〜 選択形式で進めていくスレッドXXX 〜

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1名無しさんだよもん
クーヤ「ふむ、ついに来たようだな
きよみ「ええ。とうとう選択スレが……」
マナ「なんと30スレ目に到達ね!」

三人「というわけで、祝選択スレ30突破!」

A 前スレ(スレッド29:http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1136549510/l50
B まとめページ(http://members.at.infoseek.co.jp/farem/sentaku/index.html
C wiki(http://f44.aaacafe.ne.jp/~farem/sentaku/index.php
D 過去スレ・関連スレ及び諸注意(>>2-5
E お祝いだ! 記念企画だ!
2名無しさんだよもん:2006/03/17(金) 22:49:20 ID:pmYZCzpx0
きよみ「長ったらしい過去スレよね。……この中であたしが出てるスレは一つとしてないんだけど」
(1:α)葉鍵ゲーっぽく選択形式で進めていくスレッド
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1022/10223/1022339884.html
(2:β) 〜 選択形式で進めていくスレβ 〜
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1024/10244/1024415274.html
(3:γ) 〜 選択形式で進めていくスレ 〜 
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1026/10264/1026471373.html
(4:δ) 〜 選択形式で進めていくスレδ 〜 
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1028/10280/1028044958.html
(5:ε) 〜 選択形式で進めていくスレε 〜
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1029/10293/1029338142.html
(6:ζ) 〜 選択形式で進めていくスレッドζ 〜
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1031/10311/1031124139.html
(7:η) 〜 選択形式で進めていくスレッドη 〜
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1035/10353/1035374561.html
(8:θ) 〜 選択形式で進めていくスレッドθ 〜
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1039/10391/1039189772.html
(9:ι)選択形式で進めていくスレッドι
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1044/10445/1044541965.html
(10:κ)選択形式で進めていくスレッドκ
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1047/10474/1047448312.html
(11:λ)選択形式で進めていくスレッドλ
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1054/10549/1054982235.html
(12:μ)〜 選択形式で進めていくスレッドμ 〜
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1060/10603/1060399408.html
(13:ν)〜 選択形式で進めていくスレッドν 〜
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1073/10731/1073147053.html(以下HTML化待ち)
(14:ξ)〜 選択形式で進めていくスレッドξ 〜
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1074/10743/1074398816.html
(15:ο)〜 選択形式で進めていくスレッドο 〜
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1075/10756/1075609628.html
3名無しさんだよもん:2006/03/17(金) 22:49:52 ID:pmYZCzpx0
マナ「あたしだってほっとんど出てないわよ。別にどうだって良いけど」
(16:π)〜 選択形式で進めていくスレッドπ 〜
http://pie.bbspink.com/leaf/kako/1077/10778/1077801639.html
(17:ρ)〜 選択形式で進めていくスレッドρ 〜
http://pie.bbspink.com/leaf/kako/1084/10840/1084086608.html
(18:σ)〜 選択形式で進めていくスレッドσ 〜
http://pie.bbspink.com/leaf/kako/1087/10871/1087105510.html
(19:τ)〜 選択形式で進めていくスレッドτ 〜
http://pie.bbspink.com/leaf/kako/1090/10900/1090063164.html
(20:υ)〜 選択形式で進めていくスレッドυ 〜
http://pie.bbspink.com/leaf/kako/1090/10905/1090597960.html
(21:φ)〜 選択形式で進めていくスレッドφ 〜
http://pie.bbspink.com/leaf/kako/1092/10927/1092753962.html
(22:χ)〜 選択形式で進めていくスレッドχ 〜
http://pie.bbspink.com/leaf/kako/1100/11006/1100666118.html
(23:ψ)〜 選択形式で進めていくスレッドψ 〜
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1103721785/
(24:ω)〜 選択形式で進めていくスレッドω 〜
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1110714312/
(25:XXV)〜 選択形式で進めていくスレッドXXV 〜
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1126258158/
(26:XXVI)〜 選択形式で進めていくスレッドXXVI 〜
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1129738257/
(27:XXVII)〜 選択形式で進めていくスレッドXXVII 〜
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1131289497/
(28:XXVIII)〜 選択形式で進めていくスレッドXXVIII 〜
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1132574512/
4名無しさんだよもん:2006/03/17(金) 22:50:46 ID:pmYZCzpx0
クーヤ「鉄の掟だ。余がこれを説明するのも二回目だな」

・選択肢は基本的に早い者勝ちなのだ
・しかし、無理な展開になれば『りこーる』とやらが発動するかもしれぬぞ?
・誰であろうと一度決めた選択肢を覆すことは出来ぬからな
・念のため話をすれに落とす前に『りろーどぼたん』を押すことを勧めよう
・『sage』とめーる欄に打ち込んでから書き込みをするのだ

マナ「後は補足ってトコね。絶対に守りなさいよ?」

・喧嘩はダメ!
・早さ、そして技術を競い合うのよ
・選択肢は何選んだって別にいいのよ
・言いたいことがあるなら自分で書けば良いのに
・思いやりって大切よね
・空気ぐらい読みなさいよ?
・楽しんで書くのよ
・気軽に書いても全然構わないわ
5名無しさんだよもん:2006/03/17(金) 22:51:24 ID:pmYZCzpx0
マナ「さてと、ほんと月日がたつのは早いわよね。もう30スレ目よ?」
きよみ「あたしは前スレまでちぃーっとも出てなかったけどね。しかも即死だし」
クーヤ「気にする必要はない。何れまた話の中に出ることもあろう」
マナ「今までのペースから考えると、次にあたしが登場するのって随分後になりそうなんだけど」
きよみ「というかあんたに言われてもね。選ばれただけで愚痴られてるくせに」
クーヤ「それは余の所為ではない!」
マナ「そんなことよりも、30スレ到達記念企画とかはないの?」
きよみ「企画したとして誰がそんなもの実現するのよ」
マナ「…………」
クーヤ「まあ、企画自体は大歓迎ではある」
きよみ「確かに何か面白そうなネタがあれば支援板雑談スレで話してみるのもいいわね」
マナ「何か作ってみるのもたぶん大歓迎よ。話の挿絵とか、ゲームとか、三次創作とか」

三人「とにかく、30スレ到達おめでとう!」
6これまでのあらすじ:2006/03/17(金) 23:05:42 ID:rb4Oooab0
主人公雅史はごく普通の高校生。
……だったのだが、ある日魔王アロウンに導かれなんと戦隊ヒーローのレッドになってしまう!
様々な苦労を重ねながらも、さらわれた四人の仲間、
高槻ブルー、坂下イエロー、文吾ブラック、エルルゥグリーンを救い出すことに成功する。
立ち上がれ雅史! 白の精霊達の野望を打ち砕き、人類を救うのだ!!
7名無しさんだよもん:2006/03/17(金) 23:11:10 ID:QuhfqACrO
>>1さん乙です。
8名無しさんだよもん:2006/03/17(金) 23:38:33 ID:+5JBb6Ls0
>>1
誰も選んでない、Eだ!
9http://love3.2ch.net/test/read.cgi/gaysaloon/1141089429/1:2006/03/17(金) 23:46:57 ID:VuTRl40n0
んはああーーーーっっっ!!!ウッ、ウンッ、ウンコォォォッッ!!! ムリムリイッッ!!ブチュブチュッッ、ミチミチミチィィッッ!!!
おおっ!ウンコッ!!ウッ、ウンッ、ウンコッッ!!!ウンコ見てぇっ ああっ、もうダメッ!!はうあああーーーーっっっ!!!
ブリイッ!ブボッ!ブリブリブリィィィィッッッッ!!!! いやぁぁっ!あたし、こんなにいっぱいウンチ出してるゥゥッ!
ぶびびびびびびびぃぃぃぃぃぃぃっっっっ!!!!ボトボトボトォォッッ!!! ビッ、ブリュッ、ブリュブリュブリュゥゥゥーーーーーッッッ!!!
ブジュッ!ジャアアアアーーーーーーッッッ…ブシャッ! ブババババババアアアアアアッッッッ!!!!
んはああーーーーっっっ!!!ウッ、ウンッ、ウンコォォォッッ!!! ムリムリイッッ!!ブチュブチュッッ、ミチミチミチィィッッ!!!
おおっ!ウンコッ!!ウッ、ウンッ、ウンコッッ!!!ウンコ見てぇっ ああっ、もうダメッ!!はうあああーーーーっっっ!!!
ブリイッ!ブボッ!ブリブリブリィィィィッッッッ!!!! いやぁぁっ!あたし、こんなにいっぱいウンチ出してるゥゥッ!
10 ◆RYOHTOaTi2 :2006/03/17(金) 23:52:48 ID:9vC/ejZT0
>>9
これが記念企画か…
11 ◆RYOHTOaTi2 :2006/03/17(金) 23:55:18 ID:9vC/ejZT0
A >>9を殴る
B >>10を蹴る
C >>14へ進む
D ええい、話を進めろってばぁ!
12名無しさんだよもん:2006/03/18(土) 00:07:16 ID:ckuLG5hDO
あえてA
13名無しさんだよもん:2006/03/18(土) 00:12:43 ID:2rFQ2fiW0
830 名前:名無しさんだよもん 投稿日:2006/03/17(金) 22:23:29 ID:pmYZCzpx0
長い槍を持ち、変な動物にまたがった美形の男。
こっちを見る涼やかな視線は、怒りとも悲しみとも諦めとも、どう取ればいいのかわからない。
「ベナウィさん……」
グリーンがぽつりと声を落とす。古い知己へ向ける言葉のようだった。
二人には何かあったんだろうか。

「詩子さん、ここで待機していて。グリーンも」
「いいの? これ武装とかも積んでるよ」
「後で頼むかもしれないけど、今はいい」
足を捻っているグリーンは、その僕の言葉には何も返さなかった。

一人で車を降りて、ベナウィに向かっていく。
「レッド、気をつけて! 強敵よ」
イエロー達がベナウィを三方から取り巻くように位置を変え、僕は正面から向かった。
強いのはなんとなく分かった。きっと、カンホルダリよりも。

「選択戦隊セレクターズ(仮)のリーダー、レッドマサシです」
「私はベナウィといいます」
「あなたは怪人ですか?」
「あなたたちの言葉で言えば、そうなるでしょう」
打てば響くように答えが返ってきた。やっぱり、話ができそうだ。
とは言っても、槍は下ろしているけれど、伸ばせば今の僕の位置でも届くだろう。
油断せず、すぐに動き出せるようにはしておこう。

そして、僕は次の行動に移った。

A 「なぜグリーンを追ったんですか」 と僕は聞いてみた。
B 「あなた達の組織について教えてくれませんか」 少し情報が手に入れば……
C 「お喋りはおしまいですか?」 攻撃をしかけられた。
D 「待って!」 グリーンの声がかかった。
E ベナウィの乗っている動物が詩子さんの車を見て興奮し始めた。
14名無しさんだよもん:2006/03/18(土) 00:14:28 ID:2rFQ2fiW0
831 名前:名無しさんだよもん 投稿日:2006/03/17(金) 22:32:10 ID:Bvq3NpNT0
D
15名無しさんだよもん:2006/03/18(土) 21:04:49 ID:YgdJmqf90
「待って!」
グリーンの声がかかった。
車から降りて、わずかに片足を引きずったおぼつかない足取りで僕のところまでたどり着く。
黙って肩を貸した。彼女のやわらかいふさふさな耳がマスク越しに僕の頬をくすぐる。

「その耳は……」
グリーンを見たことがなかったメンバーたちが声を出す。
だけど、グリーンはそちらを見もせずにベナウィだけを視界の中心に置いていた。

「ベナウィさん、人類全てを抹殺することなんて正しいと思いますか!
 戦ならともかく、なんの罪もない人たちを殺すなんて絶対間違ってます!
 そんなことは私にはできないですし、ベナウィさんだってそうだと思います」
大きな声にも、ベナウィの表情はまるで変わらない。すでに結論はでているのか、
それともグリーン──エルルゥさんと何度も同じ言い合いをしたんだろうか。

「私は、この方達と一緒に戦います。皆と敵対することになってもしかたないです。
 でも、間違いと分かってる人たちと戦いたくありません。
 だから、勝手なお願いですけど、味方になってほしいとまでは言いません。
 お願いです、今は引いてください」
グリーンの必死の声にベナウィは身じろぎもしない。
僕も、誰も口を挟まないまま、ベナウィの動きを待っていた。

A 「あなたをあの人の下へ連れ帰るのが私の使命です」 (『あの人』を人物指定)
B 「シシェ、行きますよ」 その言葉を無視して槍が降ってきた。
C 「……」 無言で僕達に背を向けた。
D 「ベナウィ、何を悩んでる」 もう一人いた!? (人物指定、口調自由)
E 「エルルゥー!」 ヌワンギラスの声が響いた。
16名無しさんだよもん:2006/03/18(土) 21:13:33 ID:cLSv02zx0
D 狐耳山田ミチル
17名無しさんだよもん:2006/03/18(土) 21:59:31 ID:YgdJmqf90
「ベナウィ、何を悩んでる?」
あさっての方角から別の声が飛んできた。しまった、もう一人いたのか!
現れたのは眼鏡をかけた僕と同じくらいの女の子。着てるのは、寺女の制服?
だけど狐耳がある。改造されたんだろうか。

「ミチル」
ベナウィが彼女を見ずに話しかけた。だけどその少女は何も言葉を返さない。
「……ちゃる」
「なに?」
「私が一人で追うと伝えたはずですが」
「うん、だけど守らなかった」
眉間に皺がよる。苦みばしった表情だ。

「ベナウィ、ここで見逃したりすると怒られる」
「そうですか」
「なお、副官というか、お目付け役の私も怒られる」
「……」
「一人だったから無理というのはもう通じない。
 ベナウィと私とならわけもなくやれる」
坦々とした表情でそんなことを言ってる。すごい自信だ。
3人が腰を沈め、攻撃体制に入った。

なんだか、グリーンの言葉が宙に浮いてしまっている状態だ。
「ベナウィさん─!」
回答を促すように大きく声を出した。ベナウィの表情が戻る。代わりに、
ミチルとかちゃるとか呼ばれた彼女がはじめて不機嫌な表情に変化した。

A 「うるさい」 少女が一瞬で僕らとの距離をつめ、グリーンに攻撃を仕掛けてきた。
B 無言のままベナウィが僕らへ槍を振った。
C 無言のままベナウィが少女を足止めするように槍を動かした。
D 「戻ります」 ベナウィは僕達に背を向けた。
18名無しさんだよもん:2006/03/18(土) 22:13:18 ID:QhADjGwZ0
19名無しさんだよもん:2006/03/18(土) 23:43:50 ID:YgdJmqf90
無言のままベナウィが僕らへ槍を振った。
あらかじめ腰だめをしていた僕はグリーンを抱いてバックステップでかわす。
グリーンだけだったら、直撃した軌道だ。

「ベナウィさん……」
悲痛な声がグリーンから漏れる。ベナウィの表情からは僕には何も読み取れない。
表情を戻したミチルが相変わらず坦々とした台詞を言う。
「やる気になったんだ。どっちでも良かったけど」
そう言って、動いた。
「うあっ!」
近場にいたブラック(本体)にヤクザキックをかますと、そのまま移動して
ベナウィと動物の背についた。かなり速い。

「いいのかっ! ミニスカートでそんなに動いていいのかあぁ!」
ブルーが叫ぶ。きっと敵のやる気を削ぐつもりで言ってるんだろう。
そう僕は決めた。
ミチルはどこ吹く風だ。アンスコなりスパッツなりはいてるんだろうけど、
そこらへんの講釈はブルーに任せよう。

グリーンが僕から離れる。冷たいかもしれないけど、僕は言った。
「動けないようだったら、車の近くにいて。守りながらは、戦えない」
「はい……レッド」
素直にグリーンは従った。足の傷は言う以上にひどいのかも知れない。
さて、3人がかりで苦戦したベナウィに、もう一人の敵。どう行くか。

A ベナウィに3人、僕がミチルを引き受けよう。
B 僕がベナウィをひきつけている間に、3人でミチルを倒してもらう。
C なんだか体力と活力が戻ってきた! グリーンの能力だろうか?
D 戦闘向きの英霊を召喚だ! (アメリカ横断ウルトラ電波 or ONEキャラより)
E 「詩子さん、退却!」 タクシーが突っ込んできた。
F 「詩子さん、砲撃!」「ホント戦場は地獄よね! フゥハハハーハァー」
  ボンネットから出てきたガトリングガンが火を噴いた。
20名無しさんだよもん:2006/03/18(土) 23:45:24 ID:XZRW6jUb0
Dでえいえんみずか
いろいろ応用効きそう
21名無しさんだよもん:2006/03/18(土) 23:47:09 ID:ckuLG5hDO
>>20
『あたしと魔王』のみずかですか?
22名無しさんだよもん:2006/03/18(土) 23:50:24 ID:XZRW6jUb0
>>21
じゃあそっちで
23名無しさんだよもん:2006/03/19(日) 06:35:15 ID:suX3pdCc0
「詩子さん、ありがとう! 戻すよ!」
「え、もう? じゃあ、またね。エルルゥさんも」
詩子さんが戻っていく。グリーンが戦力になりそうもない今は短期決戦だ。
戦闘向きのより強い英霊を呼び出す!
「エロ○ムエッサイム! エロイ○エッサイム! 我は求め訴えたり!」
召喚を始めた僕に再び槍が振るわれる。
だけどそれは僕に当たるずっと前にケーキの姿をした物体が阻む。
「せいっ!」
イエローの正拳をミチルが手で捌き、逆にカウンターを浴びせようとしたところを
ブルーが威嚇した。距離を取るミチル。
「あうっ」
そこへ死角から入ったブラック本人の拳が脇腹へ入った。

3人が時間を稼いでくれた間に呪文が完成。
「葉鍵の輪より来たれ、選択の守り手よ―――!」
目を奪う光の中、目の前に白いワンピースの少女──いや、幼女か、が現れる。
僕を見るとうれしそうに笑った。よくわからないけど笑い返す。
……うーん、この子に闘えるんだろうか。召喚、失敗したかなぁ。

「心配はいらないんだよもん」
だ、だよもん?
「雅史はわたしが守ってあげるよ」
「えーと、君は?」
「名前? みずか」
ふわりと浮かび上がる。視線が僕と水平になった。
「みずかだよもん」
そのまま空中を移動した。両手には光球があらわれる。
「わたしが相手だよもん!」
ミチルとベナウィに向けてそれを放った。
「!」
かろうじて直撃を避けたベナウィ。そこへ狙い済ました僕の蹴りが入る。端正な顔が歪んだ。
近距離でにらみ合う。その時間は1秒もなく、また乱戦になっていった。
24名無しさんだよもん:2006/03/19(日) 06:36:22 ID:suX3pdCc0
A 乱戦から抜け出たミチルがグリーンを狙う!
B ベナウィの一突きが僕を襲う。回避、間に合うか!
C 「うわあっ!」 誰かの悲鳴が聞こえた(8人の誰か指定)
D さすがにこの人数差では分が悪いのか、順調に二人を追い詰めていった。
E グリーンが何かしようとしている?
25名無しさんだよもん:2006/03/19(日) 06:38:31 ID:/D52SMXD0
A
26名無しさんだよもん:2006/03/19(日) 13:04:59 ID:suX3pdCc0
空からみずかが光球で攻撃。上への攻撃能力を持っていないのか、二人は常に上にも
注意を払わなければいけない。その上、地上でもこちらは4人+1体で攻撃できる。
ベナウィは確かに並じゃないくらい強いけれど、さすがにこの状況では分が悪いだろう。
僕らの攻撃は何度も当たり、彼らの攻撃はきっちりと防御して受けられる。

「どうしたぁ! わけもなくやれるんじゃなかったのかああぁ!」
「うるさい」
ブルーの銃弾を避けるために常に動き続けながらミチルが返す。
そのままこちらの方を見るけれど、ベナウィとその動物も空からの攻撃を気にして
速度が鈍く、ケーキのスタンドに槍筋を邪魔されることが多い。そこを僕が攻撃している所だった。

「消耗戦か」
そのまま一旦距離を取った。もちろん光球も銃弾もそんなことに関係なく後を追う。
「なら、ここは目的を果たすだけ」
全然違う方向へ。逃げるのか? いや、違う。また方向を変えた。
向かう先は、グリーンか! でも、車の中にいれば……

って、ああぁ! そうだった! 詩子さんとタクシーはもう送還済みじゃないか。僕の馬鹿っ!
「待てだよもーん!」
光球がミチルを襲うけど、フットワークでかわしてしまう。

グリーンは青ざめた顔でミチルの突進を見つめてるだけだ! まずい!

A グリーンが怪我した足に重心をかけて迎えうった。まさか仮病だったの?
B 自慢の足を飛ばしてグリーンの前へ! 僕が相手しよう。
C 「待ちなさい!」 それを止めたのは、ベナウィ?
D 間に合わない! 全力の攻撃がグリーンを襲う。
E グリーンの能力が発動する!
 1 体力回復/攻撃力強化/守備力強化/速度上昇 のいずれかを一日二回かけられる。自分へは不可。
 2 自分の戦闘能力が大幅アップ。戦闘時間が長引けばどんどん強くなるが、10分立つと体力0。
 3 禍日神エルンガーへクラスチェンジ。浣腸の成功率100%。
27名無しさんだよもん:2006/03/19(日) 13:13:17 ID:D9bPzCjr0
激しくE3にしたいがB
28名無しさんだよもん:2006/03/19(日) 13:53:08 ID:suX3pdCc0
反射的に僕は駆け出した。背はスタンドが守ってくれるだろう。
期せずして競争になった。足で負けてたまるかあっ! よりスピードを上げた。

前宙してグリーンの前に立った。勝った。僕が先だ。
グリーンを背に隠し、ミチルと対峙する。
「邪魔」
「君がね」
無呼吸でヤクザキック。両腕をクロスして受ける。
スカートが捲くれあがるがヒーローモードの僕には目にも入らない。

「一対一で勝てると思ってる」
「そう簡単にはいかないだろうな」
召喚直後の体で勝てるなんて自信はもてない。
「しかも足手まといを守りながら」
「逆だよ。だからこそ勝ち目がある」
そう言って決めポーズをした。
「仲間一人守れなくてどうして人類が守れるんだ!」
いいなぁ。これこそリーダー。今僕は光っている!

「雅史、かっこいいだよもん!」
「レッド……!」
「さっきあいつ、『守りながらは、戦えない』と言ってなかったか」
「しっ、たまにはいいところ見させないと」
外野からの発言は一部だけを取り入れて、ミチルへ向かった。

「くらえ、マサシキィィィック!」
空中でキックとキックがぶつかり合った。

A ここで必殺技だ。みずか、スタンドがベナウィを牽制している間に全員攻撃!
B 現実は非情である。一対一では押される一方だった。
C 守るものがあると人は強くなれる。一人でミチル撃破。フィーバーだ!
D グリーンが僕に触れた。どうしてか体力と活力が漲る!
29名無しさんだよもん:2006/03/19(日) 13:55:59 ID:/BzhqWB2O
D
30名無しさんだよもん:2006/03/19(日) 14:44:39 ID:ransN4rc0
「うあっ!」
「くっ!」
 激しく交錯し、体勢を崩しながら落下する。
 僕が背中から落ちるのを尻目に、ミチルは体を捻って足から着地した。
 まさに獣のような身のこなしだ……って、関心してる場合じゃないか。
「……まずは一本取らせてもらった」
「まだだ、この程度で勝ったと思わないでくれ」
 強がりながら、何とか立ち上がる。
 休んだ後とはいえ英霊を連続召還して、さらに相打ちしたせいで
 衝撃が全部互いの体に叩き込まれたせいで、さすがにきつい。

 パァァ―――――

 どう劣勢を挽回するか考えていると、突然背後から白い光で照らされる。
 それと同時に、どうしてか体力と活力が漲ってきた。
「これは!?」
「グリーンとしての私の能力です」
 振り返ると、僕の体に触れているグリーンの手から光が漏れていた。
「直接攻撃はビンタしか出来ませんけど、そのかわり私は
 傷ついたり疲労した仲間を回復させることが出来るんです」
「……だからグリーンを合流させたくなかった」
 なるほど、それでべナウィひとりだけじゃなくて
 密かにミチルまでグリーンを追いかけていたのか。
「かくなる上は、ここで仕留める」
 どうやら向こうも本気になったみたいだ。
 両手を広げるミチルの全身に、気合のようなものが満ちてくる――

A ミチルの周囲に浮かぶ火の玉……これは狐火!?
B ミチルの背後から狸耳の少女が飛び出してきた、コンビネーション攻撃か!?
C 突如ミチルが別の姿になった、狐だけに化けるのか!?
31名無しさんだよもん:2006/03/19(日) 14:46:31 ID:D6k+1MTj0
怪人相手にここまで苦戦していたら精霊戦はどーなるんだろうかとハラハラしつつA
32名無しさんだよもん:2006/03/19(日) 17:57:31 ID:suX3pdCc0
ミチルの周囲に浮かぶ火の玉……これは狐火!?
「焼け死ね」
それらがこっちへ向かってくる。こんなものはただ避ければ……
しまった。後ろにグリーンがいる! くそっ!
「避けないの?」
わかって言ってるな。表情が変わらないのがかえって悔しい。

よし、こうなったら、リアンの時と同じ戦法だ。ただ当たってるくらいなら前に出る!
レッドが火を恐れたとあっちゃ名折れだ。
「そんなものがなんになる! ただ熱いだけじゃないか!」
勢いをつけて前に出る。なるべく手ではじきながら前へと進んだ。
スーツを貫くまでにはいかないけれど、当たった部分には十分に熱が伝わる。
「熱っ、くそっ、熱いじゃないか!」

あきれた顔でミチルが待つ。まさか突っ込んでくるとは思わなかったようだ。
そこがこの技の付け目だ!

A 「全力マサシキィィィック!」 吹っ飛ばされたミチルにコンボが繋がった! (コンボの相手指定)
B 「全力マサシキィィィック!」 足先が顎をとらえた。ミチルは縦回転し空中で爆発四散。
C 「ちゃる、一旦引きます」 ベナウィがミチルを抱えて逃げ出した。
D ミチルは僕の突進を受けきった。
E 「これも受けられる」 特大の狐火! しかも青色! 僕は急停止した。
33名無しさんだよもん:2006/03/19(日) 18:00:46 ID:E9WIsgQuO
E
34名無しさんだよもん:2006/03/19(日) 18:45:22 ID:suX3pdCc0
「これも受けられる」
そういって出したのは特大の狐火! しかも青色! あわてて僕は急停止した。
「賢い。だけど、残念」
狐火が僕を襲う。……とてもはじける大きさじゃない。そもそも熱量が違いすぎる。
スーツが耐えられるか試す気にはならなかった。
かといってここで逃げれば後ろにいるのは俊敏に動けないグリーン。
一旦戻ってグリーンと逃げるか?

「逃がさない」
狐火の速度が上がった! お見通しか、くそっ。片手でせめて軌道だけでも、と
思った瞬間、狐火が消えた。そして、空から女の子が降ってくる。

「その技はさっきは取っといたということだよもん?」
みずかの光球が狐火と相殺したみたいだ。
「わたしもなめられたものだよもん」
怒っているようだ。長い髪の裾が横に広がっている。
「それよりも!」
びしっと指を突きつける。
「雅史に怪我させたらただじゃおかないんだよもーん!」

……どうもやけに僕に好意を持ってくれているみたいだ。かわいい女の子が
そう言ってくれるのはとてもうれしいけど、年がねぇ。
「まいったぁぁ! これがペドフィリアというやつかあうべっ!」
ベナウィの一撃を受けてブルーが悶絶する。一人抜けたんだから気を抜くなよ……

「こっちも本気でいくんだよっ! おもちゃになれーっ!」
みずかが出したレーザー状の光が高速でミチルを襲う!

A 直撃! あわれミチルは狐のおもちゃに。
B すかさず回避した。そして遠距離攻撃の応酬へ。
C ベナウィが槍の先端で光を拡散させた。
D ブラックのスタンドに直撃! デコレーションケーキのおもちゃになった。
35名無しさんだよもん:2006/03/19(日) 18:47:20 ID:D9bPzCjr0
B
36名無しさんだよもん:2006/03/19(日) 20:07:41 ID:suX3pdCc0
回避した。撃たれてから間に合う速度じゃない。カンだけで避けたんだろうけど、
たいしたものだ。まさしく獣並み。

「とっとと当たれだよもん!」
「無理」
空を飛べるみずかに、数で押すミチル。
狐火が進路をふさぎ、縫うように移動する。
一瞬の判断で左右に動き、レーザーと光球を回避する。
今二人には目の前の敵しか見えていないだろう。

ベナウィの方に目をやると、僕らが来る前と同じだっただと思われるように戦っていた。
ブルーが威嚇し、スタンドが槍に向かう。イエローとブラックが攻撃役だ。
みずかの攻撃がなくなった分、ベナウィは速い。こっちへ手出しをするような
余裕はなさそうだけど、4人を向こうに回して対等に戦える恐ろしい敵だ。
幹部がこれでは、白の精霊というのはどこまで強いんだろう。
ふと心によぎった弱気を振り払う。

いや、今ここには僕がいる。今は動けないけれどグリーンもいる。
そして、まだ使っていないより高位の英霊も、必殺技も、ロボもいるんだ。
諦めるには早すぎる。だからここは、リーダーとしてどういう対応をすれば
いいか考えるんだ。

A グリーンを背負ってブラック、ブルーの体力回復に向かおう。
B 僕がミチルの背後に回って羽交い絞めだ。
C 「わーっ!」 みずかのワンピースに火がついてしまった。
D ミチルの後ろにベナウィが! 避けたらレーザー光が当たる! (当たるほう指定)
E 勝負が長引けば別の敵がくるかもしれない。グリーンを背負って撤退だ!
F 「とどめだよもん!」 四方八方からレーザーがミチルを襲う。これは回避不可能だろう。
37名無しさんだよもん:2006/03/19(日) 20:08:47 ID:DNwH5dd80
E
38名無しさんだよもん:2006/03/19(日) 20:48:36 ID:suX3pdCc0
そうだ、勝負が長引けば別の敵がくるかもしれない。
それに、今ベナウィとミチルを倒すことは目的じゃない。
グリーンを無事救出し、5人揃うことが目的だ。
調子が万全じゃない今戦って、誰かが欠けるなんてことがあっちゃいけない。
逃げることは恥なんかじゃないんだ。

そう決めると僕は直ちにグリーンを背負った。
「えっ、レッド、なっ、なんですかっ」
「ブルー、イエロー、ブラック、みずか! 撤退だ!」
「見せ場のないまま退却かああっ!」
「そうだな。悪くない判断だろう」
「レッドがそうするなら、従うわ」
「雅史っ! どこ行くんだよもーん!」
みんな僕の判断に従ってくれる。熱いものを感じてより足を早めた。

「ちゃる、乗りなさい」
「うん」
後ろから声が聞こえてきた。あっちは二人乗りか。

        み   べ狐
←赤緑黒黄青ケ   馬   馬糞

みずかとブルーが後方を攻撃しながら退却。スタンドが後衛をつとめる。
動物に乗ったベナウィとミチルも、二人の攻撃を阻みながらでスピードが出せない。

だけど、走りながら僕は思った。30kmかあ……遠いなぁ、と。

A 途中でどうしてか、馬が止まった。その隙に僕らはアヴァロンへ撤退完了!
B 「あんまりアヴァロンへ近づけるなよ、おまえら」 アロウンさん登場!
C ブルーがリロードしている間に一気に追いすがってきた。ブルーが危ない!
39名無しさんだよもん:2006/03/19(日) 20:56:12 ID:zRHvmcaU0
A
40名無しさんだよもん:2006/03/19(日) 21:34:20 ID:suX3pdCc0
スタンド、みずかを除く僕らはアヴァロンの入り口でぜはーぜはーと
荒い息をついていた。途中でベナウィ達が追いかけてこなくなったのは
わかったけれど、先回りの可能性も捨てきれず、全力疾走は止めなかったのだ。
「戦闘よりもよっぽどきつかったな……」
ブラックがこぼす。若くない彼にはことのほか大変だったんだろう。
「だけど、グリーンを無事連れ帰れて良かった」
イエローがそう言って僕に笑いかけてくれる。
「……」
ブルーはただの屍のようだ。おそらく最もきつかっただろうから、感謝するしかない。
「うううう〜〜」
グリーンは酔っている。30km背中に負ぶさって縦揺れを受け続ければそれも
仕方がないだろう。途中からは完全にグロッキーだったし。

横たわった僕の頭のそばに女の子がたった。
「みずか」
「そろそろ帰るんだよもん。わたしが戻ったほうが、はやく疲れは取れるよね」
召喚をやめれば、その分の精神力や体力の減少は避けられるだろう。
彼女も大変だったろうに、そう言ってくれることがありがたかった。
「ありがとう、みずか。さようなら」
「バイバイ、こっちの雅史」
そう言ってマスクをはずした僕の頬に、小さく唇を押し付けた。
感触はそのままで、すうっと体がかききえる。元の世界に送還が終わった。

呆然としながら頬を押さえた。こっち……?
元の世界にも、僕がいるんだろうか。みずかに想ってもらえるそいつが少し羨ましくなった。

そう、そいつは周りの視線がこんなに痛くはないだろうから。

A グリーンの傷が癒え、グリーンの詳しい話を聞く時間になった。
B グリーンの傷が癒えるまで、イエローに格闘を教えてもらうことにした。
C 途中で止まったときのベナウィ・ミチル視点へ
41名無しさんだよもん:2006/03/19(日) 21:36:53 ID:DNwH5dd80
42名無しさんだよもん:2006/03/20(月) 01:15:35 ID:SFwb1dH50
「よし、全員揃ったな」
 アヴァロンの会議室で、丸いテーブルの一番偉そうな席に座りながらアロウンさんが点呼を取った。
 この場にいるのは僕ら五人とアロウンさん、それにオガムさんだけ。
 いわゆる作戦会議というやつだ。
 今後のためにも、僕らは今分かっている情報を整理する必要がある。
 そして、情報を整理するに当たって最も重要と思われる人物が……
「……それじゃ、エルルゥ。雅史達に分かりやすく説明してやってくれ」
「分かりました……」
 そう、グリーンことエルルゥさんだ。
 エルルゥさんは獣人であり、倒すべき精霊に作り出された。
 ……と言っても、元を正せば僕ら人間も精霊に作り出された種族なワケなんだけど。
 エルルゥさんは今ここにいる七人の中で、最も敵に近い位置にいた人物と言える。
 何かしら有益な情報を握っているに違いない。
 それと、この会議は僕ら新参のための状況説明という側面も持っている。
 何せ僕や坂下さんのような、つい最近セレクターズに入った身としては、
 やっぱりもっと詳しい現状と言うのを知っておきたい。
「雅史さん、何からお話ししましょうか?」
 まるでRPGのごとくエルルゥさんが僕にそう聞いてくる。
 まず僕がエルルゥさんに聞きたいのは……

A 獣人とは何か
B 敵怪人の規模について
C エルルゥさんをこちらに送り込んだ精霊のこと
43名無しさんだよもん:2006/03/20(月) 01:18:10 ID:+z9Fsk/L0
オードソックスにA
44名無しさんだよもん:2006/03/20(月) 01:48:14 ID:SFwb1dH50
「獣人って一体何なんだい?」
 僕はまずそこを聞いてみた。
 最初は単なる敵の怪人の特徴ってだけだと思っていたけれど、どうやらそうじゃないらしい。
「……同じですよ。私達も人間や妖精たちと」
「えっ?」
「人間の次の時代を担う種族として白の精霊に生み出されたのが……私達獣人なんです」
 僕ら人間の、次の時代だって?
 そういえば……チラッとアロウンさんたちが言っていた気がする。
 最初に精霊はこの地上を統べる生き物として竜を作り出し、
 竜の次は巨人、巨人の次は妖精、そして最後に……人間を作り出したと。
「精霊達は言ったのです。この地上から人間達、そしてそれに加担するアロウンを消せ。
 出来なくば私達もまた出来損ない。新たな時代を迎える前に絶滅の裁定を下す……と」
「な、なんだって……!!」
 あの怪人たちが、そんな事情を抱えていただって?
 向こうも向こうで、生きるために必死だったって言うのか……。
「あいつらはいつもそうだ。そうやって、何度でも際限なく悲劇を繰り返す。
 例え我々を滅ぼし、地上を獣人の統べる世界にしたところで、その獣人をもいずれは自らの手で滅ぼすくせにな」
 アロウンさんが忌々しげに吐き捨てる。
 そうだ……本当の敵は獣人じゃない。精霊なんだ!
 連中さえいなくなれば、獣人だって異種族として僕らと仲良くできるはずなんだ。
 全ては精霊を倒すこと、それが大切なんだ。
 メラメラと闘志が湧いてくる。人類の平和だけじゃなく……獣人の未来も、僕が守ってみせる!

A 獣人がどのぐらいいるか聞く
B 精霊について詳しく質問する
C 精霊の居場所について質問する
D エルルゥさんに彼氏がいるか聞いてみる
45名無しさんだよもん:2006/03/20(月) 01:50:01 ID:4Ufmkpt20
B
46名無しさんだよもん:2006/03/20(月) 14:21:16 ID:cGsO+0u60
「それで、その精霊達について詳しいことは知らないのかい?」
 僕は続けてエルルゥさんに尋ねる。獣人たちを影で操る十精霊。
 彼らこそ僕達にとって真の倒すべき敵なんだ。
 なにか詳しい情報でも得られればいいんだけど。
「彼らはアロウンさんとは違い自分の本来の実体を表してはいません。ですが…」
 そういいかけてエルルゥさんは言いよどむ。少し目を伏せながら言う。
「替わりに私達、獣人の中から皇たる者たちの身体を借りて私達を支配しているのです
 皇と呼ばれる精霊達の宿木となる者たちは皆、私達獣人の中でもとりわけ強力な力を持ちます」
「自分達の器となるものを既に生み出していたというわけか」
 アロウンさんの表情は険しい。確かにあれだけ強かった幹部達よりもっと強い皇とかいう連中の身体に
 精霊達は入っているわけで。それが十人も。ううむ、大丈夫かな?僕達。
「その皇ってのはまさか十人もいるの?」
「いえ、流石に精霊の器となりうる身体となるとそんなに多くはありません。彼らは数人の皇の身体を持ち回りで支配しています。
 一時的に他の獣人の体も使用することもあるのでしょうがそうなったらその獣人の体は二度と使い物になりません。」
「前にも説明した巨大化と言うやつだ。強大な精霊の力を受け入れるには並みの器では敵わんからな。
 一時的に器の方をでかくしてやればいいという寸法だ。その後は言わんでもわかるだろう」
 使い捨てかあ。酷い話だよな。でも、皇とかいう連中の数が流石に十人もいるわけじゃなさそうなのは少し安心かな。
「その皇について詳しい話を聞きたいんだけど?」
「それは……」
 僕が尋ねるとエルルゥさんの顔が少し強張った。言いたくないことでもあるのかな?ひょっとして。
「いえ、いいんです。いつかは分かることですから。私達獣人の上に君臨する皇は今のところ三人います。
 そしてその一人というのが……」

A 私の恋人のハクオロさんです
B 私の妹のアルルゥです
C 私の祖母のトゥスクルです
 
47名無しさんだよもん:2006/03/20(月) 14:23:31 ID:+gJbnkTM0
C
48名無しさんだよもん:2006/03/20(月) 14:23:49 ID:bO64BJiz0
A
49名無しさんだよもん:2006/03/20(月) 18:01:52 ID:SFwb1dH50
「その一人というのが……トゥスクル。私の祖母なんです」
「えっ!?」
 エルルゥさんから出たのはそんな言葉。
 そ、それじゃ……今度の敵は、いわばエルルゥさんの身内ってことじゃないのか!?
 エルルゥさんが肩を震わせている。……気持ちは、痛いほどに分かるよ。
「どうにか、トゥスクルさんを助けながら精霊を倒せないの?」
「…………」
 エルルゥさんは黙った。
 それは……無理だって言うのか? そんな……。
 幾ら正義のためとはいえ、何の罪もない人を見殺しにしないといけないってわけなのかよ!
「……方法はないわけじゃない」
「本当ですか、アロウンさん!?」
「簡単な理屈だ。器を傷つけたくなければ、中身を何処かに捨てちまえばいいのさ。
 皇の体を支配している精霊どもを追い出してからカタをつければ良い」
「出来るんですか、そんなことが……?」
「ああ。だが、忘れるなよ。肉体などなくても奴らは強い。元々精霊に肉体などいらんのだからな。
 ……いや、肉体とは魂の牢獄。むしろ魔法の妨げとなる分、奴らは強くなると考えて良い」
「うっ……」
「奴らが皇の体に憑いたまま戦ったほうが戦いやすいのは事実だ。
 だが……俺たちに皇を攻撃することは出来まい。いわば皇は人質のようなものだ。
 地上の生き物を虫けらとも思わない、あいつらのいかにも考えそうなことだ」
 なるほど……確かに、そう言われてしまうと、
 僕らは皇達を傷つけずに精霊を倒そうとするだろう。
 それは大きなハンディとなって僕らにのしかかってくる。
 ただでさえ強い連中が九人も揃っているというのに、そんなハンディを背負って戦うのキツい。
 だけど……だからと言って、皇達を見殺しにするのは……。
50名無しさんだよもん:2006/03/20(月) 18:02:27 ID:SFwb1dH50
 僕がそう考えていたときだ、不意に高槻さんが立ち上がった。
「甘いんじゃないのか、雅史」
「……何が言いたいんですか」
「貴様は獣人連中も救うことを考えている。そうだろう?」
「…………」
「アホか、お前は? 奴らにどんな事情があろうが、
 精霊どもに体を乗っ取られていようが、敵は敵だ。いちいち敵に同情して戦いをやっていられると思ってるのか?」
「それは……」
「貴様、忘れたわけじゃなかろうな。人類の命運が我々の双肩にかかっていることを。
 一時の感傷で、貴様は人類全てを危険にさらすというのか? どうなんだぁっ!?」
 高槻さんが珍しくマトモなことを言う。
 ……ぐっ、見てくれはどうあれ、彼はやっぱりブルーなようだ。
 レッドである僕と正義に対する考えで対立する役回りをしっかりこなしている。あの顔で。
 僕は……

A それでも僕は皆を救ってみせる!
B 高槻さんの言う通りかもしれない……
51名無しさんだよもん:2006/03/20(月) 18:20:08 ID:bO64BJiz0
52名無しさんだよもん:2006/03/20(月) 18:52:35 ID:Y7KzsDDW0
高槻さんの言う通りかもしれない。そもそも普通に戦ったとしても勝てるかどうか厳しい相手なのだ。
 僕達に相手を気遣う余裕なんて最初からなかったんだ。でも……
「いいんです。気にしないで下さい。私は覚悟していましたから。
 おばあちゃんや他のみんなと戦うことになることは」
 とエルルゥさんは言ってくれるもののやっぱり痛々しい表情だ。
 う〜ん。そういう顔を見せられるとやはり……
「しかし敵の首領をどうするよりも先に考えることがあるのではないかな」
 するとブラックの文吾さんが口を挟む。渋い顔をしながらこう言う。
「今の我々の戦力で果たして強大な精霊達に太刀打ちできるのかということだ」
「同感ね。皇どころか幹部の獣人達にさえあれだけ苦戦したもの。今のままじゃ正直心もとないわ」
 文吾さんの言葉に坂下さんが同意する。
 ううむ。確かにさっきはフルメンバーそろってみずかまでいてベナウィとミチルの二人に苦戦していたもんな。
 これじゃあ手加減どうとか以前に僕達の力が全然不足だよ。どうしよう。
 あ、そうだ!ふいに思い出す。そう。さっきの戦闘では発揮されなかったが僕達は五人揃うことで出せる必殺技が在るのだ。
 それをマスターできれば……
「確かにあれをマスターできればお前達の戦力は飛躍的に上がるだろう。だがしかし足らんな」
 とアロウンさんは眉根を寄せる。僕達に足りないものはなんだろう。


A スキルだ。高い個人技なくしては高度な連携プレーは望めない。
B 信頼だ。即席で出来上がったチームのお前達にはそれが決定的に不足している。
C 経験だ。実戦経験の少なさがお前達の能力に枷をかけている。
D 精神だ。お前達の力の源である心の力。それがまだまだ弱すぎる。
53名無しさんだよもん:2006/03/20(月) 18:53:54 ID:a6hgtjW20
C
54名無しさんだよもん:2006/03/20(月) 21:32:55 ID:SFwb1dH50
「経験だ。お前たちには経験が圧倒的に足りん」
 経験。それは流石にどうしようもないことだ。
 僕や坂下さんは元々ただの高校生。文吾さんだってただのパティシェ。
 高槻さんとエルルゥさんは普段何してるか知らないけど、
 それでもやっぱり戦場に立つようなお仕事なんてしてないだろう。
 いくら変身ヒーローで戦闘力が大いに上がっているとしても、経験だけはどうしようもない。
 百戦錬磨の敵が現れれば、力の上で有利だとしても遅れをとることもある。そう……今日の戦いのように。
「アロウン様、いかがいたしましょう?」
「どうすると言われても……経験だけは戦闘を数多くこなして積んでもらうしか方法がないだろう」
 やっぱり、結論はそうなるよなあ。
 ザコ怪人や戦闘員相手に頑張って、どうにか実戦の勘とやらを磨かなくちゃいけないわけか。
 もしも奴らがこういう戦隊モノのルールを無視して、
 今すぐアヴァロンへ精霊自ら団体で攻め込んできたりしたら大ピンチだよね。
 ……そうならないことを願おう。切に願おう。
 何せ今アヴァロンじゃ戦える人材に限りがあるわけだしさ。
「とにかく私達が敵との戦闘を数多くこなすことが大切ってワケね」
「そうなるな。何なら俺やオガムがお前らに稽古つけてやってもいいんだがな」
「えっ……アロウンさんが?」
 僕はなんだか不安な視線でアロウンさんを見つめる。
 アロウンさんって、普段から態度は偉そうだけどあまり強そうってイメージないんだよなあ。
「っははは、安心しろ。稽古するときは手ぐらい抜いてやる」
「いや、そうじゃなくて……」
 逆の意味で心配だったんだけど。まあ、それは敢えて言うまい。
「さて……エルルゥさん。精霊について、もう一つ聞きたいことがあるんだ」
「はい」
 僕は話を戻す。
 そう、エルルゥさんから精霊について、最も大事なことを聞いていない。それは……

A エルルゥさんをこちらに送り込んだ精霊の正体
B 精霊たちの居場所
C 精霊たちの具体的な強さ
D ……と、ここで話の腰を折るかのように僕の腹の虫が鳴った
55名無しさんだよもん:2006/03/20(月) 21:36:23 ID:Y7KzsDDW0
56名無しさんだよもん:2006/03/21(火) 16:29:36 ID:EkXECBLqO
「エルルゥさんをこちら側に送り込んだ精霊について訊きたいんだけど」
「はい、わかりました」
 精霊達と戦うに当たって、これが一番肝要だ。
 こちら側に付いてくれる可能性の高いその精霊を、誤って攻撃してしまったりする事がないようにしないといけない。
 もしも協力態勢を採るなら、円滑に接触できるように、容姿(?)や名前とかを知っておくに越した事はない。
「アロウンさん。いいですか?」
「勿論構わん。隠すような事でもないし、密に接触するなら知っておいた方が良いに決まっているしな」
 口にはしなかったけど、僕とアロウンさんの意見が一致する。たぶん他のみんなもそう考えていただろう。
「ただ懸念は……オガム」
「はい。室内及び皆様のスーツ、身体等から盗聴器の反応はございません」
 うわ、そう言えばそんな可能性全然考えてなかった。
 もしこの話が敵側に漏れたりしてたら、その精霊の立場が一気に危うくなっちゃうところだったよ。

「私をこちらに送り込んだ精霊の名前は


A ディー
B エディフェル
C エイジ(緒方英二)
D ソウイチ(那須宗一)
E カンナ(神奈)
F ウシオ(汐)

と言います」
57名無しさんだよもん:2006/03/21(火) 16:30:21 ID:wt4WINh80
58名無しさんだよもん:2006/03/23(木) 09:23:38 ID:Y9BxHJKg0
「私をこちらに送り込んだ精霊の名前は ディーといいます」
「ディー?」
「はい、そう私に名乗りました。自分が私達獣人の創造主であるとも」
 エルルゥさんを送り出した精霊の名前はディーと言うらしい。
 どうもその精霊が獣人たちの創造主らしい。
「本当にそいつはディーと名乗ったのだな?」
「はい。そうですけど」
 やや、いぶかしげに眉根を寄せるのはアロウンさん。
 アロウンさんも元は精霊なんだからそのディーって精霊のことも知っていてよさそうだと思うんだけど。
「その精霊のことアロウンさんは知っているんですか?」
「いや、そんな名前の精霊は知らん。おそらくは用心のために変名を使ったか……あるいは……」
 するとそのまま何かを考え込んでしまう。どうもディーという名前にアロウンさんは心当たりがないらしい。
 アロウンさんも言っている通り偽名を使ったのかそれともアロウンさんが知らないうちに精霊が入れ替わったのかもしれない。
 アロウンさんも確かお父さんのミルディンさんに後を継いで精霊になったはずだ。
「それでそのディーって精霊とは連絡とかとれないの?」
 精霊の正体はおいておいて尋ねてみる。エルルゥさんは少し困った顔をして言う。
「それが、私を送り出すときもすごく慌てた様子でして、早く行け。もう時間がないと」
 エルルゥさんを送り出すだけで精一杯だったんだ。困ったなあ。これじゃあ共闘しようにも連絡がつかないよ。
「顔とか姿とかそういう特徴は?」
「それが……ごめんなさい。どうしてか私覚えていないんです。思い出そうとするとなにか頭に靄のようなものがかかって」
「認識阻害の術だな。この念の要り様。相当に先方が慎重だということが窺い知れる」
 組織の中で一人だけ影で裏切ってるわけだからね。そりゃ慎重にもなるよね。
59名無しさんだよもん:2006/03/23(木) 09:24:24 ID:Y9BxHJKg0
「その、私が話せるのはここまでなんですけど……あまりお役に立てなくてごめんなさい」
 おずおずとそう言うエルルゥさん。話をまとめるとディーという獣人達の創造主である精霊が
 仲間の目を盗んでエルルゥさんを送り出した。獣人たちには幹部の上に皇と呼ばれる者たちが存在し彼らに精霊は乗り移っている。
 その皇のうちの一人がエルルゥさんの御祖母さんのトゥスクルさんらしい。アロウンさんの話では皇を傷つけずに精霊を倒すことはできるけれども
 その場合、精霊はもっと強くなる。倒すべき精霊はディーとかいう精霊をのぞいて後九人。
 そして僕らは現在実戦経験不足で力を出し切れていない。う〜む。なんだが大丈夫かな。これでという展開だ。
「さて、今後どうするかについてだが」
 議論は今後の方針についてに移る。僕達の今後の方針は


A とりあえず経験値を稼ごう。敵の前線基地を叩いてみる。
B 特訓は大事だ。アロウンさんに稽古をつけてもらおう。
C ディーという精霊が気になる。ひとまず街へ出て情報収集だ。
D とりあえず疲れをとり親睦を深めるため今日は宴会だ。
60名無しさんだよもん:2006/03/23(木) 09:43:41 ID:I6wxd5r+O
まずはBかな
61名無しさんだよもん:2006/03/23(木) 13:35:07 ID:X1tharLU0
 どうするにせよ今のままじゃ僕達の力量は圧倒的に不足している。
 なんとかするためにアヴァロン内の施設を借りて僕たちはトレーニングに励むことにしたんだけれど……
「つ……強い……」
 とりあえず今の実力を見るということで変身した僕達とアロウンさんとオガムさんとで模擬戦をやってみたのだけれど
 二人の強いこと強いこと。まずオガムさんの爆裂呪文でメンバーが散らされたところをアロウンさんが回復役のグリーンへと
 走りこみ即KO。いきなり回復役を失った僕ら。ブルーが闇雲に乱射する銃は防壁の前にあっさりはじかれて。
 リロードの合間にブルーの鳩尾にアロウンさんの剣が叩き込まれブルーも撃沈。初手で後衛二人を失う。
 ブラックとそのスタンド、イエローがアロウンさんを抑えにかかりその隙に僕はオガムさんを狙う。
 しかしアロウンさんは包囲を素早く交わしてフォローに入る。オガムさんがあらかじめ移動速度アップの呪文をかけていたのだ。
 あっさり遮られるうちにオガムさんの詠唱が完了。急いで方向を転換したイエローとブラックに直撃。轟沈。
 そして残った僕もこうしてのされてしまっているわけだ。
「あの……僕達よりもお二人が戦った方がいいんじゃないですか?」
「何を甘えたことを。まあいい。だいたいの問題点は分かった」
 弱音を吐く僕に対してアロウンさんは憮然としながら言ってくる。
「まず第一に後衛のガード。とりわけ回復役のグリーンは真っ先に狙われる。そのフォローができていない」
 うぅ、回復役集中狙いは基本だからね。ドラクエでも真っ先に倒すのはホイミスライムだし。
「第二に非常時の咄嗟の対応の遅れ。いきなりグリーンが倒れたことでコンマ数秒、行動に遅れがあった。
 熟練した敵ならそこを突いてくる」
 いきなり一人倒されて唖然としてました。すいません。
「第三、洞察力不足。敵がどのような行動をとるか事前に洞察しそれに対応する能力。それもやはり不足だな。
 あと、相手を囲むのならそれぞれ別方向からかかって相手を逃がさないように留意すること。
 以上のことを頭に置きながら今後の戦いに生かすことだな。後は慣れろとしか言えん」
 と締めくくって模擬戦は僕らの惨敗で終わった。うう、これが訓練じゃなかったらと思うとぞっとする。
 早いうちになんとかしないと。
62名無しさんだよもん:2006/03/23(木) 13:35:37 ID:X1tharLU0
「後は各自、反省点を踏まえながら自主トレーニングに励むことだ。いいな」
 多くの課題点を残して模擬戦は終了。少しずつ欠点をどうにかしていかないとね。
 よししっかり特訓するぞ。

A やはり戦隊の基本は陣形。フォーメーションを研究する。
B 互いに分かれて組み手をしよう。実戦感をやしなわないと。 
C 個人技を磨こう。各自自分の能力を使いこなす練習だ。
63名無しさんだよもん:2006/03/23(木) 13:38:18 ID:VK8KKg1A0
C
64名無しさんだよもん:2006/03/23(木) 13:55:06 ID:X1tharLU0
 僕達は個人の基礎力を高めることにした。どんな連携も個人技の下地がないことには機能しないからね。
 幸いこのアヴァロンには訓練用の設備は整っている。訓練に必要な機材から教材一通りなんでもござれだ。
 みんなそれぞれに自分の技を磨くべく奮闘している。ブルーは重火器類の設計書を奇声をあげながら熱心によんでいる。
 うむ。投影のバリエーションを増やそうとしているのだな。イエローはオーソドックスに空手修行。
 打岩か。基本だよね。なし終えたときには手足が今以上に強靭な凶器になっていることだろう。
 ブラックはというと……
「何読んでいるんですか?」
「ああ、実はこんなものをな」
 尋ねてみるとブラックは読んでいる本を見せてくれる。……ってアン○ン○ン?
「かの有名なパンのスタンド使いはオーソドックスなアンパン。トリッキーのカレーパン。
 知性派の食パンと色々なタイプのスタンドを状況によって使い分けられたらしい。俺もそれをなんとか取り入れられないかと思ってな」
 とスタンド能力の研究のようだ。今のブラックのケーキスタンドはただ殴るだけだけどそのうち何か特殊な力をもったケーキスタンドが
 開発されるかもしれない。口からカレー吐き出すような奴はなんか御免だけどね。
 グリーンは医学書を熱心に勉強している。効果的な治療を施せるようにだな。
 みんな頑張っているなあ。僕も負けてはいられない。さあ訓練だ。

A やはり長所である足技を磨く。
B ここぞというときの切り札。英霊召喚を研究する
C 脇差すっぽ抜けの汚名返上だ。武器の使い方を学ぶ
D リーダーの責務を果たす。戦術の研究に費やそう。 
65名無しさんだよもん:2006/03/23(木) 14:28:43 ID:hQAB029JO
B
66名無しさんだよもん:2006/03/23(木) 17:10:50 ID:b4r2s55d0
 ここはなんと言っても僕の切り札である英霊召喚について研究してみよう。
 長谷部さんも牧部さんも七瀬さんも詩子さんもみずかもみんな役にたってくれた。
 これからもお世話になることも多いだろうから今のうちにね。
「なるほど。だいたいの英霊とランクについてはつかめてきたぞ」
 資料室に保管されていた選択スレ過去スレ一覧を一通り読み終えて僕は一息入れる。
 いやあトンデモな話ばかりだよなあ。コロニーが落ちたり超魔ゾンビが出てきたり
 鹿や超先生がでてきたり。戦闘向きの話とかキャラとかも大分つかめてはきた。
 それはいいんだけど……
「丁度よく都合のいい英霊が出せるとは限らないからなあ」
 調べてみて改めて感じるけどランクや出身作品による制約がやっぱ結構厳しいな。
 今のところ実戦で使えるのはBが精々。AやSとなると実際に使う機会はまずないだろうし
 コストに見合うのかも疑問になってくる。そうなると主力はB,Cランクの英霊になるけど
 Bは一度の戦闘には1回ぐらい。動けなくなる覚悟で使えばもう一回いけそうな気もするけど
 あまりお勧めできないね。だから気軽に使えるのはCランク。でも結構能力微妙だったりするし
 作品制約で呼び出せるキャラも限られてくる。
「もう少しどうにかなりませんかねえ」
 なんとなしにアロウンさんに尋ねてみる。せめてCランクぐらいはもうちょい自由に呼び出したいんだけれど。
「お前の英霊召喚は平行世界と次元を接続しそこから英霊を呼び寄せる力だ。繋げる並行世界は先に繋いだ世界と
 なにがしかの縁があるものが望ましく呼び寄せる英霊もまたしかり」
 と解説調のアロウンさん。なにかいい方法でもあるといいのだけれど。
「繋いだ次元通路は格の高い英霊が通ると大きな抵抗を生みだし、そこでおまえ自身の力も消耗する。
 力の配分を上手く調節すると以下のような特殊召喚も可能だ」
67名無しさんだよもん:2006/03/23(木) 17:11:27 ID:b4r2s55d0
A Bランク並みに力を消耗することによりCランクの英霊を出身作品の制約なしに召喚できる 代償召喚
B 能力ダウン、活動可能時間減少などと引き換えにBランクの英霊をCランク並みの消費で召喚できる 妥協召喚
C 他の仲間の力をかりることによって高位の英霊を召喚する 協力召喚
  例 ブルーと協力召喚によりAランクの英霊を召喚した場合  レッド 召喚使用不可  ブルー 投影使用不可
               Sランクの英霊を召喚した場合  レッド 行動不可    ブルー 行動不可
D Bランク並みの消費量でCランクの英霊を最大二人まで同時に召喚できる 多重召喚

「ざっとこんなところだ」
「色々とあるんですね」 
「今のお前のスーツには特殊召喚の機能はまだつけていなかったな。まだ慣れない内にあれこれつけても邪魔なだけだからな」
「そうだったんですか?」
「ああ、だがお前もそろそろ英霊召喚に慣れてきたところだ。他の機能との兼ね合いもあるから一つだけ特殊召喚機能を追加しておこう。さあ、選べ」
 それじゃあ……僕が選ぶのは……
68名無しさんだよもん:2006/03/23(木) 17:14:08 ID:KPnhYfuL0
A
69名無しさんだよもん:2006/03/23(木) 17:40:24 ID:b4r2s55d0
「なるほど。代償召喚を選ぶのか」
 僕が選んだのは代償召喚だった。過去ログを読んでみてわかったが話の都合上脇役なCランクのキャラにも
 Bランクに引けを取らない能力の人はいる。又状況に応じた能力を持ったCランクの英霊を呼び寄せたいときもある。
 そういうときに出身作品の制約なしに使えれば大分この力も使いやすくなると思うんだ。
 そう思って選択しアロウンさんに変身ブレスレットを渡して子一時間
「よし。早速追加してみたぞ。試しに使ってみろ。呼びだした英霊相手に組み手の稽古なんかしてみると一石二鳥かもな」
 手早い仕事で新機能が追加された僕の変身ブレスレット。
 ようし早速試してみるか。呼び出す英霊はというと

A 【逆襲の眼鏡】で一山いくらの扱いだった十三課柏木姉妹から一人を選択
B 後半一気にはしょられた【天使のいない誰彼時】の黒リアンノン、雪緒、以外のツインテール友の会から一人選択
C まさかコイツが味方になるなんて思わなかったぜ。【ヲタク達の挽歌】からハウエンクアだ
D スタンドの次はゴム人間か。【梓ミッション】よりゴム人間名倉由依
 
70名無しさんだよもん:2006/03/23(木) 17:47:56 ID:VK8KKg1A0
C
71名無しさんだよもん:2006/03/23(木) 18:02:19 ID:b4r2s55d0
 あのう、雅史です。せっかくついた新機能を試してみたんですよ。ホント。
 いやあすごいですねえ特殊召喚。今までは制約つきでなかなか呼び出せなかった英霊も呼べちゃうんですよ。
 これは凄いね。いや、マジ凄い。素晴らしいことだとは思うんだけど……

「うわぁぁー!!マーマ!マーマ!マーマ!」

 呼び出す英霊間違えたぁぁぁあ!!!!

 解説 英霊ハウエンクア クラス バーサーカー ランクC
    一度正気に戻してやらないことには周りのものを手当たり次第その爪で引き裂く

「お前もか!お前も!お前も!お前も!お前も!マーマとボクを虐めるのかぁッ!!」
「違う!僕は将軍でも魔王でもない!ひぃっ!ちょっとアロウンさん見ていてないで助けてくださいよ」
 迫り来る爪をフットワークで交わしながら側にいるアロウンさんに助けを求める僕だけど
「丁度いい訓練になる。時間が来て送還されるまで交わし続けろ」
「そんな殺生なぁあああ!!」
「ひゃおぉぉぉ!シャァァァ!!」

 こうして僕はハウエンクアが送還されるまでの間の時間。ひたすら身をかわす事につとめるのであった。
 つ……疲れた……あちこち切り傷できてて痛いし……
 アイツはもう二度と呼ばん。


A 十分に訓練した今日はもう休もう 
B リーダーの務めだ。他のみんなの様子も見に行こう。
72名無しさんだよもん:2006/03/23(木) 18:03:39 ID:VK8KKg1A0
B
73名無しさんだよもん:2006/03/23(木) 21:20:34 ID:55RcWobD0
「さてと、ほかの皆はどうしてるかな」
 リーダーの務めだ。他のみんなの様子も見に行こう。
「その傷で大丈夫か?無理せず休んだほうがいいんじゃないか」
 大丈夫ですよ、と答えるかわりに片手を挙げて部屋を出る。
 ……もし本当に無理なら止めてくれるのがアロウンさんなんだよね。

「レッドか!なかなか勇ましい姿じゃないか」
 ブルーが特訓する部屋の壁には、ボロボロになった的が幾つも立てかけられていた。
 中には派手に砕かれてほとんど千切れたようなものまである。
 ブルーも相当気合を入れて特訓していたようだ。
「うん、そっちも順調みたいだね」
「ああ、せっかくだからとっておきの奴をひとつ見せてやるぞぉぉぉ!!」
 ブルーが手にした武器を構えると、的めがけて光の奔流が撃ち出される。
「トンファービィィィィム!!」
「うん、凄いね」
「ぐわぁ、なんて生返事だぁ!見下されるよりスルーされる方が辛いんだぞぉ!!」
 いや、さすがにそろそろ旬を過ぎたネタだし。
 とりあえずビーム自体は凄いねと感心して次にいこう。

「ハァァァァァ……」
 イエローが特訓する部屋の前に立つと、廊下まで深い呼吸音が聞こえてきた。
「イエロー、調子はどう……」
 メメタァ
「って、何だよ今の形容しがたい物音!?」
 思わず扉を開けると、まさにイエローが巨石に拳を落とした瞬間だった。
「会得した――岩すら砕く息吹(いぶき)」
 見ると岩はイエローの拳の真下からまっすぐひびが入っていき、
 ガラッという崩壊音と共に左右に分かれるように転がった。
「あの……それって空手とは違うんじゃ……」
「世の理は一つ、真摯に追い求めた結果同じ境地に辿り着いても不思議はない――」
 まあアンデッドとかに特効ありそうだし、これはこれでいいか。
 ケーキがスタンドよりは空手が波紋のほうがまだ自然だよね?そうだよね?
74名無しさんだよもん:2006/03/23(木) 21:23:52 ID:55RcWobD0
「レッドか、ちょうど今焼き上がったところだ」
 ブラックは何故か台所にいた。
「どうにもイメージが固まり切らなくてな、仕方がないから焼いてみた。
 これでなんとか新たなスタンドが呼び出せそうな発想が湧いてきた」
 なるほど、言われてみれば机の上に試作品らしきケーキが無数にある。
「良かったら食べていくか?一応焼いたケーキ自体は普通のケーキだ」
「はい、体を動かした後だから甘いものとか嬉しいですよ」
 適当に置いてあるケーキを手にとって……
「悪いが甘いケーキはない。ここを借りるのに家付き妖精たちに振舞った」
「じゃあ、このケーキは……?」
「カレーケーキに、食パンを参考にして生地のみで焼き上げたケーキ、それと……」
「え、遠慮しておきます」
 さすがに疲れたときに色物料理に挑戦する気にはなれないよ。

「グ、グリーン……」
「はい、何ですか?」
 グリーンは書庫で普通に医学書を読んでいるように見えた。
「いや、その、ちゃんと特訓してるかなって」
「そうですね……やっぱり覚えなきゃいけないことがまだ沢山あると感じました」
 グリーンは一見真面目っぽく応答する。
「レッドも随分頑張ったみたいですね、良かったら回復しましょうか?」
「あ、ああ……」
 グリーンが手を挙げると、体の中に暖かい光を流し込まれる。
「……あれ、普通だ」
「普通だって、別に医学書を読んだくらいで劇的には変わるわけないじゃないですか」
 ちょっと拗ねたような顔をされた。
「いやごめん、他の人たちが面白特訓だったから、つい……」
「面白特訓?」
「いや、こっちの話。とにかく皆手ごたえはあったみたいだよ」
 そうだ、大事なのは特訓そのものじゃない。それで結果が出たかどうかだ。
 その点ではどうやら全員成功といえるみたいだった。
75名無しさんだよもん:2006/03/23(木) 21:24:45 ID:55RcWobD0
 さて……これからどうしよう?

A 成果も確認出来たし今夜は休もう
B せっかくだから非戦闘員の人たちの様子も見に行こう
76名無しさんだよもん:2006/03/23(木) 21:25:51 ID:Zz6T04Oz0
77名無しさんだよもん:2006/03/23(木) 22:53:43 ID:NwZM1QvV0
 そうだ、せっかくだし非戦闘員の皆さんの様子を見に行こう。
 何せアヴァロンが戦場になったら迷惑かけるかもしれないし、
 それにこれから暫くお世話になるんだからしっかり挨拶もしないといけない。
 ……と、建前はそれぐらいにして、本音はカワイイ子たちともっとお近づきになりたいだけだったりする。
 いや、流石はアロウンさん。流石は大魔王。本当にカワイイ子をいっぱい取り揃えてる。
 さ〜て……どの子に声をかけようか?

