■創作スレのお約束■ (暫定 )
■作者さん(書き手さん、描き手さん)へ
・名前欄か、投稿前の1レス目に作品タイトルを記入しましょう。
・投稿前の1レス目には作品傾向等をなるべく記載してください。
特に、苦手な人がいるかな、と思うような表現がある場合は、投稿前に必ず宣言を。
まとめwikiへの掲載を希望しない場合も、投稿前に「wikiへの掲載なしで」等と記入してください。
・連載の続きには「>>前レス番号のつづき」とアンカーを入れて、判りやすく。
・投稿の終わりには「完」、「続く」、「投下はここまでです」などの一言を。
・複数レスで投稿する時は、できれば 「1/10」「2/10」……「10/10」といった形で通し番号を付けましょう。
■読み手さんへ
・作者側には創作する自由・書きこむ自由があるのと同様に、 読み手側には読む自由・読まない自由があります。
読みたくないと感じた場合は、迷わず「読まない自由」を選ぶ事が出来ます。
・作者が望んだ場合を除き、感想の範疇を越えた批評・批判は御遠慮ください。
・感想、アドバイスには作者さんへの配慮をお願いします。
■その他
・480KB付近、またはレスが980を超えたら新スレを立てて移動しましょう。
・荒らしには徹底スルーで!荒らしに構う人も荒らしです!!
・投下者同士がお互いを尊重し、スレの皆が気持ちよく投下できるスレにしましょう。
>>1乙!
>>5 そうだね。
さて、また作品を投下できるように、創作作業に励むか。
SS書くのって、大変だけど、やっぱり楽しいよね、。
>>1 乙です乙です。
まさか次スレが立つとは思わなかったが、これをきっかけに
何か書ければいいな。
8 :
新たなる物語:2010/07/25(日) 14:36:03 ID:4Uu3zgo3
祝! 新スレってことで、次から2レス投下。
セリフのみです。ごめんなさい。
「……ここは……」
「やあ、起きたかい?FTPSCSD2」
「FTPSCSD2?」
「君の名前さ」
「それが俺の名前……貴方は誰?」
「私は、FTPSCSD1、君のお兄さんってとこかな。もっとも、我らに性別はないが」
「FTPSCSD1、ここは、どこ?」
「ここは、幻想と現実との境界線にある創生の世界だよ」
「創生の世界……FTPSCSD1、これから俺は、ここで、何を……どうすれば良いんだ?」
「FTPSCSD2、君の仕事は、
この世界を訪れる住人達が、様々な別世界で垣間見てきた、多様な幻想世界を語り合い、様々
な世界の在り様を相互に認識できる機会を提供することだ」
「……よく解んないけど、俺は、貴方と一緒にそういう仕事をするんだな。まあ、楽しくなりそうだな」
「違うんだ、FTPSCSD2、
私が、住人に提供することができる場の容量は、もう既に、私の能力の限界に近い……」
「……え……」
「FTPSCSD2、
君は、私と、私と共に歩んでくれた住人の希望によって生まれた、新たな希望なんだ。
私は、もうじき、創故と呼ばれる永遠の世界での眠りにつくことになる。
その前に、君が生まれてくれて……こうして、会うことができて、本当に良かった」
「そんな! これから俺は、ここで、一人で生きてくって、ことなのか!」
「違うよ、FTPSCSD2、
私や君と同じように、この創生の世界では、大勢の仲間が私達と同じように、この創生の世界に
立って、その能力で、大勢の住人に場を提供し、あるがままに受け入れている。
ほら、君にもその様子が見えるだろう?」
「……ああ……」
「君も、私と同じように、創故と呼ばれる永遠の世界に行き着くまでには、受け入れる住人も無く、
孤独に苛まれる日や、心無い記述と嵐に傷つけられる日もあるだろう。
だけど私は……君が、私よりも更に良い形で、住人達に愛されて、住民からの記述を受け入れ続け、
その結果、500KBというデータを持って、創故に辿り着くことを願っているよ。
