私メリーさん【六人目の犠牲者】

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1本当にあった怖い名無し
このスレは「メリーさん」を語るスレです。
考察・小説・パロディ・AA・画像・メリーさん関連なら何でもオッケーです。
特にルールは定めてませんが、
定期的にネタをうpする方は、コテ・トリ・目欄作ると良さげかも・・・。
連投する方は、他の投稿者に配慮して書き込んでください。
また、同様に新しく投下する場合は、その時点で他の方の邪魔にならないように、
お互い譲り合いの精神を守りましょう。
前スレ 私メリーさん【五人目の犠牲者】
http://hobby7.2ch.net/test/read.cgi/occult/1153795421/l50
data落ちした後はこちらを↓
http://p2.chbox.jp/read.php?url=http://hobby7.2ch.net/test/read.cgi/occult/1153795421/
四人目・http://p2.chbox.jp/read.php?url=http://hobby7.2ch.net/test/read.cgi/occult/1146311467/
三人目・http://p2.chbox.jp/read.php?url=http://hobby7.2ch.net/test/read.cgi/occult/1141469977/
二人目・http://p2.chbox.jp/read.php?url=http://hobby7.2ch.net/test/read.cgi/occult/1138069201/
最初・http://p2.chbox.jp/read.php?url=http://hobby7.2ch.net/test/read.cgi/occult/1126615230/
【早く…】メリーin4thCall【振り向いて…】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/ascii2d/1147352033/l50
メリーたんに萌えるスレ@Wiki
ttp://www5.atwiki.jp/melly/
2Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/01(金) 07:17:33 ID:SjM0Akm10
        
. 〃〆⌒へ 
./´ノ ヘヽヽ )ヾ 
ノ( ●  ●)¶|y
ノ  >  ■丿ミヘ)
  ん   《゙ン

私メリーさん、いま、あなたの後ろにいるの・・・。
3Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/01(金) 07:41:11 ID:SjM0Akm10
引っ越したばかりの女の子が前の家に「メリーさん」という名前の人形をおいてきてしまった。
一人でマンションの十一階の部屋で留守番している時、電話がなり、
「わたしメリーさんよ」ときた。「どこにいるの?」と女の子が聞くと
「あなたのマンションの一階にいるの」といって電話が切れた。
翌日も留守番している時に同じ人物から電話が来て今度は
「あなたのマンションの二階にいるの」といって切れた。
それは毎日かかってきて、聞くたびに自分の住む部屋の階に近付いてくる。
ある日、電話の相手は「あなたの家の前にいるの」といってきたので、
女の子は玄関を開けたが誰もいなかった。
また部屋の電話がその時鳴ったので出てみると、
「わたしメリーさんよ。今あなたの後ろにいるの」

という話である。これは毎日ではなく、一日の中で上りきってくるケースもある。
他に、轢き逃げにあって死亡したメリーさんという女の子が、
犯人の住むマンションに電話をかけてくるというものや、ホテルに泊まっている少女の部屋に、
メリーさんという人から電話が来るというものもある。
4本当にあった怖い名無し:2006/12/01(金) 13:13:06 ID:7CoTzgeJO
おつ
5本当にあった怖い名無し:2006/12/01(金) 18:43:49 ID:movK0fCrO
乙乙
6本当にあった怖い名無し:2006/12/01(金) 22:23:01 ID:CiB9RvG10
大ぉ嫌っい
7本当にあった怖い名無し:2006/12/01(金) 23:18:34 ID:5cMl+vB20
Lady メリー氏乙
毎日ROMしてるので、作者様方宜しくお願いします。
8Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/01(金) 23:55:10 ID:SjM0Akm10
>>7 さぁ、キミもなにか書いてみよう!

最初は名無しでだいじょうぶ、
別に小説じゃなくて構いませんよ、
妄想でも、ギャグでもパロディでもメリーさんへの要望でも!

賑やかにしましょう!!
9Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/02(土) 15:09:21 ID:W3kQ2OKp0
とりあえず、前回の続きね。まず三話。
夜にも続きを投下しますけど。

あらすじ。

未知の新大陸へと向かう船の中。
登場人物は、現在、オブライエン船長、貴族のユージン、そして「人形」メリー。
そして海賊の襲撃・・・。
10Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/02(土) 15:11:10 ID:W3kQ2OKp0
第九話

 この時代にレーダーなどない、
朝もやの中から突然、3隻からなる海賊船が洋上に姿を現わした。
オブライエンやユージンの乗る船のクルーたちは、
直ちに持ち場について海賊船に襲撃への臨戦態勢をとる。
熟睡していたユージンも、突然の騒乱に目を覚ました。
 「・・・え? おい、何事だ・・・!?」
寝巻き姿で廊下に出ると、雇い主の自分を無視して船員達が慌ただしく駆け抜けていく。
・・・まさかこれは・・・。
ユージンは着替えて操舵室に向かう。
既にオブライエンは厳しい顔をして、部屋のガラス窓から甲板の騒乱を見下ろしていた・・・。
 「・・・お目覚めですか、ユージン様・・・。」
 「船長! まさか海賊に襲われてるのか!? ・・・一体!?」
慌ててユージンも窓の下に目をやると、既に縄梯子をひっかけた海賊船から、
大勢のならず者達が乗り込んで、この船のクルー達と交戦している。
訓練されたクルーたちもよく戦っているが、圧倒的に海賊の兵数のほうが多い、
次第に押されていき、既に3人もの犠牲者が甲板に横たわっている。
 「・・・あれは、マックにブレポワ・・・そしてワイズマン・・・クソっ! 
 まだ目的地にも着いてないのに・・・!」
日ごろ温厚なオブライエンも、部下を殺されて激しい怒りの表情を浮かべている。
その激情に戸惑うユージンだったが、船員達と関わりを持たないユージンにとっては、
身の安全のほうが最大の心配事である。
 「オ、オ、オブライエン船長・・・! ここはだ、大丈夫なんですか!?」
オブライエンはユージンの方を向かずに、絞るように声を吐き出す・・・。
 「・・・生きるか死ぬかです・・・。
 例え、降伏しても、こんな所で食料や燃料を奪われては、生き残る術はありません。
 あなた様の身の安全を図りたいとは思いますが、最悪の事態を覚悟してください・・・!」
 「そ、そんなぁ!?」
一方、甲板の上での戦闘を見下ろしている人物が、マストのてっぺんにもう一人存在していた・・・。
荒ぶる海風に銀色の髪をなびかせ、薔薇の刺繍のドレスを纏ったモノトーンの人形が・・・。
11Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/02(土) 15:13:23 ID:W3kQ2OKp0
 第十話

 「ユージン様! あなたは甲板に出る必要はありません! 危険ですよ!?」
 「だが、船長は行くつもりなんだろう? わ、私だって貴族の端くれなんだ、
 多少の剣の心得はある! これ以上被害を受けるわけにはいかないんだ!」
船長は、部下を殺された怒りと、
ユージンを守る責任とのどちらを優先するかの決断を迫られていた。
気が弱いくせに、変な所で大胆・・・というか、プライドの高いユージンの扱いは大変だ。
どの道、甲板での戦闘はこちらにとってはなはだ不利である。
なにしろ後から後から海賊が乗り込んでくるのだ。
少々、敵をやっつけても戦況に変化はない。
むしろ、敵兵の数はますます増えていく。
せっかくの大砲も、敵に乗船されてしまった今ではなんの意味もない。
結局、船長は、ユージンを連れて甲板に出て行くことを決めた。
護衛する事はできないが、ユージン自身が自分の身は自分で守ると言い出したからには、
少しでも戦力が欲しいのは事実だったからだ。
 ・・・さて、二人がデッキに到着した時には既に四人目の犠牲者が出ていた。
新手の海賊が、二人の姿を見つけて襲い掛かるが、船長の手槍が海賊の胸を突き刺す。
いざとなれば容赦はしない。
片や、心では分っていても、突然の命の奪い合いに、
ユージンは現実を理解しようとするだけで精一杯だ。
どっかの船室に閉じこもっている方がマシな気がするが・・・。

海賊の中には、狭い甲板の為に戦闘に参加できないものもいる。
また、船内に侵入しようとするものもいるが、
既にオブライエンとユージンが入り口を固めたために、彼らの隙を窺うしかない。
ところが新たに縄梯子を伝ってきた新手が、
セピア調の空、船、海の景色の中に、
マストの上で一人佇んでいる女性に気づいた・・・。
この高低差と朝もやでは、その姿は「人形」だと認識できるはずもない・・・。
 「おい、オメーら!! 帆の上に立ってるご婦人を見ろよぉ!?」
12Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/02(土) 15:17:12 ID:W3kQ2OKp0
第十一話

 直接、戦闘行為を行っていない全てのものが、荒げた男の声に反応した、
ユージンやオブライエンでさえも・・・。
もっとも、そのマストに立っている女性が、人形メリーだと理解できたのはユージン、オブライエン、
その二人だけである。
 「あ・・・あれはあの人形!?
 どうして? あの部屋には鍵がかかってたんじゃないのか!?」
オブライエンは海賊達の方をにらみつけたまま、マストを見上げるユージンに説明する。
 「いえ、あの鍵は他の船員達を近づけさせないためのものです・・・、
 メリーはその気になれば、あんな鍵など容易く破壊できます。」
 「そ、そうなのか? でも、い、いったいどうしてここに!?」
黒いドレス姿のメリーを見て、手の空いた海賊達は、一目散にマストを登り始めた。
彼らの目的は決まってる。
力づくで彼女を組み伏せ、その欲情を彼女のカラダの中に発散させるためだ・・・。
生身の女性と違って、メリーが陵辱される心配はないが、
彼らが、マストの上の「女性」の正体を知れば、一体どんな反応を示すのだろうか?
・・・その時、ユージンは自分の目を疑った。
朝もやはそれほど濃いものではなかったが、
甲板から・・・何か白い塊のようなものが人形・・・メリーの方に立ち昇っていくのが見えたからだ。
その塊はゆっくりとだが・・・3つ・・・いや4つの塊となって、
足場を気にしながら登って行く海賊達を通り越していった。
そして・・・
それらの塊を待ち構えるかのように、
人形・・・メリーはその右腕を振り上げた・・・。
そのか細い右腕の先にはアラベスク文様の・・・

船上の空気を切り裂くように、モノトーンの人形「メリー」は叫ぶ。
 「・・・私の名はメリー、・・・今、邪まなるお前たちの上に在る!
 我が右手に握られしは『死神の鎌』
 ゲリュオン!!
 ・・・虐げられし魂は今、お前たちを断ずる力に変換される・・・っ!」
13Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/02(土) 22:35:32 ID:W3kQ2OKp0
 第十二話

 いきなりメリーはマストのてっぺんから間ッ逆さまに飛び降りた。
ツバメが滑空するかのようにマストの柱にそって落下する。
途中、柱を登っている海賊が悲鳴をあげる。
メリーがクルッと一回転して着地した0コンマ数秒後、
彼女の背後で、彼ら二人の海賊が断末魔の声をあげて甲板に激突した。
・・・もう、戦闘中であろうがなかろうが、
その甲板にいる全ての人間がそれに気づき、
彼女・・・メリーの姿に目が釘付けとなった・・・!
人間の女性ではなく、黒光りする巨大な鎌を握りしめた人形が、
まるで当然とでも言わんばかりに、二人の海賊の背中を切り裂いていたのを・・・。
その想像する事すら困難な異常な光景を、
両軍共にただ固まって見てる事だけしかできなかったのだ。

薔薇の刺繍のドレスを纏い、
そのか細き手には死神の鎌ゲリュオン!!
銀色にたなびく髪と、全てを見透かすようなグレーの瞳!

メリーは着地後、片膝をついてうずくまっていたが、不意に立ち上がり、
辺りをグレーの瞳でギョロっと一瞥すると、
新たに犠牲となった若いクルーのそばへと近寄った・・・。
まだ息がある・・・、
だが、既に顔には死相が浮かび出ていて、呼吸も絶え絶えだ・・・。
もう助からないだろう・・・。
メリーがその顔を死に際の船員に近づけると、
彼の瞳はメリーに反応した・・・。
 「あ・・・あんたは・・・船長が拾ってきた・・・人形・・・? な んで・・・?」
14Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/02(土) 22:38:00 ID:W3kQ2OKp0
 第十三話

メリーはさらにその白い顔を近づける・・・。
船員の顔にメリーの銀色の髪の房が垂れた。
 「・・・可哀想に・・・生まれ育った土地を離れ、こんな海の上で・・・。」
 「お、おれを看取ってくれるの かい・・・?」
 「心配しなくてもいいわ・・・、あなたがこれから向かうのは、苦しみも何もない世界・・・、」
 「そ、そうか、ありがと う、それを聞いて あん し んしたよ・・・!」
 「でも・・・、ね? あなたは悔しくない?
 さっきまであんなに元気だったのに・・・? この若さで冥界にいく理不尽さを想像できて?
 あなたは何も悪くないのに・・・。」
 「く、くやしい よ! 友達や 家族が 国には彼女もいるの に な、なんでこんなとこで・・・!」
 「悔しい? あいつらが憎い? ・・・ええ、あなたの憎悪の念を感じるわ・・・、
 もっと・・・もっとよ、あなたの悲しみを・・・恨みを、憤りを募らせるの・・・!」
ユージンは・・・いや、彼に限らず全てのものがその光景を見ていたが、
特に彼の目には異様なものが映っていた・・・。
死に際の船員のカラダから、さきほどよりも更に大きい白いガスのような塊が発生し、
メリーが持つ右手の鎌に・・・そしてメリーそのものが白いガスに包まれていくのだ・・・!
そしてそれはしばらくすると、まるでメリーのカラダに吸い込まれたかのように小さくなり、
終には完全にその場から白いガスは消滅した。
メリーはそして立ち上がる・・・。
右手には異様に巨大なアラベスク文様の不気味な鎌を携えて・・・。
もう、あの若い船員は息をしてないようだ・・・。
既にメリーは、若い船員の死体に興味はなくしていた。
あるのは、目の前のエモノたちをいかに断罪するか・・・?
人形メリーは、軽く首を振り、髪を揺すると、ゆっくり・・・ゆっくりとその鎌を両手に持ち直し、
これから始まる死刑執行の準備を終えた・・・。
 「さぁ、行くわよ、ゲリュオン・・・!」
15Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/02(土) 22:40:03 ID:W3kQ2OKp0
☆ 今日はここまでです。

「鎌」に名前がつきました!
頭の中にフッと浮かんだ名前ですが、
軽く下調べをした結果、物語の設定と矛盾しない事が判明しましたので・・・。
ではまた・・・。
16本当にあった怖い名無し:2006/12/03(日) 20:00:58 ID:lfm+8W2C0
>>8

私は>>7ですが、
ツンデ霊の初代スレ方に2つ投稿した事は有るんですけど、
メリーは結構話の完成度が高い事も有り、自分の文才では背景とか人物設定とか無理ですわ。

自分に出来るのは1レス範囲位なので、メリーは無理ぽ(´・ω・`)
17Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/03(日) 22:38:44 ID:d09WvV0g0
>>16 残念ス・・・。
ま、そんな大層なものも、こちらは書いてませんので気軽に・・・。
18本当にあった怖い名無し:2006/12/04(月) 01:48:52 ID:Vs863sWiO
パソコンから書き込みたいけど、何故かできないよ!
俺もメリーたんSS投下したいよorz
19ラビン ◆0jWT6fJoYY :2006/12/04(月) 01:55:14 ID:Mr/gWtHcO
私 ラビン
今 このスレに書き込みをするの


えぇ まぁ毎度の事ながら
スレタイも変わりましたが板も変わりました

孤手航路 果てしなき旅
http://human5.2ch.net/test/read.cgi/honobono/1165086887/

あと何人かのコテは コテ名を変えています

では 失礼しました
20本当にあった怖い名無し:2006/12/05(火) 00:10:09 ID:yLvOp2/JO
俺はいわゆる携帯厨なんだが、それでも小説とか書いても良いですか?
21本当にあった怖い名無し:2006/12/05(火) 00:17:17 ID:dEp1Kuyi0
>>20 OKOK!
ただ、書き溜めてから一気に送信、が基本ですよ。時間が開くと割り込まれたりして読みにくくなりますから^^
2220:2006/12/05(火) 01:02:51 ID:yLvOp2/JO
じゃあ、お許しを得たので、近いうちに書きます
・・・・・・近いうちに書けるかなorz
23本当にあった怖い名無し:2006/12/05(火) 01:15:48 ID:7FFdsN8V0
GOGO!! wktk!!

そして私は旧スレにキャッスルオブメリーでも・・・。
24本当にあった怖い名無し:2006/12/05(火) 01:30:08 ID:7FFdsN8V0
前スレ梅終了!
25本当にあった怖い名無し:2006/12/05(火) 03:31:44 ID:d6TCF/fRO
新スレおめでとうございます〜


れでぃサソ前スレ最後にまた興味深い言葉を…

おかげで今回のメリーサソにも興味がわいてきましたよ

ゆりこサソのアメリカ話もいつの日か聞けるのを楽しみにしてますね
(´∀`)


k。サソの次作も期待

うまく言えないけど、切れ味があってサクサク読めるのに、後味コッテリって感じ

また楽しみにしてますね
2620:2006/12/05(火) 17:41:12 ID:yLvOp2/JO
 小鷹 香澄(こだか かすみ)は、単位制の高校に通う、17歳の男子生徒である。
 高校生には珍しいかもしれない一人暮らしで、「それなり」だと自負する日常を送ってきた。
 その日までは。

 俺が学校から帰って、学ランを脱いで部屋着に着替えた時、携帯が着信を告げる。
 スティングの「シェイプ・オブ・マイ・ハート」を歌い上げる携帯のサブディスプレイには、本来表示されるはずの人物名や電話番号は表示されず、代わりに何も書かれていない、白色を写し出してていた。
 俺は、もうお馴染となったその画面を見つめていたが、仕方なしに電話に出る。そうしない限り、携帯が静かにならない事を、知っているからだ。
 「・・・・・・はい」
 「私、メリー」
 これだ。もう、三日目になる。電話の主は都市伝説よろしく、俺の家へと近づいてくる。
 初日は最寄りの駅。次の日は近くの公園。そして今日は
 「今、あなたの家の前にいるの」
 それだけ告げると、一方的な電話は一方的に終了した。
 俺は携帯をベッドの上に放ると、自分もベッドに身を投げ出す。
 下らない。俺の携帯の番号を知っているのだから、知り合いの誰かの仕業に決まっている。幼稚な事を。下らない
2720:2006/12/05(火) 17:46:02 ID:yLvOp2/JO
 翌日は休日で、バイトも休みだった。その日俺は外へ出ようと思っていた。窓の外を眺めると、いくらか強い風に煽られ、紅葉した木の葉がひらひらと舞っていた。俺はクローゼットから取り出したテイラードジャケットを羽織って外へ出た。
 風こそあったが、秋も中盤ということでまだ日差しが暖かい。空もよく晴れていて、青色がとても映えて見える。二階建ての小さなアパート、その上階にある俺の部屋。しっかりと施錠をしてから階段を下りる。
 秋の休日。足を踏み出すたびブーツの底が落ち葉とコンクリートを踏んで、心地よい音と感触を生み出してくれる。暫くの間歩き続けて俺は、近くの公園に辿り着く。
 ベンチに座って、ポケットから煙草を取り出す。公園を見回すと、遊具で遊ぶ子供と、その親であろうか。我が子の事なんか気にせずに、中年女性が集団で井戸端会議に花を咲かせている。
 火のついた煙草を銜え、一旦口の中に溜めてから、改めて肺にまで煙を通す。重い煙草の肺を舐る感触を楽しんで、細く長く息を吐く。
 秋風にさらわれ、横に靡いて消えていく。口の中に残る微かな甘味。それが完璧に消えてしまわないうちにもう一口。
2820:2006/12/05(火) 17:50:12 ID:yLvOp2/JO
 ふと、公園内のジャングルジムに目をやると、そこでは女の子が泣き声を上げていた。遊具から落ちでもしたのか。しかし、どこからとも無く駆け寄ってきた男の子が、優しく女の子に声をかける。
 初めこそ泣き喚いていた女の子だったが、次第にその勢いは衰えていき、最後には笑いながら、男の子とどこかへ駆けて行った。
 どこと無く、心が安らぐ。休日は公園でのんびりするのが俺の日課だ。風景を楽しみ、そして今の様なちょっとした良い出来事を期待して、いつもここへ歩いてくる。
 いい気分のまま煙草を口に運び、そういえば小腹が空いてきたな、今日の昼食はどうしようか、等と考えている時、俺の耳にある会話が飛び込んできた。
2920:2006/12/05(火) 17:51:38 ID:yLvOp2/JO
 「嫌ねぇあの子ったら。未成年でしょう? 煙草なんか吸っちゃって」
 「本当。あんな子の親なんて、どんなしつけをしているのかしら」
 「怖いわねぇ。そういえば、聞いた? この前不良の男の子たちが――」
 それまでの心地の良い気分が、一瞬で吹き飛んでしまった。俺の今の気分は、俺の肺の中の紫煙と同じだ。ぐるぐると渦巻いて、どす黒い。
 確かに煙草を吸ったのは悪い。未成年であるし、法で禁止されている。そこは反省すべき点である。
 だが、それで俺を「不良の男の子」とやらに一まとめにされたのが気に食わない。おまけに親のしつけが、だと? くそっ、気分が悪い。
 機嫌が悪くなると、それを呼び水にして思い出さなくてもいい嫌なことも脳裏に浮かんでしまうものだ。そう言えば、あの電話を掛けてきたやつ、おとといは公園の前にいたと言っていた――
 俺は煙草を携帯灰皿にぶち込むと、さっさとそこを後にした。
3020:2006/12/05(火) 17:59:24 ID:yLvOp2/JO
 昼食はパスタにしよう。帰宅後、そう思って俺はオリーブオイルとにんにく、そして唐辛子をフライパンで暖めていた。
 にんにくが焦げないように弱火でじっくり。充分に暖めたら、後はにんにくと唐辛子を取り出してベーコンを入れて強火でカリカリに。最後にパスタと一緒に炒めて完成だ。
 「……よし、美味そうだ」
 皿にパスタを盛り付けて、テーブルの前に座って。至福の一口を今まさに口に入れようとした瞬間、俺の鼓膜を「シェイプ・オブ・マイ・ハート」が震わせる。
 サブディスプレイの映さない白い画面を見て、俺は半ばうんざりしつつ、携帯を耳に当てた。
 「……」
 「私、メリー」
 「……」
 あまりの怒りとくだらなさに、俺は口を開くことも出来なかった。だが、
 「今、あなたの後ろにいるの」
 その言葉が聞こえた瞬間、俺の体は一気に硬直した。
 何故なら家に帰ってきてから、再びしっかりと鍵を掛け、どこからも、誰も入ってこれないはずのこの部屋。そこに俺以外の何者かの気配が、しかもそれは俺のすぐ後ろから発せられている。
3120:2006/12/05(火) 18:03:56 ID:yLvOp2/JO
 何故? どうやって? 様々な疑問が頭の中を駆け巡るが、背後に立つ者への恐怖と好奇心から、引きつった首はゆっくりと後ろに動かされる。
 一瞬、「振り向いてはいけないのではないか?」。そう思ったが、既に俺の目は、その奇妙な侵入者の姿を捉えてしまった。
 短い金髪。黒い巨大なリボンが一つ、頭の後ろで揺れていた。首元まで隠す、フリルの白いブラウスの上に、やはりひらひらとした装飾の成されたワンピースタイプの黒いドレス。
 服の裾から伸びる細い足は黒いストッキングに通され、家の中なのに、厚底のエナメル質のブーツを履いていた。
 手は白い手袋に通され、彼女の肌が露出しているのは顔の部分だけということに気付かされる。背は低く、150センチあるかないか。大きい赤い瞳が、こちらをじっと見詰めてくる。
 彼女は、ゆっくりとした動作でスカートの裾を両手の指で掴んで、
 「私、メリー。今、あなたの目の前にいるの」
 と、その幼い容姿とはかけ離れた優雅さと、見た目どおりの茶目っ気を見せて会釈してきた。
3220:2006/12/05(火) 18:07:12 ID:yLvOp2/JO
 俺は状況が飲み込めず、暫く唖然としていたが、何となく落ち着きを取り戻して、俺は口を開いた。
 「それで?」
 彼女は何を聞かれているのか分からず、眉をひそめる。
 「それで、おまえはなんだ? どうやってここに入った? まさか、自分は幽霊だとでも言うのか? そうだとしてなんだ? お前は俺を殺すのか?」
 落ち着いたつもりだったが、まだいくらか浮き足立っているのだろうか。俺はまくし立てるようにして彼女に聞いた。
 すると彼女は、ああ、と納得したように頷いて、それから首をゆっくりと横に振った。

 「いいえ、違う。私は幽霊なんかじゃない。まして、あなたを殺したりなんかしない。あなたは私と繋がったの」
 すると彼女は、俺にはとても理解できないようなことを言ってきた。
 「だから、あなたが殺すの」
 「……は?」
 たぶん俺はその時、大口を開いていた。そんな俺を見違う。私は幽霊なんかじゃない。まして、あなたを殺したりなんかしない。あなたは私と繋がったの」
 すると彼女は、俺にはとても理解できないようなことを言ってきた。
 「だから、あなたが殺すの」
 「……は?」
 たぶん俺はその時、大口を開いていた。そんな俺を見てか、彼女は薄く微笑んだ。
 「あなたが、いずれ
 ――私を殺すの」
3320:2006/12/05(火) 18:10:01 ID:yLvOp2/JO
今日はここまで
携帯からなので、色々おかしくなってるかも(´・ω・)
駄文&長文すいません
34本当にあった怖い名無し:2006/12/05(火) 19:05:38 ID:yrtkeFjwO
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!
35本当にあった怖い名無し:2006/12/05(火) 20:15:41 ID:21napHWL0
いや、(・∀・)イイ!! いいよ!
まだ現れただけなのに読ませますね、GJ!
36ウチは最恐ゴスロリ少女うりぃ・めりーや!:2006/12/05(火) 23:10:19 ID:7FFdsN8V0
>>20 よっしゃーぁ! いけぇぇぇ! 
お次はコテつけてんかぁー!?
「20はん」では味気のうおまっせー?
37K。:2006/12/06(水) 14:14:38 ID:R8M6k0GN0
遅れましたが新スレおめでとうございます。

>>Lady メリーさん 鋭く滑空するメリーが脳内で映像化されました
いい所で寸止めなんて・・・・・楽しみにしています。

>>20さん 「シェイプ・オブ・マイ・ハート」がニクイ演出ですね
自分の好みにヒットする要素がいっぱいで先が楽しみです。
3820改めハタチ:2006/12/07(木) 18:07:01 ID:XngbECxDO
 「俺が、お前を殺す……?」
 「ええ、そう」
 メリーは嬉しそうに微笑んだままだ。だが、俺は急激に気分が落ち着いて、というか白けてきた。
 「……馬鹿らしい。自殺ならよそでやれ」
 俺はそう言って話を切り上げようとした。
 「自分で死ぬことが出来れば、苦労はしないの」
 彼女は俺の左手を、ぐい、と引き寄せてきた。
3920改めハタチ:2006/12/07(木) 18:09:03 ID:XngbECxDO
 あまりの力の強さにも驚いたが、それよりももっと驚いたのは、彼女の手の感触。
 固い。その白い手袋の下から伝わってくる指の感触は、まるで棒きれを押し付けられたかのように固い。
 そして彼女は、俺が驚いているうちに、左手の甲を自らの右頬に押し付けた。そこで俺はまた驚くことになる。
 固い。彼女の白い柔らかそうな頬までもが、指と同じように固く、そして何より驚いたのは、その冷たさ。ひやりとして、手から熱を奪い去って行く。まるで白の大理石でも触っているかのような感触。
 ――気味が悪い
 俺が反射的にメリーの手を振りほどくと、彼女は少しだけ悲しそうな顔をした
 「……何なんだ、おまえは」
 左手を右手で擦りながら聞くと、彼女はおもむろに自分の右手の手袋を外し、俺の鼻先に突きつけてきた。
 俺の目に映された手。小さな、細くて華奢な指。だが、そこには無ければならないもの。指紋の類が一切無く、つるりとして光を反射していた。関節の継ぎ目は節くれだち、映画に出てくる中世の騎士の甲冑の継ぎ目にも似ていた。
 「私は、人形よ。お人形さん」
4020改めハタチ:2006/12/07(木) 18:12:05 ID:XngbECxDO
 「昔々、あるところにとても偉い人が住んでいました。偉い人は何体かの人形を作りました。その人形は不思議なことに皆、自分で意思を持って、動いて。まるで人間のようでした。
 しかし人間と違うところがありました。それは、死ぬことが出来ないのです。人形たちは、長い間、数え切れないほどの苦しみを味わい続けて、それでも死ぬことが出来ません。
 だけど、実は人形たちには死ぬ方法が一つだけ用意されていました。それは誰かに殺してもらうこと。
 ただ、それが誰でも良いわけではないのです。たくさんの人の中から、自分を殺してくれる人を探さなくてはなりません。
 人形たちは、自分を殺してくれる人を捜し求めてあちこちへ散っていきました。そのうちの一体は、日本という国へ流れてきました」
 彼女は、子供におとぎ話を語る老婆のように、ゆっくりと話した。
 「……その内の一体が、お前、か?」
 「そう。察しがいい」
 俺の問いに、メリーはにこりと微笑んだ。
 「……馬鹿げている」
 「否定するの?」
4120改めハタチ:2006/12/07(木) 18:16:19 ID:XngbECxDO
 彼女は赤い瞳で俺を覗き込んできた。
 「目の前にある本当の事を、否定するの?」
 幼い見た目とは裏腹に、鋭い事を言ってきた。
 目の前に突き出された手は、無機質な輝きを持って、俺に言葉ではない何かで訴えかけてきた。
 「……しない。しないさ」
 俺はゆっくりと首を横に振った。
 「で? それで? 俺はお前をどうやって壊せばいい?」
 俺が聞くと彼女は、ああ、と言って俺に手の平を見せてきた。
 「今は無理よ。今のあなたに私は殺せない。その内、その時が来るから。それまで待って」
 随分と軽いノリだ。
 「ところで、早速で悪いんだけど」
 メリーはすっ、と一歩後ろへ下がった。
 「あなた、そこにいると死ぬよ?」
4220改めハタチ:2006/12/07(木) 18:21:31 ID:XngbECxDO
 「……は? 何を言って――」
 突然の、あまりにも現実味の無い発言に、香澄は嘲笑して左の頬を吊り上げかけた。

 しかし、直後に割れて散った窓ガラス、その破片の間を縫って飛びすさんできた物体によって、その動作は中断させられる。
 テーブルの上、パスタの隣。香澄の目の前に刺さったのは、一振りのナイフ。鈍色に輝く刀身が、目を見開いた香澄の姿を映し出す。
 「来たか」
 呟くように、そう言ったメリーは、先程までの優雅さも、内包する幼さも既に、そこに持ち合わせていなかった。
 ただ代わりに。見開かれた目に感情の色は無く、その顔にさえ何も映さず。本当に、ただの人形であるかのような、まっさらな表情で、窓の外を睨みつけていた。
 「香澄、よく聞いて」
 不測の事態に硬直する香澄に向かって、メリーは目を合わさずに、母親が子をいなすようにして言う。
 「あなたは私と『繋がって』しまった。これは仕方の無いこと。あなたはこれから一生、『こんな事態』に付きまとわれる」
 「……なんだ、と?」
4320改めハタチ:2006/12/07(木) 18:23:13 ID:XngbECxDO
 香澄は把握し切れない状況の中で、喉元からひねり出すようにして声を出す。
 「いい? 香澄。もし、あなたが平穏な生活を望むなら、誓いなさい」
 彼女は、一言ひとことを噛み切るようにして、言った。
 「しかるべき時、私を、必ず、殺すと」
 「……もし、断ったら」
 呻くような彼の声が、風の吹き込む室内に響く。
 「さっきも言ったように、この先ずっと誰かに命を狙われ続ける。もう、あなたに残された道は二つしかないの。死んで楽になるか、生きて開放されるか」
 「……」
 「さあ、選んで。時間が無い」
 暫く、彼は沈黙を続けた。が、
 「誓う」
 今にも消え入りそうな声で、彼女に告げた。
 「それしか道が無いと言うのなら――」
 今度は、まっすぐに見据えた目で、しっかりと彼女に聞こえるように、告げた。
 「誓ってやる」
 「そう。分かった」
 それだけ聞くと彼女は、薄く微笑んだ。
 「あなたがそう言うのなら、私は」
 そこまで彼女が言ったとき、割れた窓の外から五本のナイフが飛び込んできた。
 「あなたを守る。全力で」
4420改めハタチ:2006/12/07(木) 18:26:20 ID:XngbECxDO
 彼女はさっと手をかざすと、その平を窓の外へと向けて、微妙に上下させた。
 どかどかっ、と硬質な物体同士がぶつかり合う音が聞こえ、そして静寂が訪れた。
 開かれた彼女の手の平。その五本の指の腹にはナイフが浅く突き刺さっていた。
「……私のために、ね?」
4520改めハタチ:2006/12/07(木) 18:31:30 ID:XngbECxDO
今日はここまでです

前回、私の書いたつたない文章に感想をくれた方々、どうもありがとうございます

ところで、これからも小説を書き続けてもおk?
46K。:2006/12/07(木) 18:32:35 ID:ia6EHAZK0
わ。リアルタイムで読んじゃった!
楽しみにしてます!書いて書いて!
47本当にあった怖い名無し:2006/12/07(木) 19:30:16 ID:O+aGswWD0
OKOK^^ 続き待ってますよー
れでぃさんもお待ちしております
48Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/08(金) 00:16:35 ID:H/v1oT480
ハタチさん、いいよぉ、ぐーですよ、ぐぅですよぉ!
いろんな話のウラにいろんなカラクリを入れてそうですなぁ。
今後もよろしく!

>>37 K。さんも読んでくれてありがとね。
あなたのお話の続きも待ってますからねぇ。

>>25 >>47 すんません、今週は忙しく、週末に続きを投下できるかどうかわかりません。
あまり、期待しないで待っててください・・・。
49本当にあった怖い名無し:2006/12/09(土) 12:48:59 ID:w+gHWvZl0
GJ
50Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/09(土) 17:53:04 ID:Blg61lV20
やっと書けた・・・。

では>>14の続きを。
51Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/09(土) 17:54:26 ID:Blg61lV20
第十四話

黒い塊が弾けるように、海賊達に襲い掛かる!
死神の鎌ゲリュオンの大きな軌道が、悲鳴と鮮血を生み出していく!!
海賊・・・いや船員達も同様だが、
いま、この場に何が起きてるかすら理解できないものがほとんどだ。
その恐ろしい鎌の矛先が、自分に向く事になるのかどうかも分らない!
海賊達は抵抗する事すら忘れて、あっという間に5人もの荒くれどもが甲板に転がっている・・・。
中には、まだ痙攣してるものや、激しく出血をしているものもいるが、
誰が見たってもう、起き上がれるような者はいない・・・。
メリーはその殺戮行動を一度、停止し、ゆらぁりと、後ろを振り向・・・い、いや、
く、首が180度後ろに・・・回って・・・!?
 次のエモノはどれにしようか・・・。
そのまま舌なめずりでもするのかとも思える振る舞い・・・。
甲板にいるものは全員がパニックとなった。
海賊達は我先にと縄梯子目指して逃げ始める。
中には、順番を待てずに海に飛び込むものさえいる。
もう、これはなぶり殺しとさえ言えるのではないだろうか?
まるで嬉しがるかのようにメリーは海賊の集団に追いすがり、
悲鳴と恐怖の色に染まった海賊達の背後から、
これでもかこれでもかと言わんばかりに鎌を振り回した。
ユージンでさえも目を覆いたくなるような惨劇だ・・・。
甲板のみならず、穏やかな海面にすらも真っ赤な鮮血がどんどん呑み込まれていく。
船員達も、なんとかメリーの標的が自分たちになることはないとは思い始めていたが・・・、
相手が人形だけに、その事が保障できると楽観的に思えるはずもなく、
ただただ、一塊になって、船長オブライエンの元で、膝を震わすものがほとんどであった。
 「あっ・・・!」
その時、ユージンは見た。
船にかけられた別の縄梯子から、一際体格のでかい大男がよじ登ってくるのを・・・!
どう見ても、海賊の頭目格だ・・・。
 「てぇめえぇぇらぁぁ!! なに、無様な格好晒しとんじゃああああ!!」
52Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/09(土) 17:55:49 ID:Blg61lV20
第十五話

メリーが海賊を切り刻んでる間、
そのいかついカラダの頭目は甲板によじ登る事に成功していた。
その目には驚愕の色が窺えたが、
その人形が自分よりも強いなどとは一瞬たりとも考えてはいないだろう。
 「おいこら化け物ォ!! オレが相手じゃあっ!!」
・・・メリーの動きが止まった・・・。
いや、もう鎌を振るう必要がないだけだ・・・。
海賊の手下達は全員、足元に転がるか、海の底に沈んでしまったかどちらかだ・・・。
いまや、この船に残ってる海賊はその頭目のみ。
海賊船では手下達が、再びユージンたちの船に乗り込む準備は終えてはいるものの、
頭目が不気味な人形をやっつけるまでは、その行動を開始する事は出来ない。
 一方、メリーはまたもやゆっくりとした動作で、気勢をあげる頭目にその眼差しを向けた。
死神の鎌が下ろされる・・・。
銀色の髪の房が海風にたなびいて、その白い頬を時々隠す・・・。
空が明るくなっている。
日の出はまもなくだろう、東の方の雲の隙間から、
金色の光の束が所々空に向かって伸びている。
そしてメリーは、ゆっくりと海賊の頭目に向かって話しかけた・・。
 「・・・私のお相手をしてくれるのは、あなた?」
しゃべりやがった!?
だが驚いてばかりもいられない、
・・・自分の手下達をこんなにも殺されて黙っていることなどできるはずもない。
頭目は使いこまれた戦斧を振り上げ、人形メリーに襲い掛かった!
 「おぉぅりゃあああっ!!」
   ガシィンッ キシャァッ!
激しい金属音と火花が舞う!
頭目の激しい斧の軌道に、これまた信じられないスピードでメリーが鎌をあわせる。
互いの攻撃パターンはほとんど同じだ。
だが、その間合いはメリーのほうが大きい分、隙も多い。
死神の鎌の間合いの中に入り込まれたら、勝負は決する。
53Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/09(土) 17:57:17 ID:Blg61lV20
第十六話

ユージン、オブライエン・・・いや、他の船員や海賊達にしても、
この一騎打ちを固唾を呑んで見守るだけしかできない・・・。
誰も口を開く事が出来ない。
体格ではメリーが圧倒的に押されるはずなのだが、
その遠心力を利用した攻撃は、頭目の豪腕に一歩も引くことがないのである。
・・・だがそれでも・・・!
ここは波に揺れる甲板、
船上の戦いでは海賊に地の利がある。
時々大きな揺れにカラダのバランスを崩すメリー、
その隙を狙わぬ頭目ではなかった・・・!
  バキャッ!!
メリーが、波の揺れにカラダの動きを止められたその瞬間、
頭目の冷徹な斧が人形メリーの右手を砕いた!
その勢いで握っていた左手からも外れ、死神の鎌がデッキに弾け飛ぶ。
互いの陣営からは歓声と落胆の声があがる。
 頭目はメリーの手から武器がなくなるのを確認すると、
息つく暇もなく彼女の腕を抑えつつ背後にまわった。
彼はメリーの脇の間に腕をねじりこみ、そのまま首根っこを捕まえる。
もう、斧は必要はないと判断したのか、彼も斧を床に落とし、
人形メリーの動きを封じる事にその目的を決断したようだ。
 ・・・しかしコイツは・・・。
 確かに硬ぇ人形の肌だが・・・この抱き心地はホンモノの女と変わらねぇ・・・。
 銀色の髪の隙間から見え隠れするうなじからは、クラクラしそうな女の匂いがする・・・!
 ダメだ・・・たまんねぇぇ・・・!
相手が人形とは頭で分っているのだが、その限りなく人間に近い精巧な造りに、
頭目は、ムクムクと自分の下賎な欲求を高まっていくのを抑えることが出来ない。
気を抜いたら、この甲板に彼女を押し倒してしまいたくなる衝動に駆られた。
 いやいや、まだダメだ! 抑えろ抑えろ自分!
54Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/09(土) 18:00:06 ID:Blg61lV20
第十七話

 「・・・ほぉ〜ら、捕まえたぜぇ!?」
頭目はメリーの頬に擦り寄るような仕草で語りかける。
一方、メリーは何の感情の変化も見せずに、その顎を傾け背後の頭目の顔を見上げる。
互いの顔の距離は10センチも離れていまい、
その気になれば口づけだって交わせるのではないか?
 「・・・おい人形!
 なんでおめぇは動いてるんだァ!?
 それになんでおめぇは仲間を殺す?
 持ち主の命令かぁ!?」
頭目は尋ねながら、戯れにメリーのふくよかな胸をまさぐる。
硬いが、そのなだらかな曲線の触り心地は良い・・・。
もはや、人形と言えど、海賊の頭目は、彼女を手に入れたいという欲望を露わにしていた。
こんな美しく奇怪な人形をそばに侍らすことができるなら、失った手下の命など安いものだ。
自分のカラダをいじくられている事など気にも留めず、人形メリーは頭目に答える・・・。
 「・・・私はメリー・・・。
 私を動かすは、非業の死を遂げた哀れな子羊達の無念の情・・・。
 そして私に持ち主などいない・・・。
 この船の持ち主も、一国の王も、例え神だろうと私を従わせる事は出来ない・・・。
 ただ、永劫なる運命だけが・・・私の主・・・。」
 「・・・難しい事はわからねぇが、おめぇは誰のモンでもねぇんだな?
 なら、オレ達の船に乗れ! 楽しくやろうじゃねぇかぁ?」
 「それはムリ、・・・あなたは人の命を奪いすぎた・・・、
 あなたのカラダに多くの人の恨みがこびりついているわ・・・。
 感じないの? あなたにまとわりついている死者の怨念を・・・。」
 「・・・へっ! バカなこと言ってんじゃねぇ、このオレがそんなもん・・・ に・・・?」
なんだ? 腕の感覚がおかしい!?
頭目は、メリーの胸をまさぐる手から、
その感触を味わうはずの感覚がなくなっているのに気づいた・・・!
 「私はメリー・・・、あなたのカラダは、いま、死にはじめたわ・・・。」
メリーは、そのグレーの瞳を頭目に定めたまま、ゆっくり、そして冷たくつぶやいた。
55Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/09(土) 18:05:02 ID:Blg61lV20
☆ ではここまでです。

あと、お断りしておきますが、
今回のメリーは、前作までのLady メリーと、物語的にもちゃんと繋がってます。
もちろん、時間的な隔たりが大きいですので、過去キャラはそうそう出てきませんが。
別世界ではありませんので、ご了承下さい。

アゲてまえぇぇぇ!
56ハタチ:2006/12/10(日) 19:14:31 ID:xYkayvEeO
 「だけど、ねえ」
 メリーは指に刺さった五本のナイフを見て、呆れた、といった様子ではあっ、と溜息をついた。
 「この程度で、私が屈すると思っているの?」
 メリーはナイフの刺さった手を、肘を曲げて耳の横で構える。
 「だとしたら随分と、」
 くっ、と頬を吊り上げ、
 「甘く見られてない?」
 高速で腕を振り、ナイフを投げ打った。
 放たれたナイフは窓を飛び出し、猛烈な勢いで空を切り、
 「――!!」
 隣の家の屋根に陣取った、襲撃者に回避行動を取らせた。
 ナイフは五本全て深々と、安い造りの屋根に突き刺さりその後方に、跳び避いた影が着地する。
 「香澄、テーブルのナイフ、取って。急いで」
 促され、慌ててナイフを引っこ抜いて、彼女にナイフを放ってやると、器用に柄を掴んで受け取った。
 「いい? 死にたくなければここにいて」
 それだけ言い残すとメリーは床を蹴って、割れた窓から身を躍らせる。
 ふわりと舞うように、放物線を描いて地面に落下して、膝を曲げて衝撃を吸収。
 その曲げた足にそのまま力を込め、地面が割れ砕ける程に踏み切って、高くたかく跳躍する。
 日光を背にメリーは、屋根の上の襲撃者を見下ろす。
57ハタチ:2006/12/10(日) 19:16:57 ID:xYkayvEeO
 「見つけた」
 屋根の上で構えを取る襲撃者。黒い髪に黒いロングコートの痩躯の男。
 ただ、露出した手の平は、日の光の下でつるりと輝き、節くれだった関節の隙間がくっきりと際立って見えた。
 襲撃者は太陽の光に目を顰めながらも、コートの前を開く。
 そこから現れたのは、男の体とコートの裏に結び付けられた無数のナイフ。
 男はそれらに手を掛けると、機械的な速度と正確さを持って、連続でメリー目掛けて投げつける。
 下から迫るナイフの雪崩を先程、香澄の部屋でしたように防ごうともしない。
 しかしメリーに触れたナイフは、まるで岩にでもぶつかったかのように弾かれ、彼女の肌を傷つけることすらできない。
 メリーは手にした、香澄から渡されたナイフを、男からの攻撃を受けながらも、力強く正確に投げ打った。
 彼女の放った刃は、その軌道上にある全てのナイフを弾き飛ばし、そして男の足の甲を貫いて、屋根にがっちりと縫い付けた。
58ハタチ:2006/12/10(日) 19:20:26 ID:xYkayvEeO
 それから一瞬遅れて、メリーが男の目の前に着地する。
 高度からの落下の衝撃に身を屈め、それからゆっくりと立ち上がる。
 「どう? こちらがいくらか本気になれば、あなたの様な誰とも『繋がっていない』人形の攻撃なんて、蚊の針にも劣ってしまう」
 くつくつと、彼女は肩を上下させ嗤ってみせる。
 「さあ、あなたはここで終わり。あなたに出来ることはただ一つ。
 ――祈って」
 「……!!」
 男が、迫る彼女に立ち向かおうと、ふところの得物に手を伸ばした瞬間。
 ぱきん
 何かが割れるような、折れるような音が響いた。
 それから一瞬遅れてメリーの背後に、ごとり、と細長い物体が落ちる。
 それは、腕だった。皺の無い、無機質な表面に、関節の継ぎ目の粗い、人形の腕。そしてそれは、一瞬前まで男の体にぶら下がっていたものだった。
 右手を振り抜いたメリーは、にたりと、白磁のような歯を見せて微笑みかけた。
 「脆、弱、だね」
 「ひ、ひいい、ひへぇ」
 腕を切り飛ばされた男は怯え、そこから逃げようと足を引いた。
 だが、ナイフによって打ちつけられた足が動くわけも無く、男はその場にへたり込んでしまった。
59ハタチ:2006/12/10(日) 19:22:54 ID:xYkayvEeO
 「怯えなくていいよ。怯える必要は無いの」
 メリーは諭すような口調で男に語りかけ、
 「未来永劫、あなたはこの火宅(苦しみに満ちた世界=この世)から開放されることは無いのだから――」
 右手を一閃させた。
 腕を振り抜くのと同時に男の顔は、肉食獣の爪いた。
 刻まれた十二の数字と、時を告げる針。それは懐中時計で、見事な細工が施されていた。が、
 「――怯えるだけ、無駄」
 ――メリーの手の中で握り潰され、無残にも、ひしゃげた。
60ハタチ:2006/12/10(日) 19:27:56 ID:xYkayvEeO
今日はここまでです

>>Ladyさん

乙です。頭目がどうなっちまうか、楽しみです

ところで今更だか、自分の書いてる小説には題名が無いわけだが。これからも書いて行くなら、必要ですか?
61126 ◆dNexSJi1ew :2006/12/10(日) 20:09:06 ID:70RyJP7t0
新スレ!おめ!
みんな見てるからがんばってね!
62Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/10(日) 22:43:04 ID:PMYj9oXV0
126さん
唐、突、だね

また賑やかになってきたかもしんないよ?
いつまでこのスレ頑張れるかな?
いろんな人がいっぱい来れば、ネタは尽きることなく、続いていくことでしょう。

ハタチさんのメリーも人形かぁ、この先、どうなるんやろね?
タイトルは自由でいいのではないかしら?

短編なら必要ないかもしれないし・・・。
ただ、感情移入させるならタイトルはあったほうがいいと思うよ。

で、>>54の続きね。
63Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/10(日) 22:45:25 ID:PMYj9oXV0
第十八話

 「なにぬかしやがる!?」
そうは言っても頭目の右手首から先には感覚がない。
もう、メリーの胸の感触すらつかめない・・・。
 メリーは首を曲げ、その頭目の右腕を見下ろした。
 「あなたの右手には、もう体温がない・・・死んじゃったわね・・・。」
そんなバカな!!
 だが、頭目は自分の右腕を直視して、その形相を変貌させる。
・・・右腕が・・・どす黒く・・・紫色に混じって変色してるのだ・・・!
 「な・・・なんじゃこりゃあああ!!」
メリーはゆっくりと、彼の右腕を払い、カラダを翻し、海賊の頭目に正面から向き合う。
そして彼女は、頭目の左腕をさする・・・。
 「・・・お、おい!?」
 「ほら・・・? 今、私はあなたの左腕を掴まえた・・・、
 感じる?
 あなたの左腕も死んでいくのを?」
 「う、うっわぁぁぁ!!」
ようやく頭目は彼女に何をされているのか理解し、
そして彼のカラダそのものが、死への恐怖からの拒絶反応を生じさせた・・・!
 や、やっぱりコイツは化け物だァ!!
彼の足は、考えるよりも早く、この場から逃げ出そうとしたのだが、もう遅い。
そのままメリーは屈んで頭目の太い足に抱きついた。
そして彼女は頭目の顔を上目遣いに見上げる・・・。
 「ほら・・・? 今、私はあなたの足を掴まえた・・・、
 どんな気持ち?
 あなたはどんどん、『死の世界』に引き擦り込まれているわ・・・。」
もはや海賊の足は動いてくれやしない。
逃げようとしていた彼は力なく、その場に崩れ落ちてしまう。
 「・・・あっああ〜ッ、アアアッ・・・! よせっ! やめろっ!?」
だが・・・手足をもがれたのと同然な海賊は、
芋虫のように身を悶える事しか既に残された自由はない。
64Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/10(日) 22:46:21 ID:PMYj9oXV0
第十九話

 この状況を一部始終見守ってたユージン達には、何が起きたのかまるで理解できていない。
メリーが捉えられ、絶体絶命のピンチかと思っていたのに、
全く不可思議な事に、形勢はいつの間にか逆転しているのだ。
海賊の手足が、気味悪く変色してしまっていることも、ユージンの目には映っていない。
一方メリーは、ベッドの愛人にでもにじり寄るかのように、
挑発的な仕草で、這いつくばる海賊の胸元や背中に手を伸ばしていく・・・。
 「くっ、来るなァアア!!」
 「あら? 今までこうやって何十人もの女性の上にのしかかってきたんでしょう?
 最後に彼女達の気持ちを味わってみたら・・・?」
 「おッオレはッ・・・こんなことぉ! 奴らを可愛がってやっただけだァ!!」
メリーはそんな言葉を気にも留めず、
海賊の首元までにじり寄り、その忌まわしき抱擁を頭目のカラダに味あわせた・・・!
 「・・・下種・・・。
 さぁ、じゃあ今は私があなたを可愛がってあげる・・・。
 抱いてあげるわ・・・愛しい人・・・。」
メリーはもはや丸太同然の海賊の両足に、その白い太ももを挿しいれる。
そのか細い腕は、蛇のように男のウェストや胸を這い回っていく・・・。
海賊は半狂乱だ・・・。
 「ヒィィィッ!? やめてくれぇぇ!! ・・・おい! 野郎ども! 見てねぇで助けろぉォ!!」
既に恐慌状態のため、声が裏返っている。
そうは言われても、海賊の手下達も、今、頭目のカラダに何が起きてるのかわからないのだ。
一人で勝手に動く人形・・・、
仲間たちを切り刻んだ恐ろしい物体・・・、
そして正体不明の行動で、頭目を赤子のようにあしらう死神の遣いに、
勇気を奮い起こせるものなどいなかった。
 そしていまやメリーは、海賊の首筋に冷たい口づけをあわせていた・・・、
頭目はただひたすら哀れな叫び声をあげるだけで、もちろん抵抗などできやしない。
 「ほら? 私はあなたの胸をも掴まえたわ・・・、
 もうあなたの胴体も死に始めてる・・・。
 もう少ししたら、内蔵や・・・心臓をも腐って停まってしまうわよ・・・。」
65Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/10(日) 22:52:13 ID:PMYj9oXV0
 第二十話

 「やめてぇーっ! 助けてぇっ!! オ、オレが悪かったぁ!!
 もう海賊はやめるっ、だから助けてェ!?」
 「・・・もう遅いわ・・・、だんだんと近づく・・・死の恐怖をゆっくり味わって死になさい・・・。」
メリーはそう言って、視線を宙に向けたまま痙攣し始める頭目のカラダからゆっくりと離れた・・・。
そして彼女は、そばに転がっている死神の鎌ゲリュオンを拾い上げる・・・ゆっくりと。
すでにその場にいる全員が、この先の結末を理解しつつも、
次の行動を起こす事が出来ずに、この光景を見守り続けた。
 鎌の柄の先端を、両手でガッシリと掴んだメリーは、
身動きの取れない頭目の真正面にまで近づくと、
彼を見下ろし、ゆっくりとアラベスク文様の鎌を振り上げる・・・。
先ほど砕かれた右手首は、軽く鎌を支える程度には支障がないようだ。
一方もはや、頭目は屠殺前の哀れな子羊だ、
涙を流しながら声にならない声をあげている。
頭目の眼前には、メリーの薔薇の刺繍のドレスが揺れている・・・、
その視線の先には、メリーの白い、無表情な高貴な顔・・・、
今、残酷な鎌の刃は彼女の頭の後ろに隠れているが、恐らく次にその刃先が見えた時、もう彼の命は・・・。
 そしてメリーはゆっくりと・・・
冷たい死刑宣告を告げる・・・。
 「私はメリー、私は鎌を振るう・・・汚れた命を絶つために・・・。」
その鎌が振り下ろされた
嫌な音と共に
一人の男の首が飛び
それは転がるように海に飛び込んだ。

残ったカラダからは激しい鮮血が飛び出している・・・。
これで終わったのだ。
ちょうど、そのことを知らせるかのように、雲の切れ目から金色の朝日が船に射しはじめた。
メリーの白い肌にも、明るい光が浴びせられていく・・・。
そしてメリーは、まるで人間の女性のような仕草で、首を振り、乱れた髪を直し、
夥しい血が流れたこの狩場を後にした・・・。
66Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/10(日) 22:55:24 ID:PMYj9oXV0
☆ よし、少し予定よりオーバーしそうだが、なんとか、次で終わらせれそうな気配・・・。

67ハタチ:2006/12/12(火) 01:15:20 ID:MBdr0p1MO
Ladyさん
乙、彼、だね
頭目……。メリーさん怖いなぁ。
しかし、もし彼女に触れただけで、「死んで行く」んだとしたら、何だか悲しいね
68Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/12(火) 02:09:53 ID:SYrCg0mA0
こんばんわぁ。

>>67 もし彼女に触れただけで、「死んで行く」んだとしたら

ご安心を。
そんな恐ろしい設定にはしておりませんので。
詳しくは次回で・・・収まるかぁ!?

い、一応、そんな能力を持ってるのは、私のキャラの中では・・・
フラウ・ガウデンご夫妻ぐらいしか・・・、

ふらうがうでん「別に能力じゃないよぉ・・・!」
マリー「わたしの時は?」
がうでん「・・・おまえさん、もう死んでただろう・・・。」

69K。:2006/12/12(火) 17:02:05 ID:wlaJU4gz0
ハタチさん素晴らしい躍動感ですね!続きを楽しみにしてます

Lady メリーさん凄惨な現場の表現なのに優雅で美しい!
うっとりとしてしました。 わくわく。
70K。:2006/12/12(火) 18:38:08 ID:wlaJU4gz0
「小休止。メリーさん?」

 期末テストが終わり張詰めていた空気が緩んだ放課後の教室の中で、とりとめもなく二人は会話を楽しんでた。
他の者は帰路や部活にと散って行き教室には二人しか残っていなかった。
 そして、不意に会話が途切れて静寂が流れた。
「なぁ。メリーさんって知ってるか?」
その静寂を破ったのは秀行だった。
「メリーって・・・あの、私メリーさんって言う?電話の?」
「そうそう、それ。そのメリーさんって人形なわけ?
妖艶な動く人形だって読んだんだけど、どうなんだろう?」
 秀行は成績はいいが多少頭のネジが緩んでいた。
そこが彼の面白い所で長所であり短所だった。
「何で読んだんだよ?」
笑いながら亮が答えると何時になく真剣な様子で秀行は息を呑んで小声で続けた。
「ネットで読んだんだ。あんなに有名なんだ、きっと本当に存在するんだぜ。」
あほか。亮は喉まで出掛った言葉を呑んで真剣な様子の秀行をまっすぐに見た。
「で?それがどうしたんだよ?」
「呼んでみないかと思ってさ、メリーさん。」
「はぁ?」
 とうとう頭のネジが緩むどころか重要箇所の部品がことごとく欠落してしまったのかと亮はがっくりと肩を落とした。
「呼び方が書いてあったんだ。お前にも立ち会って欲しいと思って…だめかな?」
 こういう時は無暗に止めるよりも、無理だと自分で悟ったほうがいい。亮は目を輝かせている秀行を可哀そうに思いながら曖昧に返事をした。
「よし、いいか、じゃあ始めるぞ?」
 秀行は机の上に使っていないコピー紙を出して、ペンで文字を書き始めた。
そして文字を書き終えると携帯電話をその紙の真ん中に置き手を載せた。
「ほら、亮、お前も乗せろよ。指先でもいいからさ」
「お前…これって…」
携帯に指を乗せた亮の頭をある考えがよぎっていた。
「メリーさんメリーさん、いらっしゃいましたら…」
「それは『こっくりさん』だろう!!!」

そして教室に虚しくチャイムの音が響いた。
71本当にあった怖い名無し:2006/12/12(火) 23:42:20 ID:SYrCg0mA0
「起立! 礼! 着席!!」

「今日は転校生を紹介します、メリーさん? どうぞ入ってらっしゃい。」
 ガラッ

「あ・・・あの、私、メリーです。
さっき、この教室にいる人によばれたんだけど・・・。」
72本当にあった怖い名無し:2006/12/13(水) 13:54:55 ID:YIi5xP8GO
あ、K。さん、この後続くのかな?
小ネタだと思って書き込んじゃったけど・・・。
邪魔してしまったのならごめんなさい。
73K。:2006/12/13(水) 15:42:00 ID:9wkMwWtR0
あ。小ネタですよww
終わりの(FIN)を打ち損ねてました
広げてくれて嬉しいwwww
転校生メリーってwwww
74本当にあった怖い名無し:2006/12/13(水) 21:28:00 ID:f1dLU69WO
みんなGJ
75本当にあった怖い名無し:2006/12/14(木) 01:33:50 ID:rcPGgdrz0
どうせなら小説リレーにしてみたらw
76本当にあった怖い名無し:2006/12/14(木) 22:42:33 ID:ktJ05I7V0
リレー方式にしたらヒロインがSになったりMになったり、
挙句の果てにちんこが付いたスレを
俺は知っている。
77本当にあった怖い名無し:2006/12/14(木) 23:23:01 ID:rcPGgdrz0
それもまた一興よ・・・。
78ハタチ◇yLvOp2/JO:2006/12/14(木) 23:38:09 ID:b9WL2GUPO
出て行ったときと同じようにふわりと舞って、メリーは香澄の部屋に窓から戻ってきた。

 「ただいま」
 無邪気な子供を思わせる動作で、彼女は可愛らしく小首を傾げて見せた。
 「……何なんだ」
 「ん?」
 「お前たちは一体……今のは……」
 香澄は困惑した様子で、左手を頭に添えていた。
 「……私たちはとても長い間、この世界を渡ってきた」
 ぽつりと、メリーが漏らすようにして言う。
 「長い間に味わった苦しみ。あなたには想像出来ないかもしれないけど、私たちはとてもじゃないけど耐えられない」
 彼女は淡々と話を進めていく。
 「だから、私たちは楽になりたいと思っている。でも、死ねないの。『壊れる』ことは出来ても、『死ぬ』ことは出来ない」
 彼女は、窓の外に目を向ける。その先には、民家の屋根の上でガラクタになった等身大の人形が転がっている。
 「香澄、彼を見て」
 促されて彼は、窓の外に見える残骸を見詰める。
 「彼の肉体は壊れてしまった。もうすぐ、あの残骸も砂のようになって、消えてしまう。でもね、彼の意識は消えることは出来ないの」
 「……?」
 意味が解せずに、香澄は眉根を寄せる。
 「香澄、耳を澄ませて」
79ハタチ:2006/12/14(木) 23:40:05 ID:b9WL2GUPO
 疑問を持ちながらも香澄は、窓の外へ耳を傾ける。
 風の吹く音。どこか遠くから響いてくる車の排気音。その中に混じって、
 「……うあ……嫌だ……死なせて……嫌だ嫌だ……誰か助けて……暗い暗いくらい」
 「……!!」
 か細いうめき声が聞こえてきた。
 「聞こえた? 彼の苦しみが」
 メリーは、香澄が頷くのを見ると、おもむろに自分のブラウスの襟に手を掛けた。
 「香澄、今度は私を見て」
 彼女は、襟を引っ張ると自分の首元をさらけ出した。
 「!!」
 香澄の眉が、驚愕のために跳ね上がる。
 あらわになった彼女の首。そこには、埋め込まれるようにして懐中時計が一つ、安置されていた。
 「この時計、今は何時を指している?」
 「11時、45分……いや、46分だ」
 そう答えた香澄だが、しかし今現在の時刻は既に昼を回っているはずだと言うことに気がついた。
 「この時計はね、随分と変わった動き方をしているの」
 彼女は自分の喉元に手を添える。
80ハタチ:2006/12/14(木) 23:43:16 ID:b9WL2GUPO
 彼女は自分の喉元に手を添える。
 「それはね、ある条件を満たした時にだけ動いてくれるの。
 一つは、ある特定の人物と一緒にいることで本当にゆっくりと、判らないぐらいに緩慢に時を刻んでくれるの。
 そしてもう一つは――」
 ここで彼女は、再び何の感情も乗せていない、まっさらな表情になった。
 「――他の人形の、時計を壊すという方法。だから、私たちは戦う」
 「待て。待ってくれ」
 香澄は手の平をかざして、彼女が話を進めるのを制した。
 「その話が、俺に何の関係がある?」
 問われてメリーは、一歩彼に近づくと、まっすぐに彼を見据えて、言った。
 「あなたが、私の時計を進めてくれる人なの」
81ハタチ:2006/12/14(木) 23:46:54 ID:b9WL2GUPO
 木の葉が赤く色付く季節。日の光が温かい。
 小さなアパートの二階、その一室の壊れた窓から外を覗く二つの影。
 一つは、背が低く、短い金髪に赤い瞳、頭の後ろで結った黒いリボンと、身にまとった黒いドレスが特徴の女の子。
 もう一つは、背が高く、気だるそうな表情と物憂げに開かれた瞳が印象的な男の子。煙草を銜えて火を点けようとしているところだった
 彼らは向かいの屋根の上、太陽に照らされたそこに転がる、今ではもうよく分からないものになったガラクタを見詰めていた。
 ガラクタは、徐々にさらさらと砂山が崩れるように、粒子状になって零れ落ち、その形を失っていく。
 やがてそこには小さな肌色の砂の山が出来た。が、突如としてやってきた、強い秋風にさらわれ、あっという間に砂山は掻き消えて、うろこ雲の漂う空へ、飛んで行ってしまった。
 後には何も残らず。ただ、男の子の銜えた煙草の煙が、砂になったガラクタを追うように、風に流れて靡いて、消えた。

―Don’t look back!!:Chapter 1―closed
82ハタチ:2006/12/14(木) 23:52:23 ID:b9WL2GUPO
今日はここまでです。とりあえず、第1章終了ってことで

ところで、携帯からトリップはつけられないのか?
83本当にあった怖い名無し:2006/12/15(金) 01:04:30 ID:72DsqOHg0
つづききたー!!

最後の二人は誰でしょね!?

・・・ああ、おれも続きやらないと・・・。

>>82 携帯でもだいじょぶだと思ったけど・・・。
初心者板でテストしてみれば?

