ドラクエの小説スレッドパート1

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1リュナン・セネト
削除されてしまったようなので
新しく立てました。
前スレ
ヽ(´∀`)ノ ワーイ教発足
http://game.2ch.net/ff/kako/1024/10244/1024470060.html
2ゲット
3名前が無い@ただの名無しのようだ:02/08/21 21:18 ID:LiphqGPk
小説スレって言うから間違えたよ
紛らわしい。
>>3
削除対策じゃないのか?
4ゲットーーーーー!!
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄                  (´´
                  ∧∧       (´⌒(´
            ⊂(゚Д゚ )≡≡≡(´⌒;;;≡≡≡
        ⊆⊂´ ̄ ⊂ソ  (´⌒(´⌒;;
           ̄ ̄ ̄   ズザーーーーーッ
>>5
おめでとう
>>6
ありがと〜♪
8名前が無い@ただの名無しのようだ:02/08/21 21:43 ID:cLw+pDg/
>>1
そのスレすぐ下にあるぞ
このスレってこの後どうなるの?
小説スレとして転用?(昔はあったけどなくなったから)
それとも削除依頼もう出した?
「DQのエロ小説」スレが消えたのでその後継ぎにしませんか。
ドラクエ総合で。
エロでゲームブックだったら大変そうだよなあ

「あっっ ああ〜〜ん」
女の声が高くなってきた。
ここで挿入しますか?

1 がんがんいれよう
2 マターリ愛撫
3 じらしを大事に

とか(w

1210:02/08/22 22:52 ID:???
人が集まりそうではある(w
そう言えばエロパロ板にドラクエのエロ総合スレがあるから
わざわざこの板にエロ小説スレを作る必要はないですね。
13 ◆469/wPAw :02/08/23 17:04 ID:???
ゲームブック書いてる者ですー。
新しくスレを立てていただいたのですね。
1さん、ありがとうございます。
でも、鯖移転で運よく削除はされなかったので、ゲームブックは
下のスレで続けていこうと思いますー。すみません。

ヽ(´∀`)ノ ワーイ教発足
http://game2.2ch.net/test/read.cgi/ff/1024470060/l50
関係ないですが、(´・ω・`)スレ、落ちてしまったようで、
チョトショックでつ。そしてエロゲームブック……読みたい(w 誰か書きませんか?
誰かがマスターになって書くより、リレー小説にした方が楽しいと思う。
以前レトロ板か家ゲ板のかまいたちの夜スレで、
リレー小説なんだけど、最後に選択肢をつけて、
次に書く人は好きな選択肢の続きを書くようにしてやってたんよ。
これはどう?
15あぼーん:あぼーん
あぼーん
16名前が無い@ただの名無しのようだ:02/08/23 23:21 ID:fC+QM+lt
山に迷った寺田先生、李くん、>>1くんの三人は人喰い山姥に出会いましたです。
妖術で身動きがとれなくなった三人に山姥は言いましたです。
「もうお前達は私から逃げられない。日が沈むまでに果物を取ってこい。言うとおりにした者だけ逃がしてやる。」
三人はそれぞれ果物を探しにでましたです。
寺田先生がレモンを持って戻ってきました。
「よしそれではそれを尻の穴に入れてから私に顔射しろ。そうすれば助けてやる。ただし途中で笑ったらすぐさまお前を殺すからな。」
寺田先生は必死でレモンを尻の穴に入れオナニしてやっと山姥の顔に射精しましたです。寺田先生は助かりましたです。
次に李くんがリンゴを持って戻ってきました。
「よしそれではそれを尻の穴に入れてから私に顔射しろ。そうすれば助けてやる。ただし途中で笑ったらすぐさまお前を殺すからな。」
李くんは必死でリンゴを尻穴に入れようとしましたです。なかなか入らずに肛門から血が吹き出ています。それでもやっと入り擦り勃ててあと一息で射精できるという時に突然李くんは
「ぷっ、はははっぁ!」
と吹き出してしまいましたです。
李くんは山姥に胸を刺され息絶えようとしていましたです。
「あともう少しだったのに何故笑ったのだ?」
苦しみながらもなおも笑いながら李くんは丘の向こうを指さしましたです。
そこには嬉しそうにスイカを持ってやってくる>>1くんが見えました。

エロゲームブックねぇ・・・・
現行の僧侶スレに「大王イカクエスト」なんてものがあったな。
作者がいなくなった(書きこみ不可になった?)ため、結局は未完に終わったようだが。

>>14
う〜ん、やっぱり1人で書いた方がいいんじゃない?
文体が変わると途端に萎えそう。というわけで神待ちモード。
>>14 それは面白そうだね
でも必ず自分で続きを書かなくてはならない、というのは重荷かもしれないから
続きを書きます、というのを先に宣言しておいて、それから書いた方がいいかもね

でもDQのどの作品でやるの?
キャラ立ちしててわかりやすい4がやりやすそうだけど。
男女複数いるのもオイシイ。
4か5がやりやすいでしょうな。
同年代が多い4が一番かな?
いっそ、何でもアリというのも面白そうだと思ったり。
全シリーズごちゃ混ぜ(w
おお!アリだね!
しかしどんな事になるのやら想像がつかん。
うまくいってる場合変に混ぜちゃうのも微妙だしね。
いろんなキャラがまじるシチュを、ちょと考えてみますた。

1)最初に書く人が主人公を選んで、新たに出現した旅の扉に飛び込むところから始める。
2)扉の先の世界は、ゲームブック方式で選んでもらう。
3)DQのストーリーをたどるのではなく、あくまで「ヤる」事が目的
4)ただし、ここは年齢制限のない板なので、エロ行為そのものよりも、そこに至るまでを
楽しもうと思ってみる(?)

………なんか変だな。
区切りのいいところで完結させて書くといいかもね。
1つの話があまり長く続くとごちゃごちゃして分かりづらいし。
>22
それって
DQのギャルゲーを本気でプレイしるスレッド4
http://game2.2ch.net/test/read.cgi/ff/1029946579/
になってしまうのではないだろうか。
俺は正直あのスレ嫌いなんだ。
>>24
どの辺が嫌な部分? リレー小説にすると、かなり雰囲気は変わると思うyo!

そろそろ煮詰めてもいいなと思うんだけど、アンケートとっても(・∀・)イイ?
某スレのごとく、選択形式で多数決にしよう(w

小説の形式は……
1リレー方式 2マスター方式
小説の内容は……
1ドラクエ世界でエロ 2ドラクエ世界でノーマル
3ドラクエだけど別の世界でエロ 4別の世界でノーマル小説のキャラクターは……
1ドラクエキャラ総出 2固有のドラクエシリーズ(シリーズ名もどうぞ)小説の主人公は……
1男 2女

とりあえず、こんな感じ?
アンケート期間は2日間ぐらいおけばいいかな。
他に意見があったら、ご自由にどうぞー。

>>22さんのシチュも、も少し詳しく聞いてみたいでつわ。
2の「世界を決める」というのは、どのシリーズの世界なのか
決める、ということなのかな?
もし>>22さんのシチュでいくなら、いっそ1と2は最初に決めちゃって、
扉の世界から先を最初の人に書いてもらうのでもいいなと思うです。
小説の形式は……
1リレー方式 2マスター方式

小説の内容は……
1ドラクエ世界でエロ 2ドラクエ世界でノーマル
3ドラクエだけど別の世界でエロ 4別の世界でノーマル

小説のキャラクターは……
1ドラクエキャラ総出 2固有のドラクエシリーズ(シリーズ名もどうぞ)

小説の主人公は……
1男 2女
2725:02/08/26 02:29 ID:???
書きこんだ後確認してなかった(;´Д`)
>>26サンキュ!
2824:02/08/26 02:30 ID:???
で、俺の意見は以下の通り。
形式 :1・リレー方式
内容 :2・ドラクエ世界内でノーマル
キャラ:2・固有の作品、特に4か6が良い。
主人公:男

リレー方式なのは、みんなで遊びたいから。下手でも書くのは楽しいよ。

内容がドラクエ世界内なのは、俺が>24で言った「DQのギャルゲーを本気でプレイしるスレッド4」の
嫌いなところとして、ドラクエキャラを普通の世界観? で使ってるのに違和感アリアリだから。
あとエロでないのは、いったんエチシーンに入ったらそう簡単には抜け出せないから。
仮にエロありにしたら、エロシーンのみで構成される事になりそう。

キャラがDQ4か6なのは、どちらもキャラの設定が立ってるから。
1・2・3はハッキリした設定のあるキャラは片手の指で数えるほどしかいないうえ
恋愛などとは縁のなさそうな連中ばかりだから。
5は使える気もするけど、作品中で主人公が結婚するため、本来の結婚相手以外に話を広げづらい。
また書き手がビアンカ派とフローラ派両方参加する事が考えられるため、まとまらなくなる可能性がある。

主人公の性別が男なのは、ゲーム中での主人公は男が基本だから。
4の場合は女勇者もいるし、そもそもゲームの主人公とは別に今回の小説オリジナルのキャラを
主人公にしても構わないので、俺としては主人公の設定にあまり口を出すつもりはない。
ただ何分俺が男なもんで、主人公を女にすると書けないかも知れない。

以上。
2911=22:02/08/26 09:36 ID:???
>>24 そうか、ギャルゲスレと構成がかぶりそうでつね。気付かなかったな。

自分が考えていたのをもうちょっと煮詰めて考えてみますた。
1)まず、勇者をきめる。これは最初に書く人の設定で良い。
2)システムとしては短編リレー方式で、短編の終わりに旅の扉を出して次へ進む。
☆例えば、旅の扉の先がクリフトが寝込んでいる状態のミントスで、勇者一行に先んじて
パデキアのねっこを取って来て、感謝するアリーナとヤっちゃう。んで、満足して新たな
旅の扉に飛び込む、って感じに短編連作をする。
あくまで、描く世界はドラクエの中。でも、目的はエロなので、ゲーム自体のストーリーを
最後までおいかけなくて良い(だから氷の洞窟でアリーナとヤって、即座に旅の扉もOK)
3)旅の扉を出した時点で、次のような選択肢をだす。

僕は旅の扉に飛び込んだ。
次はどこに到着しますか?
1)ルーメン 2)ラインハット 3)アリアハン
☆こうすると、DQのいろんな町をごちゃまぜに巡って書けるなあと思ったでつ。

4)エロにいたるまでを楽しむ、ってのは、>1みたくエチシーンで選択肢を出すんじゃなくて、
そういう気分にさせるまでの会話を楽しむとか、そういう感じの方が面白いなと思ったので。
11で書き込んだ時は、あくまでネタだったからw

以上、22で考えた事ですた。
よく考えると、7の石版システムみたいな感じかも。次の世界へ飛び込んで、そこを解決して
また他へ、っていう。
ゲームを固定すると、そのゲームをやった事のない人は書き手になれないからそれもつまらないかなと思ったです。


3011=22:02/08/26 09:48 ID:???
ということで、>>26のアンケートに沿って自分の考えを書いてみると

形式:1 リレー形式
内容:1か2 あくまでドラクエ世界が面白そう
(短編連作の中でエロまで辿り着いて旅の扉って人がいても、
ゲーム中の事件を解決するまで書いて旅の扉、って人がいても面白いかなあと思う。
でも、エチシーンの描写でひっぱるのはダメ。エチは1レスまで、とかかな?)
キャラクター:1 ドラクエキャラ総出演
主人公:男 DQ4が男勇者なので、女勇者も面白いとは思うけど、実際に書きやすいのは男かなあ、と。

あと、選択肢にないけど、
システム:短編連作方式。ひとつの短編の中で書き手が代わってもOK。
リレーで長篇、というのも面白そうだけど、そうするとどうしてもどれかゲームを固定しないと
書きづらそうだから。

こんな感じになりますかね。
3124:02/08/26 22:26 ID:???
なるほど、長いリレー作品より短編の連続の方が参加者がたくさん入れそうですな。
作品も固定しない方が良いと。
じゃ、俺もソレに賛成。
ただその場合は主人公の扱いが難しそう。
本編どれかのキャラを使うの? それともオリジナルで作る?
連作にするんなら主人公は固定した方が良いよね。
だったらあんまり片寄った性格とかは避けた方が良さそうだけど。

ところで現在このスレの参加者は何人? 3人くらい?
まあ準備期間だし、稼動し始めたら人が来てくれる・・・と良いな。
3211=22:02/08/27 00:09 ID:???
>>31 確かに主人公の扱いは難しいなあ。う〜〜ん。
オリジナルの方が動かしやすそうですかね……。

3325:02/08/27 00:39 ID:???
自分で書いておいて答え忘れてた(w

形式@1リレー方式
いろんな人が参加できて楽しそうだから。
内容@2ドラクエ世界でノーマル
別にエロでもいいんだけど……ドラクエ世界にしないとギャルゲと被りそうだから(w
小説@1ドラクエキャラ総出
全作品を知らなくても参加できるから
小説@1男
女も面白そうかなと思うけど、もしエロに持ちこみたいのなら男の方が
いいから。また、板人口的にも男性が多いので男の方が参加しやすそう。

自分も連作短編に賛成ー! その方が、参加もしやすいだろうしね。
主人公は、例えば15歳の勇者、とか、18歳の冒険者、とか、おおざっぱな
設定だけでいいのではないかと。それこそドラクエ1みたいにさ。

参加者は今のところ3人っぽいね。一回上げてみようか。
34名前が無い@ただの名無しのようだ:02/08/27 00:43 ID:3nDosuzY
age
おお,面白そうだね!連作!
ドラクエキャラ総出かあ…33に賛成だな。
4の勇者,とかってキャラの一人に限定しちゃうよりも,名も無い冒険者的なノリの方がドラクエ世界をさすらう感じが出て良いと思う。
その途中で女勇者が出てくるっていう可能性もアリな訳で。
3611=22:02/08/27 01:46 ID:???
名も無い冒険者ってノリ、いいっすね。なんか自分自身の半身みたいで。
勇者はあくまで扉の先で出会う相手の職種(?)って事にして、主人公は
あくまで「冒険者」ってのがいいかも。
年齢は18才くらいがいいかな〜。あんまり若いと書きづらそうです、個人的に。
3724:02/08/28 00:07 ID:???
では勇者はあくまでも登場人物の一人にしましょ。
主人公はあくまでも冒険者で。

ところで短編連作つっても一編を何回かにわけて(何人かの書き手で)書いても良いよね?
1レスぶんだけでは短すぎて話を作れぬ。
で、この場合、単純に途中までの内容で書き込むのと
旅の扉とやらではないが選択肢をつけて終わらせるのとどっちが良い?
まだ意見出ししていいのかな?
ドラクエキャラオールスターズなら、
主人公を決めなくてもいいと思う。

例えばなんだけど、
何故か各ドラクエ世界に飛ばされた主人公とその仲間達が、
(当然自分の世界とは違う世界)
その謎を解くために立ち上がり、やがてその謎の正体を突き止め、一つの世界に集合。
そしてその謎の正体(オリジナルで魔王を設定)を倒すみたいなのは?
形式はリレーSSを希望。
これだと基本的に三人称で展開するか、勇者の一人称での展開だと思う。

欠点はオールスターズにするので、登場キャラを把握するのが難しくなる事。
後、ストーリーの展開の仕方をある程度しばらないとやり辛い。
例えば、一人の作者が一つのシリーズのお話を担当する、とか
一つの世界の話をきちんと終わらせてから次の世界の話へ繋げないと
読みづらいとか。
3911=22:02/08/28 09:19 ID:???
>>36 
つまり、1の勇者が突然7の世界に飛んで大活躍した後、7のアルスたちが5の世界に登場、
どうして自分達が違う世界に飛ばされたのかを調べるうちに、背後の魔王の気配に気付く、
って感じの連作アイディアですか?
途中はいいけど、最後の魔王との決戦あたり、登場人数多くて凄い事にならないかなあ?
あと、最初にある程度魔王の設定が必要だよね。
ストーリーに縛りがかかるのは参加しにくくないかな、という気もする。
大作になりそうで面白そうなんだけどな〜。書き手がひとりじゃないと難しいと思うよ。

自分が>>30で提案したのは、DQの勇者たちの世界を第三者が冒険してみるっていう形だから
勇者たちを客観的に描く感じになるだろうなと思ってた。>>36の案は主観的に描くわけだね。
勇者自身の世界ではないとはいえ。違いがあって面白いね。

>>37 自分のイメージでは、短編の途中で書き手が変わってもOKだし、短編といいつつも
何レスまでしか書いちゃダメ、とかって決めなくていいと思ってたんだけど。
(エチシーンはいつまでも続きかねないから1レスまで? って書いたけども)
だから例えば

どうしよう……。僕は困ってしまった。
どうしますか?
1)町へ戻る 2)さらに森の奥へ進む 3)とりあえず、ひとやすみする
*続きをどなたか書いてください〜。

って感じもアリじゃないかと。
4011=22:02/08/28 09:39 ID:???
あ、>>39で書いてた最後の方、勘違いですね。
途中でバトンタッチの場合、ゲームブック風にした方がいいのか、それとも
単純に話の途中で交代か、って事か。
どちらもOKって事にしてもいいんじゃないかな。統一した方がいい?


4124:02/08/28 18:44 ID:???
じゃそこらへんは、その時の書き手の自由って事で。

他になにか決めておいた方が良い事はあるかな?
なければそろそろ動かし始めても良さそうだけど。
早くやりたいYO!
43簡単なルール@11=22:02/08/28 19:17 ID:???
これは連作短編ゲームブック方式の小説です。書き手は固定されていませんので
いつもはROMの方も書き手になってみてください。
でも、ある程度ルールを決めないと書きにくいと思われますので、以下のように
最初に取り決めました。進んでいく中でもっとやりやすいルールがあったら、
その都度訂正してゆきます。

1)主人公は旅の扉を使って新しい町へゆき、そこで冒険し、また次の町へ
旅立ちます。冒険中の行動を全て書き手さんが決めても、途中にゲームブック風の
選択肢が登場しても構いません。ただし、冒険の最後の旅の扉の行き先だけは
複数の選択肢の中から参加者の多数決で決定される決まりです。
2)基本的にはひとつの冒険をひとりで書いた方がやりやすいように思いますが、
途中で書き手が交代してもOKです。交代方法は、その都度考えてゆきましょう。
3)旅の扉が出た時点で、次の書き手さんに交代します。書き手希望者がいない場合は続行もOKです。
4)ドラクエ世界の中なら、どこへ行っても構いません。アリアハンの次にフィッシュベルへ飛ぶ等もアリです。
5)小説の連作と、これからの展開の相談を同じスレでやる事になると思います。
以前の話がわからなくならないように、連作部分はレスアンカーを入れながら
書いてください。

☆ありそでなさそなQ&A☆
Q:短編って何レスまで使っていいの?
A:今の所、レス数制限は特に考えていません。
Q:エロはなし?
A:話の流れ次第ですが、エロで続けるのは禁止です。1レスでやめてください。
Q:これ、いつ終わるの?
A:皆で書きながらエンディングを考えましょうw
Q:感想とか希望とか書き込んでいいの?
A:是非書いてください。皆で楽しく進めようYO!
4411=22:02/08/28 19:33 ID:???
後から入る人が入りやすいように、ルール書いてみますた。
どんなもんでしょうか?
これで全体の進め方のルールがよければ、主人公が旅に出る理由を
皆で考えるor最初を担当する人の自由にする、のどちらにするかを考えれば
始められるのかな?
4524:02/08/28 20:07 ID:???
最初に書く人の自由で良いと思う。
別に理由を書かなくても、そのうち後付けで付きそうだし、
ただあてもなく・・・ってんでもOK。
だから最初に書く人にまかせよう。

最初に書くのって難しいと思うけど、書き手立候補する人いる?
>>45
主人公名カテーに付けて良いならばヤテーもいいよ。
47地雷勇者 ◆Lv99FMOE :02/08/29 06:52 ID:???
フローラは王妃、ビアンカは妾。
そのまま3Pは基本だね。
4811=22:02/08/29 09:14 ID:???
これ、パラレルワールドっぽく、4の世界で男勇者のところと女勇者のところが出て来ても
構わないよねえ?
ビアンカ、フローラについては、どうだろう?
花嫁選択の前の世界なら書きやすいけど、結婚後はどっちを選んだのかわからないように
書くとか配慮するって感じ?
4924:02/08/29 17:45 ID:???
んー、最初に書く人の自由で良いや。
あんまり規制しても書きづらいし。
変更したければパラレルワールドっぽく書いてもらうって事で。

>46
よろしく・・・みんな良いよね?
5011=22:02/08/29 19:16 ID:???
どんなスタートになるか、楽しみにしてまつ
5125:02/08/29 21:56 ID:???
楽しみでつ……ワクワク
待ってるよ……
46さん、まだかなー。悩んじゃってるのかなー?
まだ来ないのなら別の人が・・・
うーん……どうしようか?
期限決める?

とりあえず上げ。
5624:02/09/02 04:50 ID:???
俺が書く、と言いたいところだが最初の書き込みは以後の発展を左右するので
プレッシャーが・・・そんなに上手くない、ってか下手だし・・・。
しかしそんな事言ってるといつまで経っても始まんないし、
木曜日あたりになっても誰も書かないようなら俺がいきましょう。
できれば誰か書いてぇ。
ゾーマ=大魔道(byWのモンスター物語)
58DQ:02/09/03 01:51 ID:tX+ELz9Z
よければぼくが
59DQ:02/09/03 01:52 ID:tX+ELz9Z
GMになりますよ             
60DQ:02/09/03 01:53 ID:tX+ELz9Z
↓客
61DQ:02/09/03 02:04 ID:???
あぅぅ。。。あぅう。。。
たった60レスだ、目ン玉かっぽじってスレを最初っから読んで
趣旨をちゃんと理解して来い。
63DQ:02/09/03 02:07 ID:tX+ELz9Z
読んだうえでカキコミしたんだ、なんでそういういいかたしかできないのか!
6424:02/09/03 02:08 ID:???
どう見ても理解できてないからだ。
GMなんて単語とは縁が無いスレだろうが。
65DQ:02/09/03 02:09 ID:tX+ELz9Z
そんあにバカじゃないよ
66DQ:02/09/03 02:10 ID:tX+ELz9Z
小説だってかける
67DQ:02/09/03 02:13 ID:tX+ELz9Z
GMという言葉に異常なほど敏感だ。
そうとう嫌ってんだろう
6824:02/09/03 02:15 ID:???
勘違いしてるんじゃないというなら、書いてくれるのは歓迎だ。
だがしかし、なんでそんなに細切れに書き込んでるんだ?
そりゃ人が少ないスレではあるがレス数を無駄遣いしすぎだよ。
小説書くのならもっと読みやすく書いてね。
今夜は寝るから、やってみようと言うなら書いておいておくれ。
69DQ:02/09/03 02:16 ID:tX+ELz9Z
そうか
70DQ:02/09/03 02:16 ID:tX+ELz9Z
そりゃあ
71DQ:02/09/03 02:17 ID:tX+ELz9Z
悪かった     
7211=22:02/09/03 11:46 ID:???
最初って書きにくいっすよね。
DQMプレイヤーの自分だと主人公をDQMの世界の人間にしちゃうかもだけど(藁
いきなり王様の前に連れてこられて
「頑張って冒険して強くなるように」
とか言われて、旅の扉が沢山ある広間に連れていかれるって感じで。
あ〜、今まで自覚なかったんですが、自分がここで提案した進め方って、
DQM1とDQ7の合併みたいな感じだったかもです。
DQM1は、違う世界からタイジュの国に連れて来られた人間(テリー)が、まものつかいNO.1を
目指して旅の扉の先にある不思議な世界でまものを仲間にしつつ冒険するっていう話です。
プレイヤー人口はあんまり多く無いかもしれないけど、面白いのでやってみてください。


73(凸)ノ ◆wOWWow22 :02/09/03 12:00 ID:???
主人公の設定は、いきなりクソ強くしていいのか、
それともLV1から始めるのか
最初書いてもいいんですが、その辺が悩み所ですな
あと旅の扉での世界移動だけど、虹色のキメラの翼もつかっちゃ駄目?
74(凸)ノ ◆wOWWow22 :02/09/03 13:01 ID:???
主人考案

A.現実世界の少年
日本の普通の男の子。DQ大好き少年。なんか知らないけど、DQの世界にワープ。戦闘力は皆無

B.冒険者
便所掃除からトレジャーハンターまで、幅広く仕事をこなし、世界を旅する青年。

C.傭兵
人斬り商売ではそれなりに名前の売れているフリーの傭兵。よって強い。

D.タイジュの国の子供
>>72で提案されている案

E.国土拡大に努める皇帝
別名、ロマサガ2主人公

F.吟遊詩人
なんとなく
75北風:02/09/03 18:25 ID:???
B案、C案、F案にそれぞれ一票。
一人で荒野をゆけるレベルで、人の情事を覗き見してもおかしくないような職業という観点から。
7611=22:02/09/03 20:56 ID:???
別にタイジュの国に呼び出しをくらうのは子供とは限らないんですけど(ニガワラ

やっぱり最初に書く人の自由じゃなくて、皆で設定決めた方がいいのかな?
BCF案は行動の幅が取りやすくて、
戦える便利な職業っぽいけど、
冒険の目的とかをどう設定するのかなあ、と思ってみたり。
剣と魔法がある程度使える吟遊詩人,とか。
目的は…伝説を探してさすらってるってのはどうですか。
ひとつ終わる度に,次の伝説を探しに行くってことで。

ていうか吟遊詩人にするとしたら特技等は7に従わなきゃダメでしょうか…?
主人公=自分を一番実感できた3の勇者を主人公にするとかは?
性格づけとかもないし。
吟遊詩人で剣や魔法が使えるというと、ロレンスでつか?
いいかもしんないね、吟遊詩人。伝説をもとめてさすらうのが吟遊詩人の生き方だから、
旅に出る理由とか、その町を去る理由に困らないし。
でもこれだと、狂言回し的役割が主人公に与えられるって感じになるのかな?
8111=22@DQ3的スタート:02/09/04 03:49 ID:???
「トルファ、起きなさい。今日はお城の王様に会いに行く日でしょう?」
母さんの優しい声で目が覚めた。
いつもやかましい母さんが優しく起こすということは、何か大変な事が今日はあるってことだ。
「今日って何だっけ?」
「も〜〜、だから、王様にご挨拶に行く日だって、夕べから何度も言っているでしょう?」
そうだった。早く身支度をして、お城に向かわなくては。
僕は顔を洗って髪を整え、食卓についた。
「今日の目玉焼きは黄身が2つも入っていたから、きっといいことがあるわよ?」
そんなの迷信じゃないの? と 思いつつ、僕は母さんの心遣いに感謝して精一杯の笑顔を作り、
一気に朝食を食べ尽くした。
「ほっほっほっ。いつ見てもトルファの食べっぷりは気持ちがいいのぅ」
爺ちゃんは毎朝同じ台詞を言う。でもぼけてきた、というわけでもないらしいから、まだ安心なのだろう。
「ごちそうさま」
食べ終えた皿を片付けた僕は、鏡の前で身支度を点検し、家を出た。
「行ってきま〜す!」

さて、ここで選択をしてください
1)王様に呼び出しをくらった理由を語らせる
2)トルファのこれまでの人生を語らせる
3)町の様子を語らせる
8211=22@DQM的スタート:02/09/04 04:06 ID:???
気がつくと、僕は見知らぬ国にいた。
眠っていた所をまんまるな妖精(?)に叩き起こされて
「ついておいで」
と言われて、ここに来たんだけど。
どうしてこんな立派な王宮の、しかも王様の前に連れて来られたのか、さっぱりわからないぞ。
「おお、わたぼうに連れてこられた者とはそちのことか?」
「わたぼう? 灰色でまんまるな妖精のことをわたぼうって呼ぶんならそうだけど」
「なんじゃ、わたぼうはまた自己紹介もせずに連れてきてしまったのか。困ったやつじゃのう」
やれやれ、といった具合に、王様は肩をすくめた。
「では、どうして自分がここに来たのか、全く説明をされていないのではないか?」

ここで選択をしてください。多数決で決まります。
1)その説明はすでに受けた(どんな説明だったかを記入してください)
2)まだ受けていないから王様から聞きたい(この場合、11=22の考えた設定になります)




8311=22@サンプル書いてみますた:02/09/04 04:16 ID:???
最初にかっちり決めるのもアリだと思うんですけど、
最後の選択肢部分で工夫して、徐々に主人公について語っていくのはどうでしょう?
(って事でサンプルを2つ書いてみました。叩き台がないとやりにくいかと思ったので)

ちなみに、DQ3のオープニング部分が「これから冒険に出るぞ〜」ってわくわく感があって
すごく好きなのでモチーフとして使いましたが、DQ3の主人公ではないかもしれないので
父親の描写等を省いてあります。
吟遊詩人の卵かもしれないし、実は朝の弱い傭兵かもしれない。
そういう含みをもたせたスタートがいいような気がしたです。

あ、だからDQ3的すたーとの方は、こういう選択肢にした方がいいですね。

さて、ここで次の3つについて希望する設定を書いてください 。
*3項目全てではなく、どれかひとつだけでもOKです。多数決で決まります。
1)王様に呼び出しをくらった理由
2)トルファのこれまでの人生 (特にトルファの職業を書いてください)
3)町の様子(現代なのか、DQ世界なのかを書いてください)
いちいち多数決なんてとってたらとんでもなくタルくなると思うが。
8524:02/09/04 04:36 ID:???
それもそうだ。
安直だが記憶喪失ネタはどうだろうか。
8624:02/09/04 04:40 ID:???
というか、主人公の設定なんてそんなに最初から考えるものでもないな、と。
8724:02/09/04 07:32 ID:???
 旅の扉。特殊な魔法で2箇所をつなぎ合わせた、トンネルのような移動手段だ。今では旅の扉を作れる者は
いないと言われ、既にあるものを利用するしかないが、旅をする者には1つの道として重宝されている。
旅の扉がどこにあるのかは、多くの冒険者によって世界中から報告され、数年前からその地図も売られており、
旅行感覚で旅をする者も増えてきた。今や「冒険者」と言えども命を賭した戦いの場などない。それは平和の
証だが、冒険者にとってひどく退屈な事でもあった。
 暇を持て余す冒険者の間に、最近流れ出した噂がある。赤い旅の扉。一見すると色が違うだけの旅の扉に
見えるが、入り口と出口はつながっておらず、入ったが最後引き返す事はできない。世界のどこにもつながって
おらず、どこにでも行けるがどこに行くかはわからない、そんな物があると言うのだ。噂を聞いた冒険者達は
久しぶりの未知に沸き立った。君も冒険の旅を夢見るならばわかるだろう、どこにでも行けるがどこに行くかは
わからない、その危険がどれほど心を震わせるか。多くの冒険者が旅先でその話をし、瞬く間に噂は世界を駆けた。
 多くの冒険者が旅立ったが、その幻の旅の扉を見つけたという話は全く無い。やはり噂に過ぎなかったのだと
言う者も多く、流行りが過ぎて人々の関心が薄れても、トルファはまだ探し続けていた。彼がそこまで探し続ける
理由は誰も知らず・・・いや、もとより冒険者にとっては旅に理由など必要ないのかも知れない。今夜は宿を
取れず、野宿していたトルファが夜空を見上げていると、目の前の空間が赤く裂けた。驚いて剣を構える
トルファの前に、赤い亀裂の中から一人の男が現れ言った。
「これがお前の探している旅の扉だ。一度これを通れば、時が来るに従い扉の方からお前のもとに現れるようになる」
 呆然と見ていたトルファが我に帰ると、男は既に姿を消していた。
 あの男が何者なのか、何故自分にこの扉を届けにきたか解からないが、求めていた旅の扉がここにあるのだ。
トルファは赤い旅の扉に飛び込んだ。直後視界がゆがみ一面が赤一色になる・・・
色以外は普通の旅の扉と同じだ。だがしばらく中を進むと、出口は3つ見えてきた。
頭の中に声がひびく。「左はナジミの塔、右はレヌール城、中央はイムルの井戸へ続いている」
 さあ、どこに行こうか?
8824:02/09/04 07:34 ID:???
11=22が元ネタをDQ本編に求めたので
俺はオリジナルで書いてみたんだがどうだろう。
8911=22:02/09/04 11:14 ID:???
24さんの設定、すげえ面白いと思う。
赤い扉か〜、わくわくするねえ。

ということで、このままスタートしちゃってはどうでしょうか。
イムルに一票しつつ、簡単なルールは>>43です、とか書き加えてみる( ̄ー ̄)
>>87
オッケーだと思います!
これでスタートしちゃいましょう。

行く先は多数決で決めるんだっけ?
次に書く人が決めるのでいいと思うんだけど……。
(次書くのが24さんか、別の人かはわかんないけど)
9111=22:02/09/04 18:21 ID:???
あ、そうか。次の行き先の決め方はゲームブック方式じゃなくてもいいんだね。
失礼しやした。
9224:02/09/04 18:41 ID:???
このままスタートで良い? んー、自分のが使われると嬉しいけど恥ずかしい(照
次は誰か別の人が書いて。選ぶ場所はどこでも良いけど(書き込み容量のせいで選択肢書けなかった)
どれを選んだのかは明記して欲しい。これは以降ずっとね。
あと、選択肢の決定権は書く人にあるけど、希望を出すのはOKだと思うよ。

それと、分岐はあってもあくまでも小説だから、選ばれなかった選択肢は基本的に二度と使わない。
例えば今回イムルに行くとしたら、ナジミの塔やレヌール城に行った場合の話ってのは一切でてこない。
もちろん次に移動する時にあらためてこれらの場所に行くのは良いけど、
それはアナザーストーリーじゃなくて、イムルに行ったって過去があっての事になる。
それで良いんだよね?

なお主人公名は>81の「トルファ」を流用しました。
93北風:02/09/04 21:35 ID:???
……しばし迷った末トルファは右の出口に向かった。

レヌール城。トルファがその名を聞いたのは、まだ幼かったころの収穫祭の時、故郷の村を訪れた吟遊詩人が詠った物語の一つに出てきた。
なんでも昔は立派な城だったところにいつしか魔性のものが住みつき、そして訪れる者を二度と帰さない恐るべき迷宮になったのだという。
……確かその物語はこの城が魔の手から解放される話だったと思う。しかし途中で眠ってしまったためあまり覚えていない。
ここを行き先に選んだのは最後までその物語を聞けなかったのをしゃくに思い、今実際に訪れる事で取り返そうと思ったからであった。

一瞬光がトルファをつつみ、そしてすぐに消えると……目の前には古城があった。
時間は夜。雲が厚くかかり、月明かりどころか星さえも見えない。ただ時折なる雷鳴だけが明かりをもたらしていた。
トルファはそのままカンテラに火も入れずに進み、正門にたどり着いた。
正門は思ったよりも重く、一人の力では開きそうにもない。正面から入ることはあきらめて裏口なりなんなりを探そうと背を向けた時。

ギ、ギ、ギギーー

正門の扉が錆び付いた音を立てながら開いたのだ。
驚いたトルファは、だがこれも何者かの導きと考えて入城することにした。
そして玄関に入ると。
今度は、扉が音もなく閉まったのであった。
トルファは駆け寄ったが、予想したとおり扉はピクとも動かなかった。
「閉じ込められた、か」
トルファは低い声でつぶやいた……。
94北風:02/09/04 22:04 ID:???
 このまま玄関に留まっていてもしょうがない。
トルファは、カンテラに火を入れて左手に持ち、愛用の小剣をいつでも抜剣できるようにして玄関を出て行った。

 まずは二階への階段があるホールに出た。天井は暗く、シャンデリアらしきものがあることしかわからない。
「まあ、まずは1階から探検してみるかな」
よもすれば城の暗い雰囲気に飲み込まれてしまいそうになる。それに対抗するため、むりやり口に笑みを浮かべて廊下に出て行った。
廊下は長く、暗闇に閉ざされていて奥の方はよく見とおせない。しばらくは右手側にしか扉はない。
 一つ目の部屋はなにか、商店のようだった。薬草の類……それに小銭でもあればと思ってカウンターや棚を覗いたが何もない。
埃の積み重なり具合からすると、この商店、いや、この城が放棄されたのは少なくとも2、3世代は前のことだろう。
 次の部屋は礼拝所であった。この城の住民はよほど信心深かったのだろう。部屋の広さには似合わぬほど多くの椅子が置いてあった。
このレヌール城にはアンデッドモンスターが主に出没したそうだ。聖水でもあればと考えたが、やはり何もない。
ため息をつきながら部屋を出ようとすると、チャリーンと音がした。
戻ってみると、説教壇の上に先ほどはなかった鎖付きの小さなロザリオがあった。
いったいどこから落ちてきたのか。疑問に思いながらもトルファは懐に押し込んだ。

 同じようにいくつかの部屋に立ち寄ったが、どこも空っぽであった。
城を放棄するときに徹底的に掃除をしていったのか、守る住民がいなくなってから盗賊団が押し寄せたのか。
今となっては分からないが、収穫は先ほどのロザリオしかなかったことトルファを少しいらつかせていた。
とにもかくにも廊下を進んでいくと、左手にあるドアから光が漏れている。
……自分と同じように迷い込んだ旅人ならありがたい。だが魔物の類ならば、気づかれては厄介だ。
忍び足で扉によっていったトルファは、両開きの扉のうち片方をすこしだけ開かせた。
そこには……。

*24氏の>>84に続けてみました。私はちょっと都合が悪いので、どうぞ続きをお願いします。
*今回は人が少なかったのでじかに書きましたが、次に書くときはメモ帳から貼り付けることにします。
9511=22:02/09/04 23:07 ID:???
レヌール城かあ。やってないゲームだから展開をすごい楽しみにしてます。
小説の続きに協力できない自分はルールを整理して次レスに貼りますね。
>>92での提案等も追加しました。

あと、時々↓こういうような過去スレの流れを貼っていただけると便利かなと思います。
現在までの進行状況は >>87 >>93-94 レヌール城で次の書き手さんを待っています。
ルールを>>96で確認した上でご参加ください。
96ルール改訂版1:02/09/04 23:07 ID:???
これは連作短編ゲームブック方式の小説です。書き手は固定されていませんので
いつもはROMの方も書き手になってみてください。 ルールは以下の通りです。

1)主人公は旅の扉を使って新しい町へゆき、そこで冒険し、また次の町へ 旅の扉から旅立ちます。冒険中の行動を全て書き手さんが決めても、途中にゲームブック風の
選択肢が登場しても構いません。ただし、冒険の最後の旅の扉の行き先だけは
複数の選択肢を用意してください。
2)次に書く人は、どの選択肢を選んだか明記して進めてください。書き手以外の人が希望を書き込む事も可能ですが、必ずその希望に沿って進むかどうかはわかりません。
3)書き手は選んだ選択肢以外については、書く事ができません。以前の選択肢に出たのに選ばれなかった場所を再び選択肢に出す事は可能ですし、過去に行った場所の事を思い出す、等はOKです。
例:A、B、Cの中からAに行ったとしたら、B、Cに行った場合の話をAの中で書いて
ゆくことはできません。
4)基本的にはひとつの冒険をひとりで書いた方がやりやすいように思いますが、
途中で書き手が交代してもOKです。
5)旅の扉が出た時点で、次の書き手さんに交代します。書き手希望者がいない場合は続行もOKです。
6)ドラクエ世界の中なら、どこへ行っても構いません。アリアハンの次にフィッシュベルへ飛ぶ等もアリです。
7)小説の連作と、これからの展開の相談を同じスレでやる事になると思います。
以前の話がわからなくならないように、小説の連作部分はレスアンカーを入れながら
書いてください。
☆ありそでなさそなQ&A☆
Q:短編って何レスまで使っていいの?
A:今の所、レス数制限は特にありません。
Q:エロはなし?
A:話の流れ次第ですが、エロで続けるのは禁止です。1レスでやめてください。
Q:これ、いつ終わるの?
A:皆で書きながらエンディングを考えましょうw
Q:感想とか希望とか書き込んでいいの?
A:是非書いてください。皆で楽しく進めようYO!
9724:02/09/05 00:56 ID:???
> 11=22
ルールありがと。そっか、5はやってないのかー・・・まあ次の選択肢まで待っててくださいな。

>93-94
おお、早速続きだぁ。俺はまだ書いたばっかりだから待機してます。
リュカ&ビアンカが出てくるのかな?



書き手さん募集中!
小説書いた事無い人も、ここで試しに書いてみようぜ!
上手い・下手よりも皆で楽しもう!
書き手募集age
99シャル ◆JOJOHIHI :02/09/05 20:38 ID:???
DQ5仲間モンスター
ドラゴンマッド
名前
1匹目マッド
2匹目ラゴンド
3匹目モリタケ←
4匹目りゅうた
保守しまSYO!
101名前が無い@ただの名無しのようだ:02/09/05 22:48 ID:2JPjZ9YO
うむ、書き手さんが少ないのは致命的。
ageて一見さんを募ってみるか。
102名前が無い@ただの名無しのようだ:02/09/05 22:50 ID:2JPjZ9YO
もう一つ。
もしゲームではプレイヤーが命名していたキャラを出す場合、みんなの認識する最大公約数ということで小説のを採用するのかな?
10311=22:02/09/05 22:56 ID:???
他のスレに宣伝に行くのはウザがられるだろうと思ったけど
DQ4のゲームブックスレには宣伝しておきますた。
今日はいろんなスレが上がったりしてて忙しいね。
10411=22:02/09/05 23:20 ID:???
>>102 それは特に決めてなかったですね。初めに書く人の自由、というのはダメかな。
例えば最初にVの町を書いた人が主人公をリュカって名付けたとして、次にVの他の
町が出た時に、そこの町に出てくる主人公がトルファを覚えているっていう設定なら
同じ名前じゃないとおかしい。
でも、別人でもいいのではないかと思うですよ。
「前に会ったリュカと似た感じのヤツだけど、こいつはラルカっていうのか」っていう
具合でも。パラレルワールドとして楽しもう、ってことで。
ただ、前に出た時の名前がどんなのだったか、ってのを調べられるように、時々前の話を振り返り
やすいようなリンクアンカーが必要でしょうね。リンクアンカーに場所の名前を書いておけば
振り返りやすいかな? ↓の感じ?

現在までの進行状況は >>87 >>93-94(レヌール城)
ルールを>>96で確認した上でご参加ください。
各作品の主人公名は、小説版を使うのが良いでしょ。
特に5の場合はリュカがもう、少なくともこの板的には常識になってるし。
でも実は全部の小説版名を知ってるわけではないのだが。

あとね、5の主人公、フローラ萌えスレでは「ケイン」となっている。
これはかつて存在したフローラなりきりスレで、なりきりやってた人が機転を効かせて
「私の夫はビアンカさんと結婚したリュカさんとは別の人なんですよ」って事を
言ってたのが現在も継がれているのだ。
もし書く人は覚えておくと良いかも?

むー、書き手さん誰かいないかなー。
また俺が書いても良いけど、できるだけ大勢で書きたいよね。
10624:02/09/06 05:03 ID:???
あ、↑=24ね。
(書く上での)縛りがかなりきついのでロム専でいまつ。
>107
スレの本筋とは異なる、独自の中・短編でも(その旨を記してくれれば)大歓迎ですよ。
10911=22:02/09/06 13:25 ID:???
>>107 縛りがきついですか〜。そうかなあ。どのあたりが辛いです?
今のレヌール城だと
・完璧な無人状態。手に入れたのはこつ然と登場したロザリオのみ。
・奥の部屋から光がもれているので誰かいるらしい。覗いてみると?
っていう状態を引き継いで書けばいいんだよね? そんなにキツイのかなあ。
(レヌール城のエピソードを知らないからよくわかってないですけど)
あと、ルール的な点でしたら、是非教えてくださいです。

そういえば、旅の扉の先って、先に書いた人が選択肢を出した所じゃないところを
次の人が書いてもいいかもね。
書いてみようと思ったのに、選択肢に出て来た場所全部知らない時とかさ。


まあ、一口にレヌール城といっても、
ゲームに順ずるならばその状況には
1.主人公たちが訪れる前
2.主人公たちの訪問と重なっている
3.主人公たちの訪問後
というのと、
4.全くオリジナル

というふうに選択肢はいくらかあるのだから、それに独自の解釈を加えればよいのかもしれない。

>105
「フローラ」さんの機転にはお見それし申した。
レベルが高いですな。
11124:02/09/07 02:20 ID:/DNj7JMD
>107
縛りがきつい・・・か?
連作にするのに必要な事だけだと思うけど。
ではどうすれば良いと思う?
とりあえず連続とか気にしないで書ける人がどんどん書いちゃって
いいんじゃないかな。
様子見で参加を躊躇ってる人とかも、実際に動いてるのを見たら
参加したくなるかも知れないし。
動いてみないとわからないって人、多いと思うよ。
113北風:02/09/07 19:29 ID:???
レヌール城に行き先を選ばなければ書き手さん(5はやったことはないがほかの作品ならやったことはある、という人)がいくらか増えた可能性もあった、
という事情もいくらかありそうなので、
当初の「一冒険=一人の書き手」という原則に従い、レヌール城での冒険は私が責任を持って2,3日以内に完結させます。

 昔は宴の場だったのであろうか?天井には高い吹き抜け、壁には装飾がなされた数多くのロウソク台、また見事なタペストリーがかけられているなど、かなり豪華なつくりの広間だ。
その真ん中に一人の男が座り込んでいた。漏れていた光はその男の周囲にあるいくつかのロウソクのものようだ。
 トルファが声をかけようとすると、男は振り向いてきた。そしてしばしトルファをじっくりと見つめると、
「ほう!生きた人間がこんなところにいるとは珍しい!」
「おれは旅の者だが……」
「いや、そんなことよりも早く、こちらに来るのじゃ!」
 誘われるままに近寄ると、明かりに照らし出された男の様子がよく見える。黄色を基調としたローブを着た、不健康なほどにやせこけた壮年の男だ。フードをしていたため見えはしなかったが髪も薄そうだ。
 そして。あきらかに魔法使いと素性が分かる杖を持っていた。彼はロウソクと白墨で描かれた魔方陣の中にいた。
「これは魔除けでな……お前さん、このレヌール城の話は知っておるな?」
「ああ、少しは……」
「まあいい。端的に言ってしまえば、この城は魔物に取り憑かれておるのじゃ」
 そういうと、彼はおかしくてたまらない、といった感でクックック、と忍び笑いをもらした。
「あんたはここで何をしてるんだ?」
「わしはな、ここで探し物をしておるのさ」
「探し物?」
「そう!この城が守る者がいなくなったとはいえ魔物が寄ってくるようになったのも、すべては結界が解かれたためじゃ……この城を守っていたな」
 そこで彼はトルファを指差した。
「どうじゃ、親切そうな若者よ。今再びこの城に光を取り戻すため、わしの手伝いをしてくれんかの?」
 願ってもない!このような冒険はトルファが望んでいたものだったのだ!
114北風:02/09/07 19:30 ID:???
「よしよし、それでは出発じゃ!」
彼は手早く魔方陣を撤去すると、使いさしのロウソクや床に敷いていた毛布をずた袋押し込んだ。
それを肩にかけると、
「わしは……ブーンという名の、見ての通り魔法使いじゃ。おぬしはなんという?」
トルファは名のった。だが、このレヌール城に来た経緯などについてはごまかしておいた。『赤い旅の扉』の話など、実際に見たものでもなければ信じられないだろう。だいいち「この世界」の住人が話を聞いたことすらあるのかどうか。
そう考える間にもブーンと名乗る魔法使いは話をする。
「わしは『光の玉』というアイテムを捜しておるのじゃ。文字通り光輝いておるからすぐわかるじゃろう。
 それが結界となって魔物を寄せ付けない力を持っておってな、今まで無人のこの城を守っておったようなのじゃ。
 ところが先日の嵐で結界の一部が壊れての。その隙に魔物が入り込み、結界の要となる光の玉をあるべき場所から奪ってしまったのだ」
「それでこの城の結界が完全に解かれてしまったんだな」
「うむ、理解が早いの」
 二人は階段があるホールへと戻り、二階へ上がった。
 ガラッ
 廊下への扉を開ける。そこはブーンが休息のため魔方陣を張っていた広間の真上で、吹き抜けからは一階の様子がうかがえた。
「この城は確かに壮麗なつくりじゃの。じゃが見とれている暇はないようで」
 ブーンの言葉のとおり、早速魔物たちが集まってきた。ガイコツやゴーストなど、下等なアンデッドモンスターが数体ずつだ。
「まずはわしが……ギラ!ギラ!」
 ブーンが二回ギラの呪文を唱えると、ゴーストたちはたちまち消滅し、ガイコツもその身を砕け散らした。そこにトルファが剣を振りかざして飛び込み、あっという間に生き残った者をかたづける。
「なかなかの腕じゃな」
「あんたも、一発でこいつらをかたづけるなんてな」
 二人はにやりと笑みをかわしあった。
115北風:02/09/07 19:37 ID:???
 鎧の並ぶ廊下ではさまよう鎧たちが現れた。こいつらには、まず前の部屋への扉まで戻ってトルファと一対一に持ち込み、後ろからブーンがメラを唱えて援護することで対処した。
 こうして三階に二人はたどり着いた。階段を上がると、そこには豪華な両開きの扉があった。
 バタンッ
 そこは謁見の間だった。部屋の中央には玉座が二つ──王のものと王妃のものだろう──鎧の置物に囲まれていた。二人が部屋の中ほどに進み寄ると、玉座の上に白い影が現れてきた。白い影はやがて形を整えてゆき、王冠を被った初老の男性の姿となった。
「こいつは……」
「こいつじゃ!こいつがこの城の魔物の主なのじゃ!」
「我が城に忍び入りし無礼者よ!その罪を死をもってあがなえ!!」
 ガタン!
 亡霊が叫ぶと、突然二人の足元の床が開いた。落とし穴が仕掛けられていたのだ。
「なぬ!」
「しまった!」
 二人は落ちていくほかなかった。先ほどガイコツやゴーストたちを倒した二階の吹き抜けを通り過ぎ、一階の広間へと…・・・・。
「「うわ!!」」
 床の絨毯が柔らかかったこともあり、さらに受身を取ったのでトルファは軽い打撲ですんだ。だがブーンは……。
「痛てて…。年寄りになんという仕打ちじゃ」
 なんだかんだ言いつつも目立った傷はないようだ。だが、まだ安心できる状況ではなかった。
「囲まれて……おるの」
 彼らの周りをアンデッドモンスターたちが十重二十重にとりまいていたのだ。
「我が僕たちよ!愚かな侵入者たちを片づけよ!」
 上から響く声とともにモンスターたちが襲いかかって来た。
「でい!やあ!」
「ギラ!ギラ!メラ!」
 トルファとブーンは剣と呪文で必死に抗戦した。だが敵の数が多すぎる!やがてトルファたちはつかみ倒され……その時、胸元からロザリオが転げ出た。
 ピカッ!
116北風:02/09/07 19:38 ID:???
「……おや?なんでわしは生きておるのじゃ?」
 ロザリオを認めると、モンスターたちはなぜだか逃げ出してしまったのだ。
「この城の礼拝所で見つけたんだが……霊験あらたかなしろものだったんだなあ」
 感心したようにトルファは言い、ブーンに差し出す。するとブーンは飛びのいた
「いやわしは結構!わし自身善人とは言い切れんからバチがあたるやもしれん!」
「そうかそうか」
 トルファはあきれたように肩をすくめ、再びロザリオを懐に入れた。今度は丁寧に。

 再び二人は三階の玉座の間へと歩を進めた。途中モンスターたちが邪魔をしに来たが、トルファが例のロザリオを前に出すと誰もが退いたので楽な道のりだった。
 そして扉を乱暴に蹴り開ける。
「さあ、今度はさっきのようには行かないぞ!」
 落とし穴のあるあたりを避け、玉座にいる亡霊に迫る。
「おのれ……こうなってはしかたがない。頼むぞ近衛兵長!」
 カタカタカタカタ……
 二つの玉座の間にあった鎧が動き始めた。
「気をつけろ!今度は手ごわそうじゃぞ」
「言われるまでもないさ……」
 その鎧からもれ出る殺気は、歴戦の冒険者であるトルファをもよもすれば震え上がらせそうだった。
「この者は、生前は南ノルズムでも有数の騎士だった。そなたらごときではかなわぬであろう……」
 そう言うと亡霊は姿を消した。
「くそ、逃げるつもりかエリックめ……」
 ブーンは押し殺した小さな声でつぶやいたのだが、トルファはしっかりと聞き取っていた。だが今は詮索している暇はない。
「来るぞ!」
 鎧の騎士は剣を構えながら突進してきた。それをブーンとトルファは左右に飛んで避ける。
「ブーン、援護をしてくれ!」
 トルファは体勢を崩している鎧の騎士に剣を打ち付ける。だが鎧の騎士は左の手甲ではじいた。そして斬撃。トルファは体全体でかわす。
 鎧の騎士の猛攻撃はなおも続く。二回、三回とかわすたび、トルファの体と鎧の騎士の剣の間隔は狭まっていく。そしてついにトルファはさけきれなくなった。
 ズバッ!
 トルファの皮よろいの胸部が裂ける。そして血が吹き出る。
117北風:02/09/07 19:44 ID:0skO6d+j
あと3,4回載せれば終わると思います。
無駄に長くしてしまった部分があるので縦読みされてもしかたありません(汗
>>94を書いて2日ぐらいしてから、もしかしたら続きを書く人がいないかもしれないと危惧し、
いざという時のため構想しておいて、そして昨日から書き上げたものです。

次の旅の扉の行き先は1、3、4にしようかなー、と考えています。
11824:02/09/08 05:09 ID:???
北風さんごくろうさま。面白いよー♪
続きも期待。
ひゃっひゃっひゃ、
5の公式ガイドブックを読んでみたんですけど、城のつくりはそれに沿っていますね。
芸が細かいようで。

ていうか魔法使い「ブーン」の正体って……言わぬが華か(w
120北風:02/09/08 11:32 ID:???
「トルファ!」
 ブーンが叫び、そしてメラの呪文を唱える。
 ボム!
 飛んできた火の玉を鎧の騎士は剣で弾き飛ばした。その隙をついてトルファは危地を脱することができた。
「トルファ、傷はどうなのじゃ!」
「……おかげさまで。このぐらいかすり傷さ」
と言うトルファの胸からは血が止まっている。
「ホイミを唱えた。出血覚悟で一撃食らい、やつが気を抜いたところでこちらの体勢を立て直す算段だったんだ」
「おぬし……呪文を使えたのか」
「使えない、なんて言ってなかっただろ」
 ガチャ
 鎧の騎士がトルファの方へ向き直った。
「さあ、仕切りなおしだ!」
 再びトルファと鎧の騎士が剣戟を交わす。
「ルカニ!」
 ブーンが呪文を唱える。相手の守備力を奪う呪文だ。トルファには心なしか有効打を多く与えられるように感じられた。
 鎧の騎士の斬撃はなおも鋭く、重かった。だが一度攻撃を受けたトルファは既に見切っていた。横の斬撃を後ろにひいてかわし、縦の斬撃を横にかわすと同時に踏み込む。そして敵の無防備となった脇腹を鎧の隙間に突きをいれて……。

 後に残ったのは空っぽの鎧だけ。疲労にまみれながらも、トルファは強敵に打ち勝ったのだ。
「見事じゃったぞ、トルファよ。……さあ、『光の玉』はおそらくその玉座に」
 ブーンが玉座に寄るよりも早くトルファは動き、そして玉座の布地を切り裂いて中から……『光の玉』を取り出した。そのあまりに神秘的な輝きに、トルファとブーンはしばし時を忘れた。
 そこへ、再び王冠をかぶった亡霊が現れた。彼の顔は苦悩に歪んでいた。
「ああ!とうとうオーブが……お前たち魔物が狙っていたことはとうに承知していた。そのため守りを固めていたのだが、とうとう奪われてしまったか……」
 そこでトルファはブーンをにらみつけた。
121北風:02/09/08 11:35 ID:???
「……少しおかしいとはわかっていた。やはりブーン、あんたは魔物だったんだな」
「……気づかれてしまってはしょうがないな」
 ブーンは手を口にあてて口笛を吹いた。その音は城外にまで響き渡ったようだ。
「なにをしたのだ魔物よ?」
 亡霊の問いかけには答えずブーンは、いや魔物はトルファに語りかける。
「トルファ、おとなしくそのオーブ──『光の玉』とかいう名はまったくのでたらめったのじゃがな──を渡してはもらえぬか?わしにはそれが必要なのじゃ。おぬしが持っていても使い道はないであろう」
「魔物が必要としているものを魔物に渡さない、というだけで十分意味はあるさ」
「わしに繰り返させるな!おぬしは人間にしては気が合うやつじゃった。できるなら殺しとうないのじゃ。それに外を見よ」
 つられてトルファと、それに亡霊が外を見る。そこには魔物たちが雲霞のごとく押し寄せてくるのが見えた。
 年月を経たロウソクに魂が宿ったおばけキャンドル、光の精霊とも人魂ともその正体に説のあるナイトウイプス、この世に未練を残した人間の魂が魔性の者と化したひょうきんな姿のゴースト、
胴体は蛇のくせして人間の頭蓋骨を持ったスカルサーペントといったアンデッドモンスターたちが森を抜け、丘を越え、そして城壁を乗り越えている。
「さきほどの口笛で呼び寄せたのだ。これだけの数のモンスターではもはや逃げられんぞトルファよ……」
「すまないな、ブーン。それだけ必要としているならやはり渡すわけにはいかない」
 トルファはオーブを抱え、扉に駆け寄る姿勢を示した。
「……下等なモンスターどもの手にかけさせるには忍びない。せめてわしがこの手で……メラ!」
 魔物が呪文を唱え、火の玉がトルファに向かってくる。その速さはとうていよけられそうにない……!
 トルファが死を覚悟した瞬間、彼の胸元で何かが砕け散る音がした。それと同時に温かい光があたりを包んだ。
(あなた、この人と共にオーブを……)
「ソフィア!そこにいたのか!」
 …………
 光が消えると、ブーンと名乗っていた魔物はトルファが立っていた場所に高貴な身なりの女性……の亡霊が倒れているのを見つけた。
「これは確かエリックめの連れあい、ソフィアとか言ったな」
122北風:02/09/08 11:36 ID:???
 ふと振り返ると先ほどいた男の亡霊……そう、この城の主エリックの姿もない。トルファとともにこの場を逃れたのであろうか。
「オヤブ〜ン!」
 テラスのほうから声がした。空を飛べるウイプスやゴーストといった魔物が入ってきたのだ。彼らは「おやぶん」の命令で近くの森に待機していた。謎のオーブを奪うため最初に城へ押し寄せたとき、エリックが指揮する亡霊の軍勢に敗北してから。
「やっと来たか……とりあえず、この王妃の亡霊をそこらへ封印しておけ。それから飛べないやつらのために城の正門の鍵を開けてやるのじゃ。そこの落とし穴を通っていくのが近道じゃぞ。やつらと連携してエリックやオーブを抱えた人間を……殺すのだ」
 部下たちにてきぱきと指示を施してから、彼は玉座へ深々と座ってつぶやいた。
「トルファ……わしも魔物としての立場というものがあるのじゃ。すまぬのう」
 しばしの間彼は祈った。彼の「仲間」だった男、その魂を嫌って天国へ追い出すよう魔界の神へと。

 トルファは我に返ると、自分が鎧の並べられていた廊下にいるのに気づいた。近くには男の亡霊もいる。
「気がついたか若者よ……トルファと呼ばれていたな。我の名はエリック、この城の主だ。亡霊となった今でもな」
「あんたが王様か……。どうやらとりかえしのつかないことをしてしまったようだ。申し訳なく思っている」
 トルファは深々と礼をした。
「今となっては仕方がないことだ、あまり気にするでない。それよりそなた、我が妻がそなたを守っていたことに気づいていたかな?」
「あんたの奥さんが……?」
「うむ、さきほどあの魔物が放った呪文から逃れられたのは、そなたが胸にしていたロザリオのおかげだ。それは妻が愛用していたものなのだ。
 我が妻は、あの魔物が城に忍び込んでいたことにいち早く気づいた。そこで偶然この城に迷い込んだそなたを信用に足る人物と判断し、自らをそのロザリオに託してそなたを守護することにしていた……と言っていた」
 トルファは深く後悔した。彼が一時的にせよ仲間と認めていたブーン。彼こそがこの城を狙う魔物たちの親玉だったのだ。そして自分は彼の手助けをしてしまった……。
123北風:02/09/08 11:37 ID:???
 失敗はさらにある。胸のロザリオが砕けたことからみて、王妃ソフィアは力尽きたのだろう。今では魔物たちに囚われの身となっているのであろうか。
「過去を振り返っても詮のないこと。問題は、そのオーブをいかにして守るかだ」
「そうだ、このオーブは何なのだ?魔物たちはこれを狙っていたが……」
「それは我にも分からない。これは先日の嵐の時に天より我が城に落ちてきたものだが、
 それ以来魔物が我が城に侵入しようとしてきたことでなにかの秘宝なのだろうと推測するのみ。我はこの秘宝を守り抜くことを天命と受け取った……一時的に妻と離れ離れになることになろうとも」
 ドスン!ドスン!
 廊下の、三階への階段へ通じる側の扉が今にも破られそうになっていた。
「魔物たちが迫ってきているのだろう。さあ、ここはこの者たちに任せて、我らはオーブを魔物どもの手に届かないところへ隠しに行こうぞ」
 エリックが手を振ると、鎧のいくつかがきしむ音をたてて動き始めて扉の方へと向かっていった。そう、トルファとブーンの侵入によりこの城の守備力は著しく低下しているのだ。

 エリックがトルファを導いたのは非常時の脱出路だったのだろう。つぼの影の隠し廊下、明かりも通さないダークゾーン。既に少なからず入り込んでいた魔物を蹴散らしながら行く。
 そして辿り着いた先は城のテラスの一つ。そこには二つの墓標があった。一つにはエリックと、もう一つにはソフィアと記されていた。
「さあ、そのオーブを」
 トルファは言われるままにエリックにオーブを差し出した。エリックはオーブを持った腕を……自らの墓石に潜らせた。そして再び腕を抜いた時、そこに光り輝くオーブはなかった。
「なるほど、墓石の中では探しようがないな」
「そしてこの隠し場所を知るのは我とそなたのみ。ひとまずは安泰じゃ」
124北風:02/09/08 11:39 ID:???
 だが、二人が使命の達成感に浸る間もなく魔物たちがテラスに押し寄せてきた。
「ゲゲ、逃ゲ場ハナイゾ!オトナシクおーぶヲ寄コセ!」
「セメテモノ情ケダ。苦シマナイヨウニ殺シテヤルゼ、キキキ」
 あっという間に二人はテラスの端へと追い込まれてしまった。
「トルファ、そなたはいかようにする?亡霊の身たる我だけならば逃げおおすことも可能だが……」
「魔物の手にかかるのは嫌だな。話によると、魔物に食われて死ねば魂は地獄へ送られることになると聞くが」
「立ち向かっても勝ち目はないとなれば、道はただ一つ」
「王様、王妃様によろしくな」
 エリックは手すりの外へと体を躍らせた。それと同時に瞑目したエリックも姿を消す。後には意外な展開に驚いた魔物たちが残された……。

「ま、これを最期とするには少々物足りないが、それなりに面白いクエストではあったな」
 地表へと落下しゆくエリックは目をつむった。
 だが、いつまでたっても地面へとつかない。不可思議に思って目を開けると……そこには男がいた。そう、彼をこの冒険へといざなった男だ。いつしか体勢も正常な向きに直り、地面へと足をつけていた。
「ふむ、少々不満が残る内容であったようだな。……まあいい、再びクエストを探しに行くかね?それとも元の世界に戻るかね?」
 この男が何を考えて自分に赤い扉を示すのか、それはどうでもいいことだ。もう考えは決まっていたのだから。
 そのことを告げようとすると、現れたときと同じように男はこつぜんと姿を消していた。かわりにあるのは再び見る赤い旅の扉のみ。トルファは、迷いもなくその扉を開いた。
 前にこの赤一面の空間を通ったのはほんの数時間前でしかない。だが、既に何日も経過しているようにも思われ、ほんの数瞬しか経っていないようでもある。
 そして三つの出口が見えてきた。それと共に頭の中に声が響いてくる……。
「右は王都ラダトームへ、中央は死の鉱山アッテムトへ、そして左の出口はイシスのピラミッドへ……」
12511=22:02/09/08 12:28 ID:???
面白かった! 最初からすごい大作ですね。
トルファは、冒険の途中で命を落としても後悔しない命知らずなんですね〜〜。
この先もちょっとずつトルファって青年の姿が明らかになってゆくんだろうな、ってのが
楽しみです。

でも北風さん、途中トルファとエリックの名前が混乱してますね。

>>124
>  エリックは手すりの外へと体を躍らせた。それと同時に瞑目したエリックも姿を消す。後には意外な展開に驚いた魔物たちが残された……。
>
> 「ま、これを最期とするには少々物足りないが、それなりに面白いクエストではあったな」
>  地表へと落下しゆくエリックは目をつむった。

これは、最初がトルファで、次がエリック、最後もトルファですよね。混乱しますた。

さて、では私の日課w今までのまとめを貼ってみます。

現在までの進行状況は >>87 (スタート)>>93-94 >>113-116 >>120-124(レヌール城)
次の選択肢は「右は王都ラダトームへ、中央は死の鉱山アッテムトへ、そして左の出口はイシスのピラミッドへ……」です。
ルールを>>96で確認した上でご参加ください。

勇者たちの旅が終わった後のアッテムトを書いてみたいかなあ。2日ほどお時間いただければ。
その前に書ける方がいらしたらおながいしまつ。
126北風:02/09/08 14:41 ID:???
>126
>トルファとエリックの名前が混乱
う、まずった……はい、確かに私の誤植です。メダパニを唱えてくるモンスターはレヌール城にはいなかったはずなのに……。

このレヌール城の冒険は5をプレイされていない方には分かりづらいかも知れません。
時系列としては主人公達が訪れる前、天空の城で聞ける話の直後をイメージしたものです。
おやぶんゴーストがなんだか憎めないやつだったのでこんな感じの話と相成りました。

>トルファは、冒険の途中で命を落としても後悔しない命知らずなんですね〜〜。
いろいろと設定を付け加えちゃいました。
性別とか、一人称とか、戦士系で呪文も使えたりとか。

(でもキャラ名を取り違えたのは致命的だった……鬱死)
北風さん乙! 面白かったよー。
おやぶんゴーストだからプーンなのか(w
こういう風に、本編につながる冒険もいいねぇ。
11=22さん、期待してます。がんがれ。
128アッテムト@11=22:02/09/09 17:29 ID:???
今までのお話:>>87(スタート) >>93-94 >>113-116 >>120-124(レヌール城)
ルールは>>96で御確認ください。
-------------------------------------------------------------
死の鉱山アッテムト。
この名前に何か惹かれるのは何故だろう?
旅のスタートが亡霊城で、次に死の鉱山ってのはどんなもんだか、という気もするが。
ま、子供の頃から怖い話が大好きだったおれらしいだろう。
おれはまん中の扉を選んで、飛び込んだ。

小さな町なのに、町のまん中には大量の墓碑があった。しかし、町の人の表情に暗いところはない。不思議な感じだ。
「おや、旅の人だね。鉱山で働きに来たのかね?」
恰幅のいい商人に話しかけられる。鉱山で働きに? 
死の鉱山って事は、鉱山で大量の死者が出た、という事ではないのか?
「鉱山で働くといっても、あれは?」
ま新しい墓標の群れを右手で示すと、商人は自分の腹をなでながら言った。。
「ああ、あの墓碑を見て脅えてるんだね? あれは昔の事故の名残りさ。
今は奥の神殿を封印してあるから、もう有害なガスが出る事もないし、安心していいよ」
「封印された神殿?」
「おや、お前さん、アッテムト鉱山の神殿の噂を今までに耳にした事がなかったのかね。珍しい人もいたもんだ」
商人は本気でビックリしたらしい。この世界の常識って事か。

ここで選択肢を出してみるテスト(藁) 早ければ今晩書きますが、
選択してくださる方が多ければ多数決、少なければ早い者順です。
尚、アッテムトエピソード終了までは書き手を担当する予定です。

1.「いや、具体的にどんなものだったか知りたいと思ってさ。鉱山の奥に神殿があった、という話を知らないわけじゃないんだが」(知ったかぶりパターン)
2.「おれは田舎育ちで、噂に疎いんだ。教えてもらえたら嬉しいのだが」(正直者パターン)
>128
1が面白そう。
裏表ない性格より、ひねくれ者のほうがいい(w
130アッテムト2@11=22:02/09/09 23:36 ID:???
129さんの選択により、トルファは「ひねくれもの」に決定しますたw
さあ、その選択は吉か、それとも?
----------------------

「いや、具体的にどんなものだったか知りたいと思ってさ。鉱山の奥に神殿があった、という話を知らないわけじゃないんだが」
咄嗟に嘘をついたおれを、商人はいぶかしげに見つめた。なんかヤバかったかな……。
「じゃあ、どうしてこの町に来たんです?」
「どうしてって……旅をするのに理由なんてないだろう?」
それは正直な気持ちだったが、商人は咄嗟におれの手をひねりあげて叫んだ。
「あやしい奴だ! あの方に審判していただくから手伝ってくれ!」
「ええっ ちょっとまてよ、おれはただの旅人だって」
商人の呼びかけに応じて集まって来た鉱夫たちが、おれの身体をがっしりと押さえ込む。
「お前らどこ触ってやがるっ! くそっ。おれは怪しい者じゃねえっ!」
だが、おれが暴れるたびに、背後からの羽交い締めの力は強くなる一方だった。
一体何人でおれを押さえ込んでいるのかわからない。
その状態のまま、こいつらはおれをどこかへ移動させようとし始めた。
「あの方が戻られるまで、教会に放り込んでおこうぜ」
「魔物だったとしても、教会に入れておけばちょっとは安心だろうからな」
おいおい、魔物扱いか?……と思ったが、ここで暴れると事態をさらに悪化させそうなので
おれは諦めて大人しくついていく事にした。
131アッテムト3@11=22:02/09/09 23:37 ID:???
ギィイィ……。
古臭い教会の扉が開く。中の神父が振り返るのが見えた。
「どうされました?」
「神父様申し訳ない。ちょっとこいつ怪しいんで、あの方に見ていただきたいんですよ」
「俺たちが見張ってますから、神父様に御迷惑をおかけしません」
「そうですか。まあ、私の目にはその方は普通の人間のように見受けられますが、
皆さんは魔物ではないかと疑っておられるのですね?」
「おお、さすが神父様。そうだよ、おれは普通の人間、もががががが」
急に後ろから猿ぐつわをかまされた。
両手はすでに縛られているし、おれってば、冒険者として情けなくないか?
「あまり乱暴をしないでくださいね?」
神父様、あんたは素晴らしい人だね。おれを審判するあの方とかっていうのが来ても、そのままおれを擁護して欲しいよ!