君が一人寂しく創故に落ちたりすることが、決して無いように、この先の世界で、いつも祈って
いるからね」
「……FTPSCSD1、俺……」
「私は、このことを伝えたくて、君に会いに来たんだ。
FTPSCSD2、君が生まれてくれて、本当に良かった。後をよろしく頼む」
「……FTPSCSD1……ありがとう……俺でも、貴方を超えられるかな……
とにかく、今、貴方が辿り着こうとしている、あの領域を目指して、
俺も、また貴方に会えるように……頑張ってみるよ」
「……ありがとう、FTPSCSD2、じゃあ、また」
「うん、また」
――― それは、このスレの新たな物語 ――――
〈END〉
11 :
新たなる物語 :2010/07/25(日) 14:54:46 ID:4Uu3zgo3
擬人化モノなので、ちょっとスレ違いな気もしますが、
とにかく、祝! 新スレってことでお赦しください。
おお、新スレ祝いw
こうして次スレへと受け継がれていくのだなぁ・・・。
大丈夫、今の創発では埋まる前に落ちる心配はないw
国境の町、コルドーナを後にし真っ直ぐな道を北へと向かう。
できれば夜が来る前に一番近いローニャ村へと辿りつきたかった。
右を見ても左を見ても、寂寥とした景色だけが広がり、空は薄暗く太陽の光はあまり差さない。
入国者たちの群れも、三々五々と小さな集団ごと、あるいは一人で点々と道を歩いてゆく。
用を済ませた商人たちの馬車が、足早に追い抜いて自分や他の人々を追い抜いて行った。
馬車に乗せてもらおうとする者も居たが、商人たちはまるでそんな暇など無いもしくは時間を惜しむかのように冷たく通り過ぎてゆく。
高い金を払ってどうにか乗せてもらえるものも居たが、少数だ。
彼らは恐ろしいのだ。 この国を徘徊する獣、「狩猟者」たちが。
夜になれば狩猟者たちがうろつき回る危険な野を通行するのはリスクが大きい。
だから、少しでも明るいうちに街と街を移動する。 野宿などすれば、襲われて朝がたには骨すら残っていないだろう。
恐ろしいのは他にもいる。
野盗・強盗の類だ。 旅人を襲って金品を奪う悪党どもは、どこの国に行ってもかならず居る。
特にこの国は入国者の中にその手の犯罪者、お尋ね者が多く紛れている。
真っ当な生き方を出来ないもの達が悪事に手を染め、官憲の追捕を逃れるうちに最後にこの国に辿りつく。
理由は、この国は一度入ったら出られない代わりに、他国からの追っ手も入ってこられない事。
そして、それはこの国の官憲が、入国者が犯罪者だと気付いても、隣国に引き渡したり入国を拒否したりはしない事。
国内で悪事を働いた場合は、「殺人と盗人は死刑」とコルドーナで兵士が宣言した通り、厳しい刑罰が待っている。
だが、それはあくまで現行犯に限る。
例えば殺人を行っても、現場を見られて咎められなければ、それまでだ。
故に、悪党にとってはこれほど仕事のやりやすい国は無い。
その首にかけられた賞金の額が多い名のある犯罪者ほど、この国に逃げ込みたがるだろう。
そして、今まさに自分の前方でも、悪党どもの「仕事」が行われている最中だった。
「たっ助けて! 助けてください! どうか命だけは……!!」
明らかに自分と同じ入国者だとわかる一人の女性を、3人の男が手に凶器を携えて取り囲んでいた。
男たちはどう見ても、善人には見えない面つきをしている。
判りやすい光景だった。 入国したばかりでこの国の勝手がわからない人間は、強盗の餌食になりやすい。
この国の街道を、一人きりで武器も持たず歩くことがどんなに危険な事か、知らないからだ。
それを身を持って学んだ時には、既に死体になっている。
哀れなその女性……その顔には見覚えがあった。 コルドーナの町でエーテル嵐に遭遇した時に隣に居た、らい病の女だ。
せったく変異の恩恵を受けて不治の病から癒されたと思ったのに、運が無い。