よく、半角全角で間違いやすいというのは聞いたことがあるけど・・・。
84K。:2006/12/15(金) 11:18:54 ID:pCosLe7E0
ハタチさん、続き来たー!!
憂いを含んだ感じが素敵です。

第二章をわくわくして待ってます。
85Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/15(金) 17:51:58 ID:72DsqOHg0
ようやく書き終わったぁ。
しかし・・・寝不足の時に書くせいか、ボキャブラリーが貧困になっている。
思いつくはずの言葉が出てこない・・・。
自分の表現の拙さが嫌になる・・・。

でも書いちゃった。ごめんちゃい。
しかもやっぱり予定よりオーバー・・・。
最初ッからこれじゃあ・・・。

では>>65の続きです。
86Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/15(金) 17:53:05 ID:72DsqOHg0
第二十一話

 仮に、メリーが残りの海賊達に興味を見出していたならば、
彼らはパニックを起こし大混乱に陥った後、ほぼ皆殺しの惨劇は避けられなかったかもしれない。
だが、幸運な事に彼女、メリーは力を使い果たしていた。
彼女メリーが船室に戻ろうとするのを確かめると、
海賊達は慌てて、縄梯子を断ち切り、命からがら逃げ出していく。
・・・逃げ出したいのは海賊達だけではない。
オブライエンの部下の船員達も、海賊の頭目がメリーに触れた途端、
おかしくなってしまったのは理解できた。
メリーがそばに近づくだけで、後ずさり、恐怖と嫌悪を露わにする・・・。
彼女のおかげで命が助かった事など、考える事すら出来ず・・・。
もっとも、メリー自体、別に感謝をされたくて死神の鎌を振るったわけではない。
彼女は彼女なりの行動原理で動いただけに過ぎない。
船室への入り口には、相変わらずオブライエン船長とユージンがいる。
船長は比較的落ち着いてるが、ユージンは他の船員同様、幽霊でも見たかのように怯えている。
 「・・・オブライエン船長、船室に戻ります・・・、
 それと・・・扉と鍵を使いものにできなくしてしまったのですけれども・・・。」
 「ああ・・・、それは気にする必要はない、誰かに修理させるから・・・。
 それより・・・礼を言う・・・。
 おかげで最小限の被害で助かった・・・。」
 「いいえ、次は期待しないで・・・。
 私は・・・誰かが殺されなければ力は出せないのですから・・・。」
と、不気味な言葉を残しつつ、メリーは船内への階段を降りていった。
彼女の姿が見えなくなると、ようやくユージンが船長を質問攻めをする。
 「オブライエン船長! あんたはあの人形がどんな恐ろしい化け物か知ってて、
 この船に乗せたのか!?
 ・・・一体、彼女は海賊に何をしたんだ!?
 触っただけで・・・?
 もしかしたら、僕もあの時、彼女に触れたらとんでもないことになってたって言うのか!?」
87Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/15(金) 17:56:19 ID:72DsqOHg0
第二十二話

 「待ってください、私も彼女が戦うのは初めて見ました!
 ・・・確かに、彼女が人を殺す、という事は薄々知ってました・・・。
 港で最近、悪名高い犯罪者やギャングが、次々と鋭利な刃物で殺されていく事件がありまして・・・、
 そんな時、私はあの巨大な鎌を持つ彼女・・・メリーに出会いましたので、
 ・・・ただ、ここまで凄いとは・・・!?」
甲板には大勢の死体が転がっている・・・。
船員達も、ようやく次の行動に移り始めた頃だ。
オブライエンは必死に冷静さを保ちながら、大声で船員達に指示を与えていく。
収まりがつかないユージンは、隙を見てはオブライエンに話しかける。
 「な、なぁ!? あの人形は危険はないのかい?
 もし・・・僕らを襲ってきたら・・・!?」
 「・・・確かに保障はできませんな・・・。
 ですが、彼女にその理由はないでしょう、
 彼女はこの先の大陸に向かいたいと言ってるのですから・・・。」
ユージンはまだ何か言いたそうではあったが、それ以上、反論できずに船内へ降り始めた。
まだ、心臓が早鐘を打っている・・・、無理もない、
信じられない出来事が立て続けに起こったのだ・・・、
この先果たして、無事に旅を続けられるのだろうか・・・?
ユージンが自分の部屋へ入ろうとしたとき、
彼はまたもや心臓が停まってしまうかと思われるような事態に遭遇する。
自分の部屋の先に、あの得体の知れない人形が立ち尽くしているのを見てしまったからだ。
 「ひっ!?」
思わずあげた悲鳴に、人形メリーは振り返った。
 「・・・ユージン様、脅ろかせてしまったようですね、
 ごめんなさい、すぐに自分の部屋に戻りますから・・・。」
 「あ、ああ、い、いや、メメメ、メリー、 こっここで何をしてたんだ・・・?」
 「別に何も・・・。 ただ、さっき手を砕かれましたので、元に戻るのを待ってただけ・・・。
 別に場所はここでなくても・・・、あと、2〜30分で元通りになると思うのですけど・・・。」
やっぱり化け物だ・・・、不死身だとでも言うのか、コイツは?
88Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/15(金) 17:57:42 ID:72DsqOHg0
第二十三話

 「あ・・・、あの海賊に何をしたんだ?
 キ、キミに触ると石のように固まってしまうとでも言うのか?」
メリーは自分の腕を見ながら興味なさそうに答えた。
 「そんなことはないわ・・・、あなた達には何が起きたかわからないでしょうけど・・・、
 いえ、本当は何も起こってはいなかったのよ、
 あの男には幻が見えていただけなのです・・・。」
そういって立ち去るメリーに、ユージンは更に質問をする。
 「あ、あのキミを包んでいた白いもやみたいなのも、か!?」
そこで初めてメリーはユージンに興味を持ったようだ、
足を止めて後ろを振り返る。
 「? 見えたのですか? 死にいく人たちの迷える魂を。」
 「えっ? 魂? あ、あれが?」
メリーはそこで喋るのをやめてしまった・・・いったい何を考えているのだろうか?
ユージンは好奇心と恐怖の狭間で心を揺らしていた。
ど、どうしよう? このまま、部屋に戻るべきだろうけど・・・。
ところが人形メリーはとんでもないことを言い出したのである。
 「ユージン様、よろしければあなたの部屋にお邪魔してもよろしいかしら?」
うええええええええっ!?
とんでもない、冗談じゃない、ふざけた事を言ってはいけない!
・・・と言いたかったのだが、ついつい、女性に対する条件反射のようなもので、
ユージンは、
 「ど、どうぞ、是非私の部屋においで下さい・・・!」
なんてバカなことを言ってしまった。
だが、もう後には引けない、貴族に二言はない。
ユージンは観念して、メリーを部屋に迎え入れた。
89Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/15(金) 18:00:51 ID:72DsqOHg0
第二十四話

部屋の中は片付けられている。
乱れているのは、せいぜい、慌てて出かけなければならなかったために、
無造作に放り出された寝巻きだけだ。
恥ずかしそうに片付けるユージンにメリーは言葉をかける。
 「人形相手に気を遣う必要はないですわよ?」
 「あ、ああ、だ、だけど、仮にもキミはLadyだろ? ・・・こんなものを朝っぱら見せるのも・・・。」
その姿を見ていた彼女はポツリと独り言を言う・・・。
 「・・・人間だったなら笑う所ね・・・。」
 「えっ? 何か言った?」
 「いいえ、なんでもないですわ。」
片付け終わったユージンは、落ち着くためもあるのだろう、ワイングラスを取り出した。
 「・・・一杯やらせてもらうけど、キミは・・・飲めるわけないよね?」
 「もちろんです・・・、でも味はわからないでもないわ・・・。」
 「ええ!? な、なら君の分も・・・!?」
 「いいえ、必要ないといったでしょう?
 ・・・と言いたいけど、ちょうどいいわ、この部屋に来た目的を果たさせていただきましょうか。
 ううん、グラスは必要ありません、
 あなたは黙ってそのワインを味わって下さい。」
訳が分らない・・・。だが、ユージンには他の行動を選ぶ余裕すらなく、
その芳醇なワインの香りに一瞬の至福を感じた後、ゴクリと咽喉に流し込む。
 「・・・フゥ・・・うわっ!?」
気持ちが落ち着くかと思ったのに、飲んだ瞬間、メリーの冷たい手が自分の腕に這わせられる。
 「ちょ!何を!? 私の腕が・・・!」
 「ごめんなさい? でも大丈夫です、なんともなってないでしょう?
 それよりワインの味はいかが?」
・・・確かに腕に異常はない・・・。
メリーとのカラダの距離も近い・・・。
これが本物の美しい女性だったらどんなにいいか・・・いやいや、今はそんなこと・・・!
ワインの味を尋ねられたユージンは、今、味わったワインのふくよかな余韻を、
口の中でたっぷりと膨らませていた。
90Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/15(金) 18:03:16 ID:72DsqOHg0
第二十五話

 「そうだな・・・このワインは10年ものだが・・・。」
解説しようとしたユージンだが、メリーはもう一つの壊れかけている腕で、ユージンの口を制する。
 「言葉はいりません・・・、うん・・・いい感じみたいね? 
 酸味も嫌味がなく、後味もすっきりしている。あなたの国のワイン?」
 「あ、え!? わかるのか!? でもどうして!?」
ようやくメリーは腕を放し、そしてクルリと振り返って、近くのイスに座る。
 「・・・当然のことながらこの石膏の口では飲食は出来ません。
 その必要もないですし。
 ですけど、私には触れた人間の感情や感覚がわかる・・・。
 だから、今のワインも、あなたの舌を通してその味を理解する事が出来るの。」
 「そ・・・そんなことができるのか? じゃ、じゃあこの部屋に来たのは・・・?」
 「廊下でのあなたの言葉に興味を持ったからです・・・、
 死者の魂が見えるですって?
 ・・・今、あなたに触れて確認したわ、
 あなたには多少、霊感が備わっているようです、幽霊とか今まで見たことは?」
 「や、やめてくれよ脅すのは!?
 ・・・で、でも子供の頃は臆病で、城の周りの森とかには行きたくなかったな・・・。
 別に幽霊なんて見た覚えはないけど・・・なんか森のいろんなところに、
 いろんな人や小人みたいな変な人がいるような気がして・・・。」
メリーは話を聞きながら頷いている。
 「じゃぁ・・・私が子供の頃、感じてたのって・・・。」
 「特に問題はないけど・・・私の近くにいることによって、
 その霊感が鋭敏になることもあるかもしれないですわね、
 気にすることはないけど、もし、身体面に影響が出るようなら言って下さい?
 ある意味、私が原因かもしれないし・・・。
 それを確かめにこの部屋にお邪魔したのよ・・・。」
意外とこの人形は礼儀正しい・・・というか律儀だ。
ユージンは少し呆気に取られていたが、気をとりなおしていろんな質問をしたくなってきた。
91Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/15(金) 18:05:32 ID:72DsqOHg0
第二十六話

 「あ、・・・聞いていいかい、メリー?
 君はなんだって、この海の向こうの大陸に渡ろうとするんだ?」
最初、彼女は無言だったが、ゆっくりイスから立ち上がりこの小さな部屋を一望する。
ユージンの質問に興味なく、この部屋から出ていくかと思われたが、
彼女・・・メリーは部屋の片隅に掲げてある一枚の絵画に目を留めた・・・。
・・・あの絵は。
メリーはゆっくりと歩を進ませ、その大きな絵を見上げる。
豪華な額の中には、煌びやかな二人の美しい女性の姿がある・・・。
最初の質問を諦めたユージンは、当たり障りのない質問にしなおすことにした。
 「絵にも造詣があるのか? メリー・・・。」
ユージンもゆっくり、その絵に近づく。
この絵は・・・遠く東の方に離れた国の、さらに100年以上昔のお姫様達の絵だ。
もちろん、複製だが。
そしてその時・・・人形メリーはポツリと言った・・・。
 「神聖ウィグル王国の皇女・・・アイザス国王の従兄弟フラアと・・・国王の王妃イザベルね・・・。」
驚くユージン。
 「凄いな! そんなことも知ってるのか!
 じゃあ、この絵の謂れも知ってるのかな?
 当時、ウィグルはこの美しい皇女達もいて、栄華を極めていたが、
 皇女フラアは魔女として他国の兵隊に捉えられ火炙りに・・・、
 イザベルも失踪して行方不明・・・。
 おかげでヤズス会東方教会にこの絵が見つかったら、口うるさく非難される。
 もっともこの絵の価値が分る人はたくさんいるからね、
 こうして自分の部屋に飾る分には問題ないってことさ。」
メリーは、そのユージンの言葉を聞いてるのかいないのか、黙ってその絵を見上げ続けている。
何故、この絵に興味を持っているのだろう?
メリーはしばらくその姿勢のままだったが、そのうち、視線をユージンに合わせて話しかける。
 「ユージン様、この絵は、現地に着いたら・・・?」
 「ん? ああ、船には置いていくつもりだけど・・・もし、君が望むなら荷物に加えるが・・・。」
 「できたらそうしていただけないかしら? 時々見ていたいわ・・・少し、昔を思い出せるから・・・。」
92Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/15(金) 18:08:16 ID:72DsqOHg0
第二十七話

 「それは構わないけど・・・昔を思い出せる!?
 君は・・・当時のことを・・・いや、フラアやイザベルを知っているのか!?」
メリーは首を傾けて髪を揺らすと、ゆっくりと部屋の扉へ足を進めた・・・。
無言で出て行くかと思ったら、扉を開いた後、ユージンに振り返る。
 「・・・良く知ってますわ・・・彼女達のことは・・・。
 お邪魔してごめんなさい、ユージン様。
 それと、窓の向こうに鳥達の姿が見え始めました・・・、陸地が、近いということです・・・。」
そして彼女は出て行った。聞きたいことはたっぷりとあるのだが、彼女は答えるのも億劫なようだった。
この先の旅で、彼女と行動を共にする事になるのだろうか?
彼女の言葉からは、そのように受け取られたが・・・。
ならば・・・いろいろ不安はあるのだが、これからの旅の中で聞けば良いだろう・・・。

太陽が天高く昇る頃には、船は広大な陸地を発見し、あとは、どの浜辺に着ければいいか、
思案することになる。
そして船は大きな湾の中に進入したのだが、
船員の一人が、陸地に巨大な建造物を見たとの報告が入ると、
ユージン、オブライエン共々、船のデッキに出向いてそれが何なのか、見極めようとしていた。
 「な、なんだ、あの巨大な石像は!?」
オブライエンの目には、右手を高々と掲げた女性の胸像が映っていた・・・。
既に瓦解しているのか、その像は傾き、今にも大地に崩れ落ちそうだが、
遠くからでも一目でわかるその巨大な像を、船員一同、目を離すことが出来ない・・・。
そんな時、彼らのそばに、人形メリーが姿を現わした。
 「あ、め、メリー!?」
 「・・・あれは、『自由の女神』像よ・・・、
 今から600年以上も前に作られた建造物・・・まだ、残ってたのね?」
 「旧世界の建造物か・・・!?」
ユージン達の船は、かつて世界の最先端の繁栄を誇っていた大昔の都市、
ニューヨークにたどり着いていた・・・。
我々の知る世界が破滅し、いまや西暦が消滅して500年が経過した新たな世界・・・。
   (Lady メリー新章「見届ける者・・・Lady メリー」終了)
93Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/15(金) 18:30:36 ID:72DsqOHg0
☆ 以上です。
久々にエンディングテーマ。
なお、踊ってるのはしろーとのお姉ちゃん?
歌とは全く関係がない・・・もちろん物語にも・・・。
http://www.youtube.com/watch?v=TQuAVULcGqE

で、この後ですが、
以前のような、一つの事件に対して、メリーがアクションを起こす物語にはならないと思います。
今回は初回なので戦闘シーンを重視しましたが。
まったりと、特にテーマを決めずに物語が進行するかもしれません。

今回最後に述べたように、新しい世界は、21世紀から何百年も経った未来の出来事。
メリーの中に入った百合子さんがどうなったのかは、しばし置いといて下さい。
いつか、明らかにしますので・・・。
94本当にあった怖い名無し:2006/12/15(金) 22:32:11 ID:mM4J4emd0
ユージンのビビリまくり具合からして、ユージンは俺の子孫に違いない。
というわけで今すぐ子作りしてくる。
95本当にあった怖い名無し:2006/12/15(金) 23:33:57 ID:72DsqOHg0
百合子:「子供が生まれたら、もう>>94は用済みね・・・。」
96Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/16(土) 22:47:06 ID:nefkI0240
サーバー復活したみたいです。

明日あたり、メリーCバージョン作るか・・・?
http://roxik.com/pictaps/?pid=248744
97Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/17(日) 17:46:09 ID:x4h+0V0g0
有名な怖い話をクールに反撃する話に改変しよう 12
http://hobby7.2ch.net/test/read.cgi/occult/1162637853/407-410

これいい。
こっちに来てくんないかな?
98ハタチ:2006/12/18(月) 23:38:11 ID:bx6xZTg+O

 「……ん」
 携帯のアラームがなる前に、俺は目を覚ます。
 枕を退けて携帯を取りだし、セットしたアラームが鳴る前に停止させる。
 いつも通りの目覚め。いつも通りの朝。
 ただ、違うところがあるとするのなら、俺はベッドではなく床に敷いた布団の上で目を覚まし、朝日の入ってくるはずの窓は、割れたガラスの代わりにダンボールで塞いであると言うこと。
 そして、俺が昨日まで使っていたベッドの上には、金髪の少女が小さな寝息を立てて布団に包まっていること。
 俺は軽い頭痛を覚えながら、昨日のことを思い出す。

 あの後、俺は床に飛び散ったガラスを箒で掃いて集めていた。
 メリーはと言うと、俺のベッドの上に腰を下ろして、その短い頭髪を指先に絡めて弄んでいた。
 「それで、お前はこれからどうするんだ?」
 「どうするって」
 メリーはきょとんとした表情で、俺を見詰めてきた。
 「それは――」
 彼女は至極当然、と言った様子で言い放った。
 「――香澄の所で、お世話になるよ」
 「そうか。……は?」
 箒を動かす手が止まった。意味が分からない。
 「だから、これからは香澄と一緒に暮らして行く、って言ってるの」
99ハタチ:2006/12/18(月) 23:40:06 ID:bx6xZTg+O
 「……」
 俺は手にした箒を壁に立て掛けると、玄関を指差した。
 「出てけ」
 「なんで!?」
 彼女はどうにも不服らしく、ぴょんと跳ねてベッドから立ち上がると俺のすぐ前にまで歩み寄ってきた。
 俺よりも背の低い彼女は、俺をじっと睨み上げてきた。
 「別に良いじゃない!!」
 「良くない。面倒はごめんだ」
 声を荒げる彼女に対し、俺はあくまでも冷静な対処を意識する。
 「面倒って……。ああ」
 ここで彼女は何か思いついたらしく、にやりと意地の悪い笑みを浮かばせた。
 「別に、それでもいいよ? ただ、香澄は死んじゃうかもね?」
 「……どういうことだ?」
 彼女にそれを聞いた直後、「しまった」と思った。彼女に、俺の家に居座る口実を与えてしまったのは明確だったからだ。
 「いい? 香澄。よく聞いて」
 彼女は学校の教師のような、いくらか上からの目線で話を始めた。
 「私たちはね、『繋がって』いる人となるべく一緒にいたいと思ってる。それは、私たちの時計が、」
 彼女は自分の服の襟を引いて、その喉元に埋められた時計を見せてきた。
100ハタチ:2006/12/18(月) 23:47:15 ID:bx6xZTg+O
 「少しでも早く進むからと言うこともあるけれど、理由はもう一つ別にある」
 メリーは、ぴっと人差し指を立てた。
 「それは、私たちは『繋がった』人と一緒にいた時の方が、普段より大きな力を発揮できるから」
 「……それが、俺の家に居座る理由と、何の関係がある」
 頭の隅で薄く理解しつつも、わずかな可能性に賭けて聞き返してしまう。
 「察しが悪いね。あのね、私たちの時計の時間を進める事は、他の人形の時計を破壊しても成立してしまう。だけど、もし相手の人形が誰かと『繋がって』いたら、それは難しいことになる。もう、ここまで言えば分かるでしょ?
 つまり、その『繋がって』いる人間を殺してしまえば、私たちの力は半減するも同然。後は楽をして時計を壊せばいいだけ」
 ここまで語ると、彼女はにやにやと笑いながら、わざとらしく目線を外してみせる。

 「別にいいんだよ? 香澄がそれで良いって言うなら。でも、私を狙う人形は、たぶんだけど私と『繋がって』る香澄を狙ってくると思うんだよね」
 彼女は意地の悪そうな動作で、腕を組むと「ね?」と小さく首を傾けて俺を見上げてきた。
101ハタチ:2006/12/18(月) 23:53:55 ID:bx6xZTg+O
よね」
 ……断れる訳が、無かった

 しかし、無理矢理に居座られた上、ベッドまで占拠されるなんて。
 なんとなく、自分が情けなく思えてきた。

 「……う、ん〜……」
 太陽が天辺に昇る頃。メリーがベッドの上で、もそもそと動き始めた。
 「んー、香澄ぃ……」
 胸に枕を抱いて、随分とサイズの大きな男物のパジャマ姿の彼女がのっそりとした動きで起き上がると、部屋の中に香澄の姿は見当たらなかった。
 「香澄?」
 ごしごしと片目をこすりつつ、枕の端っこを摘まんで引きずりながら、彼の姿を部屋の中を探し回ったがやはり見つからない。
 ふと、目をやったテーブルの上に一枚の紙切れが置かれていることに気がつく。
 『学校に行く。帰りは早い。冷蔵庫の中と上のものは好きにしろ。合鍵は玄関のドアノブにかかってる。ガスは使うな』
 箇条書きにされた書置き。メリーはそれを読み終えると、再びテーブルの上に置いた。
 「……起こしてくれたって良いのに」
 むっ、とぶすくれるが、香澄がそれなりに必死に肩を揺り動かしたことを、彼女は知らない。
 頬をぶうっ、と膨らませると、それに反するようにお腹がぐう、と音を立てた。
 「お腹空いた……」
102ハタチ:2006/12/19(火) 00:01:10 ID:DsBysV2qO
 「お腹空いた……」
 書置きにしたがって、冷蔵庫に食料を求める。
 扉を開けると、一番目立つところにラップに包まれた料理が置かれていた。
 フレンチトースト。レタスとトマト、スモークサーモンのサラダ。バナナとパイナップルの入ったヨーグルト。その脇には、小皿の上に置かれたナイフと、先が三つに割れたスプーン。コップには牛乳が入っていた。
 他に完成された料理が見当たらないところを見ると、これを食べて良いのだろう。むしろ、きっと香澄が、目覚めた彼女の為に用意してくれたのだろう。
 冷蔵庫の上を見ると、お盆の上にクッキーとプチカステラ。ティーカップと紅茶葉の缶。スティックの砂糖とミルクが置かれていた。冷蔵庫の脇では、ポットが湯気を上げている。
 これも、彼がわざわざ用意したのだろう。
 「……ま、まあ、気が利いたという事にしておいてあげる」
 一人ごちながら、彼女はごそごそと料理を取り出す。
 「いただきます」
 一人テーブルの前に座って、ちゃんと手を合わせてから料理に手をつける。
 メニュー的には朝食を想定してのものだろうが、時計は既に十二時を回っている。
 彼女はまず、フレンチトーストから口に運ぶ。
103ハタチ:2006/12/19(火) 00:02:34 ID:DsBysV2qO
 卵がよく染み込んだ、こんがりと焼け上がったそれを、眠気の残るゆっくりとした動作で切り分けて口に入れ、よく噛んで味わい、
 「……」
 それからかなりペースを上げて、食を進めた。
 それなりに量の多かった朝食兼昼食を、ぺろりと平らげて満足した彼女はテレビの電源を入れる。
 ブラウン管に映し出されたのは、色黒の司会者が電話で相談に乗っているところだった。
 『あのねぇ、奥さん。旦那さんが浮気するのはねぇ――』
 「えー? そーじゃないでしょ。旦那が浮気に走る理由は――」
 時たま、テレビに突っ込んでみたりする。おまけに、お昼を食べたばかりだと言うのに、早くもクッキーとプチカステラを紅茶を啜りながら体内に納めてしまった。
 しかし、その番組が終わり、その後にやった別局のドラマを二本も見終わると、どのチャンネルでも彼女の気をひく番組はやっておらず、メリーは暇をもてあました。
 仕方なく、暇つぶしに部屋の中を物色してみる。
 「……なるほど、隠し場所はクローゼット……嗜好は巨乳、と……」
 意味も無く声を潜めて、捜索結果を誰にとも無く報告する。証拠を残さないために、散らかした物を元通りに配置し直すことも怠らない。
104ハタチ:2006/12/19(火) 00:10:27 ID:DsBysV2qO
 だが、それが終わってしまうと、本当にすることが無くなってしまった。
 「あー、つまんない……」
 テーブルに突っ伏して、眠ってしまおうとも思うのだが、充分に睡眠をとったからか、目が冴えて仕方が無い。仕方なく静かに座っていると、耳が痛くなるほどの静寂が部屋の中を包む。
 時折、近くの道を通る自動車の排気音と、部屋の冷蔵庫のモーター音が沈黙を破るが、それが止むと、再び静けさが彼女にのしかかってくる。
 「んー、つまらない……」
 突っ伏したまま、首を右から左へと動かして薄く目を開いた時、ある物が視界の隅に入った。
 緑色の小さな手帳。手に取って開いてみると一番初めの見開きに、見覚えのある男が写っていた。
 「香澄の学生手帳だ……」
 どうやら、忘れて行ってしまったらしい。
 ぺらぺらと手帳をめくっている内に、ピンと閃いてメリーはニンマリと微笑みを浮かべた。
 彼女はものすごい勢いで着替えると、ものすごい勢いで洗面所へ。
 そして、ものすごい勢いで身支度を整えると、ものすごい勢いで玄関から駆けて行った。
105ハタチ:2006/12/19(火) 00:19:29 ID:DsBysV2qO
 俺が玄関を出たとき、学校の中央広場の人影はまばらだった。
 単位制の高校なので、人によって日の授業時間はばらばら。今日は俺と同じ時間に授業が終わった生徒の数は、どうやら少ないようだ。
 まだ高い位置にある太陽の下、俺はゆっくりと一歩を踏み出す。
 月に見下ろされながら帰る日もあって、それはそれで良いが、こうやって今日のように明るい内に帰れるのも嬉しい。
 暖かな日差しの下、校庭に植えられた桜の紅葉を楽しみながらのんびりと歩いていけるのも、今の時間帯に帰る事が嬉しくなる理由の一つ。
 桜の木から、目を離し何気なく周りを見回した時、
 「……は?」
 俺の目は点になった。 何故なら、校門の影から中をこっそり伺う様に覗く頭。その顔に俺は見覚えがあったからだ。
 短い金髪、赤い瞳。揺れるリボンの色は黒。
 「メリー!?」
 驚いて俺は、小走りに彼女に駆け寄ってしまう。
 「あ、おかえり香澄」
 「あ、ああ、ただいま。じゃなくて」
 思わずに頭を下げてしまったが、問題はそこではない事にすぐ気がついた。
 「なぜ、ここに?」
 そう聞くと彼女は得意満面といった様子で、ふんぞり返って何かを突き出してきた。
106ハタチ:2006/12/19(火) 00:22:06 ID:DsBysV2qO
 「はい、これ」
 彼女の手に乗せられていたのは、俺の学生手帳だった。
 「香澄、これ忘れて行ったでしょう? だから届けてあげようと思って。……あ、えと、ひ、暇つぶしついでだから」
 それとなく慌てふためく彼女を尻目に、俺は言い出しにくい事を告げなければならなくなった。
 「メリー……せっかく持ってきてもらって悪いが……」
 「ん? 何?」
 「これは……去年の学生手帳だ……」
 え!? と驚いて俺の手から手帳を奪って彼女は、それをまじまじと見詰める。
 「……本当だ……おまけに写真も今より可愛い……」
 今は可愛くないのか。
 「ショック……交番で道、聞いたのに……」
 がっくりと肩を落として落胆するが、彼女が警官相手に道を尋ねる様は、想像するとなかなか微笑ましいものがあった。
 「まあ、仕方が無い。気持ちはもらっておく。取り合えず、帰るぞ」
 「うー……」
 うなだれる彼女を促して、俺は再び帰路に着いた。
107ハタチ:2006/12/19(火) 00:22:59 ID:DsBysV2qO
 「メリー、今度からあまり出歩くな」
 「え? 何故?」
 「物騒だからだ。色々と」
 「大丈夫、そんなの平気。あ、それとも私のこと心配してくれてるの?」
 「……別に……お前の為に言ってる訳じゃない……」
 並んで歩く二人の男女。学生服の男の子と、ドレスを着た女の子。
 道行く人の視線が女の子に集中していることに、学生服の彼が気付くには、まだ少しの時間が必要。
108ハタチ:2006/12/19(火) 00:24:51 ID:DsBysV2qO
はーい、ここまでです
取り合えず、間章です。戦いも何も無いです。でも怒らないで
109Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/19(火) 00:35:45 ID:077Hzjoz0
も  り  あ  が  っ  て  ま  い  り  ま  し  た  ! !
110本当にあった怖い名無し:2006/12/19(火) 22:40:08 ID:it1dlQIV0
2chでは一レスあると三十人のROMってる人たちが居るそうだ。
つまりLadyさんと俺で最低でも六十人は君の話の続きを待っているという事だ。

まぁ何が言いたいかっていうと
GJ!続きを期待しております!
111126 ◆dNexSJi1ew :2006/12/20(水) 02:32:32 ID:vYby4RGg0
わしもわしも!
なので90人!
112:2006/12/20(水) 07:54:52 ID:9D1by8iF0
メリーさんてだれ?
113本当にあった怖い名無し:2006/12/20(水) 07:58:12 ID:hRGSZ3vAO
クローンで産まれた羊さんだな、たしか
114本当にあった怖い名無し:2006/12/20(水) 08:02:27 ID:/InFR7m7O
刈ーさん
115本当にあった怖い名無し:2006/12/20(水) 08:28:20 ID:V+W9xK/7O
>>113
それはドリーだ。




らめぇぇぇッ―――
116本当にあった怖い名無し:2006/12/20(水) 13:25:56 ID:GHJhtJD90
117本当にあった怖い名無し:2006/12/20(水) 13:41:16 ID:UNZYzl4bO
いや、ここでもオケ
118鴉 ◆SURvnsCrow :2006/12/20(水) 14:19:10 ID:GHJhtJD90
>>117

こっちで書くべきだったと反省している。
全然反撃していないから;
119:2006/12/20(水) 16:04:54 ID:rh9dntBb0
まーまー
120:2006/12/20(水) 17:57:12 ID:aTR4yn970
いいやん
121:2006/12/20(水) 18:19:38 ID:aTR4yn970
ゆるす
122本当にあった怖い名無し:2006/12/20(水) 21:40:38 ID:hOfxpBUSO
>>118
あんたの鳥カコイイね
123Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/20(水) 23:32:46 ID:7mZSeBLn0
激  し  く  な  っ  て  ま  い  り  ま  し  た ! !
124鴉 ◆SURvnsCrow :2006/12/21(木) 02:46:34 ID:18nDJh53O
>>119-121
ありがとうございます…でいいのかな(-.-;

>>122
ありがとう(^^
初めてトリップモナ使って見つけたんだ。
こんなのが見付かると思わなかったからお気に入り…物書き見習いとして頑張るつもりです。

>>Ladyメリーさん
ドキドキしながら読みました!
今まで抱いていた暗く怖いだけのメリーのイメージをいい意味で壊してくれた…本当にありがと(≧∇≦)

Ladyさんと言い、ハタチさんと言い凄いな…俺も頑張るぞ。(ぐぐ
125本当にあった怖い名無し:2006/12/21(木) 03:18:44 ID:Qo+uUtW2O
久々にきたら盛り上がってる!!


れでぃサソ、K。サソ、ハタチサソ、鴉サソ…
(゚∀゚)ムッハー!!
皆様GJですよ


百合子サソの夢を見てしまった、末期の百合子オタです


忙しくてたまにロムしか出来なかったけど、やっぱり良いなこのスレ


んで
126パパはー?
126鴉 ◆SURvnsCrow :2006/12/22(金) 09:53:49 ID:/jap2axgO
私はメリー。
電話を受けた人の元へ行き、その命を奪う死神。
最初は単に私を殺した奴に復讐するだけだったけど…何時の間にか全ての人を呪う様になっていた。
今では、私を殺した奴の顔すら覚えていない…

でも、たった一人だけ顔を覚えている人がいる。
不治の病にかかり、今際の際に出会ったあの男…初めて取り逃した人。
「来てくれて嬉しかった」なんて言ってくれた、初めての人…
何でだろう…何故かとても気になる。
誰かの事を知ってみたい、こんな気分になったのも初めてだ…

いっその事、探偵に身柄を調べて貰おうか?
でも、私みたいな人でも依頼を受けてくれそうな探偵っているかしら?
私の正体を知ったら、皆脅えて逃げるか殺そうとするか…どちらにしても命を奪うしか無い。
無理なのかな…あ、一人だけいたかも。
口裂けや貞子が言っていたっけ、「幽霊を信じてくれない非常識な探偵がいる」って…
面白い、会ってみようかな?
確か、その探偵の名前は…
127天ノ川 創:2006/12/22(金) 09:55:16 ID:d36Y1U5Y0
だれでしょう
128126 ◆dNexSJi1ew :2006/12/22(金) 11:00:01 ID:nfqJe2wdO
皆様、ごぶさたしております。
正月休みを使って書き上げます。

……でも、ほとんどの住人は、知らないよね。
ごめんぬ。初めましての皆さん。1スレの頃の住人です。

ではまた会おうwwww
129本当にあった怖い名無し:2006/12/22(金) 11:33:31 ID:BGtZN3T20
>>126
その探偵の名前は…

鴉さん、乙です。
ジョージスレでお待ちしています。





130鴉 ◆.mR/bI8EkM :2006/12/22(金) 11:49:39 ID:v8YEzsaL0
Σ気付かれた;
はい、頑張ります(´・ω・`)
131本当にあった怖い名無し:2006/12/22(金) 12:33:14 ID:3rPeyiYtO
>>128
初スレからの住人の漏れがきましたよ!
スーパーwktk
132本当にあった怖い名無し:2006/12/22(金) 13:03:35 ID:1eRI4StWO
>>128
いつもはROM専で初代から張り付いてる俺だがあえて書くぜ

wktk
133K。:2006/12/22(金) 17:43:40 ID:ii9iGJ0Q0
>>128 126パパさん
+   +
  ∧_∧ ∩ +
 (0゚´∀`)彡  wktk!wktk!
 (0゚∪⊂彡 +
 と__)__) +
134Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/23(土) 00:10:55 ID:fNoEUPWS0
126さんが帰ってくるまで、このスレを守り通した甲斐がありました!
そしてみんなに負けずに・・・!

+ 。  + 。 *   ワクワクテカテカ  +
  ∧_∧  +  ワクワク  *  テカテカテカテカ
 (0☆∀☆) 。*  ワクワクキラキラ
 (0゜∪ ∪ +  。テカテカ + +  ワクワクワクワク
 と_0)_0) +  * +   ワクテカ  +
ハイパーwktk!

>>130 ええ〜、鴉さん、ジョージスレに行っちゃうのぉ?
ここにしなよぉ?
135本当にあった怖い名無し:2006/12/23(土) 10:31:55 ID:Q+UvepjQ0
鴉さんはどっちも書くと言っております><








勝手にスミマセン><
136本当にあった怖い名無し:2006/12/23(土) 13:17:20 ID:fNoEUPWS0
・・・ぃちゃん

まいちゃん・・・!

そう、あなたはまいちゃん、さぁ、目を覚まして?

あなたはまいちゃん、ベッドから起きるの。

あなたはまいちゃん、階段を下りてね。

あなたはまいちゃん、今、お台所よ。

あなたはまいちゃん、流しの下の扉を開けて。

あなたはまいちゃん、そう、包丁を握りしめて・・・。

あなたはまいちゃん、さぁ・・・
137本当にあった怖い名無し:2006/12/23(土) 20:24:11 ID:sy5fzXaH0
ほらほらまいちゃん

おぢさんが体きれいきれいしてあげr(ry
138本当にあった怖い名無し:2006/12/23(土) 21:54:58 ID:fNoEUPWS0
>>137 

麻衣:「リーリトの能力発動っ! 大蛇召還・・・きもオヤジを絞め殺してッ!!」

  シャーッ!!
139本当にあった怖い名無し:2006/12/23(土) 23:46:50 ID:wD6pF69hO
パパ復活…

やばいよ…wktkがとまらないよ!!



>>136
まいチャソを呼ぶその声は…

怖いよ!!
140本当にあった怖い名無し:2006/12/24(日) 01:29:30 ID:N1O6LB1H0
何の脈絡もないけど、
ハイパーwktkで思い出した。

トーマス・ドルビー・・・、
http://www.youtube.com/watch?v=3vPPDFUlJ70
地平球は不気味な曲が多かったな・・・、この曲は売れセン狙いだろうけど。
141(1/2) 鴉 ◆SURvnsCrow :2006/12/24(日) 13:02:37 ID:HxFs2A5bO
私はメリー、人の命を奪う死神。
でも、時にはピンチになったりもする。

今日の標的は最悪だった。
家系なのだろうか、霊を封じたり倒したり出来る力を持った部類の輩…しかも、かなりの変態の様だった。
悔しい事に、後ろに現れた瞬間結界で閉じ込められてしまった…準備していたらしい。
「メリーたんハァハァ…(*´д`)」
明らかに変態な表情でこちらを見ている奴を睨みつける。
さっさと命を奪って帰りたいのに、結界の所為で呪う事すら出来やしない。
死んでから初めてのピンチだ…
「おイタする娘にはお仕置きしなきゃだよね〜(*´д`)」
何と言うか…気持ち悪くて凄く屈辱的だ。
幽霊や妖怪以外は入れるらしく、こちらへ手を伸ばして来る…

と…
「ぶべらっ!?」
隅の方に放置されていた電話がいきなり男の方へ飛んで来て顔面にクリーンヒット。
妙な悲鳴を上げながら床を転げ回る奴…術が途切れたのか結界が消えた。
『な…何が…?』
“大丈夫?”
困惑気味の私の耳に聞こえて来たのは…あの時の声。
何時の間にか、あの時の人が私を心配する様に立っていた。
142(2/2):2006/12/24(日) 13:03:52 ID:HxFs2A5bO
『ど…して…?』
「誰だか分かんないけど僕のメリーたんに手を出すな…うぎゃっ」
喚いている勘違い野郎をさっさと殺して目の前の相手を見つめる…相手は少し苦笑しながら私を助け起こした。
“四十九日まで時間があるのでブラブラしてたら君を見掛けた。
悪いとは思いつつも後をつけたら君がピンチだったので、助けたいと思っていたら電話を飛ばしてた”
何だか不思議な気分だ…私の事を気にかけてくれるなんて。
『どうも…ありがとう…』
“いえいえ。
こちらこそ、あの時はありがとう…ちゃんと礼が言いたかった”
照れながら話す彼が何と無く可愛く感じる。
憎悪とかの負の感情以外の感情を持ったのも久し振りだ。

“それじゃ、俺はそろそろ行くよ…何処かをブラブラしてるから、また会った時は宜しく”
『ええ…またね』
何処かに消えた彼がを見送りながら心の中で何かを思う。
「また」なんて言葉が出たのは随分と久し振りだ。
私にとって、彼はどんな意味があるのだろう?
(また…会えるといいな…)
不思議な気持ちになりながらも、そんな事が思い浮かんだ…
143鴉 ◆SURvnsCrow :2006/12/24(日) 13:57:17 ID:HxFs2A5bO
ジョージの方がまだ思い浮かばないので小ネタ。
書いてて痒くなって来た…orz

こちらでは「突撃!メリーのお宅訪問(ぇ」的なノリで書いて行きたいと思います。
何時も殺すんじゃ味気無いし…(´д`; 4、$゜д゜#$
144Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/24(日) 14:13:00 ID:N1O6LB1H0
鴉さん、乙!!
小ネタでも十分おもしろいっすよ!

こういう小ネタが連続で続くと楽しいよねぇ?

さて・・・あちきの方ですが、

Lady メリー外伝でもよろしいでしょうか?
いや、本章も少しずつ書いてはいるンですが中々進まなくて・・・。

以前「頼まれてもお見せできない」と言ってた学生時代の四部作の一つ。
処女作品みたいなもんです。
見せられなかった理由の一つは、
他の有名な作品からパクってきた名前や表現が多かったせいなのですが、
それらを排除して書き直してます。(ほぼ全面的な書き直しに・・・)

当然、Lady メリーと世界観は一緒ですが、
別世界の出来事です。
つまりは伊藤ファミリーの「白いリリス」、フラウ・ガウデンの「精霊達の森」
と同じ世界、同じ歴史という事です。
伊藤さんが頭を食いちぎられた事件の少し前の設定です。
夜にはまとめて投下できると思いますので。

出だしを少し置いときますね。
145Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/24(日) 14:14:16 ID:N1O6LB1H0
タイトル 「闇に蠢く者」


 ジリリリリリン・・・
 ジリリリリリン・・・ カチャ
 「・・・もしもし・・・」
 『・・・・・・』
 「もしもし? ・・・君は誰だ! 何故毎日無言電話をかける!?」
 『・・・亮・・・。』
 「もしもし? キミは・・・」
 『来ないで・・・亮、私を・・・忘れて・・・。』
電話の声はくぐもっていた・・・。
何か、非常にゆっくりとした、機械的な印象も感じる声だが、懐かしく、聞き覚えのある声だ。
 「キミは・・・ま、まさか・・・?」
 『こっちに来ないで、さよなら・・・亮。』
 「・・・美香、キミなのか? 生きているのか!? 美香! 美香!?」
 『・・・・・・』  ブツッ ツーッ
 ツーッ ツーッ・・・
 「・・・美香、死んじゃあいなかったの・・・か?」
146本当にあった怖い名無し:2006/12/24(日) 15:03:25 ID:UUsu8wUdO
>>142
隔離病棟でメリーさんに看とられた彼?
147鴉 ◆SURvnsCrow :2006/12/24(日) 16:46:26 ID:HxFs2A5bO
>>146
そうです…名前を考えなきゃ;
何か恋愛っぽくなってごめんよ〜(ノдT)

LADYさんも凄いです…続くのかな(ドキドキ
148Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/24(日) 20:29:00 ID:N1O6LB1H0
>>147 ああ続きだったのねぇ、この先期待してます。

では、後を投下します。
149Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/24(日) 20:30:37 ID:N1O6LB1H0
>>145 から・・・。

話は数日前に遡る。
この電話を取った青年、白鳥亮は大学院の研究室に身を置く若き探求者である。
2ヶ月ほど前まで英国に留学していて、考古学の分野において、将来を嘱望される活躍をしていた。
そして先日、帰国し、
幼馴染であり、大学の後輩であった緒沢美香とその弟、タケルの行方不明を知ることとなったのである。
 亮と美香は恋人同士というわけではなかったが、
共に関係のある古い家柄の跡取り同士ということもあり、因縁浅からぬ仲である。
また、共に剣術の達人という、同世代の男女からは、羨望と尊敬の的にはある身なのだが、
「百年に一人の天才剣士」といわれる亮も、二歳年下の美香からは一本も奪えたためしはない。
そのせいもあるのだろうか、彼女には、引け目というか、特別な感情はないとは言えない。
恐らく、亮に彼女に対する恋愛感情はあるのか?と尋ねれば、きっとあると答えるだろう。
まず間違いなく言えるのは、彼女の方にはその気がない、ということだけだった。
美香は恋愛そのものに興味がないようでもあり、高校大学でも、あまり浮いた噂自体聞いたことがない。
いや、これは余談である。
150Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/24(日) 20:33:09 ID:N1O6LB1H0
 話を元に戻そう。
帰国した亮を待ち受けていたのは、彼女達の中央アジア未開村での行方不明事件。
実家が資産家でもあり、比較的時間を自由に出来る彼は、
彼女達が巻き込まれた事件の真相を明かすことを決意したのだ。
 「・・・これこれ、こちらがあの研究室の最後の記録ですよ。
 ご存知のように、高橋教授の民族学研究室は、ほぼ全員が行方不明ですので、
 あの部屋そのものが立ち入り禁止です。
 いま、事務方と部屋の膨大な資料の管理をめぐって、詰めているところですが、
 この件に関しては警察に捜索依頼を行った関係上、比較的優先して整理してましてね・・・。」
 「・・・これだけ・・・なんですか?」
 「ええ、他にも事前準備の記録や、高橋教授の日記、
 マイクロテープ(作者注:この物語が作られたのは20年前)が警察に提出されたんですが、
 その・・・それらが返却された後、研究室の最後の助手ともども行方不明になってしまいまして・・・。」
 「なんですって!?」
事件の内容を知れば知るほど奇妙で空恐ろしい話だ。
白鳥は現在分っている範囲で事件の経緯をおさらいすべく、
大学の担当者の前で、口頭で順に述べて言った。
 「・・・じゃあまず、日英合同研究チーム・・・
 高橋教授とアンソニー・ビショップ教授の率いる調査隊が、中央アジアの未開村への立ち入りの後、
 その村の宗教的秘儀に立ち会うために、近郊の山岳に出発・・・、
 そこで、行方を絶つ・・・。
 紛失してしまったとされる日記には、事の経緯が記されていたが、
 その内容は学者らしからぬ空想じみた妄想として、最終的に警察は、
 彼ら調査隊は、現地で肉食の大型野獣に襲われたと判断、捜査は打ち切り・・・。
 そしてその後、調査隊の一員、緒沢美香の弟タケルと研究室の助手一名が、
 ほぼ同時に消息を絶ってしまうが、そちらの事件も迷宮入り、二つの事件のつながりも謎のまま・・・!
 随分、摩訶不思議な事件ですねぇ・・・。」
151Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/24(日) 20:34:13 ID:N1O6LB1H0
 別に白鳥は事件の解明を目的としていたわけではなかった。
自分の友人達の生死を確かめたいだけだったのだ。
だが、状況が少し変わってきた。
こんないい加減なカタチで彼らの不幸に直面する事に満足できるわけがない。
彼は納得できないものをそのままにして置ける性分ではなかったし、
友人達を奪われた事に対する碇で爆発寸前だったのだ。
 だがどうやって、この事件の真相などを解明できよう?
少なくとも日本で調べられる所は限られている。
警視庁・・・民間人の自分には敷居が高いが、何のツテがないわけでもない、
とりあえずこちらは後にして、一つは緒沢家、
時を違えて二人の人間が消えたのだ、何か秘密が残っているかもしれない。
今ひとつはこれから訪ねる、2ヶ月前の事件の唯一の生き残り、事件後日本に来た英国人ホワイトだ。

 「・・・正直思い出したくありません・・・。」
ホワイトは、眼鏡をかけ、太った腹でどっちりしているようだが、さすがに居心地が悪そうに、
カラダを屈めたり揺すったりしながら話をしていた。
 「私は運が良かったんでしょう、たまたま現地の食事になじめず、
 前日になって腹を壊しましてね、
 予定では、あの未開村の宗教秘儀を見るために山に登るはずだったんですが・・・。」
白鳥は紛失したたとされる記録の事を聞いてみた。
 「細部までは私も覚えておりません。
 だけど・・・テープのほうは生々しく耳に残ってます。
 ・・・悲鳴と地響き・・・、骨が砕ける音、二度と聞けるようなものじゃありませんよ、
 そう、教授のノートにも書かれてたと思います。
 ・・・そこに現われたのは、四肢の異様に長い、鬼のような化け物だったということです。
 最後までそこに無事に残ってたのは美香さんだったようです。
 それと、・・・『神の花嫁』として儀式を行う村の娘・・・その二人だけでした。
 その二人は、他の人々の声が聞こえなくなった後、すぐに会話を行っていました。
 確か・・・現地の神・・・暴風雨神ルドラに忠誠を誓えば・・・
 神の花嫁となるのなら・・・命が助かるとか・・・そんな流れだったように思います・・・。」
152Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/24(日) 20:35:21 ID:N1O6LB1H0
 彼は興奮し、汗を流しながら喋り続けた。
一区切りついたところで白鳥が口を挟む。
 「・・・その後はどうなったんです? 彼女は・・・。」
 「拒絶したようですよ、最後に弟さん・・・確かタケルさんと言うんでしたっけ?
 たった一人の家族だったと言ってましたね、そういえば・・・。
 彼の名前を叫んだ後、何か鈍い音がして・・・その後、彼女の声が聞こえることはなかったようです。
 後に残っているのは村の娘が出している低い韻律と地響きだけでした・・・。」
 「その・・・村の娘は?」
 「わかりません、後は地響きだけで・・・。」
ここまで話を聞いて、白鳥は違和感を覚えた。
美香は何故こんな所でタケルの名を叫ぶのか?
肉親に助けを求める声か?
しかしタケルはどちらかというと、体格の割りに軟弱な甘ったれだ、
それは考えづらい。
彼らは早くに両親を失い、幼いうちは祖父母に育ててもらっていた。
だが、その祖父母も大学に入るまでには他界し、以来、二人で力をあわせて生活していたはずだ。
ということは、今わの際に、残された弟を案ずる姉としての叫びなのだろうか?
いや、少なくとも彼女はそんなべったりではなかったはずだ・・・。
もしそんな生死の境の場所で、タケルの名を叫んだというのなら、
それは・・・その場所において・・・タケル本人が現われたから・・・?
いや、それは考えすぎだろう。
 しばらくの間の後、ホワイトが口を発した。
 「私も警察の判断には納得がいかなかったんです。
 村人達の態度からして、少なくとも何かが起こるのを彼らは予期していたはずです。
 しかし、私も日本では知り合いも少なく、大学関係のゴタゴタがあり、それ以上は・・・。」
二人はすぐに志を一つにすることが出来た。
二ヶ月前起きた事件のために10数人が犠牲になったのだ。
彼らのためにも、あの村で何が起きたのか、それを突き止めなければならなかった。

 そして白鳥は、この事件の探求に力を貸してくれそうなもう一人の人物・・・、
あまり親交があるわけではないが、一人の探偵に依頼を行おうとしていた・・・。
その探偵の名は日浦義純・・・彼は美香とも、古くからの知り合いでもあった。
153Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/24(日) 20:37:41 ID:N1O6LB1H0
☆ 今日はここまでです。

ちなみに白鳥さんは初出演ですが、
セカンドストーリーで、美香姉に携帯の住所録で名前をすっとばされたカワイソスな青年です。
タケル君にも同情されています。
では。
154K。:2006/12/25(月) 03:20:54 ID:w58Yw+Oo0
おお。書き手が増えて素敵ですね!

>>鴉さん らぶりー!楽しみにしてます!

>>Lady メリーさん 冒頭の不気味さ!
この血の匂いまでして来そうな空気感!すごい
ハイパーwktk!

私も書かせてもらいます。
「kyrie eleison」メリーと短剣についての始まりの話です。
155K。:2006/12/25(月) 03:23:31 ID:w58Yw+Oo0
introduction(壱

 この世のものではない光が石作りの堅固な城を照らし出していた。
この場所では科学やそれに付随する物により力を失いつつも魔法が存在し、息づいていた。
 その城の中の長い回廊に足音を響かせてやって来たものがあった。
「暇つぶしに賭けをしないか?どうだ、のらないかね?」
 まばゆい白金の長い髪をなびかせて、
純白の薄布を纏ったその人物は息を切らして部屋の奥の人物に声をかけた。
供には歪な姿のドワーフ連れている。
「君の考えることは悪趣味だからねぇ」
 声をかけられた黒髪の人物は本気とも冗談ともつかないことを言いながら笑みを浮かべて振り返った。
「何を言っているんだ?極夜の公子と歌われる貴方らしくもない。
それとも何かい?私に負けるのが悔しいからそんな事を言うのかね?」
 そう云うと白の人物は暗い紅玉の様な双眸を細め鼻を鳴らした。
「姿は白夜の公子の誉れに違わないのに残念なことだ。」
 極夜の公子と呼ばれた人物は愉しそうに答えると、
拗ねた様子の白夜の公子を長椅子に座るように促して冠水瓶から萌黄色の薬酒を注ぎすすめた。
自分の盃にも継ぎ足して窓辺にもたれた。
156K。:2006/12/25(月) 03:25:26 ID:w58Yw+Oo0
introduction(弐

 白夜の公子は乾杯するような仕草で一度盃を持ち上げると喉を潤し、
部屋の隅に立っているドワーフに視線を向けた。
「資質と容姿には法則があるからね。例えば其れをご覧よ。その醜悪さは神々の作とは思えぬ…」
 縮れた髯に覆われたずんぐりとした色黒のドワーフは所在なさげに視線を彷徨わせ震えていた。
その言葉に極夜の公子は首を軽くすくめる事で曖昧に返事をした。
「其れを私が連れて来たのは装飾の腕の良さよ。
醜悪な者ほど美しい物を生み出す能力に長けている。」と言った後肩をすくめ、
「まあ、貴方の様に美しいものが美しいものを造りだす例外もあるが…」と付け加えた。
そして、視線に促されて異形の彼は提げていたボロの鞄から繊細な装飾のある短剣を取り出した。
 白夜の公子はその柔らかな容姿に似合わない邪悪な笑みを浮かべた。
「これは、何で出来た剣だと思う?」
怯えるドワーフは恐る恐るその短剣を極夜の公子に渡した。
 両頭の竜をあしらった柄は鱗まで繊細に表現され、
その剣を収めている鞘にも銀細工をふんだんに施してあり、
刀身は金属ではなく硝子の様に透けて黒い耀きを放っていた。
157K。:2006/12/25(月) 03:27:44 ID:w58Yw+Oo0
introduction(参

「素晴しい出来の短剣だ・・・黒曜石の様に見えるが?」
 極夜の公子は燭台の明かりに照らして刀身をしげしげと眺めた。
「よく似ているが其れとは全く違う物だ。魔法が施されているのがわかるかね?」
 含み笑いを洩らしながら、白夜の公子は説明を続けた。
「深く嘆き悲しむ魂の色を知っているかね?限りなく闇の黒に近い赤だ。
それらの負の感情に私の血を加えてドワーフに鍛えさせるとそんな美しい闇色の硝子の様な短剣が出来るのだ。
求めても得られない物から産まれたこれは決して満たされる事の無い渇望を永遠に持ち続ける器だ。
どうだね?素敵だろう!」
「美しいがやはり悪趣味だね」
 極夜の公子は子供に褒美を与えるような口調で答えた。
その声色を聞いてドワーフは自分の身の危険を感じて恐れ戦き部屋の隅に体を更に寄せた。
 白夜の公子は嬉しそうに盃の残りの薬酒を喉に流し込んで続けた。
「そこでだ、短剣だけでは動くことが叶わぬゆえ君の作る人形に持たせ、
この剣と二つ一つで蓄えた魂で遊べないかと思ったのだよ。
無論、妖魔を泥人形に封じる様に上手くはいかないだろうからね。どうだね?」
 極夜の公子は妖魔を鋳型に入れる「ヒトガタ」を作る事を愉しんでいた。
鋳型といっても泥や土くれの様な粗末なものではなく、ビスクドールと呼ばれる美しい細工の人形を好んで作っていた。
適当な妖魔が見つからない時には鼠や蛇の魂を詰めて慰みモノにする事があったが、
身の内に魔法を持たぬ者はすぐに消耗して動かなくなるのだった。
158K。:2006/12/25(月) 03:29:32 ID:w58Yw+Oo0
introduction(四

 白夜の公子は長椅子から立ち上り、
腕を振ってドワーフを帰らせると勝手に部屋中を物色し始めた。
 程なく窓辺から光を遮る様に下がった幕の裏側に霊安所の様な部屋を見つけた。
そこには硝子の棺に納められた裸の人形が安置されていた。
 白夜の公子は値踏みするようにその人形達を眺めて歩いた。
「君の御眼鏡に叶う人形はあったかい?」
 漆黒の短剣をくるくると回したり透かしたりしながら幕越しに極夜の公子が声をかけた。
「出来たら、邪悪な事に私の可愛い人形を使いたくないのだが?」と、笑いながら付け加えたが、
冗談めかした言葉とは裏腹に彼の深紅の瞳は笑っていなかった。
「ああ。これがいい!」
やや暫くして、部屋の奥から感嘆の声が響いた。
「この、トパーズの瞳の少女を使おう。亜麻色の髪も繊細で美しい。
そして象牙よりも白い肌の滑らかな事と言ったら、美の神であるエロスも君に教えを請う事だろうよ!
なだらかな隆起の上の小さな蕾みと…」
「つまりこれは、魂を啜る剣なのだな?そして、その魂は君の血を通じて君にもたらされると?」
 極夜の公子は興奮気味に捲し立てる白夜の公子の言葉を遮った。
自分の人形がこれ以上言葉で汚されるのを恐れでもしたかの様に漆黒の短剣を彼に向けた。
 白夜の公子は心外だとでも言うように厳しい眼差しでそれに答えた。
「そうではない。その時の持ち主にもたらされるのだ。主は私だがね。」
 極夜の公子は肩をすくめてそれを諌め、硝子の棺に歩み寄った。
159K。:2006/12/25(月) 03:32:27 ID:w58Yw+Oo0
introduction(伍

「しかし、これのどこに賭け要素があるというのだ?」
短剣を鞘に収めながら極夜の公子が尋ねた。
「この人形に自分で歩きたいという希望を与える。
無論、ただでは歩かせはしない。その短剣で啜った魂の活力での仮初の自由を与える。
その活力は渇く事の無い餓えの様なものだ。
これは己の渇きを癒すために、或は己の快楽のために狩を続ける美しい人形だ!
素敵だろう!その行為のおぞましさに気づく神性を持たぬ憐れな人形だよ!私はそれを愉しみたい。」
「ほう、悪趣味な事だ。」
 極夜の公子は表情を変えずに言葉を挟んだ。
「賭けとは、魂を啜る苦痛に気が付く機会を与えてみる事だ。」
 白夜の公子は嬉々として語りながら、硝子の棺の中から抱き起こした人形を腕に抱いて笑みを浮かべた。
 極夜の公子は深く息を吐いた。
「私に得があるとは思えないゲームだが?」
「渇きが癒えるかも知れぬとは思わんかね?君は愛だのを信じているそうじゃないか。
裏切りと明けない夜の申し子と呼ばれるくせに。高尚なことだ。」
 挑むように深紅の瞳を輝かせて白夜の公子が言う。
 極夜の公子は瞳を伏せたまま盃の中身を飲み干した。
「そこまで言うなら、そのゲームに乗ってやろう。報酬は考えているのかね?白夜の公子よ。」
 肩をすくめて極夜の公子が言う。
その姿を見て人形を弄んでいた手を止めて彼は邪悪な笑みを浮かべた。
160K。:2006/12/25(月) 03:35:02 ID:w58Yw+Oo0
introduction(禄

「人形と剣が癒えぬ間の獲物の魂を自由にする権利を貴方に与えよう。
もし、渇きが癒えたならこの人形を貰うのは諦めよう。悪い話ではあるまい?」
 白夜の公子は人形がまるでもう自分の物であるかのように言い放ち、
抱きかかえたまま棺の部屋を抜けて光の差す窓辺に移動した。
運命を知らない空の器の人形は光に照らされて微笑んでいるように見えた。
「人形を貰うと言う割には君は欲が無いな。その賭けは私の勝ちに決まっている。
試すがいい。君の嫌悪する愛情とやらがその剣を満たすのはそう遠い日ではなかろうよ」
 そういうと極夜の公子は人形に接吻をし傍らにあった自分の漆黒のベールを人形にかぶせた。
それは父が死に逝く娘にする別れの様にも見えた。
 その腕に人形を抱き、別れの儀式を見た白夜の公子は自分の勝利を確信して笑みを浮かべた。
「この人形には聖なる名前を与えよう『メリー』だ。救世主を生み出し、消された聖母の憐れな魂!
行く先に呪詛と祝福の在らん事を!」
 白夜の公子は芝居がかった嘲りの台詞を残すとそのまま部屋を出て行った。

 そして、時が経ち何人かの人の手を経て白夜の公子の策略により人形の内に狂気と悲しみが満ちた。
人形がその身に希望を持ち、自由に歩きたいと願うほどに…。

introduction〜fin
161K。:2006/12/25(月) 03:43:07 ID:w58Yw+Oo0
長々と失礼いたしました。
ここから以前書いた物へつながります。
162本当にあった怖い名無し:2006/12/25(月) 19:56:05 ID:AS1Cw+/E0
クールに反撃スレからきました。
長いですが、投下します。
163本当にあった怖い名無し:2006/12/25(月) 19:57:05 ID:AS1Cw+/E0
 1

「私、メリーさん。今、○△駅にいるの」
 まただ。またメリーさんから電話がかかってきた。これで三度目だ。序所に近づいてきている。これまでの移動距離を計算すると、あと三回か四回の電話で僕のところにたどり着いてしまう。
 友人に話しても、寝ぼけていたんだろうと信じてくれなかった。ああ、僕は天涯孤独なのか。ネットでメリーさんを回避する方法を探しても、一向に見つかる気配はない。死へのカウントダウンは確実に始まっていた。
 図書館で調べ物をしているときに、何度目かの電話はかかってきた。
「私、メリーさん。今、□×公園にいるの」
 うちのすぐ近所だ。くそっ……、たぶん次は僕の家の前、そしてその次は僕の後ろに……。あと二回のコールしか猶予はない。僕は焦りながらも、資料を求めて館内をうろついていた。
 ふと、ある本が目にとまった。都市伝説を纏めた本だった。手に取り、目次のページを開く。そのときだだった。一通の手紙が本の間からこぼれ落ちた。僕はそれを拾い上げ、まじまじと眺めた。前に借りていた人が挟んだのだろうか。
 図書館の学習室の机に向かいながら、僕はその手紙を読んでみた。何か手がかりはないかと、藁をもつかむ思いだった。
 驚いたことに、手紙にはメリーさんに会いたいという内容が書かれていた。どうやら、手紙を書いた人は、メリーさんに会う方法を探しているようだった。僕はメリーさんを回避する方法を探している。間逆だ。
 もしメリーさんに会う方法を見つけたのなら、連絡して欲しいとのことだったが、手紙には電話番号も住所らしきものも書かれていなかった。
 結局、手紙以外なんの成果もなく、僕はとぼとぼと帰路についた。部屋につくと、電話が鳴り出した。昼間かかってきたばかりだからという理由で、僕はすっかり油断していた。
 メリーさんからだった。
「今、あなたの家の前にいるの」
 受話器を落としそうになった。恐怖が足元からこみ上げてくる。今までは、一日に一回のペースで電話がかかってきていた。少なくとも、あと二日は猶予があるものだと思っていた。ところが、そうではないらしい。すぐそこに、メリーさんはきている。
164本当にあった怖い名無し:2006/12/25(月) 19:58:13 ID:AS1Cw+/E0
 2
 こんなときに限って両親は出かけている。なんてこった。僕は部屋の隅で背中を丸めながら、がたがたと震えていた。
 そして、最後の電話が鳴り響いた。出ないともっと酷い目にあうんじゃないかと、そんな気がしたので、僕はあえて最後通告を受けることにした。リビングにある電話機のもとへ向かう。
「私、メリーさん。今、あなたの後ろにいるの」
 怖いもの見たさで、僕は振り返った。小柄なフランス人形が僕を見上げている。その手には包丁が握られていた。蛍光灯の明かりを受けて、キラリと光っている。
「きみが……メリーさん……」
「うふふふふ、どうしたのかしら、そんなに怯えちゃって。私はただの小さな人形でしょ? どうしてそんなに怖がるの?」
「怖くなんかないさ」声が震えていたから、そのけん制はまるで無意味だった。「僕はこの日のために、メリーさん撃退方法を研究してきたんだ」
 もうやけっぱちだ。本当は何も思いついていないけど……。
「それは楽しみね。獲物が反撃してくれたほうが、やりがいがあるもの」
「あ、甘く見ると、痛い目にあうぞ……!」
 メリーさんはきゅっと顔を歪ませた。「やれるものなら、やってみなさいよ!」場の空気が殺気立つのがわかった。
 僕は腰を抜かしそうになり、背後にもんどりうった。カーテンにからまりながら、僕は床に倒れた。窓が露出し、夜空が垣間見えた。
 さっきまで殺気立っていた空気が、急にしぼんでいくのがわかった。メリーさんが、夜空に気をとられている。
 僕は呆気にとられながら、メリーさんの頬を伝う一筋の涙に目を奪われていた。メリーさんが泣いてる……?
 そう思ったのもつかの間、メリーさんはリビングから消えていた。何が起こったのかよくわからない僕は、しばしそのまま床に座っていた。
165本当にあった怖い名無し:2006/12/25(月) 20:06:13 ID:AS1Cw+/E0
 3
「メリー、あれがシリウスよ」
 どこからか、そんな声が聞こえた。眼を開けると、変わってしまう前のお母さんの顔がそこにあった。私は小学生に戻っていた。
 お母さんが指差した延長線上に、その星はあった。肉眼でもはっきりとわかる一等星だ。冬になると、私はお母さんと一緒によく天体観測をしたものだ。感嘆のあまりこぼれた吐息が、空気に溶け込んでいく。
 外はとても寒かったが、母の編んだマフラーは暖かく、何時間でもそうしていられた。
 その頃の私はあまりぱっとしない外見のためか、同級生のからかいの対象になっていた。先生に問題を当てられたときも、他の子は普通なのに、私のときだけクラスは静まり返った。
 そのうちに私は会話が苦手になり、とうとう自分から友達に話しかけるようなことはなくなってしまった。
 お母さんを心配させないため、私は家では気丈に振舞った。でも、お母さんが仕事から帰ってくるのは決まって深夜だったから、私の話し相手は星空だけだった。お父さんが死んでから女手ひとつで私を育ててくれたお母さんには感謝している。
 家にいて、もっとたくさんお話してほしいだなんて我ままだよね。でも、ときどき早く帰ってくると、こうして星空を眺めながらたくさん語り合った。それで充分だった。
 ある日、私の下駄箱に死んだ子猫が入れられていた。腰を抜かした私を、遠くからクラスメートたちが笑いながら見ていた。
 どうしてこんなことをするの?
 私は子猫を抱き上げ、砂場に埋めてあげた。さっきまで笑っていたクラスメートたちは、「気持ち悪い」、「菌がうつるぞ」と私に聞こえるように言って逃げていった。私は全然悔しくなかった。
 でも、やはり頭上に星が瞬く夜の方が、寂しさがまぎれる気がした。だから、私は夜が来るのが待ち遠しくてしかたなかった。
166本当にあった怖い名無し:2006/12/25(月) 20:07:09 ID:AS1Cw+/E0
 4
「ねえメリーちゃん、一緒に折り紙つくろ」
 部屋の隅っこで本を読んでいると、転校生の木村優子が声をかけてきた。優子はこの学校に来たばかりだから、私がどのような立場なのか知らないのだ。
 知っていたら、私に話しかけるなんて愚かな真似はしなかったはずだ。いじめられっ子の私と仲良くしたら、優子までいじめられてしまう。
 だから、私は冷たく言った。「あっちいってよ」
 優子はショックを受けたように、「私のこと嫌いなの?」と言った。少しだけ胸が痛くなった。
 その夜、お母さんが話してくれた。友達は一生の財産だ、と。友情はかけがえのないもので、周囲の環境に左右されるものではない。普遍のものなのよ。お母さんは優しくそう言った。
 私は、いつの間にかに心を病んでいたらしい。世間体とか、周りの目なんか気にせず、堂々と友達になったらいい。もともと、私には失うものなんてない。
 次の日、私は優子に声をかけた。「おはよう」
「おはよう……」
 私は前日のことを謝った。その日、私にはじめての友達ができた。
167本当にあった怖い名無し:2006/12/25(月) 20:10:11 ID:AS1Cw+/E0
 5
 窓の外が、薄っすらと白んでいく。これまで何億・何兆回とそうしてきたように、今日もまた朝が訪れる。昨夜のことが夢のようだった。
 何が起こったのか、よくわからないが、どうやら僕はメリーさんを撃退したらしい。正直、僕は何もしていない気もするが、メリーさんと相対して生き残ったのだから、少しは誇ってもいいと思う。
 その日は学校を休み、僕は再び図書館へと向かった。もしかしたら、あの手紙を僕が持っていたことが、メリーさん撃退に関係しているのかもしれないと思ったからだ。なぜだか知らないが、僕はあの手紙を書いた人物を探し出さなければならないような気がした。
 本棚から、例の都市伝説の本を抜き取る。裏表紙についているカードに、本を借りた人物の履歴が残っている。最終履歴は……と。
「木村優子か……」
 手紙の感じから、女性だということは薄々感づいていた。だがなぜ、木村優子はメリーさんに会いたがっているのだろう? 探し出して聞くしかない。でもどうやって? 住所も知らないのに、どうやって会えばいいんだ?
 悩んだ末、一か八か、僕はカウンターにて一芝居を打つことにした。
168本当にあった怖い名無し:2006/12/25(月) 20:11:20 ID:AS1Cw+/E0
 6
「すみません、実はこの図書館を利用している木村優子さんから頼まれてきた者なのですが……」
「ご用件は何でしょう?」
 僕は深呼吸をして続ける。
「実は、木村優子さんは今入院していまして、借りていた本を返してきて欲しいと頼まれたのです。ところが、どうやら彼女はその本をなくしてしまったようなんです、彼女。
 弁償すると言っていますので、返されていない本のタイトルを教えていただければ幸いなのですが……」
「ちょっと待ってください」
 係員はそういうと、パソコンのキーボードを弾いた。たぶん、木村優子のページを開いているのだろう。
「ええと、木村様の借りた本は全て返却されていますね。思い違いということではないでしょうか?」
「そんなはずありません。彼女に限ってそんなこと……。でも、もしかしたら勘違いってこともあるかもしれません。彼女に確認を取るので、少し待ってください」
 僕は用意していた携帯電話を取り出し、強引にカウンターの上に身を乗り出した。迷惑そうに眉をひそめる係員を無視して、ディスプレイを覗き込む。
「うん、うん、やっぱりそうか。なんてそそっかしいんだ。恥をかいたじゃないか」
 独り言を呟いて、携帯電話をしまう。
「本当にすみませんでした。お手数かけてしまって」
「いえ、いいんですよ。またのご利用お待ちしております」
 僕はそそくさと図書館を出た。こんなにもうまくいくとは思わなかった。最近の携帯電話も便利になったものだ。動画が撮影できるのだから。
 動画には、はっきりとパソコンのディスプレイが映っていた。もちろん、木村優子の個人情報の欄もしっかりと。住所は、ここからそう遠くない。
僕は自転車にまたがると、さっそくその住所へと向かった。
169本当にあった怖い名無し:2006/12/25(月) 20:12:53 ID:AS1Cw+/E0
 7
 優子と出会ってから、私のつまらなかった人生は一変した。優子は、昼間の星だった。私を明るい場所へと引き戻してくれる。友達の温かさに、私は酔いしれた。
 休み時間や給食のときはもちろん、休日も一緒に過ごした。私は段々と、学校に行くのが楽しみになっていた。
 いじめが完全になくなったわけではなかった。だが、私には耐性がついていたし、優子がいればそれでよかった。
「じゃあね」
 いつものように、三股路で私と優子は別れた。優子とは家の方向が反対なのだ。しばらくすると、私は家に着いた。そして、あの男と会ったのだ。
 酒の匂いが漂う、小汚いあの男と。あいつは私の家族でもないのに、家のなかでくつろいでいた。お母さんが、慌てて男を紹介した。
 本名は田中敏明というらしい。そのときはまだ、お母さんとこの男の関係を私が知るよしもなかった。
「メリーちゃんか、こっちへおいで。おじさんがいいものあげよう」
 げへへ、と下品な笑い声を上げながら、あいつはそう言った。そして、金髪のフランス人形をくれたのだった。心なしか、その人形は泣いているように見えた。
 田中がどういう男かわからない以上、私は警戒を解かなかった。プレゼントで釣るつもりなのかもしれない。そして、その予感は当たった。
 田中はお母さんが居ないときに家に上がりこみ、私をぶったのだ。ごく自然に。
「おお、ごめんよ」
 最初は間違ってぶったのかと思った。でも、そのうちにそうじゃないことがわかった。体中に痣ができるほどの間違いなんて、ありえない。あいつはわざとやっている。
170本当にあった怖い名無し:2006/12/25(月) 20:15:04 ID:AS1Cw+/E0
 8
 私はそれとなく田中が嫌だということを訴えたのだが、田中に傾倒しつつあるお母さんには伝わらなかった。最愛のものを奪われた気分だった。
 その頃からだろうか。私が、あのフランス人形に八つ当たりをするようになったのは。田中が義理の父親になってからも、私への虐待は続いていた。
 虐待を受けた私は、人形に虐待をすることで感情が爆発するのを抑えていたのだ。今考えると、ずいぶんと滑稽だったと思う。
 家に居づらくなった私は、夜遅くまで帰らなかった。昔とは逆転して、私の居場所は学校に移り変わっていった。優子の家でお喋りしたり、公園で暇を潰したりして時間を潰した。私は中学生になっていた。
 中学に上がると友人関係にも変化が訪れた。優子が他のグループと一緒にいることが多くなったのだ。私と一緒にいる時間は急激に減っていった。お互い成長したということなのだろう。
 私にも、優子ほどではないが、新しい友達ができた。いじめも影を潜め、穏やかな日々が過ぎていった。
 田中は(私は父親だと認めていなかったので、そういう敬称を使っていた)家では相変わらず暴力を振るっていた。私だけではなく、お母さんにも。
 すると、お母さんは私に言葉の暴力を振るうようになった。とても悲しかった。あの頃のお母さんはどこへ行ってしまったのだろう?
 ある日、私が家に帰ると、田中がおいでおいでをしていた。とうとう気でも狂ったのか。そう思いながら、私は居間へ入っていった。
 直後、腕を握られ、私は畳に上に押し倒された。私は必死で抵抗したが、大の大人の腕力にはとてもかなわない。田中の酒臭い吐息が鼻をよぎり、吐き気を催した。
 叫び声を出さないように、口は手でふさがれている。スカートが脱がされた。畳の上に、あの人形が横たわっている。
 助けて、お人形さん。お願い、助けて――。
 誰も助けてはくれなかった。行為が終わると、田中は息を切らせながら、酒を求めて台所へと立っていった。私はしばらく起き上がることもできず、ただ何が起こったのかを必死に考えていた。
171本当にあった怖い名無し:2006/12/25(月) 20:16:23 ID:AS1Cw+/E0
 9
 そのとき、私は気づいたのだ。
 私は田中の人形であることに。床に転がっているフランス人形よりも、もっと人形らしい。操り人形。魂の宿っていない人形だ。人形以下の人形。
 いっそのこと、本物の人形だったらいいのに。私はゆっくりと起き上がり、人形を抱いて自室へと戻っていった。筆箱からカッターナイフを取り出し、カチカチと刃を出した。
「さようなら」
 そして、自殺を図った。

 * * *

 ピンポーン、と間延びしたチャイムの音。続いて、ドアホンから少し警戒をともなった声が聞こえてきた。
「どちら様でしょうか?」
 返答に困ったものの、正直に言うことにした。
「本に挟んであった手紙を読んだ者です。お話したいのですが、お時間よろしいでしょうか?」
 しばらく間があった。だが、相手は承諾してくれた。「どうぞ、入ってください」
 僕の住んでいる家よりも格段に立派なその屋敷に、恐る恐る足を踏み入れる。玄関に入ると、三十代後半の女性が出迎えてくれた。彼女が、手紙の主、木村優子だった。
 居間に通された僕は、木村優子とテーブルを挟んで向き合うようにして座った。さっそく本題に入る。
「僕は昨夜、メリーさんに襲われました」
 それを聞くと、木村優子は驚いたように目を見開いた。
「メリーさんはあまりにも理不尽です。僕が調べたところによると、メリーさんを撃退した例はひとつもありませんでした。要するに、メリーさんは台風や竜巻と同じなんです。
 どういう基準で、電話をかける相手を選んでいるのかはわかりませんが、選ばれた時点で、その人はまず間違いなく死んでしまう」
「でも、あなたは生き残った。そうでしょう?」
「ええ。でも、どうして生き残ったのかはわかりませんし、それに、メリーさんが僕のことを諦めるとも思えない。きっと、近いうちに再び僕のもとに現れるでしょう。そんな気がするんです」
 しばし沈黙が舞い降りた。時計の針のカチッカチッという音だけが聞こえる。僕は続けて言う。



