2XXX年、この世界に仮面ライダーはいない、あるのはショッカーによる支配のみ。
「人間狩りだっぁ!!」廃墟と化した街並みに人間達の絶叫がこだまする「逃げろっ!!」
かってこの地上の頂点を極めし人間達の隆盛も既に過去の出来事にしか過ぎない。
今や人間達は薄汚れた姿で、廃墟にひっそりと身を隠しながら暮らす弱者でしかない。
現在のこの地上の支配者ショッカーからその身を守る為に…
ビルが倒れ朽ち果てる廃墟と化した街並みに、無数のバイクのエンジン音が響き渡る。
バイクに搭乗している黒い人影、目、鼻、口に白い縁取り、
ボディには骨と思しき模様が描かれている。
その人影こそが人間達を恐怖のどん底へと叩き落とす、ショッカー戦闘員に他ならない。
ショッカー戦闘員達は、バイクを縦横無尽に走らせ、
逃げ惑う人間達をまるで嬲るかの如く追い詰めて行く。
バイクを駆り、手に持つボウガンを射続ける戦闘員、
逃げる人間の女の後頭部に矢が突き刺さり、その矢先は頭蓋骨を貫通し、目から突き出す。
片目を落とし、血を流しながらもんどり返る人間の女、
矢継ぎ早に射られた矢はその人間の女の全身に容赦なく突き刺さる。
全身に矢を浴びた人間の女はその場に崩れ落ちる。
バイクを駆り、鎖を投げ人間の男の首に巻きつける戦闘員。
鎖を手にする戦闘員はそのまま人間の男を地面に引きずりながらバイクで疾走して行く。
首に巻きつけられた鎖を手で振りほどこうとする人間の男、
だが泡を吹いて白目を剥き、すぐに微動だにしなくなる。
バイクに乗る戦闘員が手に持つ銃を指で回し、面白半分に逃げる人間の男の脚を撃ち抜く。
転倒し悶絶する逃げていた人間の男。バイクの戦闘員は容赦なくその男を轢殺す。
バイクのショッカー戦闘員の集団は、奇声を上げながら人間達を次々に襲って行く。
バイクに乗りながら鉄パイプで逃げ惑う人々を殴り倒し喜ぶ者、逃げ惑う人々を拳銃で撃ちまくる者、
泣き叫ぶ人間の若い女を脇に抱きかかえ捕獲する者、
ショッカー戦闘員達による『人間狩り』でその場は瞬のうちに地獄へと変わり果てていた。
Overtime 仮面ライダー
第二章『救世主』Act.1『呪われた鎧』
ショッカー戦闘員・バイク部隊の人間達への圧倒的な暴力を前に
人間達は成す術も無く、ただひたすら逃げ惑うのみであった。
地獄絵図と化した廃墟の街には人間達の悲鳴と絶叫、そして断末魔が、止む事も無く響き渡る。
その地獄へと現れるひとつの巨大な影。
凶暴なモンスターと化した2頭の馬に牽かれる巨大な馬車、その馬車に乗る大きな男。
筋肉質の体ではあるが、若干細身でもあり、
その面長の顔にはまるで女のような化粧をしたその男、拳にはハートの紋様が刻まれいる。
そしてショッカーのエンブレムのベルトを腰に巻いている。
「おーほっほっほっほっほっほっ」男はまるで女のような甲高い笑い声を上げた。
「お前達、今や野性の人間は貴重なのよ、もっと優しく丁寧に捕獲しなくちゃダメじゃない」
男はまるで女のような言葉遣いに甲高い声でショッカー戦闘員達にそう命じる。
「人間の男は私達の貴重な食料に、人間の女は私達の仲間を増やす生殖・出産マシーンになるのだから」
「お前達、天然の人間はね、この上なく美味なのよ、男も女もね」
「でも男と女じゃ、食べ方が違うのだけれどね」
「あら嫌だ、あたしったらお下品だったかしらっ?」
「おーほっほっほっほっほっほっ」
ハートの紋様の男は、口に手を添え、女のような言葉遣いで甲高い笑い声を上げる。
515 :
↑:03/12/04 01:22 ID:WKllgNRQ
こいつがもし仮に『地獄大使』と言う名前だったら、やはりみんな怒るかな?
そ、そうだよな、その案はマズイかな(どきどき)
>515
てっきり、ハート様かと。
517 :
↑:03/12/04 02:14 ID:WKllgNRQ
いや俺もハート様のつもりで書いたんだけどさぁw
ハート>ガラガラヘビ
クローバー>イカ
ダイヤ>狼
キング>ヒル+カメレオン
なども面白いかと思いつつ
◆仮面ライダージュウガ◆
いにしえから存在する獣人種VS特殊な遺伝子操作で生み出された新・獣人=
テラティゼルを利用し、世界を牛耳ろうと画策するイリジアン・コーポレーシ
ョンの戦いに板挟みになる主人公:御門獅朗(みかどしろう)=仮面ライダージ
ュウガは、どちらに付くのか??
そして彼らの存在に気付いた時・・人間たちはどう出る??
三つ巴・・四つ巴の戦いが今始まる!!!
