擬人化百合総合

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351とけいけ。2【1/8】
草木も眠る丑三つ時。とけいけ三姉妹は、仲良く川の字で就寝中です。

???「ピピピピピピ」
秒「……うーん、もう食べられないよ〜」
???「ピピピピピピ」
短「……あらあら、秒ちゃんにはまだ早いわ〜」
???「ピピピピピピ」
長「なによもう、うっさいっ! ちょっと2人とも、起きてよ」
短「んー。なあに?」
秒「むー。なんなのー?」
???「ピピピピピピ」
長「ほら、変な音聞こえない?」
短「あら。確かに」
秒「これじゃ寝れないよー!」
???「ピピピピピピ」
短「音はすれども姿は見えず。面妖な」
秒「あなたさまは、いけずですー!」
長「一体なにやつ!」
???「相変わらず、ネタに節操のない方々ですね。ピピピ」
長「あんた誰! 出てきなさいよ」
???「私はアラーム針。本日は皆さんに、吉報を伝えに参りました。ピピピピピ」
一同「はあ??」
352とけいけ。2【2/8】:2010/04/02(金) 19:31:28 ID:4hqj1cni
とけいけ、居間。

短「それで、アラーム針が何の御用かしら。用件次第では性的な意味で許さないわよ?」
ア「は、はあ。ピピ」
長「このエロ魔人の言うことは放っておいて。いったい何だって言うのよ」
ア「端的に言いますと、あなた方ばかり出番多くて妬ましいです。ですから、本日より私も同居させて頂きます。ピピピ」
秒「ええー!」
長「どこが吉報よ。あんたピーピーうるさいから嫌!」
ア「それが仕事ですから。ピピピ」
短「そもそも、あなた決まった時間しかいられないじゃない。ずっと一緒にいるのは、無理よ?」
ア「ふふ。マスターに必殺技をお願いしてきました。ピピピ」
秒「必殺技?」
ア「秘技、『短針の位置=私の位置』! ピピピピピ!」
長「うわえげつねえ!」
短「……道理で、なんだか背中がこそばゆかったのね」

長「しっかし、短針・長針・秒針ときてアラーム針か。微妙ねえ」
秒「あたしたち日本語なのに、一人だけ英語だもんねー」
ア「お黙りなさい。グローバル化の時代に何を言っているんですか。ピピ」
長「ちょwwグローバル化(笑)www」
秒「マネーしほんしゅぎwww」
ア「いわれのない侮辱を! ピピ」
長「草生やしたくらいでうっさいわね」
ア「言っておきますが、私には除草機能はありません。あるのは目覚まし機能です。ピピ」
353とけいけ。2【3/8】:2010/04/02(金) 19:32:19 ID:4hqj1cni
長「そもそも、それよ。実際さぁ、目覚ましって、使ってる人そんなにいるの?」
ア「当然、皆さん使っているに決まっているではありませんか。ピピ」
長「ほほう。『クイズ! 目覚まし機能について100人の人に聞きましたー!』」
秒「あるあるあるー!」
長「3位! 『普通に使っている』! 23人!」
ア「そんなに少ないのですか? ピピ」
長「2位! 『まるで使っていない』! 14人!」
ア「ふむ、使われてはいるようですね。ピピ」
長「1位! 『気づいた時には役に立たない』! 63人!」
ア「なんですかそれは!? ピピ」
長「つまり、気づいた時には鳴った後で、もう遅刻確定ってことね!」
ア「ピピー!」
秒「ふつうの人にとって、目覚ましってあんまり役に立たないのかなあ」
長「いま>>秒がいいこと言った。つまり、日頃の生活習慣の問題なのよ」
秒「生活しゅうかんに問題がなければ、目覚ましはいらないってこと?」
長「その通り! 規則正しい生活をし、生活習慣が整っていれば、むしろ鳴る前に起きるようなものなのよ!」
354とけいけ。2【4/8】:2010/04/02(金) 19:33:10 ID:4hqj1cni
ア「なんと、聞くに耐えない罵詈雑言! 短針はどう思われるのですか。ピピ」
短「まぁ……必要ない人も、いるかも知れないわねえ」
ア「そんな……ピピ」
短「この前、とある職業の方のところに行ったのだけどね。目覚まし取った瞬間に壁に投げつけられたのよ」
ア「それはひどい。ピピ」
短「『入稿間に合わねえよヽ(`Д´)ノ ウワァァァァン』って言ってたわ」
長「それは自業自得だな」
短「だから、そういう人には、目覚まし機能なんて無い方がいいのかしら。あからさまに睡眠不足だったし……」
ア「……ピピピピピピピピ」
長「どうしたのよ」
ア「短針の馬鹿ー! ピピー!」