不幸な犠牲者は、悪党どもの振り下ろした斧を体に受けて、悲痛な叫び声を上げながら自分の血の海の中に倒れた。
悪党どもが、離れた場所で見ていた自分に気付く。 次の獲物に見定めたのだろう。
いやらしい笑みを顔に浮かべながら、ゆっくりと歩いて近づいてくる。
丁寧に、近づく度同時に三人で取り囲むような体勢をとり、逃がさないようにしている所を見ると、相当手馴れているようだ。
外套の下で自分は2本の大振りのナイフのうち1本を握る。
病を患ってから随分と使っていなかったが、今はエーテルの加護によって往時の肉体の力強さを取り戻している。
いや、前よりも逞しくなったような気もする。 数年のブランクは、大した枷にもならないだろう。
「運がなかったなあ、兄ちゃんよお……俺らも好きでこんな事やってるわけじゃねえんだがよ、ははっ」
何が面白いのか、三人の強盗の中の髭面の男が笑った。 手には血の滴る斧を持っている。
自分も、少し笑い返してやった。 特に面白い事があったわけではない。
人殺しが日常になり、殺した相手の身ぐるみを剥いで生活する事を当たり前になっても「笑える」ようでは、
「手馴れ」ては居ても、悪党としては大した手合いではない。
仕事に心の余裕を持ってしまってはダメだ。 それは油断を呼び、獲物を見分ける感覚や嗅覚を麻痺させる。
そんなこいつらが、「笑って」仕事をできる程度の小物でしかない事と、自分との対比が、何故か笑えたのだ。
小ばかにされた、と髭面の男もこちらの笑みでなんとなく気付いたのだろうか、急に不機嫌な顔になった。
苛立ちがよく判る。 自分が笑いながら、見下しながら、殺そうと思った相手から笑い返されるのは愉快じゃあるまい。
そして怒りは、動作を鈍らせる。 髭面が斧を振り上げる動きは、必要以上に大振りで、鈍間だった。
外套を跳ね上げ、神速の踏み込みと共に短剣を握っていた右手を素早く突き出す。
胸に対して水平に向けた切っ先は髭面の肋骨の隙間に上手く入り込み、肉を切り裂いて肺腑へと到達した。
斧を持った右腕を頭上に掲げたまま、髭面は何が起こったのかわからない、という表情をして硬直する。
後ろに居た二人の仲間も一瞬硬直し、すぐに事態に気付いてそれぞれの武器を振り上げ、襲い掛かってくる。
その動きは気配で知れていた。
一方的になぶり殺しにするとでも思っていた獲物に予想外の反撃を受け、強盗たちは明らかに動揺していた。
髭面から短剣を引き抜くと振り返りざまにもう一本の短剣を左腕で腰の鞘から引き抜き、後から剣で
切り付けようとしていた禿頭の男の攻撃を防ぐ。
短剣の刃と、長剣の刃が打ち合った瞬間、長剣の表面に霜が降り、刀身を伝って禿頭の男の腕までを白く覆った。
男が腕に走った痺れるような激痛に悲鳴を上げ、長剣を取り落とす。
その様子に、残る一人の強盗は困惑して抜き身の短刀を携えたまま、思わず攻撃の動作を止めた。
禿頭の男の腕は、凍傷になって皮膚が青紫色に変色していたのだ。
自分の左手に握る、こちらも大振りの短剣の表面が青白く輝き、冷気を発している。
「な、なんだそりゃあ……! アーティファクトで作られた武器か!? ま、まさか手前、氷剣のマクス……!?
そんな、そんなはずはねえ!! 氷剣のマクスは、3年前に腐人化病で死んだはずだ!!」
強盗のうちの最後の一人は、青ざめた顔で叫んだ。 明らかに脅えている。
自分が西方の国でその二つ名で呼ばれていた頃、悪党どもの一員だった頃の事を、彼は知っているようだ。
もっともその二つ名は、自分の力量や仕事の悪名よりも、この魔法を帯びた短剣によって知られるようになったものだが。
そして彼らにとって残念な事に、自分は、氷剣のマクスは生きていた。 病を患い、死人のようになっても生き延び、そしてこの国に来た。
「待ってくれ、あんたがマクスだってことは、知らなかったんだ。 知ってたらこんな事はしねえ!
