自作の百合作品&百合関連論文を公表するスレ。
小説(散文)、詩(韻文)、イラスト、アート、漫画、ゲーム、アニメ、
音楽、能楽、演劇、ゲームブック、小説プロット、ゲーム企画書、
創作神話、創作生物、創作幻想世界、以上を複数まとめたものや
関連させつつ創作したものなど。
フィクションorドキュメンタリーの百合に対する批評文、
社会的倫理についての意見、歴史に関しての客観的考察、
人間の保護にかかわる同性愛、学校教育など日本の
同性愛差別に対する基本的対応の観察、男女同権主義と
同性愛の関連、以上を複数まとめたや関連させつつ
展開したものなど。
著作権については作者依存。
他者の商業的社会的利用、複製は禁。
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フリーにしたい場合は明記してください。
2 :
名無しさん@秘密の花園:04/09/25 09:44:15 ID:dYp7UuL1
2
落書き。
【らぶらぶ☆ゾンビー】
命は消え行くもの。命は滅びるもの。私はあなたを愛します。
たとえ私が死者であろうとも、肉体から魂が離れた抜け殻となろうとも。
・・・
ブードゥーの秘術により、エムトッウが蘇生を果たしたのは、約三日前のことであった。
それまでの活気に溢れた笑顔は土気色の素肌に埋もれ、艶めかしくひらひら踊った
手足は、もはや骨と皮だけを見せ川に浮かぶ腐った異臭の細木を思わせる。
無表情の顔からは何もうかがうことはできない。喜んでいるのか、悲しんでいるのか。
彼女と最も親しい私でさえ、彼女が生きているのか、死んでいるのか、見分けがつかない
ほどだった。
ロアは残酷な運命の牙によって、彼女の心を食らった。地に埋もれた、見えざる地雷が
突然に破裂し、エムトッウの頭を半分そげ落としたのが一週間前のこと。ブードゥの巫女は
彼女に秘術を施したが、その結果は私の満足がいくものではなかった。
「あ・ざ・らーど、し・むす・らーむ……」
無意味な言葉の羅列は、奪われた彼女の心を求め、肉体が発する悲鳴なのだろうか。
肉体は、暴力に心を奪われたことをどのように感じているのか。アメラ・ブードゥによれば
人間の魂とは人間ではなく、人間が持ちうるのは肉体のみである、というが、するとここに
いるのはエムトッウではなく、ただの人間なのだろうか。
どこにいったのだろう? 私が愛した彼女は。誰に奪われたのだろう? 氷の心臓を
動かす死者の王よ、私の愛する人を何故あなたは欲したのか。戦争の亡霊は一体
どれほどの悲しみを受ければ消滅するというのか。
「うー・むーしゅむーしゅ・うー・むー…………」
前はあれほど多くの男性に愛されて、私をやきもきさせたというのに。もうこの村に
彼女を愛する男は存在しない。あれほど数多くあった人の愛情が、すべて失われた。
働かない女性は捨てられ、死に、子どもを産めない女性は賠償金と引き換えに親へ
返される。まるで英国で発展した機械のように、女性の価値はたった一度のあやまちに
よって二度と直らないほど砕かれる。
エムトッウの生きる意味は、もうどこにもない。
私はスプーンを鳴らし、羊肉とキノコのスープを彼女に差し出す。彼女ははっとした
ように言葉を吐き出すことをやめ、舌を大きく伸ばし、垂れ下げて、口を大きく開けた。
目は虚ろだが自分の食べ物がそこにあることに気づいたらしい。
私はエムトッウの口の中へ、スープを流し込んだ。彼女は飲んだ。しかし全部は
飲み下せなかった。唇からスープがこぼれ、顎を濡らし、喉を伝って流れ落ちた。
彼女は数回咳き込んだ。唾が飛び散った。虚ろな目のまま、彼女は再び舌を
伸ばした。その仕草は犬にも似ている。咳き込んだためだろうか、呼吸はさっきよりも
少し早くなっていた。
私は再び彼女にスープを差し出した。
――私は、この少女に何をしているのだろうか。
まるでペットにそうするように、私は無条件にエムトッウの肉体を守っている。
けれど、彼女をどうして愛することができるだろう、私の愛した少女は既になく、
ここにいるのはただの人間だというのに。
私はエムトッウを守る義務も義理もない。否、もしも私が愚か者でなければ、
捨て去ることこそ当然だ。彼女に生きる権利はないのだから。
しかし……。
もう一度、冷めた目で私は彼女を見つめる。
エムトッウの周りには、彼女の出した排出物が満ち溢れ、ひどい異臭を
放っている。しかしエムトッウは気にするはずもなく、スープで得た過剰な水分を
下から吐き出していた。いずれ、栄養素の抜けた肉も出すだろう。
私はその液体をすくい。
それこそが自分の糧であるように、愛しさを胸に満たしながら、啜り込んだ。
人肉を食わんと欲すれば、腐り黒き果肉をば食すべし。
罪の香味は違うはずなく……。
つまんねえスレだな...
せめてもうちょっと賑わいがほしいもんだな
__
i<´ }\ , - 、
ヽ.._\./ .ンく r-兮、 __
∠`ヽ.! / ヾニEヲぐ ,ゝ-> さすがゴッグだ
/_`シ'K-───‐-、l∠ イ 百合・レズ萌え板でも
l´__,/l\、_ ̄0¨0)゙@Yヘ, -┤ 何とも無いぜ
. l'___|⌒ヾ''ー==、ーr='イ i二|
/ .」 i /./7r‐く lー!
. f. ヽ‐i人.∠'< _i. l,.-ゝ.
トiヘヘ「ト〈 `X トレi7__|
〉ト:トハj`! i. / トー┤lルj,リ
/‐+----+‐l iー--i---ヾ'〃
. l_i____i__| |___i,__i_|
__
i<´ }\ , - 、
ヽ.._\./ .ンく r-兮、 __
∠`ヽ.! / ヾニEヲぐ ,ゝ-> さすがカレイドスターだ
/_`シ'K-───‐-、l∠ イ ガラスの仮面のオマージュでも
l´__,/l\、_ ̄0¨0)゙@Yヘ, -┤ 何とも言われ無いぜ
. l'___|⌒ヾ''ー==、ーr='イ i二|
/ .」 i /./7r‐く lー!
. f. ヽ‐i人.∠'< _i. l,.-ゝ.
トiヘヘ「ト〈 `X トレi7__|
〉ト:トハj`! i. / トー┤lルj,リ
/‐+----+‐l iー--i---ヾ'〃
. l_i____i__| |___i,__i_|
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i<´ }\ , - 、
ヽ.._\./ .ンく r-兮、 __
∠`ヽ.! / ヾニEヲぐ ,ゝ-> さすがゴッグだ
/_`シ'K-───‐-、l∠ イ タイが曲がっていても
l´__,/l\、_ ̄0¨0)゙@Yヘ, -┤ 何とも無いぜ
. l'___|⌒ヾ''ー==、ーr='イ i二|
/ .」 i /./7r‐く lー!
. f. ヽ‐i人.∠'< _i. l,.-ゝ.
トiヘヘ「ト〈 `X トレi7__|
〉ト:トハj`! i. / トー┤lルj,リ
/‐+----+‐l iー--i---ヾ'〃
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マヤ「くそッ!亜弓!
亜弓! 亜弓!」 ゴロゴロゴロ
バッチャッ!
(彼女の演技を見てからぼくの生活はメチャクチャ
孤独だッ!
月影先生は亜弓とぼくを比較してヘマをするとすぐ破門するし!)
マヤ[お前(麗)だけは亜弓が何したってぼくの友達だよね?」
パキ。サッ パタパタパタ
マヤ「?何だこの紫のバラ……どこかで手に入れたよーな気もするけど」
あっ!
マヤ「ぼくの若草物語!思い出した!
ぼくの演技を見て感動したファンだ!学校に通わせてくれたんだ!」
亜弓「くそぉーっ」
亜弓「マヤ!
おまえのくだらないキスはこれを狙っていたのなら
予想以上の効果をあげたぞッ!」
ダッ
亜弓「こんなに落ち込む気持ち
……初めて…………だ。
みじめで………苦しくって…………寒くって…………」
落書き2。
【放課後の事情】
6月1日
今日、覚せい剤仲間が警察に捕まった。
今日、雨だ。まるで水がカーテンを降ろすように、鋭い雨が頭を叩く。
あの子は私のことを警察に話すだろう。きっと話すだろう。私がそれを望んで
いないと知っていて――それが裏切りでも――あの子は話すだろう。
もし同じ恐怖にいれば、私も話すから。
薬を使い始めたのはいつだったか。覚えていない。遠い昔の気もする。今、
すぐ使いはじめたばかりの気もする。そんなことは問題ではないし、何の意味
もないことだ。ただ判るのは、薬が欲しいということだけ。ただ、それだけ。
いつ手に入るのだろう? 今目立った動きはできない。警察が学生を見張って
いる。家の中まで見張っている気もする。ああ、それはない。
だが理性の正気が本能の恐怖に犯されて いる。こんな時に動くべきではない。
私は手負いだ。手負いの野良犬がうろつけば、殺されるだけ。
6月3日
今日は、曇りだ。雨が上がった。だが名残を惜しむような、中途半端に灰色な
雲が空を走り回っている。それが自由を誇るガキのようで、たまらなく憎い。雲を
引き裂く爪は誰が持っているのだろうか? 誰から奪えるのだろうか?
おお、今私は恐れている。警察は私を捕まえにくる――確実に。
あの子が私のことを話すのはいつだろう。いつか。絶対。
信じないから、怖い。
白いスーツに身を包んだ新任教師。美しい人だ。すばらしい人だ。あの人は
恐怖という、この冷たい感覚を味わったことがあるだろうか。全身が締め付けられ
――呼吸さえもひゅーひゅー。本当に、苦しい。そして激しく痛い。胸の奥。
薬だ。薬が欲しい。生きているには薬が必要だ。こんな恐ろしい思いの中に、
人間の尊厳など微塵も存在しない。この思いにとらわれている限り、私は人間では
ない。生きているだけのゴミ屑――誰の目にも明らかだ。薬が必要だ。
6月6日
信じられない奇跡。あの人が薬をくれた。白い制服の教師――暁。
今日のうちに、その人の名前と顔を覚えた。紅い名前は熱く耳をくすぐる。その名を
口ずさむだけで私の心は温度を持つ。暖かい名だ。長く、ふわりと風に浮くしだれ髪も、
温かそうだ。あの髪はとても優しい手触りだろう。
瞳は少しだけ青い。晴れた空のよう。雲という名の魚が泳ぐ、あの澄んだ海の色に
似ている。いつでも水気をふくみ、日の光に当たるごと、輝いている。薄桃色の頬すらも
春の満開桜がそこに咲いているようで、目が離せない。
暁先生は少しおしゃべりだ。私の薬物依存について延々と長い話をする。その度に
柔らかそうな舌が踊り舞うのに、たまらなく魅了される。細い唇が今までどのような
生き物を食べたのか想像するだけで、すべての食物に嫉妬する。
薬。少し気分が落ち着いた。……何を狂っていたのだろうか?
あの人は普通の女性――どこにでもいる大人ではないか。なぜ心があれほどに
騒いだのか。薬をくれたから? 莫迦莫迦しい。ここまで自分の脳がおかしくなって
いるとは思わなかった。そのうち、つま先まで狂いだすのではないか。
つま先が狂ったらどうなる?
ダンスがまったく踊れなくなる。うん、いい答えだ。
(プロローグ終了)
第一話
暁先生はいつも大麻を吹かす。そうして心を沈ませる。まるで人生に疲れた廃人の
ように。その先生の隣でヘロインを打ち、心を大きく弾ませる私は、先生の怠惰な
仕草が、少し哀しく見えた。
放課後の屋上は、立ち入り禁止区域ということもあり、誰も足を踏み入れない。
ついでに外からカギまでかかっているのでは暁先生と私の二人しかいようはずが
ない。あとはいつもの薬と、その痕跡をすべて吹き飛ばす強い風程度が来客だ。
屋上には二人きり。けれど先生と私は違う性質の薬を使う。だから、まるで
この限りなく狭い世界が白と黒、二つの世界に分かれていくような感覚がある。
信じられないことだけれど。私と先生は別の世界の住人だった。
お互いに何も言葉を交わさず、ただ、二人の命の糧である薬を使う。それが
この狭い世界のすべてだった。
暁先生は、よく独り言をつぶやいた。
「命とは……」
私はたまに、独り言で答えた。
「命とは……どのようなものだと思いますか?」
「物質であり、概念です」
「人は命によって支えられていますか」
「いいえ。命を、人が支えているのです」
暁先生は突然に微笑んだ。
背中合わせ。顔を見たわけではないけれど、独り言の調子でそれと判ったのだ。
暁先生はどこか楽しげな声の響きを持っていた。
「そう。それでは人は何によって支えられているのですか。
何によって創造されているのですか。それは物質ですか、概念ですか」
「人は……人間は二者的なものによって支えられています。
それは自由です。そう、自由が人を創造しているのでしょう」
「自由ですか。抽象的ですね」
「はい」
「では人間の本質とは何でしょうか。一者的なものはどこにあるのでしょうか?」
「釈迦に聞いてください」
先生は少しの間、風の音を聞いていた。夏の風は涼しげな音色を奏でて、
火照った身体と心を静めてくれる。私は風の音を浴び、心を濡らして、禊していた。
「束縛に触れたことはありますか」
「束縛ですか」
相対性理論に基づき、二人の感覚には少しの間があった。
「もしも束縛に感触があるのだとすれば、それは硬いものですか。
柔らかいものですか。重厚なものですか。軽薄なものですか。束縛に
触れたことはありますか?」
「恐怖を感じたことがあります。あれは束縛かと思います」
「恐怖ですか。なるほど」
「ええ。恐怖とは、重いものです」
「ああ、恐怖とは苦痛以外の何者でもありません」
先生はそれが束縛ではないと言った。
独り言。私は透明になりはじめた煙を見つめ、さっと立ち上がった。
「行きますか?」
「ええ。では、また」
先生はまだ少しの間、屋上に残るようだった。
離れた背中にはまだ少しの間、温もりが残るようだった。
人はどこに帰るのだろうか。自分の家に帰るのだろうか。
けれど家の中も社会の束縛を逃れることはできない――肉体の束縛すらも
逃れることはできない。とするなら、それは二者的なものにすぎない。
本当に、人が、帰る場所は、どこだろうか。
先生は屋上から私が去るとき、いつもこう言っていた。
『行きますか』と。この現実と呼ばれる世界のどこにも、私の帰る場所がない
ことを先生は知っているのだろうか。私はこのままどこに行くのだろうか。
早く夜が来て欲しい。ああ……、心地よい夢を見たい。
夢は狂気だ。あの、信じがたい不思議な衝動は、まるで純度の高いコカイン
のように惨めな人間を虜にする。たとえば私のような人間を。
――そして 暁の光に目覚めたい。
などと思うのは、雅だろうか。
薬物を使用する理由・・・
女子少年の主な理由...
1.友達に誘われて 2.恋人に誘われて
少数意見
3.好奇心 4.周囲に悪く見せたかった
なお、テレビやニュース・漫画などメディアでの薬物利用の描写が
「やりすぎ」の感が否めず、そのため危機感が乏しく止められない
少年が多い。
薬物を詳しく知らない大人が、薬物について子供に教えているのが
現状のため、薬物を使用する子供が後を絶たないのは道理である。
とりあえず男子よりも女子の方が友達と一緒に行動しやすいみたいだね。
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l ト、l.!: ` ー-1 ::::lー-‐'´:::::::|.!_フ !
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つまり・・・わしなら・・・・・・
お約束のゲームサブシナリオとして・・・・・・
たまきの相手を攻略可能な「女子」医大生くらいには・・・
浄化させてただろうってこと・・・・・・!
フフ・・・・・・・・・
そうすれば少なくとも純愛厨からの非難を回避することはできた・・・・・・
エルフは迂闊にもそれを怠ったんだ・・・!
とすれば、当然その報いは受けねばならない・・・・・・!
__
i<´ }\ , - 、
ヽ.._\./ .ンく r-兮、 __
∠`ヽ.! / ヾニEヲぐ ,ゝ-> さすがアリスの館456だ
/_`シ'K-───‐-、l∠ イ 新作の3作すべてにレズがあるぜ
l´__,/l\、_ ̄0¨0)゙@Yヘ, -┤
. l'___|⌒ヾ''ー==、ーr='イ i二|
/ .」 i /./7r‐く lー!
. f. ヽ‐i人.∠'< _i. l,.-ゝ.
トiヘヘ「ト〈 `X トレi7__|
〉ト:トハj`! i. / トー┤lルj,リ
/‐+----+‐l iー--i---ヾ'〃
. l_i____i__| |___i,__i_|
この世で一番萌えるジャンルでございますか…?
獣っこ萌え、ふたなりっこ萌え……いろいろございますなぁ。
ただ―――――――――たった一つだけと言うのなら、やはり……
レズ百合でございます。
「ごきげんようッ!」「美少女は世界の宝だァァッ!」
「ごきげんようッ!」「美少女は世界の宝だァァッ!」
,_,_ 、
、_ | /ll||Ll , | _,, ,
|\ ゙ー┴l iニ ||o−|_|┴‐'' _ //l
| `ー、_ L| ,-、 |」i ,, - '. / |
| / ’ `-‐ヽ|l*|_/ニ┐ 「 : / /
\| / |───,/ / | ,,-‐'' ヽ>
i=ー/ _./|__// / |/\/へ>
同 |_| | [_] |__| _| <今ヾへ、_
_ [i ]-|_|_,= ‐ =|__|ヽ_/」 <_ ◇ \|
/◇>、)) L-、_i _, -‐ _i < //:\
/`'/ヘ> ヽ_ | _, / ヽ \//:\ >
// `/ /(o)\イ/ (o)/ ̄\ ( , 、(Oヽo)>
/ )ヽ/ / ヽ i , / ヽ ゝo'ノ-`oノ
/ , ''^トノ / \i/ ヽ io),
<ヽ < |_i / : ヽ
Lヽゝ / : ヽ
`' ,' ; _ >
|_ i _,,-'' ヽ
T ゙̄ ー 、_i, -_-―――'' ̄__/、' ノ
>>21 新作全部百合? 冗談じゃない、現状でアトラクナクアのふたなりは
100%に達しています。おにぎり原画ファンでないひとには
それがわからんのです。
空気が……乾燥してますなぁ……
それとも……沙知保×かなこを忘れているのかな?
ロン。
dead to love
「とどのつまり……我々墓堀りは、人間を愛しているのだわ。
だって死んでしまった人を愛する妻はいないでしょう。イタリアの国では
それを器物と呼ぶわ。誰もが死人に嫌悪感を持つものではなくて?」
深海のように静まり返った夜のヤミに、鉄製のスコップが地面を
かき回す音がする。黒い土が暗い空へと舞い上がっては、粉屑となって
落ちてきた。
少女の笑うような声が聞こえる。そこは墓場だった。
「でも、私たちだって新鮮な死体の――より『生』に近い人間の方が
ありがたいことは確かだわ。だって時を経ていけば、骨くらいしか価値が
ないけれど、死んだばっかしなら臓器だって売れるもの」
「それくらいにしておいたらどうだ? 犯罪には変わりない。そして
犯罪は静かにするものだ、詐欺師や新聞屋でなければね」
「まあ、新聞のどこが犯罪だというの? あんな良心に溢れたものを。
三ヶ月前のことだったわね、私たちの仕事をひどく糾弾されたのは……
本当に教会のミサへ行きたくなったわ、あんな悪魔が言うような悪口を
並べ立てられては」
「彼らが死体荒らしの報道をしなければ、それが金になることを誰も
知らなかった。みてごらん、この墓場だって大抵の墓は掘り尽くされて、
金持ちの頑丈な墓しか残っていない」
相方の男が肩をすくめる。確かに墓場はあちこちが、奈落へ落とす
ように黒く深い穴を開け、『死』の香がまるでしない廃墟のようで
あった。
「でも頑丈さなんて私たちには関係ないわ。ほら、墓がお出ましよ」
「ああ」
さあ二人の目前には白い棺桶。とうとう”けち”な土の布団は
宝石箱を覗かせた。
男はふところから一本の光る銀色のピンを取り出す。それが優雅に
舞うと、棺桶に掛けられた鍵は容易く開いた。その見事な腕前に思わず
もう一人の少女は口笛を吹く。
「ヒュー。あなたなら狭き門も開けそうね」
「勘弁してくれ。この間もその門番に泣かれ続けて、結局天国に
行けなかった」
「冗談。その小さなピンはそんなドアにも優しいでしょうよ」
「しょぼーん(´・ω・`)」
おそらく墓場で最も深い墓穴に独り入っていく男を尻目に、少女は
白い棺桶を開いた。白銀製の棺桶が開く音は、まださびた音を出して
いない。
「…………」
中を見、一度少女は息をのんだ。のど元を熱い息が下る。アルコールの
ように辛い喉越し。少女の頬がかっと赤く染まり、肩が一度大きく震えた、
そのとき少女の心に、死体を見た少女の胸に、人の犯してはならぬ気持ちが
宿った、美しい死体を前に。
少女は恋をした! 美しい死体? 命を失ったばかりの死体! おそらく
生前はどこかの令嬢だったであろう、両手を胸に組み、淡い黒のドレスを
身につけ、首には花のネックレスが揺れている。その花のせいだろうか
死体にまだ虫は近寄っておらず、どこまでも静かな土気色の肌を晒している。
顔は一八から二十といったところだろうか、まだ若い。どうしてこの
若さで死ぬのか? それは分からない。病気かもしれない。大きな事故
かもしれない。けれど、少女はこの娘を殺した「何か」に深く感謝した。
「ああ」
それまでの少女は恋を知らない。恋の情熱と狂気を知らない。
獣の生存本能が為し得ることを知らない。だから恋を死体に抱いては
ならぬことも知らない。気まぐれと好奇心に男と肌を重ねることはあっても、
肉欲程度のおもちゃ心しか知らない。
少女はため息を漏らした――ああ、と。それには少女のすべてが封じ
込められていた。熱意も、情熱も、狂気も、執着も、すべて。そのため息を
聞けば誰もが悟ったであろう。それは人間の理性がするような防衛の業では
なく、今までの人間性をはき出す、恐ろしいため息だった。
「ああ、ああ。素晴らしいわ。これほどに――」
もう一度。それで少女のすべてが終わり、失われ、始まった。
少女の呼吸が止まり、再び吐き出されたとき、そこにはサラマンダーの
炎が宿っていた。燃え盛るゲヘナの熱土――。
「死の、なんてすてきなこと。あなたを飾る……眩しく咲き誇る。まるで
太陽のように輝く、死を迎えたあなた。静かで、まるで夏の森をくまなく
流れる小川のように涼しげ。ただの死体なら今まで何度も見たわ。けれど
これほど私をかき乱したかしら。
よいこと、これを知っていて? 死を迎えたあなたのなんて可憐なこと、
弱々しいこと、神々しくて綺麗なこと。あなたは生きているべきではないわ、
そうしなければ私をこれほど惹きつけなどしなくてよ? 胸の奥を焼く
あなたの炎。それは不思議に満ちた不知火だわ、奥津城を暖かく包み込む。
ねえあなた、あなたは私に命を与えたのよ。これ以上に感じないような
……尊い命を!」
少女はそういうと、突然に命のない肉体を抱いた。硬い肉体はまるで
人形のよう。だらりと手足は下がるけれど、少女はその手足をも愛しそう
に自らの身体で受け止める。
熱い血の肉と冷たい肉が混じり合い、熱の出入りに空気が震えた。
「冷たいあなたの静寂が私に捧げられた・・・・・・静寂が」
「……」
少女はそういって、命のない娘にキスをする。自分自身を与えるように、
暖かな唇を艶めかしく広げ。そのまま黙って手をとり、足を背中に回させ、
そのしっかとした束縛に酔いながら、何度も口づけを繰り返した。
時を駆け抜ける感触。夜の闇が吹き抜ける奥津城。さっと闇が裂けると、
二人の女の裸体が浮かび上がる。少女は娘のドレスをはぎ取った。瞳は
瞼を上に上げられ、熱情の目と冷たい瞳が絡まり合う。
「その瞳に……どうしてこんなに私を熱くさせる熱があるのかしら?」
死体の娘は何も語らない。無言という名の閉ざされた門を守る。
それがなおも少女の心をくすぐった。
「その胸を、触るわ」
グッと強い力が加えられた。少女は娘の乳房に手をはわせていく。
硬い乳房は、恋をする少女の手にとてもやさしい。自らの手が少しずつ
娘の涼しさを与えられ、冷たくなっていくのがうれしかった。
きゅ、きゅ、と締め付けられる音は少女が、死んだ娘の乳房を揉み
しだき始めたことを示していた。生きていたときには誰も触れなかったの
だろうか? 清らかな肌が自分の手に支配されている。好きな相手を
なすがままに嬲る。自由に愛する。これほどの喜び、ついと感じたことは
ない。
「下半身の陰部も……いいわね?」
突然に雲が晴れ、さっと月光が刺した。天が私たちを見ている。仮初めの
光である月中で、死体の娘はなおも強く、冷たく無表情を浮かべた。その
ような魅了の輝きに、なんの咎めがあろう?
少女は墓堀の手をのばす。その鮮明な影は娘の身体を黒く染めた。娘は
棺桶に寝かされた。少女の手は娘の陰部をまさぐる。性器の、その形を
丹念に探るように、執拗に少女は指で中を掻き回す。きっと今までにどの
人間とも性交を行ったことはないのだろう、脱力しているはずなのに力は
強い。死んだばかりであることを示す新鮮な臓器が少女の指に触れた。
「ああ、あなた……」
どうしてこんなにかわいらしい。まるで野草が風に従うように、自分に
寄りかかっている、この人は。自分の性器が熱い蜜に塗れ、足と足の間に
垂らしていく、それは不快感であるはずなのに気にかけるゆとりもない。
絶え間ない熱――彼女のお尻や脚、その肢体をまさぐるたび、自分の
肉体の同じところが敏感に反応する。性器を撫でると、自身の下半身に
すらっとした快楽の羽が降り注ぐ。
「あなたの肉には貴女の手、貴女の脚、貴女の身体……貴女の血液。
あなたの質量は大きな岩と変わらないけど、私に下さる快楽はまるで
溶岩のように熔けた熱を持っている。消えた明日が宝石のように輝いて、
失われた希望があなたに力を授けているのかしら?
そして生きることに執着する私だからこそ、そんな貴女と――生を
逸脱した、清い貴女に惹かれるのかしら」
そして少女は自分だけの幸福を抱きしめた。これほどの苦痛を与えようか、
というほどに力強く。確かな筋肉と骨の硬さに、少女は至福を受け止めた
ことを知る。両の手に在った、その幸せを。
少女の頬は紅潮し、青白い娘の頬に擦りつけられる。生白い唾は、お互い
の顔をベトベトに濡らしていた。
「あ、っ……いくの……っ……イクッ……あなたの処までぇ!!」
鋭い叫びが、静かな奥津城に響き渡る。
少女は達した。
暗がりで白い粘液が吹き上がったのを、誰が見ただろうか。
少女自身と――死体の虚ろな目と――、あるいは、意志尊い空が。
・・・
翌日のこと。
朝のテレビは非常に騒がしい音楽と共に、たあいのない事件を
並べ立てていた。ひどく平凡な一日の始まりである。
【次のニュースです。また墓荒らしが○○町の墓場に出没しました。
犯人は現金二十万ペニー相当の装飾品と死体自身を持ち出しており、
その消息は分かっておりません。同日、自分から入ったと思われる
謎の地下窒息死の男性を調べると共に、警察はその足取りを――】
知った
組曲「In Terra Pax」から
花子は
百合を知らない
そのラブラブっぷりを知らない
華やかさを知らない
だからキザな決めゼリフも知らない
それは母や祖母の知る
遠いむかしのものがたり
そんな花子が百合を知った
一枚の写真を見て
少女は
はだかのまま
シーツをまとい
汗にまみれ
口からつばをしたたらせ
処女を奪われ
身体をころがされ
情炎を灼かれ
ひとりイカされ
ラブホのベッドに寝そべる
目には涙ではなく快楽があふれ
口もとから聞こえるのは無言の吐息
百合は吸血鬼。ヴァンパイヤ。
不老不死。これ以外認めん。あと一つだけ言わせてくれ。
これだけは明瞭な真実としてなくてはならない。
この真実こそ、あらゆる非難中傷をまるでイージスの盾のごとく
完全に防いでくれるだろう。
男性器は、所詮ディルドーの模造品だあァァァァァァッッッ!!
――さふぃずむの幻走――
H.B.ポーラスター。
それは静かな大図書館が、昼の日差しと暖かい海風に、カーテンを
翻すような時間のことだった。
クローエ
「……、杏里?」
草原色の脈打つ髪(マリア)を持つ少女の、かすかな驚きの声。
それに答えて本の閉じる音が図書館に鳴った。
いつの間にいたのだろう。静寂の館内には珍しい友人がいる。
いつも騒がしく頭を悩ませるクローエの友人は、今日この時、
初めて沈黙を守り、何かの本をひたすらに読んでいた。
クローエの友人――杏里はクローエの視線に答え、本を閉じると
ゆっくり顔を上げる。その仕草も静かそのもの。まるで杏里の髪色の
ように深い海の底のよう。
杏里
「やあ、クローエ」
その穏やかな声は、いつもの杏里とはまるで違っていた。
・・・1
クローエ
「どうしたの、杏里。何かあったのかしら」
杏里
「……どうして? ボクは普通だよ。ほら、図書館は本を
静かに読むところ――だろう?」
クローエ
「それはそれでいいのだけれど」
何か違和感を感じる。アイーシャの時のように傷ついていると
いうわけではなさそうだし、かといって何かたくらみを持っている
様子もない。
クローエ
(……おかしいわ……何か……)
杏里
「ごめん。クローエ、この本面白くてさ。続き、読んでもいいかな」
クローエ
「え? え、ええ。別に構わないけれど」
杏里
「ありがとう」
そして再び開いた杏里の本のタイトル。
そのとき、クローエの違和感は絶頂に達した。
『ハ ン ム ラ ビ 法 典(一部欠損あり・著者ハンムラビ王)』
クローエ
「……………は?」
アンシャーリの薬をいつの間にか飲まされたのだろうか。
遠のく意識をしっかり持ち、再び杏里の本を凝視する。間違いなく
そこにあるのは古代メソポタニアの刑法書。しかも楔形文字注釈の
数が半端でないその解説書は、テーブルほどの厚さもある……。
ハンムラビ法典。ハンムラビ法典。ああ、頭の中でカネが鳴る。
クローエ
「……そ、その、杏里?」
杏里
「どうしたんだいクローエ。顔色が青いよ」
すっと伸びる杏里の指さき。その手つきはいつもとかわらな――
いや、焦らすかのように控えめで心配そうな手。まるで、何の下心
もないと言わんがごとく。
クローエ
「……ああ」
クローエはここにきて確信する。杏里はわざと自分から誘わせる
ように仕掛けているのだろう。ずいぶん似合わない、かわいらしい
ことをするとも思うけれど。
にくらしい反面、安堵する心持ち。クローエははっと息を吐いた。
とりあえず杏里はいつもの杏里ということ。
安堵したところで――さて、と思う。
クローエ
(誘いに乗るのは癪だけれど。このままの杏里を見ているのも
気持ち悪い気がしてくるものだし……)
きっと望みを果たすまでこの状態を続けるだろう。杏里の普段の
素行を思い出すと、ため息が漏れる。
なので。
杏里
「クローエ?」
なので、とりあえず抱きしめてみせた。
驚いたような杏里の顔を、上目づかいで見つめてやる。媚びた
小動物のように口元をかすかに開いて。ささやくのは魔法の呪文。
クローエ
「杏里、抱いて……」
言った。
そうして杏里は自分を抱くだろう。ガラスの仮面を捨て、甘い
言葉で愛の言葉を歌いつつ、華奢な腕で自分の肉体を――。
杏里
「クローエ……」
まあ、たまには悪くない。クローエが思ったそのとき。
杏里の手が自分の身体を押し離す。??? あら?
杏里
「冗談でしょ?」
クローエ
「え」
杏里
「あははクローエ、何いってるのさ。ボクらは友達じゃないか。
そういうことができるのは生涯に一人、心に誓った人だけだよ。
もう、口に出すのもふしだらなことだ!!
ボクだからいいけど、他の人だと本気にしちゃう人もいるから
気をつけなきゃ。クローエはただでさえ魅力的だし……。あ、
この本借りていくね。すごく面白いからさ、自分の部屋で読むよ」
またね〜、と手を振り去っていく杏里。
大図書館には一人、残される。
クローエ
「…………は? ええ?」
・・・イッタイナニガ?! ツヅク
>書いてる人
あー、何というかその情熱は羨ましいね。まあガンバレ。
生きてる?
金色のテディベアをあげたあの子はどこかにいった
あたしまいにちあの子をさがす
ある日 ベアはケーキ屋にいた
あの子はベアになってしまってた
ベアはあたしにケーキをすすめた
あの子が焼いた金色のケーキ
あの子はベアであたしにケーキ
それからあたし毎日ケーキ
ケーキをたべたり
ベアをたべたり
(;´Д`)
__
i<´ }\ , - 、
ヽ.._\./ .ンく r-兮、 __
∠`ヽ.! / ヾニEヲぐ ,ゝ-> どうしてふたなりはいけないの?
/_`シ'K-───‐-、l∠ イ おしえてエロい人ー
l´__,/l\、_ ̄0¨0)゙@Yヘ, -┤
. l'___|⌒ヾ''ー==、ーr='イ i二|
/ .」 i /./7r‐く lー!
. f. ヽ‐i人.∠'< _i. l,.-ゝ.
トiヘヘ「ト〈 `X トレi7__|
〉ト:トハj`! i. / トー┤lルj,リ
/‐+----+‐l iー--i---ヾ'〃
. l_i____i__| |___i,__i_|
.ト│|、 |
. {、l 、ト! \ / ,ヘ |
i. ゙、 iヽ / / / ヽ │
. lヽミ ゝ`‐、_ __,. ‐´ / ,.イ \ ヽ |
`‐、ヽ.ゝ、_ _,,.. ‐'´ //l , ‐'´, ‐'`‐、\ |
ヽ、.三 ミニ、_ ___ _,. ‐'´//-─=====-、ヾ /ヽ
,.‐'´ `''‐- 、._ヽ /.i ∠,. -─;==:- 、ゝ‐;----// ヾ.、
[ |、! /' ̄r'bゝ}二. {`´ '´__ (_Y_),. |.r-'‐┬‐l l⌒ | }
゙l |`} ..:ヽ--゙‐´リ ̄ヽd、 ''''  ̄ ̄ |l !ニ! !⌒ //
. i.! l .::::: ソ;;:.. ヽ、._ _,ノ' ゞ)ノ./
` ー==--‐'´(__,. ..、  ̄ ̄ ̄ i/‐'/
i .:::ト、  ̄ ´ l、_/::|
! |: |
ヽ ー‐==:ニニニ⊃ !:: ト、
ヽ 、__,,.. /:;;: .!; \
ヽ ::::::::::: /:::;;:: /
百合好きが、
男(らしさ)嫌い・男(性別)嫌い
女(らしさ)好き・女(性別)好き
男性と女性の交流否定・女性同士の交流肯定
男女平等主義・女尊主義・弱者尊重主義・母尊主義
恋愛対象が自由という思想革命主義
背教主義・その他百合キャラ萌え主義
という十三の背神思考によって成り立っているからだ!!
そしてこの数字が意味することは女性間の恋愛が主流となり
人類は絶滅する!!
43 :
名無しさん@秘密の花園:04/12/17 12:47:32 ID:57VyIQJ1
百合萌え男が「女の子同士は仲がいい」と思っている根拠↓
>手帳に張ってある女の子同士のシールを見る限り馴れ合いには見えないね
>好きでもない友達と二人旅なんてしないだろ
>友達として仲が良いから女二人が旅行、食事、買い物に行くんだろ。
>正常な人間なら常識でわかる事だろ。
ハハハ イキデキネーヨ
∩_∩ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ハライテ- ゲラゲラ
. ( ´∀`) < わははは百合萌え男 ∩_∩ 〃´⌒ヽ モウカンベン
. ( つ ⊂ ) \_______ (´∀` ,,)、 ( _ ;) シテクダサイ
.) ) ) ○ ∩_∩ ,, へ,, へ⊂), _(∪ ∪ )_ ∩_∩ ○,
(__)_) ⊂ ´⌒つ´∀`)つ (_(__)_丿 し ̄ ̄し ⊂(´∀`⊂ ⌒ヽつ
44 :
名無しさん@秘密の花園:04/12/17 12:54:09 ID:JoBag43A
>>43 名無しで書き込んでんなよBG( ´,_ゝ`)プッ
>>43 ナ ゝ ナ ゝ / 十_" ー;=‐ |! |!
cト cト /^、_ノ | 、.__ つ (.__  ̄ ̄ ̄ ̄ ・ ・
γ⌒入__ /ー'´ ヘ
_,,-ゝ⌒ ̄==ヾ〜ー-==( ヘ
_/ ノ,j ==/ヘヘヘ
// ⌒0 ノ> 〃ア⌒>、 _,,-―--、
i´《0 /ヘ ~ //,==、 ||( /ヾ、\,,===、, \___
__,vr‐、ヾ、 ヾノ />゙´ (、__,)ノ ||ヘヘi|///\\) >´,,ッ'´
_,/\\ノ \ーi iァ´/ _,,,=‐ヨ ヘー=、( ( 〇 刀~|
_∠≧\ \ノト=、\| |/=≡三三三三ヨ ヘノノ=ヽ ヽ、,,、 ノノ ノ
┌'´ ,,,,,-‐y⌒>\≡〕〕 ト=≡≡≡≡≡シ、ノY \、 i/|〉 ,/
(( / /=( /ヽ 〜、(⌒ヽ _,-ーイ 人__,-、 ゙ー| |i−''´
Y | / : ゙'',,)) \、゙=― ̄ ̄__|/ //i| V
\ ( _,,,,;;;(,ノ三=_ ゙ー〕=ニ二二 \// ノ
\コ「 |;;/ ~~==、/ー「γ‐、|| 〉ー=_/ イ
!ヘ( トー| ((__ノ|| ,-―= ヘ/^ヽ
ヽ、> __,/ ヾヽL__ノ / O−=‐-、 |
_/ \ ヽヽ\ \ノ |//⌒゙''ー‐┐
/',,-、 \ヽ、 ,У゙^\ \ |_,-‐、_ |
/《−⌒ヽ、 `≫ ヽ==イー'⌒ー-、j
/ 〉ヽ、 ノ_// / `i
〈、 ゙ー==、_,,,/ノ {イ7⌒ー=,,,_,|
/\,,、 / / ┗--=,,,,ノノ^〉‐、
,-'''´ヘへ ~\___,,,イ | | ヽ==-‐'' / }へ
/、ヽ、___,,,,=_,,,-''ヘj |ヽ、ヘ|_,,/ ノ イ
<、ヽー‐--―'''''´ _,,-' Y ヘ ヘ ノ /ヘ
46 :
名無しさん@秘密の花園:04/12/18 00:02:03 ID:47ZAWuPy
好きなシチュエーション。。。
・お嬢様とメイドさん
・女体育教師とブルマ-生徒
47 :
名無しさん@秘密の花園:04/12/18 10:23:36 ID:IxETemgi
48 :
名無しさん@秘密の花園:04/12/19 10:48:25 ID:uKsM4ZB2
>>46 漏れはなおかつメイド、生徒側が攻めというのに萌えるわけだが
>48
お前はオレか?
ついでに言うなら女弁護士とその助手、または依頼人というのも見てみたいぞ。
もちろん、女弁護士が受けだ!
個人的には女総理大臣に国民を欺き男装している女性天皇が
脅迫されて調教されるのが好きだ。
どっかで出てたけど清少納言と中宮定子
容姿は現代風にアレンジしてちょうだい
中庭〜
ニコル
「あーへいわー すごくいいじゃないか」
ソヨン
「た、た、たいへんですニコルさん! ニコルさん!
とってもたいへんなことが〜〜〜〜っっ!!」
ニコル
「どーしたソヨン? 息切らせすぎ。いいから早口で言ってみろ」
ソヨン
「たいへんですたいへんですたいへんですへんたいですへんたいです
へんたいですへんたいです……」
ニコル
「変態?! そうか、とうとう杏里もアブノーマル領域かー!
いや〜、あたしも、たまにはいいかなと」
ソヨン
「あ、あれ? ってそれどころじゃないんです、クローエ先輩が!」
ニコル
「クローエ?」
ソヨン
「いいからはやくきてくださーいー!!」
ぐい。ずっしゃーーーー。
ニコルの制服をつかむなり、走り出すソヨン。いきなりのことに
ニコルも対処が遅れ……かろうじて脚を動かすものの、体勢は完全に
ネオの上体そらし。
ニコル
「うわーっ、首の骨が! 骨が響いている!」
ソヨン
「ほうおーきゃくっーーーー、ですよ〜〜!!」
ニコル
「94なら当ててくれ! 威力低くて2500点!!」
ソヨン
「多分リアルバウトです! さらばギースッッ!」
ニコル
「ファンクーロ! ポルカミゼーリアァァァァァ…………」
声は遠くに消えた。生きていればいつか再び聞こえてくるだろう。
…………。こない。
いつまでも、聞こえてこない。
・・・3
アンシャーリに聞かないでのコーナー。
さて、本日はあなた恋しいキタの宿からお送り
(ザーーーーーザーーー)
アンシャーリ
「さてさて。いきなりですが本日のおたよりー駅よりー10分ー
お手軽物件で幽霊のいわくつき。すばらしー」(トゥーインイン)
アンシャーリ
「それではあなたの願いごとかなえましょーかなえましょーウ、
コーナポストでガツン。ガソリンがとばー。レーサーは無事かしら?!
ごごごごご。今救出されました! ホースから水が出ます!
どばー。
あ、水かと思ったら馬のションベンだったぜHAHAHA。
きったねーちかよんな。とアメリカンなブラックコーヒワードを
投げかけつつ」(ズッズーボン)
アンシャーリ
「さて、では、まず一件目。そして最後だ! 匿名希望さんから。
『イゾルデをぐっすり眠らせてあげて』オオゥ! まるで砂漠で
行き倒れたところ桃源郷に行き着き幸せな日々を暮らしたが
起きたら何もかもなくそんなときに老人があらわ(以下略)な
人たちに頼む願い事! ちょっとワタシにはオモスギマース。
でも努力はしてみYOU! ウンダーラーカンバー。薬よー、
調合されたまえーグツグツ。煮えてきたわ。さて、これを一回
全部捨てて中を綺麗に拭き取ってさらに別の薬草を加えコゲコゲに
焼き上げる」(シュシュシュッシュー)
アンシャーリ
「というわけでイカス・ミス・パゲティーのできあがり、これを
飲めば朝まで眠り間違いナシよ! 白雪姫が毒ナシを食べたときの
ように色気たっぷりアハーンの彼女はキミのもの! ちなみに
キスでは起きません。キスしなくても起きません。鱚なら起きるかも。
ごめんタン麺。嘘ゆるして。というか許せ、さもなくば死ね」
アンシャーリ
「それじゃーまたね。なんていうと思ったか! 永遠に
SAYOLARA! 砂糖なら? 甘すぎるのよぉ!! くーそー
その手があったか……炎上せよ、スパイ衛星(どかーん)。
股ね! エッチは8マン! すげー。さらばービニールハウス要塞
キミのことは忘れない」
アンシャーリ
「????っ、あっ…………」
アンシャーリ
「いままでのことはすべて……夢?」
アンシャーリ
「とつぶやく私の後ろには」
(ちゃーーーーーーん)
・・・4
ばたばたばた。廊下を騒々しく少女の足音が彩る。
ばたんっ! と大きな音を立てて大図書館の扉が開いた。
ソヨン
「クローエ先輩っっ!」
ニコル
「クローエーどこだー」
二人の呼び声に答えるように、ぱたぱたぱた、という物音が
図書館の奥から聞こえる。足音ではない、箒をはたくような
小さな音。
ニコル
「おお、どっちだ?! 何か聞こえる!」
ソヨン
「こっちです! 窓側のほう!」
たたたー。ニコルとソヨンは音の方角へ急ぐ。
そのとき、二人がそこで見たものとは!!
(ニャーーーン)
ソヨン
「………………」
ニコル
「…………………………」
笑う黒猫。
ソヨン
「はっ?!! クローエ先輩が、クローエ先輩が…………、
ノ○ールになっちゃった〜〜〜〜!?」
ニコル
「落ち着けソヨン! それはヤーンだー」
アイーシャ
「よんだ?」
ニコル
「呼んでなーい」
アイーシャ
「やっぱり〜〜黒猫ヤマト」
(退場)
ソヨン
「あっ!? これはまさかクローエさんの……」
ニコル
「何か見つけたのか?」
ソヨン
「さっき通りかかったアイーシャさんのツインテールの中から、
クローエさんがいつも履いている靴が……」
ニコル
「なるほど。アイーシャのエビから出てきたというのが非常に
興味深いな、何かの物件になるかも?」
ソヨン
「何いっているんですか! そんなことは問題じゃありません」
ニコル
「え〜〜? じゃあ何だよ」
ソヨン
「グローブを外したということですっ。こうしちゃいられない、
きっと何かとんでもないことが……!」
ニコル
「とんでもないこと?」
ソヨン
「聞きたいのですか……!?」
ニコル
「おー」
ソヨン
「キミが本当に知りたいコトはそんなコトではないだろう?
このポーラスターの1003号室だ。いつでも戸を叩きたまえ」
ニコル
「はぁ? なんであたいがそんなことしなくちゃなんねーんだ」
ソヨン
「と、いうことですっ!!!!」
ニコル
「な、なんだってー」
ソヨン
「急ぎましょう!」
ニコル
「おー!」
携帯アプリ「BEFORE CRISIS -FINALFANTASY VII-」の百合投下します。
「ふぅ…」
タークス女子更衣室の中のシャワー室で、金髪の少女はため息をつく。
―今日のロッドさんかっこ良かったなぁ・・・
少女は今日の任務でロッドに助けられた時の事を思い出す。
あのたくましい腕に抱えられた時、ピンチだったにも関わらず胸がときめいた。
むしろ、この人に抱かれたいという欲望だったのだろう。
少女は手で胸をなぞり、胸を揉み始める。
「ん…はうぅ…」
勃起し始めた乳首をつまみ、更に快感を求め始める。
「あぁんっ!は…はぁん…」
片手は胸を刺激したまま、濡れ始めた秘所へ手を伸ばす。
くちゅくちゅ・・・
いやらしい音が響き始める。
「ロッド…さん…はぁっはぁんっ」
秘所の突起を刺激し、指の出し入れも激しくなってくる。
「あぁんっあっあぁ〜!!イクぅっ!!」
少女が絶頂に達したその瞬間、シャワー室のカーテンが開く。
「まぁ!可愛い声がすると思ったら・・・」
と長い髪をポニーテールにした女性が入ってくる。
「さ、散弾銃さ・・・ん・・・」
少女は血の気が一気に引くのを感じた。
「こんな所でするなんて、意外と淫乱だったのね」
そう言いながら、少女に近寄ってくる。
「私が手伝ってあげる」
少女の唇に自分の唇を重ね、舌を入れる。
「ん…ふぅ…」
少女は抵抗する力もなく、彼女の舌を受け入れていた。
彼女は少女と口づけを交わしたまま、右手を少女の秘所へやる。
ぬぷぅっ!
彼女は少女の秘所へ人差し指と中指の2本侵入させる。
親指は秘所の突起を刺激する。
「んんん!!!んんん〜!!」
少女は息の上手く出来ない苦しさと快感の中、頭の中が白くなるような感覚を感じる。
自慰をした時の何倍もの快感である。
−ダメ…!イっちゃう…!!
そう感じた瞬間、口が離され指の動きも止められる。
2人の口と口の間には唾液の糸が出来、切れる。
「やっ…止めないでください…」
少女は、イク寸前で止められたため思わず求めてしまう。
自分でも何を言っているのか疑ってしまうような発言である。
もともと自らイった後だった為、少女の体は敏感になっていたのである。
「あなただけイクだなんてつまらないもの…私にもイかせてちょうだい。」
「…そしたら、イかせてくれますか…?」
そう懇願する少女に、彼女はにっこりと微笑む。
「後悔はさせないわ」
彼女はそう言い放ち、少女の秘所に顔をやり、自分の秘所を少女の顔に近づける。
彼女は少女の愛液で濡れてぐちょぐちょの秘所を、舌を上手く使い舐め始める。
「あぁん!!」
少女は体をビクンと跳ねさせる。
「貴女も私を感じさせてちょうだい」
そう言われ、少女は顔の上から愛液が垂れてきている彼女の秘所に指をやる。
−こうでいいのかな…?
少女は人差し指で彼女の秘所をぐちょぐちょかき回す。
「はうぅん!!あ…はぁん!」
少女は偶然彼女の最も感じる部分を刺激したらしく、彼女は体を反らし喘ぐ。
彼女の秘所からは、愛液が止め処なく流れ落ちてくる。
少女は夢中で彼女の秘所を刺激し、舌を這わせる。
2人は、お互いに無我夢中で愛撫を続けていた。
興奮が最高潮に達し、2人はまた唇を重ね、お互いの舌を絡める。
2人とも理性というものはどこかへ行ってしまっていた。
少女は、彼女の豊満な胸と自分の胸が擦れ合う感触だけでさえイクんじゃないかという感覚を覚える。
彼女の少女への愛撫はやさしく、かといって攻める所は攻める、女性だからこそ出来るものであった。
「はぁ、はぁん…散弾銃さん…私、もうイっちゃいますぅ…」
「ダメ…ちょっと待って…」
彼女は少女から少し離れ、足を交じり合わせ愛液で濡れた秘所をくっつける。
「はぁ、はぁ…いくわよ…」
そう言い放ち、彼女は腰を動かし少女の秘所と自分の秘所を擦り合わせる。
ぐちょぐちょぐちょっ
淫らな音が更に響き渡る。
「あ…あぁん!はぁん、あぁぁぁぁ!!!イクぅーーーーー!!!」
2人は同時に絶頂に達し、力尽きる。
少女が自慰を始めてから3時間経っていた。
少し時間が経ち、少女は急に我に返り恥ずかしさでいっぱいになる。
側で自分を見ている美しい肢体の女性を見て真っ赤になる。
「散弾銃さん…あの…」
少女に声をかけられ、彼女はにっこりと微笑む。
「可愛かったわよ。またね。」
そう言い放ち、隣りのシャワー室へシャワーをあびに言ってしまう。
−ま…またねってぇ〜
その発言に疑問を残しつつ、少女は愛液でベタベタの体を洗い流す。
少女がシャワー室を出ると、もう彼女は出た後であった。
−よ、良かった…
と少女はほっとする。
スーツに身を包み、更衣室を出ると赤毛の男に出会う。
「ろ、ロッドさん!!!」
少女は一気に顔が赤くなるのを感じた。
「よ!!」
「お、おはようございます!」
「そういや、昨日は怪我してなかったか?」
−そうか、もう朝なんだ…
「はい!大丈夫です。」
「そっか。今日もよろしくな!」
「よろしくお願いします。」
男は少女の肩を叩き、去っていく。
−気付かれなかったよね…?
少女はバクバクする心臓を抑える。
深呼吸をし、少女はまたいつもの日常へと戻っていくのだ。
終わり
「今夜もあちらへ(彰子の所)お渡りのようですね・・・少納言、何か物語を聞かせてくれない?」
「どのような物語がよろしいでしょうか?」
「そうですね・・・ここではない何処か・・・遠い遠い異国の話がいいわ」
定子様はきっと煩わしいいろんなことを忘れたいのだろう。このところ帝のお渡りもめっきりと減り、
お父上の死、一族の不和、あちらとの軋轢と思い沈まれることも多い。
「では・・・晋の武帝のお話を」
晋の武帝は中国を統一し、国中から美女を集めた。そのため後宮には一万人を越える美女がいたという。
そのため後宮に入ったわいいが、いまだにお手つかずの宮女も多かった。
しかも皇帝は宮殿を夜な夜な羊に引かせた車に乗って回った。この羊の車が止まったところの女性のもとで、
一夜をともにするのである。そこで、宮女たちは自分のところに皇帝を来させようと、
自室の前に竹の葉を挿しておき、塩を盛っておいた。羊が竹の葉を食べ、塩をなめるために止まるからである。
「そう盛り塩を、いろんなことをするのねぇ」
「定子様、登華殿(定子の住まう屋敷)に盛り塩でも致しましょうか?」
そう尋ねると、定子様はううんと首を振りながら
「だって、そんなことをしたらあなたの話を聞けなくなるかもしれないじゃない」
「え・・・あ、その・・・」
萌えた
65 :
63:2005/06/05(日) 16:26:08 ID:AYWmwkTU
あ、人がいたわw(誰もいないと思い投下したのに)
自分で書いといてなんだが、帝のお渡りのない中宮に対して盛り塩の話するなんて・・・
(ほかにネタが思いつかなかったんだけど)
清少納言ネタを書くついでに源氏物語を久しぶりに読んだ。
紫式部について調べたら、紫式部には『姉』と呼べる人がいたらしい。
(とある本の中に書かれていただけで正しい情報かどうかはわかんねぇ
『紫式部日記』に書かれてるのかなぁ。今度読んでみようか・・・でも古典マンドクセー)
紫式部は母親を生まれてすぐ亡くし、姉を母のように育つがその姉も若くして死ぬ。
同じ頃父親の一族に妹を亡くした人がいて、お互いに文を通わせて『姉君』『妹君』と
呼び合ってらしい。
ちょっとだけ百合臭がする
>63
短いながら、何かイイね。
定子×清少納言×紫式部×彰子の愛憎渦巻く百合四角関係とか楽しそうだなー、
とちょっと調べてみたけど、生年が清少納言(966)・紫式部(973)・
定子(977)・彰子(988)くらいらしいので、年の差とかが結構苦しいねえ。
妄想できないことはないんだけど、1000年に定子が出産直後に死んでるのがネック。
というか、この4人が同時に宮中にいたのは、999-1000年の間だけだとか……。
68 :
63:2005/06/10(金) 19:51:12 ID:pFKsMPu0
>>67 ありがたう
SS書いたの初めてだったから長いのは難しそうだったので。
情景描写とか増やしたらもうちょっと長くなるのかな?
>この4人が同時に宮中にいたのは、999-1000年の間だけだとか……。
紫式部は清少納言をかなりライバル視してたとよくいわれてるけど、一年ちょっとぐらいですか
たしかに接点が少なそうですね。
でも女主人と女房は意外とネタがありそう。紫式部が彰子に学問(漢文)を教えたりとか、
源氏物語の中でも女主人と女房の関係は結構面白いですね。(あんまり百合ネタなりそうにないですが)
保守
人
( ) / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(____) /
>>372 とりあえず釣られてみますか、
( ´∀`) < 質の低い煽りですね、ゲラゲラw
( ) \
| | | .\_______
(__)_)
人
( ) / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(____) /
>>372 とりあえず釣られてみますか、
( ´∀`) < 質の低い煽りですね、ゲラゲラw
( ) \ では、うんこ、どうぞ●
| | | .\_______
(__)_)
(・∀・)馬面ブス(・∀・)馬面ブス(・∀・)馬面ブス(・∀・)馬面ブス
(・∀・)馬面ブス(・∀・)馬面ブス(・∀・)馬面ブス(・∀・)馬面ブス
(・∀・)馬面ブス(・∀・)馬面ブス(・∀・)馬面ブス(・∀・)馬面ブス
(・∀・)馬面ブス(・∀・)馬面ブス(・∀・)馬面ブス(・∀・)馬面ブス
(・∀・)馬面ブス(・∀・)馬面ブス(・∀・)馬面ブス(・∀・)馬面ブス
(・∀・)馬面ブス(・∀・)馬面ブス(・∀・)馬面ブス(・∀・)馬面ブス
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(・∀・)馬面ブス(・∀・)馬面ブス(・∀・)馬面ブス(・∀・)馬面ブス
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(・∀・)馬面ブス(・∀・)馬面ブス(・∀・)馬面ブス(・∀・)馬面ブス
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「ふう…」
仕事場から帰ってきた相沢砂名は誰もいない部屋で一人呟く。
「一週間、ご苦労様でした」
ここのところ、砂名の友人や同僚、上司などの結婚式に出席していたため疲れがどっと出た。
「最後に残ったのは私だけか…。別に好きで一人でいるわけじゃないんだけどな」
彼女には秘密があった。それは砂名が同性愛主義者だという事。それを除けばパーフェクトな女性なのだ。
砂名は片手で自分の胸を刺激する。
「んっ・・・は、あ・・・」
(砂名ったら・・・あんな事して)
そこには誰もいないはずの部屋に誰かが立っていた。
「相変わらずね、砂名」
砂名はその声で我に返る。
「お、御姉様・・・」
自慰行為を見られるのは初めてではない。
砂名の姉―相沢砂樹は砂名の実姉であり、上司でもある。
「またなの? あなたには私がいるじゃない」
そういう砂樹の顔は神々しく、また悪魔のようでもあった。
同性愛『主義』?
