【MH】モンスターハンターでエロパロ 12匹目【モンハン】

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1教官
よく来たな。ココはモンハンのエロパロだ!
ぬ!? 「なぜ教官がいるんですか?」だと? 気にするな、考えたら負けだ!
ではさっそく、我輩がココでの掟を手取り足取りやさしく教えてやるぞ!!

1.人X人・擬人化・竜姦なんでもこい! だが、特殊な内容を伴う場合、事前に断りを入れておけ!
2.基本的にココはsage進行だ。レスを書き込む前にメル欄の"sage"をよく確認するんだぞ?
3.480KB、または950レスまで来たらもう一人前のスレだ。アトはお前達が教官となって後進を導くのだ!

そして最後に、

すばらしい作品に巡り合えた時には最大級の賛辞を!
我輩は貴様達がココで立派に活躍することを楽しみにしているぞ! 以上!!

=全ての始祖・初代スレ=
MHでエロパロ!
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1141488219/

★前スレ★
【MH】モンスターハンターでエロパロ 10匹目【モンハン】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1196445236/l50

エロパロSS保管庫(07/06/17より更新途絶…)
モンスターハンターSS保管庫
http://ss.ares-ac.com/mh/

☆新たなる保管庫☆
モンスターハンターでエロパロスレ保管庫
http://wiki.livedoor.jp/mheroparo/d/FrontPage
〜Wiki形式だから皆で協力して更新していこう!〜

【初代スレから10代目(ラスト手前)までのテキスト】
http://uproda11.2ch-library.com/
mame:1158172.lzh comment:お狩りします {DLKey}:mh_ero
2名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 22:44:36 ID:lVCpjlWK
/   //   /   //    ______     /   //   /
 / //   /|   r'7\ ,.ヘ‐'"´iヾ、/\ニ''ー- 、.,   /    /
  /   / |  |::|ァ'⌒',ヽ:::ヽrヘ_,,.!-‐-'、二7-ァ'´|、__
`'ー-‐''"   ヽ、_'´  `| |:::::|'"       二.,_> ,.へ_
         /  //__// / / /      `ヽ7::/
 か っ も  |  / // メ,/_,,. /./ /|   i   Y   //
 ァ  て う.  |'´/ ∠. -‐'ァ'"´'`iヽ.// メ、,_ハ  ,  |〉
  |  約 ク  ヽ! O .|/。〈ハ、 rリ '´   ,ァ=;、`| ,ハ |、  /
  |  束 ソ   >  o  ゜,,´ ̄   .  ト i 〉.レ'i iヽ|ヽ、.,____
  |  し  ス  /   ハ | u   ,.--- 、  `' ゜o O/、.,___,,..-‐'"´
  |  た  レ  |  /  ハ,   /    〉 "从  ヽ!  /
  |  じ  は  |,.イ,.!-‐'-'、,ヘ. !、_   _,/ ,.イヘ. `  ヽ.
 ッ .ゃ .立   |/     ヽ!7>rァ''7´| / ',  〉`ヽ〉
 ! ! な  て   .',      `Y_,/、レ'ヘ/レ'  レ'
   い  .な    ヽ、_     !:::::ハiヽ.   //   /
   で   い   ./‐r'、.,_,.イ\/_」ヽ ',       /  /
   す      /    `/:::::::/ /,」:::iン、 /    /
          〈  ,,..-‐''"´ ̄ ̄77ー--、_\.,__  /
      ,.:'⌒ヽ ´         | |  , i |ノ   `ヾr-、
3名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 22:45:49 ID:VW2uOF5Z
乙……と言いたいところだが
前スレが10匹目になってるぞ
↓【MH】モンスターハンターでエロパロ 11匹目【モンハン】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1199886287/701-800
4孤独を知らない男:2008/03/20(木) 22:47:17 ID:/m2kIaNF
やってしまいましたよりによってこんなミスをーーー!
本当にすいません。ごめんなさい。
容量がピンチな事に気付いていませんでした。
どうしましょうもう誘導も貼れません。
しかもよく見たらテンプレ改変するの忘れてるorz
 
本当に申し訳ありません。
Wikiを使って連絡しようにも、
私のパソコンのスペックではWiki編集が出来ないようで…
どなたかWikiで告知を行ってもらえないでしょうか?
 
作品投下につきましては暫く凍結し、いつか折りを見て最初から再投下しようと思います。
本当にすいません。
5名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 00:10:53 ID:eSy6QbmW
一応連絡用にページを作ってきましたが、
wiki編集は始めてなのでどうなることやら……問題あったらスイマセン

>>孤独を〜の人
今回は残念でしたが、気長にwktkして待ってます
6名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 00:31:51 ID:BtP2NQBI
>>4
落ち着けwww
検索すればちゃんと出て来るから大丈夫だよ
前にも作品の途中で容量オーバーってことはあったし
スレ立て乙 続き楽しみにしてます
7名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 00:41:16 ID:apajBaKT
続きが気になって眠れん(;´Д`)ハァハァ
凍結は勘弁してー
8孤独を知らない男:2008/03/21(金) 10:27:45 ID:WW7Qn3LO
えー、まだ朝も早いですが再投下いたします。
昨日は本当に申し訳ないことを…
 
 
 
『孤独を知らない男』:第七話
 
 
 
月も出ない暗い夜。風も吹かない静かな夜。虫も蠢かぬ孤独な夜。
闇の中にいれば心まで吸い込まれそうな暗黒の中、
小さな少年が、僅かに開いたドアの隙間から室内を覗き見ている。
少年は一歩も動かず、室内のある一点をただじっと見ていた。
心が抜けたように一点に視線を釘付けにしている少年。
これは俺だ。俺の幼かった頃の記憶。たぶん5歳くらいだろう。
 
少年…いや、幼子と呼んでもいいかもしれない。
その幼子の視線の先にあるのは、中年の男。
椅子に座り、机の上の蝋燭の火をじっと凝視している。
この男は俺の親父だ。幼子は親父の姿を、斜め後ろ方向から見上げていた。
 
親父は幼子に気付いている様子はなく、ただ睨むように蝋燭の火を見ていた。
空気の微かな動きに反応して左右に揺らめくだけの炎の先を見る親父の視線は、
蝋燭の火に縫い付けられているようで、全く別のものを見ているようだった。
目を剥いて蝋燭の火を食い入るように睨む表情は、どこか鬼気迫っていて、
触れたらその瞬間に、親父は親父じゃない別の何かに変わってしまうような気がした。
蝋燭の灯りによって闇からぼんやりと浮かび上がる親父の顔は、
この世のものならぬ、異世界に住む魔獣のようにも見えたのだ。
そして、まるで眼力のみで蝋燭の火を消さんとしているような親父の、刺すような目。
それを向けられているわけでもないのに、幼子はその場から全く動くことが出来ず、
ただ黙って立ち尽くし、殆ど呆然と親父を見続けるしかなかった。
 
我が一族の掟に、変わった項目が一つある。
『当主が子を成した際、子が齢五を数える頃には、配偶者は当家より絶縁すべし。』
何故、この掟があるのかは分からない。いつ頃生まれた掟なのかも分からない。
だが掟になっているからには、絶対に従わなくてはならず、俺の両親とて例外ではなかった。
俺はよく憶えてないんだが、おふくろと親父はとても仲が良く、
結婚する際も、おふくろはこの掟を承諾した上で嫁入りしたそうだ。
だから結婚当初は19同士だったのに、俺が生まれたのは遅くだった。
確か両親が32の時だったな。俺が生まれたのは。
 
親父は、蝋燭の火を睨む。
この暗闇を唯一照らす小さな光。
それを押し潰すように、そしてどこか縋るように視線を固定させている。
永久と思うほどの時間が流れる中、その空間の時間は止まっていた。
瞬きすらせず、身じろぎ一つせず親父は火を見続けていた。
殺気にも似た雰囲気を纏ったその姿は明らかに異常と呼べるものであったが、
幼子はそんな親父から目がはなせなかった。
そうなると幼子と親父はまるで金縛りに遇ったかのように、全く動く事がなかった。
いつか幼子が恐怖を覚え始めてベッドに飛び込むまで、ずっと。
 
蝋燭の火以外の明るさが一切ない暗い夜。
ふくろうやこうもりや虫の羽音さえない静かな夜。
意思をもって動くものなど何もない孤独な夜。
蝋燭の火は、ただただ親父の姿だけを闇の中に映し出していた。
 
この夜は、おふくろが絶縁されて家を出ていった日の夜だった。
 
9孤独を知らない男:2008/03/21(金) 10:29:05 ID:WW7Qn3LO
 
「………またか。」
 
揺られる馬車の中で目を醒ました俺は、最初にそう呟いた。
近頃は親父の夢ばかり見る。いったい何故だろうか?
 
「走馬灯かな…」
 
太刀を抱えたまま続けて呟く。
この馬車を借りる時、厩舎の管理人から情報が入った。
本来なら、ギルドに楯つく者がハンターとして馬車を借りる事は許されない。
しかし俺は金払いがいい。厩舎の管理人は表立った協力はしてくれないが、
こっそり馬車を手配してくれたり、情報を俺に渡してくれたりする。
つまり厩舎の管理人は、俺にとっては大事な情報屋の一人にもなるわけだ。
そして先ほど入った情報の一つは、俺に対するギルドの動きに変化があったこと。
どうも秘密裏に俺の事を嗅ぎ回っているらしい。恐らく近々暗殺者が放たれるだろう。
 
原因は…たぶんパーシェルのことだ。
通常なら向こうに非があるのだからあれっきりは何も起こらんが、俺の場合は少し勝手が違う。
ギルドは俺を殺したがっているのだから、その大義名分が欲しいはずだ。
そこでパーシェルの事件を持ち出し、俺を民衆に実害を加える者として吊るし上げるつもりだろう。
そこに、事件の罪がどこに準拠しているのかは関係ない。
重要なのは、『俺が』一般民衆を殺害したということだ。
実際に殺したのはトネスだが、間違いなく奴らは俺の仕業に仕立て上げるだろう。
ま、それはともかく、だ。俺にとって大事なのは暗殺者への対応。これだけだ。
我が一族には対人用の戦闘術や体術も存在するから、並の暗殺者なら軽くいなせる。
問題はギルドナイツが動いた場合だ。真正面からの戦いなら引けをとらんと思うが、
暗殺となれば、ちょっとヤバいかもしれない。
奴らの技量で四六時中狙われたんじゃ、流石の俺でも倒せるかどうか分からん。
まあ、歴代最強と謳われた俺の曾祖父なんかはギルドナイト二人を同時に相手して殺したというから、
ギルドとしても危険を犯してまで、発見し難い貴重な人材に暗殺を命ずる事は少ないだろう。
相手が相手だしな。
 
しかし俺が考えた所でギルドの意向が変わるわけでもなし。
ギルドナイトが来ないことを祈って、暗殺者への対応を練っておくぐらいだな。
幸い、暗殺者への対応術も20ぐらいは方法があるし、
それらを組み合わせ、戦闘術や体術の応用も利かせれば対応は200通り以上はある。
そうそうやられるような事はあるまい。
 
10孤独を知らない男:2008/03/21(金) 10:30:12 ID:WW7Qn3LO
「旦那ァ、そろそろ着きやスぜ。」
 
御者のその声で、俺は瞑想していた目を開き、壁に預けていた背を起こした。
取り敢えずは、トネスだ。
馬車の中でも色々考えたが、答えらしい答えは出なかった。
だから考えてる途中でつい眠ってしまったのだ。
しかし、まずは会ってみようと思う。
トネスの姿を見た瞬間に自分がどうするのかは分からないが…
じんわりと、心の中に空気の塊のようなものが作り上げられていく。
不思議と重さは感じない塊だ。
 
俺はその空気の塊を吐き出すようにため息をついた。
酒はとっくに抜けているから、この気持ちは酔いのせいではないだろう。
美しいと感じた心が、それを愛するという事に直結するのなら、
或いはこの気持ちは今まで俺が一度も経験して来なかったものかもしれない。
もしそうだとしたら、俺はとんでもない間抜けだ。
全く、本当にこの歳になって自分の心を制御し切れていなかったとはな。
まだまだ俺も未熟ってことか。
 
「止めてくれ。ここでいい。」
 
太刀を腰に差しながら、俺は御者に声をかけた。
太刀を腰に差したのは、隣にある巨大な荷物を背負うためである。
荷物を太刀の上から背負っては、咄嗟に武器を抜く事が出来なくなるからな。
大きな荷物の中身は…まあ今の所は秘密だ。
腰に装着するのは太刀のみではなく、矢筒も、という事だけ言っておこう。
 
「へ? 本当にここでよろしいんで?」
「お前灼熱の砂漠まで行きたいのか?」
「……ここでよござんすね。」
「ああ、ここでいい。5日後の同時刻にここに来てくれ。」
 
そう言うと、俺は荷物を背負って馬車から降り、街道を進みはじめる。
御者の横をすり抜ける時には、「ご苦労さん」と言って金貨を親指で弾き飛ばして渡し、
ここまで馬車を引っ張ってくれたアプトノスの横を通り過ぎる時には、横っ腹をぱしっと叩いてやる。
アプトノスにとっちゃこのぐらいは撫でるようなもんだ。
俺は背中で、御者の「まいど」と言う声と、アプトノスの気持ち良さそうないななきを聞きながら、
砂漠を目指して歩いていった。
 
11孤独を知らない男:2008/03/21(金) 10:31:51 ID:WW7Qn3LO
 
「クァックァッ」
 
頭の上から響いて来た仲間の声で、私は目を醒ました。
上半身を起こし、目をこすりながら上を見上げると、
仲間の一人が私を見下ろしていた。
目をこすっていた手を下ろして私が小さく「クー」と鳴くと、
その仲間は自分の巣に向かって走り去っていく。
 
「ふぁ〜ぁ……ん…んん〜〜〜〜ッ…!」
 
私はそれを見送ってから、あくびをしつつ大きく伸びをする。
あれから私は、一般の居住区画にあるスペースの一つを分けてもらい、
そこに乾燥した草で巣を作って、住まわせてもらっている。
私は事の詳細を既に自分でみんなに伝えてある。もちろん謝罪もした。
だからこそ、みんなは私のこのスペースを与えてくれたのだと思う。
人間になった事で、私には人間特有の思考や感情が生まれていたけど、
仲間達の機微を感じ取る力は衰えていないようだ。
 
「クー」
 
あくびと伸びを終えた後、軽く鳴いてみた。
周囲の仲間たちは、まだ寝ている者もいたが、大体はもう起きていた。
起床している者の内の数人は入口周辺に集まっており、
残りの仲間は、各々自分のスペースにある巣の傍で蹲っていた。
今は産卵の時期。卵を産んだ者の番は卵を守り、産んだ本人は積極的に狩りに出る。
自然界では子守りの仕事は主に男性が引き受けるのだ、とジェロスから習っていたし、
そういった光景は何度も見たので、別段違和感はない。
違和感があるとすれば、入口に集まっている仲間達の数が非常に多いことぐらいだ。
入口に集まるのは、狩りに出る者が全員揃うまでそこで待っているため。
つまり女性はこれから集まって狩りに出るのであるが、
通常ならもうとっくに出発しているはずである人数が、入口には屯していた。
 
「…慣例が変わったのかな?」
 
私は独り言を呟きながら立ち上がった。
とっくに出発しているはずの人数がまだ入口にいるという事は、
更なる狩りの人員の集結を待っているという事であり、
いつもよりも大人数で狩りに出かける事を意味している。
 
『どうしたの? 私がいた時より人数が多いけど…』
 
私は入口で屯している仲間達の一人に話し掛けた。
話し掛けた相手は、元未亡人ながらも今回めでたく再婚した女性で、
卵を産んだばかりの人なはずだから、狩りには並々ならぬ意気込みを持っているはずだ。
 
12孤独を知らない男:2008/03/21(金) 10:33:01 ID:WW7Qn3LO
『あら、そう言えばあなたは知らなかったわね。
 最近とても凶暴な雌の角竜が出ててね、際限なく縄張りを広げてるから危険なのよ。』
 
角竜ディアブロス。その存在は何度も見た事があるし、
人間になった時、より詳しい生態をジェロスから教わった。
ディアブロスの雌は繁殖期になると異様に凶暴化し、縄張りを広げまくる。
そうして広げた縄張りに複数の雄を招き入れ、互いに争わせて勝ち残った一匹と番になるのだという。
縄張りを広げるのは大量の雄を招き入れるためと、大事な時期に食糧を確実に確保するため。
その激しい生態から、この時期の角竜の雌は、
リオレイアとは違った意味で女王と呼ばれる事もあると聞いた。
縄張りを確実に広げるためなら他の生物の縄張りであろうと、
全く容赦なく侵略していく姿は、まさしく女傑であるそうだ。
 
『そんなに凄いの…?』
 
でも、大抵は角竜の雌同士で牽制し合うので、
ゲネポスの群れが安全に狩猟をするだけの縄張りスペースは残される。
少なくとも私がいた頃はずっとそうだった。
そしてそれが自然のバランスだとジェロスは言っていた。
 
『そりゃ凄いわよー。
 もう四匹もライバルの雌を殺してるらしいし、
 体格も今まで見たことないぐらい大きかったわー。』
 
でも、稀にそういったバランスを崩す個体が現れることがあって、
そういった個体は進化した種類である可能性がある、と言っていた。
そして進化した個体は、既にそこにある生物を淘汰して栄える、ということも。
 
『…ね、私も参加していいかな?』
 
私はちょっと恩返しをしたくなった。
以前ほどの牙や爪はもうないし武器も持って来ていないけど、
ちょっとしたアイテムなら持って来てるし、調合術も教わっている。
もし角竜に襲われた時、仲間を守るくらいの事はしたいと思ったのだ。
 
『まあ、狩りは人数と年齢さえ満たせれば自由参加だからいいけど…
 あなたの場合はちょっとどうかしら…』
『大丈夫。狩りの足は引っ張らないよ。
 ね、お願い。私もみんなの役に立ちたいの。』
 
通常の狩りではリーダーは出て来ない。
代わりに狩りグループの中で一時的に定める指揮者が、主に狩りグループの指揮をする。
狩りにリーダーが出るのは特別な状況での狩りだけだ。
だから、弟には秘密にしておく。私が狩りに出たがっても確実に難色を示すからだ。
 
『う〜ん…爪と牙の代わりになるものがあれば良いわよ。』
 
そして私と話している女性が、恐らく狩りグループの指揮者だろう。
彼女は少し考えるような素振りを見せたけど、やはり直感的に決定を下した。
弟をだますような形になるのは少し気が引けるけど、
いつまでも守られっぱなしでは気が済まない。
私は指揮者の女性にお礼を言うと、自分の寝場所の傍に置いたアイテムを取りに行き、
人数が揃うのを待ってから、仲間達と共に狩りに出かけた。
 
13孤独を知らない男:2008/03/21(金) 10:34:59 ID:WW7Qn3LO
 
「ギャアアッ!」
「グワァッ!」
 
突撃隊の数人がアプケロスの群れに突っ込んだ。
アプケロスは非常に攻撃的な動物で、真正面から群れに挑めばとても危険だ。
しかし攻撃的であるからこそ、狩るための方法もある。
まず数人の突撃隊が大声で騒ぎ立てながら群れに突っ込む。
攻撃的なアプケロスは一致団結して突撃隊に対応する。
突撃隊は攻撃する姿勢を見せつつも決して深追いせず、逆にじりじりと下がっていく。
そうして全てのアプケロスが突撃隊に視線を奪われ、注意を向けた瞬間を狙い──
 
「クオオォォーーン!!」
 
──群れの最後尾にいる個体を、後ろから他の全員で攻撃する。
突撃隊が注意を引き付けている間に、群れの後ろからできるだけ獲物に接近し、
最後尾にいる一匹に不意打ちを喰らわせるのだ。言わば本命の攻撃隊である。
私達は一斉に飛び掛かってアプケロスの体にしがみついた。
アプケロスは悲痛な叫びをあげながら尻尾を振り回そうとするが、
こうなればこのアプケロスの命はもうなくなったも同然。問題は時間だけだ。
獲物をしとめる際、攻撃隊の中でも役割がちゃんと定められている。
獲物の動きを制限する係、上から覆い被さって動揺を誘う係。
そして一番重要なのが、獲物にとどめを刺す係。
 
「カァァァァァァァァッ!」
ドズゥゥッ!
 