A もちろんメイドさんの鑑でおしとやかなリムリスさんを
B 僕の中に眠るロリ&眼鏡フェチの血が騒ぐ
C 新たな出会いに期待しつつお店の方に行ってみよう!
78名無しさんだよもん:2006/03/23(木) 22:56:15 ID:qTl06NfC0
79名無しさんだよもん:2006/03/25(土) 06:43:07 ID:kH3E3ryQ0
「あら、雅史様、いかがなさいましたか?」
「リムリスさん、ちょうど良かった。リムリスさんとも話をしてみたかったんですよ」
「私とですか? そんなにお話できるほど大層なものではありませんが……
 あ、ですけど、なるべく年齢の話はもうよしていただけると」
ちょっと照れながら言う。いいなぁ。

「そうですね、お天気もいいですし、中庭にテーブルを出しましょう。
 さっき文吾様にいただいたケーキもありますし、香茶をお持ちいたします」
「力仕事ならやりますよ」
「いえ、そんな雅史様にやっていただかなくても」
「気にしないでください。その方が早くお茶にありつけるからです」
「そうですか? それでは申し訳ございませんがお願いします」
古城(っぽい基地)の中庭で木漏れ日を受けながらメイドさんとお茶。すばらしい。
なんて豪勢なシチュエイションだろう。現代日本とは思えない。その未来の光景を
思い浮かべながら、指示された馬鹿でかいテーブルを鼻歌を奏でながら持ち出した。

「……まぁ、だいたいこんなことになるんじゃないかと思ってたけど」
「うん、このパイはすばらしいな。店に出しても十分だ」
「ありがとうございます。本職の方にそういっていただけるととても嬉しいです」
「このケーキもうまいな。俺には名前が難しすぎて覚えきれないが」
「ゲバッケネトプフェントルテです、アロウン様」
「この香茶もすごくおいしい。疲れが取れるわ」
「うまいぞぉ!」
「タカツキ、ケーキこぼしてる」
「どうしたんですか、雅史さん。そんなに疲れた顔して。回復効かなかったですか?」
そんな感じで休憩がてらの全員ティータイムとなってしまった。
もちろんリムリスさんとの個人的な話なんかとても無理でした。
80名無しさんだよもん:2006/03/25(土) 06:44:49 ID:kH3E3ryQ0
A その夜、寝ていた僕に忍び寄る影があった。(アヴァロン内の人物指定)
B 翌日、懲りずにリムリスさんと話をしてみようとする僕だった。
C エルミンちゃんと話してみよう。
D アヴァロンの中に武器屋があるらしい。行ってみようか。
E 何日か後、僕らの個人技やコンビネーションは見事な成長を見せた。
F どうも成長に伸びがない。なにかいい方法はないだろうか?
81名無しさんだよもん:2006/03/25(土) 07:10:23 ID:+XCfFMdRO
C
82名無しさんだよもん:2006/03/25(土) 07:10:32 ID:ftJdcBTs0
D
83名無しさんだよもん:2006/03/25(土) 20:23:15 ID:kH3E3ryQ0
翌日。
引き続き特訓をした後に、休憩がてら僕は城内を散策していた。
昨日はリムリスさんとはあまり話ができなかったら、今日はエルミンちゃんと話をしてみたい。
そういうわけで探しているんだけど。
ああ、いたいた。せっせと窓の拭き掃除をしている。だけどその身長ではもちろん高いところは
届かないね。僕はそばに置いてあったもう一枚の雑巾を取って後ろに立ち、上から声をかけた。
「手伝うよ」
「あれ? マサシ?」

「そうかぁ、エルミンちゃんは本当にアロウンさんのことが好きなんだね」
掃除を手伝いながら聞いたエルミンちゃんの話は、アロウンさんのことばかりだった。
子どもの頃から(今でも子どもだと思うけど、まあ妖精だからきっと僕より年上だったりするんだろう)
アロウンさんの冒険譚などを読み、ここでアロウンさんと出会い、レクトールを倒すまで。
そして、それから今。数々の思い出やアロウンさんへの純粋な好意を僕に伝えてくれる。
こんな思いにはとてもかないそうにないね。

「うん! それに、エルミン、アロウンさまのだいいちふじんなんだよ」
「へえ、すごいねぇ。……第一夫人?」
「そう、およめさん」
「およめさん」
その言葉に僕は笑いそうになったけど、きっとエルミンちゃんは本気だし、必死でこらえた。
アロウンさんがそんなことを誓ったシーンが見たくもある。
きっと、カッコつけた気障な台詞で将来の約束とかをしたんだろうな。

「それでね、あの、みんなにはナイショだよ。けっこんしたその夜に本当のおよめさんにも
 してもらったの」
「……」
「おひめさまだっこ……わたしのへやで……ミルクつぼが……おしりをぺしぺしと……
 のぞかれちゃって……下から……おふろで……」
顔を赤くしながらとりつかれたように喋るエルミンちゃんの言うことは半分も
聞こえていない。僕はアロウンさんに心の底から敗北した。
84名無しさんだよもん:2006/03/25(土) 20:24:47 ID:kH3E3ryQ0
A 武器屋があるらしい。行ってみようか。
B 道具屋が開いているらしい。行ってみる。
C 何日か後、僕らの個人技やコンビネーションは見事な成長を見せた。
D 必殺技の練習をしてみよう。
E メンバーと話をしてみよう(セレクターズ[仮]メンバー 指定)
F 精霊が最低な手法を取ってきた。……人質だ。(セレクターズ[仮]メンバーの知人を指定)
85名無しさんだよもん:2006/03/25(土) 20:25:15 ID:JRaPJ17R0
C
86名無しさんだよもん:2006/03/25(土) 21:09:04 ID:+808cvJ30
 カキン!
「むっ………」
 模擬戦開始早々、虚をついたアロウンさんの攻撃は済んでのところでイエローの拳で止められていた。
 打岩によって磨きぬかれ波紋の力で強化されたイエローの拳はダマスカスの刃さえ容易に受け止める。
「はあぁーっはっはっはぁー!」
 すかさずブルーの攻撃。ブルーは投影でなにやらバズーカー砲のようなものを取り出す。
 アロウンさんは冷静に射線の外へと身をずらすのだが。
「何ぃぃっ!」
 バズーカ砲から射出されたのは捕獲用のネットだった。これは想定外だったのかアロウンさんも動きを封じられる。
「いけませんなこれは」
 オガムさんも援護の呪文を完成させこちらえ見舞う。すると。
「なんと!」
 それをブロックしたのはブラックが生み出したチョコレートケーキのスタンドだった。
 チョコレートケーキは火炎を受け止めると熱で溶け出しそのまま流れ出す。オガムさんの方へと。
「これはなんともはや……」
 溶け出したチョコはコールタールのように固まってオガムさんの動きを封じていた。
 そして身動きを失った二人に対し僕とイエローの拳が寸でのところでつきつけられる。
「見事だ。この短い間によくぞここまで成長したな。お前達」
 そう満足げにアロウンさんは微笑む。ようやくつかんだ模擬戦での勝利で僕は確信した。
 もう僕達は素人の寄せ集めなんかじゃない。戦うために完成されたチームなのだと。
 こうして僕達の特訓は十分な成果を導き出した。待ち受ける精霊たち。
 今なら胸を張って言える。必ず僕達がお前達の企みを阻止してやるのだと。
 そして修行明けの初日。僕達にあるニュースが飛び込んできた。その内容は


A 敵の前線基地に不穏な動きが見られる報が入る
B 平和な街を獣人軍が襲撃の知らせ
C ディーを名乗るものからの使者が現る (使者指定)
87名無しさんだよもん:2006/03/25(土) 21:17:45 ID:WBWwX9BgO
Bとか
88名無しさんだよもん:2006/03/25(土) 23:36:28 ID:D70QDtWh0
89名無しさんだよもん:2006/03/26(日) 03:15:24 ID:k6C0dHbN0
「たった今情報が入った…ここより北にある華音市で、獣人軍が凶悪な怪人を連れて攻撃を始めたそうだ!」
「本当ですか、アロウンさん!?」
 僕達5人が自分達の実力に充分な手応えを感じた矢先の出来事だった。
 何だかはやる気持ちが抑えられない…一刻も早く獣人達から町の平和を守りたいというのもあるけど、
 それとは別に、ここまでの修行の成果で僕達がどれだけの力を発揮できるようになったのか、
 これから激しくなるであろうまだ見ぬ強敵達とどれだけ渡り合う事ができるようになったのか…
 これまでの戦いでは感じなかったそんな気持ちが大きくなっているのがはっきりとわかる。
 もちろん、ヒーローとして人々の安全を守るのが最優先であることは忘れてはいないけどね。
 それに、これは僕にとって改めて覚悟を決めるための戦いでもある。
 敵とはいえ生きるために必死である獣人たちに対し、僕はあえて戦う事を誓ったんだ。
 お互い戦わずに済むならそれがいいけど、そうで無い限りは全力でぶつからなくちゃいけない…
 その覚悟が僕の中で本当にあるのか、それを確かめたいとも思っている。
90名無しさんだよもん:2006/03/26(日) 03:16:00 ID:k6C0dHbN0
「それで、敵の戦力は…?」
 文吾さんがたずねる。本当は僕が言おうと思ってたんだけど、先に言われちゃったな…
「現在確認されているのは、かなりの数の戦闘員と怪人が1人だ…
 だが戦闘員の数があまりにも多すぎて全体が把握しづらい、
 奴らに紛れて他にも怪人クラスがいる可能性もある」
「そこにいる怪人の情報は…?」
 町にいる怪人について僕が質問する。よかった…今度は台詞取られなかった。
「今ニュース速報で町の様子が流れている、それを見た方が早いだろう…」
 そういってアロウンさんはモニターの電源を入れる。
 そこには騒がしい華音市の様子が、画面いっぱいに広がっていた。
 町には戦闘員がわんさかたむろしている…というかぎゅうぎゅう詰めになっている、いくらなんでも多すぎだろうこれは。
 スピーカーからは住民の悲鳴などが度々聞こえるが、戦闘員が狭い道などに詰まって
 身動きが取れないせいか、今のところ大した混乱もないようだ。
 そして、怪人の姿がモニターに映し出された。それは…

A 「愚かなうーたちよ、るーの名の下に死ぬがいい」 謎の術師マリア登場!
B 「さぁ、恐怖の人形劇の始まりだ」 人形使いクニサキ見参!
C 「ィイルルファァァーー!! お前ら全員喰ってやルファー!!」 触手脚の機械生命体イルファイヤー現る!
D あれは…クーラ・サユリン!? なんで生きてるんだ!?
E あれは…リアン!? なんd(ry
91名無しさんだよもん:2006/03/26(日) 03:21:45 ID:URzfi0NOO
Cしかみえない!
92名無しさんだよもん:2006/03/26(日) 11:01:09 ID:zkARvfzaO
何があったイルファーーー!!w
93名無しさんだよもん:2006/03/26(日) 17:00:11 ID:iGKQLiC30
「ィイルルファァァーー!! お前ら全員喰ってやルファー!!」
それは言うなれば巨大な怪物だった。蛸のように伸びた触手が建物をなぎ倒し
 人々に絡みつき拘束し捕獲する。捕獲された人々は怪物の口の中へと次々と放りこまれていく。
 残忍な捕食行為にも見える人狩り。それが華音市では実行されていた。
「いっちゃん調子はどないやあ」
 ほんわかとした口調で怪物の頭の上にのった少女は話しかける。すると機械的な音声で返事が返る。
『はい。珊瑚様。この捕獲用実験機体イルファイヤーの調子は順調です』
 声を発するのはイルファイヤーの制御システムを担うメインブレインHMX-17α
 通称イルファである。触手の怪物を模したこの巨大メカはこのイルファによって制御される。
「なんというかきしょいでイルファ」
『ああ、そんなことをおっしゃらないで下さい瑠璃様。私だって好きでやっているわけじゃ』
「なんやあ。うちはかっこいいと思うんやけどな。」
「さんちゃん、悪いけどちょっと趣味悪いわ。今回だけは」
『失礼ながら私も同感です。あ、またサンプルを発見しました』
「GOやぁ。いっちゃん」
『……了解しました。ィイルルファァァーー!!喰うぞゴルァァァ!!イルルファァァーー!! 』
「………ようやるわ……ほんまに……」
94名無しさんだよもん:2006/03/26(日) 17:01:13 ID:iGKQLiC30
「なんてことだ!」
 衝撃の映像に思わず手を硬く握り締める。こうして見ているあいだにも次々に人が飲み込まれていく。
 罪のない一般市民を標的にして。
「急ごう!僕達の出番だ」
「「「「応!!!!」」」」
 突如現れた巨大触手メカ イルファイヤー
 危うし華音市 はたして雅史たちセレクターズ5(仮名)は間に合うのか。
 次回 こうご期待!!

 
 さて、移動手段を選択してください。

A 転送装置(調整済み)
B 戦隊の基本メカ五種セット
C 徒歩
D それ以外 (思いつくものを自由に)
95名無しさんだよもん:2006/03/26(日) 17:03:22 ID:Spye3tf4O
Dなぜか爆発を背後にして唐突に怪人の前に出現(ポーズを決めながら)
96名無しさんだよもん:2006/03/26(日) 20:44:37 ID:NibXo5Yp0
「ひぃぃぃぃ!助けてくれー!!」
「春原(仮)ぁぁぁ!?」
 また一人不幸な犠牲者をその体内に放り込むと
 イルファイヤーは新たな獲物を求めて触手を伸ばす。
『ィイルルファァァーー!! 』
「いっちゃんぎょうさん捕まえたなぁ、これなら怪人も戦闘員も作り放題やで」
『まだ内部容積には余裕がありますが……どうします?』
「それならせっかくやし、めいっぱい捕まえとこか」
「そんなことはさせないぞ!」
 高らかな叫び声が木霊し、騒乱の街が一瞬静まりかえった。
「誰やっ!?」
「レッド、マサシ!」
「ブルー、タカツキ!」
「イエロー、サカシタ!」
「ブラック、ブンゴ!」
「グリーン、エルルゥ!」
 めいめいが名乗りを上げるごとに、その内に秘めた正義への思いが噴出したかのように
 背後でパーソナルカラーに染まった煙を撒き散らしながら爆発が起こる。
97名無しさんだよもん:2006/03/26(日) 20:45:11 ID:NibXo5Yp0
「僕らの未来はみんなのものだ――悪の勝手で選ばせない!選択戦隊ッ!」
「「「「「セレクターズ!!」」」」」
 名乗りとポーズが揃った瞬間、背後でさらに大きな爆発が起きた。
「なんや、もうやってきたんか!?」
「当たり前だ、ピンチに颯爽と駆けつけるのが正義のヒーローってものだ!」
「理由になっとらんでえ」
「いくぞ、とおっ!」「はぁぁ!」「せいっ!」「ふんっ!」「えいっ!」
 ビルの上から順番に跳躍し、イルファイヤーの暴れる街真っ只中に降り立つ。
『セレクターズのクロスコンバットレンジ突入を確認しました』
「どないしよう、るりちゃん?」
「そうやなぁ……」

A とりあえず戦闘員の人海戦術で押し返しす
B サンプル回収はイルファに任せて2人で相手する
C イルファの性能を試すために戦わせて見る
D 触手でそこらの一般市民捕まえて人質にしよう
98名無しさんだよもん:2006/03/26(日) 20:46:23 ID:zkARvfzaO
C
99名無しさんだよもん:2006/03/26(日) 22:42:36 ID:GIfLgd7x0
「いっちゃん、ちょっと相手してみて」
「え〜、ウチら出ればええやん。さんちゃん」
 二人の女の子の内、瑠璃と呼ばれた一人の女の子がが不平を言ってるみたいだ。
「でもまぁええ機会やしテストみたいなもんや」
「お任せください珊瑚様、瑠璃様。優先事項は捕獲ですか? 殲滅ですか?」
「そうやな〜、とりあえずは殲滅を優先してほしいわ」
「了解しました」

 触手の一本がイルファイヤーの頭上に乗っている二人の少女を道に降ろし、
ずずぃっと僕達の前に進み出る。


「どうやらあの触手ロボが相手をするみたいだぞぉぉ!」
「相手にとって不足はないわ」
「俺のケーキがどれぐらい相手に通じるだろうか」
「僕達の新しい力を見せつけよう!」
「皆さん、怪我をしたら後ろに下がってくださいね」
 僕達五人は思い思いに構えて、目の前のバケモノを迎撃しようとする。


「目標補足、数5」
 生物と機械の混合怪物は駆動音を上げた。
「システム、捕獲モードから戦闘モードに移行」
 既に捕獲された何人もの一般人を収めたらしい腹が蠕動し、無数の触手がうねる。
「捕獲用実験機体イルファイヤー、前方の目標に対し殲滅行動を開始します!」


A ここはリーダーの僕が英霊召喚だ(英霊指定)。
B 高槻さんの投影魔術で何かを作り出そうとしている。
C 坂下さんが先陣を切って駆け出した。
D 巣鴨さんが新しいスタンドを出した。
E 油断した僕らをイルファイヤーがかぶりついてきた(人物指定)
100名無しさんだよもん:2006/03/26(日) 22:43:52 ID:Qd1LHm1k0
B
101名無しさんだよもん:2006/03/27(月) 02:41:25 ID:KWKq1HoA0
「みんな、敵が来るぞ!」
「おうっ!」
 僕の呼びかけにみんなが応える!
 僕達の気持ちが一つになっている事が、この声を通して伝わってくる…!
「俺に考えがある、まずは俺に任せてくれないか!?」
 ブルーは何か良い案があるようだ、とっさの提言だったけど、僕は彼を信じてみることにした。
「わかった!僕たちはブルーを援護しよう!」
 ブルーが投影魔術の姿勢に入ったのを見て、僕はすかさず他の3人に指示を出した。
 この投影はこれまでのものと比べ少しレベルの高いもののようだ、故に発動における隙も多少大きくなる。
 もし万一その間に攻撃されては形勢が崩れるため、投影の邪魔をさせないよう僕達がカバーする必要があると判断した。
 みんなもすぐに援護体制に入った。これらの行動がとっさにできたのは、やっぱり修行の成果の賜物だと思う。

『!…敵一名が何か仕掛けてくる模様、残りの者は援護体制とみられ…』
「いっちゃ〜ん、バトルに真剣になるのもええけど、自分のキャラ作りも忘れたらあかんよ〜」
「それと、危ななったら無理せんで帰ってき〜!もし大破とかなってさんちゃん悲しませたら怒るで!」
『え!?…あっ、はい了解しました…ィイルルファァァーー!! 我がチカラ見せてやるファー!』
 イルファイヤーは動き出すと共に、その辺にいた通行人を目にも止まらぬ触手で捕らえた!
「ちょっと、コレ何?ねぇ!?あっ…キャアアアア!」
 そのまま目の前の化け物の胃袋の中に放り込まれてしまった…とっさの事で助けられなかったのが悔しい…!
『ファァァ…コレがイルファイヤーのチカラファァァーー!!』

A 通行人を喰った途端、イルファイヤーにパワーがみなぎる!
B 通行人を喰った途端、イルファイヤーのキズがみるみる回復して…って元から無傷じゃん
C なんと、今喰われた人の能力をコピーした!
D なんと、今喰われた人そっくりに変身した!
E 喰った通行人をブルー目掛けて高速で吐き出した!
F 喰われた通行人は凶悪怪人として生まれ変わった!

必要なら喰われた通行人指定可(C・Dなら必須)
102名無しさんだよもん:2006/03/27(月) 02:42:53 ID:sX/gmYD00
E
103名無しさんだよもん:2006/03/27(月) 02:45:24 ID:5XaHuGpX0
E 春原芽衣
104名無しさんだよもん:2006/03/27(月) 02:47:05 ID:5XaHuGpX0
>>101
>>102より名前が判明してない通行人でお願い
105名無しさんだよもん:2006/03/27(月) 03:07:21 ID:6de58ria0
『ファァァァァ!!! 喰らいなさい!!!』
 さっき通行人を食べた大きな口が……再び開く?
 バシュッッッ!!!
「なっ?」
「あれは?」
「人間砲弾っ?!」
 キィィィィィィィィィン!!!
 イルファイヤーの口から飛ばされたのは……さっきの通行人だ!
 まるで空母のカタパルトから射出される戦闘機のような勢いで撃ち放たれた。
「嫌ぁぁぁぁ!!! 何? 何なのぉぉぉぉ?!!!」
 事情も分からない気の毒な通行人さんは弾丸にされて高槻さん目掛けて飛んでゆく。
 あれ……もしかしてあの子は春原芽衣ちゃん?
「投影終了だぁぁ!!! これが俺の新しい力……」
「高槻さん! 危ないっ!」
「へっ?」
 投影に集中していた高槻さんには気がつくのが遅すぎる!
 もう今からじゃ避けられない! このまま衝突する!


A 高槻の頭に見事命中!
B 間一髪、投影を終えた高槻の武器が弾丸を打ち落とす。(武器指定)
C 「危ないっ!」僕はとっさに高槻さんに飛びつき砲弾をかわした。
106名無しさんだよもん:2006/03/27(月) 03:13:12 ID:5XaHuGpX0
B 取りモチ弾…
107名無しさんだよもん:2006/03/27(月) 03:13:14 ID:1RlscI7v0
B RPG−7
108名無しさんだよもん:2006/03/27(月) 13:20:51 ID:Mc9FyVpK0
「特別性の弾頭だッ!!」
 ブルーが担いだランチャーから放たれた弾丸は空中で炸裂し、
 中から飛び出したトリモチが芽衣ちゃんを絡めとると、そのまま地面に落ちた。
「し、死ぬかと思った……」
「ヒーローが一般市民を傷付けるわけにもいかないからな」
「よし、いい判断だ、ブルー!」
「ああ、我ながら想像以上の出来栄えだ……
 白い粘液まみれで○学生がベットリねっちゃりともがく姿はなぁぁぁ!」
「そんな言い方されるなんて、これはこれで嫌ぁ!?」
 地面に転がる芽衣ちゃんが貼りついたトリモチに四苦八苦しながら叫ぶ。
 ……相手が女の子なのを見てトリモチ弾を選んだな、絶対。
「あかん、防がれたで」
「ほんまやなぁ、あれこっちに撃たれたらどないしよう」
『行動に大きな支障を来たすのは間違いありませんね』
 イルファイヤーはこちらの出方を伺うように動きを止める。
 僕たちは……

A このままトリモチ弾連射、全員動けなくするんだ!
B ブルーが牽制してるうちに○○が攻撃を!(ブルー以外から指定)
C 合体攻撃で一気にケリをつけるぞ!
D 反撃する前にイルファイヤーが追撃してきた!
109名無しさんだよもん:2006/03/27(月) 13:31:55 ID:FPhCSnWH0
B 黄と黒でかたっぱしから触手をたたき壊す
110名無しさんだよもん:2006/03/27(月) 14:52:39 ID:UTcmMNz10
そして黄が触手に絡め捕られていやらエロしいことに
111名無しさんだよもん:2006/03/27(月) 22:47:15 ID:+dG4/m5W0
「握撃!」
 イエローが触手の根元を持ったかと思うと、たちまちぶつりと切断され落ちた。
 続けて別の触手へと手を伸ばす。

「碁石クッキー」
 ブラックのスタンドから放たれたものが触手に向かう。
 それは、真っ黒く焼成された、クッキーらしきもの。
 円盤状のそれが立て続けに触手にぶつかり、ずたずたにしていく。
 なんて硬度なんだ。


「あかんでさんちゃん、触手がどんどんやられてる」
「いっちゃん、対応して」
『はい、珊瑚様、ですがなかなか早くて……』


 触手が2人を攻撃しようとするけれど、そのそばから、それをも的にして
 着実に触手を減らしていく。いいぞ、見事な攻撃だ!
 今までの敵を相手にしていた時とはまるで違う動き。アロウンさんたちとの特訓は
見事に実を結んだと言える。
 そうだ、こんな敵ごときに遅れを取っている場合じゃない!

A このままかたをつけるぞ! 合体攻撃!
B 英霊召喚! 戦闘特化を! (ヲタク達の挽歌 or うたわれ より召喚)
C みんなが引き付けてくれているうちにあの二人を攻撃に行こう!
D 触手につかまってしまった! (セレクターズより人物指定)
112名無しさんだよもん:2006/03/27(月) 22:52:41 ID:6Jonmw7QO
D緑
113名無しさんだよもん:2006/03/27(月) 23:59:02 ID:1RlscI7v0
「きゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「なっ、グリーンッ!」
 油断していた、あまりにも手痛い油断だった。
 イエローとブラックの優勢振りを見学していた時、突然後ろからグリーンの悲鳴が聞こえた。
 振り返ると、グリーンが何本もの触手に捕らえられてしまっていた!
「そんな何処から?……しまった! 地下か!」
 グリーンの足元の地面を見るとアスファルトにひびが入り触手達が生えてきていたのだ。
「えっ?」
「バカなっ?」
『油断しましたねファァァァァ!!!』
 バシィィィィン!
 バシィィィィン!
「がっ!」
「しまった!」
 イルファイヤーは後方の出来事に一瞬気を取られたイエローとブラックへ触手をしならせ、
 その場に叩き伏せてしまった。
 ゴゴゴゴッ!
 グリーンを捕まえた触手全体が地上に現れ、グリーンをイルファイヤー本体の元へ引き戻す。
「グリーィィンッ!」
 イルファイヤー本体の手元で更に触手に絡みつかれてしまうグリーン。
「レッド、私に構わず攻撃を……あああっ!」
「やっ、やめろぉぉぉ!!!」
 グリーンが口を開いた瞬間、触手が体中を這いずり回り締め上げだした。
 あれだけの触手じゃパワーのあるイエローでも脱出は難しいだろう。まして回復専門のグリーンじゃ……

「二人と戦う触手とあのやりとりは囮で、これが狙いだったのか……」
 僕は苦々しくつぶやいた。
『まぁそういう事です、お二人の強さは予想外でしたが』
「さすがやなぁ、ウチてっきりピンチかと思うたで」
「さんちゃん騙すなんてアカンやんかぁ」
『申し訳ありません瑠璃様、珊瑚様。これも戦術の内なのです』
114名無しさんだよもん:2006/03/28(火) 00:00:10 ID:9ujhnlkG0
「レッド、どうするんだぁぁ!!?」
 形勢逆転、グリーンを人質に取られて手が出せない。
 どうしよう、こんな時はどうすればいいんだ。
 早くしないとグリーンが締め上げられてやられてしまう。


A なんとか事態を打開できそうな英霊を召喚する(うたわれ、オタ挽歌から)
B 「駄目だぁぁ! 自制など効かないぃ!」高槻さんが触手に捕らえられたエルルゥさんでオナニーを始めた
C 僕たちが迷っている間にイルファイヤーがエルルゥをパクッと食べてしまった
115名無しさんだよもん:2006/03/28(火) 00:01:22 ID:3Kggd+1v0
「せいやぁっ!!」
「とぉっ!」
 ブルーの援護を受けたイエローとブラックの波状攻撃は順調に敵メカの触手を削る。
 凄いや。この分だと英霊召喚しなくてもかたをつけられそうだぞ。みんな成長したな。
 みんなが奮戦するなか僕は一人ごちる。……って僕はちっとも活躍してないな。やばいかも。
「きゃぁっ!!」
「えっ!?」
 突如響く悲鳴。慌てて振り向くすると
「グリーン!!」
 なんとイエローたちの猛攻からなんとか逃れていた一本の触手がグリーンの身体に巻きついていた。
 ギリギリとグリーンの体を締め付ける。ふいに思い出す。特訓のときのアロウンさんからのアドバイスを。

『まず第一に後衛のガード。とりわけ回復役のグリーンは真っ先に狙われる。そのフォローができていない』

 しまったぁあああああ!!すっかり忘れてた。っていうか今、フォローするべきだったのって僕だよね。
 うう、リーダーともあろう僕だけなんというポカを……
 今は悔やんでいても仕方ない。他のみんなもそれぞれ自分で手一杯だ。ここは僕がなんとかしないと。

A 脚力を生かして華麗に救出を試みる
B 剣技に長けた英霊(ヲタク達の挽歌 or うたわれ より)を召喚して触手を切断させる
C 考えてるうちになにやら触手がグリーンの身体を弄びはじめた
D 考えてるうちにパクンチョとグリーンはイルファイヤーに食べられた
  
116名無しさんだよもん:2006/03/28(火) 00:02:45 ID:3Kggd+1v0
書き負けorz
選択は保留
117名無しさんだよもん:2006/03/28(火) 00:03:39 ID:XNxweF9E0
CCCCCCCCC
118名無しさんだよもん:2006/03/28(火) 00:34:31 ID:KzEYB0v20
 どうしようか、早くしないとグリーンが……
 僕が迷っている間に、イルファイヤーは次の行動をとってしまった。


 パクッ


  〃  ̄ ̄ ̄ ̄ヽ
 /          ヽ
|  ●     ● |  ←イルファイヤー
 |   ノヽ====, /
  、..  ((.|_|_|_|_|)
   \  ( 。A゚ ) ←エルルゥ
    |  し  J
    |   |   |
   / 〃し ⌒J\
  (  (      )  )
  /  )      (  \
 (_/       \_)

「えっ……?」
 目の前の光景が……僕には信じられなかった。
 イルファイヤーは……触手で捕らえたエルルゥの……頭上半分を食べたのだ、パクッと。
「あ、ああ……」
「何だとぉぉぉぉ!!!」
「こ、こんな……」
 僕も、他の三人も次の声が出せない。
「戦闘モードにより、敵の殲滅とエネルギー補給を開始します」

 バリッ
 ムシャッ
 グシャッ
119名無しさんだよもん:2006/03/28(火) 00:35:40 ID:KzEYB0v20
 ムシャッ

 捕獲用ではない、相手を「喰う」為の鋭い歯と顎がエルルゥの頭を、胴体を食べ尽くす。
 肉と骨が砕ける音が、嫌でも僕たちに残酷な現実を教えた。

 グチュ、グチュギュチュギュツグチュギュチュグギュギュギュグギュ

「そんなバカな……」
「触手が……」
 更に不気味な音を立て、さっきイエローとグリーンが切ったはずの触手が生える。
『さすが戦隊の皆さんのエネルギーは格別ですね、もう触手が生えてきました』

 僕はどこかで甘く考えていたのかもしれない。
 僕達がリアンを殺したように、敵だって容赦なく僕達を殺してくる。
 そんな単純で残酷な事実から目をそらせて、どこかヒーローごっこをしていたんじゃないか?
 そしてその甘さが……エルルゥを……
 エルルゥを……死なせてしまった……
「いっちゃん……それはちょっとやりすぎちゃうんかな……」
 何故か敵も引いていて、隣の女の子は気分を悪くしたのかその場にうずくまっている。

「ど、どうするのよ? レッド!? リーダーなんでしょ?! どうするのよ!」
 あまりの衝撃にその場を動けない僕たち、イエローが必死に僕を頼ってくる。
 畜生! どうすればいいんだよ!


A 「と、とにかく撤退だ、逃げよう!」
B 「え、英霊召喚だ!(うたわれ・オタ挽歌から指定)
C ショックを受ける僕達をまた一人触手が捕まえてしまった(人物指定)
D 「おのれぇぇぇぇ! グリーンの仇だぁ!」ブルーが武器を構える(武器指定)
120名無しさんだよもん:2006/03/28(火) 00:36:34 ID:5j60rE17O
Bで宗一。
理解者なんとかしろ!
121名無しさんだよもん:2006/03/28(火) 00:36:36 ID:3Kggd+1v0
「うっ……くぅぅ……あっ……」
 ギリギリと触手はグリーンの身体を締め付ける。細身で小柄なグリーンの体に縄のように触手が食い込む姿は
 なにやらよからぬ妄想を掻きたてられないでもない。
 だがそんなことを考えてる場合じゃない。
「くそっ!グリーン!今助ける!」
 サッカーで培ったダッシュで僕は駆け出す。しかしコンマ数秒の遅れが命取りだった。
 食虫植物のように捉えた獲物をパクリとイルファイヤーは捕食する。
 しまった。回復役のグリーンをまっさきに捉えられてしまった。
 これは不味い。なんとかしないと。


「くぅ……ぅ………」
 イルファイヤーの体内。触手に巻き付かれたままのグリーンは低く呻く。
 見やればそこにはイルファイヤーによって捕獲された人々がすし詰めにされていた。
(私……つかまって……いけない……みんなが……)
 何とか脱出しようにも食い込む触手を非力なグリーンの身ではどうしようもできない。
 もがけばもがくほどに触手は身に食い込む。自力での脱出は到底無理。
(ごめんなさい……みんな……)
 足を引っ張る形となったことをグリーンは恥じる。そんな最中、外では激戦が続く。
122名無しさんだよもん:2006/03/28(火) 00:37:23 ID:3Kggd+1v0
また書き負け……orz
リロードしような俺……
123名無しさんだよもん:2006/03/28(火) 01:44:38 ID:3Kggd+1v0
「え、英霊召喚だ!」
 上ずる声で僕は叫ぶ。正直このときの僕はあまりのショックで何も考えられなくなっていた。
 ただ目の前のこの惨劇。そしてリアルに迫り来る死の恐怖。それから逃れることに夢中で。
「エ……エロ○ムエッサイム! エロイ○エッサイム! 我は求め訴えたり!」
 ただ闇雲に召喚した。誰でもいい。この現状を誰かがどうにかしてくれるのならと。
「えらく、荒っぽい召喚だな。俺は宗一。人は俺をナスティボーイと……うぉぉっと!」
 登場した英霊が自己紹介する間もなく触手が通り抜ける。身をよじって宗一はかわす。
 僕はただ彼に縋った。
「そんなのいいから!早くっ!早くアイツを!!」
 そうパニくってイルファイヤーを指差す。イルファイヤーは恐怖と絶望に打ちひしがれた僕達に
 追い討ちをかけようと襲い掛かる。メンバーは皆それぞれに奮闘しているがその表情はどれも引きつっている。
 仲間を目の前で惨殺されたことにより僕達はみな怯んでいた。震えていた。ただ救われたかった。
 今も迫り来る死の危険から。
「呼び出されて早々にこれかっ!。ちぃい!!」
 宗一のありったけの銃火器による応戦が竦む僕達の命をかろうじて繋いでいた。
 必死だった。生き延びるのに。そして僕達は……

A 無様に命からがら逃走した
B エルルゥを失った悲しみを乗り越え奮起した
C そこへアロウンさんたちの遅すぎた救援が駆けつけた
124名無しさんだよもん:2006/03/28(火) 01:46:36 ID:RiiCxYyc0
デジャヴを感じるがCだ!
125名無しさんだよもん:2006/03/28(火) 01:46:56 ID:DTS8a+Fy0
126名無しさんだよもん:2006/03/28(火) 05:43:22 ID:QZhpxbw30
 時は少し遡る。
 エルルゥがイルファイヤーに喰われる十数分前。
 アヴァロンではアロウンが不安げな表情で佇んでいた。

「どうされましたアロウン様?」
「オガム…か、どうも胸騒ぎする」
「彼らのことですか? 大丈夫ですよ。特訓の成果は完璧です」
「だからこそ、だ。彼らは己の力を過信している。
 そこに足元を掬われるかもしれない……オガム、様子を見てくる」
「しかし…ここから華音市まではかなり距離がありますな……」
 オガムの言うとおりだった。
 いくらアロウンとて一瞬で移動できる距離ではない。

「あの……アロウン様、地下格納庫のあれを使ってはどうでしょうか?」
 アロウンとオガムの前に現れる女性――リムリス。
「あれ? あれとは何だ」
「覚えておられませんか? 以前、行商人に売りつけられた戦闘機です」
 そう言われてみれば昔、チキナロと名乗る怪しげな行商人から購入したことがある。
「飛べるのか?」
「はい、もしもの時のために常に整備しております」
「だが、俺は操縦できないぞ」
「心配には及びません、私が操縦します。アロウン様に仕える者として当然の嗜みですから」
「そ、そうなのか……」

 リムリスに案内され、アロウンは地下格納庫にやってくる。
 そこには一機の戦闘機が鎮座している。垂直尾翼のリボンの様なエンブレムが特徴的な機体だ。
「これならあっと言うまにたどり着けますよ」
「ああ…頼む」
「では行きます!」


127名無しさんだよもん:2006/03/28(火) 05:44:22 ID:QZhpxbw30
「あと少しで華音市上空です」
「そうか…しかしこの操縦をどこで?」
「一時期バイトで少々」
「どんなバイトなんだ…」
「リボン付きと呼ばれて、その筋では少しだけ有名人だったりします」
「…………」

 悲劇の訪れはいつだって唐突だ。
 アロウンの予感は的中する。
「アロウン様……」
「どうした!」
「――グリーンの生命反応……消失…そして標的を肉眼で確認」
「な……に……?」
「現在、残る四人とレッドが召喚した英霊が交戦中」
 感情を押し殺した声で淡々と状況を語るリムリス。
「わかった……リムリス、援護を頼む」
「はい、敵目標に反応弾を発射します。その隙に彼らを……」


「畜生! このままじゃ真剣やべえ! クソッ弾切れかッ! 次ッ」
 宗一は銃火器を乱射しながらかろうじて迎撃する。
 だが宗一の弾薬も底を尽きかけていた。
「もういい加減あきらめたらええのにな…」
「ほんまやな…」
『!! 南の方角よりミサイル接近! 距離1000! これは――反応弾です!』
「なんでやっ今までそんなものなかったで!」
『ステルス戦闘機からの攻撃と思われます』
「いっちゃん迎撃や!」
『間に合いません!』
「なら全エネルギーを防御に集中!」
『重力バリア展開!』
128名無しさんだよもん:2006/03/28(火) 05:45:07 ID:QZhpxbw30

 突然イルファイヤーの攻撃が止む。
「おい、レッドあれを見ろ!」
 ブルーが指差す方向…南の空から飛来するミサイル。
「みんな伏せろーーーーっっ!」
 ミサイルはイルファイヤーに命中すると凄まじい閃光と爆発を放つ。

「皆! 大丈夫か」
 聞き覚えのある声……
 それはアロウンさんの遅すぎる救援だった。

A アロウンさん達の援護でイルファイヤーを迎え撃つ
B アロウンさん達の援護で撤退する
129名無しさんだよもん:2006/03/28(火) 06:46:29 ID:ktaxgcy50
A
130名無しさんだよもん:2006/03/28(火) 06:47:28 ID:DTS8a+Fy0
B
131名無しさんだよもん:2006/03/28(火) 10:50:15 ID:1NABP2/Y0
「無事か!お前達!」
 グリーンを失い意気消沈する僕達の前に駆けつけてくれたアロウンさん。
 でも遅かった。グリーンは……エルルゥはもう……
「アロウンさん……グリーンが……エルルゥが……」
 情けない顔で虚ろに言う。アロウンさんは苦虫を噛み潰した表情で僕に視線を合わせる。
 硬く握り締められたその拳からは赤いものが滴っていた。
「ああ、知っている。すまん。もう少し早く来れれば……だが今は悔やんでいる暇などない。見ろ!」
 そう促す方向にはミサイル攻撃を受けてもなおそびえたつイルファイヤーの禍々しい姿があった。

『本体損傷率17.45% バリア使用効率は30%低下です。戦闘続行は可能ですがどうなさいますか』
「あっちももうボロボロやし一気に片つけたらいいんとちゃう?」
「いったれやぁ〜いっちゃん」
『了解しました。戦闘続行します。標的はセレクターズ残り4名。堕天使ルキフェル。ステルス戦闘機一機。殲滅モードに移行します』

 嫌な機械音を立てながらイルファイヤーは完全武装形態を表す。無数の触手に加え大小の銃火器がそのボディから顔を出し
 僕達に狙いをつける。危機は未だに続いている。
「アレをどうにかせんことには生き残る術がない。とにかく今は自分達が生き残ることを考えろ!感傷は後だ!」
 そうアロウンさんは僕らに一喝する。みんな本当は分かっている。今はそうするしかないことを。
 分かってはいても仲間の死という現実が僕達を打ちのめしていたのだ。でも今はそれを引き摺っている場合じゃない。
 やるしかないんだ!そしてとらなくちゃ。エルルゥの仇を。僕達は向き直る。いまだ動揺は隠せない。
 それでも対するしかない。目の前の強大なる敵に。
132名無しさんだよもん:2006/03/28(火) 10:51:27 ID:1NABP2/Y0

 グリーンを失ってしまったセレクターズ!立ちはだかる強敵イルファイヤー。
 果たして彼らに活路はあるのだろうか!次回 こうご期待

 さて次に動くのは

A 機体の損傷を治すべく捕食を開始するイルファイヤー
B この機に一気にたたみ掛けようと自らうってでる 珊瑚と瑠璃
C 戦闘機で射撃をしかける リムリス
D 投影で火器を補充し銃撃を再開する 宗一とブルー
E 触手を掻い潜り突撃を敢行するイエローとブラック
F 仲間を鼓舞すべく率先して攻撃をしかける レッドとアロウン
133名無しさんだよもん:2006/03/28(火) 11:00:33 ID:FrzOyNd90
A
134名無しさんだよもん:2006/03/28(火) 13:26:37 ID:lLp+Pq/Z0
『向こうはかなりダメージを受けている筈、ですが一気に畳み掛けるにはこちらも消耗が大きすぎました…
 ここは早急に回復し体勢を整えて、確実に相手とのリードを取るのが良策ですね』
 イルファイヤーの止まっていた触手が再び動き出す。目に見えるものを手当たり次第に捕まえる勢いだ。
「まさか、エネルギーを補給して回復する気か!?」
 ブラックが奴の狙いに気づいたようだ。もしそうならこのまま長引くとこちらがかなり不利になる、
 一気に決着をつけないと!でも今のままじゃ決定打を決められる要素が見当たらない…

 その頃…先程トリモチまみれになったまま放置されていた芽衣ちゃんは、この戦況をただ見つめていた…
 この戦いを見て何を思っているのか、傍目からその表情をうかがい知る事はできなかった。
 芽衣ちゃんの目の前の足元には、ついさっき無念にも喰われたエルルゥ…グリーンの腕輪が転がっていた。
 それに気づき見つめる芽衣ちゃん、そして…

A腕輪に触れると、芽衣ちゃんの心にエルルゥが語りかけてきた。
B芽衣ちゃんはそのまま腕輪を持ってどこかへ行ってしまった!
Cイルファイヤーの触手が芽衣ちゃんを襲う!
D芽衣ちゃんは腕輪を装備し「変身!」…!?
E芽衣ちゃんは不思議な力を使いヒーローに加勢!(不思議な力指定可)
F芽衣ちゃんは不思議な力を使いイルファイヤーに加勢!(不思議な力指定可)
135名無しさんだよもん:2006/03/28(火) 13:32:14 ID:5j60rE17O
A
136名無しさんだよもん:2006/03/28(火) 18:01:39 ID:gNd6ESQf0
(芽衣さん)
(え、誰……)
(私です。芽衣さん)
(エ、エルルゥさん!? あ、あの緑のがエルルゥさんだったんですかっ!?)
(そうです)
(そ、そんな……エルルゥさん、エルルゥさぁん!)
(ありがとうございます。私のために泣いてくれて。
 でも、落ち着いてください。時間がありません)
(えぐっ、えぐっ……)
(芽衣さん、簡潔に言います。私の替わりにグリーンになってください)
(えぐ、えっ……)
(芽衣さんならグリーンの適格者であることが、今の私にはわかります)
(そ、そんな!?)
(お願いします、芽衣さん。改造手術を受ける前でよかった。
 あなたの身体能力なら、きっと彼らの助けになります)
(彼らって、誰ですか!)
(もちろん、雅史さんたち、セレクターズのみんなです)
(あんなやつらを手伝うなんてできませんっ!
 だって、だってあいつはリアンさんを殺したんですよっ!)
137名無しさんだよもん:2006/03/28(火) 18:03:29 ID:gNd6ESQf0
(ヌワンギラスさんが塵の中に隠して耳のかけらだけを持って帰ってきてくれてっ!
 おまえはリアンと仲が良かったからなって……
 そんな、そんな奴等と一緒に戦えって言うんですかっ、エルルゥさん!)
(……)
(エルルゥさん、エルルゥさんだって、リアンさんとは基地で知り合いだったじゃないですかっ。
 どうしてあんなやつらと一緒にいたんですか。その上、仲間になんて殺されて……)
(私は、精霊の元から離れて、精霊を倒すために彼らを手伝うことにしたんです)
(精霊を! あの精霊を倒す…… だ、だって、彼らの依り代は!)
(そう、私のおばあちゃん)
(おかしいですよっ! どうしておばあちゃんまで殺して、精霊を倒そうとするんですか)
(芽衣さん。もう時間がありません。それは、これからあなたが見つけ出してください。
 でも最後に。死が死を呼ぶのはみな同じです。
 レッド……雅史さんもリアンさんを殺して悩んだそうです。
 人間も、獣人も、戦闘員だって、怪人だって、私だって、殺されるために生きている
 わけじゃありません。精霊を倒してください。それが私の望みです。
 雅史さんがリアンさんを殺した悪業、あの敵が私を殺した悪業は私が地獄へ持って行きます。
 そして、おばあちゃんをみんなが殺した時の悪業も。
 芽衣さん、お願いします。
 地獄へ来る人が少しでも少ないことを祈っています)
(エルルゥさん、エルルゥさん! 待って、待って!)
(……)
 
A ……わかりました。エルルゥさん。
B ……私にはできません。
138名無しさんだよもん:2006/03/28(火) 18:04:53 ID:2SWnZLYiO
もう一押しB
139名無しさんだよもん:2006/03/28(火) 20:15:38 ID:gNd6ESQf0
(……私にはできません。今まで仲間だった皆を倒すなんて)
(……)
(エルルゥさん、ごめんなさい)
(待ってくれ、私からもお願いしたい)
(だ、誰? エルルゥさんじゃない!)
(私はディーと言う者だ。十精霊の一人だ)
(ディー? 嘘を付かないでください。そんな名前聞いたことありません)
(理由あって今は実名を伝えられないことを許して欲しい。だが本当なんだ)
(そのディーがなんの用ですか)
(私がエルルゥに頼み、彼らの元へ走ってもらったのだ。こんなことになって彼女には申し訳ないが)
(あなたが……! 十精霊の一人なら、あなたが戦えばいいじゃない!)
(今はそれができない。不甲斐ないと思うだろうが、すまない)
(……)


(精霊がしてきたことは今話したとおりだ。人類が滅ぼされたとして、
 次に獣人が滅ぼされないとどうしていえよう。すでに過去になんども
 繰り返されてきたことだ。完璧な生物など存在しないし、完璧であるならば
 それは神だ。そんなくだらない理由でのこれ以上の悲劇は止めなくてはならない。
 愚かな人間や獣人は、精霊から離れても争いをくりかえすだろう。
 それは自分たちで選んだことだ。それによって滅ぶことこそ正しい滅亡だ。
 レクトールが倒れ、ルキフェルと私が離れた今ならバランスが崩せるかもしれない。
 獣人と次の世代を白の精霊のゲームの駒にしないために、今の人類と獣人を滅亡から防ぐために。
 私が言えた義理ではないが。エルルゥの願いどおり、戦って欲しい)
(……その途中で)
(なに?)
(精霊を倒すその途中で、ヌワンギラスさんを殺し、トゥスクルさんを殺し、私にも
 死ねというんですか)
(そうだ。死んでくれ。彼らの屍の上で、死んでほしい)

A わかりました。私も地獄へ落ちます。
B 私にヌワンギラスさん達を殺すことはできません。他の人を探してください。
140名無しさんだよもん:2006/03/28(火) 20:19:25 ID:igX1euGN0
B
言うことが都合よすぎ
141名無しさんだよもん:2006/03/28(火) 20:37:17 ID:8JowDPm30
595  名前を選択して下さい  2006/03/28(Tue) 20:34

つーか話し進めろよ。
アフォみたいに抵抗するなよ。また荒しか?
142名無しさんだよもん:2006/03/28(火) 21:11:30 ID:gNd6ESQf0
戦いの最中、グリーンの腕輪に近づくと、そこにはすでに芽衣ちゃんの姿はなかった。
彼女は逃げてくれたらしい。良かった。眼前に伸びてくる触手を避けながら腕輪を拾う。
すでに人の温もりなど残っていないそれをもう一方の腕に付けておく。

戦況は膠着状態だ。いや、こちらが押されているだろう。
回復をしながら攻撃を続けられる相手とでは長期戦で勝負になるわけがない。
乱戦となった今では戦闘機からの攻撃も小規模にならざるを得ない。
4人となった今では必殺技もロボも使用できない。
いかにアロウンさんが強くとも、これを倒すのに今必要なのは大規模な火力だ。
それが今僕らにはない。
ないない尽くしだ。

「なんやたいしたことあらへんかったなぁ。もうちょいやで」
「さすがはさんちゃんや〜」
『ああん、瑠璃様、私も褒めてください』

「雅史」
「アロウンさん」
「方針を決めろ。これ以上は誰かがやられる」
またという言葉をアロウンさんが使わなかったのは弱さだっただろうか。

A 戦闘機を突撃させる。
B 撤退だ。僕がしんがりになる。
C グリーンの腕輪からかすかに力が流れ込んでくる。
  英霊召喚。最大能力だ! (オタ挽歌 or Routes Aクラスまで可)
D 敵の銃弾が僕の脚を打ち抜いた。
E 触手に仲間が捕らえられた(セレクターズ、アロウンより指定)
143名無しさんだよもん:2006/03/28(火) 21:14:55 ID:5j60rE17O
A
144名無しさんだよもん:2006/03/28(火) 21:15:02 ID:Sbfoq5fl0
E
145名無しさんだよもん:2006/03/29(水) 02:28:59 ID:pvHGFUhF0
「アロウンさん……戦闘機を突撃させてくれませんか?」
 イルファイヤーに聞かれないように小声でアロウンさんにお願いする。
 僕は怖かった、怖くて怖くて仕方がなかった。
 僕達が攻撃を仕掛けてもし失敗したらまた捕まって……
 それを想像すると自分達の技を仕掛けることができなかった。
 情けない話だと思う、ヒーロー失格だと思う。
 だけど、どうしようもなく恐ろしくて泣き出しそうでどうしようもなかった。
「結構高かったんだぞ、あの戦闘機」
「……すいません」
「仕方がないか……リムリス、皆、聞いてくれ」

 アロウンさんがブレスレットを通してセレクターズ(仮)の皆と空中のリムリスさんに作戦を伝える。
 まずセレクターズ(仮)が15秒戦いながら離脱しやすいポジションに移動し、次に15秒でその場を全力で離れる。
 戦闘機の方は15秒で体勢を整えて、離脱が始まったら装備を全弾発射しながら突撃し、そのまま特攻する。
 リムリスさんには突撃直前にパラシュートで脱出してもらう手筈だ。


「……分かったわ」
「了解だ」
「15秒だなぁ!」
「皆さん、しっかり距離を取って下さい」

 全員に連絡が行き渡り、攻撃を開始する。
 触手をかわしながら微妙に距離をとり、逃げやすい位置へ動く。
 5秒、大丈夫、多分気付かれていない。
 10秒、戦闘機の方が気になるけど自然に戦うフリをしないと。
 15秒……今だ!
「みんな、離れて!」
146名無しさんだよもん:2006/03/29(水) 02:29:38 ID:pvHGFUhF0
 僕の声を合図に一気に皆は場を離れだす。
「なんやなんや?」
「おかしいなぁ……って戦闘機や! 突撃してくるで!」
 同時にリムリスさんが装備されたミサイル・機銃を撒き散らしながら特攻を仕掛けた!

「喰らいなさい! エルルゥさんの仇です!」

『なっ……そうそう来ましたか!』

 イルファイヤーは触手とバリアで戦闘機の攻撃を防ごうとする。
 だけど戦闘機本体の突撃までは防ぎきれないはずだ!

 ガガガガガガガガガッ!!!
 ズガァァァァァァン!!!

「……やったか?」
 耳をつんざぬくような爆音の後には、土煙が立ち込めていた。
 それが晴れた時、攻撃の後にあったのは……


A かなりのダメージを受けてボロボロのイルファイヤー
B 触手を全て失ったイルファイヤー
C なんと触手で戦闘機を受け止めていたイルファイヤー
D むしろ戦闘機すら食べてしまっているイルファイヤー
147名無しさんだよもん:2006/03/29(水) 02:31:14 ID:PHPH98VC0
A そろそろ合体ロボを期待したり
148名無しさんだよもん:2006/03/29(水) 02:45:48 ID:v5NFQBYWO
>>147
キミのIDに乾杯☆
149名無しさんだよもん:2006/03/29(水) 06:16:57 ID:TNa487M00
『本体損傷率69.0%…ここまでやられるとは』
 そこには、戦闘機の特攻により大きく負傷したイルファイヤーがいた。
 アロウンさんが結構高かったというだけあって、あの戦闘機の威力は伊達じゃなかったようだ。
 突撃する直前、戦闘機の機体から何かが飛び出たように見えた…リムリスさんが寸前にうまく脱出したのだろう。
「いっちゃあぁぁん、死んじゃあかんよぉ〜」
「あ〜もう泣いたらあかんよさんちゃん、いざとなったらイルファのICチップだけ離脱させてまた作ればええやん」
「あのボディウチのお気に入りやもん、いっちゃん死ぬのも嫌やけど、イルファイヤーが壊れるんも嫌やー!」
 かなりのダメージを受けたイルファイヤーは今まで以上に触手を動かして回復に専念しようとするが、
 その動きに今までの機敏さは無く、回復のペースは目に見えて鈍っている。

「雅史、ここからはお前達の仕事だ」
「は、はい…!」
 確かに、アロウンさんばかりに頼ってるわけにはいかない…ヒーローとして、あのイルファイヤーにとどめを刺さないと…
 だけど…さっきも言ったように、メンバーの欠けた今の僕達には、決定打を放つ力が残されていない。
 合体ロボも必殺技も使えない…そうでなくても、4人では本領が発揮できない。
 そんなヒーローの宿命を僕はここまで呪った事があっただろうか…。
 アロウンさんも、口ではああ言ってた手前、実際どうしたらいいか困っているのか、ただ黙って戦況を見ていた…。
150名無しさんだよもん:2006/03/29(水) 06:17:39 ID:TNa487M00
 こんな時、エルルゥが生きていれば…
 一番最後の仲間だったし、今まで大した活躍も無かったけど、それでも…僕達にとっては大切な仲間だった。
 奇跡でもいい…もしエルルゥが、一度でいいからこの戦場に戻って来てくれれば…すぐにでもあの目の前の敵を倒せるのに…

 「どうするんだレッドぉぉ!一気に攻めないのかぁぁ!?」
 ブルー…そうだ、弱気になってどうするんだ僕!
 エルルゥの他にも、大切な仲間達はまだここにいるじゃないか!
 彼らの為にも、僕は立ち上がらなくちゃ…でも…

 その時、夕日の向こう(そういえばもう夕方なのか)から人影がこっちに向かって来るのが見えた。あれは一体…?


A あそこにいるのは芽衣ちゃん!逃げたんじゃなかったのか!?
B 夢か幻か…確かにエルルゥの姿がそこにあった。
C あれはヌワンギラス!ここに来て増援か…?
D 「君達、僕が来たからにはもう安心だ!」 謎のヒーロー・ヨーヘイダー参上!
151名無しさんだよもん:2006/03/29(水) 06:18:57 ID:GGUSIy8h0
A
152名無しさんだよもん:2006/03/29(水) 14:53:08 ID:v5NFQBYWO
(あそこにいるのは芽衣ちゃん!逃げたんじゃなかったのか!?)
 いや、それどころか芽衣ちゃんは夕陽を背負いながら、少しずつこちらへ向かってきている。
 息を切らしながらの必死の形相。端から見れば何かの青春ドラマかと勘違いしてしまいそうな程だ。

「何しに来たの! 一般人は下がってな──」
「佐藤さん!!」
 イエローの避難勧告の一喝を、それ以上に大きい声で遮って、芽衣ちゃんが僕の名前を呼んだ。
「な、なに?」
 突然の事態に、ちょっとどもりながら僕は返事をする。
「…エルルゥさんの腕輪を貸してください」
「えっ!?」
「早く貸してください! 私もグリーンの適格者です!」
「えぇぇっ!!?」
 芽衣ちゃんのその発言に、僕のみならず、アロウンさんを含めたメンバー全員が驚きの表情を見せた。
「参ったぁ! まさか俺達と一緒に戦う気な──」
「勘違いしないでください! …私はあの中に居る兄を助けたいだけです」
「春原君を?」
 みんなの思いを代弁したブルーの言葉を、芽衣ちゃんが再び遮ってそう言った。
 そう言えば僕達がここに到着する寸前、春原と呼ばれた民間人がイルファイヤーに呑み込まれていた。
 あの時は目の前の敵を止める事で頭が一杯だったけど、それを思い出せば芽衣ちゃんがこの場に居たのも解る。
153名無しさんだよもん:2006/03/29(水) 14:54:17 ID:v5NFQBYWO
「そうです! だから早く!」
「わ、判った!」
 急かされた僕は慌てて、グリーンの腕輪を芽衣ちゃんに渡した。
 彼女はその腕輪を右腕に填めると、それを天高く掲げ、叫んだ。

「グリーンメイ、チェーーーンジ・アップ!!」

 瞬間、優しい緑色の光の輪が幾つも現れ、芽衣ちゃんの全身を包み込むように覆っていった。
 暫くすると芽衣ちゃんを完全に光の輪が覆い隠し、彼女の様子が伺い知れなくなった。
「…新たなグリーンの誕生だ」
 そうアロウンさんが呟きを漏らすと、直後、繭のようになった光の輪がさらさらと崩れてゆき……

「選択戦隊セレクターズ(仮)、グリーン、メイ! お兄ちゃんの為に只今参上!!」

 新たなグリーンが僕達の前に姿を現した。


A よし、早速合体技だ!
  「みんな僕に合わせてくれ!」
B よし、早速ロボを召喚だ!
  「セレクターズ(仮)ロボ、カァァァァァム・ヒァァァァァ!!!」
C 「これが私の力です!」
  グリーンの世話焼きスキルが発動! 全員のステータスが大幅アップ!(治療効果無)
D 「これが私の力です!」
  グリーンの兄譲りのサッカースキルが発動! あれは裂蹴○炎弾!?
154名無しさんだよもん:2006/03/29(水) 14:58:29 ID:T2Y6GhLa0
155名無しさんだよもん:2006/03/30(木) 12:50:08 ID:49iZC8K50
「みんな僕に合わせてくれ!」
 レッドのかけ声とともに五人の戦士はそれぞれ輪を描くように飛び交う。
 その軌跡が生み出すのは五輪。五つの力の統合された象徴。
 五輪の輪郭は清浄なる炎を伴う。重なり合った五つの輪。
 それがイルファイヤーを取り囲んでいく。そして……
(エルルゥさん……)
 そんな中でグリーンメイは思い返す。つい先ほどの記憶を。


 放り出された腕輪。芽衣にしてみればセレクターズに協力する気などさらさらなかった。
 親しかったリアンを殺しそして他の親しい者を殺しかつ自分に死を強要する者の言葉など。
(逃げなきゃ……こんなとこに……もういたくない……)
 そう立ち去ろうとする。しかしふいに悲鳴が耳を貫く。振りかえるとそれは
「ひぃぃぃぃ!!助けてくれぇぇぇぇ!!ぎっ!ぴぎひゃぁぁぁあ!!」
「イルファァァア!!!喰うファァァァ!!!」
 断末魔を上げながらイルファイヤーに食いつぶされる人間。残酷に頭から齧られ
 骨ごとすり潰される。その姿はまるでさっきの
「うっ……げぇ……」
 吐き気を催す。それは先ほどエルルゥが食い殺されたときとまったく同じ光景である。
 いくら敵とはいえかつての同胞や罪のない市民を残酷に食い殺す。そのようなことが許されてよいのだろうか。
 芽衣には分からない。セレクターズの手助けなどごめんだ。かといってエルルゥをあんな惨たらしく殺した獣人軍にも
 戻る気にはならない。
「うぁやめろぉぉぉぉ!!俺の顎顎顎がはぁぁぁぁぁぁ!!」
 また一人食い殺された。顎の方からぱっくりと。セレクターズとの激しい戦闘の合間に華音市の市民は
 無情に殺戮されていく。機体の損傷を補うためだけに。長引く戦闘。無論セレクターズとて市民の保護には勤めていた。
 次第に捕獲される人間も少なくなっていく。だがそのうちに。
156名無しさんだよもん:2006/03/30(木) 12:51:08 ID:49iZC8K50
『機体回復に十分な生贄を確保できません。止むを得ませんが捕獲したサンプルを一部使用します」
「ん〜しゃあないなぁ」
「あんま喰いすぎへんようにな」
 捕獲されたサンプルたち。それをイルファイヤーはエネルギーに変え始めたのだ。
 その生命と引き換えにして。
「嫌ぁぁぁぁぁぁぁあああ!!」
 叫んだ。耐え切れなかった。たしかに獣人と人間は相容れぬ存在なのだろう。
 だからといってこのような虐殺が許されるのか。こんな惨劇が続く。この戦闘が終わるまで。
(早く終わらせる……でもどうやって……)
 自問する。そしてふと思い当たる。そして気づいたら駆け出していた。
 もう自分でも何をしているのかよく分からないけれど。ただ今、この場だけは。




 追憶の中、我にかえる。気がつくと既に技を放ったあとだった。
 一度も使ったことがない。しかしこのスーツが記憶していた動きを確かに。
(エルルゥさん……)
 おそらくこれはエルルゥが残した力だったのであろう。今、この場だけの協力。
 あの憎らしいレッドにわざわざ本当のことを告げるのも癪に障る。
 適当な出まかせを言っといたがまああれで納得してくれるだろう。この闘いが終わったら姿を消そう。
 セレクターズたちからも。獣人軍からも。誰ともかかわらないように。
 そんなふうに芽衣が思いあぐねているうちに。
 ドゴォォォォォ!
 轟炎はイルファイヤーを包み込む。

 そして

A イルファイヤーごと珊瑚と瑠璃を焼き尽くした
B 脱出ユニットで()は脱出した  (珊瑚、瑠璃、イルファから最大三人選択)
C 奥義不発 失敗
157名無しさんだよもん:2006/03/30(木) 13:06:38 ID:DOE+8XrQ0
Aでもういっそのこと地獄絵図
158名無しさんだよもん:2006/03/30(木) 23:19:28 ID:hvwd5b6U0
「さんちゃん!! はよ逃げな、火が回ってきたで」
「わかってるけど、脱出装置まで燃えてるよ。どないしよ、いっちゃん」
「イルファ、そこ火噴いてる火噴いてる!」
『了! デーモンを蘇らせてはならないのだ』
「とうさーん!」
「言うてる場合かー!」

 イルファイヤーが焼け落ちていく。壊れた箇所から捕獲された人たちは
逃げているけれど、先ほどの戦闘機の突撃といい、相当数の人が巻き添えに
なってしまったのは間違いないだろう。
 伝った涙をマスクが隠す。精霊への怒りだけでなく、自分の弱さに腹が立った。

『燃えたよ……燃え尽きた……真っ白に……』
「ジョー、君はどこへ落ちたい?」
「もういややぁー!」

 おにいちゃんは逃げてくれただろうか。私は彼らから離れてその光景を遠くに見る。
もしおにいちゃんの亡骸でも見つけてしまったら、私はもう立ち上がることも
できないだろう。エルルゥさんの強い思いを否定することはできないけれど、
それと同じ道を歩むことは今の私には多分できない。

「……」
『指令室内温度…判定不能。瑠璃様、珊瑚様。私達の天国が二つに分かれていませんように』

 イルファイヤーが業火の中崩れ落ちる。エルルゥさんの肉体もすでに灰になってしまって
いるだろう。僕らはここでまだ生きている。隣り合わせの灰と生存。でも、何も残さなかった
彼女の意思だけは灰にしたくはなかった。

A 腕輪だけを残し、芽衣ちゃんの姿はなかった。
B 芽衣ちゃんに近づいて話しかけた。
C 「いてて……」瓦礫の中から金髪の、高校生ぐらいの人が立ち上がった。
D 凄まじいプレッシャーが僕らを襲った。まさか精霊か……? (人物指定)
159名無しさんだよもん:2006/03/30(木) 23:27:15 ID:58gfqFA9O
ここでCだ!
160名無しさんだよもん:2006/03/31(金) 00:34:40 ID:fp51m1eD0
「いてて……俺助かったのか?」
 見るとそこには金髪でアンテナのような髪をした男子高校生がいた。
「北川っ、無事だったのか!」
「北川君!」
「北川君、無事でよかったよ」
 彼に駆け寄る友人らしき人達、そこには見覚えがある人もいる。
 確か初めて戦った時に助けた相沢君と水瀬さんだ。


「……とにかく、戦いは終わった。ご苦労だったな」
 アロウンさんがねぎらいの言葉をかけてくれる。
「アロウンさん……でも、僕達はグリーンを……エルルゥを失ってしまって……
 街も人も全然助けられなくて……ヒーロー失格です……」
 辺りは戦闘機の突撃や怪人との戦闘で滅茶苦茶だ、
 炎から焼け出された人達の火傷も決して軽いものじゃない。
「だが、お前達が戦わなければもっと多くの人が敵に攫われていた。
 よくやった……とは言えないが、確かにお前達に救われた人達もいるはずだ」
 そう言ってさっきの北川君たちの方を見てやる、友達同士で無事を喜び合う彼等……
「彼を助けたのは間違いなくお前達だ、それだけは誇っていい」
 その通りかも知れない、せめて彼の生存ぐらいは僕達の手柄なのかもしれない。
 だけど……そうだけど……
「アロウンさん……僕は……僕は……」


A 「もっと……もっと強くなりたいです、もうこんな悲しみを生み出さないためにも」
B 「すいません……僕にはこの使命は重すぎます」
C 「……もういいですよね、これ返します」そこで芽衣ちゃんがブレスレットを僕に突きつけてきた。
161名無しさんだよもん:2006/03/31(金) 00:35:31 ID:zV8O2WTn0
C
162名無しさんだよもん:2006/03/31(金) 00:35:48 ID:MIcsYGzH0
C
163名無しさんだよもん:2006/03/31(金) 06:52:10 ID:tiaTPc9U0
 僕の言葉に割って入るように、芽衣ちゃんが口を開いた。
「お話の途中ですみません……もういいですよね、これ返します」
「えっ!?…」
 …そうだよね、元々兄を助けるためにグリーン役を買って出たんだっけ。
 きっと春原君も、あの騒ぎの中ほかの人達と同じように既に逃げ出したのだろう。
 そうなれば…もう芽衣ちゃんがグリーンとして戦う理由は無い…か。
「…本当に、このままグリーンとして戦ってはくれないのか?」
 アロウンさんが尋ねる、でも芽衣ちゃんは首を横に振るだけだった。
「私は…お兄ちゃんを助けたい……ただそれだけですから…」
「そんな、せっかく心強い仲間ができたと思ったのに…」
「君が今後も共に戦ってくれるなら、元敵だろうと大歓迎だったんだが。」
「何故だぁぁぁ、俺にトリモチまみれにされた事をまだ根に持っているのかぁぁ」
 仲間たちが芽衣ちゃんを引きとめようとするが、やはり彼女の意思は変わらないようだ。
 …ていうかブルー最後のは余計だよ。
「私ができるのはここまでです…こんな事言える立場じゃないですけど、
 どうか皆さん、私の…ううん、エルルゥさんの分まで戦い抜いて、この戦いを終らせてください。」
「わかった、約束しよう。…そして君もよく戦ってくれた。感謝する。」
 芽衣ちゃんとの別れを惜しんでいるその時…

A 「やぁ君達、あの怪人を倒したんだね」金色の変なヒーローが姿を現した!
B 金髪の怪人がこちらを見てたことを、僕達は知る由も無かった。
C イルファイヤーの残骸から、精霊の一人が姿を現した!
D 腕輪からエルルゥの姿が…
E ??「つーか俺の事忘れてるだろ」
164名無しさんだよもん:2006/03/31(金) 07:02:43 ID:S48L49Zh0
E
165名無しさんだよもん:2006/03/31(金) 14:09:28 ID:Y36w5JCE0
「つーか俺のこと忘れてるだろ」
 その声に振り返ると……宗一が居た。
 そうだ、さっきエルルゥがやられちゃった時に慌てて召喚したんだっけ。
「何だか大変そうだけど俺の仕事は終わったみたいだから帰るぜ」
「あ、ああ、ありがとう宗一さん」
「次に召喚できるのは【オタク達の挽歌】かRoutesだ、だが……
 もし万一、いや億が一にでも“あの姉さん”を呼び出したら……全力で逃げろよ」
「うっ……肝に銘じておきます」
「じゃあな、お前達も頑張れよ」
「はい……ありがとうございました」
 僕が別れの挨拶をすると宗一さんは元の世界に戻って行った。


「とりあえず……一度戻るか?」
 宗一さんとのやりとりの間に芽衣ちゃんは帰ったようだ。
 彼女にはお兄さんと仲良く過ごしてもらいたいよ。
 アロウンさんの提案に反論する理由もなく、僕達は変身を解いて思い足取りで基地に戻った……


A 基地で僕達はグリーンの弔いと反省会を開く事になった。
B 帰る途中アロウンさんにブレスレットを渡される「リーダーとしての責務だ、新しい適格者を探せ」
C 戻る途中で基地から火の手が見える……なんと怪人たちがアロウンさんの留守を強襲していた!
166名無しさんだよもん:2006/03/31(金) 14:13:12 ID:79TYSubg0
C
167名無しさんだよもん:2006/03/31(金) 17:25:27 ID:ExGLYjru0
「あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‥‥‥‥」
 炎の中で、塊が蠢いた。
『ソレ』はゆっくりと立ち上がると、一歩、二歩とこちら側に歩み寄ってくる。
「あ‥‥‥‥ぁ‥‥‥‥」
 何かを求めるようにさまよう二本の手。
 やがて『ソレ』は崩れるように倒れると‥‥そのまま動かなくなった。
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」

 アヴァロンに戻った僕達を出迎えたのは、燃えさかる城とそんな光景だった。
「こ、れは――――!?」
 さしものアロウンさんも狼狽する。慌てて近くに倒れている人を抱き上げた。
「おい、どうした! しっかりしろ! 何があった!」
「怪人――――留守――――防げな――――」
 その人は殆ど息になっていない呟きで、アロウンさんに最期の言葉を伝える。そして、ガクリと力を失う。
 それだけで、大方の事情はわかった。
 おそらくアロウンさんや僕らの留守の隙を突かれ、怪人の強襲を許したのだろう。
「くッ!」
 悔しげに地面を叩くアロウンさんだが、今はそんな場合じゃない。
「アロウンさん! あれを!」
 城のてっぺんを指差す。そこには

A 「ギワーッハッハッハッハ! どうだ赤いの! テメェらの仲間はオレ様がぶっ殺してやったぜ!」あれはヌワンギラス!
B 「思ったより遅かった」「………」炎の中、淡々とした様子でこちらを見下ろしているベナウィ&ちゃる。
C 「ミィィィィィルルファァァァァーー! 残さず食ってやるファァァァァ!」「仇討ちるファァァァァーー!」イルファイヤーに似た怪人が二体!
168名無しさんだよもん:2006/03/31(金) 17:29:35 ID:aG6Tx2Tz0
C
169名無しさんだよもん:2006/03/31(金) 21:03:33 ID:mUt4Nxo/O
前スレ落下〜
170名無しさんだよもん:2006/03/32(土) 00:26:25 ID:MOanMyI90
「ミィィィィィルルファァァァァーー! 残さず食ってやるファァァァァ!」
「仇討ちるファァァァァーー!」
 見ると城のてっぺんにはさっき倒したイルファイヤーそっくりの生物機械怪人がいた。
 髪型や色が違う、黄色い髪とピンク色の髪をしたのがいる。
 彼女(?)達は触手を振り回し、城を破壊しながら中にいた人を捕まえては腹に収めていた。
「あ……ああ……」
「そんな……」
 戦隊の皆も絶句している、さっきあれほど苦戦した怪人が二体も。
 目の前でエルルゥを食い殺されたさっきの光景が脳裏をよぎり、誰も動けない。
 城や人を食い潰してゆく二体の怪人、燃え上がる中庭や建物、あちこちで暴れまわる戦闘員。
 そして、逃げ惑う人達の悲鳴と怒号。
「こんな……こんなバカな!」
 アロウンさんの怒声が周囲に響き渡る。
 情けない事に、僕もヘタヘタと座り込んでこの凄惨な光景をまるで他人事のように眺めているしかなかった。
 怖い。
 怖い。
 嫌だ。
 食べられたくない。
 死にたくない。


A 「仇見つけたるファァァァァー!」「喰ってやるファァァァー!」僕達を発見した二体の怪人が城から飛び降りてきた!
B 茫然と焼け落ちるアヴァロンを見ていると……中庭の片隅でエルミンちゃんが戦闘員達に輪姦されていた!
C 「ア……アロウン様……申し訳ありません」ズタボロで瀕死のオガムさんがやってきた!
D 「う、うわぁぁぁぁぁぁーーー!!!」僕はその場から逃げ出した。
171名無しさんだよもん:2006/03/32(土) 00:29:48 ID:iuMCWVFI0
172名無しさんだよもん:2006/03/32(土) 01:59:24 ID:ax8hZB8aO
ちょww32日てwwww
去年は皇紀だったっけかな
173名無しさんだよもん:2006/03/32(土) 09:01:24 ID:qv/eYNgX0
 呆然としながら僕はふいに中庭を見やる。するとそこでは。
「や……ぁ……ぅ………」
「っ!!?」
 なんとそこでは戦闘員の群れにエルミンちゃんが輪姦を受けていた。幼い肢体を複数の肉棒に貫かれて
 吐き出される白濁がエルミンちゃんの体を内も外も汚す。目を背けたくなる惨状だった。
「あぁ……ぁ……」
 辺りを見やれば毒牙にかかっているのはエルミンちゃんだけじゃない。アヴァロン内の妖精の女の子達はみんな
 獣の餌食にされていた。武器屋や道具屋の娘。水辺によくいた娘。戦闘機の脱出装置で僕達より一足早くアヴァロンに
 到着したのであろうリムリスさんまで。阿鼻叫喚の地獄絵図だった。街は焼かれ男は怪物に食い殺され
 女は兵士の慰み者にされる。
「うぁぁ……ぁぁ……」
 僕の脳は次第に麻痺していく。目の前の現実を認めたくなくて。そして
「うぁぁぁぁぁああああああああ!!!!」
 僕の中で何かが弾けた。


A ここにきて真の力に覚醒する
B 脇目もふらず逃走する
C しゅるりと触手が体に巻きつく
D 誰かが雅史を一喝した
174名無しさんだよもん:2006/03/32(土) 09:03:23 ID:XPJohMQYO
B
175名無しさんだよもん:2006/03/32(土) 12:46:07 ID:mAcfisql0
背を向けて逃げ出した。誰かが声をかけてきた気もするけど、よくわからない。
とにかくここにいたくないんだ。

負ければ犯される。殺される。とてもシンプルだ。シンプルすぎて認めてしまう。
ブルーが女性の戦闘員にしたこと。僕がリアンにしたこと。
エルルゥさんが殺されたこと、エルミンちゃん達が犯されたこと。同じだ。
それを僕は表面的にしかわかっていなかった。

英霊の人たちは強かった。きっと彼らはそんなことは全てわかっていたんだ。
そうだ、彼らに戦ってもらえばいい。僕は全力で召喚をするから、後は任せよう。
こんな僕が戦うよりもそのほうがずっといい。
そうすればきっとあの2体を、精霊を倒すこともできるだろう。
だけど僕は今後ろを振り向きたくない。

人類が絶滅するのも、獣人を倒すのも、精霊を皆殺しにするのも一緒だ。
どれだけ殺すか、殺されるかの違いだけなんだ。
僕はもう嫌だ。こんなところは嫌なんだ。
浩之たちに会いたい。
もう一度サッカーがしたい。
誰か、助けてくれ。

A 「何も考えなくてすむようになりたい?」 僕の頭の中に不思議な声が聞こえてきた。
B 「なんだ、そのザマは」 ヌワンギラスが僕の前に立ちふさがった。
C 「この馬鹿野郎が!」 アロウンさんの強烈なパンチが僕を揺さぶった。
D ここはもう嫌だ。誰でもいい。なんとかしてくれ!(英霊召喚。ランク無制限、呼び出し元無制限で人物指定)
E こんな優しくない世界にいたくはない。僕は懐かしいあの町を目指して、どこまでも逃げ続けた。
F 頭に響くエルルゥさんの声が僕を優しく攻める。
176名無しさんだよもん:2006/03/32(土) 12:48:26 ID:fuPRRPcD0
A
177名無しさんだよもん:2006/03/32(土) 12:48:29 ID:iuMCWVFI0
E
178名無しさんだよもん:2006/03/32(土) 13:33:26 ID:mAcfisql0
「何も考えなくてすむようになりたい?」
「だ、だれ……」
けして後ろは振り向かないようにあたりを見回す。誰もいない。
(何も考えなくてすむようになりたい?)
もう一度声が聞こえた。それは僕の頭の中に直接響くようだった。

(な、なんなんだ、いったい……)
(何も考えなくてすむようになりたい?)
(誰なんだ、おまえ!)
意識の中で声を荒げる。みっともなくキイがあがる。心が沸騰しそうだった。

(誰かも、何も、考えなくていい。何も考えなくてすむようになりたい?)
声は対照的に平静で、僕も少し落ち着く。何も考えなくてすむ……?
それは、こんな今を考えなくていいということだろうか。
僕は、そんな逃げ道へと行ってかまわないのか。

(何も考えなくていい。何も考えなくてすむようになりたい?)
背中からは耳をふさいでもまだ音だけが聞こえてくる。怒号、悲鳴、銃声、干戈。
足は止めずに考える。僕の選択を。この世界なんてもういらないのかどうかを。


僕は、答えた。それへ向けて、声を出して。


A 「嫌だ!」
 1 そして、後ろを振り向いた。みんなの戦っている姿に向けて、走り出す。
 2 そのまま、ただひたすらに逃げ続けた。
 
B 「頼む、そうしてくれ!」
 1 「雅史、おい雅史!」 子どもの頃から聞きなれた声がする。ここは……教室?(エピローグへ)
 2 「えいえんへようこそ、雅史」 みずかが立っていた。(エピローグへ)
 3 「なら、戦闘員として、何も考えず戦え」 僕の意識はそこで寸断した。(エピローグへ)
179名無しさんだよもん:2006/03/32(土) 13:34:17 ID:5YOvF3l6O
A2
180名無しさんだよもん:2006/03/32(土) 13:53:18 ID:tusGHeO/0
「嫌だ!」
 ささやく声を僕は拒絶する。どうしたというのだろう。何もかも考えずに楽になった方がいいのに。
「でも嫌だ。何故嫌だか分からない。けれどそれは嫌なんだ」
 支離滅裂な感情。僕の足はこうして仲間達を死地に置き去りにしたまま逃走に駆け出しているというのに。
 ああ、畜生。僕は何をやっているんだ。逃げ出す足は止まらない。疲れを忘れたように。
 健脚だ。仲間を見捨てて逃げ出しているというのにすこぶる元気だ。ああ、なんて情けないんだろう。僕は。
 また悲鳴が聞えた。断末魔の叫び。誰かが犠牲になったのだろうか。振り返らない。怖いから。
 僕は弱かった。そう、いつだって僕は弱かった。仲間を助けて強敵を打破する力も。
 死地にあって命を棄てて戦う覚悟も。そして何もかもを失った今でも僕はこの期に及んで恐れている。
 自分の存在が掻き消えてしまうことを。声の誘惑。それをふりきったのは僕の弱さだ。
 僕は弱い。情けない。惨めだ。そして卑怯。これからの一生を惨めさとともに過ごすことになるのだろう。
 それともどこかで惨たらしい末路にでも出くわすのか。ああ、分からない。
 はっきりいえるのはろくなものじゃないということ。
 ああ、嫌だ。でも逃げる。逃げ出す。必死で逃げる。
 全てをかなぐり捨てて逃走したその先。そこへ向かって僕はひたすらに走り続ける。


