
「今すぐに答えを出せとは言わん。よく考えるのだな、青き闇の騎士。」
そう言い残し姿を消す天使・ガブリエル。蓮と眠っている恵里は元の病室に戻るのであった。
大量の汗をかいている蓮。その心には明らかに迷いが生じはじめていた。
恵里を見つめる蓮。「、、恵里、、俺は一体どうしたらいい?、、」力ない言葉で恵里の寝顔に呼びかける。
天使を信頼することは出来ない、天使の誘惑を受け入れる気もない、だからと言って完全に否定しまうことも出来ない。
それ程に天使・ガブリエルの提案は蓮にとって魅力的なものに他ならなかった。
恵里を救う為に自ら望んで修羅の道を歩んで来た蓮。
以前の蓮ならもしかしたら、天使の申し出を受け入れていたかもしれない。例えそれが真っ赤な嘘であったとしても。
だが真司を友として認めた今の蓮には天使の申し出を受けることは出来なかった。
蓮は心の中で思う。もしかしたら自分は恵里を救う最大の機会を失うことになるかもしれないと。
「、、恵里、、本当にそれでいいのか?、、」
そして蓮は真司のことにも思いを馳せる。
「城戸よ、お前も俺と同じように迷っていたのか?究極の選択を迫られ、迷い、悩んでいたというのか?
そして奴の言う通り、みなを救う為にお前は闘うことを望んでいたというのか?」
だが今となってはその答えすらも、真司本人の口から語られることはなかった。
蓮は今現在の自分の心の迷いを真司に投影して、真司の心の迷いを勝手に思い描きはじめていた。
そして真司に対し疑心暗鬼になりはじめていた。それもまた天使・ガブリエルの術中であることに蓮は気づいていなかった、
恵里と真司、蓮が問う相手は、今となっては何も答えてくれぬ人たちばかりであった。
蓮は強い孤独を感じずにはいられなかった。それが真司と蓮との決定的な違いでもあった。
その人柄から周囲の人間に好かれ、支えられていた真司。
すべてを何かもひとりで背負い込んで悩み迷い苦しみ続けて来た蓮。
蓮は恵里を失ってから常に孤独であった。そして恵里以外にはじめて心通わせることが出来た真司。
その真司すらも今は失い、その真司すら蓮は信用出来なくなっていた。
廃墟と化した街並み。以前巨大なビル群であったその姿は今や瓦礫の山へと変わり果てていた。
ゴーストタウンを舞う影が2つ。その影の主は龍騎サバイブとナイトサバイブであった。
瓦礫の山を跳ね回り、宙で交錯し剣を交える龍騎サバイブとナイトサバイブ。
瓦礫の山を跳躍のみで駆け上がり、その頂きで空に舞い、それぞれの契約モンスターである、
ドラグランザーとダークレイダーの背に飛び乗る2人のライダー。
ドラグランザーが雄叫びと共に火炎弾を吐き、ダークレイダーの起こす竜巻がこれを呑み込む。
突進し正面から激突するドラグランザーとダークレイダー。
2匹のモンスターは一歩も譲らず互角の肉弾戦を空中で繰り広げる。
天使・ガブリエルの言葉に心を乱されてしまったナイトサバイブこと秋山蓮。
「城戸っ!お前は本当に迷っていたのかっ!? 応えろっ、城戸っ!!」
蓮は城戸真司には決して届かぬ言葉を叫び続ける。
それは自分自身の心の中の迷いに対して問いかけているかのようでもあった。
そんな蓮の心中を嘲笑うかのように龍騎サバイブの容赦ない攻撃が続く。さらに高度へと上昇するドラグランザー。
ダークレイダーの頭上で動きを止め、ダークレイダーに向かって一気に急降下をはじめる。
勢いをつけてダークレイダーに体当たりするドラグランザー。轟音となって響き渡る鈍い金属音。
さらに龍騎サバイブはドラグランザーの背を飛び降りて、
落ち行くダークレイダーの背に乗るナイトサバイブに切りかかる。
高空からの落下の勢いをつけて振り下ろされた龍騎サバイブの剣はナイトサバイブの胸部を切り裂く。
火花が散り、金属音が鳴り、ナイトサバイブはダークレイダーの背中から振り落とされ、
そのまま地上に向かって落下して行く。
はるか高空から落ち行くナイトサバイブ。蓮はこれが自分の最後の時だと覚悟する。
その時であった、蓮の脳裏にはふとあの時の光景が鮮明に甦る。
蓮の腕の中で今にも息を引き取りそうな城戸真司。そして真司が残した言葉。
『俺さ・・・昨日からずっと考えてて・・・答え出なくて・・・でも・・・・さっき思った・・・
俺やっぱり闘いを止めたい。ミラーワールドなんか閉じたいって・・・
きっとすげえツライ思いしたりすると思うけど・・・それでも止めたい・・・
それが正しいか間違ってるかとかじゃなくて・・・俺もライダーの1人として・・・・
かなえたい願いが・・・それなんだ・・・!』
落ち行くナイトサバイブ・秋山蓮はその時の真司の言葉に偽りはないと確信する。
「城戸、俺は今確信した、お前は自分が信じた道を進もうとしていたと。
ならば俺も自分が信じた道を進むまでっ!!」
地面に直撃直前、猛スピードでナイトサバイブに駆け寄り、ナイトサバイブを背中でキャッチするダークレイダー。
ダークレイダーはそのまま地面にゆっくり着地する。
瓦礫の山に駆け上がり、空を見上げるナイトサバイブ。
そこに龍騎サバイブとドラグランザーの姿はなかった。
だがその代わりにナイトサバイブの正面向かいの瓦礫の山に天使・ガブリエルが腕組をして立っていたのだった。
「我らを受け入れることは出来ぬと言うのか?青き闇の騎士。」
ナイトサバイブは瓦礫の山に立ち尽くす。激しい風がナイトサバイブのマントを揺らし続ける。
「お前達の僕となった城戸と再び闘って、改めて俺は奴の覚悟を確信することが出来た。
お前の言っていた事は嘘だ。城戸に迷いはなかった。」
「その気持ちを知って俺も覚悟を決める事が出来た。俺は俺の信じた道を行くのみ。」
「闘うことだけを考えていたその方も、しがらみや筋や道理などというくだらぬものに捕らわれるようになってしまったか。
城戸真司とやらに悪影響を受けてしまったようだな。ミカエル殿の申される通りもはや手遅れ、残念だ青き闇の騎士。」
「俺はこの闘いを通して城戸と出会い、俺自身も気づかぬうちに確かに変わったのかもしれない。
この世界にも城戸のような人間がいて、俺は心の何処かでホッとしていたのかもしれない。
だが俺には城戸のような生き方は出来ない。俺には俺の生き方がある。俺はそれを貫くだけだ。
そして城戸には城戸の生き方がある。俺には城戸のような生き方は出来ないが、
俺は城戸の生き方を否定しない。俺は城戸の生き方を心の何処かで認めている。」
風はますます激しくなりナイトサバイブのマントが空にはためく。
「やはり我らに弓引くと言うのか、青き闇の騎士。それがお前の出した答えだと言うのだな。」
「城戸真司は城戸真司でなければならない。奴の心は何者によっても邪魔されてはならない。
友の尊厳を踏みにじるというのなら、お前達は俺の敵だっ!」
黒いマントをなびかせて天使・ガブリエルを見据える、それがナイトの決意。
「おもしろいっ、ならばその決意見せてもらおうっ!!」
天使・ガブリエルは手を振りかざし、強力な衝撃波を放つ。瓦礫の山に立つナイトサバイブを襲う衝撃波。
黒いマントを翻し宙に舞うナイトサバイブ。衝撃波は瓦礫の山を粉微塵にする。
空を駆けるナイトサバイブに衝撃波が次々と放たれる。これを空中でかわすナイトサバイブ。
地に着地するナイトサバイブ、その瞬間を再びガブリエルの衝撃波が襲う。
間一髪で衝撃波をかわし再び宙を舞うナイトサバイブ。
ダークレイダーがガブリエルの背後より、超音波を放つ、ソニックブレイカーで奇襲をかける。
その隙に着地したナイトサバイブはカードを装填する『シュートベント』
ダークバイザーツバイが変形してレーザーボーガンとなり、ダークアローが連射される。
ダークレイダーを近接距離からの衝撃波で吹き飛ばすガブリエル。
ダークレイダーは無人となったビルに激突、轟音と砂煙が起こる。
ナイトサバイブのダークアローをエネルギーシールドで防御するガブリエル。
ダークアローが止むと再び衝撃波を放つガブリエル、衝撃波はあたり一面を吹き飛ばす。
無人のビルは崩れ落ち、コンクリートの塊となって飛散する。
砂煙の中にマントをなびかせ立つナイトサバイブ。
ダークブレードの鞘に当たる盾・ダークシールドでこれを防御していたのでだった。
だがナイトサバイブもガブリエルの攻撃の前に不用意に近づくことが出来ない状態であった。
ナイトサバイブが手を出しかねているところへ現れる2号ライダー。
ナイトサバイブに気を取られている隙をついてガブリエルに蹴りを入れる。
「また随分と世話焼きな奴が現れたもんだな」
「お前の決意は聞かせてもらった、俺も力を貸そう、お前の決意の為に」「勝手にしろっ」
ナイトサバイブと2号ライダーは地を駆け、空を舞い、不規則な動きでガブリエルに近づく。
2人の変則的な動きにひとりでは対応出来ないガブリエル。衝撃波を乱射するが次第にその隙も大きくなる。
ナイトサバイブのダークバイザーツバイに収納された、伸縮自在の剣・ダークブレードが遂にガブリエルを捉える。
これをエネルギーシールドの盾で受け止めるガブリエル。そこへ2号ライダーの鉄拳、ライダーパンチが炸裂する。
2号ライダーの鉄拳が決まり一瞬動きが止まるガブリエル。
『ファイナルベント』その隙にナイトサバイブはダークレイダー(マシンモード)に搭乗し、
カウルからの光線でガブリエルを足止め、自らと車体をマントで包み込んでミサイル状になり、ガブリエルに超高速で突っ込んでいく。
ガブリエルはエネルギーシールド最大出力でこれを防御する体勢で迎えうつ。
疾風断がエネルギーシールドに真正面から衝突、先端がエネルギーシールドに突き刺さる。
その状態で両者の力は拮抗、火花を散らして力比べとなる。
疾風断はガブリエルのエネルギーシールドを打ち破るが、その威力はほとんど相殺されてしまっていた。
だが疾風断のすぐ後ろから2号ライダーの乗った新サイクロンが宙を舞い、ガブリエルにサイクロンアタックを直撃させる。
疾風断とサイクロンアタックの二段攻撃を受けダメージを負ったガブリエル。
「今日のところはこれまでか。だがこのままでは終わらんぞ。そなたとて女のことを救いたいはず。
また違うカタチでそなたの答えを聞かせてもらうぞ。面白い趣向を凝らしてな。」
ガブリエルは意味ありげな言葉を残してその場から姿を消すのであった。
ゴーストタウンでナイトサバイブと2号ライダーの戦い振りをずっと見ていた城戸真司。
ナイトサバイブも城戸真司の存在に気づく。「城戸っ!」
だが城戸真司はナイトサバイブに背を向け、瓦礫と化したビル群の中に消えて行く。
空を旋回していたドラグレッダーが雄叫びを上げ、城戸真司の後を追って行く。
ナイトサバイブは城戸真司を追わず、その消え行く先をじっと見つめていた。「、、城戸、、」
変身を解除した秋山蓮と一文字隼人。蓮は改めて再び、今の自分のスタンスを一文字隼人に語った。
「今はあんた達の敵ではない。だがいずれはあんた達とも闘うことにもなるだろう。」
「だが、お前はいきなり背後から俺達を切りつけるようなことはしないだろう。
騎士の名を持つ仮面ライダーだけのことはあるからな。」
「なあ、秋山。俺達は別の世界で長年に渡り敵と闘い続けて来た。
だが、いつでも100% 勝てる可能性があったわけじゃない。
いやむしろ勝てる可能性の方が低いことの方が多かった。
時にはその可能性は限りなくゼロに近いことだってあった。
それでも俺達は、わずかな可能性に賭け、闘い、勝利を掴んで来た。
わずかな可能性をつないで、紡いで、奇跡を起こす、
それが俺達の世界の仮面ライダーと言うものだ。」
「あんたの言いたい事はわかる。だが俺には俺の生き方を通すことしか出来ない。」
「そして、、俺には俺の生き方があるように、あんたにはあんたの生き方があるだろう。
あんたはあんたでやりたいようにやればいい。」
「それがお前さんを止めるということでもか?」
「勝手にしろ。俺は俺が選んだ修羅の道を突き進むだけだ。」
秋山蓮もまた一文字隼人に背を向け、瓦礫と化したビル群の中に消えて行く。
強風にロングコートをなびかせ、逆風の中をその歩を止めることなく。
それは彼のこの先の道程が辛く困難であることを暗示しているかのようでもあった。
そして、ミラーワールドの最深部。ひたすら増殖を繰り返すモンスターの群れ。
その数は既に数百を越え、なお増殖は止まることはなかった。
モンスターの大群は時が満ちるのをじっと待っているのだった。現実世界に飛び出す時が来るのを。
その光景を眺めているミカエル。「サバイバルゲームはまだまだこれからが本番なのだよ」
そう言い高笑いするミカエル。その笑い声はいつまでもミラーワールドに響き渡っていた。
龍騎とナイトは話の核なので長いくなってしまうのでお許しを。
・シザース編:クウガアルティメット黒目対赤目
・ゾルダ編:ダブルゾルダ
・ガイ編:謎の集団『メタルゲラス』って何?
・ライア編:思案中
・王蛇編:思案中
・タイガ編:ダブルオルタナティブ再び?
・ベルデ編:G3、G3-X、G3マイルド、G4登場
・ファム編:やぶれかぶれのファム
・リュウガ編:思案中
・オーディン編:Jの巨大化
リクエストのあったRX対オーディン、アギトシャイニング対オーディンを予定
という感じで予定しておりやす
ピタリとレスが止まった、、引いたかな(汗
シザース編を続けてもよいものか、ageてもよいものか、微妙?
おお、暫く読まないうちにHeat on!外伝の続編が!!
しかも長編で読み応えもバッチリ!
シザース編期待してます。頑張ってください!!
>>仮面ライダー Heat on!氏
蓮カコイイ!!これからも頑張ってください。期待してまつ!
個人的には教授の再登場と氷川君の登場がうれしい・・・
アクセル555の弱点
1.発動まで手間がかかる
2.フォトンブラッドが最大出力になり、銀色になる(超不安定で危険な状態)
ぐらいかな
あとはもう無敵同然、音速を超えるんだから衝撃波だけで
敵を倒せそう
161 :
160:03/06/04 17:13 ID:y9xP65J7
>>160 スイマセン、誤爆してしまいました
無視してくだされ
162 :
415:03/06/04 21:56 ID:WzqxsZxV
申し訳ありません、たいへんごぶさたしておりました。
諸事情で、PCの使えない状態が続いておりまして……。
第十四話はもうしばらくお待ちください。
十四話は話の都合上、前後編に分けずに掲載する予定ですので、
ボリュームのあるものになりそうです。
展開的にもいろんな意味でなかなか面白いことになってます。
そして。
遅ればせながらご挨拶を……
>『仮面ライダー Heat on!外伝』 作者さま
新スレ建ておつかれさまでした。
作品のほうも読ませていただきました。
……ちょっとあの……漣@ナイトサバイブ&ダークレイダーがかっこよすぎて……どうしよう。(笑。どうもするな)
『青き闇の騎士』ってのが非常にツボにはまりました。かっこイイ……。
今後の展開にも、おおいに期待させていただきます。
このスレ的に夏の映画はどうかな?
昭和好きだからイラネ、つまんねーこと聞くな
あまり事前情報集めすぎても面白くなくなるからスレで小耳に挟む程度しか
聞いてないけど、今出回ってる話が本当なら妄想の余地が大きくて良さげだ
とは思う。公開後は映画ネタのSSが雨後の筍みたいに出たりしてw
逆に、嘘バレを倉庫からひっぱりだしてきて加工したら
案外面白いアナザー設定ものになるかもね。
アギト放映前の設定予想?とか。
169 :
名無しより愛をこめて:03/06/08 22:40 ID:GhuMNSSY
a
今更ですが、ご挨拶いただいたみなさまありがとうございます。
みんなで投稿頑張りましょ、よろしく。
555は龍騎編の後のHeat on!の続編にあたる新シリーズで出す予定です。
(新シリーズ『仮面ライダーHeat on!/純粋なる狂気(仮題)』)
<そこまで辿り着くのはいつになることやら(汗
もしかしたら同時進行でやるかも
映画は私的には1万人ライダーの方が気になります。
もしかしたら龍騎編で1万人のG3軍団とかやっちゃうかも(汗
シザース編は来週末あたりでしょうか
<今週末は忙しくて無理でした
以上、近況報告のみですいません
今回の映画、スマブレはライダー史上はじめて世界征服を達成した
組織なんだな。
>>167 仮面ライダーCとかアグラーとか?
>>170 555までやるのかい。
ここまでくるとHeat on外伝じゃなくて別シリーズでやった方がやり易くないか?
555は『外伝』じゃなくて、簡単に言うと『仮面ライダーHeat on!2』に出るってことです。
<ヒートが出てくる本編に戻ります
全く違う話にしないのは、全く違う世界観をまたイチから組むのが大変というのと、
『2』の構想が割りと555を組み込みやすいものになっているからです。
現段階での構想では、、、
大首領が倒された後の世界で、ショッカーの恩恵を受けていた人間達、
世界中の指導者、財界人、企業などなどがショッカー大首領を復活させようとするところから続編ははじまり、
そのメンバーの中にスマートブレイン社も入っていて、555の話が絡んで来ます。
<後は555の方の展開次第ですけど
そこまで続けられるといいんですが(汗
>>173 >『仮面ライダーHeat on!2』
是非やってみてくだされ。
555のファンとしては嬉しい限りです。
さぞ難しいとおもいますが焦らず手間暇かけて構想を練れば大丈夫でしょう。
アギトシャイニング対オーディンをに一票
ところで仮面の力さんと白い青年さんはどうしたのだろうか?
早く続きが見たいです
176 :
名無しより愛をこめて:03/06/15 00:18 ID:JOq+ds//
白い青年は秋山ロンだろ
177 :
名無しより愛をこめて:03/06/15 00:33 ID:Y9pg1asQ
面白い推理ですね。白い青年さん=秋山ロンさん
で、その根拠は?
178 :
名無しより愛をこめて:03/06/15 06:17 ID:vQDDigcj
>>177 両方の作品を読んでみな。
同じ言葉とか同じ表現とか類似点が多いから。
仮面と力 第21話「激闘」
アンノウンが爆発した音が未だ辺りに響き、砕けた地面が周辺に撒き散る
激戦の痕が痛々しく残る現場に到着した空我とG3はアマゾンと2号の前に立った
「遅くなりました、一文字さん」 「ああ、待ってたぜ」
二人は、お互いにサムズアップをかざし、変身を解いた
ベルトから光を発しながら、二人の身体があっと言う間に元の人間の姿に戻る
その二人を見て、G3も自分の仮面を外し、アマゾンも変身を解いた
4人の戦士が自らの素顔を晒す
そして、雄介がアマゾンに名刺を配り
氷川が一文字とアマゾンの手をG3装着時の力で思いっきり握手したり
一文字が初体面なのに氷川を不器用と罵ったり
4人が騒がしく自己紹介をする中、ギルスはその場を後にした
30mくらい歩いた所で、目の前の光景にギルスは一瞬頭が真っ白になった
目の前に、口から血を流し命を失った榊亜紀とその横に立つAGITΩがいた
数分前、榊亜紀はアンノウン、パンテラス・マギストラと対峙した
必死の抵抗も空しく、その命はマギストラによって奪われてしまう
そこにAGITΩが到着、マギストラを倒し、既に死体となった亜紀を抱き上げた
だが、それがギルスの目には、AGITΩが亜紀を殺したように見えたのだった
こいつが亜紀を殺したッ!!! ギルスの心にAGITΩへの怒り・・いや殺意がみなぎった
そして獣のような雄叫びをあげてAGITΩに向かって飛び掛った
その声は、一通り自己紹介が終わり、帰ろうとした4人にも届いた
「「「「!!!」」」」 全員が一斉にその方向に振り向く
そして、全員それぞれ自分のバイクに跨り(アマゾンはサイクロン号に乗った)現場へと急行した
「!アギト!!」 G3の仮面をつけた氷川が叫ぶ
そこではギルスとAGITΩ(フレイムフォーム)がクロウとセイバーで斬り合っていた
「二人を止めるぞ!変身だっ!!!」 一文字が皆に呼びかけ、変身する
それに同意するように、雄介とアマゾンは再び異形の姿へと変身した
「トゥ!!」「ガァゥ!!」 ギルスにG3とアマゾンが飛び掛り
空我と2号がAGITΩに飛び掛る、二人の身体が引き離された
そしてその隙にAGITΩは逃げ出し、空我と2号はそれを追った
「ヴアァァァァァ!!!!!」
戦いの邪魔をされたギルスは、怒りの咆哮をあげながらG3とアマゾンに矛先を変えた
自分を拘束する二人を、凄まじいパワーで投げ飛ばす
G3の身体はゆっくりと放物線を画きながら宙を舞い、遠くに固めてあった廃材の中にぶち込まれ
アマゾンはその場に叩きつけられ、地面の上を転がった
そしてギルスは、アマゾンに止めを刺そうと20メートルくらい跳躍し、右のヒールクロウを振り上げた
アマゾンは体勢を立て直し、咆哮をあげながら自らに迫るギルスを鋭く睨む
「大!切!!断!!!」 ギルスに向かってアマゾンが跳んだ、二人の身体が空中で交差する
その瞬間、ヒールクロウとアマゾンの腕がガキンという金属的な音を立ててぶつかり、ヒールクロウが折れた
だがギルスは、もう片方のヒールクロウでアマゾンを襲った
刃が胸を切り裂き、血が花のように飛び散る
アマゾンは空中でバランスを崩し、もがくように手足をばたつかせながら地面に叩きつけられた
胸部がパックリと切り開かれ、血が川のように流れる
激痛で頭の中がパニックになり、唸り声を上げながら全身を赤ん坊のように丸めた
一方、ギルスは何事も無かったように着地した
大怪我を負ったアマゾンとは対照的に、折れたヒールクロウ以外これといった怪我も無い
この圧倒的有利な状況にもかかわらず、ギルスは右手首からクロウを出し、重傷のアマゾンに襲いかかった
空我、2号、アマゾンが変身する様子をギルスは目撃していた、つまりアマゾンは人だという事を知っていた
だが狂戦士と化したギルスにとって、相手が人だろうと怪物だろうと関係なかった
自らの怒りを静める為に全力で襲いかかる、振り上げられた刃に躊躇は無い
その時、ギルスの足元に向かって3発の銃弾が撃ちこまれた、銃声が辺りに鳴り響く
突然の発砲にひるみ、ギルスは動きを止めて銃声のなった方向に振り向いた
そこには、GM-01を構えたG3がいた
「動くな!!」 氷川の声がG3のマスクを通して発せられる
「動けば・・・撃つ!!!」 そう言うとG3は銃口をギルスの頭部へ向けた
一触即発の張り詰めた空気が二人を包み、しばし沈黙する
それを破るように、ギルスが左手首からフィーラーを引き抜き、先端が見えぬほどの高速で振り回した
その瞬間、G3は迷わずGM-01を連射した
だが銃弾は振り回されるフィーラーによって殆どが弾かれ、地面や建物の壁に当たった
「なっ!!?」 驚愕しながらもG3は連射を止めなかった
だが、ギルスは銃弾をフィーラーで弾きながらG3に向かって走り出した
「くっ!!!」 銃による攻撃は無効だと判断し、G3は01を捨てて真正面から突っ込んだ
「うぉぉぉぉぉ!!!」「ガァァァァァァッ!!!」 クロウを引っ込め、右手で殴りかかるギルス
それを避ける事も、防御する事もせずG3は左拳を放った
二人は同時にお互いの顔面を殴り、それぞれ後方によろめいた
「うわぁぁぁぁぁっ!!!」 顔面から火花を散らしながらG3は更に殴りかかった
ギルスはそれを避けると、フィーラーをG3の右手に巻きつけ、脇腹に膝蹴りをくらわせた
衝撃が装甲を付きぬけ、鈍い痛みに背中を丸める
更に追い討ちをかけるように、ギルスは後頭部に肘を落とした
衝撃で視界がブレ、脳を揺さぶられて思わず膝をつく
しかし、それを許さぬかのようにギルスはフィーラーを引っ張り
G3を無理矢理立ち上がらせて、更に攻撃を加えた
殴られる度に装甲がへこみ、G3の姿は無惨に変わっていった
そして、ギルスは止めを刺そうとヒールクロウを振り上げた
だがその時、フィーラーが突然切れ、G3を自由にした
「ナニッ!!」 突然の出来事に戸惑いながらも、ギルスは振り上げたヒールクロウを一気に振り下ろした
だが、G3は後方へ転ぶように跳び、ヒールクロウの間合いから逃れた
目標を失ったヒールクロウは地面に突き刺さり
足に溜められていたパワーの全てを地面にぶつけ、まるで発泡スチロールのように粉砕した
もしこれが直撃していれば、自分の身体は原型を留めていなかっただろう
その破壊力を見て、氷川の背筋に冷たいものが走る
一方ギルスは、何故フィーラーがちぎれたのかと疑問に思い、左手首から生えるフィーラーを見た
182 :
アリエス ◆ev9DCO8ZVA :03/06/15 17:45 ID:HPFV/bFD
「何だ・・これは・・・」 思わず声が震える、何故ならフィーラーの切断面は壊死し
細胞が液化して地面にポタポタと落ちるほどに悲惨な状態へと変わっていたからである
自分に何が起こったのか理解する間も無く、次の瞬間、全身に凄まじい激痛が走り、身体のあちこちから体液が噴出した
「ウッ・・ウアアアアアアあああぁァァァァア!!!」 ギルスは悲鳴のような叫び声をあげながら、その場で反吐を撒き散らした
指先から眼球まで、細胞一つ一つが全て砕けるような感覚がする
身体の限界だった、AGITΩの亜種であるギルスは、AGITΩと同等の力を持っている
しかし、ギルスの胸にはそのパワーをコントロールするワイズマンモノリスが存在しない
その為、ベルトから発せられるエネルギーはギルス自身の身体を傷つけてしまうのだった
そして今、それはついに限界を迎えた
死を悟ったギルスは、激痛が走る身体を引きずりながらその場から逃げ出した
G3は後を追おうとしたが、全身は先ほどの戦闘で大ダメージを負い
バッテリーは殆ど残っていない為にやむなく断念した
そしてそれから数十秒後、AGITΩに逃げられた空我と2号が帰還した
〜続く〜
183 :
名無しより愛をこめて:03/06/15 21:16 ID:euDXEfkb
アリエスさんお久ぶりですね。
最近、投降が無かったのでちょっと心配してました。
血しぶきが飛ぶアリエス節も健在ですね。(w
次回はG3が大破かな?続きも期待してます。
184 :
名無しより愛をこめて:03/06/15 22:54 ID:42GRmZhD
>>27-32 こんなにガンダムに詳しいとなるとやはり涼平の方が月夜野博士役に合う、しかし外見や「食うか?」などのセリフからすれば萩野崇が合う・・・・皆さんならどちら?
シザース編なのにまたもや長いです(汗
どうしても描写が長くなっちゃうんですよね、龍騎編は
ミカエル達天使の僕(しもべ)と化した真司。真司を失ったことで再び孤独となった蓮。
真司がミカエルの僕となったまま事態は進み、真司本来の心の復活の兆しは一向に見られなかった。
蓮はそんな真司と対峙しながら、独り迷い悩み苦しみながらも己の道を歩んで行く。
真司と蓮、龍騎とナイトの急展開と前後して、
この世界の他のライダー達、そして別世界から来たライダー達の物語もまた新たな展開を迎えようとしていた。
【 仮面ライダー Heat on!外伝/Anoter 13riders 】
ハイドラグーンの大量発生(13話)以降もモンスターは現実世界に現れ人間達を襲撃していた。
その出現範囲は次第に拡大しつつあり、現在既に首都圏全域をその範疇としていた。
さらにモンスター出現エリアは広がっていく兆候を見せていた。
現在までは小規模な群れでのモンスター襲撃であったが、
それでも現実世界の人間達を混乱させるには充分過ぎる程の効果があり、
モンスター出現は人々の間で様々な影響を及ぼしていた。
それは何も知らない普通の人々への影響だけではなく、
この世界の仮面ライダー達に対しても多かれ少なかれ影響を及ぼすこととなっていった。
特にガイこと芝浦淳、ベルデこと高見沢あたりはその影響は顕著であった。
(当然、その話は後日ということになりますが)
そしてシザースこと須藤もまたそうした影響を受けたこの世界の仮面ライダーのうちのひとりと言えた。
【2nd Survive 第16話「シザースII」】
日本の首都圏全域がモンスターの襲撃を受け、
その広がりがいずれは日本全土に及ぶであろうことが予測される現在、日本を脱出しようとする人々も少なくなかった。
連日空港には大勢の人が押し寄せ、国外へ逃亡して自分の身の安全を確保しようと懸命になっていた。
だが既に国際線のチケットは入手困難な状況となっており、それでも詰めかける人々で空港は溢れかえっていた。
チケットを入手出来ない大勢の人々は今にも暴れだしそうな勢いで、いつ暴動が起ってもおかしくないような状態であった。
空港内には張りつめた空気が流れ、緊張感が漂っていた。
そんな空港のロビーに須藤元刑事(シザース)の姿があった。須藤もまた海外への逃亡を企てていたのだった。
日本が混乱に陥り、国家権力がモンスター対応に追われているとは言っても、
事件が露呈し殺人の容疑者として警察に追われている須藤。
捜査が身辺にまで迫り、これ以上日本に留まることは危険だと考え、海外逃亡をはかろうとしていたのだった。
そして須藤が海外逃亡を試みるもうひとつの理由があった。
それは言わずもがな30人以上にもなるライダーバトルで生き残ることが、現在の力では極めて困難であると考えたからである。
海外に逃亡した場合、ライダーバトルはどうなるのか?それは須藤にもわからない事であったが、もしそれで逃げ切れれば、
後は契約モンスターのボルキャンサーの餌を確保するために人を襲わせていれば、
自らの命が危険にさらされる事はないであろうと須藤は考えていた。
そもそも自らが犯した殺人を隠蔽する為にライダーになった節がある須藤。
他のライダーのように最後のひとりになった際に叶えられる願いに執着がある訳ではなかった。
むしろこの先自分が生き残ることの方が大事であると考えてもなんら不思議ではなかった。
何とか空港までは辿り着くことが出来たが、ここから日本を離れる迄が大事で、須藤は非常にナーバスになっていた。
ここで日本の警察に捕まるおそれもあるし、神崎士郎に逃亡を阻止されるおそれも充分にあった。
須藤は人に顔を見られないように終始うつむき加減で、空港のロビーの椅子に座っていた。
「何で私がこんな目にあわなければならないんですか、、」
自分の犯した罪を棚に上げて、今の自分の境遇を忌々しく思う須藤。
「何で私が、何で私が、何で私が、、、、、」須藤は精神的に追い詰められていた。
頭を抱えて同じ言葉を何度も繰り返し呟く須藤。
須藤は知らず知らずのうちに暗闇の世界へと引きずり込まれていた。
そして暗闇の中から姿を現す天使・ハニエル。『神の優美』の名を持つ者。
ハニエルは精神的に追い詰められた須藤に甘く囁く。
「金の鎧を纏いし背徳者よ。何から逃げる?何をおそれる?
法を守るべき者が法を犯した、その背徳からか?秩序正しき世界も美しいが、背徳もまた美しいものだよ。
秩序をはみ出した者は、時として美しく、秩序に組み込まれてしまった者にはない輝きを放つものなのだよ。」
「それとももうこれ以上醜い姿をしたライダー達と戦うのが嫌になったのかな?」
須藤の心の内を見透かしたかのようなハニエルの言葉。
突然のハニエルの出現にとっさに身構える須藤。
「よせ、やめておけ。我はそなたの敵ではない。いやむしろ味方、そなたを救いに来たのだ。」
「私を救う?」精神的に追い詰められていた須藤にとってハニエルの言葉は魅力的なものに他ならなかった。
「我はそなたに新たに大いなる力を授けよう。
その力をもってすればこの世界の法に基づく秩序すらも軽く一蹴することが出来る。
そして醜いライダー達の闘いでそなたが最後の勝利者となることすら可能にする力だ。」
「そなたは逃げずとも良いのだ。もうおそれるものなど何もないのだ。」
そう言いハニエルは須藤に手を差し伸べる。
その指先にはサバイブのカードを元にしてつくられた強化カードがあった。
「この強化カードを使えばそなたの戦闘能力は一気に底上げされるだろう」
「このカードが私を救う?」ハニエルより差し出された強化カードに執りつかれたかのように見入る須藤。
「それだけではない。我にはそなたを最強のライダーにする秘策がある。」
ハニエルの手は再び須藤に差し出される。その指先に挟まれたカードはコピーベントのカードであった。
だがそのコピーベントのカード、通常のものとは外観を異にしていた(コピーベントLv3?)
「このカードには少しばかり面白い趣向が凝らしてある。
このカードの能力のすべてが発揮される時、もはやそなたがおそれるものは何もない。
そうそなたは究極の力を自由自在、意のままに操れるようになるのだ。」
「究極の力が私のものに、、、」須藤はすでにハニエルの提案に魅入られていた。
「そう、この世界の法の裁きをものともせず、ライダー達ですらそなたの前にひれ伏す」
「我の提案を聞いてもらえるだろうか?金の鎧を纏いし背徳者よ。」
さらにハニエルは増強カードとしてコピーベント(Lv1)、アクセルベントをはじめとする複数枚のカードを差し出す。
そして最後に天使・ハニエルが差し出す白紙のカード。
「このカードはそなたの自由意志でその内容を決められる。何を選び、どのように使うか、よく考えて決めることだ。
その戦術次第で大きく戦局が変わることにもなるだろう。」
その頃、時を同じくして空港には五代雄介の姿があった。
五代は須藤のことを気にかけて、須藤のことを密かに追いかけていた。
協力してくれる木野の情報を元に、五代は須藤を追って空港まで来ていたのだった。
人で溢れんばかりの空港のロビーで須藤の姿を探す五代雄介。
空港のロビーに次の便のアナウンスが流れる。
それを聞いた人々は群集と化し、我先にと案内所や搭乗口方面へと殺到する。
それは恐怖から一刻も早く逃れたいという人の心理そのものであった。
人の波に呑まれ母親とはぐれてしまった少女。
母親を呼び続けるが、人の波はそんな少女に気づくこともなく、少女を翻弄する。
泣きながら母親を探す少女。少女は迷子になったから泣いているだけではなかった、
この殺伐とした雰囲気そのものが少女にとっては恐ろしかったのだ。
押し合う人々にもまれ、押され、少女は転んで倒れてしまう。
だが人々は一向に少女に気づくことなく、早く日本から逃げたい一心で我先にと急ぎ、
少女はそんな人々に踏みつけられそうになる。
「あぶないっ!!」倒れる少女を抱きかかえるようにかばう五代雄介。
「大丈夫?」五代雄介は笑顔で少女に語りかける。
殺伐とした空気に耐えきれず泣き続ける少女。
「お母さんとはぐれちゃったの?」泣きながら頷く少女。
五代は少女をひょいっと軽く持ち上げ、肩に乗せ、肩車する。
そして大きな声で叫ぶ、明るく陽気な声で。「この子のお母さんいませんか〜っ!?」ロビーに響き渡る五代の声。
人々は突然の明るく陽気な声に、動きをピタッと止めて五代の方を振り返る。
それまでの雑然とした殺伐とした空気が嘘のように、水を打ったかのように静まり返る。
五代の声で群集は一瞬冷静さを取り戻したのだった。
少女の名を呼び、慌てふためきながら、五代の方へと駆け寄る少女の母。
五代は少女を肩から下ろす。少女は母の方へと走り寄って行く。「お母さ〜んっ!!」
迷子の少女とその母親、どうやらその母娘は次の便へと搭乗することが出来るらしく、
母親は五代に頭を下げて礼を言うと、娘の手を引き次の便の搭乗口の方へ向かって行く。
五代の方を振り返り手を振る少女「おにいちゃん、ありがとう」
そう言う少女に五代は笑顔でサムズアップしてみせる「もう迷子になっちゃダメだよ〜」
少女はいつまでも五代に手を振っていた。五代も姿が見えなくなるまで少女を笑顔で見送った。
その後しばらく須藤を探し続ける五代雄介。
するとロビーにけたたましい悲鳴が絶叫が響き渡る。
それまで殺伐としていた雰囲気だったロビーは一転して、パニックへと変わる。
人々は悲鳴があった方向と逆方向へと一斉に逃げはじめる。人々の群れが一気に走り出し、ロビーは大混乱となる。
それこそ転び倒れた人すら踏みつけて人々は逃げ惑う。逃げる人々の顔は青ざめ、恐怖に歪んでいた。
そうこの空港に突如としてモンスターの群れが現れたのだった。
空港の窓ガラスを体当たりで割り、突き破り、ロビーへと侵入してくるモンスター達。
逃げる人々に逆走してモンスターの方へと向かって行く五代雄介。
五代が身構えると腰にはベルトが出現する。「変身っ!!」
五代雄介はポーズを取りクウガへとその姿を変える。
逃げ遅れた人を襲おうとするモンスターに飛び蹴りをくらわすクウガ。
窓から侵入したモンスターに次々と蹴りを放つ。
クウガはせめて人々の避難が済むまではモンスターを食い止めようと必死に闘う。
マイティフォームからタイタンフォームにチェンジするクウガ。
大型剣・タイタンソードを振り回すクウガ。
モンスターを上から袈裟切り、下から振り上げて切り、横から数体をまとめ切り、突き刺す。
次々と現れるモンスターを切りまくるクウガ・タイタンフォーム。
討ちもらしたモンスターはペガサスフォームの特殊空気銃・ペガサスボウガンで射抜く。
だがクウガの奮闘をよそに、モンスターはその数を減らす気配を一向に見せなかった。
いやむしろモンスターはその数を増やしつつあった。モンスターの次から次への増援と闘い続けるクウガ。
そしてクウガは空港ロビーの破れた窓ガラス越しに空を見る。
空では敵の増援、数百体にもなるハイドラグーンの大群が空港に向かって来つつあった。
空は遠くの方から次第に黒く覆いつくされて行くところであった。
さらにクウガの背後から忍び寄る影。次の瞬間、クウガは強烈な衝撃を背に受け弾き飛ばされる。
金色に輝くボディ、その姿は仮面ライダーシザースのものであった。
シザースはストライクベント・シザースピンチでクウガにもう一撃、クウガは空港ロビーの窓から突き落とされる。
クウガの後を追い空港のロビーの窓より外へ飛び降りるシザース。
落ちて転がって倒れているクウガにシザースの奇襲攻撃は続く。
シザースの奇襲攻撃を一方的に受けるクウガは次第に飛行機の滑走路の方へと追い詰められて行く。
「須藤さんっ!こんなことしている場合じゃないんですっ!」
クウガは今はシザースよりもモンスターのことの方が遥かに気がかりであった。
「五代さん、私にはこんなことしている場合なんですよ」
「私はね、新しい力を得たんですよ、その力であなたを倒します。」
シザースはハニエルより受け取った強化カードを手にする。
シザースの周囲に金色に輝く光の粒子が現れる。
その粒子は急速に数を増やし、やがてシザースの周囲をすべて金色の輝きで埋め尽くす。
強化カードをバイザーに装填するシザース。
と同時にすべての金色の粒子はシザースのボディに集まり、
シザースの全身は光りで覆い尽くされ、強烈な輝きを放つ。
やがてその光りの中からシザースの本来の姿が現れる。
サバイブのカードに準じて天使の手によってつくられた強化カード。
シザーズの外観にこそ変化はないが、全体的な能力を底上げして、能力値を+2000〜3000AP・GPアップさせていた。
「これが、新しい力ですか、、、」全身にみなぎる新しい力を感じるシザース(強化型)。
「この力で私は生き残ってみせます。法の裁きを打ち破り、ライダー達をも乗り越えて。」
シザースはストライクベントで再びクウガに襲いかかる。
クウガはライジングタイタンにフォームチェンジ、剣と鎧でこの攻撃を防ごうとする。
大型剣ライジングタイタンソードでシザースピンチを受け止めるクウガ。
せめぎあいの後、互いに相手を突き放す。
『ガードベント』『コピーベント』
ガードベントのカードと通常のコピーベントを連続装填する強化型シザース。
シザースはボルキャンサーの背中を模した盾・シェルディフェンスを左腕に装着し、
右手にクウガ(ライジングタイタン)からコピーしたライジングタイタンソードを持ち、
ゆっくりとした足取りでクウガ(ライジングタイタン)へ向かって歩み寄る。
そしてクウガ(ライジングタイタン)の間合いギリギリで立ち止まる。
盾・シェルディフェンスを前面に押し出して身構えるシザース。
ライジングタイタンソードを持ち身構えるクウガ(ライジングタイタン)。
対峙する2人のライダーの間に緊張が走る。
そのしばしの静寂を破ったのはシザースであった。『アクセルベント』
さらに3枚目のカードを使ったシザースは、アクセルベントの高速移動で一気にクウガの懐へ入り込む。
盾を前面に押し出した突進でクウガに体当たり、
さらに吹き飛ぶクウガを高速移動しながらライジングタイタンソードで斬りまくる。クウガの横から背後から上から下から。
あまりの早さにシザースの残像すら見える、まさにシザース@ライジングタイタンソード・アクセルベント残像剣。
アクセルベントの効果が切れるのを見計らってシザースは再びクウガとの間合いをあける。
その間合いを嫌ったクウガはライジングペガサスフォームへとチェンジ、
ライジングペガサスボウガンでシザースを牽制する。
実はそれを待っていたシザース、再び『コピーベント』と『アクセルベント』のコンボを放つ。
ライジングペガサスボウガンをコピー、アクセルベントの超高速の動きでクウガの死角に回り、
移動しながら矢を連射するシザース。まさにシザース@ライジングペガサスボウガン・アクセルベント乱れ撃ち。
空を裂き、鋭い音を立てクウガに向かって直進するボウガンの矢。
クウガはこれを避けるが、避けきれずに矢がクウガの腕に突き刺さる。
シザースの、コピーベントとアクセルベントのコンボの前に防戦一方のクウガ。
地平線にも見える、長い滑走路、その陽炎のゆらめきの中に姿を見せる天使・ハニエル。
シザース(強化型)とクウガの闘いを見据えるハニエルは呟く「そろそろ頃合いか?」
空港上空に到着した数百にもなるハイドラグーンの大群。
運悪くこの空港へと向かっていた旅客機が、その群れの餌食になろうとしていた。
旅客機の表面をハイドラグーンの群れが覆い尽くし、旅客機の表面すら最早見ることは出来なかった。
ハイドラグーンに襲われ燃料漏れを起こしている為、進路を変え他の空港を目指すことも出来ず、
操縦者はそれでも尚この空港に何とか着陸しようと試みていた。旅客機の乗客数百人の命を守る為に。
ハイドラグーンの群れに襲われなお着陸しようとする旅客機、それを滑走路に立ち正面から見据えるハニエル。
ハニエルはゆっくりと手を上げ、掌を旅客機へと向ける。ハニエルの掌にエネルギーが集まり、光り輝きはじめる。
そのエネルギー反応を感じとり、滑走路に立つハニエルの存在に気づくクウガ。
そして煙を吐きながらハニエルの方へと向かって着陸しようとしている旅客機。
ハニエルはクウガの方を見てニヤリと笑ってみせる。
クウガはすべての状況を一瞬のうちに理解し、シザースを放り出し、ハニエルに向かって猛スピードで走り出す。
「やめろっっっ!!」クウガは走りながらアメイジングマイティにチェンジ、ハニエルに向かって飛び蹴りを放つ。
がそれよりも一瞬早く、ハニエルの掌からはエネルギー光弾が放たれる。
クウガ・アメイジングマイティのキックをエネルギーシールドで防ぐハニエル。
そしてエネルギー光弾は、着陸を試みようとしていた旅客機に直撃。
その機体は一瞬の内に真っ二つに折れ炎上、大爆発を起こし、空に散って行く。数百人の乗客を乗せたまま。
旅客機を襲撃していたハイドラグーンも一部巻き込まれたが、その大多数は健在で次の攻撃目標を探しはじめる。
「うおぉぉぉぉぉっっっっっ!!」
大空に散りゆく旅客機の姿を見たクウガ、いや五代雄介の叫びがこだまする。
「多くの命が一瞬にして散りゆく様もまた美しいな、クウガよ。
追い詰められた者達がすがろうとする最後の希望、それをあっけなく打ち砕く、これ程愉快なことはないな、クウガよ。」
クウガを挑発している、というよりハニエルは心底喜んでいる様子であった。
クウガ・アメイジングマイティ、五代雄介は怒りに震えていた。心の底からの怒りの衝動を抑えることが出来なかった。
怒りの衝動のままにハニエルに殴りかかるクウガ。
その時クウガこと五代の脳裏には黒目のアルティメットフォームのビジョンがよぎる。
怒りの衝動とそれを抑えようと葛藤するクウガ・五代雄介の心。
そんなクウガを軽く払いのけると、ハニエルはクウガに構わず次の標的を定める。
今度はモンスター出現前に離陸準備をしていた旅客機を狙おうとするハニエル。
急遽のモンスター出現で離陸中止となり、未だ客が乗ったままの状態の旅客機。
乗客を降ろし避難活動をはじめてはいたが、今しばらく時間がかかるのは間違いなかった。
ハニエルはその旅客機に向けてゆっくりと手を上げる。
その旅客機を庇う様に立塞がるクウガ・アメイジングマイティ。ハニエルはクウガに構わず掌からエネルギー光弾を放つ。
クウガ・アメイジングマイティはこれを避ける訳には行かなかった、
クウガが避ければその後方にある旅客機に直撃するのは明らかであったからである。
両腕を顔の前でクロスさせてこれを防ぐクウガ・アメイジングマイティ。
だが当然それだけでは天使のエネルギー光弾を防ぎきれるはずもなくダメージを負うクウガ。
クウガはそれでも立ち続けるが、ハニエルはすぐさま再びエネルギー光弾を放つ。
これもまた両腕を顔の前にクロスさせて防ぐクウガ、押され大きく後ずさる。
「クウガよ。追い詰められたお前がすがろうとする最後の希望、それすらもあっけなく打ち砕いてやるぞっ」
ハニエルはそう言うと掌よりエネルギー光弾を連射する。クウガはこれを両腕の防御で耐える。
だが最後の一撃でクウガはとうとう耐え切れなくなり後ろに大きく吹き飛ばされる。
旅客機の傍に転がり倒れるクウガ・アメイジングマイティ。
力を振り絞って立ち上がろうとするクウガ。
だがそのダメージは大きくハニエルに背を向けたまま膝をついたままの姿勢から動けないクウガ。
そのクウガの背中に向かって容赦なくハニエルは掌を向ける。
意識も朦朧とする中、クウガは意外な声を聞く。「お兄ちゃん、大丈夫?」
その声で意識が一気に戻ったクウガ、その目の前に立っていたのは先程の迷子の少女に他ならなかった。
だがクウガの姿のままなのに、何故五代雄介だと少女にはわかったのだろうか?少女には何か感じるものがあったのかもしれない。
いずれにせよハニエルが狙っていたのは先程の迷子の少女が母親と乗り込んだ次の便だということだけは確かだった。
「さっきのお兄ちゃんなんでしょ?、、頑張って、、ね、、」
その少女の言葉を聞いてクウガの目がより一層赤く輝きを増す。
ハニエルの掌からエネルギー光弾が放たれ、クウガの背に直撃しようとする。
が、少女の言葉を聞いたクウガからはすざましい量とエネルギーのオーラが放たれ、
そのオーラがハニエルのエネルギー光弾をいとも簡単に弾き返す。
強力なオーラに覆い隠され見えなくなっていたクウガの背中が再び姿を現す。
その背中はクウガ・アルティメットフォームの姿であった。
「ありがとう、もう大丈夫だから。お母さんの所へ行って。また迷子になっちゃうぞ」
赤い目のクウガ・アルティメットフォームは少女にサムズアップをしてみせる。
それを見た少女には仮面の下の五代雄介の笑顔が見えたような気がしてならかった。
「うん!頑張ってね、お兄ちゃん!」そう言うと少女はクウガの傍を離れて行く。
ハニエルはクウガの背中に何度もエネルギー光弾を放つが、
クウガ・アルティメットフォームの背中はそれを簡単に弾き返す。
「みんなの笑顔を守るため」闘い続けて来た五代雄介。
今の五代雄介のモチベーションの高さが、そのままクウガ(アルティメット)の強さにつながっていた。
オーラを放ちながらゆっくりと天使・ハニエルの方を振り返るクウガ(アルティメット)。
ハニエルの放つエネルギー光弾を片手で難なく跳ね返すクウガ。
ハニエルに向かってゆっくり歩を進めて行くクウガ(アルティメット)。
『コピーベント』このままクウガ(アルティメット)優勢で進むのかと思われた時、意外な音声が流れた。
シザース(強化型)が通常とは外観を異にするコピーベントをバイザーに装填したのだ。
シザース(強化型)は『究極の闇の力』とまで言われたクウガ・アルティメットフォームをコピーしたのだった。
シザース(強化型)を再び金の粒子が包み込み、その中から黒い目のクウガ・アルティメットフォームが姿を現す。
コピーベントでクウガ・アルティメットフォームの力をコピーしたからと言って、
五代雄介の精神性までをもコピー出来るはずはなく、それは単なる力の複製のみに過ぎなかった。
したがって心のないアルティメット、黒い目のアルティメットになったことは何ら不思議な事ではなかった。
ましてやその力を使う者が須藤であっては、闇の力に傾き、
黒い目のアルティメットになることはむしろ当然と言っても言い過ぎではなかった。
「クウガよ。我らはずっとこの時を待っていたのだ。究極の闇の力と言われるその力をそなたが使う時をね。」
黒い目のクウガ・アルティメットと化した須藤は、その力にただただ驚くばかりであった。
「五代さん、あなたはずるい、こんな力を独り占めしていたなんて、、」
「しかも、この力をずっと出し惜しみしていたなんて、あなたも随分人が悪い、、」
「この力があれば、確かに何もおそれるものはない、逃げる必要はもうないんだっ」
須藤はその手に入れた力の大きさに魅入られ、執りつかれはじめていた。
赤い目のクウガこと五代雄介は事の重大さに砂を噛む思いであった。
アルティメットの力は本来使ってはならない禁断の力。
だがそれを自分が人間の心を持ち続けることで、再び甦らせた力。
その力を複製され、ましてや黒い目のアルティメットを復活させてしまったことは
この世界の滅亡につながりかねないことである。
そこへ現れる心強い援軍、アナザーアギトこと木野薫。
「木野さんっ!!」「五代君、天使は俺に任せて、君はもうひとりのクウガを!」
「黒い目のアルティメットを何とか出来るのは、赤い目のアルティメットの君だけなんだっ」
赤い目のクウガ・アルティメット・五代雄介はハッとする。
自分がこの世の中に誕生させてしまった黒い目のクウガ・アルティメットを再び封印出来るとしたら、
それは同じ力を持つ自分だけである、その事を改めて木野に悟らされたのであった。
「木野さんっ、すいません、ここはお願いします!」
赤い目のクウガ・アルティメット・五代雄介は
空港の滑走路の端の方へと黒い目のクウガ・アルティメット・須藤を誘い出す。
それはもちろんこれから予想される壮絶な闘いに周囲の者を巻き込まない為である。
滑走路の上で向かい合い対峙する赤い目のクウガ・アルティメットと黒い目のクウガ・アルティメット。
両者からは物凄いエネルギー量のオーラが放出されたいた。
その赤いオーラと黒いオーラが触れ合っただけで激しい火花が散り、暴風が起る。
両者が立っているだけで、滑走路のアスファルトには亀裂が走り、地面を引き剥がし空高く舞い上げていく。
そのオーラはさらに強力さを増し、周囲にあったコンクリの建物を次第に壊しはじめて行く。
そして格納庫にあった飛行機は、その熱風のあまりの熱さにとうとう内部引火をはじめ、爆発炎上する。
赤い目のクウガ・アルティメットと黒い目のクウガ・アルティメット、
2体のアルティメットが揃うこと、それはそれだけでも極めて危険なものになりつつあった。
「須藤さん、お願いです。この闘いから降りてください。この状態で闘えばお互い無事には済まないでしょう。
相討ちか、もし運良くどちらかが勝てたとしても、その時勝者が五体満足とは思えません。
俺も須藤さんを傷つけたくはありませんから。ここは引いてください、須藤さん。」
「五代さん、あなたが一方的にやられてくれれば、私は無傷で勝てるんですがね。
それにね、五代さん。私は思うんですよ、黒い目の私の方が強いんじゃないかって。
そもそもこれは究極の闇の力でしょう?その究極の闇の力に逆らいながらこの力を使っているあなたより、
究極の闇の力に逆らわずに身を委ねている私の方が、真の力を出せるんじゃないかって思うんですよ。
どう思いますか?五代さん」その須藤の言葉が最早何を言っても無駄であることを意味していた。
「みんなの笑顔を守る」ために闘う五代雄介。「自分の身を守る」ために闘う須藤雅史。
2人の闘いのモチベーションは全く対照的であった。だがそれは、人の為に闘うから強いとか、自分の為に闘うから強いとか、
そういう精神的な部分が闘いに直結するという問題ではなかった。
五代の信念と須藤の執着よりどちらが強固なものかそれだけだった。
「みんなの笑顔を守る」ために今迄闘い続けて来た五代、
だが須藤の保身、生への執着力はその五代のモチベーションにも匹敵するものがあった。
黒い目のクウガ・アルティメットはゆっくりと赤い目のアルティメットの方へ歩を進める。
黒いオーラと赤いオーラが接触して激しい火花を散らす。
そして黒目のクウガ・アルティメットはその拳を振りかざし赤目のアルティメットを狙う。
その拳は振りかざしただけで風圧と熱で周囲の建物を破壊する程であった。
黒目の拳を片腕で防ぐ赤目のクウガ・アルティメット。
黒目と赤目のカラダが触れ合った瞬間、激しい火花が散り、爆風を起こし、大地は揺れる。
再び拳を放つ黒目のクウガ・アルティメット、今度は赤目のアルティメットもこれを拳で迎え撃つ。
黒目と赤目、両者の拳が空中で激突する。その衝撃で周囲の建物は崩れ落ち、大地は激震する。
火花はもはや火柱と化し、爆風が周囲のすべてを吹き飛ばす。
クウガアルティメット同士の対決の場は遠目から見れば、まるでミサイルでも落とされたかのような光景に見えた。
「強大な力による破壊、破壊により赤く染め上げられた地平、それもまた美しい。」
「心か弱気人間は、おそれ逃げようとしていた。だが、強力な力を手に入れて、その力を使う喜びを知った。
そしてその力に見事に溺れてくれた。人間とはかくもわかりやすいものだな、異世界のライダーよ。」
アナザーアギトと闘う天使・ハニエルは、その異変を見て満足そうに頷く。
「小悪党が、自分の手に負えない程の強大な力を手に入れる、最悪のパターンだな。」
アナザーアギトこと木野は想像以上のその力に驚愕する。
ハニエルは手首より光りの鞭を放ち、アナザーアギトを襲う。
これを宙にジャンプして飛びかわすアナザーアギト。ハニエルの光りの鞭はアスファルトの地面を切り裂く。
宙を舞うアナザーアギトに向かい、手首より光りの矢を放つハニエル。アナザーアギトはこれを横から蹴り跳ね返す。
天使達は自らの意思で思うがままの光りの武器を生み出すことが出来るため、その攻撃パターンはまさに無数であった。
アナザーアギトは無人の旅客機の羽根の上に着地する。ハニエルもまた旅客機の上に立つ。
アナザーアギトは口のクラッシャーを展開し足にエネルギーを吸収して、片足で飛び蹴りを放つアサルトキックを繰り出す。
これをエネルギーシールドを展開して防ぐハニエル。1対1の天使との闘いではこのエネルギーシールドが相当の障壁であった。
ハニエルはアサルトキックを跳ね返され着地するアナザーアギトに向かってエネルギー光弾を放つ。
アナザーアギトは瞬時にこれを飛びかわすが、ハニエルのエネルギー光弾は旅客機に激突、爆発炎上する。
黒い目のクウガ・アルティメットはその力を確かめるように、様々な攻撃を繰り出す。
まずはライジングペガサスボウガンを連射、赤い目のアルティメットは手をかざして超自然発火能力を発動、
空を裂き向かって来る矢をプラズマ化して炎上させ焼き尽くす。
次に黒い目のアルティメットはライジングタイタンソード2本を両の腕に持ち2刀流で赤い目のクウガに切りかかる。
黒い目のクウガが振り回す2本の剣はその風圧だけで周囲のものを切り裂き、なぎ倒す。
大きな円軌道を描き振り下ろされる2本の剣、赤い目のクウガはこの2本の剣をライジングドラゴンロッドで受け止める。
その衝撃で赤目のクウガが立つ地面は深く沈み込む。
空港上空を覆い尽くす数百にも及ぶハイドラグーンの大群。その群れに向かって行く自衛隊と米軍の戦闘機の編隊。
日本政府は度重なるモンスターの襲撃に対し、ついに軍事力で対抗することを決意したのだった。
だがその数で戦闘機を圧倒するモンスターの群れ。モンスター数十体が戦闘機の表面にとりついて戦闘機を覆い尽くす。
制御不能となり墜落する機体。空中で爆発炎上する機体。編隊はみるみるうちにその数を減らしていく。
モンスターの大群の前に自衛隊機の小隊は一瞬のうちに壊滅する。
「そろそろ次の段階の頃合だな」アナザーアギトと闘っていた天使・ハニエルはそう言うと忽然とアナザーアギトの前から姿を消す。
黒目のクウガはライジングタイタンソードを2刀流に構え、再び赤目のクウガに切りかかろうとしていた。
超自然発火能力とライジングタイタンソードを連動させ、黒目のクウガが振り下ろす剣は、
巨大な炎の剣となって天空を裂き、赤目のクウガに襲いかかろうとしていた。
赤目のクウガはこれもライジングドラゴンロッドで受けきろうとする。炎の剣の一刀目を受け轟音と衝撃が響き渡る。
さらに続け様に二刀目が振り下ろされ、これを受けたライジングドラゴンロッドはその熱と衝撃に耐え切れず真っ二つに折れる。
その炎の剣はそのまま赤目のクウガをかすり、胸を切り裂く。黒目のクウガの前にひざまづく赤目のクウガ。
「五代さん、私は今迄いかに逃げ切ろうかそのことばかり考えていました。
だがこの力があれば私は逃げる必要なんてない。攻めこそが最大の防御、今の私にはその言葉の意味が良くわかりますよ。」
ライジングタイタンソードを両手にゆっくり赤目のクウガに歩み寄る黒目のクウガ。
赤目のクウガが弱い訳ではなかった。五代は黒目のクウガを本気で攻撃することにためらいがあった。
以前唯一赤い目のアルティメットで対戦した相手であるダグバは、闘うことを楽しみ、殺戮を楽しんでいた。
それ故闘うことの痛みを感じながらも五代はダグバを倒すことに躊躇はなかった。
だが須藤はそうではなかった。須藤はただ自分の身を守りたいだけに過ぎなかった。
人間の最も根源的な防衛本能、それがため須藤は強大な力を手にし闘っているに過ぎないのだ。
そのことが五代の中では須藤と闘うことの迷いへとつながっていた。
赤い目のクウガにとどめを刺そうと歩み寄る黒目のクウガ。
五代は黒目のクウガを封印しなければこの世界は滅びる、そう自らに言い聞かせ、
手にする折れたライジングドラゴンロッドをライジングタイタンソードに変え、ひざまづいた姿勢から一気に振り上げる。
超自然発火能力とのコンビネーションで巨大な炎の剣と化したライジングタイタンソードが、黒目のクウガの胸に突き刺さろうとしていた。
その瞬間、黒目のクウガの前に現れ、光の剣で赤目のクウガの炎の剣を受け止める天使・ハニエル。
赤目のクウガの炎の剣は再び真っ二つに折られ、その剣先は回転しながら中を舞い地面に突き刺さる。
「油断したな、今のは当れば致命傷となっていたぞ」ハニエルは黒目のクウガに向かって言う。
ハニエルの後を追ってアナザーアギトもまたその場に姿を現す。
「そろそろここも頃合のようだ。アレを忘れることのないようにな。」ハニエルの言葉に頷く黒目のクウガ・アルティメット。
黒目のクウガ・アルティメットの左の腕にシザースのハサミ型の召喚機・シザースバイザーが出現する。
『 Now saving... 』バイザーから聞き慣れない音声が流れる。
これこそが通常のコピーベントとは外観を異にするコピーベント(Lv3)だけの特殊能力、いや真の能力であった。
「このコピーベントのカードはメモリ機能付きでしてね。今、究極の闇の力のデータはセーブが完了しました。
これで私はいつでも自由自在に、私の意のままに、究極の闇の力を使うことが出来るんですよ、五代さん。」
黒目のクウガこと須藤は嬉しそうな声で語る。
「!!」五代こと赤目のクウガ、そしてアナザーアギト・木野はその事実を知り驚く。
「これで私はもう何もおそれなくていい。何からも逃げる必要はない。
いや、むしろ私の方から向かって行くのがいいかもしれない。なにしろ攻めは最大の防御ですからね。」
黒目のクウガ・須藤は狂気にも似た笑い声をあげる。
「そろそろ君らの仲間・別世界のライダー達も増援に来る頃だろう。
我らとしても今この場で大勢のライダーを相手にする気はないのだよ。
泥沼の消耗戦は美しくない。闘いは華麗に優雅に行われるべき、そう美しくね。」
ハニエルはそう言い残し、その場から黒目のクウガを連れ消え去る。
残された敵、空のハイドラグーンの大群もライダー達の接近を察知したのか、徐々に空からその姿を消して行く。
再びその場にひざまづく赤い目のクウガ・アルティメット。その姿は五代雄介に戻る。
「大丈夫か?五代君」五代に駆け寄る木野薫。「大丈夫です」胸の傷は思った程深くはなかった。
だが、五代にとっては肉体的な痛みよりも、心的苦痛の方が遥かに大きかった。
ダグバと互角に闘う為に自分が甦らせた禁断の力・凄まじき戦士の力。
その強大な力を他の人間に複製されてしまったこと、その事実が五代に重くのしかかった。
ましてや今の須藤があの力を手にしたのだから、どうなるかは想像もつかなかった。
「木野さん、俺、須藤さんを追います。
アルティメットの力は本来はあってはならない闇の力です。それを俺はみんなの笑顔を守るために復活させました。
そして天使の罠にかかって、俺がもうひとりのクウガを、もうひとりの凄まじき戦士を誕生させてしまったんです。
だから俺責任を持って、もうひとりのクウガを、もうひとりの凄まじき戦士を封印します。」
「そのために俺、須藤さんを何処までも追いかけます。」
「うむ。私も以前はアギトの力に目覚めその力に溺れた心か弱き人間のひとりだ。
だが今ここでこうして君達と共に同じ道を歩むことが出来るのは幸せなことだと思っている。
心が未熟な者が強大な力を持つことは危険なことこの上ない。
ましてやあれだけの力だ、この世界の存亡に関わってもおかしくはない。
五代君、私も協力させてもらおう。もうひとりの凄まじき戦士を2人で止めよう。」
「ありがとうございます、木野さん」
こうして五代雄介は木野の協力のもと、凄まじき戦士の力を得た須藤を本格的に追いかけることになる。
そして今回のハイドラグーンの大群の再襲撃は、人間達に、この世界により一層の混乱を生じさせることとなる。
さらに政府が軍事力でモンスターに対抗する方針を決定したことが、この世界の今後に大きな影響を与えていく。
様々な事象がリンクし絡み合いながら、この世界は着実に破滅の道へと進んで行くのであった。
最弱と噂されるシザースをいかに強くするかを考えていったらこういう話になりました。
アルティメット対決のシーンはTVとは違った表現で
アルティメットの凄さを表現したいってことでこういう感じになりました。
ドラゴンボールみたいですか?(汗
一日に新作が二作もキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!
