SS投稿スレ#9

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1名無しさんだよもん
SS書きたい人、読みたい人はこちらでどうぞ。
読んだら一言感想書き込むと作者の筆も滑らかになるよ。
もちろん無言も感想のうちだけど(;´Д`)

トラブルのない投稿の方法は>>2-5を参考にしてね。
ただ特に初心者さんは投稿の方法は必ず読んでネ!
無用のトラブルはなるべく避けましょ。

前スレ等は>>3-5

※SS投稿の告知があった場合は、投稿を優先させてあげましょう。
※板が重くならないように、長文投稿後しばらくはageない方が良いでしょう。
※スレの寿命を伸ばすために、雑談などではリダイレクトの使用を控えよう。
 かちゅーしゃ対応(>1、>1)がお勧め。

【便利な関連サイト】
700/1300による回収サイト
http://uenohighschoolz.virtualave.net/sslib/
三告平氏によるSSトレーニングルーム
http://www.hakagi.net/ss/
2名無しさんだよもん:02/01/27 09:57 ID:J6Ex1gk2
【投稿の手順】

1:まず、投稿する旨を告知するカキコをすると良い。
  「今からSS投稿します。なお、××な内容です」など。
  鬼畜・陵辱・スカなどのジャンルでは特に。読むのを嫌がる人もいます。
  (時間帯・スレの状態・信念・その他で省略可)
2:書いたSSを30行程度で何分割かしてひとつずつsageで書き込む。
  (名前欄に、タイトルと通しナンバーを入れると分かりやすい)
3:回しは不要。旧スレからの変更です。
4:最後にsageで作者名・タイトル・あとがきなどと共に、
  アップしたところをリダイレクトする(>>1-2みたいな感じ)とトッテモ(・∀・)イインチョ!

基本的には、手順の【3】だけでOK。
初めて投稿する人は、前スレや、前回投稿なども参考に。
3名無しさんだよもん:02/01/27 09:58 ID:J6Ex1gk2
4名無しさんだよもん:02/01/27 09:59 ID:J6Ex1gk2
【関連スレ】
葉鍵板的SS討論スレッド Ver.7
http://wow.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1009782415/

最萌トーナメント支援用SSスレッド
http://wow.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1011756386/
妄想超爆裂ハーレムスレッド
http://game.2ch.net/leaf/kako/1006/10061/1006178327.html
AF団十尻衆の諸君!!
http://wow.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1002590718/
Leaf&Key仮想戦記〜ひとりぼっちの戦場編〜
http://wow.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1008739929/
葉鍵サバイバル 公開2日目
http://wow.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1011896511/
葉鍵ファンタジーU
http://wow.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1010300239/
エロシチュスレッド〜逆アナルスレ第二弾!
http://wow.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/998240441/

【過去関連スレ】
鬼畜SS投稿スレ
1:http://mentai.2ch.net/leaf/kako/963/963130640.html
2:http://cheese.2ch.net/leaf/kako/974/974734116.html
職人さん育成スレッド
http://cheese.2ch.net/leaf/kako/992/992895490.html
5名無しさんだよもん:02/01/27 19:45 ID:2k/ZVHEc
スレ立てお疲れ様。
6名無しさんだよもん:02/01/27 22:55 ID:Ss6VcvZ0
新スレ乙彼。1本書けたので上げます。
MOON.のギャグSSを11レス分。
7ゲームセンター葉子(1):02/01/27 22:55 ID:Ss6VcvZ0
 葉子さんが訪ねてきたのは、FARGOでの出来事からしばらく経った日のことだった。
 白いブラウスに身を包み、以前のように額を出した姿で、彼女は表情を変えぬままぺこりと
お辞儀をした。
「お久しぶりです、郁未さん」
「うん、葉子さん…。あんまり変わってないね」
 ずっと待ち望んでいたはずなのに、いざ目の前にすると胸がつまって、そんなことしか
言えない私。
「はい。郁未さんもお変わりなく」
「そ、そうだ。ゲームセンターには行った?」
「はい、私は郁未さんに感謝しなくてはいけません。この世界にあのような場所があった
とは。まさしくゲームセンターこそ神が我らに与え給うた聖地。全人類はゲームセンターに
集うべきなのです」
「変わってないね……ほんとに……」
 とりあえず上がってもらって、座布団を出してからお茶をいれる。
 ここしばらく他人が入ることのなかった部屋は、葉子さんがいるだけでなんだか暖かい。
「色々変わっていてびっくりしたでしょ」
 きちんと正座した葉子さんに、ティーカップを渡してそう尋ねる。
「そうですね。タクティクスがあんなことになっていようとは思いもしませんでした」
「…まあ、その件は置いといて…」
「そういえば、郁未さんにお土産があったのです」
 葉子さんはそう言うと、持参していたデイバッグを開く。
 中から出てきたのは、10個あまりのUFOキャッチャー人形だった。
「あはは、ありがとう。よっぽどゲーセンが面白かったみたいね」
「はい…。ついつい夢中になってしまいました」
「ふーん、いくらくらいで取れた?」
 人形のひとつを手にとって、眺めながら何気なく聞く。
「そうですね。ひとつ2000円くらいでしょうか」
 その瞬間、私の体が固まった。
8ゲームセンター葉子(2):02/01/27 22:56 ID:Ss6VcvZ0
「あ…」
「あ?」
「アホかぁぁぁぁぁっ!!」
 叫ぶ私に、傷ついたような顔で俯く葉子さん。
「アホ…」
「これ原価いくらだと思ってるのよっ!? UFOキャッチャーなんて2回失敗したら
諦めなさいよ! ああもう、勿体ないぃっ…!」
「そう…だったのですか」
 葉子さんは愕然としたように…まあ、表情はあんまり変わってないんだけど…か細い声を
出した。しまった、言い過ぎたっ。
「やはり無理なのでしょうか。私に失われた時間を取り戻すことなど…」
「ご、ごめんねっ。UFOキャッチャーの相場なんて普通わかんないわよね。うん、そん
なの大した問題じゃないわよ」
「そうですか。その後ぷよぷよで1面クリアーするまで1万円使いましたが、大した問題
ではないでしょうか?」
「…葉子さん、もしかして金持ち?」
「いえ、おかげで一文無しです」
「‥‥‥‥」
 この人…。これからまともに生活していけるのかなぁ…。
「やはり失われた時間を取り戻すことなど…」
「わーわーわー! いや、たかがゲーセンでそこまで思い詰めなくても」
「いえ、確かに後悔しているのです。後から知ったのですが、ゲーム機というものを買えば
無料でゲームのし放題というではありませんか」
「そりゃゲーセンにそこまで使うくらいならハード買うよね…」
「そこで、残ったお金でこれを買ってきました」
 バッグの底をごそごそとあさって、葉子さんが引っぱり出してきたのは…遠い昔に見た
覚えのある、赤と白の機体だった。
「郁未さん、一緒に遊びませんか」
 なんでファミコン…しかも旧タイプ…。
9ゲームセンター葉子(3):02/01/27 22:56 ID:Ss6VcvZ0
「これしか買えなかったのです」
「別にいいけどさあ。でもこれだけじゃ遊べないわよ。ソフトがないと」
「そうですか…。わかりました、アイスクリーム屋に行って買ってきます」
「違う違う!」
 う〜ん、今どきファミコンソフトって言っても、持ってそうな奴なんて周りには…。
 あ…いたっけ。
 命がけで宗教団体に乗り込もうというときに携帯ゲームを持ってきて、あまつさえ周囲に
布教しようとしたアホが。
「葉子さん、ちょっと待っててね」
 アドレス帳を引っぱり出して、メモしてあった番号に電話する。
「あ、由依? 郁未だけど、実はこれこれこういうわけで…」
 幸いにも由依はカセットを持っているらしく、持ってきてくれると言ってくれた。
「葉子さん、何のゲームがいいかだって」
「…それでは、テトリスを」
 一瞬硬直してから、目を閉じて静かに言う葉子さん。
 そういえば由依の携帯ゲームがそれだった。よっぽど気に入ったんだろうか。
『…うして』
『ゲームセ』
『リスを置』
 …え?
 それは意識の断片。
 私は意識を集中させ、流れをさかのぼる。
 その映像は、ゲーセンで店員に詰め寄る葉子さんだった。
『どうして、このゲームセンターはテトリスを置いていないのですか』
『で、ですが、あれのブームってもう数年前…』
『(キッ) あなたはテトリスへの信仰が足りません。アレクセイ・パジトノフの御意志に
よりあなたを消去します』
『そんなパジトノフがいるかーっ!』
 ‥‥‥。
 見なかったことにしよう…。
10ゲームセンター葉子(4):02/01/27 22:57 ID:Ss6VcvZ0
「由依、悪いけどなるべく早く持ってきて。私の命が危ないから」
「なんの話ですか? 郁未さん」
「はうあ! いや別になにもっ」
 電話を切って、引きつった笑顔を浮かべながら再度葉子さんの前に座る。
 葉子さんも涼しい顔でティーカップに口をつけた。
「それにしても、あのようなゲームがソ連で生まれるとは思いませんでした」
「うん、ソ連はなくなっちゃったけどね」
「はい?」
「ソ連、なくなっちゃった」
「郁未さん。いくら私が浦島太郎でも、騙そうとするのは感心しません」
「いや、本当だって…」
 ソ連崩壊を納得させるのに四苦八苦している間に、チャイムが鳴って由依がやってきた。
「こんにちはーっ。郁未さんがゲームに目覚めてくれて嬉しいですよっ」
「残念だけど、私じゃなくてこの人」
 紹介されて、深々と頭を下げる葉子さん。
「私の名前は、鹿沼葉子です。よろしくお願いします」
「は、はははいっ。名倉由依ですっ」
 そういえば直接会うのは初めてよね。由依は私の耳に口を寄せて、ひそひそ声を出した。
「綺麗な人ですねぇっ」
「まあね…」
「それはともかく、これがテトリスですよっ」
「こ、これが…」
 感動に目を潤ませ、手を合わせて拝み始める葉子さん。
「ありがたやありがたや」
「…ヘンな人ですね」
「まあね…」
 由依にファミコンを繋いでもらって、ロシア音楽の流れる中とりあえずプレーイ。
 …が、葉子さんの場には一瞬でブロックが積み上がり、気落ちして由依に交代した。
11ゲームセンター葉子(5):02/01/27 22:58 ID:Ss6VcvZ0
「私はテトリス神に見放されました…。もう生きていく価値もありません」
「どういう神様よ…」
「あはは、それじゃあたしがお手本を見せてあげますよっ」
 勢いよくスタートボタンを押してゲームを開始する由依。
「こ、これは!」
「画面に出現すると同時にブロックを落とし、凄まじい速さで消しています」
「それだけじゃないですよっ!」
 由依はコントローラーを持ったまま、天高く飛び上がって落下した。
「月面宙返り(ムーンサルト)ーー!」
 ‥‥‥‥。
 着地。
「MOON.だけにこの技を使ってみましたっ」
「…何か意味あるの?」
「これはですねぇっ。自分がブロックと同じ速度で落下することで、ブロックが停止して
いるように見えるんですよっ」
「ウソをつくなウソを!」
「郁未さん」
 常識的に突っ込んだのに、葉子さんにキッと睨まれてしまう。
「あなたはゲームへの信仰が足りません」
「んなもん信仰したくない…」
「いいえ、このゲームの技こそ人類を未来に導く救いの手。これから由依さんをゲーム神
さま、略してゲ神さまとお呼びしましょう」
「やな呼び方…」
「わっ、なんだか照れちゃいますよっ」
「喜ぶんかい!」
 突っ込む私を無視して、熱くゲームについて語り始める由依と葉子さん。ううっ、なん
だか疎外されてる気がする。
 ピンポーン
 あ、誰か来た。
12ゲームセンター葉子(6):02/01/27 22:58 ID:Ss6VcvZ0
「なんだ、晴香じゃない」
 玄関のドアを開けると、ウェーブのかかった髪を揺らして晴香が立っていた。
「ちょっと近くに寄ったから。ほら、この前言ってたノート」
「わ、サンキュー」
「友達のなんだから、早めに返してよ」
 手を合わせてありがたく受け取る。FARGOに行ってる間は授業に出られなかったしね。
「ていうか、ノートくらい自分の学校の奴に借りなさいよ」
「うーん、一応成績優秀陸上美少女で通ってるしさ…」
 この見栄っ張りが、という晴香の蔑むような視線を浴びつつ、由依も来ていることだし
とりあえず上がってもらう。
 部屋に入った途端、深々とお辞儀する葉子さんがいた。
「私の名前は、鹿沼葉子です。よろしくお願いします」
「ど、どうも」
 いい加減別の自己紹介を考えた方がいいと思う…。
 由依と同様に顔を寄せ、小声で尋ねてくる晴香。
「誰? この人」
「ほら、前に話した葉子さん。FARGOにいた人」
「ああ、郁未のマザコン仲間」
「ほっときなさいよ。自分だって似たようなもんでしょ」
「くっ…。それを言うならこの場の全員が同類じゃない」
「わっ、それじゃあたしたちってマザコンとマザコンとブラコンとシスコンの四人組みたい
じゃないですかっ」
「なんだか死にたくなるような面子ですね」
「葉子さん…真顔でそういうこと言わないで…」
 重苦しい空気が場に流れ…それを打ち破ったのは、やはり由依の明るい声だった。
「それより晴香さん、一緒にファミコンやりませんか?」
 なのに例によってばっさり切り捨てる晴香。
「なあに、高校生にもなってゲームなんて子供みたいなことやってるの? だからあんたは
貧乳なのよ」
 うわ、こいつ自分だって隠れゲーマーのくせに…。
13ゲームセンター葉子(7):02/01/27 22:59 ID:Ss6VcvZ0
 ショックを受けた由依は、葉子さんの肩を抱いてこちらに背を向けながら、屈み込んで
ぼそぼそと話し始めた。
「聞いてください葉子さん。晴香さんってあんな風に偉そうですけど、実はED直前で
相沢祐一も真っ青の現実逃避に走って、あたしがいなかったらヒッキー一直線だったん
ですよぉっ」
「そうだったのですか」
 ぽかぁっ!
 晴香にぶたれて、涙目で頭を押さえる由依。
「元祖現実逃避に言われたくないわっ! このアホがぁっ!」
「いたい…。ううっ、本当のことじゃないですかぁっ」
「うるさいわね、由依に発言権はないのよ。だってあんたは貧乳だから」
「これほど言ってるのにまだそんなこと言うですか! もう許さんです! 今すぐ首吊って
死ねよです!」
「また古いコピペを…」
 葉子さんに持ち上げられて少し強気になっているらしく、いつも晴香に虐げられている
由依が珍しく立ち上がる。
「勝負です晴香さんっ! あたしが勝ったら二度と胸のことは言わないでもらいますっ!」
「由依のくせに生意気じゃない。いいわ…その勝負受けてあげる」
「や、やめなさいよ晴香。由依ってゲーム上手いんだから」
「心配無用よ、郁未。私は誰にも負けないもの」
「ていうか人の部屋で喧嘩しないでよ。葉子さん、年長者として何とか言ってやって!」
「これ全てアッラーの思し召しです。まことアッラーはよく知りたもうお方」
「いい加減宗教から離れようよ…」
 結局人の話なんか聞かない二人は、コントローラーを握って勝負を開始した。
 画面に現れたのは、2個の風船を背につけたキャラクター達。
 バルーンファイト…。なんて恐ろしい殺し合いゲームを選ぶんだろう、由依は。
「ゲームスタート!」
 かけ声と共に、由依の操るキャラクターが宙高く飛び上がる。
14ゲームセンター葉子(8):02/01/27 23:00 ID:Ss6VcvZ0
「さあ、割っちゃいますよっ」
 素早い連打で敵キャラを次々落としていく由依。にも関わらず、晴香はコントローラーを
持ったまま全く動いていない。
「わっ。晴香さん、もう降参ですかっ」
「そんなわけないでしょ。そうね、そろそろいいかしら」
 言うやいなや頭上で両腕を交差させると…
「不可視の力で摩擦電気を起こし!
 レバー直撃! エレクトリックサンダーーー!」
「ええー!?」
 空中を稲妻が走り、画面が一瞬消えたかと思うと、復旧したときには晴香の得点は99万点
になっていた。
「なんじゃそりゃぁぁ!」
「ふっ、これがエレクトリックサンダー。摩擦電気でコンピュータを狂わせるという大技よ」
「って、それって対戦中にPAR使ってるようなもんじゃないですかぁっ!」
「うるわいわね、昔の偉大なゲーマーが使った由緒正しい技なのよ。くらえエレクトリック
サンダー二撃! 三撃! 連続五十撃だーーッ!」
「きゃぁぁぁーー!」
 あわれ電撃の余波を食らった由依は、消し炭になってその場に崩れ落ちた。
「ふんっ、あんたは私の下僕だってことが理解できた」
「ひ、ひどい」
「うう、無念ですぅ…。葉子さん、後は頼みます…」
「ゲ神さま…。分かりました、この第一使徒である鹿沼葉子にお任せください」
 いつの間にか使徒になってるし…。
15ゲームセンター葉子(9):02/01/27 23:01 ID:Ss6VcvZ0
「なによ、今度はあなたが相手? 身の程を知らないようね」
「煽るのはやめなさいよっ。一応相手は年上なんだから」
「え…年上だったの」
「そうよ23! 私たちより6つも上!」
「23? ババァじゃない」
 次の瞬間、晴香は血まみれになって床に転がっていた。
「晴香ぁぁぁぁぁっ!?」
「不思議なこともあるものです…。きっと天罰が下ったのでしょう」
「って葉子さん思いっきり不可視の力使ったでしょっ!」
「いいえ、全ては神の御意志です。郁未さんもこんな目に遭わぬよう、この怪しげな壷を
買ってください」
「自分で怪しげとかゆーなよ!」
 舌打ちして壷をしまう葉子さんに呆然としてる間に、瀕死の晴香の手が私の足に伸びる。
「い、郁未。後は頼んだわ…」
「ええー!? 正直言って関わりたくない…」
「勝たなきゃノート貸してやらないわよっ」
 晴香は泣かせるセリフを残してぶっ倒れた。
 振り向くと、既に葉子さんが本体に新たなカセットを差し込んでいた。
「葉子さん」
「はい」
「私…あなたのこと嫌いじゃない」
「…私もです」
「ならどうしてっ! どうして私たちが傷つけ合わなくちゃいけないの!?」
「それがゲーマーの宿命だからです」
「わけわかんねぇー!」
「それがゲ神さまの御意志であり神の声なのです。そもそもゲームとは古代エジプトに
おいて人の運命を定める儀式であり、M78星雲では…」
「わかった、わかりましたっ。それじゃ私が1コンね…」
 懐かしい音楽が流れ、画面に土管が映し出される。
16ゲームセンター葉子(10):02/01/27 23:02 ID:Ss6VcvZ0
 それは史上最大の殺し合いゲームにして、その後の任天堂ロードの端緒でもある…マリオ
ブラザーズだった。
 ゲームが始まり、ヒゲ親父が画面を走る。
「(悪く思わないでね葉子さん。ルイージなんて人生の敗北者を選んだ時点であなたの負け
は決まったも同然…)」
 というかそんな策を弄するまでもなく、葉子さんは勝手にカメに突っ込んで死んでいた。
「…郁未さん、不可視の力を使ったでしょう」
「使ってないわよっ!」
 ムカついたので、葉子さんが蹴り飛ばそうとしたカメを下から叩いて起こしてやった。
 あっさり死んで残り一人になった葉子さんは、恨めしそうな視線をこちらに向ける。
「な、何よ。勝負なんだから仕方ないじゃない!」
「…そうですね」
『何をしているの、あなたは』
「って、うわーっドッペル郁未!」
 いきなり背後に立ってる色の黒い自分に、思わず飛び上がる私。
『ジャンプしたところに体当たりしてカメの上に叩き落とすの。
 相手がカメを蹴ろうとした瞬間に、POWを叩いてカメを起こすの。
 火の玉から逃げようとする相手の前に立ち塞がって、ジャンプも邪魔して焼死させるの。
 それであなたは満足なの』
「違うっ! 私はそこまでしてないっ!」
『でも、それで相手は追いつめられているのよ。ほら』
 言われて葉子さんの方を見ると…
 何かを吹っ切ったような顔で、不可視の力を集中している葉子さんがいた。
「郁未さん、私は今、妙に心が静かです…。青い海、緑の大地が私を呼んでいる…」
「あ、あのね葉子さん。わかった、私の負けでいいから」
「このゲームに勝つためならば、このちっぽけな命燃やしても惜しくはない!」
「ちょっと待てーーっ!」
17ゲームセンター葉子(11):02/01/27 23:02 ID:Ss6VcvZ0
 葉子さんはひらりと宙に舞い上がり――
 両手を左右に伸ばし、足を上下に広げるという奇妙なポーズで、不可視の力を解放した。