どうでしょうか?!登場する人数が多くなりそうなので、ちょっと話にするに
は大変かも知れないですが・・。
「もっと優しく、優しく、可愛がるのよぉっ」
「おーほっほっほっほっほっほっ」
ハートの紋様の男の掛け声に、ショッカー戦闘員・バイク部隊は奇声を上げて応える。
その時であった。空を切り裂く音と共に鋭利なる刃が、ハートの紋様の男の額に突き刺さる。
その矢を射ったのは一人の人間の青年、その手にボウガンを構え、ハートの紋様の男を睨みつている。
「これ以上、お前達の好き勝手やらせてたまるかよっ!」
「あらぁ、これは何かしらぁっ?」ハートの紋様の男は、その額に突き刺さった矢を手で引き抜き、傷口に触れる。
その手には血の如き液体が付いていた。それを見てハートの紋様の男の顔色が変わる。
気色ばみ、額に青筋を立ててワナワナと身震いするハートの紋様の男。
ハートの男はぶち切れる「われぇっ!!何さらしとんじゃいっ!!」
今迄の女言葉が嘘であるかのような迫力のある怒号。
「お前らっ!!人間なんぞっぶち殺さんかいっ!!」
ぶち切れたハートの男はバイクの戦闘員達に檄を飛ばす。
その檄に奇声を上げるショッカー戦闘員達。
ショッカー戦闘員はバイクで、矢を射った人間の青年に迫る。
青年は向かって来るバイク上の戦闘員達に次々とボウガンを放つ。
矢を身体に突き刺して走るバイクから転げ落ちる戦闘員。
人間の青年はその隙に瓦礫と化したビル街へと逃げ込む。
「追いなさいっ!!逃がすんじゃないわよっ!!」激怒するハートの紋様の男。
「もうっ頭にくるわっ、ここに居る人間は一人残らずみな殺しよっ!!」
先程迄の言葉と打って変って戦闘員達に人間のみな殺しを命じる。
「はっはっはっ」「人間如きに傷を負わされるとは、随分と堕ちたものだなぁ、ハートの大使よ」
「くっ、その声は」ハートの大使はその声に振り返る。
そこには何十人という全裸の人間の男女が犬のように這いつくばり車を引いている姿があった。
人間達には拘束具がはめられており、目は見えぬように目隠しをされ、口には一様に猿轡をされている。
その全裸の人間達が牽く車に乗ったには、軍服を着、アイパッチで片目を隠した、
拳にダイヤの紋様を持つ男の姿があった。
ダイヤの男はその手に鞭を持ち、車を牽く全裸の人間達を鞭打っては嬉々とした表情を浮かべる。
車を牽く全裸の人間達の全身には鞭打たれた後が無数に赤く腫れ上がっている。
「ダイヤの大佐、、こんなのはかすり傷程度よっ!!」
ハートの大使は口惜しそうにダイヤの大佐に言い返す。
「人間共にかすり傷を負わされるなど前代未聞、我らショッカーの恥と謂うものぞ」
ダイヤの大佐はそう謂ってハートの大使を嘲笑する。
「うるさいわねっ!この変態、サディスト大佐がっ!!」ハートの大使の罵声
「無礼な、オカマ如きに変態呼ばわりされる筋合いはないわっ」
「キィィィーーーッ、オカマですってっ!?」
ハートの大使の怒りはますます激しくなり、その怒りの矛先は人間達に向けられることとなる。
「なら勝負よっ、どっちが多く人間を狩れるかっ」
「望む所よっ、もちろんその生死は問わぬであろうな?」
「当たり前じゃないっ!人間どもをみな殺しにしなくちゃ、あたしの気はおさまらないわよっ!!」
ハートの大使とダイヤの大佐は競うようにして、逃げ惑う人間達を狩る。
それはまるで、憂さ晴らしのゲームを楽しむかのようでもあった…
人間達の絶叫と断末魔が止む事無く響き渡り、
人間達の真っ赤な鮮血が血飛沫となり、辺り一面を血の海に染め、
人間達の肉片が飛び散り、ただの肉の塊と化した人間の亡骸が無数に転がる。
中にはまだ息のある人間をその場で喰らう者もいた。
その血の海と亡骸の山の中で、女達は戦闘員に陵辱の限りを尽くされ、拉致されて行く。
この世界に仮面ライダーはいない、あるのはショッカーによる支配と暴力のみ …
521 :
↑:03/12/04 22:49 ID:WKllgNRQ
今回ある意味、変態幹部四人衆が主役かもしれんな
「バキッ!」人を殴る鈍い音がその空間に響く。
「滝っ!!お前何て事してくれたんだっ!!」
「お前、自分が何をしでかしたのか、わかってるのかっ!?」
ここは生き残った人間達が、ショッカーの目から逃れ、ひっそりと暮らす秘密の隠れ家。
瓦礫と化した廃墟のビル、その地下室、そこにショッカーの人間狩りから逃げおおせた人間達が集まっていた。
ショッカーが支配するようになったこの時代、人間達はその数を確実に減らしていた。
世界全体を見てもその数は人間達の最盛期の人工の10分の1程度でしかなかった。
「ショッカーにとっては人間狩りなんてのは遊びのようなもんだ」
「昔、人間がレジャーで狩りを楽しんでいた、それに似たようなもんなんだよ」
「だが滝よ、お前がショッカーの幹部、ハートの大使に弓引いた事で奴らは本気になるかもしれない」
「奴らが本気で人間狩りをはじめたら、俺達はあっという間にみな殺されてしまう」
「それがお前にはわかっているのかっ!?」
滝と呼ばれる青年はその場に集まった生残りの人達に責められる。
「現にお前のしでかした事のお陰で、ハートは向きになって人間を狩りはじめたじゃないか。
死ななくても済んだ筈の人間が大勢死んだんだっ!滝よ、すべてはお前のせいなんだぞっ!」
その場にいた多くの人間のほとんどが声を荒げ、滝と呼ばれる青年を批難する。
「ちょっと待てよ、お前らっ!」
「こんな生活で本当にいいと思っているのか?」
「ショッカーの目から逃げ延び、怯え震えながら隠れて、その日その日をやり過ごす、
そんな生活で本当にいいと思っているのかよっ!」