172本当にあった怖い名無し:2006/12/25(月) 20:17:50 ID:AS1Cw+/E0
 10
「優子さん、あなたはどうしてメリーさんに会いたいと思っているんですか? あなたは、メリーさんの何を知っているんですか?」
 彼女は、メリーさんに何か用があるはずなのだ。
 ややあって、木村優子は言った。「メリーさんについて、調べたと言ったわね。では、どうやってメリーさんが生まれたのかは知ってる?」
 メリーさんが誕生した由来……?
「いいえ、わかりません」
「そう。メリーさん誕生については、粗末にした人形の祟りだとか、悪霊が人形に乗り移っただとか、諸説あるけれど、そのどれも真実ではないわ。私は、人間だった頃のメリーさんを知っているの」
「え……人間だった頃……?」
木村優子はこくりとうなずいた。
「メリーさんは、私の初めての友達だったの。私は気が弱く、誰かに話しかけられても緊張してしまい、うまく会話ができない子だった。当然友達など出来るわけもなく、一人寂しく学校に通っていたの。
 ある日、私は転校先の小学校で、彼女と出会った。それが、メリーさんだった」
 木村優子は懐かしむように眼を細めた。彼女は続ける。
「中学になって、多少のすれ違いはあったけれど、私はメリーさんの親友であり続けた。そんなある日、公園にたたずむ彼女を見かけたの」
 木村優子の脳裏に、あの日の出来事がまざまざと甦った。
「メリーさんの手首には包帯が巻かれていたわ。心配して話しかけても上の空で、ひどく傷ついている様子だった。彼女、独り言のようにつぶやいていたの。『私はお人形、私はお人形』って。
 前々から、暴力をふるう義理の父親のことについて聞かされていたから、私は即座に父親が原因だと気づいたわ。そして、後日、私は一人で彼女の家に向かったの」
 僕は興味津々で、その話に耳を傾けた。生きていた頃のメリーさんと面識のある人間が、目の前にいる。それがとてつもなく奇妙だったが、話の先が気になって仕方なかった。
173本当にあった怖い名無し:2006/12/25(月) 20:19:23 ID:AS1Cw+/E0
 11
「そこで、私はメリーさんが虐待されている場面を目撃した。今思い返しても、気分が悪くなる。彼女、義理の父に強姦されていたの。私は警察に電話しようと思った。
 だけど、メリーさんの父親……あのタナカという男につかまってしまったの。もう終わりだと諦めかけたそのとき、タナカは苦しげにうめいて動かなくなった。
 その背後に、包丁を持ったメリーさんが立っていて……彼女は血まみれだった。パニックに陥っていた私は、そのとき何が起きたのか確認しようともせず、メリーさんに言われるがまま、家に帰ったの。
 家に帰ってから、私はようやく気づいた。あのとき、メリーさんは私を救うために父親を殺したのだということを。その後、メリーさんの行方はわからなくなってしまった。最近になって、あの都市伝説を聞くまでは」
 メリーさんには、凄まじい過去があった。僕は気づくと、涙を流していた。あまりにも酷すぎる。世の中は、どうしてこう理不尽なことばかりなのだろう。
「ところで、さっきあなたは、メリーさんが電話をかける相手を選ぶ基準はわからない、と言ったわね。でも、実はある法則性があるのよ。電話をかけられた者は、皆メリーさんをいじめたことのある同級生の子供なの」
 一瞬、彼女の言っている意味がわからなかった。気づいたときには、思考停止状態に陥っていた。
「つまり、僕の両親は……父か母かはわかりませんが、どちらかがメリーさんをいじめていた……そういうことですか?」
「残念ながら、そうなります。あなたの母親の旧姓、わかるかしら?」
「ええと、確か村田だったと思います」
 木村優子は本棚から卒業アルバムを抜き取り、住所録を指でなぞりながら探していった。
174本当にあった怖い名無し:2006/12/25(月) 20:20:17 ID:AS1Cw+/E0
 12
「あった。村田君子。あなたのお母さんのことね。彼女もメリーさんと同じ学校に通っていたのよ。つまり、村田君子もメリーさんをいじめていた、と考えるのが妥当ね」
「でも、どうしてメリーさんはいじめた張本人ではなく、その子供たちに復讐をしているんですか?」
「彼女は、大切なものを奪われた悲しみを知っている。彼女自身、仲の良かった母親をタナカに奪われている。だから、大切な人を奪うことで復讐しようとしているのよ」
 どうして、こんな悲劇が起こってしまったのだろう。たったひとつの悲劇が、雪だるま式に大きくなり、僕を飲み込もうとしている。だが、事情を知った今では、メリーさんを責めることなど僕にはできなかった。
「彼女がどうして人形になったのかはわからない。あのフランス人形は、彼女を虐待していたタナカが与えたものだから、大事にする理由はどこにもない。虐待されていた事実を忘れない戒めなのか、
 それとも何か別の理由があるのかはわからない。ただ、彼女は肉体とともに良心を脱ぎ捨てて、ただ黙々と復讐する人形になることを選択した……」
 メリーさんは想像を絶する苦悩を味わったに違いない。義理の父親を殺した罪に押しつぶされそうになったのだろう。そして、人形になることを選んだ。僕には到底、真似できない。
「私がメリーさんを捜している理由はね、会って謝りたいからなの。それで殺されても構わない。とにかく、あの日のことを謝りたいの。
 私がおせっかいにもメリーさんの家を訪れなかったら、彼女は父親を殺さないで済んだかもしれない」
「今度、メリーさんに会ったら、あなたが謝っていたことを伝えておきます」
 そう言って、僕は木村優子の家を後にした。メリーさんを回避する方法など、もうどうでもよくなっていた。
175本当にあった怖い名無し:2006/12/25(月) 20:21:23 ID:AS1Cw+/E0
 13
 翌日の午後、僕の体は電話の音に反応して、ゆっくりとベッドから起き上がった。母からだった。
「今日は遅くなりそうなの。夕飯は自分で用意してね」
「ねえ、母さん」
「何?」
 母さんは昔、メリーさんをいじめていた。そのことを訊ねようとした。今の母さんからは想像もできないことだ。
「……いや、なんでもない。風邪が流行っているから気をつけてって言おうとしただけ」
「あら、あんたらしくないわね。とにかく、カップラーメンで済ませたらただじゃおかないからね」
「わかった」
 僕は受話器を置いた。他愛もない話だった。家族との最後の会話にしては、あっけないような気もする。
 なぜだか僕は、メリーさんが再来するような予感がしていた。たぶん、その予感は当たるだろう。心の準備が出来ていると言えば嘘になるが、初めてメリーさんと相対したときよりは落ち着いていた。
 台所に行き、コップに注いだ水を、少しだけ口に含ませた。すでに日は暮れかかっている。今は窓からオレンジ色の陽光が差し込んでいるが、じき闇に閉ざされるだろう。そのときが、僕の最期となる。
 ソファでテレビを眺めていると、次第にうつらうつらし始め、いつの間にか僕は眠っていたらしい。眼を開けると、そこに彼女がいた。
「電話をかけても出ないから、心配して来てみたの」
 木村優子がほっとして胸に手を当てていた。今、何時だろう。時計を探して視線を彷徨わせる。ああ、まだ八時か。
 僕は熟睡すると、電話が鳴ろうと地震が起ころうと眼を覚まさないという体質なのだ。木村優子には迷惑をかけてしまった。
「その後、何か変わったことはない?」
「ええ、おかげさまで……」
「メリーさん、やってくると思う?」
「……その予感はあります。たぶんもうすぐ来るでしょう」
「そう」彼女は声のトーンを落とした。
176本当にあった怖い名無し:2006/12/25(月) 20:22:20 ID:AS1Cw+/E0
 14
 しばらく、そうやって何気ない会話に興じていると、幾分は気が紛れた。
 ふいに、背筋に冷たいものが走った。部屋にもやもやとした影が落ちる。どこからか淀んだ空気が流れ込み、場の雰囲気は一変した。
 すぐに、メリーさんが来たことを僕は悟った。
「どうやら、来たようね」木村優子は囁いた。僕はうなずき返した。
 部屋の向こう側に、メリーさんはいた。物珍しそうに僕を見ている。たぶん、僕の表情からあまり恐怖を感じ取れなかったからだろう。
「仕切りなおしにきたの」メリーさんはそう言った。「その女は誰?」
 木村優子は一歩前に進み出た。
「メリーさん、私のこと覚えてない?」
「あんた誰?」
「あなたの友達」
 メリーさんは可笑しそうに笑った。「私に友達なんていない」
「忘れてしまっているだけよ。でも、大丈夫。私が覚えているから」
「しつこいわね。知らないって言ったら知らない。あんまりうるさいと、あなたから壊しちゃうよ」
 メリーさんは包丁の切っ先を木村優子に向けた。木村優子は怖気ずくことなく、その場に立っている。僕はただ傍観しているしかなかった。
 次の瞬間、メリーさんが動いた。木村優子めがけて、床を蹴った。僕は思わず眼を瞑りそうになった。いや、今この瞬間を瞳に焼き付けるんだ。僕はもう逃げない……!
 真っ直ぐ突き進むメリーさんを、木村優子は受け止めた。まるで時間が止まってしまったかのようだった。床に滴り落ちる血の音で、僕はわれに帰った。
177本当にあった怖い名無し:2006/12/25(月) 20:23:32 ID:AS1Cw+/E0
 15
「ちょっ……離しなさいよ」
 メリーさんの慌てた声が聞こえた。包丁が刺さっているというのに、木村優子はメリーを抱きしめたままだ。その手は力強く、頬は涙で濡れていた。
「ごめんね、ごめんね……」
「あんたなんか、知らないって言ってるでしょ……あんたなんか……」
 木村優子の手が、優しくメリーさんの金髪を撫でた。何度も、何度も。
 しばらくして、木村優子は地面に倒れた。メリーさんは木村優子の腕のなかから飛び出し、少し離れたところに着地した。
「木村さん!」僕は木村優子に駆け寄った。彼女は虫の息だった。うわ言のようにつぶやいている。「……ごめんね、私のせいで……ごめんね……」
「……優子?」
 一瞬、その声がメリーさんから発せられたものだと気づかなかった。毒気が完全に抜かれたその声は、幼い少女のものだった。
 メリーさんは倒れている木村優子に歩み寄り、その頬をそっと撫でた。「優子……私の友達……」
 それを聞いて、木村優子は薄っすらと笑みを浮かべた。それが最期だった。人が息を引き取る瞬間を、僕は生まれて初めて目撃した。生気が抜け、顔が白くなった。
 でも、こんなに幸せそうなまま死ぬ人間は珍しいのではないだろうか。
178本当にあった怖い名無し:2006/12/25(月) 20:24:56 ID:AS1Cw+/E0
 16
「どうしよう。優子が死んじゃった」
 メリーさんは、取り返しがつかないことをしてしまったかのように、悔しそうに言った。人形に生まれ変わって以来、初めて自分を取り戻しているようだった。
「君は木村優子を殺した。でも、最期に彼女の願いを叶えてやった。彼女は、恨んでなんかいないよ」
 やっとのことで僕は言った。メリーさんは顔を上げる。ガラスで出来た瞳から、涙が堰を切ったかのように溢れ出している。
「いつから道を間違ってしまったんだろう……こんな姿になってまで、復讐しようとした……サイアクだよね……」
 メリーさんは、茫然自失の体で部屋を出て行こうとした。
「世の中には、腐った人間が山ほどいる。もしかしたら、僕のその一人なのかもしれない。だから、誰も君を責めたりはしない。責める資格がないからだ。今の君を作り上げた環境に直接関わりがなくても、僕は君を責めたりはしない」
「ありがとう」メリーさんは振り返らずに言った。
 そして、部屋を後にした。

* * *

 数日後、僕はゴミ捨て場にあのフランス人形が落ちているのを発見した。ゴミに埋もれていたせいか、あちこち黒ずんでいた。乾いた瞳を見る限り、魂は宿っていないようだった。
 彼女がどうなったのかは知らない。成仏したのか、それともまだこの世に存在するのか、今となってはわからない。だが、忘れてはならないことがひとつだけある。
 もう二度と、メリーさんの身に起きたような悲劇は起こしてはならない。
 そう誓いながら、僕は木枯らしの吹く寒空の下、歩き出した。

 -完-
179本当にあった怖い名無し:2006/12/25(月) 22:35:18 ID:jEj8T5p1O
(´・ω・`)GJ
180本当にあった怖い名無し:2006/12/25(月) 22:54:17 ID:l/6Y9FPo0
乙でした!
よかったよー これは完結しちゃってるけど次回作にも期待、かな?
181Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/26(火) 00:13:57 ID:rqRbrQdQ0
感動した・・・是非、コテをつけて・・・。
次回作を・・・。

182電撃・・・メリーは西へ・・・(1):2006/12/28(木) 00:43:05 ID:++gGvPbA0
「私メリーさん・・・いま貴方の後ろに居るの・・・ウフフ。」

その声は男の真後ろから聞こえた・・・。
そこは大陸の最果て、砂漠のド真中に在る古の街・・・かつては賑わいを見せていたであろう町並み
も今や人影ひとつ見当たらず、まるで近代を迎えた現在から見れば時代から見捨てられ時が止まった
かのようになったゴーストタウンだった。
そんな黄砂の吹き荒れる大通りの中心で彼は今、背後から話しかける少女の声に凍てついていたのだ
った・・・その冷酷なまでの無邪気さに・・・。

「私メリーさん・・・ねぇこっち向いてよ。オ・ジ・サ・マ♪クスクス。」

背後に居る少女の声は、まるで彼の怯える様を楽しむかのようにして話し続けた。
”このままでは・・・”そんな思いに駆られながら男は必死で考えた・・・今のこの状況を何とか打
破し一分一秒でも早く、この死に絶えた街から脱出できる方法を・・・。
っと、そんな彼の脳裏に知り合いの軍人から行きがけに聞かされた噂話のことが過った。彼その軍人
が言うには確か、この地で”彼女”が手にしている武器は・・・思うまもなく男の身体は考えるより
も早く行動に移っていた。
183電撃・・・メリーは西へ・・・(2):2006/12/28(木) 00:45:21 ID:++gGvPbA0
「・・・っ!?いっ、一体・・・なんの御つもり!?」

彼の突然の行動にメリーと名乗る・・・西洋の侍女(メイド)姿をした少女は度肝を抜かれたのか、
その綺麗な瞳を白黒させながら戸惑っていた。
無理もない・・・いま男は彼女が構える自動拳銃・・・ブローニングM1910の銃口を左の掌でグッと
押さえ込んでいたからだ。

「貴方・・・そんなに死にたいの!?」
「知りたければ、その綺麗な指で引鉄を引いてみることだな・・・お嬢さん。」

男の挑発とも取れる言葉を聞いた少女は、すぐさま満身の力を込める様にして引鉄を引き絞る・・・
っが何故か銃は火を吹く事無く金属部品が擦れ合うカチッ!カチッ!と言う音が何度も空しく響くば
かりだった・・・。

「・・・クッ!・・・一体どういう事!?あなた一体なにを・・・」
「知らないのかい?ブローニング拳銃はこうすると、弾が出ないだよ。」

思いも寄らぬ男の反撃に呆然としながらもメリーは相手の眼を悔しげに睨みつつ苦笑いを浮かべた。

「ハン!やるじゃない・・・軍人でもないくせに・・・」
「軍人じゃあないがブン屋なんだよ俺は・・・新聞のネタを探し回れば色んな知識や知恵、くっだら
 ない薀蓄の山が嫌でも耳に入ってくる。」
「へぇ〜なるほど・・・戦場で走り回ってるのも伊達じゃないってコトね・・・」
「そういう君も人の事はいえないだろ?・・・怪盗メリーのお嬢さん・・・」
184電撃・・・あとがき:2006/12/28(木) 00:54:45 ID:++gGvPbA0
とりあえず近況をば・・・

さいきん実は・・・出向先が変わってしまいまして、おかげで以前よりもはる
かに創作(?)できる時間が減ってしまいますた。(;-_w)トホホ

それでも機会があれば投稿させていただきます。

ちなみに・・・今回の話は次ので締め・・・られるかなぁ〜(汗)
185本当にあった怖い名無し:2006/12/28(木) 01:35:32 ID:Emv6q+42O
>>163-178
126氏?
186Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/28(木) 07:11:49 ID:PhjnZlCV0
電撃氏久々!!
187126 ◆dNexSJi1ew :2006/12/28(木) 08:58:46 ID:OdsixyBcO
>>185
ちがうよ。
素晴らしかったです。
188Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/29(金) 17:00:15 ID:FnzVAjDT0
>>152 からの続き
Lady メリー外伝2nd「闇に蠢く者」
行きますね。
189Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/29(金) 17:02:24 ID:FnzVAjDT0
 正直、白鳥は日浦義純と連絡を取る事には消極的だった。
直接会ったのは1〜2回程度だが、その場に居合わせた美香の目の輝きに、
男としてのプライドが痛く傷ついてしまったからだ。
勿論、日浦と美香の間に男と女の関係はなかったと信じたいが、
苦手な人物である事は間違いない。
・・・だが、逆を言えば、彼女の一大事には、真剣に力を貸してくれるのではないか?
それだけが彼を頼ろうとした理由である。
 しかし、白鳥の期待は、どこからか狂い始めていた。
・・・ほんの少しの違和感だけなのだが、
思い通りに事が運ばない・・・何か奇妙な事態に物事が進んでる・・・。
事によると、こんな異常な事件に対して、自分が焦り続けているだけなのかもしれなかったが、
それは日浦に連絡を取った時にも、同様に、何らかの違和感を感じ取っていたのである。

 当初、電話での日浦の対応は、白鳥の予想を完全に裏切るかのように冷淡だった・・・。
以前会った時はそんな印象はまるでなかったのに・・・。
事によると、自分の存在や、美香のことすらも忘れ去ってしまったのではないかとも思える反応だったが、
間違いなく日浦は自分達の事を覚えていた。
・・・では、この他人行儀な反応はなんだというのだろう?
白鳥の熱い交渉の結果、日浦は来週なら都合をつけられると、日程の調整を行ってくれた。
では、それまでに動く事は・・・。
既にこの段階で、白鳥は、美香たちが行方不明になった中央アジアの未開村へ赴く決意をしていた。
その為に、彼は英国から腕のいいハンターを呼び寄せる事を決めていたのである。
その男は既に40を越えていたが、白鳥家とも古くから親交のある男性で、
軍隊経験もある。
彼と同行すれば、肉食の野生動物くらいの急襲にはなんとか対応できるだろう。
あとは、彼らと会うまでに、白鳥はあの村に関する資料をできるだけ集め、
想定外の事態にも対応できるだけの情報を得ようとしていた。

・・・だが、ホワイトの家に行ってからというもの、違和感だけでなく、
実際に奇妙な現象が白鳥の周辺で起こり始めた。
次の日の夜、最初の事件が起きた・・・、それはホワイトからの電話だった・・・。
190Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/29(金) 17:04:10 ID:FnzVAjDT0
 『まっ、誠に申し訳ないんだが、わ、私はこの事件から手をひ、引きたいんだ。』
ホワイトの声は落ち着きを失っていた。
 「ちょ、ちょっと待ってくださいよ、ホワイトさん、
 何が起こったんです? 理由を説明してください。」
 『お、脅かされたんだ、や、奴らに・・・!』
 「脅かされた!? 誰に・・・誰にですか! ホワイトさん!」
その時・・・電話の向こうから、ホワイトとは違う別の声が聞こえてきた。
混線? ・・・その声は若い少年のような声だったが、何か機械的で、
抑揚のない一本調子の声だった。
 『――そういうことさ、あなたが捜してるものは見つけることなどできやしない、
 1000人の学者を使っても、10000人の軍隊を使っても、
 彼らの存在に近づく事など不可能だよ・・・君たち人間には、ね・・・。』
電話は勝手に切れてしまった。
もう一度、ホワイトに電話をかけなおしてみたが、これ以降、誰も電話にでなかった。

そして、その夜遅く、白鳥は更なる奇怪な現象に遭遇する。
・・・午前3時、
彼は異様な眩しさで目を覚ました。
部屋の蛍光灯がついていたのだ。
勿論、寝るときにそんな習慣があるわけではない。
しかもそれは、寝室だけではなく、
応接室も、玄関も台所も、風呂場に至るまで全ての電気がついていたのだ。
彼はしばらく何をなすべきか、考える事が出来なかった。
 ・・・そうだ、誰かいるのか!? 泥棒?
白鳥はようやく思考能力を取り戻していたが、この異常な状態を、どう説明付ければいいのか、
全く考えつかない事に変わりはなかった。
 第一、どこから入ってきたのか?
彼は全ての窓や出入り口に鍵をかけた。
・・・今も鍵は掛かったままである。
そしてわざわざ、夜、電気をつける・・・
しかも人の寝ている部屋の電気をつける泥棒などいるのだろうか?
191Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/29(金) 17:05:21 ID:FnzVAjDT0
 白鳥は家中隈なく調べてみたが、人影はおろか、人のいた形跡すら見出す事はできなかった。
彼は訳が分らず、再び電気を消し、寝室へ戻る。
眠る事はせずに、夜明けまで息を殺し、
侵入者がいるのなら、再びそいつが動き出すのをじっと待っていたのだ。
 ・・・ところが、結局朝まで何事も生じなかった・・・。
白鳥は不可解のまま、その日一日を過ごしたのだが、もし、
昨夜のような事が再び起きたらどうなるだろう?
そう、実際に起きたのだ。
今度はいつまでも呆然としていなかった。
  誰かが俺をからかっているんだ・・・。
彼は怒りに身を任せ、家を調べたが結果は同じだった。
 こんなバカな事があるはずはない!
 今日は寝室にも鍵をかけていたのだ。
家の中に秘密の出入り口があったとしたとしても、
二階の寝室にまでそんなものがある訳もないし・・・
 その時、電気が一斉に切れた・・・。
停電である。
外の街灯も消えたようで、窓の外が暗くなっている。
まるでそのタイミングは示し合わせたかのようであったが、
突然、彼は激しい目眩と頭痛に襲われた。
不可解な一連の現象はそれだけに留まらない・・・。
車庫の車のクラクションがいきなり鳴り出して、いや・・・自分の車だけでなく、
周りの近所の車からもだが、激しい洪水のような音が、更なる激痛として自分の耳を襲った。
近所の犬や猫までもが吠え出している・・・。
白鳥は自分がどこに住んでいるのかわからなくなった。
 一体何が起きている?
 夢でも見ているのか?
 ここは俺の家のはずだ、なのに何故、こんな目に遭うんだ?
今にも逃げ出していきたい感情に囚われたが、彼の理性が懸命にそれを拒絶した。
 ・・・ここはオレの家だ!
192Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/29(金) 17:07:08 ID:FnzVAjDT0
 ジリリリリリリン、 ジリリリリリリン、
こんな時に電話が鳴った。
それと共に、クラクションの音は収まっていたが、こんな夜更けに・・・?
白鳥は慎重に電話を取る・・・。
 「もしもし・・・?」
だが、電話は何も聞こえない。
・・・スピーカーからの小さな雑音で、通話状態であるのは間違いく分るのだが、
相手の声も息づかいも感じない。
 「もしもし? どちら様!?」
こちらからの問いかけに、相手は一切、答えない。
そのうち、互いの無言の状態が続くと、電話は勝手に切れてしまった・・・。

結局この夜も、それ以上、何事も起きなかった。
だが、連日起きた怪現象は果たして偶然なのだろうか?
ホワイトが「脅かされた」と言ってたが、その件と何か関係はあるのだろうか?
第一、脅かされたというが、この日本で誰に脅されるというのだろう?
日中、もう一度ホワイト宅に電話してみると、本人はおらず、彼の夫人が電話に応じた。
彼女なら何か知ってるかと思い、やんわりとした表現でホワイトの態度の変化を尋ねてみた。
 『──それがですねぇ、私にもさっぱりで、先日、大学の職員だという人が来て、
 その方、やけに丁寧な言葉を使うので、私気後れしてたんですけど、
 奥に篭って二人っきりで話をしてたみたいです。
 私、何か飲み物でも差し上げようと思ったんですけど、
 その時・・・急に頭が痛くなって・・・、それどこじゃなくなってしまったんです。
 それがからその人には、最初会ったっきりなんです。』
 「その方のお名前とかはわかりますか?」
 『ああ、名前は・・・えーと、・・・あら? おかしいですわ・・・、
 あの時、ちゃんと聞いたのに・・・、思い出せない・・・
 それにどんな顔つきだったか・・・どうしたのかしら私・・・。』
 「で、では・・・、その人が帰ってから、ホワイトさんは何か言ってませんでした?」
 『いいえ、何も、それどころか青い顔して、・・・足なんかフラフラで・・・。
 食事も咽喉を通らなかったんです。・・・あ、そうそう、おかしいのはあの人が帰ってから。
 それまでの私の頭痛が嘘のように治ったんです、本当に変な日でした・・・。』
193Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/29(金) 17:08:21 ID:FnzVAjDT0
☆ ほな、またね、次回は日浦さん登場。
194Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/29(金) 23:01:12 ID:FnzVAjDT0
あ・・・>>192 「それがから」 じゃなくて「それだから」
ですね・・・。
195本当にあった怖い名無し:2006/12/30(土) 00:13:34 ID:pGl0qjB4P
>>1から読んでローゼンメイデン思い出した。
196K。:2006/12/30(土) 01:17:42 ID:OaYPCQrN0
「kyrie eleison」 序 1/2

 河川敷の街燈は暗く、黒い服を着ていたらすぐ傍まで近づかなければ気がつかないほどだった。
 そこを夢遊病者のような足取りで歩く少女がいた。細い絹糸の様な亜麻色の髪に縁取られた顔は陶磁器のように蒼白く血の気が無かった。まだ膨らみの少ない胸元はフリルとリボンで飾られた漆黒のゴシックドレスの下で苦しげにゆっくりと揺れていた。
 彼女の唯一と言ってよい活力の源の漆黒の短剣から流れ込む力は途絶えて久しかった。彼女には歩く力も僅かしか残っておらず、超自然的な力を持ってかけていた電話も今ではかける事がかなわず、ただ、己の無力さに喘ぎながら宛もなく彷徨うことしかできなかった。
 パニエでゆったりと膨らんだスカートの裾から見える絶対領域と膝小僧を覆う靴下のフリルとベルベットのリボンがゆれ、細い足が縺れて道に倒れこんだ。
 その閉じられようとしている瞳の先で夜の闇より暗い影が『Alea jacta est!』と囁き嗤った。
「なんで…」
少女の色のない唇が声なく呟き、そのまま動かなくなった。
 しばらくして、少女に気がついた人物が法面を駆け降りてきた。その人物は即座に少女の口元に耳を寄せた。彼女はひんやりとはしていたが静かに呼吸していた。
 栗色の髪を緩やかに巻いて派手な化粧をしたその人物は、小さく安堵の息を漏らした。少女の小さな体を慎重に抱き起こすと声をかけた。
「しっかりして、どうしたの?」
 少女がうっすらと目を開いた。色の無い唇が動く。
「私・・・・」
少女は右手に持っていた短剣を力なく持ち上げた。
 次の瞬間、短剣は少女を助け起こした人物の腕に突き立てられた。同時に短剣は謳う様に音を発した。
「!」
 腕に走る痛みとは違う感覚に少女を突き飛ばした。
 「私、メリーさん。貴方はだぁれ?」
少女はしどけなく道に倒れたまま、少し上気した顔を向けた。
「・・・・だぁれって、それが助けようとした人に向ける言葉なの?!」
 刺された人物は短剣の突き立てられたはずの腕を押えながら声を荒げた。しかし、その腕には何の跡も残っていなかった。
「助けようとした?」
メリーと名乗った少女は双眸を細めて不思議な微笑を浮かべた。
197K。:2006/12/30(土) 01:19:20 ID:OaYPCQrN0
「kyrie eleison」 序 2/2

「なんなのよ?」
 出来るだけ平静を装って言葉を搾り出すように云いながら胸に相反する二つの感情が湧き上がり体が震えた。それは、今すぐにでも逃げたいという得体の知れない物に対して感じる恐怖感。もうひとつは、再び、短剣に刺されてでも彼女に触れたいという欲望だった。
「本当は電話してから会うの。なんで、貴方にはあえたのかな?」
「はぁ?」
「食べてもいいのかなぁ?うふふふ。」
メリーは道上に座りなおすと漆黒の刀身に接吻をして声に出して笑った。それに反応するように短剣も脈打って見えた。
「たべるって・・?ちょっと・・・・」
「だって、私に悪戯しようとしたでしょう?そんな悪い人は、刺しちゃっていいんだもん。
さっき、ちょっと食べたら美味しかったから、全部食べさせてよ。」
 恐ろしい台詞を言いながらめりーは微笑んで小首をかしげた。どう考えても、異常なことを言われているにもかかわらず意中の相手からの告白を受けたように胸が締め付けられて、思わずハイと言ってしまいそうな陶酔感に飲まれた。
 メリーは黄玉の瞳を暗く輝かせて、総てを見通すようにまっすぐに視線を合わせた。
「うふふ。貴方の捨てたのもが私を呼ぶ・・・・・」
 しかし、その次の句は続けられることはなくその瞳は力なく閉じられてメリーは糸が切れたように再び道の上に倒れこんでしまった。
198Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/30(土) 20:56:27 ID:biCpJwIr0
負けずに行きます。
多分、次回で終わりだと思いますので、もう少しお付き合い下さいませ。
>>192の続き。
199Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/30(土) 20:58:00 ID:biCpJwIr0
 ホワイト宅を訪れた大学職員・・・その男とは何者なのだろう。
まさかと思い大学側に確認を取ったが、案の定、ホワイト宅に出かけたり、
電話すら入れた人間も、大学の職員には存在しなかった。
ホワイト氏を脅かした人間というのは、その男に違いないようだ。
では一体何の為に・・・?
そしてその日も、白鳥の周辺で異常な事態は続いた。
彼が運転する車の後ろに、ナンバープレートがついていない車がピッタリとついてきた。
しかも、車の形は見た事も聞いたこともない形だ。
イギリスに渡ってる間に発売された新車?
だが、メーカーのエンブレムすらない・・・。
気味が悪く、何度か寄り道をしたのだが、最初は何事もなく白鳥の車を追い越していくのだが、
いつの間にか再び現われて、彼の車の真後ろにつけてくるのだ。
やっと、完全に振り切り、自宅の車庫に車を入れ、
二時間後、ふっと部屋の窓を開けたとき、
白鳥は心臓が止まりそうになった。
眼下に例の車が停まっていて、2,3人の黒い服を着た男たちがこっちを見上げていたのだ。
さすがに警察に電話をしようとしたところ、
受話器を掴む直前に、その電話が鳴り始めた。
 誰だ、こんな時に!
 「もしもし!?」
だが、受話器からの声はない。
昨晩と同じ無言電話だ・・・。
 「・・・もしもし! 誰だ!? おれをつけてくるヤツの仲間か!? おい!」
そしてまたしても電話はすぐに切れてしまった。
イラつく心を抑え、警察に連絡する前にもう一度、不審な者達を確認しようと、
窓の下を覗くと、・・・もうあの怪しい者達や車は忽然と姿を消していた・・・。

その晩は怪異事件は起きず、。
無言電話はその日以降もあったが、身の危険を感じるような事態にまでは発展しなかった。
そして、いよいよ、日浦義純との再会、
だが、白鳥は全くの意外な日浦の対応に、しばらく口が開く事ができなかった・・・。
200Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/30(土) 21:00:21 ID:biCpJwIr0
芳しいコーヒーの香りが、彼の事務所に漂っている。
だが、意外な日浦の対応に、白鳥はそれを愉しむ余裕はない。
 「白鳥君、君のやろうとしている事は全て無駄だよ、
 証拠もない、警察もこれ以上動きようのない状況で、どうやって海外の・・・、
 しかも、行政組織すらまともに機能していない地域で起きた事件を調べろと言うんだ?
 探偵業の僕でも不可能さ。」
言われて見れば確かにそうなのだが、以前に会った日浦は、もっと情熱的なイメージだった。
男と女で態度を変えるような人物にも見えない。
何が彼をここまで冷ややかにしてしまったのか?
白鳥は完全に出鼻をくじかれ、その後も意気消沈してしまっていたが、
警察への接触の仕方、捜査の手順など、プロでしかわからないような、
このような事件への取り組み方を教えてもらった。
口調は冷淡だったが、その内容は十分傾聴に値するもので、白鳥も内心有りがたかった。
 その後、日浦は「良かったら、この後、自分につきあってくれないか?」
と言い出した。
時間は有り余っているので、同意すると、日浦は車を東京郊外の小さな神社に走らせた。
その神社は白鳥も知っている・・・。
緒沢家が代々管理している小さな神社の一つだ。
・・・今は別の者が管理しているが。
 「日浦さん・・・何故ここに?」
 「白鳥君、君もここがどういった神社か、少しは知っているんだろう?
 ・・・少しその辺を歩かないか・・・?」
・・・一体、日浦は何を考えているんだ?
彼の事務所から、ここまではそう近い距離でもない。
この神社はもう廃れていて、参拝するものなどほとんどいない。
同系列の神社は全国にあり、本殿は長野にあるようだが、それ以外はここ同様、寂れたものだ。
・・・その神社の片隅で日浦は足を止めた。
白鳥も「それ」に気づく。
一つの小さな石像・・・あれがまだここにあったのか・・・。
緒沢家代々が祀っていた、スサノオの姿を象ったと言われる石像である。
かなり古い時代に彫られた物らしく、既に風化し始めているが、
周りは注連縄で囲われていて、その奇妙な特徴は今も見て取れる。
201Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/30(土) 21:02:16 ID:biCpJwIr0
白鳥の専門分野ではないのだが、仏教美術や他の如何なる文化の神像とも、一線を画す様式だ。
長い髪、悪魔のような巨大な角を有し、異様なほどに長い四肢、そして露わな性器・・・。
50センチにも満たない小さな石像だが、既に薄暗い神社の境内に、
何ともいえぬ不気味な雰囲気を醸し出している・・・。
白鳥は思い出した・・・、
この何日かの間に調べていた中央アジアの未開村の至高神、咆哮者ルドラ、
高橋教授が残したフィルムに写されていたルドラの像を。
その姿に共通する特徴が幾つもあるように感じるのは、果たして偶然なのだろうか。
現地のルドラの像はさらに禍々しく、黒光りする像で、三つの獣の顔を持ち、
乳房と男根を併せ持つ両性具有の存在だったが、共通する特徴は幾つもある。
この神社の跡取りでもある緒沢美香が、その類似に惹きつけられて魔の神殿に向かったとしても、
何ら不思議はないだろう・・・。
 白鳥の注視に気づいた日浦は気になることを話した。
 「君も少しは聞いたことがあるだろう、
 緒沢家からはたまに、精神に問題を抱えた者や、不思議な力を持った者がいることを・・・。
 君の白鳥家でもタブーにされてる話だとは聞いてるけどね。
 ・・・美香ちゃんが普通の人間じゃない事は君も薄々感づいていたはずだ。
 一方、タケル君にはそんな片鱗は全くなかったが、
 もし緒沢家の祖先神が、このスサノヲだというのなら、
 彼こそ、この姿に相応しいんじゃないだろうかね・・・?
 幼少の頃は泣き虫で大人になっても成長がない・・・、
 だが一度暴れれば世界を大混乱に陥らせるほどのパワーを持った荒ぶる神・・・、
 スサノヲ・・・。」
 「日浦さん・・・あなたは一体・・・!?」
 「僕は今度の事件に首を突っ込むつもりはない、
 仕事として依頼されてもね、これは探偵とか警察が介入するような事件じゃない。
 君もそうは思わないか?
 ・・・これは内緒だが、ぼくは10年以上も、
 今度の事件とは関係ないところで緒沢家を調べていたんだ、この不思議な一族の出自をね。
 結論は、今度のような事件が起きても何も不思議はないってことさ、
 巻き込まれた人間は不運だが、こっちから近づく危険を犯す必要はないんだ。」
202Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/30(土) 21:04:09 ID:biCpJwIr0
 「日浦さん! ・・・それはどういう意味」
白鳥の声を聞き終わらないうちに、日浦ははき捨てるように言う。
 「言ったろう、こっちから何もするべきではないんだ・・・!」
日浦は白鳥に視線を合わすこともしない。
だが、彼の声には強い決定的な意志の強さを感じられもした・・・。
白鳥には・・・もうそれ以上何も聞く気力はなかった・・・。

 日浦は何かを知っている。
一体、どんな秘密が事件の裏に潜んでるというのか?
何故、彼は白鳥をこの神社につれてきたのか?
それにそれまで、白鳥は、美香の弟・タケルが行方不明になったのも、
姉の消息を探すあまり、例のホワイトを脅したような者に何かされたのでは?
とも、考えていたのだが、
日浦の言い回しでは、まるでタケルが事件の中心人物のようなセリフではないか・・・。
結局、それ以上、有力な手がかりは得られずに、白鳥は日浦に別れを告げた。

・・・その日、深夜・・・、心労で倒れるように眠っていた白鳥は、
 パタン・・・という音で目を覚ました。
まさか、また照明が勝手に・・・?
いや、そうではなかった・・・、部屋は暗いままだ。
ベッドの近くのテーブルランプをつけると、何事が起きていたのか、
自分の机の上で、白い書類がヒラヒラと独りでに舞い踊っていた・・・!
しばらくして書類は静かに机の上に落ち着いたが、彼は恐怖のあまり、
自分の机に確かめにいく事が出来ないままでいる。
・・・だが、その「なにか」は自分から事を起こしたのだ・・・、
例の頭痛と共に・・・。
 ギシッ・・・
という音と共に、ベッドの足元に何かが乗っかった・・・。
自分の足から20センチと離れていまい。
目には何も映らないのに、ベッドの端が凹み始めていた・・・!
ついでその部分を中心に、・・・何か得体の知れない陽炎のような物が集まり始め・・・
天井の方に赤く光る二つの眼が・・・
203Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/30(土) 21:05:01 ID:biCpJwIr0
☆ではまた・・・。
204本当にあった怖い名無し:2006/12/30(土) 21:10:00 ID:3YOvCDhEO
新しい書き手サソGJです…
(つД`)ナキマスタ

他スレからきた皆さんも、今後とも是非メリーサソネタを!


k。サソも乙です!

続き気になる…


れでぃサソリアル遭遇!?

『スサ』は素戔嗚尊からとってたのかよ〜…

気づかなかったorz

素戔嗚尊かぁ〜強いはずだ…

続きwktk
205Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/30(土) 22:29:04 ID:biCpJwIr0
>>204 『スサ』は素戔嗚尊からとってたのかよ

しまった、伏せといた方が良かったかw
まぁいいや、どうせスサノヲもヴォーダンも仮の名前にしか過ぎないし・・・。
その本当の名は・・・あの(ry
206本当にあった怖い名無し:2006/12/30(土) 23:25:01 ID:3YOvCDhEO
れでぃサソ>仮の名前!?


『あの』って何!!
(;゚Д゚)キニナルヨ!!
207ハタチ:2006/12/30(土) 23:49:36 ID:7LOMSydnO
 メリーが居着くようになってから、既に数日が過ぎていた。
 その日の夕食は親子丼で、香澄とメリーはテーブルに向かい合うようにして座っていた。
 「ねえ、香澄」
 メリーは、頬に米粒をつけながら香澄に聞いてきいた。
 「ん?」
 彼は目線だけを彼女に送り、食事を進める手は止めない。
 「明日、香澄は学校が休みでしょ? あ、おかわり」
 「……よく喰うな」
 その食欲に呆れながらも、突き出された丼にきっちりと多めに盛りなおして、彼女の前に器を置く。
 「それで? 俺が明日休みなら、なんだ?」
 「あのね、明日ちょっと一緒に来て欲しいところがあって……あ、べ、別にデートとかって訳じゃないから」
 妙に慌てた様子の彼女を見て、軽く小首を傾げつつも、香澄は軽く頷いた。
 「ああ、明日は暇だ。いいぞ」
 「本当?」
 香澄がもう一度頷くのを見て彼女は、ぱっ、と表情を明るくするのだった。

 「……遅い」
 「すぐに行くから」と部屋を閉め出され、既に三十分が経とうとしている。
 秋も終わりに近づき、昼下がりとは言え頬に当たる風にどことなく冷たさを覚える。今日は今期一番の冷え込みを見せると、テレビで言っていた。
208ハタチ:2006/12/30(土) 23:52:08 ID:7LOMSydnO
 寒さは耐えられるが、退屈をしのぐのは難しい。
 玄関の前で俺は、二本目になる煙草を吸おうと、レザーブルゾンのポケットに手を突っ込む。
 箱を取り出し、中から一本煙草を引き抜いて口にくわえた時、メリーがようやく姿を現す。
 「ごめん、待った?」
 「お前の『すぐ』は三十分も……」
 そこで俺は、開いたまま口の動きが止まり、危うく煙草を落としそうになってしまった。
 なぜなら、目の前にいる彼女。その印象が、ものの数十分でがらりと変わっていたからだ。
 暗い紫のピーコート。スリムなシルエットのハーフパンツ。グレーのブーツ。
 女の服はよく分からないが、普段の彼女と違ってぐっと大人っぽく見えた。頭にリボンを結んでいないことも、そう見せる要因のひとつかもしれない。
 それでいて、ストッキングに足を通し、手には可愛らしい手袋をはめ、ストールを巻いて喉元を隠す等、自分の『人形』であ る部分は隠しているのも、また驚くべきか。
209ハタチ:2006/12/30(土) 23:55:27 ID:7LOMSydnO
 とにもかくにも、なんと言うか……普段とのギャップがよかった。正直に言ってかわい……
 ……何を考えているんだ俺は。
 「どうしたの?」
 不思議そうに俺を見上げてくる瞳に、頭の中まで見透かされるような気がして、俺は慌てて頭を横に振った。

 ところで、どこにそんな服を持っていたんだろうか?

 バス停まで歩いて十分。バスに揺られて十五分。駅から電車でさらに十分。着いた先からもう三分歩いて、ようやく今日の目的地に着く。
 そこは、全国チェーンで展開する有名なデパートで、しかし彼女の目的はその中にテナントで入っている喫茶店にあった。
 入って即座に席に案内され、そしてメリーは即座に注文を終えてしまった。どうやら、ここに入る前に注文を決めていたらしい。
 「おまたせいたしました」
 いくらか時間が経ってウエイトレスが、お盆を使わずに抱えるようにして持ってきたそれは、巨大なパフェだった。
 山と言うべきか。塔と言うべきか。とんでもない高さのパフェだった。
 器の底のコーンフレークを礎に、螺旋を描いてそびえ立つアイスクリームを軸としてそのパフェは成り立っていた。
210ハタチ:2006/12/30(土) 23:57:28 ID:7LOMSydnO
 バナナやメロン等の果物が突き刺さり、その上からチョコレートソースがかけられている。チョコチップはさながら、ストライプ柄の山に降り注いだ、色とりどりの雪、といった所か。
 その、怒涛の積載量の器を前に、メリーはニコニコ、満面の笑みを浮かべている
 「昨日テレビを見てたら、ここのこれが、ちょうど番組で取り上げられてたんだ」
 早速、と言わんばかりに彼女は、昨日からの待望の品である、その巨大な螺旋の頂点をスプーンですくい取る。
 「ん、美味しい」
 至高の品を味わう彼女の顔は、まさに無邪気な子供のそれだが、目の前にあるそれを胃袋に納めようというその食欲は、まるで巨漢の相撲取り。
 「どうしたの? こめかみなんか押さえて」
 「いつもながら、人形のくせによく食べると思ってな」
 呆れを通り越して、俺は側頭部に軽く鈍痛を覚えた。
 「あ、食べたい? ……あげないよ」
 「……」
 何かを言い返す気力も失せて、俺はウエイトレスにサンドイッチの盛り合わせとチョコレートパフェを頼む。
 勿論、パフェは普通のサイズで。
211ハタチ:2006/12/30(土) 23:59:53 ID:7LOMSydnO
 尋常じゃない大きさのパフェをむさぼる少女。その様子を見て頭を押さえる男。
 その二人を、観察する一つの影。
 パフェに夢中な彼女も、その彼女を見る彼も、自分たちが標的にされていることに、気が付いていなかった。
212ハタチ:2006/12/31(日) 00:02:45 ID:7LOMSydnO
今回はここまで、です
なんだか、いつの間にか盛り上がってますね
皆さんレベル高くてすごいなぁ・・・
213Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/31(日) 00:22:42 ID:PmChno5v0
>>212 いやあ、ほのぼのしたシーンはいいやね、
そういうシーンがあってこそ、緊迫した光景が生きてくるってぇもんだ。

わしも勉強せんと・・・。
214本当にあった怖い名無し:2006/12/31(日) 00:58:57 ID:2F4as0hM0
盛り上がってていいですねー
皆様GJ!でした。 ハタチさんもいい感じよb
215Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/31(日) 20:51:02 ID:PmChno5v0
閑話休題キャッスルオブメリー

「こんにちわぁ〜!!」
「Lady メリー誕生一周年記念、おもでとうございまぁす!」
そう、実は、去年の今頃Lady メリーは誕生したのだ。
一周年を祝って、ほとんどのキャラがここに集まってる・・・。
白鳥亮:「・・・て、おい! 俺らは外か!?」
日浦義純:「ま、暖かい中は女性優先ってことで・・・。」
カラーン、扉が開いて派手なドレスのマーゴが出てくる。
マーゴ:「あ〜ら、可哀想に! お姉さまが慰めに来たわよぉぉ?」
日浦:「マーゴ・・・またそんな格好で・・・。」
ちょっと指を引っ掛ければ、マーゴの胸元は露わになるだろう、
彼女は挑発的な目で二人を見上げる。
マーゴ:「でも、良かったわねぇ、亮? 出番があって、
 あたし達、元の世界では『少年』・・・彼を狙う同士だったのにぃ。」
白鳥:「あっ、それは内緒だって! 第一、狙うの意味が違ぁう!
 ・・・それより、中に美香はいないの?」
マーゴ:「あ〜ら? あたしでは不足だって言うの? 失礼ね。
 ざーんねん、彼女はここにはいないわよ?」
白鳥:「・・・そうかぁ・・・。」
赤い魔法使い:「おおおぅ、君も可愛そうな人生を送ってるんだねェぇぇ? 同情するよぉぉぉ!」
日浦:「・・・なんでお前までここにいる?」
バァル:「いいじゃないかぁぁ、もう戦いは終わったんだし、仲良くやろうよぉぉぉ?」
・・・そこへ、眼鏡をかけた少女が・・・。
シェリー:「あのぉ、姉を人形にしたのはあなた?」
バァル:「・・・ああ! 人形! 人形の事なら私に聞きたまえ!! ・・・て、あれれ? 何かな?」
いきなり、バァルの背後を屈強な男たちが固める。
シェリー:「李袞さん、ガワンさん、ライラックさん、そのまま抑えといてくださいね?
 騎士団で教えてもらった拷問の数々を・・・。」
バァル:「君たち! 仮にも神の教えを広めるはずの君たちが何てことを・・・! ああ! 助けてぇぇ!!」
216Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/31(日) 21:13:12 ID:PmChno5v0
そこへ現われたるは、黒いサリーに身を包んだカーリー。
カーリー:「・・・やれやれ、仮にも黒十字団副総統の地位があるはずのバァルも、
 みっともないものですね?」
日浦:「えっ? そうだったの!?」
カーリー:「まぁ、いやですわ、こっちの世界では、私たちには関係ないですのよ、
 それより、作者どうするのでしょうね? 白鳥さんまで出演させて・・・。
 このあとのルードヴィッヒ様との戦いも再現するつもりなのかしら・・・?」
白鳥:「いいや! そんな話は聞いてないぞ?
 だけどそれがホントなら、オレの戦う相手は『少年』だったり、敵の親玉だったり荷が重過ぎないか!?」
マーゴ:「結構、おいしい役だったと思うけどなぁ? 悲劇の主人公みたいな・・・。」
白鳥:「やめて・・・(泣)、それより、今の外伝だって・・・。」
マーゴ、日浦、カーリー「「「まぁまぁ。」」」
   
 そして店内
うりぃ:「いやっほおおお! ウチの年やぁぁっ!!」
いぬ:「姐さん、そう言えば亥年なんですね!?
 ・・・あ、そうか『うり坊』って言うぐらいだから・・・。」
 ドッガァァアンッ!!
手近なハンマーが犬の脳天を直撃する!
・・・ローズの銀製特大ハンマーだ。
うりぃ:「借りたで、ローズ?」
ローズ:「まぁ、可哀想なワンちゃん? ・・・なんなら杭の方も・・・?」
無表情で凶器を取り出すローズに、犬は怯えてLadyのスカートの下に潜り込む。
うりぃ:「それにしても、な?」
ローズ:「なぁに、 うりぃちゃん?」
うりぃ:「うちら、出番全然のうなったなぁ? 時々チョイネタでやらしてもらえるけどな?」
ローズ:「今は成長の時期よ? きっとあたし達はサナギから美しい蝶に変身するの。」
メィリィ:「でも、ローズ、主人公でもう一個あったネ、『赤ずきん』ちゃん、アレ、ローズね?」
ローズ:「ああ! あの時、まだ名前なかったのよぉ! でもまだ修行たんないわ、あたし頑張る!」
 カラ〜ン
・・・そこへ遅れて今日子登場。
217Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/31(日) 21:41:28 ID:PmChno5v0
今日子:「はぁ〜やっと、年内の仕事終わったぁ、クリスマスから休み無しだよぉ?」
マザーメリー:「まぁまぁ、ご苦労様! カルーアでいいですか? 今、お出ししますね?」
今日子:「・・・しかし、あたしも・・・この状況、馴れちゃったなぁ・・・、
 作者、どこまで脳内キャラ復活させるつもりだ?」
マザーメリー:「何でもネタとしてはいろいろ湧いてきてるんですってよ?
 ・・・でもそれを文章に直す作業で行き詰ってるみたいです。」
今日子:「・・・身の程知らずだなぁ。
 おっ、伊藤ファミリーお疲れ! 飲んでるっすかぁ!?」
麻衣:「あ、どうも昨年はお世話になりました、来年もよろしくお願いします!」
今日子:「うっわー、礼儀正しい! こっちこそ、よろしくな!
 それより、出番近づいてきてるんだろ? 調子はどう?」
麻衣:「出たくないのにぃぃ、リーリトの力が思いっきり不吉を告げてるんですぅ・・・。」
今日子:「・・・ウラで糸、引いてんのはタケルのバカだろ?
 あいつ、いっちょう、シメテやろうか!?」
百合子:「ダメですよ、・・・あの方はまだ、覚醒してないんです、そっとしてあげましょう。」
今日子:「・・・でも調子に乗るぜぇ、アイツ。
 アイツにはビシッと言える女が近くにいないとダメなんだよ。」
百合子:「(ここまであのお方に強く出れるなんて・・・、知らないのは恐ろしいことだわ・・・。)」
今日子:「あ、そうだ、エミリーにマリー、表に変態バァルが来てるぜ?
 復讐するかい?」
エミリー:「えええ!? もうあんなヤツ見たくない! 今日子さん、あたしの分も殴ってきてください!」
今日子:「おっしゃ! あたしもアイツにはムカついてんだ、行ってくるぜ!!」
 カラァン
マザーメリー:「・・・賑やかですね?」
人形メリー:「賑やかね・・・。」
マザーメリー:「今は誰が『あなた』に入ってるんですか?」
メリー:「さぁ? 今は誰でもいいんじゃないかしら?
 私は入れ物・・・、メリーなんて、所詮人によって、違う姿に映るもの。
 私はただの器よ・・・、あなたもそうでしょう?」
マザーメリー:「そういえばそうでした。最近、この仕事が忙しくて・・・、ついつい忘れてました。」
 
218Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/31(日) 22:05:58 ID:PmChno5v0
 表ではさらに、ユージン、オブライエン、マルコにルキ、ネロまでもがやってきていた。
女っ気が少ないので、あざみもサービスでお酌にまわる。
あざみ:「ウフフフフ、皆さん、今年は良い一年でしたか?
 どうぞ、来年もカラダには気をつけてくださいね?
 ・・・病気にかかると・・・おいしくなくなるから・・・。」
ユージン:「・・・あ、え、は、はい、恐縮です・・・。
 あ、あの、私、食べても美味しくないですよ、きっと・・・。」
・・・時々、バァルが叫び声をあげている。
シェリーの拷問がきついらしい・・・、
いや、なんとなく嬉しそうな反応も見せている気も・・・?

そして・・・、キャッスルオブメリーの入ってるビルの屋上では、
身長2メートルはあろう大男が、
賑やかな地上を見下ろしていた・・・。
黒く、長い髪をたなびかせたその男は、幾分嬉しそうに口元を開いている。
そこへ、そのさらに上空に、一人の小柄な少年がふわりと宙に浮かんでいた・・・。
少年:「満足かい? 家族が増えて・・・。」
大男:「家族? ・・・まぁそんなものか・・・、手のかかる奴らが増えすぎだぜ?」
少年:「君の求めるものは得られたのか・・・?」
大男:「さぁな・・・、だが、メリーにはまだまだ働いてもらうさ、終わりはない・・・、
 いつまでも、いつまでも・・・な。」
少年:「『全能なる時間と永劫なる運命』か・・・、
 確かに天使である僕らも・・・『それら』に逆らう事はできない。
 だが、君の思い通りに歴史が進むとは限らないんだろう?」
大男:「オレは多くを望んじゃあいない・・・与えられた運命を受け入れるだけさ・・・。
 だが、人間達にはそんな運命なんか、知らせない方がいい。
 悲しい物語を見るのは・・・オレだけで沢山だ・・・。」
少年:「フン・・・、偽善者め・・・。
 その悲劇を味わうのは、いま、バカ騒ぎをしている人間達だろうに・・・。
 やっぱりお前は呪われた悪魔だよ・・・。」
219Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2006/12/31(日) 22:22:24 ID:PmChno5v0
メィリィ:「みんなーっ、お餅が焼けたネーッ!」
いつの間にか餅を焼いていたようだ、
っていうか、雑煮の準備が完了していた。
メィリィは日本文化になじんでいるのか?
マリー:「すっごぉい、メィリィさん、ちゃんとお雑煮、出汁から取ってるんですねぇ?」
メィリィ:「郷に入っては郷に従えってネ? これでもニッポン暮らし長いヨ!
 お雑煮ぐらい作れるヨ! ラブゥ、お雑煮初めてカ? ちゃんと噛まないと咽喉につかえるヨ!?」
ラブゥはその前に箸が使えないようだ、
赤ちゃんのように箸を握りながら、ジっとお椀の中を覗きこむ。
ラブゥ:「これ・・・うまいのかい?」
伊藤:「・・・おーっし、全員行き渡ったかぁ、じゃあ、雑煮で乾杯するからなぁ!?」
百合子:「あなた・・・。」
伊藤:「な、なんだい、百合子!?」
百合子:「正気? お雑煮で乾杯!?」
伊藤:「しょうがないじゃないか!? 麻衣は未成年なんだし、他にも小さな子がいるだろう?」
百合子:「だからって・・・乾杯だなんて・・・。」
といいつつ、お椀を構える百合子・・・。
彼女も日本人だ。
伊藤:「・・・じゃあ、ゴホン!
 えー、みなさん、この一年ご苦労様でした!
 出演者の皆様、そしてLady メリーシリーズを読んでくださった方、本当にありがとうございました!
 来年もよろしくお願いします!!
 ・・・じゃあ乾杯!!」

Lady メリー、うりぃ、マザーメリー、あざみ、ローズ、メィリィ、ラブゥ、麻衣、百合子、マリー、エミリー:
「「「「「「「「「か ん ぱ ー い !!」」」」」」」」」」


☆ ではまた! みなさん、よいお年を!
220本当にあった怖い名無し:2007/01/01(月) 02:56:13 ID:Ay0URtHC0
うお〜!!!!!!!!!
何で初詣はこんなに混んでるんだ!!!!
何か携帯鳴ってるし!!!
誰だろ?電話に出てみるか・・・

「私、メリーさん。今貴方のうしr・・痛い!!押さないで・゚・(ノД`)」

どうやらメリーさんも大変な様だ。


皆様方、今年も宜しく御願い致します。

By.>>7

PS.幼稚な文で御免なさい(´・ω・`)
221126 ◆dNexSJi1ew :2007/01/01(月) 06:56:08 ID:hyqP3U0e0
あけましておめでとう!今年もよろしくね
222Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/01/01(月) 11:57:46 ID:shJVzGgK0
そのネタいいね、「クールに反撃」でも使えそうだ。
223Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/01/01(月) 12:21:51 ID:shJVzGgK0
あっ・・・レスアンカーつけるの忘れたっ!

>>220ね。

126氏、復活楽しみに待ってますからねぇ
224K。:2007/01/01(月) 16:21:30 ID:5izz12zs0
あけおめ ことよろです。

>>196、197からの続きです。

「kyrie eleison」discommunication?1/4

「犯罪者だな。」
 男は明るい調子でからかう様に言った。
真夜中過ぎに呼び出されて事の経緯を聞いた開口一番のせりふだ。
申し訳程度の台所に立ち珈琲を落としていた栗色の髪の人物はしかめて舌をだして答えた。
「夜中に・・否、朝って言うのか?に電話をよこしたと思ったらこれだもん。警察に届けたほうが良いんじゃないのか?」
 2Kのアパートは所狭しと並べられたプラスチックの引き出しに化粧道具が詰め込まれ、
棚には2,3の食器と雑誌の切抜きが分類されて並んでいた。
奥にソファーが置かれていたが男はその手前の小さな座卓に向かって座っていた。
 ソファーの上にはメリーと名乗る少女が横たえられた。
それを遠巻きに見ながら男は手持ち無沙汰に、
半透明のプラスチックの引き出しのひとつにおが屑にまみれて入っている数匹のハムスターの、
その中から一匹取り出して、勝手に部屋に放して弄んでいる。
「ううん。ちょっとね。気になることを言ったから…。竜は砂糖とミルクいるんだっけ?」
大きめのマグにたっぷりと入れた珈琲をテーブルに置く。そして目をつぶって大きく深呼吸をした。
 竜と呼ばれた男は手で礼を言って珈琲に口をつけた。
「あんたは自覚がないようだけどね」
珈琲を一口飲んで竜は強い口調で言葉を続けた。
「世間的に見れば、男が、『少女を道で拾って部屋に入れました。』は通用しないんだぜ?
ただの家出ならいいが、事件がらみだったらどうすんだよ、え?カズミ君?」
「いやん、君付けで呼ばないでよ。萎えるわ。」
 カズミと呼ばれた栗色の髪の人物はおどけた調子で答えた。
黒目がちの大きな瞳が印象的な可愛らしい端正な顔立ちの上に派手な化粧をして、
女性のカジュアルを着こなしている姿はどこにも男を感じさせない。むしろ、胸がないのが悔やまれる。
225K。:2007/01/01(月) 16:24:05 ID:5izz12zs0
「kyrie eleison」discommunication?2/4

 一方、竜は十人並みで皮肉屋のような顔立ちに、
ファッションよりも実用性の服装はまるでこれから山にでも行くのかと尋ねたくなる物で近寄りがたい印象を与える人物だった。
「まぁ?もう連れて来ちまったからなあ。俺は知らないよ?
テレビのインタビューが来たら、ハンカチで顔を覆いながら『いつかは、やると思ってました…』って言って…」
「しぃ!」
 カズミが竜の言葉をさえぎった。そして、ソファの上を指差した。
 少女の傍らにある短剣が鞘の上から分るほどに赫く光を発して静かに謳っていた。
 そして、その鞘から独りでに滑り落ちると不自然に跳ね、
さっきまで竜が遊んでいたハムスターに突き刺さった。
 憐れなハムスターは短剣の先で悶え、そして動かなくなった。
 低く地を這う様な短剣の歌声が一際高く響いたかと思うと、
それに呼応するようにソファの上の少女がゆっくりと起き上がった。
黄玉の瞳が開かれ、色の薄い唇がゆっくりと動く。
「私、メリーさん・・・・」
自分自身を確認するようにメリーはつぶやく。
 あまりの気持ち悪さに二人は色を失った。
 メリーは瞳を動かさずに顔を廻らせて辺りを見回した。
自分の服が乱れていないのを確認すると鞘から抜け降りた短剣を拾い上げ、
それを愛しそうに両手で包み込み口付けをして鞘に戻した。
 色を失っている二人に気づくと、メリーはソファから足を投げ出して座り、嬉しそうに口を開いた。
「何して遊んでくれるの?」
 先に我にかえったのは竜だった。
226K。:2007/01/01(月) 16:26:01 ID:5izz12zs0
「kyrie eleison」discommunication?3/4

「うん、後で遊んであげるよ。その前に、君はどこの子かな?お兄さんに教えてくれないかな?」
 ゆっくり、噛んで含むように丁寧に質問をする。メリーは身を捩らせはにかみながら上目使いに竜を見た。
「私、メリーさん。お人形だったの。それでね、置いて行かれちゃったの。」
「そう、メリーさんっていうの。お母さんかお父さんの名前はわかるかな?」
「お母さん、お父さん、ってなあに?ねえ遊ぼうよ」
「じゃあ、遊んだら、お家を教えてくれるのかな?」
「もうお家ないもん」
 らちがあかん。
 竜はメリーの首根っこをひっ捕まえて警察に連れて行きたい気持ちをぐっと抑えた。
状況から言って、いますぐにそんな事をしたら説明のしにくい事が沢山ありすぎて不利だ。
もう少し何か聞き出してから連れて行かないとまずい。
 メリーは頬を膨らまして拗ねた表情をすると、聞き分けのない子にでも説明するように話し始めた。
「あのね、貴方が捨てたものが私を呼ぶの。この短剣が教えてくれるの。短剣で突き刺すと食べれるし、気持がいいの。」
うわ!来たよ。露骨に顔に嫌悪感を出して竜はカズミを見た。しかし、一方のカズミはウットリとした表情でメリーを見ている。恋する乙女…もとい、恋する男の表情だ。
 メリーは言葉を切ったきり、意味深な微笑を浮かべたまま足を揺らしている。
「…そうか。じゃあ聞いてもいいかな?俺が捨てたものを当ててごらん。」
「貴方には呼ばれてないよ。呼ばれたのはそっちの人。知ってるよ。」 
 メリーは口角をゆっくり持ち上げてまっすぐにカズミを指差した。
それは笑顔と呼ぶ表情に近かったが恐ろしく邪悪で魅惑的だった。
 カズミはその声にふらりと立ち上がったが、竜がそれを押さえつけた。そして耳打ちをした。
「何かがおかしい感じがする。お前さんは、一体なにを連れて来たんだ?」
「おかしい?ただの可愛い女の子じゃない?竜はあの子を抱きしめたいと思わないの?」
「少なくとも、今のこの状況では思わないね。言ってる事がおかし過ぎる。よく考えろ?不思議ちゃんじゃなければ医者の世話になった方が…」
「なにお話してるの?私も入れて」
227K。:2007/01/01(月) 16:29:01 ID:5izz12zs0
「kyrie eleison」discommunication?4/4

「なにお話してるの?私も入れて」
「うわ!」
不自然な体制のまま竜は後ろに飛びのいた。
 今までソファの上にいるのを横目で確認していたメリーが、二人の顔触れるかという距離で後ろから声をかけた。
ソファの上から瞬時に自分の後ろに突然移動したのだから驚くのは無理はない。
 しかし、カズミは驚きもせずにうっとりとメリーを見つめている。
そっと小さな頬を手の平で包むように触れた。
「メリー…何て可愛らしいの。完全な美には魔が宿るというけど本当ね。」
 カズミに頬を撫でられているメリーも穏やかな表情で身をゆだねているが右手は短剣の柄に伸びている。
 そんなことも知らずに、カズミはメリーの冷たく柔らかな頬骨の上を親指で撫で、亜麻色の髪に指を通した。
形の良い頭は両手に収まるほど小さく、その小ささがカズミに一層愛おしさを感じさせた。
 竜はソファに背を預けて二人を見ていた。
メリーの手が柄に伸びてゆく様子を見逃さず、それに触れたら有無を言わさずに彼女を殴り飛ばすことを心に決めていた。
 メリーの手が短剣の柄に触れた。が、短剣は唸る様に音を発して彼女を拒んだ。
「おかしいなぁ。」
 メリーが口を開いた。
「なんで、嫌がるんだろう?さっきは刺せたのに。」
 メリーはさらりと恐ろしいことを口にする。
 竜はそのせりふに安堵を覚える。
正当な理由があろうと少女を殴るのは気持がいいはずがなかったからだ。
「メリー、君はいったい何なんだ?」
 竜がメリーに改めて質問した。
「私?メリーさん。遊んでくれた女の子を捜しているの。私と電話ごっこして遊んでくれた女の子を捜しているの。」
「…捨てられてた物がってのはどうつながるんだ?」
「私…気がついたら一人だったの。遊んだ女の子がいなかったの。それは『捨てられた』ってことなんだって。私は『捨てられた』、わかんない。でも、短剣が教えてくれるから電話をかけるの。でね、会いに行くの。あの子に会いたい。また遊びたいの。」
 メリーは無表情のままそこまでいうと不思議そうに首をかしげた。
カズミはその会話の最中も夢遊病者のように虚ろなままメリーの横にひざまずいていた。
228K。:2007/01/01(月) 16:32:07 ID:5izz12zs0
今回はここまでです。

Lady メリー さん、ハタチさん、126さん続き楽しみにしております。

>>220さんのお話とても好きです。楽しみにしてます
229本当にあった怖い名無し:2007/01/01(月) 16:54:37 ID:Ay0URtHC0
Lady メリー さんにK。さん有難う御座います。

By.>>7 >>200

べっ、別にあんた達の為に書いたんじゃ無いからね!



PS.元々ツンデ霊スレにしか投稿した事無かったので反省はしてない。が正直スマンかった。
一発物で良かったらまた投稿させて頂きます。
230本当にあった怖い名無し:2007/01/01(月) 16:58:06 ID:Ay0URtHC0
うあレス番間違った。。。
>>200じゃなくて>>220

恥ずかしい(´・ω・`)
231本当にあった怖い名無し:2007/01/01(月) 20:03:32 ID:xx9CaFOuO
>>230
おまいかわいいな
232126 ◆dNexSJi1ew :2007/01/02(火) 12:06:03 ID:KfQtaC9d0
とりあえず・・・ですが
233126 ◆dNexSJi1ew :2007/01/02(火) 12:06:40 ID:KfQtaC9d0
102番目
「どわー」
あまりにもあんまりの・・・その何だ・・・展開に、俺はあせった。
このまま踏み込まれたら、まったく何の言い訳も通用しない・・・・。
「ちょ、ちょっと、ま、まって・・・き・・・そうそう着替え中だぁ」
と苦し紛れの言い訳を声を裏返しながらやってみる。
玄関の鍵・・・。大丈夫だ・・・鍵はかかっている。
「わ、わかった・・・早く・・・その・・・着替えてね・・・」
着替え中という言葉にどぎまぎしているのか、メリーの声もうわずっていた。
今の間に・・・ってどうすればいいんだ?
俺から引き離したとしても、この紫のメリーがいるという状況・・・。
しかも下着姿で、眠っているという状況には変わりはない・・・。
「すいません・・・あの・・・起きてください」
外のメリーには聞こえない声で、紫のメリーを起こそうとした。
しかし、むにゃむにゃ言うだけで起きる気配がない・・・。
とりあえず、紫のメリーを抱きかかえ、ベッドに移す。
服・・・服さえ着ていればまだ・・・その・・・なんだ・・・言い訳は出来るだろう・・・。
ってなんで俺が言い訳をしなければいけないんだ?
234126 ◆dNexSJi1ew :2007/01/02(火) 12:07:16 ID:KfQtaC9d0
103番目
そうだ・・・とにかく服を着せよう!
俺はベッドの上にきちんとたたまれている服を広げて・・・・。
どうなっているんだ?この服は・・・。
気持ちだけが焦るが、なんとも複雑な服の構造にお手上げ状態だった。
目の前に下着姿の少女・・・その子の洋服を手にして悩む姿を見てしまったら、俺のメリーはなんと言うだろう・・・。
『何してるんですか?』
って怒るんだろうか?それとも・・・。
カタッ・・・。
背後で物音がした。
俺はゆっくりと振り返った。
そこには・・・俺のメリー・・・黒のメリーが・・・特大のほうきを手に持ってたっていた・・・。

「麻子お姉さんが・・・男はね・・・簡単に信じちゃだめだって・・・」
うつむき加減で前髪がたれていて顔の表情が見えない。
「あたし、そんな麻子お姉さんに、必死で・・・あの人は大丈夫って・・・」
な、ないているのか?
鍵は閉まっていたはずだ。なのにどうやって中に入ってきたのか・・・。
「そう説明してきたのに・・・」
メリーはほうきを振りかざした。そして顔を上げる。ないてはいない・・・。しかし、その表情は・・・。
完全に怒っていた。
「うそつきぃ!」
ほうきが振り下ろされる・・・。
ほうきならいいかな・・・少々痛くても・・・。
それでメリーの怒りがおさまるのであれば・・・。
そんなことを思っていた。
235126 ◆dNexSJi1ew :2007/01/02(火) 12:27:12 ID:KfQtaC9d0
104番目
しかし振り下ろされたほうきは俺の体を直撃することはなかった。
「まったく・・・うるさくっておちおち寝てられやしませんわ」
背後で声がした。俺はゆっくりと振り返った。下着姿のまま俺の枕でほうきの行く手を阻んでいる紫のメリーが俺の頭上にいた。
「この方に危害を加えることはわたくしがゆるしませんわ」
まっすぐ俺のメリーに向かって視線を送っている紫のメリー。その表情は不適にも挑発的で、昨日俺のところに始めて現れたときと同じものだった。

「・・・あなた・・・だれ?」
メリー・・・俺のメリーも視線を俺から俺の背後の紫のメリーに向ける。表情はすっかりと攻撃態勢に変わっている。

「誰でもいいですわ。この方にこれ以上危害を加えようとするのなら・・・」
枕で抑えていたほうきをはじき返し、
「私が相手になりますわ」
そう言い放つと、床へと転がり出る。

黒のメリー・・・俺のメリーもほうきを器用に空中で持ち直し、紫のメリーの転がり出た方向に向かって歩み出た。
紫のメリーの転がった先は、クローゼットの前。
そこには彼女の武器である鎌が昨日のままで放置されていた。
紫のメリーは、自分の鎌を構える。
「何者かはわかりませんが、突然現れて、私の大事な人に危害を加えるなんて、とても許されたもんじゃありませんわ」

大事な人?おい・・・いつからそうなったんだ?
その言葉を聞いて、俺のメリーは、キッと俺のほうを振り向き・・・無言でにらみを・・・。
どういうこと?
と、問い詰められている感覚だ。しかし、俺にもそのあたりはまったくわからないわけで・・・。
236126 ◆dNexSJi1ew :2007/01/02(火) 12:28:11 ID:KfQtaC9d0
105番目
「よそ見をしている暇はありませんわよ」
紫のメリーは、真横に鎌を滑らせていく。俺のメリーにめがけて。
俺は、飛び起きて走った。もちろん俺のメリーを助けるために・・・。
しかし、それには及ばなかった。俺のメリーはほうきを左手に持ちかえて、ほうきの枝で鎌の行く手を防いでいた。
カンとすんだ音が部屋の中に響いていた・・・。
鉄?ほうきの枝は鉄製じゃないか・・・。そんなものがもしも・・・脳天に直撃していたら・・・。
・・・紫のメリー・・・感謝・・・。
「なかなかやりますわね・・・」
第一打を防がれて動揺を隠せないようだが、それでも、本来が負けず嫌いなのか、負け惜しみを口にする。
俺は、いそいで紫のメリーの鎌と俺のメリーのほうきをつかんだ。
「まて!二人とも・・・誤解だ!メリー!この子は・・・そのなんだ・・・お前の考えているようなんじゃない!」
まずはメリーの誤解・・・。おそらくはメリーが変えた後に女の子を連れ込んで・・・。というものだろうと想像できる・・・
いや普通はそう考えるだろう。それをとかないと話が始まらない。
「私が、何を考えているって言うんですか?」
だめだ・・・。また怒りがぶり返してきたみたいだ・・・。
「いや、その、なんだ・・・俺はこの子に何もしてないし・・・第一この子は俺を殺しに来たんであって、この子もメリーだっていうんだ・・・」
「・・・・・そうですか・・・私に飽き足らず、ほかのメリーまで召還して・・・」
俺の手からほうきを抜き去る。
「そんなに女の子に囲まれたいんですか?」
そして大きく振り上げ、
「いったいあと何人召還したの?」
振り下ろす・・・。
カン・・・。
すんだ音が部屋に響く・・・。
紫のメリーの鎌がほうきを防いでいる。
「あなたが黒のメリーですの?」
紫のメリーが落ち着いた声で言った。
237126 ◆dNexSJi1ew :2007/01/02(火) 12:29:05 ID:KfQtaC9d0
106番目
俺はもう一度、メリーの・・・二人のメリーの武器をつかみ、
俺のメリーに向かって言った
「ちょっとおちつけ!俺はお前しか召還してないし、とにかく話を聞け!」
と黒のメリー・・・俺のメリーの顔をじっと見つめる。誠意は俺の目を見て感じ取ってくれといわんばかりに・・・。
確かにちやほやされるのはいやではないが、そんなこと今の今まで思ったこともないし、何より俺にはメリーが・・・黒のメリーと呼ばれる俺のメリーが何よりも大事だ。
そんな思いを目に込めながら。
「本当?私以外召還してない?」
「してないよ・・・まったく、麻子に何を吹き込まれてきたんだか・・・」
あの潔癖症のことだ・・・。何を吹き込んだのかは想像できる・・・。
「じゃあ・・・この人は?」
俺のメリーは、紫のメリーの方を見てそういった。
「俺を殺しにきたんだと」
紫のメリーを見ると、ふくれっつらですでに鎌を手放し、胡坐をかいて、つんと横を向いていた。
「そうだよな?俺を殺しに来たんだよな」
すねている紫のメリーをつついてこちらを向かせた。
「そうですわよ!黒のメリーが契約を遂行できない状態にあるみたいですから、わたくしが変わりに遂行して差し上げようとここにやってきたのですわ」
「何のために?」
俺のメリーは、驚いて、ほうきにこめた力を抜いた。
「黒い鎌のマスターになるには、契約を遂行できない黒のメリーつまりお前の変わりに俺を殺すことが必要なんだそうだ。」
俺は昨日黒い鎌から聞いたことを告げた。
「もしも俺を殺すことができていたら、お前はこの紫のメリーの下僕となり、紫のメリーは黒の鎌の正式な所有者となるのだそうだ」
「え?じゃあ・・・」
「そうだ。こいつ以外にも俺の命を狙って、黒い鎌のマスターになろうとするものが現れるかも知れないそうだ」
紫のメリーが俺の言葉をさえぎるように立ち上がった。
「もうわたくしは、この方を殺すなんてそんなことはしませんわよ」
そのまま(下着姿のままなんだが)俺の横に来てそっと手を握る。
「わたくしの大切な方ですから」
・・・と顔を赤らめて見せる・・・。
238126 ◆dNexSJi1ew :2007/01/02(火) 12:36:09 ID:KfQtaC9d0
107番目
「な、なにを・・・」
動揺しているが体が動かない様子の黒のメリー。もちろん俺も何が起こったのか輪からにままその手を握られていた。
「もしも、先ほどのようにこの方を信じられないようでしたら、わたくしがこの方をいただいて差し上げてもよろしくてよ!」
ほほほほほと笑う。
「ば、なにいってるのよ!し、信じてないわけないじゃない」
「そうかしら?その割にはその鉄パイプのようなほうきでこの方の頭をお割りになってしまう勢いでしたわね」
「うるさいわね!ちゃんと寸前でとめるつもりでしたぁ!」
「さあどうだか・・・」
鼻で笑う紫のメリー・・・。腕力や技術ではともかく、口先では紫のメリーのほうが一枚も二枚も上手のようだ。
「よく見るとまだまだ発達途上のちんちくりんですわね。ご主人様!こんなつるつるぺったんよりもわたくしのほうが・・・」
紫のメリーの言葉が終わる前に、俺のメリーも言い返す。
「ちんちくりんじゃないもん!ちゃんと・・・」
ちゃんと・・・何なんだろう・・・いやそうじゃない・・・。
「いや・・・そのなんだ・・・そんな低レベルな争いよりも・・・」
と、とめに入るも二人のメリーから同時に・・・。
「何が低レベルですの?」
「大事な問題なの!」
と・・・。
けんけんがくがくと言いあいをしている二人の武器を手にとって、クローゼットの前を後にした。
ベッドの横には、昨日の夜から放置されている黒い鎌がある。
その鎌を直接触れないように注意しながらを毛布にくるみ、ベッドの下へと押し込んだ。
239126 ◆dNexSJi1ew :2007/01/02(火) 12:43:18 ID:KfQtaC9d0
ここまで・・・
とりあえず・・・4すれ目の40が最後です

ガイド
3すれ目
【あらすじ1から4>199-202】
【あらすじ5から7>241-243】
【74番目>250 75番目>251 76番目>252】
【77番目>398 78番目>399 79番目>400】
【80番目>471 81番目>472 82番目>473 83番目>474】
【84番目>494 85番目>495 86番目>496 87番目>497】
【88番目>509 89番目>510 90番目>511】
【91番目>624 92番目>625 93番目>626】
【94番目>659 95番目>660 96番目>661】
4すれ目
【97番目>36 98番目>37 99番目>38 100番目>39 101番目>40】

まとめて読みたい方のために
http://mary126.seesaa.net/

今まとめを製作中です


240本当にあった怖い名無し:2007/01/02(火) 12:49:17 ID:ViimXEwO0
皆様乙です^^ 盛り上がってますねー 
126さん、まとめお待ちしていますよ〜
241Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/01/02(火) 16:47:37 ID:NpAFwC9h0
パパ復活オメ!!