「超 新 星 !!」(スーパーノヴァ)

『そのとき葉子は地球とひとつになった!』(←ナレーション)


 ‥‥‥‥。

 閃光が収まった後にあったのは、全壊した私の家と、なぜか無事なテレビと、1億点を
はじき出した葉子さんのスコアだった。
「こんな技を何度も使ったあらしより、それを受けて壊れないゲーム機の方が凄いと思い
ませんか?」
「言いたいことはそれだけ?」
 冷ややかに答える私に、葉子さんは無表情のまま、ちろりと小さく舌を出した。
「てへっ」
「…どこでそんな仕草覚えた〜〜〜ッ!」
「郁未さん、人は常に進化するものです。私も時代の流れに即応しているのです」
「ええいもうあんたとはやっとられんわっ! 何でこうなるのよっ! 私の家ーーっ!」
 寒風の中で絶叫が響き、そしてガラガラと音がして、ガレキの下から由依と晴香が顔を
出す。
「うわー、えらいことになっちゃってますねえっ」
「ええ、でもこれも試練かもしれないわ。だって人生とは、それ自体がひとつのゲームの
ようなものなのだから…!」
「(晴香が締めたーーー!)」(ガビーン)
 こうして住む家を失った私は、葉子さんと一緒に橋の下で暮らす羽目になったのでした…。
「ところで郁未さん、X−BOXはもうお終いでしょうか?」
「知らんわ!」
                                <END>
18名無しさんだよもん:02/01/27 23:03 ID:Ss6VcvZ0
>>7-17 「ゲームセンター葉子」
分かる人にしか分からんネタでスマソ。
19名無しさんだよもん:02/01/27 23:17 ID:NFRcco/F
>>18
いかん、すげえ面白いんだけどそれ以外の感想がない(w
ていうか面白過ぎ。脱帽っす。
20なにがしだよもん ◆ie2wgyeo :02/01/27 23:31 ID:Y9VmESSQ
>>7-17
余りに濃いネタだけど、ゲラゲラ大笑いした。
これは娯楽として、ホントに面白い!

何が良いって、キャラ立ちまくってるのがね、これがいい。
葉子さん、アンタの頭抜けたボケ、輝いてるよ(凸じゃなくて)!
晴子さん、葉子さんを「ババァ」と煽るその勇気、散りざまも含めて漢だなぁと思ったよ!!
由依たん、無駄に宙を舞うゲ神ぶりが素晴らしいよ!!
郁未たん、十分濃いキャラなのに他の三人に個性食われて肩身狭そうだなと思ったら、
タイミング良く(悪く?)出てくるドッペル郁未で爆笑したよ!!

分かるヤツだけ分かれと言ってるようでいて、
元ネタはゲームセンターあらしだよと、
さり気なくあちらこちらでほのめかしてるのもいい。
でもPAR(プロアクションリプレイ)はワカランでしょ、普通(笑)

オーチン・ハラーショ(とても、すばらしい)!
楽しかったです。もっともっと書いて欲しい。
21甘えん坊将軍@DEATH:02/01/28 01:28 ID:0qvfVDJ8
 これより書き込みます。
 長さは14レス分くらいです。
 陵辱ものです。
22因果応報:02/01/28 01:28 ID:0qvfVDJ8
 昼休み。
 俺は上機嫌で購買のパンをかじっていた。
 あたかも手ごたえを感じた試験の結果が返って来たときのような気持ちで。
 3時限目の休み時間に先輩に会って『それ』を確かめた時は全く問題が無かった。
 この分だと放課後まで頑張ってくれそうだ。
 今日は5時限目までだし、多分問題なく俺のお願いは叶うだろう。
 今朝、先輩にした俺のお願いが。
「浩之ちゃん。今日は随分ご機嫌だね」
 弁当箱と自分の椅子を手にして、あかりが俺の席にやってきた。
「おう、あかりか。俺は何時だってご機嫌だぜ」
 咀嚼して唾液とよく混ざり合ったパンをぐいと飲み込みながら俺は答える。
「そういえば、浩之ちゃん。最近来栖川先輩とよくお話してるね」
「さすが藤田浩之研究家の神岸あかりだな」
 軽口を交えつつ、俺はカフェオレにストローを挿した。
 一息に薄茶色の液体を流し込む。
 ぬるくなりかけてはいるが、ぱさぱさのパンを食べて乾いた口の中を癒すには充分だ。
 俺は席を立ってパンの袋とカフェオレの容器を教室の隅っこにあるゴミ箱に押し込んだ。
「でも…浩之ちゃん」
 席に戻った俺にあかりが訊く。
「先輩と…何してるの…?」
 俺はあかりの質問には答えず、自分の机に突っ伏した。
 初夏の太陽が俺の窓際の席に降り注ぐ。
 いくらあかりでも、俺と先輩の秘密を教えるわけにはいかない。
「ふあぁ…」
 俺は生あくびを一つし、窓の方に顔を向けて頬杖をついた。
23因果応報:02/01/28 01:29 ID:0qvfVDJ8
 つい先日、俺が先輩に冗談半分に頼み込んで作ってもらった惚れ薬の効果はてきめんだった。
 惚れ薬のおかげで俺と先輩は結ばれたから。
 元々俺と先輩の心は通じ合ってはいたようだが、あの薬のおかげでお互いの身体までもが結ばれたのだ。
 あの薬の副作用はそれだけではない。
 部室で先輩と交わった後も、俺は四六時中先輩のことを想うようになっていた。
『四六時中』と言うのは決して大袈裟な表現ではない。
 先輩の存在が俺の頭から離れることはあの時以来、全く無くなったから。
 当然、先輩が作ってくれた薬の効果は今もなお続いている。
 分量の違いこそあれ、俺と同じ薬を飲んだ先輩も今の俺と同じくらい、俺のことを想ってくれているに違いない。
 俺と先輩が部室で結ばれて以来、放課後のSEXが日課になっているのが何よりの証拠だ。
 あかりと何気ない会話を交わしている今も俺のナニははちきれんばかりに勃起し、先輩の柔かな肉襞を求めている。
 股間の不自然な膨らみを隠すのはかなり骨が折れるが、校内で勃起したまま歩き回ると変態扱いされるのは間違いないし、第一志保にナニを言われるか解ったものじゃない。
『何気ない普通の生活』を送っている事をあかりや志保といった身近な人間に見せておかないと俺と先輩との愛の営みが勘付かれ、余計な邪魔が入る可能性もある。
 トイレで欲望の丈を思い切り吐き出し、スッキリしたいところだが、そうすると俺は先輩を裏切る事になる。
 しかし、今朝俺が先輩にした『お願い』が叶えられたならば、俺と先輩の絆はさらに深まるに違いないのだ。
 先輩だって、今、俺の期待に応えるべく頑張っているのだから俺も我慢しなければ申し訳が立たないだろう。
 俺はあかりに顔を向けた。
 さすがに先輩特製の惚れ薬も、先輩以外の女の子には効果が現れないようだ。
 あかりの顔を見ると、俺の下半身の疼きは多少なりとも収まった。
「ねえ…浩之ちゃん」
「あん?」
「ううん…なんでもない…」
24因果応報:02/01/28 01:30 ID:0qvfVDJ8
 待ちに待った放課後。
 俺はわき目も振らずにオカルト研の部室に向かった。
 今日の結果如何で、先輩が俺をどのくらい想っていてくれるかがわかるのだから
勇み足になるのは無理もない。
 先輩に貰った部室の合鍵でドアを開けて、俺以外のもう一人の部員が来るのを待つ。
 程なくして、鉄のドアが開き、もう一人の部員…先輩がその姿を表した。
「いよう。先輩」
「…」
 いつもと違い、先輩の顔は上気し、頬は赤く染まっている。
 余程注意してないと解らないだろうが、息遣いも多少荒い。
 初対面は無表情で一見とっつきにくいような雰囲気を立った先輩だったが、今や俺の
虜になっているのだ。
 勿論そういう俺も先輩の虜だが。
「どう? 俺のいう通りにしていてくれた?」
「ぃ…」
「へえ。さすがは俺の先輩だ。すごいな」
 さも感心したように俺が言うと、先輩はこくんと頷き、恥ずかしげに目をそらせた。
「じゃ、じゃあ先輩。早速服を脱いで」
 俺の言葉を聞いた先輩はますます顔を赤らめるが、別段嫌がる様子もなく、制服を脱ぎ始めた。
 ブラウスを脱ぐと、先輩の豊かで形のいい胸が露になる。
 ただ、いつもと違ったのは先輩のたわわな胸を搾り出すように縄がきつく縛り付けられていることだ。
 更に、胸の先端に色づく桜色の乳首は洗濯バサミに挟まれている。
 そして先輩はスカートを脱ぐ。
 上品で清楚な下着は先輩のいやらしい汁でぐしょぐしょになり、大きな染みで彩られている。
 先輩のアソコを包む下着が取り払われると、俺は改めて『お願い』が叶った事を実感した。
 今朝、俺が先輩のアソコに挿し込んだローターはそのままになっているから。
 ただ、3時限目に確認した時と違っていたのは、ローターがもはや動かなくなっていたことだ。
 さすがに朝からずっと電源を入れたままでいると電池が切れてしまうか、壊れてしまうかの
どちらかなのだろう。
25因果応報:02/01/28 01:32 ID:0qvfVDJ8
「先輩…ローターでアソコを苛められるのは好き?」
 俺が尋ねると、先輩は恥ずかしげに顔を背け、こくんと頷いた。
「じゃあ今度は、俺のとローターとのどっちでアソコを苛めて欲しい?」
 先輩は頬を赤らめたまま、浩之さんのでです、と答えた。
 俺はローターを先輩のアソコから抜き、先輩を絨毯の上にうつ伏せにする。
 代わりにナニを思い切り深く押し込んだ。
 絶え間なく刺激を与えられ、弄られ続けて、いやらしい汁でドロドロになった先輩のアソコはすんなり俺のナニを飲み込む。
「ぁぁぁぁぁ…」
 先輩は控えめな喘ぎ声を上げる。
「じゃあ先輩。今から俺が思い切り苛めてあげるからね」
 俺がナニを先輩の奥深くまで送り込むと、先輩は背中を折れそうなくらいに仰け反らせ、苦痛なのか快感に喘いでいるのか解らない声を上げて俺に答えてくれた。
 先輩のひくひく蠢く膣の動きからすると、ひょっとしたら入れただけでイッてしまったのかもしれないが、それに構わず俺は腰を動かして先輩の膣内を犯す。
「ふはぁぁぁぁっ…」
 先輩の腰も俺の腰の動きに合わせて蠢き始めた。
 俺は、先輩のお尻をがっちり掴んで更に先輩を突き続ける。
 俺の腰の動きに合わせて先輩の豊かな胸がたぷたぷと揺れる。
 胸が揺れて洗濯バサミが振られるぶん、先輩の乳首に痛みが走っているかもしれない。
 俺は、縄で縛られて質感の増した先輩のたわわな胸に後ろから手を廻し、乳首を挟む洗濯バサミを外してあげた。
「あはぁ…」
 手の平で先輩のすべすべした胸を搾り出すように揉みしだき、両の人差し指と親指で思い切り乳首を摘んだ。
「ひっ…」
 小さな叫び声と同時に、先輩の柔かで温かい膣がきゅんと締まる。
 先輩は顔を絨毯につけ、腰を浮かせたようになった。
「先輩…先輩…先輩…」
 俺は憑かれたように先輩を呼び、何度も何度もナニで先輩の膣奥を犯し続ける。
26因果応報:02/01/28 01:32 ID:0qvfVDJ8
「あぁ…可愛い…可愛い…俺の先輩…」
「あはぁっ…浩之さん…浩之さん…」
 ひたすら互いの名前を呼び合う。
 本能のままに。
 力一杯先輩の胸を揉みしだきつつ、ナニの先端で先輩の子宮口を何度も何度も小突くと、俺の肉棒を包み込む先輩の膣壁がひくひくと蠢き始めた。
 朝からずっと勃起したままでいたせいか、限界は近そうだ。
 射精感がこみ上げる。
 思い切り中出ししたいところだが、天下の来栖川家のお嬢様を妊娠させたのでは後々厄介な事になる。
 俺は最後に残った一欠けらの理性を総動員して先輩の膣内からナニを抜いた。
「ううっ…先輩っ!」
 ちゅるんという水音と共に、俺のナニが先輩のアソコから抜けた瞬間。
 俺の先端から精液が迸った。
 いきおいよく射出された精液が先輩の背中に降りかかる。
 先輩の薬の効果がまだ続いているせいか、俺のナニは未だに萎えずにカチカチに硬度を保ったままだ。
 先輩もイッてしまったらしく、ぴくぴくと小刻みに身体を震わせている。
「先輩…二回イッちゃったの?」
「ぃ…」
 辛うじて顔だけをこちらに向け、先輩はそう肯定した。
「ふ〜ん。じゃあ不公平だな」
「…」
 俺は無理矢理先輩を仰向けにした。
 先輩の両足を左右に思い切り開くと、半透明の粘液でとろとろになった、股間に色づく
綺麗な桜色の肉襞がひくひく蠢いているのがよく見える。
27因果応報:02/01/28 01:33 ID:0qvfVDJ8
 身体の中で一番恥ずかしいところを俺の目の前で露にされた先輩は俺から顔を背けた。
 先輩の羞恥に満ちた表情は、俺に罪悪感を覚えさせるどころかむしろ劣情をかき立てる。
 俺がこんなに先輩を苛めるのは、先輩が作ってくれた惚れ薬のせいであって決して
俺の責任ではない。
 確かに惚れ薬を作ってくれと頼んだのは俺だが、実際に薬を作るかどうかを、そして
実際に薬を飲むかどうかを決める権利は先輩にもあったから。
 そう、コトの発端は先輩が作った薬にある。だから先輩が俺に苛められているのは
因果応報なのだ。
「うわぁ…先輩の、いやらしい汁が垂れ流しになってる…」
「…」
 俺の言葉で、ますます顔をほんのりと赤らめる先輩。
 実際、先輩のアソコからは愛液が泉のように湧き出て、お尻や部室の床に敷かれた
絨毯にまで伝い落ちている。
「でも先輩が悪いんだからな。先輩が作った惚れ薬のせいで俺は先輩を苛めないと気が
済まなくなってしまったんだ」
 そう言いつつ、俺は先輩の首を締め始めた。
 ほんの少し怯えの色が窺えたが、俺はカチカチに昂ぶったナニを思い切り奥まで突っ込み
先端で子宮口を小突き始める。
 俺が腰を送り込む度に、先輩のヒダがナニに心地よい刺激を与える。
「ぁぁぁ…」
 遠慮がちによがり声を上げる先輩。
 俺に首を締められ、怯えの色が色濃かった先輩の表情も段々快楽に満ちたものに変わり始めた。
 そして…俺が先輩の首を締める手に力を入れる度に、先輩の柔らかい膣壁が俺のナニを
きつく締めつけるようにも…。
「それにしても…首を締められても感じるなんて、正真正銘のマゾだな。先輩」
「あっ…はあっ…ひ…浩之さぁん…」
 俺は先輩の身体から更なる快楽を得るべく、首を締める手に力を入れたり、緩めたりし続ける。
28因果応報:02/01/28 01:34 ID:0qvfVDJ8
 かちゃり。
 先輩の嬌声と俺の喘ぎ声、そして先輩のアソコが俺のナニを飲み込むたびに立てる
卑猥な狂宴の中でもはっきり耳に入る金属音。
 ドアノブが廻された音に他ならない。
 俺は大急ぎで先輩と交わるのを止め、手近にあるズボンに手を伸ばす。
 いくら合意の上とはいえ、部室でこんなことをやっていたのがバレたのでは絶対ただでは済まない。
 もし部屋に入ってきたのが教師だったら?
 俺は、ほんの一瞬の間に脳をフル回転させて言い訳を考えつつドアの方を向く。
「!? 先輩!?」
 何故裸だった先輩が制服を着てるんだ、何故その制服が寺女のものなんだ。
 驚きと共に、そこまで考えをめぐらせた瞬間。
 首筋に重い衝撃が走り、俺は昏倒した。