って、あの方って、一体誰だ?

ここで選択肢です。さて、誰を登場させますか?
(申し訳ないのですが今回は以下の5人から選んでください。
 それ以外を希望されても無効となります。選択の締め切りは明日の夜です)
1)神官クリフト 2)占い師ミネア 3)領主キングレオ 4)男勇者 5)女勇者
13211=22:02/09/10 00:44 ID:???
さて、アッテムトのお話はあと2回くらいで終わると思います。
毎回選択で進むかどうかわかりませんけども。

ちなみに次の選択肢は
1)ラダトーム 2)クリアベール 3)オルフィー でつ。
書き手さん募集しまつ。
13324:02/09/10 01:27 ID:???
おお、ちょっと来れないうちに進んでる進んでる。
北風氏おつかれさま、面白かった。
エリックがオーブを持ってた理由ですな。

11=22氏、頑張ってくだされ。選択肢は2)ミネアを願おう。
ゲーム中よりも後の時間のようなので
付近に住んでるミネアが自然かな、と。
キングレオの主も気になるけど。
>北風氏
お疲れ様でした。

>11=22氏
……キングレオ様きぼんぬ。
PS版を下敷きにしているならば出てきてもおかしくは無い。
私もキングレオで。
改心して出てくるのか、それとも……。
11=22氏ガンバレー!
13611=22:02/09/10 23:24 ID:???
おっ キングレオ来ましたね〜。
ではキングレオ登場となります。
書いてきますので少々お待ちを〜。
137アッテムト4@11=22:02/09/10 23:51 ID:???
ミネア1票、キングレオ2票ということで、キングレオ登場が決定いたしました。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
床に直接座らされたまま小半時もたった頃、教会の扉が再び開いた。
さっきの商人に先導されて入ってきたのは、金髪の若い男である。どことなく威厳がありそうで、しかし頼り無い、という変わった印象の男だった。
「怪しいというのはこの方ですか?」
「ええ、この町に来ていながら鉱山の奥に神殿があった事を知らなかったようだし、
理由もなくここを訪れて、自分は旅をしてまわっているだけだ、なんてのんきな事をほざくんですよ。
うさんくさいじゃないですか」
……。うさんくさい程度でこの扱いか。どうやらこの世界は思っていた以上に治安が悪いらしいな。
若い男は俺のすぐ隣に膝まづき、おれの瞳をじっと見つめてきた。
男にしては綺麗すぎる顔だな、こいつ。
「皆さん、この方は異国からの冒険者です。魔物ではありません」
ありがたい、とっとと自由にしてくれよ!
「すみません、ここは特別な町なので、皆疑心暗鬼に陥りがちなのです。皆の事を許してください」
おれ、他のやつらからの謝罪だったらムカついただけだったけど、あんたの言葉は許そうって気になるね。
「いや、悪かったですね。こんな時代にふらふらと旅をしてるなんて怪しいと思っちまって」
最初におれに話しかけてきた商人が、帽子をぬいでぺこぺことお辞儀をした。
「まったく、迷惑な話だぜ。驚いたよ」
男がさるぐつわを外してくれ、鉱夫に縄を解かれ、おれはやっと自由の身になった。
縛られていた全身のこわばりを解く為に、立ち上がって軽く体操をしてみる。
筋を違えたりしてないようで助かった。
「さて、私はこの方とお話があります。皆さんは仕事に戻って下さって結構ですよ」
「はい、それでは……」
ぞろぞろと去る鉱夫たちは、一様におれに頭を下げて行った。
申し訳なさそうな顔をしているから、許してやろう。
「さて、ここで立ち話もなんですから、座りましょうか。神父様、奥の部屋をお借りしますよ」
「ええ、どうぞ」
138アッテムト5@11=22:02/09/11 00:10 ID:???
連れていかれた小さな部屋には、部屋を仕切るついたてがあり、そのついたての向こうとこちらにひとつずつ椅子がおかれていた。
「ひょっとしてここは懺悔部屋?」
「ええ、そうです。ここなら正直にお話しすることができるでしょう?」
「正直に?」
「失礼ですが、あなたはこの世界の方ではありませんね?」
お見通し、ですか。
「どうしてそう思う?」
「さあ……どうしてと言われると困ってしまいますね。直感、としか言えませんから」
ニコリと笑った彼は、おれに手前の椅子に座るよう促し、自分はついたての向こうにあった椅子をこちら側に持ってきて座った。
堅くて粗末な木の椅子だが、長年大事に使われているらしい。座り心地は悪く無い。
「直感、か。まあでも、その直感のおかげでおれは助けてもらったのだよな。感謝してます、ありがとう」
軽く頭を下げた。
「そうだ、俺の名はトルファ。あんたは?」
「私はキングレオ。このあたり一帯の領主です」
「はひ? 領主様がなんでこんなとこに?」
キングレオと名乗った若者は薄く笑った。
「それをお話するには、今この世界に何が起こっているのかを簡単にご説明した方がよろしそうですね」
おれはうなづいた。ここでうなづくと違う世界から来たと認める事になるなと思ったが、まあいいや。
隠した方が良い時もあるだろうが、今は正直になった方がいいだろう。
139アッテムト6@11=22:02/09/11 00:18 ID:???
キングレオは早口で語り始めた。
この鉱山の奥には古の魔王を封印した神殿があったのだが、鉱夫たちがそれと知らずに掘り起こし、全滅したのだという。
そもそも鉱山を掘り進むに従って有毒ガスが噴出、死者が続出し始め、多くの者は町を見捨てて出て行ったのだそうだ。
それ以降も残った人間という事はお宝探しに命をかけているタイプだったわけで、
神殿を掘りあてた時点で死んで幸せだったのかもしれないですが、とため息をついた。
「だけど、どうして神殿を掘った時点で全滅したんだ?」
「神殿の中から、今までにこの辺りにいた奴らとはケタ違いに強い魔物が出るように
なったそうです。それにガスもひどくなってね。
それでも、自分が掘り起こしたものが魔王だったと知らずに死んで行った方がましだったのではないかと思うのです」
「なるほどねえ。自分で世界に災いを呼び覚ましたって絶望しながら死ぬよりはマシだわな。
んで、その後で魔王は再び封印された、と、そういうことか?」
キングレオはうなずく。
この地を訪れた勇者一行が古の魔王を倒し、後日厳重に封印も施したのだという。
「破邪の封印をして下さったので、強かった魔物たちも徐々に力を弱めています。
それにガスももうほとんど出なくなったようです」
「ふ〜ん。するって〜と、完璧に安全ってわけじゃあないんだな?」
「まあ、そういう事になりますね。一応危険のないように、定期的に私が見ていますが」
「だけど、どうして領主自ら封印チェックに回っているんだ? 担当者決めてやらせればいいじゃねえか」
キングレオは苦い笑みを口元に浮かべた。
14011=22:02/09/11 00:28 ID:???
今宵はここまでにいたしとうございますw
書いてる本人に先の展開が読めなくなってるかも(゚д゚)マズー
なんとか明日か明後日に終了の予定ですけども。

ちなみに次の選択肢は
1)ラダトーム 2)クリアベール 3)オルフィー です。
書き手さん募集中。
キングレオ、改心してるっぽいな。
続き楽しみにしてますー。
142アッテムト7@11=22:02/09/11 15:32 ID:???
「私の話を聞いてくださいますか、トルファさん」
突然の言葉にちょっと驚いたが、彼はおれを問いただす為ではなく、自分の話を
聞いて欲しくてこの部屋に誘ったのかと納得した。
うなづくおれを見て、ちょっとほっとした様子で話し出す。
「私はさきほど『領主』だと名乗りましたが、本当は私にはそんな資格はないんです」
「はあ」
「以前、私は……魔物に自分の魂と、この国を売り渡したのです」
「えええええ???」
なんだよ、おれが魔物かって疑う前に自分の領主さまを疑えよ、あいつら!
等と馬鹿な事を考えつつ、俺の手は自然と剣のつかに伸びていた。
「ああ、大丈夫です。今はもうそんな事はありませんから」
「改心したから、領民も慕っていると?」
「いえ、領民の多くは本当の事を知らされていないのです。
私に化けた魔物が、私を監禁した上で人体実験を行なっていたと思い込んでいます」
「人体実験?」
キングレオの表情はさらに険しくなった。
「どこからお話しましょうか……」

1)キングレオの子供時代から
2)勇者たちに倒された直後から
*どっちから書こうかと悩んだので選択肢を出してみますた。夜に続きを書きます〜。
 皆様応援ありがとうございます〜。
1で
144アッテムト8@11=22:02/09/11 18:20 ID:???
キングレオはちょっと考えた後、一気に話し始めた。
「私は父が年老いてからの子供でした。ひとり息子だった事もあって、大変可愛がられて育ったのです。
父は穏やかで領民の事を第一に考える、善い領主だったと思います。その息子ということで、私も期待されていました。
ですが、老いさらばえ、弱々しい父を見習えと言われても納得できませんでした。
自分はもっと力強い王になりたい、穏やかな国王ではなく雄々しい国王を目指したいと、
そう思うようになりました」
「では軍備の増強を?」
「いえ、私は、私自身が国の象徴として強靱である事を望んだのです。
そして、その思いを魔物に利用されてしまいました」
「ま、人間をだまして利用するのは魔物の得意技だからな」
おれはまんまとブーンに利用された自分を思い出して、苦笑いした。
「今となってはどうしてあのような事になったのか、自分でもよくわかりません。
気がつけば、父を牢に幽閉し、自分の身体に進化の秘法を施して魔物となっていたのです」
「進化の秘法?」
「わが国の錬金術師が偶然に見つけだした秘術です。ただ、発見した状態ではまだ不完全なものでしたので、人体実験を行なう必要がありました」
「人体実験に使われた人間はどうなった? 死んでしまったのか?」
「はい……。進化の秘法は身体を人工的に変化させる強い術なのです。
多くの領民が城の実験室で命を落としていきました」
キングレオは涙を浮かべた。本当に後悔している様子に、おれはやっと剣のつかから手を離した。
「私が進化の秘法から自由になったのは、勇者さまが私を倒して下さってからの事でした。
その時には牢に幽閉した父は死んでおり、私のやり方に反対した多くの忠実な家臣たちも殺されておりました。
どうやってこの罪をあがなえば良いのかと悩んでいた時に、再び勇者さまたちが城を訪れたのです」
彼らは鉱山の奥の古の魔王を倒す為にやってきて、ついでにキングレオの城を見舞ったのだという。
「私は勇者さまに頼みました。自分を殺して欲しいと。
死をもって罪をあがなう以外に方法はないのではないかと」
145アッテムト9@11=22:02/09/11 18:22 ID:???
「でも断られたんだな?」
「はい。この国は人体実験のためだけでなく、アッテムトの魔王のせいもあって疲弊しきっている、それを建て直す為には指導者が必要なのだと。それには私が適任だと、そう言ってくださったのです。
そして、私が魔物に魂を売り渡したと知っている者たちに、私が魔物に監禁されていた事にしてほしいと、
勇者さま御自身が頭を下げてくださったのです」
キングレオの頬を涙がつたう。
おれは何か涙をふくものを探したが、あいにく何ももっていなかった。
「お心づかいすみません、大丈夫です」
キングレオは胸のポケットからネッカチーフを引き抜くと、涙をふいた。
勇者たちはその時に、アッテムトの封印を時々確認して欲しいと頼み、
封印がゆるみそうな時にどうしたらいいのかということも教えて行ったそうだ。
その頼みに答え、定期的にアッテムトを訪れるようになってから、領民たちと直接会話をする事も多くなったのだと。
「城の中の者たちしか知らなかった以前の私は、自分が王であるというのがどういう事なのかわかっておりませんでした。
領民たちは王に従うための存在、言ってみればゲームの駒のようなものだと思っていたのです。
でもここを訪れるようになって、それがいかに傲慢な考え方であったか、よくわかりました。
彼らは皆必死に生き、そして私につくし、父を魔物に奪われた私を労ってもくれます。
『前の王様だって天国で安心してるだろうよ、こんなにいい息子が育ってるんだから』とまで。
彼らの中には、自分の家族が人体実験に使われた者もいるというのに……。
ですが、私には彼らに本当の事を伝える事は許されておりません。
私が魔物に監禁されていたのではなく、私自身が魔物になっていたのだと知られれば、
この国は空中分解してしまうと、勇者さまにきつく言われたからです」
「あんたにとっては、黙っている事が一番辛いだろうと勇者は知っていたって事か」
「はい、そうだと思います。簡単な死より、厳しい生が待っていますよ、と、言われておりました」
キングレオの顔は涙でぐちゃぐちゃになりつつあった。
ネッカチーフ程度では、涙を拭き切れないのだ。
146アッテムト10@11=22:02/09/11 18:35 ID:???
「私は領民たちの為に、一所懸命に務める以外ありません。
でも、私に嬉しそうに話しかけてくる彼らを見ていると、どうしても辛くて仕方ない時があるのです。
本当の事をだれかに話してしまいたいと思った時に、私の元にあなたが現れました。
どうしてあなたがここに現れたのかわかりませんが、私はこの出会いに感謝しております」
ほとんどあがめんばかりにおれを見つめる視線に、さすがのおれもたじろがずにはいられなかった。
「いや、おれはそんな偉い人間じゃ無いし、ここに来たのもたまたまだし」
その時、ごうぅうううんという音と共に、部屋の中に赤い旅の扉が現れた。
アッテムトでの冒険(冒険なのか?)は、ここまでって事かな。
「おっと、おれにはもう時間がないようだ。あんたは結構いい領主になれると思うぜ。
辛いかも知れないけど頑張れや。応援してくれる人もいるからよ」
おれは部屋の入り口を指差した。キングレオが振り向く。
「し、神父さま……」
「すみません、こちらの部屋においてあった聖書を取りに来たんですが、お取り込み中のようでしたので、そのまま聞かせていただいておりました」
神父の頬にも涙が光っていた。
「キングレオさま、これからは私がおります。辛い時にはどうかこの懺悔の部屋においでください。私は誰にもしゃべりませんから」
神父とキングレオががっしりと握手をし、抱きあうのを見ながら、おれは旅の扉に入った。
中にいつもの老人が待っている。
「この町の冒険はどうだったかのう?」
「ん〜、まあ、冒険ってわけじゃなかったけど、人の役にたったのは確かだからいいかな」
苦笑したおれに、老人の言葉がひびく。
「さあ、次のクエストじゃ。戻るかね? 進むかね?」
「そりゃあ進むに決まってるだろ」
「では、左に進めばラダトーム、まん中はクリアベール、右はオルフィーじゃ。どこへ進むかね?」

--------------------
143さんを始め、応援&参加してくださった皆さまありがとうございました。
なんか無駄に長かったようで、スミマセン。厳密にいえばアッテムトの話でもなかったかも(゚д゚)
扉の老人の登場方法が北風さんと違ってしまいましたが、いろいろあってもいいかなとか、ラフに
考えさせていただきました。
147北風:02/09/12 22:54 ID:???
うう……ええ話でしたよ、11=22さん(泣
もう目頭が熱くなって……。

言うまでも無いことですが、
ラダトームは1〜3で登場したり、6のクリアベールは夢の世界と現実世界の両方にあります。
このような都市&ダンジョンが選択肢に登場したとして、そのうちどれを選ぶか(はたまた組み合わせるか)は各自の判断でお願いしますね♪
14824:02/09/13 00:02 ID:???
なるほど、こういう話もありかぁ・・・いや良かった。
トルファの設定? も少しずつ固まっているね。
やっぱ最初に決めすぎなくて良かったね。

扉の男は今回で「老人」に固まった訳だが、
これは皆たぶん同じ想像をしていただろう。

さて1つ聞いておきたいのだが、北風氏は三人称形式で書き
11=22氏は一人称形式で書いた・・・これは自由で良い?
二人称形式を使う人は滅多にいないだろうけど。
何人称にするかは雰囲気を大きく左右するから
制限した方が統一感が出るけど、当然書き手にとっての
規制にもなるから書きづらくもなるかも知れない。
どうする?
14911=22:02/09/13 00:32 ID:???
ぬあっ。扉の男って、老人じゃなかったでしたっけ。
老人だと思い込んでました。スマソ。

1人称で書く方が得意な人もいるし、3人称の方が好きって人もいると思ったので
1人称はどうでしょう? というテストな気持ちもあって書いてみますた。
(冒険らしい冒険じゃなくてもいいのでは、というテストな気持ちもあったっす)
ゲームブック風に選択肢を途中に出しながらだと、1人称の方が書きやすい気も。
読んでいる人は全部一気に読んだりしないだろうから、雰囲気が1話ごとに変わっても
いいんじゃないかなと思うですが、どうでしょう?

尚、今回アッテムトの話といいながらキングレオの語りになってしまったので、
アッテムト鉱山の話を期待された方、是非是非書いてください〜。
毒の沼で死んでた屍の話とか、いい話になりそうですし。
同じ町の違う時代に行ってみるってのも面白いと思います。
11=22氏、お疲れさまでしたー!

人称は書く人それぞれでいいのではないでしょうか。
ただ、同じクエスト内でリレーすることになった場合は、
前の人の形式を受け継いだ方が美しいかもしれないですね。
151名前が無い@ただの名無しのようだ:02/09/16 00:06 ID:4OKTUXJx
保守。
アッテムトの話、面白かったです。
個人的にはPS版のキングレオ(実は悪人ではなかった)が気に入りませんが、これはこれ、それはそれで。
152スラリソ ◆rxCs/8kA :02/09/17 02:39 ID:36TzEAag
小説のいいネタは転がってるがここで書いていいものか困る。そのうえ、文才ないし。
15311=22:02/09/17 23:07 ID:???
スラリソさんが考えてるネタって、どの町のネタでつか?
オルフィーの小ネタを思いついたので、最後の選択肢にその町を出したら、書いていただ
けるでしょうか?
(次の町を指定したのに違う町に飛んだ、って事になるより、その方が書きやすそうと
思ったですが、どうでしょう?)
それとも、トルファの冒険(勝手に命名)シリーズとは全く違う話になりそうなのかな?
154スラリソ ◆rxCs/8kA :02/09/18 04:12 ID:vl9ifVU1
す、すまん。
この話の流れとはまったく異なる完全に独立した小説なんだ。

ここじゃ場違いのようだな。
155スラリソ ◆rxCs/8kA :02/09/18 04:26 ID:vl9ifVU1
それに長くなるのは目に見えて明らかだし。

元ネタはここのものを使用したい。
http://curry.2ch.net/test/read.cgi/warhis/1012639566/
>155
私は、名前欄にタイトルでもいれてもらえれば、平行して話の展開が行われてもかまわないと思います。
157スラリソ ◆rxCs/8kA :02/09/18 22:05 ID:YGDpPPDK
…わかった。
ちっとやってみるか。新たな大学の課題が終わったらな。
158華龍光臨:02/09/19 03:51 ID:???
<英雄転生>
気が遠くなる時の流れの中。
固き絆に結ばれし三つの光は転生を繰り返しつつもけして離れることはなかった。
そして、今、あるべき姿に。

場所は森の一番奥深く。
辺りは闇に包まれている。真夜中なのだろうか。
人気はない。当然なのかもしれない。
彼は体を起こした。

「兄者、お目覚めになられましたか。」
彼の傍らには身長2メートルは超える大男、関羽雲長がどっしりと座っていた。
「おお、雲長か。ここはいったい?」
「翼徳が今偵察をしています。直に戻るでしょうな。」
兄者と呼ばれた男、劉備元徳が身を起こすとそれと同時に背後の茂みより虎髭の男、張飛翼徳が姿を現した。
「兄者。大丈夫か?」
「大丈夫だ。大事無い。それよりここはどこかわかるか?」
「はぁ…さっぱりわかりやせん。ただ、近くに海があるようですから成都ではねぇことはわかるくらいで…」
「そうか。」
劉備の表情が一瞬曇る。だが、一瞬であった。
「どんなところにいようと我ら三人がそろえばとりあえず安心だな。とにかくこの森を出てみよう。何かわかるやもしれん。」
二人は頷く。ここに、華龍が光臨したのである。 
159華龍光臨:02/09/19 06:32 ID:???
漆黒の闇が支配する世界の中、三人は森を抜けようとしていた。
「どうやら、このまま進めば森が開けそうだな。」
「…兄者。お待ちくだされ。…何かがいますぞ。」
森の出口へ歩を進めていると突然関羽は足を止めた。その顔は険しい。
「…どうやら囲まれたようだぜ。面白れぇ…この燕人張飛に喧嘩を売るとはなかなか度胸があるようだな。」
何物かの影を劉備も認めた。雌雄一対の剣を抜く。
「相手は何物かはわからない。少なくとも人の影ではなかったぞ。」
静寂が辺りを包む。
空気が張り詰めていた。
その緊張に耐え切れなくなった影が張飛に飛び掛ってきた。
それを蛇矛で一突きにする。人の大きさほどあるムカデであろうか。
それが合図となった。
160華龍光臨:02/09/19 06:33 ID:???
…戦いは程なく終わった。
ある物は雌雄一対の剣に、ある物は蛇矛に、ある物は青龍偃月刀にことごとく斬られた。
劉備は辺りを見回した。
「…どうやらここは我らが知る土地ではないということだな。」
「ですな。かような怪物、われらは聞いたことが…」
「兄者、だが何か頭の底でこいつらを覚えている…そんな気がするぜ。」
劉備は頷く。腕を組み深く考える。
「ああ、確かに我らはこのようなものは見たことも聞いたこともない。だが、躊躇うことなく戦うことができた。」
「兄者。…我らが見た夢にかような怪物が出てきたのですな。」
劉備ははっとしたように顔を上げる。
「赤壁の戦いの後、突如西涼に現れた死道なる軍勢。魏を瞬く間に飲み込みその領土は地獄というのもおこがましくなるほどの悲惨な状況…われは不覚にもやつの術中にかかってしまった。」
「そうだ。…その後雲長の敵を討つべく翼徳に…」
「ああ。俺は長安に向かっていた。そしていつの間にか…やつの術中にはまったわけか…クソッ!」
「私も程なく術中に…そこで夢は終わった。」
三人の間に沈黙が流れた。風が所在無く吹く。
「…兄者。あれから蜀…いや、漢王朝はどうなってしまわれたのだろうか。」
「…わからん。」
「兄者。いったい俺たちはどうすればいい?」
「……わからん。」
風が再び悲しげな音を立てて吹く。
「だが、今わかることはこの地も死道の支配していた地に似た状況下にあるということだ。」
拳を力強く握る。
「風が悲しそうに吹く。民が苦しんでいる声が聞こえてきそうだ。」
「兄者。」
「…行こうぜ兄者!」
華龍達の決意は固まった。悩むことは、ない。
161華龍光臨:02/09/19 08:09 ID:???
森を東に進む。灯かりが見えたからだ。
灯かりを頼りに森を抜けるとそこには村があった。
しかし、村は死んだように暗く、絶望が支配していた。
劉備の勘は当たっていた。この絶望に打ちひしがれている民を救わねば。われらの成すべきことを成さねば。

村の名をウッドパルナといった。
162華龍光臨:02/09/20 02:21 ID:???
「これはいったいどうしたことだ…」
たどり着いた村、ウッドパルナではそこの住民が疲れきった顔で黙々と村を破壊していた。
家を破壊するもの、田畑を荒らすもの、森に火をつけるもの。
明らかにこの村は死に瀕していた。

「…お主たちは旅のもんかの…」
「ええ、それよりこの町はいったい?」
「悪いことは言わん。早く自分のねぐらに帰るが良い…」
劉備の問いかけに老人は首を振りそれだけを言った。
「爺さんよぉ。この村は何でこんなことをしてるんだ?ここに着たばかりでまったくわかんないんだ。」
「…ある日突然東の塔より魔物がやってきて村の女という女をさらってしまったんだ。そして残ったわれわれに村の娘たちの命が惜しくば…村を二度と立ち直れないように破壊せよ…と。言い残し、」
「許せませんな。兄者。」
「…ああ。一度東の塔とやらに行ってみるか…」
「おやめなさい。命がいくらあっても足りませんぞ…」
「様子を見に行くだけだ。爺さん。」
言うが早いか村の外へと駆け出していった。村はずれの小屋は三人の目に入らなかったようだ。
163華龍光臨:02/09/20 02:58 ID:???
「あれか。」
「そのようですな、兄者。」
三人は草むらに身を潜めていた。塔の周りには怪物はいない。入り口らしきところに人影が見える。
「よし今のうちに…」
今にも飛び出さん張飛を制した。
「待て、翼徳。塔の上を見よ。」
劉備の指差す最上階のあたりに複数の影が見える。おそらく怪物だろう。
「あれが見張りの役割をしているということですな。」
「どうする、兄者?」
「しばらく様子を見よう。」
突然背後で物音がした。
それに反応するのは常に戦場に身を置いているものの性か。
「だれでぇ!」
「あ…」
張飛は大声を張り上げたとたん自分の失策に気づいた。自分たちは偵察中であるということを。
「馬鹿!翼徳!」
「す、すまねぇ…」
「雲長、翼徳、ここはいったん引き上げるぞ。…どなたか存じませんが。お話は後で伺います。とりあえず今はこの場を離れましょう。」
「…は、ハイ。」
塔の扉から無数の怪物たちがこちらに向かってくる。一部の魔物はこちらに炎を投げつけているようだ。
まったく、翼徳も変わらぬものだ…そう心の中でため息をつくと同時にほっとした自分がいることに気がついた。
164華龍光臨:02/09/21 04:03 ID:???
ウッドパルナの近くまで走ってきた。さほど走った感じはしないがおそらく怪物たちに追撃の意思はなかったのだろう。
劉備は胸をなでおろし、先ほど声をかけた女性に向き直った。
「申し訳ありません…」
「いや、構わぬ。いつものことではあるかな。」
「このようなことをやるのは一度や二度ではあるまい?なあ、翼徳。」
「ひでぇぜ、兄者…」
その女性はふふっと笑う。
「…あ、申し送れました。私の名前はマチルダと申します。」
「私は劉備。」
「某は関羽。こっちが張飛だ。」
「はい。…ところであなた方はどちらからいらしたので…?いえ、ウッドパルナの村民でないというのはわかるのですが…」
「ふむ…、少し長くなりますかな。」
関羽は説明を始めた。長くなったため地面に座った。張飛は退屈そうに大あくびをした。関羽はその口の中に虫を放りこんだ。気づいてないようだ。

「はあ、わかったようなわからないような。」
「要するに某らはこの世界の人間ではありませぬ。信じていただけるかはわかりませぬが…」
マチルダは少し考えて、はっとしたような表情を浮かべた。
「そういえば…先ほどもそのような人たちがいましたね。先ほどあちらの小屋から出て行ったのを見ました。」
マチルダの指差したところに隠れるように小屋が建っていた。先ほど見落としていた小屋だ。
「ふむ…行ってみますか。兄者。」
「そうだな。その者たちと接触を取りたい。」
「決まりだな!…うげっ。何だ?」
「なんだ今頃気づいたのか。雲長がお前の口の中に何かを放り込んでいたぞ。」
「兄者、教えてくれたって良いだろうに…」
また笑いが辺りを包む。
「…マチルダ殿。ありがとうでござる。」
三人は村はずれの小屋へと向かった。マチルダは急くようにその場から離れた。
165北風:02/09/21 20:58 ID:CkFt+AV+
 現れたところは平原だった。
 近くに城が見える。高い城壁に厚い城門、と堅固な造りだ。
 また、反対方向にもかなり大きな街がある。
 風に潮の匂いが混じっている。辺りを見回してみると、視界に海が入り……その向こうには小島があった。だがどうもまがまがしい雰囲気を漂わせている。
 こっちの陸地にある城に対抗するように城が一つあるのだが、尖塔の配置、天守閣とのバランスなどの造りがどうも不快感を起こさせる……極めつけは島全体の上空にかかっている黒い雲だった。
「どうもぞっとするな。早いところ人のいるところに行くか……」
 そう考えたトルファは城の門に向かっていった。

「おい!何者だ!」
 城門は固く閉じられており、誰何(すいか)の声は城壁の上の櫓(やぐら)から落ちてきた。
 上を見上げるといかめしい顔つきの衛兵が顔を出してにらんでいた。その手は弓矢を構えていた。
「旅の者だ。中に入れてくれないかな?」
「……あやしいぞ。妖怪変化の類ではないのか?」
 衛兵は弓の弦を引いてみせた。
「おいおい……正真正銘の人間だぜ。別に魔物が化けているわけじゃない」
「ふん、『はい私は魔物です』などと正直に話す魔物がいるか!それが魔物の手口だ!」
 確かに正論ではある。だが今のトルファにはありがたくない正論だ。
「そんなあ。こっちははるばる旅をしてきたんだぜ?入れてくれたっていいじゃないか……」

さあ、どうする?
1.ラダトーム城に入れてもらえるよう、とことん頼み込む。
2.城に入るのはあきらめてラダトームの街に向かう。
166名前が無い@ただの名無しのようだ:02/09/21 22:22 ID:bn48F3kK
栗太スレはどこでつか?
16711=22:02/09/23 01:25 ID:???
>>165
2、街にむかう、で。
>>166 クリフト単独のスレって、今はたぶんないんじゃないかと。
「クリアリが好き」スレか、「クリフトのアリーナへの思いは」スレのどっちかの事かな?
168名前が無い@ただの名無しのようだ:02/09/23 01:45 ID:zur5x15j
>>167
どちらかというと前者のほうでせうか。アフォなSS貼れる場所ならどこでもええです。
16911=22:02/09/23 01:50 ID:???
「本当はクリアリが好き」スレは、クリアリでのどかなラブラブ路線、
「クリフトのアリーナへの想いは」スレは、ラブラブという感じではないですが。
どっちもSS書けるスレだと思いますけどね。まあ、ご自分で確認された方が無難かと。
170華龍光臨:02/09/23 02:11 ID:???
「ここがカラーストーンとやらの採掘所ですな。」
劉備たちはカラーストーンの採掘所の入り口にたどり着いた。人の立ち入った形跡がある。
「うむ。パトリックが言うにはここに父親のハンクの怪我を治す緑色のカラーストーンがあるらしいのだが…」
「しかしよう、兄者。そんなものがこんなところにあるのか?一晩であれほどの怪我を治すなんて思えないぜ。」
「…翼徳。我らはこの世界のことは知らん。われらの常識では及ばない代物が眠っていてもおかしくはないぞ。」
時は遡る。あれからマチルダの案内どおりに小屋に寄った。
そこにいたのは子供とかなりの重傷を負った戦士…子供の父親だろう…が、息を潜めていた。
はじめ、子供は警戒心を露にしていたがマチルダのことを話すとすぐに警戒心を解いた。彼曰く、命の恩人らしい。
子供の名前はパトリック。そして寝込む戦士はハンクという。
ハンクは村の女性たちを助けるため、単身塔に乗り込むも力及ばず倒れたらしい。
そこに様子を見に来たパトリックもろとも囲まれ、もはや道はなし、そう思ったときマチルダが二人を救い出したのだ。
九死に一生を得たハンクは次のチャンスにかけるため傷の療養に専念するも傷は思っていた以上に深く、ハンクは傷の痛みに夜も眠れないという。
時間が惜しい。体勢を立て直すためにもこの傷をすぐに治さなければならなかった。この村は一歩ずつ、死に向かっていたからだ。
そこで治癒効果のある緑色のカラーストーンをとりにいくものの、魔物が徘徊するためにとりに行くのを断念した。
途方に暮れていた時に、その者たちが現れたという。
彼らはカラーストーンの調達を快諾し。現在に至る。
「…まあ、暴れれば俺はいいんだけどよ…」
「うむ、その意気だ。」
「急ぎますぞ、兄者。」
三人は採掘場へと駆けていった。
>165
1.をお願いします。

>166
「栗太」とはどういう過程でそのように略されたのですか?

>170
三人パーティですか。
仲間が多いと楽しいですよね。
172166:02/09/24 22:10 ID:ZNAfSiXQ
栗太い。以上。
173華龍光臨:02/09/25 04:12 ID:???
「雲長。片付いたか?」
「うむ。」
「雑魚には違いないが、ここまで多いなら十分運動にはなるぜ。」
カラーストーン採掘場に入った劉備たちを待ち構えていたのはゆうに百を超える魔物の数だっった。
「だが、まだいるようですな。」
曲がり角の先からまた無数の魔物の影が見える。
「きりがない。早く先に進もうか。」
無数の魔物の影を無視し、奥にへと進む。魔物は先の戦いを見ていたのか、襲い掛かってくることはなかった。
張飛はオニムカデの屍骸を魔物の陰のあるほうに蹴り飛ばした。

かつてはこの採掘場も賑わっていたのだろう。その様子が簡単に見て取れる。
数多くのランプ、放置されたままの手押し車、地面に突き刺さった鶴嘴、そして綺麗に積まれた石の山。
外にあった小屋もそうだろうな。
「…かつてはここも賑わっていたのでしょうな。ウッドパルナもそのような町であったのでしょう。」
「…私も同じことを考えていた。民の平穏を乱す者。けして許されるものではない。」
「そのために俺たちがここにいるんだからな。どんなやつが相手とも俺たちなら倒せないものはないぜ。」
「ああ。」
劉備たちは奥へと奥へと歩を進めた。
ランプの炎が少し、揺れた。
174華龍光臨:02/09/27 14:19 ID:???
「雲長よ、あれを。」
「む、あれがカラーストーンというものなのか。」
目の前に関羽の数倍の大きさのあろう紅く透明な石が行く手をふさいでいた。
「すげぇな。…だが、これは紅いぜ。探すのは緑色じゃないのか。」
「ああ、だが、これを何とかしない限り奥に進めそうもないな。」
「兄者。三人で押せば動かせるものと思いますが。」
劉備はカラーストーンに触れた。少し温かいのは気のせいだろうか。
「そうだな。一気に押すぞ。…1。」
「2…」
「3!」
劉備たちは力の限りカラーストーンを押した。
…はずだが、次の瞬間三人とも地面に寝そべっていた。
一瞬何が起こったか判断できなかった。
思っていたよりはるかにカラーストーンは軽かったのだ。カラーストーンははるか向こうに在る。
洞窟内に三人の笑い声がこだました。
「いやはや、予想外でございましたな。」
「まったくだ。…久しぶりに笑った気がする。」
劉備は立ち上がる。
「今度は気をつけないといけないな。」
「そうですな。…翼徳、またひとつ賢くなったな。」
「兄者もな。」
再び洞窟内に笑いがこだました。
175北風:02/09/27 18:31 ID:Pc0qe2r2
 トルファはあきらめなかった。言葉を尽くして開門を頼む。
 いわく、遠方よりの旅人になんという仕打ちか。いわく、慈悲のかけらもないのか。いわく、人々を守る兵士がそのような態度か。いわく、税金泥棒……。
「そこまで言うのなら……おい、神父様を呼んで来い」
 うんざりしてきた衛兵は誰か、別の兵士をどこかへ行かせた。そしてすぐに年配の神父が顔を出してくる。
「あの男です。どうかご判断を」
「承知した」
 神父はなにやらごにょごにょと呪文を唱え……
「うむ、あの男は人間だ。それに、特に悪意を抱いているわけではない」
「ありがとうございます、神父様」
 どうやら自分は“シロ”だと判断されたようだ。
「よし、入れ!」
 カラッカラッ
 上から投げ落とされたのは縄梯子であった。
「……おい!門を開けてくれよ!」
「馬車を引き連れているわけじゃあないだろ?これで十分じゃないか。それに、姿を消せる魔物が門の隙間から入り込んでくるかもしれない」
「……用心深いことで」
「お褒めに預かり結構」
 衛兵は、トルファの皮肉に顔をにこりともさせずに答えた。

「ラダトーム城へようこそ」
 縄梯子をよじ登ると、「徳」を感じさせる温厚そうな老神父が話しかけてきた。
「いったいなんなんだ?この物々しさは」
 トルファは、縄梯子を回収している兵士たちを横目に問いかけた。
「旅人どのは、一週間前に竜王の島に現れた怪光のことをご存知でないのですか?」
「竜王の島……」
 城に入る前に見た城のことか、とトルファは受け取った。あの妖気を感じさせる雰囲気はなるほど、魔族にふさわしい。アッテムトのことが思い出されるが、ここは話を合わせることにした。事情はおいおい推測していけばよい。
「そう、十数年前にロトの血をひく勇者により倒された竜王の島です。今では魔物も駆逐され、無人の廃墟となったはずのその城に何者かがいるようなのです」
176北風:02/09/27 18:33 ID:Pc0qe2r2
「……で、その『何者』は世界征服でも狙っているのか?城を襲ったり、付近の町を破壊したりとか」
「それが、とんと見当もつきません。怪光が現れた、というだけならたいしたことではなかったでしょう。竜王の城を訪れた物好きな旅人が一夜の暖をとっただけなのかもしれませんし。ですが今上空にかかっている暗雲はただごとではありません……」
「それぐらいでこんな警戒をするなんて、少し臆病じゃあないか?」
「なに!」
 近くにいた若い兵士たちが反応した。
「貴様、流浪者の分際で我ら王宮の兵士たちを侮辱する気かあ!」
「まあまあ、落ち着いてくださいみなさん。この方はこの辺りの様子に詳しくないようなのです」
「……ふん、よそものが!」
 それで兵士たちは去っていった。しかしトルファは気に食わない。
「確かに俺はよそものだが、あいつらはなんであんなでかい態度なんだ!」
「彼らは見ての通りまだ若いのです。それにくわえ、この異常事態。竜王の脅威を覚えている世代は比較的落ち着いたものなのに、彼らが物心ついたころにはもう、世界は平和だったのですから……」
「でも、その竜王の脅威とやらを知っている連中の方が怯えてもよさそうなものだが?また恐怖の時代が来るのか、て」
「私たちは竜王の脅威と同時に、ロトの子孫の勇者の存在も知っているのです。あの暗黒の時代を終わらせてくれた若者のことを。ですから、再び勇者が来ることを望んでいるのです」
「なんだか他力本願だな」
 それをトルファが言うと、老神父は苦笑いをうかべた。
177北風:02/09/27 18:33 ID:Pc0qe2r2

「まあ、それは神の思し召しというものでして……。もしかしたら、突然現れたあなたこそが神が遣わしてくださった勇者なのかもしれませんね」
「おいおい、それは過大評価というものだよ……」
 老神父も冗談を言っているようなので、トルファも軽く受け流した。
「そうでした。今、国王ラルス17世陛下は竜王の島の探索隊を募っています。あなたも腕に覚えがあるようですから、参加してはいかがでしょうか?」
 古戦場、それも世界の命運をかけた勇者と竜王の決戦の舞台をこの目で見れる!トルファはその話にとびついた。

「あー、えへん、王国より選ばれし兵士、および冒険者たちよ。かの忌まわしき竜王の島、および竜王の城の探索に赴くというそなたらの勇気を余、ラルス17世はたたえる」
 トルファは老神父の勧めもあって探索隊に入ることが出来た。この探索隊には、騎士や一般の兵士もいれば冒険者たちもいる。とにかく実力を評価された連中だ。いずれも一目でわかるつわものぞろい。
 そして今、探索隊の結成式が行われている。はるか遠い玉座に座っているのはラダトームの国王ラルス17世。先代の16世には王子がおらず、一人いた王女も例の勇者について大陸を出てしまったとかで、直系の血筋が絶えてしまう。
そこで前国王の崩御間際(娘が去ってしまったショックも持ち崩した一因のようだそうだ)に遠縁の貴族が新国王として招かれ、それが17世ということだ。
 いまだ年若い王は、最後に声を高らかにして文を読み上げた。
「ここに余は『竜王の島および竜王の城探索隊』の結成を宣言する!」
 芸のない名称だが、凝ってもしかたがない。すぐに『竜王探索隊』と略される事になった。その略称に、隊員の誰もが『竜王』そのものには会いたくないと感じたことはいうまでもない……。

『竜王探索隊』が出発する。竜王の島への行き方は?
1.海路、船で北側は切り立った崖や暗礁があるので竜王の島の東北側に回りこむ。
2.陸路、リムルダール島の虹の橋を渡って。
17811=22:02/09/27 19:24 ID:???
2、陸路で。
陸路の方がいろいろ人とのであいがあって楽しそうです〜。
北風さんがんがれ〜。

んでは、久々に日課を(w
今までのトルファのお話>>87  >>93-94 >>113-116 >>120-124(レヌール城)
>>128  >>130-131  >>137-139  >>142-146(アッテムト)
>>165  >>175-177 (ラダトーム:連載中)
ルールは>>96で御確認ください。
179華龍光臨:02/09/28 10:10 ID:???
「兄者!あれを!」
「おお!あれこそ緑のカラーストーン!あれさえあれば傷も癒えるというもの!」
階段を下りた劉備たちの目に飛び込んできた緑色に輝く石、求めていたカラーストーンに間違いがなかった。
段差を飛び降りる。そしていざ邪魔なカラーストーンを隅に移動して緑のカラーストーンを運ばんとしていると…
「どちらさまですかな。」
見張っていた関羽が声を上げた。物陰から三人。顔を出した。
「見つかっちゃったね。」
「どーするのよ!」
一人がこちらを油断なく見つめている。後の二人は言い争いをしている。
「…敵意はない感じだが。」
「雲長よ。もしかするとこの人たちがマチルダ殿の言っていた人たちではあるまいか。」
マチルダの言葉を聞いた三人は言い争いをやめこちらに向き直った。
「もしかして、マチルダさんの知り合いですか。」
「おう、そうだ。いろいろ聞いたあとパトリックの坊主の親父さんのためにこいつを取りに来たって訳よ。」
「なんだ。目的は一緒だったって訳だな。」
金髪の青年が頭を書き上げながらつぶやいた。
「俺の名前はキーファ、キーファ・グランだ。」
「僕の名前はアルス、こっちがマリベル。」
「よろしくね。」
「私は劉備、そこにいるのが関羽…」
「関雲長でござる。」
「俺は張翼徳だ。…同じ目的ならば話は早いぜ。ちょっとでかいがこれをもっていくぞ。」
「まて、翼徳よ。この大きさともなれば階段で引っかかるのではないか?」
これは先の紅いカラーストーンとほぼ同じ大きさである。軽いことには軽いのだが。その大きさゆえ階段で引っかかってしまうのである。
一行は少し悩んだ。

オルゴ・デミーラがあらわれた!

デミーラの攻撃!


あなたたちは全滅しました
181名前が無い@ただの名無しのようだ:02/09/30 19:12 ID:QGbNoOCm
AGE
182名前が無い@ただの名無しのようだ:02/10/03 22:48 ID:oUWUJP2/
保守しとく
183北風:02/10/03 23:29 ID:0F9AEaT2
 さまざまな経歴を持つ20人ほどからなる『竜王探索隊』は人々の歓声に包まれながらラダトームの城と街をあとにした。
竜王が滅んで10数年、アレフガルドの交通は復活しつつあり、王都ラダトームと主要都市を結ぶ街道、そして要所要所にある宿場町はいずれも新しいものだ。
また竜王の魔力により人間に厳しいものとなっていた自然もルビスの加護を取り戻し、過去のやさしい姿を取り戻しつつある。かつてロトの血をひく勇者が竜王討伐の旅に出たときに比べれば格段の進歩である。
馬車こそないものの、多く連れている荷馬に野営道具などを積んでいるため疲労もそれほどたまらない。アレフガルド暦で半月も経つ頃には大陸の東部とリムルダール島を隔てる海峡に来ていた。
 このあたりは人口がまだ少ないために開発が進んでいない。そのため普通の旅人は、漁師を雇って対岸まで渡してもらうのが常であったが……
「うーむ、どうにも波が荒いなあ」
 探索隊の隊長ゴーリキは赤いひげを生やしたあごに手をあて眉をしかめた。彼の前には隊員の一人が報告に来ている。
「漁師たちの話によると……例の怪光がイシュタル島──竜王の島に現れてからはしけた日が続いているそうです。
 比較的穏やかな時には漁のための小舟を出しているそうですが、とても我々を対岸まで運べるような大きさの船は渡れません……」
「まさか静かになるまでのんびりとしているわけにはいくまい」
「そこで、もう一つリムルダール島への行き方があります」
 それはもう200年以上も前に掘られた地下トンネルを通るというものであった。
竜王よりも以前にアレフガルドを襲った大魔王の時代に掘られ始めたのだが船で渡るほうが便利なので、つい最近、ロトの血をひく勇者が発見するまでは忘れ去られていたのだという。
184北風:02/10/03 23:30 ID:0F9AEaT2

 それ以降王国の探索隊が派遣され、再び危機が訪れた時のために整備することが検討された。だが緊急を要する事項が他に多くあったため整備の予算がおりず、荒れ果てたまま今日に至っている。
「それでは、人間が通れる安全な道を探すために幾人か派遣する事にしよう」
 そう言ってゴーリキ隊長は4人を斥候に指名した。騎士でもある副隊長アーサー、僧侶ベホック、魔法使いメルビー、そして少しだけだが魔法も使える戦士であるトルファだ。
 彼ら4人は本隊に先がけ、今にも崩れ落ちそうな洞窟に入った。落盤がひどく、松明が一つだけでは危なっかしくてたまらない。
「本当にこんな洞窟がリムルダール島に続いているのか……」
 トルファにもならず、誰もが不安に思ってしまう。

 洞窟に入って10分も進むと、道が二つに分かれていた。
「…………本隊も我々の報告を待ち望んでいるだろう。ここは手分けして探索を続けようじゃないか。ここまできて魔物には遭遇しなかった。おそらくは死に絶えたのだろう」
とのアーサーの提案はみなが受け入れた。
「さてトルファ、ともに戦士系の私と君が一緒にいても意味はない。私たちがそれぞれ他の二人のどちらかを連れて行くことにしようじゃないか」

二人のうちどちらを連れて行く?
1.ヒャド、ヒャダルコ、ギラ、ベギラマ、マヌーサやラリホー等を使える壮年の魔法使いメルビー
2.ホイミ、ベホイミ、ザキ、スカラ等を使えて少しは前線に立てる若い僧侶ベホック

*遅くなってスミマセン。次はもっと早く書こうと思います。
18511=22:02/10/03 23:46 ID:???
続きキタ━━━(゚∀゚)━━━━!!

うむむ、魔法使いか僧侶か〜。
たしかトルファも多少魔法を使えるんですよねえ。
う〜〜〜〜ん。悩むなあ。でも僧侶の方がいいかな?
2のベホックきぼ〜んで。
186名前が無い@ただの名無しのようだ:02/10/04 09:46 ID:lA/vB3Ro
ああ、続きあったんですか。
次の展開は2.僧侶でお願いします。
魔法使いとのコンビは前にもあったので。

今回出てきた人名、みんな仲間になるモンスターの名前ですね(w
当時の私には全部調べる気力はありませんでしたが。
187華龍光臨:02/10/04 12:10 ID:???
「アルスさん。…それに劉備さんも、こちらにいられたのですか。」
カラーストーン採掘場の最深部で悩む一行に話しかけてきたのはウッドパルナで知り合った女戦士マチルダだった。
あれ?…何か頭に引っかかる。妙な違和感を劉備は覚えた。
「あれから、あなた方で奥に行かれたのかと…」
マチルダの言葉は今の劉備に入っていない。
何だこの違和感は。
なぜマチルダはここにいるのだろう?
…魔物と戦って…
まて、村の女たちは皆…
「劉備さん?」
「兄者。何を考え込んでおられる。」
「あ、ああ。すまん。」
「…これさえあればあの子の父親は救われるはず。これを持って早く言ってあげてください。」
マチルダの手にはどのようにしたのか拳大のカラーストーンが乗っていた。
削ったのだろうか。それにしては大きいほうのカラーストーンには傷ひとつついていない。
どのようにこんなに小さいかけらを採取したのか。よく見なかったのを少し後悔した。
「兄者。とりあえずここはパトリックの元へ帰ろうぜ。」
「わかった。…ところで…」
すでにマチルダの姿はなかった。結局聞けずじまいになってしまった。
188華龍光臨:02/10/05 16:25 ID:???
あれから一行はマチルダより受け取った緑のカラーストーンを持ってパトリックの元へ急いだ。
パトリックははじけるように喜び、緑のカラーストーンを父親の胸元へと置いた。
見る見るうちに血色がよくなる。奇跡のような出来事を目の当たりにした劉備たちは驚きを隠せなかった。
パトリックはいろいろ話し…しばらくしたら眠ってしまった。
看病疲れなのだろう。
そっと小屋を出て一行はパトリックが用意していた宿へと向かった。まだ取り壊しがなされていないとのこと。
「よかったですな。兄者。あれなら明日には目覚めることができそうですな。」
「ほんとに見る見るうちにきずがふさがっていったな!」
「ああ。…これが我らがまだ見ぬ世界の一端なのか。」
「…あの、お話中すいません。劉備さんはいったいどこから来たのでしょうか。エスタード島にはあなたたちはいなかったはずですが。」
「少し長くなる…よろしいかな。」
アルスは頷いた。マリベルも興味津々と言ったところだ。背後ではキーファが高いびきを掻いていた。
かつて、自分たちの世界は魔物たちの襲来を受け悉く破壊尽くされたこと。
自分たちは敗れ、そして死んだこと。
しかし、気がつけばここに目覚めていたこと。
包み隠さず話した。
いろいろ進んでるー!
私も2の僧侶でお願いします。

11=22さん、インデックス助かります、ありがとうございます。

三国志ドラクエもがんがれー。
190華龍光臨:02/10/09 00:23 ID:???
二人は絶句していた。
「そうして気づいたらこの地に目覚めていた。」
「俺たちがいれば万事問題ないって、わけだ。」
「翼徳。問題がありすぎるぞ。お前の場合は。」
がははと張飛が笑う。
「何かと複雑なようですね。」
「…それじゃあ、私たちの番ね。アルス!劉備さんたちに説明して頂戴。」
「…はいはい。」
アルスは説明を始めた。
自分たちはグランエスタード島出身であること。
グランエスタード以外の島は存在しないこと。
グランエスタード島は魔物なんて存在せず至って平和だということ。
島に唯一ある神殿に来たこと。そこからなぜかこの地へ来てしまったこと。
「どうです?兄者。」
「…ふむ。…ここから、そちらの世界へ向かう方法というのはないのか?」
「それが…」
アルスは首を振った。知らないようだ。
「…兄者。きっとここを支配している将軍をぶちのめせば、きっと道が開けるに違いないぜ。」
「それもそうだな。…ところで、その神殿とやらはいったい何の神殿かわかるか?」
その問いに答えたのはマリベルであった。
「馬鹿キーファの話だと学者があそこは王家の墓って発表したと聞いているわね。でも、そんな様子は微塵もなかったわね。」
「色々と仕掛けも多かったしね。」
劉備は腕組みした。
「その神殿とやらが鍵だろうな…」
「そうでございますな。」
「それじゃあ決まったな。明日のために後は寝るだけだ。」
一行は大笑いした。笑い声で目が覚めたキーファは寝ぼけ眼で劉備たちのほうを見ていた。
19111=22:02/10/10 09:45 ID:???
ここほど読者さんの感想の少ない小説スレも珍しいか?
って状況になってますね(ニガワラ
でも読んでいる人はいる(少なくともここに)ので
がんがってください〜
192華龍光臨:02/10/11 07:07 ID:???
「…妙だな。」
「そうですな、兄者。敵の数が明らかに少ないですぞ。」
翌日。…なのかはどうかはわからない。なぜならずっとあたりは闇の中である。
もしかしたら本当に今が夜の時間帯なのかもしれない。
…話が逸れた。
パトリックの父親、ハンクは今まで傷に苦しんでいたのがまるで嘘のように回復していた。
そして、軽い準備運動をして二、三、劉備たちと話をした後。愛用の剣を持ち、ここまで飛び出してきたのである。
「今、この機を逃すべきではないと思われますがな。」
一行は以前劉備たちが潜んでいた茂みに身を潜めていた。ちょっと狭く感じる。
「そうだぜ、兄者。一気に突っ込もうぜ。」
「劉備さん。お願いします。」
「ふむ…そうだな。いずこに敵がいるか不安は残るが…行こう。」
「へへっ、派手に暴れてやろうぜ。」
それが合図となったかキーファが飛び出す。アルスがそれを追う。魔物たちの動きが突然慌しくなる。
そう言ってキーファとアルスが先陣を切る。前方に見張りらしきオニムカデが三匹。二人が各々の獲物に切りかかる瞬間、残る一匹をマリベルのメラが焼く。
「急ぎますぞ。アルスよ。」
「はいっ!」
塔の守備をしている魔物との戦闘が始まった。

「俺様が一番だぜ。…へへっ。少しは骨のありそうなやつがいるようだぜ。」
張飛は一番乗りで扉にたどり着いた。目の前に扉を守護するゴーレムが立ちはだかる。
ゴーレムは無言で岩の拳をたたきつける。すばやくそれをかわす。
「兄者!こいつぁ、俺の獲物だぜ!手出しは無用だ!」
「…翼徳のやつ…」
劉備は苦笑いを浮かべた。ちゅうまじゅうに一撃を加える。
193華龍光臨:02/10/11 07:13 ID:???
扉の前で張飛とゴーレムとの一騎打ちが始まる。
先に仕掛けたのはゴーレム。その巨躯に似合わないすばやい攻撃を繰り出す。
張飛はその巨体に似合わずすばやくゴーレムの一撃をかわす。
床が激しく抉れられる。威力はすごいものだ。
「力は強えようだが、それだけじゃ俺は倒せないぜ。」
ゴーレムの激しい攻撃をまるでこともなくかわす。
「図体がでかいだけだな。奥義出すまでもねぇ。…砕けやがれ!」
張飛の激しい勢いの一撃がゴーレムの体の真ん中を捉える。
次の瞬間ゴーレムの体は粉々になった。
「へへっ。他愛もねぇ。俺様こそ燕人張飛さまよ!」
その勢いで張飛は扉を蹴破った。

「さすがだな。翼徳よ。」
「急ぎますぞ。あのまま突っ込みそうでございますからな。」
「…おお!あれほどの魔物を一撃で葬るとは…」
ゴーレムの崩れる音が当たりに響く。魔物たちはそれを見て恐れをなして逃げ出していった。
「すげぇな。アルス。」
アルスはただ頷くだけであった。マリベルは言葉を失っている。
「…急がないと、遅れをとるわけには行かないからね。」
アルスたちも後を追う。
ほんの数分で塔を守る魔物たちは消え去ってしまった。

194北風:02/10/12 07:37 ID:02ulNrde
すみません、まだ少ししかできていません。
頭の中では貼り付ける分だけの文章は練っているのですが……今しばし猶予を。
ここは食らわなくて済んだか。良かった良かった。
196北風:02/10/12 18:38 ID:???
「じゃあベホック、こっちについてきてくれ」
「わかりましたトルファさん」
 トルファの声に若い神官が応える。
「それならメルビー師は私の方をお願いします」
「うむ、承知した」
 騎士アーサーと魔術師メルビーのパーティーも結成された。
 分岐路を、トルファは右へ、アーサーは左に向かった。それぞれの道の先が行き止まりであろうと、続いていようと、一本目のたいまつが消える頃には元の分岐点へ引き返す手はずだ。

「なんだかじめじめとした洞窟ですねえ〜」
 ベホックの声は少し震えていた。
「なんだか足元も岩だらけだし、暗くて危なかっしいし……」
 トルファは答えないでいたが、それに構わず言葉を続ける。
「それに進むにつれ下っているようだし……」
「少しは静かにしてくれないかベホック?」
「あっ、はい、すみません」
「注意力が散漫だといざというときに対処できないぞ?」
「……そうですよね」
 ベホックはため息をついた。
「冒険に出るの、初めてなんです」
「初めて?それなのになんで『探索隊』に参加した……いや、なんで参加できたんだ?」
 『探索隊』は仮にもつわものぞろいのはずである。経験不足の新米など募集所で追い返すことになっていた。ましてや初めて冒険に出る者など……。
「私はお城の教会で奉仕させていただいていたのですが、実戦経験も必要だということで神父様の勧めで『探索隊』に加わることになったのです」
「城の神父……もしかして、かなり年をとっていたりしないか?」
「はい、トルファさんが話されているかたと同じかたです。トルファさんを『探索隊』に誘われたという話は聞いています」
(……あのじいさん、いやに勧めていたけど弟子のお守りをさせるつもりだったんじゃあないだろうなあ)
 憮然としたままトルファ、それにベホックは暗闇へと歩を進めた。
197北風:02/10/12 18:45 ID:???
 途中、地面の裂け目など危険な箇所があった場合は付近に目印をしながら進んでいくと、とうとう光が見えてきた。やっと出口にたどり着いたのだ。
 しかし近寄ってみると、土砂崩れが起こったのかなかば埋もれていることがわかる。
「地震でもあったのかな?」
「竜王が出現したときの天変地異の影響かもしれませんが……」
 はいつくばれば通れないこともないが、『探索隊』は荷馬を何頭も連れている。とうてい無理な話だ。
 別の出口を探すにしろ、人夫を雇ってこの出口を広げるにしろ、一度アーサーたちと合流すべきであろう。
 手元のたいまつはまだいくらか残っていたが、もう一本新たに火を点ける……もとの地点に戻るまでにどれだけ燃えたかで大体の距離を測るためだ。
 往路では道の調査をして余計に時間を使っているから、一本目のたいまつは必要以上に時間がたっているのだ。

 アーサーたちとの合流地点──最初の分岐点から出口までの道の分岐は、たった一つ横道があっただけだった。しかし今まで歩いてきた道よりも細くなっていたのでとりあえず探索しないでいたのだ。
 そこへ帰路にさしかかると……
「ベホック、何か聞こえてこないか?」
「え?……確かに」
 ガシャン……ガシャン……ガシャン……
 完全武装の騎士の金属鎧がきしませる音に似ていたが、それにしては金属感が無い。いや、どちらかというと砂漠に棲息する魔物の一種、大さそりの外殻がすりあわさってたてる音に近い。
 いや、トルファはもっと近い音を聞いたことがある……レヌール城で戦ったガイコツたちだ。

「謎の音」はなおもどんどんと近づいてくる。どう対処するか?
1.アーサーたちと合流するために入り口の方へと急ぐ。
2.この場で謎の音の発生源を待ち受ける。
198名前が無い@ただの名無しのようだ:02/10/13 10:50 ID:1bwqSUK4
続き北ーーーー!!
暗闇の中から迫る怪音。なんてお約束なんだーー!!