「そんなんで俺達は、人間は本当に生きていると言えるのかっ!?」
「奴らに捕まった人間は、奴らの餌にされ、女は奴らの仲間を生む為の道具にされちまうんだぜっ」
「自分達が安全だからいいとか、そういう問題じゃないだろっ!?」
「もっと根本的にこの世界を変えないとダメだろうがよっ!?」
滝と呼ばれる青年は自分を責める人々に向かって反論する。
「滝よ、お前の親父さんはアンチショッカー同盟のリーダーとして勇敢に戦ったんだろうが、
そのお前の親父さん、滝和也だって、ショッカーに敗れて死んだんだっ」
「人間は既にショッカーに敗れたんだよ、敗者は大人しく暮らして行くしかないんだよ」
そう滝と呼ばれる青年は、滝和也の息子・滝和人。
滝和也は最後迄ショッカーと戦い続けた、人間達の存続を賭け、アンチショッカー同盟を結成して。
だが、人間達はその戦いに敗れ、滝和也もまた戦いの最中死んで逝ったのだった。
その時、滝和也には二人の子供が居た。
一人はこの青年、和也であり、もうひとりは和美と謂う女の子である。
妹の和美(現在17歳)は兄・和人の影に隠れるようにして、黙ってこのやり取りを聞いていた。
「親父はなっ、親父は言っていたんだっ。
人間の真の敗北は、人間が戦う心を無くした時だって、今のあんた達みたいにな」
「だから俺は決して諦めない」
「今みたいな暮らしなら、戦って死んだ方がマシってもんだぜっ!」
激情する和人は人々にそう叫ぶ、その熱い血は父親譲りなのであろうか。
「それが俺達にとっちゃ迷惑だって言ってんだよ」
「お前がショッカーと戦って野垂れ死ぬのは勝手だが、
俺達全員がお前と一緒に見られて、的にそれちゃかなわねぇんだよ」
その言葉に和人の頭には益々血が上る。
「なんだとっ!!」和人は拳を振り上げる。
「もうよせよっ、和人」熱くなった和人を、眼鏡をかけたクールな青年が止める。
その青年は和人の幼馴染の真澄であった。
「人間は誰しもお前のようには強くはない」
「お前のように、ショッカーの家畜として生きるくらいなら、戦って死んだ方がマシだ、
そう考える人間ばかりではないという事だよ。」
冷静沈着で理論家の真澄に、熱血漢の和人はいつもなだめられいた、幼い頃からずっと。
「ちっ、納得いかねぇ」和人はそう謂うと、その秘密の部屋を後にする。
その後を追う、妹の和美と幼馴染の真澄。
ショッカーが人間達を支配する時代、
人間達は恐怖と不安に怯えて暮らし、その暮らしは人間達の心をも荒ませていた。
人間達の心は挫け、ショッカーに立ち向かって行く気力を無くし、
人間の尊厳をも放棄し、ショッカーの支配に甘んじる者がそのほとんどであった。
瓦礫の隙間から夜空の月を見上げる和人。その傍らに一緒に居る和美と真澄。
「なぁ真澄よ、俺の言っている事は間違っているのか?」
和人は真澄には素直に何でも言える、二人の友としての絆はそれ程のものであった。
「間違っているとは思わん。俺もショッカーには一矢報いてやりたいというのが本心だ。」
「だがな、和人、俺は最近ふと思うんだ。
人間は魚を獲って食べるよなぁ、だからと言って魚が人間を憎んだり、人間に怒ったり、
人間に復讐を誓ったりはしないだろう?」
「何が言いたいんだよ?」和人は真澄を一瞥する。
「つまりだ、俺は最近思うんだよ。もしこうなる事が大自然の摂理として定められていたのだとしたら、
それはもう仕方がない事なのかもしれない、とな。
人間が魚を獲って食うように、ショッカーは人間を獲って食う。
それが食物連鎖として自然のシステムに組み込まれるべきものだと、
はじめからプログラムされていたとしたら、それはもうどうしようもない事なのかもしれない、とな。」
「本気でそんな事考えているのか?」和人は真澄をじっと見つめる。
「俺も弱気になって来たのかもしれん」和人の視線に耐えかねた真澄は俯きながらそう言った。
「そのプログラムをつくろうとしているのがショッカーで、
組み込もうとしているのもショッカーじゃねぇか、それじゃ話にならねぇよ」
「だがショッカーの背後には、神にも等しい力を持った大首領がいると言うし…」
その場にしばしの沈黙が流れる。
「それでも俺はやるぜ、それが神の意思だったとしてもだっ」和人は誓う。
その和人の言葉を聞いた真澄
「俺のかあさんがよく言っていたけな、お前の無茶は親父さんそっくりだって…」
「澄子おばさんも相当無茶だったって、俺の親父も言ってたけどな」
その時、今迄ずっと口をつぐんでいた和人の妹和美が口を開いた。
「仮面ライダーが、いればいいのにね…」
「和美っ!!その名前は口にするなといつも言っているだろっ!!」和人は再び激昂する。
「でも、お兄ちゃん…」大人しい和美は口ごもる。
「ライダーは、あいつらは俺達を裏切ったんだっ!!
今世界こうなっちまったのももとはと言えばあいつらのせいなんだっ!!
俺達の親父が死んだのも、あいつら仮面ライダーのせいなんだよっ!!」
和人は仮面ライダーの名前を憎悪しているようであった。
「でも、お兄ちゃん…父さんは…」和美はそこまで言い掛けて再び口をつぐんだ。
再びその場にしばしの沈黙が流れる。
「それよりも真澄、お前に見て欲しいものがあるんだ」和人は再び口を開く。
「お前にも関係がないものじゃないぜ」
「お前のおふくろ、澄子おばさんに関係があるものだからな」
「俺のかあさんに…?」不思議そうな顔をする真澄。
「あぁ、明日の朝、見に行こうぜ」和人は目を輝かせてそう言った。
そろそろ次スレを視野にいれにゃならん時期だね。
すまん。最近忙しくて感想レスしてないがSSライターさんたちがんがれ!!