「う…」
 思わず漏れる呻き声。
 頭の芯がガンガンする。
「お目覚めかしら?」
 先輩とは違う凛とした感じだが、先輩と同じ声が俺の耳に入る。
 ぼやける視界の中、ようやく俺はその声の主の顔を確認した。
「綾香…?」
 この部屋に入ってきた人間が、別に教師でも生徒でもないことを知ってほっとすると同時に
一つの疑念が沸き起こる。
『何故綾香がこんなところにいるんだ?』
という疑念が。
29因果応報:02/01/28 01:35 ID:0qvfVDJ8
「久しぶりね。浩之」 
「あ…綾香…お前なんでここにぐえっ!」
 ドボッ!
 下腹部に鈍い衝撃が走った後、耐えがたい痛みが広がる。
「うっ…ぐうぅ…」
 余りの激痛に身体を折り曲げる。
 先輩から聞いた話だが…確か…綾香はエクストリームにも出ている猛者だったっけ…。
 絨毯に手をついて立とうとするが、両手が動かない。
「無駄よ。あなたが姉さんを縛っていた縄を使わせてもらったわ」
 勝ち誇ったように、俺の前に立ちはだかる綾香。
 そこで俺は初めて、手首を拘束する縄の感触に気付く。
 完全に後ろ手に縛られてしまっている。
「最近、姉さんの様子がおかしいと思っていたんだけど…私の思ったとおりだったわ」
 縄で縛られ、おまけに無防備な状態で下半身を晒している屈辱感。
 それも先輩の前で。
「な、なあ、先輩。これって一体どういうことなんだ?」
 俺はまさに救いを求めるような気分で、先輩に話し掛ける。
「…」
「えっ? 『浩之さんには私だけじゃなく綾香も味わって欲しい』って? ちょ、ちょっと。
ひょっとして先輩…今までのことを喋っちまったのか!?」
 こくん。
 返事の変わりに、縦に振られる先輩の首。
 綾香は…スカート、ブラウス、そして先輩と同じく白い下着を既に脱ぎ去ってしまっている。
 こんな状況下とはいえ、情けなくも俺の下半身は、お嬢様の…それも姉妹揃ってのヌード姿を
見せ付けられて反応してしまう。
30因果応報:02/01/28 01:36 ID:0qvfVDJ8
「姉さんのお墨付きなんだから…愉しませてくれそうね」
 細く、しなやかな白い綾香の指が俺のナニを摘む。
「ちょ、ちょっと待て綾香! お前、一体これからナニを」
「うっさいわね」
 スパーン!
 強烈なビンタが俺の頬に炸裂する。
 普通、小気味よい音のビンタはその音の割に痛みは少ないのだが、綾香の場合は
音もさることながら、威力の方も凄まじい。
「い…いてぇ…」
 脳の髄にまで届きそうな衝撃。
「でも浩之の…元気なままよ」
 いくらなんでもここまで痛めつけられたのでは、萎えてしまっても不思議ではないが
俺のナニは一向に萎える気配を見せない。
 それどころか、綾香に痛めつけられる度に一層硬さを増している。
 まさか…先輩が作った惚れ薬の影響もあるのか…?
 そこまで考えた瞬間。
 ぬちゅっ…。
 耳慣れた水音と共に、綾香のアソコがいともあっさりと俺のナニを飲み込む。
「あっ…硬い…」
 俺を痛めつけていて濡れていたなんて…まさか、綾香は…。
「残念だけど、これからが本番よ」
 そう言いつつ、綾香は俺の首を両手で締め始める。
 ひょっとしたら…コイツは人を苛めることで快感を得るタイプなのか…?
 俺を縛ったことといい、先ほどのケリといい…。
31因果応報:02/01/28 01:38 ID:0qvfVDJ8
 綾香は、俺に馬乗りになったまま話し掛けてくる。
「ねえ…浩之…。貴方、私のことをかなりのサディストだと思ってるでしょ?」
「お、思ってない」
「ウソおっしゃい!」
 そう叫ぶなり、綾香は、俺の首を締めている手にぐっと力を入れ始める。
「うぐぇっ…」
 思わず漏れる呻き声。
 エクストリームに向け、日々鍛錬を積み重ねているだけあって生半可な力ではない。
 それでも決して全力をこめているわけではない事を、綾香の表情が雄弁に物語っている。
『その気になれば、浩之の首なんかいつでもこの手でへし折る事ができるのよ』
と。
 苦しい。
 綾香が俺に馬乗りになっている為、腹式呼吸をすべく腹筋に力を入れても、綾香の臀部が
その度に俺の腹部を思い切り押さえつけてくるからだ。
 必死に大口をぱくぱく開け、腹筋を動かし、ひたすらもがく俺の有様を、綾香は侮蔑の
入り交じった満足げな表情で眺めてくる。
「あははっ♪ 浩之、酸欠で苦しんでる金魚みたい」
「ぐ…ぐるじ…」
「苦しいの? でも浩之の…どんどん大きくなってるわよ…?」
 綾香の言う通りだ。
 身体を痛めつけられているにも関わらず、俺のナニは綾香の中で膨張し続けている。
「男ってコトの最中、女の首を締めるそうね。締りがよくなるから」
「…ぎ…が…」
「浩之もこんな風に姉さんの首を締めたんでしょ?」
「ぐぅ…」
「どう? 姉さんと同じ立場になった気分は?」
「…げぇ…」
32因果応報:02/01/28 01:39 ID:0qvfVDJ8
『ッも…も…ぅ…じ…死ぬ…』
 首を締め続けられ、そろそろ頭部への酸素供給が足りなくなり始めたのだろう。
 意識が薄れだす
 そんな中、漸く俺も綾香の目的を理解した。
 俺は(先輩の作った薬品のせいとはいえ)あれだけ先輩を苛めたのだ。
 姉が酷い目に合わされたのなら、その妹が姉を苛めた人間に仕返しを試みても何ら
不自然ではない。
 むしろ当然の行為だろう。
「でもね浩之。あなた、かなり素質あるわよ」
「…?」
「さっきからあれだけ痛めつけられてるにも関わらず、未だにカチカチなんだから」
 綾香の手の力が徐々に緩むにつれ、俺の意識も段々戻り出す。
「私はね、あなたが姉さんを苛めてくれて嬉しかった…」
「ぎゃ…逆じゃないのか…?」
 荒い息交じりに、俺は綾香に尋ねる。
「ううん…だって姉さん、幼い頃お爺さんに随分厳しく育てられてたのよね…。傍目から見てても」
「そりゃまあ…来栖川家の長女だからな…」
「そのせいか、『普通』じゃなくなっちゃった…。『優しさ』ではなく『厳しさ』が
心地良いと感じるようになったのよ。一言で表すと『マゾ』ね」
 今まで先輩が俺の無茶な要求にも応え続けてきたのは、薬の効果に加えて先輩自身の性格も
影響していたということか。
 綾香は続ける。
「今まで姉さんと付き合おうとしてきた男が皆無だったってわけじゃないわ。妹の私が言うのも
ナンだけど、とっても美人だし。でも誰も姉さんがマゾだということは気付かなかった。
尤も、それ以前に『来栖川』という名前に萎縮してしまったのね…。…浩之を除いて…。
姉さんに『来栖川』というレッテルを貼らずにいたのは浩之、多分あなたが初めてよ」
33因果応報:02/01/28 01:39 ID:0qvfVDJ8
 綾香の話を聞くうちに、先輩の本当の姿が浮き彫りになってゆく。
 幼少の頃、厳しく育てられた先輩。
 箱入り娘だったが故に友達もできず、自分の周りの環境がどれほど異常なのかを
知ることすらできなかった先輩。
『異常』を『通常』として受け入れるべく、自分を変えざるを得なかった先輩。
 その結果『痛み』をも『快楽』として受け入れるようになってしまった先輩。
 お嬢様はマゾ。
 だが、どうしてもわからない事が一つだけある。
 何故、マゾである先輩を苛めた俺がこんな目に合わなければならないのか?
 感謝される…まではいかなくとも、ここまで恨まれる筋合いはない筈だ。
 俺はその疑問を解消すべく、綾香に話し掛ける。
「なあ、綾香」
「ナニ? 浩之」
「じゃあ、どうして俺が綾香にこんな目に合わされてるんだ?」
「簡単よ。私はサドだから」
「な…!?」
「あら? カンのいい浩之のことだから私がサディストである事くらい気付いてたと
思ってたんだけどな」
「ちょ…ちょっと待て!! そんな事気付くわけないだろ!!」
 口ではそう言うものの、俺はなんとなくそう思っていた。
 先ほど綾香に、『私のことをサディストだと思ってるでしょ?』と訊かれた時から。
「ねぇ…浩之ぃ…私がサドである理由…知りたい…?」
 先ほどとは違い、媚びたように話し掛けながらも、再び綾香は俺の首を締める手に力を入れ始める。
「も…もうやめてくれ。お願いだから」
 そう懇願する一方、綾香に首を締められ、責め立てられる事に奇妙な興奮を覚えている
自分がいるのも事実だった。
『ヘタしたら殺されるのではないか?』という恐怖感の裏で。
34因果応報:02/01/28 01:40 ID:0qvfVDJ8
「私は普通じゃない…」
 先ほどとはうって変わって、綾香はしんみりとした調子で俺に語りかけ始めた。
「そう…普通じゃないのよ…」
 確かにこんな事をしている時点で普通じゃないなと言いたいところだが、もしそう
口走ろうものなら俺の命はいくつあっても足りないだろう。
「子供の頃から、勉強もスポーツも私にかなう人はいなかった。私は姉さんと違って
外国で自由奔放に育ったから、自分と周りを比較する機会が多かったのは当然だったけど」
 綾香は続ける。
「でも…一人だけ私に『凄い』と思わせるような人がいたっけ。私の家庭教師をしてくれてた人だった。
 彼は、来栖川家の次女である私に勉強を教えているということで随分自信家のようだったわ。
 私、最初は素直に彼に憧れたし、畏敬の念も抱いてた。けれどそれじゃ物足りなくなったのよね。
 どう言えばいいのかしら…。壊したくなったのよ、彼を。何となくだけど。
 彼に勉強を教えられるうちに、私と彼の立場は段々逆転していったっけ。教えられている
立場にある私が、教える立場にある彼よりも遥かに知識を持つようになったのだから。
 私に逢うまでは勉強でもスポーツでも負け知らずだったのでしょうね。立場が逆転するにつれて
私から距離を取り始めた彼の態度は見ていて滑稽なものがあったわ」
「…」
「で、私はとどめに空手の試合を申し込んだ。そして完膚なきまでに彼を叩きのめしたわ。
 あの時私は『来栖川』の名を冠しない一人の人間だった。だから彼も汚名挽回の絶好の
機会だとばかりに全力でかかってきたわ。私をナメていた試合開始直後はともかくね。
 で、試合の後で気付いた。他人を壊すのも面白いけど、私にとってそれ以上に面白いのは
私の苗字に臆することなくかかってくる人間を壊すことなのだと」
35因果応報:02/01/28 01:41 ID:0qvfVDJ8
「エクストリームに出場し始めたのもそれが理由だった。合法的に他人を叩きのめせるもの。
 尤も、『来栖川の令嬢』というレッテルは貼られたままだったけど」
 ゆ…歪んでいる。
 環境は人をこうも歪めてしまうのか。
「だから浩之、私はあなたのように『来栖川』の名に萎縮しない人がとても好きなの。
そのことは別段私に限ったことではないわ。勿論姉さんも来栖川というレッテルを貼らずに
対等に付き合おうとする浩之の事が好きに違いない。あまつさえ苛めるくらい度胸の
あるような人がね。姉さんは浩之に苛められて気持ちよくなり、私は浩之を苛める事で
気持ちよくなれる。浩之は姉さんを苛め私に苛められる事で気持ちよくなれる…。
いいことずくめじゃない」
「だ…だからちょっと待ってくれって。俺は別にマゾじゃ…」
「ううん。浩之には姉さんを上手に苛める事のできる素晴らしいサディストになってもらいたいの。
良きサディストであるためには良きマゾヒストでなくてはならない。相手の立場になって初めて
愛情のある苛めができるのだから。第一あなたには…」
 そう言いつつ、綾香は腰を激しく動かす。
 俺の首を締めたまま。
「…マゾの素質があるわ。…あっ…ひょっとしたら…はぁ…姉さん並…かも」
 綾香のその言葉を裏付けるかのように、肉体に苦痛を与えられている状態にも関わらず
俺のナニは膨張する。
「もし…もし私より先にイッちゃったりしたら殺すわよ…。浩之…」
 ただでさえぎゅうぎゅう締め付ける綾香の膣壁なのに、腰の動きが加えられたのでは
長く持ちそうにない。
 綾香の腰が動くたびに、食い千切るような感触が俺のナニを攻め立てる。
 さすがにスポーツに打ち込んでいるだけあって、締まりの方もかなりのものだ。
「頑張るわね…浩之」
 そう言いつつ、綾香は俺の首を締めた手に更なる力をこめ始めた。
『こんなに気持ちいいのなら…今殺されても悔いはない…』
 常軌を逸してはいるだろうが、これが今の俺の偽らざる感情だった。
36因果応報:02/01/28 01:42 ID:0qvfVDJ8
「浩之ちゃ〜ん。学校へ行く時間だよ〜」
 いつものように、幼なじみの声が響き渡る。
 あ〜、くそっ。別に幼なじみだからといって毎朝毎朝迎えに来ることなんかねぇんだよ。
 正直、幼なじみの存在が今まで以上にウザく感じるようになってきた。
「んだよ、うるせえな」
 鬱陶しさと眠気に顔をしかめつつガチャリと玄関を開けた瞬間。
「ひ…浩之ちゃん、どうしたの…? 疲れてるの?」
 幼なじみの顔色が変わり、声もうわずる。
 彼女の反応から察するに、どうやら俺の表情には不機嫌さよりも疲労困憊の色の方が
より強く浮かんでいるようだ。
 無理もない。昨日は先輩のみならず、綾香をも相手にしたのだから。
「別にどうもしねえよ」
「あっ…待ってよ」
 俺はしつこく付き纏う幼なじみに構わず、学校へと歩き出す。
37因果応報:02/01/28 01:45 ID:0qvfVDJ8
 学校へ行く道すがら、俺は考える。
 確かに俺は先輩を苛め、自分の思うままにしているが、これからは綾香にも
痛めつけられることになるだろう。
 別にそれでも構わない。
 先輩を俺の意のままにしているのだからそれくらいのリスクを負うのも当然だ。
 いや…むしろ今の俺は綾香の責めにも心地よいモノすら感じるようになっていた。
 綾香は俺を苛め散らかし、苦痛を与えているつもりなのだろうが、その過程で俺の
ナニを膣内に飲み込み、『来栖川』という名に恥じるようなはしたないよがり声を上げている。
 それを思うだけで、えもいわれぬ満足感が俺の身を震わせるのだ。
『なあ綾香…お前は俺をオモチャか奴隷にでもしたつもりなのだろうが、実際は俺の
手の平で踊らされてんだよ…。今の俺はお前の責めを心地よいと感じるくらいの余裕が
できてんだからな。いわば、俺はお前のオモチャに『なってやってる』ようなもんだ…。
お前が俺を責めれば責めるほど、俺がお前を犯す度合いが高まっているわけだから
『因果応報』じゃねーか。
 たぶん俺を痛めつけていい気になってるお前には気付きもしないだろうがな』 
 先輩を責め、綾香に責められる事を想像するだけで、疲れた身体にも気合が入る。
 ふたりを独占しているのはこの世でも俺一人だけだから。
 それを思えばこの程度の疲労などなんでもない。
38因果応報:02/01/28 01:45 ID:0qvfVDJ8
「それにしても、姉さんの薬の効き目は凄いわね」
「…」
「浩之さんを私だけのモノにするためには何でもするって? 姉さん、それを言うなら
私『達』だけのモノ、でしょ?」
「…」
「それにしても、あれだけ素質があってイキのいい男だとは思わなかった」
「…」
「そうね、姉さん。浩之は私達にとって最高のオモチャだわ」
「…」
「えっ? 因果応報? あはっ、そうかもね。姉さんを惚れ薬で独占しようとしたから
浩之は私達のオモチャになるハメになっちゃったのかもね」
39甘えん坊将軍@DEATH:02/01/28 01:47 ID:0qvfVDJ8
>>22-38『因果応報〜お嬢様はマゾ&サド〜』
 以上です。
40名無しさんだよもん:02/01/28 11:21 ID:Dsvi4jXX
>>39
また真昼間から強烈なものを・・・。
堪能させて頂きました。
41名無しさんだよもん:02/01/28 19:41 ID:Yin1RDeR
>>22-38
読んで鬱になった…。
42名無しさんだよもん:02/01/29 00:40 ID:xVGfrOqB
>22-38
なるほど、凝った構成、流石です……