アリエスさんもHeat on!さんもお疲れ様でつ
両方とも続きが楽しみだ
アリエスさんのギルスと
Heat on!さんのクウガとシザースの対決シーン良かった。
お疲れ
アルティメット須藤は完全に黒目のクウガの姿(雄介がジャラジをブチ殺した時に
幻視したアレ)なんですね。
多少シザースの意匠が残ったデザインというのでも良かったのでは…とも思いましたが
サバイブとかとの区別をつけようと考えられての事でしょうか。
いずれにせよ続きを楽しみにしてます。
オリジナルキャラ要素が強くなり過ぎると、引く人が出てくるのではないかというのがありまして。
<ストーリー的にはオリジナル要素強過ぎですが
「シザースサバイブ」にせずに外観は変わらない「シザース強化型」にしているのもその辺の理由です。
例えば、シザースサバイブ・アルティメットタイプとかなると、ハァ?って感じになるじゃないですか。
<ブラックシザースとか面白そうではありますけどね
リュウガサバイブはきっと誰でも一度は想像したことあるだろうし、ギリギリOKかなと、勝手に判断いたしました。
逆にみなさんにお聞きしたいのが、ライアサバイブはありでしょうかね?
雑誌で一度イラスト出てましたが、本来サバイブのカードは手塚が手にするはずでしたし。
ライアのサバイブ化シーンはアグルV2の初出のシーンの海が割れる演出なんかいいなぁとか妄想してますけど。
すまんageてしまった
下がり過ぎていたという噂もあるが
>ライアサバイブ
有りで、良い!!
漏れとしてはちょっと・・・
ありでいいと思う
で、少し意見があるんだが・・・シザーズがここまで強くなったことでライアとガイがさらに不憫になったわけで・・・
インフレは望まないけどこの二人が王蛇と並んだときにあまりにも見劣りする
なんかいい案ないですか?
でも実はアルティメット・コピーってガイならコンファインで打ち消して終了なんだよね
個人的にガイにはスチールベントとか使ってシザースからカード奪取を企んでほしいかな
ライアは…サバイブできないとちょっとつらいねえ…
強化カードは基本的には全員に配られるので、全員が+3000AP/GP
<それでもシザースはストライクベント4000APなわけですが
さらにガイの相手はスーパー1、でコピーベント使いまくりなので・・・以下ry
逆に王蛇あたりはもともと手数が多いので、補助カードはほとんど増えない予定です。
<その辺でバランスとれるかな?
強さよりも龍騎系のキャラをいかに立たせるかに重点を置いて考えてますが、
ガイは混乱する人々を煽動するという結構いいポジションが待ってます。
ライアがちょっと話的にも弱いのでサバイブ化も検討しているところです。
ベルデとかは財力があるので面白い話になりそうな感じです。
ゾルダ:ダブルゾルダ
ガイ:混乱する人々を煽動し、謎の集団『メタルゲラス』を結成
ライア:サバイブ化?
王蛇:ガチンコ?
タイガ:ダブルオルタナティブ再び?
インペラー:G3-X登場
ベルデ:G3、G4軍団登場、さらに隠し玉あり
ファム:やぶれかぶれのファム
リュウガ:龍騎・リュウガ VS RX・シャドームーン
オーディン:人間VSモンスターVSライダーのハルマゲドン?、J巨大化、
さらにアギトシャイニングVSオーディンあり
<3クール目にちょこっとファイズ出すことも検討中です
しかし今のペースだと最終回(52話)に到達するのは
1年半後ぐらいになることに最近気づいた
219 :
名無しより愛をこめて:03/06/20 17:45 ID:NaaUZWcT
Heat on!って番組形式だったんだ・・・
知りませんでした。でも外伝やってるんだから
クールも糞もないだろと小一時間(略
220 :
名無しより愛をこめて:03/06/20 21:50 ID:0KbN/tO/
荒らしを呼び寄せage
アルティメットに続いてRX・シャドームーンの力をコピーして創世王須藤を目指すんだ!
222 :
名無しより愛をこめて:03/06/21 10:18 ID:K3GNjE1Z
荒らしを呼び寄せage
223 :
名無しより愛をこめて:03/06/21 21:15 ID:MJNEsinr
あげ
うっとうしいなら言ってもらったら連載中断するので荒らさないでね(汗
とんでもない。
中断されるべきは荒らし厨の生命活動の方ですて。
諸兄のSSと違ってこの世の誰一人不都合がある訳じゃないし。
早く続きを読みたいのは山々ですがじっくりと取り組まれてください。
225>>
いいこと言うのう
Heat on!氏>>
ってことで荒らしなんぞシカトで頑張ってください
楽しみに待ってます
555対913
廃工場に二人の男の姿があった
琢磨逸郎と草加雅人である
「カイザのベルトを頂きたいのですが・・・」
琢磨がニヤリと微笑みながら言った
ファイズのベルトは手に入れた、つぎはカイザだ・・・
その顔には自信が満ち溢れている
「・・・・・・・」
草加は何も応えず、琢磨を睨み、静かに「変身」と呟いてカイザフォンをベルトに挿入した
最初から素直に渡す気は無いか・・・
琢磨は草加を見下すように見つめると、「変身」と呟き、ファイズフォンをベルトに挿入した
「「コンプリート」」 二つのベルトからヴォイスが流れ、二人の身体に光り輝くラインが通る
そして、琢磨は仮面ライダー555に、草加は仮面ライダー913に変身した
555と913は静かに対峙し、お互いにゆっくりと歩きながら間合いを詰めていった
ある一定の距離まで近づくと、二人は同時に歩みを止めた
「「・・・・・・」」 無言だった、二人は無言のまま対峙し、無言のまま同時に走り出した
「シングルモード」 555がベルトのファイズフォンを引き抜き、フォンブラスターに変形させる
「レディ」 555の攻撃を予測した913が、ブレイガンを手にとり、ミッションメモリーを挿入した
黄色の刃がブレイガンから伸びる
「ハッ!!」 555は地面を蹴り、空中へと跳躍して913を狙い撃ちにした
だが、放たれた弾丸を、913はブレイガンで全て弾いた
「なにッ!」 913の反応に驚きながら、555は工場の屋根に着地し、地上に立つ913を更に射撃した
913はそれを再びブレイガンで弾いた、だが弾丸のうち何発かは913に直撃した
幸い致命傷には至らなかったが、この状況が555にとって有利なのは明らかだった
草加は、913の仮面の下で舌打ちをすると、ブレイガンの銃口を555に向けた
だが、それを邪魔するかのように、オートバジンが飛来し、大量の弾丸を913に向かってばら撒いた
地面が火花を散らしながら砕け、913の装甲も火花を散らす、衝撃で913はその場に倒れた
228 :
アリエス ◆ev9DCO8ZVA :03/06/22 11:34 ID:auxGG3Nc
555は913から10mほど離れた所に着地し、ファイズフォンをベルトに挿入した
オートバジンは555の横に降り立つと、倒れる913に向かって盾型バルカン砲の銃口を向けた
しかし、555はバジンの胸のボタンを押してバイクモードに変形させた
あれだけの攻撃を受ければ、もはや装着者は無事ではあるまい、こちらの勝利だ
ピクリとも動かない913を見て、555は勝利を確信し、913に向かってゆっくりと歩き出した
だが次の瞬間、913が突然起き上がり、ブレイガンの銃口を向けた
予想外の出来事に戸惑い、555の動きが止まる
「動くな・・・」 銃口を向けながら、913が555を牽制する
「くっ!!!」 琢磨は555の仮面の下で口惜しそうに歯軋りをした
913倒れていたのは狸寝入り、演技だった
その罠にまんまとはまり、絶対的な勝機を逃した自分に、琢磨は激しく憤った
「フン・・・」 そんな555を草加は鼻で笑い、ブレイガンからメモリーを抜いた、黄色い刃が消えていく
そして、メモリーをフォンに挿入し、ベルトから抜いて、片手で器用にブラスターに変形させた
ブレイガンとフォンブラスターの二丁拳銃が555を狙う
「うおおおおおオオッ!!!」 ヤケクソになった555は913に向かって突進した
「動くなって・・・」 913は静かに呟き、二丁拳銃を容赦なく発砲した
全身から、555の身体が見えなくなるほどの火花が飛び散る
555は全身を震わせ、その場に崩れた
913はブレイガンとブラスターをベルトに装着し直すと、カイザショットを手にした
「レディ」「エクシードチャージ」 グランインパクトまでの手順を淡々とこなしていく
カイザショットにエネルギーが充填されたのと同時に555が立ち上がり、背を向けて逃げ出した
「ハァッ!!!」 それを追いかけ、背中に向かってグランインパクトをお見舞いする
黄色いΧの字が浮かび上がり、555の身体が宙を待った
そして、地面に叩きつけられると同時にベルトが外れ、555が琢磨に戻った
「・・・・・」 手を鳴らしながら913が近寄る
「うわぁぁぁぁぁっ!!!!!」 叫び声をあげながら、琢磨はベルトを置いて逃げてしまった
たくまは ベルトをすててにげてしまったぞ!
230 :
名無しより愛をこめて:03/06/22 20:40 ID:p9qMN65s
今日、このシーンやってたら神だったね。
でも俺的には琢磨と草加は裏取り引きをしたんじゃないかと妄想。
っていうかこれは仮面と力じゃないよね?
キラーと零号か。アバレンジャーだけどさ。
あとさHeat on2に出す予定のオリジナル悪役ライダー、
オ○ガって名前にしようと思ってたんだけどさ、、、ダメじゃん
>>230 そうです、昨日の放送を見て思いついた妄想でつ
仮面と力とは無関係です
>>229 たのようかよ!
うま「みんなよけろ、ふぁいずだけはゆるせない」
235 :
◆mgnDzvZ1fc :03/06/24 21:20 ID:zPVd3oRt
──┐
|コソーリ
|,,∧ ソロソロホトボリモサメタカナ…
|Д゚,,彡
|と彡 ツヅキトウカシテモイイデツカ?
|'"J
──┘
>235
ヤッチャエ、ヤッチャエ!
半ば拉致されるような形で五代が小沢澄子の研究室に缶詰にされてから一週間がたった。
その間に嬉々として研究室に現れた椿秀一との悶着や、
無理矢理押し込んだアマダム解析手術の直前まで抵抗した五代が
病院から忽然と姿を消すなど、様々な事件が起こった。
しかし、いざ手術そのものが終わってしまった今、
五代は小沢がうざったく感じるほど研究室に通い詰めている。
事実、ベルトを体内に取り込んでからの彼にとって、
全身麻酔も、腹を切られることも、後にまで影響を及ぼすような物ではなく、
椿の腕も手伝って、ここ数日でほぼ傷は無くなっていた。
加えて五代の恐れていたような仕打ちも、今の所は無かったため、
彼が小沢と椿という布陣に感じていた恐怖も多少なり薄らいでいたし、
何より自分の中にある物がなにであるか、そしてそれを元にして
どんな物が出来上がるかに、五代は大いに興味をそそられていた。
「こんにちはー。」
警視庁の一角にある。小沢澄子に与えられた研究室。
五代がその扉を開けると、もはや見慣れた部屋に見慣れた人間が一人、
そして男と女が居た。
「榎田さんじゃないですか!どうしたんですか?わざわざ科警研から?」
「そうよ、どうせそんなに忙しくもないしね。お久しぶり、五代君。」
小沢とテーブルを囲み、談笑していた女性・・・榎田ひかりが言った。
「はい!すっごい久しぶりですね。」
そう言ってサムズアップする五代。
「何で今日に限っていつもより遅いのよ。せっかく榎田さんが
五代さんに時間合わせてくれたのに。」
「いや、ポレポレがすごい混んじゃって。丁度みのりが来たんで、
任せてきたんですけど。」
「ポレポレ?」
「あ、小沢ちゃん知らなかった?五代君の日本の拠点よ。カレー屋さん。
前に一度お邪魔したけど、結構おいしいのよ。みのりちゃんは彼の妹さん。」
「たま〜にお客さんがすごく来るんですよ。良く分かんないんですけど。
で、榎田さんは何でここに?」
流れるような会話の後、本題が始まった。
「装備の開発の目途がついたって聞いたから来たのよ。」
「ええっ!もう出来たんですか!ずいぶん早いですね。」
「違うわよ、そんなに早く作れる訳無いじゃない。榎田さんも簡略しすぎです。
五代さんとゴウラムのアマダムを研究してたらかなり参考になったから、
AIの基本システムが出来そうなのよ。外装は大体固まってきてるし、
今の内に組み立ててくれる業者探しておかないといけないでしょ。
G-システムの時も榎田さんにはお世話になったから、またお願いしようと思って。」
「なるほど。流石に小沢さんでも鉄板切ったり曲げたりは無理ですよね。」
「そりゃそうよ。小沢ちゃんだってか弱い女の子だもん。
それに私って科警研でもイロモノでしょ?そう言う特殊な事してくれるトコ
詳しいのよね。」
そう言ってケラケラと笑う榎田。つられて五代も笑い出す。
「二人とも私をなんだと思ってるのよ。」
「なにって、だからか弱い女の子って言ってるじゃないです・・いたっ!
いたいですよいたいってば!すしませんすいません分かりましたから!」
五代の右手小指はいつの間にか二本の鉛筆に押しつぶされるかのように、挟まれていた。
ご丁寧に抵抗できないよう肘の関節まで極められている。
「お互い座ってて良かったわね。」
そう言って冷笑を浮かべる小沢。それを受けた五代も、微妙な笑みを浮かべる。
この言葉、そして彼女の必殺技の意味を知らない五代は、幸せなのか不幸せなのか・・・。
「えー、で、この方はどなたですか?」
五代が、この部屋の主である女性の恐ろしさを再確認したところで話題を逸らす。
「あっ、すっかり忘れてたわ。今この子の話をしてたのよ。」
五代より前からこの部屋にいたものの、彼らの流れるような漫才に
話題にはいることの出来なかった青年である。
榎田のしゃべりが続く。
「小沢ちゃんのAI開発に役立つと思って連れてきたのよ。五代君が入ってくる前に
小沢ちゃんにこの子の作ったプログラムを見て貰ってたんだけど、感想聞く前に
五代君が入って来たから。」
「そうだったんですか。じゃあ小沢さん、お願いします。」
「僕も是非小沢博士の評価をお聞きしたいです。」
青年も重ねて小沢に感想を求める。
「そうね・・・基本はすごく出来てるし、動作よりも人間とのコミュニケーションに
重点を置いてるから、感情の豊富さは目を見張る物があるわ。十分手伝ってもらえそう。」
「あ、ありがとうございます!」
「別に。そう言えばまだ名前聞いてなかったわね。」
「あ、完成したらデミタスって付けようと思ってるんですけど・・・」
「あなたの名前よ!これに愛着持つのは良いけど!自分より優先してどうするの!」
そう言ってプログラムの流れるPCをバンバンと叩く小沢。
「はい!野々山真一です!」
「よし!良い声。」
その時、部屋の外、廊下を走る一条と一人の刑事の姿が見えた。
「あ、あれ一条君じゃない?」
初めに気が付いたのは榎田だった。
「何かあったみたいですね。俺、ちょっと行ってきます。」
彼らの緊張に急かされるような表情を見て五代が部屋を飛び出した。
「一条さん!どうしたんですか?」
「五代か、今アンノウンらしき怪物を見たと言う通報が入った。」
「俺も行きます!」
「ああ、通報者によると一瞬にして消えたそうだ。それも袋小路から。
彼が出した意見もあるし、ちょっと気になってな。」
「彼?」
「彼、須藤雅史君だ。ここ最近起こっている行方不明事件が
人外の生命体と関係があるという意見を出してきてな。」
一条の後ろに立っていた男を紹介する。
「須藤君、彼は五代雄介。私の友人だ。」
「どうも、須藤です。」「よろしく。」
「では一条さん、現場に急ぎましょう。」
再び走り出す須藤。それを追おうと、二人も走り出す。
「待ちなさい!」研究室から飛び出てくる小沢。
「五代さん!あなたには話しておかなきゃいけないことがあるのよ!」
「ごめんなさい小沢さん。それはまた今度。」
「待って!」小沢の制止を受けず、走り去る二人。
「小沢ちゃん、そんなになって。どんな用があったの?」
「榎田さん、あの二人の携帯番号知ってます?」
「知ってるけど・・・。どんな用だったのよ!」
我に返ったように一瞬ハッとなり、小沢は説明をはじめた。
「ええ・・・実は・・・」
・゚・(つД`)・゚・ゴメンネゴメンネ、
本当はもっと話し進めるつもりだったんですよ。
須藤悪巧み+龍騎、騎士→クウガ変身→神崎兄一条を勧誘
っていう所まで行くつもりだったんですよ。
でもね、エノキだのOZAWAだの雄介だのが無駄にくっちゃべるんですよ。
止まらないんですよ、雑談が。これでも結構削ったんですけどね・・・。
そしたらテンポ悪くなっちゃった。
会話の間に入れるちょっとした文(なんて言うのかわかりません
の書き方もワケワカメです(鬱氏どなたかご教授いただけるとうれしいです。
で、WSP出しちゃった(汗・・・はい。小沢の姐さんの新装備はクラステクターです。
小山刑事は未確認かアンノウンに殺された設定にしていこうかな、と思っています。
設定いじりが嫌いな方は、これからもかなり多くなりそうですが、どうかお目こぼし下さい。
部長=風見、警視庁=本郷の図式も考えてはいるんですが・・・。どうでしょう?
野々山君も許してね。実はしゃべり方の記憶が曖昧なんです。
ちょっとしか喋らせなかったけど、イメージじゃなかったらご指摘下さい。
むぅ・・・
引かれちゃったかな。
どんどん駄文になってるし。
いや、別に悪くないんじゃない
最後を「つづく」にしておいて、あと言い訳っぽいの書かない方がスマートかな
都合のいい時に書いてもらえれば嬉しいワケで…
>>243 うまく纏まっていた。
次回からまた期待しているから元気だしてください。
暗い闇の中、人影が一つ・・・
その向こうにも、人影が一つ・・・
『コンプリート』
闇に響き渡る声
ぶつかり合う赤い閃光と黄色い閃光!
『エクシードチャージ』
赤い剣と黄色い剣がぶつかり合い、火花を散らす!
仮面ライダー555 ザ・サイドストーリー〜第一部〜
近日公開
たまには俺もやり方変えて出来上がった分からちょっとづつ出していこうかな
昼下がりのうららかなひととき。窓からは木漏れ日が降り注ぐ。
事務所のデスクの椅子に座る北岡秀一。
まるで世間でのモンスター出現騒動が嘘であるかのような穏やかな時間。
北岡は秘書兼お手伝いの由良吾郎とたわいもない世間話に興じる。
「吾郎ちゃん、最近令子さんとりつくしまもないのよ」
「令子さんもきっとお忙しいんでしょう」
「世間じゃモンスターが現れたって大騒ぎだからね」
「ジャーナリストだから、令子さん寝る暇もないんじゃないですかね」
「俺にもそういう時があったよ、寝る間も惜しんで働くっていうのがさ」
そう北岡秀一には体を壊す程に仕事漬けの頃があった。
その頃の無茶が原因で病気の発見が遅れ、発見された時にはすでに進行がひどく手遅れとなっていた。
北岡の命にはもうわずかな時間しか残されていなかった。
「先生、ハーブティーをお入れしました」吾郎が持って来たハーブティーを口にする北岡。
「吾郎ちゃんが入れてくれたハーブティーは最高だね」
「先生、俺ちょっと買い物に行って来ます。何か上手いもんでも買って帰りますよ。」
今の北岡はその頃と打って変わってゆとりある生活を送っていた。
上手いもんを食って、いい女を抱いて(?)、いい暮らしをする、
北岡が愛して止まない、あまりにも人間らしい欲望が詰まった生活を北岡は満喫していた。
大口の仕事をいくつかこなす程度で収入は充分であったし、
何より北岡には本業の弁護士より重要なしなくてはならないことがあった。
それは他のライダーと闘い、最後の勝者となって永遠の命を手に入れること・・・
【 仮面ライダー Heat on!外伝/Anoter 13riders 】
【2nd Survive 第17話「ゾルダII」】
クラッシクを聞きながらハーブティーを口にする北岡。
至福のひと時に目を閉じ曲の調べに酔いしれる。
だが北岡が再び目をあけた時、そこは天使がつくりだした闇の空間の中であった。
北岡の前に立つ天使・ウリエル、神の火という名を持つ者。
「ちょっと、一体どういうつもりよ? あんた達のセンスにはついていけないんだよね、実際。
こんな暗い所にいきなり俺を連れ込んで一体何をしようっていうんだか。」
和やかな時間をぶち壊されてウリエルに嫌味を言う北岡。
「緑なる鋼の賢者よ。頭のいいお前なら我らの話を聞き入れてくれるはずだ、期待している。
我はお前を勝利者とする為、新たなる力を提供する準備がある。
お前をこの闘いの勝利者として、最後のひとりの生残りとするのに充分に足る力だ。」
北岡はウリエルの発言にも動じず冷静に言葉を返す。
「俺さ商売柄、おいしい話には気をつけるようにしているのよ。後でロクなことにならないからね。
あんたらのような胡散臭い奴なら尚更のことだね。どうせ何か裏があるんじゃないの?」
「さすがだな、緑なる鋼の賢者よ。その処世術、もっともな話であるな。」
腕組みをして北岡の前に立つ天使・ウリエル。
「だが我らとてさほどの大意はない。我らが宿敵別世界のライダーをそなたに葬って欲しいだけのこと。
特にそなたには我の宿敵V3とライダーマンとやら2人のライダーを倒して欲しいのだ。」
ウリエルの言葉を聞き、一拍間をとってから切り返す北岡。
「何故俺なんだい?冷静に分析すると、戦闘経験なんかからして俺よりもあんたの方が総合的には強いはずだ。
俺がやるより、あんたが直接手を下した方が可能性は高い。だけどあんたは俺にやりたがらせる。
共倒れを狙っている?いやそれでもまどっろこしいやり方には違いない。一体何が狙いなんだか?」
「なるほど、感情に捉われずに己と他者を冷静に分析出来る、それもまた賢者の証か」
「我はこの世界で人間であるお前達に倒されるV3とライダーマンの姿が見たいだけなのだ。
奴らが信じた人間という存在、その存在により葬り去られる奴らの姿がな。
さぞや口惜しかろうな、自分が信じた者に命を奪われるというのは。」
「ふ〜ん、、、でもまだちょっと動機が弱いねぇ。
それで他人を動かすっていうのは無理があるんじゃない?もっと説得力ってものがないとねぇ。」
「お前が我を疑うのは構わぬが、もし仮に我がお前を利用しようとしているとしても、
お前も我を利用すればいいだけのこと。我を出し抜くだけの自信もお前ならあろう。」
「へぇ〜、いいとこ突いてきたね。ちょっと考えてみようかって気になったかな。」
北岡は思わず笑みを浮かべる。それはウリエルとの言葉の駆け引きを楽しんでいるようでもあった。
「ではこう考えればいいであろう。これはお前達のいうところのビジネスの交渉なのだ。
我はお前にV3とライダーマンを倒すことを依頼する。それに成功すればお前はその報酬を手にすることが出来る。」
「で、その成功報酬っていうのは何よ?」
「お前の願いを我の力で叶えてやろう。」
北岡は思わずウリエルの発言に失笑する。
「随分とサービスいいんだねぇ、こりゃますます怪しいじゃない。」
「我ら天使にとってはヒーリングなどは初歩の初歩。お前の病を治すことなど容易いこと。」
「俺の病気が治ったところで、ライダーの闘いからは途中で降りられない、
どっちにしろ最後のひとりになるまで闘い続けなきゃならない、どうぜオチはそんなところでしょ」
やれやれという表情の北岡は肩をすくめてみせる。
「だが、残された時間を気にかけることはなくなるだろう。今のままではお前はいつその命の灯が尽きるともわからぬ。
お前が最後の勝者となる前に、その命の灯は燃え尽きてしまうかもしないのだ。」
「今度は痛いところ突いてきたね。お互いの願いを叶えあう取引、ビジネスね」
北岡は腕を組み、手で顎を触りながらしばし考えをめぐらす。
「あんたの裏が見えない以上、俺の方が圧倒的に不利なのには違いない。
だけどあんたを利用すれば俺にもメリットがある。あんたを出し抜けるかどうか賭けてみるのも悪くないか。」
「まぁいずれにせよ話だけは聞かせてもらってもいいかな。
俺も簡単にあんたに利用される気はないからさ、あんたをいつ出し抜くかはわからないよ。
それでもいいって言うのならとりあえず交渉のテーブルには就くけどね。」
「わかっている。だからこそお前を賢者と呼んでいるのだ。」
ウリエルは北岡の前に強化カードを差し出す。
「このカードは、サバイブのカードを元につくられた強化カードだ。
このカードを使えばお前はサバイブ並の力を手にすることが出来る。
遠距離攻撃を主体とするお前の攻撃力はただでさえ高い、
だがさらにこのカードを使えばその攻撃力はゲームマスター・オーディンにも匹敵することになるだろう。」
「そんなカードがつくれるの?あんた達なんでもありなんだねぇ」
皮肉とも戯言ともつかない言葉を巧みに会話に織り交ぜる北岡。
「だがこのカードの効力はただ一度のみ。お前を信頼し過ぎると危険な目にあうのは我らかもしれないからな。」
「その辺はさすがに慎重なんだ」
続いてウリエルが北岡に差し出したのはアクセルベントのカードであった。
「アクセルベントねぇ。近接格闘は得意じゃないからね、使いづらいカードだな。
高速で移動しながら銃とか撃って当ると思う?
俺としてはファイナルベントの命中率とか高くなるカードとか希望したいところだよ。」
「お前の攻撃力は非常に高い、それで命中率が100%では無敵だな。
だがすべてがそう上手くはいかん。その辺はその自慢の知略をめぐらすことだ。」
アクセルベントを見つめる北岡。
「そう言いながらももう良い使い途を思いついたのではないか?緑なる鋼の賢者よ。」
「ちょっと待ってよ。あんた、人の心の中を覗けるような能力持ってないだろうね?
もしあんたが俺の心を覗けるっていうのなら、俺はこの交渉降りるよ。その辺はお互い対等じゃないとね。
駆け引きも心理戦も通用しない相手じゃ、はじめから降りるしかないからね。」
北岡はウリエルに首を横にかしげてみせる。
「お前ならこのカードを有効に使うだろう、そう思ったまで。心配はいらぬ。」
意外なことに北岡に差し出された増強カードはこれだけだった。
対ライダーマンに有効であると思われるコピーベントLv1のカードは出されることはなかった。
北岡はそのことにわずかな疑問を感じた。
だがもともと他のライダーに比べ武器も充実しているゾルダに、コピーベントがどうしても必要という訳ではなかった。
実は、このコピーベントLv1が北岡に提示されなかったことには大きな意味があった。
それは北岡に大きな影響を及ぼすことにもつながったが、もちろんこの時北岡がそのことを知るはずもなかった。
そして最後にウリエルはシザース・須藤の時と同様に、北岡にも白紙のカードを差し出すのであった。
「これはお前の自由意志でその内容を決められるカードだ。
そのカードを使う時が、お前の知略が最も試される時となるだろう。」
白紙のカードを真剣な表情で見つめる北岡。果たして北岡はこのカードを何に使おうと考えているのか。
「お前に渡されたカードは3枚だけだが、そもそもの戦闘能力が高いお前にはその3枚でも充分過ぎるものとなるだろう。」
「さらに我はお前にとっておきの別のプレゼントを用意している。
今はまだ準備中だが、おそらくお前にとっても喜ばしいものとなるであろう。」
北岡は再びやれやれという表情をしてみせる。
「あんた達のさ、そういう秘密主義的なところがどうも胡散臭いんだよね。」
「俺としては交渉に応じてもいいけど、あんた達の様子見ながらだね。
不穏な動きがあれば即交渉は白紙に戻させてもらう、それを前提に取引ってことでどうだい?
無条件で二つ返事じゃ、あんたに足元見られそうだしね。」
「よかろう、用心深いお前からそれ以上の良い答えは引き出せないであろうしな。」
北岡もまたウリエルを相手にぎりぎりの譲歩ラインで交渉が出来たと考えていた。
「あっ後、取引契約が一方的に破棄されても、違約金は払わないから、それだけは覚えておいてくれる?」
「それも商売柄という奴か?」「へぇ、天使にも冗談は通じるもんだね」
こうして北岡とウリエル、互いを利用し出し抜くことを前提とした打算的な交渉が成立したのだった。
現実世界に戻りひとり考え事をはじめる北岡。時が立つのも気にせずひたすら考えを巡らせる。
そして突然ふっとある事に気づく。「そう言えば腹減ったな。吾郎ちゃん遅いなぁ、何やってんだろ」
いつものごとくこの後も長文が続きます。
今回のキーマンはまだ登場してないけどライダーマン。
V3はかなり影が薄くなり過ぎてるかも(汗
SS書きながら改めてライダーマンの武器換装システムはいいなぁと。
その辺の魅力を活かせるように現在続きを鋭意作成中
>>Heatちゃん
週間連載くらいのつもりで、程よく読者を引っ張ってじらしてちょんだいまし。
モンスターの襲撃は日本中を震撼させたが、それは対岸の火事、
決して自分の身には降りかからない火の粉、他人事として捉えている人間達も大勢いた。
そうした人々で賑わう休日の繁華街。
超高層のレジャービル。低層階はショッピングモール、高層階はホテルやオフィスとなっている高層ビル、
そこにもまた多くの人々が訪れショッピングなどを楽しんでいた。
そしてそのビルこそが惨劇の舞台となったのであった。
平穏な休日、平穏なひと時を楽しむ人々。だがその平穏は突如として人々の絶叫によって打ち破られる。
ビル内のショッピングモールに現れた十数体のモンスター。周囲の人間を誰彼構わず襲いはじめるモンスター達。
笑顔だった人々の顔は一瞬にして恐怖に歪み、パニックを起こし混乱の中を逃げ惑う。
駆けつけるV3とライダーマン。2人はライダーの超感覚でモンスターの出現を察知していた。
モンスターに向かい走るV3は低空ジャンプ、弧を描いて宙を舞い、上空で空中前転し飛び蹴りを放つ。
V3キックがモンスターに炸裂する。ボディに直撃を受けたモンスターはその勢いで後方へとぶっ飛ぶ。
そのまま床に2度3度バウンドして倒れたまま動かなくなるモンスター。
ライダーマンは右腕の人造アームの部分にカセットアームを装着、
ロープアームのロープを網状に発射して敵を捕らえるネットアームで、モンスター数体を捉えその動きを止める。
すかさずV3はネットに絡まるモンスター達に手の先にエネルギーを集中して電撃チョップを放つ。
ネットで動けないモンスターはチョップの衝撃と電撃の別種のダメージを同時にくらう。
V3とライダーマンは逃げ惑う人々の盾となるべく、最前線に出てモンスター達と戦う。
2人のライダーにとってまず何よりも優先されることは、モンスターを倒すことよりも人々を速やかに避難させること。
その為には当然のことながらモンスターの動きを止め、時間を稼ぐ必要があった。
そして周囲にはまだ避難中の人がいる為、流れ弾、跳弾の危険性を考え
ライダーマンのマシンガンアームなどの使用は控えなければならなかった。
ライダーマンはさらにパワーアームを装着、先端の2つの爪でモンスターに一撃をくらわす。
そしてそのまま爪部分でモンスターを挟み、押さえ込み、モンスターの動きを止める。
パワーアームの2本の爪に力が込められ、容赦なくモンスターのボディの一部を握り潰す。
悶絶するモンスター。そこへとどめのV3キックがモンスターの頭部に直撃する。
他のモンスター達はV3とライダーマンが現れたことを知り、ビル内の各所へと逃げ込んで行く。
撤退ではなくビル内の死角に身を潜め、ライダーと人間を襲う隙をモンスターは伺っていたのだった。
V3とライダーマンは二手に別れてモンスター達を追撃する。
第一話が完成しました、それでは、たっぷり楽しんで下さい・・・・・
暗い闇の中・・・・・巨大な悪が生まれようとしていた・・・・・
研究員A「やった!博士!ついに生まれました!」
博士「そうか、実験がついに成功したのか!」
研究員B「博士、ついにやりましたね!」
喜ぶ研究員達、しかし・・・
???「フフフフフフフフ・・・・・」
その瞬間、研究所が吹き飛んだ
その炎の中から怪物のシルエットが現れる
怪物「ツイニ、コノヒガキタカ・・・・」
【仮面ライダー555 ザ・サイドストーリー〜第一部〜】
【第一話「動き出した闇」】
スマートブレインが壊滅し、SB社長の村上とスマートレディも死に、巧達は
木馬、海堂、結花の3人も加わり更に同居人が増える西洋洗濯菊池であった・・・
そして、草加雅人=仮面ライダーカイザは、スマートブレインの跡地を手に入れ、
自分の大豪邸を建てた。
しかし、物語はこれで終わりではなかった・・・・・
洗濯物を届けに行く木馬と巧、それを高層ビルの屋上から見る謎の男、
今、新たな戦いが始まろうとしていた・・・・・
次回予告
巧と木馬の前に現れる謎の男
巧「なんだお前は。」
謎の男「乾巧、木馬勇治、お前達の命はもらった。」
黒いオルフェノクにファイズとホースオルフェノクが倒れる!
第二話「巧、死す?」
真理「巧!」
らせん階段を駆け登ってビル上層階へと逃げ込もうとするモンスター、それを追うライダーマン。
ロープアームのカギ爪アームを遥か上方へと向かって打ち放つ、カギ爪部分が階段の手すりに引っかかり固定される。
ロープを手繰り寄せることで自動的にライダーマンのカラダは宙に浮かび、そのまま上方へと引き上げられる。
ロープアームを応用したエレベターで一気に上層階へと登り上がるライダーマン。
階段を猛スピードで駆け上がるモンスターの前に、右腕にカマアームを着けたライダーマンは立ちはだかる。
カマアームに付いているロープを左手でまわしはじめるライダーマン。
カマが円を描いてまわり回転をはじめ、空を裂きブンブン音を立てて回転スピードは上がっていく。
ライダーマンはカマを振り回しがならモンスターに向っていく。
変幻自在にロープが伸縮、カマは変則的な動きを見せ、モンスターを幻惑。
最後は上からの振り下ろしでモンスターを肩口からバッサリ真っ二つに切り裂く。
モンスターの体液が飛沫を噴き上げビルの壁を染めていく。
さらに他のモンスターを追いかけ、ライダーマンは巨大なロビーフロアーへと出る。
大きな柱の陰に身を隠し息を潜めライダーマンの動向を窺うモンスター。
だが次の瞬間、モンスターが隠れていた柱は衝撃音と共に亀裂を生じ、砕け散る。
ライダーマンのスウィングアームにより棘付き鉄球が柱に直撃したのであった。
モンスターは身を隠す場所を失い逃げようとする。
そこへ再びロープを振り回してからのスウィングアームがモンスターを狙う。
棘付き鉄球がモンスターの腹部に直撃、モンスターは鉄球に押されるがままに遥か後方まで吹き飛ぶ。
そのまま地面に叩きつけられたモンスターはぐったりと動かなくなる。
ライダーマンは武器換装システムであるカセットアームのその能力をいかんなく発揮し、モンスター達を次々と撃破していく。
遠くからこのライダーマンの闘いぶりを見つめるゾルダ。だがこのゾルダは北岡秀一ではなかった。
何故ならこのゾルダはコピーベントLv1のカードを手にしていたからだ。
さらにこのコピーベントLv1のカードはまたしてもメモリー機能付きのものであった。
『 Now saving... 』ライダーマンが使うアタッチメントのデータを
何枚ものメモリ機能付きコピーカードLv1でセーブし続けるもうひとりのゾルダ。
話の向きは変わるが、このスレの作者さん達にとって、アバレンジャー
の評価はどうなのかな?(クウガ2といわれているが・・・)。
263 :
名無しより愛をこめて:03/06/28 23:43 ID:i0koSWuq
あげ
一方モンスターを追うV3。ほぼ人も避難を済ませたビル内を疾風のように駆け抜ける。
前方に3体のモンスターを視認すると、ビル内の壁を利用しジャンプとキックで飛び回りアクロバッチクな動きで翻弄する。
壁を三角飛びしてモンスターの背後から飛び蹴りを決める。
上空を舞い空中前転の途中から天井に足を付き、突然直線的な動きへと変わるV3キック。
V3の空中殺法とそのスピードに対応しきれないモンスター3体は、抵抗も出来ぬまま沈黙する。
さらにV3はライダーの超感覚でモンスターを追跡する。
狭いエレベーターの昇降通路に身を隠すモンスター3体。そこにはモンスターの突如の襲撃で電気系統がダウンした為、
数十階のところでエレベーター内に閉じ込められたままとなっている人々がまだたくさん残っていた。
人間の臭いを嗅ぎ分け、昇降通路の中を通りエレベーターに近寄りづつあるモンスター。
エレベーター上部分の鉄板を突き破ろうとしはじめる。衝撃音と共に激しく揺れるエレベーター。
恐怖に顔を歪め悲鳴を上げるエレベーター内の人々。モンスターは何度激しくエレベーターの鉄板を打ちつけ、遂に鉄板を突き破る。
空いた穴から顔を出し、エレベーターの中を覗くモンスター。
そのモンスターの仕草は、追い詰めて逃げ場を無くした獲物を前に嬉々としているかのようであった。
エレベーター内の人々は恐怖に身を震わせ、絶望的な悲鳴がこだまする。
モンスターは何かの物音に気づきそのまま中には入らずに、一度エレベーターの外へと再び顔を出す。
顔を上げたモンスターの顔面にV3の白い鉄拳が直撃する。その威力は一撃でモンスターの顔を跡形もなく潰してしまう程であった。
V3は人々の悲鳴を聞きつけ、ビルの壁を突き破りエレベーター昇降通路の中へと入り込んで来たのだった。
V3は顔を潰され絶命したモンスターをそのまま蹴落とし、エレベーターの上へ立つ。
自分の姿を見て再びパニックになるかもしれないことに配慮したV3は、その姿を人々には見せずに、
外から中の人々に人間の声で語りかける。
「もう大丈夫だ。今助けるからもう少しだけそのまま辛抱していてくれ。」
中の人々はそれでも不安げな表情でエレベーターの天井、声が聞こえる方を見上げる。
V3はエレベーターのワイヤーが続く上へと視線を上げると、かなり上の方にまだモンスター2体が昇降通路内の壁に張り付いていた。
それは美味しい獲物をすぐ目の前にしているが、V3がいる為に手出しが出来ずに口惜しがっているかのようであった。
モンスター2体はお互いに顔を見合わせ、悔し紛れからなのかとんでもない行動をとる。
エレベーターを唯一吊らしている鉄製のワイヤーを切断しようとしはじめるのだった。
V3はエレベーター昇降通路内の狭い空間を、壁を走り駆け上がって行く。
V3はそのまま1体のモンスターに下方からの体当たりをくらわす。そしてもう1体の顔面に蹴りを炸裂させる。
蹴りをくらったモンスターはそのまま絶命し落下して行く。落下音が長く続いた後、地面との激突音がこだまして響き渡る。
モンスターはまだ1体生き残っていたが、V3はもう1体のモンスターにとどめを刺す訳にはいかなかった。
エレベーターのワイヤーはもうほとんど切れかかっていたからだ。
V3はエレベーターのワイヤーをカラダに巻き付け、自らは壁に張り付きエレベーターを支えなければならなかった。
そうしなければエレベーターはいつ落ちてもおかしくない状況にあったのだ。
それを見た残り1体のモンスターはここぞとばかりにV3に反撃を開始する。
V3を殴打するモンスター、それをただ耐え忍ぶしかないV3。
モンスターの渾身の一撃がV3にヒットしようとした瞬間、狭いエレベーター昇降通路内に銃声が響く。
蜂の巣となって落下していくモンスター。
V3が下方を覗き込むとエレベーターの上にはマシンガンアームを構えたライダーマンが立っていた。
「結城か、助かった」「人々を救出する、今暫く耐えてくれ、風見」
V3は自らのカラダに巻きつけたワイヤーの長さを調節して、エレベーター停止階の位置にエレベーターの高さを合わせる。
ライダーマンはビル内部のエレベーター乗場からパワーハンドでエレベーターのドアをこじ開ける。
だがすでにエレベーターのドアは歪曲している為、簡単には開かなかった。
ライダーマンはドリルアームでドアに穴を開け、やっとエレベーターの中の人々が脱出出来るだけのスペースを確保する。
突如現れたライダーマンの姿を見て驚く、エレベーターの中の人々。
「すまないが、驚くのは後にして、先に脱出してくれ」
ライダーマンの口元は人間そのままであり、それが人々には多少なりとも安堵感を与えたのであろうか、
人々は素直にライダーマンの誘導に従って避難する。
そのV3とライダーマンによる救出の光景を最上階のエレベーター乗り場のドアを開いた状態で覗き、見下ろしている天使・ウリエル。
「今なら奴らを倒すのも簡単なことであろうな」笑いながら、掌に光りのエネルギーを集中しはじめる天使・ウリエル。
掌に集められたエネルギーが光弾となった時、天使・ウリエルは遥か下方のV3とライダーマンに向かってそれを放とうとする。
がそのウリエルの行動を制したのはゾルダであった。
「あんた達のさぁ、そういう手段を選ばないやり方っていうか、その必死さ、見てる方が寒いんだよね。」
そのゾルダの声はまぎれもなく北岡秀一のものであった。ウリエルを制したのは北岡ゾルダであった。
「この機を見過ごすということは、お前は、奴らと真っ向から勝負して勝てる自信があるということなのか?