マジ楽しみにしてるんで。
「このっ、馬鹿者どもめがっ!!」ショッカーの秘密のアジトに老人の怒鳴り声が響く。
白い正装に黒いマントを纏った白髪の老人、その拳にはクローバーの紋様。
巨大なエンブレムを掲げたショッカーの秘密のアジト。今やこの世界の覇者となったショッカーにとって、
その基地は秘密のアジトである必要は何処にも無かったが、
昔からの倣いであろうか、ショッカー基地は秘密のアジトとして人間達に知られる事はなかった。
「野性の人間はその数を減らして来ているのだっ、むやみやたらに殺すなと何度言ったらわかるのだっ!!」
老人は血相を変えて目の前に居る、ハートの大使とダイヤの大佐を叱責していた。
「だってぇ、たまには天然の活きの良い人間を生で喰らいたいじゃない。
人工授精の養殖ものじゃ、味も今一物足りないのよねぇ〜」
さらにハートの大使は老人に向かってこう続けた。
「それにあたし達が人間を食べるようになったのも、人間の味を教えてくれたのも、みんな博士じゃないっ」
そう、ショッカーは元々人間を喰らうような事はしなかった。
この老人、クラブの博士こそが人間をショッカーの餌にと考案したと言って良かった。
昔、まだ人間の方が遥かに数も多く、ショッカーの構成員が少なかった頃、
ショッカーがこの世界の覇者となる為には、構成員の数を増やす事が急務であった。
ショッカー達は人間達を拉致しては改造人間などに仕立て上げていたが、それも大量生産するには限界があった。
そして、その一方で急激に増加して行くその構成員のエネルギー源の確保も切実な問題でもあった。
そこでクラブの博士はショッカーの種としてのある生命システムを考案し実践した。
それは人間の種としての生命システムを模倣したものであったが、
ただひとつ大きく異なっていたのは、ショッカーが餌とする者こそが人間であるという点であった。
ショッカーはまず人間の若い女に狙いを定め、次々と拉致し、博士の改造手術により、
ショッカーの改造人間並びに戦闘員を出産する為のマシーンにつくり上げていった。
人間の場合、妊娠期間は10ヶ月程度とされているが、ショッカーの改造人間並びに戦闘員の場合、
培養液により驚異的な速度で成育が促進され、約1週間程度で出産が可能となった。
出産マシーンと化した人間の若い女達は約1週間毎に、次々とショッカーの怪人や戦闘員達を生み続けていったのであった。
出産後人間の女達は再び、怪人や戦闘員の種を仕込まれ妊娠期間に入るのである。
今でもこのショッカーの秘密アジトの地下では、何千、何万という人間の若い女達が、
全裸で手足を壁に埋め込まれ、目隠しと猿轡をされ、ショッカーの怪人や戦闘員達を生み続けている。
中には自分の親や兄弟をショッカーに殺され、自分はここに拉致されて来て、
無理矢理ショッカーの子を産まされ続けているという不幸な境遇の人間の若い女も少なくは無い。
身動きが取れないよう壁に埋め込まれた状態で猿轡をされているというのも、
そうした女達が自殺行為に走らないようにと配慮されているという側面もある。
だがそれが出産マシーンとして余計な行動をせずに
出産のみに専念するには最も効率的であるというのが本当の大きな理由であったが。
こうして急激にその数を増やして行ったショッカーの構成員、
次に問題となったエネルギー源は人間を食糧とする事により解決された。
ショッカーは人間狩りにより拉致して来た人間、その中の男や子供、老人達を食糧として割り振った。
元来は人間達を溶解して、その肉体を構成している物質を抽出し、
再構成した加工食品として、人間を喰らっていたのであるが、
それに飽き足らなく為った怪人や戦闘員の中には、人間を生でそのまま喰らう者達も多かった。
もちろん生で喰らう場合は若い方が美味とされ、子供などは肉が柔らかい最高級品の扱いであった。
ショッカーによる野性の人間の乱獲は、人間の数を急激に減らしはじめた。
このままでは食糧としての人間の供給に支障が出る、つまり食糧危機に陥る事を危惧したショッカーは、
人工授精により人為的に人間を増やし、養殖を行い、家畜として飼育しはじめた。
現在、このショッカーの秘密アジトの地下をはじめ、世界各地の至る所に巨大な人間の養殖場が置かれている。
ショッカーにより作為的に生み出され、養殖されている人間には、一切の感情が与えられておらず、
それは最早人間であって人間では非ず、まさしくショッカーの家畜以外の何者でもなかった。
人間としての感情を持ち合わせているのはショッカー謂う所の「野性の人間」だけであった。
「だが、人工授精の養殖人間の味の低下は由々しき問題ではあるな。
我などは最近は加工品の匂いを嗅いだだけでも食欲を無くしてしまう程だ」
ダイヤの大佐は自らのグルメぶりをそれとなく誇らしげに語る。
「ねぇっ、いっそのこと人間達を自然交配させてみたらどうかしらっ?
ちょっとは人間達の味も良くなるかもしれないわよっ」
このハートの大使の発言に、クラブの博士は血相を変えて怒鳴る。
「ならんっ、ならんっ!! 人間達の自然交配などはもっての他じゃわいっ!!