ただ序盤の展開から予想して下半身装甲取り外した
俺の間抜けな姿はどうすりゃいいんだゴルァ(゚д゚)
43なにがしだよもん ◆ie2wgyeo :02/01/29 13:30 ID:yFWkD6El
>>22-38
何処かで読んだことがあると思ったら…これは、「お嬢様はマゾ」の
完全版じゃないか。
と思ったら綾香、壊し屋のサド女王様になってるし、浩之奴隷に
されてるし(^_^; …なんか、とんでもない展開で、エロを楽しむより
ストーリーを追う羽目になってしまった。

場面の描写がはっきりしないところ(綾香登場シーン。綾香と芹香は
よく似ているということを、私は失念していた)があったけれども、
楽しめた。ただ、この作品、陵辱というより虐待ものといったほうが
近いかもしれない。
互いに「因果応報」と言い合ってるのが間が抜けていて、どっちも
どっちだよなぁ…。
44甘えん坊将軍@DEATH:02/01/29 22:24 ID:u2htvy6n
>>40-43
 御感想、御指摘有難うございマス。血となり肉となりました。
 読み直すと、確かに綾香の登場シーンにまだまだ手を加える余地がありますね。
 ではまた。
45名無しさんだよもん:02/01/30 00:02 ID:G8W3jfRb
>>22-38
激しくワラタ。
流石は将軍様、エロだけじゃなくユーモアもたっぷりですな。
46名無しさんだよもん:02/01/30 23:11 ID:G0hpXYhU
>44
いや、綾香の登場シーンはこのままでいいと思う。
凝った構成でちょっとブラックなところが上手いね。
しかし、来栖川姉妹は二人とも歪んでるなあ(w
47名無しさんだよもん:02/01/31 23:05 ID:sfgIw4qh
結局やってる事は前と変わってないじゃん。
サロンうざ。
48名無しさんだよもん:02/01/31 23:18 ID:FmsqxO4Z
>>47
じゃあ来なきゃいいのに。
49名無しさんだよもん:02/01/31 23:51 ID:4OXt/hMA
ageとこう。
>48 反応しちゃダメ。前スレと同じ轍を踏むわけにゃいかん。
50前422:02/02/01 00:09 ID:F3L8qKzG
>>47
えっと、スレに物申すな意見は
前スレの方にお願いナ、議論はスレ汚しになっちまうでナ。
http://wow.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1009774787/l50

こう見えてもちゃんとチェックはしてるんでナ。
後内容はもう少し具体的にな、そうでないと一覧表に加えるに加えれないからナ。

やばげな問題が浮き彫りになるようだったら、ちゃんとスレ住人に伝わるように
活動するつもりなんでよろしくナ。
5118:02/02/01 22:14 ID:X6Ze9idq
>19-20
こんな時に何だが感想サンクス。
52名無しさんだよもん:02/02/02 19:11 ID:5OrY1OYy
メウェンテ
53名無しさんだよもん:02/02/03 13:46 ID:4WA/0Mry
ageとこう。
54名無しさんだよもん:02/02/04 22:50 ID:w8CXLvT5
5547ではないが:02/02/04 23:05 ID:ZgtkWyKb
56みゆう ◆MIYUciEM :02/02/05 01:24 ID:d3A1mSev
これより、椎名繭のSS、4レス分、投稿します。
なお、ややシリアスなラブコメっぽい(なんじゃそりゃー)内容です。
57みゆう ◆MIYUciEM :02/02/05 01:27 ID:d3A1mSev
「よぉ、椎名、どうしたんだ?」

椎名は、不器用にリボンの結ばれた箱を体の後ろに持っていた。
隠しているつもりで、全然隠れていないのが、また、こいつのかわいいところ
だ。

「う〜」

「なんだ、何か俺に渡したいものがあるのか」

そういうと、やっと、その物を、背中から大事そうに取り出し、俺に差し出し
た。

「これ、俺がもらっていいのか?」

「みゅ〜っ♪」

ははぁ、そういうことか。
俺は日曜日のことを思い出した。

俺がソファーでテレビを見ながら、ゆっくりしていると、どたどたと、廊下を
椎名があがりこむ音が聞こえた。

「椎名、どうしたんだ?」

「う〜。ゆきこさん・・・。」

「何だ?俺に用じゃなくて、由起子さんに用なのか?」
58みゆう ◆MIYUciEM :02/02/05 01:27 ID:d3A1mSev
「チョコレートのつくりかた習いにきたんだもぉん」

「は?」

そう思ったとき、もうすぐバレンタインだったことを思い出した。
そして、由起子さんは、お菓子つくりが上手だったからな。

「でも、ふつー、そういうことは、本人に言ったらだめじゃないのか?」

「うー。違うもぉん。こーへーにはあげないもん」

そんなやりとりのあと、由起子さんと椎名は、台所にこもって、なにやらがちゃ
がちゃやっていたっけ。
俺が覗こうとすると、噛み付きそうな勢いで、うーって、うなられもしたな。
結局、俺にくれるんだな。本当にわかりやすくて、かわいいやつだ。

「ああ、サンキュな。椎名」

そういって、頭を撫でてやる。
椎名は目を細くして、気持ちよさそうにしている。

「ところで、おなかもすいてきたことだし・・・」

「ほぇ?」

「あけてもいいか?」

「うー」
59み ◆MIYUciEM :02/02/05 01:30 ID:d3A1mSev
どうもここであけて食べるという案は気に入らないようだ。
だが、くまさんクッキーだろうが、なんだろうが、食べ物はすぐに食べてしま
わないと気がすまないのが俺の性格だ。
そこで、俺は言った。

「椎名、一緒に食べようぜ。」

「うー・・・・・うん。」

しばらく考えた後に、椎名はうなずいてくれた。
なんだかんだ言っても、甘いもの好きだからな。
そして、不器用な包装をぺりぺりと剥がしていく。

その中には、悲しいくらいぶかっこうなハート型のチョコが一つ入っていた。
う・・。これはさすがに・・・・。俺は一瞬凍りついた。
やばい。その引きつった表情を、椎名に見られてしまった。
こいつは、言葉よりも、表情で人間の感情を読み取るところがあるからな・・・。
案の定、椎名はもう、泣き出しそうだ。でも、泣くのをこらえて、なにかつぶやいている。
俺が耳を近づけるとこう聞こえた。

「・・もぉん・・・。がんばったんだもぉん・・」

小さな声で呪文のようにそう繰り返す。
その時、俺は自分の浅はかさがわかり、唇をかみ締めて悔やんだ。

あの日曜日、台所から何度も聞こえてきた、物が落ちる音、みゅーっ!という
叫び声、由起子さんのなだめる声・・・。
そう、椎名は文字通り、全力でがんばった。
その成果に対し、俺はあまりにひどい態度をとってしまった。
60みゆう ◆MIYUciEM :02/02/05 01:30 ID:d3A1mSev
悔やんでもくやみきれない。
俺はその場でチョコレートを一口かじり、言った。

「味はまずますだ。椎名、よくがんばったな」

けれども、俺の言葉は今の椎名には届かなかった。
ただ、地面を見つめ、泣くのを必死で堪えている。
俺はその場にかがみ、目線を合わせた。
そして、口移しで、チョコレートを食べさせてやった。
チョコレート味の口付けは、なにか懐かしい味がした。

「ほら、おいしいだろう。一緒に食べるって約束したじゃないか」

そう言うと、椎名は顔を上げ、最高に素敵な表情をみせてくれた。

「椎名、ありがとうな。それと、ごめんな」

そういって、もう一度、今度はチョコレートの味のしない、大人の味の長い口
付けを交わす。
仲直りの口付け、感謝の口付け。そして、なによりも愛情をこめた口付けを。

椎名の大人への旅はまだまだ続いていく。ダメでしょうがない彼女だけど、案
外俺のほうがずっとダメなのかもしれないな。
今日みたいに百点満点とはいかなくても、せいぜい30点くらいでも、それが
がんばった結果ならいいじゃないか。
たとえ30点でもチョコレートを自分で作ってくれた気持ち、日曜日に一日か
けてがんばってくれた気持ち。大切にしたい。
だから、一歩一歩一緒に進んでいきたい。
こいつと一緒に、いつまでも・・・。
61み ◆MIYUciEM :02/02/05 01:35 ID:d3A1mSev
>>57-60
投下完了

ちょっと、荒削りというか、まだまだ改良の余地がある一品です。
この時期にちなんで書いてみました。
繭と、チョコレートという時点で、きっと失敗するに違いない。だけど、失敗しても自作にチャ
レンジしたことが大事だと浩平が気付くオチまで、だいたい頭に浮かびましたです。
もちろん、一番書きたかったのは、繭の性格だから、100点とはいかない。
でも、それががんばった結果ならその、がんばりを大事にしたいという、最後のフレーズに
尽きますね。

それでは、今日はひとまず、おやすみなさい・・・・。
62名無しさんだよもん:02/02/05 19:03 ID:8xC2LWUE
下がり過ぎにつき浮上〜
63名無しさんだよもん:02/02/05 19:05 ID:8xC2LWUE
失敗。スマソ
64名無しさんだよもん:02/02/06 00:26 ID:fs2zLDTn
>>57-60
いきなりチューかい。
チューする前までは激萌え。
もういじらしくてかわいくてしょうがない。
でも、別に複雑な感情でもないものは直接説明しないでほしい。
描写するのを怠けてる感じがする。
65みゆう ◆MIYUciEM :02/02/07 00:29 ID:orywDcmP
>64さん
感想、及びご指摘ありがとうございます。

読み返してみると、後半も唐突ですし、たしかに長い説明萎え〜って感じですね。
とても参考になります。今後の作品に生かさせていただきます。
ありがとうございましたっ♪
66名無しさんだよもん:02/02/07 00:57 ID:fLX8opoh
たまにはトレーニングルームも見ようage
久しぶりに逝ったら、新人、現職共に結構粒揃いでいい感じだった。
http://hakagi.net/ss/
67皇帝:02/02/07 14:01 ID:Hfo7v0nH
俺っちが書いたSSのページです。
すごい自信あります見てください。
ここの人たちよりはおもしろいと思います。(爆)

http://www2.odn.ne.jp/pnempire/
68名無しさんだよもん:02/02/07 14:55 ID:fwLa6IYV
2chにURL載せるとは大した度胸だな。
どういう意図で載せたかは知らんが「無謀」の一言に尽きるぞ。
69名無しさんだよもん:02/02/07 16:06 ID:GJs1NgEK
>67
荒らし依頼カコワルイ・・
70名無しさんだよもん:02/02/07 21:18 ID:3dx+EzIi
釣られた>68は更にカコワルイ・・・
7168:02/02/07 23:13 ID:ef6/KSV9
まったくだ・・・
漏れもドキュソ化してきたな、鬱打氏脳
72名無しさんだよもん:02/02/07 23:22 ID:eN4z5Dyg
誰か>67にSSの感想でも書きに行ってあげて。
73某わかめの壁1:02/02/08 01:20 ID:ii/5PFx5
あ、これからSS初投下してみます〜w
寝る前の一仕事〜♪
74某わかめの壁1:02/02/08 01:23 ID:ii/5PFx5
あ…最萌用だから誤爆だった…。(死)
まぁせっかくだからここに。
75目覚し時計 1/3:02/02/08 01:25 ID:ii/5PFx5
ジリリリリリリリリ…

どこか遠くのほうから音がする。
いつも聞いているような聞いていないような音。
わたしはゆっくりと体を起こそうとするけど、思うように動かない。
遠く…いや近くかな?
なんだか不思議な音…。

「ほら、起きなさい、秋子。もう8時よ?」

今度は誰かがわたしのことを呼んでいる。
優しくて、安心できる声。
…はちじ……?
なんだろう、声とは反対にすごくいやな言葉に聞こえる…。

「秋子!!」

わ…突然大きな声がわたしの世界に響く。

「もう…いつももっと素直に起きてくれると母さん助かるんだけど…」
「…うにゅ……?」

あれ?
あ、夢を見てたのかな?
わたしは眠い目をこすって大きな背伸びをする。

「にゅ…」

寝たまま背伸びをしたせいで、手がベッドにぶつかっちゃったみたい。
ちょっとイタイ…。
76目覚し時計 2/3:02/02/08 01:27 ID:ii/5PFx5
台所へ行くとお母さんが味噌汁をテーブルに並べていた。

「おはよう、秋子。今日もしぶとかったわね…ふふふ」

まだ完全に頭が活動を始めていないわたしにちょっと皮肉っぽく言う。

「ふぁぁ…おはよぅ…」

わたしはいつも座っている椅子に腰掛けると、両手を合わせて 頂きます をする。
う〜ん、まだ手元がおぼつかない…。

「でも、ほんと秋子は母さんの子供の頃にそっくりね」

お母さんはにこにこしながらわたしの顔をじっと見る。

「お母さんもお寝坊さんだったの?」
「ええ、目覚し時計をたくさん並べたりしたけど、全然起きられなかったのよ」

お母さんが朝寝坊してたなんて、初めて聞いた
今は毎朝早く起きて朝ご飯作ってるのに…。

「じゃあ、どうしてお母さんは早起きできるようになったの?」
「ふふふ…秋子ももう少し大きくなったら起きられるようになるわよ」
「ホント?」
「ええ。秋子に本当に好きな彼氏ができるくらい大きくなったらね」
77目覚し時計 3/3:02/02/08 01:28 ID:ii/5PFx5
ジリリリリリリリリ…

どこか遠くのほうから音がする。
いつも聞いている音。

「…あら?」

わたしはその懐かしい音で目を覚ますと、ゆっくりと体を起こす。
壁にかかっている静かな時計を見ると、8時を指していた。

「ふふ…寝坊だなんて、何年ぶりかしら」

いつもなら音のなる名雪の部屋に向かうのだけど、
今は祐一さんが起こしてくれるから行く必要はない。

「それにしても、懐かしい夢だったわ」

今朝は久しぶりにこの音を聞いていようと思う。
名雪が早起きするようになって、
この音が聞けなくなるのもそう遠い話じゃなさそうですしね…ふふ。
78名無しさんだよもん:02/02/08 01:29 ID:DgQYqWAe

       / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
       |  次から何事もなかったかのようにどうぞ。
   ∧ ∧ |/\___________
   (,,゚Д゚)____.    |..          |
   (つ/~ ※ ※ \   |           |
   /※ ※ ※ ※ \  ̄|| ̄ ̄ ̄|| ̄
   ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
79某わかめの壁1:02/02/08 01:30 ID:ii/5PFx5
短時間で書いたので、まぁこんなもんかな…程度?
うむ…もっと秋子さん萌えに精進せねば…。
なんか話の展開がお約束過ぎるかも。
では、失礼しました〜
80名無しさんだよもん:02/02/09 00:44 ID:hXHEBuER
81名無しさんだよもん:02/02/09 08:20 ID:sNqM1gNd
    
82名無しさんだよもん:02/02/09 13:42 ID:P6TZiuw6
糞まるだしのSSはトーナメント用SSスレに貼れや!
何考えてんだボケが!本当に失礼だ!