それともお前がいうところの、まだまだ甘いということなのか?」天使はいつもとは逆に北岡を皮肉る。
「あんたも結構ヤな性格してるねぇ。まぁさすがに俺もね、目覚めが悪い勝ち方じゃぁなんだしね。」
「その甘さが命取りにならなければいいがな、緑なる鋼の賢者よ」ウリエルは不敵に笑う。
「チッ」ウリエルの口撃が面白くないゾルダ北岡。
V3とライダーマンはエレべーターに閉じ込められていた人々の救出に成功する。
その間にあった北岡とウリエルのことを2人のライダーが知る由もなかった。
そして別の場所からライダーマンのデータを取り続けていたもうひとりのゾルダ。
この救出劇に様々な立場からの様々な思惑が交錯していたのだった。
リアルタイムキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!
これからの展開にますます期待
早く続きを・・・
ビル内の人間はすべて避難を終え、モンスター数体は新たに人間を求めて屋外に出ようと1階の巨大ロビーに集まっていた。
そこにV3とライダーマンが立ちはだかる。再びモンスターと戦闘を繰り広げる2人のライダー。
その光景を吹き抜けになっている2階ロビーから見つめるゾルダ。
「それじゃ、そろそろ行かせてもらおうか」その声は北岡秀一のものであった。
『シュートベント』マグナギガの胴体及び両腕を模した巨大バズーカ砲・ギガランチャーを手にする北岡ゾルダ。
モンスター達と闘うV3とライダーマン目がけギガランチャーの超強力な弾丸が発射される。
ビル内の1階ロビーで大爆発が起き、吹き飛ばされるモンスター達。ビル内のガラスは一斉に粉々に砕け飛び散る。
ビル内に立ち込める爆煙、周囲は煙に覆われしばらくの間何も見えなくなる。その煙の中に光り輝く緑色の目と赤い目。
「やっぱりこれくらいじゃやられてくれないわけね」煙が晴れて来てV3とライダーマンの姿が徐々に現れる。
2階からV3とライダーマンを見下ろす北岡ゾルダ。
「あんた達に恨みはないんだけどさ、あんた達と共存が出来ない以上、闘うしかないのよね」
北岡ゾルダはV3とライダーマンに向かって宣戦布告する。
V3とライダーマンは闘う意志がないことを伝えるが、最早闘いは避けることが出来なかった。
北岡ゾルダはV3とライダーマンを攻撃しては離脱を繰り返し、徐々に上層階へと進んで行く。
ヒット&アウェイ、敵との間合い、その距離間こそが生命線のゾルダ、
しかも相手が2人なると北岡も慎重にならざるを得なかった。
機召銃・マグナバイザーを連射しながら走る北岡ゾルダ。
ライダーマンもまたマシンガンアームでこれに応戦する。
ライダーマンを牽制しながら巨大な柱の影に一時身を隠す北岡ゾルダ。
柱より飛び出してマグナバイザーを再び連射する。
ライダーマンも無理に間合いを詰めずに遠距離よりマシンガンアームを連射し牽制する。
北岡ゾルダとライダーマンの牽制が続く。
「ひとりが牽制ということは、もうひとりは、、、」北岡ゾルダはマグナバイザーを手に振り返る。
そこにはライダーマンの牽制の隙に間合いを詰めようとしていたV3の姿があった。
「BINGO!」V3に至近距離からマグナバイザーを連射する北岡ゾルダ。
さすがにV3もこれには堪えきれず、転がりながら柱の影に身を隠す。
その間に今度はライダーマンがゾルダとの間合いを詰めようと走り寄る。
「接近戦は好きじゃないんだよね」
北岡ゾルダはカードをバイザーに装填する『アクセルベント』
アクセルベントを使い、一瞬にして北岡ゾルダは遥か後方へと移動し、再び遠距離の間合いをつくる。
北岡が考えていたアクセルベントの使い方とは、攻撃に利用するのではなく、
自分に有利な間合いをつくる為にアクセルベントを利用するというものであった。
そのまま2人のライダーが深追いして来なければ、シュートベントの大技を使い、
間合いを詰めようとしてくれば、適当にいなしながら再びアクセルベントで間合いをあける、
それが今回の北岡ゾルダの基本的な闘い方であった。
カードが何度でも使用可能になったことは、
今回のようにこの世界のライダー達の戦術を大きく広げることになっていた。
『シュートベント』今度はマグナギガの下半身を模した二連ビームキャノン砲がゾルダ(北岡)の肩に装着され、
ギガ・キャノンがV3とライダーマンに向かって放たれる。これを横飛びしてかわすV3とライダーマン。
二連ビームキャノン砲はビルの壁をぶち破り大きな風穴を開ける。
「こんな狭い所でファイナルベントを使われたらやっかいだな」V3は体勢を立て直しながら言う。
「この狭さでは彼自身も爆風に巻き込まれる、ここではあれは使えないだろう」それに応えるライダーマン。
「だが彼もファイナルベントを使う隙を窺っているはずだ、問題はいつどこでそれをやるかだな」
Heat on!さんに質問です。
『ゾルダU』は『ゾルダツヴァイ』と読みますか?リックドムUみたいでかっこいいと思います。
単にゾルダの2番目の話って意味です
3番目の話の時(30話)ははゾルダIIIで、
4番目の話の時(43話)はゾルダIVになりますので大した意味はないです
最初は闘いの主導権を握っていたゾルダ(北岡)。だが2対1の闘いは想像通り厳しいものであった。
しかもそのコンビがV3とライダーマンとあっては、2人の息のあったコンビネーションの前にわずかな隙も見せられなかった。
ゾルダ(北岡)は次第にV3とライダーマンのペアの前に押され始めるのであった。
V3がゾルダ(北岡)に向かって突進、その間合いを詰めようとする。
ゾルダ(北岡)はマグナバイザーを連射しV3の突進を阻止しようとする。
その隙にライダーマンがネットアームをゾルダ(北岡)に投げつける。
これにいち早く気づきネットアームをかわすゾルダ(北岡)。
「やっぱ2対1ってのは結構ツライか。かと言って天使さんに泣きつくわけにもいかないしねぇ」
V3の突進を防ぎきれないゾルダ(北岡)。V3がゾルダ(北岡)の懐に入り込もうとした時、突如鋼の巨人・マグナギガがその姿を現す。
突っ込んで来るV3をマグナギガは左腕のマニピュレーター型武器・ギガハンドで叩き潰す。床に激突するV3。
マグナギガは床を転がるV3にバルカン砲を放ち追い撃ちをかける。
さらにライダーマンに向かっても額のレーザー砲を発射する。
「やっぱり俺のパートナーと言えばお前か」ゾルダ(北岡)の言葉に呼応するかのように雄叫びを上げる鋼の巨人・マグナギガ。
マグナギガは右腕のバズーカ砲・ギガバレルを乱射しV3を牽制する。
そちこちでバズーカ砲が炸裂し、炎を上げて爆発が起る。
その間にゾルダ(北岡)はライダーマンを最上階へと誘い出す。
「マグナは固定砲台みたいなもんだからな、V3を引きつける役目が済んだら早いところ引き上げさせた方がいいだろう」
ゾルダ(北岡)は内心そう思いつつライダーマンにマグナバイザーを連射しながら、最上階を目指す。
マグナギガの攻撃力を警戒し、ひたすらかわし攻撃をかわし続けるV3だが、
そこはゾルダ(北岡)の予想通りマグナギガの動きは遅いため、攻撃をかわすのはそれほど難しいことではなかった。
V3の俊敏さをもってすれば、マグナギガの攻撃をかわしながら反撃に転じることも可能であった。
だがマグナギガもそれをわかっているのか、ゾルダ(北岡)の時間稼ぎのために、ひたすら攻撃し続ける。
額のビーム砲、胸のミサイル砲、右腕のギガバレル、左腕のギガハンドとバルカン砲、両足のレーザーカノン砲、を次から次へと乱射しまくるマグナギガ。
V3としてはこうなると出会い頭の一発をどうしても用心しなければならなかった。
確かにかわすことは難しくはないが、もし当れば破壊力だけはスバ抜けているマグナギガ、致命傷になってもおかしくはなかったからだ。
V3を相手に時間を稼ぎ、V3とライダーマンを完全に分断することに成功したマグナギガは、
現れた時と同じように突然V3の前から姿を消すのであった。
V3と完全に分断されたライダーマン。最上階の巨大フロアでゾルダ(北岡)を探す。
最上階フロアの壁はすべてが窓ガラスとなっている。窓ガラスを背にするライダーマン。
そしてライダーマンの前に姿を現すゾルダ(北岡)。
「ここならさ、さすがにあんたでも逃げ場がないでしょ?」
ゾルダ(北岡)はここまで使わなかったファイナルベントのカードを手にする。
「この狭さでファイナルベントを使えば、君も無事では済まないぞ」
「俺もさ、あんた達相手に無傷で済むとは思っていないよ。肉を切らせて骨を断つっことだね。」
ゾルダ(北岡)の前に再び現れるマグナギガ。『ファイナルベント』
ゾルダ(北岡)はマグナギガの背中にマグナバイザーをセットする。「これでひとり脱落してくれるかな?」
ゾルダ(北岡)はマグナバイザーの引き金を引く。マグナギガの全砲門が開きライダーマンに向かって集中砲火が浴びせられる。
ライダーマンはゾルダ(北岡)が引き金を引く瞬間、窓ガラスに向かって突進、
腕で顔を覆い隠しながら、窓ガラスを突き破って、自らビル最上階より飛び降りる。
ビル最上階で起る大爆発、炎と爆煙が空を覆い隠す。それは一瞬にして最上階から屋上にかけてすべて吹き飛ばす程の規模であった。
フロアーの跡形さえも無くなり、ビル最上階はただ瓦礫の山と化していた。
瓦礫の山の中から姿を現すゾルダ(北岡)、マグナギガを盾にガードベントも駆使して自身の被害を最小限に抑えていた。
「空が見えるようになっちゃたねぇ」ライダーマンが飛び降りた方へと向かい外を見下ろすゾルダ(北岡)。
「、、、しぶといねぇ」ビルの側面にはワイヤーアームのカギ爪でビルにぶら下がっているライダーマンの姿があった。
ライダーマンは自らビルから飛び降り、落下していく中、ワイヤーアームのカギ爪を放ち、
他の階の柱にワイヤーを引っ掛け、かろうじて落下をくい止めたのであった。
「まったく、あの人達は闘い慣れしているってのを感じるよ、この世界のライダー以上にね」
ゾルダ(北岡)はビルに必死でぶら下がるライダーマンの姿を見ながら嘆く。
「じゃぁこれでどうよ?」『シュートベント』
ビルにぶら下がるライダーマンに向かってゾルダ(北岡)はギガランチャーを放つ。
ライダーマンはワイヤーアームを使って大きく反動をつけ、再び窓ガラスを突き破って、ビルの他の階の中へと飛び込む。
ギガランチャーは無人となったビル側面に直撃する。
ここでやっと半分越えたぐらいか。
この話いつになったら終わるんだろうと書いている本人ですら思っている今日この頃。
戦闘シーンばっかりだし
逃げ場の少ない狭いビルの中で重火器を撃ちまくるゾルダ(北岡)とマグナギガ。
それは当然自身も爆風などに巻き込まれる危険性が高いという諸刃の剣。
北岡は敢えてその危険性を犯してV3とライダーマンのペアに勝負を挑んでいたのだった。
だが、それもビル自体の強度がそうは耐え切れるものではなかった。
度重なる重火器での破損が遂にビルを崩壊させはじめたのであった。
轟音と共に上から崩れ落ちていく超高層ビル。「ここもこれまでってことね」
ゾルダ(北岡)はV3とライダーマンとの戦闘を中断し、退避する。しかし北岡の予想以上にビル崩壊の進行は早かった。
ゾルダ(北岡)の頭上に巨大なコンクリートの瓦礫が落ちて来る。
ゾルダ(北岡)に瓦礫が直撃しようとした瞬間、マグナギガの胸を模した巨大な盾・ギガアーマーがゾルダ(北岡)を庇う。
ゾルダ(北岡)の目の前にはガードベントを持って立つもうひとりのゾルダの姿があった。
ゾルダ(北岡の窮地を救ったのはもうひとりのゾルダであった。
「なっ!?ゾルダがもうひとり!?」驚くゾルダ(北岡)。だが驚いている暇はなかった。
もうひとりのゾルダはコピーベント・ドリルアームを使って、目の前を塞ぐ瓦礫の山々を打ち砕き、退避経路を確保する。
もうひとりのゾルダの後を追う北岡ゾルダ。
ビルの外へと脱出に成功する北岡ゾルダともうひとりのゾルダ。
超高層ビルはあっという間にそのすべてが崩れ落ち巨大な瓦礫の山へとその姿を変えていた。
ちょうどそこには、やはりビル内部から脱出して来たV3とライダーマンの姿があった。
V3とライダーマンはビル崩壊時かなり上層部にいたが、ライダーマンのワイヤーアームを利用して、
隣のビルに飛び移り、ビルからビルを飛び移りながら移動し地上に降りて来たのであった。
もうひとりのゾルダはV3とライダーマンの姿を見ると、2人のライダーに向かって突進して行く。
V3もライダーマンもまだゾルダが2人いることには気づいてはいなかった。
『コピーベント』ライダーマンのドリルアームを装着したもうひとりのゾルダ。
ライダーマンはゾルダが自分と同じ武器を使うことに驚きの色を隠せない。
螺旋状に渦巻くドリルが高速回転し、その鋭く尖った先端が空を裂きライダーマンに襲いかかる。
ライダーマンはこの高速回転するドリルをパワーアームの2つの爪で受け止める。
ドリルの回転が金属の爪と擦れ合い激しい火花が飛び散る。
もうひとりのゾルダとライダーマン、両者一歩も譲らない。しばしの力比べの後、互いに相手を突き放す。
もうひとりのゾルダは今度は至近距離からスウィングアームを振り回し、V3とライダーマンの両者を狙う。
北岡ゾルダはもうひとりのゾルダの闘いぶりを見ながら思う。
一体もうひとりのゾルダは何者なのか?少なくとも自分の敵ではないであろうことは確かだ。
城戸真司・龍騎に対する裏真司・リュウガのように、鏡の中のもうひとりの自分?
天使・ウリエルが用意したゾルダのクローンなのか?
北岡の頭の中には様々な推測が浮かんでは消えて行く。
ただひとつ間違いないのは、これが天使・ウリエルが言っていたもうひとつのプレゼントなのであろうことだけだった。
しかもその闘いぶりはゾルダでありながら、遠距離攻撃を一切行わない、ゾルダらしからぬ闘いぶりであった。
まるで北岡に自分が近接距離で相手2人を引きつけるからそこを狙えと無言で言っているような闘い方でもあった。
北岡ゾルダは頭に浮かぶ迷いを捨て、もうひとりのゾルダがつくりだしたチャンスに勝機を賭ける。
ドリルアームとストライクベント・ギガホーンの二刀流でV3・ライダーマンに立ち向かうもうひとりのゾルダ。
V3・ライダーマンの攻めを二刀で受け流し、そのまま反撃に転ずる、攻防一体の構え。
近接格闘でV3とライダーマンを引きつけるもうひとりのゾルダ。
北岡ゾルダは遠距離後方よりファイナルベントを放つ。マグナギガにマグナバイザーの背中にセット、その引き金を引く。
マグナギガの全身より武器が一斉発射される。
蜘蛛の子を散らしたかのように糸を引いて、V3・ライダーマンに襲いかかるマグナギガの集中放火。
その広範囲の攻撃は当然もうひとりのゾルダもまたその射程の中におさめていた。
ゾルダのファイナルベントをくらい吹き飛ぶV3・ライダーマン、そしてもうひとりのゾルダ。
とっさにエネルギー反応に気づき直撃は免れたものの無傷という訳にはいかなかった。
傷つき立ち上がるV3とライダーマン。その時やっとゾルダが2人存在していることに気づく。「何故、ゾルダが2人も?」
もうひとりのゾルダは爆発寸前、ガードベントともう一体のマグナギガを盾にしたものの、やはり無傷というわけにはいかなかった。
そしてその時、瓦礫の山からモンスターの最後の生残りが姿を現し、傷ついたV3とライダーマンの背後に襲いかかる。
今迄瓦礫の山に身を潜めていたモンスターの生残りは、傷ついたV3とライダーマンを見て、2人を倒すチャンスと不意打ちを仕掛けたのだった。
そしてファイナルベントを放ち無防備となった北岡ゾルダの背後からもモンスターが襲いかかる。
これを傷ついたカラダをおしてなお防ごうとするもうひとりのゾルダ。
北岡ゾルダを庇い、片手に持ったギガアーマーでモンスターの攻撃を防ぎ、
もう一方の手に持つマグナバイザーでモンスターを撃ち抜く。
傷ついたV3とライダーマンは少し離れた場所でモンスターの生残り達と闘っている。
対峙する2人のゾルダ。2人のゾルダの間に緊張が走る。
「俺、やっとわかったわ」
「吾郎ちゃん、なんでしょ?」北岡はもうひとりのゾルダに向かって問いかける。
「・・・・・」無言のもうひとりのゾルダ。
「隠したってダメだって、動きとか見ててわかったんだから。」
「・・・・・」黙っているもうひとりのゾルダ。
「それに吾郎ちゃん以外に俺の為にここまでしてくれる人なんていないんだからさぁ」
「・・・先生、すいません。俺がライダーになるって言ったら先生が反対するのはわかってました。
でも俺どうしても先生の力になりたかったんです、先生の闘いを手助けしたかったんです。」
もうひとりのゾルダがようやく言葉を発する。その声は紛れもなく由良吾郎の声であった。
吾郎ちゃんがもう1人のゾルダとは思わなかったぜ
みんなきっと「吾郎ちゃんしかいないだろう」と思っていたと思う。
<他に登場人物いないしなぁ(汗
それでも誰もそれをネタバレしないので、みんないい人なんだなぁと正直思った。
ベタなんだけどさぁ敢えてベタをやりたいのよね、
「頑張る吾郎ちゃん!!」みたいなノリの奴を。
<たまにはあげてみる
本編最終回に続いて、ゴロちゃんゾルダに驚かされました。
マジで気づかなかったっす。
それは天使・ウリエルが北岡との交渉を成立させた直後のことであった。
街で買い物をしていた吾郎。突然街の景色は闇の世界へと変貌を遂げる。
「緑なる鋼の賢者に付き従う者よ」吾郎の前にその姿を現す天使・ウリエル。
吾郎は実際に天使を目にするのははじめてであったが、その存在自体は北岡より聞き及んでいた。
「お前の友、北岡秀一の闘いを助けたくはないか?」
「先生が俺の友だなんてそんなおそれ多いッス。先生は俺の大恩人ですから。」
「なるほど、あくまで主従の関係であるというのだな。その謙虚な姿勢は心打たれるぞ、従者よ。
では改めて問い直そう。お前の恩人である北岡秀一のライダーとしての闘いを助けたくはないか?」
「今の俺の生き甲斐は先生のお世話をすること。
仕事の上では秘書として、私生活ではお手伝いさんとして、そしてボディガードとして。
だけどライダーの闘いでは俺は先生に何もしてあげることが出来なかったッス。
俺はいつでも先生の闘いの手助けがしたい、ずっとそう思ってきたッス。」
「お前のその主を想う気持ち、痛い程にわかるぞ。我にもこの命を賭して忠誠を誓った主がいるからな。」
「我らが調べたところでは、別の未来の可能性にはお前がライダー、ゾルダになるという可能性もあった。
病で死んだ北岡の代わりにお前がゾルダになるという別の未来の可能性がだ。
別の未来に可能性があるということは、我らの力で今それを実現することが出来るということでもある。
だがお前が未来で変身する可能性があるのはゾルダのみ。したがってお前はゾルダにしかなれぬ。
そこでだ、我らはゾルダの契約モンスター・マグナギガを完全複製し、カードデッキをも完全複製した。」
天使・ウリエルはそう言い、吾郎の目の前に北岡が持っているのと全く同じカードデッキを差し出した。
「お前がこれを受け取れば、お前は主と全く同じライダーの力を、ゾルダの力を手に入れることが出来る。
その力でお前の恩人を闘いでサポートすることが出来るのだ。ベストパートナーとなることであろうな。さぁどうする?」
「俺の返事は決まっているッス。先生はきっと俺がライダーになることには反対するでしょう。
だけどそれでも俺はライダーになりたい。先生の闘いを一緒に闘いたい。
先生が背負った闘いを一緒に背負いたい、それが俺の願いそのもの。
俺が目指すのは、先生のすべてを完全サポートする、史上最強のお手伝いさんッス!!」
「その心意気大したものであるな。では、お前にこれを。」
天使・ウリエルは吾郎にもうひとつのゾルダのカードデッキを渡す。
そしてさらにコピーベントLv1(メモリー機能付き)を数枚渡し、
V3のベスト・パートナーであるライダーマンの武器換装システム・カセットアームをコピーすることを勧めたのであった。
「そう言えば腹減ったな。吾郎ちゃん遅いなぁ、何やってんだろ」
北岡が腹をすかせていた頃、吾郎は天使・ウリエルを介しもうひとりのゾルダの力を得ていたのだった。
天使達は今迄この世界のライダーの心の隙を付いて甘言を呈し、別世界のライダー達と闘う様に仕向けてきた。
だが北岡は用心深く一筋縄ではいかないと踏んだ天使・ウリエルは、
北岡本人ではなく吾郎にその甘い囁きを向けることにしたのであった。
吾郎の北岡の力になりたい、北岡と共に闘いたいという純粋な願い、そこに目を付けたのだった。
向かい合う北岡ゾルダと吾郎ゾルダ、2人のゾルダ。
「天使さんもやってくれるよ。まさかこういう手で来るとはね、、、」
「出来ることなら、吾郎ちゃんをこの闘いに巻き込みたくなかったんだけどな、、、」
「先生、先生の気持ちはありがたいッス。でも俺は先生と一緒に闘いたいんです。
先生の背負った闘いを一緒に背負って闘いたいんです。」
「秘書・お手伝い・ボディガード、そしてライダーの闘いでも先生をサポートして、先生のベスト・パートナーになりたいんです。」
「吾郎ちゃんはいつだって俺のベスト・パートナーだよ、、、」
「俺が目指すのは、先生のすべてを完全サポートする、史上最強のお手伝いさんッス!!」吾郎の情熱に押される北岡。
「吾郎ちゃん、わかったよ」「先生!!」
少し離れた場所でモンスターの生残り達と闘っているV3とライダーマン。その方向を見つめる北岡ゾルダ。
さらにモンスターの増援数体が現れ、V3とライダーマンのみならず、2人のゾルダの方に向かって来つつあった。
天使・ウリエルから渡された強化カードを手にする北岡ゾルダ。
「胡散臭いからこのカードはあんま使いたくなかったんだけどね。ここで吾郎ちゃんを死なすわけにはいかないしね。」
「こうなった以上、乗りかけた船、とことん乗り倒してやろうじゃないの」
強化カードを使うことを決意する北岡ゾルダ。
地響きが起り激しく大地が揺れ始める。地面には無数の亀裂が走り、大地は裂けて行く。
強化カードをバイザーに装填するゾルダ(北岡)。
灼熱の炎を上げ燃えさかる隕石が空から飛来する。
隕石は凄ざましい衝撃と共に大地に激突、その衝突と共に隕石は大爆発を起こし飛散する。
その中から現れる鋼の巨人マグナギガ。
強化カードによりパワーアップしたマグナギガは雄叫びを上げ、そのボディ全身から実弾兵器を撃ちまくる。
周囲で起る大爆発。辺り一面は炎の海と化す。その業火の炎に身を焼くゾルダ(北岡)。
マグナギガのパワーアップを受けゾルダ(北岡)も強化型へと変わっていく。
北岡の網膜に直接投影されるゾルダのシステムモニター。
ゾルダの全身像が映し出される。その横で英語の表示が早いスピードで浮かんでは消えて行く。
powerd card install... ... ... ... ...install complete
powerd system set up...
head parts...green...
rigth sholder parts...green...
left sholder parts...green...
ゾルダ(北岡)の全身の各部が強化型へと変わって行く。
system all green...
Zolda powerd starting now... ...
強化型へと変身を遂げたゾルダ(北岡)、業火の中よりその姿を再び現す。
内部の余剰エネルギーをボディから外部へ放出する強化型ゾルダ。
陽炎を背に、バイザーを片手に構え、ゆっくりと歩きはじめる。
『シュートベント』カードをバイザーに装填する強化型ゾルダ。
マグナギガの胴体及び両腕を模した巨大バズーカ砲を片手で持ち、ギガランチャーを発射する。
発射時の反動をものともしない強化型ゾルダ。物凄い轟音と振動が四方に響き渡り大爆発が起る。
ゾルダに向かって来つつあったモンスター達は一瞬にして消え飛ぶ。
その威力は一撃で地形すらも変え、地面に巨大なクレーターをつくり出す程であった。
ゾルダが強化され、当然ゾルダの武器もすべて強化されたのだった。(+3000AP/GP)
生残りモンスター達と闘うV3とライダーマン。
強化型ゾルダはギガランチャーをV3とライダーマン目がけて再び発射する。
轟音と衝撃が走り、大地が砕け吹き飛ぶ。モンスター達は一瞬にして消し飛んでしまった。
V3とライダーマンはこれをかわしていたが、今迄以上のその破壊力に驚愕するばかりであった。
「先生!俺が突っ込みますっ!引きつけているところを狙い撃ってください!」
吾郎ゾルダはV3とライダーマンに接近戦を挑もうとする。
「吾郎ちゃん、ちょっと待って。これ持ってって」『ガードベント』
強化型ゾルダはマグナギガの胸を模した巨大な盾・ギガアーマーを吾郎ゾルダに渡す。
当然、吾郎ゾルダのギガアーマーより強化型ゾルダのギガアーマーは3000GP 防御力が高い。
そして北岡が天使・ウリエルより受け取ったアクセルベントを吾郎ゾルダに渡す。
ギガランチャーでV3とライダーマンを牽制する強化型ゾルダ。何度となく爆煙を上げて大地が吹き飛ぶ。
吾郎ゾルダは強化型ギガアーマーに全身を隠すようにして、ドリルアームだけを突き出し、アクセルベントでV3に突撃をかける。
攻防万全の構えにさらにアクセルベント、V3はこれをかわせずドリルアームの一撃を受け、吹き飛ぶ。
さらにドリルアームでV3に追い討ちをかけようとする吾郎ゾルダの腕に、ライダーマンのロープアームが絡みつく。
ドリルアームの動きを抑えられた吾郎ゾルダ。体勢を立て直したV3が蹴りを入れようとする、
そこへ強化型ゾルダのマグナバイザーでの援護射撃が飛んで来る。
V3とライダーマンの長年の経験に基づく息の合ったコンビと、
2人のゾルダの近接・遠距離コンビは息をもつかせぬ攻防を繰り広げる。
V3とライダーマンをマグナバイザーで牽制する強化型ゾルダ。
カマアームを装着した吾郎ゾルダは自身を中心に回転しはじめる。そこへアクセルベントを装填。
自らを軸にしカマを振り回しながら高速回転する吾郎ゾルダ。
カマアームのカマがそれこそまるでカマイタチのようにV3とライダーマンに襲いかかる。
ボディの表面を切り裂かれるV3とライダーマン。「吾郎ちゃんも随分独創的な攻めをするね」
今度はライダーマンがドリルアームで吾郎ゾルダに反撃を試みる。
これをパワーアームで受け止め火花を散らす吾郎ゾルダ。2人の動きが完全に止まる。
そこをすかさず強化型ゾルダがマグナバイザーで狙い撃ち、ライダーマンにヒットする。
V3は遠距離から攻めてくる強化型ゾルダの動きを封じようとする。
宙を舞い空中前転して強化型ゾルダの背後にまわり込むV3。その瞬間、強化型ゾルダが横っ飛びすると、
そこに吾郎ゾルダのスウィングアーム・巨大な棘付き鉄球がV3に飛んで来る。これを真正面から受け止めるV3。
強化型ゾルダはV3に向かってマグナバイザーを乱射。これを飛びかわすV3。
今度は吾郎ゾルダの背後からライダーマン、反転してこれをマグナバイザーで牽制する強化型ゾルダ。
そこへ吾郎ゾルダの棘付き巨大鉄球がライダーマンに直撃。ライダーマンは遥か後方へと吹き飛ばされる。
再びV3にマグナバイザーを乱射する強化型ゾルダ。これをかわすV3。
だがそこに吾郎ゾルダのネットアームが投げ出され、完全に捕らえられ身動きが取れなくなるV3。
「今なら命中率100%だね」強化型ゾルダ北岡はファイナルベントのカードを取り出す。
もはやその威力はオーディンのファイナルベントにも匹敵する程の数値となっている。
さらにその上吾郎ゾルダまでもがファイナルベントのカードを取り出すのであった。
強化型ゾルダ北岡と吾郎ゾルダ、2人並んでネットに捕らえられたV3にファイナルベントを放とうとしていた。
先程吹き飛ばされたライダーマンの姿は近辺にはなかった。
強化型ゾルダと吾郎ゾルダの前に姿を現す強化型マグナギガと吾郎マグナギガ、2体のマグナギガ。
2人のゾルダはファイナルベントのカードをバイザーに装填、それぞれのマグナギガの背中にマグナバイザーをセットする。
「3・2・1、ゼロ」強化型ゾルダの掛け声に合わせて、2人のゾルダは一斉にその引き金を引く。
『ダブル・エンド オブ ワールド』
2体のマグナギガの全身から発射される無数のミサイル砲、バズーカ砲、レーザーカノン砲。
それは雨いや嵐か豪雨の如く空(くう)を埋め尽くし、高速で突進する。
その先にいるのはV3。最早その凄ましい集中砲火はネットがなかったとしても、避けることは不可能であった。
V3は最後の手段に打って出る。
向かって来る無数の兵器に対し、ダブルタイフーンのエネルギーを全開にして逆流させるV3全エネルギー開放でこれを迎撃する。
ダブルタイフーンのエネルギーを浴びて途中で爆発を起こすミサイル砲、バズーカ砲、レーザーカノン砲。
周囲のすべてを吹き飛ばすかの如き大爆発が起き、そこから巨大な火柱があがり、空を焼き尽くす。
しばし爆煙がすべてを覆い尽くし周囲は何も見えなかった。
次第に煙が晴れてくるとそこには大地をえぐり取られて出来上がった巨大な深いクレーターがあった。
少なからず爆風に巻き込まれたV3は全エネルギーも使い果たし、倒れ動かなかった。
死んではいないが、もはや動くことすら出来ず意識を失っていた。
マグナギガの盾で爆風の影響が少なかった2人のゾルダは、倒れるV3の姿を見て勝利を確信するのであった。
「悪いけどキッチリとどめは刺させてもらうよ」
再びファイナルベントカードを取り出す強化型ゾルダ。強化型となったゾルダにはこの強烈なファイナルベントすら連発が可能であった。
カードを装填したマグナバイザーをマグナギガの背中にセットする強化型ゾルダ。
倒れているV3は意識を失いピクリとも動かない。それを見て勝利を確信する強化型ゾルダ北岡。
引き金にかけた指がゆっくりと動く。その時であった、V3の前に突如として立塞がるライダーマンが姿を現す。
強化型ゾルダはライダーマンに構わず、ファイナルベントの引き金を引く。
マグナギガの全砲門が開いて一斉射撃が行われようとしたその瞬間、
ライダーマンが先に放ったマシンガンアームの弾丸が一瞬早く、開かれたマグナギガの砲門の中に着弾する。
マグナギガの全身はそれこそ火薬庫のようなもの、一瞬のうちに誘爆を起こして大爆発となる。
大爆発を起こし吹き飛ぶマグナギガ、爆発に巻き込まれて吹き飛ばされる強化型ゾルダ。
物凄い勢いで遥か後方へと投げ出される強化型ゾルダ、
強烈な勢いで地面に叩きつけられるところを自らのボディをクッションとして受け止める吾郎ゾルダ。
爆発の衝撃からか北岡の脳裏には忘れ去られていた映像が浮かび上がっていた。
寝る暇もなく過ごしていた弁護士時代、運転中に目眩を起こし、壁に激突しそうになる。
もうダメだと思った瞬間、目の前に現れる2つの影。赤と緑と青の色彩だけがぐるぐるとまわっている。
朦朧とする意識の中、その時のことが脳裏に浮かぶ強化型ゾルダ北岡。
遥か遠くの方では何やら声が聞こえる。
「、、、この世界のライダーには他に実弾兵器を持っているライダーがいないからな、思いもよらなかったのだろう、、、」
そのライダーマンの声を遠くに聞きながら意識を完全に失う北岡ゾルダ。吾郎ゾルダも完全に意識を失っていた。
北岡と吾郎が再び意識を取り戻した時、もうそこにはV3とライダーマンの姿はなかった。
「先生、すいませんっ!!完全にパートナーの力量の差です!」悔し泣きする吾郎。
「俺がもっと上手く闘えれば先生をこんな目にあわせなくて済んだのに、、」
「吾郎ちゃんはよくやってくれたよ、感謝してる」吾郎の肩を叩いて励ます北岡。「でも、、」
「それにね、吾郎ちゃん俺達は負けた訳じゃないんだ。こうして今もまだ生きているからね。
俺達が本当に負けた時は死んじまった時さ。最後に生き残っていりゃそれでいいんだよ。」
「だから俺も死んじまわないように、頑張ってるんだけどさ」
死に至る病に直面している北岡の心境をおもんばかって、吾郎は再び涙せずにはいられなかった。
肩を組んでお互いが相手を支え合うようにして立ち上がる北岡と吾郎。
「それよりさ吾郎ちゃん、俺腹減ったんだけど、なんか美味いもんでも食いに行かない?」
「じゃぁ俺つくりますよ、なんか美味いもん」
「そう?疲れているのに悪いねぇ。俺さぁ最近吾郎ちゃんがつくってくれるもんが一番美味く感じるのよ」
「なんてたって俺、史上最強のお手伝いさん目指してますからねっ」
口には出さぬが厚き絆で結ばれている北岡と吾郎。だがこの2人にもまだまだ過酷な試練が待っている。
それは令子すらも巻きこんで誰にも思いも寄らない残酷な運命となって降りかかる。
もちろんこの時の2人にそんなことが予測出来るハズもなかった。
【第17話「ゾルダII」完】
【第30話「ゾルダIII」予告】
北岡は自分の死期が確実に迫って来ていることを悟りはじめていた。
吾郎は弱気になる北岡を何とか励まそうと、令子に北岡とデートしてくれと頼みに行くのだった。
北岡は再度V3とライダーマンを前にして忘れていた記憶を取り戻す。
一方令子を連れ出すことに成功した吾郎は2人で北岡の元へと車で向かうが、
モンスターの大群の襲撃を受け、絶対絶命の危機に陥る。
そしてさらに思いも寄らない展開が北岡を待ち受けていた。
果たして北岡は最後にどんな未来を選択しようというのか。
<こう書くとなんか間抜けな話
とりあえずやっとゾルダU終了。
後半ちょっとバタバタしちゃったけど。
イメージしていたネタ全部いれたらエライ長くなった。
次回からは『ガイU』です。
>>299 乙彼様!!っす。
強化型ゾルダこの先でません?
ナイトサバイブなんかと戦うところ見たいっす。上手の一言に尽きる。
機種依存文字を使う人はキライっす
II<これとかにしたほうがいいな。
IアイとVとX組み合わせりゃ全部表現できる。
いや、ゾルダXIIIとか出るのか知らないけど。
303 :
名無しより愛をこめて:03/07/05 09:08 ID:b/ojG1Po
マグナギガは芯でないの?
強化型だから不死身?
Iアイ2つにしたつもりだったけどなってなかったんか、スマソ
持ち弾、全部爆発したわけじゃないので死んでないってことで。
だからダブルEOWよりは爆発の表現を抑えた、、、つもり(汗
後、強化型ゾルダ=ゾルダIIじゃないので、
単にゾルダの2番目の話なのでゾルダIIってタイトルになっているだけで。
今回のように出来上がった分から出していくやり方で問題ないだろうか?
問題なければガイ編も今日か明日ぐらいからUPしていけるのだが。
続きが非常に読みたくなりますねえ。
僕はこの方式でも良いと思いますよ。
外伝頑張ってくださいませ。
そーいや、ファイズアクセルフォームの
『10秒間、通常の1000倍のスピードと1.5倍の攻撃力』って
ストロンガーのチャージアップと出鱈目さでは良い勝負だよなあ(笑)
流れるように移り変わる車窓の景色。窓からは日差しが眩しい程に差し込んでくる。
揺れる車両、走行音だけが聞こえる密室の空間。
モンスターの襲撃騒動が世間を騒がしても、人々は今迄の生活を急に止めることは出来なかった。
外に出れば危険があるとわかっていても、人々は生きてゆく為に働き収入を得る必要があった。
電車はそうした人々の生活の象徴的な交通手段でもあった。
人々の生活が止まらぬ限り、電車もまた止まることはなかった。
それは人々にとってモンスター襲撃がまだ、人間の根源的破滅につながるという認識より、
わずかな一現象にしか過ぎないと認識されているということでもあった。
それでも本来であれば通勤客で超満員でもおかしくない時間帯に乗客は少なかった。
その電車の一車両のドア付近に立つ沖一也。電車は高架橋へと差しかかる。
眼下に広がる光景を見下ろす沖一也、そこにはモンスターの襲撃でゴーストタウンと化した街並みが広がる。
かっては電気街として世界中の人々が訪れたその街も、今ではすっかり廃墟と化してしまっていた。
そのゴーストタウンと化したハズのかっての電脳街に、風に吹かれてひらめく旗が掲げられていた。
その旗にはサイの横顔を模した紋章のようなマークが描かれていた。
沖一也はそのマークが何を意味するものかを知っていた。知っているからこそこの地を訪れたのだ。
そのマークは人々にこう呼ばれていた『メタルゲラスの紋章』
【 仮面ライダー Heat on!外伝/Anoter 13riders 】
【2nd Survive 第18話「ガイII」】
はじめてモンスターの大群が人々の目の前に現れ時から、
人々は恐怖と不安を抱いて生活することを余儀なくされてきた。
TV・新聞などをはじめてとするマスメディアから、個人の情報発信、人々の日常会話に至る迄、
その話題ばかりがひっきりなしに取り沙汰されていた。
何ら解決策を見出せぬ現状を前に次第に人々の心は荒み、刹那的な考え方に走る者も大勢いた。
その頃と前後して、人々の恐怖と不安をいたずらに煽り、混乱を助長するような行為が目立つようになっていた。
そのはじまりはメールやインターネットといったものからであった。
人々を煽動するような内容のテキスト・画像・動画の類が毎日のようにメールで送られて来て、
HPや掲示板などもそうした書き込みで溢れかえっていた。
それははじめ迷惑メールの如く、いたずらに近い類のものであると思われていたが、
やがてそれに賛同する人々も現れ、ネットの世界では一大ムーヴメントとなっていった。
そしてモンスターに関する憶測・推測、妄想、噂の類が無限に流されていった。
そうした動きがピークに達した頃、人々の間にあるプログラムが配信され、爆発的に流行り出す。
それは一見単なる格闘ゲームのようでもあったが、人々はそれに執りつかれたかのように夢中になっていた。
そのゲームの内容は、まず人間同士が闘い、次にモンスターを倒し、
最後に仮面ライダーと呼ばれるモンスターのボスを倒すというものであった。
と同時にネット世界では仮面ライダーの存在がクローズアップされる。
モンスターを使ってこの世界を破滅へと導く者・仮面ライダー、それがネットの世界での定説となっていた。
何処から入手したのか、実際にライダーの画像をネットで配ったり、掲示板に貼り付ける者達も現れる始末であった。
それも変身前の人間体の姿のもの迄もネットの中では公に晒されていた。
そうしたムーヴメントやゲームに感化された人達が続出していった。
そうした人達は混沌とした現在の世界で、無法に生きることを良しとし、刹那的、退廃的な生き方を良しとした。
そうした人々がネットの世界から現実の世界に飛び出し集まりはじめるようになった。
モンスター襲撃にあい今はゴーストタウンと化した電脳街は彼らの根城にはもってこいであった。
彼らは自らの集団を『メタルゲラス』と名乗った。
それはネットの世界内で仮面ライダーに反抗し戦うモンスターとして位置付けられる『メタルゲラス』からとったものであった。
彼らは無法と化したゴーストタウンで、気が向いた時に人間同士で闘い殺し合うデスゲームを開催し、
そしていつかライダーを狩ることをその目的としていた。
よかったよ!ゾルダ編。
文句みたいで悪いけど、ただひとつ気になるところとしては
ゴロちゃんが饒舌すぎるところかな・・・
いや、無口ってのもゴロちゃんの個性の1つだったかな、って思ってね。
気を悪くしたらごめんね。
電脳のゴーストタウンに集う『メタルゲラス』
その大半はティーンエイジャーや20歳過ぎの若者達であった。
だが中には40代以上の年輩者も存在していた。
それはそれだけネットなどでの影響が大きかったことの現われでもあった。
彼らはこの電脳のゴーストタウンの中ではハンドルネームをその通り名としていた。
それは彼らにとってこの小世界がそのままネット世界の延長線上にあるものだったからかもしれない。
例えば、この電脳のゴーストタウンに棲む中学生男子・ビオラ(13歳)の場合。
モンスター襲撃事件以降、いつ自分が死ぬかもしれない、この世界の終焉が来るかもしれないという恐怖と不安、
そういったものを漠然と感じはじめていたビオラ。それは行き場所も逃げ場所もないという閉塞感につながっていた。
明日をも知れぬ世界で、未来の夢や将来の希望など持てるハズもなく、
あるかどうかもわからない自分の将来の為にとりあえず学校に通う、そんな日々を送っていた。
ある日、そんなビオラがネットをつないでいると一通のメールが届く。
そこにはモンスター襲撃の真相、モンスターのボス仮面ライダーのことなどが書いてあり、
最後は無秩序、刹那、退廃という世界がいかに魅力的なものであるかが説かれていた。
はじめは鼻で笑っていたビオラだが、その類のメールが毎日頻繁に届くようになる。
その内容は徐々に過激なものとなり、人間がモンスターに襲われいる画像などショッキングなものも多かった。
その後もテキスト、画像、動画などがビオラの元に頻繁に届けられた。
ビオラは次第にそのメールが届くのを待つようになっていた。
そのメールの発信者名は、JUN、ガイ、メタルゲラス、天使、Angel、オファニムというハンドルネームが使われていた。
やがてその話題がネット上でムーヴメントとなり、
ビオラ自身もメール、掲示板、チャットなどで夢中になってその話題について語り合うようになっていた。
四六時中ネットにつなぎ、寝る間も惜しむその様は一種中毒症状のようでもあった。
ビオラはネットを通じて次第に退廃思想に感化されていくのであった。
その頃ビオラの元に例の発信者からひとつのゲームのプログラムが届く。
今度はそのゲームに熱狂的にはまっていくビオラ。
まるで自分が混沌とした世界を救うヒーローにでもなったかのような錯覚さえ起こさせるようなゲームであった。
当然ネットでもそのゲームの話題は再びムーヴメントを生み出していた。
そしてビオラはネット仲間から、法の関与を受けず、刹那的な快楽を楽しむ世界が現実に存在することを聞く。
そこではゲームの中の出来事がそのまま同じく行われているということだった。
ビオラはその話を聞いていてもたってもいられなくなり、家を飛び出した。
そしてこの電脳のゴーストタウンに集う『メタルゲラス』のひとりとして、そこに棲むようになっていた。
『メタルゲラス』に属する人々は、年齢や性別、元の居住地などは異なっても、
だいたいがこれに似たようなケースでここに集うようになった人達ばかりであった。
とある深夜、電脳のゴーストタウン。
若者達はその廃墟と化した街の路上に座り込み、たわいもない話で盛上がっていた。
そこへ慌しい足音がして、数人の仲間が姿を見せる。その仲間達は上気を逸したような顔をして言う。
「ゲームだっ!!ゲームがはじまるぞっ!!」その言葉を聞いた若者達は一気に色めき立つ。
「Kとクロウがデスゲームをはじめるぞっ!!」走って来た少年は息を切らせて言う。
路上に座っていた若者達はざわめき立ち、口々に思い思いの言葉を発し、
すぐに立ち上がり、やって来た少年と共に走り出して行く。
電脳のゴーストタウンのちょうど中央に位置するかなり大きい広場。
本来であればそこは人々の憩いの場となるはずであったが、今現在はその場所は若者達に闘技場(コロッセオ)と呼ばれていた。
闘技場(コロッセオ)にはすでに大勢の人間が押し寄せていた。その数ざっと数千人には達していた。
この廃墟と化したゴーストタウンの一体何処にそれだけの人間が生りをひそめていたのだろうか、
そう思わせる程の数の少年少女、若者達が興奮し熱狂していた。
数千人の若者達が、雄叫びを上げ、拳を振りかざす、その光景は異様そのものであった。
そして闘技場(コロッセオ)の中央、ステージに2人の若者が上がって行く。
どうやらその2人がKとクロウと呼ばれる若者のようだ。
Kは皮製のジャケットにパンツ、そして手には日本刀を持っていた。
一方のクロウは原色の派手な服を着、手にチェーンを持ち立っていた。
その2人のデスゲームを見るために集まった若者達は、口々に「殺せ!!殺せ!!」と雄叫びを上げる。
やがてその声はその場にいる数千人すべての口から発せられ、シュプレヒコールとなるのだった。
それはまさしく狂気の世界そのものであった。
そしてその場の興奮と熱狂、緊張がクライマックスに達した時、デスゲームははじまるのだった。
Kと呼ばれる若者が日本刀でクロウに襲いかかる。チェーンを振り回して投げつけるクロウ。
そのデスゲームに一喜一憂する数千人の若者達。
刺激を求めているのか、闘争本能を満たしたいのか、それとも単なる祭りなのか、
一体何が彼らをそうさせるのか、それは誰にもわからなかった。
このデスゲームはKがクロウを日本刀で叩き斬ることで幕を下ろした。
だが興奮冷めやらない若者達十数人が我先にとステージに上がって行き、デスゲーム参加の名乗りを上げて行く。
若者達のその熱気は朝日が昇るまで冷めることはなかった。
少し離れたビルの上から、月に照らされながらその様子を満足気な笑みを浮かべて見下ろす芝浦 淳。
その背後には天使・オファニム、神の車の名を持つ者が腕を組んで立っていた。
今回の設定ちょっとわかりずらいかな?
芝浦の野望をスケール感を出してリアルに表現したつもりなんだが。
この狂気に満ち溢れた電脳のゴーストタウンの地に足を踏み入れる沖一也。
路上には10代の少年数人が路上に座り込み、何やら話し込んでいた。
少年達は見慣れない余所者、沖一也に気づく。
「この辺じゃ見慣れない顔じゃね?」
「新入りなんじゃね?でなきゃこの辺に近づく奴もいないっしょ。」
「ちょっと脅しかけておきますか」「暇潰しぐらいにはなるかもね」
少年達はそう言いニヤニヤしながら立ち上がり沖一也に近づいて行く。
「ちょっと待ってよ、おじさん。ここがどういう所だか知ってんの?」
少年達は沖一也を取り囲むようにして話しかける。
「俺に何か用かな?」沖一也はその歩を止める。
少年達のひとりが首をかしげながら言う。「こいつどっかで見たことね?」
「どこで見たってのよ?この街の人間なら俺らだいたい知ってるしぃ」
すると少年のひとりが大騒ぎをはじめる。
「あぁ俺思い出した、こいつライダーだってば!!