ぜひその場にとどまって対決をば
ということで2。
199名前が無い@ただの名無しのようだ:02/10/13 12:11 ID:1dzzygfK
>>198
1を希望
2なんてありふれた展開ですから
197=198
20111=22:02/10/13 12:26 ID:???
ん〜〜〜〜〜、アーサーが気になるっ!
1で!
ガイコツの攻撃!
アーサーに23のダメージ!
アーサーはしんでしまった!
久しぶりに来てみたら、新しいシナリオが始まっていたですか。

ええ、1でお願いします。
どうせなら4人のパーティープレイを見たいです。
戦、戦、僧、魔とバランスが整っていますから。
204華龍光臨:02/10/14 07:16 ID:???
塔は不気味なほど静まり返っていた。
張飛は入り口で珍しくも劉備たちの到着を待ち構えていた。
まるで来るのを待ち構えていて、わざとこの塔を開けているのか。
「兄者。なぜこれほどまでに静かなのでしょうな。」
「…どこかに軍を向けているのか…それとも罠か。」
「どっちだっていいぜ。いないなら制圧すりゃあいいし、罠ならそれごとぶっ潰せばいい。」
魔物の影はないわけではない。だが、出てこようとはしない。
こちらを恐れているのか、様子見なのか。
「劉備殿。…わが村には時間がありませぬ。村の皆はもう疲れ果てています。ここは罠だとしても突っ込むしかないでしょう。」
「…劉備さん。急ぎましょう。」
アルスたちが追いついてきた。これで全員そろった。
「そうだな。ここをどうにかしないと進むべき道が見つからないのだったな。…行くぞ!」
劉備の掛け声が合図となり突撃が始まった。
警護のモンスターはことごとく屠られ、抵抗という抵抗はできずじまいだった。
魔物たちは恐怖におびえ、逃げ出すものも多かった。
何者も止めることができない。
ただの魔物が「龍」に叶うはずもないから。
「おぬしがここの魔物の頭領であるか!」
塔の最深部、魔物の頭がいると思われる部屋に一番乗りしたのは関羽。
部屋の入り口のサボテンボールを一撃の下に屠る。
奥にはひとつの影が見えた。
違いない。関羽は確信した。
>>198
関羽「某は1を所望いたす。」
206203:02/10/14 08:48 ID:???
>204
な、なにが見えたんだ!!
しかし嵐みたいな一行ですね(w
モンスターたちも災難なことに……。
207北風:02/10/14 09:55 ID:???
「逃げるぞ」
「え……?」
「いないはずだった魔物が出たんだ!もしかしたらアーサーたちのほうも襲われているかもしれない」
「でも私たちのほうだってすぐそこまでせまってきて……」
「なあに、骨野郎の一匹ぐらい追いかけてきたってどうにでもなるさ。それに、仲間は多いほうがいいだろ?」
 トルファたちは駆け足で戻ることにした。うしろからはなおも謎の音が続いてきたが、トルファたちが去るにつれ次第に小さくなっていった……。

 合流地点では既にアーサーたちが待っていた。どうやらアーサーたちが進んでいった分かれ道はトルファたちのほうよりも短かったらしい。
「魔物?いいや、私たちが進んだ先は土砂崩れでふさがれていて……こんなものがあっただけだ」
 そう言って前に出したのは大斧であった。赤黒い汚れがついているが、さび一つなく見事な業物だと思われる。
「昔の冒険者が落としていったものなんだろう。しかし魔物にしろ人間にしろ、動いているものはなかった。洞窟に迷い込んだ獣の足音を聞き間違えたんじゃないかい?」
「いえ、あれは生き物が立てる音なんかではありませんでした!」
 アーサーはトルファたちの報告に懐疑的だった。だが、
「……骨、か。確かこの洞窟は……ローラ姫が閉じ込められていた……そしてその番人は……」
「どうしたんだいメルビー。何か心当たりが?」
208北風:02/10/14 09:55 ID:KbGzDBw/
「いや、わしの思い過ごしであればよいのだが……」
 トルファの問いにメルビーは口ごもる。アーサーは肩をすくめ、
「まあ、その謎の音に関してもですが、出口が見つかったのですからとりあえずは本隊に報告しましょう。ゴーリキ隊長たちも首を長くして待っていることでしょうし」
「それがいいな。さっさと外に……」
 その場に急に沈黙が訪れた。そして遠くから……
 ガシャン……ガシャン……ガシャン……
「……この音です」
 ベホックがやっとのことで声をひねり出した。みなに緊張が走る。
「副隊長……どうするかの?」
「……敵は一体。対してこちらは手練が四人。いざとなったら出口に向かって逃げればよいのだからひとまず戦おう」
「相手が逃げる余裕をくれるとは限らないんだけどな」
 つぶやいたのはトルファ。もっとも、あまりにも小さい声だったので誰にも聞こえることはなかったのだが。
 とにかく一行のリーダーであるアーサーの決断だ。騎士のアーサーと戦士のトルファが前に並び、その後ろから魔法使いのメルビーと僧侶のベホックが援護をする態勢だ。
 前衛は武器を構え、後衛の二人はいつでも呪文を唱えられるよう準備をした。
 そして彼らの前に敵が姿を現した。
 鋭い牙、とがった角、いまにも羽ばたこうとする翼、洞窟の通路がさらにせまく感じられるほどの巨体……それはまさしくドラゴン属の魔物だった。ただ一つ、その魔物の肉体が骨だけで構成されているということを除いて。
 メルビーは悪い予感が的中したという不快感に顔をしかめた。
ドラゴンゾンビですな。
得意技は吹雪。 この辺でだれかひとり犠牲者が出たりして。
とりあえず見習い君のレベルでは一撃でしなされるのでは。
210華龍光臨:02/10/14 19:41 ID:???
塔の中で唯一吹き抜けのある部屋。
豪華とはいえないが、装飾画施されている。
容易にこの部屋がどのような部屋か想像はついた。
関羽が目にしたのは自分自身と同等の背丈のある魔物。
こちらを向く。
体は骸骨。
手には血に染まりし巨大な剣。
そしていかにも使い古された鎧。
百戦錬磨の古強者と思われる。
……だが、殺気はない。
ただただ包むのは静かな時。
入り口と奥で互いを見つめる。
睨み合うではなく見つめる。
関羽は気づく。
その魔物の向こうに血まみれで斃れている魔物がいることを。
何があったか悟った。
確かに兵が少ないわけである。
我らは混乱のうちにここに来たのだと。
劉備たちも着く。
アルスたちも来る。
皆そろった。
その魔物の視線は悲しそうであった。
211華龍光臨:02/10/14 19:42 ID:???
「来てしまったのですね。」
その声は聞き覚えのある。…どうして間違えようがあろうか。
「お前がここのボスか!?」
唯一その声の主を知らないハンクが怒鳴る。
「待って下さい。ハンクさん。」
「ちょっと…嘘…」
ハンクをアルスが制し、マリベルが声の主に思わず声を上げる。
「…やはり、貴方だったのですか。」
劉備の言葉に魔物ははっと向く。
「気づかれて…いらしたのですか。」
「うむ。…なぜ、貴方は無事かと、考えたのです。マチルダ殿。町の女性はことごとく連れ去られたというのに。」
「…そうでしたか…そうですね。」
その魔物はマチルダであった。姿は違えどもその気、声は本人に相違なかった。
噛み付かんばかりのハンクを張飛が羽交い絞めし、会話を続ける。
「…私は弱かったのです。兄を見殺しにした村の人たちを。許すことができなかった。憎かった。気づいたらこの姿になっていた。」
ハンクは何を気づいたかおとなしくなり、考え出した。
「力を手に入れた私は復讐を果たすべく動いた。それが魔物の狙いと知らずに…」
「まさか!」
ハンクは大声を上げる。声を聞くもマチルダは話を続ける。
212華龍光臨:02/10/14 19:43 ID:???
それは幼い頃の記憶。かつて人であった頃の記憶。そして人であった最後の暖かい記憶。

「…お兄ちゃん!」
「ああ、マチルダか。」
ここはまだ「ウッドパルナ」と名づけられる前の村。過去の村。そのとある家の風景。
「もう、行っちゃうの?」
「ああ。そうでないとあの魔物が遠くに行ってしまう。今から行けば十分間に合う。まずは私は足止めする。直に村の皆もやってきてくれるだろう。皆で力をあわせれば怖いものはない。」
この村の青年は普段着ない鎧を着ている極普通の青年。ただ、違ったのは他の人より勇気を行動にして表せる青年であったということ。
「案ずるな。皆で力をあわせれば怖いものはないだろう?…そうだ。この人形をあげるよ。見掛けは悪いが一生懸命作ったんだ。」
「あ、ありがとう、お兄ちゃん。…がんばってね。」
少女は気の人形を受け取る。…暖かい。
「ああ、じゃあ、行ってくるよ。」
それが最後に見た兄の姿だった。
その姿ははっきりとは覚えていない。ただ逆光がまぶしかったということ。…遠くへ行ってしまう予感だったのか。
村の若者は勇気が出ず、誰も助けにいこうとはしない。結局、自分の保身のことばかり考えていた。
村の青年はそのことを知っていたのだろうか。
青年は一晩にも及ぶ大激闘を繰り広げた後、その魔物と相打ちになった。
村の住民はその英雄をたたえ、その者の名前を村の名前にした。

その日、少女は村から姿を消した。
213華龍光臨:02/10/14 19:43 ID:???
「…英雄、ハンクの妹…だったのか。」
「…あなたが塔の前で傷ついて倒れていたとき、パトリックは塔へとやって来ました。…幼い頃の私でもできたはずなのに。私も勇気がなかった。…同罪ですね。」
沈黙が辺りを包む。
「村の女性たちを解放するには私の命と引き換えです。…こうなってしまった以上。あなた方に託します。私のような人間を二度と出さないように。…お願いします。」
骸骨の姿が一瞬普段のマチルダの姿に見えた。錯覚ではない。魔物が魔物の姿を維持できなくなってきているのだ。
「アルスさん。私とであった最初の森へと行きなさい。すべての道はそこにあります。…そして…」
マチルダの姿が少しずつ失われていく。最後の言葉となろう。
「劉備さん。貴方がたの求める道もまたアルスさんとともにあります。…異世界から召喚されし「龍」よ。世界をあるべき姿へ。…お願いします。」
その言葉を最後にマチルダは消え去った。マチルダがいた跡にはひとつの人形があった。
劉備はそれを拾い上げる。
重い沈黙が辺りを包む。
堰を切ったかのようにマリベルが泣き出す。
やるせない空気。それだけが残った。
214華龍光臨:02/10/15 04:22 ID:???
塔の外が明るい。
この地に光が戻ったのだ。
村の女性たちは皆村へ帰り、男たちは喜びに沸く。
皆、英雄ハンクとその仲間たちの帰還を祝福した。
正しいことをしたのだ。
そう自分に言い聞かす。
だけど心が晴れることはなかった。
あれから眠りつかれたマリベルをアルスが背負い。小屋へと戻っていった。

「英雄、パルナの妹…あのような形で出会いたくなかったな…」
ハンクは重々しい口調で話す。外の明るい空気とはまったく違う雰囲気。真実を知る雰囲気。
真実とはかくも残酷なのだろうか。
「…兄者。その人形をパトリックに渡しては如何かな。」
「そうだな。…マチルダも喜ぶだろう…」
「パトリックは村の宿屋付近で見た。…渡してやってくれ。」
「ええ…」
劉備が外に出る。マリベルが劉備が外に出た音を聞き目覚める。
「これからどうするつもりですかな?」
「…関羽さんたちはどうするんですか?」
アルスの問いに関羽が答える。
「我らは兄者の指示に従う。…我らの道はアルスたちとともにあると聞いた。しばらくはそちらに厄介になると、兄者は考えるだろうな。」
「大丈夫かなぁ?」
キーファが声を上げる。
「何、どんなことがあってもおれたち三兄弟がいれば怖いものはないぜ!」
「いや、そういう問題じゃなくて…」
声は届いていない。関羽はやれやれといった表情だ。
215華龍光臨:02/10/15 04:22 ID:???
しばらくすると劉備が帰ってきた。何か様子が変だ。
「…しゅっ、出立の準備はで、できているか?」
何か見たのだろうか。明らかに慌てている。
「兄者、何をそんなに慌てているのだ?」
「…兄者。何か恐ろしいものでも見たのか?」
張飛の言は的を射ていたようだ。
劉備は頷くだけだった。
「…どちらにしろ、ここに長くいられる必要はないでしょうな。…あなた方の進むべき道があるようですからな。」
「それもそうだな。…アルス、行くぜ。」
「うん。マリベルも行くよ。」
マリベルは眠気眼をこすりながらアルスたちの後を追う。
小屋にはハンク一人が残った。
「…異世界たちより召喚された「龍」にどうかご加護を。」

劉備は辺りを警戒していた。しかし、程なくその警戒が無駄であったということが判明した。
「あー!!!!!!!」
その声の主に劉備はもちろんのこと、関羽も張飛もびくっとしたのである。
216北風:02/10/15 07:00 ID:???
「ドラゴンゾンビ……もしやローラ姫の牢番をしていたというドラゴンのなれの果てでは」
「勇者様が苦戦をしたというドラゴンですか?!」
「気をつけろ!死体になって、むしろ厄介になっていると言えるぞ!」
「ベホック、フバーハは使えるか?やつのブレスにそなえたい!」 ドラゴンゾンビはブレスを吐いた。生前の彼は灼熱の炎を吐いていたのだが、死にぞこないの魔物となってのちは何の因果か凍える吹雪を吐くようになっている。
 間一髪ベホックのフバーハが間に合ったのだが、それでもいくらか冷気が身にしみてしまう。
「フ、フン!まだ寒さガこたえるトシではナイわい!」
 寒さのため歯の根が合わず言葉が怪しくなったメルビーだが、呪文を唱えるのに不都合はないようだ。続く直接攻撃を警戒してマヌーサを唱える。
 続いてベホックがスカラをトルファに唱える。騎士のアーサーよりも鎧が薄いトルファを気遣ってのことだ。そしてメルビーもルカニをドラゴンゾンビにかける。
 後衛の二人は援護呪文を続けてくれる。ならば前衛の戦士たちはその働きに応えなければいけない。
「よし、いくぞ!」
 トルファとアーサーは左右に分かれてドラゴンゾンビに突進していった。ドラゴンゾンビは前足を上げて咆哮した。だがその程度のことに臆する二人ではなく、がら空きになった胴体に切りかかる。
 しかし骨の相手を攻撃するのには軽くて鋭い剣よりも重くて硬い剣、さらには棍棒などの鈍器の方が効く。そのため、ルカニの効果があるのに二人の攻撃はたいしたダメージを与えることは出来なかった。
 もちろんドラゴンゾンビも黙って殴られているわけではなかった。牙と角、前足の爪、さらには尻尾まで駆使して二人に猛烈な打撃を与えた。
 マヌーサの効果があるためドラゴンゾンビの攻撃は鈍くなっていたが、それでもアーサーがまともに打撃を受けてしまった。尻尾を力任せに振り上げられ、受け止めようとした盾ごと吹き飛ばされたのだ。
 うめき声をあげたのでなんとか生きていることがわかるがとうてい立ち上がれそうにない。
217北風:02/10/15 07:01 ID:???
 そしてトルファも腹を角で突かれた。スカラの効果もあったはずなのだが、一瞬意識が飛ぶほどのダメージを受けてしまった。
「ベホイミ!」
 ベホックの呪文が飛ぶ。直接的な痛みは消えたがまだくらくらする。
「大丈夫ですかトルファさん!?」
「ありがとうベホック……よくなったぜ」
 後衛の二人に近づいてきたドラゴンゾンビにメルビーがベギラマ──彼自身の最強の攻撃呪文を浴びせた。
「グォォオ!!」
「うむ、ききおるわい!」
 確かにドラゴンゾンビはひるんだようだ。しかし致命傷には至らず、手ごわい敵と見たメルビーに突進してくる。
「ベギラマ!!」
 メルビーは勢いを止めるために呪文を唱えた。だがドラゴンゾンビもそれを予期していたのか凍える吹雪を吐き、熱気を冷気で相殺する。「メルビー!危ない!!」
 トルファの警告も空しく、メルビーはドラゴンゾンビの鼻先で洞窟の壁に叩きつけられてしまった。
 そして振り向きざまの一撃でベホックに爪を振りかざす。ベホックの薄い皮鎧はやすやすと切り裂かれてしまった。
 トルファは急いでベホックの元に駆け寄りホイミを唱えた。もちろんこの程度で失われた体力を完全に回復させることはできないが、ベホックの意識を保たせることには成功した。
「くそ、このままじゃ全滅だ!」
 トルファは周囲を見やり、先程アーサーが見せてくれた大斧に目をつけた。向き直ったドラゴンゾンビが振り下ろした爪をかわすとそちらに飛びつく。そしてその重量感にあふれる斧を構えた。
「これなら少しはましかな」
「……トルファさん、しばらく時間を稼いでいただけませんか?」
 ベホックが傷の痛みに顔をしかめながら言った。
218北風:02/10/15 07:01 ID:???
「……何か策があるんだな?」
「はい、そうです。アンデッドの魔物によくきく魔法があるんです。ですがまだ私の技量では唱えるのに時間がかかるので……」 
「よしわかった!俺に任せろ!」
 トルファはドラゴンゾンビの右側に走り、両手に構えた大斧でむこうずねを強打した。
「グォォオオン!!」
 ドラゴンゾンビはもはや存在しないはずの痛覚を訴えるかのようにうなり声を上げた。そしてトルファに反撃を食らわせる。左右から前足の爪、頭上から牙、さみだれのような攻撃が降り注ぐ。
 マヌーサやスカラの効果はまだ残っているのだが、かわしたり鎧や斧で受け止めてもだんだんダメージが蓄積してくる。もはや持ちこたえられそうにない。
「……光は神とともにあり……」
「まだかベホック!」
 耐え切れずそう叫んでしまったのが命取りだった。いつのまにかドラゴンゾンビの顔が正面にあり、そしてその口が開いた。
 ブオゥ!
 凍える吹雪を至近距離から浴びてしまったトルファは吹き飛ばされ、なおかつ体の左半身が凍りついてしまった。これではもはや戦えそうもない。
 ドラゴンゾンビは最後の獲物──まだ呪文を唱えている最中のベホックに目を向けた。そしてガシャン、ガシャンと骨をすり合わせながら近寄っていく。
 ベホックは呪文の詠唱をやめようとはしなかった。
「……光の中へと立ち去らん……」
(あと少しで完成するんだ……ここで後ろに逃げ出したら、みんながとどめを指されてしまう!)
 しかし呪文の完成よりもドラゴンゾンビの接近のほうが早くみえた。
 いや、急にドラゴンゾンビが歩みをとめた。その両足に息を吹き返したアーサー、そして右半身だけで必死に這ってきたトルファがしがみついたのだ。「ベホック……さあ!!」
「……悪しき者よ消え去れ!ニフラム!!」
 カッッ!!
 閃光が洞窟の中を満たし、その光の中でドラゴンゾンビの巨体が消え去っていく。
「グォォォ……」
 ドラゴンゾンビは最後に力なく咆えたが、もはや自らの敗北を覆すことはできなかった。
219北風:02/10/16 00:18 ID:SOMs8b4N
 確かに強敵は倒した。しかしその代償としてトルファたちは仲間を──魔法使いメルビーを喪った。
 しかし本隊にはザオラルを使える僧侶がいる。一行はメルビーの死体も馬に乗せて『探索隊』の野営地へと急いだ。

 だがたどり着いた彼らが見たのはモンスターの襲撃を受けたのか、戦闘の跡が生々しく残る野営地であった。彼らが中央に設けられた広場に行くと、そこには『探索隊』の野営地に残っていた全隊員が揃っていた……死亡者を含め。
「どうしたのですかゴーリキ隊長!?」
「おお!アーサーか!よく無事で戻ってきてくれた……他の仲間は?」
 そこへトルファとベホックが物言わぬメルビーを担いできた。
「そうか、メルビーが犠牲になったか……」
「確かザオラルを使えるかたがいたと思うのですが」
 ベホックは同業者の姿を探したが、生存者たちの中に見つけることはできなかった。
「彼も死んでしまったよ。キメラの一群に頭上から炎を浴びせられてな」
 ゴーリキ隊長は語った。トルファたちを送り出してしばらくのち、がいこつや大さそりといった魔物たちが大量に襲ってきたのだと。最初は苦もなく戦っていたのだが、ドラキーやキメラなど空を飛べる魔物の奇襲を受けて犠牲者を出してしまったのだとも。
「ここまでの旅では魔物に出会わなかった。なのに、なぜ今になって、それもそんな大群に襲われたんだ!」
 声をあげたトルファならずとも誰もが抱く疑問であった。
「洞窟でも私達は魔物に出会いました……」
「いったい何がこのアレフガルドに起ころうとしているんだ……」
「もちろん、それを探るのが我ら『探索隊』の任務だ」
 ゴーリキ隊長はため息をついた。
「このとおり復活の呪文を唱えられる者も死んでしまった。彼らは『キメラの翼』でラダトームの城に送り返すとして……我ら生き残った者は使命を果たすために旅を続けなければならない」
 メルビーを含め5名の犠牲者と3人の重傷者を2人の隊員に託し、10名に減った『探索隊』は野営地を後にした。
220北風:02/10/16 00:19 ID:SOMs8b4N
 海が荒れているために仕事ができなかった漁師たちを人夫に雇い、洞窟の整備を行った。なんとか荷馬も通れるようになると、『探索隊』はいよいよリムルダール島の大地に足をつけた。
 これはイシュタル島──竜王の島にある竜王の城までの行程の半分以上を消化したことになる。次はリムルダール島西端に行き、竜王討伐時に勇者がかけた虹の橋を渡るのだ。
 『探索隊』は島の中央部にあるリムルダールの町には寄らず、北辺を一路西進していった。すると、途中、草原と森の境目のあたりで争う音が聞こえてきた。
 急いで駆け寄ると、どうやらローブ姿の若い、目つきの悪い男がリカントたちと戦っているようだ。
 若い男が杖を振りかざしてベギラマを唱えると、灼熱の炎がリカントを数匹丸焼きにした。しかし一匹が距離を詰めてくる。
 男はすぐさまメラミを唱え、リカントを火柱に変えた。だが、まだリカントたちは10匹は残っている。
 『探索隊』一行が駆け寄ろうとすると、男は彼らに気づいてこう言った。
「そこなものたち、手を貸してくれ!我は竜王の孫だ!……さすればほうびをとらすぞ!」
 ──竜王の孫!
 その言葉に『探索隊』の面々は凍りついた。本当にあの「竜王」の孫だというのか?!

1.「竜王の孫」を名乗る若い男を助ける。
2.ほうっておく。
221華龍光臨:02/10/16 16:03 ID:???
>>213の一行目はハンクではなくパルナでした…
おおっ、竜王の孫が出てきましたか。そりゃもちろん1で!
張飛「俺も1がいいぜ。」
224華龍光臨:02/10/18 18:43 ID:???
まあ、いかな英雄といえども欠点、苦手としているものなどはある。
張飛は大酒飲み。酒を飲んで失敗したことは一度や二度ならず。
関羽は本人は黙って入るがとあるものが大の嫌い。
張飛によると…

とある、戦場にて。
「おい、張飛!そこのカエルをどけろ!」
「んあ?」
張飛がいつものごとく大酒を食らっていたとき、突如赤兎馬に乗った関羽が大声で叫んだ。
赤兎馬の前にでかいカエルが憮然と座っていた。でかい。でかすぎる。
「そんなもんよければいいじゃねぇかよ。」
そういっておもむろに酒を飲む。
「どかせといっているだろう!」
「ちっ…」
張飛はおもむろにカエルをつかみ…ニヤリとした。
次の瞬間。そのとき関羽はどのような状況にあるのか理解できなかった。
視界の隅にて張飛が笑い転げているのを見た。
なんか冷たい。
顔にへばりついている物体に触れる。
グァ。
次の瞬間、断末魔のごとき悲鳴が軍全体に響き渡った。
関羽は落馬し、気絶していた。
張飛は子供のように大喜びしていたという。

そして、劉備もまた例外ではない。
22511=22:02/10/18 19:25 ID:???
竜王の孫イイ!1でおながいしまつ。
どっちも大作になってきたので、道しるべをば。

今までのトルファのお話>>87  >>93-94 >>113-116 >>120-124(レヌール城)
>>128  >>130-131  >>137-139  >>142-146(アッテムト)
>>165  >>175-177 >>183-184 >>196-197 >>207-208 >>216-220(ラダトーム:連載中)

今までの華龍光臨
>>158-164  >>170  >>173-174  >>179  >>187-188  >>190  >>192-193  
>>204  >>211-215 >>224
226華龍光臨:02/10/19 09:29 ID:???
無論、劉備もまた例外ではない。
劉備には頭が絶対に当たらない人がいる。一人は母親、まあ、当然なのかもしれないが。
もう一人は…

「ちょっと!私を見るなり逃げ出すってどーゆー神経しているのよ!」
「き、気づいていたのか!?」
「あんたほどの長耳の人はそんなにいないわよ!」
言い寄る女性。この人こそ孫尚香、その人である。
「第一自分の妻見て逃げ出す夫がいるものかしら…?」
怖い。その場にいる誰もが声を出せずにいた。
関羽と張飛も傍観者を決め込んでいる。
「兄者。許せ…」
「…少しばかり、時間をいただくわね…ちょっとこっちにきなさい!」
襟を乱暴につかみ、劉備を引きずって行った。
「兄者。どうかご無事で…」

三十分の間派手な物音がしていた。
ものすごい剣幕で問い詰める孫尚香の声も聞こえる。
とりあえず、関羽たちは宿屋でこれからのことについて話し合っていた。
さらに三十分、一方的で派手な夫婦喧嘩は繰り広げられた。
その後、ボロ雑巾となった劉備が孫尚香に引きずられて宿屋に戻ってきた。
とにかく事情説明から行おうと思った関羽であった。
227北風:02/10/19 20:39 ID:???
 驚き、そして「竜王」という単語が意味する恐怖のあまり彼らの多くは動きが取れなくなってしまった。だがトルファは違う。
 竜王の恐怖を実際に体験して、あるいは幼い時分に親より聞かされて育ったアレフガルドの圧倒的大多数派とは違う、異世界から来たという出自によるものだろう。
 トルファは両手に剣を構え、リカントたちの注意をひきつけるために雄々しく雄たけびを上げながら突進していった。
 まずは一番近くにいたリカントの一匹に切りかかる。奇襲を受ける形となったリカントは盛大に血しぶきをあげながら倒れた。
 しかし二匹目のリカントはすぐ目の前におり、トルファは剣を突き出すしかなかった。それはリカントの胸板を貫くことに成功したが、剣は深く突き刺さって抜けなくなってしまった。
 武器を失ったトルファに三匹目のリカントが襲い掛かる。豪腕による一撃をすんでのところでかわしたトルファは、両手を上から背中にまわした。トルファの背中には、先日洞窟の中で見つけた大斧が革紐で留められていたのだ。
 大きく振り下ろされた大斧の刃先はリカントを頭頂から捕らえ、不幸な魔物は真っ二つにおろされてしまった。
 しかし、不幸なのはそのリカントだけではなかった。そのころまでには呪縛から解けていた『探索隊』のメンバーにより、他のリカントもみな剣や呪文により命を落としていたのだ。
228北風:02/10/19 20:40 ID:uUCyJrTo
「あんた、けがはないのかい?」
 戦況が味方に傾いたと見たトルファは、いち早く襲われていた男に駆け寄った。
「いや、大丈夫だ」
 男は軽く手を振った。すると、彼は何かに気付いたようにトルファの顔を見た。
「……ふむ、不思議なものだ。こんな宿命の者はこのアレフガルドで見たことがない!おぬし、もしやこの世界のものではないな?」 
 トルファは驚いた。まさかそのことを看破する者がいたとは!
 だが男がそれ以上追求することはなかった。戦闘が終結し、『探索隊』の一同も周囲に集まってきたのだ。ゴーリキ隊長が一歩前に出る。
「我々は王国の者だ。竜王の島の探索を任務としている」
 そこで間をおき、せきばらいの後に厳しい口調で続ける。
「貴殿はさきほど『竜王の孫』を名乗ったな?成り行き上助ける結果になったが、もしそれが事実ならばこのアレフガルドの民として見逃すわけにはいかないのだが……」
 一同に緊張が走る。竜王の同類ならば、人間に仇なす者なのかもしれないのだ。
「『孫』というのは、厳密に言えば違う。だが、同じ竜神の一族であることに違いはない」
「竜神の一族……だと?」
 ゴーリキ隊長らが首をひねったのを見て、男はあきれたように手を顔にかざした。
「まあ、人間の身ではその程度の知識しかないのもむべなるかな。よろしい、我が知識をいくらか授けてやろう!」
 「竜王の孫」は身振りをまじえながら大声で説明を始めた。
「竜王とはもともと世界を守るべき竜神の一族なのだが、数百年前、まだ卵のうちに魔界の者にさらわれたのだ。そしてそこで悪に染まり……アレフガルドを征服すべく、200数十年前に魔界の力をもって兵を起こしたのだ」
──竜神の一族はその折に竜王に声をかけられた。すなわち、同族として力を貸してくれ、と。
 すでに竜王によってアレフガルドに天変地異が起こるさまを見届けていた一族はもちろんそれを拒否した。
229北風:02/10/19 20:41 ID:???
 そしてすぐさま侵略をやめるよう迫ったのだが、もちろん竜王はそれを受け入れなかった。竜王はラダトーム城から奪い去った光の玉により、一人でも一族全員と渡り合えるほどの膨大な魔力を得ていたのだ。
 やがて一族の中でも竜王に心酔する者が出始め、おもに天界で工作を行うことでその忠誠を示した。そしてその中でも特に竜王の評価が高かった者がいた。
 竜王の敗死後、同族として竜王の悪行をとめることが出来なかった罪で竜神一族は神々の裁きをうけることになったのだが、十数年の後、彼は天界を抜け出してアレフガルドに降り立った──
 男は一段と声を高めた。
「それが我が父なのだ!竜王が死んだ今、『竜王二世』を名乗ってその遺志を継がんというのだ!」
「……なるほど、あんたは『竜王二世』の息子だから『竜王の孫』というわけか」
「天界は大騒ぎだ。継続中の裁判を中止し、ただちに竜神一族全員を地獄へ追放しろ、と主張する者もいたほどだ。
 我らの立場は悪くなるばかり──その中でルビス様たちがご慈悲をお示しくださった。
 『過ぎた竜王の罪状は裁判により決めるのが本来の決まり。そして今現在行われようとしている竜神一族の者の罪は竜神一族の手により裁かせるべし』と主張され、結局『竜神一族の代表者一人が竜王二世を説得、ないしは打倒すべし』と決まったのだ」
「それで貴殿が?」
「そう、我は一族の中で最も力が強かったのでな。だが、父にはかなわなかったのだ」
「え!?」
「我は一ヶ月前に父のところへと赴き、そして戦った。しかしながら敗れ、竜神としての力の多くを封印された上にバシルーラの呪文で竜王の城から追放された。その後なんとかここまで戻ってきたところで運悪くリカントたちに遭遇し──そなたらに助けられた、ということだ」
230北風:02/10/19 20:48 ID:???
 「竜王の孫」は面白くなさげに鼻息を立てた。
「連中、再び竜王の元へ集うために移動をしていたのだろう。現に魔物の活動が活発化してきておるのだ」
「……それであんたはどうしようと思うんだい?」
「決まっている!再び挑戦するのだ!」
「しかし一度負けたんだろ?それに神様としての力を封印されたって……」
「なに、封印を解くすべはある。それに……そなたらが力を貸してくれれば今度こそ勝てる」
 男──「竜王の孫」はニヤリと笑って一同を眺めまわした。
「……そういうことならば力を貸すことにしよう。我らの任務は異変の原因を探ることで、それは確かに達成した。だがここまできてほうっておくわけにはいくまい」
「よし!ならば我らは同盟者ということだ。以後よろしく頼む」
 そこで「竜王の孫」は手をぽんと叩いた。
「そうだ!助けてもらった謝礼をせねばならぬな。一人一つに限るが、秘宝を放出しようぞ」
 「竜王の孫」はトルファの方へ向き直った。
「さてそこなもの、名はなんと言う!」
「トルファってもんだ」
「トルファよ、そなたは一番に駆けつけてきた。そなたに相応しいものがいくらかあるのだが、その中から選ばせてしんぜよう」
 「竜王の孫」はローブの懐に手を入れると、次から次へとアイテムを取り出した。どうやら何かの魔術を使っているようで、とうてい懐に入りきらないようなものまである。
 まずは特殊な形をした剣──ドラゴンソードだ。
「この剣はドラゴン属の魔物によく効く……無論、我ら竜神一族にもな」
 次は水鏡の盾だ。
「ギラやメラの呪文に対する耐性がある。ドラゴンの炎に対しても役に立つだろう……ん?そういえばそなたは剣も斧も両手で扱っておったの」
「いや、片手でも使えないことはないぜ。両手の方が使いやすいことは確かだけどさ」
 次は黒い金属でできた鎧……赤い羽根飾り、面当てつきの兜まであるその全身鎧の名をトルファは知らなかった。
231北風:02/10/19 20:49 ID:???
「これはその名もブラックメイルという。防御力も高いが、あらゆる呪文のダメージを軽減する……そうだ」
「『そうだ』?」
「うむ、これらは……竜王の城の宝物庫から持ち出したものなのだ。我もこのような鎧を見るのは初めてで、その効果は蔵番をしていた者から聞いたのだ」
「……呪いがあったりしないよな」
「布で丁重に包まれていたのでついつい持ってきてしまっただけで、そこまではわからん」
 口調の尊大さと手癖の悪さがどうも結びつかない。そのいいかげんさに、トルファは思わず頭をかかえた。
 そして最後に取り出したのは青い石──命の石だった。
「そなたも知っているようだな。メガンテやザキなどをかけられた時に身代わりとなってくれるものだ。他のものに比べれば見劣りするかもしれないが、命あってのものだねだからのう」

どのアイテムを選ぶ?
1.ドラゴンキラー
2.水鏡の盾
3.ブラックメイル
4.命の石
232北風:02/10/19 22:37 ID:???
小説ドラゴンクエストなどを参考にした設定もあります。
必要最小限の説明はおいおいしていきますので、理解できない点があってもそのまま流しておいてください。
233華龍光臨:02/10/20 02:55 ID:???
<爆龍狂乱>
静かだ…
空はどこまでも蒼く、どこまでも澄んでいる。海鳥たちの鳴き声が聞こえる。
暖かい日差しが眠気を誘う。
平和である。
しばらくするとぼんやりとしていた眠気が襲ってくる。
今は考えなくともよいか…目を閉じる。
ごすっ。

首が45度左に傾いた。
「何一人で呆けてんのよ。」
「…尚香か。」
横には口をあんぐり開けた関羽と張飛がいた。そしてさっきの激痛は大方孫尚香の蹴りがまともに入ったのだろう。
「私たち、いつまでここにいればいいのよ。」
「仕方あるまい。…私たちはこの世界の住人なのではないのだから。突如現れると混乱を招くだろう。…キーファ殿に万事任せるほかあるまい。」
あれからボロ雑巾となった劉備をアルスが呪文で回復し、アルスの案内で今、現在いる世界に案内された。
この世界は魔物はなく、平和に見える。
しかし、劉備は感づいていた。風が、寂しそうにに泣いていたのだ。
ここにはあるべきものがない。普通は気づかない世界を覆う何かが。
この謎の神殿でアルスたちとはいったん別れた。
ここは勝手が違うだろうし、下手に混乱を起こさないためでもあった。
聞くとキーファはこの島の唯一の城の王子という。
彼だったら何某かの手を打ってくれるに違いない。
それまでここで待っていようということになったのである。
「兄者、いくらキーファ殿とはいえ、簡単にことは進まないのやも知れませぬ。」
「かも知れぬな。…だが、今の我らには待つことしかできまい。」
すでに神殿の探索は済ませてある。
ただ、台座とそれにはめる「石版」の存在が明らかになっただけだが。
自分たちの見たことない、植物、建築物。十分に劉備たちの目を楽しませるには十分であった。
が。そろそろ見飽きてきた。
234華龍光臨:02/10/20 04:33 ID:???
あれから時間がたち、徐々に海が橙色に染まる頃。
劉備たちはまだ時間をつぶしていた。
森のほうから物音が聞こえる。身を隠すが、それは杞憂だった。
「ごめん!遅くなった!」
現れたのはアルス、背後にはマリベルもいる。
「おせぇぞ!ったく。どこほっつき歩いてたんだ!?」
「話は後!どうやら大きなことになりそうだぜ!」
上機嫌でキーファが現れる。アルスたちは近道を通って石版が多く存在する台座へと向かう。劉備たちもそれを追う。

着いた先は赤色を貴重とした部屋。台座が複数安置されている。
「いったいどうしたというのだ?」
「あれから、グランエスタード城に行って見たけど、会議やっているようだったんだ。…新しい島を発見したって。」
「新しい島?」
「そうよ。そして、ことの審議を知るべくアルスたちったらウチの廃棄したはずの小船でその島とやらに向かったわけ。」
「だから、ここに来るのが遅れたってわけね。」
「すみません。…ですが、その島はどう見てもあのウッドパルナのあった島なのです。あれこれ話を聞いているとわかったことがひとつ。あの、石版の中の世界は…過去のものだということです。」
劉備の顔が真剣なものとなる。
「…で、頭の切れる爺さんに話を聞いてきたところ、これはかつて、世界中に島が存在してたんだが何らかの原因で失われた世界のかけらの一部がこの石版だって言うんだ。」
「ということは、その何らかの原因を取り除けば世界はあるべき姿に戻ると、その人は言っていたのですな。」
「そういうこと。…うまくいけば、これでまた島がひとつ復活するってわけだ。…爺さんにあんたたちのことは伝えておいた。次に島が復活する頃までには親父に伝えておいてくれるだと。」
「有難い。これから行くんだな?」
「ええ。この石版をはめれば…」
アルスは石版をはめる。光が辺りに満ち、次の瞬間。石版の中へと吸い込まれていった。
1のドラゴンキラーで
>231
ブラックメイル……出典はモンスター物語ですか?
ちょっとやばめなので、無難に4の命の石でお願いします。

>234
7は世界が広がっていくのが楽しかったですね。

お二人とも頑張ってください。
237華龍光臨:02/10/21 17:10 ID:???
脳裏にあるものが見える。
民の姿が見える。手には松明を持っている。
様子から見て暗いためではなく、何らかの儀式か何かなのだろう。
民は踊り、いかにも幸せそうだ。
しかし、異変は突如起こる。
若い女が松明を放り込む。どこに放り込んだかは定かではない。
すると、大地が震えだす。異変に気づき、民たちは皆大地にひれ伏す。
何者かに祈りをささげているのだろうか。ただただ一心に祈り続けている。
しかし、その祈りは報われず日が吹き荒れる。
民たちは絶望のうちに沸きあがる火炎に飲み込まれていった。
…黒い影が見えた。

「劉備。」
「…見えたのか。事の仔細はおぼろげだがわかった。…あの山だろうか。」
劉備の向く方向に黙々と煙を上げる山があった。
「兄者。我らもあのような山は見たことありませんぞ。」
「山が火を噴くのか…恐ろしいこったぜ。」
珍しく張飛の口からそのような声が聞こえた。
「あれが、火山なのでしょうか。」
「知っているのか?」
アルスは頷く。キーファが書物を見せる。
わからない文字があるが絵があって、山が火を噴く様が描かれていた。
「これは古代文字なんですけど、意味は厳密にはわからないんですが…火とともに暮らす民があって火を称える祭があると書いてあるようなんです。」
「…アルスはなぜそんな文字読めるの?まさか、徹夜で解読…したわけないか。」
「わからない。でも、なぜか読めるんだ。」
「まあ、読めて損することはないじゃないか。劉備さん。早く行こうぜ!」
「うむ。急ごうか。」
劉備たちは歩を進めた。この地に潜む邪なる存在を絶つために。
238華龍光臨:02/10/22 06:09 ID:???
しばらく歩くと村が見えだした。
道中は静かなものだった。これから起こるだろう事件のために身を潜めているのか。
とにかく退屈なものだった。
村に近づくにつれ、村とは思えぬ賑やかさが耳に入ってくる。
「あら、旅人の方々?ここはエンゴウの村よ。いい具合に来たわね。…今ね。村を上げての祭の準備しているの。めったに見れないから楽しみにしててね。」
話しかけずにはいられなかったのだろう。近寄ってきた女性はそれだけ言うと洗濯を再び開始した。
「えらく機嫌がいいご婦人でしたな。」
「うむ。祭とか言っていたな。魔物たちはこの機を利用して事を起こそうとしているのだろうな。」
周りを見る。数多くの出店が見える。行商の姿が見える。祭の間に大儲けしようとしているのだろう。
「どうする?劉備?」
「…ここまで祭の準備が進んでいると祭を中止にすることは難しそうだな。」
「一応行って見ませんか?村長のところへ。」
わずかな期待に賭け、アルスの言に従い村の奥の村長の家に向かうことにした。

「…やはり無理でしたね。」
結果は予想通りのものだった。いくら説明をしても旅人だからこの地に慣れてはいない。私たちは神の怒りを買うことはしていない。と言って聞かなかった。
「うむ。…この町はあの火山を神とあがめている。神に逆らうようなことはしていない…か。」
劉備は火山を見遣る。
突如、大地が揺れる。火山の動きが活発なのか。
村人はこれを喜ぶ。山におられる神が目覚めているらしい。
「地震はちょっと…」
出店やら何やらを除いてあれこれけちをつけていたマリベルがいきなり勢いが弱くなった。どうやら地震は苦手らしい。
239華龍光臨:02/10/22 06:09 ID:???
「ここの民は慣れているという事だろう。…ゆえに気づかないのかも知れぬな。」
「どうする?兄者。」
「とにかくいろんな人に話を聞いて回ろう。…手分けでもするか。」
「それがいいと思います。祭の内容その他があれば対策も練れると思います。」
「じゃあ、俺たちは村長の家付近で話を聞いてみるぜ。」
「人が集まるだろうしね。」
アルスたちは村長の家付近へと歩を進めた。
劉備は関羽に向き直る。関羽は何を言われるか半ばわかっていた。じゃじゃ馬である。
後手になるとまず断れない。先手を打つしかない。関羽は劉備の言葉の先を突いた。
「それでは兄者。私と翼徳はこちらを聞いて回ります。」
そそくさと二人は去っていった。関羽の勝利であった。
「う、雲長!」
(許せ…兄者。)
劉備の元に残ったのはじゃじゃ馬、弓腰姫とも言われる孫尚香。
「何考えていたのかは聞かないであげるわ。…今はそれどころじゃないでしょ。」
「あ、ああ。」
劉備もまた情報集めを開始した。
それと同時に孫尚香の使える武器があればいいんだが。丸腰ではまずい。そう思っていた。
出店を回ってみる。あれこれ聞くもやはり有力な情報は帰ってこない。
わかったのは山に入れるのは焔祭の最も盛り上がるとき、「火送りの儀」の時だけであるということ。
「入れないとなるとその短い時間の間に原因を突き止めないといけないわけね。」
「そうだな。…ところで、大丈夫なのか?」
「何が?」
「魔物と戦うだろう。だから武器が必要だろう。」
「それもそうね。」
情報集めをそこそこに切り上げ、武器探しを始めることとなった。
武器を買う金に少し困ったが二人が持っていた金細工の装飾品をいくつか売り払うことで十分な金にはなった。
あとは武器だけだが…
「あまりいいものがないわね…」
店先に有る銅の剣を手にとって見た。量産品。そんな感じがした。
「仕方があるまい。武器の生産技術の水準が高くないということだろう。」
「でもここまで低いとねぇ。」
別の剣を手に取りつぶやく。
溜息をつく。
「強い武器をお探しか?」
突如背後から声をかけられる。そこには老婆が立っていた。
「そうだけど…あなたは?」
「わしはこの村で占い師をやっているパミラというものじゃ。」
「その占い師殿がなぜ我らに武器を?」
パミラと名乗る占い師の表情が重いものとなる。
「ここで話すのはふさわしくないだろう。私の家に来るがよかろう。」
とにかくパミラの後を追っていくことにした。
241名前が無い@ただの名無しのようだ:02/10/23 18:03 ID:JKQwAYE+
1のドラゴンキラーで。
元から持っている剣と、大斧と、こいつとで三本も武器を持つことになるけど(w

なんか弁慶みたい。
24211=22:02/10/23 19:38 ID:???
4.いのちの石、ってのは少数派かな?
243北風:02/11/02 18:17 ID:???
「それじゃあドラゴンキラーをもらっとくぞ」
 トルファはドラゴンキラーを右腕に持ち、ブンと振り回してみた。
「へえ、見た目の割には結構軽いんだな。それにただの金属じゃあないな」
 その様子をみて「竜王の孫」は満足げに笑いを浮かべた。
「どうやら使いこなせるようじゃの。まあ頑張ってくれ」
 「竜王の孫」は隊員たちを視界に入れ、声を張り上げた。
「……さて、そなたたちにもそれなりのものを授けよう。まずは……『悟りの書』だ!」
「「なに!!」」
 魔法使いや僧侶のみならず、他の戦士や武闘家といった職業のものたちまでもが驚きの声を上げた。
──悟りの書。それは修練を積んだ魔法使い、あるいは僧侶があらゆる魔術の使い手である存在『賢者』の称号を得るために必要なアイテムである。この書を読み解くことで悟りを得るのだ。
「これは消耗品じゃが、どうせ城の宝物庫から失敬してきたもの。心置きなく使ってくれい」
 「竜王の孫」の声は軽かったが、だからといって悟りの書の価値までも軽くなるわけではない。
 『探索隊』の中に資格者は二人。一人は言わずと知れた僧侶ベホックで、もう一人は旅の魔法使いホークスだ。
 この二人の性格は一月ほどの旅の間に周囲の者もほぼ把握していた。
 使える呪文のレベルはともかく、経験や度胸といった点からしてまだ半人前のベホック。
 冒険者として経験を積んで魔法使いの呪文、特にヒャド系に精通し、少々オタクがかったところのあるホークス。
 だがホークスは悟りの書を快くベホックに譲った。
「俺はまだヒャド系最高位の呪文──マヒャドを修めていないんだ。ここで僧侶の呪文の勉強をしたらそれも遅れてしまう。
 それにお前は神殿で魔法使いの呪文の勉強もしてたんだろ?だったら効率の点からいってもお前が賢者になる方がいいだろ」
 そっけない態度だったが彼の行動には多くの者が美徳を感じた。
 だが、そのかわりに魔法を唱える精神力の消費を抑える『不思議な帽子』を得た時、彼は「これでヒャダインが今までの倍唱えられる!」と小躍りしたという……。

*遅くなってスミマセン。ちょっと忙しい事情があるもので……次は日曜日夜に二レス分貼り付けようと思います。
続きキター!暇な時に書いてくれたらいいよ〜
245北風:02/11/04 08:32 ID:???
 他の者たちもそれぞれにあったアイテムを得た。アーサーはドラゴンゾンビにへこみをつけられた盾のかわりに水鏡の盾を、城の兵士のマクベスは一撃必殺のデーモンスピアを、盗賊のトビーは星降る腕輪を、といった具合だ。
「……このまま持ち逃げしたくなる気分だねえ」
 トビーなどはため息をついた。そこを「竜王の孫」がギロっとにらむ。
「はっ、はは、冗談だってば」
「城の宝物庫にあったものにしろ、いずれも我が竜神一族の秘宝であることに変わりはない。必ず返すのじゃぞ!」

 「竜王の孫」を加えた『探索隊』一行は竜王の島へと向かう。一週間ほどかかって虹の橋の付近にたどり着いたのだが、その間にベホックは(「竜王の孫」の指導もあって)悟りの書の解読を終えていた──野営地で賢者への転職の儀式が行われた。
「おめでとう!」
「すごいぞベホック!」
 みなが浴びせる賞賛の嵐に当のベホックは顔を赤らめるばかりだ。
「これでそなたは賢者の称号を得た──魔法使いと僧侶、両系統の魔法の使い手となったのだ。この世界の知識の守護者の一人として精進するのじゃぞ」
 「竜王の孫」がおごそかに宣言した。
「は、はい!がんばります!」
「……これで戦力が増強されたな」
 ゴーリキ隊長はベホックの賢者姿に目を細めた。
「ああ、蘇生魔法も使えるようになったそうだしな。これでいつでも死ねるってわけだ」
 下手なジョークをトルファは飛ばした。無論、ザオラルが成功する確率は半々だということは承知している。
 彼らはいよいよ竜王の島へと足を踏み入れようとしている。「竜王の孫」の話では、「竜王二世」の登場を知った数多くの魔物が結集しているはずだという。
 それらを振り切って竜王の城へ入り、そしてその地下宮殿に潜む「竜王二世」を打ち倒さなければならないのだ。死者を出さずにはすませられないだろう。
246北風:02/11/04 08:35 ID:???
 虹の橋。ここにある橋はアレフガルドの歴史上、幾度か破壊されている。アレフガルドを侵略した者はこの先にあるイシュタル島を本拠にすることが多い。そして守りを固めるために大陸と唯一陸路でつながっている橋を落としたからだ。
 大魔王、初代竜王ともにその魔力によって海流を激変させて橋を破壊した。しかし現在、確かに海流は速くなっているものの橋を落とすまでには至っていない。
「これが我が父──竜王二世がかつての大魔王や初代竜王に遠く及ばぬゆえんじゃ。彼らは自らの強大な魔力に加えて光の玉や魔界の力やらを操っていたが、それが父にはない。客観的に見て、アレフガルド征服なぞ無理な話なのだ」
「そういえば、初代竜王が侵略をした時には王城にある光の玉を強奪したってな。だけど今回は……」
「そう、せいぜいが島の周辺の海流を早くしたり、各地の魔物を凶暴化させたり。その程度が関の山なのじゃ」
「じゃあ、なんでその程度の力でアレフガルド征服を目指してるんだい?」
「それでも十分な脅威だ。現に我ら『探索隊』も襲われたのだからな……そうら橋の終わりが見えてきたぞ!」
「まあ待て、一歩島に渡ったところを待ち伏せされてはかなわない。偵察を出そう。さいわい、わしは消え去り草を持っておる」
 しばし話し合った末、盗賊のトビーが偵察役になった。持ち前の素早さに加え星降る腕輪のおかげでさらに上昇しているので、万一気づかれてもすぐに逃げられるだろうという判断だった。
 トビーは半刻もかからずに帰ってきた。
「やべえやべえ……囲まれていやしたぜ。橋の出口の近くにわんさと集まってるんでさあ。
 一歩橋からでたら三方向から同時に攻撃を受けちまう。かといって橋の上に留まっていたら、キメラたち後ろに回りこんで島へと追いやるだろうし……」
「……確かに数は脅威だが、敵の強さにもよる。どんな魔物たちがいたんだ?」
「たくさんいるのはリカントや魔法使い、鎧の騎士、それに死霊の騎士といったある程度知恵のあるやつら……そしてドラゴンが四匹」
「………四匹も?!」
「しかも、そのうち一匹は色違い……ひときわ凶暴なキースドラゴンに違いありやせん」
「ふむ、我が父は竜王軍の残党を完全に掌握しているようだな」
「ドラゴンが相手なら俺のドラゴンキラーが役立つ。それにアーサー」
247名前が無い@ただの名無しのようだ:02/11/04 18:54 ID:zJNWdnPW
お、再開ですか。
お疲れ様です〜。
ふっ誤爆したくせに
249偽北風:02/11/04 19:18 ID:???
>248
ハッハッハ、それはいわナイ約束ですヨ、お兄さん。
250華龍光臨:02/11/05 01:15 ID:???
「それは妖精の剣じゃ。苦労したんじゃぞ。手に入れるのは。」
孫尚香に手渡した細身の剣は不思議な輝きを灯していた。
パミラの占い小屋に通された二人。助手らしき女性が紅茶を差し出す。
薄暗い部屋に壁に不思議な紋様、地面にも紋様がある。
助手曰く占いと薬の調合をしている部屋だという。
「おばあちゃん。なぜ、こんな剣をくれるのかしら?」
「なかなかの剣のようですな。…これほどの剣をくれるとは何か事情があること。…お話いただけませんか。」
「エルマ。説明をしてやってくれ。」
「…あ、ハイ。」
エルマは水晶玉を取り出した。占いの心得があるらしい。
「これを見てくださいませ。」
水晶玉に移るのはあの山。人が集まっている。
楽しむ人々の様子が一変。異変が起こる。
大地が震え…山が火を噴く。人々は絶望のあまりに火に飲まれて行く…
「これは今夜行われるほむら祭の光景です。…このまま明日になればこのような惨事を引き起こしてしまいます。」
それだけを写すと水晶玉に写っていた光景は消えてしまった。
「…ふう。…パミラ様は何かと無理をさせるのだから。…色々と対策を講じていたのですがうまくいかなくて…」
「何か対策はないかと占ってみたらおぬしたちの姿が見えたわけじゃ。」
かっかっかっとパミラが笑う。
「なら、最初からそういえばいいじゃない。人が悪いわね。」
「うむ、…決まったな。皆を呼んでくる。」
龍。ここに参上す。
251華龍光臨:02/11/05 01:16 ID:???
「今夜か。どうする?兄者?」
パミラの小屋の前。あれから一通り話を聞いた。
行動の拠点を得たわけである。
「…とりあえず夜まではやることはないな。」
空を見上げる。まだ。日は高い。
「宿はあらかじめ取っておきました。これからどうします?」
「おお。それは助かる。一旦宿へと行こうか。」
村の唯一の宿へと向かう。
村はにぎやかだ。
元々の人口の数倍の人数がいることだろう。
数多くの行商がいる。
中には馬車があふれんほどの商品を持ってきたものもいる。
「これほど活気のあるとはこのほむら祭、なかなかに知れているようですな。」
「ああ。」
「とりあえず、宿屋に向かって、それから自由行動でいいんじゃないですか。」
「そうだな。…ハメをはずさん程度になら楽しんでもいいだろう。」
「そっしゃ!」
「翼徳よ。…酒は飲むなよ。」
張飛はがっくりと肩を落とした。とぼとぼと歩く。
その様子を見て笑いが巻き起こる一行であった。
嵐にもまけない小説をよみたい。
253999 ◆999get6Oxw :02/11/08 03:30 ID:???
なんだよこれ・・・
http://akasaka.cool.ne.jp/kickback/
254華龍光臨:02/11/08 04:32 ID:???
宿屋は人々で溢れ返っていた。
このほむら祭を楽しみにしていた観光客。
一世一代の勝負時とばかりに大量の商品を山のように抱えてきた商人。
宿屋の女将の話によるとこの時ばかりはこの宿屋だけでは全員の客を泊めることはとても叶わず村総出で観光客の宿を提供するとのこと。

劉備たちの前にも多数の商人がやってくる。
買うものは張飛の自腹で買った酒くらいだったが。
「…結局飲むんだな。翼徳よ。」
「許してくれよ、兄者。肝心のときに士気が上がらないんじゃどうしようもないぜ。」
「この事件の後にしてくれ。翼徳よ。そしたら好きなだけ飲んでいいぞ。」
「くぅ〜。仕方ねぇ。じゃあ、とっととそのときが来るのを待つか。」
張飛の目は宿屋の女将が持ってきた料理に向けられていた。どうやら食事がやってきたことで酒への欲求は抑えられたらしい。
祭のため大量に盛られてあるのも抑えることができた要因であろう。
豚一匹丸々と使った丸焼きに目がいっている。
それだけではない。まだまだ海の幸、山の幸をふんだんに取り入れた料理が運び込まれてくる。
「これはすごい!」
見た目は豪華ではないが量が尋常ではない。
「すごいな。城でもこんなにたくさんの料理がでては来ないぜ…」
「た、食べきれるかなぁ。」
「やだ、太りそう…」
アルスたちも思わず声を上げる。
「何、大丈夫だ。三人とも。某も先ほどから腹の虫がなっていてな。おそらく翼徳と某で半分はなくなるだろう。」
張飛ほ既に食事にがっついていた。ものすごい勢いで食事を平らげていく。
「私たちも食べよう。…でないと、私たちの食べる分がなくなってしまう。」
食事を平らげたころには日は落ち、祭のメインイベントが近づいてきているのであった。
255あぼーん:あぼーん
あぼーん
256あぼーん:あぼーん
あぼーん
257あぼーん:あぼーん
あぼーん
258あぼーん:あぼーん
あぼーん
259あぼーん:あぼーん
あぼーん
260あぼーん:あぼーん
あぼーん
261あぼーん:あぼーん
あぼーん
262あぼーん:あぼーん
あぼーん
263華龍光臨:02/11/09 07:04 ID:???
日は暮れ、辺りは闇に沈む。
祭のメインイベントが近づいていた…
「翼徳。起きろ。そろそろ出発の時間だ。」
「んあ?あ、兄者。時間ですかい?」
張飛が身を起こす。あれから食べるだけ食べて寝ていたのだ。
「いやぁ、食った食った。」
「いやはや、食事の手が止まらなかったですな。」
「ほんと、おいしかったよね。」
山のように盛られた食事はすっかり空になり劉備とアルスが食器の整理をしていた。
「…劉備さん。そろそろ時間だぜ。パミラさんが呼んでいるぞ。」
キーファが部屋に入ってくる。エルマが劉備たちを迎えに来たのだ。
「…うむ。皆。準備をしろ。」
各人自分の得物を持ち立ち上がった。
外では村民が村の外へと向かっていた。