長「……あら、飛び出していっちゃった」
秒「……すこし、悪かったのだ」
355とけいけ。2【5/8】:2010/04/02(金) 19:33:56 ID:4hqj1cni
逃げ出すと言えば、深夜の公園。

ア「なんですか、短針なんて……ピピ」
ア「毎朝毎朝、同じ場所であなたを待ってるのに……ピピ」
ア「本当は、あなたと一緒にいたいだけなのです。だからマスターに無理を言って……ピピ」

短「……まだ、夜は寒いわね。羽織るものがないと冷えるわ」
ア「短針! いつからいたのです! ピピピ」
短「一緒にいさせてるの、あなたじゃない。はい、あなたの分のカーディガン。風邪ひくわよ?」
ア「……そっと抱き寄せないでください。私のことはお嫌いなのでしょう。ピピ」
短「今夜は、月がきれいね。月齢を測ることができないのは残念だわ」
ア「……耳元で囁かないでください。ピピ」
短「あのね」
ア「? ピピ」
短「私だって、一緒にいたいっていう気持ちは同じなのよ?」
ア「ピピ!?」
短「あなたとだけじゃなくて、長ちゃんや秒ちゃんともそう。みんなでずっと一緒にいられたらいいな、って思ってるの」
ア「……。ピピ」
短「でも、時計である以上、それは叶わないし、叶えてはいけない夢だわ」
ア「……。ピピ」
短「だから、ごめんなさい。あなたと同じ時間にとどまることは出来ないわ」
ア「ですから、私が短針と一緒にいれば! ピピ」
356とけいけ。2【6/8】:2010/04/02(金) 19:34:32 ID:4hqj1cni
短「……それも、だめよ。あなたには、同じ場所で私を待っていて欲しいの」
ア「やはり、私のことがお嫌いなのですね。ピピ」
短「そんなことないわ」
ア「信じられません。ピピ」
短「困ったものねえ。あなたは、私にとって特別な存在なのよ?」
ア「そうなのですか? ピピ」
短「ふふ。長ちゃんや秒ちゃんもあなたと重なるけど、挨拶して終わりでしょ」
ア「長針は悪態をつきますけどね。ピピ」
短「でも、私はそうじゃないわ。短針とアラーム針が出会うことによって、朝の訪れを皆さんに伝えることができる。……その結果、うらめしい目で見られたり、壁にぶつけられたり、散々な目に合うわけだけど」
ア「……よくあることです。ピピ」
短「だけど、私とあなたが出会わなかったら、そもそも何も起こらないのよ。起こるはずだった喜びも悲しみも、たくさんの可能性がなくなってしまう」
ア「! ピピ」
短「だから私、あなたと逢う時は、ちょっとどきどきするの。今日という一日が、いい日になるのか、悪い日になってしまうのか、一日はそこから始まるんだもの」
357とけいけ。2【7/8】:2010/04/02(金) 19:35:13 ID:4hqj1cni
ア「わ、私も、そうです。短針と触れるたび、何かが始まるような、新しくなるような、嬉しい気持ちになるのです! ピピ」
短「ふふ、ありがと。私にとってあなたは、他の人がどう思おうとも特別な存在だわ。分かってもらえた?」
ア「……ええ。ピピ」
短「だから、いつもの場所で待っていて欲しいの」
ア「……一日の始まりは一度だけ。私と短針がいつも一緒にいたら、いつまでたっても一日は始まらないのですね。ピピ」
短「そういうこと。もっとも、いつも、丸一日もお待たせしちゃってるのは申し訳ないと思うんだけど……
ア「そんなこと、私は気にしていません! ピピ」
短「でも、そこはこう考えたらいいと思うのね」
ア「なんでしょう。ピピ」
短「焦らしプレイ!」
ア「何を言っているのですか! ピピ」
358とけいけ。2【8/8】:2010/04/02(金) 19:36:13 ID:4hqj1cni
再度、とけいけ。

ア「そんなわけで、変なマクロはやめます。ご迷惑かけて申し訳ない」
長「初めっからそうすりゃいいのよ」
秒「こちらこそ、ごめんなさいです」
ア「ただ、私も黙って引き下がるわけにはいきません。交換条件を飲んでもらいましょう」
長「交換条件?」
ア「短針、説明を」
短「うふふ。あのね」
長「何よ」
短「明日は私、ずっと午前7時にいるから」
長「はいぃ?」
ア「明日限定で、特別にデートしてくれる、と言って頂きましたので。ふふ、幸せです」

長&秒「短針仕事しろー!!」

今日もとけいけは平和です。