俺サイトでライダーの画像見たから知ってる、確かこいつS1になるんじゃねぇ?」
少年達の目の色が一斉に変わる。「マジ!?ライダー!?S1!?」
「すげぇじゃん、ライダー狩ったら俺らいきなり超有名人じゃんっ!?トップに立つのも夢じゃねぇって感じ」
「ちょっと仲間集めろ、みんな呼んでこい」
誰かがそう言うと少年のひとりが携帯で仲間に連絡を取りはじめる。
「あんたライダーなんでしょ?モンスターを操って人間達を襲わせる悪の権化、仮面ライダー」
沖一也は何も言わずに黙って少年達の話を聞いていた。
ネットの世界でデタラメな情報が勝手にひとり歩きをはじめてしまい、
仮面ライダーは人類の敵、モンスターを操り人間を襲う仮面の悪魔、ということになってしまっていた。
ネットの中では仮面ライダーは完全に悪役にされてしまっていたのだった。
何処から情報が出たのか定かではないが、ライダー達の画像はネット上で公開され、
変身前の人間の姿すらも晒されてしまっていた。
だからこの少年達が沖一也が仮面ライダースーパー1であることを知っていても不思議なことではなかった。
ここではスーパー1は略してS1と呼ばれていた。
そして30数人にも及ぶ人類の敵、仮面の悪魔・仮面ライダーと戦っているのが、
モンスター・メタルゲラスであるとネットの住人達は信じていた。
その話を信じ、メタルゲラスをリスペクトしたこの街の若者達が、
自分達も仮面ライダーを狩るという心意気で、自らの集団に『メタルゲラス』という名をつけたのだった。
(後に、人間達による本格的なモンスター狩り・仮面ライダー狩りが行われることになるのだが、それはまた別の機会のお話)
あっという間に沖一也を取り囲む少年達の元に数十人以上の増援が集まってくるのだった。
少年達はその手にそれぞれ思い思いの武器を持っていた。
鉄パイプや木刀、チェーン、ナイフなどはまだましな部類で、中には真剣や斧、チェーンソー、そして銃までをも手にする少年達もいた。
「ライダー狩だっ!!ライダー狩だっ!!」少年達は異様な興奮と熱気で盛上がっていた。
物事の良し悪しもどこかへ吹き飛ばし、自分達の理論だけで動き、
自分の命も他人の命もゲーム感覚で平気で賭けることが出来る狂気の世界。
少年達の興奮と熱狂がクライマックスに達した時、ひとりの少年が功をあせり、突如沖一也にナイフで切りかかる。
それが少年達のゲームのはじまりでもあった。
沖一也は少年のナイフを軽くかわし、少年の腕をとり背にまわして捻る。
「これじゃぁ、何十人でかかってこようと俺には勝てないぞ」
そのセリフを聞いて少年達は尚更逆上し、一気に沖一也に襲いかかる。
沖一也が腕を捻った少年がいるというのに、それにかまわず、
いやむしろその少年をも狙っているかのように襲いかかる少年達。
沖一也は腕を捻った少年が巻き込まれないよう、その少年をあえて横に突き飛ばす。
そして襲いかかってくる少年達を次から次へと軽く投げ飛ばす。
沖一也はライダーの力を全く使っていなかったが、そこは赤心少林拳の使い手である沖一也、
例え数十人いようとも相手は10代の少年、全く問題にはならなかった。
本来であれば少年達に暴力を振るうような真似は、絶対有り得ない沖一也だが、
沖一也の中には命を軽んずるこの少年達への憤りが心の中にはあった。
もちろん怪我のないように手加減しながら、少年達にお仕置き、灸を据えるという感じであった。
沖一也は瞬く間に数十人の少年達を全員投げ飛ばしていた。
「俺はある人物を探してここに来た。」
地面に尻を着いて沖一也の強さの前に、びびる少年達。
「この街のボスの所に案内してもらおうか?」
「この街にボスなんていねぇよ。ここはアウトローの集まりだからな。そんな組織みたいなことはみんな嫌いなんだよ。」
「この街にボスはいない?」それは沖一也の思惑を外れていた。
「あぁ、そうだとも。だが強いてボスと言えば、、、」
「その人の所へ案内してもらおうか?」沖一也はその少年を連れてボスと呼ばれる人物の元に向かう。
なんかしらんが「ちょっとしたストーリーを書くスレ」が倉庫
逝っちゃったね (´・ω・`)
この街のボスと認識されている人物に会いに行く沖一也は、廃ビルの中にあるBarのような所へ案内される。
そこでボスらしき人物に会う事が出来たが、その人物は沖一也が思い描いていた人物とは異なっていた。
それはこの間のデスゲームで最後まで生き残ったKと呼ばれる若者であった。
無秩序主義のこの街には実際のボスは存在しなかった。
ただデスゲームでの勝者が、生き残った人間だけが大きな顔をして暮らしていけるのは間違いがなかった。
だから今現在、この街でボスらしき人物と言えばデスゲームに生き残ったKということになるのであった。
「俺が探している人物は君ではない。悪かったな時間をとらせて。」
「あんたS1なんだってな。俺らはいつかライダーを狩ってみせる、そう思ってここにいるんだ。
あんたこのままただじゃ街から帰れないぜ。いくらあんたが強くても
この街の奴らはみんな死ぬことなんて何とも思っちゃぁいないからな。」
沖一也がKに背を向けその場を去ろうとすると、Kはいきなり背後から日本刀で沖一也に切りかかる。
沖一也はこれを軽くかわし、日本刀に横から蹴りを入れて日本刀を真っ二つに叩き折る。
剣先が回転しながら宙を舞い床に突き刺さる。
沖一也はまるで何事もなかったかのようにその場を立ち去る。
沖一也がビルの外へ出るとそこには、数百人にも及ぶ若者達が武器を手にして待ち構えていた。
相手が例え何百人であろうとも強さの次元が全く違う沖一也ことスーパー1、
まともにいけば負けるはずがないのは明らかだった。
だがこれ以上まともに相手にしてもキリがないのもまた明らかだった。
沖一也は数百人の若者達を前にし、身構える。数百人の若者達の間に緊張が走る。
だが沖一也は身構えた姿勢から跳躍、一気にビルの上へと飛び乗った。
沖一也はビルの下の群集を一度見下ろしてビルの影へと姿を消して行くのだった。
「ライダーが逃げたぞっ!!逃がすなっ!!追えっ!!」
数百人の若者達からなる群集は、みな沖一也が逃げて行った方向に向かって走り出す。
逃回り、ビル街の裏路地に身を隠す沖一也。
その背後のビル非常階段にはひとりの青年が立っていた。
「俺のこと、探しに来たんだ?」沖一也が振り返るとそこには探し続けていた芝浦淳の姿があった。
「突然行方不明になったと思ったら、この騒動だ。今度は一体何を企んでいるんだ?」
「俺のやりたいことは変わってないよ。日本中の人の心を支配する、面白そうでしょ?
ただやり方がちょっと変わっただけかな。」
沖一也はこの電脳の無法地帯に芝浦淳が絡んでいることを確信してこの地に乗り込んで来た。
芝浦淳の真意を確かめ、それを止める為に。
「モンスターの襲撃で人の心は恐怖に震え、不安に怯えていたからね、それを利用しない手はないと思ってさ。
プログラムを使ってメールやネットで、人々の不安な心を増幅させて煽動したんだよ、情報操作なんかも交えてさ。
混沌としていればしている程、効果的だからね。そこへ俺がつくった戦闘ゲームを送って、人の心を支配する、
その結果がこの街という訳。この街は俺の支配のモデルケースということになるのかな。」
「ゆくゆくは日本中がこの街のようになるよ。
俺はそのタイミングは、モンスター襲撃で今の政府が無力化して崩壊した直後ぐらいじゃないかと踏んでいるんだけどね。」
沖一也の予想はだいたい当っていた。すべては芝浦淳が仕組んだことだった。
人間心理を解析・応用し、人間の心を操ってしまう戦闘ゲームを開発することが出来るぐらいなのだ、
芝浦淳にとって人間の心理をついて人々を煽動し、混沌とさせることなどそれ程難しいことではなかった。
そして芝浦淳は決して人前にその姿を現さずに、心理操作だけで人々を影から操ることに成功したのだった。
「ついでだからさ、ライダーには完全に悪役になってもらったよ。」
芝浦淳は情報操作を行って、この世界のライダーを人類の敵として人々の意識に刷り込んだのだった。
ライダーの画像を公開したのも芝浦自身であった。
「人間達の手でライダー狩りが行われるってのも、面白そうだしね。
ライダー同士の闘いにも有利になりそうだしさ。まぁそれで脱落するライダーがいるかどうかはわからないけど。
少なくともあんた達別世界のライダーはやりにくいんじゃない?」
確かに別世界のライダーには人間とまともに闘うことなど有り得ないことであった。
「結構期待してるんだよなぁ、ライダー狩り」
芝浦淳は楽しそうにこの計画のことを沖一也に話す。
「でもあんた、随分いい時に来たね」芝浦淳は笑みを浮かべながら沖一也に言う。
「ほら、あんたがここに来たから、モンスターまでついて来ちゃったよ」
沖一也が芝浦淳の言葉に空を見上げると、そこにはハイドラグーンの群れ数体の姿があった。
「あんたが現れてその直後にモンスターが現れる、この街の人はどう思うかなぁ?
やっぱりライダーはモンスターを操って人間を襲わせているって思うんじゃない?普通」
案の定、沖一也を追っていた若者達は、このモンスターの出現をS1の差し金だと思い込んでいた。
「ちくしょう!ライダーめっ!!モンスターに俺達を襲わせる気だなっ!!」
空を見上げる数百人の若者達が口々にそう呟いていた。
「モンスターの再襲撃はこの街の奴らにはちょうどいい刺激になるだろうね。
適度な危機感がないと盛上がらないし。ライダーに対する憎しみを深めるにはいい機会だしね。」
芝浦淳は自分の思惑通りにことが進んでいるのが楽しくてしょうがないようであった。
「で、どうするの?俺と闘うの?それともこの街の人間を助けに行くの?
まぁ助けに行ったところでモンスターの仲間だと思われて攻撃されるのがオチだと思うけどね。」
笑いながらそう言い放つ芝浦淳。
空を飛ぶハイドラグーンの群れは、地上に急降下しこの街の人々を襲う。
ハイドラグーンに捕まる若者。別の若者がそのハイドラグーンに後ろから鉄パイプで殴りかかる。
ハイドラグーンは反転しその若者を一蹴する。一瞬にして吹き飛ばされる若者。
そこへもうひとりの若者がハイドラグーンに向かってショットガンを撃ち込む。
これはさすがに多少効果があったのかハイドラグーンの動きがひるむ。
この街の若者達数百人が数体のハイドラグーンに立ち向かって行く。
だがそれはみんなの命を守る為ではなく、闘うことを楽しむ為、彼らにとってはデスゲームをやるのと全く同じ感覚なのであった。
この街の人々を助ける為にハイドラグーンとの闘いを選んだスーパー1がその姿を見せる。
だがこの街の人間達の反応は芝浦淳の予想通りであった。「ちっ、ライダーが増援に来やがった!!」
ライダーがモンスターを使いこの街を襲っている、この街の人間達はそう信じて疑わなかった。
ハイドラグーンに向かって行こうとするスーパー1、だが人間に背後からショットガンで撃たれる。
「この街にモンスターを呼びやがって!!ライダーめっ!!」スーパー1に襲いかかるこの街の人間達。
ハイドラグーンはそんなスーパー1を嘲笑うかのように空へと逃げ去って行く。
その光景を離れた所から嬉しそうに見つめる芝浦淳。
人間達に襲撃されるスーパー1。
スーパー1も人間が相手ではその攻撃をかわし、武器を叩き落とすことぐらいしか出来なかった。
スーパー1は先程同様に跳躍で逃げようとした時、背後から突然物凄い衝撃をくらい弾き飛ばされる。
スーパー1に突進してぶちかましたのはメタルゲラスであった。
歓喜に湧き上がるこの街の人間達。「メタルゲラスだっ!!メタルゲラスが来てくれたぞっ!!」
それはとんだ茶番劇だった。悪役スーパー1に正義の味方メタルゲラス、
この街の人間達の意識には完全にそう刷り込まれている、それを利用した芝浦淳の策略か。
弾き飛ばされたスーパー1に人間達の武器による殴打が襲う。
そらに鉄板をも紙のように切り裂く指先の爪・メタルネールでスーパー1を切り裂くメタルゲラス。
再びコンクリートの塊をも粉砕するメタルゲラスの突進攻撃がスーパー1を狙う。
これをかろうじて跳躍してかわすスーパー1。スーパー1はそのまま高所に飛び移り、難を逃れる。
その頃ハイドラグーンの群れはこの街の高架橋を走っていた電車を襲撃しつつあった。
走る電車に平走するように飛ぶハイドラグーン。電車の乗客は恐怖におののき絶叫する。
走る電車の中では逃げようにも逃げられない人々、車両についている緊急停止ボタンを押すが電車は止まらない。
先頭車両の運転席にはもう既に運転手の姿はなく、その代わりに一体のハイドラグーンの姿があった。
運転装置はすでにそのハイドラグーンによって壊されてしまっていた。
止まる事も出来ずひたすら走り続けるしかない電車。その電車に閉じ込められた人々。
そしてその電車を襲撃するモンスター・ハイドラグーン。
鉄搭の上でマフラーを風になびかせ腕組をして立つスーパー1。
ハイドラグーンに襲われる電車が鉄塔に接近して来る。
ジャンプして宙を舞うスーパー1、電車に並行して飛ぶハイドラグーンにスーパーライダー閃光キックが炸裂する。
そのまま空中でハイドラグーンを足場にして再びジャンプ、電車の車両の上に飛び移るスーパー1。
電車の周囲を飛び交うハイドラグーン、車両の上からこれを迎撃するスーパー1。
エレキハンドを装着するスーパー1、3億ボルトのエレキ光線が空を一閃する。
エレキ光線が直撃し痺れて身体機能が麻痺し空より落下していくハイドラグーンが一体。
その様子を見ていた芝浦淳。「そろそろ俺も行こうかな」不敵な笑みを浮かべる。
その背後に姿を現す天使、豪快な巨漢オファニムが高笑いをする。
「そうか行くか、智力もいいがたまにはカラダも動かさんとな、がははは」
芝浦淳はすでに天使・オファニムより、強化型カード、コピーカードLv1(メモリー機能付)、アクセルベントなどの増強カード、
そして自由意志でその内容を決められる白紙のカードを受け取っていた。
だが、今回の芝浦淳の人の心を支配するという壮大な計画はほとんど彼自身により進められたことであった。
もともと頭を使うよりも、力押しをを得意とする天使・オファニム、今回はほとんど芝浦淳の行動を見守るだけであった。
「それよりさ、俺が言っていたことは出来るようになったの?」
「心配するな、銀の屈強なる策士よ、強化カードを使えば、お前の言っていた事は可能になる、がははは」
「あんただから心配なんだよ」オファニムを小馬鹿にする芝浦。
「がははは、戦士が細かいことなど気にするな、がははは」呆れ顔の芝浦淳。
かなりのスピードで走る電車の上に立ち、ハイドラグーンと闘うスーパー1。
黄色いレーダーハンドのレーダーアイをミサイルとしてハイドラグーンを牽制。
ジャンプして跳躍からスーパーライダー稲妻落しでキックを決め、そのまま電車の車両の上へと再び戻る。
そして今度は緑の冷熱ハンドで右腕から超高温火炎、左腕から極低温の冷凍ガスを発射しハイドラグーンを迎撃する。
その時であった『コンファインベント』スーパー1の腕に装着されたファイブハンドが無効化された。
スーパー1が振り返ると電車車両の上に立つガイの姿がそこにはあった。
スピードを出して走り続ける電車、その車両の上に立ち対峙するスーパー1とガイ。
『ストライクベント』メタルゲラスの頭を模した角付きアタッチメントメタルホーンを手にするガイ。
鋼鉄の扉や60cmの鉄の塊を貫いてしまうほどの威力がある。パワーハンドを装着し身構えるスーパー1。
『アクセルベント』他のライダー同様、近接格闘タイプのガイも間合いを詰めるのにアクセルベントを使う。
走る列車の上を高速で突進するガイ。単純な直線的な動きではあるがそのスピードに追いつけないスーパー1。
メタルホーンがスーパー1のボディに直撃する。後ろに吹き飛ぶスーパー1。
肩膝をついて立ち上がろうとするスーパー1にガイのメタルホーンの乱打が襲いかかる。
これをパワーハンドで受け止めるスーパー1、ガイとスーパー1の力くらべとなる。
ガイはメタルホーンを受け止めるスーパー1に片足蹴りを入れる。
後ろに転がりながら体勢を整えるスーパー1。そこに再びガイのメタルホーン@アクセルベントが炸裂する。
弾き飛ばされて車両の上から落ちそうになるスーパー1。
片手で車両の一部をつかみ、走る電車にぶら下がった状態になるスーパー1。そこを容赦なくメタルホーンで乱撃するガイ。
車両をつかんでいた手をメタルホーンで撃たれ、手が離れ、スーパー1は落下する。
スーパー1は瞬間的に線路に足を付き足場として、再びジャンプ、車両の上に再び飛び乗る。
アクロバティックな空中殺法を得意とするスーパー1だからこそ可能な、まるで曲芸のような見事な反射であった。
列車前方には暗い穴を開いたトンネルが待ち受けていた。
列車はこのまま地下へ続く線路を走って行くことになっていた。
車両の上に乗ったままではトンネル周囲に激突してしまうのは間違いなかった。
列車の周囲を飛び回っていたハイドラグーンの生残りは、列車の窓ガラスを突き破り列車内部へと侵入して行く。
迫り来るモンスターに恐れおののきながら逃げ惑う中の人々は、車両最後方へと向かっていた。
だが最後方の窓が突き破られ、中に侵入してくるハイドラグーン。
前後からハイドラグーンに挟み撃ちされる列車内部の人々、最早その逃げ場はなかった。
ハイドラグーンが雄叫びを上げながら人々に襲いかかろうとした瞬間、
列車の窓を突き破り突入、そのままハイドラグーンの顔面に蹴りを入れるスーパー1。
列車の窓からハイドラグーンを蹴り出す。ちょうどその時列車はトンネルに入る。
ハイドラグーンはトンネルの壁に激突、落下し列車の車輪に巻き込まれ轢かれる。
人々を押し分けてもう一体のハイドラグーンに駆け寄るスーパー1。
冷熱ハンドの左腕から極低温の冷凍ガスを発射し、ハイドラグーンを凍らせ、
こめかみ付近を両手で打ち、さらに両手であごを突き上げる。赤心拳諸手打ちでこれを撃ち砕く。
だがそらにその前方にはやはり列車内部へと乗り込んでいたガイの姿があった。
闘いの場を列車の内部へと移したガイとスーパー1。
青のエレキハンドを装着するスーパー1はエレキ光線を放とうとしていた。
『コンファインベント』ガイのコンファインベントがスーパー1のファイブハンドを無効化する。
狭い車両の中でお得意の空中殺法、立体的な攻撃を封じられたスーパー1、
さらにファイブハンドまでコンファインベントで封じられては闘い方も限られていた。
対するガイは、そのファイナルベントは直線的な動き、列車の車両内でもそれ程の制限はなかった。
「ここはあんたと闘うにはもってこいの場所だね」
メタルホーンを手にスーパー1ににじり寄るガイ。ガイの動きに身構えるスーパー1。
列車の中に誘い出すのも、ここ迄のすべてのシチュエーションも芝浦淳ことガイのシナリオ通りであった。
身構えるスーパー1の背後から突進してぶちかましを直撃させるメタルゲラス。
前方にぶっ飛ぶスーパー1、ガイは前方で吹き飛ばされたスーパー1を待ち構え、メタルホーンを乱れ打つ。
列車内部の狭い空間で挟み撃ちされるスーパー1。列車は地下を走っている為、外部へ逃げることも出来ない。
いやそれよりもまずスーパー1には列車を止めて内部の人々を助け出さなければならなかった。
狭い車両内の空間の中で、前からガイのメタルホーン、後ろからメタルゲラスのメタルネールで攻め続けられるスーパー1。
メタルゲラスが背後からスーパー1を羽交い絞めにして、ガイがこれをメタルホーンで突き刺そうとする。
スーパー1は上半身を押さえつけられたまま、両足を上げ下半身を高く上方へ反らす。
ガイのメタルホーンがメタルゲラスにヒット、メタルゲラスはスーパー1を離し悶絶する。
その隙にスーパー1は挟み撃ちから逃れ、ガイとメタルゲラスの両者を前方に見据える位置に回り込む。
だがガイとメタルゲラスの優位はまだ続いた。『ファイナルベント』
ファイナルベントのカードをバイザーに装填するガイ。
この狭い空間でガイの直線的なファイナルベントを使われたら逃げ場がないのは明らかだった。
メタルホーンを装備したガイを背負うメタルゲラスが、猛スピードで車内を突する。
だがファイナルベント発動中にコンファインベントを使われる心配だけはなかった。
スーパー1はパワーハンドを装着し、真っ向からこれを受け止めようとする。
スーパー1に向かってガイを背負って猛進するメタルゲラス。
スーパー1にガイのメタルホーンが突き刺さる瞬間、
スーパー1は自らのカラダを捻りながらそのメタルホーンをパワーハンドで受け止める。
スーパー1は物凄い衝撃を受け、後方に吹き飛ばされるが、直撃ではなかった。
もちろんダメージはあったがかなりそのダメージを軽減させることには成功していた。
「とどめは刺せなかったか、まぁいいや。次の作戦もあるし。」そう呟くガイこと芝浦淳。
「ところでこの先は急カーブになってるんだよね。」ガイは笑いながら、スーパー1に向かって言う。
地下を走り続ける列車は急カーブに差しかかろうとしていた。
当然このまま運転手すらいない状況で急カーブを走れば、壁に大激突をするのは明らかだった。
そのことを知ったスーパー1は列車を止めようと、ガイ達の闘いを放り出して列車の運転席へと向かう。
「別世界のライダーの人達も大変だな」ガイはスーパー1を深追いはしなかった。
列車運転席へと辿り着くスーパー1。だが運転装置は完全に破壊されてもはや止めることは不可能だった。
通常であれば不慮のアクシデントの場合、管制センターから遠隔操作がなされるところであるが、
その機能すらも見事に壊されていた。もはや列車を止める術はなかった。
だがスーパー1は運転席の窓を突き破り、そこから列車の最前部に張りついた。
冷熱ハンドの極低温の冷凍ガスで列車の車輪を凍らせようと試みるスーパー1。
冷凍ガスを受け車輪の動きは確かに鈍り、列車のスピードもかなり落ち低速になって来てはいた。
だがもうこれ以上は時間はなかった。列車は急カーブへと入ろうとしていた。
こうなれば一か八か、スーパー1はパワーハンドを装着して列車最前部より飛び降り、列車を真正面から受け止める。
物凄い衝撃がスーパー1を襲い、スーパー1は列車に引きずられながらもこれを堪え、列車を力で押し止める。
だが基本的に動力機関が止まった訳ではないので、スーパー1が手を離せば、列車はまた動き出す。
スーパー1は列車を押さえながら、冷熱ハンドの冷凍ガスで車輪を再び凍らせる。
だがそこにさらに最悪の事態が起るのだった。前方よりもう一台の列車が走ってくるではないか。
単線ではないので普通であれば絶対考えられないことであるが、現実にもう一台の列車はスーパー1に向かって突っ込んで来る。
それは芝浦淳に心を操られている集団『メタルゲラス』の若者達による仕業であった。
芝浦淳の巧妙な仕掛けにより、彼らはS1抹殺の為に、列車を奪い線路を切り替え、
S1に列車を突っ込ませようとしていたのだった。
先程ガイがスーパー1を深追いしなかったのは、さらにこの後、仕掛けを用意していたからに他ならなかった。
「正義の味方ってのもツライねぇ」列車を降りて安全なところからそのスーパー1のことを見ているガイ。
ここでスーパー1はよける突っ込んで来る列車をよけるわけにはいかなかった。
自分が押さえる列車にもまだ大勢の人々が閉じ込められている以上、衝突させれば大惨事になるのは間違いがなかった。
もう一台の列車もスーパー1は止めなくてはならないのだ。
芝浦節爆裂で最高です。
「ゲラタソもご主人も元気でいてくれてよかったな〜」
と思ってしまいますた。
続きが楽しみです。
自分で書いててスーパー1が可哀想になってきた。
ここで他のライダーが助けに来る訳にもいなかないしなぁ(汗
ガイ編も早ければ明日にも完結ですね
スーパー1はレーダーハンドのレーダーアイで突っ込んで来る列車に乗客がいないことを認識すると、
レーダーアイをミサイルとして使い、向かって来る列車の車輪に発射、車輪を破壊する。
一部車輪を無くした列車は脱線を起こし、スーパー1に向かって突っ込んで来る。
だがそのスピードは、スーパー1の所に辿り着く頃には充分に死んでおり、スーパー1はこれをパワーハンドで受け止める。
スピードが死んでいてもその衝撃はかなりのものであったが、スーパー1は列車の乗客を守る為、必死に堪えるのであった。
列車に引きずられながらこれを力でねじ伏せようとするスーパー1。
スーパー1のもうすぐ後ろには乗客のいる列車であった。このままではスーパー1は列車に挟まれて潰されてしまう。
だが、突っ込んで来る列車はそこで完全にスピードを失い、停止するのであった。
完全に2台の列車を止めたスーパー1。力尽きて方膝を着く。
その後、スーパー1は列車の乗客を連れ、地下線路に沿って歩き、乗客を次の駅まで送り届けるのであった。
だが、そこに待ち受けていたのはメタルゲラスとガイ、そして電脳のゴーストタウンの数百人の若者達であった。
「はい、お疲れさん」ガイは笑いながらスーパー1に言う。
傷つき力尽き果てていたスーパー1は電脳のゴーストタウンの若者達に連れて行かれる。
電脳のゴーストタウンの中央にある広場、通称闘技場(コロッセオ)。
闘技場(コロッセオ)のステージに連れて来られたスーパー1。
闘技場(コロッセオ)には数千人いや1万人には及ぼうかという若者達、少年少女達で埋め尽くされていた。
その熱気と興奮はまるで何かの祭りのようでもあった。
だが祭りと異なるのはみなが殺気立ち「ライダーを殺せっ!!」「S1を殺せっ!!」などと思い思いに叫んでいたことだった。
やがてその声は「ライダーを殺せっ!!」というシュプレヒコールへと変わり、1万人の大合唱の声がその場に響き渡り続ける。
そして闘技場(コロッセオ)のステージに現れるメタルゲラスとガイ。
すると会場の声は途端に歓声へと変わり、「メタルゲラス万歳!!」という大合唱へと変わっていった。
「みんなの前であんたを殺して、メタルゲラスは神話になるんだよ」ガイは笑いながらそう言い放つ。
傷ついたスーパー1を前にガイこと芝浦淳は容赦なく強化カードを取り出す。
地響きが起り激しく大地が揺れ始める。地面には無数の亀裂が走り、大地は裂けて行く。
ガイは強化型カードを左肩アーマー前部の召喚機・メタルアーマーに装填する。
裂けた大地から、マテリアルが溢れ、人の血管にも似た電気系統と思しきものが無数につらなっていく。
それらが2足歩行の獣の姿となった時、金属片がその周囲を覆いはじめていく。
金属片は次々と増殖し、次第にそのすべてを覆いつくす。その姿はメタルゲラスとなっていった。
メタルゲラスは雄叫びを上げ突進を開始する。空からは岩石が無数に落ちてくる。
落下してくる岩石を、突進してぶちかまし、爪で切り裂き、次々とぶち壊して行くて行くメタルゲラス。
再び雄叫びを上げ、体中からエネルギーの光りを放射する。
そのエネルギーの光りが矢となって、ガイのボディに向かって行く。
メタルゲラスからの光りのエネルギーを吸収するガイ。
光りのエネルギーが全身に満ち溢れ、全身を光り輝かせるガイ。
余剰エネルギーと熱を放出するガイ。強化型ガイが完成するのであった。
メタルゲラスとガイの強化シーンを目の当たりにして、闘技場(コロッセオ)の人々の熱狂と興奮はピークに達する。
「メタルゲラス万歳!!」という大歓声がこだまする。
仮面ライダーvs日本沈没マダー?
チンチンAA略
おやっさんスレの方もいいかげん待ちくたびれてるんだが。
復活キボンヌ
恩を仇で返されてる沖一也がかわいそうだな
まあ。芝浦らしいといえば芝浦らしいけどな
強化型メタルゲラスは真正面からスーパー1に向かって突進する。
これを上に飛び交わすスーパー1、だがそこにはメタルゲラスの背後に隠れていたガイがメタルホーンを構えて待っていた。
メタルホーンで打ちつけられるスーパー1。
スーパー1は転がりながらガイの攻撃を逃れ、体勢を立て直してパワーハンドを装着する。
これを待ち構えていたガイ、カード2枚をバイザーに同時装填する。
『コピーベント(メモリー機能付)』『コンファインベント』
スーパー1のパワーハンドをコピーし、なおかつスーパー1のそれをコンファインベントで無力化する。
この複数のカードの同時装填を可能にすることこそが芝浦淳が天使・オファニムに要望していた仕様であった。
強化型と化したガイは、複数のカードを同時に装填することを可能にしており、
カードの組合せ次第では非常に効果的な攻撃パターンをつくり出すことが出来た。
それはガイの戦略の幅を大きく広げることにもつながっていた。
コピーしたパワーハンドでその拳を振り回すガイ。
元々がパワータイプのガイがパワーハンドを装着したことで、そのパワーは脅威的なものとなっていた。
ガイのパワーハンドの拳がスーパー1の頭を狙う。
これをかわすスーパー1、ガイの拳はコンクリの壁に激突し、巨大な大穴をあけ、壁は一撃で崩れ落ちる。
メタルゲラスもまたメタルネールを振り回し、スーパー1を狙う。
これもかわすスーパー1、メタルゲラスの爪が一瞬のうちに壁を切り刻む。
ガイとメタルゲラスの両者の攻撃をかわし続けるスーパー1。
ガイとメタルゲラスの空を切り裂く不気味な音がスーパー1を威圧する。
空中殺法による立体攻撃を得意とするスーパー1、
だが傷つき果てたスーパー1にはもはや空中を自在に駆け巡るだけの余力は残されていなかった。
ただひたすら相手の攻撃をかわすしかないスーパー1。ガイはその拳を振り回しながら言う。
「あんたにはさ、恩があるからさ。だから、真っ先にぶっ潰そうと思ってたよ。
借りとか貸しとか、人に恩があるとか大嫌いだからさ、俺」
芝浦淳は自分が誰かに恩があるというのが許せなかったのだろうか、
それは恩を返して帳消しにするという思考にはいかず、
恩がある人間を抹殺してなかった事にするという思考に辿り着いたようであった。
ガイとメタルゲラスの攻めを地面を回転しかわし、近接格闘の間合いから逃れるスーパー1。
スーパー1に対峙して立つガイは、4枚のカードを取り出す。
『アクセルベント』『コピーベント(メモリー機能付)』『コンファインベント』『ファイナルベント』
カード同時装填の仕様を望んだ芝浦淳の真意はここにこそあった。
コピーベントはスーパー1のパワーハンドをコピー、
コンファインベントはファイナルベント発動中スーパー1の武器を無効化する効果があった。
そしてアクセルベントとファイナルベントの併用で、高速移動のへビィープッレシャーを発動させようというのであった。
これこそが対スーパー1用に芝浦淳が考え出した、ファイナルベント・ヘビープレッシャーの進化形であった。
本来であればアクセルベントの効果はライダーであるガイにしか効かないが、
ガイは天使・オファニムに要望を出して、ファイナルベントとアクセルベントを併用する際、
ガイを背負って突進するメタルゲラスにもその効力が及ぶようになっていた。
まともに発動すれば、その軌道がわかっていても、おそらく誰も逃げ切ることは出来ないであろう。
傷ついたスーパー1がこの複数カード使用で威力を増したファイナルベントをくらえば致命的なのは間違いなかった。
4枚のカードを重ね合わせるガイ。
ガイの持つアクセルベントを一瞬目にし、次の攻撃を予測するスーパー1。「タイミング勝負か」
ガイがカードをバイザーに装填する瞬間、防御の姿勢で低空ジャンプするスーパー1。
もはや高く飛び、ガイの攻撃をかわすだけの余力はなかったのであろうか?
メタルゲラスが高速で突進し、その肩に飛び乗るガイ、高速で放たれるガイのファイナルベント。
パワーハンド+コンファインベント+アクセルベントの威力を加えたヘビープレッシャー。
高速のヘビープレッシャーは、ちょうどスーパー1が低空ジャンプした足元へと突進する。
ガイはメタルホーンで下から上へとスーパー1を力の限り叩きつける。
それはまるでバットでボールを叩きつけるが如く、スーパー1はそのまま上空へと吹き飛ぶ。
頭上に輝く太陽、打上げられて、その眩い輝きの中に姿が見えなくなり消え去るスーパー1。
ガイは自らの勝利を確信する。
長い滞空時間を経て落下してくるスーパー1、太陽の輝きで見えなくなっていた姿を再び現す。
だがそのスーパー1の姿は決して死に体ではなかった。
高空からの落下の威力を利用して両足を開いて、ガイとメタルゲラス、2体同時にダブルキックを炸裂させるスーパー1。
スーパー1はこのタイミングを待っていたのだった。自らが自在に飛べなくなっていた為、
相手の力を利用して、空を飛び空中殺法を決める、それがスーパー1の作戦であった。
それは一歩間違えれば、自身が大打撃を受ける捨て身の賭け、いや無謀の賭けでもあった。
勝利を確信し油断していたガイとメタルゲラスに、
一瞬の隙をついた超高空からのダブルキックは相当のダメージであった。
悶絶するガイとメタルゲラス、傷つきながらも立つスーパー1。
その光景は見ていた者達に、ガイとメタルゲラスの危機とうつった。
いや実際にそのままスーパー1が攻撃を続けていたら、ガイは倒されていたかもしれない。
このデスゲームを観戦していた1万人にも達しようかという若者達、少年少女達は、みな一斉にステージへと駆けつける。
それはまるで暴動が起ったかのよう、いや暴動そのものだったのかもしれない。
「ライダーを殺せっ!!」「S1を殺せっ!!」「メタルゲラスを守れっ!!」
そう口々に叫びながらステージに押し寄せる1万人の若者達。
当然、スーパー1はその場を退く以外にはなかった。
ビルの谷間の路地裏に身を隠し、何とか逃げおおせるスーパー1。いやもうその姿は沖一也に戻っていた。
傷ついた沖一也はそのカラダを引きずるようにして壁づたいに歩く。その時沖一也の背後から何者かが襲いかかる。
沖一也の背中に突き刺さるナイフ。沖一也が振り返ると、そこにはナイフを手に震える少年の姿があった。
そのナイフを刺したのはこの街に棲む13歳の中学生ビオラであった。
「...人類の敵...ライダーは殺さないと...」13歳の中学生ビオラは青ざめた顔で震えながら言う。
それはライダーを人類の敵と信じた少年、まるでアンチライダー少年隊でも言えばいいのだろうか。
こんな少年が命をなんとも思わない、そのことにやり場のない憤りを感じる沖一也。
沖一也は背中に突き刺さったナイフを手にし、そのまま握りつぶす。
それを見た13歳の中学生ビオラは沖一也に恐怖したのか、叫び声を上げながらその場から逃げ去る。
沖一也は今迄のどの攻撃よりも痛みを感じていた。それは肉体の痛みではなく、心の痛みであった。
沖一也は一旦その街を離れるより他はなかった。
この後、この電脳のゴーストタウンに棲む若者達、少年少女達の数はさらにその数を増して行き、
『メタルゲラス』はその組織を大きくしていくのだった。
そしてネットでの噂は少なからず現実世界の人々にも影響を与えて行くことになる。
だがそれらはこの先に起る大いなる悲劇のほんのはじまり、序章の一部にしか過ぎなかった。
【第18話「ガイII」完】
今回は構想がまとまっていたので話が早い。
偶然なので他意はない13歳中学生。
ライア編は構想が今ひとつまとまっていないので
ある程度書き溜めてから出すことにします(多分)
話の途中だと他のSS職人さんが出しずらいというのもあると思うので。
乙です。
アキバ(?)に集まる若者達はジュニアライダー隊との対比だったんですね。
最後まで気付かなかった…(^−^;)
今後どうなって行くんでしょうかね?次も楽しみにしてます。がんばってください。
しかし、ガイのカード複数同時装填は何らかの縛りを入れておいたほうが
良いかなと思いました。
(回数制限、もしくは枚数制限?)
最後のアレ、龍騎系だとODNしかかわせそうなのいないし…
なんというか…龍騎ライダーズが強くなりすぎだとおもう。アクセルベントだのメモリー付きコピーベントだの…勝てないじゃん本郷ライダー達。
日本沈没の続きが早く読みたい
>>346 しょうがないよ、昭和ライダーを貶めるために書いてんだから(藁
荒れ模様ですね。2順目は龍騎ライダーの逆襲がテーマなんですよね。
↓強くなった龍騎ライダーズの逆襲
↓相手の策にのり追い詰められる
↓起死回生の一撃で本郷ライダーズ一発逆転
↓カタルシス
というのが今回の基本フォーマットなんですね。
強化型カードや増強カードに目がいくようですが、
シチュエーションが限定されていることと、昭和系ライダーはモンスターを倒すこと、人間を守ることが目的で、
龍騎ライダーズを倒すことに本気になってはいないってのが、一方的にやられているように見える原因でしょうか。
龍騎ライダーズに一撃の必殺技を使わないのはその為ですね。
普通の人間=龍騎ライダーズに本気で必殺技繰り出す昭和ライダーってのは私の中でかなり違和感がありますので。
<世代的には昭和派ですし、その辺は最初の本編見てもらえばわかるかと思いますが
例えば、今回のスーパー1もはじめから屋外で本気で闘っていれば、空中殺法を前にどんなに強化してもガイは対応出来ないんじゃないかと思いますよ(私見ですけど)
後、強化カードは今のところ一度使ったら消滅しますので、次また出てくるかどうかはわかりません。<その辺は要望次第になります
こんなところでおわかりいただけますでしょうか?それでも気に入らないという人が多いのであれば、
「真司くんと蓮のこと 忘れないでね」って感じで途中ですが中断いたしますので。
あ、後負けたとハッキリとは敢えて書いてませんが、ゾルダとガイは私の認識の中では負けてますから。
本郷ライダーズ勝てないことはありませんので。
>>349 意見はあれど煽りは一人きりでしょ。
楽しみにしてる人間の方が多いので
頑張ってくだされ。
351 :
山崎 渉:03/07/12 12:00 ID:cSJy3aNV
__∧_∧_
|( ^^ )| <寝るぽ(^^)
|\⌒⌒⌒\
\ |⌒⌒⌒~| 山崎渉
~ ̄ ̄ ̄ ̄
っていうか、気イ弱すぎ、もっと逞しくなれ
こんな中途半端なところでやめるなよ!応援してるから頑張って書いて!
某スレより誘導されたものですが、とりあえず設定だけ見てください
とりあえず俺は龍騎のアナザーワールド的なものを書いてみようと思います。
厨房臭くなくなおかつ皆さんに満足の出来る話を書いていきたいです。
一応話の設定としては
・神崎以外の誰かがMWの再建を果たした
・序盤に戦いをとめるものは現れない
・ライダーは原作に出てきた通りのライダーしかいない(新ライダーはなし)
・浅倉と北岡が出てくる可能性がある
・TV版最終回の通りの結末より数ヵ月後
・神崎兄弟は存在しないが、MWの概念はゲームマスターである首謀者がつかんでいる
以上突っ込みどころや修正点があれば言ってください、SSに反映させます
仮面ライダー龍騎外伝
〜もう一つの戦い〜
第一話「戦い再び」
神崎兄妹が作り出したMWでのライダーたちの戦いは、神崎優衣の切実な願いによって、
無かったものにされた。この戦いは人々の願望によって生み出された戦いだった。
こうしてMWは葬り去られたのだが・・・
「フッフッフッ…これだ、これだ!私が求めていたものは!」
男はMWから奇跡の生還を果たした、MWが無くなったものとされた今MWの概念を知るものは、
この男しかいない。しかし、その男は史上最悪のMWのゲームマスターであった…
親父が死んでちょうど一年か…」
ふと思い出し、つぶやく。
俺には両親がいない、唯一の親族は一つ上の姉だけ。
しかも、親父の葬式以来会っていない。そんな姉から一本の電話があった
「誠司、お店手伝ってみない?」
そして今二度と住むはずの無かった俺が幼少のころに住んだ家に戻ってきた…
姉ちゃんはパテシエの免許をとって喫茶店を開くということらしく手伝ってくれというのだ。
母さんが死んでから何とか一人で全寮制の学校に行きそこで卒業したところで、
特に夢も無くかといって大学にいけるだけの金銭的な余裕も無く、
俺は元の家に戻るしかなかった。
「とにかくここで暮らしながら色々考えるか」
そう考えながら玄関のチャイムを鳴らすと・・・
ドタバタドタバタッ・・・
ものすごい勢いで走ってくる音が聞こえた、多分ねーちゃんだ。
「お帰りなさい!誠司!!」
一年前と変わりない姿で姉ちゃんが迎えてくれた。
そのことが少しだけ恥ずかしく、嬉しかった。
・・・数分後・・・
「…ということだからよろしくね」
喫茶店をやるっていうのはマジらしい。俺は戸惑ったが
「どうせやることも無いんだから働いて!」
といわれたので思わず、合意してしまった。相変わらず姉ちゃんのペースには勝てない
そんなことを考えつつ俺はベットに腰を下ろした。
ボーっと窓からの景色を見ながら昔あった記憶を思い出しつつ浸っていた。
そんな時・・・
「誠司!紹介したい人がいるんだけど」
一階から大きな声で姉ちゃんを呼ぶ声が聞こえた。何だよーとブーたれてみたくなったが、
さっき、ウエイトレスの面接があるから・・・とか言ってたのを思い出した。
だらだらと二階から降りていきリビングにたどり着くと・・・
「あっ!せーくん!!」
「み、美穂!何でお前が・・・」
俺たちはほぼ同時に声を上げた。こいつと会うのは三年ぶりだ。
「三年間も何してたの・・・」
俯きながら美穂がつぶやいた。
「いや、色々とあってさ」
そういえばコイツにも色々あったっけな。
確か両親が亡くなって親戚に引き取られたって聞いてたけど・・・
そういうことを思い出しながら、姉ちゃんの顔がニヤ付いているのに気付いた
「何ニヤ付いてんだよ!」
思わず姉ちゃんにツッコム俺。
「痛いわねー何もドツクことないじゃない。っていうか面接してるんだけど」
美穂が戸惑いながら割ってはいる
「あのーそれで、雇ってもらえるんでしょうか?」
「あー、ゴメンゴメン。忘れてた」
俺たちは久しぶりの兄弟喧嘩を終えると、
「明日から早速働いて」
俺たちは驚いていた。これって面接じゃないじゃん!とか心の中で思いつつ、
談笑しながら雑談に入っていった。
三年間の時を埋めるかのように、話は進んでいった。
「あっ!もうこんな時間だ。ちょうどパイ生地が出来る頃ね」
そんなことを言いつつ姉ちゃんは厨房に向かっていった。
突然俺と美穂は二人きりになってしまった。お互いに気まずそうに沈黙・・・
無理も無い、俺は中学時代にコイツに告白されていたんだ。
俺は幼馴染だからとか言ってその場で逃げて、それでいつの間にか卒業迎えたっけ
「せーくん、変わってないね・・・」
「えー、三年もたってるのになぁ。少しはダンディになったでしょ?」
俺は反射的に言葉を返した。三年前となんら変わらず。
美穂の言葉通りになった。
二人で中学時代の思い出に浸りながらずっとしゃべってた。
時々姉ちゃんが様子を見に来たが気を使って厨房の方へ行ってくれた。
「ねー、せーくん。二人でよく遊びにいった公園に行かない?」
うなづくと、俺たちは公園に行くことにした
公園に着いたごろはもう既に夕焼けになっていた。
「つーか、何か懐かしいなぁ。」
ベンチに座ると、ポツリとつぶやいた
「うん、子供頃は色々遊んだよね。鬼ごっことか、かくれんぼとか、砂遊びとか・・」
「お前さ、ジャングルジムが好きだったっけな?つーかよく転落して泣いてたっけ」
「ひどーい、そんなこと無いよ〜いつもすいすいやってたもん」
「嘘付け、お前鈍いくせにジャングルジムで鬼ごっことかしようと言うからだろ」
そんな、他愛も無い思い出話。不思議と俺は心が休まりなんだか嬉しかった。
もしかして俺、コイツのこと好きなのな?
そんなことを考えていたそのとき!!!
ベンチの近くにあった滑り台から蝙蝠のような化け物が出てきた
「きゃああ!!」
思わず悲鳴を上げる美穂。そして襲ってくる蝙蝠の化け物
とっさに俺は美穂をかばおうとしたが・・・
キュィィィワァァン!!
超音波のようなものが俺たちを襲った。その音に美穂は気を失い、俺の腕に崩れ落ちた。
「美穂!しっかりしろ!!美穂!!」
美穂をゆすって必死で起こそうとする・・・が、一向に目を覚まさない。
俺はパニくりながらも救急車を呼んだ。
菜穂が病院に搬送されたのは気絶してから30分後のことだった。
ー病院内ー
「どういうことなんですか!?」
俺は突然突き刺さった現実にうろたえ、その切なさから医者に噛み付いた
「落ち着いてください。つまり・・・」
説明は続いたが理解できなかった。と言うよりも俺は受け付けなかった・・・
・・・美穂が死ぬ・・・そこに突きつけられた現実。
俺は心臓が止まりそうだった。
信じたくない現実を聞き入れいたのはもう一人いた
俺の隣では晶がガタガタと震えていた。
美穂の唯一の家族で双子の兄なおかつ俺の親友。
久しぶりに再開したのにこんな形とは思いもしなかった。
お互いに医者の話なんて聞いちゃいない。現実から逃げるだけで必死だった。
それでも襲ってくる現実、俺たちはだんだんと病状を知った。
美穂は脳の遺伝子が乱れたことにより余命一年と診断された。
しかも、悪いのはそれだけではない。記憶が失いつつ死んでいくといわれた。
軽い痴呆に近い症状から始まって・・・最後は・・・
俺たちは一言も話すことなく病室を後にした・・・
二年ぶりの再会だというのに最悪な再開の仕方だ・・・そんなことを考えていると・・・
「このことは美穂には秘密だな・・・」
「ああ。実際医者もそういってたしな」
「俺たちも美穂に気を使わせないように接しないと・・・」
「そうだな・・・」
口には出来るが、やっぱり無理だと言う表情をお互いに見せる。
「ゴメン、一人にしてくれないか?」
晶はそういって帰路に向かっていった。俺も同じ気分だった。
一人で考えよう・・・、化け物のことを言っても誰も信じちゃくれないしな。
ふと横を見ると綺麗に磨かれた車に自分の姿が鏡のように映っていた。
その横には明らかに不振な男が立っていた。ぱっとあたりを見回す・・・
が、人はいなく再び車を見ると男はニヤリと笑いながら、
映し出されたものから出てきた。俺は夢のような出来事に圧倒されていた。
「お前は今欲しているな。」
突然男は話し出した。欲している?何がだろう。疑問に思いつつも口が開かない
「驚かなくてもいい。私は欲望や願望にかられている者を見つけるのが得意でな。」
「欲望?願望?そんなものは・・・」
ある・・・俺は美穂のことを思い出した。美穂を助けたい。その思いだけだった。
「やはりあるようだな。かなえたい願いが・・・お前にこれをやる」
男は俺に四角いものを差し出した。
「願いを叶えたくば、戦え!このカードデッキをもってな」
「このデッキを持っていればわかる。叶えたい願いがあるならばもっていけ」
俺は藁にもすがる思い出そのデッキを受け取った。
「これで何を・・・」
「私の名前はゲームマスター。デッキを手にしたときからお前の戦いは始まる」
こちらがしゃべりきる前に勝手にしゃべって行ってしまった。
「戦えっていってもなぁ・・・」
俺は戸惑いを隠せなかった。美穂は先生いわく現代の医学では絶対に治らない…
だから俺はこれにかけるしかないのか・・・そんなことを考えていると・・・
キーン…キーン・・・キーン・・・
何か音が聞こえる、何だこの音は…
「うわぁっ!!」
からさっき美穂を襲ったモンスターに似た質感を持つヤギのような生き物に襲われた。
とっさに車のボンネットにさっき貰ったデッキが映る、すると・・・
「何だこれは?」
ベルトのようなものが腰に巻かれている。デッキがちょうど入りそうなぐらいの溝がある
そこに差し込んでみる・・・すると・・
「何じゃこりゃー!!」
仮面に青黒いスーツを着た姿になっている自分が鏡に見える。
本当かどうか確かめるために車を触ると・・・
「うわあああああ!!」
俺は車の中へ吸い込まれていった。気が付くと俺は道路に転がっていた
ふと標識を見てみる何か不自然だ…。文字が鏡のように反転・・・
まさか俺は鏡の中にいるのか?そんなことを考えていると・・・
ドゴォン!!ドゴォン!!
龍のようなものが火を吐き俺に襲い掛かってきた。
「おい!ありえねぇ!!」
俺はそんなことを言いながら必死で走りながら炎を何とか避けて行った
(続く)
長いですが一話目の仮原稿です。
もしよければ指摘してください。
応援してくださった方、どうもです。煽り耐性ゼロなんでスマソ。
ライア編も話がちょっとまとまって来たんで、出だしだけでも出させてもらいます。
今回はサスペンス調にしようかと思ったんですが、ある意味一番ハードな話になりそうな予感(汗
暗い闇の中にひとりきりの手塚海之。
その闇の中に手塚の友・斎藤雄一が現れ、手塚に笑顔で語りかける。
「雄一、お前無事だったのか!」手塚は斎藤雄一に笑顔を返す。
が、斎藤雄一の背後には浅倉猛の影が忍び寄る。
「やめろっ!!」手塚は叫び、浅倉を止めようとするが、手塚の体は金縛りにあい身動きがとれない。
斎藤雄一は浅倉の通り魔事件に巻き込まれ腕を負傷する。
将来を有望されたピアニスト・斎藤雄一の明るい未来はそこで閉ざされる。
夢を情熱を奪われた斎藤雄一はもがき苦しむ。「雄一っ!!」
その友の姿を見て涙を流し、友の名を叫び続ける手塚。
その斉藤雄一の前に神崎士郎が現れる。「お前の夢を取りもどいたならば、戦え」
神崎士郎はそう言い斉藤雄一にカードデッキを残していく。再び苦悩する斎藤雄一。
だが斎藤雄一はカードデッキを置き、ライダーにはならないことを決意する。
斎藤雄一は温厚な笑顔で手塚に話しかける。
「俺はライダーにはならない。人の命を犠牲にしてまで夢を取り戻そうとは思わない。」
手塚はその友の決意に、人間の尊厳と誇りを垣間見るのだった。
だが、斎藤雄一の表情は険しく一変する。
「本当は俺はライダーになるべきだったんだ!!他人を犠牲にして俺の夢を再び取り戻す、そうすれば良かったんだ!!
お前の前では格好つけて奇麗事言っちまったが、俺だって自分のことが一番大事に決まっている!!
もし俺がライダーになったとしても、それは俺が悪い訳じゃないだろう!?
俺だって我慢なんかしないで俺の本当にやりたいようにすれば良かったんだ!!
ちきしょうっ!!なんで俺はライダーにならなかったんだっ!!
他人を犠牲にしたくない、そんなことは単なる格好つけじゃないかよっ!!
自分の為に生きるそれが本当の人間の姿ってもんだろっ!!」
「雄一っ!?」斎藤雄一の豹変ぶりに戸惑う手塚。
険しい顔の斎藤雄一は手塚の方を恨むような目で見つめる。
「手塚、お前もお前だよっ、俺はお前のことをずっと親友だと思っていたんだぜ。
お前は、お前は俺が死ぬのがわかっていたんだろ?なんで教えてくれなかったんだよっ!!
このままじゃ俺がモンスターとライダーに殺されるのをお前は知っていたはずだっ!!
占いでお前はそのことがわかっていたんだ。お前の占いは当るんだろ?