私は素早くアプケロスの首に腕を絡ませ、砥石で研いだ鉄鉱石を頭に突き刺した。
人数が揃うのを待っている間に素早く作った即席簡易ナイフだけど、
アプケロスの頭蓋骨は分厚いので、こんなもので貫けるとは思わない。
大事なのは頭蓋骨に衝撃を加え、脳にダメージを与えること。
すかさず私は鉄鉱石ナイフを引き抜いて、今度は喉に突き刺した。
脳へのダメージと呼吸器へのダメージでアプケロスはドサリと倒れ込む。
 
大事なのは、素早く行うこと。
とどめにもたついてしまえば他のアプケロス達が加勢してくる。
その前に獲物を行動不能にしておき、素早く他のアプケロスが襲って来ないように牽制するのだ。
その全てを一瞬で行わねば狩りは失敗。今度は一転してこちらが逃げる番となる。
でも今回は成功だ。加勢が入る前に獲物を倒せた。
直ぐさま仲間が他のアプケロスを牽制し、私はその間に完全に息の根を止める。
 
これが私のいた群れの狩りの仕方だ。
 
「ギャウッ!」
「ガウゥッ!」
 
アプケロスの群れを追い払ったあと、突撃隊も無事合流して来て、
私達は仕留めた獲物の解体に取りかかっていた。
腹を開き、腐りやすい内臓はまず最初に食べてしまう。
私は人間になったので生の状態では食べられないから、肉を少し貰う程度だ。
後の肉は持ち帰り、番の男性に与えたり備蓄にしておいたりする。
生まれてくる子供達に備えて、食糧を蓄えておくことは重要だ。
砂漠には腐敗菌が少ないので長い期間蓄えておけることを、私達は本能的に知っている。
 
14孤独を知らない男:2008/03/21(金) 10:36:01 ID:WW7Qn3LO
『結局、角竜出なかったね。』
 
私は狩りグループの指揮者に話し掛けた。
彼女はもう、自分の分の肉をしっかりと剥ぎ取って口にくわえていた。
 
『いいじゃないか、出ないなら出ないで。』
 
彼女の言葉に、私は思わず微笑んだ。
狩りを無事に終えた安堵感と、みんなの役に立てたことが嬉しかったからだ。
やがてアプケロスは私達みんなの空腹を満たすに足る肉をすっかり供出し、
残るは骨と甲羅と一部の肉などの残骸となっていた。
 
『じゃ、帰ろうか。』
 
全員がしっかり持ち帰り用の肉を持ったことを確認し、指揮者はみんなに促した。
でも、私はやるべき事がある。そしてそれはみんなには関係のない事だ。
私個人のことでみんなを煩わせてはいけない。家族が巣で待っているのだから。
 
『あ、ごめん。ちょっと先に帰っててもらえる?
 後から直ぐに追い付くからさ…』
『? 別にいいけど…なんで?』
『ちょっとやる事があるだけ。心配いらないよ。』
『ふーん…』
 
指揮者である彼女は少し訝しげだったようだが、群れの不利益になるとは考えなかったようで、
自分自身も、やっと巡り合えた再婚相手に早く尽くしたいという気持ちがあったのだろう。
私の頼みを深く追及するでもなく認めてくれた。
そして彼女が号令すると、狩りグループは一斉に巣に向かって帰り始めた。
 
「さて、と…」
 
私は帰っていく仲間達の背を見送ると、早速アプケロスの方に向き直り、
目を閉じて心を鎮め、ジェロスから教わった祈りと感謝を述べる。
こうしている間は時間がとてもゆっくりに流れているような気がして、
えもいわれぬ心地良さというものを感じる。
だから私は、この祈りと感謝を欠かさないようにしようと思っている。
そして祈りと感謝も終わり、最後はドキドキノコを添えるだけなのだけれど、今は持ち合わせがない。
 
「代わりにこれで…」
 
仕方なく、代わりにアオキノコを供えた。
回復薬調合のために持って来たものだけど…しょうがないよね。
どうか成仏してください…
私はもう一度アプケロスに祈りを捧げると、
仲間のみんなに追い付くために、巣への道の方を振り向いた。
 
ドガァァァァァアアアアアアアン!!
 
その直後だった。
爆発のような音が響き、少し離れた場所の地面が実際に爆裂した。
そしてそこから飛び出た大きな黒い影。
老山龍も一突きで殺せそうな、太く逞しい一対の角。
刺々しいハンマーのついた長い尻尾は一振りで岩をも砕く。
ギラリと睨むような眼光に、凶悪な面を一層際立たせる漆黒の体表。
そこに刻まれた、歴戦の激しさを思わせる数々の古傷。
 
それは、今まで見た事も聞いた事もないほどの巨大な黒いディアブロスだった。
 
15孤独を知らない男:2008/03/21(金) 10:37:32 ID:WW7Qn3LO
私は思わず息を呑んだ。
角竜の全身から立ち上る凶悪な雰囲気に圧倒されたのかもしれない。
ただ、不思議と恐怖は感じなかった。あまりに唐突だったので一瞬麻痺したのだろう。
アプケロスの残骸の傍で、私はただその巨体を唖然と見上げる他なかった。
一方、黒ディアブロスの方は最初から私の存在に気付いていたようだ。
あのディアブロスにとっては、たとえそこがどこであろうと、
砂漠の上に存在する生物は全て己の縄張りを侵す不届きものなのだろう。
ここは私達の縄張りの一角だというのに、その角竜は怒りの形相すら浮かべて私の方を振り向いたのだ。
 
「……あ…!」
 
その角竜と目が合い、ようやく恐怖の感覚が呼び起こされた。
あんな大きく凶暴そうなディアブロスは見た事がない。
あれが、仲間の言っていた巨大ディアブロスだろう。
そして巨大な角竜が突進を始めたのと、私が懐に右手を入れたのとは殆ど同時だった。
 
瞬間、まばゆい光が周囲を覆った。
持って来ていた閃光玉を投げ付けたのだ。
私は直ぐさま目を瞑ったけど、突進中の角竜はそうもいかない。
黒いディアブロスは突進を中断して仰け反り、数歩後ろに引いた。
 
でも今の私じゃ、勝てない。
目を開くのと同時に私は駆け出した。
角竜に閃光玉を使った場合、その効果は30秒ほどもつと聞いた。
その間に遠くへ逃げなくてはならない。
30秒あれば、私の足なら逃げられる。
必死で足を動かし、必死で逃げる。
 
「──────────!!!」
 
しかし天地を揺るがすような咆哮で私の足は止まった。
そうだ、これもジェロスから教わってた……
飛竜種や牙獣種が行う巨大な咆哮、バインドボイス。
その中でも角竜の独特な咆哮は非常に遠くまで響く強力な声だ、と。
私の耳は全くの無防備状態からそれを喰らってしまった。
耳への衝撃は脳へと伝わり、私は耳を塞ぐ事も出来ずに転倒してしまった。
脳を直接揺さぶられるような咆哮も、今まで聞いた事がないほどの強い響きだった。
 
なんとか立ち上がろうとする。
でも頭の中でまだ響いているあの声がそれを阻む。
吐き気にも似た不快感に脱力感。体に上手く力が入らない。
この体になってからバインドボイスを聞いたのは初めてだったのも災いした。
どうしよう、どうしよう、このままじゃ逃げ切れない。
そう考えると精神の動揺も増して、焦りから来る動悸で呼吸も乱れる。
集中力が乱れていくのが分かる。でもそれを再び集束させる程の余裕はなかった。
そうしている間に黒いディアブロスの視界は元に戻ってしまったようで、
再び私に向かって突進を開始しようとしていた。
私の方もだんだん感覚復帰はしていっているものの、間に合わない。
 
角竜が突進を開始した。
私は動けない。
黒い巻き角が迫る。
立ち上がらないと。
でも動けない。
もしあんな角に刺さったら。
立たないと。
ああ──
 
──ジェロス──
 
16孤独を知らない男:2008/03/21(金) 10:38:55 ID:WW7Qn3LO
「グオオォォーーーゥゥ!!」
 
と、私が生きるのを諦めかけた瞬間、視界の横から三本の黒い線が走った。
黒い線は真直ぐディアブロスに向かって進み、肉質の薄い尻尾の裏を正確に貫いた。
突如横合いから急所を貫かれた驚きと痛みにディアブロスは怯み、
突進を中断して、黒い線が飛んで来た方向を振り向き、
私も少し遅れてそっちを向いた。
 
「……こいつは驚いたな。」
 
二つの視線を辿った少し先の方に、濃い赤茶色の人影があった。
左手で弓を構え、大荷物を背負い、腰に太刀を差した人影。
死にたくない、と死ぬ寸前の私に思わせた原因の人…!
 
「ジェロス!」
「YES I am! …は、ともかくとして、だ。
 厩舎の管理人から聞いてたからもしやとは思ったが…
 まさかここまでのものとはな。」
 
そろそろ私の感覚が元に戻って来た。
復帰した聴覚が、彼の声をはっきりと伝えてくれる。
閃光の余韻が消えた視覚が、はっきりと彼の顔を捉えてくれた。
夢でも人違いでもない。彼はこの砂漠まで確かにやって来たのだ。
 
「ともかく、気の利いた台詞は後だ。こいつを倒すぞ。」
 
ディアブロスは怒りの声をあげながら、体ごと彼の方を振り向いた。
岩壁を背にした彼は弓を下ろし、右の逆手で太刀の柄を握り、
怒りに身を任せる角竜とは対照的な鋭い睨みで、
規格外の巨体の憤怒を真正面から受け止めた。
私はよろけながらも立ち上がり、口の中でもう一度愛しの彼の名を呟いてみた。
17孤独を知らない男:2008/03/21(金) 10:44:12 ID:WW7Qn3LO
これにて第七話終了です。
返す返すも我が身の不覚を嘆くばかり…
 
事故的な新スレ移行にあたって協力してくれた皆様、ありがとうございます。
作品を楽しみにしてくれた方々、申し訳ありませんでした。
18名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 12:33:29 ID:d7JJ/d0U
前スレで来週へ続くと書こうとしたのは秘密。
Yes I am吹いたwww
19名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 14:15:32 ID:uKF33gSM
新スレに移ったようなので、自分の作品もこちらに移します。
今回も蜂蜜を超える糖度な作品です。
改行等もまた少し改善してみました。(皆さんの目には改悪にうつるかもしれませんが)
では投下します。
20名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 14:16:38 ID:uKF33gSM
〜特殊生態系体験記17〜


その日の夕食は麟が腰が抜けて動けないと言うので、寝室に持ってきてもらった。
なんだろう滑車3台分の夕食。…すごく・・豪華です…。隣で麟がはしゃでいる。
「わ〜!レオン、昨日のよりすごく美味しそうだね〜!」
「…おい!シンバ、何故今日はこんなに豪勢なんだ?」
「それはもちろん、お二人にはこれ位は補給が必要と判断したからニャ!」
かわいい顔で可愛げのない事を言うシンバ。何処か憎めない態度も相まって、レオンはこれ以上言及する気が失せてしまった。
食事が終ってレオンはシンバの言葉をようやく理解できた。なるほど確かに、今日は麟にぶっ通しで教えていた事と、秘め事とでひどく腹がすいていたらしい。
あれだけの量をさらっと平らげることが出来たのだから。
(後で、マタタビでも持って行ってやるか)
心の内でレオンはシンバの心遣いに感謝した。
 ベッドの上では麟が満面の笑みを浮かべて、レオンを見ている。
「どうした、麟。そんなにさっきのうまかったか?言っとくが毎日は無理だぞ?」
「…違うよ。ただレオンを見てるだけで、何だかぽわーってなってね、安心するの。」
麟は先ほどの行為の余韻に浸っているようだ。
(麟の初めてがうまくいってよかった)
レオンも安堵していた。初めてであまりに痛かったため、それ以降できなくなると言うケースも有る、と言う事を聞いたことがあった。
ベッドに入り、寝る準備をする。さすがに今日は疲れてもうする気になれなかった。それは麟も一緒だった。
二人は寝るまで、ずっと軽いキスや、お互いの事を褒め合った。
 そして朝、出会って5日目。レオンは目を覚まし、体を起こす。何事もなく体を起こすことが出来た。麟は隣で丸くなっている。
「寝ぞうもかわいいのか、こいつ。まさに反則だな。」
ふっと笑い、寝室の鏡の前へ。そこでレオンは驚き反省した。甘かった。あの麟が、何もしない筈がなかったのだ。
レオンの右胸にハートマークが描かれている。人の唇大の線をつなぎ合わせて。キスマークでハートマーク。それを素でやるから麟は恐い。
レオンは急いでベッドで寝ている麟を起こす。
「起きろ麟!これはいったいなんなんだ!」
「うにゃ〜…おっはよ〜、レオン。あ、それ見てくれた?!どう、レオン?ボクの自信作!
レオンにボクの印つけてみたんだ〜!…嫌だった〜?」
「いや、そりゃ嬉しいけど、いくらなんでもこれはつけすぎだ!せめて一個!いいな!」
全く朝から騒がしい。でもこんなのも悪くない。
「麟、腰大丈夫か?痛まないか?」
「うん。まだ少し腰が重いけど、レオンが気持ち良くしてくれたから大丈夫だよ。」
麟は笑顔でそう返す。跳ねた髪と笑顔のコラボレーションが素晴らしい。
井戸に行き、顔を洗い、髪を梳かす。その次は朝食だ。
「ご主人、昨日はよく眠れたかニャ?」
「ああ、おかげ様で疲労も全くない。いつもありがとさん。」
そう言って、マタタビを渡すと、シンバは踊りながら奥に戻って行った。
21名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 14:17:10 ID:uKF33gSM
〜特殊生態系体験記18〜


朝食が終わると、昨日の復習をしてみた。ヤッヴァリ、こいつは理解の仕方がびゃあ、うまひぃ〜〜☆
予想通り、昨日の内容はほとんど覚えていた。午前中で復習は終わり。午後に少し武器屋に用事が有ったので、心配だが麟を置いて出掛ける事に。
「じゃあ、少しだけ出掛けてくるから、大人しく待ってろよ?」
「う〜…わかったよ、ボク待ってるね。」
少しだけ不機嫌そうな声色と膨れたほっぺで麟は喋る。
「じゃ、行ってくるよ。」
「うんいってらっしゃい!」
麟は家から出ていくレオンを窓越しに見ていたが、やがて見えなくなった。
(レオン見えなくなっちゃった。つまんないな。)
麟は寝室のベッドの上に座り込んだまま、ぼんやり外を見ている。家の中だけなら出していいと許可をもらった尻尾を上下に揺らしながら。
どれだけの時間が経っただろうか。麟は自然と昨日の事を思い出す。レオンと繋がったあの感覚。絶頂の瞬間にお腹に広がった、暖かい感覚。
それらの感覚は麟を行動させるのに十分なきっかけを与えてくれた。
(もう駄目!我慢できない!レオンに会いに行こう!きっとレオンを見つけたら、また偉いって誉めてくれるに違いない!)
麟はドアから村に出た。それは間違った判断だと気付かずに。
 ゼルス村は、村と分類されてはいるが、かなり大きく、家も50棟を超える。そんな中で、行き先も知らない麟がレオンが入った家を見つける事は容易ではない。
歩き回って探す麟だが、やはり見つからない。仕方がないので少し怖いが、村の人に聞いてみる事にした。
「すみません、あの〜レオンって言う人知りませんか?」
聞いた大半の人は、名前は知っているが、居場所は知らない。だが居場所の代わりに聞けたのは、レオンの評判。
「あの人には世話になってるからね〜。」
「こないだも、ギアノスから山の牧場を守ってもらったよ。」
口々にレオンの活躍を聞く。麟は嬉しかった。自分の最愛の人は周りからもこんなに愛されている。
その人と麟は、ずっと一緒に居る約束をした。その優越感が一気に麟の警戒心を下げてしまった。だから、
「あ、その人ならこっちの家に入ったよ。連れてってあげるよ。」
と言われたときも麟はほいほいとついて行ってしまった。
「はい、ここだよ〜。中へどうぞ〜。」
中年の男に麟は連れられ家の中に入ってしまった。
「おじさん、ありがとう!レオン〜!…レオン?ねえ、レオンいる〜?」
「レオンなんて人は、ここにはいないよ。」
「え?…おじ・・さん?」
「君は馬鹿だね〜!人を信じすぎなんだよ!これからひどい目にあうとも知らずに。」
22名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 14:17:59 ID:uKF33gSM
〜特殊生態系体験記19〜


麟の目の前に中年の男Aが現れた!中年の男は麟に覆いかぶさった!
「きゃあ!痛い!!」
「へへっ!大人しくしてればそれなりに可愛がってやるからよ!」
麟は重くて中年の男をどかせない。中年の男は麟の服を破いた。麟の胸が露出する。
「いやあ!見ないで!お前なんかが見ちゃダメなんだから!」
麟は激しく首を振り嫌悪感を顕わにする。
「嬢ちゃんそんな事言っても、ここには俺しかいないんだ。俺以外の誰が見るってんだ!」
中年の男はそう言うと下半身に目をやる。
「これだけ、綺麗な胸してんだ!下もさぞかし立派なんだろ〜な〜!」
男はにたっと笑った。気持ち悪いその顔に麟はどんどん、嫌悪感を募らせる。
「ダメダメ!絶対にダメ!そこはレオンのなんだから〜!レオン以外はダメなんだから〜!!」
(レオン助けて!ボク、怖いよ!!寒いよ!!お願いレオン〜!!!)
心と声、どちらも力いっぱいに叫ぶ。
とうとうすべてを脱がされた麟は怯え、震えている。
「なんだ!お前尻尾が付いているのか!丁度いい!!調教のし甲斐がありそうだ。」
麟はこの時この家のドアが開いている事に気がつかなかった。
「へえ〜、何をどういう風に調教するんだ?」
突然の声に振りかえる中年、沼地で聞いたあの音。「ビタンっ!」レオンは中年の頭を大剣の腹で叩いた。倒れた中年が崩れ、その向こうにレオンの姿があった。
「っ〜〜〜〜〜〜!!!!レオン〜〜〜!!!!」
涙を浮かべ抱きつく麟。その瞬間麟の頬を衝撃が襲った!「パァン!」麟の頬が赤く染まる。麟は何が起こったか分らず、痛みさえ確認できなかった。
「バカ野郎っ!!!!なんで家を出てきたんだ!!あれほど出るなと言っただろう!!!」
「・・・あ・・う・・・あ・あ」
麟は声にならない声を上げる。
「これで、お前は自分がどういう身かわかっただろう!?お前は俺達男から見れば、のどから手が出る位、いい女なんだよ!!」
レオンは激昂した。
「そんな女が常識も知らずに外を歩いていれば、こうなることは目に見えてんだよ!なのに、なんで出てきたんだ!」
麟は大粒の涙を流し、大きな声をあげて泣いた。
「だって!だって会いたかったんだもん!!!レオンに!どうしようもなかったんだもん!!それにレオンを探せたら、ほめてもらえると思って…」
言いかける麟をレオンは優しく抱いた。そして静かな声で言う。
「麟、もしお前に何かあったらそれはできなくなっちまう。そうお互いどっちも居ないと、そんな事や結婚は出来なくないことなんだ。」
レオンは麟の頭を撫でながら続ける。
「麟、俺はお前に向かってくる危険はすべて払ってやる。命を賭けてもだ!でも麟が自分から危険に向かって行っちゃったら、俺どうする事も出来ないよ、麟。」
いつの間にかレオンも泣き声だ。
「それで麟を守れなくて、どっか行っちまったら、その先一人で、俺どうすりゃいいんだよ!麟!」
レオンは麟を抱きしめる。しばらくの沈黙。聞こえるのは麟の泣き声だけ。
「・・・な・・さい。・・・ごめんなさい。レオン、ごめんなさい!」
何度もごめんなさいを口にして、麟はまた泣き出す。レオンをしっかりと抱きしめて。

23名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 14:19:08 ID:uKF33gSM
〜特殊生態系体験記20〜