A 始まりはこれから(新章突入)
B そして時は流れ (エピローグ)
181名無しさんだよもん:2006/03/32(土) 13:55:10 ID:iuMCWVFI0
B
182名無しさんだよもん:2006/03/32(土) 14:32:12 ID:tusGHeO/0
 あの惨劇からどれほどの月日が経過したのでしょうか。よく分かりません。
 あの日、アロウン様の不在を襲った獣人軍の進撃の前にアヴァロンはたちまちの内に壊滅させられました。
 留守を守っていたオガム様も戦死なされ街は獣人軍の蹂躙を受けました。
 アロウン様たちよりも先に帰還した私はそんな最中に出くわしました。捉えられ辱めを受けそして
 今はエルミンや他の妖精のみんなとともどもに獣人軍に奴隷として飼われています。
 あの日の戦いでアロウン様やセレクターズの皆様は戦死なされました。
 高槻様は狙撃兵の一斉射撃の前に蜂の巣にされ、坂下様は怪物の触手に首を薙ぎ払われた後に
 その遺体を嬲りものにされ、文吾様はミイラと見まごうごとく身体中の養分を吸い尽くされたと伝え聞きます。
 あの方は、アロウン様は最期の力を尽くして怪物を追いつめましたが琥珀金の弾丸の砲撃を受け
 遺体すら残らぬ死を遂げられました。最後の希望を失った人類を獣人がとってかわるのにたいした時間はかかりませんでした。
 世界を統一した獣人国家の下、人間達は雑労働をこなす労役奴隷としてのみ生存を許され
 一切を管理された統制社会が樹立されました。獣人国家が形成される上での粛清。
 それもまた悲惨なものです。華音市での戦闘においてセレクターズに加担したと見なされた春原芽衣様は捕縛。
 苛烈な拷問を受けた後に他で捉えられた兄君とご一緒に公開処刑されました。
 その処刑に最後まで異を唱え続けたヌワンギラスも不穏分子として処分され
 身内さえも粛清する恐怖政治に真っ向から叛旗をしめしたベナウィ将軍の反乱も鎮圧され副官のミチルともどもに
 斬刑に処されました。世界は精霊達の思惑どおりに進む完成された統制社会の様相を呈しています。
 耐えることなき密告と粛清。今日もギロチンに多くの罪なき人が獣人も人間も問わずかけられています。
 そして今も……
183名無しさんだよもん:2006/03/32(土) 14:33:27 ID:tusGHeO/0

「嫌だぁぁぁぁぁ!!死にたくないぃぃ!!僕は死にたくないんだぁぁぁああ!!」

 ギロチンの前に引き摺りだされたその人こそあの戦いで一人だけ逃げ出した佐藤雅史。その人です。
 何年も姿かたちを変え続け逃走を続けた彼にもとうとう引導が渡される日が来たのです。

「助けてぇぇぇええ!!誰かっ!誰かっ!誰かぁぁぁあああ!!」

 必死で来るはずのない助けを求め叫び続けます。もう当に失われたヒーローとしての力。
 彼がいくら求めたとしても現世にも異世界にも彼を助けるものなど誰もいないのでしょう。

「うぁぁあああ!!あぁぁああああ!!ひぃぃぃいいいいい!!!」

 見苦しい抵抗を続けながらしめやかに処刑は執行されて

 ダンッ!!  ゴトリ

 彼の首と胴体は永遠に引き離されることとなりました。私はそれをただ呆然と眺めます。
 今日も処刑場は彼のように多くの人たちの血を吸い上げ続けます。
 このような悲しみの時代がいつまで続くことになるのか。私にはうかがいい知ることもできません。 

 〜 fin 〜
184名無しさんだよもん:2006/03/32(土) 14:48:36 ID:92IFdaDj0
う〜ん BAD END
気を取り直して次回作の主役を
A Routes
B ONE
C まじかる☆アンティーク
D Planetarian 〜ちいさなほしのゆめ〜
E ToHeart2
F Tears to Tiara
G 天使のいない12月
H 痕
I 誰彼
J Kanon
K こみっくパーティー
L To Heart
M Filsnown
N ナイトライター(with 雀鬼's)
O 鎖
P 雫
Q うたわれるもの
R AIR
S CLANNAD
T White Album T
U テネレッツァ
V MOON.
185名無しさんだよもん:2006/03/32(土) 14:50:59 ID:ngrX7QjuO
間に合うかQ
186名無しさんだよもん:2006/03/32(土) 14:52:51 ID:92IFdaDj0
そろそろジンクスを脱出したい

A ハクオロ   
B エルルゥ   
C アルルゥ   
D テオロ     
E オボロ     
F ドリィ      
G グラァ     
H ベナウィ   
I クロウ    
J トウカ
K カルラ
L ウルトリィ
M カミュ
O ゲンジマル
P クーヤ
Q サクヤ
R ヒエン
S ハウエンクア
T ニウェ
U ワーベ
V ムント
W トゥスクル
X ポナポイ
Y カンホルダリ
Z オリカカン
Σ ここに出てない人
187名無しさんだよもん:2006/03/32(土) 14:53:20 ID:49VPtoko0
j
188名無しさんだよもん:2006/03/32(土) 14:54:28 ID:ufA8PcOZ0
Σ チキナロ
189名無しさんだよもん:2006/03/32(土) 15:44:51 ID:49VPtoko0
 む、某が主役に選ばれたのか。
 選択スレの皆さんこんにちは。某はトウカ、エヴェンクルガの剣士だ。
 某は今――


A とある人物と剣術の修行をしている(剣を使える人物を指定)
B のんびりと釣りをしている
C 大切な人形を探している
190名無しさんだよもん:2006/03/32(土) 15:45:52 ID:Wm4N7zhI0
A 柳也
191名無しさんだよもん:2006/03/32(土) 16:52:26 ID:XYXlaxZw0
「ふんっ、ふんっ、はっ!」
「ほう、精が出るな…朝からずっと素振りか?」
「おお、柳也殿…よければ一手、手合わせ願いたいのだが?」
「はは、それも良いが、茶が入ったので呼びに来た。手合わせは後にせぬか?」
「ぬぬぬ…茶請けには何が?」
「裏葉手製の団子だ」
「ふぅ〜、あい判った。某も甘いもには弱いので」
「ははは、では、行こう」

某は、今、訳あって剣の修行をしながら山間の寺に身を寄せている。
先ほど某を呼びに来た柳也殿も、何かしら訳があってこの寺に身を寄せているとのこと…
かなりの力量を持った御仁で、時折手合わせをしながら、共に技を磨いている最中である。

「ふはぁ〜、やはり裏葉殿の団子はおいしいですな〜、国の皆にも一度食べさせてやりたい」
「あらあら、まだまだ沢山ありますからお召し上がりください」
「かたじけない……はむっ……むっ?むぐくぅ!?!」
「ん?どうした?」
「みじゅ……みじゅう」
「おい、詰まらせたのか?待っていろ、今汲んで来る」
「むぐぅ〜むぐぅ〜〜」
「あ、それはまだ熱いお茶……」
「クケェェェェェェ!?!?」
192名無しさんだよもん:2006/03/32(土) 16:52:33 ID:XYXlaxZw0
まぁ、こんな調子で日々が過ぎて行っている。
この寺での修行の日々は楽しいものがあるが、何時までも居られる訳でもない。

「なぁ柳也殿、失礼かもしれませんが、何ゆえこの地に留まって居られる?良ければ力になれるかも知れませんし」
「まぁ…何時かは聞かれることではあるが……ある娘を探すためにな」
「娘……行方が判らぬのですか?」
「いや、行方は判っているが……人の手の届かぬ場所ゆえにな」
そう言って、空を柳也殿は見上げた。
「まぁ、気持ちはあり難いが、遠慮しておこう…それよりトウカ殿はなぜ?」
「ふむ、某か……某は……」

A 某も人を探している(人物指定)
B 主を助ける方法を求めている
C 都で武術大会があり、それを目指して修行中
193名無しさんだよもん:2006/03/32(土) 16:54:04 ID:C7Eh2V7w0
C
194名無しさんだよもん:2006/03/32(土) 20:39:18 ID:NC/jFZet0
一通りタイトル案でたようなので前作のタイトル決めようや

A 『選択戦隊セレクターズ(仮)』
B 『雅史ラヴ オルタネイティヴ』
C 『結論:やっぱり雅史は魔王を払拭出来なかった』
D 『選択戦隊セレクターズ(仮)ALTERNATIVE』
E 『アレレのレ? エルルゥの頭が とれちゃった!』
F 『To Dead』
G  俺が自分で決める
195名無しさんだよもん:2006/03/32(土) 20:42:34 ID:49VPtoko0
196名無しさんだよもん:2006/03/32(土) 20:43:36 ID:49VPtoko0
ァァァァァッァァアアアアアアア!!!
BにするつもりがCにしてしまったorz
197名無しさんだよもん:2006/03/32(土) 21:18:32 ID:ZNFmPlt80
魔王関係ないだろ…orz
198名無しさんだよもん:2006/03/32(土) 21:48:32 ID:/BQjejAGO
いや、アロウンがいたw
199名無しさんだよもん:2006/03/32(土) 23:24:54 ID:fuPRRPcD0
「都にて開催される武術大会に出場するためだ」
「なるほど……都なら古今東西の武芸者が集まる。自らの剣を試すいい機会だ」
「はい、某の剣術がどこまで通用するかと」
「それはそうと……トウカ殿の太刀筋を見るに江弁来牙流剣法……
 もしやトウカ殿の剣の師は剣聖ゲンジマルでは?」

 江弁来牙流剣法…元来、江弁来牙の民の口伝にのみ伝わる剣術だったのだが
 数十年前、江弁来牙出身の剣豪ゲンジマルによって理論と技術を体系化された流派である。
 後に人々は彼を尊敬の意を込めて『剣聖』ゲンジマルと称するのだった。

「良くご存知で。確かに某の師は剣聖ゲンジマルです。それで柳也殿の剣は?」
「我流さ。俺は物心ついた時から生きる為にひたすら剣を振るってきた。
 何人殺めたかもう覚えておらん、そんな殺人剣しか持たなかった俺を変えたのが――」
 彼は一息つくと裏葉殿を見て――
「裏葉と――」
 空を見上げ
「俺達が探している娘なんだ」
「…………」

 むむぅ…微妙に触れられたくないことに触れてしまった気がする
 ただ、何回か手合わせしたが柳也殿の剣は殺人剣とは思えぬ程、清らかな物だった。

「すまん、辛気臭くなってしまったな。さあ手合わせするか」
「今までの戦績はほぼ互角、今日は某が貰いますぞ」
「なあに、それは俺の科白だ」

A トウカVS柳也、開始
B と思ったら柳也殿を訪ねて誰かやって来た(人物指定)
C うぐっ…突然腹痛が…何でこんな時に…トウカちんピンチ!
200名無しさんだよもん:2006/03/32(土) 23:26:06 ID:/BQjejAGO
A
201名無しさんだよもん:2006/04/02(日) 07:33:07 ID:bAWBjQHw0
木刀の周りを当て布で保護したものでひとしきり打ち合う。
柳也殿に力では負けるが、速さでは某に分がある。手数で圧倒、返し手はいなす。
途中、攻め手にパターンを折りいれ、柳也殿に慣れが出たと感じた瞬間、
剣の速度を上げ、腹部へと打ちいれた。ぶつかる瞬間、力を緩める。

「おおっ! っと、これは俺の負けだな」
「1本目はいただきました、柳也殿」
「お返しに、我流の殺人剣をお見せしよう。まあ少しなら、怒られまい」
「はい、お願いします」

柳也殿は腰を落とし、剣を下にし、いつもより距離を取った。
何をしかけてくるかわからない。様子を見る。

「では、こちらから行こう」

柳也殿が出る。その剣先の狙いは、足? あわてて一歩引く。
追ってきた。また足。引く。追われる。目の前に何か飛んできた。
胡桃? と思った瞬間、くるぶしに優しく木刀が当たっていた。

「こんな感じだ。本来なら胡桃じゃなく石を打つ。
 剣の狙いはひたすら脚だ。相手が剣を振る前に脚を傷つけて勝負する」
某の顔を見て柳也殿は笑った。
「そんな顔をするな。卑怯なのは百も承知だ」

それからの打ち合いに、柳也殿は時折足きりも混ぜてきた。
有効な技に違いはないが……
むくれる某の顔を見ては柳也殿は笑いを繰り返した。

A 手合わせを終え、裏葉殿お手製の食事に招かれることになった。
B 飛んで足きりをかわしたところに、柳也殿の当身が入った。とたん、むにゅ、と尻をつかまれた。
C 「一手お願いしたい!」 どこかで見ていたらしい人物が近寄ってきた。(人物指定)
D 手合わせを終え、風呂に入ることにした。(一人で、裏葉と、柳也と)
202名無しさんだよもん:2006/04/02(日) 07:49:12 ID:BraoVaDBO
Dで裏葉と
203名無しさんだよもん:2006/04/02(日) 12:29:55 ID:iCjIN8m90

 かぽ〜ん

「ふぅ……いい湯ですな」
「全くで御座います」
 某は手合わせを終え、汗を流す為に裏葉殿と一緒に温泉に入った。
「某の修練の疲れも、この温泉に入ると霧散していきます」
 心地よい温度の湯に浸り、夜空に浮かぶ星月の風流な景色を眺める。
 それだけで、いやこのような素晴らしい入浴だからこそ厳しい剣術の修行の疲れも
 彼方へ吹き飛ぶと言うものだ。
「ええ、疲れを取るのはもちろん。打ち身や刀傷、火傷などにも良く効くそうですよ」
「それはあり難い効能です」
 某の言葉に答えて裏葉殿も体を伸ばし、楽な姿勢をとる。
 そう言えば裏葉殿もこの寺で確か……「法術」というまじないの類を学んでいると聞く。
 詳しい事は解らないが、恐らくは大変な修行なのだろう。


A 「ところで……裏葉殿の学んでおられる『法術』とはどのようなものですか?」某は試しに聞いてみた
B 「む……人の気配?」物陰から某たちを覗いている人間がいる?
C 「裏葉、一緒に入ってもいいか」なっ、柳也殿まで温泉に入ってきた!
204名無しさんだよもん:2006/04/02(日) 12:40:58 ID:6LLQ2S5N0
b
205名無しさんだよもん:2006/04/02(日) 15:17:05 ID:CUWZ++OE0

 ザワザワ――

「風が出てきましたね」
「明日は少し荒れ模様になるかもしれませんな」
 木々の枝葉が夜風に揺れてざわめく音に耳を傾ける。
「む……人の気配?」
 ふと、ざわめきの中に不自然な音が混ざっているのに気がつく。
 下草を擦るようなかすかな足音、それと潜めた息のわずかな呼吸音……
 物陰から某たちを覗いている人間がいる?
「トウカ殿、どうかなされましたか?」
「いえ、どうやら今宵の風は少々下心が強いようで」
 傍らにあった湯桶を手に取り、目を閉じて周囲に意識を張り巡らせる。
「………」
 風に舞い踊る枝のざわめきに紛れる、巧妙で不埒な覗き。
 だがいかに誤魔化そうと、そこに人がいる気配は容易には偽れない。
 五感に惑わされる事無くその気配のみに気を配れば……
「そこっ!」
 漆黒の中にうっすらと見えた光点に湯桶を投げつける。
 すると――

A 木の上に隠れていた刺客が落ちてきた
B 道に迷ったらしき行商人が倒れていた
C 近所の助平な青年に直撃していた
D うっかり裏葉殿に当ててしまった!
206名無しさんだよもん:2006/04/02(日) 15:24:53 ID:rTSu3qGm0
C
207名無しさんだよもん:2006/04/02(日) 21:49:51 ID:ex0nFNl0O

──カコーン!

「ぐぎゃっ!」
 某が投擲した湯桶は狙い過たず不貞の輩に直撃した。
「お見事です」
「なに、この程度」

 それから暫し様子を見ていたが、気配を感じる事はなかった。どうやら先の一撃でしっかりと昏倒してくれたようだ。
 某は湯拭き布を身体に巻き付けると、気配のしていた場所へと慎重に向かった。
「確かこのあたりだったが…ああ、いたいた」
 果たしてそこにいたのはやはり、そこそこ整った顔付きの赤髪の少年だった。
「やはりお主か…雄二」
 向坂雄二。
 近所の──と言うかこの温泉や山寺のある山を所有する大家(たいか)の嫡男なのだが、度々この様な不埒な真似を犯す困り者だ。
 これまでも色々と対処していたのだが、全く懲りる様子を見せない。
 さて、今回はどうしたものか…。


A 姉の環殿に突き出しきつく絞ってもらう。
B 柳也殿に突き出しきつく絞ってもらう。
C 某の剣の稽古に付き合わせる。
D 裏葉殿に処遇を任せる。
208名無しさんだよもん:2006/04/02(日) 21:50:54 ID:4BxpuE4K0
D
209名無しさんだよもん:2006/04/03(月) 13:18:48 ID:Iy9Q4YLm0
「裏葉殿、処遇を裏葉殿に任せてもよろしいでしょうか?」
 後ろから某と同様に湯拭き布を体に巻いてやってきた裏葉殿に尋ねた。
 どうにもこの向坂雄二という者、裏葉殿にちょっかいばかりかけているようである。
 他人の妻に色目を使うとは……まったく不埒な男だ。
「……はい、構いません」
 裏葉殿にも思うところがあったのだろう、少し考えて頷いた。
 しかしこやつはこれまでに幾度注意されても反省の色がない男だ。
 どうやってこの助平を直すのだろうか。
 裏葉殿は――


A まずその場で雄二殿を起こした
B とりあえず二人で寺に運ぶ事にした
C 「そこのあなたも出てきてはどうでしょう」と言った、まさか別の覗きか?(人物指定)
210名無しさんだよもん:2006/04/03(月) 13:37:02 ID:mzCf+DGAO
B
211名無しさんだよもん:2006/04/03(月) 13:52:09 ID:YVe0778B0
「こんなところではなんですしとりあえず寺の方に運びましょう」
「確かにそうであるな。相わかった。運びいたそう」
 かくして某達は温泉を後にしこの不届き者を連れて寺へ帰ることとなった。
 この者の処遇については一度柳也殿も交えて後に吟味いたそう。
 
 しばしして寺に辿り着く。ううむ。流石に気絶した人間を一人持ち運ぶのは
 きついものがある。裏葉殿はしきりに手伝いを名乗り出られたが
 丁重にお断り申し上げた。人一人運べずして何のエヴァンクルガの剣士か。
 それにこれは足腰の鍛練にもなるので丁度いい。

 さて寺に辿り着くとそこでは

A 何やら武芸者らしきものが訪ねてきていた
B 都のさる御大臣からの使者が来ていた
C 放蕩息子を引き取るべく一足先に向坂家から迎えが来ていた
212名無しさんだよもん:2006/04/03(月) 14:39:13 ID:mzCf+DGAO
野暮ですまんが、

× エヴァンクルガ
○ エヴェンクルガ

な。

選択は保留。
213名無しさんだよもん:2006/04/03(月) 16:11:53 ID:Mw+OK6lVO
A
214名無しさんだよもん:2006/04/03(月) 19:23:26 ID:QqGrJYyV0
何やら武芸者らしきものが訪ねてきていた。柳也殿が相手をしている。
なにか困っておられるようだ。

「ああ、裏葉、トウカ殿戻ってきたか。……トウカ殿、でかいおでんだねだな」
「あら、食べると意外においしいのでしょうか」
「出歯亀など食べたら腹をこわしますよ。雄二です」
「なんだ、またか。こりないな、こいつは。トウカ殿、そこら辺に放り出しといてくれ」
「柳也殿、それでよろしいのか?」
「かまわんかまわん、死にゃしないだろ」
自分の妻の肌が見られるところだったというのに鷹揚な人だ。
言われたとおり雄二は門の傍にたてかけておく。あまり寒くなるようなら後で蹴り起こしておこう。

「途中で申し訳ない。そういうことなら俺よりも適当な人物がいる。
 すまん、トウカ殿。こちらは、

A アルサル
B 坂上智代
C 伊吹風子
D 柳川裕也
E その他人物指定

 と仰られる。
 
1 武術大会のタッグ部門に出場したいのだそうだ。
2 武術大会にあたり、一試合したいのだそうだ。
3 武術大会のポスターを作りたいのだそうだ。

 ということで、後は頼んだ」
215名無しさんだよもん:2006/04/03(月) 19:33:23 ID:QqttNeWAO
E 栞 3
216名無しさんだよもん:2006/04/03(月) 20:48:46 ID:QqGrJYyV0
「途中で申し訳ない。そういうことなら俺よりも適当な人物がいる。
 すまん、トウカ殿。こちらは、美坂栞殿と仰られる。
 武術大会のポスターを作りたいのだそうだ。
 ということで、後は頼んだ」
 
そう言ってそそくさと柳也殿は去っていった。去り際に某へ合掌していたのは
なんだったのだろう。その武芸者の格好をした少女に向き直った。
「某はトウカと申します。美坂栞殿……栞殿と呼んでかまいませんか」
「はい、栞でもいいですよ。えーと、トウカさんも武術大会に参加されるんですよね?」
「はい。というよりも、柳也殿は参加しないのではと思います」
「ええ! そうなんですか。だから断られたんですね。
 あっ、でも、トウカさんなら全然OKです。お願いできますか?」
「それよりもまず、ぽすたあとはなんのことか教えていただけないか?」
「えーと、そうですね。ポスターっていうのは宣伝のためにあちこちにはる紙です。
 武術大会にたくさんの人が参加してくれたり、たくさんの人が見に来てくれるように
 作るんですよ。何百枚も、何千枚も」
「何千枚も!」
「そのポスターに描く絵の題材として柳也さんにお願いにきたんです。
 そういうことで、かわりですいませんがトウカさんにお願いしていいですか?」
「そっ、某がそのポスターに!?」
某が何千枚も……
……♪
はっ! い、いかん、武人ともあろうものが。
し、しかし、武術大会のためになるのであれば微弱ながら力になるのも努めであろう。
いたしかたない。
「それで、どのようなポスターになるのだろうか?」

A かっこいいポスターにしますよ。一番強い人を決めるんですから。
B かっこよくてコミカルなポスターにしますよ。着ぐるみで戦うんですから。
C かっこよくて魅力的なポスターにしますよ。闘神……じゃない、武術大会は
  美しい女性をパートナーとするか、その女性自身が戦うんですから。
D かっこよく私と二人でいるポスターにしますよ。タッグマッチですから。
217名無しさんだよもん:2006/04/03(月) 20:56:45 ID:rcux+B8y0
無難にA
218名無しさんだよもん:2006/04/03(月) 21:02:26 ID:p+Z6p5st0
ああ・・・・・C
219名無しさんだよもん:2006/04/03(月) 21:54:21 ID:QqGrJYyV0
「かっこいいポスターにしますよ。一番強い人を決めるんですから」
かっこいいポスター……一番強い人……
ゲンジマル様が連撃を成功させたところが頭に浮かぶ。幼い頃、いや今も、どんなに憧れたことか。
あんな感じで某が何千枚……
某かっこいいにゃー……

「トウカさん? トウカさーん!」
「はっ!?」
「あのう、駄目ですか?」
「い、いや、しっ、栞殿のたっての頼みということであり、武術大会の役に立つということであれば、
 このエヴェンクルガのトウカ、力は惜しみません。ご協力します!」
「わあ、そうですか、ありがとうございます」
栞殿が笑みを浮かべて某に頭を下げる。あわてて某もそれにならった。

「トウカ様、頑張ってください。ところで栞様、それならどのような服がよろしいでしょう。
 私にも選ばせてくださいな」
「えっ、そのままでいいかな、と思っていたんですけど」
「いけません、せっかくのトウカ様の晴れ舞台、華々しいものにしていただかなくては。
 それではさっそく行きましょう」
 
裏葉殿が栞殿を引っ張って寺へと向かう後に従い、某も歩き出した。

A 「ちょおっと待った! そういうことなら俺をモデルにしたほうがいいぜ」
  そこへ雄二が突然起き上がって口を挟んできた。
B 無事素晴らしいポスターができあがった。
C 無事どうしようもないできのポスターができあがった。
D 柳也殿がかわりに描いた素晴らしいポスターができあがった。
E 「んー、いいですねー、もう一枚いってみましょう」 栞殿のいわれるままになぜか脱いでいた。
F ポスターができる前に武術大会の前日を迎えてしまった。
220名無しさんだよもん:2006/04/03(月) 21:57:35 ID:5MoZ4eEU0
激しくE
221名無しさんだよもん:2006/04/03(月) 22:00:14 ID:QVrKSg730
A…イヤCで
222名無しさんだよもん:2006/04/03(月) 22:40:52 ID:QNlZBnXd0
 寺に戻り、某は離れの一室で筆を持つ栞殿と話していたのだが……
「んー、いいですねー、もう一枚いってみましょう」
 気がつくと栞殿のいわれるままになぜか脱いでいた。
「ま、まさか裸体を描かれることになるとは……」
「強さを表現するには、戦士の皆さんの肉体の持つ
 しなやかに鍛え上げられた美しさこそふさわしいですよ。
 それをわざわざ隠してしまうなんて勿体無いです」
「そ、某が……美しい……」
 そう言われれば悪い気はしない。
「しかし、裸のまま刀を振るう姿は少々奇異ではないであろうか?」
「宣伝のために貼るのがポスターですから、そのほうが目立っていいんですよ」
「なるほど、なかなか奥が深いでござるな」 
 栞殿の考えに感心させられる。
 某が勝利に真剣なように、彼女は宣伝に真剣なのであろう。
「これは……いわば剣術と絵画の他流試合でござるな!
 よかろう、このトウカ、いかような欲求にも応えてみせよう!」

A 「躍動感が欲しいので素振りを見せてください」お安い御用でござる!
B 「向こうを向いて、こう、お尻を突き出すような感じで」そ、それは刺激的過ぎでは?
C 「……なんてのは嘘で、有力なライバルを闇討ちするために脱がせたんです」謀られた!?
D 「ええい、寺で猥褻な絵を描くなど不届き千万!」いきなり住職どのが怒鳴り込んできた
223名無しさんだよもん:2006/04/03(月) 22:46:44 ID:WyrR0r2L0
B
224名無しさんだよもん:2006/04/03(月) 23:14:45 ID:VSlUPwLw0

 ウ
  カ
   は
    「
     ご
      ざ
       る
        」
         は
          使
           わ
            な
             い
225名無しさんだよもん:2006/04/03(月) 23:24:18 ID:eXecNwYUO
斜めに書くと何か御利益でもあるのか?
真面目な指摘なら真面目に書かないと、一瞥で荒らしと勘違いされて
実際に読まずに無視されかねんぞ。

特に携帯だと一瞬何だか判らないから嫌なんだよ。
外人4コマ選択みたいな面白さがあるんならまだいいんだが。
226名無しさんだよもん:2006/04/04(火) 04:49:30 ID:DYhagroQ0
>>225
前スレのアレは確かにインパクトあったな
227名無しさんだよもん:2006/04/04(火) 16:09:10 ID:Ad1YX5Hc0
「向こうを向いて、こう、お尻を突き出すような感じの姿勢になってもらえませんか」
「こ、こうですかな?」
 言われた通り栞殿に背を向けて、尻を突き出す姿勢をとるが……これはいささか……
「栞殿、これは刺激的過ぎではないか」
 某の秘めやかな部分やお尻がむき出しとなって栞殿の前にさらされる。
 いかに剣術と絵画の他流試合とはいえやり過ぎではなかろうか。
 女性同士とはいえ、かなり恥ずかしいものがある。
「何を言ってるんですか、トウカさんの剣術修行が厳しいもののように
 絵画も真剣になればなるほど過激な題材やポーズが必要なんです」
「そ、そういうものなのか」
「そうです!」
 真面目な声で答える栞殿。
 う〜む、何だか誤魔化された様な気もするが――


A 「トウカさん、次はこの服を着てみてください」栞殿が何やら持参の衣装を持ち出した(衣装指定) 
B 「トウカさん……綺麗……」し、栞殿の手が某の体に伸びてきた?!
C 「お前達、一体何をやってるんだ?」ふと部屋の入り口にあきれた顔の柳也殿がいた
D 「見つけたぞ、詐欺絵師美坂栞!」なんと、どこかの役人が部屋に飛び込んできた(人物指定)
228名無しさんだよもん:2006/04/04(火) 16:13:03 ID:ULQYwTmh0
Dででそこねたアルサル
229名無しさんだよもん:2006/04/04(火) 22:24:10 ID:DYhagroQ0
トウカって女だったんだ、初めて知った
っていうか気づけよ俺orz
230名無しさんだよもん:2006/04/04(火) 22:43:26 ID:ULQYwTmh0
「む、何やら騒がしいな」
 某が栞殿の言うとおりの姿勢でいると、廊下を何者かが走ってくる音がした。
 どうもこっちの方へ来ているようだが――
 騒々しい足音の事を考えていると、突然戸が開いた。
「見つけたぞ、詐欺絵師美坂栞! 今日こそこのアルサルが捕まえてやる!」
 入ってきたのは一人の青年だった、服装からするに役人のようだが……
 栞殿が詐欺絵師?!
「なっ、もう見つけられるとは……予想外でしたね」
 栞殿は軽く舌打ちをする。
 まさか……某は謀られていたのか!


A 栞殿が懐から煙幕弾を出した!
B 某が飛び掛って栞殿を取り押さえた!
C アルサルとやらが某の裸に鼻血を出した!
231名無しさんだよもん:2006/04/04(火) 22:45:57 ID:yXbqjSb90
232名無しさんだよもん:2006/04/04(火) 22:50:53 ID:FAsUrEjGO
>>229
・)ノやあ兄弟。俺もうたわれプレイ当初トウカが女だって判らなかったさ。気にするな。
233名無しさんだよもん:2006/04/05(水) 02:03:46 ID:aHVfQqfC0
「神妙にお縄につけ! ってあれっ?」
 アルサルとやらは部屋に突入してきて……某の肢体に釘付けとなった。
 折り悪くも栞殿の言われるがまま扇情的な姿勢をとっていた某。
「こ、これは……ガフッ!」
「ア、アルサル殿?!」
 アルサル殿は思わず鼻血を出してその場にうずくまってしまった。
「これは幸運でしたね。今の内にっ!」
 栞殿は素早く絵具をかき集めて逃げようとする。
 ここで某は――

A まずは栞を捕まえる
B アルサル殿の介抱をする
C うっかり脱いだ服に脚をとられて転んでしまう
234名無しさんだよもん:2006/04/05(水) 02:05:31 ID:XD24RSUy0
C
235名無しさんだよもん:2006/04/05(水) 09:01:35 ID:+9IQPOpO0
「ええい、待ていっ!」
 それがしは逃げさろうとする栞殿、いや栞を追いかける。
 うぬぬ。某を謀るとはなんと不届き千万!!
 その所業許し難し!ひっ捕らえて然るべき処置を与えねば。
 そう思って某は駆け出すのであったが

 ズルッ  ステン

「某としたことがぁぁぁぁああああ!!!」
 
 これは一生の不覚。脱ぎ捨ててあった服に足をとられて
 某はものの見事にずっこけることに相成った。
 そして

A 打ち所悪く頭を打ってそのまま全裸で気絶。
B 鼻血を吹き出して失神しているアルサルに倒れこむ
C なんのこれしき。素早く受身をとって再び駆け出す 
236名無しさんだよもん:2006/04/05(水) 09:13:55 ID:qAffPdWz0
B
237名無しさんだよもん:2006/04/05(水) 16:51:56 ID:9ESLOh4n0
 ベシャァ
 某の体が見事にアルサル殿に倒れこんでしまった。
 某とアルサル殿の脚やら何らが絡まってしまう。
「い、いかん、アルサル殿、栞が逃げてしまいます!」
「う、う〜ん」
 失神していたアルサル殿を起こしてどいてもらおうとする。
 しかし栞がそんな隙を見逃すわけもなく。
「だっしゅ」
 これ幸いと栞は部屋から素早く逃げ出してしまった。

「お、おのれ〜〜〜!!!」
 夜の寺に響き渡るは某の無念の叫び声だった。
238名無しさんだよもん:2006/04/05(水) 16:52:27 ID:9ESLOh4n0
 某は服を着て、起こしたアルサル殿と寺の広間に座った。
 騒ぎを聞いて柳也殿と裏葉殿もいる。
「申し訳ありません、某のせいでアルサル殿の邪魔をしてしまって」
「いや、俺が失神していなければこんなことにはならなかったのに」
「いや、某が簡単に騙されたのが」
「いやいや、俺が不覚にも見とれてしまったのが」
「……それぐらいにしておけ、キリがないぞ」
 アルサル殿の話によれば美坂栞とやらは言葉巧みに相手をくどき。
 いかがわしい春画を描いては都で売りさばく指名手配中の詐欺絵師だそうだ。
 この辺りに出没しているとの知らせを受けて、アルサル殿は都から派遣されたという。
「しかし、もしも柳也が絵の題材になると承知した時はどうするつもりだったのだろうか」
「いや、最近は美男子の裸像を買い求める女人もいるらしい」
「あらあらまぁまぁ、柳也様の裸でしたら大人気でしょうね」
「勘弁してくれ……」
 なんとも面妖な趣味だ、某にはちと理解できない話だ。
「それで、これからアンタはどうするんだ」
「ああ、栞を追うつもりだ。恐らく都で描いた絵を売りさばく筈だからな」
 うぬぬ、某の裸で金を稼ごうとは……よし、決めた!
「アルサル殿! 某も連れて行ってはもらえないか!」
「アンタがか?」
「左様、某も都に用がある。一緒に栞を捕まえさせてほしいのだ」
 栞が都へ行くのなら丁度よい、そしてできれば役人であるアルサル殿の助力が欲しい。
 アルサル殿の返事は――


A 「まぁ、俺は別に構わないぞ」
B 「アンタ何だか粗忽者そうだからなぁ……遠慮してもらえないか」
C 「足手まといにならないか、一つ俺と手合わせをしてみろ」
239名無しさんだよもん:2006/04/05(水) 16:55:52 ID:swk+3RFS0
C
240名無しさんだよもん:2006/04/05(水) 19:58:55 ID:MzGWiEKk0
「そうだな……あんたが俺と手合わせしてくれるってんなら、考えてやっても良い」
「某とアルサル殿とがか?」
「そうだ。足手まといになられちゃ困るからな、俺があんたの実力試してやる」
「……承知」
 某は二つ返事で了承した。
 もとより某は都の武術会を目指す身。強い者との勝負を拒む理由などない。
 アルサル殿のその発言、さぞや腕に自信があるのだろう。
 ならば……某も燃えるというものだ!

 柳也殿と裏葉殿が立ち会い、某とアルサル殿はお互い境内で向き合った。
「エヴェンクルガの剣士、トウカ。参る!」
「俺の名はアルサル。ゲールの一の戦士!」
 お互いに名乗りを上げ、お互いに武器を構えた。
 達人は構えで相手の強さを悟ると言うが、
 某程度の者であっても、ある程度の敵の強さは感じ取れる。
 ……強い。素直にそう思えた。
 アルサル殿はおそらく役人の位を、柳也殿のように剣の腕のみで手に入れてきたのだろう。
 寺の一歩外にはこんなにも強い敵が待ち構えている。
 武術大会にはどれほどの強敵(とも)がひしめき合っておるのだろうか。
 ……今から大会が楽しみになってくる。
 そのために……今はアルサル殿を倒すことだ!
 某は一気にうってでる。まず戦略として……

A アルサル殿に力で劣る分速さで引っ掻き回す
B 力と力。真っ向勝負しかない
C 弱点だ、アルサル殿の弱点を狙おう
D 一歩踏み込もうとした足元に何故かバナナの皮が
241名無しさんだよもん:2006/04/05(水) 20:07:02 ID:Shjh4akW0
A
242名無しさんだよもん:2006/04/05(水) 22:46:04 ID:F5Au5RhP0
 アルサル殿に力で劣る分速さで引っ掻き回す。
「……はっ!」
 踏み込みながらすれ違いざまに初太刀を振るうが、
 これは力で上回るアルサル殿に容易く受け流される。
「なんの、この程度で……」
「やあっ!」
 だが、切り込んだ腕を残しつつ体を反転させれば
 前方に切り上げた剣先は大きく背後に退いたのと同じ事になる。
 そのまま流れのみを意識して素早く刀を打ち込めば――
「くっ、速い!?」
 二の太刀を止めるアルサル殿は先程ほどの余裕はない。
 このまま速さで翻弄して向こうの守りが崩せれば某の勝ち、
 逆に某の剣筋が鈍れば、その瞬間に決定打を打ち込まれるだろう。
「はっ、たぁ!」
 不退転の覚悟で、休むことなく連撃を打ち込み続ける。

A やがて反応が追いつかなくなったアルサル殿に大きな隙ができた
B 某の連撃が緩むまでアルサル殿は堪え切った
C 激しい打ち合いに耐え切れず、互いの刀と剣が折れてしまった
243名無しさんだよもん:2006/04/05(水) 22:47:23 ID:1TjJbV5z0
A
244名無しさんだよもん:2006/04/06(木) 01:24:04 ID:zYLDMBC50
「せいっ、はっ!」
 速度優先で休まず太刀を振るい、アルサル殿の防御を崩そうとする。
 だが、アルサル殿もそう簡単にはやらせてはくれない。
「このっ、やっ!」
 某の剣戟を正確に止めて押し返そうとする。
 ここで某が少しでも手を休めてしまえば、簡単に弾き返されて反撃を許してしまう。
 そうなれば、今度は最初から全力で飛び込んだ某が追い込まれてしまう。
 初撃から全力で、速さで抑えられなければ……某の負けだろう。

「どちらもいい腕だな」
「本当にそうで御座いますわね」
「だが……勝負あったようだな」

「! ここだ!」
 連撃を始めてしばし、某の剣筋が鈍り始める寸前に捌ききれなくなったアルサル殿が
大きく体勢を崩してしまう。
 その隙を某は見逃さなかった。
「しまった!」
 キィィィィン!
 某の渾身の一太刀が振るわれ、一際大きな金属が衝突音と共にアルサル殿の刀が
弾かれて草むらに飛び込む。

「そこまで」
 柳也殿の宣言と共に、張り詰めた場の空気が緩んだ。
245名無しさんだよもん:2006/04/06(木) 01:24:55 ID:zYLDMBC50

「参ったな、アンタ……トウカさんがこれほどまで強いとは思わなかった」
 草むらから剣を探し出したアルサル殿が感心する。
「いえ、アルサル殿の腕前も素晴らしかったです、本当に」
 素直にそう思う、もしもアルサル殿の方が最初から全力で切りかかっていたら勝負は
解らなかったはずだ。
「とにかく腕前は見せて貰った、約束通り一緒に美坂栞を捕まえに行こう」
 アルサル殿が手を出してくる、某もその手を握り返した。
「承知した、某もあの者を捕らえる為に全力を尽くそう」

 とは言えもう夜も更けている、アルサル殿と出発するのは翌朝と言う事にしたのだが……


A 試合の後に汗を流す為、もう一度温泉に入ったらアルサル殿が入ってきた!
B 寝る前に、寝所にアルサル殿が「少し話をしてもいいか?」と尋ねてきた
C とりあえず何事もなく朝を迎えた
246名無しさんだよもん:2006/04/06(木) 01:27:15 ID:Ry+3LaFe0
A
247名無しさんだよもん:2006/04/06(木) 06:04:14 ID:2VLpMZVb0


 かぽ〜ん

「ふぅぅ。気持ちいいにゃー」
 周りに誰も居ないこと確認してから大きく身体を伸ばす。
 柳也殿に続いてアルサル殿と本気の手合わせをしたのだ。
 悲鳴をあげていた身体から、重い疲れがゆっくりと引いていった。
 再び汗をかいた某は、今度は一人で温泉に浸かっていた。

 それにしても、たった二戦でここまでくたびれるとは……。
「……まだまだ精進が足りない、か」
 これで誠に武術大会で勝ち進めるのか、吾が事ながら不安である。


―― ガラガラガラ

 その時、引き戸が開かれる音がした。
 何となしに引き戸の方を見てみると……

「「なっ!!」」

 全裸に手拭一枚のアルサル殿と目が合ってしまった。
 そして引き戸には、

A 『男湯』と書かれていた
B 『女湯』と書かれていた
C 『混浴』と書かれていた
D 『湯女』と書かれていた
248名無しさんだよもん:2006/04/06(木) 06:34:05 ID:HDzifrY10
Dって何だ?
249名無しさんだよもん:2006/04/06(木) 07:48:50 ID:1FmplQbn0
>>248
とゆうか選択汁、Dで良いのか?

単なる疑問なら選択取っちゃうよ?Aでお願いしちゃうよ?
250名無しさんだよもん:2006/04/06(木) 12:38:23 ID:zYLDMBC50
「ア、ア、ア、アルサル殿。どうしてここに?!」
 とっさに体を手で隠して後ろ向きになりながら尋ねる。
 某も驚いたが、アルサル殿もかなり驚いているようだ。
「それはこっちのセリフだ、ここは男湯だぞ」
 そう言われて出切るだけアルサル殿を避けながら引き戸に目をやると……

 『男湯』

 そ、某としたことがぁぁ〜!

「も、申し訳ない! 今すぐ出るのでアルサル殿はゆっくりと湯浴みしてくだされ」
 慌てて湯船から出て、手拭いで隠しきれるものでもない体を隠しながら引き戸へ向かう某。
「おい! んまり風呂場で急ぐと危ないぞ……」
「はうっ!」
 アルサル殿の忠告も空しく、某は濡れた床に脚を滑らせてしまい――


A アルサル殿に飛び込んでしまった!
B 飛び込んでしまった挙句に口づけしてしまった!
C 頭を打って気絶してしまった!
251名無しさんだよもん:2006/04/06(木) 12:47:53 ID:EQWdvoOl0
B
252名無しさんだよもん:2006/04/06(木) 15:37:55 ID:fLxYBg8G0
「あ、わ、わっっ!!」
 ゆっくり、そうゆっくりと背景が動いていく。
 足が滑り、某の意に反した方向に体が勝手に動いていく。
 そう、しかもその方向の先には……
「アルサル殿……ど、どいて下されっ!!」
「な、な、なぁっっっ!?」
 アルサル殿がいた。
 この後どうなるかは……想像に難くあるまい?
 だが……事態はそれだけには留まらなかったのだ。
 某が勢い余って頭からアルサル殿に突っ込んでいく。
 あっけにとられていたアルサル殿は避けることも受けることもままならず、
 しかも丁度良い位置にアルサル殿の顔があり、これまた丁度よく某の顔がそこに近づき、
 その勢いのまま……

 ズキュウウウン!!!

「〜〜〜!!!」
 突然のことで状況を理解できていないアルサル殿。
 そして、それは某も同じだった。
 落ち着いてくるに従って、今の状況を冷静に把握できてくる。
 …………して、しまった。そ、その……つまり……接吻を。
 そ、某の『ふぁあすときす』が……!!
 アルサル殿は呆然としたままその場に座り込んでいる。
 某は咄嗟に……

A とにかく謝った
B その場から逃げ出した
C こちらに非はあるがとりあえずアルサル殿を張り倒した
D 振り向いた途端、風呂に入りに来た柳也殿と目が合った
253名無しさんだよもん:2006/04/06(木) 15:50:27 ID:L/Mtg1fj0
D
254名無しさんだよもん:2006/04/06(木) 18:45:53 ID:E604cbH70
 時刻は少しばかり遡ってとある夫婦の日常的な会話。
「明日にはトウカ殿もここを発たれるか。少し寂しくはなるかな」
「ええそうでございますね。この数日お二人の剣のお稽古を見るのも
 それは楽しみでございましたから」
 しみじみと感慨深くなる。この寺にあっては貴重な修行仲間であり
 ときには茶飲み友達でもあった相手が発つのにはやはり少しはもの寂しさもあった。
「まあ、生きているうち縁があればまた会うこともあるだろう。
 さて、裏葉。そろそろ俺達も風呂へいくか」
「ふふ。久々に私めとご一緒に入りなさいますか」
「馬鹿を申すでない。いくら夫婦とはいえ分別というものはある」
「あらあら。それは仕方がありませんね」
 かくして夫婦別々に分かれて男湯、女湯につかることとなった。
 そのときは思いもよらなかった。まさか男湯であのような現場に出くわすとは。

「さてと、どれ先客はおられるかな」
 温泉につき他の客の姿を探す。先に向かったあのアルサル殿というお役人もいるかもしれない。
 顔でも合わすことがあれば剣友のよしみ。トウカ殿のことをよろしく頼もうかと考えていた。
255名無しさんだよもん:2006/04/06(木) 18:47:06 ID:E604cbH70
「何だ?慌ただしい」
 まるでトウカ殿がいつものうっかりでこけ落ちたかのような音。
 あの御仁のうっかり振りを見るのもいささかの楽しみではあったが
 しばらくの見納めかと思うと少し寂しくなるが、ともあれ様子を見に行くか。
「これは一体何事か?先客の御仁」
 そういって様子を伺う。するとそこには
「り……柳也殿っ!……」
「っ!!……………」
 思わぬ姿に戸惑う。そこにいたのはトウカ殿であった。なにゆえこのような男湯に。
 いやそれよりもこの状況。
「あ……あああ……これは!これは違っ!あああっ!」
 慌てふためくトウカ殿。素っ裸のままで、まるでアルサル殿にのしかかるような体勢で。
「…………野暮なまねをいたした。どうぞそのまま続けられよ」
「こっ、これは誤解!そう誤解!……ぁ……ぁぁああ……某としたことがぁぁぁぁあああああ!!!」
 顔を蛸のように真っ赤にしながらそう喚かれる。本当に最後まで飽きさせぬお人であった。


「申し訳ない。またしてもアルサル殿に対しこのような失態を。どうか許してくだされ」
「い、いや俺は……その………」
 とりあえず風呂を上がって着替えなおしたあとでトウカ殿はアルサル殿に平謝りし続ける。
 アルサル殿の方はもうどうしてよいかわからぬ様子でおろおろしている。
 おそらくこの男、女人に対して免疫がないのであろう。まあがんばれ。
「あらあら」
 それを楽しげに眺めるのは裏葉。若い男女のあれそれといった話は興がそそるのであろう。
 まあ、俺も見ていて面白くなくはない。
「まあ、トウカ殿も悪気のあったことではござらぬ。どうか勘弁なされよ」
「ああ。それはいいんだ。それは…………」
 助け舟に口を出すがアルサル殿は顔を赤くしたまま俯かれた。
 まあトウカ殿のあられもない姿に風呂場で出くわしあのような状況になってしまったのだから無理はない。
 もう少し免疫はつけておいた方がいいと老婆心ながら思うが。
256名無しさんだよもん:2006/04/06(木) 18:48:03 ID:E604cbH70
「申し訳ない。本当に申し訳ない!」
 そう土下座をし続けるトウカ殿の顔もまた赤い。この御仁もこの手の話に関しては耐性はないからな。
 見やると裏葉がクスクス面白そうに笑っている。あんまり構ってやるなよと目で合図を送りつつこう締める。
「まあ、色々とあったが明日はお二人とも早い。今日はゆっくり休まれよ」
「ああ、そうさせてもらう……」
「そ……某の方も……」
 そうもじもじしながら受け答えする二人。ううむ。二人そろって奥手だな。ある意味似たもの同士か。
 後ろで笑ってる裏葉に視線を送るとすっくりと寝床の準備にいった。
 あやつ……何も企てなければよいのだが……さて、俺も寝るか。なんとなく今日は疲れた。


 そしてその夜


A 温泉での出来事を思い返すトウカ
B 同上でアルサル
C ↑の二人を肴に語らう柳也 裏葉
257名無しさんだよもん:2006/04/06(木) 18:56:39 ID:qS+ZeX6E0
B
258名無しさんだよもん:2006/04/06(木) 21:30:23 ID:q9uqELC30
 選択スレの皆、一応天使誰彼以来となるのかな。
 俺の名はアルサル、ゲールの一の戦士だ。過去の話では妹やアロウンがいろいろと世話になった。

 俺は柳也殿や裏葉さんのご厚意で寺で一泊させてもらっている。
 明かりを消して床に就くも……なかなか寝付けないでこれまでの出来事を思い返していた。
 都の役人である俺は現在、指名手配中の詐欺絵師である美坂栞を追っている。
 この山寺付近で彼女の姿が目撃されたとの報が当局に知らされ、捕縛の為に派遣され、
 後一歩で捕らえられたのだが、返す返すも俺は未熟だった。
 不意をついて突入したのに、鼻血を出して失神してしまうとは情けない限りだ。
 あの時トウカさんがあんな姿勢をとっていなければ……トウカさん綺麗でえっちだったな……
 お尻を突き出したトウカさんの肢体が瞼の裏に蘇る。
 いやいや、俺は何を考えているんだ!
 もっと別のことを思い出せ、例えばトウカさんと試合をしたとか、その後温泉でトウカさんと出くわしたとか。
 トウカさんが足を滑らせて俺に飛び込んできたとか……
 また俺の脳裏にトウカさんが浮かんできた、今度は感触まで思い出してしまう。
 トウカさんの体、鍛えてあったけどやっぱり女性なんだな。ハリがあって柔らかくって……
 それに偶然とはいえトウカさんの唇が俺の唇と重なり合って……

「いかんいかん、俺はどうしちまったんだ」

 温泉での出来事を思い出した俺は、慌ててガバッと布団を被り直す。
 まったく、これからトウカさんと都に戻らないといけないのにこれじゃあ先が思いやられるぞ。
 だけど目を閉じても思い出されるのは温泉でのトウカさんの姿や唇の温かさで――


A 眠れない、ちょっと辺りを散歩してみると……柳也殿がいた。
B 「アルサル殿、まだ起きていますか?」裏葉さんが寝床を訪ねてきた。
C このままじゃ明日に差し障る! 俺は無理矢理眠ろうとした。
259名無しさんだよもん:2006/04/06(木) 21:40:43 ID:5VO2X1M/0
A
260名無しさんだよもん:2006/04/06(木) 21:41:10 ID:jkXduYaI0
B
261名無しさんだよもん:2006/04/06(木) 22:09:47 ID:8GGUU8T00
いかん。眠れん。だぁぁぁあっ!!!
 どうしたというのだ俺は!!
 先ほどから脳裏に浮かぶのはそのトウカの……艶姿……
 いかん!いかん!!いかぁぁぁんっ!!!
 こんなことではゲールの一の戦士として未熟。
 少し外を出歩いて頭でも冷やすか。


「おや、このような夜更けにどうなされたか?」
 外に出てみるとそこにいたのはこの寺の食客となっているご夫婦の片割れだった。
 たしか柳也とかいったか。柳也は俺の顔色を見てあらかたのことを察する。
「大方、寝付けぬのであろう。まあ、無理もない」
 何かを悟りきったような風情。そこに大人の男の貫禄を感じる。
 ううむ、今の俺では到底真似ようもない。
 ここは一つ……

A このモヤモヤした気持ちをどうすればいいのか尋ねて見る
B とにかく身体を動かして色々と吹っ切りたい。一勝負申し込んでみる。
C トウカの人となりについてこの際色々聞いてみる
D 妻帯者の柳也に女性との付き合い方について助言してもらう
262名無しさんだよもん:2006/04/06(木) 22:11:03 ID:8GGUU8T00
間違えてageた。スマソ orz
263名無しさんだよもん:2006/04/06(木) 22:13:57 ID:5VO2X1M/0
B
264名無しさんだよもん:2006/04/06(木) 23:10:01 ID:q9uqELC30
「柳也、すまないが俺と一勝負してくれないか」
 とにかく、今は体を動かして色々と吹っ切りたい。
 思いっきり体を動かせばぐっすり眠れるだろ。
「ま、いいだろう、場所はさっきの境内でいいかな」
 柳也の二つ返事で試合が決まった。
 
 深夜の境内、今度は見物人はおらず俺と柳也だけだ。
 剣を手にし、構えを取る俺に対し柳也は自然体に近い。
「どうした、来ないのか?」
 自然体に近いが……隙がない。
 ……トウカが言うだけあってこの男、かなりのやり手のようだ。
「いや、今いきます!」
 脚に力を入れ、一気に柳也へ駆ける。
 そうだ、体を動かす為に試合を申し込んだのににらみ合っていても始まらない。
 俺の打ち込みから試合は始まり、結果は――


A 俺の剣が柳也に弾き落とされてしまった。
B 柳也の剣を弾くことができた。
C 鍔迫り合いの末、お互いに剣を落としてしまった。
265名無しさんだよもん:2006/04/06(木) 23:13:10 ID:MHvB/pIu0
今の状態じゃAが妥当か
266名無しさんだよもん:2006/04/06(木) 23:26:14 ID:4ecZC4ZY0
柳也最強
267名無しさんだよもん:2006/04/07(金) 03:03:27 ID:8/tJ++KV0

 キィィィイン

 甲高い金属音と共に俺の剣は宙を舞い、側の茂みに落ちる。
「くっ、俺の負けだ……」
 何合かの打ち合いと鍔迫り合いの末、またしても剣を弾かれてしまった。
 体は思う存分動かたのだから問題ないが、二連敗は少し堪える。
「すまない柳也、こんな夜遅くにつき合わせて」
 茂みから剣を探し出し、俺は寝床に戻ろうとする。
 だけど境内に上がる寸前、柳也が話しかけてきた。
「俺のような者が口を出すのもなんだが……アルサル殿の剣に迷いが感じられる
 原因は……まぁ言わなくても解るだろう」
 
 グサッ
 
 言葉が胸に突き刺さるってこういうんだろうな。
 まさに柳也の言うとおりだ。
 さっきの打ち合いの時ですら、頭の片隅にチラチラとトウカの姿がよぎってしまった。
 ええい、俺は一体どうなってしまったんだ!
 明日からはそのトウカと都に戻らないといけないのに。


A ここは一つ奥さんを持っている柳也に助言をもらう
B いやいや、明日の事は明日考えよう。今日はもう寝る
C その頃トウカは裏葉に眠れぬ夜の相談をしていた
268名無しさんだよもん:2006/04/07(金) 03:07:51 ID:T5DlVzHDO
BかCか……Cだ!
269名無しさんだよもん:2006/04/07(金) 19:22:03 ID:SzqPGxJq0
「……眠れん」

 トウカだ、エヴェンクルガをやっている。
 明日の朝は早い、栞を追いかけて都へ向かわなければならないのに……

「……やはり眠れん」
 床に就てからそんな言葉を何度となくつぶやく。
 原因は解っている。
「アルサル殿……」
 布団を被り、目を閉じた瞼の裏に浮かぶのは先ほどの一件だ。
 アルサル殿に裸を見られて……せ、せ、せ、接吻までしてしまった。
 風呂場での某の不注意とはいえなんという事を……
 ああっ! 思い出しただけでも恥ずかしい!
 心音が激しくなって胸が熱くなってしまう。
 こ、これが話に聞くこ、こ、“恋”というものなのか?! 
 アルサル殿とは先ほど出あったばかりなのに!
 …………駄目だ、まったく眠れない。 

「トウカさん、少しよろしいでしょうか」
 某が一人で悶えていると戸の向こう側から声がした。
「裏葉殿か、いかがなされた?」
「いえ、トウカさんが何やら寝付けないみたいなので……
 よければ相談に乗りますよ」
270名無しさんだよもん:2006/04/07(金) 19:23:50 ID:SzqPGxJq0

 眠れないでいた某は是非もなく、裏葉殿を招き入れて話をした。
「さっきから目を閉じてもアルサル殿の姿ばかり浮かんで……全く眠れない」
「そうですかそうですか」
 目を細めて微笑みながら話を聞いてくれる裏葉殿。
 人生経験が豊富そうな裏葉殿ならいい知恵を貸してくれるかもしれない。
「このままでは明日に差し障る、何か妙案はないだろうか?」
「そうですね、それなら――


A この『般若湯』を飲めば眠れると思いますよ」
B 修行中ですが、私の法術で眠れると思いますよ」
C アルサル殿の事を考えながら、自分の体を慰めれば眠れると思いますよ」
271名無しさんだよもん:2006/04/07(金) 19:24:12 ID:wdLbNJA80
272名無しさんだよもん:2006/04/07(金) 19:28:17 ID:qmmTDbZH0
な ぜ C を え ら ば な い
273名無しさんだよもん:2006/04/07(金) 20:26:30 ID:wdLbNJA80


    も ち つ け ! !
274名無しさんだよもん:2006/04/08(土) 00:20:53 ID:+fXYR4fP0
「修行中ですが、私の法術でぐっすり眠れると思いますよ」
 そう言うと、裏葉殿はにっこりと微笑んだ。

 ……法術。
 詳しい事は某もよく知らないが、まじないの類だと聞いている。
 未知のものに我が身を任せるのは少し怖い気もする。
 しかし、いつまでも煩悶としている訳にはいかない。
 ここは一つ裏葉殿に任せてみよう。

「……裏葉殿、お願いします」
「分かりました。それでは蒲団に横になって下さい」
 言われた通り横になる。
「そのまま、楽にしていて下さい。……では、いきます」
 裏葉殿は何やら呪文を唱え始めた。

―― そして

A 法術成功。トウカはぐっすり眠ることができた。
B 法術成功。裏葉はぐっすり眠りこんでしまった。
C その場では何も起こらなかった。
  しかし、法術は成功していた。アルサルは玄関でぐっすり眠ってしまった。
275名無しさんだよもん:2006/04/08(土) 00:31:11 ID:iQdBtOOi0
276名無しさんだよもん:2006/04/08(土) 04:47:46 ID:z4f4FtgR0
「―――、どうですか?」
 呪文を唱え終わった裏葉殿が尋ねる、が……
「済まぬ、少しも眠くならないのだが」
 特に法術前と変化はなかった。
「おかしいですわね、成功したと思ったのに」
「いや、その心遣いだけで十分です。裏葉殿に話をしたおかげで少しは気
 が楽になりました。どうにか寝てみます」
「あらあら、申し訳ありません」
 某は裏葉殿に礼を言い、悶々とする中無理矢理眠る事にした。


「アルサル殿、こんなところで寝ては風邪を引くというのに」
 柳也だ、今俺が何をしているかと言うと……アルサル殿をおぶっている。
 一勝負終えて寝所に戻るはずのアルサル殿が突然玄関で眠ってしまった。
 呼びかけど叩けど起きる気配がない、仕方なく俺が寝床に運んでいる。
 まさか裏葉の仕業か……それとも考えすぎか?
 とにかくアルサル殿を寝床に放り出し、適当に布団をかぶせる。
「やれやれ、俺も寝るとするか」
 

A 早朝、某が目を覚ますとアルサル殿が朝稽古をしていた
B 早朝、某が朝稽古をしているとアルサル殿が猪を担いで山から下りてきた
C 翌朝、某とアルサル殿は寺を出発するまえに柳也殿達と別れの挨拶をした
277名無しさんだよもん:2006/04/08(土) 04:54:45 ID:RT6q9lAD0
柳也はそのまま近くを散歩してくると言ったので、俺は自分の泊まっている部屋へ戻る事にした。
いい具合に身体が動かせたし、何とか眠れそうな気がする。
そして玄関へ上がった所で妙な感覚に襲われた。
深い泥の中に引きずり込まれるような、それでいて心地よい暖かさのような感覚に意識が奪い取られていく…
「う…あ…」
不覚…と思う間もなく俺の意識は闇へと引き込まれてしまった…。


ドサッ

法術の効果がなかなか出ないと裏葉殿が首をかしげた辺りで、玄関の方で重いものが落ちるような音がした。
「…あら、またやってしまいました」
「裏葉殿、”やってしまった”とは?」
「修行中の身ですもので、たまに対象が大きく外れてしまうことがあるんです」
「ということは、あの物音は…」
二人で部屋を出て廊下から玄関に向かう。
倒れていたのはアルサル殿だった。大の字になって完全に熟睡しきってしまっている。
「あらあら、こんな所で寝てしまっていてはカゼをひいてしまいますね」
裏葉殿は自分が法術を掛けた相手にも関わらず悪びれもせずにさらりと言う。
それはともかくこんな所で寝ていては確かにカゼをひいてしまう。

A 何とか強引に起こす
B 少し大変だが、アルサル殿の部屋まで運ぶとしよう
C 「トウカさんの部屋に運び込みましょう」 そ、某の部屋にっ?!
278名無しさんだよもん:2006/04/08(土) 04:56:08 ID:RT6q9lAD0
こんな時間に書き負けって…orz
選択はB
279名無しさんだよもん:2006/04/08(土) 13:50:36 ID:z4f4FtgR0
「せいっ、せいっ」
 早朝、寺の中庭に某の素振りの掛け声が響く。
 今日でこの寺を発つとはいえ日課は欠かすべきではない、某は朝稽古の素振りをしていた。
「精が出るな、トウカ殿」
「柳也殿、おはよう御座います」
 声をかけられ、振り向くと柳也殿の姿がある。
 某は思わずその周りに視線を泳がせてしまった。
「アルサル殿か?」
 図星を突かれ、顔が赤くなったのが自分でも解った。
「い、いやっ、朝から姿が見えぬようなので如何されたのかと……」
「ふうむ、散歩にでも出かけたのではないか?」
 確かに、寺の中に居る様子はなく履物がなかった。
 寺の外に出かけたのは間違いないだろう。
 だが朝稽古の間ずっと散歩しているというのは、あまりに長すぎる。
「ま、まさか」
 そこで思わずつぶやいてしまう。
 某のような破廉恥な女と道中を共にするのが嫌で朝早く都に戻ったのか?!
 そんな! 某がうっかりしていたとはいえ余りに無体な!

「お〜い、今戻ったぞ」
 声が聞こえた……アルサル殿の声だ!
 思わず声の方向へ駆け出してしまう。
「アルサル殿、何処へ行って……」
 そこで某の言葉が止まった。
 山手の裏口に立っているアルサル殿、それはいい。
 アルサル殿の肩に担がれているのは……猪?
280名無しさんだよもん:2006/04/08(土) 13:51:43 ID:z4f4FtgR0

 グツグツグツグツグツ

「いや、朝から猪鍋とは豪勢極まる」
「済まない、書置きでもしようかと思ったがすぐ戻れると思って」
「そろそろ煮えてきました、皆さん」
「それでは」
「「「「頂きます」」」」
 アルサル殿は一宿の礼にと朝早くから山へ猪狩りに出かけていたとの事だ。
 いや、某の思い過ごしで良かった。
「しかしこれだけの猪をよく一人で」
「猪狩りは里に居た頃から得意だったからな」
 いい具合に煮えた猪肉に某達は舌鼓を打った。
 む、柳也殿はともかく裏葉殿は……いいのかな?
「ここの宗派は口にするものについては寛容なのです」
 某の疑問に答えてくれる、なるほど。
 余った肉は後で干し肉にするらしい。


「柳也殿、裏葉殿、お世話になりました」
 朝餉を終え、仕度を整えた某とアルサル殿は玄関で柳也殿達と別れの挨拶をしていた。
「トウカ殿、武術大会での活躍を期待しているぞ」
「柳也殿、期待に応えられるよう某も全力を尽くす次第だ」
「アルサル殿、今度こそ美坂栞を捕まえられるといいな」
「当たり前だ、次こそ捕まえてみせる!」
「お二人とも、道中お気をつけて下さい」


A 「そうだアルサル殿。猪の礼にこれを持っていくといい」柳也殿がアルサル殿に何かを渡した(道具指定)
B 「トウカさん、これをお渡ししておきますね」裏葉殿が某に何かをくれた(道具指定)
C 「それでは失礼します。お二人とも色々とありがとう御座いました」某は厚く礼を言って出発した
281名無しさんだよもん:2006/04/08(土) 14:01:00 ID:NEpLxToL0
B 安眠枕
282名無しさんだよもん:2006/04/08(土) 20:21:27 ID:z4f4FtgR0
「トウカさん、これをお渡ししておきます」
 出発の間際、裏葉殿が渡してくれたのは……枕?
「安眠枕で御座います、ぐっすりと眠れると思いますよ」
 安眠枕を渡しながらにんまりと裏葉殿が笑う。
「さ、左様か」
 うーむ、某は別に枕が替わると眠れないというわけではないのだが……
 ま、寝不足はよくない、ありがたく頂こう。


「で、ではそろそろ行こうか。トウカ」
「そ、そうであったなアルサル殿」
 名残惜しいが何時までも別れの挨拶をしているわけにもいくまい。
 二人に見送られながら、某達は都を目指して足を踏み出す。


「あの二人、無事都に着けるのだろうか」
「似たもの同士と言えばよろしいのでしょうか、お似合いの二人だと思いますよ」
「ま、似たもの同士なのは確かだが、両方とも奥手すぎやしないか」
「そこがよろしいんですよ、ふふふ」


 さて、某達は武術大会の為、そして美坂栞を捕まえる為に都に向かったのだが――


A 途中で道に迷ってしまった
B 人通りの少ない道で、追いはぎが現れた(人物指定)
C 特に何事もなく、宿にたどり着いた
283名無しさんだよもん:2006/04/08(土) 20:23:48 ID:ZxZPyS0x0
C
284名無しさんだよもん:2006/04/09(日) 04:44:05 ID:gzF6kleM0
 道中つつがなく、某たちは無事に都へとたどりついた。
 初めて都に来た某に、アルサル殿は懇意にしているという宿所を紹介してくれた。

「俺は一度、番屋に戻って事の経緯を報告しなきゃならないが、トウカはどうする?」
「某は武術大会の参加申し込みに行きたいのだが……」
 そう、都を目指していた本来の目的は武術大会で己の真価を計ることだ。
「それならば、その大通りを南に進めば闘技場がある。そこで一般参加の受付をやっているはずだ」
「……アルサル殿。重ね重ね、かたじけない」
 不慣れな某にこうも親切にしてくれるとは、本当にアルサル殿は出来た御仁である。
「な、なに、たいした事じゃないさ。
 そんな事より、もし街中で美坂栞を見かけたら、すぐに番屋へ知らせてくれ。
 この宿の並びにあるから場所は分かると思う」
「承知した」
「また夜にでも顔を出す。……よ、よかったら、一緒に飯でも食わないか?」
 某がうなずくと、アルサル殿はそそくさと番屋へと行ってしまった。
 勤務中であるから何かと忙しいのであろう。
 やはりアルサル殿は出来た御仁だ。
285名無しさんだよもん:2006/04/09(日) 04:45:04 ID:gzF6kleM0
 にぎやかな大通りを南に進むと、やがて大きな闘技場が見えてきた。
 入り口を入ると受付に眼鏡をかけた女性が座っていた。
「ようこそ南都闘技場へ。武術大会に一般参加される方ですか?」
「ここで受付をやっていると聞いたのだが」
 そう言うと、眼鏡の女性はにっこりと笑って一冊の帳面を差し出した。
「申し遅れました。私、武術大会準備会の牧村南と言います。
 一般参加のご希望の方は、この台帳にお名前と流派を記入してください」
 見ると、その帳面には既に何名かの武芸者と思われる名前が記されていた。
 その横に、某の名前と流派を書き込む。
「ありがとうございます。江弁来牙流剣法のトウカさんですね。これで登録は完了です」
 そう言うと、南殿は某に名前の書かれた札と一冊の冊子を手渡した。
「これは参加証と規則集になります」
「……某は武術大会に初めて参加するのだが、どのような大会なのか説明してはいただけぬか?」
「分かりました、簡単にご説明しますね。
 まず、この大会は勝ち抜き戦となっています。
 1対1の組み合わせで、最後まで勝ち続けた人が優勝となります。
 年齢、性別、種族、流派は一切問いません。
 中には、名のある武将の方や、地方領主のお抱えの剣客の方などがお忍びで参加したりしています。
 ……だから、無名の選手でも決して気を抜かないでくださいね。
 勝敗は審判が決めます。
 また、帝のご命令で殺生は禁止されています。
 あまりに行き過ぎる場合は審判が試合を止める場合もあります。
 その他の細かいルールはその冊子に書いてありますので、一通り読んでおいてください」
「かたじけない」
「それと、受付は今日の申の刻で終了になります。
 明日の巳の刻(午前10時頃)に対戦相手の抽選会がありますので、遅れずに来てくださいね」
「承知した」
286名無しさんだよもん:2006/04/09(日) 04:46:26 ID:gzF6kleM0
 さて、闘技場を後にした某は

A 宿に戻った
B 適当に都を見物することにした
C 美坂栞が春画を売っていそうな店を探すことにした
D アルサル殿のいる番屋を覗くことにした
287名無しさんだよもん:2006/04/09(日) 04:48:31 ID:JnZ3EZZc0
288名無しさんだよもん:2006/04/09(日) 10:45:09 ID:6UBnrQMj0
適当に都を見物することにした。
宿への道中でも思ったことだが、さすがは都。人の数も店の数も信じられないほど大きい。
広い大通りを歩いていても人の熱気でむせ返るようだ。某も圧倒されてしまう。
人々の声を聞くともなく歩いていると、時折武術大会の話が漏れ聞こえてくる。

「すごい人手だねぇ、恭ちゃん」
「もうすぐ武術大会だからなぁ。明乃は見に行かないのか」
「あんまり怖いのは好きじゃないんだよ。珠美ちゃんと行くの?」
「ああ。しかし、あのすげぇ槍使いや剣士とか格闘家は今年も出るのかな……」
「恭ちゃ〜ん、一人で先に行かないでったら〜」

やはり武術大会があるせいで人が増えているのか。これは恥ずかしいところは見せられぬ。
江弁来牙流剣法を辱めないようにしなければ。某は改めて気を引き締めた。

A 「喧嘩だ喧嘩だぁ!」 近くからそのような声が聞こえてきた。
B 芝居小屋か……見たことがないが、入ってみよう。
C 昼時でもあるし、食事にしよう (店を指定)
D 「お願いです、助けてください!」 追われているらしい少女が近寄ってきた。 (人物指定)
E いくつかの店を見物した後、宿へと帰った。
F 「トウカ、トウカじゃないか」 旧知の人物に出会った。(人物指定)
G 釣堀があった。これは行かねばなるまい。
H あれはアルサル殿と見知らぬ女性? 仕事中なのだろうか。
289名無しさんだよもん:2006/04/09(日) 11:09:14 ID:M3EZVQQLO
C
値段と質が合ってない店(解釈は書き手に一任)
290名無しさんだよもん:2006/04/09(日) 14:12:20 ID:vpo83t4F0
「はいはい、都で一番の料理といえば『胡散屋』!『胡散屋』だよ!
 そこのお侍さん、そろそろ昼飯と洒落こんじゃどうだい?」
 威勢のいい呼び込みの賑やかな声が耳に入った。
 そういえばもう昼時あったな、食事にしよう。
「すまぬがその料理は……」
「あいよ、お先一名様のお入りー!」
「ああ、いや、その、某は」
 どんなものか聞こうとしたところ、有無を言わさず店内に押し込まれてしまった。

「あいよ、いらっしゃい」
 表の賑わいとは裏腹に『胡散屋』の中は妙に静まり返っていた。
「……客は某だけなのか?」
「お客様には余裕を持って当たっております」
 なるほど、混んでいる店だと注文がきちんと伝わらずに長々と待たされてしまう事がある。
 これくらいの人数で行き届いた対応をして貰えたほうがありがたいかもしれない。
 さすが都で一番をうたうだけの事はある。
「それではこの昼飯定食をお願いする」
「かしこまりました、すぐお持ちします」
291名無しさんだよもん:2006/04/09(日) 14:12:53 ID:vpo83t4F0
 ほどなくして昼飯定食が運ばれてきた。
 たしかにすぐに運ばれてきたのは嬉しい、が――
「すまぬ、焼き物がすっかり冷めているようなのだが」
「それは焼き冷ましと言うのです」
「……この吸い物、出汁の味がまったくせぬような」
「醤油だけで素材の僅かな旨みを余すことなく引き出すのが都流ですよ」
「米がべちゃべちゃになっているのは?」
「消化に宜しいのは結構な事ではないですか」
 正直にいうとまずい気がするが、これは食べ慣れぬせいであろうか?
 釈然としないが残すのも申し訳ないので、とにかく箸を進めることにした。

「馳走になった。いくらになる?」
 ともかく腹は膨れ、茶を飲みつつ清算するのみとなった。
「はい、こちらに」
「――ブッ!?」
 渡された伝票を見て思わず茶を噴き出した。
「こ、これは一食にしては明らかに高過ぎではないか?」
「はい、うちは都で一番『値段が高い』店ですから」
 給仕が何も悪びれずに答える……某としたことが!?