なのに何故俺にそのことを教えてくれなかったんだっ!?なんで俺を助けてくれなかったんだっ!?」
「雄一っ!!違うっ!!俺は、俺はっ、、、」
斎藤雄一に必死に弁明しようとする手塚海之。だがそれ以上は言葉にならない。
「、、あぁっ、奴らが来る、、」何ものかの影に怯えているかのような斎藤雄一の表情。
雄一の背後より忍び寄るガルドサンダーの影。ガルドサンダーは背後から斎藤雄一を一突きする。
「雄一っ!!」手塚は友・斎藤雄一を助けようとするが、その体は金縛りにあったまま動かない。
ガルドサンダーのチェーンが斎藤雄一の体に巻き付き、闇の中へと引きずられて行く。
「雄一っ!!」手塚は友・斎藤雄一の名を叫び続ける。
再び闇の中より現れる斎藤雄一。だがその体は宙を浮いている。
斎藤雄一の頭をわしづかみ、ぶら下げながら闇よりその姿を現す緑のボディの仮面ライダー。
「手塚ぁ、、助けてくれぇ、、助けてくれぇ、、」手を手塚の方にさし伸ばして、手塚に助けを求め続ける斎藤雄一。
「また俺を見捨てるのかよぉ、、手塚ぁ、、」助けを求める声は手塚への恨みごとへと変わっていく。
「雄一っ!!」友の名を呼ぶ手塚の頬を涙がつたう。
闇の中に半身を隠した緑の仮面ライダーは、斎藤雄一の頭をわしづかみにし宙にぶら下げたまま、
そのままその手に力を込める。斎藤雄一の悲痛な叫びが闇にこだまする。
「雄一っ!!雄一っ!!雄一ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」
ベッドの上で雄一の名を呼び続ける手塚。そこで手塚は目を醒ます。
とび起きる手塚、体は全身汗だらけで、息は荒く、目からは涙が流れ落ちていた。
「また、あの夢か、、、」手塚は友の死以来、毎晩同じ悪夢にうなされていた。
【 仮面ライダー Heat on!外伝/Anoter 13riders 】
【2nd Survive 第19話「ライアII」】
(前スレ落ちたので前回のライア編のあらすじ含む)
神崎士郎にデッキを渡されたがライダーになることを拒んだ手塚の友・斎藤雄一が、
ガルドサンダーに襲われた際、駆けつけたスカイライダーをガルドサンダーの仲間であると誤解した手塚。
その後、手塚は斎藤雄一の意志を受け、ライダーの戦いを止めるべくライアとなった。
そして城戸真司と出会い、別世界のライダーはこの世界のライダーと違い人を守る為にのみ闘うという話を聞いていた。
(シャドームーンのみ事情は異なるが)そこで手塚のスカイライダーに対する敵意は迷いはじめるのだった。
そして、城戸こと龍騎が王蛇のファイナルベントの餌食になろうとした時、
手塚ことライアは運命を変える為、自ら身を呈して龍騎を救おうとする。
本来であればそこで脱落するはずであった手塚ことライア。
その手塚ライアを助けたのは、手塚が友の仇と思い続けていたスカイライダーであった。
そのことで手塚ライアとスカイライダーに対する誤解は氷解へと向かって行くと思われていた。
だがこの問題はそうは簡単には解決へと向かわなかった。
そして何よりも神崎士郎が手塚に向かって放った言葉
「お前の友・斉藤雄一は死の直前、ライダーにならなかったことを後悔していた。」
この言葉が手塚の心の中で大きなしこりとなって手塚のことを苦しめ続けていた。
手塚には異変が起っていた。それは肉体の異変ではなく、内面的な異変であった。
手塚自身もその異変に薄々気づいてはいた。
悪夢を見た後で、興奮が醒めない手塚の気は荒れていた。肩で息をし、呼吸を荒げ、大量の汗をかき、険しい顔をしている手塚。
「、、緑のライダー、、雄一を殺した、、」
手塚は何かを思い出し必死になっていた、頭を抱える手塚。
手塚の脳裏にノイズの走った灰色のビジョンが浮かんで来る。
そのビジョンにはハッキリと緑のライダーが友・斎藤雄一を手にかける瞬間、そのおぞましい光景が明確に浮かんで来るのだった。
それは夢などでは決してなく、現実に手塚が目にした記憶として手塚の脳裏に残っていた。
ノイズ混じりの灰色のビジョンは手塚の脳裏に次々と浮かんでは消えて行く。
斎藤雄一、ライア、エビルダイバー、緑の仮面ライダー、浅倉猛、王蛇、城戸真司、龍騎、秋山蓮、ナイト、
神崎士郎、神崎優衣、手塚の脳裏にフラッシュバックのように次々と切り替わる映像。
ノイズの走ったビジョンが目まぐるしく変わり続ける。
頭を抱え苦しむ手塚「俺は一体どうしたと言うんだっ!!」手塚は思わず大きな声で叫ぶ。
手塚の異変とは、記憶の欠如、混乱、デジャブ現象、映像のフラッシュバック、幻覚、などの症状が見られることだった。
手塚自身にもそのことはわかっていたが、だが本当の自分の記憶がどれであるのか、それは既にわからなくなっていた。
そして時折こうした症状が突然手塚を苦しめるのであった。
手塚はライダー同士の闘いで負傷し、入院していたこともあり、その後真司や蓮との接触はあまりなかった。
今となっては、当然ミカエルの僕と化した真司(手塚はそのことすら知らない)とは連絡がつかない、蓮とも連絡がとれないような状態になっていた。
つまり手塚の正確な過去を知る者が周囲に誰もいない、というのが余計に手塚を追い込んでいたのだった。
>>355-362 コミックボンボンで一昔前よくやっていた(いや、もしかすると今でもやってんのか?)
人気作品終了後のアナザー物を思わせる、適度に本編・適度に新作な感じが
いいですね。続きもがんがって下さい。
龍騎外伝さん、私はSS書く人が多い方が嬉しいタイプです。
頑張っていっぱい載せちゃってください。いい励みになります。
「気を落ち着けてください。」「私は天使・ラグエル、神の友の名を持つ者。」
手塚の前に現れる天使・ラグエル、その姿は現在の手塚の心理状態に配慮したのか人間体のものであった。
「俺に何の用かは知らないが、今俺はそれどころじゃないんだ」
「赤き海の預言者、私は君を助けに来たのです。」
「私が見た所では、君の症状は心的要因による記憶障害のようですね。」
「、、心的要因による記憶障害?」
「ええ、そうです。君は預言者として、この世界では占い師というのですか?
とにかく君は他人の未来や運命を見ることを生業としてきました。
他人の未来や運命を覗くこと、それは同時にその人が背負っているものやその人の運命を、
君自身の中に背負い込むことでもあるのです。少なからず君は占った相手の影響を受けてしまうのですよ。
占い師という生業をしているのならば思い当たる節はおありでしょう?」
「それが君の精神的負荷となっているのです。君が占った相手のことを背負い込み過ぎてしまっているのですね。」
「それともうひとつ、、、これは大変言いにくいことですが。」
「君は今は亡き友の生前、その友がもうじき死ぬかもしれないということを知っていましたね?
いや死ぬとはハッキリわからなくても、さらに不幸なことに襲われるというのを感じとっていたはずです。
だが君は友をいたずらに不安にさせるのをおそれ、それを言わなかった。
そしてそれが現実のものとなり君の友は帰らぬ人となってしまった。
君はそのことを心の中で非常に気に病んでいる。君の心の中は友への罪悪感でいっぱいなハズです。
君が運命を変えることに執着しているのも、友の死という運命を変えられなかったからではないのですか?
そのことが君の非常に大きな心的負担、精神的負荷になっているのです。」
「つまり君の他人の未来が見えるという能力が、自分の精神に大きな負担をかけ続けているのです。
君の亡き友の未来に関しても、君が占った大勢の人間の未来に関してもそうです。
もしこのままでいけば君の精神は崩壊してしまうかもしれません。」
「さらに君はここ最近、ライダーとの闘いで2度も致命傷になるような痛手を受けました。
その際の大きな衝撃が外的要因となっているということも付け加えておきましょう。」
手塚ライアは確かに、王蛇のファイナルベント・べノクラッシュと
ベルデのファイナルベント・デスバニッシュをくらい、しばらくの入院生活を余儀なくされていた。
直撃ではないにしろ2回もファイナルベントをくらい、手塚の体に何かしら後遺症があったとしても不思議ではなかった。
「だが皮肉なもので、逆に今の君の未来を見る能力は非常に優れてきています。
君の精神が過敏になり、未来への精神感応が高くなっているため、それは予知能力のレベルに近づいてきています。
占いという形式を取らなくても、今の君には未来を予知することが可能なハズです。
ノイズ混じりの灰色のビジョンというのは未来のビジョンが見えるようになる前触れでもあるのですよ。」
「以上が私が見た限りでの君の症状の診断です。とにかく今は療養することです、余計なことは考えずに。」
「だが俺にはやらなくてはならないことがある」「この世界のライダー同士の戦いを止めると言うのですね?」
「ああ、そして、、、」「そして君の友を殺した緑の仮面ライダーを倒し、友の仇を討つというのですね」
「、、雄一の仇、、緑の仮面ライダー、、」手塚はそこで考えるが、
脳裏にはノイズ混じりの灰色のビジョンで斎藤雄一を手にかける緑の仮面ライダーの光景が浮かんで来るだけであった。
天使・ラグエルは手塚の方をじっと凝視する。その瞳の奥に隠された真意は一体何か?
「そうです、その緑の仮面ライダーこそが君の友の仇。その者だけは許すわけにはいきません。
私が何を言ってももはや君の行動は止められないでしょう。
私は神の友の名を持つ者。私はその名の通り、友を最も尊ぶ者。君達の固き絆は、友亡き今もなお揺らぐことはないでしょう。
だが、君達の固き絆を汚した者は、私と神の名の元に許すわけにはまいりません。
赤き海の預言者よ。君の友を亡き者にした憎き別世界のライダーを葬ること、私がお手伝いいたしましょう。」
天使・ラグエル(人間体)は手塚の前に強化型カードを差し出す。
「このカードが君に新たなる力を与えることでしょう。本来であれば疾風のサバイブのカードの力は君が手にするはずだったもの。
君はライダー同士の闘いを止めるのにその力は必要ないと判断し、サバイブのカードを他の者に譲りました。
だが、あの緑の悪魔を倒すには力はどうしても必要なのです。」
手塚の脳裏に再び友・斎藤雄一を手にかける緑の仮面ライダーの姿が甦る。
ノイズ混じりの灰色のビジョンは手塚の頭を痛みに歪める。
そのビジョンを見た手塚はラグエルの差し出す強化カードを拒むことは出来なかった。
ラグエルは手塚の前にデザインを異にしたコピーベントのカードを差し出す。
「君の友の仇は武器を使うタイプではありません。したがって君の持つコピーベントは効果がありません。
そこで私は趣向を変えたコピーベントを用意しました。このカードは君自身の武器をコピーすることを可能とするコピーベントです。」
さらにラグエルはアクセルベントなどの増強カードを手塚に手渡すのだった。
そして最後にラグエルは他のこの世界のライダー同様に、自由意志で内容を決められる白紙のカードを手塚に差し出す。
「このカードの使い途は君自身が決めてください。
未来を予知するだけの能力がある君なら、そのカードを何にするか最良の選択が出来ることでしょう。」
「では、後は君の能力が君が取るべき行動を、君が成すべき事を導いてくれるはずです。
君は君が見るそのビジョンに従っていけばいいのです。そう君の能力が君を導いてくれるでしょう。」
手塚の脳裏にノイズ混じりの灰色のビジョンが浮かび上がる。
「、、、港?」「君が見たビジョン、そこに何があるのか、それは行けばわかることです。
友の仇・緑の仮面ライダーがいるかもしれません。」
「今はその君の能力を信じて、君が進むべき道をみつけてください。」
天使・ラグエル(人間体)はそう言い残して手塚の前から姿を消して行く。
手塚は言い知れない違和感を感じながらも、その港が何処であるのかを調べる。
手塚には自分の見るビジョンを頼りにするしか道はないのだから。
いや、手塚自身はそう思い込んでいた、それだけのことなのかもしれないが。
夜の港、埠頭の倉庫。海の匂い、独特の潮風が肌にまとわりつき、遠くから汽笛の音がかすかに聞こえる。
埠頭からは綺麗に映える街の灯りが一望出来る。モンスター襲撃後も人々の生活は急激には変わらなかった。
街の灯りの美しさはそのことを教えてくれるかのようでもあった。
そこに現れる人影が二つ。倉庫にある積荷の確認に訪れる作業員の姿でだった。
懐中電灯を片手にぶら下げ、仕事の話をしながら倉庫へと向かう2人。
積荷の手違いか何かのミス、トラブルだったのだろうか、2人は倉庫の中へと入って行く。
2人は倉庫の電気をつけようとするが、スイッチを押しても電気はつかない。
おそるおそる懐中電灯で倉庫の中を照らす作業員。倉庫の中に異変はなかった。
作業員が停電の原因を調べようと倉庫の外へ出ようとした時、荷物が落ちたような音が聞こえる。
作業員が慌てて倉庫内に戻ると、暗闇の中に無数の光る目があった。
懐中電灯を照らす間もなく、闇に光る目に襲われる2人の作業員。足元に転がる懐中電灯。
美しい埠頭の夜景に、2人の叫び声が響き渡る。
翌日の朝、2人の作業員が行方不明になって大騒ぎとなっている埠頭の倉庫。
警察が同じ職場の仲間に事情聴取をしている。その様子を周囲から見ているひとりの男。
モンスターの気配を察知して駆けつけた筑波洋の姿であった。
筑波洋は現場の周囲をひととおり確認した後、その場を離れる。
それと入れ違いのようにその場に姿を現す手塚海之。
昨夜の作業員行方不明の事件を知った手塚は、自分が見たビジョンに意味があることを確信する。
「やはりここで何かが起ころうとしているのか?」
ええと、ながらく間をあけてしまって済みませんでした。
それでは『日本沈没 対 仮面ライダー』第3回お届けします。
3、咆哮する半島
真紅の瞳に闘志をたぎらせて、まだらの猛獣が暗闇から躍り出た。
両腕をついて大地を力強く蹴りあげたアマゾンライダーは、さながら短距離選手のように、
否、獲物に跳びかかる肉食獣のように低い姿勢を保ったまま一気に距離を詰めた。
橙色の燐光を身にまとった黒衣の邪鬼が、これを迎え撃つ。
右腕にきらめく鋭い鋸刃をかざして、アマゾンが浮上する。黒衣の怪人が、左腕でその斬撃
を受けとめる。鋼の人工骨格に鋸刃が深々と喰いこみ、破砕音が闇に響く。
防御、と呼べる行動ではない。
何の躊躇もなく腕一本を棄て、かわりにアマゾンの機動性を封じる。かりそめの肉体に執着
を持たぬ憑物の思考なればこその戦法だった。そのままの態勢から繰り出される、燐光を帯
びた拳。だが、アマゾンも瞬時に反応してこれを左腕で掴みとった。
互いの膂力が均衡し、わずかな空白が生じる。
次の瞬間、雄叫びとともに躍動したのはアマゾンだった。
両腕を支点に据えて放った前蹴りが、怪人の顎を粉砕する。その衝撃を借りてなかば強引に
右腕を振り抜くと、よろめいた怪人の頭蓋に鋭刃を突きたて――斬り裂く!
鮮血の飛沫をあげながら、黒衣の怪人がゆっくりと頽れていく。
固唾を飲んで見守っていた若者達の間からは、感嘆とも安堵ともつかない溜息が漏れた。
しかし、アマゾンだけは警戒の姿勢を崩そうとしない。
彼は知っている。
まだ、決着はついていないのだと。
黒衣の屍骸が、バネ仕掛けのように勢いよく跳ね起きた。柘榴のようにぱっくりと割れた頭
蓋から、橙色の塊が弾き出される。小鬼は壊れた依代を棄て、耳障りな声で喚き散らしなが
ら大地を這った。アマゾンも両腕を構え、背鰭をたてて邪霊を威嚇する。
やがて交錯する両者の影。
アマゾンが、強靭な顎で小鬼の喉を噛み裂く。
緑の粘液がほとばしり、手毬のような黒い塊が草叢へと転がっていった。
アマゾンは勝利の雄叫びをあげると、大地に四肢を投げだして仰向けに寝転がった。
興奮に高ぶっていた動悸が鎮まるのにつれて、その姿も次第に野獣から人へと還っていく。
若者達が駆け寄ってくる。今度こそ、洋とアマゾンは会心の笑顔をかわした。
「おい、見ろ…霧は晴れるぞ!」
だしぬけに遠藤が叫んだ。小鬼の断末魔と時を同じくして、彼等の視界を覆っていた白い霧
も忽然と拭い去られていった。そして、暗闇から浮かびあがってきた光景に若者達は感嘆の
声をあげた。満天にきらめく星々。そしてその姿を地上へと映す、磨きぬかれた鏡のような
白銀の湖面――八丁池。
「天城の瞳」と称される火口湖の神秘的なたたずまいに、誰もがしばし魅入られた。
そのとき。
水面にぽつり、と小さな波紋が浮かんだ。
ひとつ、ふたつ――波紋は、徐々に湖畔へと拡がってくる。全身の負傷を押して跳ね起きた
アマゾンは、低く唸りながら湖上の暗闇を睨みつけた。野性の勘が、なにか途方もなく危険
な存在の接近を告げている。次第に迫りくる妖気。やがて、湖畔に姿を現したのは黒い外套
と軍服をまとった長身の男だった。痩せぎすではあるが逞しい体躯に、頬のこけた細長い貌。
目深に被った軍帽の奥からは、妖しい輝きを宿した灰色の瞳がこちらを窺っている。
「…パパ=チャガ!」
アマゾンは、反射的にその言葉を叫んでいた。
「パパ=チャガ…南米に棲むという怪物の名だったか」
薄い唇を僅かに歪めて、軍人はにやりと嗤った。
「幼な児の生胆をとって喰らう悪鬼…成る程、俺には相応しい名だ」
軍靴の音を響かせて歩み寄ってきた男は、興味深そうにアマゾンの姿を眺めた。
「ほう…式神どもを撃ち破ったのは貴様だな?」
アマゾンは頷き、問い返した。何故、悪しき精霊達を喚び出したのかと。
「あの黒蟻どもには邪魔されたくはなかったからな。これから始まる、折角の演し物を」
ぞっとするような笑みを浮かべて、軍人は八丁池を見遣った。
洋は、足元に微かな震動をおぼえた。ここ数ヶ月というもの、関東甲信越地方では微震程
度の揺れなどすっかり日常的な存在になりつつあったが、それでもなお大地の揺れが人間に
本能的な恐怖を与える事に変わりはない。若者達の間にざわめきが起こった。
軍人は腕を挙げ、彼等の動揺を制した。純白の手袋が暗闇に浮かびあがる。
「静かに。決して声をたてるな…これから結界を張る」
外套を翻した軍人は、若者達を庇うように立ちはだかると素早い動きで印を組んだ。
奇妙な緊張感が周囲の空間を支配する。
「来るぞ!」
軍人が叫ぶ。同時に、湖面全体が蒼白い輝きを帯びた。
たちのぼる燐光の彼方にひろがったのは、この世のものならぬ幻視の光景だった。
湖底には、幾つもの首をくねらせた巨大な白蛇が蠢いている。その全身は無数の鎖によって
縛りあげられている。しかし、苔むした鎖は大蛇が身じろぎするたびに軋みをあげていた。
一方、八丁池を囲む山々の岳頂にはまばゆい霊光が灯った。
「万次郎天狗やい」「万三郎天狗やい」
霊光の塊は、翼をはためかせた鳥人の姿をとった。無数の眷属を率いて湖面へと降りたった
二羽の大天狗は、渾身の力をこめて大蛇の鎖を引き絞った。ぎりぎりと耳障りな音が響き、
大蛇がもがき苦しむ。鳥妖達が槍を構え、鱗に覆われた蛇の胴体を一斉に突く。おびただし
い鮮血が、湖面を朱に染めていった。
だが、鳥妖達の弛まぬ猛攻にも関わらず、荒れ狂う大蛇の勢いはまったく衰えようとはしな
かった。やがて封印の鎖は次々と弾け飛んでいき、半身の自由を取り戻した大蛇は鎌首をも
たげると群がる鳥妖達を片端から噛み砕きはじめた。
呼吸もままならないほどの圧迫感に耐えながら、遠藤はアマゾンの顔を見遣った。
彼ならばあるいは、この狂気じみた世界から救い出してくれるのではないか。そんな期待が
込められた視線だった。だが、アマゾンがそれに応えることはなかった。彼はじっと歯を食
いしばったまま、大地の精霊達が繰りひろげる死闘を睨み続けていた。
無論、アマゾンは臆したわけではない。すぐにでも死闘へと身を投じ、果敢な鳥妖達を救
いたい――そんな闘志をあえて押し殺さねばならない理由があった。
この一帯はいまや、凄まじいエネルギーの渦に巻き込まれている。
この奔流に直接曝されていたならば、若者達はおそらくひとたまりもなかっただろう。
彼等の生命を繋いでいるのは、軍服の呪術師が張った結界であった。しかし、それはいわば
魔力の荒海にかろうじて浮かんでいる一艘の小舟だった。ほんの少し衝撃を与えただけでも
崩れてしまいそうな、危うい均衡のもとに成り立っていた。
迂闊に動くことはできなかった。
葛藤するアマゾンの姿を見て、軍人が冷やかな笑みを浮かべる。どこか愉快そうなその表情
に、アマゾンはふと彼が先程言い放った言葉を思いおこして低く唸った。
(邪魔されたくはなかったからな。これから始まる、折角の演し物を)
この結界もまた、アマゾンを縛るために仕組まれた巧妙な罠なのかもしれなかった。
精霊界の死闘は、なおも続いている。宙高く舞いあがった天狗達が宝剣をかざし、大蛇の
首へと突きたてる。串刺しにされた蛇は鮮血を撒き散らしながら激しくのたうちまわった。
だが、その血飛沫こそが反撃の手段であった。ほとばしった返り血は無数のヤモリに転じ、
天狗の全身へ群がっていく。やがて翼の自由を奪われた天狗が、湖面へと激突する。
「大地の蛇は、三千年にわたって幽閉されてきた」
軍人の声は興奮を帯びていた。燐光に照らされ、手袋に染め抜かれた五芒星の紋が輝く。
「そうだ、今こそ積年の怨嗟を解き放て。復讐の牙を剥くがよい!」
蒼白い湖面が粉々に砕け、胃の腑を突きあげるような衝撃が若者達を襲った。
封印から逃れた白蛇は七つの首をもたげて大地を揺るがし、猛毒の息吹は天空を焦がした。
爛々と輝く蛇の瞳が、夜空に浮かびあがる。いや、あれは――
「…噴火だ!」
振り絞るような洋の叫びが、若者達を現実の世界へと引き戻した。
天城の山々が燃えている。轟音とともに真紅の火柱があがり、遥か地底に潜んでいた灼熱の
エネルギーは、地表のあらゆる綻びから噴き出しはじめていた。
「俺について来るがいい。溶岩の海で泳ぎたくなければな」
湖も、森も、全てが火炎と黒煙に飲み込まれていく。アマゾンの慟哭が天に響いた。
この日――197×年7月26日深夜。相模湾南西部の浅発性自身によって誘発された噴
火活動は、天城山のみにとどまらなかった。天城山が爆発したわずか8分後には、伊豆大島
の三原山が噴火。伊東市では物言わぬ高原竜の像が首をもたげて、不気味な噴煙をあげる大
室山の姿を哀しそうに見つめていた。
津波と溶岩流は伊豆相模一帯に猛威を振るい、東海道メガロポリスの大動脈には被害額数千
億円にも及ぶといわれる深刻な爪痕が刻まれたのであった。
その翌日。小野寺は田所研究所のソファに寝転んだまま、ぼんやりと天井を眺めていた。
「きみが手掛けた相模湾深部の海底調査報告書を見せてほしい」
田所博士から突然に依頼を受けてこの研究所を訪れたのは、明け方近くのことだった。今回
の伊豆地震を検証するのみならず、もっと巨大な“なにか”を解析するためのデータだと博
士は言った。博士はそのために、あらゆるデータを渇望していた。研究員達に混じって報告
書の整理をおこなうこと数時間、小野寺はようやく仮眠の床についたのだった。
ラジオからは、昨夜の伊豆地震に関する情報が途絶えることなく流れてくる。
もっとも、主要な被害状況についてはあらかた伝えきってしまったのか、いま報じられてい
るのは被災現場の様々なエピソードであった。避暑旅行中に被災した一家の悲劇、命からが
ら脱出してきた熱川の老夫婦、そして天城山で行方不明になっていた城北大学生グループの
奇跡的な生還――アナウンサーが次のニュースを伝えようとしたその瞬間、天井が激しく揺
れ、窓ガラスが砕けた。
「…臨時ニュースです。ただいま、浅間山が噴火した模様です。詳しい情報については…」
小野寺はゆっくりと立ちあがり、研究室へと向かった。
カタカタと穿孔テープを吐き出している音声タイプの傍で、田所博士が若い研究員に指示を
とばしていた。その姿は“わだつみ”に搭乗した頃とはまるで別人のようにやつれきってい
た。博士は小野寺に気付くと、チーフとおぼしき研究員に浅間山噴火のデータ収集を命じて
研究室を離れた。
「きみのところの、例の深海潜水艇だが…」
地下の所長室へと小野寺を案内した田所博士は、ゆっくりと話を切り出した。
「長期チャーターをするとして、今申し込んですぐに使えるかね?」
それはとても無理です、と小野寺は首を横に振った。ただでさえ“わだつみ”の航行予定は
数ヶ月先までびっしりと埋まっている。そのうえ、日本海溝での故障が原因で数日間の精密
検査を余儀なくされたため、スケジュールは一層厳しいものになっていた。
(…そういえば、あの事件も不可解なことだらけだ)
ゴルゴムのイカ怪人による襲撃という、あまりにも非現実的な事件を報告書にどうまとめた
ものか。悩んだ挙句、小野寺はXライダーの存在だけをぼかしてあとは概ね事実のまま報告
することにした。
当然のことながら、上司の反応は芳しくなかった。小野寺自身も馘首を覚悟していた。
しかし、彼の報告書が会社上層部や監督官庁に提出されると状況が変わった。およそ普段で
は考えられない迅速さで処理が進み、その過程でいつの間にか“事件”そのものが有耶無耶
にもみ消されてしまったのだ。幸運にも責任が不問に付されたとはいえ、小野寺の心にはど
こか釈然としないものが残った。
地上の社会には、深海の世界より遥かに暗く不気味な闇が潜んでいるのかもしれなかった。
「だいたい、日本には1万m級の深海潜水艇が少なすぎる!」
田所博士は憤りをぶちまけた。これでは、海洋国家が聞いてあきれるではないか。
「1万m級に需要が出てきたのは、つい最近なんですよ」
小野寺は諭すように説明した。“わだつみ”のほかに現在稼動しているのは、海洋開発研究
所の“あかつき”級が僅かに2隻。こちらも、スケジュールの過密に関しては“わだつみ”
とほぼ変わらない状況だった。
「アメリカの太平洋岸海洋開発やフランスのマランド海底研究開発財団に依頼されては?」
小野寺の提案を、博士は即座に撥ねつけた。彼は、あくまで日本艇での調査にこだわった。
これは、日本の利害と密接に関わる問題なのだから――。
「いったい、何をお調べになるんです?日本海溝の底で、何が起こっているんですか?」
小野寺に疑問をぶつけられ、博士はいきなり椅子から立ちあがった。
「何が起こるか、だと?わからん、それが皆目わからんからこそ調べるのだ」
内心にいだくひとつの気掛かり――あるいは途方もない妄想にせきたてられるようにして、
博士はあらゆる分野のデータを集め、重ねあわせてきた。
気象、重力変異、火山活動、生物相の分布、回遊魚の生態変化――。
それでもまだ、データが不足していた。とにかく、少しでも多くのデータが必要だった。
「お力になりたいと思いますが…」
だが、博士が充分な答えを掴むまでには、いったいどれほどの調査費用と時間を要すること
だろう。それを思うと、小野寺もいささか暗澹とした気持ちになった。
「せめて…せめて、あの潜水服さえあれば」
日本海溝の最深部で自在に単独活動することが可能な、魔法の鎧。
そうだ、あの潜水服さえあれば、飛躍的な速度で海底探索を進めることができるではないか。
小野寺がそんな夢想を口にすると、博士はなぜか歯切れ悪そうに答えた。
「いや…“あれ”は君の考えているような代物ではない…だが、確かに…」
「博士は、何かご存知なんですか?…カイゾーグ、そう、彼のことをたしかそう呼んでいた」
ちょうどそのとき、幸長の来訪を告げるインターホンが鳴った。
博士は折良しと見てこの話題を打ち切り、小野寺を昼食へ誘った。
誰もいなくなった所長室の換気ダクトで、小さな影が動いた。
それは、粘糸にぶらさがった一匹の蜘蛛だった。
蜘蛛は先刻から、この場所にじっと潜んでいた。
まるで、二人の会話に耳をそばだてていたかのように――。
<次回予告>
筑波洋は、天城山での怪事件について調査を開始した。
はたして、軍人が残した謎の言葉“磐長姫の呪い”とは?
一方、盂蘭盆会の京都を訪れたカメラマン・一文字隼人は
そこで意外な人物に遭遇するのだった。
次回、第4話『京都のオーロラ』に御期待下さい。
来た!きた!キター!!
待ってましたぜ日本沈没対仮面ライダー!
あんまり詳しくないけど昔の特撮映画の規模と心意気で
ライダー戦記が展開されてくって事なだろか。
激しく心揺さぶられますわ。
新作age.
洋ってやっぱり筑波だったのか。
390 :
山崎 渉:03/07/15 11:42 ID:RjtghRys
__∧_∧_
|( ^^ )| <寝るぽ(^^)
|\⌒⌒⌒\
\ |⌒⌒⌒~| 山崎渉
~ ̄ ̄ ̄ ̄
埠頭の周囲をくまなく見てまわる手塚。この場所に次の行動へのヒントが隠されているかもしれない、手塚はそう思っていた。
手塚の脳裏に再びノイズ混じりの灰色のビジョンが浮かび上がる。
そのビジョンは倉庫の中で緑色の仮面ライダーが人間を襲おうとしているビジョンであった。
その緑色の仮面ライダーは友・斎藤雄一を襲ったライダーと同じライダー。
その時、倉庫の方から人間の悲鳴が聞こえる。手塚は倉庫へと向かって走る。
倉庫へといち早く駆けつたのは筑波洋であった。倉庫の中ではモンスターが偶然遭遇した人間を襲おうとしていた。
筑波洋はスカイライダーへと変身する。モンスターに飛び蹴りを放つスカイライダー。
そのモンスターはよりにもよってガルドサンダーであった。
ガルドサンダーはスカイライダーと闘う気配すら見せずにすぐにその場を撤退する。
モンスターに続きスカイライダーの姿を見て恐れおののく人間。そこへ駆けつける手塚海之。
手塚が見た緑のライダーが人間を襲う光景は、この瞬間のものであった。
手塚はスカイライダーの姿を見て、手塚の脳裏に再びライダーに襲われる血まみれの斎藤雄一の姿が甦る。
そのノイズ混じりの灰色のビジョンは手塚に激しい頭痛を引き起こす。
スカイライダーは傍らで怯える人間には関わらず、モンスターを追撃しようとする。
その時、唸りを上げてスカイライダーを急襲する鞭。スカイライダーは咄嗟にその場を飛び退く。
鞭は地面を直撃して、コンクリを粉々に打ち砕く。
電磁鞭を打ち放ったのは変身した手塚ことライアであった。
ライダーが人間を襲う予知のビジョン、それと同じ光景を目にした手塚は咄嗟にライアへと変身した。
状況証拠だけの完全なる誤解ではあるが、手塚には未来予知への確信があった。
「また君なのかっ!?」スカイライダーと対峙するライア(手塚)。
手塚の脳裏には断続的に、友・斎藤雄一の顔が灰色のビジョンとして浮かんでは消えて行く。
「手塚ぁ、お前は俺の親友だろぉ、、、助けてくれぇ、、、」
手塚の耳には斎藤雄一の助けを求める声がこびりついて離れることはなかった。
こうなるともはや手塚に冷静な判断は不可能であった。
互いに人間体で一度面識がありながら、お互いの正体を知らないスカイライダーこと筑波洋と、ライアこと手塚海之。
エビルダイバーの尻尾を模した電磁鞭、スウィングベント・エビルウィップを左右に回転させて振り回すライア。
エビルウィップはまるで意志を持った蛇のような動きでしなり、唸りを上げてスカイライダーを再び襲う。これを横にかわすスカイライダー。
ライアはその間にスカイライダーとの間合いを詰め、至近距離で電磁鞭を振り回す。
これを上半身をスウェーさせてかわすスカイライダー。
スカイライダーもまた相手がこの世界のライダー=普通の人間である以上、積極的な攻めに出ることは出来なかった。
エビルウィップでスカイライダーを捉えることの出来ないライアは軽やかなステップで再び間合いをあけ、カードを一枚取り出す。
『コピーベント』自らのエビルウィップをコピーし、両手に電磁鞭を持つライア。ライアは2本の電磁鞭を両手で同時に振り回す。
左右から、上下から、縦方向と横方向同時に、伸縮によるフェイントなどを織り交ぜながら、2本の電磁鞭は変幻自在にスカイライダーに襲いかかる。
これをかわし続けるスカイライダー、だがそれも次第に紙一重のきわどいタイミングとなっていく。
ライアは2本の鞭を片手で器用に持ち、空いた片手でさらにもう一枚のカードを使う。
『アクセルベント』2本の電磁鞭を両手で振り回し、高速で移動するライア。
電磁鞭の動きすら高速と化し、まるで分身しているかのような残像さえも見える、エビルウィップの高速乱れ打ち。
さすがのスカイライダーもこれはかわし切れず、電磁鞭の洗礼を受ける。
衝突系のような派手さはないが、高圧電流が流れているその威力はスカイライダーの身体機能を一瞬麻痺させる。
そこへ空を飛び、倉庫の屋根を突き破り突進してくるエビルダイバー。
厚さ30cmの鉄板をも切り裂く両端のヒレ・エビルフィンが、動けなくなったスカイライダーを急襲する。
これを痺れたカラダで辛うじて転がりながらかわすスカイライダー。
旋回して再びスカイライダーを狙って来るエビルダイバー。
だが身体の自由を取り戻したスカイライダーは、今度は逆にエビルダイバーに飛び乗り、
エビルダイバーを踏み台にして壊れた倉庫の屋根から屋外への脱出に成功する。
空へ去って行くスカイライダーを見上げるライア。だが手塚の耳にはまだ亡き友・斎藤雄一の嘆きの声がこだましていた。
ライアとの闘いから離脱することに成功したスカイライダー。
ライアの真意もわからぬままであったが、今はそれを詮索している余裕はなかった。
スカイライダーは倉庫から逃げたガルドサンダーを追跡する。
セイリングジャンプで空からガルドサンダーを探すスカイライダー、神経を研ぎ澄ましライダーの超感覚をフル活用する。
ガルドサンダーはただ人間を襲うだけのモンスターとは一線を画するものがあった。
神崎士郎の忠実なる僕として、実体のない神崎士郎の実働部隊として活動していたこともあった。
今回現れたガルドサンダーがやはり神崎士郎の命を受けて動いているのか、
それとも他の誰かの命を受け動いているのか、それとも自らの意思で動いているのか、
それは不明だが、そこには何かしらの思惑があるのは間違いがなかった。
港周辺の上空、大空を翔ぶスカイライダー。スカイライダーは再びガルドサンダーの反応をキャッチする。
ガルドサンダーの現在位置は港に停泊している巨大石油タンカーの中であった。
場所が場所だけにスカイライダーは一抹の不安を感じずにはいられなかった。
マフラーを潮風になびかせながら、巨大石油タンカーに向かって降下していくスカイライダー。
その背後から、疾風の如く空を切り裂き、高速で唸りを上げて突進してくる影がひとつ。
その影はスカイライダーの背後に追いつくと、さらにそのスピードを上げて加速する。
羽の如きカタチをした影の両端がスカイライダーを背後から切り裂く。
接近を感知していたスカイライダーはこれをかわすが、その攻撃は風圧だけで相当の衝撃を与える。
その影こそはエビルダイバー。背には空気抵抗を抑える為にうつ伏せの横になった姿勢のライアが乗っていた。
エビルダイバーは旋回して再びスカイライダーを急襲する。高速で空を切り裂き、空を自在に飛びまわるエビルダイバー。
別世界のライダーの中で飛行能力を持ち、空中戦を得意とするスカイライダー。
空を舞う両者は真正面から突進し、低空ですれ違い激しい火花を散らす。
旋回して再び突進、両者が散らす火花は2度3度繰り返される。
一方、巨大タンカーの中で暴れ出すガルドサンダー。
乗っていた人間達を襲った後は、石油タンカー内部を次から次へと破壊して行く。
スカイライダーの不安は見事に的中していた。ガルドサンダーの目的は石油タンカーを爆破させることに他ならなかった。
「やめろっ!!やめるんだっ!!今はこんなことをしている場合ではないっ!!」
スカイライダーの必死の呼びかけもライアの耳には遠く届かない。
ライアこと手塚の耳には現実の世界の音など聞こえてはいなかったからだ。
ただ手塚の耳に聞こえるのは友・斎藤雄一の嘆きの声のみ。
その脳裏には斎藤雄一がもがき苦しむ、ノイズ混じりの灰色のビジョンが交錯していた。
「うおぉぉぉぉぉっっっっっ!!」雄叫びを上げエビルダイバーの背に立ち上がるライア。
呼びかけに応えぬライアに業を煮やすスカイライダー。
ガルドサンダーを追うスカイライダーにはもはや時間がない、一刻の猶予もならなかった。
「許せっ!!」スカイライダーは下方からエビルダイバーのどてっ腹にスカイキックをぶち込む。
衝撃に吹き飛ぶエビルダイバー、背に立つライアも共に弾き飛ばされる。
低空から落下するライア、大きな飛沫と音を上げて海に落ちる。
エビルダイバーは落下途中から体勢を立て直し、海へと落ちたライアを探す為、大きな飛沫を上げて海中へと潜って行く。
ガルドサンダーの追跡中に闘いを仕掛けてくるライアを退けたスカイライダー。
ガルドサンダーの目論見を止める為、巨大石油タンカーの船体に降り立つスカイライダーは、ガルドーサンダーの元へと駆けつける。
ガルドサンダーが次々と破壊していった船体内部はいたる所に重油が溢れ、重油の海が出来上がっていた。
駆けつけるスカイライダーの姿を見つけたガルドサンダーは、電気系統に腕を突っ込み、
自らのボディをショートさせて船体に溢れる重油に着火する。
スカイライダーはガルドサンダーに跳び蹴りを放つが、時既に遅かった。
燃え上がる炎が一瞬のうちに広がり、スカイライダーを激しい業火の中に消し去って行く。
大爆発を起こし炎上する巨大石油タンカー。その爆発はそのまま巨大な火柱となって燃え盛っていく。
大爆発を起こした巨大石油タンカー、スカイライダーを呑み込んだ巨大な火柱。
ガルドサンダーははじめからスカイライダーを巻き込んでタンカーを爆破させるつもりだったのだ。
大爆発を起こし炎上する石油タンカー、その巨大な火柱はいつまでも消えることがなかった。
変身も解け海の中で気を失っている手塚海之。
その手塚を助けたのは契約モンスターのエビルダイバーであった。
手塚を自らの背に乗せ、青い海の中を自在に泳ぐエビルダイバー。
エビルダイバーは飛沫を上げて海面に飛び上がる。
手塚は空を飛ぶエビルダイバーの背の上で静かに目を醒ます。
ずぶ濡れになりながら港の埠頭に立つ手塚海之。
周囲は巨大石油タンカー爆発事故で大騒ぎとなっていた。
友・斎藤雄一の仇である緑のライダーはどうしたのか?それもわからない手塚。
ずぶ濡れになり傷ついた体で埠頭を歩く手塚の脳裏に、またしてもノイズ混じりのビジョンが浮かぶ。
手塚の過酷な闘いはまだまだ終わらない、自分の記憶を失いながら、そして記憶に縛られながらも。
果たして手塚が次に見たノイズ混じりのビジョンとは一体何であったのだろうか?
話終わりそうな雰囲気だけどまだまだライア編II続きます。
石油タンカーとかお約束だしな、などと軽い気持ちでシーンを追加しているので、
またしてもとんでもないお話になりそうでうす。
サスペンスというよりはB級ホラーっぽくもあるなと思う今日この頃(斎藤雄一)。
エビルダイバーがなんか可愛く思えた今日この頃。
399 :
名無しより愛をこめて:03/07/16 00:21 ID:pq2IO24J
奇しくも、日本沈没も外伝も今、はスカイ=筑波が話の中核にいますね。
ご両人とも頑張って下さい。
『砕星の剣』もそろそろ続きが読みたいです。
400 :
名無しより愛をこめて:03/07/17 02:15 ID:g1Ad9JCi
>龍騎ライダーズが強くなりすぎ
強化+策の絶体絶命の布陣で迫りくる龍騎ライダーズ
しかしそれをもってしても正義のために戦う「仮面ライダー」を倒しきることは出来ない!
というように逆に本郷ライダーズの強さを表してると思う。
船上の手塚海之。空には青空が広がり、辺り一面には水平線が果てしなく続く。
潮の匂い、風が手塚の頬に触れ、髪を掻き乱す。
時間的には石油タンカー爆発事故より丸一日が経過していた。
手塚が見たノイズ混じりのビジョン、それはこの客船であった。
この客船、本来は巨大豪華客船として船旅を楽しむ旅行者の為のものであった。
だがモンスター襲撃以降、日本を離れようとする人々は後を断たなかった。
その為、本来の船旅を楽しむはずの巨大豪華客船も、今では実質上日本からの避難者達でその船内は溢れ返っていた。
それに加え、つい最近日本を離れようとする人々が大勢集まっていた空港がモンスターによって襲撃されたばかりであった。
それ故、空路よりも水路を選ぶ人達も少なくはなかった。
この客船、本来であれば昨日出港するはずであったが、謎の石油タンカー爆発事故の影響で出航が丸一日伸びたのだ。
それでもこの巨大客船には、定員を遥かに上回る程の人間が乗っていた。
船上のデッキに立ち、ひとり海を見つめる手塚。
この客船でこれから何が起るのか、どうなるのか、それは手塚自身にもわからなかった。それでも手塚はこの客船に乗った。
今の閉塞した自分の環境を打ち破るにはそれしかないように手塚には思えてならなかったからだ。
錯乱した記憶の糸を辿っても、今はただ混乱するばかり。
今は何も考えずに、自分が見るビジョンに身を委ねてみようか、そんな気にすらなっていた。
ひとり黄昏る手塚に再びノイズ混じりのビジョンが映し出される。
緑色の仮面ライダーとガルドサンダーの群れが人々を襲う光景。
ガルドサンダーは次々と人間達を刺して行き、緑の仮面ライダーは人々を殴り倒して行く。
人々の悲痛なる絶叫がこだまし、血塗られた惨劇の瞬間。その場所は明らかにこの客船の船内であった。
「やはりあいつらかっ!!」手塚は唸りながらデッキを走り去る。
船内を走りまわり自分が見たビジョンと同じ場所を探す手塚。
巨大客船だけあり、その場所を特定するのも容易ではなかった。
息を切らせ船内を走り廻る手塚、そこに聞こえる人々の悲鳴。
「遅かったかっ!!」手塚は悲鳴が聞こえた方へと走って行く。
船内の巨大ホールには大勢の人達が集まる憩いの場であった。
そこへ突如として出現したガルドサンダー数体の群れとスカイライダー。
ガルドサンダーはチェーンを振り回し、次々と周囲の人間を襲って行く。
スカイライダーはガルドサンダーと一緒に人間達を襲って行く。
逃げ惑う人間達を片っ端から殴り飛ばし、蹴り倒し、人々を恐怖のどん底へと叩き落す。
突然起った惨劇、一方的かつ圧倒的な暴力で流される人間達の血。
その巨大ホールは瞬く間に辺り一面を地の海へと変えて行く。
船内巨大ホールへと駆けつける手塚。そこはまたしても手塚が見た未来のビジョンと全く同じ光景であった。
その凄惨な光景を目の当たりにして絶句する手塚。「クッ!!」手塚の中に衝動的な激しい憤りが湧き上がる。
人間達を刺し殺すガルドサンダー、人間に暴行を働く緑の仮面ライダー。
そして緑の仮面ライダーは、一人の若者の頭をわしづかみにし持ち上げ、宙に浮かす。
それは手塚が、毎晩悪夢の中でうなされ続ける斎藤雄一殺害シーンと全く同じ光景であった。
「手塚ぁ、、、助けてくれぇ、、、」手塚の耳には再び斎藤雄一の声が聞こえる。
その緑の仮面ライダーに頭をわしづかみにされた若者の姿が、手塚には斎藤雄一の姿にしか見えなかった。
「やめろぉぉぉぉぉ!!やめてくれぇぇぇぇぇ!!」
手塚はその光景を前に夢の時と同様に全く身動きが取れない金縛り状態になってしまっていた。
緑の仮面ライダーはその手に力を込め、苦しみ若者の姿をわざと手塚に見せつける。
「うおぉぉぉぉぉ!!」手塚の絶叫がホール内にこだまする。一縷の涙が手塚の頬を伝って落ちる。
手塚の絶叫を前に、その手塚を嘲笑うかのように撤退して行くガルドサンダーの群れ、そして緑の仮面ライダー。
その緑の仮面ライダーは、確かにスカイライダーの姿形をしていたが、マフラーとブーツの色は黄色であった。
だがその些細な色の違いなど今の手塚が気づくハズもなかった。
ガルドサンダーと偽スカイライダー撤退後、手塚は脱力して思わず膝をついて座り込む。
血塗られたホールにひとり座り込み、涙を流す手塚であった。
やべぇ今回は手塚が可哀想過ぎる
夜の海、蒼い顔うつろな表情で、空の星を見上げる手塚。
毎晩うなされる悪夢と同じ状況で、夢と同様に全く何も出来なかった手塚。
それは手塚にとってさらなる心的負担となっていた。
友の不吉な占いを伝えられなかったこと、友の死を回避出来ず運命を変えられなかったこと、
友が死ぬ間際にライダーにならなかったことを後悔していたこと、
それに続くような精神的負荷が手塚に重くのしかかる。
記憶が混乱し、記憶を失い、自分が自分でなくなっていく、自分が壊れていくような不安、
と同時に、過去の記憶に捉われ、縛られ、いつまでもその呪縛から逃れられない自分、
その相矛盾する2つの問題に悩み苦しみ続ける手塚。
どうせならすべて記憶を失ってしまった方が今の手塚にはどれだけ楽なことであったろうか。
手塚にはまだ友・斎藤雄一の助けを求める声が耳の奥底に残っているような気がしてならなかった。
モンスター達の襲撃を受けた客船は、航海を断念して、元の港に帰港することを選択していた。
客船の乗客達は混乱し、またいつ襲って来るかもわからないモンスターに恐怖し不安に怯えていた。
そのパニックぶりは何かのきっかけで衝動的な暴力や暴動へと変わる危険性すら孕んでいた。
だが船が港に帰るにはまだ丸一日近くかかる、
その間この逃げ場のない海の上の限られた空間で人々は過ごさなくてはならなかった。
人々は眠ることも出来ずに、憔悴し、苛立っていた。人々の間では乗客同士の諍いや衝突が後を断たなかった。
精神的に追い詰められた人々の間で言い争いが起っていた。理由はささいなことであった。
最初、何故この船に乗ったのだと連れを責め言い争っていたのが、周囲の人に五月蝿いと怒鳴られ、
周囲の人間を巻き込んでの大騒ぎになっていったのだ。追い詰められた人間というのは些細なことでも争いを起こす。
その騒ぎが飛び火して行く中、人々を諌めたのは船にようやく追いついた筑波洋であった。
ガルドサンダーの罠にかかり、石油タンク爆発に巻き込まれたスカイライダー。
しばらく意識を失い海の中を彷徨っていたが、幸い命に別状はなかった。
意識を取り戻したスカイライダーは、再びモンスターの気配を探して飛び廻っていた。
そこへこの船のモンスター出現騒動を感知して、空を飛んでこの客船を追跡して来たのだった。
筑波洋に諌められ人々は再び表面上の平常を取り戻す。
事態を収拾した筑波洋は船上デッキから星空を見上げる。
そしてふと横を見るとそこには手塚海之が立っていた。
筑波洋には手塚と会ったことがあるという記憶はあった。
だがそれも街で出会った占い師という程度の認識に過ぎなかった。
筑波洋も手塚海之も、ライアが誰でスカイライダーが誰なのか、相手の正体はまだ知らなかった。
筑波洋は手塚の方へと近寄って行く。「随分顔色が悪いな、具合でも悪いのか?」
「、、あんな騒ぎの後だ、気にしないでくれ、、」手塚はたどたどしい口調で応える。
それでも筑波洋はただならぬ手塚を放ってはおけなかった。
「俺は街で一度君に占ってもらったことがあるんだが覚えてないかな?」
少し驚き筑波洋の顔を見つめる手塚。だが手塚には筑波洋のことは思い出せなかった。
いや今の手塚には無理に思い出そうという気力もなかった。
「、、、いや、すまないが今の俺には思い出せない、、、
記憶が欠如し、混乱しているんだ、記憶障害という奴らしい。」
その手塚の言葉に今度は逆に驚く筑波洋。「そうか、すまなかったな」
逆にその言葉を聞いて筑波洋はますます手塚を放っておけなくなった。
手塚が正常ではない場合、保護する必要があると考えたからだ。
「街の占い師である君が何故この船に?」
「この船に起る災いを止める為に。だが俺には災いを止めることは出来なかった。
、、、あの時と同じように、、、」「あの時?」
「俺はモンスター達に友を目の前で殺された、、、」
手塚は一般人にはわからぬだろうと敢えて仮面ライダーという名前は出さなかった。
それを聞き手塚の心中を慮る筑波洋。
「俺も似たような経験の持ち主だ。モンスターに大勢の友を殺された。」
筑波洋もまたネオショッカーと言っても通じないと思い、敢えてモンスターに置き換えて言う。
自分と同じ境遇の者を目の前に、手塚は再び筑波洋の顔を見つめる。
「俺はあの時の光景がどうしても忘れられない。毎晩あの時の悪夢を見る。」
「俺は友の死を自分が背負った十字架として受け止めている。
そのことを忘れてはならないと思っている・・・」
筑波洋はその後に「自分が戦い続ける為にも」と続けたかった。
だがそれは自分が仮面ライダーであるからであって、一般人だと思っている手塚に話すことは出来なかった。
「自分が背負った十字架か、、、俺には少し重過ぎたのかもしれないな、、、」
手塚もまた友・斎藤雄一の意思を受け、ライダー同士の闘いを止めるべくライアになったはずだった。
だがその友・斎藤雄一がライダーにならなかったことを後悔していたかもしれない、
そのことが手塚の根本的な信念を、手塚の己に対する自信を完全に打ち砕いていた。
「記憶障害なのに、友の死を忘れることが出来ない、皮肉なものだな。」
手塚は己の境遇を自嘲するかのように呟く。
「忘れる必要はない。だが忘れなくても、友の死を乗り越えなければ前には進めないんじゃないか?」
手塚はその言葉に返事をすることが出来なかった。
互いの正体を知らない手塚海之と筑波洋。だが似たような境遇の2人は話をするうちに次第に共感して行く。
手塚が友の仇と思い追い続ける相手こそが筑波洋であることを知らないで。
この辺で起承転結の転ぐらいまでが終了したハズなんだが。
この後、ライア強化、ライアとスカイの空中戦・水中戦、偽スカイライダー、天使、
謎解きと最後の結末、まだまだ書くこといっぱいあるね(汗
正体知らないですれ違いは木場とたっくんが得意だよね
ショッカーライダーもどっかで出したいね
偽ライダーキタ─(゚∀゚)──!!
お互いの正体に気付かないで敵対してる(しかも誤解と悪運の積み重ねで)
あたり、筑波=巧/手塚=勇治って感じがしますねえ。
こういう時に応援しか出来ないというのもアレですが
SS頑張ってくださいませ(^^)
(しかし、手塚に比べてどうも筑波洋のキャラが立ってない気がするのは気のせいだろうか…)
今回手塚の心理描写中心に話進めているから、スカイファンゴメンネ(汗
どっちかの視点に重点を置いて、相手の描写を抑えた方が
突然何が起るかわからないから面白いかなぁなどと思っているんだけど、どうだろう?
