【手を取り】ライダー共闘SSスレその3【戦え】

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596544:03/05/16 00:14 ID:9U9eUW4e
数え切れないほどの書籍に占領された部屋に、
ここ一週間ほどでかなり強くなってきた西日が入っている。
そして、本たちに居住を許されたわずかなスペースに置かれた椅子と机とPC。
椅子の上にはやや小柄な女性が一人・・・
警察庁の要請で帰国した、小沢澄子博士その人である。
脇目もふらず、食らいつくようにPCと格闘する小沢だが、
よく見ると、プログラムの一部を何度も何度も書き直している。
どうやら、新武装の開発はスムーズに行っているわけではなさそうだ。

「失礼します!小沢さん!」
勢いよく尾室が入ってくる。
いくら人の上に立つことを覚え、落ち着いたように見えても、
自分が敬愛し、自分をG-5ユニットの管理官に推してくれた人物の前に立とうとするとき、
3年程度の経験は、すべて無に帰すようである。

「なに!・・・あら、尾室君じゃない。私が帰国したとき以来ね、どうしたの?」
相当気が立っていたのだろう。一瞬鬼のような顔を見せた小沢は、
殺気の表情が嘘だったかのように微笑んだ。
597544:03/05/16 00:15 ID:9U9eUW4e
「い、いえ・・・。未確認事件対応対策班も、門出を切った事ですし、
挨拶に来ようかなと思いまして・・・。」
「そう。」
「ところで、開発の方はどうなn・・・」
「なんですって!よく聞こえなかったんだけど!」
開発、という言葉が出た途端に語調を強めて小沢が言った。
どうやら今、この話はタブーらしい。
そう悟った尾室は、慌てて(怯えて)話を変える。
「そうだ!班総監の一条さんも一緒なんですよ。今来ると思うんですけど・・・hahaハ」
乾いた笑いを漏らす尾室。その脇の扉から、一条と五代が部屋に入ってくる。

「一条薫です。小沢博士、お久しぶりです。」
「お久しぶり、一条さん。ところでこっちは?」
そう言うと小沢は五代を指差した。
「俺は五代雄介、こういう者です。」
例によって例の名刺を差し出し、五代は親指を立てるのだった。
「2000の技を・・・なにこれ。」
机に頬杖を付き、小沢が責めるように尋ねた。
「小沢博士、彼は対未確認生命体の協力者です。」
小沢は一条のこの言葉だけで、五代の正体を理解したようだ。
「なるほどね・・・彼が例の。そうだ!ちょっと話があるの。立ち話もなんでしょ、
尾室君その辺片づけなさい。」
598544:03/05/16 00:16 ID:9U9eUW4e
「え?」
「こんなに散らかってちゃ全員座れないでしょ。本しまって!椅子と机出す!
ほら、ちゃっちゃとやる!」
「そりゃ無いですよ小沢さん。それに例のってなんですか〜」
そう言いながらもすでに体は部屋を整理し始めている尾室。
どうやら彼らの主従関係は、完璧に確立しているらしい。
「尾室君、俺手伝うよ。」
手を出しかける五代だが、小沢の制止に合い、それを止めさせられた。
「あなたには一つ相談があるのよ。あんなのほっといて。」
「は、はぁ・・・。」
あまりにも不憫なのは尾室である。
だが、この体験が報われる日が・・・来るような来ないような。

「一条さんはG-ユニットの資料、読んでくれたでしょ?
じゃあ五代さんに簡単に説明するけど、あ、G-ユニットシステムは装着型の装備ね。」
「それは知ってます。」
「そう。・・・G-ユニットは、人と共存する機械なの。
G-ユニット自体にも敵を感知し、攻撃しようとするプログラムを組み込んでいるのよ。
・・・そう、意志のようなものね。それと装着者の意志がいかに妥協しあって戦うか、
これがG-ユニットシステムの肝となる訳よ。
ゴウラムとその媒体との関係と似たようなものね。バイクに意志はないけど、
ゴウラムの負担を軽くするためにバイクにいろいろしたでしょ。」
いつになく真面目な表情で五代に話す小沢。
599544:03/05/16 00:17 ID:9U9eUW4e
「ゴウラムを知ってるんですか!」
「当然よ。G-3システムを開発するときに、科警研の榎田さんに
あなたの資料をいろいろ見せて貰ったから。まあ遊びみたいなもんだったけど
外見も真似したしね。」
「へぇ〜。なんか照れるなぁ。」
「話を元に戻すけど、G-ユニットの意志が強いと、まともな人間じゃ抗えないの。
G3-Xの装着者だった氷川誠も、それで苦しんだことがあったわ。
そして同時に装備の性能を上げると、装着者の体まで崩壊させてしまう。
かつて暴走事件を起こしたG-4のようにね。」

「で、五代に相談というのは?」
たまりかねたように聞く一条。急に語気が強くなっている。
「まさかこいつを戦線に駆り出すようなことじゃないですよね。」
「戦線?何よ、まだ具体的な事件も起こってないのに。」
「あ、それは俺のアマダムが教えてくれるんです。」
「予知能力って事?」「そんなに確実なものじゃないんですけど。」「便利ね。」「はい!」
満面の笑顔でサムズアップする五代。小沢はそれに大きなため息で答える
「・・・はぁ。・・・でもそれにしても一条さんは神経質になりすぎじゃないかしら?
何があったか知らないけど、大丈夫よ。それに何かが人類に近づいているのなら、
五代さんにはよけいに協力して貰わないと困るわね。これの開発にとって、
重要なことになるはずだから。」
600544:03/05/16 00:17 ID:9U9eUW4e
「協力ですか?」自分の横にあるPCをぽんと叩いて言う小沢に、五代が尋ねた。
「そう、あなたには機械の意志・・・AIの完成に協力して欲しいのよ。」
「AIですか・・・。あ、でもさっきの説明だと、機械の自我って言うんですか?
そう言うのを低くすれば万事解決なんじゃないですか?」
「馬鹿ね。それじゃあ只の重い服を着た人になっちゃうのよ。
そこの微妙なバランスが難しくて。装備の内容や重量なんかによって色々変わってくるから
昔作ったものの使い回しはきかないし。大変なのよね。」
どうやら相当煮詰まっていたようだ。小沢の口から自然に愚痴が出る。
「なるほど。」つぶやいたのは五代。