83名無しさんだよもん:02/02/09 14:18 ID:lVE/9He0
>>82
何に対して失礼だって?なに偉そうに抜かしてんだ勘違いボケが。
84名無しさんだよもん:02/02/09 19:47 ID:XzKVI4zf
(AA省略)次から何事もなかったかのようにどうぞ。
85名無しさんだよもん:02/02/09 22:02 ID:Oppf1MmE
>>82
まぁ、そんなに自暴自棄になるなよ。
誰もお前のSSなんてまともに読んでいないのだから(w
86名無しさんだよもん:02/02/09 22:59 ID:rAlo5eSU

     ∧∧    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     (,,  )  < 久しぶりにSS読みに来てみれば
     .(  つ   |  こりゃまた とんだ厨房SSばっかりだなぁ オイ
     | , |    \____________
     U U


 |  まあ せっかくだから感想書いといてやるよ  
 \  ハイハイ 萌えた! 感動した! っとくらぁ  
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

            ∧∧
           (゚Д゚O =3
      ⊆⊂´ ̄  ソ ヤレヤレ
87名無しさんだよもん:02/02/09 23:16 ID:pnKEHYMM
討論巣窟いってね。
88『白い微笑』:02/02/11 01:35 ID:CRg78xJj
32/相沢祐一(夢)

「・・・あ、着きますよ」
 少しして、電車が止まった。立ち上がり、ホームに下りる。電車から吐き出された熱風と、反対側から吹く涼しい風。
「で、どう行けば着くんだ?」
「直通バスが出てるみたいですよ」
 栞が壁の案内板を指差した。発車時刻は・・げっ、もうすぐじゃねーか!
「急ぐぞ、栞!」
「はっ、はい!」
 栞の手を引いて、人ごみをすり抜けるように走り出す。駅舎を出ると、目当てのバスはすぐ見つかった・・・が、ドアが閉まろうとしている。待ってくれ!
「・・・はぁ、はぁ、ま、間に合ったな・・・」
「ふぅ、ふぅ・・・そ、そうですね・・・」
 火照った身体を冷ますように、胸元をばたつかせる。栞は胸に手を当てて、呼吸を落ち着かせていた。
 落ち着いてから車内を見回す。家族連れの他に、俺たちと同じようなカップルが多かった。みんな考えることは一緒のようだ。
 やがて、バスが遊園地前に停車する。騒々しさの中で、俺は栞の手を掴んで。
 その時、ふっと、世界が霞んだ気がした。
「祐一さん?」
 栞が俺の顔を覗き込む。俺は、何でもないよ、と首を振って、遊園地の中に入った。
「うわぁ・・・」
 遊園地の中は、楽しい思い出だけをちりばめたような。軽快な音楽と、楽しげな声と。
「さて、何に乗る?」
「コーヒーカップがいいです」
 栞がそれを指差した。定番だな。OK、と俺は頷いた。時間は、たっぷりある。楽しめるだけ、楽しもう。全部、思い出に変えられるように・・・
89『白い微笑』:02/02/11 01:36 ID:CRg78xJj
33/相沢祐一(夢)

 コーヒーカップ、ジェットコースター。メリーゴーランドに、お化け屋敷。時間は、あっという間に過ぎていく。
 そして・・・園内が、ライトの明かりに照らし出される頃。俺と栞は、観覧車に乗っていた。
「綺麗ですね・・・」
「ああ・・・」
 きらびやかな遊園地の灯り。その向こうに見える、街の灯り。宝石のように輝いている。
「今日は、凄く楽しかったです」
「俺もだ」
 栞が笑った。俺も笑う。
 でも、ふっと。その笑顔が、遠くにあるような気がして。手を伸ばしても、届かないくらい・・・
 そんな気がして・・・
「今日だけじゃなくて、また遊びに来ような」
「はい」
 栞の頬に、そっと手を伸ばす。あ・・・と栞が顔を赤らめた。大丈夫だ。栞はちゃんとここにいる。手を伸ばせば、触れられる。
 そのまま、俺はそっと、栞に唇を重ねた。栞の吐息と、栞の温かさを感じて・・・いつもより、少しだけ長いキス。
「・・・祐一さん」
 唇が離れてから、栞が少しだけ頬を膨らませた。
「いきなりなんて、ずるいでよ・・・」
 そう言った栞の身体を、俺は抱き寄せた。
 栞・・・ずっと側にいる。
 抱きしめて、そう囁く・・・
 栞が、頷く・・・
 ぎゅっと。離さないように・・・

 それなのに。
90『白い微笑』:02/02/11 01:37 ID:CRg78xJj
34/相沢祐一(夢)

「祐一さん・・・」
 栞の声が、すっと遠くなって・・・
 俺の腕の中から・・・栞の、温もりが・・・少しずつ、失われて・・・

「栞・・・?」
 呼びかける声。

 届かず。

「・・・さようなら」

 その、言葉が、聞こえた気がして・・・

「・・・栞っ!」

 そこはもう、夢の跡。
 伸ばした手は、虚空を切って・・・
 温もりも、そこにはなくて・・・
 ただ、寒くて。

 とても幸せで、
 とても残酷な夢を、
 また、見ていただけだった・・・
91『白い微笑』:02/02/11 01:39 ID:CRg78xJj
    35/北川潤(1日前)

 家に帰ってきたのは、夕焼けが沈みかけた頃・・・鍵を開けて、寒い家の中に入る。
 そういえば、今日は両親ともいないんだったな・・・オレは戸棚からカップ麺を取り出して、お湯を注いだ。
 誰もいない家の中・・・何だか無性に堪えきれなくなって、オレはステレオの電源を入れた。ラジオから流れてくる音楽と、楽しげなおしゃべり・・・それでも。
 似ていたのだ。ここは。あの場所と。昨日の夜・・・美坂を。虚ろな瞳で、何かを探して、彷徨っていた美坂を見た、あの公園と。
 あの後、オレは眠った美坂をおぶって、あいつの家まで運んだ。何もできるわけがなかった。美坂に対して。オレは・・・
 でも・・・美坂。
(畜生・・・)
 悔しかった。美坂に対して・・・好きな人に対して、何もできない自分の不甲斐なさが。
 出来上がったラーメンをすすっていても、何か・・・もう、空っぽで。
  プルルルルル・・・
 それを不意に打ち消したのは、電話の音。オレは立ち上がる。
 受話器を取った。その向こうからは、沈黙。
 でも、多分解っていた。相手が、誰なのか。

『・・・あたし、どこにいると思う?』

 たった一言だけ。
 それだけの電話。

 でも、それで十分だった。
 オレは家を飛び出した。
92『白い微笑』:02/02/11 01:40 ID:CRg78xJj
    36/北川潤(1日前)

 外は、おあつらえ向きの雪模様。
 音もなく降り積もっていく中を。暗闇に包まれゆく中を。走る。
 目の前には、美坂の影・・・
 もちろん、そこにはない。だけど・・・
 解る気がした。美坂が、どこにいるのか・・・
 走って・・・
 走って・・・

 その場所へ。

 公園へ。

 ・・・でも。
 そこには誰もいなかった。

 美坂・・・
 俺はその名を呼ぶ。
 返事など、返ってこない・・・
 違ったのか?
 ここじゃないのか・・・だったら、どこに?
 俺は、再び走り出す。見当などつくはずもなかった。
 ただ、闇雲に走った。
 どこにいるんだ・・・美坂・・・!
93名無しさんだよもん:02/02/11 01:40 ID:vsbrzptX
     ∧∧    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     (,,  )  < 久しぶりにSS読みに来てみれば
     .(  つ   |  こりゃまた とんだ厨房SSばっかりだなぁ オイ
     | , |    \____________
     U U


 |  まあ せっかくだから感想書いといてやるよ  
 \  ハイハイ 萌えた! 感動した! っとくらぁ  
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

            ∧∧
           (゚Д゚O =3
      ⊆⊂´ ̄  ソ ヤレヤレ


94『白い微笑』:02/02/11 01:40 ID:CRg78xJj
    37/水瀬名雪(2日前)

 とても、痛かった・・・
 投げつけられたものの痛み・・・
 投げつけられた、言葉の痛み・・・
 わたし、また同じこと繰り返してるよ・・・
 全然成長してないね・・・
 あの時・・・ゆきうさぎを壊されてから・・
 同じことをした・・・祐一に。
 わたし、馬鹿だね・・・本当に、馬鹿だね・・・

『何も知らないお前に、全部解ったフリして、全部説明されてたまるかよっ!』
 祐一の言葉・・・
 何も言えなかった。その通りだったから・・・
 何も知らないのに・・・浅はかだった・・・
 祐一のことも、何も考えないで・・・
 ただ、自分のために・・・祐一が苦しんでるのを、見たくなくて・・・
 だから・・・自分のためだけだった・・・
 何も考えていなかった・・・
 馬鹿だよ・・・わたし。
 なんて・・・愚かなんだろう・・・
 こんなんじゃ、香里の親友なんて言えないよね・・・
 祐一・・・香里・・・
 わたし・・・どうすればいいの・・・?
95名無しさんだよもん:02/02/11 01:40 ID:GU36haah
>>「白い微笑」の作者さん
乱入失礼!もう手遅れだけど、sageて下さい!!
96『白い微笑』:02/02/11 01:41 ID:CRg78xJj
    38/美坂香里(1日前)

 どうしようもないほど、今日も、雪だった。
 あたしは、ただ・・・あの場所で。
 黄色い、それを握って・・・佇んでいた。

 一体、何をしようとしたのだろう?
 そんなことも解らなかった。
 ただ・・・気が付いたら、公衆電話の受話器を取っていて。
 ダイヤルしたのは、北川君の番号・・・
 出たのは、北川君本人で。あたしが言ったのは、たった一言。

『あたし、どこにいると思う?』

 ただ、それだけ・・・
 それで、何が変わるというのだろう。
 もう決まっている。
 全ては決まっている。
 あたしが決めた。
 決めた、結論・・・
97『白い微笑』:02/02/11 01:42 ID:CRg78xJj

    39/美坂香里(1日前)

 ぎゅっと。
 もう一度、手の中のそれを握りしめる。

 それは、栞が買ったもの・・・
 鍵のかけられた机の引き出しの中。
 思い出さないように・・・封じ込められていたそれを。
 あたしは・・・見つけてしまった。
 そして・・・泣いた。

 弱かったのは、あたしだけじゃない。
 栞も・・・栞だって。
 でも・・・
 だから、どうだというのだろう?
 それを持ち出して・・・
 いま、こうして。
 何も変わらない・・・
 でも。
 許してくれるよね?
 栞・・・
98『白い微笑』:02/02/11 01:43 ID:CRg78xJj
    40/美坂香里(1日前)

 なら、どうして?
 どうしてあたしは、電話をかけたのだろう?
 まだ・・・まだ、助けられたいのだろうか?
 多分・・・甘えてるだけ・・・
 優しすぎる、みんなに・・・甘えてるだけ。
 首を振って・・・その影をかき消して・・・
 だから、あたしはもう、頼らない。
 相沢君も、北川君も、名雪も。
 自分で決めた。
 北川君・・・
 ばいばい。

 すっと。
 音もなく。

 ただ、銀色のそれが・・・
 あたしの手首の上を動いた・・・

 それだけだった。
99『白い微笑』:02/02/11 01:44 ID:CRg78xJj
    41/相沢祐一(2日前)

「・・・祐一」
 不意に、ドアの向こうから聞こえた声に、俺の意識がこちら側へと戻ってくる。
 名雪か・・・また、晩飯でも置きに来たのか・・・どうせ、食べないけどな・・・
「・・・入るよ」
 何? 俺が少しだけ体を起こすのとほぼ同時に、ドアが、開いた。
「祐一・・・」
 名雪・・・どうして入ってきた? 俺はそう、視線だけで言う。
「・・・祐一、ダメだよ」
 何がだよ・・・
「このままじゃ、ダメだよ」
 何が言いたいんだよ・・・名雪。
「祐一が、いつまでもそうしていたって、何も変わらないよ・・・」
 だから何だって言うんだよ・・・解ってるんだよ、そんなことは・・・
「栞ちゃんは、幸せだったんでしょ・・・?」
 ・・・
「祐一にそんなに大切に思われて・・・幸せだったんだよね・・・?」
 ・・・何なんだよ。
「だったら・・・」
 だったら、何だよ。
「祐一、そのままじゃダメだよ・・・わたしが栞ちゃんだったら、今みたいな祐一、絶対に見たくないよ・・・だから、祐一・・・」
 名雪の足が、一歩・・・俺に向かって、踏み出される・・・
100『白い微笑』:02/02/11 01:45 ID:CRg78xJj
    42/相沢祐一(2日前)

「わたしは、祐一が好きだよ・・・」
 一歩・・・
「栞ちゃんみたいには、想えないかもしれないけど・・・」
 また、一歩・・・
「それでも・・・祐一が好きだから・・・」
 俺の所へ・・・
「だから・・・前を見ようよ・・・」
 近付いて・・・
「そうすれば、きっと・・・栞ちゃんも喜ぶよ・・・」
 俺の身体に・・・
「ね・・・祐一・・・」
 手を、伸ばす・・・

  バサッ!

 手元にあったのは、一冊のコミック・・・
 それを・・・俺は。
 名雪へ、力任せに投げつけていた・・・

「ふざけるなよ・・・」
 尻餅をついた名雪が、俺の方へ視線を向ける。
「お前は何様だよ・・・」
「お前が何を知ってるんだよ!」
「俺や、香里や、栞の、何を知ってるんだよ!」
101『白い微笑』:02/02/11 01:45 ID:CRg78xJj

    43/相沢祐一(2日前)

 名雪の瞳が、一瞬俺に向けられて・・・
「ふざけるなよ・・・」
「同情してるつもりかよ・・・」
「俺を、励ましてるつもりかよ・・・」
 ゆう・・・
 名雪の唇が、微かに震えて・・・
「黙れッ!」
 それは、俺の言葉にかき消される。
「いい加減にしろよ・・・」
「お前は名雪だろ・・・」
「お前は栞じゃない!」
「解ってたまるかよ・・・」
「何も知らないくせに、全部解ったフリして、全部説明されてたまるかよっ!」
 その時、名雪の顔に浮かんだのは・・・
 限りない、絶望・・・
「俺が好きだって?」
「だから何だよ・・・」
「俺は栞がいればよかったんだよ!」
「・・・お前じゃない」
「あの時からちっとも変わってない、残酷なお前なんかじゃない!」
 俺の脳裏に浮かんだ光景・・・
 差し出されたゆきうさぎ・・・
 名雪は、顔を伏せて・・・
102『白い微笑』:02/02/11 01:46 ID:CRg78xJj
    44/相沢祐一(2日前)

「失せろ・・・」
 もう一度、顔を上げる。
「出て行け」
 俺の顔を、じっと見つめて・・・
「この部屋から出て行け! もう、もう二度と俺の前に来るなぁっ!」

 ・・・最低だな、俺。
 再び一人だけになって、俺は息を吐いた。
 名雪の気持ち・・・解っている。
 解っていて、でも、俺は・・・
「栞・・・」
 最低だよな・・・俺。
 でも・・・まだ、これでいいだろ?
 俺は・・・お前が本当に好きだったから・・
 だから・・・まだ・・・
 許してくれよ・・・栞・・・
103『白い微笑』:02/02/11 01:47 ID:CRg78xJj
    45/水瀬名雪(その日)

 不意に、胸のどこかが疼いた。
 甦ったのは、幼い日の思い出・・・
 雪の舞うベンチ。泣いている子供。差し出したゆきうさぎ・・・
 でも、それは、叩き壊されて・・・わたしは・・・
 場面が変わる。
 それは、2日前。祐一の部屋。
 わたしの言葉・・・投げつけられた本・・・祐一の言葉・・・
 残酷だって・・・本当に、そう・・・わたしは・・・

 でも。解っていても・・・
 誰かが、泣いているのを見るのは、嫌だから。
 だから・・・祐一。香里。
 わたしは・・・


 いつから走っていただろう?
 何も考えずに、ただ、走って・・・
 辿り着いた場所は、知らない場所。
 公園。
 人だかり。何かが、あったのだろうか・・・?
 わたしは人の中をかき分けて、その場所へ。

 ・・・行くべきではなかったのかもしれない。
104『白い微笑』:02/02/11 01:48 ID:CRg78xJj
    46/水瀬名雪(その日)

 そこに、あったものは。

 信じられなかった。
 信じたくなかった。

 だって、そこにあったのは。
 チェック柄のストール・・・

 見覚えのある・・・
 そう、栞ちゃんが着けていた・・・
 あのストール・・・
 それが、どうしてここに・・・?