今我らが家畜として飼育している人間共には、感情と謂うものが無いっ
じゃが自然交配などをさせれば、人間の感情を取り戻す危険性も考えられるっ
人間どもが謂う所の、人間特有の情や愛などという感情が再び芽生えるかもしれんのじゃっ
それは我らにとってこの上無い危険分子と為りかねんっ
人間どもの自然交配など決して行ってはならんのじゃっ!!」
クラブの博士は頭の血管が切れるのではないかという程に顔を真っ赤にしていた。
「その意見には我も賛成であるな。人間どもに快楽などを与えてはいかん。
奴らに与えるのは絶望と苦痛のみ … ふはははっ」
ダイヤの大佐はサディスティックな発言に笑い声を上げる。
「なんだぁっ、じゃぁやっぱり、野性の人間を捕まえて喰らうしかないのね」
「お前らが野性の人間の味を求めるのはわかるが、無闇に必要以上に野性の人間を殺すなと謂う事じゃ。
これからは野性の人間を保護して行かなくてはならなくなるかもしれんのじゃぞ」
クラブの博士は二人に自慢気に説きはじめる。
だが二人には全くそれを聞いている素振りはなかった。
「ところでスペードの将軍はどうしたのかしらっ?さっきから全然姿が見えないようだけど」
「奴の事だっ、大方鏡の前で自分の肉体にでも見惚れているのであろう」
「スペードの将軍はナルシストだからねぇっ
いつもあたし達の事を見下して、美しい私はお前達のような変態などとは違う、なんて言っているんだから。
自分の裸を見ながら、マスターベーションするような奴の方がよっぽど変態ってものよねっ」
「うむっ、それでは我はこの辺で、さらって来た人間どもをいたぶるとでもしよう…
今日の人間は野性だからな、嬲り甲斐がありそうだ、この鞭も唸るのを楽しみにしておるわい」
ダイヤの大佐は鞭を持つ手を期待に震わせながら、サディストの目つきで薄ら笑いを浮かべる。
大佐の発言に博士もふと我に返る。
「おおそうであった、こんな事をしている場合ではなかった」
「今日お前達が連れて来た人間で、早速新しい研究の人体実験をせねば …」
「まだ生きて意識のある人間の身体を切り開いて、
その美しいピンクの色をした内臓を触診する …これに優る快感はないわっ」
「内臓がヒクヒク、プルプルする様がまた何ともそそること …」
「わしはその愛らしい人間の臓物を見ると、いてもたっても居られなくなって、
思わず鷲づかみにして引き千切り握り潰したくなるんじゃ …」
「だがそこは我慢じゃ …そこで果ててはまだまだじゃ …その先にある快感こそが …」
クラブの博士は自分の世界に入って一人で何やらブツブツ言っていた。
「要は博士ってエネマフェチなのよねっ、結局は博士も変態だってことね」
ハートの大使がそう言うのを博士は聞き逃さなかった。
「黙れっ、お前ら変態なぞと一緒にするなっ!わしのは立派な研究じゃ
オカマとサディストなどと一緒にされとうないわいっ!」
「キィィィーーーッ、オカマですってっ!?」
「無礼なっ!エネマフェチの老人に変態呼ばわりされる筋合いはないわっ!」
ショッカーの幹部クラスによるいがみあいはいつもの事であり、
ショッカー秘密のアジト内では良く見られる光景で決して珍しいものではなかった。
534 :
↑:03/12/07 01:03 ID:DYtKwQ2g
中途半端な所で次スレ持込になりそうな悪寒
翌朝、滝和人とその妹・和美、真澄の3人は、和人が謂う『見せたいモノ』がある場所へと向かった。
ショッカーの目を逃れる為、生活圏である居住エリアからかなり離れた所で待ち合わせをした滝兄妹と真澄。
滝兄妹が地平と化した荒野で真澄を待っていると、彼方より乾いたエンジン音が響いて来る。
それは今となってはほとんど人間が乗る機会も無くなった車のエンジン音であった。
砂煙を上げて灼熱の大地を疾走するジープのような車。
車は滝兄妹の前で止まった。その車に乗っていたのは真澄であった。
「へぇっ、今時よくこんな物が手に入ったな」和人は車を見て懐かしそうに言う。
「あぁ、そこいらに落ちていたガラクタパーツを寄せ集めて組んだんだ」真澄は少し誇らしげにそう言った。
「流石、真澄だ。これだけのモノを一から組めるなんて真澄ぐらいのものだろうな」和人は素直に感心していた。
この時代、人間達は文明利器のほとんどすべてをショッカーにより取り上げられていた。
その為、今となってはこうしたメカをいじれる人間は数少なくなっており、貴重な人材でもあった。
和人がショッカーに抗う為の武器もすべて真澄がその辺からガラクタを拾って来てはつくり上げていたのであった。
「真澄ならやれる…」和人は真澄がつくったと言う車を見ながら小声で一人呟いた。
「まぁここなら車を使ってもショッカーに見つかる事は無いだろう。
そう思って待ち合わせ場所をわざわざこんな僻地にしたのさ。
お前が見せたいモノがあるって所はここからまだまだあるんだろう?」
「あぁそうだな、一日がかりで歩く覚悟をしていたんだがな、こいつがあればかなり早く着きそうだな」
「だが、如何せんこいつも燃料だけはどうにもならなくてね、燃料が切れたらそこ迄だ。
後は歩く事になるだろうから、そいつは覚悟しておいてくれよ」
真澄の言葉に頷き、和人と和美は車に乗り込む。
「何、燃料も行きさえもてば、帰りは何とかなるさ」
車に乗り込んだ和人はそう意味有り気な発言をする。
その和人の言葉の真意は真澄にも和美にもわからなかった。
地平と化した荒野を3人を乗せた車が駆けて行く。
幸いな事に行きは燃料切れにならずに済んだようだ。
「確か、この辺だったんだがな」「真澄、止めてくれっ」和人がそう言うと真澄はそれに従い車を止めた。
荒野の中に、崩れ落ち瓦礫と化した廃墟のビル跡。
だがそこは3人にとっては見覚えのある場所であった。
真澄は眼鏡の奥の鋭い視線を和人に投げかけた。
「もしかして、ここは …」
「そうっ、アンチショッカー同盟の研究室があった場所だ」和人は真澄に頷いてみせた。
「こんな所に一体何があるって言うんだ?