「後、今作ってる武装は、複数戦闘が基本思考なのよ。
数人の装着員と数体の完全自立型ユニットのグループによる戦闘。
この方が人員への被害も押さえられるし、便利かなと思って。」
「要するに、ロボットを作っちゃうって事ですか?ドラえもんみたいな?」
「掻い摘んで言えばそう言う事ね。だから、あなたに協力して欲しいのはこの二つ。
一つはあなたのアマダムの解析。生物と完璧に共生している無機物
・・・融合といった方が良いかしら?まぁとにかく良い資料になると思うのよ。
榎田さんに見せて貰ったのには大したこと載ってなかったから。
後もう一つはゴウラムの自立プログラムの解析。たぶんアマダムの解析
が主になると思うけど。こっちはあなたの言うロボットを作るのに役に立つと思うから。」
601544:03/05/16 00:19 ID:9U9eUW4e
「そんなことなら、いつでもOKですよ。でも一つ気になることがあるんですけど、
俺のアマダムって腹の中にあるじゃないですか。どうやって解析するんですか?」
「良いって言ったわね、今。男に二言はないわよね。・・・大丈夫、ちゃんと麻酔はかけるから。
あと一条さん、資料にあった彼の主治医だった人にも連絡とっておいて。
結構興味深いレポート書いてたし、私メス使えないから。」
時に、言葉は具体的なものよりも、はっきりとした意志を伝えるときがある。
「よし!開発コードもきめた。ゴウラムとG-ユニットを後継するから、WGねっ!決まり!」
柄にもなくはしゃいだ様子で小沢が言った。今に小躍りでも始めそうな勢いだ。
「小沢さん、まだ開発コード提出してなかったんですか。それになんですかその安直さ・・・。」
ようやく部屋すべてを片づけ終わった尾室が突っ込む。
「うるさいわね。」何かを書きながら小沢が怒鳴る「今しまったトコからこの
メモにある本出してきなさい!」
「そんなぁ〜」メモを渡され半泣きになる尾室。「そんな情けない声出さない!さっさと行く!」
・・・
・・・
・・・いつの間にか自分をおいてトントン拍子に話が進んでいく・・・。
この人と椿さんか・・・こんな時に人って身の危険を感じるんだろうな・・・。
妙なところで客観的な五代が、いつになく青くなっているように見えた。
602544:03/05/16 00:27 ID:9U9eUW4e
とりあえず出来たところまで挙げてみたんですが・・・
どんな感じですか?
後生ですからシシカトだけは勘弁です。
出来ればアドバイスを頂ければなおうれしいです。
個人的には地の文の少なさと同じ言葉の多用は何とかしなきゃなぁ
という感じです。自分のボキャブラリーの少なさに泣けてくるよホント。

戦闘書きたいヨー、セントウーとなっている私ですが、みなさんはもう
飽き飽きしている事でしょう。が、なにとぞもう少し(たぶん
暇なパートにおつきあい下さいませ。
603名無しより愛をこめて:03/05/16 16:56 ID:IAZVWmxE
雄介……(ノД`)

いや、テンポいいから飽きはこないし今後に期待でつよ。がんがってください。
604544:03/05/16 17:39 ID:DY9nRp6e
【時に、言葉は具体的なものよりも、はっきりとした意志を伝えるときがある。】

この文、意味分かんないですね。

時に、言葉は具体的なものよりも、オブラートに包んだ方が
その意図をはっきりと相手に伝えることがある。

みたいな感じに脳内補完おながいします。
1、深海に潜むもの

 −197X年、日本海溝最深部−
深海潜水艇“わだつみ”が漆黒の闇を切り裂いていく。
「深度、7500」
操艇者の小野寺が、精悍な顔に浮かんだ大粒の汗をぬぐった。断続的な底波が艇のバランス
を脅かす。小野寺は慎重に艇を沈降させていった。その後方で観測窓にしがみついているの
は海洋地質学の幸長助教授と、海底火山の権威として知られる地球物理学の田所博士だ。
小笠原沖での無人島消失、相次ぐ海底地震――日本列島には今、大きな異変が忍び寄ってい
る。その正体に迫るため、科学者達は途方もない暗闇を睨み続けていた。

「小野寺くん、前方の泥雲に…」
田所博士が指示をとばそうとしたその瞬間、艇が大きく傾いだ。
「なんだ!? こいつは…底波なんかじゃないですよ!」
慌てて計器を確認する小野寺。
海底地震か?いや、まるで艇尾に何かが激突したような――。
「小野寺くん!…イ、イカだ!」
幸長が犯人の名を叫んだ。観測窓の外に灰白色のシルエットがぼんやり浮かんでいる。
全長2mあまりの烏賊はくるりと旋回し、再び“わだつみ”を狙った。
「こんな深度で……まるで『海底2万哩』だな」
いや、あれはオウム貝だったか。小野寺はそう呟くと、緊急離脱を試みた。だが、一瞬はや
く艇に鈍い衝撃音が響いた。烏賊が“わだつみ”の艇殻にとりついたのだ。吸盤に覆われた
触腕をくねらせ、怪物はゆっくりと艇殻を這っていく。
観測窓から様子を窺っていた幸長が、小さな悲鳴をあげた。耐圧ガラス越しに彼の顔を覗き
こんできた烏賊の巨大な瞳には、あきらかな知性の輝きがあった。いや、そこに満ちていた
のは邪悪な殺意そのものだった。
そのまま艇尾にまわった烏賊は、恐るべき膂力で推進機関に抗った。スクリューと触腕とが
互いにせめぎあう不快な騒音が艇内に響く。やがて、大きく身震いするような振動を最後に
“わだつみ”は沈黙した。
 スクリュー音の途絶えた艇内は、深い静寂に包まれていた。
制御を失った艇は、そのまま怪物に曳航されて何処ともしれない海域へ向かいつつあった。
「だめかね?」
小野寺にそう尋ねるときですら、田所博士は観測窓から微塵も視線を逸らさなかった。この
事態にあってもなお、彼の関心は眼下にのたうつ泥雲塊に向けられていた。
「駆動系がいかれちまったみたいです」
「バラストを放出して、浮上するわけにはいかないのかね」
小野寺は唸った。まともな航行ができない状態である。たとえ怪物烏賊が艇を解放してくれ
たとしても、潮流に巻き込まれてしまったら何処に浮上するか判ったものではない。バラス
ト放出の機会は慎重に窺わねばならないだろう。
「とにかく、巽丸と交信をとります」
小野寺はレシーバーをとり、水中無線の出力を最大にした。
だが、ノイズの彼方から聴こえてきたのは母船で待機する仲間の声ではなかった。
「……ゴ…ル……」
微かなうめきが小野寺のレシーバーに拡がっていく。
「ゴ…ル……ゴ…ム……ゴ……ル…ゴ…」
繰り返される無機質な音声は、やがて一つの単語をなした。
――ゴルゴム。
その言葉が何を意味するのかは、小野寺の知るところではなかった。
ただ、尋常ならざる悪意が“わだつみ”に向けられていることを察して、彼は身震いした。