「ぶっちゃっててゴメンな?麟。痛かっただろ?」
レオンは麟をおぶって家に帰る途中だった。中年にはあのあと思いっきり麟の尻尾事を口封じしておいた。
村中に奴の全裸が見えるように、奴の屋根に吊下げといた。これで尻尾の事やリンの事はもう大丈夫だろう。
「んーん。悪いのはボクだから…それにこれボクがレオンのって証にもなるし。」
「今度からは出かける時は麟も一緒に行こうな。・・・実は俺もさびしくてさ、予定よりもかなり早めに家に帰ったら、麟がいなくて焦ったよ。」
「いいの?レオン、無理しなくていいんだよ?レオンには、なるべくボクのために無理して欲しくないな〜。」
「俺が好きで無理するからそれはいいの!麟こそ無理はするなよ。」
「じゃあ、ボクも好きで無理する〜。」あははは、これじゃきりがないね。」
そう言って麟は少し晴れた頬をゆっくりさする。愛しむ様に。
家に着くとすっかり暗くなっていた。何だか今日も疲れたのですぐに夕飯に。今日の夕飯は普通だ。シンバ曰く、
「色んなことがあった日こそ、普通が一番ニャ!」
…なぜ知っている。だが、レオンはもう聞く気にもならず、力なくそうかよと笑う。確かにいつも食ってる味の筈なのに、身にしみてうまかった。
夕飯を終え、寝室へ。あんな事があったからか麟は、ばつが悪そうにしている。
怒ったレオンを初めて見たせいもあり、話しかけづらいようだ。
「麟、昼の事は気にするなとは言わないけど、最初は誰だって、知らない事だってあるし、そんなに落ち込まなくても…」
レオンは麟に呼びかけるが麟は、「うん」と力の無い返事をするだけだ。落ち込む理由は分かっている。
麟は優しい。これまでみてきた人の中で一番に。だからこそ、そんな麟は自分が許せなかったのだろう。愛する人を心配させた自分を。
「・・・わかったよ。そんなに自分が許せないなら、おれがお仕置きしてやる。文句は言わせないぞ。」
「え?どうして?レオンどうしてボクの考えてる事分かったの?」
「どうしてもだ!」
そう言うとレオンは麟をベッドの上にのせ、服を脱がす。あれだけの事があったにもかかわらず、抵抗は無かった。一応割り切れてはいるらしい。
ベッドの上に横たえ、麟を裸にすると、レオンは昨日と同じく胸から弄り始める。この形のいい胸が誰かに触れられかけたと考えると、内心気が気じゃなかった。
乳首を指でこすり、爪で優しく搔く。くすぐる様に優しく、優しく。
「ん・・ふう…ん…ん」
麟の声が響き始める。昼間の暴漢に見られた時確かに感じた穢れ。
麟は胸を揉まれる毎にその穢れたものが落ちていく感覚を感じた。清められているようだ。
「レオン…下・・も…お願い。」
ポツリと麟が言う。何だか昨日より疼く。早く弄って欲しい。しかし、ここからがレオンのお仕置きだった。
麟の足を開くと尿道付近を擦る。そこは、陰核や膣内に比べると遙かに、感度の鈍い場所だ。
「ん・・ん・・ん…?レオ・・ン?」
麟は物足りなさそうに、声をかける。言葉の奥に本音が聞こえる。なんでもっと弄ってくれないの?と。
24名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 14:20:10 ID:uKF33gSM
〜特殊生態系体験記21〜


 レオンはいっこうに尿道以外を触ろうとしない。
「レオン、ん・・他も・・」
「まだだ。まだもう少し触りたい。ダメか?」
レオンにダメかと聞かれては、駄目とは言えない。しかし、5分程ずっとそこばかり触っている。普段はもっと気持ちいい所を触ってくれるのに。
麟はなんとか他と同じように感じる事が出来ないだろうかと、尿道に意識を集中する。が、集中すればするほど陰核や膣の疼きは加速していく。
その疼きはたまにレオンが陰核を皮の上から、ちょんと爪の先で触れただけで
「ああ!」
と声が上がるほどだ。麟は我慢の限界だ。
「レオン!ここの気持ちいいところ触ってよ〜、レオン〜。」
麟はレオンの手をそこに導く。子供が遊園地へ親の手を引くように。
「分ったよ、触るぞ。」
だがレオンはすぐには触れない。まずは息を吹きかける。くすぐったい感覚と少しの快感が麟を襲う。
「ひゃ・・ん・ん、ん・・ふう・・」
麟はようやく来た快感に、喜んだ。が、まだ全然足りない。麟の様子を把握したレオンは次への行動へ移る。
皮を剥き陰核を露出させる。麟はやってくる刺激の予感に胸を躍らせる。レオンは露出したそこを、こすらずにただっつついている。
「!?・・ひう・・ん・・ん」
確かにさっきよりは気持ちいい。けど、足りない。足りない。
「レオン〜!足りないよう!気持ちいいの足りないよう〜!」
「これが、お仕置きだ。ふっふっふ。苦しいだろう?」
レオンは何だか楽しそうだ。麟は体の全神経を陰核に集中させる。少しでも敏感に感じ取るために。
それは麟の陰核に変化をもたらした。一回り膨らんだそれはレオンのモノと同じように、かすかに脈打っている。
まるで自ら触れてと膨らんだそれを確認したレオンは、陰核の付け根と本体に指を当て一気に擦りあげた。
「くはぁ!!!・・ん・・んいい!」
ただただ気持ち良かった。昨日、一昨日とレオンが感じさせてくれた、快感と同じだった。その強さを除いては。
「ふうん!!・・あ、あ、はぁん!いいよぅ!レオンいいよっ・・んん!」
頭が真っ白になっていく。いや違う。レオンが触る度に頭からはレオン以外の事が一つずつ、抜け落ちていく。
麟は体を震わせ、快楽を貪る。体が震えると同時に、膣からどくどくと愛液が流れ出る。
「はぁ、はぁ、ふ・・んんっ!!あ、あ、あ、あすごい!いい!」
(もっと欲しい!もっと欲しい!もっと!もっと!もっとっ!!気持ちいいのが、レオンが欲しい!!!)
「レオン・・はぁ、はぁ、んく・・中に!ボクの中に入って、レオン!」
さらなる快楽に掻き立てられ、麟はおねだりをする。レオンの心を動かせるよう、出来るだけ可愛く、妖艶に。
25名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 14:20:59 ID:uKF33gSM
〜特殊生態系体験記22〜


「じゃあ、麟、昨日よりももっと気持ち良くしてあげるよ。後ろを向いて、麟。」
そう言うとレオンは麟をバックの体勢にする。その状態で麟の中にレオンは自分の分身を進めていく。
昨日よりもずっと緩くなった中は、とても気持ちがよかった。麟にとっても、レオンにとっても。
「くはぁああ!!ん、ん、ん、ん!んーーーーっ!!!」
入れた途端麟が連続して震える。どうやら小さくイッたようだ。レオンは構わず腰を進め、前後させる。
「うわあ!?う、う、ううん!うん、うんうむう!っ――〜んん!」
気持ちがよすぎて麟は思わずびっくりしてしまった。
人間の膣は大抵、正上位で入れた時に最もスムーズに入るようにカーブが出来ている。膣の壁がこの時圧されたり、特定の部位がこすれたりすると快感になる。
バックの場合はモノのカーブが膣とまったく逆。つまり抵抗が大きくなる。大きくなるとそれだけ、擦れたり、圧したりが増えるので、結果より気持ち良くなれる。
麟は今まさしく、その状態だった。レオンが動く度に、擦れて、圧されて気持ち良くなっていく。入口のいやらしい音が大きくなる。
麟の膀胱付近のGスポットを、レオンのモノが入る毎にグリグリ刺激される。
「あん!あん!ぁん!あんっあぐっーー!!ひ、ひゃあ!」
腰がとろけそうなくらいに気持ちいい。頭にはレオン以外もう何も無い。ほどなく麟の絶頂が近づいてくる。
「あ、あ、あ、クる!きちゃう!!レオン、ボクとんじゃあっ!!うう〜!」
その時レオンは止まった。麟の入口付近で止まった。麟はあと一歩でせっく…じゃなくて絶頂に行き損ねてしまった。
「…れおん?・・ろうして、止めたうの?」
イきかけて舌ったらずになった麟の甘い声が聞こえる。
「これもお仕置きだ、麟。そうだな〜あと6回はイクの我慢してもらおうかな〜」
レオンは笑いながら言うが、麟はそれどころじゃない。
イク直前のあの、出したくないのに何か出そうな、絶対的な気持ち良さ。あんなのがあと6回も続いたら、おかしくなってしまう。
レオンからは止める素振りが見えない。何より麟にとって気持ちがいい事には変わりが無い。麟は恐る恐るうなずいた。
それと同時にまた動き出すレオン。積もる快感。でも麟の快感がけして溢れる事は無かった。溢れる寸前でピタッと止まる刺激。
沈んでいく興奮。しかし、もういいやと萎える一歩手前で動きを再開するレオン。
「このまま!れっ!おん、このまま!あ、あ、ああっ!!あと一回!!お願いレオン、あと一回!!」
懇願むなしくまた刺激は止まり、少しずつ冷めていく快感。その繰り返しの中で、麟はついに我慢が出来なくなった。
「レオン…ボクもう、もうダメ!イきたい!イきたい!!レオン、ボク分かったから!自分の事許したから!だから、いかせてよぅ〜!!レオン〜!」
泣きながら叫ぶ麟。するとレオンは一段と激しく動きだした。
「んん!んん!あ、はぁ〜!!!んん!んう!んう!んう!」
時々レオンに体を寄せ首を捻りキスをしながら、麟は6回目の上昇を開始する。そしてあと一回でまた止まるレオン。
「うう〜、うっ、うっ、いやだよぅ〜!止めないでよぅ〜!」
麟が諦めかけた、その直後レオンは陰核を擦り、何回も動く。再び燃え上がる、快感。そして…ついに溢れたのだ。
「っ―――――――――!!!ふっ―――――――んんっ!!!ん―――!ん――――!!」
何度も何度もイク麟。その度音を立てて吹き出る、快感。ただただ体全部で気持ちいいを表現する麟。
それとほぼ同時にレオンも麟の中に、熱い思いを注ぎ込んだ。
「っ―――はぁ、はぁ、はぁ!う!う、う、う、う、〜〜〜〜!!!」
吹き終わると、麟は体をガクガクと震わせ倒れこんだ。まだ呼吸が荒い。小さな肩が横に上下し、膣からは精液が流れ出ている。
「どうだった。麟?きつかったか?」
優しく頭を撫でながらキスをして、レオンは麟に聞いてみる。レオンは少しやりすぎた感があった。
横に向かい合う麟は、ゆっくり微笑みキスを返す。
「…しゅごく気持ちよかっらよ、れおん。えへへ…ボクもう、れおんじゃないとらめみたい。…大しゅきらよ、れおん。愛してりゅ…ずっと、ずっと、ずっと…。」
力なく、けどしっかりと麟は幸せをかみしめるように、愛を語った。その笑顔のまま眠りにつく麟。曇り一つない笑顔。曇り一つない幸せ。
そしてまた二人の今日が終わっていく。レオンは寝付いた麟を優しく撫でる。この幸せが明日も続く事を願いながら。
26名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 14:28:18 ID:uKF33gSM
これで今回分は投下終わりです。投下のタイミングが被ってしまい、
孤独さんには迷惑を掛けました。ごめんなさい。
まだまだ読みにくい、文ではありますが一生懸命書きました。
皆様の意見お待ちしております。
なお、余談ですが脳内で音読する際にはレオンは誰でもいいですが、
麟はセイバーマリオネットのライム(CV:林原 めぐみ)の声で再生すると
キャラ的にマッチしていいかと思います。
次回は
1、BOXの中の活力剤を間違って飲んだ麟に暴れてもらう(自慰や激しいプレイ)
2、シンバに焚きつけられた麟が、もらった増強剤の力を借りて、奉仕プレイ。
のどちらかを予定しております。
今回もこの変態にお付き合いいただきありがとうございました。
ではこの辺で失礼します。ではではノシ
27名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 04:53:46 ID:NJFSZLiR
>>26
とりあえず、乙
文は少しずつ良くなってるから、その調子で頑張れ!
欲を言えば、セリフ内にキャラの名前を使いすぎ感があるから、もっと使う場面を選ぶといいかも。
しかし、このキャラヤバいなぁ。完璧にツボだ。こんな妹欲しいよ(´д`)
28名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 04:56:16 ID:NJFSZLiR
下げ忘れスマソ OTL
後、書き忘れたけど次は1に一票入れとく。
29名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 07:11:38 ID:zfdUJPCP
>>26投下乙。麟のレイプを見なくて済んで本当に良かったぜ。
そしてその後の二人のやり取りも温かくて良かった。
 
時々『…』が『・・』になってたのと、レスの始めのタイトルは名前欄に入れるといいかなと。
文法的なアドバイスは、自分の技量的に不可能なのが歯痒いが頑張ってくれ。
 
1と2どっちでも楽しめそうなので、期待してwktk全裸待機
30名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 11:19:48 ID:E0qbUm9N
>>26
一瞬鬱エンドかとレイアの突進中断並に焦ったが…
乙!
31孤独を知らない男:2008/03/23(日) 01:16:02 ID:XqeRyYyu
え〜と、今回も非エロです。いや、微エロかな?微妙なところだ。
 
それでは、『孤独を知らない男』第八話投下いたします。
 
 
 
『孤独を知らない男』:第八話
 
 
 
怒りを露に、黒い巨体は暴走したように突進した。
ジェロスは腰を落として身を屈め、太刀を掴む右手を後ろに引いた。
その構えは居合という技術に近いが、背に負う大荷物が動きを妨げるだろう。
なのでディアブロスの横をすり抜けつつ斬るといった芸当は出来ないし、
股を潜りつつ腹に刃を突き刺す手段も、力強い足の回転に大荷物が巻き込まれて危険である。
そのような理由から、真正面から迎え撃つようなこの姿勢は一見無謀であるようにも思えたが…
 
ドゴオオオオオオォォォォォォォンッ!!!
 
彼は、最初からディアブロスを真正面から迎え撃つ気はなかった。
巨大な角竜の突進を可能な限り引き付けてから、大きく横に跳んだのだ。
俊敏な角竜はそれを見て素早く横を向くか、地面を強く踏んでブレーキをかければ良かったのだが、
ジェロスとの距離、ひいては彼が背にしていた岩盤との距離が近過ぎた。
素早く身を横にかわしたジェロスを追う前に、止め切れない突進の勢いは、
岩盤に深く深く、自慢の双角を突き刺させてしまったのだ。
こうなっては黒角竜の馬鹿力を以ってしても中々引き抜けるものではない。
ただただ悲痛にうめきながら、全力で体を後ろに引っ張るだけである。
そしてその間に、ジェロスはトネスの下へと移動した。
 
「大丈夫か、トネス。」
「うん…なん、とか。」
 
ふらつきながらもトネスはしっかりと答えた。
初めてバインドボイスを喰らい、その相手がディアブロスだった割には良い具合だ。
そう判断したジェロスは、背負っていた大荷物を足下にドサリと落とした。
落とした拍子に少しだけ開いた袋の口からは、手甲の指先と、デスパライズの剣先が覗いていた。
トネスは一度視線をそれに落としてから、ジェロスを見た。
彼はずっと彼女をみつめており、二人は数秒の間、互いに見つめ合った。
 
「戦えるな?」
「うん!」
 
両者ともほぼ了解済みの意思を、改めて口に出して会話とする。
二人は短いコミュニケーションを終えると、各々が戦う準備を始めた。
トネスは急いで大荷物から装備を引き出して自身の体に装着し始め、
ジェロスは腰に差していた太刀を背負い直し、ポーチからビンを取り出して中身を矢筒の中に注ぎ、
それから矢の内の一本に右手を添えて走り出す。
トネスが装備の装着を終えるまで、ジェロスが角竜の相手をせねばならない。
彼は急いで角竜の背後に回り込み、小さな構えから角竜の尻尾の裏を射った。
ダメージを与えるための攻撃ではなく、挑発のための攻撃である。
 
32孤独を知らない男:2008/03/23(日) 01:16:58 ID:XqeRyYyu
「グガァァァァァァァァァァ!!」
 
その拍子に角竜の体に力がこもり、角が岩盤から引き抜けた。
挑発の効果は十分だったようで、怒り狂った角竜は無防備なトネスを無視し、
既に何本もの矢を急所に射っているにっくき敵の方を振り向いた。
 
しかし、角竜は知能が高い。
この怒りの時にあって、黒角竜はさっきと同じ失敗をしないよう注意した。
あの敵が岩盤を背にしていないことをまず確認し、次にアイテムポーチの存在を確認した。
そして、己が怒りで前後不覚に陥っているよう相手に思わせるため、
口から黒い煙を吹き出しながら威嚇するようにいななき、敵に向かって真直ぐ突っ込んだ。
 
この黒角竜は、己の力に対して絶対の自信を持っていた。
既に黒角竜は何人ものハンターとの戦闘や、同種との縄張り争いを経験している。
それらの戦いで彼女は並々ならぬ力量を、他人と自分に証明し続けた。
自分は誰よりも強く、誰よりも賢いのだ、と自分自身に摺り込み続けた。
実際この砂漠で彼女に太刀打ちできる者は、古龍であっても難しく、
嵐を切り裂くような暴威と知恵は、彼女に絶対の勝利を約束していた。
 
だが、彼女は気付いていなかった。
目の前の相手は、自分が最も打ち倒すのが得意な『猛進』ではなく、
寧ろ全く逆の性質を持つ敵であることに。
 
迫り来る黒角竜の角を前に、ジェロスは弓を地面に突き立て、
なんとそれを足場にして大きく上方向に向かって跳躍。
一瞬だけ誕生した高い足場と、彼自身の鍛え上げられた跳躍力。
そしてディアブロスが突撃する際に必ずとる、姿勢を低くした突進態勢。
それらの条件が重なり、彼の体は一瞬で黒角竜の視界から外れた。
いきなり相手の姿が飛び上がって視界から消えたことに驚き、黒角竜は思わず上を見上げてしまう。
つまり、角を上に向かって突き上げるような形となった。
 
ガシュッ!!
 
ジェロスはその瞬間を狙い、太刀を抜いた。
そして己の腕力と落下の勢い、黒角竜が上を向く力を利用して、
片方の角を切断し、もう片方の角に切れ込みを入れた。
黒角竜がこの攻撃を避けられなかった理由は二つ。
一つは、上を向いた瞬間に訪れた攻撃で、反応する時間の余裕すらなかったこと。
一つは、ジェロスが太陽を背にしていたために一瞬だけ目が眩んだこと。
全てはジェロスの計画通りであり、この流れは一族に伝えられる戦闘術の一つだった。
 
「グカッ…!」
 
短いうめきをあげて黒角竜が頭を下げる。
その間にジェロスは鼻先に着地し、体を回転させて、切り込みを入れた角も切断した。
この電光石火の攻撃速度に、黒角竜は怒りよりも寧ろ焦りを憶えた。
早いとここいつを体から離さなければ。既に自慢の角を両方とも折られている。
 
「グガアアアアアアアアアアァァァァァッ!!」
 
咆哮と同時に黒角竜は頭を思いっきり振り上げた。
それはジェロスにとって予想外のことでもあった。
このまま、まだ怯んでいるディアブロスの首筋も斬り裂く事が一族の教えだったからだ。
つまり一族の教えでは、ディアブロスはまだ混乱している最中であるはずなのだ。
ジェロスの体は怪力によって空高くまで放り上げられる。
通常なら、地面は砂なのであるからちゃんと受け身をとれば平気だ。
しかしいま地上では、ここぞとばかりに黒角竜が尻尾をしならせて待機している。
しっかりと引き絞った尻尾を振るい、落ちてくるジェロスを空中で叩き潰すつもりだ。
 
33孤独を知らない男:2008/03/23(日) 01:17:51 ID:XqeRyYyu
「…なるほど、確かに強い。」
 
落ちてくる所を角で突き上げたり、口でキャッチしようとするならまだ対応出来る。
しかし尻尾を振るってくるとなると難しい。
落下物に正確に尻尾を当てるのも難しいが、こいつならやってのけるだろう。
でなければ、ここまで自信満々の構えをとったりはしない。
ジェロスはそう考え、素早く太刀の鞘を抜いてしっかりと握り、空中で態勢を整えた。
 
そして黒角竜の尻尾が唸りをあげてジェロスを叩いた。
だが本来なら岩をも砕く一撃を受けて、彼は無事だった。
自分の体が叩き付けられる寸前に、尻尾に鞘を突き立てたのである。
これによって尻尾の直撃を防ぎ、吹っ飛ばされる鞘にしがみつくような形で、
ジェロスは地面に強く叩き付けられた。
とはいえその衝撃は凄まじく、流石の彼も咳き込みながら悶絶した。
激痛を堪え、脱臼した左肩を無理矢理入れて立ち上がったところで発見する。
自分の腰からたたき落とされたアイテムポーチを、黒角竜がパックリと呑み込んでしまった所を。
 
「……それが狙いだったか…」
 
痛みを気にしつつもジェロスは呟いた。
尻尾の一撃は彼を殺すためではなく、アイテムポーチを弾き飛ばし、
落ちてくるそれを口でキャッチして呑み込んでしまうためであった。
黒角竜はこれまでの経験から、ハンターの装備で最も厄介なのはあの袋であると知っていたのだ。
 
「………なるほど、確かに強い…」
 
先程と同じ呟きを彼は再度漏らした。
しかし、今回は少し切実な言葉である。
本来ならここから閃光玉を使って一気に押し切るのだが、閃光玉はアイテムポーチと一緒に喰われた。
残るは矢束の詰まった矢筒に、一振りの太刀だけだ。
ジェロスの額に一筋の冷や汗が流れた。
もう閃光玉はない。だが彼にとっては30秒もの時間は要らない。
必要なのはほんの一瞬の隙だ。それさえあれば一瞬で倒せる。
しかしアイテムポーチがなくては閃光玉も音爆弾も使えないし、
あれ程の能力を持った黒角竜が、正面切った戦いでそうおいそれと隙を見せるとは思えない。
尻尾で弾き飛ばされたせいで太陽も背にしていないし、
同じような手は二度も喰わないような相手と見受ける。
果たして、必要な隙を見出させてくれるだろうか…
 
「やあーーーーーーーーーっ!」
すぱこーーーーーん!
 