抑えられた方は当然、キャラ立ちが弱くなるんですが(汗
いえ、単なる力量不足だったりしますが(汗
>Heat On! 様
お気になさらず。
客船での虐殺シーンはまた幻影か何かで
「ああ、手塚がどんどん壊れて行ってるなあ」と思いながら読んでましたから…
ドロリンゴ(違)だったとは予想がつかなかったw
てか、筑波洋ってどういうキャラなのかイマイチ良く解らん
(いや、能力とかは分かるけどね)
TVでも共演したライダー達の方に目が行ってたしなあ…
「父親が魔神提督かもしれないと悩んでたけど人違いでした。ようやく会えた母親は殺されてしまいました」ぐらいしか覚えてない…
「元々キャラが立ってないのか?」とか、
「正直、こんなSSみたく統率力のあるヤツだったかなあ?」と疑問が(ぉ
(注:この文章はリアルタイムでスカイを見た事の無いブラックからライダーを見始めた者が個人的主観と偏見のもと作成したものです。もしこれで気分を害されるような方がいた場合、ごめんなさい)
客演ライダーとの絡みを除いて考えたら、個人的な印象としては
子供やちょっと頼りない青年と一緒に配置するとよくキャラが立つ
「良い兄貴分キャラ」かなぁ…。
説教が多いんだけど(次回予告の印象もあるか、それはw)
スーパーヒーローの立場から「〜したまえ!」と言ってるというより、
近所の好青年が諭してくれてるような独特の雰囲気が好き。
多分、この人ライダーに改造されなかったとしても同じキャラだった
んだろうなぁ…と思ってみたり。
みんなのいろいろな話が聞けてちょっと嬉しいかも。
ところで俺のせいでスレ消費が早いんですが(汗
今更ですが避難所とか過去ログ倉庫みたいなのってありましたっけ?
なくて必要性があるのなら「したらば」辺りで板つくってきてもよいかと思ったんですが。
長期連載は前スレ落ちるとストーリー振り返れないので、あってもいいかなと思いまして。
(ちょっと付け足しから)
夜の海、船上で話をする手塚海之と筑波洋。
「あなたは何故この船に?」自分が聞かれたことを聞き返す手塚。
「そうだな、君と同じでこの船に起る災いを止める為に、かな」
筑波洋ことスカイライダーは、今尚この客船にモンスターの気配を感じていた。
それはこの船が再びモンスター達の襲撃に遭う可能性が非常に高いことを意味していた。
筑波洋の言葉で筑波洋がただ者ではないことを本能的に感じとる手塚。
「一体あなたは何者なんですか?」手塚の占いの能力を知っている筑波洋は、
自分が仮面ライダーであることを知られまいと、わざとはぐらかすような返答をする。
「そうだな、大空を翔ける者、かな」
「そういう君は何者なんだい?」
「ならば俺は未来を占う者、ということになるかな」手塚もまた筑波洋に合わせた表現で返す。
星空の下、話をする手塚海之と筑波洋、それは2人の顔にほんの一時笑顔がこぼれた瞬間でもあった。
大勢の人間の混乱と不安と恐怖を乗せた客船はようやく朝を迎える。
船の乗客のほとんどが、一睡も出来ないまま朝を迎えることとなった。
緊張と睡眠不足から人々は極限状態に達しようとしていた。
そうした人々を支えたのは、後もう少しで出発地点に戻ることが出来る、
再び大地を踏みしめることが出来るという想いだけであった。
だが、空には暗雲が立ち込め、昨夜の星空が見えた晴れ間とはうって変わった空模様となりつつあった。
空を黒い暗雲が覆い尽くし、やがて雨が降りはじめる。
その雨はあっという間に豪雨へと変わり、雷が鳴り響き、瞬く間に嵐へと変わり果てて行った。
それまでは穏やかな波だったのが、大波へと変わり、
絶え間なく押し寄せる大波はまるで客船をいたぶるかのように翻弄する。
それはまるでこの客船のこれからを暗示しているかのようでもあった。
激しく揺れ続ける客船。疲労がピークに達していた乗客達の心にもまた暗い暗雲が立ち込める。
再び凶事が起る前触れではないのか、乗客の誰もがそう感じていた。
その予感は見事に的中する。空を覆い尽くすどす黒い暗雲から姿を現すハイドラグーン数体の群れ。
モンスター出現の気配を感じ取り、ひとりデッキに立つ筑波洋。
船体へ向け猛スピードで急降下して来るハイドラグーン数体の群れ。
「やはり来たかっ」荒れ狂う嵐の中変身する筑波洋。
「変身っ!!」スカイライダーへと変身した筑波洋はセイリングジャンプで空へ翔び、
急降下してくるハイドラグーンの群れ数体を、急上昇で下方から迎え撃つ。
上方からと下方から猛スピードで交錯する一体のハイドラグーンとスカイライダー。
すれ違い様に互いが一撃を繰り出し、行き違い、そして空中で静止するハイドラグーンとスカイライダー。
ハイドラグーンのボディが2つに割れ海へと落下して行く。
高速飛行中に放ったスカイチョップは鋭い刃と化し、ハイドラグーンのボディを真っ二つに切り裂いたのだった。
残りのハイドラグーンの群れへと空を翔け突進して行くスカイライダー。
客船の中に響き渡る人々の悲鳴。不安と恐怖に怯え続けた人々に容赦なく再び悲劇は襲いかかる。
ガルドサンダー数体が船内に再び現れ、極限状態の乗客達を襲う。そこへ駆けつける手塚。
昨日は悪夢と同じ光景を目にし、身動きすら取れず、何も出来なかった手塚。
だが今回はスカイライダー(偽)の姿はなくガルドサンダー数体だけであった。
手塚は何のためらいもなくライアへと変身する。「変身っ!」
ガルドサンダーの放つチェーンは次々と人々を捉え引きずりまわす。
そこへライアのエビルウィップがしなやかな曲線を描きながら、空を裂く唸りを上げて、ガルドサンダーを激しく鞭打つ。
高圧電流が流れるエビルウィップはガルドサンダーの身体機能を麻痺させ、
そこへ何度となく容赦なく打ち込まれるエビルウィップの乱打。
他のガルドサンダー数体はライアの姿を見、その場から逃げ出すように船上デッキへと向かって行く。
それはまるで何かしらの意図の下ライアをおびき出すかのようでもあった。
>>413 2スレまでは順調にhtml化されたけど3スレはいつになるかあやしいですね(笑
3スレのログも手元にあるので、どこか無料HPでも取得して過去ログ置場
作っておきましょうか?
それとは別に避難所もあっていいかもしれませんね。こないだ瞬殺で落ちた
スペックスレみたいなのも維持できますし。よろしければお願いします。
>>416 このペースで行けば4スレもそう遠くないうちに容量オーバーになりそうですしね。
前から読んでいる人だけでご新規さんに馴染みがなくなるのはどうかと思いますし。
板つくってそこに過去ログ載せるのでもいいかと思ってましたが、
過去ログ置場あった方がありがたいので、お願いしてもいいですか?
<ログが手元にないもので申し訳ないっす
板、夜にでも立てたらまたお知らせします
>>371-372 感想どうもありがとうございます。
二話も製作中ですので、出来次第貼ります
ハイドラグーン数体と空中戦を繰り広げるスカイライダー。
スカイライダーの周囲を飛び廻るハイドラグーン数体。
ハイドラグーンは四方からスカイライダー目がけ猛スピードで突進する。
これを高速移動でかわすスカイライダー、ハイドラグーン達は旋回し向きを変え再びスカイライダーに突進する。
ハイドラグーンの四方八方からの突進をかわし続けるスカイライダー。
その攻撃、ハイドラグーン達の動きを見切ったスカイライダー、
ハイドラグーン一体が最接近した所を高速でその懐に潜り込み、ボディに鉄拳を叩き込む。
一瞬動きが止まるハイドラグーン、スカイライダーはパンチを連打。
同じ箇所を何度も突き上げ、遂にそのハイドラグーンのボディを突き破る。
他のハイドラグーンが動きの止まったスカイライダーに向かって突進する。
これを腕に突き刺さったままのハイドラグーンのボディを盾に防ぐスカイライダー。
防御の体勢から一転、突っ込んで来た他のハイドラグーンに再びパンチを繰り出す。
スカイライダーはハイドラグーンを着実に一体一体仕留めて行く。
そのスカイライダーの前に天使・ラグエルが姿を現す。腕組をし宙に静止する天使・ラグエル。
「いよいよ、ボスのお出ましか?」空中でラグエルに対峙するスカイライダー。
「そろそろクライマックスですね。では、それに相応しい演出をいたしましょう。」
天使・ラグエルはそう言うと、スカイライダーに向け掌をかざしエネルギー光弾を放つ。
これをかわすスカイライダー、エネルギー光弾は無人の海へと逸れ、巨大な水柱、水飛沫を上げ、爆発を起こす。
空を高速移動しながらエネルギー光弾を連射する天使・ラグエル。
高速飛行でラグエルを追跡しながら、体を左右に振って光弾をかわすスカイライダー。
光弾は次々と海面に激突し、巨大な水柱が空高く上がり続ける。
高速飛行で自分を追って来るスカイライダーを見て不敵な笑みを浮かべる天使・ラグエル。
その時ラグエルの放った光弾が手塚達を載せた客船に当る。
爆発音、炎、煙を上げ、客船の側面に巨大な穴が空く。船体の破損すした箇所からは火柱が上がる。
「グッ!!」客船の方を振り返るスカイライダー。そこへラグエルの光弾が容赦なくスカイライダーに直撃する。
空の上で吹き飛ばされるスカイライダー、だが体勢を立て直し再びラグエル目がけ突進する。
ラグエルは向かって来るスカイライダーに光弾を連射、これを高速飛行しながらかわすスカイライダー。
光弾がスカイライダーに当らないと悟ったラグエルは再び客船を狙う。
船体を破損し、煙を上げている客船に今度光弾が直撃すれば、お終いであることは誰の目にも明らかだった。
ラグエルの掌を離れ、唸りを上げ空を裂き、客船に突き進む光弾。
その光弾の進路上に立ちはだかるスカイライダー、自ら光弾に当りに行く。
光弾がスカイライダーに直撃するかに見えた瞬間、光弾はスカイライダーの目の前で大きく軌道を変えて上方へと逸れて行く。
スカイライダーが重力低減装置を使って周囲の重力を操作、光弾を反らすことに成功したのだった。
だがラグエルは息つく間もなく光弾を連射する。
そのスピードを前にスカイライダーの重力低減装置でも光弾をかわし切れなくなっていた。
スカイライダーは腕で防御姿勢を取り、自ら光弾に当りに行く。自らを盾として客船を守ろうとするのだった。
光弾をまともに正面から受け、押されるスカイライダー。だがラグエルは容赦なくエネルギー光弾を連射する。
次々と光弾の連打を浴びるスカイライダー、腕で防御姿勢を取っているとはいえそれも限界があった。
エネルギー光弾を耐え凌ぐスカイライダーだが、最後は遂に耐え切れなくなり、吹き飛ばされ海へ落下する。
「そろそろもう一人の主役が舞台に上がる頃でしょうか」
ラグエルはそう呟くと、海に落ちたスカイライダーを深追いせず、上空で腕組をしたまま静止していた。
客船の中でガルドサンダーの群れを追いかけるライア。
背を向け逃げるガルドサンダーに背後からエビルウィップを放つライア。
ガルドサンダーのボディにエビルウィップが巻き付き高圧電流が流れる。うめき声を上げて悶絶するガルドサンダー。
その瞬間、船に大きな衝撃が走る。今迄にない揺れ方をする客船。
それは嵐で大きな波が押し寄せて来た、というのとは明らかに異なった揺れ方であった。
「一体この船に何が起っているんだ!?」
その時ライアこと手塚の脳裏にノイズ混じりの灰色のビジョンが浮かび上がる。
緑の仮面ライダーがこの船を破壊する姿、そしてこの客船が真っ二つに割れ、沈んで行く姿が、手塚には見える。
嵐の海の中に放り出され、助けを求めながら溺れて行く大勢の人々の姿が。
そして手塚の耳にはまた友・斎藤雄一の助けを求める声が幻聴のように聞こえて来る。
手塚は今迄にないぐらいの激しい頭の痛みに襲われる。
残り数体のガルドサンダーを追い、船上デッキへと急ぐライアこと手塚。
船内では極限状態に達した乗客達がパニックを起こし、大混乱をなっていた。
ライアが船上デッキ、外へ出た時にはこの船は煙を上げ炎を上げ燃えていた。
それは今すぐ客船を沈める程の規模ではなかったが、この嵐の中、破損した船ではいずれ沈むことになるのは間違いなかった。
ライアがデッキへ姿を現した直後、海の中から巨大な水柱が立ち、水飛沫と共にひとつの影が現れる。
海に落ちたスカイライダーが、再び空へと舞い上がった瞬間であった。
スカイライダーの姿を見たライアは、スカイライダーこそがすべての元凶であると理解する。
「やはり貴様の仕業かっ!!」
ライアこと手塚の脳裏には友・斎藤雄一のビジョンが浮かび、その声は耳の奥で止む事はない。
スカイライダーはライアに気づかず、天使・ラグエルの方へ向かって高速移動して行く。
再び嵐の中、空で交戦するスカイライダーと天使・ラグエル。そして船上のライア。
ライアはスカイライダーに向かって行こうとするが、一瞬心の中に躊躇が生まれる。
昨日、ガルドサンダーと共にスカイライダー(本当は偽)が現れ、
奴らに襲われた若者の姿を見て、友の死以来毎晩うなされ続けた悪夢と同じ光景を前に、
金縛りに遭ったように身動きが取れなくなってしまった手塚。
そしてその光景が再び手塚の精神に大きな傷跡を残してしまっていた。
スカイライダーを前に、恐怖心なく自分が闘うことが出来るのか手塚の心には迷いが生じていた。
許せない敵、そしてその敵に対する畏れ、自分の中の心の葛藤に苦しむ手塚。
手塚の脳裏に浮かぶ友・斎藤雄一のビジョン、耳にこびりついている助けを求める声。
手塚の中の精神的負荷は極限にも達しようかとしていた、
その時、手塚が思い出したのは何故か昨夜の筑波洋との会話であった。
「友の死を乗り越えなければ前には進めないんじゃないか?」
筑波洋の言葉を思い出した手塚、その心の中で何かが吹っ切れる。
「俺はあの悪夢を乗り越えなくてはならない。自らの運命を切り拓く為にも。」
ライアの契約モンスター・エビルダイバーが海面ギリギリの低空を、猛スピードで水飛沫を上げながら飛行する。
ジャンプして船体より飛び降りたライアはエビルダイバーの背に飛び乗る。
嵐の中、大波で荒れ激しく揺れる海面、一瞬たりとて静かな時はない。
エビルダイバーの背に立つライア、天使・ラグエルに手渡された強化カードを取り出す。
天にも届くかと思える程の巨大な波が彼方より押し寄せる。
その巨大な波はエビルダイバーとライアの背に迫り、あっという間にライアとエビルダイバーを呑みこんでしまう。
そして、そこにはもうライアとエビルダイバーの姿は影も形も無くなっていた。再び大波に荒れ狂う海。
その荒れ狂う海の一箇所が光り輝きはじめる。その光りは輝きを増し、やがてそこに巨大な水柱が立ち、
水飛沫を撒き散らし、強化型エビルダイバーが現れる。
エビルダイバーは水飛沫を上げながら海面ギリギリの低空を超高速移動し直進する。
エビルダイバーが超高速移動した箇所の海面はまるで道でも出来たかのように水位が下がり始める。
その水位が下がった箇所から、やがて海は左右に真っ二つに割れはじめる。
それはまるでエビルダイバーが海の中に道を切り拓いたかのようであった。
その海を真っ二つに切り拓いて出来た道に金色に光り輝く強化型ライアの姿があった。
ライアは海を二つに切り裂いて出来た道で、その手を天高く突き出す。
黒い暗雲に覆われた空より雷鳴が轟き、ライアが空に向かって突き上げた手に一閃雷が落ちる。
落雷を一身に受け、その雷を自らのエネルギーと変え、吸収するライア。
余剰の落雷エネルギーを自らのボディより放出する。
ライアのボディから放たれた雷は海に触れ周囲一面の海に閃光が走る。
再びライアの下へと超高速で戻って来たエビルダイバー、ライアはその背に飛び乗る。
荒れ狂う大波の海。エビルダイバーに乗ったライアは、
まるでサーフィンでもしているかの如く、その大波に乗って、海面を駆け抜ける。
ライアが目指すはスカイライダーただ一人。手塚の耳には友・斎藤雄一の声が、幻聴が止む事はなかった。
スカイライダーは高空で天使・ラグエルと交戦していた。
天使・ラグエルは先程までとは打って変って、スカイライダーに攻撃をさせ自らはかわす一方であった。
天使・ラグエルに攻撃を仕掛けようとするスカイライダー、
そこへエビルダイバーに乗ったライア強化型が急上昇しながら突進、スカイライダーに体当たりをくらわす。
真横からもろに衝撃を受けたスカイライダーは弾き飛ばされる。
「もう一人の主役のご到着ですね。」天使・ラグエルは呟く。
「君の未来予知の能力は、友の仇の下へと導いたのですね。
彼を倒さない限り、君の運命を切り拓くことは出来ない。そういうことなのかもしれません。」
ラグエルはライアにそう言い残すとその場から姿を消す。
落下して行くスカイライダー、体勢を崩しながらも重力低減装置で海面ギリギリのところ再び浮上する。
そこを狙っていたかのように、上空より垂直に真っ逆さまに降下してくるエビルダイバーとライア。
強化型エビルダイバーの両端のヒレ・エビルフィンがスカイライダーの頭上目がけて高速で突っ込んで来る。
これを体を捻りギリギリの所でかわすスカイライダー。
スカイライダーとすれ違うエビルダイバー、だがそれで終わりではなかった。
エビルダイバーの尻尾のエビルウィップが、すれ違い様スカイライダーの首に巻き付き、スカイライダーを引きずりはじめる。
エビルダイバーはスカイライダーを引きずったまま飛行し続ける。
スカイライダーは首に巻き付いた尻尾を両手で押さえ外そうとするが、
尻尾のエビルウィップからは高圧電流が絶えず流れ続けている為、
身体機能が麻痺して思うように力を出すことが出来なかった。
海面スレスレの低空をスカイライダーを引きずりながら高速で飛ぶエビルダイバー、そしてその背に乗るライア。
スカイライダーの体は海面に何度も触れ水飛沫を上げながら引きずられる。
まるで身動きが取れない状態で水上スキーをやっているようなものであった。
スカイライダーを引きずるエビルダイバーはそのままほぼ垂直に急上昇をはじめる。
エビルダイバーの超高速飛行は瞬く間に高空へと達し、
エビルダイバーはそのまま空を覆い尽くす暗雲、その黒い雲の中へと突入して行く。
エビルダイバーに雲の中へと引きずり込まれるスカイライダー。
雲の中に発生している雷、そのエネルギーを受けて、
エビルダイバーの尻尾から流れる高圧電流はますます強くなっていく。
エネルギーを吸収してまるで喜んでいるかのように、動きに精彩さを増し、雲の中を突き進むエビルダイバー。
背に乗るライアもまた力が増して行くのを感じていた。
高圧電流に耐え悶絶するスカイライダー、尻尾からの脱出を試みるが、体の自由がほとんど利かない。
雲を突き抜け、再び雲の外へ出るエビルダイバー。今度はほぼ垂直に急降下をはじめる。
エビルダイバーの尻尾に引きずられるスカイライダーもまた落ちて行く。
エビルダイバーはそのまま海面に激突、巨大な水柱と飛沫を上げて、海中へと突入して行く。
スカイライダーを引きずり海中を突き進むエビルダイバー、深度はあっという間に深くなって行く。
水が苦手という訳ではないスカイライダーだが、Xのように深海が得意という訳でもない。
このまま深海まで引きずり込まれたら、水圧による影響がどうなるのかはわからなかった。
エビルダイバーにより海中深くへと引きずり込まれて行くスカイライダー。
スカイライダーは高圧電流に耐え、麻痺しかかっている体を酷使して、重力低減装置を使う。
周囲の重力が低減装置の影響を受け、力加減のバランスが崩れる。
そこでバランスを崩したエビルダイバー、スカイライダーはその隙に首に巻き付く尻尾から逃れる。
水柱と水飛沫を撒き散らし、海中から空へと浮上するスカイライダー。
その後を追って海中を突き破り、空へ駆け上るエビルダイバーとライア。
嵐の中で客船は既に沈没しかかっていた。
人々は救命艇での脱出を試みるが、激しい嵐の中、思うようにことは進んでいなかった。
人々の救出に気を取られているスカイライダーに容赦なくライアのウィップベントが襲いかかる。
もはやライアこと手塚にはスカイライダーのことしか見えていなかったのだからそれは仕方がないことなのかもしれなかった。
手塚の脳裏には絶えず友・斎藤雄一のビジョンが浮かび上がり、耳には絶えず斎藤雄一の声が幻聴として聞こえていた。
その中でスカイライダー以外のことを考えることなど不可能であった。
ライアとスカイライダーの闘いを遠くから眺めている天使・ラグエル。
天使・ラグエルの横に姿を現すミカエル、そしてもうひとつの影。
「ことは順調に進んでいるかな?ラグエル殿」
「やはりここで決着をつけるというまでにはいかないようですね、残念なことです。」天使・ラグエルは呟く。
「私にすれば人間の記憶を操り、人間の脳に電気信号を送り込み映像を見せることなど容易いことです。
ミカエル様は城戸真司なる者を精神操作で僕と化したようですが、ミカエル様は強引ですね。
やはり人間の心理を突いて、その心を利用して操る、私にはそういうソフトな方が向いているようです。」
そう手塚の身に起ったことの多くは天使・ラグエルによって仕組まれたことであった。
手塚が精神的に大きな負担を背負い、精神的に病んでいたことは真実であった。
手塚は友の死を予言しながら、それを友に言えなかったことを気に病み、
友・斎藤雄一がライダーにならなかったことを後悔していたと聞いて悩んでいた。
そして確かに手塚の占いの能力が自身の精神的負荷になっていたのも間違いではなかった。
天使・ラグエルはそうした手塚の心の弱みにつけ込んでいたのだった。
手塚に毎晩友の死の悪夢を見させ、精神的に追い込んでいった。
そして記憶を操作し、記憶を欠如、混乱させ、スカイライダーを仇、敵として手塚に刷り込んでいったのだった。
手塚が見た未来予知のビジョンもまたすべて天使・ラグエルが仕掛けたものだった。
「彼は自分の占いの能力に絶対的な自信を持っていましたからね。その彼の自信を逆に利用させてもらったまでです。
確かに彼は相手を見て、その相手から様々な情報を瞬時に収集する能力には長けています。
本人もその能力に気づいているかどうかはわかりませんが。
収集した情報から最も可能性が高い未来を提示する、それが彼の占いなのです。」
「所詮人間が未来を予知出来るはずはないのです。
だが彼は自分の占いに対する能力に絶対的な自信がある為に、私の言う事を間に受けてしまった。
後は私が彼の脳に電気信号を送り、私の計画通りに動いてもらったのです。
彼はあくまで自分が見た未来予知だと信じていたようですがね。」
「今回の私達の出番はここまでのようですね。一度退くことに致しましょう。」天使・ラグエルはミカエルに向かって言う。
「我々の計画は次の段階へと動き出しはじめている。我らが主の肉体の器となる者を選ぶ為のサバイバルゲーム。
その一環として人間とモンスターとライダーに三つ巴の最終戦争を行ってもらう為にね。
彼にはその為にこれからいろいろとやってもらわねばならない。
彼が人類の敵・仮面ライダーとして活躍してくれることを期待しているよ。」
ミカエルはその場に一緒にいるもうひとつの影を見ながら言う。その影こそが偽スカイライダー。
天使・ミカエル、ラグエル、偽スカイライダーはその場から姿を消し去る。
高空で交戦するライアとスカイライダー。スカイライダーは人々の救出が気がかりでならない。
ライア強化型は最後の切り札を抜く『ファイナルベント』心の中で迷うスカイライダー。
ライアを上に乗せたエビルダイバーが超高速で突っ込んでいき、
相手を跳ね飛ばすフィニッシュ技・ハイドべノンがスカイライダーを狙う。
「許せっ!!」スカイライダーがこの言葉を放つのは2度目であった。
強化型となり威力を増したライアのファイナルベント・ハイドべノン、
スカイライダーは突っ込んで来るライアとエビルダイバーに向かってスカイキックを放つ。
真正面から激突するライアのハイドべノンとスカイライダーのスカイキック。
物凄い衝撃音が空に響き渡り、両者は大きな衝撃の前に弾き飛ばされる。
高空から落下するライア・エビルダイバー、そしてスカイライダー。
大きな水柱を上げて海面に激突、そのまま海中へと消えて行く。
嵐の中、沈み行く客船から救命艇で脱出する人々。
極限状態がずっと続いていた中で、人々は混乱しパニックを引き起こしていた。
だが海上保安庁の救助船が到着して人々の大半は無事に救助された。
その人々の見ている前で客船のその巨大な船体は真っ二つに折れ、
海面に垂直に立つとそのまま海に沈んで行く。客船はそのまま海の藻屑と化すのだった。
夜になり海は静けさを取り戻していた。昼間の嵐がまるで嘘のように、空には満天の星々が輝いていた。
客船沈没現場ではまだ要救助者がいないか捜索活動が続けられていた。
その周囲を泳いでいた筑波洋は、人が一人意識を失いながら木片にしがみついているのを発見する。
その意識を失っている人物は手塚海之、その人であった。筑波洋は手塚だとわかるとその偶然にただ驚くばかりであった。
筑波洋は手塚を抱きかかえながら泳ぎ、捜索活動が行われている救命艇まで連れて行く。
「君の言った通り、災いが起ったな。俺はその災いを止めることが出来なかった。」
筑波洋は乗客が無事だったとは言え、客船を沈没させてしまったことを憂いていた。
「君が何と闘い、あの船に乗っていたのかは知らないが、君は君の闘いを闘い抜くことが出来たのかい?」
筑波洋は意識を失っている手塚にそう語りかけるのであった。
互いの正体を知らない筑波洋と手塚海之。
この数奇な運命の2人の友情を空のあまたの星々は一夜限りと照らすのであった。
客船沈没で大半の人々は救助船により救出されたが、嵐の影響でごく一部の人々を乗せた救命艇は流されてしまっていた。
その救命艇はまるで何かに吸い寄せられているかのように、伊豆沖のとある島へと辿り着く。
漂流した人々はその島に上陸し、助けを求めようとしていた。
だが、そこには普通に人が暮らしている形跡があったが、島の人は誰一人としてその姿を見せることはなかった。
山の上から流れ着いた人々を見つめる無数の目。それは人間の目ではなかった。闇に潜むモンスター達の目であった。
この島の人々はモンスターの襲撃ですべて消えてしまっていた。
そうここはモンスターのみが棲息するモンスターの島であった。
【第19話「ライアII」完】
ライア編2巡目もようやく終了です、長かったぁ
遭難した人々の話は次回の王蛇編につながります。
王蛇編は浅倉威のライダー狩りの話と、
このモンスターの島の話が中心になる、ハズです。
乙です。
なんか手塚がかわいそうだが……物語全体を見ると、
「ロクな実力も無いくせにしゃしゃり出て利用されるマヌケ」なんだよねえ…
そもそもどんなに強化して、どんなに策を張り巡らせて、どんなに頑張っても
「一応人間だから手加減してるけど、本気出せば瞬殺」される龍騎組って…(汗
…本気出せば、例えば五代なら龍騎ライダーのデッキとカードを
発火させることも可能そうだしな。デッキもカードも破壊できること、
カードはライター程度で燃やせることは劇中で証明されてるし。
劇中でも、もうちょっとカードの強度は考えておいて欲しかったり。
「カードは絶対に破壊不可能だが、その本体たるデッキは破壊可能」
(但しFVクラスの攻撃じゃないと壊せない)って設定つけるだけで
随分違うと思うんだが…少々厨くさいけど(笑)
ぶっちゃけ、ベルトがとれやすい555系よりその辺は損してる気がしてたり
(まあここで龍騎より555の方が優れてるとか言う気ないけど。あくまで能力的な
ハンディの問題)
ベルトがすぐ取れる555、カードとデッキが脆い龍騎。
強化服タイプならではの弱点かもなあ。
555はそれでも発動に手間が掛かるし制限時間付きとはいえ、一度発動すれば
勝利ほぼ確定とまでは行かないけど一発逆転をかなり狙えるアクセルフォームが
あるけど…龍騎系のサバイブは…うーん…ガンガレ
>>435 どうもありがとうございました、感激です。
>>432 そう読まれてしまうとそうなんですが(汗
悪気はないですのでご容赦ください。
ライアは鞭1本とファイナルベントしかないので、どうにも戦わせずらかったです。
なのでエビルダイバー大活躍です。
片やスカイは99の技と重力低減装置の持ち主ですからね。
本気出せば・・・って感じになっちゃうんですよね、どうしても
>Heat On!氏
いえいえ、僕も実際戦わせたらああなるんだろうなと思っていたんで(^^;
龍騎組とそれ以前との差ってスペックの差もあるけど、能力の数(というか手数の
差)もありますよね。まあ13人分の能力考えるの大変だったんだろうけど。
(それでも今日びの特殊能力漫画でももうちとマトモな能力考えられるぞ…蟹とかアレ何?w)
その分、モンスターをいかに使うかが勝利の鍵になりそうな気がします。
実際『反射面を介してどこからでも召喚・攻撃可能』というのは使いこなせばかなり
強力かと。本編では全然使いこなせてませんでしたが(苦笑)。
モンスター召喚して戦うなんて卑怯とか言う人いるでしょうが、『そういう能力』
なんだから良いじゃんとか個人的には思っていたり。格闘戦のみの能力も、奇抜な
特殊能力も、「自分の能力を理解し、使いこなせ」ば非常に面白いです。
っと、脱線してしまいましたね。王蛇編も頑張ってください〜
【仮面ライダー555 ザ・サイドストーリー〜第一部】
【第二話「巧、死す!?」】
無事洗濯物を届けた巧と勇治、そして、二人の目の前に現れた一人の男。
「誰だ、お前は。」
巧が問う、すると。
「乾巧、木場勇治、お前たちの命は貰った。」
そう言って黒いオルフェノク=ウルフオルフェノクに変身する男。
「オルフェノク!!」
驚く勇治、ファイズフォンを取り出す巧。
『スタンディングバイ』
「変身!」
『コンプリート』
555に変身する巧、ホースオルフェノクに変身する勇治。
「ふん、お前たちなど敵では無い!」
衝撃波を放つウルフオルフェノク、それをまともに喰らい、倒れる二人、到着した真理達、
しかし、時既に遅く、そこにはボロボロになって倒れていた巧と勇治だった。
「巧、巧!」
果たして、二人は無事なのか!?
続く
次回予告
一命を取り留める二人、そこに現れる草加。
草加「ふっ、ダメだねえ、ま、そんなもんか。」
巧「そうかもな・・・・」
つぶやく巧
勇治「特訓・・・してみる?」
巧に話しかける勇治。
次回「大特訓!ファイズアクセルの秘密」
555「これは・・・・・」
ライア編のフォロー
本編で、神崎は手塚を利用しようとし、
手塚はそれに抗い続け、葛藤があった訳ですが(斎藤雄一共々)
この話でもやはり似たような展開になると思います。
今の所は利用されっぱなしですが、それに必死に抗い、
誰と闘い何をすべきかを手塚が自ら再確認し、
過去の呪縛から解放される、というのがライア編での主題です。
他の面々とは違ってライア編はかなり内に向かった話になると思います、今後も
<手塚はいまだに人気高いし、ファンに怒られないように先に言っておきます
カードの強度云々の話があったけど、
本編で実際にカード破り捨てていたね。
第2話の『封印カード』、で、破られたカードは光になって消えたっけ……
後、クウガのベルトも破壊不可って訳じゃないし。アギトはともかく、ギルスは片腕失ったし(こういうダメージ他にいない)。
どのライダーもベルトは破壊可能なことは可能なんじゃないかな。
ただ、ライダー世界でその「禁じ手」をやっちまったのが五代とダグバってだけで。
実はカードを狙うというのは、ネタとして考えてました
誰の回とはいいませんが、かなり先の3巡目の話ですけど
その昔、大和の国は獣を超えた獣達により、滅びの道を進んだ、しかし、突如現れた
13人の騎士達により、破滅の獣達と破滅の神は鏡に封じられ、13人の騎士は自ら
の力を13の器に封じた、はるか未来に破滅の神がまた現れた時、もう一度破滅
の神を封じられる様に・・・・しかし、時はすぎ、神崎士郎によりその力は人々
の欲望を満たす為に使われた、それぞれの欲望を満たす為に戦う13人の騎士達、
だが、その中でたった一人でこの戦いを止めようとした戦士がいた、彼の名は
城戸真司、またの名を、仮面ライダー龍騎・・・・
【仮面ライダー龍騎〜赤龍戦士伝説〜】序章「戦い、再び」
仮面ライダーナイト=秋山蓮の勝利により、ライダー達の戦いは終わり、ミラーワールド
は閉じられ、破滅の獣、ミラーモンスターは再び封印された。
死んだライダー達も、戦いの記憶は消え、平和な生活を送っていた。
だが、物語はこれで終わりではなかった・・・
神崎邸、地下室
「まずい事になってしまった、私はなんて事をしてしまったんだ・・・・」
何かまずい事をしてしまった事を悔やむ神崎。
「どうしたの、お兄ちゃん。」
優衣が話しかける。
「ミラーワールドには、その昔大和の国を破滅に追い込んだ最強最悪の神が封じ
られていたんだ・・・」
「神崎様・・・」
オーディンが話しかける、すると。
「これを12人の若者達に・・・・」
神崎がオーディンに投げ渡した物は、12のカードデッキ。
「これは!」
「今度は、正しい使い方をしなくちゃな・・・」
こうして、13人のライダーの新たな戦いが始まろうとしていた。
続く
>>446 また違ったテイストの龍騎でいいですね。
俺も今のと違ったテイストもやりたい、と思う今日この頃。
妖怪と闘う歴代ライダーとか、エロイムエッサムとか言っちゃうオカルト系の話とか。
とりあえず今の話を終わりまでやらないと読んでくださっている方に怒られそうですが(汗
微妙に呑気なところが萌え
>>443 ブラック・RXもシャドームーンのシャドーチャージャーを攻撃してたよ
まあ改造が終了していたので変身は解けなかったけど
>>400 ちょっとずれるけど例えばこんな感じかな?
―――バズスティンガーの集団と戦う龍騎・ナイト・ゾルダそして1号。
どこで知恵を付けたか、モンスターはライダーのデッキを狙っており、龍騎など一度は
カードを弾かれブランク体に戻ってしまった。何とか取り戻して再変身したものの
一進一退の状況が続く…。そんな中、BSワスプは無手の1号を獲物と定めたか
執拗に剣を振って迫っていた。間合いを計ろうとする1号の目にふと映ったのは…
ライドセイバーだ!ブランク龍騎が苦し紛れに召喚し、今度は折れこそしなかったがやはり
弾き飛ばされ転がっていたものだ。
「あれは…よし、真司君、借りるぞ!」ジャンプ一閃、剣を取り構える1号。
「ああっ本郷さん!ダメですよその剣形だけでちっとも役に…って、あれ?」
只のなまくらでしかない筈のセイバーを自在に操り、ワスプの突きを受流し、斬撃を
切り返し逆に追詰めて行く1号。やがて渾身の突きがワスプの鳩尾を貫く!とどめは
「ライダーきりもみシュート!!」爆発四散するワスプ。
龍騎達三人も各々の敵をFVで仕留めたが…
龍「((゜Д゜)ポカーン)嘘だろ…あの剣で?」
ナ「(三割程(゜Д゜)ポカーン)『技の1号』とか言う通り名も伊達じゃないって事か…」
ゾ「なかなかやるじゃないの。武器の値打ちは使う奴次第っていういい見本だねぇ。」
ナ「……お前が言うな。」
す、すみません……。
もはや忘れ去っておられるかたも多いでしょうが、415です。
……諸事情により掲載にはまだ少し時間がかかります。
もうしばらくお待ちいただけると幸いです。大変、申し訳ありません。
有言不実行三姉妹(?)な私ですが、最終回まで書きあげるという目標は必ず果たしますので、
どうかなまあたたかい目で見守っていただければと思います。
452 :
名無しより愛をこめて:03/07/24 22:09 ID:Cf3o8uhq
あげ
75歳の老人が、精子の数を検査してもらうために
医者に行った。
医者は老人に瓶を渡し、家に持って帰って
サンプルを入れて明日持ってくるように言った。
次の日、再び病院を訪れた老人が医者に瓶を渡した。
瓶は昨日と同じようにきれいなままで、空っぽだった。
どうしたんです、と医者は訊いた。
「いやね、先生、こういうことなんじゃ。
最初は右手でやってみたんだが、どうにもダメでね。
ほんで左手でやったんだけども、やっぱりダメだったんじゃ。
だもんで婆さんに頼んだんだよ。
婆さんは、最初右手でやってダメで、
左手でもやっぱりダメだった。
婆さん、口でも試してくれたわい、入れ歯アリとナシで・・・
でもダメじゃった。
とうとうお隣の奥さんにまで頼んだんじゃ。
右手、左手、そんで口・・・そんでも全然ダメでな」
医者はびっくりした。
「お隣さんに頼んだんですか?」
老人は答えた。
「そうじゃ。でも誰がどんだけ頑張っても、
この瓶のやつめ、全然開かんのですわ」
なんだかなあ
龍騎組、敵対するライダーは噛ませ犬兼引きたて役にしかなってないね。
これから頑張るんだろうけど、結局は「本気出せばハイ終わり」か…
そいや、異世界のライダー連中って何がしたいんでしょ。
「戦いを止める」のか「天使(とあとついでに神崎)を斃す」のか…
(後者をやると前者も自動的になりそうだけど)
いまんとこ、個人個人がバラバラに動いている感じで明確な目標が解らない。
昭和ファンからも龍騎ファンからも苦情が出ることは予測していましたが、
勝敗や強さにこだわる人って多いんですね。
私はその辺あまり重要視してなくて、人間ドラマのメインを構成するのは龍騎組、
その代わり昭和ライダーは最後に美味しいところをっていう構成にしたんですね。
<ライア編あたりは完全に手塚の方が出番多いですしね
異世界のライダーの目的は「人間を守る事、この世界を破滅から救う事」ただひとつです。
その延長戦上に天使云々があるかもしれませんが、
今回の仕掛けが天使によるものだと、異世界ライダーはまだ知りませんから、
「人間を守る事」よりも「天使を倒す事」が優先順位的に上に来ることはありません。
昭和ライダーにとって最も屈辱的なことは、闘いに負けることよりも、
目の前で人間を惨殺されることだと思うんですけど、どうでしょう?みなさん
heat on作者様
楽しみに読ませていただいてます。
両方にそれぞれ思い入れはありますが不満は全然
なく楽しませていただいてます。個人的にアマゾンの
話が楽しみです。いつ出てくるのかなぁ。
漏れもなんかss書きたくなってきました。
アギトの後日談みたいなのを…
HEAT ON 様
毎回楽しみに読んでます
ただ、ライダー達ちょっと甘すぎかなあとか思うときはありますね。
(正直、あそこまでタチ悪い奴をただの人間だからって手加減なんかして良いものか…?と)
そこら辺は作風なんで仕方が無いと思いますけど。
個人的に面白かったのはスーパー1編の2ですかね。
「いかに相手の最強の力を封じ、仕留めるか」という
策を張り巡らせる芝浦はなかなか良かったです。最後、彼自身が止めを差すことに
拘らなければ…って感じでしたね。まあ、その抜けた所がが芝浦らしいですが(笑)
最後の最後に彼自身も預かり知らない所で沖にダメージ与えてますし
(肉体でなく、精神に)
個人的に力と力のぶつかりあいよりこういった駈引きの方が好きだったり。
ベルデとかどうなるんでしょうね?ガイと同じく策を張り巡らせるタイプですが
果たして…?
王蛇編、ドラマの欠片も無い男ですが頑張ってください(笑)
モンスターが跋扈する島での話の様ですが、生身でシアゴーストとか食べてそう(ぉ
ではでは
最近「特撮キャラで、ちょっとしたストーリーを描くスレ2 」「ウルトラSS」に出張行ってます(藁
今後の予定は
王蛇編:王蛇、ストロンガー
タイガ編:タイガ、アマゾン、オルタナティブ、オルタナティブゼロ
インペラー編:インペラー、アギト、ギルス、G3-X
ベルデ編:ベルデ、ZX、シン、G3、G3マイルド、G4、○○
ファム編:ファム、龍騎、X
リュウガ編:リュウガ、龍騎、RX、シャドームーン
オーディン編:すべてのライダー+偽スカイ、ショッカーライダー
となっております
>>456 ありがとうございます、おそらく昭和も平成も好きという方が一番読んでて楽しいと思います
アマゾンは王蛇編の次のタイガ編です、タイガ編だけはまだ内容全然決まってませんが(汗
SSチャレンジもお待ちしております
>>457 私も策をろうしたり、知恵でピンチを切り抜けるようなのが好きなんです
ベルデは財力がありコネクションもあるだけに芝浦よりもよっぽど性質が悪いです
ベルデ編で物語は大きく動きます。
人間、モンスター、ライダーの3つ巴の最終戦争の引き金引くのはこの人です。
<何気にネタバレしてるな
王蛇編、浅倉は恒例(?)の「通報しますた」「タイーホ」からはじまります(藁
2つの物語が上手くひとつに重なればいいのですが、
単に強引につなげただけになるかもしれません(汗
インペラー編にG3−Xが出るのにベルデ編にG3が?
まさかそのG3って・・・
まさか・・・
新しいライダー原作のアイデアがあるんだけど、
文才がないのでSS化しにくい。悔しい!
「特撮キャラで、ちょっとしたストーリーを描くスレ2 」に出した、
「バイオレンス仮面ライダー」の新作ここに出したらダメでしょうか?
向こうでシリーズ連載になちゃったらマズイし(汗
>>460 まさか多分当っていると思います(藁
○○○のライダーもといGシリーズです
>>461 とりあえず概略や設定だけでも出されてみてはいかがでしょう?
そういうのも面白いと私は思いますよ
>>458 G3-Xって龍騎の世界には来てたっけ?
俺の勘違いならごめん。
>>451 おおお!俺はアンタをまってたYO!
正直待ちくたびれてますがおやっさんスレから
ずっと追っかけてるんで頑張ってくだされ。
465 :
460:03/07/26 18:40 ID:akuAxqEC
>>462 そ・・・それじゃ〇〇ってのはまさかあの銀色の・・・
>>463 龍騎世界には来ていないので、全然あってます
でも出ます、強化スーツだし
>>465 あなたは話が早い(藁
だいたい予想通りだと思います
何処でどう扱われるかお楽しみに
夜の繁華街、暗い裏路地を歩いている一人の女性。
そこへ一台のバンが猛スピードで突っ込んで来る。「キィキィィィッ!!」
バンは少女の横で急ブレーキで止まる。その音に驚く振り返る女。
バンからはドアを開け、数人の男が勢い良く飛び降りて来る。
男達は女を抑えつけ、口を塞ぎ、バンの中へ放り込む。
バンは再び猛スピードでその場を立ち去る。
謎の男達に拉致され、連れ去られた女性、その目撃者は誰ひとりとしていなかった。
とある中華料理店、中に客はおらずただ一人ある男だけが座っていた。
その男はただひとり席に座り、目の前に並べられた大皿の中華料理を食べ散らかしていた。
男の周囲にはボディガードなのか、お付の男達が数名立っていた。
その店はその男がオーナーであり、そこはその男の隠れ家でもあった。
その中華料理店の部屋に十数人の女が連れて来られる。
女達はみな手に手錠をかけられ、口には猿轡をはめられていた。
一体自分の身に何が起ろうとしているのか、その瞳は不安に怯え、体を震わせるばかりであった。
「李大人、今晩拉致して来た女達です」女達を連れて来た男が言う。
「これはこれは、今晩もなかなか上玉アルネ。」
李大人と呼ばれた男は、ナプキンで口を拭きながら、十数人の女達をジロジロ眺めまわす。
「これでさらって来た女は100人近くになります。いつでもオークションが開けますよ、李大人」
李大人なる男は部下の話もそっちのけで、女達を眺めまわしている。
李大人は十数人の女の中から一人の女に目をつける。
その女に密着し、頬を舌で舐め回す。震えながら嫌がり顔を背ける女。
「今夜はこの娘にするアルネ。私のホテルに連れてっといてアルネ」
「はいっ」李の部下と思しき男は、李に頭を下げ返事をする。
自らの席に戻り上機嫌で再びテーブルの上の大皿を食べ散らかす李大人。
李大人なる怪しいカタコトの日本語を話す男は、日本に入り込んで来た中国マフィア、シンジゲートのボスであった。
李のシンジゲートは人身売買、臓器売買、ドラッグなどをはじめとし、あらゆる違法行為に手を出していた。
人身売買目的で李は部下に少女達をさらわせていたのだった。
李は同時に多数のホテルや飲食店のオーナーでもあり、表の顔は実業家ということになっていた。
その李が所持するホテルに、先程の女を連れて来る李の部下。
李の部下は女に手錠と猿轡をしたままホテル最上階のVIPルームに監禁していた。
手錠と猿轡をされ身動きも取れず、怯えた瞳で震える美しい女。
その前に立ってニヤニヤ笑っている李大人。
「大丈夫アルヨ、こう見えてもおじさんとっても優しいアルヨ」
そう言いながら李大人は女の服を無理矢理引き千切る。女の美しい裸体が露わにされる。
抗うことも出来ずに涙ながらにうめき声を上げる女、叫ぼうとしても猿轡のせいで言葉にならない。
「アイヤー、やっぱり綺麗な肌アルネ、私貴女選んで良かったアルヨ」
「大丈夫大丈夫、おじさん優しいアルヨ」そう言う李大人は手に鎌を持っていた。
鋭く光る鎌の刃を見て、恐怖に顔を歪める女。
「大丈夫大丈夫、優しく、貴女を殺してあげるアルヨ」女の叫びにならないうめき声が部屋の中にこだまする。
VIPルームの前に立つ李のボディガードが2人。
「まったく李大人の変態ぶりにも困ったもんだ、、」その時、VIPルームのドアが開く。
「後の処理は頼んだアルヨ」李はそう言い残してホテルのレストランへと向かう。
ボディガードの2人の男が部屋の中に入ると、部屋の壁一面が血飛沫で赤く染まり、
床は血の海となっていて、そこには切り刻まれた女の惨殺死体が転がっていた。
その惨状を見てボディガードの2人の男はその場で嘔吐する。
人身売買のオークションは李が所有する豪華客船で行われた。港に停泊する李の豪華客船。
港には大勢の李の部下達が周囲を警戒し見張っていた。
そこへ現れる一人の男。その男は李の船へと向かって行く。
「おっと、お兄さん、こっから先は通行止めだ。大人しく引き返した方があんたの身の為だぜ」
李の部下はその男に凄みながら言う。その男はその言葉を鼻で笑いながら言う。
「お前達のボスは何処にいる?」顔色を変え身構える李の部下。
「お前、一体何者だっ!?」スーツの上着に手を入れ銃を取り出そうとする李の部下。
だがその男はそれよりも早く、相手の顔面に拳を叩き込む。後ろに吹き飛び転げ回る李の部下。
「聞いたことに答えろ。お前達のボスは何処にいる?」
李の部下はよろよろしながら立ち上がり、銃をその男に向け発砲する。同時にその男も相手との間合いを詰める。
弾はその男の腕をかするが、男は全く痛みを感じる様子もなく、李の部下の顔面を蹴り上げる。
再び転げ廻る李の部下。李の部下は鼻と口から大量の血を流し、口から泡を吹いて失神していた。
銃声を聞きつけ駆けつけた李の部下達、数十人。その男を目がけて銃を構える。
「お前達も物分りが悪い奴らだな」
男はそう言うと瞬時に駆け出す、李の部下はその男目がけて発砲するが、
その男の驚異的なスピード、動きに追いつくことが出来なかった。
その男は次々と李の部下を殴り飛ばし、蹴り飛ばし、なぎ倒して行く。
その男が次に立ち止まった時、李の部下は全員這いつくばって地面に接吻をしていた。
数十人いた李の部下が一瞬の内に全員倒されてしまったのだった。
「みなさん、今日はようこそ私のパーチーに来てくれたアルヨ、謝謝」
李は船上に集まった招待客の前で挨拶をする。
招待客のほとんどが政界の大物や財界人、経済人、有名タレント、有名スポーツ選手といった著名人ばかりであった。
グラスを手に談笑する招待客達。彼らはこれから開かれるオークションを今か今かと待ち焦がれていた。
そこに苦痛にうめく男の声が聞こえ、殴られ転がり倒れるボディガードが飛び出して来る。
「何事よっ!?」李は大声で叫ぶ。李の前に姿を現す先程の男。
船上の至る所に殴られ気を失った李の部下達が倒れている。
「誰よ、私のパーチーの邪魔をするのはっ!?」
「李大人、いや蟷螂男。お前を処刑する。」先程の男は李を睨みつけて言う。
「おっ、お前もしや、例の裏切り者アルカッ!?」その言葉に先程の男は薄ら笑いを浮かべる。
「たっ、確かタケシとかいう名前だったアルネッ!?」
「俺と同じ醜い改造人間であるお前達を処刑する者、仮面ライダー」
先程の男はそう言うと身構える「変身っ」男の低く力強い声に反応して、男の腹部にはベルトが現れ、ベルトの風車が回転をはじめる。
ベルトから発せられる光に男の体は包まれ、仮面ライダーの姿へと変わって行く。
「こっ、こうなったら仕方ないアルネ」李大人は傍らにあったガウンを手に取り、ガウンの影に身を隠す。
再びガウンから現れた李大人の姿は蟷螂男の姿であった。
手に鎖鎌を持つ蟷螂男、右手に持つ分銅の着いた鎖を振り回す。
回転しながら空を切り裂く分銅がブォンブォンと不気味な音を立てる。
「武器か?つまらんなぁ」「まぁいい、少しは遊んでやろう」仮面ライダーはそう言い身構える。
蟷螂男は回転する分銅の着いた鎖を投げ放つ。鎖の先の分銅は物凄い勢いで仮面ライダーに突進する。
これを上体をひねり軽くかわす仮面ライダー。
蟷螂男は上から下から、左右から、伸縮自在に巧みに鎖を操り、仮面ライダーを攻めたてる。
だがこれをすべて余裕でかわし続ける仮面ライダー。
蟷螂男の攻撃の隙を縫って、突進し一気に間合いをつめようとする仮面ライダー。
そこへ蟷螂男の鎖が至近距離から再びライダーを襲い、
右手に鎖が巻き付き、ライダーの右手の自由を奪う。
蟷螂男はここぞとばかりに鎖鎌の鎌を手にライダーに襲いかかる。
右手の自由を鎖によって奪われた仮面ライダー、蟷螂男の鋭い刃の鎌がライダーの首下めがけて振り下ろされる。
勢い良く振り下ろされた鎌の刃を左手で受け止める仮面ライダー。
「この鎌の刃は錆付いているのか? 全く効かんぞ」
「ばっ、馬鹿な、私の鎖鎌がっ!?」
ライダーはそのまま蟷螂男の鎌の刃を握り潰し、鎌の刃を砕く。
その体勢からライダーは蟷螂男の顔面に頭突きをぶちかます。
顔面に強い衝撃を受けた蟷螂男はその場によろめき倒れそうになる。
ライダーは右手に巻き付いた鎖を左手でいとも簡単に引き千切る。
蟷螂男の鎖鎌を奪い取る仮面ライダー。
「お前は武器の使い方というものを知らんらしいな」
ライダーはそう言うと蟷螂男の鎖鎌を振り回しはじめる。
蟷螂男目がけ鎖を投げるライダー、猛スピードの勢いで蟷螂男に直進する鎖。
これをかわす蟷螂男「お前も口ほどにないわっ」
だがライダーはそこで手首のスナップをかえす。
直進していた鎖鎌は軌道を変え、蟷螂男の体にぐるぐると巻き付く。
鎖に体の自由を奪われ身動きが取れなくなった蟷螂男。
そこへ仮面ライダーの容赦のない猛攻が蟷螂男を襲う。
仮面ライダーの鉄拳が何度となく蟷螂男を打ち砕く。苦痛に悶絶する蟷螂男。
蟷螂男は耐え切れなくなり、倒れるようにして床に膝を着く。
だがライダーはそれでも許さず、止めを刺す。
「はぁっ!!」ジャンプして宙を舞う仮面ライダー。
ライダーキックが蟷螂男の顔面に炸裂する。
ライダーキックの直撃を顔面に受けた蟷螂男、
首から上の頭が引き千切れて、吹き飛び、地面に転々と転がる。
地面に着地する仮面ライダー、その足元に転がって来る蟷螂男の頭。
仮面ライダーは躊躇無く、その蟷螂男の頭を足で踏み潰す。
グシャッという音と共に血飛沫が飛び散り、周囲を赤く染める。
「処刑 完了」仮面ライダーはそう言い残しその場を立ち去る。
変身を解いた先程の男。
そこへこの船に囚われていた女達が、この混乱に乗じて逃げ出して来る。
男が仮面ライダーであることを知らない女達は、
男が自分達を助けに来てくれたものだと思い込み、涙ながらに礼を言う。
「あ、ありがとうございました、、」
「うるさいっ、お前達を助けた覚えはない。俺はあの男を処刑しに来ただけだっ」
男はそう言うと港に止めてあったバイクに跨り、去って行く。
彼は自分を醜い改造人間にした組織ショッカーを憎み、
自分と同じ醜い改造人間の存在を許せず、改造人間狩りを行っていた。
彼の人間の時の名前は浅倉威。
運命のいたずらにより、本郷猛の代わりに改造されてしまった凶悪犯。
彼はまた次の改造人間を追い求める、自らの手で処刑する為に。
473 :
↑:03/07/28 00:43 ID:MyWRYUZI
蜂女、蠍男に続いて、3作目の蟷螂男編でした。
次の展開を思いついてしまったので、多分またやる。
<ライダーというよりは最早ズバットに近いような気がしますが(汗
474 :
↑:03/07/29 21:49 ID:LURMLK2V
反応がないので出しそびれているんだが、続けてもよさげか?