打ち間違いスマソorz
>>78 指摘有難う。
>>77の続き
そして砂樹は砂名の髪の毛を掬い、軽く口付ける。
「御姉様・・・」
砂樹は砂名の顔を優しく包み込み、激しいキスを交わす。
「んふあ・・・んっ!」
そして口から糸のようなものが出て、切れる
互いの豊満な胸が擦れ合う。砂名はそれだけの刺激でイってしましそうだった。
「だめよ、砂名・・・」
言葉は優しいものの、どこか命令口調だった。そして砂樹は砂名の感じる部分へ愛撫しはじめた。
「あっ….いや、そこは….」
「何を恥ずかしがるの、今更…。ずっと前からでしょう?」
確かに砂樹の言う通り、2人は両親が事故で他界してからずっとこの関係を続けている。
もっと弄って欲しいと砂名は思った。しかし、その思いとは裏腹に砂樹の手が止まった。
「御姉様…?」
砂名は分からないといった顔をする。
砂樹は自らスカートを捲り上げてながら言う。驚いた事に彼女は下着をつけていなかった。
「あなただけイクなんてずるいわ…。私も一緒よ?」
「はい…」
姉とするのは久し振りのため、性感帯がどこだか分らなくなっていた。そんな砂名を見ていた砂樹は砂名の手首を取り自ら性感帯へと導く。
「ここよ、ここ…」
姉のそれはびしょ濡れてだった。
まるで自分自身を見ているかのような錯覚に陥った。
そして指を一本一本入れた。
「あああっ、い、いいっ!」
(御姉様の乱れ方は私も同じ…)
砂名は先程のお返しとばかりにわざと焦らす。
「いやぁ、もっと、もっと、してぇ!」
その瞬間、砂名は姉と身体を合わせていた。
互いに頂点に達そうかという時であった。
「ダーメ...まぁーだ...」
「意地悪ね、砂名は…」
姉が何故こんな言葉を言うのか砂名は知っていた。
こんな言葉が出るときはイってしまう寸前なのだ。
「ああんっ、は、早くぅ…。イキましょう、2人で…」
「ええ、御姉様…。私も…イッちゃいそうですうぅ…」
「行くわよ、砂名」
「――はい」
「んんーっ、あーっ、あっ、イクぅ!」
豊かなバストと尻を弾ませながら2人は頂点へと達した。
まどろみの中、砂名は目を覚ます。
隣には淫乱な姉の姿がある。
「可愛かったわよ、私の砂名…」
砂樹は砂名の耳元でそっと囁く。
それは砂名に対する最高の褒め言葉だった。
「御姉様…」
砂名は恥ずかしそうに答える。そこには最早キャリアウーマンとしての相沢砂名ではなく
ただの女となっていた。
「私はいつでもいいわよ。欲求不満になる前に私が愛してあげる…」
砂樹は砂名にそう言い頬に口付ける。
「御姉様…」
砂名は姉の髪を掬い、口付け彼女の胸に顔をうずめる。
「まあ、もっと愛して欲しいの? しょうがない子ね…」
砂樹のその声はまるで我が子を可愛がる母親のような声。
――誰も知らない2人だけの時間がまたはじまろうとしていた。
了
( ´_ゝ`)フーン
ちんこ
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ほ
過疎っているみたいだし、
高校の漫研部室にあったのを
貼ってみますね。
序
村に祝い事があった。村の若く華やかな乙女と、隣村が住処なる商人の若旦那とが、
お互いに好き合い、この日に婚儀を果たすことになったのである。村中は大騒ぎをして、
ある乙女らは羨望に瞼を細め、ある殿輩は嫉妬と落胆に肩と涙を落とした、けれど概ね、
善良な人々の喜びと祝福によってこの祝い事は受け入れられた。
太鼓の叩く音や、子どものはしゃぎ声、祭り囃子のピーシャララーは村中を歓喜に満たし、
また大地を笑いに震わせ、家々みな戸を開け放たれれば、風も空気も雲さえも、この喜びに
包まれたのだった。
祭りも歓極まれば、酒の波も飛び交い打ち寄せ、食事はバターや子羊の肉など、
香ばしい匂いを辺りに振りまいている。三日三晩の不眠不休、村の中央には食事の城が
築かれ、その巨山のような高さには巨人も首を大いに反り曲げる。土台は牛や魚の肉を
薫製にしたもので、中腹には様々な食事、米や麦やサラダやシチューやたこ焼きや
クスクス、卵焼きにレバー炒め、また様々な料理が数千立ち並ぶと城の柱、大空の雲も
ミルクのようにかかっている。てっぺんはシャーベットが積まれていた。人々は祭りこれに
待つ理なしとばかりに大酒飲みの大食らい、我も忘れてはしゃぎまわる。村に静寂の
二文字はない。ただ喧噪と喜びが、あらゆる寂しさを蹴散らしシッシと追い払い、大通りを
ずんどこずんどこ、足音高く歩いていた。
喜びの中にあって、花嫁の母。最も尊いうれしさに涙する。花嫁に父はなく、花嫁の母に
夫なきものなら。幼い頃より頼りなき、女の手を二つかざし、我が子守り抜いた末、ついに
迎えたこの晴れ姿。何十年の歳月と見てきた娘が今まさに羽ばたかんとする姿には、老いて
逞しい胸を熱くせずにはいられまい。
さて、祝い事に詩人の数多く来たる。詩人、得意の竪琴を持ちたれば、母と花嫁とを
祝福せんがため遠方より訪れたもの。またその顔ぶれも、一国の王でさえ目にかからない
ような吟遊詩人がいた。
詩人たちの王カルホーンが険しい荒波を超えて現れた。詩人の王、詩人の中の詩人。
彼の言葉は重く、雲を貫くほど高い山々のよう。それでいて、岩を打ち砕く波のように
激しく勇ましい旋律を奏でる詩人であった。彼の傍らには、「叙事詩」のトラム・ウール、
「抒情詩」のトゥロールが控えていた。いずれも海に吹き荒れる嵐や、小川のせせらぎの
音色に劣らぬ偉大な王の弟子である。
また、「英雄詩」のフィヒル、「恋愛詩」のウシュク・ビエハ、「悲劇詩」のウルロール、
「サテュロス劇詩」のカロン、「合唱隊詩」のコーナ。遠方から陸を駆け、霧を散らし、
流れの速い川を泳ぎ抜けて参上した。手はめいめいの楽器を握り、唇は美しい韻律を
閉じこめ震えている。この五人はトラム・ウールとトゥロールの弟子であった。
五人の弟子は合わせて百人。いずれも優れた歌人である。合わせて百八人が饗宴の
天幕に座り、新郎新婦に美しく酔う言葉で祝福を捧げた。
さて、詩人の王カルホーンは、それは竜巻にも動じぬ年深い大樹の、深く重い声を、
凛と天幕に轟かせた。歌人達は一斉に畏まり、平服する。王はこう仰しゃった。
「ここに集いし我らが歌人、新郎新婦と花嫁の母に、何か歌を捧げたいと思う。これに何か意見のあるもの、誰でもよい。申すがいい」
「恐れながら王よ。我ら百八名、それに異存はありませぬ」
歌人の一人、トラム・ウールがそう告げると、残る皆もその言葉に賛同した。王はこの答えに
満足されたように、年輪の深い頬を柔らかくすると、彼らに問われた。
「では、何の歌がよいだろうか。皆よ、思案したまえ。恋愛詩がいいのか、賛歌がよいか、
それとも英雄詩を歌うべきであろうか。我らが祝福を与える、幸多く尊い人々のために、
さあ皆、とくと思案せよ」
すると平服する歌人たちは一斉に叫んだ、
「英雄リーヴィの歌が最も相応しいと存じます」
「リーヴィの、どのような歌がよいのか、思案せよ」
「勇ましい剣と賢い本を手に抱きたる男の力持ちし女の智慧深い英雄リーヴィ、その愛娘であり
恋人である、愛らしい少女セレスの歌を!」
歌人たちはすべてこれに賛同した。
「ならば誰が歌うべきか。相応しい歌人よ、名乗りを上げろ。我こそはと思う者、この者こそ
相応しいと誰もが認める者、竪琴の音色尊い者、歌に近く坐す歌人よ、今こそ自らの名を
我ら他の歌人に告げよ」
そのとき、誰よりも疾く声を上げた者がいた。
「恐れながら、歌人の皆々。私に告げたい言葉がございます」
「申してみよ。小さな声の、されど楽器の音色は尊い歌人であるクローナン。お前の歌は
草むらが春風に靡くように心地よい。お前の言葉は風のように、我らの耳元へたやすく
忍び込むだろう」
「歌人の皆々、ならば申し上げます。我らのうち、歌の最も優れたるものは年を取られた
我らの王カルホーン殿、それに続いてトラム・ウール殿、トゥロール殿。これに違い
ありますまい。されど、優れたる技の持ち主の、悲しくも老いたる声のこと。それは
歳月万を超える緑の山や、青々とした海の如く広大な調べ。といえども、女の業のリーヴィ、
少女セレスを歌うには随分離れたところにいらっしゃる。それは凶暴な嵐を狂わせ、
舟を脅かす海の魔物が同じ頃、岸辺の砂を優しく掻いてあげているように。
私は年若い歌人を呼ぶ。私の弟子である少女の歌人トゥン・ヘーナ、少女の声は雀のようで、
稚拙な歌も微笑ましい。時々曲がる竪琴の音色は、愛らしく幼い少女の指に風の妖精が
悪さをしているに違いない。年若い少女の歌人は、我ら既に失い果てた、それはとても
水気豊かの音色によって歌うことでしょう」
「クローナンよ。お前の言葉に我らは皆、頷く。少女の歌人トゥン・ヘーナよ。その若い姿を現せ。
若き雌鹿が年老いた狼を恐れるな、速い足音で勇敢に目の前を駆けよ。お前の、草原の
小さな花すらも押せぬ、軽く柔らかな足音を我らに聞かせよ」
百八名の歌人のなかに、その最も若い人が立ち上がった。その柔らかく小さな肩は震えている。
熟練の腕を担う歌人達の中にあって、雀の歌声は恐れに閉ざされていた。そして少女トゥン・ヘーナは
闇夜に脅える子ウサギの言葉を語る。
「どうか私の訴えをお聞き下さい。私が沈黙することをお許しくださいませ、我が歌の粗野にして
稚拙窮極なるを訳として。
なぜ美しい花々の園に於いて一つの雑草が長く伸びる必要がありましょうか、なぜ多くの白鳥が
湖を泳ぐ中、暗雲の烏が一羽飛ぶ必要がありましょうか。なぜ砂糖菓子の甘い味わいの中に、
岩のような塩の塊が秘められている必要がありましょうか。
どうか私の訴えをお聞き下さい、この未熟の恥じらいを悟らせないで下さい」
王カルホーンの喉は怒りに雄々しく震えた。その形相は猛るシヴァのようだ。嵐の咆哮は
天幕を震わし、獅子ですらも恐れ、脅えるだろう。歳月の深い詩人の王は、少女の頬を言葉に
よって激しく殴った。
「なんという愚かな歌人だ。聞け、猿の如くふざけた少女よ。お前の前に客人がいる。お前は
客人に祝福の歌を捧げなくてはならない。汚れた名誉をなぜそこまで護るのか、お前は誰のために
歌うのか、自分のためだけに歌うのか。お前の性根は腐り果て、そこに蛆虫がたかっている。
漆黒の黴はお前の頭を蝕んでいる。
立ち去れ、沈黙の少女よ。この宴より逃げ去れ。二度と我らの前に姿を見せるな、歌声を聞かせるな。
竪琴を砕け、弦を断ち切り二度と弾くことの叶わぬようにせよ」
また、師クローナンも語った。
「お前の未熟を誰が知らないでいられようか、お前の身体からは今にも、聞くに堪えぬ音色が聞こえてくる。
お前の指を見ればお前の技量など容易に悟れる。すでに見破られたお前の恥を、なぜ隠すのだ、
愚かな娘。
二度と歌人と言わせまい、このまま沈黙を守るのであれば。お前の愛らしい指先を十本すべて
漆黒の鉈で刈り取り、お前の瞼を引き裂いてくれる。悲鳴をあげるべき舌を引きちぎり、唇を血染めの
レリーフにしてくれよう。そうすれば未熟に恥じらうこともできまい、二度と歌を歌えぬならば。
歌え、トゥン・ヘーナよ。お前の名を汚そうとも、私の弟子の名を汚すな」
この言葉にトゥン・ヘーナはかろうじて竪琴を取った。指は上手く弾こうとしたが、音は突然に上手く
なることはない。恐れに震える音が響いた。トゥン・ヘーナは師に助けを乞いた。
「師よ、私はどのように歌うべきでしょうか」
「ならばトゥン・ヘーナよ。私はお前に助言を送る。お前が私よりも遙かに未熟であることを知っているから。
さあ、まずは勇ましく若い雌狼と雄の栗鼠の歌を歌え。勇ましい雌狼に相応しい恋人は勇ましい雄狼だ、
脆弱な栗鼠ではない。この歌を新郎への戒めとせよ。
対立する者同士の恋を描け。その間に儲けた子がどれほど愛らしいかを。黒ウサギと白ウサギの子は
太陽の薫がする。お前の歌に敵対する者同士とその子の恋を語り、愛がどれほど尊いものか二人に捧げよ。
そして娘を愛する母の愛を語れ。母の愛は尊い。神よりも母は優しく、悪魔よりも母は強いのだ。
夫を持たぬ母はなお優しく強い。母は父をも備えるからだ。そしてこの母の愛を語るとき、どれほど稚拙なもので
あろうとも、お前の歌はそれなりの音となるだろう。この歌を花嫁の母に捧げよ。
山を語れ。その山は高く、頂きは天にも届くだろう。また山には少しばかりの悲しみもある。それは叶わぬ恋を
抱く若者たちゆえの悲しみだ。花嫁とその母を見守りし善良な村人達の表れは、三日三晩に建てられた偉大なる
山を見れば悟れるだろう。それゆえに村人たちの山を語れ。
子どもの喜びを語れ。愛し合う絆の子は美しく、片方が憎悪する絆の子はひどく歪なものとなる。過ちとすれ違いを
恐れよ。それは嫌い合うよりも恐ろしい。新郎新婦への戒めとして、祝福されし子の喜びと、そうではない子の悲しみを歌え。
トゥン・ヘーナよ、人々が語らう話はあるか」
「二人までは」
「ならば尊く凛々しい歌人、トゥン・ヘーナを助ける歌人。そなたの声を聞かせ給え、この少女を救うべく我ら
歌人の海中より現れ、髭のない声を空高くまで響かせよ。少女トゥン・ヘーナが歌うとき、詩が向かい合い
語らうとき、一人が少女の声ならもう一人は尊い女性の声となる。
肌に刻まれた音の色は美しい。肉に染み込んだ旋律から立ち上る薫は雨降る森林の緑深い草木のようだ。
トゥン・ヘーナを救う詩人よ、我らの輪より名乗り出でてトゥン・ヘーナの傍らに座り給え」
天幕の中に立つ者がいた。ミーノンは魔術を使う詩人である。その声は幾つもの音を同時に奏でる。五重奏のミーノンは
風のようにささやかな足取りによって舞い、トゥン・ヘーナの隣へと向けた。その姿は聡明な賢者、足音は鈴の音色にも似ている。
その姿は美しく、黄金を着飾る森のミエリッキを思わせた。
トゥン・ヘーナの隣に座ると、尊く凛々しい詩人はカンテレを取り出した。
「それでは歌え。リーヴィセレスの歌を」
この師に言われ、少女トゥン・ヘーナは竪琴をささやかに弾き始めた。
ある大陸の物語。凛々しき英雄の一人あり。リーヴィの名を持つ強き英雄の唄を、鴬唇美しき音色奏でる
リラにて弾く。組み踊りし風のニンフ、吹きそよぐ空気に声を聞いた。高らかに楽器よ鳴け、敬虔豊かな踊り子たちに。・・・
少女が歌い終わると、天幕の饗宴には酒が入り、皆は興に入っていた。ミーノンはカンテレを置き、トゥン・ヘーナを
天幕の外へと導く。トゥン・ヘーナに酒の薫は早すぎる。少女には緑の森の樹木に宿る、味わい甘く雪のように白い蜜が
能く似合う。
トゥン・ヘーナは村へと出た。村には子どもらが集まり、次のような謎々をうたっている。その声はとても明るく、無邪気で、
愛らしい。
ねぇねぇわたし、不思議なものを知っているの。(ふーん、どんな?)
それはこの世にないもので、今も昔もこれから先も、けして現れないもの。
でもそれは触れることも、見ることも、できるの。
この世のむかし、あの世にもない。けれど形あるもの、なんだろう?(なんだろうね)
少女トゥン・ヘーナ、子どもらの仲間に入りたいと思いその謎に答える。それはまさしく神の墓標。そればかりは
いついかなる場所と時にも世には現れぬ。果たして子どもたちは答えに喜び、少女トゥン・ヘーナは子どもたちの
仲間に入れてもらった。
トゥン・ヘーナは村の子どもたちに誘われ、緑の葉が立ち並ぶ森へと行った。森には泉が湧いていて、
泉には花々の甘い蜜がトロトロ溶け、その味をとても甘くしている。少女の喉は蜜に潤された。
「ねぇねぇお嬢さん、あなたは何を歌えるの?」
「小さくて、幼い歌を歌えます」
すると子どもたちは何か一つの歌を所望した。その願いは無邪気で、トゥン・ヘーナはそれに応えた。
竪琴を手に取ると、子どもの音色が森に木霊し、響く。
トゥン・ヘーナが託した歌はリーヴィセレスの歌、その最後の章である。
夏。暑い夏のこと。日差しは土を温め、また風の穏やかに吹く音が鳴る。季節もめぐり夏ならば、
芳しき金木犀が咲き誇り、夏ならば蝉の歌い声も聞こえている。桜の花は散ろうとも、緑はなおも若々しく。
緑豊か、黄緑も豊か。夏に相応しい、新たな白い花々も豊か。夏の雪々はとてもはつらつと咲き萌ゆる。・・・
「ねえねえ、お嬢さん。すてきなお歌、わたしたちは喜んだわ。またきてね、愛らしい詩人さん。もう少し
成長したら、きっとわたしたちは歓迎するわよ。またきてね、いつかこの村に。さあ、小鳥と栗鼠の育つ森に、
蜜を探しに行きましょう」
トゥン・ヘーナは子どもたちと共に森の奥へと入り、壺に満ちるほどの蜜を頂いていくと、師の元へ戻った。
三日後の明け方、宴は終わり、詩人たちは村を出て旅立った。(序おわり)
ヴィザとエヴィル、国の覇権をかけて争うこと
ある大陸の物語。凛々しき英雄の一人あり。リーヴィの名を持つ強き英雄の唄を、鴬唇美しき音色奏でるリラにて弾く。
組み踊りし風のニンフ、吹きそよぐ空気に声を聞いた。高らかに楽器よ鳴け、敬虔豊かな踊り子たちに。
握り絞めたる長き剣。義を気高き支柱と科す本の読み手。天の神を義父とする、累歳重ねた英雄の、野つ鳥雉なる心と身体。
立てば男の背の丈を。落ち着き座せば乙女の膝を。赴くままに旅する人よ、世に名を知られる方ならば。花揺れる尊き娘と共に、
二本の足鳴らせ海川越えて山丘超えて、照りつく日差しと深い夜にも怯まずに、憎く重き呪いと宿命へ、平安求めて立ち向かう。
嘘か真かいずれのことか。かような英雄リーヴィが、かく連れ誘う愛し娘。目も眩むほどの輝かしさ、さても娘の名はセレス。
澄んだ瞳の幼子は、儚くも清き愛らしさにして、手鞠のように優しく抱かれつつ、対なる二人は道々踏み歩く。苦しみを共に分かち
合い、いつまでも互いに愛し合うて、手懸けも切に極まれば、思いも常に深め合う。
浮世に名を馳せる英雄と供なる少女の物語。リーヴィセレスの愛の唄。
物語の歴史。ああ、広大にして美しいルナヴィーブルの国!
ルナヴィーブルの国とは水が清く甘い透明な色、温暖な気候によって支えられている。自然はなんとも尊く美しく創られたもの、
緑と土とを舞い上がらせて。広い大陸の東に位置し、国の最東には大陸を削る海から土地を守るように山々が、頂天の如き、
白い雲を突き抜け星々まで届くほど高く連なっている。そこに人の姿は見ず。それら高い山から風は強く激しく吹き込み、年中
凄まじい雨が降り、冬には北風によって透明な氷がはらはら舞い降りる。水は人々の大切な糧である。自然にとっては命。
水の多いところでは草木が水気を吸い、柔らかな緑が育まれる。
ではルナヴィーブルの国の南はどのようなものなのだろうか。そこにはとても大きい森が広がっていた。その大きさと広さは
東の連峰にけして劣らない。まるで迷宮のような未開の地であり、どんなに頭のよい博士が考えてもその深淵を知ることは不可能、
そのためにここの森はラビ・エンストなどと呼ばれるほどである。森の奥には人の手に余るような強大にして偉大な獣たちが住み、
そこを支配していた。
西と北。南の森を除けば国の多くは人間の手によって治められていた。この国の支配者は人間。その次は獣であり、
続いて鳥。魚は最後。なお、国の北はとりわけ人間が多かった。隣接する国が大国なら、貿易は栄える。またそこでは
温かな水、温泉がよく吹き上がり、冷たい風によって冷やされた水も使うことができたために。それから疫病が流行りにくいのも
北の地であった。人間の住みやすい土地は北。ゆえに人は、鼻を利かせて北に来た。この国の王でさえ、北の地に人間の
支配者に相応しい城を構えていた。
クリヴァという王がいた。王は北の城に住み、辺りの地を収めていた。城は広く城壁は地平線の果てまでも続く絢爛たるもの、
城の中には息を呑むような彫像品、まばゆいばかりの絵画が千万至と惜しみなく飾られている。階段は黄金で縁取られ、
ダイヤモンドの柱が天井を支えていた。この豪華な城に、クリヴァ王は住んでいた。王には二人の子どもがあった。
一人はエヴィルという子。貴族の正妻との子どもで、臆病だが穏やかな気性の男。もう一人はヴィザという子。婢女の間に
生まれた子どもであり、荒々しく乱暴な性格の人。お互いの母親の名は、それぞれカミアナ、ペルシィエといった。やがて二人は
成長し、クリヴァは老いていった。しばらくしてエヴィルは結婚した。カミアナの弟にして西方に屋敷を構える貴族ガルガンの、
娘であるチィミリという女と。そのときヴィザは独り身だった。
クリヴァは他の老人より早くに亡くなった。彼の胸を空気が忌み嫌ったそのときに。彼の肺は膨れ上がり、拳ほどもある硬く
重い膿が蝕んでいた。黒くねっとりとした血を口よりどっぷり吐き出しながら、老人は九日痛み、苦しんだ。彼は病床で早急に
後継ぎを決めなくてはならなくなった。憔悴した頭で老人は考え、それから我が子二人のうち、結婚していたエヴィルの方を
選んだ。老人はここの間痛み、苦しんだ。その苦しみの後クリヴァはとうとう力尽きた。葬儀は実子であるエヴィルとヴィザの手に
よって行なわれた。
この葬儀はこの国の、もっとも死者を丁重に送られる儀式で死者を生きたときのままにしてから特殊な手工を施し
土に埋めるというもの。ルナヴィーブル、数多くの人々が王の死を嘆き悲しんだ。王の身体は、まず胸を切り裂かれ
肺と心臓とを取り出された。喉は腫れあがり荒れていたが、そのままにされた。その後にエヴィルとヴィザの血が
クリヴァに注がれた。チィミリも血を流そうとしたがヴィザによって止められた。ヴィザはガルガンの娘チィミリを、
まだ血縁と認めてはいなかった。
クリヴァは生きているとき健康だった肉体のみを残されてから病によって失った血を注がれ、その後温泉に浸かることで
身体を生きていたときと同じになるまで温められた。クリヴァは身体の表面に金を塗られ、土のなかに眠った。それは昼夜
三日に渡って続いた葬式で、その間ルナヴィーブルの人たちから涙のウンディーネたちは離れなかった。
告げたものが死したる時より二百五十の日が流れてから、ヴィザはクリヴァの遺言における後継ぎについて重要な異議を
申し立てた。ヴィザは、兄のエヴィルが父クリヴァの後継ぎとなることに反対し、自らが後継ぎになるべきだと主張したのである。
この訴えは民衆に正当なものとされた。それは直接エヴィルの元へ口頭に発言された後、ファルコンの最高裁判所へと
提出される。はたして偉大なる裁きの議会はこれを受け入れ、お互いに争うことを認めた。エヴィルとヴィザはどちらがクリヴァの
後継ぎとして相応しいか、まず一人と一人で争うことになった。
北の地に八つある決闘場のうち、クリヴァの城に最も近いラー・ジロードという街で争うことが選ばれた。この街では三つの戦いを行い、
うち二つを制したものが決闘の勝者とされる。一戦目は弁論、二戦目は技術、三戦目は格闘である。誰もがヴィザこそ勝者と思い、
それは街の人々が普段好む賭けの種にもならなかった。エヴィルとチィミリ(妻であったために、彼女の同伴も認められた)、ヴィザは
ラー・ジロードの決闘場に赴き、そこでまず弁論を十日で争った。
魚が陸を求めるような暑さだった。唸りを上げる獣のような、白い煙吐く太陽伯爵の日差しは、勇士の心をも焦げつかせ、その戦意を
かきたてずにはいられない。まさしく二人の争いは壮絶を極める。罵倒と議論による十日の戦争。ヴィザは始め、旗色がよく、このまま
勝利を掴むと思われた。しかし日ごとにヴィザの形勢は悪くなっていき、エヴィルは逆に知恵を増して、とうとう十日目には音をあげ、
剛勇のヴィザは兄のエヴィルに降参した。一日ごとにエヴィルはヴィザに対する答えを万全にしていった、それはさながらエヴィルが
日ごと別人になっているかのように。宿に戻るごとに彼は賢くなり、より智慧を高めていった。内心憤りながらも、ヴィザはエヴィルの
たぐい稀なる策略に驚嘆し、奇妙に思いながら自らの敗北を受け止めた。
続いて二戦目の、技術による戦いは、三十日に渡って続いた。エヴィルとヴィザは彫刻を選び、より精巧で
美しい彫刻を互いに作り合い、提出した。はじめの材質は木であり、二人は木を削る間、何の言葉も漏らさず
作ったという。エヴィルは海老の姿を象ったもので、美への海老、大きく背中を天に差し向け、甲羅の隅々に
至るまで光り輝く、誰もが感嘆するような見事なものだった。ヴィザは獅子の形を象ったもので、見るものすべてを
光り輝く咆哮で射止めるような素晴らしい彫刻だった。その優劣は、審査員の票は同数だったが、一匹の
紛れ込んだチィミリの飼い兎がエヴィルの彫刻を選んだので、エヴィルの勝利となった。
ヴィザはこの後何回かあらゆる材質でエヴィルの彫刻と戦ったが、その度にどこかエヴィルの細工の細かさに
及ばず敗北した。けれどあるときヴィザはエヴィルの提出した彫刻のなかに、サボテンの花が彩られているのを
見て不思議に思う。ヴィザはそのときこの花が何という名前なのか知らなかった。そこでラー・ジロードの
最も聡明な老人に尋ねると、彼は、これはサボテンの花であり、国の西方に生える花なのだ、と云った。ヴィザの
心の不審はますます高まった。何故ならエヴィルはサボテンの花を知らないはずなので。ヴィザはよくよく注意して
エヴィルの彫刻を見ると、それらは明らかにエヴィルの作ったものではなく、女の手によって作られたものなのでは
ないかと疑った。それらは非常に精巧なものだったのである。そこでヴィザはそれを確かめるために青銅の彫刻を
作ろうと提案した。
そのときにエヴィルの作った青銅の彫刻は、上手く削れていない不恰好なものだった。誰もが不思議に思うなかで、
ヴィザは自らの疑いが正しかったことを知り、その後も鉄や白金など、堅い原料の彫刻を競うことで、はじめ劣勢だった
ところからたちまちのうちに逆転し勝利して、二十九の日も経てば、この戦いはどちらが勝者かは誰の目にも明らかだった。
そこでエヴィルは三十日目に再び木材を用いて彫刻を作ることを提案した。ヴィザはそれに応じ、ただしその木材は
レイヴァテインの木を使うことを条件とした。これにエヴィルは応じた。
レイヴァテインの木はルナヴィーブルの北にのみ生える木である。その木独特の性質は、激しく擦ると大きな火を
生じるというもので、家の暖炉などで多く使われていた。ある者はこの木で剣をも造ったという。北の住人ならば、
その木も性質も誰もが知っている木である。さてはたしてエヴィルは彫刻を作ることが出来ただろうか。否。
彼の代わりに今まで彫刻を作ってきた女は、実は西の住人であったから――ヴィザが街を見張っていると、
手に火傷をして医師の家へ入ったチィミリ、そこで今まで誰がエヴィルの代わりに彫刻を作っていたのかを知った。
チィミリの手を失ったエヴィルはついに己の敗北を認めた。
ラー・ジロードの三戦目をエヴィルは行なわなかった。チィミリの焼けた手を牽いて、ラー・ジロードの
街から逃げ出したのである。そしてクリヴァの城へと戻り、そこに立て篭って、彼を追い帰ってきたヴィザと
その従者を門のなかに入れようとはしなかった。ヴィザは七日の間、門の前にいて、エヴィルを口頭で責め立てた。
それでも閉ざされた門を開くことはできなかった。エヴィルに寄り添う賢い女は、ヴィザの罵詈に対し死者の遺言と
遠い地テーバイの兄弟を引き合いに出して答えた。そのいずれも、ヴィザにとって不利なことだった。
憤怒に身を焦がすヴィザは近隣の村々に援助を要請し、彼らがそれに応えると共に、三日と経たずクリヴァの
城を攻めた。城攻めには十将が立ち上がる。産婆にして名老将のキタイローン、石炭のアソーポス、尊き詩人ヘリコーン、
新武具の開発者ケーピソス、背丈の高い大酒呑みのパルナッソス、毒を焼き滅ぼす炎のオイテー、美男子スペルケイオス、
武神の子で戦車の指揮者エウエーノス、猪突猛進のエリュマントス、技巧優れるキュレーネ。いずれも強く美しく頼もしい
仲間である。
さて、勇猛なる強きヴィザが聖剣アルマッスを抜き放つと途端に灼熱あらんかぎりかの地を覆いて、石は燃え上がりアルミナは
溶けて河となる。赤い火柱と水が流れて城を浸した。戦いは始まり、その火と水と、勇猛なるヴィザは最も近いところにいた。
慎重のエヴィルは遠く離れたところにいた。賢いチィミリは二人の中間ほどにいた。賢く真の将なる彼女は火の弱い時に攻め込み、
火の激しく燃え上がるとき、河が急に流れるときは躊躇わず離れた。
キタイローンは凄まじい名将だった。白雪色の髪と輝く肌の麗しき婦人。彼女は普段の姿こそお産を手助けする産婆だったが、
いざ戦いとなると高さ八丈の弓を引いて幾十里も離れた敵を射抜く剛力を見せるだけでなく、素手のみで城壁や敵の鎧を引き裂き、
たとえ千の敵を前にしても怯むことを知らなかった。
ヘリコーンは神に等しい詩人。砦建設の会議で開発者のケーピソスが、俺が三日で城の前に砦を立ててみせよう、と申したところ、
詩人の彼女は小さく微笑んで「私ならば一日で建てます」と短く囁いた。誰もがその言葉に驚くなか彼女はいつものように瞳を伏せて、
静かに美しい音色の楽器を弾くと、そのリズムに乗って道端の石たちが飛び跳ね、あっという間に大きな砦が造られたという。
パルナッソスは能く酒を呑み、ヴィザの大事な酒樽を空にした。それでもヴィザは我慢していたが、なかなか酒豪は控えるということを
知らないので、とうとうヴィザもある日に怒り大酒呑みのパルナッソスに罰を科そうとした。しかし、そこで智謀の賢きキュレーネがいうよう
「ヴィザ、パルナッソスを能く見るがいい。彼はあれほど酒を呑んでいるのに戦場では勇敢な働きをする。私たちなら倒れてもおかしくない
量を飲んでいるのに。
ある立派な船に乗る漁師の男は正しい人と世の誉れを得ていたが、一度だけ恥を犯した。それも葡萄酒が原因だ。酒はその人の素顔を
映し出す。だが、パルナッソスは酒を呑もうと人並み以上の働きをするのだ。殺すには惜しいと思わないか」と。
なるほど。と思い直し、ヴィザは怒りを収め、パルナッソスを許した。
戦況はエヴィルにとって日増しに悪くなった。勝利するものはチィミリの軍のみ。彼の味方は、伝染病にかかったように
次々と倒れていった。アルテミスの引き絞る弓は勢いを増していき、倒れた仲間は足を挫いて、二度と立ち上がれなかった。
しかし勇猛果敢なヴィザとその味方の足取りは軽く、アイアースのように小回りよく動いた。彼の仲間たちは皆々瞳に油を
燃やし三度の食のように自軍の勝利を糧にして、飢えることを知らなかった。エヴィルはゴーフェルの木で強固な砦を造り
自ら立て篭もった。チィミリとその下僕たちは勇猛なるヴィザと戦うことなく、他の敵軍の敗北のみを与えていたが、ついに
追いつめられ対峙したとき、その獰猛にして強健な力の前に負けて、彼女はヴィザの強固なる青銅の檻に閉じ込められた。
青銅の檻の前に立つヴィザ。そこは砂埃が巻き上がり土鼠の行列のように激しく、日差しも盲いた老人の如き頼りなさで
わずかに差し込むのみの狭きは限りない牢。捕らわれの彼女は勇猛なるヴィザと向かい合い、捕らえたヴィザは白銀の鎧を
脱ぎ捨て、責めもなく、ただ訊ねること、
「どうしてこのような? 賢く若い人。あの臆病で卑劣な彼は、あなた様が力を貸すほどの器とも思えませぬが。どうしてこのような。
その忠誠は何のために? あなた様は手に火傷をし、狭い牢に閉じ込められて、さらにこの上齎されることは既にご承知のはず。
それでもなお、彼の味方をなさるのか」
木々の葉も影に隠れ。その乙女は牢に閉じ込められて憔悴しきった表情。罪人ならば、両手を縛られ自由をなくし、足枷という
重く冷たい靴下を履いて、動くほどに息のつまる首輪をつけたまま。けれどチィミリ、まだ賢い瞳だけは美しく輝かせたまま目の前の
ヴィザに申すに、ただの一言。
「リアが狂えば、ケントも正気を棄てましょう」
この戦いは六日と六晩続いた。チィミリが捕らえられても、エヴィルはなおも勇猛なヴィザとの戦いを続けた。大雨や洪水のように
人々の命が流され、生き残るものは死ぬものよりも限られていた。ある街の賢者、洞窟を地の下に掘ってそこに多くの民や動物を隠す。
あるいは人を、あるいは鳥を、あるいは植物を。あらゆる生き物たちを。賢者たち、そこを避難所にして、この戦争をやり過ごした。
洞窟の名はニシルといい、賢者の名はアラトトという。
やがて火と水はついに慎重なるエヴィルまで流れ出し。彼は逃げ出そうとしたが、炎は彼の傷一つなかったその肌を焼き、赤い水は
口元まで満たして必死にもがく彼を溺れさせた。すでに海と見違うほど満ちる血の海に溺れながら、彼は必死にしがみつくものを探した。
そしてようやく何かを見つけて手を伸ばしたが、それは恐ろしい形相の気高きヴィザだった。エヴィルは同じ片胎の手に捕らえられて、
鉄の檻に閉じ込められた。
クリヴァ亡き後の、ルナヴィーブルを巡る覇権争いはかくして終る。そしてヴィザは北の王となり、残る戦いの後の爪跡を
癒しにかかった。けれど人手が足りなかった。そこでヴィザは救国の策を、高山の神殿から眺める鳥によって占ったところ、
「母の腹を三つの頭を持つ蛇によって裂け」と。そこでヴィザは、捕らえたチィミリの牢を訪れて、嘆願し、この意味を尋ねる。
チィミリはよもや義母を殺されぬかと恐れ答えることに、大地を鍬で掘り返せと宣い給う。そこでヴィザと大酒呑みのパルナッソスは
鍬で土を掘り、掘った土を後ろに放り投げていくと、そこに一つの山地ができた。これをオルガン山地と呼ぶ。三つの山が連なり、
中央の山から二つの山へ通じる道はなだらかな斜面だが、二つの山の両端はいずれも崖という地形である。やがてなおも掘り進めた先に、
戦時中に賢者アラトトの作り上げた避難所を見つけ、そこにいた人々の力を借りて国を癒す。
その後の話。まずエヴィルを民衆の意思で裁き、彼の命運を謎謎に委ねることとした。ヴィザ王は自ら謎をかけて、エヴィルに
謎を考えさせた。この謎にエヴィルが解けなかったため彼を処刑にした。その謎とは次のようなもの、
「私は奇妙なものを見た。それは中身が空っぽで、けれどすべてを持っている。ただ一つ、人の心を除いては。それは泣く人に
微笑まない。それの前に立つものは、それを知るためではなく、己自身を知るためにいる」
エヴィルは縊られて、家畜たちの血肉にされることになった。エヴィルはしぶしぶ承知し、その裁きは一つの裁判で
終ったが、そのときチィミリに向けて彼は呪いを放った――それはチィミリがよもや他の人間に自分の身体を許すものなら、
その最初の子は他の人々が憎むものを愛し、男ならば女のような姿に、女ならば男のような姿になるだろう、というものだった。
そうして彼は罪人の巨山スメグマの片端から縄を首にかけられたまま死刑執行人に背中を押され、身体と命を落とした。
彼の死骸は狩人たちの鷹が食べて、その翼を強靭なものにした。その性格を用心深くした。
賢いチィミリは死んだエヴィルの呪いが気になってはいたが、何の意味ももたないだろう、ヴィザ王に殺されるこの身では、
などと思っていた。けれどその呪いは確かに意味を持つものだった、ヴィザ王は敵であった賢い女のチィミリに恋を
したのである。驚天動地、鯉の滝登り。ヴィザ王は彼女の火傷む両の手を癒し、裁きの証言台でも彼女を庇いつつ、
その宣誓にはチィミリを娶るという言葉まであった。この宣誓はそれを破ったものに対して、罪人よりも重い処罰を
与えるのである。かくしてチィミリは檻より解き放たれ、礼を弁えぬ強引さと、取り立て積極的なヴィザの愚かしさ、
さても己の持たざるものにつき、気にもなりまし、しだいしだいに心を惹かれて、手を差し出せば、はてはヴィザの
妻となり王の妃となった。
こうして二人はお互いに愛し合うようになっていたが夜の臥床を共にしなかった。死んだエヴィルの呪いが彼女らを
苦しめていたのである。つまりチィミリの最初の子は、心も肉体も卑しいものとして生まれ、他の人々が憎むものを愛し、
異性のような姿に生まれつくという呪いが。そこでヴィザ王は一計を案じ、チィミリにはまず自分をよく可愛がっている
小鹿の神アプルスの精を与え、その子を生ませた後に南の広大な森へ捨てさせた。その後にチィミリと愛し合い遂に
七子に恵まれたとされる。またある話では、元々ヴィザは不能者で、子供を生むことができなかったので
小鹿の神アプルスの助けを借り、チィミリと交わったのだとも。その時最初の子供はアプルスの力を引き継ぎ、エヴィルの
呪いのような姿と性格になり、南の森に捨てられたのだとされる。その後の子供はヴィザの力を引き生まれ、やはり
二人は七子に恵まれたとされている。なお、小鹿の神アプルスとはペルシィエのことである。
チィミリの最初の赤子は夏の極限、雨が一滴も降らず、燃えさかる大地がその激しさを増す中に生まれた。その赤子は
母の温かい腕に抱かれるよりも、土の上に抱かれることを好み、乳房から迸る甘い母乳よりも、冷たく辛い川の水を望んだ。
男のような姿をした赤子はやはり女の性で、南の森に捨てられた後に、人間嫌いな全知全能、復讐と破滅、裏切りと絶望と
羊たちの神である狼リュコスによって育てられたのだといわれている。
狼リュコスはその赤子の名に、ヴィザとチィミリを重ねリーヴィと名づけた。そのとき狼リュコスはこの子をアプルスの血とは
認めなかった。神の力を持ちながら、リーヴィは人として育てられ、人のなかで生きる術を狼リュコスに教えられた。
(一章おわり)
第二章旅人がジュビルの町に入ること。旅人が宿屋に泊まること。旅人が乞食の少女と出会うこと。旅人が奴隷商人に盗賊退治を頼まれること。
若葉。
その旅人は冬も過ぎて、春の温かな風と鳥たちの軽快な歌声が街路を包む中、この街にやってきた。旅人の肌は琥珀を放ち、
瞳は白と黒の溶け込む、まさに神のような美しい色彩をしている。肌の色も瞳の色も遠くの土地からやってきた旅人そのもの。
街に彼の知り合いはなく、どうやら旅の途中に宿を求めて立ち寄ったらしい。旅人の持ち物は重い剣と、一冊の本。それから
猪の皮袋に入れられた七十ばかりの金貨。食料もなく、彼の着ていた衣服は土に塗れて汗の異臭を放っている。
旅人は街の酒場へと赴く。酒場の薄汚れた入口には雨水を溜めた桶が置かれ、季節外れの千鳥がその水を嘴で飲んでいた。
旅人はその酒場の入口に入り、ここはどこの街かと酒場の女主人に街の名前を尋ねる。酒場の女主人が彼の異臭に顔をしかめつつ
ここがジュビルという街である、と答えると、彼の頬はほころんだ。さて旅人は、土の化粧はみすぼらしくも彼の顔の造形は端正で、
秘密な小薬のように心を引きつける魅力がある。大地が彼の顔を砂埃の偉大なる配慮でもって隠してしまわなければ年頃の娘は
皆々目を惹き奪われるほどの美しさ。そのとき微笑んだ彼の顔はとてもかわいらしく、スミレの花のように穏やかなもの。土に塗れて
いなければ職差万別、誰の目にも魅力的に映っただろう。けれどそれは幸いにも女主人の気をよくするだけに留まった。彼女は
男なき身なれば道外れの思いともいえず。彼は金貨を三枚払い、一杯の白い酒を女主人から受け取り、なるべくゆっくり味わいつつ、
また汚れた服に香水代わりにふりかけて異臭を消しながら、女主人から街の宿屋の在りかを聞くと、酒場を出た。
旅人は活気ある老若男女の人々の波と、蜘蛛の網や薔薇の花びらのように幾重にも重なる街並みに戸惑いながら、
先に聞いた宿屋へと向かっていく。宿屋は酒場から3アクトゥスも離れてはいなかったが、旅人、一度たりとも土を
踏んでいない地に大いに迷い困惑し、酔った猿のような足取りによって、ひょろひょろ、ひょろひょろなどと、ジュビルの街を
一周した後、また酒場へと戻り、そしてそれからしばらくして宿屋を探し当てた。
高さ二十ヤードの柱に支えられる宿に入る前に、彼は本を開いた。それから衣服に隠れている喉に手を当てる。
彼は今、厚い本の知識を必要としていて、声を変えることを望む。旅人の持つこの本に書かれている知識は、人の知らぬ
獣のみが知るような魔術に長けていて、この本を読めばそういったことは容易いことなのだった。そして二、三度発音してから
自分の望む声。この地方の発音を口に入れたことに満足すると宿屋の中へと入っていく。
「いらっしゃい」
宿屋の主人は見ず知らずの旅人に、流暢な地方の方言でそういった。
「ついと立ち寄った旅人だけれども、一晩いくらだい?」
旅人も流暢な地方の言葉を話した。宿屋の主人は彼の地方的な(ある人曰く昔のなごりを
残す古典的で偉大なる)、しゃべり方に気をよくして、普段の半額で彼を泊めることにした。
旅人は三十金貨を払うと、あてがわれた宿屋の一室に入った。本来は十五人ばかりが入れる部屋で、
広さに持て余しつつ、とりあえず旅人は自分の財布を見る。そこにはまだ三十七ほど金貨が残っていた。
彼は衣服を脱ぎ、再び喉もとに手を当て。喉仏はなかった。二、三度動かすと、ふう、と一息つく。
「……儲けもの、かな」
彼の呟きは半額セールに向けられている。本来ならば六十金貨。同郷の人には優しくこそあれ
暴利で迎え入れないのがほとんどの人らしい。やはり同じ人だから。人は同じ人間には、他の人よりも
ずっと優しくできるものなのだ。
遠い大陸の大きな戦争を例に上げてみる。イーリオスという街。それは大きな戦いだった、何万もの
敵同士が打ち合った。その中で、遠い親戚関係の将軍二人が敵同士だった。そして戦場でその敵将同士が、
お互い親戚とわかったとき、彼らはお互い向けた剣を退けて鎧を交換した。そのとき一人は黄金の鎧を着、
一人は青銅の鎧を着ていたのだが、彼の黄金の鎧は躊躇いなく青銅に変わったという。つまり人同士の繋がりと
いうものは多少の財産よりも重いということだろう。
男性の凛々しい顔で、彼――いや、女の性である彼女は苦笑した。「同じ人」というのは、自分にはいないもの
だから。自分は人であるけれど、家族は人ではないもの。山羊たちの神、狼と山羊を合わせた姿をしている
あの御方は。育て親は。狼リュコス。
ともかく今日はここで無事に休めそうだ。別段野宿でも構わないのだが、育て親に言い含められている、
お前は人の子なのだから、俺のような高尚な獣の真似はするなと。人の子は人の子の中で暮らすようにと。
彼女は広い部屋の中央に座ると、両の手で三十枚の金貨を握り、瞳を閉じた。それから口のなかで、四行の
呪文を唱える。合わせて、指から金貨を零していく。金貨は弾けて遠くまで飛び、あるいはそのまま落ち、
あるいは何度も飛び跳ねて戻ってくる。それは三十回続いた。
「二十一の瞳、いと気高き獣、我ら脆弱な人どもの主。
鋭い刃と柔らかな毛布を携え、瞳より放たれるとき……。
人の定めは定めのもの、幸い、災い、いずれもがあらゆる人々に降りかかる。
幸福の山は遙かに高く、登るほどに険しくなっていく。
二十一の守護よ、我を救い給え。中腹の花を授けるために……」
そう唱えた後に彼女が目をあけると、金貨の一つは傍にあり、十二は左側に飛んで、十五は右に、二つは
真正面に飛んでいた。それを見て僅かに旅人の瞳が揺れる。
「僕は一羽の小鳥を得ることになる。僕は小鳥のために、何十もの犬を殺す。そして小鳥は僕の手元に留まるだろう。
僕はやがて、その一羽の小鳥に倒されることになる」
こうしてしばし先の未来を占って後、彼女は宿屋を出た。宿屋の主人がそのときに現れて、彼女に向かって名乗りを
求める。そのとき彼女はしばし迷う、自分の名は良くも悪くも多くの人々に知られていたものだったから。
けれど偽名を用いることにして、客人の神イナータルに許し乞うて祈った後、彼女は宿屋の主人に「スービエ」と名乗った。
「スービエか、変わった名前だな」
「東の国では商売の神として知られているそうですよ、我が住処の主人」
「ははは。それは縁起のいいことだ」
軽く冗談で流した後。ふい、とマントを翻して彼女は宿屋から離れ。外の空気は澄みわたる風、砂埃は道端の
葦の群れと、旅人の足元をそよそよと撫でる。人々の喧騒と子供たちの歌う声が聞こえた。宿屋からは数歩、
先ほど見かけた街の市場へと彼女は脚を運ぶ。
春の季節は森の人々に恵みをもたらし、フルーツとベジタブルが心と身体の糧となる。市場に満ちる人や人、
また鶏や豚などの家畜や、異国の奴隷の売り買いなど。街の姿は千差万別というけれど、ここまで明るく来る
人の心を和ませる市場はあまり見かけない。男性顔の旅人は、街人たちの毎日が幸あるものであると
分かっていた。
そして同時に居心地の悪さ――よそ者としての――あるいは――耐えつつも、さまざまな品々を物色する。
欲しいものはこの辺りの地図と、長い日々と湿気にも耐える保存食だった。その二つがあればまた旅を続けられる。
くるくると市場を巡りながら探しては見るけれど、欲しいものはなかなか見当たらない。特に地図は見かけず、
何故と思いつつも探せば、やがて一軒の道具屋の前にきた。ここで地図を見つけて今まで発見でいなかった
わけを知る。
この街は三方を山と森に囲まれていて、特に山は険しく、獣などが多いために詳細な地図を作ることの困難。
山は広範囲にわたっており、その山を越える人が街人の中にもいないため、地図の必要がないのだった。
さらに山については次のような逸話もあるらしい。
そこまで知り彼女が地図を買おうとしたその時に、その長い足の下で。
「おや、おや?」
不意に。何かが、横切った気がする。足元を。チーズを狙う鼠にしては大きく、その鼠を狙う猫にしても
やはり少し大きく、ちょうど猿くらいだろうかと思えるもの。興味を持って視線を向けると、そこに小さな
人間の子どもがいた。
最初の目に触れたものは、大きな額。旅人の彼女は一度瞬きをしてから、再びその子供を見つめる。
額が広いと思ったのは、どうやら髪が刈り上げられているから。それともこれはまだ伸び切っていない
のだろうか。そう思えるくらいに幼い表情。栗色の産毛、小さな糸玉。東洋系のオレンジ色は日に焼けた
顔一面に色づいて、瞼の下では二つの青い瞳がクルクルと回っている。
旅人は思う。かわいらしい。はっと瞼をその姿が照らす。この少女の愛らしさは顔のみならず、細い髪の
先から、幼い身体のスタイル、つま先に至るまで。特に赤みかかった肌と、青い瞳が彼女のかわいらしさを
増している。喩えて青い薔薇の中で育まれる真珠のような。あるいは幾千の木々に隠れた、黄金の林檎を
咲かせる木のように。
幼子は愛らしいもの。夫から生まれた他の腹の子へ怒りなさるヘーラー女神も憎き赤子のヘラクレースに自分の乳を与えたというほど。
ヘルメスは子供を理由に窃盗の罪を逃れた。先刻にネズミや猫や猿などと称したことが悔やまれる、それは愛らしい少女なのだ。
ただ唯一の心にくしは纏いたる衣のみすぼらしさ。馬の毛で織られた服で、下には布切れが垂れているのみ。それらの汚れきった様子は、
さしずめ深く黒い泥の沼に落ちたか、灼と埃激しい砂漠を越えてきたかと思うようなものだった。なぜこのような? 目の前の少女に似合うもの、
可憐で優雅なる織物など、たとえば千年桜によって染めた桃色のリボン、たとえば黄金化粧に縁取られた白いドレスが相応しいと思うのに。
そんな風に彼女が考えつつ、また少女は何を思うの知れぬあどけなさ、二人はしばし見つめ合う。道具屋の店先にて。旅人と小汚い姿の
少女とは。けれどお互いに象牙の人形ではないのだから瞬き合って共に姿を確認しあえば、始めに旅人が風を吸っていた胸を止め、頬を
優しくゆるめて汚れ着の少女に尋ねた。
「こんにちは、ニンフのお嬢さん。どのような用でここへいらっしゃったの? 僕に会うためと、答えてくれるのなら嬉しいけれど。それはとても、
すごく光栄なことですから、ねえ美しいお嬢さん」
不思議そうに首をかしげる少女。旅人の言葉は思いもよらぬものであったから、その大きな青いひとみを伏せて、猶予が欲しいというように
小さな色づく口元へ、右手の指先を寄せた。旅人は期待に胸を高鳴らせて待った。その唇から、どんな声を紡ぐのだろうと。ツグミの声を思った。
また、雀のさえずりを思った。やがて汚れ着の少女は、ナイチンゲール、綺麗な言葉を紡ぐ。かくなる声の予想越えて遥かにいと美しいこと。
かの鳥も、姿衣は見栄えないものであるけれど、さえずりの音色はヘルメスの竪琴ほど美しい。
「妖精と呼べるほどの人がどこにいらっしゃるのか、それを私が存じ上げているのならばよろしいのですが。あなた様の
仰せられることはなぜ美しい瞳に、黒い埃塗れた物乞いの姿捕らえて、鮮やかな唇より放たれるのでしょう」
「物乞いだって。ああ、お嬢さん、賢いオデュッセウスの話を知らないらしいね。もっとも君はあのように血生臭い戦士では
ないけれど。熟れたオレンジのように甘酸っぱく良い香を立てるお嬢さん、彼は妻への憎き婚約者たちを欺くために自ら
乞食のなりをしてみせたのさ」
旅人が、汚れ着をまとう美しい声の少女に対して牝牛の瞳で微笑を投げかけつつ、このように答えると、少女はほんの少し
唇を尖らせ眉をしかめつつも項垂れてから、なおも旅人に語る。幼いながらに慎みと恥じらいを言葉に込めて。
「あなた様は思い違いをなさる方なのですね。私はエリュシクトンの娘でもなければ、薄汚れた衣の下に神々しい姿を隠す
ゲーメイテールでもなく、ペルセウスに討たれたメデューサと、賢者の足元にも及ばず傲慢を打ち砕かれたイーロスの、
二つの悪徳もつものに他なりません」
「お嬢さん、君は僕を悲しませたいのかな。そんな風に悲しい声で言われると、僕の心は深く締めつけられてしまう。年老いた
薔薇の硬い茨が、呼吸すら出来なくなるほど脚から顔まで覆い尽くすよう」
「あなた様がおかしなことを――何故私を鬼呼ばわりされるのです」
「顔が気に入ったので」
そういいつつ旅人は微笑み、それを聞いた汚れ着の少女はさっと顔を両手で隠す。それから愛らしい少女は、スミレの
言葉で訴えた。
「ならばあなた様は、それはもう、一度鏡をご覧になれば水の精霊に恋をしたナルキッソスのようになってしまうのですね。
何故って、私よりもあなた様はずっと見栄えのよいお顔をしていらっしゃるのですから」
すると旅人は顔をしかめ、肩をすくめてみせる。
「僕の顔? 見たことあるし、知っています。ミジンコやナメクジの腑抜けたやつだってこんなじゃないってことくらい。
だって彼らは、雨や嵐のなかで生き生きとしているけれど、僕はそんな大自然を前にしたら、銀兎みたいに隠れてしまう。
君みたいな日の光を前にしたら、僕はイカロスやサンパーディのように跪く。
ねえ、それにくらべて君はどうでしょう。晴れた日は炎の羽衣纏う太陽に輝いて、綺麗な肌がいっそう優美に、優雅になる。
汗でさえ至高の香油だ。曇りの日は空に浮かぶ雲綿みたいな爪と瞳が、悪戯好きの風にさらわれて消えてしまうのではないかと
不安になり、思わずその身体を両手で抱きしめたくなる。雨の日には汗とも雨の雫とも香水とも区別のつかない水にしっとりと濡れて、
その様は艶やかしいこと限りない。君は七色の虹となるでしょう。ああ、なんて愛らしい。晴れの日も曇りの日も雨の日も。誰だって
君を愛せずにはいられないよ。あのロゴスだって。でもまだ言い足りないさ。だって世界は天気様だけで出来ているわけではないから、
転機ばかりじゃない、恒久の愛らしさだってある。君のための世界はね。
だから、さあ君の素晴らしさについて、僕にもっと語らせてくださいな」
少女は恥じらいに顔を両手で覆ったまま目を二つとも横に逸らし、旅人に自分の顔を見せまいと努め。
細やかな玉虫の声で訴える。
「その蝶のように自由な言葉を語りたいのならば、それは私の耳という醜い蛾の羽を閉じているときにしてください。あっ」
少女の小さな叫び声。何に驚し? するとその時に二人の下へと、痩せこけて瞼の下がくぼんだ
恐ろしい形相の女がやってきた。土を踏みつけこちらへと。ずしり、ずしり、ぎしぎし。足音は唸るように低く重厚に轟いて、
踏まれた小石が、鷹に見つかった小鳥たちのように羽ばたいた。
その者を見た時、汚れ着の少女の顔が青ざめて、また土気色のように暗くなると、顔を伏せて唇を噛み締める。
いと恐ろしい形相の彼女は少女を認めると炎が兎を焼くような激しい視線を向けて、怒り心頭、幼い少女に向かって
早口にまくし立てていく。旅人は彼女が何を言っているかわからないが、少女の顔色と口調の激しさから、どうやら
罵声の類なのだと悟った。
母親がはぐれた子供を見つけたという雰囲気ならばもう少し温もりあるべきだと思う、母親でないのなら赤の他人
なのだからここまで言うことは出来まい、などと考えつつ、旅人は二人の間に割って入った。
「はい、どいて。まだこのお嬢さんと話し終わってないのだから。……ところで、まだお嬢さんの名を聞いていなかったね」
「ちょっとあんた、何をする!」
女は旅人に向かって叫ぶ、どうやら旅人に押しのけられたのが気に食わないらしい。少女は女の顔色を伺いつつ
黙る、旅人は女を見て。
「あなたはどなたか」
「あたしはルビィ。この奴隷の主だよ。こいつをとっとと売って、金を稼がなければならんのさ」
ギラギラと輝く瞳を見開いて、骨ばんだ手で乱暴に汚れ着の少女の髪を掴むと、リービィと名乗った女商人は
今にも少女を連れて行こうとする。少女は首に縄をかけられて小さく可憐な口を塞がれた。愛らしい少女はあわれにも
力任せに引かれていく、旅人はさりげない仕草によってルビィの歩く道を塞ぎながら穏やかに語りかけた。
「そうか、母親でないと思えば、奴隷商人ね。ところでこの子と、もう少し話したいのだけれど。
それくらいの頼みは聞いて欲しいな、この子も僕を(あなたに対するほどは)嫌がっていないようだし」
「買いたいのかい」
「まだ分からない。いくらだい、この女の子のお値段は。二百金貨くらいはおかしくないとも思うけれど、
それより上かな」
「ところが血統書つきの五十金貨だ」
「五十金貨!」
「あのこしゃまくれた詭弁屋だって三十銀貨だったろう。それを思えばまだ上等」
「血統書とは?」
「父親はテュポーンとエキドナの合いの子、母親はケートとポルキュースの子供なのさ。つまり西の隣国で敵国
タルロウンスの門を守護していた将軍と、白夜の国ヘスペーデスの女王との間に生まれたというわけだ」
「こりゃまた随分な年の差カップルから生まれたのだね。しかし残念。今現在、僕には五十金貨の持ち合わせが
ないのだよ。けれども思うに売れていないのだろう、どうかな。代わりのものであれば何か差し出すこともできようが」
すると奴隷商人ルビィは旅人を鼻で笑った。
「富持たぬものに何ができるというのだい、それも人並みの金すら持たないものに。人は抱き上げられて尊さを、賛美されて
愛しさを、富を得て豊かさを心に備えるのだよ。けれどもあえていうなら、さあ見せてもらおうか。あんたは今何を持っているのかを」
「いいね、では見せよう。まず五つの金貨で買った地図、それから三十二個の金貨、猪の皮袋、あとは着ているこのボロ布と、
価値のつけられないほど高価な本、それと剣だ」
「じゃあその本とやらを見せてもらう」
旅人は懐から、知識の重なり数万にも及ぶ大きく厚い本を取り出すと、それを奴隷商人ルビィに見せる。ペラペラと奴隷商人ルビィは
開いていたが、やれやれと首を振って本を閉じた。
「効果はないね、ページの隙間も探してはみたけれど。読めない文字ばかりだよ」
「まったくだ。僕もこの本に書かれたことのすべては読めない。もし読めるのなら、昨日夢のなかで
手に入れた十億金貨をどう持ち運べばいいのか分かっただろうに」
「夢で得た十億金貨の幸福だけ、現実へ不幸を利子付けて支払えばいいだろう」
「ところがその利子は年間27%を超えているのだよ」
「だったら自己破産だ。たこやき露店の主人が無限の車輪を回す前に。
それより読めないものがどうして高価だとわかるのかい、ええ、このペテン師。本の価値というのはね、
まず紙が焼けていないこと、落丁乱丁がないこと、インクが擦れていないことから始まるのだよ。他国の
言葉か派手なインク擦れか、誰か判別できるというのかね。文字同士の繋がりがわからないというのに、
どこが落丁していないと言い切れるかね」
「本当。表紙はボロで薄汚く、こんなカバーならいっそないほうがよいのだと思う。しかし外さないのは、
黄金の書物は古びたカバーにこそ現れるものだから」
などと、旅人は頷いた。
「これが人の手に作られたものならば僕としても内実の価値を信じられないのだけれど。というのは、たとえば
後ろを歩く子供が道から外れたなら、女は大急ぎで捜しまわることだろうけれど、ソクラテースが道を外れた
ところで、弟子はまだ咎めずに彼の頭を感嘆するだろうね。それと同じさ。これはソクラテースの頭で作られた
ものだから、価値も大いに信じられるのではないか」
「お嬢さんと宮殿が何だって?」
「富ある人のほうだよ」
「そうかい、ま、指と爪の間に溜まる垢というものは、偉い人間もつまらない人間もまったく同じ垢なのだよ。
しかし聞いておこうかね、一体誰がその本を作ったのかを。人の手でないのなら蓋の手ともいうのかね」
そこで旅人は奴隷商人ルビィの手から本を取り戻すと、にこやかに微笑み、彼女が想像だにしなかった言葉で
答えてみせる。
「これは僕の父、という名の育て親が僕の旅の幸いになるようにと僕のために作ってくれたもの。彼は
まがりなりにも神の一人だと言われているね」
「これは何ということを、よもやその名を騙るとは。神罰に最も近い、復讐と破滅と裏切りと絶望の神の名を!
呪われろ、このペテン師、ふとどき者よ、狼リュコスに育てられた人間など、世に名を知られる神に
等しいリーヴィを除いて他にない」
恐慌に彼女の顔が染まるとて、旅人はまだその面を崩さず。
「そして僕はリーヴィという名前なのだ」
と答え白した。
そのときの奴隷商人ルビィが現した表情とは。青ざめたかと思えば笑みを浮かべ、けれど暗い表情のまま
眉はしかめて頬はくぼみ、目は細まるのだけれど口は吊りあがる、内実「よもや」と思いつつ、半信半疑の顔をつくり、
じろじろと旅人を見る。
「お前さんがリーヴィだって? 自分の言っている意味が分かるかね、リーヴィとは何者のことか知っていて
そう申すのか。彼は人の知りえる範疇を超えた知識を持ち、獅子をも打ち倒す力を持つ者。
彼は知る、大工の技を。医学の術を。彼は知る、格闘の行為、人を救う技あらゆる技を、万にもわたる技術と知識を。
彼は知識のみならず、その重い剣を片手にこれまでも数多くの人間を救ってきた。
たとえばルナヴィーブルの東にある、高く古い山に、人村を荒らす大鹿が住んでいた。背丈は二十四アカエナ。
肩幅は一アクトゥス。角は炎が燃えさかるような激しさで天を突き、蹄を打ち鳴らせば、稲光が轟くように山に木霊する。
人の住みたる家々は角の一突きで崩壊し、人の頭は蹄の一撃で、その心臓までも深く沈む。七日ごと夜に山から
下りてきて見る人の心を蝕み絶望に浸らせるほどの阿鼻叫喚を作り上げるその大鹿、リーヴィはある時この村に
やってきて、大鹿と一騎打ちを行なった。
七日の夜は月が輝いていた。黄金の丸盾にも似る月が輝いていた。大鹿は村に下りてくると、神とも思える凛々しい
リーヴィと対峙し、蹄を振り上げて地面に打ちつける。口からは荒い息を吐いた。神に等しいリーヴィは風とも紛う速さで
剣を抜くと、躊躇いもなく大鹿へと向かっていった。剣は大鹿の角と触れ合った、人の住みかを打ち壊す大鹿の角は、
リーヴィの剣と触れあい、これまで自身が人の家にしてきたように、粉々に打ち果てた。怒り狂う大鹿は蹄をば勢い
凄まじく英雄リーヴィの胸に打つと、彼は肺を痛めつけられて、口元から血の霧が迸る。けれども彼はそれでますます
奮い立ち、金剛石の手に握った剣を走らせ大鹿の顔を打った。大鹿は歯を砕かれて、血を撒き散らしながら神に等しい
リーヴィから退く。彼は恐れを知らず、いと荒ぶる剣を両手で振るい、大鹿の蹄を斬りつけると大樹のように巨大な蹄は、
神に等しいリーヴィの剣によって寸断され、大地にぽとりと落ちる。大鹿の巨躯から山を揺さぶるような悲鳴が放たれる。
大気が震えて洪水のようにリーヴィの耳元に響き渡った。リーヴィは金剛石の腕を、巨大な弓が長い矢をつがえて
引き絞るように大きくしならせると、大鹿の頭へと、剣を、握る拳ごと振るい落としてその巨大な命を片手で終らせた。
お前さんはこの神に等しいリーヴィだというのか、ええ」
「ところが僕はリーヴィという名前なのだ」
旅人は答え白した。
「世界を渡る大海を動かすようなことをしたこともあれば蝿を片手で潰すようなことをしたこともある、山の大鹿を倒すことだって
あったかもしれない」
「なんたる大言と些事!」
また、奴隷商人ルビィは不審を露わにリーヴィと名乗る旅人に食って掛かる、罵詈のトマト&パイを投げつつも、彼女は
その人を試すように次のような提案を行なう。
「いいかね小汚い旅人。あたしはね、英雄の名前だけで心を奪われる軟弱で移り気ある、若い娘じゃないし、そんなありきたりの
引っ掛け術のようなもので心を開くと思ったら大間違いだ。そりゃ、まるきり信じないほど経験豊富ってわけじゃないさ。あたしだって
何か確信あってあんたを疑うわけじゃない。でもね、実力を見れば名前なんて関係なしに、それなりのものだと信じられるだろうよ。
この街から外に出て、道なりに添っていくと森と山が道を阻む。山には険しいながらに人の通る道があってね。あたしも、そこから
たくさんの奴隷を率いてこの街に来た。ところがその途中、突然道の前に立ちはだかった骨覗く獣のように貪欲な者たちの影、数多くの
山賊が現れ、あたしの愛しい奴隷たちや数多くの金品を奪っていった! あたしの命助かったのはただの幸運。そしてだね、この街で訊ねれば、
あたしの前に忌わしいあいつらが現れたのはけして偶然なんかじゃない、あの山と森はあいつらの根城だったのさ。
だから今のあたしは困っている。もしもあんたが、あたしのものだったはずの奴隷や金品を山賊どもから取り返してくれるのなら、あんたを
英雄リーヴィだと呼んでもいいし、五十金貨の価値ある奴隷を無償であげてもいいけどね」
旅人は奴隷商人の顔を覗き込む。彼女は猪のように挑戦的な瞳を旅人へと差し向け、荒い息をついて闘志を剥き出しに
していた。さながら闘技場の勇士が、命を賭けた戦いを逃げることも怯むこともできないならば、一歩たりとも退かぬと心に
決めて猛然果敢に挑みかかるように。なるほど、ここまでの心意気があるのならば、この女性がただ一人の奴隷のみを
持つというのは信じがたい、ルビィの言葉に嘘偽りはあるまいと。
かの旅人は確信して満足げに頷いた。
「その言葉は撤回を許さないものになるけれど。それでもかまわないかな」
「かまわないね。冥界の女神にかけて。だけど、誰が聞いても、お前さんのほうが信じられないよ。お前さんは誓えるかい」
「我が父と冥界の女神の名にかけて」
「お前さん、そりゃだめだ。狼リュコスの神は裏切りの神でもあるのだよ」
「それでは愛の女神の姉妹、エリューニュスの名にかけて」
さて、旅人は猪の皮袋に手にした本を放り込み、両の手で、重く輝く剣を手にする。柄を握った時力一杯に握り締めたせいか、
掌に篭った空気が大きな音を立てて霧散した。そして剣を握り締めた旅人は、まさに英雄と呼ぶに相応しい雰囲気を作り上げ、
かような者の前に立ちはだかることなど及びもしない、強大な力を見せつける。瞳は鋭く輝いて、男性のような肩は呼吸と共に上下する。
風が吹いたとしても重い剣に触れあい、避けていく、 この屈強なる旅人を。
「では行ってくるね。確認すると、君の奴隷と金品を取り戻せばいいわけだ」
「そ、そうだね。それが、あんたに、できるのならば」
言葉つかえつつ、旅人から顔を背ける奴隷商人のルビィ。ほんの少し青ざめている、その痩せた顔ではさながら亡霊の面。旅人は
両の手に握り締めた剣を振るわせると、彼女の傍らに控えていた奴隷の少女の首を縛りとめる皮の縄を断ち切って、それから
大きな背中を二人に向けて歩き出す。
「そうすれば、その子を無償で僕にくれるのだね」
「……」
奴隷商人は頷く。
旅人は、それを聞いて、奴隷の少女に笑いかけた。
「それでは行ってきますよ、愛らしいニンフのお嬢さん。君の笑顔を見るために、僕は寂しいけれど、
少しお別れしなくてはならない。けれどもそのかわゆいらしさは失っては欲しくないから、どうか僕が戻ってくる
までは元気でいてね、お願いだよ」
このように告げると、旅人は街の外へと歩き始める。奴隷商人とその奴隷は静かにその後ろ姿を見送っていたの
だけれど、一人は疑心暗鬼のまま旅人に己の利益を取り戻す僅かな希望を託し、もう一人は優しい言葉を投げかけて
くれた人の安全を祈っていた。
第二章旅人が盗賊退治に山へ出かけること。旅人が盗賊にリーヴィと名乗ること。盗賊たちを退治すること。リーヴィ、乞食の少女を貰い受けること。乞食の少女にセレスと名づけること。セレスの父アイデースの物語(前)。
三度呼ぶ。この街の名前はジュビル。三方を森と山に囲まれている街である。山は高く広く連なり、森は地平線の果てまでも
伸びる。かつ結ぶ緑の薫立つ風、優雅に空を舞う花びらや野草、麗しき果実などの芳香はシルフたちの掌の上よ。
ところで旅人は街から外に出ると街路に沿って、山と森とに囲まれた道を一人足並みそろえて歩いていた。その途中には、
ひらひらと可憐な蝶が飛び、また良く肥えた立派な牛が唸るように声を張り上げていた。さてこれはいかなる意味であろうか。
一抹の不安を抱えつつも旅人は歩いていく。旅人の足元はいつしか湿った土から固い岩へと変わり始めて、整えられた街路を
進むにつれ、山の影が差し掛かっていく。人の姿も見受けなくなった頃には。今度は獣たちの姿が見え始めた、山に住む小動物などは、
愛らしくも臆病な獣、兎や山猫たちは遠目に旅人の様子を窺いながら距離を縮めようとしない。警戒心を持ちつつも、小動物たちは
幼子が見ず知らずの大人にそうするように、不思議そうに旅人を見つめていた。
ノウサギやリスのこげ茶色は、山の野と良く映えて。そこに元気な草花が息づいているようだった。また、鷹、隼などの颯爽とした
鳥たちが山の中腹を舞えば、十字模様の影が地を滑り、パッと開いた両翼から漏れ出る日の光は、星屑のよう。
さらに行き行きて、旅人はふいに己の腹に不足感を覚える。雲よりも高い日を見上げれば、その方角から察するに、どうやら只今は
おやつらしい。御八つの頃。おあいの物に、食べるものとはパンや果物、肉や穀物。朝昼夜との隙間にも、それらを取るということについて、
地方独特の風習ではあるけれど、またなかなかに面白く。いつの間にか、その時刻にお菓子を食べるようになったという国もあり、
いやはやなんとも興味深い。
さてさて旅人は山では所々に育ち伸びる筍を見つけ、手に持つ剣でザックザックと、宝のように掘り返し、軽く皮を剥いでから、もぐもぐ
食べはじめる。唇から顎まで大きな大きな筍が覆い、正面から見ると、旅人は瞼だけが動いて、後は筍が少しずつ食べられていく。やがて
頬を膨らませつつ、旅人はまだ口を動かしていたが、どうやらすべて喉元を通過した。お腹いっぱいになり元気に歩き始めた旅人、
筍を食べて草を踏みつつ歩き始めた旅人は、はたして半由旬ほどの距離を進み、そこで盗賊たちに出会った。
さらにさらに、歩み進めばそこは入り組んだ道。左に逸れたり右に逸れたりと忙しく回っていたとき、
とりわけ堅い木々が松毬のように密集して集まるところで、辺りは木々、足元は濃い色の黒が広がっている。
そして愛らしい獣たちの声がふいに聞こえなくなり、ふと旅人が立ち止まったとき、彼らは突然その多数なる姿を現し、
大声を張りたてて旅人の周囲を取り囲んだ。歌のように激しく彼らは叫ぶ、
「我らは盗賊、暴力の化身!」
剣を打ち鳴らし、足音響かせて。それは木々を駆け巡る轟音。
「聞けよ 者ども、
恐れよ 弱者、
身に纏う
それは何ぞ?