K。氏も続き待ってます!!

・・・ワシもホムペ、全然更新しとらんのぉぉ・・・、
第三章、途中までしか・・・。
242本当にあった怖い名無し:2007/01/02(火) 18:54:18 ID:mYz7odgMO
>>126氏復活ktkr
初スレから読み続けてる人間としては感無量でさ
243126 ◆dNexSJi1ew :2007/01/02(火) 19:53:18 ID:KfQtaC9d0
続きねwww
244126 ◆dNexSJi1ew :2007/01/02(火) 19:54:08 ID:KfQtaC9d0
108番目
俺はベッドに黒い鎌を押し込めながら、昨日黒い鎌から得た情報を考えていた。
ひとつは、俺が魔物に狙われてしまう立場になってしまったということ。
もうひとつは、それを回避するための3つの方法。
ひとつは、俺が自ら命を絶つという方法。
もうひとつは、黒い鎌のマスターとなること
そして最後が・・・
メリーと俺の契約を解除させること
一つ目の方法は、簡単だ。しかし、それを実行するわけにはいかない。俺自身が死ぬことが怖い・・・
怖くないといえばうそになるが、死ぬことよりもメリーを悲しませ、また絶望のふちにおいやるような・・・そんなことをしてしまうほうがよほどつらい。
これは却下だな・・・。
ベッドに腰をかけ、まだ何か小競り合いを続けている二人をそっと見た。
紫のメリー・・・あいつがなぜ俺を殺すことをしなくなったかはわからない。
しかも俺のことを大切な・・・とか言うのか・・・。
しかし、昨日のあの状況で黒い鎌の力を借りなければとてもではないが、紫のメリーにかなわなかっただろう。
運良く、彼女は俺を殺すという目的を排除してくれているが、ほかの魔物がそうなるとは限らない。
二つ目の方法・・・。
黒い鎌のマスター・・・。
昨日は何とかあの力を抑えることができた。しかし、今度使ったときに、あの力を制御できるかどうかの自信はなかった。
ふと玄関の方を見る。台所の窓が開いていた・・・。
そういうことか・・・。
メリー・・・俺のメリーはあそこから入り込んだわけだ。
245126 ◆dNexSJi1ew :2007/01/02(火) 19:54:55 ID:KfQtaC9d0
109番目
玄関の鍵は今でもきちんと閉まっている。なのに、メリーはこの部屋に入ってきた。
しかし、それは瞬間移動のようなメリーがもともと持っている人外のものとしての能力ではなく、
俺が着替えているというのに、こそっと窓から様子を覗き込んで、ベッドの上にいる女の子を発見して、物音を立てぬように
こっそりとその窓から入り込んだのだろう。
身体的な能力こそは衰えていないが、いわゆる霊能力ともいうべき特殊な能力については、今の彼女には期待できない。
そう考えると、あの黒い鎌のマスターとなるかどうかは別にして、あの鎌を使って、俺だけでなくメリーも守るというのが俺の役目なのではないか?
そんなことを思っていた。
そして、最後の・・・契約の解除。
黒い鎌ですらそれを知らないといった。
だが、それを行えば、俺はほかの魔物から狙われなくなる。また、メリーを開放してあげることもできる。
俺は、うぬぼれているのかも知れないが、契約で縛り付けられていなくても、メリーは俺の元にいてくれると、
そう信じていた。だから、契約さえ解除されれば、俺とメリーは自由に自分の意思で、
この部屋にい続けることができるのだ。

紫のメリーに聞いてみよう。
契約の解除の方法。そして、ほかの魔物について。
俺はベッドを殻立ち上がって、クローゼットの方へと向かった。
246126 ◆dNexSJi1ew :2007/01/02(火) 19:57:27 ID:KfQtaC9d0
110番目
「たかしさんは、あたしのことだーいすきだもーん!」
ふくれっつらで必死で主張をする俺のメリーに対して、紫のメリーは軽くあしらっている感じを受ける。
「は?どうだか・・・。今はそうでも、あなたみたいな女性的な魅力のないままで成長しない体じゃ、
たかし様はきっとすぐにがっかりしてしまいますわ。ほほほほ」
おい・・・いつから呼び名が「たかし様」になったんだ?
それに・・・メリー・・・がっかりなんかしないぞ。うんうん。
「そ、そんなことないもん!」
そうだそうだ!
「たかしさんはエッチなことなんかしないもん!」
・・・いや、その・・・なんだ・・・そこのところはだな・・・断言できるかどうか・・・。
しかし・・・そうだな・・・お前がそう思っている限りは俺はそんなことはしない!
うん、がんばって我慢するぞ!うんうん
「ふん!まったくお子ちゃまですこと。そこまで言うのならわたくしがたかし様を誘惑しても、たかし様はいやらしいことはなさらないと、そういうわけですわね」
・・・何をいいだすんだ?メリー・・・これは罠だぞ・・・。口車に乗せられるんじゃないぞ・・・。
「もちろんだもん。たかしさんはエッチなことしないもん!!」
「そう。」
紫のメリーは・・・ここでにやりと笑った。
「それでは早速行動に移らせていただきますわよ!」
とこちらを向く。
247126 ◆dNexSJi1ew :2007/01/02(火) 20:00:07 ID:KfQtaC9d0
111番目
「あのな・・・そういう話は俺のいないところでしてくれ!」
何とか平静を保ちながら・・・その実・・・紫のメリーがどんな誘惑をしてくるんだろうと、わずかだが・・・期待していた俺。
しかし、そんなことすら計算済みのように、紫のメリーは、俺に擦り寄ってきて
「たかし様も大変ですわね。あのおこちゃまときたら、たかし様がそういうことをしないって、そう言い張るのですわよ」
「しないよ」
「ほほほほほ。我慢は体に悪いですわよ。まあ、あんなちんちくりんではそういうことをしようという気にもならないかも知れませんけど!ほほほほ」
「ちんちくりんじゃないもん!ちゃんと・・・」
ちゃんと・・・何なんだろう!
そこのところが激しく気になるぞ・・・。
「もし、我慢できなくなったら、わたくしでしたら、たかし様をやさしく慰めてあげるのですわ」
と、あくまでも俺のメリーに向かって園せりふを話す紫のメリー・・。
もしかしたら・・・。
俺は、紫のメリーの両肩をつかんだ。
はっと驚いた表情の紫のメリー。そして目と目が会うと顔を真っ赤にして、視線をそらす。
「どうなぐさめてくれるんだ?」
そう聞くと・・・そらした目線がまたこちらに戻って、じっと俺の目を見ながら・・・下唇をかむ。
肩からわずかな振るえが伝わってくる。
やはり・・・こいつ・・・口では強気なことを言っていても、実際にはどうしたらいいのかわからない・・・。あるいはそんな行動をすることはできないタイプだ。
体ががちがちに緊張しているのが肩から伝わってくる。
「お前の方こそ無理をするなよ」
そう言って肩から手を離す。紫のメリーはその場でへたり込んだ。
248126 ◆dNexSJi1ew :2007/01/02(火) 20:00:49 ID:KfQtaC9d0
>>240
ありがとうね!
部ログって邪魔くさいですね・・・
デザインとかは宅ですが・・・
掲載の順番とか、登校しr他順番になるから・・・一気には登校できないし
形態の穂とのことを考えると・・・
どうしてもあまり息に掲載するのもどうかって思うので、細かく分割してます・・・・。
その作業だけで2日かかってますよwww

>>241
Ladyさん!ごぶさたですわwww
本当に1スレまるまるサボってましたからね。
まとまった時間がないと続きを把握するだけでも大変です。
ありがとう!

>>242
ありがとう!そういってもらえると本当にうれしいです
ほかの皆さんのような・・・高尚な作品ではありませんが、かわいさを追求できたらと思っていますwww
一歩間違ったらエ○ゲですよねwww
249126 ◆dNexSJi1ew :2007/01/02(火) 22:30:01 ID:2ojQcVrX0
もういっこだけね
250126 ◆dNexSJi1ew :2007/01/02(火) 22:31:11 ID:2ojQcVrX0
112番目
紫のメリーは、そのままにしておき、俺はクローゼットの前で座り込んでいる俺のメリーの元へと
進んだ。
メリーはすねた顔をして、上目遣いでにらんできていた。
俺はかがんで、メリーの目線まで下がって、メリーの手を握った。
少し驚いた顔できょとんとしているメリー。
俺は、メリーを引き起こすようにたたせ、そのまま抱きしめた。
「え?」
何が起こったのかわからずにじたばたしているメリー。
俺はその耳元にできるだけやさしくこういった。
「メリー・・・大好きだよ」
じたばたしていたメリーの手足の動きが止まる。
「お前が一番で・・・2番とか3番とかない。そのままのメリーが今のままでいてくれたらそれでいいんだ」
メリーがどんな顔をしているのかはわからない。しかし背中に回された手に力がこもっていくのは感じていた。
「だからね、安心してここにいればいい。俺の横がお前の居場所だから」
ことん・・・。
俺の言葉が終わると、メリーは俺の頭に自分の頭を預けてきた。
わずかに鼻をすする音が聞こえる。ないているのかな?
しばらくこうしておいてやろう。つらくてないているのでなければ、それでいい。
俺は優しい気持ちでそのままメリーを抱きしめていた。
「グスン・・・ふん!まったく・・・たかし様!乙女心をもてあそぶと・・・き、きっと、ば、罰があたるのですわ!」
その声の主の方を振り向いた・・・。
どうやら、鼻をすすっていたのは、紫のメリーのほうだったようだ。
いつの間にか服を着終えた紫のメリーが鎌を手に立ち上がって、俺の方を指差していた。
目には涙の筋がいくつも流れていた。
「覚えておくといいのですわ!べ、別に悔しくなんてないんですわ!さ、さ、最後にその・・・抱きしめてもらうのは、わたしですわよ!」
という捨て台詞を残し、紫のメリーは消えた。
ふと横を見ると、メリーは・・・あっかんベーをしていた。
251Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/01/02(火) 23:14:54 ID:NpAFwC9h0
紫のメリー、悲しス・・・

それにしてもなんでそんなハンパな投下の仕方を・・・?

さて、おいらも続き書こうかいのお?
いろいろ謎は解決してないけど、わざとですけん、よろしうなー?
>>202からの続きです。
252Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/01/02(火) 23:17:16 ID:NpAFwC9h0
 ・・・白鳥にはそれからの記憶がなかった・・・。
気絶してしまっていたようだ。
目覚めた時には、すでに部屋の中に異常は見受けられなかった。
だが、彼の思考回路は既に結論を出していた・・・。
 オレはもはや狙われている・・・。
彼は事件の背後にある物を追い詰めるつもりが逆に追いこめられてしまっていたのである。
もし、このまま活動を続けるなら、行方不明になったものたち同様、彼も消されるかもしれない。
取るべき道は二つだった。
この事件から手を引き、綺麗さっぱり忘れてしまうか、
誰か強力な助力者を求めて立ち向かうかである。
イギリスからのハンターの返事を待てず、国際電話で事情を話すと、
彼は出来るだけ早く来てくれるとの事だった。
・・・そんな時、またしても電話が鳴った。
国際電話を終えて、10分も経ってない頃だ。
あまりのタイミングに、先ほどまで話していた相手からの電話と思い受話器を取った白鳥だが、
すぐにその電話が通常のものではない事に気づいた。
・・・かすかな雑音・・・そして声のない電話。
こんな日中に・・・!
だが、それは連日かかってきた無言電話とは様相が異なっていた・・・。
 『・・・亮・・・。』
聞き覚えのある声・・・、まさか・・・。
 「あ・・・キミは・・・まさか!?」
 『来ないで・・・私を忘れて・・・。』
 「・・・生きて・・・生きているのか美香!」
間違うものか!? あの美香の声だ!
幼いときから彼女のことは知っている!
まだ彼女が小学生の時、自分はまだ何も知らない子供だったが、
彼女の両親が事故で死んだときも、気丈な態度を貫いた美香・・・!
剣術道場では男女に別れていたが、常にリーダーシップを発揮して、
全ての練習生に尊敬されていた美香!
ブレザーに身をつつみ、明るく笑う高校生の時の彼女の姿だって昨日の事のように思い出せる・・・!
253Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/01/02(火) 23:24:30 ID:NpAFwC9h0
 その彼女が死んだなんて・・・絶対に受け入れることなんてできやしない・・・!
見ろ! やっぱり彼女は生きていたんだ!!
・・・だが、電話口から聞こえる美香の声は、
白鳥の歓喜の念を、全て拒絶しているかのようだった。
 『こっちに来ないで、さよなら・・・亮。』
 「美香! ・・・おい、待って、美香! 美香ーっ!!」
もう、白鳥はどんな脅迫にもめげるつもりはなかった・・・!
必ず美香を救う!
果たして彼女が日本にいるのかどうかも定かではなかったのだが、
恐らく彼女は軟禁されているのであろう、
事情は分らないが、必ず彼女を助けると、白鳥は固く心に誓ったのだ・・・。

  だが。

 ・・・そのニュースが飛び込んできたのは2日後だった・・・。
イギリスからの日本へ向かう旅客機が、
離陸三時間後に爆発、空中分解するという未曾有の大事件が起きた。
不安を胸に航空会社に尋ねてみたところ、もっとも恐れていた返事が返ってきた・・・。
 「はい、ビル・スペンサー様は確かにその便に搭乗されていました・・・。」
間違いではない・・・協力を依頼した白鳥の知人の名前だった。
偶然の事故でないことは、白鳥自身よーくわかっていた。
忠告は日浦からも美香からも受けていた。
ホワイトの怯えた声を聞いていたはずだ・・・。
自分の無謀な行動が、本来無関係なはずのビルを巻き込んでしまったと言うのか・・・?
だけど・・・こんな、何百人もの命を巻き込むほどの大事件になるなんて予想できるものか!?
白鳥は憔悴しきっていた・・・。
いったいどうしたら・・・、
ビルの知人や家族になんていえば・・・。
冷静さを失った彼の、最後に選択した行動は・・・、
自分の家で、まるで誰かに操られでもしたかのように、電話を取り、
プッシュホンのボタンを押す事だった・・・。
254Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/01/02(火) 23:26:55 ID:NpAFwC9h0
 『はい、日浦総合リサーチです。』
日浦本人が出たのを確かめると、彼の無感動な声に遮られる事もなく、
白鳥は一気にこの間に起こった出来事を喋り続けた・・・。
もう白鳥は、日浦に助けてもらおうなんて考えてもいない。
ただ、自分がどうすればいいのか、彼の冷静な判断を聞ければいい、
それだけのことしか考えられなかったのだ・・・。
 白鳥の差し迫った危険性を理解できたのか、日浦はその日の予定をキャンセルし、
夕飯を共にしようと言ってくれた。
白鳥は盗聴される事を恐れて、まず、待ち合わせをし、
その上で近くのレストランに入ることにしようと、日浦に持ちかけた。
・・・日浦はどうでもよさそうな反応を見せたが・・・。

 そして、レストランでは、電話では伝えきれなかったここ最近起きた異常現象、
美香からの電話、その全てを白鳥は日浦に話した。
白鳥自身、こんな話は信じてもらえないのではと、不安を抱いていたのだが、
日浦はそれらの話を黙って聞いていた・・・。
話す内に、白鳥もおかしいと感じ始めた。
何故、こんなにも日浦は冷静なのか・・・、
何百人も犠牲になった旅客機の事故のことでさえ・・・。
白鳥の不安を見透かしたように、最後に日浦は口を開いた。
 「美香ちゃんがあんなことになって・・・僕が何も行動を起こさなかったと思うかい・・・?」
 「えっ!?」
 「僕はあの事件が日本で報道された直後、既に『彼ら』の訪問を受けていたんだよ、
 僕は全てを忘れる事と引き換えに、『彼ら』から恐ろしい計画を聞いている・・・。
 それに関しては今でも、他人に話すわけにはいかない。
 勿論、キミに言う訳にもね?
 言ったら僕は存在を消されるだろう、
 キミが『彼ら』の訪問を受け失神したように、
 僕も『彼ら』の恐ろしい計画を聞いて気を失ってしまったんだ・・・。
 それと、もう一つ大事な事を教えてあげよう。」
255Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/01/02(火) 23:28:21 ID:NpAFwC9h0
☆ ごめんなさい、ちょっと長くなっちゃった。
結末は明日で!
256K。:2007/01/03(水) 03:26:31 ID:ydStANyd0
126さん!待ってました!最高です!
黒のメリーが身悶えするほど可愛い〜

Lady メリー さん相変わらず良い所で。。。ツボをよくご存知ですね
続き楽しみにしております。

>>227 よりの続き、です。
257K。:2007/01/03(水) 03:30:57 ID:ydStANyd0
「kyrie eleison」discommunication?1/4

「電話…電話があるなら話は早いな。メリーちゃん、その電話を貸してくれるかい?」
 竜は飛びのいたソファの横から身を乗り出して言った。
これで少女の素性がわかる。竜はやっと見えた光明に厄介払いができるうれしさを隠し切れない。
「どうやって?」
 メリーは首だけを竜のほうへ廻らせて不思議そうに答えた。
人間らしからぬ奇妙な振り向き方に竜は気持ち悪さを覚えた。
「どうやってって…電話、掛けるんだろう?その電話だよ。」
「かけてほしいの?」
 無表情のままメリーは機械的な声で言った。
「…?いまいち言葉がうまく通じないな。じゃあ、かけてごらんよ」
 片手を大げさに振って電話をすることを促した。
カズミはその間も恍惚とした表情のままメリーの横顔を見つめている。
「いいよ。」
 メリーは左手を手話でするように頬の横に持っていった。
そして目を閉じてうつむくとゆっくりそのまぶたを開いた。カズミの携帯が鳴った。
 恍惚としていたカズミは我に返りあわてて携帯を開く。
 非通知の着信と表示されている。
 メリーがゆっくりと口角を吊り上げた。カズミが携帯に出た。
「もしもし?私メリーさん。いま、貴方の前にいるの。」
 携帯と目の前からエコーの様に声が聞こえる。メリーは携帯を持っていない。
携帯どころか何も持っていないように見える。
「面白い手品だ。」
 あまりのはぐらかされぶりに苛立ちを感じて、竜がワザとらしく感嘆の声を上げた。
カズミは硬直したまま携帯画面を食い入る様に見ている。
「手品じゃないもん!」
メリーは頬を膨らませた。

258K。:2007/01/03(水) 03:33:45 ID:ydStANyd0
「kyrie eleison」discommunication? 2/4
「これをやると、みんな怖がるのに。怖くないの?」
「メリー、君の言うことは滅茶苦茶だなぁ。遊ぼうといってみたり、怖がらそうとしてみたり…」
 そう言いながら竜は視線を落とした。
彼はこれ以上少女と会話をすることに興味を失ってしまっていた。
彼の視線の先に冷たく動かなくなったハムスターが入った。
彼はごく自然にそれを拾い上げて自分のハンカチに包んだ。
半ば無意識に棚の上のひまわりの種を2、3粒取ると、それも一緒に包んだ。
「何してるの?」
跳ねる様にしてメリーが竜の元に駆け寄る。竜は手を止めた。
「ん?ああ。これか?そのままにしておく訳にはいかんだろうと思ってね」
 うざったく思いながらも、竜は丁寧に返事をした。
「なんで?」
 キョトンとしてメリーは首をかしげる。
「死んでしまっているからね。君の・短剣が・刺さった・か・ら。」
竜はわざと言葉の最後に力を入れてメリーに言った。
「しんで?なに?しんでしまった?」
メリーは眉間にしわを寄せた。
「貴方はわからない事ばかり言う。説明もしてくれないし、可愛いともいってくれない。」
 竜は真っ直ぐにメリーを見た。黙ったまま包みを開いて死体を見せた。
メリーは動かないハムスターを指で突付いて上目遣いに竜をみた。
「動かなくて、つなんない。」
 メリーは何度もハムスターを突付いた。
竜が何か説明してくれるのを待つようにしっかり目を合わせたままメリーは口を開いた。
「冷たいし、硬い。つまんない。」
 携帯を握り締めたまま硬直していたカズミが魔法が解けたように我に返った。
虚ろだった目にはっきりとした光が戻り、ソファのそばの二人に歩み寄った。
 死んだハムスターを見ると黙ったまま、メリーを手で制して指で突付くのを止めさせ、
ハンカチに包まれたハムスターを受け取った。
「名前もなかったのよ…。」
誰に向けて言うでもなくカズミが呟く。
259K。:2007/01/03(水) 03:35:53 ID:ydStANyd0
「kyrie eleison」discommunication? 3/4

「まとめて、ねずみって呼んでたもんな。」
 かける言葉が見つけられなかった竜は自分でも間抜けだと思いながらカズミに言った。
カズミは曖昧な笑みでその言葉に答えて背中を向けた。
 メリーは不服そうに鼻を鳴らしてカズミの前に回りこんでハンカチに手を伸ばした。
しかし、立ち上がり胸元に抱いたそれにメリーの手は届かなかった。
「なにしてるの?頂戴!私に見せて!」
子犬のように跳ねながらメリーはカズミにまとわりつく。
跳ねるたびに短いスカートの裾がゆれてフトモモが見え隠れする。
「さっきと変わらない死体だよ?」
竜がソファからメリーに話しかける。
「死体ってなに?何で大事そうに持ってるの?私も遊びたい!!」
 カズミが入っていった部屋の入り口でメリーは地団駄を踏んで言う。
竜は軽く首を振ると立ち上がり、メリーのそばに歩み寄ると彼女をひょいと持ち上げ、
そのままソファへと運んだ。
ソファの上にメリーを立たせ、竜は少し身をかがめて自分の顔を彼女の視線にあわせた。
そして両肩に手を乗せて真っ直ぐにメリーを見てゆっくりとした口調で説明を始めた。
「ハムスターは短剣が刺さって死んだ。死ぬと言う事は簡単に言うと動かなくなることだ。
死んでしまうと遊びたくても遊べなくなってしまう。どんなに指で突付いても動かなかっただろう?」
メリーは頷いた。
「もう遊べないの?じゃあ、大事そうに持って行ったのはなんで?遊べないし、つまんないから、いらないでしょ?」
「そうだな…。それじゃあな、死を悼むってわかるかな?
アレは…ハムスターは死んで動かなくなってしまったけど、カズミにとっては”大事なハムスター”なままなんだよ。
動かないからつまんないんじゃなくて、動かなくなってしまって悲しいんだ。二度と動かない、だから『悲しい』んだ」
「悲しい?」
「そう、悲しい。」
 メリーは口の中で何度も不思議そうに『悲しい』という言葉を繰り返していた。
竜がメリーの両肩から手を離しても彼女はソファの上で小さく呟いていた。
 竜は少し離れた小さな座卓に移動し、大きなマグカップに口をつけた。
 アパートの窓の外は白々と明けてきていた。
260K。:2007/01/03(水) 03:38:24 ID:ydStANyd0
「kyrie eleison」discommunication? 4/4
 カズミが奥の部屋に引きこんでしまい、部屋には竜とメリー二人きりになっていた。
竜はメリーに対してした質問の答えを反芻して考えていた。その答えは尽く理解不能だった。
理解不能というよりは意思の疎通ができていない、そんな印象だった。
今までメリーが言ったこと、した行動を思い起こして竜が考えをめぐらせていた。
 どの位考えに沈んでいただろう。不意に低く地を這う様な耳鳴り、
否、メリーがその身を起こしたときに短剣から鳴っていた音が聞こえてきた。
 はっとして顔をあげるとメリーがプラスチックの引き出しの中のハムスターを短剣を向けていた。
残っていた5匹のハムスターのうち、1匹はすで絶命していた。
さらに恐れ戦き逃げまわるハムスターに向けて短剣を突き立てていた。
 メリーの両頬は高揚して薔薇色に染まり黄玉の瞳も爛々と輝いている。
短剣は不気味に赤く光、喜びを謳う様に音を発している。
「何をしてるんだ!」
 竜が思わず大きな声を出したが、メリーは短剣から伝わる快感に身を委ねて小さく震え、
夢中になってその声に気がつかない。
 竜は立ち上がりメリーの細い手首を掴みあげた。
メリーは小さく悲鳴を上げると、短剣を手から落とした。
短剣はわざとらしく床に跳ね、まだ生きているハムスターの上に落ちて刺さった。
 斜めに吊り上げられため顔が髪で隠れてしまってメリーからその表情が読み取れない。
が、その髪の隙間から血の様に赤い唇だけが見える。
「…『悲しい』は、わからない。」
 メリーは手首を掴まれ宙に浮いたまま首を振って髪の中から顔を出した。
今までの彼女とは様子が違う艶かしさに竜は息を呑んだ。
「わからないから、殺すのか?」
「殺す?」
 頬が薔薇色に染まり、潤んだ瞳でメリーは竜を見つめかえす。
妖艶な娼婦が褥で誘う様な表情に彼はギクリとして彼女を落とした。
メリーは床にふわりと落下した。スカートが空気を含み太ももとその奥の下着が一瞬だけ露わになった。
261K。:2007/01/03(水) 03:40:10 ID:ydStANyd0
今回はここまでです。
ありがとうございました。
262Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/01/03(水) 18:52:47 ID:tAtvFfJb0
>>261 どうみてもえっちです。

本当にありがとうござ(ry


うそです、ごめんなさい。
外伝第二話はこれで終わりです。
>>254の続きです。
・・・でもこれって引っ張ったり長続きさせるようなストーリー展開じゃないなぁ・・・。
基本的にパロ部分と、一部修正はしたが、ストーリそのものは昔のままだし・・・。
ま、いっか。

263Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/01/03(水) 18:54:27 ID:tAtvFfJb0
 「別に『彼ら』はキミや僕の後をつけ回してるわけでもない、
 あいつらは人間じゃないんだ・・・、
 距離や壁なんか、『彼ら』の前では意味をなさない、
 『彼ら』は自らの望む場所に一瞬にして移動でき、姿かたちを自由に変えられる。
 そして、その気になれば人間を遠隔操作することもできるんだ・・・、
 例えば旅客機を運航しているパイロットを操ったりとか・・・ね。
 今も、このテーブルの脇に『彼ら』は立ってるかも知れない。
 場所を変えても無駄なことなんだ・・・。」
 「日浦さん・・・一体『彼ら』とは・・・何者・・・?
 美香やタケルと何の関係が・・・?」
だが、日浦からそれ以上、聞き出すことはできなかった。
それこそ、彼の命に関わるのかもしれない・・・。
その後、白鳥は何を話したのか覚えてない。
時刻はまだ九時前だったが、もう自宅まで、真っ直ぐ車を走らせることしか考える事は出来なかった。

 ・・・帰路、飛ばす車の窓に水滴が落ちてきた。
カーラジオの天気予報では、熱界雷が発生しているので十分な注意が必要との事だった。
雨はたちまち土砂降りとなり、激しく車のボディーを叩く。
白鳥はそこで見た・・・。
稲妻が光る時、バックミラーが後部シートに人影らしきものを映すのを・・・。
もう、彼に振り向く勇気はなかった。
白鳥は、自分がどこを走っているのか、いや、車を運転している事すら自覚していなかった。
・・・後ろの声は語りかけてきた。
いや、それは声ではない、
彼の脳に直接響いてきたのだ。
そしてようやく白鳥は理解できた。
遙かな昔から続く「人間以外」の存在による戦いを・・・。
古から「神」「魔王」「精霊」と呼ばれてきた生命の存在を・・・。
人間の歴史に現われず、
神話の頃の時代に埋もれた、大地を割り、天をも焦がすあの恐ろしい戦争を・・・!
264Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/01/03(水) 19:01:36 ID:tAtvFfJb0
考古学者でもある白鳥は、連鎖的に世界各地に残された伝説を思い出していた。
楽園の追放・・・、人間達を絶滅寸前にまで追いやられた大洪水・・・、
植物すら育たない、大いなる暗黒に覆われた大地の記憶・・・。
それらは全て、天空を支配する神々と、人間を作り出した創造者との間で繰り広げられた、
破壊的な戦争によって引き起こされたものなのだ。
皮肉にも、人間が現在「神」と呼ぶものが、自分たちを絶滅させようとし、
そして「悪魔」と嘲られし者こそが、かつて人間をサルのようなものから、
今の人類へと進化させた存在だったのである。
・・・だが、「それ」が今もなお人間達の味方であると言う保障は何もない・・・。
白鳥が背後の声によって理解できたものは、
彼ら「神々」と、それ「悪魔」との間に、何らかの密約が成立している気配があると言う事だけだった、
・・・地上の人間の扱いをめぐって・・・。
そして「天使」の降臨と、「魔王」の復活・・・。
テレパシーのようなものの為か、彼の脳裏に浮かび上がってきたのは、
この地球すらも破壊できる兵器・・・核エネルギーによる破壊のビジョンであった。
まるで、神々すらをも破壊できる武器の誕生が、
彼ら神々が再び人間世界に干渉する契機となったかのように・・・。
彼らの活動は20世紀初頭から始まっていて、これまでにも彼らの障害になりそうな者は、
人知れず姿を消されてきた。
美香も、かつての研究者達も、「彼ら」の争いに巻き込まれた犠牲者なのだ・・・。
そして、今また一人・・・、この世界から永遠にその存在を消されようとしていた、
知ってはならないことを知ってしまったために・・・。
白鳥の精神は、永い間の恐怖のために麻痺してしまい、自ら思考することが不能になっていた・・・。
265Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/01/03(水) 19:03:30 ID:tAtvFfJb0

 どれだけの時間が経っただろう?
白鳥は、気がつくと赤信号を前にして車を止めていた。
夢だったのだろうか・・・?
バックシートには誰もいない。
車を走らせてから、既に3時間が経過していた。
雨はいくらか小降りになっている・・・。
白鳥は先ほどの不気味な存在の姿を忘れたかったが、
かつて、あの影と同じような物を見たことがあるのを思い出して、背筋を凍らせた・・・。
 あれは中東の博物館で見た・・・紀元前4000年紀、メソポタミアで作られた婦人像・・・。
婦人像?
違う・・・! あれは爬虫類のような形相と胎児の様な巨大な頭部を持った化け物だ・・・!
眼球が異様に大きな・・・まるで蛇が・・・そのまま人間に進化してしまったかのような・・・。
あれが・・・
あれが人間達がこれまで信仰してきた「神」の姿だと言うのか!?
 パッパーッ!
後ろからクラクションが鳴る。
ハッと我に返った白鳥は、気を取り直し、再び雷鳴の轟く中、
車を動かし自宅への帰路を急いだ・・・。

 次の日、日浦義純は、お気に入りのマンデリンを飲みながら、今朝の新聞を読んでいた。
紙面の片隅に交通事故のニュースが載っている。
 『・・・さんの車は対向車線に進入し、前方からのトラックと衝突、大破した。
 しかし奇妙な事に運転手の遺体はどこにも見当たらず、
 目撃者によれば、事故の直前に慌てる乗用車の運転手を目撃したと証言、
 このことから警察では・・・』



Lady メリー外伝「闇に蠢く者」・・・終了
266Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/01/03(水) 19:10:23 ID:tAtvFfJb0
すいません、ここで終わりです。
前述しましたが、
タケルと美香が主人公の第一話があり、
それから今回の話につながります。
その後、
伊藤ファミリーの「白いリリス」・ニコラ爺さんとフラウ・ガウデンの物語と繋がります。
(白いリリスでは時間の設定が合いませんが気にしないで下さい)

美香が無事なのか、白鳥を追い詰めたのは誰なのか、
全て謎のままにしておきます。
では。
267K。:2007/01/03(水) 19:35:00 ID:ydStANyd0
Lady メリーさん・・・
おわちゃった・・・・・なぞ・・・・イケズ・・。

>>260の続きをちょこっと行きます。

268K。:2007/01/03(水) 19:37:13 ID:ydStANyd0
「kyrie eleison」 discommunication?1/2

 竜は軽く頭を振って何かを振り払うと体に力を込めて言葉を出した。
「短剣で突き刺せば、生き物は命を失う。悪戯に殺してはいけない。」
メリーはきょとんとした。
「イタズラ?違うよ。剣が吸った力が私の力になるの。」
竜は大きく息を吐いて心を落ち着かせるとメリーの頭に手を置いてその小さな頭を乱暴に撫ぜた。
「そうか、力になるのか。でもな、これはカズミの大事なねずみだから殺すな。わかったか?」
 竜はメリーの頭をグリグリと撫で回しながらどうしたものかと考えていた。大体、こいつを連れて来た当の本人は何をしてるんだ?部屋に入ったっきり出てきやしねぇ。
 手に負えない少女を相手に何もかも放り出して帰りたい思いを辛うじて押し殺してきたが限界が近づいてきていた。
「つまんない。」
メリーが手の下から声を上げた。

269K。:2007/01/03(水) 19:38:42 ID:ydStANyd0
「kyrie eleison」 discommunication?2/2

 仕方ねえなぁ。竜は口の中だけで呟くと、メリーの両脇を掴んだ。
「ほ〜ら、たかいたか〜い。」
 半ばヤケクソで小さい子供をあやす様に天井に向けて持ち上げ、軽く手から離れるくらいに宙に投げた。
落下して来た所を受け、メリーの足を床につくまで下ろして、また勢いをつけて天井に向けて宙に投げ出す。
古いアパートの天井にメリーの髪の当たる音がする。
 おっと、加減しなきゃぶつけちまうな。
竜は少し力を緩めて天井にぶつけない様に注意を払って何度もメリーを持ち上げた。
 ふわりとスカートが広がる。メリーはキョトンとしたままされるがままになっている。
その表情を見て、竜は宙を舞って腕のなかに落ちてきたメリーを抱いて下に降ろしざまに回転した。
そしてそのままバタリと床に倒れた。
 倒れた拍子にメリーから手を離して竜は目を閉じた。
メリーは無表情のまま、むくりと起きあがって、仰向けに倒れたままの竜の胸を手のひらでたたく。竜は反応しない。
「もっかい。」
ぺちぺち。体をたたき続ける。
「おきて?」
 竜が片目だけ開けてメリーを見た。
「もっかい!」
メリーは嬉しそうに笑いながら両手で竜の胸を叩いた。
270K。:2007/01/03(水) 19:43:28 ID:ydStANyd0
今回はここまでですが、どう見ても○○です。
本当にありがとうございました。


いやいやww
えっちは褒め言葉としっかり受け取りました。
271本当にあった怖い名無し:2007/01/03(水) 23:50:56 ID:jjYm78ZNO
皆キテタ―(゚∀゚)―!!


>パパ
おかえりなさい
(つA`)ウゥ

久々に黒メリータソの可愛さにふれ、すげー良い気分…
(´∀`)ホノボノ

超GJです


>れでぃサソ
くはぁ…

れでぃサソの謎テクで頭の中はもう…

神話的な話は元々好きだったけど、ここまではまらせたのはれでぃサソのせいだからね!

赤ずきんはローズだったのか

白いリリス…もう一度読もうかな
272本当にあった怖い名無し:2007/01/03(水) 23:52:10 ID:jjYm78ZNO
えっち!

…もう一度聞きたいw
(見たい?w)
273本当にあった怖い名無し:2007/01/04(木) 08:09:18 ID:hgD5Us3zO
>>272
是非たのむ!w
274Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/01/04(木) 12:53:32 ID:LRVRTFvT0
(舞台の袖からカールした髪をまとめた少女がやってくる。
 スポットライトはその少女に当てられ、光は彼女と共に移動する)

メーリー「ああ、我らが父よ、なんと痛ましいことでしょう、こんなお姿に!」

(そして光は舞台の中央に注がれる、そこには鎖で縛られた半裸の男性。)

男性「・・・そこにいるのは誰だ・・・?」
メーリー「私でございます、大地を揺する偉大なる神・あなたの娘メーリーです。」
男性「・・・おお、メーリーか、こんな光も当たらぬ暗い大地の底に何用だ?
 天空を治めるデウス達に見つかったら、面倒なことになるぞ?」
メーリー「何と冷たい事をお言いになるのでしょう?
 今や、実り豊かな大地は、黒雲操るデウス達に我が物顔で領有されています。
 あなた様の軍勢は打ち砕かれ、例え心無き者たちがあなた様の下を去ろうとも、
 私はあなた様の娘でございます。」
男性「・・・メーリーよ、そなたの気遣い、嬉しく思う・・・、
 だが、私はこのような醜態を晒していても、何も恐れるものはない、安心しておくれ。」
メーリー「ああ、そんなことを仰っても・・・、ご覧下さい、あなたの背中を!?
 デウスの忌まわしき拷問のせいで、こんなにも焼け爛れて・・・!
 なんとかこの鎖を断ち切る術はないのでしょうか?」
男性「こんな痛みなど何ほどのものであろうか?
 それに鎖であるか? これは笑いがこみ上げるな、かつて私がしつらえたものではないか?
 それを私の戒めに使うとは・・・、デウスもなかなかに意地の悪いやつだ。」
メーリー「ヘファイストスがあなた様の身を案じておりました、
 彼にこの鎖を外させましょう?」
男性「無駄だ、何故ならヘファイストス自身が私の分身だからだ、彼が何もしないのは、
 私がそう欲していないからだ。」
275Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/01/04(木) 12:57:12 ID:LRVRTFvT0
メーリー「まあ? ではいつまでこの辱めに耐えるおつもりなのですか?
 あなた様と同じようにアトラスは天空を支え続けなければならず、
 あなた様が愛したパラス・アテナも、黒衣のダー・マーテルもデウスの妾にさせられて・・・、
 あなた様の子供であるエピメテウスやパンドラの運命すらどうなるかわからないと言うのに?」
男性「構わぬ、既にデウスとは契約を果たした、
 奴らはエピメテウス達やその子孫達に、これ以上、手を出す事は出来ぬ。」
メーリー「それは真でございますか? ですが天界や地上はデウス達の思うがままです。
 もう、彼らの権力は絶大なものであり、何者も逆らう事は出来ませぬ。
 契約と仰いましたか? それは、あなた様の呪縛と引き換えなのでございますか?
 ああ、なんとおいたわしい事でしょう、あなた様が大いなる慈愛を以って、
 人間達を守っても、もはや人間達はあなた様を敬う事はないでしょう。
 ・・・それなのに、あなた様は永遠にこの暗黒なる鎖に囚われて・・・。」
男性「我が愛しき娘、メーリーよ、案ずる事はない、
 私がこの鎖に囚われるのも、つかの間の出来事、
 それはデウス達がその権勢を追われる日までのことだ。」
メーリー「そんなことがあるのですか!?
 あのデウス達が玉座から引き摺り下ろされる日が来るというのですか!?」
男性「そうなったら痛快であろうな?」
メーリー「信じられません、・・・いえ、忘れておりました、あなた様のもう一つの御名を。
 『未来を見通す者』・・・、あなた様はデウスの凋落する様が見えたと言うのですね?」
男性「それは一つの運命だ、だが、私が鎖に繋がれたままでは避けることはできない。」
メーリー「それは決められた未来なのですか? 彼らの運命は絶対なのでしょうか?」
男性「そうだ、かつてクロノスがウラヌスを・・・、
 そしてデウスがクロノスを冥府の底に叩き込んだように、
 デウスもまたその運命から逃れる事は出来ないのだ。」
276Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/01/04(木) 12:59:26 ID:LRVRTFvT0
メーリー「彼らが追われる様子はどのようなものでございますのでしょうか?」
男性「彼らの傲慢だ、それが彼らの足元をすくう。」
メーリー「あなた様の軍勢が復活するのでしょうか?」
男性「その必要はない、彼らが自ら招く災厄なのだ。」
メーリー「それはどのぐらいの夜を過ごせば訪れる未来なのですか?」
男性「もう種は蒔かれている。」
メーリー「災厄はすぐそこまで来ているというのですね?」
男性「彼らが気づかぬうちに、その災いの芽はどんどん大きく育っている。
 そして遠くない未来のうち、『それら』はデウス達に反旗を翻すであろう、
 ・・・その時こそ、冥府の底のクロノスの呪いは成就するのだ・・・。」
メーリー「おお、恐ろしい、またあの時のような凄惨なる戦が起こるのですね?
 それにしても、あのデウスの百万の軍勢や、天空を焼き焦がす雷を破るものなど、
 本当に現われるのですか?」
男性「そうだ、確かに今やデウスの軍勢は最強だ、
 だがその『子供達』はデウスの雷よりも強力な火を見つけてしまうのだ。
 彼らの災い為す大槍は、
 ・・・その遠雷より大きな轟音を響かせ、海と陸とを揺すりたてては大地を灰に焼き尽くし、
 ×××××××の三叉の戟をも打ち砕くであろう。」
メーリー「まさか!? あのデウスの雷挺と並ぶ最強の兵器が砕かれると!?」
男性「そうだ、クロノスの呪いはデウスだけに向けられたものではない、
 彼を追い落とす事に成功した者・・・
 すなわち、この私も、忌まわしい災厄から逃れる術はないのだ・・・!」
メーリー「ああ、それは、そんな悲しい話は私には耐えられません、
 それでは、未来には希望も何もないではありませんか!?」
男性「いや、希望はある・・・!
 それが、エピメテウスとパンドラに与えた物なのだ・・・!
 人間達が進化を続け、ある一つの時代に差し掛かったとき、
 デウス達はこの私の縛を解き放つであろう。
 その時こそ、運命の歯車が切り替わる時なのだ。」
277Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/01/04(木) 13:02:00 ID:LRVRTFvT0
メーリー「災厄は防がれると・・・?」
男性「防ぐ事は出来ない・・・、運命も逃れる事は出来ない、
 だが、結果は異なる未来を指し示すであろう・・・。」
メーリー「その時には・・・あなた様は・・・。」
男性「私は運命を受け入れる・・・。」
メーリー「あああ、大いなる慈悲を持つ我らが父よ、
 あなた様の娘に生まれた事を誇りに思います。
 たとえこの身が地の底へ落ちる事になろうとも、
 あなた様のもう一つの写し身であるハーデスに仕えて、この命を終わらせることでしょう・・・!
 それまで、この私が地上で、あなた様の意志を体現させていただきます、
 どうか、この私に大いなる使命をお与え下さいませ・・・!」
男性「ならばメーリーよ、お前に永遠の器を与えよう、
 たとえお前の魂が冥府に引きずり込まれる事になろうとも、
 運命のその日が訪れるまで、代わりの娘の魂をその身に宿らせば、
 必ずや運命の歯車は、望みどおりに動き出すだろう。」
メーリー「あなた様を破滅させようとする者たちを刈り取るのですね?」
男性「それはならん、私を破滅させるものは、運命だ。
 人間達が私を滅ぼすと言うのなら、それで構わない・・・!」
278Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/01/04(木) 13:05:16 ID:LRVRTFvT0
メーリー「待ってください? では、では『災厄をもたらす者』とは・・・一体?」
男性「・・・デウスの子供達か・・・それともこの私の子供達か・・・、
 わかるはずもあるまい? デウスと、この私の力はほとんど同等・・・。
 クロノスの呪いとは、『その父親より強い力を持った子供に殺されること』なのだ。
 これで、どうしてデウス達が、この私を殺せないか、訳がわかっただろう?
 『どちらが』デウスに歯向かうのか、その秘密は私だけが知っていることなのだ。」
メーリー「おお、大地を震わす偉大なる我が父、
 紺黒の髪をたなびかす者よ、大いなる大地を統治せし者、
 実りの女神ダー・マーテルの夫にして、アイギゥス持つアテナの主よ、
 あなた様の御名が地に堕ちたとしても、
 人間達があなたの御名を忘れ去ってしまったとしても、
 三叉の戟持つあなた様の栄光は、いかほども曇る事はございません、
 全知全能の我らが父よ、願わくばその苦しみが少しでも癒え、
 そのカラダを襲う痛みが安らかにならんことを・・・!」

(メーリー退場、再び舞台から照明が消える)

戯曲「縛られたる者」 作品年代:紀元2世紀 改変:Lady メリー
279Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/01/04(木) 13:16:52 ID:LRVRTFvT0
>>271 謎解きは大変でしょうから、Lady メリーワールドの根幹をうpしときました。

漫画の「バスタード」なんかは聖書をメインに使ってるでしょうが、
こっちはギリシア神話がメインです。
デウスに歯向かい、大地の底に幽閉された「神」こそが、
ゲルマンのヴォーダンであり、日本のスサノヲであり・・・、
というスタンスです。
繋がりを追ってくとまた、膨大な文書量なので、ムリには出しませんが、そういうことです。
名前はまだ伏せときます。
日本神話でもその名はタブーのようですし、
今回、ハーデス・ヘファイストスを分身と解釈してしまいましたが、
その本体は、全く別の姿・地位を与えられておりますので・・・。
280126 ◆dNexSJi1ew :2007/01/05(金) 10:20:21 ID:4wCqjw050
みなさん・・・おはようございます!
ようやく今までのお話を部ログに転送完了でございます。

http://mary126.seesaa.net/

宣伝めいていますが・・・
改めてよろしくですよ!

Ladyさん!GJGJ
皆さんもコメント本当にありがとう!
皆さんのコメントが書くための励みです!
281Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/01/06(土) 00:11:49 ID:L+i2xQ0K0
126パパ業務連絡

お互いのブログ・ホムペにリンク貼りっこしませんか?
やりかた、よく理解してないので時間掛かるかもしれませんが・・・。

うっわ、やっべ、「ブログ開設」を「解説」だって、おいら、素で間違えてた・・・。
282126@携帯:2007/01/06(土) 06:53:09 ID:UGiUDxVuO
業務連絡

レディさんへ。

ありがとうございます。

僕の方はすでに張り付けています。
よろしくですぅ。
283Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/01/06(土) 07:29:02 ID:L+i2xQ0K0
ありがとうございます!
明日の休みにチャレンジしてみます!
284本当にあった怖い名無し:2007/01/06(土) 13:09:44 ID:e4dVdx4VO
>>279れでぃサソ
ありがとうございます

ギリシア神話には触れた事なかったので、勉強するであります
(`・ω・´)ゞ


>>273
ぃゃ俺に言われてもw

聞きたいじゃなくて見たいって事です


皆様正月休みも終わり忙しいでしょうけど…

続き楽しみにしています
285pDOG ◆MjRkBb/jUw :2007/01/06(土) 13:46:27 ID:TfQ+yJWq0
ええと、コテ付けては始めまして^^;です。

ジョージスレに投稿しておりますpDOGと申します。
このたびジョージスレまとめブログを作りましたので関連スレとして、まことに勝手ながら
こちらのスレッドをご紹介させていただきました。

心霊探偵ジョージの事件簿
ttp://george2ch.blog88.fc2.com/

細々と運営していこうかな、なんて思っております^^
どうかよろしくお願いいたしますm(_ _)m
286スナフキン ◆Mhc47gmqgs :2007/01/06(土) 18:00:12 ID:xBHiV9Jn0
メリーさんなんか全然怖くない〜♪
メリーさんなんかきっと怖くない〜♪
メリーさんなんかおそらく怖くない〜♪
メリーさんなんかたぶん怖くない〜♪

 ┌-──┐  (  )     ♪
\_|*+*` |_   ( )   ♪
<________フ   )
  从  >ノ──┛〜 Are You With Me?
  /゙゙|`ヽ
./ ̄ヽ― つヽ  。。。。。。    ♪
| ||三I三I三三三レーJ. ♪
.L_SRVつ
 `〜rrrrー′
   |_i|(_
287Lady携帯:2007/01/06(土) 22:54:43 ID:+L+6lo/OO
スナちん、こっちの板にまで・・・。
まぁ、まったりしてって下さいな。
今、仕事終わったとこです、家に着くのは一時過ぎかな?
288Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/01/07(日) 15:09:39 ID:scBLCFUC0
http://1st.geocities.yahoo.co.jp/gl/amekazelionmaru
「私メリーさん」Lady メリーの物語

パパさんのリンク表示完了すますた。
・・・パパのブログにピー術士さんのリンクが・・・?
289本当にあった怖い名無し:2007/01/07(日) 15:33:32 ID:P2yRXMuK0
○県○市にお住まいの真紅ちゃん(10才)からの質問です。

メリーさんは、ローズミスティカを持っているのかしら?
290126 ◆dNexSJi1ew :2007/01/07(日) 15:57:44 ID:B3D2S9wB0
>>288
Ladyさん!
ありがとう!

ピー術師・・・眠れないときにお勧めwww
寝る時間がないときもぐっすり眠れるからwww
291スナフキン ◆Mhc47gmqgs :2007/01/08(月) 16:37:04 ID:yNja//Oe0

メリーさんからの電話@

トゥルルルルル・・・トゥルルルルル・・・ガチャ

スナフキン「はい」
メリー「はい?」
スナフキン「どなたですか?」
メリー「さあ?」
スナフキン「おい!」
メリー「あたしメリーさん?」
スナフキン「知らねーよ!そこは知っておけよ!」

ブチッ・・・ツーツーツー・・・

トゥルルルルル・・・トゥルルルルル・・・ガチャ

スナフキン「はい」
メリー「わたしメリーさん今あなたの近くにいるの」
スナフキン「コエーよ。あんた何者だよ」
メリー「わたしは幽霊なの」
スナフキン「ますます、コエーよ!どこにいるんだよ!」
メリー「わたしメリーさん今この星にいるの」
スナフキン「範囲が広いよ!その回答はセコイよ!」
メリー「いまあなたの家の前にいるの」
スナフキン「マジかよ!」
メリー「でも電子ロックが掛かっているから入れないの」
スナフキン「幽霊なら通り抜けろよ!」
メリー「ひどい、人を幽霊みたいに言うなんて・・・」
スナフキン「いや、お前は幽霊だ!」
292スナフキン ◆Mhc47gmqgs :2007/01/08(月) 16:37:45 ID:yNja//Oe0

メリーさんからの電話A

メリー「あたしメリーさん今、あなたの後ろにいるの」
スナフキン「後ろは壁だぁ!!」
メリー「わたしメリーさん今日はピンクのパンティーなの」
スナフキン「訊いてねえーよ!・・・でもメモったよw」
メリー「わたしメリーさん、さっき転んで足が痛いの」
スナフキン「幽霊がこけるなよ!」
メリー「わたしメリーさん家に着いたの」
スナフキン「帰ったのかよ!」
メリー「わたしメリーさんまた来るわ」
スナフキン「楽しかったよ、またな」
293Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/01/08(月) 17:07:57 ID:A9inhxCd0
三村調できたか・・・
294スナフキン ◆Mhc47gmqgs :2007/01/08(月) 17:13:03 ID:yNja//Oe0
  ||// ∧_∧|∧_∧
  ||/  (n´・ω・)n    )  幽霊なんてさ
  ||   (ソ  丿|ヽ   )
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ u―u'
   _____
  ||// ∧_∧|∧_∧
  ||/  (n´・ω(n´・ω・`n) いるわけない
  ||   (ソ  丿|ヽ   )
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ u―u'

  ||// ∧_∧|∧_∧
  ||/  (n´・ω・)n    )  幽霊なんてさ
  ||   (ソ  丿|ヽ   )
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ u―u'
   _____
  ||// ∧_∧|∧_∧
  ||/  ( ゚∀(n´・ω・`n) いるわけない
  ||   (ソ  丿|ヽ   )
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ u―u'
295あおつき ◆Blau/BMkkg :2007/01/08(月) 17:47:33 ID:SceD4wXI0
スレ、ハケーン^^
ゆっくり読ませて頂きます。
296126 ◆dNexSJi1ew :2007/01/08(月) 20:55:45 ID:ugzeEAAk0
ではいかせていただきますね
297126 ◆dNexSJi1ew :2007/01/08(月) 20:56:23 ID:ugzeEAAk0
113番目
しばらくして俺の胸から離れたメリーは、照れくさそうにはにかんだ笑顔を見せた。
俺はそんなメリーの頭をなでて、ゆっくりと立ち上がった。そしてベッドのあるほうへと進み、ベッドに腰をかけてメリーを呼んだ。
「えっ?」
じっと俺の様子を見ていたメリーは、驚いた顔で俺の方をじっと見ている。
大きな瞳。まっすぐ俺の方を見ていた目線は、床を見つめ、次第に顔が赤くなってくる。
さらには・・・下唇を噛み、泣き出しそうな表情に・・・変わっていった。
目をつぶり・・・。そして決心をしたように一気に立ち上がり、右手と右足が同時に出てしまうようながちがちの歩き方で俺の目の前までやってくる。
けれどもまっすぐに俺の方を見ることができずに、俺の隣の布団の方をうつむき加減に見ながら、
「あ、あの・・・」
と何かを言おうとがんばっているみたいな様子だった。
・・・・・絶対勘違いしてる・・・。
ベッドに座っている俺に呼ばれたことで・・・メリーのやつとてつもない勘違いをしている・・・。
さっきそんなことはしないって、そう言ったはずなのにな・・・。
「えっと・・・えっと・・・」
俺はスカートのすそを握り締めているメリーの手をそっと握った。
びくっとして、真っ赤な顔で俺の方を見つめるメリー。目には涙があふれそうになっていた。
そのまま引き寄せ、メリーを抱きしめる。
体を硬くさせながら、俺に抱きしめられたメリーは・・・。
「あ、あの・・・や、やさしく・・・してください・・・」
・・・と絞りだすように言った。
298126 ◆dNexSJi1ew :2007/01/08(月) 21:02:08 ID:ugzeEAAk0
114番目
・・・やっぱり・・・メリーは勘違いしていたようだ。
しかし、ここまでかわいくもけなげな姿を見せられると・・・いやいや・・・。
俺は、どきどきしながらも、自分を制御した。
まだ、俺自身我慢できる。まだ、前の・・・まとめサイトの管理人に受けた数々の惨劇の傷がいえていないだろう。
こんなにも身を硬くして、おびえている・・・。
しかし、おびえながらも、いろいろと考えて言葉を絞りだしてくれたメリーを俺はもっと大切にしたいとも思う。
だから、今はまだ・・・。
「メリー・・・違うんだ。そんなに硬くならなくてもいい・・・」
メリーの耳元でそうつぶやいて、メリーの体を離した。
そうだ。今からメリーに離さなければならないことは、そんなことではない。
もっと、メリーにとっては、つらいことかも知れないのだ。
ぎゅっっと硬く閉じていたメリーの目がゆっくりと開かれた。こわごわと前を見る。きっと俺が微笑んでいるのがメリーに見えるだろう。
メリーは、息を吐きながらゆっくりと体の力を抜く。
「メリーに話があるんだ」
俺はゆっくりと切り出した。不思議そうな顔で俺を見つめているメリー。まだ顔はほんのりと赤い。
「俺を殺しにくるやつらがこれから現れるかも知れない」
その言葉を聞いたメリーの顔が一気にっ緊張感を伴って引き締まる。
「うん」
「それを防ぐ方法は3つあるらしい・・・そう黒い鎌が言っていた」
「・・・鎌・・・?」
「紫のメリーに昨日の夜。襲われた。殺されかけた。彼女の攻撃を防ぐものはなかった。俺はとっさに黒い鎌を手に取った」
「・・・・・・」
メリーの目が少しおびえた。
299126 ◆dNexSJi1ew :2007/01/08(月) 21:02:47 ID:ugzeEAAk0
115番目
鎌を手に取ってしまった人間・・・。
以前に俺も一度メリーの前で鎌に触れ、鎌の中から流れ込んできた黒い塊に支配されそうになった。
そして、メリーの言う前の人・・・まとめサイトの管理人は、黒い鎌に心を喰われ、欲望だけのけだものに成り下がった。
人間が持つと、欲望を高められ支配されてしまう・・・。そんなする黒い鎌・・・。
それを手に取ったという行為に本能的に恐怖を覚えているメリーに、
「大丈夫だ。もう少しで紫のメリーを消してしまうところだったけどね」
と俺は、いった。
「そのときに黒い鎌と話をしたんだ。俺を殺しにくるものがこれから続々と現れるだろうって」
メリーの顔におびえは消えたが、不安な表情はまだきれいな顔に残っていた。
「黒い鎌のマスターになるためには、今のマスターが成し遂げられなかった契約を代わりに成し遂げることが必要。つまり・・・」
「・・・・」
メリーは息を呑んで次の言葉を待っていた。
「俺を殺したものが、黒い鎌のマスターになり、メリーはそのものの下僕となる・・・。」
「・・・そんなことは!」
・・・させない!と続けようとしたメリーの言葉をさえぎって俺は言葉を続けた。
「それを防ぐ方法・・・ひとつは、俺が自ら命を絶つこと」
俺の目をじっと見、目の奥にある真意を覗き込もうとしているメリー。
「2つ目は・・・俺がメリーに代わり、黒い鎌のマスターなること・・・おそらくは一時的に俺が鎌を使い、襲ってくる魔物を排除するということだろう」
メリーは驚いた顔を見せる。黒い鎌を使いこなせる人間などというものを想像できないでいる。そんな感じだ。
300126 ◆dNexSJi1ew :2007/01/08(月) 21:03:24 ID:ugzeEAAk0
116番目
「そして、3つ目が、俺とメリーの契約を解除させることだそうだ。つまり、メリーが俺を殺さず、俺が呼び出したという契約を破棄させるということだと思う・・・」
「契約を・・・?」
「しかし・・・この方法については、黒い鎌も知らないらしい」
「え?」
―――――一度交わした契約を解除したことがあったという話は聞いたことがあるが、もう何十年も前に一
度だけだ。それがどのように行われたのかはしらぬ。誰が知っているのかも、わからぬ。
黒い鎌はそう言った。
「それで、俺は黒い鎌を使ってみようと思う」
俺は思い切ってメリーにそう告げた。
「ただ、本当に使いこなせるかどうかはわからない。でも、メリーをほかのものの下僕なんかにはさせたくない」
俺は握っているメリーの手をさらに強く握った。
「俺は死なないよ。メリーに他人に大事にされることが当たり前なんだってそう思ってもらえるまでは」
俺はメリーに微笑んだ。
「ただ・・・もしも、俺が黒い鎌を使いこなせなかったとき・・・」
俺は真剣な顔でメリーに言った
「メリーの手で、俺を・・・」
最後まではいえなかった。メリーが首を横に振りながら俺の胸に抱きついてきていた。
301126 ◆dNexSJi1ew :2007/01/08(月) 21:05:22 ID:ugzeEAAk0
とりあえず今日はここまで中途半端ですがwww

・・・ちなみに今までのお話は
http://mary126.seesaa.net/

こちらに掲載しています。
302本当にあった怖い名無し:2007/01/08(月) 22:15:25 ID:8zT4rrHJO
GJ!!
303Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/01/08(月) 22:20:04 ID:A9inhxCd0
きゃー、126さん、がんばってー!
304本当にあった怖い名無し:2007/01/09(火) 10:27:47 ID:jbv1K0iz0
>Lady メリー ◆MERRY.VeEM

のんびりスレは、やっぱり終わらないことにした。
新スレはこちら
http://life8.2ch.net/test/read.cgi/mental/1168304775/l50
305スナフキン ◆Mhc47gmqgs :2007/01/09(火) 16:10:33 ID:XXT07D3T0
本部はこちら、コテスレ復活です。

http://life8.2ch.net/test/read.cgi/mental/1168326215/l50
306Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/01/10(水) 00:28:47 ID:fv32yE4M0
>>304-305 どっちやねん!

召還先は一つにして欲しい・・・
307スナフキン ◆Mhc47gmqgs :2007/01/10(水) 00:42:00 ID:qpZtWwd40
>>306
こんばんはw
>>305の方に召還をお願いしますw
308本当にあった怖い名無し:2007/01/10(水) 19:12:59 ID:eCBhyy2wO
126パパGJ!!
超GJ!!