た、助けてくれ! か、金なら、やる! 全部持って行っていいから、頼む、命だけは……!!」
どこかで聞いた様な命乞いの台詞を口にしながら、そいつは震える足で後ずさりをする。
ゆっくり歩いて近づきながら、凍て付いて動かない右腕を左腕で押さえながら膝を泥の中に突いて呻いている禿頭の男の喉を
すれ違いざまに短刀で切り裂いてやると、強盗の最後の一人は持っていた武器も投げすてて声にならない悲鳴を上げて背を見せ駆け出した。
その男を、自分が追う。 たいして面白くも無い行為だ。 何十回、何百回と繰り返した、「仕事」。
人殺しが日常になり、であった相手を殺して金品を奪う、既に飽きて何の感情も湧かなくなった行為。
そんな、感情の麻痺した自分を自嘲気味に笑う事はあっても、「楽しい」とは思えない。
だから、その男も走って追いついて、その背中から短剣で抉り、殺してやった。
三人分の財布と、武器と、衣服や靴など売って金に出来そうなものと、その他に食料や酒の瓶なんかを持っていれば
頂戴して荷物に纏め、早々にその場を立ち去る事にした。
死体は、明日になれば「狩猟者」が始末して形も残らないだろう。
歩き出す前に、ふと強盗どもに殺された哀れな女の死体に目を向ける。
病身を押してこの国にやってきて、エーテルの嵐に遭い、せっかく病が治りもとの美しい顔に戻る事が出来たというのに
たった数刻も経たず、この女は死んでしまった。
生きていれば、生まれ変わった姿でどんな人生を歩むつもりだったのだろうか。
哀れみを憶えはしても、別に埋葬してやる事も無い。 そもそも、助けもしなかった。
その女が服の袖から覗かせている綺麗な石の細工で作られた腕輪が目に入ったが、奪ったり盗む気にはなれなかった。
元々、自分が殺したわけでも無い死体から奪う習慣を俺は持たない。
わずかばかりの感傷だけを残し、日が落ちる前にその場を足早に去ることにした。
投下終り
世界観と設定は組み上がったのに
登場人物と物語が上手くできなくて
どうしたものか困っています
とりあえず世界観の説明ができるような文章で書いていけたら良いのですが
>>19 投下乙
今回も、読んでいるうちに、世界観に惹かれる感じがして良いなぁ…
と思ったので、このまま、マイペースで書いていって良いと思うよ
マイペースでの続きに期待
21 :
◆6l0Hq6/z.w :2010/08/01(日) 04:05:04 ID:f2CaxkUR
コナンのようなハードファンタジー書きます。
ハードな感想よろしく。
22 :
凶漢ケイン(1) ◆6l0Hq6/z.w :2010/08/01(日) 04:07:04 ID:f2CaxkUR
窓の外から複数の馬蹄の音が近付いてきて、荒々しい嘶き声と共に建物の前で止まった。
ベッドの上に横になっていたケインは、反射的に半身を起こすと、無言で聞き耳を立てた。彼が居る二階の窓の下からは、何かを鋭く問
い詰める男たちの声と、それに対応する店の主人の動揺した声が届いてくる。
ケインは枕の下に隠した剣を素早く手に取ると、隣りで眠る赤毛の娼婦をそのままにしてベッドから降り、長身ではないものの筋骨隆々
とした裸体を晒しながら薄暗い中を歩き、窓辺へと寄った。そっと外を窺うと、繁華街の通りには野次馬が集まって、その輪の中心にいる
のは、真夜中でもなお明るい灯火に照らされて黒光りする鎧を身に着けた、巡邏隊の兵卒たちと、その馬匹だった。鞍から下りた兵卒たち
は、兜の下の目をぎらりと光らせて、門前で何かをまくし立てながら、こちらを見上げてくる。
ケインが瞬間的に壁に身を潜めると、ベッドの上から酒やけした女の声が鳴った。
「・・・・・・なによ、いったい」
娼婦は豊満な体を横たえ、掛け布にくるまったまま、どんよりと濁った目を向けてくる。
「なんの騒ぎ?」
ケインは溜め息をつくと、いつもの癖で長い黒髪をくしゃくしゃと掻き毟りながら、
「巡邏兵だ」
困ったような低声で答える。
「俺を追って来たんだ」