中はとっくにショッカーの手ですべて破壊されているだろう …」
「まぁいいから黙って俺について来てくれっ」
和人はそう言うと一人で瓦礫の山を潜り抜けて行く。
その和人の後を慌てて追う、真澄と和美。
和人は用意して来た松明に火をつけると、暗い闇が広がる穴の中へと降りはじめる。
そこには地下へと通じる階段があり、今では壁も剥がれ落ち崩れかかってはいたが、
無理をすれば人が通れない事はなかった。その階段を明かりを手に降りて行く和人。
真澄は和美を気遣い、時には手を差し伸べながら和人の後を追う。
松明の灯火だけを頼りに3人はその地下へと続く階段をひたすら降りて行く。
降りても降りても行き着く先は一向に見えて来ない。
次第に暑さを感じるようになり、息も荒くなって来る、心なしか息苦しいような気にさえなって来る。
どれぐらいの時間歩いたであろうか、ここは一体何なのか、何処へ向かっているのか、
そんな思いがぐるぐると頭の中を駆け巡る。
それはわずか数分の事であったのかもしれないし、数時間であったのかもしれない。
そんな事さえ真澄と和美には良くわからなくなってしまっていた。
行先もわからず、良く見えない暗闇の中で、ひたすら歩き続け疲労し、
真澄と和美がそんな感覚に捉われていると、その長い階段の終わりは突然にやって来た。
ここが和人の言っていた見せたいモノがあるという場所なのであろうか?
当の和人はそこで何かを探しているようであった。
「確か、この辺りだったんだがなぁ」「おっ、これだこれだ」
その時、確かにスイッチのような音がした。
すると岩肌の壁、その側面が横にスライドし、その奥に回廊が現れたのである。
回廊は遥か彼方まで続いており、その先は闇と一体化していた。
「これは、一体どういう事なんだっ?」驚く真澄と和美を他所に、和人は回廊の中へと消えて行く。
慌てて和人の後を追う、真澄と和美。
薄暗い回廊を歩き続け、3人が辿り着いた先には大きな鉄の扉があった。
和人は再びスイッチのようなものを探し出し、鉄の扉を開く。
その鉄の扉の先に一体何が待ち受けているのか、真澄にも和美にも皆目見当がつかなかった。
鉄の扉が開かれるとそこには大きな空間が広がっていた。
暗がりの中ではそこが果たして何なのかはっきりとはわからない。
その時であった、辺りに眩しいばかりの光りが溢れたのである。
暗がりに目が慣れてしまった真澄と和美にとっては、それは目も開けていられない程であった。
「い、生きているのかっ?」
「そうだ、ここはまだ生きている」
真澄は顔を被った腕をどけ、目を細めながら辺りを見回すと、
そこは研究室の一室のようでもあり、格納庫のようでもあった。
正確にはその2つの機能を併せ持った部屋であるのだが。
「ここはどうやらアンチショッカー同盟が、来るべき時に、
レジスタンス活動の拠点に使うつもりだった秘密のアジトらしいぜ」
和人は先程からただただ驚くばかりの真澄にそう告げた。
「そんなものが未だに残っていたって言うのかっ!?」
「あぁ、そうだ」
「俺達の親父やお前のおふくろさんをはじめとするアンチショッカー同盟は、
人間がショッカーに支配される日が来る事を感じていたのかもしれない」
「だからこうしたシェルターをつくって、その日の為に、戦う準備を整えていた …」
戸惑う真澄に向かって和人は言葉を続ける。
「真澄、俺は思うんだ… これは親父達が俺達に送った遺産じゃないかってな」
「ショッカーが支配する時代にあって、そのショッカーに立ち向かう為の力を
俺の親父やお前のおふくろさんは残して行ってくれたんだよ」
「ショッカーに立ち向かう為の力 …」
真澄には和人の言う事がわからないでもなかったが、今ひとつピンと来なかった。
確かにここは今の人間の環境からすれば雲泥の差ではある。
だがだからと言ってショッカーに立ち向かう為の力と呼ぶに程遠いように真澄には思えていたからだ。
和人はシェルター内を歩き別の扉の前に立つと、ゆっくりとその扉を開けた。
「真澄、こっちに来てこれを見て見ろ」和人は真澄を誘う。
「お前もこれを見れば俺の言っている事の意味がわかる筈だ」
和人に導かれた真澄は信じられないモノを目の当たりにするのであった。
「こ、これはっ!!」
「こんなモノがまだ残っていたのかっ!?」真澄はただただ驚きの声を上げるばかりであった。
「『呪われた鎧』!!」
「あぁ確かに人々はそう呼んでいたようだな」
「お前のおふくろさん、澄子おばさん、
いやロボット工学の権威である小沢澄子が開発した最強の強化スーツ、それがこの『呪われた鎧』だっ」
和人と真澄の目の前にある『呪われた鎧』、
その闇の如き黒いボディに、澄んだスカイブルーの大きな目、そして長く突き出た銀の角。
真澄は自分の母が生み出したこの強化スーツの存在を知ってはいたが、実物を目にするのははじめてであった。
「しかし『呪われた鎧』はショッカーとの決戦に破れ、大破した筈 …」
真澄はデータでのみ知る史実に基づいた発言をした。
「あぁ、確かに『呪われた鎧』はショッカーとの決戦で、
俺の親父・滝和也が装着し戦闘に望み、ショッカーに敗れて大破した …その時、俺の親父も死んだ …」
滝和也はこの『呪われた鎧』を装着し、ライダーのいない世界でショッカーと戦い続けていたのだった。
「だから、これは親父が装着していたのとは、違うモノが他にもあったという事になる」
「そんな、『呪われた鎧』が複数つくられていたというのか …
いやだが複数同時に開発が行われていたという可能性もあるか …」
普段はクールな真澄だがこの予想だにしなかった展開にかなり混乱していた。
真澄は自分に冷静になれと言い聞かせながら思考を巡らす。