A 食べたものは仕方ない、当面苦しくなるが泣く泣く払う
B むしろ払えないので店の仕事を手伝う羽目に……
C 明らかに値段が釣り合っていない、ここは毅然と問いたださねば!
D 「このぼったくりが!」その時突然誰かが怒鳴り込んできた(人物指定)
292名無しさんだよもん:2006/04/09(日) 14:26:33 ID:JnZ3EZZc0
D 岩切
293名無しさんだよもん:2006/04/09(日) 23:55:41 ID:W8msRnXb0
 この値段は……あまりにも不当だ、ぼったくりだ。
 某は立ち上がり店主に詰め寄る。
「店主、この価格はちと高す――」

「失礼、『胡散屋』の主はおられるかな」
 某が最後まで言い切る前に声がした。
 見ると入り口に全身を黒い外套で包んだ人影が立っている。
 声から察するに……女性のようだ。
「おや、どちら様ですかな」
 にやにやとした顔で店主が応対する。
「先刻ここで食事をした者だが、もう忘れたのか?」
「ああ申し訳ありません、お客様お一人お一人まで覚えきませなんだ。
 それで、何か用ですかな?」
 この僅かな客の入りで覚えられないはずもなかろうに。
 抗議や文句など日常茶飯事なのだろう。
「支払いの後に他の飯屋を見て回ったが……この店はいささか代金を取り過ぎではないか?」
 どうやら某と同じく騙されてぼったくられた客のようだ。
 黒い外套で表情は窺えず、一見言葉遣いは丁寧だが……声には怒りがこもっている。
「いえいえ、他の店は他の店。私どもは素材を厳選して細心の調理をしております
 これでもお値打ちな方かと思っておりますが」
 これでお値打ち?! よくもそんな事が言えたものだ。
「……そうか」

 その呟きが聞こえた瞬間、黒い人影が消えた。
 少なくとも店主にはそう思えたであろう。
 黒い外套の女性は、物凄い速さで店主の背後に飛び込んでいた。
 何時の間に握られていたのだろうか、短刀を店主の頬に当てている。
「えっ、お、お客様何を……」
 突然短刀を当てられ、さしもの厚顔な店主も声がうわずった。
「勘違いをするな、私は実は床屋であんたの髭を剃るだけだ。だが……もし動いたりすれば
 手元が狂うかもしれないがな」
294名無しさんだよもん:2006/04/09(日) 23:56:28 ID:W8msRnXb0
 物騒な床屋もいたものだ。
 握られた短刀が銀色に光り、たるんだ頬肉をなぞる。
「ひっ」
「申し訳ないが出張料金を取らせてもらう……そうだな、私とそこの御仁の食事代でどうだ?」
「な、何でこの客の分まで……」
「嫌か?」
「め、滅相も御座いません!」
「商談成立だな、では動くなよ」
 黒い外套の女性の手が動き、店主の無精髭を剃り落としていく。
 某は黒い外套の女性の手並みを黙って見ていることにした。
 途中「おおっと、手が滑った」と言ってあわや首筋にまで刃をあてたのは……ご愛嬌だろう。


「助かりました、わざわざ見ず知らずの某の分まで」
 髭剃りを終えた黒い外套の女性と某は並んで店を出る。
「なに、ついでだ。同じあの料理の味に辟易した者のよしみでな」
 くくっ、と口元が笑う……が、次に少し真面目な口調になる。
「ところで、そなたも私の髭剃りに口を挟まなかったな
 見たところ腕に覚えのある武士のようだが、私を止めるつもりはなかったのか?」
「ふむ、確かに昼飯代を踏み倒すなど不届き千万だ、不届き千万だが……」
「だが?」
「あの味では踏み倒しを見逃しても武士の道には外れはしないだろう」
「……なるほど、確かにあの味ではな」
 某の返答に面白がり、また笑みを浮かべる。
 そうだ、某まだこの女性に名前も名乗っていなかった。
「申し遅れました。某はエヴェンクルガのトウカと言います」
「トウカ殿か。私の名は岩切花枝、私は――


A 武術大会に出るつもりなのだ」
B 物見遊山で都に来た」
C 実は……美坂栞という輩を追っている」
295名無しさんだよもん:2006/04/09(日) 23:59:38 ID:K/yorsMZ0
C
296名無しさんだよもん:2006/04/10(月) 02:29:14 ID:fhEeke9b0
「実は……ある輩を追っている、美坂栞という絵師なのだが」
「なっ、美坂栞ですと!」
 岩切殿が挙げた名前に驚く、ここで都に来たもう一つの目的である
 詐欺絵師、美坂栞の名前を聞くとは思わなかった。
「彼女を知っているのか?」
「知っているも何も……とりあえずそこの茶店に来ては下さらんか」

 某は岩切殿と近くの茶店に腰を下ろし、寺での出来事を話した。
「まさか……トウカ殿も奴に騙されたのか」
「岩切殿もか」
「『今は“戦う女性”が流行りなんですよ、その体を惜しみなくさらけ出してください』
 などとおだてられた挙句にいつの間にか脱いでいた……恥ずかしい限りだ」
 思い出したのか岩切殿が唇をかみ締めて悔しがる。
 うむむ、しかしこんな所で同じ目的を持った人物に会えるとは思ってもなかったな。
「岩切殿、これも何かの縁だ。実は某、今度の武術大会に出るつもりだが、合間を見て
 美坂栞を捕らえるつもりなのだ。一緒に協力してはくれないか」
 某の申し出に、岩切殿は少し思案したが……やがて口を開いた。
「……正直、一人で広い都中を探すのは難儀だと思っていた。トウカ殿、私でよければ手伝おう」


「ところで、トウカ殿は栞の行方について何か心当たりはあるのか?」
 岩切殿に尋ねられ、某は――


A 番所へ行ってアルサル殿に何か情報がないか尋ねる
B 絵師の事は絵師に、都の有名な店や絵師に聞き込みをする
C 「お前達か、美坂栞を追っているのは」そこへ美坂栞の放った刺客が襲ってきた(人物指定)
D 某達が思案していると……目の前を美坂栞が歩いていた!
297名無しさんだよもん:2006/04/10(月) 02:32:37 ID:q0AylQhj0
B
298名無しさんだよもん:2006/04/10(月) 02:32:50 ID:6AKLTJOB0
D
299名無しさんだよもん:2006/04/10(月) 03:30:57 ID:paMOeMu20
「ここは絵師の事は絵師に、都の有名な店や絵師に聞き込みをするべきだな」
「うむ、では参ろう」
 昼下がりの都。様々な人間が通りを行き交っている。
 と、その時だった。
「――?」
 妙な気配が某を囲んでいる。
 一人や二人ではない、この数では十人はいるだろう。
 あたりを見回すがそれらしき怪しい人影はいない。
 だが気配は、某の歩幅に合わせて等間隔で付けてきている。
 殺気はない、ただ某達を監視しているようだ。

「気にしなくてもいい、あれは私の部下だ」
 某の様子に気付いたのか岩切殿が声をかける。
「岩切殿…あなたは一体…?」
「詳しい事は言えないがさる大名の隠密衆とだけ言っておこう」
「詐欺絵師を捕まえるのに忍まで駆り出すのか?」
「……まあな」
 歯切れの悪い返事が返ってきた。
「……どうやら私の部下が何か情報を持ってきたようだ」
「え?」
「あれだ」
 前方から行商人の姿をした男が歩いてくる。
 男は岩切殿とすれ違う。

(五月雨堂にて美坂栞発見との報)
(ご苦労、引き続き周囲の警戒を怠るな)

「栞の足取りを掴めたぞ。場所は骨董屋『五月雨堂』だ」
 ……別に某がいなくても栞捜索はできるような。
300名無しさんだよもん:2006/04/10(月) 03:32:14 ID:paMOeMu20


 某達は五月雨堂の前にいる。かなり繁盛しているらしく人で溢れている。
 確かにここなら栞について何かわかるかもしれない。

「とりあえず中に入って聞き込みだ」

A 店主らしき若い男に聞いてみる。
B 店員の少女に聞いてみる。
C なんと客の中に栞を発見した。
D 「部下の気配が消えた……?」岩切殿が呟く、異常事態発生か!?
301名無しさんだよもん:2006/04/10(月) 03:42:44 ID:0QGnj3i5O
A
302名無しさんだよもん:2006/04/10(月) 14:06:37 ID:7JD09Uw70
 店内はなかなか綺麗に整理されていたが、やはり大勢の人で
 ごった返していて、客に話しかけるのはためらわれる雰囲気だ。
「いらっしゃいませ」
 奥へと進むうち店主らしき若い男が声をかけてきたので、話を聞いてみる事にした。
「ああ、忙しい中すまぬが少し物を尋ねたい。
 故あって人探しをしているのだが、ここで見かけたという話を聞いてな」
「人探しですか……最近都は人の出入りが激しいですからね」

 店が混んでいるのであるいは断られるかと思ったが、
 宮田健太郎と名乗る店主は話に応じてくれた。

「それにしても随分と繁盛しているようですな」
「ええ、武術大会で一旗揚げようと都にやって来た人が
 持参した家宝の骨董品を滞在費として売りにやって来るんですよ。
 田舎では買い手がなかなかいなくても都会なら、と考えるみたいで」
「ほう、それならばさぞかし稼いでいるのだろうな」
「いや、これだけ大勢が売りに来ると値崩れするんですよね。
 それにこまめに手入れせずに床の間で埃を被っていたような品は
 一回きちんと掃除して、必要なら修繕もしないと店頭に並べられませんし……」
 宮田殿が溜息をつく。賑わったら賑わったなりの苦労があるようだ。
「ところで、この五月雨堂で扱う品に絵画の類は含まれるか?」
 岩切殿が本命の話を切り出した。
「絵画ですか?もちろん骨董として価値があるなら扱いますが」
「実はこちらの店で詐欺絵師・美坂栞を見かけたとの話が入って来てな。
 性質の悪い者だけに、そちらも何か騙されているのではないか?」
「美坂、栞――」
 一瞬戸惑い、宮田殿が口を開いた。

A 「さっきその人から高名な作家の古い水墨画を買い取ったばかりです」
B 「来るたびに大口の買い付けをしてくれるお得意様ですが……」
C 「うちの名を騙って、店の前でいかがわしい勧誘を行うんで困っていたところです」
303名無しさんだよもん:2006/04/10(月) 14:12:27 ID:LIXhR0Jq0
A
304名無しさんだよもん:2006/04/10(月) 20:36:33 ID:fhEeke9b0
「さっきその人から高名な作家の古い水墨画を買い取ったばかりです」
 古い……水墨画か。
 いかがわしい絵を描いては売りさばく美坂栞が
 骨董屋で水墨画を売ると言うのも妙な話だが……
「どう思われるか、岩切殿?」
「ふむ、美坂栞が自分で偽造したのか。それともいかがわしい絵の報酬を売りさばいたのか
 はたまた別の方法で手に入れたのか……私にも真意は解りかねるな」
 岩切殿も不思議に思っている、確かに骨董屋を騙せるほどの贋作作りの腕前があるなら
 舌先三寸でいかがわしい絵を描いて売りさばく真似などしなくていい筈なのだが。
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ。あの絵は確かに俺が鑑定した本物――のはずですよ」
 少し自信なさげに話に入る宮田殿。
 やはり本人に聞かねばわからなさそうだが、さて、どうする。
 このままここにいても有効な情報が得にくそうだが――
 

A 絵師なのだから画材道具をどこかで購入するはず、都の市で画材屋あたりを探す
B もっと庶民的な浮世絵や錦絵を売っている店を探す
C 宮田殿に美坂栞の次に何処へ行く予定を知らないか聞いてみる
305名無しさんだよもん:2006/04/10(月) 20:55:42 ID:N4wDXOn80
306名無しさんだよもん:2006/04/10(月) 23:26:46 ID:fhEeke9b0
「トウカ殿、このままではラチがあかない。別の場所を探さないか」
 確かに、五月雨堂からの足取りが掴めない以上ここにいても時間の浪費だろう。
「しかし……次は何処を?」
「美坂栞は春画を売りさばいているはず、それならばこのような骨董品を扱う店よりも
 庶民的な浮世絵や錦絵を売っている店に聞き込みをしてはどうだろうか」

 
 五月雨堂を出る前に宮田殿に聞いた場所へ某達は向かった。
「この辺りがそうか」
「さすがに年に幾度か開かれると聞く、“同人市”ほどではないらしいが
 なかなかの賑わいだな」
 なるほど、店先に様々な浮世絵や錦絵、詩集や小説などが並んでいる。 
 中には某達が描かれたような……いかがわしい春画を置いている店もある。
「詐欺絵師である以上、美坂栞本人が堂々と店を出しているとは思えないが
 絵師同士で何か知っている人間がいるかもしれない。部下にも言って
 暫くこの辺りで聞き込みをしてみよう」
「承知した、何か手がかりがあるといいが……」
 某は岩切殿と聞き込みを始め、結果――


A 美坂栞を知っているという人間を見つけることができた(人物指定)
B 某と岩切殿の春画を扱っている店を見つけた
C 何の手がかりもつかめない……そうこうしているうちに日が暮れてしまった
307名無しさんだよもん:2006/04/10(月) 23:28:47 ID:Vehah+6E0
308名無しさんだよもん:2006/04/11(火) 01:27:53 ID:xYgqUAm30
 某と岩切殿の春画を扱っている店を見つけた。




 ……ふと我に返る。一瞬意識が飛んでいたようだ。
 いかんいかん。しっかり我を保たねば。だが仕方あるまい。この光景を見てしまっては。
 いや、負けてはおれぬ。とりあえずこの現状を何とかせねば。

 話に聞いた店に岩切殿と向かった某。そこで見た光景とは……!

A.とんでもない高値で取引される某の春画
B.「わごんせーる」なる区画で捨て値で売られる某の春画
C.某と岩切殿の春画と並んで売られている美坂栞の春画
D.某と岩切殿の春画を自ら売りさばく美坂栞
309名無しさんだよもん:2006/04/11(火) 01:33:39 ID:1XUGT/wv0
D
310名無しさんだよもん:2006/04/11(火) 03:25:09 ID:6acL5MNe0
『時間限定、新作二種』
『今回の題材は“戦う乙女を脱がして”』
 そんなのぼりが立てられた場所に、何人もの男が群がっている。
 押すな押すなの大盛況、その隙間からちらちらと見えるのは……美坂栞?!
 いや、待て、落ち着け、まずは様子を窺ってみよう。

「もし、ちょっとよろしいか?」
 某と岩切殿は春画を手にした客の一人に話しかけた。
「なんだ、アンタ達も美坂栞の春画を買いに来たのか? 残念だが今回の新作は男性向けだぜ」
「いや、そうではないんだが……ここの美坂栞の春画とは何故これほど人気があるんだ?」
「大きい声じゃ言えねぇけどな、ここの絵師の春画は描く相手をだまくらかして脱がせてるんだ
 もちろんそんな事ご法度だ、だから期間限定どころか時間限定になって売り切ったらさっさと居なくなるんだ
 ま、素人娘が騙されて脱ぐっていう『しちゅえーしょん』に萌える客が多くてすぐ完売なんだが……ってアンタ達……」
 ようやく気がついたようだ、客は手にした春画と某たちの顔を交互に見比べ、冷や汗を流す。
 どうやら本当に某達の裸で荒稼ぎをしているらしい。
 ……最早これ以上確認すべきことはないな。
311名無しさんだよもん:2006/04/11(火) 03:25:54 ID:6acL5MNe0

「さぁもう残りわずか! “戦う乙女「岩切花枝」と「トウカ」”はここでしか買えませんよ!」
「俺にも一枚くれ!」
「知り合いの分も頼まれた、二種類を三枚くれ」
「はいはい、一人十枚までです。早くしないと売り切れますよ!」

 威勢のいい呼び声が響く中、某と岩切殿が客を押し割って前に出ようとした。
「おいおい、割り込みは無しだぜ……って、あれっ?」
 押しのけた客が、信じられないような顔をする。
 強引に客を掻き分けて、ようやく売り子の前に出られた。
「随分と景気が良さそうで結構」
「山寺以来ですな、栞殿」
「えっ……トウカさんに岩切さん?」
 栞の口にした名前、途端、シン――と、大賑わいだった場が静まり返る。
 無理もない、さっきまで買い求めていた春画に描かれた本人がいるのだ。
 ようやく、憎っくき美坂栞とのご対面。
 栞もぽかんとしている。
「あ……えっと……お久しぶりで……」
「まさか栞殿本人が売り子をしているとは思ってなかったな」
「だが、手間が省けた」
 某が刀に手をかけ、岩切殿が懐の小刀に手をやる。
「抵抗するならば、命までは取らないが相応の仕置きが待っているぞ」

「「覚悟!!!」」
 某達が栞に飛び掛った!


A 某達は素早く栞を取り押さえる。
B 客達が邪魔をしてきて、その間に栞が逃げ出してしまう。
C うっかり側に居た別の人間を取り押さえてしまった(人物指定)
312名無しさんだよもん:2006/04/11(火) 03:35:07 ID:IqbUxErv0
A
313名無しさんだよもん:2006/04/11(火) 20:21:01 ID:6acL5MNe0
 事は一瞬で済んだ。
 某と忍びである岩切殿の飛び込みに、栞が逃げ切れる筈もなかった。
「えう〜、まさかこんなに早く都に来るなんて思っていませんでした……」
 捕まえられて縛り上げられた栞がうめき声を上げる。
「ほらっ、キリキリ歩け」
「ええい、見世物ではないぞ!」
 白昼の捕物劇に野次馬が集まって来た。
 栞の春画の客達が恨めしげに某達を見るが……さすがに手出しまではしてこなかった。

「トウカ殿、こやつをどうするのだ?」
「幸い、某の……知り合いにこの者を追っている役人がいる。その人に引き渡すつもりだ」
 そうだ、はるばる山寺まで栞を追いかけていたアルサル殿。
 きっと喜んでくれるに違いない。


『トウカ、もう栞を捕まえてくれたのか! やっぱりエヴェンクルガの剣士ってのは凄いものだ』
『い、いや、それほどでもない。アルサル殿に喜んでもらえて某も……』
 照れてしまう某をアルサル殿がジッと見つめて、そして……

「ああ、アルサル殿、某達には早すぎるのでは……」
「トウカ殿、いかがなされた?」
 はっ、いかんいかん。ついおかしな想像をしてしまった。
 早く番所へ連れて行かねば。
「そんなに引っ張らないで下さい、痛いですよ〜」
 縛り上げた栞を引き連れて番所を目指す姿はかなり人目を引く、いさかか栞が可哀想かもしれないが
 こればかりは止む終えまい。 


A 「アルサル殿、美坂栞を捕らえましたぞ」某は上機嫌で番所にたどり着いた
B 「栞殿、今助けるっ!」人通りの少ない道で何者かが襲ってきた(人物指定)
C スキを見つけて栞が隠し持っていた小刀で縄を切って逃げ出してしまった!
D 「ところで、先ほどのアルサル殿とはいかな人物かな?」番所への途中に岩切殿が聞いてきた
314名無しさんだよもん:2006/04/11(火) 20:22:36 ID:1XUGT/wv0
C
315名無しさんだよもん:2006/04/11(火) 20:22:52 ID:xy8lhbmz0
D
316名無しさんだよもん:2006/04/11(火) 22:24:15 ID:2LK7BdLW0
「あの、すみませんが……」
「今さら謝っても許してはやらんぞ。おとなしくお上の裁きを受けるがいい」
「それは仕方ないと思って観念しています。
 ただ、出来ればもっと人通りの少ない道を行きたいのですが」
 栞が申し訳なさそうに懇願する。
 言われて周囲を見ると、大通りを行き交う人々がこちらを注視していた。
 すれ違いざまに口さかない言葉を飛ばしてくるものさえいる。
「なるほど……確かにこれでは少々辛い、もう少し人の少ない道を選ぼう」
「悪事を行ったのだ、身につまされるくらいで丁度いいではないか」
「いや、それを裁くのは役人の仕事。某達はあくまで善意での協力なのだから
 独断で引き回す私刑のような真似は慎んだほうがいいのではないだろうか?」
「ほほっ、甘い事を。この娘は叩けば誇りの出る身。
 言葉通りに道を変え、そこに仲間などいたら思う壺ではないか」
「それはそうだが、実際某も居心地が悪いのだが……」
「……私としては、国に連れ帰って裁いてやりたいところだ。
 都の役人に差し出す事で良しとしている分でかなり譲歩しているのだがな」
 岩切殿が身分をさる大名の隠密衆と名乗っていたのを思い出す。
 国に連れ帰ることを諦めることで某の言い分を呑んでいるのだから、
 道中の処遇はこちらの言い分を呑めと言っているというのは某でも分かる。
 しかし、それにしても晒し者にするのは人の道としてどうだろうか――
317名無しさんだよもん:2006/04/11(火) 22:25:32 ID:2LK7BdLW0
「あの、揉めているようでしたらお構いなく……」
「そうやって晒されているのが貴様にはお似合いだ」
「むう、それはやはり人の道として間違っていると思うのだが」
「……縄はもう切れちゃいましたから」
 その言葉に慌てて背後を見ると、縛っていた縄は切れて足元に落ちており
 肝心の栞は小刀を手に某たちからゆっくり遠ざかっていくところだった。
「ちっ、私たちが互いに気をとられる隙をついたか!」
「某としたことが!」
 慌てて追いかけようとしたが、栞は一気に狭い路地にかけこんでしまった。
「くっ、なんとしてでも捕まえねば!」
「……止めておけ、この都の路地は複雑で逃げ込まれたら一筋縄ではいかない。
 こちらが多勢でもなかなか追い詰められなかったのだ、地の利は向こうにある」
 苦々しそうに岩切殿が呟いた。

A このままでは立つ瀬がない、無駄かもしれないが路地裏を探してみる
B やはり都の治安は都の者が当たるのが筋。アロウン殿に今日の出来事を報告する
C 悪いと思うならやけ酒につき合えと岩切殿にもちかけられた
318名無しさんだよもん:2006/04/11(火) 22:29:06 ID:byEqTaX+0
AかCか
Aだ!
319名無しさんだよもん:2006/04/11(火) 22:29:24 ID:KcDV7yau0
なんでアロウンが出てくるんだよ
選択はC
320名無しさんだよもん:2006/04/11(火) 22:31:32 ID:2LK7BdLW0
ごめん、もう深夜でちょっと寝ぼけてたようだorz
これで寝る
321名無しさんだよもん:2006/04/12(水) 00:08:47 ID:4xTZN9k60
「……いや、某は裏路地を探してみるつもりだ」
 ここで見逃してしまえば以降探し出すのは難しい。
「望みは薄いが……探さないよりマシか、とりあえず二手に分かれよう
 部下達にも辺りを探すよう言っておく」
「かたじけない、岩切殿」
「夜になれば見つけるのは無理だろう。夕暮れまで探してどこかで落ち合おう」
「そうですな、それなら……今度開かれる武術大会の入り口でいかがだろうか」
「ふむ、あそこなら私にも解りやすい。承知した」
「では、某は裏路地の西の方を探してみる」
「私は東の方を、北と南からは部下達に任せる……難しいだろうがな」
 正直、某も見つけられる可能性は薄いと思っている。
 しかし、折角アルサル殿の力になれると思っていたのにこの有様。
 何とか挽回したいところだ。

「では」
「夕暮れ時に会場前で」
 某達は二手に分かれて、裏路地へ駆けた。


A 裏路地を探し回っていると……栞が男たちに囲まれている?
B 探し回ったが栞は見つからない……仕方なく某は大会会場の入り口に向かった
C 「こ、ここは何処だ?」裏路地を探し回っていると……某が道に迷ってしまった
322名無しさんだよもん:2006/04/12(水) 00:09:18 ID:YxP9vGYU0
ここでうっかりして! C
323名無しさんだよもん:2006/04/12(水) 00:09:29 ID:WZGqn27r0
324名無しさんだよもん:2006/04/12(水) 00:09:29 ID:z4mZKWpg0
「…無駄かもしれんが路地裏を探そう。何か手がかりがあるかもしれん」
「それしかないか……」
拙者と岩切殿は路地裏を探してみた。
無論、地の利の権もあり、無理臭い事は承知はしていたが、
何もやらないよりはましだった。

が、栞は見つかった。
あっけない程。
そして、やっかいな物もついていた。

「はい、お金ですよ。これで今月の家賃は払えますね」
「……お姉ちゃん。ごめんなさい」
「ふふふ。プリムラちゃんは私を見くびってますね。
この栞おねえちゃんはお金持ちだから、これくらいはまったく痛くないのですよ」
「ふく、ぼろぼろ……」
「これはかのジェームス・ディーンが着た着物だから1500万両もする古着なのです」
「でも、おかおにけが……」
「これはメイクです。私のようなリッチな女は前衛芸術も必要なんです」

某と岩切殿は影から除き、ため息をついた。
「まいったな」
岩切殿は呟いた。
某も同じ心境だった。
罪を憎むか人を憎むか。

A 罪をにくむ
B 人をにくむ
C 彼女達も連れて行く
325名無しさんだよもん:2006/04/12(水) 00:11:46 ID:z4mZKWpg0
すまん。無効で。
326名無しさんだよもん:2006/04/12(水) 01:14:03 ID:4xTZN9k60
 某は裏路地へ駆けた、詐欺絵師美坂栞を捕らえるために。
 そう、勢いよく裏路地を探し回ったのはいいのだが――

「ここは……何処だ?」

 迷ってしまった、そ、某としたことがぁぁぁ!

「既に夕暮れ時、岩切殿と落ち合う時間なのに」
 影が長くなり、辺りが薄暗くなってきた。
 人通りの少ない裏路地が更に寂しい風情を出す。

「アルサル殿……」
 思わずつぶやいてしまう。
 結果の是非を問わず岩切殿と落ち合った後、アルサル殿と食事をするつもりだったのに
 これでは間に合わなくなってしまうではないか!


A 途方にくれながら歩いていると、美坂栞が一軒の長屋に入るのが見えた!
B とにかく岩切殿と落ち合わねば、辺りの人に道を聞くことにした(人物指定)
C 「おや、ねぇちゃん。こんな裏通りを一人で歩くなんて物騒だぜ」なにやら人相の悪いゴロツキが話しかけてきた(人物指定)
D 「トウカ、こんなにいたのか」なんと、アルサル殿が某を探しに来てくれた
327名無しさんだよもん:2006/04/12(水) 01:16:59 ID:TQztZVL0O
よし、Dだ
328名無しさんだよもん:2006/04/12(水) 13:28:44 ID:4xTZN9k60

「ここも大通りに出る道ではなかったか」

 日が暮れて空に星が見えてきた。なのにまだ裏路地をウロウロしている。
 某は複雑怪奇な裏通りに翻弄されてしまっていた。
「岩切殿、申し訳ない」
 聞く人もいない道の真ん中で、謝ってしまう。
 待ち合わせの時間はとうに過ぎている、岩切殿もさぞ怒っているだろう。
「はぁ……アルサル殿、きっと怒っているだろうな」
 今朝別れ際に食事の約束をしてくれたアルサル殿。
 某もアルサル殿と一緒にする食事を楽しみにしていたのに……
「一体某は何をしているのだろうか」
 愚痴をこぼしてしまう。
 美坂栞を捕まえてアルサル殿に喜んでもらおうと思っていたのに、うっかり
逃げられてしまい挙句の果てに迷子になる。
 こんな体たらくにアルサル殿も呆れてしまうに違いない。
 実にマヌケな話だ、あの時岩切殿の言うとおり追跡を諦めておけばよかった。
 しかし……某には諦めきれなかった。
 栞を捕まえて連れて行けば、きっとアルサル殿が喜んでくれる。
 アルサル殿が喜ぶ顔が見てみたい。 
 そう思って無理を承知で追いかけた結果が……この有様だ。
329名無しさんだよもん:2006/04/12(水) 13:29:49 ID:4xTZN9k60

「アルサル殿……本当に申し訳ない」

 夜空に浮かぶ星明りを頼りに、なおも大通りを探す。
 見知らぬ裏通りを一人で歩くのは、いささか心もとない。

「何時になれば戻れるのだろうか……」

 何となく、このまま永遠に裏通りを彷徨い続けるのではないかと思い始めた。
 二度とアルサル殿と会うこともなく、迷路のような裏路地に囚われ続ける。
 おかしな話だ、これまで武者修行の為に一人旅をしていたのに。
 夜に道に迷った事もあった、それでもこれほど心が乱れる事はなかった。
 その理由は……アルサル殿だろう。
 ……都までの道中、朝だった事もあるが、アルサル殿と歩いている時は全く別だった。
 お互いに何を話していいかわからず、終始言葉少なかった。が、それは決して居心地が悪いものではなく
 むしろ……心が安らいだ。
 このまま番所に戻ったところで、夕食時はとうに過ぎている。
 あまつさえみすみす美坂栞を逃したとあれば……アルサル殿に会うのが辛い。
 アルサル殿に会いたい、しかし、会いたくない。
 夜の闇だけではない、矛盾した某の心が不安を掻き立てた。

「アルサル殿……」 

 また、その名前をつぶやいてしまう。最早何度目だろうか。
330名無しさんだよもん:2006/04/12(水) 13:30:19 ID:4xTZN9k60


「トウカ、こんなところにいたのか」


 声がした、唐突に。
 振り向くと……そこに立っていた。
 暗い夜道だと言うのに、某はそれが誰か確信を持っていた。

「アルサル殿!」

 自分でも大げさだと思う、たかが道に迷い約束に間に合わなかっただけなのに。
「探したぞ。岩切って人が番所に来てもしかしたら道に迷っているかも知れないって言われてな
 ここは都に住んでる人間でも迷ってしまうぐらい複雑なんだ、事前に教えておかなくて――」
「ア、アルサル殿、申し訳ない! 某、美坂栞をもう少しで捕まえられたのに……」
 会えたことは嬉しい、しかし思わず己の不甲斐なさを謝ってしまう。
「お、おい、それも聞いた。トウカは善意の協力者なんだ、そんなに気負う必要ないじゃないか」
「し、しかし、某は、某は……」
「ま、惜しい事は確かだけど、また機会はあるさ。武術大会の合間を見てまた探そう」
「アルサル殿……怒ってはないのか」
「何だよトウカ、俺が何を怒っているんだ?」
「その……食事の約束を……すっぽかして……許してもらえないだろうが……申し訳ない」
 再び頭を下げる某に、困った顔でくしゃくしゃと頭をかくアルサル殿。
「あ、その事か、そりゃ残念なのは残念だけど、また明日にでも食べればいいさ
 美味しい店を紹介するぞ、俺の行きつけの店なんだ」
「そ、そうですか……ありがとう、アルサル殿」
「いいさ、もう夜も遅い、一緒に戻ろう」


A アルサル殿に送ってもらい、某は宿に戻る事ができた。
B 「トウカ、少し寄り道していいか」アルサル殿が……どこかへ誘ってくれる?
C 「……困ったぞ、ここは何処だ?」なんと、アルサル殿まで道に迷ってしまった!
331名無しさんだよもん:2006/04/12(水) 13:34:58 ID:v2m3NLjj0
B
332名無しさんだよもん:2006/04/12(水) 14:00:44 ID:G8JX6FxI0
「トウカ、少し寄り道していいか」
アルサル殿が……どこかへ誘ってくれる?

「ああ、腹減ってるだろ」
とたんに某の腹から都合わるくクゥという音が漏れた。
「そっ、某としたことが」
「ははは、ちょうど良かったな。店はもう閉まっているから、俺の家に行こう」
「あっ、アルサル殿の家へ!」
「俺は妹と二人暮しなんだ。遠慮することはない」
「妹君と。そうですか」
なんだかほっとしたような、少し残念だったような。なぜ某はこんな気分になっているのだろう。

「あ……しかし、岩切殿に断らなければ」
「あぁ、岩切という人には連絡場所を聞いて帰って貰った。
 なにか栞に関することがらがわかったら連絡して欲しいと言っていたぞ」
「そうでしたか……重ね重ねお二人には申し訳ない」
「そう小さくなるなよ。少しでも尻尾はつかめたんだ。それで十分だ。じゃあ、行こう」

そう言ってアルサル殿は夜の路地を歩き出す。某もその後についていく。
その背中を見て歩くのは、道中よりももっと心が安らいでいるのが感じられた。
アルサル殿……

やがて一軒の長屋にたどり着いた。

A 「に〜さま、お帰りなさい」 少女が出迎えてくれた。彼女がリアンノン殿だろう。
B 「おーい、リアンノン?」 妹君はいないようだ。ふ、ふたりっきり?
C 「おっ、アルサル。どうしたんだ、その女の人は」「なんだモルガン、来てたのか」
  ずいぶん肌を露出した女性が現われた。
D 「アルサルさん、おすそ分けを持ってきました」 料理を持った女性が現われた。(人物指定)
333名無しさんだよもん:2006/04/12(水) 14:22:22 ID:1zx2L4ym0
普通にA
334名無しさんだよもん:2006/04/12(水) 19:26:40 ID:G8JX6FxI0
「に〜さま、お帰りなさい」
少女が出迎えてくれた。彼女がリアンノン殿だろう。
「あぁ、ただいま、リアンノン」
「あれ、そちらの方は?」
「彼女は、あー、なんというか、そう、仕事で関係のある人だ。名前は、トウカという」
某達の関係を説明しようとして、アルサル殿は多少ぼかした表現になった。
たしかにどういって説明するか難しいところではある。
はっきり言ってしまえば、知り合い程度のものだろう。……少し残念な気もする。
まぁしかし、普通知り合いは互いの裸を見たり接吻はせぬだろうが。
思い出して顔が紅潮する。しまった、某としたことが……

「トウカさんですか。はじめまして」
「こっ、こちらこそ。よろしくお願いします。ア、アルサル殿には
 たびたびお世話になって」
リアンノン殿がぺこりと頭を下げたのにあわせて頭を下げ、
赤くなった顔を見られないようにした。
「リアンノン、すまないが急いで飯を作る。手伝ってくれないか」
「はい、ちょっと待ってくださいね」

「じゃあトウカさんは武術大会に出られるんですか」
食事は意外だったがアルサル殿とリアンノン殿の二人で作られていた。
それはあの昼飯などに比べることも失礼なほど見事なものだった。
驚くことにアルサル殿は裁縫も得意のほか、家事全般に堪能らしい。
両親を早くに亡くされ、リアンノン殿をたった一人で育てられていたからだそうだ。
ただし作れるのはリアンノン殿の服だけで、ご自分の服は作れないとのこと。
それでも某などにはとても真似のできないことであり、剣士ではあるが女の身として
少し気後れを感じる。
「ええ、明日抽選会だそうです」
「トウカさんの試合には、わたしも、応援に行きますねっ」
リアンノン殿はとても明るい、いい子だった。アルサル殿の育て方が良く分かる。
きっと、父親になっても優しい方になられるだろう。
335名無しさんだよもん:2006/04/12(水) 19:29:16 ID:G8JX6FxI0
ちっ、父親……
ふっと頭に浮かんだその像に再度顔が紅潮する。その隣で赤子を抱いていたのは、そっ、某では?
「熱いですか? そのお椀。どうぞ、冷たいお茶です」
「こっ、これはかたじけない」
あわててお茶を飲んでその場をごまかす。
「あっ、それは熱いほうのお茶!」
「クッ、クケエエエェェェッ!」
「何やってるんだ、トウカ」


食事が終わって、そろそろ辞去する頃合になった。

A 「俺も、武術大会に参加することになった」 アルサル殿がそんなことを言われた。
B 「さて、そろそろ宿へ向かうか」 アルサル殿が某を見ながら言われた。
C 「ごちそうになりました。某一人で結構ですので、アルサル殿、また明日」
D 「トウカさん、もう遅いですし泊まっていったらどうですか?」 とリアンノン殿が言った。
E 「に〜さまが女の人を家に連れてくるなんてはじめてですね」 とリアンノン殿が言った。
336名無しさんだよもん:2006/04/12(水) 19:32:34 ID:TQztZVL0O
A
337名無しさんだよもん:2006/04/12(水) 20:40:02 ID:G8JX6FxI0
「俺も、武術大会に参加することになった」
アルサル殿がそんなことを言われた。
「ア、アルサル殿も!?」
「に〜さま!?」
「元々推薦で、一般じゃない特別参加枠には入っていたんだ。栞を追うという理由で
 上には断っていたんだけどな」
「ではなぜ突然?」
アルサル殿は某に視線を向けた。それは、道中や先ほどまでとは違う剣士の目だった。

「トウカと柳也に二連敗。多少は剣に自信があったんだが、見事に負けた。
 このままではゲール族の一の戦士としての名折れだ。それに、武術大会にはきっともっと強い
 奴らも出てくるんだろう。そいつらの相手をしてみたい」
アルサル殿の目が燃えている。やはりアルサル殿も某と同じだ。
「トウカ、次は勝つからな」
姿勢を正し、アルサル殿に正対する。
「某も己を鍛えるもの、エヴェンクルガのものとして、その挑戦を受けましょう。
 対戦することになったら、手は抜きません」
「上等だ。今度は殺すつもりでいくぞ」
「トウカさん、わたしはに〜さまを応援しますからねっ」


食事を終え、二人に礼を言った。その出がけにアルサル殿が土間から声をかける。
「ではまた明日。抽選会場で」
「本当に送っていかなくていいのか?」
アルサル殿が出ようとする某に言う。わずかに笑いながらそれに答えた。
「アルサル殿より一本取ったものが夜道が危ないということはないのではありませんか?」
「む、それもそうだな。わかった。では、明日」

A 翌日、抽選会の時刻となった。アルサル殿の姿も奥に見える。
B 宿へ戻ると、ある人が訪ねてきていた。(岩切、雄二、柳也、裏葉、ゲンジマル より選択)
C 宿に行く途中にまた迷った。
D 「あっ、あいつです、先生」 宿へ戻る途中、飯屋の店主と見知らぬ人が待ち伏せていた。(人物指定)
338名無しさんだよもん:2006/04/12(水) 20:41:01 ID:RoBuQUzA0
B 岩切
339名無しさんだよもん:2006/04/12(水) 21:15:47 ID:G8JX6FxI0
アルサル殿の宅から宿へ戻ってきた。ずいぶんな時間になってしまった。

「ああ、お客さん、遅いお帰りで。お知り合いの方が見えられてますよ」
「某に客? 了解した。感謝する」

部屋へ戻ると、岩切殿が待っていた。手元の茶はすでに乾いている。
「トウカ殿、邪魔している」
「あ、岩切殿。先ほどは大変申し訳ない」
「それはもういい。アルサル殿の話では迷いやすいというところだ。
 慣れていないトウカ殿を責めてもしかたがない」
「そういっていただけるとありがたい。それで、どんな用件でこちらへ?
 栞の情報が手に入ったのですか?」
「うむ……」
今ひとつ歯切れが悪い。どうしたのだろう。
それに、こんな時間まで待っていても某に話さなければいけないことなのであろうか。

「実は……」

A 「栞の居場所を見つけたのだが、位の高い人物の屋敷にいて、手が出せないのだ」 (人物指定)
B 「トウカ殿、あなたも武術大会に出られるそうだが、一つ頼みがある」 (頼みを指定。指定しなくても可)
C 「隠密だと伝えたが、実は私の主がトウカ殿に会いたいと言っているんだ」(人物指定)
D 「隠密だと伝えたが、実は主の一目ぼれした相手を探しているんだ。それがアルサル殿らしい」
E 「名高いエヴェンクルガの刀法と手合わせ願いたい」
F 「……いや、栞の情報がないかと訪ねに来ただけだ」
G 「その、トウカ殿の春画をあそこで手に入れたのだが……」 岩切殿がのの字を描いている。
340名無しさんだよもん:2006/04/12(水) 21:19:56 ID:TQztZVL0O
F
341名無しさんだよもん:2006/04/12(水) 21:20:42 ID:kGwJMlXU0

頼みは栞も武術大会に出場しているのでぶちのめす。
342名無しさんだよもん:2006/04/12(水) 21:51:25 ID:G8JX6FxI0
「……いや、栞の情報がないかと訪ねに来ただけだ」
「そう……ですか。いえ、あれから情報はありません。もし見つけたら
 アルサル殿より伺った連絡場所にすぐに伝えましょう」
「わかった。そうして貰えたらありがたい。それでは今日はこれで」
「あ、岩切殿」
見送る間もなく岩切殿は姿を消してしまった。
どうも果断な岩切殿らしくもなく、歯切れが悪かったのが気になるが。
まぁ、考えても仕方あるまい。とりあえずは明日だ。今日はもう寝よう。
ZZZ……
うぅーん、アルサル殿ぉ……


「参加者の皆さん、ようこそお集まりいただきました」
翌日巳の刻。闘技場で南殿が声をかける。集まった兵どもは皆一癖ありそうだ。
某も気が入る。裏葉殿の安眠枕のおかげで睡眠も気合も十分だ。むしろ危うく遅刻するところだった。
周りを見回す。アルサル殿の姿はあるが、今はあえて声をかけなかった。
また、岩切殿の姿も見えたが、こちらは某に背を向けてしまった。
さらにあたりを見ると、

A 他に知り合いはいなかった。
B なぜ、柳也殿がここに?
C 雄二、お前が参加してどうする。
D うーむ、栞に良く似た背格好の少女だが、仮面をかぶっているし別人か。
E ゲ、ゲ、ゲ、ゲンジマル様!

「さて、一回戦の相手が決定しました!」
南殿の良く通る声が某の思考にかぶせて響く。
「江弁来牙流剣法のトウカさんの相手は!」

1 一回戦の相手はアルサル殿!?
2 一回戦の相手は岩切殿か。
3 一回戦の相手は、知らぬ人物だ。(人物指定)
343名無しさんだよもん:2006/04/12(水) 21:54:40 ID:ZxK0ZcG50
C3醍醐
344名無しさんだよもん:2006/04/12(水) 21:54:58 ID:kGwJMlXU0

3は刀狩の七瀬
345名無しさんだよもん:2006/04/13(木) 00:15:34 ID:JyNdpJgt0
 闘技場の抽選会場、参加選手が集まっている。
 様々な得物を持って、各人腕に覚えのありそうな者達だ。
 そんな強者達が集まっているのだが……そこに意外な、本当に意外な人物がいた。
「雄二、何故お前がここにいる?」
 山寺で覗きを働いた不埒者、向坂雄二だ。
「いや〜、都見物に来たんだけど何だか面白そうだし」
 軽薄そうな返答、一体こやつは何を考えているのやら。


「さて、江弁来牙流剣法トウカさんの相手は、傭兵戦術の醍醐さんです!」
 南殿の声が響く、某の対戦相手が決まったようだ。
 辺りを見回すと……いかつい中年の男と目が合った。
 おそらくこの御人が醍醐とやらだろう。
 ずかずかとこちらにやって来た。
「あなたが醍醐殿ですか、某はトウカ、お互いに全力を尽くしましょう」
「貴様が相手か、ふんっ! 俺も運が悪かったようだな、こんな女が初戦とは」
 むむむ、その発言はかなり心外だ。
「貴様のような女子供が戦場に出るなど、身の程知らずだと教え込んでやるわ!」
「……とにかく、よろしくお願いします」
 言いたいことだけを言って気が晴れたのか、きびすを返してその場を離れる醍醐殿。
 何やら偏見の強い人だ、傭兵としてのこだわりなのか?
 だが、某程度の見立てではなんとも言えないが、かなり鍛えた肉体をしている。
 ちらちらと見える体の傷は、戦場を幾度も巡った証だろう。
 歴戦の傭兵か……なかなか手強そうな相手だ。
346名無しさんだよもん:2006/04/13(木) 00:16:34 ID:JyNdpJgt0

 さて、一回戦の某の試合までまだ時間がある。
 某は何をしようか?


A アルサル殿に一回戦の相手を聞いてみる
B 会場内を適当に散歩してみる
C ここで某はうっかり愛刀を宿に忘れてきた事に気がつく
347名無しさんだよもん:2006/04/13(木) 00:22:01 ID:LA9MtBeC0
A
348名無しさんだよもん:2006/04/13(木) 00:22:25 ID:dAGNyjyD0
A
349名無しさんだよもん:2006/04/13(木) 04:26:20 ID:JyNdpJgt0
「アルサル殿」
 抽選会場でアルサル殿を見つけ、声をかけた。
「お、トウカか、一回戦の相手は決まったのか?」
「ええ、醍醐と言う傭兵です」
 某の挙げた名前にアルサル殿が反応した。
「醍醐……まさか“狂犬”醍醐か?!」
「何か知っているのですか、アルサル殿」
 アルサル殿の驚きよう、只事ではない。
「ああ、各地の戦で呼び声の高い傭兵だが……時に雇い主にまで
 手を出すところから“狂犬”と呼ばれるようになった凄腕の傭兵だ」
 うぬぬ、只者ではないと思っていたがそれほど有名な者だったのか。
 これは気を引き締めて掛からねばならないぞ。

「ところでアルサル殿、アルサル殿の一回戦の相手はどのような人ですか?」
「ああ、俺の相手は――


A 松原葵っていう格闘家だ
B 来栖川綾香っていう格闘家だ
C クロウという槍使いだ
D 向坂雄二という青年だ
E その他人物指定
350名無しさんだよもん:2006/04/13(木) 05:59:08 ID:66qI+BSGO
D
351名無しさんだよもん:2006/04/13(木) 07:28:29 ID:nocFKOqY0
「向坂雄二という青年だ。俺は聞いたことはないが、トウカは知っているか」
「こっ……向坂雄二!?」
「知っているのか?」
「はあ、その……実は」
某は寺の近くに住んでいること、地方の資産家の息子であること、
しばしば裏葉殿にちょっかいをかけていたことなどをあらかた話した。

「とんでもない奴だな……」
「ちょうど栞が来ていた日も、某が裏葉殿と湯をつかっていたら
 覗き見に来ていました」
「なっ、なんだとっ!」
「その前にしとめましたが」
「そっ、そうか」
アルサル殿は息をついて、雄二のいるほうを睨みつける。
「まずアルサル殿がてこずるなどという相手ではありません」
「わかった。俺がお灸をすえてやろう」


「それでは以上で抽選会は終了です。明日、同じ時刻より一回戦を開始します。
 遅れた場合は不戦敗となりますので、注意してください。
 皆さんありがとうございました。何か規則やそれ以外で聞きたいことがありましたら、
 私までお尋ねください」
南殿の声を聞いて皆が三々五々散っていく。さて、

A 南殿に規則などについて詳しく聞いてみよう。
B 岩切殿が帰ろうとしているところに声をかけた。
C 雄二が近づいてきた。
D アルサル殿と明日に向けて練習をしよう。
E アルサル殿との食事まで、一人稽古で連撃のおさらいでもしよう。
352名無しさんだよもん:2006/04/13(木) 07:33:07 ID:I+8ANxNw0
E
353名無しさんだよもん:2006/04/13(木) 08:12:29 ID:wqDuoJ5pO
>>349
一応、再び選択肢に出る可能性を考えて、「クロウの得物は刀です」と忠言をば。
354名無しさんだよもん:2006/04/13(木) 08:18:40 ID:0Oj+61gN0
槍はベナウィだな。
355名無しさんだよもん:2006/04/13(木) 08:52:09 ID:h5W+X317O
主人公がトウカなせいか書き手にまでうっかりが伝染しとるなw
356名無しさんだよもん:2006/04/13(木) 10:38:32 ID:nocFKOqY0
アルサル殿との食事まで、一人稽古で連撃のおさらいでもしよう。
「トウカ、仕事が終わったら宿へ寄る。それじゃあな」
「お気をつけて」
さて、某も行くとするか。闘技場の人気のない場所を探そう。

最高速度の剣をふるい、敵に二の太刀を与えずに倒すのが某の連撃。
萌芽は右の一刀、返すは左の二刀。中手に突きをいれ、〆はなくただ
一途に切り続ける。あの醍醐殿相手では受けに回っては某の手持ちの
票がまるで足らない。力で押し潰されてしまうだろう。ただ攻めるのみ。

おっと、いかん。敵は醍醐殿ではなかった。今は相手を考えずに
ただ己の修練をもう一度思い返し、疑念なくそれをふるえるかどうか。
それを確かめることが必要だ。
何千何万と繰り返した型を取り、稽古を開始した。

A 稽古を終え、宿へと着いた。
B 稽古を終え、宿へと向かう途中、抽選結果が張り出された紙の前に人が群がっていた。
C 「稽古につきあってもらえないか」 途中、そんな声がかかった。(人物指定)
357名無しさんだよもん:2006/04/13(木) 10:39:53 ID:66qI+BSGO
A
358名無しさんだよもん:2006/04/13(木) 12:26:40 ID:JiUHH9qO0
「ふぅ、これぐらいでいいだろう」
 ひとしきり剣を振り、己の型を確認し、鍛錬を終える。
「そろそろ宿に戻らねばな」
 辺りが夕日に紅く染められてきた、アルサル殿の仕事もじきの終わるだろう。
 先に宿に戻ってアルサル殿を待っておかねばならない。
「今夜こそは、ちゃんとアルサル殿と食事がしたいものだ」
 夕べは某がうっかり道に迷ったせいで行き損ねた。
 アルサル殿と二人で食事か……

 こう、向かい合った席でお互いに話をしながら箸を進める。
 出される料理の話や、武術大会の話をアルサル殿としながら……

『トウカ、美味しいか?』
『はい、とても美味です』
『そっか、トウカに喜んでもらえて、俺も嬉しいよ』
『ア、アルサル殿……』

「はっ、そ、某は何を考えていたのだ!」
 そこで我に帰った。
 か、顔が赤くなっているのは夕焼けのせいだ、き、きっとそうだ!
「宿に戻ろう、早く戻ろう」
 武術大会会場を出て、早足で宿へ向かう。


A 宿に戻る途中、岩切殿に会った「美坂栞の足取りを掴んだ、急で悪いが付き合ってくれないか?」
B そうだ、昨日のお詫びも兼ねて何かアルサル殿に贈り物をしよう
C 戻った宿で着替えをしていると……「たいみんぐ」悪くアルサル殿が入ってきた!
359名無しさんだよもん:2006/04/13(木) 12:29:17 ID:aYT5zHCa0
Cしか見えない
360名無しさんだよもん:2006/04/13(木) 20:10:39 ID:AmFtup5f0
 宿に戻った某、戻ったのはいいが……
「このままでは汗臭いだろう」
 思わず自分の体の匂いをかいでしまう。
 さっきまでずっと訓練をしていた、このままアルサル殿と食事に行くのは恥ずかしい。
 幸い、アルサル殿が来るまで少し時間がありそうだ。
「今の内に湯浴みをしておこうか」
 体を洗い流すぐらいなら大丈夫だろう。

「ふぅ、さっぱりした」
 宿の風呂を借り、鍛錬の汗を流した某。
「しかし、少しゆっくりしてしまった。急いで着替えぬと」
 そろそろアルサル殿が来てもおかしくない。
 部屋に戻り、浴衣を脱いで着替え始めたが――

「トウカ、食事に行こうか」
 なっ、もうアルサル殿が来てしまった!
「ア、アルサル殿、待っ……」
 某が答える間もなく、ガラッと戸が開けられ……
「て……」
「何かあったのか……って……これは……」
 三度アルサル殿の眼前に晒される某の裸。
 お互いに、その場に固まってしまう。

 そ、某としたことがぁぁぁあああ〜〜〜!!!


A 「ア、アルサル殿、は、早く戸を閉めてくだされ!」慌ててアルサル殿に部屋を出てもらい、手早く着替えを終えた
B 「トウカ殿、ちょっと耳に入れたいこと……が……」ひょっこり岩切殿まで現れた!
C 今度はアルサル殿が足を滑らせてしまい某に覆いかぶさってきた! 
361名無しさんだよもん:2006/04/13(木) 20:17:44 ID:vnE++iEd0
C
362名無しさんだよもん:2006/04/14(金) 01:36:47 ID:nt7/RCmY0
「ア、アルサル殿! そ、その、早く出てくだされ!」
 突然の出来事に両手で胸を庇う。
「わ、わかった、すまないっ……って、うわっ!」
 某も慌てていたが、アルサル殿も慌てていたのだろう。
 後ずさる筈の脚が滑って体勢を崩し、転びそうになる。
「アルサル殿! 大丈夫ですか?!」
 釣り合いを取ろうとするが、逆に部屋の中にケンケン足で入ってきてしまった!
「こ、こちらに来ては困りま……」
 最後まで言い切ることは出来なかった。
 懸命な努力も空しく、アルサル殿は前のめりに転んでしまった。

 ……某を押し倒して。

「ト、トウカ……」
「ア、アルサル殿……」
 互いに名前を呼ぶ以外に声も出せない。
 一糸纏わぬ某の肉体に、アルサル殿の体が覆いかぶさっている。
 間近に迫ったアルサル殿の顔を見つめてしまう、真っ赤だ。
 それは某もそうだ、湯上りなだけではなく、赤く赤く染まっていてアルサル殿に見つめられている。
 心臓の鼓動が無制限に激しくなる、修行や戦でもこれほど跳ね上がる事はなかった。
 触れ合っているアルサル殿には聞かれているのではないか?
 アルサル殿は今何を考えているんだろうか?
 某は……某は……
「…………」
「…………」
 どちらも言葉が出ず、静寂が部屋を支配してしまう。
 そ、某は ど う す れ ば い い ん だ !


A 「す、すまない! トウカ!」沈黙を破ってアルサル殿がそう言い体を退けた。
B 「トウカ……」アルサル殿の顔が……近くなってくる?!
C 「……えっ」な、な、アルサル殿の手が某の胸に! それは早すぎではないか?!
363名無しさんだよもん:2006/04/14(金) 01:42:49 ID:B/dewVQf0
無難にB
364名無しさんだよもん:2006/04/15(土) 15:44:55 ID:FasQqOSo0
「トウカ……」
 不意に、アルサル殿が某の名前を呼んだ。
「え、ア、アルサル殿?」
 アルサル殿の顔が……近づいてくる?!
(こ、これは、その、つ、つまり、だから、く、く、口付けというものではないか?!)
 アルサル殿が行おうとする先を想像し、某の頭の中が混乱する。

(お、お、、落ち着け某、既にアルサル殿と某はしてしまった事ではないか。
 ……ってアレは予想外の出来事で、こういう事は愛し合う男女が行うものだと里では聞いたぞ。
 そ、某はまだアルサル殿と出会って二・三日しか経っていない訳で、こういう事をしてしまうのは
 早いのではないかと……い、いや、某はアルサル殿の事を嫌いなわけではなく、一緒にいると安
 心してしまうとか、安心してしまうのにどこか落ちつかなるとか、アルサル殿と離れていると寂しい
 とか、アルサル殿が喜んでくれれると某もたまらなく嬉しくなってしまうとか、床についている時も
 アルサル殿との風呂場での一軒を思い出してしまって眠れなくなってしまうとか、剣の修行をして
 いる時までアルサル殿の顔が浮かんでくる事もままあって…………つ、つまりそういう風に感じて
 いると言う事はは某がアルサル殿の事をす、す、す…………)

 何処までも思考回路は混線し、考えがまとまらない。結論が出せない。
 頭の中でぐるぐると空回りしてしまう。
 その間にも、ゆっくりと、しかし確実にアルサル殿と某の距離は縮まってゆく。

 某は――


A 目を閉じ、アルサル殿を受け入れた
B 「ア、アルサル殿、そ、某達にはまだ……」ああ某の臆病者!
C 「トウカ殿、居るか?」ここで岩切殿声がしてしまった!
365名無しさんだよもん:2006/04/15(土) 15:48:30 ID:Ix2SgXaB0
お約束に走るC
366名無しさんだよもん:2006/04/15(土) 20:15:26 ID:TrHgEBeE0

 受け入れるべきか、そうではないのか。
 近づいてくるアルサル殿の唇に、某は答えを出せないでいる。
(こ、こんな勢いに任せたような口づけをしてもよいのか!
 い、いや、しかし某もアルサル殿の事は決して憎からず想っていて……)
 そんな葛藤の間にも、某と唇とアルサル殿の唇の間に隙間がなくなってゆく。 
 もう少し、あと少し……
 最早半紙一枚分ほどの厚さもない某とアルサル殿の距離。
 某は――某は――

「トウカ殿、居るか?」

 そこで、声がした。

「へっ?!」
「なっ?!」
 二人揃って顔を向けると……そこには岩切殿が……ばっちり某達を見ていた。

 何も着ていない裸の某。
 その某を押し倒した形のアルサル殿。
 そして接触寸前のアルサル殿と某の唇。
「…………野暮なまねをしたな。どうぞそのまま続けられよ」
 どこかで聞いたような台詞を言って帰ろうとする。

「ち、ち、違う! こ、これは、その……」
「岩切殿! 帰らないでくだされ!」
367名無しさんだよもん:2006/04/15(土) 20:18:10 ID:TrHgEBeE0

 結局、岩切殿を呼び止めながら服を着て。二人でしどろもどろ弁解をするのに小一時
間ほど費やすこととなった。

「……つまりは不幸な偶然が重なったと」
 口ではそう言ってるものの、顔は全く納得してくれてない。
 笑いを堪えながら赤面しっぱなしで並んでいる某とアルサル殿を見てやる。
 ああ、まったく、なんてところを見られてしまったんだ。
 柳也殿に続いて岩切殿ともこんな事に……
「と、ところで岩切殿は何か用事があったのではないか?」
 視線に耐え切れず、岩切殿に尋ねた。
「ああ、そうだ、そうだったな――」


A 「話のついでに私も食事に参加してもよいかな?」
B 「ふふふ、用が合ったのだが、今日は失礼する。お二人で食事を楽しまれよ」
C 「実は――の話できたんだ」(話の内容を指定)
368名無しさんだよもん:2006/04/15(土) 20:19:12 ID:kaszJ9r60
C で美坂栞の行方について
369名無しさんだよもん:2006/04/15(土) 22:22:30 ID:TrHgEBeE0
「実は、美坂栞の行方についてトウカ殿に話をしようと思って来たのだ」
 そういえば昨日も聞きに来られたな。
 先日は惜しむらくも取り逃がしてしまった、なんとかして捕まえねば。
「その、某にはまだ新しい情報はありません、申し訳ない」
「俺のほうもだ、なかなか隠れるのが上手いみたいだ」
 アルサル殿の方も進展なしか、ええい栞め……
「そうか……ならば私達は知る事が出来たのは運がよかったのだろうな」
 岩切殿が少し得意気に言った。
「何か掴んだのか?」
 アルサル殿が驚く。
 都の役人でも足取りが終えないというのにこれは意外だ。
 流石は忍び衆と言うべきなのだろうか。
「実は、私達の忍びが八方手を尽くしたところ――


A ある貴族の屋敷に匿われているらしい」(人物指定)
B 美坂栞の隠れ家を見つけたんだ」
C ……既に都を出て、どこか地方へ逃げ出したらしい」
370名無しさんだよもん:2006/04/15(土) 22:24:53 ID:1BNdUWM60
Bいってみよう。
371名無しさんだよもん:2006/04/15(土) 22:25:35 ID:zlUk0zfYO
A 大会の主催者(人物は書き手に委任)
372名無しさんだよもん:2006/04/15(土) 23:31:51 ID:TrHgEBeE0
「見つけたのだ、美坂栞の隠れ家を」
「何と!」
「本当か?!」
 驚く某とアルサル殿、岩切殿の身のこなしから優秀な忍びだとは思っていたが
 まさかこれほど早く隠れ家まで見つけるとは……
「ああ、部下には大分骨を折ってもらったがな」
「そうか……いや、すまない、岩切」
 アルサル殿が深々と頭を下げる。
「礼には及ばぬ、私も栞の被害者なのだからな」
 確かに、某と岩切殿の春画が売りさばかれた屈辱、そうそう忘れられるものではない。
「しかし、隠れ家とはどのような場所なのですか?」
 そうだ、肝心の隠れ家とはどのようなものか聞かなければ。
 某の質問に岩切殿が答えた。
「ああ、美坂栞は――


A 「恋人の○○の家に隠れている」(人物指定)
B 「絵師仲間の○○の家に転がり込んでいる」(人物指定)
C 「用心棒の○○の屋敷に立て篭もっている」(人物指定)
D 「街のはずれの廃屋に見せかけた隠れ家にいる」
373名無しさんだよもん:2006/04/15(土) 23:35:12 ID:44Y6taQl0
B 澪
374名無しさんだよもん:2006/04/16(日) 03:18:03 ID:AWDSHxt60
「絵師仲間である上月澪の家に転がり込んでいるらしい」
 なるほど、絵師同士の横のつながりと言う訳か。
「上月澪も共犯なのか? それなら一緒に捕らえないといけないが」
 アルサル殿の質問に岩切殿が首を横に振った。
「いや、積極的に匿っているのか転がり込まれて困っているのか
 そこまでは解らない。本人に聞いてみるのが一番だろう」
 ま、それはそうであろうな。

「それでどうするのだ、早速捕まえるか?」
 今度は岩切殿がアルサル殿に尋ねる。
 アルサル殿は少し考えて……結論を出した。
「そうだな、居場所が解っているなら早いほうが良い
 岩切の部下に何時までも見張りをさせるわけにも
 今から番所に行って招集をかける事にする」
 よし、今夜こそ美坂栞も年貢の納め時だな。
 待てよ、と、言う事は……
「すまないトウカ、今晩も一緒に食事にいけなさそうだ……」
 残念そうな顔をするアルサル殿。
「い、いや、某も栞には酷い目に合っている。早く奴を捕らえましょう。
 その、食事は……またの機会に食べれば良い話です」
 後半の台詞は……しどろもどろになってしまった。
 ええい、またしても栞のせいでアルサル殿との食事の機会が失われる。
 おのれ美坂栞め、今度こそ絶対に捕まえてやるぞ。
「私は一足先に上月澪の家の前に行く、アルサル殿達は役人達を連れて来てほしい」
375名無しさんだよもん:2006/04/16(日) 03:23:52 ID:AWDSHxt60

「すまない皆、時間外なのにつき合わせて」
 上月澪の家への道すがら、アルサル殿が一緒に向かう役人の人達に礼を言う。
「いいっすよ、これも仕事ですよ」
「今度おごってくれれば」
「ところで、そっちの女性は……とうとうアルサルさんにも春が来ましたか」
「バッ……何を言ってるんだ!」
 岩切殿と別れた某とアルサル殿は、一旦番所に向かった。
 急ぎなので番所には三人しかいなかったが、詐欺絵師を捕らえるには問題ないだろう。
 上月澪の家へ某達は足を速める。
 途中、さんざん某とアルサル殿の関係を冷やかされたが……
 

A 家の前に到着し、岩切殿と中の様子を窺うと……澪が栞に自首を勧めていた
B 家の前に到着し、岩切殿と中の様子を窺うと……誰もいない?
C 家の前に到着し、岩切殿と中の様子を窺うと……縛り上げられた澪殿だけがいる?!
D 家の前に到着すると……岩切殿と忍び衆が倒れている?!
376名無しさんだよもん:2006/04/16(日) 03:32:32 ID:bk+FnHJs0
あえてD
377名無しさんだよもん:2006/04/16(日) 03:32:39 ID:8Q3oOyC00
D
378名無しさんだよもん:2006/04/16(日) 13:15:56 ID:AWDSHxt60
「岩切殿! こ、これは……」
 家の前に着いた某達を迎えたのは、信じられない光景だった。
 岩切殿と忍び衆らしき人達が軒先で倒れ伏している。
 某は慌てて岩切殿に駆け寄った。
「岩切殿! 岩切殿!」
「ううっ……」
 かすかに岩切殿のうめき声が聞こえる。
 どうやら、何とか命はあるようだ。
「駄目だ、上月澪の家は誰もいない」
 家の中の様子を調べたアルサル殿が戻ってきた。
 美坂栞に上月澪までいない?
 一体何があったというのだ?
「とにかく、岩切達を診療所まで連れて行くぞ」
「「「りょ、了解」」」


「無念だ……不覚を取ってしまった……」
 運び込まれた診療所で、目を覚ました岩切殿が呟く。
 他の忍び衆も怪我の具合が酷いが、幸い死人は出ていなかった。
「岩切殿、一体何があったのですか?」
 とにかく、某は一番早く意識を取り戻した岩切殿に事情を聞く。
「忍びの囲みをあのように崩すとは、ただ事ではない筈です」
 思い出し、苦々しげに岩切殿が口を開いた。
「ああ、私達が上月澪の家を囲みトウカ殿達の到着を待っていると……


A 突然、一人の剣士に不意を突かれてしまった……」(人物指定)
B 突然、一人の……おそらく妖術か魔術の類の使い手に不意を突かれてしまった……」(人物指定)
C 信じられない事だが、栞と澪が出てきて私達を倒したのだ……」
379名無しさんだよもん:2006/04/16(日) 13:20:29 ID:PnoYmwcA0
Aでガイウス
380名無しさんだよもん:2006/04/16(日) 14:42:55 ID:mjn9+bTO0
「突然、一人の剣士に不意を突かれてしまった……」
「一人の剣士? 岩切殿らがたった一人にですか?」
「ああ……恐ろしく腕の立つ男だった。だが、あいつはどこかで見たことがある」
「何だって? どこで見たんだ!」
「そうだ、今日の抽選の時に見かけた男だ。大柄で髪は薄茶色、薄笑いをうかべた不敵な
 面相だった。服装は、胴当てに赤いマントかケープのようなものを肩掛けにしていた」

「ガイウス……」
 そこまで聞いたアルサル殿がぽつりとつぶやいた。
「知っているのですかアルサル殿」
「帝国の司令官だ。戦をさせたら右に出るものがいない。そして本人の実力も凄まじい」
「しかし、帝国とは戦争状態でこそありませんが、かといって油断はできない状態にあります。
 それなのになぜそんな国の司令官が犯罪者を助け、武術大会に出るのでしょう」
 役人の一人が問いかけるが、アルサル殿は首を振った。
「わからない。上月澪とつながりでもあるのかもしれないが」
「追おう!」
 それにも悔しげにアルサル殿は首を振る。
「駄目だ。俺が家の中を見たときにも中は整然として猫の子一匹いなかったんだ。
 行き先も足取りもなにもわからない今はすぐには動けない」
「明日の武術大会にガイウスが出場するのであれば、そこで捕らえれば?」
「証拠がない。覚えがないと言い張られればそれまでだ。奴の立場からいっても
 そう簡単に手は出せないだろう。不戦敗にでもさせると面倒なことになりそうだ」
「くそっ!」
「今は引き続き、栞と、上月澪を探す。それに、ガイウスの所在も調べてくれ」
381名無しさんだよもん:2006/04/16(日) 14:45:01 ID:mjn9+bTO0
 役人達が出て行った後、某達3人だけが残った。
 「トウカ」
 「はい」
 「明日、ガイウスを見つけたらよく顔を覚えておいてくれ」
 「了解した。アルサル殿は?」
 「俺は話をしてみる。一応、知っている顔だからな」
 ガイウス……帝国の司令官と知り合い?
 「すまない、俺も戻る。明日、会場で会おう」
 悔しげな顔を隠さず、アルサル殿は姿を消した。
 
 
 宿に戻った某は床について先ほどのことを思い返す。
 岩切殿と忍び衆をただ一人で倒したガイウス。ただものではない。 
 本人は出るといいはっていたが、岩切殿はあの傷では出場は難しいだろう。
 アルサル殿とガイウスの関係も気になるが、それはそのうち教えていただけると思う。
 しかし、全ては明日の醍醐殿との戦いに勝ってからの話だ。
 そろそろ眠らねばなるまい。

A 武術大会初日。ガイウスの姿を見つける前に某の初戦となった。
B 武術大会初日。アルサル殿と雄二の戦いの時刻となった。
C 武術大会初日。この国の皇が開会の詞を述べた(人物指定)
D ふっと目が覚めた。何者かの気配がする。(人物指定)
382名無しさんだよもん:2006/04/16(日) 14:46:27 ID:L2GlWx4u0
C 栞
383名無しさんだよもん:2006/04/16(日) 14:53:01 ID:89O8d+uy0
>>382
( Д ) ° °
384名無しさんだよもん:2006/04/16(日) 14:58:57 ID:AWDSHxt60
B
385名無しさんだよもん:2006/04/16(日) 15:04:18 ID:d7HoZWTQ0
さすがに自分の国で指名手配されている皇はないだろ。
382は無視するべきだと思う。
386名無しさんだよもん:2006/04/16(日) 15:20:48 ID:35j7fTrS0
あまりにも状況が理解できていない選択(既に指名手配されてるのに皇は無理)なので…………
382には大変申し訳ないが。


A 381から選びなおす
B 384の選択で続ける
C 栞かと思ったら別人だった(人物指定)
D もう少し善後策を考える
387名無しさんだよもん:2006/04/16(日) 15:21:45 ID:Ag7kFuIE0

C 由依
388名無しさんだよもん:2006/04/16(日) 15:32:50 ID:mjn9+bTO0
「しまった、某としたことが!」
 裏葉殿の安眠枕の威力は2日続けてものすごく、某が起きたときはすでに
とっくの昔に明るくなっていた。
「遅刻遅刻!」
 出掛けに結びを口に入れ、ひたすら走る。遅刻で不戦敗などと切腹ものだ。
 アルサル殿にも岩切殿にも申し訳がたたない。最速で会場を目指した。

 
「あともうちょっとで負けになるところですよ、トウカさん!」
「も、申し訳ない。平にお詫びを……」
 南殿に叱られながら頭を下げる。
 皇の開会の詞が述べられているようだが、
「聞いているんですか! トウカさん!」
「はっ、すいません」
 とても某の耳に入るものではなかった。ちらりと視線だけを向ける。
 ( Д ) ° °
 
「あ、あれは栞!」
「トウカさん!」
「南殿、あそこで喋っているのは!」
「あれは由依様じゃないですか。わが国の皇です。ちゃんと敬語を使わないと」
「皇?」
 な、なるほど良く見ると似てはいるが別人のようだ。
 心臓に悪い……
「そんなことを言ってごまかそうとしても駄目です! いいですか!」
389名無しさんだよもん:2006/04/16(日) 15:33:06 ID:fECPpR6l0
おいおい、そりゃだめだろ
こういうときにうまく話をつなげるのが書き手の腕の見せ所じゃないか
390名無しさんだよもん:2006/04/16(日) 15:34:42 ID:mjn9+bTO0
「じゃあこんなところで許しますが、もう一度やったら駄目ですよ」
「誓って」
 やっと開放されたときにはアルサル殿の試合の直前。
 某の試合が後のほうで助かった。
 あわてて会場に走る。広大な席を埋め尽くす観客の姿に驚きながらも
 試合が見える場所へ近づこうとすると、大きな歓声があがった。

A アルサルが雄二をあっという間に叩き伏せていた。
B なんと雄二がアルサルと互角にやりあっていた。
C 雄二が怪しげな技を使った。(技を指定)
391名無しさんだよもん:2006/04/16(日) 15:35:50 ID:2/yRCXtJO
B
392名無しさんだよもん:2006/04/16(日) 16:48:32 ID:mjn9+bTO0
「おおっ、あいつあのアルサルと互角にやりあってるぞ恭介」
「やるな。情報何もないから無視してたが、要チェキだ珠美!」
「チェキだ!」

 近くから聞こえた声に驚く。雄二がアルサル殿と互角に?
 伸び上がって見た場面に驚いた。
 どこから手に入れてきたのか見事な刀で精確にアルサル殿へ向かっている。
 速さ、重さなどは普通のようだが勢いがすごい。まさに当たるべからざる勢いで
攻撃をくわえている。
 アルサル殿はいなしてはいるが、返して攻撃を入れるほどではない。
 いくつかのそれも速度がなく雄二にかわされている。
 雄二はいわゆる教科書どおりの動きという奴だが、あのような動きができるとは、
某の目もまだ節穴のようだ。
 むしろ今は押されているといってもいい状況にある。あくまで今はだが。

「どうした、アルサルさんとやら。押されてるぞ」
 雄二は不敵な笑みを浮かべながら言った。きっと昨日練習したのだろう。
「一応はこれでもガキの頃から叩き込まれてるんだ、多少はやるぜ」
 そういえばあいつも大家の嫡男。刀槍の術も仕込まれていたということか。
 あの刀も家から持ってきたものだな。
「これに勝ってからくりメイド人形を手に入れる!」
 突き。アルサル殿はかわす。殺してはいけなかったと思うのだが、
 人を斬ったことがない強みで雄二は攻めていく。
 
 今のアルサル殿の表情はこちらからでは見えない。
 雄二に負けるとは思い難いが、油断めされるな、アルサル殿。
 
A 基礎体力の違いがでたか、みるみる雄二の動きが悪くなっていった。
B 瞬歩で前に出た雄二がアルサル殿の顔面をつかんだ。
C 「じゃあ本気で行くか」 アルサル殿の剣の峰が雄二の首を打った。
D 「アルサル殿、乱暴しないで」 なんと雄二が某の声で喋った!?
393名無しさんだよもん:2006/04/16(日) 16:51:05 ID:akFpRp7K0
まあ無難にAで
394名無しさんだよもん:2006/04/16(日) 16:51:15 ID:Tc+geLx30
395名無しさんだよもん:2006/04/16(日) 16:51:17 ID:2/yRCXtJO
ぬぬ…連続になるしスルーで
396名無しさんだよもん:2006/04/16(日) 16:51:29 ID:J/DuislQ0
397名無しさんだよもん:2006/04/16(日) 20:53:41 ID:mjn9+bTO0
「ぜえ、はあ……」
 雄二の動きがみるみる悪くなっていく。元々日常的に訓練をしているわけではなく、
しかも今のようにひたすら攻撃をしかけていれば息が上がるのも当然だ。
 おそらく練習と同じように動いたのだろうが、木刀と違って刀は重い。
 そのあたりを理解していないのが実戦慣れしていないということだろう。
 
「そろそろいいか?」
 アルサル殿が一声かけて、攻撃に転じた。
 それからは圧倒的だった。体力が欠けているところに元々の技量が違うのだ。
防戦できるだけでも雄二を褒めてやるべきところだ。
 致命傷にならないようにアルサル殿は急所を避けているが、もうすでに大方の結果は
でている。だというのに雄二は降参をしようとはしない。
 何箇所も切られているというのに、意外なねばりだ。

「おい、早く降参しろ! 勝負はついているだろう!」
「まだ負けたわけじゃない」
 にやりと笑って額から垂れてきた血を舐め取る。これもきっと練習したんだろう。
 逆転前の負けかけているところというところで。
 違うのは本当に負ける直前だというところだ。
「弱い奴をなぶるのは好きじゃない。降参しないというなら決めさせてもらうぞ!」
 アルサル殿が振りかぶる。
「待っていたぞ、この瞬間!」
 喋る前に動けばいいと思うのだが。

A 「勝負あり!」 アルサル殿が雄二の刀を跳ね飛ばし、勝負は決した。
B 雄二の頭から髪の毛がふっとび、某の裸画がアルサル殿の目の前に現われた!
C 雄二が変な構えを取った。「卍解!」 なんだそれは。
D 「乱暴にしないで」 雄二が聞き覚えのある声で喋った。
E 頭突きがアルサル殿の顔面を捉えた。
398名無しさんだよもん:2006/04/16(日) 21:00:06 ID:plfIv0rT0
AなのだがB
399名無しさんだよもん:2006/04/16(日) 21:14:56 ID:j+0Gwl7UO
書き手も書き手なら選び手も選び手orz
400名無しさんだよもん:2006/04/16(日) 23:35:58 ID:JFHTmcve0
彼の相方は語った。
「雄二? あいつは勝算の無い戦いはしない男だ」

この戦いにおいて、才能・練習量・実力という観点から見ると、アルサルと雄二の差は歴然としていた。
というより、勝っている物が無いのだ。
そして雄二は“勝てない”事が自分でもわかっていた。
その事を理解した瞬間から、雄二は一瞬の隙をつくため、相方にも協力を要請し、あらゆる情報を集めた。
結果、アルサルが“ウブ”という重大な情報を入手する事に成功した。

その情報を得た時、雄二は相方と激しく笑いあった。
そう、二人はエロに関しては右に並ぶ者のいない、最強のコンビだったからだ!!