ジェロスが必死に考えを巡らせていると、緊迫した場になんとも似つかわしくない可愛らしい声が響き、
横合いから、黒角竜の尻尾の裏目掛けて兜が投げ付けられた。
いきなりの事に反応できず黒角竜はそれを喰らってしまい、
既に何度も攻撃を受けている急所へのダメージに、思わず仰け反った。
 
「ト…トネス?」
 
視線を兜の飛んで来た方を向けたジェロスは、己の目を疑った。
そちらから、殆どインナーのままのトネスが走って黒角竜に向かっていたからだ。
グリーブはなんとか装着したようだが、フォールドは片方の留め金が外れたまま、
ブラブラとだらしなくトネスの腰の横で揺れており、鎧などは後方の地面に放置されている。
流石にデスパライズは持っているようだが、盾を着け忘れているし、
手甲も右手にしか着けていない(しかも剣を左手に持ってる)。
急いでいたのは分かるが、なんともまあ着崩したパジャマを着ている子供のようである。
しかもその状態で、勇敢にも剣を高く掲げてぶんぶん振り回しながら黒角竜に挑みかかっていく。
 
34孤独を知らない男:2008/03/23(日) 01:18:48 ID:XqeRyYyu
バカな──とジェロスは絶句した。
そしてそれは黒角竜も同じだった。
殆どパジャマ姿同然の女が子供のように武器を振り回しながら向かってくる。
そんな存在を黒角竜は見たことがなかったし、
そんなヤツがそれこそ、真剣に自分に挑みかかってくることが信じられなかった。
まるで死にに来ているようなものだ、と黒角竜は唖然としたのだ。
猛々しいというか、愚かしいというか、とにかくアンビリーバボーな世界だったのである。
 
「たあーーーーーーーっ!」
ドスゥッ!
 
そしてそれが黒角竜に一瞬の隙を生んだ。ついでにジェロスの隙も生んだ。
トネスは一気に黒角竜に走り寄ってその巨体に飛び掛かり、尻尾の根元に飛びついて剣を振るったのだ。
格好こそ間抜けなものだが、その剣は見事に甲殻の隙間に入り込み、
トネス自身の掛け声と格好からは想像もつかない程深く、黒角竜の肉を抉った。
トネスの勘とジェロスの指導の賜物である一撃だが、これは黒角竜も予想外の痛みであった。
ほぼ完全に油断していた所での強烈な一撃は非常に大きなリアクションを生み、
黒角竜はやっと、トネスを振り落とそうと体を揺らし始めた。
 
「ギャルルルルルル!!」
 
しかしトネスも元ドスゲネポス。
食らい付いた獲物は決して放さず、がっしりと尻尾の根元にしがみついている。
こうなってしまっては、黒角竜が彼女を攻撃することは出来なくなってしまった。
黒角竜は次第に焦りを覚え始め、更に体を激しく揺らし始める。
 
「…変わったチャンスの訪れ方もあったもんだ。」
 
一瞬後、黒角竜は己の不覚に気付いてジェロスにも注意を向けるだろう。
しかしその一瞬が経過するまでは、黒角竜は完全にもう一人の敵の存在を忘れているのである。
そしてそれを見過ごす程、ジェロスはハンターとして未熟ではなかった。
彼は素早く踏まれないように黒角竜の真下に潜り込むと、
矢筒からごっそり矢束を一気に引き抜き、柔らかい黒角竜の腹部に突き立てたのだ。
腹部を襲った痛みに黒角竜は一瞬だけ詰まったようなうめき声をあげたが、
急激に意識が遠くなり、体から力が抜けていく。
 
ドォォォォォォーーーーーーーンン……
 
そして黒角竜はヨロヨロと地面に倒れ伏した。
その際の衝撃でトネスが吹き飛ばされて地面を転がる。
ジェロスの方は、こうなることを予想して既に黒角竜の下から抜け出していた。
地面に倒れ伏した黒角竜はゆっくりと目を閉じていき、
荒い息もだんだんと弱くなっていって…
 
35孤独を知らない男:2008/03/23(日) 01:19:41 ID:XqeRyYyu
「……倒した、の?」
「いや、眠らせただけだ。」
 
…眠りに落ちた。
 
「グラビモスの睡眠袋から作った睡眠ビンだ。
 流石に暫く目を醒ますまい。」
 
矢筒に流し込んだビンの中身の正体は、睡眠薬だった。
角竜には睡眠薬が効きやすいことをジェロスは知っていて、
厩舎の管理人から黒角竜の話を聞いて持って来たものが役に立った。
 
「…どうして?」
 
トネスは不思議そうである。
ジェロスの力量ならば、あそこで首を斬り落とすことも出来ただろう。
しかし、彼は敢えて眠らせる手段を選んだ。
というよりも、彼は最初からそのつもりだったのだ。
 
「一度の狩りで殺すのは一匹だけだ。
 …たとえ、二人での狩りでもな。」
 
ジェロスはそう言って、ある一点に視線を向けた。
その方向には、トネスが狩ったアプケロスの死体があった。
あのまま殺しては、トネスが一度の狩りで必要以上に殺したことになる。
彼はそれを一途に心苦しく思っての、この行動だった。
そしてトネスは、その言葉を聞いてなんだか無性に嬉しくなった。
一方のジェロスの方は、アプケロスの死体の様子を見て全てを理解していた。
 
「…行こうかトネス。仲間が待ってるんだろう?」
 
トネスの方を見ずに彼はそう言った。
その言葉に彼女は少し驚いたような表情を浮かべたが、
それもだんだんと柔らかな笑みへと変わっていった。
ジェロスはやっぱり、今のトネスの顔を直視できない。
戦闘中、という極限状態だったからこそまともに彼女の顔が見れたのだ。
 
「うん……行こっか。」
 
彼女は地面に放置したままの鎧などを取りに行き、彼は同じく弓を拾いに行った。
そして荷物を全て整えると、黒角竜の荒い寝息に背を向けて去っていった。
その間も、どうもジェロスはトネスの顔を見ることが出来なかった。
 
36孤独を知らない男:2008/03/23(日) 01:22:30 ID:XqeRyYyu
 
ゲネポスの巣のトネスが分けてもらったスペース。
俺はトネスと一緒にそこにいた。
既に群れのリーダーへの挨拶は済み、その際に暫くはここに滞在しろ、と言われたのだ。
まあ、俺はゲネポスの言葉は分からんのでトネスに通訳してもらったんだが…
 
「………」
「………」
 
食事と俺の治療も完全に済み、
今は、互いに沈黙している。
非常に気まずい雰囲気だ。
俺も彼女も、なんて切り出せばいいのかが分からない。
互いに伝えたいことは同じなはずなのに、どうにも糸口がない。
重い沈黙だ。
気の利いた台詞などは全く浮かんで来ない。
そして柄にもなく、俺はその沈黙に焦りを覚え始めていた。
この沈黙のせいで、またトネスがどこかへするりと行ってしまうような気がしたからだ。
まったく、つくづく本当に不器用な男だよ…
 
「…あの、ね、ジェロス。」
 
挙げ句の果てに、先を越されてしまった。
おずおずと、トネスは腫物に触るかのように語り始める。
これでも彼女は、精一杯の勇気と決意を振り絞っているのだろう。
その声は、俺に告白をした時と同じような声だったからだ。
 
「あの…いきなり出ていっちゃって…その、ごめんね。」
 
ちらり、と上目遣いで俺を見る視線は、おいたをした子供が親にお伺いを立てているようだった。
この世の中にある何よりも可愛らしく、美しく、儚げだった。
胸が少しだけ締め付けられるようなこの感覚。
やはり…今まで感じたことのない感情が俺の中に生まれている。
 
「わたし…怖かったの。
ジェロスのことは、だいすきで、とても幸せな生活だったけど…
…いつか自分の気持ちが、薄れて消えちゃいそうな気がして…
いつか、ジェロスを自分で愛せなくなっちゃうような気がして……」
 
トネスの表情に少しだけ陰りが差した。
でも彼女は、それを振り払うように再び柔和な笑みを作り出す。
それが一層深く俺の心を苛んだ。
目の前にいる可憐な彼女にそうさせてしまう己の無力を呪った。
しかし、全ては俺自身が招いたこと。
俺には彼女の言葉をしっかりと聞く義務があった。
 
「それで…気がついたら、家を飛び出してた。
馬鹿だよね、わたし…ジェロスがだいすきなのに、そんな事するなんて…」
 
どうしてこいつはこれ程までに美しく生まれてしまったのだ。
醜く、不純であれば、ここまでの苦しみが俺の心にもたらされる事はなかったろう。
ここまで俺が俺自身を責めることはなかっただろう。
俺が、ただ俺が自分に正直じゃなかった。それだけのことなのに。
どうしてこいつはこれ程までに純粋に俺を想い続けるのだろうか。
自分を愛さない男など、罵り、怒鳴り、捨てればいいのに。
悪いのは全て俺なのに、何故こいつはこんなに哀しい事をしてくれるのだ。
ああ、くそ、もう格好つけてる場合じゃあない。
早くこいつの悲しみを取り去ってやりたい。
早くこの苦痛から解放されたい。
 
37孤独を知らない男:2008/03/23(日) 01:23:37 ID:XqeRyYyu
「でも、もうしないよ。
 決心した。どうなってもいいから、わたしはジェロスの傍にいたい。
 だから──」
 
トネスの言葉が全て紡がれる事はなかった。
俺は衝動的に、彼女を抱き締めていた。
彼女の暖かい体温がローブ越しに伝わってくる。
その途端、体が震え始めた。
感情がドッと堰を切ったように溢れて体を満たし、
その想いはとうとう、俺の口からこぼれた。
 
「愛している。トネス。」
 
俺の声は震えていたかもしれない。
俺の目は涙を流していたかもしれない。
──とうとう、言ってしまった。
 
「お前を愛している…」
 
更に強く彼女を抱き締め、噛み締めるように呟いた。
トネスの顔は見えないが、とても驚いた表情をしている事だろう。
しかし俺にはもう、それを気遣うだけの余裕はなかった。
怒濤のように押し寄せる津波のような感情だけが、俺を支配していた。
間違いない。俺はトネスを愛している。
俺はすっかり彼女の純真さの虜になってしまっていたのだ。
 
「え…?あ…ジ、ジェロ…ス…?」
 
俺は一旦体を離し、トネスの肩を掴んで顔を寄せていく。
彼女は非常に困惑していたようだったが、抵抗はしなかった。
そして俺はゆっくりと、唇を重ねていった。
冠っていた帽子が持ち上がり、暖かな感触が唇に与えられる。
最初は驚きと戸惑いの様子を見せていたトネスも、同じような感触を唇に感じ続けるにつれ、
とろんと目尻が垂れ、緊張が解けていくようだった。
そして俺の口付けに応じるように、彼女は見上げるような形で目を細めていった。
潤いを帯びたその目と表情はいやに艶っぽく、俺の心中に生じた感情を昇華させていく。
俺は彼女の肩を掴んでいた手を徐々に背中の方に回し、再び彼女を抱き寄せた。
更に深く、更に大きくトネスと繋がるために。
 
「ん…ふぅっ!」
 
彼女は完全に目を閉じて俺を抱き返し、同時に俺の服をぎゅっと掴んだ。
俺がいきなり彼女の口の中に舌を押し込んだからである。
今まで経験した事のない異質な感触に驚き、小さく声をあげたのだ。
俺にはその声と初々しい反応が妙に可愛らしく感じて仕方がなく、
こうなると、相手を求めているのは完全に俺の方だった。
差し込んだ舌でねぶるように彼女の口内を蹂躙する。
愛撫するように犬歯の根元を撫で、くすぐるように口壁を擦り、犯すように舌を絡めとった。
我ながらはしたないとは思いながらも、もう止める事が出来なかった。
既に時刻は夜になろうとしている。
ゲネポスたちはみんな、食事を終えて眠ってしまっているし、
トネスの唾液にも麻痺毒は含まれていないようだった。
 
38孤独を知らない男:2008/03/23(日) 01:24:23 ID:XqeRyYyu
「んっ…んぅっ…んっ、んっ!」
 
未知の快感におののいているのか、それとも感じているのか、
彼女は時折背筋をピンと仰け反るように張りつつ、喘いでいた。
目尻に涙を溜め、頬を上気させながら鳴く彼女が愛おしい。
俺はもはや躊躇することもなく彼女を犯していった。
その激しさに最初は受けるだけだった彼女も、徐々に積極的になっていく。
恍惚とした表情を浮かべた彼女は、舌同士を絡め合わせるように動き始めたのだ。
俺も右手を彼女の後頭部に移してもっと深く舌同士を繋げる。
 
「ん…ふぁ、はぅ…ジェ、ロス…ひゅごぃぃ…」
 
彼女が漏らす、陶然とした淫らな声も俺を昂らせる。
トネスを構成する全ての要素が、今や俺の全てを捕えて離さなかった。
もちろん、既に離れるつもりもない。
互いに舌を絡め、蕩けるような快楽に身を捧げるのみだ。
 
「ぷはっ…はぁ…はぁ…」
 
どれほどの間そうしていただろうか。
どちらからという事もなく、二人はなるべくして自然と口をはなした。
二人を繋ぐ銀色のアーチが重力に従って垂れ下がっていく。
トネスは荒い息をつきながらも、名残惜しそうにそれを少し啜り上げながら袖で拭き取った。
そして何気なく、俺の顔をふっと見上げた。
ほんのり朱が差した頬。涙を溜めたくりっとした目。滑らかで柔らかそうな肌に、なびく砂漠色の短髪。
こんなものを見てしまって、他に俺にどうする事が出来ただろう。
気付くと、俺は乾燥した草で出来た簡易ベッドにトネスを押し倒していた。
彼女はまた少し驚いたように「わ」と小さな声をあげた。
 
「…簡単なことだった…」
 
トネスを押し倒した状態のまま俺は呟いた。
それを聞いた彼女は初めキョトンとしていたが、
やがて言葉の意味を察したのか、ニコリと優しく微笑み、一声鳴いた。
 
「キュゥ」
 
ああ、もうだめだ。
俺は全体を包むように、トネスに覆い被さった。
まったく、本当に年甲斐もなく……
39孤独を知らない男:2008/03/23(日) 01:25:42 ID:XqeRyYyu
『孤独を知らない男』第八話これにて終了です。
次回こそがっつりエロりますんで、どうか御勘弁を。
40名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 01:54:59 ID:JL5pH6hh
孤独さんお疲れ様です。
今回も大変楽しく読ませていただきました。
今後も連載頑張ってください。応援しています。
41名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 03:01:38 ID:8f3zW+4c
乙、そしてGJ
細かい部分にもちゃんと手が加わっていて
読んでて楽しかった。
そしてトネスかわいいよトネス
42珍味のひと:2008/03/23(日) 13:38:06 ID:iHy5T0C7
むしばむ者ども最終部分投下する。
投下自体に8レスほど拝借。
傾向は、
・人化水竜(野郎)のぬるいエロ
・ネタは投げっぱなし
・続き物
・舞台はMHP2。設定捏造あり
以上許せる方はご覧あれ。
許せんって方はスルーの構えでお願いします。
 
 
あんまりに久方ぶりなんで、必要ならばエロの前に三行粗筋どうぞ。
↓↓↓
ある昼下がりの事、ポッケ村駐在ハンター・ナハエゥア(24歳未亡人)を同僚が訪ねてきました。
ナハエゥアは同僚・ノトス(中身コドモな元ガノトトス)を体よくこき使ったり、風呂に入れたり一緒にご飯を食べたりしました。
どうにも上の空のノトスと湿っぽい話をした後、なし崩しにエロいことすることになりました。
↓↓↓
では本編をば。
43むしばむ者ども 1:2008/03/23(日) 13:39:15 ID:iHy5T0C7
「噛みてぇなー……」
 耳たぶに唇を寄せるノトスのぼやきは、不穏なものだった。何処を、とは聞き返す気も起こらないがたぶん首を、だろう。
 この男に甘噛みというものが可能なのかは不明だ。
 盾蟹の甲殻や、金属の釣り針まで噛み切るのを目の当たりにしておいて、噛んでごらんとは言い出し難い。
 仕事へ障らない程度に、噛まれてやる事はできないものだろうか。
 考えに没頭しようとする私を遮るように、ノトスは耳をねぶる。
 唇や舌の感触が、またそれらと共にある鋭い歯牙への恐れが肌を粟立てる。
 怖気立つのに心地良い、両立して欲しくない感覚が相乗効果で動悸を速めた。
 
 下着の上から乳房に覆い被さる手は、揉むとも愛撫とも言い難い動きをみせている。なんというか、探っているようだ。
 私の体で妙に軟らかいその箇所にノトスが興味を持ったらしい。他は筋肉質だから、あんまり軟くないものな。
 こちらは半裸に剥かれているが、ノトスの方はと言うと、コトに及ぶ時にはあまり脱がないでもらっている。
 風呂の時にも触れた話題だが、全裸のコイツはトゲヒレが危険過ぎて、おちおち抱き寄せたりもできない。着衣のまま推奨だ。
 私と素肌を合わせるのが好きなノトスには、少し我慢を強いることになる。私がトゲも刺さらないくらい頑丈だったら良かったんだが。
 手の動きは、探るからまさぐるへ変わり、下着の中に潜り込み始めた。直にやや冷たい手に触れられて、無意識に体がビクつく。
 ヤツは自分の胸と私の胸とを交互に撫で回し、感心した様子で息を吐いた。
 比較するなって。こうしている間にも私を焦らしてることに自覚無しなんだから、タチが悪いったらない。
 
 私の胸元に口付け、ノトスがまた問う声を出す。
 なにさと返せば私の両胸をムニと押し上げ、ヤツは言った。
「女の胸は乳が出るっつぅが、テメェのは出ねぇよな。なんでだ?」
 そういう探究は、今はご遠慮願いたいところだが、迷惑げな視線をノトスに向けたら、妙にキラキラしい目で見返された。
 知的好奇心溢るるアホめ。四六時中そんなもの分泌してたまるか。
 思わぬ質問が飛び出たものだが、簡潔な答えを返してやった。
「ヒトに限った話でないけど、あれは子を産んで育てる暫くの間しか出ないよ」
 納得したような、ややがっかりしたような微妙な表情でノトスは頷いた。
 何か期待したんだろうか。よくわからないが、自分から誘いかけておいて気が逸れてないか。
 とは言え、ヤツが私に触れてくる事に私が文句を言わないのは、寝床の中くらいのものだ。
 だからこそ、比較も探究も『今』なんだろう。気が散ってかなわんがな。
「知ろうとする姿勢は誉めたげたいけど、『探険発見あんたの女体』は後にしようね」
「後でなら触りたくんのダメじゃあねぇんだな?」
 言質をとられてしまったようだ。
 返す言葉に窮していると、ノトスはくつくつ笑い更に私を脱がしにかかった。
 
 ほんの少しひやりとした手が、隠す物を取り払った下腹部を撫で下ろす。
 その指先が、ある箇所にたどり着いた時、また低い声が耳に届いた。
「今更だが、こっちの毛はカエル色してねぇな」
 おのれ、眉毛の色の指摘に飽き足らず、そっちまで言い出すか。染めてる方がどうかと思うぞ、そこは。
 言い返したい様々をぐっと飲み込み、努めてノトスの手の感触に意識を集中させる。
 肌を撫でるヤツの手からは、だいぶぎこちなさがとれていた。
 ヒトの交わり方にまだ不慣れながら、彼は色々と学習しつつあるようだ。頼もしいやら恐ろしいやら。
 更なる下降の末、その指先は慎重に私のなかに至る。
 快楽一歩手前のくすぐったさが、微笑ましくも愛しい。浅いところを軽く掻き回し、ノトスは呟く。
「こんな狭いトコにあんなモン入るってのも、考えりゃ結構不思議っつーかなんつーか……」
 人体、不思議発見ってか。
 大変申し上げ難い事でございますが、今そこがキツいのは、お前様の指が冷たくてびっくりしてるからです。
 ということに違いない、うん。
 そういうことにしたいのに、嬉しがりのそこはヤツの冷たい指を温めたいと言うかのように、ぬかるみ締め付け引き込み熱を増す。
 指が深く挿し入れられる度、濡れた音が響くのが気恥ずかしく、私は顔を背けた。
 
44むしばむ者ども 2:2008/03/23(日) 13:40:19 ID:iHy5T0C7
 なかから抜いた指に絡み付く粘液を好奇の目で眺めた後、ヤツは私の顔を覗き込んだ。
「なぁ」
 ノトスはほんの少し上擦る声の、言葉を切る。
 この期に及んで、「なにさ」と返すまでもない。むしろみなまで言わせるものか。
「いいよ」
 今更、何がなんて尋ねられることもなく、答えを言うや否や脚を開かれる。
 なんていうか、もう。どんとこい、この超常現象め。
 押し当てられたモノの感触にまた少しビクつきながら、私はノトスの背中に腕を回した。
 