「今度は俺がこいつを装着してショッカーと戦う …俺の親父がそうしたようにっ!!」
和人はここではじめて自らの決意を明らかにした。
「馬鹿なっ!!お前だってこれが何故『呪われた鎧』と呼ばれているか知っているだろうっ!?」
真澄は和人の決意を知り、それだけは何としてでも止めなくてはと必死になる。
「あぁ、『呪われた鎧』は高性能であるが故に、装着者にかける負担が激しい。
普通の人間ではその負担に耐え切れずに、死んでしまう。
開発当初、これを装着した多くの人間がその命を失った、
それで人々はこの強化スーツを『呪われた鎧』と呼ぶようになった …」
「それがわかっていてお前は『呪われた鎧』を着ると言うのかっ!?」
「そうだ、『呪われた鎧』も最終的には調整を行い、その性能を落とす代わりに、
人間に与える負担を抑える事によって、強化スーツとして運用する事に成功したんだっ」
「そして調整された『呪われた鎧』を使いこなしたのが俺の親父・滝和也だっ…俺にだって出来ない筈はない」
「だが、今ここにある『呪われた鎧』はおそらく調整なんかされていないんだぞっ!
そんなモノをお前が着るのは、自殺するのと同じ事だぞっ!」
「だから、真澄、お前の力が必要なんだ …」
「お前ならこの『呪われた鎧』調整する事が出来る筈だっ」
「…!!」真澄は和人の発言に絶句する。
「馬鹿なっ!俺はこいつを見るのは今日はじめてなんだぞっ!
そんなものが調整出来るわけはないだろっ!」
「俺は、お前がずっとおふくろさんの開発した強化スーツを研究していた事を知っている、
こんな時代だからな、実物などは無いが、お前は残されたわずかな資料を基に強化スーツの研究をしていた…」
「…!!」確かに真澄は、いつか母がつくった強化スーツを
越えるようなモノをつくって見せると心密かに思っていた。
その為にも母の残した研究資料を何度も読み返し、独自の考察を加えて研究を行っていた。
真澄にとって母は偉大な目標であったが、母と同じ研究をする事は真澄にとって母への思慕からだったのかもしれない。
幼い時に母を亡くした真澄には、その研究だけが唯一母との繋がりでもあったのだから。
「真澄、俺はお前を信じている」
「大丈夫だ、お前なら出来る」
「真澄、お前の力を俺に貸してくれ、頼む」
和人は力強い言葉で真澄に語りかけた、その力強さは和人の決意の現れであったのだろう。
真澄も母のつくった最強の強化スーツに挑みたいという気持ちは抑えられなかったが、
だからと言ってかけがえのない友に命を賭けさせる事は出来なかった。
揺れ動く気持ちの中で苦悩する真澄。
そんな真澄に今度は笑顔を投げ掛ける和人。
「もし万一仮に調整が失敗したとしてもだ、俺はお前を怨みはしない」
「このまま生きていてもいずれショッカーに捕まって嬲りものにされるだけだ、
だったら俺はせめて奴らに一矢報いたい、一矢でもいいから報いてから死にたい」
和人の顔に悲壮さは無かった、むしろその顔は爽やかですらあった。
真澄にも和人の気持ちは痛い程にわかっていた。
和人は大昔存在していたというサムライなのだ。
生き恥を晒すよりは、名誉ある死を選ぶ、そういう男なのだ。
「そう言えば、俺のかあさんがまだ小さかった俺によく言っていたけな、
お前の無茶は親父さんそっくりだって…」真澄はそう言って苦笑して見せた。
自分はもしかしたら友を殺す事になるかもしれない、
だが自分は友の為にやらなくてはならない、真澄も覚悟を決めなくてはならなかった。
その時だった、今迄ずっと黙っていた和美が突然口を開いた。
「あたしは嫌だよっ …」
「あたしはあの『呪われた鎧』好きじゃないもの …」
「お父さんはあの『呪われた鎧』を着て死んじゃったんだよ …
お兄ちゃんがあの鎧を着たら、お兄ちゃん迄どっか遠くに逝っちゃうじゃない …
そうしたらあたし一人ぼっちになっちゃうじゃないっ!」
涙ぐむ和美、その姿に押し黙る和人と真澄。
「ねぇ、お兄ちゃん、そんな事しないで今はとにかく生き延びる事だけを考えようよ …」
「お父さんは、お父さんは、いつか必ず仮面ライダーが来てくれるって言ってたよっ!」
「だからお兄ちゃんがそんな命を賭けて無茶な事する必要なんてないんだよっ!」
「和美っ!!その名前は口にするなと言っただろっ!」
和人は仮面ライダーという言葉に過剰な反応を示す。
「いやっ!言うよっ!!」
「お父さんは仮面ライダーは戦友だって言ってたよっ!」
「最後の最後迄、仮面ライダーは必ず来るって信じてたんだよっ!」
「お父さんが信じてた仮面ライダーをどうしてお兄ちゃんは信じてあげないのっ!?」
「あぁ、そうさ、親父はずっと仮面ライダーが来ると信じてた」
「仮面ライダーは親父の戦友だったらしいからな」
「最後の最後迄、仮面ライダーは来ると信じてたんだ」
「だが、仮面ライダーは来なかった」
「親父は最後の最後迄、仮面ライダーが来ると信じて、
たったひとりぼっちでショッカーと戦い続けて、たったひとりぼっちで死んでったんだっ」
「仮面ライダーが来ると信じながらな」
「仮面ライダーは親父を裏切ったんだっ」
「親父は仮面ライダーを友だと思っていた、だけど仮面ライダーは親父を裏切ったんだっ」
「だから俺は仮面ライダーが許せねぇ、どうしても許せねぇんだよっ!!」
和人は両の拳を力強く握り締め怒りにその身を震わせていた。
和人の仮面ライダーに対する怒りと憎しみは非常に深く激しいものであった…
543 :
↑:03/12/08 01:14 ID:K8GYqJqR
過酷な時代に生きる若者のひたむきな姿と友情を描きたかったんだが、
こいつらなんか熱苦し過ぎ(汗
容量もそろそろだし、この続きは次スレですかね?