 そして・・・
 そのストールには・・・
 何かがこびりついていた。

 それは・・・何?

 眩暈がした。
 それは・・・
 真っ赤な・・・
105『白い微笑』:02/02/11 01:49 ID:CRg78xJj
    47/相沢祐一(その日)

 俺の意識を呼び戻したのは、無神経な電話の音・・・もう、戻って来たくなかったのに。
 数回のコールで、音は途切れる・・・秋子さんが出たのだろうか・・・
(・・・?)
 不意に、風。・・・風? どこから? ・・・また、窓が開いていた。どうして? 閉まっていたはずなのに・・・
 その時、俺の頭をよぎったもの。形容しがたい、何か。何かが。
 俺は起き上がった。そして・・・何日かぶりに、立ち上がる。
 足がしびれた。重力が定まらない。ベッドの縁に捕まって、身体を安定させる。足に、力が入らない・・・くそっ。
 ふらつきながら、俺は一歩、足を踏み出した。少しずつ・・・感覚が戻ってくる。世界がここにある、俺は・・・多分、ここにいる。
 ドアノブを掴む・・・冷たい。金属の冷たさ・・・雪のそれとは違う。俺はそれを回す。ドアが、軋んだ音を立てて・・・開いた。
 久しぶりに見た、部屋の外・・・廊下。フローリングの床が軋んで・・・俺は、一歩一歩。階段のところで、下にいた、秋子さんと目が合う・・・その顔に映った表情が、俺には識別できない。
 秋子さんが、握っていた受話器が・・・俺の視界に入る。その、先に・・・誰がいるというのだろう。俺は階段を下りる。
 微かに、受話器の向こうから声がした・・・北川? 北川の声だった・・・確かに。
 俺は、呆然としていた秋子さんの手から、受話器を奪い取る。
「・・・もしもし」
 受話器の向こうから、微かに、えっ、と声がした。
『・・・相沢、か?』
106『白い微笑』:02/02/11 01:49 ID:CRg78xJj

    48/相沢祐一(その日)

「ああ・・・」
 驚きと・・・どこか、絶望が混じったような・・・北川の声。何かが、あったのだ。それはもう、疑いようがなかった。
「何か・・・あったのか?」
 我ながら、愚問だと思った。
『・・・』
 北川が沈黙する。微かに、息を吸い込む音。
『・・・美坂が』
 どれほど、北川は沈黙していただろうか。かすれた声が、電気的に歪んで、それでもはっきりと、聞こえた。
『美坂が・・・』

 俺の手から、受話器が、落ちた。
 床に落ちて、無機質な音を立てる。

 受話器の向こうから、北川の声はまだ、していたようだった。
 だが、もはやそれは、
 俺の耳には、届いていなかった・・・
107『白い微笑』:02/02/11 01:50 ID:CRg78xJj
    49/北川潤(その日)

 雪が、殴りつけるように、オレに向かって飛んできていた。
 向かい風。ほとんど吹雪に近い中を、オレは走る。美坂を捜して。
 終わらせない。まだ。
 たとえ、世界がどんなに残酷でも・・・
 君を見つけるから。
(美坂・・・!)
 白の中から。
 きみを。

 ・・・そして。

 公園。
 どうしてここに来たのだろう。
 さっき、ここには来た・・・
 そして、誰もいなかった。
 きっと、今も・・・
 ・・・だけど。
 予感があった。
108『白い微笑』:02/02/11 01:51 ID:CRg78xJj
   50/北川潤(その日)

『・・・られましたか?』

 ・・・?
 誰かの声が聞こえた気がして、オレは振り返る。・・・誰もいない。

『私、笑っていられましたか?』

 誰だ・・・?
 確かに、聞こえた。
 オレは、視線を彷徨わせる。
 その時。

 不意に、雪が止んで。
 彼女が、いた。

『お姉ちゃん・・・』

 彼女は、微かにそう呟いた。
 そして、どこかを指差す。
 その先。

「・・・美坂!」

 美坂が、いた。
109『白い微笑』:02/02/11 01:52 ID:CRg78xJj
    51/北川潤(その日)

「おい、美坂、美坂ッ!」
 美坂は・・・
 黙って。
 噴水の縁に・・・
 もたれるように・・・
 そこで・・・

「美坂、美坂ッ!」
 呼びかける声。
 だけど・・・返事はなくて。
 瞳は、閉じられて・・・

 その顔は・・・でも、確かに美坂で・・・
 静かに・・・眠っているようで・・・

 だけど。
 オレの手を濡らす、この液体は何だろう?
110『白い微笑』:02/02/11 01:53 ID:CRg78xJj
   52/北川潤(その日)

「・・・美坂・・・」

 雪が、別の色に染まっていく・・・
 どんどん・・・どんどん・・・

 揺さぶっても・・・呼びかけても・・・
 もう・・・美坂は・・・
 美坂は・・・

「・・・馬鹿野郎・・・ッ!」
 美坂の頬を、叩いて・・・
 でも、その瞳は・・・
「どうして・・・どうしてっ・・・」
 瞳は・・・開かなくて・・・
「何になるんだよ・・・お前が、いなくなって何が変わるんだよ・・・なんでだよ・・・馬鹿だよ、お前はっ・・・!」
 その胸に、拳を、叩きつけて・・・
 その、上に・・・悲しいほど・・・温かな、雫・・・

「何のためにオレを呼んだんだよ! オレにどうしろって言うんだよ! 1人で、勝手に、勝手に行くんじゃねえよ! どうしてお前はそうなんだよ! オレは・・・オレは・・・ッ!」
 雫が・・・ひとつ。ふたつ。

 そして、もう。
 世界は・・・もう。
111『白い微笑』:02/02/11 01:53 ID:CRg78xJj

    53/相沢祐一(その日)

 世界はガラス玉・・・
 最初に入ったのは小さな罅。
 だけど、そこから、崩れていく・・・
 それを、俺はもう、押しとどめることさえ、できないから・・・


 出会った場所。
 懐かしい夢。
 あの時君が言いかけた言葉。
 それは救いだったのだろうか?
 でも、僕はそれを知らなかった。

 再会した場所。
 2人で、いろいろ話した場所。
 一緒にアイスを食べた場所。
 似顔絵を描いてもらった場所。
 たいせつな・・・ばしょ。

 君と歩いた道。
 人ごみの中を、すり抜けて。
 君の手を離さないように、ぎゅっと掴んで。
 笑って・・・
 通り抜けた場所・・・
112『白い微笑』:02/02/11 01:54 ID:CRg78xJj
    54/相沢祐一(その日)

 約束をした場所。
 拒絶された場所。
 君の背中を見送って・・・
 君と誓いのキスをして・・・
 2人で、いられた瞬間・・・

 抱き合った場所。
 ここで、温もりを感じた。
 大好きな人の温もり。
 失いたくない温もり。
 それは今・・・ここに残っているだろうか?

 そして・・・

 たったこれだけのことしかできなかった。
 どうしてだろう。
 もっと、やりたいことがあったのに。
 行きたい場所があったのに。

 出会ったのが遅すぎたのだろうか?
 だけど、それははじめから決まっていたこと・・・
 どうすることもできなくて・・・
113『白い微笑』:02/02/11 01:55 ID:CRg78xJj
    55/相沢祐一(その日)

『世界は、綺麗だったよ』
 君はドラマが好きだったね。
 夢を見ていたね・・・いつも。
 夢は叶った?
 君の世界は、綺麗だった?

 その中に、僕はいられた?


 それは解らないけれど・・・
 でも。

 僕は強くないから。


 君の所へ、行ってもいいだろう?
114『白い微笑』:02/02/11 01:55 ID:CRg78xJj
    56/相沢祐一(その日)

 君の、もう1人の大切な人も。
 そっちへもう行っているんだろう?
 だから、僕も行くよ。

 もう、嘘はつかないから。
 ずっと、君の側にいるよ・・・


 ほら、雪。

 こんなに綺麗な・・・雪。

 白く微笑んで・・・

 その先はもう、何も見えない。


 僕は、君の所へ。

 幸せでいられるように・・・
115『白い微笑』ラスト:02/02/11 01:56 ID:CRg78xJj
    終焉/水瀬名雪

「ねえ、北川君」
 雪の消えた道。固いアスファルトを踏みしめながら、わたしたちは歩いていた。
「・・・幸せって、何だろう?」
 北川君が肩を竦めた。
「いきなり、難しい問題だな・・・」
「わたし・・・よくわからないよ」
 わたしは空を仰いだ。青く澄んで、どこまでも広がる空。たぶん、この空の向こうには。
 あの時、わたしが言った言葉・・・『幸せだったと思うよ』。わたしはそう言った・・・祐一に。
 じゃあ、祐一は? 祐一は幸せだったのだろうか?
「・・・オレはさ」
 不意に、北川君が口を開いた。
「今、幸せかって聞かれたら、多分違うだろうけど・・・あの頃、あいつらがいた頃、幸せだったかって聞かれたら、迷わず頷くな」
「・・・」
 北川君も、空を仰ぐ。
「同じだと・・・思うぞ。多分・・・」
 その言葉は、空へ。
「オレの勝手な考えだけどな・・・そう思わなきゃ、ちょっと、あんまりだ」
「・・・そうだよね」
 そう、多分それが答えなのだと思った。
 ・・・でも。

「あれ・・・? どうしたんだろう・・・」
 不意に、涙が溢れて・・・止まらなくて・・・

 その時、空から・・・たったひとつだけ、白が。
 そして、その空の向こうで、誰かが・・・微笑んだ気がした。

            『白い微笑』END
116名無しさんだよもん:02/02/11 06:48 ID:YmGyCPvM
◇最萌トーナメント支援用SSスレッドはこちらです。↓
http://wow.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1011756386/

       / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
       |  次から何事もなかったかのようにどうぞ。
   ∧ ∧ |/\___________
   (,,゚Д゚)____.    |..          |
   (つ/~ ※ ※ \   |           |
   /※ ※ ※ ※ \  ̄|| ̄ ̄ ̄|| ̄
   ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

117アゴだよもん:02/02/11 20:01 ID:rFYE56o5
悪くはないと思うけど文体が読む気を削ぐ。
118名無しさんだよもん:02/02/11 20:06 ID:BO0TAysh
マジでへっぽこなSSばっかだな。
読む側の事を考えてるのか?
119名無しさんだよもん:02/02/11 20:15 ID:i9g3Yn01
>>118
へっぽこなSSすら書けないクズが何ぬかしてんだか。
ケチつけるしかできないなら黙ってろ。
120名無しさんだよもん:02/02/11 20:17 ID:Re6WN8Np
はいはい。批評するなら具体的にねお願いね♪
121名無しさんだよもん:02/02/11 20:22 ID:BO0TAysh
>>120
雰囲気出そうとしてるのかどうか知らないが無意味な改行が多すぎ。
読む気を失せさせるような投稿してどうするんだ?
122名無しさんだよもん:02/02/11 20:29 ID:BO0TAysh
後、パラパラ視点を変えて文章を構成し過ぎ。
読み手が混乱してしまう。

しかも皆が皆似たような心情で語るもんだから退屈極まりない。
要は全くお話として緩急がついてない。
シリアスっぽい文体を綴れば奥行きのある作品になると思ったら
大間違いだ。
123名無しさんだよもん:02/02/11 21:35 ID:Ae7FgnWo
458 名前:名無しさんだよもん 投稿日:02/02/11 20:00 ID:BO0TAysh
こっちにリンク張ってどうすんだ?
ヴァカか?

プッ
SS職人の潰し屋風情が偉そうに・・・。
124名無しさんだよもん:02/02/11 21:57 ID:QTJm16Pq
>>123
で、それが何か?
実際そっちにリンク張ってもしょうがないから言ったまでだ。
読んで欲しいんだろ?
しかもリンク先間違ってるし。
125名無しさんだよもん:02/02/11 23:52 ID:jqzKxyCG
正直言ってナルシズムの領域に足突っ込んでるよコレは・・・
あまりにも「美しい文章」を書こうとしすぎて、自己陶酔してないか?
今まで色々SS読んできたけど、
鍵系のSSでこーゆー痛いのがよく見られるような気がする。
ま、原作(ONE,KANON、Air等)が美しい風景ってのを
書いている作品なわけだけど、読ませる力が無いのに原作の美しさを
リスペクトしたssを書くと、大抵美しい文を書こうとして破綻するっていう
良い例だな。
逆に言うとありがちなメロドラマを、破綻せずに高い領域で昇華させている
麻枝、久弥がどれだけ凄いかよく分かるよ。
126甘えん坊将軍:02/02/12 01:12 ID:Wjmxqyh7
 思いっきりスレ違いだケド。
>>125
 本編には『CG』があるしね・・・。
 KANONの栞シナリオをプレイした時、『命に関わる大病を患ってる人間が
何でピンピンしてるんだ』とか思ったケド、くるくる表情を変える栞のCGを見るうちに
いつの間にか『大病だけど歩き回ることはできるんだろう』と思うようになっていた・・・。
 CGは、文では表しきれない『何か』をプレイヤーに伝えるのに一役買ってると思う。

 いずれにせよ、SSとゲームシナリオは違う事を痛感。
127 ◆jFsthi92 :02/02/12 08:26 ID:cCm2bzLo
つーか、ちゃんと1から載せてくれないと感想のしようがありません<白い微笑
再投稿求む。
よりウザがられるだけかもしれませんが、自分の作品には責任持ちましょう。
128名無しさんだよもん:02/02/12 22:10 ID:EOPLZBvx
http://www.hakagi.net/ss/
SSトレーニングルームが消えてません?
行けないのですが。
129名無しさんだよもん:02/02/12 22:14 ID:i2xS7tdG
>>128
ん?
行けるよ。
130128:02/02/12 22:17 ID:ybc4LIdk
>>129
え?
じゃあ俺のパソコンがおかしいのかな・・・。
レス感謝。
131名無しさんだよもん:02/02/12 22:22 ID:Sf/AZdx8
俺も逝けない。
エラーがでる。
一体どうなってるんだ? おしえてみこぺー。
132名無しさんだよもん:02/02/12 22:36 ID:1OeCC1SP
げげげ。
サーバが飛んだのか?
>>129はどうやって行ったんだ?
133129:02/02/12 22:43 ID:tG+sV42d
俺も行けなくなってしまった…。
さっきのは夢か幻か…?
134名無しさんだよもん:02/02/12 22:44 ID:X48D6n6V
>>128
三時間以内にこたえてくれるスレで、
同じくみこぺーさんの貼り付け板が使えないと言う声があった。

ついに閉鎖???
135名無しさんだよもん:02/02/12 22:58 ID:nVS/JRSf
ちょっとサーバーが落ちてるだけでしょ。
136名無しさんだよもん:02/02/13 01:15 ID:7gwETrOS
回復したみたい。良かった良かった。
137名無しさんだよもん:02/02/13 01:30 ID:ObAmkhTM
こうしてみると、みこぺーさんには世話になっているな。

ありがとう〜、みこぺーさん!!
138名無しさんだよもん:02/02/13 04:01 ID:x/+2SyiX

     ∧∧    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     (,,  )  < 久しぶりにSS読みに来てみれば
     .(  つ   |  こりゃまた とんだ厨房SSばっかりだなぁ オイ
     | , |    \____________
     U U


 |  まあ せっかくだから感想書いといてやるよ  
 \  ハイハイ 萌えた! 感動した! っとくらぁ  
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

            ∧∧
           (゚Д゚O =3
      ⊆⊂´ ̄  ソ ヤレヤレ
139名無しさんだよもん:02/02/14 00:01 ID:Lxl4wcBS
>>137
でも現役用に意味はあるのかと小一時間ほどアレしたい気分だが。
返信数1とか見ると引くよ。
140名無しさんだよもん:02/02/14 00:40 ID:nWWLYuaK
最萌トーナメントのセリオ戦で話題になってたPOHとかいうSSがあるらしいのですが、
誰か知りませんか?
141名無しさんだよもん:02/02/14 00:46 ID:DBRFlNyI
>>140
Piece Of Heart。SSじゃなくてドラマCD。Leafオフィシャル。セリオシナリオ。
ただし、そのほかにPOHなるSSがある可能性は否定できないけど(w
142名無しさんだよもん:02/02/15 14:01 ID:NKLnezLD
143名無しさんだよもん:02/02/15 22:46 ID:D5L4wHEW
下がり過ぎにつき、age
144名無しさんだよもん:02/02/17 01:09 ID:oE+D/hNy
ageメンテ
145名無しさんだよもん:02/02/17 01:15 ID:R5KuJOv9
>>144
2ちゃんの初心者ですか?
メンテはわざわざageなくとも成立しますよ。

今は大丈夫ですが、
長文のSSが投稿されているときにageられると、
まわりの人にウザがられます。

ここは、ageないで欲しい。
146名無しさんだよもん:02/02/18 03:50 ID:MfZWKSvA
むしろマンテ
147名無しさんだよもん:02/02/18 04:00 ID:DANxBRrd
モンテ。すなわちテラモンテ。ダイエーのドラ1の別名。
148名無しさんだよもん:02/02/18 05:51 ID:MfZWKSvA
>147
ワラタ
いたなあ、そんなの
149名無しさんだよもん:02/02/18 11:08 ID:mG6lZx80