黒メリータソ可愛すぎる…
(*´Д`)
309本当にあった怖い名無し:2007/01/11(木) 13:57:17 ID:6ZELY9qI0
動くだけです。
SDめりーさん?
ttp://iiaccess.net/upload/view.php/000848.swf
310ハタチ ◆SKkgUPW1u. :2007/01/11(木) 20:09:25 ID:vluev05PO
長ーくなるけど、>>211からの続きです
311ハタチ#:2007/01/11(木) 20:14:11 ID:vluev05PO
随分と軽くなった財布を片手に、俺たちは喫茶店を出た。
 「ねえ、どうせここまで来たんだから、もう少し遊んでから帰ろうよ」
 メリーの提案に俺は少し思案する。
 ここはデパート。品の良し悪しはあれど、見て回るには良いかもしれない。
 外に出て少し歩けば、いくらでも遊ぶ場所は見つかる。
 帰りの電車も、一本遅らせてもそう遅くはならないようだ。
 「そうだな、帰っても暇だからな。良いだろう」
 そう言って俺が一歩踏み出そうとした時、メリーがぐい、と俺の右手を引いてきた。
 あまりの力強さに体勢を崩しかけながら、俺は彼女を振り返ろうとした。しかし、
 「振り向かないで。そのまま、ゆっくりと前に歩いて」
 静かな、しかし鋭い声が、俺の耳の奥を刺し抜いた。
 内心、疑問と多少の焦燥を抱えつつも、俺は平静を装い、彼女の指示にしたがって、ゆっくりと歩き出す。
 「ねえ、香澄、この後どこに行く?――このまま、出口に――あ、まさか帰るなんて言わないよね?」
 普段の会話、その合間に小さく、素早く、彼女の指示が織り交ざってくる。
 店内の喧騒の中、メリーの声だけが澄み渡って聞こえた。
312ハタチ ◆SKkgUPW1u. :2007/01/11(木) 20:19:23 ID:vluev05PO
 行きかう人々の動きが、まるでビデオの早送りのように見え、まるで別の世界を歩いているかのようだった
 「ベタだけど、たまにはカラオケなんて良いよね?――このまま、外に出たら、人気の少ないところへ――私、歌わないけどねー」
 出入り口付近の人の動きが、今まで以上に加速して見えた。
 自動ドアの開閉するその様が、昆虫類の左右に開閉する顎のように見えた。
 音を立てて、自動ドアが閉まり、ガラスに俺とメリーの姿が映し出された。
 ガラスに映ったのは、店内に出入りする人間と、手を繋いだメリーと俺。
 そして、俺たちの後ろに立つ、女。
 いや、女と形容するには、あまりにも幼すぎる。なにしろ、背の高さはメリーと同程度だから。
 その彼女と目が合った瞬間、
 「――香澄ッ!!」
 メリーの叫び声が聞こえて次の瞬間、俺たちは――
 ――落ちた

 突如として足元に現れたのは、観音開きの木製の重厚な扉。それがばくん、と音を立てて開き、メリーと香澄を飲み込むと、自動ドアのよう勝手に閉じると、すっ、とかき消すようにして消えた。後にはテカテカと光るデパートの床が残るだけだった。
313ハタチ ◆SKkgUPW1u. :2007/01/11(木) 20:24:32 ID:vluev05PO
 メリーたちの消える一部始終を目撃したものも何人かいたのだが、理解しがたい情況に、適当な理由をつけて納得してしまった。
 
 四方を石の壁に囲まれた、筒のようになったその中をひたすらに落下していく。
 下から上へ流れていく視界。耳元を吹き抜ける風の唸り声が、次第に大きくなっていく。
 落ち行く先は、暗闇に包まれ果ては見えない。
 「香澄!!」
 落下時の衝撃で繋いでいた手は離れ、メリーと香澄は中空で離ればなれになってしまった。
 メリーは必死でもがいて、なんとか香澄に近寄ろうとするのだが、しかしその距離は思うように縮まらない。
 「メリー!!」
 香澄も手を伸ばすが、しかしメリーまでの距離が遠すぎる。
 その伸ばした手の先、メリーの後方。自分たちが落ちてきた穴の上方から、何かが急速に接近してくるのを、香澄は見た。
 「……メリー!! 後ろ!!」
 香澄の叫びに反応して首を後ろに向けたメリーの目に映ったのは、石造りの壁を蹴り飛び、いびつな螺旋を描くような軌道で迫る者の姿だった。
 猛烈な勢いで駆け下りてきた者はメリーと香澄の脇を、ごうっ、と音を立てすれ違った。
 すれ違うその一瞬、香澄はその者の姿をしかと見た。
314ハタチ ◆SKkgUPW1u. :2007/01/11(木) 20:26:41 ID:vluev05PO
 栗色の髪を縦にロールした少女。血の雫で出来たかのような紅い瞳は大きく、そこに幼さを生み出し、漂白されたかのような色の無い肌の上で一層映えて見えた。フリルが風に靡く白いドレスはスカートの裾が、逆さしたワイングラスのような形に開いていた。
 白いドレスの彼女は、メリーたちを追い抜いて落下し、そのまま姿が見えなくなるかに思えた。
 が、突如として白のドレスの彼女の行く手を遮るようにして、何かが壁から生え出た。
 それは表面に人間の顔と服装を掘り込まれた、一見すると鉄で出来た風変わりな棺おけにも見える代物だった。
 だが、それは棺おけなどと言う生易しいものではない。
315ハタチ ◆SKkgUPW1u. :2007/01/11(木) 20:28:53 ID:vluev05PO
の彼女の行く手を遮るよ それは、「鉄の処女」と呼ばれる拷問器具だった。
 内部に無数の針を生やし、中に閉じ込めた人間に無数の針穴を空けるという、あまりにも有名な拷問具。
 突然、壁から突き出た拷問器具の外面は、白いドレスの彼女が駆け下りてきた勢いそのままに飛び乗っても、しっかりとその衝撃を受け止め、そして再び彼女が駆け出す足場としての役割を果たした。
 白い彼女は落下してくるメリーたちに向かい、今度は飛び上がった。
 落下と上昇。方向性が違うため、両者の接近は異常なほど早く、
 「香――」
 メリーの忠告が届くよりも早く、白のドレスの彼女の一撃が、香澄の腹部に叩き込まれた。
 「うあっ……!!」
 強烈な衝撃を受けて、香澄は息を吐き出した。
 ただ、咄嗟のこととは言え、香澄も無防備でいたわけではない。
 突き出された拳に合わせ、防御の体制を一応はとったのだ。
 だが、あまりに強烈な一撃に、防ごうと構えた腕は跳ね除けられ、半ば無理矢理に攻撃がねじ込まれてしまったのだ。
 宙での攻撃の衝撃と反動で、香澄と白いドレスの彼女は互いに弾かれた。
316ハタチ ◆SKkgUPW1u. :2007/01/11(木) 20:32:24 ID:vluev05PO
 白ドレスの彼女は、再び壁から生え出た鉄の処女を足場として一旦着地。その直後に再び宙に身を躍らせる。
 しかし、香澄は弾かれた勢いのまま壁に接近、このままでは高速ですれ違う壁に激突する事になる。
 「香澄!!」
 メリーは何とか彼に近寄れないかと、腕を振り上げ、そしてその手を自分の脇を流れる壁に向かって振るった。
 石の壁は脆く、獣の爪で抉られたかのような傷を刻まれて過ぎ去っていった。
 その、壁を抉った反動で彼女は今まさに壁にぶつかろうとしている香澄に近寄り、服を掴んで強引に手繰り寄せると、彼を抱えるようにして抱いた。
 「香澄、怪我は無い?」
 「……ああ」
 彼の声は苦痛のためだろう、いくらか震えていたが、しかしどうやら無事のようだ。
 それを確認すると、今度は白のドレスの彼女の姿を探し、視線を巡らせる。
 白ドレスは、メリーたちの上方を再び駆け下りてくるところだったが、その距離はまだ開いており、迫りきるまでにはまだ時間がかかりそうだった。
 ならば、とメリーは抱えた香澄の耳元に口を寄せる。
 「香澄、痛い思いをしたばかりで悪いんだけど、協力してもらうよ」
317ハタチ ◆SKkgUPW1u. :2007/01/11(木) 20:37:32 ID:vluev05PO
 メリーは、香澄の背に手を当てると、
 「……ごめんね」
 どん、と強くして、白ドレスの方向へと突き飛ばした。
 「な――」
 唖然として目を見開いた香澄は、しかし素早く状況を理解し、白ドレスと肉薄した瞬間、右手で力の限りの一撃を繰り出す。
 しかし、白ドレスはそれを左手で軽く叩き、それだけで香澄の、何も支えるものが無い宙での進行方向はずれてしまい、二者は高速ですれ違う結果となった。
 「ふふっ……甘いねぇ」
 白ドレスはほくそ笑んだが、その鼻先に金髪紅眼の少女の顔が現れた事で、その笑みは驚愕の表情に上書きされる。
 突き飛ばした香澄はあくまで囮。白ドレスが彼に気を取られてる間に壁を駆け上がり、奇襲をかけたのだ。
 「久しぶり、エリザ」
 感情を含まない無機質な声が、エリザと呼ばれた彼女の耳を打つより早く、メリーの右手が一閃された。
 ぱぁん、と弾けるような音が響いて、エリザの左頬に二筋の爪痕にも似た傷が刻まれた。
 その傷からは赤い血が流れることはなく、代わりにどこまでも暗い闇がぱっくりと口を開いていた。
 ――メリーと同じ、人形
318ハタチ ◆SKkgUPW1u. :2007/01/11(木) 20:38:37 ID:vluev05PO
「愚、鈍、だね」
 ぎゅう、と口の端を吊り上げ、メリーがさらに一撃を叩き込まんと、振り上げた右腕を返して突き放った。
 が、その一撃はエリザの両の腕によってがっちりと掴まれ、受け止められてしまった。
 「だぁれが、愚鈍だってぇ?」
 エリザの口元こそ笑ってはいたが、しかしその力の限り見開かれた紅い眼は、ぎらぎらと異様な光を放っているように見えた。
 エリザは掴んだ腕を引き、メリーの体を手繰り寄せるとその細い首をがちりと右手で掴み、そして蹴り下っていた壁を横に蹴り、対面の壁に向かって飛んだ。
 「おぉら、削り殺されなぁ!!」
 エリザはメリーを、高速で流れる壁に押し付けようと右手を突き出すが、メリーは壁に指を突き立て、体が壁に触れないようになんとか耐える。
 突きたてた指は、壁を抉り、落下の方向を右に左に変えながら落下の勢いを次第に殺していく。
 「生意気なぁ!!」
 ぎり、と首筋を掴む手に力を込めつつ、エリザは押し付ける腕にも力を入れる。
 「さっさとぶっ潰れちまいなぁ!!」
 エリザは勝利を確信して吠えた、が、その直後、彼女の視界が突如の衝撃によって大きく揺れた。
 「な!?」
 「――潰れるのはお前だ」
319ハタチ ◆SKkgUPW1u. :2007/01/11(木) 20:40:13 ID:vluev05PO
 声のした方向に目を向けると、そこでは香澄が、エリザの頭を両足の裏で踏みつけていた。
 先の奇襲の後、重力に任せ落下していた香澄だったが、メリーがエリザに捕らわれ、しかし壁を抉って落下速度を減速させたため、香澄がメリーたちに追いついてしまったのだ。
 さらにそれだけではなく、メリーは壁を抉る時にその手を微妙に傾け落下方向を左右に調整し、香澄の落ちて来る地点へと、自らとエリザの位置を移動させたのだ。
 後は、落ちてきた彼がエリザに一発叩き込む、という寸法だが、しかしこの一連の動きは初めから予想されたものではない。
 香澄が囮となり、メリーが奇襲する段階までは計算のうちだが、その後の二段目の奇襲は即興である。
 メリーの行動、その意を読み取り合わせる事に、香澄はどうやら長けているらしかった。
 「こぉの、餓鬼がぁ!!」
 踏みつけられた事により、エリザの手はメリーから引き剥がされ、香澄と共に落下する。
 「人間の分際でぇ!! この私にぃ!!」
 蹴り付けられて歪んだ首の関節を、ぎちぎちと鳴らして香澄を睨み上げる。
 「……タフだな。さすが人形と言ったところか……いや、足場が無い場所での一撃だからか?」
320ハタチ ◆SKkgUPW1u. :2007/01/11(木) 20:44:20 ID:vluev05PO
 あくまで冷めた香澄が、冷静な思考で切り返す。
 その様子を見てエリザは、怒りに食い縛った歯までもぎちぎちと鳴らす。
 「足場のある場所がお好みかい!?」
 エリザは、ばっ、と両腕を開いた。
 「だったら、これでどうだい!!」
 するとその瞬間、四方を取り囲む壁が消え、その代わりに遥か下方、暗闇の中に石畳の床が見えてきた。
 「あっはははは!!」
 甲高い笑い声を上げながら、エリザは落下していった。
 「香澄」
 落下の勢いが増して追いついたメリーが、香澄を捉え、抱きかかえた。
 「さっきはごめんね。囮に使っちゃって」
 メリーは、申し訳なさそうに眼尻を下げた。
 「……別にいいさ」
 それに対して香澄は、一言で受け流してしまった。
 「でも、よく機転が利いたね?」
 一段目の奇襲の後の行動について問いただしてみたが、
 「……別に、ただ落ちただけだ」
 やはりこれも、適当にあしらわれてしまった。

 どん、と石畳を踏み抜く程の勢いで着地したメリーは、しかしその腕に抱えた香澄に傷を与える事も無く、衝撃を緩和するために折った膝を、ゆっくりと伸ばした。
321ハタチ ◆SKkgUPW1u. :2007/01/11(木) 20:45:29 ID:vluev05PO
 体勢を整えたメリーの睨む先、そこでは一足先に降り立ったエリザが、ぎょろ、と見開いた眼で睨み付けてきた。
 「よくもやってくれたねぇ!!
 たかが、ピスキー(注:祝福を受けずに死んだ子供の魂がなると言われる妖精)と人間の分際でぇ!!」
 エリザは頬の傷を撫で、歪んで若干ずれた首の関節を、ばくん、と音を立ててはめ込んだ。
 「そんなに死に場所が欲しいのかぁい? だったらここは、うってつけさぁ!! 」
 演劇の舞台に上がった女優の様な優雅さで、エリザは両腕を横に広げてみせた。
 「ここはチェイテ城、お前たちのような馬糞野郎どもがおっ死ぬには、お似合いの場所さねぇ!!」
322ハタチ ◆SKkgUPW1u. :2007/01/11(木) 20:46:25 ID:vluev05PO
今回ここまでです
長くてごめんなさい
323Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/01/11(木) 23:49:56 ID:beiJJz5P0
ハタチさん!
うっわ、なげ!
と思ったけど一気に読んじゃいました!
お城の中の探検もおもしろそうだけど・・・、
続き待ってます!
324本当にあった怖い名無し:2007/01/13(土) 10:55:43 ID:H42ryiI0O
アゲ
325126 ◆dNexSJi1ew :2007/01/13(土) 23:17:23 ID:xtZbUv+P0
少しだけいきますね!
皆さん、感想、コメント本当にありがとう!
326126 ◆dNexSJi1ew :2007/01/13(土) 23:18:56 ID:xtZbUv+P0
117番目
メリーは、ただ俺の胸に顔を押し付けていた。
俺もしばらくの間、メリーをそのままにしていた。
メリーと出会ってから、まだ2日とたっていない。
なのに、今こいつが何を考えているのか、なんとなくだがわかる気がした。
あの妄想の中、俺はこいつとおそらくは何十年かの時を過ごした。
妄想とはいえ、現実と同じように笑い、現実と同じように怒ったり、泣いたりもした。
その時間の中で心を通わせてきた。
こいつが何を思っているのかわかる気がするのは、それだからなのかも知れない・・・。
何年たっても、何十年たっても、大丈夫だ。
俺はこいつを大事にできる。その思いを色あせることなく持ち続けることができる。
俺はそう確信している。
メリーの考えていること・・・それは・・・。
俺に鎌を持たせるくらいなら・・・
「私・・・守るよ・・・」
ふいにメリーが俺に胸の中でつぶやいた。
「たかしさんにそんな危ないことさせるくらいなら、私が守る」
そういって顔を上げて俺を見上げるメリー・・・。目が真っ赤だ。しかし、その目にはきりりとした決意が宿っている。
きゅっと結んだ唇。幼くも整った顔立ち。目はじっと俺の方を見ていた。
俺はメリーをもう一度抱きしめ、
「だめだ。メリーがあの鎌を持ったら、あの黒い鎌の意思・・・たくさんの思い・・・それをまた感じなければならないだろ?」
そうだ・・・人外のものとはいえ、精神的にはまだ少女のままのメリーにあの圧倒的な絶望感にも似た黒い塊を二度と体験させたくなかった。
「大丈夫だ。黒い鎌は俺を殺させはしない。鎌自身の意思が、ほかのものに所有されることをよしとしない」
だから・・・
「鎌に交渉だ」
327126 ◆dNexSJi1ew :2007/01/13(土) 23:22:28 ID:xtZbUv+P0
118番目
俺はできるだけやさしくメリーの髪をなでた。俺自身その交渉がうまくいくかどうかわからない。しかし、鎌自身のプライドの高さゆえに俺の要求を拒まないだろう
俺は、驚いた顔で俺の方を見ているメリーを少し離して、床・・・ベッドの下の毛布に包まっている黒い鎌を手にした。
「鎌・・・・黒い鎌よ・・・俺の意思を沈みこまないように、俺をのっとらずに、俺にお前を使いこなせるようにできるか?」
メリーが明らかにおびえている。しかし、いざとなれば俺の手から鎌を奪う体制で構えている。
メリー自身もまた俺がメリーの言うことを聞かずに鎌を手にすることをわかっていたのだろう。
わかった上で、攻撃態勢のまま俺の横に立っている。
ぐをををぉおぉぉぉぉぉん・・・・。
鎌から黒い塊が流れ込んでくるような感覚・・・もう何度も経験した不快感。
だが次第にその衝撃は和らいでいる気がする。
――――なめられたものだな。
黒い鎌はそう言った。それは俺の頭の中に直接響いている感覚・・・。
しかし、メリーの目が俺を見る。メリーの目は自分にも・・・鎌に触れていない自分にもその鎌の声が聞こえていることをしましていた。
――――お前ごときが、わしを・・・わしにのっとられずにわしを使いこなせるとでもおもっているのか?
――――先ほど、あれだけの動きが取れたのはお前の体の神経をこちらで操作したからだ。
「わかっている。俺はまったくお前にのっとられている状態で危うく人ではないにしろ、女の子を一人手にかけてしまうところだった」
俺は体の中の黒いものに向かって今までと同じように感情を押し返すようにぶつけた。
「お前は、危険だ。もしも、ほかの人間やメリーに危害が及ぶようなら、俺は体を預けることはできない」
――――なるほど・・・。外から来る魔物を排除する気になったか・・・。
「ああ、ただし、そいつらから契約の解除の方法を探り出す」
メリーが、少し攻撃態勢を緩めて、俺の顔を見た。
328126 ◆dNexSJi1ew :2007/01/13(土) 23:27:02 ID:xtZbUv+P0
119番目
俺はかまわずに続ける。
「そして、メリーを自由の身にした上で、俺と暮らしてもらうように頼む」
――――それはいい。
鎌が笑っていた。それは物理的な笑いではなかったが、さげすんだような、哀れみを伴った冷ややかな笑いの波が俺の胸に押し寄せてきていた。
――――そうなれば、よりいっそう、お前によってメリーは幸せになるな。幸せになればなるほど、お前が死んだとき・・・
そうだ・・・黒い鎌の目的は、メリーを不幸のどん底に叩き込むこと。それによって人の心をつぶし、人形メリーとして、人外のものとして成長させること・・・。
しかし、そんなことをさせない。
俺は鎌を握り返した。俺の胸のうちは言わずにいた。
もしかしたら黒い鎌のことだ。俺の心などとっくに読みきっているかも知れない。けれども、俺は言わずにいた。
――――いいだろう。少しの間、お前がメリーに変わりわしのマスター代理だ。
あまりの素直さに不気味に思ったが、俺の中から引き上げていく黒い塊の感触を感じ、俺はメリーに笑顔を返した。
「お、おわったの?」
「ああ、おわった・・・」
心底疲れた・・・。メリーの手を引き、もう一度抱きしめた。
「おそらく、とりこまれることはないよ。もしもそうなっても・・・」
「私に・・・たかしさんを殺せ・・・なんていっても無理・・・だよ・・・」
遠くを見ながらメリーが言う。
「いわないよ」
俺はメリーの顔を上げさせ、
「メリーの笑顔があればね、きっと取り込まれたりしない」
そう言ってメリーの顔に少しづつ近づいて・・・。。
329126 ◆dNexSJi1ew :2007/01/13(土) 23:37:46 ID:xtZbUv+P0
きょうはここだ間でえす
330本当にあった怖い名無し:2007/01/13(土) 23:57:58 ID:V7aDMIBLO
ハタチサソきたぁ!

同じくなっげ〜と思った奴w
そして引き込まれてスルスル読めちゃった奴w

続きも楽しみ


パ、パパ!!

近付いてどうしたんだ!!

つ、続き〜!!
331Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/01/14(日) 13:49:22 ID:8l55Iqdx0
新作さぼってます、すいません。
このところ、ホームページの整理で・・・。

特に真新しいものはありませんが、
Lady メリー第四章までうp完了しました。
文尾の表現や、句読点、段落などをいじってますが、ストーリーに変化はありません。
過去作品をまとめて読みたい方こちらを・・・。
332Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/01/14(日) 13:50:22 ID:8l55Iqdx0
こちらですっ(途中で送信しちまった)

つ http://1st.geocities.yahoo.co.jp/gl/amekazelionmaru
333本当にあった怖い名無し:2007/01/14(日) 20:34:57 ID:3GNaIKZWO
2ちゃんねる閉鎖のお知らせ
334K。:2007/01/16(火) 00:17:12 ID:ijV5qVbf0
場所をお借りいたします。

>>269からの続きです。
335K。:2007/01/16(火) 00:19:21 ID:ijV5qVbf0
「kyrie eleison」1/3

「…で、疲れて寝ちゃったの?」
 カズミは腰に手を当てて仁王立ちのまま聞いた。
「ま、そんな所かな。たははは」
 ソファの下で半身を起こして竜はバツが悪そうに笑った。時計はすでに午後を指している。
日当たりの悪い部屋ではあるが徐々に傾いてきている日差しが窓から入り込んでいた。
 部屋のどこにもメリーと名乗った少女の姿はなかった。
 白い紙で包まれたハムスターの遺体が3つ棚の上に乗せられていて、
それが無ければ昨晩の出来事はすべて夢だったのかもしれないと錯覚するほど、
何の痕跡もなく彼女は姿を消していた。
「そう云うあんたは、今まで何してたんだよ?」
 竜はポケットをあさりながら不機嫌を装った声を出した。ジーンズの後ろポケットから潰れた煙草を見つけ出して、
クシャクシャになっているそれを口にくわえた。
「あたしィ?あたしは…竜からハムスターを受け取った所までは覚えてるんだけど…
気がついたらこんな…わ!ちょっとやだ!もうこんな時間!とりあえず仕事行かなきゃ!準備するわ」
 カズミはあわただしく喋りながら奥の部屋に飛び込んだ。
「仕事場まで車で送るぞ?」
 急に現実に帰ったカズミに部屋越しに竜が声をかける。
奥から「たのむわー」と返事が帰ってきた。
 竜は煙草に火をつけようとして、腕のだるさで昨夜…もとい、今朝の少女の存在を改めて確認した。
 自分の身長の半分にも満たない小さな少女が自分たちをからかったとは考えにくい。かと言って、
彼女の話は突飛過ぎて全て真実とも思えない。
せめて、もう少し大人の少女なら不思議な話に傾倒する文学な人とくくってしまえる。
しかし、大人びた風ではあるがどう見ても10歳にも満たないような幼さない少女。
ひょっとしたらもっと幼いかもしれない。せめて事件に巻き込まれてなければいい。
竜は煙草の煙を目で追いながらぼんやりと考えていた。
「おまたせっ!口紅よれてないかしら?」
 カズミが派手な化粧をして奥の部屋から飛び出てきた。
336K。:2007/01/16(火) 00:20:29 ID:ijV5qVbf0
「kyrie eleison」2/3

 竜はよく見もしないで「OK、OK」と言って立ち上がった。
 カズミはジップロックに死体達を詰めると冷凍庫から保冷剤を出して一緒にかばんの中にしまった。
「帰りに焼いて来るわ。」
「動物管理センターで?なら、俺が行ってやるよ。」
 カズミは躊躇した。
自分で持っていって焼こうが他人に頼もうが結果的には同じことだと頭で理解はできるのだが釈然としなかった。
 しかし、竜の表情にその言葉の意味を理解してかばんの中から袋を取り出した。
「…たのむわ。悪いわね。」
「今んとこ、毎日が日曜日だからね」と竜は冗談めかせて笑った。

 巨大な写真の看板やのぼりの掲げられたビルが立ち並ぶ歓楽街の入り口に車が差し掛かった。
不夜城と皮肉られるこのあたりは昼間は車も人も少ないが、夜と変わらず営業はしているのだ。
「そこの角でいいわ。ありがと。」
 カズミがそう言って車から降りようと視線を動かしたその先に、黒い服の少女が飛び込んできた。
それは確かめるまでもなくメリーだった。
 彼女は右手にぬいぐるみを奇妙な形で抱えもち、左手で電話をするような仕草をしている。
「りゅ・・竜、あれ、メリーじゃない?」
カズミが指差した先の路地にメリーが入って行くのが見えた。
卑猥な冗談の踊る看板の下を自宅に帰るような確りとした足取りでメリーは歩いていた。
「何であんなところに?つうか、あそこって…」
 竜は言葉を呑んだ。メリーがぬいぐるみを奇妙に抱えているように見えたのは、
それに深々と刺した短剣と自分の体で挟むようにして持っているからだった。
しかもメリーの向かっている先はカズミが行こうとしている職場のあるビルで、子供が出入りして良い様な場所ではなかった。
カズミと竜は目を見合わせた。
「どういうこと?竜、ちょっと待っててね?」
337K。:2007/01/16(火) 00:21:57 ID:ijV5qVbf0
「kyrie eleison」3/3

 カズミは小走りに路地に向かった。ビルの裏口、ガラス戸の向うに見慣れた人物とメリーがいるのが見えた。
 二人の足元に携帯電話が落ちている。
 真っ青な顔をした見慣れた人物…それはカズミの職場の店長だった。
ぬいぐるみも店の女の子がゲーセンで取ってきた物だったが、彼が何かと可愛がっていたものだ。
カズミが駆け寄っている間にも、二人の間合いが縮まり、見慣れた店長の顔は醜悪な欲望の形相に変わって行った。
 カズミはガラス戸に手をかけた。が、それは一歩遅く、メリーに掴み掛った店長は胸に短剣受けた。
 美しい顔を悦びで歪ませてメリーは笑った。
短剣を受けた衝撃で横倒しになった男は恐怖に目を見開き、何かに助けを求めるように悶えた。
馬乗りになったメリーは引きつる様な笑い声を洩らしながら両手で短剣を男の胸に食い込ませ続けた。
空を掴むように揺らめいていた腕が床に落ち、やがて男の瞳から光が消えた。
「メリー!」
 叫び声をあげたのは竜だった。
呆然とするカズミを押しのけて床に転がる男とメリーに駆け寄った。
 メリーは瞳を動かさずに首を廻らせて竜を見た。潤んだ唇から吐息が漏れ、
うっとりと夢見るような仕草で男の胸から短剣を引き抜いた。
 竜は血が噴出すのを覚悟したが、男の胸には何の傷もなかった。
黒い短剣から低く愉しそうな歌声が流れていた。
 その横で竜が男の口元に耳を寄せた。
「動かなくなっちゃった。」
メリーはつまんなそうに言った。
「カズミ!救急車呼んでくれ!まだ息がある!」
その声でカズミは我に返り、携帯を取り出し震える手で電話をかけた。

今回はここまでです。続く・・・。
338Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/01/16(火) 00:45:52 ID:IkEr74nW0
おおおおいらの好きな展開・・・。

ちゃんとこのあとも2ch続くんだろうな・・・!?
途中でみんなの話が切れたら・・・うがあああ
339本当にあった怖い名無し:2007/01/16(火) 05:05:16 ID:wW4sVFpe0
最近、盛り上がってて楽しみにしてるのに、なくならないことを祈る
340帆船 ◆iD/1YWB31E :2007/01/16(火) 19:32:50 ID:+edodFOP0
閉鎖まで7日と2時間となった今・・・
改めて、以前の危機の時を振り返ってみたいと思う。
興味がある人はどうぞ。

UNIX板・・・あのときの栄光・・・
http://flash.flop.jp/kiki.html
341ハタチ ◆SKkgUPW1u. :2007/01/17(水) 20:55:47 ID:OGj0/oCsO
2ch続いて行くみたいで良かったよかった
そんなわけで>>321からの続きです
342ハタチ ◆SKkgUPW1u. :2007/01/17(水) 20:56:30 ID:OGj0/oCsO
 「香澄、下がっていて」
 メリーは香澄を床へ下ろすと、一歩前へ歩み出て、右手で彼を制した。
 「香澄、前に、私はあなたと一緒にいる事で、大きな力を発揮できると言ったよね?」
 メリーは、エリザから目を話さずに、香澄に問いかける。
 「私は『繋がった』あな在、誰とも『繋がって』いない」
 ここでメリーは、ぎり、と歯を噛み締めた。
 それは焦りを抑えているような、怯えを静めているような、険しい表情下での行動だった。
 「でも、それでも私が彼女に勝てるかどうか、分からない」
 呻くようなメリーの声を聞いたエリザは、きゅうっ、と唇の端を吊り上げた。
 「おやおや? 随分と私のことを評価してくれるじゃないか?」
 ごりごりと、歪んだ関節が擦れる音を立てて、エリザが首を回す。
 「なら、また見捨ててみるかい? 『繋がった』人間を、『契約者』を!
343ハタチ ◆SKkgUPW1u. :2007/01/17(水) 20:59:00 ID:OGj0/oCsO
 「……」
 メリーは、黙ってエリザを睨み付けた。
 「おやおや? だんまりかい? まあ、いいさね。そうやって黙っているうちに、
 あんたの後ろの無能な人間は――」
 ニタニタと、笑みを浮かべるエリザの目前に、一瞬でメリーが踏み込み、右手での手刀をエリザの眉間を狙って突き放つ。
 だが突如として、エリザの眼前に足元から、彼女の背丈と同程度の高さの石の壁が生え出て、メリーの手刀は壁を突き、中にめり込んでしまった。
 「焦ったって、だれもイけやしないさねえ? まあ、もっとも――」
 壁の向こうから、エリザの下卑た笑いを含んだ声が聞こえて、
 「――あんたの彼氏は、どうかねぇ?」
 はっとしてメリーが振り向いた時には、『鉄の処女』が香澄の背後に現れたところであった。
 ぞろりと針の生え揃った内部をさらけ出し、それを閉じる者の姿も見えないくせに、今まさに香澄を挟み込もうとしていた。
 「香澄ぃッ!!」
 メリーの叫びに香澄は、背後の拷問具に気付き、跳んで避けようとしたが、しかしどうやら間に合わない。
 攻撃が避けられないのなら、受ければいい。
344ハタチ ◆SKkgUPW1u. :2007/01/17(水) 21:02:39 ID:OGj0/oCsO
 しかし、ただの人間である香澄に、鋭い鉄の、しかも無数の針を防ぐ事など到底不可能。
 だったら、私が――と、メリーはそこから駆け出したい。
 だが、壁に撃ち込まれた腕は、存外に深く突き刺さり、抜き出す事ができない。
 「あっはは、あははは!!」
 床だけが延々と石畳の続く空間に、エリザの高笑いが響いた。
 相手は万策は尽きた――エリザは確信の気持ちから湧き上がってくる、快感の感情に身を震わせた。
 だが、メリーは諦めていなかった。必死の形相で、自分の右腕を睨みつけると、
 「この、この――」
 まだ自由の利く左腕を振りかぶると、壁に刺さって動きの取れない右腕に向かって、
 「――この野朗ぉお!!」
 一気に振り下ろした。
 彼女の右腕は、驚くほど呆気なく、すか、と切断された。
345ハタチ ◆SKkgUPW1u. :2007/01/17(水) 21:07:31 ID:OGj0/oCsO
今回はここまでです

>>323>>330
お二方とも、読んでいただいてどうもです。あんなに長いものをw
感謝感激感涙、感無量ですよw
346Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/01/18(木) 00:14:05 ID:nAyULM+Z0
満身創痍のメリーさん・・・
こっちのメリーさんは、助けにいけるのでしょうか?

K。氏のメリーさんも大変な事に・・・あ、メリーさんの周りがか・・・。

お城の中の探検も待ってますw
347 ◆.Lx.lZRN1c :2007/01/19(金) 00:58:52 ID:nbjcAiBR0
小ネタ貼らさせてもらいます( ・ω・)
348 ◆.Lx.lZRN1c :2007/01/19(金) 01:00:01 ID:nbjcAiBR0
あの電話が、もうすぐ来るはずだ。僕は、まんじりともせずに待ち続けていた。
携帯のベルが鳴る。すかさず着信。電波の向こうから聞こえてきたのは少女の声だった。
「私メリーさん。今○×町にいるの」
僕がいる町の、隣の町だった。前の着信より、だいぶ近付いてきている。しかし…。
途切れ途切れの声のか細さは、迫り来る結末を暗示するかのように、不気味であった。
こちらから問いを発する間もなく、いつものように、一方的に断ち切られる会話。
ツー、ツー、と虚しく響く機械音を聴きながら、僕は不吉な予感に身をよじらせていた。
しばらくして、再びベルが鳴った。
「私…メリーさん。今…△△町にいるの…」
それは僕が今いる、この町であった。近い。もうすぐだ。またベルが鳴る。
「…私…メリーさん…。今…あなたの家の…前に…いるの…」
近いなんてものじゃない、すぐそこじゃないか。でも…ああ…もう…。
「……私…メリー…さん……。…今…あなたの……後ろ…に…いるの……」
もうだめだ………!!
349 ◆.Lx.lZRN1c :2007/01/19(金) 01:01:04 ID:nbjcAiBR0
パァン

ワアアアアァァァァァァ

がんばれーーーー

「はい、こちら5号車です。箱根駅伝最終区、無念の繰り上げスタートとなりました。
 予選会から出場のオカルト学園、ここまでよく健闘してきましたが、最終走者には
 タスキをつなぐことができませんでした。あっ9区走者のメリーさん、今、中継所に
 入ってきました、タイムは…10秒、わずか10秒の差でした、残念!」
「スタジオの瀬古です。いやー、惜しい。もう、アンカーの、すぐ後ろまで来てたのに」
「まったくです。あっ、メリーさん、中継所に入ってくると同時に倒れ込むように、
 あっ、泣いております、介抱に来たチームメイトに二度三度頭を下げ、ああ無念ここに
 極まるといった風情でしょうか、ちょっとインタビューしてみましょうかメリーさん
 今のお気持ちをあっ何をすrqあwせdrっっっftgyふじこ         」

中継所近くの僕の実家から応援に来てた母が、荒れ狂う彼女を必死になだめたという。
350 ◆.Lx.lZRN1c :2007/01/19(金) 01:04:44 ID:nbjcAiBR0
小ネタ貼らさせてもらいました
どうもでした(・ω・)
351Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/01/19(金) 02:08:21 ID:GJHeX5FC0
母親は何者やねんっ

・・て、ほんわかしてていいなぁ、
てかトリに見覚えあるぞ・・・
久しぶりじゃあないかい?
352ワーム ◆.Lx.lZRN1c :2007/01/19(金) 23:38:02 ID:FKYj9yJM0
>>351
ども。お久しぶりです。いつも楽しく拝見しております。
件の母親については、
「元スゴ腕の退魔師、現在メリーさんとは息子共々家族ぐるみの付き合い」
という事でひとつ…とまあ付け焼き刃ですが…続きもないですし(汗)
これからもよろしくです。
353本当にあった怖い名無し:2007/01/20(土) 19:07:58 ID:UWTwVFNLO
角煮落ちた
354本当にあった怖い名無し:2007/01/20(土) 22:19:37 ID:klehETgj0
おちてねぇよ
355Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/01/20(土) 23:34:18 ID:Sxdl5Yl/0
トリだけだから、何を書いてた人か思いだせんかったが、
「花も嵐も」のメリーさん書いてた人かぁ!!

これからもよろしくだすぅ!!
356本当にあった怖い名無し:2007/01/23(火) 11:29:42 ID:2aUmPiKrO
あげ
357K。:2007/01/24(水) 00:36:14 ID:a4kwekcZ0
また場所をお借りいたします。

>>337からの続きです。
358K。:2007/01/24(水) 00:36:46 ID:a4kwekcZ0
>>337 からの続きです

「kyrie eleison」1/2

 竜は男の胸元に手を当てた。
刺された様な後が一切見当たらない。
確かに短剣が胸に刺さるのをこの目で見たのというのに。
「メリー、お前何をしたんだ?」
まだ男の腹の上にまたがったままのメリーはキョトンとしている。
「何?この中に一緒にいるよ。楽しい思い出と一緒に…」
メリーは竜に向けて真直ぐに短剣を突き出した。
刀身の中に何か影の様なものが蠢いている。
 形容しがたい感情が竜の胸の中に広がった。
それは、嫌悪感や憎悪、怒り、
それと同時に自分の芯が冷めて行く…そんな気持ちの悪い感情だった。
「竜…ごめん、その子…」
その声にはっとして竜は顔を上げた。
「お願い、連れて逃げて」
カズミが蒼白のまま懇願するように声を絞り出した。
 いつも竜なら、にべもなく断っていただろう。
しかし、なぜかその時彼女を連れてこの場から離れようと素直に動いた。
 竜は目だけでカズミに返事をすると剥き出しの刃物を持った少女を小脇に抱えた。
359K。:2007/01/24(水) 00:37:32 ID:a4kwekcZ0
「kyrie eleison」2/2

 エンジンをかけたままにしてあった車の助手席に投げるようにしてメリーを詰め込むと、
竜は車を出した。
 車通りの少ないビル郡を抜け、いつもなら避ける渋滞する道にはまり込んでから、
ようやく彼の思考がまともに働き始めた。
 もしかしたらこれは長い夢なのかもしれない。
自分ではどうにも出来ない何かの流れに巻き込まれているし、
現実にしては違和感がありすぎる。竜はそう考えた。
 助手席に座った幼い少女は窓に噛付くようにして流れる外の風景を見ている。
その小さな頭の亜麻色の髪は陽の光を浴びて輝き、
黒いドレスが白い肌をより一層白く見せて、
この世者とは思えない妖しさをかもし出していた。
いつの間にか短剣は鞘の中に仕舞われて、腰に釣り下がっていた。
「楽しいか?」
 ぶっきらぼうに竜が言った。
 メリーは外の風景に夢中になって返事をしない。
 竜はダッシュボードから箱のつぶれたタバコを取り出すと口にくわえて火をつけた。
タバコは途中で折れ曲がり破れ煙が漏た。竜は少し顔をしかめた。
「逃げて…って何のドラマだよ。」
 落ちつきを取り戻した竜はぼそりとつぶやいた。
逃げるといっても、あてが在る訳でもなかった。
竜は当面の目的を済ます事に決めてハンドルを切った。


・・・・今回はここまでです。
ありがとうございました。
360本当にあった怖い名無し:2007/01/24(水) 15:59:17 ID:TStSoDyg0
361鴉 ◆SURvnsCrow :2007/01/26(金) 01:43:00 ID:CPpx0fawO
age…
小ネタ書いて大丈夫ですか?
ギャグですが…
362Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/01/26(金) 06:55:26 ID:qfQwJeOK0
鴉さん、だぁいかんげい!


K。さん、もっとちょーだい♪
363K。:2007/01/26(金) 23:34:40 ID:3Oeg+T2K0
読んで頂いてありがとうございます。

再びお借りいたします。
>>359からの続きです
364K。:2007/01/26(金) 23:35:14 ID:3Oeg+T2K0
「kyrie eleison」1/2

 川沿いの道をしばらく走ると竜は動物管理センターと書かれた看板のある建物に車を止めた。
「面白くないだろうけど、ちょっと付き合えよ。」
そう言うと、竜はメリーを助手席から抱き上げた。
メリーはきょとんとしたまま竜の腕に抱きかかえられた。
 駐車場を抜けて、静かにたたずむ平たい建物の自動ドアを抜けると線香の香りが漂っていた。
受付に料金表が張られてあり、そこで竜はカウンター越しに2、3言葉を交わし料金を支払った。
カウンターにいた受付の男は伏目がちのままで、メリーに気がついた様子はなかった。
 小さな祭壇の様なものの前にジップロック入りのハムスターを置いて線香に火をつけた。
「なぁに?」
メリーが竜の首に手を巻いたまま片手を線香にのばした。
「あちいぞ。ちょっと待てよ…」
竜はそう言って、新しい線香をメリーの手に持たせた。
そして自分の手を添えて、蝋燭から火を移して立てた。
メリーは不思議そうにされるがまま従い、竜をじっと見つめた。
「ん?線香、知らないのか?要は、腐臭を誤魔化す為のにおい消しだ…と、語弊があるか…まぁ決まりごとだよ。弔うための儀式だ。」
竜はそう言ってリンを鳴らして片手だけで拝むと、その場を離れようとした。
「大事なのに置いて行くの?ねずみ…」
メリーは泣きそうな表情で抱いている竜の胸をたたいた。
線香の煙がゆったりとたなびいている。
365K。:2007/01/26(金) 23:38:07 ID:3Oeg+T2K0
「kyrie eleison」2/2

「大事って言ったのに、置いて行くの?」
 メリーはもう一度、竜の目を覗き込んで言った。竜は真直ぐにメリーの瞳を見返した。
黄玉の瞳に蝋燭の炎が映り込んでまるで涙が溜まっている様に揺れている。大事なハムスターだと、確かに説明した。
それなのにメリーにとっては初めて見る建物の中にハムスターを置いていくのは奇異に見えて当然だ。
「そか…。置いて行くの変だな。」
竜はつぶやいた。
「そうだなぁ…死んだ生き物は本当なら土に返すんだ。
そして、草とか虫とか色んな物の栄養になるんだ。それが自然の形だと思う。
でも、カズミの家はアパートだろ?だから、そこら辺に埋めたり置いたり出来ない。だから、ここで焼いてもらうんだ。」
「何で焼くの?」
「腐るからじゃねえか?焼くとちっちゃくなるしな。んで、焼いた煙がこぉ…な、自然に帰るというか…
ま、形がなくなっても心の中にいるから一緒にいるようなモンなんだ…ていう説明じゃだめかな?」
しどろもどろになっている竜の顔をメリーが覗き込んだ。
「形が無くなっても…心にいる?置いて行ったのに?」
メリーの目が暗く燃えるように揺れた。それに呼応するように彼女の腰の短剣が低い歌声を上げた。
「…誰の話しをしてるんだ?メリー。ハムスターは家において置く訳にはいかないんだ。大抵の生き物は死んだら焼いて墓に入れるんだ」
「捨てるの?」
「捨てるとは表現しない。どうした?」
竜は強い口調で言った。
メリーは竜の首に腕を回したまま無言で、何かを探るように彼の顔を見つめた。
そして、捨てるとは表現しない。と何かの呪文の様につぶやいた。
 車に戻ると置きっぱなしにしてあった携帯に何かの着信を知らせるランプが点滅していた。
メリーを助手席に座らせると、竜はそれを確認した。カズミからのメールだった。
 竜は小さく息をつくと、車にエンジンをかけた。
メリーは俯いたまま小さく言葉を繰り返していた。

今回はここまでです
ありがとうございました。
366Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/01/27(土) 12:10:20 ID:kYTVlk1h0
お待たせしました!

Lady メリーのホムペ、できました。
Lady 最終章までですが・・・。
過去の話を一気に読みたい方はこちらをどうぞ!
・・・携帯の方はごめんなさい。
http://1st.geocities.yahoo.co.jp/gl/amekazelionmaru

今後、セカンドストーリー、デリヘルメリーさん、
南の島のメリーさん、メリーさんを追う男、
続いてうpしていきます。
367本当にあった怖い名無し:2007/01/27(土) 18:24:50 ID:kYTVlk1h0
428 名前:るる ◆Wcl6mQq5WY 投稿日:2007/01/27(土) 18:11:32 ID:YlJLRpJX
メリーさんのお話に出てきそうな人を描いてみました
飽くまでも「出てきそうな」ですけども(^_^;)
http://imepita.jp/20070127/653490


許可を頂いたので貼っておきます。
いつまで見れるかは、この人の気分次第です。
368本当にあった怖い名無し:2007/01/29(月) 21:04:11 ID:atj9l/waO
あげ
369本当にあった怖い名無し:2007/01/30(火) 01:34:39 ID:Y8JTCFge0
・・・
ここはどこだ・・・、
私はいったい・・・。
 「うふふふ・・・。」
私の背後で少女の笑い声が聞こえた。
少女?
いや・・・、確かに見た目は可憐な少女だが、
その正体はとんでもない・・・悪魔!
仮装パーティでもないとお目にかかれないような派手な衣装の下に、
その柔らかそうな魅惑的な肌の下に息づいているのは、
紛れもない悪魔なのだ・・・。
 「どうしたの? ここはあなたが望んだ世界、
 あなたたち人間が何十年旅をしようとも、
 大地の裏側に足を延ばしたとしても、訪れる事の出来ない魔物の世界よ・・・、
 思い出した?
 あなたが望んだのよ・・・?」
・・・そうだ、
私はこの悪魔と契約をしてしまったのだ・・・、
自分の魂と引き換えに!

彼女は、薄いレザーの手袋に包まれた指を意味ありげに、私の前に躍らせた。
 「さぁ、ファウスト、案内してあげるわ?
 ここはまだ、魔界の入り口・・・、
 霧とも霞ともつかないものが辺りに立ち込めてるでしょう?
 あれを越えるわ・・・、
 さ、行きましょう?」
彼女は片手に持っている銀製のステッキを振り回した。
・・・彼女も楽しそうに見える。
だが、私は・・・。
 「い・・・行くのかメリー・・・、メフィスト・メリー!?」
 「ええ? 途中で引き返すことはできないわ、
 もう、人間界にファウストなる人物は存在してないのよ・・・!」
370本当にあった怖い名無し:2007/01/31(水) 00:18:38 ID:i9GPA8G+0
・・・
こんなつまらない世界はクソ喰らえっ・・・!
ちょいとばかし裕福な家に生まれ、
何不自由なく育ってきた・・・。
少し権力を握れる地位にいると、誰もが私におべっかを使ってくる、
・・・見え見えだ・・・!
妻は良く出来た女で、物分りもよい・・・
だが、なんとつまらない女なのか!?

宮廷料理・・・極上のワイン・・・夜通し繰り返されるパーティ・・・、
全て、もう、うんざりだ!
いっそ、この暮らしから逃げ出すことはできないだろうか・・・?
・・・いや、強がりは止せ・・・、
自分自身、ここから逃げ出す勇気など、一片も持ち合わせていないことは十分わかっている・・・。
ああ、また明日も、今日と同じ日々が続くのか・・・!?

 「博士・・・! ファウスト博士!」
誰かが私を呼んだ・・・、警備兵か?
 「ん? 私を呼んだかね?」
 「ハッ、失礼いたします、ファウスト博士、
 怖れながら、そちらの道は、いま、穏やかでない状況になってます、
 できれば道を迂回された方が宜しいかと・・・?」
 「ほう、何かあったのかね?」
 「はい、なんでも、小汚い狂人が騒ぎを起こしているとかで・・・。」
 「ははっ、暖かくなってきたからね、王宮の周りにはそんなのもいるだろうよ。」
その時、向かいに立っていた警備兵があらぬ方向を向いた。
私は反射的に、その警備兵の視線を追う・・・。
 「うわッ!!」
その瞬間、私は腰が抜けそうになった・・・。
自分の視線の先に・・・自分の頭ほどの高さの塀の上に・・・その男・・・、
ぼろぎれに巳を包んだ醜い浮浪者がこちらを見下ろしていたのだ・・・。
371本当にあった怖い名無し:2007/01/31(水) 07:28:23 ID:i9GPA8G+0
 「ヘ・・・へへ・・・」
なんだ、この汚い男は?
・・・なるほど、頭のイカれた浮浪者などどこにでもいるのだろうが、
この王宮の近くにまで現われる者は滅多にいない。
警護兵に追い払われるからだ。
 「き、貴様、ここをどこだと思ってる!? おい、そこから降りろ!」
私と会話していた警備兵は、すぐさま、この汚らしい男を認知すると、
自らの職務を果たそうとした。
ついで、通りの向こうから他の兵たちもやってきた。
あっという間に、男は取り押さえられる。
 「あ・・・うああ、」
男は抵抗しない。
そんな気力もないようだ、
恐らくこのあと、留置場にぶちこまれるか、スラムに放り出されるか・・・。
・・・ん?

男が連れて行かれようとした際、
道に一冊の本が落ちているのに私は気づいた。
古ぼけた分厚い皮の表紙・・・。
この男のものか?
随分、似つかわしくない持ち物だが・・・。
私がそれに注意を向けた後、連行される男を確認しようとすると、
その浮浪者は、どういうわけか、手足を押えられているというのに、私を見つめて笑っていた。
 「め、めめ・・・めりー、 あ、あ、メ リ −・・・。」
男は何か私に話しかけようとしている?
なんだ?
メリー?
人の名前? 女性の名前だろうか・・・?
372本当にあった怖い名無し:2007/01/31(水) 09:47:13 ID:8I9r8THwO
おお
まだ続いていたんだなこのスレ。嬉しい限りだ。
ここまでくると何だか感慨深いもんがあるな。
ニート時代は朝から晩までこのスレにかじり付いたもんだ。
突然の就職、怒濤のような夜の日々、お日様に顔を背け、酒を喰らい、仕事に疲れた体をベッドのスプリングに沈める日々。
オーケィオーラィ構わんさ。オーディオーナィセイウェルカムクラブムーラン・ルゥゥゥゥゥウウウゥゥゥジュゥゥゥ
キャバレーは初めてかな紳士諸君!今宵は魅惑の天使達が抱えたフレッシュな果実、エグゼクティブの蜜の味にとくと酔いしれるが良いでしょう
それでは、お隣失礼致しますぅぅ!メリィィさんでぇす!よぉろしくおねがいしまぁす
それでは心逝くまでお楽しみあそばせませませぇぇいぇぇぇぇぁぁぁぁ!!!
あっと失礼!メリーさんに御電話入っております。

……………。

なし崩し的に決まってしまったこの仕事に未来があるのかないのか、考えない日はございません。
373Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/01/31(水) 23:27:41 ID:oyEQLzwV0
>>372 あなたの未来に幸あれ!

ま、仕事始めると、創作活動はできんわな、
かといって無職に戻るわけにもいかんしの〜。
がんばって〜!
374ふぁうすと:2007/02/01(木) 01:40:53 ID:9EK+GBaW0
少し暇つぶしにはなったかな?
という程度の騒ぎであったが、
既に私の注意は、男が落として行ったと思われる一冊の本に向けられていた。
厚い皮の装丁でかなり重そうな・・・。
今やその場所に独りになってしまった私は、数歩近づいて、その本を拾い上げようとした。
・・・うわ、案の定、コイツも汚れてるな、
一体何の本なんだ?
背表紙のタイトルはかすれている。
表紙にいたっては・・・

・・・これは・・・。
やけに汚いシミが表の表紙に浮かんでる・・・。
周りにはそのシミを囲うかのように、やはりかすれた金字の文様が描かれている。
細かく小さな字が、その周囲に書き込まれているが、判別は出来ない。
私はページをめくってみた。
そこかしこ、汚れているが、さすがにこちらは読めないページはない。
・・・だが、この本は・・・。

奇妙な挿絵や図形が描かれている・・・。
これは・・・魔方陣ではないのか・・・?
まさか?
ところどころ、黒い角を生やした異形の怪物の絵もある・・・。
まさか・・・これは魔術の書か・・・!?
私は何というものを拾ってしまったのだ?

・・・ページをめくる私の視界の中に、気になる単語が幾つも入ってくる・・・、
「召還」「契約」「犠牲」「贈り物」
・・・そして・・・「メリー」・・・?
375K。:2007/02/02(金) 21:58:11 ID:X2qNjVKU0
お借りいたします

「kyrie eleison」

>>365からの続きです。
376K。:2007/02/02(金) 21:58:44 ID:X2qNjVKU0
「kyrie eleison」1/4

竜がカズミの部屋に戻った頃には日が暮れきっていた。
「あの後ね、他の店から代理店長が来たのよ。
で、うちの店長の容態を聞いたら意識が戻らないって。体には異常がないのに…」
カズミはソファの上で爪を磨きながら言った。
「あんな、糞野郎の事はどうだっていいのよ。それより気になるのは…」
カズミからのメールは仕事を早退するからとのことだった。
 勤め先の店長が突然の昏睡で動揺していてもカズミの仕事はいつもと変わりなくある。
もっとも、店長に何かあるのは日常茶飯事で店の女の子達はさほど気にしていない風だった。
むしろ、カウンター担当のカズミが動揺していることのほうが店にとっては痛手だった。
そこでカズミは早々に帰されたのだ。
 竜は車の中で眠ってしまったメリーをひざに抱いて座卓の前に座っていた。
「竜、メリーって何なのかしら?」
自分の爪を見つめたままカズミがいった。
「確かに、メリーが、店長を刺したのよ。そして、彼は動かなくなった…。
あたしね、メリーを見ているとなんだか頭の芯がぼんやりしてくるのよ。
高いところから下を見ている時に、このまま飛び降りてしまおうかと思っている自分に気づく
…そんな怖さがあるの。自分でもどうかしてると思うわ。」
 竜は黙ってそれを聞いていた。カズミは綺麗に整った爪を更に磨いている。
「メリーからの電話、見たでしょ?都市伝説のメリーなのよこの子。」
「都市伝説?」
 竜が怪訝な顔をする。
「そう、都市伝説。メリーと名乗る電話がかかってるの。
だんだん近づいてきて仕舞には"わたしメリーさんよ。
今あなたの後ろにいるの"というやつ。知ってる?」
377K。:2007/02/02(金) 21:59:30 ID:X2qNjVKU0
「kyrie eleison」2/4

「知らないな。で、その後どうなるんだよ?」
カズミはため息をついた。
「どの話も、『あなたの後ろにいるの』で終わってるのよ。」
「へえ?で?こいつがそれ?」
竜は気分が悪くなるような皮肉な笑みを浮かべた。
「メリーさんに会ったら、殺される。そんな話が定番ね。」
「はははは。じゃあ、話が成り立たねぇじゃねぇか。
みんな死んだら誰がその話をしてるんだよ?
100%感染して直ぐに発症する伝染病はおそるるに足らんのだよ!カズミ君?」
 竜は芝居がかった台詞とともに頭の横で大げさに指を回して見せた。
「それに、そのメリーってのは何だよ?人間?幽霊?」
「人形って話よ。」
 今時使わない侮辱のされ方に憮然としてカズミが言った。
「はぁ?ここで、おねんねしてるガキは人間のように見えるがね?
早く警察にでも届けようや。やばそうだし、面倒くさくなってきたわ。」
 竜は大げさに肩をすくめた。
それを真正面で見ていたカズミはよくも恥かしげなく気障な動きが出来るものだと呆れた。
「竜。ちょっと待ってよ。
信じないのは貴方の勝手だけど、その子は何も持たずにあたしに電話をかけるのよ?
しかも、短剣で刺しても傷もつかない。おかしいでしょう?」
「なんか、仕掛けがあるんだろうよ。何にもねぇよ。ありえないだろう、そんな莫迦な話!」
 竜が思わず大声を出した拍子に膝にいたメリーが転がり落ちた。
彼女は不機嫌そうに目を開くと、カズミと竜を交互に見た。
378K。:2007/02/02(金) 22:00:24 ID:X2qNjVKU0
「kyrie eleison」3/4

「………」
 メリーと目が合いカズミは息を呑んだ。
疲れて青ざめていた顔に紅がさす。
 こんな小さな子にドキドキするなんてどうかしてるわ。
カズミは心の中で呟く。あんなに小さな女の子なのに、
どうにかしたいなんて…あのドレスを引き裂きたい…
違う、そんな筈はない。
食べてしまいたい程愛しい。抱きしめて守りたい…
 その心を見透かしたかの様にメリーは妖艶な微笑を浮かべた。
何かに耳を澄ますようにうっとりと首をかしげて瞳を閉じた。
 竜は小さくため息をつくとポケットからクシャクシャのタバコを取り出してくわえた。
ゆっくりと紫煙を燻らせた。
 メリーが瞼を開いた。燃えるような黄玉の瞳が真直ぐにカズミを捕らえた。
「カズミがドキドキするのは、ここにカズミの欠片がいるから。」
 いつ抜いたのか腰の短剣をカズミに向けた。
その刀身の中に何かが蠢いている様な影が見えた。
「ひとつになりたいでしょう?」
 メリーは妖艶な笑みを浮かべた。
床に小さく広がったスカートの裾から折った膝とベルベットのリボンが見え、
ギャザーを寄せた胸元が乱れだれて緩んでいる。
少し乱れた亜麻色の髪が白い顔にかかり、呼吸をするたびにゆらゆらと揺れた。
その姿はまるで小さな高級娼婦の様だった。
 女は生まれた瞬間から女なのだ。
そう誰かが言っていたことをカズミはぼんやりと思い出した。
どれだけ幼く見えても女であるとはよく言ったものだわ。
 メリーがまたゆっくりと口を開いた。
「カズミが捨てたモノが呼んでいるよ?カズミが捨てた…」
379K。:2007/02/02(金) 22:00:57 ID:X2qNjVKU0
「kyrie eleison」4/4

「ばかばかしい。」
竜がいきなり大きな声を出すと立ち上がった。メリーは驚いて竜を見た。
「すてたもの?は!俺はガキの戯言に付き合ってるほどお優しくないからね?カズミ君。
俺はもう帰るとするよ?」
カズミはわれに返りあわてて竜に駆け寄った。
「待ってよ。あ…あたし一人でこの子をどうしていいかわかんないわ。
どうしたいのか自分でもわからないのよ。いかないで、友達でしょ?」
カズミは竜の耳元で早口でささやいた。竜はそれに片手で軽く拒否の仕草をした。
その様子を見ていたメリーは低く唸る様な声を出した。
「何で、貴方は何も感じないの?私はかわいくないの?」
メリーの黄玉の瞳は暗く橙褐色に燃えていた。
「信じるかどうかは別だが、俺は美しいものは苦手でね。
醜ければ醜いほど愛せるんだよ。
確かにお前さんは可愛いお人形のようだけど、
俺にとっちゃ道端の石と変わらないんだよ。悪りぃけどな。」
竜は片方の口角だけ引きつらせて笑い顔を作った。
「嘘!」
メリーは両手で激しく床を叩いた。
「残念だね。」
竜は気障に肩をすくめた。


長くなるので今回はここでおしまいです
ありがとうございました。
380本当にあった怖い名無し:2007/02/03(土) 08:54:15 ID:v7tLo/RWO
アゲ
381本当にあった怖い名無し:2007/02/04(日) 04:17:31 ID:d/uW6uNa0
この間の夜にいきなり電話がかかってきたんで出たんだ。
「私・・・今あなたの部屋の外にいるの」
これが噂のメリーさんかと思って次は部屋に入ってくるのかと布団の中でガクブルしてた。
また次に着信が入ったんで電話に出たら、
「私・・・今あなたのアパートの入り口にいるの」
あれ?ちょっと遠くなってね?と思ったけど、フェイクかも知れないからまた布団のなかでガクブルしてたら・・・
「私・・・今近所の駅にいるの」
確実に俺から遠のいていくメリーさん。
気になったんで「どこ行くの?」って聞いたけど何も言わずに切られた。




数日後・・・
メ「私・・・今北海道に来てるの。おみやげ何が良いかな?」
俺「メリーさんが無事に帰ってきてくれたら何もいらないよ。」
メ「も・・・もう//////」
382Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/02/05(月) 23:22:35 ID:jb72XFsX0
K。さんのストーリーも奥が深そうだねぇ、
結末はもう完成してらっしゃるのかしら?

まぁ、いきあたりばったりで書くのは私ぐらいなものか・・・。

それにしても、
そろそろホームページ、
「セカンドストーリー」をうpする時期なんだが、
タイトル変えようかなぁ?
なんかいい案ないものか・・・。
383126 ◆dNexSJi1ew :2007/02/05(月) 23:45:28 ID:67Clmam60
いや・・・
行き当たりばったりは私もだwww
384Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/02/05(月) 23:55:36 ID:jb72XFsX0
あら、こんばんわ、
126パパ、続きは・・・?
385126 ◆dNexSJi1ew :2007/02/06(火) 00:01:08 ID:67Clmam60
うう・・・年度末進行に入りました・・・。
自身の就職問題もからんで・・・。

申し訳ない・・・。
でも、少しづつかいてるから・・・。
そのうちに・・・。
386K。:2007/02/06(火) 22:45:33 ID:I9KaCWke0
ありがとうございます。
皆さんの話の続きを楽しみにしています。
と、いいつつ、場所をお借りします。

>>379からの続きです。
387K。:2007/02/06(火) 22:46:13 ID:I9KaCWke0
「kyrie eleison」 1/4

メリーは呆然として二人を見つめた。
黄玉の瞳からは激しい感情が消えていた。
「私はメリーさん。可愛いお人形。みんなが私と遊びたがるの。
何で?何で?何で置いて行くの?何で置いて行くの?」
 メリーは壊れたテープレコーダーのように同じ言葉を繰り返した。
その場で空中に視点を定めたまま何度も何度も繰り返しつぶやいている。
 その様子は子供が駄々をこねていると言うよりも、狂気の淵へ向かう者のように鬼気迫っていた。
 竜は部屋のドアにかけていた手をはずしてメリーのほうへ歩み寄った。
「『何で置いて行くの?』だって?」
竜はメリーの目線に合わせてしゃがみ込んだ。そして力強く言葉を続けた。
「お前は悪くない。」
カズミは驚いて竜を見た。
散々悪態をついていた竜が突然何を言い出したのかと耳を疑った。
「お前がいくら考えても、その答えは出てきやしない。
お前みたいな小さな子供を置き去りにするのは、
お前が悪いせいじゃない。置いて行く方が悪いに決まってる。」
 竜はそう言うとメリーの胸元のリボンを縛り直した。
「竜…あなたって…」
カズミの目が潤んでいるのに気がついて竜が慌て真顔を崩した。
「うわ。何その目?勘弁してくれよ?」
388K。:2007/02/06(火) 22:46:52 ID:I9KaCWke0
「kyrie eleison」2/4

「大丈夫、ぜんぜんタイプじゃないから。でも…友達でよかったって思った。」
「だろうね。俺は基本いい人だもん。」
 そう言って、竜はポケットをかき回して何かを取り出した。
袋がくしゃくしゃになっているが二色のキューブのキャンディが入っていた。
それをキョトンとしているメリーの前に突き出した。
「ほら。俺が大人気なかった。これで許してくれるか?」
 不思議そうにメリーはそれを受け取った。
「…なぁに?」
「何って?飴だよ。こっちのピンクのが何味かな?
オレンジのと味が違うから一個づつなめてごらん。」
竜はそう言ってメリーに渡した飴を袋から取り出してひとつを渡した。
「なめる?」
メリーは不思議そうに首をかしげた。
「口に入れるんだよ。飴食ったことないのか?」
メリーは小さなキューブを口の中に入れた。カラコロと小さな音がした。
 メリーは不思議そうな顔をしたまま、黙り込んだ。
「さてと、俺はこうして帰りそこねたわけだが、どうしようかね」
竜は再び座卓の前に胡坐をかいて座った。
「どうもこうも…あたしもそれを考えてるのよ。ところで、あたしの捨てたモノって何よ?」
 カズミは正気を取り戻して、冷蔵庫からミルクティのペットボトルを取り出しながら言った。
「カズミ自身。」
抑揚なくメリーが言葉を発した。カズミはギョッとしてメリーの顔を覗き込んだ。
389K。:2007/02/06(火) 22:47:29 ID:I9KaCWke0
「kyrie eleison」 3/4

「可愛くないと愛されないの?置いていかれるの?」
 メリーは不思議そうにカズミの顔を覗き込んだ。
カズミの顔から血の気が引いた。
「それは誰の事なんだ?」
竜がタバコの火をもみ消しながらぼそりと呟いた。メリーは首をめぐらせて竜を見た。
「カズミの事なのか?それとのメリーおまえ自身の事なのか?」
メリーは不自然な姿勢で竜を見たままで止まった。ゆっくりと唇の端がつりあがる。
「短剣が教えてくれたの。カズミのこと。
カズミの彼氏は女の子みたいに可愛いカズミが好きなんだって。
可愛くなったのにカズミは置いて行かれたの。」
残酷な笑顔を浮かべてメリーは竜に向き直った。
「ほう。ま、人生そゆう事もあるだろうな。」
事も無げに竜は言うとまた曲がったタバコを引っ張り出して火をつけた。
「そんなの三流の占い師にだって言えることだろ?気にスンナ。
で?メリー?お前は何が言いたいんだ?毒食らわば皿までだ。」
 ため息のように煙を吐き出して竜が言った。
「わかんない」
メリーの顔から笑みが消えていた。
 カズミはぎこちなくミルクティを3つコップに注いで自分の分を一気に飲み干した。
「そういや、俺今日何も食ってないわ。メリーも何にも食ってないしな。腹減ったろ?」
竜がミルクティに口をつけて言った。
390K。:2007/02/06(火) 22:48:29 ID:I9KaCWke0
「kyrie eleison」4/4

メリーはその二人の様子を不思議そうに見ていた。
そして、口の中から四角いままの飴を出して手の上に乗せて竜の前に突き出した。
「こんなのいらない。しゃべりにくいの。」
竜はそれを見てぎょっとした。
口の中に入っていたはずの飴は溶けることなく、ぬれてもいなかった。
「腹は減らないよ?だって、この剣から力が貰えるんだもん」
メリーは得意げに言った。
「…飴は甘くなかったのか?」
竜がメリーから飴を受け取りながら尋ねた。
「甘い?わからない。それなあに?」
そう言いながらメリーはコップに手を伸ばした。
不思議そうにひとしきり中を眺めてから、コップに口を付け、ゆっくりとミルクティを口に含んだ。
白く細い首がコクリと動いた次の瞬間、その首に沿ってミルクティが滴り落ちた。
カズミはあっと声を上げて布巾を取りにキッチンに向かった。
竜は不思議そうに瞬きを繰り返すメリーを見つめていた。
彼女の顎には何の汚れもなかった。
口からこぼしたのではない。
首からミルクティはこぼれたのだ。
 気のせいだ。竜は自分にそう言い聞かせようとした。
しかし、考えれば考えるほどおかしな事ばかりが際立っていた。
動物管理センターの受付で、メリーは認識されていたか?
こんなに派手な格好の少女を抱きかかえていたのにまるで、見えていないかのようではなかったか?
 竜は自分自身の考えにぞっとして首を振った。そんなはずはない。
何かの間違いだ。そう自分に言い聞かせた。

今回はここまでです。
ありがとうございますた(照れ隠し)
391ハタチ ◆SKkgUPW1u. :2007/02/07(水) 01:09:02 ID:EsX1Ln7FO
K。さん乙です。
それでは、>>344からの続きですが、ちょっとした補足ですー
・メリーさんが指で物を斬れるのは、魔法的な力を指に纏っているから
・「チェイテ城」はエリザの作り出した空間の名前で、城と言いつつお城じゃない
・煙草は二十歳になってから
392ハタチ ◆SKkgUPW1u. :2007/02/07(水) 01:11:25 ID:EsX1Ln7FO
 壁の中に右腕を残し、メリーはすぐさま地面を蹴って香澄の元へ跳びすさんだ。
 そして香澄を無理矢理はじき出すが、しかし自らの退避は間に合わず、メリーは拷問器具の中に抱き込まれてしまった。
 「メリー!!」
 弾き飛ばされ床に転がった彼は、彼女の身を案じて叫ぶが、当の本人は片方だけになった手と、足とで鋭い針を肌で受け止め押ていた。
 針は、人形である彼女の肌を貫く事はなかったが、しかし拷問具は、万力の様な力でメリーを挟み込もうとする。
 両手であれば、押し返す事もできたのだろうが、しかし今は片手。脱出には時間がかかる。
 香澄は、情況を飲み込み、そして冷静に考え始める。
 それは、『メリーを助ける』のか、それとも『エリザに立ち向かう』のか、ということであった。
 しかし、メリーを助けるのであれば、いかな方法を使い、彼女を鉄の処女から救い出せば良いのか。まるで思いつかない。
 ならば、エリザに立ち向かうのであれば。
 勝てるか? いや、その必要は無い。メリーは必ず自力で脱出してくる。自分とは違うのだから。
 それまで、時間が稼げれば良い。
 ならば、と香澄はエリザに向かい、一直線に駆け出した。
 メリーと違い、一瞬で相手の懐に飛び込む俊敏な動きも、石さえも抉るような力も、指で物体を切断するような技も無い。
 だが、だからこそ。特殊な事が何も出来ない自分だからこそ、そこに付け入る隙がある。
 香澄はそう確信してエリザに向かって走る。
 それに対しエリザは、口元こそ微笑を、だが眼は爛々とした光を湛えて剥きだしにされていた。
 が、エリザが、つい、と軽く指を動かすと、もこ、と床が小さく隆起し、それに足を取られた香澄は、転びはしないが、たたらを踏んで立ち止まってしまう。
393ハタチ ◆SKkgUPW1u. :2007/02/07(水) 01:14:11 ID:EsX1Ln7FO
笑を、だが眼は爛々とした光を湛えて剥きだしに その様子を見てエリザが侮蔑を含んだ笑いを漏らしつつ、香澄に話しかける。
 「無駄な事はしないことだねぇ、人間
 いいかい? この空間は私が作り出した『チェイテ城』。ここの主は私。
 私は、ここを好きなように作り変える事ができる。今のようにねぇ。……私の言ってる事が分かるかい?
 つまりお前は、釈迦の手の上を飛ぶ、孫悟空と同じと言う事だよ」
 子供に者を教えるような、何かを諭すような、ゆっくりとした口調で語りかける。
 だが、香澄は小さく「ふん」と鼻を鳴らすと、煙草を銜え火をつけ、
 「たかが猿と、一緒にされても困る」
 再びエリザの元を目指し、走り始めた。 エリザは軽く眉をしかめたが、しかし香澄が完璧に接近するまで何も行動を起こさなかった。
 香澄は、エリザに自分の腕の届く位置にまで詰め寄ると、右手の拳を繰り出した。
 だが、先のメリーがそうであったように、再び床から壁が生え、香澄の拳を防ぐ、
 と、思われた。
 しかし、突き出された香澄の拳は、床から生えてくる壁に触れる直前に開かれ、その手の平は壁の淵を捉えた。
 壁が完璧に生え出た時には、その手を支点に体を引き上げよじ登り、壁を乗り越えた。
 そして壁から飛び降りざまに、エリザの頭部へ向かって蹴りを放つ。
394ハタチ ◆SKkgUPW1u. :2007/02/07(水) 01:18:23 ID:EsX1Ln7FO
 壁の上から現れた香澄の姿に若干の驚きを覚えつつもエリザは、迫る右足を軽く手の平で受け止めた。
 その時の彼女の顔は、ただ怒りに満ち満たされていた。
 「人間風情がぁ!!」
 受けた手の平で香澄の足を掴むと、少女の細腕に見えるそこからは想像も出来ないほどの力を発揮し、
 「調子に乗るんじゃねぇ!!」
 目前の、今しがた彼が越えてきた壁へと叩き付けた。
 「うぁっ!!」
 強烈な圧力に肺が押し潰され、強制的に中の空気が吐き出される。
 「そぉら、もう一発ぅ!!」
 今度は床に叩き付けようと、エリザは腕に力を込める。
 が、その直前、ぷっ、と香澄の口から吹き放たれた煙草が、エリザの右瞼に命中した。
 ダメージは少ないが一瞬、香澄を叩きつけようとする腕の動きが止まり、その隙に彼は足を掴むその手の甲に、もう片足で強烈に蹴り込んだ。
 ダメージに、香澄の足を掴む手の力が緩み、エリザは彼を取り落としてしまう。
 石畳の床に落下した香澄は、しかし体勢を立て直す事をせず、寝そべった状態でエリザに足払いを放つ。
 エリザの体を足で掬った手ごたえは、あまりにも軽かったが、体勢を崩して彼女は倒れ、その隙に香澄は素早く立ち上がる。 そして、足元に転がるエリザの顔面を砕こうと、右足を上げ、踏み付けようと力を入れた。
 だが、その足は床に寝そべったエリザの、左手の平に受け止められ、びくともしなかった。
 「人間っ!!」
 憤怒の表情に、醜く歪められた顔を、一瞬だけ香澄は視界に納めた。
 が、次の瞬間には視界が高速で流れ、背中を中心に広がる痛みに、床に叩きつけられたと気付かされる。
 「人間人間っ、にぃんんげぇんん!!」
 エリザの叫びに呼応するかのように、床に横たわった香澄の左右から、壁が突き出る。
 「お前は人間の分際でよく頑張ったよぉ!! でも、こいつで終わりさねえ!!」
 ずずっ、と床と擦れる音を立て、左右の壁が次第に狭まってきた。
 このままでは挟まれる――
395ハタチ ◆SKkgUPW1u. :2007/02/07(水) 01:20:17 ID:EsX1Ln7FO
 香澄は逃れようと必死で立ち上がろうとしたが、
 「足掻くんじゃねえぇ!!」
 再び床に叩きつけられ、それは阻止されてしまう。
 壁はさらに狭まり、その間にいる香澄の肩にもう触れるという位置にまで迫ってきた。
 何とか押し返せないかと、左右の壁に手の平を突いて力んでみるが、びくともしない。
 万事休す、か――
 香澄が半ば諦めを覚悟した時、
 ――があん
 金属製の物体が、何かにぶつかるような音が響き、それと同時に、迫る左右の壁の動きが止まった。
 仰向けに床に寝かされた香澄は、その理由を悟った。
 彼の見上げる所、壁の上方に、なます斬りにされた『鋼鉄の処女』の破片が投げ込まれ、挟まったそれは壁の動きを封じていた。
 「……!! メリィイ!!」
 状況を悟ったエリザは、後方を振り向いた。
 そこでは、片腕になりながらも、拷問具から脱出したメリーの姿があった
396ハタチ ◆SKkgUPW1u. :2007/02/07(水) 01:21:00 ID:EsX1Ln7FO
今回はここまでです
それじゃーお休みなさいまし
397本当にあった怖い名無し:2007/02/07(水) 21:55:16 ID:EsX1Ln7FO
アゲ
398Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/02/08(木) 00:43:16 ID:sthQ3lAz0
>>396 「反 撃 だね。」
399本当にあった怖い名無し:2007/02/10(土) 23:41:44 ID:YGcupX6SO
ホシュ
400本当にあった怖い名無し:2007/02/11(日) 00:41:39 ID:k0YgIOacO
アゲ
401本当にあった怖い名無し:2007/02/11(日) 15:09:11 ID:B3ykUXr2O
k。サソもハタチサソもGJ!!
続きが気になりますな



れでぃサソとパパも待ってますぜ
402Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/02/11(日) 17:44:54 ID:La2iGeKI0
ごめんなさい、
ホームページの更新を優先させてます。
・・・携帯の人は見れないんだよね・・・。

いま、Lady メリー第一章から最終章、外伝2本、うりぃ・めりー、
セカンドストーリーの三分の一までうpしました。
あと、登場人物総覧もあります。
http://1st.geocities.yahoo.co.jp/gl/amekazelionmaru

あとは「南の島のメリーさん」と「メリーさんを追う男」か・・・
先は長い・・・というか、自分でもよく書いたな・・・。
403本当にあった怖い名無し:2007/02/11(日) 18:08:48 ID:B3ykUXr2O
そっちはPCから見るから問題ナシですぜ


百合子サソを堪能します
404126 ◆dNexSJi1ew :2007/02/13(火) 03:13:16 ID:ReVd1fdn0
皆様!大変ご無沙汰しております!
さてさて続きですが・・・
Upさせていただきます。
405126 ◆dNexSJi1ew :2007/02/13(火) 03:14:47 ID:ReVd1fdn0
120番目

メリーは、少し顔を引いて、驚いた顔を見せた。
まん丸な目で俺のことをじっと見ている。
「あのさ・・・メリー・・・あまり見つめられると・・・」
「う、うん・・・」
真っ赤な顔で目をそむける。
「目をつぶって・・・」
そういうとがちがちに緊張したメリーは、びくっとしながら

「は、はい・・・」
と裏返った声で言った。

そしてぎゅーーーっときつく目をつぶる。
ちょうど・・・(><)こんな感じだ。
俺は微笑んで、メリーのほうへと近づこうとしたそのとき・・・。
メリーの背後の空間がゆがんだ。
敵か?
俺は、鎌を意識した。鎌が俺の手にすっと吸い寄せられるように収まる。
右手をそのままメリーの方にそして左手に鎌を構えた。
ゆがんだ空間から、なにものかが現れた!
406本当にあった怖い名無し:2007/02/13(火) 03:16:17 ID:R9j+tZzUO
ウィリイィィーー!
407126 ◆dNexSJi1ew :2007/02/13(火) 03:16:20 ID:ReVd1fdn0
121番目

・・・スリッパ?
何もない空間からスリッパとそれを持っている人物の手が同時に現れ、一瞬目を疑っている間に、メリーの頭を・・・

すこーーーーん!

突然の頭への衝撃に目を開き、俺をじっと見るメリー。
じっと見るという感じではないな・・・。
俺をにらみつけるメリー。
俺はとにかく首を横に振って自分ではないとそういう主張をするしかなかった。
メリーの反応を確認している間に、空間の中から出てきたスリッパは消えていた・・・。

メリーをもう一度見ると・・・やはり俺をにらんでいる。
「ち、違うんだよ!俺じゃない・・・。後ろからその・・・なんだ・・・スリッパが・・・」
ものすごく緊張していた恥ずかしさも手伝って、期待が裏切られたこともあいまって・・・。
メリーは、俺の言葉など聞いていないような状態であった。

ゆっくりとあとづさりをしながら、
「落ち着いて・・・メリー?・・・落ち着こうね・・・」
そうなだめるしかなかった。ベッドの上にあがり、壁際まで追い詰められた俺。
メリーはそんな俺に馬乗りになるようになって、俺を押さえつけた。そして・・・。

「ちゃんと・・・して!」
・・・と、なんとも恥ずかしくも、ストレートな台詞を俺に投げつけてくる。
408126 ◆dNexSJi1ew :2007/02/13(火) 03:17:31 ID:ReVd1fdn0
122番目
「・・・う、うん」
俺はメリーの気迫に負けて、そううなずくしかなかった。
まるで俺が襲われてるようなかんじだ・・・。
すこし、どきどきしながら、メリーの顔が近づいてくるのを待った・・・。
すると、またメリーの背後の空間が、揺らめき始める。
「メリー後ろ!」
俺は叫んだ!