 幸せそうに、でも悔しげにノトスはうめく。
 じわり、とくとくと。私の奥深くでそんな感覚が生まれたような気がした。
 脱力気味のヤツの体の重さを受けながら、その顔を窺えば、どことなくすまなさそうな目をしている。
 わかってるよ、ノトス。お互い言えない事が多すぎるよな。
 彼は、表情を引っ込めてまばたく。
「……いや、俺にゃそんなにねぇぜ?」
 言えんことはさっき吐いたしな、とかぼやきながらヤツの眉間にきゅっとシワが生まれた。
 私の考えが口に出ていたらしい。ついでに私の眉間も一寸寄る。
 なんと言ったものだろうか。ノトスは即美味超美味な人なのだ。
 さすがに失礼だろうから、平たく「早いね」とは言わない。
 それに関しては、こういう行為を生殖のためでもないのに年がら年中、長々と耽溺するヒトって生き物の方が変なんだ。たぶんな。
 慣れもあろうし、ノトスを非難するのはお門違いではなかろうか。
「で、あにが言いてぇんだ。キリキリ白状しろ」
 まだ固いモノでぐいと奥を押しながら、ノトスの低い声は不機嫌さがにじむ。
 そんなことされたら、答えじゃなくて変な声しか出ない。
 ハタハタとヒレを震わせたヤツの表情は一変し、ギタリと口角が吊り上がる。
「言えよ。多すぎるってほど、溜め込むな。俺に言うだけ無駄ってのか?」
 奥を小刻みにこづきながら詰問なんて、器用な真似をやらかすな。私に喋らせる気ないだろう。
 文句を言おうにも、もう口を開いたところで甘ったるい吐息しか出なかった。喘ぎ声などもらすものか。
 否応なしに高みへ押し上げられ、もう少しで昇りつめるかという時、ノトスは動きを止めた。
 
 脈打ちながら軟らかになっていくモノの感触に、わずかな惜しさと胸が詰まるような愛しさを覚える。
 息を整えているノトスへ、先程の答えを伝えるべく唇を湿した。
 のしかかるヤツと私の体の間、胸が押し潰されて鈍く痛む。
「お疲れのところ申し訳ないけど。重いから、ほんの少しだけ体重逃がして欲しいな」
 ノトスの背中を軽く叩きながら囁くと、小さな頷きが返された。
 甲冑着て大槌背負って狩猟場駆け回る職に就きながら、人の体一つを重いと言うのもなんなのだが。
 高めるだけ高められて放り出されたという、ほんの少しの苛立ちは噛み殺しておく。
 ペースが合わない非はお互いにあるから、一方的に文句言うのはどうかと思うんだ。
 要求通り薄れた分の重さに、安堵の息を吐く。
 身を預けられるのは悪い気はしないが、あまりに息苦しいのを我慢するのも無理がある。
 もう一つの『言えない事』をどう切り出すか。思案する間に、またノトスが声をかけてきた。
 曰く。
「……なぁ。重いってんなら、テメェが上になりゃいいんじゃねぇか。つーか、なれ」
 体位変更の提案のようです。
 
 身を離され、あっけなく引き抜かれる感触に小さく声がもれる。
 抜かなくても良いじゃないかと思うが、文句を言う前に、ノトスは私の横へと座る。
 狭いな。
 狭いけれど、密着度は先程までと比べて高いと言えるはずもない。
 途端に覚える肌寒さに小さく身震いすると、ヤツは妙に得意気に言い放つ。
「さーこい」
 ……まだソコ装填されてないくせに、ナニをどうしろって言うんだ。
 とりあえず、その脚を跨いで腰を乗せてみる。
「重くないかい?」
 間髪入れず、ないと返された。ようございます。
 しかし、どうにかヤツにリロードしてもらわんことには、続き臨めませんがな。
 
45むしばむ者ども 3:2008/03/23(日) 13:42:00 ID:iHy5T0C7
 一つ、試してみたい事を思い付いて、ノトスの頭を胸に抱き寄せる。
 段階を踏んでみる価値は有ると思うのだ。
 顔が埋まり、もごもごと文句を言っているらしい彼に、私は囁いた。
「噛んでみないか」
 抱き寄せる腕を解くと、物騒にギラつく目が私を見上げてきた。
 どこをどのようにか具体的に指定しないと、早速とばかりうなじにかぶりつかれた日には命に関わる。
「と言っても、胸を、ね。力いっぱい噛まれるのは困るけど、軽くならたぶん死にはしない」
 脂肪の厚めな部位なら、うっかり本気で噛まれても命に別状はないだろう。
 同条件の部位は臀部もなんだが、噛めと尻を突き出すのはどうかと思う。羞恥心で死にそうだからやらない。
 表情を落としたノトスは鼻先を胸の間に埋まらせたまま、そのヒレ耳を震わせた。かと思えば、唾を飲んだ音がした。
「これまで散々噛むなっつっといて、どういう風の吹き回しだ」
 期待、不審、疑問、そんなものが浮かぶ黒い目。彼にとってこれはうまい話と成り得るか。
 嫌かと問えば、それは否定された。ならばヤツの問いにも答えよう。
「あなたがしたい事を、私はされてみたい」
 ノトスは息を殺してこちらの様子を窺っている。
 噛むと言うのは、ヒトの睦み合いとして少しばかり普通でない気がする。
 彼の異常性全てを許容可能かと言えばそうでもないが。
 けれども『お断りだ』と思う事柄の境界線が、日々着実に侵蝕されているのを感じる。
 まあ覚悟さえあれば、痛いのは慣れてなくもない。
 試してみたら案外痛みなく、ノトスの望みを叶えられるのかもしれないしな。
 
 ギリリと歯をきしませた後、ノトスは眉を寄せた。
「美味い話にゃ裏があるもんだって言うぜ。……何企んでやがる」
 ヤツの視線はこちらの顔と間近の胸とを行き来する。彼が私の提案を美味しい話と認識したのは、喜ばしいこった。
 企んでいるのは事実だが、素直に受けるか流してくれた方が本筋に戻り易い。
「あなたの念願は私の快楽に成り得るか、一度くらい試してみるのも悪くないと思ってね」
 ノトスが軽く首を横に振り、呟いた。
「……脂身、食いではありそうだな」
「脂身言うない、失礼な。それに食べるのはダメ」
 ノトスは噛む気を起こしたのか、胸のそこここに口付けだした。
 
 私はヤツの片手を取りその甲側を軽く噛む。
 ノトスはチラと疑問の目を向けてきた。文句が出ないということは、痛くはなさそうだ。
「こういう、軽く痛くないように噛むのを甘噛みって言うの。出来るかな?」
 その手を放し、私は囁く。
 赤い跡の散らばる胸から顔を離し、ノトスは己が手をまじまじと見つめる。
 私の噛んだ箇所にそっと唇を寄せ、舌でなぞった。
 僅かに顎を開き、自身の手の甲をくわえるヤツの姿は、何かの儀式じみている。
 しばらく口元をもごつかせた後、彼は手の甲から唇を離した。そこに傷は見当たらない。
「出来たらしいな」
「上出来だね」
 ニタリニヤリと笑い合い、私はノトスの額に口付けた。
 ヤツは再び私の胸に顔を寄せる。
 薄い皮膚に突き立てられた硬質なそれは、針ほど鋭角的でなく、刃ほど冷たくない。
 ヤツの顎がやんわりと閉じかけた時、不意に熱を感じた。
 噛むのを中断したノトスの口が私から離れる。と、同時にヤツは言う。
「おい、今、なんかサクッつったんだが。痛かねぇのか?」
 恐い表現するない。
 しかし本当に歯がサクッと刺さったらしく、肌を濡らす汗だか唾液だかに、血が薄まりつつも滲み広がる。
 ほとんど痛みは感じない。繕い物をする時に、縫い針で指を突いてしまった方がまだ痛いくらいだ。
 ノトスの問いに否定を示すと、彼は鼻を鳴らした。
「どっちかっちゃ、痛がるテメェっつーのはそそるモンがありそうなんだが……」
 でも痛がらせりゃ、こっちも痛い目見そうな気がしてならねぇと、ぼやく。
 どこまで本気なのやら、かつて私を食い殺す妄想でお楽しみだった男は、言うことがヤバげだ。
「期待にそえなくてごめん」
 ある意味前途多難かと思うと、つい苦笑がもれた。
 噛ませた結果がえらく中途半端だが、この程度でノトスの噛みたい欲求が満たされたろうか。
 しかしながら、こうもあっさりと皮膚を破られるとは。もし首を噛ませてやるなら、何らかの工夫が無いと死ぬかもしれないな。
 
46むしばむ者ども 4:2008/03/23(日) 13:43:21 ID:iHy5T0C7
 傷に口付けられた時点で気付いた。
 ソコのリロード完了してるじゃないか。ならあれだ。
 続きやんのぉ? そうこなくっちゃ! とか、そんな具合に。どう言ったもんだか。
 もう噛む気が失せたのか、唾付けときゃ治ると言うかのように、血を舌で拭い、傷口を吸うノトス。
 そのヒレが微かに震えた。今更トゲが危険だと言うのも馬鹿らしい。
 顔はそのまま、また低い声があがる。
「なぁ」
「なにかな」
「なんか、下の方がぬるついてんぜ」
 一瞬何のことかと首を傾げ、すぐに思い当たる。『言えない事』を今こそ言う時だ。
 口に出すのが恥ずかしくもあるが、私は何とかそれを言葉にした。
「あなたがなかで出したのが、出てくるんだよ」
 正確には私自身の分泌してるモノが大半だろうけど、わざわざ言うことでもない。
 納得したらしく鼻を鳴らすノトスに、私は「それでね」と続ける。
「知っての通り殿方の出すアレって、乾くと厄介だろう。なかに出されちゃうと、忘れた頃にぬるっと出てきて……」
 ぬめる感触が落ち着かないとか、下着の洗濯が大変だとか、そういった困る事をぽつりぽつりと連ねた。
 で、何故にまた生唾のんでんだ。ノトスよ。
「そんなワケで、今日は種蒔けど芽吹かぬ日にしろ、次からはなかに出すのは控えてもらいたいな」
 ダメ元で言ってみるが、ヤツが嫌なら嫌で別に構わない。
 正直、なかで達される感触は好きだ。後が面倒になるが。
 歯を擦り合わせる音がギリギリと伝わる。答えに悩むような事があるのだろうか。
「……善、処、してみる」
 この言い回しを思い出すための間だったようだ。つっかえつっかえ、ノトスは答えた。
 言葉選びが共通の知人のものに思えるが、受けて悪い影響でもない。
 言葉は、このように身に付いていくものか。
「ワガママばかり言ってすまない。ありがとう」
 抱きしめたい衝動にかられるけれど、それは身を繋いだ後の方がいい。
 殊更、声を潜めて。
「といったところで」
 ついと、反り返るヤツをつつく。変な声に被せて私は囁いた。
「次を、しようか」
 応と返る言葉を受けて、私は腰を浮かせ、ノトスの肩に片手をかけた。
 
 焦らされた意趣返しというわけでもないが、入る感触をゆっくりあじわう。
 背筋を這いのぼるわななきに、身をそらしかけ、どうにかこらえた。
 これの時は、快楽のゆえに愛しさが生まれるのか、愛しいからこれを快楽だと感じるのか。
 わからないけど、ノトスとするのがイイのはたしかだ。
 知らずしらずのうちに溜った唾をのむ。息をつくと鼻から甘えた声がにげた。
 はずかしさにそっぽ向きたくなったけれど、それもこらえる。
 何でもなかった風をよそおいながら、またじわじわとノトスを身におさめ始めた。
「なぁ」
 ノトスの声が硬い。今この瞬間に、何だというのか。
 彼の表情を窺おうとうつ向いた拍子に、涙が目の縁からこぼれて落ちる。
 ヤツは強張っていた表情を、更に曇らせる。私の頬に手がそえられて、目尻のほくろ辺りを撫でた。
「痛ぇのか」
 涙を流した事でまたも気遣われたらしい。否定し、ためらいながらその故を正直に伝えてみた。
「きもちいいの」
 ノトスは二、三まばたき、手を引っ込めて薄く笑った。が、笑みはすぐに失せ、また神妙な顔でヤツは言う。
「コレ全部入ったら前みたく、急にもぎ取られそうなくらい締め付けるとか、ないよな……?」
 
47むしばむ者ども 5:2008/03/23(日) 13:44:34 ID:iHy5T0C7
 前みたいに、とは。
 思い当たる『前』はノトスと初めてやらかした、件の砂漠採取ツアーの時か。
 私の方がえらく久しぶりだったのと準備不足がたたり、お互い痛いめをみたっけ。
 この体位だからって、毎回そんなことあってたまるか。アホめ。
「期待にそえなくてごめん?」
「んな期待、してねぇっての」
 少し笑いを含ませ答えると、ヤツはやや憮然としたようだ。
 自分から「上になれ」と言っておいて、予想した痛みにおびえが隠せないってどうなんだろう。
 そのアホっぷりすら愛しくて、やたらに幸せな気持ちになっているわたし自身もどうなんだ。めでたいこった。
 ノトスのあしに私の臀部がぺたと乗り、おたがい息を吐く。
 ヤツの肩にかけていた手を首の後ろにまわし、さらに身をよせた。
「今日は、あなたがちゃんと準備してくれたでしょう。いたいことなんてない」
 妙にかすれる声で、幼い子に言い聞かせるように、ささやく。
 痛くない。こわくない。とても、気持ちいいこと。
 とろけた思考では、ろくなことばが出てこない。
 ノトスは「きゅー」と妙な音を発しつつ、わたしの肌に鼻面をすりつけてくる。
 
 何となく落ち着いた所で、少しずつ動いてみた。
 なかが掻かれ擦りたてられる感触、やらしげな水音、ひんやり感が失せたノトスの体温。
 さした間もなく再びたかぶる熱に、理性をとかされる。
 果てたい欲求がたわめられた枝みたいに、かいほうされる時を待ちのぞむ。
 自分でしらないうちに激しさ増すうごきは、もう自制できるものでない。
 おいうちのように、腰と後ろ頭をつかまれて、腰をうち付けられる。
 つきあげられ、ひきだされる度、達してしまいそうになるのをどうにか堪えようと、ヤツの服を握り込んだ。
 ねつに、熱にうかされたように、ノトスが私をよぶ。
 なんども低くせつなげにあまやかによぶこえを、その主を、とてもいとしく感じた。
 もっと、さらに、ふかくつよくとねがい。ひっしでしがみつきながら、わたしのいしきは、ほんのすこしかけおちる。
 なんだかヤツが、あせったこえをあげてたようなきもする。
 
 
 やや手荒に私を押し退けるかのように、ノトスはもがく。
 何か焦りは伝わるものの、ヤツの発する声はろくに言葉を成さない。
 私はわたしで、しがみついていた体に寄りかかり、余韻どころかまだ達している状態で。
 なかは、ヤツをしめあげながらも暴れられて、なんだか酷い。もう一度、意識が一瞬途切れた。
 
 わたしの一番ふかいところへ至るみちは少しずつ満ちていく。
 ……のかどうかは知らないが、息を詰めたノトスにきつく抱きしめられ、少し痛い。
 やってしまったと思うものの、なかでとくとく出てる感触は小憎らしいほどに快楽以外の何物でもない。
 少しぐずつく鼻をすすりあげてみると、それに混じってノトスが息を吐くのが聞こえた。
 抱きしめてくる腕の力が、少し緩まる。
「…………わりぃな」
 声色から察するに、ヤツはややしょげている。何故にそっちが先に謝るかな。
 先程まで彼の体をがっちり抱え込んでいた、己の脚が憎い。
「いや、こっちこそ細かいこと言っておきながら、面目ない」
 次はなかに出さないでと言われた事を、ノトスは聞き入れようとして、あろうことか私自身に邪魔された。
 我ながら、浅ましいったらない。
 どうにも、積極的に快楽を得ようとするのは、やや良心がとがめるのだが。
 なのについ、はしたなくも貪欲な本音というか、本性をさらけだしてしまって、いたたまれない気分だ。
「本当にごめんね」
 ノトスは私の片頬を撫でる。微かに歯を擦り合わせる音がするが、ややあって彼は口を開く。
「手放せない心地よさってことか」
 どこの便利日用品だよ。
 
48むしばむ者ども 6:2008/03/23(日) 13:48:34 ID:iHy5T0C7
 またも絶句するしかない私の動揺を、見て取ったのか。ノトスが人の悪い笑みを浮かべた。
 尚も何か言い出しそうだったので、ヤツの顎に手を添え上向かせ、その薄い唇に口付ける。
 脅さなくても言い返さなくても、こいつの言葉を封じる手段はあるようだ。
 
 口付けを繰り返す中、ノトスの手が頬から額へと撫で上げる。額が地味に痛い。
 そう言えば、食前に頭突きかましたせいだ。
 私の方から何度かヤツのデコに口付けてるが、痛くはないのだろうか。
 尋ねてみようと、唇を離すと同時に、前髪をかきあげられた。
「なぁ」
「ねえ」
 お互い呼びかける声が重なって、私とノトスは見つめ合ったまま、一瞬黙り込む。
 先を促すように目配せされたので、私は口を開いた。
「額はもう痛くない?」
「全然痛かねぇな」
 妙にじっくりと目を合わせたまま、即答された。それは何よりだ。
 そっちの言いたい事はと尋ねてみれば、ノトスのたまうに。
「前髪切らねぇか」
 また薮から棒な。どこまで不評なんだピースフルハート。
「何故にさ」
 前々から、特にノトスから不評なのには何かしらのワケがあるのだろう。
 いい機会だから、忌憚なく語って貰おう。
 真っ直ぐの視線が刺さらんばかりなのが、やや気恥ずかしくあったが、目をそらす事は雰囲気が許さない。
「なんつーか、あれだ。ヒトの表情ってのは結構目を見ればわかるようになってきたんだが。ソレあったら正直わかんねぇ」
 覆面式頭部防具大好き男が何を言いますやら。
 続くノトスの言うことを要約すると『目が隠れていては表情が読みきれず、実は読み違えてないかと不安です』らしい。
 ノトスが私の顔色をうかがうなんて、からかおうと企んでいる時ばかりかと。
 やや腑に落ちずにいると、低い声が小さく付け足す。
「あと、怒った時のその目が見物だな」
 言い草だけなら『喧嘩売ってんのか、この凶悪面』ってなモノだが。
 どこか陶然と言われると、尻が落ち着かないったらない。
 
 視線をがっちり掴まれたまま、また顔を寄せた。額をくっつけ合った時、ヤツの目が一つ半くらいに見える。
 ノトスが妙な事を言い出す前に、一つ尋ねてみたい。
「ところでね、も一度きくけど、重くない?」
「いや全然。それよかなかに出したの、ほっといていいのか?」
 いいも何も、もう三回も出されてるし。ついでにまだブツは入りっぱなしだ。
 ねろっと出てくる時に、アホな事したなと後悔するんだろうな。
「いい。次から私も気をつけるってことで」
 焦点の合わなさに、わずかにめまいを覚え、目蓋をふせた。
 もう一度口付けられたので、柔らかく唇を食み返す。
 触れ合う口付けは気付けば段々と深いものとなり、何だか体勢に無理が出つつも心地よい。
 むしろ身を屈めた窮屈さや息苦しさがかえっていいのかもしれない。
 この歳になって自身の性癖発見もどうかと思うが、まあいい。
 私の内なるヤツもリロード完了されたような気配があるし、早速再度『次』に挑もうか。
 
 
 やたらにやり遂げた感溢るるノトスの寝顔を眺め、ふと思う。
 寝床の中の不死人(ノスフェラトゥ)とか呼んでやろうか。
 疲労しきった意識で思い浮かぶには、いや、だからこそか、余りにも馬鹿馬鹿しいが。
 殿方ってものは、そう何度も達せるものでないという認識に、『除く、ノトス』という注釈を付けて随分経つ。
 それにしたって、あまりにもな。ある意味『むごい、カンタン、きもちいい』ってなものだ。
 そのお腰のブツの下に付く、つるすべぷにぷにした案外可愛いモノも酷使し過ぎで可哀想だろ。
 肩にかかるノトスの手をそっと除けて寝台から這い出る。腰が妙に重たくて、単純な動作にも一苦労だった。
 棚の上の燭台に灯る火を吹き消し、あたたかな寝床へと速やかに潜り込んだ。
 囲炉裏の火は出来れば灰をかけたいが、どうせ薪が燃え尽きれば落ちる。
49むしばむ者ども 7:2008/03/23(日) 13:49:56 ID:iHy5T0C7
 睡魔に意識をもぎ取られる寸前、ノトスの腕が私にかかりほんの少し目が覚めた。
「起こした?」
 声をひそめて尋ねてみれば。
「んや、寝てる」
 実にふやけた声が返ってきた。なのにややぬくい腕は実になめらかに、私をヤツの胸に抱き込む。
 穏やかな鼓動や呼吸は、ノトスの体が眠りに入りかけているのを私に理解させる。
 低い囁きが愛しげに名を呼んだ。
 意味などない呼びかけだろうと思ったら、何やら言葉が続く。
「ヒトっていいな。おやつうまいし。飯もぬくいし」
 ……寝言、なのか?
 ワケのわからなさに、また目が冴え始めたこちらを置き去りに、ヤツの言葉は止まらない。
「風呂もぬくいけどいいし、テメェと寝んのもあったかくてイイ」
 もはや私とするのは生活の一部なのかよ。日常的にこんなにされたら、いつか私が腹上死だ。いやん。
 それはそうとやっぱり寝言だろ、これ。
「うんうん、おやすみなさい」
 問い詰めたいところも無くはないが、向こうは眠そうなので聞き流すことにした。
 ノトスは「ん」と応えなのか何なのか、よく判らない声をあげ、私の頭に頬をつける。
 会えない間に何をしていたかとか、そんなありきたりな話をもっとしたかったのだが、今夜は仕方ない。
 静かな寝息が聞こえ始める頃、私も眠りに落ちていった。
 