服か宝石
我らの獲物
剥ぎ取れ
削ぎ取れ
奪い取れ
命や 財産
そのすべて
災いは
汝の元へと舞い降りた
恐れろ、恐れろ弱者、
さあ悲鳴を聞かせろ、
我らは盗賊、暴力の化身!」
そこまで述べると、盗賊の一人が声激しく叫び、木霊たちが同調する。
「我らは何ぞ!」
十の木霊が同じ言葉を叫び、盗賊たちが負けずと大声で返事を返す。
「我らは盗賊。銑の銘銘、鉾は鋭し、この鉄槌鎮らぬ。金鉢あるなら、さあ銭をだせ」
そして何重もの木霊。続けてまた、木霊を弾け飛ばすほどの大声で盗賊の一人が叫ぶ。
「我らは何ぞ!」
そして彼らは声を揃えて高らかに、
「我らは盗賊。利剣の刑は、則ち割刎、刺して刻んで削れば到る」
彼らの声に合わせて木霊も高らかに駆け巡り、それは限界を知らず広がっていく。
まるで山を覆うような、豪雨に似た叫びが空気を震わせて、風を彼らの色に染め上げた。
「我らは何ぞ、我らは盗賊!」
皆々いっせいに、空気を吸い。強く、激しく吐き出す。
さながらそれは龍の炎。銅鑼をゴンゴン叩きつつ、木霊を打ち破り、木々の葉を震わせるほど高らかに。
「午は南の博しにて、千の半ばが卓につき、単にあらざる卒卍、卑しくしても協はある!」
さあ盗賊の一人が旅人を向いて、鈍く輝く曲刀を片手に問う。たった一人の旅人を、多勢が囲めば抜け道はなく、
退路は木々に立たれてまさしく窮地、それが道案内を頼むような、穏やかな『Excuse me』ならまだしも、なんとも
恐ろしい赤黒とした舌を剥きだしに、まさしく不穏な問いで彼らは要求する。
「旅人よ、お前の手にしている品々の、お前の背負った皮袋の中は、旅人よ、その価値を問う、お前の命の重さ
ほどもあるか」
旅人答えて曰く、
「さてもさても。人の命を天秤に、かけることの難しさ。赤子の命と年寄りの、はたしてどちらが重いのか。善と悪との
命について、どちらが重きものなのか。
僕は答えを知らないだけに、これはとても答えにくい」
「命の重さを知らぬというか。命とは即ち、叩き集めて作るもの。それから善と悪との命についてはこれ明白、悪の命に
違いなし。何故なら善という字は口が支えになっているが、悪は心が支えとなっているから」
「なるほど。ところで君たちはフランスに行ったことはあるかい。プラチナとイリジウムの合金というものを知っているだろうか」
「どこだ、一体お前の申すその場所は、その物体は。別大陸の話をされても困るぞ、我らは盗賊」
盗賊たちの答えに旅人頷き、ここまで話すと旅人は、盗賊たちへとその両手に握り締めた剣を振り上げこう言った。旅人は
挑戦的に、
「この剣の重さについて、知りたい者は僕に近づいてみるがいい。お前たちの、首を砕くほどもあり、胸を貫くほどもあり、
頭を割るほどもあるこの剣の重さについて」
「なに? お前は何者だ、大胆不敵にそんなことを我ら盗賊に告げるお前は」
そのときに清らかな調べと共に、木霊は、旅人に合わせて唄う、パアンがかつて愛したような、それは美しい声にして。
凛々しい、男にも似る女の声よ。
「我はリーヴィ!」
言い放つや旅人、輝かんばかりの剣を抜き放ち、鬨の声高らかに(モンジョワ!)、神とも紛うその艶やかな身を
天空に翻して、四方取り巻く山の木々ども、その中で一つ他を圧倒し、孤高にそびえ立つ緑豊かな大樹が雲を
突き抜けた先の小枝へ、いまや旅人ことリーヴィ、長い二本の足にてすっくと立つ。
その鳥のような跳躍は一陣の突風を天に叩きつける、太陽伯爵はサンサンと旅人を照らしその身を黄金に輝かす。
鋭い風音と共に、取り囲む木々の青々とした葉葉は騒ぎ立ち、はたして味方この身一つの旅人ではあるが、木霊と
木々と風との合唱に演奏される戦いの応援歌、百人力以上に力みなぎるものである。
「いくぞ盗賊たち。誰彼問わず、何故に手に握り締めた剣の切れ味をゆるめようか。僕の剣は養父より授けられた。
刀匠こそ神なる剣、旅立ちの助けにと二つばかりの品を与えられた、その一つ。この剣は即ち、剛きことこの上ない。
さあいくぞ。この剣の誉れある造り手にかけて、僕はお前たちを倒し、奴隷商人ルビィの奪われた財産を取り戻して
みせよう!」
参られよ。今こそリーヴィの勢いは豹にも獅子にも勝る、溢れる敵はこの山彩る樹木の数ほどもあり、何十もの
盗賊たちが、鋭い牙なる剣や弓を、同じ数だけ猟犬のように従えて。リーヴィ陣、たった一人の味方のみ。彼女の味方は
己が身体のみ、彼女の武器は養父より授かりし剣のみ。けれども大樹の天から根元へ、さっと隼のように舞い降りれば、
地に脚をつきし時、その足元から土埃が霧のように舞い上がり、辺りは暗く閉ざされる。はっと思えば盗賊たちは、
首めぐらして目に捕らえる限りにもリーヴィの姿形隠れて見えず、ましてや仲間の影にすら、打ちかかろうとしてしまうほどの
混乱ぶり。
さてはてリーヴィ、手に握り締めたる剣の重さはしかと感じ、目に止まる盗賊の影へと大鹿の角のように振り上げては
振り下ろす。その刃は砂を断ち、盗賊の一人の手をバッと切り落とし、土埃に入り交じりしは筋斬られた手の赤々とした血と
痛みの叫び、仲間を斬られたことを悟り盗賊たちは怒りに狂うが、その憎き敵であるリーヴィはいまだ見つからず。やがては
二人目の手も打ち据えられる。
かつてないほどの混乱振りは、ただ一人の旅人の手によって引き起こされ、また盗賊たちはやっきになって、敵と思しき影へと
注視も躊躇もなく殴りかかり、互いに傷つけあいながらも、やがてはリーヴィを突き止める。けれどもリーヴィは見つけられたとて、
動じることなく、さあいざ覚悟せよと四方より切りかかりし盗賊の刃を、一つ素手で受け止めて、一つ剣で受け止めて、二つ受け止めた
敵の刃を以って防ぎきる。
チャンバラドッタン、チャンバラドッタン。これは! なんたることか、彼ら盗賊が猟犬であるというのなら、リーヴィは虎ともいうべきか、
象ともいうべきだろうか。どれほど彼らが立ち向かおうと大樹の幹にそよ風が吹きつけるようにまるで動じず、彼ら自身の牙を折っていく。
剣を翻しては一分の隙なく盗賊を打ち、手の骨を折られたものは痛みに喘いで地面をのたうつ、腕を斬られたものもまた、地面に落ちた
自分の手を拾う間もなくすごすご彼女の前から引き下がる。
盗賊の頭は三人居て。そのうちの一人は白髪頭のイクビスという男で、長々とした立派な髭を生やしていた。彼は剛勇を誇り、
盗賊たちの中でもひときわ強く、猪を三匹持ち上げるほどの力をその身に備えていたが、いざ、彼が剣を取りリーヴィに打ちかかると、
神に等しきリーヴィによって、やはり己は人の身であると思い知らされることになった。
二度三度、剣を交わせばイクビスの、顔に焦燥募り積もる、青ざめた顔はやがては苦しみに喘ぎ始め、さてリーヴィが閃く剣で
彼の胸をトンと突けば、それを防ぐこと既に叶わず、髭を赤く濡らしつつ、イクビスの身体は地に伏した。
「なんたる無念、かような大将を亡くすとは!」
ここにイクビスが倒れたのを受け、盗賊たちがざわめきたち、ある者は逃げて足跡帰さず、ある者は脅え遠目に離れる、
けれどもそれを制すが如くに立ち現れたるは盗賊の頭が一人のエスト。智慧に優れる若きこの者は、奴隷商人ルビィを
道中に襲ったその首謀者、その功績を認められ彼女の荷物を半分ほど手にしていた。
若きエストは果敢にも、輝かんばかりの斧を手にリーヴィに向かって振り下ろす。風を引き裂き土埃を打ち砕く、
猛牛が如く勢いは、リーヴィの握りし重い剣に打ち当たり、トライアングルのように響き渡る音を奏でてその勢いを
殺された。そして力強きリーヴィが、大きくエストの斧を弾き飛ばせば、「ととっ」とよろめいたその時に、重い剣が
目の前を横切り、刃の先が喉を通り過ぎる。それと共に目の前を闇が包み込んだ。
「かくなれば味方の損害、いよいよ極まれる!」
二人の盗賊が倒れれば、ついに盗賊たちの逃亡は洪水のように歯止めを知らず。我先にと押し合い駆け出し、騒ぎながら、
リーヴィを背中に走り去る。リーヴィ追わずして、ただ一人残る盗賊見据えて剣をまた深く握り締めた。
その盗賊とはアイジェムと名乗る、盗賊の頭が最後の一人。その長身は人の背丈にあらじ、何と青年五人分。目を夜鳴く梟のように
ぎらつかせ、身の丈ほどもある支柱のような剣を振るい山狼の爪を見せびらかす、髪は長くそれは炎のように乱暴に乱れ、鼻息の
荒さは馬のよう。さてリーヴィに立ち向かい、彼は狂気に襲われた牛の如く逸した走りで突進し、その長く重々しい剣を振るえば、
土埃は舞い上がり、風は低く唸り声を鳴らして、リーヴィの神細工なる剣と触れあい轟音を鳴り連ねる。その木霊は四方に届き、
草木は脅え震え隠れた。
リーヴィは片手に握り締めた剣を両手に持ち直し、さあ怒れる瞳のアイジェムへと斬りかかる。怒れる瞳のアイジェム、これを
大剣で受け止めて、リーヴィの脛めがけて斬りつけん。リーヴィそれを避けて飛べば、高き太陽伯爵より差し込む木漏れ日、
そのまぶしい明りがかの英雄を取り巻いて、「あっ」と敵アイジェムが闇の瞼を細めたその合間、リーヴィは土に足乗せる。
再び向き合いてリーヴィ、アイジェム、両者は共に躍りかかる。見よ、この荒ぶる獅子二人。剣に込めしは殺意と狂気、
ただ相手を倒すことのみの一心に、身も心も鬼として、さても二人の戦士は剣に己の命をかけて振るい果たす。
リーヴィ、その輝く剣を振るいアイジェムに挑みかかれば彼の頬を血潮に染めて、アイジェム、大剣を猛威に振るって
リーヴィに襲い掛かれば、英雄の身体を覆う衣は心臓間近で引き裂かれぬ。互いの身体は傷つけ合い、お互いの阿世と
返り赤に染まり、もはや血塗れていないところは二石一対の輝く瞳のみ。ただそこばかりは太陽よりも輝いて、月よりも
美しく煌いて。
ここでリーヴィは魔術を唱え、己の身体に守護を儲け、再びアイジェムに挑めば、アイジェム荒ぶる意志のままに大剣を
振るってこれに立ち向かう。けれどもリーヴィがその輝く神の剣を横薙ぎに振るうと、魔術の効果を伴って、アイジェムの剣は
リーヴィを外れて空を切り、リーヴィは果たして、見事アイジェムの首を切った。
リーヴィの唱えし魔術は養父より授けられたる力、己の身に不可視の守護を宿すもの。剛勇なるアイジェムの大剣、狙い定めて
打とうにも、リーヴィの守護はなはだ強く、無常にも剣は役目果たせず。さてはリーヴィの剣こそ、アイジェムが首の骨を断ち切らん。
これにてリーヴィは盗賊たちを退けて、その後その場に倒れている盗賊たちから聞き出した所にて奴隷商人ルビィの奪われた財産を
取り戻し、無事の五体で街へと凱旋した。
リーヴィが奴隷商人ルビィの下へと立ち戻ったとき、奴隷商人ルビィ、はたして病に倒れていたため、このせっかくの
財産をすぐには取り戻せなかった。その病とは盲腸で、このジュビルに治せる医者はなく、実に二週間に渡る苦痛の末に、
山賊を倒し街へと帰って来たリーヴィによって助け出される。
ところで奴隷商人のルビィはこの二週間ほとんど何も食べておらず、頬は痩せこけ目元はくぼみ、苦痛に怒りを露わにした
幽鬼の顔立ちであったものを、癒されてのち徐々に血色もよくなって、どんな女、山椒大夫が大丈夫。この裕福となった
奴隷商人は元通りの顔、それは素晴らしい若さに満ち溢れた美しい顔へと変わった。
ルビィの死んだようになっていた瞳は生気を宿して光り輝き、痩せた頬は桜色に息づき滑らかになる。いつも何かを
睨みつけていた瞳は優しく勝気な笑顔をつくり、紫色だった唇は花のように魅力的な色を咲かす。スファトンとボセム、
女の味方である精霊たちを従えて、顔全体が少量のお酒を飲んだようにほんのりと桜色に染まったその顔は、鶏の心に
似る宝石よりも綺麗なものだった。
リーヴィが約束を果たしてもらおうと、元気になったルビィの元を訪れた時に、彼女は旅人の姿に微笑んで牝牛の
瞳とてふてふの華やかさで言うには、「さて。仕方ない、リーヴィと呼ぼうか、あんたのことを」と。
その上で旅人であるリーヴィに申し上げる、
「あたしの失った財産を、今この手に戻したからには、もはや小さな娘の奴隷の一人など、さしたる損害ではない。
どうぞご自由に扱ってくれればいいさ」
リーヴィ、かような言葉を受けて、奴隷商人のルビィに礼を述べると、奴隷の少女の元へと馳せ参り、首の縄を
断ち切れば、己の手中に少女を迎え入れた。
その後リーヴィは汚れ着の少女に向けて「名前は?」と尋ねるけれど、拾われた少女に名前はなし。さても悩み
考えたリーヴィは、少女に、一度迷い込んだ暗黒の森を抜けた先に閃いた名前をつけ、その身と心を愛でて
セレスと呼ぶ。
かくして旅人の英雄リーヴィは、セレスと呼ばれる少女を己の旅の共として、連れ立ちどのような路にも
日の昇る限り並ぶ大小二つの影、いつまでも離れることはなかった。
今一度。過去へと遡れば、これはセレスの物語。この少女に幸いあれ、栄える名誉を与えたまえ。この世にあって比類なき
将軍と、暑い炎の国に坐る王妃との間に生まれた子供であり、その血は黄金色に染まりあがった高貴の身分のもの。
その出生はあまり喜ばしいものとは言い難い。何故なら、将軍の護る国タルロウンスと太陽の沈まぬ国で女王の椅子を
繋ぎとめるヘスペーデスとは、お互いに憎しみ合い剣を向けて傷つけあう仲だったから。それは子供同士のみならず、猫や犬、
鼠の一匹にも及ぶほどの敵対関係。タルロウンスの鼠はヘスペーデスの猫を多数で取り囲んで食い散らかし、ヘスペーデスの
猫はタルロウンスの犬を鋭い爪で引き裂き殺める。
とりわけ、将軍や女王などといった国の主の憎しみは下々を合わせたよりも深く、太陽よりも熱く、烏の喪服よりも黒い。
戦の種は日々尽きず、他国の仲裁で何らかの会議が開かれたときでも両国の外交官は全身を覆う赤の服を着ることが
義務づけられた。そうしなくては、お互いに敵の血を望み腰の剣を抜き出して挑みかかる、命のやり取りが許されなければ
トマトや赤ペンキを投げつけるということが明白だったから。
しかし時には稀有な価値ある心の持ち主が、歴史の表舞台に上がることがあるもの。葡萄の豊作な年に生まれた
タルロウンスの将軍、セレスの父のアイデース(という名前だった、)まさにそのような価値ある心の人だった。彼は将軍の
家に生まれて後、しばらくルナヴィーブルの王妃、慎重なるカミアナの元へ預けられた。王妃であり養い母の彼女は
幼いアイデースに武術と歌、七日で痩せる健康的なダイエットの方法などを教え、とりわけ熱心な教師だったのが、
キャベツの料理法と白夜の国ヘスペーデスの情熱的な恋愛の歌についてだった。王妃カミアナの住む国ルナヴィーブルは
四季の移り変わりが顕著な国だったので、常に熱いヘスペーデスという国は王妃の憧れであり、その国の熱が閉じ込められた
ような熱い恋の歌は深く王妃の心をうったのである。
それは例えば次のような歌、
あなたさま あなたさま胸に抱く仔羊を
いかになさるのです いかようにも吾が心を
支配したるは君の微笑み 知らずに捕らえる君は
手のひら熱く鍛冶の鉄すら 天の太陽にすら勝る
累月に及び 瑠璃色を零すこれ恋心
縷縷消えず低徊迷う私愛にて 稚かれければ扱わしもの
子羊挑む この愛しさは
白夜の絶えなき すまい顔
さて、カミアナ王妃はこういった歌をヘスペーデス国、タウロウンス国、ルナヴィーブル国の三ヵ国の言葉を
用いて少年アイデースに教え、ヘスペーデス国の歌がいかに楽しく面白いか、ということをいつも語っていた。
少年アイデースも、子供ながらにヘスペーデス国の歌が愉快で心弾むものだと思ったので、歌の国を
想像しながら思いを馳せていた。
やがてアイデースが成長して本国に帰るとき、カミアナ王妃が少年の母国タウロウンスと白夜の国ヘスペーデスの
敵対関係を教えたところ、彼は深く悲しみ、本国から王妃に向けて悲しみの歌を送ったという。
白梨に過ごした幼子よ
波溜む子供の無力なれ
悲しみの永い航海は明日から続き
憎き御名も我が心には未だ夢
苦しみ喘がんこの胸は我がものとも思えず
餓死せし身上など天の誘い
我のみかと知るも恋歌の技を狂う嘆きと心得るのは!
カミアナ王妃はこのとき四十一歳。これを見て心中ひどく悲しみなさったが、しかしアイデースの身を気遣い、クリヴァの
許しを得たのち、上等の牛を十頭と良いミルクを絞る羊を十二頭、それと海の大魚や燕の巣などの高級品を、タルロウンスの
アイデースに向けて送り、彼の傷ついた心を慰めようと試みた。それは次第に効果をあげて、タルロウンスに帰った当初は
悲しみの深さに何も喉を通らなかったアイデースも、やがて少しづつ物を食べるようになっていった。
やがて時も過ぎてアイデースが将軍となった後、彼とヘスペーデスの女王の、悲劇の発端となる邂逅がもたらされたのである。
(第二章終わり)
続きます
あぼーん
雲の無い空は冬にしては珍しい。寒空の下、私は親友を待っていた。
親しい友という奴だ。それは私にとってでもあり、彼女にとってでもある
彼女と私は小学生の頃から仲が良く、気付けば高校までも一緒になっていた
うん、そう。親友。それは誤魔化された言葉でしかないのに
ふううぅ。教室の窓から外へ息を吐くと、息は白く飛び去っていった
窓から下を見ると、女子生徒達が仲よさそうに下校している
きっと、ああであるべきなんだ。嘘はいけないね、と一人呟く
彼女にとって私は親友でしかないけど、私にとっては恋人
がらら、と立て付けの悪い扉が開く音がした。他でもない、待ち人だ
「ごめんね、なんだか待たせちゃって。」
彼女はばつの悪そうな苦笑をしていた。私は笑顔で答える
『いいよ。それにしても何?急に学校に残れなんて言ってさ』
「いや、それがね。」
彼女は開きっぱなしになった窓を見て目を細める。
「寒くないの?」
『ん?別に。今日はあったかいじゃん。』
「そうだね。昨日は、あんなに冷え込んだってのにね」
私は話の内容がずれても気にしなかった。好きな人との会話って嫌じゃない
それが何であろうと、そうなるようになっているのだろうか
「ま、それはさておき。呼んだ理由は他でもないんだよね」
彼女は制服の懐を探り、白い何かを取り出した。それは・・・・・・
「何に見える?」
『手紙?それともあなたの食料のどっちか』
「あはは、残念。もしもこれが食べれるならもうここにはないよ」
『そうだね。よく見ると歯型すら無いもんね』
二人で少し笑った後、彼女は目線を落とし、口元を引き締めた
何だか嫌な予感がした。私の女の感は外れやすいから、是非外れて欲しい
そして、彼女は私の目を見つめた
「これはね、ラブレターなんだ」
別に、ラブレターという言葉に嫌な思い出があるわけじゃない
だけど、彼女の口からそれが出た途端、私は何だか苦しくなった
誰にとか、誰からとか、そうじゃなくて
ただ、・・・、きっと、羨ましいだけ。その恋文自体が
「で、これがまたね、女の子からなの。部活の後輩、から」
私は自分がどんな表情をしているのか分からなくなった
だって、胸の中がこんなにもぐるぐる回ってるなんて初めてだから
嫌な予感がしたけど、やっぱり感の悪い私は外してしまった。
何でだろ。さっきの羨ましさが切なさに変わってる
『ラブレターなんて、ドラマでしか見たこと無いよ』
私は精一杯の強がりを吐いた。彼女に告白した人がいる
その人は私と同じ様に、女の子を女の子として、好きになった
ぐるぐるぐるぐるるる。頭が、ちょっとだけ痛い
「しかも後輩の女の子だからね。びっくりしたよ」
『・・・、きっと、彼女は苦しんだと思う』
彼女は私の言葉を聞いて、また少し苦笑いした
「うん。そうだよね。」
『後輩さんは、悩んで、迷って、想いを伝えたんだよ。きっとね』
「うん。」
『・・・・・・。』
涙ぐみそうになるのを堪える。何の涙か、分からない
それでもこの涙は偽者じゃない。本当に泣きたくて、こぼれそうになる本物の涙
彼女は手紙を見つめると、優しく微笑んだ
私が大好きな、彼女の表情だ。
彼女は女に想われて、何と思っているのだろう
『でさ、彼女には何て答えるの?』
「それなんだけどね。もう返事は済ませてきたの。」
どうやら、予感はことごとく外れていくらしい
「さっきまで後輩と会っててね。遅れちゃったってわけ」
『・・・、そ、そうなの』
彼女は相変わらず微笑みながら私を見つめた。どうしよう
いつもはこんなことないのに、どこを見て喋ればいいか分からない
もう、彼女は答えを出した。既にそれは存在している
『二つ質問。何て答えたの?何で私を残らしたの?』
数秒、静寂が教室を包んだ。騒がしい放課後からここだけ隔離されている
彼女は静かに答えてくれた
「断ったよ。後輩はしばらく泣いてから謝ってきたの。ごめんなさいって」
何度目だろう。また、ばつの悪い表情をした
人の好意を捨てた。罪悪感に駆られているのだろうか
「おかしいよね。ただ気持ちを伝えただけなのに謝る必要なんかないって何度も言った」
「それでも謝るからさ、落ち着くのにちょっと時間がかかっちゃった」
そこには同性から告白されたという事実に囚われない人がいた
『でも何で断ったの?今の台詞から察するに女だから、っていう理由じゃなさそうだし』
「・・・。そうだね。私も凄く困ったよ。自分の気持ちを後輩に説明するのにさ」
彼女は私から目をそらし、窓の外を、その遠くを見つめる
夕日に照らされた横顔は、少し悲しそう
「後輩にも、女だからだめかって言われてね。そうじゃない、そうじゃないよ、って」
「その時可笑しいけど、何故だかあんたの顔を思い浮かべたの。」
「今の私には好きな人はいないけど、もしも好きになる人がいるなら、あんたかなって」
「そのことを後輩に言うと、よほど素敵な方なんですね、だって。」
あははと笑うと、彼女は私の方を向いた
「正直ね、何で断ったのかよく分からない。けど。」
彼女は照れているのか、頬を指で数度かいた。
「あんたがいたから、断った。それを伝えようと思ってね」
勝手なことを言うよ。私がいたから、断ったなんて
私だってあなたのことが好きで、好きで仕方ないのに。
それを槍玉に告白断るなんて。
『私のことが好きなの・・・?』
ぽろりと言葉が口からこぼれた。何を言ってるんだ、私は!
言う台詞が違う。私はあなたのことが好き、言うならこう
だけど、それは言わないって、ずっと片思いでいるって決めた
「勿論好きに決まってるじゃない。あんたがいないと困るよ」
『・・・・・・、そうじゃなくて。』
「ん?うん、好きだよ。他に意味なんてあるの?」
私はもう悟るべきなんだ。彼女にとって私は親友。そういう、好き
そして困ったことに、彼女は”好き”を未だ混合している
後輩から彼女への好きと彼女から私への好きを区別していない
だからこそ同性とか異性とかそういう括りさえ彼女にはないのかもしれない
私は彼女の目を見る。まだ少し照れている彼女を見て、肩に入っていた力が抜けた
だって私もそんなあなたが好きだから
『まあ、いいや。でも後輩さんにはこれからどう接するの?』
「今まで通りにするよ。」
『そっか。』
あなたならできる。今までと変わらない日常が
もしも、もしもだけど、私が告白したとしても・・・・・・
・・・。よそう、だって私はあなたの親友だものね
「じゃあね、また明日。」
『ん。明日もいつも通り、駅でね。』
今日は疲れた。だけど私の中では大きな変化があった
やっぱりこの想いはずっと秘めていよう。彼女の顔を見て、思う
「あ、ちょっと待って。」
『なに・・・。!?』
突然、彼女は私のほっぺに軽くキスをした
唇は柔らかく、そして何故かそれを甘いと感じた私がいる
『いきなり、なに!?』
「今日は色々あったからさ。ほら、昔一回してくれたじゃない?」
顔が真っ赤になる。あれは中学の時、自分の感情を抑えきれず一回してしまったのだ
私は冗談めいた感じにして誤魔化したけど、あの頃からか、思いが変わっていたのは
「あはは、顔真っ赤だね。じゃあね!」
彼女も半ば照れながら、そそくさと帰っていった
私はキスされた場所を指でなぞる。全く、本当に困ったものだ
こんなことしたらせっかく親友としているって思いがくずれるでしょうよ
決して届かないこの思い
私は自分が泣いていると気付くのに時間がかかった。
今日一日溜めた涙があふれてきた。何年ぶりか子供の様に泣いた
好き、好き、好き。感情が制御しきれそうに無い
でも、彼女は私のことを好きでいてくれるんだ。親友として
私も親友でいよう。今度こそ想いは揺らがせない
私は彼女の横にいられれば幸せ。
最後に彼女がした冗談のキスは、甘くてしょっぱかった
明日も会うって約束したんだ。こんなとこで泣いてたら風邪をひいちゃう
明日、彼女に会える。それだけで私はお腹一杯だよ
おわり
149 :
tow:2006/02/18(土) 21:52:05 ID:8rFdnJbj
さちとあずさが出会ったのは、
クラス替えがきっかけ。つい1年前のことだ。
『出会わなければ・・』とたまにさちは思う。
出会わなければ。これほど苦しい恋をすることはなかった。
『いや、それでも―――』
それでも。出会ってよかったと、結局いつもさちは思う。
あずさに出会わなかった時の自分の人生なんて、今更考えられないのだ。
自分の思いに気付いたはいつだっただろう。
女を好きになるなんて・・などという気負いは一切感じなかった。
たださちの中で1つ確かなことは、
自分はあずさだから、好きになったのだということ。
さちがこれまで好きになった人はみんな男、彼氏がいたこともある。
あずさは恋愛経験はないといっていた。
あずさは、人に好かれる人間だ。
ただ、“男として恋愛対象としては見れないタイプ”。
あずさはそうゆう部類にはいるのだろう。
あずさ自身、恋や愛には執着しない人間なんだろう、と
好きな人の顔を思い浮かべて、さちはわずかに微笑んだ。
季節は3月中旬。
お互い晴れて第1志望の大学に合格し、
他学年より少し長い春休みを満喫している。
今、さちはあずさを待っていた。
お互い昔の友達というものをいつまでもひっぱるタイプではない。
離れてしまえば、切れてしまう縁。
『それなら――』と思ったのだ。
自分の思いを、伝えようと。
そして、彼女は今日、うちに来る。
150 :
tow:2006/02/18(土) 22:06:24 ID:8rFdnJbj
「しっかし1人暮らしってのもいろいろきついんじゃないのー?
あたしにはゼッテー無理」
約束より少し遅れて、彼女は来た。
2人で食事をして、映画を見て、テレビを見て、他愛無い話をして。
夕日も傾きかけてる時刻だ。
「あー、あずにはきついかも」
「そこ肯定すんのかよ」
『大好き』あずさと会話をしている時、
さちは無言でいつもそう、話しかけている。
「さちと会えなくなるのはさみしぃな〜」
わかっている。あずさは決して、こんなことを思う人間ではない。
だけど冗談でも、さちは嬉しくて仕方ないのだ。
「あたしもさみしぃよー。あずと会えなくなると。」
―――沈黙―――
「っまぁ、まぁまた夏休みとか―」
あず・・・あず。
「好きだよ。」
「え?」
「あたし、あずが好きなの。」
151 :
tow:2006/02/20(月) 20:39:47 ID:KiY2cLkT
「・・どうゆう・」
「“そうゆう”意味」
「女です・・・が・。」
「わかっています。」
あずさはいつもそうだ、
こんな話でさえ、
どこかひとをくってかかるようなところがある。
真面目に告白したって
聞いてもらえないのだ。
そんなことは、さちはわかっていた。
『もうそろそろ・・』
だんだん朦朧としてきているようだ。
『ごめん、あず。
ごめんだけどやっぱり・・』
睡眠薬は、確実に効き始めている。
152 :
tow:2006/03/01(水) 23:21:03 ID:N80O32xG
女にしては、あずさは背が高いほうだ。
162か3はある。そのくせ細い。
さちは155cm。
『やっぱ、軽いよなぁ・・』
あずさをベッドに運びながら、
さちはそんなことを考えていた。
あず。
可愛い。可愛い可愛い
かわいいかわいいカワイイ
カワイイ・・・愛しい。
「可愛い。・・キレイ。」
頬を撫でさする。
震える手で、あずさの唇をなぞった。
脳の隅々までが熱に犯されたかのようだ。
もう理性は頂点に達していた。
『こうしたかったんだ、ずっと。』
顔を近づけると、寝息が聞こえた。
それを覆うかのように、
さちはあずさに口付けた。
迷いは、なかった。
153 :
tow:2006/03/01(水) 23:32:29 ID:N80O32xG
おしゃべりな唇は、驚くほどやわらかかった。
口内までいくと、起きてしまうだろうか?
今起きてもらわれると困る。
さちの目的は、キスなんて段階ではない。
下で輪郭をなぞって。1度離した。
体。
胸のふくらみを、そっと手で包み込んだ。
服をたくし上げる。
水色のブラジャー。
相変わらず白い乳房。控えめな薄桃の乳首。
理性なんて、もうない。
ためらいもなく、あたたかな胸に顔を埋めた。
a
>>154 凄く良かったよ。短い中にいろいろと絞りこんでて悶えさせてもらいました。
キスの描写というか使い方が上手いですね。
欲をいえばこの二人で前後何か読みたいな〜と思ったり。
>156
感想ありがとうございます。
誰にも読んでもらえてないんじゃないかと思ってたんで
とても嬉しいです。
また、この二人の話は書きたいと思っているので
そのうち投下させてもらいます。
158 :
名無しさん@秘密の花園:2006/04/20(木) 21:22:00 ID:T7Fmn0Ty
「痛い、」
ゴンッ
どうやら頭を打ったらしい。鈍い音が耳に届く。それに重なる少し低い声。
必死だった。
華奢な体を押し倒し、練習後の少し汗ばんだ体を見つめる。
彼女は諦めたように目を伏せ、しかし少し苛立った様子で眉間に皺を寄せていた。そんな表情すら愛しく感じる。
「先輩。なんでこんな事」
「…好き、だから」
情けないくらい声は震えていた。彼女の眉間の皺が深くなる
「……ごめん」
「…」
ピクリと細い眉が動いたのを、確かに見た。彼女は素早く乱れた胴着を直し、止める間もなく私の腕の中から抜けた。
「あっ、」
「ごめん、てなんですか」
立ち上がって私を見下ろすと、さっさと出口に歩いていってしまった。ドアに手をかけて振り返った彼女は、独り言のようにポツリと呟いた。
「謝ってほしくなんかなかった」
少し寂しそうに見えたのは、私の気のせいだろうか。
END
>>158 すごく良かった
短いのが残念だよもっと長いの希望
>154
(・∀・)イイ!
これからも何か書いたらあぷキボン!
>158
もっと長く!
161 :
158:2006/04/21(金) 20:22:05 ID:MeR5EMOC
長編いきます。
―――――――――
目がくらむような夏の太陽の下
更に眩く感じる茶色の瞳がこちらを見て
私もそちらを見ていた
ただ、それだけの事。
「あ、」
蝉時雨。体育館までのコンクリートの道を愛用のバスケットシューズを抱えて歩く。そんな時後輩の挨拶に紛れて聞こえてきた明るい笑い声。
レイだ。
友達とじゃれあいながら部室棟への階段を上がる、一度も話した事のない、しかし結構というかかなり気になる存在。
162 :
名無しさん@秘密の花園:2006/04/21(金) 20:37:32 ID:MeR5EMOC
友達と離れた途端、いつも不機嫌そうな顔をすることに気付いたのは去年の秋の事。しかし別に不機嫌なわけではなく、それが素だという事に気付いたのは次の年の春だった。
そして今も、少し外人がかった綺麗な顔を不機嫌そうに歪め階段を上っていた。その時、レイの荷物が手から離れた。ふっくらした唇から小さく声が漏れたのを聞いた。
そしてレイの手は荷物を追うように伸ばされ、それは宙を掴み彼女の体は大きく傾いた。
その一連の動作を見ていた私は思わず駆け出す。
全身に感じた確かな重み。うめき声が漏れたのは、レイの口からかそれとも自分か。
「…すみませんっ大丈夫ですか!?」
数秒ともしないうちに彼女は体勢を立て直し、未だに熱い地面に座り込んでいる私に手を伸ばす。
心配そうな表情と、差し出された小さな手と、あの茶色い瞳。それを見た時の高揚した気持ち。うまく言えないけれど、奥歯がジンと痛むような、胸がギュッとしまるような、そんな気持ち。
それがまだ恋なんて知らずに、私は少し微笑み手を取った。
163 :
名無しさん@秘密の花園:2006/04/21(金) 20:48:38 ID:MeR5EMOC
「ありがとうございます。助かりました。あの、怪我、ありませんか?」
「あぁ、うん、大丈夫。かな?」
「ほんとごめんなさい!」
ペコリと小さく頭を下げてレイは部室に入った。
受け止めた彼女の体は意外に堅くて、思ったとおり軽かった。
「バニラ…」
そう、鼻をかすめたのはバニラの甘い匂い。また一つ彼女を知った気がした。
「先輩?おはようございます。もう部活始まりますよ」
「…うん。分かってる」
部室から出てきたレイの体は、濃紺の胴着と黒く光る防具でカチッと固められていた。
空を一瞬仰いだ彼女がやけに凛々しく見えて、少し頬が赤くなった気がした。
next.
少し休憩…やたら長くてすみません
164 :
163:2006/04/22(土) 12:23:00 ID:sHvkAz5g
すみません、上ので終りです
>>161-163 二人のその後が非常に気になる!
・・・逆に言うと、オチが弱いということかもしれないけど
でも良かったよ。また投下してくれい
見える
最近・・・見れるようになったもの。
悪魔の心をもつもの顔や声、笑い声が
奇形してみえたり、映画やアニメできくような悪魔のような声に
きこえるようになりました。びっくりするほど、鬼のような顔や声に聞こえる
ので、そういう人は避けています。以前はかんじなかったことです。
教会にいくと・・・お祈りしているひとからは疲れや悩みを抱えてる人は
すぐに分かります。場所柄カップルもおおいのですがあの人達の心は健康
そのものです。 お祈りしてるひとも健康な方もいらしゃいます。
昨日、ママが台所にいて椅子にすわっていましたが、
黒いオーラーがもうもうとでていました。何かあったでしょってきたら
ちょっとねっていった。んー死相がでてるよっていったら、びっくりしてた。
もちろん半分冗談でいったのだけど・・・何かいわれったってかんじでしょって
いったら、なんでわかるっていわれた。 にー・・・・
その後、妹にさんざんこぼしてた。妹はほんといいこでママの愚痴をきいて
ママはわるくないよって力む。パパは妹は将来、銀座のママになれるという。
パパがおしごとから帰ってきて妹に水くれというと・・・・
冷えたビールとコップをもってきて・・・
「今日はこちらの方が、よろしいと思いましたので・・・」という
で「お疲れ様ですうってビールをつぐ」、5歳年下の彼女は末恐ろしい女だそうです。
あ、ちょっと話がずれてしまいましたね。
聖母マリアの奇跡
http://yesmaria.exblog.jp/i0
あぼーん
168 :
名無しさん@秘密の花園:2006/06/12(月) 21:53:07 ID:scwEB0YJ
長文投下します。
音は、音を包む。ふと、そんな考えが頭に浮かんだ。
この教室は今、歌声に包まれている。ここには何人もいて、皆呼吸をし、鼓動している。
その小さな、小さな音を、彼女の歌声が包んでいるのだ。
聞き慣れた綺麗な声、でも歌声という別の誰かの様な、私の大好きな声。
あぁ。涙が溢れそうになる。悲恋を嘆く歌を、かくも気高く歌う姿に。
かくも悲しげに歌う姿に。
香織ちゃんの歌音に包まれ、私はそっと目がかゆい振りをした。
「はい、水野さん、相変わらず素晴らしかったわ」
音楽の鈴木先生が香織ちゃんの歌を拍手しながら褒めると、周りの皆も囁きながら続く。
(やっぱり水野さんって凄いね、何だか泣きそうだったし、本当にね)
先生の手前で続いたんじゃない拍手。本当に皆を感動させた香織ちゃん。
きっと、天使の声も香織ちゃんの声みたいなんだろうな。もしかして、香織ちゃんが天使だったり、ね。
日が当たっても依然として漆黒を主張し続ける長い黒き髪、
大人の女性の艶かしい色気と、少女の持つ無垢なあどけなさを混ぜた様な体。
天使。羽根を広げ、光の輪を浮かべ、白い衣を纏い、歌う香織ちゃん。
顔がぽーっとなっている。体も、何だか熱い。
「惜しいわー。陸上部に入ってなかったら是非スカウトし、、、コホン、これは私情ね」
先生の独り言を他所に、香織ちゃんはピアノを離れ、自分の席に向かう。
一瞬、私の方を見ると、微笑んでくれた。
席に着くと賞賛の声が相次いでいる様で、戸惑う彼女の姿を見つけた。
「何だか私の歌って評価されすぎと思わない?」
香織ちゃんは無表情にパックのミルクティーを啜りながら言った。
お昼の時間、私と香織ちゃんは購買で済ますのが決まりである。
一年生の頃からの、二人の決まり事。
周りには何十人と人がいて騒々しいけど、この人の声はすっと耳に響く。
「そう?私も感動したくちだけどな。涙がこぼれそうだったんだから」
「ままにそう言われると嬉しいわ。あんまり歌は得意じゃないから、ちょっとね」
「香織ちゃん、またそう言う!いい?私みたいな音痴が、得意じゃないって言うべきなの」
「ままが音痴?…冗談でしょう。声も澄んでて、音に乗れてるし、何より私が好きよ」
香織ちゃんは真顔で私の顔を覗く。どぎまぎしてしまう。
最後の言葉が私の頭の中で、エコーし続けている。
「と、とにかく。香織ちゃんの今日の歌は、……、とっても良かったから」
もうちょっと他に言葉はないのかと、自分に呆れてしまう。
香織ちゃんは目を少し細めると、小さな声で言った。
「悲しい歌だからね。紡がれることの無い、断ち切れた糸の様な恋の歌だから」
「ついつい力が入ったのは、確かね」
香織ちゃんはそっと私の手を握ると、立ち上がった。
人ごみの中を香織ちゃんの手に導かれ、程よい速さで購買の外へ向かっていった。
放課後の図書館で本を読む、この時こそ時間が愛しいことはない。
前までは何でも無かった趣味の時間。今は、恋焦がれる時間。
鐘が六時を告げる。そろそろかな、本に栞を挟んで席を立とうとする。
「まま」
急に声をかけられて、ぴくりとしてしまう。振り返ると香織ちゃんがいた。
「あれ?ごめんね!もう終わったなんて思わなくて、えと、ご…」
「いいの。今日は早かったから仕方無いわ。それに…」
香織ちゃんはすっと近寄ると、急に顔を近づけてきた。
目と鼻の先に、彼女の顔がある。
「放課後の図書館に二人きりというのも、いいものだわ」
香織ちゃんの吐息が私の唇にかかる。何て甘い息なんだろう。
陸上部の練習が終わったばかりからか、香織ちゃんの頬は赤く、うっすらと汗ばんでいる。
私の心の奥で炎がじわじわと燃え上がっていく。興奮と、かすかな不安の炎。
「松本さん?」と、図書館管理人の本田さんの呼ぶ声が聞こえた。
はっとなった私は、つっと距離を置いた。心臓が破裂しそうで、どうしようも無い。
本田さんが顔を出す。「松本さん、やっぱりまだいたのね。あら、水野さん、珍しいわね」
「聞いたわよ。まーた鈴木先生があなたの歌を賞賛してたわ…、おっと、そうじゃなくて」
「ごめんなさいね、そろそろ閉めますから。勉強の続きをするなら自習室でって、しないか」
「あ、はい…。じゃあ今日はもう帰ります」
私の顔真っ赤じゃないよね?と思うも、確認しようが無い。
何だか本田さんに悪いことをしている気がする。
「気をつけてよ、地面濡れてるから。水野さんも」
「さようなら」
「香織ちゃん、急にあんなことするからびっくりしたじゃん」
廊下を歩きながら文句を言うも、当の本人は至って冷静だ。
「ままの顔見たら、ついね。危なかったわ、本当」
「え?危なかった?」
私が疑問を投げかけると同時に、私の口を香織ちゃんの唇が塞いだ。
それは一瞬だったけど、甘美な感触が私の体を貫くのには十分だった。
「…、見られてたら、困るもの。ね?」
顔を紅くしながら香織ちゃんは、悪戯っぽく笑った。
女の子同士の口づけ、私達は何度ともそれをしてきたけど。
そのどれもが、とろとろに甘く、私を優しく抱いてくれた。
「…もう、香織ちゃんったら」
私は香織ちゃんの手を握る。彼女もそれに応え、華奢な指で握り返してくれた。
こんなにも幸せでいいのかな。…良いよね、私は彼女の手を、少し強く握った。
迷子にならないために母の手を握った、子供の頃の様に。
怖い夢を見て父の手を握った、子供の頃の様に。
その転校生の存在は、一瞬にして一年生の全ての耳に届いた。
女子高での噂話というのはあまり信憑性が無い。実際、尾鰭だらけのものがほとんどだ。
才色兼備、大和撫子、文武両道、完全無欠、完璧超人。様々な言葉でその人は、飾られていた。
噂の最後には常に孤立無援という表現がついたが、孤高の美として皆は持て囃す。
良くない噂も確かにあったが、その悪い内容もいつしか良い方向に捉えられていた。
私とは孤立無援しか合ってないな。それが当時の私の、勝手に耳に入ってくる噂への感想である。
雨が降り続いていた昨年の秋のこと、私はいつもの様に図書館で本を読み終え、帰宅しようとしていた。
雨の中、青い傘を差し、読んでいた本の内容を反芻しながら校門へ向かっていると、
鞄を持つ影が校舎の出っ張りの下で雨宿りしているのを見つけた。
その影は、美人の転校生として評判になっている水野香織、その人だった。
「ねえ、そこのあなた」
まだ距離があったのにも関わらずの声の明瞭さに私は驚いた。
傘を閉じ少し駆け足で寄るにつれ、彼女の顔がだんだんはっきりと、そして近くなっていく。
距離が近づくにつれ、私の心も高鳴っていく。走ったからでは無い。
至近距離で見る彼女の美しさに心囚われてしまったのだ。
「あなたも電車?良かったら駅まで傘に入れてもらえない?私、今日傘忘れてしまって」
「え、あ、はい。あの、でも、何で私なんですか?」
「………どういう意味?」
「確か、陸上部ですよね?室内練習しているの見ました。忘れてるなら、部活仲間がいるだろうなって」
「あ、すみません!何だか、変なこと言って…。でも…」
彼女は怪訝そうにした後、つまらなそうに口を開いた。
「知らない人が良かったの。…そうね、誰かを待っていたのよ」
俯きながらただ淡々と喋る。それだけで絵になった。
「知り合いは何だか疲れるわ。皆口数が多くてね。あなたなら無口そうと思ったのだけど、…変なこと言うのね」
静かに言われた科白に私は少し傷ついた。私の存在を無視された様で。
香織ちゃんは、この頃の自分を大嫌いと言う。
ただ、その時の私はこういう性格でも皆から嫌われないということに疑問を抱いていた。
それとも他の人の前では違うのだろうかとも考えた。
「あれ?制服濡れてますよ」
「まあね。ちょっと雨に降られたから」
私は気付くと、すぐ傍の自販機に向かい、温かいミルクティーを買っていた。
彼女は不思議そうに、また怪訝そうにこちらを見ている。
「どうぞ。これ」
「…何?いきなり」
「その、傘には入れますが、それ飲んでください。温まりますよ」
今思うと、この一連の私の行動は改めて変だと思う。
その時は体を温めて欲しいという願いだけが、心の中に渦巻いていたのを覚えてる。
「きっと不器用なのね、あなたって」
彼女はそこで初めて微笑んだ。これが私と香織ちゃんの出会い、雨の香りに満ちた夕方の出来事。
その翌日。教室から見える校庭に、彼女の姿があった。
体育の走り高跳びの測定中らしいが、棒の高さは私の許容より何cmも高かった。
というよりも彼女以外の生徒は皆、見学に回っている程の高さだ。
それを飛び越えるは、陸上に詳しく無い私でもしなやかと感じられるフォームをした彼女。
見事に成功した彼女を、周りの生徒達はただただ拍手をしていた。
それを見て私は思ったのだ。皆、彼女に魅了されているんだと。
「隣いいかしら?」
購買で一人食事していると急に声をかけられた。顔を上げると、彼女がパンと飲み物片手に立っている。
思わず口があんぐりと開く。何で私と一緒にご飯食べるの?
「え、う、うん、いいよ」
そう言うや否や、彼女は私の横に座ると、パンの袋を綺麗に開ける。
何人かの、主に一年生から見られているというのがよく分かった。居心地悪い。
それから、しばらく無言が続いた。
その時になって初めて、ただ単に空いてる席を探していたという考えが頭に浮かんだ。
私は自分の自意識過剰ぶりが恥ずかしくて仕方なかった。
「昨日はありがとう。おかげで風邪をひかなかったようだわ」
「ど、どういたしまして」
「教室見に行ったらいないから、ここじゃないかなって。いつも一人なの?」
「はい…」
何だかこう答えるのが嫌だった。つまらない人間と思われたくなかった。
「私と一緒ね。私もいつも昼は一人。まあ、つまらない相手と食べても、ね」
「それからその喋り方やめない?同い年なんだし、そう意気込まなくてもいいわ」
私は返答に困った。無意識にしていて、予想もしなかった言葉だったから。
それでも、返事はできなかったけれど、何だか嬉しかった。
空気を悪くしない様にと、話の種を探す。
「えと、今日体育やってるの見たよ。凄いね。流石、陸上部」
「私、短距離走がメインなの」
「え…、え?あんなに跳んでるのに?はーっ、凄いなあ。凄い」
「凄くなんか無いわ。ただ跳んでるだけ。土を力強く蹴れば、跳んでしまう」
彼女がだるそうに返事をしたのを見て、皆が彼女に感じているものが少し分かった。
文武に長け、輝ける美人の彼女は、本人の意志とは関係無しに何でもできてしまう。
彼女らには、神秘性に満ちた影があるだけなのかもしれない。それに魅せられている。
「ううん、凄い。私はあんなに跳べないし、水野さんはあんなに跳べる」
「だからって、何?ただ跳ねてるだけじゃない。私は、私はね」
「私は、跳べたからって嬉しくも無いのに。それを…」
彼女は怖い顔をして、私の目をきっと睨む。その時、彼女が何を感じているのかを、ふいに感じた。
糸が紡がれていく様に、するすると言葉が出てくる。
私の言葉で、あなたの苦しみを救えるのだろうか?
「……、でも私は高く、高く跳んでる水野さんが見たいな」
「水野さんが。水野さんが、ね」
言った後、変な事言ったと後悔した。いきなり何を言っているのか。
何で言いたいことを不躾に言っているんだ。………、言いたいこと?
何で、…、何で言いたいことを素直に話せるんだろう。
この人だけに。
「やっぱり。…、来て。あなたと話がしたいの。二人きりで」
彼女は私の手を握ると、ぐんぐんと購買の出口に向かい始めた。
私の手を握る力はきつくもゆるくも無く、歩く速さもちょうど良かった。
彼女は校舎裏で足を止めた。昼休みなのに、そこだけは静寂に満ちていた。
「急にごめんなさい。でも、私は、……、私はあなたの様な人を、あなたを待っていた」
私に背を向けたまま、天を仰ぐ様に彼女は立っている。夜の様な髪が、流星の如く風に靡く。
「お願い、聞いて。どう思ったていい。お願い!」
未だ彼女はそのまま背を向いていたけれど、熱の篭もった、興奮した声が伝わった。
「…私を見る人はいつも私を見ていなかった。どこでも、いつでも、そう。私は偶像だった」
「昔から、私は褒められ続けた。ありとあらゆる言葉で飾られた。称えられたと言っても可笑しくない程に」
「嬉しかった。特別な存在という自分が。……、でもある時気付いたの、誰も私を見ていないって」
「皆は欲しかったのよ、天使が」
「その天使に酔いたいのよ。私に言わせれば、悪酔いだけどね」
彼女の口から空気が漏れる音がした。笑ったんだと気付く。
「天使の夢を現実で見るのか、夢の天使を現実に見るのか。どちらにしろ、それは幻でしかない」
「その幻に陶酔すれば、楽になるのかしら。自分達の天使に」
怒りと傲慢、そして悲しみ。私はその三つの言葉を即座に連想していた。彼女は続ける。
「ここは地獄なの。世界は悪魔で、滑稽な天使の偶像を笑っているんだって」
「そう憎んでも、私はそれを受け入れたの。偶像になり続けないと生きていてはいけない気がした」
「私も私で、自身の影に縛られているだけ」
「………、いきなり、こんなこと言ってごめんなさい。私、変でしょ?」
彼女はそこで振り向いた。瞳の中には涙が溜まっていた、溢れんばかりに。
この人の涙を止めたいと思った。泣いて欲しくない。
私は彼女の手を握る。そこに、彼女の涙がぽつりと垂れた。
「ごめんね」
そう気付けば言っていた。
何滴か、また握った手に落ちる。彼女は口元を震わせて、笑った。
「嬉しかったの。私を見てくれて、私の苦しみを見てくれて」
「私、そんな大したこと…。わ、私、不器用だし、さっきも変な風にしか…」
「いいの、あなたのこと、良く分かったわ。だから、こうしてるんだもの」
「不器用でも、変でも、あなたの優しさが好きになった」
涙で濡れた部分に風が吹くと、涼しくて気持ちいい。
「水野さん、あのね…」
彼女はつっと、私の唇に指を近づけた。唇で感じる彼女の指。
恥ずかしくも、嬉しいような、何だか言いようの無いものを感じた。
「香織って呼んで。水野では無く香織と言う名の、一人の私を呼んで」
「香織、……、ちゃん」
そう呟くと、香織ちゃんは少し顔を赤らめた。それが何だか可笑しかった。
「そういえばあなたの名前、聞いてなかったわ。教えて」
「松本真奈美、です」
香織ちゃんは、ふーむと考え込む。その時、どこか遠くで幼い男の子が母親を呼ぶ声がした。
「まま」
「え?」
「名字と名前の頭文字を取ると、ま・までしょ。私はあなたを『まま』と呼ぶ」
「まま、かあ。何か、恥ずかしいかも」
そう言うと私達はお互いに笑い合った。こんなにも幸福な時間は初めて、と感じた。
出会いの夕方とは違う、晴れ晴れとした空の下、ただただ「今」が愛おしかった。
私は夢から覚めた。出会った頃の記憶の上映会。
あの時、自分を偶像と呼び、夢の存在と自身を形容した香織ちゃん。
つんと頬を突かれる。その時初めて、図書館で居眠りしていたことに気が付いた。
「まーま、おはよう」
香織ちゃんが楽しそうに私の横の席で頬杖している。もしかして…
「香織ちゃん!え、もう六時!?あ、うわ、ごめんね!私つい…」
「いいの。寝言で私の名前呼んでるの見たら、起こすの躊躇ちゃってね」
「え…」顔が真っ赤になるのが分かる。変なこと言ってないよね?