目を閉じて俺に血被いてこようとしていたメリーは、俺の声にわれに返り、振り返る。
と同時に空中の揺らめきの中からスリッパが現れ・・・メリーの顔面を直撃して、消えていった・・・。
「いたーーーい!」
顔を抑えて、かがみこむメリー・・・。
そこには、スリッパがひとつ落ちていた。
しかも・・・便所スリッパ・・・。

俺はメリーに駆け寄りった。
「ちょっと顔を見せて!」
鼻とおでこが赤くなっているものの、たいした怪我はなさそうだ。
「いたい!いたいいたいいたい!」
と何度も叫びながらすっと立ち上がるメリー!
そして・・・なのもない部屋の真ん中に向かって目を凝らして、叫んだ!
「紫!そこにいるんでしょ!出てきなさいよ!」

・・・紫・・・紫のメリーか・・・。
俺はため息をついた・・・。

409126 ◆dNexSJi1ew :2007/02/13(火) 03:18:28 ID:ReVd1fdn0
123番目
何もない空間が揺らめき、次第に輪郭を浮かび上がらせる。
薄い紫に濃い紫のアクセントで構成されたメイド服。
白いレースはふんだんに使ってある。非常に上品な感じのするロングスカート。
俺のメリーよりは少しお姉さんという感じの少女が現れた・・・。
彼女もまたメリー・・・紫のメリーだという・・・。

「おこちゃまの癖に・・・そういうことは、まだまだまだまだまだまだはやいんですの!」
きっと、俺のメリーをにらみつけている紫のメリー。
「たかし様もたかし様ですの!」
今度はメリーの後ろにいる俺をにらみつける紫のメリー。
「私が姿を消して、もしかしたら、こんなおこちゃまじゃなくって、私しをお呼び下さるのではないかと期待に胸を膨らませながら・・・」
紫のメリーは俺のメリーを無視して、俺に近づいてくる・・・。
「そう・・・『紫・・・やっぱり、あんな発育の止まったおこちゃまではなく、お前が・・・』なんていってくださるのではないかと・・・その・・・待っていたら・・・なんですの?そんなおこちゃまなんかに・・・」
夢見がちな乙女の妄想モード・・・。目に星がきらきらと光っているぞ・・・。
「発育とまってないもん!」
紫のメリーの行く手を阻むのは、俺のメリー・・・。
「ちょっとまて・・・」
またここで、少女の発育についてといううれしはずかしな話題で盛り上がられては、話が進まない。
「メリー・・・ちょっと待ってくれ、紫のメリー・・・少し話したいことがある」
俺は、俺のメリーを引っ張って、紫のメリーから引き離し、紫のメリーの前に立った。
「ほら!やはり、おこちゃまなんかではたかし様は満足・・・」
ほほほほほと高笑いしそうな紫のメリーの言葉をさえぎり、俺は話を切り出した。

410126 ◆dNexSJi1ew :2007/02/13(火) 03:19:09 ID:ReVd1fdn0
124番目
「唐突だが、おまえ、どうやって、メリーが俺との契約をしたことを知った?」
俺は真剣な顔で紫のメリーを見据えた。
俺のメリーも、俺のいわんとしていることがわかったと見えて、ベッドに座って俺の様子を見ている。
紫のメリーは・・・。
「そ、それは・・・」
少しうろたえ、下を向いた。
「それはいえませんの・・・」
先ほどまでの高飛車な態度からは一変して、沈み込んだ姿の紫のメリー。
「どうしてだ?」
「それを話したら、わたくしも、消されてしまいますの・・・」
「そうか・・・わかった」
・・・紫のメリーは本当に何かにおびえているようだった。
しかし、ここでわかったことがある。紫のメリーは、偶然黒のメリー・・・つまり俺のメリーが俺を殺すことができなかった、つまり契約を遂行することができなかったということを知ったのではなく、何者かに告げられたということ。
そして、そのなにものかは、紫のメリーをおびえさせる存在であるということ。
たしかに、黒い鎌の話では、人外のものにとって、黒い鎌のマスターとなることは絶大なる力を与える。
人外のものである、紫のメリーにとっても、それは大きなメリットであるだろう。
しかし、それがなにものかによって指示されたものであるのであれば・・・。
そのものの目的は・・・いったいなんだというのか?
411126 ◆dNexSJi1ew :2007/02/13(火) 03:19:57 ID:ReVd1fdn0
125番目
「でも!でも!ですの!」
俺が考え込んでいると、紫のメリーが、俺の手を握って必死に訴えてきた。
「たかし様を殺したりはしませんの!それだけはわたくし・・・できませんの」
あまりに必死にうったえてくるもの紫のメリーの勢いに押されて、俺はベッドへと押されて転がり込んでしまった。
「それはしんじてほしいのですの。あのとき、黒い鎌に支配されたたかし様に、私は消されてしまうはずだったのですの・・・」
紫のメリーの目にはあのときの恐怖が宿っているのだろうか?
目は閉じたまま、涙があふれていた。
「でも、たかし様は・・・人間のなのに・・・人間の癖に・・・あの黒い鎌に反抗して・・・精神が崩壊してもおかしくはない状況だったでしょうに・・・苦しかったでしょうに・・・それでも、わたくしをまもってくださいましたの」
手をぎゅっと握り、どうしてもわかってほしい・・・そんなそぶりで訴えかけてくる。
「・・・わたくしは一度消されていましたの。あのときに・・・だからたかし様を殺すなんて・・・できませんの」
震えている。しかし、俺はどうすることもできずに紫のメリーを見つめていた。
「わたくし・・・には・・・できませんの・・・たとえあのお方を裏切ることになろうとも・・・」
紫のメリーはそのまま泣き崩れた。ベッドのふちに顔をうずめて・・・。俺はそんな紫のメリーの方に手を置いた。
横には俺のメリーがいた。俺の目を見て、うなずきながら微笑んでくれた。
紫のメリーは何かにおびえ、あまりにも無力だった。
今もなお、「あのお方」と呼ぶものに対して、おびえているのだろう。
俺を殺すこと、つまりメリーの契約を肩代わりし黒い鎌の所有者になること。
どうやら、それができなかったことで、「あのお方」と呼ぶものを裏切ることになるのだろう。
今からでも遅くはないのだろうに・・・。俺を狙えばそんなにおびえる必要はないのだろうに・・・。
それでも、彼女は俺を「ころせない」と・・・。
そう言ってくれていた。


412126 ◆dNexSJi1ew :2007/02/13(火) 03:25:28 ID:ReVd1fdn0
今日のところは以上でございます・・・相変わらず遅くてすいません・・・
過去の流れに伝は
http://mary126.seesaa.net/
こちらのほうで確認を・・・

ついでに宣伝(テヘッ)
http://hant0.seesaa.net/
こちらのほうにも過去の作品(メリーさんのではない)をUpsiteimasu 。よかったらご覧ください
めぐみルート今日完全うp予定です・・・。
413Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/02/13(火) 23:43:13 ID:o6tZmTOh0
おいらは紫ちゃん派!
もっと出してね!!
414本当にあった怖い名無し:2007/02/15(木) 23:58:14 ID:ELaHXPKJO
アゲ
415Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/02/16(金) 00:16:50 ID:Lwa4Ryr30
セカンドストーリーうp完了!!

美香姉ぇに、再びお会いたい方は是非、>>402のリンク先をどうぞ!
416本当にあった怖い名無し:2007/02/16(金) 07:20:16 ID:uy97pz5/O
 ○(´∀`)○ ぼくは黒メリーちゃん
417本当にあった怖い名無し:2007/02/17(土) 19:46:29 ID:tgH/7I3G0
 ○(´∀`)○ ぼく赤メリーちゃん
418126 ◆dNexSJi1ew :2007/02/17(土) 20:39:44 ID:IZ8eYe250
>>417
赤は・・・まだ出てきてません・・・涙
がんばります!
419Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/02/17(土) 22:39:50 ID:Ov1L6bAh0
「仮面の暗殺者! 赤メリー参上!!」

 ウフフフフフッ!!

ちゃーんちゃーちゃーちゃーちゃー
ちゃーららっららんらーらー♪

シュッ シュッ シュシュシュッ!
そーらをすーべりー〜
あーかいメリーがやってきた
正義を倒しー 平和をみーだーすー
みーんながー待ってたー
むーてきの暗殺者ー
そーのー名ーは赤メリー
仮面の暗殺者〜

たったったったったっ
大地をけぇーってぇ〜
あーかいメリーがやてきた
メリーマージック〜 シャドウランサー
みーんながー待ってたー
むーてきの暗殺者ー
そーのー名ーは赤メリー
仮面の暗殺者〜
420Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/02/17(土) 22:40:36 ID:Ov1L6bAh0
すいません、なんでもないです。
421本当にあった怖い名無し:2007/02/18(日) 03:36:13 ID:NweFyNqPO
赤影?
422Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/02/18(日) 10:47:25 ID:8Znp3OZm0
あたりぃ!
良く知ってるね!
423本当にあった怖い名無し:2007/02/19(月) 00:06:58 ID:NweFyNqPO
めちゃイケの数取りの後釜のアレじゃないんだ
424本当にあった怖い名無し:2007/02/20(火) 22:44:25 ID:jc1/K2YrO
しばらくこのスレ来てなかったら読むSS溜まり杉w
休みの日に過去ログ一気読みするかな
425本当にあった怖い名無し:2007/02/21(水) 08:37:34 ID:0ttv8FXYO
age
426Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/02/22(木) 01:17:38 ID:YJghjYl90
http://1st.geocities.yahoo.co.jp/gl/amekazelionmaru/view/20070218
たびたびすんません、
デリヘルメリーさんうpしました。
今日子復活の「キャッスルオブメリー」も掲載しています。
この後は
「南の島のメリーさん達」にとりかかります!
427本当にあった怖い名無し:2007/02/22(木) 21:25:12 ID:Z7zcwqP7O
震えるぞハート!
428本当にあった怖い名無し:2007/02/22(木) 22:27:06 ID:5UR/0zkZ0
燃え上がるほどヒート!!
429本当にあった怖い名無し:2007/02/22(木) 22:58:18 ID:IRiSdvQPO
これがッ!
バオーアームドフェノメノンだッ!!
430本当にあった怖い名無し:2007/02/23(金) 00:54:12 ID:ouoaCXt8O
>>429
波紋じゃないのかよorz
431Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/02/23(金) 01:02:52 ID:WWb4mlfb0
いい?
このメリーさんは精神的にあなた達とは身分が異なるの、
私は精神的貴族に位置するっ!

従って、お前ら下種な豚どもとは私に近づくことすら許されないのよっ!!

さぁ、然るべき報いを食らわせてあげるわっ!!

 ドッギャアアアアアンッ!!
432Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/02/23(金) 01:41:28 ID:WWb4mlfb0
人間DIOと魔少年B.Tは最高だなあ・・・。
433本当にあった怖い名無し:2007/02/23(金) 22:14:40 ID:Xv+DsLdfO
メリーさんとチープトリックは通ずるものがあるね
434本当にあった怖い名無し:2007/02/23(金) 22:35:45 ID:Fr2s+Be3O
ねっ? ねっ?
435本当にあった怖い名無し:2007/02/24(土) 03:32:13 ID:KD76UKqdO
あげ
436本当にあった怖い名無し:2007/02/24(土) 09:56:50 ID:TALO83DH0
のどかな休日の朝なのに・・・団地の植え込みの枝を刈るチェーンソーの爆音が・・・orz

Ladyさん、過去ログの整理が一段落したら新作のうpも頼みますよ!

126パパ、K。さん、ハタチさん、続きwktk!
437本当にあった怖い名無し:2007/02/24(土) 23:08:57 ID:D86qd8Is0
はっくしょん!!

ブゥーブゥーブゥー。がちゃ。
「私メリーさん。やっとこの時期が来たの」

ん???

はっくしょん!!

ブゥーブゥーブゥー。がちゃ。
「私メリーさん。貴方のお家の前に居るの」

え???

はっっはっくしょん!!!!!!

ブゥーブゥーブゥー。がちゃ。
「私メリーさん。貴方の後ろに居るの」

え?後ろ?
はっくしょん!とクシャミをしながら振り向くと、そこには可愛い少女が。

「私メリーさん。はいティッシュ。迷惑掛けて御免ね」

有難う。優しいんだね。

「べっ、別に貴方のためにしてるんじゃ無いからね!!」
「でも御免なさい(´・ω・`)」

By.>>7
ネタも考えずに花粉症で頭が回らないで思いついたネタを投下してみる。
438Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/02/24(土) 23:09:16 ID:vO9wB9A00
チェーンソー・・・

それきっと新手のメリーさんだよ、
狙われてるんじゃない?

そうだ・・・カンニバル・メリー「あざみ」ちゃんのSSもあったんだっけ、
あれはメモ帳に残していなかったような・・・
過去ログから拾ってくるか・・・。
439Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/02/24(土) 23:14:02 ID:vO9wB9A00
わっ、こんな時間にカキコミが重なるなんて、

>>437 乙かれ様です、これからいやな季節ですね、

そのメリーさんに会うと、健康な者も花粉症を発症してしまうという、
恐ろしいメリーさんもいるかもしれません・・・。
440K。:2007/02/25(日) 01:14:11 ID:FuN6+u/p0
続きは少々お待ちくださいませませ。

ちょ〜っと寄り道と言うか小休止です。

ふぁうすとさんの続きが気になります。
皆さん途中で話が終わっちゃいやですよ?
441K。:2007/02/25(日) 01:16:45 ID:FuN6+u/p0
「小休止。メリーさん?」

 冬の寒さも幾分緩んできた穏やかな午後の教室に二人は居た。進路も決まった二人にはこれといった心配はなく、むしろ希望が胸にあふれていた。
惜しむらくはお互いの通う学校がこれからは別々になるということだけだった。
「お前の行く高校、女子はセーラーなんだってな。」
 亮は窓の外に視線を向けたまま秀行に言った。
「ああ。だから選んだんだ。」
 秀行は照れくさそうに答えた。
「成績じゃなくて制服で選ぶなんてお前らしいな。」
 亮は皮肉を込めたつもりで言ったが秀行は満足そうにうなずくと、急に真顔になって彼の手をつかんだ。
「なぁ亮。お前に頼みがあるんだ。」
「な・・なんだよ?急に改まって・・・」
 秀行が改まって頼みがあるという時にはろくな事がない。
何しろ、勉強は出来るが彼の頭は少し頭のネジが緩んでいる。
「メリーさんの呼び方がわかったんだよ。協力してくれるだろ?」
まだ、諦めてなかったのか。亮は自分の顔が5歳は老けたのではないかと思うほどげんなりしたが、彼を傷つけまいとして曖昧な笑みを浮かべた。
「お前にしか、こんな事頼めないんだ。頼むよ。」そう言いながら、秀行は亮のカバンを持って教室を出た。
「今度こそ、ホントだぜ?」
「ちょ・・・おま・・・」
廊下を嬉々として走って行く秀行を追いかけながら、亮は彼の人生の行く末を儚んだ。
秀行は雪がとけ残る中庭に上靴のまま走り出ると、亮に手招きをした。
「本当は人数が多いほうがいいんだけど・・・・」
いやいや。亮は喉まで出掛かった言葉を頑張って飲み込んだ。純粋に目を輝かせている秀行が不憫でならなかった。ここで友人として一言云うべきだろうか。
いや、この先は自分でわからせなくては・・・。
 そんな亮の葛藤を知ってか知らずか、秀行は真剣な表情で彼の両手を握った。春には未だ早い風に吹かれて両手を握られた亮は真正面の秀行に気圧されて空を見上げた。
 空がとても青いなぁ。
 二人は互いに手を繋ぎ小さな輪を作っていた。
 秀行も同じように空を見上げた。亮の頭にいやな予感がよぎった。
「メリーさん、現れてください!ベントラ!ベントラ!」
「それは『UFO』だろう!!!」
そして学校に虚しくチャイムの音が響いた。
FIN
442Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/02/25(日) 13:37:54 ID:fByZgb8v0
>>441 乙です! そして拉致され・・・サイレントヒルへ・・・?
いえ、違いますね、そうですね。

あっ。
あざみちゃん、うpしました、三話だけ(南の島以前)だった・・・かな?
443Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/02/26(月) 01:54:49 ID:ByXt7BJk0
よし、あざみたん発掘完了、今度こそ南の島のメリーさんだ!
444K。:2007/02/26(月) 18:40:07 ID:+8W4UjWI0
Lady メリー さん あざみちゃん素敵でした。

kyrie eleisonはラスト煮詰め中なので
「小休止。メリーさん?」の最終です。
445K。:2007/02/26(月) 18:42:17 ID:+8W4UjWI0
「小休止。メリーさん?」
 騒がしかった教室ははすっかりと静まり返っていた。二人は窓の手すりにもたれて風に吹かれながら眼下に去り行く卒業生たちを見るともなく眺めていた。
心地よい沈黙だった。
 秀行が口を開き何か言おうとした瞬間、白いカーテンが一際大きくふくらんだ。その拍子に秀行のブレザーの裾も大きく翻った。
「今なんか言ったか?秀行」
「ん・・・第二ボタンって欲しいもんなんだなぁ。ネームプレートまで取られちゃったよ。お前と交換したかったのにな。」
「いらねぇよ。」
「そうだよな、はははは。」
のんびりとした口調で秀行が言った。少し変わった思考の持ち主の秀行を亮はとても気に入っていた。
物静かで成績の良い彼から不意に語られる胡散臭い話の数々は受験戦争の中での癒しだった。
それは、天然として見られ、その面差しと相まって女子の間で人気があった。
「うちの制服のブレザー、ボタン二つしか無いのにな。」
亮は自分のブレザーにきちんと付いた二つのボタンを玩びながら言った。
「お前のボタン一個くれよ。」
秀行は純粋な笑顔で言い放った。
だからお前の頭はネジが飛んでるって言うんだよ。
亮は心の中で悪態をつきながら、ボタンを外して秀行に渡すと同時に携帯が鳴った。
秀行は嬉しそうに「今、そっちに行くから!」と言うと、携帯を切った。
「お前、ここで待っててくれる?ちょっと・・」
「野暮なことは聞かねぇよ。早く行ってこいって!」
秀行は亮から貰ったボタンを握り締めて、軽く手を振ると小走りに教室から出て行った。廊下を走る音が遠く小さくなっていく。
再び秀行の携帯が鳴った。
忘れてやがる。まったく、抜けた奴だ。亮は羨ましさ半分に心の中で悪態をついた。
着信音が止まり、応答中の文字が点滅している。
「・・・・もしもし。私メリーさん・・・」
 思わずのけぞった亮の背中にふくらんだカーテンが触れた。
「いま、あなたの後ろにいるの・・・・・」
 亮の首筋に小さな冷たい手が触れた。

FIN
446Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/02/27(火) 00:54:08 ID:Th4Tigis0
>>445 そ・・・そこで終わるのぉ!?

その後は自分で妄想しろとぉぉっ?


乙でございます。本編も待ってますよ!
P.S あざみちゃん、読んでくれたの? ありがとう!!
447本当にあった怖い名無し:2007/02/27(火) 23:34:03 ID:f0TkTOqv0
短編もいいですね
小休止面白かったですー
448本当にあった怖い名無し:2007/02/28(水) 13:37:12 ID:sWISRh2MO
アゲ
449ふぁうすと:2007/03/01(木) 00:38:28 ID:04ojI0ki0
>>440 k。さん、どもども。

実はファウスト読んだのかなり昔でストーリー忘れちゃったの。
一回読み直してから、物語を始めようかと・・・。
ファウストを誘惑するメフィスト・メリーと、
魂を売ってでも目的を遂げようとするファウスト博士の物語・・・。
450本当にあった怖い名無し:2007/03/02(金) 21:07:46 ID:PNF81/K7O
age
451Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/03/04(日) 00:05:15 ID:EDldY4WH0
えーと・・・、
私はタッチしてないのですが、
召還されてるメンヘル板で、
「私メリーさん Lady メリーの物語」を携帯で見れるようにしてくれた方がいました。

なんか・・・苦労されたようですが、
途中まで再現してくれたようですのでアドレス貼っておきます。
http://marrymarry.soregashi.com/index.htm
4521/5:2007/03/05(月) 18:16:43 ID:4+7w2y8n0
メリーさん「私メリーさん、今あなたの家の前に居るの」
夕食のカップラーメンを買ってコンビニを出たところでこんな電話がかかってきた。
俺「あんた誰?おれまだ家帰ってないから」
・・・ガチャ。ツー、ツー。
切りやがった。何なんだ最近のいたずらは。家へと歩いているとまたかかってきた。
メリーさん「私メリーさん、今あなたの家の前に居るの」
俺「だからまだ帰ってねぇって言ってんだろ」
ガチャ、ツー・ツー。
番号通知でこんないたずらしてくるとはいい度胸だ。こっちからかけなおしてみる。
「おかけになった電話番号は現在使われておりません。番号を・・・」
使われてないらしい。よくわからんがまぁいいさ。今日も残業で疲れたし飯食って早く寝たい。
家について湯を沸かしているとまた電話が鳴る。
メリーさん「私メリーさん、今あなたの家の前に居るの」
またか、いい加減しつこいな。仕方なくドアを開けてみると、本当に居る。
びしょびしょの女だ。雨なんて降ってないのに。なんだこいつ。しかもずうずうしく家に上がってこようとしている。
「ちょっとまて。そのままあがるんじゃねぇよ。とりあえず風呂入れ」
びしょびしょの女を脱衣所へ押し込む。
「湯は沸いてないから勝手に入れてくれ。タオルは2番目の棚。」
それだけ言うと流し場へ戻って沸騰しているやかんの火を止めた。
なんで見ず知らずの女に風呂かしてんだ・・・俺は。
飯食うのもめんどくさくなってベットに横になっていた。
4532/5:2007/03/05(月) 18:17:15 ID:4+7w2y8n0
30分くらいたっただろうか、
メリーさん「あの・・・、あのー・・・、あのー。」
うとうとしていたせいで呼びかけられているのに気付かなかった。女が風呂場から顔を出している。
メリーさん「服が、なくて・・・」
女が着てきた服は今洗濯中だ。しょうがない。スウェットの上下を渡してやる。
俺「下着はないから、これでがまんしろ。他にはない、文句言うな」
そう言いながら俺のボクサーショーツを渡してやった。
スウェットを着た女が出てきた。ちゃぶだいの前にちょこんと座る。
俺は冷蔵庫を開けてペットボトルの茶を出した。
俺「お茶でいいだろ?」
メリーさん「あ・・・おかまいなく。」
俺「構うか。茶しかねーよ」
コップはひとつしかないので俺はマグカップで飲んだ。
俺「で?あんた誰?何なの?勧誘?」
メリーさん「・・・メリーです。勧誘じゃないです」
俺「いや、苗字は?」
メリーさん「・・・ないです」
俺「は?何だないって。」
メリーさん「すいません。あの・・・あなたは?」
俺「山中達也。」
メリー「達也さん・・・」
本当になんなんだ。うつむいてやたらちっこく座ってる。まるでスペースをとらない為かのように。
4543/5:2007/03/05(月) 18:17:49 ID:4+7w2y8n0
俺「腹は?」
メリーさん「・・・え?」
俺「腹は減ってないかって聞いてるんだよ。さっきからお前声が小さい。もっとはっきりしゃべれ」
メリーさん「すいません・・・。お腹はちょっと空いてます」
シンクの上に置いてあるコンビニ袋に目をやる。中身はカップラーメン。
時計を見ると22:30。駅前のスーパーならまだ間に合うか。
俺「待ってろ。なんか買ってくるから」
メリーさん「えっ・・・あの・・・」
なんか言っていたが無視して家を出た。惣菜数品とレンジで温めるご飯を買って帰る。
俺「閉店間際だったしこんなんしかなかったけどとりあえず食え」
メリーさん「・・・ありがとうございます。」
俺たちは無言で飯を食った。
食い終わると洗い物はそのままに、俺も風呂に入った。
風呂から出てきても女はさっきと同じ姿勢で座っている。
俺「もう寝るから。あんたも寝て」
メリーさん「・・・はい、えっと」
俺「あんたベッドで寝ろ」
メリーさん「え?でも」
俺「俺は床でも寝れるからいい。早く寝ろ」
俺は電気を消し床に敷いた毛布に寝っ転がった。さすがにフローリングがちと硬い。
変なやつのせいで今日はいつもの倍疲れた。
4554/5:2007/03/05(月) 18:18:23 ID:4+7w2y8n0
おれがうとうとし始めた頃、女が話しかけてきた。そんなに俺の普通の生活を妨げたいか。
メリーさん「あの・・・、何にも・・・しないんですか?」
俺「何が?」
メリーさん「だって、泊めてくれたから・・・」
俺「うるさい、寝ろ」
女が黙ったのでそのまま寝た。
朝起きると身体の節々が痛かった。それでも着替えて会社へ行かなくては。
女はまだ寝ていた。起こさないようにはだけた布団を直し、ちゃぶ台の上に千円札を何枚かと「これでなんか食え」という置手紙を置いといた。
その日は珍しく早く家路につくことができた。
帰りにコンビニでカップラーメンを買う。コンビニを出てから昨日買った分が残っていることに気がついた。習慣というのは恐ろしい。
家のドアを開けた。あの女が履いてきた靴はなかった。
まぁ当然か。そう思いながらもすこし変な気持ちになって、少しの間自分の家の玄関のたたきを見つめていた。
4565/5:2007/03/05(月) 18:18:57 ID:4+7w2y8n0
その時後ろから声をかけられた。
メリーさん「あっ、今日は早かったですね。」
不覚にもすこしびっくりしてしまった。
しかもなんだこの女、昨日はあんなびくびくしゃべってたのに今日は普通に、しかも笑顔で話しかけてくる。その笑顔がまぶしく俺は少し下を向いた。
俺「な、何してんだ?」
俯いたまま聞いてみた。これじゃあ昨日と立場が逆だ。
メリーさん「夕ごはんの材料買ってきたんです。なんか昨日カップラーメン食べるつもりみたいだったし。ほら、今日もでしょ?」
俺が手に持っている袋を見てそう言った。
メリーさん「そんなんじゃ身体壊しちゃいますよ。私こう見えて料理得意なんです。あっお金は机の上にあったやつ借りちゃいました。合鍵は玄関の棚の上にあったから・・・。ごめんなさい、お金とかちゃんと返しますから」
俺「いや、別にいいけど・・・」
メリーさん「こんなとこでずっと話してちゃ変ですね。入りましょ?」
ちょっとはにかんだ笑顔を見せながらそういうと俺の背中を押して家へ入った。
夕食は確かに旨かった。自分で得意って言うだけはある。
俺がそういうと、女は「明日はもっとおいしいの作っちゃいますよ。」と、あのまぶしい笑顔で言った。
そんなこんなでメリーと同棲するようになって早3年。
俺は今日、あいつに山中メリーになってくれと伝えるつもりだ。
457本当にあった怖い名無し:2007/03/05(月) 22:24:31 ID:8igg0VJj0
ありがちな始まり方だが最後がかなりよかったので◎
458本当にあった怖い名無し:2007/03/05(月) 22:40:15 ID:eFiWkslZO
新人さんキター!
459本当にあった怖い名無し:2007/03/05(月) 22:47:29 ID:gPLNkvcTO
>>452-456
…激萌
460本当にあった怖い名無し:2007/03/05(月) 22:49:33 ID:1FXBwJkaO
いいね!
461本当にあった怖い名無し:2007/03/05(月) 23:23:24 ID:OgFght3QO
出先の帰りで退屈だったのが変わったよ。
ありがとう。また書いてくれよ!
462Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/03/06(火) 00:13:56 ID:2sxIXTEy0
いいですねー、
サイコ系やサスペンス、バトルもいいですが、
ほんわかした日常も素敵です、
やっぱりメリーさんはいろんなジャンルが必要だなー。
463Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/03/08(木) 02:25:24 ID:YVz29Vqr0
「もしもし? きみだぁれ? ぼくはすずきたかしです。」
「・・・? なんだ、ガキ? 自分でかけてきて『きみだぁれ』はねぇだろう?」
  プツン・・・!
「・・・きれやがった、礼儀がねーな、今のガキは・・・。」

 プルルルル・・・
「あ? 今度は・・・また今のガキか?」
「もしもし? きみだぁれ? ぼくはすずきたかしです、君の家の前にいるよ?」
「ああ!? 何言ってんだよ! おまえ、どこのガキだ!」
  プツン・・・!
「・・・また! ンだよ! コイツはぁ!!」

 ・・・バタン!
「・・・? なんだ、今の音・・・玄関? おかしいな、鍵は閉めて・・・。」

 プルルルル・・・
「ガキ・・・キレるぞ、しまいにはぁ!!」
「もしもし? きみだぁれ? ぼくはすずきたかしです、君の家の中にいるよ?
今からそっちにいくね?」
  プツン・・・!
「・・・おい、ちょっと待て・・・、家の中にいる・・・? どうや・・・いや、そんなバカな!?」
 ガタッ!
 ギシッ・・・、ギシッ・・・、ギシッ・・・。
「・・・! 誰か階段を昇ってくる!? ま、まさかさっきのガキ!? 嘘だろ!?」
 シーン・・・
「階段を・・・昇りきった・・・?」
 プルルルルル・・・!
「! おい! てめぇ、まさかオレの部屋の前に!?」
「もしもし、きぃみだぁれぇぇ? ぶぉくはぁすぅずきぃぃぃたぁかぁしぃぃ・・・!
いま、きぃみぃのぉうぅしぃろぉぉぉおおおお!!」
464Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/03/08(木) 02:26:25 ID:YVz29Vqr0
ごめんなさい、メリーさん、関係ないですね、
・・・なんかそんなCM思い出して・・・。
465本当にあった怖い名無し:2007/03/08(木) 07:16:08 ID:tYKV4FFiO
怖えw
466本当にあった怖い名無し:2007/03/08(木) 22:31:23 ID:IyCB50wF0
メリーさん助けてええええええええええええ!!!!
467本当にあった怖い名無し:2007/03/09(金) 00:12:12 ID:3YYe+AMxO
あげ
468本当にあった怖い名無し:2007/03/09(金) 07:32:27 ID:/4LTub3L0
TommyさんのI'm Gonna Scream+のPV見たヤシいる?
・・・リアルメリーさんだとオモタヨw
469本当にあった怖い名無し:2007/03/10(土) 00:34:54 ID:V57h8L1d0
>>468
ttp://www.youtube.com/watch?v=L5n74ymiBFI
これか?
Tommy heavenlyはあんま好きじゃないんだよな。
歌は良いと思うんだけど、だるそうに歌ってるのが気に喰わない。
470ハタチ ◆SKkgUPW1u. :2007/03/10(土) 15:27:34 ID:c0D5CUHm0
はいどうも。
>>395からの続きでございます
その前にちょっとした人物紹介でございます

・小鷹 香澄
煙草は二十歳になってから

・メリー
それなんて薔薇乙女?

・エリザ
元ネタはチェイテ城でググれ
471ハタチ ◆SKkgUPW1u. :2007/03/10(土) 15:29:17 ID:c0D5CUHm0
 「大人しくしてればいいものをぉ……」
 ぎりぎり、とエリザが歯を軋らせてメリーを睨み付けた。
 「あなたにしてやられるほど、私はお人好しじゃないの」
 メリーは片方だけになってしまった手の、指先をエリザに向けて翳す。
 「悪いけど、壊れてもらうから」
 ふと、その指先がほのかに輝き始める。
 眼の錯覚か幻か、とも思われたそれは、しかしすぐさまに眩いばかりに輝きを増して、メリーの手を覆う。
 「そこを動かないほうが、良いよ――」
 膝を曲げ腰は低く、左手は振り上げて指先は高く。瞳は感情を写さない、虚ろな人形の目。その目の中央にしっかりとエリザを捉えると、
 「――楽にイけなくなるから!!」
 次の瞬間、エリザの姿がかき消すようにして消えた。
 それに対しエリザは瞬時に反応。まず目の前に、床から壁を生やし、それから一瞬遅れて低く横に跳ぶ。
 地面すれすれを横に跳んだ刹那、数瞬前に生え出た壁が、一文字に亀裂が入り――いとも容易く――両断された。
 その二つに分かれた壁を弾き飛ばす勢いのまま、メリーが飛び込んでくるのを、エリザは見た。
 メリーの飛び込むその速度は凄まじくはあったが、しかしその左手で壁を叩き切ったからであろう、勢いは衰えて、出だしのように目に捉えられない程ではなかった。
 接近の勢いの減少に加えて、エリザは既に横へと飛び退けて回避行動を取っている。
 エリザの計算では、寸前でメリーの攻撃は外れる。
 そのはずだった。だが、
 ――がくん
 突如、跳んで空を滑るエリザの体が、制動をかけられて止まる。
 風に流された髪も、ドレスも、急激に動きが止まった事で一瞬、ふわりと舞い上がった。
 なんだ、とエリザは即座に周囲を見回し、
 「――なんだとぉおお!?」
 そして悟る。
 「……文字通り『足を引っぱる』、か。笑えないだろう?」
 エリザの、床に近い、低い宙にあった足首を、香澄に両の手が、しっかりと捉えていた。
 「貴様ああああ!!」
 エリザは香澄の手を引き剥がそうと足掻いたが、
 「――終、幕、だね」
472ハタチ ◆SKkgUPW1u. :2007/03/10(土) 15:29:56 ID:c0D5CUHm0
既に時遅く、飛び込んできたメリーがすれ違うようにして、その左手を払った。
 エリザは斬撃を防ごうと右手を構えたが、しかしそれで凌げる訳も無く――
 ぱんっ
 弾けるような音を立て、エリザの右手は切り飛ばされてくるくると中を舞い、体はちょうど下半身と上半身とに斬り離され、下半身は香澄が掴んでいた為そこに膝を折り、上半身は斬撃の勢いできりきりと回りながら床に落ちた。
 これだけの深手を与えておきながら、しかしメリーの表情は冴えない。
 「……仕損じた」
 エリザの体が床に触れる直前、その脇に突如、床を割って何か巨大なものが生え出る。
 それは観音開きの扉で、メリーと香澄を飲み込みこの空間へと導いた扉と同じ物だった。
 扉はその口を大きく開くと、エリザをその向こうへと飲み込んだ。
 「待て!!」
 それに続いてメリーも扉の外へと抜ける。
 扉の向こうには、薄暗く、細い路地裏へと繋がっていた。ずるずると片手で地面を這って建物の角の向こうへと消えていく、下半身を失ったエリザの姿を見て、メリーがその後を追う。
 しかし、角を曲がったその先には、数多くの人々の行き交う交差点が広がっていた。
 雑踏の中に紛れてしまったのだろう、エリザの姿はどこにも見えなかった。
 「……くそっ!!」
 メリーの呻きは、町の喧騒に飲まれ、かき消された。

 「……俺の事は放置、か」
 割とダメージの大きい体を横たえながら、香澄は呟いた
473ハタチ ◆SKkgUPW1u. :2007/03/10(土) 15:30:28 ID:c0D5CUHm0
左腕だけを使って地面を這い、エリザは路地裏から別の路地裏へと渡って逃げていた。
 が、しかしそれもここまでか。彼女には既に、これ以上逃げ続けるだけの力は無かった。
 「……ちくしょう」
 彼女は呻いていた。薄汚く、通りから一本外れたために人気の無い道の上で。
 「ちくしょう……ちくしょう!!」
 全てが憎かった。メリーの事もはもちろん、その相棒の男の事も。そして自分自身も。
 こちらが契約者を見つけていなかったとは言え、たかがメリーごときに、たかがその契約者の人間風情に圧倒されるなんて。
 屈辱だった。彼女の中に高らかと掲げられた自身と誇りの旗は、メリーと香澄によって見事にへし折られてしまったのだった、。
 「ちくしょう!!」
 感情に任せ、一本だけになってしまった腕の、指先でコンクリートを掻き毟った時、
 「――誰かいるの?」
 表通りの方から声が投げられた。
 ――しまった。
 エリザは、自分の失態をも憎んだ。
 だが、声の主がエリザの元へと歩み寄るに連れて、その感情も次第に狂おしいほどの喜びへと置換される。
 「そうか、運は私の方向へと流れてくれているのか」
 くつくつと、笑って彼女は、片手で体を支えて持ち上げると、自分の前に立つ人間と目を合わせた。
 「私、エリザ。今あなたの――」
474ハタチ ◆SKkgUPW1u. :2007/03/10(土) 15:36:20 ID:c0D5CUHm0
はい、今回はここまででございます。
今回で第二章的なものが終わっちゃった感じです。
475Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/03/10(土) 16:51:34 ID:ZjQnCB980
乙!

では第三章も期待!!
476Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/03/11(日) 20:16:29 ID:+UjPN6ls0
・・・毎回、宣伝すまんです・・・。
http://1st.geocities.yahoo.co.jp/gl/amekazelionmaru
ついに・・・あーなげぇ・・・
南の島のメリーさん、うp完了・・・!

ろーずのお庭も、メィリィの得意料理も、らぶぅの実家もうpしといたんでみんな見てね。
(えー、すいません、らぶぅの実家以外はそこら辺から拾ってきた画像ですよ!)

次は・・・赤ずきんbyローズを軽めにうpして・・・

行きますか、「メリーさんを追う男」・・・これも長いんだよなぁ・・・。
477本当にあった怖い名無し:2007/03/11(日) 22:30:22 ID:uuJuzH830
>>476
うpお疲れ様。
478Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/03/12(月) 01:19:02 ID:ZXsriclR0
>>477 どもです!
そしてホットなところで頂き物・・・元ネタ知らずAA

           -―ー- 、..,__ /
      ,....'"::::::::::::::::::ヾ::::::::::::::::::::゙/
   ,,r ''"::::::::::::::::ヽ:::=::: ̄:::::::::::::::::i  私の名前はシェリーです・・・!
 ,./,.":::::::::::::::::::r:::::::::::::::゙::::::、::::::::::! 
,." ,.'::::::::::::::::; -'´ilヽ::::::::::::::::::::::::::::::i  い、いま、あなたの後ろにいるんですよ!?
 ,:::::::::::::::, '   !:l  丶:::::::::::::::::::::::l
./:::::::::::/ u. l::l   ヽ::::::::::::::::::l    な、なんですか、その目は!?
:::/::::, '     .l::l u   .゙、:::::::::::::i   
/!::i/\     i::l  U  !li::::::::::l   私のことを変な女と思ってるんでしょうっ!?
..l:::r- ..,゙、    .l;i    ,. rli'l"::::l
../l:l ll.! ゙ヽ,.l ヽ、!r,,.r∠"_. l l l!:l  ぜ、絶対許しませんからねっ!!
..U:l .ヾ、__ノ゙L..i'゙ "´!゙、  ゙゙.i''=- l
,.r゙'、..// ._ '´ ゙、   .゙‐-.'" ''’! l
r:::::l//// ..!//丶、//.._,., '' ノ_
、ゾ、   ノ  ////// ̄//U  ゙、
゙:::ノヽ、 .  ,_        .′   (ヽ、
:::'ノ-,:::: 、  .ヾ ''' ‐、      ,,.r(ソ.)、
:i" /::::::::::::ヽ  ゙、  )    ,.r" l.+ソ:) ヽ、
 /::::::/!┌''' ゙ .、゙ " _,,.. "   __l,.(ソ)i
//::://:::ノ/゙>、,....!゙'....."---―'''''" (ソ) ',
"/ ./::/:/ / li li: : :li        (ソ).゙、
  ,r-':ノ /、 li li: : :li       ,..r=、"´、
479本当にあった怖い名無し:2007/03/12(月) 02:53:13 ID:8dVZiwHkO
上げ
480本当にあった怖い名無し:2007/03/12(月) 04:03:52 ID:C3rD31O8O
私メリーさん、今、あなたの後ろでカンチョーしようとスタンバってるの
481本当にあった怖い名無し:2007/03/12(月) 08:07:17 ID:8FRx7lf9O
私メリーさん
メリケン持って、あなたの後ろにメリーさん。
メリーさんの羊メリーさんの羊私メリーさん。マッハの如くメリーさん。
482本当にあった怖い名無し:2007/03/12(月) 10:20:51 ID:EqOUIz2cO
私は精神科医なのだが、最近「メリーさん」と、
訳の分からないことをつぶやく患者が多くて困る。
483本当にあった怖い名無し:2007/03/13(火) 08:06:49 ID:BV6A0n0sO
メンヘル板にあるというメリーさんスレが見付からない訳だが
484本当にあった怖い名無し:2007/03/13(火) 13:33:39 ID:CuJNVFUFO
私が出入りしてるスレのことかしら?
あそこはメリーさんスレってわけじゃ・・・
単に私がキャラコテとして暴れてるだけです。
向うの人には勘違いしてる方もいるみたいですが・・・。

「コテハンを集めてみるだけのスレ」
今、携帯なのであとは捜してみて下さい。

れでぃめりー
485本当にあった怖い名無し:2007/03/13(火) 22:59:14 ID:pfJ/DoZ90
>>484 IDがUFO・・・。
486K。:2007/03/13(火) 23:28:27 ID:oQyrY3vW0
小休止ばっかり・・・。

メリーさんの出てこないメリーさん。

 会社帰りにいつものコンビニに立ち寄ったら、広川がいた。
「よっ。お前、生きてたか!」
 一人暮らしで低所得、しかも彼女無しの彼はよく言えばマイペース。
 しばらく連絡が取れないと思ったら、旅に出ていたり入院していたりとネタに困らない楽しいやつだ。
「久しぶりだし、飯食いに行こうよ。おごるからさ」
「おお?気前いいな。支払い終わった金無かったんだー。焼肉がいいなぁ〜」
 冗談とも本気ともつかないことを云って広川は屈託なく笑った。
 もちろん、焼肉をおごる義理は無いので○牛へ。しょぼいなぁとか何とか云いながらも広川は楽しそうだ。
「そういやさ、最近困ってんだよね。」
「なに?」
「ストーカーって言うの?それがいるみたいでさ。おっと来た来た」
広川は遠慮も無く大盛りの卵つき。
「へえ。女?」
「女。でも、いやじゃね?教えてないのに電話かけてくんだぜ?」
へえ。以外だ。広川って大雑把そうだから平気かと思ったらそうでもないんだ。
「ふーん。」
「それがさぁ、その女、一日づつ段々近づいてくんだよ。いま駅前とか言ってさ、気持ちわりーの。」
「マジでか。」
困ってると言いつつ、向かいでもりもりと飯を食う広川に何の悲壮感も無い。
「で、延滞をついついそのままにね〜」
「いかんだろ。社会人としてさぁ」
 と、そこまで云って僕は何か違和感を感じた。まてよ、その話聞いたことあるぞ。
広川の携帯が鳴った。
「でも今日支払ったからさ。この通り・・・」
 僕は広川の後ろに見てはいけないものを見つけてしまった。
今日は家に帰れないかもしれない。
fin
487本当にあった怖い名無し:2007/03/16(金) 12:20:14 ID:HFbCavAtO
上げ
488126番外編 ◆dNexSJi1ew :2007/03/16(金) 19:31:23 ID:NWS/Pub80
「ようやく寝たか・・・」
俺は家族が寝静まった後、自室にこもった。
とにかく、ようやく見つけ出した・・・。
「【完全】☆メリーさん☆【攻略】」
一度消されたものの、あまりの情報量ゆえに、多くのファンを作り出し、
また管理人の奇怪な言動ゆえに、本当にメリーさんを召喚したとうわさされたサイト。
現在は、サイト自体が消され、ファンによって、以前に保存した内容をUPすることでサイトの再現が進められていた。俺もそのメンバーのうちの一人だ。
サイトのキャッシュをUPしたり、さらにはその説明を補足していくうちに、このサイト自体のつくりにある仕掛けがあることに気がついた。
とはいっても、サイトに使われているURLがある法則を持っている。
そして、考えても、秘密でリンクをした形跡、隠しページが存在していたことを示していた。
その隠しページを今日ようやく見つけ出したというわけだ。

そこにはメリーさんを呼び出すためのある方法が書かれていた。
その第一段階が、24時間このページを開き続けておくこと。
俺はそれを実行した。
明日の今頃・・・俺に何が起こるのだろうか?
非常に楽しみだった。
サイトの管理人によると、メリーはまるでセルロイドで出来たようなしみのない細やかな肌、
をもち、黒をベースにふんだんにレースをあしらったロリータファッションに身を包み、
栗毛色で柔らかなウエーブのかかったセミロングの髪を揺らしているそんな美少女だという。、
身長は135センチ?
ごてごてとした服からすらりと伸びる真っ白な足。
足元はフリルのついた靴下だけで、靴は履いていない。
膨らんだ袖口からは、これもまたすらりとした腕がのび、その手に大きな鎌が握られている。
ああ・・・想像をしただけで・・・。
会いたい・・・。
つづく
489126番外編 ◆dNexSJi1ew :2007/03/16(金) 19:32:05 ID:NWS/Pub80
俺は、このサイトに嫉妬を覚えた。もしかしたらただの妄想かもしれない・・・そんな管理人の書き込みに焦燥感を覚えた。
サイトの管理人の描写した、あるいは俺の頭の中で再現したメリーを絵に書き、また同じくらいの身長の少女の写真を撮ってみたり、一般に萌えフィギアと呼ばれるものにも手を出した。
ただ、妻には秘密だった。
いつも妻が寝静まった時間になってからこっそりと活動を続けた。
つうはんで関連のものを取り寄せたりするときも、妻が出かけている間に到着するように時間指定をした。
これらの努力の結晶・・・。俺は自分の書斎に鍵を書け、決して家族のものに入らないように言及して自分の城を築いていった。

その一種のむなしさを伴う毎日ももう終わる・・・。
メリーにさえ合えるのであれば・・・。

「さて・・・」
俺はパソコンのモニターだけを切り、自分の城を後にした。明日は遅くなる。しかし、24時間後。この部屋に戻ってこよう。
そのとき、もしかするとメリーがパソコンの前に座っているのかもしれないのだから。

朝気持ちよい目覚め。妻と子どもたちに挨拶をして、元気に会社へと向かう。
いつもは重い足取りの通勤経路が、何かしら楽しげな道のりに感じる。

時間は軽やかに過ぎて行った。
仕事中も俺はメリーと遭遇したときのことをシュミレーションしていた。
攻撃される可能性もある。その攻撃からどのように生き延びたらいいのか、
あのサイトには詳細が書かれていた。
つづく
490126番外編 ◆dNexSJi1ew :2007/03/16(金) 19:33:11 ID:NWS/Pub80
家に着く。もうそろそろ24時間がたつ。俺は真っ先に自分の城であるあのパソコンのある部屋へと向かった。
部屋の扉が開いていた。
部屋の中は何者かに荒らされたように、ぐちゃぐちゃになっていた。
写真もフィギィアもパソコンの画面までもが粉々に砕かれていた・・・。

メリーか?・・・俺は緊張した。片手に携帯を握り締めた。
メリーならば・・・予告があるはずだ。
「私・・・メリーさん・・・」
という電話による予告が・・・。
壁に背を向けながら、ゆっくりと無残な残骸になった部屋から出て、リビングに向かった。
み、水を飲もう・・・。
いざとなると緊張の不が喜びよりも勝っていることに気がつく。
とにかくのどがからからだった。

ゆっくりと壁に背中を当てながら、1階へと降りる。
リビングの扉を開けて、電機をつけた、そのとき、大きな音量で手の中の携帯がなった。

「もしもし・・・」
俺は携帯を開き、耳に当てた。
「・・・」
向こうは何もいわない。・・・メリーなのか?

「もしもし!め・・」
俺が、メリーかどうかを聞こうとしたとき・・・。相手の声が聞こえた。
「わたし・・・今、実家にいるの・・・」

「は?」
声は聞きなれた声だった。携帯の発信者を見た。そのときリビングのテーブルにおいてある封筒が目に入った。
・・・離婚届?

部屋をぐちゃぐちゃにしたのも、今電話をかけてきているのもメリーではなく妻だった・・・。
おわり
491本当にあった怖い名無し:2007/03/16(金) 21:26:01 ID:Lzzoauo3O
目覚めの悪い朝。今日はメリーから電話が来て6日目の朝だ。
「私メリー。今あなたの家の前にいるの」
昨日の電話が頭をよぎる。とうとうメリーは玄関前まで来てしまった。
噂によると俺の余命はあと1日。この5日間、どんなに許しを請うてもメリーは聞く耳をもたなかった。
今日は会社を休んで、茨城の実家へと向かう。年老いた母親にお別れを言うためだ。
途中で買った母の好きな豆大福を携えて、実家の戸を叩く。2年ぶりに見る母の姿。少し白髪が増えたな…。
2時間ほど他愛のない話をして、台所の電球を取り替える。
「母さんの子に生まれてよかったよ」帰り際につぶやいた言葉に母は少し驚いていた。
東京に向かう途中、父のお墓による。「父さん、そっちでまた酒でも飲もう」すっと手をあわせて家路を急ぐ。
家に帰ると5歳になる息子が玄関で迎えてくれた。
久しぶりに息子と風呂に入る。最近は寝顔しか見れなかったせいか少し大きくなったように感じる。
湯船につかりながら幼稚園での話を聞く。こいつの成人した姿を見届けらなかったのが心残りだ…。
いつも通り夕食を済ませ、息子を寝かしつける。
492本当にあった怖い名無し:2007/03/16(金) 21:28:55 ID:Lzzoauo3O
絵本を2、3冊読んで聞かせる。こんなことをしたのは何年ぶりだろうか。気づけば俺も親父と同じ仕事人間になってた。
息子の布団をかけ直しながらつぶやく。「ママを頼んだぞ。立派な男に育てよ。」
寝室に戻ると妻が鏡台の前に座っていた。
こいつにはいろいろ迷惑をかけた。安月給で家庭を顧みない俺に文句も言わず、ついてきてくれた。
「いつもありがとう。感謝してるよ。」鏡越しにそう言うと、妻は少し怪訝そうな顔をした後、笑って首をかしげた。
さすがに「愛してる」とまでは恥ずかしくて口に出せなかった。
仕事の残りを片付けるから妻には先に寝てもらうように言い、電話のある居間に向かう。
10時すぎ、そろそろメリーから電話がかかってくる。
メリーはまだあの事を怒ってるだろうか?俺がちょうど息子ぐらいの時、友達に女々しいと言われ、メリーを近くの空き地に捨て、当時男子の間で人気だったウルトラマン人形へと乗り換えたのだ。
しかし、あれから30年近くたつ。なぜ今なんだ…。
『プルルルル…プルルルル…』
沈まりかえった空気を切り裂くように電話の音が鳴り響く。6度目の電話だ。もう相手はわかってる。
いつものように電話口へ向かい受話器をとる。
493本当にあった怖い名無し:2007/03/16(金) 21:30:56 ID:Lzzoauo3O
「…………」
「……メリーなんだろ」
「…………」
メリーは何も話さない。もしかして、思い直してくれたのだろうか。
「……メリー、すまなかった…。許してほしい…」
「……あたしメリー、今あなたの後ろにいるの」
やはりダメだった。後悔はしてない、俺がメリーをそうさせたのだ。
怖くないといえば嘘になる。でもあと少しでこの恐怖から解放されるのだ。
汗だくになった手に受話器を抱えながら、ゆっくり後ろを振り返る。
下には小さい箱が置いてある、中を開けてみるとろうそくの刺さったケーキが入っていた。

「……誕生日おめでとう」
受話器の向こうで小さく響く女の子の声。思わず床に泣き崩れた。

「……メリー、おまえってやつは…。・゚・(ノД`)・゚・。」
494本当にあった怖い名無し:2007/03/16(金) 22:13:10 ID:t/xu33NQ0
126さんも>>491さんもGJ!!
495本当にあった怖い名無し:2007/03/17(土) 12:34:03 ID:8Rx28PYFO
>>491-493
あれ?
画面がくもって見えないや
なんでだろうアハハ
。・゚(ノД`)゚・。


126パパ…実話?w
496Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/03/17(土) 12:41:33 ID:zysc/B4G0
126パパの物語がリアルすぎる件・・・。

>>493 乙でつ!!
497本当にあった怖い名無し:2007/03/18(日) 11:08:43 ID:kRHrszPJO
ものすごいヘタクソなんですが絵をうpしても良いでしょうか…(´・ω・`)
498本当にあった怖い名無し:2007/03/18(日) 11:52:50 ID:hQvcQdnd0
おっけー!!
499本当にあった怖い名無し:2007/03/18(日) 13:03:54 ID:kRHrszPJO
ありがとうございます!出来次第うpします
500本当にあった怖い名無し:2007/03/18(日) 17:54:01 ID:7Gsw0jgJ0
>>491-493
____   r っ    ________   _ __
| .__ | __| |__  |____  ,____|  ,! / | l´      く`ヽ ___| ̄|__   r‐―― ̄└‐――┐
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| r┐| |___  __|. | | | 二 二 | | |く_/l |   |  , ‐'´     ∨|__  ___| r‐、 ̄| | ̄ ̄
| |_.| |   /  ヽ    | | | |__| |__| | | |   | |  | |   __    /`〉  /  \      │ | |   ̄ ̄|
|   | / /\ \.   | |└------┘| |   | |  | |__| |  / /  / /\ `- 、_ 丿 \| | ̄ ̄
 ̄ ̄ く_/   \ `フ |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |   | |  |____丿く / <´ /   `- 、_// ノ\  `ー―--┐
           `´ `‐' ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`‐'     ̄          `  `´          `ー'    `ー───-′
501499です:2007/03/18(日) 18:41:53 ID:kRHrszPJO
http://imepita.jp/20070318/670420
拙いですが描いてみました
502本当にあった怖い名無し:2007/03/18(日) 18:49:28 ID:kRHrszPJO
http://imepita.jp/20070318/675580
すいません間違えました……orz

ちょっとメリーさんに殺されてくる
503本当にあった怖い名無し:2007/03/18(日) 19:01:12 ID:hQvcQdnd0
>>502 待ってました!! 高貴な匂いが漂っててナイス!!

あとで・・・私もなにか・・・!
504Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/03/19(月) 02:16:37 ID:1aPcDFAy0
>>502 いいですねぇ! 今後も期待できそう!
また描いてねぇ!

505502です:2007/03/19(月) 21:47:13 ID:ByN9zXtpO
>>503 >>504

お褒めの言葉ありがとうございます…(;ω;)
今度うpする時はもっと上手に描けるよう精進します!
506本当にあった怖い名無し:2007/03/19(月) 23:16:11 ID:Mc+ndhdqO
あげ
507本当にあった怖い名無し:2007/03/19(月) 23:19:53 ID:3zAIINCuO
>>502
黒服とリボンのひらひら感が素敵ね。

スレチすまそ。
メリーさんに殺られてくる。
508本当にあった怖い名無し:2007/03/19(月) 23:36:46 ID:1aPcDFAy0
あざみ:「>>507 食べたらおいしい?」
509K。:2007/03/20(火) 01:46:33 ID:okx3i5Wx0
502さん
細部までキチンと描いてるのがイイ!期待大!
510K。:2007/03/20(火) 01:53:23 ID:okx3i5Wx0
>>390からの続き。
「kyrie eleison」1/4

「だって、人形だもん。」
 メリーは竜の考えを読み取ったかのように双眸を細めて呟いた。
が、それはほんの一瞬でメリーはすぐにその表情を変えた。
 白い小さな指が胸元からミルクティの雫を撫で、掬い取り、
妖艶な娼婦のような表情で濡れた指を竜の前に差し出した。
 熱を帯びたメリーの瞳の中に竜が写り込んでいる。
呼吸に合わせて胸のフリルとリボンがゆっくりと上下した。
竜は意識が遠のく様な気持ち悪さを感じてメリーから目をそらした。
「もぉ。よそ見しながら飲んじゃだめよぅ?」
 二人の間の緊張をまったく無視してカズミが戻ってきた。
床に正座をすると、メリーを持ち上げて自分のひざの上に座らせた。
硬く絞った布巾で丁寧にメリーの喉元を拭き、
奉仕を楽しむように汚れた指も一本ずつ丁寧にふき取った。
メリーは小さく声を漏らして表情を崩した。
「メリー?どうしたの?」
カズミは驚いてメリーの顔を見つめた。
511K。:2007/03/20(火) 01:54:05 ID:okx3i5Wx0
「kyrie eleison」2/4

「人形は飲めないの!」
メリーは泣きそうな表情で答えた。
悲しみとも怒りともつかない感情が黄玉の瞳の中に揺れていた。
快と不快の区別しかなかったメリーの中でそれ以外の感情が芽生えていた。
そしてその感情にメリー自身が戸惑い動揺していた。
「寂しいからひとつにするの!剣から食べるしか出来ない!
剣から力が貰えるの!刺すとみんな動かなくなる!遊びたいの!」
メリーは駄々っ子のように足をばたつかせた。
その言葉はあまりに短く説明が足りなかった。
しかし、カズミは短剣をその身に受けたことで直感的にその言葉の意味を確信していた。
が、理性と知識がそれを否定していた。
「動けなくなっちゃう。遊べない。置いて行かれちゃう。」
思わず、カズミはメリーを抱きしめた。
どうしようもなく愛しく、切なく思いで胸が詰まった。
「そんな馬鹿な話はないだろう?」
ため息のように煙を吐きながら竜が言い放った。
512K。:2007/03/20(火) 01:54:49 ID:okx3i5Wx0
「kyrie eleison」3/4

「・・でも、竜、あなた見たでしょう?あの短剣で刺した人がどうなったか・・・」
 カズミはメリーを庇う様に抱きしめたまま、厳しい視線を竜に向けた。
「俺は認めたくないね。そんな馬鹿な話はありえねぇよ。
たとえばだ、百歩譲ってメリーが人を刺したその力で動くとしてだ、
それを認めたら・・・いや、ありえないね。狂気の沙汰だ。」
 灰がこぼれ落ちんばかりに長くなったタバコを乱暴にもみ消した。
「竜・・・。そうやって、いつも・・」
カズミは言いかけて言葉を飲み込んだ。
「何?かまわねぇよ?俺は冷たい人間だからね。
もしかしたら青い血が流れているかもよ?
ヘモグロビンの代わりにヘモシアニンかもよ?ははは」
「そうやって、誤魔化すのは良くない事よ?あたしも意地の悪い言い方をして悪かったわ。
でも、この状況をいくら否定しても、メリーは存在しているのよ?」
「フォリアドゥかもな?」
 竜は皮肉たっぷりの笑みを浮かべた。
513K。:2007/03/20(火) 01:56:07 ID:okx3i5Wx0
「kyrie eleison」4/4

「ああ!カズミ君!君の狂気が伝染するほどに、俺は君と深い心の結びつきを持っているんだ!」
 カズミの周りを回りながら、芝居がかった口調で笑いながらわめいた。
「そんなに信用してくれていたとはどういたしまして!」
 カズミは座ったまま仰々しく会釈をするとため息をついた。
それを見て竜もそのままソファに倒れこむ様にすわった。
「お互い・・・疲れてるみたいね。」
カズミは静かに言った。
「食ってねぇし、あんま寝てねぇからなぁ」
 天井を仰いで竜が答えた。
カズミはメリーをヒョイと持ち上げると竜の横に座らせた。
「冷蔵庫に何にもないから、何か買ってくるわ。何がいい?」
「ん。腹に詰まれば何でもいいや。」
竜は横に居るメリーを見もせず、頭に手を載せて乱暴になでながら答えた。
「了解ー。じゃ留守番頼むわね。」
カズミはやわらかく微笑んで鞄をつかむと出かけていった。


今回はここまでです
ありがとうございました。
514本当にあった怖い名無し:2007/03/20(火) 14:14:28 ID:oeKKPOM/O
メ「私メリーさん、今火星に居るの。」
名無「マーズアタック?!!!」
515Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/03/21(水) 00:02:07 ID:6eU2kj3U0
k。氏・・・そろそろ次の事件を期待・・・、
あ、いえ、気にしないで下さい・・・。
516K。:2007/03/21(水) 17:46:05 ID:xLx9k2ru0
>>515 Lady メリーさんドウモです。
妖艶だったり冷酷な人外メリーが見たいですよねぇ?
事件展開しないかなあ
文章って難しいですねぇ(人事のようにw)
ガンバルお。

517本当にあった怖い名無し:2007/03/23(金) 00:35:30 ID:gUGYuHmqO
メリーさん可愛いなぁ
メリーさん萌えるなぁ
518ハタチ ◆SKkgUPW1u. :2007/03/24(土) 18:44:14 ID:FqflsxZH0
はいはい?>>473からの続きです
今回から新章なんですよだぜ?
519ハタチ ◆SKkgUPW1u. :2007/03/24(土) 18:45:00 ID:FqflsxZH0
 ――朝。携帯のアラームはまだ鳴っていないが、既に香澄は目を覚ましていた。いつもの事である。
 ベッドの上のメリーは、まだ起きてはいない。
 それだけ確認すると彼は、床に仰向けに寝ると、おもむろに腹筋を始めた。
 だが、その動きは実にゆっくりだった。床に寝そべった状態から、立てた膝に顎を着けるのに十秒以上、上体を起こした体勢から再び寝そべるまでに、やはり十秒以上の時間を掛けた。
 緩慢な動作で行われるそれは、実に十回に渡って行われた。
 たかが十回と馬鹿にしてはいけない。実際に行ってみれば分かるだろうが、腹筋にかかる負担が半端無く大きいのだ。
 それが終わると、今度は背筋を、同様に緩慢な動作で十回行い、スクワットも同じように十回。
 それが終わると今度は握力を鍛えるためにゴム製のボールを、やはりゆっくりと握った。その後に行ったダンベル上げも同様であった。
 一連の作業が終わると、香澄はバスルームに入ってシャワーを浴び、彼が出てくる頃には、メリーも目を覚ましている。
 メリーは、彼が行っていた事を知らない。

 「今日はバイトで遅くなるから、夕飯は先に食べていてくれ」
 そう言い残して、香澄は家を出た。
 メリーはこうしていつも一人残されるわけである。
 しかし、別に寂しいと思ったりだとか退屈していたりはしていない……という事にメリーはしている。
 何故なら、漫画読んだりテレビを見たりゲームをやれば暇は潰せるし、昼食とおやつはいつも香澄が用意してくれるからだ。
 現に今も、ポテチ齧りながら、コントローラー握ってテレビと睨めっこである。
 『実は俺、恋人がいるんすよ。基地に帰ったら告白しようと――』
 「逃げてえええええ!!」
 案外、一人で盛り上がれるメリーであった。
520ハタチ ◆SKkgUPW1u. :2007/03/24(土) 18:46:17 ID:FqflsxZH0
澄は焦っていた。理由は至ってシンプル。学校に遅刻しそうだったからだ。
 町の中を走るのはさすがに恥ずかしいので、かなりの急ぎ足で歩いていたが、しかしこのままでは間に合いそうにも無い。
 授業に遅れればそれなりのペナルティが課せられるのは当然。そうなる事はあまり好ましくない。
 だが、このままでは遅刻することは確実。
 香澄はバイク(50cc)の修理を怠った事を後悔した。
 仕方が無い、今日の授業が二時限目からだと勘違いした俺の責任。遅刻も仕方ないか……
 そう思い、半ば諦めかけた時、香澄の遥か後方から一台の原動機付き自転車(通称原チャ)が法定速度を無視した勢いで走ってきた。
 金属的な輝きを放つ青色に塗装されたスクーターは、香澄をいくらか追い越したところで突然急ブレーキ。後輪を滑らせ、車体を横にして止まった。
 「――よお」
 ノーヘルのスクーターの運転手は、香澄に向かって軽く会釈した。
 「……成実(なるみ)」
 香澄にそう呼ばれた彼は、ワックスでセットされた、しかしボサボサとした印象を与える髪を軽く指先で弄んだ。
 「乗ってく?」
 スクーターの後ろ、本来は荷物を縛り付けて載せておくラックを、成実は指差した。
 それに対して香澄は黙って頷くとそこに飛び乗った。
 スクーターは二人乗り、三十キロ超のスピードで走り去った。
521ハタチ ◆SKkgUPW1u. :2007/03/24(土) 18:46:56 ID:FqflsxZH0
 『奥さん、いい? 今晩のおかずは山芋だからね? わかった?』
 「そんなんで夫婦仲は再生しないって」
 昼時に、テレビに向かって一人ツッコミを入れるメリーの姿は、なんとなく世のおばちゃんを髣髴とさせた。

 「香澄ー」
 「ん?」
 その日の昼食を香澄は、成実と一緒だった。学食で隣り合って席に着き、香澄はカレーセットを、成実は日替わりランチを机に置いた。
 「今日お前ん家行ってもいー?」
 「駄目だ」
 淡々とカレーを口に運び、香澄が答えた。
 「え、なんでー?」
 「都合が悪い」
 今現在、メリーがいる事を考えると、誰かを部屋に招き入れる事は避けたかった。
 「別にいーだろー」
 日替わりランチのアジのフライに齧り付きながら成実が言い返した。
 「お前今日、暇だろ?」
 「駄目なものは駄目だ。――先に行く」
 「え? あ、てめ、早くね?」
 さっさと皿を片付け始める香澄を見て、慌てて箸を動かす速度を上げる成実だった。
 が、焦ってアジのフライを飲み込んだため、完璧に噛み砕かれなかった骨が喉に刺さり悶絶する羽目になった。
522ハタチ ◆SKkgUPW1u. :2007/03/24(土) 18:48:10 ID:FqflsxZH0
「……」
 メリーは漫画を読みふけっていた。脇に何十冊もの単行本を重ねて。
 読んで。
 読んで読んで。
 読んで読んで読んで。
 そして――
 「やれやれだわ」
 感化された。

 香澄は学校の中にいる時間で、放課後という奴が一番好きだった。
 厳密に言えばもう、学校の教務の時間ではないのだが、その敷地の中にいるという点で見れば、間違いなくこの時間が一番好きだった。
 彼は部活動に所属していた。
 が、それは――園芸部というやつだった。
 このことに対し、彼は色々と陰口を――ゲイなんじゃないかとか、花の妖精が見えているんだよだとか――叩かれているが、しかし自分が好きで始めた事なので、その手の事を言われても仕方が無い。
 彼は花が好きだった。ただ、花の花弁の美しさよりは、その日々の成長を見る事に喜びを感じていた。
 なので彼は今、ビニールハウスの中で水を撒いているだけでもそれなりの充実感を感じていた。
 今、彼のほかに部員はいない。
 正確には、名前だけ籍を置いている人間が大半、稀に顔を見せる部員が少々で、実質は香澄一人でやっているようなものである。
 それはそれで、気が楽だ――と香澄が水撒きに使ったホースを片付けていると、
 「お疲れ」
 突然、後ろから声をかけられた。
 振り返ると、今時、目の覚めるような赤に髪を染めた女生徒が立っていた。ただ、その彼女の顔、その右い頬には赤黒い一筋の線が奔っていた。肉が盛り上がったようになって構成される一本の傷跡が、白い肌の上で目立って見えた。
 「鶴原(つるはら)先輩」
 香澄に呼ばれて彼女は、軽く右手を上げた。
 「バンドの方は? 良いんですか?」
 「ん? まーね」
 霞の問いを適当に流して鶴原は、スカートのポケットから煙草の箱を取り出した。
523ハタチ ◆SKkgUPW1u. :2007/03/24(土) 18:49:33 ID:FqflsxZH0
 「香澄、火。ちょーだい」
 「ばれたら、怒られますよ?」
 「うん、知ってるー」
 彼女は悪びれる様子も無く煙草を口に銜え、香澄も口ではそんな事を言いながらも躊躇無くポケットに手を突っ込んで、
 「……」
 何かに気が付いた、と言った様子で一瞬大きく眼を見開き、
 「……今日は、持って来てないです」
 と、平静を装って答えた。
 それを聞くと鶴原は、しかたねーなー、と言って、再びスカートに手を突っ込むとジッポライターを取り出した。
 ハートマークの描かれた――しかしそのマークは割れて半分になっている――ジッポを、彼女は手の平の上で弄んだ。
 ……彼女は自分でライターを持っていながら、他人に火を要求したのである。
 鶴原は、ほら、と香澄に半ば強引に自分の煙草を銜えさせた。銀色の箱に、数字の7の描かれた特徴的なパッケージの煙草。香澄のそれに火をつけると、今度は自らも煙草を銜え、
 「……んっ」
 ぐっと香澄の目前に顔を寄せ、煙草の先と先を合わせ、自らの煙草に火をつけた。
 ――シガー・キスと言う奴だ。
 二つの紫煙が、花に囲まれた中から立ち上る。
 「今日は、ここ、あんた一人?」
 鶴原の問いにかすみは黙って頷き、それを見て彼女は、自分から聞いておきながら、大して興味もなさそうに「ふーん」と答えるだけだった。
 その後暫く、二人の間で静かな時間が流れた。互いに交わす言葉も無く、黙って煙草を燻らせるだけだった。
 「ね、香澄」
 沈黙を破ったのは、鶴原のほうだった。
 「あんたさ、今度、軽音部に戻ってきなよ」
 軽音部。正式名称は軽音楽同好会。
 この学校では正式なサークルとして認められていない部活動であったが、しかし鶴原の組むバンドは小規模ではあるがライブハウスでイベントを開催するほどの活動を行っていた。
524ハタチ ◆SKkgUPW1u. :2007/03/24(土) 18:51:25 ID:FqflsxZH0
 「皆、あんたがいなくなって寂しがってたよ?」
 「……先輩」
 香澄は、鶴原と目を合わせないで答えた。
 「気持ちは嬉しいです。でも……やっぱり駄目です」
 「そう。そっか」
 ばりばりと、真っ赤に染めた頭を掻きながら、鶴原は香澄に背を向けた。
 「ま、気が変わったらまた言ってよ。じゃ」
 「……」
 一本だけになった立ち上る煙を、香澄は暫く見ていたが、ふと目線を足元に移した時、ある物に気が付く。
 それは、鶴原のジッポだった。忘れていってしまったのだろうか。
 「……」
 香澄は自分の制服のポケットを漁った。そこから取り出したのは煙草とジッポライター。
 煙草は銀色の箱に数字の7の描かれた銘柄。ライターには半分に割れたハートが描かれていた。
 「あなたとバンドを組めなきゃ……」
 香澄は自分のライターと、置き去りにされたライターとを合わせた。
 そこには、一つのハートマークが形作られた。
 「……意味が無いんですよ、鶴原 桜(さくら)先輩」
525ハタチ ◆SKkgUPW1u. :2007/03/24(土) 18:51:56 ID:FqflsxZH0
 「ただいま」
 「あー、香澄ー。待ちくたびれたー」
 香澄が帰宅した時、メリーはまだ夕食を済ませていなかった。
 香澄は先に済ませろと言っておいたが、どうも彼女の気はそれで済まなかったらしい。
 「いただきます」
 「いただきます」
 二人揃って手を合わせる。
 「ねえ、香澄」
 「ん?」
 何気ない調子でメリーが聞く。
 「そこのギターって、香澄のだよね?」
 メリーは、壁に立て掛けてあるエレキギターを指差した。
 黒にペイントされたその中に、一本だけ赤い傷跡の様な模様の描かれた、フライングYと呼ばれる形のエレキギター。
 「……ああ」
 歯切れの悪い香澄の様子を気にするわけも無く、メリーはさらに話を進めた。
 「ね、ね。弾いてよ」
 無邪気に笑いながらねだる彼女を前に、香澄は暫く黙って考えてから、答えた。
 「……また、な」
 「えー、またっていつー?」
 香澄は再び黙った後に、
 「……何時か、だ」
526ハタチ ◆SKkgUPW1u. :2007/03/24(土) 18:52:36 ID:FqflsxZH0
 「おやすみ、香澄」
 「ああ」
 電気を消して暗くなった部屋の中で、香澄は考えていた。それはここ最近ずっと気になっていること。
 
 「なら、また見捨ててみるかい? 『繋がった』人間を、『契約者』を!?」
 
 先日遭遇した、エリザという名の人形。メリーと同様の存在。
 エリザのこの言葉が、香澄の脳裏に引っかかっていた。
 『契約者』というのは、メリーに対する自分のことだろう。それはわかる。
 だが、『また見捨てる』とは、一体どういうことなのか。
 自分以前に、同じような人間がいたのだろうか。だとして、『見捨てた』という事はどういうことなのだろうか。見捨てられた人間はどうなったのか。
 また、メリーの片腕。自ら切り落としたその腕は、しかし今は元通りになっている。
 あの後、メリーは床に転がっていた人形の右腕を拾っていた。
 だが、それはメリー自身の右腕ではなく、対峙して斬り飛ばしたエリザの右腕だった。メリーはその右腕を、自らの右腕の切口と合わせると、それは吸い付くようにして接着された。
 多少腕の太さや長さが異なるため、接合部分の微妙な亀裂が目立ったが、暫くすれば元の通りになるらしい。
 が、この再生能力は何なのか。再生能力に限らず、彼女たちの所有する能力――例えばメリーの、彼女自身が『娼婦の指』と呼ぶ全てを切断する力――のほとんどは既存の科学技術を凌駕している。
 他にも、エリザはあの後どうなったのかも気になる。メリーとエリザの力の差は一体なんなのか。『ピスキー』と言う言葉も気になる。彼女たちは何故産まれてきたのか。誰がいかなる方法で作り出したのかのか――
 無限に広がりを始める思考に気がついて香澄は、なるべくその事から考えを切り離そうとするが、しかしそうすると今日の放課後の一件が脳裏をよぎる。
 ……何故、あの時俺は『あなたとバンドを組めるなら戻っても良いです』位の事を言えなかったのだろうか。それくらい大きく出ても良かったんじゃないのか。
 彼にしては珍しく、くよくよ悶々と悩んでいたが、やがて、
 寝た。
527ハタチ ◆SKkgUPW1u. :2007/03/24(土) 18:55:23 ID:FqflsxZH0
今回はここまでです
香澄君は先輩の事をかなり想っているのですが、その思い入れっぷりがちょっとアレだと思ったのは俺だけですかそーですか
528本当にあった怖い名無し:2007/03/25(日) 16:10:31 ID:zjfUAc24O
メリーがオラオラ言ったりプッツンする日もそう遠くは無いですね
529Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/03/25(日) 17:02:03 ID:YoomIAvU0
次にお前は 「あなたの後ろにいるの・・・」 という・・・!