で、どうなったかと言うと。


「食らえええええぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
雄二の頭から髪の毛がふっとび、某の裸画がアルサル殿の目の前に現われた!

「某のおおおおおおお!!!!」
「あ……が……お……ぱい」

パニック状態になるトウカと、白髪になったアルサル。
しかし、その隙を逃さないとばかり、襲い掛かる雄二!

A 「勝負あり!」 雄二の渾身の突きをくらい、アルサルは負けてしまった。
B アルサルは意識を失いかけながらも、なんとか攻撃をしのいだ。
C こうなったら某のおっぱいを……は! 今何を!!
401名無しさんだよもん:2006/04/16(日) 23:37:45 ID:5Znln97g0
そう簡単に…B
402名無しさんだよもん:2006/04/16(日) 23:38:18 ID:GUNIzQ0l0
B
403名無しさんだよもん:2006/04/17(月) 00:12:33 ID:PjYuVjQhO
ちょ、相方って貴明じゃなくてそっちかよw
404名無しさんだよもん:2006/04/17(月) 01:10:42 ID:r3OU70QvO
あ、なるほど
貴明じゃなくてあっちかw
おりゃまたてっきりタカ坊@ハーレム構築済みVerか何かかと思ってビビッタぜ
405名無しさんだよもん:2006/04/17(月) 18:48:08 ID:yd0P22wR0
「もらったぁ!」
 これ幸いと雄二が切り込みをかけて来た。
「くっ」
 しかし、アルサル殿も鍛えられた戦士だ。
 辛うじて横っ飛びに雄二の一撃をかわし、間合いを取った。
「やるなぁアルサルさん、だけどこれで終わりだぜ」
 形勢逆転、余裕の表情すら見せる雄二。
 ……雄二の言うとおりだ、まだアルサル殿は某の裸画に混乱している。
 このままでは意識を失ってしまい、次の一撃はかわせない!

「アルサル殿!」
 某は舞台にできるだけ近づき、前に出て叫んだ。

「気をしっかり持ってください! その様な卑猥で卑怯な手段に屈してはいけません!
 アルサル殿が……アルサル殿がそやつに勝ってくだされば――


A そ、某がアルサル殿に……く、口づけをします!」
B そ、某がアルサル殿の……アルサル殿の背中を流します!」
C そ、某がアルサル殿の……アルサル殿の願いを一つ聞きます!」
406名無しさんだよもん:2006/04/17(月) 18:51:06 ID:W+Ul95BtO
B
407名無しさんだよもん:2006/04/18(火) 00:01:42 ID:E95BX3F90
「そ、某がアルサル殿の……アルサル殿の背中を流します!」
それを聞いた瞬間、雄二はスタンドにいる相方と目を見合わせ、苦笑した。
おいおい。背中を流すだけかよ、と。

が、アルサルは違った。

ここで口付けなり、なんでも言うことを聞くなんて言われたら、それこそ卒倒しただろう。
逆に背中を流すレベルは、彼にとってまったく卑猥な意味はなかった。
幼いリアンノンをきちんと洗い、風邪を引かぬように注意したように、
彼にとっては風呂は大事な生活のレベルなのだ。
だからこそ、トウカの呼びかけに冷静さを取り戻し、普段の自分を取り戻す事が出来た。

「……もう大丈夫だ」
「アルサル殿!!」
「「なんじゃあそりゃあ!!」」

白髪は黒髪に戻り、虚ろだった目は焦点を取り戻した。
アルサルはトウカに向かい、声をかけた。
「ありがとう。もう大丈夫だ」
「……信じておりました」
「ああ、終ったらにーちゃんと一緒に風呂入ろうな」
「……は?」

まだ、幾分かは駄目だった。

逆に追い詰められたのは雄二だ。
もう、最後の手段しか残っていない。
「こうなったら……」

A トウカの声で淫語をしゃべり始めた
B 玉砕先方で突っ込んだ
C 「国崎さん! お願いします!」
408名無しさんだよもん:2006/04/18(火) 00:06:58 ID:+lKRczz70
負けてこそ雄二、Bじゃ。
409名無しさんだよもん:2006/04/18(火) 17:52:04 ID:bO3bCdpL0
「俺の最後の策……それは特攻だ!」
 意外にも、最後は怪しげな戦法に頼らずに玉砕をかけるつもりのようだ。
 雄二は剣を腰だめに構え直し、アルサル殿に駆け込み始める。
「うおおおおおおおっ!!!」
 まさに猪突猛進、最後の力で特攻をかける雄二。
 それは素人とは思えぬ勢いだった……が。

 キイィィィン

 雄二がアルサル殿と交差する一瞬、雄二の刀が弾き飛ばされる。
「がはぁぁっっ」
 その勢いのまま盛大に飛び込んでしまう雄二。
「悪いが、イノシシ狩りは得意なんでな」   
 気を確かに持ったアルサル殿には、やはり敵わなかった。
「俺の……からくりメイド人形……ゆめ……ガクッ」
 雄二は最後まで諦めず、弾かれた刀に手を伸ばしながら……気を失ったようだ。

「勝者、アルサル!」

「「「「わああああああぁぁぁぁぁぁ!!!」」」」
 審判の宣言に、会場が湧き上がる。
「やっぱり順当にアルサルが勝ったか」
「でもあの雄二って奴も健闘したと思うぞ、恭介」

「アルサル殿、素晴らしい……かは微妙ですが見事な試合でした……」
 某も舞台前でアルサル殿の勝利を喜ぶ。
 よかった、危うい場面もあったがアルサル殿が勝たれた、某も気を引き締めねばいけないな。


A 少しして、某の試合の時間となった。
B 某の試合は昼食の後らしい、アルサル殿と食事をしようか。
C ふと見ると、雄二が相方らしき人間と涙を流し合っていた。
410名無しさんだよもん:2006/04/18(火) 17:54:09 ID:uUkI/dhy0
ヒロインするのもいいが、武人トウカの顔も少しは見たいぞ
A
411名無しさんだよもん:2006/04/18(火) 17:56:15 ID:6ZztBjnr0
体力の限界、奇策の不発、打つ手がなくなった以上雄二には玉砕の言葉しか浮かばなかった
脳裏によぎるは姉の言葉……無様に終われば死ぬしかない
「うおおおおおおっ、向坂雄二、突貫しますっ!」
刀を腰だめに突っ込む
「刀にはこういう使い方もあぶ!?(ry」
「はあああっ」
冷静さを取り戻したアルサルの蹴りがカウンターで雄二の顔面に突き刺さる
そのまま、前のめりに崩れ落ちそのまま動かなくなった
審判が駆け寄り、容態を確かめ……

「勝者、アルサルッ!」
『おおおおおおおおっ!!!!!』

勝利を告げる一声に周囲がいっせいに歓声を上げる

「やりましたな、アルサル殿」
「ふ〜、一時はどうなることかと思ったよ、あぶなかった……ところでその…試合中」
「う……あ……」
顔が一瞬にして真っ赤になる。そ、某なんつーことを……いや、その
『あはははははっ』
二人して照れ隠しに笑いあう、と、そこに
「ひいいい、おたずげぇ」
顔面蒼白の雄二殿が転がり落ちてきた
「あんたら、すまないたすけてくれぇ」
なんとも情けない顔で助けを求めてくる雄二殿、一体何事?
その一瞬、すさまじい殺意を感じ、無意識に刀を構える
「雄二……」
412名無しさんだよもん:2006/04/18(火) 17:56:40 ID:6ZztBjnr0
負けた……無効でorz
413名無しさんだよもん:2006/04/19(水) 20:21:05 ID:5W7/CmTM0
 試合後、選手控え室でアルサル殿に駆け寄った。
「アルサル殿!」
「トウカ……ありがとう、応援してくれて。
 その……試合の最中に言ったアレは……」
 試合中の己の言葉、それを思い出して赤面してしまった。
 アルサル殿の危機とはいえ、某何という恥ずかしい事を言ってしまったのだろうか。
「い、いや、無理しなくていいんだ。元はといえば俺が未熟なせいなんだから」
 顔を赤に染める某を気遣ってか、そんな事を言うアルサル殿。
「い、いえ! 己の約束を違えるなどエヴェンクルガの恥!
 今宵はアルサル殿のお背中を誠心誠意流します!」


「トウカ選手、そろそろ時間です」
 アルサル殿とそんな会話をしていると、係りの者が某を呼び出した。
「む、もう某の試合か」
 舞台へ出ようとする某、そこにアルサル殿が話しかける。
「トウカ、相手は歴戦の傭兵だ。トウカが弱いなんて思わないが……無理はしないでほしい」
「アルサル殿……」
「俺も……トウカが願ってくれたように、トウカの勝ちを願ってるからな」
「アルサル殿……某は最善を尽くします!」
 アルサル殿に見送られ、某は舞台へ上がった。


A 時間通りに醍醐殿が来て、試合が始る
B 開始時間いっぱいになって、ようやく醍醐殿が来た
C ……試合開始になっても醍醐殿が来ない?
414名無しさんだよもん:2006/04/19(水) 20:22:30 ID:+u0tjh3z0
415名無しさんだよもん:2006/04/20(木) 22:06:14 ID:usXM7BqY0
「ふむ……」
 舞台に上がり、まずは四方を見回してみる。
 仕合の場となる舞台は赤土でしっかりと固められており
 適度に踏ん張りが利き、それでいて石畳のような衝撃もない
 手合わせするには絶好の状態に仕上げられているようだった。

 ただし、気になるといえば周囲を観客に囲まれている事か。
 多少の騒がしさは合戦を思えば問題のないものであろうが、
 それが某と醍醐殿の動作に合わせて沸くとなると
 流石に全く意識をしないわけにもいかなくなるだろう。
 無論、そこで気が逸れるのを凌ぐ事まで含めての勝負。
 いかなる条件でも力を発揮出来る事も、武人にとって重要な資質なのだ。

 しかし、それにしても……

「…………遅い」

 そろそろ開始時間だと言うのに、まだ醍醐殿の姿は見えなかった。
416名無しさんだよもん:2006/04/20(木) 22:06:45 ID:usXM7BqY0
 開始時間は迫り、舞台の周りに審判や役員らしき人が集まってくる。
 観客も片方の選手が現れないことでざわめき始めていた。

「会場の皆様に申し上げます。まもなく試合開始時間となりますが、
 このまま開始時間を過ぎても醍醐選手が登場しない場合は規定により……」
「案ずるな、わざわざ不戦敗になるために参加したわけではない」
 開始時間いっぱいになり、南殿も半ば諦めつつ案内していたところで
 ようやく醍醐殿が舞台の上へとやってきた。
 舞台を囲んでいた人達の顔にも安堵の色が浮かぶ。
「良かった、なんとか試合不成立だけは防げたようですね……」
「さあ、そろそろ開始時間だろ?早く始めてくれ」
 そう言いながらも、醍醐殿は一向に刀を構えようとしない。
 それどころか……良く見れば、刀を差してすらいないではないか!?
「だ、大事な勝負の場に、そのようないい加減な態度で臨むとは……
 刀も取らずこの場にやってくるなど、エヴェンクルガの名を愚弄するつもりか!!」
 待たされた苛立ちも合わさり、某は思わず怒鳴っていた。
「愚弄するつもりなど毛頭ない。
 むしろこれは俺なりに敬意を払うからこその無手だ」
 顔こそ真剣だが、相変わらず醍醐殿は武器を手にしようとはせず
 その両腕を軽く広げた姿勢で佇むのみだった。

A 訳の分からない事を、一気に斬り捨てる!
B 何であろうと逆上しては剣が鈍る、ひとまず間合いをとってみる
417名無しさんだよもん:2006/04/20(木) 22:07:16 ID:gAm/QFFo0
A
418名無しさんだよもん:2006/04/20(木) 23:02:15 ID:usXM7BqY0
「それでは両者構えて……始め!」
 訳の分からない事を、一気に斬り捨てる!
 某は合図とともに醍醐殿を居合の間合いで捉えるべく大きく踏み込んだ。
「ふん、かかったな!」
 ところが踏み込んだ瞬間に合わせて醍醐殿も大きく踏み込んできた。
 これでは鞘から剣を抜いた腕は伸び切る前に醍醐殿に当たってしまう。
「クッ!?」
 慌てて体を引き姿勢を整えようとするが、それは踏み込みと相殺され
 某の体は醍醐殿の目の前で一瞬立ち止まってしまう。

 次の瞬間、某の体は宙を舞っていた。

「くそ、トウカのやつ、どうしたっていうんだ!?」
 舞台の脇で試合を見ていたアルサルは、目の前で起きた事が信じられなかった。
 トウカは開始の合図と同時に醍醐に駆け寄り、そして突然無防備に投げられたのだ。
「なるほど、あの醍醐とやら……かなりの修羅場を潜り抜けて来ている」
 突然アルサルの横で聞き覚えのある声がする。
 慌てて横を見ると、そこには黒い外套に身を包んだ岩切が立っていた。
「岩切、もう動いても大丈夫なのか?」
「案ずるな、私の体には忍に伝わるとある秘伝が仕込んである……
 あの程度の手傷であれば、一晩も休めば動く分には支障はない。
 まあ……このまま床に伏してる事にして、密かに街を探るのも良いかと思ってな」
 ほほっと軽く笑い、岩切はアルサルに問いかけてきた。
「今醍醐が仕掛けたからくり……お前には分かるか?」
「いや、トウカが前に出て自分から投げられに行ったようにしか見えなかったが……」
419名無しさんだよもん:2006/04/20(木) 23:02:56 ID:usXM7BqY0
「それでは謎を解くための鍵をひとつやろう。
 切るにしろ、突くにしろ、長刀はその切先を使うように作られている」

 己も剣の使い手であるアルサルは、岩切のその一言で全てを理解出来た。
「……そうか!相手が近過ぎると、逆に剣は思うように振れなくなる!」
「もちろん冷静であれば、剣士ならばその程度は当然分かるものだ。
 だから醍醐はわざと撹乱するような態度をとったのだろう。
 そしてトウカ殿はまんまとその術中にはまり、剣の間合いの内側に飛び込んでしまった」
「そして間合いの近さに身動きが取れなくなって棒立ちになり……造作もなく投げられたのか」

(不覚……!!)
 小さな弧を描いて地面に叩き付けられ、その片腕をとられた時に
 某はようやく醍醐殿の狙いが何であったのか気がついた。
「某の剣を警戒するからこそ、武器を持たず身を軽くして
 一息に懐へと飛び込む算段だったのか……」
「ここまで綺麗にかかってくれるとは思わなかったがな」
「くぅ……奇策で相手の技を封じて勝つなど、武人として恥ずかしくはないのか!」
「俺は“狂犬”だからな、勝つために相手を封殺するのは当然の事だ」
「ぐうううっ!?」
 見下ろす醍醐殿が腕を捻ると、某の肩に激痛が走る。
 どうやら完全に関節を決められてしまっているようだ……

A 片腕でも剣は振れる、肩を外してでも強引に寝技から抜け出す!
B エヴェンクルガにも組み打ち術はある、空いている腕で醍醐殿の足をとり引きずり倒そう
C 「醍醐選手、倒れた相手への追撃は禁止されています!」規約に助けられたか……
420名無しさんだよもん:2006/04/20(木) 23:03:21 ID:FubSiJGC0
A
421名無しさんだよもん:2006/04/22(土) 00:12:53 ID:kwXHgYdF0
(どうにかしてこの寝技から抜け出さねば……某の負けだ!)
 とは言え醍醐殿の関節技はそう容易くは抜けられそうにない。
「そろそろ降参した方が身のためだぞ」
 腕のひねりを強くしながら醍醐殿が降参を促す。
(かくなる上は……)
 某は、覚悟を決めた。
 醍醐殿に極められた関節、その腕に強引に力を入れる。
「くっ、ぐうぅぅぅっ!」

 ゴキッ

 無理矢理寝技から抜け出した代償は、肩の外れる嫌な音と痛みだった。
「ほう、ただの粗忽な剣士かと思ったが意外だな」
 余裕の表情に少しだけ感心の顔を見せる醍醐殿。
「……」
 確かに片腕でも剣は振れる、が、外れた肩の痛みは無視できない。
(このままでは……そう長くは持たない!)


A 今度はこちらが剣の間合いから醍醐殿に切り込む
B 某の消耗を待つためか、醍醐殿は某の相手をしようとせずに逃げ回りだした
C 「トウカ! もういい、やめるんだ!」その時、アルサル殿の声が響いた
422名無しさんだよもん:2006/04/22(土) 00:15:16 ID:NzkKlqIc0
Aかな。
423名無しさんだよもん:2006/04/22(土) 15:12:12 ID:yb0C0I1h0
「……はっ!!」
 肩に走る激痛をこらえつつ、残った片腕で剣を振る。
 元より力より速さを重視する剣術だが、片手では打ち込みはなお弱くなる。
「うぬっ!?」
 不幸中の幸いは、それでも武器を持たぬ醍醐殿相手ならば
 間合いさえ外されなければ充分痛手を与えられる事だ。
「ちっ、片腕でここまで振れるとはな!」
 再び懐に詰め寄られてしまっては、今度こそ勝ち目がなくなるだろう。
「はっ、はっ、はっ、はっ!!」
 刀の重みを振り払うかのように、両腕が効くときより更に速く振る心つもりで、
 一息ごとに某と醍醐殿との間に連撃の軌道をねじ込み続ける。

 やがて、にじんだ汗が珠となって頬を伝う頃――

A 満身創痍となった醍醐殿が、遂に倒れこんた。
B 醍醐殿は素手で刀を掴まえ、そのまま懐に飛び込んできた。
C 試合時間が尽きてしまい、勝利は審判の判定を仰ぐ事となった。
424名無しさんだよもん:2006/04/22(土) 15:15:06 ID:NKZJZqGJ0
B
425名無しさんだよもん:2006/04/22(土) 22:23:43 ID:N7JtlFQJ0
「どうした、遅くなってきているぞ」
何十度目かの剣を避けた時か、醍醐殿がからかうように言う。
言われずとも、片手で振り続けていたつけで、すでに某の体から体力は
十分に奪われていた。某にもそれは良く分かっている。
それに比べ、醍醐殿は多少の傷を得た程度。今だ涼しい顔で立っている。
この身体にしてこの動き。身に寸鉄も帯びていないとはいえ、身軽さも
体力も驚くべきものだ。

しかし、止まるわけにはいかない。つづけて正面に立った醍醐殿に向けて一刀を見舞う。
とたんに、抜けた肩の痛みが邪魔をした。
「遅い」
醍醐殿はほんのわずかに体をずらすと、そのまま身を開くように手を伸ばした。
刀をも上回る速度で伸びたそれは、刃筋に追いつき、なんと峰側から刀を掴んだ。

「おおっ!」
会場からどよめきが上がったときには、その体はがら空きの某の懐にもぐりこんでいた。
「もう一本の腕をいただいておこう」
刀を持つ腕を極めにきた。これが決まったら最後だろう。
某はこんなところで負けるわけにはいかない!

A とっさに股間に膝蹴りを叩き込んでいた。
B 刀を放し、必死で距離を取った。
C がっちりと残った腕の関節を極められた。
D 思い切り頭突きをした。
426名無しさんだよもん:2006/04/22(土) 22:34:13 ID:biEbCn280
D
427名無しさんだよもん:2006/04/23(日) 20:03:01 ID:IK2AdVVb0
 醍醐殿に懐に飛び込まれしまった、このままではもう片方の腕も極められる。
 刀を持った腕に飛び込まれ、もう片方の腕は肩を外されている。
「これで終わりだな」
 ほくそえみ、関節へ力を入れだす醍醐殿。
 万事休すか、短い思考が某の中で走る。
 ……いや、攻撃の方法は手だけではない!

 ゴッ 
 
「ぐあっ!」
「ぐっ!」
 鈍い音とうめき声が響く。
 文字通り醍醐殿も某も頭を抱えて後ずさる。
 渾身の力を込めた某の予想外の頭突きに、醍醐殿も極めかけた関節技を解いてしまった。
「……驚いたな、まさか貴様のような女がそんな技を使うとは」
 言いながらも頭を押さえる醍醐殿の足元がふらつく。
 痛みを覚悟した某より、不意を突かれた醍醐殿の方が効果があったようだ。
 ……確かに、見てくれの良い技ではないが。


A とにかく好機! 全力で飛び込んで最速で剣を振るう!
B 「だが、仕留めるまでとはいかなかったようだな」立ち直った醍醐殿が飛び掛ってきた。
C 「そこまで!」審判が時間切れを宣言してしまった。
428名無しさんだよもん:2006/04/23(日) 20:06:23 ID:AFqkRNPC0
C
429名無しさんだよもん:2006/04/24(月) 23:15:13 ID:JRsV5kcL0
 好機!
 ふらつく醍醐殿に必殺の一撃を見舞おうとする。
 今なら今なら回避も防御もままならないはずだ。
 足に力を入れ、斬りかかろうとする某。
 が

「そこまで!」

 飛び込む直前、審判が時間切れを宣言してしまった。

「くっ、後少しだったのに」
「……時間切れだと、俺が規則に助けられたというのか?! くそっ!」
 醍醐殿も某もそれぞれの事情で悔しがる。
 その間に、主審が、舞台場外の副審と協議をしている。
 やがて、結論が出たようだ。

「判定します、只今の試合の結果は――


A 醍醐選手の勝ちです!」
B トウカ選手の勝ちです!」
C 引き分けです!」
D 延長戦です!」
430名無しさんだよもん:2006/04/24(月) 23:15:48 ID:/WnjSI9x0
a
431名無しさんだよもん:2006/04/25(火) 00:54:43 ID:l6rmJ2QG0

「判定します、只今の試合の結果は醍醐選手の勝ちです!」

「「「「「おおおおおおぉぉぉぉぉ!!!」」」」」

 審判の宣言、それは醍醐殿の勝利と……某の敗北だった。
 会場は沸きあがっているようだが、某の耳には入ってこない。

「む、無念……」
 やはり最初の飛込みが迂闊だったのか……
 うな垂れてしまう某に醍醐殿が近寄る。
 何やらかなり不満な表情をしている。
「ふんっ! 貴様もまぁ良くやったと言っておこうか!」
 すれ違いざまにそう言い捨てて、醍醐殿は舞台から降りる。
 戦場に生きる醍醐殿からしてみれば、時間切れの結末など納得のいかない
ものだったのかもしれない。
 だがこれは試合、時間内に相手を制することができなかった以上某の敗北は
止む終えないものだ。
「…………」
 痛む肩を抑えながら、某もとぼとぼと舞台を降りた。
432名無しさんだよもん:2006/04/25(火) 00:55:20 ID:l6rmJ2QG0

「まったく無茶をしたものだな、かなり痛むが我慢してもらおうか」
「ぐっ、くうぅぅぅっ!」
 薬品の匂いがする清潔な部屋、そこに某のうめき声が響く。
 武術大会の医務室、某はそこで担当医師の霧島聖に外した肩をはめてもらっていた。
「数時間もすれば痛みも引くだろうから、それまでは安静にすることだ」
「……真にかたじけない」
 肩をはめてもらい、包帯を巻いてもらったり軟膏を用意してもらっている間に某は考える。
 修行の成果を見るために出場した武術大会に初戦から負けてしまった。
 まだまだ某は修行不足だということなのだろう。
 美坂栞とつながりのあるガイウスに試合で近づきたかったのだがこれも難しくなった。
 何か他の手段を考えねば……


A ここはアルサル殿に頑張ってもらってガイウスと接触してもらおう
B 時間ができてしまったので街の探索に力を入れてみる
C とりあえずお腹が空いたので食事にする
433名無しさんだよもん:2006/04/25(火) 00:57:58 ID:Jr4boXjc0
B
434名無しさんだよもん:2006/04/25(火) 00:59:07 ID:Jr4boXjc0
すまんageてもうた・・・
435名無しさんだよもん:2006/04/25(火) 04:57:54 ID:FOWQVd3Z0
 武術大会で敗れてしまったことは、もはや仕方がない。
 某の修行不足の結果であり、今から悔やみごとを言っても結果が変わるものではない。
 それよりも、美坂栞の件を何とかせねば。
 武術大会でガイウスと上手く接触する手がなくなってしまった今、
 ガイウスから話を聞くことについては、彼と旧知の関係であるアルサル殿に頼るしかない。
 ならば、某はどうしたら良いだろうか?
 答えは一つしかない。アルサル殿より一足早く街に降り、美坂栞の情報を少しでも多く掴むことだ。
 おそらく、それが最良の手。
 ……まあ、次のアルサル殿の試合までには戻って、アルサル殿の応援もしようとは思うが。
 そう考えた某は、直ぐに行動を移すべく、会場を後にした。

 会場を出て、市の真ん中辺りで某は立ち止まり、ふぅっと一息ついた。
 やはり大会中だからか、昨日よりも人通りは少なく感じる。
 街に出たのは良いが、某としたことがそれからのことを全く考えていなかった。
 栞の情報を掴むにはどうすべきか。
 某が深く考えたところ――――

A 五月雨堂の宮田殿から栞について詳しく聞くのが得策だ
B 栞の絵師仲間であるという上月澪を追ってみるべきだ
436名無しさんだよもん:2006/04/25(火) 05:10:26 ID:RIGurvGM0
A
437名無しさんだよもん:2006/04/25(火) 21:57:35 ID:l6rmJ2QG0
「もう一度、五月雨堂に行ってみるか」
 何も手がかりが無い以上、とりあえず宮田殿に再び話を聞いてみるべきだと思った。
 正直、先日の様子からして効果は薄いと思うが。

 武術会場から少し離れた場所、先日も訪ねた五月雨堂に某はやって来た。
「いらっしゃいませ、あ、トウカさん」
 店の中では宮田殿が客から買い取る茶碗の鑑定をしている。
「宮田殿、少し時間はありますか?」
 忙しそうに働く宮田殿に話しかけるのは少々申し訳ないが、致し方ない。
「ええ、まぁ少しなら」
 某の表情を見て、断りにくいとも思ったのか宮田殿が応じてくれた。

 某は宮田殿に店の奥の居間に案内された。
「かたじけない、実は美坂栞について詳しい話を聞きたいのだが」
 某の質問に、宮田殿が難しい顔をする。
「いや、彼女の事を聞かれても単に水墨画を売りに来ただけですから。
 それ以上に詳しい話をしてくれと言われても無理ですよ」
 むむむ、やはり単なる転売客の行方を聞くのは難しいのか……いや、ここで簡単に諦めてはいかん。
「手がかりでなくても、気がついたことでもいいのだが何かないだろうか?」
 頭をひねり、買い取った時の様子を思い出そうとする宮田殿。
「そうですね……」


A 「買取の査定中に、何やら行きつけらしい甘味屋の話をしていましたよ」
B 「買取の査定中に、姉の話をしていましたよ」
C 「すいません、特にこれといったことは思い出せません」
438名無しさんだよもん:2006/04/25(火) 21:59:55 ID:aZrCuQU60
A
439名無しさんだよもん:2006/04/25(火) 22:00:18 ID:POMbzwG50
440名無しさんだよもん:2006/04/26(水) 14:31:15 ID:hqH2eCJB0
「確か、買取の査定中に何やら行きつけらしい甘味屋の話をしていましたよ」
 買取の最中の様子を思い出した宮田殿が言う。
「甘味屋ですか」
「はい、最近その店の甘味に凝っていて、よく通うようになったって言ってました」
 なるほど、栞も女の子だ。甘いものには目がないということだろう。
 これは手がかりになる、その店に行けば栞について何か聞くことができるかもしれない。
「宮田殿、その甘味屋というのはなんと言う店ですか?」
 某の質問に考え込む宮田殿、やがて思い出したようだ。
「ええと、確かあの時美坂さんが話してたのは――


A 『維納夜曲』という店です」
B 『山葉堂』という店です」
C 『百花屋』という店です」
D 『蜜蜂』という俺の幼馴染がやってる店です」
441名無しさんだよもん:2006/04/26(水) 14:37:06 ID:6gXqO/OB0
CでKANON
442名無しさんだよもん:2006/04/26(水) 22:27:35 ID:hqH2eCJB0
[[LK226-l0I/YZQX-BZ]]

吉原チエでも吉田チエでも吉井チエなく
<<吉岡チエ>>に一票を
よっち、よっち
443名無しさんだよもん:2006/04/26(水) 22:29:53 ID:hqH2eCJB0
誤爆orz
444名無しさんだよもん:2006/04/27(木) 01:05:36 ID:ZxVDNkmQ0
「ここが百花屋か」
 某は宮田殿に聞いた『百花屋』と言う甘味屋の前に着いた。
 宮田殿によると最近栞はこの店の『じゃんぽみっくすぱふぇでらっくす』
 なる甘味を贔屓にしているらしい。
 甘味と言えば団子や草餅ばかり想像していたが最近はこのような
 帝国風の菓子が売り物の店も増えていると聞く。
 一度このような店には入ってみようかと思っていたが……まさかこのような機会で入る事になるとは。

「御免」
 店の中に入ると、若い男女や女の子が楽しそうに菓子を食べている。
 席に着くが、何となく落ち着きなくて辺りを見回してしまう。
「名雪、ちょっと食べすぎじゃないか」
「大丈夫だよ祐一、甘いものは別腹なんだから」
 仲の良さそうな男女を見ていると、ふとアルサル殿を思い出した。
 ううむ、某もアルサル殿とこういう店に行けたら……
 いかんいかん、今は栞を追っているんだ。アルサル殿とは追跡が終わってからでも――
「あの、お客様、ご注文はお決まりでしょうか?」
「ち、ちゅうもん?!」
 某がおかしな想像をしている間に、女給が席に来て注文を聞いてきた。


A とりあえず適当な注文をした後に店員に栞の事について尋ねる
B ここで某はうっかり財布を忘れた事に気がついてしまった
C 突然注文を尋ねられて慌てていると……入り口から栞の姿が見えた!
445名無しさんだよもん:2006/04/27(木) 01:08:59 ID:w9Dh/CN/0
Bでうっかり
446名無しさんだよもん:2006/04/27(木) 03:53:04 ID:oe+m3gHl0
「あ、ああ……それじゃあイチゴパ――」
 そう注文しようとした時、某は財布を忘れていた事に気がついた。
 そ、某としたことが……
「どうかされましたか?」
 うぐっ、女給が怪訝な表情で見ている。
 よし、ここは――

「ゴホン、某は番屋の者だ。少し聞きたい事がある」
「はぁ」
「なお、某は特務のため身分を証明する物を持ち合わせていない、
 どうしても怪しいと思うなら、番屋のアルサルと言う男に某の身分を照会してもらってくれ」
「そうですか、わかりました」
 ……良かった。
 怪しまれずに済みそうだ。
「それで……何を聞きにこられたのですか」
「ああ、それはだな――」
 某は美坂栞について簡単に女給に説明した。
 これで何かつかめると良いのだが……

「その方なら――見覚えがあります」
「本当か!」
「よく二人で店内の隅のほうの座席にいることがあります」
「二人だと? 相手は男か女か?」
「男の人です。ええ、帝国の人……しかも軍人さんですから目立つんですよ
 それも決まった曜日に来るんです」
 ガイウスだ……やはり栞と何らかの繋がりがある。
「来る日はいつだ?」
「ええと、今日です。今日はまだ来てないですね
 それと……最近妙な噂を聞くんです」
「どんな噂だ?」
「はい、近々帝国と戦が起こる――そんな噂です」
447名無しさんだよもん:2006/04/27(木) 03:54:22 ID:oe+m3gHl0
 帝国と戦……?
 確かにこの国とは良好な関係とは言い難いが
 戦になるほど関係が悪化してる訳では無いはずだ。

「所詮はただの噂だろうとあたしも思っていたんです
 ただ…あたしのお兄ちゃんが……」
「兄がどうしたんだ」
「あたしのお兄ちゃん、瓦版の記者をやっているんです。
 そのお兄ちゃんも同じような情報を入手しているんですよ。
『裏が取れてないからまだ記事にできない』と言ってました」
「その兄は何という名前だ?」
「香月恭介です。あたしはその妹ちはやです。
 今の時間なら武術大会の会場で優勝予想の記事を書いているはずです」
「感謝するちはや殿、某の名はトウカだ」

 かなり有力な情報を手に入れた。
 街に流れる噂に栞とガイウスが関わっているのだろうか?
 さて、これから何をするべきだろう。
 今日現れるだろう栞とガイウスを張り込むべきか、
 それとも噂の詳細を聞くために香月恭介に接触するか、
 手に入れた情報を一度アルサル殿に伝えるべきか……

A 百花屋で張り込みをする。
B 香月恭介と接触する。
C 一度番屋に戻りアルサル殿に報告する。
448名無しさんだよもん:2006/04/27(木) 03:56:50 ID:AhbfOWlf0
う〜んBいってみる
449名無しさんだよもん:2006/04/27(木) 20:54:59 ID:oe+m3gHl0
 よし、まずは香月恭介に会いに行こう。
 都で広がる不穏な噂、瓦版記者にまで伝わっているとなれば
 無視することができない。
 ましてやその噂に美坂栞が関わっている可能性が高い。
 美坂栞――ただの詐欺絵師ではないようだ。

「それで、恭介殿は会場内のどこに?」
「えーっと、会場内に『版記者倶楽部』と言うところがありますから
 そこにいると思いますよ」
「あいわかった。ご協力感謝する」
「いえいえ、トウカさんもお仕事頑張ってください」


 百花屋を後にした某は再び会場に向かう。
 はあ……まさか一回戦で負けるとは……
 どこかで己の力に対する慢心があったのだろう。
 某もまだまだ未熟者だ。

「ここが『版記者倶楽部』か……」
 室内には多くの瓦版記者で賑わっていた。
(かなり大規模な催し物だからな、この国以外からも記者が訪れているな)
 記者の中には帝国の人間もいた。仲良くわが国の記者と談笑している光景を見ると
 戦が始るなんて噂はとても信じられない。
「恭介殿はどこにいるのだろう」
 とりあえずその辺の人に聞いてみよう。
 某はたまたま通りがかった女性記者に尋ねてみた。
450名無しさんだよもん:2006/04/27(木) 20:55:53 ID:oe+m3gHl0
「あの〜、すまないが……」
「えっなになに! この皇国一のじゃあなりすと志保ちゃんに取材なの!
 いやぁ〜私も有名になったモンよねえ」
「いや……そうじゃなくて」
「もしかしてタレコミ!? 参加者のすきゃんだるかしら! ウチはそんなネタ大歓迎よっ」
「違う、某は香月恭介と言う男を探しているんだ」
「えぇ〜〜恭介に用なの? まああいつの腕は中々よ、でも私に比べたらぜんっぜんだけどね」
 どうやら恭介殿の知り合いらしい。
「それで恭介殿はどこに?」
「恭介なら……」

A 「そこのですくで記事を書いてるわよ」
B 「観客席で予想屋の真似事をやってるわ」
451名無しさんだよもん:2006/04/27(木) 21:01:32 ID:XxeQWGb/0

452名無しさんだよもん:2006/04/28(金) 03:41:32 ID:WkoYdJ9S0
「そこのですくで記事を書いてるわよ」
 指差された方向に目を向けると一人の男がいた。
(おや? あの男は……)
 彼には見覚えがあった。
 確か……アルサル殿の試合中某の近くに座っていた男だった。

「恭介〜、あんたにお客さんが来てるわよぉ」
「う〜い」
 某は恭介殿の机に移動する。
「お初にお目にかかる、某は――」
「エヴェンクルガの剣士、トウカだろ
 俺は香月恭介、瓦版の記者をやっている」
「よく某のことをご存知で」
「仮にも瓦版書きだからな、大会参加者の顔は把握している
 しかし一回戦は残念だったな、あれは相手が悪すぎた。
 奴は優勝候補の一角だったからなあ。それにあんた、アルサルって奴の試合中に
 小っ恥ずかしいこと叫んでただろ? 良く印象に残っている」

『そ、某がアルサル殿の……アルサル殿の背中を流します!』
 あの時の言葉を思い出して見る見るうちに顔が熱くなる。
「いっいや……某はあの、そのぉ……」
 しどろもどろになる某、いっいかん某としたことがっ。
「冗談はおいといて、俺に一体何の用なんだ?」
「ああ……その事なんだが、某は詐欺絵師美坂栞を追っている」
「神出鬼没の詐欺絵師美坂栞ねえ……俺もたまに特集を組んで記事を書いてるぜ
 その様子だと何かあったようだな」
「ああ、それはだな――」
 某は栞との因縁について恭介殿に説明した。
「あはははは、それは災難だったなあ。
 でも俺に聞きに来たのはそれだけじゃないだろう?
 たかが詐欺絵師の情報なら番屋――あんたは番屋のアルサルと懇意なんだろ
 俺よりもよっぽど正確な情報が手に入るぜ」
453名無しさんだよもん:2006/04/28(金) 03:43:06 ID:WkoYdJ9S0

 ……なかなか鋭い男だ。
「確かにそうだ、だが某は番屋も掴んでいない情報を持っている」
「ほう……」
 栞のアジトを突き止めたこと、
 そこで帝国の軍司令官ガイウスに襲われたこと、
 ちはや殿から百花屋で栞とガイウスが密会を行っていると聞いたこと、
 そして帝国と戦が始るという噂。
 それら全て恭介殿に説明した。

「帝国との戦の噂が栞に繋がったのだ。恭介殿、
 あなたの持っている情報を教えて下され」
「本来なら金を取るところだが…あんたの情報はかなり興味深い
 特別にタダで教えてやるぜ」
「かたじけない」
「一つ言っておくぜ、ちはやから聞いたとおり戦の噂は確証が薄い。
 故に余計な混乱を防ぐために他言は無用だ」
「わかった」
 頷く某。
「この噂――流れているのは皇国だけではない、帝国にも同じような噂が流れている
 両国上層部も噂を見過ごすことができず、火消しに何度か非公式な会談を行っているらしい」
「まさかそんなことが……」
「しかしなあ、十年前はお互いに手を取り合って強大な敵と戦ったと
 言うのによお……」
「十年前? 強大な敵?」
「おいおい、あんたあんな大事件知らないのか?」
「その時はエヴェンクルガの里で剣の稽古に明け暮れる日々だったので
 外の世界のことは良くしらなかったんだ」
「世間知らずもそこまできたらすげえな」
454名無しさんだよもん:2006/04/28(金) 03:44:57 ID:WkoYdJ9S0

「十年前――大きな戦があった。かつて皇国の北にクンネカムンという国があった。
 彼らは覇権主義を唱え次々と周辺国を侵略し、併合していった。
 オンカミヤムカイの仲裁も全く意に介せずだ。そこで皇国、帝国の二大国家を中心とした
 反クンネカムン連合が組まれたんだ。比類なき工業力と技術力を持ったクンネカムンも
 連合国の圧倒的な物量の前に戦線は後退し、領土を奪還され、ついには皇都を包囲され
 そこで――」
 恭介殿はいったん息をつき。
「あの悲劇が起こった――
 彼らは皇都を占領され、連合国に降伏するという恥辱にまみれるぐらいならと――
 禁断の兵器『浄化の炎』を自国の皇都に向けて撃った。皇都周辺に展開する連合国軍、
 そして皇都に暮らす数万の民衆を道連れにしてクンネカムンはこの世から消滅した。
 ガキだった俺もしっかり覚えているぜ。北の空を焼く光の柱、ありゃ忘れられねえぜ……」

「共通の敵を失ったらどうしても両国の間で軋轢が生まれるのかねえ」
「………………」
「そういえば今日はガイウスの試合もある、時間は…おっともうすぐだ
 俺と観に行かないか? それにあんたの話だと試合後百花屋に現れるかもしれない
 俺も百花屋に言ってみるつもりだが…どうする?」

A 恭介と一緒にガイウスの試合を……
   1 観戦する
   2 観戦しない

B 恭介と百花屋に……
   1 行く
   2 行かない
   3 むしろ一人で行く
455名無しさんだよもん:2006/04/28(金) 03:51:03 ID:g9Ti7kC20
ここはどんな猛者か見るべきかな
A1
456名無しさんだよもん:2006/04/28(金) 04:11:16 ID:BSS3XUlcO
よしB1だ
457名無しさんだよもん:2006/04/28(金) 09:31:03 ID:69bua8iz0
じゃあC1もお願いします
458名無しさんだよもん:2006/04/28(金) 23:57:46 ID:Pl7y9l7o0
「分かりました、一緒にガイウスの試合を観ましょう」
 岩切殿を倒した帝国の将軍ガイウス、その試合は見ておいて損はないはずだ。
「よし、それじゃあ試合場に行ってみるか」
 某達は版記者倶楽部を出て、試合会場に向かう。
(ガイウスと栞のつながりに帝国と皇国の戦の噂か……
 何やら話が大きくなってきたぞ、某と一役人のアルサル殿で対処できるんだろうか……)
 何となく不安を覚えてしまう、が、そこで頭を振る。
(いかんいかん、某とした事が何を弱気になっているんだ)


「「「「「わあああぁぁぁぁぁぁ!!!」」」」」
 盛り上がった観客の声が青空に響き渡る。
「おっ、丁度いい時間だったようだな」
 恭介殿と並んで観戦席に着くと、試合が始まろうとしているところだった。
「白虎の方角! 帝国将軍ガイウス!」
 赤い外套に帝国製の鎧を着ている。
 ぞんざいに剣を構えているが、目は油断なく対戦相手を見ていた。
「青竜の方角! ――――!」
 続いて審判が対戦相手の名前を紹介する。

「始めぃ!」

 試合開始の合図、同時に両者とも相手に向かって走りだす。
 そして試合は――


A 対戦相手をガイウスが余裕であしらう。
B ひとまずは互角の勝負となっている。
C 対戦相手がガイウスを押している。

 (後、未登場のキャラでガイウスの対戦相手を指定してください)
459名無しさんだよもん:2006/04/29(土) 00:02:53 ID:mCI40cVZ0
C 栞か澪
460名無しさんだよもん:2006/04/29(土) 00:03:23 ID:BDAISnZCO
Aで綾香
461名無しさんだよもん:2006/04/29(土) 00:07:56 ID:2oVSgFAT0
未登場という条件があるので
Cで綾香でいいか?

A いい
B 今から未登場キャラを選択
462名無しさんだよもん:2006/04/29(土) 00:09:30 ID:iNhJquoH0
463名無しさんだよもん:2006/04/29(土) 00:18:52 ID:OmqPypI+O
「あれは!?」
試合は開幕早々栞か澪が押していた。
『そんな事言う人嫌いです』と書かれたスケッチブックで連打されるガイウスは
必死で反撃を試みようとするが、それはことごとく
栞か澪の頭に結ばれたストールで防がれていた。

――そう、その鬼神のような姿はまさしく栞か澪としか表現出来なかった。

A 不条理なので458のCからやり直す
B 不条理なので458のBからやり直す
C 敢えて「栞か澪」の正体を選択する
(葉鍵板で扱う作品に登場する女性キャラの中から本作品未登場のキャラを一名のみ指定する)
464名無しさんだよもん:2006/04/29(土) 00:20:05 ID:2oVSgFAT0
>>463
君はすぐ上のレスも読めないのか?
465名無しさんだよもん:2006/04/29(土) 00:33:22 ID:OmqPypI+O
リロードし忘れたのは謝る。
ただ明らかに悪意で挑発してるスレの敵だから正面から徹底的にねじ潰したかった。
466名無しさんだよもん:2006/04/29(土) 22:38:06 ID:5y0BEkkU0
[[LK229-b23rIwVR-BE]]
<<ウルトリィ>>
467名無しさんだよもん:2006/04/29(土) 23:26:50 ID:Uk+VPJaS0

「ほらほらっ! 帝国の将軍って言うのはその程度なの?!」

 試合はガイウスの対戦相手、来栖川綾香という少女が押していた。 
 少女は黒髪の長髪を振り回しながら、素早い拳技で掻き回す。
「恭介殿、あの対戦相手の来栖川綾香というのは?」
 試合開始前に審判があげた名乗り、来栖川綾香について聞いてみた。
 名前が挙げられた時に会場が大きく沸いたので、有名な人物のようだ。
 もっとも、里で育って武者修行中の某は全く聞いたことがない。
「ああ、来栖川家って皇国屈指の名家の次女で、自分で格闘技もしているって評判の女の子だ」
 名家の令嬢だというのに格闘技まで修行しているのか、いやいや世間は広い。
「正直、お嬢様のたしなみ程度かと思ってたけど、意外とやるじゃないか」
 恭介殿が感心する、確かに来栖川綾香の動きはなかなかに鋭い。
 彼女に懐に潜り込まれたガイウスは思うように剣を振るえず、刃の腹で拳打を捌いている。
 速度を生かして、来栖川綾香は速攻を決めようとしている。
「しかし、ガイウスがこのままとも思えません」
 ガイウスは先日岩切殿と忍び衆を一人で倒している。
 奴の実力のほどがあの程度とは思えないが……


A 「それじゃあ、ちょいと本気を出させてもらうかな」ガイウスが一気に動いた
B 「このまま決めさせてもらうわよ!」綾香が寝技に持ち込もうとしている
C ガイウスの試合も気になるが、その前にアルサル殿に一度連絡したほうがいいかもしれないと思った
468名無しさんだよもん:2006/04/29(土) 23:45:59 ID:5PUZ143r0
A
がんばれ
469名無しさんだよもん:2006/04/30(日) 21:49:07 ID:DlRm4l970
「それじゃあ、ちょいと本気を出させてもらうかな」
「えっ? きゃぁっ!」
 来栖川綾香の優勢に思えていた戦況が突如逆転した。
 押されていたと思われたガイウスの動きが一転し、剣の一閃が来栖川綾香を弾き飛ばした。
 来栖川綾香は場外近くまで飛ばされながら、何とか受身を取った。
「……さっきまでのは様子見だった訳?」
 痛む体を抑えながら、立ち上がる綾香がガイウスに尋ねる。
「まぁそんなところだ、世間知らずそうなお嬢様にしてはなかなかの腕前だったかな」
 余裕の表情すら浮かべるガイウスの挑発めいた発言に、綾香が眉を上げた。
「……言ったわね」
 拳を構え直し、綾香は再びガイウスに向かって駆け出す。
「そういうところがお嬢ちゃん何だが……ま、若いんだろうな」
 飛び込んでくる来栖川綾香にガイウスもまた剣を構えなおす。


「やはりガイウスは本気ではなかったのか」
 思わず観戦していた某は呟いた。
「ああ、アイツは自身で武勲を重ねてのし上がった生粋の武人だからな」
 恭介殿も同意する。
 一転したガイウスの動きは別人のようだった。
 攻め込んできた来栖川綾香の拳技を軽くあしらい、間合いに入らせない。
 それどころか反撃のガイウスの斬り込みを来栖川綾香が辛うじて避けている。
 いつの間にか飛び込んだ綾香が退きだし、ガイウスが押す戦況となっていた。


A ガイウスがそのまま一気に来栖川綾香を叩き伏せた。
B 来栖川綾香が捨て身の一撃を放とうとした。
C 「トウカ、こんなところでどうしたんだ?」観戦していると後ろからアルサル殿が話しかけてきた。
470名無しさんだよもん:2006/04/30(日) 22:02:30 ID:fz063SfqO
A
471名無しさんだよもん:2006/04/30(日) 22:03:55 ID:494Bha0iO
Aで剣道三倍段

綾香無謀すぎだよ
無謀すぎだよ綾香
472名無しさんだよもん:2006/04/30(日) 22:06:05 ID:494Bha0iO
この間隔でかぶるか…
473名無しさんだよもん:2006/05/01(月) 21:51:45 ID:Lzb7i1s00
 動きが変わったガイウスの剣技に、来栖川綾香は手を出せないでいた。
 辛うじて切りかかってくる刃を避け捌くも、じりじりと押されている。
「くっ、まさかここまでやるなんて」
 来栖川綾香は苦しげな声を出す。
「伊達に帝国で将軍をやってる訳じゃないんだぜ、お嬢ちゃん」
 軽口を交えながら剣を振るうガイウスにはまだまだ余裕があった。
 対して来栖川綾香は最早交わすのが精一杯だ。
「それじゃあ、そろそろ終わらせてもらうか」
 来栖川綾香は切れ目なく続く剣戟をとうとうかわしきれなくなった。
 体勢を崩して体をふらつかせてしまう。
 その隙をガイウスは見逃さなかった。
「せあっ!」
「きゃぁぁっ!」
 一際鋭い一撃が、来栖川綾香に襲い掛かる。
 まともに受けた綾香は短い悲鳴を上げ、試合場に叩きふせられた。
「剣相手に素手で挑もうなんて心意気は買うが、ちと相手が悪かったな」
 そういいながらガイウスは剣を納める。
 起き上がれない綾香に審判が駆け寄り、意識の有無を確かめ……

「勝者、ガイウスッ!」

「「「「「わあああぁぁああぁぁぁ!!!!!」」」」」
 高らかにガイウスの勝利を宣言した。
474名無しさんだよもん:2006/05/01(月) 21:52:35 ID:Lzb7i1s00

「ま、順当な結果だろう。相手の来栖川綾香も健闘したと思うぞ」
 瓦版記者らしく、色々と感想や見解を手帳に書きとめながら恭介殿が言う。 
「確かに、相手がガイウスでなければもっと上に進めたかもしれません」
 来栖川綾香は決して弱くなかった、ただ相手が悪かった。
 ……某が言えた義理ではないが。
「それで、これからどうするんだ?」
 恭介殿に尋ねられた。
 試合が終わった以上、ガイウスは恐らく栞と密会する為に百花屋に向かうはずだ。
 そろそろ先回りして百花屋に向かったほうがいいかもしれない。
 もしくは、栞を捕まえるのならアルサル殿に連絡を先に入れるというのも悪くはない。
 さて、どうするべきだろうか。


A 恭介殿と一緒に百花屋へ向かう
B アルサル殿を探して一連の話を伝える
C 「トウカ殿、ちょっと良いかな?」その時、後ろから岩切殿に話しかけられた
475名無しさんだよもん:2006/05/01(月) 22:09:50 ID:xHfWnIth0
A
476名無しさんだよもん:2006/05/02(火) 22:17:17 ID:nvH7StE00
 アルサル殿に連絡をしようか……いや、今からアルサル殿を探して一連の話をしていては
ガイウスと栞の密会に間に合わなくなるかもしれない。
「恭介殿、一緒に百花屋へ向かいましょう」
「ああ、分かった」
 ここは先回りをして、確実にガイウスと栞の密会を抑えよう。

「しかし、美坂栞とは何者なのでしょうか?」
 百花屋への道中、某は恭介殿に聞いてみた。
 各地に出没する詐欺絵師でありながら帝国の指揮官とも繋がりがあるようである。
 単に奴を栞を捕まえて某の春画を描いたことを詫びさせて、アルサル殿に引き渡せばいいと
思っていたが事はそう単純では無さそうだ。
「……情報が足りないせいでまだ見当がつかないってのが本音だな、瓦版記者としては恥ずか
 しい限りだ」
 ちはや殿から聞いた巷に流れている帝国との戦の噂というのも気になる。
 とにかく、今は百花屋へ向かわねば。
 某と恭介殿は歩く速度を速めた。


A 某達は百花屋に着き、ちはや殿の協力で目立ちにくい席に座った
B 某達は百花屋に着き、ちはや殿の協力で『うぇいとれす』と『うぇいたー』なるものの格好をした
C 某達が百花屋へ着くと、すでにガイウスと栞が席に着いていた
477名無しさんだよもん:2006/05/02(火) 22:21:45 ID:mQWnqx6/0
B
478名無しさんだよもん:2006/05/03(水) 23:14:15 ID:nnO16KpC0
 恭介殿と某は百花屋に着き、裏口に回った。
 万一すでにガイウスや栞が店内にいれば困ったことになるからだ。
「ちはや、居るか?」
「あ、お兄ちゃんにトウカさん、よかった、トウカさんお兄ちゃんに会えたんですね」
「ええ、ちはや殿のおかげです。ところでガイウスと栞はもう来ていますか?」
「いえ、まだですけどそろそろ来る時間だと思います」
 良かった、どうやら間に合ったようだ。
「ちはや殿、重ね重ね申し訳ないがガイウスと栞の会話を聞きやすい席はないだろうか?」
 できれば栞とガイウスの繋がりを自分で聞いておきたいところだ。
「難しいですね、あのお二人がいつも座る席は奥まっていて他の席から話を聞くのは無理だと思いますよ」
 う〜む、当然誰かに聞かれるような席には座らないか。
「何とかならないか? ちはや」
 恭介殿にも頼られ、ちはや殿が少し考える。
 そして、妙案が浮かんだのだろう。

「――そうですね、あの二人の会話を聞くのならいい方法がありますよ」

 某達を店員の控え室へ引っ張った。
479名無しさんだよもん:2006/05/03(水) 23:15:39 ID:nnO16KpC0


「確かに、この格好なら怪しまれないだろうが」
「……某は恥ずかしいです」
 恭介殿と並んでお互いの服を見比べる。
 ちはや殿の案、それは某達が『うぇいたー』『うぇいとれす』というものになりすますというものだ。
「店長さんの許可はとったから大丈夫ですよ」
 そのためにちはや殿の言うがままに髪を下ろし、制服を着たのだが……
「この『めいどたいぷ』というのは一体何なのですか?」
「帝国風の衣装ですよ、似合ってると思うんですけど気に入りませんか」
「い、いや、このふりふりひらひらした服がどうも落ち着かなくて」
「それじゃあこっちの『でびるたいぷ』か『ねこみみたいぷ』にしますか?」
「……『めいどたいぷ』にしておきます」
 ちなみに恭介殿は(おそらく帝国では)ごく普通そうな給仕の服装だった。
 某は栞と面識があるため、髪を下ろしてできるだけ耳を隠す。
 いささか不安があるが、恐らくバレないだろう……と思いたい。
 ともかく、準備は整った。後はガイウスと栞が来るのを待つだけだ。
 某と恭介殿はちはや殿と女給の仕事をすることになった。
「トウカさん綺麗ですよ、本格的にウェイトレスをしてみませんか?」
 ……ちはや殿には申し訳ないが、遠慮させてほしいところだ。


A 少しすると、ガイウスと栞が店の中に入ってきた。
B ……何時まで待っても栞達が来ない?
C 「あれっ? 新しいメイドさんだ!」なっ、あやつは向坂雄二!
480名無しさんだよもん:2006/05/03(水) 23:16:27 ID:VgDH5R8m0
Bで罠
481名無しさんだよもん:2006/05/04(木) 23:40:01 ID:CqOxbLO00
「いらっしゃいませ、Pia☆キャ……百花屋へようこそ」
 見よう見まねでうぇいとれすの仕事をこなしながら、ガイウスと栞がやってくるのを待つ。
 なに、武術大会での試合が終わった以上すぐに来るはずだそれまでの辛抱辛抱。
「ご注文はお決まりでしょうか」
「俺はコーヒー、d子はどうするんだ?」
「あ、あたしは牛乳を」
「かしこまりました、コーヒーがお一つにミルクがお一つですね」
 注文を聞き、厨房に伝え、お茶や菓子を運ぶ。
 皿やカップを片付け、テーブルを拭き、合間に掃除をする。
「トウカさん、なかなかサマになってますよ」
「そ、そうですか……ってちはや殿、栞達が来ないのですが」
 そう、某がうぇいとれすの仕事に習熟してしまうくらいに時間は経つが栞達が来ない。
「おかしいですね……いつもならとっくに来ている時間なんですけど」
 ちはや殿も首をかしげる。
 うむむ、今日に限って何故来ないのだ?
「とにかく、もう少し待ってみるか」
 他に手がかりが無い以上恭介殿の提案に従うほかはなかった。


A 暫くうぇいとれすをしていると……なんとアルサル殿が店に入ってきた。
B 「ふんふふ〜ん、ちはやちゃんのメイド服は萌えるよな〜」こ、この声は向坂雄二?!
C 閉店まで待ったが栞たちは来ない……仕方なく某は宿に戻る事にした。
482名無しさんだよもん:2006/05/04(木) 23:46:50 ID:hUTGN3Yf0
A
483名無しさんだよもん:2006/05/05(金) 23:46:43 ID:jD1RfLb80
「いらっしゃいませ、お二人ですか」
 ちはや殿の挨拶が店に響き、二名のお客様が席に案内される。
 いや、この百花屋というのはなかなかに繁盛しているようだ。
 どうやら一番多い客層の男女の組み合わせらしい。
「一回戦の勝利を記念してたまにはこういう店に入るのもいいと思いますよ、に〜さま」
「う〜ん、俺はこういう店はたくさん食べにくいと思うんだがなぁ」
 どうやら兄妹らしい、しかしどこかで聞いたことがあるような気がする。
 そう思いながら厨房へ食器を下げようとした時、お客様を見た某は危うく皿を落としそうになった。 
「ア、アルサル殿?!」
「えっ?! アンタは……まさかトウカか?!」
 ちはや殿に案内されていたのはリアンノン殿と……アルサル殿!
 よもやアルサル殿にこのような格好を見られるとは!
某もそうだが、某を見たアルサル殿もたいそう驚いている。
「本当にトウカなのか? なんて言うか、その……別人みたいだ」
 べ、別人?
「ア、アルサル殿、や、やっぱりおかしいですか、某がこのような格好をするのは?」
 某の質問に今度はアルサル殿が慌てだす。
「い、いや、違う、おかしいなんて事は無い、そうじゃなくて、だから、つまり……」
「『綺麗だ』って言いたいんですよね、に〜さま」
 横からリアンノン殿が助け舟を出した、にんまりした表情で。
「リアンノン! いや、に〜ちゃんは、ええと、ああと」
「違うんですか、に〜さま」
「違うもんか! え、いや、だからそれは……」
 顔を真っ赤にしながらそれ以上言えず、尻すぼみになってしまうアルサル殿。
「ア、アルサル殿……い、いやお客様、て、店内でこのような騒ぎは……」
 思わず某は赤面しながら規則通りの返答をしてしまう。
 気がつけばリアンノン殿と同様の視線が店中から注がれる。
 突然店の中で繰り広げられた恋愛喜劇の行く末はどうなるのか、ちはや殿も、恭介殿も、
 それどころか店の中のお客様達まで興味津々で某とアルサル殿を見守っている。
484名無しさんだよもん:2006/05/05(金) 23:47:16 ID:jD1RfLb80


A 「に〜さま、私ちょっと用事を思い出したので出ますね(はぁと)」リ、リアンノン殿っ!
B 「トウカさん、栞さんも来ないみたいですしそろそろ上がったほうがいいと思いますよ」ち、ちはや殿っ!
C 「ご、ご注文は何になさいますか?」店内の視線にもちはや殿達の視線にも耐えながら、
   某はうぇいとれす業務をこなそうとした
485名無しさんだよもん:2006/05/05(金) 23:49:21 ID:mzTYsGRw0
A
486名無しさんだよもん:2006/05/06(土) 22:35:03 ID:CdZaC8un0
 お、落ち着け某! アルサル殿はリアンノン殿と食事に来られただけだ。
 そう、何も慌てる事はない、他のお客様と同様に応対すればいいはず。
「それではお客様、お席のほうにご案内しま――」
 しどろもどろに某が言いかけたその時だった。
「いけない そういえば家に鍵をかけるのを忘れてました(棒読み)」
 突然、リアンノン殿が戸締りを忘れたと言い出す、何故か棒読みだ。
「なっ、何を言ってるんだ?! に〜ちゃんも出かける前に確かめたんだぞ!」
 アルサル殿の抗議もどこ吹く風、にんまりとした笑顔のまま言葉を続ける。
「ごめんなさいに〜さま、私は家に帰るのでゆ〜っくりお食事を楽しんでくださいね(はぁと)」
 言うが早く、リアンノン殿は出て行ってしまう。
「リ、リアンノ〜ン!」
 妹を呼ぶ声が空しく店内に響いた。
 妹という緩衝材を失い、店内の廊下に取り残されるアルサル殿と某。
 い、一体どうして! 何ゆえこんな時に戸締りを忘れてしまうのだリアンノン殿!
(アレって気を利かせたんだよね、お兄ちゃん)
(まぁそうだろうな、二人とも奥手そうだし)
  

 好奇の視線に耐えながら、某はアルサル殿を席に案内した。
「ご、ご注文は何になさいますか?」
「え、えーと、な、何にしようか……」
 お冷を出し、注文を聞くも上手く言えずどもってしまう。
 アルサル殿も何を頼めばいいか決められず、何度もお品書きを読み返す。
 は、恥ずかしい、店中の視線が痛い、アルサル殿、早く注文を決めてくだされ!
(ほんとあの二人って可愛いですね)
(まぁ確かに、見てるこっちが恥ずかしくなるけどな)


A 「お待たせしました、ご注文の○○です」某はアルサル殿の注文の料理をつつがなく出した。
B 某が注文された料理をアルサル殿に出そうとした時、うっかり足を滑らせてしまった!
C 「トウカさん、実はちょっと料理人が怪我をしたので代わりに作ってもらえませんか?」ち、ちはや殿?!
 (後、料理の方の指定もお願いします)
487名無しさんだよもん:2006/05/06(土) 22:37:26 ID:Jj3dKny40
B
488名無しさんだよもん:2006/05/06(土) 23:32:42 ID:D7bid+qgO
>>486
料理の指定は選択された選択肢に関係無しに決めるのかな?
もしそうなら料理は『ぐらたん』で。
489名無しさんだよもん:2006/05/06(土) 23:45:34 ID:9uBOpxx10
さて、アルサルの大事なところに熱々の料理がぶっかかって
ふきふきするシュチュが出来上がったりするわけだが
その光景がテーブルに隠れてはためにはフェ○してるようにしか(ry
490名無しさんだよもん:2006/05/07(日) 21:21:11 ID:4Iga3KDM0
「注文の『しーふーどぐらたん』あがりましたー!」
 厨房から料理の完成を告げる声がする。
 アルサル殿の注文した料理は『しーふーどぐらたん』という帝国風の料理だ。
 新鮮な魚介類がふんだんにちりばめられ、『ほわいとそーす』と『ちーず』の良い香りがする。
 何度か他のお客様にも注文されている、きっと美味しいに違いない。
「熱いですから気をつけてくださいね」
 ちはや殿に注意されながら『ぐらたん』を盆に乗せ、アルサル殿の席まで運ぶ。
(お、落ち着け、もう何度も繰り返したではないか)
 臨時とは言え何時間もうぇいとれすをしていた、幾度となくお客様に料理も出した。
 しかし……同じ事でもアルサル殿にするなれば話は別だ。
 始めて戦場に出た時のように緊張しながら、店内の廊下を歩く。
 うっかり料理をこぼす粗相はしないだろうか。
 綺麗な動作でアルサル殿の前に皿を置けるだろうか。
 些細な事でもアルサル殿の前で失敗したくない、格好悪い真似をしたくない。
 ……そんな余計な事を考えていたのが失敗だった。
「なあっ?!」
「ト、トウカッ!」
 アルサル殿の席に着く直前、某はうっかりと足を滑らせてしまった!
 盆から宙を舞う『ぐらたん』そして――


A 「あ、熱っ!!」『ぐらたん』をアルサル殿が思いっきり被ってしまった! そ、某としたことがー!
B 「くうっ!」「トウカッ! 大丈夫かっ?!」『ぐらたん』を某が思いっきり被ってしまった!
C 『ぐらたん』は床に落ちた……が尻餅をつき大股開きの某の股間がアルサル殿に丸見えになってしまった!
491名無しさんだよもん:2006/05/07(日) 21:24:28 ID:ijHzAiLm0
A
492名無しさんだよもん:2006/05/08(月) 23:45:55 ID:0AOUyqqb0
「あ、熱っっ!」
 某が足を滑らせ、その拍子に宙を舞ってしまった『ぐらたん』
 その行き先には……無情にもアルサル殿が座っていた。
「ア、アルサル殿ッ!」
 不測の事態に騒然となってしまう店内。
 大量のほわいとそーすや魚介類が、アルサル殿の体にべっとりとへばりつく。
 できたて熱々の『ぐらたん』の中身、それがアルサル殿の身体をを熱く責めていた。
「お客様! 大丈夫でしょうか?!」
 慌ててちはや殿も駆けつけてくる。
「トウカさん、後始末の方は私がしておきます。アルサルさんの火傷を冷やして下さい」
「こ、心得た」
 手際よく床に落ちた皿や『ぐらたん』を掃除し始めて騒ぎを収めるちはや殿。
 某はちはや殿に言われた通り、アルサル殿を店の奥の控え室に運んだ。

「ううっ……」
「アルサル殿、申し訳ありません、申し訳ありません」
 何度も謝りながら、某は濡らしたおしぼりでほわいとそーすをふき取る。
(ああ、なんと言う事だ。アルサル殿をこんな目にあわせてしまうなんて)
 とにかく、今は火傷を冷やさなければならない。
 某はお絞りを冷やし直しながら、幾度となく丹念にアルサル殿の体からほわいとそーすを
拭き取り、火傷を冷やし続けた。


A 「……トウカ、もう大丈夫だ」アルサル殿が意識を取り戻した。
B アルサル殿が意識を取り戻さない、医者に見てもらったほうがいいのだろうか。
C アルサル殿の下半身を拭き続けていると……その……股間の部分が膨らんできた……
493名無しさんだよもん:2006/05/08(月) 23:54:34 ID:O7oLqS9Y0
奴らにCはまだ早い。Aだ。
494名無しさんだよもん:2006/05/09(火) 23:40:51 ID:cPjhNq410
「……トウカ、もう大丈夫だ」
 火傷の箇所が冷やされたおかげか、しばらくしてアルサル殿が意識を取り戻した。
「ア、アルサル殿、申し訳ありません、某の……某のせいで……」
 思わず泣きそうに、いや、瞳からは一粒涙がこぼれてしまった。
「別にわざとやった訳じゃないだろ、失敗は誰にでもあるさ」
「しかし……」
「火傷を冷やしてくれたんだろ、ありがとう」
 アルサル殿が優しく微笑んで礼を言う。
「そ、そんなっ! 某のせいなのですから当然ですっ!」
 そうだ、某が原因なのだから礼を言われる筋合いなんてない。
 しかし、アルサル殿は首を横に振る。
「だけど……トウカの手、こんなに冷たくなってるじゃないか」
 そう言いながら、アルサル殿は某の手を握った。
「あっ……」
「何度も何度もおしぼりを冷やし直してくれたんだろ」
 アルサル殿の手が某の手を優しく包み、さすってくれる。
「ありがとう」
「そ、そんな……これでは立場が逆です……」
 だが言葉とは裏腹に、某の手ははアルサル殿の手を振りほどけなかった。
 アルサル殿の手の温もり、それが冷水に浸かっていた某の手に伝わる。
 その温もりが、某が騒動の原因だというのにとても心地よくて、もう少しの間温めてほしいなどと
思ってしまった。 


A 「トウカ……」手をさすってくれているアルサル殿の顔が……近づいてくる?!
B 少しの間アルサル殿に手をさすってもらった後、某達は百花屋で夕食を食べることにした
C 「トウカさん、アルサルさん、もう大丈夫ですか?」その時ちはや殿が部屋に入ってきた
495名無しさんだよもん:2006/05/09(火) 23:48:46 ID:LdJU4EUC0
お約束でC
496名無しさんだよもん:2006/05/10(水) 22:51:30 ID:O5t4p+Cc0
 黙って某の冷えた手をさすってくれるアルサル殿。
「ア、アルサル殿、そろそろ……」
「あ、ああ……」
 もう十分温まった、そうさりげなく言ったつもりだった。
 しかし、アルサル殿は某の手を離してはくれない。
 そして、某もそれ以上何も言わずアルサル殿にされるがままだった。
「トウカの手、鍛えてあるけど……やっぱり柔らかいんだな、俺の手とは全然違う」
「ア、アルサル殿、アルサル殿はリアンノン殿のお世話をしてたのですからそれ位は……」
「そ、そうだけど……リアンノンの手とも違う……なんて言えば良いんだろう……」
 言葉に詰まりながらもアルサル殿は某の手を握り続ける。
 ああ、もしかしてこれって凄く良い雰囲気なのでは……

「トウカさん、アルサルさん、もう大丈夫ですか?」
「「うわあぁぁっ!」」
 突然ちはや殿の声がして、戸が開かれる。
 某達は慌てて手を離してしまった。
「あれぇ、もしかしてお邪魔でしたか」
 ちはや殿はにやにやとした顔をうかべている。
 ……もしや、機会を窺っていたのだろうか?
「い、いや、アルサル殿の火傷も随分冷えたし、もう大丈夫だと思います」
「あ、ああ、俺はもう問題ないぞ、うん」
「そうですか、こっちも後片付けは終わりましたよ」
「ちはや殿、誠にかたじけない」
「いいんですよ、私もいいもの見せてもらいましたし」
 ……やはり見られていたのか。
 某とアルアル殿は二人して顔を赤く染めてしまった。
497名無しさんだよもん:2006/05/10(水) 22:52:09 ID:O5t4p+Cc0
「お待たせしました、シーフードグラタンです」
「ああ、ありがとう」
「こちらはトウカさんにスパゲティナポリタンです」
「某にもですか?」
「ええ、事情はありましたけど今日一日働いてくれましたから」
 某達が店内に戻ると、営業時間が終了間際のおかげで他にお客様はいなかった。
 某達はちはや殿に言われるがままに席に着き、出された料理を食べる事にした。


「ふふふ……食べてる食べてる」
 トウカとアルサルが美味しそうに料理を食べる様子、それを物陰から香月ちはやは観察していた。
 そしてそのちはやに恭介が近づいてくる。
「ちはや、お前あの料理に何入れた?」
「えっ? な、何のことかな? お兄ちゃん?」
 恭介の質問にちはやはしらを切ろうとする。
「とぼけても無駄だ、見てたぞ」
 更なる追求、だがそれはちはやにとって不利にはならなかった。
「……見てたのに止めなかったって事は、お兄ちゃんも興味があったってことでしょ?」
「ま、ありていに言えばそうだけどな。で、何を入れたんだ?」
 妹に反撃にあっさりと恭介は折れ、興味を優先させる。
「実はね――


A アルサルさんの料理にえっちな気分になるお薬をちょっと……
B アルサルさんの料理に「セイカクハンテンダケ」をちょっと……
C トウカさんの料理にえっちな気分になるお薬をちょっと……
D トウカさんの料理に「セイカクハンテンダケ」をちょっと……
498名無しさんだよもん:2006/05/10(水) 22:53:11 ID:hwlLz/mg0
Cだ
499名無しさんだよもん:2006/05/11(木) 23:59:29 ID:ZyAVvK2P0
「トウカさんの料理にえっちな気分になるお薬をちょっと入れちゃったの、てへっ」
「てへっ、じゃ無いだろ……ま、どうなるのかは気にはなるがな」