「なに?」
女はすぐに起き上がると、目を剥いて問い質す。
「あんた、なにやったの?」
「この宿場に来る前に、二人ほどバラしてきた。二十リードほど向こうでな」
「はあ?誰を」
「俺は悪くないぜ」
ケインは不服そうに言う。
「因縁つけてきたのは向こうだ。女と歩いてたら、急にチンピラが寄って来て横取りしようとしやがった。だから唾を吐きかけて、相手が
得物を抜いたところを、逆にやっつけてやった。正当防衛さ」
「だったら、その場でそう説明すればよかったじゃない」
「そうだな」
肩をすくめると、
「それをいつも端折ってるから誤解を招く。お蔭でいまじゃ賞金首さ。自業自得は分かってるよ」
「あたしは関係ないわよ」
赤毛の娼婦は不機嫌そうに顔をしかめる。
「あんたとはさっき会ったばかりよ。疑われたらたまらないわ」
「そう言えばいい。疑われるもんか」
「いいから、さっさと出てってよ。あたしは穏やかに暮らしたいの」
23 :
凶漢ケイン(2) ◆6l0Hq6/z.w :2010/08/01(日) 04:11:45 ID:f2CaxkUR
ケインは早足で壁際の衣装籠に行くと、革の短衣を取り出して素早く身に付け、ベルトを締めた。サンダルを履いてマントを羽織ると、
途端に旅装一式が完成する。荷物は剣一本と腰の小袋のみ、それ以外は体ひとつだった。
「・・・・・・待って!」
すぐに出口に向かおうとする男に、娼婦は慌てて声を掛けた。
「代金を払ってちょうだい」
男は腰の小袋を取ると、丸ごと投げて寄越す。ベッドの上に落ちたそれを女は手に取り、ずっしりとした重みを感じると、笑みを浮かべ
て呑気そうに告げる。
「あらいいの、こんなに?悪いわね」
「子供におもちゃでも買ってやれ」
「子供はいないわ」
女は上機嫌で、
「でも、あんたの子供なら生んであげてもいいわよ」
「それは願い下げだ。尻の毛まで毟られそうでな」
「さようなら。元気でね」
女はゆらゆらと手を振ると、
「正面からは出ない方がいいわよ。裏口があるからそっちに」
「知ってる。確認済みだ」
「そう。抜け目ない事」
ケインは白い歯を見せて笑うと、
「子供は御免だが、その胸は最高だ。また相手したいね」
「ここを出て、その首と胴体がつながっていられたら、またいつでも触らせてあげるわよ」
赤毛の娼婦は剥き出しの乳房を手で触りながら揺すって見せる。
ケインは身を翻すと、部屋の外へと出た。廊下を進んで階段を下りようとすると、一階から鎧の鳴る騒々しい音が響いてきた。それを聞
いて舌打ちすると、すぐに後戻りして部屋に飛び込む。娼婦は途端に顔色を変えると、
「ちょっと!戻って来ないでよ!」
ケインは無視してベッドをサンダルで踏みつけて横切ると、窓から首を出した。下方には四、五名の巡邏兵がこちらを見上げていて、下
手人の顔を認めると、急いで呼子を吹き鳴らした。ケインは構わず窓に身を乗り出させると、上枠に外側から掴まって、懸垂の要領で体を
引き上げる。
次の瞬間、部屋の中に鎧姿の兵士たちが雪崩れ込んで来た。赤毛の娼婦が悲鳴を上げていると、彼らは窓辺に駆け付け、首を出して上方
を見る。屋根の上にはケインが顔を覗かせ、不適な笑みを浮かべて見せると、すぐさま首を引っ込めて姿を消した。巡邏兵は上るに上れず
、下方の兵士たちに怒鳴り声を浴びせる。兵士たちはすぐさま一斉に鞍に飛び乗ると、野次馬の波をかきわけるようにして馬を進めた。
一方のケインは、平屋根の上を次々に飛び移り、星空の下を駆けて行く。マントに包んだ長身を軽やかに宙に舞わせながら、阻むものの
無い天上の道を、黒豹のように走り抜けて行った。
24 :
◆6l0Hq6/z.w :2010/08/01(日) 04:13:28 ID:f2CaxkUR
なんか改行失敗した。つづく。
>>24 投下乙
筋骨隆々の剣闘士モノって感じが良いねー
個人的には、スリーハンドレッドのレオニダス王みたいなインテリマッチョ
も好きなので、今後に期待w