 そのまま、どれほどの時間が経過しただろうか。“わだつみ”を従えて海溝底を泳ぎまわ
る怪物の意図はいまだに判らない。あるいは、このまま艇内の酸素が尽きるまで残酷な海中
散歩を楽しむことこそ、その真意なのかもしれなかった。
操舵パネルを相手に試行錯誤を続けていた小野寺も、ついに苛立ちのあまり拳をパネルに叩
きつけた。操舵席に突っ伏しかけたそのとき、彼はふと傍らのコンソールに目を留めた。
観測モニタに、正体不明の小さな光芒が瞬いている。
「今度は…何事だ?」
 “わだつみ”に向かって接近してくる光芒は、サーチライトの強烈な輝きだった。
小野寺の報告を受け、憔悴しきった表情の幸長が操舵席に向かう。田所博士ですらゆっくり
と立ちあがって幸長に続いた。全員の視線が、小さな観測モニタに釘づけとなった。
「この海域に我々以外の艇がいるなんて……しかも、かなり小型だな」
いや、闇の彼方から現れた機影は潜水艇ですらなかった。誰もが、我が目を疑った。
――オートバイだ。
スクリューを蹴立てて海中を疾走する白い弾丸。
その背には、髑髏を思わせる白銀の仮面をつけた騎手が跨っている。
(何者だ、あれは……敵か、味方か?)
小野寺達の脳裏に浮かんだ疑問に答えたのは、ほかならぬ怪物烏賊だった。怪物は巨大な外
套部に吸い込んだ海水を一気に噴射し、その身を銛としてオートバイに襲い掛かった。
仮面の騎手はアクセルを踏み込んで急襲を避けると、腰のベルトから細身の剣を引き抜いて
軽やかに跳躍した。“わだつみ”のサーチライトを受けて、深海に刻まれるXの軌跡。
Xライダー、見参!

 日本海溝の怪物烏賊――ゴルゴムのイカ怪人が触腕を振りかざす。Xライダーは細剣から
転じたライドルスティックで怪人の一撃を薙ぎ払うと、そのまま間合いを詰めた。ライダー
が鋼のスティックを繰り出す。しかし、怪人は弾力性にすぐれた外套膜でその威力を殺し、
四対の脚でライダーを翻弄する。ライダーは華麗なスティック捌きで応戦し、怪人の胴を蹴
りあげて再び距離をとった――。
「なんて運動性能だ…」
一連の攻防をモニタで眺めていた小野寺が唸った。
(深度8000mでここまで自在な動きができる潜水服があるなんて……)
潜水艇の操縦だけでなくダイビングの経験も豊富な彼にとって、眼前にひろがる光景はあま
りにも信じがたいものだった。呆然とする小野寺の隣で、モニタを凝視していた田所博士が
ぽつりと呟いた。
「……カイゾーグ……神、啓太郎か」
 しばらく攻防を繰り広げていたイカ怪人が、海水を噴射して後方に広く距離をとった。
「なにか、仕掛けてくるつもりだ」
小野寺の直感は的中した。外套膜の裾についている一対の突起がぼんやりと輝き、呼吸でも
するかように大きく膨らむ。次の瞬間、そこから濃紫色の破壊光線が放たれた。
危機を察知していたのか、素早く旋回したXライダーは辛くも直撃をまぬがれる。イカ怪人
は突起に再びエネルギーを充填し、破壊光線でライダーを狙う。なんとか接近戦に持ち込も
うと試みるライダーだが、絶えることない光線の追撃に阻まれてなかなか距離を詰めること
ができない。飛び交う破壊光線のなか、銀色の姿が縦横無尽に海中を舞う。
その華麗な動きが、不意に停まった。
ただの乱射とも思えたイカ怪人の破壊光線。しかし、それは巧妙な罠だった。次々と襲いく
る光線を避けるうちに、ライダーはごく自然にこの位置へと誘い込まれていた。怪人の照準
に捉えられた彼の背後には、無防備な“わだつみ”の姿があったのだ。
イカ怪人の突起が、ゆっくりと膨らんでいく。
身動きのとれないライダーめがけて放たれる眩いばかりの怪光。これまでの攻撃とは明らか
に桁が違う、最大規模の破壊光線だった。踏みとどまったXライダーはライドルスティック
を胸元に構えると勢いよく回転させた。スティックが描く円弧は真空の防壁となり、破壊光
線を真っ向から受け止める。深海の暗闇にあざやかな火花が散った。
そして、凄まじいほどの衝撃。
吹き飛ばされたXライダーの身体を十本のしなやかな鞭が捉えた。絡めとられた獲物にイカ
怪人の鋭い嘴が襲い掛かる。みしり、と嫌な音がして大粒の気泡が漏れた。
 “わだつみ”の艇内にもどよめきが起こる。
「…なんとか、援護射撃できないかね?」
「無茶言わないでください。潜水艦じゃあるまいし…」
魚雷の用意などあるはずもない。そう言い掛けた小野寺が押し黙った。
(一か八か…やってみるか)
縺れあったまま浮遊する怪人とライダーの姿を確認し、小野寺は慎重に方向制御用の水中ジ
ェットをふかした。沈黙していた艇が徐々に頭をもたげ、イカ怪人を正面に見据える。
モニタを凝視する小野寺の額を、汗がつたっていく。
「…今だ!」
小野寺が操舵席の右手に備えられたレバーをひいた。小さな振動とともに“わだつみ”から
銀色の筒が射出される。金属筒は斜め上方に向かって勢いよく飛来していく。
もちろん、正確な照準がついているわけではない。小野寺は自分の経験と勘だけを信じた。
金属筒は白銀の軌跡を描きながら、彼の思惑どおり怪人の鼻先をかすめ――炸裂した。
水中照明弾。
蒼白い輝きを放つ光弾が、暗黒の世界を照らしあげた。