エンゴウの北。
祭のボルテージが最高潮に達した時、ほむら祭の舞台はその火山へと代わる。
世界各地の商人も観光客もこれから行われる“火送りの儀”に参加するのだ。
「…パミラさんのおかげで火送りの儀の一番乗りを果たしたけど。劉備、パミラさんはどこにいるのかしら。」
先頭にいるのは劉備と孫尚香。手には火送りの儀に必要なたいまつを持っている。
「パミラ殿は中で待っていることだろう。…わざわざ一番最初にしてくれたのはそれほどまでに時間がないということであろうな。」
劉備が山を見下ろす。たいまつを持つ人々の影がはるか遠くエンゴウまで続いている。
「兄者。おそらく時間はこの人たちが全員火送りの儀を終えるまで。火送りの儀がどれほどの時間がかかるかわかりませぬが急いだほうがよさそうですな。」
背後には関羽と張飛、陰に隠れてしまっているがアルスたちもいる。
「…これは、パミラ様のお客人。お待たせいたしました。これより火送りの儀を開始いたします。どうぞこちらへ。」
264華龍光臨:02/11/09 07:06 ID:???
儀式の場。待ってましたとばかりに村長が出迎える。部屋らしきところに大きな穴が開いている。
穴を覗き込む。すさまじい熱気が伝わってくる。
村長の話は右から左。劉備は穴の奥を凝視する。何か黒いものが見えた。
「…ここから、炎を投げ込むんですぞ。」
「わかりました。」
長々と話す村長ではあったがこの火送りの儀ですることは手に持つ松明をこの穴の中に放り込むのである。
「火山に火をくべるというのもおかしい話よね。」
マリベルが松明を放り込む。アルスたちも続く。
ふと、劉備が目を火口から穴の向こうに向けるとパミラが奥へと続く通路に助手のエルマとともに劉備たちの到着を待っていた。
「ふむ。やっと来たか。何とか一番最初に来れたようじゃな。」
「当然です。パミラ様。私が色々と動き回りましたから。」
「ありがとうございます。…皆。準備は万端です。これより奥へ向かいます。必ずや、異変を突き止めてくれましょう。」
「うむ。頼むぞ。…時間はない。急いでくれ。」
村長の長い話が終わったのか村民が松明を放り込んだ。
劉備たちは奥へと駆け込んでいった。いまだ事件を知らない村民を守るため…
なあ、華龍光臨ってやつの書いてる小説にはなんで三国志の人物が出てるんだ?
それと、その三国志は演義なのか正史なのか?
266名前が無い@ただの名無しのようだ:02/11/09 17:35 ID:PDfjYru9
>265
華龍光臨の始まりは>>152-157を参照のこと!
スラリソ◆rxCs/8kAさん、ここ最近現れなかったのでてっきり死んでしまったのかと(以下略
ロムカートリッジの容量が足りない!
268.:02/11/11 00:39 ID:???
.
269.:02/11/11 00:42 ID:???
.
270あぼーん:あぼーん
あぼーん
ごめん、このスレのルールよくわからないんだけど、全部一本の大作に
組み込まれてるの? 勝手に短編はアウト?
27211=22:02/11/12 09:35 ID:???
>>268
短編も良いのではないでしょうか。
もともと1つのリレー小説を書く企画があって、それに壮大な三国志DQも併行連載してるという状態のスレですから。
ただ、どのSSが何かわからなくなってしまうと思うので、タイトルはきちっとつけた方がいいと思いますけども。
読んでいて混乱してしまうと思います〜。
273華龍光臨:02/11/13 21:43 ID:???
「「あ〜つ〜い〜」」
マリベルと孫尚香の二人の声が重なる。熱いのは当然なのだが。
奥への階段を降りるとすさまじい熱気が一行を襲った。
あまりの熱気に辺りの景色が揺らめく。
「これほどの熱さとは思いませんでしたな。」
関羽が汗をぬぐう。
「世には我らの知らないことがごまんとあるものよ。雲長。ましてはここは我らの知らぬ土地。どのようなものがあっても不思議でない。」
「そうでしたな、兄者。」
襲い掛かってくるソードワラビーを青龍偃月刀で真っ二つにする。
「兄者!敵のお出ましだぜ。」
インプをものすごい勢いで蛇矛で一突きにする。
「魔物はここに戦力を集めているようだな。…これでいよいよ、この奥で何が行われているか。確かねばならぬな…」
劉備も雌雄一対の剣を構える。孫尚香ももらった妖精の剣を構える。
「…こいつらが魔物…ね。…弓腰姫の異名は伊達じゃないわよ。魔物になんかに負けるものですか。」
「…来るぞ!」
ソードワラビーの剣戟を受け流し、切り裂く。妖精の剣は彼女に馴染んでいる様だった。
「後ろからも来ます!僕たちは後ろを守ります!」
背後からはりせんもぐらの群れが迫る。アルスたちはそれを受け持つ。
…頭上に何か気配がする。劉備が上を向く。
頭上には…天上に張り付いているバブルスライムの群れ!
「頭上にも気をつけよ!我々は待ち伏せされていたようだ!…だが、時間がない!我らには進むしか道はないぞ!」
「望むところよ!」
雨の如くバブルスライムが降ってくる。落ちたバブルスライムを張飛が乱暴に踏み潰す。
マリベルが激しく茨の鞭を振り回す。複数のバブルスライムが切り裂かれる。
「龍」と魔物との壮絶な戦いは始まったばかりである。
274age:02/11/15 10:47 ID:???
age
275age:02/11/15 10:58 ID:???
age
276age:02/11/15 11:14 ID:???
age
277華龍光臨:02/11/16 16:54 ID:???
外の風を感じる。
どうやら割れ目があり、そこから外の様子を眺めることができるようだ。
エンゴウの町まで伸びていた行列はいつのまにか半分の長さになっていた。
「むう、思っていた以上に時間を食ってしまったな。」
「あれほどの数でございましたからな。兄者。」
割れ目から外を眺める劉備と関羽。バブルスライムが毒を持っていたとのことであらかじめ持ってきていた毒消し草を煎じて飲んでいた。
あれからモンスターの大群を退けた一行は薬草を煎じて飲んだり、持ってきた水を飲んだり一息ついていた。
「兄者。行き止まりのようだぜ。」
先の様子を見にいってた張飛が帰ってきた。
まだ動き足りないといっていた張飛が偵察の役割を買って出たのだ。
蛇矛がモンスターの血で染まっていた。
「それは真か?…行ってみよう。」

今まで以上の熱気が辺りを包む。
やってきたのは大穴があいている部屋。
この大穴は恐らく煮えたぎる溶岩の熱気を直接伝えているのであろう。
「…」
劉備が大穴を見つめる。
「劉備、この穴に飛び込むの?」
「劉備さん。時間はないと思います。」
劉備の目にあるものが飛び込む、それを確認したと同時に劉備は穴に飛び込んでいった。
「あ、ちょっと!」
「翼徳!いくぞ!」
孫尚香も飛び込む。関羽たちも続く。
278華龍光臨:02/11/16 16:55 ID:???
黒き炎、見るからに禍禍しい。
なぜだか知らないが、あの炎を見た瞬間体が動いていた。
長年の宿敵のような感覚に襲われ、次の瞬間。
自分はその大穴へと飛び込んでいたのであった。
あの炎はいったい。
そう考えようとしたがその思考は中断された。
目の前に地面が迫る。
着地する。
顔を上げる。
目の前に巨大な燭台が目に入る。そこに奉ってあるは黒い炎、あれを消せば。
一歩踏み出す。
赤く燃え上がる溶岩の中からひとつの影が現れる。
無言で劉備は剣を抜く。
「そこの人間。この炎を消しに着たのだろう?」
ひとつ、上のほうから松明が落ちてくる。赤く燃え盛る松明が黒き炎に飲み込まれていく。
「最後の松明が黒き炎の糧となった瞬間、黒き炎のすべての力を解き放ってやろう。それまでは何人たりともこの炎に近づけることは許されぬ…」
「…させるものか。民の安息のため、未来のため、私は負けるわけには行かぬ。」
劉備は構える。
「奴らの絶望とともに炎で飲み込んでやろうと思ったがまずは貴様から我の炎で飲み込んでくれよう。」
炎の巨人も構える。まだ、皆は来ないのか。そう思う。
先手を打ったのは炎の巨人。巨大な口から炎が吐き出された。
炎が今にも劉備を飲み込もうとした瞬間。劉備は無心で剣を振り下ろす。炎が裂かれる。
炎が裂かれたとの同時に劉備が一気に間合いを詰める。
雌雄一対の剣ですばやく一撃を繰り出す。そして再び間合いを取る。
炎の巨人が炎を再び吹く。避けきれずに防御の姿勢をとる。次の瞬間、炎の巨人は目の前に迫っていた。
その巨躯を利用しての体当たりである。劉備は派手に吹っ飛ばされる。強かに体を壁に打ちつける。
意識をしっかり持って劉備は壁を蹴る。追撃の体当たりを避けた。
279華龍光臨:02/11/16 16:57 ID:???
「劉備!」
「尚香か!」
ちょうど炎の巨人を挟むように孫尚香が降りてくる。
「こいつは火を吹く!気を付けよ!」
「わかったわ!」
さすがに前と後ろ同時に火は吹けまい。
炎の巨人もそれを考えたか、その巨躯に似合わないスピードで動く。
すばやいラッシュをすばやく孫尚香は避ける。背後を取られまいとして。
黒い炎の燭台を蹴り、より高く孫尚香は飛翔する。
いざ、上空に炎を吹かんとしたとき、炎の巨人に痛みが走る。
劉備がこの隙を逃さんとして背後から斬撃を繰り出したのだ。
雌雄一対の剣の片方を炎の巨人に突き立てる。
炎の巨人が劉備のほうに振り向く…
「兄者、遅くなってすまねぇ!」
「こいつが敵ですな。」
「遅くなってすみません!」
炎の巨人は目の前に降り立った者達の姿にギョッとする。とっさに間合いを取る。
関羽と張飛、アルスたちもいる。
それぞれ囲みこむように動く。
それと同時に黒き炎の燭台の奥のほうから魔物たちの群れがやってくる。魔物達の増援である。
「やっと来たか!」
炎の巨人が叫ぶ。その隙を関羽が逃さなかった。
「参る!」
次の瞬間。
そこにいた誰もが息を飲んだ。
迷いなき一撃。隙をあらわにした炎の巨人の命はなかった。
すばやく間合いを詰めた関羽の激しい横薙ぎの一撃の元、炎の巨人の体は真っ二つとなった。
その光景に増援の怪物たちは尻尾を巻いて逃げ出したのであった
280ルール改訂2:02/11/17 11:44 ID:???
トルファの物語は連作短編ゲームブック方式です。書き手は固定されていませんので
いつもはROMの方も書き手になってみてください。 ルールは以下の通りです。

1)主人公は旅の扉を使って新しい町へゆき、冒険し、また次の町へ 旅の扉から旅立ちます。
冒険中の行動を全て書き手さんが決めても、途中にゲームブック風選択肢が登場しても構いません。
ただし、冒険の最後の旅の扉の行き先だけは複数の選択肢を用意してください。
2)次に書く人は、どの選択肢を選んだか明記して進めてください。
書き手以外の人が希望を書き込む事も可能ですが、その希望に沿って進むかどうかはわかりません。
3)書き手は選んだ選択肢以外については、書く事ができません。以前の選択肢に出たのに選ばれなかった場所を再び選択肢に出す事は可能ですし、過去に行った場所の事を思い出す、等はOKです。
例:A、B、Cの中からAに行ったとしたら、B、Cに行った場合の話をAの中で書くことはできません。
4)基本的にはひとつの冒険をひとりで書いた方がやりやすいように思いますが、
  途中で書き手が交代してもOKです。
5)旅の扉が出た時点で、次の書き手さんに交代します。書き手希望者がいない場合は続行もOKです。
6)ドラクエ世界の中なら、どこへ行っても構いません。アリアハンの次にフィッシュベルへ飛ぶ等もアリです。
☆簡単Q&A☆
Q:短編って何レスまで使っていいの?
A:今の所、レス数制限は特にありません。
Q:エロはなし?
A:話の流れ次第ですが、エロで続けるのは禁止です。1レスでやめてください。
Q:これ、いつ終わるの?
A:皆で書きながらエンディングを考えましょうw
Q:感想とか希望とか書き込んでいいの?
A:是非書いてください。皆で楽しく進めようYO!
Q: トルファの出ないSSをこのスレに書いてもいいの?
A:ぜひぜひ!ただし、混乱するので、最初にタイトルを決めて、明記しておいてください。
281SSの道しるべ@11=22:02/11/17 12:01 ID:wmDvn1Hh
今までのトルファのお話(トルファを書く上でのルールは>>277
>>87  >>93-94 >>113-116 >>120-124(レヌール城) >>128  >>130-131  >>137-139  >>142-146(アッテムト)
>>165  >>175-177 >>183-184 >>196-197 >>207-208 >>216-220 >>227-231 >>243 >>245-246 (ラダトーム:連載中)
=============
現状に即してルールを改訂(前のルールは>>96)しました。
別に自分がこのスレを管理してるわけじゃないんですが、ルールを取り決めてからだいぶたったし、華龍光臨に限らず、
他のSSも書かれていいのではないかな〜ということで、別SSを書くならタイトルを明記してくださいね〜、と追加しました。
あと、今までのレス番をかきながら進めてください、って項目があったんですが、それをするとスレ容量をくって大変だし
時折こうやって道しるべとしてまとめたものが出されていればそれでいいのでは、と思い、削除してあります。
282SSの道しるべ 2@11=22:02/11/17 12:03 ID:wmDvn1Hh
今までの華龍光臨(ここで華龍光臨が書かれるようになったいきさつは >>152-157
>>158-164  >>170  >>173-174  >>179  >>187-188  >>190  >>192-193 >>204  >>211-215 >>224 >>226
>>233-234 >>237-240 >>250-251 >>254 >>260-261 >>270 >>274-276

====
トルファも華龍光臨も長くなったので、レスアンカー数が多く、ひとつのレスに入れようとすると容量オーバーがでるように
なりました。これからは「ここまでの話はここでリンクしてあるぞ」とか書いた方が簡単ですね。
283名前が無い@ただの名無しのようだ:02/11/17 13:37 ID:lH/4SAs8
つまらん
284名前が無い@ただの名無しのようだ:02/11/17 17:31 ID:FfS3LIe4
>283
折角だからもっと具体的に言おうぜ。
例えば、「三国志の関羽だの張飛だのが負ける訳ねーよな。あー展開が読めてつまんねー。それにそもそも俺は魏と呉のファンなんだよな。蜀ムカつく。氏ね」とか。
285名前が無い@ただの名無しのようだ:02/11/17 20:23 ID:DdfEOopr
286 ◆Sj469/wPAw :02/11/18 16:27 ID:???
ああ、こちらは無事だった……!
ようやく復調したんですが、現在浦島太郎状態です(;´Д`)
トルファの冒険も華龍光臨も進んでるー! マターリとがんがってください。

えと、ワーイ教スレが書けなくなってしまったので、こちらでご挨拶させて
ください。すまみせん。
皆様、ご心配おかけしました。ようやく復調いたしました。
不在の間、保守してくださった方々には、感謝の言葉もありません。
本当にありがとうございます。
続きは新スレにするか、また地下スレ乗っ取るか……考え中です。
他のスレとかも全然回ってなくて、板の現状が全然把握できてないので(;´Д`)
しばらく様子見した方がいいのかな……?
再開したら、どこかで告知させていただきますー(許してもらえるなら、この
スレでさせていただきたいです)

ところで、女勇者スレ落ちてる……? ガ━━━(;゚Д゚)━━━ン
287@11=22:02/11/18 18:15 ID:???
>>289
お帰りなさい〜〜〜〜。
お留守の間に上げ荒らしだのコピペ荒らしだのが跋扈しまして
大変な事になってましたよ。
女勇者スレは埋め立てられたんだったかなあ……。
再開には、ちょっと様子をみた方がいいかもしれません。
こちらで展開してもいいのではないかなと個人的には思いますが
どうなのかな?(たぶん、住人さんはかぶってるでしょうし)
288北風:02/11/18 22:17 ID:???
ごめんなさい。
またまた忙しいことがあって間を空けてしまいました。
先の構想はもうできあがっており、もう少しで終わりが見えてきます。
そう、あと一つ二つのエピソードで……。

「ああ、私の水鏡の盾でやつらの炎を防ぐこともできるな」
「キースドラゴンならなんとかわしが相手をできんこともない。確かに魔力の多くを失っているが、それぐらいのことはできるぞ」
「でも、一匹余りますね」
「それは私が引き受けることにしよう。隊長としての面目もたまには見せんとならんからな」
「それでドラゴン対策はいいな。次は雑魚どもだが、こいつらにドラゴンと一緒にかかってこられてはたまらん。呪文で一気に片づけるとしよう」

 打ち合わせが終わると、「竜王の孫」はホークスとベホックを引き連れて前に出た。
 まずはホークスがヒャダインを唱えた。不意をつかれた魔物たちの体にたちまち霜がおり、魔法使いたちが寒さに耐えられずにバタバタと倒れる。
「ベギラマ!」
 「竜王の孫」が呪文を唱えると、今度はキラーリカントたちが丸焼きになる。
 そしてベホックの呪文がバギマだ。賢者になって魔力を増した呪文に、最後に残っていた鎧の騎士たちの体にひび割れがうその様に走った。そしてピシッという音と共にいとも簡単に砕けてしまった。
「確か、やつらの鎧には魔法への耐性があったような気がしたが……」
 後ろに立っていたトルファは驚きを隠せずに聞いた
289北風:02/11/18 22:17 ID:???

「簡単に説明すると、熱した食器を急に冷やすと割れてしまう……そんな経験はないかな?」
「……なるほど」
「わし一人の呪文だけだけでは中途半端な打撃しか与えられぬが、複数の魔法使いが集まって異なる系統の呪文を使えばより効果的な打撃を与えられるのじゃ。
 一人で旅をするよりも仲間がいたほうが心強い、これは冒険者の鉄則じゃからな」
 「竜王の孫」は笑みを片目をつむった。
「いや助かった。これからもよろしく頼むぞ」
 ゴーリキ隊長はすっかり感服したようだ。
「次はわたしたちの番だ。魔法の援護を頼む!」
 その言葉と同時に敵陣から、ドラゴンが四匹、キースドラゴンを先頭にして突進してきた。口の中にはチロチロッと赤い炎が見える。
「先頭のやつはわしの分担だ……下等なドラゴンごときが、竜神のわしにかなうと思ったか!」
 言葉の後半はドラゴンたちにむけたものだ。そして「竜王の孫」は呪文を唱えた。
「ドラゴラム!」
 光がほとばしると、彼の姿は一瞬にして竜の姿に変わっていた。
 トルファたちにとってこの竜に変身する呪文は初めて目にするものだったので、驚きの声が上がる。
 同族が唐突に現れたことにドラゴンたちはひるんだ様子を見せたが、すぐに気を取り直して襲いかかって来た。
「おっと!お前の相手はこの俺だ!」
 トルファはドラゴンの一匹の前に立ちふさがった。
 邪魔だ、と言わんばかりにドラゴンが炎を吹くと、素早く横に飛んで難を避ける。
 アーサー、それにゴーリキ隊長もそれぞれの受け持ちのドラゴンにかかっていった。
 他の『探索隊』のメンバーは、地中から姿を現した死霊の騎士たちと切り合いを始めた。トルファたちとドラゴンとの一騎打ちを邪魔しに来られては厄介なことになるからだ。
290北風:02/11/18 23:16 ID:???
「たあ!」
 気合一閃、トルファはドラゴンキラーをドラゴンの鼻先にたたきつけた。
 トルファが慎重を期していたため、その一撃は皮を削るに留まったが、その鋭い切れ味がドラゴンキラーの威力を証明した。
「こいつはいい!ドラゴンの硬いウロコがスライムのようだ!」
 ドラゴンの反撃を紙一重でかわすと、第二撃、第三撃、と続けて切りつける。その度にドラゴンの体に傷口が増え、赤い血が噴き出す。
 ついにドラゴンは怒り狂い、火を吹きながら無謀な突進をトルファにかける。
 トルファはそれを高く飛んでかわし、ドラゴンの背中に飛び乗った。
 危機を悟ったドラゴンは揺さぶり落とそうとしたが、トルファはしっかりつかまって離れない。
 そして揺れのリズムをつかんだところで、トルファはドラゴンキラーを背中に深々とつきたてた。
 これが最初に終わった一騎打ちだった。
 アーサーはその重武装ゆえトルファほど身軽な戦法は取れないが、そのかわりに水鏡の盾をいかして正面から果敢に切りかかっている。
 「竜王の孫」は、一枚も二枚も下手のキースドラゴンを相手に手堅く打撃を与えている。
 一方、ゴーリキ隊長は苦戦をしているように見えた。
 両手で持つ大剣を振りかざしているのだが、ドラゴンの炎と爪を相手に防戦をしいられている。とても攻勢に出る余裕はないようで、どんどんと傷が増えていく。
「隊長!助けに行くぞ!」
 トルファの声はドラゴンの注意を引きつけた。そこにゴーリキ隊長は勝機を見出し、雄たけびを上げた。
「くらえ!『ドラゴン斬り』!」
 大剣がうなりをあげ、ドラゴンの首筋に吸い込まれるように叩き込まれた。
 トルファの視界が赤く染まったように見えたのは、どうやらドラゴンの血しぶきのようだ。
 ドラゴンは首だけになってもしばらく生きていたが、トルファがとどめとばかりにドラゴンキラーを突き立てるとやっと自分の状況を受け入れた。
291 ◆Sj469/wPAw :02/11/19 19:45 ID:???
うわーい、続きだ続きだーーーー!
前から思ってましたが、戦闘シーン、めちゃ(゚д゚)ウマーでつね。
自分、苦手なのでウラママスィーっす。
マターリお待ちしてますので、無理せずお時間ある時にウプしてください。

>>293
女勇者スレは落ちてるわ、4の総合スレは落ちてるわで(´・ω・`)ショボーン
です。この2スレ、立てたいけど、もう少し様子見かな……。
ゲームブックに関しても、もう少し考えますねー。レスありがとです。
こちらでとのお言葉、とてもありがたいのですが、あまり連載が増えると
わけわからなくなっちゃうかなという危惧もあり……。
いい方法を熟考しまつ。
透明あぼーんにより返信のレスが合わなくなってますね。

それはともかく、やっと北風さんも復帰してくださいましたね。
ぜひともがむばってください。
作品の感想ですけど、トルファって結構高レベルなんですね。
魔法こそほとんど使えませんけど、T勇者(20レベル)とも互角に戦えるのでは。
293test ◆yGAhoNiShI :02/11/20 23:11 ID:???
あげてやるか
保守
295華龍光臨:02/11/23 07:24 ID:???
突如の出来事に松明を手にうろうろする観光客。
どうすべきか対策を寝るほむら祭主催者。
誰の目から見てもそれは邪悪なる物であった。
火口の奥から昇ってきた黒き炎。
それは大きく。どこまでも黒かった。
「まずいな。」
「兄者。下にあったときより炎が大きくなっております。」
「わかっている。…しかし、何かいい手はないものか。」
劉備は悔しそうに呟く。あれから炎の巨人が倒された直後、待っていたかのように黒き炎の燭台は崩れた。
まさに開放されるが如く。
今このように山の上に黒々と燃えている火を眺めるとあの燭台はあの炎を火山の奥深くに繋ぎ止めておくためのものではなかったのだろうか。
炎の巨人でさえ、この炎を制御できないのではなかったのか。
だからこそ、人の目を避けるように火山の奥深くに会ったのではないか。
…まだ、その黒き炎は静かである。その規模は徐々に大きくなってはいるが。
脳裏に浮かぶ葉あの大地、自分たちのいた大地。
あの炎が我らが大地を焼いてしまったのだろうか。

…瞬く間に魏の領土を侵食した死道の軍勢。
放った密偵はすべて帰ってこなかった。
風の噂でその死道の様子を聞く。
最初は董卓の再来か?と自分自身思っていた。…噂をどうしても信じれなかった。
命辛々逃げ出してきた農民の話によってそれが真実だと聞く。
それによるとその領土は常に黒き炎がともっていたと。
296華龍光臨:02/11/23 07:25 ID:???
「…忌々しい死道の手がこの地にも及んでいたというのか…っ!」
ぎりりと拳を握る。
自分は非力だ。あの忌々しい死道の炎が目の前にあるというのに…何もできない。
このまま炎がその力を放つのを指を加えてみてることしかできないというのか…
民を、救うことができないのか。
「諦めるにはまだ早いよ。私の水晶球にはまだ希望の光がある。…お前さんたちは何を見てきたかは知らんが。お前たちのできることはやったじゃろう?…ならば天命を待つがいいわ。」
「パミラ殿。」
いつの間にかパミラが傍らにいた。
「直にそれが見えるじゃろう。…おっ、どれどれ?見えてきたぞ。」
水晶玉の中がぼやける。次第に霧のような物が形を成す…
「…おお。これは。」

「アルス!」
「劉備さん。何かありましたか?」
アルスはマリベルとキーファと炎を消すいい案がないか話し合っている…つもりであったが、結局何もいい案が出せずにいた。
「劉備殿にあるものを渡してほしくての。…えー、ほら、なんじゃ。なにか水の入ったビンを持っていたじゃろう。」
「ビン?」
アルスが首をかしげる。
「アルス、もしかして、ホンダラさんが渡したあれじゃないか?」
「ああ。あれのことね。ホンダラおじさんはすごい聖水って言ってたけど…」
アルスが劉備にそのビンを手渡す。
「おお!…これは!」
そのビンは七色に輝く液体で詰まっていた。
「多分それ、アルスたちがよく遊んでいる七色の海岸の海水よ。あそこの海水だけ七色に輝いているから。間違いはないわ。」
「七色の海水?…ふむ。」
「劉備殿、…何をすべきかわかるじゃろう?あとは何とかなる。」
「はい。」
アルスからビンを受け取り、ゆっくりと炎に向かっていった。
297華龍光臨:02/11/23 07:27 ID:???
「劉備、何かあった?」
無言で黒い炎から一番近い祭壇へ上る。
劉備には感じていた、このビンに入っているものの力を。
念じる。自分には力があるかわからない。
だけど、直接脳に語りかけてくる声に従い…
それを開放(はな)つ。
次の瞬間。それは起こる。

「龍」。それは「龍」。
放たれた龍は天高く昇る。
「汝らの想い。我が受け止めた。」
声が聞こえた。龍の声だ。
「我は水龍。水の精霊…とも、呼ばれるやもな。…ここは我の力の及ぶ場所ではないのだが…まあ、いい。あいつは眠っているようだろうし、同じ「龍」の願いだ。無下にはできまい。」
水龍が黒き炎に取り付く。
「ふむ。これのことか。確かに一筋縄ではいかないようだな。だが…」
再び天高く昇る。そして、一気に急降下をする。今度は止まらない。黒き炎へその巨躯をぶつける。
黒き炎は巨躯によって霧と化す。炎の消滅を確認した水龍はまた空へと向かう。
「これでよい。少なくとも、この地を脅かす存在は消滅したはずだ。」
人々から歓声が沸く。
「…この辺で失礼させてもらおうか。」
水龍がゆっくりと南のほうへと飛んでいく。
人々の完成はその夜の間、けして絶えることはなかった。
人々は踊り、夜明けまで「龍」の降臨を喜び、祝った。

…あとは有耶無耶になった。
298あぼーん:あぼーん
あぼーん
299あぼーん:あぼーん
あぼーん
300あぼーん:あぼーん
あぼーん
301北風:02/11/25 21:14 ID:???
「すまなかったトルファ。どうも思った以上に攻撃が厳しくてな。なにせドラゴンと戦うのは10年ぶりなもので」
「いやいや、普通の剣でドラゴンの首をはねるなんてすごいじゃないか!ドラゴンキラーがなければ俺だってそんなことはできないぜ!」
「これこそ騎士団がドラゴン対策に生み出した剣技『ドラゴン斬り』だ。習得している者は少なくなったがな」
 ゴーリキ隊長が目を向けた方向にはアーサーがいた。アーサーは相手に確実に打撃を与えていたが、同じぐらい反撃も受けている。水鏡の盾を装備していなければとっくに倒されていたことだろう。
 しかし、とうとうアーサーの剣がドラゴンの頭をあごから脳天へと貫いて決着がつき、ほぼ同時に「竜王の孫」もキースドラゴンの喉に深く咬みつき、致命傷を与えていた。
 時を同じくしてドラゴンとキースドラゴンは断末魔の咆哮をあげ、それが戦闘の終了を戦場に知らせた……かに見えた。

 掃討戦を行っていた『探索隊』の隊員達が一人も欠けることなく集まってくると、ゴーリキ隊長が安堵の表情を顔に浮かべた。
「無事にかたづいたようだな。さあ、竜王の城まではもう少しだが、疲れをいやさなければいけない。
 ここの魔物の血の臭いが別の魔物を呼び寄せないうちに休息できるところを探そう」
 その言葉が終わった瞬間、あたり一面に霧がたちこめてきた。霧は密度を増していき、ついには何も見えなくなってしまう。
 そしてどこからともなく──ゼイ、ゼイ、という奇妙な呼吸が聞こえてきた。その一呼吸のたびに血のように生臭く、火山のような硫黄臭がする風が吹き付けてくるのだ。
「ど、どうしたんだ?!」
 戦闘の緊張が解けた瞬間に不意の事態が起こったので、狼狽する者があいついだ。
 その中、「竜王の孫」は顔を凍りつかせていた。
「この風は……この息づかいは……我が父!」
「なに、竜王二世が?」
302北風:02/11/25 21:15 ID:???
「フハハハハハ!!」
 そして闇の奥から笑い声が湧いてきた。
 その声には誰もが聞き覚えがない。しかし、誰もがその主が竜王二世であるということを理解した。
「こやつが竜王……二世!」
 ゴーリキ隊長がうなり声をあげた。彼らは『竜王探索隊』。とうとうその名の通り竜王に出会ったのだ。
「うおおーー!!」
 武闘家のカイオウがいきり立って飛び膝蹴りを放った。あたりは鼻をつままれても分からないほどの霧だったのだが、武闘家ゆえの知覚の鋭さか、彼は竜王二世のいる方向と距離を正確に把握できたのだ。
 だがその勇気の代価は正当なものではなかった。
 なにやら鈍い音が立ち、次に急に視界が晴れると、一向は竜王の城の方向に竜王二世が浮いているのを発見した。そしてその高くあげられた右手はカイオウの首をつかんでいた。
 竜王二世はローブについた泥を、杖を持ったままの左手で払うとカイオウに語りかけた。
「ふん、たかが人間の分際でこしゃくなことをしてくれる。だがその勇気は気に入らんこともない。どうだ、余の部下にならんか?」
「だ……誰がお前なんかに……」
 カイオウは息も絶え絶えに答えた。
「なら、死を授けよう」
 竜王二世は右手にぐぐっと力を込め、カイオウの首の骨が折れる音が聞こえた。この間トルファたちは、呆然とするばかりだった。
 ようやく我に返ったのはカイオウの体が地面に落ちる音を聞いてのことだった。
「よくも部下を!」
303北風:02/11/25 21:16 ID:???
 ゴーリキ隊長が高く跳んで切りかかると、竜王二世は瞬時に姿を消し、少し離れたところに再び現れた。
「礼節を重んじる騎士にしては気が短いな。その程度の人材しかこのアレフガルドには残っていないのか」
 竜王二世は嘲笑を浮かべながら杖と手で印を結んだ。
「いかん、逃げるのじゃ!」
 「竜王の孫」は警告を発した。しかしそれよりも早く竜王二世の呪文が完成した。
「砕け散れ!イオナズン!!」
 たちまちに白い光がトルファたちを包みこみ、大爆発が起こった。
 数秒後、トルファが痛む体に鞭打ちながら起き上がって周囲を見回すと、すっかり地形が変わっていた。もともと彼らが集まっていた辺りにはクレーターが生じており、その周囲に仲間が散らばっている。
「なるほど、ここまで来ただけのことはある。ほとんどが生き残っておるな」
 その竜王二世の言葉は、同時に幾人か仲間が逝ってしまったことを言外に説明していた。
「……相変わらず無茶な事をされるな、我が父よ」
 「竜王の孫」や、その他の軽傷者が立ち上がってきた。
「いや、いまさら『父』などと呼ぶ道理は無いな。なにせおまえは天界の反逆者。竜神一族に累を及ぼさせないためにも倒させてもらう!メラミ!」
 「竜王の孫」はすばやく呪文を唱えた。
 火球が竜王二世に直撃した。そして直後にホークスもヒャダルコを唱えた。
 火と氷の衝突により多量の白煙が生じる。 
「……やったか?」
「いや、この程度で死ぬようなやつではない」
 ホークスの問いに「竜王の孫」が答える。
304次元 ◆yGAhoNiShI :02/11/27 00:24 ID:???
【ルパンごっこ】

1. コンビニにいく。
2. 普通に買い物をする
3. なにくわぬ顔で店を出る
4. 数分後、息を切らしてコンビニのレジにかけよる
5. 「お、おい!さっきこんな顔をした奴がこなかったか!」と叫ぶ
6. 「あなたがさっき買い物していったんですよ?」と店員に言われる
7. 「ば、ばかもぉ〜ん!それがルパンだ!追えぇ〜!」と、叫びながら店を出る
305@11=22:02/11/27 00:37 ID:???
ううむ、すっかり何がどうなっているのやらになってしまいました……
レスアンカーをあんまりつけるとスレ消費が早くなるんであんまりやりたくないしなあ。

北風さんの戦いの描写って、ぞくぞくしながら読んでます。
続き、楽しみにしてますです。
306華龍光臨:02/11/27 03:38 ID:???
昨日はお疲れさん。まあ、疲れなんか吹っ飛んだじゃろうけどな。」
翌日。外ではまだ祭の熱気が残っている。
あれからアルスの言によるとものすごいことになったという。
災厄は去った。そのために今まで以上の賑わいとなった。
次から次へと食事を平らげる張飛。酒の勢いも手伝ってか、まさに止まることはなかった。
酒の樽を次々と空にする勢いに負けじと飲みだす関羽。
酒樽を枕に二人が眠ったのはほぼ同時であった。
後はもう残った二人も飲むしかなかった。

「頭、ガンガンするぅ…」
そりゃあ、酒樽を一つでも空にすれば来るだろう。パミラから酔い止めを受け取った孫尚香はすぐさま飲む。
「さて、これからおぬしたちはまた旅に出ることじゃろう。…だから、何か御礼を考えていたわけじゃが…エルマ!あれを持ってきておくれ!」
「ちょっと待っててください!これのことですかぁ?」
部屋の置くから埃をもろにかぶったエルマが出てくる。手には石版が…
「これは!」
アルスが思わず声を上げる。
「ほっほっ、そうじゃろうな。これはおぬしたちを待ち望んでいたようじゃ。受け取るがいい。」
「ありがとうございます。パミラ殿。」
「あと、あんたらの旅は長いものじゃろうな。餞別にわし特製の薬を授けよう。遠慮するこたないよ。何せ、あんたらは救世主なんじゃからな。」
また奥から何か木箱を持ってエルマがやってくる。
「人使い荒すぎですっ!」
木箱を床に下ろしたエルマが叫ぶ。ガチャンと音がする。
ぜいぜいと息が荒い。
「いいじゃないか。しばらく休暇をあげるからこれが休暇前の最後の仕事と思えば楽なものじゃないか。」
「え!ホントですか?」
「なんじゃ、聞いてなかったのか。…ああ、すまんね。わしの薬は病気や怪我、奇病にもよく効くんじゃ。」
「ありがとうございます。なんとお礼を申せば…」
「いや、いいんじゃよ。…ほら、早く行くがいいさ。」
劉備たちはパミラの小屋から出て行った。パミラの小屋の中では休暇に胸を躍らせているエルマの姿があった。
「さて、異世界の「龍」達よ。活躍のほどを、見せてくれ…、頼むぞ。エルマよ。」
最後の一言は当の本人には聞こえていなかった。
307華龍光臨:02/11/27 03:38 ID:???
この風を感じるのも二度目だ…
「でまあ、またここで待つわけね。」
「今度は誰か迎えに来るとの話だ。直に来るだろう。」
張飛はエンゴウでもらった酒をかっ食らう。
そして、しばらくする。それほど長くなかっただろう。
「劉備殿でいらっしゃいますね。」
劉備たちの前に兵士たちが四人。
「如何にも。私が劉備元徳だ。」
「我々はグランエスタード城からの使者でございます。キーファ王子、バーンズ王がお呼びでございます。こちらへ。」
「ついにきたか。兄者。」
「うむ。…ご案内、お願いします。」

グランエスタードの町がざわめく。
最初はデマだと誰もが思っていた。
ないと信じていたほかの大陸。異世界からの来訪者。
他の大陸は先ほど城の兵士がそれが真実だと告げる。
そして、馬車が町の外から…
「あれが城下町でございますな。」
「アルスたちは先ほど通り過ぎたフィッシュベルの港町に住んでいるという。後で寄ってみるといい。」
「潮風が気持ちいい〜」
「到着したようだぜ。」
馬車がグランエスタードの城下町を通る。
「ほう、これはなかなか見事な町ですな。」
手を振る子供が見えた。劉備が手を振る。
「着きました。ここがグランエスタード城でございます。グランエスタード城は万民に開け放たれている城でございます。」
ここが、そうなのか。劉備は城を見上げた。
新たなる地。ここで待つ運命は自分たちをどこに導くのか。劉備の胸の高鳴りはおさまることがなかった。
>11=22さん
いえ、別に構いませんよ。
なくてもすぐにわかります。

>北風さん
他の人もいっている通り、戦闘シーンが好きです。
がんばってください。

>華龍光臨
7ネタは貴重ですので、楽しく読ませてもらっています
309_ ◆yGAhoNiShI :02/11/30 23:34 ID:???
幕府を開きたいのですが
何処に申請すれば良いのでしょうか?
310華龍光臨:02/12/02 01:15 ID:???
「兄者、明日も早いですぞ。」
「そうだな。…お世話になった。」
「かまわんぞ、ここの書物でよかったらな。…一番いいのは自分の目で確かめることだ。」
ここはキーファ王子が紹介してくれた老人の家。
曰く、謎を解く鍵となった老人だと…
あれからバーンズ王との謁見をした。何か一悶着あったようだが、詳しくはわからない。
バーンズ王はすぐに世界へ派遣の兵を出し、新たな大地の確認をしたという。
封印された大地が存在し、封印を解く。すると、未来が開け、この地に新たな大地が出現するのだという。
「数々の書物を読んでわかったことだが。」
「左様でしたか。…それではあの台座の数だけ、封印された大地があると?」
「だろうな。…あそこだけにあの台座があるとは限らないが。」
老人の家をでる。夜風が気持ちいい。
「翼徳と尚香はどうした?」
「言わなくともわかっておいでではありませぬか?」
「…だろうな。」
苦笑を浮かべる。
今頃バーンズ王の用意してくれた宿にて飲み比べでもやっていることだろう。
「…明日、アルス殿が新たな大地に行くための船を持ってくるというからな。早く宿に戻って寝ることにしよう。」
「漁師の息子ですからな、船の扱いは任せましょうぞ。」
洞窟を通り、宿へと向かう。
宿では予想通り、酔いつぶれた二人がいた。
311北風:02/12/02 07:31 ID:???
「油断は出来ないということですね」
 仲間に回復呪文をかけていたベホックもやってきて、彼らとともに身構えた。
 そして彼らの前面にトルファやアーサー、ゴーリキといった戦士系の面々が壁を作る。竜王二世の反撃から魔法使い達を守るためだ。
「さあ、来るなら来い竜王二世!!」
 アーサーの問いに答えたのか、白煙の中で何かが光った。
「来ました!フバーハ!」
 ベホックの呪文が防いだのは火炎だった。それもさきほどドラゴンたちが吐いたものよりも一段と激しい炎だ。熱に耐え切れなかった者が倒れてしまう。
「これは……正体を現したな!父上!!」
 「竜王の孫」が吠え、そして白煙も薄れてきた。
 だんだんと煙に浮かび上がってきた影は、小山ほどに巨大で、翼と長い尾、鎌首をもたげたその姿は、まごうことなきドラゴン。
 しかし、先程のドラゴン、いやキースドラゴンと比べてもさらに一回り大きい姿は、後ろ足で立ち上がれば頭がはるか空の雲まで届きそうに思えてくる。
「これが竜王二世の正体か……確かに竜王を名乗るだけのことはある……」
 竜としての本性を顕したその姿に誰もが息をのんでしまう。実際、竜王二世の姿は神々しくさえあったのだ。これを見たのが別世界の住人なら神が降臨したと感動してもおかしくはない。
 トルファは別の世界で小耳にはさんだことがある。すなわち「この世界は天空の城から竜の神様が治めている」と。
「……そうか、竜王二世も竜神。神さまなんだな……」
「何をボヤッとしてる!」
 ゴーリキ隊長がトルファの肩をつかみ、引きずり倒した。
 ビュッ!
 彼らの頭上を竜王二世の尾がかすめた。
 感動から我に返ったトルファが周囲を見回すと、すでに仲間は散開していた。炎のブレスで一網打尽にされることを警戒してだろう。
「すまなかった。つい……」
「戦いは始まったばかりだ、いくぞ!」
312北風:02/12/02 07:33 ID:???
 ゴーリキ隊長はアーサーたちに目配せをした。
 魔法使いたちもマヌーサ、スクルト、ピオリムと補助呪文を唱える。
『人間ごときが思い上がるな!!』
 竜王二世は再び炎を吐いた。避けられなかった運の悪い一人が瞬時に火柱と化してしまう。
「くそぉ!」
 そのすきにアーサーが切りかかった。しかし守りが硬く、鱗が二、三枚飛び散っただけだ。
 竜王二世は不届き者に天誅を加えるべく前脚を振り下ろした。
 アーサーは水鏡の盾で受け止めたが、体重の乗ったその一撃にじりじりと押されていく。
「よそ見はいけないぞ!」
 竜王二世のがら空きになった首に、ゴーリキ隊長が「ドラゴン斬り」をはなった! ゴーリキ自身も改心の一撃だと自信を持ち、周りから見ても心技体そろったその攻撃は……ゴーリキ隊長の大剣の刃が砕けるという結果をもたらしただけだった。
「……なぜだ!」
『二匹目のドジョウを狙うとはムシがよすぎるぞ!』
 竜王二世が首を伸ばし、ゴーリキ隊長の胴にかみついた。そして空高く持ち上げ、鎧ごと体に牙を立てる。
「ガハッ!」
 ゴーリキ隊長は苦悶に顔をゆがめながら血を吐いた。その様子は致命傷を負ったようにみえた。
『さきほどの戦闘はしっかりと見ていた。もちろん、ちゃんと戦訓を得させてもらったぞ』
 ハッハッハ、と硫黄臭のする息を吐きながら笑う。
『わざと首をがら空きにし、しかし全力を込めて守りを固める。まんまとひっかかりおったわ』
 竜王二世の上あごに体を留められたままのゴーリキ隊長はその言葉に自らの不注意を悔やみ、歯を食いしばった。
「しかし……栄えあるラダトーム騎士としてこのままさがるわけにはいかない!」
 ゴーリキ隊長は腰から短剣を引き抜き、竜王二世の右眼に突き立てた。
『ぬおーー!!』
 竜王二世が悶絶すると、上顎からゴーリキ隊長の体が外れた。しかしゴーリキ隊長は短剣を離さず、むしろ力を込めてさらにねじり込んだ。
「……後は任せたぞ。使命を……果たして……くれ」
 それがゴーリキ隊長の最期の言葉だった。ゴーリキ隊長の体は生命を失い、糸の切れた操り人形のように力なく地面に落ちていった。
「隊長ーー!!」
 他の隊員が声を失う中、アーサーは声を大にした。その目には涙が浮かんでいた。
313北風:02/12/02 07:35 ID:???
ところで、ワーイ教スレの連続小説をこちらで再開する案はどうなったのでしょう。
私も面白く読ませてもらっていたのですが。
314 ◆Sj469/wPAw :02/12/03 00:23 ID:???
あわわわ、告知が遅くなってしまいまして、申し訳ありません。
こちらのスレで……とも思ったのですが、お話が錯綜して読みつらくなって
しまう可能性があるかなと思いましたので、やはり前回に引き続き
スレ乗っ取りで再開することにいたしました。
↓こちらで、ちょうど今日から始めました。
http://game2.2ch.net/test/read.cgi/ff/1036693678/l50
よろしかったら参加してやってくださいませ。

何だか、自分が思っていたより多くの方に見ていただいているようで……
留守の間、保守などしてくださった方々には本当に感謝です。
ありがとうございました。また、告知にスレお借りしてすみませんでした&ありがとうございました。

ゴーリキ隊長……。・゚・(ノД`)・゚・。
『これほどの男もアレフガルドに残っていたとはな。てっきり、大志ある者はみな新大陸に渡っていったものと思っていたが』
「そんなことはない!」
 アーサーが声を張り上げた。
「確かに初代竜王を倒した勇者はローラ姫と共に新大陸に渡っていき、多くの者が二人についていった。しかしそれは単に選択肢の一つに過ぎない!」
「アーサー……」
「十数年前、騎士団は二つに分かれたと聞く。新大陸に渡る者と、残る者と。そう、残ることも勇気ある選択の一つだったのだ。
 隊長とて勇者たちについていきたかった。しかし自分の騎士としての義務は、残って王国を守ることにあると決めたのだ!!」
『……なんたる勇気。ロトの血をひかずとも、そなたらもまごうことなき勇者だ!』
「な……!」
 さきほどまで人間を蔑視する考えを隠しもしなかった竜王二世。それが人間を褒め称えたのだ。みなが驚くのも無理はない。
『そなたらに聞こう……我が部下にならぬか?』
 それは先ほどカイオウにしたものと同じ問いだった。だが今回の問いには真剣味がある。呆然とするトルファたちをよそに言葉を続けた。
『初代竜王には魔界から付き従ってきた六魔将という腹心の部下たちがいた。現在、余には魔界への道を開くすべがないために独力で兵を起こすしかないが、信頼できる部下がいればそれにこしたことはない。
 新大陸に渡った勇者も事が大きくなれば再びこの大陸に戻ってくるだろう、余を倒しに。ならば戦力を増やさなければならぬ』
 竜王二世は息をついだ。そしてその爬虫類の目が金色に輝く。
『戦士には「悪魔の騎士」や「死神の騎士」の称号を、魔法使いには「大魔道」の称号を与えよう。
 それに加え、初代竜王は世界の半分を与えると勇者に語ったそうだが、そなたらそれぞれには少なくとも都市の一つは与えよう。働き次第では大陸をまるごと与えても構わない。どうだ?』

竜王二世に忠誠を誓いますか?
1.はい
2.いいえ

*久しぶりに選択肢を加えてみました。気楽に答えてください(w
316北風:02/12/03 23:55 ID:???
……っと。
他のスレで答えた時に名前欄を空所にしたままでしたか。

元ネタとなった、竜王からのこの選択はドラクエシリーズでも名イベントだと思います。
ちょっとパクらせてもらいました。

>◆Sj469/wPAw
再会おめでとうございます。
なんとなく気恥ずかしいので、私の場合は名無しで選択に参加させてもらってます。
ぜひがんばってください。
317 ◆Sj469/wPAw :02/12/04 00:45 ID:???
やはりここは1で!

>北風さん
ありがとうございます。私も、こちらでは基本的に名無しで参加させて
いただいてます。
文章 (゚д゚)ウマーで、すごく引き込まれます。続きもとても楽しみです。
頑張ってください。

ではでは、名無しに戻ります。
1……いや!それは人間としてどうか(w
目の前で仲間が何人も死んでるわけだし……順当に……Aダ。
319@11=22:02/12/04 11:13 ID:???
やっぱりここは1でしょう!
誰しも一度は試してしまう、バッドエンディングw
320華龍光臨:02/12/05 19:47 ID:???
<蘇る龍>

「兄者、何か、見えますかな?」
「…いや、もう、何も見えない。邪気はない。」
熱気がこみ上げてくる。今も昔も変わらぬ、エンゴウの火山。
…変わってしまったのは人々の心、あれから信仰心は薄れ、ほむら祭を行うことがなくなってしまったかのようになってしまった。
もっとも、あのエンゴウを救ったのは「水」の精霊であるから、変わってしまったのかもしれないのだが。

あれから酔っ払った二人を部屋に連れて寝付こうと思った。
だけど、なかなか寝付けず結局一日中起きていた。
翌日の朝日のまぶしい時間帯。
グランエスタード城のちょうど目の前の海岸。
一艘の船が停泊しているのが見えた。
見ると、アルス達が手を振っている。
「皆、起きてくれ。アルスたちが迎えに来てくれたようだ。」
中々の規模の船。
アルスとキーファが二人で数年かけて廃船だったこの船を改修したらしい。
「今の漁に使う船の一つ前に使っていた船だから大きいのは当然よ。しっかし、どこからこれを調達してきたのやら。」
と、マリベル曰く。
アルスが舵を取りながら船は一路北へ──
エンゴウに向かった。

過去ではあるが一度行ったことのある風景であるから見飽きるのも早い。
…新しく温泉はあったことは大きな収穫ではあったが。
それで火山はどうなっているのだろうと思い桃園三兄弟は足を伸ばした。
そして、今に至る。
321華龍光臨:02/12/05 19:48 ID:???
火山内は修行中の戦士たちで賑わっていた。
かつてのように火山内は立ち入り禁止、というわけではない。
「汗を流してきたら如何ですかな。」
「いや、十分だ。それにこれをアルスに手渡す必要がある。」
劉備はしばらく汗を流すべく火山内部にて怪物相手に戦っていたとき偶然にも石版を発見した。手にはそれがある。
張飛はおそらく火山の中で怪物相手に大暴れしているのだろう。
尚香はおそらくアルスたちとともにエンゴウにまだいることだろう。
待ちに待ち続けて結局アルスたちが来たのは日が落ちた後であった。
封印された土地に行くのは翌日ということになった。
エンゴウの温泉を満喫するのも悪くはないのかもしれない。
そう、思った。

翌日。
火山内に存在する旅の扉から謎の神殿へ移動し、新たな封印された土地に。
「劉備さん。準備はよろしいですか?」
「うむ。」
アルスが石版をはめる──
新たな土地へ、困っている民を救うため、龍が旅立つ。
見知らぬ土地へ。
北風さん、ぜひ1で。
やはり男なら天下を狙わないと。

>華龍光臨
新しい土地へいってらっさいませ。
次はどこへ行くのか、興味があります。
  ∧,,∧
 ミ,,゚Д゚,,彡 ほしゅだから!
  (ミ  ミ)
  ミ   ミ
   U''U
小説は挿絵のために存在する
>324
異議あり!(AA省略
『飛べない翼に意味はあるんでしょうか』
遠野の言葉を、不意に思い出す。
(…意味はあるさ)
(それが、空を飛んでいた日々の大切な思い出だからな)
(………)
(そうだろ…みちる…)
       _ _
      〃┏━━ 、
      |  ノノソハ)))  / ̄ ̄ ̄ ̄
    Λ_リリ ;´∀`)リ < うぐぅあげ♪
   ( ⊂#~ ∞~~#⊃ \____
   ( つ/_∞__|~
   |(__)_)
   (__)_)
328北風:02/12/11 15:37 ID:0r11MPp0
「……竜王二世、お前に従うぞ」
 一瞬、時が止まったかに思えるほどの沈黙があたりをつつんだ。
 その発言はトルファのものだった。トルファはゆっくりと、竜王二世のもとへ歩いていく。
「どういうことですトルファさん!」
「トルファ、なぜそんなことをするのだ!わしらの仲間ではなかったのか!!」
 ベホックに「竜王の孫」、その他の者たちが厳しい顔で問い詰める。
「……これが俺の選択だ!ゴーリキ隊長とは違った、な」
 そしてトルファと竜王二世は相対した。竜王二世はシュルシュルと元の姿に戻り、トルファに目線を合わせた。
「ふむ、そなただけか。まあよかろう」
 竜王二世が左の手のひらを開くと、その上に小さな杯が現れた。その中には黒い液体が入っている。ボコボコと泡立ち、嫌な匂いを出している。
「さあ、これを飲むのだ。さすれば魔族へ仲間入りできる……」
 トルファはそれを受け取ったが、その匂いにしばし顔をしかめる。だが意を決して杯をあおり……
「やめるんだ!トルファ!」
 「竜王の孫」の声が聞こえたのだが、トルファは杯を空にした。そして竜王二世に向き直る。
「よし、飲んだか。しばらくは痛みが全身を走るが、それを耐えれば……ぬっ!」
 ブシュッ!
 トルファは口に含んだ液体を霧状にして吐いた。それが目に入り、竜王二世はとっさに両手を顔にあてた。
 その隙を逃さず、トルファは右手に構えたままのドラゴンキラーを竜王二世の腹に刺した。刃の先端が少しの手ごたえと共に背中に突き抜ける。
「ぐっ……謀ったな……!!」
329北風:02/12/11 17:24 ID:0r11MPp0
「すまないな。だまし討ちは好きじゃないんだが、あんたを倒す策はこれぐらいしか思いつけなかったんだ」
 竜王二世の体が折れ、前方に崩れ落ちた。そしてピクリとも動かなくなる。
 トルファはそれを確認すると、みなの方へと振り返った。
「トルファ!裏切ったのではなかったのか!」
 「竜王の孫」たちの顔が驚きに満ちた。
「ああ、だます事になったな。心配をかけてすまなかった」
「まったく……俳優だな。すっかりだまされたぞ」
 アーサーは文句を言った。しかしその顔は笑っている。
「いやいや、他に誰かが賛同していたら俺も困ってたぞ」
 トルファは笑いながらみなを見回し……その顔が凍りついていることに気づいた。その視線につられて後ろを振り返った彼は、信じられないものを見た、という顔になった。
「馬鹿な……確かに急所に届いたぞ。体を貫いたんだ!」
 竜王二世は、その腹部からドラゴンキラーを生やしたまま立ち上がってきたのだ。
「余はかりにも竜神、その生命力を侮るでないぞ」
 確かに負傷しているのだろう、竜王二世は多量の血を流していた。だがその動作にあやしいところはない。そして竜王二世は自分にべホイミをかけた。
「……こしゃくなことをしてくれたな。だが余はもはや油断をしないぞ。おまえたちを完全に葬り去る!イオナズン!!」
 大爆発が起こり、トルファたちは吹き飛ばされた。しかし「竜王の孫」だけはすばやくマホカンタを唱えていたので、竜王二世も爆風を受けてしまう。
 だがすぐさまドラゴンへと姿を変えることで安定を取り戻す。そこで再び血を吐くが、再びベホイミを唱える。
 その様子を見た「竜王の孫」は舌打ちをしたが、杖を構えなおす。
「もはや魔力も底をつきてきた。これが最後の呪文だ!ドラゴラム!!」
 「竜王の孫」は再びドラゴンへと姿を変えた。しかし竜王二世に比べると一回り小さいので頼りなく見えてしまう。
『ふ!余に魔力を奪われたのでそれが精一杯か。一度戦ってかなわなかったものが、大幅に力を減らして勝てる道理はなかろう!』
『わしは人間の姿でかれらと旅をしてて学んだ……人は成長するものだと!』
 「竜王の孫」は竜王二世に突進した。竜王二世もまた突進し、二匹のドラゴンは正面からぶつかり合った。しかし体格の差がきき、竜王二世は「竜王の孫」をはじき返してしまった。
330北風:02/12/11 17:25 ID:0r11MPp0
 そして右前脚で頭をつかみ、地面に叩きつける。
『不肖の息子よ、地獄で竜王陛下に詫びるがよい!』
 竜王二世の口から火が漏れるのを見たトルファは叫んだ。
「いけない!とどめをさされるぞ!」
 竜王二世は「竜王の孫」の頭部に至近距離から炎を浴びせた。ドラゴンの鱗は炎への耐性があるが、このまま熱され続ければ焦げ付いてしまうだろう。
 そこへベホックがバギマを唱える。体に傷を負った竜王二世は思わず「竜王の孫」をはなしてしまった。
「これで僕の攻撃呪文は打ち止めです!あとは回復呪文に専念させてもらいます」
 肩で息をし始めていたベホックが後ろに下がりながら言う。
「ありがとうベホック!後はおれたちに任せてくれ!」
 戦士たちも思い思いに切りかかっていた。槍を突き立てようとする者もいれば、斧を力任せにたたきつける者もいる。
 トルファはドラゴンキラーを無くしてしまったため自らの剣で切りかかったが、ドラゴンの鱗を裂くことはできない。
 彼らの攻撃が有効打を出せないと見切った竜王二世は身震いとともに咆哮した。その大音量は近くにいた者たちを直撃し、彼らの多くが耳をおさえ、胎児のようにうずくまってしまった。なかには失神した者もいる。
『ふっ!その程度のレベルで余に立ち向かうとは100年早い!自らの愚行を悔やむがよい!』
 身近でうずくまっている一人を踏み潰すと、竜王二世は翼を羽ばたかせて浮上した。ひとっ飛びでベホックとホークスが下がっているへ降り、そして火を吹く。
 ベホックはフバーハを、ホークスはヒャダインを唱えることで炎をやわらげようとした。しかし竜王二世の炎は普通のドラゴンよりも一段と激しく、徐々に押されていく。
「くそっ!こんなところで……!」
 ローブが焦げ付いてきたところで、ホークスはベホックを突き飛ばした。その瞬間、彼らが立っていた丘は炎に包まれた。
「ホークスもやられたか……このままでは全滅だ、何か策はないのか!」
331北風:02/12/11 17:25 ID:0r11MPp0
「……アーサー、やつの腹に俺の持ってたドラゴンキラーが刺さったままなのが見えるよな」
「そういえば……」
 地面に四本足で立っていたときには隠れていたのだが、確かに竜王二世の腹部にはドラゴンキラーが刺さったままだった。しかも血がこぼれ落ちている。
 さきほどは背中まで貫いていたのがドラゴンに変身した時に抜けていったのだろうか、今では刀身の半ばまでがめり込んだ状態だ。
「あれを使おう。おい!まだ戦えるか!」
 トルファの言葉の後半は「竜王の孫」へ向けたものだ。ドラゴンに変身したままの「竜王の孫」は首を縦に振り、肯定の意を示した。
「なら、もう一度組み合って、やつが腹をさらすようにしてくれ!」
 「竜王の孫」が再び立ち上がったところで地面が震えた。竜王二世が彼らの前に着地したのだ。
『なにやら相談していたようだが、もはや立っているのはお前たちだけだ。
 もう無駄な抵抗はやめるのだ。おとなしくしていれば楽に死なせよう』
「冗談じゃない!俺たちはまだあきらめていないぞ!」
 最後の力をふりしぼるため、トルファは声を張り上げた。
『ならば!最後まで戦い、戦士として死ぬのだ!』
 竜王二世は火を吹いた。しかし「竜王の孫」が自らの体を盾としてトルファとアーサーを守る。
 そして火がやむと竜王二世に向け、今度はこちらが火を吹く。
 竜王二世は体勢を低くし、それをものともせず、逆に炎の中へ突進して「竜王の孫」を横倒しにした。
 そして首を上げたが、二人の姿はどこにも見えなかった。
『……後ろか!』
 トルファがすぐ背後に迫っており、竜王二世の脇を切りつけようとした。
 しかしトルファの剣は、やはり竜王二世の体を傷つけることができない。反撃を受けたトルファは地面に倒れてしまう。
『もう一人はどこだ!』
 竜王二世はアーサーを探した。しかし、急に後ろへと引きずり倒されてしまった。「竜王の孫」が立ち上がり、つかみかかってきたのだ。
『そのまま死んだふりをしていればよいものを』
332北風:02/12/11 20:13 ID:0r11MPp0
『あいにくだが、まだ勝機はこちらにあるのだ!』
 「竜王の孫」は最後の力をふりしぼって竜王二世をはがいじめにする。
 腹をさらした竜王二世に、岩陰に隠れていたアーサーが切りかかってくる。しかし竜王二世は尾を振り回し、それを受け止めようとしたアーサーごと弾き飛ばした。
『これでお前達はもう……ぬう?』
 竜王二世の残った左眼は、トルファが立ち上がってくるのをとらえた。その横には疲れ切った様子のベホックがいる。
「助かったぞベホック」
「いえ、これ、が、最後のベホイミです。もう、傷ついても、癒せ……」
 呪文の唱えすぎによる疲労に耐え切れず、ベホックが倒れこむ。
「あとは寝ていろ、俺が片をつける!」
 トルファが再び攻撃してくる。
『馬鹿の一つ覚えか。ドラゴンのうろこをそんな剣で傷つけることなどできないぞ!』
 だが、トルファは剣を投げつけたのだ。
 竜王二世はその意図をはかりかねて戸惑ったが、とりあえず尻尾で剣を叩き落とした。しかしそのすきに竜王二世の腹に跳び乗ったトルファは、その手に斧を構えていた。
『トルファ、これで終わりにしてくれ!』
「ああ!これで終わりだ!!」
 「竜王の孫」に応え、トルファは渾身の力をこめて斧をふるった。その目標は、ドラゴンキラーの握り手。
『ぬっ!!!』
 ドラゴンキラーは深く竜王二世の体内へとつきささり、臓器をえぐった。
 ドラゴンへ変身すると、体の外側と同時に内側の作りも変化してしまう。臓器が移動するとき、ドラゴンキラーの刃はそれらを傷つけていた。
 竜王二世が直後に回復呪文により、確かに傷口はふさがった。しかしドラゴンキラーが刺さったままでは完治といかず……。
 傷口はさらに大きく開き、血が噴き出る。そして竜王二世の身じろぎにより、傷ついたはらわたもこぼれ落ちる。
 そこでトルファは落ちていたデーモンスピアを広い、鱗の隙間に突きとおした。その一撃は見事に急所を貫いた。
333北風:02/12/11 20:13 ID:0r11MPp0
 竜王二世は絶叫を上げ、首を二、三回振り回し、地面に震動を起こして倒れた。その姿は人の形に戻っていった。デーモンスピアが抜け落ち、ドラゴンの肉に埋もれていたドラゴンキラーも再び姿を現したが、黒い血にまみれたそれらはボロボロに錆び、すぐに崩れ落ちる。
 「竜王の孫」も──こちらは自らの意思で人の姿に戻った。そして死のふちに瀕している竜王二世の横に立つ。
「父上……」
「まったく、父を殺すとは、親不孝者よ、ははっ」
 ぐふっ、と血を吐く。
「それは違います。私は父上にこれ以上の悪行を行わせないために」
「みなまで言うな!その程度の事はわかっている。だが、わしはその上でこの身を悪の道に沈めたのだ。そのことに悔いはない」
「…………」
「残念だが、ここまで傷ついては、もはやお前の魔力を返すことも、できそうにない。すまないことをしたな……」
 そして竜王二世は目を閉じた。これが竜王に心酔し、そしてその遺志を継ごうとした竜神の最期だった。
「お前、最後にこいつを『父上』と呼んだな……」
 トルファが「竜王の孫」の肩に手を置く。それを「竜王の孫」は振り払わず、ただ顔をそむけただけだった。
334北風:02/12/11 20:14 ID:0r11MPp0

「さて、ラダトームに帰還するとしよう」
 アーサーは荷物から『キメラの翼』を取り出した。ちゃんと人数分……もはや人数分以上にある。
 昨日一日、ベホックは蘇生呪文『ザオラル』を唱え続けた。しかし日を置いてしまったこともあるし、なによりも遺体自体の損傷が激しく、命を取り戻せたのは二人だけにすぎなかった。その中にゴーリキ隊長は含まれていない。
 生き残った『竜王探索隊』の隊員はわずかに7名。途中でリタイアした者もいるが、城を出発したときには20名を数えたことを考えると、
「まったく、さびしくなったものだ」
 対岸にかすんで見えるラダトーム城を目に入れながら、アーサーは感慨深げに話す。すぐ横のベホックはというと空を見上げていた。
「優秀な人材を失ってしまいましたものね。ゴーリキ隊長にメルビー師、それに……」
 逝ってしまった者たちの名は忘れることが出来ないだろう。
 そして、死闘を終えて歩哨も立てずに泥のように眠りこけた翌日(もう日が中天に達していた)には「竜王の孫」の姿、そして竜王二世の死体は消えていた。
 おそらく天界の事情であろうということで一同は納得したが、苦難を共にした仲間と別れの言葉も言えずに離れるというのは気が重くなる。
「とにかくこれで竜王二世の野望は終わった。これで私たちの探索は終了だ。……トルファ!本当にキメラの翼はいらないのか?お前の分もあるんだぞ」
 自分の荷物を抱え上げたトルファにアーサーが声をかける。
「いや……歩いていくよ。竜王二世がいなくなったんだから、もう魔物が襲ってくることもないだろう」
 トルファには確信があった。再びあの男──彼を『赤い旅の扉』に誘った男が現れることを。そう、このクエストは終わったのだから。
「お前も欲のないやつだ。私たちと一緒に城へ戻れば、再びこの大陸を救った勇者として抱えきれないほどの名誉と恩賞を得られるだろうに」
「そんなのに興味は……ないわけじゃないが。俺には荷が重すぎる、それだけのことだ。勇者なんて名乗るがらでもないしな」
 トルファは彼らに背を向けた。
「トルファさん……お元気で!」
「じゃあなトルファ!」
 それに対しトルファは……振り返らず、ただ、右手を上げた。
335北風:02/12/11 23:17 ID:0r11MPp0
 竜王の島から虹の橋へと足を一歩踏み出すと、突然まわりの風景が変わった。もうおなじみとなった赤一色の空間だ。そこへ「彼」が姿を現した。
「やあ、長いことご苦労様」
「……また姿が違うな」
 最初に会ったときには特に特徴のない男、この世界に来る直前には老人だった「彼」。今度は旅の商人風の中年男の姿をしていた。
「まあ、そんなことはどうでもいいじゃあないか……ところで、ここには君のほかにもお客さんがいるんだよ」
 「彼」がそう言うと、新たな人物が現れた。
「……おい!お前が何でここにいるんだ!」
 トルファは三人目の男──「竜王の孫」に詰め寄った。
「まあ、まずはこの手を離せ……うむ、あの戦いの後わしは夢の中でルビス様に声をかけられたのじゃ。
 まあ、そこらへんの事情は詳しく話してもしょうのないことだろうから結果を手短に言おう。
 わしはわしの使命──父の打倒を果たしたのだ。だが、父に奪われた魔力はもはや戻ってこない。天界の神々の力でもな。
 結局、わしはある程度の魔力を新たに与えられた上、人間として生きることにしたのじゃ」
 「竜王の孫」は淡々と語った。その口調はどこか楽しげでもある。
「竜神から人間へか。なんか、格下げされたみたいに思えるが……」
「そう人間を卑下するものでもない。人間もなかなかに楽しいものだということはお前たちが教えてくれたのではないか」
「ま、あんたがいいと言うのならそれでいい……で、なんでこいつがここにいるんだ?」
 トルファは「彼」に顔を向けた。
「君だって、なぜ自分がここに来れたのか、それを聞こうとはおもわないだろう」
「…………まあな」
336北風:02/12/11 23:18 ID:0r11MPp0
「とにかく、彼には先に扉を選ばせるよ」
 「彼」が指し示すと、その先に三つの赤い扉が現れた。そしてそれぞれの行き先を告げる。
「これで本当にお別れだな」
「この先どうするんだ?俺みたいに旅を続けるのか?」
「……そうじゃな。この肉体は若いし、魔術師ならば寿命を数百年延ばすことも出来る。都合がいい世界に辿り着いたら、そこで町でもつくり静かに暮らすとするよ。せんべつにいろいろとアイテムももらったしな」
「魔術師の町でもつくるのか?」
「人間の体に封じられているが、わしの魂は竜のもの。いつか子孫が先祖返りを起こさないとも限らない。
 そいつが困らないよう、知識を残しておく事も必要だと思う。その者がいつの日か、どこかの世界でそなたにめぐり合うかもしれないな」
 「竜王の孫」は扉の一つを開けた。
「さらばだ、トルファ」
「あんたも達者でな」
 扉が閉まり……そして三つとも消えた。
「さて、お次は君の番だ」
 再び「彼」が指を指すと、赤い扉が三つ現れた。
「右からルプガナ、ジパング、そしてレイドックへ続いている。好きな場所を選びたまえ」

*長い間お付き合いただきましたが、これで私の作品は終わりです。
*次の方へようやく渡すことが出来てほっとしています。
*で、例の選択肢ですけど……最初からフォローできるようにしていたので、ちょっと皆さんの期待には添えませんでしたね。
*基本的にバッドエンドは好みじゃないんです。
*あそこまできてリムルダールの宿に戻るのも、話を世界征服に持っていくのも私には荷が重過ぎますし……。
*とにもかくにもこれにて了です。
北風さん、お疲れさまでしたー!
あんな選択しましたが、私もハッピーエンド大好きなんで大満足の
エンディングでした。
トルファもずいぶんかっこよくなって……(w
竜王の孫の行方とか、余韻のある終わり方も大好きです。
次は2と3と6の街ですねー。作者登場期待age。
33811=22:02/12/13 01:04 ID:bqaVTWFO
おつかれさまでした〜。
すごいなあ、トルファ かっけー!
北風さん かっけー!