今からAir(?)ギャグSSを20レス分上げます。
150Angelic Mellow 1/20:02/02/18 11:09 ID:mG6lZx80

「ど――――――――――――――――――んっ!!!」

「ぐあっ」
全身に嘘みたいな痛みが走った。
一体何が起こったのかさっぱりわからない。
おもむろに目を開くと、夕陽に赤々と染められた中天に輝くひしゃく星が視界に飛び込んできた。
「・・・・・・・・・」
はて・・・おかしいぞ、さっきまで堤防の上であぐらをかき、紅の大海原をつまみに黄昏れていたはずだ。
なのにだ、今の俺はスリッパでタコ殴りにされたゴキブリみたいにアスファルトの上で見事に討ち死にしているではないか。
顔を動かさず目だけで左右を窺う。
左手には堤防らしきセメントの壁、その反対側にはこの街名物のどろり自動販売機。
そして・・・
ぐぅ〜〜〜
天に舞い上がる腹の虫
「なるほど」
どうやら俺は空腹のあまり気を失い、海風によって堤防からそのまま落下したらしい。
「よっと」
道路から半身を起こす。
「よく無事だったな・・・」
眼前にそびえ立つ三メートル弱のコンクリートの壁。
そこからの自由落下。
つまりはひゅ〜〜〜・・・、ぐしゃっ!トマトっ!!である。
「・・・・・・・・・」
わしゃわしゃわしゃ・・・
恐る恐る後頭部をかきむしる。
「おりょ?」
汁がないぞ。
151Angelic Mellow 2/20:02/02/18 11:10 ID:mG6lZx80

「おかしいな・・・」
ごそごそごそ・・・
今度は体をまさぐってみる。が、さしたる外傷もみあたらず四肢もスムーズに動く。
どうやら五体満足のようだ。
「ふ・・・さすがは我が肉体・・・」
「みたかこの鉄人国崎のアイアンボディーをっ!!」
腰に手を当て、無意味に勝ち誇る。
ぐぅ〜・・・
力を込めたら腹が鳴った。
「で・・・なんだ。俺はこんな所でなにをしているんだ?」
とりあえず状況確認だけはしておこう。
ピー、ピピー・・・ジョウキョウカクニンカイシ
カタカタカタ・・・
梅干大の脳みそをフル稼働させる。
カタカタカタ・・・カタ・・・カ・・・タカ・・・カ・・ボンッ!
ピー、ピピピー・・・エンザンシュウリョウ
そして、出た答えは・・・
「マヨネーズセットひとつ・・・」
・・・違う。
全く関係ないじゃないか。
俺は飯にマヨネーズをかけたものなんて食べたくない。
そもそも、そんなものをすきっぱらに詰め込んだら、腹イタはおろか再起不能になりそうだ。
ぐぐぅ〜・・・
食料のことを考えたらまた俺の胃壁をガスが押しだした。
「やってらんね・・・」
どさっ・・・
手足を四方向にぐいーっと伸ばし、道路の中央で大の字に寝っころがる。
もうなにもかもがどーでもよくなっていた。今の俺には立ち上がる気力すらない。
いくら鉄人といえども、空腹には勝てんのだ。
152Angelic Mellow 3/20:02/02/18 11:11 ID:mG6lZx80

「・・・・・・・・・」
ひんやりとしたアスファルトを背に、俺はしばらくの間腕を枕にうっすらと緋色に染まる夏の夜空をぼんやりと眺める。
「星・・・綺麗だな・・・」
緋色から朱色、そして朱色から薄紫色へのグラデーションをバックに、まるで銀の砂を散りばめたように瞬く星々。
この田舎町で気に入っているものといったら、この星空ぐらいなものだ。
というよりこれ以外は全部嫌いだった。
「星・・・」
「・・・・・・・・・」
「そっか、遠野が待っているんだっけ・・・」
「どっこらせっと」
「さて、また晩飯代を稼ぎにいくとするか」
体についたほこりを軽く払い堤防の上へと向かう。
「えーっと、ガキんちょ、ガキんちょ・・・」
「・・・・・・いたっ」
波打ち際で鬼ごっこに興じる小学生ぐらいの男女を発見。
ツイてる・・・
153Angelic Mellow 4/20:02/02/18 11:12 ID:mG6lZx80

「おーい、名雪はやくこっちにこいよー」
「まってよぉ〜祐一、わたしそんなに速くはしれないよぉ」
「よしだったら、今から俺が鍛えてやるぞ、うりゃりゃりゃりゃりゃりゃあっ!」
どどどどどどどどどどどどどどどどど・・・
「も〜・・・。いいもんいつか祐一がびっくりするくらい速くなるんだから」
「そんなの絶対無理ですよー、ばいばいぶー」
「あ〜ん、まってよぉ〜、そんなにイジワルすると今日の夕飯イチゴジャム丼にするよ」
「うっ・・・それは・・・」
「ゆ〜いち、つ〜かま〜えた」
「あ、ずるいぞ名雪」
「えへへ・・・じゃあ早く帰ってイチゴジャム炊き込みご飯食べよっ」
「絶対帰らないっ!!」
「え〜どうしてぇ〜?イチゴのお味噌汁もあるんだよぉ」
「・・・マジかよ」
「ちくしょう、ハメられた。さっきランナウェイすべきだった!」
「祐一、そういうの後悔役に立たずっていうんだよぉ」
「違う、それをいうなら先だっ」
「どっちも同じだよぉ」
154Angelic Mellow 5/20:02/02/18 11:12 ID:mG6lZx80

「・・・・・・・・・」
客の選択を誤ったであろうか・・・
しかし東から生まれた闇は少しずつ空を侵食し、今やその九割近くを傘下に治めていた。
今から他をあたっている余裕はない。俺は意を決した。
「おい、そこのガキどもこっちを向けっ」
きゃきゃっとはしゃぐ二人を呼び止める。
「ん、なにおじちゃん?」
青い髪を三つ編みのおさげにした少女がこっちにやってきた。
「おじ・・・」
「あー・・・うおっほん」
「さっ、今からぴちぴちのお兄さんが君のために人形劇をやってやるぞ」
「お人形さん?」
「そうだ、そこはかとなくかわいいお人形さんが楽しいダンスを踊るんだ」
「本当っ! わ〜い」
なかなかの好感触だ。
やはりこの年頃の女の子は人形に弱い。
この調子でいけば晩飯のおかず一品ぐらいは稼ぐことが出来そうだ。
「お〜い、名雪なにやってんだ? 早く帰ろうぜ」
「あ、ちょっと待って、このおじちゃんが今からいいもの見せてくれるんだよぉ」
「ふーん・・・」
しめしめ・・・男の方までやってきたぞ。
(やったね、これで今晩のおかずは豚足で決まりだイエイッ!)
「・・・・・・・・・」
・・・違う。
どうして俺はそんなグロイものしか考えられないんだ?
ほら、黄金色のもっとゴージャスなのがあるだろうがっ。
そう、タクアンとか・・・
・・・・・・・・・。
違う違う違う、色はあってるけど全然ゴージャスじゃないっ!
155Angelic Mellow 6/20:02/02/18 11:13 ID:mG6lZx80

「ね〜、祐一このおじちゃん苦しそうだよぉ。どうしたのかな〜」
「禁断症状だろ」
「きんだんしょうじょう?」
「ヤクがきれたってことさ」
「そうなの? じゃあ、お母さんに頼んでもらってきてあげようよぉ」
「あのなぁ」
「だってすごく苦しそうだよぉ」
「やめとけ、こうなったらもう無駄だよ。それにこの人お金持ってなさそうだし」
「祐一、冷たいね」
「ああ、なったって俺はアイスマンだからな」
「・・・・・・・・・」
「ゆ〜いち、それあんまりカッコよくないね・・・。夏だから溶けちゃいそうだし」
「う、うっさいなぁ、ほら行くぞ」
「えっ・・・あっ・・・うん」
「じゃあ、お人形のおじちゃんバイバイ・・・」

「ぶつぶつぶつぶつ・・・」
「メンマ・・・カラスの缶詰・・・カツなしカツ丼・・・青汁・・・」
「肉なしビーフシチュウ・・・ガリガリ君・・・うまい棒・・・」
「・・・・・・・・・」
「だぁ! どれもメシのおかずじゃないっつ〜の!」
「・・・はっ、いない」
さっきまで目の前にいたはず金の卵がいつのまにか忽然と姿を消している。
「ど、どこだ俺の金づるは」
慌てて首をぐりんぐりん回転させ、辺りをサーチする。
ピッ、ピッ、ピッ、ピーーーッ
「ターゲットロック・・・」
彼らはいつのまにか砂浜から堤防へとコマを進めていた。
156Angelic Mellow 7/20:02/02/18 11:14 ID:mG6lZx80

「待ちたまえ、そこの子供達っ!!」
どがががががががががががががが――――――っ!
除雪車のごとく脇に砂の壁を築き獲物に急接近する。
残す障害は眼前に屹立する約三メートルのコンクリートの壁のみ。
「とうっ」
たんっ、ば、ば、ば、ばっ、びしゅるるるるるるるるるぅぅぅぅぅーーーーっ!
ロンダート、バク転、バク転、バク転、後方身伸九回転宙返り。
「わー・・・」
途中、口をぽかんと開けた三つ編みの少女と目が合う。
すたっ。
着地成功。
「さあ、楽しい人形劇の始まりだ」
俺は着地と同時にすちゃっと人形を取り出し、それを堤防の上に寝かせる。
アクロバットな演出のあとの人形劇。
これで子供達の目は釘付けだ。
そしてラーメンセット・・・
ふふふふ・・・なんて、ナイスな勝利の方程式なんだ。
腹の底から笑いがこみあげてくる。
「上から降ってきたと思ったら、人形劇とか意味不明なことをいいだすし、やっぱりこいつガイキチだよ」
ぐぁ・・・
いきなり客に引きが入った。
どろどろと溶けてゆく勝利の泥舟国崎号・・・
「・・・むん」
なんのここで挫けてなるものか。
気を取り直し、俺は横たわる人形に念を込める。
すると、それはひょっこりと起き上がりてくてくと歩き始めた。
157Angelic Mellow 8/20:02/02/18 11:15 ID:mG6lZx80

とことことことこ・・・
とことことことことこ・・・
とことことことこ・・・
少し古ぼけた人形がまるで人のように堤防の上をあるいてゆく。彼の背には糸などどこにも存在しない。
そう、俺には念を込めたものを自由自在に操ることが出来た。
実際に種も仕掛けもない。
俺はこの力を今は亡き母から受け継いだ。
これは「法術」と呼ばれるもので、俺はこれを基に人形劇をして日銭を稼ぎ、数十年間旅を続けている。
とことことことこ・・・
とことことことことこ・・・
とことことことこ・・・
人形が規則正しく石灰質の舞台を闊歩(かっぽ)してゆく。
「ふはは、どうだすごいだろ。楽しくて財布の紐がたるみまくってしまうだろう」
意気揚揚と客の反応を窺う。

「あのね・・・祐一。大事な話があるの・・・」
「なんだ名雪、急に改まって」
・・・違う話をしていた。
(こいつら・・・)
「うん・・・えと・・・あのね・・・」
「じれったいな、ぐじぐじしてないですぱっと言えよ、すぱっと」
「うん、じゃあ・・・言うね・・・」
「私・・・で・・・」
「で?」

「できちゃったみたい・・・」

少女の頬が夕焼けより濃い色に染まった。
・・・・・・・・・。
158Angelic Mellow 9/20:02/02/18 11:15 ID:mG6lZx80

「なにぃいいいいいいぃぃぃぃぃーーーっ!!!」
「なにぃぃぃぃぃいいいいいいいぃぃいぃいいいいーーーっ!!!」

男の顔が面白いようにバケツ色に染まってゆく。
「でででで・・・できちゃったって、それはたけしの挑戦状Uのことだよな」
「・・・・・・・・・」
静かに横に揺れるおさげ。
「名雪・・・それはもしかして頭に『あ』がつくやつか?」
「・・・うん」
「・・・・・・・・・」
「そうか・・・とうとうこの町にも『アントニオ猪木の銅像』が降臨するか・・・」
ふるふるふるふるふるふる・・・
激しく左右に舞う青髪。
「ちがうよぉ・・・あかちゃんだよぉ・・・」
小鳥のように細く透き通った声が夕闇に溶け込む。
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
衝撃の事実に固まる野郎ども二人。
「でね・・・いろいろ考えたんだけど、やっぱりこの子堕ろすね」
「私、祐一のこと束縛したくないから」
(おいおいおい・・・)
159Angelic Mellow 10/20:02/02/18 11:17 ID:mG6lZx80

「なに言ってんだよ名雪! 俺は別に束縛なんて・・・」
「・・・私、知ってるんだよ、祐一があゆちゃんって娘と二股かけてること」
「うっ・・・」
「そ、そんなことはないぞ・・・」
「・・・・・・・・・」
「それと最近夜、家を抜け出すけどあれはな〜に?」
「それはウォーキングだよっ!」
「ほら最近、中性脂肪がたまちゃってまずいかなーって、ははは・・・」

「・・・うそつき」

「ぐっ・・・」
「学校で女の子と会ってるの私、見ちゃったんだから」
「祐一は夜の校舎で何をしているのかな〜・・・」
「いや、別に舞とは何も・・・」
「ふ〜ん、その子、舞ちゃんって言うんだ」
「・・・っ! 本当に何もないって」
「学校へは魔物を討ちにいってるんだよ」
「・・・祐一、嘘をつくならもっと説得力があったほうがいいと思うよ」
「これはマジだっ!」
「これは?」
「違う、これもっ!!」
「ふ〜ん・・・」
男の方はかなり旗色が悪そうだ。
というよりこの場合、青髪の少女の誘導尋問がうまい。
自分は全てを知っている振りをしてハッタリをかけ、相手がボロを出すのを待つ。
こうなると男は言訳をすればするほど、いらんことを言ってどんどんと深みにはまってゆく。
この少女は幼い顔してなかなかの話術師である。
160Angelic Mellow 11/20:02/02/18 11:18 ID:mG6lZx80

「名雪、信じてくれ」
「俺は、あゆも、舞も、栞も、真琴も、佐祐理さんも、香織も、
美汐も、北川も、ぴろも、秋子さんも、みんな遊びなんだっ!!!」
「だから・・・」
「えっ・・・お母さんまで・・・」
「しまったっ!」
「・・・・・・・・・」
「ほ、ほらっ、やっぱり男としてはオールジャンルを極めたいかと・・・」
「ははっ・・・はははははははは・・・」
(こいつ・・・ほんとに小学生か?)
傍からみてるだけでも背筋がカチコチと凍りついてくるぞ。
ひーふーみー・・・彼女も合わせれば全部で十一股か・・・
今までよくバレなかったな。
というよりこいつは一週間をどうやってやりくりして過ごしているんだろう。
きっと秘密の手帳に今日は名雪の日とかマルがついているに違いない。
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
どうやら戦線は膠着状態に陥ったようだ。
野次馬としては行く末をこのまま見届けたいものだが、それは俺の腹が許さない。
それに遠野も腹をすかせて俺の帰りを待っている。
となればここはさっさと金をぶんどってこの修羅場からおさらばするのに限る。
「なあ、お前達、お兄さんの芸を見たんだから払うもんがあるだろ?」
「さっ、さくさくっと渋いおじちゃま達をだしましょうねー」
「なお、ただいま期間限定特別奉仕中で稲造以上なら人形劇のアンコールもセットでつけちゃうぞ」
「さあさあ、漱石、稲造、諭吉、三人まとめてドンとこいっ!」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「ドンと・・・」
案の定シカトされた。仕方ないほとぼりが冷めてからせがむか・・・
161Angelic Mellow 12/20:02/02/18 11:19 ID:mG6lZx80

「祐一・・・」
「な、なんだよ・・・」
にこっ・・・
「今までありがとね・・・私、祐一と会えてよかった」
「ほんの少し、たった二週間の冬休みだったけど、私、とっても楽しかったよ。だからね、最後は笑顔でバイバイしようね」
「おい、名雪・・・なにいってんだよ」
「・・・・・・・・・」
 青髪の少女は何も答えない。ただ、穏やかな微笑みだけが夕焼けに音もなく溶けてゆく。
赤黒い海から吹く風にばさばさと踊る綺麗な三つ編み。
人はこんなにも悲しく笑えるものなのだろうか・・・
さくっ・・・さくっ・・・
少女は微笑んだまま後ろに一歩、また一歩と堤防の縁へと歩を進めてゆく。
その小さな背に広がる漆黒のアスファルトはまるでその小さな体を誘うように怪しく渦を巻いているように見えた。
「名雪っ!」
「えへへ・・・」
にこっ・・・
どこまでも澄みきった黒い瞳に少年の姿が映る。

「バイバイ・・・祐一・・・」
「イチゴのお味噌汁・・・のこしちゃダメだよ・・・」

ふっ・・・
少女は手を翼のように広げ、そのまま闇のカーテンへ音もなく滲むように消えて・・・

「なゆきぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃーーーーー!!!」
「かねぇぇぇぇぇえええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇーーー!!!」
162Angelic Mellow 13/20:02/02/18 11:38 ID:swewjXRQ