 照明弾の閃光がつくった一瞬の隙を、ライダーは逃さなかった。
海中を漂っていたクルーザーに魂の灯がともった。唸りをあげた白い弾丸は無人操縦のまま
怪人へと突撃する。虚をつかれて、ライダーを縛りつけていた触腕が緩んだ。一気に怪人を
振りほどいたXライダーは、渾身の拳を敵の頭蓋へと叩き込んだ。
烏賊の頭蓋には平衡感覚をつかさどる器官がある。照明弾の直視で視覚を奪われ、この一撃
によって平衡をも失ったイカ怪人は溺れるようにもがいた。苦し紛れに吐いた烏賊墨が周囲
をどす黒く染めていく。
Xライダーが怪人めがけて跳躍した。
怪人の触腕と脚を締めあげ、鋼の身体に秘められたエネルギーを迸らせながら旋回していく
Xライダー。やがて戦士と怪人の姿を飲み込んだエネルギーの奔流は、巨大な遠心力の渦と
なって“わだつみ”を揺らした。五体を砕かれ、激流から放り出されるイカ怪人。
その嘴をつらぬく白銀の閃光――Xキックが、怪人を粉砕した。
 断末魔の爆音が海溝底にとどろく。
観測モニタに身を乗り出すようにして、小野寺と幸長はライダーの勝利を喜びあった。
だが、田所博士の視線だけは既に鋼の戦士を向いてはいなかった。遥か眼下、照明弾と爆炎
によって照らし出された日本海溝の奥底。田所はそこに巨大なうねりを見た。
岩壁から噴出している濃密な泥の塊がどこまでも滑り落ち、深淵へと飲み込まれていく。
「海底乱泥流だ!」
かつて、海洋地質学者キューネンは海底における巨大な崩落現象を予言した。
田所は今、世界ではじめてその実像を目撃したのである。

 放出されたバラストが泥雲に飲み込まれていく。“わだつみ”はクルーザーに牽引されて
ゆっくりと浮上しはじめた。田所博士は徐々に遠ざかっていく海底を睨みながら、途方もな
い戦慄を隠せなかった。彼は、日本海溝に蠢く巨大な魔物を思い描いていた。海溝に支えら
れた大地のすべてを噛み砕き、闇の彼方へ奪い去ろうとする邪悪な魔物を――。

                                           (つづく)
611 ◆HqKATooXaI :03/05/17 07:20 ID:P7HEXsfb
そんなわけで、活気に便乗させていただく感じでこっそりと。
舞台設定はデルザー壊滅後(76年前後)、7人ライダー以外の
ライダーも設定流用やカメオ出演で可能な限り顔を出す方向で。
「日本沈没」については小説および映画版に準拠し、ほかに2本ほど
特撮映画ネタの登場を考えています。
それでは、今後ともよろしくお願いします。
612名無しより愛をこめて:03/05/17 09:03 ID:XTU8wUT2
Xライダーキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
613名無しより愛をこめて:03/05/17 09:31 ID:N1FyaeAJ
こりゃまた凄そうなシリーズが来てしまった…
しばらく目が釘付けですなこのスレ。
614名無しより愛をこめて:03/05/17 11:02 ID:xSk6XP54
>544さん
別に戦闘にこだわってほしくないと思います。
人間中心の物語を書かれるということで、個人的に期待しています。
すでにここに掲載された作品は沢山あるのですから個性を大事にしてほしいです。
ぜひ他にはない個性的な作品に仕上げてください。

>日本沈没対仮面ライダーさん
これまた凄そうな作品が登場しましたね。
日本沈没は名前しか知らないのですが、続きが読みたくなりました。
ベテランの力を平成世代に見せつけてやってください。
615名無しより愛をこめて:03/05/17 13:23 ID:8WHmS+HH
>>544
名作キターーーーー
やっぱりG3ユニットと五代・一条コンビは絵になるね。
原作でもやって欲しかったよう
616名無しより愛をこめて:03/05/17 23:34 ID:0eHyo782
あげ
617名無しより愛をこめて:03/05/18 13:48 ID:73cOw9Cy
誘導あげ
618名無しより愛をこめて:03/05/18 14:21 ID:b7kJdgA9
>>590みたいなのは、龍騎ライダーズとの競演
という事では無理でしょうか?
619名無しより愛をこめて:03/05/18 22:21 ID:hniPYzmU
…無理でしょうか、と言われてもなぁ。
書く人がいるなら無理ってことはないんじゃない?としか答えようが。
620仮面ライダー Heat on!外伝:03/05/18 22:59 ID:ILPvi17g
すまんがもう1日2日待ってくれ
長いしとんでもない話なのでなかなか収集がつかん(自爆
621名無しより愛をこめて:03/05/19 22:39 ID:Sa+oJvhf
「日本沈没対仮面ライダー」は7人ライダーが主役なの?
622名無しより愛をこめて:03/05/19 23:18 ID:8VNnnhCq
 いきなりですいませんが、
 人間vsアンノウンが終わってからの空白の一年
 書いてみようかな〜って思っています。

 なんかあったら言って下さい。
623秋山ロン ◆ICIZO8h8rM :03/05/20 18:53 ID:hw92mGAE
仮面ライダーアギト AnotherStory 『PROJECT DARKNESS』


第6章 「私の最高傑作です」

ソルブレイン本部で華月の過去が明かされているその頃、G3ユニットの3人は警視庁電子工学研究所を訪れていた。
先のA・G4との戦いで中破したG3−X、その修理を依頼していたのだが、その修理が完了したのだ。
修理の完了したG3−Xを受け取る氷川達。そして―
「氷川君、付いて来なさい。紹介したい男がいるわ」
そう言うと小沢は修理の完了したG3−Xを尾室に任せ、氷川と共に電子工学研究所の最深部へと進んでいった。