しかし残りの容量、雑談で埋めるには多くてSS貼るには少ないなw
>>543さん(というか彼面さん)
いや、全然暑苦しくなんてないですよ。
素直にアツクていい物語だと思います。
いつも一風変わった切り口に「ほぉー!」とか「うーん成る程!」と思いつつ
読ませてもらっております。
ぼちぼち次スレですね。
次スレよろ
>546
もう立ってるんだけど、次スレのURLが「ロックは人生だ。」規制に
引っ掛かってるから誘導カキコできないんだわ。各自、適宜検索して下さい。
困ってます、マジで
ロック規制って何なの?
すいませんが皆様検索お願いします。
ロック規制は、指定した文字列を含むカキコを弾く広告コピペ対策の
規制だそうっすよ(どうやら〇9〇が今指定されてるらしい)
とりあえずログ庫の現行スレ表示だけ更新しておいたので、
そちらからでも辿れます。
ちょっと今多忙なので残りの更新は後日に…。
550 :
彼面雷駄:03/12/09 21:35 ID:Md3mqAE7
誘導がちゃんと終わる迄は下手に埋めない方がいいのかな?
誘導が無事済んだら責任持ってちゃんと埋めときますんで
<スペードの将軍のどうでもいいシーンとか、まだあるんで
>>:彼面さん
新スレへのカキコありがとうございます。
最近の事情が分からずとまどいましたが、安心しました。
他の職人様方も誘導もできない状態ですが、次スレをよろしくお願い致します。
552 :
彼面雷駄:03/12/10 01:51 ID:dv2LssLt
>>氷川君好きさん
いえいえこちらこそありがとうございました
私が立てれば良かったんでしょうが、
様子見てからにしようと思い、昨日は早々に寝てました(汗
朝起きたら新スレ立ってたんだ嬉しかったです
こちらこそよろしくお願い致します
553 :
名無しより愛をこめて:03/12/11 02:28 ID:Db7+QBRL
もう消えちゃうよ読んでない人は早く!age
2043年、科学の文明を急上昇させた人類は宇宙、
すなわち地球人とは異なる者達と接触しようとしていた。
そして、人類は新たな生命体と接蝕することに、
皮肉にも最悪のケースで成功した。すなわち、異星人と
と地球人、双方の誤解が原因で戦争が始まったのである。
地球と同レベルの文明を持つその異星人と地球人との
戦争は泥沼状態と化し、双方の星の誰もが絶望するのが
当然となっていた。
そうこうしている中、異星人は地球人のシャトルと
その操縦士を捕獲することに成功する。だが、操縦士と
その監視を任されたある一人の女性異星人は、その操縦士
を監視し、観察していく中で「地球人と異星人はどこが
違うのだ?」という感情が発生する・・・。
愛し合うその操縦士とその女性の異星人。その2人の間には
「新しい命」が芽生えていた。
その2人は「今から過去に行けば、この悲惨な歴史を
修正できるのではないか?」という希望という名の誘惑に
すがる事にした。
2人は異星人たちが開発した「時間移動装置」を
使い、過去の世界に行こうとする。だが、襲撃にあい
その女性異星人とその子だけタイムスリップしてしまう。
(父親行方不明)
2003年、教会に捨てられていたその子は18歳の青年
として成長していた(母親行方不明)。そして、その子が
捨てられていた日から18年目に送られてきた「謎のベルト」。
そしてその日から始まった、「人類」という名の種への襲撃。
ベルトを使い変身するその少年は、異星人と地球人との
架け橋になれるのか?それとも、双方の星の両刃になるのか?
新番組「仮面ライダーPSY刃ER(サイバー)」
↑
今更ながらφげとおめ
漏れはCRC
559 :
テスト:03/12/18 17:51 ID:UhnvSPQR
ヒーロー戦記やってる人がいるから自分も一応予告出して反応次第で書くかも
(原作版仮面ライダー+原作版仮面ライダーBlack+その他のアニメ)
「THE仮面ライダー」
予告
「教えてくれ〜っ!おれはだれだ!」
あれから何年経っただろうか・・・・・
「あんたは救世主だ・・・・」
奴と出会ったその日から
「おれは・・・・救世主?」
おれは決心した
「君も仮面ライダーなのか?」
いつかこの世界を真の平和に導くと
THE仮面ライダー
近日公開
>>554 結構いいんじゃないかな
星座と555と龍騎のエッセンスを感じるが、
オリジナル的に構築出来ればあんたの勝ちだ
>>559 個人的には他のアニメ等との共闘も、
ライダーがメインという線を外さなければいいと思う
俺は最近のアニメに詳しくないので、
ネタがわからないとどうにもならん、という作品は読み飛ばすが、きっと
そろそろこのスレ埋めてもOKかな?