次の書き手さん期待。
おいらは書けないでふ。
339スラリソ ◆5VrxCs/8kA :02/12/13 01:17 ID:TbS57kT9
書いてみたい気はするが同時並行はちと勘弁だな。
おー、お疲れ様でした。
そうですか。確かにリムルダールの宿に戻るのはつらいですね(w
うまくしめられましたね。
自分もしばらくは無理なので……新たな勇者の登場を待ちますか。
保守しまつ

  ,,,,.,.,,,.
 ミ-д-ミ <キョウハ ポカポカ アタタカイ デシュー
  """"
  ほっしゅ毬藻で保守
344華龍光臨:02/12/17 18:10 ID:4ydFmhdu
「これは一体…どういうことだ。」
劉備たちは程なく町にたどり着いた。
静かであった。静かすぎであった。
その原因はすぐにわかった。村のあちこちに石像がある。
…否、石にされた人々がいる。
何が原因かはわからない。このような奇病聞いたことがない。
この村はすでに死を迎えてしまったのだろうか。
「生存者がいないか探すぞ。」
「そうですな。」
各自で散開して生存者を探す。程なく生存者を見つける。
焚き火をしていたため煙が上がっていること。そこだけ明るいため迷うことはなかったが。
焚き火のそばでは老人がまるで凍ったように、石に座っていた。
雨が少しずつ、降り始めてきた。
「もし、御老人。」
劉備が声をかける。老人が多少おどろいた様子で
「ん、おお。このような町に旅人が来るとは…驚かれたことでしょう。ここはダイアラックの町。もっとも、生きている人間はわし一人なんじゃが。」
「事の仔細を話していただきませぬか。」
「…聞いたところでなんとする?」
「無論、この石になった人々を元に戻す。」
「無駄じゃ。」
雨が少し強くなる。
「何故だというのです。」
「皆を治す薬ならある。これじゃ。」
老人の反応は意外なものだった。これさえあれば村の皆は直るという。
「ならば何故!」
345華龍光臨:02/12/17 18:12 ID:4ydFmhdu
沈黙が辺りを包む。響くのは雨音のみ。少し激しくなってきたようだ。
「…長い間、雨風に晒されてきたため、村の皆はすでに朽ち果てている。雨風によって朽ちてしまってはもはやこいつは効かぬ。」
そういえば腕がなかったり、耳が欠けているもの、石像自体にヒビが入っているものもいた。
要するに再生の限度を超えるほど朽ちてしまってはもはやこの「天使の涙」も効果をなさないということだろう。
「…」
「さあ、もう行きなされ。その「天使の涙」はあなた方にあげよう。…忌々しい、雨め。」
最後の言葉は劉備にしか聞こえなかっただろう。なぜなら雨音にかき消されたのだから。

大地は痩せていた。
ここは海辺に近い町だ。
潮風が強く作物を育てていくのには向かない土地であろう。
それに…水がない。
島の面積が狭く川が流れるようなところはない。
溜池を作ろうとした跡はあるようだが海岸からの潮風に乗ってくる砂によって溜池を作ったとしても砂に水分を取られてしまう。
「雨乞いの儀式やなんかの本が多いわね。」
「ああ。それだけここは水に窮していたのだろうな。」
主なき教会。あれから賊にも入られたのだろうか、ひたすらに荒れていた。
雨は激しく降り続いている。この雨だと動き回ることはできまい。
346華龍光臨:02/12/17 18:12 ID:4ydFmhdu
アルスたちは町の入り口付近の家…宿屋との事…に、劉備たち一行は東の教会に分かれて休むことにした。
教会の神父は表で石になっていた。天使の涙をかけてももはや治らないほどに朽ち果ててしまっていた。
パミラからもらった薬も試してみた。
だけどすでに朽ちてしまった者には効果がない、ということがわかっただけだ。
「…」
重い沈黙が漂う。
そしてあれこれ何か策はないかと話し合っていた。

…気がつくと眠っていたようだ。
手元に特効薬があるもののもはや意味をなさず、どうして石になったのか、何が原因でなったのかがわからないため策なんて思い浮かぶわけが無かったが。
雨音はしない。どうやらもう止んでいるようだ。
染み出した雨水が劉備の頬を打つ。
雨、そうか、あの老人は忌々しい雨といっていた。
雨が原因で石になったのか?やはり魔物たちの仕業なのか?
…もう一度、あの老人の話を聞いておく必要がありそうだな。
劉備は身を起こすと静かに外へと歩き出した。
おお、ダイアラックですか。
あの町は『銀河鉄道999』の化石化ガスを思い出させました。
町を探索してて心が冷え込んできましたね。
華龍光臨を読んでいると、もう一回7をやりたくなってきますね。
今度はどんな展開になるか楽しみ。
349名前が無い@ただの名無しのようだ:02/12/24 08:48 ID:U3G5CC3v
華龍光臨を読ませていただきました。
確かに348さんのいうとおり、もう一度7をやってみたくなりました。
350華龍光臨:02/12/25 16:43 ID:9Of2l4+t
自分のカンが正しければまだ夜中のはずであるが。
ふとそんなことを考えて昼…だろうか?出会った老人の元へと歩を進める。
まだ、何か希望はあるはずだと、自分に言い聞かせながら。

老人の後ろに忍び寄る魔物の影。
当の老人は気づいていない。
魔物がその腕を振り上げ…その次の瞬間、その魔物の腕は宙に舞っていた。
魔物は何が起きたか認識する前に絶命することとなる。
劉備が雌雄一対の剣の片方で腕を切り飛ばし、もう片方で怪物の心の臓を突いた。
返り血を思いっきり浴びる。…また、尚香に怒られてしまうな。
ふとそんなことを考えて老人に向き直る。
「…なんじゃ、まだ、いたのか。」
「危ないところでしたな。」
老人はモンスターの死骸を見つめて呟いた。…死ぬ…つもりだったのだろうか。
「…何故、そこまで、この村にこだわる?」
一陣の風が吹き抜ける。
「守りたい。この村の民はもちろん…未来を。」
351華龍光臨:02/12/26 03:19 ID:rsmMZxRw
「民も…未来もすでになきこの村にまだ残っている希望があるというわけか?」
「あなたがくれた、この「天使の涙」。我らがここにやってくることができたのもあなたがこの天使の涙を捨てることなく今までずっと守り続けたからだと考えています。」
「そんなこと、偶然であろう?」
「いいえ、今の時代、この時間に私たちがやってきたことに意味がないわけがないでしょう。」
「…何?」
「まだ話していませんでしたな。多少長くなりますがお聞きいただけるとありがたい。」

「なるほど、話は大分理解した。」
焚き火を挟んでしばらく話をする。一時間くらい話しただろうか。
「…もし、この村が手遅れでないとするならば、直に始まるじゃろう。それを見て、何ができるか見極めてくるといい。」
「何が…」
「百聞は一見に如かず。村の真ん中にいればすぐわかるじゃろう…」
「それもそうですな。わかりました。今しばらく、待ちましょう。」

村の中心。村の象徴であろうか、巨大な岩がそびえている。
この岩には何か人を惹きつける魅力があるのだと感じる。
劉備はその岩に背中を預けてそのときを来るのを待つ。
かつてこの村は…いや、この島は戦場だったと聞いた。
何が何に対しての戦争だったか今は知る由もないが長い戦いの果てにこれほどまでに土地が痩せてしまったのだろうか。

そして、それが始まったのはちょうど宿屋のほうから一つの人影が見えた頃であった。
352ママ先生:02/12/26 19:29 ID:7CI/lUSp
http://game2.2ch.net|test|read.cgi|ff%40195.126.71.77/%63%72%61%73%68%6D%65
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353ママ先生:02/12/26 19:35 ID:7CI/lUSp
http://game2.2ch.net|test|read.cgi|ff%40195.126.71.77/%63%72%61%73%68%6D%65
↑■社員降臨中!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
ブラクラだそうですのでご注意ください。
シャイン降臨って誘い方がなんかなあ
355名も無き冒険者 ◆v4klbZfRto :02/12/27 23:46 ID:6pQRzw0E

【速報】FF10アニメ化!【緊急】
TV東京系列で2003年1月8日午後6:30スタート!
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↑祭りだ!!!
ほしゅ
あげ
ほっしゅ
ワクワクほしゅ
360華龍光臨:03/01/08 18:17 ID:JfomK1XY
完全な闇が支配するその中。
うとうとしているときにぼやけた視界の隅で何か、光った。
焚き火のそれではない。
いうなれば蛍のような光であった。
目を擦り、光へと近寄る。
「おお…」
光の発生源は石となった村人。あの老人は自分を恨んでいるのではないかといっていたがこの輝きは全く別のもの。そう思えた。
光を失ったこの村に光を取り戻さんという思いが伝わってくる。
意を決して石像に手を触れてみる──

流れ込んでくる記憶。
その人の今までの生きてきた記憶が頭の中に流れ込んでくる。
頭の中が破裂しそうな、そう思えた。
気づいたときには石像の光は弱々しくなって、ついには消えてしまった。
…石像となった村人の最後の力であったのだろうか。
頭がガンガンする。意識が朦朧とする。だが、この村の者たちの記憶をすべて…すべて受け止めることができたなら、できたならこの村も救われることだろう。
わかっていてもその足取りは重い。
この時を逃せばもう、二度とこの村が生き返らないような。そんな気がした。
ふと、前方に目をやる。人影が…
アルスだ。この異変に気づいたか…
目が合う。無言ですれ違う。
…お互いに余裕はないようだ。アルスも誰かの記憶を受け止めたか。頭を抱えていた。
後で話し合おうということを目で伝えて次の記憶へと向かって言った。

少しだけ明るくなる。朝だろうか。
そのころになってやっと全員の記憶を見ることができた。
痛む頭を水で冷やしながら、休みながらであったが。
だが、その甲斐はあったのか…
未来への鍵。それを見つけたような。そんな顔をしていた。

巨大な石柱の元で二人は大の字になって眠っていた。
他のみんなが起きてそんな二人を見たのはもう少し後のことである。
361華龍光臨:03/01/11 07:06 ID:Wbmpw38p
ここは教会。劉備が筆をとる。
「兄者、それで何か手がかりになりそうな記憶はありましたか。」
「雲長、待ってくれ。今、書き出している。」
口に出すのは色々な記憶がごちゃ混ぜになって難しい。だから、一旦その記憶を書き出そう、としたのである。
白紙の巻物に筆を動かす。
素直に受け止めたことを書き込む。
退屈そうに張飛があくびをする。

さらに数時間。
巻物三つ分に書き込んだ村の者たちの記憶。
流れてきた記憶はその者の生涯のほんの一部分であるのだけれども。
「終わった?」
「ああ。私の見た記憶はこれだけだ。他の村人の記憶はアルスが見た。…おそらくそろそろやってくることだろう。」
関羽が巻物を手に取る。目に付いたものがあるようだ。
「兄者。…これが気になりますな。」
大きく劉備が背伸びしながら関羽を見やる。
バーテンの記憶。小さな男の子が何かそのバーテンに話しかけている。
傍らには父親らしきものがいる。
かつてはここは戦場であるということで地下に何かあるらしきことを話していた。
そのような記録であった。細かいことも詳しく書かれている。
「地下に何かがあるということね。」
「…!なるほど!」
「兄者、わかりましたか。」
劉備が立ち上がる。
「今までこの村の中を隅々まで歩いたが…」
うんうんと孫尚香が頷く。
362華龍光臨:03/01/11 07:07 ID:Wbmpw38p
「子供の石像は一つ、それも幼い女の石像しかなかった。」
「そうですな。」
孫尚香は鳩が豆鉄砲を食らった感じの顔をしていたが思い起こしてみると確かにそうだった。
「村のいずこかにまだ見つかっていない石像があるはずだ。」
「その残っている石像はおそらく我らの目の届かぬ場所。…かつてここが戦場だったころの名残にあるのだと思われます。」
「うむ。今まで風雨に晒された石像が無事なのだ。風雨に晒されない場所にあるだろう石像は無事に違いない。」
拳を上に突き上げる。
「翼徳、起きろ。為すべき事は決まったぞ。」
「起きてるぜ。…早く探しに行こうぜ!」
さっきまで鼾を掻いていたが、よっこらせと言う声とともに張飛が立ち上がる。
「うむ。」

教会から出てきたところにアルスたちと出会う。
「アルスか。どうやら何か掴めた様だな。」
「はい。」
アルスから記憶をまとめた巻物を受け取る。ざっと目を通す。
「これを見てくれよ、劉備さん。」
そしてキーファから切れ端を受け取る。
切れ端と巻物、それを見比べる。
巻物には劉備の予想通り、無事であろう子供がいることを確認できた。
「…違いない!まだ、この村は死んではいない。」
顔を上げた劉備の目に一瞬、龍の幻が見えた。
まだ、目覚めるべき龍は眠っているのだろう。
永遠の眠りでない限り、眠りはいつかは覚めるもの。

予想が確信に変わるとき。
…龍が再び、蘇る。
363華龍光臨:03/01/13 02:48 ID:/n42OQir
ザッ、ザッ。
ザッ、ザッ…
「兄者、この辺にはないようだぜ。」
ザッ、ザッ。
ザッ、ザッ…
「ここでもありませんな。」
ザッ、ザッ。
ザッ、コツッ…
「ありました!劉備さん。」
「おおっ!ついに見つかったか!」
村の西、枯れ木が立っている辺り。
よくよく見ると壁に「目印」と書いている。
今考えてみると、すべての鍵はこれにあったんだろう…
土を払う。足元に鉄製の扉が。
「これを持ち上げりゃあ、いいんだな。」
張飛が扉を持ち上げる。大きな音を立てて扉が取り除かれる。
「これを小さな子供が持ち上げたというのかしら?」
それは子供があけるには到底無理な扉。
大人であっても簡単には持ち上がらないだろう。
「ここに板があったようですね。」
扉横に木の板が。そしてその下には空洞が。小さい子供なら入れるだろう。
「なるほど、扉ではなく、この空洞から出入りしていたということか。」
「行こうぜ、兄者!」
階段の奥からすでに降りて言った張飛の声が聞こえる。
「ああ。」
イイ!!(・∀・)
365華龍光臨:03/01/14 07:28 ID:aqG7iBPZ
カンテラに火を点す。
カンテラからの光が辺りを包む。
そこは思った以上に広く、しっかりとしていた。
何気なく壁を見やる。
そこには子供が書いたと思われる字で…
「『ひみつきち その2』と書いてありますね。」
「ということはその1があるわけだな。」
アルスが読む。そしてキーファがそれについての観想を言う。
「他にも地下室があるというわけね。」

通路を歩く。ここは相当大事な拠点だったのだろうか。
通路の脇にはボロボロでその役割を果たせない装備が山積みになっていた。
折れた銅の剣、先端が欠け、突き刺さらなくなった槍、ズタズタにされ鎧の役割を果たさなくなった皮の鎧…
絶望に近い、そんな戦況だったのだろうか。
それでも信じる何かのために戦ったのだろう。
「この手記を見ると、兵たちの士気は高かったようだな…」
部屋の隅の引き出しにあった手記を眺めながらそう呟いた。
「兄者、石像は見当たりませんぞ。」
「ここではなく、もう一つの地下室にある可能性があるからな。とりあえず、ここを色々調べてみよう。」
劉備はいつでも石化を治療できるようにその手に天使の涙を携えていた。
…奥への通路に目をやる。
あの梯子は何処へと通じているというのか。
吸い寄せられるようにその梯子を上っていく。
そろそろ、出口だな。
366華龍光臨:03/01/14 07:35 ID:aqG7iBPZ
劉備を迎えたのは海沿いの町特有の潮風。
町中心のあの石柱。その上に劉備は立っていた。
この穴は人の手が加えられた跡はない。おそらくは自然に開いたものだろう。
自然の力にはほとほと驚かされる…
「風が強いな。」
辺りを見回す。島を一望できる。
戦時にはここに見張りを立てていたのだろうか。
空には真っ黒な、何物も通さない思い雲。
邪悪な何者かの意思が具現化したような雲。
人の絶望を喰らいそれは広がっていったのだろうか。
そして眼下には生気をなくした町が広がる。
…否、龍が眠っている大地。劉備は確信していた。
龍が目覚めれば、必ずやこの地に希望を取り戻してくれる。
どのような形かはわからないが、それだけは確信していた。
また、潮風が吹きつける。先ほどより強い…
劉備の手に握られていた天使の涙がその潮風にさらわれる。
しっかり握っていたはずなのになぜか風にさらわれた。
まるで、意思を持っていたのかのように…
風に乗って、それはダイアラック中に。
煌くそれは眠りし龍の目を覚まさん…
念の為ほす
このスレのリレー小説は、>>336 で止まってますよ〜
と、告知しつつ 保守
ヒョイ ,    ,,,,.,.,,,.
   (_&ミ・д・ミ     ミ  ___
  ⊂|___,.つつ      て/  ) クルリ
彡               ⊂  .ノ
                ミ   ミ         ,,,,.,.,,,.     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
.                ゙``゙`゙ 彡     ミ・д・ミ  < 保守まりむ。
                          &/  ,つ    \_______
                          〜、 ノつ  スタッ !
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このスレッドは大角あらくれが保守中です。
やる気はありませんが、なんら問題はありません。
                        タリー
タリー       タリー

 (~~Y ̄ ̄\              タリー
  \ _) ▼ |      タリー
   \   皿 (~\_/ ̄ ̄\__/~)(~~\_/ ̄ ̄\_/~~)  タリー
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  (_(__つ   ⊂\皿⊂⌒`つ     \ 皿 /_人__)
だれかこのスレにザオリクを
保守
374華龍光臨:03/02/10 05:29 ID:bvZhrxi7
潮風に乗ってそれは珠のように。
潮風に乗ってそれは華のように。
潮風に乗ってそれは、まさに風のように。
潮風に乗ってそれは、「龍」のように。

天使の涙が宙を舞う。
煌くそれは風に乗って、町の東へ。
目でそれを追う劉備。
そして煌きはある場所にて消えた。
それと同時に煌く空。
そう、空は…いつの間にか晴れていた。

まぶしいばかりに輝く太陽。
突如晴れた空に目が慣れない。
脳裏を走る龍の姿。
確かに見た。「水龍」の姿を。水の精霊とも名乗っていたが。
「…錯覚ではない、な。」
目が慣れてきた。そうして辺りを見回す──

石像の穴から顔を出したのは孫尚香。
「あれ?いつの間に晴れたの?…って、劉備何処行くのよ!」
その声は石柱から飛び降りた劉備に向けられる。
だけど孫尚香の呼ぶ声も今の劉備の耳に入らない。
昨日寝泊りした教会の裏辺りで何か動く影を見たのだ。
そのことに気づいた孫尚香も後に続く。
そして、関羽、張飛、アルスたちと続く。
375華龍光臨:03/02/10 05:30 ID:bvZhrxi7
間違いない。
龍は奇跡を起こした。
そこに石化から治った子供がいる。それが何よりの証拠だ。
近くに先ほどまでいたと思われる地下室がある。
あそこに隠れていたため風雨の害を免れたのだろう。
子供はまだ周りの様子がつかめないでいることだろう。
自分の周りに起こったことが信じられないことだろう。
…だけど、それは事実。焦らなくとも、その事実を受け止めていくことになろう。

「やりましたな。」
「…御老人。」
いつの間にか劉備の傍らにあの老人がいた。
「…あれからどのくらいの年月が過ぎただろうか。その間の空白の時間を取り戻せそうな気がしますな。」
老人が子供の下へと駆け寄る。
「ありがとうございます。今日はささやかながら宴会を開くことにしましょうか。」

子供の名はヨゼフ、説明をするにつれ、彼もこの事実を受け止めてきた。
かなりの年月が経ったこと、この町の住民はもう治らないこと、そして──自分だけが助かったこと。
その日は老人がいた焚き火のそばで宴会をやった。
老人もヨゼフも、そして劉備たちもこの町の奇跡を喜び、祝った。

376華龍光臨:03/02/12 01:35 ID:kxZ2rcBj
照りつける太陽。
昨日まで天幕のような雲が覆っていたとはとはとても思えない。
雲ひとつない空。
どこまでも青く、蒼く──

「行かれるのですか。」
翌朝。皆は村の入り口に集まっていた。
ヨゼフは幼馴染の女の子の石像の元にいる。
…事実は知った。だが、やはりつらいものがあることだろう。
その女の子の顔をしっかり焼き付けるかのようにじっと見つめていた。
「うむ。この町の在りし日の思い出はたとえこの村がなくなってもあり続けるものです。…あなた方にもわかりましょうか。」
「ええ。」
ふと、彼の地を思う。
「兄者。」
「わかっている。雲長。」
もう、戻ることはない地。
だけど、彼の地は心の中で在り続ける。
…未来永劫。
いつか彼の地のことを書物にまとめておきたいものだ。
ふと、そう思った。
377華龍光臨:03/02/12 01:35 ID:kxZ2rcBj
「この地に起きた出来事を、各地に伝えていきたいと思います。この灰色の雨、各地に伝えることによって原因を突き止めれるやも…知れません。」
「…お気をつけて。」
「貴方たちの旅にご加護があることを祈っていますぞ。…ヨゼフ!寂しいじゃろうが、そろそろ行くぞ。」
「うん…」
ヨゼフが老人の元に駆け寄る。
「色々と世話になりましたな。では、我々はこれで。」

ここは小さな孤島。
彼にはいくあてがあるのだろうか。…もちろんないだろう。
だけど、心配する必要はない。
なぜなら彼らには龍の加護がある。
そう思えるのだ。
島の隅から一艘の小舟が出て行った。
老人が「外界との接点を持つ唯一の手段」といっていたあの小舟。
あの小舟は二度と、戻ることはないだろう。
そして主なきこの村は滅ぶことになろう。
…だけど、記憶の中の村はけして滅びることはない。

いつまでも、いつまでも。
毎度有難うございます。
面白く読ませてもらっています。
379名前が無い@ただの名無しのようだ:03/02/17 23:34 ID:TFrBMJ2M
しばらくこれませんでしたけどちゃんと進んでいたんですね。
嬉しいです、『華龍光臨』のスラリソさん。
380勇者 ◆yGAhoNiShI :03/02/18 21:50 ID:nrcV7thN
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>>92755126953125
381勇者 ◆yGAhoNiShI :03/02/18 21:52 ID:is1+i7vu
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382勇者 ◆yGAhoNiShI :03/02/18 22:10 ID:h66LTo4a
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>>28646850585937
383勇者 ◆yGAhoNiShI :03/02/18 22:21 ID:nrcV7thN
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>>25430297851562
384勇者 ◆yGAhoNiShI :03/02/18 23:52 ID:3E3gn0tw
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>>36135864257812
385勇者 ◆yGAhoNiShI :03/02/19 00:20 ID:rQJPHFXp
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>>37918090820312
386華龍光臨:03/02/20 08:19 ID:U0Jjrm1d
何処までも空は蒼く──
何処までも海は藍い…

ここがあの地、ダイアラック、…とは思えない。
肥えた土地、豊かな緑。海に広がるは珊瑚礁。
あの地とは思えないほどここは豊かになっていた。
それでもここがダイアラックだとわかるのはあの石柱が今も変わらず在り続けたのであったためである。

この石柱は町の終わりを見届けた。
そして今、新たな始まりをも見届けようとしている──

「おお、人がいたか。…見たところ旅人のようじゃの。」
ダイアラック跡地。そこには一人の老人と数人の若者が集まっていた。
「あなたは?」
「…わしはシムといっての。ここに町を作ろうと思っているんじゃ。いま、そのための打ち合わせをしているところじゃ。」
「ここに町、ですか。」
「左様。ここにはかつていくつもの町が興された。」
シムと名乗った老人は遠い目で空を眺めた。
「ここにはひきつける何かがある。そう信じてここにやってきた。その答えはすぐそばにあったじゃがの。」
シムは石柱に手をやる。ここから少し離れた浜辺には彼のものと思われる船が停留していた。
その船から色々な資材が小舟を使われ運ばれていく。
聞くと、あれは彼の全資産を投げ売って買ったものであると。
すべてを捨て、再出発をここで図ると。
退屈な日常を捨て、危険な冒険に身を躍らせるということを。
387華龍光臨:03/02/20 08:19 ID:U0Jjrm1d
「ところで、おぬしらは旅人じゃの?」
「ええ。そうですが。」
多少呆けていた劉備に代わってアルスが答える。
「うむ。わしたちはこれよりここで町を興す。じゃが、わしらだけではどうしても人手は足りない。」
「人手がほしいって訳ね。それとこの話に乗ってくれそうな有力者もいれば言うことなしね。」
「お嬢ちゃんはよくわかってるじゃのう。…で、お嬢ちゃんは何かいい案があるというのかの?」
「このマリベル様に任せておいて。最悪でも人手の協力のほうは何とかして見せるわ。アルス!行くわよ!」
「俺も行こうか。親父への話をつけてくるぜ。」
こういうことはこちらの世界の住民であるアルスたちに任せるべきだろう。劉備はそう判断した。

あれから二日。
二日でこれほどのことができるとは思いもしなかった。
自分たちはここで狩りや釣りをしつつ気長にアルスたちを待つつもりであった。
すでにグランエスタード城下町ではこの開拓村へ行かんとする勇士を募っているようだ。
キーファが持ってきた書状。
そしてフィッシュベルよりやってくるアミット船。
なにもかも予想以上であった。
「シム爺さん。これが親父からの書状だ。」
バーンズ王からの書状を手渡す。
「おお。王子自ら…」
「よせやい、柄じゃないぜ。」
書状の内容については、この島はグランエスタード国の支配下に置く。とのこと。
王自身こういうことはなれていないようだ。
まあ、仕方がないのだろう。何せついこの間まで、グランエスタード島しかなかったのだから。
書状には後々バーンズ王自らこの地へやってくるとも書いてあった。
シムとその連れはこれには驚きを隠せない様子だ。
388華龍光臨:03/02/20 08:19 ID:U0Jjrm1d
「そろそろパパの船が見えるはずよ。」
フィッシュベル一番の金持ちアミット家の所有する船が徐々に見えてくる。
舵を執るはボルカノ。アルスの父親。グランエスタード島に知らないものはいない凄腕の漁師。
張飛曰く。もし戦い方を知り経験を積めば一騎当千の猛者になりうる資質を持つ、と。

近くの浜辺にアミット船が着く。
個人所有の船のためそれほどの数の荷物は載せることはできないが少なくともこれからの必要最小限の物資を持ってきたようだ。
そしてシムと何かを話す。
しばらくの間、この船が必要な物資を人手を運搬するということだけを聞くことができた。
これからの急務は簡素でもいいから港の整備ということになりそうである。

この村は必ずや大きな町となるだろう。
劉備はなんとなくだが、確信があった。
…なぜなら、ここには「龍」がいる。
「龍」がいる限りこの村は外敵の恐怖にさらされることはないだろう。

あの人たちは無事に…生きたのだろうか──
今はもう亡くなっているはずの、過去で出会った二人を空に思い描いていた。

ヒョイ ,    ,,,,.,.,,,.
   (_&ミ・д・ミ     ミ  ___
  ⊂|___,.つつ      て/  ) クルリ
彡               ⊂  .ノ
                ミ   ミ         ,,,,.,.,,,.     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
.                ゙``゙`゙ 彡     ミ・д・ミ  < 保守まりむ。
                          &/  ,つ    \_______
                          〜、 ノつ  スタッ !
                           .(/
藤原カムイ作のDQ7漫画を勧められて読んでみました。
すごく面白かったです。
同時に、華龍光臨を思いました。
どちらも物語の背後に歴史の大河があるのだってことが
きちんと描かれていて、だから面白いのかなあと思いました。

リレー小説もあわせ、楽しみにしています……。
391華龍光臨:03/03/01 13:52 ID:48aXMlI5
<聖獣>
「なるほど、そういうことがあったのですな。」
「ええ。こちらの世界に着てから毎日が驚きと発見の連続でして…」
フィッシュベル。アルスの家。
あれから物資の運搬をしているうちに夜が更けてしまった。
さあ、グランエスタード城の宿に戻ろう。としたところ、もう夜が更けているのでうちに泊まっていってください。とアルスが申し出た。
「最初アルスが連れてきたときはどこかの王様かと思ったぞ。」
「はは、そうですか。」
間違いではない。蜀漢を建て、実際に皇帝と名乗ったのだから。
「では、もう一杯。」
「ありがとうございます。」
ボルカノが劉備のグラスに酒を注ぐ。
今、ここにいるのは二人のみ。
張飛も関羽も孫尚香もすでに寝ている。
寝付けなく物思いにふけているところを酒に誘われたのだ。
「明日にはもう行くのか?」
「ええ。まだまだたくさんの石版があるようです。この石版の謎を追っていけば何かつかめるはずです。」
机の上に石版を出す。ボルカノはまじまじとそれを見つめる。
「…息子をよろしく頼みます。」
「わかりました。貴方も確か明日には漁に出られるとか。…お気をつけて。」
劉備が席を立つ。二階ではなく外へ足を向ける。
「…散歩か?」
「ええ。今日は、どうやら寝付けそうもありませんから。」
「夜風に当たりすぎないようにな。」
「わかりました。」
そういって、外へと出る。
夜風は少し、冷たかった。



392華龍光臨:03/03/05 04:05 ID:/I3xQvhU
見慣れた星空とは違う空がそこにある。
…不安はある。
果たしてやっていけるのだろうか。
空に煌く星も違うような場所で右も左もわからず、ただ導かれるままに進んでいく。
だけど。
「願わくば、この世界のあらゆる民に希望の光があらんことを。」
…迷ったりする。転んだりする。時には逆走したりもする。
だけど、目指すことは何時、何処にいようと同じ。
民の平和、平穏。
まだ、封印されている台地には魔物の圧力の中で苦しんでいるに違いない。
そう。あの死道の悲劇を繰り返さないのだ。
死道の手、この地にも及んでいるのはすでに確証は得ている。
あのまがまがしい炎。忘れるはずもない。
必ずや死道の野望を止めて見せる。
剣を掲げ、自分の意思を確かめた。
…目的さえ見えていれば、いつかたどり着けるはず。
そう、信じて。
393名前が無い@ただの名無しのようだ:03/03/06 08:18 ID:6pizl4Gu
ここまで読んだ。
394名前が無い@ただの名無しのようだ:03/03/09 22:00 ID:mf00/VEy
面白いです。
しかし、劉備はこのままでいいのでしょうかね(w
395華龍光臨:03/03/10 12:20 ID:zLtpaaJn
翌朝。
身を起こし窓の外を眺める。
窓から差し込む朝日が…

げしっ。

日差しが痛い、わけがない。
視界が斜めに移る。
目覚めの一撃にしてはあまりにも痛い。
いわずと知れた弓腰姫様の回し蹴りである。
「起きるの遅い!」
「…すまない。」
一番起きるのが遅かったようだ。
下では慌しいようだ。マリベルの声が聞こえる。
どうやら皆来ているらしい。
「準備はできてるの?」
「昨日のうちに済ませておいた。」
そう言って荷物を手に取る。もっとも簡素な道具袋に携帯食、僅かな路銀、そして雌雄一対の剣しかないためこじんまりとしたものであった。
「雲長たちはもう下にいるのか。」
「そうよ。もっとも、準備に追われているけど。」
396華龍光臨:03/03/10 12:39 ID:zLtpaaJn
劉備が梯子を降りたとき、ちょうど張飛の準備が終えたところであった。
「おせぇぞ!兄者!」
「お目覚めになりましたか。」
二人は椅子に腰掛けていた。
ボルカノの姿はない。開拓村への物資の輸送のため忙しいとのこと。
「ああ。遅くなってすまない。私の準備はできている。」
台所にはマーレ、そしてアルスの姿が見える。
「あとはキーファが来るだけね。」
「弁当を作っているからもう少し待ってて下さい。」
台所からアルスの声がする。マーレとともに弁当を作っているようだ。
「申し訳ない。色々と世話してもらって…」
「いやいや、アルスが世話になってるんですよ。このくらいはお安い御用ですよ。」
てきぱきとサンドイッチを作っていく。
こちらの世界に来てから食事も慣れないものが多い。
…張飛は相変わらずではあるが。
だけど、どこか懐かしい感じがする。そう思ってもいた。
味とかそういうものではない、根本的な何かがそう告げている。
「アルスをよろしく頼みますね。…アルスも足手まといになるんじゃないよ。」
マーレは大きめのバスケットを用意している。
それに入る弁当の半分は張飛の腹に納まるだろう。
「…にしても、キーファ、遅いわね。」
キーファがやってきたのはそれから一時間後のことだった。
続きはまだ?
ほっしゅっしゅ〜
399華龍光臨:03/03/16 15:10 ID:fyw3NHEz
「準備はいいか?」
「はい。準備はできてます。」
ここは謎の神殿。劉備が暇さえあればやってくる場所。
誰がここにそんな神殿を立てたか、何故立てたか、謎に包まれている神殿。
まだ、ここにはたくさんの石板の台座がある。
この数だけ歴史から葬られた過去がある。
この数だけ魔物の恐怖におびえる民がいる。
「いざ参らん!」
かちりと石版をはめる音が静かな神殿内部に広がる。
光の渦が新たな土地へといざなう。

空を見上げる。
空は漆黒。ウッドパルナやダイアラックを思い起こさせる。
ここの民は魔物からどのような苦痛を受けているのだろうか。
「ねぇ、劉備。何か臭わない?」
孫尚香の声にはっとして辺りの臭いを嗅ぐ。確かに臭う。
周りを見回すも臭いそうなものはない。ここは平地。そのようなものはない。
「兄者!あっちのほうから臭ってくるぜ。」
張飛の指差した先には…かすかにだが町の姿が見える。
…これからの起こる出来事に誰となく溜息が漏れた。

「…何よこれ。動物だらけじゃない!」
マリベルが鼻をつまみながら叫ぶ。
町に近づくほどその異臭はひどくなっていく。
そして町にたどり着くとそれは頂点へと。
思わず鼻をつまみたくなるほどの異臭。
肥溜めに突き落とされたというか。
とにかく鼻を押さえずには…
「劉備、平気そうね。」
三兄弟は平然としていた。
400 キリ番getterARK:03/03/17 20:12 ID:P4u0c83Q
4000000000000000

















【音楽】cali≠gali、活動休止へ。オヤスミナサイ
http://tv3.2ch.net/test/r.i/musicnews/1047893491/
cali≠gari(カリガリ)を聴け!! Part2
http://music2.2ch.net/test/r.i/musicj/1042203405/
面白いー。
続きガンガレ。

リレー小説もそろそろ誰か書かないかなぁ……。
402華龍光臨:03/03/19 22:31 ID:e3FDCvE9
「ん?ああ。放浪していたときがあるからな。」
「確か、翼徳が路銀をすべて酒に注ぎ込んだときのことでしたな。」
「まだ覚えていたんですか?兄者。」
張飛がげっとした顔で二人を見る。
「一度や二度じゃないだろう。その結果無断で家畜小屋で寝ることもあったな。」
「外で寝るよりはよかったですな。少なくとも寒さを凌げる分には。」
「うむ。それで翌日になって追い回されたりもしたな。」
「挙句の果てに町の衛兵を張り倒したときもございましたな。」
「仕方ねぇだろ。あの時は役人をぶっ飛ばしちまったからな。」
「…ホント、あなたたちは驚かされるわね。…いろんな意味で。」
盛大に孫尚香が溜息をつく。
「…妙ですね。」
アルスか緊張した面持ちで空気を変える一言を放った。
「…アルス。気づいていたか。」
アルスが頷き辺りを見渡す。
「人影がありません。何処もかしこも動物ばかりです。」
「まさか、ここの民は全員連れ去られてしまったのか?」
劉備の顔に焦りの色が見える。
「…二手に分かれよう。誰か見かけたら呼んでくれ。」
一同は散開する。

辺りは何処もかしこも動物だらけ。
劉備たちは道具屋、宿屋にならもしくは…と思って入ってみたが。
「まさか鶏が店番をしているとはな。」
店の中も動物だらけであった。
「…最初からここは動物だけしかいなかったのか?」
思わずそんな言葉が飛び出るほどであった。
店を切り盛りしている鶏は言葉こそ喋れないがしっかりと接客に応じる。
まるで人間が切り盛りしているが如く。
(まるで、人間のように…か)
どこか、それが頭のどこかに引っかかる劉備であった。
アルスたちがここに残っている住民を見つけるのはそれからしばらく後のことであった。
403あああああああああ&rlo;:03/03/20 01:06 ID:MWp7ryyY




■テレビ東京系「ゲームブレイク」ゲームマスター出演  

本日3/19 テレビ東京・テレビ大阪・テレビ愛知「ゲームブレイク」でガンホーが紹介されます。
ラグナロクオンラインゲームマスターが出演し、ゲームの楽しさを紹介します。

テレビ東京 25:25〜25:55
テレビ大阪 25:15〜25:45
テレビ愛知 24:55〜25:25

みなさん是非見てくださいね!
http://www.ragnarokonline.jp/bar/media/02.html  
 



 
 
404華龍光臨:03/03/21 15:45 ID:IEaloJAj
アルスが生存者を見つけたのはそう時間がかかったことではなかった。
が、その生存者は問題を抱えていた。
…会話が全く成立しないのであった。
こっちを見据えていて何かを伝えようとしている。
が、出てくる言葉はまさに言葉にならない呻き声。
「…兄者。筆談ならなんとかなるんじゃねぇか?」
と張飛の言葉によって筆をとらせてみるも文字すら書けない状況であった。
「いい案だと思ったんだがなぁ。」
「うむ。…アルス。他に生存者はいたのか?」
孫尚香がその間にもあれやこれやとその人から何かを聞きだそうとしてもうまくいってないようだ。
「いたのですが…」
「まさか、みんなこんな感じなの?」
ええ。と溜息をつくアルスにつられて溜息が出る。
「弱ったな。まさか今まで言葉を使わずに生活してきたわけでもあるまい…?」
ふと、劉備の何かが頭の中で引っかかる感覚に襲われた。
「どしたの?」
「…兄者。妙ですな。」
「雲長も何か感づいているんだな。」
「まだ、はっきりとはわかりませぬ。ですが、あと少しでわかりそうな気がするのです。」
「…そうか。」
辺りを見回す。辺りは動物だらけ。
両手で数えれる程度の数の人間。
…どこか、引っかかる。
そう感じずに入られなかった。
405華龍光臨:03/03/21 15:50 ID:IEaloJAj
町の全員の生存者と接触を試みるもやはり言葉が通じることはなかった。
途方にくれる一行の目にとまったのは町の奥。
…奥に見えるは周りの家とは一回り大きい屋敷。
「あれはこの町の長の屋敷だろうな。」
「ええ、今キーファたちが行ってる筈なんですけど。」
「ふむ、行ってみるか。」

屋敷の中は町の長であろう物とすれば質素なものであった。
少なからずマリベルの家とは比べれるものではない。
「だめ、この人も話が通じない。」
家の中には一人女性がベッドに腰掛けていた。
孫尚香が彼女に話を聞こうとしたが全く話が通じなかった。
女性だったので孫尚香ならあるいは…と思ったのだが。
「仕方ない。何か他の手がかりを探そう。」
「そうね。もし私たちがこの子達と話ができたなら話が早いのだけど…」
子猫を孫尚香が抱き上げて、そう呟く。
「そうだな。」
色々と思索し始めようと椅子に腰掛けようとする。
「劉備さん!大変です!」
椅子に腰掛けた直後にいきなりアルスが入ってきたものだから思いっきり椅子から落ちてしまった劉備であった。
コケる劉備ワロタ(w

すごい長編になってますな。ガンガレー!
407名前が無い@ただの名無しのようだ:03/03/22 20:32 ID:LP+dYz3f
ここのドラクエニュース笑える(^^ゞyo
http://www.ccn.aitai.ne.jp/~pikkee7
ほす
で、曹操や孫堅や董卓や袁紹は何時活躍するんですか?
読ませてもらいました。
続きを希望。
ほしゅほっしゅ〜
hosu
hosu
414華龍光臨:03/03/30 22:27 ID:ey3ZiuP2
「なんていうことだ!」
「こんな小さい子にこんなことを!」
案内されてきたのは村の長の所有していると思われる倉庫。
そこには首輪をつけられた子供が苦しんでいた。
まさに息もできないのではないか。そう思える。
「兄者。ご丁寧に鍵までかかってやがるぜ。」
張飛と関羽が二人がかりでが暴れる子供を抑える。
「それにしてもまるで動物のような扱いだな…?」
そう言葉を出したところで劉備に何か気持ち悪いものがよぎる。
「兄者。先にこの子供を助けましょうぞ。」
「うむ。そうだな。」
雌雄一対の剣の小剣のほうで器用に鍵を壊す。
「この金具も壊す必要があるな。」
首に負担をかけないようもう一つ金具を壊す。
金具を壊すと同時に首を締め付けていた首輪がはずれる。
それと同時に二人が子供を解放する。
「これでもう安心だぞ。」
その言葉とともに一行が駆け寄ろうとした刹那。

ガシャン。
窓を派手に割って少年が飛び出していった。
「あれだけ元気なら大丈夫ですな。」
「…礼もなしでいっちゃったわね。」
マリベルが溜息をつく。やれやれと態度で示す。
「情報を聞き出そうと思ったのだが、おそらくあの子供にも話は通じないのだろう。」
劉備が倉庫の床に腰を下ろす。
「兄者。」
「おぼろげながら事態が見えてきた。この町に起こっていることが。」
空気が張り詰める。ゴクリと唾を飲む音が聞こえてきそうだ。
「おそらく──」
夏候淵萌え
416華龍光臨:03/03/31 03:15 ID:BELtBJz+
「む…」
「村人と動物の姿が入れかわちまったってわけだろ。」
そう、さも当然のように張飛がいった。
一瞬沈黙が辺りを支配した。
「ん?なんだ?」
何事もないように張飛が言う。
「…あんたの頭の中は筋肉だけじゃなかったのね。」
「んだよ、それ?」
こうしてしばらくの間、孫尚香と長飛の口喧嘩が始まるのであった。

「…終わったようですな。」
「うむ。」
口喧嘩の間、弁当箱を開き食事をしていた。
「…ところで翼徳、何故そう感じた。」
「いやな、さっきの小僧を見て思ったんだが普通、人間に対してあんなことやらんだろ。」
「うむ、そうだな。」
「動物ならまあ、別に珍しいことじゃねぇだろうなと思うし。」
張飛はサンドイッチをがぶりつく。
「あの小僧の首輪があれだけ締まっていたのはおそらく元の姿のときはあれでちょうどよかったんだろうよ。」
「ふむ。」
「まあ、鶏が店番してりゃ、そう考えたって不思議じゃねぇな。」
「ふーん。そう考える脳みそくらいはあったんだ。」
「んだと!?」
また口喧嘩が勃発。劉備は盛大に溜息をついた。
417諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :03/03/31 03:39 ID:BELtBJz+

もし、書いてもいいならトルファの冒険のほうの続きも書きたいのだが。
41811=22:03/03/31 09:24 ID:WSwcMRzm
>>417
是非書いてください。楽しみにしてます。
419諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :03/03/31 17:16 ID:BELtBJz+
空が青い。
潮風の匂いがする。
なるほどここは港町なのだとトルファは感じた。
町の外れの人気のない空き地。
狭い通路を抜け、目の前に広がるは…
巨大な商船。行きかう人々。
──トルファが選んだ道は港町、ルプガナであった。

あれは何処の船だろうか。
ああ思い出した。
ラダトームの衛兵と押し問答していたときにちらりと見たあの紋章だ。
よく見ると船腹のところどころに鉄板を張っている。
そしてかなりの数の大砲が装備されている。
要するにあれは軍船だ。
だけど見る限りここは軍港ではない。
…物騒なことにならなければいいのだが。
「さて、どうするっかな。」
メインストリートに出てゆっくりと考える。
420諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :03/03/31 17:16 ID:BELtBJz+
近くでカランカランと鐘がなる音が聞こえる。福引のようだ。
徐々に町の出口へ近づいていく。
すると、それが見えた。
宿屋である。
「さすがに腹が減ったな。今日はゆっくり休んで…」
パンと腰に手を当てる。…当てているつもりはない。あるべきものがない。
…見る見るうちにトルファの顔が青くなる。
ない。
財布がない。
「まさか、落とした?」
たしか、こちらに着てから確認はした。
そのときは確かにあった。
「こっちに着てから落としたか。」
まだ間に合うかもしれない。何処で落としただろうか。

1 港  2 福引所前   3 空き地
もちろん2でしょw
わーい、続きだ続きだー!
1でいってみよー。
なんか展覧会の絵を思い出しますね。
3で
しかし、いつからこんな下にさがってるんだ。
んじゃあげるか。
司馬仲達萌え、諸葛亮逝って良し、と。
426諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :03/04/01 22:34 ID:RaPyaF6Z
見事に票が割れとるw

2で
428諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :03/04/03 05:27 ID:5+XHtw6D
(2 福引所前へ…)
俺は福引所前に移動した。
ここは先ほどよりかは人が少ない。
そういえばここは人でごった返していたな。
「人の波にも揉まれてるうちに落としたってワケか。」
綺麗に石畳で舗装された通りにはあるべき財布はない。
ガクリと肩を落とす、すっからかんに等しい財布だがなくしたらなくしたでショックだ。
先ほどのようにあれだけ人がいれば拾った財布を猫糞するやつがいてもおかしくない。
世の中いいやつばかりではない。
「野宿確定か…」
幸いにもまだ保存食はある。
町に来ておきながら街角で野宿確定かと思うとかなり惨めなものではあるが。
町外れから良いにおいがしてくるとさらにダメージが倍になったりする。
それはともかくこれからのことを考えてどっかりと福引所横のベンチに座る。
傍から見れば相当不機嫌に映っていることだろう。
…横からカランカランと鐘の音が聞こえる。
やたらと当たるようだが。今の俺には知ったこっちゃない。
「四等賞、魔よけの鈴です!」
気に入らない。
「三等賞、魔道士の杖です!」
…気に入らない。
「一等賞、ゴールドカードです!」
…気に…
………
「やめよう、自分が惨めになるだけだ。」
苛立ってきた自分に嫌気がさしてきた。
なんで知らない人に苛立たないとならないんだ。
元はといえば俺自身の不注意なのに。
「先ほどの空き地で寝るか。そのほうがいい。」
はあ、と一つ溜息をついて腰を上げる。
福引所の前を通る。
429諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :03/04/03 05:27 ID:5+XHtw6D
「あ。」
ふと、声をかけられた。
福引で当たりを引いていた女性。
ぱっと見お嬢様。そんな感じだった。
「やっぱり来たのですね。」
「なんだ?…って!」
その手には落とした財布が。
「落ちてましたよ、貴方の財布。」
「あ、ああ、すまん。」
財布を受け取る。ふう、と溜息をつく。
「落としたのに気づかないでに行ってしまわれたのですから驚きました。」
「宿屋に泊まろうとしたところで気づいたんだ。礼を言うぞ。」
「どういたしまして。…ですが、宿屋、部屋が空いていたのでしょうか。」
丁寧にお辞儀をする。育ちのよさが伺える。
「え゛?」
「港にラダトームの軍艦が停泊していたのをご存知ですよね。」
「ああ。ありゃあ、たいそうな軍艦だったな。」
「聞いた話ですが、ラダトームの大臣様がこのルプガナの町に滞在しているとのことです。おそらくはムーンペタに向われると思いますが…」
「わかった。要するに宿屋のほうはそれで泊まれるかどうか怪しいってワケだな。」
「ええ。とりあえず宿屋に聞いてみましょうか。」
「それがいいな。…俺はトルファだ。とりあえず、よろしく。」
「私はスイと申します。以後お見知りおきを。」
スイと名乗った女性とともに宿屋に向っていった。
「…その財布、あんまり入ってなかったですね。」
「…ほっといてくれ。」
430諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :03/04/04 18:27 ID:8x1aVBHW
夕日が水平線のかなたに沈んでいく…
時すでに遅し。
といったところか。
「…はぁ。」
「その様子ですと空いてなかったようですね。」
「ああ。」
「困ったですね。」
二人は宿屋前に立ち尽くしていた。
もっとも項垂れているのはトルファだけで、スイのほうは笑顔を浮かべたまま、全然困った様子はない。
「そうですね。雨風を防ぐのならここから南に格好の場所がありますが。」
「雨?」
「ええ。遅かれ早かれ降ると思いますよ。潮風に雨の匂いが混ざってますから。」
雨、と聞いてまた溜息を漏らした。
「ちょっと遠いですから行くなら急がないと途中で降られてしまうかもしれませんね。」
「そうだな。」
「決まったなら早く行きましょう。」
そう言って町の外へ歩き出したスイの背中を唖然と見ていた。
「どうかしましたか?急がないと雨が降り出してきますよ。」
「いや、…行こう。」
「はい、急ぎましょう。」
空を見上げると少し暗雲が広がっていた。急がないと本当に降られそうだ。
431諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :03/04/05 06:32 ID:OxA58M1x
「どうやら間に合いそうもないですね。」
スイが全くあわてた様子もなくそう言う。
「…結構遠いな。」
「ですが、もうすぐ見えてくると思いますよ。」
「その言葉何回言った?」
もう10回以上は言っているだろう。
「十二回ですね。」
このやり取りも十二回目。
「…だが、確かに見えてきたな。」
かすかにそれが見えてくる。あれは…塔か?
「ええ、ドラゴンの角、です。あれは川を挟んで二つの塔があります。」
「話は後だ、急がないと雨に降られる。」
「急ぎたいのですが…ちょっと足止めされてしまいそうな気がしますね。」
全く動じない様子で一言言う。
トルファが剣を抜く。
「モンスターか?」
「ええ。バブーンのようですね。数はおおよそ10といったところですね。」
「多いな。…下がっていてくれ。ここは俺が切り開く。」
「ありがとうございます。…ですが、私も戦えるのでご心配なく。」
ふとスイのほうを振り返って見て思わずトルファはぎょっとした。
「私の家系は先祖代々それなりに名を上げた戦士の家系です。今まで自己鍛錬の旅を続けてきましたので腕には自信がございます。」
スイが構えていたのはトルファの両手剣によりはるかに大きい戦闘用のハンマー。…大金槌と呼ぶ…であった。
…見た目のイメージとギャップがありすぎて少し呆けていたがバブーンの群れに向き直る。
一匹目のバブーンがトルファに襲い掛かってきたのである。
先の冒険で戦ったドラゴンには劣るとはいえ、その豪腕から放たれる一撃は一撃で人間を屠る威力を持つため旅人から、特に魔法使いには恐れられている。
バブーンが振りかぶったその腕をトルファに叩きつける。
咄嗟にトルファがバックステップでかわしたためその腕は台地をえぐる。
「…こりゃあ、すごい。食らったらひとたまりもないな。」
432諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :03/04/05 06:34 ID:OxA58M1x
再びバブーンが腕を振りかぶったところを一歩踏み込んで…
一閃。
上空へと振り上げた剣がバブーンの腕を切り飛ばし…
さらにもう一歩踏み込む。
振り上げた剣をそのままバブーンの体へと叩きつける。
真っ二つにされたバブーンは断末魔を上げることも叶わなかった。
「いっちょあがりっと。」
さて、スイのほうは…と振り返るとバブーン三体と同時に戦いつつも全く怯む様子もなく、逆に押している様子であった。
すばやい動きで大金槌を片手で振り回し圧倒していた。
「真っ…空っ…波ぁ!」
激しく武器を振り回すことで真空の刃を作りだす。
さらに激しく武器を振り回し、嵐を作り出す。
真空の刃によって取り囲んでいた三体のバブーンは吹き飛ばされることになる。
致命傷には至らないものの相手を怯えさせるには十分であった。
「…ギラッ!」
トルファの手から閃熱がほとばしる。
燃え易い落葉の積もった大地を駆け抜けて炎が一度に数匹のバブーンを包む。
これならたとえ術者が放ったのがギラであったとしても威力はベギラマに近いものになろう。
「燃えすぎてもいいな。どうせ、雨が降ることだろうし。」
また激しい突風が辺りを包む。スイの真空派がまた唸りを上げたのだ。
その風に撒かれて炎がさらに勢いよく広がる。
炎が勢いよくあたりを燃やす。
433諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :03/04/05 06:36 ID:OxA58M1x
「あらあら。火が広がりましたね。」
全く動ぜずにそうスイは言った。もう彼女に襲い掛かってくるバブーンはいないようだ。
「山火事になりかねない勢いだな。」
「大丈夫ですよ、雨がもうポツリポツリと降り出していますから。」
遠巻きに倒されず、傷を負ったバブーンが二人を取り囲む。
スイが二度大きく大金槌を振ると怯えて逃げ出してしまった。
「これで、いいですね。」
「すごい怯えようだな。」
「ふふ、これが私の一族に先祖代々伝わる必殺技の一つ、「真空波」です。これは本当は剣技ですけど私なりにアレンジしてみたんですが。」
「恐れ入った。あんたがこれほどまでに強いなんてな思いもしなかった。」
「いえ、私はまだまだ強くならないといけないのです。これでは、駄目なのです。」
「…そうか。」
一瞬スイの闇をのぞいた気がした。とりあえず、この話題はここでやめよう。そう思った。
「雨が少し強くなった。急ごう。」
「ええ、そうですね。これなら山火事の心配もないでしょうね。」
…結局、雨が本降りになる前にドラゴンの角にたどり着くことはできなかった。
434296 ◆kYB5EDmqco :03/04/06 00:09 ID:3KZIEJRc
おお、いったいどんな話になるんだ。がんがってください。
435諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :03/04/06 03:10 ID:NvfI900D
<二日目>
空は気持ちいいほど晴れ渡っていた。
昨日滝のように降り出した雨はそれが嘘のように上がっていた。
「二、三日は足止めされると思ってましたが…」
ここドラゴンの角は旅人で溢れかえっていた。
旅の商人、武者修行の戦士、一攫千金を夢見た冒険家。色々な人たちがいる。
「ところで、これからどうなさるのですか?」
「ん?ああ。」
そういえばここに来たのは宿が空いておらず、雨風を凌ぐためどこか寝泊りできる場所を探していたのであった。
「昨日の話から…貴方はこの付近は初めてですよね。」
「ああ。」
無論、老人がどうだとか赤い旅の扉とかどうかは話してない。
「できればしばらくの間御一緒願いませんか?旅は一人より二人のほうが楽しいでしょうから。」
この地で何をするべきか。それがわからない今、この話は悪くはない。そう思った。
「わかった。よろしく頼むぜ。」
「ええ、こちらこそ。」
スイはぺこりと頭を下げた。
「ところで、そういうあんたは何故、旅をしているんだ?」
「…ムーンペタに行く予定です。ちょっと用事が…」
少し答えるのを躊躇った様子だった。
「そうか。…ここから、ムーンペタまではどのくらいかかるんだ?」
だが、聞かなかった。他人の事情に土足で踏み入るような真似だけはしまい。そう思っていた。
「おおよそ三日といったところですね。」
「意外と近いのだな。」
「ええ。まずはここから南、砂漠のオアシスに向います。」
「今日はそのオアシスで休むんだな。」
「はい。そうですね。」
436諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :03/04/06 03:11 ID:NvfI900D
二つの土地を分け隔てる海。
それは長年もの間人々の往来を拒んでいた。
かつて、勇者ロトの子孫たちは風のマントを身にまとってこの海を飛び越えたといわれるのだが。
「風のマントの製法は今でも知られておりません。おそらく世界にそう多くない貴重品だと思われます。」
スイが色々と説明してくれる。
「見たことはあるのか?その風のマントとやらを。」
「見たことだけならございます。数少ない一つがラダトーム国王に送られ、たいそう王がお喜びになったということも聞いています。」
要するに当時はどうだか知らないが今ではかなりの貴重品ということだ。
「…それではあまりにも交通の便がよくないとラダトーム王が仰せられてこの橋が作られたということです。」
二人はその橋を歩いていた。ルプガナとムーンブルクをつなぐその橋を。
「かなりの大きさだな。」
「ええ。これに投じた工事費用はおおよそ五百万ゴールドと…」
「…貧乏人の俺にはとても手の出ない金額だな。」
クスクスとスイが笑う。
この橋が通行する人が多い。絶えず人の流れができている。
「港町はそう多くはございません。それだけ、ルプガナの役割は大きいということでしょうね。」
ちょうど橋の終着点が見えてきた。
「この街道を進んでいきますと砂漠が見えてきます。砂漠といってもそれほど大きくないので安心してくださいね。」
橋の次は人々が踏みならした土のむき出しの街道が広がっている。
荷馬車が横を通っていく。かなりの量だ。
「後ろから何か来ますね。」
「ああ。」
437諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :03/04/06 03:11 ID:NvfI900D
振り返る。はるか遠くから豪華な馬車がやってくる。
ロトの紋章が掘り込まれた豪華な馬車だ。
「ルプガナの港にあったラダトームの大臣様の馬車、でしょうね。」
「おそらくは。」
その馬車がゆっくりと二人を追い越していく。
「…おそらく、行き先は同じでしょうね。」
「わかるのか?」
「ええ。」
「…また。寝る場所を追われそうな気配がするな。」
その言葉に苦笑いを浮かべたスイであった。

「で、案の定また寝る場所を追われたのだが。」
トルファが愚痴る。
砂漠のオアシス。ここは交易場として各地の商人が集まる場でもある。
「仕方ないですよ。馬車でもこの砂漠を一夜で越えることはできませんから。」
交易場として、また旅人が体を休める場所としてこのオアシスは発展して来た。
オアシスの中心の一番大きいテントにラダトームの大臣は休んでいる。
「…ムーンペタにつくまでの間、こんな感じになるのだろうか。」
そう言ってトルファは草地に寝転んだ。スイが苦笑いを浮かべる。
「たまには夜空を眺めて休むのも悪くはないですよ。」
そう言ってスイが手渡された毛布に包まる。
「明日は早く出ましょう。運がよければラダトームの馬車よりここを発てるかもしれません。」
「だな。」
そういってトルファは目を閉じた。
438諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :03/04/06 17:48 ID:NvfI900D
<三日目>
目覚めは最悪だった。
「…口の中がジャリジャリする。」
目覚めた最初の感触が口の中に入った砂を噛んだ感触だった。
何度も何度もオアシスの水で口の中を洗う。
「おはようございます。」
「おはよう。」
すでにスイは身だしなみを整えていつでも出発できる状態にあった。
まだ、朝日は地平線の彼方から姿を現してない。
…俺にしてはずいぶんと早起きだな。
ふとそう思った。
「日が高くなる前にこの砂漠を抜けましょう。日が高くなるととても暑くなりますから。」
「わかった。」
愛用の両手剣を持ってトルファが立ち上がった。