「『地球防衛技術研究本部』……相変わらずのようね。あの男」
たどり着いた部屋のドアにかけられたプレートに、思わず溜息をつく小沢。だが、すぐに立ち直り、氷川のほうを向く。 
「氷川君、1つアドバイスするわ」
「はい」
「この部屋の主は、私の大学時代の同期なんだけど…相当な変わり者よ。油断したらすぐにペースに巻き込まれるわ。十分に注意して」
「は、はい」
小沢の言葉に緊張を新たにする氷川。 
「それじゃ…いくわよ」
ドアを開け、部屋に入っていく小沢と氷川。
624秋山ロン ◆ICIZO8h8rM :03/05/20 18:53 ID:hw92mGAE
そこには1人の男がいた。昼食中だったのか、カップの焼きそばを啜っている。
年は20代後半、髪の毛はボサボサで皺の入った白衣を着ている…。どうやら服装などにはあまり関心がない男のようだ。
「久しぶりね、月夜野君」
月夜野君、小沢からそう呼ばれた男は箸を止め、小沢達のいる方を向いた。
「おお、小沢じゃねえか、久しぶり―」
そう言いながら月夜野は、机に積んでいたカップ焼きそばを1つ手に取り―
「喰うか?」
と、小沢に聞いてきた。
「残念だけど、昼はもう済ませてきたわ」
「そうか、少し…待ってろ」
そう言うが早いか、再び焼きそばを食べ始める月夜野。かなり、マイペースな男のようだ。 
「小沢さん、この人が…」
「ええ、私の大学時代の同期…月夜野真樹よ。かなりの変わり者だけど、知識と腕は超一流よ」
そんな事を話しているうちに月夜野の食事は終了した。
「で、今日来た用件は?」
「わかっているでしょう。頼んでいた例の物よ」
「ああ、あれか…出来てるぞ」
そう言うと月夜野は壁の装置を操作し、隠し部屋を出現させると―
「こっちだ」
2人を室内に案内した。
625秋山ロン ◆ICIZO8h8rM :03/05/20 18:54 ID:hw92mGAE
室内にあった物、それは―
「追加装甲…ですか?」
「そう、小沢に頼まれて、俺がG3−X用に開発したHWS(Heavy・Weapon・System)と、新型の武装一式だ」
「…どこかで聞いたようなネーミングね」
「ああ、アレ」
月夜野の指差した先にあった物、それは―
「1/100、RX−93 νガンダムHWS…アレのネーミングをそのまま使わせてもらった」
「そのマニアぶりも相変わらずね…」
「いやぁ…それほどでも……」
「褒めてないって…まあ、ネーミングなんてどうでも良いの。問題は性能よ」
「じゃあ、試してみるか? 試験場で」
「そうね…氷川君」
「はい!」
「尾室君にG3−Xを試験場まで持ってくるように連絡して」
「はい!」

それから数分後、試験場にはHWSを追加装備したG3−X・HWS装着仕様(以後、G3−X)が立っていた。
胸部、腰、肩、背中、脚部に追加装甲を装着した為か、一回り大きく見える。
「G3−X・HWS装着仕様…略して―」
「略称なんて、どうでも良いわ」
「あ、そう…装甲のデザインは、デュエルガンダム・アサルトシュラウドを参考に―」
「聞いてもわからないから、説明は良いわ」
「…残念」
「氷川君、テストを始めるわよ」
『はい!』
「それじゃ…まずは物理的な衝撃に対しての防御力を…第一段階スタート!」
626秋山ロン ◆ICIZO8h8rM :03/05/20 19:01 ID:hw92mGAE
月夜野の声と共に、試験場の壁が展開し、そこから4門の機関砲が出現。弾丸の嵐がG3−Xに襲い掛かる。 
その弾丸を仁王立ちで受けるG3−X。装甲表面で火花が散るが、装甲自体にはたいしたダメージはない。
「クラステクターやソリッドスーツのデータも参考にしているからな。G4のギガントが直撃しても耐え切れるぞ」
「氷川君、状態は?」
『特に異常はありません』
「じゃあ、今度はエネルギー系の攻撃に対して…第二段階スタート!」
今度は高熱火炎や冷凍ガス、高圧電流などがG3−Xに襲いかかる。が、これにもG3−Xは耐えている。
「追加装甲の耐熱性は3400℃、耐冷性は−215℃まで耐えられる」
「…耐電性は?」
「320万V」
「殆ど完璧と言える数値ね」
「だが、欠点もあるぞ…追加装甲の総重量は100kg、機動性がかなり落ちちまう」
「その位のデメリットは承知済み…この氷川誠には大した問題にはならないわ」
「ほぉ…ずいぶん高い評価だな。聞いた話じゃ、箸で豆腐を掴めないほど不器用だと聞いていたが…」
「確かに彼は不器用…でも、決して逃げない男よ」
「なるほど…それじゃ、新兵器のテストといくか。氷川君、『GB−07』アクティブ」
『了解』
氷川の声と共に、G3−Xの背中に左右1丁ずつ接続されていたバズーカ砲が、アームによって前面に自動で引き出される。
「射撃開始!」
月夜野の声と共に2丁の『GB−07』が火を噴き、目標として設置された廃車を次々と吹き飛ばしていく。
「ギガントのデータを元に設計したバズーカ砲『GB−07』。1発の威力は約25t…まあ、GXランチャーやギガントには劣るが、装弾数と、連射性能で上回ってる。続いては…氷川君『GHG−08』アクティブ」
627秋山ロン ◆ICIZO8h8rM :03/05/20 19:26 ID:hw92mGAE
『了解』
『GB−07』を収納したG3−X、両脚の装甲内部に収納された大型ハンドガンを取り出す。
「随分変わった形のハンドガンね。レーザーサイトに…あれはエネルギーユニット?」
「まあ、見てなって…氷川君、射撃開始!!」
G3−X、2丁拳銃を構え、ターゲットへの射撃を開始する。
『GHG−08』から放たれる弾丸。厚さ10cmはある鉄板で作られたターゲットを次々と撃ち抜いていく。
「どうなっているの…いくらアーマーピエシング弾を使ってもあんな威力は…まさか……」
「そう、あの『GHG−08』から放たれる弾丸は、エネルギーユニットを通過することにより、エネルギーコーティングを施され、戦車の複合装甲さえ貫くハイパーブリッドになる。凄いだろ」
「何処でそんな技術を?」
「ああ、ここに来る前に数ヶ月だったけど、ある研究所に招かれていてな。そこのスタッフ、たしか…そうそう、『シグさん』って人から仕入れた」
「『シグさん』…外国人?」
「いや、日本人だった…変わった名前だな…とも思ったけど、別に気にしなかったし…」
「そう…」
 