 
 朝、鳥が鳴き出す頃に、起きて顔洗って体拭って着替えて、昨夜の残り物食べて一息吐きつつ、お互いの近況などを語った。
 理解したことは、『仕事に行ったはずなのに、ノトスはやたらにフリーダム』、『ガブラス肉はたぶんすごい』って事だ。
 仕事には真面目なちびっこいの嬢に、叱られなかったろうか。
 ガブラス討伐依頼を請け火山にて、極上ザザミソやガブラスの蒲焼き沢山食べて美味かった、とか。
 ちびっこいの嬢から氷結イチゴをいただいたとか。
 暑くて熱くてちょっとぼんやりしつつ、蒼刃剣ガノトトスのヒレの事をどう話そうか考えてたとか。
 ガブラス討伐自体は、義兄とちびっこいの嬢二人で片付けてしまって、実は暇だったとか。
 イイモノかと期待して火薬岩拾ってみたら、熱くて重くて、その上食べられない。捨てたら爆発して酷く叱られたとか。
 仮眠とったらいい夢見たとか。(内容は秘密なんだそうだ)
 食後、何故かブツが元気になって、ほとんどベースキャンプでお留守番だったとか。
 ……楽しそうだな。
 私の最近の仕事は、砂漠で二本角二匹と追っかけっこで、あんまり気楽なものじゃなかったぞ。
 とりあえず、感想というか、疑問を一つぶつけてみる。
「ガブラスの蒲焼きって、それはやっぱりリグレガが?」
「おうよ。仕事中に食うにしちゃ、まともな飯過ぎだってちびっこいのが言ってた」
 調味料持ち込みでの調理は前から結構やらかしてた人だが、タレまで持ち込むとは。
 そう言えば、狩猟場で採れる食材の調理方法の教えを乞おうと思ってたっけ。
 うん、次に会ったらマタタビ酒の礼を言うのと、それを頼むのを忘れないようにしよう。
 
50むしばむ者ども 8:2008/03/23(日) 13:52:20 ID:iHy5T0C7
 密かに心に決めていると、ノトスが「そーいえば」と口を開いた。
 寝る前か、朝かに伝えろって言われたんだが、と前置きを付けて、ヤツは言う。
「『お届けしたものは、美味しくお召し上がりになりましたか』だとよ」
 お召し上がりも何も、届けられたもの、酒をノトス滞在中に飲むわけないのは知っているはずなんだが。
 少し考えて、私は問うた。
「それをどんな顔で言ってたの」
「なんかニヤッてしてたぜ」
 もう少し考えて、義兄の言葉の意図を理解した。つまりは『ノトス喰ったか(性的な意味で)』って事だろう。
 ノトス使って義妹からかうのも大概にしろよ。あんの中年め。
 ため息一つの後、私はノトスの顔を窺う。ノトスは無表情に見返してくる。
「あの人に、動作付きで伝えてくれるかな?」
 まばたき一つ、ノトスは応と答えてくれた。
 その目を見据え、低く抑えた声で、やや投げ遣りに私は言った。
「食べましたっ」
 言葉を発すると同時、軽く握った右手でぺちりとノトスの胸を突く。
 ヤツの片眉の端が少し上がった。
「それだけか?」
「うん、それだけ。言いたい事は腐るほど有るけど、自分で言ってやらなきゃ気が済まない」
 何だか朝っぱらだっていうのに、頭に血が上る。今なら火だって吹けそうな気がするくらいだ。
 私が目尻をキリキリとつり上げていると、ノトスは私の右手を両手で包む。
 鶏になりかけのヒヨコ似の目が、そこはかとなく気遣わしげに私を見つめてきた。
「あんまり怒ると、腹に悪いぜ?」
 優しいな。だが胃の前に、腰の事を心配してくれるともっと優しい。
 
 
 昼前にノトスを見送り、とりあえず洗濯でもするかと思い立つ。
 猫達が帰って来たら、誰かに前髪切ってと頼むのもいいな。
 そういえば、ノトスの服は結局ちゃんと乾いたらしい。
 だが靴は生乾きだったそうで、『クリムゾンゴートの靴乾燥用って絶対需用ある』とか言っていた。
 儀式用炎の大剣の威厳も何もあったものじゃない。
 材料がもっと安価なら、一家に一台平和な家庭とばかりに売れるかもしれんが。
 武器開発で得た技術が、いつか生活の中に生きる日も来るだろうか。
 私はそちらの職人でないから、それが実現するかどうかなんざ皆目見当つかない。
 大剣と言えば、ノトスが持参した蒼刃剣ガノトトス。
 あれは私に話をするためだけに持ち込んだワケでなく、行き帰りの道中での自衛用でもあったそうだ。
 私は、あんな重い物背負って長距離移動は嫌だな。
 しかし、あの刃の美しさに似合わない鋭い切れ味と、それが作り出すなめらかな切断面は病み付きだとかなんとか。
 切断武器大好きだものな、ヤツは。
 
 ……。
 …………。
 何かが、引っ掛かる。
 蒼刃剣ガノトトス絡みで、何か、酷く気にかるのに、それが何かに気付ききれない。
 いきなり湧いた違和感を糧に、不安が育ち胸がつかえるようだ。なんなんだ。
 綺麗なトゲヒレ、ノトスが自分のものと似ていると言っていたが。
 一つ気付いた。色が違う。あからさまに。
 蒼刃剣ガノトトスは、うろ覚えだがガノトトス亜種の、翠のヒレを連ねるのではなかったか。
 ノトスは、暗い瑠璃色鱗のガノトトスで、亜種ではない。
 肉親で緑の青いの分かれる事なんて、有り得るんだろうか。
 有り得ないとするなら、ノトスは勘違いであんなに悩んだのか。
 それともまさか、考えたくはないが。
 一杯食わされた、とか云うものだったりするのかもしれない。
 そこに至った時点で、私の思考は『いやまさか、でもそんな』の堂々巡りを開始する。
 帰宅した猫の「ただいまニャー」の声を聞くまで、部屋の片隅で硬直していたのは正直笑えない。
 
 
―完(食?)―
51珍味のひと:2008/03/23(日) 13:57:09 ID:iHy5T0C7
これにて投下終了。以下オマケとその他。
 
―ある日の義兄妹の会話―
妹:にーさん……
兄:どうした、その前髪パッツン……じゃなくて。顔色悪いぞ。
妹:素朴な疑問があるんだ。
兄:(深刻な顔してるがホントに素朴なのか?)
妹:飛竜はね、亜種と原種で親子とか兄弟って、あるのかな?
兄:(ないワケないやん)
  あー、コレ持ってけ。
妹:何コレ? 『かわいいペット・金魚図鑑〜フナと金魚の歴史〜』?
兄:(カラーヒヨコ屋にでも騙されたのか?)
  亜種と原種の関係は、ソレが一番わかりやすいだろ。
妹:…………。
  よもやこんな本に心を救われる日が来るなんて、思いもよらぬ二十四の夏の終わり。
兄:(なんか知らんが重症だ)
 
亜種って、ホワイトタイガーみたいなものかと。あるいはウミイグアナ&オカイグアナ。
 
 
―ある日の狩人の会話―
女:ギルドガード紅ベストのシリーズを組んでみた
男:……ほう
女:『セクシーな胸元も危険な武器の一つ』らしい。竜には意味無さそうな武器だな
男:いや、美味そうだから、餌って意味では問題ねぇぜ?
女:それは、脂身的な意味で?
男:おうよ。でも脂身食わねぇ鳥とか、岩野郎にはやっぱり意味なさそうだな
女:(ひっそりと涙を拭う)
男:俺は好きだぞ、脂身。うまそうだし
女:慰めてるつもりか、それで。……ってその手はなんだ。つつくなっ!
  その辺まだカサブタッ!
 
元水竜野郎におっぱい属性が付いた。
 
 
エイのメスはアレの具合が人っぽいとか、サメのオスは交接器が出しっぱなしかつ2本とか、どうにかネタにしようとしたけどダメだった。
書きたい話やネタはまだあれど、書く速度は落ちる一方。
伏線のつもりのモノの回収もままならん。
次はちゃんと一話書き上げたら来る。
ではまた。
52名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 14:01:04 ID:xHih4q7C
GJ
相変わらず神でございました。
このふたりかーいいなぁ。
可愛いなぁ。
なんだこのバカップルは…
素晴らしいじゃないかいいぞもっとやれ。
53名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 18:59:44 ID:/aeoQ4wB
GJ!!
こっちも気長に待ってるぜ。
54名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 19:44:24 ID:6cLIqdcb
業務連絡:まとめwikiに7スレ目保管完了
というか私が作業する前に大半が保管されておりましてですね
私がしたことといえば保管されていなかった一部の作品の保管と
作者別・キャラ別の分類程度となっておりましてですね

楽ばっかりで申し訳ありません

8スレ目はクイーンの人やズッチーの人が精力的に投下していたようなので
どうにか頑張っていきたいと思います
55名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 20:26:48 ID:eXO6dqZ/
ぬるい……エロ……?
56名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 22:16:36 ID:G6zS+ZDT
>>54
ご苦労様です    ∬
いつもありがとう つ旦
57名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 01:34:29 ID:XlqSpfMW
投下を超wktkしながら待ってます。
58孤独を知らない男:2008/03/24(月) 02:26:47 ID:pPxSe19i
>>54さんご苦労様です。
 
さて、『孤独を知らない男』第九話ですが、今回は予告通りエロ有りです。
そしてこの回で第二部も終わりな訳ですが…なんかこの区切り無意味に思えて来た。
それでは、投下いたします。
 
 
 
『孤独を知らない男』:第九話
 
 
 
二人は体を重ねたまま、再び深く口付けた。
ジェロスの鍛え抜かれた逞しい体は、ともすれば華奢なトネスを押し潰してしまいそうだったが、
最早トネスの方からも、両腕を肩に回して彼を求めていた。
互いに深く舌を絡ませ合いながらも、ジェロスは少し体を浮かせて、
胸元に空いた僅かな隙間に右手を滑り込ませた。
 
「んっ…」
 
繋がった口の隙間から、トネスの艶っぽい声が漏れ出る。
男の右手が、胸のふくらみの一つを優しく包み込むように握ったのだ。
着衣の上からでも感じる、確かで柔らかな彼女の胸は、握り込んで少し余るくらいで心地良い。
着衣越しでも感じる、本来武骨な手が優しく彼女を愛でる動きは、暖かな体温と愛情を感じさせる。
微かな疼きが、体の芯に灯った。
どちらという事もなく、双方ともが。
 
「…ぷっ…」
 
ジェロスが上体ごと顔を持ち上げて、二人の顔が離れた。
引き抜いた舌先は名残惜しそうに銀色に輝く糸で繋がっているが、それもすぐに途切れる。
同時に胸への愛撫も中断され、トネスはただ熱い吐息を漏らすばかりとなった。
一方のジェロスも、トネスの足の傍に屈むような姿勢から、熱っぽい深呼吸をひとつついた。
常に睨むように細められて吊り上がっている彼の目は、より一層細くなっているが、目尻は垂れ始めていた。
表情にも、いつものキリッとした鋭さがない。
彼のそんな顔を見たのは、トネスは初めてだった。
 
「…すまん。もう我慢できん。」
 
と、ジェロスの表情が一転してすまなそうなものになったと思った瞬間、
彼は一気にローブと上半身の着衣を脱ぎ捨て、彼女の足の間に体を押し込んだ。
彼の突然の行動に、トネスは正直言って驚いた。
今まで彼の方からキスをしてきた事すらないというのに、
今回はキスどころか、行為そのものに対しても積極的であったからだ。
 
59孤独を知らない男:2008/03/24(月) 02:28:25 ID:pPxSe19i
「トネス…」
 
彼がそう呟くと、彼女はぼんやりとした表情のまま「キュ?」と小さく鳴いて顔を持ち上げて、彼を見上げた。
ジェロスに呼ばれたと思ったのだろうが、彼にそんなつもりはない。
その証拠と言わんばかりに、一瞬で彼女のインナーを剥ぎ取り、潤いを帯びたピンク色の肉芽を摘んだ。
 
「ひぃっっ!?ぃっ、ああぁぁぁぁぁぁ!」
 
瞬間、体を弓なりに反らせて、甲高い声を彼女はあげた。
辺りで眠っているゲネポスたちの存在もあろうに、彼女はあられもなく叫ぶように喘いだのだ。
そんな、羞恥心を吹き飛ばす程の声をあげさせたのは、この感覚を初めて味わったが故であろう。
電流のように一直線に体を奔った凄まじい快感は、彼女をその渦に堕落せしめた。
 
「んっ、あうっ!はっ、あぁぅ!やっ…やめ、てぇっ…はぅっ!」
 
彼が肉芽を引っ張ったり転がしたり弄るだけで、彼女の体がビクビクと震えた。
ピンポイントで送られてくる刺激に、彼女は恐怖すら感じる程の快感を覚えていた。
身を捩りながら、ベッドである乾草を逆手でぎゅっと握りしめる。
 
「仲間を起こしたらどうするんだ…悪い口だな…」
 
次々と襲い来る快感を少しでも逃がそうと嬌声を発していた口が塞がれた。
ジェロスが再びのしかかって来て、唇を押し付けて来たのだ。
左手は尚も、ぷっくりと膨らんだトネスのそれを弄び続けている。
それでもトネスは口の中で声をあげ続けようとしたが、舌を捩じ込まれてはそうもいかない。
くぐもった響きは、舌と舌の絡み合う水音に掻き消されてしまう。
だが、それでもジェロスは容赦せず右手を胸元に添え、左手も一旦離すと…
 
「んっ…ひゅぐぅぅぅぅっ!?」
 
右手でぴんと立った頂きを摘み、左手の指の先端を彼女の内部に押し込んだ。
弱点である乳首への攻撃と、いきなりの侵入に彼女はまたも大きく喘いだ。
しかしそれも、彼の口と舌によって口内にしか響き渡らず、
巨大な波のような快感は放出されずに、彼女の芯を取り囲むように渦巻くしかなかった。
その上、ジェロスも既に優しくするだけの余裕はなかった。
右手は乳首をこねくり回し、小突き、時折豊かで形の良い房を握る。
左手は指を締め付ける彼女の中を解すように、機械の如く激しく動き始める。
 
「んっ!んっ!んっ!んふっ!ふっ!ひゅくっ、んふぅっ!」
 
熱い吐息が口の隙間から絶え間なく漏れ出て、閉じられた目には涙が溜まり始めている。
左手に感じる彼女の熱が高まり、より湿り気を帯びて、明確な水音をたて始めた。
舌は既に互いに絡めあう形に戻っており、感じる鼓動がどんどん早まる。
彼女の絶頂は近く、それは急激に高みへ駆け上がっていった。
 
「んきゅっ、ん、ん、ん、ふっ、ふぅぅっ!んっ…うううううぅぅぅぅぅぅぅぅ!」
 
喉に何かが詰まったような嬌声をあげ、彼女の体がビクリと震える。
二、三度震えがくると、彼女は糸が切れたように、全身の力を抜いた。
息は荒く、鼓動は早く、目は焦点が定まっていない。
上気した頬に、呼吸に合わせて大きく上下する胸は、重力によって少しだけ潰れていた。
ジェロスが左手を引き抜くと、中指と言わず左手全体がぬらりと光っていた。
どうやら完全に達したようだ。
 
60孤独を知らない男:2008/03/24(月) 02:29:18 ID:pPxSe19i
「…………」
 
やっちまった──
ジェロスは体を起こしながらそう思った。
いくらなんでも、これはやり過ぎた。
まるで犯すような激しさは、こいつにトラウマを作ってしまう。
ただでさえ、ついこの間あんなことがあったのに…
ジェロスはつい本能に流された自分を恥じ、その行動を悔いた。
だが、どうにしろもうトネスに本番をする体力は残っていないだろう。
今日はどうもおかしい…戦闘直後でまだ気が昂っているのか。
 
「待っ…て…」
 
そんなことを考えて身を退こうとしたジェロスの気配を察して、トネスが弱り切った声を出した。
未だに息は荒く、その言葉は呼吸の間隙をついた形で、途切れ途切れであった。
しかし語調は弱くとも、その言葉には強い意思を感じさせ、ジェロスは思わず動きを止めた。
 
「行か…ない、で…」
 
まるで泣きそうな目をして、彼女はジェロスを見上げた。
その潤んだ瞳に必死さを感じ、彼は彼女の方を振り返る。
切なさと甘さを含んだ目はとても魅力的に感じられた。
 
「ジェ、ロス…きて…」
 
あまり力のこもっていない両腕を広げて、トネスは彼を求めた。
その姿を見て、ジェロスは自分が物煩っていた全ての事が、とても下らない事であるように思った。
自然のままである彼女をいたわれなかったことではなく、
自然のままである彼女に、自然のままに接する事を一瞬でも躊躇った自分を恥じた。
彼は目を閉じて、ふっと優しげに微笑んだ。
広がる充足感と幸福感は、彼が殆ど体験して来なかったものでありながら、
凄まじい速度で彼の心と体の隅々までを満たしていった。
 
「ああ。」
 
微笑みながら、彼は彼女の腕の中に飛び込んだ。
彼女は彼の首にしっかりと腕を回し、目を閉じて彼の温もりを噛み締めた。
 
61孤独を知らない男:2008/03/24(月) 02:30:40 ID:pPxSe19i
 
「ん…うぅっ…きて…ジェロス…はぁ…もっ、とぉっ…!」
 
トネスが左を向くように組み敷かれ、ジェロスに責め立てられていた。
ベッドに押し付けられている右腕はピンと伸ばされ、左手は胸の前にある。
右足は、ジェロスが体を差し込みやすいように直角に曲げられ、
左足は、膝をジェロスの右肩にかけるようにしていた。
そうして横になった彼女に、彼は激しく腰を叩き付けていた。
一度突くごとに彼女の体は跳ね、乳房と、肩にかけている彼女の片足が揺れる。
 
既に二人は6ラウンド目に突入している。戦績はジェロスが4勝1敗だ。
前戯で体力を使い果たしたかに見えたトネスだったが、流石に元ドスゲネポス。
突けば突くほど膣は締まり、反応は良くなっていった。
自分で動くのと、相手から突かれるのではやはり違う、ということだろうか。
行為を重ねる度に彼女は更なる快楽を、恍惚とした表情で求めるようになっていった。
ジェロスの方も、お気に入りの体位をやっと発見して更に精力的だ。
この横にしてする体位が、トネスの美しい足と胸を最もよく堪能出来るのだそうである。
 
「んぁっ!は、は、はぁうっ!いいっ…いい、よぉっ!あっ、あっあっあっ…」
 
一際強く突き上げる度に、子宮口が僅かにごりっと押し広げられ、トネスは言い様のない悦楽に襲われていた。
ジェロスの方も、そうする度に彼女がビクリと体を跳ね上げさせて嬌声をあげるのを楽しみ、
首をがっくんと揺らして、砂漠色の短髪が振り乱れる様を楽しんだ。
淫らな水音と、湿った肉同士がぶつかる音に、トネスの喘ぎ声が混ざって周囲に響く。
ゲネポスたちはそれに起こされつつも、聞こえないフリをして再び眠りに就く。
 
「あっ、あぁっ!あっあっあぅっ、あっあっ…いっ…イっ、くふぅぅ…」
 
膣内を擦り、子宮口を先端でこじ開け、深く強く動き続ける。
彼女が切なげな声を漏らし、ジェロスは動きをより一層速めた。
乾草で出来たベッド全体がユサユサと揺れるほどの動きは、
互いの快楽を極限まで高めていく。
肩にかけている足を抱えるように掴んでいた両手は、腰をがっしりと掴み、
彼女の両足も、ジェロスを離さぬよう膝を曲げて抱え込んだ。
 