「順調に行けば正午になるまでに砂漠を抜けれますね。」
スイ曰く、ここらが真ん中らしいとのこと。
まだ、日差しはさほど鋭くない。
「しかし人通りが多いな。」
道もないというのに行きかう人の姿は途絶えない。
「この砂漠はルプガナに行くにも、ムーンペタに行くにも避けては通れないのですから。」
「…ところで今日は何処まで進むんだ?」
オアシスを出る前に受け取った水筒の中の水を飲みつつ言った。
「ムーンブルクです。あそこまで行けばもうすぐです。」
「へぇ。」
「ロトの子孫が建国したのですが…」
スイがそこまで言ってふと前方の喧騒に気がついた。
「魔物かしら?」
「そうかもな。」
二人は駆け出していた。
439諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :03/04/07 06:02 ID:ef513iUq
「あらあら、これは困ったですね。」
全く困ってなさそうに手を頬に当ててそう言った。
「…鎧ムカデか?」
「いえ、あれはもっと甲羅が硬い兜ムカデですね。」
目の前にいたのは兜ムカデの群れ。
バブーンが魔法使い泣かせならこちらは戦士泣かせ。
堅牢なその甲羅は鋼の剣をもはじく。
その上毒を持っておりかつ、痛烈な一撃を放つまさにモンスターの盾。
「真空波もはじくんですよ。」
「それはすごい。」
「ですが…」
一匹二人の下ににじり寄ってきた。
それに対しスイがガツッと大金槌が兜ムカデに叩きつける。
一撃の下に硬い甲羅さら兜ムカデを叩き潰す。
「こういう相手は剣や槍より質量兵器の方がいいときもあるんですよ。」
スイがにっこり微笑んで再び大金槌を振り上げる。
トルファが兜ムカデの群れに向き直る。
「はぁっ!」
渾身の力を込めて兜ムカデに切りかかる。
ガツンッ!
渾身の力を込めた一撃は一番殻の厚いところに叩きつけられたためか刃毀れを起こしただけだった。
「呪文は苦手なんだがな。」
剣での攻撃を諦めたトルファは呪文を唱えだす。
「…ギラッ!」
閃熱が兜ムカデを焼く。
いくら殻が厚くとも、腹部や間接の繋ぎ目などは殻に守られておらず、兜ムカデは炎の中でのた打ち回る。
「兜ムカデの丸焼き一丁上がりだな。」
「食べれませんですけどね。」
他の冒険者たちも戦っている。もはや乱戦である。

…結局、日が高く上がるまでに砂漠を抜けるのは叶わなかった。
440諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :03/04/08 02:45 ID:MS3z0xdu
あれから突き刺さるような日差しの中絶え間なく続く怪物たちの襲撃を退けながらの移動となった。
ここはムーンブルクへの行程の約三分の二の地点にある祠。
日はすでに沈みかけようとしていた。思った以上にモンスターはしぶとかったのである。
「なんだか関所っぽいな。」
橋を囲むように立てられたその祠はすでに主なき祠であった。
ささやかな教会が存在していた跡がうかがえる。
「…どうだったのでしょうね。私はそうは思えませんが。」
橋の上で一息をつく二人。
ちょうど、二人の後ろをラダトームの馬車が通り過ぎる。
「また、か。」
ほとほとうんざりとした様子でトルファがぼやく。
「あの馬車もムーンブルクで一旦休むのか?」
「必ず、足を止めるはずです。…ロトの子孫に縁があるのですから。」
「そうか。」
スイが立ち上がる。愛用の大金槌を手に持って。
「ちょっと急ぎますね。このままではムーンブルクに着く前に日が沈んでしまいます。」
「ああ。」

夕日によって橙色に染まる海を眺めつつ砂浜を行く。
「…この辺は治安が行き届いてません。」
「なんだ?盗賊でも出るのか?」
「いえ、…この辺はかつて邪教を広めんとした大神官ハーゴンの拠点、ロンダルキアに近いのです。」
「でも、ハーゴンは討伐されたのではないか?」
旅の途中、色々とスイが話してくれた話を総合すると、そういうことになる。
…もっとも、何故そんなことを知ってるんだ?ということが多いのだが。
441諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :03/04/08 02:46 ID:MS3z0xdu
「ええ。ですが、自然の要塞ロンダルキアに魔物討伐軍を編成する力は何処の国もなかったのです。」
「自然の要塞ってどんなもんだ?」
「竜王の城がある島、イシュタル島も自然の要塞と言われてますよね。」
「ああ。行ったことがあるからなんとなくだがわかる。」
トルファは竜王二世との激戦を思い出す、あの時は竜王の孫の協力があったとはいえ下手したら命を落としていたかもしれない。
…いや、協力がなかったら確実に命はなかった。
「ロンダルキアが何故天然の要塞といわれているかはそこにたどり着くための唯一の通路である洞窟にございます。」
「なるほど。」
「数多くの落とし穴。宝箱に仕掛けられた罠。方向感覚を狂わせる無限ループ。そして何より凶悪なモンスターが数多く生息しています、」
「へぇ、どんなやつらがいるんだ?」
「色々いますが…やはりドラゴンでしょうね。あと、ハーゴンがいた時代にはキラーマシンという凶悪な機械人形がいたと聞いています。」
どのように作られたかはまさに謎なんですけどね。とスイが付け加える。
「なるほど、それでは軍を出したとしても損害を出すだけでロクに戦果は挙げられなさそうだな。」
「ええ。ですが、天然の要塞といわれている理由がその洞窟にあるとしても、軍が出せない最大の原因は洞窟を抜けた先でしょうね。」
「どういうことだ?」
「ロンダルキアは極寒の地です。軍を派遣したらおそらくはその大半がその寒さにやられてしまうことでしょう。」
一息ついて付け加える。
「それにアークデーモン、シルバーデビル、ギガンテスなど凶悪な魔物が当たり前のように存在してます。」
「…それじゃあ、手が出せないな。」
「ええ。ですから結局各国の間で何度か協議されたもののいい案が出せずに放置するしかなかったのです。」
川を渡り今度は砂浜でなく平原を歩く。
「ムーンブルクが見えてきましたよ。なんとか日が落ちる前にたどり着きましたね。」
「そうだな。」
442諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :03/04/08 22:53 ID:MS3z0xdu
<in ruins>
そこは廃墟だった。
「ここがムーンブルクか?」
「ええ。」
崩れた城壁が時代の経過を示す。
かなりの時間が経ったのだろう。
過ぎ行く風が物悲しさをさらに際立たせる。
廃墟の傍らに例の馬車がある。
スイが手招いている。
「こちらに地下室がございます。ここで休みましょう。」
地下室に降りようとした時、呼び止められた。
「待たれよ。今現在、大臣様がお休みになられておる。何人たりともここを通すなとの御命令だ。」
階段の奥から護衛兵が道をふさぐように現れる。豪華な装備をしているが腕のほうは如何なものか。
「…ぐわっ、ここでもか。」
「仕方ありませんね。」
ふう、とスイが溜息を漏らす。ジロリと護衛兵がにらむが意に介せず。
…最も、下手な戦士より彼女の方がずっと強いが。
「こちらで休みましょうか。仕方ないですから。」
連れられた先は王の間であっただろう場所。
「天気がよくて何よりです。」
空には満天の星空、雨が降る気配など微塵もない。
「雨が降ってたら最悪だったな。」
薪になりそうな小枝を集めて焚き火をする。
「…ここの事、お話、しましょうか?」
「頼む。」
火の調節をするトルファ。
「でも何処から話せばいいんでしょうかね。」
「好きにしてくれ。」
「…そうですね。先ほど、ここ、ムーンブルクはロトの血筋のものによって建国された…ということはお話しましたね。」
「ああ。」
443諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :03/04/08 22:54 ID:MS3z0xdu
手ごろな棒で火の調節をしながら答える。
「もう二つ、ロトの血筋が建国した国がありますが…その辺は追々話すとしますか。」
「そうしてくれ。」
「…ここ、ムーンブルクは他のロトの血筋の二国から多少離れています。それ故、少しばかり事情が異なっていたのです。」
おおよそ、歩いていくと三日ほどの距離だという。ずいぶん近いのではないか?と聞くと。
「他の二国は朝出立して夕方には目的の国に着くことができます。そのくらい近いのです。」
「なるほど。」
「それにあちらのほうはモンスターが弱いので行き来が容易なのです。」
「わかった。話を続けてくれ。」
「まず、この国が行ったことは…多少離れたところに町を作ったことです。」
「ムーンペタ、だな。だけど、何故離れる必要がある?」
「非常に言いにくいことですが…その二国に対しての防衛拠点だったという話を聞いたことがあります。」
「何故?いわば兄弟国家じゃないのか?」
「二国の関係が密になる様を見てムーンブルク王が何かしら危惧を覚えたのでしょうね。」
それは当時の王に聞くしかありませんと溜息をつく。
「そして、何を思ったか今度はここから西にある無人島に灯台の建設を命じたのです。」
「まさか。」
「…ラダトームの監視目的ですね。」
それが今では魔物の巣窟となってしまいましたが。とまた溜息をつく。
「東は山や川が入り組んでおり、通行は困難。南は湖と高い岩山に囲まれてまさに天然の城壁…」
焚き火の勢いが弱くなりトルファは手に持っていた枝もたきぎの中に放り込む。
「ですが、ある日突然南から魔物の集団がムーンブルクを襲撃したのです。」
「その天然の城壁とやらがロンダルキアで、ハーゴンというやつが命じたんだな。」
「ええ。…王は苦渋の選択を迫られました。不審の念を抱いている兄弟国に応援を呼ぶか。否か。」
ふう、と溜息をつく。三度目だ。
「結局答えは出せずじまいに魔物の攻撃により、王は殺されました。一人娘の王女は命こそは助かれど姿を犬に変えられたといいます。」
444諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :03/04/08 22:55 ID:MS3z0xdu
「…ちょっと待ってくれ。なぜ、そこまで色々と知っている?」
「…」
恐らく話してはくれないだろう。だけど聞かずにはいられなかった。
「話、続けます。」
「ああ。」
…やはりか。トルファは心の中で溜息をついた。
「その後、城中が荒らされ“滅亡”しました。…ですが、一兵士が藁をも掴む思いで兄弟国の元に。」
「まさか断ったりはしなかっただろう。」
「もちろんです。兄弟国はそれぞれ、ロトの血を強く引く王子を向わせました。」
「王子をか。…一人ずつで大丈夫だったのか?」
ロトの血は思っているより強大です。すでに王子二人はその状態で常人以上の力を持っていたのです。との説明を加えられた。
「血の力は強大だな。」
「…ええ。ですが時が経つにつれて、世代を重ねるにつれていろんな意味で血は薄くなっていきます。」
「互いの婚姻とかはしなかったのか?」
「歴史書を見る限りではなかったようですね。それまでは。」
焚き火がが消える。
「適当な枝とかを探してくる。」
「ええ、お気をつけて。」
続きキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
スイの正体が気になります……!
446諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :03/04/09 06:34 ID:2LQCiXY7
適当な焚き木を持ってくる。
火打石を出すのが面倒でギラを唱える。
「ごめんなさいね。呪文は私、全く使えないんです。」
「自分だってそんなに得意じゃない。」
「…話し、続けますね。」
「ああ。」
ちょっとばかり火が強かったな。そう感じていた。
「ロトの子孫の国がそれぞれの王子を旅出させたところからですね。」
「そうだな。」
「…旅の出来事についての内容が書かれているような文献は現存してません。」
「そうだな。日記をつけるような王子様はそうそういないとは思うが。」
スイが苦笑いを浮かべる。
「聞くところによると精霊ルビス様の加護を受けたという話もありますが。」
「精霊。」
「ええ。アレフガルドを創造したといわれる精霊です。」
「…すごい精霊だな。」
「…その加護を持って、ハーゴンの幻影を看破し、ハーゴンが呼び出した破壊神シドーを打ち倒したと聞きます。」
「それで、めでたしめでたし…って、まだ終わりじゃないよな。ここのこと話してないぜ。」
一息ついて、水筒を手渡す。スイが頷く。
「ええ。それから、ムーンブルク王女の総指揮によってここムーンブルクの再建が行われました。」
「この城の有様はこの後の話ということだな。」
「ええ。」
風雨に晒されて朽ち果てた玉座を眺めてスイが言葉を紡ぐ。
「それからしばらくは王女はこの城に留まったのですが、王女が兄弟国に嫁ぐことになりロトの血筋を引くものがいなくなってしまいました。」
「で、結局誰がここを継いだんだ?」
「騎士団長と、聞いています。」
「…相当荒れたのだろうな。」
「…推して、知るべし。ですね。」
声は重かった。
「それでも、まだ王女が存命中のときはまだよかったのです。」
「王女がいてそれだからかなりのものだったのだろうな。」
447諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :03/04/11 06:51 ID:xyHZwgSo
「王女がお亡くなりになって一月後。ムーンブルクでクーデターが起こりました。」
「…ついに起こったわけだ。」
「主犯は大臣。その他重鎮のものも加わりました。」
「相当手を回したようだな。」
「しかし、クーデターは失敗し、クーデターに参加したものは国を追われることになりました。」
そのような動き、兄弟国が見逃すはずもないのに。と、溜息をつく。
「それからしばらくは平和でした。ただ、クーデターに参加したものの消息は全くつかめませんでした。」
「しばらくって事はまた何かやらかしたんだな。」
「しばらくと言いましても、50年位ですが…」
「…まあ、この際どうでもいいな。」
火の勢いが強すぎるな。そう感じ、少し調整を図る。
「大臣の息子がムーンペタで蜂起しました。」
「…よくもまあ、見つからずにいたな。」
「ムーンペタにはかつて地下に魔物を捕らえていた牢屋があります。そこに隠し部屋を作って潜伏していたようです。」
かつて、そこにはルビス様の加護を受けるための紋章があったとか、と付け加えていた。
「反乱軍はムーンペタの占領後、ムーンペタの北のローラの門を制圧しました。」
「ローラの門?」
「兄弟国との陸地での唯一の接点です。」
「なるほど。そこを制圧すれば兄弟国からの敵援軍は断てると。」
「…ええ。それでも終始、ムーンブルク軍が有利に戦闘を続けていました。…しかし。」
「しかし?」
「あるときを境にそれが逆転しました。聞くところによると魔物の姿があったとか…」
448諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :03/04/11 06:52 ID:xyHZwgSo
「…魔物。」
トルファの顔に緊張が走る。
「ええ。間違いは…ないと思います。」
「しかし、そんなのがいたら味方の軍でさえ、不審だと思わないか?」
「ですが、そういったことはなかったようですね。…ムーンブルクはそのまま敗北し。この有様、です。」
ふうとまた、溜息を着く。
「捕縛されたムーンブルク王その血族は皆処刑されました。王は公開で処刑された…と。」
「…しかし、城をこんなにしてよかったのか?」
「大臣の一族にとってこの城は要らないものであったんでしょうね…」
それもそうか…と、思う。パチ、パチと焚き火の音が当たりに響く。
「今現在、ムーンペタには派手な王宮があります。もっとも、そのためでもあるんでしょうね。」
「…となるとわからんことがあるな。」
「何がです?」
「なぜ、反ロトな国にあんな使者がやって来るんだ?」
あんな使者というのはいわずと知れた今地下室で休んでいる大臣ご一行のことである。
「…威圧、されたんでしょうね。きっと。」
「脅して何かやらせようってことか。」
「ええ。」
沈黙が辺りを包む。
「…寝よう。これ以上起きていると起きれなくなる。」
「そうですね。おやすみなさい。」
焚き火を消して寝袋に包まる。
風邪は寂しく、泣いていた。
449諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :03/04/13 15:44 ID:vdlOWMrr
<四日目>
昨日あれほど遅くまで話していたのに不思議と目が覚めた。
旅をしているとはいえ、この時間に起きているとはありえない。
きっと、何かあるのだろうな。
地平線からまだ姿を現しきってない朝日を眺めながらそう思っていた。
「おはようございます。」
すでに身支度を終え、いつでも出立できる様子でスイがいった。
…この人はいつ寝て、いつ起きているのだろうか。
そうも思っていた。
「…おはよう。…ここからムーンペタまでどのくらいかかるんだ?」
「今すぐ出立すれば昼には着きましょうね。何事もなければ、ですが。」
「そうか。…よし、顔を洗ったら出発しよう。」
「わかりました。」

森の中を歩く二人。
木々の間から漏れる日の光が柔らかい。
踏み固められた街道の隅では露天商が装飾品を並べている。
「結構深い森だな。」
「ええ。ここはかつてはかなり危険な場所だったと聞いていますが。」
ハーゴンが討伐された際に姿が見えなくなったと聞いています。とのこと。
確かにこの森からは怪物の気配がしない。
「それでも夜になれば危険で、ムーンペタ住人には夜間の出歩きは自制するよう言われているようです。」
450諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :03/04/13 15:46 ID:vdlOWMrr
「まあ、それはそうだよな。」
川が目の前に横たわっている。
こちらですとスイの案内に進むと、橋がある。
橋を渡る最中に木々の間から何か建物が見えた。
「もう、近いのだな。」
「ええ。先ほど見えたのは王宮の尖塔かと思われます。敵の接近を事前に知るための見張り塔でもありますね。」
「なるほど。」
「きっと驚きますよ。町の規模に。」
「それは楽しみだ。」
背後から蹄の音が聞こえる。
「…今日は宿を追われることはありませんから安心してくださいね。」
「そうだな。…もう懲り懲りだ。」
追い越していく場所を見送りながらその後を追う。
程なく町の入り口に着いた。
とりあえず、目的の町、ムーンペタに辿り着いたのであった。
hosyu
452「諸葛亮スラリソ代理」:03/04/15 18:13 ID:bYm5nf1U
更新しようと思ったらヤフー規制に引っかかってしまいました。
    難民辺りにいますのでよろしく頼みます。
453296 ◆kYB5EDmqco :03/04/15 20:45 ID:9N2PDdjf
なんてこった...ご愁傷様です>452
あらららら。
早く規制がとれるといいですね。
ほっしゅ
はやく規制とれないかねぇ
457296 ◆kYB5EDmqco :03/04/19 00:44 ID:usduGz/9
ほしゅ
規制解除祈願
459296 ◆kYB5EDmqco :03/04/22 00:08 ID:ROsggRaT
ほしゅ
ほぜん
461諸葛亮スラリソ代理:03/04/23 22:12 ID:FtMczVNg
462スラリソ:03/04/24 14:38 ID:by9GD1zS
携帯からです。誰か小説をこのスレにUPしてください。
463スラリソ:03/04/24 14:53 ID:8Edbgeat
携帯入力慣れてない為、トリップなしなのはご容赦のほどを。
464代理 ◆kYB5EDmqco :03/04/24 19:26 ID:LVMUYkkd
保守代わりになってちょうどいいね。

まさに大都市。
「…人と人とが出会う町。それがムーンペタ、です。」
石畳で綺麗に舗装され、綺麗に何かが彫られたメインストリート。
その上を行きかう様々な人。
メインストリートの脇を飾るは武器屋防具屋を筆頭に劇場や…
「あ、福引所がありますね。」
「行くのか?」
「いえ、福引券はルプガナで使ってしまいました。」
福引所から鐘の音が聞こえる。
今日も出血大サービスのようだ。
この「町」は少なからずいい「町」であるようだ。
「…あそこに見えるのが現国王が住んでいる王宮です。」
指差した先にはまだ新しいであろう王宮があった。
周りには水路があり、守りやすい城のようだ。
「贅の限りを尽くしたって感じがするな。まだ城にしては新しいのもあるけどな。」
「…あまり大きな声ではいえませんが。」
スイが辺りを見回す。
「ムーンブルク国を攻め滅ぼしたとき、そこにあった宝物財宝の類を奪い取り、それに飽き足らずムーンブルク王家の墓を暴いたのです。」
中にはあの伝説の勇者ロトの武具もあったという。
「…戦勝国の権利とはいえ、やりすぎだな。」
「…ええ。」
先ほど辺りを伺っていたのは恐らく兵士とか、そういう者を警戒していたのであろう。
「…先に宿屋へ向かいましょう。今日も野宿だとさすがに堪りませんからね。」
「同感だ。」
465代理 ◆kYB5EDmqco :03/04/24 19:26 ID:LVMUYkkd
「二部屋取れてよかったですね。」
「ああ。」
ここはムーンペタで一番古い宿。
かつて、ロトの子孫達も寝泊りしたという宿屋。
「やれやれ。何かものすごく疲れた気がするぜ。」
…宿屋の親父に散々冷やかされたのだ。
付き合ってどのくらい?だとか、一緒の部屋にするか?だとか。
思いっきり狼狽する俺の後ろでスイが頬に手を当てながらあらあらと、全く動じてない様子でその様子を見守っていたのが印象的だ。
「これからどうしますか?」
ふと、声をかけられた。
…そういえば、まだ、トルファ自身もその目的がはっきりとは見えてこない。
この町が目的地であろうか?
恐らくはそうなのだろうが。
なぜならスイの目的地がここ、ムーンペタなのだから。
彼女の目的はわからない。話そうとしない。
…無理に聞くことはできない。
「どうしようか。とりあえず何も考えてない。」
「そうですか。」
「明日になってから考えるよ。」
「そうですね。それがいいのかもしれませんね。」
とりあえず、スイの案内で色々と案内してもらうことにした。
466代理 ◆kYB5EDmqco :03/04/24 19:28 ID:LVMUYkkd
町外れの教会で祈りを捧げる。
ここの教会もかなり古くからあるらしい。
歴史を感じさせる空気。
この教会の中だけ時が止まっているように思える。
「普段は教会なんて来ないのだけどな…」
「そうなのですか?」
「こういうところは苦手なんだ。」
「そうなのですか。」
だけど、ここは心地いい。素直にそう思える。
椅子に深く座り背凭れに体を預ける。
大きく息をつく。
そしてパイプオルガンの音が教会に響く。
その調べはこの町の歴史を感じさせるようで──
…気づくと眠っていたようだ。
朝が早かった分少し眠くなったのだろうな。
軽く伸びして辺りを見回す。
教会内にスイの姿はない。窓の外に彼女の姿がある。
「あら、目覚めましたか?」
スイがこちらに気づく。先ほどまでその視線は城に向けられていた。
空は橙色に染まっていた。彼女の表情は影で伺えなかった。
「ああ。悪かったな。」
「いえ、今日は早かったですから少し疲れが残っていたのかもしれませんね。」
「そうかもな。」
「それなら早く宿へ戻って休んだほうがよろしいですね。」
「そうだな。」
そう言って宿へと向かっていった。
467代理 ◆kYB5EDmqco :03/04/24 21:17 ID:LVMUYkkd
<四日目・夜>
空には満天の星。
町は闇。
今は真夜中。一般人はすでに夢の世界へ。
そして城を見やると常に松明が城を照らしている。
食事のオーダーはスイがしてくれた。どれもこれも絶品で思わず腹いっぱいまで食った。
トルファが横になっているベッドは昼の間、暖かい陽光を受け続けて温もりが残っている。
普通の生活をしているならば夢の中へと落ちて、新しい一日の始まりに向けて体を休めるときなのだが…
…だが、トルファは目が冴えていた。
「…」
昼に少し眠ったためなのかと思ったのだが、どうもワケが違う。
窓から身を乗り出し隣の部屋の様子を見る。
…スイのいる部屋は明かりが消えている。
つい先ほどまで「毎日の武器の手入れは欠かせないのですよ」と、一生懸命大金槌を磨いていたようだが、どうやらもう寝たのだろう。
「…」
もう一度ベッドに横になる。
何をするまでもなく何処を見つめるでもなく、ただ、天井を眺める。
…どのくらい時間が経ったのだろう。
かすかな音ながら足音が聞こえる。
静かな深夜だから聞こえたその足音にトルファの顔に緊張が走る。
剣に手を掛ける。聞こえるか聞こえないかそんなかすかな足音。
一般人なら足音を忍ぶ様な真似はしまい。
ゆっくりと気配を殺し部屋の入り口の扉に手を掛ける。
心を落ち着かせ、耳に全神経を集中させる。
…自分はここの世界の住人ではないから狙われる筋合いはない。
だが、スイはどうだ?
少なからず何か抱えているようだ。
追手から逃げる生活。そんな生活をしていたのやも知れない。
468代理 ◆kYB5EDmqco :03/04/24 21:18 ID:LVMUYkkd
…足音はゆっくりとトルファの部屋の前を…
足音が止まる。
思わず剣を握る手に力がこもる。
一秒が一時間に思える。
闇の中を沈黙が包む。
…しばらくの沈黙の後、また足音がした。
忍ぶようなそれは少しずつ離れていくようだった。
「…」
気づかれないように尾行することにした。
…それが、自分の成すべきことと、直感が言っていたから。

深夜の闇の中。
その影はゆっくりと城へと向かっていた。
フードをすっぽりかぶってその顔は見えない。
メインストリートから路地へと入る。
路地はメインストリート以上に暗く深い闇が広がっていた。
メインストリートには警備兵が通り過ぎていた。
真夜中だというのにご苦労なことだ。
その人物は警備兵がこちらに気づいていないことを確認すると暗い路地をさらに奥へと進んでいった。
足元が見えない。そんな暗闇の中を何者にも邪魔されず目的の場へと向かう。
そして。路地を抜け、目的の場、かつて紋章があったとされる地下牢獄への入り口。今では城へと続く地下通路の入り口へとたどり着く。
その人物は辺りを伺う。先ほどの警備兵が帰っている可能性がある。
辺りを静寂が包む。
決心がついたのかゆっくりと路地から姿を現す。
469代理 ◆kYB5EDmqco :03/04/24 21:23 ID:LVMUYkkd
その人物はゆっくりと地下通路へと近づく。
「待て。そこの者。」
背後から声をかけられる。
「このような時間に何をしている。」
ジャラジャラという音が聞こえる。 重装備の衛兵か。
「何か言ったらどうだ?」
その手に笛らしきものが…
ドガッ。
すばやい動きで体当たりを食らわせる。 手に持ってた笛が宙に舞う。
すばやく笛を奪い取り、体勢が崩れた衛兵を路地へと突き飛ばす。
「が、がっ…」
後は早かった。すばやく詰め寄って忍ばせていたナイフで首に一閃。
どさりと倒れた衛兵に心臓への一突き。 返り血がマントを赤く染める。
路地の奥深くへ引き摺ってその屍を放置する。
引き摺った跡が残っているから明日にでもなれば大騒ぎになるだろう。
しかし、夜のうちなら見つかることもあるまい。
「…大きめのマント、買っておいて正解でしたね。」
マントのフードをはずす。闇に映える銀色の髪。
「やりたくはなかったのですが、仕方ありませんね…」
マントをはずし屍にかぶせる。銀色のドレスも闇に映える。
軽く祈りをささげる。 こうやって、これまでどれほどの命の火を消したことだろうか。
「…私が望んだ生き方ですから。」
ふうと溜息をつく。
「出てきてください。返答次第では…斬ります。」
しばらくの沈黙の後。
「…気づかれていたのか。」
トルファがゆっくりと姿を現す。
「私のほうが経験はあるようですね。こういうことは。」
経験の差ということだ。 そういや、こういうことはやったことがないな。
ふと、そんなことを思ってみる。
470代理 ◆kYB5EDmqco :03/04/24 21:25 ID:LVMUYkkd
「…私を止めますか?」
スイが大金槌を構える。
「いや、止めはしない。」
「ならば、今すぐここを離れてください。」
「その、つもりもない。」
スイの大金槌を握る手に力がこもる。
「俺にも協力させてくれ。」
「…?」
緊張の糸がいまだ張り詰めている。
「私のやろうとしている事は許されない行為です。たとえどのような事情があろうとも、です。」
「構わない。」
「…」
沈黙が辺りを包む。
「後悔はしませんね。」
トルファは確信していた。これが自分のなすべきことと。
「もちろんだ。」
漆黒の路地に二人の姿が浮かぶ。辺りの空気が凍りつく。
「…わかりました。何故、私のすることにそこまで執着するのかは…聞かないほうがよさそうですね。」
スイが一瞬顔を緩めるがまた緊張のそれに変わる。
「目的だけを話します。理由などは後々できたらよろしいのですが。」
「目的だけでも話してくれればいい。」
「国王を…暗殺します。」
---------------------
改行が多い、本文が長いと言われたので、二つに分けざるを得ませんでした。
スマソ>462
それと、更新おつかれ!
471スラリソ:03/04/24 21:43 ID:WfwfFlQP
禿しくサンクス
スラリソたん、代理たん、まりがとー!

わくわくしてまつ。
473諸葛亮スラリソ代理:03/04/28 20:43 ID:DoZLYqda
更新内容について。
http://jbbs.shitaraba.com/game/bbs/read.cgi?BBS=2736&KEY=1039269451&START=357&END=360&NOFIRST=TRUE
http://jbbs.shitaraba.com/game/bbs/read.cgi?BBS=2736&KEY=1039269451&START=366&END=367&NOFIRST=TRUE
以上です。ゴールデンウィーク中に書き上げることができればいいんだが。
474代理 ◆kYB5EDmqco :03/04/29 00:39 ID:BNRCCLB3
では、保守がてらUP開始します。

モンスターを倒すのと人間を殺めるとは違う。
自分も長く旅をしてきたが、実際にそのようなことに手を染めてはいない。
「覚悟は良いですか?」
たとえいくら金を積まれても、
たとえどのような事情があるとしてもやろうとは思わない。
「ああ。構わんぜ。」
だが、自分は了承した。
自分のやるべきことだとわかっていた。
「…今から行くのだな。」
「はい。今しかありません。」
「衛兵は外にはいないようだが。」
「恐らく地下通路にいると思われます。」
「だな。」
地下通路からかすかに声が聞こえる。
数人いるようだ。
「堀みたいなものを渡っていくことはできないのか?」
「無理ですね。…ボートがありませんですし。」
「気づかない衛兵がいるとも思えないしな。」
遠めで見れば豪華が際立つ城も近くで見ればなかなかの要塞。
「贅の…限りを尽くした城ですから。」
要するに見た目で贅を尽くしただけでなく守るための贅を尽くしたのである。
「実際攻め落とすとなると相当骨が折れそうだな…」
「これだけの城を建てるのに、どれだけのムーンブルクの宝物が奪われたことか…」
「戦勝国の権利」として奪われた宝物がどれほどのものか。想像もつかない。
「正面突破しかないのだな。」
トルファの拳に力がこもる。
「ええ。ですが…準備は万端です。これを使いましょう。」
「これは?」
スイが取り出したのは少し見覚えのある薬草であった
475代理 ◆kYB5EDmqco :03/04/29 00:40 ID:BNRCCLB3

そこはかつて地下牢獄があった。
その牢屋が捕らえていたのは人ではなく、魔物。
紋章を隠し持っていたようであった魔物が囚われていた。
そして時は流れ、現国王がクーデターを起こす時、ここを拠点としていた。
そして今、牢屋は取り払われ机や椅子、ベッドなどが置かれて兵士たちの詰め所となっていた。
そこにいる兵士は四人。
カードゲームに興じているようだ。
「先輩、強すぎますよ。」
「違うんだ。お前が弱すぎるんだ。」
はあ、と後輩と呼ばれた兵士が溜息をつく。
「ということで明日の昼飯はおごりな。」
はははと笑い声が響く。
──カツン…
緊張が兵士たちに走る。
「…見てくる。」
「気をつけて。」
先輩兵士が鉄の槍を油断なく構えて入り口へと向かう。
「…誰だっ!」
大声で先ほどの音の主に怒鳴りつける。
そこには──
「にゃーん。」
猫がいた。
「…なんだ、猫か。」
はあ、と溜息をつく。
「先輩。今度は負けませんよ。」
音の主が猫とわかったのか詰め所から後輩兵士の声が聞こえる。
「おう、返り討ちにしてやる。」
そしてまた、カードゲームへと没頭するのであった。
476代理 ◆kYB5EDmqco :03/04/29 00:41 ID:BNRCCLB3

「…こういう時は変に忍び足をしないほうがいいのですよ。」
普通どおり歩けばいいのです。とスイが言う。
「だがな、まあ、なんとなくだ。」
漫画のように抜き足差し足忍び足で歩いていたトルファであった。
自分で思ってみるがかなり間抜けであった。
ここは城の裏口前。人影はないように見える。
「あ、効果が切れてきましたね。」
ゆっくりと覚めるような銀色の髪が見えてくる。
「やれやれ。思い出した。「消え去り草」だな。」
「ご名答です。ご存知でしたか。」
そういえば竜王の孫とやらが持っていたものだ。
「まあな。知り合いが持っていたんだ。」
「そうですか。…今では貴重品になってしまって滅多に手に入れることはできなくなってしまわれましたが。」
「ということは?」
「はい。消え去り草はもうございません。」
残念そうにスイが言う。
「そうか、後は自分の実力で、だな。」
「はい。」
スイが大金槌ではなくナイフに手を掛ける。大金槌は腰にしっかりと留められている。
そしてゆっくりとドアに手を掛ける。
「…できれば人は殺めたくはありませんが、邪魔立てするなら誰であろうと切り捨てていきます。…よろしいですね。」
「ああ。」
確認するように答えて裏口へと入っていった。
裏口のドアが音もなく閉められた。
477代理 ◆kYB5EDmqco :03/04/29 00:46 ID:BNRCCLB3
「誰もいないですね。」
「つまみ食いしている兵士がいるかと思ったが期待はずれだったな。」
ここは厨房。
厨房といっても城中の食事を一手にまかなうものだからとにかく広い。
しばらく息を潜めて誰もいないことを悟るとゆっくりと立ち上がる。
時間帯からすれば当然なのだが。
「まずは行きたいところがありますからそちらに付き合ってはくれませんでしょうか?」
「構わないぞ。」
厨房から食堂へ。そして食堂から回廊へ。
途中兵士がいたため食堂でやり過ごすことになった。
そして。
「ここは倉庫か?」
「はい。どうせなら貰える物も貰っておきたいとも思いまして。」
意外と強か…って、今に始まったことではないだろう。
「ここは廊下からは死角です。こちらで様子を見ましょう。」
倉庫前には衛兵が一人いる。欠伸をかみ殺している。
「下手に血の跡を残す訳にはいきませんね。」
「大騒ぎになってしまうな。」
「…呪文、使えますよね?」
「…眠らせるのか。」
「ええ、ラリホー、お願いします。」
「自信はないがやってみるよ。」
478代理 ◆kYB5EDmqco :03/04/29 00:47 ID:BNRCCLB3

ラリホーなんてロクに使ったことがないな。そう考えていた。
ゆっくりと衛兵に見つからないように、ラリホーが届くぎりぎりの距離に近づく。
周囲に気を配りつつゆっくりと確かめるように詠唱に入る。
「それは忘却の道標。誘うは夢の花園。暗き闇へと落ちろ。…ラリホー。」
呪文の詠唱は意思を統一し集中力に影響を及ぼすための手助けに過ぎない。
魔力の流れを自在に操るため集中力を高めるのだ。
ぶっちゃけて言えば集中さえできれば詠唱なんて不要である。
ロクに使ったことがない呪文ではさすがに集中のための詠唱は必要であったが。
がくりと衛兵が倒れこむ。
「どうやら成功したようですね。ありがとうございます。」
「いや、このくらいならな。」
スイが手早く衛兵を縛り上げる。猿轡もして騒がれないようややきつめに縛る。
衛兵は知らずにぐうぐうと寝ている。
「倉庫の奥にでも閉じ込めておくか。」
「それがいいですね。」
衛兵を引き摺って倉庫へと入っていった。
479代理 ◆kYB5EDmqco :03/04/29 00:50 ID:BNRCCLB3
衛兵は奥の柱に縛り付けた。
あれだけ乱暴に扱ったのに目を覚まそうとしないこいつの神経はどうなっているのやら。
まあ、明日になれば自分の状況に驚くことだろう。
スイは奥で何か探している。
まあ、それが目的だろうし。
俺はすることがなく外の警戒をしている。
人が通る気配はない。
だが、万が一ということもある。
何より衛兵はいないし倉庫の扉は開いている。
倉庫には鍵がかかっていたがスイが大金槌で派手に壊した。
「細かい作業って苦手なんですよ。」
「だからといって、なぁ。」
…後々、衛兵が鍵を持っていたことに気づくのであった。
とにかくばれたら大騒ぎは間違いなしだ。
あの時、結構大きい音がしたのだ。 「何を探しているんだ?」
「剣、です。」
「剣?」
「ええ。捨てられてないと思いますが…」
事情があるようだ。特に深入りはしないほうがいい。
「…見つけました…」
確信に満ちた様子で埃だらけの箱を手に取った。
そのときのスイの瞳が忘れられない。
箱の蓋を取り、その剣を見つめる。
しばらくの間、その剣に見入っていたようだった。
480代理 ◆kYB5EDmqco :03/04/29 00:51 ID:BNRCCLB3
「…まずいことになった。」
「誰か、ここに来たのですね。」
「ああ。」
入り口の方を見る。
見回りの兵士が二人。
今度ばかりはラリホーも期待しないほうがいいか。
「片方が効かなかったら大騒ぎですね。」
そういうことだ。
「もう片方は私が仕留めるというのもありますが。まだ、騒ぎは起きてほしくはありません。」
「…だが」
「やるしかないですね。」
481代理 ◆kYB5EDmqco :03/04/29 00:52 ID:BNRCCLB3
息を潜める。
心を落ち着かせる。
頭の中で何度もラリホーの詠唱をめぐらせる。
集中力を高めさせる。
そして…
「ラリホー…!」
「…!」
…気づかれた!?
兵士はこちらに気づいたようだ。違いない。
でなければあからさまにまあいを取りはしまい。
気づいたときは駆け出していた。
「賊がっ!」
兵士は一瞬大声を張り上げるか迷ったようだ。
大声を出されたらさらにまずいことになった。
が。
がつん!
トルファの剣と兵士の剣がぶつかり合う。
こちらのほうが圧倒的に腕の差があるようだ。悟ったトルファはすぐに兵士の剣を弾き飛ばし思いっきり斬りつけた。
肉を切り骨を経つ。
嫌な感触だった。
482代理 ◆kYB5EDmqco :03/04/29 00:56 ID:BNRCCLB3

 兵士は方から腰まで深く切りつけられ、絶命した。
「おとなしく眠っていればいいものの…」
トルファは血溜まりを見てそう呟いた。
自分の手を見つめる。今、人を殺めた自分の手を。
二度と忘れないだろうな。
ふうと溜息をつく。
ここは倉庫の奥のほうだ。このまま放置しても見つかりづらいだろうな。
そう思った直後スイがやってきた。
ドレスが返り血で紅く染まっていた。
「こちらは終わりました。」
「そうか。」
「…慣れてほしいとは言いません。それではただの殺人鬼ですから。」
「ああ。」
「私のほうは奥に引きつけましたから多分見つからないかと思います。」
「そうか。じゃあ、そろそろここから離れよう。」
「ええ。寄り道してすいませんでした。」
「構わんさ。」
---------------------
職人さん、おつかれ〜。
483諸葛亮スラリソ代理:03/05/06 02:21 ID:HatQxqLY
すみません・・・
>484は諸葛亮スラリソ代理です
486代理 ◆kYB5EDmqco :03/05/07 18:37 ID:tPSki01c
階段を上りつつ先ほどの剣をじっと見つめるスイ。
その瞳はなんともいえない光をともしていた。
その剣にその瞳は何を映しているのだろう。
「…ところでここは?」
「客間でしょうね。」
「というと、あの大臣がいるということか。」
ラダトームの大臣のことである。
「そうでしょうね。」
少し辺りを伺ってみる。
…人気はさほどない。
利用している人は少ないのだろうか。
「そのようですね。」
見る部屋見る部屋「空き部屋」という看板が立てられていた。
そして鍵がかかっていて開かないようだ。
「少し休めればと思っていましたが、残念ですね。」
「冗談だろう?」
「ええ、冗談ですよ。」
何処までが冗談なのか自分には分かりかねない。
「とりあえず、休むのはすべてが終わってからです。」
「まあ、そうだな。」
そこの曲がり角を曲がろうとして…トルファに緊張が走る。
「誰か…いるのですか。」
487代理 ◆kYB5EDmqco :03/05/07 18:38 ID:tPSki01c
「あの衛兵のようだ。」
部屋の前に置かれた椅子に座って微動だにしない。
通路から顔を出してスイが様子を伺う。
「妙ですね。」
「だな。」
ゆっくりと足音を立てずにスイが衛兵に近づく。
スイの顔に緊張の色が濃く現われる。
ゆっくりと首筋に手を当てる。
「どうした?」
「…死んで、います。」
「!!」
「外傷は見当たりません。恐らく何か薬で…」
ゆっくりとトルファも近寄る。
「…確かに脈が止まっている。しかし、ぱっと見て死んでるとは思えんな。」
いつ動き出しても本当におかしくない。そんな状態であった。
「中の大臣は大丈夫なのか?」
トルファが扉に手を掛ける。
「無駄でしょう。恐らく大臣も死んでいるものかと思われます。」
「…そう、だな。大臣だけを生かしておく必要はないよな。」
「ええ。長居は無用です。それに何某かの罠を仕掛けてある可能性も否定できません。」
「そうだな。急ごう。」
物言わぬ屍になった衛兵に祈りをささげてその場を去った。
488代理 ◆kYB5EDmqco :03/05/07 18:39 ID:tPSki01c

王宮エントランスホール。
遠回りしてここまで来た。
真正面から来ることができればどれほど早く来ることができようか。
「ですが、それは無謀というものです。」
「さすがに命は惜しいからな。」
もちろん相当の覚悟が必要なのはいうまでもないだろう。

ホールから見下ろす形で様子を伺う。
兵士が数人集まっていた。
「倉庫を見られたのでしょうか。」
「かもしれないな。」
見回りの兵士が戻ってこなかったのだから不審に思うのは違いない。
「もしくは使者が殺されていることが知れたかもしれません。」
「…どちらにしろ急がないといけないわけだ。」
急ぐといってもここまできたら迂闊な行動は許されない。
王の間への扉を守るのは衛兵二人。
片方はなんとかラリホーが届く距離だがもう片方は届かない。
「もう少し近づきましょうか。」
ゆっくりと姿勢を低くして少しずつ、足音を殺して…

489代理 ◆kYB5EDmqco :03/05/07 18:39 ID:tPSki01c

ギリギリまで近づく。
「心の準備はいいですか?」
これ以上進んだら見つかってしまう。
あとは突撃するしかない。
「構わない。」
腹は決まった。後は動くだけ。
衛兵の注意が逸れているうちに駆け出す。
スイは奥のほうへと駆け出す。
トルファはすぐそばの兵士に剣を向ける。
「何者!」
「そう聞かれて答えるやつがいるかって…」
迷わない。迷ったらこっちが死ぬだけ。
「の!」
振り上げた両手剣を渾身の力で叩きつける。
衛兵の返り血が自分の鎧にかかる。
…こっちに呼びかけている暇があるなら剣ぐらい抜いてくれ。
そう思わずにはいられなかった。
ふとホールを見る。
先ほど集まっていた兵士たちの姿は見えない。
倉庫か客間に向かったのだろう。
「後、は…」
スイがゆっくり扉に手を掛ける。
足元には首から血を流している衛兵。
首に一閃。声出す暇もなかっただろう。
「この奥の王だけですね。」
静かに扉を開ける。
ゴクリと唾を飲む。
そしてゆっくりと扉の奥へ進んでいった。

490 ◆kYB5EDmqco :03/05/07 18:45 ID:tPSki01c
王の間に入る。
ゆっくりと奥へと向かう。
床に伏したるは衛兵の姿。
真紅の絨毯をさらに血で紅く染めて。
自分がその衛兵と剣を受け止めている間にすばやくスイが背後に回って首を一閃。
彼女はトルファの背後に隠れていたためトルファしか見えてなかった衛兵は何が起こったかわからなかったまま命を落としたことであろう。
「もう、行く手を阻む衛兵はいませんね。」
「そのようだな。」
ぐっと拳を作る。
豪華な玉座に一瞥して…
一気にスイが剣を抜き払う。
玉座は上下に真っ二つになり片方が宙を舞う。
ゴトリと宙を舞った椅子が音を立てて落ちる。
「いけませんね。落ち着かないといけないのに。」
「どうした?」
「申し訳ありません。いざと言うとなるとこの手が震えるのです。」
「…」
「ですが、これは決めたことですから。」
そう言って奥の王の寝室への扉に手を掛ける。
「…」
俺は彼女の後を追うべきか──
あえて、彼女にこの「仕事」を任せるか。
選択を迫られていた。

1.追う 2.待つ
491スラリソ:03/05/07 19:20 ID:vt6gNeVF
携帯から ありがトン。 早く規制解除してホスィ
1で!
いくつか「規制解除された!」という書き込みをみたので、スラリソたんも試しに書いてみては?

選択は1で!
続きが楽しみだ〜!
494諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :03/05/09 04:27 ID:xAD259FH
1.追う
ここからは彼女の事情だ。
深入りするのはためらわれる…が。
「行こうか。」
ここで一歩踏み出さなければ後悔するのかもしれない。
「…わかりました。では、先をお願いします。」
少しの間躊躇したようだが、道を譲ってくれた。
扉にトルファが手を掛ける。
深呼吸して意を決したかのように扉を派手に蹴り飛ばす。
派手な音を立てて扉が開かれる。
実言うとかなり蹴飛ばした足が痛かった。思った以上に扉は分厚かった。
「ここまで来たらもう気遣う必要はありませんね。」
「まあ、そういうことだ。」
ゆっくりと部屋の中に入る。
目に入るのは…
机、本棚、ベッド…
ベッドに人影はない。
窓に目をやる。
…いた。

「誰だ?」
「名乗るほどの人間じゃないぜ。」
王は窓のそばに立っていた。
ゆっくりと剣を構える。
…相手はできる。油断するとやられる、間違いなく。
だけどこちらには…
スイは背後に隠れて何か様子を伺っている。
自分の体躯がスイのそれよりはるかに大きいため完全に隠れることができる。
気づかれるまでに何か手を打つに違いない。
495諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :03/05/09 04:28 ID:xAD259FH
「…刺客にはもう慣れた。貴様ごときにこの私を倒せると思うのか?」
「さあ?やってみないことにはわからないぜ。」
無論自分も腕には自信がある。だてに放浪生活が長かったわけではない。
ただ、多少分が悪い戦いだろう。3:7で相手だろう。
「ただここを一人でやってきたことには敬意を表させてもらう。」
気づいてないのか、気づいているのか自分にはわかりかねる。
(大丈夫です、最初の手は打ちました。もう少し時間をいただければさらに一手を加えて見せます。)
そうかすかに聞こえる。
まあ、ここは信じることにしよう。
「しかし、ここまで来るのに時間がかかりすぎたようだな。下では大騒ぎだぞ。」
「構わんさ。このくらいは予測してたさ。」
階下では騒ぎが起こっている。
…兵士がここに気づかれるのは時間の問題か。
だが、この王を倒せさえすれば目的を達成することができる。
「それにあんたを倒せさえすれば無事に脱出する算段はある。」
「ほう、自信があるようだな。」
…自分だけならば。とは付け加えない。
(準備はできました。後は放つまでです。)
そう聞こえた。
「そういうことだ。じゃあ、そろそろ始めさせてもらうぜ。」
だっとトルファが踏み込む。
その刹那。
激しい稲妻が王の寝室へと落ちたのだった。
496諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :03/05/09 04:29 ID:xAD259FH
…まだ、この串は安全だったか。
やっとこさ書き込める。
いつ折られるかわからんが。
497諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :03/05/09 05:25 ID:xAD259FH
王の間、王の寝室は炎に包まれていた。
トルファ自身何が起こったかわからなかった。
だが…
「小僧!なめた真似を!」
目の前の敵を忘れてはいない。
国王の剣が目の前に迫る。
それをすばやく払う。
自分を見失ったそれは死を意味する。
「だから言っただろ!やってみなければわからないって!」
激しい斬撃が国王の肩を掠める。
「小僧の割には知恵が働くようだな!だが、奥の手は先に出すべきではないぞ?」
奥の手。
なるほど、今まで刺客がやってきたときはその奥の手とやらですべて葬ってきたのだろう。
「行くぞ。」
その奥の手を出させてなるものかとトルファが踏み込む。
が、半呼吸先に国王の奥の手が放たれる。
国王が放ったまぶしい光に目をやられて、激しい衝撃が襲ったことは記憶していた。
そして、意識が闇に落ちていった。
498諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :03/05/09 05:27 ID:xAD259FH
「しっかりしてください。」
「ん。ああ。」
…気を失っていたのか。ガツンと一発自分の頬に活を入れる。
ここは、王の間だ。
ここも炎で巻かれていた。
自分たちは天井が抜け、落ちた天井が作り出した物陰にいた。
「俺は無事なのか?」
「はい。あの直後、屋根が落ちました。そのときに巻き起こった埃に紛れてここまで連れてきました。」
となると、気を失っていたのは僅か数分の間だったのだろう。
だけど、戦場ではそれは死んでいたと同様。
スイには感謝しなければいけない。
「…そうか。国王はどうなった?」
体が痛むが動けなくはない。身を起こす。
「国王の部屋は屋根が全部落ちました。下敷きになったのかと…」
「そうか。だが、死んだとは思えない。」
「でしょうね。」
王の間へと続く扉を見つめる。
「ところでさっきは何をやったんだ?」
「稲妻ですか?」
「ああ。」
「この剣の力です。」
倉庫から持ち出した剣。
「稲妻の剣は由緒正しき魔法剣。かなりの年月が経ったと言われていますが、その魔力は衰えていませんね。」
「なるほど、魔法剣の力を放ったのか。」
「ええ。」
スイが差し出した稲妻の剣を戦闘中ということを忘れて魅入ってしまっていた。
499諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :03/05/09 05:28 ID:xAD259FH
ズシン。
床を響かせる轟音が辺りに響く。
緊張が走る。
「…貴方と鼓動を同調したため、まだ私の存在は気付かれてません。」
「鼓動?」
「ええ。暗殺者の窘めですね。他人との鼓動を真似することで気配を殺すことができます。」
恐らく最初の「策」だろうが、暗殺者の嗜めと言われてもイマイチピンと来ない。
「世の中では他人の心音を肌で感じることができる人もいますから。そういう人に対しては有効なんです。」
「なるほど。」
「私はもう少し息を潜めています。申し訳ありませんがもう少しがんばってください。」
「わかった。今度は不覚は取らないさ。」
そういって飛び出す。
…まだ国王の姿は見えてないが。もはや、人ではないのだろう。
炎に照らされ、形成した影がそれを物語る。
もう一発自分に活を入れた。
そして、自分の得物を構える。
500諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :03/05/10 06:56 ID:AB4pfiol
王の間は火の海だ。
部屋の外で何か騒いでいるようだが火が燃える音でかき消される。
「ホイミでは焼け石に水というものよ。」
「やらないよりかはマシだろう。」
炎の海の向こうに黄色いイボイボの巨躯。
悪魔に体を売ったものの成れの果て。
何度も斬りつけたはずだが傷は全部ふさがっている。
ベホマだろうか。
「厄介なことだ…」
物陰に隠れて様子を伺う。
「あれは…アークデーモンの上位悪魔、ベリアルです。私も初めて見ます。」
「それは大層な大物だな。」
「ええ。正攻法では厳しいですので。」
「時間稼ぎか?」
「ええ。お願いしますね。」
「ああ。任せてくれ。」

爆音が隠れているところを襲う。
「どっちを向いてる。俺はここだぜ。」
爆風が隠れているところを吹き飛ばす少し前にすでに飛び出していたのだ。
「ふっ、うろちょろと…」
「簡単にはやらせないぜ。」
トルファを激しい炎が襲う。
すばやくかわしてまた懐へと飛び込む。
>500
乙!頑張ってください。
渾身の力を込めて両手剣を叩きつける。
その一撃はベリアルの槍に阻まれる。
「なかなかやる。人間にしておくのはもったいない。」
こいつの魔力は無尽蔵か。
与えたダメージならばこちらのほうが明らかに多い。
だが、それのすべてがベホマで回復されれば意味がない。
そういうことなら相手の魔力が尽きるまで…と、思ったがその考えは甘かったようだ。
幸運にもまだ自分には相手の動きが見えている。
…来る!
すばやくスウェイバックして豪腕の一撃をかわす。
その隙に腕に一撃を加える。
値が滴るがすぐに傷がふさがる。
「この程度、効かぬわ。」
「単にベホマ唱えているだけじゃないか。…いい加減、斃れてほしいものだが。」
答えとばかりに激しい炎が吐き出された。
「うおっと。」
側転してかわす。
「しつこい奴め!」
503諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :03/05/12 06:47 ID:NtPfpvOJ
何度目かの武器と武器との打ち付けあう音が響く。
妙だ。
何故だ。相手の攻撃が視える。はっきりと、くっきりと。
疲労の上では自分のほうが上のはず。第一、悪魔の体力、それも上位種ともなれば体力は正に無尽蔵。
持久戦で勝てるとは思えない。
槍の一撃を武器で流して一撃を加える。
傷で相手が動きが鈍っているとも思えない。
もし、傷ついたため、疲労したために動きが鈍るのなら…それは自分が一番知ることだろう。
いくらなんでも傷の痛みを知らずに戦うなんてそんなことはないだろう。
ベリアルがその傷をベホマで回復する。
それに第一怪我は瞬時に回復されている。
…正直勘弁願いたい。
「どうした小僧。この程度の傷などいくらでも…」
目は狂気の色に染まっている。
なるほど上級悪魔といえども一旦破壊本能へのスイッチが入ったが最後、容易にはそれが解除されることはないのだろう。
逆に下手に賢いためその変化に気付けないのか。
…今の奴は半分理性を失い半狂戦士となっている。
だったらわざと動きが鈍らせているというわけではないということだ。
灼熱の炎がトルファを襲う。
それを跳躍してかわす。
504諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :03/05/12 06:49 ID:NtPfpvOJ
ふと、視覚の隅で隠れているスイが見えた。
…何か伝えようとしている。
「何処見ている小僧!」
「…っ!」
やや動きが鈍っているため咄嗟のところで槍の一撃をはじく。
相手の身体が鈍っていなかったら仕留められていただろう。
(ア…イ…テ…ノ…カ…ラ…ダ…)
必死でスイの唇を読む。
「身体?」
すばやく間合いを詰めて何度目かの鍔迫り合いをする。
鍔迫り合いの合間に最大限相手を凝視する。
気を一瞬でも抜いたら命はないが、あえて危険な賭けに出た。


……
………
………!
何か、巻きついている。やっとこさ目で見える、そんな感じだ。
その刹那に鍔迫り合いで負ける。
咄嗟に転がって間合いを取る。
間合いを取り、体勢を整える。
視界の真正面にそれは移った。
ベリアルのイオナズンが炸裂する。
505諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :03/05/13 02:06 ID:eqVMKz1N
「…!」
心臓がバクバクいってる。
思わず脂汗がたれてくる。
正直生きた心地はしなかった。
自分も信じられないほどの速さで爆風を避けていた。
まさに火事場のクソ力である。
その足で爆風にまぎれてスイが隠れている柱の影まで一息に走った。
ちょっと情けない気がするがそれはそれ。
「ご苦労様です。」
スイが手渡した薬を一気に飲み干す。
「それ、飲むものではありませんが。まあ、いいですけどね。」
「体が軽くなってる。効果覿面だぜ。」
「当然です。世界樹の若芽を利用した貴重な薬です。万病に効くといわれていますから。」
「…なるほどな。」
ふう、ともう一つ溜息。
「小僧!何処へ隠れた!」
ベリアルの声が響く。
「ところで、何を仕掛けた?」
「はい。斑蜘蛛糸ですね。別段珍しい品ではありませんが相手に悟られること無く動きを鈍くすることができますので。」
「なるほど。」
「準備には余念はありません。始めにそういったと思いますが。」
「そうだな。」
「…ですが、もう手の内は出し尽くしました。」
「そうか。」
「次からは私も出ます。」
506諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :03/05/13 02:09 ID:eqVMKz1N
「ほろほらどうした!俺はこっちだぜ!」
精一杯の怒声を上げてベリアルの気を引く。
「先ほどからうろちょろと…」
「うるせぇ。」
両手剣を構える。
僅かに相手を傷つけたとしてもそれはすぐに回復される。
ならば狙うは一撃必殺。
動きが緩慢となった今なら致命傷を与えれるかもしれないとの事。
そのチャンスまでスイは身を潜める。
出るといっても真っ向から行くつもりがないとの事。
「ごめんなさい。私自身はっきりいって打たれ弱いので…」
と、言っていたが。別に構わない。
頼られるのは、嫌いじゃ、ない。
剣を構える。構えは突撃のそれ。
今までの反撃重視のものとは違う捨て身の一撃。
覚悟を決める。大博打。
だっ…と駆け出していった。
ほしゅってハニー
508名前が無い@ただの名無しのようだ:03/05/14 19:31 ID:K/2Bikwm
age
509bloom:03/05/14 19:34 ID:jz99Tg6K
510諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :03/05/15 03:54 ID:Q6Q2yXik
駆け出して一気に間合いが縮まる。
そして、一か八かの賭けに出る。
トルファの両手剣とベリアルの槍が重なろうとしたときベリアルは一瞬トルファの姿を見失う羽目になる。
両手剣の鞘をトルファがその瞬間に投げつけたのである。
いつもの状況なら恐らくかわされたことだろう。
だが、動きが鈍っていることに気付かない今のベリアルには効果覿面。
直撃し、トルファに向かっていた筈の切先があらぬ方向へと向く。
一歩、さらに一歩踏み込んで向かうはアークデーモンの懐。
「うおおおおおっ!!!!」
全てを込めた一撃がベリアルの体を目指す。
そして、ベリアルの体を深々と貫くのであった。
「貴様…やってくれる!」
「…!」
まだ、息がある。
さすがの強靭な体力。
そう悟ったとき剣を抜いて…
抜けない。
「が、詰めが甘かったな!」
大きく息を吸い込む。
炎を吐く前の動作。
トルファは一瞬離れるべきか迷った。
が、あえて突き刺した剣をさらに奥へ奥へと突き刺した。
この傷なら瞬時に回復はしまい。
どうせ捨て身で突っ込んだんだ。
狙うは相手の命のみ。
511諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :03/05/15 03:56 ID:Q6Q2yXik
ベリアルの息の吸い込みが一瞬途絶える。
顔には明らかな苦悶の色。
やはり、これほどのダメージだ。
体に負担を書ける息攻撃はできないのだろう。
いける。そう思ってさらに奥へと…
また動かない。
剣を見るとすでに根元まで押し込んでいた。もうこれ以上は押し込めない。
「小僧、惜しかったな。もう少しずれていれば私の命奪えたものに…」
「まだやれる!」
剣の鍔までも体にめり込ませる。
ここまできたらもう剣を抜くことは考えてない。
ベリアルの息が吐かれる。炎を吐くことは叶わなかったようだ。
しかし、今度はぐ、ぐとゆっくり豪腕が振り上げられていく。
「炎は防がれたが、次はかわすことはできまい。」
「かわそうとはしない。」
「なに?」
「必要がない。そういうことだ。」
ギロリとトルファを睨みつける。
「その腕は俺に振り下ろされることはない。断言できる。」
その睨みを余裕の笑みで受け流す。
勝者の笑み。
512ななしッ子:03/05/15 10:09 ID:JLw9NC2E
これでもやっておちつこうや
http://www.v-gene.com/rescue/otatataki/otatataki.cgi
「ほう、まだ、そんな強がりを言えるか。」
「強がりかどうかはやってみればわかるさ。」
再び睨みつける。
「小僧、死んでから後悔するのだな!」
仕留めた。明らかにベリアルは思っただろう。
が、次の瞬間。
ベリアルの拳は床を思い切り叩きつけていたのだ。
「何!?」
それと同時にベリアルの顔面にギラを叩き込む。
炎がベリアルの顔面を焼く。
「ぐおおおおっ!」
ベリアルが地に崩れ落ちる。
「奥の手は先に出すものじゃない、とあんたが言ったはずだぜ。」
「小癪な…」
ベリアルの肩を見るとナイフが三本刺さっていた。
スイの投げたナイフだ。
ダメージはたいしたものではない。
が、腕の軌道を変えるには十分すぎたものであった。
「相手が俺一人と思い込んだのがお前の敗因だ。」
「もう一人いたのか!?」
ベリアルが背後を確認して、その目に飛び込んだのは稲妻の剣を構えてまさに目の前に迫らんとしているスイであった。
514諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :03/05/19 07:35 ID:wAluQgAA
あれから二度、稲妻が辺りを覆いつくした。
スイが稲妻の剣の力を行使したのだ。
巻き込まれそうになったが、死ぬ気になってかわした。
正直、暴走気味だったと思うが。
「これで往生してくださいませ!」
三度稲妻を呼び出す。
稲妻がベリアルを直撃してそしてついに。
倒れた。
その間自分は剣をベリアルに突き刺したままだったので斧を抜いてひたすらに斬りつけていた。
「やれやれ。やっとこさ倒れたな。」
「お疲れ様です。」
あれからベホマを唱えさせる暇を与えずに攻撃し続けた。
どっと体に疲労がのしかかる。
「ここから先は私がやりますね。」
少し、震えている感じがした。
「私がやらなければなりませんから。」
一歩一歩、ベリアルに近づく。
何か言葉をかけるべきだった。だが、出なかった。
歩み寄るうちにベリアルが闇に包まれて元の人の形に戻る。
王を覆っていた邪悪な何かが死んだのか。
とにかく人に戻った瞬間だった。
「もう、終わったのではないのか?憑いている奴を殺せたのだから。」
「いえ、終わってません。」
邪悪な何かは退いた。
それが暗殺目的なら…
「そんな大層なものじゃないんですよ。私の目的は。」
声には表情はない。
「はじめに言ったとおり目的は王の暗殺。誰のためでもない、自分のためだけですから。」
王の傍らに立ち止まる。
そして剣を掲げる。
「…無様なものですね。」
515諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :03/05/20 07:58 ID:7i6GMdFq
王のまぶたがきっと開かれる。
その声に反応したのは言わずもがな。
「悪魔に魂を売り払って、その力を得て…現在の魔王の如き振る舞いをしたその代償。その命で払ってもらいましょうか。」
「貴様…!」
「ムーンブルクを滅ぼしただけでは飽き足らず…」
目の色は怒り、憎しみ…そして、一抹の悲しみ。
「サマルトリア、ローレシアには脅迫を仕掛け、宝物を奪い取り…」
稲妻の剣の切先は震えている。
「いま、ラダトームからの使者も手に掛けました。」
「何を言う。今この世の中。強者が世界に君臨するべきなのだ。平和な世の中に浸かりきった…」
「ならば、この行為も認められるべきですよね。」
勢いよく王の体に剣をつきたてる。
「貴様…!育てた恩をも忘れるとは。」
「母を手に掛けてそんな言葉をよく吐けたものですね。…父上。」
トルファは耳を疑った。
父上、ということは彼女は王女…
「いいんです。誰かがやることでしょうから。」
一歩踏み出したトルファに向かってスイは向き直った。
「しかし!」
「これは復讐ですから…殺された母の仇をとる為にここまで来たのですから。」
「…なら、ならば。」