「あの、初めてあった時の夢だったの。香織ちゃんを、香織ちゃんって呼んでなかった時の」
「そう…。あの時の私は、嫌いだわ。だって、やれば何でもできると思ってたもの」
「それで満足しながら、妥協していた」
「今は、もっと綺麗に、もっと高く、もっと速く、なりたいのにね」
香織ちゃんはあれから、何にさえ驚く程に真剣に取り組んでいた。どんな小さなことでも、大きなことでも。
元々でさえ天使と呼ばれる様な人だから、今では前にもまして賞賛の嵐である。
彼女の名前を知らない者は学年だけで無く、学校全体にも一人もいない。
「ままが見てるもの。私、頑張るわ。あの時の私を幾らでも凌いでみせる」
強い意志に満ちた瞳。香織ちゃんは、少し照れくさそうにしている。
「それにしても、ままが本を読みながら居眠りなんて珍しいわね」
私が読んでいた本の題名を見て、どっかで見たことがある、と一人呟いている。
「有名な本だからね。報われない恋の話。ちょうど読み終わって寝ちゃったの」
「悲恋、か…」
香織ちゃんは目を細めた。私は、彼女が感じていることが分かった。
私達はまさに悲恋という名の籠の中にいる。決して、ここでは祝福されたものではない。
「私達も、そうなのかしら。ねえ、まま」
「うん…。でもね、この想いは思春期の気まぐれやそういう軽いものじゃないよ。本物だよ」
「私も、そう。あなたのことを考えるだけで、私は胸が一杯になるの」
「香織ちゃん、私、変な事色々考えちゃう…。香織ちゃんが、男の子に心を移すんじゃないかって、」
「この先無理やり引き裂かれるんじゃないかって、どこにも一緒にいられなくなるんじゃないかって…」
「まま…」
私は香織ちゃんに抱きついた。あの時、悲恋の歌を聞いた時に、流れた涙。
歌に籠められた悲しみが、私の不安を揺さぶった。私達は禁忌なのか、共にいられないのか。
私はおかしいのか、幻の中に引き篭っているだけなのか。
本をこんなにも読むんじゃなかった、と今は後悔する。
人に訪れる不幸を知り、幸せな男女の関係を知り、また、結ばれない男女の関係を知った。
そう、描かれるのは男と女ばかりだ。
知っていることは、全てが良いことではない。心が揺れる時、考えたくもないことを考えてしまう。
香織ちゃんの胸で私は泣いた。どうしようも無い恐れがあった。
「私と一緒なのね、ままも。私も怖いの。ままとの関係がいつか壊れるんじゃないかって」
「でもね、安心して。私はままと必ず一緒にいるわ。何があっても、それを凌いでみせる」
「ね、まま。だから、今は泣いていいよ」
頬に冷たい雫が落ちた。香織ちゃんと私は、静かに泣き合った。
「いらっしゃい。待っててね、あなたの夕飯も作るから」
「それにしても香織が友達連れてくるなんて、いつ以来でしょう!さあ、上がってね」
香織ちゃんのお母さんに「はい」と返事をすると、香織ちゃんに先導されて部屋に向かう。
やっぱりお母さんも美人なんだ、と妙な所で感心してしまう。うちの親も本の虫だ。
学校からそのまま帰ろうとした私を、香織ちゃんは引き止めてくれた。家に来て、と言う。
最寄り駅から三つ乗り、そこから数分歩いた先に香織ちゃんの住んでいるマンションはあった。
私は生まれて一軒家しか知らない人間なのでよく分からないが、良い所だと思う。
「ゆっくりしてね」
香織ちゃんはカーテンを閉めながら、優しく声をかけてくれた。
部屋を見渡すと奇麗に片付いているのが分かるし、少なくも置かれた小物は存在感溢れている。
「いい部屋だね。私も部屋片付けないと、本でごったごただよ」
「今度ままの部屋に行ってもいいかしら?見てみたいわ」
「えっと、うん。あ、でも、整理したらね。今見ると多分、卒倒しちゃうかも」
本だらけというのもあなたらしいわね、と香織ちゃんは可笑しそうに言った。
嬉しい。ここで香織ちゃんが毎日勉強して、寝て、起きてるのだと考えると、心が弾む。
心地良い香りに満ちた部屋。香織ちゃんはベッドに腰掛けたので、私は床に座る。
「ままも、こっちにおいで」
ぽんぽんと香織ちゃんは左手でベッドを叩いた。ふかふかのベッドだ。
香織ちゃんは私の肩に腕を回す。体が軽くなるのを感じる。
「…、落ち着いた?」
「うん…、ごめんね。不安なの。私達これでいいのかな、って…」
「私のこと………、嫌?」
香織ちゃんは普段見せたことの無い表情をして、私を見つめる。
「そうじゃないよ!香織ちゃんのこと、嫌いになれるわけないじゃん…。ごめん、ごめんね」
「いえ、私が悪いわ。そんな風に言ってないって分かってても、言葉にされると、つい…」
「ごめんなさい。…、まま、ごめんなさい」
私達はしばらく黙った。何を言っていいのか、言おうか、言うべきか、分からない。
重い空気を察した様に、香織ちゃんのお母さんが私達を呼ぶ声がした。
三人の食事は楽しかった。おばさんは、香織ちゃんの学校での様子を無性に知りたがっていた。
私が香織ちゃんを褒めると彼女が恥ずかしそうにするのを、おばさんは面白がった。
「松本さんのせいかしら。何だか香織、別人みたい」
「良い友達に出会って良かったわね、香織」
おばさんの笑顔が眩しかった。それは、光のせいでも何でも無い。
ただ、その言葉がそうさせたのだ。良い友達という言葉が。
ううん、おばさん、違うんです。私達、違うんですよ。
私はただ照れた様に笑い続けるしかなかった。
「泊まっても良かったのに。でも、明日も学校だから無理か」
私は結局晩御飯をご馳走になってから、すぐにお暇することにした。
もっといたかったのだけど、ここで帰らないときっと迷惑をかけてしまう。
「うん。じゃあ、今度は家に来てね」
「約束よ。絶対行くから」
夜風が街に吹く。人もいない街路の中、街灯達がただ首をうな垂れている。
私は、少し暗くなっている街灯の下で足を止める。私の後ろで香織ちゃんも止まったのが分かる。
天を仰ぐと、灰色に満ちていた。雲々の切れ間に少しだけ、星が顔を覗かせる。
「香織ちゃん。私ね、幸せなの。あなたに出会えて。あなたと付き合えて」
「でも、いつもその幸せの裏にいる悪魔の姿に脅える。意地悪そうに笑う悪魔」
「私達を、呪う悪魔」
香織ちゃんは今どんな表情をしているのだろう。星が一つ雲に浚われる。
「でもね、香織ちゃん。聞いて。私、それでもいいと思えるんだ」
「この世界に私達を呪う悪魔がいても、きっと大丈夫だよ」
「ねえ、香織ちゃん」
私の問いかけに彼女は何も言わず聞いてくれる。星が、また一つ雲に消えた。
「悪魔がいても、ここは地獄なんかじゃない。ここは、きっと天国だよ」
「だって、天使がいるんだもん。香織ちゃん」
私は振り返る。香織ちゃんは、ただ静かに、微笑みながら泣いていた。
それを見て、私の目に涙が溜まる。今日は、泣いてばっかりだね。
「香織ちゃん、自分を偶像だって言ったけどね。偽者じゃない、本当の天使だよ」
「だって、こんなにも私を幸せにしてくれる。だから…、だから」
「私も頑張る。香織ちゃんを幸せにできる様に」
「好きだよ、香織ちゃん」
香織ちゃんは私の体を抱きしめる。あぁ、温かい。こんなにも温かい。
「まま…。私も怖かったの。私達は、いつか失う運命にあるんじゃないかって」
「だから、唇を求めて、結びたかったのかもしれない。私達の心の糸を」
「違ったのね…。そうね、例え私達は否定されても、世界は恨むに値しないわ」
「ままがいるもの。あなたが生きる場所は、どこでも素敵な場所よ」
「まま、…、まま、待っていたの。あなたを、ずっと」
冷たい物が頬に落ちる。涙かと思えば違った。雨が降り始めていた。
しとしとと、霧に似た様な、細くて、弱い雨。
雨音に包まれながら、私達は長い長い口付けをした。香織ちゃんの鼓動が聞こえる。
私は香織ちゃんの鼓動に、腕に、唇に、心に包まれる。これからも、ずっと、きっと。
キスが終わり、私達は互いを見つめ、もう一度軽くキスをした。
雨は街に降り続ける。
水の香りがすると、香織ちゃんの胸の中で感じた。
以上です。これでも削ったつもりだったんですが、長かったですね
gj
長文お疲れさまです。このくらいの文量があったほうがかえって好ましいかと。
私的には、むしろもっと長くても良かったくらいです。
本文は短い区切りの中で上手くいろいろな場面を表していて、面白い構成だと感じました。
キャラも過度ではない情報量の中で個性を早々と引き出していて良いと思います。
あと悪魔と天使という対比の部分は個人的に好きです。
同性愛という中で揺れ動く少女の心の動き、さりげない触れ合いの描写など
本当に綺麗で美しいと思いました。
敢えて一言申すなら、「物足りない」、いやスイマセン冗談です。
GJとしか言えない浅い知識の俺。
GJ。
>>184-186 感想の言葉ありがとうございます。
この二人が恋仲になる話を省いたので、今度はそれを投下したいです。
遅筆かつ今から書き出すのでいつかは分かりませんが、早目を目指します。
省略した恋仲になる話を投下します。
「本当に本ばかりなのね、ままの部屋って」
私の本棚に仕舞われた紙々たちの姿を見て、香織ちゃんは驚いている。
今日は学校帰りに家に来てもらった。約束は果たす物、当たり前のことだが初めて知ったみたいだ。
「整理するの大変だったよ。…こう見ると、香織ちゃんの部屋と比べて格好つかないね」
「まま。そんなこと言うものじゃないわ」
香織ちゃんは並んだ本の背をすっと指で撫でた。
「ここにはあなたが愛したものが沢山あるのだもの。そんなこと、言っては駄目」
先生が小さな子供を諭すように優しく笑うと、香織ちゃんは本の名前を一つずつ見始めた。
香織ちゃんは鼻歌で知らない曲を歌いながら、ゆっくりと立ち位置を変えていく。
香織ちゃんが私の部屋にいる。そう思うと、何だか不思議な気分になる。
ここはずっと私と本だけがいる場所だと、昔から決めていたから。
香織ちゃんがいる夢を見ている様な、夢の香織ちゃんがいるような、変な気分。
けれど。嬉しいこの気持ちは、夢じゃない。嬉しい、嬉しい。
「まま、何か楽しいことでもあるの?」
気付けば鼻歌が止み、香織ちゃんがこちらを不思議そうに眺めている。
うん、あるよ。楽しいこと。
「ううん、何でもないの。気にしないで」
香織ちゃんは一瞬戸惑ったけど、再び本棚に向かい鼻歌を歌い始めた。
開いた窓から入ってくる風は少し肌寒く、夕暮れの日も寂しい色をしているのに。
心はこんなにも温かい。カーテンが弱い風に乗り、腕を広げるように膨らむ。
そんな何でもない景色一つでも、今の私にはこそばゆくて仕方が無かった。
「夢みたい。香織ちゃんが私の部屋にいるなんて」
私達は壁に背をつけ、お互いに寄り添った。頭と頭をくっつける。
「いい夢?」
「うん、いい夢」
私達はくすくすと忍ぶ様に笑う。すると香織ちゃんが急に体をずらした。
がくっと頭が落ちてしまう、と思ったら、香織ちゃんの両手が支えてくれていた。
そのまま頭を支える手がそっとそっと下がっていき、私の体も横になっていく。
私の頭は香織ちゃんの膝の上に落ち着き、体は完全に横たわっていた。
「じゃあ、もっといい夢見ましょうね。まま」
香織ちゃんは私の髪を撫でながら、静かに呟いた。
こくり。私は黙って首を縦に振る。香織ちゃんの膝の柔らかさが伝わって来た。
「くすぐったいわ」
もう一度、私達はくすくすと笑い合った。
遠くで飛行機の飛んでいる音が窓から入ってきた。
あぁそっか。これは夢じゃないんだよね。こんなに気持ち良い枕は初めてだから夢かとも思う。
微かに感じる肌の温もりが、心地良かった。
現実は図書館でしか無かった。本を収納している以外に、価値の無い物だと信じていた。
私は昔から人見知りだった。知らない人が、私の知らないことを知っているのが怖かった。
知らない人が、私の感じることの無い何かを抱いているのが怖かった。
だから現実にいる人を見ずに、本の世界のみを求め続けていたのだ。
人が書く本という考えは無かった。本が人に物語を書かせる、人は本と私の媒体でしかない。
そう信じ込ませ、私はそれまでの私を保ってきた。苦しみではなく、現実そのものから逃げていた。
そして気付けば、読書は読書で無くなっていた。私は、本を読んでなどいなかった。
「松本さん、水野さんとあなたって仲が良いの?」
香織ちゃんと仲良くなり、一緒に行動をするようになった頃、休憩時間によく声をかけられた。
遊びの誘い、単純な質問、賛美の賛同の求め。形は様々であった。
予想しなかったわけでは無い。香織ちゃんは皆の夢の象徴なのだから。
特に一年の頃はクラスが別だったので、クラスメイトは余計に関係を作りたがったのだ。
皆に共通していたのは、私を見る目が奇異なる物を見るそれであるということだけだった。
「え、っと、その…」
ただの質問なのに、私は上手く喋れなかった。
ぼーっと歩いている時、犬にいきなり吠えられた時の戸惑いに似ている。
「一応は」
読んでいた本に栞を挟み、私は顔を上げる。相手が立っている分、威圧されてると感じてしまう。
「あのさ、水野さん合コンとか興味ないかなって。誘ってくれない?」
「彼女に釣り合いとれる男もそういないだろうけど、何とか探すからってさ」
その人の掲げた携帯に何個ともついたストラップが、不規則に舞う。
カメラのレンズがきらりと無機質そうに光った。
きっと、先方のランクを上げるためなんだろうな。普段は下の人を召集するのにね。
呈のいい誘いだな、と思う。香織ちゃんを、そんな風に見て欲しくない。
自分でも驚く程に、怒っていると思った。何故?香織ちゃんを、水野香織と見ていないから?
それでは納得がいかなかった。そういうものでは無いという漠然とした、しかし確固たる思いだけが存在した。
「ご、ごめん、言えないや」
香織ちゃんからは何も聞いて無いのに断った。
その人は、あっそうと呟いて去っていった。声のトーンが、最初と全然違っている。
地の唸りの様な声を聞き、私は自分が意地汚い人間なのでは、という疑念に飲み込まれた。
彼女だって、卑しい気持ちはないのかもしれないのに。
騒がしい教室の中、混乱した頭で栞を挟んだ項を探した。
ぱらり。指で摘まんだ栞がこぼれ落ちた。胸が重い。
震える指で、ほこりのついた栞を拾い上げた。指についたほこりも、震えながら落ちていった。
その次の授業は、あまり集中できなかったのをよく覚えている。
あっそう、というあの言葉が耳にこびり付いていた。何をそんなに脅えるんだ、私は。
頭の中で、読み進めている小説の気になる所を自分なりに整理しようと勤めた。
昔からやってきた暇つぶしだ。暇つぶし、暇、つぶし、つぶし、つぶし。
普段なら何でもないはずの言葉なのに何故か堪らなかった。
その時の私は自分の全ての連想を恐れ始めた。嫌だ、考えたくない。
怖い夢を見て、再び寝んとする夜の不安を思い出す。
香織ちゃん、私ってだめだね。私なんかが仲良くなって良かったのかな。
『まま、あなたって本当に不思議な人ね』
『えと、…何が?』
『普段からぼんやりとしてて、言葉もどこか捉えにくいんだけど』
『あなたの思いが私の中に伝わってくるのよ、いつでも』
先生の声だけが教室に響く中、何でもないことの様に、ただ震えていた。
その日の夕方、校門脇から遠くに香織ちゃんの姿を見つけた。
私達は一年の頃は同じクラスでなかったので、昼食と下校は一緒にいるという約束をした。
私は帰宅部なので、大体終わりそうな時間まで図書館で本を読む。
最初香織ちゃんはあまり賛成しなかった。私を待たすのが気に入らないという。
「一緒にいれても私が降りる駅までだからね。それって悪いわ。先に私が降りちゃうもの」
「ううん。私、本読むの好きだから。全然平気」
そう答えた時、香織ちゃんは良く分からない表情をした。喜びと不服を足して、二で割った感じ。
それに、私は少しでも香織ちゃんと一緒にいたかった。
同じものを見て、同じ空気を吸って、同じ時を過ごしているのを感じたかった。
「まま、お待たせ」
香織ちゃんは一緒に歩いてきた陸上部の同期だろう子達と軽く別れの挨拶をした。
面白そうに、不思議そうに私達を眺めていった。知っている顔の子もいるためか、恥ずかしい。
「さ、行きましょう」
香織ちゃんが左手をすっと差し出す。…あれ?何も持ってない、よね。
何のことやら分からずに香織ちゃんの顔を見ると、照れているのが分かった。
「手を繋ぎましょ。…、嫌ならいいけど、ね…」
香織ちゃんの指が心なしか震えている気がした。私は即座に否定する。
「う、ううん。じゃあ、えっと、つなごっか」
私はおずおずと右手で香織ちゃんの左手を握った。温かくて、柔らかい。
香織ちゃんの手、すべすべする。私もちょっとは気を遣わないと失礼かも。
そう思うと同時に、大きな違和感を感じていた。予期していたものと、かけ離れているもの。
今も忘れることの無い感覚。それは感動に近いものだったと今は言える。
それは友情への感謝でも満足でも無い、全く別のものだった。
紙に水が一滴垂れたみたいに、小さなそれは私の体全体に広がった。
私は悟った。これは、今まで何百もの本に描かれていた「恋」というものなのだ、と。
「まま、あなた元気無いわ。どうかした?」
駅のホームで電車を待っていると、香織ちゃんは心配そうに声をかけてくれた。
私はスカートの裾をぎゅっと掴む。改札を通る時に結んだ手を離し、それからは手が空いていた。
声をかけられなかった。香織ちゃん、手を繋いでもいいかな?
「ううん、何でもないの。気にしないで」
「まま、何だって言って頂戴。私はあなたにそんな顔をして欲しくないの」
その言葉に思わず香織ちゃんの顔を見てしまう。言葉が私の心に沁みこむ。
「本当よ」
香織ちゃんは私の両手を、両手で包み込んでくれた。私の鼓動が伝わりそうな気がした。
自分の気持ちへの戸惑いと、告白したい衝動も伝わってしまう気がした。
「大丈夫、香織ちゃん、ありがとう」
ああ、何が、ではないんだ。この人の全てがただ愛しい。あの雨の日から、始まってたんだ。
ずっと、続いていたんだ。
私はなるべくゆっくりと、両手を香織ちゃんの包みから解いた。
温もりがまだほんのりと残っている。
香織ちゃんは空いた自分の両手を数秒眺めると、きゅっと握った。もしかして、怒らした、かな。
「白線の内側までお下がり下さい」
感情の篭もっていないアナウンスが、電車の来訪を告げた。その電車は私達の別れを運ぶ。
その日は結局、香織ちゃんが降りるまで一言も話さなかった。
ただ一言、互いに「じゃあね」と目も合わせずに言っただけだった。
本など読んでいない。読書家という現実での評価を捨てることができなかっただけだ。
何もできず、何にも意志を向けない私に唯一残された特殊性であり、それが私の本質だと信じた。
現実を見ずに、ただ本の世界を求めるというのは戯言でしか無い。私はまだ現実にいるし、それが基準になっている。
人との関わりを捨て、本にのみ救いを求め、それを気付かぬうちに捨てていた私。
そう、私はいつからか本を読んでいなかった。本にのみ救われるという夢を、見ているだけだった。
そして今、私は香織ちゃんという無二の友達を愛した。彼女は、私が愛していい人ではない。
私は女で、香織ちゃんも女。いいわけが無い。ここはそれを許してはいない。
それに、何よりも私では駄目なんだ。
昨日も、香織ちゃんを傷つけてしまった。何て、私は、何もできない子なんだろう。
影に勝つことも無い、ライオンを信じることも出来ない、指輪の魅惑に勝てない、
赤い薔薇に優しくできない、百万回生きても白い猫を愛さない。きっと、本でもそうなる。
現実にも、本にも、居場所はない。寝る前のベッドの中、悲しみよりも虚しさで一杯だった。
次の日の昼、本当は購買に行かないつもりだったのに、私は知らぬ内に足を運んでいた。
結局、香織ちゃんは購買に来なかった。一層暗い気持ちに駆られる。
香織ちゃんを愛してはいけないと思いながらも、未だ好きであるんだなと他人事の様に感じていた。
一人の食事は美味しくなかった。香織ちゃん、ごめんね。好きになって、ごめんね。
「はい、連絡は以上。毎日言ってるが、掃除の班以外は教室の外にいろよ。じゃあ、今日はこれまで」
私はそのまま帰ろうと思った。このまま、香織ちゃんに会うのが怖かった。
ざわざわと廊下は人ごみとざわめきに満ちていた。何だか気分が悪くなりそうだ。
早く帰ろう。そう思った時、人ごみに香織ちゃんの姿を見つけた。胸が温かくなる。
私達の間には何人もの生徒がいたのにも関らず、私の瞳には香織ちゃんの姿だけが見えた。
いつもの様に美しく、きっと前を見つめているだけなのに、一枚の美しい絵をなしている。
私の視線に気付いたのか、彼女はこちらを何気なく見上げた。香織ちゃんは無表情のままだった。
体をこちらに向けると、ゆっくりと、歩みだした。どきどきする。
時の流れが遅くなったみたいに、私には香織ちゃんがこちらに来るのが見えた。
靴が廊下に響く音も、呼吸する音も、鼓動も、香織ちゃんの周りの音だけが私に届いた。
あんなにも会うのが怖かったのに、彼女の姿を一目見ただけで何かが溶けていくのが分かる。
香織ちゃんは私の目の前に来ると、何も言わずにふっと方向を変えた。自然と、後を追う。
目の前に香織ちゃんがいて、後ろを私が歩く。放課後独特の落ち着かないざわめきだけが、聞こえた。
その音が消えた時に、私はどこにいるかがやっと把握できた。ここはあの校舎裏だ。
香織ちゃんが私に苦しみを吐いてくれた場所。まま、と呼んでくれた場所。
私が初めて香織ちゃんと呼んだ場所。幸福を、かみ締めた場所だ。
静寂に包まれ、心が落ち着いていく。
「まま、今日お昼いけなくてごめんなさい」
そう言いながら香織ちゃんは私の方を振り向いた。香織ちゃんだ、香織ちゃんだ。
「ううん、私がいけなかったの。ごめん。昨日のことも、ごめんね」
「ままは悪くない!」
私が目を丸くすると、香織ちゃんはあっと俯いた。ほんのりと頬が赤い。
「ねえ、まま、あなたの声が聞きたい。今のあなたは自分で自分を傷つけてるわ。きっと」
「教えて。私もあなたを支えたいの」
空気の漏れる音がした。自分が笑ったんだと気付く。
「香織ちゃんを私が支えてる、なんて。そんなことないよ」
「ねえ、香織ちゃん。私はやっぱり駄目だよ。いつも逃げてばっかりなの」
「本を読むのも、ただ怖かっただけ。何がそんなに怖いんだろうね。怖いことなんてないのに」
「本読みが本を読まないなら、私には何も残ってない。そんな私じゃ…」
香織ちゃんを好きになってはいけないよね?私は思わず出かかった言葉を飲み込んだ。
ないはずの言葉が、喉から胃を通り、体の下に流れていく錯覚を覚えた。
「まま」
あなたの私を呼ぶ声はどうしていつもそう凛としているの?何故そうも心地良いの?
「そんなことないわ。今のあなたの言葉は、嘘よ。そんな嘘、聞きたくない」
「ううん、私さ、何もできないんだなってそう感じちゃうの…」
「……何もできないって、何ができないの?」
香織ちゃんはいつもと違う強いはっきりとした口調で言った。瞳は真っ直ぐに私を見据えている。
「私に声をかけてくれる。私を水野香織と見てくれる。私をもっと私にしてくれる」
「そっと辛い部分を撫でてくれる!安らいだ時間をくれる!私は、私は…!」
香織ちゃんは上気した顔で次々に言葉を紡いでいく。
「………。それも、何もできないことなの?まま」
私は泣きそうになっていた。視界がぼやけて、目が涙で痛い。
「ねえ、まま。あなたが思っているより、あなたはずっと素晴らしいの」
「それに本を読んでないって言ったわね。そんなこともない、あなたは本を愛している」
「一度見てみなさい、あなたが本を読んでいる姿を。私、すごく好きなの」
涙がどんどん頬を伝って落ちる。止めようと思っても、止めることができなかった。
抱いていた不安が溶けていき、そこには水に足を入れた時の冷たい心地良さが生まれていた。
涙の跡に風が吹き、そこが冷やされた。あの時も、こんな感じだったね。
あの時は香織ちゃんの涙で、今は私の涙で。
香織ちゃんは私を引き寄せると私の腰に腕を回した。
思わず腰が引けてしまうのを、香織ちゃんは離すまいとぎゅっと締める。
すぐ前に香織ちゃんの体がある。心臓がどうかなりそうだった。
「何があなたを不安にさせたのかは……よく分からないけど、そうなった時は」
「私に言って。いつだって、言ってくれていいから」
不安にさせたもの。それはきっと自分の香織ちゃんへの気持ちに違いない。
私は出会った時から香織ちゃんを好きになっていた。一目惚れ、とでも言えばいいのか。
その戸惑いと不安が、元からあった自分への劣等感を加速させた。
どうして好きになったの?本当になったの?許されるの?なっていいの?私が?こんな私が?
女の子が、女の子を愛するという行為を私は分かっているつもりだったから。
多分、香織ちゃんの輝きを見て、自分の光の弱さが分かったんだ。
単純な能力差では無く彼女との釣り合いを考えたから、余計に不安になったのかもしれない。
届かないのではなく、釣り合わない。
だけど、だけど、香織ちゃんはそんな私でもいて欲しいと言ってくれた。
不思議なことに、私は心の内を明かそうという意志が生まれていた。
今まで人との関係を断ってきた私に出来た、香織ちゃんとの絆。
それがどんなに大切か、愛しいか、ずっと感じてきたのに。
言ってしまっては、その絆が消えるだろう。友情という心の糸は、断ち切れる。
そこに愛情という糸が結ばれることはきっと無い。
それでも言おうと思った。
私にこんなにも色んなものを与えてくれる香織ちゃん。教えてくれる香織ちゃん。
「香織ちゃん、あのね、もう一つ聞いて欲しいことがあるの」
「とっても、大切なこと」
香織ちゃんはぴくんと体を震わした。
「私ね、香織ちゃんのこと好きなんだ」
そこで私達を包む音は、風の音だけだった。
ここだけが時計の針が止まった様に、景色が影絵で出来ていると感じる程に何もかも止まっていた。
恋心が私を闇に誘ったけれど、香織ちゃんは手を差し伸べ、また日の元に戻してくれた。
今はただ自分の恋心を愛しいとさえ感じている自分がいた。言おう。
「友達としてじゃなくて、……恋人として好きなの。ずっと、好きだったの」
「だからかな。私、脆くなちゃって。雨の中迷子になった子犬みたいに、ただ震えて」
「…香織ちゃん、これが私の気持ちなの。好きなの、あ、…、愛してるの」
頬が、顔が、もう体全体から湯気を出してるんじゃないかとくらいに熱かった。
続くであろう断りの宣告がどうこうは気にしていなかった。熱さだけが私を支配している。
「香織ちゃん」
顔を上げると、香織ちゃんは微笑んでいた。全てを包み込むような、そんな微笑。
「まま」
香織ちゃんはまた少し力強く抱き寄せた。香織ちゃんの胸の柔らかさが分かってしまう近さ。
「ありがとう。まま。ありがとう」
「…私もね、あなたと会った時から好きだったの。覚えてる?」
「ミルクティー。あの温かさを手に感じた時から、もう自分の気持ちに気付いてた」
「でも、言えなかった。言ってはいけないことと、そう思ったの」
「だってままが嫌だったら、そこで私達は終わってしまうと思うと怖くて、怖くて…」
「だけど言葉を重ねるにつれて、どんどん私の気持ちは大きくなっていく」
「あなたの優しさが、思いが私を包む度に、幸せで仕方なかった」
「…まま、ごめんなさい」
私は香織ちゃんの言葉を聞くしかなかった。もっと彼女の声が聞きたかった。
「昨日手をあなたが解いた時、本当に悲しかった。私じゃままを支えられない」
「それは、まるで私が拒絶されたみたいで。私達の関係も拒絶されたみたいで」
私が口を開こうとするのを、香織ちゃんは首を黙って横に振って止めた。
「ままは悪くないの。私が弱虫なだけ。今日も謝らなくちゃって分かってたのに……」
「そこにままがいなかったら…、いても無視されたらと思ったら…、私、…私」
香織ちゃんは相変わらず微笑んでいた。悲しげに、でも嬉しそうに。
「ままはね、ずっとずっと強いわ。きっとあなたが言わなかったら、私言えなかったと思う」
「ままのことを愛している、ってね。………、だから、だから、ごめんなさい、そして、ありがとう」
「私のことを好きになってくれて、私を好きって言ってくれて」
香織ちゃんの頬も見たことが無いくらいに赤く染まっていた。そして、私達は何も言えなかった。
私は香織ちゃんに抱きしめられ、ただ静かな夕方に立っている。
今まで抱えてた不安が消え、今度は新しい不安が生まれたんだ、と私は心の中で呟いた。
私も香織ちゃんの腰に腕を回した。ちょっとだけ、こうさせてね。
それでも、それでも。
香織ちゃんの顔を見て私は思った。ここは天国なのかもしれない、と。
今まで本を仕舞うだけの図書館と信じてきたここが、そうじゃないんだと。
仕舞っていたのは、私達の物語だったんだ。
唐突に香織ちゃんが腰から腕を離すと、私の頬に両手を添えた。
「まま、これはお詫びよ」
それが私の初めての口付けで、初めての香織ちゃんとの口付けだった。
接する唇は柔らかく、漏れる吐息は温かく、今までに感じたことのない「味」がした。
香織ちゃんはそっと唇を離すと、恥ずかしそうに笑った。
私は自分でも意味が分からないまま、こくこくと首を縦に黙々と振っていた。
そんな私を見て、香織ちゃんは可笑しそうに笑った。それを見たら、私も可笑しくなってきて。
それから、私達はくすくすと笑いあった。
それから何日と過ぎ、私達は二年生になった。
同じ組になり、私達は一年の頃よりも長く同じ時を過ごしている。
それは何よりも至福であり、今という状態がずっと続けばいいのにと思わず祈ってしまう程だ。
でも覚めない夢が無い様に、時は流れ続ける。
香織ちゃんの部屋にいったり、私の部屋に来てもらったり、色々と新しいことも起こった。
二人で自分達の関係を思い、泣きあったことも。
私は今でも本の虫だ。最近は目が悪くなっている気がして、姿勢よく明るい場所で読まないといけないなとも思う。
それでも今、本を楽しめる自分がいるのが嬉しい。そして、変わらないこともある。
「まま」
香織ちゃんの声の方を振り返ると、彼女は照れくさそうに立っていた。
暖色で統一された私服のせいか、曇った空の街中で香織ちゃんの周りが光って見える。
「どうかしら?こういうの、初めてだから、普段通りの格好だけど」
「ううん、とっても似合うよ。私なんか、安物で来ちゃってさ。ごめんね」
香織ちゃんは私の傍にいてくれる。それは決して変わらないと感じる。
「でもよくよく考えると、私服で会うのも初めてだし、こうやって学校の外で会うのも初めてだよね」
「そうね。いつもは学校帰りに、って感じだものね」
そう、今日は初デートである。昨日急に電話があり、香織ちゃんから誘われたのだ。
当然私は即座に賛同し、今に至る。思えば外で会うという考えが起こらなかった方が不思議だ。
「…ままも可愛いわよ」
「え?」
「服」
実は昨日舞い上がって忘れてたのだが、私はほとんど本に貢ぐため安物の服しかない。
その事に気付いたのが家を出る直前というのだから、我ながら情けない。結局、そのままで来てしまった。
だから、私は今日の目的地は一つ決めてあった。
「香織ちゃん、洋服屋さんに行きたいんだ。香織ちゃんに着る服決めて欲しいの」
「いいわよ。その代わり、私にも選んでよね」
「で、でも、私洋服の知識全然ないし、流行もわかんなくて…」
「いいの。ままが着て欲しいって服を選んでくれれば、それは最高の服なんだから」
爽やかにそう言われてしまうと、こちらも頷くしかない。
香織ちゃんは私の手と繋ぐと、行きましょうと歩き出した。
私も香織ちゃんの手を握り、遅れまいとする。自然と、私達は隣り合った。
いつもは夕暮れが待ち遠しいけれど、今日は何だか憎たらしく思ってしまう。
空を見上げると、ちょうど雲から太陽が顔を出した。眩しくて、思わず目を細める。
天使様、お願いがあります。今日はずっと良い天気でいてください。
以上で終わりです。長々文失礼しました。
私が言うのも何ですが、二人には幸せになって欲しいですね。
202 :
名無しさん@秘密の花園:2006/06/20(火) 01:47:07 ID:bER2vxEb
ありがとうございます。今自分が好きな人が香織って名前なのでつい重ねて読んでしまいました。そんな風になれたらいいな…
>>202 こちらこそ読んでいただきありがとうございます。
恋愛の成就を願っております。
204 :
名無しさん@秘密の花園:2006/06/25(日) 13:36:52 ID:p4IDFUDn
駄目 ままには手を出さないで!
香織の絶叫が、狭い部屋に響きわたる。
「人の心配するより自分の事心配しな」
香織は今、セーラー服のまま、テーブルに上半身を押さえ付けられていた。
3人の男たちから、両手と頭を押さえ付けられ、必死に抵抗する香織。
「今、男のホントの良さを教えて上げるよ。香織ちゃん。」
後ろ男が、香織のスカ―トをたくし上げ、腰を引き寄せた。
足首には彼女の白いパンツが揺れていた。
「止めろ!離せょ!触るなってばっ」
「お前らしっかり押さえてなよ」
205 :
名無しさん@秘密の花園:2006/06/25(日) 15:36:47 ID:KaCu2efv
全く持って架空の小説です。しかもレズもの
「ひとみ!早く!」
「あ!待ってよぉ・・・もう、まどか!」
私は上手く上靴が履けないでいるひとみを置いて、一足先に階段を駆け上った。
さっさと2階まで上りきり足を止めて待っていると、ひとみはようやく追いついてきた。
「・・・ひどいよ、まどか」
「だってもうチャイム鳴るじゃん」
プゥと頬を膨らませて上目遣いに睨んでくるひとみを見て、私は苛立ち「早く行くよ」と言った。
「今日はハンドボールの練習を行います。2手に分かれて、試合を始めて下さい」
昼前の体育の授業は、照りつける太陽の下で行われた。女子は日影で日焼け止めクリームを丹念に塗り、
男子はジャージを膝まで括り上げて物凄い速さのボールを投げていた。
「まどかぁ、ハンドだって〜また焼けちゃうよ・・・」
そういうひとみの腕はこれでもか、と言うほどの白さ。毛なんて一切生えていないツルツルの腕を見て、
私は皮肉を込めて、彼女が握っていた日焼け止めを奪った。
「あー!」
「あんた十分白いんだから、塗らなくていーの!」
ひとみは一瞬機嫌を悪くしたが、すぐに目線を試合中の男子に戻した。
そして私の方へ擦り寄ると指を指して言った。
「ねぇねぇ、林くんてかっこよくない?」
細い指の先には、いわゆるモテモテくんの姿があった。ハヤシユウト──確かにかっこいいけど・・・・・・
端整な顔立ちと、サッパリした性格の彼は年中引っ付きまわっている親衛隊みたいなのがいる。
今だって、休憩中の林にドリンクを差し出す女の子がいっぱい。
「・・・そう、だね」
他の子が何しようとかまわない・・・ただ、ひとみが杉山のことをかっこいいと言うのは
──気に入らなかった。
206 :
名無しさん@秘密の花園:2006/06/25(日) 15:38:05 ID:KaCu2efv
その日の放課後、私は教室で宿題をしていた。教室には誰もいなくて、私は集中して数学を解いていた。
ふと気づくと、前の席に林が座っていた。私はびっくりして思わずシャーペンを落とした。
「・・・なに?」
「いや、望月が──綺麗だなって思って」
私は自分の耳を疑った。林は口元をゆるませ笑った。
「もしかして・・・口説いてるの?なら他をあたって──」
私はそう言い放つと床に落ちたシャーペンを拾おうと腰をかがめた。
「冷たいな・・・俺は昔からあんたしかみてないのに」
元の体勢に戻ろうとした時、そんな声が聞こえて。私は思わず平手打ちをしようと身体を反転させた。
すると次ぎの瞬間、パシッという音ともに林に手首を掴まれていた。
「───!」
「あんたのそういう気の強いところとか」
次第に手首を掴む手に力が込められていく。私は苦痛に眉を寄せた。
「細い手首に・・・その表情」
いきなり林はグイッと私を引っ張った。唇に何かが当たる。
「・・・柔らかい唇とか、全部好き」
私はキスをされたことを理解するのに数秒を要した。嫌悪に身体が震えた。
林をふりほどき立ち上がると、教室のドアから気配がした。素早くドアを見ると、
ひとみが言葉を失い、立ち尽くしていた。
「あ・・・」
私が何かを言う前に、彼女は風のように去っていった。
廊下にを走るバタバタという音だけが教室に響いていた。私は一気に心が暗くなった。
「見られた?ちょうどいいじゃん。俺たち付き合おうよ」
背後で林の軽い声がして、私は今度こそ思いっきり平手打ちをかました。
「痛ッ!!」
「あんたなんか・・・あんたなんか死んじまえ!!!」
茫然自失の林を一人教室に残して、私は急いでカバンを取るとひとみの後を追いかけた。
ふう・・・
208 :
名無しさん@秘密の花園:2006/06/25(日) 21:10:46 ID:p4IDFUDn
テーブルがギシギシきしむ音が、部屋中に響き渡る。
私の目の前で、香織は犯されていた。烈しく、後ろから、揺さぶられていた。
「止めろ!止めてってば」「うっ」「んんっっ!」
頭を数人から押さえ付けられながらも、抵抗する彼女。
でも、容赦なく、ガクガク後ろから突き上げられる香織。
足が床から浮かび、バタバタし、白いパンツが、足首から墜ちた。
「犯される顔を、彼女にみてもらいな。」
私は、香織の正面に移動させられた。
髪の毛を掴かまれ、無理矢理に顔を上げさせられた、香織と目があぅ。
歯を食い縛り、涙を流す香織の顔。
「ま、まま・・・・」
私を後ろから羽交い絞めにしていた男の手が、ブラウスの上から、ゆっくり私の胸を触って来た。
「あーあ、君の恋人、犯られちゃったね。」
男の手は、無遠慮にわたしの小さな乳首を掴む。
そして、もう片方の手が私のスカ―トの上から、オシリを撫で回し、それから・・・・
最悪だな。ここまで悪質なのは初めてみた
無駄な労力使って何の意味があるんだか。
210 :
名無しさん@秘密の花園:2006/06/25(日) 21:55:11 ID:p4IDFUDn
>>209 まあまあ。
こういうときは毒消しを。
「はっ!」
汗だくになって私は目を醒ました。
慌てて周囲を見回すと、そこは見慣れた香織ちゃんの部屋で、私は知らず
知らずのうちにそこで眠ってしまっていたらしかった。
隣にはいきなり起き上がった私をきょとんと目を丸くして見る香織ちゃん
がいる。私は今見ていた自分の夢を思い出して大きく身震いすると、香織ち
ゃんに強く抱きついた。
「どうしたの? まま」
香織ちゃんは私の髪の毛をさらさらと優しく撫で下ろした。私は何も言わ
ずにただ、そのまま自分の震えが収まってくれるようにと願い続けた。
「怖い夢を見たの。ものすごく怖い夢」
「ああ、それは大変だったわね。大丈夫?」
香織ちゃんは抱きつく私の体を引き寄せると、まるで子供をあやすように
丁寧に丁寧に背中をさすったり軽く叩いたりした。
とか。
原作者さんが読んでいたらごめんなさい。
212 :
名無しさん@秘密の花園:2006/06/26(月) 06:54:40 ID:b52qb+oy
「ひとみ・・・っ!待てったら・・・!!ひとみ!!」
私は全速力で校舎を走り出、グラウンドでひとみを捕まえた。
外は雨が降っていて、私たちはあっという間にビショビショになった。
大きな彼女の瞳からは涙が滲み出ていた。
「──何で、泣いてんの?」
私は困惑していた。だって瞳はノンケのはず。泣くのはおかしい・・・
ひとみは涙をぬぐうと「わかんない」と呟いた。
「まどかが・・・取られちゃうって思った瞬間、なんか、怖くなったの」
それを聞いた私は思わず固まった。この状況で・・・なんて可愛い事を言うのだろう。
「・・・とりあえず雨降ってるし・・・私の家が近いから、そこで話す?」
「・・・うん・・・」
213 :
名無しさん@秘密の花園:2006/06/26(月) 06:57:39 ID:b52qb+oy
私は髪をドライヤーで乾かし終えて、2階の自分の部屋へ上った。
ドアを開けるとそこにはオレンジジュースを飲みながらテレビを見て笑っているひとみが居た。
「あははは!あ、ねぇまどか!この人かなり面白いよ〜」
「・・・」
先ほどまで泣いていたのに、ひとみはお風呂に入り私の家に一泊してもいいということになると
途端に元気になった。・・・から元気かもしれないけど。
私は持っていたタオルをベッドに投げてひとみの隣には座らずにベッドに座った。
彼女はそれが気になったのか、不思議そうな目でこちらを見てくる。
「なんで隣に座らないの??」
『ドキドキするから』
なんて答えられるわけがなく、私は「別に」とだけ答えた。
「まどか」
ふいにひとみがベッドの上に乗ってきた。ギシとスプリングが軋む。
「さっきの・・・ごめんね。・・・困ったよね」
彼女は何かとスキンジップが多い。今だって──手を重ねてくる。
私は自分が妙な気分になるのを感じた。部屋はシャンプーの匂いが充満していて、
目の前には美人が落ち込んでいる。
今、告白したら──?耳元でそんな声が囁いた気がした。
「あのさ、ひとみ」
呼ぶと、弾けたように私を見る彼女。あぁ、もう。可愛すぎる!!
「私、あんたの事が好き」
気まずい沈黙が部屋を包んだ。テレビからはうるさい若手芸人の声が、やたら響いている。
「私も、好きだよ?」
私の張り詰めていた心臓がさらにドクンといった。全身の緊張がほぐれた。
しかし、彼女の次のひとことで、私の目の前は真っ暗になった。
「・・・だって、親友じゃない。私たち」
「・・・・・・そ・・・だよね」
ひとみは微笑みベッドから降りるとまたテレビに目を戻した。
私はひとみの華奢な背中を見て、いらいらした。
何で自分の物にならないんだろう。
私は今夜、無事に帰す自信がなかった。
214 :
名無しさん@秘密の花園:2006/06/26(月) 22:42:11 ID:r3A+PllF
ふと、時計に目をやるともう10時を回っていた。
明日は日曜日といえど、忙しい私は早めに学校の宿題を終わらそうと机に向かっていた。
しかし隣でひとみが「そんなことい〜からさぁ、遊ぼうよー」とちょっかいを出してくる。
私のイライラは頂点に達し、ダンとイスから立つとひとみの肩を掴んで一気にベッドへ押し倒した。
彼女は状態を理解できないらしく、目をキョトンとさせていた。
私は背中がゾクン・・・とするのを感じた。サディステックな感情が沸きあがる。
「・・・そこまでいうなら──遊ぼうか・・・・・?」
「え・・・」
ここは私の家で、2階とはいえど下には母さんと父さんが寝ている。
だけど、一人っ子だから兄弟が部屋に入ってくる心配はない。
私は意を決してひとみの首筋にキスをした。ビクリと跳ね上がる体。
「やっ──」
「・・・・・・」
その声を聞いた瞬間、ひとみへの、つもりに積もった思いが濁流のように一気に流れ出した。
彼女の着ているT-シャツのなかに手を差し込み、スベスベとしたわき腹を撫でる。
ひとみがいくら暴れようとしても、身長165の私と、155の彼女では体格差がありすぎる。
華奢な腰を押さえつけ、キスをしようとひとみの顔を見た瞬間。
ひとみの白い頬には、涙のすじができていた。罪悪感がこみ上げる。
「やめてよ・・・まどか・・・」
私はさすがに手を止めた。今更になって彼女を、親友を傷つけた事に気づいたのだ。
だけど、もう後には戻れない──
215 :
名無しさん@秘密の花園:2006/06/26(月) 22:43:12 ID:r3A+PllF
泣きじゃくる彼女の頬をつかまえて、自分の方を向かせると私は冷たい目で言った。
「・・・ひとみが決めて。今日の事は忘れて、私とあんたは友達じゃなくなるか・・・私を受け入れて、恋人になるか・・・」
傷ついた彼女には悪いと思ったけど、それよりも彼女を手に入れたかった。
「恋人になるなら・・・キスマークをつけさせて?」
シーツを掴んで震えるひとみ。そんな状態の時でさえ、私の中ではもっと泣かせたいという感情が渦巻いていた。
さらに私は何かを言おうとするひとみを制して、最後に付け加えた。
「・・・ずっと好きだった・・・誰よりも、あんたの事を見てた」
「・・・む・・・無理だよ・・・」
私はまどかの気持ちが分からなかった。でも、コレだけは確実に分かる。
今断ったら、これから永遠にまどかと関わることはない──
しかし私には想像できなかった。中学の頃から、学校でまどかと一緒にいない日なんてあっただろうか。
目の前で、私への思いを迸らせる彼女を拒絶するなど・・・できはしない。
私はそっと手を伸ばすとまどかの頬に触れた。冷たい頬が少し、震えた気がした。
「・・・いいよ──?」
216 :
みかん:2006/06/28(水) 21:24:22 ID:5m6tSmMd
続き お願い もっと過激に烈しく
217 :
名無しさん@秘密の花園:2006/06/28(水) 22:56:55 ID:Sd+/I0bo
ひとみの細い手首をゆるやかに掴んで、シーツの上にポスッと落とす。
彼女の着ていた私のセーターを脱がせると、真っ赤になってひとみはうつ伏せになった。
「・・・なんで隠すの・・・?」
私はクスリと笑うと上から覆いかぶさるようにしてひとみのスベスベした背中にキスを落とした。
「・・・っん」
枕に顔を押し付けて、声を漏らすまいとしているひとみを見て、
私は彼女の細い顎に指を伸ばすと口の中に指を突っ込んだ。
ひとみの舌がチロリと指に当たった。私は耳元に唇を押し付けて囁いた。
「声・・・抑えなくていいから」
2人の体温で暖かくなってきているシーツを肩までかぶり、私も着ていた服を脱いだ。
ただし、ズボンはそのままにしていた。
首筋をピチャ・・・と舐めながら、指で背中を撫でていると、ピクリと彼女が反応する場所があった。
私はそこを重点的に触りながら、彼女が焦れてくるのを待った。
ふいに、私の手が下の方へ降りていくと察知したひとみがバッと振り返った。
「や・・・あっ!まどか──」
私はその隙に胸元を押さえているひとみの細い腕を掴んで頭の上で束ねた。
彼女は真っ赤になって抵抗するも、私のほうが力が上。
初めてみる彼女の胸に私は焦燥感を覚えた。
─こんなに焦らさずに、早く自分の物にしてしまいたい・・・
「・・・綺麗、だよ。ひとみ」
「綺麗じゃな──んぅ」
口答えをする唇を無理やり奪い、逃げ惑う舌を思い切り懐柔する。
上の歯の裏をスッと撫で、引っ込もうとする舌をからめとる。
何度も何度も、ひとみの口から唾液が垂れるほど深いキスをした。
「はっ・・ん・・・ぁ!」
呼吸を求めるようにして身体をひねる彼女。私はいそいそと胸の飾りを口に含んだ。
「ぁ──まどか・・・っ」
クチュクチュとわざと音を立て舐めたり甘噛みしたりする。ビクッと白い首筋が反る。
218 :
みかん:2006/06/28(水) 23:46:00 ID:5m6tSmMd
そ、それで?
ワッフルワッフル
220 :
みかん:2006/06/28(水) 23:48:30 ID:5m6tSmMd
たまんない 続き早く お願いします。
221 :
みかん:2006/06/28(水) 23:51:48 ID:5m6tSmMd
ひとみ・・ まどか
ああ
222 :
名無しさん@秘密の花園:2006/06/28(水) 23:58:27 ID:5m6tSmMd
気が付くと私は 男に後ろかダッコされて 大きく足を広げられ、チンポを挿入れられていた。
そして、下から、激しく揺さぶられた。
223 :
名無しさん@秘密の花園:2006/06/29(木) 00:08:37 ID:VTcqYOOS
私も 香織も犯されていた。
「彼女見ろよ、よがり狂ってるぜ。折角香織が守ってあげようとしたのに・・・」
香織を後ろから犯している男がいう。
『彼女? あたし?』
『よがり狂う?』
私は、只上下に揺さぶられていた。
「ま、まま・・」
香織の声が微かに聞こえる。
224 :
名無しさん@秘密の花園:2006/06/29(木) 17:20:05 ID:YQLMR2Mf
反対側の飾りを指でキュと掴むと、ひとみは更に甘い声をもらした。
「あんッ・・・!やだ・・・やぁ・・・っ」
白い体がピンク色に染まってきたのを確認して、私は
頑なに閉じている彼女のふとももに手を伸ばした。
「・・・ひとみ、足開いて」
「──!」
ほとんど涙目になって彼女は私にすがりつくように顔を横に振った。
─嫌?そんなこと、わたしが許すわけないのに・・・
暖まったシーツのなかにもぐりこむと、私は彼女の足首を掴んだ。
そして一気に肩までかつぎあげる。上半身を浮かせた反動でひとみを壁際に
追い込んだ。私の目の前にはひとみの秘所が犯されている。
「やだ!汚いって・・・まどか!!」
私は必死にわめき散らす彼女に苛立ち、そこに顔を埋めた。
「あぁ・・・っ・・・ぁ!」
ピチャピチャと舐める。ふいに彼女を上目遣いにみると、
自分の手で口元を押さえている。カタカタと、指が震えていた。
「・・・気持ちいい・・・??」
私が微笑んで聞くと、ひとみは初めて縦に顔を振った。
眉を寄せて涙を流す彼女の顔は、絶景だった。今すぐ、壊してしまいたい。
ふいに、私は舌をとがらせ、彼女の内部に侵入した。上気した頬や、身体がビクリと強張る。
「んんっ──」
上から下に、舌を滑らし、何回おきにか奥まで差し入れる。
彼女のソコはもうビショビショになっていた。
225 :
名無しさん@秘密の花園:2006/06/29(木) 17:31:03 ID:YQLMR2Mf
「・・・可愛いひとみ、ココ・・・こんなにしてさ・・・そんなに気持ちいい?」
私は口を離すと濡れきったソコを指でなぞった。ひとみをベッドの上に落とす。
口を抑えていた手を離してハァハァと荒い息をする彼女に無理やり深いキスをする。
そのまま、押さえ込んで、一気に指を押し入れた。
「ぁ──っ!」
ひとみは多分、初めて。できるだけ優しくしてあげたい。
ゆっくり指を前後させ、身体が跳ねる箇所を探す。
すっかり濡れきったソコは難なく私の指の動きになれたようだ。
私は指を2本動かしながら、同時に前の方のクリトリスを撫でた。
すると彼女は、我慢できなくなったのか、私の背中に手を回した。
ギリ、と爪が立てられ、背中に痛みが走る。
「まど・・かっ・・・あぁ・・・んっ・・好き──」
私は殴られたような感覚に陥った。こんなときに、告白されたら。
身体が一気に熱くなり、私は何も判断できなくなった。
ガバッと起きると、机の引き出しを開けた。
そこにはバイブがあった。
226 :
名無しさん@秘密の花園:2006/06/29(木) 21:17:02 ID:WWW6Azfm
「・・・ごめんね。ひとみ、最初は我慢して」
「ソレ・・・何・・・!?」
ふやけた様な顔をしていたひとみは現実に引き戻されたように怯えた顔をした。
私は近くにおいてあった制服のネクタイを取った。私の学校はリボンじゃなくてネクタイなのだ。
それで素早くひとみの手首を縛る。彼女はもう、抵抗する力が入らないようだった。
私が指を3本入れてかき混ぜると、彼女のソコは反応して、もう準備OKらしい。
普通サイズのバイブをソコにあてがうと、声が響かないように私はひとみの口元を押さえた。
決して息が苦しくなるほどは抑えないけど。
「ん──っ!!」
ズ・・と埋め込むと、彼女は苦悶の表情を浮かべた。
私は貫通式にした。ゆっくりやると、余計痛そうだったから。
逃げようとベッドの上へ上ろうとする細い腰を捕まえて、一気に押し込む。
そして、根元まで入りきった後、ひとみは泣いていた。
「・・・痛い・・・?」
「ん・・・・・・」
私は彼女の額を優しく撫でた。口を抑えている手はあいかわらずに。
彼女が落ち着いてきた頃、私はふいにバイブのスイッチを押した。
最初だから、弱にしたのだけど──?
「っ・・・!あッ・・・っ・・・ぁあ!」
バイブが振動するたびに、彼女の背中も反るように跳ねた。
眉を寄せて、痛みか快感かわからにけど、何かに耐えている様子のひとみ。
ヴヴヴヴ・・・という電気音だけが響いている。私はそんな彼女の姿を見ながら
彼女の手首をベッドの端に縛ると一人ベッドから出た。
さらに、近くにあったハンカチを彼女の口に放り込んだ。
「ん・・・・ふ・・っ・・・!」
「・・・明日、休みだし。今夜はずっとそのままね」
ひとみは信じられないと言う目で私を睨んだ。でも、そんなときでさえ、彼女の顔は色っぽいのだけど。
私はそのまま彼女を放置した。夜の間、ずっと甘い匂いと口からもれるような吐息だけが、ベッドの中で響いていた。
>>211 遅くなってすみません。毒消しありがとうございました。
夢という考えから閃いたので、投下します。
>>226 終わりと判断し投下します。続きがあったら、申し訳ありません。
「空って何で青いのかしら」
昼休みの購買でぽつりと香織ちゃんがそう呟いた。束の間のお喋りできる時間だ。
光の散乱、散乱の種類、夕暮れの赤み、海の青さとの無関係、また海の青さの理由。
順序良くどう説明しようか、どこまで拡大しようか、…あんまり細かく言うのも嫌味かな。
でも香織ちゃんが知りたがっているのだから教えないと。せっかくの得意分野なんだから。
と、一人で悩んでいると香織ちゃんは「まま、何考えてるの?」と微笑みながら面白そうに言う。
「何って、えっと、空のことだけど」
「もしかして、原理を教えてくれようとしてた?」
「うん。ほら、私って口が達者じゃないから整理してたの。…、どうかした?」
「凄い真剣な顔で私をじっと見るから、何だか可愛くて」
顔に出てたんだと今更に気付く。それにしても、真剣な顔が可愛いってどういうことか。
「もう、私が真面目になってるのに…」
「そうやさぐれない、やさぐれない」
香織ちゃんは私の頬を人差し指でつっつきながら、笑っている。敵わない。
こんな風にからかわれても、私はにこりとご機嫌に返してしまうのだから。
「…前まで空の色は、と訊かれたら迷わず青って答えてたわ。でも今は、紫って答えると思うの」
「むらさき?」
「ええ、今日気付いたの、最近夢で見る空の色は綺麗な紫だったなって」
「香織ちゃん、夢の色まで覚えてるの?私なんか今日の夢の中身もさっぱりなのに」
「私も普段そうよ。ただ今日のは特別だから気付いたの。あの自動販売機があるでしょ?」
あの自動販売機とは、私が香織ちゃんにミルクティーを買ったあの自販機だ。
「夢で、白い花が見本の缶の代わりにあったの。でも何本と咲いているんじゃなくて、一輪だけ」
……。喉に魚の小骨が引っ掛かったみたいな不快感とでも言おうか、妙な感覚がした。
「でね、よく見るとその花はうっすらと紫色に染まってる。遠目では分からないくらいに」
香織ちゃんは夢を鮮明に思い出そうとして厳しい顔つきになっている。
さっき香織ちゃんは真剣な顔と言った。真の剣の鋭さ、まさにそんな感じだ。
「何がそうさせるのか気になって辺りを見渡した。そこで初めて気付いたの。空が紫色だって」
「…つまり、空の紫が白い花に写った、ってこと?」
「分からないわ。夢だからそこに論理を求めても仕方ないのかもしれない。けど…」
次の言葉までに数拍の間があった。購買の窓から見える青い空の、さらにその先を見つめている様な瞳。
珍しい夢を語るにしては妙だと半信半疑でいたが、今確信に変わった。
「空が何で紫なのかしら」
夢は見せるものでは無く、見るものだ。香織ちゃんはそう考えている。
紫色の空。その言葉を聞いてから私も無性に気になっていた。そして、白い花。
このつっかえた感覚を香織ちゃんも感じているのだろうか。
「今日の帰り、ちょっと見ていきましょう。何か、引っ掛かるの」
「うん、そうだね。でもまずは授業だよ」
いつの間にか人のいない購買の中で、午後の授業開始の鐘が鳴るのを聴いた。
私達はあせって走りながらも互いの手を繋いで走ることが楽しくて、子供みたいに笑いあった。
私はいつもの様に図書館で本を読みながら、静かに時の刻みを感じていた。
夕日というほの暗い天然の明かりの中で、本を読む時を。彼女を待つ時を。
壁にかかった時計で五時五十分になったのを確認し、今日は早めに校門に向かうことにした。
「お、松本さん。帰り?水野さんと待ち合わせかしら?」
ちょうど出口の所で本田さんと出会った。走ってきたのか肩で息をしている。
「はい。あの、どうかしたんですか?そんなに急いで」
「あぁ、ちょっとね。財布どっかに置き忘れて必死に探してるんだけど、……、お、あった、あった!」
本田さんは分厚いファイルの山を適当に掻き分けると、嬉しそうに声をあげた。
「いやー、財布ってカードやら何やら入ってるから無いとあせるのよ。あ、そういえば陸上部練習終わってたよ」
「え、本当ですか!?」
「うん。さっき駐車場に行った時にグラウンドから引き上げてるの見たから。今からならちょうどいいんじゃない?」
「…駐車場って、車の中まで探しにいったんですか?」
「勘のいいお子さんだ。じゃあね、気をつけて」
さようなら、と本田さんに一礼し校門に向かった。お子さんか。
待ち人に少しでも早く会いたくて小走りになってしまう自分を見て、まさしくと一人で苦笑した。
私が着く頃には、既に香織ちゃんが校門に立っていた。手を振ると振り返してくれた。
「香織ちゃん。ごめん、遅れちゃった」
「いいのよ、まま。私もたった今来たんだから」
香織ちゃんはそう言いながら自販機の方を振り向いた。それは風景として完全に溶け込んでいる。
入学以前からあるのだから無い方がおかしいのだけど、今は逆に変な風に見えてしまう。
「引っ掛かるとは言ったけど、実際どうしようか考えてないのよね。見て分かるものかしら」
自販機に近づきながら普段通りの口調で香織ちゃんは言う。
意識すると思いの他、目の前の箱は大きかった。様々な色をした缶が低い唸りの中で列をなしている。
「……、ミルクティーは確かここよね」
香織ちゃんは人差し指で今は炭酸の缶がある場所を指した。今と昨秋とでは並ぶ缶が違う。
「うん。…香織ちゃんも白い花はミルクティーの化身って考えてた?」
「ええ。自動販売機の中にある白、としたらそうとしか考えられないわ。ミルクティーの色は、と訊かれたら白と答える」
「夢で咲いてた場所も、同じ場所だった?」
「実はそこまでは覚えてないの。でも合ってると思う。あれは私にとって特別」
私は顔を上げ、横顔を見つめた。うっすらと微笑みを浮かべている。
あの時の出会いを思い出してくれているのだろうか。
「だからはっきり覚えて無くても、確かにそうだって感じられる」
「あのミルクティーで、ままは初めて温めてくれたんですもの。あれからも、ずっとね」
「出会って種が蒔かれ、ままの温かさの中で夢の花が咲いたのかしら」
香織ちゃんは自分の科白で照れたのか、ほんのりと頬を赤く染めた。
いや、赤く頬を染めるのはそれだけでは無い。夕日が赤々と輝くのを見て、私はそう感じた。
つと空の彼方を眺めると、私も香織ちゃんの空の夢を見ている気がした。
香織ちゃんが見たであろう夢を、私が今現実で見ている。不思議な気持ちだ。
「香織ちゃん、やっぱり紫色の空が白い花を染めてたんだよ。私の顔、夕暮れと同じで赤いでしょ?」
「そうね。……でも、そうだとしても、どうして紫色なのかしら…」
私は黙って人差し指で空の彼方を指した。そこは昼と夕暮れが出会う場所。
「紫…の空」
昼の空の青と、夕暮れの空の赤が交わり、紫の空は生まれる。誰でも知っている何気ない出会い。
きっと、皆は見ている。だけど忘れてしまうのだ。空はずっと頭上にあるもので、存在が当たり前と考えて。
だから私達も気付かなかったんだと思う、紫色の空を。
「夕日に満ちた夕暮れを待つ心と、雲無き晴天の朝と昼を求める心」
「それを夢で見たんだよ。私もそうだもん」
「学校の時間から解かれた夕暮れ、学校の時間の中の一時の休息」
「朝も、昼も、夕方も、香織ちゃんと晴れた空の下で一緒にいられれば幸せだから」
「雨だと手が繋ぎにくいし、体冷やして欲しくないしね」
香織ちゃんは捉えにくい表情をしていた。納得したけど、どこかつっかえた様な混ざった表情。
違う。もっと、色んなものが混ざってる。香織ちゃんへの恋心に戸惑った私に、似てる。
「香織ちゃん?」
「…そうね。ままが言う通り、白い花も紫色の空も箱を開けてみれば当たり前のことね」
涙がぽつりと香織ちゃんの目から落ちた。私は驚いて声が出ない。
「ままのことだもの。私の、私の優しい、ままと、私の、こと………」
私は何も言わずに香織ちゃんを抱きしめた。私は知っている。
こうされることが、どんなに心強いかということを。香織ちゃん、これでいいかな?
「ごめんなさい。何で泣いてるか、よく分からないの…。夢のことが分かっただけなのに…」
「悲しいんじゃないの…。そうじゃなくて、上手く言えないんだけど…」
「ごめんなさい。もう少しだけこうさせてね、まま」
声も上げずに静かに泣く香織ちゃんを、私は少し強く抱きしめた。
「じゃあね、まま。今日は何だか変な事につき合わせて、ごめんなさい」
「ううん、全然変じゃない。また何かあったら話してね」
今まさに電車から降りようとする香織ちゃんの背中を追いかける様に、声をかけた。
「香織ちゃんが見たのは、いい夢だよ」
「いい夢?」
「うん、いい夢」
「そう。ままが言うなら、きっといい夢ね。じゃあ、また明日ね」
香織ちゃんは電車が発車を告げる鐘の中、小走りで降りていった。
駅を離れる数秒の間、私達は互いに手を振った。香織ちゃんのいる駅はすぐに離れていった。
白い花、紫色の空。夢はやっぱり見るものだったんだ。正直、私は少し嬉しくなった。
夢にまで思っててくれてるのかな、と。それはとてもありがたく、こそばゆい。
でも、それは別にして。香織ちゃんが釈然としない表情を浮かべてた様に、蟠りが私の中にもある。
白い花、紫色の空。その言葉が、依然変わりなく私の頭の中に居座り続けている。
私は白い花。花守りはそう私に告げた。あなたは白い花、育つことを忘れた花。
花守りは私に水を浴びせながら、いつもそう言っていた。その時の彼女の目に光は宿っていなかった。
一体いつから咲いているのか分からない、いつから花守りがいるのか分からない。
気付いたら私は籠の中に咲き、花守りの声とどこからか聞こえるどす黒くも明るい声に包まれていた。
土の無い白い地面、狭い籠、灰色の空が私に与えられた場所だった。空しく、虚しく、切ない場所。
花守りは手に如雨露を持ち、やって来ては私に水をかけた。水を浴びないことはなかったのに、私は育つ実感が無かった。
私は花守りに尋ねた。花守り、私は君と会った時よりも少しは綺麗に咲けているだろうか?
いいえ、あなたは何も変わってないわ。ただ少し首が下がっただけ。それに。
それに?花守りはこう答えた。僅かに灰色になっている、と。
花守りはごめんなさいと謝り、その日は去っていくと同時に落し物をしていった。荒れた白い毛の塊を。
花守りは出会った時から自分のことを話さなかった。友人はいるかと尋ねたら、沢山いると言った。
大事なものはあるかと尋ねたら、沢山あると言った。夢はあるかと尋ねたら、沢山あると言った。
花守りはいつも私を見ずに返事をした。不思議だった。それほど持っているのに、全然嬉しそうではない。
花守りの沢山は多くのものの重なりというよりも、沢山という名のぼんやりとした幻の様だった。
例えるなら、子供が親に何かをねだる時に言う「皆持っているよ」の皆か。
花守り、それだけの沢山のものは無理やり持たされているだけじゃないか?それが何かも分からずに。
ふるふるとまだまだ幼い花守りは首を横に振った。壊れた人形の様に、不気味に揺れ続けた。
灰色の空は段々と濃くなっていった。そうなると私が入れられた籠の狭さも助長された気がした。
私は結局、少しも育たなかった。地面に顔が近づき、色がより灰色になった程度だ。
ある日、花守りに訊いたことがある。花守り、君は何て言うんだ?私の様に名を持つのだろう?
少し大人びてきたがまだ子供の花守りは笑いながら、天の使いと書いて天使と教えてくれた。
天使。実に良い響きを持つ名前だと告げると笑いながら、でもこの名前嫌いなのと言った。
大層な名前だけど、私にとっては価値の無いものだわ。笑ってはいたが頬が引きつっていた。
それ以来、花守りは自分のことを前よりも離さなくなった。私が名で呼ぶと、花守りでいいよと返した。
いいよ、という科白は許可ではなかった。命令に近い口調だった。
それからも花守りの背中に生えた白い翼は、だんだんとぼろぼろになっていった。
その日のことを私は忘れもしない。花守りは如雨露に甘くて温かい水を入れていた。
いつも育つことのない私に謝るか、何でもないことしか話しかけない花守りがある少女のことを話した。
何でもない話に聞こえた。花守りに客観的に優しく振舞う、陶酔した彼らの一人だと私は考えた。
しかし。花守りは私の見たことの無い微笑みと上気した顔を見せていた。
花守りのくれたその水は気持ち良かった。気持ち良い夢でふわふわと漂っている気になった。
その少女が花守りの中で特別になっているのが、痛い程に分かった。
少女と接しない日でも花守りは私に色々なことを話した。私は訊いた。その少女が好きか、と。
花守りはそうかもしれないと俯いたまま、ぼそりと呟いた。私は忠告した。
駄目だよ、花守り。君は彼女を愛してはいけない。君達は女性同士だ。愛は異性の間で育つべきだ。
花守りは声を上げずに泣き、私の元を去った。白い羽根は前よりも美しく整っていた。
その少女が如雨露を持ち、花守りと一緒に私の前に来たのには驚いた。
花守りは嬉しそうに肩を並べ歩いている。普段よりも口数が多く、興奮してるのか頬はほんのりと赤い。
少女は私の前に立ち、何も言わずに如雨露を傾けた。最近もらうのと同じ、あの水であった。
そうか、私は理解した。あの水をくれていたのはこの子か。この子があの水を与えてくれていたんだ。
花守りは微笑みながら私のことを少女に話した。見て、この子。前よりも白くて、うんと伸びてるのよ。
きっとあなたの水のおかげね。その少女は恥ずかしそうに俯いていた。
少女さん。私は警告した。君は良い子だ、花守りにも優しくしてくれ。だけど。
花守りを愛さないで欲しい。君達は良い関係を築ける。その、普通の関係を築いてくれ。
少女は何も言わなかった。言えなかったんだろう。花守りは怒った様に少女の手を握り、帰っていった。
一人で戻ってきた花守りは吼えた。何てことを言うの!私は怯まずに言い返した。
花守り、君は苦しみを少女に打ち明けてから、前よりも想う気持ちが速く大きくなっている。
お願いだ、花守り。許されていないんだ。いつか、いつか、君は絶望に暮れてしまう。
…分かってる!分かってるったら!花守りは子供の様に、ひたすらに泣き叫び続けた。
私は間違っていた。絶望に暮れる事なんて、ないだろう。少女と花守りから水を浴びながら今は思う。
望みが絶たれることは無い。花守りから希望をいくら取っても、誰も少女という希望だけは取る事はできない。
世界を恨み、自身を称える人を憎み、気持ちを否定する全てを妬んだ花守りは今、それらを受け入れている。
私は二人に尋ねた。君達は互いがいなくなった後も、世界を愛することができるか?