懸命な読者の方ならもうお気づきであると思うが、月夜野が出会った『シグさん』というのは国連の対異星人組織『ブルースワット』のメンバー『シグ』の事である。
彼は仲間のショウ、サラと共に凶悪なスペースマフィアと孤独な戦いを繰り広げた訳だが、それはまた別の話。
628秋山ロン ◆ICIZO8h8rM :03/05/20 19:42 ID:hw92mGAE
「さて、これで最後だ。氷川君、『ギガストリーマー』アクティブ!」
『GHG−08』を収納したG3−X、背後のツールボックスからギガストリーマーを取り出す。
「計算上、HWSを装着した状態なら…マキシムモードの反動にも耐えられる筈だ…氷川君、撃て!!」
G3−X、ギガストリーマーを発射。だが反動に押され、狙いを大きく外してしまう。
「氷川君、もう一度やってみて!」
再挑戦。さっきよりは修正された物の、狙いはまだ逸れている。
「氷川君、根性見せなさい!!」
3度目の挑戦。自分を吹き飛ばそうとする反動を堪える氷川。両足に全体重をかけ、必死に踏ん張る。

ついに命中!ターゲットのトラックは粉々に吹き飛んだ!!

「これで全テスト終了だ。氷川君、おつかれさま」
安堵の表情を浮かべる小沢と月夜野。
「これで、ここでの俺の仕事は終わった。何の悔いもない」
「どういう意味?」
「上層部から睨まれちまってな…俺の研究は『税金の無駄遣い』だって……査問会にも呼ばれたよ」
「………」
「だからさ。査問会で言ってやったよ。『アンノウンへの対策を小沢達に任せっきりで、何もしねえ連中が偉そうな事言うな。お前らが天下りに使う金を減らせば済む事だろうが!』ってな…」
「月夜野君…」
「本当なら、その場で首切られる所を朝比奈博士達が庇ってくれてな…おかげでこれを渡す事が出来た」
「これからどうする気なの?」
「ああ、前から俺をスカウトしたいって、言ってくれてる民間の企業があってな。そこに行く事になってる」
「民間の企業?」
「…『スマートブレイン社』俺専用のラボも作ってくれるって言うし…好きにやらせて貰う」
「そう、頑張ってね」
月夜野に手を差し出す小沢。
「お前らもな」
握手を交わす2人。



友の協力により、新たな力を得て復活したG3−X。彼の新たな力はこの戦いの勝利の鍵となる事であろう。
629名無しより愛をこめて:03/05/20 20:58 ID:Xs6wx2jH
今度のG3-Xはファンネルが着いてる・・・らしいぜ・・・。
630名無しより愛をこめて:03/05/20 21:10 ID:M/8i6Kd5
>>629
いや、むしろインコムっぽい…らしいぜ…
それと、追加装甲はPS装甲じゃない…らしいぜ…
631名無しより愛をこめて:03/05/20 22:07 ID:dhRA2qct
秋山ロン ◆ICIZO8h8rM

新作ではブルースワットとファイズが何気にクロスオーバーでイイ!!
パワーアップしたG3−Xもガンダムっぽくってイイ!!

期待してるよ!!
632名無しより愛をこめて:03/05/20 22:47 ID:kO8GBOTW
>>秋山ロン
その内、G3−Xは肩にレールガンとか装備するのか?
それとも、10枚の羽とビームキャノンとレールガンを装備するのか?

とにかく、頑張れ
633632:03/05/20 22:53 ID:kO8GBOTW
>>秋山ロン
あ、あとよかったら…HWS?のスペックなんかを掲載してくれると、嬉しいんだが…周りに迷惑か?
634名無しより愛をこめて:03/05/20 22:58 ID:lm4Z/AJ+
なんかG3-Xを日ごとにガンダム化されていく氷川君の日記が書きたくなってきた。
635名無しより愛をこめて:03/05/20 23:08 ID:AhO8gj9e
並行で誰か書いてくれないかなぁポワワ>氷川君のG3-X日記
636名無しより愛をこめて:03/05/20 23:31 ID:xia7wSv/
>秋山ロン氏
ブルースワット知らない自分でも、充分楽しませて頂きました!
637仮面ライダー Heat on!外伝:03/05/20 23:53 ID:84rqffSm
とりあえずやっと書けたので投稿します
いい雰囲気になってきたところを台無しにしそうでコワイ(汗
638仮面ライダー Heat on!外伝:03/05/20 23:54 ID:84rqffSm

ミラーワールドと現実世界の境界が無くなり、現実世界に大量に溢れ出したモンスターの群れ。

「城戸・・・・俺は今まで友と呼べる人間がいなかった。作ろうとも思わなかったしな。
だが・・・お前は唯一友と呼べる存在かもしれん」「蓮・・・・」
「だがわかってくれ 俺は闘わないワケにはいかない!
例え可能性がどんなに低くてもそれに賭けるしかない!俺と闘ってくれ」
「・・・ああ 俺の頼みを聞いてくれたら・・・闘ってやるよ」「何だ?」
「・・・・・・死ぬなよ蓮」
「!・・・・・・お前もな」

「約束通り生き残ったな、、、俺と闘うか?」「蓮っ、、、」
「いや、お前との闘いはしばらくあずけておこう、、まずはこの世界を何とかしなくてはな、、
この状態では恵理が意識を取り戻しても、可哀想なだけだしな、、」
「ああ、、、そうだな。ミラーワールドと現実世界の境目がなくなって、
モンスターが現実世界に大量にあふれ出して来た。このままだとこの世界が滅びちゃうもんな、、」
「だがいつか約束は守ってもらうぞ、、」
「ああ、、それまでは何があっても死ぬなよ蓮」
「お前もな」

真司と蓮の間に交わされた闘いの約束。
だがそれは2人が予想していた以上に早くに現実のものとなる。
しかもそれは2人が望んだものとは全く違う、最悪のカタチとして実現されるのであった。


【 仮面ライダー Heat on!外伝/Anoter 13riders 】

639仮面ライダー Heat on!外伝:03/05/20 23:55 ID:84rqffSm

別世界より『神の肉体の器』を求め、真司達の世界へやって来た天使・ミカエル。
ミカエルはこの世界の全生命体とすべてのライダーを巻き込み、食物連鎖のピラミッドの頂点を決め、
最後に生き残ったものを『神の肉体の器』とするというサバイバルゲームを開始する。