「…っ」
「んはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
 
ごりっと強く子宮口をこじ開けた先端から熱が奔り、
白色の熱液が直接トネスの子宮に叩き付けられ、注ぎ込まれた。
その最後の一突きの威力と熱と脈動する感覚に、同時にトネスも達する。
体をビクリと震わせながら、膣内にある彼自身をきつく締め上げ、最後の一滴までも搾り尽くそうとする。
 
62孤独を知らない男:2008/03/24(月) 02:31:49 ID:pPxSe19i
「あっ…はぅぅぅぅ……んっ…はぁ…」
「………はぁぁぁぁぁぁぁ…」
 
トネスは切なそうな声と共に体をビクビクと震わせ、それから全身の力を抜いた。
肩にかけた足はだらんと垂れ下がり、ぼーっと余韻を楽しむかのように、
涙を溜めた目はとろんとして、口の端からは舌先が垂れている。
ジェロスは全身の緊張を抜くように、大きく深呼吸をした。
 
「…んぅっ…」
 
ジェロスが腰を引いて己自身を引き抜くと、二回目の射精であるために溢れて来た己の精が、
ごぽり、とトネスの体液と混ざった状態で一緒に出て来た。
瞬間、トネスが呻くが、もうその表情に変化は訪れない。
どうやら、もう完全にトンでしまったようだ。
肩にかけていた彼女の足を下ろし、仰向けにさせてやる。
彼女はそのまま、失神するようにゆっくりと意識を手放していった。
 
「…やれやれ、こりゃ話は明日だな。」
 
心地良いけだるさを感じながら、ジェロスは彼女に微笑みかけた。
もちろん返事が返ってくるはずがないが、彼は満足していた。
タオルで軽く全身を拭くと、脱ぎ捨てた服を拾って手早く身に着け始める。
全身が汗やら何やらで凄いことになってはいるが、砂漠の夜に全裸や下着姿は堪える。
彼はさっと服を着ると、同様の手順をトネスにも施した。
そしてそれも完了すると、ロングローブを広げて毛布のように彼女にかけてやった。
彼女が着て来た分と彼が着て来た分で、ロングローブは二着ある。
彼は自分の分のロングローブもさっと広げると、隣で眠る愛しき姫君の寝顔を見た。
 
「恵みと調和、戦士と剣、共にあって感謝する…
 ………おやすみ、トネス…」
 
ジェロスは優しく包み込むように微笑みながらそう呟くと、
トネスの頬に軽い口付けを落とし、自身の毛布の中に包まった。
 
 
 
 
 
五日後、二人はともに巣を発って、家へと戻っていった。
群れはトネスとの別れを惜しみ、沢山のお土産を渡してくれて、
ジェロスはそのお礼にと、ゲネポスの子供の健康診断をしていた。
トネスの弟は、ジェロスに「姉さんを不幸にしたら絶対許さん」と深く釘を刺していたが…
いっぱいのお土産を抱えながら帰っていく二人の背中は、とても幸せそうであったという。
二人は遂に、完全に恋に落ちた事を自覚したのだ。
63孤独を知らない男:2008/03/24(月) 02:33:49 ID:pPxSe19i
これにて第九話。そして第二部終了です。
 
長い。長いよ。
今回のことじゃなくて、話全体が。
もうちょっと書き溜めてから投下した方がいいかなぁ。
64名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 04:27:03 ID:4yFU5L2s
書くの早いなぁ……
ずっと俺のターンがなんだかなーと思うなら、
推敲に当てる時間を増やしてみたら?
俺は文章量は今のままでもいいと思うけど。
65名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 05:45:15 ID:zA7XvpOi
>>51この二人が何よりも好きな俺参上。
他とは少し違う独特な二人の雰囲気、でもやっぱり深く繋がってる感じが、とても好きだ。GJ!
 
>>63二人が別々になった時は鬱だったけど、こういうのを見ると本当救われるし、温かくていいな。
GJ!
 
投下で悩んでるのか? 
俺はこのままで良いと思う。一回の投下量が極端に少ないなら問題だけど、そんな事は無いと思うし、何より読者にとって続きが早く読めるってのは、とても嬉しいことなんだぜ。
66名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 14:36:43 ID:OpsXALfj
>>65がいいこと言った


読み手側としては作品投下してくれること自体ありがたいことなんだから
書き手の人のペースで投下してくれればいい
67名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 15:54:50 ID:S0/XqTx5
68名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 21:13:41 ID:l/agwqEy
69名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 21:23:37 ID:gPmFwPEw
ティガっ娘
http://imepita.jp/20080324/768450
苦情の類は受け付ける
70名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 21:53:46 ID:l/agwqEy
71名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 21:55:36 ID:l/agwqEy
>>68
アドレスミス

正解
http://imepita.jp/20080324/788800
72名無しさん@ピンキー:2008/03/25(火) 03:57:01 ID:7zKIr5Xq
73名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 05:21:17 ID:mjud2IkE
勢いで書いた。反省はしていない。
―――――――――――――――――――

家に帰ると妹が珍しく殻に篭っていなかった。
部屋の隅っこにうずくまっていたが。
「あら、ザザ美どうしたの?殻は?」
「うえぇ・・・お姉ちゃあん・・・」
ぐすぐすと泣きじゃくりながら振り向いた。
「どうしたの?」と聞いてみるも、
ギザ美の顔を見るなりまた泣き出したので答えは得られない。
荷物を放り投げて抱きすくめる。
「ふええぇ・・・」
「よしよし」
そのまましばらく頭を撫でていると、
落ち着いたのか事の経緯をぽつりぽつりと語り始めた。
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
「ようするに、密林の海岸で遊んでたらハンターどもに剥かれて咥えさせられたのね?」
こくこくと頭を縦に振るザザ美。
「ふーん・・・・・そう。ふーん・・・・・・ふふふ、ふふふふふふふ」
ギザ美がくすくすと笑い始めた。
ザザ美はびっくりしてぽかんと姉を見つめる。
「いい度胸じゃないの?ふふ、わかったわザザ美。
 私が仕返ししてきてあげるからね・・・・・・?」
というとスカートの裾を捲くり、
愛用のカミソリをガーターベルトに取り付けた鞘から抜いた。
「全部ひん剥いて・・・切 り 取 っ てきてあげるからね」
ふふふふふ、と微笑み、刃をぺろりと舐める。
妹はぱあ、と顔を明るくし姉に抱きついた。
「ありがとう、お姉ちゃんっ。でも、ケガしないでn「でもその前に」」
姉の声がかぶさる。
「・・・え?」
またザザ美はぽかんと姉を見つめる。
ギザ美は妹を見つめるとその頬に片手を当てて撫でる。
「おねえちゃんはお仕事で疲れちゃってるから、ザザ美に元気づけてもらいたいなあ」
頬に当てていた手で胸を押して倒し、跨る。
何か言おうとザザ美が口を開くも目の前でぎらりとカミソリが光り、
ばたばたと暴れるのもやめた。
ごくりと唾を飲み込み懇願するように姉を見つめるもただ薄ら笑いを浮かべたまま。
カミソリの刃は彼女の服を切り裂き、露になったまだ幼いその胸につつ、と指を這わす。
「お、おねえ、ひゃ」
一瞬で唇を奪われ、抵抗するも熱い舌はにゅるりと侵入し咥内を貪り、彼女の舌に絡みつく。
「んっ、んん、ちゅ、ふぅん・・・はぁっ」
離された唇は糸を引き、顔は熱い。
「こんなにかわいいんだもの・・・ハンターたちが襲ったのも分かるわ・・・でも」
カミソリの腹で妹の乳房を撫でる。
ザザ美はびく、と体を振るわせ、抵抗するにできなくてまた泣きそうな顔をしていた。
「ザザ美を好きにしていいのは私だけ」
カミソリを仕舞うと左手で胸を弄り、右手でザザ美の額の髪をかき上げぐっと抑えると
首筋に吸い付き、舐めあげる。
思わず妹が声を上げるのを聞いて何度も繰り返し、
胸を揉んでいた手で乳首を摘み捏ねくると、妹は振るえて体を浮かせた。
74名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 05:27:12 ID:mjud2IkE
息が荒くなる。
自分の上着のボタンを外し、スカートのチャックも下げる。
右手を外しても妹は最早抵抗せず、その手で体を支え、
キスを段々と首から肩、鎖骨、胸へと下げていき、左手も腹を伝わせ、臀部をかすめて
太ももを這い、尻をなぞる。
ザザ美が慌てて脚を閉じようとするもギザ美が脚を絡み阻む。
乳首をしゃぶり、時に甘噛みしながら、その柔らかい尻肉を揉みしだき、
右手で自分の胸を愛撫する。
やがて左手を妹の内腿、そして陰部へと這わせると、そこは既にぬるりと湿っていた。
「もうそんなに感じちゃってるの・・・?」
「お、ねえちゃんが、そんなことするからあ・・・だ、だめ」
指が侵入する。
一指し指と中指で入り口の辺りをくちゅくちゅ音を立てて弄り、
親指で陰核を擦ると、ザザ美は声を上げた。
「ひゃあっ、はうぅ・・・もう、やめてよう」
それを聞いてかギザ美はぴたりと動きを止めて、起き上がる。
「あ、そう。じゃあいいわ」
そういうと上着を羽織り直し、ボタンに手を掛ける。
「え・・・ち、ちがうの」
「なにがちがうの?」
「ちがくて・・・えと、その・・・」
起き上がった妹は膝の間に手を着く姿勢で座り、目線は合わせられず顔を真っ赤にして
ぼそぼそと何かを呟く。
「聞こえないわ」
俯いたザザ美は少しだけ声を大きくして呟く。
「・・・わた・・・を・・・・・・・・・・・っして・・・・・・さぃ」
妹の前に屈みもう一度言う。
「聞こえないわ」
顔を上げたザザ美は目の端に涙を溜め震える声で言った。
「わ、わたしを、お姉ちゃんの、す、好きなようにしてくださいっ」
ギザ美は満足気に目を細めると、同じように座り、
妹の赤い髪をかき上げ頬を両手で包み唇を重ねる。
体を近づけゆっくりと妹の体を横たえ、互いの体を絡めあう。
やがてギザ美は互いの胸を密着させ尻を突き出すような姿勢し、
左手は鞘ごとカミソリを抜き、右手でザザ美の手を自らの秘部へと宛がう。
「入れて、ザザ美・・・・・・は、激しく掻きまわすのお」
言われたとおりにザザ美は中指と薬指を姉のそこに伸ばし、
すでに愛液を滴らせているギザ美の秘部は抵抗なく指を飲み込む。
「は、はあぁっ、いいよぉ」
にちゃにちゃと音を立てて姉を弄り回す。
指の根元まで挿し込むとぎゅうっと膣肉はからみつき、
姉は息荒く喘ぐ。
と、ギザ美は先ほど抜いたカミソリを鞘からザザ美の陰部へ一気にねじ入れた。
「ひゃあああっ、ふうぅ、や、やぁっ」
いやらしい音と共にそれはずぶずぶと入ってゆく。
ふふ、と姉は淫靡な笑みを浮かべ妹の喘ぎ声を唇と舌で塞ぎ、
柄を捏ねくり回して陵辱する。

唇と唇の、舌と舌の隙間から唾液と声を漏らし、腰をくねらせて喘ぐ妹を
犯し続け自らの体も痙攣させるギザ美。そして
「はあぁ・・・ザザ美、わたし、もういっちゃいそうなのぉっ」
「わ、わらひも、もうっらめらよぅ、お、おねえ、ひゃっん」
裸となった絡み合う体は汗と愛液で濡れ、
互いを弄り合う手の動きは激しくなる。
びくびくと振るえ弓なりに胸をそらし、大きく声を上げて、
二人は達した。
75名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 05:28:26 ID:mjud2IkE
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
「はあっ、はあっ、はぁ」
「ふぅ、ふぅ」
胸を上下させて空気を求める。
行為の余韻に浸りながらギザ美は、やさしく妹の頭を包み、接吻する。
唇を離し、
「はぁ、ありがとう・・・・・・ザザ美。それじゃぁ、お姉ちゃん、
 ・・・行ってくるからね」
と言って顔を離し起き上がろうとする姉の首に腕を絡ませ引き寄せてザザ美は接吻した。
「・・・・・・行ってらっしゃい。」
気をつけてね、という妹の言葉を背後に、
服装を整え、殻を背負って、ギザ美は家を後にした。



普段いないはずのショウグンギザミが密林に現れ、
あるハンター達をとんでもない目に合わせたという報告が、
後、ギルドに届いた。
なお、襲われたハンター達は一様に「モンスターだと思わなかった」
「めがね」「絶対領域」「あらあらうふふ」などと意味不明な言動を繰り返し、
その切り取られたと見られる陰茎はキャンプのベッドに散らかってたんだそうだ。

-----end.
76名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 05:48:15 ID:MtgNVSCt
お疲れ様です。大変面白かったです。
もう甲殻種を今までと同じ視線で見れないww
77名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 12:07:31 ID:vuzzgVKS
GJ
なんという鬼畜ギザミwwwww
78名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 12:08:09 ID:4uo1sMFt
ギザミはめがねっ子だったのか

ところでギザ美が返り討ちにあってハンターにやられまくる展開マダー?
79砥石:2008/03/26(水) 16:07:20 ID:+o/7nD29
お初です皆様。
小説(駄文)を投下したいのですが、小説にエロ要素が2割も含まれていません。
エロ要素ほとんど無し。進行遅めのまったりのんびり小説ですが投下宜しいでしょうか?
「勝手に投下セヨ」…と言われそうですが、小心者の需要調査とでも考えていただければ…
ではでは。
80名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 16:08:28 ID:+o/7nD29
sage忘れ…
81名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 16:55:16 ID:qYyKtzeP
ならばあえて言おう
そんなのなら投下するな
82名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 19:12:19 ID:t5F7lP4N
なんでもいいから投下
83名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 20:04:53 ID:mjud2IkE
気になるなら最初にテキトーに注意だけしてドカンと投下すりゃ良かったんだ。
それじゃ誘い受けだと思われるぜ!

ようするにさっさと投下するんだ
84名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 21:19:39 ID:+o/7nD29
TEST
85名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 00:50:37 ID:KcNxe1Wl
P2G発売前夜記念で投下しようとしたら日付変わっちゃったよオイ
まあいいや、バサル擬人化の小ネタ投下させてもらうんで
半端な擬人化とか嫌いなヒトはしばらく目をつぶってていただけると嬉しかったり
86ばさるたんの生態1/5:2008/03/27(木) 00:52:07 ID:KcNxe1Wl
 じりじりと灼けつくような熱気が俺の全身を嘗め回す。
 ポーチから取り出したビンの中身を一気に飲み干すと、熱気がいくらかマシになったような気がした。

「あっちぃ……」

 今、俺は火山の素材ツアーに来ている。
 事のあらましはこうだ。
 ギルドの受付嬢から聞いた話によると、どうやら新種のモンスターや未知のエリアが発見されたらしく
 そう遠くないうちに上位よりさらに上のランク、「G級」のクエストが発注される可能性があるのだという。
 新種のモンスターが発見されたということはすなわち未知の素材が取れるということであり
 今まで見たこともないような新しい武器や防具を作ることができるということなのだ。
 よって俺は新装備に必要となるであろう希少鉱物を採掘するために、こうして火山へとやってきたのである。

「えーんやこーらせっと!」

 作業の邪魔をするモンスターどもを追い払い、手近にある壁の裂け目へとピッケルの先端を叩きつける。
 大地の結晶、カブレライト鉱石、修羅原珠……

「なんでユニオン鉱石が出ないんだ……よっ!」

 火口付近からは獄炎石や太古の塊まで飛び出したが、目当てのモノはなかなか出てこない。
 これがハンターの間でまことしやかに噂される、物欲センサーの威力なのか。
 そうこうしているうちに持ち込んだピッケルがすべて折れてしまい、それ以上の採掘は不可能となった。

「仕方ない、ピッケル仕入れて出直すか……」

 そろそろクーラードリンクの効果も切れる頃か。確か少し下りたところの広場に熱帯イチゴが自生していたっけ。
 ポーチに氷結晶が残っているのを確認した俺は、「頑張った自分への御褒美スイーツ(笑)」を食すべく火口を後にした。
87ばさるたんの生態2/5:2008/03/27(木) 00:53:00 ID:KcNxe1Wl
 思い返せば火山に来てから一度も岩竜に遭遇しなかったんだよな。
 あいつの擬態はすぐ見破れるから見落としたって事もないし。
 入れ違いになったとするなら、目の前のコレの説明をどうつけたものだろうか。

「……」

 俺の前には岩竜の擬態と思しきひと連なりの岩があった。
 ただし最小金冠クラスよりさらに小さい。なんか俺の腰くらいの高さしかない。
 どうみても岩竜素材の鎧を着た子供がうずくまっているだけです。本当にありがとうございました。

「……おい」

 後ろから声をかけてみるが、反応はない。
 足で軽く小突いてみると、体をもぞもぞと揺すり始めて……

「ぎゃおー!」

 いきなり妙な声を出して跳ね起きやがった。
 真後ろの俺に気づかないのか、しばらくあたりをキョロキョロと見回していたが、俺の姿に気づいてゆっくり振り返る。
 なんだか穏やかでない顔をしてらっしゃいますよこのお子さんは。
 左足を引いて体を低くする姿勢。岩竜や鎧竜の突進の予備動作と気づいた時には、その子の頭が俺の腹に突き刺さっていた。

「ごふぉっ!?」

 うーん、勢いの乗ったいいボディブローだ。無様に転がりながらそんなことを考えてみる。
 俺を轢き飛ばしてくれたお子さんは、その勢いのままヘッドスライディングのような姿勢で地面を滑っていった。
 そのまま顔面から壁にぶつかって動きを止め、鼻をさすりながらやけに緩慢な動きで起き上がる。
 背中越しにこちらを睨みつけたまま足を肩幅に開いて、なぜか俺のほうに尻を突き出した。
 あ、こいつインナー履いてねぇ。しかも女の子かよ。
88ばさるたんの生態3/5:2008/03/27(木) 00:53:57 ID:KcNxe1Wl
「こぉのやろぉっ! こぉのやろぉっ!」

 なにやら気の抜ける掛け声とともに尻をゆっくりと左右に振る女の子。
 むちむちぷりんなおねーさんなら即ルパンダイブものの動きだが、相手が子供ではピクリとも来ない。
 残念ながら俺はロリコンじゃないからな。スジに目が釘付けになってたりはしませんヨ?