少女はできると即答し、花守りも数秒の後できると答えた。互いがいた世界を愛せずして、何を愛せる。
全てが二人を呪う悪魔では無い。それらまでを無視するのは、あまりに悲しいことだ。
ただね、花守りは付け加えた。少女がいなくなるなんてことを軽々しく口にしないで頂戴、と。
私はすまないと謝ると、少女は黙って花守りの背中のそばに座る。自製のものか、不器用に歪んだ櫛で花守りの羽根を通す。
君達なら、いつか祝福される時が来るかもしれない。いや、もう祝福されていて気付いてないだけかもしれない。
ただ、どっちでもいいか。
優しく丁寧に櫛で羽根を繕う少女と、幸せそうに目を閉じ鼻歌を歌う花守りを見て、私はそう思った。
いつだったか、少女は私に尋ねた。出会った時、私は育つことの無い白い花だって言ってたよね。
でも、気のせいかな。ほんの少し紫色に見えるのだけど。私は不思議に思い、花守りにも訊いた。
確かに、少し紫色をしているわ。何でかしら。花守りも気付いていなかった様で私は考えあぐね、何気なく空を見上げた。
いつからだろうか思い出せない。灰色だった空は、今は綺麗な紫色の空になっていた。
あの空が私を染めたのだろうか。あの、昼と夕暮れが混ざった様な空が。
私は何だか嬉しかった、あの綺麗な空の一部が私になっている様で。あの曇っていない心地良い空の一部が。
あ、いい香りがするんだね、あなたって。急に私の顔に鼻を寄せ、少女は言った。
ええ、そうでしょ。この子の香り、あなたに是非嗅いで欲しかったの。花守りが楽しそうに言う。
でも、何か表現しづらいな。とっても、とってもいい香りなんだけど。花守りが助け舟を出した。
実はこの子の香りは、この子の名前そのものでもあるの。花守りは私を優しく撫でる様に口にした。
この子の名前は、水の香り。
白い花と紫色の空を、私は本当に分かったのだろうか。この形容し難い既視感は気のせい?
香織ちゃんの巨大な意志の篭もった瞳を思い出す。何かある気がしてならない。
私は眠れない夜を過ごしている。今日起こった香織ちゃんの夢について。そこにある白と紫。
夢は夢だ。人の記憶が作り出す幻想、それだけでしかない。私の中にも紫色の空と白い花を発起させる要因がある?
……。それはないと思う。
仮にそうだとして似たものを見ているのなら、それが再現された今日の空を見てもっと鮮明な何かを得るはず。
香織ちゃんの夢。夢は見るもの、それを作るのはその人の記憶であり精神。
『あなたの思いが私の中に伝わってくるのよ、いつでも』『いい夢?』『結びたかったのかもしれない。私達の心の糸を』
仮に、もしも仮に、私達が心の糸で繋がっていたら、香織ちゃんの夢とも繋がっていたのでは。
その夢は香織ちゃんの心そのもので、だからあんなに綺麗な紫色の空と白い花があったのでは。
ただ、忘れただけ。私は確かに見たけれど、ただ、忘れただけ。
ふっと体が軽くなった気がした。それが正しいかは確かめようがないが、私のつっかえは跡形無く消えた。
お子さんな全然科学的でない考えであるけども、それを疑う心は持っていない。
だんだんと闇が上下に濃くなっていた。それは私が眠った印と気付いたのは、翌日の朝だった。
「まま、昨日はありがとう。いきなり泣くからびっくりしたでしょ?」
私は何も言わずに首を横に振った。香織ちゃんももう一度ありがとうと言い微笑むだけだった。
ざわめいた朝の教室で、香織ちゃんはいつもと変わらない様子でほっとした。
ふいに後ろの方から香織ちゃんに声がかかる。
「水野さん、日直だよね?職員室に行ってプリント持っていけだって。ついてないね」
「そう。仕事なら行くしかないわね。ありがとう。今から行くわ」
「…手伝おうか?」
少し恥ずかしそうに俯いた彼女の誘いを香織ちゃんはやんわりと断った。
「ありがとう。でもこれは日直の仕事だから、大丈夫」
香織ちゃんはじゃあねと手を振り去っていった。言葉の落し物をして。
「今日も良い夢見れたわ」と。
日が落ちた空の下を私達は手を繋ぎながら歩く。時には腕を組み、時には唇を繋ぎ。
影が二つ、形を崩しながら私達を追う。学校から駅までの道は長いようで短い。
「そういえば朝言ってた夢ってどんなだったの?」
「昨日と似た様な夢よ。…、でも何だか妙に覚えてるのよね。白い花と紫色の空」
「ただ白い花が自動販売機じゃなくて、壊れた籠の中に咲いてた。屋根の無い、ぱっくりと開いた籠」
「そこで私は如雨露を持って、誰かと、あれは誰かしらね。一緒に花に水を浴びせたの」
意味はよく分からないが、それはとても素敵な夢に聞こえる。何故だろう。
「…。ままは?」
「残念ながら、全然覚えていません。うーん、記憶力ないのかも」
「案外、ううん、きっとね」
香織ちゃんは紫色の空を臨みながら、落ち着いた綺麗な声で言った。
「あの子、一緒にいたあの子は、ままなんでしょうね」
「うん、そうだといいな。きっと、そうだね」
私は面白くて、嬉しくて、思わず笑みがこぼれる程に温かい気持ちでそれはもう心が一杯だった。
「今度会った時はミルクティーをおごるよ」
以上で終わりです。
素人の書く百合小説って、
俺設定&造語つくりまくりのお耽美系ファンタジーか、
自傷臭あふれるナルシストメンヘラ話の、
どちらかだよね。
百合とさわやかって同居しない関係なんだね。
なんで「どちらか」なんだ?
むしろ両方で。
自分の好きなもの全部ぶちこんで、
さわやかな漢気を感じさせてほしい。
つうか読んでて恥ずかしいというか痛々しいというかムズ痒いというか、そういう話は見飽きたんで、もうちょい安心して読める話を探してるんだが。
創作人口自体が少ないからレベル低いのもいたしかたないのか。
それは百合ものが成立しうる王道の年齢設定が
『痛々しい』こと、『恥ずかしい』こと満載の年齢だからかな?
大人の女性同士の落ち着いた精神年齢で展開される
百合話が読みたいってことだろうか。本人たちはしっかり自立してるのに、
どうにもならないドラマに翻弄される、みたいな。
いや、『さくらの境』みたいなのがいいんじゃね?
その妖精は妖艶な眼差しを麗夜へと向けた。
庭を絨毯のように埋め尽くす薔薇の華一輪に指を添えると、その棘がしなやか
な白い指を傷つけるのも構わず握りしめる。
麗夜は慌てて駆け寄ると、妖精の手から薔薇をもぎ取り、鮮やかな紅に染まる
指に唇を寄せた。
「なぜこんなことをするの?」
麗夜には、妖精がそうしてたびたび見せる自暴的なさまが、どうしても理解で
きなかった。否、理解していたのかもしれなかったが、そうする相手を守れぬ
自分に、歯がゆさを感じてしまっていた。
「傷つくことなど、怖くはない。どうせ何も失うものなどないのだ」
妖精は麗夜に背を向けると、散った花びらを踏みつけ敷き石の道を歩き出す。
「見ろ。月がまた蒼く染まり始める。もうじきまたお前と会えぬ夜を過ごさ
ねばならぬようになるのだ」
麗夜は妖精の背後に駆け寄り、思い切り抱きしめた。間近に見る肌は透き通
るほど白く、淡い薔薇の薫りに酔うような眩暈を感じた。
・・・試しに「自傷的」「ナルシスト」「耽美系」をまぜたような文章にチャ
レンジしてみた。
自分で書いててだんだんキモくなってきた。
『痛々しい』は>245みたいな意味だったのか。
むう、こりゃ背中がかゆくなるわ
ストーリー重視とかいう言い方を百合系の創作サイトを回っているとよく見かけるんだが、エロに手抜きなしのストーリーも濃いような話というのはないもんだろうか。
百合話を読みたいと思っている人が、全然エロなしがいい!か、エロさえあればいい!のどちらか両極端に分かれるなら、そんなどっちつかずな話に需要はないんだろうけど。
249
小ネタ投下します
向かいに座る母が梅干の種を舌で転がしていたかと思うと、ぺっと空の茶碗に出した。
もう四個目になる種は同胞達の成す塊の上に落ち、白い茶碗に薄い紅色を塗りたくった。ピンクとは言えない暗く薄い紅色。
今までと同じ様に母は今しがた種を吐き出した口の中に緑茶を注いだ。
「あんたね、嫁入り前の娘が食後に煙草を吸うなんて感心しないって何度も言ってるよね」
私は右手に挟んだ煙草から出る煙を何となく眺めていた。
「今じゃあ禁煙、禁煙って吸いづらいのよ。家の中くらい吸わしてくれたっていいじゃない」
「何が今じゃあ、だよ。あんたが吸い出したのは今年の頭からで、もうその時には禁煙は進んでたろ」
「一般論よ。一般論」
母はわざとらしく大袈裟なため息を吐き、恨めしそうに言う。「まさか煙草を吸う女が格好良いなんて思ってないだろうね」
「確かに先輩でそう考えて吸ってる人もいる。キャリアウーマンであるための条件とでも考えてる様にね。でも私は違う」
「そうだろう。あんたはそんなの吸わなくたって器量良しだからね。父さんと一緒のジャンキーなだけか」
緑茶が吸込まれていく音だけが部屋に響く。ジャンキーという横文字でありながらも、時代からずれた響きがどこか可笑しい。
この人は言いたいことと言うべきことをイコールで結び付けていて、本音しか喋らない人だ。
私を器量良しと思っているのも、父と同じジャンキーとして吸ってるだけと考えてるのも正直な思いなんだろう。
「昔じゃ父さんの煙草を、姉妹揃って煙たがってたのに。ああ、いやいや。父さんのせいかしらねー」
「父さんの時代は吸わざるをえなかったていうのもあるでしょう。あんまり責めないであげてよ」
「おうおう、喫煙組がタッグを組んだか。舞と私とでも手を組まないとだめそうだ。舞はあんたより厳しかったしね。
お父さん!煙草駄目!って、よく突っかかってたものよ」
「そう、……、そうだったわね」
よっこらしょ、と母は立上がり空いた食器を流しに運びに行った。それと同時に玄関で鍵が回る音がした。
「ただいま」
舞は母に夕食は外で済ませてきたことを言い、どうやら連絡は伝わっていた様で母は頷いている。
煙草を吸っている私を見つけると舞はしかめっ面になり、きびきびと私の方に向かってくる。
「姉さん、煙草は吸っちゃ駄目だって言ってるでしょ。何で今日も吸ってるのよ」
「何でって言われてもね。美味しいから吸ってるだけだけど」
私が最後まで言い終わらない内に、舞は右手に持っていた煙草を素早く奪い取り、有無を言わさず灰皿で消した。
「あ、あー、……、吸い初めだったのに。これで残り一本だってのに」
「文句を言わない、文句を言わない。そこでほら。煙草の代わりにケーキを買ってきたの。こっちにしましょう」
「んー、じゃあ貰おうっかな」
「決まりね。母さん、紅茶頂戴。母さんも食べるでしょ?」
母はしばらく考えた後、紅茶だけ飲むと返事した。そう、ダイエット中なのだ。我が妹も分かって四人分買ってきている。
「(姉さんの煙草の気を紛らわすためってことで母さんも了承してるの。おかげで最近はケーキ買ってきても文句言われないんだ)」
耳元で舞が母に聞こえない様に小さい声で喋る。舞はケーキ好きでよく買ってきては母に怒られていた。
最近小言を言われなかったのは、このため。母の分は勿論、この子が食べる。嫌々食べる振りをしながら。
「でも早く煙草は止める様に」なかなか無茶をする妹だ。
母はさっさと紅茶だけ飲むと、風呂掃除に向かった。舞と隣り合ってケーキを食べながら、紅茶を啜る。
個人的なことを言えば、単体で見るのならモンブランが好きなのだが、紅茶と合わすならショートケーキだと思う。
舞はシュークリームを頬張りながら、うんうんと満足そうに一人頷いている。首の振り方が母とそっくりなのだが指摘していない。
「姉さんさあ、本当に止めた方がいいよ。何で吸うかな、私には分からない」「吸ってみる?」
箱を取り出そうとするも、予想通りいらないとすぐさま返事が返ってきた。
「いいじゃない。舞もケーキが食べれるしさ、私も煙草が吸える。一石二鳥」
「本気で言ってるの?私、姉さんの体を心配してるのよ。父さんだって医者に止められてるでしょ」
「本数が違うよ。吸っても一日に二本だし、それに一番弱い煙草だから」
「……、割と本気で心配してるんだから」
舞がぽつりとそう呟くと、母が掃除を終えて戻ってきた。ケーキが実に憎いらしく、目も合わさない。
視線を机の上のそれに向けないまま、舞に話しかけた。
「あんた、明日から旅行だっけ?何日だったっけ。二日、三日?」
「二泊三日。だから帰ってくるのは、明々後日になると思う」
「旅行に行くのはいいけど、大学一年で遊びをあんまり覚えて欲しくないね。お姉ちゃんを見習わない様に」
いきなり酷い言われようだが、事実なので反論しようが無い。ところで旅行の話は今の今まで聞いていなかった。
「旅行行くんだ?」
「うん。サークルの友達だけで。あ、女だけだから安心してね。お姉ちゃんと違いますので」
「二人して苛めないでよ。そんな何回も行ってないでしょ」
「あれ、数えていいの?何回色々ともめたのか、私覚えてるけどなあ」
母が愉快痛快と笑っている。「強力タッグだろう」と。
舞が旅行仕度するというので、私は一人ベランダに出た。昔はよく男と遊んだものだ。
特に何も言わず二日旅行に行き、帰ってから散々怒られた後、男と行ってたと報告した時の父の形相を忘れない。
確かにやることはやっていたし、連絡もしなかった私が悪いので、その時は何回と謝った。それでも懲りずに何回かしたのだけれど。
今考えてもあの時はどうにかしていた。いや、今の方が余程どうにかしているのだが、あの時は心から男を求めていた。
もっと良い男と、それは私をもっと満足させてくれる、私がもっと満足させてあげたい男と会いたかった。抱いて欲しかった。
何故そんなことを思うのか当時の私は分からずに、闇雲に、彷徨っていたとでも言うべきだろうか。
一本しか入っていない煙草の箱を握ると、その空白の手応えの無さが何故か気持ち悪かった。
結局、私は実の妹が一番好きなのだということが分かった。それに気付くのが怖くて、妹より合う男を知りたくて、遊んだ。
しかし遊べば遊ぶ程、絶対に足りない何かに気付いてくる。それは胸の膨らみや柔らかな肌という意味ではない。
彼女にしかない物、つまり彼女が必要なのだ。それが叶わないことは私なりに把握しているつもりだ。
何がどうでは無く、無理な物は無理なのだ。だけどこの気持ちはまだ死んでくれない。死んで欲しくもない。
だから煙草になんて縋る。それで舞がケーキを買ってきて、一緒に紅茶を飲んでくれるなら、心配してくれるなら。まずくとも吸おう。
お姉ちゃんの我が侭に付き合って頂戴。この気持ちはずっと封じ続けるから。
あなたが結婚したらきっと父さんと一緒に酒を飲んで、一緒に泣くわね。娘を取られた、恋人を取られた者同士で。
「姉さん?あ、こんなとこで煙草を吸おうとしてたのね」
舞がベランダに入ってくるなり、勢い良く箱を覗き込む。意外そうにおーっと感嘆している。
「吸ってないじゃん。私が旅行に行ってる間も吸ったら駄目だよ。勿論それからも。じゃあ私早めに寝るね。おやすみ」
「おやすみなさい」
おやすみと言った笑顔を思い出しながら煙草の箱をポケットにしまった。大丈夫、あなたが帰ってくる日まで吸わないから。
以上で終わりです。
姉妹百合まんせー
GJ!
こういう小道具の使い方の上手い話は大好きだ
保守
保守
保守
保守
保守四連続
ちょっと早いけど、季節物を投下
今年もこの日が来た。有線からは代わり映えの無い歌が流れ、行く店先々ではギザギザ頭が目に付く。
サンタクロースの存在を信じない様になってから、もう何年になるだろう。あれは小学校四年の頃だから、……、数えるのは止めるか。
街を歩くだけで胃の痛む思いをしているのに、序でに塩を塗るのもどうかしている。あぁ、誰か唾でもいい、つけて欲しい。
「えー、やだもー」語尾を無駄に延ばした、かわいこぶって高くて黄ばんだ声が耳に入ってきた。
見ると、信号待ちしているアベックが楽しげに腕を組んで談笑している。そのまま二人で赤信号を渡ってしまえ。
何を心の中で呪詛を呟いているんだ、私は。そう、去年までは良かった、彼氏がいたから。
こっちも馬鹿みたいに私達幸せですよーって周りにアピールしたり、ちょっと高級な店で大人な雰囲気を演出したりしていた側だ。
で、結局セックスするわけ。何だかんだで過程が違うだけで、行き着く所は一緒なのよ。
男にしても、普段以上にそりゃあもう伝わってくる。ロマンチックだろ?プレゼントだよ?いい雰囲気でしょ?って。
前の男なんてプレゼント渡す時に勃起してたしね。そん時は何故か逆に燃えたわけなんだけどって、私は馬鹿か。
歩きながらすることも無く、最近別れた彼氏に買ってもらった、いや、もらってやった携帯を開く。
携帯のアドレス帳を探せば、男の名前も幾つかはある。しかしだ、ここで今日空いてる?なんて電話はしない。
いかにもじゃない。侘しくて寂しい者同士の傷の舐めあいみたいでさ。そんな安いプライドは持ち合わせてないの。
と言いつつも、「は行」まで来ている自分が情けない。こんな葛藤は二週間前からしているというのに。
ふと一つの名前で目が止まった。……、こいつなら絶対空いてる。何たって二十年弱の付き合いだ。空いてる。
クリスマスに同性の奴と過ごすなんて、それこそ傷の舐めあいの典型例みたいだけど知ったこっちゃない。
まあ、生きている内に一回ぐらいはそういう経験も悪くは無いのだ。王様と乞食だってそんな話だ。
通話ボタンを押してコール音が五回鳴っても出ないが、毎度のこと。もう三回鳴ってからようやく出た。
「もしもし?暇?」
幾ら経っても電話の向こうからは静寂しか聞こえない。
「もしもし?暇かって聞いてるのよ」
「ああ、ごめん。今、寝ててさ。……で、暇かって?えっと」
「暇だわね。よし、酒買って行くから、着いたらちゃんと部屋の鍵開けなさいよ」
「ん?あー、開けっ放しだから、入ってこれるよ」
「女の一人暮らしで何無用心してるの!分かった、起きてな。直ぐ行くから」
返事も待たずに速攻電話を切る。何故かこのぐーたら振りも今は心地良い。唾だって、傷に効くのだ。
夜空を見上げると雲一つ無く、星が弱弱しく輝いている。ざまあみろ、ホワイトクリスマスなんてメルヘンなもんくれてやるか。
コンビニでビールと摘まみを適当に買って、あいつの家へ向かう。コンビニにもアベックがいたが、おめでたい限りだ。
クリスマスぐらい豪華なワインでも開けなっての。それが男の甲斐性って物だし、それを嬉しそうに飲むのも女の甲斐性だ。
安物を食べるのは、人生も安い人間だと私は信じている。だから今の私は滅茶苦茶安い女だ。クリスマスなんて滅べば良い。
そんなこんなで自己嫌悪に陥っている内に着いてしまった。ドアノブを回すと、案の定鍵は開いていた。
「おー、お久しぶり」
六畳の狭い部屋なので玄関を開けると直ぐに顔が見えた。あーあー、酷い。寝癖がぼうぼうで、おまけに寝起きだ。
着ている物はと言えば、どこぞで値段だけを見て買った様な無地のよれよれの灰色のパジャマだ。
その割りに狭い台所は綺麗に整頓されてるし、部屋もきちんと掃除されてる様だ。もっと身なりにも気をつけ給え。
「ほれ、ビールと摘まみだ。ちなみにポテチの塩は食べちゃ駄目。私の分ね。その代わり、プリッツのサラダ味はあんたの分」
「分かってらっしゃる、分かってらっしゃる。これがお酒に合うんだよね。えっと、お金はっと」
「いらないわよ。その代わりお菓子や摘まみ意外に食べれるものを……、ってあんた一人鍋してたの?」
小さな炬燵の上には、それに負けず劣らずの小さな鍋がコトコトと音をたてている。上着をそこらに丸めて、向かいに座る。
「ちょっと、もっと足を引っ込めて。入らないでしょうが」
「ごめん、あんま人上げたこと無くて加減が分からない。食べ物ならここにあるよ。よそってあげよう」
すっと立ち上がると台所から皿と茶碗を持ってきた。炊飯器を開けると美味しそうなご飯の香りがする。
ご飯と鍋をよそってる間、こいつはずっとご機嫌そうににこにこ笑っている。そういえば直接会うのは二年振りになる。
しかもこうしてどっちかの家で会うなんて、五年振りになるか?お互いずっと地元から離れていないが、時間が経つと段々会わなくなる。
そうか、五年振りか。前会った時はもっと若かったんだな、と悲観的な感想が第一に浮かんでしまう。
「はい。どうぞ」
「ありがとう。それにしても、ご飯が美味しそう。鍋は何か、何だろう、何鍋か分からないけど」
「鍋は適当だよ。鍋の素を買って、野菜とか魚を適当に入れただけだから。ご飯はこしひかりだね」
「あんた……、こんな狭い所に住んでるのに良い米食べるわね」
「逆、逆。良い米食べるために家賃削ってる。お米だけは良い物食べないとね」
気持ちは分かるが、実践してるのは偉いというか、本末転倒というか、とにかく変わっている。
お腹がぐーぐー鳴り出したので、早速頂くことにする。しなしなになった白菜を口に入れる。
「あ……、美味しい。これ鍋の素だけ?」
「ううん。味はちょっと私好みに調整してある。味合うかな?」
「うん。これは結構いける。確かにちょっと変わってるだけっぽいけど、このちょっとは大きいわよ」
「あはは、言ってること可笑しい」
こいつは鍋から出る湯気の向こうで五年前と変わらない笑顔をしていた。だけど、それは違うことに直ぐに気付いた。
会ってからずっと、こうやって笑ってたんだと。
「そんでさ、前の彼氏がね、『是非ともこれを履いてくれ』って渡してきたのが、ペニバンだよ」
「え、ペニバンって、あれでしょ。あの女の人に無い物を与える、魔法の腰巻」
「まあ、そんなんね。それで何て言ったと思う?『それをしこらせてくれ』ですって。何も出ねーよ。
流石に引いたんで窓から投げ飛ばしてやったら、向こうが半泣きでいきなり別れてくれですって。それっきりよ」
「あははは、馬鹿みたい。あははははは」
「しかも、あの男は余程気に入っていたのか拾いに行ったからね。ね?どうかしてるわよね?」
こいつの鍋を二人でからっぽにし、腹も程よくなって酒を飲み始めて一時間。
久々に何も気にしない酒は上手く、気分が良くなった私は誰にも話さなかった前彼との別れを長々と話していた。
こんな意味不明な話が余程うけたのか、こいつはずっと笑っている。悪い気はしない。
「あー、だから今年は一人なんだ。珍しいよね、いつも誰かと付き合ってる印象しか無いからさ」
「そうそう。世間は浮かれてるわよ。クリスマスだからって、ねえ。あー今の無し、無し。今のはいけない発言だ」
「いいんじゃない?時には恋人がいなくたって、罰は当たらないよ」
のんびりと、今日も冷えますねーくらいにのんびりとこいつは喋る。そういえば、こいつは男とかいないんだろうか。
今を見る限りはいそうにないけども。
「私はいないよ。もうかれこれ、何年もいないね、そういえば」
じっと見ていたのか、感づかれてしまった。最後の『そういえば』と言った時、一瞬目が爛々と光った。
何があったのかは分からないけど、こいつが辛い恋愛をしたのだけは感じた。でないとあんな目はしない。
「それは私に言えること?」
そうとしか訊けなかった。本当は、言えよと強く言いたいのだけど、そうは口が許さなかった。
こいつは一瞬きょとんとしてから、笑わずに、ただ目を閉じて首を振るしかしなかった。
「ううん、気にしないで。別にそんな大したことじゃないんだよ。ちょっと意味ありげになっちゃったかな?」
そう言ってから漸く今まで通りに笑った。言えないのは、きっと大したことだから。
自分の無力さと、今までの手前勝手さに腹が立ち、何も言わなかった。そりゃそうだ。
一方的に電話で喋ってくるだけの人間に、大切な事を打ち明けられるはずも無い。
「そういえばさ、サンタクロース覚えてる?」
私が押し黙ったのを図ってか、自然に、そして懐かしそうにこいつは切り出した。
「サンタクロース……。あぁ、あんたがサンタはいないって私に言ったこと?懐かしいわね」
「ね?四年生でサンタクロース信じてる人少なかったから、てっきり信じてないと思って、サンタはいないよねって言ったら」
「忘れてないわよ。私が驚いて『証拠は!?』って聞き返したら、あんたは『この服、お母さんと一緒に買いに行った』ってね」
「うんうん。今考えると私も酷いこと言ったけどさ、そっからの返しも凄かったじゃん」
そこまで細かいことは覚えてなかった。確か、むきになった私は確かこう叫んだんだ。もうずっと昔の話だ。
「『ならあんたも私にプレゼントよこしなさいよ!』」
声が重なった。
そうそう、サンタがいないと宣告されて、何故かむきになって怒った私は頓珍漢な用件を言ったのだ。
冷静に考えるとサンタがいないと言ったからといって、その人にプレゼントを要求する義理は無い。
「いやー、本当に懐かしいこと言うわね。言った、言った」
「で……ね……」
こいつはごそごそと引き出しをしばらく漁ってから、何か小さな黒い箱を取り出してきた。
はい、と恥ずかしそうにその箱を私に突き出す。私は流れで受け取ったものの、何が何やら分からない。
「軽い、けど、何これ?」
「だから、今までの流れで分からない?その時に、あなたに言われたプレゼント。次の年、買ったんだよね」
私はじっと見つめている内に、それが黒い箱ではないことが分かった。濃い赤色が、何年もの年月で黒ずんだのだ。
何年と待ったプレゼントに巻かれた紐を解く。何故か私の指は小刻みに震えた。これがとても神聖な物に感じている。
「買ったのはいいけど、何だか渡し辛くて。冬休みってのもあったけど、買った理由も、何だかね」
紐を解いて、包装紙も丁寧に剥がした。中からは白い箱が出てきた。
「でも捨てられなくてね。もう私も中身忘れちゃったけど。だから今日来てくれて凄く嬉しかった。ようやく渡せるから」
こいつの声が妙に耳に響くのに気付く。白い箱をゆっくりと開ける。
そこにあったのは、指輪だった。指輪と言っても、おもちゃみたいな安物の指輪だ。
それは指で持ち上げると雪の様に軽かったが、私は直ぐに箱の中に戻した。持っていられなかった。
そして指輪を戻した時、箱の底と見間違えていた白い紙を見つけた。取り出すと、ぼんやりとだが何か書いてあるのが分かった。
「ごめんね」
こいつがぽつりと、そこに書かれた四文字を読み上げた。何年もの時が経ち、やっと解き放たれた言葉。
子供が鉛筆で書いた、今見れば汚い文字を私はまともに見ることが出来なかった。世界が歪んで見えている。
何年振りだろうか、私の瞳から涙が流れてきた。
「何をそんなに泣いてるの?そんなに悲しい?」
こいつは子供を諭す母親の様に私の背中を摩った。何でだろう。何でこんなに泣けるんだろう。
「きっと、酒のせいよ。酒が、強くて、勝手に、泣いてるの……」
「うん……」
そう一言言うと、私が泣き止むまでひたすら背中を摩ってくれた。
「じゃあね、そろそろ帰るわ」
「うん」
涙が収まると、こいつは温かいお茶を持ってきてくれた。それを飲んでいる間、私達は何も喋らなかった。
ただ私にとっては、その沈黙はとても心地良いものだったとだけ付け足しておく。
「これは貰っておくよ」
「うん、だってそれはあなたへのクリスマスプレゼントだからね」
その一言を聞いて、私はにこりと微笑んでいた。こんな当たり前のことを、長い間忘れていた気がする。
丸めた上着を着て立ち上がった所で大事な事に気がついた。私は何もこいつにあげるものを持ってきていない。
上着のポケットを探ってもろくな物が無い。コンビニのレシートで鶴を折るくらいだが、入院している訳では無いんだ。
「何か探し物?」
「え……、いや……、私もあんたに何か無いかな……、って」
「あははは、いいよ。そんなの。それもずっと前のだしさ。あ、じゃああのプリッツで」
「そんなんじゃ私が良くないの」
「うーん、じゃあまた家に来て。やっぱり鍋は二人で食べた方が美味しいしね」
「いいの……?そんなので」
「私にとっては十分だよ」
そして昔と変わらない笑顔を私に向けた。時が経っても、笑い方を変えないこいつは眩しい。
なら、私はその言葉に少し甘えよう。また会ってくれるというその言葉に。
玄関で靴を履き、ドアを開けようとする時に少し違和感を覚えた。が、その正体は開けるまでは分からなかった。
玄関の先の景色では、雪が夜空から何万と降ってきていた。今年は、ぎりぎりでホワイトクリスマスだ。
「メリークリスマス」
「え?」
「そう言えば、まだ言ってないなって。……、綺麗だね、ホワイトクリスマスだよ」
「……。メリークリスマス」
私はこいつに軽く手を振り、アパートを後にした。夜空を見上げると空一面をどこから現れたのか、雲が覆っていた。
そしてその灰色の澱みから、綺麗な夜桜の様に雪が舞っている。口から漏れる吐息は負けじと白く昇る。
空へと向かう吐息を眺めながら、私は夜空に願った。
いつかでいい。あいつが私に悩みを、苦しみを打ち明けて欲しい。私もあいつにプレゼントがしたい。
「メリークリスマス」
私は誰に聞かすわけでもなく、そう呟いた。
以上で終わりです。良き聖夜を。
GJ!!
久しぶりのSSだ。
良作だ!
273 :
名無しさん@秘密の花園:2007/01/24(水) 15:08:20 ID:+HiIvGXV
保守。
保守
姉妹物を投下。
歩き慣れた道の上で、私に馴れた足は元気に進んでいる。良く出来た足だ、と思う。
もう春の陽気でこのまま地面に倒れてしまいたいのに、学校に向かっているんだから。
「姉さん。こっちでしょ」
おっと。体を右に引っ張られて視線が移った先には、少し懐かしい我が中山中学校の正門が目に入る。
そっか、あそこで右だ。どうも休み明けはしっくり来ない。
背中まで伸びた明るい黒髪を風に揺らしながら、青黒い瞳は怪訝そうにこちらを向いている。
「……、眠いんでしょ」
「ううん、眠くないよ。暖かいだけ」
そう、本当に暖かい。見えなくて、とても軽い毛布に包まってるみたいだ。
足りないのは枕と敷布団だけ。そしてそれが目の前にあっては、我慢がならない。眠い。
「見て、綺麗ね」
雨美が正門を抜けると直ぐに、口を開いた。
声が天に昇る様な響きだったので、私も天を仰いだ。桜が両手に出迎えてくれている。
「本当だ。やっぱり桜って良いよね。艶っぽい」
「『桜の樹の下には死体が埋まっている』、って言葉知ってる?」
「え、何それ。ホラー映画?」
「違う、違う。小説でね。有名な言葉だから知ってるかな、って」
「知らないなあ。死体の栄養分でも吸ってるのかな」
「さあ、そんな話じゃないと思うけど。どちらにしろ悪趣味な発想よね」
確かに死体を桜の下に埋めるのは不謹慎だ。ちゃんと墓場に入れる決まりがある。
「でも綺麗だよね。ほら、お団子とか持って花見する、って話であるじゃん。
あれとか凄い憧れる。桜の下で食べたら、絶対美味しいよ」
「ええ、美味しいでしょうね」
桜を見上げてるから確証はないが、雨美も微笑んで言っているんだろう。
ああ、良いな。お花見。お酒飲めないけど、ふざけて飲んだりとか、良いな。
「行こうか、姉さん。今度行けそうな日に。うん、行こう。
二人で朝からお昼作って、途中でお団子買ってさ。ね、行こうよ」
「ううん、朝から準備か。起きれるかな」
「じゃあ、姉さん。約束。私と約束ね」
雨美を見ると、悪戯っぽく笑いながら右手の小指を立てるので、自分の小指と結んだ。
こう出られては姉として黙っていられない。
「まかせなさい。お姉ちゃんは約束を破りません」
「姉さん、すーぐ乗せられる。じゃあ、私教室こっちだから」
指きりげんまんを解くと、雨美が下駄箱へ颯爽と駆け出した。
バイト以外で早起き出来るかな。いや、でも雨美との約束を破るわけには……。
「姉さん」
と、そこへ雨美がもう一つとでも言いたげに、今度は人差し指を立てながら校舎の入り口で振り返った。
「お酒は駄目ですよ」
うん。良く出来た妹だ。
始業式も終わり、今日は早めに帰れるから偶には妹の代わりに掃除でもしようかと考えていたら、
担任のおじっちゃんから声をかけられた。職員室に来い、という事だ。
長期休暇明けの、言わば定時報告だ。早く帰れます様に、と祈り、職員室の扉を開いた。
おじっちゃんの席には去年の雨美の担任である牧先生と、他ならぬ雨美本人もいた。
どうやら雨美も去年と今年の担任は同じの様だ。四人が揃うとおじっちゃんが早速尋ねてきた。
「何か困った事はなかったか」
私達は、特に無かったと答えた。四月なのでこれから給付金の申請をする、と雨美が付け加えた。
ふむ、とおじっちゃんは眉を上げる。
「どう。もうすっかり慣れちゃった感じ?」
牧先生は苦笑いしながら、そしてどこかあきらめながら私達に質問した。
慣れました、と私達は再び同じ様に答えた。
父さんと母さんは二年前、私が中一、雨美が小六の、丁度この時期に交通事故に遭い、他界した。
二人は晩婚だったため、父さんの両親が他界しており、さらに二人とも兄弟姉妹がいなかった。
つまり母さんのお爺ちゃんとお婆ちゃんしかおらず、そこで引き取りにひと悶着があったのだ。
お爺ちゃんは私達を自分達が引き取ると言ったのだけど、雨美がそれを拒んだ。
一緒に生活するとなると、ここを離れないといけない。慣れ親しんだ土地と人達と過ごしたい、そう訴えた。
私もそれには賛成だった。離れたくなかった。そして私達は半ば強引に二人暮らしをする事にしたのだ。
もう、悲しくは無い。私はあの時に涙を使い切ったのだから。
私は、あの時、ただ泣くだけの子供だった。だけど雨美は一滴も涙を見せず、隣にいてくれた。
そんな気強く、私を支えてくれる雨美がいるのなら、きっと大丈夫だ。
「雲井晴美、雲井雨美。頑張りなさい。何かあったら相談に乗るよ」
何度と言われた台詞を結語とし、会議は意外と早く終わった。先生二人は微妙な笑みを浮かべていた。
職員室を出て雨美と別れようとする前に、頼み事をされた。
「姉さん。新聞配達の帰りに、いつものボールペンの替芯を買ってきて」
「まっかせなさい。色は青で、それのだよね?」
私は雨美の制服のポケットから顔を見せた"くまさん"を指差して訊いた。
"くまさん"というのはボールペンのクリップ部分の事である。そう、クリップが可愛い熊なのだ。
「うん、よろしく。じゃあね、姉さん」
夕刊の配達を済ませ、途中で忘れかけていた買い物も終え帰宅すると、
雨美が何やら書類を書いていた。替芯を手渡すと、ありがとうとお礼を言われた。いやいや。
「それって給付金申請書?」
「うん。頼んでおいた書類が今日届いてたからね。ご飯は直ぐにできるわ」
もう書き終える様で、雨美の字が空白を殆ど埋めていた。いつも字を見ると思う。
「雨美の字って子供っぽいよね。くまさんのボールペンも」
「見かけと違ってでしょ?よく言われる」
「可愛くて好きだけどね。字も綺麗だし」
どうせ可愛いですよ、と笑いながら立ち上がり、雨美は台所へ向かう。
味噌汁の入った鍋を火にかけ、冷蔵庫から豚肉を取り出した。雨美さん、もしかして!
「今日は姉さんの好きな生姜焼きね」
うーん、良い。実に良い。あれは舌が喜び勇んでがっつきますからね。
「ねえ、姉さん。……、この生活楽しい?」
じゅーっ、と涎が溢れて来そうな音を立たせながら、雨美はぽつりと呟いた。
その声は弱いというよりも唯小さくて、聞き耳を立ててないと分からなかったくらいに。
「楽しいよ。七畳で、バイトも大変だけど、楽しいよ。どうして?」
「やっぱりね、今日みたいに先生の反応見てると時々思うの。良いのかな、って。
私は部活をやって、普通に過ごしてるけど、姉さんは朝と夕方にバイトしてる。
言い出したのは私なのに。何か色々考えちゃって」
「部活入れ、って言ったのは私だし、雨美は掃除や洗濯、料理もするじゃん。
もしも雨美が止めたかったら、止めても良いよ。お姉ちゃんが許します」
雨美はそれから何も言わずに、料理を続けた。私達の間には、豚肉の焼ける音しか無かった。
それから数日して、教室であまり親しくない男子生徒に話しかけられた。
「あのさ、雲井さんの妹さんを昨日の放課後に図書室で見たんだけどさ」
「え、何で。昨日は部活行ってるはずだけど。陸上部って昨日休み?」
「いんや、走ってたよ。だからどうしたんかなって。何か図書室の隅の方でさ、ぼーっとしてて。
分厚くて小さな本と可愛らしいペンと一緒にさ」
「可愛いでしょ、あのペン。あれさ、昔私が欲しいって言ったけど、頑なに拒まれたもん。
じゃなくて、雨美、何か言ってた?」
その子は右手を大袈裟にぶんぶんと横に振り、
「まさか。話しかけられないよ。でも、こうセンチメンタルな雰囲気でさ、綺麗だったなあ」
「いや、雨美は美人だけどね」
そこで休み時間の終わりを告げるチャイムが鳴った。情報をくれた事には感謝するが、
どうして私に話しかけたのだろうか。男の子の考えというのは良く分からない。
図書室か。うーん、今日の放課後にちょっと行ってみようかな。
放課後、図書室を訪ねたが雨美は居らず、図書委員の二人が番をしてるだけだった。
昨日の雨美は部活があったのにも関わらず、部活に行かずに図書室に居た。
普通に考えて、これはサボりという奴だ。どうしよう。雨美を説教しないといけない。が、負けそうだ。
私は何となく手詰まりな感じがしたので、現実逃避の意味も籠めて、雨美が読んでいただろう本を探した。
分厚くて小さな本、ね。何とざっくばらんな。一分経たずに図書委員に訊く事にした。
「あの、昨日私の妹が読んでた本が知りたいんですが。こう、分厚くて小さな本を」
話し掛けられた眼鏡の子は一瞬きょとんとした後、ちょっと待ってくださいと言ってから、『先輩!』ともう一人の子を呼んだ。
先輩は私を見ながら、眼鏡の子の説明を受けると、ああ、と頷いた。
「雲井雨美さんのことね。私は昨日もここにいたから」
「雨美の事、ご存知で?」
「まあ、あなた達は有名だからね。妹さんは確か聖書を読んでた。えっと、これね」
先輩は確かに、分厚くて小さな本を持ってきた。表紙には筆で書いた様な字で、聖書と記されていた。
私はお礼を言い、聖書を持って近くの席についた。何となく読みたくなったのだ。
初めには、何だか分からないが世界の誕生シーンがあった。あれ?ビッグバンが地球の誕生だったはずだけど。
高々数ページで最初にあった読む気も直ぐに費えてしまった。正直何が言いたいのか、全然分からない。
雨美は何を読んだのだろうか。
まさか、意味が分からなくて脳を静めてた訳でもあるまい。私はぺらぺらとページを捲っていた。
そしてその作業にも飽き出した時、あるページで目が止まった。マタイによる福音書、という題だ。
その第二十二章三十九節、『汝の隣人を愛せよ』の言葉の横に落書きがしてあった。
『我が隣人をもか』、と。見慣れた子供っぽく、そして青い文字で。
もう日も暮れ始めていた。雨美を探してから、結構時間が経っている。
陸上部にも行ったが、ここ最近来ていないという。もしや家に帰っているのでは、と思い帰路に着こうとした。
しかし正門を出ようとした際、視界の隅に雨美がいるのに気付いた。開けられた正門の隅で丸まっている。
「こんな所でサボってると何時かばれちゃうよ」
雨美はぴくりとしてから、ゆっくりと、動いてないと思える程にゆっくりと顔を上げた。
青黒い瞳を初めて怖いと思った。それ程までに、空っぽな感じがしたのだ。
「姉さんこそ、新聞配達は?夕刊はもう配られているわ」
「雨美を探してたの」
私は相変わらず蹲っている雨美の前に立った。右手を差し出したが、雨美は手を取らなかった。
ただ、私の右手をじっと見詰めている。視線が痛い、と右手は訴えている。
「雨美、大丈夫?五月病にはちょっと早いよ」
そんな冗談は黙殺された。本当に、私の発言が殺される様な重い沈黙だった。
「ええ、姉さん、ええ、姉さん。これは四月病なの。桜咲くこの季節の病。
姉さん。覚えている?父さんと母さんは二年前に死んだ。私達は二人で生活する事にした。
周りは呆れながらも、同情の念と供に承諾した。そうよね?」
「うん。丁度桜が咲いた頃だった。雨美はまだ小学生だったのに、私を支えてくれた」
高い、高い、周期的な音が雨美の口から漏れている。ああ、そうか。これは笑い声だ。雨美がただ只管に笑っている。
「ええ、私は小学生で、姉さんは中学に入ったばかりだった。姉さん、私怖かったのよ。
姉さんは私を置いて、違う世界に身を置こうとしている。私は捨てられるんじゃないかって気が気じゃなかった」
「雨美?お姉ちゃんがそんな…
「ねえ、姉さん。私こないだ言ったよね。『桜の樹の下には死体が埋まっている』って。
ええ、そうなのよ。姉さん、確かに桜は人の死を吸って綺麗に咲いているの。ねえ、姉さん。
私の桜は咲いてしまったの。父さんと母さんの死によって、咲いてしまったの」
雨美はすっと立ち上がると、私が何か言う隙を与えずに喋り続けた。雨美、雨美?
「私がどうして二人で暮らすなんて言ったと思う?この土地を離れるのが嫌?友達と離れたくない?
そんな物は二の次、三の次。唯の御託でしか無かった。私は父さんと母さんの死を利用した。
姉さんと、姉さんとだけ過ごす事が出来る。そんな妖艶な桜の誘いを断れるわけが無い。
姉さん、ああ、姉さん。私は姉さんの事を愛してるわ。姉さん、ねえ、姉さん」
雨美?何を言っているの?馬鹿なお姉ちゃんは全然分からないよ。"くまさん"を愛しそうに撫でながら、雨美は独白を続ける。
「姉さんさ、昔これ欲しいって言ったよね。嬉しかったんだ。私の物を欲しいって言ってくれて。
何だか私まで認められた気がして。姉さん、姉さん。何時からかな、私は何時からなんだろうね」
「雨美、あの、図書室の聖書に書いた文字って、青い、子供っぽい字って」
「ええ、あれは私。私が書いたわ。ねえ、姉さん。聖書に救いは無かったよ」
姉さん、と雨美はもう一度静かに呟いた。
暗い夕暮れの中、桜の花は弱弱しく散る。その何枚かは、私達の間にまで及んだ。
暗くくすんだピンク色の花。桜の花。本当にあなたは死体を吸って綺麗に咲くのだろうか。
「姉さん。どうしよう。私言ってしまったわ。ねえ、姉さん、姉さん、ねえ、姉さん」
雨美。土砂降りの雨の日に生まれた美しい私の妹。説教しないといけないね。そんな風にしてはいけませんって。
「姉さん。私は…
訪れたのは静寂。続くは雨美の柔らかい唇の感触。私は目を閉じた。暗闇の向こうで雨美の体が固まっているのを感じる。
私の閉じた唇に、雨美の舌が這って侵そうとするのを感じる。雨美の両手が私の腰に回る。全てを暗闇に預けた。
一体、それからどれだけ経ったのか分からない。雨美は舌を入れないまま、優しく身を引いた。
目を開けた。唇には未だ余韻が広がっている。視線を上げると、雨美は膝を立てている。
私は雨美に近づき、頭を撫でた。何時以来だろう、雨美の髪を撫でるのは。とてもしなやかだ。
「……、姉さん……」
返答をせずに、ただ撫で続ける。雨美が膝立ちのまま、私の足を抱きしめた。
「姉さんから、……、してくれる、な……」
もうその続きは声になっていなかった。父さんと母さんの葬式にも泣かなかった雨美が泣き始めたのだ。
最初は小さく、次第に大きくなり、そして子供の様に泣きじゃくった。
風が強く舞い、桜の花は何枚と乱れ落ち、私達の周りでも風と踊った。
雨美は私に頭を撫でられながら、ずっと泣き続けた。時々、ごめんなさいと声にならない声を上げて。
まあ、バイト先には怒り心頭に発するという言葉がぴったりな感じだったわけで。
次の日の朝、雨美がオスカー像をあげたくなる電話をしてくれた。
「熱でうなされて、姉が面倒してくれたんです。私が悪いんです、熱を出すなんて」
と告げ、最後に泣き真似をした。向こうは渋々オーケーを出してくれた。何というか、やはり恐ろしい妹だ。
電話を終えた後、「と言っても、そんなのも二人暮らししてるからこそ何だけどね」と呟いた。
本人も本人で部活の先輩にはこっ酷く怒られたそうな。
一応私も演技するよーと言ったら、姉さんは監督が向いてるからその時にお願いね、と断られた。監督か、良いね。
そして今、私達は約束通り花見をしている。ここ中山緑地公園はここらでは有名な場所なのだ。
何をどう上手くしたのか、桜の下には既に場所取りがされていた。まあいいや、良い場所だから。
見上げると、視界一杯に綺麗な桜が太陽の光を浴びて咲き誇っている。ちらちら散り乱れる姿が乙なものだ。
「おう、譲ちゃん達、酒でも飲もうや」
と、怖そうなおじさん達から声をかけられたり、それに釣られる私を雨美が引き止めたり、
二人で作ったお弁当を食べたり、カラオケの場に飛び入り参加したり、とっても楽しい。やっぱり良いよね。
「姉さん、ありがとうね」
ごたごたも一段落して、お茶を飲みながら雨美が微笑んだ。
「私はお姉ちゃんだからね」
「ますます好きになるよ」
私達はそれから笑いあった。ただ今が楽しく、愛しい。とっても暖かいけど、眠くは無い。
「桜の樹の下には姉さんが居たのね。だからこんなにも綺麗って感じられるんだわ」
雨美は桜を見上げながら、目を細めて、静かに微笑んでいる。今日はお花見。楽しいお花見。
終わりです。
GJ!!!!
いいなぁ… 聖書に書いた文字の所と、それに救いが〜って所にぐっときますた
ちょっと長いけど大丈夫でしょうか………。
ひとまず、わりと振り切ったMYファンタジー落としますー。
1.
木々は生きている。
森に入るたびに、小さな頃からわたしはそう思っていた。
静まりかえる森の中で、ものいわず佇むだけの木の群れにあれほどの存在感が
あるのは、きっと木に魂があり、その不可視の目でじっとわたしを見ているからに
違いない。木には、森には、命がある。心があり意思がある。
なぜだろう、森のイメージは墓所に通じるものがあると思う。
静かなのに、どこかで物音が聞こえる。
誰も居ないのに、あちこちから気配がする。
生きていないはずなのに―――命がある。そういう感覚が似ているのだ。
とにかく森はわたしにとって、得体の知れない場所だった。ゆったりとわだかまる
闇は、無数の気配をはらんでとぐろを巻いている―――ああ、草群の影に、木々の
すきまに、きっと悪い妖精が隠れてうす笑いをうかべている。
森は怖い。
だというのに―――わたしはずっと森に惹かれていた。
理由はわからない。ひょっとしたらわたしはどこかで、得体の知れない場所で
人知れず消えてしまいたいと考えているのかもしれない。
とりあえず高校にあがったら、一度本格的に山林を歩いてみたいと思っていた。
旅人のようにきっちりと靴紐を結んで、夢と現実のはざまをさまようみたいに、
木々の間を歩き続けるのだ。霧を抜け、谷を抜ければ、きっとそこに別の国がある
―――そんな空想を暖めつつ、日々を送ってきた。
でも。
「………なんで、こんなことになってるんだろう」
思わずつぶやく。
森。
わたしの目の前には、それがある。
近所にあったような小さな森じゃない。ここは、そんな場所よりずっとずっと、
濃密な森の気配をたたえている。外部からの侵入者を見えざる目でじっとにらみ、
すきあらば不思議な魔法の力で、侵入者を立ち並ぶ木々の一本に変えてやろうと
企んででもいるような。
「いつ、こんなところに入ったんだろう………」
わたしは、少なくとももう三十分ものあいだ、ここを歩いている。
―――でも、景色は変わらない。
地面は濡れている。長い雨のあとみたいに。
つるつると滑る。ローファーの足元が頼りない。
イヤだな―――と思った。
このまま歩いていたら、なんだかイヤな疲れがたまりそう。
イヤな汗が出て髪に溜まって、全身が重くなって、歩くのがおっくうになる。
そういう疲れ方。梅雨どき、傘を持たずに雨の中を歩いてるみたいな。
織り合わさっては開く木々の向こう、ダークブルーの空に淡い月。
今夜は満月らしかった。それだけは、わかった。
―――満月がこんなにきれいに見えるのは、どうしてだろう。
この月に比べれば、街の中で見る月なんて偽者みたいだった。見てる人が
刺激を受けすぎないように、毒気をぬかれた剥製の月。わたしたちはベランダから
毎晩それを眺めて、本物の月の光だと思い込まされてたんだ。
この森に浮かぶ月は、むきだしの月。
あの光を見ていると、ゆっくりと心がとけていくのを感じる。あの月が中空に
登りきれば、水飴のようなどろりとした光を流し込むだろう。わたしはきっと
その光を眺めながら、この森の一部になってしまう―――。
「―――どこに行くの?」
唐突に話しかけられた。
こんな―――山の中みたいな場所に、まさか人がいるとは思わなかったから、
わたしは少しだけ驚いた。声のしたほうを見る。ネイビーブルーの校内指定鞄を
きゅう、と軽く抱きよせる。
相手は木の陰にいるみたいだった。
もちろん、顔は見えない。
とろりとした重みのある、綺麗なアルト・ボイス―――女の子かな。
「………誰?」とわたし。
「こっちこそ。あなた、誰?」と声の主。
「ええと、東二中の二年生で―――」とりあえず名乗ってみる。
「東二中?」と相手。校名が通じなかったみたい。
「うん、ええと。東原第二中学校っていう」
「東原? 第二? 中学校?」
「………ええと、わからないの?」
「うん。ちょっとわからないな」
「どこが、わからない?」
「全部」
すこし、沈黙。
やがて相手が、木の陰から姿を現した。
きれいな女の子だった。
青みをおびた白い肌と、大きな猫目。
華奢だけど鋭い目鼻立ち―――なんだか頭のよさそうな、広い額。
別珍みたいなつやのある、黒いセシルボブ―――ていうか、おかっぱ。
フリルとかの飾りが一切ない、かっちりした白のカッターシャツと、マドラス
チェックのキュロット。茶色のまるっこいブーツ。
腰にひっかけた真鍮時計の長い鎖が、ぷらぷらと揺れている。
どことなく、男の子みたいな女の子だ。
そう思った。
「はじめまして、こんばんは」と相手。
どう取り合っていいかわからない。とりあえず会釈してみる。
「ようこそ。道に迷ったんでしょう?」と女の子。
「いや、道に迷ったっていうか。こんなとこ、帰り道になかったし………」とわたし。
「やっぱり」
「えっと。ここは、どこなの?」
「それは歩きながら話すよ」
「えっ、どこへ行くの?」
「友達のところ」
「そんなの―――急に知らない人が顔を出しても、大丈夫なの?」
「そういうしきたりなんだよ」
「しきたり?」
「うぅん。それも歩きながら話そうかな」
そういいながら、彼女はひょい、とわたしの手を掴む。
冷たい手だった。冷たくて、細くて、少しだけかたい指。
訳のわからない事に遭遇している不安と、話し相手ができた安心のあいだで、
ゆらゆらと揺れていたわたしの心の針が―――ほんの少しだけ、安心に傾く。
「キミの名前は?」と、女の子。
「エイコ。郁生映子、だけど、映子って呼ばれてる」と、わたし。
「ふぅん―――映子、エイコね」と、女の子。「あたしは烏瓜(からすうり)。
本当の名前は自分でもわからないけど、烏瓜って呼ばれてるの」
わたしは烏瓜に手を引かれ、森の中をあゆんでゆく―――。
人さらいにあった幼な児のように。
2.
「だから」と、わたし。「交差点の歩道橋を渡って、そこから大通りのわきの
小道に入って、神社の裏手まで行くの。かんたんな通学路なのよ。八百屋さんが
あって、古本屋さんがあって、つぎの通りで小さな林に入って―――」
「ふぅん」と、烏瓜。「それで?」
「それで………その林が、終わらなかったの」
「なんで? 長い林じゃないんでしょう?」
「うん、すぐにおわるはずなの。でも道がいつもとすこし違ってたし、あるはずの
鳥居だってなかったし―――あれ、それに………」
「それで、気づいたらここにいたんだ」
「うん」
「それだと思う」と、烏瓜。
「え?」と、わたし。
「その林、ふだんでも中に入ってみると、外から見るより広かったり、道が長く
なってたり―――そういうことって、なかった?」
「うぅん………わかんない。けど。そんな気も」
「間違いないかな。たまに、そういう林があるんだよ。古い林だとか森だとかは、
ときどき、この森に通じているの。そういうのは、あんまり立ちいらないほうが
いいんだけどね」
わたしには、烏瓜の云いたい事がよくわからなかった。
ただ、なんだかすごく怖い事を云ってるみたいに聞こえたから―――
烏瓜の手を、強く握った。指を、もっと深く絡めた。
「大丈夫?」と烏瓜。
「へいき」と私。
「靴、すれてない?」と烏瓜。
「………どっちかっていうより、足より靴底のほうが痛んだかも」と私。
「あはは」と烏瓜。「替えならあるよ。向こうに行ったら、履き替えよっか」
わずかな風が木々をゆらす。数え切れないほどの葉々が、さぁ、とささめく。
まるで秘密を交換するこどもたちの囁き声。ああ、やっぱりこの森は生きている。
迷い込んだわたしのことを、人ならぬことばで噂しあっている―――。
―――そうして、その池の前に出た。
うっすらと夕霧が出ていた。池の前だからかもしれない。
池のほとりにはおおくのカンテラがあった―――あるものは木につるして、
あるものは、幹にくくりつけて。その光が霧の中でぼんやりとこもって、風景は
まるで薄布ごしに透かし見たように柔らか。
手前がわの木々は、逆光で影絵みたいにまっ黒。
そのシルエットが池の風景を、囲むように切り取っている。まるで木々のがくぶち。
「烏瓜」と、わたし。「ここは………どこ?」
「ん、あたしたちの家」と、烏瓜。「みんないるよ」
「みんなって………」
「みんな。―――いっしょに暮らしてる子たち」
そうして―――木々がさわめく。
沢山の気配。
見れば―――女の子たちがいる。
光の加減で顔だとかは、よくわからない。森の風景にしっとりと溶け込んで、
木々やくらがりから、はっきりとわけへだてて見ることができない。
「こんばんは」
「こんばんは烏瓜」
「まあ」
「その方はどなた?」
「その人が今年のコなの?」
「ちょっと可愛いかな」
「お友達にならない?」
女の子の一人が、すい、とわたしの前に進んできた。
「はじめまして、こんばんは」
「―――はじめまして」
今度の子は、なんというか―――烏瓜とは、対照的だった。
つやのある肌。やわらかな瞳にかげをかける簾睫毛。
腰の近くまである、色みの薄い髪。癖のかかり方にどことなく品がある。
たけの長いカシュクールのカーディガン(それに似た、民族衣装?)
足元までが隠れる薄手のワンピース。華奢な紐のついたミュール。
「胡蝶花(こちょうか)」と、烏瓜が呼んだ。
「あら。なぁに?」と、胡蝶花。
「あの子たち、すこしだけ静かにさせてくれないかな」
「どうしてかしら」
「(わたしを見て)この子、おおぜいがぼそぼそ何か話すの、きらいらしい」
はっ―――と、わたしは顔を上げる。
同時に、話し声もやむ。
そうだった。わたしはたくさんのひとがぼそぼそ喋っているところに
出るのが、あんまり好きじゃないんだ。だから朝は教室に遅めに入るし、
昼休みもぜったいに食堂にはいかない。
休み時間は窓の近くで、友達数人でかたまっておしゃべり。
他の人の声が聞こえないように。
「ごめんなさい」と胡蝶花。「気を悪くなさった?」
「いいえ。べつに、気にしてませんでした、けど――――」
無意識にいやがっていたのだろう。
それが、顔に出たのかもしれない。
「それより」と烏瓜。「映子に、ここのことを話さないといけないよ」
「映子?」と胡蝶花。「それがこの子の名前なの?」
「はい」とわたし。「映子。ええと、ほんとうの名前は、郁生―――」
「ほんとうの名前なんていうものは、別にいいよ」と烏瓜。「それより、
色々と訊きたいことがあるでしょう?」
「うん」とわたし。「まず、ここ、どこなんだろう………はやく電話しないと、
お母さんが心配するし………」
「その前に」と胡蝶花。「さっきまで、そこの水で果物を冷やしておいたの。
よければ召し上がれ」
あ、はい―――と、わたしは返事をする。
そういえば、けっこうおなかがへっていたのだ。
「この池の水はね、淀まないのよ―――」そう云いながら、ほとりから池へと
突き出した小さなさんばしのところで、胡蝶花はしゃがみこんだ。
見れば橋の角材のひとつに網がくくりつけてあって、そのなかにいくつかの
果物が入っていた。それを引き上げる。
(てぎわのいいことに、包丁まで一緒に網にくくりつけてあった)
少しして、琺瑯(ほうろう)のうつわに、小さく切り分けた果物をよそって
烏瓜がわたしにくれた。
それを頬張っていると―――烏瓜が、わたしに話しかけてくる。
「今日の月はいいね―――昇りきれれば、蜜みたいな満月になれたのに」
「昇りきれれば、って、どういう意味?」
「ここではずっと午后七時なの。だから、月が昇りきることはないの」
「………え?」と、わたし。
「ここは、永遠につづく夕暮れ時なんだ。昼と夜の境目によった、時間のしわ
みたいなものなのかなぁ―――だからあの月も、夕暮れどきの空にとらわれて、
昇りきることも、沈みきることもできないの」
わたしは烏瓜のほうを見る。
烏瓜も、じっとわたしをみつめて、にっこりとほほえむ。
「あたしたちね、この《七時の森》の住人なんだ」
3.
「この森がいつからあるのか、あたしたちにはよく判らないの。一年前からかも
しれないし、百年前からかもしれない。―――あたしたちにはその二つって、
あんまり、かわりないんだけどね」
「………ごめんなさい、よくわからない」
「わからなくてもいいの」と胡蝶花。「曹達(ソーダ)はいかが? はちみつと
レモンを絞った、とってもおいしい飲み物なの」
胡蝶花は、小さなドットの入った華奢なグラスに飲み物を入れていた。
さしだされる―――なんとなく、ストローに唇をあてる。
からりからり、と氷のふれあう音。
炭酸が、すこしだけ喉を刺す。―――おいしかった。
………おいしがっている場合じゃ、ないんだけど。
「よくわからないけど、ここはどこなの?」と言いながら、わたしは地面に小石を
置く。「ここが学校。それで、ここが大通りだとして、わたしは今どこにいるの?」
わたしがそういうと、烏瓜は小石のひとつをつまみ上げた。
「これが、キミ」
「わたし」は学校のちかくに置かれた。そこから烏瓜は「わたし」を、指で
ついついと押していく。―――大通りをくだって、歩道橋をわたって、脇の
小道に入って、それから、神社の裏手の―――。
次の瞬間、「わたし」は消えていた。
烏瓜が指先で押していたはずの小石が、サッと消え去ったのだ。
「え?」
「ただの手品だよ」
云うと、烏瓜がさっ、と手を広げる。
小指と薬指で石をつまんでいた。ちょっと得意げな顔だ。
「でも、キミはじっさいには消えてしまったんだよ。えぇと、神隠しっていう
言葉、聞いたこと、あるかな?」
「ある」
「キミは、それにあったんだよ」
「でも、わたしは消えてないよ?」
「それは、神隠しにあった本人にとってはそうだけどね。周りからみれば、キミ
はさっきの手品みたいに消えてるはず」
そうかもしれないと頭の片隅でおもった。
でも、実感はない。ことばだけの上滑りした納得だ。いきおいよくべらべらと
しゃべりながら、自分が何をしゃべっているか、あまりわかっていないときの、
あの感じ。
「怖い?」と烏瓜。
「ううん………怖くない。っていうより、実感がないから」
「まだ、怖さが追いついてない感じかな?」
「うん―――なんだか、後ですごく怖くなりそう。それは怖いかも………」
「怖くなるのが怖いんだ」
「うん、手術の後、麻酔が切れるのがこわい、みたいな」
「だいじょうぶ。怖くなったら、いっしょにおしゃべりしよう」
「………ありがとう」
「いえいえ。他にきくことはない?」
「うん、それじゃあ、ええと………」
わたしは、少しだけ息を吸って。
「―――神隠しにあって連れてこられた、ここはどこ? 神さまの村?」
わたしがそういうと、よこで聞いていた胡蝶花がふきだした。
「烏瓜! わたくしたち、神さまだったの?」
「うーん、神さまがどんなのかわからないから、わからないなあ」と烏瓜。
「あいかわらず烏瓜って、杓子定規」と胡蝶花。
「じゃあ」とわたし。「あなたたちは、なぁに?」
「花」と、烏瓜はいった。
「花?」とわたし。
「そう、花。あたしたちはね、物をたべない。喉はかわくけどおなかがへらない。
この泉の水と月の光だけで生きているの」
「花の精霊―――みたいなもの?」
「みたいなものだよ」と烏瓜。
「でも、わたしはおなかが減るし、ものがたべたくなる」
「みたいだね」
「どうしたらいいの? この森に食べ物はあるの?」
「食べ物はない」
「じゃあ―――」
「その代わり」
そう云って、池のほとりまでわたしをつれていく。
みなもは驚くほど澄んでいた。淡い月の光をしろく映しこんで、波紋は綺麗な
レースのようだった。―――ほんのりと、レモンの香り。信じられないけれど、
この池の水の、かおり。
沢山の青い蝶がつどっている。水際の小石に足を引っ掛けて、池の水を
吸ってるみたいだった。
「ここの水を、誰かの口移しで飲ませてもらうの」
「え?」
「それで、数日間、わたしたちと同じような体になれる」
「………口移しで、って」
「そう。誰かの口移しじゃないといけないの。あたしでいいかな」
そういう烏瓜の横顔は、切り取られた三日月みたいに鋭くて。
少しだけ、どきっとした。
思い出す。さっきの手の感触。冷たくて、きれいで、彫刻みたいな肌触り。
烏瓜のくちびるは―――あの手と同じくらい冷たいのか、それともくちびるは、
女の子らしい、ほのかな体温をやどしているのだろうか。
くちびる。烏瓜のくちびる。
くらがりのなかでもはっきりと赤い、ローズ・ピンクのくちびる―――。
「いやかもしれないけど、我慢してね」
「ええと、いや―――じゃないけど」
「ただの作業だよ。腕に注射針をさすみたいなもの。それよりはましでしょう?」
「うん………だけど」
「そんなのはつまらないわ!」と胡蝶花。「そんなの、なにもきれいじゃないもの。
烏瓜の接吻けって、なんでいつもそんなに淡白なの?」
「キミの文句はよくわからないなあ。なにが気に入らないの?」
「すき、可愛い、いとおしいっていう気持ちが、あなたの接吻けにはない」
「そんなの接吻けには要らないよ。接吻けは命をつなぐためのものじゃないか」
「あの………」と、わたしが口を挟む。「その、あなたたちも、池の水はいつも
他の人の口移しで、飲んでるの?」
「そうよ」と胡蝶花。「すごくいいの。すごく、素敵なの。この池の水はね、
人の心をうつしだすの。相手を大切にしたい、かわいがりたいっていう気持ちの
こもった水は―――蜜のように甘いのよ」
―――云いながら、胡蝶花はわたしのほうに、つい、と歩み寄る。
改めてみると―――すごく、綺麗なひと。
月の光に照らされて。夕霧の衣をふわりとまとって。
そうして胡蝶花は手を伸ばし、わたしのくちびるを、そっとなぞる。
「きゃ………!?」思わず息が漏れた。背筋が跳ねた。
「―――かわいいこ。かわいいこ。ねえ、烏瓜とじゃなく、わたくしとしない?