 結局、某達は栞達が来ないので料理を食べた後に帰る事にした。
 アルサル殿と一緒に街を歩いているのだが……
「どうしたんだ、体の調子でもおかしいのか?」
「い、いえ、決してその様な事はありません」
 言葉とは裏腹に、某は自分の体の異変を自覚しつつあった。
(身体が……熱い?)
 何故か身体の……特に胸や……下腹部が熱い、何かが疼いているような感じだ。
 触りたい、この疼きを止めたい、もしくはアルサル殿の手で疼きを止めてもらえ……
(って某は何を考えているんだ! こんな往来で!)
 百花屋を出るちょっと前から少しずつ、そして次第に激しくなってくる。
『トウカさん、その……今夜は何か変わった事が起こるかもしれませんね』
 店を出る前、一緒に着替えていたちはや殿の言葉が思い出される。
 あれはこの事を予期していたのだろうか?
 それとも某の身体がおかしくなった事にちはや殿も関係しているのだろうか?
「何だか顔が赤いぞ、それに息も……少し荒くないか?」
「そ、そんな事は無いですぞアルサル殿、某は極めて正常です!」
「? 変なトウカだな」
 思わず声まで大きくなってしまう。
 ええい、今は原因を考えても仕方が無い。
 とにかく、平静を装うのだ。
500名無しさんだよもん:2006/05/12(金) 00:01:21 ID:89bChh0E0
 どうにか某達はアルサル殿の長屋に着いた。
 これほど長屋までの道のりを長く感じたことは無い。
 とりあえず道中もアルサル殿に変に思われてはいないようだ。
「そ、それではアルサル殿、今宵は失礼します」
 別れの挨拶も手早く、某は長屋の前を去ろうとする。
「あれっ、もう帰っちゃうのか、トウカ?」
 意外そうな声を上げるアルサル殿。
「えっ……どうかしましたか、アルサル殿?」
「い、いや今日の武術大会で……俺の背中を流してくれるって言ってくれたから」
 ……………………
 そ、そうだった、今日の武術大会で約束したのだった!
「いや、別に今日じゃなくってもいいんだし……」
「何を言うのですか! エヴェンクルガの士は約束を違えたりしません!」
 思わず宣言するが……今は泥沼だった。
 これがいつもなら火傷のお詫びもかねて誠心誠意アルサル殿の背中を流していただろう。
 しかし、今はその……身体がおかしな……甘い疼きが強くなっている……
 ……アルサル殿の背中を流すだけで済むのだろうか。


A 「あら、お帰りなさい、に〜さま、トウカさん」家の中に入るとリアンノン殿がいた。
B 家の中に入ると置手紙が「に〜さま、お風呂の準備は万端ですよ(はぁと)」リアンノン殿ぉー!
C 家の中に入ると……リアンノン殿が倒れている?!
501名無しさんだよもん:2006/05/12(金) 00:04:28 ID:hDVYpv7p0
B
502名無しさんだよもん:2006/05/12(金) 00:40:31 ID:07lY9p2a0
どんどんドツボにはまっていくw
503名無しさんだよもん:2006/05/12(金) 22:19:45 ID:FyTcHsEN0
 いや、待て、落ち着くのだ某。
 ここはアルサル殿の家、つまり妹のリアンノン殿がいる。
 リアンノン殿がいる中で某に背中を流してもらうのはアルサル殿も気まずい筈だ。
 そうなれば、アルサル殿の背中を流す約束は後日という事になるだろう。
 言い訳めいた考えだが、今の某がアルサル殿と風呂場で二人きりになってしまったら……
 裸のアルサル殿と二人きり……アルサル殿の鍛えられた体を某が洗う……
 脳裏に温泉で見てしまったアルサル殿の体がよぎってしまう。
 だ、駄目だ駄目だ、どうしてこんなはしたない想像をしてしまうのだ、某!
 某の葛藤をよそに、アルサル殿はリアンノン殿が戸の鍵を開けた。
「リアンノン、今帰ったぞ……ってあれ?」
 アルサル殿と一緒に家の中に入るが、リアンノン殿の姿が見当たらない。
「おかしいな、もうとっくに帰っているはずなのに」
「アルサル殿、ここに手紙があります」
 某は戸棚にあった置手紙をアルサル殿に渡した。

『に〜さまへ
 ごめんなさい、鍵のかけ忘れは私の勘違いでした。
 お詫びと言ってはなんですが、今日の武術大会でトウカさんがに〜さまのお背中を
 流すとおっしゃられていたので、お風呂の準備をしておきました。
 少し熱めに焚きましたけど、に〜さま達が帰る頃にはいい湯加減になってると思います。
 あ、そうそう、私のほうは丁度帰った時にモーちゃんが夕飯に誘ってくれたので
 そちらで頂く事にしました。
 帰るのは遅く……もしかしたら泊まりになるかもしれないのでトウカさんにゆ〜っくり
 お背中を流してもらってくださいね(はぁと) リアンノン』

「…………」
 アルサル殿が読み終わった後に、無言で置手紙を渡してくれた。
 そして某も内容を読む。
 …………リ、リ、リアンノン殿ぉー!
 心の中で叫んでしまう、某の逃げ道はしっかり塞がれていた。
504名無しさんだよもん:2006/05/12(金) 22:20:17 ID:FyTcHsEN0

「そ、それじゃあ俺は先に入ってるから」
「し、承知しました」
 手紙を読み終え、しばし気まずい沈黙が流れたが……アルサル殿が立ち上がった。
 もう夜も更けている、武術大会の汗を流す必要もある、風呂に入るのは当たり前だ。
 当たり前なのだが……風呂場へ向かうアルサル殿は入る前から顔が真っ赤だった。

「某も……そろそろ行かねば」
 もうアルサル殿の体も温まり、身体を洗う頃合。
 すなわち……某の出番だ。
 立ち上がって、風呂場に向かう。
 胸の鼓動、そして……体の疼きが止まらない、むしろ激しくなっている。

 風呂場の前で、某は服を脱ぎ始める。
 胴着を脱ぎ、胸に巻いたサラシをほどき、下着を足首から抜き……一糸纏わぬ姿になった。
 リアンノン殿が用意してくれたのだろう、脱衣籠にあった湯拭き布を体に巻きつけ……
「あっ……」
 思わず声を出してしまう、湯拭き布が胸の先端と触れた時、妖しげな疼きが一際強くなった。
 そのまま胸に手を当て、もっと触ってしまいそうになる衝動を抑え、しっかりと巻き付けた。
(何故だ……布が胸に擦れただけでこんな……)
 理解できない身体のはしたない疼きに某は戸惑ってしまう。
 ……しかし、いつまでもここで湯拭き布一枚でいるわけにもいかない。
「アルサル殿、失礼します」
 意を決し、火照る身体を抑えて某は風呂場の戸を開けた。


A 「そろそろ背中を流させて……ってアルサル殿!」
   なんとアルサル殿が湯船でのぼせて気を失っていた。
B 「そ、それじゃあ……トウカに背中を流してもらおうかな」
   アルサル殿が湯船から上がり風呂椅子に腰をかけた
C 「そろそろ背中を流させて……うわぁぁっ!」
   某はうっかり足を滑らせてアルサル殿が浸かっている湯船に飛び込んでしまった。
505名無しさんだよもん:2006/05/12(金) 22:22:45 ID:WnLYEvpX0
アルサルならAだろ!
506名無しさんだよもん:2006/05/12(金) 22:22:50 ID:oFwxBLtP0
C
507名無しさんだよもん:2006/05/13(土) 21:04:38 ID:53ZCOZvx0
「そろそろ背中を流させて……ってアルサル殿!」
 某が風呂場に入ると、湯船でアルサル殿がぐったりとして気を失っていた。
 恐らく某が入るのが遅かったせいだろう、体中茹蛸のように真っ赤だ。
「こ、これはいかん」
 湯船で気を失ってしまえば、最悪の場合そのまま沈んで溺死してしまう。
 某は急いでアルサル殿を引き上げ、風呂場から運び出した。

「アルサル殿、しっかりして下さい!」
 風呂場の隣、脱衣室の床にアルサル殿を寝かせた。
 声をかけると返事こそされないが「う、ううっ……」と反応がある。
 顔色も大分良くなってきた。元々ただの湯当たりだ、じきに目を覚ますはず……
「あっ……」
 一安心して、改めて寝かせたアルサル殿を見て……今度は某が茹蛸のように赤くなってしまう。
 慌てて運び出したアルサル殿は……無論何も着ていない……一言で言えば……裸だ。
 鍛えられた胸板も、武術大会で剣を振るっていた逞しい腕も、勢いよく駆け出していた脚も。
 そして……殿方の大切な部分も。
 意識してしまうと、先ほどまで忘れていた身体の妖しげな疼きが蘇ってくる。
「な、何を考えているんだっ、某は……」
 このまま裸にしておく訳にもいかない、早くアルサル殿に浴衣なり何なりを着せるべきだ。
 それなのに……某はアルサル殿の身体から目を離せずにいた。
「………………」
 その場で動かず、動けずにアルサル殿の……一糸纏わぬ姿を見続ける。
 身体の妖しげな疼きは加速し、ごくりと生唾を飲み込んでしまった。


A 無意識に、某の手がアルサル殿の大切な部分に伸びていた。
B 某は……己の唇をアルサル殿の顔に近づけていた。
C 「ううっ……ト、トウカか?」目を離せずにいると……アルサル殿が意識を取り戻してしまった。
508名無しさんだよもん:2006/05/13(土) 21:15:42 ID:7uEzEViz0
B
509名無しさんだよもん:2006/05/14(日) 23:43:56 ID:eAFAurAQ0
「…………アルサル殿」
 自然と某はアルサル殿に近づき、顔を覗き込んだ。
 湯当たりの熱も取れ、穏やかな表情で目を閉じているアルサル殿。
 そして某の視線は……アルサル殿の口元に釘付けとなった。
「…………」
 夢遊病者の様に、某の唇はアルサル殿の顔に近づいていく。
 温泉の一件を思い出してしまう、あの時某が足を滑らせてアルサル殿に飛び込んでしまい……
 初めての口づけをアルサル殿と交してしまった。
 いや、あれは……明らかに不慮の事故だ。
 そして、先日アルサル殿が着替えている最中の某の部屋に入って足を滑らせて飛び込んできた。
 あの時、転んで押し倒した形になったのは温泉と同様に不慮の事故だが……
 そこで口づけを迫ってきたのは……確かにアルサル殿の意思だった。
 某はアルサル殿を……拒まなかった、岩切殿が入ってこなければ恐らく、いや確実に……受け入れていただろう。
 そして、今度は某が自らアルサル殿に口づけを迫っている。
「…………んっ!」
 しかし、アルサル殿の唇と某の唇が重なる寸前で某は止まった。
(…………このような形で、アルサル殿と口づけをして良いのか?!)
 意識を失っているアルサル殿から勝手に唇を奪う……その様な真似が許されるのだろうか。
 許されるはずがない、こういう事はお互いの意思が大切であり尊重すべきで……
 だが先日の続きと考えれば……それにアルサル殿を文字通り目の前にして某の身体も限界に来て……
 これ以上何もしないでいればおかしくなってしまいそうで……アルサル殿が……欲しくて……
 アルサル殿の唇まで一寸と無い距離で、身体の欲求と理性が葛藤を繰り返す。
 そして――


A 「だ、駄目だ、こんな無理矢理な事をしては!」
   疼き続ける身体を抑え、某は立ち上がった。
B 「ア、アルサル殿……申し訳ありません……某は……もう我慢できませんっ!」
   そのまま、某はアルサル殿に抱きついて唇を貪りだしてしまった。
C 「……ト、トウカ?!」
   目の前のアルサル殿が意識を取り戻した!
510名無しさんだよもん:2006/05/14(日) 23:45:29 ID:6C9Mg59F0
A
511名無しさんだよもん:2006/05/14(日) 23:45:38 ID:kEnZYRkv0
512名無しさんだよもん:2006/05/15(月) 22:49:09 ID:B7H+NdLj0
「だ、駄目だ、こんな無理矢理な事をしては!」
 某は疼く身体を抑えつけて立ち上がった。
 そうだ、このようなアルサル殿の意思を無視した行為など許されるはずが無い。
 このままアルサル殿の唇を奪ってしまえば、某はただの痴女ではないか!
 身体の火照りは未だ続くが、精神力で耐える。
「とにかく……このままではアルサル殿が風邪を引いてしまうやもしれん」
 いくら湯当たりとはいえ、いつまでも裸のままで寝ていれば当然風邪を引いてしまう。
 アルサル殿は明日も武術大会に出場する身、風邪で寝込んでしまっては笑い話にもならない。
「確か、この辺りに着替えがあるはず……」
 脱衣所を見回って、アルサル殿の浴衣を見つける。
「…………これは、アルサル殿の下着だが」
 同じ場所に、当然替えの下着もあった。
 だが、流石に某の手でこれをアルサル殿に履かせるのは……あまりにも恥ずかしい。
「申し訳ありません、アルサル殿」
 下着はその場に置き、出切るだけアルサル殿を見ないようにしながら身体を拭く。
「……ええい、ままよ!」
 少々無理矢理浴衣を着せた、アルサル殿から顔を背けながら手早く着せようとしたのは無茶だった。
 帯の結びがかなり滅茶苦茶だが、この際仕方が無い。
「これで、少なくとも体裁は整ったかな」
 まだ目を覚まさないものの、外見上は問題ないはずだ。
 ……何故か脳裏に『ぱ ん つ は い て な い』という単語がよぎった。
 気のせいだろう、妖しい火照りが妙な電波を呼んだに違いない。


 
A 「あれ……トウカ?」アルサル殿が目を覚ました。
B 「へくしっ」湯拭き布一枚でいたので体を冷やしてしまった、アルサル殿には悪いが湯に浸からせてもらおう。
C 「おや、この薬は?」ふと見ると、『リアンノン特製元気がでるおくすり(はぁと)』が棚に置いてあった。 
513名無しさんだよもん:2006/05/15(月) 22:53:20 ID:c7Z8meyY0
514名無しさんだよもん:2006/05/16(火) 02:00:43 ID:BD3UIPiO0
なんかだんだんおとなしい方向になってきたな
515名無しさんだよもん:2006/05/16(火) 22:57:39 ID:gLdp/BmE0
「あれ……トウカ?」
 浴衣を着せてすぐに、アルサル殿が目を覚ました。
「ど、どうしたんだ、そんな格好で?!」
 湯拭き布一枚の某の姿に動揺しだす、どうやらまだ状況を飲み込んでないようだ。
「ア、アルサル殿、アルサル殿は風呂場で湯当たりされていたんです」
 某に告げられ、アルサル殿は意識を失った前後を思い出そうとした。
「そ、そうか、俺トウカが来るのを待っている間に……すまない、トウカ」
 アルサル殿が起き上がり、申し訳無さそうな顔で深々と頭を下げる。
「なっ……某こそもう少し早く入っていればこのような事にはならなかった筈。謝るのはむしろ某のほうです!」
 アルサル殿に頭を下げられ、今度は某のほうが困ってしまう。
「いや、俺がのぼせてしまったせいでこんな浴衣まで着せて……って……」
「…………」
 アルサル殿も某も言葉に詰まる、風呂から引き上げて浴衣を着せたという事はつまり……
 少なからずアルサル殿の裸を見てしまった訳で、それに某はもう少しでアルサル殿の唇を無理矢理……
 不運な事故で温泉の時もお互いの裸を見てしまったし、某の風呂上りを見られた事もあった。
 しかし……アルサル殿の家で二人きりというせいか……ちょっと気まずい。


A 「ア、アルサル殿、某もお風呂に入ってもいいでしょうか」
   気まずい空気を晴らすべく某はアルサル殿に尋ねた
B 「ア、アルサル殿、背中を流すのは後日でもいいでしょうか」
   気まずい空気を晴らすべく某はアルサル殿に尋ねた
C 「ア、アルサル殿、アルサル殿のモノは立派な大きさでしたよ」
   気まずい空気を晴らすべく某は……なんて事を口走ってしまったんだー!
516名無しさんだよもん:2006/05/16(火) 23:04:59 ID:vsKs3XpO0
CだC
517名無しさんだよもん:2006/05/17(水) 23:13:48 ID:jSbcwguc0
 何故そのような言葉を口走ったのか、某には分からなかった。
 いくつか原因は考えられる。
 気まずい空気を変えるべく、何か言わねばならないと焦っていた。
 醒めない身体の甘く妖しい疼きが、脳内におかしな発想を生んだのかもしれない。
 殿方といえど裸を見られるのは恥ずかしいだろうと考え、何かしらアルサル殿を元気付けられる事を言うべきだと思っていたのも一因だろう。 
 
「ア、アルサル殿、アルサル殿のモノは立派な大きさでしたよ」

 後から理由を考えても、一度口にした言葉を引っ込める事はできない。
 じょ、女性が間違っても口にすべきでない発言だ。
 これでは『某はじっくりとアルサル殿のモノを拝見させてもらいました』と言ってる様なものだ!
 …………いや、全く見ていなかったと言えば嘘だが。
 固まる、石化する、思考がぐるぐると渦を巻いて混乱する。
 某の『うっかり』が、またしても発動してしまった、盛大に。


A 某の不用意な一言がアルサル殿をケモノにしてしまった!
B 「も、申し訳ありません!」いたたまれなくなり某は風呂に逃げ出した
C 「ごめんくださ〜い」その時、玄関で誰かの声がした(人物指定)
518名無しさんだよもん:2006/05/17(水) 23:16:31 ID:+O42jDka0
AAAAAAA
519名無しさんだよもん:2006/05/18(木) 23:53:54 ID:lZb/2CTM0
 脱衣所の板張りの床で、正座しながら某は固まってしまう。
 不用意な、あまりにも不用意な一言だった。
 こんな破廉恥極まりない台詞を言うなんて悔恨の極みだ。。
 アルサル殿にさぞ呆れられただろう……はしたない女だと。
 ぎぎぎと無理矢理首を動かして、アルサル殿のほうを見ると――
「えっ?!」
 突如、アルサル殿が詰め寄って、某を馬乗りの形で押し倒してきた。
 更に腕が伸ばされ、某の体に巻きつけてあった湯拭き布を剥ぎ取ってしまう。
 湯拭き布の下から、某のあられもない姿ががアルサル殿の眼前に晒されてしまった。
「ア、アルサル殿! 何をっ?!」
 アルサル殿の突然の豹変に驚き、混乱した某は胸を隠すのも忘れてしまう。
 いつものアルサル殿と違う、息も荒くて目も血走っている、まるで野生のケモノのようだ。
「トウカだって……俺の裸いっぱい見たんだろ? だったら、俺にも見せてくれよ」
「い、いや、しかし……」
 困ってしまう、そう言われると……反論しにくい。
 湯当たりしたアルサル殿を引き上げる為とはいえ、アルサル殿の裸を見てしまったのは事実だ。
 寸前とはいえ、アルサル殿に口づけを迫ってしまった負い目もある。
 某の沈黙を肯定と受け取ったのか、アルサル殿の視線が某の顔から下のほうに移ってゆく。
(アルサル殿に……見られてる、こんな間近で……)
 着替えの時のような不慮の事故ではない、アルサル殿が進んで某を裸にしての鑑賞。
「トウカ……トウカの胸、凄く綺麗だ」
 某の生まれたままの姿がゆっくり、じっくりとアルサル殿の記憶に焼き付けられてゆく。
 そう想像するとたまらなく恥ずかしい、なのに、それ以外の感覚も某の中に生まつつあった。
 下腹部が、今までに無く熱い、アルサル殿の体温だけではない、某の身体の中から熱くなってくる。
  

A 「トウカ……トウカのここ、凄く濡れてる」アルサル殿の手が、某の女性の部分に伸びてきた!
B 「アルサル殿っ、む、胸にっ?!」アルサル殿が某の胸に吸い付いてきた!
C 「トウカ……体、冷えちゃっただろ」アルサル殿と某は改めて風呂に入った!
520名無しさんだよもん:2006/05/18(木) 23:56:42 ID:fNwupqSk0
こいつらはエロより初々しさを見たいからC
521名無しさんだよもん:2006/05/20(土) 00:12:29 ID:YA6BgAiw0

 かぽーん

「………………」
「………………」
 時折、水滴が落ちる時以外、風呂場に音はなかった。
 現在、アルサル殿と某は二人で湯船に入っている。
 お互いに何を言っていいか分からず、おかしな位静かだった。
 
 きっかけは某のくしゃみだった。
 アルサル殿に裸にされ、馬乗りで迫られてこのまま行くところまで行ってしまうのか……
 そう覚悟を決めようとした時、「くしゅっ」とくしゃみが出た。
 随分の間、湯拭き布一枚でいたせいで、すっかり某の体が冷えてしまったようだ。
 そんな某を見て……アルサル殿も落ち着きを取り戻したのだろうか。
「トウカ……体、冷えちゃったろ」
 そう言って立ち上がり、押し倒していた某の手を取って立たせた。
「一緒に…………風呂に入ろう」
「えっ、あっ、アルサル殿っ?!」
 あれよあれよという間に、某はアルサル殿と一緒に風呂に入っていた。
522名無しさんだよもん:2006/05/20(土) 00:13:10 ID:YA6BgAiw0

「………………」
「………………」
 並んで湯船に浸かる某達は……お互いに裸だ。
 入る直前、湯拭き布を巻きつけようかとも思ったが……止めておいた。
 背中を流すだけならともかく、湯に浸かり温まるのであれば邪魔になる。
 それに……最早幾度と無くアルサル殿に見られた裸を、今更隠す気にならなかった。
「………………」
「………………」
 とはいえ、いざ二人で湯に浸かると、互いの肌が触れ合う。
 アルサル殿の長屋の風呂は、割と大きめだがそれでも某達二人が入るには狭い。
 体を縮こめて三角座りで並んで浸かっても、肩やら太股がくっついてしまう。
「………………」
「………………」
 時折、ちらちらとアルサル殿を見る。アルサル殿もこっちをちらちらと見てくる。
 目が合うと、お互いに逸らしてしまう、体は密着しているのに。
 どうすればいいのだろうか、正直、あのまま押し倒され、行き着くところまで行く事も覚悟していた。
 しかし、そうせずにアルサル殿は某を風呂に入れて、一緒に入っている。
 無論、某の冷えた体を考えたせいもあろうが……それだけなのだろうか。
 それとも、ここは某の方からアルサル殿に何か行動をすべきなのだろうか。
 湯の温かさと、肉体の帯びる熱でまとまらない頭で、某は考えてしまう。


A 「トウカ……さっきはすまない、俺、どうにかしてた」不意に、アルサル殿が謝りだした。
B 「トウカ……身体は温まったか?」不意に、アルサル殿が某の身体を弄りだした。
C 「アルサル殿……アルサル殿の背中を流させてもらえますか」ともかく、某は約束を果たそうとした。
523名無しさんだよもん:2006/05/20(土) 00:17:05 ID:HgWg+hmg0
C
524名無しさんだよもん:2006/05/20(土) 03:13:32 ID:JWTLaECV0
いい雰囲気だねぇ…
525名無しさんだよもん:2006/05/20(土) 21:44:32 ID:uljoRHYw0
「アルサル殿……アルサル殿の背中を流させてもらえますか」
 何もせずこのまま並んで風呂に入っていても、一向にらちが開かない。
 それならば、昼間約束した通りアルサル殿の背中を流させてもらおう。
 ……少なくとも、このまま風呂に入ったままでは今度は二人とも湯当たりしてしまう。
「あ、ああ、そうだな、頼む、トウカ」
 場を打開するための提案に、アルサル殿は反対しなかった。
 アルサル殿が湯船から上がり、遠慮がちに風呂椅子に腰をかける。
 続いて某も上がり、備えつけてあった手拭いに石鹸を当てて泡立てる。
「それでは……失礼します」
 某はアルサル殿の背中に手拭いをあて、洗い始めた。
 鍛えられた背筋を手拭いが往復すたびに、白い泡が沸き立つ。
「………………」
「………………」
 しかし……会話が続かない。
 不運な事故が重なり、互いの肌を見慣れるまでになってしまった。
 だが、本来ならこのような関係になるまでには……もっと過程があるべきではないだろうか。
 いや、無論アルサル殿のことが嫌いではないし、むしろ誠実で真っ直ぐなアルサル殿の事を某は……
 と、とにかく某達はもっと二人で何かを話すとか、一緒にどこかへ行くとか、そういう機会が少ない気がする!
「………………」
「………………」
 やはり気まずい、これでは並んでお風呂の中に居たときとあまり変わらない。
 せっかく二人きりなんだ、何か、何か話題はないだろうか。


A 「アルサル殿、そういえば明日の武術大会はどのような相手ですか?」
B 「アルサル殿、そういえば美坂栞について何か分かった事はありませんか?」
C 「アルサル殿、よければ……明日どこかへ二人で行きませんか?」
D 「アルサル殿、よければ前のほうも洗わせてください」
526名無しさんだよもん:2006/05/20(土) 21:49:05 ID:qn42wIOr0
C
527名無しさんだよもん:2006/05/21(日) 23:43:00 ID:mwUCmv3Z0
「アルサル殿、よければ……明日どこかへ二人で行きませんか?」
 背中を流しながら、某は思い切って提案してみた。
「えっ……いいのか、トウカ?」
 意外な話だったのだろう、アルサル殿が尋ね返してくる。
「某は……構いません」
 正直、美坂栞を追跡しようにも手がかりが無く、これ以上は難しい。
 それに、某の春画は最早売られてしまった後だ。
 帝国の将軍と繋がりがあるやも知れず、更にその帝国との戦の噂も気になる。
 だが、話がそこまで発展すれば事は政治の問題に発展してくる。
 一介の役人であるアルサル殿や某のような善意の協力者がどうこうできるものでもない。
 それよりも……今はアルサル殿と一緒にいたい。
 男女の仲というのも順序があるのではないかと思う。
 アルサル殿と一緒に都を物見遊山したり、二人きりで会話に花を咲かせたりする。
 そんな場面を想像してみる、かなり、いや、とてもいいんじゃないか。
 ……最も、このままアルサル殿に迫られたとしても、某としては構わないというか――
(な、何を考えているんだ、そんな事を考えたら、また身体がおかしくなってしまう!)
 鎮まりかけてきたと思った身体の熱が、再び某を苛みそうになってくる。
(ええい、鎮まれ、鎮まれぇー!)
 自分に言い聞かせながら、手桶に湯を汲みアルサル殿の背中に流した。


A アルサル殿に先に風呂から上がってもらい、某も身体を洗う事にした。
B 「トウカ……トウカの身体も、洗わせてくれないか」えっ? ア、アルサル殿?
C アルサル殿の背中を見ているうちに……気がつくと某はアルサル殿に後ろから抱きついていた
D 「に〜さま、ただいま〜」こ、この声はリアンノン殿?!
528名無しさんだよもん:2006/05/21(日) 23:44:23 ID:JUK0jyYPO
D
529名無しさんだよもん:2006/05/22(月) 22:17:31 ID:Vi7VDJgT0
 アルサル殿の背中を流し、どうしようかと考えた時、不意に声がした。
「に〜さま、ただいま〜」
「「なっ?!」」
 某達は声をそろえて驚く、玄関から聞こえてきた声は紛れもなくリアンノン殿の声だ。
 もっと遅くなると思っていたが、意外にも早く帰ってきたようである。
「ど、どうします、アルサル殿?!」
「どうするって言っても……」
 リアンノン殿は某が背中を流す事は知っていても、まさか裸になってとは思ってないだろう。
 あらぬ誤解を招かぬ為にも、早く某かアルサル殿のどちらかが風呂から上がるべきだ。
「あら、もしかしてに〜さま達まだお風呂ですか?」
 リアンノン殿の足音が近づいてくる。
 某達は――


A 間一髪、アルサル殿が大急ぎで風呂から出た。
B 間一髪、某が大急ぎで風呂から出た。
C 間に合わない、風呂場の戸が開かれリアンノン殿にばっちり見られた。
530名無しさんだよもん:2006/05/22(月) 22:26:17 ID:2lFwplrg0
531名無しさんだよもん:2006/05/22(月) 22:26:32 ID:2tUEZhDz0
532名無しさんだよもん:2006/05/23(火) 21:04:02 ID:r9+j8l+80
「ア、アルサル殿、某が上がります」
「い、いや、俺が上がる、トウカはまだ身体も洗ってないんだし」
 某とアルサル殿は互いに譲り合ってしまい、話がまとまらない。
 そうこうしている内に、どんどんリアンノン殿の足音が近づいてきた。
「に〜さま、何だか騒がしいみたいですけど、何かあったのですか?」
 無情にも、風呂場の戸が開かれる。
「「「あっ……」」」
 風呂を譲り合い、裸で押し合うアルサル殿と某の姿を……ばっちり見られてしまった。
「…………」
「…………」
「…………」
 某も、アルサル殿も、リアンノン殿も三人とも硬直してしまう。
「…………えっと、あの、ごめんなさい」
 一番早く硬直から解けたリアンノン殿が、いきなり頭を下げた。
「リ、リアンノン殿?」
 某もアルサル殿もわけが分からない。
「……二人きりにすればに〜さまとトウカさんの仲が進展するんじゃないかと思ったんですけど
 まさか、もうこんな大人の関係になるなんて思ってもみませんでした」
 リ、リアンノン殿〜〜!
「トウカさんって意外と大胆なんですね、に〜さまは奥手なだけかもしれませんけど」
「ち、違います、これは不運な事故で……」
「照れなくてもいいですよ、ああ、こんな事ならもっと遅く帰ってくればよかった」
「リ、リアンノン、に〜ちゃんはお前が思っているような事は全然してなくて……」
「に〜さま、に〜さまも男なんですからちゃんと責任取らないといけませんよ」
 某とアルサル殿のしどろもどろの弁解をリアンノン殿は相手にもしてくれない。
 勢いとはいえ、アルサル殿と裸で一緒にお風呂に入ったのは事実だし……


A とにかく、風呂から上がって某は帰り支度をすることにした。
B 「トウカさん、今度は私とお風呂に入りませんか」とリアンノン殿が誘ってきた。
C 「トウカさん、良ければ今日は泊まっていきませんか」とリアンノン殿に誘われた。
533名無しさんだよもん:2006/05/23(火) 21:05:58 ID:ln+R8JUy0
Cだろう!
534名無しさんだよもん:2006/05/23(火) 21:42:03 ID:r9+j8l+80
「似合ってますよ、トウカさん」
 リアンノン殿に褒められる、某は今リアンノン殿に用意してもらった浴衣を着ていた。
 宿に帰るはずの某が何故自分の服ではなく、浴衣を着ているかというと――
 ・
 ・
「トウカさん、良ければ今日は泊まっていきませんか」
 結局、先に上がった某が着替えようとした時リアンノン殿が浴衣を出してきた。
「い、いや、某は宿へ戻らねばならないのだが」
「もう夜も遅いですし、宿がしまってるかもしれませんよ。
 それにトウカさんはお強いと思いますけど、夜遅くに女性一人で出歩くのは危ないと思います」
 確かに、先日一人で帰った時より随分と遅い時間だ。
「しかし、リアンノン殿に迷惑がかかるのでは」
「私は全然迷惑なんかじゃありませんよ、それに――」
「それに?」
「私のお義姉さんになれば毎日一緒に暮らすわけですから」
 満面の笑顔でリアンノン殿が言い放つ。
「リ、リアンノン殿! そ、そんな……余りに早すぎでは……」
「え、じゃあやっぱりいつかは私のお義姉さんになるんですね?」
 揚げ足を取られた某は言葉に詰まった。
「い、いや、それは、その……アルサル殿は……だから……」
 ・
 ・
 と、こんな感じで半ば強引に一晩泊まる事になってしまった。
「はい、ここが今晩の寝床ですよ」
 襖を開けるリアンノン殿、そこには――


A リアンノン殿の部屋に布団が二組敷いてあった
B アルサル殿の部屋に布団が二組敷いてあった
C アルサル殿の部屋に布団が一組だけ敷いてあった
535名無しさんだよもん:2006/05/23(火) 21:43:31 ID:7LiKjJ7H0
C
536名無しさんだよもん:2006/05/24(水) 22:59:35 ID:K8+3cwzy0

 ( Д ) ° °

 案内された部屋は、リアンノン殿の部屋ではなく……アルサル殿の部屋だった。
 武術大会で振るわれた刀が鞘に収められ、立て掛けられている。
 アルサル殿の性格をあらわした様なこざっぱりとした部屋、とても良い感じの部屋だ。
 機会があればアルサル殿に見せてもらえないかとも思っていた。
 問題は……ここを“某が寝る部屋”として案内されてしまった事だ。
 さらに、そこには枕が二つと……布団一組だけが敷かれている。
「リ、リアンノン殿っ!? こ、これはっ?!」
「すいません、枕はあったんですけど布団の予備がなくて」
 枕はあるのに布団の予備がないなんて事があるのだろうか?
「い、いやそれならせめてリアンノン殿と一緒に寝るのが順当ではないだろうか?」
 そうだ、女性同士ならまだ問題は無いはず。
「ごめんなさい、私女の人と一緒に寝ると頭痛と腹痛と歯痛と腰痛が起きる持病があるんです」
 リアンノン殿は、さも申し訳無さそうにぬけぬけと言ってのけた。
 そんな病気聞いた事が無い、いくら某でもデタラメとしか考えられない。
「リ、リアンノン……こ、これはっ?!」
 部屋に戻ってきたアルサル殿も中を見て、言葉を失ってしまう。
「あっ、に〜さま、お布団はもう敷いておきました」
 そう言いながらリアンノン殿は強引にアルサル殿と某を部屋の中に押し込む。
「「リアンノン(殿)っ!」」
 某とアルサル殿の抵抗の声が一致するも、リアンノン殿には届いてない。
「に〜さま、トウカさん、明日も早いですのでもう寝ますね」
 リアンノン殿は朗らかな笑みで話を進める、これ以上ないくらいにんまりとした顔で。
「あ、そうそう、私今晩は何だかとってもぐっすり眠れそうですから。
 どんな物音や声が上がっても何も聞こえないですので安心してください
 それでは、おやすみなさい、トウカさん、に〜さま」
 意味深な台詞を最後に、リアンノン殿はパタンと襖を閉めてしまった。
537名無しさんだよもん:2006/05/24(水) 23:00:12 ID:K8+3cwzy0

 怒涛の勢いで某達はリアンノン殿に押し切られてしまった。
「……俺が床で寝る、トウカは布団で寝てくれ」
「い、いけません、アルサル殿が布団で寝てください」
「何を言ってるんだ、女にそんな事をさせられる訳無いだろ」
「某とて野宿には馴れています、アルサル殿こそ明日の試合に差し障るやも知れません」
「俺は大丈夫だ、トウカこそ――」
「いや、アルサル殿のほうが――」
 布団の前で某達はお互いに遠慮しあい、どちらも譲らなかった。


「…………」
「…………」
 結局、どちらも折れず……某達は一組の布団で枕を並べる事にした。
 いつまでも不毛な譲り合いをしても無駄な時間が流れるだけだ。
 ならばさっさとどちらも布団に寝て眠ってしまえば何も問題は無い。
 そう、何も問題は無いはず、某達はそう結論付けて眠ろうとした、が――
(……駄目だ、眠れない)
 甘かった、アルサル殿がすぐ隣にいるのに眠れるはずも無い。
「…………」
「…………」
 隣を向く、アルサル殿は目を閉じているが……寝息があまりにも不自然だ。
 多分、いや確実にアルサル殿も眠れていないらしい。 


A 「……ト、トウカ、ちょっとこれでも飲まないか」不意に起きたアルサル殿が、部屋の隅から寝酒を出してきた
B 「……アルサル殿、何かお話でもしませんか」某はアルサル殿に話しかけた
C 隣のアルサル殿を意識してしまうと……某の身体がまた熱くなってきてしまった 
538名無しさんだよもん:2006/05/24(水) 23:07:39 ID:J04yfEib0
C
539名無しさんだよもん:2006/05/25(木) 00:55:36 ID:cUKS7/GY0
 物音一つ聞こえない静かな夜、普段ならすぐに眠れてしまうだろう。
 だが……今は全く眠気が生まれない。
 当たり前だ、すぐ隣でアルサル殿が寝ているのに眠れる方がおかしい。
(アルサル殿が……こんなに近くに……)
 一つ屋根の下どころか、同じ布団で隣同士。
 これだけ距離がないと、嫌も応も無くアルサル殿を意識してしまう。
 武術大会、百花屋での食事、そして一緒に入ったお風呂――
(あっ……これは……)
 某を押し倒したアルサル殿を思い出した所で……某の身体に甘い熱が生まれた。
(ああっ……んっ……)
 風呂場でも感じていたあの妖しい疼きと熱、治まったと思っていたのだが……また――
(こんな……アルサル殿がすぐ隣にいるのに……)
 アルサル殿に気付かれないよう、目立たないように布団の中で、某は太股を擦り合わせる。
 だが――それだけでは全然足りない、熱は治まらない。
 今すぐ胸や……大切な部分に手を伸ばして触れてしまいたい。
 だが、そんな事をすればすぐに隣のアルサル殿に気付かれてしまう。


A ええい我慢だ、たとえ朝まででも耐えてみせる
B ……ゆっくりと、某は手を胸に伸ばした
C 「……トウカ、どうかしたのか?」アルサル殿が話しかけてきてしまった!
540名無しさんだよもん:2006/05/25(木) 00:58:12 ID:JSj/YaZJ0
B
541名無しさんだよもん:2006/05/25(木) 14:42:30 ID:cUKS7/GY0
(少しぐらいなら……気付かれないかもしれない)
 残り火のように熱を持ち、疼き続ける身体に某は耐え切れなかった。
 幸いにも、アルサル殿は無理にでも寝ようと目を閉じている。
 ちょっと隣でもぞもぞと動きがあっても、多分気付かれない筈だ。
 そう半ば無理矢理自分に言い聞かせながら……某はゆっくりと、左手を胸に伸ばした。
(アルサル殿……はしたない自分を許して下さい)
 浴衣の上から軽く撫でまわす、ゆっくりと、円を描くように。
(あっ……)
 布越しに胸の先端を撫でた瞬間、漏れそうになった声を抑えつけた。
(…………)
 一旦手を止めるが……すぐに再開してしまう。
(んんっ……ああっ……)
 今度は浴衣の中に手を入れ、直にふくらみを揉みほぐした。
 甘い快感がいっぱいに広がってゆき、手が止まらない。
(某の胸……熱くなって……先が固くなってる……)
 人差し指と親指で先端の突起をつまみ、慎重に弄りだす。
(あああっ……駄目っ……某……こんな……)
 先ほどまでとは比べ物にならないほどの快感が某を襲った。
 右手はギュッと布団を握り締める、下唇を噛み、漏れそうになる声を抑え続ける。
(これが……アルサル殿の手なら……もっと……)
 左手で胸を弄りながら想像してしまう、アルサル殿に優しく胸を責められる自分を。


A ……布団を握っていた右手を、某の大切な部分にあてがった
B 「ああっ! アルサル殿っ」うっかり声を漏らしてしまった
C (……トウカの様子がおかしい?)アルサル視点に移る 
542名無しさんだよもん:2006/05/25(木) 14:48:36 ID:fIuN9fAm0
A
543名無しさんだよもん:2006/05/26(金) 01:13:52 ID:5ncZuGFG0
 無心に胸を弄っていると……下腹部の方もどんどん熱くなってくる。
(いけない……もう……某は……やめられない……)
 最早、太股をすり合わせるぐらいでは誤魔化せなかった。
 浴衣の帯を緩めて、隙間から布団を握っていた右手を入れる。
 太股の付け根、女性の秘めやかな部分にそっと手を当てた。
(……濡れてる、こんなにも)
 下着越しにぬるついた液体の感触がする、恐らく大きく染みを広げてるだろう。
(……んんっ……ああっ……)
 潤みを作る中心……すなわち秘裂に指をあてる。
 布地越しに割れ目に沿って指を往復させると、甘い快感が秘唇から脳まで駆け巡る。
(駄目っ……もっと……)
 どんどん愛液が湧き出し、下着どころか浴衣や布団まで濡らし始めた。
 だが、強烈な快感に某は抗えず、一心不乱に自慰を続けてしまう。
 布越しでは足りず、下着の中に手を入れて、直接愛撫をした。
 割れ目を何度も何度もなぞり続け、指を浅く出し入れして中をほぐすように弄る。
(ああっ……こんなにも……これではまるでお漏らしではないか……)
 愛液に手がベショベショに濡れるが、それすら気にならない。
 左手で胸を揉みしだき続け、右手で某の大切な部分を弄り、慰め続ける。
 声を押し殺してはいるが、はしたない水音が秘部から立ち、呼吸が荒くなっていた。


A 「んんっ、んんんんっ〜〜〜!」そのまま、声を押し殺し某は絶頂に達した
B 「ト、トウカ……」その声に我に帰った某が隣を向くと、アルサル殿にばっちりバレていた
C (ト、トウカの喘ぎ声が……すぐ隣で……)アルサル視点に移る
544名無しさんだよもん:2006/05/26(金) 01:15:35 ID:pyHjX1EB0
A
545名無しさんだよもん:2006/05/26(金) 16:00:25 ID:5ncZuGFG0
(アルサル殿、アルサル殿、アルサル殿っ!)
 頭の中で自分の手をアルサル殿に置き換えてしまう、アルサル殿の愛撫は止まらない。 
 想像の中のアルサル殿は某を見つめながら丹念に、一心不乱に手を動かしてくれる。
 固く膨らんだ胸の先端を左手の指で強く摘みながら、一際深く右手の指を突きいれた。
「んんっ、んんんんっ〜〜〜!」
 その瞬間、体中に稲妻のように快感が走る。
 痙攣を起こしたように身体がピーンと伸び、ガクガクと震えた。
「はぁ……はぁ……」
(某は、何をしているのだろうか)
 荒くなった呼吸を整えながら、某は自己嫌悪に陥った。
 客人として泊めてもらった家で、はしたなくも自慰に耽ってしまった。
 しかも、隣にアルサル殿がいながら気付かれないように隠れてだ。
 そのくせ、想像の中ではアルサル殿に某の身体を委ねている。
(これなら……はしたないと思われても、アルサル殿に迫った方がよほどマシではないか)
 情けない話だ、某はアルサル殿に迫る勇気のない意気地なしだ。
 かといって、はしたない身体を抑える事もできず、恥知らずな行為に耽る痴女だ。
(アルサル殿に……会わせる顔がない、某は卑怯者だ)



A 自慰の余韻と倦怠感に浸りながら、そのまま某は朝まで眠った
B 「トウカ……」声の方に振り向くと、アルサル殿と目が合った
C 体中汗やら何やらでベトベトする……某は簡単に水浴びでもしようと思った
546名無しさんだよもん:2006/05/26(金) 16:04:03 ID:2SkubolF0
a
547名無しさんだよもん:2006/05/26(金) 22:05:58 ID:5ncZuGFG0
(……寝よう)
 正直、自慰に夢中になり体中汗やら何やらで濡れて気持ち悪い。
 だが、それ以上に倦怠感と余韻が残っていて、動く気になれなかった。
(明日の朝、早起きして水浴びでもしよう)
 先ほどまでの妖しい疼きも消え。某は目を閉じると、すぐに眠気に包まれていった――


「……んっ……朝か」
 翌朝、目を開けた某はまず隣のアルサル殿を確認する。
(……どうやら、眠っているようだ)
 ひとまず安心してそっと布団を抜け出し、風呂場に駆け込む。
(リアンノン殿も……いない様だ)
 手早く浴衣を脱ぎ、昨夜の残り湯で身体を洗い流した。
 本当は浴衣や下着も洗いたかったが、乾かす時間が無い。
(リアンノン殿、本当に申し訳ありません)
 浴衣を折りたたみ、下着を履きなおしいつもの胴着に着替えた。
(うっ……やはりいいものではない)
 浴衣の方は……リアンノン殿が洗濯するまでに乾く事を祈ろう。

「あら、トウカさん、おはようございます」
 風呂場を出てほどなくして、リアンノン殿に挨拶された。
「リ、リアンノン殿も早いですな」
「ええ、朝ごはんを作らないといけないので」
 確かに、言われると味噌汁のいい香りに気がつく。
「昨夜はごめんなさい、トウカさんはよく眠れましたか?」
「いや……それは……その……」
 思わず答えにつまる某に、リアンノン殿は微笑ましそうな顔をする。
「ふふっ、もう準備が出来上がりますから、に〜さまを呼んできますね」
 本気で答えを聞くつもりは無かったようだ、パタパタと音を立てながら
リアンノン殿はアルサル殿を呼びに行った。
 あうぅ、アルサル殿とは……顔を合わせづらい
548名無しさんだよもん:2006/05/26(金) 22:06:33 ID:5ncZuGFG0

 しかし、当然のことながらすぐにアルサル殿も起きて来た。
「おはよう、トウカ、寺のときよりも早いな」
「お、おはよう御座います、アルサル殿」
 アルサル殿と挨拶をしあうが、顔を正視できない、恥ずかしい。
「さ、に〜さまもトウカさんも朝ごはんにしましょう」
 リアンノン殿に促され、某達は卓を囲み箸を持つ。
 美味しそうな手料理が並んでいる、リアンノン殿はいいお嫁さんになれるだろう。
「「「いただきます」」」

 その朝食の最中に――


A 「ところで、俺が武術大会に出てる間、トウカはどうするつもりだ?」とアルサル殿に聞かれた
B 「トウカさん、この後ちょっといいですか?」……リアンノン殿が話があるようだ
C 「某、一度宿に戻ってもいいでしょうか、アルサル殿?」下着を替えたい某は、アルサル殿に申し出た
549名無しさんだよもん:2006/05/26(金) 22:12:44 ID:rWsBx/iQ0
C トウカだって女の子www
550名無しさんだよもん:2006/05/27(土) 00:07:46 ID:udeUcQj20
「某、一度宿に戻ってもいいでしょうか、アルサル殿?」
 朝食の最中、某はアルサル殿に申し出た。
「ん、別にいいけど、どうかしたのか?」
「い、いえ、昨夜は勝手に宿を留守にしたので、一度連絡をしておこうかと」
「ああ、なるほど、昨日は急な話だったからな」
 アルサル殿の質問に適当な答えで誤魔化す。
 特に疑問に思うことなく、アルサル殿はそれ以上質問してこなかった。
(真に申し訳ありません、アルサル殿……)
 本当は、今日のアルサル殿の試合も応援したかった。
 だがそれ以上に、一度宿に戻って下着も胴着も新しいものに着替えたいのだ。
 某の下着は……昨夜のはしたない行為で大変な事になっている。
 まして、今日はアルサル殿と一緒に街を見回るのだ。
 こんな……自慰で穢れた下着では恥ずかしい、気持ち悪い、落ち着かない。
 お洒落など全く疎く無知だが、某とて女性だ。
 アルサル殿と並んで歩くのに、せめて清潔な服ぐらいは着たかった。


 朝食を食べ終え、一息ついたところで某達は長屋を出た。
「いってらっしゃい、に〜さま、トウカさん」
 笑顔のリアンノン殿に見送られながら、途中までアルサル殿と一緒に歩く。
 道すがら、某達は今日の待ち合わせを決めた。
「じゃあ、正午に会場の門の前で、その頃には試合も終わっているはずだ」
「分かりました、そういえば今日の対戦相手は誰ですか?」
「ああ、今日の相手は『名無しさん剣兵だよもん』ってごく普通の兵士だ』
 それならば、万が一にもアルサル殿の負けはないだろう。
 十字路で別れる、アルサル殿は武術大会会場に、某は……下着を替えに。
 ……落差が情けない。
「アルサル殿、勝利を祈っています」
「ああ、トウカの分まで頑張るさ」
551名無しさんだよもん:2006/05/27(土) 00:08:25 ID:udeUcQj20

「さて、某も宿へ戻らねば」
 アルサル殿と別れ、宿へ足を向ける。
 とにかく、早く下着も胴着も着替えよう、そしてアルサル殿と都見物をしよう。


A 宿に戻った某は、手早く下着と胴着を着替えた
B 宿に戻ると……運悪く昨夜下着泥棒が発生して、下着が残らず無かった!
C 宿に戻ると……運悪く昨夜宿で火事があり、某の荷物が残らず燃えていた!
552名無しさんだよもん:2006/05/27(土) 00:09:08 ID:0LK1K0t60
A
553名無しさんだよもん:2006/05/27(土) 00:09:11 ID:ymnTbTPo0
C
554名無しさんだよもん:2006/05/27(土) 10:42:29 ID:pcrFSf9s0
「ふう、これで何とか気持ちが切り替えられる……」
 宿に戻った某は手早く着替えをすませた。
 脱ぎ捨てた下着の方は昨晩の自慰の際に溢れた某の……で案の定汚れている。
 うう、染みにならねばよいが……
 しかし、昨晩はよくもまあ、あのような破廉恥なまねを……
 …いかん、いかん!!気を取り直さねば!
 金輪際アルサル殿の側であのような痴態を晒すわけにはいかん。
 少し気を引き締めることにしよう。それにしても昨晩は同じ布団で一晩……
 ……うう、決意した側から邪念が。某はどうかしてしまったのだろうか。


 さて、着替えを済ませたところで時刻を日の高さから確かめる。
 アルサル殿との待ち合わせの刻限まではまだ十分に間がある。
 それまでいかにして過ごそうか。

A とりあえず汚れた下着を洗う。
B 寸暇を生かして街で情報収集にあたる。
C せっかくだし午前中のアルサル殿の試合を見物する。 
555名無しさんだよもん:2006/05/27(土) 10:56:37 ID:0LK1K0t60
C
556名無しさんだよもん:2006/05/27(土) 21:50:55 ID:udeUcQj20
「アルサル殿の試合を見に行こうか」
 幸い、特に問題もなく着替えられたおかげで時間に余裕はある。
 これなら昼の待ち合わせは勿論、アルサル殿の試合にも間に合うやも知れない。
 宿の人に昨夜帰らなかった事を一言侘び、某は武術大会会場へ向かった。

 会場は既に熱気に溢れ、大勢の見物人がひしめき合っている。
 今日のアルサル殿の試合は早い時間に始まるそうだ。
 出切るだけ急いで来たが、果たして間に合っただろうか。
「どれどれ、アルサル殿は――」
 謝りながら観客を押し分け、試合場前に進む。
 試合場では――

A アルサル殿が余裕を持って一般剣兵を倒していた
B ?! アルサル殿が一般剣兵に押されてる?!
C 間に合わなかった、既にアルサル殿の勝利で試合は終わっていた
557名無しさんだよもん:2006/05/27(土) 22:00:30 ID:W2UIdkTw0
名無し程度に苦戦しちゃあダメだよアルサル
Aで
558名無しさんだよもん:2006/05/27(土) 23:45:58 ID:3Ci19TBR0
某が試合場についた時には、すでにアルサル殿は勝負を終えていた。
試合場の中心でうずくまっている対戦相手らしき一般剣兵と、
すでに剣を鞘に収めているアルサル殿の姿が何よりも正確に試合の結果を物語っていた。

「アルサル殿!!」
思わず嬉しくなってしまい、某は観客席から叫んでしまった。
はしたないと赤面する間も無く、その声を聞いたアルサル殿が笑顔で駆け寄ってくる。
「楽勝だったよ。雄二の方が100倍手強かったな」
あのような愚劣な相手でも、戦いは人成長させるものなのだろう。
アルサル殿の顔にはしっかりとした自信が刻み込まれていた。
「して、次の対戦相手は?」
「ああ、あそこにいる二人組みの男の方だよ」

某の視線の先には……

A 「あっくん。いつものやっちゃって!」
 「聞きたいか僕の武勇伝!」
 ハイテンションな手にバンダナを巻いた女の子と、女顔の男の子の二人組だった

B 「大丈夫かすのうー」
 「るーこちゃんの顔見ただけで直っていく気がするから平気さ!」
 不思議な感じのする女の子と、馬鹿っぽい金髪の男の子の二人組だった

C 「無理しないで下さいね、先輩」
 「……心配しすぎだ、梶原。お前こそ無理をするな」
 幼い感じがする優しそうな女の子と、冷徹な雰囲気が漂う男の子の二人組だった。

D 「ふふ…強いのね、光岡さん」
 「ちゃかすな」
 幸薄そうな女の子と、軍人らしき男の二人組だった。
559名無しさんだよもん:2006/05/27(土) 23:53:16 ID:eQkDCk+p0
想像がつかないC
560名無しさんだよもん:2006/05/27(土) 23:56:23 ID:r69+RTk4O
Aが誰か暫くわからなかった。
ヤツか……w
561名無しさんだよもん:2006/05/27(土) 23:56:53 ID:LIzaTS2K0
柳川キター
562名無しさんだよもん:2006/05/28(日) 00:07:42 ID:78SYmJ2g0
「せあぁぁっ」
「ぐわっ!」
 当然とはいえ、試合はアルサル殿が優勢だった。
 相手の剣兵の攻撃を難なくかわし、逆に切り込みをかける。
 雄二のような搦め手ならばともかく、一般の剣兵相手にアルサル殿がやられる道理はなかった。
「ま、まいった……」
 とどめに喉元に刃を突きつけられ、相手の剣兵が降参する。
「勝者! アルサルッ!!!」
「「「「「「わああああああああああっ!!!」」」」」」
 高らかに審判がアルサル殿の勝利を宣言し、歓声が上がった。

「アルサル殿! 見事な勝利でした」
 某は控え室に行き、試合場から戻ってきたアルサル殿を迎える。
「トウカ、来てくれたのか」
「はい……早く用事が済んだので、アルサル殿の雄姿を見れたらと」
「そ、そっか……ありがとう……」
「そんな礼を言われるような事は……某はただ見に来ただけです……」
 某もアルサル殿も、俯いてしまい会話が続かない。
 何故か、周りから殺気を感じたが……気のせいだろう。


A 「じゃぁ、早速どこかへ行こうか」某とアルサル殿は並んで試合会場を出た
B 「……ふん、女連れとは余裕だな」何者かがアルサル殿に話しかけてきた(人物指定) 
C 「お姉さん、ちょっと俺と食事でもどう?」唐突に、何者かが某をナンパしてきた(人物指定)
563名無しさんだよもん:2006/05/28(日) 00:08:14 ID:78SYmJ2g0
リロードしようぜ、俺orz
564名無しさんだよもん:2006/05/28(日) 00:20:58 ID:okgyJy63O
ドンマイ
565名無しさんだよもん:2006/05/28(日) 23:58:30 ID:78SYmJ2g0
「無理しないで下さいね、先輩」
「……心配しすぎだ、梶原。お前こそ無理をするな」
 視線の先には幼い感じがする優しそうな女の子と、冷徹な雰囲気が漂う男の子の二人組がいた。
 男の子の方が対戦相手らしいが、確かに只者では無さそうだ。
 なんと言うか、どことなく人外の気配がしないでもない。
 うむむ、アルサル殿は強いが、大丈夫だろうか。

「なに、明日の試合は明日の試合だ、その時に全力を出すだけさ」
 某が不安な顔をしてしまったのか、アルサル殿がハッパをかける。
 確かに、戦う訳でもない某があれこれ考えても詮無いことだ。
「今から思い悩んでも仕方がないだろう、それより……今日はどこへ行こうか」
 照れくさそうに、某を誘ってくれる。
 そうだ、今日はアルサル殿と都見物をするんだ。
 愛しのアルサル殿と昼から一日一緒にいられる、それを楽しまないでどうする。
「そうですね、それなら――


A もう昼時ですし、まずは食事に行きましょう」
B 呉服屋……というのはどうでしょうか」
C そういえば、ここに来る途中評判の高そうな占い屋を見かけました」
566名無しさんだよもん:2006/05/29(月) 00:00:29 ID:Ijj01Dih0
567名無しさんだよもん:2006/05/29(月) 04:32:36 ID:/xSMjEtz0
「もう昼時ですし、まずは食事に行きましょう」
「そうだな、俺も試合でおなかが空いたし、そうしようか」
 話は簡単にまとまる、まずは“でーと”の基本、『食事』だ。
 そうと決まれば某達はさっそく一緒に会場を出た。
 食事時ゆえ、あちこちの飲食店から良い香りが漂っている。
 大通りを歩きながら、アルサル殿と何を食べるか話し合った。
「どこに入りましょうか、アルサル殿」
「そうだな……トウカは何が食べたい?」
「某は何でも構いません、アルサル殿は何か希望はありますか」
 そこで、アルサル殿が少し言葉に詰まる。
「俺は……トウカと一緒に食事ができるのなら、どこででも……」
 その台詞を言ったアルサル殿は真っ赤だった、そしてその意味を理解した某も顔を赤く染める。
「そ、そうですか……」
 嬉しくて、恥ずかしくて、もっと気の効いた返答をするべきなのに、言葉が出てこない。
「…………」
「…………」
 そのまま、お互い無言で歩き続けてしまう。
(あれ、ここは?)
 気がつき辺りを見回すと、大通りからかなり離れてしまった。
 食べ物屋も数が少なくなってしまっている。
(しまった、早くどこか見つけねば)
 アルサル殿も歩きすぎに気がつき、きょろきょろと首を振るする。
 さっきまでとうって変わって、某達は田舎者のように適当な店を探し回る。
 ……実に間の抜けた話だ。
 とはいえ美味しい食事処を探したい、先日のような『胡散屋』や、
 食べた後に身体がおかしくなった『百花屋』は避けたいところだ。
568名無しさんだよもん:2006/05/29(月) 04:33:19 ID:/xSMjEtz0
「……ここにしようか」
「……そ、そうですな」
 少し歩き回り、適当な店を見つけた某達は言葉少なく店に入った。
 その店とは――


A 『必殺かれー』が名物の「かれーしょっぷ柚原」
B 『皇国人はお米族』が合言葉の米料理専門店「美凪」
C 「私のパンは(ry」「俺は(ry」なにやら夫婦が鬼ごっこをしている「古河ぱん」
569名無しさんだよもん:2006/05/29(月) 05:29:36 ID:wcPyGXgFO
A
570名無しさんだよもん:2006/05/29(月) 18:56:05 ID:/xSMjEtz0
 某達は『かれーしょっぷ柚原』という店に入った。
 理由は簡単、この店が一番美味しそうな香里を漂わせていたからだ。
 香りは味の重要な要素、店構えは大きくはないが味のほうは期待できるだろう。
「いらっしゃいませー、お二人様ですね」
 店の中に入ると、桜をかたどった髪留めで両側に髪を分けた少女が出てきた。
 活発そうで可愛らしいその女の子に席へ案内される。
 周りを見回すと客の入りも良い、先日の『胡散屋』とは雲泥の差だ。
「ご注文は何にしますか」
 少女に訪ねられ、二人でお品書きを読む。
「それじゃあ、俺はこの名物『必殺かれー』ってのを」
「某も同じものをお願いします」
「分かりました、お母さんー! 『必殺かれー』を二つお願いねー!」
「はーい、『必殺かれー』二つね!」
 女の子が注文を伝える、どうやら母娘で店を切り盛りしているようだ。
 待っている間、アルサル殿に『かれー』という料理について聞いてみた。
「アルサルどの、某は初めて食べるのですが、この『かれー』というのは如何な料理なのでしょう?」
「ああ、何ていうか俺も上手くは説明できないが……簡単に言うと
 『肉や野菜、あるいは魚介類を何種類もの香辛料や唐辛子と一緒に煮込んで、御飯の上にかけた料理』だ。
 本場じゃ飯じゃなくて小麦粉を練って発酵させずに焼いた『ナン』
 て食べ物と一緒に食べたりするんだが、ここら辺じゃ飯と一緒に食べるのが主流だな
 香辛料には薬になるものも使われていて、身体にも良いらしい」 
「なるほど……しかしアルサル殿は料理にも詳しいんですね、某感心しました」
「い、いや、リアンノンの受け売りだ、そんな褒められるようなものじゃないさ」
「しかし、この『必殺』とはなんでしょうか?」
「さぁ……これは俺にもよくわからないな」
 某達は二人で首をひねった。
571名無しさんだよもん:2006/05/29(月) 18:57:00 ID:/xSMjEtz0

「このみー! できたわよ」
「はーい、お待たせしました『必殺かれー』お二つですね」
 このみと呼ばれた先ほどの女の子が『必殺かれー』を卓に並べる。
 なるほど、大き目の平皿の上に御飯が盛られ、その上からとろみのある茶色い汁がかけられている。
 汁の中には肉や野菜がふんだんに散りばめられており、食欲をそそる匂いが鼻腔をくすぐる。
「箸では無く、この匙で食べるのですな」
「ああ、きっと美味いぞ」
 某もアルサル殿も一緒に用意されていた大き目の匙を手に取った。
「「いただきます」」


A 某達は美味しい「かれー」に舌鼓を打った、ああ、幸せだ……
B 「お客さん達、良ければこの割引券を使いませんか」店の女主人が何かの割引券をくれた
C ふと、向かい側の席で仲睦まじくしている男女が目に入った(カップルを指定)
572名無しさんだよもん:2006/05/29(月) 19:13:12 ID:wcPyGXgFO
ここは素直にA
573名無しさんだよもん:2006/05/29(月) 22:26:02 ID:e2aLuGyG0
「こ、これはっ! ……美味しいにゃ〜」
 思わず顔がほころんでしまう、それぐらいこの『必殺かれー』は美味だった。
「す、凄い、このカレーは滅茶苦茶美味い!」
 アルサル殿も目を見開いて感心している、この店は大当たりだ。
 某ももう一口、もう一口と匙を運びじっくりと味わった。
「よく煮込まれた肉や野菜の旨味とコク、それと唐辛子の辛さと調和している。
 更に絶妙の分量で配合されたであろう香辛料が、それらの味を纏めて膨らませていではないか。
 この濃厚な旨味と適度な辛味を持ったかれーの汁を、御飯はしっかりと受け止めている」
 そこで一度某はあえて汁を掻き分け、何か粒粒の混じった御飯だけを味わった。
「この御飯にも一工夫がされている……これは木の実だ。
 松の実、落花生などの木の実類が細かく砕かれ御飯の中に混ぜられており
 柔らかく炊かれた白米との食感の違いを楽しめる」
 再びかれーの汁と御飯を混ぜ、一緒に食べる。
「野菜もしっかり煮込まれながら、形は崩れずしかも舌の上ではほどけるように崩れる。
 肉のほうは……こ、これは、初めから煮込まれたものではない」
 もう一度、今度は肉だけを取り出して口の中に含む。
「そうか、初めから煮込まれた肉を一旦取り出し、改めて香辛料で下味をつけた肉を入れたのだ。
 旨味を出し切った肉がかれー汁の旨味を吸い込んでも十分美味しいのに、あえて手間をかけて
 新しく肉を入れてある。そうすることによってかれー汁の旨味を吸いつつも肉自身の味も楽し
 めるようにしたんだな、これはまさしく――」
「ト、トウカ、なんだか人格が変わってないか」
 そこで我に帰ると、少し不気味そうにアルサル殿が某を見ていた。
「はっ、い、いえ、つい美味しくて思わず……」
 食事中にこれほど口を開いてしまうとは、恥ずかしい……
「ま、このかれーがすげー美味いことは確かだしな」
 少年のように、無邪気な顔で微笑みながらアルサル殿は匙を動かす。
「はい、全くです」
 某も続いて匙を動かした。
574名無しさんだよもん:2006/05/29(月) 22:26:32 ID:e2aLuGyG0

「「美味しい」」
 二人揃って同じ言葉が出てくる。
 そうだ、このかれーを美味しいと感じたのはかれー自体が上手く調理されただけではない。
 アルサル殿と……好きな人と一緒に食事をしているから余計に美味しく感じるのだ。
 別に難しい事ではない、アルサル殿の家でも、百花屋でも、山寺でも
 アルサル殿と一緒の食事はどれも美味しかった。
 ただ今日は……“でーと”で二人きりで食べるから……更に美味しく感じる。
 ああ、幸せだ……


A その時、とある男女が店の中でいちゃいちゃしていた(カップルを指定)
B 「ふふふ、うちの店のかれーを分かってくれて嬉しいわ」店の奥から女主人が挨拶に来た
C おなかいっぱいになった某達は、幸せ一杯な気分で店を出た
575名無しさんだよもん:2006/05/29(月) 22:36:12 ID:6K+a1o1G0
C
576名無しさんだよもん:2006/05/30(火) 00:52:37 ID:c0sdmfMXO
こちらに美味そうな香里が漂っていると聞いて飛んできました
577名無しさんだよもん:2006/05/30(火) 02:04:35 ID:lzqUCDXF0
>>576
同感
携帯で確認したとき吹いた
578名無しさんだよもん:2006/05/30(火) 03:18:23 ID:wnJ5tEZt0

「「ありがとうございましたー!」」

 このみちゃんとその母である女主人の声が響く。
 某達は必殺かれーに舌鼓を打ちながら、幸せ一杯お腹一杯で店を出た。
「美味しかったですね、アルサル殿」
 しかも値段もそう高くは無い、実に良心的な店だ。
「そうだな……また行かないか、一緒に」
「……はい」

 『かれーしょっぷ柚原』を出て、再び大通りを目指して歩く。
 その途中で、次の行き先を話し合った。
「ところで、次はどこに行こうか」
「そうですね、次は――


A 「アルサル殿、あそこで演劇が上映されているようです」
   某達は街中にある芝居小屋に入った。
B 「アルサル殿、少し離れた湖で釣りができる場所があるようです」
   某達は街外れの湖に出かけた。
C 「アルサル殿、市で何か見回りましょうか」
   某達は適当に買い物をする為、市に出かけた。
579名無しさんだよもん:2006/05/30(火) 03:24:06 ID:coq8C/8A0
580名無しさんだよもん:2006/05/30(火) 15:32:09 ID:wnJ5tEZt0
「アルサル殿、市を見回ってみましょうか」
「そうだな、面白そうだし行ってみるか」
 次はやはり“でーと”の基本である買い物だ。
 アルサル殿と一緒に市を見回ろう、何か面白いものがあるかもしれない。

「今日も賑わっていますね」
「ああ、天気もいいし買い物日和なんだろうな」
 流石は都の市、土産物・本・食べ物・着物・雑貨・家具などなど、あらゆる品物が並べられている。
 今日も相変わらず、大勢の人たちで混み合っていた。
 真面目に店主と値段交渉をしている買い物客。
 玩具をねだる子供とそれをなだめる親。
 楽しそうに品物を見定めている友達同士。
 某達のように男女で見回っている者達もいる。
 様々な人がそれぞれの理由で市を楽しんでいた。
 ……まぁこの際、先日の捕り物の一件は忘れよう。
「しかし、ちと人が多いですな、はぐれてしまわなければいいですが」
「そうだな……ト、トウカ」
 その時、アルサル殿がぎゅっと某の手を握ってくれた。
「ア、アルサル殿?!」
 突然の出来事に慌ててしまう某を、アルサル殿が照れながら見つめる。
「あ、えっと、はぐれない様にと思ったけど……嫌だったか?」
「そ、そんな! ……嬉しいです」
 アルサル殿が握った手を、某もそっと握り返した。
「行こうか」
「はい」


A 某達は、一軒の宝飾品を扱う店の前で足を止めた
B 某達は、一軒の医薬品を扱う店の前で足を止めた
C 某達は、一軒の刀剣類を扱う店の前で足を止めた
581名無しさんだよもん:2006/05/30(火) 16:17:45 ID:boZMDaww0
C
582名無しさんだよもん:2006/05/30(火) 21:24:13 ID:wnJ5tEZt0
 某達はさる一軒の刀剣を扱った『岡崎屋』という店の前で足を止めた。
 某もアルサル殿も剣士、やはり刀には興味がある。
「いらっしゃいませ」
 温和そうな、眼鏡を掛けた中年男性の店主が愛想良く挨拶してきた。
「少し拝見してもよろしいでしょうか」
「どうぞどうぞ、じっくり御覧ください」
 並べられた刀達を見る、中古品が多いがどれも中々の名刀だ。
 しかも……
「いやいや、このような名刀がこれほど安く売られているとは」
 驚いてしまう、どの刀も中古品とはいえ他の店の七掛けから半値だ。
 戦場で拾い集めた刀かと思ったが、血の曇りも錆も無く、相応に手入れも行き届いている。
「はい、これらは全て盗ひ……ゲフンゲフン、私が独自の仕入先から入手したものですから」
「……今『盗品』と言いかけなかったか?」
 一緒に刀を見ていたアルサル殿の視線が厳しくなった。
「店主、俺はこう見えても役人をしている、滅多な嘘はつかない方が身のためだぞ」
 アルサル殿の追及に、大げさな身振り手振りで店主が慌てる。
「お役人様でしたか、いやぁこれは失礼。まぁ多少訳ありの品々ですが、盗品などは扱ってませんよ」
「……そうか」
 さすがに証拠も無いので、アルサル殿はそれ以上追求はしなかった。
「はい(まぁちょっと被害届けすら出せない『いわく品』もないことないですが……ボソッ)」
「……何か言ったか?」
「いえ何も。それよりお役人さん、隣の剣士の彼女に贈り物ですか?」
 途端に今度はアルサル殿の方が慌てだしてしまう。
「いや、俺は……その……」
「それでしたら取って置きの品物がありますよ、少々お待ちください」
 そう言って店主は店の奥から木箱を引っ張り出し、蓋を開けた。
 店主がアルサル殿に見せた物は――


A 何やら不思議な呪文が彫ってある鍔
B どこか妖しげな雰囲気を漂わせる太刀
C 可愛らしく綺麗な装飾がなされた脇差
583名無しさんだよもん:2006/05/30(火) 21:43:34 ID:0I/qoG520
A
584名無しさんだよもん:2006/05/31(水) 02:37:32 ID:2LH8CeM90
「これは……鍔か」
 アルサル殿と一緒に某も木箱を覗き込んだ。
 敷き詰められた真綿の中央に、刀に取り付ける鍔がある。
「盗品じゃないだろうな?」
「勿論です、この岡崎直幸、ウィツァルネミテアの名にかけて誓わせてもらいます」
 この皇国の大神の名前まで出してきているところを見ると、とりあえず盗品ではなさそうだ。
 ……少なくともコレに関しては。
「しかし、これらの文字は何だ?」
 そう、この鍔には細かな文字が隙間無く彫り込まれている。
 某にもアルサル殿にも読めず、無論意味も分からない。
「恐らく何らかの呪文だと思いますよ」
「恐らく?」
「ええ、私も先方から『さる術師が込めた御守りの呪文』としか聞いていないので」
「なんだか胡散臭い話ですな」
「申し訳ありません、ですがその分お値打ち価格になっております」
 具体的にはどのような御守りなのか、そもそも本当に御守りの呪文なのかよく分からない。
 だが……確かにこの鍔からは『何か』を感じる。
 邪気や妖気の類では無さそうだが……
「如何でしょう、今なら勉強してこの値段ですが」
 店主がはじき出した算盤の数字を見て、アルサル殿が唸った。
「ううん〜〜」
「このような一品、他では手に入りませんよ」
「アルサル殿、某は別に……」
 『別に構いませんよ』と言おうとしたところで、遮るようにアルサル殿の声が出た。
「いや、買った!」
「毎度ありがとう御座います」
585名無しさんだよもん:2006/05/31(水) 02:38:36 ID:2LH8CeM90

「どうだ、トウカ?」
「はい、大きさも丁度いいです」
 アルサル殿に買ってもらった鍔を某は早速刀に取り付けた。
「しかし、どうしてアルサル殿はこれを某に買ってくれたのですか?」
「いや、トウカが結構興味深そうに見てたし、それに……」
「それに?」
「御守りの力があるなら、トウカの事を守ってくれるかもしれないからな」
「アルサル殿……」
 アルサル殿の言葉に、思わず鞘に納めた刀を握る力が強くなる。
(鍔なら刀につけて、アルサル殿の贈り物をいつも持っていられる……うれしいにゃ〜)
 思わず顔がほころぶ、そのまま往来にも関わらずアルサル殿に抱きついてしまいそうだ。


A 今度は某がアルサル殿に何か贈り物をしたい、良さそうな店を探そう(店指定)
B 「さぁ、楽しい人形劇だ」む、なにやら往来で人形劇が演じられているぞ
C 「アルサル殿、少し喉が渇きませんか」某達は手近な甘味屋に入った
586名無しさんだよもん:2006/05/31(水) 02:39:54 ID:/B0LvD1q0
B
587名無しさんだよもん:2006/05/31(水) 02:40:10 ID:oTOJQkL70
B
いやっほーーうっ国崎最高ーーーーーっ!!!!
588名無しさんだよもん:2006/05/31(水) 02:40:47 ID:k/MyS+WV0
Cでそろそろか…
589名無しさんだよもん:2006/05/31(水) 03:23:08 ID:SzfF5Emt0
「さぁ、楽しい人形劇の始まりだ」

……その芸人らしき男が演じた人形劇に某とアルサル殿は目を奪われてしまった。
人形は最初はトテトテ歩きやわざと転ぶなどで観衆を楽しませ、
観衆が十分集まり盛り上がったところで、連続宙返りや高速移動で拍手と歓声を生み出した。
「……は! 某とした事が見とれてしまった!」
慌ててアルサル殿の方を向くと、少年の頃に戻ったような笑顔で人形劇を見ていた。
その笑顔を見た某も思わず微笑んでしまう。

人形劇終了後、観衆が芸人の方におひねりを投げる。
「アルサル殿も投げるのですか?」
「ああ! 素晴らしかったからな!」
そう言って、アルサル殿はおひねりを芸人に向かって投げた。

その時だった。

A 芸人はおひねりを掴むと、某に向かって物凄い勢いで投げつけた!
B 「こんなんじゃラーメンセットに足りねえ!」と逆ギレされた!
C 「まあ、こないだは悪かったな」一つの袋を逆に投げ帰された(中身を指定)
590名無しさんだよもん:2006/05/31(水) 03:38:28 ID:k/MyS+WV0
Aいってみる
591名無しさんだよもん:2006/05/31(水) 13:16:34 ID:i6MVcINn0
 ヒュッ
「なっ!」
 いきなりだった、アルサル殿が投げたおひねりを大道芸人が某目掛けて投げつけてきた!
 剣術で鍛えた反射神経と見切りでとっさに手を伸ばし、受け止めたおかげで怪我は無かったが……。
「トウカッ!」
「某は大丈夫です」
 戸惑ってしまう、某には大道芸人の恨みを買う覚えなど無かった。
 大道芸人はなおも鋭い目つきで某達を睨んでいるが――