神崎士郎はこの世界の13人のライダー達の前に現れて言う。
「お前達この世界のライダーと、別世界から来たライダー達は共存出来ない。闘えっ!!」
そしてミカエルの配下の12天使達は、13人のライダーそれぞれの元を訪れ、
サバイブのカードを元にしてつくられた強化カードと、手数を補う為の増強カード、
そして、ライダー自身が自分の意志でカードの内容を決められる白紙のカードを手渡すのであった。

ミラーワールドと現実世界の境界が無くなり、現実世界に大量に溢れ出したハイドラグーンの群れを
一掃することに成功した別世界のライダー達であったが、
モンスターの群れはその後も現実世界に出現し人間を襲い続けていた。
そんな状況の中せめてもの救いは、今迄のところモンスターの群れは小規模で
前回のハイドラグーンの時のような大量出現はまだないということであった。
だが、突然現実世界に出現するモンスターの群れに、
龍騎世界ではARKのような統制された情報網を持つ支援組織がない、
本郷猛をはじめとする別世界の仮面ライダー達は、
モンスターの対応に関して後手に廻らざるを得ないというのが現状であった。

龍騎達のもうひとつの物語において、ここまでは単なる序章に過ぎず、
ここからが真の闘いの幕開けでもあった。
モンスターの群れが出現するのが日常のこととなり、街は徐々にその姿を瓦礫へと変えて行き、
人々の心は不安と絶望へと向かい、荒みはじめていく兆しを見せていた。
世界は破滅への予感に満ち溢れていた。


【2nd Survive 第14話「龍騎II」】

640仮面ライダー Heat on!外伝:03/05/20 23:57 ID:84rqffSm

「何やってんだぁ!真司っ!早く記事まとめろっ!もう時間がねぇぞっ!」
OREジャーナル編集部内に大久保編集長の大声が響く。
連日の謎のモンスター群の出現により、OREジャーナルは不眠不休の大忙しであった。
編集部内には常に緊迫感が漂い、編集長も玲子も島田もめぐみもみな必死であった。
それは仕事に対する緊張感や懸命さでもあったが、
あるいはみな心の何処かでただならぬ不測の事態に人類の危機的なものを感じとっていたのかもしれない。
それだけ謎のモンスター群の襲来は人々に衝撃を与えていた。

真司は編集長にせかされるまま、パソコンに向かい記事の執筆に奮戦していたが、
もちろんその胸中は複雑なものがあった。
普通の人々にとっては未知なる生命体の襲撃であっても、
自分にとってはよく知るミラーワールドのモンスターで、
自分は今回のモンスター群襲撃事件の中心にいる人間である、
そのことをみなに教えてしまいたい気持ちもあったが、もちろん教えることなど到底出来なかった。
真司はモンスターの群れが連日出現する今の状況を早く何とかしたいと焦る気持ちでいっぱいだった。
それでもOREジャーナルの仕事を続けているのは、広範囲化しつつあるモンスターの出現位置、
その出現情報を知るにはOREジャーナルの情報網が有効であったからに他ならなかった。
OREジャーナルに入ってくるモンスター出現情報を、真司が本郷や一文字に伝え、
真司自らも取材と称してモンスター出現ポイントに向かい龍騎となって闘う。
ハイドラグーン大量発生以来連日これの繰り返しであった。
今の真司には日々のモンスターの撃退が精一杯で、ライダー同士の戦いを止める、ミラーワールドを閉じる、
その事態の根本を追求し、解決することは無理なことであった。
そのことが真司自身に焦燥感をもたらし、真司を苛立たせていた。
そしてミラーワールドを閉じるだけでは、救うことが出来ない人々が存在すること、
その事実が余計に真司を苦悩させるのであった。
641仮面ライダー Heat on!外伝:03/05/21 00:00 ID:6DPMMmEd

真司はそうした気持ちを振り払うようにして、今目の前の仕事に集中する。
一心不乱にパソコンに向かいキーボードを叩く真司。
デスクに向かう真司の周囲は暗い闇の中へ包まれていく。気づかずに集中している真司。
真司が次に顔を上げ周囲を見回すと、そこへ闇の世界、そして目の前には天使・ミカエルが立っていた。

突然のことに驚き身構える真司。真司の目の前で腕組をして立つ天使・ミカエル。
「な、なんだよっ、突然現れて」
「赤い龍の騎士よ、私は君に知らせに来たのだよ。
君達この世界のライダーは、別世界から来たライダー達と共存することは決して出来ない。
君達の間にいかなる絆があろうとも、必ず最後は命を賭け闘う事になるのだ。君達が望もうと望むまいと。
それが定められえた運命というもの。抗うことは出来ないのだ。」ミカエルの静かな声が真司に語りかける。
「ふざけるなっ!!運命とかそういうのはもう聞き飽きたんだよっ。
俺は本郷さん達と一緒にお前達を倒す。そしてライダー同士の戦いを止めて、みんなを救い、この世界を必ず元に戻してみせる。」
「果たして君は本当にそう思っているのかな?
それが不可能だということに君も薄々気づきはじめているのではないのかな?」
まるで自分の心が見透かされているようぎくっとする真司。
「私はね、君の力をかっているんだ。いや龍騎の力と言った方がいいかもしれないね。
龍騎の潜在能力は大したものだよ。この全ライダーのサバイバルゲームで優勝するのも夢じゃない。
だが城戸真司、君がその龍騎の能力を封印してしまっている。
君の闘いを止めようとする気持ちが、龍騎の戦闘能力を随分と落としてしまっている、実に嘆かわしいことだよ。」
642仮面ライダー Heat on!外伝:03/05/21 00:02 ID:6DPMMmEd