わたくしのくちづけはあの子より、ずっと良いわよ。映子さんといったかしら?
きれいな、ながいまつげ。こういうまつげはくちづけの時、小さく震えるのよね」
そういう胡蝶花の顔は、熱にうかされていて―――奇妙に幼かった。
左手はわたしの腰に手を回している。
ほとんど抱き寄せるような姿勢。
その肩を―――制するように、烏瓜がつかんでいた。
「胡蝶花」と烏瓜。「やりすぎだよ。映子がいやがってる」
「いやがってなんかないわ」と胡蝶花。「すこし緊張しているだけ」
「緊張させる必要なんてあるの?」
「緊張は、くちづけの前には必要なものよ」
「どうして」
そう云うと、胡蝶花は烏瓜のほうに向き直って、口角をきれいに吊り上げた。
「くちづけが特別なものであることの証明に」
「………くっだらない」烏瓜ははき捨てる。
「ふふふ。冗談よ」と胡蝶花。「その子はあなたが見つけてきたのですものね。
どうしようとあなたの自由。何も口を出しはしないわ」
「できれば、あたしのやり方だとか、考え方にも口をださないでほしいけど」
「烏瓜は、じぶんを曲げられるのがきらい?」
「当たり前だよ」
「かわいい」
「何が」
「怖がりなのね。たよりのない烏瓜」
胡蝶花はふわりと得んで、やわらかな眼差しで烏瓜を見ている。
烏瓜は、刺すような眼差しでそれを見返していた。
「それじゃあ、わたくしは下がります」と胡蝶花。「あとはお好きに」
後ろ向きに下がっていく胡蝶花の顔は、くらがりの羽を何枚もまといながら、
すこしずつ景色とわかちがたいものとなり―――
そうして、いつの間にか消えていた。草むらに落ちた夏の雨みたいに。
じっと見ていたのに―――いつ消えたのかわからなかった。
「え………? 何、いまの」と、わたし。
「―――いつもはあんな人じゃないんだよ。キスのときだけ、おかしくなる」
「いや、そうじゃなくて―――いま、消えた」
「ん? いるじゃない」
「え、どこに?」
そう云って、烏瓜が指差した先―――木の生え際には、白い花が咲いていた。
一滴の青みをはらんだ白い花びら。グラディエーションに、黄色。
「………あの花になっちゃったの?」
「さいしょから、胡蝶花はあの花だったよ」と烏瓜。「映子だって、おおぜいの
ひとの群れのなかで、興味のないあいては風景の一部に見えるでしょう? それと
おんなじことだよ」
「話す気がなくなったら、花になる―――じゃなかった、ひとに見えなくなる」
「スネたんだろうね」と烏瓜。「映子に悪戯できなくて」
4.
烏瓜との「くちづけ」は―――ほんとうに、思った以上に淡白だった。
ちがう。淡白と言うより、冷め切っている。石の床がしっとりと体温を吸い取る
ように、烏瓜のくちびるは、淡々とわたしから何かを吸い取っていく。
かわりに、くちびるから池の水。わたしはそれを吸う。
ほんのすこし、レモンの香り―――あとは何もない。
水晶みたいに透明な味。
「終わった」
「………うん」
それだけだった。
「なにか、変わったかんじはしない?」と烏瓜。
そういえば―――体の芯が、ゆっくりと冷えていく不思議な感覚がある。
力がうしなわれる感じはしない。からだをめぐる血が、あのレモンの香りのする
澄んだ水にすこしずつすこしずつ入れ替わって、からだが透明になっていく―――
そんな感じ。
まるで―――。
「………ちょっとずつ、人間じゃなくなっていくような感じがする」と、わたし。
「そう。それでいいんだよ」と、烏瓜。
「え?」
「泉の水を飲むたびに、キミのからだは人間から遠くなっていく。ずっとここに
いたら、キミはもう、もとの場所には帰れなくなっちゃうよ」
「帰れなくなったら―――どうなるの?」
「ここの住人になるんだ」
「どうやって?」
「花の名前を名乗るんだ」
「花の名前を―――」
「そう。あたしだとかさっきの胡蝶花みたいに、花の名前を名乗って、この森の
一部になる。そうすればここでずっと暮らせるの」
「ずっと」
「そう、ずっと。永遠に月の沈まないこの森で」
永遠に月が沈まないこの森の一部として、花になって暮らす。
老いる事も、衰える事もなく、きれいにきれいに―――。
「………どうしよう、少し考えちゃうかも」
「そうなの?」
「元の世界に帰らなくてもいいかも―――ごめん、わたし、変だよね」
「変じゃないよ」と烏瓜。「もともと、この森にまよいこむのはそういう子なの。
ひとの世界にうまれたけど、ひとの世界になじめなかった、昼の世界の異邦人。
そういう子にだけ、ここに来る資格があるんだよ」
「ここに来る資格が―――」
「うん?」
「ここに来る資格のあったひとって、わたしの前にもいたの?」
「どうしてそう思うの?」
「注射針だとか。烏瓜ってたまに、ひとの世界をしってるみたいなたとえを云う」
「………頭がいいなあ、映子は」
「それで、いたの? ………いたんでしょう?」
「いたよ。何人もね」と、烏瓜。「ひとの世界に戻っていく人も居る。この森に
とどまって、ひとつの草花になってしまったひともいる。
でも、ここに迷い込んだら、できるだけ早くに、この森にどとまるか、ひとの
国に帰るかを選ばないといけない」
「選ばなかったら」わたしはつい聞き返す。「………どうなるの?」
「そのことは考えないほうがいいかな」と烏瓜。
―――ひどく汚い物を見るような表情。
「とにかく、なるべく早くに決めてね」
わたしは、こくりと頷く。
このきれいな国にも、おもわず烏瓜が顔をしかめてしまうような、きたなくて
忌々しいものがあるらしい。
―――この不思議な場所には何があっても不思議じゃあない。
それこそひとの国では考えることもできないような、とてもとても気味の悪い
ものに出会うかもしれないのだ。
それだけは避けよう。―――わたしは、そう思った。
5.
「ここだよ」と烏瓜。
「ここ………この森に、こんな場所があったんだ」とわたし。
「なんでもあるよ」と烏瓜。「あると思えば、この森にはなんでもあるんだよね。
ただし、この森の雰囲気に似合うものだけだけど」
―――図書館。
その場所の事を、烏瓜はそう説明した。
木の小屋を無理やりに三階建てにしたような―――なんだか、「魔女の隠れ家」
みたいな場所だった。
重い樫のとびらには、鍵が掛かっていなかった。
烏瓜が取っ手を回して向こうにおすと、ぎしぎしと軋みながら開いた。
「うわ………古い建物なんだ」
「この森にあるものは、なんだって古いよ。ここはね、この森に迷い込んだ女の子
たちが、ずっと宿代わりに使っていた場所なの。三階にベッドとカンテラがある。
きっと、まだ前の子のにおいが残ってるんじゃないかな」
「烏瓜は、いつもどこで寝てるの?」
「花にベッドはいらないでしょう?」
「花は―――この森の女の子たちは、眠らないの?」
「眠るよ。でも、草花のねむりと人のねむりは違う」と烏瓜。
おもおもしく連なる大きな書架には、ほこりを被ったたくさんの本がある。
それを指差して、烏瓜が云った。
「あの本がねむるみたいに、あたしたちは眠るんだ」
本の列のあいだにあるはしごのように急な階段を、わたしたちは登る。
草花は眠らない―――そう云っていたのに、烏瓜は三階の寝室までついてきた。
ベッドを眼にしたとたん、眠気が波のように押し寄せてくる。
わたしのからだの中にある時計の針が、ゆっくりと止まっていく―――。
「………ねむい」
「眠そうだね」
「へんな、かんじ。いつもはシャワーを浴びないと眠れないのに」
「今日はあらわなくてもいいんだよ。あの水を飲んだ子のからだは、汚れないんだ」
「そうじゃなくて………いつもは、からだを温めないと、寝る気にならないのに」
「そうなんだ? ひとって不便だね」
ばさっ。
ベッドの中にからだを投げる。
ああ、こんな寝方をしたら、制服がしわになっちゃう―――そう思うのだけど、
なんだか本当に眠い。何もかもが、どうでもよくなってしまいそうな―――。
「まだ寝ちゃだめだよ」と烏瓜。小さな木の椅子をベッドの脇によせて、そこに
座っていた。書字台の上に乗せたカンテラが彼女の顔にななめに光を投げていて、
とてもくっきりとした、うつくしい影を描いている。
「………なぁに?」
「はじめてくちづけをした《花》が、迷い込んだ少女の素性を聞かないといけない」
「………明日にして。もう、眠たいの」
「ごめんね。そうはいかないの。―――いちおう、しきたりだから」
「………東原第二中学校、二年の」
「そういうのは良いの。だいじなのは、なんでキミがここにいるか、だから」
「なんで………ここに」
「思い出して。ここに居ていいのは、ひとの世界に不満がある子だけだよ」
「それを、話せばいいの?………わたしが、わたしの世界に持ってる不満を」
「聞かれたくない?」
「うぅん。どうでもいい。………すごく眠い」
「わかった。それじゃあ、早く話して」
「でも、眠いの。話してる途中で眠りそう」
「みんなそうだよ」と、烏瓜は笑う。「ここに来た女の子は、みんな初日の、
自分の素性をうちあけてる途中で眠っちゃうんだ。さあ、話してね」
すこしずつ世界を覆っていく、眠りの暖かな膜の中で、わたしは烏瓜に自分の
ことを打ち明けはじめた。もっとも、本当に眠たかったので、どこまでが本当に
烏瓜に話したことで、どこからが夢の中でしゃべっていた事かはわからないけれど。
6.
―――おばあちゃんにあったのは、六歳のとき。
それまでのわたしは、歳を取ったひとっていうのは、みんなからだもくずれて、
顔もしわだらけで、話し方もとりとめのないものだと思っていたから、はじめて
おばあちゃんを見たとき、すごく驚いたの。
まっすぐに伸びた背筋。
きれいな歩き方。
小さな頭。真っ白な髪の毛は豊かに波打っていて、きれいに切りそろえた前髪の
下からは、優しいひとみがのぞいていたわ。
そうして、あのしゃべりかた。
淀むことなく、すらすらと整理してものごとを語る、あのしゃべりかた。
すごく憧れた。―――連休のときは、田舎に行くのが楽しみになった。
あんなふうになれるのなら、歳を取ることってあながち悪い事じゃないかもとか、
なんだか子供っぽくないことを、考えてみたりして。
でも。
あのときから―――
おばあちゃんは変わっちゃってたの。
トラック、だった。
四つ角をまがったところで、横からどぉん、らしくて。
いっしょに歩いてたお爺ちゃんは死んじゃった。
お婆ちゃんは助かったけど、足がぐちゃぐちゃに折れて―――歩けなくなった。
老夫婦ふたりの田舎の生活は、あっけなくおしまい。
おばあちゃんは、わたしの家に引っ越す事になったの。
―――何であの人をウチにやるんだ。世話をする人手もないぞ。
―――そんな事云っても、本人が一人で暮らすのは寂しいって言ってるのよ。
―――どこかの施設にでも詰めればいいじゃないか。
―――そこで死なれても、なんだか夢見が悪いじゃない。
―――全く、なんで年寄りなんて。汚くて、臭くて、気持ち悪いだけだ。
―――云わないでよ。じっさいに世話するのは私なんですから。
―――僕の仕事も増える。年金なんてろくな金になりやしない。
お父さんとお母さんは、布団に横たわったままで動けないおばあちゃんを
ほとんど世話しようとしなかった。一日に二度ご飯をあげて、からだを拭くための
タオルを寝る前に投げ込むだけ。それと、トイレの用を足すためのおまる。
おばあちゃんの部屋は、いつもぴしゃりとふすまが閉められていて。
その隙間から、ほんとうに酷い臭いがした。
お母さん、今日、うちにお友達よんでもいい?
―――駄目よ。
どうして?
―――あんなに汚くなったおばあちゃんを、映子はお友達に見せたいの?
けいこちゃんけいこちゃん、今だよ、お母さんもお父さんもいないから。
―――でも。
あそぼうよ。さあ、上がって。すごくきれいなおばあちゃんもいるの。
―――映子ちゃん、この家………。
すごくいい人なんだよ。きれいで、頭が良くて、上品で。
―――ごめんなさい映子ちゃん、この家、なんだか臭い………。
おばあちゃんは、いつも一人ぼっちだった。
世界のみんなに置いていかれて、自分の部屋で毛布に包まって。
わたしは、おばあちゃんの部屋のふすまをあけた。
むっとする湿り気。鼻を刺す臭い。部屋の隅に押し込められた、何十枚もの
汚れたタオル。あちこちに、ちり紙。あちこちに大きな染みのある畳。
まるで部屋そのものが腐りきってしまったみたい。
おばあちゃんは―――頭まで布団を被って、丸まっていた。
まっくろに汚れた爪が、布団の端をおさえている。
―――映子、出て行って。
おばあちゃん。
―――映子には、こんなになったおばあちゃんの姿、見せたくないんだよ。
おばあちゃんも、変わってしまっていた。
寄り添っていたお爺ちゃんが死んだ事で、心の中に通っていた芯がぽっきりと
折れてしまったのだ。かつての姿がうそだったみたいに、小さくて、弱々しくて、
一人では立てないくらいに、ぐちゃぐちゃになってしまった心。
おばあちゃん、おばあちゃん、どうしてそんなふうになっちゃったの。
わたしはおばあちゃんに憧れていたのに。
おばあちゃんみたいになりたいと思ってたのに。
わたしの大切だったおばあちゃんは、汚れちゃった。おばあちゃん自身が、
わたしの憧れのおばあちゃんを汚したんだ。
ばか。
もう知らない。
そう叫びながら、わたしはおばあちゃんの部屋を後にした。
でもああ、きっとあの日、わたしはおばあちゃんの中の一番たいせつな部分を
傷つけてしまったんだ。だからわたしはあの日から、ずっと、ずっと―――。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
―――眠りに落ちた映子の顔を、烏瓜はそっと眺めている。
最初に会ったときから思っていた。
この子は自分にとって、ただの迷い子じゃないと。
つややかにベッドの上に広がる黒髪をひとふさ、烏瓜はすくって、くちびるを当てる。
あのとき―――。
―――泉の水は人の心を映す。その水を含んだくちびるもまた、互いの心を映す。
だから烏瓜はできうる限り、自分の心を水に映さないようにと念じるのだ。
自分の心を他人から見透かされるなんて気味が悪いから。
「………映子の心は」
あのとき。
そっと触れた映子の唇からには。
ほんのすこし―――刺すような苦味があった。
殺意―――強い害意を持った人間の心を映したとき、泉の水はそんな味になる。
烏瓜は窓の外を見やる。
あいもかわらず、ダークブルーの空には乾いた月が出ていた。永遠に七時の森。
永遠に登りきらず、沈みきらず、空のはざまを行ったりきたりする、機械仕掛けの
ような月。この森は生まれたその瞬間から、ずっと息を止めているのだ。自らが
生まれたことを拒むように。
烏瓜はそっと窓際を離れ、部屋の外へと出た。
部屋にはこんこんと眠る映子と、どこにも流れずにただ降り積もっていく、
ぽっかりと虚ろな時間だけが残されていた。
>>290 乙彼様でした。
凄く神秘的で、怖かったです。
6章の、おばあちゃんの描写部分がものすごいリアルで、ひとが見たくない
酷い現実を淡々を語られる場面に、鋭い切れ味を感じました。
一方、前半のファンタジックな部分は、少し読みにくく感じました。
会話文が続く場面で、誰が何を言っているのかを理解するのに
読み直す必要がありました。
しかし、ファンタジックな設定自体は好きで、少女が迷い込んだ森の描写は
透明感があって素晴らしかったと思います。
そして、心に深い闇を抱いた少女は、既に罪を犯してしまったのか、それとも
これから犯そうとするのか――
物語の続きがあれば、読んでみたいと思いました。
317 :
名無しさん@秘密の花園:2007/06/02(土) 23:32:51 ID:zPQpN8Wy
319 :
名無しさん@秘密の花園:2007/06/27(水) 03:59:09 ID:JLhWUZGc
保守
マンタの赤ちゃん1匹死んじゃったけど
レズババアはまだ300万匹生きてるよ(泣)
軽くさらっと読める短篇が読みたいな
ちゃんと百合百合しいやつ
ちょっと時期がずれますが、夏の話を一つ。
空が青い。雲一つ無く、灼熱の太陽が呪ってでもいる様に地を照らしつけている。
季節は夏、そして我々学生にとっては天下の夏休み前である。期末も終わり、後は長期休暇を待つだけ。
と、聞こえは言いものの、それは二年生までのお話。受験生である三年生にしてみれば、また違ってくる。
そう、かの悪名高き大学受験のための勉強期間になるのだ。
そのためか既に下校時間だと謂うのに、教室を見渡すと何人かは残って勉強をしている。
居残ってはいるが、ただ窓に凭れ掛かっているだけの私とは違うわけだ。何となく心細い。
だが未だに何もしていないのが遅いという事は分かるものの、そのままやる気に繋がらない。
定期テストを一夜漬けでこなしている身からすれば、はっきり言って途方に暮れているのだ。
この夏、学校からも模試を受けさせられるのだけど、休日が潰れる事への文句しか出ない。
「藤、ごめんね。帰ろう」
小百合が後ろの扉から顔だけ出して呼びかけてくれたおかげで、これ以上頭の中で愚痴らずに済んだ。
小声だったのは多分皆への配慮なんだろう。確かに誰がいるわけでもないのに緊張感に包まれている。
机の上に置いてあった鞄を掴み、小走りでさっさと教室から出た。
私達の通う多知高等学校は半島に構えており、学校と駅の間の道にはずっと堤防が続いている。
歩道もそれに沿って進んでおり、風は潮の香りがするし、今日みたいに波が高い日は少々五月蝿い。
この道を小百合と一緒に下校する様になってから、もう一年半になる。
「どう、皆は頑張ってるの?」
「うん。やっぱり選考会前だと気合が違うね。あんまり力になれないけど、皆頑張ってる」
「何言ってるの、元美術部部長。力になるから聞くんだよ」
照れ臭そうに笑ってから、小百合は私の目をじっと見詰めると、すっと手を繋いできた。
よく仲が良いと冷やかされもするが、こうするのは嫌いじゃない。私も小百合の手を握り返す。
「今度、模試受けるよね、私達」
「面倒臭いよね、一日潰れちゃうじゃん。あ、そう言えばさ、どこ書こうね、志望校」
一応私が返答を求めたつもりだったのに沈黙が生じたので、もう一言続けた。
「どうせなら、小百合と一緒のにしようかな。また一緒にいられるしさ」
「藤は私より成績良いのに?」
「小百合の方が大事だよ。なーんて、気障な台詞でも言おうかな」
藤は似合うからむかつくー、とふくれながらも小百合は明るく笑ってくれた。
蒸し暑い帰り道だった。空は真っ青で爽やかなのに、感じる暑さは熱気を含んで。
纏わり着く様な居心地の悪い暑さ。そのせいでぼんやりとした頭の中を小さな疑問が渦巻いていた。
沈黙の際、小百合が私の手を握る力が少し強まったのは気のせいだろうか。
私は小百合と別れた後、そのまま一人で街まで出た。目的は指輪を買うためだ。
小百合の誕生日プレゼントに、揃いの指輪をはめたくて。婚約指輪とでも冗談で言おうか。
私の時には小百合に私の絵を描いてもらったのに、いざ自分の番には贈り物の催促をしないのはいじらしくて可愛い。
だから奮発するつもりで、ありったけの小遣いを下ろしてきた。
駅出口からすぐ傍にある、時々買い物に来るアクセサリーショップで購入する事にした。
相変わらず品数が多く、今まで買った事の無い指輪ということで中々選びかねていると、
何度か話したことのある優男という言葉をそのまま人にしたかの様な店員が話しかけてきた。
「何かお探しですか?」
「指輪を。出来ればペアリング、二つで一つのものが良いんですけど」
「でしたらこちらの方が」
と言って渡された幾つかの指輪の内、一組に心を動かされた。
真ん中に溝が走っており、そこに一つだけ小さな白い石が入ったペアリングに。
一つはピンク、もう一つはブラックにコーティングされており、値段は二万弱する。
痛手と言えば、かなりの痛手になる。だけどこのシンプルなデザインは小百合の華奢な指を引き立てると思う。
うん、これしかない。
「不躾な質問かもしれませんが、彼氏さんにですか?」
「いいえ、友達にです」
店員にサイズを伝えて会計を済ませ、黒紫色のケースを受け取った後、再び電車に揺られての帰路につく。
扉に凭れ掛かり、左から右に流れる橙色に染まりつつある空を眺めながら、漸く気付いた。
友達。その言葉を口にした時、心の中で"詰まり"が生まれた事に。
一時間目を告げる鐘が鳴っている。その音色を聞きながらも、行く気にはなれない。
昨日から何かがつっかえていて気持ち悪く、登校途中に堤防を越え、砂浜に降りたままだ。
何かは、ショップで「友達」と口にしてから顕在化したのだが、どうもそれだけではない気がする。
もっと、私が考えているよりも深くて、広いものの様な。
今日も風が強く、波が高い。足元の砂浜がいつもより手前まで波に晒されていて、色が変わっている。
目の前にはただ海だけが広がっており、離島が点在している程度で水平線が綺麗に見渡せる。
こうも海は広く、開いていただろうか。
白石小百合。よく出来た名前だね、と言ったら、あなたもね、小紫藤美さんと微笑んだ。
それが私と小百合の出会い、高校二年の春になる。小百合とは趣味があったわけでもない、性格も違う。
今、何で仲が良いのかと聞かれても、上手く説明できないだろう。
でも小百合は特別だった。言葉が心に届くという事を教えてくれたのは彼女だった。
バレー部を途中で止め、私なりに悩んでいた時も、小百合は一言かけてくれた。
たった一言。だけど私には千の言葉よりも重く、万の言葉よりも温かく感じられた。
「何かな、何だろうね、小百合。この気持ちは何だろうね」
制服に忍ばせた指輪が入ったケースを自然と握り締め、堪らなくなって呟いた。
けど、私の言葉は波の音に飲み込まれてしまった。
「藤、居たの?今日朝からずっと居なかったじゃない。サボったわね」
美術室に置かれたままの途中やりの絵を眺めながら、小百合は呆れかえっている。
結局、私は授業が終わるまで海岸でぼんやりとしていた。ずっと"詰まり"と小百合の事を考えていた。
惚れているのではないかと自分でも疑う程に。しかし、答えは出なかった。
だから小百合がいるだろう美術室に来たのだ。自分が分からなくなった気がして、少し怖くなって。
「茜ちゃんやサノっちは?」
「まだ来てない。掃除でもやってるのかも」
独特の木の香りを漂わせる美術室がしんと静まり返る。
「ねえ、小百合。前に私をここで描いてもらったの覚えてる?」
「当たり前よ。あの絵は今まで描いた中で一番の作品だもの」
後輩のキャンバスに注がれていた小百合の瞳が私を向き、目が合った。
小百合がゆっくりと、空気を撫でる様に私に近づいて来る。心臓の鼓動が早くなる。
小百合の爪先が私の爪先とくっ付くと同時に、私に凭れ掛かってきた。
慌てて身を構えたが、そんな必要もない程に小百合は軽かった。
「ねえ、藤」
鼓動が私の体を揺らす。
「藤と一緒の大学に行こうかな」
ごめん、小百合。そう告げる事も出来ぬまま、私は駆け出していた。
階段、下駄箱、校門、道路、堤防、そして砂浜。只管に走った。
息が上がって呼吸が苦しくても、私は速度を緩めなかった。このまま何処かへ逝ってしまいたい。
しかし皮肉にも私の肉体は正直で、怠惰だった。砂浜の途中で足が止まったのだ。
肩で息をし、呼吸を整えながら、こんなにも走ったのは部活以来か、と考えていた。
バレー部を止めたのは、練習が厳しく、段々部活に顔を出さなくなっていったからだった。
自分でも駄目な理由というのは了解したつもりだったが、退部を申し出た時の監督の目を忘れる事は出来そうに無い。
覚悟はその程度か、無言ではあったが、瞳からその言葉は痛い程に伝わってきた。
部活を止めた後の空白の時間には、常に不安が付きまとった。
この先も私はこうして生きていくのか、と。
中途半端な覚悟で事に挑み、また中途半端に止めるのか、と。
そうして悩んでいた頃の放課後、美術室で絵を描く小百合の横で思わず愚痴をこぼした。
「小百合。私って中途半端な人間かな」
小百合は私の方を向かず、絵を描く手を止めずに、徐に囁いた。
「藤は生きる事を止めてはいないわ」
馬鹿な私は今になって、自分の間違いに気付いた。本当はずっと前から気付いていたのに。
小百合に言葉をかけられて、救われた気になってしまった。違う、全てが違う。
救われてなどいない、私は小百合に甘えていただけだ。
何も変わっていない、あの頃の私から何も変わっていない。
呼吸が整うに伴い、心臓の鼓動も落ち着いてきた。
相変わらず波立つ海を睨みつけながら、私は制服から指輪のケースを取り出す。
黒いケースを開けると、二つの指輪が白い石をこちらに向けながら鎮座している。
両方の指輪を右手で乱暴に掴むと、思わず笑ってしまった。
婚約指輪、プレゼント、ペアリング、どれもこれも私の都合じゃないか。
揃いの指輪を付けるなんて、そうして小百合を縛り付けたかったのだろうか。
「さようなら」
眼前に広がる青一色の空と海へ、思い切り指輪を投げ飛ばした。
指輪は放物線を描きながら左右に別れ、同時に水飛沫が生まれた。
その景色が滲んで見える程、私の目からは止め処無く涙が流れ出てきた。
こんなに泣いたのは、小百合にあの言葉をかけられた時以来か。
誰かが私の握り締めた右手を解いている。
「泣いているの?藤」
小百合の声だった。気付けば小百合は私の前に立って、ゆっくりと右手を開かせていく。
ぼやけた視界ではあるが、小百合の顔が赤くなっていて、辛そうに息をしているのが分かる。
「爪の痕が出来るまで握って。藤は真面目すぎるのよ」
小百合は優しい。そんな小百合を、私は。
「小百合、ごめんなさい。私は小百合に許されて、いい気になってたよ。
優しくて、楽しくて、甘えてた。小百合の事、どんだけ苦しめていたか。
生き方を教えてもらったのに、小百合の生き方を奪ってしまった。
厚かましい事言って、小百合の夢を傷つけたね。ごめんね」
何も言わず、小百合は開いた私の手に彼女の右手を重ねた。暖かい。
「小百合が進路の事を悩んでいるのに、軽々しくあんな事言って。
私の中途半端な夢を、小百合の夢に乗っけて。今まで、ごめん。ごめんね、小百合」
喋っているとまた涙が流れ出した。悔やんでも悔やみきれなくて、自分が情けない。
夢を何も考えていないのに、だからこそか、小百合に全てを託してしまう。
そして小百合に離れて欲しくないからと、また甘える。馬鹿か、私は。
小百合がぎゅっと私の手を握った。
「やっぱり分かってたんだね、藤は」
怒るわけでもなく、咎めるわけでもなく、微笑んでいるかの様な声の調子で小百合は語る。
「私はね、確かに悩んでた。絵の勉強をするために進むか、普通に大学に進むか。
この先に進むには微妙なのよね、私の実力って。言わなかったけど、悩んでた」
波が高いはずなのに、小百合の声しか聞こえない。体の奥底にまで響きかけてくる。
「でも、藤と一緒の大学に行くって言ったのは、藤が言ったからだけではないの。
藤はね、私に絵を描かせてくれる。何気ない言葉だったり、仕草だったり、表情だったり。
色んなものをくれる。だからね、一緒に行っても良いかなと思ったの」
「そんな、言わないで。私は、小百合を」
「ねえ、藤。私の事、好きでしょ?」
思いがけない言葉だったが、何故だかまた涙が流れ出てきた。だけど今度は別のもの。
温かくて、優しい涙。それを垂れ流しながら、私は声も出せず、めいいっぱい頷いた。
おかげで何も見えないけれど、小百合が笑っている気がする。
「分かるの。私も好きだからね。それで十分よ」
ありがとう、小百合。本当に、ありがとう。
「小百合、お願い。もう一度、考えて。私の事は気にせずに、絵の事を考えて」
左目から零れ落ちる涙を、小百合は何も言わずに温かな右手で拭ってくれた。
これ程までに優しい言葉を、私は知らないだろう。
それから暫く二人で手を繋いで、空と海を眺めながら、沈黙に身を置いた。
不思議な感覚だった。隣にいるだけなのに、何かが小百合から入ってくる気がしたのだ。
「藤はね、特別なの。前に藤の絵を描いた時、美術室で今みたいに二人っきりになったでしょ。
互いに喋らず、藤は椅子に座って、私は筆を取って。あの時、感じたの。
藤とは離れることが出来ないって。でも今日の藤に会って、考えが変わった」
小百合が思い出した様に、小指を立てながら口を開いた。
「私達は繋がっている。別の生き方をしても、繋がっている」
小百合が美術室に戻るのを見届け、私は一人で海岸に残っていた。
きっと私達は二人で同じ生き方を歩まないだろう。小百合の言葉は、私の言葉でもあった。
でも、それは嘆く事でも、怯える事でもなかった。少し寂しい事でしかない。
小百合が自由に生きていれば、幸せだ。
指切りという指輪に誓った、互いの生き方への祈りがあれば。
終わりです。
夏の夕暮れ時に読むには最高の文章描写だった。
上手いな。激しく乙。
久しぶりに投下あったか。いいねぇ。
334 :
名無しさん@秘密の花園:2007/08/13(月) 00:08:53 ID:YBg5qmvv
季節を感じられて良かった
335 :
名無しさん@秘密の花園:2007/08/13(月) 01:54:41 ID:Lwmwtkms
てす
336 :
もっこす:2007/08/13(月) 02:03:36 ID:Lwmwtkms
自信も文章力もないがだらだらと妄想を。
結(ゆう、高校一年生。黒髪ロング眼鏡でちょいヘタレ
枝理(結の妹、小学六年生ツインテール無口系だが押しが強い
前に力作上がってて恥ずかしいが姉妹百合が書いてみたいんだが
是非!
154で投下されてたキスのお許しの人のサイト見つけた。この二人の別の話もイイ。
a
創作系の検索サイトに自サイトを登録してみた。
新着欄に載っているということもあるのだろうが
(うちのサイト的には)エラい勢いでアクセスが来てびびった。
みんな普通にgoogleとかから「百合 創作」で読むもの見繕ってるのかと思ってたけど
専門サーチってピンポイントなジャンルだと頼られているんだな。
結んで、ひらいて。
「意外と冷たいのねー」
「嫌なら離せば良いじゃん」
急に手を繋いできたかと思ったら、随分な物言いだ。
ただ、一人でぼんやりと帰路につくよりはマシかもしれない。
「あんた、ふっくらして可愛い手をしているから、ぽかぽかってイメージがあったのよ」
「太くて悪かったわね」
悪びれた様子もなく、ギュッと握り直して笑う。
じんわりと暖かさが移ってきて、思わず握りかえす。
私の手と違う細く長い指が恨めしい。
「意外と手が大きいんだ」
「えー?あんたがちっちゃいんだよ」
やり返したつもりが素で返されて墓穴を掘った気分に陥ってしまう。
なんで変なところで無邪気なんだお前は。
「可愛いな、お前」
「私の1.35倍かわいいよ、あんたは」
なんだその微妙な倍率は、と言おうとして、止める。
不毛な褒め殺しループに陥る前に、家への曲がり角に差し掛かったからだ。
手を離して、というのは気恥ずかしくてわざとらしくパッと離してやる。
「ちょっいきなり手、離さないでよ」
「私の家こっちなの」
不満げに唇をぶっさいくに尖らす奴はスルーの方向で。
視線だけ家の方向に向けて答えると、なるほどと相槌を返される。
名残惜しげに手をこまごまと動かす仕種になんとなく笑ってしまう。
「んー、じゃあ、また明日ねー」
常套句と共にその手を、上に。
「うん、バイバイ」
また明日。
「ねぇ、わたしの事スキ?」
「は?」
鳩が豆鉄砲をくらうとは、まさにこの瞬間だろう。
漫画の様にぽかん、と開いた口が塞がってくれない。
okok、とりあえず落ち着こう。
手で持っていたティーカップを、無意識にテーブルに下ろす。
普段なら何ともないガラスにぶつかる音にビクリと体が反応して、ようやく口を開く。
「なんで?」
だけど間抜けな返答しかできず、結局口ごもってしまう。
「あなたが好きだから」
それなのに、真面目の極みアッー!な顔で至って単純な告白をされてしまう。
茶化そうにも纏う空気がケンシ○ウ並に音を立てていて恐ろしい。
さすがにア○バになる勇気は毛頭もない私は……とりあえず冷静にならないと。
「私も君がすき、もちろん性的な意味で」
しまった。
これは冷静ではなくてヴァカ正直というものだ。
本音だけれど、もうちょっとオブラートで27枚は包むべきだったと項だれる。
「なら、カップル成立ね」
ちゅ、と頬に柔らかいものが触れて反射的に横を見ると、ニヤついた顔が目と鼻の先にあった。
「ね、ね○とんじゃないんだから」
「良いじゃん、幸せになるのに苦労はいらないよ」
それもそうか、と変に納得しながら柔らかい重みに体を沈めていく。
「「幸せになろうね」」
どちらからともなく唇を合わせて、ちょっと笑う。
とんとん拍子も、たまには悪くないでしょう。
木陰に守られるようにして眠る少女を私は見つめている。
亜麻色の髪と長い睫毛、そして白い肌に落ちる僅かな木漏れ日はどこまでも優しい。
雛鳥。
まるで、雛鳥だ。
「―――――」
彼女が何か…寝言だろうか。
枕にしている右腕も動いている、痺れた…?
「ちょっと、どうした?」
ふいに話しかけられて、ドキリとする。
「ん、別に?」
「べつに?って、なんで疑問系なのよぅ」
拗ねた声音で甘えるように抱き付かれる。
思わず抱き留めると、花の香りが鼻腔をくすぐった。
「何これ、香水?」
「うふふー、ちょっとねー」
問いに曖昧に返しつつ、抱き締める腕に力が篭る。
触れる体温が上がったせいかと花の香りが強くなり、花畑にでもいるような心地になっていく。
そういえば、あの少女は。
「だめ」
窓辺を向こうとして、柔らかな戒めが視界を遮った。
「まだ、だめ」
「何言ってんの…」
花畑。
雛鳥。
木漏れ日。
抱擁。
私は何を、見ているのか。
「わたしもいるのよ」
345 :
名無しさん@秘密の花園:2007/12/08(土) 22:02:47 ID:rfuPv4NW
「先輩ごめん」
ハルは確かにそう言った。なんで謝んの、という問いは外に出る事なく消えた。
「先輩、ごめん」
もう一度そう言って、ハルは肩を震わせた。私はハルが自分のせいで泣いているというのに、何も言えなかった。
そういえばこの子はよく人の為に泣く子だった。そして私にいつも無駄に優しかった。
知り合って何度も一緒に帰り、その中で一度だけ小さな公園に寄った。ハルの部活が終わるのを待ったから日はもう随分と沈んで、影は濃く長かった。
『…先輩、手、繋いでいい?』
ブランコに並んで座っていた時、遠慮がちにハルが言ったのをまだ鮮明に覚えてる。
握った手は熱くて、私が緊張してやんの、と馬鹿にすると、ハルは顔を真っ赤にして、うるさ、と呟いたことも。
なんだか随分遠い事のように感じる。私より大きい体を震わせて泣くハルの、短く黒い髪を見つめながら思った。
ハルはいつから本気だったのだろう。
何となく唇を合わせた時だったか、私が珍しく泣いた時おずおずと手を伸ばして抱き締めてきた時だったか、ハルの短い前髪を馬鹿にした時はどうだったろう、試合の応援に行った時は?
分からない。
そんな事を考えていると、ハルは私を少し乱暴に抱き締めた。
あ、すみません、あげちゃいました;
私達は幾度も体を重ねた。寂しい時、辛い時、悔しい時、何となく。鬱憤をはらすように私はハルを求めた。私達はそんな関係だと思っていた。
『先輩は、さ、あたしを…その…セフレとしてしか、見てない?あたしは本気で先輩が…』
先程言われた言葉を反芻した。私が何も言えずにいると、ハルは俯いて、先輩ごめん、聞かなかった事に。と呟いた。
私はそんなに面倒くさそうな表情をしただろうか。
ねえハル、あんた、なんで泣くの。私を困らせたと思ったの?ハル。怒っていいよ、ハル。私は確かに、あんたを利用したかもしれない。ハル。ごめん、ハ
ル。
謝んの、私だよ。
「…先輩ごめん。あたし、もう先輩を抱けない。気持ちがないセックスなんて、あたし嫌だ。…先輩の事、好きだから」
そう言ってハルは、唇をつけるだけの軽いキスをして、私に背を向けた。
北風が冷たい。藍色の空には小さな星が瞬いていて、濃いグレーの雲が浮いていた。
黒いマフラー、紺のブレザーとスカート、使い古したスニーカー。見慣れた背中が遠ざかっていく。
ああ、結局謝れずにさよならかとぼんやり思った。涙は出なかった。
別れたという言葉は相応しくない。だって私達は付き合おうなんて単語を口にした事がない。
体を重ね、キスをする事が付き合っているというのなら、話は違うけれど。
家に帰らなきゃ。
そう思って足に力を入れた。しかし、体が動かない。どんなに動けと念じても、金縛りにでもあったみたいにびくともしない。
かと思ったら、突然全身の力が抜けて地面に座りこんでしまった。
サラサラと音をたてて、砂が風にさらわれていくのを見て、私は今驚くほどに心が虚だと事に気付いた。
そして今更、寂しいのだと自覚した。
寂しい。ああそうか、寂しくて悲しいのか。私はハルを失って、悲しい。
私は確かにハルを好きだった。ハルは私を必要としてくれて、私の気持ちを大事にしてくれて、不器用な私の心を読んでくれた。
でも私は怖かった。
“幼さ故の気まぐれ”が、どうしようもなく怖かったのだ。
たった1年で、思春期の私達は目まぐるしく変化する。好きだったものが嫌いになって、夢中だったものに飽きる。
そうして大人になる為にいらないものを捨てていくのだ。
私は今高三で、ハルは高二。私が高二の時、色々なものを切り捨ててきたし、考え方だって変わった。これから先だって、きっと色々変わっていくだろうけど、ハルの事はきっとずっと好きだ。
でもハル。ハルは。ハルは分からない。1年で考え方は本当に大きく変わる。その中で私の事をいらなくなる時がくるんじゃないかと思うと、吐き気がするほどに怖い。
だから私ははぐらかしてきた。自分の気持ちを隠して、いつかの時のために傷つかないようにしてきた。
それなのに、ハルはあまりに真剣な目で私に愛を説いてきた。その目は確かに揺るぎない想いを告げていた。
私は自分を傷つけないようにしてハルを傷つけた。
ハル、怖かった?ハル。ごめんハル。ハルを信じきれなかった私、まだまだ子供だ。ハルはいつだって、私に永久の愛を囁いてくれていたのに。
気まぐれなんかじゃないと言ってくれたのに。
それなのにハル。私はまだ動けないよ。
「先輩!」
俯いて途方に暮れ、声を殺して泣いていると、聞きなれた声が耳に飛び込んできた。
反射的に顔をあげると、そこには確かに去ったはずのハルがいた。
迷子になった子供みたいに顔をクシャクシャにして泣きながら走りよってきたかと思うと、勢いよく抱きついてきた。
「先輩!ごめん!ごめんなさい!」
倒れそうになって慌てて地面についた手を、恐る恐るハルの腰に回す。
「…なんで謝んの」
こんな時にも可愛くなってくれない声と性格を心の中で叱りつけながら、ハルの肩に顔を埋める。
「だって…だってまさか、先輩が泣くなんて…っせ、先輩を泣かしちゃった、て…っ」
「…馬鹿だよ、私。今更自分の気持ちに気付いた」
自嘲気味にそう言うと、ハルは不思議そうな表情で私と目を合わせた。少し吊り気味な、猫みたいな目がきらきらと光っている。
ラストです
「…好き」
「は?」
「…だから、好きなの、ハルが」
ハルの顔が理解できないみたいなポカンとした表情になって、喜ぶかと思いきや次第に涙目になったので少し焦った。
「なっ、何っなんで!?なんで泣くの!」
「だ、だあって〜!私もうダメだって思って、さよならの前にもう一度だけ顔みたいって思って戻ったら、先輩泣いてて、まさかそんな事なんて…っ…う゛…感動したら鼻水が…」
「ぎゃあっ汚い!近寄んな!」
「なんで〜っ先輩大好きです〜っ!」
「近寄んなって!」
ハル。馬鹿なハル。
だいすき、ハル。
END.
長くなってすみません
良かったです
自分で悶々と悩む系が好きだ
>345-350
乙です。
お互い相手を本気で好きなのが分かった感動のラストで鼻水オチなのにニヤニヤ。
この2人のラブラブ全開後日談も見てみたいかな。
353 :
名無しさん@秘密の花園:2007/12/13(木) 00:46:31 ID:ys8yD9fF
age
私は、夏休みを利用して、恋人のナギと一緒に、とある温泉地へ旅行に来ていた。
二人とも会社勤めの身だから、休みを合わせるのが大変だったけれど、つきあいの長い私たちにはいつものこと。
例年通り、うまいことやりくりして、今日の旅行にこぎついた。
私たちが泊まったのは、純和風の作りの昔ながらの温泉旅館だ。これは和モノ好きのナギの趣味。
私は組合の保養施設の方が安いから良いと言ったのだけど、ナギは断固として、この川辺の旅館を譲らなかった。
「でも、ここ高いよ。ナギ」
「年に一度の二人だけの旅行なんだからさ、奮発しようよ。なんなら私が葵(私の名前ね)の分まで多めに払うから」
そこまで言われては、私も無理にエコノミーコースを、彼女に押しつけることはできないわけで。
それに、年に一度のナギとの旅行だし、私だって二人の時間を大切にしたいと思うからね。
でも旅費はちゃんと半分こ。ここだけは私も譲れなかった。女の意地ってやつです。
いざ旅館に泊まってみると、そのときのナギの選択は正しかったと私は思う。
さすがに一泊ン万円もするだけあって、夕食は美味しかった。
それこそ、漫画でしか見たことないような豪華な料理が並んでて、気分は旅行番組のリポーターだった。
「すごいね、ナギ……食べるのがもったいないかも」
「でも、食べないともっともったいないんじゃないかな……」
私たちは、老舗旅館自慢の料理に舌鼓を打った。
美肌効果の高いといわれるこの辺りの温泉を利用した露天風呂。
そこに二人で入り、白湯の中で手足を伸ばして疲れを癒した。
その後は、浴衣に着替えて晩酌としゃれこんだ。
ナギはあまりお酒に強い体質じゃない。
少し呑んだだけですぐ顔にでて、ビーチで日焼けした後みたいに真っ赤になる。
にもかかわらず、彼女はよく呑む。そして日本酒がとても好きだ。
今飲んでいるのは……今の私はコンタクトを外してしまったので、ラベルを読むことができない。
けれども、旅館の近所の酒屋で買ったとき、ナギはこのお酒に結構な額のお金を払ってたような気がする。
「なんであんまり強くないのにそんなに飲めるの?」
すでに杯を何回も空にしている彼女に、私は訊いた。
「葵と一緒だと、お酒が何倍も美味しくなるからだよ」
そう言ったナギの目はとろんとしていて、かなりアルコールが廻って良い気分になっているようだった。
「ちょっと、大丈夫なの?」
「大丈夫だよ」
「お酒に関する貴女の『大丈夫』は信用できないわ」
「ふふっ……あぁ〜気持ちいい……」
「ちょ、ちょっと!」
ナギは後頭部を私の太腿に埋めてきた。
「葵ちゃんの膝枕〜♪」
「もう……」
これも毎年恒例だ。酔った彼女を私が介抱する。彼女は膝枕が好きなのか、酔うと必ずコレをやる。
「葵ちゃんの太腿、きもちいいよぉ。程よくぷにぷにしてる〜」
膝の上で、ナギは真っ赤な顔で幸せそうに目を閉じた。
私はナギのこの表情が好きだ。
私に全てを委ねて、私に完璧な信頼を寄せて、私を信用しきっている無防備な寝顔が、堪らなく可愛いと思う。
そのとき私は、自分の心臓の鼓動が高まっていくのを感じていた。
ナギの吐息に合わせて上下する胸も、襟口からのぞく鎖骨も、私の視線からはとても扇情的に見えて……。
溢れ出る衝動を抑えきれずに、膝の上の彼女の顔を覗き込む体勢から、私は訊いた。
「ナギ……いい?」
「なんのことかなぁ?」
彼女は悪戯っぽい微笑みで私をなじった。なんていじらしい……。
「もう、意地悪……!」
我慢できなくなった私は、問答無用でナギの浴衣の帯に手を掛けて解いた。
「おぉ……これはまたいつになく積極的だねぇ」
ナギの軽口は聞き流し、続いて浴衣の襟をはだけさせる。
少し赤みを帯びた、彼女の陶器のような双丘。
私は思わず、その先端の擁立して存在を主張している紅色の部分に、ぼうっと視線を奪われてしまっていた。
「ふふ……今の葵ちゃん……すごくえっちな顔してるよ」
ナギの鋭い指摘に、今度はお酒に強い筈の私の顔が真っ赤になった。
対岸で花火が撃ち上がった。開けっ放しの窓から、色とりどりの大輪が夜空に咲き乱れているのが見える。
その破裂音と虹色の閃光に手を引かれるように、私はナギと愛し合った。
終
ご馳走様でした
日本酒呑みたくなった
358 :
名無しさん@秘密の花園:2007/12/22(土) 17:59:31 ID:fPMFD8Jx
あげ
359 :
名無しさん@秘密の花園:2007/12/22(土) 19:58:11 ID:B6DNH8yR
はぁっ。。。
360 :
名無しさん@秘密の花園:2007/12/24(月) 21:34:07 ID:CZbSxdkd
もっとぉ。。。
361 :
345:2008/01/02(水) 12:46:48 ID:gdILcs1x
>>361 いや、すごい良くない?
ラフな描線も素敵に味が出てる。スキなかんじの絵だ。
363 :
名無しさん@秘密の花園:2008/01/07(月) 13:29:39 ID:EuJ9Xxff
あげ
364 :
名無しさん@秘密の花園:2008/01/07(月) 18:02:51 ID:iKZ+lEdN
イラスト描いたんだが、うpしていいのかな…
「うpした」なら使っていい
367 :
名無しさん@秘密の花園:2008/01/09(水) 15:49:23 ID:RWMSmGK/
投下します。
「話をしようか」
彼女は深い々々笑みを満面に浮かべながら、静かに語り始めた。
数年前の四月、春にしては似合わない激しい雨の日があった。
私は大学生一年目で、バスと電車を乗り継ぐ通学にも随分不慣れな時だったわ。
その日はバス停に行っても誰もいなくて、少し安心して屋根の下に入ったのを覚えてる。
ビニール傘を閉じ、ふと目を左に上げると、大きめの赤い傘がこちらに向かって来るのが目に入った。
鮮やかとも、地味とも言えない、けれども上品さを漂わせた茜色だった。
同じくバスを待つだろうと考えてね、私は右に少しずれて傘の主が入れる空間を作ったの。
大きくて、重い粒の雨だった。一日中、隙間も無しに降り続いた。
そんな雨から漸く逃れられ、屋根の下で姿を現した傘の主は少女だった。
髪を軽く煉瓦色に染め、肩まで伸ばした髪の先から零れる雨粒に、多分、見惚れてたのね。
「こんな話は知りませんか。雨は天使の流した涙という話」
その言葉が私に向けられたものと気付くのに、少し時間がかかった。
考えずともね、私とその子しか居なかったのだから当然なのだけど、
見ず知らずの人間にそんな台詞を吐かれても、戸惑う方が自然でしょう。
声をかけてきた少女はそれまでにも何回か見た事はあった。降りる所が同じ駅なのも知ってた。
おそらく高校一年生と云うのも。セーラー服を着ていて、顔立ちの整いと供に幼さも残ってたからね。
何を言っているの、この子は。正直に言えば、そう感じたし、変なのに捉まったと早く来た事を後悔もした。
「天使は雲の上にいるんですけど時々涙を流すんです。
沢山の天使が泣くと下界へ大量に零れてしまう。だから、ぶ厚い雲で神様が慌てて防ぐそうです。
それでも防げなかった、隙間から漏れた涙が雨なんだそうですよ」
へえ、そうなの、と空返事をした時にはバスの姿を確認できて内心ほっとした。
まさかバスの中までは話し掛けてこないだろう。
「でも天使が泣くのは悲しいからじゃない。幸せだから泣くそうです」
少女はこちらを臨み、無言で物語の終わりを告げた。
「この話を聞いて気付いたんです。雨には幸せが籠められていて、誰かもまた雨で喜ぶんだろう、って。
それまで憂鬱だった雨の日も、何だか恨めしく思えなくなりました」
財布から定期を抜き出しながら、それは爽やかに笑ったわ。
勝手に喋るわ、あんまりに爽やかに笑ってくれたからね、ちょっと意地悪をしたの。
「それ、あなたの創作でしょ」
あの子、少し頬を赤くさせて、空を仰いだ。
それから彼女は毎朝同じ時刻に来るようになった。
私が先に居る時もあったし、彼女が早く来る時もあった。
それで私達二人だけしか停留所にいない日、その朝だけ、互いに挨拶もせず彼女が切り出すの。
「こんな話は知りませんか」
まるでその言葉が挨拶みたいに。そして彼女が話をする。バスか、他の人が来るまでの束の間で。
不思議なんだけど、それ以外は何も話さなかった。
学校は何処?何年生?部活は入っている?好きな作家は?
知り合いであれば尋ねる事を何も訊かなかったし、何も尋ねられなかった。
今思い返しても、あの頃で他に喋ったのは私がからかった事だけかもしれない。
そう、彼女は語り部で、私は聞き手。
最初は半分気味悪がっていた私も、気付けば朝に訪れる彼女の話が楽しみになっていた。
きっと彼女だからだと思う。
身振り手振りを交え、時には下手な演技を加えて、自分の考えた話を停留所で出会った人に話す。
そんな彼女だから、ね。
沢山の話を聞いた。
身丈に合わない木の棒を担いで冒険の旅に出た、臆病者で仲間思いの鼠の話。
日光浴が好きで好きで堪らない吸血鬼の男の子と、引き篭りの女の子の話。
妻が不倫相手と駆け落ちし、残された夫と息子と娘の家族再生の話。
天使と悪魔の逃避行や、無人島で一人生きる道を選んだ男の話、なんてものもあった。
一つの物語が語られ終わった後に私達を包み込む、沈黙が好きだった。
物語の余韻をかみ締めながら、つと空を見上げる彼女の横顔を見詰めるのが好きだった。
彼女と出会って三年目の三月。妙に温かい、嫌な晴れの日だった。
停留所に着いた時には既に彼女は一人で立ち、ぼんやりと私を遠くから眺めていた。
隣に立っても彼女は私に話しかけず、憑かれたみたいにバスが姿を現すのを、じっと待っていた。
ええ、それが何を意味するか。
何と言えば良いのか、全く思い浮かばなかった。語らなければ、今は私が、彼女に話を。
間も無く到着するだろう。早くしないと彼女はバスに乗り、そして最後の朝となるだろう。
だけど最後まで私が話し掛ける事は無かった。別れの言葉を言えなくて、泣くのを堪えることしか出来なかった。
彼女は長い話を語り終えると、今まで堪えていたかの様にくすりと笑った。
雪が降るほどでないとは言え、寒さが身に染みる冬の日である。彼女の口からほんの少し零れた笑いは、朝霧となった。
「でも、この話には続きがあるの」
「続きというと、二人が別れた後の話ですね」
今度は音をたてず、微笑みながらゆっくりと彼女は首を縦に振った。
「私はその子に再会した。約束した訳では無いし、他から連絡先を手に入れた訳でもない。
偶々、そう、本当に偶々、ばったりと会うことが出来てね。
何年振りに、言い出せなかった言葉を、別れのじゃない、言葉を言えた」
私は黙って彼女の瞳を見詰め、先を促した。
「好きだった。あなたの語る朝の物語が、と」
「それで彼女は何と答えたんですか」
「『とっくに知ってました』って笑われたわ」
私は茜色の傘を閉じ、彼女のビニール傘の中に黙って入った。
辺りには、雨の音だけが響き渡っていた。
終わり
久しぶりに友人と会った。
小学校を卒業して以来か。その友人のご両親は研究者だった。
その時、ご両親は海外の研究所への異動の内示を受けていたが、息子が小学校を卒業するまで待っていたらしい。
小学校の卒業式を終え、一週間ほど過ぎてからか、彼はご両親と一緒に私たちの町から去っていった。
そのときの涙をして、私は彼に恋をしていた事に気づくのだが、後の祭り。
そもそも、彼に想いを打ち明け、彼がその想いを受け入れてくれたとて、当時高々12歳でしかなかった私たちになす術はあったのだろうか。
しかし、「それ」がもたらした影響は大きく、私はそれ以降、恋ができなかった。
……いや、彼への恋心が途切れることはなかったと言ったほうが正しい。
あれ以後五年間、私の中の恋心は膨らみ続け、未だに衰える気配はない。
そして、高校生活も二年目へ入ろうかという時期、彼は帰ってきた。
思い出の中の彼の面影を残しながら、その容貌はまるでアイドルのようで、
髪は艶々と輝く綺麗な黒髪、足も腰も細く、そしてその胸はゆったりと母性を象徴するかのようにそこにあった。
そう、五年ぶりにあった彼は、彼女と呼ぶにふさわしくなっていた。
………ええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっっっっっっっっ!!!!!?????
すみません、誤爆りました。
どうも、このスレには初めて書き込む名無しです
花を使って適当に名前とキャラの設定を考えていますが
やっぱムズい
SSも下手だし・・・
では、失礼
378 :
名無しさん@秘密の花園:2008/08/09(土) 12:17:19 ID:ovLDOGdb
age
379 :
名無しさん@秘密の花園:2008/10/01(水) 06:54:09 ID:+4Syh54t
age
人いないなあ。
誰かいませんか?
いるけど何を話したいの?