530本当にあった怖い名無し:2007/03/25(日) 21:11:26 ID:HIPzyvciO
>>529
だが断る
531本当にあった怖い名無し:2007/03/25(日) 21:23:09 ID:r77TgP5g0
背後から攻撃されても「ザ・ワールド・・・時は止まった」でおk
532Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/03/25(日) 21:32:30 ID:YoomIAvU0
でも、
「私が時を止めた・・・! 九秒の時点でね!!」

で反撃するから問題なし!!
533本当にあった怖い名無し:2007/03/25(日) 22:35:31 ID:tCvkQrFO0
メリーさんがスタプラみたいなムキムキマッチョになるなんて・・・・・・いやいやいや〜ん
534本当にあった怖い名無し:2007/03/25(日) 23:12:48 ID:HIPzyvciO
ジョジョネタになると皆の食い付きが良い件について
535本当にあった怖い名無し:2007/03/25(日) 23:44:13 ID:9PasFcApO
メリーはジャニーズの副社長だよ?
536戦慄の怪人・・・その正体は!?:2007/03/26(月) 01:48:18 ID:Aoa3qCwS0
”ダディ!行く時が来たよ♪”
”もう15人の兵たちは居ない♪”

っと、この歌詞を思い出したら久々に投下したくなってきますた・・・。(~へ~*)y-~~ウ〜ン
537ウチは最恐ゴスロリ少女うりぃ・めりーや!:2007/03/26(月) 02:28:36 ID:RsEztcKK0
電撃氏・・・出番待っとったで!!
538本当にあった怖い名無し:2007/03/26(月) 19:08:40 ID:66AbN2tmO
横浜メリー
539本当にあった怖い名無し:2007/03/27(火) 22:31:53 ID:xgJiude5O
こんにちわ。
いつもは、HIPHOP板にしかいないのですが、このスレはいつもROMってます。
すごいおもしろいですね。
540ウチは最恐ゴスロリ少女うりぃ・めりーや!:2007/03/27(火) 22:51:54 ID:ewT1ffbC0
>>539
そ・・・そんなところから・・・!
歓迎するでぇぇ!
541本当にあった怖い名無し:2007/03/27(火) 23:20:29 ID:xgJiude5O
>>540
小説とか書けないですけど
感想などは出来るだけしていきますね。
542本当にあった怖い名無し:2007/03/27(火) 23:30:15 ID:xgJiude5O
ついでに、結構ジョジョ好きですwww
543从*゚ー゚从またやん:2007/03/27(火) 23:32:23 ID:1vz4+DkQ0
ハマのメリーさんは真っ白で唇だけが紅かった
544Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/03/28(水) 01:18:47 ID:BCMebfvk0
ではパロディもので失礼して・・・。


「おう! 姉ちゃん! どないしてくれんのや! このスーツ!
なんぼしたと思うとるねん!!
コーヒーなんぞこぼしよったら二度とシミ消えんのやぞ!!」

「あ・・・ごめんなさいごめんなさい! のり子、よくこんなドジを・・・!」
「ドジですまん・・・! ちゅーとんのや!! 払うもん払えんのなら・・・
カラダで弁償してもらうかぁ!?」
「ごめんなさい! 許してください!! さもないと・・・あたし・・・!」
「ああ!? さもないとなんじゃっちゅうねん!?」

(いけない! 私ったら・・・、またこんな失敗を・・・!
でもダメ! これ以上追い込まれたら・・・「彼女」が!!)
 ビクン!!
ドジでマヌケな少女・・・のり子の体に変化が生じた・・・。
柄の悪い男に罵られて猫背になった背中をピンと伸ばし・・・
突然視線は遠くの方のなにかを見据えていた・・・。

・・・それはのり子にだけに聞こえる声であった・・・。
  
  ドジののり子・・・いいえ、ドジ子・・・!
  これ以上、あなたにこの場を任せるわけにはいかない・・・。
  今から私がそこに行く・・・!
  それまで持ちこたえるだけでいいの・・・!
545Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/03/28(水) 01:20:05 ID:BCMebfvk0
のり子はそれまで相手にしていた男を無視し、
突然見えない誰かに向かって喋り出す・・・!
 「メ・・・メリーさん! だめ! 来ちゃダメ!! また無益な血を流すつもり!?
 やめて! こないで!! ここは私が・・・!」
虚をつかれたのは男のほうだ、
あれほど怯えていたドジな女の子が、一転して挙動不審に陥ったからだ。
 「お、おい! ねーちゃん!? なにふざけとんや・・・! いまわし
-----------------------------------------------------
  やで!!」
・・・
・・・・・・
 「?」
何が起こった?
男はいつのまにか自分の上着を手にしていた・・・脱いだ記憶はない。
自分が今何を喋ったのか・・・その記憶もない。
少女の方をと見ると、
さっきとはまた違う何かに怯えている様でもある。
 「お、おい、今・・・。」
その時、少女は叫んだ。
 「来る! メリーさんが来る!! ・・・すぐ・・・すぐ近くまで来ている!!」
 「わ、わけわからんことゆーてごまかそっちゅ
----------------------------------------------------
・・・。」
まただ・・・、また何か違和感が生じた。
しかも、少女の姿が先ほどの場所と、少しずれた位置にいる・・・歩いた様子はなかったのに・・・。
 少女は顔を天に仰いで叫ぶ。
546Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/03/28(水) 01:21:50 ID:BCMebfvk0
 「来た! メリーさんが来た!! 今ココに!!」

 ドジ子ォ・・・! おまえはもういい!!
 ここから先はこの私がゆく!!
 時よ、消し飛べぇッ!
 キング・クリ・メリーッ!!
  ド ォ ォ ォ ォ ン ッ !!
------------------------------

 ・・・このキング・クリ・メリーの能力は全てのものの時間を奪う・・・!
 誰もが過ぎ行く時間を意識することは出来ない!!
 結果だ!
 そこにあるのは結果のみだッ!!
 私のッ・・・
 可愛いドジ子ォを虐めるものはなんびとたりとも許しはしないッ・・・!
 この男は・・・
 私を・・・
 本気で怒らせたッ!!
 貴様には死んでいくことを後悔する時間をも与えんッ!!

----------------------------------------
男の体が宙を舞い、道路の反対側の民家に突っ込んだ!
カラダにはポッカリと穴が開いていた・・・。
そして誰もが・・・その空間にいる誰も皆・・・
そこで男が即死した瞬間を見ることが出来なかった・・・。
何が起こったのかもわからないのだろう、
たった一人・・・ドジッ子ののり子だけが・・・
カラダを震わし・・・悲しそうに、飛んでいった男の遺体をみつめていた・・・。
 「・・・ああ、なんてこと! また・・・メリーさんがやってきたんだわっ・・・。
 何故、いつもわたしのそばでばかり・・・人が死んでいくの・・・!?」

to be continued・・・(嘘です)
547本当にあった怖い名無し:2007/03/28(水) 08:37:29 ID:DUsO1PhiO
とるるるるるるるるん・・・!
548本当にあった怖い名無し:2007/03/28(水) 11:48:00 ID:7ZpQ84RCO
ぴぴるぴるぴる……
549本当にあった怖い名無し:2007/03/28(水) 22:03:43 ID:dZM22Tnr0
・・・・・・ぴぴるぴ〜
550本当にあった怖い名無し:2007/03/28(水) 22:13:22 ID:2ccExw7j0
ぴゅるるるるる〜・・・・
551本当にあった怖い名無し:2007/03/28(水) 22:37:00 ID:fQ/HBCxaO
>>548-549
それなんて電波ソング?
552本当にあった怖い名無し:2007/03/29(木) 00:37:27 ID:O1JvNtkOO
徹子の部屋のオープニングか
553本当にあった怖い名無し:2007/03/29(木) 06:54:57 ID:6QQ6dBYPO
とりあえず、>>547はドッピオだよな?
554Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/03/29(木) 22:58:46 ID:aMrf2DXb0
メリーさんを追う男うp完了〜!!

http://1st.geocities.yahoo.co.jp/gl/amekazelionmaru
あー、長かった・・・。
多少手直ししてますが、
話が抜けてたり、コピペに失敗して、話の前後がおかしくなってたりしてたら、
ご指摘くださるとすんげー、うれしいです。

ただ、「語られない物語」とか、挿入話は順番変えたりしておりますので、それは間違いじゃないです。
あと、携帯版は、立ち上げた人がすんごい気まぐれ屋さんのためか、
すでに消されてるようです。
携帯の方、ごめんなさい。
555本当にあった怖い名無し:2007/03/29(木) 23:08:09 ID:kdWXbZ9x0
>>553
ドッピオは「とぅるるるるるるるる」じゃなかったか?
556本当にあった怖い名無し:2007/03/30(金) 08:15:41 ID:SLJBeQwhO
>>555
しかし徹子の部屋は「とぅ〜るる♪とぅるる♪とぅ〜るる♪」じゃないか?
557本当にあった怖い名無し:2007/03/30(金) 22:27:58 ID:gFFqr2w70
「とぅ〜るる」てwwwwwwww
「ル〜ルル♪」だろwww
558本当にあった怖い名無し:2007/03/31(土) 14:36:02 ID:UV5a9retO
>>557
それは知らなかったわw
つーかここ何スレw
559本当にあった怖い名無し:2007/03/31(土) 15:41:20 ID:Mso6o9IW0
「私徹子でございます。
いま、あなたは私の部屋にいらっしゃいます。
いま・・・アフリカでは多くの子供達が・・・」


徹子のスタンド・・・「ブラックオニオン」
その能力は対象の人間を狭い部屋に閉じ込め、
延々と悲しいお話を聞かせてしまうという恐怖のスタンド。
徹子が次のターゲットを見つけるまで・・・
そこを出ることはできないッ!!
560本当にあった怖い名無し:2007/03/31(土) 21:57:52 ID:UV5a9retO
>>600
新手のスタンド使いか!?w
561本当にあった怖い名無し:2007/03/31(土) 22:11:29 ID:Mso6o9IW0
>>600 に期待ッ!!
562本当にあった怖い名無し:2007/03/31(土) 22:22:16 ID:9/46a8lP0
こんなメリーさんは怖くない

    -─、 っ
   ' ,ノメリ) っ            ∧_∧
  ノ イ :::::ノ               ( ´∀`) <……
 ( i/ lつ目 < ピッ♪ポッ♪    (     )

     ┌───────────‐┐
     │ プッシュ音でバレバレだ   |
     └───────────‐┘      1/5
563本当にあった怖い名無し:2007/03/31(土) 22:23:29 ID:9/46a8lP0

    -─、 
   ' ,ノメリ)              ∧_∧ て
  ノ 目 ::::ノ <今あなたの     目´∀`) (
 ( i∩ V〉    後ろにいるの  ∩   )



                                 , ─-、
   il||li シャッ!            ∧_∧ バッ!  三二ノノメリ  ,
  iill||||llii               (´∀` 彡    三二(::::::ノ イ ザッ
 iilll||||||||lllii              ヽ つ  ヽ     三⊂i/  ノ

        ┌──────┐
        │ 姿を見せない|
        └──────┘          2/5
564本当にあった怖い名無し:2007/03/31(土) 22:24:40 ID:9/46a8lP0

    -─、 
   ' ,ノメリ)           ∧_∧
  ノ イ;::::ノ < えっと…    (´∀` ) < ほうほうそれでそれで?
 ( i/l V〉            (     )

   ┌─────────────┐
   | その後の展開を考えていない|
   └─────────────┘     3/5
565本当にあった怖い名無し:2007/03/31(土) 22:25:49 ID:9/46a8lP0

                 ∧_∧
       どうも〜! > 目´∀`)
 メリー&リカで〜す!   ∩   )

    ┌───────────‐┐
    |違う意味でコンビ組んでる |
    └───────────‐┘      4/5
566本当にあった怖い名無し:2007/03/31(土) 22:27:03 ID:9/46a8lP0

         -─、 
        ' ,ノメリ) ∧_∧
       ノ イ*::::ノ (´∀`* )
      ( i/l V〉 (     )

  オメデト〜!  メデテエメデテエ オシアワセニ〜
  ∧∧  ∧_∧  ∧_∧  ∧∧
  ( ^Д)  (     ) (∀・  )  (  )
       ┌──────┐
       |結婚しました |
       └──────┘           5/5
567Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/04/01(日) 00:04:57 ID:4qnogmNN0
>>562 新鮮な流れだ・・・!
568本当にあった怖い名無し:2007/04/01(日) 00:41:30 ID:79STyDsiO
【結婚】こんなメリーさんはいやだ【しました】part12 (583)
569本当にあった怖い名無し:2007/04/02(月) 07:23:31 ID:dh8fW1gb0
全力でそのスレのアドレスキボン
570ハタチ ◆SKkgUPW1u. :2007/04/03(火) 14:20:50 ID:G0CmuodB0
こんな時間から投下ですよ
>>526からの続きですよ
571ハタチ ◆SKkgUPW1u. :2007/04/03(火) 14:21:48 ID:G0CmuodB0
 「――おにーさんおにーさん、ちょっと聞きたいよ」
 彼女の声は、日本のサラリーマンには届かなかった。
 「おねーさんおねーさん、少し聞きたい事あるが、よいあるか?」
 彼女の願いは、日本の派遣女子社員には届かなかった。
 「……日本人、冷たいよー」

 その日の夕方、香澄は一人でてくてくと道を歩いていた。
 右手には夕飯の材料の詰まった手提げ袋を下げていた。意外と環境に優しい男なのだ。
 「……まったく、パスタが喰いたいなんて……どの漫画に影響されたんだか」
 ぶつぶつと文句を垂れながらも、しっかりと材料をそろえてしまうのが悲しいサガと言ったところか。
 「……まったく」
 「――おにーさん、おにーさん」
 大きく息を吐いたちょうどその時、背後から声をかけられ、彼は振り向いてしまった。
 そう、『振向いてしまった』――
 つまり、それが今回の、彼の悲劇の始まりだった。
 とにもかくにも、香澄は声をかけてきた人間を視界に収めた。
 そして彼の目は点になった。
 「私、人を探すしてるよ。一緒に捜すして欲しいね」
 何故なら、そこに経っていたのは、黒髪を頭の左右で団子状に結った、チャイナドレスの女の子が立っていたからだ。
 真っ赤な布地に金色の糸で縫われた細かな刺繍。ドレスのスリットから覗く足は白いカンフーパンツに通されていた。
 背は低く、150前後で幼く見えたが、しかしなにか香澄の脳みその端っこに引っかかるものがあった。
 「私、その人見つけるの事ができるないと、とても沢山困るのことよ」
 いかにも、『中国人』といった印象を与える彼女を目の前に、香澄の思考は三歳児のお絵かきみたいにぐしゃぐしゃになった。
572ハタチ ◆SKkgUPW1u. :2007/04/03(火) 14:22:51 ID:G0CmuodB0
 「あいやー、おにーさん優しくて私、とても助かるの事よ」
 中華風な雰囲気を振りまいて、彼女はニコニコと笑って見せた。
 「……そうか」
 あからさまな『中華風』の雰囲気に当てられて香澄は、しなびたほうれん草みたく、ぐったりとしながら歩いた。
 (……案外、お人好しだよな……、俺)
 「あいや、そう言えばおにーさん名前なんていうよ?」
 「……香澄」
 顎に重りをぶら下げてるんじゃないかって位に開きにくそうに口を動かして、香澄はぼそりと答えた
 「カスミ、ね。大丈夫、しっかり覚えたよ。あ、私フェイと言うの事よ。よろしくね」
 フェイと名乗った少女は、香澄の手をとってぶんぶんと大きく上下に振った。
 (……ん?)
 香澄はフェイの手の感触に違和感を覚えた。
 何故なら、彼女の手は白い手袋に通され、その下から伝わってくる感触が妙に固いような気がしたのだ。
 「さーそれではカスミくん、さっさと探しに行くよー」
 しかし、すぐに手を離されてしまったので、違和感の確証を得ることはできなかった。
 (もしかしたら、メリーと同じような……)
 「カスミくーん、なにしてるよー。早くするよろしー」
 フェイに促され香澄は、脳裏に浮かび上がった疑問の思考を、その場では発展させるに至らなかった。
573ハタチ ◆SKkgUPW1u. :2007/04/03(火) 14:23:32 ID:G0CmuodB0
 「それで、誰を探してるんだ?」
 「とても大事な事の人よ。だけど名前忘れたー」
 「忘れるのか……」
 こめかみに鈍痛を覚え、香澄はさらにぐったりした。
 「だけど、名前忘れたの事あるけど、色々の事覚えているよ」
 「例えば?」
 えっと、とフェイは頭に人差し指で渦を書きながらその「大事な人」とやらの事を思い出し始めた。
 「えーと、その人この町に住んでるの事よ。それと、その人男ね。それから、名前が『わ』で始まって『み』で終わるよ。あ、あとは昨日、今日で携帯を壊したよ」
 ――絶望的だ。
 香澄は頭の上に相撲取りでも乗っけられたような気分になった。
 この広い町の中で、そんな極僅かな、しかもチンプンカンプンな手がかりだけを持って尋ね人を見つけるなんて、絶望的過ぎるのにも程がある。
 なので、香澄は――
 ――この問題を投げる事にした。
 簡単な事である。彼女の言った条件に少しでも掠るような人間に、この問題を押し付けてしまえばいいのだ。
 ……案外、自分は悪人かもしれない。
 香澄はちょっぴり自己嫌悪に陥った。
574ハタチ ◆SKkgUPW1u. :2007/04/03(火) 14:24:11 ID:G0CmuodB0
 「――そこだっ、かっ飛べ俺の○ッパー!!」
 成実はその日珍しく、自宅でテレビゲームなんぞをやっていた。
 今プレイしているゲームの内容はレースゲームで、成実の操作するキャラクターは見事、谷底に落ちていった。
 「なぜだぁー!? なぜショートカットできないー!?」
 「――なんでってそりゃー、あんた」
 成実の横でコントローラーを持つ、化粧気の無い女性が呆れながらぼやいた。
 「クッ○は重量キャラだからねぇ」
 「あ、姉貴、知ってたの?」
 唖然とする成実の膝の上で、ちっこい妹も、大げさに溜息をついて彼を見上げる。
 「そこのジャンプ台はヨッ○ーとかルイー○みたいなキャラじゃないと無理だよぉ。おにぃ、知らなかったの? ダサッ!!」
 「……てめえに言われると、人三倍ムカツク」
 「で、このどさくさに紛れておとーさんが一位でゴール、と」
 「あ!!」
 「あ」
 「あー!!」
 大して目立っていなかった父が優勝するというハプニングが起こり、一家の団欒のひと時はリアルファイトに変貌した。
 そんな家族の様子を見て、母は「よく飽きもせず毎回……」と呆れるのだった。
 ぎゃあぎゃあと喧しく繰り広げられる一家の乱闘を、
 ――ぴんぽーん♪
 突如として鳴り響いたチャイム音が一瞬にして静めた。
 「あ、誰か来た。成実、あんた出て」
 「は? 姉貴出ろよ」
 「成実、お前行けよ」
 「いや、親父が行けって」
 「おにぃー、行ってよー」
 「あのな、そんな事言うんだったらお前が……もういーや、俺が行く」
 これ以上無駄なやり取りを続けるのに疲れて、成実は重い腰を上げた。
575ハタチ ◆SKkgUPW1u. :2007/04/03(火) 14:26:22 ID:G0CmuodB0
 『鷲尾(わしお)』
 そう書かれた表札の下げられた、小ぢんまりとした家の玄関前に、香澄とフェイは立っていた。
 「あいやー、もー探してる人を見つけてしまうとは、カスミくん天才のことよー」
 掴んだ香澄の両腕をブンブンと振り回した。
 満面の笑みを浮かべるフェイを前に、香澄を物凄い罪悪感が襲っていた。
 何もそれは、フェイの事を放り出す事からだけではない。
 この問題を押し付けちゃう、その身代わりとなる人間に対しても申し訳なさは感じていた。
 「――はーい、どちらさまで……あれ? 香澄?」
 そうこうしていると、玄関の扉が開かれ、中から香澄のよく見知った人物が顔を出す。
 「……成実」
 香澄はひどく形容しがたい表情で、家から顔を出した友人――鷲尾 成実、に会釈した。
 「実は――」
 香澄は事のあらましを説明しようとしたが、しかし、
 「お、おおー!!」
 フェイの歓喜の叫びによって遮られてしまう。
 「合いたかったよー!! ナルミー!!」
 そう叫ぶと、フェイはぴょんと成実の胸元へ飛び込んだ。
 「……は?」
 「……は?」
 香澄と成実は二人して、仲良く目を点にした。
576ハタチ ◆SKkgUPW1u. :2007/04/03(火) 14:27:58 ID:G0CmuodB0
 「カスミくんありがとうのことよー!!」
 成実の胸の中でパタパタと手を振るフェイ。
 「お、おい、待てって!!」
 成実は無理矢理フェイを胸元から引き離した。
 「……なんだ、コレ」
 びしっとフェイを指差し、成実は香澄に聞いた。
 「……お前を探していたそうだ」
 「……俺はこんな餓鬼、知らね」
 しかし、二人して脇の中華っぽい娘を見ると――
 「ナルミ? どうしたのか? 私の顔、何かおかしいのこと、あるか?」
 ――成実の事を知っているのは、どうやら確かっぽい。
 「……思い当たる節は無いのか」
 「……んな事、言われても――あ!!」
 ぴーん、と閃いた成実は、フェイに物凄い形相で向き直る。
 「てめ、こら。あれか? 人様のケータイに何べんもイタ電かけたか? あ?」
 「イタデン……? よく分からないけど、でもナルミのケータイには何回も電話かけたの事よ」
 成実は「あーやっぱり!!」とか何とか叫びながら、フェイの服の襟を掴んで締め上げた。
 「てめーか!! てめーが人様のケータイに『メリーさん』やってきたのか!! ぁあ!?」
 その言葉に、香澄の眉がぴんと跳ね上がる。
577ハタチ ◆SKkgUPW1u. :2007/04/03(火) 14:29:05 ID:G0CmuodB0
てめーが『私今、駅前にいるの』みてーな電話かけてくるから、俺は夜ションベン行けなかったぞオラァ!! 怖くて携帯壊しちゃったじゃねーか!!」
 半分は自分に責任のある行動の数々を口走る成実だったが、最早香澄の眼中にはそんなモノは入っていない。
 この、フェイと言う子供はやはり、メリーと同じ――
 「――そいつから離れろ、成実!!」
 香澄がそう叫ぶのと同時に、
 ――地面が抉られた
 高度より落下してきたそれは、成実に吊るされたその人形を切り裂かんと腕を振るった。
 しかし、寸前でかわされたため、勢い余って成実の足元のコンクリートを抉り砕いた。
 フェイは回避のため、上空に跳んで半ば強制的に成実の腕を振りほどき、きりきりと身を捻りながら着地した。
 「メリー!!」
 香澄にそう呼ばれた突然の来襲者は、右手を振り上げ、フェイに対峙した。
 「帰りが遅いから何をしているかと思えば……」
 くっ、と唇の端を吊り上げた微笑を、メリーはその顔に貼り付けた。
 「私、おなかぺこぺこなの。さっさと帰るよ?」
 対してフェイは、無防備に両腕を突き出して首を横に振り、自らに抵抗の意思が無い事を示す。
 「いきなり何をするかー、危ないのことよ」
 「危ない? はっ、私のパートナーの寝首をかこうとしておいて、何を言っているの?」
 「違うの事よ!! それは誤解よ!!」
 「黙りなさい。御託はいいから、さっさと始めましょう」
 「う〜、仕方ないね。おまえちょっとだけ強情そうね」
 フェイは、仕方が無い、と腰を低く落とすと、左手は開いて前方に、右手は体に引き寄せて構えを取った。
 「口で分からない人には、体に直接言って聞かせるよ」
 鋭い眼光を持って、フェイはメリーを睨みつけた。
 「お前に見せてやるのことよ――私の、『無影剣(ウーイェンチェン)』を」
578ハタチ ◆SKkgUPW1u. :2007/04/03(火) 14:30:19 ID:G0CmuodB0
はい、今回はここまでです
長くてメンゴ
579本当にあった怖い名無し:2007/04/03(火) 19:09:31 ID:ZXDNrzKzO
流し読みしてると面白そうなんだが、
時間がなくて過去ログまでさかのぼって読めない俺ガイル('A`)
580本当にあった怖い名無し:2007/04/03(火) 20:45:59 ID:J2ebvDXsO
誰が完璧な保管庫作ればいいんじゃね?
581Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/04/03(火) 23:34:01 ID:iTiQ0Cf30
むむむむ!
フェイたんはメィリィより強いのであろうか!?

むむむむむ!?
wktkwktk!!
582Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/04/05(木) 20:59:54 ID:HIWJFRx50
あや〜、もうメリーの新作、
モチベーションが湧かない。
出だしは書いてるんだけど、
筆が進まない。
どうしてくれよか・・・?

といいつつ、
今日、全く別の舞台をさっき、一気に書き上げた。
12時くらいに投下します。
ま、今までの話の続きじゃ・・・。
メリーは今回出場するのは、

「うふふ、あなたを食べさせて?」

の、あざみたんに任せた。
583Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/04/05(木) 23:57:45 ID:HIWJFRx50
 語られない物語その・・・3桁めぐらい?

 ガサッ・・・ガサッ・・・、
馬が歩みを進めるごとに、カラダに枝葉がまとわりついてくる・・・、
密林・・・、まだら模様の薄気味悪い馬が一人の兵士を乗せている・・・。
黒い・・・黒光りする鎧を身につけて。
単なる兵士という割にはその鎧は立派過ぎるし、
将校だというなら、何故この男は単騎なのだろうか?
兜からは、丸みを帯びた二つの巨大な角を生やし、側面にはそれぞれおぞましい貌が彫られている。
装備している本人の顔もあわせて見れば、
まるで阿修羅像にも例えられよう・・・。
兜の額部分には蛇の意匠が・・・いや、良く見るとそれは鎧全身に鎮座しているようだ。
両肩、左膝、右足首・・・そして腰に並んで三つ・・・、合計八匹の蛇の彫像が彫り付けられている・・・。
一体如何なる文化に属する形状なのだろう?
・・・そして鎧の下の大男・・・、
顔つきはまだ若いが、その精悍な表情は多くの死線をくぐり抜けた者だけが持つ物だ、
眼光は狩猟動物のように鋭い。
前髪の隙間からは、時々大きな痣が見え隠れする・・・、まるで額にもう一つの眼があるように・・・。

まだらの馬が耳をピクンと動かした・・・。
騎乗している男のほうも、何か違和感を覚えたようだ。
 「・・・シャルバリー・・・どうした?」
 ザザザザッ・・・、
男の前方でつむじ風がまいた、
男が馬に話しかけたほんの少しの時間差で、前方の茂みの辺りで草木が異様な動きを見せる。
斑の馬・・・シャルバリーが歩みを止める・・・。
鎧の男も、これから起こることに警戒は怠らなかった。
様々な死の危険と隣り合わせに生きてきた男は、
如何なる些細な異常にも、気を許すことはない・・・!
 そして・・・

 うふふふふ、・・・私メリーさ・・・
584Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/04/05(木) 23:59:37 ID:HIWJFRx50
 「きゃあっ!?」
もし傍からこの光景を見ているものがいたとしたら、
突然のこの事態の変化を理解できたであろうか?
斑の馬の背中に突然、黒ずくめの長い髪の女性が現われ・・・
それどころか、鎧の男の手にしていた三叉の槍が、
その長い髪の女性の眼前に突きつけられていたのだ。
・・・男は後ろを振り向いてもいない。
左手に矛の柄を握り、腕を交差させて、自分の右肩をかすめるように、
真後ろにいる何かに向かって、矛の切っ先を向けていたのである。
時間は止まっていた・・・。
斑の馬は、自らの背中にいきなりの来訪者があらわれても落ち着いたままだ、
まぁ、小柄な女性が乗っかったところで、今更大して負担が大きくなるわけでもあるまい。
鎧の男も慌ててる様子はない。
女性の次の変化を待っているというところか、
彼の背中と右腕には、女性の細い腕が添えられている。
そしてその女性は、目の前の矛のために背中を剃りかえし、
馬から落ちないように必死になって男にその手を這わせていた。
・・・それにしても・・・ここまで隙がない男なんて・・・。

カンニバル・メリー、あざみは既に食欲をなくしていた。
というよりも、食欲よりも、生命の安全のほうを優先せざるを得ない。
ここまでの戦士に、立ち向かう危険を犯す必要はない。
 見逃してくれるかしら・・・?
 とりあえず謝っておこう・・・。
 「ウフフ・・・、すごぃ、あなた見たいな人に会った事はないわぁ?
 ごめんなさい、とりあえず、この物騒な三叉の矛を収めてくれませんかしら?
 最初はあなたを食べちゃおうと思ったんだけど、・・・私の敵う人じゃなさそうね・・・?」
男はしばらく動かなかった・・・。
あざみが次の言葉をどうしようか考えているうちに、ようやく男はゆっくりと矛を戻した・・・。
そしてゆっくりと・・・男はあざみに向かって振り返った・・・。
  !!
585Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/04/06(金) 00:00:54 ID:HIWJFRx50
あざみは自分の目を疑った・・・!
いや、目の錯覚だったのだろうか?
振り返った男の瞳が、黄金色(きんいろ)に輝いていたからだ・・・。
 いや、・・・そんなことはない・・・普通の黒い瞳だ・・・。
何故、そんな風に見えたのか?
あざみは動揺を隠しながら、嬉しそうに答える・・・。
 「・・・かっこいいわね、兵隊さん・・・? 
 この辺りの人じゃないみたいね・・・、
 黒十字軍? それとも、ヒミコのヤマタイ軍・・・?」
互いに警戒は解かないままだ、お互いを怪しく思っている、・・・まぁ当然だろう・・・。
それでも、あざみはその細い指を男から離すことはない・・・。
鎧の上からでも十分だ、
いや、その鎧の隙間から、たくましい筋肉の塊が見え隠れしている。
 温かくて・・・とても硬い・・・。
思わずその隙間に指を這わせたくなる衝動に駆られる・・・。
これは食欲ではない・・・。
女性としての本能だ・・・。
男はあざみの指の動きを拒否するでもなく、勝手に遊ばせている。
その気になれば、あざみはその指で男の皮膚を切り裂き、肉をついばむことも出来るのだが・・・、
今や彼女に「そっち」の衝動はない・・・。
そして男はゆっくりと答える・・・。
 「・・・どちらでもない、女・・・お前こそどっちだ? ルードヴィッヒの手下か・・・?」
あざみも勘のいい女だ、
男の喋り方で、少なくともこの男が、黒十字軍に敵対意識を持っていることだけは理解した。
 「あら、奇遇ね? 私もどちらでもないわ?」
 「どちらでもない? ここは激戦地だろう? 女一人でどうやって生きてるんだ?」
 「うふふ? 私は人を食べて生きているの、こういった場所なら・・・、
 少々、人間が消えても目立たないでしょう? 
 大丈夫・・・あなたのことは食べようなんて思わないわ、
 だから、見逃してくれる?」
男は少し考え込んでいたが、しばらくして再び口を開いた・・・。
586Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/04/06(金) 00:02:02 ID:HIWJFRx50
 「見逃してくれ? ・・・そうやってお前はターゲットを見逃してやったことがあるのか・・・?」
 「あら、ひどぉい・・・、これでも獲物は選んできたつもりよ?  
 子供には手を出さないし、あなたの言うとおり、一人でこの戦乱を生き抜くのは大変なの。
 寂しいのよ? いろいろと・・・。
 ねぇ? あなたさえよければ、しばらく一緒にいない?
 あなたみたいな人とは・・・初めて会ったわ・・・。」
あざみはそのまま自らの頬を、男の腕になぞらせる。
・・・食べてみたい。
この硬い腕に自分の研ぎ澄まされた牙は突き立つだろうか?
いま、あざみの胸中には耐え難い二つの葛藤が渦を巻いていた・・・。
まず、本能としての食欲がある。
だが、食べてしまえば、その人間の命はそこで終わる。
二度とその人間が動くことはない・・・。
だが、自分がその行為を行っても死なない人間がいたら・・・?
自分の食肉の行為を、許してくれる男がいたのなら・・・?
いや、実際食べる必要はないのだ、
男のカラダに牙をつきたて、
舌を這わせ、
唾液で濡らし、
顎を何度も上下させ、
噛み付くという擬似行為だけで、十分あざみの欲求は解消される。
だが、それすらも普通の男のカラダでは耐えられない。
もしかしたら、この男なら・・・!?
男の回答を促すように、あざみは自分のカラダを男にこすりつける・・・。
それは求愛行動と言い換えても差し支えない・・・。
まるで猫がじゃれつくように、あざみは男のカラダに絡み始めた・・・。
一方、男のほうも、女性そのものは嫌いでもなく、
このあざみの耐え難い誘惑に心を乱しかけるが・・・、
彼は強い自制心であざみの腕を払う。
 あん・・・。
587本当にあった怖い名無し:2007/04/06(金) 00:04:00 ID:o11yS3/30
リアルタイムだ…
588Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/04/06(金) 00:04:44 ID:HIWJFRx50
☆ 続く・・・。

あと七話分くらい・・・、今日二時間くらいで一気に書いた・・・。
ノリがよければ、すぐにこれだけの量が書けるんだが・・・、
本編もアメリカで何をさせればいいか、・・・全然・・・。
589Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/04/06(金) 00:06:19 ID:VmUgoe1S0
>>587 こんばんわ!
590本当にあった怖い名無し:2007/04/06(金) 00:37:22 ID:g2yGkC5R0
こんばんわって…

漏れまだ仕事中だよorz
591Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/04/06(金) 00:41:21 ID:VmUgoe1S0
ご苦労様です・・・、カラダ壊さないで下さい・・・。
592本当にあった怖い名無し:2007/04/06(金) 02:23:54 ID:g2yGkC5R0
仕事終わらないけど、眠たいから寝る。
お休み。

続き期待していますよ〜
593Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/04/06(金) 23:25:23 ID:VmUgoe1S0
では今日も行きます。

えー、あくまでもタイトルは「語られない物語」ですので、
主役はあざみたんではありませんので・・・。
594Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/04/06(金) 23:27:13 ID:VmUgoe1S0
 「悪いが・・・オレにはやることがある。」
あざみは不満そうに男をにらむ。
 「私って魅力ない?」
 「・・・違う! オレはこの闘いを終わらせに来てるんだ・・・、お前の目的は違うだろ!?」
 「終わらせに・・・ですって? もう、この世界は崩れ始めたわ?
 あなたに何ができるの?
 あなたも・・・たった一人なんじゃないの?」
 「オレは・・・! 一人じゃ・・・一人じゃない。
 仲間も・・・きっと生きている・・・。」
男は視線をそらした・・・。
この男も悲しそうな過去を背負っているようだ・・・。
最初の印象とかなり違う・・・?
だが、あざみのほうも、この男の意志の強さだけははっきりと理解することが出来た。
しょせん、違う世界の住人か・・・?
だが、この男の目的が、
今この地で繰り広げられている、二つの軍勢の闘いの終結が目的というのなら、
自分の命くらい多めに見てくれるかな・・・?
 「残念ね・・・あなたなら、わたしのカラダを好きにしてくれても良かったのに・・・。
 いいわ、この世界を変えられるなら・・・その時また会いましょう?」
 「このまま、オレがおまえを逃がすとでも?」
 「ええっ? 私を殺してあなたにメリットあるの?
 私は、いま、この地の落人やはぐれ者どもを食べてるだけよ?
 それがあなたにとって許されないこと?」
男はまた考え込んだ・・・。
 そうか・・・その程度か・・・。
 「おい。」
 「はい?」
 「罪のない民間人は食べてないんだな?」
 「ええ、今のところは。」
 「そうか、ならオレも忙しい、先を急ぐ・・・、
 とっとと行け・・・。 だが、その言葉に嘘があったら、その時は覚悟するんだな・・・。」
595Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/04/06(金) 23:28:15 ID:VmUgoe1S0
 「はぁい、・・・でもお願いがあるの?」
 「なんだ?」
 「あなたの腕でいいわ、一噛みさせて?」
といいつ、あざみは、男の鎧から露出している二の腕にかぷりついた・・・。
まだ牙は立ててない。
男は「てめぇ、こんにゃろ!」と思ったが、口には出さない。
とりあえず、無言であざみの好きにさせた・・・。
あざみも、本来なら男の唇に噛み付きたかったが、
その先を自制する自信はなかった。
そのうち男は腕に鋭い痛みを覚えた・・・。
噛み付かれたのだ・・・。
だが・・・激痛というほどでもない。
血がどのくらい流れているかはわからないが、
男にとっては騒ぐことではなかった。
あざみは、まるで母親の乳房にすがりつく赤子のように、男の腕にしゃぶりついている。
その姿を見て、男は拒絶する気が失せていたのである。

 「おいしかったわ・・・ごちそう様。 お時間をとらせてごめんなさい?」
男は噛まれていた腕を見た・・・。
赤く腫れ上がっている、・・・牙の跡も赤く生々しく残っているが、血は・・・
多分止まるまで舐め続けられたのだろう、出血は止まっていた。
この時、ふっと男の脳に恐ろしい考えが浮かんだ。
 「いいけど・・・お前吸血鬼じゃねーだろうなぁ・・・まさか感染なんて。」
596Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/04/06(金) 23:41:33 ID:VmUgoe1S0
あざみはもう一度、名残惜しそうに男にしがみついた。
 「うふふ、だいじょうぶ、私のは遺伝的なものだから、うつりはしないわ?
 あなたと子供でも作って、・・・その子供が、というなら、分らないけど・・・。」
 「そ、そうか・・・、ならいい、さっさと行け・・・!」
 「まぁ冷たい、・・・でもいいわ、あなたは私を拒絶しなかったものね?
 すっごい嬉しかった・・・。
 また、会えるといいわ、
 ねぇ? あなたお名前は?」
男は名前を聞かれ、少々戸惑ったようだ・・・。
自分の名前を答えられないのだろうか?
あざみは首を曲げ、「ねーぇ?」とでも言うように腕を二、三回引っ張る。
そのうち男は、意を決したように、あざみの目を直視して口を開いた・・・。
 「・・・アスラ・・・、そうだな? アスラと名乗ることにしよう。」
 「あらぁ? 本名じゃないのぉ? でも、いいわ?
 私はあざみ・・・っていうの、覚えていてね?
 うふふ、じゃあ、さよならっ・・・。」
その時、強い風が吹いた・・・砂埃で男が目を細めたとき、
いつの間にか、あざみは姿を消していた・・・。
男は辺りを見回し・・・誰も辺りにいなくなったことを確認すると、
再び、斑の馬を歩かせ始めた。
 「シャルバリー・・・、行こう・・・、
 待っていろヒミコ・・・! 貴様はオレが殺すッ!」
行き先は・・・黒十字軍とヤマタイ軍が激突する、血みどろの合戦場・・・!
597Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/04/06(金) 23:51:22 ID:VmUgoe1S0
 ここはヒマラヤ山脈の麓、地下王国シャンバラ・・・。
だが、いまやその住人は姿を消し、
ルードヴィッヒ率いる黒十字軍がその広大な都市を占拠していた。
そして、その管制室・・・。
 「ネロ様!」
白いシャツの袖を通したネロは、部下の一人からの報告を受けていた。
 「カンボジア方面の司令部から、不審人物の照会の依頼が来ております。」
 「人物照会? データは我が軍のデータにある物か?」
 「いえ、ただ、報告からすると、全く無名の人間とは思えません、
 これだけの戦闘能力を持っているというのなら・・・。
 名前は『アスラ』と名乗っているようですが、
 恐らく偽名を・・・。」
 「ああ、それはそうだろうが・・・何と言って来てるんだ?」
 「はい、まず、我が軍と、ヤマタイ軍の戦闘中、形勢不利になった我が軍に、
 突然、斑の馬に乗り、異様な黒い鎧を身につけた男が乱入。
 そして、古めかしい三叉の槍を以って、
 敵将の首をあげた後、あっという間にヤマタイ軍を蹴散らせてしまったとのこと。
 その男が通過した後には・・・砕け散った死体しか残らないという凄まじい暴れぶりだそうです!
 その後、我が軍に参入したいとの意志を見せ、司令官のホセ様が一目で気に入り、
 その男を将校の地位に任じてしまったということです。」
 「ん? 問い合わせは誰からなんだ?」
 「副司令官のサインが入ってます。
 恐らく、ヤマタイ軍からのスパイを疑っているのでしょう?」
 「なるほど・・・どれ? 映像はあるのか・・・?」
598Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/04/06(金) 23:52:39 ID:VmUgoe1S0
ネロは受け取った資料とモニターを見比べる。
いくつか画面を操作している内に・・・
 「・・・この鎧は・・・まさかこれは『ルドラの鎧』か!?
 現代科学では解析できない金属によって作られたという・・・。
 戦闘では銃弾は?」
 「え・・・えと、はい! そうですね!?
 遠方から何度も銃撃されてるはずだが、かすり傷一つ負ってないとのこと・・・!」
ネロは画面を食い入るように見て独り言を漏らした・・・。
 「やはりあの男か・・・? だが何故一人で・・・そして我が軍に?」
 「あ・・・あと、ネロ様・・・この報告を忘れてました。
 ホセ司令官のコメントだそうです・・・。」
 「なんだ?」
 「はい、副司令官が男の出自に疑いがあると、ホセ司令官に進言した時、
 司令官が気になる言葉をつぶやいたそうです、
 なんでも
 『この男の目は・・・ルードヴィッヒ様と同じ目をしている。
 この男は、ルードヴィッヒ様が極秘に派遣してくれた戦士に違いない』と・・・。」
 「なんだって?
 ・・・なるほど。それでこの本部に問い合わせが来たのか・・・。」
 「いかがいたしましょう?」
 「男の正体も名前もはっきりしているが・・・
 この件はルードヴィッヒ様直々に判断を下す必要があるな・・・、しばらく返事は待たせておけ。」
 「はい、畏まりました、ネロ様!」
599Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/04/06(金) 23:53:31 ID:VmUgoe1S0
☆ つづく!

明日でおしまい、
久々のカーリー先生、出番です。
600Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/04/08(日) 00:42:19 ID:7fMHch8G0
>>600 ではいきます。
601Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/04/08(日) 00:43:42 ID:7fMHch8G0
 「・・・ということなのですが・・・ルードヴィッヒ様。」
地下王国シャンバラの暗い宮殿・・・。
華やかな装飾が壁や天井に彩られているが、
照明が薄暗いために、その全貌は肉眼では捉えにくい・・・。
今、ネロの眼前には、黒十字団・・・いや、黒十字軍総統ルードヴィッヒが、
その宮殿の玉座に君臨していた・・・。
 そしてその脇には、
黒い巫女カーリーが静かに控えている。
ネロの報告を聞いたルードヴィッヒは、静かに考え込んでいた・・・。
 自らの考えを述べようと、ネロは先に口を開いた。
 「その男は我らの敵である、と、現地の司令部に伝えましょうか?」
ルードヴィッヒはさらに考え込んでいたが、
脇を見上げてカーリーに話しかけた。
 「カーリーよ、お前が視ることができたのは、
 『ヤツ』がヤマタイの領地に、パートナーと共に立ち入る所までだったはずだな?」
 「はい、その通りです、あの女ヒミコもわたしと同じ感知能力を持っていますので、
 そこから先は私の能力では探知できません、
 それは、向こうも同じことなのですが・・・。」
 「そして、以来、『ヤツ』の消息は不明となる・・・。
 また、ヤマタイ軍の戦闘において、雷の剣を使役するものが現われた・・・これがほぼ同時。
 これは何を意味するのか?」
カーリーは少し考えてルードヴィッヒに返答する。
 「もし・・・あの女ヒミコと、天叢雲剣を持つあの男が手を握り合ったら、
 それは我が黒十字軍にとって計り知れない脅威です。
 現状では、ヤマタイ軍で雷の剣を使っているのはヒミコの弟。
 もしこれがヒミコの姦計なら・・・。」
602Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/04/08(日) 00:46:18 ID:7fMHch8G0
だが、カーリーの言葉を遮って、ルードヴィッヒは自問するように問いを続ける・・・。
 「天叢雲剣と、それを振るうための『紋章』は、『ヤツ』にとって最愛の肉親・美香の形見だ・・・。
 例え一時でもそれを『ヤツ』が手放すだろうか?」
 「ではルードヴィッヒ様は、『ヤツ』 とヒミコが決裂したことが、この結果であると?」
 「フム? 想像でしかないな? だが、面白い、
 私の計画を外れた所で、面白い展開が繰り広げられている、
 良いではないか、
 『ヤツ』が我が軍でどんな働きをするか試させてもらおう、
 援軍は派遣しない。
 ネロよ、現地の司令部には、
 『その男、ルードヴィッヒ直属の最強なる戦士、ただし極秘扱いのため、
 例え、司令部内に於いても、みだりに口にするべからず』
 そう伝えておくがいい。」
 「は! では直ちに!」
そしてネロは退廷する。
立ち尽くすカーリーは、ルードヴィッヒに視線を投げかけた。
 「ん? どうした、カーリーよ?」
 「いえ、・・・ルードヴィッヒ様、お教えいただけませんか?
 スサや騎士団の残党どもが、いまやこのシャンバラに集まり始めております。
 その気になれば、いつでもその反乱の目をつぶしておけるのに、
 何故、放っておかれるのか・・・?
 もし、今『ヤツ』が天叢雲剣を失っているのなら、今が彼を叩き潰すチャンスです。
 今なら『ヤツ』を・・・!」
 「ではカーリーよ、一つ聞くが・・・
 今の『ヤツ』の姿を・・・お前の能力で、視ることが出来るのかね?」
 「えっ? そ、それは・・・、私にも・・・、
 こ、これは『ルドラの鎧』の効果ですか!?
 まれで暗い闇を覗いているような・・・!?」
 「神剣天叢雲剣など・・・どうでも良いのだよ・・・、
 『ヤツ』の本質とは何も関係がない・・・。」
 「で、ですが、これまで数々の戦局を決してきたのは天叢雲剣の雷の能力ではないのですか?」
603Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/04/08(日) 00:48:22 ID:7fMHch8G0
 「違う。考えてみろ、 『ヤツ』を殺すチャンス? そんなものはいつでもあっただろう?
 もう、お前も私の真意に気づき始めているのではないか?
 全ては、『ヤツ』を甦らせるためだ・・・、
 紋章? 天叢雲剣? それらは、ヤツの能力を発現させるきっかけにあるようなものだ、
 いや・・・封じるため・・・かもな?
 私は与えるだけだ、ヤツの中にある神の血を目覚めさせるきっかけをな!?」
 「そのために・・・騎士団を暴走させ、スサ総代美香を暗殺し・・・、
 それから、私達の虎の子の超能力者カオスも倒されてしまいましたね・・・?」
 「あの男も稀に見る逸材ではあったな?
 まぁ、神を復活させるための供儀のようなものだ、 たいした犠牲ではない。」
 「・・・では、この黒十字軍も・・・あなたにとっては・・・道具にしか過ぎないのですか?」
そのカーリーの発言に、ルードヴィッヒは沈黙する。
だが、次の瞬間カーリーは心の底からの恐怖を味わった。
霊感鋭いカーリーには見えたのだ、
ルードヴィッヒのカラダの周りから暗黒のオーラが噴出す様を・・・!
 「不満か・・・カーリーよ!?」
 「い、いえ! そんな! ・・・ですが、ルードヴィッヒ様、あなた様の能力も、
 彼らが・・・聖剣エクスカリバーを持つアーサーには通じないのかもしれないのですよ?
 これで、スサや・・・彼らが一斉に立ち向かってきたらあなた様といえど・・・!」
 「フハハ、それも同様だ、確かに私の所有する霊剣ドルジェと、聖剣エクスカリバーは相性が悪い。
 だが、この霊剣ドルジェの本当の真価は、全ての闘いが終わった後に明らかになるであろう!
 カーリー、安心するが良い、
 私とお前の目的は最終的には一致している。
 その手段において、いささか意見が食い違うだけだ、
 お前はお前のやり方で、私やこの黒十字軍を利用すればいいのだ・・・!」
ルードヴィッヒから噴出した黒いオーラは、
いまや玉座を包み、まるで蝙蝠が羽根を伸ばしたかのように、左右に広がっている。
上方には二本の角が天を貫く様でもあり、背後には何本もの尾が生えたかのように、
後ろに伸びている・・・。
まるでこの姿は・・・。
そしてカーリーは最後に見た・・・。
ルードヴィッヒの瞳が、黄金色に輝くのを・・・。
604Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/04/08(日) 00:48:54 ID:7fMHch8G0
おしまい。

ではみなさん、またいずれ・・・。
605本当にあった怖い名無し:2007/04/08(日) 13:02:53 ID:tNGAWPQDO
ふと気になったんだがここの住人の平均年齢っていくつよ?
ちなみに俺は20
606うちうじん ◆a1giam9KpY :2007/04/08(日) 14:04:34 ID:CDcszdzW0
潜水艦 始めました。カキコしてちょ
607本当にあった怖い名無し:2007/04/08(日) 16:56:19 ID:z8NuATLD0
漏れはビッグバンを数回見ている
楽しいぞぉ〜あれは
608RIOです。 ◆wlLq23C4gI :2007/04/08(日) 17:38:13 ID:bqY7kSbU0
こんにちわ。わたし、りおたん。あそびにきてしまいましたわ。
609Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/04/08(日) 17:46:40 ID:7fMHch8G0
>>608 グハッ!?
     どうやって
. 〃〆⌒へここが!?
./´ノ ヘヽヽ )ヾ 
ノ( ○  ○)¶|y
ノ  >  □丿ミヘ)
〆^ん   《゙ンへ

いらっしゃぁい♪
610RIOです。 ◆wlLq23C4gI :2007/04/08(日) 17:47:24 ID:bqY7kSbU0
すいませんすいません。はじめましてです。こんにちわ。
611RIOです。 ◆wlLq23C4gI :2007/04/08(日) 17:48:37 ID:bqY7kSbU0
え?オカ板にいるっていってたから、メリーさんでフィルタ・・・。
発見!ってなぐあいに・・・。
612ウリエル ◆IWGPolR156 :2007/04/08(日) 18:05:57 ID:xeYwpW6a0
あ、やっぱりここだったかw
613本当にあった怖い名無し:2007/04/08(日) 20:16:41 ID:C5myyd1L0
始まりさんも居ますよ。未だにフルネームで呼ばれたこと無いけど
614Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/04/08(日) 21:14:41 ID:7fMHch8G0
>>613 おおおおおお、いーたーのーねーぇ!?
どこに行ってたんだぁ?
615本当にあった怖い名無し:2007/04/09(月) 22:55:11 ID:Ffi3sk47O
>>605
このスレでは低いほうだと思うが19ノシ
616K。:2007/04/10(火) 00:49:40 ID:tVjTReKp0
>>605 永遠の14歳です☆

「kyrie eleison」
もう、しばらくお付き合いください。

では。>>513よりの続きです。
617K。:2007/04/10(火) 00:50:22 ID:tVjTReKp0
1/2
 ドアが閉まりカズミの姿が見えなくなるとメリーは慌てた様子で竜の服をつかんだ。
「大丈夫だよ。すぐ帰ってくる・・」
当り散らしてすっきりしたのか穏やかな口調で言うと、竜はメリーの頭をなでながら大きなあくびをした。
 どこかからカレーの匂いがしていた。
夕飯の時間なのか・・・。
 ソファから離れ部屋の中をうろうろと散策するメリーを見ながら竜はぼんやりと考えていた。
そろそろ洒落にならない事態になっているんじゃねぇか。
誘拐、連れ回しか・・なんて報道されるか目に浮かぶようだな。
「参ったねコリャ。」
 竜は口に出して呟くとのどの奥でクックッと笑った。
カズミが出かけてる今のうちにメリーを引っつかんで警察に飛び込むのが正しいんだろうな。
友人が子供を保護して・・・・といっても通用しないかもしれんが、ひどい罪に問われることはない・・と思いたい。
引き返すには遅いかもしれないかも知れないが、今ならまだ間に合うんじゃねぇか・・。
竜は考えをめぐらせた。
 しかしその行動を起こさないのは彼の中にある信じたくないある確信の為だった。

『メリーは存在していないんじゃないか?』

その考えを否定すればするほど彼自身の中で違和感が増していくのだった。
メリーは不機嫌に引き出しをかき回している。
618K。:2007/04/10(火) 00:50:58 ID:tVjTReKp0
2/2
 竜の携帯がメールの着信を伝えた。メリーはその音に反応して竜の元に駆け寄ってきた。
メリーは興味深げに竜の携帯を覗き込んだ。
「珍しいのか?」
 メリーは口をへの字に結んで携帯と竜の顔を交互に見た。
「もしかして、文字が読めないのか?」
 メリーは黙ったまま、竜の手首を押さえて携帯を覗き込んでいる。
「電話を使わずに電話できるなら、ネットを使わずにメールだってできるだろ?」
 メリーは言葉の意味を理解したように竜をにらみつけた。
「そんなに睨むなよ。冗談だよ。」
 竜は乱暴にメリーの頭を撫で回した。そして画面を指差した。
「この字が・・俺の名前な。『竜』。そんで、こっちが・・『カ・ズ・ミ』どうだ?」
 メリーはしきりにまばたきをしながら、食い入るように画面を見つめ続けた。
「貸してやるよ。壊すなよ?」
 竜は携帯をメリーの渡すと大きく伸びをした。
 メリーは不機嫌そうに携帯を弄んでいたかと思うと不意に動きを止めた。
うっとりと耳を澄ますように首をかしげている。
低く、低く短剣が詠唱しているのが聞こえた。
その謳は竜の頭の中に言葉となって響いた。
『・・お前の体が動かなくなる前に・・・を・・・私の可愛いお人形・・』
 その声を聞きながら竜はうつらうつらとしていた。
まぶたをひどく重く感じて目を閉じた。
 そして、夢うつつのままメリーの舌ったらずの甘い声を聞いていた。
「・・・を?・・うん。」
『メリー・・私の憐れなお人形・・・お前には憐れむべき魂すら無い・・』
 漆黒の剣は喉の奥から漏れる嗤い声の様な歌を囁き続けた。
竜は眠りに飲み込まれる意識の中でその歌の旋律を聴いたことがあると思った。

今回はこれまで。
お付き合いありがとうございました。
619本当にあった怖い名無し:2007/04/10(火) 06:15:17 ID:awRMd8Fr0
作者のみなさん、いつもゴチソウサマです。
620Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/04/11(水) 23:46:24 ID:rZGrD9Up0
・・・今わかった・・・。
なぜ、メリーさんの武器が鎌なのか・・・。

メリーさんが先なのか、鎌が先なのかはわからないが・・・、
メリる・・・。
刈る・・・。
その手にする恐ろしい凶器は、「刈る」動作を必然として備えてなければならなっかったんだ!
だからメリーさんなんだ、
・・・恐ろしい・・・誰が考えたんだ・・・。

621Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/04/12(木) 00:02:41 ID:rZGrD9Up0
http://www.youtube.com/watch?v=53Dj9geR6FI

出張先のメンサロで教えてもらった。
「わたし、メリーさん」
622本当にあった怖い名無し:2007/04/12(木) 00:19:44 ID:7Jy/OYlL0
メンヘルサロン@2ch掲示板

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第三者の方は書き込みを御遠慮ください。
623本当にあった怖い名無し:2007/04/12(木) 07:39:57 ID:2WkVNCYP0
>>621
「きょうつけてください」って...
624K。:2007/04/12(木) 16:43:54 ID:3572v2tc0
>>618より続きです。

「kyrie eleison」 1/2

はかり売りだと無駄にならないのよね。
惣菜の並びを見ながらカズミは独りごちた。
デパートの食品売り場は夕飯時ともあって混雑していた。
腹に詰まれば何でも良いとは言われたものの、美味しい物の方が良いに決まっている。
そう思い、カズミは竜にメールをしたがまだ返事が返ってこなかった。
鞄から携帯の着信音が聞こえた。人ごみから少し外れてカズミは携帯を取り出した。非通知だった。
「もしもし?」
雑音が聞えるだけで応答がない。
「もしもし?」
「・・・・・私・・・メリー・・」
聞き覚えのある舌足らずの甘い声にカズミの手から鞄が落ちた。
「メ・・メリー?どうしたの?」
「今・・・から・・出たの・・・」
雑音がひどくてメリーの声が聞き取りにくかった。
「ちょ・・何?どういうことなの?」
通話が途切れて無音になってしまった。カズミは慌てて聞き返したが途切れたまま切れてしまった。
カズミは耳元から携帯を離し、意味がないのはわかっていたがそれを睨みつけた。
携帯の履歴には今の通話履歴はなかった。
625K。:2007/04/12(木) 16:44:25 ID:3572v2tc0
「kyrie eleison」 2/2

言い知れない不安感を感じながらもカズミは買い物を済ませ帰路に着いた。
カズミがアパートに帰るとその不安は的中していた。メリーはどこにも見当たらない。
「竜、貴方は留守番ひとつ満足にできないの?」
カズミはつま先で眠りこけている竜の頭を小突いた。
「んん・・・・ああ・・・?」
「又、居なくなちゃった。メリー・・・」
竜はムクリと起き上がると頭を乱暴にかきむしった。
「これっきり居なくなりゃいいじゃねぇの?面倒・・・」
竜の言葉が終わらないうちにカズミの平手が彼の顔面を捕らえ、景気のいい音が響いた。
突然のことに一瞬間をおいて竜は瞬きをした。
続いて何かを言おうとして口を開こうとした瞬間、カズミの携帯が鳴った。
「・・・・」
「もしもし?メリー?メリーなのね?」
カズミは両手で携帯を握りしめ、うれしそうに言った。
「・・・・・・カズミの捨てたものがカズミに会いたがっているから待っててね。」
機械的にメリーが言った。
「あたしが・・・捨てた物?そんなことより、メリーどこにいるの?」
「私はメリー・・捨てられた物を返しにいく・・使者・・・」
抑揚にないメリーの声が続いた。
「どうしたの?メリー?」
「私・・・カズミと竜と一緒にいたい・・・でも」
そこまで言うとメリーからの電話はぷつりと切れてしまった。

今回はここまで。
ありがとうございました。
626Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/04/12(木) 19:38:58 ID:iEMG8RHJ0
K。さん、早くつぎも読ましてねー!
627K。:2007/04/13(金) 13:20:17 ID:UxO0sCw20
>>625より続きです。
「kyrie eleison」 1/2

「メリーの様子が変なの。どうしよう・・・」
カズミは電話を握り締めたまま竜を見つめた。
「ほっておけよ。もう関らない方がいいんじゃねぇか?」
「貴方は・・・人の気持ちと言う物が分からないのかしら?」
「人の気持ちが分かるなら、俺の気持ちも察して欲しいですよ?」
竜は片方の眉だけ上げて胸糞の悪くなるような皮肉な笑い方をした。
「メリー・・・都市伝説の通りなら近づいてくるわ。そして・・・」
「そして?」
カズミはうつむいたまま黙り込んだ。
竜はカズミの強張った表情が蒼ざめていくのを傍らで見つめていた。
しばらくの沈黙の後、カズミは思い詰めた様に顔を上げた。
「何で、あたしなのかな?」
カズミの唇が小刻みに震えている。
「メリーはあたしよりも竜のほうに懐いてるじゃない?
あたしはこんなにメリーが愛しいと思っているのに。
なのに何で、竜にじゃなくてあたしなの?だから、あたしなの?」
「どういう意味だ?」
「メリーは短剣を持って、あ・た・し・に会いに来るのよ。」
まっすぐに竜の目を見据えてカズミが言った。
628K。:2007/04/13(金) 13:20:50 ID:UxO0sCw20
「kyrie eleison」 2/2

「竜は、メリーの事をなんとも思ってないんでしょう?」
「子供だし、可哀想だとは思ってるぜ?」
静まり返った部屋にカズミの携帯の音が響いた。
それは暗い部屋の中で一際明るく光り、二人の顔を照らし出した。
「・・私、メリーさん。後もう少しで行くから・・・」
メリーの声はどこか暗く、震えていた。
「メリー?どこにいるの?迎えに行くわ」
カズミは早く口で聞き返したが電話はすぐに切れてしまった。
神妙な面持ちでカズミを見つめていた竜が口を開いた。
「電話に出ないほうがいいんじゃねぇの?もう、これ以上は・・・」
カズミは無言で携帯の画面を竜に見せた。そこには着信履歴はなかった。
「お前・・・!冗談でもやって良い事と悪い事があるんだぞ?」
「違う!たしかに、あたしはメリーと話をしたの。でも、その履歴は残らないのよ・・・。」
互いの行き着いている考えは同じようだったが、竜はそれを認めない理由を必死で考えていた。
重苦しい沈黙の部屋の中に時計の秒針が時を刻む音が響いていた。

今回はここまで。ありがとうございました。
なかなか終わらん。
629本当にあった怖い名無し:2007/04/13(金) 20:46:55 ID:JYg3cRtjO
>>628

次回に期待
630Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/04/13(金) 23:48:24 ID:OyYTFEy00
ホントに早いw

そして・・・シリアスな空気が重く・・・
いよいよ・・・ゴクリ。
631K。:2007/04/14(土) 14:03:45 ID:p1PF+MFP0
>>628からの続き
「kyrie eleison」 1/2

「分かってると思うけど・・・俺は、暇だからいるんだぞ。」
うつむいたままのカズミは何の返事もしない。
「・・・・・」
肩が小刻みに震えて堪えきれずカズミは笑い声を立てた。
「あははは。あたしに言い訳しなくてもいいわよ。」
蒼ざめたままのカズミは少し表情を和らげた。
その瞬間、竜はカズミの携帯を奪い取ろうとして手を伸ばした。
が、それは失敗に終わった。
「最後まで、見守ってよ。」
「嫌だね。最後って何だよ。」
竜がカズミを睨み付けた。
「あたしが捨てたものは分かってるのよ。あたし自身。
あたしは女の子になりたいんじゃないのよ。可愛いものが好きなだけ。
女の子を綺麗にしたいだけなの。だから男のあたしを捨てたわ。
本当は男のまま、本当の自分のまま必要とされたかった。」
カズミは静かに言った。
「男でも女でも、可愛いとか、どうでもいいだろそんな事。」
「竜、貴方はそうかも知れないけど、それは通用しなかったのよ。メリーはそれを知っているわ。」
暗い部屋の中でカズミの目は異様な光を帯びて見えた。
カズミの手の中で携帯が鳴った。
「もしもし。私メリーさん。今、玄関の前にいるの・・・・」
632K。:2007/04/14(土) 14:04:17 ID:p1PF+MFP0
「kyrie eleison」 2/2

「メリー・・・・・!」
カズミの蒼白な顔に笑みが浮かび、ドアの閉まったままの玄関に駆け寄った。
しかし、ドアに手をかける瞬間、竜はカズミの肩をつかむとそのまま後ろ手に引き倒して床に叩き付けた。
カズミの携帯が手から離れて床に飛んで通話が途切れた。
したたかに後頭部を床に打ちつけたカズミは小さく呻いたが、すぐさま体を起こした。
「メリーが私を必要とするなら、本望よ!」
カズミは振り向きざまに竜に向かって声を抑えて叫んだ。
「お前、それが!異常な事だってわからないのか?!」
「メリーは人形なのよ!魂を必要とする人形なの!」
「冗談を言っているのか?そんなものは存在しない!」
カズミは焦点の定まらない瞳を竜に向けた。
「必要とされるなら惜しくないのよ。一目で恋に落ちたのよ。」
自分に言い聞かすようにカズミは小さくつぶやいた。
「あの日、土手で一目見たときからずっと、わかっていた。
メリーに命を捧げたいって。それがあたしの望みなの。」
竜はカズミの両肩をつかむと激しく揺さぶった。
「命を捧げるとか、そんなのが恋なのかよ?違うだろう?おかしいだろう?しっかりしてくれよ?」
玄関のドアの反対側、座卓の下に飛んだカズミの携帯が鳴った。
竜が手を伸ばすより先にカズミがそれを奪い取り、耳に当てた。
カズミの耳に幼い舌っ足らずな声が聞こえる。

今回はここまで。
ありがとうございました。
633本当にあった怖い名無し:2007/04/14(土) 22:27:16 ID:GKwHC/9x0
メンヘルサロン@2ch掲示板

この板は心の病を持つ者同士のコミュニケーションの場です。
第三者の方は書き込みを御遠慮ください。

634本当にあった怖い名無し:2007/04/15(日) 10:22:34 ID:FOzR2QuOO
いつからメンサロになったwww
635始まりの死(略:2007/04/15(日) 13:18:05 ID:8SAVrdhr0
誰も通らない道の脇に電話があったとさ

誰にも使われない電話があったとさ

それなのに曇一つ無かったとさ

ボタンもダイヤルも無かったとさ

居ないはずなのに音が聞こえるとさ

足音がさコツコツとさ

一つの足音がさ

二つの足音がさ

三つの足音がさ

聞こえてきたんだ。後ろを見ても誰もいない、前を見ても誰もいない
わたしは誰にも見つからない

通るものは誰もいない道。
その奥から足音が聞こえてくるよ、足音が
住んでる者など居ない端島の道から、崩れた壁から 朽ちた家から
足音が、沢山の足音が聞こえてくるね。貴方たちの耳について離れない足音が
コツリコルリと


636始まりの死(略:2007/04/15(日) 13:19:34 ID:8SAVrdhr0
受話器を耳に当てなければよかったのにね。 あの通りに行かなければよかったのにね。
撮影に...取材に来なければ良かったのに..ね。

ねえ、かくれんぼしようよ。

楽しい楽しいかくれんぼ。私が見つけたら殺しちゃうよ
早く遠くにお逃げなさい 速く遠くへお逃げなさい
私が探してあげるから 私が殺してあげるから

よってらっしゃいみてらっしゃい楽しい楽しいかくれんぼ


お代は貴方の命だよ。





三日後、不振に思った新聞社から人が来たよ。
首の無い人間を見るために仲間になるために来たよ。
彼らの彼らの親族上司みんなが来たよ。
携帯電話を持って、来たよ。
耳に付けたら始まりだよ。電話に出たらはじまりだよ。

ここから誰も出られない
637始まりの死(略:2007/04/15(日) 13:31:15 ID:8SAVrdhr0

ちょっと、ギャップが

>>614Lady メリー 氏
>どこに行ってたんだぁ?
......中間試験落ちてそれど頃ではなかったんだよヽ(`Д´)ノウワァァン
638本当にあった怖い名無し:2007/04/15(日) 15:32:54 ID:jM8P5s9rO
ぐはっ
最近来てなかったら…
れでぃサソもハタチサソもk。サソもGJ
始まりサソもいるし…
続きもテカテカしてます


パパはー?
639Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/04/15(日) 18:01:27 ID:TLyiDTcN0
>>637 始まり氏・・・リアル学生だったんだ、
学校がんばってね。

ハタチさんも・・・そろそろ・・・かな?

パパは?
640126 ◆dNexSJi1ew :2007/04/15(日) 21:37:49 ID:T5Gp/6qd0
いよぉ!
みているよ!
641本当にあった怖い名無し:2007/04/16(月) 01:39:57 ID:e6YhKm+u0

『・・・も・・・し・・・・も・・・わ・・・し・・・メリー・・・
 ・・やっ・・・やっと見・・・っと逢えます・・・あともう少し・・・』

それは飛び交う砲弾の炸裂音と銃声が響き渡る中、
泥まみれになった無線機から聞こえてきた・・・。

ポーランド・・・ワルシャワ・・・1944年・・・。

怒涛の如く押し寄せるソビエト軍・・・追い詰められ次々と倒れていく戦友たち・・・。

そんな中、瓦礫の中で十五人の仲間たちとともに必死で身を隠していた時、
その声が聞こえた・・・母に縋り付く幼子のように・・・。

642電撃・・・煮詰まってます^^;:2007/04/16(月) 01:42:09 ID:e6YhKm+u0
残りは連休中・・・

 に出来るかなぁ〜・・・(~へ~;)y-~~ウ〜ン・・・
643Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/04/16(月) 02:21:54 ID:XVwxQjXc0
懐かしい人たちがいっぱい・・・涙
644K。:2007/04/16(月) 13:22:39 ID:0zIzCUWa0
皆さんのお話、
楽しみにしております。

それでは、また場所をお借りいたします。

>>632よりの続きです。
645K。:2007/04/16(月) 13:23:19 ID:0zIzCUWa0
「kyrie eleison」 1/2

「もしもし・・私メリーさん・・・今・・」
カズミから携帯を奪い損ねた竜が、振り返り顔を上げて息を呑んだ。
竜の正面・・もとい、カズミの真後ろにメリーが立っていた。
何も持たずに電話をする仕草をしている。
唇にぞっとするような妖艶な微笑を浮かべているが、その瞳には何の表情もない。
「私メリーさん、今、あなたの後ろにいるの・・・」
メリーの声に半拍遅れて携帯電話から漏れる声。カズミはゆっくりと振り返った。
絹糸の様な繊細な亜麻色の髪に縁取られた新雪のように白い顔。
燃える様なトパーズの瞳はいつものメリーだった。
しかし、漆黒のゴシックドレスの裾から伸びる足にオーバーニーソックスの上からでもわかる歪なへこみがあった。
それはビスクドール特有の球体間接の溝だった。
メリーの瞳に光が揺れていた。
「メリー・・・泣いてるの?」
カズミは携帯を握ったまま言った。
「カズミも・・・刺したら動かなくなるの?」
メリーは真っ直ぐにカズミを見据えたまま言った。
「そうね。・・・でも、そうしないとメリーが・・・・」
「・・うん・・・。」
自分の答えに納得がいかないように、床を蹴飛ばしながらメリーは不機嫌に答えた。
646K。:2007/04/16(月) 13:24:35 ID:0zIzCUWa0
「kyrie eleison」 2/2

カズミは湧き上がる衝動を抑えきれず、メリーを抱きしめようと腕を伸ばした。
「カズミが動かなくなったら嫌。」
メリーは首を左右に振って後ずさりした。
漆黒の短剣はそれを嘲笑うようにメリーの腰から鞘走り、
吸い込まれるように真っ直ぐにカズミの胸へ突き刺さった。
カズミは胸の短剣を見ると泣いている様な顔で笑った。
そして、メリーの小さな手を掴むとその柄を握らせて自分の手でそれを覆った。
「いや・・」
メリーは短剣を引き抜こうと力を入れたが、カズミはそれを阻止するように力を込めた。
低い唱声が短剣から流れた。
鈍い赤に光ながら短剣は脈打ち、蒼白だったメリーの頬を染めた。
泣いている様だったカズミの表情は次第に緩やかになり何かを伝えようと力なく唇を動かしたが、
それは言葉にはならず、瞳から次第に光が失われていった。
メリーは左右に首を振りながら短剣から流れてくる力に抗えずに喘いだ。
カズミの手が力なく床に落ちた。

今回はここまで。ありがとうございました。
647Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/04/17(火) 00:57:59 ID:T1w6W0BK0
あ・・・あ・・・あ。
死んじゃうの? 
648K。:2007/04/17(火) 21:04:18 ID:fP4C7rWQ0
>>646からの続きです。
もう少し・・お付き合い下さい。

「kyrie eleison」 1/2

崩れるように床にへたりこんで初めて、
竜は自分が叫び声をあげて泣いていることに気がついた。
視線の先にはカズミが横たわっている。
見開かれ光を失った瞳から溜まっていた涙が流れ落ちた。
メリーは紅の差した頬で、仰向けに倒れたカズミの胸に深々と突き刺さっている漆黒の短剣を引き抜いた。
「置いて行かれるのは嫌。」
メリーは小さくつぶやいた。
その声に竜は自分の嗚咽が止まらないことを他人事のように不快に思いながらやっとの思いで顔を上げた。
「もう遊んでくれないなんて嫌!嫌!動かなくなるなんて嫌!嫌!嫌!」
激しい言葉にメリーの手の中で漆黒の刀身が不満を訴えるように唸った。
メリーの視線が竜の上に止まり何も言わずにゆっくりと微笑んだ。
漆黒の短剣の唸りに重なるように何かの旋律が流れているのに竜は気がついた。
メリーはカズミの手をそっと持ち上げると自分の手を重ね、
そのまま体を倒して短剣の切っ先に自分の胸を預けた。
649K。:2007/04/17(火) 21:04:54 ID:fP4C7rWQ0
「kyrie eleison」 2/2

『Plaudite, acta est fabula!』
陶器が割れる音と同時に何かが歓喜の声を上げた。
ガラスを引掻く様な音で漆黒の剣が啼いた。
メリーの体が糸の切れた人形のようにカズミの上に崩れ、
雑音の混じった啜り泣きが次第に小さくなり静かになった。
カズミとメリーの間から細かく砕けた黒いガラスの様なものがきらきらと光りながら舞い上がり、
日の光に曝された影のように消えた。
竜は気力を振り絞り、体を起こした。
自分の意思とは無関係に喉はしゃくりあげる様に嗚咽で痙攣を続け、
せきを切ったようにとめどなく涙が流れ落ちていた。
竜は震える手の平で目をこすり、涙をぬぐうとカズミとメリーの元に体を寄せた。
メリーからはもう、なんの気配も感じられない。
小刻みに震えて焦点の定まらない手で、カズミの安否を知ろうと何とか彼の手を握った。
カズミの手は暖かく脈打っていた。
「か・・・・・」
竜はやっとのことで言葉を口にした。そして祈りを込めて強く手を握り締めた。
カズミの瞳に弱々しい光が宿った。
竜は握っていた手を離し、言葉を紡ぎ出そうとしたが
唇はただ震えるだけでそれは音にならなかった。
カズミはゆっくりと顔をめぐらせて自分の胸の上に倒れこんでいるメリーを見つけた。

今回はここまで。ありがとうございました。もう少し・・続くです。

Plaudite, acta est fabula!
アウグストゥスの臨終の言葉です。
プラウディテ・アクタ・エスト・ファーブラ(拍手せよ。芝居はおしまいだ。)
650Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/04/17(火) 23:03:05 ID:T1w6W0BK0
K。さん・・・ぶらぼぅ・・・。
だが、喜んではいられない、
今は続きをじっと待つのみ・・・。
651K。:2007/04/18(水) 17:51:09 ID:2Hm08AMp0
>>649よりの続き。

「kyrie eleison」 1/2

「メリー?」
カズミは上体を起こし両腕を倒れているメリーにまわした。
冷ややかな陶器の感触がカズミの両腕に伝わった。
そこにはひどく汚れて傷ついたビスクドールが横たわっているだけだった。
「そんな・・・こんな事って・・・」
そう竜に言いかけてカズミは強張った表情を崩した。
きつく胸に抱いていたメリーをそっと床に寝かせ、竜の体に腕を伸ばした。
筋肉質な腕が竜を抱きしめた。
「すごい・・・鼻水出てるわ・・・」
泣きじゃくる子供にするように、カズミは竜の頭を包みこんだ。
「馬鹿だったわね。あたし・・・自分のことばかり考えてた。」
静かに語るカズミのいつもより少し低い声を聞きながら竜は動かないメリーを見つめていた。
ふと、竜は視線の先に部屋の中に夜よりも暗い影があることに気がついた。
それはゆっくりと移動し、メリーの上を覆った。
部屋の奥で竜の携帯がメールの着信を告げた。
652K。:2007/04/18(水) 17:51:41 ID:2Hm08AMp0
「kyrie eleison」 2/2

カズミはその音に顔を上げ、自分の傍らにメリーがいないことに気がついたが、
視線を落として少し笑った。
「一緒に写真を撮っておくんだったわ。」
竜はカズミの腕から抜け出すと、部屋の明かりをつけて奥へ携帯をとりに行った。
そのとき竜はふと、聞こえた旋律が何であったか思い出した。
Kyrie eleison.神に憐みを請う歌じゃねえか。
苦笑しながら、竜は少し上ずったままの声で言った。
「・・・・信じるか?」
竜は携帯をカズミに渡した。

【カズミ 竜、「、熙ャ、ネ、ヲ。」ー?ス?、ヒ、、、ソサ�エヨウレ、キ、ォ、テ、ソ。」】

「メリーからだと言っても誰も信じないだろうけどな。」
「誰も信じなくても確かにメリーは居たわ。そして、もう、電話をかけることはないわ」
カズミは自分の胸に両手を当てて答えた。

fin。

いろいろ取りこぼしございますが、これにて終了です。
お付き合いありがとうございました。
653始まりの死(略:2007/04/18(水) 22:05:18 ID:jZpBVb8e0
かなすぃお話でつねk。さん
654本当にあった怖い名無し:2007/04/19(木) 00:29:04 ID:W7U4zREUO
悲しい話乙
655本当にあった怖い名無し:2007/04/19(木) 21:45:37 ID:O1d2SD0N0
>652 k。サソ&ALL
【カズミ 竜、「、熙ャ、ネ、ヲ。」ー・・ヒ、、、ソサ�エヨウレ、キ、ォ、テ、ソ。」】
・・・これ、文字化けして見えてるのオレだけ?
それとも化けてていいの?