「それにね、我々を倒してもこの世界は最早もう元には戻らないんだよ。
壊れてしまったものは元に戻せないし、死んでしまった人間を甦らせることは出来ない。
君だってそれぐらいはわかっているだろう?」
「だ、だけど、お前達を倒せばこれ以上被害を出さなくて済むだろ」
「もし仮に君達が我々に勝てると仮定して、我々すべてを倒し、ライダー達の戦いを止め、みんなを救い、
モンスター出現の根本を無くす、そこに辿り着くまでに一体どれだけの時間がかかると思う?
その頃にはもう人類は全滅してしまっているかもしれないよ」ミカエルはそう言いクスクス笑う。
「現に君はこの半年の間に誰も止めることが出来なかったじゃないか。
私はずっと見ていたんだよ、君達のことをね。」
「君がこの戦いのすべてを止める頃には人類はとっくに滅んでしまっているよ」ミカエルは再び愉快そうに笑う。
「クッ、、」真司はその言葉に返す言葉がなかった。ミカエルの言うことは本当のことでもあったからだ。
643仮面ライダー Heat on!外伝:03/05/21 00:02 ID:6DPMMmEd

「私はね、君に提案があるんだ。すべてを上手く解決する方法をね、知らせに来たんだよ。」
「君は止める必要は全くないんだ。君は闘って最後の勝者になればいい。
そして最後のひとりになった時、君は願えばいいんだよ。
『時間を戻して、ミラーワールドの存在しない世界にしろ』とね。
そうすれば死んだ人間は甦るし、壊れたものだって元の姿に戻る。この世界のライダーが闘う理由もなくなる。
君の気にかけているすべてのことがたったそれだけで解決してしまうんだよ、簡単なことじゃないか。」
ミカエルはかなりの核心をついていた。真司とて今迄それを一度も考えたことがなかった訳じゃない。
だがそれが願いとして通用するとはとても思えなかった。いや思っていなかった。
ミカエルの絶妙な提案に、真司は動揺を隠せなかった。
もちろんミカエルのことを信じることは出来ないが、
だがそれがこの世界を救う、みんなを救う唯一の方法であるかのようにも思えたからである。
「私達にとっては君の願いが何であろうと関係はないんだ。
私達にとっては最後のひとりが決まるということの方が大事なのだからね。」
「お前の言っていることは嘘だ!時間を戻せばお前達のやろうとしていることも白紙になるんじゃないのか?」
真司の言う事も最もなものであった。
「私達天使は時を越えた存在だからね。君達の時間は戻っても、我々天使の時間が戻る事はないんだよ。
それはただ単に時を越えたというだけのことであって、時間を巻き戻したということにはならない。
つまり君の願いでも、我々の目的は達せられるし、君の願いも叶うということだ。」
644仮面ライダー Heat on!外伝:03/05/21 00:03 ID:6DPMMmEd


ミカエルの甘い誘惑に真司の心は迷い、揺らぎそうになった。
だが、今迄信じて進んできた道を捨て、全く正反対の道を取る事は真司には出来なかった。
「もし、もしお前の話が本当だとして、、
、、だからと言って、本郷さん達を裏切り、みんなの命を奪うなんてこと、そんなこと俺には出来ないっ!」
「それが結果的にはみんなを救うことになるんだ、それが何故わからない?
君なら、龍騎の力なら最後の勝者になることは可能なんだ。
それに君が望む結末を迎えるにはそれしか方法がないんだ。」
真司を説得しようとするミカエルの声にも力が入る。
「先のことじゃないんだ、今のみんなの命を奪うことが出来ないんだよ、俺には」
「この方法でなければ今迄モンスターによって失われた命は戻って来ないんだよ。
それでも君は今という時間にこだわるというのなら、それは単なる君のエゴではないのかい?
それでは君も結局は自分のエゴを通そうとするこの世界のライダー達と一緒になってしまうんだよ?」
ミカエルがついて来るところは真司の痛いところばかりであった。

真司はミカエルの言葉を断固として受け入れようとはしなかった。
だが、真司の心の内は大きく動揺していた。
すべてを解決する方法がそれしかないように真司にも思えていたからであった。
真司に迷いが生じてもそれは無理らしからぬことでもあった。
「残念だよ、赤い龍の騎士よ。
君になら私の提案の素晴らしさがわかってもらえると思っていたのだが。
君が選んだ道は君に過酷な未来をもたらすだろう。
そしてその先に待ち受けるのは大いなる絶望と後悔、ただそれだけだ。」
「君は何も出来ずにこの世界が滅び行くのを見ていることしか出来ない。
そう今迄誰も止められなかったのと同様、滅び行く世界を君は止められない。
だがそれも君が選んだ道、その時君は自分の犯した大罪を深く感じることになるだろう。気も狂わんばかりね」
ミカエルはそう言いながらクスクスと笑う。
645仮面ライダー Heat on!外伝

ミカエルの甘い誘惑に真司の心は迷い、揺らぎそうになった。
だが、今迄信じて進んできた道を捨て、全く正反対の道を取る事は真司には出来なかった。
「もし、もしお前の話が本当だとして、、
、、だからと言って、本郷さん達を裏切り、みんなの命を奪うなんてこと、そんなこと俺には出来ないっ!」
「それが結果的にはみんなを救うことになるんだ、それが何故わからない?
君なら、龍騎の力なら最後の勝者になることは可能なんだ。
それに君が望む結末を迎えるにはそれしか方法がないんだ。」
真司を説得しようとするミカエルの声にも力が入る。
「先のことじゃないんだ、今のみんなの命を奪うことが出来ないんだよ、俺には」
「この方法でなければ今迄モンスターによって失われた命は戻って来ないんだよ。
それでも君は今という時間にこだわるというのなら、それは単なる君のエゴではないのかい?
それでは君も結局は自分のエゴを通そうとするこの世界のライダー達と一緒になってしまうんだよ?」
ミカエルがついて来るところは真司の痛いところばかりであった。

真司はミカエルの言葉を断固として受け入れようとはしなかった。
だが、真司の心の内は大きく動揺していた。
すべてを解決する方法がそれしかないように真司にも思えていたからであった。
真司に迷いが生じてもそれは無理らしからぬことでもあった。
「残念だよ、赤い龍の騎士よ。
君になら私の提案の素晴らしさがわかってもらえると思っていたのだが。
君が選んだ道は君に過酷な未来をもたらすだろう。
そしてその先に待ち受けるのは大いなる絶望と後悔、ただそれだけだ。」
「君は何も出来ずにこの世界が滅び行くのを見ていることしか出来ない。
そう今迄誰も止められなかったのと同様、滅び行く世界を君は止められない。
だがそれも君が選んだ道、その時君は自分の犯した大罪を深く感じることになるだろう。気も狂わんばかりね」
ミカエルはそう言いながらクスクスと笑う。