SSの投下ないかなぁ〜と
単にそれだけです。
384 :
名無しさん@秘密の花園:2009/09/11(金) 08:06:27 ID:aruTQsq4
ほ
385 :
名無しさん@秘密の花園:2009/11/12(木) 17:58:51 ID:aP76efnY
すんげー今更だけど375がどこへの誤爆か非常に気になる
386 :
名無しさん@秘密の花園:2010/02/16(火) 09:30:02 ID:xLXQHGT/
ほ
これは、敵国に囚われの身になった11歳のお姫様の物語。
お姫様の名前はピュア。
その名の通り、これまで純真無垢に育ってきた可憐なお姫様。
ピュア姫を捕らえた敵国の女将軍の名はリリー。
17歳の彼女はレズっ気があることで知られており、
可愛い少女が捕らえられると、必ず彼女の私室へと連れて行かれるという。
そこで何が行われているのかは想像に難くない。
当然、ピュア姫も例外ではなく、
ある秘密を聞きだすという名目の下、リリーの私室へと連れてこられた。
ベッドの四隅には手足を拘束するための器具が備え付けられており、
そこで何が行われていたのかを生々しく物語っていたが、
純真無垢なピュア姫には、まだ理解できないことであった。
ピュア姫はドレスを着たまま、ベッドに両手両足を広げた状態で拘束され、
全く知らされていない秘密についての尋問を受けることになる。
「貴方なら、あの秘密を知っているはず…さぁ、答えなさい」
「私は何も知りません…」
ピュア姫は怯えながらも正直に答える。
「そう…知らないの」
リリーの手が抵抗できないピュア姫のスカートを捲り上げていく。
「…なにをするのっ!」
「いくら幼いとはいえ、貴方ほどの立場の者が、何も知らされていないはずがない」
ピュア姫は、おへそが丸出しになるところまで露出させられてしまう。
「あら、可愛い下着ね…女の子って感じがするわ…」
リリーの指は下着のラインをいやらしくなぞり、それがピュア姫に嫌な予感を抱かせる。
「やめて…」
「ふふ…何をやめるのかしら? 妄想の激しいお姫様ね…」
「…っ」
リリーの手がピュア姫の胸へと向かい、ドレスの上から手の平で優しく包み込む。
「最近、膨らみ始めたのかしら? 凄く可愛いわ…」
リリーはピュア姫の小さな膨らみを撫でながら満足そうに微笑む。
「触らないでっ…!」
「あら、ごめんなさい、そうよね…一番恥ずかしい時期だものね…」
そう言うと、リリーはピュア姫の上半身を少しずつ肌蹴させていく。
「このっ…やめなさい…っ」
そんな言葉の抵抗も空しく、わずかな膨らみを露にされ、ピュア姫は徐々に赤面していく。
「あらあら…お姫様の胸がこんなに小さいなんて…いじめ甲斐があるわね…」
「見ないでっ…」
「ふふ…顔を真っ赤にしちゃって…いつまで強気でいられるのかしら?」
リリーの指がピュア姫の小さくて可愛らしい乳首に添えられ、その指が優しく円運動を始める。
「いやっ…やめなさいっ…はっあぁっ…!」
「ふふ…こんなに幼くても感じてるのね…」
一旦、愛撫を止めたリリーは、
指を自分の口元へと運び、ぴちゃぴちゃと艶かしく舐め始める。
「早く秘密を答えないと、もっと、いやらしいことしちゃうわよ…?」
そう言って、唾液でぬるぬるになった指で、再びピュア姫の乳首を転がし始める。
「くっ……はぁっふぁ……しらないものは、しら、ない…っ」
「ぬるぬるになると気持ちいいでしょう…?」
「気持ちよくなんて…はぁ、あぁ…っ」
「こっちもいじめてあげないと寂しいかしら…?」
リリーの顔が、もう片方の胸へと近付き、乳首を甘噛みして刺激する。
「はぁっあぁ、あふぅぅ…」
「あらあら、乳首が硬くなってきたわよ…気持ちいいのね…」
「ち、ちがう…っ」
「無理しなくてもいいのよ、お姫様だって女の子なんだもの…」
必死に否定するピュア姫に、リリーは悪戯心をくすぐられながら愛撫を続ける。
「そろそろ玩具を使ってあげましょうか…」
そう言うと、リリーは胸への愛撫を止め、棚の方へ歩いていく。
リリーの言う玩具とは、当然のことながらピュア姫が考えているような「おもちゃ」とは違う。
それを理解できないピュア姫には、リリーが手に持っている物体の使い道など分かるはずもない。
「それは、なに…?」
「ローターよ」
「ろー、たー…?」
「そうよ、こうしてスイッチを入れると…」
カチッという音がした次の瞬間、
リリーの持っているピンク色の物体が ヴィーーーン!! という音を立てて振動し始める。
「これを、貴方の乳首に固定しちゃうの」
「っ!! いや…っ!」
指で愛撫されるだけでも、あんなに感じてしまったのに、
あんなに小刻みに振動するものを当てられたら、もっと気持ちよくなってしまいそうだった。
「だめっ…」
どんなに嫌がったとしても、ピュア姫に許された抵抗は身を捩ることだけだった。
ピュア姫の自由を奪っている拘束具の鎖の音が、リリーの私室に空しく響き渡る。
「ふふ…抵抗できなくされて、いじめられる気分はどうかしら…?」
ローターを持つリリーの手が、ゆっくりとピュア姫の胸へと近付き、そっと乳首に当てられる。
「ふぁっ、あぁっ…やぁっ…!」
ガチャガチャと鎖の音を響かせながら、ピュア姫は初めての快感に身を捩らせる。
「お城の中でお上品に育ったお姫様には、ちょっと刺激が強すぎるかしら?」
乳首にローター固定されたピュア姫は、絶え間なく与えられる快感に息が熱くなっていく。
「はっあぁ…んんっふぅ…!」
「そろそろ下もいじめてあげましょうか…」
そう言うと、リリーはローターのスイッチを切り、ピュア姫の下着に手を伸ばす。
「お姫様は、オナニーをしたことってあるのかしら?」
「はぁ、はぁ……おなにぃ…?」
乳首へのローター責めから解放されたピュア姫は、その言葉の意味が分からずに首を傾げる。
「自分の手で、ここをいじったりして気持ちよくなることよ…」
リリーは、ピュア姫の割れ目を下着越しに指でなぞる。
「そんな汚いことしませんっ…」
「汚い? どうして…?」
ピュア姫にとって、女の子の秘所とは、おしっこをするところであって、
だからこそ、人に見られると恥ずかしいところなのだと教育され、信じ込んでいる。
まだ幼いので仕方がないことではあるが、
勃起した男性のペニスに中を擦りあげられることなど、想像すらしたこともなかった。
つづく。
「オナニーも知らないお姫様をいじめられるなんて、嬉しいわ…」
リリーがピュア姫の割れ目に軽く指を押し込むと、下着が少しずつ湿っていく。
「くふぅ…っ」
「お姫様の下着、濡れてきてるわよ…?」
「うぅぅっ…」
ピュア姫自身は、それがお漏らしであると勘違いし、恥ずかしさのあまり目に涙を滲ませる。
そんな反応を楽しむように、リリーはピュア姫の割れ目を執拗に愛撫する。
「あぁぁ…くぅ……」
下着には次第に染みが広がっていき、ピュア姫の息も熱くなっていく。
「ふふ…お姫様が、こんなはしたない姿をしてるなんて興奮しちゃうわ…」
もはや秘密のことなど、どうでも良くなったのか、
リリーはピュア姫の体を愛撫することに喜びを感じているようだった。
「お姫様は、クリトリスはちゃんと手入れしてるのかしら?」
リリーの指が下着の上からクリトリスを刺激し、幼い体に性的快感が襲い掛かる。
「ひぁっ…ふぁぁぁっやめてぇ……」
「いやらしいことをされて、やめてだなんて…
いじめる側にとっては最高のスパイスでしかないのよ…?」
そう言うと、リリーの指は更に小刻みに震えだし、幼い少女のクリトリスを容赦なく刺激する。
「いやぁぁっ…んくっんあぁぁぁっ!!」
動ける範囲で体を必死に仰け反らせながら快感に耐えるピュア姫を、
リリーは嬉しそうに見つめながら愛撫を続ける。
「もう下着がびしょ濡れよ…お姫様はここが弱いのね…」
「はぁっはぁっ…」
クリトリスへの愛撫を止められたピュア姫は、呼吸を整えるのに精一杯だった。
「そろそろ、あれを使ってあげようかしら…」
リリーは私室の棚から何かを取り出す。
「な、に…?」
「電動のマッサージ器よ…マッサージするところは、貴方の恥ずかしいところだけどね…」
リリーがその玩具のスイッチを入れると、ボール状の先端が振動と回転を始め、ピュア姫の秘所へと向かう。
「いやっ…私、本当に何も知りません! だから…っ」
本能が迫り来る快感に身構え、秘密を聞かれていたことを咄嗟に思い出すが、
何を聞かれているのか分からないピュア姫には、どうしようもなかった。
「知らないなら知らないでいいわ…私はただ、高貴な貴方が乱れる姿を見たいだけ…」
その言葉には、本当のことを話す気になるように誘導する意味合いが含まれているが、
リリーの場合は、あながち嘘という訳でもなかった。
「いや…許して……っ」
「ふふ…言ったでしょ? そういう言葉は最高のスパイスなんだって」
必死に嫌がるピュア姫の姿は、リリーの気分を更に昂ぶらせていく。
そしてリリーは、マッサージ器の先端をピュア姫の秘所へ容赦なく当てる。
「ひぁぁっ!? いやぁぁぁぁっ!!」
想像を絶する快感に、必死に体を捩って抵抗するピュア姫。
「ふふ…どうかしら? 刺激に慣れていない女の子は、一瞬にしてイッちゃう玩具よ…」
「あぁぁっ…お願い、許してっ! 本当に何も知らないの!!」
「知らないなら仕方ないわね…教えてくれなかったお父上を恨みなさい…」
そう言うと、リリーはマッサージ器の先端を更に激しく振動させる。
「んあぁぁぁぁっ!! いやぁ…っ!!」
「ふふ…イッちゃいなさい…」
リリーは玩具を少し上にずらし、下着の上からピュア姫のクリトリスに容赦なく振動を与える。
「ふぁっあぁぁっ…あぁぁぁぁっ!!」
体をビクンビクンッと痙攣させながら絶頂を迎えるピュア姫。
直後、マッサージ器は秘所から離される。
「初めての絶頂はどんな気分かしら?」
「はっはぁ、はぁぁっ…」
ピュア姫は頭が真っ白になり、呼吸を整えるのに精一杯で言葉を発することができない。
リリーは、またマッサージ器の先端を、ピュア姫の秘所へ容赦なく当てる。
「ふぁぁぁぁぁっ!! んくぅぅぅっ!!」
絶頂を迎えて敏感になっている11歳の幼いお姫様の体に、快感の波は容赦なく襲い掛かっていく。
「あぁぁんっ…んぁっあぁっ!」
秘所に当てては離し、当てては離しを繰り返され、
時に絶頂寸前で、時に絶頂させられ、ピュア姫の体は更に敏感になっていく。
「もう…許してっ…ください…んあぁっ!!」
「そうね…激しいのは、もう許してあげるわ…」
リリーはマッサージ器の電源を切り、ピュア姫の体から離す。
「はぁっはぁ……」
「ふふ…お姫様、涎が垂れてるわよ…そんなに気持ちよかったのかしら?」
「くぅ…っ!」
抵抗できない状態では、口から零れ出た涎を拭うことも叶わず、
はしたない自分を曝け出していることに、王族としてのプライドが酷く傷付けられる。
「下着の中は、どうなっちゃったのかしら…?」
リリーはピュア姫を拘束している足側の鎖を軽く緩め、下着を脱がし易くする。
そして、ゆっくりとピュア姫の下着に手をかける。
「…っ! だめっ…お願い、そこだけは…!」
「だめよ」
そう冷たく言い放ち、リリーの手はピュア姫の下着を、いとも容易く脱がせていく。
足の拘束を片方ずつ一時的に解き、下着を完全に足から抜き取る。
「いやぁっ……!」
「あらあら、これは…ふふ…」
ピュア姫の足を再び広げさせるために足側の鎖を調整しながら、
リリーは何やら嬉しそうに微笑んでいる。
そして、脱がせた下着を裏返しながら、ピュア姫の方へと近付いてきた。
「見てごらんなさい…」
見せ付けられた下着には、ぬるぬるの液体がこびり付いていた。
「…なんなの、これは……」
「ふふ…貴方は、おしっこをお漏らししたと思っているかもしれないけど、
これは、貴方がいじめられて気持ちよくなっちゃった証の、いやらしいお汁よ…」
「…そんな、ことっ…!」
「貴方は本当に何も知らないのね…だからこそ、いじめ甲斐があるのだけれど」
リリーはピュア姫の下着を自分の鼻に近付け、
初めて絶頂を迎えた少女の愛液の香りを、くんくんと、ピュア姫に聴こえるように楽しんだ。
「やめてっ…!」
顔を真っ赤にして目を背けるピュア姫。
「ふふ…可愛いわね…」
無垢な少女の反応を楽しみながら、リリーはピュア姫の下半身に近付く。
「可愛い割れ目ね…お姫様は、おしっこにしか使ったことがないのよね…」
リリーは、びしょ濡れになったピュア姫の割れ目を、指で左右に広げていく。
「見ないでっ…」
抵抗できない状態で、無垢な秘所をじっくりと観察されてしまうピュア姫。
「綺麗なピンクね…」
「くぅ…やめなさいっ…」
そんな抵抗の言葉とは裏腹に、
小さく穴の開いた処女膜の奥からは、次々と新鮮な愛液が溢れてくる。
「そう…もっと気持ちよくなりたいのね…」
リリーは、ピュア姫のクリトリスを包皮の上から指でくにくにと刺激する。
「ふぁぁぁぁっ!!」
「お姫様はクリトリスを手入れしたことがなさそうだから、代わりに私が綺麗にしてあげるわ」
そう言うと、リリーはピュア姫のクリトリスの皮をゆっくりと剥いていく。
「くぁんっ! やめ、なさいっ…おねがい…こんな、の…っ!」
ピュア姫は初めての感覚に戸惑いを隠せない。
「可愛いお豆さんね…」
リリーは露出した小さな突起を指で嬲り始める。
「ひぁっ!! やめてぇっ…!」
「そんなこと言われたら、もっといじめたくなっちゃうわ…」
リリーはまた棚から何かを取り出す。
「今度はなんなの…?」
「エッチなお薬よ…体が敏感になって、もっと気持ちよくなれるわ…」
「い、いや…!」
それは怪我に良く効く軟膏であって媚薬などではないが、
世間知らずのお姫様には、媚薬として絶大な効果を発揮する。
患部に塗布すれば清涼感が得られることから、広く親しまれている薬であるが、
秘所やアナルなど、使う場所によっては灼熱感を伴うことになり、
リリーが捕らえた女の子をいじめるために良く使う薬である。
「お姫様のクリトリスに塗り込んであげるわ…」
リリーは軟膏を指で掬い取り、不安に怯えるピュア姫のクリトリスに容赦なく塗り込んでいく。
「ふぁっ、あぁっ…んあぁぁっ…!」
それが媚薬であると信じて疑わないピュア姫の体は、次第に敏感になっていくのであった。
つづく。
>>399 乙〜
JK×JSスレから追いかけてきましたよ
初めはファンタジー話かと思ったらローターとか出てきちゃうけど
エロいのでオッケー
しかしこの板にこんなスレあったのか
創作系といえばJK×JS以外ではエロパロ板の百合カップルスレしか知らんかった(汗
「囚われのお姫様」の作者です。
読みにきてくれてありがとうございます。
確かにおもちゃとか出すとリアリティが薄れてしまいますね。
このお話は割と早めに終わらせるつもりですが、
(既に手遅れ感もありますが)続きを書くにあたって参考にします♪
色々と探した結果、ひっそりと更新できそうだったので、
こちらで更新させてもらうことにしました。
「はぁ…はぁぁ……」
クリトリスが熱を帯びるにつれ、息も熱くなっていくピュア姫。
「ふふ…お薬が効いてきたみたいね…そろそろ触ってあげるわ…」
「いやっ…お願い…触らないで…」
「だめよ…」
リリーの指が大きくなったピュア姫のクリトリスを摘み、くにくにと刺激し始める。
「いやぁぁっあぁぁっ…くふぅ…!!」
自らの思い込みで体を敏感にしてしまったピュア姫は、想像を絶する快感の波に耐え切れず…
ぷしゅっ……しゃぁぁぁぁ……
「あらあら…はしたないお姫様ね…」
「いやぁ…見ないで……」
高貴なお姫様が性的快感を得ながら放尿する姿は、リリーを更に昂ぶらせていく。
「次は、こっちの穴かしら…?」
リリーの指がピュア姫のアナルに、そっと触れる。
「ひぅっ!?」
ピクッとピュア姫の体が反応し、可愛いアナルがキュッと締まる。
「どこを触っているの! やめなさいっ…!」
「あら、アナルはちゃんとした性感帯なのよ?」
聞き慣れない言葉に訝しげな顔をするピュア姫。
「ふふ…簡単に言えば、いじられて気持ちよくなっちゃうところってことよ…」
リリーは、そう言うとアナルに押し当てている指を軽く円運動させ始める。
「んぁっ…やめっ……」
ぐにぐにとアナルを刺激されて、そんなところをいじられているという興奮からか、
ピュア姫の息が更に荒くなり、アソコから新鮮な愛液を分泌させる。
「ちゃんと感じてるじゃない…お姫様は、ひょっとしてマゾッ気があるのかしら?」
幼く純粋であるピュア姫には理解できない言葉が、ピュア姫を戸惑わせる。
「いいわ…これからたっぷりと時間をかけて確かめてあげる…」
たっぷりと時間をかけるという言葉に、これからも辱めが続くことを嫌でも実感させられる。
いま受けている辱めは、ほんの序章でしかないのだ。
「アナルが緩んできたわよ…そろそろ中に入るかしら…?」
リリーは唾液でぬるぬるにした指をピュア姫のアナルに、ゆっくりと押し込んでいく。
「ふぁっ…くぅぅぅん……」
処女のままアナル初体験を迎えるピュア姫。
その反応は思ったよりも素直で、明らかに快感を感じ始めていた。
「ふふ…気持ち良さそうね…初めてのアナルでこんなに感じちゃうなんて…
やっぱり貴方には、そういう素質があるのかしら…?」
「はぁ、はぁぁ…くふぅ…」
アナルへの刺激に身を捩り快感を感じるピュア姫。
言葉では言い表せない感覚が体中に駆け巡り、抵抗する力が弱くなっていく。
「ふふ…いい子ね……今から、もっと気持ちいいことをしてあげるわ…」
その言葉に、どこか期待する自分がいることに戸惑いを隠せない。
次に、リリーが棚から取り出してきたのは、不思議な形をした棒だった。
「なに…?」
「ふふ…男性のペニスを模したおもちゃよ…」
そう言われて、ピュア姫は自分の記憶を呼び覚まそうとするが、
記憶の中に出てくる男の子のペニスは、その棒とは比べ物にならないほど小さなモノだった。
「私のことを世間知らずだと思って馬鹿にしているのですか…」
「そうね、お姫様は世間知らずだわ…
男性のペニスがなんの為にあるかなんて、貴方には分からないでしょう?」
用を足すためという答えが頭に浮かんだが、それならば何故そんな形をしているのか?
それを考えると、明確な答えを出すことが出来なくなっていた。
「男性のペニスはね…女性のアソコの中に入れて擦り上げるために、こんな形をしているのよ…」
「っ!! まだ馬鹿にするつもりですかっ!」
「嘘じゃないわ…大人の男女はそうやって大人の遊びをするのよ…
男性のペニスは大人になるにつれて、いやらしいことを考えたりすると勃起するようになるの」
「ぼっき…?」
「そう、簡単に言えば大きくなるの…こんな風にね…」
リリーは手に持っているバイブをピュア姫に見せつける。
「こんな太いもの…入るわけがないわ…」
「そうね…幼い貴方には分からないでしょうけど、
アソコの中にある膜を破って初めて、奥の方まで入れて擦り上げられるようになるのよ…」
「まさか…」
大人の遊びの詳細を聞いたピュア姫は、鼓動が高鳴っていく。
「そう…今からこれを貴方のアソコに入れて、中を擦って気持ちよくしてあげるわ…」
「やめて…!」
拘束されたピュア姫の抵抗にならない抵抗も空しく、バイブがアソコにあてがわれた。
つづく。
こんばんは。普段、擬人化スレで「時計」のSS書いてる者です。
続編を書いたのですが、擬人化スレ独占気味のため、こちらに投下させてください。
設定としては、時計の短針・長針・秒針の3姉妹がほのぼの暮らしているというものです。
10レスほどお借りします。
略記は、短→短針、長→長針、秒→秒針、ア→アラーム針のことです。
ある日のとけいけ、秒針が元気に学校から帰って来るところです。
秒「ただいま!」
短「あら、私の宝物が帰って来たわ。お帰りなさい、秒ちゃん」
秒「えへへー。あのね、たん姉ちゃんにお願いがあるんだけど」
短「……駄目よ、まだ早いわ!」
秒「え?」
短「日本では、まだその手の法整備ができていないの!」
秒「何の話?」
短「それに、秒ちゃんまだ小学五年生でしょう? あと10年くらい待ってくれたら、お姉ちゃん大喜びでOKするから!」
秒「あたし小4だよ?」
短「いいの、小五にしておきなさい。その方が大きなお友達もお姉ちゃんも喜ぶのよ、秒ちゃんかわいいわ秒ちゃんがばあっ!」
ぺちこん!
短「きゅう。」
秒「……あ、ありがと、アラームさん」
ア「……どういたしまして。それで、どうしたのです?」
秒「あのね、今日学校で、授業参観のお知らせが来たんだ。うちで頼めそうなのは、アラームさんかたん姉ちゃんしかいないから」
ア「しかし私は、秒針の近親ではありませんね」
秒「そう。だから、これはたん姉ちゃんに頼むのがすじだと思うんだ」
ア「なるほど。しばしお待ちを」
ぺちこん!
短「……夢の中で話はすべて聞いていた」
ア「妖怪じみた能力ですね」
短「あら、失礼ね。アラームちゃん、私に首ったけじゃなかったの?」
ア「腕を回さないでください! そういう話ではなく……」
短「なぁに? はっきり言ってくれるまで離したげません」
ア「あの、それはもちろん、す、すkds……」
短「よろしい」
ア「は、離してください、鼻血が出ます! 第一、秒針の情操教育に悪影響が!」
短「……秒ちゃん?」
秒「ひゃい! な、なに?」
短「……期待していいわよ」
秒「へ? 何の話」
短「授業参観、あるんでしょ? 最っ高の授業参観をプレゼントしてあげるわ……!」
秒「はいぃ!?」
ア「短針、授業参観は天下一武○会ではありません」
短「あら、余計な事を言う小っちゃい口はこうしちゃうわよ?」
ア「んうーっ!」
秒「うう、すっごく不安だよう……」
前日の夜、短針さんのお部屋です。
短「るっふるっふるーん」
長「ご機嫌じゃない、短姉」
短「あら長ちゃん。秒ちゃんの授業参観に行く服を選んでるのよ」
長「へえ。秒のやつ、初めての授業参観か」
短「そうなのよ! あの子きっと楽しみにしてるわ、何を着て行こうかしら」
長「保護者ぶっちゃって。ねえ、着ていく服、私にも見せてくんない? ちょっと興味ある」
短「あらあら。お姉ちゃんの服は大人の服よ、誰に見せるつもりかしらー?」
長「そんなんじゃないわよ!」
短「あら、つまんないの。ま、いいけど?」
玄関開けたら2分でカオス♪
長「なんっじゃこりゃあああああ!」
短「ふふ。やっぱり長ちゃんには、まだ早かったみたいね」
長「ナース、バニー、チャイナ、ウェイトレス、警官、変なアニメコス! なによ、このエロいコスプレ服の大集合は!」
短「何って、私の勝負服よ?」
長「何の勝負してんのよ!」
短「お色気!」
長「おバカ! って、あんた、ま、さ、か……」
短「そう! この中のお気に入りによりをかけて、香水つけてノシつけて、秒ちゃんの授業参観に行くのよー! どびしいっ!」
長「こんのバカ姉ー! ど、どこの世界に、ナース服来て授業参観に行く奴がいるのよ!」
短「わたし!」
長「何考えてんの! あのね、あんた授業参観を間違えてる!」
短「間違えて無いわ。『綺麗なお母さん』を勝負するんでしょ」
長「ちっがーう! ご両親が、お子さんの成長をそっと確認するためにあるの。主役は子供なんだから、親は目立っちゃいけないのよ!」
短「あら。案外つまらないものね」
長「最近はカメラを持ち込んだり、ビデオ撮影したりする親御さんもいるそうだけど。私に言わせればね、そんな目立つことされたら、子供はすっごく恥ずかしい思いをするのよ! そんなことしなくても、心のフィルムにしっかり焼きつけとけー!」
短「長ちゃんどうしたの。改行少ないわよ?」
長「誰かが私に語らせた!」
短「しかしそうなると、困ったわねえ」
長「ここにあるの、ほとんど没だろうしね……なにこれ、ただの紐じゃない」
短「深刻な布不足ね」
長「なんかないの? ほら、普通のワンピとか……」
短「だから困ってるの。ここにあるのは、全部『勝負服』よ?」
長「……まさか、全部エロ衣装!?」
短「長ちゃんに言わせれば、そういうことになるかしらねえ」
長「ぜ、全滅かよ! まあいいわ、他にはどんな服があるの」
短「寝巻きと部屋着」
長「へ?」
短「つまり、ここにある24着が私の全て」
長「まさか」
短「言うなれば人生」
長「……あーた、外出る時どんな服着てるのよ!?」
短「うーん、この中から適当に?」
長「まじでか……」
短「ちょっと目立っちゃうのが問題なのよね」
長「そういうのは『視線が突き刺さる』って言うのよ。少しくらい、無難な服も買ったらどうなの!?」
短「私の辞書に無難という言葉は無いわ」
長「秒が泣くわよ!」
秒「じかんのかみさまお願いです、どうか明日がぶじにすぎますように」
ア「就寝に参りました。……どうしました秒針、震えていますよ」
秒「だって、あの2人が何かやって、ろくな結果になったことがないんだもん」
ア「……秒針。明日は、定刻に起きなければいけないのでしょう。私の手を握っていれば確実です。ほら」
秒「? 握ればいいの?」
ア「少しは、落ち着きましたか」
秒「うん。ありがと……」
ア「ふふ。あどけないものですね」
秒「……すう、すう……」
ア「時は流れ、うつろうもの。いかなる心配であれ、過ぎてしまえば過去の事になりますよ。では」
かくして当日。
ロリA「ねえみんな、誰に来てもらうの?」
ロリB「わたしは普通に、おかあさん」
ロリC「私はスナネズミさん」
ロリA「げっしるいか。もう何でもありね」
ロリ一同『秒ちゃんはー?』
秒「い、一応、お姉ちゃんが来ることになってるんだけど……」
ロリA「秒ちゃん、長針さん以外にお姉ちゃんいたの!?」
ロリC「長針さんすてきよねー。背も高いし、プロポーション抜群だし、かっこいいし!」
秒「みんな、あのくちのわるさを知らないからなぁ……」
ロリB「それで、もう1人のお姉さんってどんな人? かっこいい? 優しい? 美人?」
秒「あたしには優しい、かな。……いちおう」
ロリC「きれい?」
秒「ふつうにしてれば、美人だと思うんだけど……会う時間による、かなあ……」
ロリA「ふーん? なんか秒ちゃん、いつもと違うの」
秒「そ、そんなことないよ! あはは……」
(お願い、たん姉ちゃん、ひどい格好で来ないで……!)
授業参観中の一刻。
かたん。からから
一同「……!」
クラス中の全員が、大人も子供も問わず、一斉に息を飲む。
そのくらい、しずしずと入って来た女性の美しさも、香り立つ色気も際立っていた。
ロリA「綺麗な人……!」
ロリB「いま、秒ちゃんににっこりしたよ? ひょっとして、秒ちゃんの……」
秒「うん。あたしの、お姉ちゃん……」
ロリA「なによー。ものすごい美人さんじゃない!」
ロリB「いいなー。うらやましいな。あんなに素敵なお母さんだったら、私、自慢しまくっちゃうのに」
秒「えへへ」
ロリC「『着物』っていうんだよね。あんなに似合う人、はじめて見たよ」
秒「ありがと! ……でも、どこにあったんだろ、着物なんて?」
先生「はいはい皆さん、ここはどこ? 私は誰?」
ロリA「あ、やばっ!」
先生「……西陣の錦、ですか。素晴らしいものですね」
ロリB「はい?」
先生「な、なんでもありません。さあ、授業に戻りますよ」
ロリ一同『はーい!!』
短「いえ、そんな大層なものでは……」
短「(少し照れちゃうけど、良かった。秒ちゃんに恥ずかしい思いをさせないですんだわ……!)」
秒「(たん姉ちゃん、すっごい綺麗だよ! あたし自慢しちゃうよ!)」
短「秒ちゃん。一緒に帰りましょう?」
秒「あ、たん姉ちゃん!」
短「ちょうど今、PTAから解放されてね。もうお母さん方から質問責めよ」
秒「たん姉ちゃん、すっごい綺麗だもん!」
短「ふふ、ありがと。でも、お母さん方が興味あるのは着物の由来ばっかりでね。途中から疲れて、適当にごまかしちゃった」
秒「そっかー。でもね、疲れたのはたん姉ちゃんだけじゃないよ、あたしも質問責めだったよ!」
短「あら。どんな?」
秒「えへへ。あんな素敵なお姉さん、どうして隠してたの、って!」
短「まあ。いやね」
秒「ねえ、私にも教えてくれるでしょ? その素敵なお着物、どこに隠してたの?」
短「うふふ。秒ちゃんも見たことあるはずよ?」
秒「……。あっ、ひょっとして……」
短「そう。私たちクオーツ式時計のご先祖にあたる……」
秒「振り子おばあちゃんの着物だ!」
短「その通りよ。どう?」
秒「着る人が変わると、着物も変わるんだねー! おばあちゃんの着物姿は、りりしい感じだったよ」
短「一本筋が通った人だったもの」
秒「そうだったんだ。……でも、あたし写真でしか見たこと無いよ。どこで見つけたの?」
短「……あのあと、長ちゃんと必死で、何かないか探してね。それで、ひょっとしたらと思って、仏間の押し入れの奥を探したの。
そうしたら、衣裳箱にこの着物がしまってあったわけ」
秒「そんなところまで探したの!?」
短「私はなんとか耐えたけど、今日の長ちゃんは5分くらいずれてるわね」
秒「うわーん! 2人とも、あたしのためにありがとー!」
後日談。
長「……短姉、何でさっきから同じページ見てんの?」
短「これだわ!」
長「どれよ?」
短「ちょっと秒ちゃん、いいかしら」
秒「どうしたの?」
短「あのね、お洋服の話なの。秒ちゃん可愛いけど、ポイントを押さえたらもっと愛らしさが引き立つわ」
秒「たん姉ちゃんの言うことだったら、あたし信じるよ!」
長「ちょっとあんた、何か悪いもんでも食べた?」
秒「だってあたしも、たん姉ちゃんみたいに綺麗になりたいもーん!」
短「うふふ、秒ちゃんは本当に可愛いわね。 さ、これを着てごらんなさい?」
秒「? 着るっていうか……ごそごそ」
短「秒ちゃんの猫耳カチューシャマジ最高―――っ!!」
長「なにやってんのよこのバカ姉!」
ア「ぺちこん!」
秒「へんな服のことじゃん! たん姉ちゃんのあほーっ!」
今日もとけいけは平和です。
418 :
名無しさん@秘密の花園:2010/04/18(日) 05:38:13 ID:IYoxcbPy
職人さん皆超乙
何度も絶頂を迎えたピュア姫のアソコは既にぬるぬるになっているが、
それでも、バイブの先端は思うように入っていかない。
オナニーすら経験したことのないピュア姫のアソコはきつく閉ざされ、
男性のペニスを模したバイブを毅然と拒否する。
「お姫様は本当に無垢なのね…」
リリーは、むしろ嬉しそうにバイブを手放し、指でピュア姫のアソコを愛撫し始める。
「んっはぁっ…くぅ……」
ピュア姫のアソコに小指を半分ほど入れて優しく掻きまわす。
「はぁっはぁっ…いやぁぁ…」
細い小指でさえ、きつく締め付けるピュア姫のアソコに、リリーは心の底から興奮していく。
「ふふ…これは、いじめ甲斐があるわね…」
リリーはピュア姫の両乳首に固定されているローターのリモコンを手に取り、
目盛りを一気に最大にまで回す。
ヴィーーーーーーーーン!!
「ふぁぁぁぁぁ…!」
「ふふ…感じてる感じてる…お姫様のアソコが凄く脈打ってるわよ…」
両乳首をローターに責められながら、アソコに指を出し入れされて、幼い肉襞が徐々に広げられていく。
それでもまだ親指が入るほどにも至らず、改めてピュア姫が今日まで純真無垢であったことを実感する。
無理やり、ねじ込むことも出来ない訳ではないが、
可愛い少女が大好きなリリーの頭には、そんな残酷な考えはないようだった。
「いいわ…これからゆっくりと調教していきましょ…」
乳首を刺激し続けていたローターが止められ、
アソコへの愛撫も終わり、ピュア姫の自由を奪っていた足の拘束が解かれた。
(やっと終わったのね…少なくとも今日のところは…)
そんなことを考えながら胸を撫で下ろしていると、リリーが衣類を脱ぎ始める。
ピュア姫は、ただ単に着替えるのだろうと思ってリリーを見つめていたが、
全裸になったリリーは、顔を紅潮させながらピュア姫のところへ向かっていく。
「な、なに……?」
「お姫様がエッチに乱れている姿を見ていたら、私もこんなに興奮しちゃったわ…」
そう言うリリーのアソコは、びしょ濡れになっていた。
「一緒に気持ちよくなりましょ…」
膝裏を掴まれたピュア姫は腰を浮かされ、恥ずかしい格好にさせられる。
ピュア姫の膝裏に、四つん這いの格好になったリリーの足が割り込まされ、
拘束具を使われなくても抵抗できない状態にされてしまう。
「処女のままでも、こうすれば一緒に気持ちよくなれるわ…」
リリーはゆっくりと腰を落とし、二人の秘所が触れ合う。
「ふぁっ……」
性的快感に慣れていないピュア姫は、それだけでも体をビクッと反応させるのだった。
「ふふ…本当に可愛いお姫様ね…」
リリーは次第に、お姫様を愛でたい気持ちが強くなっていった。
「動くわよ……いっぱい気持ちよくなりなさい…」
リリーの腰が、ゆっくりと前後に動き始め、二人の秘所がいやらしい音を立てて擦れる。
「ふぁぁぁっ…ひぁっ…くぅぅん……!」
既に何度も絶頂を迎えて敏感になっていることもあり、
リリーの腰が動くたびにビクッビクッと軽く絶頂を迎えそうになるピュア姫。
「こんなので、そんなに感じてたら、クリトリスの刺激に耐えられないわよ…?」
リリーの指がピュア姫のクリトリスの皮を剥き、可愛らしいクリトリスが顔を出す。
「お豆の擦りあわせっこしましょ…」
リリーのクリトリスがピュア姫のクリトリスに密着し、その状態で、リリーは体を円運動させ始める。
「ひぁぁんっだめぇぇ…!」
「あぁぁっ、んあっ…んくぅぅ…!」
「お姫様の感じてる顔…凄く可愛いわ……」
敏感なクリトリスを執拗に擦りあげられ、ピュア姫の体は更に敏感になっていく。
「いやぁぁ…またなにかきちゃう…!」
「イッちゃいなさい…私もイクまで、イカせ続けてあげるわ…」
「許してっ…もう…だめっ…!」
ピュア姫の体がビクンッ!と大きく弓なりに反れ、絶頂を迎える。
それでもリリーは容赦なく体を動かし続け、ピュア姫は常に絶頂を感じているような深みへと落ちていく。
「いやぁぁぁっ…もう許してぇ…!」
溢れ出た愛液が潤滑剤になり、クリトリスがぬるぬるになって更に感度が上昇してしまう。
「ふぁぁぁぁぁ…!!」
あまりの快感に体を振るわせるピュア姫。
その直後、リリーはお尻に生温かい感覚を覚える。
「ふふ…お姫様ったら、またおしっこしちゃったのね…」
「いやぁ…っ」
「そんな、いけないお姫様には、もっとお仕置きしてあげなくちゃね…」
ピュア姫のアナルにリリーの指があてがわれた。
つづく。
「そこは…もういや…っ」
「あんなに感じてたのに…? 好きなんでしょ…アナルいじられるの」
揺れる体のリズムに合わせて、リリーの指は、容赦なくピュア姫のアナルに埋まっていく。
「んっくぅっ…ひぁっくぅぅん…!」
絶頂感を感じ続けながら、アナルに指が入ってくる感覚に身悶えするピュア姫。
「すごく締め付けてくるわよ…いやらしい子ね…」
アナルに入れられた指をゆっくりとピストンされて、
そんなところをいじられているという背徳感に興奮してしまうことに戸惑いを覚える。
(やだ…こんなの……ダメ…おかしくなりそう…)
「ふふ…お姫様ったら…よっぽど気持ちいいのね…」
抵抗する言動が少なくなったピュア姫を嬉しそうに見つめながら、
リリーは腰を激しく動かし始める。
「んあぁぁっ!! ひぁっやあぁぁっ!!」
にちゃにちゃといやらしい音を立てながら、
お互いのクリトリスがコリコリと激しくせめぎ合う。
「ふぁぁぁぁっ…また、なにかきちゃいますっ!!」
「ふふ…何度でもイッていいのよ…」
ピュア姫のアナルからリリーの指が引き抜かれた瞬間…
「くぅぅぅんっ…!」
ピュア姫がまた絶頂を迎えた。
「ふふ…アナルは引き抜かれるときが一番気持ちいいでしょ…」
そういうと、リリーはまた指をアナルに押し込んでいく。
「くぅん……」
ピュア姫は、抵抗する様子もなく快感を受け入れる。
「素直で可愛いわよ…お姫様だって女の子なんですものね…」
アナルに指を出し入れされながらも、更なる高みへと上っていく。
「ふぁっ、くふぅ…んんぅっ…!」
切なげな表情で体を捩りながら、満たされていくピュア姫。
「私も、そろそろイキそうよ……」
リリーの動きが一層激しくなり、部屋中にいやらしい音が響き渡る。
「またきちゃう…!」
「今度は、一緒に…イキましょうね…」
これ以上ないくらいに小刻みに体を揺さぶり、
敏感になっているお互いのクリトリスがいやらしく絡み合い…
「ふぁぁぁっ!!」
「んあぁぁぁんっ!!」
二人同時に絶頂を迎える。
「はっはっ…はぁっはぁぁ…」
「はぁ……凄く良かったわ…お姫様…」
二人の秘所から溢れ出た愛液が、一筋の流れになってシーツに零れ落ちていく。
「お姫様は気持ちよかったかしら…?」
例え否定の言葉が返ってきたとしても、
それは嘘だと分かりきっているのだが、リリーは敢えてピュア姫に聞く。
「……」
ピュア姫は言葉を発しなかったが……
こくり…と、静かに頷いた。
「お風呂に行きましょうか…隅々まで綺麗にしてあげるわ…」
「はい…」
ほんの数時間前まで純真無垢だったピュア姫は、
リリーに辱められることに快感を覚えてしまったのでした。
おしまい。
「囚われのお姫様」の作者です。
元々は別作品の妄想ネタとして使うつもりだったのですが、
せっかくなので、中世ファンタジーとして書き上げてみました。
感想で指摘されたように現代のおもちゃを使ってしまって、
設定が薄れてしまいましたが。(笑)
読んでくれた方は、ありがとうございました。
>>425 GJ! エロエロで良かったです
続編でも新作でも待ってます。
> 無理やり、ねじ込むことも出来ない訳ではないが、
> 可愛い少女が大好きなリリーの頭には、そんな残酷な考えはないようだった。
このへんに愛を感じたんだぜw
「囚われのお姫様」の作者です。
>>426さん
早速、読んでくれてありがとうございます♪
あちらの作品でもそうでしたが、あんまり痛い思いはさせたくないですね。
特に、こちらの作品では、まだお互いに愛情というところまできてませんし。
それなりの間柄になれば、とか勝手に妄想しています。(笑)
こんばんは、時計擬人化の人です。
続編投下です。8レスほどお借りします。
略記は、短→短針、長→長針、秒→秒針、ア→アラーム針のことです。
今回は、『とけいけ』の次女こと長針さんの通う高校のお話。
外は春らしく、うららかな陽気なのですが……
長「……はあ。掃除かあ」
ほうき「3人でやればすぐ終わるぜ!」
ちりとり「そういえば、長針さまは先ほどから浮かれぬご様子です。ひょっとして、掃除はお嫌いですか?」
長「あんたらは好きなの?」
ほうき「そりゃもう、あたしとちりとりに任せとけば、どこだってピカピカだ! ただし、ゴミはちりとりの尻から出る!」
ちりとり「で、出ません! 今日は大丈夫ですよ、音楽室のゴミ袋は大きいですから」
長「……なぜあんたが尻を押さえたのかは、突っ込まないからね」
ちりとり「だってほうきさんが無理矢理!」
長「突っ込まないっつってんでしょうが!」
ちりとり「お心遣い、痛み入ります……」
長「まあ、私も掃除が嫌ってわけじゃないのよ。よりによって音楽室なのがね……」
ちりとり「音楽室が苦手なのですか? まさか、音楽室の怪談がこーわーいー、ですとか?」
長「違うわよ! 単に、ちょっと苦手なのがいるだけ」
ほうき「ふーん。長針は友達たくさんいるのに、珍しいな!」
かくして音楽室。
?「あーら、放課後から嫌なものを見てしまいましたわ。ともあれごきげんよう、長針さん」
長「それはこっちの台詞だ。出たな、メトロノーム!」
ほうき&ちりとり「メトロノームぅ?」
長「そう。私はこいつだけは許せないの!」
ほうき「一体どうしたのだ、長針」
ちりとり「音楽室といえばピアノ、ピアノといえばメトロノームですわ」
長「だってこいつ、1分間に132回とか78回とか変なカウントすんのよ!?」
ほうき「……メトロノームなんだから当たり前だろう」
長「私はね、60カウントで1つ繰り上がるようにできてんの! こんな変な数え方ばっかりするトンチキ発明品は嫌なのよ!」
メ「……なんて失礼な。一体誰がトンチキですの!?」
長「あんた!」
メ「私がトンチキなら貴女はインチキですわ。M.M.=60固定だなんて、1分間を測る立場として恥ずかしいと思いませんの!?」
長「知らないわよ! 1分間が152秒だったり88秒だったりするあんたよりよっぽどマシね!」
メ「失礼な! そもそも、M.M.=60固定などと言われては、アダージョ以外演奏できないではありませんの!」
長「じゃ、それだけやってればいいじゃない。だいたい、アレグロだのマダンテだの、あんたの言うことは訳わかんないのよ!」
メ「貴女、いい加減ネジが抜けてるんではありませんの? マダンテではありません、アンダンテです!」
長「似たようなもんじゃん」
メ「まるで違います! アンダンテとは、歩くような速さで、という意味ですわ」
長「歩き回るより、MPをダメージにした方がマシよ!」
メ「なんて嘆かわしい! そんなことですから、鑑賞会であんな醜態をさらすことになるんですのよ?」
ほうき「……長針、泡吹いて卒倒してたな」
ちりとり「……ええ。お尻から魂が抜けていらっしゃいました。よりによってお尻から」
長「う、うっさい! あ、あんなでたらめなテンポ、我慢できなかっただけよ!」
メ「まったく、これだから芸術を理解しないお芋さんは。それに私、アンティークとしてもたいへんな価値がありますのよ? ご覧なさい、
この見事な縦ロール!」
長「時計には実用性があればそれで充分! そもそも、若いうちから付加価値なんて必要ないわよ」
メ「ふん。さしづめ貴女、100均のザ・時計シリーズなんでしょう?」
長「失礼ね! 私はにとりの2,980円よ!」
メ「語るに落ちたとはこのことね! 私なんて……」
「はいはい、そこまで!」
長&メ「ピアノ先生!」
ピ「響板からよっこいしょ。音楽室であんまり騒ぐものですから、先生思わず出てきちゃいました」
ほうき「(……おい、無茶すぎだろ。『ピアノ先生』はあんまりだ)」
ちりとり「(……仕方ないです。スレの主旨には忠実に、だそうですから)」
ピ「こほん。まず、メトロノームさん?」
メ「はい」
ピ「あまり、長針さんのことを悪しざまに言ってはいけませんよ」
メ「固定速なんて信じられませんわ!」
ピ「彼女は万国共通の時を刻むためのもの、あなたとは目的が違うのよ?」
メ「ですが先生!」
ピ「それから、長針さん?」
長「なんですか」
ピ「あなたは、芸術に無頓着すぎるわ。時計人の教養として、もう少し音楽に興味を持って欲しいのだけど」
長「お断りします! こんな気まぐれテンポの馬鹿ロールなんて理解できません!」
メ「何ですってぇ!?」
長「なによ。第一、あんた音楽の授業以外で役に立たないじゃない!」
メ「芸術の可能性は無限ですわ。もっとも、右脳の退化したお馬鹿さんには理解できないかも知れませんけど!」
ピ「……はぁい2人とも、ここに頭を挟んでちょうだい?」
長「こう?」
メ「一体何ですの?」
ピ「えい、『突上棒外し』!」
がつん!
長「痛い! 天井板むっちゃ痛い!」
メ「ちなみに突上棒(つきあげぼう)とは、グランドピアノの天井板を支えるつっかい棒のことですわ。
……先生、自重なさってください! ぜんまいが狂います!」
ピ「だってあなたたち、まるで言うこと聞いてくれないんだもの」
長「うう、清楚なふりして、こんな暴力教師だったとは……」
ピ「ですから、長針さんには少し音楽の勉強をしてもらいたいの」
長「嫌ですってば!」
ピ「あのね。音楽室には、他にもいろんな凶器があるのよ? 例えば、これとか」
長「まさか、Yの悲劇!? いや、ちゃんと演奏に使いましょうよ!」
ピ「うふふふふふ?」
長「分かった、分かりました! ……この手のキャラには弄られっぱなしだわ、私」
ピ「大丈夫、そこまで大変なことは言わないわよ。ここに書いてある3曲だけ、聞いてもらいましょう」
長「はーい……」
ピ「ちなみに、全部ピアノ曲ですから。メトロノームさん、弾いてくださいね?」
メ「わたくし!? 先生がお弾きになればよろしいじゃありませんの」
ピ「……ここにお琴があります」
メ「それがどうかいたしまして?」
ピ「中国の故事で、これに鉛を仕込んで人に投げつけて殺そうとしたことが」
メ「ま、まさかの始皇帝暗殺ですの!?」
ピ「うふふふふふ?」
メ「よ、喜んでお弾きいたしますわ!」
ほうき「……さて、掃除終わったし、あたしらは空気読んで退散するぜ!」
ちりとり「あ、こら! ほうきさん、あなた聞きたくないだけでしょう!」
ピ「それじゃ、後はよろしくね。先生、バイオリンとデートだから」
長「おいィ!?」
かくして音楽室に取り残される2人。
長「なによあの女! 結局デートなんじゃない」
メ「仕方ありませんわ。ソナタ・バカップルですもの」
長「やれやれ。ま、ピアノはともかく、バイオリンさんは可憐な感じの人よね」
メ「そうそう、楚々とした白百合という感じの……って、なんで貴女と意気投合しなきゃいけないんですの!」
長「それはこっちの台詞だ! いいから、さっさと弾けば?」
メ「言われなくても。覚悟なさい!」
1曲目
ショパン「小犬のワルツ」
長「ぎゃー! なによ、このくそ速いテンポは!」
メ「……何をおっしゃるの。この程度、速いうちにも入りませんわ」
長「ちょっと! だからって、いきなり遅くしないでよ。胃がもたれるじゃない」
メ「ショパンお得意の構成です。軽快な部分に続いて情緒的な部分、それから……」
長「また速いいい! 胃から戻る戻る!」
メ「最後は軽快に、締める! じゃん!」
長「きゃん!」
メ「少しは勉強になりまして?」
長「……小犬が哀れだったわ」
メ「……それ、何の勉強ですの」
2曲目
J.シュトラウス「美しき青きドナウ」(ピアノ編集版)
メ「これは普通の曲ですわ。先生、なんでリストに入れたのでしょう?」
長「そうね、出だしは普通っぽいけど……びく!」
メ「なんですの」
長「ちょっと、何よそれは」
メ「何って、ワルツですわ」
長「そうじゃなくて。2拍目と3拍目の間に、こそばゆい『間』があるでしょ!」
メ「ははーん。これは、ウィンナーワルツの特徴ですわ。2拍目と3拍目の間にわざと間を置くことで、踊るようなリズムになるのです」
長「びく! ひ、非常識じゃない、時計的に! リズムやテンポは一定であるべきでしょう!?」
メ「ワルツ王に怒られますわよ」
長「びく! 私の三半規管が! これは酔うー!」
メ「さて、次ですわ!」
長「もう許してー!」
3曲目
メ「……何ですの、この指示」
長「なに、もう終わり?」
メ「そういうわけでは、ないのですけれども」
長「なーるほど。超絶E難度の曲で、弾くに弾けないのね?」
メ「そんなことありませんわ! そこまで仰るのでしたら、弾いてさしあげます!」
長「……あーあ、また酷いテンポなのよね、きっと。あの女は魔女に違いない」
メ「次に限っては、大丈夫です」
長「どういうこと?」
メ「な、何でもありませんわ。黙ってお聞きなさい」
ベートーヴェン「ピアノ・ソナタ『悲愴』 第2楽章」
長「あ、なんだろう。すごく、落ち着く感じ……」
メ「そうかも知れませんわね」
長「分かった。これ、秒のリズムと同じでしょ」
メ「ええ。テンポ60ですから」
長「……いい曲ね」
メ「貴女でも、聞きやすいでしょう?」
長「……うん」
メ「……うれしい」
長「………」
メ「……はい。終わりです」
長「さんきゅ。……なんか、ほっとした」
メ「感謝されるほどのことではありませんわ。先生に言われただけですもの」
長「ふーん。なんて書いてあったの?」
メ「あ、こら。見てはいけません!」
長「あんたばっかずるい!」
メ「貴女なんかに読めませんわよ! えい!」
長「こら投げるなー! あーあ、外に行っちゃった……」
メ「た、たいしたこと、書いてありませんでしたわ!」
長「……なにさ、メトロノームのけち」
メ「けちで結構です」
長「メトロノームのいじわる」
メ「いじわるで結構ですわ」
長「メトロノームの縦ロールちょう変」
メ「変なうえに、実は重いですわ。……って何おっしゃるの!」
長「ふんだ。正直な感想でーす」
メ「毎朝2時間もかけてセットしてますのに!」
長「あんた、人生の12分の1を無駄にしてんのね」
メ「乙女には身だしなみが必要なのです!」
長「私には不要な努力にしか見えませんけど?」
メ「なんですって!? 掃除も終わったようですし、さっさとお帰りになったら!」
長「ふんだ。言われなくても帰りますよーだ!」
メ「本当に失礼な人ですわ!」
長「……あのさ。今日は、もう帰るけど」
メ「望外の喜びですわ。音楽室が芋くさいったらありゃしない」
長「さっきの、また聞かせてよ。気に入った」
メ「……! 貴女が真面目に音楽の授業にいらしたら、考えてさしあげます!」
秒「じゃじゃーん! 皆勤賞を目指す、良い子の秒ちゃんだよー!」
秒「なんとー! 都合のいい事に、秒の学校は長姉の学校の隣にあるのです!」
秒「さらに、な、なんとー! 春の風に誘われて、何やら紙切れが落ちてきましたよ? なになに?」
『3曲目。あなたが、一番練習している曲。』
以上です。だぶん失礼しました。
囚われのお姫様さん、お疲れさまでした。
JK×JSスレもお忙しそうですが、当然続編お待ちしておりますw
うちにもあります、メトロノーム。ねじを巻いて、重りの位置を変えてテンポ調整するやつ。
私的にメトロノームといえばそれなのですが、最近は電子式の方が一般的なのかな。
次回は秒針さん奮闘編かな。
>>425 え、えろい…リリーさん姫がかわいくて仕方ないんだな。
>>437 いいなぁいいなぁ。メトロノームさんかわいいよ。最後の一文でにやにやしちまったい。
「囚われのお姫様」の作者です。
>>437 「とけいけ。」の作者様、ありがとうございます!
あっちのことも知ってるんですか!?
ちょっとビックリしました。(笑)
こっそり報告すると、あちらの単発ネタを作っているところです。
エッチは控えめにして微笑ましくなる内容を目指しているので、
また見つけたら読んでみてください♪
「とけいけ。」の続きも楽しみにしていますね。
設定や文章など、面白くて好きです!
「囚われのお姫様」の作者です。
書き込んでいる間に、更に感想を頂いてました!
>>438さん
感想ありがとうございます♪
リリーの、お姫様大好き設定を感じ取ってもらえたようで嬉しいです。
「とけいけ。」凄く面白いですよね^^
>>348 ども、ありがとうございます。
目指しているのは微百合性なSSですので、そう言っていただけるのが何よりです。
メトロノームさんは今後2回くらい登場予定です。お楽しみに!
>>349 やばい、好きだと言われてしまった。
えーと、私も「囚われのお姫様」の設定とか描写とかあえぎ声とかエロくて大好きです!
ていうか囚われるシーンのSSとか書きかけちゃうくらい好きです!
自分でエロ書けない分、書ける人に憧れるんだなぁ……
単発ネタも期待しております。マイペースでがんばってくださいー。
442 :
441:2010/04/24(土) 19:10:49 ID:VH/ZWNm3
落ち着けってばorz
ええと、時計擬人化の人です。
348→
>>438 349→
>>439 のレスです。たいへん失礼しました。
こんばんは、時計擬人化の人です。
とけいけ続編です。
12レスお借りします。長くてごめんなさい。
略記は、短→短針、長→長針、秒→秒針、ア→アラーム針のことです。
ある日のとけいけ、玄関。
短「あら。秒ちゃん、お出かけ?」
秒「うん。今日はね、オイルちゃん家に行くんだ」
短「オイルちゃん?」
秒「オイルタイマーちゃん」
短「ああ。水玉が落ちてきて、3分くらい測る子ね」
秒「あたし、同じクラスなんだ!」
短「あら、そうなの」
秒「でも最近、オイルちゃん学校に来なくなっちゃって……先生も友達も、理由は分からないって言うし」
短「それは困ったわねえ」
秒「そうなんだよ。それでね、あたし心配だから、様子を見に行こうと思って。何か力になれるかも知れないしさ!」
短「……ッ!!」
秒「どうしたの、たん姉ちゃん。あっち向いちゃって」
短「な、なんでもないわ。行ってらっしゃい」
秒「? はーい、行ってきまーす!」
ア「短針、ダイ○から電話がかかってきていますが。……なんですかその鼻血は!」
短「……あの子のね」
ア「はい?」
短「あの子のそういうところが、可愛くてたまらないの! ああ、秒ちゃんいい子だわ秒ちゃあああん!!」
ア「ちょっ、鼻血まみれのまま抱きついてこないでくださいー!」
挨拶とかすっとばして、オイルタイマーちゃんのお部屋です。
秒「そんなわけで、いきなり来ちゃった。嫌だった?」
オ「ううん、秒ちゃんならいいよ」
秒「あ! もこたんフィギュアだ!」
オ「うふふ、それレアものなんだよ。私、最近”てるもこ”か”もこけーね”かで悩んでるの」
秒「あたしは”てるもこ”かな。永遠のライバル設定って、良くない?」
オ「私は、”もこけーね”の過保護設定に憧れるの。もこたんにだだ甘なけーね先生とか、糖分多すぎ!」
秒「うーん、どっちもいいね」
オ「でしょう?」
秒「でも、1つだけ言えることがあるね」
オ「もちろん!」
秒&オ『もこたんは私たちのジャスティス!』
オ「ふふっ、やっぱり秒ちゃんだ!」
秒「オイルちゃんならそう言うと思ったもん!」
秒「……オイルちゃんの淹れてくれた紅茶、ひさしぶり。おいしい」
オ「ふふ。ありがとう」
秒「それで、どうしたの? 急に学校来なくなちゃって」
オ「………」
秒「あたし心配だよ。何かあったの?」
オ「わたしね、我慢できなくって……」
秒「へ。何を?」
オ「ひょっとして秒ちゃん、聞いてないの?」
秒「うん。みんな理由を教えてくれないんだよね」
オ「……そう。じゃあ、私からも言えない」
秒「……えっと」
オ「………」
秒「あ、あたし、ケーキ買ってきたんだ。一緒に食べない?」
オ「うん。いいよ」
ケーキは普通にショートケーキでした。
秒「……でもさー。オイルちゃんって本当に、お人形さんみたいでかわいいよね」
オ「そ、そんなことない……」
秒「金髪くるくるだし、お肌も白いし」
オ「そんなことないってば」
秒「それに、オイルちゃん180秒も測れるんだよ? あたしなんか60秒だよ、うらやましいよ!」
オ「そんなに褒めないでったら! 恥ずかしいよ!」
秒「そんなに恥ずかしい?」
オ「うん、恥ずかしい……」
秒「んふふ。じゃあ、もっと恥ずかしくしちゃいます」
オ「!? 秒ちゃん、なんで抱きついてくるの……?」
秒「オイルちゃんが理由を教えてくれるまで、ずっと褒めちゃうからね!」
オ「へ?」
秒「貴女の瞳が好き。春の銀河のようにきらめく瞳が好き。春の陽射しのような優しいまなざしが好き」
オ「ちょっと!」
秒「貴女のくちびるが好き。蜜のような口づけをくれる、切ない吐息を聞かせてくれるくちびるが好き」
オ「アウト! 完全にアウト!」
秒「まだ続ける?」
オ「ばか! ……仕方ないなあ、ぜったいに秘密、守ってくれる?」
秒「秒針は、60秒間は約束を守ります!」
オ「そんな短くちゃ困る!」
秒「じゃあ、もうちょっとだけがんばる!」
オ「……もう。本当に素直なんだね」
秒「えへへー。それだけが取り得ですから」
オ「あのね。……実は、擬人化したことが問題なの」
秒「へ? オイルちゃん、擬人化してもかわいいじゃない」
オ「私、どうしても擬人化したかったの! 見かけはたまたまで、みんな褒めてくれるのは嬉しいんだけど……」
秒「じゃあ、なんで?」
オ「……やっぱり無理! それより、久しぶりに会えたんだもん、遊ぼうよ!」
秒「あ、ずるいー! でも、あたしもオイルちゃんと弾幕ごっこしたいかも」
オ「やった!」
秒「と、その前に……」
オ「なあに?」
秒「ごめん。お手洗い、借りていい?」
「…………ッ!!」
秒「オイルちゃん、どうしたの? ふるふる震えて」
オ「……借りたいと言うのね、お手洗いを」
秒「う、うん」
オ「どうしても?」
秒「わりと切実に……」
オ「わかった。案内する」
秒「えっと、うん。ありがと」
オイルタイマーちゃん家のお手洗いは1階です。
オ「……ここ」
秒「普通のトイレ、だよね。えーと、じゃあ、お借りします」
オ「では、失礼します」
秒「ちょ、ちょっと! なんで入ってくるの!?」
オ「そりゃもちろん、オイルタイマーの出番といえばお手洗いだもの」
秒「何言ってるの、オイルちゃん!?」
オ「だって、トイレにいる間は暇でしょ?」
秒「まあ、忙しい事もあるけど、だいたい暇かな……」
オ「だから、私をひっくり返して、無聊を慰めていいんだよ?」
秒「そんなことしたくない!」
オ「しからずんば横に倒してみて、私がぶざまにもがく姿を楽しんでもいいよ?」
秒「そんなことしたくないってば! オイルちゃん何考えてるの!?」
オ「……っ!」
秒「なんなの!?」
オ「やっぱり、秒ちゃんも……」
秒「?」
オ「何もしてくれないんだね!」
秒「はい?」
オ「あたし、もてあそばれたいのに!」
秒「何言ってるの、オイルちゃん!?」
オ「だいたい、私が学校に行きたくない理由だって、これなんだよ!」
秒「えーと……」
オ「再現すると、こう! 『学校の休み時間にて』!」
ロリ「ねえオイルちゃん、お手洗い行こうよー」
オ「うん、いいよ。休み時間だもんね」
ロリ「……ちょっと! オイルちゃん、なんで入ってくるの、やめてよ!」
オ「ごめんなさい! オイルタイマーはね、こうするのがお仕事なの。さあ、わたしを好きにして!」
ロリ「○○○○できないじゃない!」
オ「ちょっと見えちゃうだけだから大丈夫。さあ、ぞんぶんにどうぞ!」
ロリ「なに考えてんのよー! ……あ、あんたなんか絶交よ!」
オ「……どう。あんまりだと思わない!?」
秒「オイルちゃんがあんまりだよ!」
オ「百人が百人、この調子なんだよ。誰もトイレで私のことをいじってくれないの」
秒「あたりまえだー!」
オ「そりゃもう、学校に行く気だって無くなるよ!」
秒「それが不登校の原因なの!?」
オ「そうだよ!」
秒「はあ。……そんなくだらない理由、始めて聞いたよ。トイレでいじってもらえないから登校拒否、なんて」
オ「くだらなくなんかないよー! オイルタイマーなのに、いじってもらえないなんて!」
秒「あのね。……元に戻ればいいんだよ」
オ「……え?」
秒「だから、そのむりくりな擬人化をやめて、元に戻ればいいの。ただのオイルタイマーなら、あたしもみんなも安心してアレできるわけだし」
オ「……そっか!」
秒「でしょ?」
オ「目からウロコでた。元に戻ればいいんだね!」
秒「そうそう」
オ「ありがとう。秒ちゃん天才だね!」
秒「さあ、戻って戻って」
オ「ううん、この感謝の気持ちを熱いディープキッスで」
秒「いいから早くしてよー!」
オ「えいっ!(ぼん)」
秒「オイルちゃん、やっぱり綺麗なオイルタイマーだったんだね。これで安心して……ふう」
「………」
秒「あ、動きが止まった。じゃ、ひっくり返してっと。わあ、きらきらしてやっぱり綺麗!」
「………」
秒「さて、これくらいひっくり返せばいいよね。それでは、あたしは失礼して」
「……待って!」
秒「うひゃあ手が出てきた!? オイルちゃん、元に戻ったんじゃなかったの?」
オ「一度平衡状態が崩れると、安定準位の間を行き来しやすくなるみたい」
秒「へりくつはいいから手を離してよ。あたし、まだぱんつはいてないの!」
オ「なるほど。萌えキャラなんだね」
秒「違うよ! いいから手を離してよー!」
オ「離しません。話を聞いてくれるまで、秒ちゃんは萌えキャラのまんまです!」
秒「ぱんつはかなきゃ萌えキャラなの!? じゃあ、早く用件を言って!」
オ「……誰が次に私をひっくり返してくれるの」
秒「はあ?」
オ「このままじゃ、止まっちゃうよ! 止まっちゃったら、私はオイルタイマーじゃないよ、ただのオブジェだよ!」
秒「はい?」
オ「止まったオイルタイマーなんて、誰が見てもかっこわるいじゃない。ただのプラスチックと色つきの水と油の混合体だもん」
秒「はあ……」
オ「人をひっくり返すだけひっくり返しておいて、責任取ってよー!」
秒「知らないよお!」
オ「あ……秒ちゃん、ごめんなさい、泣かないで」
秒「えっく……」
オ「仕方ない。やっぱり、ここはどうにかして、自分でひっくり返るしかないんだね」
秒「その方向で頑張ってよ……」
オ「こうなったら、擬人化するしか!」
秒「ひょっとして、それで擬人化したかったの!?」
秒針さん、ご帰宅です。
秒「……というわけで、あたしたいへんだったんだよ!」
長「あはは! あんた、ぱんつ丸出しどころか、ぱんつ丸脱ぎで奮闘してきたのね!」
秒「ちょー姉のばか!」
短「なるほどねえ。ひっくり返りたくて擬人化してみたものの、誰もトイレに入ってくれなくなっちゃった、と」
秒「そういうことみたい」
短「ねえ、ひとつ思ったのだけど」
秒「なに?」
短「その娘、無機物と擬人化状態を行き来できるわけでしょう?」
秒「ええと、そうだね」
短「秒ちゃんが用を足している間、その娘が無機物だった保証はどこにあるの?」
秒「!?」
長「言われてみれば、確かに……」
短「私もオイルちゃんになって、秒ちゃんが○○○○するところ見たいわあ」
秒「あたし、ちょっとあの子の家に行ってくる」
長「秒、ちょっと待て。こいつをボコってから私も行く」
オ「秒ちゃんにいいこと教えてもらっちゃった! あ、このお姉さんかっこいい。結構タイプ!」
オ「ふふ、今日はフリルつきなんだね、勝負なのかなー? ……はいお疲れさま、がんばってくださいませねー!」
オ「でも私、女の子好きで本当に良かった。これって絶対、役得よね!」
オ「あ、ご新規さまいらっしゃーい。……げえっ、あなたたちは!」
長「おい、ずいぶんいい御身分だな、人の妹の恥ずかしい姿を見ておいて?」
秒「この変態め、覚悟しろー!」
その後、オイルちゃんは、人がいる間は無機物でいるという念書を書かされたとかなんとか。
ちゃんちゃん。
以上です。駄文失礼。
ハァハァ斬りは名言スレよりお借りいたしました。ググって名言スレがトップに出てきたのに吹いた。
どんどんネタがしょうもない方向に走ってますね。とけいけの明日はどっちだ……
来週は「とけいけ。」はお休みします。
代わりに、本スレ(擬人化スレ)に何か投下するかも。
>>465 お疲れ様です〜。
今回も、とても楽しく読ませて頂きました♪
こんなに面白いお話をハイペースで書かれていて驚きです。
これからも楽しみに待っていますね〜。
458 :
457:2010/05/04(火) 16:20:18 ID:pG80sFIL
465→456でした。
良く見てみたら私も同じミスしてました!
失礼しました〜。
ども、時計擬人化の人です。
>>457 いえいえ、お気になさらず。
ちょっとペース早いですよねえ。一通り全員の話を書いたら、いったん休憩しようかと思ってます。
他のモノの擬人化に浮気したいのでw
ところで、厚かましくも「囚われのお姫様」のSSを書いてしまったのですが、こういうのはアリですか?
よろしければ、投下させていただきたいなと。
舞台は、ピュア姫様が囚われるあたりです。
>>459 全然OKです!むしろ大歓迎です♪
私も、こちらに投稿する新しいお話が、もうすぐ完成しそうです。
またエッチなのです。(笑)
>>460 では、お言葉に甘えて投下させていただきます。
10レスほどお借り。
私はずっと、父に憧れていたのかもしれない。
力をもって人を従え、意のままにする父を。
私は父から贈られるドレスにも、午後のお茶会にも、まるで興味は無かった。
私が欲しかったのは、力。つまりは剣の捌き方であり、軍の統率だった。
私は、努力したと思う。毎日欠かさず剣の修業を積み、盗賊相手に幾多の首をはねた。
そんな男勝りな私に、いつしか父もあきらめたのだろう。
おまけのような部隊ではあるものの、私に一軍をあてがってくれた。
その時、私はとても喜んだものだ。これで人を従え、思いのままにすることができるのだ、と。
……しかし、実態はまるでかけはなれたものだった。
兵士たちには、早く正規の軍に移りたいという気分が見え見えだった。
名だたる将軍との一騎打ちでは、私はまるで歯が立たなかった。
侍女たちの私を見る目も、侮蔑とあきらめのまじったようなものだった。
悔しくて仕方なかった。
いくら女将軍と呼ばれようとも、誰も内心では私を恐れていない。これでは、まるで道化ではないか……
冴えない私を尻目に、北に位置する我が国は南下し、着々と勢力を伸ばしていった。
もっとも、平和ぼけしていた芸術馬鹿どもを、草を刈るようになぎ倒していっただけだが……
かくして、残るは中央に位置する、「盟主」たる国のみになった。
盟主の首都を包囲する、無数の篝火。遂に、最後の決戦の時がやってきたのだ。
本来なら、奮い立つべき局面だろう。しかし私にとって、この戦いそのものに意味などなかった。
私はついに、探していたものを手に入れたのだ。
――『アレ』の情報。
古来より存在は言い伝えられてきたものの、今ではおとぎ話になってしまった、例の『アレ』。
私が入手した情報によれば、魔術師の塔に『アレ』が潜む、とのことだった。
チャンスだった。情報を握っているのは私だけ。財宝など、欲の皮の突っ張った連中にくれてやればいい。
私が望むものは、至高の座だ。
落城後、焼け焦げた棒杭だか人間だかをかきわけ、私は『アレ』の安置されているはずの塔へと向かった。
塔の中はカビ臭く、薄暗かった。とうに、人は逃げ去ったらしい。
……あの部屋に気配を感じる。私は頬当てを上げ、中へ踏み込んだ。
「誰かいるのか!」
そこには、年の端もいかぬ少女が、まるでスミレのように咲いていた。
栗色の髪をきちんと結い、淡い色のフリルをふんだんにあしらったドレスを着ている。フリージアのコサージュが、愛らしさを引き立てていた。
戦火が見えないわけでもあるまい。けれども、彼女は窓を横に、修道女のように凛として座っていた。
絵になる光景だった。
実際、私は彼女の肖像画を見たことがあった。盟主の愛娘、確か――
「ピュオネ姫か」
「ピュア、です」
高慢な物言いに、かつん、と何かが私の中でぶつかった。
ここでの勝者は私なのだ。敗者は、敗者たることを認めねばならぬ。
……私は兜を脱ぎ、素顔をさらした。
「……っ!」
私が女と分かった瞬間、姫の顔に血が上る。
北の女将軍たる私と、これから捕虜の哀れな身となる彼女。
自分の立場について、彼女ははじめて思い知らされたのだ。
「『アレ』について教えなさい」
私は一歩踏み込む。
彼女は一歩下がる。
彼女の声は上ずっていたが、それでも必死でこらえ、こちらを睨みつける。
「知らない」
「知っている筈よ」
「たとえ知っていたとしても、貴女なんかに教えない! 北の蛮族の娘になど!」
「それが答え?」
「……ええ!」
「ならば、死んでもらうわ」
使いなれた薄身の長刃を抜く。
男の使うものとしては心もとないが、この姫の細い首を飛ばすには充分だろう。
左右の取り巻きに目をやり、娘を無理矢理かしづかせる。
……殺すには惜しい、という考えが心をよぎる。
まつげは長く、体系もほっそりとしてあどけない。フリルの多いドレスも、未成熟な身体を隠すためのものだろう。
全てが、私の好みそのものだった。しかし、盟主の娘ならば……
組み伏せられた姫がぽつり、と言った。
「許してください」
一瞬耳を疑った。いま、何を?