あれ、ほんと人居ないな。
パニッシャーみたいでカコイイ、個人的に好きでつ。続編キボン。
476 :
↓:03/07/30 01:02 ID:0jIBuLs/
ゴメン今回ちょっといつもと路線が違うかも。
今回タケシが主役じゃないし。
ちょっとした遊びなのでみんな怒らないでね(汗
夜の繁華街、ビルの谷間の狭く薄暗い裏路地を息を切らせながら走り続ける一人の男。
男は白衣を身に纏い、ジュラルミンのアタッシュケースを抱きかかえ、
この刺激的なネオン街、不夜城には似つかわしくない風体であった。
裏路地に出されているゴミ箱を蹴散らし、後ろを気にしながら白衣の男は走り続ける。
何者かに追われているのだろうか。
やがて白衣の男は走るのを止め、肩で息をしながら裏路地の壁にもたれかかり呼吸を整える。
「、、ここまで、、くれば、、」白衣の男がハァハァ言いながらそう呟いた時、
狭く薄暗い路地裏にギターの音が聞こえて来る。白衣の男は恐怖に顔を歪め、叫ぶ。
ビルの上に姿を現す影、ポンチョを着てハットを被り、ギターを抱いた男。
そのラテン系の男はギターのメロディにあわせラテンのバラードを口ずさんでいた。
ラテン系の男はギターを弾く手を止め、ビルの上から白衣の男の方に目をやる。
「アミーゴ、裏切りはいけねぇなぁ」
「裏切り者は長生きできねぇ、それが俺達の世界の掟さぁ」
ラテン系の男はそう言うとニヤリと口元に笑みを浮かべる。
「あぁぁぁぁぁ」白衣の男は震えながらその場から逃げ出す。
「ふんっ」ラテン系の男はギターを弾きながらビルの上から飛び降りる。
逃げようとする白衣の男の前に突如姿を現すラテン系の男。
「組織の秘密書類を持ち出して逃げ出そうとするなんざぁ、いい度胸だな、アミーゴ」
「あぁぁぁぁぁ」白衣の男は後ずさる。
「、、私は、私はもう嫌なんだっ、、これ以上組織に手を貸すことはっ、、私には出来ないっ」
「そうかいそうかい、だが一度手を染めちまったら、もう後戻りは出来ねぇ。
一度血塗られた手は二度と白くはならない、違うかいっ?アミーゴ」
白衣の男は後ずさり、そのまま逃げようとする。
ラテン系の男は手に抱くギターのネックを白衣の男に向ける。
ギターのネックより発射される棘状の弾丸が、白衣の男を串刺しにし、貫き、
蜂の巣になった白衣の男がそのまま倒れ込む。
「アミーゴ、あんたは優秀だったのになぁ、俺も残念だぜっ」
ラテン系の男はそう言い残すと、ギターを弾いてバラードを口ずさみながら闇へと消えて行くのだった。
昼間のビジネス街。スーツを着た男が駐車場へと向かって行く。
「クライアントとの交渉も上手くいったし、次はっと」
一人ぶつぶつ言いながら歩くスーツの男の前に、バイクが猛スピードで突っ込んで来る。
バイクを避けるスーツの男、そしてバイクは車体を回転させながら止まる。
バイクに跨る男は、スーツの男を睨みつける。
「お前も俺と同じ醜い改造人間のようだな」バイクに跨る男こそ仮面ライダー、タケシであった。
「あんた誰?俺はあんたみたいな奴、知らないけど」スーツの男は眉間に皺を寄せながら言う。
「俺をイライラさせる、醜い改造人間を狩る者」
「、、あんたが噂の裏切り者なわけね。」
「でも俺もあんたと同じでね、組織の裏切り者なわけよ。おわかりいただけるかな?」
「だからどうした?俺は改造人間を狩るだけだっ」
「問答無用なわけねっ」
「俺もせっかく叶えた願いだからね、このまま黙ってやられるわけにはいかないんだよね」
「お前を処刑するっ」
タケシはそう言い身構える「変身っ」その低く力強い声に反応して、
腹部にはベルトが現れ、ベルトの風車が回転をはじめる。
ベルトから発せられる光にタケシの体が包まれ、仮面ライダーの姿へと変わって行く。
スーツの男もまた身構える「変身っ」その声に反応して男の腹部にもまたベルトが現れる。
ベルトの風車が回転し、光り、スーツの男の姿も変わって行く。
スーツの男が変身したその姿は仮面ライダーそのものであった。
だが、スーツの男が変身した仮面ライダーはベルトの色が赤で、マスクや手袋、ブーツの色が微妙に異なっていた。
「よりにもよって同タイプが相手とはね」赤いベルトのライダーは相手の姿を見てそう言った。
タケシもまた驚いていた。まさか自分と同じタイプの仮面ライダーが存在するとは思っていなかったのだ。
「少しは俺を楽しませてくれそうだなっ」だがタケシの闘争本能、野性は相手を見て余計に刺激されていた。
対峙する2人の仮面ライダー。初めて対する同タイプの相手に緊迫したムードが高まっていく。
最初に仕掛けたのは白いベルトの1号ライダーであった。
その驚異的な瞬発力で相手の懐に一気に飛び込み、高速で鉄拳の連打を繰り出す。
これをすべて腕で払いのける2号ライダー。
連打の直後、真横から1号ライダーの蹴りが空を切り裂き飛んで来る。
これも腕でブロックし受け止める2号ライダー。
2号ライダーはそのまま力を溜めて1号ライダーの胸元目がけ一気に鉄拳を繰り出す。
蹴りで無防備になった1号ライダーの胸元に2号ライダーの鉄拳が直撃し、後方に吹き飛ぶ1号ライダー。
「どうやら力は俺の方が上みたいね」2号ライダーは自らの拳を見つめ、その力を改めて実感する。
後方に吹き飛んだ1号ライダーはそのまま空中で回転し着地する。
着地からすぐさまジャンプ、空中で再び回転して、2号ライダーにライダーキックを放つ。
その華麗なる空中殺法の前に、絶対的戦闘経験値が足りない2号ライダーは反応しきれない。
上体を反らしかわすが1号ライダーのキックが2号の胸元をかする。体勢を崩し転げまわる2号ライダー。
「力だけではどうにもならんぞっ」立ち上がる2号ライダーに再び襲いかかる1号ライダー。
1号ライダーにカウンターを決める2号ライダー。
2人の仮面ライダーの一進一退の攻防が繰り広げられる。
よろめきながら歩きバイクに跨るタケシ。その姿は人間戻っていた。
「あいつめっ、今度会った時はぶっ潰してやるっ」
タケシははじめて出会った自分の力と同等の力を持つ相手にゾクゾクしていた。
それは今迄処刑して来た改造人間が相手では全く感じられなかったような興奮と刺激であった。
やはりよろめきながら歩くスーツの男。
「やれやれ一体なんだって言うのよ。」
「せっかく願いを叶えたっていうのに、あんな奴に狙われたんじゃ、
とてもじゃないけどこの先平穏な生活は望めそうにないね」
車に乗ろうとするスーツの男、そこにギターの旋律が聞こえて来る。
ギターのメロディにのせラテンのバラードを口ずさみながら現れる男。
「アミーゴ、随分ボロボロじゃねぇか」ラテン系の男はギターの手を止め、スーツの男に呼びかける。
「あんた誰?とは言っても、まともな人じゃないってのは一目でわかるよ。」
ラテン系の男を見て苦笑するスーツの男。
「やれやれ、もしかしてまた?」「これからデートで急いでいるんだけどなぁ」
「アミーゴ、裏切りはいけねぇなぁ。裏切るってのは人として最低の行為だぜ」
「俺が人かどうかってのは自信ないねぇ、改造人間だし」
「口の減らねぇ兄ちゃんだな、アミーゴはよぉ」
「アミーゴ、あんたの場合、今戻れば組織だって許してくれるぜ。あんたは特別らしいからな。」
「戻って脳改造されるくらいなら、死んだ方がマシだよ」
「そうかい、そいつは残念だぜ、せっかくいい友達になれると思ったんだがなぁ、アミーゴ」
「俺はあんたみたいな友達は悪いけどパスさせてもらうわ」
「アミーゴ、友達を邪険にするもんじゃないぜ」
そう言うとラテン系の男はスーツの男にギターのネックを向ける。
ギターのネックより連射される棘状の弾丸。これをかわすスーツの男。
棘状の弾丸は地面に突き刺さり、地面に無数の穴をあける。
「やれやれ連戦ってわけね」スーツの男は再び2号ライダーへと変身する。「変身っ!!」
ラテン系の男も羽織っていたポンチョを脱ぎ捨て、サボテグロンの姿に変身する。
サボテグロンは2号ライダーに向かってサボテン爆弾を連射、
これをその瞬発力と跳躍力でかわしきる2号ライダー。空中でサボテン爆弾が次々と爆発していく。
「改造人間なのに、なんでそんな平凡な武器とか使うかなぁ」
「やっぱ肉体で勝負でしょっ」
2号ライダーはサボテグロンの攻撃をかわし、一気にサボテグロンの懐に入り込む。
そして零距離の射程から、腰の回転を活かし力を溜めた鉄拳、ライダーパンチを打ち込む。
2号ライダーの鉄拳はサボテグロンのどてっ腹を突き破り、その背中から腕が飛び出す。
突き破られた腹から地飛沫を上げ、周囲に内臓をぶちまけるサボテグロン。
「グァァァァァッ」サボテグロンの断末魔の悲鳴が周囲に響き渡る。
サボテグロンの骸を腕から振り払う2号ライダー。
サボテグロンの血飛沫で血塗れの2号ライダー、
「やれやれ、デートに遅れちまうよ」そう言い残してその場を立ち去って行く。
こうして運命的な出会いを果たした1号ライダーと2号ライダー。
2号ライダーことスーツの男は、自分が余命幾ばくもないこと知り、
自ら進んでショッカーの改造手術を受けた。
だが脳改造手術の直前、彼の助手が手筈通りに彼を助け出すことに成功した。
こうして彼は願いであった永遠の命を手に入れたのだった。
彼の人間の時の名前は北岡秀一。
一文字隼人の代わりに仮面ライダー2号に改造されたスーパー弁護士。
浅倉威と北岡秀一、2人の宿命の対決はこうして幕を開けたのだった。
敵キャラ人間体の思いきった翻案が結構好き。
「なんか間違えた009御一行」て感じ。
うをっ!なんか不思議なノリの作品だな。
484 :
↑作者:03/07/30 19:00 ID:3x9igSet
009VS仮面ライダー、いいな
この話ならキカイダーやロボット刑事も出しやすいな
イナズマンはドクガンダーの代わりあたりで(嘘
バイオレンスなV3、ライダーマン、X、アマゾン、ストロンガーとかもやってみたいな
アマゾンは本編がすでにバイオレンスだったか
超ハードでバイオレンスなデルザー軍団もいいな
この話が実は「Heat on!2」の原案だったりします
・改造人間狩を行う凶悪ライダー(オウガって名前にしようと思っていたのに・・・)
>的にされ毎回ボコられるヒート
>毎回歴代ライダーが助けに来てウマー
女とられて、毎回ボコられ、
大首領復活して、地獄の軍団まで出てきて、
ファイズ勢が全員出てきて、ヒート受難のお話です
まずはその前に王蛇編だな(汗
486 :
ヲタ6:03/07/31 13:09 ID:kASrxIOX
バイオレンス仮面ライダー作者様
参考になればいいのですが・・・・・・・
V3=蓮(そこそこいい感じ)
ストロンガー=真司(ちょっと合わん、タックルは美穂か?)
どうでしょうか?
>>486,487
バイオレンスV3、俺も蓮V3と真司ライダーマン(涙)とか、
手塚V3&斉藤ライダーマンとか、考えておりました。
だけど根本的に浅倉&北岡では絶対V3は生まれないという罠
ちょっとその辺設定いじらないとなりませんね
木野V3案でピンと来ました、ハサミジャガー編の構想がすぐ浮かんで来ました。
でも腕のことを考えると木野ライダーマンの方がしっくり来るかなという感じも。
バイオレンスストロンガー、真司じゃ頼りないけど、裏真司だと結構いけるかも(藁
バイオレンスタックルは峰不二子みたいになりそう。
峰不二子っぽいタックルがバイオレンスなデルサー軍団に捕まり・・・(以下自粛
とりあえず1号編で後3回だけやらせてください
<誕生編で蜘蛛&蝙蝠とピラザウルスを予定
489 :
ヲタ6:03/07/31 21:19 ID:baZIFE1I
バイオレンス作者様
せめて試しにバイオレンス仮面ライダーストロンガーを一つだけ書かせて下さい、
お願いします。
ヲタ6様
どうぞどうぞガンガンやちゃってください。
俺ではとうていストロンガーまで辿り着けそうにないんで(汗
俺もひとつひらめいた
とりあえず木野V3で1本書いてみよう
ライダーマンが仕掛けどころだ
バイオレンスというよりはもはやホラーに近いかもしれんが(汗
後、クウガが太古に戦ったグロンギはオオツカミとかアマツカミだっという短編の構想もある
構想だけならいっぱいあるんだよな(汗
ついでにバイオレンスなX、バイオレンスなアマゾン(?)、バイオレンスなその他もろもろ
やってくださる方がいたらお願いします
<他スレの担当者募集みたいだが(藁
他の人がこの題材をどういう風に料理するか興味あり
しかしバイオレンスなJってのは・・・ウルトラ系侵略宇宙人?
史上稀に見る凶悪な犯罪者、それが彼であった。
殺人、傷害、器物破損、公務執行妨害、彼が犯した罪は数しれず、それでも彼はまだ罪を重ね続けていた。
警察は必死で彼を追ったが、彼はそんな警察を嘲笑うかのように手玉に取り逃げおおせていた。
闘争本能の塊、狂暴性剥き出し、野生溢れる彼にとっては、
警察などは取るに足らない存在だったのかもしれない。
彼の名前は浅倉威、史上稀に見る凶悪犯。
タケシはバイクに跨り、雄叫びを上げながら猛スピードで突っ込んで行く。
彼が突っ込んで行くその先にあるのはよりにもよって警察署。
タケシはバイクをさらに加速させ、そのまま警察署の窓ガラスを突き破り、中へと突入する。
警察署の中をバイクで縦横無尽に走り回り、暴れ回るタケシ。
逃げ惑う署員とタケシに銃を向ける警察官。
タケシはバイクをウイリーさせて、銃を向ける警察官達を次々となぎ倒す。
そのままバイクで階段を登り、署内中を荒らし回るタケシ。
「これは土産だっ」タケシはそう言うと手榴弾の詮を抜き、ワザと落として行った。
バイクに乗ったまま2階の窓より飛び降りるタケシ、
手榴弾が爆発して、煙と炎に包まれる警察署。
タケシはその警察署の光景を見て笑みを浮かべ、バイクのスピードを上げてその場を去って行く。
サイレンを鳴らしタケシのバイクを追走する十数台のパトカー。
タケシは高速道路に入り込み、高速道路を逆走しはじめる。
100km前後のスピードで正面から向かって来る車、
タケシはバイクを左右に振り、これをすんでの所でかわし続ける。
逆走するタケシのバイクに、ハンドルを切りスピンしてガードに激突する車。
さらに後続車がそこに突っ込み、大事故へと発展する。
警察は非常線を張りタケシのバイクを追い詰めようとする。
ひとまずパトカーの追撃を振り切ったタケシ。
だがタケシのバイクの前に人影が立ちはだかる。
それは白い服に白いマントを羽織った怪しい風体の初老の紳士であった。
その傍らから飛び出す、黒ぶち眼鏡をかけたさえない中年サラリーマン風の男。
タケシは目の前の二人がそのまま退かなければそのまま轢殺すつもりであった。
もはやここまで来たらこれ以上罪が増えてもタケシにはそれ程関係はなかった。
サラリーマン風の男は眼鏡を弄りながら「どうぞどうぞ、お構いなく、ですよ」と怪しい笑顔で喋る。
そしてその男は人間ではまず不可能であろう程に大きな口を開ける。
口の中には巨大な蜘蛛が入っており、その巨大な蜘蛛より大量の白い糸が放たれる。
猛スピードで突っ込むタケシに、男の口の中の巨大な蜘蛛より出された大量の白い糸が絡みつく。
身動きが取れなくなったタケシは、バイクごと転倒、バイクはそのままガードに激突。
タケシはバイクより放り出され道路を何度も転げ回る。
頭から血を流し、気を失って倒れるタケシ。
そのタケシの下へ歩み寄って来る、初老の紳士とさえない中年サラリーマン風の男。
夜の街を逃げ回る一人の男、男の前に現れるヤクザ風の男。
「おとなしくそのフロッピーを渡せ。」
男に話しかけるヤクザ風の男。
「このフロッピーは死んでも渡さん。」
「ほう。」
ヤクザ風の男は口から蜘蛛の糸のような物を吐き出した。
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・」
男はヤクザ風の男が吐き出した糸により首を絞められ、死んだ。
「たやすいな。」
ヤクザ風の男はその場を立ち去った。
ヤクザ風の男が立ち去った後、そこに一人の男が現れた。
「・・・・・遅かったか・・・・」
その男はそうつぶやくとバイクに跨り去っていった。
496 :
山崎 渉:03/08/02 01:40 ID:akfgvj28
(^^)
逆に東條だったらどのライダーがいいだろうか?
東條用の設定を思いついたんだが、しっくり来るライダーが思いつかん
クウガとか?
翌日、ヤクザ風の男がフロッピーを持った男を殺した街にあの男がやって来た。
「ここにいそうだな・・・・」
男はバイクを止めると捜索を始めた。
警察署の屋上には、あのヤクザ風の男が立っていた。
「パーティーの始まりだ・・・・・」
するとヤクザ風の男は蜘蛛の怪人へと変わっていた、下へ降りる蜘蛛の怪人。
下へ降りると、惨殺を始める怪人、首を締め上げられ、ついには首が千切れる程
者もいた。
そこへ例の男がやって来た。
「こんな所にいたか、蜘蛛奇械人。」
「貴様は例の裏切り者。」
「その通り。」
すると男はメットを取ると戦闘体勢に入った。
「変身・・・・ストロンガー。」
男の声に反応し手袋が脱ぎ捨てられると男は機械の腕を摩擦した、すると
腰に白と赤のベルトが現れ、光り、その男の姿は黒と赤の仮面ライダーへと
変わっていた。
「貴様がストロンガーか。」
「おうよ、さて、そろそろいかせて貰うぜ。」
ストロンガーは蜘蛛奇械人に向かっていった。
「ふんっ!」
蜘蛛奇械人は蜘蛛の糸でストロンガーを捕らえようとするがかわされてしまう。
「はっ。」
ストロンガーは蜘蛛奇械人に近づくと蜘蛛奇械人の顔を掴んだ。
「ぐっ、は、離せ。」
「いやだね。」
ストロンガーは蜘蛛奇械人の顔を掴んだままだった。
「ふ、ふふふふふふふふ、俺が何もしていないと思うなよ。」
「何?」
よく見ると、ストロンガーの周りには死んだ警官や市民がいた。
「俺の蜘蛛の糸で操ってんだよ、さあやれ。」
すると死人達はストロンガーを取り囲んだ。
「ちっ、許せよ。」
するとストロンガーは死人達をなぎ払った。
「何ッ。」
「今度はこっちの番だ。」
そういうとストロンガーは蜘蛛奇械人の両腕を引き千切った。
「あぁぁ
ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
するとストロンガーは蜘蛛奇械人をなぎ倒し、足を折った。
「ぎひぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」
「これで終わりだ。」
ストロンガーは蜘蛛奇械人の顔をパンチで叩き潰した。
「さあて、後始末だ、エレクトロ、ファイアーー!」
ストロンガーはエレクトロファイアーで蜘蛛奇械人の死骸を焼き尽くした、
そこには、数体の人の死体しかなかった。
「父さん、また一人やったよ・・・・」
そう言うと男はバイクに乗り、去って行った。
彼は世界が危険にさらされている事を知り、自ら改造手術を受け、脳改造の寸前に脱出した。
こうして彼は平和の為に戦う力を手に入れた。
彼の人間の時の名は城戸真司。
城茂の変わりに仮面ライダーストロンガーに改造されたネットニュースの新人編集員。
彼が追っている組織は「ブラックサタン」どうやら「ショッカー」と同じ首領の組織らしい。
彼もいずれは1号ライダー浅倉威、2号ライダー北岡秀一と出会うだろう。
500 :
487:03/08/02 11:46 ID:1YBcHLQJ
>バイオレンス作者さんへ
>東條ってだるだ?と、一晩考え込んでしまいました(苦笑
>先刻ググって一発だったんだけどね(つД`)
>このコンセプトだとやる事のギャップ感?が狙い目だと思うので、
>やはりフリンジ付いてる彼?
>いや、ウカーリ「いや、V3は木野薫でしょ 」なんて書いたんでチョト責任を感じて(苦藁
>Heat on! 外伝と併せて期待ばかり身勝手に募らせてしまいます(w
>ヲタ6=ストロンガー作者さん
>ストロンガーキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
>成る程、共通点は「威勢の良い口語体、お人よし」だったんですね、納得。
>しかしこのバイオレンス〜シリーズはイイ(・∀・)!!
>まるで、「ワイルド・カード」シリーズの様で。
>何かオイラも書きたくなって来ちゃったよ(W
501 :
461:03/08/02 13:02 ID:pcYXL4rb
>>462 有難うございます。では1部分だけ。
主人公
志津馬(シヅマ) 某教会で見習い神父をしている少年(18歳)
高校卒業式の日の帰りに、彼の平常を
壊すような出来事が起こり、彼は戦火の中へ飛び込んでゆく。
彼は変身できる男でも、変身してしまった男でもなく、
変身する男なのである。
(ちなみに赤ん坊の時、教会の前に下のアイテムと1緒に
置かれていた。名前の由来は、ゆりかごにあった「志津」と
書かれたネームプレートにちなむ。)
変身アイテム サイバーバックラー
教会の前に孤児として置かれていた彼のゆりかごに1緒に
入れられていたもの。事件が起こった日に日の目を見ること
になる。(変身アイテムの外見としては、恐竜戦隊に近い)
ヒロイン
志津香 志津馬が保護した18歳の記憶喪失の少女。
彼女が所有していたネームプレートは、志津
馬のものと非常に酷似している!
テーマとしては「成功作」を超える「失敗作」というものを
描きたいです。
で、主人公が抱える「苦悩」ですけど、多分今までの仮面ライダー
シリーズにはなかった苦悩となります。(アギトメンバーの苦悩とも
違うものとなります)。
出来れば、クウガ、アギト、龍騎メンバーとの共演を期待したいん
ですが・・。
503 :
名無しより愛をこめて:03/08/02 13:08 ID:Ya1BgR1E
いや、間違えた。2重の苦悩かな・・・。
「い、嫌だ助けてく・・・」
言い終わる前に男は目の前にいる怪物「Fコング」によって、文字どおり「燃やされた。」
「標的の暗殺に成功・・・全く、簡単すぎだぜ。」人間の姿へと戻った怪物が呟く。
そして怪物は去っていった。だが、彼は気づいてはいなかった。
自分を見張っている銀色の「仮面」に・・・・
翌日、男は標的の博士を襲うため、人間体でターゲットの家へと向かった。
家のドアを蹴破る男。だが、家の中には誰もいない。
「どうなってんだ?こりゃ一体・・・」
その刹那、上から一人の男が現れた。
否、男ではない。銀色のライダー・・・・・
男は別の改造人間の存在に動揺したが即座にFコングへ変身し、相手に向かい炎を吐いた、
しかしライダーはそれを避け、相手に向かった。
バキィ!ライダーの正拳が決まる。しかしFコングも負けてはいない。
Fコングはライダーへ向かっていく。取っ組み合いになる二人の怪人。
始めはファイヤーコングの優勢であった。しかし・・
「チェンジ、パワーハンド。」
その言葉と同時に、ライダーの腕が変化した。
そして、二人の形勢が逆転した。
「ハッ!!」
ライダーの裏拳がFコングの腹に直撃する。
そのまま壁にぶち当たったFコング。
ボロボロになりながら出口のドアへと逃げて行く。
506 :
バイオレンス仮面ライダースーパー1/ファイヤーコング:03/08/02 21:01 ID:g9Fd4d07
その姿を尻目に背後からライダーが呟いた。
「チェンジ、エレキハンド。」
イナズマがFコングの足を貫く。
そしてライダーはドアの外で動けなくなったFコングへ迫っていった。。
「嫌だ、助けてくれよぉ・・・」
Fコングの嘆きを無視し、一歩一歩近づいていくライダー。
そして、Fコングへの距離が約10メートル程になった、その時。
「今だ!喰らいやがれぇ!」
炎を吐き出すFコング、そして炎上する家を見て、笑う。
「ハーッハッハ!ざまぁねえなあ!」
そして、組織へと連絡をしようと、体内の通信装置を作動させようとした、が。
「うそだろ・・・・ぉい・・・」
炎上している家の中から、蒸し焼きになったはずの銀仮面が現れた。
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
Fコングは炎を吐いた、だが、それでもライダーは向かってくる。
ライダーはFコングの頭を掴み上げた。
「聞こえるかい、ドグマ。僕の名前は仮面ライダースーパー1、
僕は大切な人を奪った君達を許さない。」
そう言うと、ライダーは手に力を込め、Fコングの頭を握りつぶした。
銀色の体に鮮血が走る。
そしてライダーは人間の姿へ戻り、バイクに跨る。
男は許さない。
初めて自分を認めてくれた恩師を奪ったドグマを。
男は許さない。
初めて自分を愛してくれた人を奪ったドグマを。
孤児院で沖一也の代わりに引き取られた男、東條悟。
彼は追い続ける、恩師を奪ったドグマを。
只それだけを生きる目的として・・・・・
勝手に東條を孤児にしてしまった。
でも、もうやっちゃったから。
>バイオレンス作者さん
勝手に書いてしまいました・・・
・・・ちゅうか、>497で東條使うって書いてあったのに
何たる不覚・・・・・デストにガリガリやられてきます。
>バイオレンスストロンガー様
真司らしいセリフまわしいいですね。
真司ノリのストロンガーの動きは、龍騎っぽい動きなのかとかいろいろ想像してしまいました。
美穂タックル、バイオレンスデルザー軍団もよろしく(藁
>バイオレンススーパー1作者様
いや全然OKです、どんどん書いちゃってください。
続きもあるなら是非読みたいです、老師なんかも出しちゃってください(藁
他のライダーも思いついたら是非どうぞ、遠慮は無用ですよ
>>487様
ワイルドカードって言い得て妙ですね。
他にも書いてくださる方が居て嬉しい限りです。
是非、是非、487様も書いてくださいまし
510 :
1:03/08/02 22:11 ID:WD4Tifp0
>>461様
捨てられていたのと一緒に変身アイテムが置いてあったっていう設定いいですね。
設定の文章読ませていただいた限り、その文章が書けるのであれば、
SS全然大丈夫そうな気がするんですが、どうでしょうか。
私、文章、大したことないのにこんなにいっぱい書いておりますし、
要はちょっとした勇気ではないかと(汗
タケシが目を醒ますと、そこは眩いばかりに光が差し込む手術台の上であった。
強烈なライトの下、手術台に手足を拘束されているタケシ。
ライトから目を反らすように横を向き、顔をしかめるタケシ。
タケシはここは一体何処で、自分が一体どうしたのか思い出そうとするが、
バイク転倒の所で記憶の糸は途中でプッツリ途切れてしまっていた。
その時、手術室の扉が開き、逆光の中に人影の姿が現れる。
その影は手術台に拘束されているタケシの下に駆け寄って来る。
影の主は白衣を纏ったドクターらしき年輩の男であった。
その男は手術台で拘束されているタケシの手と足に架せられている、拘束器具を外す。
「ここは何処だっ?」起き上がったタケシはその男の胸ぐらを掴もうとする。
「説明は後だっ!今はとにかくここから逃げるんだっ!」
その男は驚いたように後ろに飛び退く、まるでタケシに触れられることを避けているかのようだった。
「ふざけるなっ!」タケシがそう怒鳴った瞬間、手術室の入口に数人の影が現れる。
その影の主の姿は、黒いボディに不気味な骸骨のようにも見える白いラインが浮かんでいた。
口々に奇声を発しながらタケシと白衣の男の方へ駆け寄って来る不気味な男達。
その手には短刀が光っていた。「なんだっこいつらはっ?」
武器を持って迫ってくる不気味な男達。タケシは条件発射でそのうちの一人を思いっきり殴り飛ばす。
タケシのパンチで顔面を砕かれ、後ろへ吹き飛ぶ戦闘員。
タケシはそこではじめて自分の体の異変に気づく。
「なんだっこの力は?」思わぬ怪力を発揮した自分の腕を見つめるタケシ。
そこへ襲いかかる戦闘員。タケシは条件反射で戦闘員の横っ面を思いっきり蹴り飛ばす。
首を180度後方へ捻り吹き飛ぶ戦闘員、当然即死である。
タケシは自らの体の異変に驚きながら次々と戦闘員を蹴散らす。
ボディへのパンチ一発で血反吐を流し、内臓破裂で崩れ落ちる戦闘員。
頭上への踵落としで頭蓋骨陥没、脳しょうを撒き散らしながら、うずくまる戦闘員。
次から次へと現れる戦闘員、それをことごとく蹴散らすタケシ。
そして戦闘員の大群の中から、例のさえない中年サラリーマン風の男が姿を現す。
その男は黒ぶち眼鏡を指先で弄りながら、
「どうぞどうぞ、私にはお構いなく、続けてください、ですよ」と怪しい笑顔で言う。
その直後、その男は口を大きく開き、その口の中の巨大な蜘蛛が大量の白い糸を吐き出す。
タケシの体に巻きつく、大量の蜘蛛の糸。
それは肉体に異変をきたしたタケシの怪力をもってしても引き千切ることは出来なかった。
「いかんっ、蜘蛛男かっ!?」「タケシ君っ!変身するんだっ!」
白衣の男の言葉に反応するタケシ「変身っ!?」
タケシの「変身」の言葉に反応して、タケシの腹部にはベルトが現れ、ベルトの風車が回転をはじめる。
ベルトから発せられる光にタケシの体は包まれ、異形の姿へと変わって行く。
変身したタケシは体に巻きつく蜘蛛の糸を引き千切る。
異形のタケシはサラリーマン風の男を殴り倒し、その場からの脱出を試みる。異形のタケシの後に続く白衣の男。
白衣の男の導くまま、別室にあったバイクに跨る異形の姿のタケシ。白衣の男もその後ろに乗る。
バイクを飛ばし、室内を駆け抜けるライダー。仮面を着けたライダー。
襲いかかる戦闘員を次々とバイクでなぎ倒し、外への脱出に成功する。
脱出に成功したライダーことタケシだが、水面に写る自分の姿を見て愕然とする。
「この醜い姿が俺だというのかっ!?」
詰め寄るタケシをなだめ、白衣の男はタケシを自分の研究室に連れて行く。
その研究室は山の中の別荘にあり、夜になり辺りはすっかり暗くなっていた。
白衣の男の名は緑川弘。彼は表向きは城南大学の教授だが、
裏では秘密組織ショッカーに手を貸し、改造人間の研究を行っていた。
そしてタケシの闘争本能、狂暴性、野生に目をつけた、ショッカーの幹部・死神博士が、
蜘蛛男を使ってタケシを拉致し、緑川博士に命じ改造人間へと改造させたのだった。
「貴様が俺を改造したというのかっ!?」「すまない、タケシ君っ」
「私は、私は怖くなったのだ。今度の改造人間は今迄の改造人間とは能力が格段に違う。
その能力に君の闘争本能、狂(凶)暴性、野性が加われば、
君はたった一人で人類を滅ぼすことすら不可能ではない。
それを知った時、私は怖くなった、自分が犯した過ちの重大さにはじめて気づいたのだ。
そして私は君を脳改造の前に逃がすことにした、君を組織の完全なる手先とさせる訳にはいかなかったから」
タケシは緑川博士の話もそこそこに博士の胸座を掴み上げる。
「貴様がっ、貴様がっ、俺をあの醜い化け物にしたというのかっ!!」
「俺をもとに戻せっ、もとの人間に戻せっ!!」
「、、残念ながら、、それは不可能だ、、」
タケシは緑川博士の言葉に逆上し、緑川博士の首を締める。
改造人間であるタケシの力で首を締め上げれば、死に至るのはあっという間の出来事であった。
タケシに首を締められグッタリとする緑川博士、もはや博士に息はなかった。
タケシは緑川博士の首から手を離す、音を立てて床に落ちる緑川博士の亡骸。
それでもなおやり場のない憤りに駆られるタケシの激情。
「キャァァァァァッ!!」その時タケシの背後より女の悲鳴がする。
緑川博士の娘、緑川ルリ子が博士が殺害される現場を目撃していたのだった。
緑川ルリ子は時折、研究室で父の助手を行っていた為、博士の研究室にいてもなんら不思議ではなかった。
ルリ子は別室で言い争う声を聞いて、心配になって様子を見に来たのだった。
「お父様ぁっ!!お父様ぁっ!!」緑川博士の亡骸に駆け寄るルリ子。
緑川博士に既に息がないことを知り、ルリ子は泣き叫ぶ。
「人殺しっ!!あなたがお父様を殺したのねっ!!」ルリ子は半狂乱状態でタケシに向かって叫ぶ。
「・・これ以上俺をイライラさせるなっ お前も死ぬかっ?」
タケシはそう言って壁に拳を叩きつける、部屋の壁が一撃で砕け、大穴を開ける。
その光景に驚き一瞬静かになるルリ子。
その時であった、部屋の暗闇の中に浮かぶ人影。タケシはそれに反応して身構える。
「どうぞどうぞ、私にはお構いなく、続けてください、ですよ」
暗闇の中に薄っすらと姿を現すさえない中年サラリーマン風の男。
「どうぞどうぞ、お構いなく、ですよ」
中年サラリーマン風の男の首は横を向き、さらに捻りを加え180度後ろを向く。
その首の角度は決して普通の人間では有り得ないものであった。
「どうぞどうぞ、お構いなくですってば」
やがて男の首はグルグル回転しはじめる。
「どうぞどうぞ、お構いなくだってば」「だって、どうせ私は死んでいるんだから」
男がそう言うと、男の体内を食い破って、無数の巨大蜘蛛が這い出して来る。
「キャァァァァァッ!!」あまりに不気味な光景にルリ子は再び悲鳴を上げる。
その巨大蜘蛛が闇の中に姿を消すと、闇の中から無数の人影が現れる。
だがその人影はどう見ても正常な人間のものではなかった。
肌の色は土色で白目を剥いており、中には肉が腐乱している者も多数あった。
それは屍人であった。闇の中から姿を現す屍人の群れ。
屍人は奇声を発しながらタケシに襲いかかる。タケシは容赦なく屍の群れを蹴散らす。
タケシに殴られ、腐った肉片を撒き散らし、骨を飛び散らせ、内臓をぶちまける屍人の群れ。
この状況に気も狂わんばかりのルリ子。ルリ子の傍らにあった緑川博士の亡骸もまた動きはじめる。
「ルリ子、ルリ子や」その父の声を聞き、思わず父に助けを求め飛びつくルリ子。
「お父様っ!!」だがルリ子の目に飛び込んで来たのは、白目を剥いて蒼い顔をした父の姿であった。
「キャァァァァァッ!!」ルリ子の悲鳴が再度、研究室に響き渡る。
緑川博士のゾンビはルリ子を襲う。嫌がるルリ子を抑えつけ、無理矢理、ルリ子の服を引き千切る。
ルリ子の美しき裸体が露にされる「やめてっ!!やめてっ!!」
訳もわからないまま泣き叫びながら抵抗を試みるルリ子。屍人緑川はそんなルリ子を弄び、容赦なく犯そうとする。
「あんまりおいたはダメですってばよ」深い闇の中から声が聞こえる。
タケシは襲われるルリ子には目もくれず、声がした方に向かう。
その闇の中に潜んでいた者こそ蜘蛛男の本体であった。数本の腕を持つ蜘蛛男は闇の中にその目を光らせる。
蜘蛛男は巨大蜘蛛、蜘蛛の糸を使い屍人を操っていた。蜘蛛男は人形(マリオネット)使いでもあった。
蜘蛛男の体を掴み、闇の中から引きずり出すタケシ。
タケシに投げ飛ばされた蜘蛛男は偶然にもルリ子を犯そうとしていた屍人緑川博士に衝突した。
タケシはルリ子に向かって言う。
「いいかよく聞け。お前の親父はこいつらのような醜い化け物をつくっていた」
「・・・・・嘘っ!!嘘よっ!!」裸体のルリ子はもはや極限状態であった。
「そしてお前の親父は俺もこいつらと同じ醜い化け物に改造しやがった」
タケシは身構える「変身っ」その低く力強い声に反応して、
腹部にはベルトが現れ、ベルトの風車が回転をはじめる。
ベルトから発せられる光にタケシの体が包まれ、仮面ライダーの姿へと変わって行く。
タケシの変身して行く姿を見ながらルリ子は絶叫する。
「嘘っ!!嘘よっ!!」「 嘘だったら俺もどんなにありがたいことか」
数本の腕を持つ蜘蛛男が口から糸を吐きながら、仮面ライダーに襲い掛かる。
ライダーはチョップで糸を切り裂きながら前進、蜘蛛男との間合いを詰める。
従来の改造人間とは格段にその能力が違う仮面ライダー、
蜘蛛男の蜘蛛の糸はもはやライダーの動きを止めることすら出来なかった。
蜘蛛男の背後を取ったライダーは、そのまま蜘蛛男を押さえ込む。
ライダーは蜘蛛男の腕の一本を握り掴む。
「 貴様らへの怒りと憎しみが 俺のすべて 」そう言うとライダーは掴んだ蜘蛛男の腕を引き千切る。
激痛に悲鳴を上げる蜘蛛男。腕からは血飛沫が飛び散る。
「 お前らの悲鳴が 俺の生きる糧 」ライダーは蜘蛛男の腕をもう一本引き千切る。
うめきながら悲鳴を上げる蜘蛛男。
「 お前らの苦痛が 俺の喜び 」蜘蛛男の腕がもう一本引き千切られる。
「 お前らの死が 俺のやすらぎ 」さらにもう一本の腕が引き千切られる。
「 俺と同じ醜い改造人間 」そしてもう一本の腕が。
「 俺はお前らの存在を許さない 」ライダーは蜘蛛男のすべての腕を引き千切る。
そしてライダーは蜘蛛男の首に腕を回し、羽交い絞めにする。
「蜘蛛男 お前を処刑する」
ライダーは蜘蛛男の首に回した腕に力を込め、蜘蛛男の首を引き千切る。
断末魔を共に、血飛沫が辺り一面を血の海に変える。
血塗れになったライダーは蜘蛛男の首を手に、渾身の力を込めて握り潰す。
グシャッという音と共に、血飛沫が噴き上がり、肉片が飛び散る。
全身を真っ赤な血に染めた仮面ライダー。
「処刑 完了」
人間の姿に戻ったタケシは、研究室を後にしようといしていた。
あまりの出来事に極限状態を通り越し、放心状態だったルリ子。
人間であるタケシの姿を見て、我に帰ったルリ子は叫ぶ。
「嘘よっ!!全部出たらめよっ!!」
「人殺しっ!!お父様を殺した、人殺しっ!!」
タケシは後ろを振り返ることなく言う。
「そう呼ばれるのは慣れている、いつものことだ」
タケシはルリ子を残して研究室を後にする。
外に止めてあったバイクに跨り、走り出すタケシ。
タケシはそのまま夜の深い深い闇の中へと消えて行くのであった。
519 :
↑:03/08/03 02:39 ID:KdqYqtKb
だんだん短編でもなくなってきたような気が(汗
ルリ子の運命は蝙蝠男編に持ち込しです
ですが次はバイオレンスV3を先にやろうかと思ってます
でもV3は書くのがコワイんだよなぁ、構想だとほとんど内容ホラーなんだもん(汗
盛りあがってますね、バイオレンスライダーズ。
日本沈没…の合間に衝動書きしてみたので、ひとつ便乗させて下さい。
薄暗い洞窟の奥に、その奇怪な姿は鎮座していた。
赤黒い巨岩に刻まれた、幾つもの邪悪な貌。インカ超文明の遺産を狙う秘密結社
“ゲドン”の首領、十面鬼ゴルゴスである。
『ようこそ、我がゲドンのアジトへ』
割鐘のような声が響く。
だが、ダブルのスーツを纏った訪問者は全く動じる様子すら見せなかった。
男は岩彫りの椅子に腰掛けると、ゆっくりと話をきりだした。
「…今日は、ひとつ提案がありましてね」
十面鬼の身体に並ぶ悪人達の顔が、一斉に男を睨みつける。
「御存知のとおり、我々はこれまで二つの腕輪を巡って抗争を続けてきました。
じつに不毛な争いだ。私も本来、少なからず多忙な身でしてね…この数ヶ月間に
我が社が蒙った損害は計り知れない。一方――」
男は、がらんとした洞窟を眺めわたした。
「貴方がたも擁する獣人のことごとくを失い、著しく疲弊している。
…いかがでしょう。ここはひとつ休戦協定を結びませんか」
ざわめく悪人達を、ゴルゴス本体が制する。
『ほう、条件は?』
「ゲドンには、ギギの腕輪から手をひいていただきたい。代償として、我が社は
貴方の身の安全を保障し、日本国脱出の便宜をはかる事をお約束しましょう」
それは、事実上の降伏勧告だった。悪人達の罵声が飛び交う。
『我がゲドンも見縊られたものだな…獣人ヘビトンボよ!』
十面鬼の声に呼応して、暗闇から巨大な怪虫がのっそりと現れた。
「やれやれ…交渉決裂ですか」
スーツの男が立ち上がる。
『頼んだぞ、獣人ヘビトンボよ。我々には、もはやお前しか残されていない』
獣人は恭しく一礼すると、男の前に躍り出た。
男は隙のない構えをとり、じりじりと距離を詰めていく。
『やれぃっ!』
十面鬼が叫ぶ。次の瞬間、獣人の口から緑色の溶解液が放たれた。
ジュウッと肉が焦げる音がして、周囲に異臭が漂う。
だが――焼け爛れた顔を抑えて苦悶しているのは、スーツの男ではなく十面鬼
ゴルゴスだった。何が起きたのか理解すらできていない十面鬼を哀れむように、
男が首を振る。
「ま、出来の悪いアタマを幾つ並べていても役には立たねぇってことだな」
男の口調は、先程までの紳士的な態度とは一変していた。
「じゃ…あばよ」
洞窟に静寂がひろがった。それは、ゲドンの壊滅を告げる沈黙だった。
「あとの処理は、我が社のエージェントがおこなう」
背後に獣人ヘビトンボを従えた男は、スーツに散った血飛沫をぬぐった。
「君のおかげだ、感謝するよ。君には、契約どおり…」
「礼には及ばんさ。ゲドンを裏切ったのは……貴様のためではないッ!」
男の言葉をさえぎり、鋭い鋏を振りおろす獣人ヘビトンボ。
だが、彼は獣人に背を向けたまま片手でその一撃を受けとめた。
くるりと振り向いた男はスーツの襟をただすと、静かに一言呟く。
「…アマゾン」
男の身体がまばゆい光に包まれ、アマゾンライダーの姿へと変わる。
「上等だ。さあ、やろうじゃねぇか」
何処からともなく現れる黒服の戦闘員達――黒ジューシャ。
「へぇ…こいつらが本当のお仲間ってわけかい?」
アマゾンは跳躍し、次々と黒ジューシャを屠っていく。
鮮血を浴びるたびに、その背鰭が嬉しそうな音を立ててはためいた。
獣人は、強靭な尾を振り回してアマゾンに襲いかかった。
しかし、乱闘する黒ジューシャ達が邪魔で思うように標的を捉えられない。
業を煮やした獣人は二対の羽根をひろげると、宙に舞いあがった。
「死ねぃッ!」
緑の溶解液が迸る。アマゾンは咄嗟に傍らの黒ジューシャを掴むと、
その身体を盾代わりにした。断末魔の悲鳴とともに、白煙がたちこめる。
噎せ返るような白煙は、ほんの一瞬だけすべての視界をさえぎった。
そして煙が晴れたとき、アマゾンの姿は忽然と消え失せていた。
獲物を捜して右往左往する黒ジューシャ達。
「おのれッ、何処に隠れた!」
「――はははは、こっちだよ。何処見てやがるんだ」
からかうようなアマゾンの声は、洞窟の壁や天井に反射してあらゆる方向から
聴こえてくる。焦ったヘビトンボが、手当たり次第に溶解液を放つ。
だが、いずれの岩陰にもアマゾンの姿はない。
「…ばぁか。俺は此処だよっ!」
空中を飛び回る獣人ヘビトンボのさらに頭上。
洞窟の天蓋からのびた石筍に、アマゾンはしがみついていた。
勢いよく天蓋を蹴ったアマゾンは獣人の背中に飛び乗り、しなやかな羽根を
引き裂く。もがきながら墜落していく獣人めがけ――
「大…切…断っ!」
肉片の雨が、洞窟へと降りそそいだ。
闘いを終えたスーツの男は、洞窟の奥へと引き返した。
無惨に転がっているゴルゴスの屍体を、男が無造作に蹴りあげる。
次の瞬間、彼は怪訝な表情を浮かべた。屍体には右腕がなかった。
ガガの腕輪が嵌めこまれている右腕は、肩からばっさりと斬り落とされていた。
「さっきの連中の仕業か――面白いじゃねぇか」
新たな敵が何者であるかは、まだ判らない。
だが、唯一つ言えることがある。相手が同じく超文明の遺産を求める者である
以上は、いずれにせよ決着をつけなければならない。
「弱い奴は喰われ、強い奴だけが生き残る…そして、すべての敵を蹴落とした
奴だけが、てめぇの望みを叶えられるんだ」
敗者の骸を一瞥すると、男は新たな戦いにむけて歩きはじめた。
「人間はな…みんな、獣なんだよ」
男は、世界的な巨大企業グループの総帥であった。
しかし、南米支社視察の途上で飛行機事故に遭遇し瀕死の重傷を負った彼は
長老バゴーによってギギの腕輪を移植され、新たなる神秘の生命を与えられた
のであった。
山本大介に代わりアマゾンライダーとなった彼の名は、高見沢逸郎。
ギギとガガ、二つの腕輪が揃うとき、彼はいかなる“力”を手にするのか――
525 :
487:03/08/03 07:21 ID:R/ZcRf+T
>461
オリジナル大変でしょうけど頑張って下さい!
>505
い、何時の間に、(w
でもカコイイ(・∀・)!!
>510=バイオレンス〜作者さん
浅倉大暴れ&見事な逆襲振りが痛快です!「処刑、完了」の台詞にはもう(;´Д`)ハァハァ
やっぱ決め台詞(殺し文句?)が有るとドラマが引き締まりますね、いいなあ。
>◆HqKATooXaI
高見沢アマゾソキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
何か、巧い人達ばっかりで、発表止めたくなっちゃうな(w
「...アマゾン」いいですね!
「ヴァアアアッ!」
深夜の廃工場に怒号が響く。
その、あらゆる者を怨嗟する様な声の主は明らかに人間ではなかった。
人間の四肢と等しいバランスを持ちながら、どこか捩れ、節くれだち
黄緑色がかった全身は破れた廃工場の屋根より零れる月光にぬめるような光を返す。
それは、人々に伝承の闇に埋もれ消えた太古の悪魔を記憶から呼び起こさせる。
「仮面ライダー」、それが、この闇に潜む異形の名だった。
そしてその異形に対峙する者も又、異形。
常人を遥かに超える巨躯は分厚い鋼の肉体に覆われ、浪打ち呼吸する様は
仏教の力士像を想起させるが、信仰の対象からは程遠い。
その、鋼の男は一歩一歩、相手の気迫を押し潰すかの様に、
仮面ライダーへの距離を詰めていく。
対する仮面ライダーは、その赤い双眸を闇から覗かせるだけで、一向に動く気配が無い。
一歩、又一歩。
もう、仮面ライダーへ手を伸ばせば、届いてしまう、そんな距離まで詰まってもライダーは
指一本動かす気配が無かった。
鋼の男が右腕を振り上げる、その腕が見る間に鋭い刃に変わっていく。
その瞬間、遂にライダーが動いた。
「ヴァアアアアアアアッッ!」
バッタのような顎が開き、又、あの聴く者を呪い殺すような忌まわしい雄叫びと共に両腕、
脛から鋸刃のような爪が飛び出す!