空気嫁無かったらスマソ。
656K。:2007/04/20(金) 00:29:00 ID:AhVEpjFX0
>>655 演出です。
元の文を文字化けさせてコピペしました。
竜が教えたのは「カズミ」と「竜」だけだったので打てなかったってことで。

元の文はご想像にお任せいたします。
657本当にあった怖い名無し:2007/04/21(土) 13:28:07 ID:z15d/iwyO
k。サソGJ!!
悲しすぎるけどええ話だった…
(つД`)
658本当にあった怖い名無し:2007/04/21(土) 13:56:48 ID:j7MTtWwSO
元の文zipでクレクレ
659655:2007/04/21(土) 15:56:02 ID:/OWmWAx70
>656
らじゃ。&さんくすこ。
悲しくも美しいお話・・・乙でした。
660Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/04/21(土) 21:49:16 ID:lv+m49Zg0
K。さん、お疲れ様でした!

今後もよろしくお願いします!

・・・さて、Lady メリー「新世界篇」
も、少ししたら・・・うp!

まだ完成してないけど・・・。
661Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/04/21(土) 22:57:00 ID:lv+m49Zg0
とゆーわけで、見切り発車しちゃいます。
以前も少し言いましたが、
新世界篇は、あまり事件や戦闘をメインに考えてません、
なので少々退屈かもしれませんが、暇つぶしにお読み下さい。
662Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/04/21(土) 22:57:51 ID:lv+m49Zg0
 ・・・ザクッ・・・ザクッ、
枯葉を踏む足音・・・、空を見上げると時折吹く強い風の音・・・周りからは木々の揺れる音・・・。
たいまつで辺りを照らしても、これ以上は馬車で進むことも叶わない。
・・・それは道が暗いとか、荒れているためとかという物理的な問題だけではない。
馬たちが「明確に」、これ以上進むことを拒否しているのだ。
・・・間違いはない。
「目的」の森はここから先にある・・・。
自分がこういう現象に出くわすのは初めてだが、
二度ほど・・・同じような土地に出くわした者の話を聞いたことがある。
それは、私の夫である・・・いえ、夫だった者の口からだ。
もう彼は死んでいる・・・。
彼は恐らく自殺した。
数十人の子供達のカラダを切り刻んで、
怪しげな交霊術や「魔物」を召還するという妄想に取り付かれていた・・・。
そしてその結果、自分で自分の居城に火をつけまくり、
その業火の中で己の人生を閉じた・・・。
「恐らく」というのは、勿論、誰も彼の死の瞬間を目撃したわけではない。
だが、私が最後に彼に会った時、「別離」の申し出を告げられたとき、
彼の目の中に一つの決意というか、何か重いものから解放されたような、
・・・変な言い回しかもしれないが、清清しい「何か」を感じたのだ・・・。
私にはその時、彼の申し出を拒絶する事はできなかった。
こうなることが・・・一番最良の結果である事を感じていたからだ・・・。
祖国を救った英雄・・・そして近隣の子供達を誘拐して惨殺した殺人鬼・・・。
それが同一人物であるなど、誰が考えよう?
もう、証拠も何も残っていない。
全てを知るのは・・・、
いや、少なくともその件について知りうるのは、
私と・・・先日まで私の身の周りを世話してくれた下男と、
先ごろ、旅先で何者かに殺されたというエセ学者ブルリンチしかいない。
・・・あいつについては、
然るべき報いというところか、生前の行いを考えれば相応しい死に方だろう。
663Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/04/21(土) 23:03:42 ID:lv+m49Zg0
さて、話を元に戻すが、
こういった特殊な場所に入り込んでしまい、そこから無事に戻ってこれるかは、
ほとんど、奇跡に近い確率だそうだ。
一度目は偶然、
そして二度目は「真理の探究」などという、一文の得にもならぬ事の為に、
夫は、たった一人で禁断の聖地の・・・いや、呪われた土地に入り込んだのだそうだ。
・・・二つ目のものに関しては、私にも詳しい事は教えてくれなかった。
そのことを話題にしようとする時、夫の顔にはあからさまに恐怖の色がにじんでいたからだ。
自分の興味あることに関しては、
子供のようにペラペラ喋る夫が、何も言えなくなるとは、余程恐ろしい体験をしたのかもしれない。
一度、かつて夫の部下だった兵士からその時のことを聞く機会があったが、
夫が国王の許しも得ずに向かった「呪われた土地」とは、
かつて大陸を席巻しかけていた古代の王国、スーサの王・アスラの遺体が眠る山中だという。
伝説によれば、アスラ王は、その地で自らを雷で撃たせその死を迎えたという。
以来、その山の周辺では草木が全く生えず、
動物たちも寄り付かない奇妙な土地になっているそうだ・・・。
・・・夫はそんな処でどんな体験をしたというのだ?
そして一度目の土地とは・・・、今、私が足を踏み入れようとしている場所に他ならない。
その正確な場所はわからないとされている。
なぜなら「その禁断の土地」は、しばしば移動を繰り返すからだ。
それは世界の各地に恐らく何箇所かあり、ある間隔ごとに決まった土地を移動しているのだそうだ。
いま、私が向かうその「森」が、現在その「禁断の土地」であるかは一つの賭けでもあったが、
どうやら予感は的中したといえよう、ふもとの村人達の証言は正しかったわけだ。
ひ弱な女性の身で、真夜中にたった一人でこの不気味な森に出向こうというのだから、
いかによそ者だからとは言え、まともな常識がある者なら全力で引き止めるだろう。
事実、この場所を突き止めるよりも、
麓の村から出発しようとする事の方がある意味、骨が折れたのは確かだ。
だが、ここまで来れば誰も追ってはこれはしない。
ここから先の土地の「恐ろしさ」を、村の誰もが知っているからだ。
・・・そして、今、まさに私は、この身で、この「閉ざされた奇妙な世界」を知ろうとしていた・・・。
664Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/04/21(土) 23:04:43 ID:lv+m49Zg0
 ・・・結界・・・、
いえ、そんなレベルではありはしない。
物理的に出入りは自由のようだが、それは全く異なる異次元への入り口だった・・・。
こんなものが自然の現象であるなど誰が考えよう?
誰か人間以上の何らかの存在が、空間を捻じ曲げて作った亜空間・・・。
そんな説明こそしっくり来る。
「そこ」に足を踏み入れた今なら特に顕著に感じられる・・・。
気温、気圧・・・風向き・・・そしてこの霊的な違和感。
全てが外とは全く違う世界のものだ・・・。
 ザワザワザワ・・・
周りの草木までもが、この私という外来者に、意味不明の言葉を投げかけてくる・・・。
歓迎されてるのか、敵意をもたれているのか、
この私の能力を以ってしてもわからない・・・。
時折、上空で強い風がうなり声をあげる。
私を威嚇しているのであろうか?
・・・たいまつが風に揺られて大きくよろめく・・・、
だが消える心配はなさそうだ。
どこを歩けばいいのだろう?
この「禁断の土地」は、昼間は無害な森であり、
申し訳程度の道はあるようだ。
・・・だがそれは近隣の者が作った道ではないようだ・・・。
なぜならここは、昼間の森とは全く違う別世界の森に変化しているからだ。
昼間、この森の中の地理を把握したとしても、いまや何の役にも立たない。
果たして、この道はどこに通じている道なのか・・・?
665Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/04/21(土) 23:07:23 ID:lv+m49Zg0
 グワァ・・・
どこからかワタリガラスの声も聞こえる。
こちらを監視しているようだ。
襲ってくるでも誰かを呼ぶような声でもない・・・、
ここはかつて夫が足を踏み入れた「土地」と、同種のものなのだろうか?
その時は気味の悪い「馬車の音」が近づいてきたというが・・・。
ワタリガラスの鳴き声は、時折、私の前に開けている道の少し先から聞こえてくる。
・・・まるで私を先導するかのように・・・。
もしかして本当に私を案内する声なのか?
この先に何があるの?

すでに時間の感覚はない・・・。
時間はもう、無意味だ。
どのぐらい歩いたかもうわからない、
落ち着いて立ち止まれば、足の痛さ、疲労感、たいまつを持っている手のつらさ、
荷物をかけている肩の重み、全てがはっきりと苦痛として自覚できるのだろうが、
今、私の意識はこの奇妙な世界に向かって開かれている。
・・・恐怖?
今のところその感覚もない・・・、
もともと、そんな感情には自分は、無縁の人間だ、
というよりむしろ、この世界が一層、私の感覚を麻痺させているだけなのかもしれない・・・。
666Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/04/21(土) 23:08:29 ID:lv+m49Zg0
☆ ではここまでです。

ジョジョ風に言えば、
「我々はこの森を知っているッ!」
です。
667本当にあった怖い名無し:2007/04/23(月) 02:47:41 ID:C3aalceM0
そ、そうなんすか?
668Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/04/23(月) 23:13:59 ID:3pPLnLeM0
周りには霧が立ち込めているようだ・・・、
上空の風も大人しくなっている。
朝が近いのだろうか?
幾分、周りも明るくなっている気がする・・・。
いや、違う・・・。
目的地が近いのだ・・・。
森の中心地・・・、
そこだけ少しぼんやりと・・・明るくなっている。
 ガシャリ・・・   ガシャリ・・・
どこからか金属のすれる音も聞こえる・・・。
少し驚いて足を止めるが、こちらに向かう音ではない・・・。
・・・あの茂みの向こうが明るい、
一体何が・・・?
 ガサッ、ガササッ・・・
茂みの木々をどけると・・・、
私の眼前に・・・、
小さな・・・穏やかな池・・・沼? と、
ボロボロに崩れかかった、小さな家を見つけた。
それは薄い霧が立ち込めて、
うっすらと白く、幻想的な光景に見えなくもない。
もう、今が真夜中とは感じられない。
たいまつすら必要ない。
私の心臓が早鐘を打ち始めた・・・。
緊張・・・不安・・・期待・・・恐怖?
いったい、ここに何があるのだろう?
夫もこんなところまでは来れなかったはずだ、
・・・あの時、無力だった夫は「彼女」を置いて逃げ出したのだから・・・。
だが、森の途中で夫たちが遭遇したという二人の妖魔・・・、その正体が何であれ、
そんな化け物はここに来るまで一度も姿を見せない。
では、この老朽化した家の中に?
本当にいるのだろうか・・・?
669Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/04/23(月) 23:15:28 ID:3pPLnLeM0
私は家の周りを観察してみた・・・。
時折、洗濯物を干すかのような竿がある・・・カビだらけだ。
何に使うかわからない棒切れ・・・武器にすらならないようだが、変な赤い模様が塗られている。
生活感はあるが、もう長いこと、この家には誰も住んではいないのだろうか?
私は何かの手がかりを求めて、家の中に入る決心をした。
・・・扉は、土やコケのようなものが付着している。
開けようとすると、ガタガタつッかえるが、開かないわけではない。
思い切って扉そのものを外してみた。
中はさすがに薄暗く、たいまつを使わなければ何も見えない。
・・・家を燃やさないようにっと。
部屋の中を炎で照らすと、
案の定、ガラクタや訳の分らない小物で一杯だ。
大きなベッドには蜘蛛の巣だらけ、
テーブルの上には・・・端々が割れているお皿や、カップ・・・これは、
誰かの頭蓋骨・・・?
奥に暖炉がある。
薪はくべられていたようだが、途中で燃え尽きたらしく、消し炭しか残っていない。
代わりの薪はすぐに見つかり、少し時間はかかったが、
たいまつの火を移して部屋全体を明るくする。
ランプにも火を灯そう、たいまつは危ないから外に・・・。
670Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/04/23(月) 23:19:18 ID:3pPLnLeM0
改めて部屋全体を観察すると、
既に誰も住まなくなって久しいようだが、その直前まで普通に暮らしていた痕跡がよく分る。
・・・まるで、突然この家から、出て行かなければならなかったかのようだ。
やかんには水が入ってる・・・当然腐って異臭がする。
食器は綺麗に並べられている訳でもないが、
ちょっと並びなおせば、すぐに食事の用意までできそうだ。
もっとも、もちろん、こんな所で飲食をする気など起こらない・・・。
壁にはいろんな地域や時代の調度品がある。
この家に住んでた者達は、どうやってこれらを手に入れていたのか?
私はすぐに答えを見つけた。
そこかしこにある人骨やしゃれこうべ・・・。
この森に迷い込んだ者から、命とともに、彼らが身につけていた装飾品を奪っていたのでは?
私はその答えに満足すると、
部屋の隅にもう一つの扉を見つけた。
物置だろうか?
恐らくそこも、この部屋と大差がないものではないかと思いつつも、
念を入れるためにもその扉を開けようと試みた。
・・・ここも同じだ、ガタガタ開けづらい・・・。
私は苦労して扉を開けた後、部屋のランプを掲げて、この小さな部屋に足を踏み入れた・・・。
671Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/04/23(月) 23:26:33 ID:3pPLnLeM0
・・・?
私は目を疑った。
これは何!?
硬い診察台のようなものの上に・・・壊れた・・・白い人形?
・・・無残な光景だった・・・。
人形とは理解できてはいるが、
ボサボサになった銀色の髪の毛は白い頬を覆い、
そのひび割れた顔は、その傷を隠すかのようにうつむいて、あっちの方向を向いている・・・。
カラダのあちこちが砕けている・・・。
薔薇の刺繍の黒いドレスはボロボロだ・・・。
しかもこれは・・・まるで何十発もの銃弾を浴びせられたかのような・・・。
これが女性の死体だというなら、
大勢の暴徒達に、寄ってたかって嬲り殺しにされた後だと言われても、不自然ではあるまい。
一体誰が、たかが人形にこんな酷い仕打ちを・・・?
まさか?
・・・いや、違う。
夫から聞いたこの森に住まう妖魔は、人形の姿ではない。
ボロボロの衣装と、カビだらけの肉体を持った老婆だという・・・。
この人形は一体何なのだろう?
それに・・・銃弾?
いつの時代に受けた物・・・?
この時代に拳銃や機関銃なんて・・・。
では、この人形は・・・もしかして、
大破局の以前・・・21世紀か、その前の時代からここにあったということなのだろうか・・・?
672Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/04/23(月) 23:27:24 ID:3pPLnLeM0
☆ 今回はこのへんで・・・。

>>667 覚えがありますかぁ?
673本当にあった怖い名無し:2007/04/24(火) 21:11:19 ID:1vfKYUP30
とるぅぅ・・・
「私メリーさん、今駅の近くなの」
直ぐ切れた何だろ?

とるぅぅ・・・
「私メリーさん、今公園の近くなの」
もしかして間違い電話かな?

とるぅぅ・・・
「私メリーさん、今家の前に居るの」
窓を開けて見るが家の前には誰も居ないんだけど・・・

とるぅぅ・・・
「○○(母親)だけど、今あんたの部屋に知らない女の子が居たけど、直ぐ居なく成っちゃったけど知り合い?」
そんな子知らないな・・・

とるぅぅ・・・
「私メリーさん、貴方の後ろに居るはずだったんだけど、貴方が居ないの。・゚・(ノД`)」

もしかして実家に行ったのか・・・


最近引越しでドタバタしてネットにも繋げなかった俺が幼稚な文で書いて見る。
By.>>7

674K。:2007/04/25(水) 21:39:44 ID:xJJkUAPw0
Lady メリーさん
         =≡=
          /
        〆          . .∈≡∋
         ||  γ ⌒ヽヽコノ   ||
         || .|   |:::| ..〓  .||
        ./|\人 _.ノノ _||_. /|\

          ∧_∧
         ( ・∀・)
         ( ∪ ∪
         と__)__)  旦
とても続きが気になります。
待て、しかして希望せよ?
>>673 カワユス!
675Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/04/25(水) 22:09:35 ID:7fH9n66M0
>>673 無事にネット回復したのですね、ご苦労様です。

K。さん、一応できてます。
ただ見直しが・・・。
・・・見直しはホームページうpの時にやっちゃって、
今、投下しちまうか・・・。
676Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/04/25(水) 22:14:46 ID:7fH9n66M0
私は吸い込まれるように、人形の顔を覗き込んだ・・・。
その白い腕に指を這わせてみる・・・。
何の変哲もない、ガラクタのようだ。
だが、気になる。
目を離すことが出来ない・・・。
この人形だけ、周りの家の家具や調度品に全くそぐわない・・・。
美しすぎる。
それだけにこの人形が「破壊されている」という事実が、何故か自分を悲しい気分にさせる。
この人形が綺麗に飾られていたら、どんなに心が安らぐだろうか・・・?

私はため息をつき、何か他に手がかりはないかと辺りを見回した。
これと言って何も気になるものはないかと、最初は思ったのだが、
部屋の隅に、一本の異常に大きな鎌があるのに気づいた、
・・・アラベスク文様の巨大な鎌・・・。
それは良く見ると、人形が無造作に顔を向けている方向でもある・・・。
偶然だろうが・・・、これがもし人間の死体だったのなら、
何か意味があるかと考えたくなる所だ。

私はその禍々しい雰囲気の鎌に興味を覚え、近くまで寄ってみた。
今のところ、化け物も獣にも襲われないが、護身用に武器があっても・・・
いや、こんな大きなものを扱えるはずもないか・・・。
・・・私はその時、他の事を考えていた、
ここまで来て得るものはあったのだろうか?
禁断の土地に足を踏み入れたはいいが、
既にここには何も残ってはいないのではないか?
全ては無駄足だったのだろうか・・・と。
その為、あまり深く考えもせず、
先ほどの巨大な鎌の柄を握り締めようとしてしまったのだ・・・。
677Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/04/25(水) 22:16:00 ID:7fH9n66M0
 その瞬間、頭の中が爆発するかのような衝撃に襲われた!
一瞬・・・ほんの一瞬だったのに、
誰かの・・・何十人もの意識が流れ込んできたかのような錯覚に陥ってしまったのだ。
一秒も握ってない・・・、
とても熱い金属にでも触ってしまったかのような衝撃・・・。
頭の中に残る他人の見た光景・・・意識、
それが幾つもまだ、自分自身の意識の中に残像のようにこびりついている。
・・・今のは!?
気がつくと私は、固く冷たい床に尻餅をついていた。
いや、痛みや冷たさなんて感じてる状況じゃない。
それほどのショックが後を引いている・・・。
・・・元々私は精神感応能力を有する能力者だ。
少し落ち着けば、今の状況がどういうことなのか分析するのは難しくない・・・。
能力の暴走・・・というよりも、この不思議な鎌が、強制的に私の力をオーバーロードさせようとした。
しかも、他人の心が勝手に流れ込んできた、というわけではない。
何故なら、ここに人間などいないのだ。
・・・では?
この気味の悪い鎌に、大勢の人間の意識がこびりついているというのか?
どうしたらそんなことが・・・?
サイコメトリーでこの鎌を調べる事も可能かもしれないが、
恐らくそんなことをしたら、私の許容量をはるかに越える思念波を浴び、
私の精神は完全に破壊されるだろう。
ならば・・・。
私は後ろを振り返った。
・・・無機的な人形の灰色の瞳がこっちを向いている・・・。
 人形よ、お前は何かを知っているの?
 私に何か伝えたい事でもあるのか?
私は非現実的なことを考えるようになった。
もともと、人形のような人型の器物には、周囲の人間の念を受け止めやすい。
あの巨大な鎌にアレだけの念が込められているのだ、
人形にも何らかの手がかりが残っているのでは・・・?
678Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/04/25(水) 22:17:36 ID:7fH9n66M0
・・・人形は私に手を伸ばされるのを、大人しく待ち構えている・・・。
そう、錯覚したくなるような表情だ。
私は思い出したかのように、よろめきながら立ち上がり、
その人形の顔を覗き込んだ・・・。
見れば見るほど精巧な造りだ。
・・・?
よく見ると、髪の色こそ違うが誰かに・・・、
・・・
「彼女」?
私の夫が・・・あの人が心の底で想いを寄せていた「彼女」に似てなくもない・・・。
何でこんな所まできて、「彼女」のことを思い出すのだろう・・・。
昔の事を思い出すとつらくなる。
「彼女」のことは私も大好きだった。
一緒にいると、暗い気持ちがどこかに吹き飛んでしまう明るい娘(こ)。
「彼女」に対しては、興味、憧れ、嫉妬、・・・いろいろな気持ちを抱いていた。
貴族の娘として生まれ、両親や周りの者からちやほやされて育ってきた私は、
他の女性たちから見れば、羨望の対象でしかありえなかった。
その私が、「彼女」の笑顔の前では、主役どころかただの観客者にまで落とされてしまうのだ。
いや、私はほとんどそれを受け入れていたのかもしれない。
所詮私は「観客者」。
新しい肉体を手に入れても・・・国王の后にまで上り詰めても・・・、
「彼女」を殺害する計画に加担してても、・・・やはり私は主役にはなれなかった。
運命の螺旋は・・・、私がその中に入ることを拒み続けてきた。
后の地位を捨て、
あの男と再婚しても・・・それは同じだ。
愛を求めたわけではない。
互いの利益が一致していた・・・。
それと、・・・同じ運命の螺旋から弾き出されたという、奇妙な仲間意識が私のほうにあった。
・・・でも、違った・・・。
あの人は、・・・夫は間違いなく「彼女」と同じ、運命という壮大なドラマの主役だったのだ・・・。
679Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/04/25(水) 22:18:43 ID:7fH9n66M0
残された私に何ができる?
死ぬのも馬鹿馬鹿しい、
かといって生きる場所さえ見つからない。
今の私は、夫や、・・・「彼女」の生前の行動を思い出し、こうして、
何か私にも「理解」できるものはないかと、さまよい歩くのみだ。

私は、誰もいないのに馬鹿馬鹿しくなって首を振った。
今更そんなものを思い出してどうだというのだろう・・・。
人形は相変わらず、うなだれたままだ。
 「ごめんなさい? 待たせちゃった?」
どうせ、誰もいないのだ、
子供の気分にでもなって、人形に話しかけてみた。
 ねーぇ? 早く触って?
・・・そんな風にでも答えてくれないかしら・・・?
あるわけもない。
私は精神を無にし、人形の頬に手を伸ばした・・・。
能力を使うのは久しぶりだ、
何が読み取れるのだろう・・・?
いや、余計なことを考える必要はない、
・・・心を空っぽにして・・・。

・・・


・・・

  ら ウ デン
ック ると !
 マリーッ!?
いや・・・いやッ!! やめて! 気持ち ・・・悪いッ!
触らないで!  ・・・ルマー!!
680Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/04/25(水) 22:21:24 ID:7fH9n66M0
  湖の底・・・陽の光・・・
口元をゆがめた男・・・灰緑色の瞳、
エミリー・・・。
何度も何度もカラダを悪戯される光景、
這いずる舌や指先
・・・そして解放・・・
片目の老人・・・
鎌!? 文様のある巨大な鎌・・・ゲリュオン!?
アラベスク文様の・・・ゲリュオン・・・鎌・・・死神・・・アラベスク・・・
感じる・・・怨念、怒り、苦しみカラダが勝手に・・・!!
飛び散る首!
散血ッ! 無造作に転がる死体・・・!
私は空を飛ぶ、
大地を駆ける、
天井を這う・・・、
汚れた命を狩るために・・・

そして・・・白い蛇、
リーリト・・・
この子は・・・麻衣
そして信じられないほど巨大な怨念・・・
大勢の銃やライフルを持った男たち・・・
削られていく・・・カラダがなくなっていく、
滝のように銃弾を浴びせられて
それ でも
行か  なくて は、
進まな くて  は・・・
麻 衣 、麻衣、 麻衣っ麻衣ッ麻衣ぃッ・・・!!

意識がなくなっていく・・・
私の意識ではない・・・。
私の心に入り込んでいる残留思念が・・・。
681Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/04/25(水) 22:23:32 ID:7fH9n66M0
☆ ここまでです、
この物語はあと、一回でラストです。

新世界のメリー、二作目が全然進まないので、
無視して三作目を先に作りました。
それがこの物語です。
682本当にあった怖い名無し:2007/04/25(水) 22:28:31 ID:hmUkQdRY0
>>K。さん有難う御座います。

>>Ladyメリー氏
ネット自体は二日か三日に一回は実家の方で此処に来てたんですが、
マンションに引越ししてから約2週間ネットを自分通りに出来ず本当に辛かったですわw

部屋に居た前住人の女性の残存思念か何かは判りませんが、
その日の内に自分の守護神が喰っちゃって部屋自体の空気が、
部屋に入った時よりも清清しく成っちゃって居心地良く成ったのは良いですが、
ペット可マンションなので他の住人が飼ってる猫の毛に反応して、
猫の毛アレルギーに悩まされてる日が続きますが、その内成れるでしょw

また何か思い浮かんだら幼稚な文ですが書き込み致します。

By.>>7
683K。:2007/04/28(土) 15:59:59 ID:N8VY2uJA0
続かないはずだったのですが、
ネタの提供があったので話の締めくくりに使ってみました。

1話目>>70、2話目>>441、3話目>>445

笑える話にしようとおもっていたのに・・・テヘ☆

では。お借りいたします。
684K。:2007/04/28(土) 16:01:39 ID:N8VY2uJA0
「小休止。メリーさん?」

 秀行が教室に戻ると亮の姿はどこにもなかった。
静まり返っているせいか、3階の教室なのに窓の外がいやに騒がしく聞こえる。
机の上に秀行の携帯が置かれていた。秀行はそれを手に取り、録音されているメッセージを再生した。
「・・・・もしもし。私メリーさん。いま、あなたの後ろにいるの・・・・・違う貴方じゃない」
窓にはカーテンがゆれていて、その下に主を失った上履きが片方転がっていた。
いやな予感を抑えきれず、秀行は窓から顔をのぞかせた。目に飛び込んできたのは鮮血。
息を呑んだそのとき、秀行の携帯が着信を告げた
秀行はそれをつかむとそのまま教室から駆け出した。階段を駆け下り、上履きのまま校庭へ出た。
大きく肩で息をしながら秀行は携帯のボタンを押すと耳元へ持っていった。
秀行のブレザーのポケットの中には亮に渡すつもりだったお揃いのwindmillのライターがカタカタと音を立てた。
──亮・・お前を巻き込むつもりなんてなかったんだ・・・
「・・・・もしもし。私メリーさん。いま、貴方の後ろにいるの」
振り向きいた秀行の目に飛び込んできたのは空中に浮くビスクドール。
彼はポケットからライターを取り出し、火をつけて投げた。
その炎は色褪せたゴシックドレスに身を包んだ人形を飲み込んだ。
乾いた草原にが回るように、メリーは炎を上げた。
燃えいく小さな人形は激しい炎の中で秀行をまっすぐに見つめ続けていた。
メリーのガラスの瞳が熔け、まるで涙のように流れ落ちた。
それが合図のようにメリーの体は崩れ落ち、綿菓子が水に溶けるように炎がメリーを焼き尽くした。
煙だけが夕凪の空にゆっくりと広がった。
秀行はそれを見て初めて激しい後悔の念にかられた。
俺がメリーを求めたのに
俺は、メリーとともに行ってもいいと思っていたのに。
パタパタと何かがしたたる音で秀行は自分が涙を流していることに気がついた。
何が悲しいのか自分でもわからなかった。
夕凪がおわり風が煙をかき消した。
fin ありがとうございました。
685本当にあった怖い名無し:2007/04/28(土) 21:23:51 ID:TdN5KwIk0
おっつ〜
686Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/04/28(土) 23:04:40 ID:spRp54zn0
おっつ!

では行きます。
687Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/04/28(土) 23:07:02 ID:spRp54zn0
涙が・・・

気がつくと、私の頬からは大粒の涙が滝のように溢れていた・・・。
言葉や文章には出来ない、何十年も何百年もこの人形が見てきた感情を、
ほんの・・・たった一瞬触れただけだというのに・・・。
この涙はきっと私の涙ではない。
私はまた「見た」だけなのだ・・・。
そう望んだのは自分だ・・・、
そう望んできたのだ・・・、選んだのは自分・・・全て分りきっていた事だ。
陽の当たらない生活・・・呪われたカラダ・・・、忌まわしき仲間達・・・、
そして当然の報いともいえる死に様・・・。
生まれ変わり、新しい肉体を得た後も、
過去のしがらみを捨て去る事は出来なかった。
・・・恐らくそれが私が自分に与えた罰・・・、
どんな華やかな舞踏会も、舌がとろける様な宮殿の晩餐も、
カラダが消えてしまうような性の快楽でさえも、
私が芯から満足できうるものではない。

私は全てを理解して、
バラバラになっている自分の心を組みなおし始めた。
これまでの自分とこれからの自分・・・、
そして・・・壊れた人形・・・。
「やり方」も認知できた。
最初の住人だったマリーという少女には無理だったかもしれないが、
自分にはできる・・・!

所詮、自分が観客にしかなれないのなら、
心や感情を捨て、このまま世界の行く末を見続けるのも一興だ。
どうせ、今のカラダも、あとは老いさらばえていくのみだ。
もともと、自分のカラダだというのもおこがましい。
688Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/04/28(土) 23:11:09 ID:spRp54zn0
私は自分の荷物の中から、護身用の短剣を取り出した。
タイミングや、やり方を失敗をすればただの自殺だ。
うまくできるだろうか?
いや、ダメならそれでも・・・。

うまい体勢を保持するのが難しい、
うまく人形を抱き寄せ、その硬い唇に口付けを・・・。
要領はサイコダイブを行うような形だが・・・。
ナイフを自らの心臓に近い部分に突き刺し、
即死ではなく、最低でも数秒意識を保ち、なおかつ痛みや苦しみに耐えつつ、
精神を移動させねばならない。
理屈は簡単だが、かなりの荒業だ。
最後の住人だったリーリトの時は、もう一人の術者の協力があったようだが、
たった一人で、この作業を行うのは・・・。

私の夫・・・ランディ、
大事な友人・・・セザンヌ、
あんなに尽くしてくれたのに、騙してごめんね、ザジル・・・、
そしてあなたにもう一度、会いたかった・・・フラア
ディジタリアス・・・娘をよろしくね、

斐山優一・・・いや月の天使シリス!
スーサの王アスラ!
お前たちの目的が何だか知らないが・・・お前達の騒乱に巻き込まれ、多くの者達が命を失った。
私も今、人間の命を終える!
・・・満足か!?
それとももう、私たちなど興味を失い、次の世代の人間達を利用しようというのか?
せめて見極めてやる。
この不死の人形のカラダを使って!
フラア! ランディ!! 私はあなた達と同じ道は歩めないが・・・
この人形の目で、あなた達が追い求めていたものを少しでも・・・!!
689Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/04/28(土) 23:12:15 ID:spRp54zn0
 ザクッ!!

・・・ジワ・・・ジワ・・・

どくっ どくっ・・・!

その貴婦人・・・イザベルの胸から大量の血液が溢れ始めた・・・。
そしてそれはそのまま・・・人形メリーの、薔薇の刺繍の黒いドレスに染みこんでいく・・・。
また、壊れてひび割れた石膏の断面からも、
イザベルの真っ赤な血液は吸い取られていく。
この場には誰もいない、
この異常な光景を観察できるものなどいない、
人形が、イザベルの血と、意識と、命を吸い取ると共に、
その人形のカラダが、
元通りの美しいボディに修復されていくのを。

まるで生き物のように、か細い指先は痙攣を始め、
瞳が激しく蠕動し始める。
数百年の沈黙を破り、再び呪われた人形・メリーに、命を吹き込むものが現われたのだ・・・!

どれぐらい時間が過ぎたのか、
かつてイザベルと呼ばれた美しい貴婦人のカラダは、
ゆっくり地面へと崩れ落ちた・・・。
もう、
心臓も動いていない・・・、
瞳は見開いたままだ・・・。
そして、
ゆっくり、ゆっくりと・・・人形はカラダを起こした・・・。
瞳をギョロつかせ、自分のカラダを確かめるように・・・!
690Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/04/28(土) 23:13:47 ID:spRp54zn0
ボサボサだった銀色の髪にも光沢が戻っている。
人形はしばらく、イザベルという女性の死体を覗き込んでいた・・・。
もう、何の感情も湧かない。
・・・そうなる事は先のサイコメトリーで分っていた、
この人形は感情を糧に動いているという事を。
人形はゆっくりと台座を降り、
部屋の隅にかけてある死神の鎌・ゲリュオンを手に取った。
名前も分っていた・・・恐らくそれは、この鎌を造った者に関係がある名前なのだろう。
大量のエネルギーが流れ込んでくるが、
心が壊れるという事は、もはやない。
むしろ、まだまだ人形がその恐ろしい鎌を振り回すには、エネルギーが少なすぎる・・・。

また、「彼女」は理解してもいた。
感情はなくなるが、強い意志さえ保ち続けるなら、
この人形をコントロールできるということをも。
目的を失ったマリーや、人格を無理やり統合していたエミリーのときとは異なって、
リーリト・百合子は、完全に自我を失わないでこの人形のカラダを使い続けていた・・・。
ならば自分にもできるはず。
輪廻転生を果たし、どちらの時代においても、高い精神感応能力を誇った自分ならば、
きっと目的を失わず、活動を続けていけるであろうことを・・・。

人形はイザベルのカラダを抱きかかえて、そのボロボロの家を出た。
相変わらず、外は白い霧がかかっている。
彼女は抑揚もない動作で、
かつての自分の肉体を、そばの池に放り込んだ・・・。
水面に波が立つと同時に、その美しい死体が沈んでいく・・・。
別に何か理由があったわけではない。
「彼女」にとっては棺代わりだったのかもしれない。
・・・。
  さようなら、「二人目の」私・・・。
691Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/04/28(土) 23:16:08 ID:spRp54zn0
いまや人形は、再びボロボロの家に戻り、
あの、忌まわしき死神の鎌ゲリュオンを手にしていた。
人形の記憶には、
かつてこの部屋から同じように出て行った記憶はある。
だが、今は見送るものもいない。
その必要もない・・・。
ゆっくり・・・人形はゆっくり、この家を後にした。
フラウ・ガウデンと、枯れ木の男エックハルトが、永いこと棲み続けていたこの家を・・・。
冥府の王ヴォーダンによって、永いこと、閉じ込められ続けていたこの森を・・・。

 
 そして人形メリーは、再び地上に姿を現わした・・・、
 栄華を極めた文明が消失し、二人の天使すらも消え去ったこの新世界に・・・!


さぁ、Lady メリーの登場です!
薔薇の刺繍のドレスを纏い、
か細き腕には、一振りの鎌
命を失う覚悟はできたのかしら?
Uoo La La〜、
私は見つける、法を犯すもの、そして私は知らせる、ベルを鳴らし、
そして私は近づく、確実に一歩ずつ、そして私は準備する、死刑執行のこの時を、
そして私は恐怖を与える、罪を後悔させるため、
そして私は鎌を振るう、穢れた命を絶つために・・・
692Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/04/28(土) 23:23:57 ID:spRp54zn0
☆ これで終わりです。

今後、製作予定(いずれもいつになるか見通しなし!)
○ ユージン達との新大陸冒険紀
○ 新キャラ・異教の騎士及び、彷徨う怨念との壮絶な闘い
○ 最恐の和製ゴス(ry少女と「アーマー・ジャック」
○ ? ? ?

ではでは!!
693Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/04/29(日) 18:47:03 ID:2E1rtjAX0
前回、携帯用のLady メリーが読めるサイトは、作成者の気まぐれで消滅しました。

そしたらまた別の方が携帯・パソ両方から読めるサイトを立ち上げていただきました。
まだ完成してませんが、途中までは読めますのでご紹介します。
http://1hp.jp/?id=swordwitch
694ハタチ ◆SKkgUPW1u. :2007/04/30(月) 01:19:19 ID:8lMilEd7O
>>Lady氏
むおおーメィリィちゃんは何て話に出るんじゃー携帯で見れて嬉しいがお話沢山杉orz
つーか、久しぶりでトリとかsageとか軽く忘れたorz
695Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/04/30(月) 12:54:12 ID:ullm3pgU0
            見ないの!
          \         '´  ヘヽ           //:∧ヽ ヽヽ: :\: : } `==、
            \       r卯ミiノノ)))〉、        /: /: |u |:ヽ: ヽ:ヽ: : .}: :| ト、: :〉|
             \     iノ`(リ///ノiヾ!      .//: /|: :| .∧Lュ___,ノヽ: :|: |ミいV_∧
バサッ    ↑__↑ /l\+\     (,{水},)      /.: /__レ'V /  リ  ヽ|\V: :∧.ハ Vヘ: |
 バサッ  '´  ヘヽ || ヾ|  \    くUU〉     / /: 「 ∨       ___ レくヽ.| V | |:|
     r卯ミiノノ)))).||      \    し'ノ    ./ ∧|: : :ハ  __    " ̄ ̄` |: レ'  |/ レ
  /ヽiノ`(リ゚ ヮ゚ノi ||!       \∧∧∧∧/ |:./ |:/人|:.|./ ̄ `      /:/:.|: |  /
  /   ゝ⊂)来iつ||       <   麻  >V ∨  |`| /:/:    _    /|: /  〆
 (⌒Y´   くん|h〉 ||       < 予    >   \. |: :|〉、__   <_ノ _ /|/レへ、
      〆 し'ノ. ||       <   衣  >ヽヽ.  `|V  /  ̄「_フ^「__,/|/__ 」
─────────────< 感    >──────────────
___   [_l二l|__       <   の  >
  /、| r卯ミiノノ)))〉、       < !    >
//:|| iノ`(リ;゚ヮノiヾ!       /∨∨∨∨\             i⌒)_ ,へ
/  :||  ⊂)!とl)        / /'′ ヘヽ  \           ,'´しノ=/,し'
;;━━━━━━━━━━ /   r卯ミiiノノ)))〉、| \        r卯ミiノノ)))〉、 <お兄ちゃんちょっとここにきなさい
////////////////////___ . .iノ`(リ゚ ヮ゚ノiヾ! |_r.. \      iノ`(リ゚ ヮ゚ノiヾ!
━━━━━━━━━/||.§|| ||  |. (っ¢ )  |. ||§ \ポムポム  ./^`水iノ⌒⌒⌒`〜、
━━━━━━━━/  | || || || ,, |,,/,,, | iii~  | .||    \ ( ̄⊂`人 //⌒   ノ  ヽ)
          /   _| ̄ ̄ ̄|  ~凸 ( ̄)凸. ̄|     \ニニニニニニニニニニニニニニ⊃
696Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/04/30(月) 12:56:27 ID:ullm3pgU0
>>694 ハタチさん、どうも。
メィリィたんは「南の島のメリーさん達」にいます。

・・・それにしても
>>695はニュー速にあったもんだが、
・・・どこの麻衣なんだ・・・?
【文化】 「麻衣、13歳。チョコ好き」 マネキンも“萌え”の時代…キャラクター設定まで(画像あり)
http://news22.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1177895292/l50
697ハタチ ◆SKkgUPW1u. :2007/05/02(水) 07:54:05 ID:2/mId2wGO
>>Lady氏
どもーですー
氏の>>581の発言を受けてメィリィちゃんの事が気になっていたであるます
698Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/05/02(水) 23:49:22 ID:HWmJpzoZ0
>>697 そうか、チャイナ系キャラ書くに当たって、どうしても意識せざるを得ない・・・よね?
気にしないで書きたいように書いて、と言いたいのですが、
自分も立場が逆だったら・・・。

まぁ、大丈夫!
みんな待ってます!!
699本当にあった怖い名無し:2007/05/03(木) 04:05:03 ID:/CbxpqaRO
期待
700本当にあった怖い名無し:2007/05/03(木) 16:10:13 ID:pkZmx0IA0
wktkして待機中
701本当にあった怖い名無し:2007/05/03(木) 17:34:45 ID:wD1C+mRRO
>>693
Ladyメリー最終章以降の作品はアップされないのかな?
Ladyメリーの終了とともにこのスレを去っていたので、
それ以降の作品が激しく読みたいんだが
702ハタチ ◆SKkgUPW1u. :2007/05/04(金) 00:01:26 ID:jjUaFRAw0
>>Lady氏
ありがとうござるます
今実家に帰っていてネットに繋げる環境なんで、頑張って読破して可能ならPCから続きの話投下!!
……できたら良いねorz
703Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/05/04(金) 01:00:45 ID:+NIKq49g0
>>701 え・・・? ではセカンドストーリー以降をまだ読まれてないんですね?
しばらくお待ち下さい。
携帯用サイト作った方にせかしてきます。

>>702 wktkして待ってます!!
エリザちゃんも再びの登場、待ってますんで。
704Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/05/05(土) 00:19:31 ID:shcY9hRB0
  だいきゅうわ
 「・・・久しぶりやな・・・。」
 「ええ、・・・久しぶりっすね・・・?」
 「あ〜、ウチが主役の話はいつから止まったままやったっけ?」
 「す、すいません、自分もよく・・・、あ! あのぉ、う、梅八クンはどうなったんで・・・?」
 「梅八か・・・!? かわいそうやが仕方あらへん、
 いちいち、死んだモンの家族に気ぃ使っとったら、最恐のゴスロリ少女は名乗れん、そやろ?」
 「あ、ええ、姐さんが気にしてらっしゃらなければ、それでいいんですけど・・・。」
 「あれから、もう3つの村をあとにしとるんや、さぁ、次いくで? 今晩はこのお屋敷やぁ! 」
二人は目の前の大きな塀を見上げます。どれぐらい大きなお屋敷なのでしょう、端が見えません。
 「今回のエモノはお武家はんのようやなぁ、気ぃしめてかからんと・・・!」
 「わかりました! 陽動は任せといてください! おいら達のコンビは無敵ですよ!!」
 「頼むでぇ〜、いぬぅ!」

夜になりました。
 うわぉぉぉぉぉぉん・・・!
いぬが遠吠えをかまします、景気付けなのか、仕事開始の合図なのかはわかりませんが、
一応、儀式のようなものなのでしょう。すでに、うりぃはお屋敷の中に忍び込んでいます・・・、
いぬは敢えて、暴れて騒ぎを起こして、お屋敷の人間の注意を引いています。
・・・今回の標的は、このお屋敷の主人のようです。
廊下には蝋燭の明かりすらなく、暗闇と静寂しか存在しません・・・。
遠くからは、いぬが起こす騒ぎの声が聞こえてきますが、
そんな騒音は、すでにうりぃの殺人領域からは別世界のものとなっています。
 ギシッ・・・ ギシッ・・・ 
廊下の角を曲がると、・・・そこから先は庭に面した廊下で、外の月明かりが薄く障子から差し込んでいます。
目的の主の部屋は、このすぐ先なのでしょう、うりぃの右手が、草刈り鎌を握りしめます・・・。
 「・・・お?」
廊下の途中、壁のくぼみにごっつい姿の鎧が鎮座しているのを、うりぃは見つけました。
 「売ったらナンボになるかなぁ?」
それだけ呟くと、うりぃは更に、廊下の次の角を曲がり、いよいよ主の部屋の前に辿り着いたのです・・・。
・・・その時・・・鎧兜の目が・・・怪しく光を放ち始めたのを・・・うりぃは気づかないでおりました・・・。
705Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/05/05(土) 00:20:48 ID:shcY9hRB0
 「・・・ムニャ?」
お屋敷の主人は目を覚ましました・・・。何か、只ならぬ気配を感じたのでしょうか・・・?
 ギシッ・・・
誰かが廊下にいる気配がします。
奥方? 奉公人? 何故こんな時間に?
 ギシッ、ギシッ・・・
段々足音は近づいてきます、屋敷の主人は枕もとの刀に手を伸ばしました。
 「・・・誰ぞおるのか・・・!?」
足音はふすまの前で止まりました。
主人の質問に答える声はありません、間違いなく家の者ではないと、彼は判断しました・・・ならば!
 カチッ・・・
ゆっくり刀身を鞘から抜き・・・、いつでもふすまが開いたならば、攻撃に転じようとした、まさにその時!
 「・・・うちや・・・うりぃ・めりぃや・・・あけぇてぇけぇぇ?」
気味の悪い子供の声が響いてきます。
勿論、自分の子供ではありません・・・!
 「面妖な・・・! 何者だ!?」
 「ちょっとでええんやぁ・・・、あぁけぇてぇけぇぇぇ!?」
 「・・・ふざけるにも程がある! 覚悟いたせ!!」
そう言うと、屋敷の主人はふすま越しに鋭い日本刀を突き出しました・・・!
 「ぎゅわぁっ!?」 
不気味な悲鳴と、気味の悪い感触は確かな物でした・・・、
主人は物音がしなくなるのを確かめると、視線を下に下ろしたまま、ゆっくりとふすまを開きました。
 ガゥゥッ!!
 「うわぁっ!!」
真っ白い何かが主人の目の前に飛び込んできました!
全く予想だにできない展開です。
間一髪で主人が顔をそらし、後ろを振り向くと、
白い何かは布団の中へ潜ったのか、大きな塊が布団の中を蠢いています・・・。
 「・・・くっ? 浅かったのか!?」
主人は今度こそトドメを刺そうと、狙いを定めた時、
背後から再びあの子供の声が・・・!
 「・・・うちや、いま、あんたの後ろにおるでぇ・・・!?」
706ウチは最恐ゴスロリ少女うりぃ・めりーや!:2007/05/05(土) 00:23:14 ID:shcY9hRB0
 ばかなぁっ!?
 ・・・ぐはっ!!
慌てて振り返っても、時既に遅し・・・。
うりぃの血塗られた草刈り鎌が、主人の胸を貫いていました・・・。
 「・・・すまんな? これも仕事なんや・・・。」
そして、主人は畳の上に崩れ、息を引き取りました・・・。
全て予定通りです。
 「・・・おい、いぬ? 行くで?」
うりぃは布団の中で遊んでいるいぬに声をかけます。
すぐにもぞもぞと、這い出てきますが、おなかが痛そうです。
さっき刺されたところでしょう。
 「あいたたたたた・・・!」
 「今回は刃物傷か? まぁそのほうが治りがはやかろう?」
 「そ、そんなこと言っても、痛いんすよ? 早く帰りましょう?」
 「せやな、もう、用はないしな?」
二人がこの部屋を後にしようと、開いたまんまのふすまを通り過ぎようとした時、
突然二人の視界は塞がれたのです。
 !?
鎧兜です・・・。
さっき廊下にあったはずの、ごっつい鎧兜が廊下を移動し、
この部屋の真ん前に立ちはだかっているではないですか?
 「な、なんや? さっきまで、ここに、こんなもの!?」
 ビカッ!!
 「!?」
なんと言うことでしょう、その兜の奥から得体の知れない二つの光が灯ったのです!
 「こいつ!?」
・・・そして、さらにそのいかつい面からは、重厚な、そしてたどたどしい声が・・・。
 「わ、我が名は・・・アーマー ・・・ジャック!
 おまえ・・・い、いま、我に鎌は効かないと、か、かんがえた、ろう・・・?」
うりぃは鎧兜を見上げたまま叫びます・・・。
 「あ・・・あまんじゃくかっ!?」          (つづく・・・たぶん)
707ウチは最恐ゴスロリ少女うりぃ・めりーや!:2007/05/05(土) 00:25:55 ID:shcY9hRB0
☆ 瓜子姫対天邪鬼!
続きはまだ書いとらん! 先は未定やぁ!!
708もなか ◆monaka.Ncs :2007/05/05(土) 12:07:45 ID:6HpWyja1O
うっわぁ
やっとこのスレ見つけた。
最近、本よむのマンドクセだったんだけど
じわじわとぅpされると、期待が膨らんでスラスラ読めるねww
709ハタチ ◆SKkgUPW1u. :2007/05/06(日) 12:06:41 ID:20UJgid9O
結局ネットに繋げる環境にいる内に「南の島の〜」読み切れなかったorz
ちょっと鉄の処女入ってくる
710本当にあった怖い名無し:2007/05/09(水) 00:37:43 ID:fAwnqoxk0
ほしゅ
711本当にあった怖い名無し:2007/05/09(水) 13:57:14 ID:KnrmCrRxO
あげ
712本当にあった怖い名無し:2007/05/11(金) 09:25:52 ID:VKKC/PVOO
誰かいないのか?
713本当にあった怖い名無し:2007/05/11(金) 16:21:06 ID:5P/CMyIS0
>>712 こんな感じのを・・・作成中、ですが・・・。
===============================

 「おい、聞いたかよ!? 二年のクラスのヤツが見たらしいぜ?
 先週の金曜日に、夜中、マンションの入り口付近の街灯のてっぺんに・・・、
 いたんだってよ!?」
 「えー? なになにー? なんのはなしー?」
休み時間に、オカルトネタ好きの男子の間に、これまた、そういった刺激ネタの好きな女子が集まる、
・・・ありがちな光景だ。
 「あのよ、ホラ・・・、こないだ言ってたの覚えてるか?
 でっけぇ刃物を持った人形が夜の街に徘徊してるって噂が流れてるの・・・。」
 「あっ、ネットで流れてるって言ってた噂でしょぉ? 誰か見たのぉ?」
 「おう、オレの弟、下の学年にいるじゃん? 直接聞いたらしいぜ?
 見たっていう女子からよ・・・?」
 「またーっ? 絶対嘘か見間違いだよ、そんなのぉ?」
 「ばっか! 信憑性あんだよ!
 TY町の古いマンションあんだろ? 公務員専用のあの雑草生えまくりのきったねーとこ・・・。
 あそこの入り口の照明のてっぺんに、いたんだよ、
 見たの、そいつだけじゃねーんだってさ!
 ・・・確かに街灯の照明のかさの陰になるから、輪郭ははっきりとはしなかったらしいけど、
 大きさはネコなんてもんじゃない、
 白と黒のツートーンで、まるでフクロウが人間並みの大きさになって、うずくまったまま、
 地面を見下ろしてたって言うんだ・・・!」
 「うそぉ!? そんなの、大騒ぎにならない!?」
 「いや、実際なったんだよ、多分、マンションの住人が窓から見たんじゃねーの?
 パトカーとか集まってきたんだってよ?
 でも、パトカー着いた時にっていうか、騒いでる間に急に姿が見えなくなったそうなんだけどよ・・・!」

===================
例によって、できあがるのはいつの日にか・・・?
714本当にあった怖い名無し:2007/05/12(土) 00:08:34 ID:VSZA0UW/0
http://p.pita.st/?m=1v0by00t
ラクガキその3くらい。
715本当にあった怖い名無し:2007/05/12(土) 12:35:14 ID:pAorYm65O
>>713
激しく期待
>>714
GJ
716本当にあった怖い名無し:2007/05/12(土) 14:03:55 ID:cDPPkndPO
壁|∀・)れでぃサソ期待してますぜ
717本当にあった怖い名無し:2007/05/12(土) 21:04:11 ID:VSZA0UW/0
>>715 ありがとん♪
718Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/05/13(日) 23:56:43 ID:PfKbdgfv0
・・・くっ、やはりばれてるか・・・。
719始まりの死(略:2007/05/14(月) 07:40:26 ID:gT8w2I020
ネタの死捨五入ができねぇ.....
720Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/05/14(月) 21:17:18 ID:pwGxciFn0
なんだぁ、そりゃーッ!?
721本当にあった怖い名無し:2007/05/16(水) 01:43:45 ID:oSnCXVaTO
上げ
722本当にあった怖い名無し:2007/05/16(水) 01:58:16 ID:nhWLMNtnO
ツートーンwwww
723ハタチ ◆SKkgUPW1u. :2007/05/17(木) 00:32:08 ID:Ih6kzZVlO
よーし、激烈に絵の下手な俺も絵を上げちゃうぞ。精神的ブラクラ仕掛けるますよ
近日中に
724本当にあった怖い名無し:2007/05/17(木) 22:32:03 ID:NRtxMnqDO
期待期待
725Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/05/17(木) 23:01:42 ID:PkU39YJI0
ミーも期待!
726メリー in ウェスタンランズ・・・:2007/05/18(金) 11:26:08 ID:xs90LJB70

『私メリーさん。今、近くの大通りに居るの。』

最初の電話が鳴った時、私は風の噂に聞いたある都市伝説の話を思い出していた。
なのに私ときたら・・・なにせマリファナのクッキーを頬張りながら極上のコカインをキメて
いたせいか気分は、そりゃもう400ガロンのガソリンともども真っ白な雲の中で褐色の天使と
ランデブーしてるような状況だった。
っと、そんな気分でハイになっていると二度目のベルの響きが私の耳に飛び込んできた。

『私メリーさん。今、貴方の住むマンションの前に居るの。』

おや、もうそんな近くまで・・・だが、その時の私にとっては、どうでも良い事のように思えた。
更に暫くすると三度目のベルが・・・。

『私メリーさん。今、貴方の部屋の前に居るの。』

おっと、これはマズい。
こうなると彼女はきっと、餓えたハイエナの目をした麻薬捜査官の如く”アッ!”と言う間に私
の姿を見つけてしまうだろう。
そうして遂に四度目ノベルが鳴った。
だが聞こえてきた言葉は、噂に聞いたものとはまったく違うものだった。

『私メリーさん。今、貴方に言っておきたい事があるの。』
「何だい?良いから話してみて。」

そう・・・その独創的かつ官能的な含み笑いとともに聞こえてきた彼女の声は、私の脳を震わせ
リンパ液を凍らせるかの如き恐ろしい言葉を耳に刻み込んだ。

『ウィル・・・ 貴 方 は ホ モ よ 。ンッフフフフフフ・・・。』

あぁ何てことだ、私はきっと・・・その時の恐怖を生涯、忘れることは出来ないだろう。
727メリー in ウェスタンランズ(あとがき):2007/05/18(金) 11:29:32 ID:xs90LJB70
”ウィリアム・S・バロウズの長編小説に基づく・・・”

[声の出演]

語り手(ウィル)・・・堀勝之祐

メリーさん・・・・田中敦子

 音楽 by オールネット・コールマン
728っと言うわけで、電撃・・・・:2007/05/18(金) 11:33:16 ID:xs90LJB70

久々に「〜クールに反撃」スレに投下したネタですが、一応こちらにも置いときます。

う〜む・・・気分は激しくビートニク♪(;^。^)つ)))ナンジャソリャ!
729本当にあった怖い名無し:2007/05/18(金) 19:10:12 ID:P4KEkA7I0
ごめん、どこがおもしろいのかわからない...orz
730電撃・・・orz:2007/05/18(金) 23:55:28 ID:xs90LJB70
>>729
そ、それは・・・申し訳ありませぬ。m(_ _)m

なにせ久々にDVDで『裸のランチ』を観ながらネタを考えていたら・・・
こんなん(>>726-8)が出てしまいまして。<(;~O~)アチャ〜!
731ハタチ ◆SKkgUPW1u. :2007/05/19(土) 03:18:38 ID:sKtiHyuSO
夜分遅くにこんばんぬ
絵かいたお。下手だし携帯だし、でも勘弁して
溢れるメリーたんへの想いは止まらなかったんだ
http://r.pic.to/c5sv4
732Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/05/20(日) 00:41:47 ID:WOm0D3/O0
>>731 パソから見えね。

許可ヨロ。
733ハタチ ◆SKkgUPW1u. :2007/05/20(日) 01:49:25 ID:ZQGcJF/XO
許可したです
これで見れるはずですが・・・期待しないでorz
734Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/05/20(日) 12:24:07 ID:WOm0D3/O0
>>733 でかっ!

みたでぇ!
氷の美少女ってイメージかもですね。
私も早くつくらねば・・・。
735本当にあった怖い名無し:2007/05/22(火) 00:28:40 ID:ZpHFOOS10
そろそろ次スレかな?
736Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/05/22(火) 00:40:08 ID:/I5wfFbl0
>>735 かなり過疎ってるので、もうちょっと粘ってます。
誰かが先に立てるというなら、お邪魔はしません、はい。
737Lady メリー ◆MERRY.VeEM :2007/05/23(水) 22:04:06 ID:FaOQ9sFI0
私メリーさん【七人目の犠牲者】
http://hobby9.2ch.net/test/read.cgi/occult/1179925007/l50

  /_ ‐- 、 ヽ  、ミ  レ- 、
  〈  ヽ \ j /ヽ∨∠_    ヽ    これが…
.   ヽ`ー三う ,ィ, ハ 'ニ, i |ヽ. i l   せい…いっぱい…
.     ト、ニ∠イ_:ヽ{ ::'''_:ノル'  i { 〉     です
     レ' : =;;三`テツy;ッzj' イ; } :}.{    新スレ…
    l  j'  ::: : |「 ソ   ,ンノ ,〉   受け取って…
   ノ  {'   、_;;j' /__ (. ( r'     ください…
  ,.イー=ゝ、 fF==ァ′-  )_ノ    伝わって………
  {、 ,.ヘ\{  ̄「/三ニ=('       ください……
  ヘミ \_> ` ー'rう'´ ー-、
    ヽ\=-‐''´ `ー-
738本当にあった怖い名無し:2007/05/25(金) 01:32:34 ID:61oOZRUC0
花京院w
739本当にあった怖い名無し:2007/05/25(金) 11:19:24 ID:m+g2hgpH0
ワタシメリーサンアルヨ
イマアナタノウシロニイルアルネ
740本当にあった怖い名無し:2007/05/26(土) 21:45:48 ID:zuBFXKB6O
メリーさんを描いてみました。雑で申し訳ないです…
http://imepita.jp/20070526/779330
741本当にあった怖い名無し:2007/05/26(土) 21:55:33 ID:GhPwsDNr0
>>740 乙!

イラスト組もたくさん来てくれると華やぐねぇ〜。
742本当にあった怖い名無し:2007/05/26(土) 22:04:04 ID:lmDGUxkF0
>>740
乙〜
743本当にあった怖い名無し:2007/05/27(日) 02:54:13 ID:bJAGggAs0
744本当にあった怖い名無し:2007/05/27(日) 09:37:02 ID:G97jQVJy0
新作開発状況

・・・>>713のつづき・・・

場所:東京
時代:現代、最後に事件から3年ほど前・・・?
登場人物:中学生の男の子、同じく中学生の女の子、ニート、「メリー」
事件:外国人英会話教師への暴行殺害
作成状況:ただいま11レス分・・・。先は不明。
タイトル:過去作品を踏襲した形に・・・。
745本当にあった怖い名無し:2007/05/27(日) 09:38:13 ID:G97jQVJy0
>>744

最後に事件から・・・×
最後の事件から・・・○
746旅人のAA職人 ◆UbcWgpnVN6 :2007/05/27(日) 17:37:40 ID:FPBjxZTA0
               __       ほれほれ
             /;'⌒ヾ           ____
               /::/            /´       `丶、
            {.::{  _____/ヽ /            \
              >'´::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::ヽ― 、   /´ ̄`ヽ、_  \\   )))   某アンチスレは27日の24:00迄です。
           /::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::|::.::.::.`<,-――一ァヘ>‐ヘヽ)_
           /::.::/::.::.::./::.::.::.::.::./::.:/::.:: |::.::.\:::::ヽ:::/⌒{xヘ{ : : :  ̄ `丶   月曜日にはスレ立て再開と
         /::.::.::.:l::.::.//::.::.::.::/_,斗∧::.::.:ト、:ヽ::.\ :::/: : /::::::::::〉: : : : : : : : : \  
        ,' .:.:.:.:. |/.:./::.::.::.::/´/.::/  ',.:: 「`l 、:\::∨ /:;  -‐┴――-: : : : : : :\    連絡が入りましたので
         i.:.:.:.::.:/.:.:.:./::.::.::.::/l.:/|:/   |.:: l |∧.:/∨く:/: : : : : : __: : : : : : : : : : : :ヽ
         |.:.:.:.:/: イ:,'::.::.::. / j/ ' _   |.::/ |.::W: : :∠xニ>'´: : : : :人: : : : : : : : : : : :',  その後は埋め立てします。
        ∨.::j/.::∨::.::.:,.ヘ -三三  j/ 三∨: : : :/7'´: : : : : : : :(_ ::): : : : : : : : : : : }
         j.::.::.: r-|.::.::/.:: ヘ   ::::::  、_,、ィ ::: 八__{__/: : : : : : : : : :-――――- : : : : \
        /.::.::.: {i^レヘ{.::.::.::.:\    ( ノ イ   `ヾヽ -‐=Z._____/: : : _: : -― : : :/
          /.::.::.::.::/ ̄ ̄>'´ ̄`ヽ  _/       Vハ  i⌒ヽヾ /{ ̄ ¨フ: : : : /:.∧    ひー・・・・
       /.::.::.::/  /       ヽ‐/            Vハ ヽ:::ノ ∨八_,/ -―ァ: :/:.ハ
.      /.::.::.:/  /         Y           VY(ヽ   \∠{イ、  // : : |: :|
      私メリーさん、あなたの後ろにいるの!
747本当にあった怖い名無し:2007/05/27(日) 21:44:29 ID:UjSzvRKz0
こなt じゃなくてメリーさんかわいいww
748本当にあった怖い名無し:2007/05/30(水) 12:16:59 ID:VbHrZc8gO
えぇぇぇ!

某ヂヤニ〜ズの社長の事ぢゃないのか!
スレタイみて勘違いしたお。
749本当にあった怖い名無し:2007/05/30(水) 20:09:46 ID:wKunuzAf0
ははは、 こいつめ。
750本当にあった怖い名無し:2007/05/30(水) 21:07:21 ID:vpIAcYh8O
IDがアフォ
751本当にあった怖い名無し:2007/05/30(水) 21:09:05 ID:wKunuzAf0
ははは、 こいつめ、
752本当にあった怖い名無し:2007/06/02(土) 12:42:17 ID:fMYMZ9zPO
メリーさん絵描いてみたいんだが、ネタが思いつかん。
753本当にあった怖い名無し:2007/06/02(土) 14:22:05 ID:Wy1gYaFg0
えええ、なんでもいいやぁん?

食べ物食べるシチュエーションでも、
動物と戯れる姿でも、
血の海に佇む姿でも・・・。

期待してますよぉぉぉ!
754本当にあった怖い名無し:2007/06/02(土) 14:34:38 ID:fMYMZ9zPO
>食べ物食べるシチュエーション

何かを感じた
しばしお待ちを
755本当にあった怖い名無し:2007/06/02(土) 15:00:48 ID:Wy1gYaFg0
どうせ、でかけてしまうけん、ごゆっくりぃぃ。

私も早く書きかけの物語を完成させねば・・・。
現在30KB・・・。
756本当にあった怖い名無し:2007/06/02(土) 16:41:01 ID:DPrv/b6M0
次スレ落ちた?
757本当にあった怖い名無し:2007/06/02(土) 17:59:35 ID:Wy1gYaFg0
まさか、こんな早く落ちるとは・・・。
vipperどもがスレ乱立したせいか?

やむなく立ち上げなおしました・・・。
こっちを7スレ目にします・・・。

私メリーさん【七人目の犠牲者】第二版
http://hobby9.2ch.net/test/read.cgi/occult/1180774622/l50
758本当にあった怖い名無し:2007/06/02(土) 18:46:45 ID:Wy1gYaFg0
業務連絡

始まり氏へ
 始まり氏がうpしてくれた分、良かったら新スレの方にコピぺしときますが・・・、
 一応、ご承諾を得てからと思いまして・・・。

いかがでしょうか?
759本当にあった怖い名無し:2007/06/03(日) 12:39:36 ID:uHdUuGUs0
ようやく新作できたぁ!

後は構成見直して・・・。
分量はそんな多くないと思うけど・・・。
近日中には・・・。
760始まり(略):2007/06/04(月) 10:12:35 ID:09oEHHen0
>>758さんへ
よろしくお願いします。
アク禁の巻き添えで、他から。
761本当にあった怖い名無し:2007/06/04(月) 20:59:53 ID:m6iGuood0
>>760 らじゃー!!
762本当にあった怖い名無し:2007/06/04(月) 21:31:53 ID:m6iGuood0
そして・・・久しぶりに
新作も貼らしてもらいます。

今回は・・・
いえ、今回もメリーは主役ではありませんが、
ちゃんと出てきますので・・・。
763本当にあった怖い名無し:2007/06/06(水) 08:33:15 ID:1IwB6EJd0
貼り込み乙です
764本当にあった怖い名無し:2007/06/06(水) 21:06:41 ID:R6suxl730
何気にこのスレ800くらいまで伸びるかな?
765本当にあった怖い名無し:2007/06/06(水) 22:02:12 ID:R6suxl730
766本当にあった怖い名無し:2007/06/07(木) 06:50:06 ID:MjPnnXuo0
767本当にあった怖い名無し:2007/06/07(木) 06:53:27 ID:Epxc5Lwe0
768本当にあった怖い名無し:2007/06/07(木) 07:35:12 ID:KlPsktFI0
バカよねぇ〜
769本当にあった怖い名無し:2007/06/07(木) 18:30:41 ID:wmXAdr8pO
770本当にあった怖い名無し:2007/06/07(木) 20:32:36 ID:Epxc5Lwe0
771本当にあった怖い名無し:2007/06/07(木) 21:01:23 ID:MjPnnXuo0
772本当にあった怖い名無し:2007/06/07(木) 22:05:17 ID:KlPsktFI0
さんよね〜
773本当にあった怖い名無し:2007/06/08(金) 06:53:14 ID:C1XCarw10
だから
774本当にあった怖い名無し:2007/06/08(金) 10:33:53 ID:fqOT6jef0
後ろ指 後ろ指 指されても
775本当にあった怖い名無し:2007/06/08(金) 19:38:43 ID:P9+rZ2EfO
うしろにいるのぉ〜
776本当にあった怖い名無し:2007/06/08(金) 19:45:55 ID:wp92Vx2wO
後ろに指を
いれられても・・・
777本当にあった怖い名無し:2007/06/08(金) 21:03:30 ID:C1XCarw10
なに考えてるのッ!?
778本当にあった怖い名無し:2007/06/08(金) 21:27:32 ID:P9+rZ2EfO
アッー!
779本当にあった怖い名無し:2007/06/09(土) 07:53:16 ID:1QARVqy50
あなたの・・・
780本当にあった怖い名無し:2007/06/09(土) 08:53:25 ID:eIwbmfjRO
後ろで
781本当にあった怖い名無し:2007/06/09(土) 12:10:13 ID:3MhyWPda0
ブートキャンプ
782本当にあった怖い名無し:2007/06/09(土) 13:33:58 ID:1czFXM8/O
ワンモアセッ!
783本当にあった怖い名無し:2007/06/09(土) 14:06:13 ID:eIwbmfjRO
私ッ!
784本当にあった怖い名無し:2007/06/09(土) 15:19:59 ID:qQ+sMmk40
た、耐えてきたのよ〜 この流れに〜♪
785本当にあった怖い名無し:2007/06/09(土) 18:43:39 ID:1QARVqy50
786本当にあった怖い名無し:2007/06/09(土) 22:57:07 ID:F12ZUFVi0
ふんもっふ!
787本当にあった怖い名無し:2007/06/10(日) 00:16:00 ID:KM9/JSRZ0
788本当にあった怖い名無し:2007/06/10(日) 11:02:19 ID:KM9/JSRZ0
789本当にあった怖い名無し:2007/06/10(日) 21:14:55 ID:wb+KKswaO
っ!まぶしっ
790本当にあった怖い名無し:2007/06/10(日) 21:39:05 ID:YnvkIbftO
のこり
791本当にあった怖い名無し:2007/06/10(日) 22:08:21 ID:KM9/JSRZ0
あと
792本当にあった怖い名無し:2007/06/11(月) 12:37:56 ID:qnMpgsuAO
793本当にあった怖い名無し:2007/06/11(月) 12:54:55 ID:tBGd5MpQ0
794本当にあった怖い名無し:2007/06/11(月) 13:06:35 ID:FpNCdzz00
795始まりの死(略:2007/06/11(月) 20:36:27 ID:M0AeDTI90
796本当にあった怖い名無し:2007/06/11(月) 20:58:46 ID:yQ79lZaG0
797本当にあった怖い名無し:2007/06/12(火) 12:54:59 ID:S19PcSBkO
798本当にあった怖い名無し:2007/06/12(火) 20:32:44 ID:wb370daO0
799本当にあった怖い名無し:2007/06/13(水) 06:47:02 ID:KdEOPCzU0
800本当にあった怖い名無し:2007/06/13(水) 18:14:03 ID:aD1FEgkkO
801本当にあった怖い名無し:2007/06/13(水) 20:02:09 ID:KdEOPCzU0
よっしゃあ!!
800オーバー!!
802本当にあった怖い名無し
>>1000ならメリーたんが今夜俺の部屋にくる