続きを震えながら楽しみにしています
517諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :03/05/23 20:20 ID:ySy5ECVi
「ならば。」
自分の中の時が一瞬止まる。
「とどめは俺にやらせてくれ。」

「え?」
自分が何を言ったか一瞬理解できなかった。
「…何を言っているのですか。」
「俺が代わりにやるといっている。」
彼女にはわかっている。
たとえどれほど憎んでいようとも。
たとえどれほど傷つけても。
血を分けた親を殺めるのは…
「…わかってしまうものなのですね。」
「まあ、な。ここまででも相当な覚悟が必要だっただろうからな。」
剣だけが震えているわけではない。体全体が震えている。
彼女には…無理だ。

俺はわかっていたはずだった。
…俺の目的はすでに、ルプガナに着いた時から決まっていたのだから。

「稲妻の剣、借りるぜ。」
「はい。」
ゆっくりと剣を受け取る。
国王がにらみつけたような気がしたが。
それは俺にではなく、スイに向けられているのだろう。
そして俺は無心で剣を──
振り下ろす。
肉を斬り、骨を絶つ感覚。これからも慣れる事のない感覚。

この瞬間、俺の一生の中で忘れられない時となった。
518諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :03/05/23 20:25 ID:ySy5ECVi
…見ない花だな。
ふと教会の横のそれが目に入る。それは鮮やかな赤色だった。
ええ。かつて、ロトの子孫たちが上の世界から伝えたとされる花です。
花?変なものを伝えたもんだな。

その華の紅がまるでそのまま視界に広がるようで。

…はぁ?なんか嫌な名前だな。
呼称の一つですよ。「死人華」は。「彼岸花」とも「曼珠沙華」とも呼ばれます。
難しい呼び方をするんだな。
上の世界の…多少変わった風習を持つ国家にあったそうです。
それは血に染めたの如く紅い花。
この花は手折ってはいけないのです。

眼前に広がる鮮血。
辺りを包む炎の赤よりさらに紅く。
自分の服をさらに紅く染めて。

………

……

今 ふと弟切草を思い出した
小説楽しみにしてます!
520諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :03/05/24 00:10 ID:E9qSYadA
赤々と燃える王宮。
あれから好き放題に稲妻の剣の力を行使した。
様々な思いを込めて一撃一撃を放った。
それは過去との決別か。
もしくはたった今、すべてが始まったのだろうか。
俺には…知る術はない。
「これで、ムーンペタ王朝は滅びますね…」
「そうか?」
「各国が間違いなく攻撃を仕掛けてくるでしょう。…裏で攻撃機会を狙っていたようですから。」
「それだけ、恨みを買っていたとのことか。」
「ええ。」
語尾には一抹の寂しさ。
ここはムーンペタ南の橋。
迫り来る追っ手から逃れてここまで来た。
橋から見える王宮は紅く燃えて、夜空を朱に染めていた。
「…これから…どうするつもりですか?」
「ん。さあな。あてはないよ。」
とりあえず、顔を見られたかはわからないがしばらくはここには来れまい。
まあ、次来る機会はないのかもしれないが。
「とりあえず、当分はここにはこれませんですね。」
「そうだな。ほとぼりが冷めるまで…いつになるかはわからんが離れるべきだな。」
「私は南西に抜けていきたいと思います。」
町へのつながる通路を見る。
騎士らしき影が見える。
暗闇でよく見えないが、追っ手のようだ。
「…速いですね。」
「もう少し感傷に浸りたかったが、そう簡単には逃がさないわけか。」
「急ぎましょうか。」
トルファは少し考え込む。
521諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :03/05/24 00:11 ID:E9qSYadA
「いや。俺はここでやつらを食い止める。」
「え?」
「二人で逃げるよりばらばらになって逃げたほうがいいと思うしな。」
騎士がこちらに向かってくる。
「俺には逃げる算段があるといっただろう?」
「…そうですね。」
「今のスイに戦わせるワケにはいかないんだ。だから早く逃げろ。」
自分のことは自分が知っていることだろう。
スイの稲妻の剣は力を行使しすぎたためか少し光が鈍っている。
それに、彼女自身。
いろいろとあったから少し彼女は休むべきだと感じている。
「申し訳ありません。」
「さあ、早く。」
スイが一歩踏み出す。
「トルファさん。どうか、お気をつけて。」
「ああ。無事に逃げ切ってみせる。」
そういえば、初めてこの時、名前を呼んでくれた気がする。
「スイも気をつけてな。」
「はい。生きて、どこかで。出会えることを。」
だから自分も名前を呼んだ。
「ああ。」
振り返らない。もう、互いに迷いはない。
暗闇に目の覚めるようなドレスが溶けていくように消えて行った。
「さあ、しばらく俺と付き合ってもらうぜ。」
橋の上で向き直り両手剣を構える。
相手は、三人。
とはいえ、実際に実戦経験があるかは怪しい。
恐らく今のトルファの足元にも及ばないだろう。
「遠くに逃げてくれよ。」
そう呟いた。
522296 ◆kYB5EDmqco :03/05/24 00:16 ID:DY2sxPVc
とうとう完結か……。
523諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :03/05/24 00:51 ID:E9qSYadA
「これで、よし。と。」
追って来たのはあれからいなかった。
あの三人は地に伏している。
「さすがに手を焼いたな。」
はるかに技量においてトルファが優れていても同時に襲ってくる三人相手全員を素手で張り倒すのには手間取った。
さすがに拳が痛い。
「追手はいないのか。意外と甘いものだな。」
それでも長居は無用。
暗殺者が迫っているのやも知れない。
駆け出す前にもう一度城を見る。
居住区、商店街には火が回ってないはずだがそれでも少し気になる。
住民には悪いが…
それでも、これは自分の成すべき事だと確信している。
王宮の尖塔が崩れ落ちるのを見てから駆け出した。
スイが駆け出した方角とは違う方向。
ばらばらに逃げるということもあったが、自然とそちらに足が向いた。
寂しい気もしたが今、もう自分はここにいるべきではなかったのだ。
とにかく、走りに走った。
524諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :03/05/24 00:51 ID:E9qSYadA
ふと開けたそこにたどり着いたとき。
赤一色の世界が広がる。
もう見慣れたその赤は今までの赤とは違うな。
そう考えていた。
「よくやったな。」
「彼」が現れる。姿は老兵士…よく見るとムーンペタの兵士の服装だ。
「まったく。たいしたことやらせてくれるぜ。」
「ははは。」
「それにしても、何故ここでこの「世界」を広げた?」
先ほど走っていたときでもよかったはずだ。
「それはな。周りを見てみろ。」
「あ?」
周囲を見回す。
そこは曼珠沙華の群生地。
赤の世界の中でもさらに紅く自己主張していた。
「趣味悪いな。」
「今回の終焉の場所はここがいいと思ってな。」
「はいはい、そうですか。」
どっかと地面に胡坐を掻く。
「今回は竜王の孫のようなことはないだろうな。」
「うむ。あの者は「普通」の者。だからな。」
「…そうか。」
少し、寂しいかな。
「達者でな。」
ふと言葉が出た。
「なんだ?」
「いや、なんでもない。独り言だ。…ところで次の行き先は何処になるんだ?」
「そうだな。」
そう言うと、旅の扉が現れる。
「君の右手から…イシス、マウントスノー、そしてコスタリベラに続いている。時間ならたっぷりある。ゆっくり考えるがいい。」
「外」の世界の曼珠沙華が風に揺れた気が、した。
525諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :03/05/24 00:58 ID:E9qSYadA

*…以上。

*思った以上に長くなった。
*GW中に書き上げようと思ったがうまくいかなかった。
*とりあえず、選択肢には全く異なった展開、キャラクターを用意していたんだがそれは次の機会か。
*かなり行き当たりばったりだった気がするw
*書き忘れたスイの設定は…まあ、想像にお任せします。
526諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :03/05/24 00:59 ID:E9qSYadA
これからはまたしばらく華龍光臨の続きを書かせてもらいますわ。
527296 ◆kYB5EDmqco :03/05/24 09:16 ID:DY2sxPVc
次がコスタリベラにマウントスノーにイシスでは無理だな。
他のひとに期待
528北風:03/05/25 11:09 ID:6KSkm+7F
お久しぶりです。
現在、大学生活が通常の大学生よりも忙しいのでろくに書き込みもできませんし、このスレには四月以来初めて訪れましたが、しっかりとすすんでいてよかったです。
スラリソさんのムーンペタのお話面白かったです。
ゲーム終了後の後日談的な話は好きです。
思い入れのある各キャラについて、彼らがどんな余生を過ごしたのかを想像するのは楽しいものです。
529296 ◆kYB5EDmqco :03/05/27 22:29 ID:yLfWfln/
ほしゅ
530華龍光臨:03/05/29 00:08 ID:jJstv8r3
>>416の続き

「だが、これではまだ問題の解決になってはない。」
二人の口喧嘩が一息ついたところで劉備が割って入る。
「…そうですね。何故、こういう風になったかがわかりませんですしね。」
「うむ。」
「…動物と会話できりゃあ、問題はねぇんだがな。」
張飛の「動物」のニュアンスがどっちかはわからないがまあ、その通りだ。
「ふむ。」
「アルス。誰か知り合いにそんな人いないか?」
アルスにはかなり人脈がある。
いろんな人と知り合いになったきっかけはたいていアルスの叔父、ホンダラであるということだが。
これがまただらしない人らしい。
ホンダラの兄であるボルカノは漁で出払っていることが多く、マーレは家事が忙しい。
それ故叔父の仕出かしたことに対する謝罪周りは大抵アルスの役目であった。
「うーん…」
叔父の悪名は島中に広まっており、新しい島ができたことによって島の外にも早くも広まっている。
「一日、時間をもらえますか?」
それと同時に彼の知る者も少しずつ広まっている。
彼には劉備並に人をひきつける魅力がある。

531華龍光臨:03/05/29 00:20 ID:jJstv8r3
そして、アルスはとある人物の姿が思い立った。
「…心当たりがあるのか?」
さすがに動物と話ができる人材は劉備をもってしても見たことがなかった。
考えてみれば、当然なのかもしれないが。
戦乱の世でそのような才能があったとしても必要とはされないのだろうから。
「ええ。一人だけ。」
アルスの目には絶対の自信。
「連れてこれるのか?」
「その辺は問題ありません。」
「そうか。」
アルスが立ち上がる。
「兄者。決まりましたな。」
「ああ。」
劉備も立ち上がる。
「アルスはその人を連れてきてくれ。私たちはもう少し情報を集める。」
「わかりました。」
「じゃあ、アルス。早速行こうぜ。」
キーファがぐっと伸びをする。
「うん、行こう、キーファ、マリベル。」
そしてアルスたちは町長の家から出て行った。
532 ◆yGAhoNiShI :03/06/02 12:49 ID:p4GTzJpL
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533 ◆yGAhoNiShI :03/06/04 15:39 ID:uqXGkPDv
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ほしゅ
535 ◆yGAhoNiShI :03/06/05 14:31 ID:qOw0ZSXP
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536華龍光臨:03/06/05 23:35 ID:dztpvTe9
「…で、私たちはどうするのよ。」
アルスたちが出て行った後。孫尚香が呟く。
「うむ。先ほど、このようなものを見つけた。」
劉備は巻物らしきものを広げる。
「この辺を記録した地図のようだ。これを頼りにできるだけ情報を集めよう。」
「ふむ。」
地図を広げる。
「見たところ、目立つような物はここから北西にある山だけのようだが。」
目立つように印がつけてある。
「わざわざその山に印をつけてあるということは大層重要な山なのでしょうな。」
「エンゴウみたいに祭でもやるんじゃねぇの?」
「それにしてはあまりにも離れすぎている。林に山が広がっている上に怪物が出没することを考えるとあまりにも遠すぎるのではないか?」
なるほど、と張飛が髭を扱く。
「今…恐らく昼だろうが。」
辺りは常に薄暗いため時間の感覚が多少心もとない。
「少なくとも夜には帰ってこれるでしょうね。」
それでも夜に比べればまだまだ明るい。
「とりあえず、ここに置手紙を記しておこう。」
ペンとインクを手に取る。
…いまだにペンを取る手には慣れないものがある。
「…これでいい。よく見えるよう、机の上に置いておこう。」
窓から入る風に飛ばされないよう花瓶の下敷きに敷いて席を立つ。
「とりあえず、見に行くだけ見に行こう。」
「うむ。」
雌雄一対の剣を手に取り、立ち上がった。
537華龍光臨:03/06/09 06:08 ID:7uQQM4ZU
町から北西へ歩くこと二時間ほど。
北西へと広がる平地をしばらく歩く。
一応、道らしきものがあるらしくそれを辿って行く。
…そして。
「ここからは森になるか。」
「うむ。ですがもはや道らしきものは見当たりませんぞ。」
森の入り口にはこの先に山があると書かれたような看板が。
だがその先は鬱蒼とした森が広がっていた。
草は伸び放題。木も伸び放題。
手入れなんてされていない。
もはや道の原形をとどめていなかった。
「兄者。どうする?まだ先のようだぜ。」
「ふむ。」
「一旦戻る?」
「いや、せめてその山とやらの入り口にまで行っておこう。後で迷わないように。」
「時間はまだあるだろうしな。」
張飛がずかずかと森の中へと入っていく。
伸びきった雑草を蛇矛で切り払いながら奥へと向かう。
まあ、こんなに深そうな森ならば立て札が一つや二つあるだろう。
そんなことを考えて一歩森へと足を踏み入れる。
まさに暗闇。
そして頭上を覆う葉の層は空からのかすかな光をも遮断していた。
「翼徳!先に行き過ぎるな。迷うぞ!」
張飛の後を追いかけるように奥へと足を踏み入れた。
538華龍光臨:03/06/10 05:03 ID:WZjwgwYi
雑草を切り払い、怪物たちを退かせながら進む。
森の番人たちが集団で砂を吐かれた時は散り散りになりそうであったがなんとかそのような事態が免れた。
何度も迷いそうもなるがちょうど都合よく立て札を見つけることができ無事に山へとたどり着くことができた。
森が開ける。
「どうやら、ここが目的地のようだな。」
「そうですな。」
石でできた門を潜る。
地面には石畳。大きい物で何かの方陣を形成している。
雨曝しになった石版には今では読み取ることができないが何か呪文らしい何かが刻まれていた。
そしてそのような石版の奥には洞窟が見える。
その洞窟の入り口には岩扉があり、頑なに侵入者を拒んでいる。
「少なくとも、祭で使うような所ではありませんな。」
「どうする兄者。このくらいの岩扉なんてぶち壊すのは楽勝だぜ。」
「いや、一旦引き上げる。恐らくここに何かがあるのは間違いないのだが何も知らないで行くと痛い目にあう恐れがある。」
山を見上げる。頂上付近には漆黒の霧が広がっていた。
「民があの霧について何か知ってるやも知れぬ。今現在の我らでは何も知らなさすぎる。」
「口封じをするためにあのような姿にしたとも考えられるわね。」
「にしても、それだったら殺しちまったほうが早くはないのか?」
「それが死道のやり方だろう。やつらは民を苦しめるだけ苦しめるんだ。…忘れはしまい。」
「…そうだったな。」
張飛がつばを吐き捨てる。
生まれ育ったあの大地で死道の軍勢に埋め尽くされた洛陽に一人で向かったとき。その道中の景色が思い起こされたのだろう。
実際にその目で見た張飛には容易に想像できたものだった。
「…良い。我らがこの地にいるということは死道を討伐せよとの導きに相違ない。必ずや、打ち滅ぼしてくれん。」
「ああ。どんな奴だってぶっ飛ばしてやるぜ。」
「それにもまずは戻って情報を集めなければなりませぬな。」
「ああ。雲長。」
黒い霧をにらみつけて踵を返した。
どんなガボが登場するのかなー。楽しみでっす。
540華龍光臨:03/06/14 08:00 ID:2+YG1ImP
平地を歩く。
山から町へと戻る道だ。地平の彼方に町が見えてきた。
「兄者、あの少年は何処に行ったのでしょうな。」
「元は動物とはいえ心配ではあるな。」
帰りの道は楽なものだった。魔物が何度か襲い掛かって来たが敵ではなかった。
「大丈夫なんじゃない?」
「まあ、こういう状況なら安全な場所に隠れているとは思うのだが。」
そして、行くときの半分の時間で町へと戻ってきた。
収穫といえばその山とやらの場所が判明しただけだがそれだけでも十分な収穫と思うべきだろう。
次来るとき、そしてこの地が復活したときも迷わず来ることができることだろう。
「となると、この町のどこかに隠れているのか?」
「ある意味、「安全」ではあるな。」
こちらの動向が知られない限りあちらから動き出すことはないはずだ。
すでにこの町には死道の手が下されたのだから。
後はこのまま死を待つだけの町。
だが「治療」を施せばまだ復活できる。
今、この地はそんな状態であろう。
劉備の目の前に動物──本来はこの町の住民──が横切る。
「とりあえず、あのでかい家に戻ろうぜ。」
「うむ。」
そうしてあの家の扉に手を掛ける。
541華龍光臨:03/06/17 03:13 ID:9SYjUGem
まだ、アルスたちは帰ってきてなかった。
「兄者、死道の軍勢はどれほどのものでしょうな。」
「うむ。わかっているのは我々が戦ったあいつらは一部に過ぎないということだな。」
関羽が椅子に腰掛ける、椅子が少し悲鳴を上げる。
「だけどよ、死道軍勢は意外と人材はいない様子だったな。」
「確かにな。無理矢理魔物にさせられた者たちが大勢いたな。」
死道は捕まえた将兵たちに奇妙は宝石を丸呑みさせていた。
完全にその宝石を取り込む前に取り出せば将兵は元の姿に戻ったという。
「…マチルダ殿もそういったものだったのだろうか。」
「おそらくは。マチルダ殿はすでに完全に取り込んでしまったのだろう。」
もう一つミシリと椅子が悲鳴を上げる。張飛が乱暴に椅子に腰掛けたのだ。
「椅子が壊れるぞ、翼徳。」
「ん?」
その刹那。椅子が派手な音を立てて壊れた。
…関羽の座っていた椅子だったが。
やはり、あの巨躯を支えることのできなかった。
誰からとなく笑いが起こる。
そしてそれは部屋全体に広がっていった。
542華龍光臨:03/06/20 08:10 ID:kOwn308n
アルスたちが戻ってきたのはそれからすぐのことだった。
部屋の片隅には壊れた椅子。…二つ。
あれから張飛の座っていた椅子も派手な音を立てて潰れた。
「その人が、動物と話せるといわれる御仁か?」
「ええ。フィッシュベルの南西できこりをしている人です。」
「事情は聞いておるぞ。動物たちでも有名じゃぞ、劉備殿。」
「それは光栄なことです。よろしくお願いします。」
劉備がお辞儀をする。
「では早速ははじめるべ。」
「お願いします。こちらにどうぞ。」
奥にいる婦人──元は動物である──の元へと連れて行く。
「ふむ、最初は信じられなかったが確かに顔は猫と語っているだよ。」
「で、その婦人はなんと。」
「白い狼一族がかつていた、ということだよ。動物界の伝説の一つだよ。」
「聞いたことがあるわ。御伽噺で、だけど。」
「どこかへいってしまったという話だね。」
アルスが相槌を打つ。
フィッシュベルやグランエスタードに伝わる御伽噺の一つらしい。
「動物たちで語られている実際にあった伝説だよ。」
きこりがその婦人──実際は猫らしい──から話を聞き出す。
「この北西の山がその白い狼たちの生誕の地といっておる。」
北西の山…ぴくりと劉備の眉が動く。
「おったまげたや!まさか白い狼たちに出会えるやもしれんとは!」
「おじさん。たしか、白い狼は絶滅してしまったと伝えられているのではないですか?」
「うむ。じゃが、ここは過去の世界。うまく行けば出会えるやもしれんぞい。」
「いえ…」
アルスの声は緊張のそれ。
アルスの声は緊張のそれ。
「もし、生き残っていたとしたなら…阻止しようと動いているはず。」
一瞬静寂が辺りを包む。
「この状態だとすでに…」
「確かに、そうだな。」
「ですが、怪我をしたとかそういう理由で生き残りがいるかもしれません。この近辺がその白い狼の生誕の地というなら…」
「動物たちに聞き込みをすればいいってワケね。」
「伝説となるくらいの英雄なら簡単にやられはしないだろうからな。」
マリベルとキーファがが横で頷く。確かに動物だけが知りうる情報もあるだろう。
動物界の英雄となると、そしてこの地がその生誕の地だというと有益な情報が見込めるやも知れない。
「会話についてならワシにまかしておけ。」
「それでは、頼みましたぞ。きこり殿。」
「それでは町を回ってきますね。」
「我々も行こう。ここにいてもすべきことはないのだから。」
「うむ。それでは参りましょう。」
とりあえず、壊した椅子の分の修理費を謝罪の手紙とともに机の上にへと置いて家から出て行った。
「翼徳よ。次は壊さないでくれよ。」
「玄徳兄者、雲長兄者にはいわねぇのか?」
「雲長は別段問題はなかっただろうに。」
544名前が無い@ただの名無しのようだ:03/06/20 11:08 ID:bmO/c61n
さ ら し あ げ
545華龍光臨:03/06/25 09:56 ID:5RFOBuS+
それははるか昔の物語。
魔物たちと戦った勇敢なとある狼の物語。
かつて、魔王と神が戦った大戦に参戦し、魔王軍の将軍を数多く仕留めて神より退魔の力を授かったという。
そして魔王は滅び、世界に平穏は訪れる。
しかし、神のほうも甚大な被害を受け、眠りにつくことに。
大戦は勝者がいないまま終結に向かっていった。
しかし、世界はいまだ混沌の渦中にあった。

そしてこの地に流れ着いたのはその狼。
この地はいまだ魔王軍の残党が巣食っていた。
人々は酷使され、その目には光はなく、絶望が支配していた。
狼は魔物に単身戦いを挑む。
三日三晩に及ぶ激闘は狼の勝利に終わる。
しかし、勝利したものの完全に滅するにはいたらず、封印するに留まった。
狼はそこに留まり、封印を守ることになった。
時は経つに連れ、力は弱まるがその力を継承するものとして今でもその狼の子孫は生き延びている。
その雪のように白い体躯を煌かせて。

「ふむ。」
「これが私たちによく知られている狼の御伽噺よ。」
情報を集めながら、その御伽噺というものを聞く。
546華龍光臨:03/06/25 09:57 ID:5RFOBuS+
情報を集めながら、その御伽噺というものを聞く。
牧場にいる農夫──馬、との事。から話を聞き続ける。
「神と、魔王との戦いか。」
「死道とは違うのか?」
「死道の教祖ハーゴンは破壊の神を呼び出そうとしていたと聞く。魔王に当たるのが破壊の神なのかも知れぬ。」
なるほど、と張飛が髭を扱く。
「…兄者、魔王は滅んだ、といいましたな。先ほど。」
「確かに。」
「ですが、神も傷ついた、と。」
「うむ。」
「いわばこの世界は領主のいない都市ということになりますな。」
誰の支配も受けない自由な都市。
聞こえはいいのだけれども。
盗賊、山賊が闊歩するならず者の土地である。
弱肉強食。
弱者を守るためにも、悪を滅するためにも「統べる」ことは必要なのである。
魔王はいない。
神も、いない。
いうなればここは広大な空白地。
そして、今は魔王──恐らく破壊の神であろう──の復権を図らんと死道は策を弄していることだろう。
「劉備殿、終わっただよ。」
「ありがとうございます。それで皆はなんと?」
成すべきことは二つ。死道を撃破することと、神の復活…

547名前が無い@ただの名無しのようだ:03/06/30 12:08 ID:hAD7fP9d
期待上げこと
548名前が無い@ただの名無しのようだ:03/06/30 12:16 ID:5h7cK1u9
???「ギシギシアンアン」
549華龍光臨:03/07/03 23:07 ID:wcoC9fDk
再び、山に戻ってきた。
あのきこりも伴って。
情報を集めてわかったことは山に封ぜられた魔物が何者かの手によって封を解かれてしまったこと。
白き狼はそれと戦って…敗れたとの事。
白き狼はいまだ子供である一匹を除いて全滅し、その子供もまた怪我を追って行方知れずになっていた。
復活した魔物はいまだにその白い狼を追い続けている事。
そして、村長らしき家の横の倉庫にいた少年はその白き狼だということ。
「急ぐぞ。」
「おうよ!暴れさせてもらうぜ。」
「翼徳。飽くまでもその少年の保護が最優先だ。」
「わかってるって。」
三兄弟、三人がかりで出入り口の岩戸を空ける。
壊そうかと張飛が言ったがとりあえず、それはやめておいた。
「兄者。見られてますな。」
「…そうだな。」
扉を開き終えた後に辺りを見回す。
複数の視線を感じる。
「狼だあよ。」
きこりがそう言うと、林の奥から一匹、群れの長らしき狼が出てきた。それに引き続き数十匹の狼が。
「…白い狼を追ってきたのか?」
「おそらくは。」
「必ずや、白い狼の少年は助けてみせる。安心してくれと伝えてくれ。」
「わかっただよ。」
狼ときこりが会話をする。理解したのか狼たちは再び森の中に消えていった。
「おそらく、白い狼はここにいる。敵は援軍を呼ぶだろうから食い止めるって言ってただよ。」
「そうか。…頼むぞ。狼よ。」
松明に光を点し、奥へと向かう。
550華龍光臨:03/07/10 21:34 ID:KeglpDcS
洞窟の中はとても湿った空気。
辺りは苔臭く、足元には水溜りがちらほらと。
天上が水滴がポツリポツリと落ちる。
松明に水滴が落ち、蒸発した。
「静かですね。」
「恐らく、敵の注意は狼に向いていることだろう。」
唯一の抵抗勢力だから。と付け加えて。
「確かに、注意力散漫でも仕方はないわね。」
先に進むと曲がり角にたどり着く。
曲がり角の先には明かりに複数の魔物の影。
「よし、一気に敵を叩くぞ。」
全神経を曲がり角の先へと集中させる。
背後を警戒するのは孫尚香。
仮にも弓腰姫と言われたほど。並の魔物なら負けはしないだろう。
一瞬の緊張。
そして一気に飛び出す。
相手は三匹、それも一匹は背を向けている。
背を向けているかにおとこを一気に青龍偃月刀で一刀両断。
もう一匹はこちらを認識した瞬間には張飛の体当たりで吹き飛んでいた。
そして余った一匹はキーファの火炎斬りで燃え尽きていた。
「よし、だが、先は長いな。」
劉備の溜息が響く。まだ、ここは入り口に過ぎないのだ。
期待age
553華龍光臨:03/07/11 23:40 ID:Sp0gXLQq
逸る気持ちを抑えて奥へと進む。
張り詰めた緊張の糸。
相手の規模も知れぬ中では下手に目立つわけにも行かない。
いま、狼が体を張って敵の注意をひきつけている。
台無しには、できない。
そして辺りに響く物音。
誰が出した物音ではない。
この先に何かある──
覚悟を決めて一気に踏み込む。
そしてそこにあったのは…

「泉、か?」
「ええ。そのようです。」
そこには泉。魔物の影はない。
あるのは泉と奥へと通じる通路のみ。
「雫が落ちたのが響いたのでしょうか。」
こういう時のこういう音はやけに響くように感じる。
間違いはない。
張飛が泉の中に蛇矛を突っ込んでかき混ぜているようだが何も手ごたえはないらしい。
そういえばここは多湿である。
雫があちらこちらの天上から落ちてきている。
少し、緊張しすぎていたようだ。
毎回楽しみにしています。
555山崎 渉:03/07/15 14:50 ID:BfGBY7JW

 __∧_∧_
 |(  ^^ )| <寝るぽ(^^)
 |\⌒⌒⌒\
 \ |⌒⌒⌒~|         山崎渉
   ~ ̄ ̄ ̄ ̄
556華龍光臨:03/07/20 00:44 ID:So/BOSe6
「兄者、ここからは山の中腹に出るようですぞ。」
「むう。屋外ということか。」
「そうでございますな。」
そういわれてみると外からの乾いた空気が頬をくすぐる。
「ここから先は見つかること、止む無しか。」
あとは駆け抜けるだけ、なのだろう。
時間に猶予はない。
狼たちは長きに渡る連戦で疲弊していることだろう。
そのような状態でおとりで戦うことを引き受けてくれた。
狼の行為を無駄にはできない。
「敵がいますね。」
「うむ、見たことあるか?」
「いえ、残念ながら。」
鳥を従え、空を飛び、手には弓矢。…空の狩人だ。
「弓兵か。櫓要らずだな。」
「兄者、我らの手の届かないところから射られますと厄介ですぞ。」
「こちらにも弓矢があればいいのだが。」
通路の出口でこちらに背を向けている。
まだ気付いていないようだ。
「ないなら奪えばいいんじゃない?」
「ふむ。」
劉備が懐から短刀を忍ばせる。
「当たるのかしら。」
「当てねばなるまい。」
指先に全神経を集中させる。
そして、振りかぶる。
…その後、短刀は一筋の流星となった。
557華龍光臨:03/07/21 03:35 ID:578Egy07
狙いは外すことはなかった。
「兄者はやっぱりすごいぜ。」
短剣の扱いは慣れている。
少なくとも張飛よりかは。
一緒にいた鳥たちはどうやらどこかに行ってしまったようだ。
自分たちのことが知れるかと思ったが。
「大丈夫、あの鳥たちは無理矢理参加させられていただけだべ。」
と言うきこりの言葉で安心した。
斃れた狩人の傍に注意深く近寄り、手持ちの矢と弓を確認する。
矢は十分数がある。
…弓はあくまで狩猟用の手弓であった。
「手入れはきちんとなされている。敵ながら天晴れだが、軍用の弓ではないな。」
「大きすぎる弓だと機動性が損なわれてしまうのでしょうな。」
少なくとも体躯の大きい関羽、張飛の二人は小さすぎる弓である。
「ごめんなさい、弓は扱ったことはないので。」
「アルスに同じ。」
アルスもキーファも駄目。マリベルは言わずもがなだろう。
「じゃあ、私が使うわね。」
「うむ。そうだな。」
と、なると武芸達者な孫尚香に白羽の矢が立つ。
手弓といっても彼女には十分である。
「それではそろそろ参ろうか。」


558華龍光臨:03/07/22 04:36 ID:/6D3S5+w
矢を番え、弓を引き絞り狙いを定める。
相手は三匹。まだこちらに気付いていない。
ひゅうと音がして矢が放たれる。
空の狩人が一匹、谷底へと落ちていった。
こちらに魔物たちが気付く。
されど、瞳には余裕の色。
すでに二本目の矢が番えられている。
そしてもう一回、矢が空を切る。
そしてまた一匹が谷底へ。
残りの一匹が矢を番える。
急ぎこちらも矢を番えるが、一呼吸早く…
短刀が空を切り裂いた。
「さすがに三匹では対応できなかったか。」
利き腕とは逆の手に短刀が数本。いつでも援護できるようにしていたのだ。
「…そのようね。」
「行こうぜ、後はぶっ飛ばしてやろうぜ!」
「ああ。急ぐぞ!」
559華龍光臨:03/07/23 10:38 ID:0H5VIHIg
敵の気配は多くはない。
やはりほとんどの手勢は狼に向けられているようだ。
「敵の体勢が整わないうちに一気に敵総大将をしとめてしまうぞ。」
「おう!一息に飲み込んでやろうぜ!」
頭上には複数の空の狩人。
一匹射落とされ、谷底へ消えた。
もう一匹が孫尚香に狙いを定めていたがマリベルの呪文に焼かれこれも谷底へと消えた。
「ありがとね。」
「任せといて!」
続けざまにラリホーを唱えて敵を無力化する。
鳥まで寝てしまい、そのまま谷底へ落ちていったものもいる。
恐らく助かりはしないだろう。
そして目の前にはインプの群れ。
「しゃらくせぇ!」
懐に飛び込んできたインプの顔を鷲掴みにして地面へと叩きつける。
そして叩きつけたインプを群れへと投げつける。
「おまえらじゃ、準備運動にもなりやしねぇ。」
青龍偃月刀が一閃する。
はなカワセミが花びらを撒き散らし、落ちた。
「そこをどかれよ、我が太刀を受け止められぬのなら。」
敵わぬと見た怪物たちが離散していく。
所詮統率されていない怪物たち。
本能のまま動くため命の危険を感じれば何をせずともすぐに崩壊する。
「うむ。…あとは。」
「山頂にあると思われます怪物の親玉を倒すだけですね。」
「そうだな。策を弄される前に打たなければ。急ごう。」
そして山道を駆け出した。
560名前が無い@ただの名無しのようだ:03/07/26 20:53 ID:AhbJOrtj
皆に質問なんだが、ドラクエとFFのエロ小説がおいてある
保管庫みたいなのがあったと思うんですが、
もしあったらアドをのせて欲しいんですが。
知ってる人、教えてください。


期待age
>>560
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
まあいいや。ここの>>1見れ

FF・DQ千一夜物語 第413夜
http://game2.2ch.net/test/read.cgi/ff/1048322547/
序章〜回る世界〜

この世界は神なる竜によって護られています。
神竜は世界の監理者として天空の城にて全てを見守っていました。

しかし、1000年前ギアガ火山より突如現われた異世界の軍勢は瞬く間に地上世界を蹂躪し
人々を苦しめ、やがてその矛先を天空の城に向け始めたのです。
天空城に住むアーリア人は、地上人と違い遥かに強い肉体と精神を持つ種族でした。
神竜とアーリア人は、善戦し魔族の軍勢を退けましたが、
いつまたギアガ火山より異世界の魔族が侵入してくるかわからない状況でした。

そこで神竜はギアガ火山の大穴を封印するべく、1人のアーリア人の巫女を指名し
異世界とこの世界の間にもう一つの世界を作らせることで、
この世界に侵入するものを監視するように派遣したのです。
巫女の名はルビス。
アレフガルド(最初の国)と名づけられたその世界は、非常に小さい世界でしたが
ルビスはその世界を如何ようにも広げることができる能力を与えられました。

ところがアレフガルドを作るには、いまあるこの世界をはさみ正対する位置に同じような
世界を作る必要がありました。そうしないと世界を循環する精霊たちの調和が乱れてしまうのです。
先の魔族との戦いに傷ついた神竜は、そちらに天空世界を移動させ
ミッドガルド(中の国)と名づけたいままでの世界をアーリア人に管理させることにしました。
アーリア人達は天空城より一回り小さな城を空に浮かべ、世界を監視する王都としました。
アリアハン(アーリアの王)は、世界を統べる城として神竜に変わりミッドガルドを治めることになったのです。
最初のうちはアーリアハンに付き従っていた地上人達ですが、誰もがアリアハンに臣従したわけではありませんでした。
世界でもっとも高地にあったネクロゴンドの王は、いつも空に浮かぶアリアハンを苦々しく眺めていました。
『まったく、なぜ神でもないものが我らの頭の上を飛びまわっているのだ。』
『だいたい奴等アーリア人とワシら地上人で何が違うというのだ。同じ人間ではないか。』
『高いところにいるだけで王というなら、地上の王はワシだわ。』

日毎不満を募らせるネクロゴンド王は、ある夜不思議な夢を見ます。
真っ暗闇の中、王は一人佇んでいます。
すると遥か天空の高みより声がするではないですか。
『人の王よ』荘厳な声が響き渡ります。
「誰じゃ?
『人の王よ』
「ワシをネクロゴンドの王と知ってか?
『人の王よ、答えよ。我は汝の協力者。全ての望みを叶えよう。
「なにを世迷言を。ワシに手に入らぬものなどない
『答えよ、人の王。汝の望みはこの世界の王。されどアリアハンある限り汝の望み癒されることはない。
「黙れ!そんなことはわかっておる。
『されどネクロゴンドの王よ。地上世界ならば全てをそなたの手に治める方があるぞ。
「いわれずとも既に準備はしておる。我らのシャーマン軍団に対抗できる国などこの地上世界にあるものか。
『くっくっく、されど王よ。アリアハンは戦乱を撒き散らすネクロゴンドをほうってはおくまい。
『アリアハンはどこにでも現われることができるのだぞ。
「ふんっ、そんなことはわかっておるわ。それゆえ思案しておるのではないか。
『墜とせばよい。
「何っ!
『墜とせばよいではないか、人の王よ。アリアハンを天空より墜とせばよい
「痴れものめ。それができるならとうにやっておるわ。
564華龍光臨:03/07/29 10:20 ID:Jfsippyl
山頂ではないが、それに近い場所。
柱が立てられ、地面には摩訶不思議な紋様。
そして少しだけ開けられていた岩戸。
間違いない。
「ここのようだな。」
「うむ。時は一刻を争いますぞ。」
「よっしゃあ、俺がぶっ飛ばしてやるぜ。」
通るには多少狭いので張飛が岩戸を開ける。
「…人と見られる足跡が。」
足元を見る。複数の足跡が。
「この大きさだとどう考えても子供よね。」
魔物と思われる足跡の中に少年の素足のものがある。
「違いないな、あの少年と考えるのが妥当だろう。」
「…その割には中は静かですね。」
岩戸の中は静まり返っている。
戦闘が起こっているわけではない。
「隠れているのだろう。さすがに一人だとさすがに叶わないだろうからな。」
「それも慣れない人間の姿だべ。」
きこりが付け加える。
確かに、ここに来たといえども戦うのもままならないのやも知れない。
「兄者、中には誰もいないようですぞ。」
先に中に入っていった二人が出てくる。
「けどよ、何かでかい棺みたいなものがあるぜ。」
「棺?」
「封印されていたという魔物の棺かと。」
「なるほど。とりあえず調べてみようか。」
565華龍光臨:03/07/29 10:26 ID:Jfsippyl
中は永年人の侵入を許してなく何処も彼処も黴臭かった。
部屋の中央には石の棺が鎮座していた。
「ふむ。某ならちょうどよさそうですな。」
「大きさは雲長が入ってちょうど良いという感じだな。」
一般男性にとっては遥かに大きいのだろう。
「魔物がいたということは間違いないようですね。」
「アルス、何かわかるのか?」
「ええ。ここに紋様がありますが…」
アルスが棺の横の紋様を指差す。
「この紋様は魔を封じる効果があります。魔物そのものを示すこともありますが、呪文も無効化する意味合いも込められています…っ!」
アルスが腕を抱えて苦しみだす。
「大丈夫か?」
「アルス!またか!」
キーファが駆け寄る。
「また?」
「ああ。アルスはなぜかこのような古代文字が読めるようなんだ。だけど決まって苦しみだすんだ。」
腕のあざがかすかに光っていたのは気のせいだろうか。
「…無理はするな。これから戦いが控えている。体を休ませろ。」
「はい、すみません。」
辺りを見回す。
魔物の姿はおろか、少年の姿もない。
「劉備殿、何かここはおかしいべよ。」
きこりが少し震えながら辺りを見回す。
自然と向き合うのが仕事だから異変には人一倍敏感なのだろう。
「劉備!こっち!」
呼ばれた先に向かう。
エニックス公式小説の話題のスレ無いか?と
探してたんだけど違うのね
567華龍光臨:03/08/01 16:13 ID:t82N2SLI
少年が、倒れていた。すぐさま駆け寄る。
ここは呪文が使えない。その原因は先ほどアルスの言っていた棺にあるのだろう。
ここの魔物を統率する者の力量がわからない今、棺を壊すなどという軽率な行動を起こすべきではない。
「きこり殿、お願いします。」
子供をきこりに託す。
出血はあまりにもひどい。直ちに止血措置をきこりが施す。 …子供の意識はない。
「一旦、ここから出て医師に見せたほうがいいんじゃねぇか?」
「…かも知れぬな。…フィッシュベルへ戻って治療をしよう。」
劉備が少年を背負い、階段へ歩を進める。
「劉備殿!あ、あれ!」
突如きこりが大声を出す。
「来やがったな。」
張飛が舌打をする。
部屋の天上からゆっくりとその魔物は姿を現す。
体躯は関羽のそれと同じくらい。
「ほう。まだ、動物になっていない人間がいたか。」
ごくりとつばを飲む。
「まだ俺の復讐は終わっていない。あのにっくき白い狼を全滅させるまでは…」
…気付いていないのか。この少年が白い狼だということを。
劉備兄弟が前に出る。きこりに子供を託す。
きこりと孫尚香の二人は少年の元に。
「劉備さん!魔物が階下に!」
アルスの声が響く。
「来たな。遅かったな。」
魔物の声が響く。
「アルス!食い止めるわよ!」
「暴れてやるぜ!」
アルスたちが階下へと駆け出す。しばらくは食い止めてくれよう。
「まずは貴様らから血祭りにあげてくれる!」
「できるものか!」
その刹那、洞窟内にもかかわらず風が吹き荒れた。
568山崎 渉:03/08/01 23:51 ID:t1UEbNyh
(^^)
569華龍光臨:03/08/08 19:05 ID:eMLloYc1
洞窟内を嵐の如く風が吹き荒れる。
きこりは少年をかばうように地に伏せている。
ただの風ではない。
「気をつけろ!」
「かまいたちですな。」
劉備の頬を血が伝う。
真空の刃が絶えず繰り出されている。
付け込む隙を探して様子を見る。
「雲長、翼徳。囲むぞ。」
「うしっ!」
二人がゆっくりと回り込む。
「何をしようと…このデス・アミーゴ様の作り出した風の中では身動きできまい。」
この風は奴自身が作り出している。
かつての黄巾賊との戦いのときのように裏はない。
だが力と力のぶつかり合いなら分はこちらにあるはずである。
「こっちは任せといて、子供には傷一つ負わせないわ。」
「任せたぞ。」
そして一歩踏み込む。
真空の刃が頬を掠めるが気にしない。
そしてもう一歩。
もう少しで剣が届くか。
その刹那。何かが眼前に移る。
顔面にもろに受けて体制を崩し強風で激しく吹っ飛ぶ。
「がっ…」
体全体をしたたかに打ち付け、意識が飛びそうになる。
だが、何とか意識を繋ぎとめる。
570華龍光臨:03/08/08 19:05 ID:eMLloYc1
「兄者!」
「なんだ、今のは…」
精々拳程の大きさではあるが石ではない。
倒れる劉備に追撃とばかりにそれが飛んでくる。
転がってそれを避ける。
飛んできたもの見て劉備は驚愕する。
なんと人間の眼球である。
「…なんということを。」
ぐっと、立ち上がる。
「何も罪もない民が。このような目にあわせられるとは。」
くっと怪物を見据える。
関羽と張飛は奥のほうまばゆい光で足を止められている。
敵の力はどれほどかわからないが、ここで戦う分には相手は呪文が使えない。
どれほどすごい呪文を持っていようとも使えなくては意味がない。
それでも、今、相手は慢心の内にある。
付け込める隙はあるはずだ。
雌雄一対の剣を構え、相手をじっと見抜く。
少しでもこの風を弱めることができれば一気に仕留める事ができるだろう。
相手のほうにもう一度一歩踏み込む。
攻撃が何度も体に打ち付けられるが眼球をえぐられた民を思えばこの程度痛くも痒くもない。
相手はこちらに見向こうとはしない。
真空の刃が切りつけられる。
だが、もう怯まない。
もう剣が届く距離だ。
だが、この風に中では剣は振ることは叶わない。
もっと踏み込む。
そして懇親の力を込めて。
571華龍光臨:03/08/08 19:06 ID:eMLloYc1
「な、なに!?」
嵐のように吹き荒れた風が突如止まる。
デス・アミーゴに驚愕の色。
吹き荒れた風で気付かなかったのだろう。
劉備が背後から飛び掛って動きを封じる。
一瞬だがデス・アミーゴの注意が関羽たちから離れる。
「雲長!翼徳!やるのだ!」
「兄者!」
風が止まり劉備が雌雄一対の剣を突き刺す。
劉備はすぐに振り飛ばされる。
だが、その隙を付け込まない二人ではなかった。
すぐに青龍偃月刀が煌き、蛇矛が火を噴く。
動きを封じられた分を吹き飛ばすかのように魔物は打ちのめされた。
「兄者、大丈夫ですか!」
「うむ、大事無い。」
すぐさま関羽が劉備を助け起こす。
「やっぱり兄者はスゲェな。」
二人の肩を借りて立ち上がる。
「よくもやってくれたな…」
魔物が再び立ち上がる。
「しぶとい奴め。」
全身から血を流しながらも奴は立ち上がった。
DQ官スレもうだめぽ
573華龍光臨:03/08/11 22:17 ID:i6jeFjBa
デス・アミーゴはゆらりと立ち上がる。
体中から血を流しながらもその瞳には濁った光が。
「あのお方に授かった力。この程度で尽きるはずもなかろう。」
「この程度では斃れぬか。」
くっと、歯軋りをする。
「ならばもう一度叩き潰せばいいだけだな。」
ぐいと張飛が一歩前に出る。
「見よ、二人とも。」
見る見るうちにデス・アミーゴの傷がふさがっていく。
突き刺した雌雄一対の剣が床に落ちる。
そして、傷は完全に埋まった。
「けっ、なら。てめぇの血が尽きるまでぶっ飛ばすまでよ。」
再び身構える。
激しい轟音と共に風が巻き起こる。
「……………!」
「…………!」
背後にいるきこりたちが何か叫ぶ。
だが、轟音の中にそれはかき消されてしまう。
「今一度散らばろう。傷は癒えてもその分の疲労はあるはずだ。」
「そうですな。」
「何度でもぶっ飛ばしてやるぜ。」
574華龍光臨:03/08/11 22:19 ID:i6jeFjBa
「食らえ!」
先に動いたのはデス・アミーゴ。
真空の刃が三人を襲う。
だが、反呼吸早く三人は動き始めていた。
劉備はすばやく雌雄一対の剣を拾い上げる。
そして一気に間合いを詰めて…
「今度は某が。」
後一歩のところで一旦後退する。囮である。
先ほどのことがあり、完全に注意は劉備に向いていた。
まず先にすばやく駆け寄った関羽が一閃。
渾身の一撃は半身を切り裂く。
「そう何度も動きを止められる俺たちではないぜ!」
蛇矛で突き刺すと見せかけて豪腕が唸る。確実に相手の顔面を捉える。
激しくデス・アミーゴが壁へと叩きつけられる。
「ざっと、こんなもんよ。」
「さすがだな、翼徳。」
ゆっくりと吹き飛ばしたデス・アミーゴの元へ近寄る。
「これでもまだ生きているというのか。」
すでに傷口は塞がりかけていた。
「まったくしぶとい奴だぜ。」
「この程度では我を止めることなどできんぞ。」
三度デスアミーゴが立ち上がる。
「それなら次はそれ以上の一撃を食らわせるまで。」
再び構えようとした瞬間、素早くデスアミーゴに飛び掛った影があった。
劉備たちは一瞬、目を疑った。
575あぼーん:あぼーん
あぼーん
576華龍光臨:03/08/15 10:47 ID:JMHUu6gK
「何っ!」
劉備の真横を飛び掛るように小さな影が通り過ぎる。
そしてそのままデス・アミーゴへ飛びついていった。
咄嗟に反応できなかったデス・アミーゴは直撃を食らう。
…影は、あの少年であった。
「大丈夫だべ。いま、秘策があるって言ってたべ。」
背後からきこりの声が聞こえる。
「秘策?」
そうこうしている間に引っかいたりしながら少年は相手に傷を負わせている。
「よし。奴を押さえ込むぞ。」
「よっしゃ、まかせとけ。」
三人がかりで押さえ込む。
その間に少年は何度も引っかいている。
横から見る限り目立ったような行動は起こしてはいないのだがそこは白い狼。何かあるのだろう。
そして長すぎず、短すぎず。一通り策を施し終えた少年はすばやく離れる。
「兄者。」
「うむ。離れて様子を見よう。」
渾身の力で押さえ込んでいた三人も離れる。
577華龍光臨:03/08/15 10:52 ID:JMHUu6gK
「き、貴様ら、何をした?」
「我らは知らぬ。御主が一番わかっているのではあるまいか?」
目に明らかに異変が。
動きが明らかにぎこちない。
風を起こそうとするが両の腕に風は集まらない。
半身を切り刻まれても瞬時に回復した治癒能力が少年の与えた微かな傷には反応してない。
むしろ傷口は徐々に広がっているようだ。
…これが少年の策か。
白い狼の血の中に潜在する魔を封じる不思議な力か。
「まさか!その子供は!…白い狼か!」
かっと目を見開く。そして渾身の力でまばゆい光を放つ。
すばやく腕で光を遮り、光を防ぐ。
「まさか人間に変化しているとは露にも思わなかったぞ。白い狼の生き残りよ。」
ゆらりと体が揺らめく。白い狼の力の前に動きが封じられようとしている。
「ならば!…その姿のまま醜く生き残るが良い!」
デス・アミーゴの手のひらに不気味な光の球体がぽかりと現れる。
「いかん!少年を守れ!」
「させるかっ!」
もう一度まばゆい光が襲う。
その瞬間思わず手を目元から離していた三人の眼球をまばゆい光が焼く。
焼かれる前に見たのは不気味な球体が少年の体に向けられていたということ。
読者はちゃんといます。
579諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :03/08/17 04:41 ID:XG19ZllL
ちかちかしていた視界が少しずつ回復する。
ほんの刹那の出来事だが永遠の長さに思えた。
少年の姿を必死で探す。
…いた。姿そのものに問題はない。
少し安堵してデス・アミーゴの姿を探す。
「雲長!翼徳!奴を封じるぞ!」
デス・アミーゴは少年の力によって完全に動きを封じられてすでに石棺の中にいた。
必死で呪縛から逃れようも体がすでに動かないらしい。
「よし、蓋を閉めるぞ!」
「わかったぜ!兄者!」
蓋は石棺のそばにあった。
「うおりゃああ!」
張飛が馬鹿力で石蓋を持ち上げる。
「どりゃああああ!」
さらに大声を張り上げて石蓋を棺の上に乱暴に投げつける。
「よし、後はしっかり封印されることを祈るまでだ。」
後はしっかり棺に収まるように微調整を施す。
そして、しばらくするとゴトリという音とともに光があふれ出した。
暖かい光。
それは、ここの未来が復活したということ。
自分たちは勝ったのである。
580華龍光臨:03/08/17 04:42 ID:XG19ZllL
アルスたちは階下でへたり込んでいた。
「…勝ったんですね。」
「さっき、消えるように魔物がいなくなったんだ。」
「これで待ちも元通りね!」
「うむ。よくがんばってくれた。」
外に出る。陽光がまぶしい。
遥か彼方に町が見える。
あの動物だらけだった町、きっと今では元に戻っていることだろう。
「皆、とりあえず、外へ出よう。」

急がず、ゆっくりと山を下る。
きこりと共にいるのはあの少年。
本来この世界にかけられた呪いが解けた今、彼も元の白い狼になるはずが最後の足掻きをまともに浴びてしまい元に戻れなくなってしまった。
少年はこれからきこりと共に暮らすとのこと。
こうなった以上、今までのように生きていくことは不可能だから。
山を下りていくにつれて少しずつ狼がやってくる。
人間になってもその特有のにおいがわかるのだろうか。
この一帯の狼たちが集まり、山を降りるころには百匹はゆうに越えていた。
「白い狼というのはここまでの人徳…狼の徳を持っているというのか。」
「ホントすごい数。まだ集まってくる。」
少年が狼と何か意思を伝え合っている。
「とりあえず、自分の傷の手当てをしてくれた人に人目会いたいといっているだよ。」
「そうか。それなら急ごうか。」
581諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :03/08/17 05:27 ID:XG19ZllL
400KB超えたのでもう少ししたら新スレの季節だろうと思う。
自分は次スレは立てられない。
まだ、早いとは思うのだが。

あと、しっかり推敲しろや、自分。
582華龍光臨:03/08/17 06:30 ID:XG19ZllL
町は元通りになっていた。
人であるものは人に戻り。
動物であったものは動物に戻った。
無事にすべての生物がすべてのあるべき姿に戻った。
…残念ながら、強烈な臭いはそのままではあったが。
まあ、その程度は問題はないだろう。
馬小屋にいた馬を見やるとうれしそうにいなないた。
平穏が訪れたのだ。
少年は町に入ると一番奥の家へと駆け出して行った。
「民の皆は無事に戻ってくれたようだな。」
「うむ。これで一件落着ですな。」
動物のときになっていたときの記憶は住人は持ってないが、その方がいいのかもしれない。
ゆっくりと奥へと歩を進める。
溢れるほどの住人の笑顔。
これがどれほど傷ついた自分を癒してくれるのか。

少年は倉庫の窓から中の様子を見ていた。
その目線の先には農夫が。
恐らく彼が少年の治療をしていたのだろう。
農夫はおろおろしながら白い狼の姿を探している。
「一目、この子が彼の姿を見たいといっていたんだべ。」
恐らくこれが最後になろうから。
少年は過去の世界から未来の世界へと旅立つ。
二度とこの地には来る事はないだろうから。
「…そうか。」
「この子があの魔物の封印を解いた奴がどこかにいる。身を潜めて復讐の機会をうかがっている。と。」
「死道なのだろうか。」
「それはわからないべ。…だけど、これからも劉備殿たちが歴史を書き換えていけばいずれ答えが見えてくるはずだべ。」
「そうですな。…名残は惜しいでしょうが。そろそろ行くと少年に伝えてください。」
「わかったべ。」

583華龍光臨:03/08/22 18:53 ID:71I2sgkX
過去に別れを告げて現代へ。
これで、あの町は復活していることだろう。
あれから多くの狼に見送られてここへ戻ってきた。
少年を保護していたらしい狼と十匹程度の狼が少年と共にこちらの世界へとやってきていた。
「劉備殿。」
きこりが突如劉備に話しかける。真剣そのもの。
「何か。」
「先ほどからこの子が言っているんだべが。」
ふうと溜息が遺跡内に木霊する。
「この子がどうしてもあの魔物を復活させた親玉を倒したいとしきりに話しかけてくれるべ。」
少年がコクリと頷く。
「白い狼の一族として。絶対に奴は倒さないといけないといっているだべ。」
劉備がかがみこみ、少年の眼を覗き込む。
眼は透き通って、意志の強さを感じられる。
「…厳しい戦いになるぞ。いいのだな。」
じっと少年はこちらを見据えてくる。
言葉が通じているかは疑問ではあるがこちらの言いたいことは通じることだろう。
真っ直ぐに。
何処までも純粋で。
何処までも、決意は固く。
584華龍光臨:03/08/22 18:54 ID:71I2sgkX
「兄者。」
「…わかりました。きこり殿。この少年は任せてください。」
きこりがうむうむと頷く。
「アルスもいいな。」
「ええ。構いませんよ。旅は多いほうが楽しいですし。」
キーファがうんうんととなりで頷く。
「でぇ、兄者。このちっこいのの名前はなんていうんだ?」
「ふむ。名前がないと何かと不便だな。」
「ねえ、君。名前、なんと言うのかな?」
孫尚香が少年の顔を覗き込む。
「ガボ!」
ぎょっと、皆が驚く。
「驚いたぁや!白い狼はまさか喋れるのかや!」
「ガボ!」
「ん?」
「ガボ!」
「もしかして…」
「それだけしか喋れないだということだな。」
「でも、ガボ、でいいんじゃない?そういう雰囲気だしね。」
少年の顔を覗き込みながらそう付け加える。
「尚香がそういうのなら。それでいいのだろう。」
「でも、何か似ているわね。この雰囲気。」
「それなら、間違いなくあれだろうな。」
劉備が眼でそれを示す。
「兄者、腹減ったぜ。さっさと戻ってメシ食おうぜ!」
張飛が出口で待ちきれないという感じで大声を張り上げていた。
「…この子も大きくなったらあんなのになってしまうのかしら。」
はぁ、と盛大に溜息をついた。
結局それでいいのだろうか……いいんだろうなあ。
お疲れ様です、スラリソさん。
586諸葛亮スラリソ代理:03/08/28 01:46 ID:fpxV83vl
申し訳ありませんがまた規制に巻き込まれました。
今回は難民にも書けないので大分更新が滞りそうです…
これドラクエの小説じゃないじゃん。
2chで垂れ流すべきものかな?
>>587
   ∧_∧    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
    (ω・ )ゝ < なんだって?
.  ノ/  /     \_____
  ノ ̄ゝ
589名前が無い@ただの名無しのようだ:03/08/31 15:40 ID:w0DDZRcu
俺も、ドラクエ小説書こうかな。
>>589
激しく期待!!
ジャンルとか決まってるの?

ヒョイ ,    ,,,,.,.,,,.
   (_&ミ・д・ミ     ミ  ___
  ⊂|___,.つつ      て/  ) クルリ
彡               ⊂  .ノ
                ミ   ミ         ,,,,.,.,,,.     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
.                ゙``゙`゙ 彡     ミ・д・ミ  < 保守まりむ。
                          &/  ,つ    \_______
                          〜、 ノつ  スタッ !
                           .(/
594諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :03/09/09 15:18 ID:iZxdRiTg
何処までも空は蒼く──
何処までも海は藍い。
遠い昔の脅威は払われた。
今を生きることが許された民たちは台地にしっかりと立って今を過ごしている。
あれからきこりと別れ、グランエスタードで傷ついた体を休ませた。
その後、アルスの船で新大陸へと向かった。
行き先は西。
復活した町と魔を封じ込めた地。
あれから残った狼たちは無事にこの地を守ってくれたようだ。

「兄者。一体我々は何をしているんでしょうな。」
「まあ、いいんじゃねぇの?」
と熊二匹が言う。
「翼徳の目的はもっぱら食事のことだろうがたまにはいいではないか。」
と猿が言う。
「楽しければそれでいいわ。こういう息抜きは必要でしょ。」
と、猫が言う。
「さすがにびっくりしたけどまあ平和ならいいですね。」
「ま、長生きしそうね。この村は。」
と、豚二匹が言う。
595諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :03/09/09 15:20 ID:iZxdRiTg
もう二匹豚がいるはずだが一匹は片方の熊に引っ付いている。
そしてもう一匹は猫に熱心に話しかけている。
「しかし、一瞬びっくりしたが。」
「ホント。また、誰かがこの町に呪いをかけているかと思ったじゃない。」
今は祭の最中。
動物に対する感謝の気持ちを忘れることがないように、動物のきぐるみを着て一日を過ごすということだ。
人々は動物になっていたときの記憶はなかったと言うが断片的に残っていたのかもしれない。
かつて、ここは白い狼に助けられて、また、この地は再び白い狼によって救われた。
劉備は入り口付近に置かれているベンチに腰掛けて町を眺める。
人々の喜びと笑いが満ち満ちている。
ああ。やはりいいものだ。
「…ちょっと劉備、目の前の二人、止めなさいよ。」
近くでものすごい勢いで食事を平らげている二つの影。
一つは熊、もう一つは豚。
顔が見えなくともわかる。
見る見るうちに空になった皿が積み上げられていく。
「いいではないか。」
「私はあの子があいつに感化されるのが心配なのよ…」
はぁ、と溜息を盛大につく。
溜息が増えたかしら。
ふと、そんなことを考えてみる。
596諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :03/09/09 15:30 ID:iZxdRiTg
感謝祭を適度に楽しみ一段落着いたところで抜け出してきた。
町の入り口にて村長にきぐるみを返してゆくは北西。あの山へ。

伸びきった雑草。
うっそうと広がるく暗い森。
どれほどの時間がたったのだろうか。
広がる自然は人の侵入を拒んでいた。
そしてあの山の入り口には風雨に晒された石畳、石版、そして…
「石扉が開かれてますな。」
人一人が通れるほど扉は開かれていた。
あの魔物を封印したとき、扉には幾重もの巨大な岩で封じ、石版にはその旨を記した。
「つい最近に人がここに立ち入った形跡はないようだが。」
「まさか、あの魔物が復活して力を蓄えているのではないでしょうか…」
「ありうるな。」
辺りに緊張の糸が張り詰める。
「それにしては妙だぜ。」
「何だ?翼徳。」
「狼たちが全然そんな素振りが見えねぇぞ。」
ガボと彼が連れている狼の様子を見た。
ガボは大あくびをしているし、狼たちもリラックスしきった様子だ。
「…ふむ。」
「もしかしたらこの時代より前に誰かが立ち入ったのかもしれませぬな。」
空を見上げる。まだ、日は頂点に昇ったばかりだ。
「そうだな。」
エンゴウの火山では長い時を経ても怪物がうろついていた。
そのため他の場所からやってきているらしい武者修行の戦士がやってきていた。
火口付近ではそのような旅人たちを狙った商人もいた。
今はそのような旅人はいないようだが以前はいたのかも知れない。
「とにかく調査してみましょう。」
「それがいいだろうな。」
とりあえず、巨漢の二人が入れるほどに扉を開けて中へと入っていった。
597華龍光臨:03/09/16 07:36 ID:UXopuZx2
山頂付近の封印の扉の前にやってきた。
扉はやはり人一人通る分だけ開かれていた。
「ここも開かれているな。」
「うむ。冒険者が開けたのやも知れませぬが用心はするに越したことはないでしょう。」
山は過去より生き抜いた魔物たちの住処だった。
扉をさらに開けて中へと入っていく。
「魔封じの効力はずっと残っているようですね。」
中には人の手は加えられていないようで少しほっとした。
ちらりと狼たちの様子を見る。
やはり緊張した様子はない。
「大丈夫だろうな。よし。奥へと進んでいこう。」
奥にある階段をゆっくりと上っていく。
「どうした?兄者?」
突如足を止めた劉備にしたから声がかかる。
「何かございましたか?」
「…棺が。」
ごくりとつばを飲む音が聞こえた。
「棺が開けられている。」
一瞬空気が凍りつく。
劉備の目に飛び込んできたのは石棺の蓋が乱暴に
「まさか!すでに復活してしまっているのですか?」
劉備が急いで駆け寄り石棺を覗き込む。
そしてまた劉備が凍りつく。
「兄者、今度は何が?」
「…いや、これを見てくれ。」
「なんと。」
関羽が駆け寄って一緒に石棺を見る。
石棺の中にはなんと。

浮浪者風の男が高いびきをかきながら寝ていた。
598296 ◆kYB5EDmqco :03/09/18 20:19 ID:xpNQlY7u
トルファの冒険。イシスでピン!と来た。ちょっと、煮詰めるからしばらく待って
599296 ◆kYB5EDmqco :03/09/18 22:37 ID:xpNQlY7u
「さあさあ、リンゴはいらんかね。昨日の昼に木からもいできたばかりだ。
 甘いよ、甘いよ」
「いや、それよりもこっちの薫製ニシンを見ていっておくれ、取り立てのニシンを
 塩づけにして、すぐに燻した物だ。買って損はないよ!」
「ほらほら、そこのお嬢さん、アッサラームで仕入れてきた上等の絹織物は
 欲しくないかい……」 

 先程より物売りの声がやかましい。トルファは、彼らの手を振りほどきながら、
昼下がりの市場をかきわけていく。ここは、イシスの城下町。
トルファは昨晩ここに着いたばかりである。赤い旅の扉に関わる旅を始めてから
もう六ヶ月。ここはトルファが四番目に訪れた場所になる。自分は何処から来たのか?
何処へ行くのか? 特に最近になって頭の片隅にこの二つの言葉が呪文のようにこびりついている。
あの銀髪の少女に柄にもなく未練を持ってしまったのだろうか。
頭を振ってトルファは暗くなる思考を振り払った。
 と、そのとき―――。
そばで店を広げている一人の大道商人がトルファの注意を惹きつけた。
店とはいってもそれほどおおげさなものではない。単にむしろが敷いてあって、
その上にガラクタが並んでいるだけの話だ。トルファの目に留まったのは
そんなものではない。彼の後ろに立てかけてある一枚の絵、そのような場所で売るにしては
立派すぎる金色の額縁に入った大きな油絵がトルファの目を釘付けにした。

 赤く渦巻く旅の扉。その前に立つ三人の人間。
右側に立つのは白い衣装をまとった銀髪の女性。一目で誰か分かった。
すっかりと大人の女性へ成長したスイの姿だ。左側に立つのは、例の「老人」
だったり「商人」だったり「兵士」だったりするあの男の姿。そして、スイと老人
を両脇に従えるように中央に立つ漆黒の髪の若者。自分の姿だ……。
 この絵は一体いつどこで描かれたものなんだ。しかし、それよりも驚きを感じるのは
この絵を前に見たことがあると感じる自分の記憶。
600296 ◆kYB5EDmqco :03/09/18 22:39 ID:xpNQlY7u

「あんた、トルファだな?」
記憶の中を必死で探るトルファに、垢じみた真っ黒な顔を上げた商人が話しかけてきた。
「……なんで、俺のことを知っている?」
「俺は頼まれただけだ。手を出せ」
商人はそう言うと、身に纏ったボロボロの衣装のどこかから小さなオパールを
取り出した。宝石には丸い屋根のついた寺院の門のマークが彫られていた。
「わかっていると思うが、扉に関係する石だ。何があっても手放すんじゃないぞ。
 お前に謎の一端でも突き止めたいと思う意志があるなら、昼に「満月亭」という宿屋
 を尋ね、夜にイシスの城に入れ」
そこまで言うと、男はトルファが何を尋ねても黙したまま何も語らなかった。
仕方なく、トルファは不承不承に感謝の言葉を述べて男から離れた。

1.男の助言通りに動く
2.しばらく市場を散策する
3.市場を抜けて裏通りへ
訂正です。→宝石には赤い屋根のついた寺院の門のマークが彫られていた。
296さんの新作キタ━━━━━(゜∀゜)━━━━━!!!!!