そしてライダーは一瞬の迷いも見せずジャンプしつつ左足を蹴り上げ、
振り下ろしのモーションでスパインカッターを使い男の右腕を切り落とすと、
男に対して反対向きに着地、今度は回しげりで男の両足を切り落とした。
更には男の胴体を踏みつけ左腕を大根でも抜く様にむしり取ると、
達磨の様になった男の喉元に手刀を突き入れ、胴体から切り離した。
引きちぎった四肢はまだ断末魔の如く、脈動している。
相手の真意も問わず、何故このような行為に及べるのだろうか。
その問いの答えは、仮面ライダーの視線の向こうに、開け放たれた扉の先に隠れていた。
「そろそろ入って来たら如何ですか」
そう言うとライダーは切り飛ばしたばかりの男の頭をドアの向こうに放り投げる。
ややあってから、ドアの向こうからくぐもった笑い声と共に慇懃な態度の男が入って来た。
「クククッ、こんな危ない代物を投げちゃいけませんな」
抱えた頭の一部を人間とは思えない怪力で引きちぎるとスイッチパネルが現れた。
まるでそのスイッチパネルを電卓でも扱うが如く複数のコードを入力すると、
辺りに散らばっていた四肢の動きも停止した。
「やはりレベル2の剛島君では説得はムリでしたか、虎の子の自爆装置まで見抜かれてはねえ」
相変わらず慇懃な調子でサイボーグ=剛島の頭を弄び続ける男に、ライダーは返した。
「説得と言うのは本来もっと穏便なものですよ、少なくとも妻子を拉致したりはしない物です、鬼塚先生」
ライダーの言葉に眉間に皺を刻みつつも、鬼塚の口調は変わらない。
「全く、貴方は現場の人間だというのに、物事に深入りしすぎです、奥さんも息子さんも不幸にしますよ、香川君」
ここで本来の香川だったら苦笑を浮かべたのかも知れないが、今は瞳の無い真っ赤な目、
微笑みを浮かべる事すら出来ない。
しかし、香川秀行=仮面ライダーの心の内は言の葉に乗って鬼塚に突きつけられた。
「知っています、妻も息子も財団の遺伝子データバンク管理下に置かれ、もう、この世には居ません」
その言葉は遂に鬼塚の虚勢の仮面を剥がす事に成功した、尚も仮面の香川は続ける、
「私がレベル3改造の被験体が事故で死亡した際に已む無く志願したのは妻に子供が出来る二ヶ月前だった、
貴方が、嫌、財団が遺伝子改造体の因子の受胎者とその結果を欲しがらない筈は、無い」
沈黙が支配する中で、香川は種明かしをした。
「財団に内緒にしてまで不死の肉体に焦がれていましたか、鬼塚先生」
そして、その言葉は鬼塚の自制心を吹き飛ばすのに充分だった。
鬼塚の身体はまるでロウ人形の様に崩れだし、香川と同種の改造人間へと変貌を遂げた。
香川には此処までの流れは手に取るように判っていた。
同種の遺伝子改造を受けた被験体は、より優生である被験体へと無意識の裡に
各種の情報を伝えることが判っていたのだ、それも他ならぬ息子との生活で。
事実、息子の能力発言は香川自身の変身能力の覚醒よりも早く、より高次のレベルに
及んでいた。
「ヴァァァァァッ!」
気が触れたかのごとく喚き散らしながら猛然とパンチのラッシュを浴びせてくる鬼塚、
しかし香川はその拳を正面から受け止め、一気に握り潰した。
「個人的な調整のみの貴方が私に勝てる訳が無いでしょう」
それは共食いですらない、圧倒的な捕食行為だった。香川は顎を開き、
振りほどこうともがく鬼塚の首筋に喰らい付く、その瞬間笑っているように、見えた。
現場には鬼塚の亡骸は一片たりとも残らず、ただ、血溜りが広がるばかりだった。
(人は何か犠牲を払わなければ、英雄にはなれない)
香川英行の座右の銘である、今度は「財団」に払ってもらう番だ。
元の人間の姿に戻った香川は仲間と合流するべく、別の隠れ家へとバイクを走らせる。
彼の名は仮面ライダー・シン、「罪」の名を持つ戦士。
しまった、オイラも誤変換ハケーン
>事実、息子の能力発言(誤)
>事実、息子の能力発現(正)
で脳内補完おながいします(冷汗
皆さんが宜しければ次回このシリーズでZOをやらせてもらいたいのですが、どうでしょ?
続々と集結するライダー戦士達
>◆HqKATooXaI
高見沢アマゾソキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
日本沈没の作者さんにまで書いていただいて嬉しい限りです。
相変わらず無駄のない美しい文章、素敵です。
遺跡争奪戦も主役キャラ変えると、別の話になりますね。
インディジョーンズのような冒険活劇の雰囲気を感じました。
>>バイオレンス真作者様
教授シソキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
妻子持ちの教授と真のストーリーが絶妙にマッチングしてますね。
ハードボイルド具合もいい感じです。
ZOも楽しみにしておりますので、是非投稿してください。
個人的には、ネタが被っていてもいいかなとも思ってます。
1号、2号、V3、浅倉、北岡、木野などなど、
俺ならこの組合せでこういう話にするってのもよいかと。
とりあえず私は木野V3でいきますが、
蓮V3でやりたい人とかいたらどんどんやちゃってください。
男は優秀な外科医だった。その天才的なメス捌きとセンスは今迄にいくつもの奇跡を生み出して来た。
そんな彼には若くして城南大学病院の次期教授の呼び声も高かった。
その彼の下にとある患者が送られてくる、それがすべてのはじまりでもあった。
その患者は悪性の腫瘍と多機臓障害を併発しており、このままでは余命幾ばくもなかった。
手術も極めて困難で、成功の確率は数パーセントしかないと言われていた。
だがその患者は超大物政治家であり、どうしても手術を成功させなければならなかった。
そこで若き天才外科医と呼ばれる彼に白羽の矢が立てられたという訳だ。
彼は資料を見ながら手術の為の最終確認を行っていた。
彼にとっては患者が大物政治家であろうが、何であろうが変わりはなかった。
彼の前に立つ者はすべて等しく患者という存在であり、それ以外の肩書きなどは彼には関係がなかった。
彼の名前は木野薫、若き天才外科医。
部屋の電気を消してカルテを見る木野の背後に音もなく忍び寄る人影。
豹柄のジャケットを着込み、スキンヘッドの頭を隠すようにバンダナを被り、
目、鼻、耳、唇、舌、顔の至る所にピアスをした男、それが忍び寄る影の正体だった。
「、、先生、お話があるんですがね」突然声を掛けられた木野は驚く。
振り返りピアスの男を見た木野はまた驚く。「君は一体?ここは関係者以外立入禁止だぞ」
「関係者と言えば、関係者みたいなもんなんですがね」ピアスの男は口元に不敵な笑みを浮かべる。
「先生、今度の手術は止めてもらえませんかねぇ」
ピアスの男は唇のピアスを指先で弄りがしながら用件を切り出す。
「あの男は、我々の組織にとって非常に邪魔な存在でしてね」
「馬鹿を言うな、君達が何者かは知らないが、私はただ患者の命を救うことに専念するまでだ」
「あの男は有名ですから、表立って無闇に暗殺する訳にもいきませんしね。
我々はまだ組織のことを世に知られたくありませんし。ここで死んでもらうのは都合がいいのですがね」
「君は一体何を言っているんだ?」当然木野にはピアスの男の言っていることが良くわからなかった。
「先生、我々の申し出をどうしても拒否するおつもりで?」
「もちろんだ、私にとってあの患者はただの患者にしか過ぎない。私は私に与えられた使命を果たすまでだ。」
「先生、そんなこと言っていると、あなたきっと後悔することになりますよ」
「脅しか?私はそんな脅しには屈しない」
「そうですか、残念ですね。我々の組織の名はデストロン。
先生、よく覚えておいてくださいよ、いや一生忘れられない名前になるでしょうがね。」
ピアスの男はそう言い残して部屋を去って行く。
一体あのピアスの男は何者だったのか?木野はそう思いながら急いで部屋を出る。
だが病院の廊下には、胸を巨大な刃物で突き刺されたかのように、
胸を切り裂かれた看護婦、患者、警備員の姿がいたる所に倒れていた。
病院の中は血の海となり、壁の至る所に地飛沫の後が残り、惨劇の場と化していた。
「な、何なんだこれはっ!?」背筋に寒気が走り、冷汗が大量に湧き出し、流れて来る。
木野はこの非日常の惨劇を前に、胸騒ぎを覚え、走り出す。
木野はバイクを飛ばして急いで帰宅する。彼は両親と弟・雅人と共に暮らしていた。
家に電話をかけても繋がらない為、もしや家族の身に何か起きたのではないかと不安になり帰宅したのだった。
自宅の前でバイクを降りる木野、すると何処からともなく黒いボディに白いライン、
胸に蠍の白いマークが入った不気味な男達の集団が現れる。
「なんだっ、こいつらは?」奇声を発しながら木野に襲いかかる戦闘員達。
多少は腕に覚えがある木野は、これに応戦する。戦闘員のパンチをかい潜りボディに拳を叩き込む。
だが多勢に無勢、戦闘員に囲まれた木野は結局袋叩きにされてしまう。
道路に突っ伏し倒れている木野。デストロン戦闘員はその木野の両腕を持って、上半身を起こす。
道に膝を着き、両腕を戦闘員に抑えられ身動きが取れない木野。
その木野の前に先程のピアスの男が姿を現す。
「先生、だから言ったじゃないですか、我々の申し出を断ると後悔しますよ、って」
ピアスの男は口元に不敵な笑みを浮かべる。
「そうだ、先生に是非見せたいものがあるんですよ」
ピアスの男はそう言って、木野の前にサッカーボールぐらいの球体を2つ放り投げる。
それは木野の目の前に転がって止まる。
それを凝視する木野は狂わんばかりの雄叫びを上げる。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!」
それは木野の父と母の生首であった。まだ時間が経過していない生々しい鮮血に血塗られた両親の首。
半狂乱で絶叫する木野。「貴様っ!!貴様っ!!」
「先生、これぐらいで驚いてちゃぁ、まだまだですぜ」「先生の為に面白い趣向を用意してあるんですから」
ピアスの男の合図で、戦闘員に連れて来られる木野の弟・雅人。
雅人は殴られ過ぎて顔を赤黒く腫らして、意識も朦朧としている様子であった。
「雅人っ!!」「、、に、、兄さん?、、」木野の声に微かに反応する弟・雅人。
「It's showtime ここからがお楽しみですよ、先生」ピアスの男は自らの唇のピアスを指で引き千切る。
その瞬間、ピアスの男の姿は見る見るうちに化け物の姿へと変わって行く。
それは手に巨大なハサミを持つジャガーという異形の姿であった。
雅人の体を押さえ込む戦闘員。ハサミジャガーは両腕をクロスさせ、巨大なハサミを準備する。
「まっ、まさかっ!!」「やめろっ!!やめろっ!!」
身動きの取れない木野の悲痛なる叫びがこだまする。「まずはこの辺からかな」
ハサミジャガーは雅人の右腕をその巨大なハサミで一気に切断する。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!」
骨を断ち切る鈍い音と共に、雅人の張り裂けんばかりの悲鳴が轟く。
切断された右腕から血飛沫を上げながら、激痛にのたうちまわる雅人。
同時にその光景を見ていた木野も張り裂けんばかりに叫ぶ。
「やめろっ!!やめろっ!!やめろっーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
必死に戦闘員に抑えられた腕を振りほどこうと抵抗するが、身動きの取れない木野。
木野はその残虐な行為をただ見ていることしか出来なかった。
「わかった、わかった、お前達の言う通りにするっ、
何でもお前達の言う事を聞くっ、だから、だからもう止めてくれっ!!」
愛する弟・雅人が苦痛に喘ぐ姿を見て、ついに木野は懇願する。
「先生、遅いよ、もう遅過ぎるんだよ。
組織に刃向かう奴らへの見せしめとして、先生達は処刑されることに決まったんだよ。」
「それにね、先生。俺ももうこうなっちまったら止まんねぇんだよ。
人間をいたぶるのが何よりも好きなもんでね、俺も」
ハサミジャガーはそう言うと今度は雅人の左腕を切り落とす。
張り裂けんばかりの悲鳴を上げ、のたうちまわる雅人。
「先生、愛する弟さんとの永遠のお別れだよ。何か別れの言葉はないのかい?」
「クゥゥゥゥゥッ」愛する弟が目の前で殺されようとしているのに何も出来ず、無念の唸り声を上げる木野。
ハサミジャガーの腕の巨大なハサミは容赦なく雅人の首元に突きつけられる。
「やめろっ!!やめろっ!!やめろっーーーーーーーーーーーーー!!!!!」木野は狂ったように叫び続ける。
ハサミジャガーのハサミが勢い良く閉じる。
「雅人っ!!雅人っ!!雅人っ!!」
雅人の首が刎ねられ、その時の勢いで首は空高く舞い上がり、木野の前に転がり落ちる。
首を無くした雅人の胴体から血飛沫が噴水のように勢い良く吹き上がる。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!」木野の絶叫は止むことなくいつまで続いていた。
「先生、次はいよいよ先生の番ですぜ」ハサミジャガーは木野の前に立ちはだかる。
木野は下からハサミジャガーを睨みつける「貴様らっ、絶対に許さんっ!!」
「先生、許すも何も、先生の命もここで終わりですぜ」
ハサミジャガーは腕の巨大なハサミを木野に向ける。
「まずは、、そうだな先生のこの指から行きましょうか」
「先生のこの指がいけないんだぁ、この神の手と呼ばれるこの指が、
先生の家族も先生の人生も台無しにしちまったぁ」
「せいぜいこの奇跡の指を呪ってくださいよ、ねぇ先生」
ハサミジャガーはそう言うと、木野の右腕の4本の指を一気に切り落とす。
「ぐおぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」4本の指は切られた勢いで何処かへと飛んで行く。激痛に悶絶する木野。
「次は、この辺ですかね」ハサミジャガーは木野の右腕の手首から先を切り落とす。激痛にのたうちまわる木野。
「じゃぁ次は一気にこの辺まで行きましょうか、先生」ハサミジャガーは木野の右腕の肘から先を切り落とす。
さらにハサミジャガーは上腕筋あたり迄を切り落とす。汗を吹き上げ、歯を食いしばり激痛に悶絶する木野。
その時、そこに駆けつける人影。それは本郷猛、一文字隼人、
滝一也をはじめとするアンチショッカー同盟の面々であった。
運命のいたずらで改造人間になることを免れた本郷猛と一文字隼人。
だが彼らはそれでもなお別のカタチでショッカーと戦っていた。
アンチショッカー同盟の面々はハサミジャガー、戦闘員に向かって銃を発砲する。
「チッ、面倒な奴らが来やがった」
「先生、もっとじっくり先生をいたぶりたかったですけど、これでお別れですぜ」
ハサミジャガーはそう言うと、腕のハサミで木野の腕を貫いた。
木野の胸を突き破り飛び出る巨大なハサミの刃先。
そしてハサミジャガー達は撤退して行く。
木野に駆け寄る本郷猛と一文字隼人。「木野っ、しっかりしろっ!!」
ハサミジャガーのハサミは奇跡的に心臓には突き刺さってはいなかった。
だが肺を貫かれた木野の命はそう長くないことは明白だった。
木野は激痛に耐え、最後の執念で本郷猛に言い残す。
「、、本郷、、俺はもうダメだっ、、俺の最後の願いを、、」
「、、俺に力をっ、、お前の研究している力を、、俺に、、」
木野はそう言うと、口から大量の血を吐き、意識を失う。
本郷猛と木野薫は城南大学時代の仲間でもあった。
改造人間になることを免れた本郷は、アンチショッカー同盟に身を置きながら改造人間の研究を続けていた。
それはショッカーとの激闘の末、生死不明の行方不明となった、浅倉1号、北岡2号のデータを研究し、
さらにその能力を上回る改造人間を誕生させる研究であった。
本郷は自らがその改造人間となり、ショッカーと戦うことを前提に研究を続けていたのだった。
「どうするんだ?本郷。このままでは彼はいずれ死んでしまうぞ」
「・・・・・」しばし目を閉じ悩む本郷。次に本郷が目を開けた時、本郷はこう言った。
「一文字、お前も手伝ってくれ」
ここは都内某所にある、ネットニュース「OREジャーナル」本社。
ここでは、一人の男、城戸真司が働いていた。
「おい真司〜っ!」
真司を呼ぶ編集長大久保。
「はい、編集長。」
「ここ誤字があるぞ!」
「すいません・・・・」
「ったく・・・」
いつもこんなやり取りが繰り広げられている、そこへベテラン編集員、令子が
帰って来た。
「編集長、例の事件、取材完了しました。」
「ん?あ、あれか。」
「凶悪犯浅倉威、弁護士北岡秀一、外科医木野薫他3名の行方不明事件、何か
裏がありそうですね。」
「ああ、浅倉の最後の目撃情報は海上の客船、しかもパーティーの主催者は
変な化け物に殺されたとか、木野薫の両親とその弟木野雅人はバラバラ死体に
なって発見されるとか、なんかありそうだよな。」
大久保が言った。
「それに、都内某所で最近目撃されている6人の異型の怪物。」
「なんか共通点ありそうだなぁ。」
そこに真司が口を挟んだ。
「そう言えば、こないだその近くに住む子供達に取材したら、その怪物、すごい
人気で、子供達は『仮面ライダー』って・・・・」
真司が言い終える前に大久保が怒鳴った。
「お前は荷物まとめてろ!」
「・・・・はい・・・ってえっ!?」
「お前、明日から3日休暇ね。」
「あ、ありがとうございます、それじゃ。」
そう言うと、真司は速攻で荷物をまとめると、去って行った。
そんな真司を木の間から見つめる男。
「あいつが城戸真司・・・・・」
木野の改造人間手術を行う本郷猛と一文字隼人、そしてアンチショッカー同盟の科学者達。
だがハサミジャガーに切り刻まれた右腕だけは、その科学力を持ってしても修復は不可能であった。
そこで本郷猛は、ある決断を下す。
木野の弟・雅人の体の中で、現場で唯一収容された右腕を木野に移植することにする。
「木野よ、お前の愛する弟の腕をお前に移植する。
お前の愛する弟はお前の体の一部となったのだ、お前は常に愛する弟と共にある、そのことを忘れるな」
本郷は意識のない木野薫にそう語りかける。
木野の改造人間の手術は数日という長時間に渡って行われた。
だがその木野の改造手術が行われているアンチショッカー同盟のアジトに乗り込んで来るハサミジャガー。
ハサミジャガーの使命は、旧ショッカー、現デストロンに刃向かう者達の抹殺であった。
今度はカメバズーカと共にアンチショッカー同盟のアジトに逆襲を仕掛けるハサミジャガー。
カメバズーカのバズーカが火を噴き、轟音と共に爆煙が上がり、人々を吹き飛ばす。
直撃を受け一瞬のうちに命を散らす人々、爆発に巻き込まれ、手や足をもぎ取られ負傷する人々。
カメバズーカの砲撃の合間を縫って、ハサミジャガーは戦闘員と共に突撃、
兵士達をその巨大なハサミで真っ二つに切り裂いて行く。
血飛沫を上げ、倒れて行く兵士達。人間の血で血塗れになりながら、その血を美味しそうに舐めるハサミジャガー。
木野の改造手術を終えた本郷猛と一文字隼人もデストロンの襲撃に応戦するが、
戦闘の最中、その消息がわからなくなてしまう。
カメバズーカと共にアンチショッカー同盟の基地をほぼ壊滅させたハサミジャガーが、その勝利に酔っている時であった。
ビルの上に突如として姿を現す人影。
(´-`).。oO(大丈夫かな?・・・
みなさんお久しぶりです!
300レスぶりぐらいかな、生きてましたよ〜。
忘れてる方もいらっしゃると思うので、一応アンカー付けときます。
前スレ544,557-561,596-601
>>109-111 >>237-241 題名、掲載数も付けてみました。
以後、これで行きます。ヨロシク!
今回は一条の一人称形式で書いてみました。
毎回少しずつ試行錯誤を繰り返しているつもりなので、
感想頂けるとうれしいです。
通報にあった埠頭の倉庫に到着した俺は、多少焦っていた。
怪物が出たという情報にまず間違いは無いだろう。未確認が出て以来、
デマの通報をしてくる市民はまず現れていない。
本当の恐怖に出会えば、弱者は団結しようとするのだろう。
だが俺たちはたいした装備もせずにここに来てしまった。
須藤君と俺は私服のスーツに防弾チョッキ、オートの拳銃。
五代に至ってはTシャツにジーパンだ。
油断していた。五代を変身させることだけは止めなければと思っているにもかかわらず、
俺はこんな時にあのころの慣習を引きずっている。
「一条さん。」
声をかけられて我に返った。覆面パトから降りてきた五代だ。
「とりあえず、この辺を回ってみましょうか。」
「あ、ああ。」
急に思考が変わったせいか、脊髄反射のように返事をしてしまった。
「一般市民の避難も、念のため行ったそうです。すでに完了しています。」
無線での通信が終わった須藤君が言う。
「分かった。では、手分けはしないで探索しようか。」
「はい。」
二人がほぼ同時に返事をする。やはり焦っているのか、
その情景にも言いようのない不安を感じる。
「須藤君、通報者の証言を説明してくれるか?」
五代と並んで後ろを歩く男に尋ねる。
「はい。通報者は今から10分ほど前、この倉庫街で鏡から金色の
怪物が現れたと証言しています。それと、行き止まりから現れ、いつの間にか
消えていたそうです。」
「そうか。体を透明にしたのか、瞬間移動でも出来るのか・・・。」
独り呟く。そんな能力を持った未確認やアンノウンも有った。
やはり五代は帰しておくかとも考えたが、思い止まる。
奴ともそれなりの付き合いだ。ここで・・・いや、どこで言ったところで
耳も貸さないことくらいは分かっている。
「場所は?」
「丁度あのビルを曲がったあたりです。」
須藤君が倉庫とビルで作られた路地を指差したあたりで、五代が叫ぶ。
「一条さん!危ない!」
その声を聞き終わらないうちに、俺の脳は揺すぶられ、
視界が収縮した。
どうやら後頭部を殴打されたらしいが、何とか意識は保っていられた。
目の前は白いフィルターがかかったようにかすんでいるが、
これくらいなら何度も経験している。
俺は二人と犯人・・・おそらく人ではないだろうが・・・を確認するため、
必死に体を捻り、仰向けに受け身をとる。
その瞬間に見えたのは黄金に輝く、上半身は蟹、下半身は人の
人外の者・・・受けた印象は獣に近い怪物だった。
そしてそれに捕まれた須藤君と、さらにそれを追いかける五代の姿。
その一瞬後には須藤君と怪物はビルのガラスの中に消えていた。
(そうか・・・奴は鏡の中を・・・)
朦朧とした意識で考えていると、ポケットの携帯が鳴り響いた。
なにも考えずに小さな機械を耳に当てると、そこから金切り声が聞こえる。
「一条君!聞こえる!?一条君!」
榎田さんだ。
「はい。聞こえますよ。」
少し声が掠れる。
「良かった。未確認生命体は?もう出た?」
「はい。それで今忙しいので、切りますよ。」
「ちょ、ちょっとまってよ。五代君は?もう変身しちゃった?」
(そうだ、五代は・・・。)
辺りを見回すと、五代は怪物と須藤君が消えたガラスを覗き込んでいた。
「大丈夫。まだです。」
「そう、じゃあ良く聞いてね。良い?一条君も分かってると思うけど、
絶対に五代君をクウガにしないで!小沢ちゃんのアマダム解析で重要なことが判明したのよ。」
「重要なこと!?どういうことですか?」
「五代君とアマダムは融合して共生している状態だったけど、第0号との戦いで重傷を受けた
アマダムは、五代君の体にも大きな影響を与えていたの。
これくらいは一条君も予想が付いてたと思うけど、その影響って言うのが問題でね、
今五代君は、完璧に『アマダムに生かされてる』状態なのよ!」
「アマダムに・・・?」
「そう。今五代君の心肺機能の中心を担っているのはアマダムなの。
心臓はほぼその役目も果たしていないわ。」
「まさか!そんなことが。」
「あるんだからしょうがないじゃない!だから、今アマダムが対外に露出するクウガの姿になるのは
鎧を付けた心臓をお腹に付けるのと同じなのよ。確実に第0号戦の直前より悪い状態よ!」
「そんな・・・。」
想像はしていた。だからこそ五代を変身させないように努めようと思っていた。
だが、実際に事実を突きつけられると、やはりそのショックは大きかった。
仰向けに寝転がったまま左手で携帯を耳に付け、右手で頭を叩く。
「一条さん!見て下さい!」
五代の声がした。体を起こしてみると、五代がさっきのガラスに寄りかかっている。
寄りかかっている・・・?違う、五代の手はガラスをすり抜けていた。
いや、それも少し違うように見える。まるでガラスの中に、空気か、水か、
もしくは真空なのか、とにかく別の空間が広がっているかのようだ。
そしてガラスの中に入っている五代の肘から先は・・・
「だめだ!それだけはいけない!」
肘から先は黒いラバーのような肌に赤の腕当てとアンクル、
見間違うはずもない、クウガの物だった。
「でも一条さん、クウガになればこの中に入れそうな気がするんです。
そうすれば須藤さんを助けられるかもしれない!」
「それでもだ!死ぬぞ!」
俺の言葉を聞くと五代は笑った。あのときと、
・・・これで最後だと思っていた戦いへ赴く時と同じ顔で。
俺だって理解はしている。須藤君はこのままでは100%死んでしまうだろう。
彼を助ける方法は五代があの怪物のテリトリーに入っていく事意外無いだろう。
それで彼の死亡確率が少しでも減るなら、五代はそれに賭ける男だ。
たとえそれで二人の死亡確率が、足して199%になるとしても、
残りの一人0,5%に賭ける男なんだ。
「それじゃあ一条さん、行ってきます。」
五代が、4年前にはかなりの頻度で見ていた型をとる。
「変身!!」
・・・・・・
消えてしまった。やはりガラスをすり抜けるのではなく、跡形もなく消えた。
絶望と、何故か少しの安心で放心している俺を、急に激しい耳鳴りと
頭痛が襲う。蟹の怪物に襲われたときの傷が、今頃効きだしたかと思ったが、
どうやら少し違う。もっと高い、だが不快感は少ない耳鳴りが響く。
「あの男を助けたいか。」
声をした方に振り返ると、そこには長身のコートを着た男が立っていた。
「一条君?ちょっと一条君!どうしたのよ!コラ!ちょっt」
俺は携帯を切ると、重い体を立ち上がらせ、コートの男を睨み付けた。
(続く)
ここまでです。
誤字脱字は脳内補完おながいします。
では、おそらく遠い遠い未来にあげる事になるだろう
HandcuffsAndMasks(6)を待っててくれる人が居たら
うれしいな(´ー`)y─┛~~
ここは、真司の実家、ここには、父、政三一人しか住んでいなかった。
「ただいま〜」
真司が帰ってきた。
「おお、真司よ、帰ってきたか。」
父、政三は科学者が職業だが、科学の壁を越えるのが夢、そして格闘術にも
長けている。
「父さん、久しぶりに勝負。」
「ようし、いいだろう。」
そう言うと政三はメガネを取ると道着に着替え、家の庭にある道場へ向かった。
「行くぞ。」
「よっしゃっ。」
相手に向かっていく真司と政三・・・・・数時間後。
「強くなったな、真司。」
「父さんも相変わらずな。」
はっはっは・・・と聞こえてくる笑い声、そして、真司の部屋。
「ここは変わってないな〜」
ベッドに横たわる真司、数時間後、いきなり停電が起きた。
「うわっ、な、なんだぁ!」
「真司、真司!」
「・・・父さん。」
1階へ降りる真司。
「父さん、どこ?」
すると、蝋燭に火が点き、真司の目の前に政三が現れた。
「父さん、一体・・・」
「おそらく、ブラックサタンの改造電気人間がこの村の電気を吸い取っているんだろう。」
「ブラック・・・・サタン?」
話によると、政三が一度狙われた事があったらしい。
「でも、なんでそいつらが?」
「たぶん、お前を捕まえに来たんだろう。」
「!!!」
「はっはっはっ、その通りだ、城戸政三。」
政三が見た方向には、異型の怪物の姿が。
「ハサミジャガー、貴様だけは決して許さんっ!!」
ビルの上に立つ人影こそ改造人間手術を終えた木野薫。
「ま、まさか、あんた、先生!?生きていたとはっ!!」
「だがいいってことですよ、また俺がいたぶって切り刻んであげますよ、ねぇ先生」
「人間である俺はあの時を以って死んだ。そして俺は復讐鬼として生まれ変わった。
この俺の右腕が泣いている、お前達を地獄へ叩き落とせとなっ!!」
木野は身構える「変身っ!!」その低い力強い声に反応して木野の腰にベルトが現れる。
ベルトの力と技の風車・ダブルタイフーンが回り、ベルトから発せられる光に包まれ、木野の姿は異形の者へと変わって行く。
赤い仮面に緑のボディ、白いマフラーを風に颯爽となびかせる異形の復讐鬼、その名を仮面ライダーV3。
「はぁっ!」ジャンプして宙を舞いビルから飛び降りるV3、空中前転で地上に着地する。
ハサミジャガーと対峙するV3「まさか、先生がライダーになっちまうとは」
「貴様達に復讐する為なら、俺は喜んで悪魔に魂を売るっ!」
「ハサミジャガー、貴様のオペを開始するっ!!」
V3はその驚異の瞬発力でハサミジャガーとの間合いを詰める。
突進するV3にハサミで切りかかるハサミジャガー。そのハサミを腕でいとも容易く払いのけるV3。
完全にハサミジャガーの懐に入ったV3は、体を捻り体全身のバネを使って鉄拳を放つ。
ボディに直撃を受けたハサミジャガーは後方に大きく吹き飛ぶ。
「ハサミジャガー、貴様はそう簡単には殺さんっ!!」
吹き飛ぶハサミジャガーの先回りをして、宙に浮くハサミジャガーを上から叩き落とすV3。
地面に激しく打ちつけられるハサミジャガー。
V3は倒れるハサミジャガーの首根っこを掴み、無理矢理立ち上がらせる。
そして、ハサミジャガーの手首を掴み、ハサミのついた腕を引き千切る。
激痛に悲鳴を上げて悶絶するハサミジャガー。
「雅人の痛み、思い知れ」
「俺のこの右腕が泣いている」ハサミジャガーの耳を殺ぎ落とすV3。
「お前達を許しておくなと泣いている」ハサミジャガーの目をえぐり出す。
「お前達の悲鳴が この右腕への鎮魂歌(レクイエム)」ハサミジャガーの顎を叩き割る。
「お前達の苦痛が この右腕の安らぎ」V3は手刀でハサミジャガーの腹を切り裂く。
血飛沫が勢い良く上がり、V3は返り血を浴び、全身を赤く血塗られる。
「貴様らへの怒りと憎しみが 俺のすべて」ハサミジャガーの腹の中に手を突っ込んで内臓を引きずり出すV3。
「貴様らへの復讐が 俺のすべて」引きずり出した内臓を引き千切る。
「そうっ、俺は復讐鬼!!仮面ライダーV3!!」
ハサミジャガーの心臓部を手で鷲づかみにするV3。
トクントクンと心音にも似た鼓動が聞こえる。
その心臓部を一気に引き千切る。
ピーーーーーーーーーーーーという音と共に心臓部は機能を停止する。
V3は手にする心臓部を握り潰す。
グシャッという音と共に、血飛沫が噴き上がり、肉片が飛び散る。
全身を真っ赤な血に染めた仮面ライダーV3。
「オペ 完了」「デッドエンド」
人間の姿に戻った木野は、本郷猛が用意してくれていたバイクに跨って走り出す。
ハサミジャガーと一緒にいたカメバズーカの後を追って。
いや家族の仇であるデストロンのすべての改造人間達を追って。
それは、正義の為でも、人間の自由と平和の為でも、人間を守る為でもなく、
デストロンへの怒りと憎しみから、
そして弟雅人を守ることが出来ず目の前で惨殺された自分自身への怒りと憎しみからであった。
夜の深い深い闇の中へと走り続けて行く木野薫。彼こそは仮面ライダーV3。
3rd Victim(3番目の大罪)という名を持つ仮面の戦士。
個人的には木野さんはV3よりライダーマンのイメージがある。
だがV3木野さんもカッコイイ!
554 :
1:03/08/04 01:24 ID:qqS1MevI
>>HandcuffsAndMasks様
乙です、一人称形式良いですね。
心理描写の巧みさと相乗効果でかなりいいんじゃないでしょうか。
楽しみにしてる方は多いと思いますので、これからも是非続けてくださいね。
V3編、外科医と腕の設定を活かしたつもり
カメバズーカがどうしようか悩んでいるので、多分蝙蝠男が先になるかな。
そろそろ誰かバイオレンスXやってくれないかと期待してみる
バイオレンスX対バイオレンスアポロガイストなんかいいかも
バイオレンスキングダークは、ヤバ過ぎるな、大魔神か?(藁
>>HandcuffsAndMasks(5) ◆mgnDzvZ1fcさん
やはり継続する事の素晴らしさを窺わせる渋い描写力、オイラも次作お待ちしてます!
>>バイオレンスV3(元祖)作者さん
見事な横綱相撲、堪能させて戴きました(w
まだまだオイラは精進が足りませんね。
X、スカイはドラマの成立が本当に難しいですからね・・・(特にスカイ)
>>バイオレンス仮面ライダーストロンガー作者さん
やはりどこかで収斂する事が必要だと思っていたので、(1)の描写は有難いです
真司ストロンガーの更なる活躍を期待します!
>>バイオレンススーパー1作者さまへ
東條悟は本来の沖一也同様、武術の有段者と言う事でいいのでしょうか?
もし、そうならば東條に客演依頼をしたいのですが・・・
バイオレンス祭り真っ最中ですね。
>バイオレンスV3作者さん
V3のネーミングセンスがとてもイイ(・∀・)!!
>老師なんかも出しちゃってください(藁
いや・・・多分老師出ないと思います・・・・
ごめんなさぁぁぁぁい!・゜・(ノД`)・゜・。
>487さん
>でもカコイイ(・∀・)!!
ありがとうございます。
>HandcuffsAndMasksさん
一条さんの内面描写が凄いですね。
俺なんか足元にもおよばねえや(藁
>◆HqKATooXaIさん
高見沢でアマゾンって・・・凄い発想ですね。
日本沈没共々頑張ってください。
>バイオレンス真ライダー作者さん
>武術の有段者と言う事でいいのでしょうか?
はい、一応赤心少林拳を習ったと言う設定です。
>客演依頼をしたいのですが・・・
ぜひお願いします。
559 :
名無しより愛をこめて:03/08/04 17:54 ID:AOaWYvyd
うんこ
次スレ立てありがとう
<また俺が立てることになるかと思ってたよ(汗
しかしスレの半分以上を俺が使っているような気が(汗
みんな、ごめんね、俺のせいでスレの消費が激しくて(泣
みんなに喜んでもらえるようないい作品書くように頑張るから許して
HandcuffsAndMasksさんの影響受けて、俺も一人称形式やってみようかと思う
バイオレンスシリーズの番外編(?)で新作短編出すのでよろしく
<あんま懲りてない?(汗
大首領との最終決戦を迎え、遂に全員が揃ったバイオレンスライダーズ!!
浅倉1号「随分探したぞ、北岡、俺と闘えっ!!」
北岡2号「あんたもしつこいねぇ、そんなんじゃ女の子にもてないよぉっ」
木野V3「お前達の力では誰も守れはしないっ、力なき者は消えろっ」
○○ライダーマン「(今後のネタバレ防止の為、割愛)」
高見沢アマゾン「人間はな…みんな、獣なんだよ」
真司ストロンガー「よっしゃぁっ!!どんどんかかって来なさいっ!!」
東條スーパー1「僕は大切な人を奪った君達を許さない。」
教授シン「東條君、私は生きてますよ。敵を欺くにはまず味方から、これも兵法のひとつというものです」
大首領「こいつらと戦うの、なんか、嫌かも、、、」
戦闘員「そうですねぇ、まとまりないくせに、みんなバイオレンスですし、、」
主人公志津馬の正体は、バックルを装着するためのみに
作られた「試験管の中で出来た人造人間【通称バイオロイド】」の
失敗作です。(本来は破棄されるはずだった)。
彼が抱える苦悩とは、1、自分は廃棄されるはずだった
失敗作だということと、2、自分はやはり人造人間だとい
うことです(生身ですけど)。
来年のライダーのスレに、来年はキカイダーだという噂
があったから、盗作と言われる前に「一応、俺なりに考えた
キカイダーなどの人造人間の要素を、仮面ライダーに
転化した案」を書いてみました。
小説を書いてみたいと思うのですが、なにぶんオチも
途中経過も思いつかないんで、「自分が考えたライダー」
ってことで載せてみました。
笑いの種になれば幸いです。
564 :
1:03/08/05 00:36 ID:yJKb089q
>461=501様
絶対的な力を持つのがバックルで、
装着する側が使い捨てのパーツみたいなもの、
という設定はかなり面白いと思いますよ。
装着する人造人間によって、姿形や能力が異なってくるとか、
バックルを人造人間同士の争奪戦とか、そういう方向で話が進むのでしょうか?
上手いことやればかなり壮大な話になりそうなだけにもったいないですね。
とりあえず、メインの敵は9人で考えていたんですよ。
(その上に、ラスボス兼ジョーカーがいますけど)。
で、そのラスボスというのは「志津馬とうり2つの姿を持つ
完成されたバイオロイド」です。(石の森作品にある自分殺し
のテーマを入れてみました。あと9という数字は009が
モチーフです)。
>(その上に、ラスボス兼ジョーカーがいますけど)。
その中でした。
話の流れとしては、そんな感じです。「不完全VS
完全」というテーマでしてみたかったんですよ。
567 :
1:03/08/05 12:49 ID:5inFNZnm
確かにキカイダーに近い感じを受けますね。
後は人造人間の能力、どんな必殺技があるのかとか、
武器を使うのならどんな武器を使うのか、
敵キャラのキャラづけなどが明確になれば
短編ぐらいは出来そうな感じですが。
能力、心殺技、武器、キャラづけ、は、ちょっと考えてないです。
御免なさい。ところで、アバレンジャーとクウガを見て
クウガ究極フォームVSアバレキラー
第0号VSアバレッド(オオアバレモード?)
を想像したのは俺だけ?
まだバイオレンスライダーズに、須藤、芝浦が出てないな
彼らだったら誰がいいかな
後バイオレンスじゃなくてもいろんな人をライダーにしたい衝動に駆られる
・一条ライダー
・氷川(改造)ライダー
・北條(改造)ライダー
・小沢姐さんライダー
・真魚ライダー
・編集長ライダー
・恵ライダー
・ラッキークローバーの面々
・海堂ライダー
・長田ライダー
誰かチャレンジする猛者はいないか?(藁
>>569 一条ライダーはデフォで
構想練ってました・・・。
7か8あたりで出すと思います。
13ライダーですが、どれになるかはナイショ(死
571 :
1:03/08/06 18:15 ID:bPl6Yg+r
新スレも立ったのでちょっと実験的作品をやらせてもらってもいいかな?
既存キャラに後付けでオリジナル設定加えるのは基本的にやらないようにしているのだが、
試行錯誤、実験の一環としてちょっとやってみようかなと
>>HandcuffsAndMasks
一条ライダーすごく楽しみにしてまつ
ライダーになっても全然違和感ない人だよなぁ一条って
後、スマートレディライダーも有りだな(藁
,,,--─===─ヽ/へ
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コーヒーショップCOLの扉が開き、青年が顔を出した。
笑顔で出迎える立花藤兵衛。彼の傍らには見慣れない少女が寄り添っている。
「親父さん、この子は?」
ああ、それがな…と顔をしかめる藤兵衛。
少女の名はミキ。山林でバイクの慣らし運転をしていた折に偶然出逢ったのだという。
「よほど怖い目にでも遭ったのか、記憶をほとんど喪失しちまってるみたいでな」
おまけに…藤兵衛は声を潜めた。少女を捜すGODの秘密工作員を彼は目撃していた。
「それは、ただ事じゃありませんね」
「ああ、とにかくミキちゃんの身元を調べてくる。店番と護衛、頼んだぞ」
藤兵衛をにこやかに見送った青年は、怯えている少女の姿をゆっくりと眺めた。
やがてその視線は、彼女が大事そうに抱えているポシェットに止まる。
「…何がはいっているんだ?」
青年の口調は、意外なほどに冷たかった。ミキが小さくかぶりを振る。
不愉快そうな表情を浮かべた青年は、無言のまま彼女のポシェットを奪いその中身を
カウンターに広げた。いかにも少女らしいハンカチやマスコットと一緒に現れたのは
彼女には似つかわしくない黒いプラスチックケースだった。ケースの中身は、得体の
知れないアンプルと注射器。それを見たミキの表情が恐怖にひきつる。
「何か、思い出すのか?」
この注射器がミキの身に降りかかった事件と関係している。
そう直感した青年の行動に、躊躇はなかった。彼は逃げようとする少女の顎を乱暴に
掴むと、細い腕に注射針を向けた。大きく見開かれた少女の瞳に尖った針を見せつけ
て恐怖を煽りながら、青年は問いかけた。
「さあ、この注射器は何だ? いったい、何が起こったんだ」
青年がいまにも注射針を刺そうとしたそのとき、カランと音をたてて再び扉が開い
た。さては藤兵衛が戻ってきたのだろうかと、青年が慌てて注射器を隠す。
だが、店の入口に立っていたのは白いスーツを纏った見慣れぬ男だった。
「…いらっしゃいませ」
感情のこもらぬ声で青年が応対する。
「残念ながら、珈琲に用はない…無能な部下の尻拭いというやつだ」
青年は反射的に黒いケースを手にとり、その蓋を調べた。
「発信機か…貴様、GODの新怪人か?」
男の返答は明快だった。銃弾が炸裂し、カウンターに並べられた食器を微塵に砕く。
机の陰で機会を窺っていた青年が、掃射の隙を見て殴りかかる。二人はそのまま、
もつれ合うようにして店外へと飛び出した。
騒然となる白昼の商店街。機銃を避けた青年はバイクに跳び乗ると、荒れ狂う前輪で
敵に襲いかかった。スーツの男は、華奢な外見からは想像もできない怪力でバイクの
一撃を振り払うと、自らもまた愛車に跨がった。
二台のマシンが爆音をたてて疾走する。
「…セタップ!」
レッドアイザーとパーフェクターを装着した青年が、銀色の戦士へと変身する。
対峙するスーツの男は、バイクから跳躍すると空中で両腕をクロスした。
すると、その姿もまた瞬時に異形の戦士へと変わった。
真紅の髑髏を思わせる仮面、紅蓮に燃える円楯、そして純白のマント。
「GOD秘密警察第一室長、アポロガイスト!」
「仮面ライダー…Х」
名乗りとともに腰のベルトからライドルを引き抜いたХライダーは、フェンシングの
華麗な剣技でアポロガイストに襲いかかった。だが、円楯を構えたアポロガイストも
確実に刃先を捌いていく。
「言え!貴様達の次なる作戦は何だ」
問いとともに振りおろされたライドルスティックを弾き返す紅の死神。
「噂以上の凄まじい闘志だな…Хライダー」
渾身の力をこめて投擲された円楯が、ライダーを急襲する。
円楯の直撃を食らったライダーは、路上に停められたトラックへ吹き飛ばされた。
フロントガラスを突き破ったライダーが、荷台に転がり出る。間髪をいれず叩きこま
れるアポロショット。一瞬にして爆発したトラックが、巨大な火柱をあげる。
「これで終わり…ということはないだろうな、ライダー?」
「…当然だ」
爆風に乗じて高く跳びあがったライダーが、鮮烈なキックを放つ。
地に向けて機銃を撃ち、その反動でかろうじてキックをかわすアポロガイスト。
着地の勢いでアスファルトが抉りとられ、巨大な穿孔が生じた。
「何故、そこまで闘志をみなぎらせる?正義とやらのためか」
「俺をくだらない“先輩”達と一緒にするな」
藤兵衛が嬉々として語る仮面ライダー達の逸話に、彼は飽き飽きしていた。
もっとも、藤兵衛の昔話自体にもいささか美化の傾向が認められたのだが――
「ならば、我々に処刑されたあの女…水城涼子の復讐かッ」
機銃が容赦なくライダーを狙う。すでに周囲は灼熱地獄と化していた。
「あの女の仇討ちだと?」
その口調には、侮蔑にも似た響きがあった。
「まさか。あの女は俺を利用していたにすぎない。
所詮、俺を救ってくれる女性ではなかった…それだけのことだ」
ライダーが一気に距離をつめ、漆黒の拳で殴りかかる。
「なるほど…戦いに救済を求めるか、仮面ライダーХ。哀れな男よ」
ライダーの鉄拳を受け流したアポロガイストは、掌底でその顎を突きあげた。
衝撃波が次々とショーウィンドウを割り、宙に舞いあげられたライダーは広告塔の
ネオンに叩きつけられた。白銀の身体に極彩色の火花が散る。
やがて、無残にも黒焦げになったХライダーが地面へと墜落した。
「どうした、これまでかライダー?」
アポロガイストの嘲笑が微かに響いてくる。
(どうした…これまでか。お前はまだ戦えるはずだ…)
薄れかけた意識の奥で、その声はまったく異なる像を結んでいた。
暗闇の中にたたずむ男が、厳格な視線で青年を見つめている。
彼は、改造人間の素体としてふさわしい身体能力を与えるためだけに青年に地獄の
特訓を課し続けた男。そして、青年にХライダーとしての宿命を背負わせた男。
(俺は、俺はまだ人間だろ?)
自らの異形に狼狽する青年に、彼は冷たく宣告した。
(お前はもはや、人間ではない…人間ではない苦しみと戦いぬけ…。
戦い続けることで…やがて答えは見つかるだろう)
「…義…父…さん…」
ライダーの瞳が赤く輝いた。雄叫びとともに大地を蹴り、逆手に構えたライドルス
ティックを突き出す。円楯でこれを受けるアポロガイスト。だが、その一撃は彼が
予想だにしなかったほどの重さを伴っていた。
「なにッ」
さしものアポロガイストも、思わず体勢を崩す。その仮面めがけて振りおろされる
ライダーパンチ――反撃は、そこまでだった。拳を構えた姿勢のまま、Χライダー
は意識を失っていた。
「この俺に片膝をつかせるとはな…」
ゆっくりと立ちあがったアポロガイストの表情は、どこかしら満足そうだった。
『小娘とアンプルは預かっておく。戦う意志がまだあるならば、S…村に来るがいい』
そう書き残し、GOD秘密警察第一室長は去っていった。
スポーツ万能の大学生だった青年は、謎のGOD機関に襲撃され瀕死の重傷を負う。
しかし、科学者である養父の手によって“究極の運動機関”を意味するZ.ORGを搭載された
青年は、深海開発用改造人間――Χ=Zorg(カイゾーグ)として甦った。
彼は仮面ライダーΧを名乗り、神敬介に代わってGOD機関に立ち向かう。
その名は、草加雅人。
養父の残した謎を追い、強さと愛を求めて彷徨う孤独な戦士――。
埋立てのついでということで、バイオレンスXライダー。
初期設定的には葦原涼か木場勇治でもよかったんですが性格的に
あまり意外性がないので、Xつながりのこの人で。
このあと、日本各地に散らばる8人の旧友達に死んだはずの義父
さんからRS装置の設計図が送られてきたとか、こないとか。
以上、なんかトリップキーを間違えたらしい◆HqKATooXaIでした(恥
581 :
1:03/08/06 21:19 ID:8q69YPxw
草加Xキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
お願いしちゃってごめんなさいね
でも◆HqKATooXaIさんに書いてもらえるなんて、お願いしてよかったかも。
草加の二面性を出す為に、おやっさん出してくるところとか、
緊迫した戦闘シーンの描写とかしびれますね。
埋め立てまでしてもらちゃって申し訳ないです。
こんな素敵な作品がすぐdat落ちしてしまうのはもったいないっす
ログ倉庫とか避難所とかで見られるようにしておきたいですね
日本沈没とか新作とか期待してまーす
どう考えても途中で切れそうだが、途中まででも出しときます
(全然重要ではないが、今回の話に敢えて設定を付ける。
完全なご都合主義設定だし、詳細については突っ込まないでくれ(汗)
人類、ミラーモンスター、仮面ライダー、天使達、によって行われた最終戦争の末、
人類は核ミサイルによるミラーモンスターの殲滅を決定した。
だがそれは同時に日本全土の抹消をも意味することでもあった。
核ミサイルによる日本抹消を防ぐ為、天使達と一時休戦した仮面ライダー達は、
天使達と共に自らのエネルギーを使い、エネルギーフィールドを日本全土に張り巡らせる。
核ミサイルと高エネルギーフィールドの衝突により、史上類を見ない高エネルギー反応を引き起こした結果、
再び時空の扉を開くことになり、新たなるパラレルワールドを生み出すこととなった。
それはファイズ、龍騎、アギト、クウガそれぞれ個別に形成されていた世界が、
同じ時間軸の中で並行して存在していたハズの世界が、ひとつの世界に存在するという世界であった。
そして、オルフェノク(スマートブレイン社)、神崎士郎、黒の青年、グロンギは、合議の上、
種族の覇権を賭けて、闇の女王を決定するべくライダーバトルを行うことを画策する。
「この私がクウガになるということか?リントの言い出すことはいつも突拍子がないな。」
薔薇のタトゥーの女は神崎士郎の申し出を嘲笑う。
「どの種族も、その繁殖に重要な役割を持つのは女だ。
逆を返せば、生命力の強い女がいる種族こそが、この世界の覇者となるに相応しい。」
「我々男達は合議の上、そう決断を下したのだ」
「だが何故クウガなのだ?私には闘うための姿がある」
「種族毎にその能力は大きく異なる。知力に長けた種族があれば、体力に長けた種族もある。
そうした総合的な能力を判断する為、ライダーという共通のフォーマットを用意した、そう解釈してもらえばいい。」
「なるほどな。私がクウガか、それも悪くない。」
「黒の青年の力でアマダムを復元した、それを使うがいい。」
「至れり尽くせり、というやつだな」
グロンギからは薔薇のタトゥーの女の参加が決定する。
「我々にもアマダムが送られて来たということは、我々にも参戦しろということかっ?」
一条をはじめ、村田和美、榎田女史、といったメンバー達が会議室に集っていた。
一条達の元にも、黒の青年の力で復元されたアマダムは送られ来ていたのだ。
「しかしな、大きな問題は女性にしか参加資格がないということだな。」
「一体誰がアマダムを取り込んでクウガになるっ?」
顔を見合わせる村田和美と榎田女史、お互いにぶるぶるぶると首を振る。
「我々の中には適材な人物はいそうにないな」その二人の様子を見て苦笑する一条。
「腕の立つ婦警でも探して来るか?」その人選に難航する一条チーム。
「我々の仲間に頼るしかないかな」
「へぇっ、これがG3−Fですか?」白いボディのGナンバーを見つめながら氷川は問う。
「そうよ。元々は対アンノウン用のG3−Xのサポート、アンノウンに襲われた人々の救出、
災害時の人命救助など目的として設計された、女性装着員を前提としたG3ナンバーよ。」
「G3−FのFはFemale(女性)のFね」小沢、氷川、尾室の前にスタンバイされているG3−F、
そのボディのシルエットは確かに女性的なラインを感じさせた。
「従来のG3−Xでは、女性が装着するには体力的にも相当の負担がかかるわ」
「強度を落とさず軽量化をはかり、女性的な精神感応、波長にOSをシンクロさせたのがFの特徴ね」
「女ならではの第六感をデータとして読み取り、次の行動へのナビゲーションをするなんて機能もあるわ」
小沢の説明にただただ感心するばかりの氷川と尾室。
「ところでこれ誰が装着するんですか?」氷川も尾室も確かにずっとそこを疑問に思っていた。
「あたしに決まってるじゃない」小沢は堂々と胸を張って答える。
「エッーーー!!」目をパチクリさせながら驚く氷川と尾室。
「それはちょっとっぉ、、」「絶対無理ですよっ!!小沢さんっ」
「そんなに驚くことないじゃないのっ!あたしだってちょっとは腕に覚えがあるのよ。尾室君よりは確実に強いわよっ」
そう言ってのける小沢、いじける尾室。
「別にいいのよ、ある意味私は捨て駒なんだから」「本命はむしろこっちね」
ウインドウが開き、氷川と尾室の前に現れるもうひとつのGナンバー。
「こっ、これって!!」「そうっ、G4−Fよ」
彼らが目にしているのは水色のカラーリングのG4に良く似た強化スーツであった。
「G4が与えた人的影響力を性能を若干抑えることで解消することに成功したわ。
後はだいたいG3−Fと同じシステムなんだけど、、、」
「ただひとつだけ大きな問題もあるのよね」
「G4−Fの最大の特徴はその未来予知の能力、その能力を最大限に発揮するならば、
これを装着する人間はひとりの人間に特定されてしまうのよ。」
「その人ってもしかしてっ!?」
「そう、彼女に頼んでみるしかないわねっ」
「彼女を闘いに巻き込みたくはないけど、
人類以外の生命体がこの世界の覇権を握るっていうのもゾッとしないものね」