A よくわからないが不機嫌なだけかもしれない、関わらずに別の場所へ行こう
B 「国崎さーん」むむ、なにやら聞き覚えのある声が……って向坂雄二ではないか!
C 「……おふた方、申し訳ありません」ふと隣から、黒髪で大人しそうな少女が現れた
592名無しさんだよもん:2006/05/31(水) 13:23:51 ID:76UC6u/U0
C
593名無しさんだよもん:2006/05/31(水) 16:09:59 ID:ufWpcXfu0
「この野郎、トウカに何するんだっ!」
 突然おひねりを某に投げつけてきた大道芸人に、アルサル殿が掴みかかろうとする。
 不思議な事に、大道芸人は抵抗しようともせず、自分の人形を愛でているだけだった。

「……おふた方、申し訳ありません」
 
 アルサル殿の手が男の胸倉を掴む直前、隣から黒髪で長髪の大人しそうな少女が現れた。
「何だアンタは?」
「この方……国崎さんの連れ合いで……遠野美凪といいます」
 黒髪の少女、遠野美凪殿は深々と某達に頭を下げた。
「ごめんなさい……国崎さんが失礼な真似をしてしまいまして
 実は……国崎さんは少しばかり心を病んでいられるのです」
「心を?」
「はい……元々国崎さんは旅の芸人で……私もその途中で一緒になったのですが
 ……今でこそ国崎さんの人形劇は……大勢の人に喜んでもらえるものになりましたが
 昔は……少しも笑ってもらえたり、受けるものではなかったのです」
「そ、そうなのですか?」
 信じられない、このような見事な人形劇がか?
「『ただ動いているだけ』『糸が無いだけの退屈な劇』……色々と言われ続けました
 ですが……それでも国崎さんはめげず……人形劇を続けました。
 『俺は母親からこの人形と法術と使命を受け継いだ』……それが国崎さんの口癖でした。
 貧しい暮らしの中、来る日も来る日も人形劇を続けて……とうとう人形劇を極めたのです。
 何も喋らない人形に微妙な仕草をさせて表情を出し……大胆な動きでお客様を魅了する。
 滑稽な動作で観客を笑わせたり……手練の踊り子のような舞を舞わせたり……
 いつしか、国崎さんの人形劇は見る人を魅了するものに進化したのです」
594名無しさんだよもん:2006/05/31(水) 16:10:30 ID:ufWpcXfu0
「それでは、どうして心を?」
 美凪殿の話ならば今頃左団扇でうっはうはのはずだ。
「時期が……遅すぎました。貧しい生活とお客様の辛辣な批評、それに支えだったお母様との約束が
 ……逆に国崎さんの重圧になってしまったのです。
 人形劇の上達に比例して……次第に国崎さんの心が壊れてしまいました。
 私も……そんな国崎さんを支えられなかった……止めようとしても、国崎さんは頑なに拒んで
 ……今は、道中に知り合った名家の長男の方に世話になりながら……普段の生活には
 支障がないぐらいには回復しましたが……昔は……国崎さん自体がまるで壊れた機械人形の
 ように……一日中人形を動かしていたんです……今でも、時々人形劇をお客様に見せないと……
 落ち着かなくなってしまうのです……
 それでも……お客様に手を出すような事は、ほとんど無かったのですが……本当に申し訳ありません」
 再び頭を下げる美凪殿、だが突然、後ろから国崎殿が近寄り遠野殿を抱きすくめた。
「はぁ……はぁ……美凪……美凪……」
「と、遠野殿」
「……いいんです、名家の長男の方の世話になってから……回復の副作用なのか……
 とても好色になってしまったのです……普段平静な時は……その方とえっちな企みばかり
 するようになって……でも、夜は大胆になったんですよ、ぽっ」
 美凪殿は慣れた手つきで抱きすくめてきた国崎殿をあやす。
「……そろそろ帰りましょう、国崎さん」
「あっ……美凪……俺……まだ……」
「続きはまた……今度にしましょう」
 そう言いながら、美凪殿は呆けた様な国崎殿の手を引きだす。
「…………」
「…………」
 某達は、その様子を見ながら何となく取り残されたように立っていた。
 アルサル殿も国崎殿への怒りなど既に冷めている。
 う〜む、正直大道芸を見終わった後にこのような話を聞くとは思わなかったな……


A 気を取り直して、某達は近くの甘味屋でお茶を楽しむ事にした
B 「これは……お詫びのしるしです」別れ際に、美凪殿がなにやら都の娯楽施設の券をくれた
C 某は、話の中の「法術」という単語に聞き覚えがあるのを思い出した
595名無しさんだよもん:2006/05/31(水) 16:13:29 ID:GwPMpyOF0
Bでラブホチケット
596名無しさんだよもん:2006/05/31(水) 22:00:51 ID:ufWpcXfu0
「これは……お詫びのしるしです」
 気まずい別れの中、美凪殿が封筒を某に差し出した。
「そんな、人形劇を見せてもらったのにお金をもらっては話があべこべです」
「……いいえ、こちらとしても気が済みませんので、それにお金ではありません。
 施設の特待券ですが……使いきれない余り物なのです……申し訳ありません」
 某は受け取りを断るが、美凪殿は頑なに渡そうとする。
 暫く問答が続くが、これでは埒が明かないな……

「分かりました、それでは有難く頂きます」
 結局、某は受け取る事にした。 
 余りしつこく断っても失礼だろうし、受け取ったほうが美凪殿の面目も保たれるであろう。
「……はい、進呈」
 改めて封筒を受け取りながら、某は美凪殿を励ました。
「美凪殿、きっと国崎殿は良くなると思います、某も応援していますので」
「……ありがとう御座います」
「こちらこそ、特待券など頂いてかたじけない限りです」
 某は深く礼を言い、美凪殿達と別れた。
597名無しさんだよもん:2006/05/31(水) 22:01:22 ID:ufWpcXfu0

「大変そうだな、あの美凪っての」
「ええ、ですがその様な素振りは少しも見せず……立派なものです」
 素直にそう思う、某もアルサル殿にあのように尽くせたなら……
 いや、アルサル殿に気を違えられるのは絶対に避けたいが。
「そういや、何の券を貰ったんだ?」
「ええと、確かどこかの施設の特待券と聞きましたが」
 折角の美凪殿の贈り物だ、心ゆくまで使わせてもらおう。
 封を切り、中から取り出した二枚の券には――

『 高級出会茶屋「葉鍵」特別優待券 』

 と、書いてあった。


A 『出会茶屋』をよく知らない某達は、裏面の住所の通り『高級出会茶屋「葉鍵」』へ向かってしまった
B 券を見た途端、アルサル殿が顔を真っ赤にして「こ、これは俺達には早すぎる」と言い出した
C その時、悪戯な風が券を吹き飛ばしてしまった
598名無しさんだよもん:2006/05/31(水) 22:03:53 ID:bE6p+n4p0
599名無しさんだよもん:2006/06/01(木) 03:10:37 ID:VxsYAPgm0
「ここが『高級出会茶屋「葉鍵」』ですか」
「そうみたいだな」
 某達は裏面の住所を頼りに、『高級出会茶屋「葉鍵」』の前に着いた。
 ここは少々大通りから離れた場所で、通りにはなにやらいかがわしそうな酒場が並んでいる。
 どうにも歩きづらい通りだったが、この建物は『高級』の名に恥じない風格のある佇まいをしていた。
「どうやら、旅籠か何かのようですな」
「そうみたいだな、とりあえず入ってみるか」
 某もアルサル殿も『出会茶屋』というものが如何なものかよく知らない。
 だが外観を見るに高級旅館か何かの一種のようだ。
 恐らく美凪殿はここで骨休めをしたり、食事を楽しんで欲しいと言いたかったのだろう。
600名無しさんだよもん:2006/06/01(木) 03:11:09 ID:VxsYAPgm0
 中に入ると、数々の高そうな調度品が飾られており、落ち着いた雰囲気が漂う。
「あれ……受付はどこだ?」
 アルサル殿が首をかしげる、そう、普通の旅館にあるはずの受付が見当たらない。
「おかしいですね……アルサル殿、あれではないですか?」
 きょろきょろと見回すと……顔も見えないほどの小さな窓口がある。
 恐らくここが受付なのだろう、高級旅館にしてはおかしな造りだが。
「ようこそおいで下さいました、ご休憩ですか、それとも宿泊ですか」
「それでは、休憩でお願いします」
 宿泊はともかく、休憩かどうかなど聞かれるのは初めてだ、実に変わった旅館だな。
「お部屋はどこになさいますか」
 そう言われて隣を見ると、各部屋の間取りが描かれた図がある。
 幾つかの部屋には飾り鋲が刺さっている、恐らく既に他の客が泊まっているのだろう。
 泊まる部屋まで客に選ばせるのか、ますます不思議な旅館だ。
「部屋によっては料金が違っています、あと前払いになっていますのであしからず」
「む、そうですか……それならこれでよろしいでしょうか」
 そう言われて懐から美凪殿に頂いた特別優待券を係りの者に渡した。
「これは……大変失礼しました、この券をお持ちでしたらどの部屋でも構いません。
 御休憩・御宿泊もご自由お選びください」
「ではこの桐の間を……あの、食事もお願いできますか?」
 飾り鋲を押しながら、少し早めになる食事も頼んでみた。
「勿論で御座います、お運びするのは直ぐですか、それとも帰り際ですか」
 帰り際に食べるのもおかしな話だ、何故その様な事を聞くのだろうか。
「直ぐでお願いします」
「かしこまりました、お運びしますのでお部屋で少々お待ちください」
 どうも美凪殿の優待券は本当に『特別』のようだ、これほど至れり尽くせりとは。
 一通りの受付を済ませた後、某達は「桐の間」へ向かった。


A 部屋で手持ち無沙汰な某達は何か話をすることにした(話題を指定)
B 部屋で少し待っていると、仲居さんが食事を運んできた
C うっかり間違えて入った部屋で、一組の男女が……肌を重ねていた(カップルを指定) 
601名無しさんだよもん:2006/06/01(木) 03:15:13 ID:ngkvaDRm0
A
ガイウスと栞または巷に流れている帝国との戦の噂
602名無しさんだよもん:2006/06/01(木) 14:20:56 ID:VxsYAPgm0
「…………」
「…………」
 一見すると部屋の中は普通の旅館と変わらない、むしろ贅沢な造りと言って良い。
 だが、まだ日も暮れていないのに布団が、しかも……何故か一枚の布団に二つの枕が並べてあった。
 一体何の偶然なのだろうか、嫌が応にも昨夜のアルサル殿との一夜を思い出してしまう。
 いくら休憩と言っても、横になるほど疲れているわけではないのに……何となく気まずい。
「と、とにかく座りましょう、アルサル殿」
「そ、そうだな」
 とりあえず部屋の脇にあった座布団を引っ張り出して、腰を下ろす。
 さて、料理が運ばれてくるまで少し手持ち無沙汰だ。
 少し話でもしてみよう、何か良い話題はないだろうか――

「アルサル殿、そういえば美坂栞とガイウスについて妙な噂を聞いたのですが」
「妙な噂?」
「はい、関連は不明ですが帝国と皇国が戦になるかもしれないと――」
 あれこれ考えてみたが、気の効いた話題が思い浮かばない。
 仕方なく、某はガイウスと栞と帝国との戦争の噂を話題にした。
 ちはや殿に聞いた百花屋で栞とガイウスが密会を繰り返している話。
 更に街に流れる帝国と皇国の戦の話。
 百花屋に偶然アルサル殿が来店して以来、色々とあって伝える機会が無かった話を残らず話した。
 もっとも、某の中で栞達のことは最早かなりどうでもよくなっていた。
 肝心の栞もガイウスも行方が知れないし、そもそも帝国との戦の話と関係があるかも不明。
 国家同士の揉め事となれば、アルサル殿や某の出る幕でも無さそうだからだ。
 某は話し終えるまで、アルサル殿は黙って某の話を聞き続けた。
「どう思われますか、アルサル殿」


A 「……実は昨日、上の方から栞の捜索を止める様命令が下ったんだ」
B 「……帝国との戦というなら、帝国の大使の○○と関わりがあるかもしれない」(人物指定)
C 「失礼します」と、ここで料理が運ばれてきた。
D 「あっ……ああん」「はぁ、はぁ……可愛いよ」と、ここで隣の部屋から艶声が響いてきた(人物指定)
603名無しさんだよもん:2006/06/01(木) 14:27:33 ID:zq4JYyC80
B ドルウク
604名無しさんだよもん:2006/06/01(木) 18:00:15 ID:/uEGbLiS0
「……帝国との戦というなら、もしかしたらドルウクと関わりがあるかもしれない」
 某の話を聞き終え、アルサル殿が呟いた。
「ドルウク?」
「帝国の高位の司祭だ。布教活動も兼ねてこの国に大使として赴任していると聞いたな」
 確かにこの国で主に大神ウィツァルネミテアが祭られているが、基本的に宗教には寛容だ。
 強引な押し付けならばともかく、穏健な布教活動ならばお咎めも無い。
 そういえば、総本山のオンカミヤムカイ国からも国司として皇女が赴任していると聞く。
 名前は――ちょっと思い出せないが、“姫君の中の姫君”と呼ばれるほどの気品と美貌を備えた人物らしい。
 他国との友好を結ぶ為に、信心深い徳のある人間を派遣するのはどこの国も同じのようだ。
 しかし……戦の話に関わっているとすれば、そのドルウクとやらはただの司祭兼大使では無さそうだ。
「アルサル殿、そのドルウクとやらに会う事はできないでしょうか?」
「……難しいな、大使館は許可が無ければ入れないし。大使には不逮捕特権があるからな。
 例え現行犯だとしても、役人といえども捕まえられないんだ」
 むむむ、ますますややこしい話になってきた。
 栞はともかく、ガイウスは帝国の将軍なのだから自由に大使館に入れる。
 しかし某達はそんな事できる訳が無い、無理に入ろうとすればアルサル殿と言えどもお咎めを受けるだろう。
「会う機会があるとすれば、何日に一度、布教活動の為に街に出ることがあるらしい。
 その時ぐらいだろうが、当然護衛もついてるだろうしな」
 う〜ん、さすがに護衛の付いている街中で他国の大使に
 『帝国の将軍とこの国の詐欺絵師と戦の噂の関連性について話を聞かせてください』
 などと尋ねられる訳が無い。


A アルサル殿が「上の人間に顔の効く上司がいる」と言った(人物指定)
B と、ここで料理が運ばれてきた。
C と、ここで隣の部屋から嬌声が聞こえてきた。
605名無しさんだよもん:2006/06/01(木) 18:03:11 ID:zpmwkdLl0
C
606名無しさんだよもん:2006/06/01(木) 19:15:06 ID:/uEGbLiS0
 それなりに真面目な話をしている最中に、その声が響いてきた。

「……はぁ、はぁ」
「と、朋也っ、出してっ、また中に出してっ!」
「うっ、で、出るっ……もうこれで何回目だよ、いい加減限界だぜ」
「え〜そんな、次は私の番なのに」
「我慢しなさいよ、椋、アンタも十分可愛がってもらったじゃない」
「だって……そうだ、こうすれば大きくなりますよね」
「えっ……む、胸かよ」
「最近また大きくなったんですよ、お姉ちゃんにはちょっと無理ですよね」
「椋ったら……自分がちょっと胸が私より大きいからって」
「ほら、また膨らんできた。これならまだまだ大丈夫ですよ」

「…………」
「…………」
 男一人と、恐らく二人の姉妹の嬌声と会話が聞こえてくる。
 この嬌声と会話から、隣の部屋で繰り広げられている行為を理解できぬほど、某達も愚かではない。
 思い返してみる、ここの券を譲ってくれた美凪殿の言葉を。

『施設の特待券ですが……使いきれない余り物なのです……申し訳ありません』

 精神疾患の回復の副作用で好色になった夫の国崎殿。
 そして妻の美凪殿の使い切れない施設の特待券。
 
 全てが符合し、一つの結論が出てくる。
 つまり……ここは「そういう」事を男女がする旅館なのだ。


A ここで折りよく(悪く?)料理が運ばれてきた
B あまりにも気まずい、何か別の話題をアルサル殿に振ってみた(話題を指定)
C 「トウカ……」アルサル殿が、某に近寄ってきた
D 思わず後ずさると戸棚にぶつかり、なにやら淫らな器具が落ちてきた(器具指定)
607名無しさんだよもん:2006/06/01(木) 19:26:49 ID:SprIyfgC0
A
608名無しさんだよもん:2006/06/01(木) 23:18:30 ID:/uEGbLiS0
「失礼します、お食事をお持ちしました」
 隣から聞こえてくる嬌声に某達が困惑していると、折りよく扉から声が聞こえた。
 先ほど頼んだ料理が来たようだ。
「お部屋に入ってもよろしいでしょうか」
 確認をする声、先ほど料理を出すのをすぐか帰り際か聞いたのはこの為か。
「は、はい、運んでください」
 某が返事をすると、扉が開き入ってきた仲居さんが鍋の用意をし始めた。
 手際よく鍋に水を張り火をつけて、具と野菜、それに御飯の入った桶を並べる。
 この具は……獣肉でも魚肉でも無さそうだが……
「今日はいいスッポンが入ったので、まる鍋にさせて頂きました」
 ……これでもかという位の直球な献立だった。
「それでは、ごゆっくりと」
 食事の準備を終えた仲居さんは、そう言い残して退席した。

「…………」
「…………」
 スッポンや野菜の煮える音ばかりが、部屋に広がる。
 某達はただただ顔を赤く染めながら、言葉少なく鍋をつついた。
 まる鍋は美味しいし、アルサル殿と一緒の食事はやはり良いものなのだが……
(まさか、ここがその様な事をする場所などとは)
 美凪殿が気を利かせてくれたのだろうが、某にもアルサル殿にも心の準備というものがある。
 やがて鍋を食べ終わり、残りの出汁で雑炊も堪能し、食事が終わった。
 ここの仕組みから言えば……これからが本番なのだろうが……


A 「ア、アルサル殿、少し暑くありませんか」某はさりげなく服をはだけさせた
B 「…………」無言のまま、アルサル殿が近づいてきて、伸ばした手が頬に当てられる
C (トウカ……俺……)アルサル視点に移る
609名無しさんだよもん:2006/06/01(木) 23:18:55 ID:9I51hxQ60
B
610名無しさんだよもん:2006/06/02(金) 02:47:29 ID:GkY3VCR00
 箸を置き、これからどうしようかと思案に暮れていた時である。
「…………」
 向かいの席で座っていたアルサル殿が、無言のまま、某に近づいてきた。
(えっ、アルサル殿っ?)
 突然の……場所と状況を考えればそうでもない接近に、動けない某。
 そのままアルサル殿の手が差し伸べられ、某の頬に当てられて、優しく撫でてくれる。
(こ、これは……その……つまり……)
 そして……ゆっくりとアルサル殿の顔が近づいてきた。
 不慮の事故を除けば、幾度か未遂に終わったその行為。
(ア、アルサル殿……)
 
 覚悟を決めて、受け入れる。
 後ずさりもせず、振り払いもせず、某はアルサル殿に身を委ねる。
 唇と唇が触れ合う寸前、某はそっと目を瞑った。

「「んっ…………」」

 某の唇と、アルサル殿の唇の距離が、零になった。
 アルサル殿のやわらかさと温かさが、直接伝わってくる。
 今度こそ、何の邪魔も突然の来客も無い。
 温泉での事故に続いて、二回目の接吻。
 二度目の口付けの味は……スッポンの出汁が良く効いていた。
611名無しさんだよもん:2006/06/02(金) 02:51:12 ID:GkY3VCR00

 暫くの間、某達は唇を合わせ続ける。
「「んんっ……」」
 やがて、息が続かなくなってしまい、どちらからとも無く唇を離した。
(もっと……触れ合っていたかったな……)
 名残惜しげな顔をする某、だがそれを補うかのように、アルサル殿が言葉を紡ぐ。
「トウカ……俺は……俺は、トウカが好きだ!」
「……っ!!」
 聞く事ができた、決定的な告白。アルサル殿の想いの篭った一語。
 何度も態度では示されたが、言葉にしてもらうのは初めてだった。
 ……某も、アルサル殿の想いに応えよう。
「アルサル殿……某も……某もアルサル殿のことが好きです。ただ……」
「た、ただ?!」
 最後の逆接に、アルサル殿の顔から一気に血の気が引く。 
「……普通、順序が逆だと思います」
「……すまん」


A ぽふっと、アルサル殿が優しく某を布団の上に押し倒した
B 「ここにもお風呂が備え付けられているみたいだな」某達は、一緒にお風呂に入った
C 「トウカ……夕べ、一人で自分を慰めてたろ」アルサル殿が少し意地悪な事を言い出した
612名無しさんだよもん:2006/06/02(金) 02:52:33 ID:z0paq36Q0

まずはお互い清めてから
613名無しさんだよもん:2006/06/02(金) 13:09:39 ID:GkY3VCR00

 ――ちゃぽん

 浴室には湯気が立ち、時折水滴が床を打つ音がする。
「……アルサル殿、さすがにここの風呂は広いですな」
「……ああ、良い檜を使ってる、家の風呂とは大違いだ」
 某とアルサル殿は、部屋に備え付けられた風呂に……一緒に入っていた。
 アルサル殿の家では無理して身体を縮こめて入ったが、ここの湯船は元々二人一緒に入れるように作られている。
 向き合って、楽な姿勢で湯に浸かりながら……某達はお互いの裸から目を離せない。
(アルサル殿の身体……やはり引き締まっていて……逞しいな……)
 裸を見られるのは、無論恥ずかしい事だが……既に何回も見られているせいか、それほど抵抗は無い。
 それどころか、もっとアルサル殿に自分の体を知って欲しい、隅々まで見て欲しいとすら思っている。
 アルサル殿も気恥ずかしげにしているが、特に隠そうともしていない。
「……温まりますね」
「……そうだな」
 なんともマヌケな発言をして、アルサル殿に素で返されてしまった。
 まったく何を言ってるんだ某、風呂に入っているのだから温まるのは当然だ。
 もっと言うべき事や為すべき事があるだろう!


A 「アルサル殿、アルサル殿の身体を某に洗わせてもらえませんか」
B 「トウカ……俺に、トウカの身体を洗わせてくれないか」
C 「トウカ……いいかな」湯船の中で、アルサル殿が迫ってきた!
614名無しさんだよもん:2006/06/02(金) 13:34:55 ID:ZMo12jCR0
A
615名無しさんだよもん:2006/06/02(金) 16:32:23 ID:GkY3VCR00
「アルサル殿、アルサル殿の身体を某に洗わせてもらえませんか」
「あ、ああ」
 某に促され、アルサル殿が湯船から上がり風呂椅子に腰をかける。
 続いて某も風呂から上がり、隅に置いてあった石鹸を手に取った。
「あ、あれ、トウカ、手ぬぐいはどうしたんだ?」
 傍らに立つ某を見て、アルサル殿が不思議そうに尋ねる。
 そう、某の手には石鹸しか無かった。
「…………」
 だが某は質問に答える事無く、黙ったまま身体に石鹸を当てて擦り付ける。
 質の良い石鹸なのだろう、すぐに某の身体は白く泡まみれになった。
 そして、そのまま泡立った身体を……アルサル殿の右腕にに押し当てる。
「ト、トウカっ?!」
「アルサル殿……某の身体でアルサル殿を洗わせてください」
 どうしてこのような行為を思いついたのか、某にも分からない。
 単に身体を洗うだけなら、手拭いを使ったほうがよほど綺麗にする事ができるだろう。
 ただ……『もっと某の身体をアルサル殿知ってもらいたくて、某もアルサル殿の身体を知りたい』
 と、茹ってくる頭でそんな事を考えていると……自然と身体が動いていた。
 腕を洗い、背中に回って密着し、身体を上下に揺さぶる。
「む、胸があたっているんだけど……」
「……当てているんです」
 アルサル殿の鍛えられた背中を胸で洗っていると、昨夜の様に身体が熱くなり、突端がしこり固くなってきた。
 そのまま、左腕も身体を押し当てて洗い、そのまま前に回ろうとするが……
「ト、トウカ、前のほうは手拭いを使ったほうが……」
「アルサル殿……某に洗われるのは嫌ですか?」
「い、いや、脚とか色々洗いにくいだろうし……それにこれ以上トウカの身体で洗われると
 ……気持ちよすぎて、抑えが効かなくなりそうなんだ」
「あっ……」
 アルサル殿の股間を見ると……既にモノが痛いぐらいに勃起している。
「トウカの好意は嬉しいけど……抱くのは……部屋で抱きたい……」
616名無しさんだよもん:2006/06/02(金) 16:32:55 ID:GkY3VCR00
 ……そう言われると、返す言葉もない。
 それに……正直、これ以上身体で洗うと……某の方も抑えが効かなくなるやも知れない。
 自分からし始めたことなのに、まったくおかしな限りだ、少し一方的すぎた。
 結局、某は傍らにおいてあった手拭いを取り、石鹸をつけてアルサル殿の脚と前を洗う。
(凄い……ビクビクしてる……)
 股間のほうは……暴発しないよう、普通に洗うだけにしておいた。
 髪を湯で濡らし、石鹸でワシワシと豪快に泡立てる。
 最後に手桶に汲んだ湯で泡を洗い落とし、アルサル殿の身体洗いを終えた。
「終わりました、アルサル殿」
「そっか……じゃあ次は俺の番だな」
 まだ十分に石鹸の残った手拭いを取り、アルサル殿が某を後ろから抱きすくめる。
 引き締まった胸板が、某の背中に押し当てられた。
「えっ、あっ、アルサル殿っ」
「トウカばっかりじゃ不公平だからな、俺にも洗わせてくれよ」
 そう言いながら、立ったまま泡立つ手拭いを体中に這わせてゆく。
 腕に、脚に、少し身体を離して背中に……そして、胸や大切な部分にも。
「ああっ……アルサル殿、それ以上は……」
 乳房や……恥ずかしい部分を手拭いが撫でるたびに、声が出そうになってしまう。
「分かってる、やり過ぎないようにするから」
 アルサル殿は某を気遣って、感じすぎてしまわない程度に身体を洗ってくれた。
(凄く……気持ちいい……ああ……アルサル殿……)


A 風呂から上がり、某はアルサル殿にそっと押し倒された
B 「ト、トウカ……ちょっとこの服を着てみてくれないか」アルサル殿が衣装棚からなにやら服を持ち出した(衣装指定)
617名無しさんだよもん:2006/06/02(金) 16:45:10 ID:xb7G8I5zO
A
618名無しさんだよもん:2006/06/02(金) 16:45:32 ID:tPMm5f1X0
619名無しさんだよもん:2006/06/02(金) 20:25:23 ID:1xAiAm/V0
>>617-618
もまえらwwww
620名無しさんだよもん:2006/06/02(金) 23:21:01 ID:GkY3VCR00
 お互いに身体を洗い終え、某達は風呂から上がった。
 備え付けてあった浴衣を着ようかと思ったが、すぐに脱ぐのに着替えるのもおかしな話だ。
 それに、お互い触れ合いながら洗いあったおかげで、凄く身体が敏感になっている。
 今下着を履いても……履いた先から濡れてしまいそうだった。
 結局、某達は湯拭き布を巻きつけただけの姿で部屋に戻ることにした。

「トウカ……」
「あっ……」
 部屋に戻ったアルサル殿が、ぽふりと、優しく某を突き飛ばす。
 柔らかい布団が某を受け止め、弾みで湯拭き布がはだけた。
「アルサル殿……」
 アルサル殿も、腰に巻いていた湯拭き布を剥ぎ取り、某に覆いかぶさってくる。
 改めて一糸纏わぬ姿になった某達は、布団の上で抱きしめあった。
「「んんっ……」」
 再び口付けを交わす、今度はただ唇を合わせるだけでなく……舌を絡めあう。
 よくは知らないが、恋人同士の口付けとはそういうものらしい。
 お互い詳しいやり方など分からないが、と舌同士を舐めあい、口の中や歯茎の裏までをなぞりあう。
(……ただの口付けと全然違う……こんなに淫らなものなのか)
 先ほどのような愛し合う為ではない、はしたない欲情を高める口付け。
 某もアルサル殿も、湧き上がる未知の感覚に夢中になり、お互いにお互いの唇を貪りあう。
「はあっ……はあっ……」
「んあっ……」
 やがて、絡み合い泡立った唾の橋を作りながら、アルサル殿の唇が離れた。
 だが、アルサル殿は呼吸を整えて、すぐに某にむしゃぶりついてくる。
「あっ……ああっ……」
 頬から首筋、首筋から肩へと舌でなぞり、口付けの痕を残しながら肢体を下ってゆき……胸に達した。
「トウカの胸、やっぱり綺麗だ……それに、凄く興奮している」
「そんな……言わないでください……」
 風呂場でお互いに洗い合いをしたおかげで、某の胸は既に発情しきっている。
 胸全体が熱く疼き、特に先端は赤く充血し、ぷくりと膨らんで硬くしこりきっていた。
 もう何度も見られたが、改めてじっくりと鑑賞されて感想を言われると……恥ずかしい。
「俺……もう我慢できないっ」
621名無しさんだよもん:2006/06/02(金) 23:21:32 ID:GkY3VCR00
 勢いよく、ぱくりと、アルサル殿が左の乳房を口に含む。
 もう片方の胸もアルサル殿の右手に鷲掴みにされ、思う存分に揉みしだかれた。
「あぁっ……あぁぁぁっっっ!」
 いきなりの激しい胸愛撫に、思わず嬌声を一つ上げてしまう。
 自分で慰める時と違って、歯止め無く加えられる強烈な刺激に頭が真っ白だった。
「……トウカって、結構いやらしいんだな」
 大きく声を上げてしまった某を見て、アルサル殿が一旦胸から口を離して言う。
「そんな……某は……」
「だって、胸とかこんなに弱いじゃないか」
 某の反論を遮りながら、鷲掴みにしていた右手を動かして、中指と人差し指の間で乳首を挟む。
 そのまま、くりくりと乳首だけを弄りながら、再び左胸の突端を口の中で転がし、軽く歯を立てた。
「んんんっ……んんんんっっ……」
 先ほどの言葉を気にしてしまい、声を無理矢理抑えつけて出さないようにしてしまう。
 そんな某を見て、アルサル殿が意地でも声を上げさせようと執拗に両胸を責め続けた。
「はあっ……はあっ……んんっ……んんんっ……」
 喘ぎ声を出さないよう、必死で耐えようとする……が、欲情する身体はそんな某をあっさりと裏切る。
「んあっ……ああああっ……あああああぁぁぁっっっっ!!!」
 出さないようにしていた淫らな鳴き声が一気に上がり、腰がびくんびくんと跳ねて震えてしまった。
「トウカ……もしかして、イっちゃったのか」
 責めに夢中になっていたアルサル殿が、呆けた様な某の顔を見て心配そうに尋ねる。
 ……もしかしなくても、絶頂に達してしまった、胸を責められただけで。
「アルサル殿……酷いです、いやらしい女だなんて言われたら……声なんて出せません……
 なのに……意地悪みたいに胸ばかり責め続けて……」
「……すまん、どうかしてた、俺」
 泣きそうな顔をする某に、神妙な表情でアルサル殿が謝る。しかし、某は本気で怒っている訳ではない、むしろ……
「いやらしい女でも構いません……アルサル殿を……アルサル殿をください……」
 もはや身も世もなかった、はしたなく疼く肢体が、少しでも早く、アルサル殿の全てを求めていた。


A 正常位で
B 騎乗位で
C 後背位で
622名無しさんだよもん:2006/06/02(金) 23:30:39 ID:GVbSIChJ0
B
623名無しさんだよもん:2006/06/03(土) 12:21:55 ID:6MAupwzA0
「……アルサル殿?」
 某がはしたなくもアルサル殿にお願いするが、アルサル殿は……動いてくれない?
「トウカ……今度はトウカからしてくれないかな」
 アルサル殿のお願いに某は困惑してしまう。
「えっ?」
「だって、さっきまでやりすぎたとは言え俺ばっかりがトウカを可愛がったんだし……」
 そう言いながら、アルサル殿は押し倒していた体を起こし――
「あっ……」
「俺の方も、こんなになっちゃってるからさ」
 血管を浮き立たせびくんびくんと震えながら、隆々と勃起している剛直を見せ付けた。
 淫らに疼ききった某は、もはや是非もなかった――
624名無しさんだよもん:2006/06/03(土) 12:22:29 ID:6MAupwzA0
「トウカ……今のトウカの姿、凄くえっちだ」
「ああ……アルサル殿……」
 体勢を変え、今度はアルサル殿が下になり、仰向けになって寝そべる。
 その上からアルサル殿の――そそり立った肉棒を膝立ちで跨ぎながら、太股を広げていた。
「トウカのアソコから、蜜が湧き出てるのがよく見えるよ」
「い、言わないでください、アルサル殿」
 先ほどまでの胸愛撫で、某の大切な部分は愛蜜でぐしょぐしょに濡れている。
 その淫裂を……自分の手で左右に広げながら、ゆっくりと腰を下ろそうとしていた。
 恐らくアルサル殿からは、肉棒を求めてひくつく媚肉の奥までまで丸見えだろう。
「あっ……」
 くちゅっと音を立て、先走り液に濡れた亀頭と某の秘裂が触れあった。
「んんっ……」
 そのまま、腰を落とそうとするが……どうしても浅い部分で止まる。
 十分に濡れ、指で入り口を割り広げているが……膣奥までとなると……
「トウカ……俺、このままじゃもどかしいよ……」
 入り口と擦り合わせたり、浅い部分で出し入れしていると……アルサル殿から不満の声が上がった。
「も、申し訳ありません、アルサル殿……某と、一つになりましょう」
 そ、そうだ、ここに来て何を躊躇っている。
 覚悟を決め、改めてアルサル殿の剛直に、某の大切な部分をあてがい……一気に腰を落とした。
 ミチッ、ミチミチミチミチッ
「くうっっ……い、痛ぁっっ!」
 十分に濡れほぐれていたとはいえ、初めて男性を受け入れる痛みに、悲鳴を上げてしまう。
「ト、トウカッ! 大丈夫か?」
「は、はい……これで、これで、ようやくアルサル殿と一つになれました……」
 アルサル殿の肉茎は根元まで埋まり、結合部からは破瓜の赤い雫が垂れ落ちてる。
 繋がった部分と太股に滴る一筋の血を見て、思わず感慨に耽ってしまった。
(そ、某の初めて……アルサル殿に捧げたんだ……)
625名無しさんだよもん:2006/06/03(土) 12:26:00 ID:6MAupwzA0
「トウカの中……熱くて、痛いくらい締め付けてくる……気持ちよすぎだ」
 アルサル殿は某の身体を褒めてくれるが……まだ挿れただけだ。
「アルサル殿っ……ぞ、存分に気持ちよくなってくださいっ」
 某は恐る恐る落とした腰を引き抜く寸前まで上げて、再びゆっくりと落とす。
 幾度か繰り返しているうちに……次第に淫液が染み出し、苦痛が快楽に変わりつつあった。
「んんっ……くぅっ……はあっ」
「トウカの中、いっぱい絡み付いて来てる……」
 滑りの良くなった膣襞とアルサル殿の剛直が擦れあうと、身体の奥まで快感が鈍く広がって来る。
 やがて……最初の動きなどどこへやら、某は貪欲にアルサル殿の肉棒を味わおうと、はしたなく腰を振り出してしまう。
 アルサル殿もより某の肉洞を味わおうと、存分に下から突き上げてより奥まで某を貫いてくる。
「はぁっ……はぁっ……トウカッ! トウカッ!」
「アルサル殿っ! アルサル殿っ!」
 いつしか、某達はお互いの名前を呼び合いながら、快楽を貪りあうのに夢中になっていた。
 結合部では白く泡立った愛液が飛び散り、肉と肉がぶつかり合う音が部屋に響く。
 お互いに、達するのは時間の問題だった。
「ト、トウカッ……俺、もうっ……」
「アルサル殿っ……くださいっ!……アルサル殿の子種っ、某にいっぱいくださいっ!」
 まるで某の声に呼応するかのように、アルサル殿が絶頂に達する。
「ああっ……出、出るっっ!!!」
 ドクッ、ドクッドクッドクッドクッッ!
 限界までねじ込まれた剛直から、某の膣奥目掛けてアルサル殿の子種汁が放たれた。
「アルサル殿っ! アルサル殿っっっっ!!!」
 一際強く突き上げられた肉棒と、子宮や膣内に白濁液の熱と感触が広がる。
 アルサル殿の激しすぎる愛を感じながら、某もアルサル殿の名を叫びながら達してしまった――
626名無しさんだよもん:2006/06/03(土) 12:26:31 ID:6MAupwzA0

 絶頂の余韻に浸りながら、某はアルサル殿に倒れこみ、鍛えられた胸板に身体を預ける。
「トウカ……」
「アルサル殿……あっ」
 しかし、余韻に浸る間もなく、繋がったままの胎内で……アルサル殿の肉茎が、硬さを取り戻してきた。
「……もう一回しようか」
「……はい、ならば、某とアルサル殿のどちらがへばるか勝負してみませんか」
「よし、じゃあ今度は俺が上になるか、トウカ……今度は負けないぞ」
「某とて、アルサル殿に簡単に勝たせるわけにはいきません!」

 結局、某達はそのまま二回戦、三回戦を続けてしまい。一度身体を洗う為に入った風呂でもしてしまった。
 更に、風呂から上がった後もやっぱり続けてしまい……結局明け方近くまで肌を重ねあった。
 勝負の行方は……うやむやだった、最後はどちらも精も根も尽き果てていた。


A そして、数ヵ月後――
B 抱き合ったまま眠っていた某が目を覚ますと……刀の鍔が光ってる?
C 翌日の昼過ぎ、ようやく某達は「高級出会茶屋『葉鍵』」を出たのだった
627名無しさんだよもん:2006/06/03(土) 12:33:30 ID:A49n95xe0
628名無しさんだよもん:2006/06/03(土) 15:12:24 ID:6MAupwzA0
「ん……もう朝、いや昼過ぎか……」
 目を覚ますと、既に日は高く燦燦とした陽光が部屋に射し込んでいる。
 某を抱いたままのアルサル殿は寝息を立てている、どうやら某のほうが一足先に起きたらしい。
 昨日の夜から明け方近くまで、某達は体力の続く限り肌を重ね続けた。
 どちらが先に精根尽き果てたのか……よく覚えていない。
「あうぅ、体中ドロドロだな」
 薄い掛け布団をはがし、改めて自分の身体を見やる。
 某の身体は中も外も、汗やら愛液やら……アルサル殿の精液で汚れきっていた。
「とにかく、今度はきちんと身体を洗わないと……」
 夕べは風呂でも激しく抱き合ってしまった、湯船で抱かれるのがあれほどの感触とは……
 そんな事を考えながら、湯拭き布を巻きつけて風呂場に向かおうとすると――
「あれは?」
 ふと見ると、部屋の隅に置いてあった某の刀、その鍔が光を放っていた。
 差し込む陽光に反射しているのかとも思ったが、どうにも鍔自身が輝きを放っている。
 金とも銀ともとれない光線を発する鍔に、某は引き付けられる様に近づいた。
「これは……一体?」
 そのまま、鞘を取って刀を抜くと、強烈な閃光が部屋中に広がった。
「なっ!」
 不思議な照光に目を閉じる、やがて光が収まり、目を開けると……
629名無しさんだよもん:2006/06/03(土) 15:12:57 ID:6MAupwzA0
「ゆ、幽霊?!」
「…………」
 目の前には一人の人間が無言で立っている、だが明らかに生身の人間ではなかった。
 何故なら、某が知っている人は皆、後ろの壁が透けて見えるようなことはないからだ。
 鍔をアルサル殿が買った時、術師が呪文を込めた御守りとは聞いたが、まさか霊魂が宿っているとは……
「あ、あなたは何者なのですか? 何ゆえこの鍔に憑いているのですか?」
 真昼から出てくる幽霊というのもちと間の抜けた話だが、万一怨霊の類では洒落にならない。
 某の質問に、幽霊が口を開きだす。
「私の名は――」


A 次郎衛門
B プィル
C ミコト
D 神奈備命
630名無しさんだよもん:2006/06/03(土) 15:32:16 ID:cz7qqX4p0
c
631名無しさんだよもん:2006/06/03(土) 17:54:17 ID:6MAupwzA0
「私の名前は……ミコトと言いまス」
 首に大きな輪のようなものを付けた女性は、自分の事をミコトと名乗った。
 と、とりあえず名乗られたのなら名乗り返すべきだろう。
「そ、某はトウカと申します」
「トウカさン……良い名前ですね」
 名前を褒めるとは珍しい霊だ、何か思うところでもあるのだろうか。
「その、ミコト殿は一体何者なのですか?」
 見たところ邪悪そうな気配はないが、目的も正体も不明だ。
 某はミコト殿に質問を続ける。
「私はアイスマン――あなた達で言うところの大神ウィツァルネミテアの……妻でス」
「なっ?!」
 ミコト殿の衝撃の発言に絶句する、某達が崇めている大神の……妻の霊?
「ごめんなさイ。少し、話を聞いてもらえませんカ」
 信じられないという顔をする某を見て、ミコト殿が話を始めた。
632名無しさんだよもん:2006/06/03(土) 17:54:48 ID:6MAupwzA0
「いかがですカ?」
「うむむ……」
 少し――というには長めの話を聞き終え、某は唸ってしまう。
 まさかこんな所で、某達人類と大神の起源を知らされるとは毛の先ほども思わなかった。
 正直な話、せめて身体を洗って服を着て、正座して聞きたかった。
「私は研究所に連れ戻さレ、解体されて命を失ってしまいましタ。
 ですが……私の残留思念――霊魂は残っていたのでス。
 あの人は、私の受けた行為に怒り狂ってしまい、気がつかなかったのですガ……」
 その後、霊魂のままでは現世に残っていられないので、刀の鍔に宿ったとの事だ。
「しかし、どうして刀の鍔などに?」
「はイ……鍔に宿れば、いずれはトウカさんのような強い女性に出会えると思ったのでス」
 何でも、この鍔はその昔、さる刀鍛冶が霊刀を作る実験で術師と協力して作られたそうだ。
 その製作過程で、ミコト殿が目をつけて憑依したらしい。
「しかし、そもそもどうしてミコト殿は現世に残ろうと思ったのですか?」
「はイ、それハ――」


A 一目、あの人に会いたかったのでス
B あの人の……繰り返す暴走を止めたかったからでス
C ……恥ずかしい話ですが、あの人との夜の生活に不満があったからでス
633名無しさんだよもん:2006/06/03(土) 17:56:56 ID:eRxg9+xy0
C
634名無しさんだよもん:2006/06/03(土) 18:38:20 ID:Tdx/x7WfO
ダヴィンチ・コードも真っ青だな…だがそれがいい!
635名無しさんだよもん:2006/06/03(土) 20:06:12 ID:/VRt6Hpo0
「……恥ずかしい話ですが、あの人との夜の生活に不満があったからでス」
「……へ?」
 いきなりの話題の飛躍、聞き違えたのかと思ったが、どうやらそうでもないらしい。
「あの人の事も子供も愛してるのですガ……その……
 あの人は夜の営みはてんでダメな人だったのでス」
 えっと……さっきまでの話と統合すると、『あの人』とはミコト殿の夫で、大神のはずだ。
「そ、そんなにですか?」
「はイ、先ほどのアルサルさんなんて比べ物になりません、早すぎてイくどころか
 感じる間もないぐらいの早漏なのですヨ!」
「は、はぁ……」
「恥ずかしいですけど……ちょっと見てくださイ!」
 そう言いながらミコト殿が一指し指で円を描くと、そこになにやら映像が映し出される。


「あなた、来て……来てくださイ」
「ああ……」
 ズプッ
 ジュプッ……ジュプッ……ジュプッ……
「ぐっ――」
 ビュクッ……ビュクッ……ビュクッ……

636名無しさんだよもん:2006/06/03(土) 20:07:53 ID:/VRt6Hpo0
「…………」
 どこか人気の少なそうな山の中の、一軒屋での夫婦の愛の営み。
 しかし言葉を失ってしまう、前戯のほうはともかく……何なのだ、挿入してからの速さは?
 満足げな顔をする男性――アイスマンとやらと比べて、苦笑いを浮かべるミコト殿が痛々しい。
「こんなのですかラ! 私ももう一度肉体を持って、ちゃんと女性の悦びを思う存分感じたいんでス!」
「しかし……だからといって愛する人いや大神を裏切るのは……」
 言いかけたところで、ミコト殿がえらい形相になり某の言葉を遮った。
「裏切ル? 先に裏切ったのはあの人のほうでス!
 私だって、最初はあの人の事をもう一度一目見たいと思っていたんですヨ!
 なのに……あの人ったら暴れまわった後、二体に分かれて寝て起きたら
 あんなに愛してくれていた私のことなんか、綺麗さっぱり忘れるんでス!
 しかもその時代の人間に色々入れ知恵して、英雄に祭り上げられて綺麗どころをはべらしたリ!
 弱みに付け込んで契約交わして、毛の先から血の一滴まで自分のモノにするような真似をしたリ!
 ……ですがいくら年月を重ねても、肝心の早漏は全く直ってないみたいですけどネ!」
 嫉妬深い性格なのか、怒りだしたミコト殿の非難は止まらない。
 もはや話は『浮気性で早漏の夫に腹を立てる、欲求不満で子持ちの主婦の盛大な愚痴』となっていた。
「しかし……単に女性の身体が必要ならば何も武人でなくても……」
「いいエ、遥か昔に私はアベル・カムル……あなた達で言うところのアヴ・カムゥに不覚を取りましタ。
 ですかラ! 今度肉体を持つ時は、あの憎っくき人形どもを見敵必殺できるような武人と決めたのでス!
 ……まぁ十年前のクンネカムンの戦争で、残らず壊れたのは実にいい気味ですガ
 とにかク、強い女性に越した事はありませン、強さとは我侭を押し通す力なのでス!」
 おまけに力ずくで夫や娘と引き離されて殺された反動か、えらく過激な発想をしている。
637名無しさんだよもん:2006/06/03(土) 20:08:36 ID:/VRt6Hpo0

「という訳でトウカさン。少しあなたの身体をお借りしまス」
「ええっ……ちょっとその……」
「心配いりませン、感覚は共有できますかラ」
「ですから、そういう問題ではなく!」
「それでハ、失礼しまス」
 某の抗議も反論もどこ吹く風、ミコト殿の憑依に某を止める事はできなかった――

「んんっ……トウカ、おはよう……ってええっ」
「んちゅ……くちゅ……おはよう御座いまス、アルサルさン」
 アルサル殿が驚くのは無理もないだろう、目を覚ますと某が――正確には
 『某の身体を借りたミコト殿』が肉棒を口に含んでいたのだから。
 どのような術を使ったのか、某の身体もアルサル殿の身体も、ミコト殿が手をかざしただけで精力を取り戻していた。
「こんなに立派に……それにあなた、よく見れば妖精王の直系じゃないですカ、これは……すごく楽しめそうでス」
 よく分からない事を言いながら、勃起させた肉棒に跨りだす。某と違って馴れた腰つきだ。
「さア、いっぱいいっぱい楽しみましょウ。お二人とモ」


 結局、白昼から夕方にかけ、更にその夜も一晩中アルサル殿と某とミコト殿の乱交(?)が続けられた。
 途中、食事と旅館の人による部屋の掃除……ぶっちゃけ汚れきった布団の取替え以外は休憩無しの性交だった。
 翌朝、いや朝というより昼近くになってようやく某達は出会茶屋を出た。
 特別優待券との差額は大きく、某達はほぼオケラになったのはご愛嬌だろう――


A エピローグへ
B この話はもう少しだけ続くのだった
638名無しさんだよもん:2006/06/03(土) 20:08:46 ID:PQNNscjt0
A
639名無しさんだよもん:2006/06/03(土) 20:27:38 ID:/VRt6Hpo0
「トウカ、今帰ったぞ」
「お帰りなさい、アルサル殿」
 長屋の前で掃除をしていた某は、仕事から帰って来たアルサル殿を出迎える。
 あれから数ヵ月後、某達は……略式ながら婚姻の儀をあげ、アルサル殿の家に住んでいる。
 今は某とアルサル殿、そしてリアンノン殿の三人暮らしだ。
 いや、ミコト殿も加えれば四人とも言えるのだが……
 
 あの後、美坂栞については話が大きくなりすぎてしまい、アルサル殿や某では解決不可能となった。
 やむなくアルサル殿は事件の顛末を上司に話し、事件の管轄は『公安九課』と呼ばれる部署に移された。
 外交関係にも関わる事件として、アルサル殿も某もこれ以上関わったり、口外しないよう言われる。
 記事にしようとしていた恭介殿には申し訳ない事をしたものだ……
 結局、帝国との戦の話が出てこないところを見ると、首尾よく『公安九課』が事件を解決したのだろう。

 ちなみに、当然の事ながらアルサル殿の武術大会は三回戦不戦敗という苦い結果に終わった。
 結局、アルサル殿と対戦予定だった柳川裕也が、決勝戦で醍醐殿を辛くも破り優勝の栄光を掴んだ。
 決勝は観戦したが、追い詰められた柳川殿の豹変振りは……はっきり言って人間のものではなかった。
 ミコト殿が「あれは恐らくエルクゥ……ま、別に構いませン」と意味深な言葉を漏らしていたが……

 夫婦の間に隠し事は無しと、ミコト殿の事は正直にアルサル殿に話した。
 アルサル殿にミコト殿は身の上話を……大胆に脚色して話し、一緒に住む(?)許しを得たのだった。
 アルサル殿と某、ミコト殿の夜の生活は……それなりに秩序ができていた。
 簡単に言うと、何日か置きに某がミコト殿に身体を貸し、アルサル殿と肌を重ねる。
 某も感覚を共有しているのだから、不倫という訳ではないのだが……複雑だ。
640名無しさんだよもん:2006/06/03(土) 20:28:11 ID:/VRt6Hpo0

「そういえば、トウカ、今日はちゃんと医者に行ったのか?」
(ほラ、早く報告しましょウ)
「あ、はい……アルサル殿、その件で少しお話があるのです」
 某は最近体調が思わしくなく、微熱や食欲不振、吐き気や身体の倦怠感が続いていていた。
『体調管理は武士の基本です』と自然治癒に任せていたが、アルサル殿強い勧めで
 腕利きと評判の医者に診てもらったのだが……
「どうしたんだ……まさか、何か重い病気だったのか?!」
 慌てるアルサル殿、どうやら大変な誤解をしているようだ。
「め、滅相もありません! その……授かったのです、子宝を」
(ふふッ、今度こそ私もちゃんと子育てがしたいでス)

 某、アルサル殿、そしてリアンノン殿にミコト殿の四人家族。
 だが、来年の春には五人家族になっているだろう。
「アルサル殿は、男の子、女の子のどちらがいいでしょうか――」


 Fin
641名無しさんだよもん:2006/06/03(土) 20:37:05 ID:eueb5dGb0
乙〜。さて、誰も選択肢提示しないから俺がすることにしよう

A Routes
B ONE
C まじかる☆アンティーク
D ぱんつはいてない
E ToHeart2
F Tears to Tiara
G 天使のいない12月
H 痕
I 誰彼
J Kanon
K こみっくパーティー
L To Heart
M Filsnown
N ナイトライター(with 雀鬼's)
O 鎖
P 雫
Q うたわれるもの
R AIR
S CLANNAD
T White Album T
U テネレッツァ
V MOON.

642名無しさんだよもん:2006/06/03(土) 20:37:41 ID:92+dLxn80
643名無しさんだよもん:2006/06/03(土) 20:40:52 ID:eueb5dGb0
洩れはないよね? 多分。

A 岡崎朋也
B 古河渚
C 藤林杏
D 藤林椋
E 一ノ瀬ことみ
F 伊吹風子
G 坂上智代
H 春原陽平
I 柊勝平
J 芳野祐介
K 古河秋生
L 古河早苗
M 幸村俊夫
N 伊吹公子
O 相良美佐枝
P 春原芽衣
Q 岡崎直幸
R 宮沢有紀寧
S 岡崎汐
T 坂上鷹文
U 河南子
V 三島とも

644名無しさんだよもん:2006/06/03(土) 20:41:10 ID:PQNNscjt0
D
645名無しさんだよもん:2006/06/03(土) 20:50:46 ID:UAUQljdm0
>>641
今更だけどプラネタリアンが抜けてない?
646名無しさんだよもん:2006/06/03(土) 21:06:12 ID:eueb5dGb0
 あ、あの……初めまして、藤林椋です。
 私のシナリオはお姉ちゃんのシナリオのバッドエンドなんだそうですけど、
 そこはそれとして気にしないで下さいね。裏設定は、あくまで裏設定ですから……。

 それで、ええと、今の私は……

A 占い師を始めました
B テレビに出演することになりました
C 看護婦として真面目に働いています
D 図書館で不思議な本を見つけて、それに夢中になっています
647名無しさんだよもん:2006/06/03(土) 21:06:31 ID:uq81I2I20
D
648名無しさんだよもん:2006/06/03(土) 21:07:25 ID:TFWtYJAd0
それとDのぱんつはいてないってなんだよwwwww
649名無しさんだよもん:2006/06/03(土) 21:20:17 ID:UAUQljdm0
あ、>>641のDがプラネなのか、スマン
650名無しさんだよもん:2006/06/03(土) 21:24:07 ID:eueb5dGb0
 それは昨日のことでした。
 ちょっとした用事で図書館に行ったとき、本を見つけたのです。
 不思議な本でした。
 図書館の片隅で埃を被っていて、誰も見向きもしないような本だったのに、
 自然と私の手はその本に伸びていたんです。
 そして気付いたら、私はその本を借りて図書館を出ていました。
 惹かれた、とでもいいましょうか。
 理由は分かりませんでしたが、私はとにかくこの本が気になったんです。

 この本のタイトルは……

A 『リアンノンの大予言』
B 『DEATH NOTE』
C 『ヘブンズ・ドア』
D ……色あせていて読めない
651名無しさんだよもん:2006/06/03(土) 21:25:47 ID:0vwyyavxO
D
652名無しさんだよもん:2006/06/03(土) 21:55:10 ID:TFWtYJAd0
タイトルは…色あせていて読めませんでした。
この本自体がもう随分昔の物なのか、表紙全体が茶色く変色しています。
汚れやシミとかではないようですが…。

私は早速その本の1ページ目をめくります。
そこにはこう書かれていました。

A この本を手にした幸運な者よ。君に教えておく事がある
B 伝説の本第1集(全部集めた人には…)
C これは、ある男の哀れな一生を書いたノンフィクションである
D このページを見て後ろを振り向いた時、お 前 は (ここで文が途切れている)
653名無しさんだよもん:2006/06/03(土) 21:56:04 ID:Yok05LQP0
DDDDDDDDDDDDDDD
654名無しさんだよもん:2006/06/03(土) 22:12:17 ID:uq81I2I20
 
 このページを見て後ろを振り向いた時、お 前 は

 ここで文は途切れていました。
「何ですか……これ……」
 ぞわりと背中に悪寒が走ります。
 放課後の学校、運動場からは運動部の声がしているいうのに、
 図書室は異常なほど静まりかえっています。

「だめ……振り向いたら……」
 只ならぬ気配が私の後ろに……
 そうだ演劇部、部室にはみんながいる。
 こんなの気のせい――
 振り向かなければ大丈夫。

A 振り向くことなく部室へ
B 好奇心に負けて振り向く
655名無しさんだよもん:2006/06/03(土) 22:13:12 ID:GmU7K0MA0






このページを見て後ろを振り向いた時、お 前 は






「………え?」
本の1ページ目にはまずそう書かれていました。
…と言うより、そこで文が途切れていました。
誌面そのものが破損しているとかではなく、本当にそれだけしか書かれていなかったのです。
古ぼけた本の状態と相まってか、恐怖感にも似た感覚が急速に心の中に広まっていきました。
「このページを見て……後ろを振り向いた時…………」
私は恐る恐るそう呟きながら


A 次のページをめくりました。
B 後ろを振り返ってみました。すると―――

※Bを選んだ場合は連続選択。

1 突然、その本から“何か”が伸びてきて、私を捕えたのです!
2 そこには、見知らぬ光景が広がっていました…。
656名無しさんだよもん:2006/06/03(土) 22:14:46 ID:Yok05LQP0
BBBBBB
657名無しさんだよもん:2006/06/03(土) 22:16:21 ID:GmU7K0MA0
orz
658名無しさんだよもん:2006/06/03(土) 22:22:11 ID:eueb5dGb0
 振り向いたら……どうなるの?
 思わずぞくぞくとしたものを感じる。
 言いようもない不安と恐怖が私を襲う。
 言葉で上手く言えないけど、その……嫌な予感というのを感じた。
 私は思わず頭を振る。
 まさか、そんなこと有り得ない。そう何度も自分に言い聞かせる。
 本にそう書いてあったからって、後ろを振り向いて何かが起こるなんて、まず有り得ない。
 何度も何度も自分に言い聞かせ、私は恐怖を振り払うかのように、
 頭にふとよぎった考えを振り払うかのように、後ろを……振り向いた。

 その時、ぱさっと私の手から本が滑り落ちる。
 その本の次にページに書いてあった、最初のページの文の続きは……

A ――――歳を取る
B ――――若返る
C ――――皆に忘れられる
D ――――異世界に飛ばされる
E ――――性が変わる
659名無しさんだよもん:2006/06/03(土) 22:22:41 ID:uz7iMwTm0
660名無しさんだよもん:2006/06/03(土) 22:22:45 ID:LYKF+Q/y0
C
661名無しさんだよもん:2006/06/03(土) 22:22:50 ID:UAUQljdm0
A
662名無しさんだよもん:2006/06/03(土) 22:43:02 ID:uq81I2I20


 ――――皆に忘れられる


 それは白紙のページの真ん中に赤黒い文字ではっきりと書かれていました。
 ブルルルル
 ブルルルル
「ひっ――」
 突然私の携帯電話が震えだしました。
 恐る恐るディスプレイを覗き込むと。

 ザsxdfvgbhんjmk、l。;・¥

「いやっ!」
 思わず携帯電話を床に落としてしまいました。
 なぜならディスプレイに表示されているのは無茶苦茶な文字列でした。
 それでもなお携帯電話は震え続けます。

 電話を

A 取る
B 無視
C「あーもしもし?」お姉ちゃんが電話を取ってしまった!?
663名無しさんだよもん:2006/06/03(土) 22:43:08 ID:CnITehus0
「皆に忘れられる」
次のページにはそう書いてあった。
「何これ…どういう意味なの?」
私は落とした本を慌てて拾い、さらに次のページを読もうとした。
その時。目の前に私の知ってる人が歩いてきました!

「お姉ちゃん!!」
私は思わず駆けよりました。

A 「…誰?」お姉ちゃんは無慈悲にそう言いました
B ドンッ!お姉ちゃんは私とぶつかって不思議そうな顔をしています。まるで見えない壁にでもぶつかったかのように。
664名無しさんだよもん:2006/06/03(土) 22:44:05 ID:XotewVLB0
B
665名無しさんだよもん:2006/06/03(土) 22:56:06 ID:s73ZH/dp0
私は携帯の電源を切り、走った。走り続けた。
走ってどこへ行こうとしているのか?そんな事も考えずしゃにむに走った。
怖かったから。忘れられるという文。突然の電話。意味が解らない。
まず誰かに会わなきゃ。会って声をかけよう。かけられてもいい。とにかく会うんだ。
誰でもいいから。会って私が私であると他人に認識してもらわないと。

走り続けた先で私は

A 見知らぬ人間に話し掛けられた(人物指定)
B 見知らぬ世界に迷いこんだ
C 電源を切ったはずの携帯にメールが届いているのに気付いた
D 私自身が私を忘れた…
666名無しさんだよもん:2006/06/03(土) 22:56:29 ID:uz7iMwTm0
667名無しさんだよもん:2006/06/03(土) 22:57:20 ID:6LdBWuz10
A 月島瑠璃子
668名無しさんだよもん:2006/06/03(土) 22:58:02 ID:uz7iMwTm0
orz…

すまん、なんとかする
669668:2006/06/04(日) 00:15:44 ID:Kzuf8DLH0
すいません
668は無視してください

 ∧||∧
(  ⌒ ヽ
 ∪  ノ
  ∪∪
670名無しさんだよもん:2006/06/04(日) 00:27:16 ID:/TQw2FWr0
いまのとこ、>>662>>664が最新でいいのか?
671名無しさんだよもん:2006/06/04(日) 00:29:01 ID:yUFzPSca0
>>670
>>665-666も有効だと思うが。
672名無しさんだよもん:2006/06/04(日) 00:33:30 ID:SirqlFpx0
 無我夢中に廊下を走り続けた私はあたりの景色の異常に気がついた。
「ここ…どこ……」
 さっきまでいた学校の廊下とは明らかに違う世界。
 例えるならダリの絵の世界。
 時間と空間を超越したような感じを受けた。
 と、その時――


 ――電話無視しちゃだめだよ


「えっ?」


 ――あと、七日


「椋ーっ、ねえ椋、聞いてるの?」
「あ…え? お、お姉ちゃん……」
 我に返った私の目の前にお姉ちゃんが立っていた。
「何呆けてるのよ……あんまり遅いんで様子を見にきたらボケっと突っ立って
 ほら、みんな待ってるわよ」
 いつもの見慣れた廊下、さっきのは夢?
 ううん夢じゃない、その証拠にあの本が床に落ちていた。
 そして携帯も。
「お姉ちゃん……」
「ん? 何」

 さっきまでの出来事をお姉ちゃんに

A 話す
B 心配をかけたくないから話さない
673名無しさんだよもん:2006/06/04(日) 00:33:51 ID:QY7dqZ630
B
674名無しさんだよもん:2006/06/04(日) 07:52:06 ID:SirqlFpx0
「ううん、何でもない」
「そう? ならいいんだけど」
 変な心配をかけたくない。やっぱり話すのはやめておこう……
 私は携帯を拾って、本を鞄に入れた。
 本当はこんな気味の悪い本、ここに放置しておきたいけど
 お姉ちゃんがいる手前それはできなかった。

「さっき鞄にいれた本、えらく古びた本ねえ。これどうしたの?」
「え、いや、その……図書室から借りて来たの」
「図書室にこんなんあったんだ。ね、椋、ちょっと見せてよ」
「え゛? そ、それは……」
「良いじゃないのちょっとくらい」

 どうしよう…お姉ちゃんが……

A ダメ、見せられない
B ちょっとだけなら……
675名無しさんだよもん:2006/06/04(日) 08:05:40 ID:OctvQqRW0
676名無しさんだよもん:2006/06/04(日) 09:39:40 ID:w1ebqqXP0
朝起きてトウカハピエン、次作混沌……(・ω・;)

現在の流れって
>>646…D
>>650…D
>>652…D
>>654…B
>>662…B
>>665…B
>>672…B
>>674…A
でおk?

本に忘れ去られる宣言されて?携帯がおかしく鳴って、外飛び出して、異世界に迷い込んで?
姉が居て、本の話しないで、本見せない


さて、ホラー路線か路線変更かの瀬戸際か



677名無しさんだよもん:2006/06/04(日) 10:27:56 ID:QY7dqZ630
「ごめんなさい、お姉ちゃんのお願いでもこれはちょっと……」
 私は頑なに拒否しました、お姉ちゃんまで巻き込むわけにはいきません。
「何よ本くらい、おかしな椋ね」
 断り続ける私を不思議に思いながらも、お姉ちゃんは折れてくれました。
 ごめんなさい、お姉ちゃん――

 放課後の学校の廊下を、私は一人とぼとぼと歩いています。
 お姉ちゃんには色々と口実をつけて、先に帰ってもらいました。
 これから、私はどうするべきでしょう。


A 疲れたし、今日は大人しく家に帰る
B 頼りになるかは分からないけど、先生に相談してみる
C 「オカルト研究会」というクラブに行って相談してみる

(後、本スレでもトウカ話のタイトルを募集しています。いいタイトル案があれば書き込んでください)
678名無しさんだよもん:2006/06/04(日) 10:30:47 ID:OctvQqRW0
Cで言ってみよか。
679名無しさんだよもん:2006/06/04(日) 18:25:41 ID:Sn86EH2G0
トウカ話のタイトルを選択してくれ
A『恋するトウカはせつなくてアルサル殿を思うとすぐHしちゃうの』
B『萌えよ剣』
C『某とせっくすしたことが』
D『江弁来牙流 恋の牛歩戦術』
E『皇国志艶義〜桐花伝〜』
F『剣と華』
G『十月トウカ』
H『トウカのために鐘はなる』
I センス無い。俺が考える。
680名無しさんだよもん:2006/06/04(日) 18:35:50 ID:N3xNYA+S0
A
681名無しさんだよもん:2006/06/04(日) 23:06:45 ID:w1ebqqXP0
「オカルト研究会」…この学校でも超のつくマイナーな部活
廃部になっても不思議ではないけどならないのは、部長の権力が理事長以上とか本物の幽霊部員がいるからだとか
なんにせよ黒いうわさが絶えない場所

「ここ、ここならこの変な事態のこともわかるのかなぁ……」
私は意を決して部室の戸を叩いた
コンコン
「あの、ごめんなさい」
「んあ、誰だ?」
「ひゃ、あの、その……」
なんだか凄い目つきの人が、あ、でもこの人どっかで?
「くああああぁ〜〜あ〜、え〜と、何かよう?」
私の目の前で大きな欠伸をしてる…あ、この人隣のクラスの藤田くんだったけ?
一度も話したこともなかったし、怖い人って変な噂もあるし……う〜やめよっかな〜
「ん?ひょっとして入部希望とかか?」
「あ、いえ……その、ここの部長さんに相談があるんです」
「ん〜?まあいいや、入れよ……お〜い、先輩〜」
中に入ると不思議な、黒いマントにトンガリ帽子……魔女の格好をした黒髪の女の人が居た
この人が、有名な
「…………」
「?」
なにか呟いています……呪文?
「わたし、その、今おかしなことに巻き込まれているんです」
「………」
「???」
682名無しさんだよもん:2006/06/04(日) 23:06:55 ID:w1ebqqXP0
「あ〜、初心者さんには難しいよな。今な、先輩は自己紹介しただけなんだ」
「はい?」
「とりあえず、俺が通訳してやるから訳を話しな」
「はぁ……」
藤田くんの通訳を挟みながら今、図書館から今、自分の置かれている立場を順を追って話していきました。
「『今も、周囲はおかしいですか』って質問してるぞ?そうか〜?俺にゃ全然普通なんだが」
「え、でも私の見えている光景って、なんだかダリの絵みたいに歪んでいるんです」
また藤田くんが先輩の声に耳を傾けています
「あ〜、なんつーのかな、先輩曰く、自分自身が日常の世界からだんだん異世界にずれていっているんだとよ
今はずれが少ないからお互い認識できるし話も出来るが、その内お互い誰にも見えなくなって
その内、完全に自分一人だけ歪んだ世界に取り込まれていくんだそうだ」
「そ、そんな、何とかならないんですか?助かるにはどうしたらいいんですか?」
私は自分でも驚くくらいの声を上げて、助けを求めました。
「………」
「え〜とだ、良く聞けよ」
藤田くんの口から出た言葉は

A 呪いの本の著者を探す
B 呪いを払うためのアイテムを探す
683名無しさんだよもん:2006/06/04(日) 23:07:44 ID:kgU/dEW1O
A
684名無しさんだよもん:2006/06/05(月) 00:13:22 ID:Nprmf9KH0
「呪いの本の著者を探す。だそうだ」
「本当ですか!」
 それで私にかけられた呪いが解けるのでしょうか?
「…………………」
「確証はありません。ただそれが最も呪いを解く方法に迫れる。ってさ」
「…………………」
「えっ? 携帯電話と本を見せてくださいだって」
「携帯と本ですか…?」
 来栖川さんに言われて携帯と本を渡しました。
「あの、携帯の発信履歴と送信メールはあまり見ないでください……恥ずかしいです」
「…………………」
 無言のまま携帯を私に見せる来栖川さん。
「え……これって……」
 液晶に映し出される着信履歴、あの時間帯には……

A 何も表示されていませんでした。
B『藤林椋』と表示されていました。
C『みずか』と表示されていました。
D『折原浩平』と表示されていました。
685名無しさんだよもん:2006/06/05(月) 00:15:21 ID:DDCo/2VZ0
D
686名無しさんだよもん:2006/06/05(月) 00:55:50 ID:Nprmf9KH0
 『折原浩平』
 着信履歴にはそう表示されていました。
 そして電話番号は――


 ザsxdfvgbhんjmk、l。;・¥


 あの時の文字化けした表示でした。

「なんだこりゃ折原浩平って……先輩知ってる?」
「……………(ふるふる)」
 首を横に振る来栖川さん。
「藤林さんは?」
「いいえ、私も身に覚えがない名前です」

 ピッ

「センパイ!」「来栖川さん!」
 なんと来栖川さんはこともあろうにリダイヤルしたのです。

 プップップップップッ…………
 ガチャ
『お客様がおかけになった電話番号は現在使われておりません
 番号をお確かめになって、もう1度おかけ直し下さい』

「…………………」
「繋がりませんか。って先輩! 無茶すんなよ!」
「…………………」
「やはり本を見てみるしかないですね。って先輩! それマズイってば!」
687名無しさんだよもん:2006/06/05(月) 00:56:32 ID:Nprmf9KH0


「……魔術師とは未知なるモノへの探求者。ここで逃げてはオカルト部の沽券に関わります」
 それははっきりと私の耳に聞こえる大きな来栖川さんの声でした。


「で、でもよぉ」
「…………………」
「浩之さんも見ますか? ちょっそれマジ?」
「………………(こくこく)」


A「へっ、とことんまで付き合ってやらあ」
B「勘弁してくださいよ先輩〜〜」
688名無しさんだよもん:2006/06/05(月) 00:57:14 ID:VjIykSgH0
a
689名無しさんだよもん:2006/06/05(月) 01:28:03 ID:e8GS8NAS0
「へっ、とことんまで付き合ってやらあ!」
「………」
「えっ?それでこそオカ研部員だって?照れるぜ先輩」
来栖川さんと浩之さんは問題の呪いの本を手に取りました。

「………」
「このページを見て後ろを振り向いたらお前は皆から忘れられる、そう書いていたのですね?と先輩は言ってるぜ」
「はい、そうです。その後に景色が捻じ曲がって見えたり変な電話がかかってきたり…」
「………」
「では見てみましょう。浩之さんも覚悟はいいですねって、勿論だぜ先輩」

来栖川先輩と浩之先輩は本をめくり、あの最初のページを見ました。
「……………………」
「……………………」
二人とも本を見たまま動きません。
「………」
「先輩…こいつは…」

「どうしたんですか、来栖川さん、浩之さん?」
「………」
「今そのページとやらを読んでみたんだが…」

A 「確かに皆に忘れられると書いてあったな、こりゃ俺たちもヤバイぜ」
B 「何も書いていなかったぞ。それどころか全部のページが白紙だ。どういう事なんだ?」
C 「忘れられるとは書いていない。ただ、あと7日とか変な事が書いてあるな」
D 「電話番号みたいな数字が書いてあるんだが。とりあえずかけてみるか?」
E その瞬間、来栖川さんと浩之さんの記憶が私の中から消え…ってここはどこ?何で誰もいないの?
690名無しさんだよもん:2006/06/05(月) 01:30:25 ID:x8DEKpVw0
B
691名無しさんだよもん:2006/06/05(月) 03:45:24 ID:Nprmf9KH0
「何も書いていなかったぞ。それどころか全部のページが白紙だ。どういう事なんだ?」
「そんな!? 見せてくださいッ」
 私は藤田君からひったくるように本を取りました。

「どうして……? どうして何も書いてないの?」
 藤田君の言ったとおり本には何も書いてません。
 全てのページが真っ白です。
「…………………」
「一つわかったことがありますって」
「何でしょうか?」
「…………………」
「椋さんの話と本に残る僅かな魔力を総合して考えると
 この本のは一回限りで発動される呪いが組み込まれていたようですって
 つまりアレか? 『再生後このテープは自動的に消滅する』ってやつか」
「…………………」
「はい、ただ術者――この本の著者と思いますがは何のために自動消滅する呪いを組んだ
 のかはわかりません。証拠隠滅のためなら椋さんに『あと七日』と告げた後に
 着信履歴を残す必要がありませんから。ってさ」

 確かに来栖川さんの言うとおりです。
 あの時聞こえた声は…女性の声だった気がします。
 でも着信履歴に表示された『折原浩平』の名前。
 どう見ても男の人の名前です。

「やっぱそのオリハラコウヘイに手掛かりがあるんじゃねえの?」
「そうですよね……」
 この学校の生徒ならコンピューター室で名簿を閲覧できるかもしれません。
 調べてみる手はありです。

A コンピューター室へ行く
B「ん? 本にバーコードが貼り付けてあるぜ」
C その時世界がまた歪みだし私は意識を失った
692名無しさんだよもん:2006/06/05(月) 03:51:22 ID:x8DEKpVw0
B
693名無しさんだよもん:2006/06/05(月) 10:41:59 ID:Vjml3A6t0
「ん?なんだこれは…バーコードか?それもQRコードじゃねぇか」
藤田くんが呪いの本の背表紙にシールのような物が貼り付けてあるのを見つけました。
「これはどう見てもQRコードだけど…変ですね」
「ああ、さっき俺が読んだ時にはこんなのは貼りついてなかった。いつの間に貼られたんだ?」
この呪いの本はバーコードなんて物が開発される以前に作られているだろうし、
バーコード自体はシールで後から貼り付けた物です。
でも来栖川さんと藤田くんが呪いの本を見ている時には確かにこんなのは貼り付いていませんでした。

「………」
「ところでQRコードって何ですかですって先輩?説明しますよ。先輩はオカルトには無敵だけどこういうのには疎いからなあ」
「QRコードというのはバーコードの進化系で、今までのバーコードと違い四角いマスの中に縦と横で二次元的に情報を…」
「めんどいので要約すると普通のバーコードより何倍もいろんな情報を詰め込めるんだ」
「最近じゃ携帯でQRコードを読み込めるのもありますよね。買い物や公共料金の支払いもできるとか」
「ああ、そしてその携帯を俺は持っている!!」

藤田くんはそう言うと自慢気にポケットから自分の携帯を取り出しました。最新式の携帯です。
「ふふふ、ご都合主義と笑わば笑え、一人暮らしだと確かにガスや電気の払いが面倒臭くてな」
「………」
「でもこれでこのバーコードをすぐに読み込む事ができますねだと先輩?ええ、早速読み込ませてみます」
「いきなりそんな事して大丈夫ですか?」
「もはや乗りかかった船、なあにどうって事ないぜ!」
そう言って藤田くんは携帯の画面に本のQRコードを重ねました。
「さて、鬼が出るか蛇が出るか、はたまた幽霊か…」

A 「おい、また訳のわからん文字が出てきたぞ!」
B 「ほ う か ご お く じ ょ う だと?」
C 「なんか動画が再生されたぞ。男の学生が一人写っていやがる」
D 「このQRコードを読み込んだ後振り向いたら お 前 は」
694名無しさんだよもん:2006/06/05(月) 10:46:04 ID:x8DEKpVw0
D
695名無しさんだよもん:2006/06/05(月) 14:31:52 ID:natqnDt90
『このQRコードを読み込んだ後振り向いたら お 前 は』

「くっ…!!続きは…無しかよ…」
「藤田くん、何が書いてあったの?」
「先輩……俺の後ろに何かいるか?」
「……………」
「いえ、何もいません。霊気や妖気のような物も感じません、だって?そうだよな。そうに決まってる」
藤田くん、明らかに狼狽している。まさか私が見た本と同じ事が携帯に?