603296 ◆kYB5EDmqco :03/09/19 10:34 ID:wMkGYOsm
ふむ、微妙なルートだが行ってみるか……。
2.しばらく市場を散策する

 得体の知れない奇妙な男と別れた後も、トルファはまだ市場のなかにいた。
行き交う人々がかもし出すむっとした熱気と、刺すように皮膚を叩く日光が
容赦なくトルファの肌を焼く。額からしたたり落ちる汗を、トルファはぐっと腕でぬぐう。
砂漠の旅はこれが初めてではないが、この暑さは酷すぎる。
「……それにしても、今年は異常に暑くない」
「だねぇ……おかげで氷が飛ぶように売れてるらしいよ。そうそう、知ってるかい?
 ハドバルドの奴、氷をたくさん仕入れたはいいが、仕入れた量が多すぎて砂漠で
 往生してる間に全部溶かしちまったんだってさ。本人は、溶けた氷の水を売るとか
 言い張ってるそうだけど、そんな生ぬるい腐ったような水を買う客なんていないよ」
「はは、そういえばさ。ベルディンのキャラバンが夜中に大勢引き連れてイシスの砂漠
 に出ていったそうだけど、あんた、何か知ってるかい?」
「うん……ベルディンが……うーん、あたしは知らない」
「そうかい、何があったのか知らないけど傭兵の追加募集まで始めてさ、焦臭いことに
 ならなきゃいいんだけど……」
「あんまり気にしない方がいいんじゃない。最近物騒でしょう。知ってる? 例の
 砂男が、最近は城門の中にまで入り込むようになってきたんだって」
「! 本当かい?」
「間違いないよ。夜半にイシスの城から警備隊が出動するのをうちの若い子が見てる」
「たまらないね。うちも傭兵の追慕でもしようかね」
「ははは、あんまり無駄金使うんじゃないわよ」
604296 ◆kYB5EDmqco :03/09/19 11:17 ID:wMkGYOsm
 市場の所々で商人達が咲かせる噂話は、旅人ならば好奇心をかき立てられずには
いられないものばかりだ。ついついトルファは夢中になってしまい、前方から
ぶつかるように歩いてきた女性と衝突してしまった。
「すまない」
「あら、こちらこそすみません」
トルファの謝罪の言葉に見向きもせず素っ気なく謝ると女性は、大きなショルダー
バッグをかかえて、さっと雑踏の中に潜り込んでいった。
しばらく茫然としていたトルファだが、やがて大変なことに気付く。
ない! 財布と宝石の入った革袋がない。あの女はスリだったのだ。
「ちっ! すみません、どいてください」
慌てて雑踏をかきわけ女の後を追うトルファだったが、もはや手遅れだった。
女の姿はどこにもなかった。途方にくれたトルファは、仕方なく男の言葉に
従い、「満月亭」へ足を運ぶことにした

 何時のまにか辺りが暗くなってきていた。オアシスに面してそびえるイシス城の
白亜の城壁に、斜陽の影が差している。湖面には夕日に照らされる城の姿が映っていた。
暮れなずむ夕日の光を浴びながら、トルファは「満月亭」の前に立った。
605296 ◆kYB5EDmqco :03/09/19 11:35 ID:wMkGYOsm
 扉を開けると、おさげの少女が退屈そうに店番をしていた。
少女はトルファの姿を見るなり「あーっ!!」と叫んで駆け寄ってきた
「やーっと来た。あなた、トルファさんでしょ?」
「……そうだ」
むっつりとトルファは肯定した。文無しでありながら宿屋の扉をくぐる羽目
になったためか、自然言葉に不機嫌な香りが漂う。
「まーったく……まぁ、来なきゃ来ないでも良かったんだけどね」
「おい!」
「嘘です嘘です。来てくれて嬉しいですよ。じゃ、案内しますから」
何処へとは少女は言わなかった。慣れたもので、トルファも何も聞かずに少女の後ろについて
ゆっくりと歩き出す。くりくりとした目を動かしながら、少女はトルファにさかんに話しかけてきた。
今までの旅はどうだったか? 外は暑くなかったですか? イシスは綺麗な所でしょう?
こちらに答える時を与えずも矢のように投げかけてくるので、トルファは相づちを打つこと
しかできない。少女の案内は二階の奥まったところにある部屋の前で終わった。
「そうだ! 念のために確認しておきたいんです、オパールの宝石、私に見せてください」
「………盗られた」
「はい、 何ですって?」
「女のスリに財布ごと……盗まれた」
「………えーと……困っちゃったなぁ」
少女とトルファの間に重い空気が漂った。
606296 ◆kYB5EDmqco :03/09/19 11:48 ID:wMkGYOsm
 重苦しい雰囲気を吹き飛ばすかのように少女がニッコリと微笑む
「ま、無ければないで、絶対困るっていうほどの物じゃないですから。大丈夫ですよ」
「お前、そればっかりだな」
「何言ってるんですか? あっさりと盗られた貴方にそんなこと言われたくないですよ」
「すまん。自分が悪かった」
「あはは、トルファさんのそういう素直なところ、好きですよ。でも、これっきりに
 してくださいね。では!」
バンバンと強い力でトルファの背中を叩くと、少女は弾むような足取りで一階に
降りていった。残されたトルファは、扉を開けて中に入るべきか、一瞬躊躇した。
「どうぞ、お入りください」
逡巡するトルファを促すように、部屋の中から柔らかい女性の声がした。
意を決してトルファは部屋の中へと一歩足を踏み入れた。
607代理 ◆jKU3Ls1IlM :03/09/19 21:57 ID:wMkGYOsm
ドアを開けたトルファの目の前に、銀色の服をまとった黒髪の少女がちょこんと立っていた。
年の頃は、十二、三といったところか。すっきりとした顔立ちに、腰まで伸ばした長い髪が
映える、綺麗な女の子だ。少女は、トルファに椅子をすすめると、開口一番こう言った。
「トルファさん、あまりレディを待たせるものではないですよ。せっかくお茶を用意して
 待っていたのに……冷めちゃいました」
彼女の少しこまっしゃくれた感じがトルファの苦笑を誘った。
「それはすまない。それじゃ、手短に言うよ……自分に何の用だ。変に凝った繋ぎまでして」
「実を言うと、トルファさんに用があるのは、私じゃなくて私の友人の方なんです」
「友人……?」
「はい。それも……ちょっと特殊な事情があって。理由は後ほど。王城に着いて
 から説明しますね」
そう言って少女は席から立つと、扉を開けて外に出ていった。
「お、おい?」
しばらくして、少女は部屋の中に戻ってきた。
「何してるんですか? 市場のおじさんから夜に城に入れと言われたでしょう?
 着いてきてください。私が貴方の案内人なんですから」
608296 ◆kYB5EDmqco :03/09/19 22:54 ID:wMkGYOsm
別板のトリップを使ってしまった……(汗)

 熱気に満ちた昼間が嘘のように、月光に照らされる砂漠の町は静かでひんやりと
している。メインストリートを歩きながら、トルファは少女に言った。
「いつもこんな風なのか?」
「最近ですよ。半年ほど前から、砂漠に恐ろしい魔物が出るようになりまして。
 おかげで、イシスの人間で、夜に外を出歩こうとする人は滅多にいなくなりました」
「そういえば、そんな噂を聞いたな。確か、砂男か……でも、魔物が簡単に町の
 中に入ってこれるものなのか」
「信じていませんね。無理もないのですけれども。私も、最初見たときは夢かと
 思いました」
そこで一端区切ると、少女は事のおこりをトルファに語り始めた。
「半年前、彼らは風に乗るようにこの国に現れました。最初に被害を受けたのは
 アッサラームへ交易に向かおうとしたあるキャラバン隊でした。商人達から
 急報を受けたイシスの城は国軍を出しましたが、指呼の差でキャラバン隊は壊滅。
 国軍も得体の知れぬ魔物との戦いで大勢の犠牲者を出しました。神出鬼没の彼ら
 の体は砂で出来ていて、剣も、槍も、矢も、斧も通らず、氷の呪文しか通じなかったそうです」
「それでも昼間は結構賑わっているようだが」
「交易商にとって商売できないというのは死活問題ですから。それに、ヒャド系呪文
 以外に弱点があるんですよ」
「ほほう、察するところ、お日様が苦手ってところかい?」
「そうです。奇妙な事に彼らは太陽の光を嫌っています」 
609296 ◆kYB5EDmqco :03/09/20 00:08 ID:K5BzRlH+

「あとは、水ですね。砂漠に点在するオアシス近辺でアレが現れたという話は
 聞いたことがありません」
「それじゃ、普通の商人でもしのげないわけじゃないんだ」
「はい。最も、今この国が抱える真の問題は、旅人達が自衛の手段に講じ始めたせいで、
 獲物にありつけなくなってきた連中が、城下町や城の中にまで入り込むように
 なってきたことなんです」
「し、城の中にも入ってくるのか?」
「はい、砂さえあれば、連中は何処からでも侵入できるんですよ」
トルファが撫でるように後頭部をかいた。
「納得した。ところで………」
「何ですか?」
「後ろに立つ砂の塊は、やっぱり俺の気のせいじゃないんだよな?」
「な! どうして、早く言ってくれないんですか? まだオアシスまで……むぐっ」
口元を押さえつけられた少女がトルファの中で暴れる。
「静かに! 刺激したらまずい……」
彼女の話に耳を傾けているうちに、接近を許してしまった。
距離にして自分の歩幅で約五歩。つかずはなれずの距離を保っている。

1.逃げる
2.戦う
んじゃー1で。
灯が消えたように静かだね。
ライアンとホイミンの、ギャグ物を書こうと思っていますけど
ギャグは、商業本の4コマ漫画で出尽くしている感があるから
ちょっと躊躇してます。
613296 ◆kYB5EDmqco :03/09/22 01:01 ID:qlRKW6bE
このスレの状況だと、変に選択肢いれないほうがよさそうだな。
これからは、選択肢をあまりいれないようにしよう。
一で
615296 ◆kYB5EDmqco :03/09/22 22:27 ID:qlRKW6bE
1ですね。レスをありがとう。感謝してます。

>>609の続き
「どうします、トルファさん?」
腕の中から少女が綺麗な黒い目を向けて問いかけてくる。
「とりあえず、逃げる。」
「わかりました。それじゃ、オアシスに向けて全力で疾走しましょう。水辺についたら
 すぐに飛び込んでください。あれは水の中まで入って来られません」
「わかった」
少女の手を取ってトルファは駆けだした。同時に、背後からの尾行者が砂をかきわけるような
音を立てて二人を追いかけてくる。走りながらトルファは見た。
大きな砂のかたまりが、砂上を滑るように二人に迫ってくるのを見た。
想像以上に早い。このままではオアシスに飛び込む前に奴らのざらざらとした手に
捕まってしまう。トルファが戦いを覚悟した瞬間、耳元でひゅうひゅうと風が鳴った。
「えっ?」
地面を一蹴りしたトルファの体が鳥のように宙に飛んだ。二人の驚きをよそに、
中空を滑るトルファと少女の体は、そのまま吸い込まれるように水の中へ落ちていった。
どこかで誰かが笑い声をあげたような気がした。
616296 ◆kYB5EDmqco :03/09/22 23:03 ID:qlRKW6bE

 夜のイシス。城の満々と水のたたえられた外堀を、ちゃぷちゃぷと泳いで渡る
トルファと少女の姿があった。
「なぁ、聞いてもしょうがないんだけど、他にまともな道はなかったのか?」
「そう思うなら黙って泳いでください。今、城の中は戒厳令がしかれていて、
 トルファさんみたいな余所者を連れて入ったりなんてできないんです」
あの後、砂のかたまりの魔の手から逃れたトルファは、少女の案内に従って
水の中を泳いできた。少女が言うには、オアシスと城の外堀は直結しており、城内に
忍び込める抜け穴に向かうのにちょうどいいのだそうだ。
やがて、二人は城壁の向こう側に辿り着いた。
「まんまるボタンはお日様ボタン。 小さなボタンで扉が開く。
 最初は東で、次は、西〜♪」
城壁に近づいた少女が、謎のフレーズをくちずさみながらペタペタと壁を触っていく。
歌い終えた彼女が、最後に城壁の一部をドン!と叩いた。
途端に、ズンと振動が走って目の前の壁があがっていく。
やがて、城壁の一部に人一人が入れるくらいの隙間ができた。
「さて、一名様、イシス城にご案内〜」
おどけた口調で少女が手招きしてトルファを誘う。黙って頷くと、トルファは
少女の後に続いた。
>>612
 まずは、書いてみてくださいよー。
4コマを全く読まない人間もココにいますw。
凄い長寿スレだなココ・・・。

今日初めて見つけました。
最初の方から読んで楽しませてもらってます。
これからもがんがって下さい。
619296 ◆kYB5EDmqco :03/09/23 22:06 ID:kBTO6f2o
 穴を抜けると、そこは城内の物置になっている部屋だった。
少女は部屋から少し顔を出して、あたりを確かめた。どこまでも、静かな廊下が続いている。
「こちらへ」
人がいないのを確かめたうえで、少女はトルファを導いていく。
「警備の兵士はいないのか」
「このあたりに砂のあるところはありませんから」
薄暗い通路を縫うように通り抜けた先には、地下へと続く階段があった。
迷うことなく少女は階段を下りていった。

 階段の先は小さな部屋になっていた。階段から下りたトルファが通路に足を
踏み入れた途端、暗がりに火がともった。左右の壁の燭台に流れるように火が灯っていく。
「ここは一体……」
「トルファさんは、星降る腕輪のことはご存じですか?」
「ああ。確か、身につけた者の動きを高めるというアイテムだろう?」
「はい。燭台の蝋燭に灯る魔法の火は、腕輪がイシス王家に伝わる秘宝として、ここに安置されて
 いたころの名残です」
二人は、光に導かれるように部屋の奥へ歩いていった。
ロウソクの火に映しだされるように、部屋の奥から神秘的な装飾の施された
大きな祭壇が姿を現す。
「シフール、トルファさんをお連れしましたよ」
祭壇に向けて少女が囁いた。
620296 ◆kYB5EDmqco :03/09/23 23:44 ID:kBTO6f2o
 祭壇がまばゆいばかりの白い光に包まれた。
光は、背の高い水色の女に姿を変えた。女は空中を滑るように、トルファに近づいて
くる。それと同時に、部屋のなかの空気がふわりと動き、辺りにさわやかな風が
舞い上がった。女はしばらくトルファを見つめていたが、やがてひゅうひゅうと風の
鳴るような声で静かに語りかけてきた。
「あなたが、トルファ様ですね。一目でわかりました。赤い旅の扉を通って
 ここにやってこられたのでしょう?」
「そうです。貴女は……」
「私は、イシス一帯を治める風の女王です。初めまして」
「風の女王。成る程、言われてみれば……。それで、貴女が答えてくれるのか?
 俺が抱えた疑問を解く手だてについて」
「もちろん、私はそのことを知っていますが……その前に、私のお願いを
 聞いていただけませんか?」
予想通りの返答に、トルファは思わず苦笑した。
「まぁ、ただで教えてくれるなんて思っちゃいなかったから安心していいよ。
 依頼があるということは聞いていたからね」
「あなたにイシスを席巻しつつある砂漠の鬼を退治して欲しいのです」
「砂漠の鬼……例の砂男のことか」
「今からちょうど一年前のことです。突如、私達風の精が住まうピラミッドに
 砂の精が攻め込んできました。彼らは、『砂漠の鬼』と名乗る恐ろしい魔王を
 頭とした砂の魔物なのです。私達『風の民』は必死で抵抗しました。けれども、
 戦い慣れした砂の軍団に、戦争に慣れていない私達では抗するべくもありません。
 ピラミッドは占領され、仲間達の多くが彼らの餌食となりました。今では、わたし
 のわずかな部下がこの城に残っているだけです。お願いです。どうか、
 砂の王を倒しピラミッドを解放してください」
「ふぅん。このまま連中をを放置すれば――」
「やがて押し寄せる砂塵の下に、イシスの全てが呑まれることになるでしょう。
 ピラミッドより風の民が追い出されたことにより、この地のバランスはとうに
 崩れているのです」
621296 ◆kYB5EDmqco :03/09/24 00:33 ID:BhTt3Dez
 それを聞いてトルファはじっと考え込む。いずれにせよ、この地が砂塵に沈むと
聞いた以上選択の余地はない。心細げに彼を見つめる女王に対し、トルファは
ゆっくりと頷いた。それを見た女王が嬉しそうに声を上げた。
「引き受けてくださるのですね」
「断ったら寝覚めが悪くなりそうなんでね。ところで、この時間帯だと、
 砂漠は連中の天下だろう。ピラミッドまで連中と遭遇せずにすむ手段
 はあるのか?」
「もちろんありますよ、トルファさん。これです」
先程から黙ってトルファと女王の話を聞いていた少女が、祭壇の下から大きな油絵を
引っぱり出してきた。それには、砂漠にぽつんと立つ古ぼけたピラミッドの姿が
描かれていた。
「では、トルファ様。額縁に手を置いてください。そうすれば、ピラミッドの中に
 彼らに気付かれずに入ることが出来ます。どうか、お気をつけて」
トルファの体が、絵の中に吸い込まれるように消えていく。額縁の中に吸い込まれる
瞬間、振り向いたトルファは、少女が絵の中に飛び込んでくるのを見た。
「イーシャ!」
女王があげた驚きの声を最後に、そこでトルファの意識はプツリと途絶えた。
622296 ◆kYB5EDmqco :03/09/25 00:32 ID:54temlcK
最近、スラリソさん来ないね。
623華龍光臨:03/09/25 00:41 ID:ft7MRvJ5
「この男は一体何故にこんなところで寝ているのだろうか?」
劉備がいびきをかきながら封印の石棺の中で寝ている男を見下ろしながら言った。
ぱっと見て確かに浮浪者ではあるが目立った特徴がない。
このようなところで寝ているのはあまりにも不自然だ。
防具もない。
武器もない。
着ているのはボロきれ一枚。
古代より現代に至るまで魔物がいるこの山であまりにも無防備な姿を晒している。
その上ここは呪文が使えない。
以下に強力な呪文といえどここでは宝の持ち腐れ。
「…起きるようですぞ。」
あたりが騒がしくなったのが気付いたのかもぞもぞと動き出した。
「この者に聞けばわかることか。」
「そうですね。ここで色々考えるより聞いたほうが早いですね。」
その男は寝ぼけ眼を擦りながら身を起こしこちらを向いた。
「…ん?」
「目覚めになられましたか。」
「おお。貴方様は。」
劉備の姿を見るや否や慌てて正座をして向き直る。
「どうした?確か初対面のはずだが?」
ぶんぶんと男は首を振る。
「…いいえ!お忘れになられたのですか?ここで、貴方とは一度…」
「?」
624華龍光臨:03/09/25 00:43 ID:ft7MRvJ5
ここで、出会ったのは…
いや。違う。出会うというより。
「…もしや、御主。」
「はい。あなた方と戦った魔物でございます。」
一瞬空気が凍りつく。
「いや、大丈夫だ。どう見ても今は魔物ではない。そうであろう?」
「はい。あれからここにずっと閉じ込められてすっかり毒も抜けてこのような姿に。」
確かに性格も丸くなって、今の状態なら害もないだろう。
「ここが魔封じの力を宿しているためでしょう。魔封じと一口にいってもいろいろありますので。」
魔性を吸い取ったということか。
そういうことはよくわからないがそうなのだろう。きっと。
「ふむ。…それでは聞きたいことがある。」
思わず縮こまる男。
「いや、そんなに怯えなくてもいい。…魔物の長のことについて聞きたいのだ。」
「は、はぁ。」
ゆっくりと劉備も腰掛ける。目線を同じ高さに合わせるため。
関羽たちも座る。もっとも、体躯が常人離れの関羽、張飛の二人は座っても十分威圧感は大きい。
「雲長、翼徳。もう少し後ろに下がってくれ。」
「む、申し訳ない。兄者。」
数歩下がって二人は腰掛ける。
「うむ。…知ってる範囲でいいのだ。教えては、くれぬか?」
「…わかりました。私の知ってる範囲でよければ。」
男は語り始めた。
>>617
何か思いついたら書こうと思います。
それまでは他の人の作品を楽しむ事にしました。
626296 ◆kYB5EDmqco :03/09/28 22:52 ID:ozY7jRw1
>624 スラリソさんキター!! ひょっとして次スレが立つのを待っておられる?
>>621の続き

 絵の中を通り抜けたトルファと少女の体は、石の壁に囲まれた薄暗い部屋の中にあった。
石壁といってもゴツゴツとした感じはない。明らかに人の手が入った平らな四角い壁だ。
「ここが、ピラミッドの中か……」
トルファの独白を肯定するように少女が頷く。
出口を求めてトルファは、あたりを見回したが、この部屋には格子のはまった
小さな窓があるだけで、どこにも出口らしきものは開いていなかった。
「参ったな……ここは囚人を閉じこめる部屋か?」
「例えそうであったとしても、入り口がなければ役に立ちませんよ」
窓からは白く淡い光が差し込んでくる。空に大きな満月が浮かんでいるようだ。
トルファが今いる場所はピラミッドの頂点らしく、窓からは辺り一面の砂漠が見える。
「仕方がないですね……」
少女は、空中に手をかざすと呪文を紡ぎ始めた。
627296 ◆kYB5EDmqco :03/09/28 23:21 ID:ozY7jRw1
 少女の詠唱にともない、空中に大きな火の玉が生まれ、壁に向けて突き出された
人差し指に応じた。轟音を立てて目の前の壁が崩れ落ち、外に続く穴が開いた。
「メラミか……大したもんだ。その年でそんな呪文が使えるとは思わなかったよ」
「これくらいのことが出来なければ、トルファさんに同行しようなんて思いませんよ」
トルファの賛辞に少女が面映ゆい笑みを浮かべて応える。
穴の向こうは踊り場となっていた。それぞれの階に行き来するには階段を使うしか
ないようだ。目の前には、黒い扉と、下へと続く階段がある。
「さてと、まずはここから入るか」
黒い扉をトルファが開けた。
628296 ◆kYB5EDmqco :03/09/28 23:53 ID:ozY7jRw1
 黒い扉を開けると、中は真っ暗だった。どうも嫌な雰囲気が漂っている。
「……離れるな」
後ろの少女にそう声をかけると、少女は短く返事をしてトルファの腕をとった。
二人が部屋の中に足を踏み入れた途端、扉がバタンと閉まった。
押しても引いても動かない。トルファと少女は暗闇の中に閉じこめられてしまった。
もう奥に入っていくしかない。
「歓迎されてるみたいだな」 「呪文で火をつけましょうか?」
小声で少女がトルファに尋ねてきた。
「いや、的になる可能性があるから不要だ……うん?」
手探りで進んでいくトルファの右手が、何かテーブルのようなものを触った。
上を探ると、水のような液体の入った瓶があった。トルファがそれを掴んだとき、
突然ザラザラとした巨大な手がトルファの右腕を掴んだ。恐ろしい力だ。
ぎょっとしたトルファが、手にした瓶を叩き付けるように腕にぶつける。
砕け散った瓶から中身が飛び散った。トルファの右腕がびっしょりと濡れる。
同時に、闇の中に恐ろしい悲鳴が上がった。
629296 ◆kYB5EDmqco :03/09/29 20:36 ID:Kf6d6DHN
 腕にかかる力が急速に衰えていくのをトルファは感じた。瓶の中身は変哲のない
ただの水だ。砂の精が水に弱いというのは本当らしい。
闇の中を巨大な何かがのたうちまわっている。トルファは少女を後ろに下がらせると、
水に濡れた右腕の拳を固めて殴りかかった。まるで、紙を切り裂くように
トルファの右拳がザラザラした魔物の体を安々と引きちぎる。
再度、魔物が悲鳴をあげた。それは、そのままずるずると音を立てて位置をかえると、
窓を叩き割って逃走した。同時に部屋の中に月の光が射し込んでくる。闇の中、
崩れた魔物の体が砂の海に溶け込んでいくのを、トルファはじっと見つめた。
630296 ◆kYB5EDmqco :03/09/29 20:45 ID:Kf6d6DHN
砂の精との最初の戦いは終わった。ほっと一息をつくトルファにかわり、
少女が部屋の扉を開けて中に光を招き入れる。
「意外と大したことがなかったな」
「あれは下っ端ですよ」
しれっと答えられたことに苦笑いしながら、部屋から出たトルファは、踊り場を
見て絶句した。下へと通じる階段が、砂のように崩れてしまっていた。
「どうしましょう?」
「ロープを使って降りるさ」
トルファは道具袋の中から愛用のロープを取りだした。特別太く誂えたため、
人がぶらさがっても切れることなどない。これを使えば難無く下の階へ降りられる
だろう。
631296 ◆kYB5EDmqco :03/10/01 22:30 ID:Q6dWSJ8f
 ロープをつたって、トルファ達は下の階の踊り場に降り立った。この階の踊り場には、
下に続く階段の他に、二つの白い扉があった。
「まずは、こちらから探ってみるか」
トルファは階段に近い方の扉から当たっていくことにした。
632296 ◆kYB5EDmqco :03/10/01 22:43 ID:Q6dWSJ8f
 扉の中は倉庫だった。格別危険な気配を宿す持ち主もなく、トルファは薄汚れた
象牙の指輪とロープを見つけた。指輪の中央はくぼみ、宝石は何者かの手によって削り
取られてしまったようだ。あとは、ガラクタばかりだ。
「きゃっ!」
と、突然トルファの左脇に控えていた少女が悲鳴を上げて飛び上がった。
見ると、足元に白い鼠がまとわりついている。
鼠はそのまま足元を走り抜けると、壁の隙間に消える前に捨てぜりふを残して去った。
驚いたことに、人間の言葉でだ。
「砂漠の鬼に会いたいんだったら、ここから二階下に降りるんだね」
少女の悲鳴に気を悪くしたのか、かなりぞんざいな口調だった。
少々気まずい思いにかられて、トルファは少女を伴って部屋を出た。
633296 ◆kYB5EDmqco :03/10/01 23:11 ID:Q6dWSJ8f
 踊り場に出たトルファは、次の部屋へ向かった。
白い扉をあけた先に待っていたものは、空っぽの棚だった。
部屋の中の大きな窓が外に向かって開いている。風が鳴く音がした。
「風の精もいない。砂の精もいないようだな……」
部屋の中は何年も使われていないようだ。あたりの棚にはうっすらと埃が積もり、
めぼしいものは何もない。トルファがそう思ったとき、
「あっ、トルファさん。これを見てください」
窓の側の床にしゃがみこんだ少女が、キラリと光る何かを拾った。
慌てて駆け寄ったトルファは、少女の手の中で緑色に輝く宝石を見つけた。
エメラルドだ。エメラルドには赤い屋根のついた門のマークが彫られていた。
無くしたオパールと同じだ。
「これは、トルファさんのものですね」
少女がそう言って宝石をトルファの手に渡した瞬間、怖気を振るうような
しわがれた声が部屋の中に轟いた。
「渡さん…その石は渡さん……」
634296 ◆kYB5EDmqco :03/10/01 23:37 ID:Q6dWSJ8f
 部屋の入り口から、巨大なサソリが侵入してきた。
トルファが鋼の剣を抜き放ち、恐ろしい速さで接近してきた蠍の毒針を弾き返す。
「くらえ!」
掌からギラの呪文を解き放ってトルファが反撃する。
ギラの炎熱で拒まれつつも、サソリは怯まない。尻尾を縦横無尽に
振るい、築きあげた毒針の壁でトルファの剣を牽制し、左右の鋏で少女の身体を
捉えようとする。伸ばした鋏が少女の身体をくわえ込もうとしたとたん――
少女の身体を蒼い光が覆い、眼の前に迫ったサソリの鋏を弾き返す。
「これで止めだ!」
動きの止まったサソリめがけてトルファが上段から剣を振り下ろす。
横合いから振り下ろされるトルファの剣をかわしきれず、サソリは尾ごと身体を
両断された。グシャッという小気味良い音を立てて毒虫は絶命してしまう。
二人はほっと胸をなで下ろした。
635296 ◆kYB5EDmqco :03/10/02 00:01 ID:l9xnSjoZ
 この階にはもう用はない。トルファは部屋を出て踊り場へ向かった。
以前と違い、階段は腐らずに残っており、トルファと少女は問題なく下へと降りる
ことができた。降りた階で二人を待っていたのは三つの扉だ。
黒色の扉に白色の扉、そして、青色の扉だ。

1.黒い扉へ
2.白い扉へ
3.青い扉へ
636諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :03/10/02 00:25 ID:HVwvedKF
サイコロ適当に振ってみたら3が出たので3

>>626
すまん。
オルフィーはちとネタに困った結果になったようだ。
637華龍光臨:03/10/02 00:26 ID:HVwvedKF
「知ってる事と言っても私は本来の魔王の直属の部下ではありません。かなり限られた範囲ですが。」
「何でも良い。我々は正直なところ何も知らないのだから。」
「ありがとうございます。」
「んじゃあ、まず、親玉の名前とやらは知ってるのか?」
地面に寝転がりながら張飛は問う。
「…わかりません。名前は名乗らなかったです。」
「ならば。死道、という言葉に心当たりはないか?」
「死道?」
「うむ。」
「ちょっと待ってください。魔王から聞いたわけではありませんが聞き覚えはあります。」
男は少し考え込む。
「そういえば、銀の狼に封印される前に聞いたことがありますね。」
ガボの先祖が封印する前…となるとずいぶん昔のことか。
「…魔王の軍勢は様々な世界を同時に攻略しようとしていたようです。」
ここや、我々の世界だけではなく、か。
…あれ以上の軍勢を持っているというのか。
「死道はその魔王の一大軍団と聞いたことがあります。」
一瞬沈黙が辺りを包んだ。
「…魔王とやらはほかにどの程度の軍勢を持っているのだ?」
「わかりません。ですが。死道に関して言えば一つの国家を飲み込んだ後、破壊の神を復活させたのですがその世界を守護する神龍によって討伐され、死道の残党はその国の首都にある神殿ごと下界に逃げ出したということです。」
首都…?神殿の話は聞いたことがある。洛陽のことか?
「その後、神龍は絶命しましたが事後をマスタードラゴンと竜王に託しました。竜王は後に主命に背いたようですが。死道にはもはやそれに付け込む力はなかったのでしょう。」
ふうと男は溜息をつく。
「私が知っているのはここまでです。魔物の姿をしているときには気付かなかったことが多すぎるのです。魔物として長く生き過ぎましたね…」
男はうつむきながら続ける。
「…私にはもう戦う力はありません。せめてここで私が殺めた人々の供養をしてあげたいのです。」
638華龍光臨:03/10/02 00:27 ID:HVwvedKF
この部屋…といって良いだろうか。の片隅に簡素ながら祭壇がある。
…彼はもう世に出ることをやめてここで生きていくことを選んだ。
ここですべての罪を背負い孤独な一生を過ごすことになろう。
それが彼の選んだ道。
「…そこの少年はそういえば私が呪いをかけた少年ですね。」
男はガボを見やる。
「ああ。だが、意外とうまくやっているぞ。」
ガボは張飛の腹の上で座ってこちらを見ていた。張飛は気にしないといった様子でいつの間にか眠りこけていた。
「そうですか。それはよかった。…もう、私には呪いを解くことはできません。」
男はガボを呼ぶ。呼ばれたガボは不思議な様子でこちらにやってくる。
「…ですが、残された私の力を使ってせめて、この世の中で不自由なく暮らしてほしいと願うばかりです。」
男は念を込めて不思議な光る球体を作り出した。
どこか暖かい。そんな光だ。
ガボは不思議そうな表情でその光の球体を手に取る。
光の球体はガボの体の中へ何の抵抗もなく入り込んだ。
「…あ?なんだ?これ?」
「おお!」
皆、息を飲んだ。
「成功のようですね。」
なんとガボが、話し出した。
「スゲェ!ありがとうおっちゃん!」
「せめてもの罪滅ぼしです。」
「イヤッホー!これでこのおっちゃんときこりのおっちゃんに話せるぞ!」
「相当喋りたかったのでしょうね。」
アルスが駆け回るガボを目で追いながらそう言う。
そのガボがドスドスと張飛の腹の上でジャンプする。
さすがに苦しいか顔をゆがめる。…が、やはり眠ったままだ。
「これこれ。それではさすがに苦しいだろう。」
言われたガボは張飛の顔の横に座ってぺちぺちと顔を叩き始める。
639華龍光臨:03/10/02 00:33 ID:HVwvedKF
「…これを。」
その光景を見て微笑む劉備に男は石版を差し出す。
「これは!」
「私の棺に入ってました。…必要なのでしょう。私にはわかります。」
男は軽く微笑んで。
「これで少しでも罪滅ぼしができればいいのですが…少し疲れました。申し訳ないですがそろそろ休みたいのですが。」
「うむ、そうか。色々と教えていただきありがとうございました。…翼徳、起きろ。そろそろ行くぞ。」
寝ぼけ眼を擦りながら張飛が立ち上がる。
一礼をして劉備が階段を下りていく。
降りていく途中、ガボが喋るようになったのに気付いた張飛がびっくりしたような声をだし、みんなで笑う声が響く。
最後に階段を下りることになったガボが一番最後に手を振っていたのが男の目に焼きついた。

──そして、男は一人、残される。
「仕方がありません。」
棺の中に寝転ぶ。
「私にはその資格がありませんから。」
ゆっくりと瞼を閉じる。
男は数刻後寝息を立て始めた。
>935
バトルかっこええのう。白が好きなので2で。

>639
謎が明かされる展開でゾクゾクします。頑張れ!
2で。
642296 ◆kYB5EDmqco :03/10/02 19:52 ID:l9xnSjoZ
2.白い扉へ

 部屋の中には樽があった。中身は何が入ってるか分からない。
トルファは樽の中を調べてみたが、残念なことに空っぽだった。
トルファは少女に向かって肩をすくめてみせた。
「外れだ。次の部屋に行こう」
ところが部屋から二人が出ようとしたとき、上から砂がかぶさってきた。
 砂の精の攻撃だ!
トルファがそう思う間もなく、部屋の中を猛々しい風が駆け抜けて砂を
吹き飛ばしてしまった。どこからか笑い声がした。聞き覚えのあるひゅうひゅうと
耳に鳴る音程。風の精が助けてくれたのだ。風によって吹き散らされた砂の塊が、
砂塵となって部屋の入り口にたゆたう。見守るトルファ達の前で、砂がその本性を
露わにした。
643華龍光臨:03/10/07 00:43 ID:EfJJZ1zm
<「人形」 〜ヒトガタ〜>

眠い目を擦りつつ目をあける。
グランエスタード城下町の宿屋の二階。
そういえば昨日は一階の酒場で酒盛りをしたのだったな。
バーンズ王が常々考えていたらしい居住地区拡張計画が始まったのだ。
これからはこの島だけではなくほかの人々の移住も考えられることから工事の開始に踏み切ったのだ。
昨日は手伝いに明け暮れていたが楽しい一時だった。
真横から豪快ないびきが聞こえる。
張飛のいびきである。
正直、酒臭い。
ちょうど真正面に壁に身を預けて関羽が眠っていて、ベッドには孫尚香が眠っている。
軽く伸びして窓を開け、外を眺める。
朝日が今日も暖かい。
外では朝早くなのに人で溢れている。
「ふむ。」
部屋の出口の扉を開けて部屋の外へ。
この宿の利用者とすれ違いに一礼しながら階段を下る。
酒場の空いている椅子に適当に座る。
しばらくすると朝食が運ばれてくる。
ゆっくりと味わいつつ食べているうちに他の三人も降りてくる。
「翼徳。飲みすぎだぞ。」
「す、すまねぇ。」
張飛は頭を抱えていた。見事な二日酔いである。
644華龍光臨:03/10/07 00:44 ID:EfJJZ1zm
「兄者。何か夢にでも見ましたか。」
「ふむ。隠し事はできないな。」
三人の分の食事が運ばれてくる。
食事を一段落して劉備はアルスから送られてきた書簡を眺めながら言った。
どうやらあのダイアラック跡地から送られてきた書簡のようだ。
「…私が蜀の地を手に入れる前。劉表殿がお亡くなりになられた後だ。」
曹操の大軍の前に多くの民を連れて江夏へ逃げ延びる時のことだ。
関羽は一旦先に江夏へ向かい、張飛は長坂橋でただ一騎で大軍を足止めして。
「あの時はまさに絶体絶命でしたな。」
この未曾有の危機から何とか脱した劉備はこれを契機に飛躍の時になる。
孔明の働きで呉との同盟に取り付け赤壁で勝利を収めた。
そして荊州を得て、蜀を得た。
まさにこれからというときに死道はやってきたのだ。
さっと書簡を読む。
どうやら町の名前を決めてほしいとのことだが。
シムが送ってくれた案には臆面もなく「劉備横丁」だとか「劉備タウン」など書いてある。
思わず苦笑いを浮かべずにいられない。
これをアルスが見たときの顔が容易に想像できる。

…そうか。
この違和感。こういう時にすぐ近くで…
「違和感の原因がわかったようですな。兄者。」
じっと劉備を見つめていた関羽が言う。
「ああ。…夢で見たのだ。戦場を駆ける姿を。」
喉の奥まで出かかった言葉が出た。
夢にまで出てきたのだ。
果たしているのだろうか。
これから向かう場所に。
645296 ◇kYB5EDmqco:03/10/10 23:49 ID:IXlTonfl

296です。現在OCN規制に巻き込まれて投稿することができません。
しかも、したらば系統のBBSにもアクセスできないので何とも。

OCN最悪。
>>645ですが
規制で書き込みできなくなってしまった296 ◆kYB5EDmqcoさんより
代理でレス承ったものです。(煽りとかではないので、、296さんを含め
このスレを見ていらっしゃる方々に分かりにくい書き込み、お詫び申し上げます。)
647華龍光臨:03/10/11 07:00 ID:zh3xlWwo
見える。
戦う姿が。
…間違いない。
「兄者。着きましたぞ。」
「ん。ああ。」
一陣の風が自身のの身を切る。
風の囁きに耳を傾ければこの地で苦しむ民の声が聞こえる。
…ここは。過去。
未来を抹消された民たちが光を求める世界。
「…兄者。また。見えたのですかな?」
「ああ。戦場を駆ける姿が。」
あれから夢で幾度となく姿を見た。
そして、今、ここに到着する際に最も強く感じた。
間違いない。ここに、いる。
周囲を見回してみる。
海に岩山。
どうやらここには人が住んでいそうな気配がない。
「まずは何をするにも人がいるところへ行ってみよう。」
「そうですな。」
しばらく海岸沿いに歩くと開けた場所に出た。
648華龍光臨:03/10/11 07:02 ID:zh3xlWwo
「あれ、なんですかね?」
「む?」
アルスの目は遥か先の何か動くものを見つけていた。
「人ではないか?」
劉備も目を凝らしてそれを見ようとする。だが、米粒のようにしか見えない。
「人間じゃないぞ。劉備のあんちゃん。」
張飛の肩の上でガボがそれを見つめていた。
「魔物ですね。…恐らくは。」
「何処へ向かっているかわかるか?」
「こちらには来ませんようですね。見つかってはないようです。」
「しっかし、かなり多いぞ。両手、両足で数えてもたらねぇぞ。」
要するに二十以上であるようだ。
「とりあえず後を追ってみようぜ。」

見つからないように森に身を潜めつつ様子を見る。
…数はざっと見て百程。思っていたよりも多い。
「からくり?」
「僕も詳しくはわかりません。ですが…色々と近くで見るとそうとしか思えません。」
あれだけ高度な技術のものは見たことありませんが。と付け加える。
精々知ってる限りではゼンマイ式のオルゴールがやっとのこと。
元々そういった技師がいなかったグランエスタードではからくり技術はなかなか発達しなかったのだろう。
そういえば以前孔明がその妻と共に様々な兵器を開発していたが似たようなものがあった覚えがある。
最もそれは実践投入されることはなかった。
「奴らは町へ向かってるようだぜ。町を襲う気か?」
より近くまで偵察に行ってたキーファが戻ってきた。
ここからは見えないが森を抜けた先に町があるということだ。そこに奴らは向かっている。
「…急ごう。あれだけの数を相手するのは厳しいがやるしかあるまい。」
急ぎ森を抜けようとしたところ町があろう方向から警鐘が聞こえてきた。
649名前が無い@ただの名無しのようだ:03/10/11 19:40 ID:lTIm5T6b
514 :Classical名無しさん :03/10/10 23:42 ID:vhlTLTtw
http://game2.2ch.net/test/read.cgi/ff/1029930091/l50

296 ◆kYB5EDmqco [メール欄]sage
内容:

296です。現在OCN規制に巻き込まれて投稿することができません。
しかも、したらば系統のBBSにもアクセスできないので何とも。

OCN最悪。
650名前が無い@ただの名無しのようだ:03/10/11 19:49 ID:1NfTwKNU

      _____________
    /                   \        ____
    |  今だ!650ゲットォォォーー!!!!       |      /    /
    \                   /     /     /
       ̄ ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄     / 2ch  /
         /| ̄ ̄ ̄ ̄|\          /      /
       /  | ∧_∧ |  \       / TOP GAN /
      /   |(´∀` ) |   \    /______/
    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄      /___
   /| 2ch Air Force / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/  ≡≡ ≡≡ ≡≡ ≡≡
 /  |________/                 /    ≡≡ ≡≡ ≡≡ ≡≡
  ̄ ̄    |\      ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ̄ ̄ ̄
        |  \_____________|
         ̄ ̄ /  |||      \
            \  |||      /
               ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
651代理:03/10/15 15:01 ID:G1y21j3m
>>642の続き
 砂塵の中より現れたのは三体の魔物だった。白いローブで全身を
包んだ醜い顔の魔物。そのうちの二体が手にした杖をかざして詠唱を始める。
「させるかっ!!」
床を蹴って、トルファが疾走する。
人間にはとても発せない金切り声をあげて魔物が迎え撃つ。 
 真正面から無数の砂礫がトルファを襲う。
突進するトルファの速度も含めてとてもかわしきれる量ではない。
 手にした剣で胴体の急所、左腕で顔面の急所をかばう。
突き刺さるような砂の圧力を全身に感じる。棘のように食い込む礫の激痛に耐えながら、
トルファは身体全体を回転させ、剣を魔物に叩き付ける。
最初に、右手の剣、次に、背後を見せながら左手でヒャドを放つ。
 魔物の放った礫はトルファの身体を痛みはしたが、動きを止めることは出来なかった。
トルファの剣を受けた魔物は、全身を波打たせてローブごと砂となって消え去った。
呪文の攻撃を受けた魔物は、胸部を氷の矢で貫かれ、ローブの隙間からこぼれ落ちる砂とともに崩れ落ちた。
「ほう……なかなかにやるようだな。上の階で蠍を倒したのは貴様か」
中央に陣取っていた残る一体の魔物が、笑いながら無造作に間合いを詰めてきた。
652代理:03/10/15 15:05 ID:0MDKc+FM
 魔物のだらりと下げられた手から、小さな何かがトルファめがけて飛んでくる。肘は全く動いていなかった。指と、手首がかすかに震えただけにも関わらず、その何かは一直線にシードの顔面めがけて飛んできた。
「なっ!」
見た事のない技での攻撃にトルファは驚いた。
咄嗟にサイドステップでかわしたトルファに、次々と同様の攻撃が行われる。
魔物は両腕を伸ばして、その手から無数の弾を撃ちだしてきた。
「ちっ」
舌打ちとともに、トルファが身体を振る。半径一メートルほどの
円の中を踊るようにしてトルファは全ての攻撃を回避する。
機械的に正確な動作が驚異的な速さを生み、トルファの身体をぶれて見せる。
攻撃が途切れる。そして同時に、白装束は右腕で懐から何かを掴み出す。
攻撃が止んだ。トルファは足に力を込めると、そのまま跳躍する。
天井高く飛び上がったトルファの身体が放物線を描いて魔物めがけて落下する。その瞬間、魔物の左腕が翻り、弾を撃ちだしてきた。隙を見せたのはフェイントだ。
「甘いね!」
幅広の剣の刃が弾を弾きかえす。右腕に強い手応えを感じると
ともに、トルファは飛来してきた物体の正体を知った。泥の塊だ。
たかが泥が、金属に耳障りな音をあげさせるまでに硬質化されている。
あたれば無傷ではすまなかっただろう。
衝撃で放物線が捻れ、トルファは魔物の隣に着地する。この隙に魔物
は宙に飛んで剣の間合いから逃れると、空中から攻撃を仕掛けてきた。
653代理:03/10/15 15:09 ID:0MDKc+FM

 宙に浮かんだ魔物を追いかけるように、崩れ落ちた魔物の残骸から
砂が噴き上がった。手にした杖を振り上げた魔物の身体を、衛星のように砂が
旋回する。周囲に展開した砂のリングを敵に叩き付けるべく、
魔物が杖を振り下ろした。帯状の砂の集まりがトルファめがけて押し寄せる。
「下がって! 吹雪で応手します!!」
少女が放つヒャダルコの冷気が、押し寄せる砂の塊を横合いから受けとめた。
渦を巻くように冷気の一部が砂の流れを回り込んで魔物に襲いかかる。
かわしきれず、魔物は全身を無数の氷の矢で貫かれて絶命した。
トルファの目の前に、かつて魔物であった砂の塊が滝のように流れ落ちて
きた。
戦闘シーンカコ(・∀・)イイ!
スピード感のある文章が好きです。
 空っぽの樽と砂の山が部屋の中に残された。この部屋にはもう何もないだろう。
トルファが部屋の中を出ようとしたとき、砂の山からキラリと光を発して何かが飛び出してきた。
球体はそのままトルファの荷物袋に口から突っ込むと、光を鎮めて中に納まった。
「な、何だ!?」
慌てて袋の中を確認したトルファが目にしたものは、象牙の指輪のくぼみにはめ込まれたオパールだった。
宝石の中に赤い門のマークがにぶく輝いている。
「儲けましたね、トルファさん」
少女が嬉しそうに話しかけてきた。

656296 ◆kYB5EDmqco :03/10/17 13:23 ID:ruXjKatC
トリップ入れ忘れた。スマソ。上のは自分です。

>>655続き

白い部屋を出たトルファの前には、二つの色違いの扉が残されていた。
黒い扉と青い扉。トルファが黒い扉に手をかけようとしたとき、少女が話しかけてきた。
「次は、青い扉にしてください」
手を止めてトルファは少女に振り向いた。
「青い扉を?」
「はい。ここに人間の知り合いがいるはずなんです」
ここに来てから初めてになる少女の自己主張、しかも、青い扉の先には少女の知り合いだという人間
がいるらしい。二重の興味からトルファは先に青い扉を開けることにした。
「しかし、何だって急に……」
「いつも扉を閉めずに開けっ放しにしている人なんです。扉の色が青だってことなんて、当人も覚えてないと
 思います……」
「……成る程」
トルファがそう呟いた途端、青い扉がひとりでに動いた。
廊下を揺らしながらエレベーターのように扉が上に昇っていく。バタンと閉じるような音をたてて扉が止まった。
「野放図で悪かったな」
入り口のところに意地悪そうな顔をした男が立っていた。
657296 ◆kYB5EDmqco :03/10/17 13:49 ID:ruXjKatC
 男はトルファと少女を部屋の中に招き入れると、椅子に座ってコツコツとのみを振るい始めた。
傍若無人な振る舞いに苦笑した少女が、男に代わって紹介をはじめる。
「えーと、私の方から紹介しますね、トルファさん。この人はゲイルさんと言って風の女王に
 雇われた細工師です」
「トルファだ。よろしく」
トルファが男に向けて手を差し出す。男は握手を求めるトルファの手に見向きもせず、面を上げてトルファの
顔をじっと凝視する。
「ほう、多少は商売ができそうだな。おい、小僧、手にした剣をよこしな」

1.渡す
2.渡さない


規制に負けずに乙です
659名前が無い@ただの名無しのようだ:03/10/18 01:41 ID:Q6Zt1wQp
ライトノベル作家最萌トーナメント!Round10
http://ex.2ch.net/test/read.cgi/vote/1066083121/
ドラクエのノベライズ作家でもある<<久美沙織>>が最萌トーナメントに出ています。投票を!

660名前が無い@ただの名無しのようだ:03/10/18 18:21 ID:XGPF3DEC
>>659
そんなんやってたんだ。久美スレにでも貼ればどうだい?
あと貼るとしたら、どこだろ?
661296 ◆kYB5EDmqco :03/10/20 15:41 ID:Ieac3qCb
やっちゃいけないんだけど、出先から更新。

1.渡す

トルファは腰に差した鋼の剣を帯から外し、男に差し出した。
「よしよし、いい子だ」
掴んだ鞘から剣を抜くと、男は刀身をためつがめす眺め始めた。
「剣を振る前に俺に会えて良かったな。よく観な」
蝋燭の火を受けた剣の刀身が輝き、無数の細かなヒビををあぶり出す。
「まるで焼き物だな……」
「さっきまで何ともなかったのに……」
茫然とトルファと少女が呟く。
「砂の精どもを斬ったことで、いままでの戦で剣にかかった負担が
 いっぺんにあふれでてきちまったのさ。今まで物騒な物を斬って
 きただろう?」
無言で黙り込むトルファに向けて、ゲイルは引き出しの中から鋼の剣と液体の
つまった瓶を取りだして放り投げてきた。
「こいつは責任もって俺が治してやるから。お前は水と剣を持って
 さっさと砂漠の鬼を倒しにいきな。奴らがいなくならないと商売
 にならないんだ」
「それはいいんだが、あんた細工師だろう。鍛冶屋のまねごとなんて
 できるのか?」
662296 ◆kYB5EDmqco :03/10/20 15:43 ID:Ieac3qCb
「俺は細工師だ。それ以上でもそれ以下でもないね」
トルファの質問に、答えにならない返事を返して男は黙々と作業を始めた。
トルファの後ろで少女がくっくと忍び笑いをもらす。
「わかった。頼りにしているよ」
トルファは男の背にそう声をかけると、来たとき同様に、少女を
伴って部屋の外に出た。二人が廊下に出るころを見計らったように、
蒼い扉がズドンと音をたてて部屋を閉ざした。
663296 ◆kYB5EDmqco :03/10/21 21:38 ID:FQcd5rUx
こうして、最後に黒色の扉が残った。
黒い扉を開けると、中には水色の衣装をまとった女がいて、悲しそうに
顔を伏せていた。彼女はトルファが入ってきたの気が付くと、パッと
顔をあげたが、その表情は深い憂いに満ちている。
 そして、おずおずとこう言った。
「あなたは……どなたですか? ここにはわたしたちと砂の精しか
 いないはずなのに……」
女の目が、トルファから少女に移動する。
そのとたん、女の顔がパッと輝いた。
「まぁ、イーシャ。どうしてこんな危険な場所に……」
嬉しそうに、彼女は少女に駆け寄ってきた。
664296 ◆kYB5EDmqco :03/10/21 21:51 ID:FQcd5rUx
「知り合いか?」
トルファの問いに少女はコクンと頷いて答えた。
「シフール……風の女王の側近です。シルフィング、こちらはトルファさん。
 赤い扉の旅人だそうです」
「まぁ、貴方があの……。トルファ様、先程はご無礼を。女王の側近の一人で、シルフィングと申します」
「そうか……水をさすようで悪いが、下に降りる階段はどこだ?
 俺は、この下にいる『砂漠の鬼』とやらに用があるんだ」
「……『砂漠の鬼』に用、ですか。女王が貴方に何を仰られたのか
は存じ上げませんが、あれは人間が簡単に倒せるような魔物ではありません」
「不幸なことに、自分より強い奴と戦うことには慣れてるんでね」
トルファと女性の目が交錯する。根負けしたのは風の精の方だった。
「……下の階段への入り口は、先程砂の者達の手で閉ざされました。
 そこまで彼らを追い詰めた貴方を信じましょう。私の手をおとりください」
軽くため息をつくと、彼女はトルファに手を差し出した。
665華龍光臨:03/10/21 22:03 ID:hl/g1xaV
警鐘のなった元へと急いで駆けつける。
そこには後をつけていたからくりの兵たちの一団。そして町の入り口だろうと思われる城門がそびえていた。
からくりの兵たちは城壁に取り付いて破壊工作をしているようだ。
…長い戦いの末に城壁はところどころ崩れている。
復旧もままならないほど戦闘は激しいのか。
劉備たちは防衛側の攻撃が届かない林の中で様子を伺う。
これでは下手に援護もできない。
「兄者。あれを。」
関羽の指差した方角に衝車が。
まだ城門にたどり着くには距離がある。
「なんと!こんなところに衝車があるとは!」
「衝車?」
アルスが衝車を見つめながら劉備に問う。
「うむ。我々の世界にあった対攻城兵器だ。」
「しかし、あの門はやばいと思うぜ。かなり攻撃を受けてボロボロだぜ。」
張飛の言うとおり門はかなりボロボロになっている。
もしかしたら衝車の攻撃を受ければ崩壊されるのやも知れない。
防衛側もただただやられるわけにもいかないといわんばかりの矢の雨を降らせているがからくりの兵の装甲の前にはじかれている。
「衝車を止めるしかないな。」
「できれば壊したほうがいいわね。」
衝車には護衛のからくりの兵が一体だけ。
衝車は自動で城門へと向かっている。からくり技術が施されているのだろう。
他の敵影は…ない。
限界まで近づき機会を待つ。
666華龍光臨:03/10/21 22:06 ID:hl/g1xaV
そして目の前を衝車が通る。
「いくぞ!」
一気に草むらから飛び出す。
アルスたちは衝車へ。
そして劉備たちは護衛のからくりの兵へ。
「もらった!」
一気に踏み込んで狙うは装甲とのつなぎ目の僅かな隙間。
しかしからくりの兵は胸部を横回転させてすさまじい斬撃を放つ。
張飛は思わず後ろへ飛びのいた。
近づいた敵を皆巻き込む五月雨斬り。
「むう。これでは近づけんな。」
そしてからくりの兵がこちらを向いて一歩足を進めた。
空を切るその斧は鈍い光を放っている。
激しい攻撃に幾度となく剣が悲鳴を上げる。守るのが精一杯だ。
「兄者、どいてくれ!」
張飛の声が聞こえた。
咄嗟に横に転がって間合いを取る。
からくりの兵の姿が見えなくなるのは少し怖いが張飛のことだ。大丈夫だろう。
「どりゃああああ!!!!」
すさまじい気合の声と共に地が震えた。
667華龍光臨:03/10/21 22:09 ID:hl/g1xaV
「…!?」
瞬時に埃が辺りを覆う。
敵の姿が視界から消える。
「……」
一瞬であったが空白の時間が生まれる。
そして埃が晴れ、敵の姿を探す。
目の前に…影が。
敵かと思い構える。が、それは杞憂だったようだ。
からくりの兵は巨大な岩の下敷きになっていた。
張飛は武器での打撃は効果的でないと考え近くにあった岩を投げつけたのだ。
とりあえず一つ息を吐き衝車に向きなおる。
衝車のほうは何かアルスが上半身を衝車後方に開いてある穴の中に突っ込ませ、何か操作している。
しばらくするとガスンプスンと音を立てて止まった。
マリベルがアルスを引っ張り出す。
「とりあえず止めました。」
「うむ。…ふむ。壊すには惜しいものやも知れないな。」
壊そうとしてもいざ目の前にこれがあると壊すのが惜しくなる。
「とりあえず逃げたほうがいいわよ。」
マリベルが城門付近を眺めて呟く。
「そうだな。」
先ほどの張飛の大声に城門付近のからくりの兵が一部向かってきている。
とりあえず衝車は放置して近くの草むらに隠れることにした。
668296 ◆kYB5EDmqco :03/10/21 22:24 ID:FQcd5rUx
やはり、そろそろ新スレを立てるべき時だな。

 風の精の手を取った瞬間、空間が旅の扉を通り抜けるときのように歪んだ。
気が付いたとき、トルファと少女は見知らぬ廊下に立っていた。目の前には赤色の扉と
青色の扉。

「砂の王は青色の扉にいます」
風の精の声が聞こえた。

1.赤色の扉を開く。
2.青色の扉を開く。
そこで迷わず1の赤色の扉ですよ!

表示は512だけど、実際は500なので、そろそろ新スレの準備を
した方がいいかもですね。
あらすじまとめるの大変そうですが……。
670次スレ天麩羅案:03/10/22 21:13 ID:p+D0A5W6
ドラクエの小説スレッドパート2

前スレ
http://game2.2ch.net/test/read.cgi/ff/1029930091/

細かいことは>>2-7以内に

リレー小説
トルファの冒険のルール

1)主人公は旅の扉を使って新しい町へゆき、そこで冒険し、また次の町へ 旅の扉から旅立ちます。冒険中の行動を全て書き手さんが決めても、途中にゲームブック風の
選択肢が登場しても構いません。ただし、冒険の最後の旅の扉の行き先だけは
複数の選択肢を用意してください。
2)次に書く人は、どの選択肢を選んだか明記して進めてください。書き手以外の人が希望を書き込む事も可能ですが、必ずその希望に沿って進むかどうかはわかりません。
3)書き手は選んだ選択肢以外については、書く事ができません。以前の選択肢に出たのに選ばれなかった場所を再び選択肢に出す事は可能ですし、過去に行った場所の事を思い出す、等はOKです。
例:A、B、Cの中からAに行ったとしたら、B、Cに行った場合の話をAの中で書いて
ゆくことはできません。
4)基本的にはひとつの冒険をひとりで書いた方がやりやすいように思いますが、
途中で書き手が交代してもOKです。
5)旅の扉が出た時点で、次の書き手さんに交代します。書き手希望者がいない場合は続行もOKです。
6)ドラクエ世界の中なら、どこへ行っても構いません。アリアハンの次にフィッシュベルへ飛ぶ等もアリです。
7)小説の連作と、これからの展開の相談を同じスレでやる事になると思います。
以前の話がわからなくならないように、小説の連作部分はレスアンカーを入れながら
書いてください。
671次スレ天麩羅案:03/10/22 21:15 ID:p+D0A5W6
☆ありそでなさそなQ&A☆
Q:短編って何レスまで使っていいの?
A:今の所、レス数制限は特に考えていません。
Q:エロはなし?
A:話の流れ次第ですが、エロで続けるのは禁止です。1レスでやめてください。
Q:これ、いつ終わるの?
A:皆で書きながらエンディングを考えましょうw
Q:感想とか希望とか書き込んでいいの?
A:是非書いてください。皆で楽しく進めようYO!
Q: トルファの出ないSSをこのスレに書いてもいいの?
A:ぜひぜひ!ただし、混乱するので、最初にタイトルを決めて、明記しておいてください

前スレまでのトルファの冒険のルート
レヌール城→アッテムト→ラダトーム 竜王戦→ルプガナ〜ムーンペタ→イシス(現在継続中)

華龍光臨
7ベースの物語で現在フォロッド。
672296 ◆kYB5EDmqco :03/10/22 21:34 ID:8v+XUaVL
>>671
スマン、もう建てちゃった。

次スレ
http://game2.2ch.net/test/read.cgi/ff/1066825290/
673296 ◆kYB5EDmqco :03/10/22 21:39 ID:8v+XUaVL
書いて置いてなんだけど、第三番目の冒険のあらすじに負けそう。作るの難しい……
674次スレ天麩羅案:03/10/22 21:54 ID:p+D0A5W6
アヒャーン

675296 ◆kYB5EDmqco :03/10/22 23:09 ID:8v+XUaVL
なんとか、次スレしあげた〜。死ぬ〜。もっと、映画の粗筋を書いて修練しないとな。
レヌール城以外、あんまり出来がよろしくない。
676:03/11/09 18:15 ID:uq6rpd5Q
小説書いていいか?
このスレって生きてるのかな…テストん
容量オーバー間近だが