ぱしっ・・・
「!」
 固く閉じられた少女の瞳が弾かれたように開く。その両脇には二つの大きな手があった。
そう、俺と少年は少女の空色の三つ編みを咄嗟に掴んだのだ。
「いたいよ・・・祐一・・・」
「て・・・はなしてよ・・・」

「絶対にいやだっ!」
「金を払ったら離してやる!!」

「どうして・・・私はどうせ使い捨てなんでしょ・・・」

「そんなことはないっ!」
「何を隠そう全くその通りだ!!!」

「・・・やっぱりそうなんだ」

「おっさんだまれっ!!!」
どぐぉっ!
「ぐあっ」
キレのいいコークスクリューブローが俺の頬にめり込む。
「ふ・・・いいパンチだ・・・どうだ君、この俺と一緒に世界を・・・」
ぐしゃあっ!
「へぶっ・・・」
今度は幻の左がテンプル(側頭葉)を直撃。
「いいからだまってろっ!」
「・・・はい」
すこすこと・・・身を引く。
小学生に負ける俺っていったい・・・
163Angelic Mellow 14/20:02/02/18 11:41 ID:swewjXRQ

ギ・・・ギ・・・
「・・・・・・・・・」
俺が山椒魚の様にずりずりと堤防に身体を擦り付けていると手の先から鈍い音が聞こえてきた。
慌てて視線をそちらに向けると少女は黄色いカッターを自分のおさげに刃をあてていた。
おそらく自分の髪を切り落とすつもりであろう。
「バカっ!」
「!」
きいいいいいいいいいいぃぃーーーーーーーーーーーんっ!
その光景を見た瞬間、少年は戸惑うことなく自由な左手でもってその刃を叩き折った。
折れた刃が黒いアスファルトを叩きつけられ澄んだ音色を奏でる。ヘタをすれば自分の指が飛ぶ荒業だ。
「いいかよく聞け名雪っ!」
「確かに俺は他の女の子と仲がいいかもしれない」
「でもな、俺が好きなのは名雪、お前一人だけなんだよっ!」
「だから、この俺を信じて自分の手で戻ってきてくれ、名雪!!」
「・・・・・・・・・」
「祐一・・・こぼれた甘いイチゴサンデーはもう二度と器に戻らないんだよ・・・」
「・・・っ」
「そんなことはないっ、たとえ形は崩れようとも器に戻すことはできるっ!」
「私、そんなの食べたくない・・・」
164Angelic Mellow 15/20:02/02/18 11:41 ID:swewjXRQ

「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
決着はついた・・・
少女の完全勝利だ。
まっ、少年には悪いがさっさとこの嬢ちゃんを引き上げてメシ代を請求さしてもらおう。
「よっこら・・・」

「名雪! お前は米だ!!!」

・・・・・・・・・。
突如少年の叫びが夕闇を切り裂いた。
意味不明の叫びだったが、その熱い思いがビシビシと伝わってくる。
そう、彼の目はまだ死んではいなかった。
165Angelic Mellow 16/20:02/02/18 11:42 ID:swewjXRQ

「・・・・・・・・・」
「私が・・・お米?」
「そうだ、お前は米だ」
「名雪だって毎日米ばっかりだと飽きるだろ、そしたらパンや、スパゲティーや、ステーキを食べる。ちがうか?」
「私・・・イチゴなら毎日飽きないよぉ」
「今は主食の話だ!」
「えっと・・・つまり人はそのように時として別の物を食べたくなってしまうことがある」
「しかしだ、やはりそれらもすぐに飽きてしまう」
「そこで人は初めて気づくんだ」
「今まで自分にとって一番大切だったものは何だったのか、これからの自分に一番必要なものは何であるかを」
「そしてその食べ物とは・・・」
「イチゴ・・・」
「そう、イチ・・・って違う、米だっ! つまり名雪、お前だよっ!」
「ゆ〜いち・・・」

「名雪! 俺の一番大切なものは米であるお前なんだよっ!!!」

「祐一っ!」

「・・・・・・・・・」
こいつもまた小学生のくせしてすごいテクを使うな・・・
さすが十股、十一股は伊達じゃない。
きっとこいつは先輩からいろいろリカバリー技を伝授されていて、他の女の子にも似たようなことを言っているのだろう。
まったく行く末が恐ろしいヤツである。
166Angelic Mellow 17/20:02/02/18 11:43 ID:swewjXRQ

「さっ名雪、俺の手に掴まれ・・・」
「うんっ」
固く握り締められる小さな二つの手。
「よいしょっと」
「祐一・・・」
「名雪・・・」
堤防の上で夕日をバックに見つめあう二人。まるで映画のワンシーンのようだ。
(実際こういうのはあるもんだな・・・)
俺は現実の陳腐さを改めて理解したような気がした。
「ゆ〜いち〜っ!」
「名雪ーっ!」
なぜか二人はスローモーに駆け寄り・・・
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
そして互いの存在を確かめるかのように強く抱きしめ合った。
「・・・・・・・・・」
とことことこ・・・
とことことことこ・・・
とことことこ・・・
することがないので俺は徒然なるままに人形を歩かせる。
「祐一、私の作るお味噌汁毎日飲んでくれる?」
「味噌汁って・・・イチゴのか?」
「うん、もちろんイチゴジャム炊き込みご飯もだよぉっ」
「・・・・・・・・・」
「毎日イチゴのお料理食べてね、約束だよ」
「ぜ、善処します・・・」
毎日イチゴづくしか・・・
きっと、イチゴチャーハンや、イチゴラーメンや、イチゴの味噌漬なんかが食卓に並ぶんだろうな。
うっ・・・考えただけでもイチゴみたいなぶつぶつがでてきた。少年よ汝に幸あれ・・・エイメン・・・
167Angelic Mellow 18/20:02/02/18 11:44 ID:swewjXRQ

「さて、ようやく一段落ついたみたいだな」
「こほん・・・」
「さあ、そこのマセたガキんちょども、さっさと出すもんだせやぁ、ゴルァ!」
ドスの効いた声でもって脅しをかける。ここまできたらもう手段を選んでいる余裕はない。
彼らからなんとしてでも金を巻き上げねば俺が餓死する。
そうなったら、半透明の袋に詰め込まれて燃えるゴミの日にポイっと投げ捨てられること間違い無しだ。
運がよくて夢の島行き・・・。それだけは避けねばならない。
「ん、ああ、ガイキチさんか・・・」
「ガイキチいうなっ」
「とにかく、今もってる有り金全部だせ、こんちくしょうっ!」
「なんなら、君達を誘拐してもいいんだよ〜♪」
もうほとんどヤクザである。人間切羽詰まると道徳の授業なんざへのつっぱりにもならない。
「あっ、それはやめた方がいいと思うな」
「なんでだ?」
「名雪のお母さんは裏の人間だからさ」
・・・裏。
「マグロ漁船乗りたい?」
「・・・・・・・・・」
晩飯のおかずか、はたまた解体され異国の地へと渡るか・・・
(くそっ、どう考えても割に合わないぞ。やっぱり客の人選ミスった)
まさに後悔役にたたず。
「まっ、そういうことだから。行くぞ名雪」
「うんっ♪」
ああ・・・かねが・・・俺の金が仲良く手を繋いで去ってゆく。
陽はすでに水平線の彼方に沈み、辺りは夜のとばりに包まれていた。
もうだめか・・・。
そんな言葉が脳裏をよぎる。
いや、まだだっ、膝をつくのはまだ早い。
あの少年にはアキレス腱がある。そこをついて生き延びるのだ。
168Angelic Mellow 19/20:02/02/18 11:44 ID:swewjXRQ

「ここは通さんっ!」
俺は先程の子供達の前に立ちはだかる。
「ちっ、またか・・・おじさんあんまりしつこいのは嫌われるよ」
「ふふふ・・・この俺にそんな口を聞いていいのかな?」
「はいはい、今忙しいからまた今度ね」
ひゅ・・・
一陣の風が俺の脇を吹き抜けていった。
(にゃろう・・・)
「さっきの口説き文句にはほつれがある。それをその少女にバラしてもいいのかな?」
・・・・・・・・・。
俺の後ろで一人分の足音が消えた。
「米に飽きたら、パンやスパゲティーやステーキを食べる・・・か」
「ってことは、それらはもうすでに食べてしまったことは認めるんだな」
「つまり、お前が浮気をしているってことはバレバ・・・」
がっ・・・
「んっ?」
背後から腰に何かが巻きついた。
みるとそれは少年のもので、ヘソの辺りで見事にクラッチされている両手が見え・・・

ぶおんっ!

「はれっ?」
刹那、天空の星々が流星と化した。
169Angelic Mellow 20/20:02/02/18 11:46 ID:swewjXRQ

どごおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーんっ!!!

「へぶしっ!」
 津波にも耐えられる鋼鉄のコンクリにめり込む頭蓋骨。
「バックドロップはヘソで投げるんだ、覚えとけっ!!」
遠くのほうでだれかが叫んでいる・・・
「ねぇ〜祐一、浮気してるってことはバレバってなに?」
「ああ、それは、浮気はレバーのように処理するのが大変だからやめとけって―――・・・」
だんだんフェードアウトしてゆく意識。
俺はこのまま人柱のように埋められて、この町の観光名物になってしまうのだろうか・・・
消えゆく意識の中遠野のことよりもそんなことが先に浮かび、俺はねっとりとした深い闇へと堕ちていった。
・・・・・・・・・。
・・・・・・。
・・・。


(おわる)
170名無しさんだよもん:02/02/18 11:50 ID:swewjXRQ
>>150-169
以上、半年前に連載企画として製作したAirSSです。
某スレで引退を表明しましたがワケあってここに投稿します。
どうか、手厳しい批評をお願いします。
171名無しさんだよもん:02/02/18 12:05 ID:cm20alRa
>>170
何はともあれ三点リーダを使ってください。これだけはおねがいします。
つまりこういうことです。
誤 → ・・・
正 → …

172名無しさんだよもん:02/02/18 18:25 ID:UwaYxyqy
>>171
でも、その「三点リーダ」というのは、
Win2000系+IE5.5〜6.0 では、潰れてしまう。

読みやすくするための形式は必要だけど、
あまり形式だけに囚われすぎると、本末転倒ってことになるヨ。
173170:02/02/18 23:23 ID:tLucj5mn
う〜む、レスが返って来ないと言う事はこのSSはダメなのか・・・困ったな。
友人はバカ受けしてたけど、なにがいけないんだろう・・・むぅ・・・。

恥を覚悟で聞きます。
コレは二作目のSSだから文章力はないのは自分でも理解しています。
ただ、笑ったか笑わなかったかだけ教えてください。
それだけでいいです。お願いします。
174名無しさんだよもん:02/02/19 00:24 ID:UKttDpQx
>>173
登場人物が三人ともデンパか極悪なのはどうかと。
国崎だけは常識あるツッコミ役でも良かったのでは?
とくに>>159あたりでは、幼年時には会ってない筈の
キャラと付き合ってるなどの不条理な設定を元に
祐一と名雪が駆け引きを打っていて、読み手が混乱すると思う。

175名無しさんだよもん:02/02/19 00:33 ID:1hN5O5zc
>>173
面白いと思うよ。
読んでる時は笑った。

でも、感想というのは読んだ後に書くもので。
つまり、展開とともにヒートアップして、最後はズバッとオトさないと、
「ああ面白かった」とはなりにくいわけで。
面白いけどだらだらと長い印象。
ドンピシャリのオチさえ浮かべばそこに向かって一直線に行きたくなるはずだから、
そんなに長くならないと思う。
176170:02/02/19 06:34 ID:P6EdzVxd
>>174-175

レスどうもっす。笑ってくれればそれでいいです。
自分の笑いの感性にズレがないかどうしても確かめたかったゆえ
少々意固地になってしまったことを反省します。
御二方の犀利な批評、どうもありがとうございました。
それではここらへんで失礼します。
177名無しさんだよもん:02/02/19 21:37 ID:0lGBKvyz
書きます。
178不定期連載:02/02/19 21:45 ID:0lGBKvyz
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1009/10097/1009774787.html
祐一・美汐夫妻シリーズ
第一話「月曜の朝」
>138-140
第二話「Baby Face」
>508-510

第三話「ベクトル」

その翌日──つまり一昨日のことだが──美汐は一人ものみの丘に来ていた。
まだどこかに残るもやもやを解消するには自分の目で確かめればいい。
そんな気持ちになれたのも、
「祐一さんのおかげね」
と、雲の切れ間からわずかに陽光が差す雨上がりの空を見上げて美汐がつぶやいた。

丘の緑は雨に洗われ本来の色を取り戻し、瑞々しい輝きがそこら中に溢れている。
そして、そんな景色に不釣合いな暗い表情をして、男が立っていた。
美汐は思わず身を隠した。
青ざめた男の顔には生気というものがまるで感じられない。

(本当に幽霊だったらどうしましょう……)
木の陰で震えながら美汐は思った。
(こんなことならもっと前に怖がっていれば良かった)
混乱しているのか、考えがやや意味不明である。
とりあえず、美汐は男に足があることを確認した。
が、今度は幽霊には足がないという俗説の信憑性を思案し始めるのだった……
179不定期連載:02/02/19 21:47 ID:0lGBKvyz
男は何をするでもなく、ただじっと立っていた。
時折、風が草木を揺らし、枝葉に残った水滴がパラパラと美汐の上に落ちてくる。
(噂は全然本気にしていなかったけれど、確かに遠目では目鼻立ちも整っているような……)
なにやら思案の方向が大幅にずれてきた美汐。
ここに来た目的はすっかり忘れているようだ。

また風が吹いた。

男はやはりそこに立ち続ている。

風が止む。

突然、男は崩れるように地面に両手をつき、震える声で女性の名前を叫んだ。
美汐は電撃に打たれたような衝撃とともに、直感した。

この人は待っているんだ。
この丘に消え、もう二度と戻っては来ない大切な人を。
あのときの私と同じように。
あのときの祐一さんと同じように。

男は声をあげて泣いていた。
命を振り絞るようなせつない響きが美汐の胸を締めつけた。
痛む胸を抑える手は知らず、強く、固く握られていた。
唇を噛み、二歩、三歩、後ずさる。
美汐は、これ以上男の苦しむ姿を見ていることはできなかった。
振り返ると、そこから逃げるように走り出した。
180不定期連載:02/02/19 21:49 ID:0lGBKvyz
まだ買ったばかりの靴はぬかるみにはねた泥でみるみる真っ黒に染まった。

……どれくらい走っただろう。
息が苦しくて、いや、それ以上に胸が苦しくて、美汐は道端にうずくまってしまった。
「祐一…さん……」
両手で顔を覆い、かすれた声で夫の名を呼ぶ。
薬指の小さな指輪が何か言いたそうに鈍く光った。

『泣きたくなったら俺に言えよ?』

美汐はいつか聞いた祐一の言葉を思い出していた。

『たとえ慰めることができなくても、一緒に泣くことなら俺にだってできるからな』

「祐一さん…私……」
美汐は何の飾り気もないその指輪を包み込むように胸に抱くと、今度ははっきりと言った。
「私は、大丈夫ですから」
私には祐一さんがいるから、だから……
そこで美汐はハッと気づいた。
あの男の人にはそういう存在がいるのだろうか。
そばにいて、一緒に泣いてくれる人はいないのだろうか。
美汐はものみの丘を振り返った。
今でも慟哭が聞こえてきそうな、悲しい色をしていた。

次の日は祐一と出かける予定で、それは雨でつぶれたので、二人は一日中家で過ごした。
「せっかくの休みなのに……」とボヤく祐一をなだめるのは美汐にとっても楽しいことだ。
昨日のお礼にとばかりに、めいいっぱい甘えさせてあげた。
だが、自分が幸せを感じるたびに、あの男のことが気になって仕方がなかった。
きっと今もあの丘で待っているのだろう。
雨の中、たった一人で。
181不定期連載:02/02/19 21:51 ID:0lGBKvyz
──そして今日、美汐はもう一度ものみの丘に行こうと思っていた。

髪をとかし、薄く口紅をひく。
「別に祐一さんに隠すつもりではないわけですし、ただ、事情がはっきりわかってからでないと、
 祐一さんに話したって意味ありませんものね?」
美汐は三面鏡に映る自分にそう言い聞かせた。
鏡の中の自分も深くうなづいてみせる。
よそ行きの服も用意したのだが、それは着なかった。
支度を整えると、美汐はもう一度空模様を確認し、お気に入りの栗色の傘を手に取った。
そして、しばらくためらった後、予備に置いてある折りたたみ傘もバッグにしまい込み、外に出た。

空はとうとう堪えきれなくなったように、冷たい雨を降らせ始めた……
182名無しさんだよもん
祐一・美汐夫妻シリーズ
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1009/10097/1009774787.html
>138-140
第一話「月曜の朝」
>508-510
第二話「Baby Face」
>>178-181
第三話「ベクトル」
おしまい