「椋ちゃんって言ったっけ?すまないけど俺の後ろに立っていてくれないか?」
「えっ?別に構わないけど…どうして?」
「これならもし変な奴が出てきたら挟み打ちにもできるし、最悪椋ちゃんだけでも逃がせられる」
「それってどういう…」
「まさか振り向いた瞬間に粉微塵になって亜空間にバラまかれたりはしないよ……なっ!!」

藤田くんはそう叫んで勢いよく後ろを振り向きました。私と目が合っています。
「へっ、やっぱり何もいないじゃねえか…」
その時でした。

A 藤田くんと私の間に、一人の少年が突然現れたのです。
B 藤田くんが私と来栖川さんの見ている目の前で、音も無く消えてしまいました。
C 藤田くんの様子が豹変していきます。何かが乗り移ったのでしょうか?
D 部室の電気がいきなり全部消えました。何?何が起こるの?
696名無しさんだよもん:2006/06/05(月) 14:38:48 ID:+K29jeGX0
D
697名無しさんだよもん:2006/06/05(月) 20:09:42 ID:x8DEKpVw0
フッ

「なっ!」
「きゃぁっ!」
 突然、部室の電気がいきなり全部消えました。
 元々分厚いカーテンが掛けられた部屋は一瞬にして暗闇に包まれます。
「何? 何が起こってるの?」
 混乱してしまいます、とにかく、落ち着かないと。
 私はその場にしゃがみ込んでしまいました。

 パッ
「あっ、明かりが……戻った」
 部屋が明るさを取り戻した時、そこには――


A 部室に私以外、誰もいませんでした
B 私と藤田さんだけが、部室でない『どこか』にいました
C 藤田さんが来栖川さんに倒れ込んでいて、おっぱいを揉んでいました
D とりあえず、私達三人にも部屋にも異常は見られませんでした
698名無しさんだよもん:2006/06/05(月) 20:10:28 ID:tAlWcNy80
Cしか見えない
699名無しさんだよもん:2006/06/05(月) 21:04:44 ID:mWuijNWE0
「……何してるんですか、藤田さん」
 真っ暗になったせいで転んだのでしょう、藤田さんが来栖川さんを押し倒していました。
 しかもちゃっかり来栖川さんのおっぱいに手を当てて、揉んじゃったりしています。
「はっ、こ、これは違うんだ藤林先輩。偶然、偶然なんだ!」
 偶然の割には私に言い訳している間にも、手を動かしてふにふにと胸の感触を味わっているようですが……
「……………………」
「浩之さん、重いし恥ずかしいのでどいてもらえませんか、だって、ス、スマンッ、先輩っ!」
 ようやく、藤田さんが来栖川さんの胸から手を離して体をどかせます。


「とにかく、仕切りなおしだな」
 ひと段落着いたところで、私達は話を元に戻し、整理します。

 『あと七日』という言葉を残した異世界へ連れ去られる謎の呪い
 呪いを解くヒントは著者を探す事
 突然鳴り出した携帯電話と、謎の着信履歴「折原浩平」
 読み込んだバーコードにも書かれた『このQRコードを読み込んだ後振り向いたら お 前 は』
 そして振り向いてしまった藤田さん

 謎だらけです、訳が分かりません。
「……………………」
 藤田さんが、来栖川さんの言葉を通訳してくれます。
「藤林先輩、来栖川先輩は――」


A 本の出所を調べる為に、図書室に戻って見るといいって言ってるぞ」
B 「折原浩平」って人物を調べるべきだって言ってるぞ」
C 浩之さんにも何らかの呪いがかかったかもしれません……ってマジかよ先輩!」
700名無しさんだよもん:2006/06/05(月) 21:08:46 ID:fSzSNv+i0
A
701名無しさんだよもん:2006/06/05(月) 23:00:32 ID:oZNXUboE0
「『本の出所を調べる為に、図書室に戻ってみるべきだ』って言ってるぞ」
 確かに、私はこの本をさっき図書室で「借り」て持ってきました。
 この本にはタイトルも著者名も記されていませんが、図書室のデータになら何かあるかもしれません。
「わかりました、今から図書室に戻ってみます」
「………………………」
「『何かあったらまた来てください』だってさ」


 私は急いで図書室に戻りました。
 時刻はもう遅く日が沈みかけ、閉室寸前のはずです。
 息を切らせて扉を開き、カウンターへ向かいました。
「あっ、さっきの……すいません、もうすぐ閉室時間なので、追加の貸し出しでしたらできるだけ手短に――」
 カウンターでは一人の女の子が片づけをしています。
 この本を貸し出しの手続きをしてくれた娘です、確か隣の受付の子が小牧さんと呼んでました。
「あっ、あのう、この本について聞きたいんですっ!」
「ひ、ひえっ、な、何なんですか?」
 呼吸も整えずに詰め寄る私に、小牧さんが驚きます。

 私は詳しい事情は説明せず
『面白い本だけど著者名もタイトルも不明なので調べたい、特に著者名はなんとしてでも知りたい』
 とだけ告げて、調べてもらう事にしました。
「おかしいですねぇ……図書カードでの貸し出しなのにバーコードが付いてます
 これQRコードですよねぇ、本の貸し出しに使われるのは普通のバーコードなのに……」
 小牧さんは首を傾げながら、今日の貸し出し済みの図書カードを探し出してくれます。 
702名無しさんだよもん:2006/06/05(月) 23:01:07 ID:oZNXUboE0
「何か、何か分かりました?」
 やがて、一枚の図書カードを小牧さんが取り出しました。
「えっと、その本なのですけど――」

 タイトルは

A 『愛しかったあの人へ』
B 『呪』
C 『永遠』
D 不明
E その他自由にタイトルを付けてください

 著者名は

F 草壁優季 
G 竹林明秀
H 折原浩平
I その他著者名を指定してください
J 不明

 ってなってるんですよ」
703名無しさんだよもん:2006/06/05(月) 23:05:38 ID:gW6uq7eu0
BH
704名無しさんだよもん:2006/06/05(月) 23:05:41 ID:qIWaoljc0
BG
705名無しさんだよもん:2006/06/05(月) 23:06:31 ID:gW6uq7eu0
げ、GとHまちがった
まあしかたないか
706名無しさんだよもん:2006/06/05(月) 23:06:49 ID:eY4KrFAt0
D
G
707名無しさんだよもん:2006/06/05(月) 23:08:06 ID:gW6uq7eu0
しかもみんなGかよ
俺の失敗のせいで望まれた方向とは違う方へいってしまうのか!?
708名無しさんだよもん:2006/06/06(火) 02:00:24 ID:GTukU0sk0
「えっと、その本なのですけど。タイトルが『呪』って一語で、著者名は『折原浩平』ってあります」
 その二語――特に後ろの人物名を聞いたとき、私は見えない誰かから肩を叩かれたような気になった。

 『折原浩平』

 さっき着信履歴にあった名前だ。
 この名前をまた聞くなんて、一体――
 と、とにかく、来栖川さんの言う事が正しければ、この人を探さないといけないはずです。

「変わったタイトルの本ですよねぇ、でも……おかしいんです、出版社や他のデータが全然書いてないんですよ」
 カウンターの向こうでクルクルと図書カードを弄びながら、不思議そうな顔をする小牧さん。
「あのぅ……その本ちょっと見せてもらっても構いませんか?」
「ダメッ!!!」
 大声を上げてしまう、小さい頃お姉ちゃんと本気でケンカしたときでもこんな声出せなかった。
「……ご、ごめんなさい」
 声も出せないぐらい驚く愛佳さんに、私は謝るしかなかった。


A 念のため、本を見つけた書庫に入ると……一人の女子生徒がいた(人物指定)
B 夕暮れ時を一人帰宅していると……坂の上に男の人影が立っていた(人物指定)
C 今日は……もう帰って眠る事にした
709名無しさんだよもん:2006/06/06(火) 02:01:57 ID:y25vn7WR0
A 長谷部彩
710名無しさんだよもん:2006/06/06(火) 04:13:50 ID:g6c680u00
「すいません、ちょっと書庫の中に入っても良いですか?」
「えっ、まぁ少しだけなら……」
「ごめんなさい、ありがとうございます」
 片づけをしている小牧さんには申し訳ないと思っている。
 ただ……少しでも手がかりがあるかもしれない、そう思ってあの本を見つけた場所へ入った。

「……そんな上手い話、ないよね」
 本棚の、さっき本を引き抜いた後を眺める、当然そこには一冊分のスペースがあるだけだ。
 念のため、両隣の本や上の段、下の段の本も流し読みをする。
 めくられたページには、世界の歴史や見知らぬ少年の冒険譚が書かれているだけだった。
「帰ろうかな……お腹空いたし、お姉ちゃん心配してるだろうし」
 パラパラと活字で埋められた紙を捲っている内に、私は幾分落ち着きを取り戻す。
 落ち着きながら……今日の出来事を思い返した。
 そうだ、何を私は必死になっているんだろうか。
 この本にしたって、誰かの質の悪いイタズラなのかもしれない。
 周りや人がおかしくみえたのだって、そのイタズラのせいで疲れただけかもしれない。
 来栖川さんの言ってた事だって、オカルト研究会だから面白おかしく話を盛り上げただけ。
 電話は……そう、イタズラ電話。「折原浩平」さんって人が掛けたいたずら電話。
 じゃあ、本の著者名と電話をかけた人が同じなのは――偶然よ、気まぐれな偶然。
「そうよ、呪いなんて、ある訳が無い、ある訳が無いんだから!」
 私はそう無理矢理こじつけ、平静を取り戻し、何事もなかったかのように書庫を出ようとした。
711名無しさんだよもん:2006/06/06(火) 04:13:59 ID:IBrm31Ra0
 念のため、呪いの本を見つけた書庫に入ることにました。
 この一角には難しい専門書や洋書の類が保管されている区画です。
(もしかしてことみちゃんなら……)
 この学校の図書室の全ての本を読破しているだろうことみちゃんなら
 呪いの本についても何か知ってるかも。
(でもダメ、ことみちゃんを巻き込むわけにはいかないよ……)
 この件は自分と来栖川さんと藤田くんだけで解決しないとダメです。

 日没間近の西日が窓から射し込み、書庫を真っ赤に染め上げています。
 今日はその光がとても不吉に感じられました。
(あれ……? あそこににいる人は……)
 私は呪いの本を見つけた本棚、壁にもたれかかるように女生徒が蹲っていました。
 その姿は黄昏の光に半ば溶け込むように希薄な存在でした。

「もしかして……長谷部さん、ですか?」
 長谷部彩、私と同じクラスの生徒です。
 そういえば最近姿を見かけなかったような……?

 ? ちょっと待って。姿を見かけなかったら私を含めて
 誰も長谷部さんがいなかったことに気がつかないんでしょうか。
 そもそも今の今まで長谷部さんの存在を覚えていましたか?

「藤……林さん、まだ私を覚えていたんですね……」
 私の姿を見た長谷部さんは頭を上げ呟きました。
「あの…一体何が……」
「……!? その本……!」
 長谷部さんは私が持っている呪いの本に驚愕と絶望の表情をみせました。
「ああ……呪いの連鎖は……まだ続くんですね……
 私で終わらせるつもり……でしたのに……」
「!? 長谷部さん! もしかしてあなたも呪いを!」
「願わくば……藤林さんの呪いを……もう私は……」
712名無しさんだよもん:2006/06/06(火) 04:15:31 ID:g6c680u00

「……書庫では……私語は慎んだほうがいいと思います」
「――――――――っ!!」
 分からなかった、気がつかなかった。
 さっき私が入ったはずの書庫の入り口に……黙々と本を選んでいる一人の女子生徒がいる。
 腰まで届くようなロングの黒髪をリボンでまとめ、少し物憂げな顔をした人。
 上履きの色から、私やお姉ちゃん、来栖川さんと同学年だという事だけは理解できた。
 …………何故か、私はその女子生徒から目を離せなかった。
 気がつかなかったのは単に手がかり探しに夢中になっていただけ、それだけ。
 そう言い聞かせて、早く脇を通り過ぎて出て行けばいいのに――
「何時から、そこに居たんですか?」
「……ずっと……前からですが」
 図書室のマナーを指摘されまず一言謝るべきだったのに、私は質問をしていた。
 女子生徒は気にするでもなく、淡々と質問に答える。
「私の独り言、聞いてましたか」
「……はい」
 その返答に、私は恥ずかしさなどよりも恐怖を覚えた。
「あの……そんなに本を、何のために借りるのですか?」
 質問を変えよう、単純に感じた疑問を口にする。

「…………本を作る為です」

 まるで、ナイフかカミソリを首筋に当てられたような感触。
 何をバカな、『本を作る』なんて関係ない、過剰反応してどうするの。
 違う、この人は多分文芸部か何かの人で参考資料を集めているだけ。
 それだけ、それだけのはず、それだけに決まっている、そうでなければ――
713名無しさんだよもん:2006/06/06(火) 04:16:02 ID:g6c680u00
 出よう、早く出よう、手がかりは無かったけど名前が分かったのは前進だ。
 さっきまで必死に否定した呪いを、今私は解きたくて解きたくて仕方が無い。
「…………一冊の本」
 すれ違う直前、ポツリと一言聞こえた。
 ページを捲る手を止めて、その女子生徒は語り続ける。
「……一冊の本の中では……中の人が命を懸けて戦ったり……燃える様な恋をしたり」
 な、何を言っているのだろう、この人は。
「……一つの別世界で……登場人物は……生きていくんですよね」
 どうして、私は足を止めているんだろう。耳を傾けるのだろう。
「……でも見方を変えれば……本を書く人は……登場人物を……その世界に閉じ込めているんです
 完全に他から隔絶された世界……何者の干渉も受けない世界に……そんな牢獄に永遠に繋いでいる
 ……そう、思いませんか?」
「違います!!!」
 先ほどの指摘も忘れ、私は再び声を荒げた。
「本なんてただの活字の集合体です! 読んだ人は活字の意味からイメージを感じ取るだけです!!!」
 みっともないほどの、悲鳴にも似た大声を上げる、きっと小牧さんがまた驚くだろう。
714名無しさんだよもん:2006/06/06(火) 04:16:33 ID:g6c680u00

「……名前」
「えっ」
 先ほどのように注意される訳でもなく、再び突然話が飛んでしまう。
「……名前を、聞いていませんでした」
 一体何なんだろう、私達はここですれ違うだけだ。それだけの関係のはずだ。
「……彩……長谷部彩です」
「藤林……椋」
 義務があるわけでもないのに、私は名乗り返していた。
 ……いくらクラスが違っても、少し調べれば名前くらい分かる事。別に惜しむものでも何でもない。

「失礼します」
 ようやく足が動く、出よう、今すぐ出よう、もうこれ以上ここには居たくない!
「……あると……思います」
 三度、話が飛ぶ、今度は何を――


「…………『呪い』……ゆめゆめ気をつけるよう……忘れないよう…………忘れられないように」


 気がつけば、徒競走でも出した事が無いスピードで下駄箱へ走っていた。


A 帰り道、公園のベンチにに座って……私は泣いていた
B 夜、無性に誰かに電話をかけたくなった(人物指定)
C 今日はもう何もしたくない、大人しくベッドに潜って寝ることにした。
715名無しさんだよもん:2006/06/06(火) 04:18:22 ID:IBrm31Ra0
こんな時間に負けるとは…
Bで浩之
716名無しさんだよもん:2006/06/06(火) 13:48:51 ID:rBB093Lt0
 トゥルルルルル トゥルルルルル
「はい、もしもしドッピオです」
「藤田くん! ふざけないで下さい!」
「わ、悪ぃ、藤林先輩。んで、あれから何か分かった?」

 書庫を飛び出した後、下駄箱で靴を履き替えた以外は走りっぱなしだった。
 体育のマラソンはいつもへばっちゃう私のどこにあんな体力があったのだろう。
 スカートが翻るのも気にせず、全速力で家まで脚を動かした。
 家に着き、最後の力で部屋の戸を開けてベッドに倒れこむ。
 それから……出来るだけ普通の日常を送るフリをした。
 言葉少なく夕食を取り、お風呂に入り、パジャマに着替えて床に就く……

「…………『呪い』……ゆめゆめ気をつけるよう……忘れないよう…………忘れられないように」

 ダメだ、こんなフリじゃ誤魔化せない、忘れられない、忘れられたくない。
 夜も遅かったけど、充電器に立てかけていた携帯電話を取り、教えてもらった電話番号をプッシュした――

「……うん、実はね、あれから――
 残らず藤田くんに伝える、『呪』というタイトル名、『折原浩平』という着信履歴と同じ名の著者名。
 そして……書庫で出会った『長谷部彩』という女子生徒。
「……どう思う、藤田くん」
 全てを話し終えて、私は藤田君に意見を求めていた。
「……やっぱり、まずは『折原浩平』ってヤツを探すべきじゃないのか」
 そうだ、彩さんも不気味だけど、呪いの正体に近づくにはまず『折原浩平』を見つけなきゃ。
「でも、どうやって?」
 苗字と名前だけから見知らぬ人間を探し出す、そんな事可能なのだろうか。
「そうだな――


A 手始めに、ウチの学校の校内名簿を調べるってのは……どうだろ」
B その時、0時をを過ぎた瞬間……メールの着信音がした
C 俺が来栖川先輩に頼んで調べてもらう、藤林先輩はとりあえずぐっすり眠ったほうがいいぜ」
717名無しさんだよもん:2006/06/06(火) 13:55:58 ID:J7raVE6W0
718名無しさんだよもん:2006/06/06(火) 16:28:42 ID:rBB093Lt0
『す〜きと○る〜 ゆ○をみ〜ていた〜』
「――っ!!!」
 藤田さんが思案している最中、私の携帯電話から『メグ○ル』……メールの着うたが流れた。
「どうしたんだ、藤林先輩?」
「ううん、なんでもない、ちょっとメールが来ただけ。少し待ってて」
 保留ボタンを押して一旦耳元から携帯電話を離し、画面を確認する。

『00:00』
 
 液晶画面のディスプレイに映されたメールの届いた時刻、そこには0が綺麗に4つ並んでいた。
 思わず手元の目覚まし時計を掴む、毎朝私を起こしてくれる相棒は無情にも長針と短針を頂点で揃えていた。
 どうしてこの時刻なのか、なんでこんな思わせぶりに0ばかり並べるのか!
 バカみたいな憤りと……怯えを自覚しつつ、意識して見ようとしなかった差出人を……確認する。

『折原浩平』

 これで一日に三度目、いや、もう日付が過ぎたから今日は初めてだ。
 どっちでもいい、アドレスは――電話番号の時と同じ、件名は――無し。
「………………………」
 メールを開き、本文を読む。
 そこには一語だけあった。――――と。


A あと六日
B たすけて
C くるな
D ○○に会え(人物指定)
719名無しさんだよもん:2006/06/06(火) 16:45:44 ID:i5ZnLUMm0
D 竹林明秀
720名無しさんだよもん:2006/06/06(火) 20:05:41 ID:IBrm31Ra0

『竹林明秀に会え』

 それだけ記されていた。
 タケバヤシアキヒデ……また見知らぬ名前――。
 いや、私はどこかでこの名前を耳にしたことがある気がする。
「でもどこで――いやそれよりも」
 私は携帯の保留を解除して藤田くんに繋ぐ。

「もしもし……藤田くん?」
「何があったんだ?」
「メールが届きました。差出人は折原浩平です」
「藤林先輩もかっ!」
「えっ……『藤林先輩も』ってまさか藤田くんも」
「ああ、いまさっきオレの携帯にもメールが来た。『あと七日』って
 つーことは藤林先輩の所にはあと六日って来たんじゃないのか?」
「いいえ、私のとこには『タケバヤシアキヒデに会え』と……」
「タケバヤシアキヒデ? 誰だそ――いや待て……その名前」
「聞き覚えがあるんですね?」
「ああ、ただしどこでかはわからん。オレも藤林先輩も聞いたことが
 あるっつーと学校関係者かもしれないな」
「そう……ですね」
「まあ明日……いや今日学校で調べるしかねえな『折原浩平』にしろ『タケバヤシアキヒデ』
 もな。藤林先輩、今日はもう寝たほうがいいぜ。あまり思いつめると体を壊しちまうぞ
 何、まだ六日あるんだ。何とかなるさ」
「ええ、それじゃあ藤田くん、おやすみなさい……」
「おやすみ、藤林先輩」

 そうだよね……私にはまだ時間も力になってくれる人もいる。
 諦めるのはまだ早いよ。
「ふあぁ……もう寝よう……」
 少し安心したのか睡魔が体を支配していく。
721名無しさんだよもん:2006/06/06(火) 20:06:33 ID:IBrm31Ra0
 ベッドの中に潜りこむとすぐに私は眠りに落ちていった。

 ――あと六日


「で春原のやつがよー」
「ほんとよねーアイツってホント馬鹿なんだから――」
 昼休み、私は演劇部の部室でお昼ごはんを食べている。
 午前中私はほとんど授業に集中できないでいた。
 いまこの時間もお姉ちゃん達の会話を上の空で聞いていた。
「あのっ……椋ちゃん。大丈夫ですか?」
「なんか今日の椋ちゃん元気ないの」
 渚ちゃんとことみちゃんが私の体を気遣ってくれている。
 それが嬉しかった。
「藤林よお、何かヘンなモンでも食ったのか? はっ!? もしかして妊し――」

『藤林一刀流 秘奥義 雲燿の太刀!! チェストォォォォォ!!』
 お姉ちゃんはどこからともなくハリセンを取り出し
 岡崎くんの頭を一閃する。
「あわびゅ!」
「岡崎さん! 大丈夫ですかっ」
「切れ味バツグンなの」
「この程度の腕ではまだ彼女には追いつけないわ……ってあたし何言ってんのよ
 つか朋也! あんた言っていい冗談と悪い冗談があるでしょうがっ!」
「お、俺は元気のない藤林を元気づけようと……ガクッ」
「さっ、こんなバカほっといてお弁当食べるわよ」

 そして放課後が訪れる。
 早くオカルト部にいって藤田くんに会わないと
 でも、二日も続けて演劇部に顔を出さなかったら
 きっとみんな心配する……どうしよう?
722名無しさんだよもん:2006/06/06(火) 20:07:26 ID:IBrm31Ra0

A オカルト部に行く
B 演劇部に行く
C 廊下の先に……長谷部さんがいた
723名無しさんだよもん:2006/06/06(火) 20:12:54 ID:AR9UiMMLO
C
724名無しさんだよもん:2006/06/06(火) 23:58:28 ID:ZaX2OwfG0
「……こんにちは……藤林さん」
 何気ない挨拶、しかし私は足が止まってしまう。
 来栖川さんほどではないにしろ小さくて儚げな声。
 私はこの声に聞き覚えがある、いや、忘れたくても忘れられない、忘れられる訳がない。
「……長谷部さん」

 無人の廊下の先、大体5メートルといったところだろう。
 彼女の表情は分からない、丁度お日様と廊下の角度が悪くて逆光になっていた。
「失礼します」
 踵を返し、その場から立ち去ろうとする。
 堪えられない、彼女は恐らく私を見つめているだけなのにどうして私は追い詰められた気持ちになるのだろう。
 ピストルを突きつけられたような危機感、いや、実際突きつけられた事があるわけじゃないけど。
「……“現実感”」
 昨日と同じように長谷部さんが言葉を漏らす。そしてそれは鎖や縄などよりも確実に私の動きを止めた。
「……“より現実らしい現実感”……“リアルリアリティ”という言葉を知っていますか」
「何なんですかそのおかしな日本語は?! 何を言っているんですか!」
 振り向きざま、私はまた怒鳴ってしまった。
 誰かが見ていればさぞ私は怒りやすいカルシウムの欠けた女の子だと思うに違いない。
 相変わらず彼女の口調は変わらない、こちらを苛立たせるに……怯えさせるに十分おっとりとしている。
「……いえ、ただそういうものがあったら“空想の別世界”を打ち崩せる。そう思いませんか」
 まただ、また謎めいた言葉を口にする、そして私はその言葉から逃れられない。
「一つ……良いですか」
「……はい」
 いくらでも聞きたいことはあったが、今は何よりこれが聞きたかった。
「あなたは……長谷部さんは私の、私達の『敵』なんですか?」
 今は近寄ってくる人、周りにいる人を単純に限定したかった。決め付けたかった。
 情けない話だけど、自分の周りには自分を助けてくれる人だけが欲しい。
725名無しさんだよもん:2006/06/07(水) 00:00:45 ID:rZh6hFXp0

「…………世界を『敵』と『味方』だけに区別するのは……とても危険ですが……『敵ではない』とだけ答えておきます」
 尋ねる相手が正直に『自分は敵だ』などと言うはずもなく、この言葉もどこまで信用していいものか分からない。

 …………それでも、どうしてか胸をなでおろす自分がいる。

「失礼しま……」
 いくらか緊張が解け、改めて分かれようとしたその時。私の視界からは長谷部さんは消えていた。


A 演劇部へ向かう
B オカルト研へ向かう
C 少し一人でこれまでの事を整理する
726名無しさんだよもん:2006/06/07(水) 00:01:11 ID:bzJOGMJC0
727名無しさんだよもん:2006/06/07(水) 02:30:44 ID:rZh6hFXp0
「……………………」
 私は中庭のベンチに座って、自動販売機のミルクティーを飲んでいます。
 飲みながら、一度私は落ち着いて一人でこれまでの事を整理しました。
 お姉ちゃん達にも浩之さん達にも申し訳ありませんが、少しだけゆっくりしたいです。

 まず『呪い』が発動するまでの期間、これはあと六日みたい。
 そして電話とメール、それに著者名に記された『折原浩平』という謎の人物。
 更に『折原浩平』という人物の気になる言葉、『竹林明秀に会え』
 私も藤田くんもどこか聞いた覚えがある『竹林明秀』という名前。
 図書館で出会った、何かを――もしかした何もかもを知っているかもしれない長谷部彩さん。
 その彩さんの漏らした言葉『リアルリアリティ』
 それに忘れてはいけないのが――

「藤田くんも、『呪い』にかかったみたいだったよね……」
 昨日の電話で藤田くんに『あと七日』とメールが送られみたいだし。

「これから、どうしようかな」
 一応、事件から今までに起きた主な出来事は把握したつもりだ。
 私は――


A 一刻も早く呪いを解くために、まずはオカルト研へ向かう
B 今日はみんなに心配をかけたくない、演劇部へ向かう
C まだ、整理し切れていないことがあるんじゃないかな……(内容を指定)
728名無しさんだよもん:2006/06/07(水) 02:32:39 ID:krgHdUtKO
B
729名無しさんだよもん:2006/06/07(水) 03:55:38 ID:DVa3gCeF0
(今日はみんなに心配かけたくない、演劇部に向かおう……)
 もし、何かあったら藤田くんが連絡してくれるだろうし。
 それに……正直呪いだのリアルリアリティだの常軌を逸した出来事から忘れたかった。

「おっそ〜っい。みんなもう来てるわよ」
「椋ちゃん参上なの」
「ようやくお出ましだぜ。悪の演劇部部長はお怒りだぞ」
「えっ? わたし怒ってましたか?」
「いや、冗談だ古河」
 部室に入るとみんなはもう集まっていた。
 そう、いつもと変わらない日常。
 今日は呪いなんか忘れてみんなと楽しもう。


「はい、6が四枚よ」
「わっ、お姉ちゃん革命……」
「ぎゃぁぁぁぁぁ俺の最強の手札がぁぁぁ」
「すごいですっ。これでわたしも勝機が見えました」
「ブルジョワ粉砕なの」
「はい上がり、じゃあね〜朋也ぁ〜」


「さて次は何しようかな〜」
「少しは休憩しようぜ……」
「それではわたし、お茶淹れてきます」
「悪いわね渚」
730名無しさんだよもん:2006/06/07(水) 03:56:49 ID:DVa3gCeF0
 
 少しお茶を飲んで休憩する。
 ふと私はことみちゃんの足元の手提げ鞄が気になった。
「ことみちゃん、足元のそれ何ですか」
「これ? これはご本なの。今日の帰りに図書館に返すつもりなの」
「まあことみのことだ、小難しい本なんだろ?」
「J・G・フレイザー著、金枝篇なの」
「これ知ってます! 前にお父さんが買ってました」
「オッサンが? こんな本を何でまた……」
「わたしもよくわかりませんが……ただ、買ってきたあと
 『ロボット召喚できねーじゃねぇぇかぁぁぁ』って叫んでました」
「何がやりたかったんだオッサンのやつ……」
「さあ……」
「これ何の本?」
「簡単に説明すると世界各地の神話、呪術、信仰についての研究書なの」
「へえ」
「詳しく説明すると――」
「ストップことみ。これ以上の説明はいい」
「……くすん」

 呪術……まじない……呪い。
 そんなものは昔話でしかないと思っていた。
 でも今の私はその呪いを受けている。
 六日後に私はこの世に存在しているのか?

A と、その時藤田くんから電話がかかってきた。
B 「そういえばさあ、夕べ変なメールが来たのよねえ」お姉ちゃんが言った。
C メールが来た……差出人は長谷部さんだった。
D 特に何も起こらず下校時間になった。
731名無しさんだよもん:2006/06/07(水) 03:58:07 ID:Km0+eEAG0
Aで
732名無しさんだよもん:2006/06/07(水) 19:20:57 ID:rZh6hFXp0
『あのー始まりの日ー 強ーがっ○たー』
 お茶を飲みながら休憩をしていると、私の携帯電話から「−影○つ−」が流れ出しました。
 この着うたは……メールではなく、電話のほうです。
 携帯電話を取り出し、名前を確認すると――

『藤田浩之』

 良かった、今度は普通の電話のようです。
「あれ、男の名前?」
 後ろからお姉ちゃんに覗き込まれました。
「やるわね〜、何時の間に男なんて作ったのよ」
「ち、違うよ!」
 慌てて否定します、もうお姉ちゃんったら……
 でも、藤田くんから電話という事は、何かわかった事があるのかもしれません。
 切られちゃう前に、早く出たほうがいいでしょう。
「ごめんお姉ちゃん、みんな、ちょっと席を外します」
 そう言って私は携帯電話を片手に部室を出ました。


「もしもし、藤林先輩」
「藤田くん、どうしたの?」
 誰かに聞かれないように、廊下の端の窓際で電話に出ます。
「ああ単刀直入に言う、実は――


A 『折原浩平』ってヤツの家がわかったんだ」
B 『竹林明秀』って人間の行方がわかったんだが……彼は既に死んでいるんだ」
C まだ日はあるんだし俺とデートしてくれないかな、藤林先輩」って藤田くん!!!
733名無しさんだよもん:2006/06/07(水) 19:34:59 ID:ZCU2d9ga0
Bかねえ……
734名無しさんだよもん:2006/06/07(水) 20:55:35 ID:DVa3gCeF0
「『竹林明秀』って人間の行方がわかったんだが……彼は既に死んでいるんだ」
「え……」
「三年前に交通事故で亡くなっている。やっぱりこの学校の関係者だったぜ」
 三年前というと私が入学する前だ。
 そして学校関係者だったのならどこかで耳にしていてもおかしくない。

「それで彼はどんな人だったんですか?」
「竹林明秀はこの学校で現国教師として教鞭を執っていた。
 特にトラブルもなく、生徒からの人気も高く漫画研究会の顧問も勤めていた。
 小説を書くのが好きで『青紫』というペンネームで小説を出版していたんだ。
 ただ小説のほうはそれほど売れなく既に絶版になってる」
「藤田くんすごいですっ。どこでそんな情報を手に入れたんですか?」
「いやあ、オレの知り合いにこの学校の情報を知り尽くしている奴がいるんだよ
 ……昼メシ一週間、奢らされる破目になったけど」
「ありがとうございます。でも……今のところは呪いを解く有力な情報じゃないですね……」
「慌てなさんなって藤林先輩。ここからが本番だ。
 まさかオレもここに繋がるとは思ってもみなかったんだからよ」
「そ、それは何ですか」
「彼の死後、漫研で描かれた同人誌に『青紫』の名前があった」
「!? そんな……死んだ人が漫画なんて……っ」
「竹林本人じゃねえだ。彼のペンネームを使って同人誌を描いていた奴がいる」
「誰……なんですか……」
「聞いて驚くなよ……それは――

A 折原浩平
B 長谷部彩
735名無しさんだよもん:2006/06/07(水) 20:59:18 ID:krgHdUtKO
A
736名無しさんだよもん:2006/06/07(水) 21:00:13 ID:q/387X0+O
Bだな
737名無しさんだよもん:2006/06/08(木) 03:08:35 ID:tFi3vlas0
「同人誌を描いた奴……そいつは『折原浩平』だ」
 この本の著者名、電話、メール、そしてまた……この名前です。
「奴は竹林明秀の小説の『信者』だったらしい、数少ない小説を集め、読みふけり、
 そして竹林明秀を追うようにしてこの学校に入学したんだ」
「それは……何年前の事ですか?」
「三年前、藤林先輩が入学した年と同じだ。だけど……奴は一年前に居なくなっている」
「居なくなっている?」
「ああ、書類上は『転校』らしいんだが……夏休みの間に学校へ連絡が入っただけで、詳しいことが解らないんだ」
「そんな…………」
「藤林先輩は同じ学年だったはずだけど、何か知らないのか?」
「ごめんなさい……そんな風に転校した人なんて聞いたこともなかった」
「そっか……話を戻すぜ、折原浩平は漫画研究会で竹林明秀の師事を受けようと思っていたらしい。
 だけど彼はもう死んでいた、だから奴は漫画研究会に入り『青紫』のPNを名乗って彼の後継者になろうとしていたんだ」
「『後継者』?」
「ああ、彼の理論……『リアルリアリティ』を極めようとしていたらしい」
「…………『リアルリアリティ』?」
 目を見開き、オウム返しに聞いてしまう。さっき……長谷部さんが漏らした言葉だ。
「詳しい内容は俺も知らない、けど……どうも竹林明秀が研究していた理論のようなんだ」
「……………………」
「噂じゃ、奴は夏休みの間も学校に篭って、同人誌を作っていたらしいんだが……完成も行方も不明らしい」

 そこで、一旦藤田くんは言葉を区切りました。
 よく理解できなかったり、不明な事も多いですが藤田くんの話はかなりの手がかりが含まれていると思います。
 そして、私がまず調べるべきだと感じたのは――


A 『折原浩平』が描いていたという同人誌の原稿
B 『リアルリアリティ』という理論の内容
C 竹林明秀が生きていた時の詳しい様子
738名無しさんだよもん:2006/06/08(木) 03:14:18 ID:J0MPaCWj0
A
739名無しさんだよもん:2006/06/08(木) 16:15:53 ID:tFi3vlas0
「藤林先輩はどう思う、俺の話を聞いて」
 藤田くんの話を聞き、私が一番強く感じたのは――
「その……まずは『折原浩平』さんの同人誌を探すべきだと思います」
 行方の知れない『折原浩平』
 既に故人である『竹林明秀』
 どちらに会うのも難しい、というより後者は物理的に不可能です。
 その二人に会う方法、もしくはそれに最も近いと思われる方法。
 それは――『竹林明秀』の後継者を自認する『折原浩平』が描いていたという本を探す事ではないでしょうか。
 勿論、的外れな考えかもしれません。ですが他にいい案も浮かびません。
 何かの手がかりがあるはず……そう信じたいです……
「俺もそう思う、失踪直前に描いていた本なんて胡散臭さがプンプンするぜ」
 一年前に、『折原浩平』がこの学校で篭って描いていた同人誌。
 今も――この学校の何処かに残っているのでしょうか。


A 一人よりも二人。一度藤田くんと落ち合う
B シンプルに考えれば同人誌のことは漫画研究会に聞くべき、漫画研究会へ行ってみる
C とりあえず方針は決まったのだし、今日はみんなのところに戻る
740名無しさんだよもん:2006/06/08(木) 16:16:45 ID:CgX39d3B0
B
741名無しさんだよもん:2006/06/08(木) 21:27:57 ID:tFi3vlas0
 シンプルに、単純に考えてみましょう。
 同人誌の事を調べたければどこへ行くべきか……決まっています、漫画研究会です。
 『折原浩平』の本の原稿について何か聞けるかもしれませんし、もしかしたら保管されている可能性もあります。
「藤田くん、私は今から漫画研究会に行ってみます」
「ああ、よろしく頼むぜ」
 
「あら椋、長電話だったわね」
「お姉ちゃんごめんなさい、私ちょっと出ます」
 電話を切り、部室に戻った私は手早く荷物をまとめました。
「残念です、これから七並べをするところだったのに」
「ま、急用じゃ仕方ないよな」
「椋……もしかして藤田くんとデート?」
「熱々なの」
「だから違いますっ!」

 私は演劇部を出て、漫画研究会の部室へ向かいました。
 同じ文化部棟にあるので、距離はさほどありません。
「ここが、漫画研究会……」
 プレートには『漫画研究会』の文字が並び、ドアには様々なイラストのポスターが貼ってあります。
 少しためらいつつも、私は扉をノックしました
「失礼します」
 挨拶と共に扉を開けると、そこには――


A ……長谷部さんが一人、机に向かっていました
B ……誰もいません
C 「こんな時期に入部希望者?」私の知らない人が一人いました(人物指定) 
742名無しさんだよもん:2006/06/08(木) 21:33:56 ID:/Ze7rFwQ0
A
743名無しさんだよもん:2006/06/08(木) 21:35:23 ID:nZeLWADx0
C
まともに清水なつき
744名無しさんだよもん:2006/06/09(金) 01:38:19 ID:d2ZGDiSL0
 お姉ちゃん達との漫才もそこそこに切り上げて訪れた漫画研究会の部室。
 だけど、扉を開けたその中には……一人の女子生徒が何かを描いていました。
「……長谷部さん」
「こんにちは、藤林さん……また、会いましたね……」
 彼女は一旦手を止め、私のほうを向いて挨拶した。
「長谷部さんは、漫画研究会の人だったんですね」
「……一応、部長を務めています」
 昨日の書庫で会った時の事をを思い出し、納得する。
 あそこで何冊も本を吟味していたのは、同人誌の資料を集めていたからだろう。
 だけど、できればここ以外の所属であってほしかった……
「…………」
「何か……用事ですか……それとも……入部希望ですか?」
 解っているくせに! 入部希望な訳がないじゃない! もう三年なのに!
 あれだけ謎めいた事ばかり言われて、私がここを訪ねない訳が無いじゃない!
 苛立つ私とは裏腹に、長谷部さんは表情の読み取りにくい顔で淡々と質問をしてくる。
「…………」
 私は……どう答えるべきなのだろうか。
 正直に長谷部さんに折原浩平の本を探している事を教えてもいいのだろうか。


A 「あの……折原浩平の本を探しているんです」
B 「ごめんなさい、失礼します」私はそのまま背を向けて、部室を出た
745名無しさんだよもん:2006/06/09(金) 01:43:20 ID:WdmxxvNQ0
B
746名無しさんだよもん:2006/06/09(金) 03:55:03 ID:xfrQRb+Q0
「ごめんなさい、失礼します」
 私はそのまま背を向けて、部室を出た。
 その時、背後から長谷部さんの声がした。

「あの日……異界に呑まれ、人々の記憶から忘れ去られた部室……全ての始まりの場所」
「――っ!」
「この部屋を……完全に知覚した時、あなたは――」

「な、何を言っているんですか――」
 私は振り向いた。
 そして後悔する。
 ドサッと鞄が手からずり落ちる。
「部室が――」
 消えていた。
 ドアの向こうには長年放置して荒れた部屋。
 数々のイラストのポスターに彩られた部室のドアは
 何の変哲のない薄汚れたドアに変貌していた。

「もう嫌ぁッ!」
 何がなんだかわからなくなっていた。
 さっきまでいた部室がきれいさっぱり消えた!?
 あはは、何よこれ。
 きっと私の頭がおかしいんだ。変な妄想に憑かれているんだ。
 落ちた鞄から呪いの本がはみ出していた。
「こんなもののせいで私は……ッ!」
 本を壁に叩きつける。
 叩きつけられた本は何も書かれていないページを見せて嘲笑っていた。

747名無しさんだよもん:2006/06/09(金) 03:56:14 ID:xfrQRb+Q0
「藤林せんぱーい、漫画研究会なんだけどさ――って先輩っ?!」
 オレは藤田浩之、またもや変な事件に巻き込まれてしまったようだ
 漫画研究会について調べていたら奇妙なことに気がついた。
 志保にしろ他のやつにしろオレが漫画研究会のことを尋ねるまで
 誰一人としてそれの存在を忘れていたことだ。
 オレに言われて初めて、『そういやそんな部もあったなあ』と思い出す。
 これは嫌な予感がする。藤林先輩を一人で行かせてよかったのだろうかと思い、
 漫画研究会のある部室に来たわけだが……
「こんなもののせいで私は……ッ!」
 今まさにあの呪いの本を破ろうとする先輩の姿があった。

「先輩ッ! 何やってんだよッ!」
 私の後ろで藤田くんの声がした。
「放して……ッ! 放してください!」
 私の体は藤田くんによって羽交い締めにされる。
 非力な女の体では長身の藤田くんの力に敵うはずもなく、
 あっさりと体の自由を奪われる。
「落ち着くんだ先輩! ここで本を破り捨てても何の解決にもならないんだぞ!」
 私は廊下の床に崩れ落ちる。
 目に涙が溢れかえる。

「うっ……うぁ……あああああああッ!」
 西日の射した誰もいない廊下に私の慟哭が木霊した。
「先輩……

A 学食で何か食べて気を和らげよう……」
B 来栖川先輩の所へ行こう……」
C 今日はもう帰ったほうがいい……」
748名無しさんだよもん:2006/06/09(金) 04:13:46 ID:f+DyIJiJ0
749名無しさんだよもん:2006/06/09(金) 12:53:52 ID:d2ZGDiSL0
「来栖川先輩のところへ行こう……」
「……うん」
 二人で廊下を並んで歩きながら……さっきまでの出来事を話した。
 まだぐずりながら……混乱してつっかえながらだったけど、藤田くんは特に口も挟まず聞いてくれている。
「訳が分からないんです、背を向けて……振り返ったらいきなり長谷部さんも部室も消えていて……」
「藤林先輩……」
「長谷部さんって、何者なの……私、もうおかしくなっちゃいそう……」
「…………」
「ごめんね、こんな話信じられないよね」
「……いや、もう俺達は十分信じられないような体験をしたんだ。
 今更藤林先輩が俺に嘘をつく理由もないし……俺は藤林先輩の話を信じるよ」
「藤田くん……」


A オカルト研の部室に着いた私は、来栖川さんを交えてこれまでの出来事を詳しく話しました
B 「あら 彼が例の藤田くん?」運悪く廊下でお姉ちゃんに会ってしまいました 
C 「あれ……先輩?」オカルト研に着くと……来栖川さんがどこにも……いません
750名無しさんだよもん:2006/06/09(金) 12:56:35 ID:rmZaYt530
C
751名無しさんだよもん:2006/06/09(金) 17:42:59 ID:d2ZGDiSL0
「あれ……先輩?」
「どうしたの、藤田くん?」
「ああ、先輩がいないんだ」
 後ろから私も覗きこむと、藤田くんの言うとおり、部室には誰もいませんでした。
「どこかに出かけたんじゃないの」
「いや、ここで待ってるって言ってたのに――」
 藤田くんがそう言いかけた時、私の頭の中に……声が響いてきました。

(ごめん――なさい――浩之さん――藤林さん――)

 この声は……まさか来栖川さん?!
「えっ? せ、先輩っ?!」
 どうやら、藤田くんにも聞こえているみたいです。

(私も――――折原さんも――――捕らえられて――――)

「来栖川さんっ! 来栖川さんっ!」
 私達以外人のいない部室で、私は来栖川さんの名前を叫びました。
 ですが私達の声は届いていないようで、やがて来栖川さんの声も遠くなっていき――

(気をつけて――――――長谷部さんは――――――)
「先ぱーーーーいっ!!!」

 それ以上、来栖川さんの声は聞こえなくなりました。
752名無しさんだよもん:2006/06/09(金) 17:43:55 ID:d2ZGDiSL0

「…………」
「…………」
 無言のまま、私達は立ちすくみます。
 そんな……どうして……来栖川さんまで……
 怖くて、どうしていいか分からなくて、体の震えが止まりません。


A 「藤林先輩……とにかく、一度落ち着こう」藤田くんが、私を落ち着かせてくれました。
B その時……また『折原浩平』からメールが来ました。
C 「嫌ぁぁぁっ!!!」耐えられなくなった私は、その場を駆け出してしまいました。
753名無しさんだよもん:2006/06/09(金) 17:49:41 ID:0t48pogf0
754名無しさんだよもん:2006/06/10(土) 03:23:25 ID:4Ao/v64m0
「い、嫌ぁぁーーっ!」
「ふ、藤林先輩!」
 私が恐怖でパニックに陥りそうになった時、藤田くんが私の手をギュッと握ってくれました。
「ふ、藤田くん……」
 来栖川さんのおかげで超常現象に慣れているのか、藤田くんは私ほどは慌てていません。
 私を放さないように力強く、少し痛いくらいに握ってくれました。
「藤林先輩……とにかく、一度落ち着こう」
「う、うん……ありがとう」
 藤田くんの手のから伝わる温もりが、今はとても心強いです……

「……でも、これからどうしよう」
「そうだなぁ……どうすりゃいいかな……」
 私達は一旦学校を出て、『維納夜曲』という一軒のケーキ屋でお茶をしています。
 本当は学校で話し合いをしたほうがいいと思いました。
 けど……あんな事があった後で学校に残り続けるのを怖がった私を気遣い、藤田くんが誘ってくれたのです。
 消えた漫画研究会の部室、来栖川さんの消失と最後の声。
 謎と混乱ばかりが私たちに降りかかってきます。
「藤林先輩は、どうするべきだと思う?」
「わ、私ですか、私は――


A やはり、まずは折原浩平の本を探す
B 長谷部彩という人物について調べてみる
C ここのケーキが美味しいのでおかわりをしたいと思う
755名無しさんだよもん:2006/06/10(土) 03:38:20 ID:hdDnWoPb0
A
756名無しさんだよもん:2006/06/10(土) 11:32:34 ID:7t1q9SwB0
「まず折原浩平の本を探すことだと思います
 私がこの本を手にしたことで全てが始まったのですから……」
 テーブルの上に置いてある呪いの本は昨日から何も変化はありません。
 ただ真っ白いページがあるのみです。
「だよな……この本以外にも折原浩平が執筆した本が存在しているのなら
 オレ達にかけられた呪いを解くヒントになるかもしれないしなあ
 いったいどこにあるんだろう……」
「やはり……漫画研究会にあると私は思います」
「でも部室は忽然と消えてしまったんだろ?」
「気になることを長谷部さんは言ってました。
 部室を完全に知覚できるようになる時は――」
「どうなるんだ?」
「たぶん呪いが完全に発動し、皆から忘れられるんだと思います。
 逆に言うと、あの部屋が見えないうちはまだ呪いは大丈夫なはず
 あせることはないです」
「でも先輩には見えたんだろ? オレはまだ見えないっつーことは――」
「ええ、私のほうが呪いの進行度は上……のようです
 でも見えたのが2、3分ぐらいですからまだ大丈夫だと思いますが……
 ただ残り○日というのは来栖川さんが消えたことにより
 あまりあてにならなくなって来ているかもしれません」

「来栖川先輩……どこへ行っちまったんだ……」
 ピッと腕時計が鳴る。時計は午後七時を指していた。
757名無しさんだよもん:2006/06/10(土) 11:33:39 ID:7t1q9SwB0


「ただいま〜」
 私達はその後話もそこそこにして家に帰ってきました。
「おかえり〜って思ったより早かったじゃない。噂の藤田くんとの仲は順調かしら?」
 お姉ちゃんがニヤニヤしながら出迎えました。
「べっ別に、藤田くんとはそんな仲じゃないよっ」
「姉妹でしょ〜別に隠す必要なんてないじゃない」
「もうっ……お姉ちゃんたら……」
 そりゃあ藤田くんはそこそこ格好良いし、頼りになる人だけど
 恋愛感情よりもこう……この事件が終わった時に、
 『よう相棒、まだ生きてるか?』と呼び合う戦友みたいな感じです。


(今日も色んなことがあったな……)
 夕食後お風呂に入り自室に戻った私は今日の出来事を思い出していました。
 テレビはバラエティ番組を映し続けています。
(九時か……)

A 誰かに電話してみようかな(浩之・朋也・渚・ことみから選択)
B コンコンとドアをノックする音「椋〜、入っていい?」お姉ちゃんだ
C やはり漫画研究会が気になる。学校に忍び込んでみよう
758名無しさんだよもん:2006/06/10(土) 11:34:04 ID:vGjjs9IC0
積極果敢にC
759名無しさんだよもん:2006/06/10(土) 12:51:34 ID:4Ao/v64m0
(やっぱり漫画研究会が気になる、今から学校に行ってみよう)
 そう決めた私はさっそく服を着替え、出かける準備をしました。
「お姉ちゃん、ちょっと私学校に行ってくる」
「どうしたのよ、こんな時間に?」
「えっと……ノート、学校にノートを忘れちゃって明日の予習に必要なの」
「それなら仕方ないけど、夜道は危ないから気をつけなさいよ」
「うん、心配してくれてありがとう」


「暗いな……それになんだか不気味」
 用意した懐中電灯で足元を照らしながら廊下を歩きます。
 夜の校舎は昼間と雰囲気が一転して……怖いです。
 本当に私達はここで昼間授業を受けたり、部室で遊んだりしているのか、
 そんな当たり前の事すら疑いそうになるほど、無機質で温かみのない建物でした。
(藤田くんに黙って一人で来たのは、早まったかもしれない)
 呪いを解く鍵を早く手に入れようとして、少し焦っちゃったのかな――


A 程なく、私は漫画研究会の部室に着きました
B ……廊下に、黒い長髪をリボンでまとめた少女が立っていました
C 一応、藤田くんにも連絡をしておく
760名無しさんだよもん:2006/06/10(土) 12:54:04 ID:oA4//kPL0
B
761名無しさんだよもん:2006/06/10(土) 15:54:53 ID:7t1q9SwB0
 フッと突然懐中電灯が消えた。
「あ、あれ電池が切れたのかな」
 ぶんぶんと振ってみたけれど懐中電灯は
 数回明滅を繰り返してウンともスンとも言わなくなりました。
「……どうしよう」
 明かりが消えたことで廊下は窓から差し込む月の光で
 何とか前が見える程度の明るさになってしまいました。

 カツン

「――っ?!」
 廊下に木霊する足音、そして前方に現れる人影。
 雲が晴れさらに明るい月光が廊下を人影を照らし出します。
 この学校の制服に身を包み……廊下に、黒い長髪をリボンでまとめた少女を。

「長谷部さん……?」
 違う、彼女は長谷部さんじゃない。長谷部さんはまとめた髪を前に垂らしていますが
 彼女は後ろに髪を垂らしています。
 そしてなにより――
 抜き身の西洋剣が月の光を反射してきらきらと輝いていました。

 ヒュン、と風を切る音。
「きゃっ」
 思わず尻餅を着いてしまいます
「え……」
 見上げた私の目に写ったのは
 西洋剣を私の喉元に突きつける少女の姿。
 そして発せられた言葉。

「……『呪い』の感染者発見……」
762名無しさんだよもん:2006/06/10(土) 15:55:32 ID:7t1q9SwB0
A 思わず叫んでしまう
B 恐怖で声が出なかった。
C タイミングが悪いのか良いのかメール着信音が鳴った。
763名無しさんだよもん:2006/06/10(土) 16:13:13 ID:NKKJighWO
B
764名無しさんだよもん:2006/06/10(土) 18:59:30 ID:7t1q9SwB0
「……ほーるどあっぷ?」
 少女は剣を突きつけながら下手な英語で
 私に武装解除を呼びかけました。
「……ぁ……ぅ……っ(コクコク)」
 恐怖のあまり声が全く出せない私は必死に
 両手を上げて無抵抗の意を表しました。

「……違う、呪いの感染者だけど感染源じゃない」
 彼女は喉元に突きつけた剣を鞘に戻し、
 私を解放されました。
 私は――

A 「あっあなたは何者なんですかっ!」と勇気を振り絞って彼女に尋ねました。
B 安堵のあまりそのまま気絶してまいました。
C キィーンと耳鳴りと共に世界が歪んでいく。この感覚は……!!
765名無しさんだよもん:2006/06/10(土) 19:01:29 ID:kBQ9r8oH0
A
766名無しさんだよもん:2006/06/10(土) 20:10:34 ID:krX7Tj8I0
「あっあなたは何者なんですかっ!」
「…………」
 私の質問に、彼女は黙ったままだった。ただ、じっと私のことを見ているだけ。
 月明かりが彼女の顔まで照らすと、それで彼女の正体を知ることが出来た。
 そこで私は失言に気付く。私は、彼女を知っている。
 それぐらい、彼女はこの学校で有名だったから。

 ―――不良生徒、川澄舞

 夜な夜な深夜の学校に出没してガラスを割るとか、
 野犬相手に暴力を振るって鬱憤を晴らしているとか、そういう噂の絶えない人。
 よく岡崎くんや春原くんと並んで、学年の三大問題児として槍玉に挙げられてる。
 私達と同じクラスだけれど、もちろん話したことなんて一回もない。
「……私は魔物を討つ者だから」
「えっ?」
 川澄さんが唐突にそう言った。
 暫くして、それが私の最初の質問に答えたのだと分かった。
 だけど、それがまるで的を外した答えであるのが直ぐに分かる。
 彼女は……おかしい。夜中に学校に入り込むなんて、普通じゃない。
 それに、呪いの感染源を辿っているような……そんな事を言ってた。
 川澄さんは、何か知っている。私には間違いなくそう思えた。
「……あの、少し聞いても良いですか?」
「…………」
 私の言葉に川澄さんは答えない。
 私はそれを肯定ととって話を続けることにした。
 相手は学年一の不良だし、もちろん怖かったけれど……今の状況から抜け出せるなら、これぐらい。
「あなたは……」

A ここで何をしていたのですか?
B 呪いについて、何か知っているんですか?
C 折原浩平って人を、知っていますか?
767名無しさんだよもん:2006/06/10(土) 20:13:36 ID:fG7FFQ2k0
B
768名無しさんだよもん:2006/06/10(土) 20:59:31 ID:NsqHruWD0
「呪いについて、何か知っているんですか?」
 さっき川澄さんが言ってた言葉。
「『呪い』感染者」とか「感染してるけど発生源じゃない」とか
 この人は間違いなく呪いについて何か知っています。
 川澄さんは怖いですけど、勇気を出して聞かなければいけません。
「…………」
 川澄さんは黙ったままです、でも、もう一度。
「私……呪いに掛かってるんですよね」
 今度は分かりやすく、答えやすい質問をします。
「……はちみつくまさん」
 コクリと頷きながら、川澄さんはそう答えました。
 よく分かりませんが、肯定の意思表示のようです。
「教えてください……『呪い』って何なのですか」


A 「……よく分からない……だけど、誰かが助けを呼ぶ為に『呪い』を作った」
B 「……よく分からない……だけど、誰かが感染者を『食べる』為に『呪い』を作った」
C 「………………」川澄さんは、何も答えてくれません
769名無しさんだよもん:2006/06/10(土) 21:02:07 ID:FIb2F7um0
A
770名無しさんだよもん:2006/06/11(日) 00:55:23 ID:qlNyXLqI0
「……よく、分からない」
「そうですか……」
「だけど、誰かが助けを呼ぶために『呪い』を作った」
 誰か?
 それって、もしかして……折原浩平さん? それとも竹林先生?
 川澄さんにも分かってないみたいだけど……。
「……あと、何日?」
「えっ?」
 今度は川澄さんの方が、私に質問してきた。
「初めは関係のない人に名前を忘れられるぐらいで済む。
 だけど、二日三日と日を重ねるうちに、あなたの存在はだんだん希薄になっていく。
 あなたの大事なお友達や親、恋人すらあなたのことを思い出せなくなっていく。
 そして……タイムリミットの日、そのままあなたは、この世界から消える。
 この世界に残りたいのなら、あなたは誰かを助けなければならない」
 川澄さんがまるで私の未来を予言するかのように話していく。
 さっきまでから見れば信じられないほど、はっきりとした口調で。
 私はその言葉にぞくりとした。その言葉が本当なら……私は、消える?
「……あなたは、あと何日?」
「あと……六日、ううん五日」
「…………」
 私の言葉を聞いて、また川澄さんが黙った。
 川澄さんが何を考えてるのか、私には全く分からない。
「あの……川澄さん」
「…………」
「もう一つ、聞きます。答えたくないのなら、答えなくてもいいですけれど……」

A あなたはどうしてこんなことをしているんですか?
B 折原浩平と竹林明秀という人を、ご存じないですか?
C 漫画研究会について、知っていることはありませんか?
771名無しさんだよもん:2006/06/11(日) 00:56:07 ID:jShNiiDB0
A
772名無しさんだよもん:2006/06/11(日) 01:34:09 ID:C48QQlPK0
「あなたはどうしてこんなことをしているんですか?」
 どうしてこんな事を聞いちゃったんだろう。
 私の質問に、川澄さんはピタリと動きを止めた。

 空気が、凍てつく。

 ピキリ、と音がしたかもしれない。
 凍った空気を破って、川澄さんが答えてくれた。

A 私は、あと一日だから
B ……お願い、佐祐理を助けてほしい
C 折原浩平は、私の、敵だから
D おにょにょのぷぅ
E 続きが聞きたければ、牛丼を持ってきて
773名無しさんだよもん:2006/06/11(日) 01:37:47 ID:3NCN2rsk0
Dしかないッ!
774名無しさんだよもん:2006/06/11(日) 01:58:30 ID:m3vMb8Mh0
 私の質問に、川澄さんは真剣な顔つきで口を開き……
「…………おにょにょのぷぅ」
「(゚Д゚)ハァ?」
 ――謎の言葉を放った。

「あの、できれば真面目に答えて欲しいんですけど」
「…………」
「ライトノベルというかマイナーなネタというか、そういうのは勘弁してほしいんですけど」
「…………ごめん」
 学年一の不良生徒かも知れませんけど、これは我慢できません。
 川澄さんも外したと思ったのか、申し訳無さそうな顔をしています。
「その、結局どうしてあなたは夜の学校で呪いを調べてるんですか?」


A 「……私も、『呪い』を受けている」(後何日か指定)
B 「……魔物を狩る事が、私の使命だから」
C 「……私の友達……佐祐理が……消えた」
775名無しさんだよもん:2006/06/11(日) 01:59:34 ID:jShNiiDB0
Aかな 三日
776名無しさんだよもん:2006/06/11(日) 02:17:03 ID:qlNyXLqI0
「……私も、『呪い』を受けている。あと……三日」
「えっ……?」
 嘘、と言おうとして私は気付いた。
 あれほど学校で悪名を轟かせていた川澄さんなのに、
 学校で知らない人など誰もいないほどの有名人なのに、
 私は……顔をよく見るまで、川澄さんの名前が出てこなかった。
 それが指し示す事実がどういうことなのか、想像に難くない。
「だから私には、時間がない。早く誰かを助けないと……今度は私が消える」
 川澄さんはそれだけ言うと、私に背を向ける。
 もう話すことはないと言わんばかりに、この場から立ち去ろうとする。
「ちょ、ちょっと待ってください! その『誰か』って、一体誰なんですか!?
 折原浩平さんですか、それとも……竹林明秀先生なんですか!?」
「……分からない。分からないけど、私はその人を知っていた気がする……」
「えっ?」
「今日も手がかりはなかった。私はもう戻るけれど、あなたも早く家に帰ったほうが良い」
 川澄さんはそれだけ言うと、校舎の闇に消えた。
 どういう、ことなんでしょうか……。

A 漫画研究会の部室へ行く
B 川澄さんを追いかける
C 一度藤田くんに電話をかける
D ……今日は、もう帰ろう
777名無しさんだよもん:2006/06/11(日) 02:19:05 ID:V9WGd8DzO
A
778名無しさんだよもん:2006/06/11(日) 02:50:42 ID:mQYZ2HtA0
(川澄さんのことも気になるけど……漫画研究会も気になるな)
 わざわざ夜の学校にまで忍び込んだわけは漫画研究会にあります。
 始まりの場所。長谷部さんはそう称したあの部屋に――


 コツコツと文化部棟の廊下に私の足音が響いています。
 人の気配は無し。
 いや人の気配があったらあったで怖いですけど。
(あの角を曲がると漫画研究会だ……)
 もし部室が存在していたら……どうしよう……
 虎穴に入らずんば虎子を得ず。
 思い切って角を曲がると……

「部室が……見えている……」
 普段はただの空き部屋にしか見えない部室。
 しかしに今私の目の前の、月光の中に浮かび上がるそれは
 まぎれもなく放課後垣間見たあの漫画研究会でした。


A 思い切って部室に入る。
B ふと視線を感じて振り向くと……廊下に長谷部さんが立っていた。
C 突然周りの景色が灰色に変わってゆく……何これ!
779名無しさんだよもん:2006/06/11(日) 03:01:41 ID:dx1b2QwrO
A
780名無しさんだよもん:2006/06/11(日) 03:14:16 ID:m3vMb8Mh0
 目の前の部室、折原浩平の本がある可能性の最も高い場所。
 ですが……放課後の出来事に私は入るのを躊躇ってしまいます。
(ええい、ままよ! お姉ちゃん、私を守って!)
 私は祈りながら思い切ってノブに手をかけて回し、奥へ押しました。
 ギィィと、鈍い音を立ててドアが開きます。
「ここは……良かった、ただの部室だ」
 漫画研究会の部室は……私が最後に見た光景と変わらず朽ち果てた様相を呈していました。
 中に入り、本棚を眺めると……大量の薄い本が整理もされず、乱雑に並べられています。
 その隣の本棚も、そのまた隣の本棚も、上から下の段までびっしりと詰められて……
 この中から……一冊だけを見つける……
「これは……簡単には見つからないな」

 黙々と折原さんの本を探しながら、私はこれまでの事を考えました。
 あえて口に出し、確認しながら、夜の部室の静寂を誤魔化すように。
「まず……『呪い』で助けを求めている『誰か』って言うのは……折原浩平さんですよね」
 さっきは混乱しましたが、考えてみれば竹林明秀さんとは考えられません。
 そもそも竹林明秀さんは三年も前に交通事故で確実に亡くなっています。
 『呪い』の本の著者が折原浩平さんであり、その折原さんから電話やメールが来ました。
 そしてメールの内容は……事件の鍵を握る彼の本を探して欲しいというもの。
「折原浩平さんが『呪い』を通して私たちに助けを求めて、本を探し出してもらおうとしている」
 ここで判断を間違うと辛いです、慎重に考えなきゃ。
「じゃあ……長谷部さんは?」
 あの人は……謎めいた助言のようなものはしてくれますが……必要以上に手助けはしてくれません。
 まるで……私や藤田くんの『呪い』を観察して……どこかへ誘導するような……
 よく分かりません、あの人に関しては分からない事が多すぎます。


A ……しばらく探しましたけど……本は一向に見つかりません
B 「これは……?」三つ目の本棚の上から二段目、奥付に『折原浩平』とある本がありました
C 「……とても……いい推理だと思います」声が……後ろを振り向くと……長谷部さんが立っていました
781名無しさんだよもん:2006/06/11(日) 03:22:20 ID:43I/dgAA0
A
782名無しさんだよもん:2006/06/11(日) 09:53:28 ID:qlNyXLqI0
「……ダメ、見つからない」
 私がどんなに探しても、折原浩平が作ったと思われる本は見つからない。
 どうして? 普通部室には、今まで出した本を保管してあるものじゃないの?
 考えられるとしたら二つ。
 何らかの理由で控えをとっておかなかったか……それとも誰かが持ち出したか。
 どちらにせよ、今ここに折原浩平の本がないという事実だけが残る。
 漫画研究会が出した本なんだから、もしかすると誰かが持っているのかもしれないけれど、
 それは……本当に低い確率。アマチュアの人が出した本をいつまでも取ってる人はあまりいない。
 そして、もう一つの探し物のほう……竹林先生の出した本と言うのも、見つからなかった。
 あまり売れていなくて、もう絶版になっているのだから当たり前なのかもしれないけれど、
 それでも、手がかりが途絶えたという事だけは確かだ。
「これからどうしよう」
 私はぽつりと呟いて、研究会の椅子に腰を下ろした。
 折原浩平、そして『呪い』……私には、もうどうして良いのか分からなかった。
 その時……

A 机の上に『活動日誌』と書かれたノートが置いてあるのに気付いた
B 藤田くんから電話がかかってきた
783名無しさんだよもん:2006/06/11(日) 09:54:21 ID:Kq0QmBKN0
A
784名無しさんだよもん:2006/06/11(日) 10:35:43 ID:qlNyXLqI0
「あれ? これは……」
 その時になって、私は初めて机の上にノートが置いてあるのに気づいた。
 どこにでもあるような安っぽいノートだけど、タイトルとして『漫画研究会活動日誌』と書いてある。
 漫画研究会がどんなことをしていたのか……この日誌から、分かる。
 私はドキドキしながら、そのページを開いた。

 ページを開いて……私は思わずくすっと笑ってしまう。
 そのノートは確かに日誌だった。日誌だったけど……実に、他愛のないものだった。

1月15日 青紫
 幸村の授業は眠い。
 あれも一種の苦行だよな。しかもあのジジィ、オレが日誌書いてても全然気付かないぞ。

1月16日 彩
 進学校なんですから、授業はちゃんと受けましょう。
 この学校は文化部には風当たりが強いから睨まれてしまいますよ。

 内容はそんな調子だった。
 活動日誌と言うよりも……まるで交換日誌。
 イラストに、その日の出来事を添えるだけのような、そんな感じ。
 日付を見てみると、今から二年前のものだった。
 ただ、楽しそうに活動しているのは分かる、そんな日誌。

 日誌を読んでいく限り、部員は二人。
 PN青紫さんと、彩さん。
 青紫さんというのは折原浩平で間違いないとして、彩さんというのは長谷部さんのことだろう。
 たまにPN使わずに本名でマンガを書く人もいるみたいだしね。
 殆どがその二人の交換日記のように綴られていってるのが分かる。
 まれに、引退した三年生と思われる人が暇潰しに書いてるみたいだけど。
785名無しさんだよもん:2006/06/11(日) 10:36:59 ID:qlNyXLqI0
 私は日誌を読み進めて、三月の日付のところで目を留めた。
 二人の会話に、気になることが書いてあったから。

3月12日 青紫
 樋上も河田も中村も卒業したし、この日誌も寂しくなるよな。

3月14日 彩
 それよりも問題は会の存続の方です。
 今は3人でかろうじて研究会の形を保っていられますが、1人でも欠けてしまえば廃部です。
 あの人もこの日誌に全然書き込んでくれないみたいですし、どうなることやら……。

3月15日 青紫
 あいつはオレがムリに誘ったからなあ。
 幽霊部員でいてくれるだけでもよしとしようぜ。
 部員の方は新入生に期待するしかないしな。

 そう、私はその文で思い出した。
 この学校には、3人以上の部員と顧問がいなければ、部活動を作ってはいけないという決まりがある。
 ……だから、実を言うと演劇部はまだ正式な部として認められてない。
 渚ちゃんが幸村先生に顧問になってくれるように交渉中らしいんだけれど、それもどうなることか……。
 ……と、いけない。つまり、私が言いたいのは、漫画研究会にはあと一人部員と、それから顧問がいるはずということ。
 その二人のどちらかなら、折原浩平について何か知ってるかもしれない。
 もちろん、長谷部さんから詳しく聞くという方法もある。
 だけど……あの人には、何か妖しげな雰囲気があった。
 まるで、何かに誘っているような……。だから、もしかすると接触を避けた方がいいのかもしれない。
 私は――――

A 明日長谷部さんを訪ねる
B もう一人いるという部員の方を調べる
C 漫画研究会の顧問の先生に会う
D 川澄さんが気になる 
786名無しさんだよもん:2006/06/11(日) 10:48:17 ID:H8tMVz/l0
B
787名無しさんだよもん:2006/06/11(日) 11:01:37 ID:qlNyXLqI0
そろそろ容量ヤバイし新スレ立てるべきじゃないか?
誰が立てる?

A 俺が立てる
B お前が立てろ
C (>>xxx)が立てろ(レス番指定)
788名無しさんだよもん:2006/06/11(日) 11:17:31 ID:m3vMb8Mh0
A
789名無しさんだよもん:2006/06/11(日) 11:19:13 ID:qlNyXLqI0
んじゃよろしく
790名無しさんだよもん:2006/06/11(日) 11:34:10 ID:m3vMb8Mh0
新スレが立ちました

〜 選択形式で進めていくスレッドXXXI 〜
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1149992574/

残りの容量で何話すかの選択肢は次の人にお任せします
791名無しさんだよもん:2006/06/11(日) 12:33:05 ID:RZzz3uDDO
A.結論:雅史の反省会
B.恋するトウカの反省会
C.選択形式で進めていくW杯
D.>>626から>>628の途中経過を選択形式で具体的に!
792名無しさんだよもん:2006/06/11(日) 12:43:30 ID:qlNyXLqI0
793名無しさんだよもん:2006/06/11(日) 14:04:41 ID:dx1b2QwrO
春原「サッカーとなったらやっぱり僕達の出番だよね」
雅史「目指すは選択スレW杯優勝かな。でもまずはチームメンバーを集めないと」
春原「んじゃ、お互いの知り合いでもあたってみようか」




鬼_「………何か用」
春原「ひいぃぃっ、な、なんでもないですっ!!」




雅史「ねえ浩之。僕達ずっととm」
浩之「世の中には煮ても焼いても食えない奴が……」
雅史「ごめんやっぱりいいや」
794名無しさんだよもん:2006/06/11(日) 15:13:12 ID:qlNyXLqI0
ヌワンギ「そう何度もふっとばされてたまるかーーーー!!」


 ゴットハンドのヌワンギくんやっぱり吹っ飛ばされたーーー!!
795名無しさんだよもん:2006/06/16(金) 18:48:22 ID:vXMo+bCC0
雅史「緒戦は逆転負けの敗退……しかもラスト10分で3点
    まるで僕のお話の急展開のようだ……」
796名無しさんだよもん:2006/06/23(金) 14:20:17 ID:qh/XRXHi0
雅史「…………無念ばかりが残るW杯だったな」
797名無しさんだよもん
とりあえず、歴代主人公から適当に選抜してみた。

┣━━━━(    )━━━━┫
┃    観鈴     佐祐理   ┃
┃                ┃
┃ 浩之  はるか  雅史 ┃
┃                ┃
┃     彰      春原     ┃
┃                ┃
┃ リアン   柳川  すばる ┃
┃    ┏━━━━━┓    ┃
┃    ┃┌───┐┃    ┃
┃    ┃│ 国崎 │┃    ┃
┗━━┻┷━━━┷┻━━┛