「許してください」
身体が震えている。私は、思わず口に出した。
「私が、怖いのか?」
私は喚いた。
「答えろ! 私が怖いのか!?」
「はい! あなたは、とても強そうで、怖い!」
「………」
「私、死にたくない。でも、あなたが知りたいことについて、私はなんにも知らないの!」
可愛らしく結った栗色の髪を振り乱すたび、石造りの床に涙がこぼれ落ちる。
「お願い、殺さないで!」
一瞬、『アレ』のことはどうでも良くなった。大切な愛娘に、そんな物騒なモノのことを教えたりしない可能性だってある。
それより……なんということだ。
この聖女は、私に命乞いをしている!
この娘は、盟主と仰がれた都の貴い娘。
少し昔なら、パレードの末席から姿を見るだけのお姫様が……
いま、心の底から私を怖がり、涙を散らして私に庇護を求めている!
甘い疼きが身体中を駆け巡った。
「姫を、私の陣幕へ連れて行け」
「しかし、盟主の血縁は領主様の元へ連行せよ、との命が下っておりますが」
「私は、父上より特命を受けている。この娘は別だ」
「ですが……」
「くどい。刀の錆にされたいか!」
「はっ……」
「……ふふっ」
私は、くちびるの端をなめた。いつもの戦場の味とは違う、甘ったるい砂糖菓子のような味がした。
ここからはピュア姫視点です。
「武力では世界は支配できぬ。見よ、我らが築き上げた芸術の帝国を!」
「東も西も、こぞって我が国と修好を結びたがっている。逆らっているのは、北の暴れ馬だけだ」
お父さまが自慢げにそう語ったのは、今から半年前のこと。
3か月後。東の国は北の国に攻め滅ぼされた。
5か月後。西の国は無条件に降伏を強いられた。
諸国が北の強国に併呑されるのにかかった期間は、わずか半年足らず――
そして、ついに私の都は、うんかの如き敵兵のたいまつの灯に包まれた。
熾烈な戦いであるはずの都の防衛戦。
しかし、実際は、戦いらしい戦いは無かった。
なぜなら、都から逃げられるものは、とっくに逃げていたから。
残っているのは、老人や子供たちと、わずかばかりの義勇軍。一方、攻めてくるのは勝ち戦の勢いを駆った常勝軍。
……もともと、戦いになるはずも無かったのだ。
軍隊も栄光も失い、私たちに残っているのは誇りだけだった。
魔術師の塔。学究の徒が住まい、ほとんどの者は生涯ここから出ることは無いという塔。
「ここなら、安全ですから」
そう言って侍女が様子を確かめに出て行ってから、早くも一刻が経過しようとしていた。
見まいとしつつも、窓の外に目が行く。そこに映るのは、現実とは思えない、『黒こげ』としか言いようのない惨状。
ああ、お父さま、お母さま、私の大切なお友達。みんな、お願いだから無事でいて。
しかし、物思いにふけっている暇は無かった。軍靴の音!
……誰かがここに、やってくる!
「誰かいるのか!」
金属の擦れる音とともに、甲冑の騎士が入ってきた。
……北の兵士!
薄明りに照らされたその姿は、悪魔と見まごうほど禍々しかった。
でも、負けてはならない。私は盟主の娘、太陽に祝福された姫なのだから。
私はわざと無視をし、まっすぐ前を向いた。
「ピュオネ姫だな」
「ピュア、です」
この優雅な名前を、北国訛りで呼ばれることは許せなかった。
ふん、とあきれるように舌打ちし、騎士は兜を外した。
豪華な金色の滝が流れ落ちる。
兜の下にあったのは、美しい顔立ち、きらめく金色の長髪だった。
驚いた。この騎士は、女性なのだ。
その水色の目はまっすぐ私を捉え、餌を捉えた猛禽のまなざしでこちらを挑発している。
私は思い知らされた。いくら強気で出ても、こちらはしょせん兎。鷹にはかなわない。
「『アレ』について教えなさい」
一歩踏み込まれる。私は、思わず一歩引く。
それでも、と思う。私は、盟主の娘として、精一杯の矜持を示さなければいけない。
「知らないわ」
「知っている筈よ」
「たとえ知っていたとしても、貴女なんかに教えるものですか! 北の蛮族の娘になど!」
彼女の切れ長の目が、す、と細められる。ああ、この人は本当に鷹のようだ。
「それが答え?」
「……ええ!」
「ならば、死んでもらうわ」
彼女に従う者たちが私を組み伏せ、膝を折らせる。
刀を引きぬく音がする。
私は思いっきり目をつむる。ほどなく、あの切れ味の良さそうな刀は私の首筋に打ち落されるのだろう。
でも、と思う。屈強な男どもに引き裂かれるくらいなら、この美しい猛禽のようなひとに殺された方がましだ。
お父さまお母さま、誇りは守りました。
ピュアはまもなく参ります。
「……助けてください」
はじめ、誰かがそう言ったのだろう、と思った。私の口まねをするのは、いったい誰?
「私が怖いのか」
かの人が言う。怖いに決まってる。でも、最後の瞬間は、盟主の娘として毅然とふるまうのだ。
「……助けてください」
ぽたぽた、と床にしずくが落ちる。何の冗談なの、みっともない真似はしないと誓っていたのに!
「答えろ! 私が怖いのか!?」
……もう、私は我慢できそうになかった。
「はい! あなたは、とても強そうで、怖い!」
「………」
「私、死にたくない。でも、あなたが知りたいことについて、私はなんにも知らないの!」
「………」
「お願い、殺さないで!」
なんてこと。まさか、この高貴なる私が、命乞い、なんて!
しばしの沈黙の後。
彼女が言ったのは、思いもよらぬ命令だった。
「姫を、私の陣幕へ連れて行け」
理解できなかった。私はここで、処分されると思ったのに。
兵士たちが私の腕を取り、無理矢理引き立たせる。
……ああ、そういうことか。私を捕虜にし、拷問にかけるつもりなのだ。
身ぶるいするほど恐ろしいけれど、まだ、私にだって守れるものはあるはず。
連れ去られるなか、彼女と目が合った。
「……ふふっ」
それは、同情でも憐憫でもない、蠱惑の笑みだった。
甘い痺れが首すじから背中を伝って腰に広がり、思わず立っていられなくなる。
……私は一体、どうしてしまったの。
全てが崩れようとしていた。私が必死で守ろうとしている、「誇り」すらも。
以上です。「囚われのお姫様」のSSを献呈いたします。
えっちなしですみません。誰かさんのえっちな才能を分けてくださいw
設定勝手に追加してしまってすみません。こちらはサイドストーリー、ということでお目こぼしを。
>>460様、えっちな次回作、待ってますね。
「囚われのお姫様」の作者です。
>>473 お返事が遅くなってしまって、ごめんなさい。
タイミング悪く、巻き添え規制されていました。
サイドストーリーを書いてくれて、ありがとうございます!
描写が凄くリアルで驚きました。
『アレ』という設定をフル活用して貰えて嬉しいです。
色んな描写も書けちゃうんだなぁと感動しました。
>>474 ども、ありがとうございます、時計の人です。
もう、ファンタジーと聞けばいてもたっても! 私が書くしか!
と、勢い込んでみたものの……
実は、すんげーしんどかったです、今回w
設定や描写については、『グイン』がふさわしい感じがして、そんなイメージで書きました。
しかし、今まで会話文しか書いてない私に、いざ平文を書けと言うのが無茶な話なわけで。
……大変でした。書いては消しの繰り返しで、まるまる段落ごと削除したところもありますw
でも、喜んでいただけたようでなによりです。苦労してよかった。
しかし、やはり、原作様(囚われのお姫様)とはおっそろしく雰囲気がかけはなれちゃいましたね。
原作好きな方にはごめんなさいです。
しかし、アレって何なんでしょうねえ。
やっぱああいうんじゃなくて、実はあっちこっちのこういうものを……ああ、ファンタジー脳がw
それでは、えっちな次回作(ry
授業の終わりを知らせるチャイムが校内に鳴り響く
私たちにとって特別な意味を持つ 体育の授業が終わった
「あー また はみパンになってるよ ブルマーってめんどくさいよねー」
クラスメイトの一人が ブルマーを直しながら そう声を掛けてきた
「あははっ 大変だね」
「楓ちゃんって 全然そういうのないよねー」
「うん まぁね」
それもそのはず なんて心の中で呟きながら 適当に合わせて返事をする
「それに詩織ちゃんも おっとりしてる割には そういう隙ないよねー」
「えへへ…そうかな…?」
私の親友の詩織ちゃんも 適当に"誤魔化し"ながら返事をする
そう…はみパンなんて するはずがない
だって私たちは…ノーパンなんだから…
「それじゃ二人とも 片付け頑張ってね」
クラスメイトは 運動後の爽やかな笑顔で 次々と体育館を後にする
金曜日の体育は四時間目に行われることもあり みんな 足早に教室へと戻って給食の準備をし始める
教室に 二人が居ないことなんて 給食の前では些細なことだった
お腹を空かせたクラスメイトは 誰一人として不思議に思うこともなく 食欲を満たしていく
だから 金曜日の体育が終わった後は 私と詩織ちゃんにとって 絶好のチャンスだった
今日も 二人で片付け当番を引き受け 器具を体育倉庫へと片付けていく
そして 体育館に誰も居なくなり 最後の器具を片付け終わると…
倉庫のドアを閉め 詩織ちゃんのブルマーを脱がし 向こうを向かせて跳び箱に跨らせる
お尻が 跳び箱の端から少しはみ出るくらいに調整し そのまま上半身を寝かせていく
可愛いお尻が 私の目の前に突き出される形になり そのお尻を両手で優しく包み込むと…
親指で 詩織ちゃんの恥ずかしい割れ目を ゆっくりと左右に広げていく
詩織ちゃんの体が ぴくっと反応し ピンク色の襞が露になる
詩織ちゃんは 私と違って まだ濡れるということを知らない
それでも エッチの虜になってしまって こうして私に責められることに快感を覚えている
私たちが こういう関係になったのは 保健の授業がきっかけだった
男の子と女の子の体の仕組みを習った日 詩織ちゃんが どうしても分からないことがあると聞いてきた
「結局 赤ちゃんって どうやったら出来るのかなぁ?」
その言葉は衝撃だった
そんなことは この年頃になれば みんな知っていることだと思っていた
私だって お家に帰れば 自分の部屋の机の角に 割れ目を押し付けて擦ったり
抱き枕を男の子に見立てて 仰向けで足を開いて股に挟み込んでみたり
跨ったまま 体を前後に動かして気持ち良くなったりしていたのに…
そんなことを考えていると エッチな自分に嫌気が差してきて 詩織ちゃんが純粋なことが ちょっと悔しかった
だからかも知れない
あんな言葉で 詩織ちゃんを誘ったのは…
「…どうやったら 赤ちゃんが出来るのか…知りたい…?」
詩織ちゃんは 純粋な笑顔で 目を輝かせながら頷いた
その日 私の部屋で…詩織ちゃんは初めて絶頂を迎えた
愛液は まだ出なかったけれど オナニーすら知らなかった詩織ちゃんを いっぱい感じさせた
詩織ちゃんは ハッキリ言えば マゾっ気があった
私に責められて興奮し 恥ずかしい思いをさせられることに 明らかに快感を感じていた
それが 今の関係の始まりとも言える出来事だった
「詩織…今日もいっぱい気持ちよくしてあげるね」
こうして 二人きりでエッチなことをするときは 詩織ちゃんのことを呼び捨てにする
一時的に上下関係のようなものが生じ それがお互いの気持ちを昂ぶらせていく
「して…」
詩織ちゃんは 自分からお尻を突き出し 私の責めを心待ちにしている
まだ濡れることを知らない詩織ちゃんのために 唾液をいっぱい含ませた舌で アソコを舐めてあげる
「くぅん…」
子犬のような可愛らしい声が漏れ 快感に抵抗するように体を捩る詩織ちゃん
「もっと気持ちよくなっていいよ…」
私は お尻を包み込んでいる両手を小刻みに動かし 詩織ちゃんの体を揺する
すると 跳び箱のマット部分との摩擦で クリトリスが包皮の上から刺激され 快感の波が詩織ちゃんに襲い掛かる
「ふぁぁぁぁ…!」
詩織ちゃんの体を揺すり続けながら アソコも優しく舐めまわしてあげると…
「かえでちゃん…きちゃうよぉ…」
詩織ちゃんは すぐにイキそうになる
「だーめ」
私は愛撫を止めて 今度は言葉で詩織ちゃんを責めていく
「すぐにイッちゃダメって約束だよね? どうして我慢できないの?」
つい最近まで オナニーすら知らなかった女の子が クリトリスを刺激されたり アソコを舐められたりして 我慢できるはずがない
そんなことは百も承知で 詩織ちゃんを責めて興奮させていく
「だって……」
「だってじゃないの こんなに弱かったら 男の子とエッチするとき大変だよ?」
詩織ちゃんに 初めて絶頂を迎えさせた時のことを思い出す
裸にさせて 唾液でぬるぬるにした指で 割れ目を擦ってあげると すぐにイッてしまって 快感のあまり お漏らしをしてしまった
「詩織ちゃんって 凄く敏感なんだね…すぐにイッちゃわないように これから私が エッチの練習に付き合ってあげるね…」
そんなことを言いながら 初めて絶頂を迎えたばかりの詩織ちゃんを 更に責め続けたのでした
「まだイッちゃダメだからね」
そう言って また詩織ちゃんのアソコを舐め始める
「くぅぅん…っ」
絶頂寸前まで追い込まれては休まされ 性的快感に慣れるという 保健体育のお勉強は続いていく
やがて わずかな快感にも耐えることが出来なくなり 軽く体を揺すられ クリトリスに刺激が伝わると…
「ふぁぁぁっ!」
詩織ちゃんが 体をビクンビクンッ!と痙攣させながら絶頂を迎えた
敏感な詩織ちゃんにしては 良く頑張ったと思うけれど それでも 私は敢えて こう言う
「もうイッちゃったの?」
「はぁっはぁっ……ごめんね…かえでちゃん……」
体を駆け巡る絶頂感に耐えながら すぐにイッてしまった(と思っている)ことを謝る詩織ちゃん
まだ濡れることを知らない詩織ちゃんのアソコが 絶頂を迎えて ひくひくと脈を打っている
私は 詩織ちゃんの お尻を包み込んでいる両手を 再び ゆっくりと動かしだす
「ひぁぁっ!? かえでちゃん…私 もう……!」
イッちゃったから と言いたいのだろう
だから マゾっ気のある詩織ちゃんのために こう言ってあげる
「イキたかったんでしょ? 別にいいよ? いっぱいイッちゃっても」
まるで お仕置きだと言わんばかりに 絶頂を迎えたばかりの詩織ちゃんを 更に責めていく
「やぁっ とめてっ かえでちゃん! こんなの…んくぅぅぅ…!」
自分でさえ イッてしまった直後は敏感すぎて 触り続けることができないのに
まだ性的快感に慣れていない 敏感な詩織ちゃんが 今どれほどの快感に耐えているのか…
想像するだけでも 興奮が抑え切れなくなり 詩織ちゃんの体を容赦なく揺さぶっていく
「んはっ…はぁっはぁっ…いやぁ…っ!」
クリトリスに刺激が伝わるたびに 体をピクピクと痙攣させながら 必死に快感に耐えている
アソコの中も激しく脈を打ち 男の子の精液を受け入れる練習をしている
「詩織のここ…もっと気持ち良くしてって 言ってるよ…」
広げたままの詩織ちゃんのアソコを 今度は激しく舐めまわしてあげる
「やぁぁんっ いまだめぇ…おかしくなっちゃうよぉ…!」
「ダメじゃないの…男の子は こんなんじゃ許してくれないよ?」
私だって 男の子とのエッチの経験なんてないけれど それでも 詩織ちゃんが 性的快感に弱すぎるのは分かる
こんなに弱かったら 男の子が1回イクまでに 何回イカされちゃうことか…
なんていうのは建前で 敏感な詩織ちゃんを いじめることが快感だからというのが本音だ
「ひぁっ! やだ…またきちゃう…!」
「イッてもいいよ…」
詩織ちゃんの体を 大きく円を描くように揺さぶってあげると…
「ふぁぁぁぁぁぁん!!」
小さな体を ビクンビクンッ!と痙攣させながら 二度目の絶頂を迎えた
「はっはっ…はぁっ…はぁぁぁ……」
跳び箱に しがみ付いたまま 呼吸を整えることで精一杯な詩織ちゃん
「今日は お漏らし我慢できたね…えらいよ…」
「うん……」
汗を浮かべながらも 微笑む詩織ちゃんに 一瞬ドキッとしてしまう
(なんか変な感じ…ドキドキする…)
その感情の正体を探りつつも 少し安心したような詩織ちゃんを また言葉でいじめてあげる
「でも 処女なのに こんなに感じちゃってたら 男の子に おちんちん入れられたら 大変そうだね」
「あぅ……」
アソコの中を いっぱい擦りあげられることを想像してしまったのか 詩織ちゃんは お尻を もじもじとさせる
「これからも エッチなこと いっぱい教えてあげるね…」
「うん……」
この時はまだ 恋人のような関係になっていくことを 二人は知る由もありませんでした
おしまい
「詩織と楓の保健体育」の作者です。
全然はみパンにならない二人は実はノーパンで…というところから妄想を膨らませていって、
跳び箱を使いたいなぁと思って、このようなネタになりました。
時間があれば、楓の家で詩織が初めて絶頂を迎えた話も詳しく書きたいですが、
また時間的な余裕がなくなりそうなので未定です。
それでは〜。
>>483 GJ! けしからん小学生だなw
ひたすらエロくていいね!
次回も待ってます。
>>483 うp乙です!
お姉ちゃんの言葉責めが秀逸すぎるw
「詩織と保健体育」の作者です。
感想ありがとうございます♪
>>484 けしからんですね。(笑)
次回は書くとしても時間が空いてしまうと思いますが、
また見つけたときは読んでみてください。
>>485 言葉責めは自分でも書いていて楽しいですね〜。
マゾっ気のある詩織を追い込む感じで。
今回は小学生の同級生ですよ〜。
今までずっと年の差で書いていたので、気持ちは分かりますが。(笑)
こんばんは、時計擬人化の人です。
とけいけ続編です。7レスお借りします。
略記は、短→短針、長→長針、秒→秒針、ア→アラーム針のことです。
ある日のとけいけ、居間にて。
短針さん、鉛筆をなめてしかめっ面です。
短「うーん……」
長「あれ? なによ短姉、まるで真剣に悩んでるみたいじゃない」
短「失礼ね。真剣に悩んでるのよ」
長「ふうん。何を?」
短「ネタ」
長「は?」
短「ネタが無くて困ってるの」
長「そもそも、短姉が困ってるってのがネタだわ。それで、何のネタ?」
短「靴下ネタ」
長「はい!?」
短「……あのね。『百合書きさんに20のお題』っていうお題があるのだけど」
長「はあ」
短「我が『とけいけ。』もSSを気取ってる以上、こりゃ挑戦しなけりゃいけないと思うのよ」
長「なるほど」
短「でね、上から順に、『姉妹』、『ゆびきり』と来て……」
長「『姉妹』はウチそのものね。『ゆびきり』は、使い道がありそうだから保留したいところ」
短「そういうこと。それで、次のお題が『靴下』なのよ」
長「靴下ねえ。潜りこんで、私がプレゼントでーす(はぁと)的な?」
短「……長ちゃん、生きてて恥ずかしくない?」
長「……短姉に言われたくはない」
短「もっとも、私も一応、考えてみたのよ」
長「ふーん」
短「こんな感じなんだけど……」
靴下「あああお姉さま、もっと踏んでくださいませ!」
短「ふふ、はしたない娘ね。踏まれて喜ぶなんて」
靴下「靴下は踏まれてナンボですもの。ああっ、お姉さまのかかと、気持ちいいですわ!」
短「仕方のない子ね。ほら、もう左によれちゃってるわよ?」
靴下「いやっ、それだけは言わないで!」
短「あらあら、そんなことで恥ずかしがってていいのかしら。今日は、『とっておき』を用意してあるのに」
靴下「何ですの? そ、それはまさか……」
短「そう、『小石』! これを踏んづけてあげる」
靴下「お姉さま、やめてください。私、それだけはっ!」
短「そんな可愛い顔を見たら止められないわ。 えい」
靴下「やめて! や、破れちゃいます!」
短「天井の染みを数えるといいわ」
靴下「あ、痛い……っ! お姉さま、どうして……!?」
短「よく見て。痛いのはあなただけじゃないわ」
靴下「はっ。これはまさか……血?」
短「そう。小石で傷ついた私の血」
靴下「そんな……」
短「そして、私とあなたを結ぶ、契約の血」
靴下「……!」
短「さあ、その混じりっ気なしの綿100%で、私の血を啜りなさい。そして、永遠の従属を誓うのよ!」
靴下「……はい……私は、一生お姉さまの足奴隷です……」
短「……っていう靴下ちゃんを考えたんだけど」
長「何考えてんだ―――――っ!!」
短「やっぱり駄目かしら」
長「当たり前です! だいたい、こいつ変態じゃないの!」
短「どっちが?」
長「どっちも!」
短「なによー。じゃあ、長ちゃんならどんなのがいいっていうのよ」
長「私? たとえばね……」
長「えーっと、今日の靴下はどれにしようかなっと。じゃ、これ!」
靴下「ありがとうございます、お姉さま!」
長「うん。今日も一日、よろしくね!」
靴下「ええ。靴下の本分、務めさせていただきます」
靴下「はあ……やはり、お姉さまの靴下で良かったです」
長「ちょっと! 通学中にしゃべんないでよ!」
靴下「だって、お姉さまの足を、ほこりやごみから守ってさしあげられるんですもの」
長「えーと。感謝してます」
靴下「それに、この感触といったら! ねえ、お姉さまの足、すべすべでとても気持ちいいんですよ。ご存じでした?」
長「いえ、あの、ご存じないけど」
靴下「それに、この香り!」
長「こら! くんかくんかすんな!」
靴下「ああ、この匂い、たまりませんわ。きっと、誰にも嗅がせたことなど無いのでしょう?」
長「あ、当たり前よ!」
靴下「ふふ。お姉さまの足、とっても臭いんですのよ! そして、その臭い匂いを否が応でも嗅がされる、密閉空間の私!」
長「おいこら!」
靴下「これはもう、病みつきになる臭さですわ。私、生まれ変わっても絶対お姉さまの靴下になります!」
短「……やっぱり変態じゃないのよ」
長「ソウデスネ」
短「うーん、困ったわね」
長「こういうのは、アレだ。天然が得意なのよ!」
短「天然?」
長「おーい、秒ー! ちょっとおいでー!」
ちなみに、今日の秒針さんの靴下は白黒のしましまでした。
秒「へ。靴下のネタがない……?」
長「そうなのよ」
秒「姉ちゃんたち、そんなことで悩んでたの?」
短「事態は深刻ね」
秒「ふふーん。そんなの、簡単だよ!」
長「マジで!?」
短「さっすが秒ちゃん、私たちに出来ないことを平然とやってのける。そこに痺れる(ry!」
秒「ふっふっふ。くつしたでネタといえばっ!」
長「……ネタといえばっ!」
秒「くつのしただけに、何もありません!」
短&長『どっひゃー!』
ア「一体、私はどうすれば……」
以上です。
本文にある通り、お題は「百合書きさんに20のお題」よりお借りしました。ありがとうございました。
……とりあえず全国の靴下に土下座しときます。
次回は短針さんメインの予定です。
保健体育の人もとけいけの人も乙
こんばんは、時計擬人化の人です。
とけいけ続編、11レスお借りします。相変わらず長い……
略記は、短→短針、長→長針、秒→秒針、ア→アラーム針のことです。
とけいけでは早くも梅雨模様。じめじめした天気が続く今日この頃です。
長&秒『お見合いぃ!?』
短「ちょっと2人とも、カメラ近いわよ?」
長「んなこたぁどうでもいい。短姉にお見合いってどういう意味よ!」
秒「たん姉ちゃん、嫁のもらい手があったの!?」
短「……なによ、失礼ね」
短「……2人とも、日時計ちゃんって覚えてる?」
長「えーと……短姉が高校の時、仲良かったお姉さん? 前髪ぱっつんでおっとりした感じの」
短「そう、その日時計ちゃん。私は日ぃちゃん、って呼んでるけど」
秒「その日時計さんがどうしたの?」
短「日ぃちゃん私と同い年だし、そろそろいいお年頃じゃない」
長「なるほど。それで、お見合い相手に短姉をめった刺しってわけね!」
短「そんな物騒なお見合い、お断りだわ。そもそも、そんなに短絡的な話でもないの」
長「じゃあ、なんだってのよ」
短「日ぃちゃん、お年頃なのに良縁が無いっていうので、叔母さまが心配してね。いろんな方を紹介してたらしいの」
秒「お見合いの紹介ってこと?」
短「そう。そしたら日ぃちゃん、具合が悪くなっちゃって。それで、叔母さまが『誰がいいの?』って言ったら……」
秒「ふんふん」
短「『短ちゃんがいい』ですって」
長「うひゃー! うひゃー!」
短「長ちゃん、その変な踊りはなに?」
長「だって、それってベタ惚れじゃない! 具合悪くするほどあの人が好き、なんて。うひゃー!」
秒「恋の病なんて始めて聞いたよ。たん姉ちゃん、まじめにお見合いしてあげなきゃ!」
短「……そうなのかしら」
長「そうに決まってるじゃん!」
短「私、そうとは思えないのよね。日ぃちゃんとは昔からのつきあいだけど、今までそんなそぶりもなかったし……」
秒「そうなの?」
短「そうなの。つまりね、私は『虫よけ』なんじゃないかしら。お見合いをしつこく勧めてくる叔母さまがちょっと……、ていうね」
秒「ふーん。つまんないの」
長「しかし、それにしてもっ!」
短「長ちゃん、その腕章はなに?」
長「短姉のお見合い、この1つだけで、異常事態には違いない! この長針の名にかけて、すごいことにしてみせるわ!」
秒「あたしもやるのだー!」
短「ええと、当事者は置いてけぼり?」
お見合いとなれば作戦会議です。
長「短姉は、はっきり言って素材としては申し分ないわ」
秒「たん姉ちゃんちょう美人だもん!」
長「そう。ルックス抜群だし、話は聞き上手だし、性格だってエロとようじょが絡まなければ大丈夫だし」
秒「お見合いなら、へんな話はしないんじゃないの?」
ア「普通はしませんね。つまり、問題はただ1つということに」
長「その通り。何を着ていくか、なのよ。短姉、エロい服しか持ってないもん」
ア「……これほどくだらない悩みもありませんが、その通りです」
秒「振り子おばあちゃんの着物は?」
短「あら、着物は駄目よー? 日ぃちゃん、とってもお着物似合うもの」
秒「なるほど。剣同士で潰しあってもダメなんだね!」
ア「秒針、お見合いはゲームではありませんよ?」
長「うーん。ということは、新しいのを1着おろすっきゃないわね」
短「あら、どうして? 私のとっておきじゃ駄目なの?」
長「駄目に決まってるわよ。短姉のとっておきって、どうせエロ衣装でしょ」
短「失礼ね。れっきとした、誰でも着る服よ」
秒「へー。あたし見たい!」
短「うふふ。そう言うと思って、ここに用意してあります」
長「まあ、一応見ておきますか」
短「園児服〜!」
みんなはがっくりした!
短「ちょ、ちょっと! 馬鹿にしちゃいけないわ。これはなんと、おとなサイズなのよ!」
長「大人な園児がいるかーっ!」
短「常識にとらわれちゃ駄目よ!」
ア「お見合いに園児服で現れた女性を、私は聞いたことがありません」
短「や、やってみなきゃ分からないわ!」
秒「うっわ……あたしが着ててもドン引きだよ、これは」
短「秒ちゃんまで!」
長「今度という今度は、是が非でも私達が選んだ服を着てもらうわ……!」
秒「いい年こいて園児服を着る姉ちゃんを見てると、賛成せざるをえないよ」
ア「ひとまず、気絶するまで叩いておきましょうか」
短「なによあなたたちひどい!」
その翌日。
長「そんなわけで買ってまいりました、セクシィ婚活号!」
秒「出たぁスイーツ(笑)雑誌!」
長「いーのよ、これが業界のデファクトスタンダードって奴なんだから」
秒「要するに、ここから選べば無難な服ってこと?」
長「そういうこと。さ、見ていくわよ!」
秒「あ、見て見て。『私のブライダルストーリー! 思わぬところに勝利の女神が』だって!」
短「あら。ちょっと気になるわね」
秒「えっとね。社内のエレベーターが突然停止! 憧れの人とふたりで閉じ込められてしまう」
長「……無い! いきなり無い!」
秒「1時間くらい助けがこないことがわかり、ぽつぽつと話し始める二人」
長「うっわ」
秒「すると共通点もあって、すぐに意気投合」
長「すぐにって何よ!?」
秒「その後、社内メールで食事に誘われて交際がスタート」
長「社内メールは仕事に使えーっ! ていうかこれ、ただの妄想じゃん!」
短「……あのね、長ちゃん。この本、本当に役にたつの?」
長「服だけ見りゃいいのよ! 服だけ!」
幸い、服はまともだった様子です。
長「……うーん、この手のワンピも似合うけど、こっちのスーツも捨てがたい。でも、もう少し派手な方が短姉には似合うのよね」
秒「ねえねえ、これは?」
長「駄目。デニムじゃないの、それ」
秒「ふーん。お見合いの服って、難しいんだね」
長「そうなのよ。ブランド物は駄目だの、キャミは露出多いからいけないだの、もううるさいったら!」
短「……ねえ長ちゃん、ちょっと思ったんだけど」
長「なに?」
短「ひょっとしたら、私、男装したほうがいいのかしら?」
長「はい?」
短「だって日ぃちゃん、芯から女の子らしいもの。だから、私が男の子っぽい格好をした方がいいかと思って」
長「……分かってない」
短「え?」
長「短姉、全然分かってない!」
短「そ、そうなの?」
長「短姉は、可愛い服着たくないの?」
短「もちろん、着たいわ。でも、日ぃちゃんの方が……」
長「どっちが女らしいかなんて関係ない。女子なら、可愛い服着たいのは当たり前じゃない!」
短「それは、そうなんだけど」
長「……ねえ、結婚式のウェディングドレスに憧れない女の子なんている?」
秒「あたしは着たいな……」
長「私、結婚式でタキシードなんて絶対いや。相手がタチだろーがネコだろーが、2人でウェディングドレスを着るわ!」
短「………!」
長「お見合いだって同じじゃない。私、相手がどんな子でも男物のスーツなんて着ない」
短「………」
長「だって、一生を誓うかもしれない子に、とびっきり綺麗な私を見てもらいたいもの!」
秒「そうだよ! どっちかだけいい服を着れるなんて、ずるっこだよ!」
短「……そうね。2人で幸せになるためだものね」
長「分かってもらえた?」
短「ええ。私、がんばって可愛い服を選ぶわ!」
長「それはいいから、エロ衣装の本を振り回すなー!」
秒「たん姉ちゃんの台無しスキルは天才的だね……」
そして当日。天気は折も良く快晴です。
結局、短針さんは無難に、シックなスーツを着ていくことになった模様。
秒「かくして、わたくしこと秒針と、ちょー姉は潜入取材をかんこーしているわけであります!」
長「しっ、バレたらどうすんの!」
秒「でも、たん姉ちゃん、普通の格好してると本当に美人さんだね」
長「あのコスプレ癖さえなきゃねえ。八面玲瓏ってのはあのことを言うんだわ」
秒「それでさ、ちょー姉」
長「あによ」
秒「……こんなところでお見合いすんの?」
長「普通はしないわね」
秒「あたしから見てもヘンだと思うんだけど」
長「いーや、分かんないわよ。最近は美容室でお見合いとか、わけわかんないのもあるらしいし」
ア「こら、あなたたち!」
秒「げえっ、アラーム針さん!」
ア「そのネタは流行っているのですか。ともあれ、人の恋路を覗き見するのは感心しません」
長「なによ、あんた短姉にぞっこんじゃないの。気にならないって言うの?」
ア「それは、気にならないと言えば嘘になりますが……」
秒「アラームさん小っちゃいから目立たないよ。一緒に取材ごっこしようよ!」
ア「……気持ちは揺らぎますが、やはり駄目です。帰らないなら電子音を鳴らしますよ!」
長「ちっ、ここまでか」
秒「でもアラームさん、なんでこの完璧なカムフラージュを見破ったの?」
ア「……頭に枝をくっつけてほふく前進なんて、今時どこでもお目にかかりませんよ……」
夕刻。短針さんご帰宅です。
短「ただいまー。日ぃちゃん、元気だったわよ」
秒「たん姉ちゃん、おかえり、おかえり、おかえり!」
長「して、お見合いの成果やいかに!」
短「食いつきいいわね。一体どうしたの?」
秒「たん姉ちゃん、おかえり、おかえり、おかえり!」
長「して、お見合いの成果やいかに!」
ア「……短針。2人は、ずっとこの練習をしていたのです」
短「……この子たち、本当に私の妹なのかしら」
ア「間違いなくあなたの妹ですね」
秒「たん姉ちゃん(ry!」
長「して(ry!」
短「やれやれ。えーとね、ちょっと私、勘違いしちゃったみたいで……」
とけいけ、居間。
秒「おみ、まい……?」
長「漢字で書くと、『お見舞い』?」
短「そう。お見合いじゃなくてお見舞い、だったの。アラームちゃん、お茶ありがとね」
ア「いえ。どういたしまして」
長&秒『……なんっじゃそりゃー!』
短「日ぃちゃん、具合が悪くて入院までしてたの。それで、”お見舞い”は誰がいいのって聞かれて、じゃあ私に……ってだけだったのね」
秒「たん姉ちゃんの聞き間違いってこと?」
短「そういうこと。叔母さまは”お見舞い”って言ったんだけど、私は前の話もあるから、”お見合い”と聞き間違えちゃって」
長「なるほど、お見舞いね。それで、場所が病院だったのか。あはは……」
短「日ぃちゃん、私が気合い入った格好で来たものだから、びっくりしてたわ」
秒「お見合いルックでお見舞いに来たら、そりゃ驚くよ!」
短「つまり、元々そういう話じゃ無かったのよ。こんな素敵な服まで選んでもらったのに、みんな、ごめんね?」
長「ああ、これでまた嫁のもらい手が……」
短「何か言ったかしらー?」
長「なんでもないデス」
秒「……でもさー。日時計さんは、お見合いを勧められてから、入院するほど具合が悪くなっちゃったんでしょ? それはどうして?」
長「そうだ、そっちのセンは残ってた。恋わずらいよ、きっと!」
短「残念ながら、そうじゃないわね」
長「じゃあ、何だってのよ」
短「日照不足」
長「はい?」
短「日ぃちゃん、お日さまが出てないと疲れちゃうのよ、昔っから。日時計だもの、仕方ないわね」
長「そんな理由で入院すんの!?」
短「あら、言わなかったかしら。あの子、1年に半分くらいは、使いものにならないから入院してるわよ? 特に、梅雨時はいつもこうね」
秒「まじですかー!」
長「すごい頑張ったこっちの身にもなれー! たはは……」
夕飯はシチューの香り。
ア「今日は、短針の好きなビーフシチューです」
短「素敵! アラームちゃん愛してる!」
ア「ふふ。どういたしまして」
長「おや、アラームさん? 顔がにやけてますよ?」
ア「そんなことはありません」
長「なんだかんだ言って嬉しいくせにー。うりうり!」
ア「そ、そんなことありません!」
短「あ、そういえば」
長「なに?」
短「日ぃちゃん、『短ちゃんになら、毎日ビーフシチュー作ってあげるのに……』って言ってたわ。あれってどういう意味なのかしら?」
ア「………!」
秒「おー! 『思わぬライバル出現なのか? 果たしてアラームさんの恋の行く末やいかに』!」
ア「妙なナレーションは禁止です!」
長「さあ盛り上がって参りました!」
短「アラームたん、がんばっ!」
ア「『たん』づけも禁止です! 短針のばかー!」
とけいけは今日も平和です。
以上です。
うぎゃあレス数間違えた。全12レスでした、ごめんなさい。
どうでもいいですが、資料を探している途中で「婚活ブラ」なるものに出くわしました。くそ吹いた。
次はアラームさんの出番かな。
あ、それから、来週でいったんお休みします。ネタはあるのですが仕事がきつい。
乙乙
無理は禁物
昼休み、教室、食後のひととき
いつもなら楽しい時間のはずだった。
だけど。
「はぁ〜〜・・・・・・」
「どうしたの?盛大な溜め息ね。」
「だって、アレ」
私は斜め後ろ、教室の入り口の方を振り返らずに指をさす。
「かなえの大好きな山岸先輩とうちのクラスの上原くんね。」
「あの2人、付き合ってるなんて知ってた!?」
「うーん。良い雰囲気だなって思ってたけど、付き合ってるとは知らなかったわ。」
「そうなんだ。そういう雰囲気すら知らなかったよ・・・。私って鈍感なのかなぁ・・・」
「そうね。かなえは結構、鈍感かも」
「ぅ"う"・・・美沙子はほんんと容赦ないなぁ。」
私は項垂れて、机に突っ伏した。
斜め後ろから、楽しそうな笑い声が聞こえてくる。
「かなえ、泣きそうよ?」
「ぅ"う"・・・・・・だってほんとにショックだったんだから。私、川岸先輩のこと結構本気だったんだよ?」
「そうかしら」
「そうだよ!最初はもちろんサバサバしててカッコいいところに憧れたっていうか、ファンって感じだったけどさ。
「だけど、先輩のこと知る度に――例えば実は先輩、父子家庭で弟の分までお弁当作ってたり、なのに朝練はいつも一番乗りだったり、練習もすごくキビキビ指示してまとめてくれるけど、時々弱音も吐いちゃったり、甘いものも好きだったり・・・・・・
そんな先輩のこと知る度に、ほんとに好きでたまらなくなっていったもの。」
走馬灯のように色んな先輩の姿が脳裏に浮かぶ。
私はたまらなくなって乱暴に目をゴシゴシこすった。
「それがいつの間にか上原くんと付き合ってってわけね。」
「そうなのよ。
大体どうして上原なのよ?あんなガキで、おこちゃまでさ・・・。
先輩は恋をしないタイプだと思ってたのに。もし男の人に恋をしたとしても・・・・・・もっと年上のひとを選ぶんだろうなって思ってたのに。余計にショックだよ。」
美沙子は後ろを振り返って2人をじっと見た。
「でも、彼女幸せそうだわ。」
「そうなのよねー・・・。上原と一緒にいるときはほんとにどこにでもいるフツウのオンナノコみたいな顔するんだよね。
あんなの、私の先輩じゃないよ・・・!」
少しの沈黙。
美沙子がゆっくりと私の瞳に焦点を合わせる。
「かなえ、実はそれが一番ショックなんじゃない?先輩像が崩れたこと。」
「え?」
「先輩が他の人を好きだったってことより、先輩のイメージが崩れたってことの方が嫌だったんじゃないの?」
「あ・・・・・・」
ハッとした。
確かに言われてみればそうなのかもしれなかった。
美沙子の瞳は私の瞳を捕らえてそのまま離さない。
私は何も言えなくなった。
すると美沙子の細い指が私の頬に触れる。
そのまま輪郭をなぞっていく。
「かなえ、私はね、好きな人がどんな人を好きになろうとその人が好きなの。
ほんとの恋ならね、その人がどんなことを言ったってその人の全てが好きだから、その気持ちは変わらないと思うのよ・・・・・」
美沙子の顔が切なく歪んだ。
彼女のそんな表情を私は初めて見た気がして、どぎまぎした。
小さい頃からずっと一緒にいるのに変な話だ。
そんなことを考えていたら、美沙子の顔が近づいてきた。
瞳が少しうるんで、吐息が熱い。
「それにね、ほんとの恋は簡単には口に出せないものなのよ?」
次の瞬間唇から熱が伝わってきた。
それはすぐに私の全身を駆け抜ける。
まるで、夢から覚めたみたいだ。
何かが始まったように、鼓動が止まらなかった
>>514 これはGJと言わざるを得ない! 素晴らしい
王道百合、いいですね。最後の台詞にやられましたw
こんばんは、時計擬人化の人です。
とけいけ続編置いていきますね。
略記は、短→短針、長→長針、秒→秒針、ア→アラーム針のことです。
とけいけ、AM7:00:00。
秒「むにゃむにゃ……もう食べられないよ〜」
「………」
短「……あらあら、秒ちゃんにはまだ早いわ〜」
「………」
長「……あんたら、寝言くらい成長しなさいよ〜」
「………」
秒「はっ! あれ、アラームさん鳴らないよ!」
長「げ、マジ!? 私、次で反省文なのよ!」
短「まあ。困ったわね」
長「ちょっとアラーム、仕事しなさいよ!」
ア「……ずび」
短「あら。耳たぶを甘噛みしたから拗ねちゃったのかしら」
長「……短姉、夜中にそんなことしてたの?」
秒「野良犬にかまれたと思って忘れようよ、アラームさん」
ア「ずびばぜん。風邪をひきました」
短&長&秒『……はい?』
アラームさんのお部屋です。
短「はい、お布団敷いたわよ」
ア「ありがとうございます……」
短「しかし、針でも風邪引くものね。驚いたわ」
ア「なんだかふらふらしますです。長針と秒針はどうなりました?」
短「大丈夫、間に合ったみたい。今は、余計な心配しないでいいのよ」
ア「はい……」
短「さて、風邪と言えばこれ。水枕をどうぞ」
ア「昔ながらの、ゴム製でたぷたぷいうものですね」
短「最近は冷えピタとかあるけど、やっぱりこれだと思うのよ」
ア「ええ。ありがとうございます」
短「そして、風邪と言えばこれも。じゃじゃーん、桃缶!」
ア「あの、短針。私は子供ではありませんよ……?」
短「なによ、こんなすべすべなお肌しちゃって」
ア「ひゃう!」
短「そして、風邪と言えばやはり!」
ア「まだあるのですか?」
短「直腸検温」
ア「無いです! それはありません!」
短「さあ、四の五の言わずにパジャマどころかぱんつまで下ろすのよ!」
ア「その構えが本気っぽくて嫌です。やめてください、短針!」
アラームさん、お尻の貞操はなんとか守りぬいた様子。
短「37.6度、か。普通に風邪ね」
ア「先ほどの戦いによる上昇分は差し引いてください!」
短「おとなしく寝ていらっしゃい。何かあったら、私を呼んでいいから」
ぱたん。
ア「……ふふ。風邪を引いた時、看病してくれる人がいることは、何よりもありがたいことですね」
とけいけ、PM3:30:35。
ア「もう、お昼過ぎですか。だいぶ熱も引いてきたようです」
がらっ☆
秒「ごっきげんよー! みんなのアイドル、秒ちゃんだよー! ぴかっ☆」
ア「そのまばゆさに、今日は目がくらみます。用件は手短に」
秒「うふふ。病身といえば秒針に任しとけなのです。このお菓子を食べれば、風邪なんていちころですよー!」
ア「これはどう見ても、練ると色の変わる、例のお菓子なのですが……」
秒「そう。この魔法のお菓子を食すれば、心うきうき、風邪なんて吹き飛んじゃうよ!」
ア「吹き飛ぶどころか定着する気がします」
秒「そんなこと言わずに食べてよー。あたし、袋開けたんだよ? ね、お願い!」
ア「……秒針にそこまで言われては断れませんね。では一口」
その時、アラーム針に衝撃走る。
ア「な、なんですか、この味は……!」
秒「えへへー。かくし味!」
ア「袋を開けたというのは、まさか……」
秒「そう。ねるねの効果だけじゃ弱いと思って、砂糖と味の素をぶっかけました。いうなれば、ねるねギガダイン!」
ア「なんという凶悪な! そして謎が解決した今、これを食べるのは死に通ずるのですが」
秒「お願い、食べてよー。あたし、早くアラームさんに良くなって欲しいの!」
ア「……っ! 笑顔がまばゆいです!」
秒「お願いだよー、食べてくれないと魔法少女に変身して口から突っ込むよ?」
ア「それが魔法少女のすることですか! やれやれ、仕方ありませんね……げふっ!」
とけいけ、PM6:35:00。
ア「酷い目に会いました。これは、延長戦確定ですね……」
がらっ!
長「よう中学生、元気に病気してるー?」
ア「……どこから突っ込めばいいのですか」
長「お尻にネギとかどうよ」
ア「お断りします」
長「風邪といえば、何といっても元気の出るもの。……ということで、私わざわざ出前しました!」
ア「……この濃厚な気配はまさか……」
長「そのとーり! にんにくらーめん、ふかひれちゃーしゅー入りでーっす!」
ア「うわあ!? ひょっとしてあなた、私を殺害しに来たのですか?」
長「何言ってんのよ! ほらほら、チャーシューですよー? ふかひれさんがプリプリしてますよー?」
ア「止めてください! こんな時にそんな消化に悪いものを食べたら、病状が悪化してしまいます!」
長「そりゃ考えようってもんよ、汗が出て元気になるかもしれないじゃん」
ア「そんなことありません!」
長「私、あんたに良くなってもらいたいんだってば!」
ア「良くなりません! はっきり言って、その匂いだけで針が曲がりそうです!」
長「……そこまで言われては仕方ない」
ア「分かってもらえましたか」
長「ほら、これ見て。ぴら〜ん」
ア「写真ですか? こ、これはまさか……」
長「そのまさかよ。短姉の高校時代の写真でございます」
ア「……なんて初々しい!」
長「どう、おさげにしちゃって可愛いでしょ? これ、入学式なの」
ア「レア度抜群です……」
長「さて、どうよ。私の言うことにも一理あると思わない?」
ア「くっ。確かに、塞翁が馬ということわざもあることですし、食べ物を粗末にするわけにもいきませんし」
長「話が早くて助かるわ。さ、これ食べて元気出して!」
さすがにスープは無理でした。
ア「うう。宝物は増えましたが、払った代償は大きい。延長戦が3日に増えましたね……」
とけいけ、PM7:00:00。
がらっ(はぁと)
短「お加減はどうかしら、私の患者さん?」
ア「……たったいま、たいへん悪くなりました」
短「あら、どうして?」
ア「一体なんですか、そのナース姿は! 色はピンク、裾は超ミニ、やたらに艶めかしいストッキング!」
短「あら。説明ありがとう」
ア「そんな格好では、私の熱も上がってしまいます!」
短「うふふ。今日は、”私、あなただけの看護婦なの!”って言う設定よ?」
ア「設定だけで充分です。お引き取りください」
短「ああん、そんないけずなこと言わないで。それに、ちゃんと食べないと、治るものも治らないわよ?」
ア「まさか、短針もひどいものを持ってきたのですか?」
短「あの子たち、何を持ってきたの? 大丈夫、私のはただのおかゆよ」
ア「……ああ、普通のごはんの香りがする。ありがとうございます、短針」
短「うふふ。可愛い患者さんのためですもの、これくらい当然よ」
ア「助かります。では、その土鍋をお貸しください」
短「だめ」
ア「?」
短「蓋を開けて、れんげに盛って、っと。あら熱いわね、ふーふーして冷ましてあげなきゃ」
ア「ま、まさか……」
短「『はい、あーん』」
ア「こ、困ります! そんなはしたない!」
短「はしたなくなんかないわ。看護の基本ですもの」
ア「いけません、私には刺激が強すぎます!」
短「あら。病人を組み敷くなんて、健康な人には簡単なことよ?」
ア「そんなひどいー!」
ア「……結局、全部アレで食べさせられました。すごく大切なものを失った気分です……」
短「何ぶつぶつ言ってるの?」
ア「何でも。ともあれ、このままでは短針に風邪が移ってしまいます。そろそろお引き取りを」
短「そういうわけにはいかないの。まだナースの務めが残ってるもの」
ア「何のことです?」
短「それでは失礼いたしまして」
ア「ちょっと! なぜ布団に入ってくるのですか、どうして擦り寄ってくるのですか!?」
短「ねえ、知ってる? 風邪は人に移すと、治りが早いっていうわ」
ア「それは俗信です!」
短「私、アラームちゃんの風邪だったら喜んで受け入れるわ。辛そうなあなた、見ていられないもの!」
ア「抱きしめないでください! あの、その、やわらかい何かが密着してます!」
短「ぎゅむーっ!」
ア「も、もう限界です……!」
短「あら、ちょっと。アラームちゃん?」
秒「アラームさんどうしたの? ……って、泡吹いてるじゃない、たん姉ちゃんなにしたのよー!」
長「うわっ、なんで布団で絡み合ってんだあんたらー!」
ア「………」
暗闇の中、幼さの残る肢体が浮かぶ。
ア「夢、ですか。ここは……」
”どうですか、具合は”
ア「おおむね最悪です」
”ふふ。どうやらあなたは、 しょうじきもの ですね”
ア「突っ込みませんからね。貴女は一体?」
”私は、『針』を意味するもの。こうでもなければ、あなたと会えませんから”
ア「なるほど。私は夢をほとんど見ませんから」
”今日は、あなたに聞きたいことがあってやってきたの”
ア「何でしょう?」
”ねえ、今の自分に不満じゃない?”
ア「不満?」
”そう。だってあなたは、自分で動くことができない。時計家の三姉妹は、みんな別々に動くことができるのに”
ア「………」
”不自由を感じたことはないの? 他の娘たちと同じように、自由に時計盤を走り回りたい、と思ったことは?”
ア「………」
”私は『針』を意味するもの。あなたが望むなら、願いをかなえるわ”
ア「……そうですね。私も確かに、元気に走り回る秒針がうらやましい。注目を集める長針がうらやましい」
”そうでしょう?”
ア「そして何より、一日をゆったりと刻む短針が恋しい」
”あらあら”
ア「……でも、今はもう、そういう存在になりたいとは思いません」
”あら。どうして?”
ア「なぜなら、短針が、動かない私を必要としてくれるからです」
”あのマイペースさんが、誰かを必要とするようには思えないのだけれど”
ア「いいえ。短針とて、時計盤を回るだけの存在。目印がなければ、自分の居場所が分からなくなってしまいます」
”………”
ア「私は、あの人の目印になれる。あの人が必ず戻って来られる場所として、私は同じ所処で留まっていたいのです」
”『12時』、という場所もありますよ?”
ア「短針にとって、12時は始まりの場所ではありません。私と会うことが、あの人の一日の始まりです」
”あらあら。ずいぶんな自信なのね”
ア「あの人は、私と会うことが特別だ、と言ってくれました。……私は、その言葉を信じています」
”うふふ。あなたは本当に、どうしようもないお馬鹿さんなのね”
ア「……ええ。ですから、お言葉ですが」
”そこまでのろけられちゃ仕方ない。いいわ、今まで通りになさい”
ア「ありがとうございます」
”ふふ、じゃあね。調子は元に戻しておいてあげる”
ア「……あの人は、一日に一回、私のことだけを見てくれる。私は、それで充分なのです……」
溶暗。
夜半。アラーム針の個室にて。
ア「やはり夢でしたか……」
秒「……むにゃむにゃ……うーん、もう食べられないよ〜」
短「……あらあら、秒ちゃんにはまだ早いわ〜」
長「……ついに成長を放棄したわね〜」
ア「やれやれ。病人の部屋で全員寝こけるとは、一体どういうおつもりでしょう」
秒「……すう、すう……」
長「……くかー……」
ア「病みあがりですし、動くわけにもいきません。そっとしておいて差し上げましょう」
短「……うーん……アラームちゃん、愛してる」
ア「……ばか。」
明くる朝。
ア「ピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピ!」
秒「うるさいよー!」
長「何なの! ……って、なんで私アラームの部屋で寝ちゃってるわけ!?」
短「あら。ナース服、しわになっちゃった」
ア「言い訳無用! さあお三方とも、早く出ていってください。ここは病みあがりの部屋です」
秒「うるさいなー」
ア「うるさくありません、秒針まで風邪を引いたらどうするのですか!」
長「なによもう、ちょっと元気になったらすぐコレなんだから」
ア「長針、私が仕事をしなかったら、また反省文ですよ!」
短「せっかくイイ服で看病してあげたのにー」
ア「短針、あれは看病ではありません! ええと……とにかく、性的な何かです! 病人にはいけません!」
短「いけずなんだから」
ア「……それから、お三方!」
短&長&秒「ひゃいっ!」
ア「お心づかい、ありがとうございました。感謝します」
短&長&秒『……どういたしまして!』
とけいけは今日も平和です。
以上です。
先週も書きましたが、身辺が少し忙しくなってきましたので、「とけいけ。」は一時中断させていただきます。
長い間お付き合いいただき、ありがとうございました。
つーか、全部読んだ人はいるのかな。いたら凄いと思いますが……
>>513もとけいけの人もGJ!
あれですよ、もこたんはフランちゃんの遊び相手として地下室に(ピチューン
531 :
名無しさん@秘密の花園:2010/09/16(木) 08:32:51 ID:Fa4Yqt+x
age
小学校六年生の修学旅行。
クラスに友達と言えるほどの友達もいない私にとっては、班を決める時間でさえ憂鬱になるはずだった。
「ねぇ詩織ちゃん、私たちのグループに入らない?」
そう声を掛けてくれた子がいた。
いつも五人で行動しているグループの女の子だ。
「でも…」
「大丈夫、みんなもオッケーしてくれてるから」
残りの四人の方を見ると、笑顔でうんうんと頷いてくれている。
「ありがとう…」
「じゃあ決まりね!」
私は快く迎え入れられ、やっと楽しい学校生活を送ることが出来るようになった。
そして修学旅行当日。
初日の予定が全て終わり、後は消灯時間を待つだけの自由時間になる。
お風呂上りでパジャマに着替え、淡い香りが部屋に漂っている。
「詩織ちゃん、大事な話があるんだけど…」
突然、そう切り出される。
「うん? どうしたの?」
「あのね…私たちって…いつもエッチなことしちゃってるの…」
最初は、その言葉の意味が理解できなかった。
「え、でも…女の子……」
「うん…まぁそうなんだけどさ…」
少し気恥ずかしそうにしながら続ける。
「それでね…詩織ちゃんのことグループに誘ったのは、その…詩織ちゃんが可愛かったから…」
「そうだったんだ…」
今まで可愛いなんて言われたことがなかったので赤面してしまう。
「詩織ちゃんがイヤだったら、そういうことはしないからさ…これからも仲良くしてくれるかな…?」
「うん…みんながいなかったら、私ひとりぼっちだったし…むしろ感謝したいくらいだよ…」
「そっか、よかった…それじゃ、これからもよろしくね」
「うん、こちらこそ」
お互いに打ち解けたことで、次第にエッチな話題へと移っていく。
「詩織ちゃんもオナニーとかするの?」
「うん…」
みんながエッチだったから私も素直になることが出来た。
「へぇー! 意外だなぁ…大人しいから真面目な子だと思ってたのに」
「しょうがないよ、オナニー凄く気持ちいいもんね?」
「どんなこと想像しながらオナニーするの?」
次々とエッチな質問攻めに合う。
「抵抗できなくされて…体を触られたりとか…」
「わぁ…」
「詩織ちゃんってマゾなんだ?」
「マゾ…?」
「んっとね、簡単に言うと…いじめられて気持ちよくなっちゃう子のこと」
「抵抗できなくされてエッチなことされるの想像してたんでしょ?」
「うん…」
「今からみんなで、その夢を叶えてあげようよ」
「あ、それいいね!」
「エッチなことされたい…?」
私は静かに頷いた。
「詩織ちゃん、素直で可愛いかも♪」
「それじゃ脱がすね?」
「うん…」
パジャマのボタンを一つずつ丁寧に外されていく。
(今からエッチなことをされちゃうんだ…)
お風呂でも裸は見られたはずなのに、ドキドキが治まらない。
パジャマを左右に開かれ、ほとんど未発達な胸を露にさせられる。
「ん……」
「詩織ちゃん、可愛いなぁ…」
「全然成長してない子にエッチなことをしちゃうのも、なんかいけない気分で興奮するかも…」
二人が詩織の指に自分の指を絡ませながら、抵抗できないように手を押さえつける。
「乳首を触ってあげるね…」
乳首を指の腹で優しく撫でられたり、爪先で軽く引っ掻かれたりする。
「んふぅ…んん…」
乳首から伝わる甘い刺激に思わず声が漏れてしまう。
「詩織ちゃん、気持ちいい?」
「うん…気持ちいい…」
「それじゃ、もっと気持ちよくしてあげるね…」
今度は甘噛みされたり、舌で舐め回されたりして、乳首がぬるぬるになっていく。
「ふぁぁ…はふぅ……」
「そろそろ下も脱ごっか」
パジャマのズボンも、ゆっくりと脱がされていく。
「詩織ちゃん、パンツが濡れてるよ?」
「やだぁ…」
「感じちゃってるんだ?」
下着の上から指で割れ目をなぞられる。
「んっ…はぁ…」
「乳首も硬くなってきてるよ」
唾液でぬるぬるにされた乳首を指で転がされる。
「あふっ…はっ…あぁ……」
「パンツも脱がせちゃうね」
「やっぱり恥ずかしい……」
「だから興奮しちゃうんでしょ♪」
足を広げさせていた二人が膝裏を持ち上げながら抱え込み、腰を浮かされ恥ずかしい格好をさせられる。
「こんな格好をさせられてパンツを脱がされる気分はどう?」
「凄くドキドキしちゃう……」
下着が足首から抜き取られる。
「詩織ちゃん、お尻の穴まで丸見えだよ」
「やぁっ…!」
恥ずかしさのあまり抵抗しようとするが、恥ずかしい格好のまま身を捩ることが精一杯だった。
「抵抗されると余計に興奮しちゃう…」
割れ目をゆっくりと左右に広げられ、鼓動が一気に速くなる。
「詩織ちゃんのおまんこ可愛い…ひくひくしてる…」
「あんまり見ないで……」
「もうこんなに濡れてる…」
自分の愛液で濡れた指で襞の表面を優しく愛撫される。
「やぁっ…あっ…んんっ…はぁぁ……」
「そろそろ指入れるね…?」
くちゅ…と、いやらしい音を立てながら、詩織のアソコに指が埋まっていく。
「詩織ちゃんのおまんこ、キツくて、熱い…」
中の感触を楽しむように、関節を曲げたりして中を刺激される。
「あっひぁっ……」
「男の子のおちんちんって勃起したら、もっと太くて、長いんだろうね……」
そんなことを言いながら指をゆっくりと前後にピストンさせ始める。
「あっあぁっ…はふっ…やぁん……」
興奮して敏感になっている体は、すぐに絶頂を迎えそうになる。
「イッちゃう…!」
「詩織ちゃん、イクなんて言葉知ってるんだ…やっぱりエッチなんだね…」
その言葉が引き金になるかのように快感の波が全身に襲い掛かる。
「ふぁぁぁぁぁんっ!!」
抵抗できない状態にされている体がビクンッ!と大きく反応し、絶頂を迎える。
「はぁっはぁっ…はぁぁ……」
「詩織ちゃん可愛い……もっといじめてあげるね…」
絶頂を迎えて敏感になっている肉襞を擦りながら、指が引き抜かれていく。
「くふぅ…っ」
指が完全に引き抜かれると、そこから愛液が溢れ出し、女の子の香りが広がっていく。
愛液はお尻を伝いながらシーツにぽたぽたと零れ落ちていく。
「あーあ…旅館のシーツにエッチな染み作っちゃったね…」
「詩織ちゃんのおまんこでヌルヌルになった指で、アナルもいじめてあげるね…」
「あなる…?」
「お尻の穴のこと♪」
ヌルヌルになった指が肛門に押し当てられ、円を描くように入り口を刺激される。
「くぅん…そんなところ汚いよ…」
「お風呂も入ったし汚くないよ…それに詩織ちゃんも感じちゃってるみたいだし…」
「ほら…詩織ちゃんのエッチなお汁でヌルヌルになってるから、簡単に入っていくよ?」
愛液が潤滑剤になり、詩織のアナルに指がスムーズに埋まっていく。
「くふぅぅぅ…」
「アナルいじられて、おまんこがひくひくしてるよ…?」
「やだぁ……」
「動かすね…?」
アナルに埋まった指が、ゆっくりとピストンを始める。
「あふっ…んくぅ……」
「詩織ちゃん、気持ちいい…?」
「くぅん……なんか変な感じ…」
本心を言えば排泄するときの感覚だった。
「アナルって、おトイレするときに痛くないように、快感を感じるように出来てるんだって」
「そうなんだ…」
「うん、だから弄られて気持ちいいのは別に変じゃないんだよ?」
そう言われても恥ずかしい気持ちは全く治まらない。
むしろ排泄感を観察されているかと思うと余計に興奮してしまう。
「くふぅ…はぁ、あぁぁ……」
「ふふ…詩織ちゃん、アナルでイカせてあげるね…」
ピストンを続けながら、もう片方の手を詩織のアソコへと伸ばす。
親指でクリトリスの皮を剥くように下から上へと刺激する。
「ひゃんっ…そこだめぇ……」
「女の子はここがいいんだよね♪」
皮の上からクリトリスを刺激され、少しずつ勃起していく。
「詩織ちゃんのクリトリス、おっきくなってきたよ…」
「やぁぁ…」
「触って欲しくて半分顔出してる……剥いてあげるね…」
親指の腹がクリトリスに触れ、そのままつるんと皮をめくり上げられる。
「ふぁぁぁぁっ!!」
体に電気が走り、あまりの快感に仰け反る。
休む暇すら与えられず、クリトリスへの刺激が始まる。
指でコリコリと執拗に転がされ、快感の波が容赦なく襲い掛かる。
「ひぁっ…あぁぁっんぁっ…はふぅ……!」
二度目の絶頂を迎えようとしたその瞬間、クリトリスへの愛撫が止まる。
「あぅ……」
「最後はアナルで、ね…♪」
ぐちゅぐちゅとアナルを責めている指のピストンが速くなり、絶え間ない排泄感に興奮が最高潮に達する。
「ふぁぁぁっ…嘘……きちゃう…イッちゃうよぉ…!」
「いいよ…詩織ちゃん、アナルでイッちゃえ…」
一度動きを止めた指が、捻られながらゆっくりと引き抜かれていく。
「くぅぅぅん……」
そして、アナルから完全に引き抜かれた瞬間…
「んあぁぁぁ……!」
初めて味わう快感に、時間差を置いて絶頂を迎える。
「はぁ、はぁ………」
「詩織ちゃん、凄く可愛かったよ……」
「恥ずかしかったよぉ……」
「あはは…ねぇ、これからも一緒にエッチなこと、したい…?」
「…うん……」
私は素直に頷いた。
おしまい。
>>541 GJ! GJ!
修学旅行でも、かぁ…怖ろしい子たち!
「修学旅行の思い出」の作者です。
連投規制になってしまってコメントが遅れました。
(お話はギリギリ最後まで投稿できて助かりましたが)
これにて投稿は最後になります。
一つの作品にして投稿しようと思うと文章にするのが大変で、
やりたいことや、やらなくてはいけないことに使う時間まで削ってしまっていたので、
最後に何か一つ作品を投稿して、それで区切りを付けることに決めていました。
どの作品も同じような言い回しばかりで新鮮味は無かったと思いますが、
今まで読んでくれた方、ありがとうございました。