「……何してるんだ?」

 とりあえず、体当たりはともかくスジを見せら……ごほん、尻を振られる理由が一切思い当たらない。
 今の掛け声を聞くにおそらく言葉は通じるだろう、と見当をつけて聞いてみた。

「何って、こーやってお尻をぶんぶんってしたらお前たちみんなうわーって逃げちゃうだろ」

 さっぱりわからない。
 言葉は通じているみたいだが、内容がまったくもって理解できない。
 こっちに向けた尻をひたすら左右に振り続ける女の子。
 るんるるーんとか鼻歌まで歌い始めやがった。

「おい聞け子供」

 むきだしの尻をぺちんと叩いて動きを止めさせる。子供の肌ってみずみずしくて張りがいいな。
 無理矢理こっちを向かせると、上機嫌のところを邪魔されたせいでむくれ顔をしていた。
 くりっとした瞳がやけに愛らしい。これは5年か10年もすれば結構な美人さんになるかもしれん。

「こんなとこで何してるんだ?」
「だから、お尻をぶんぶんって……」
「そうじゃなくて、こんな火山のど真ん中にうずくまって何をしてたんだって聞いてるんだ」
「えっと、ぎ……ぎ……」

 ゼンマイの切れた人形か。

「そう、ぎたい!」

 得意満面、太陽印の笑顔で答を導き出す。
 わざわざ火山でバサルモスごっこか、おめでてーな。
 しかもえらく手の込んだ被り物まで作っちゃって。家でやれ家で。
 ……それにしてもよくできた鎧だな。
89ばさるたんの生態4/5:2008/03/27(木) 00:54:53 ID:KcNxe1Wl
「なあ、これ何で出来てるんだ?」

 そう聞きながら鎧の胸当ての辺りをコンコンと叩いてみる。
 感触なんて岩竜の甲殻にそっくりだ。まさかホンモノの素材をふんだんに使ってたりするんだろうか。

「んとね、これは――」

 ぴしり。
 女の子が何かを言おうとしたその時、鎧の胸から腹にかけて大きな亀裂が走った。
 やばい。そう思ったときには鎧の前面はひび割れだらけになっていた。
 ぼろっ。
 ひび割れのラインから切り取られるように鎧がぽろぽろと崩れていく。
 鎧の前面が砕け落ちるのを俺はただ見つめていることしかできなかった。
 ああ、そうか。さっきのヘッドスライディングで脆くなってたんだ――

 ぷるん。

 わずかなふくらみを持った双丘が姿を現す。
 なだらかな曲線を描くその先端には、桜色のつぼみが精一杯の自己主張をしていた。
 重ねて言うが、俺は決してロリコンではない。
 だからこの子の胸から目が離せなかったのも、単に鎧が砕けたという事実に驚いたからであって
 ふくらみかけのおっぱいにいたずらしたいだとかツンと尖った乳首が可愛いとかそんなことは微塵も思っていないのである。うん、そうだとも。
90ばさるたんの生態5/5:2008/03/27(木) 00:56:00 ID:KcNxe1Wl
「ひゃ……!」

 女の子の顔が耳まで真っ赤に染まっていく。
 両腕で胸を押さえ、その場にうずくまってしまった。

「す、すまん! その……」

 鎧を壊したことか、胸を見てしまったことか。
 どっちから謝ればいいかわからず、言葉に詰まってしまう。
 すると女の子は大きく息を吸い込み――

「な、に、すんだよぉ――――っ!」

 鼓膜が破れるかと思うほどの大音声。
 そうだ、飛竜は怒ると咆哮で相手の動きを止めてしまうことがあるんだった。
 この魂を持っていかれそうな威圧感は間違いなく飛竜種の咆哮そのものだ。
 じゃあ、この子はごっこ遊びをしていたんじゃなくて、本物の――

 そこで俺の意識はぷっつりと途切れた。
 最後に俺が見たのは、ちっちゃなおっぱいを丸出しにしたまま、鬼のような形相でこっちに走ってくる可愛らしい女の子の姿だった。
91名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 00:58:43 ID:KcNxe1Wl
投下終了ー
P2G発売目前で鉱石集めやら虫取りに精を出したハンターはかなりの数いるだろうと予想

俺、P2G買ったら真っ先に男キャラを女に性転換させてヒーラーU着せるんだ……
92名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 01:44:07 ID:HOeLrxSX
うわあこいつ真性のロリペドだよどうしようもねえ

GJいいぞもっとやれ
93名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 01:49:43 ID:s3+xMLPg
乙です。
性転換しようとしてる同士がいたwww
94キリンの人:2008/03/27(木) 03:37:37 ID:8I4fHxP+
こんばんわ、どうもです。
続きが出来たので、投下します。
今回は内容の都合で、
前回の予告の通りに書けなかったのが少し心残りですね。
はあ〜中の人性能をもっとあげたいなあ〜。
何だか書くのうまい新人さんも来ちゃったしどうしよう?
ま、それでも懲りずに書きますけどね。
ちょっとエロが薄いのと臭いセリフが多々あるのでその辺がきつい方はスルーしてやって下さい。
ではどうぞ。
95〜特殊生態系体験記23〜:2008/03/27(木) 03:38:41 ID:8I4fHxP+
 レオンが未だ寝つけず麟の髪を優しく撫で、至福に浸っている頃。隣で先に眠った麟は夢と言われる世界―――その世界に誘われていた。
そこは、『キリン』と呼ばれる前の体の時から何度も来た事のある世界。麟にとってそこは寂しく、辛い世界。
その世界で麟は暗闇に一人立っている。辺りは何も見えず、ほんの3歩先の獣道が見えるだけ。その道をひたすら前へ、前へ走る。後ろに感じる未知の気配に脅え、泣きながら。

(またここに来ちゃったんだ……)

人間になっても追ってくる悪夢にうんざりしながら、これまでの夢のように走ろうとする。が、走れない。いや、それ以前に走る気が起きない。

(…あれ?何か違…う?)

そう、『以前の麟』ならそれが夢の内容だったが、それが今日は違う。
いつもの夢と同じ様に暗闇の中にいる。相変わらず辺りは見えない。そして、目の前の獣道も変わりがない。
けど、不思議と身を削る様な焦燥感や恐怖は無い。いつのまにか麟はゆっくり歩きだしていた。

(なんだろう?何が違うんだろう?)

歩きながら、思案を巡らす。確かに以前と体は大きく異なるが、麟はもっと根本的な違いを感じていた。
ふと気付く、自分が誰かの腕を抱いている事に。隣を歩く誰かの腕を。
隣なのに暗闇で顔は見えない、でもこの人を知っている。世界で1番大事な人。そして世界で1番自分を大事にしてくれる人。
二人で一歩一歩しっかり暗闇を歩いていく。何かに脅える訳でもなく、自分の意識で。

(安心する……怖くない。)

腕の温もりに口元を緩める。気を抜いたとたん、足が草むらに取られた。が、麟は倒れない。抱きしめる腕が麟をしっかり支えている。
顔は見えないが、隣の人が、心配そうにこちらを見ているのが気配でわかる。
『大丈夫だよ。』言葉の代わりに頷くと、顔を前に向ける最愛の人。二人はまたゆっくり進み始める。

(もっとこのままでいたい。ずっと歩いていたい、この人と。)

歩きながら麟は、道の向こうに新しい気配を感じていく。この先に何かが有る、何かが居る。見てみたい、行ってみたい、この人と一緒に。
麟は忘れていた背後の存在を思い出す。勇気を出し、後ろを初めて振り返るが、これまで怯え、恐怖した存在は跡形もない。いや初めから何も居なかったのだろう。
隣を歩く最愛の人に改めて感謝する。この世界を変えてくれたこと、共に歩いてくれる事に。
精一杯の感謝と愛を込めて、二人のこれからとこれまでに。

「ありがとう、レオン!」

喋ると同時に麟はこの世界を後にした。
96〜特殊生態系体験記24〜:2008/03/27(木) 03:40:27 ID:8I4fHxP+
  目が覚めた時、目の前にあったのは腕。麟は自分の寝相を確認する。レオンの腕を両手と胸でガッチリ掴み、しがみつくように体を丸くしている。
腕を掴まれている本人はすうすうと寝息を立てている。もう片方の腕は麟の頭の下にあった。初めてレオンより早く起きた朝だ。

(あの夢が変わったのは、これのお陰かぁ…)

夢の変化に納得すると同時に、麟は昨日のレオンのセリフを思い出す。
『麟に向かってくる危険は俺が全部払ってやる!』
それを夢の中にまで現れ、実行したレオン。麟は夢の中で言った言葉を再度口にした。レオンを起こさないように静かに。

「ありがとう、レオン…守ってもらってばかりだね。」

そう言ってレオンにキスをする。まだ麟の気は満たされない。レオンが麟にしてくれた事の数々を考えるとこんな程度じゃ到底及ばない。

(レオンの為に僕ができる事……何だろう?)

体での奉仕はすぐに浮かんだが、すぐに却下。理由は単純、奉仕してもすぐに自分が気持
ち良くさせられ、主導権を握られてしまうらだ。

(そう言えば、レオンはボクの事、気持ちよくするのすごい上手だよなぁ。…やっぱりボクの他に違う人とシてたんだろうなぁ。)

そう考え始める麟に、徐々に募り始める不安と焦り。そして、強い独占欲。

(…そんなの嫌だ!ボクの他に気持ち良くしてもらった人がいるなんて嫌だ、嫌だ!レオンはボクと結婚するんだっ!約束したんだっ!誰にも渡すもんかっ!!)

独占欲がだんだんと強くなる。もっと誰よりも深く、強くレオンと繋がりたい。麟の出した答えはシンプルだ。
しかし、『繋がればいい。』とは言うものの、レオンは寝ている。もちろん分身も寝ている。考えた末に麟が繋がろうとしたのは、自分を悪夢から解放してくれた『腕』だった。
さっそく麟は片手で腕を掴んだまま、そそくさと下着を脱ぐ。もともとパンツ一丁で寝ていたので脱ぐのは楽だ。
次にレオンの手首を返し、指をこちらに向ける。狙いは一番長い中指だ。その中指が自分の秘部に当たる様に体の位置を調整する。
秘部に当たる様になったレオンの手に自分の手を重ね、操る様に中指を膣に押し当てる。

「……ん………」

昨日の余韻なのか、そう言う体にもうなってしまったのか、レオンの手が触れるだけで気持ちがいい。それに朝っぱらだと言うのに濡れかけている。
そのまま、膣にレオンの手を押し込む。『ちゅく』と自分の中で水音が聞こえた。

「ん、はぁ……んんっ………」

ずぶずぶと音を立て、何の抵抗もなく麟の膣はレオンの指を飲み込む。第一関節…第二関節…そして中指の全てを飲み込んだ。

「…ふうっ。これで……ん………安心。」

相手は寝ているので指は動かないが、自分の中にレオンの体の一部が入っている。そう考えただけで、さっきの不安や焦りはあっさり消えた。
麟は甘える様にレオンの腕に頬ずりする。膣に力を入れ、指の型を採るかのように締め付け、寝ている恋人にアピールする。『早く起きて弄ってよぅ』、と。
97〜特殊生態系体験記25〜:2008/03/27(木) 03:41:26 ID:8I4fHxP+
 レオンは麟から遅れる事半刻程で目を覚ました。寝起きから何か変だ。腕枕している方はいいとして、もう片方は手に…特に中指には水気と人の体温と圧迫感を感じる。

「おはよう、レオン。よく眠れた?」

隣で麟の声がする。見ると麟は背中を丸めて、レオンの腕を包み込むようにしている。手が体に隠れてよく見えない。が、何が起こっているかはすぐに分かった。
麟の呼吸に合わせて、圧迫感が強くなったり弱くなったりしている。予測を確証に変えるため、その中指を曲げ伸ばしする。

「あ!…ん……えへへ、ボクが何してるか…んく…バレちゃった?」

眉を八の字に顰めて笑顔で麟が喋る。レオンの指は麟の中に入っている。刺激はいまの一回だけだが、膣からはゆっくりとしたペースで、だが確実に愛液が出ている。

(全く朝から、ナニしてるんだか…)

呆れ顔で大きくため息をついたレオンは、ゆっくり麟の中をかき混ぜながら麟に聞いてみた。

「麟、一応話だけは聞いといてやろう。この状況はいったい何だ?」

「ん!はぁ…あ…ん…今日、ね…夢にね…れおっん!…が出てきて…ね。」

喘ぎ声を交えながら麟が話した事は今朝の夢の事だった。いつも見ていた怖い夢がレオンによって怖くなくなった事。そのお礼がしたかったけど何をすればいいか分らない。
だから、今自分に出来る事をシたと言う事だった。
麟はさらに続ける。その考えの途中で急に、レオンの過去の関係に嫉妬し、不安になり、切なくなり、それらを振り切るようにレオンを求めた事を。

(そうか、相当寂しかったんだなコイツ。100年位ほぼ一人だったって言ってたもんな。それが初めて他人の温もりを感じた…か。溺れるのも無理は無い……か。)

レオンは目の前の女性の魅力を改めて考えてみた。典型的な甘えん坊で、泣き虫で、寂しがり屋で、美人で、ボクっ娘で…とこれは関係ないか。レオンを愛している。
なら、そんな娘と朝から行為に及んでも罰は当たるまい。そう二人とも結局同じ穴の貉、似た者同士なのである。
レオンは考えの最中も指を動かし続けていた。しかもただ動かすのではなく、Gスポットを行ったり来たりしながら。

「ん!ん、ん、ん、ああ!そ、そこっ!!―――っ!!あ…ん……ん…はぁ、はっあ、あふ…ふっ、ふっ、んん!それ!そ…こ……」

Gスポットに差し掛かる度に声は大きくなり、通り過ぎると残念そうに縮む声。膣内もGスポット付近にではきつく締まり、そこ以外では少し緩む。
そのギャップを楽しんでいたレオンだが、とうとうそんな余裕もない位に息子が元気になってきた。

「麟、指抜くぞ。」

「ふぇ?あ……うん。」

心底残念そうな麟。寝相の丸まった状態の麟の体を伸ばすと、レオンは間髪入れず、中に今度は自分から、正常位でモノを侵入させた。

「んく!…くはぁ、あ、ああ」

『ジュブ!ズブブブブッ』卑猥な水音と共に中に入る息子。例によって中は温かくって気持ち良い。
『待ってたよ!』と言わんばかりに、麟の快感と安堵の大きな息遣い。ほんと可愛いやつだ。
そのままレオンは腰を動かす。
98〜特殊生態系体験記26〜:2008/03/27(木) 03:42:44 ID:8I4fHxP+
 「う、あ、はぁん!はぁん!ふぐっ…んはぁ、ああ!んあ!んあーっ!」

いつも通り快楽に身を任せ、声を上げる麟。レオンは麟のこの表情が好きだ。心の底から感じているこの表情が。ずっと見ていても恐らく飽きはしないだろう。
だが、このまま絶頂に二人で行くにはまだ早すぎる。程よく麟が出来上がったところでレオンは動きを止める。

「あ!……レオン、ろうしたの?…急に止めちゃやだよぅ」

物足りなさそうにする麟。秘部も飢餓感を表す涎のように、隙間から愛液を溢れさせている。

「んー…何んとなく麟のその顔が見たかっただけ。」

そう言うとレオンは動きを再開し、膣内にモノをグリグリ押し当てる。麟の顔は一気に真っ赤になり、枕で顔を必死に隠している。

「ふああ!いい!いっはっあ、あ、あんん!気持ちっいい!!」

麟が叫ぶたびにシーツには愛液が飛び散り、膣はモノから精液を絞り出そうと、締め付けを強くする。はっきり言って天国だ。陰核も同時に触り始める。

「ひあああっ!!ああっ!ああっ!それっ!らめぇっ、らめらよぅ!ふああ!」

陰核を擦るたびに波打つ膣内。限界が近いのか麟はレオンに精一杯抱きつき、爪を立てないように力を込める。

「れおん!ボク、ぼくもっんん!!らめ!あっ!あ!あ!でりゅ!!でりゅ!!で…ん――――っ!!!!」

レオンは朝から、シャワーを浴びるハメになった。全く元気な奴だ。
寝室の処理が終わると井戸へ顔洗いに。隣を歩く麟はまだ余韻から冷めてないらしく、時々レオンの顔を覗くその赤い瞳は、まだ熱っぽさを中に残していた。
同じように井戸に来る人達も徐々に麟の名を覚えてきているのか、挨拶してくる。

「麟ちゃんおはよう。あら、朝から手なんか繋いじゃって、よっぽど仲が良いのね。」

麟はなんだか照れくさそうに、挨拶を返す。地雷込みで。

「おはようございます!仲がいいだなんて…ボクとレオンは一昨日結婚の約束したから、この位普通だよ!」

腕をギュッとつかむ麟。掴まれると同時に本人は盛大に吹いていた。

「ちょ!!麟!バ、おま、なな、なに言って…」

動揺するレオンを遮るように、おばちゃんが割って入る。

「あら!あらあら!!ついにこの人も身を固める決心をした訳ね!麟ちゃん、羨ましいわー。この人ねこう見えてもモテるのよ。それこそ村の人から街の領主の娘…
色んな人が求婚したのよ?それをこの人全部断ってたのに…無敗記録を麟ちゃんが止めちゃうとはね。レオンさん、せっかく決めた麟ちゃんなんだから大事にしなさいよ?」

言いたい事をすべて吐いたおばちゃんは事も無げに顔を洗い、桶に水を汲み、二人に笑顔で会釈すると帰って行った。

「……もしかしてボク、まずい事言っちゃった?」

麟は済まなそうにそーっと顔を覗き込む。レオンは少しの間固まったままだったが、大きく息を吐くと顔を上げて言う。

「いや…いい。どうせバレる事だ、なら早い方がいいさ。…それより早く帰ろう。シンバが飯の準備したみたいだ。」

家の煙突から出る煙を見ながら、レオンはいつもの笑顔で麟に返す。何気ない会話の小さな幸せを感じながら。
99〜特殊生態系体験記27〜:2008/03/27(木) 03:43:45 ID:8I4fHxP+
 朝ごはんを食べ終わると、この世界についての復習を始める。相変わらずの知力で昨日よりもさらに短い時間で済んだ。
今日のメインは麟の装備をそろえる事だ。
珍しい体に、類稀なルックスも相まって、一人にすると麟に何が起こるか分らない。これは昨日すでに体験済みだ。出来るだけ麟のそばにいた方がいい。
そう考えると、これからの麟の方向は一つしかない。同じハンターとして、生活の糧を稼ぐ事。
実際この事を提案したところ、麟は二つ返事で喜んだ。

「レオンと同じ仕事でしょっ!?やるやる〜!ボク頑張ってレオンを助けるよ!」

なので、これから準備する物は沢山ある。まずは防具だ。なるべく早く作って、麟に防具の重さで動く事に慣れさせる必要がある。
早めに昼ごはんを食べて、防具の材料を袋に入れたら村の防具職人の所へ。この村に限った事ではないが、僻地と言うのは職人が好む傾向にある。
人の出入りが少ない分、金があれば何でも作ってくれると思いこむバカも来ないし、材料もすぐに取れる分だけ、自分の気が済むまで選ぶことができる。
自分の『作品』に集中するには持って来いなのだ。
ここゼルス村もそんな例に漏れず、腕のいい職人がいた。通称「堅爺」。昔堅気の職人で、自分がこれと言った事は、老山龍に踏まれようとも曲げない頑固なオヤジだ。
レオンはそんな堅爺の工房に入る。中からは、『ガシュ!ガシュ!』と何かを削る音がする。

「オーイ、堅爺!邪魔するぜ!」

レオンが叫ぶと突然工房の中から、すごい速さでやすりが飛んできた!レオンはそれを難なく手で受け止める。

「ワシの仕事を邪魔する馬鹿は出て行けっ!!!!!!」

工房が崩れそうな怒号が飛んでくる。麟は一瞬で涙目になった。

「オイ!堅爺俺だよ!俺!レオンだよ!!」

奥から出てきたその男はレオンを確認すると、硬い表情で言った。

「…なんだ、『剛腕』の、お前さんか。なんじゃ言ってくれればそんなもん投げなかったのにのう……」

そう言うと初老の男は、頭を掻きながらレオンからやすりを受け取った。

「入った時に、声はちゃんとかけたぜ。全く、その癖早く直した方がいいんじゃねーか?何人それで追い返したかわかったもんじゃない。」

「フン!お前さんに言われることじゃないわい。それで、今日はそんなメンコイ娘っ子連れて何しに来た?…!!お前…まさかワシのシルバーソルを壊したのかっ!!!」

再び興奮する堅爺。麟はレオンの後ろから顔を半分だけ出して隠れている。

「落ち着け堅爺!今日用があるのは、俺じゃねえ。この後ろのコイツだ。」

そう言ってレオンは隠れていた麟を自分の前に押し出した。

「こいつは麟って言うんだ。俺のパートナーだ。堅爺、こいつの為に防具を作ってやってくれないか?」
100〜特殊生態系体験記28〜:2008/03/27(木) 03:44:39 ID:8I4fHxP+
堅爺は即答した。

「断る!その袋の中の材料はその娘っ子が自分で集めたものじゃないんだろう?ならダメだ!」

麟は二人の間で、済まなそうにモジモジしている。

「…そう来ると思ってたよ。だが俺もここで折れるわけにはいかないんだ!早くこいつの為に防具を作ってやって、慣れさせてやりたいんだ!」

レオンの声にも力が入る。

「断ると言っただろう。言う事はそれだけだ。嬢ちゃんに材料集めさして出直してこい。」

それでも食い下がる。ここで諦めるのはまだ早い。

「頼む!!そこをなんとかこの通りだ!」

レオンは頭を深く下げて土下座した。麟も真似して土下座する。前髪の中に混じっている、角髪が地面に当たると、気持ちが悪くなったが我慢した。

「女の為に頭を下げるか……見損なったぞ。『剛腕』の二つ名が泣いとるわい。」

そう言い捨てると堅爺は工房の奥に入って行った。それでもレオンは土下座から動こうとしない。

「レオン…もうあの人行っちゃったよ?ねぇ、ボク頑張って材料集めるから今日は帰ろうよ?ね?」

「いやまだだ!まだ終わらんよ!…悪い麟、先に帰っててくれないか?今日は駄目かもしれないけど、俺もう少し頑張ってみるよ。」

「じゃあ、ボクも残る!レオンから離れないもん。レオン1人だけに頑張らせないよ!」

そう言うと麟も土下座の姿勢になった。隣でレオンが笑顔を送ってくれる。二人並んでの土下座は、見栄えはすこぶる悪いがどこからどう見ても、夫婦のそれだった。
もう何時間そうしていただろうか?麟はいつの間にか眠っていた。気が付くとそこはレオンの家の寝室だった。

「ボク寝ちゃったのか……二人で頑張るって言ったのに…ごめんねレオン。・・・レオンばっかボクに何かしてくれて…何にもお返し出来てないよ。」

麟は小さく笑ったが、目には涙があふれ始めている。景色が猛スピードで滲んだ。

「ボクだって・・・えぐっ……レオンの…うっうっ…為に何か…体っひっく…以外のっこと……したいのに…」

己の無力さが悔しくて、悔しくて。そしてその事に対して、泣く事でしか処理が出来なくて。麟は声をあげて泣いた。
 その頃レオンはまだ、工房で土下座をしていた。実に10時間頭を下げつづけている。無論、頭を下げた状態のままだと死ぬので、頭は体より少し高い位置にある。
体力はまだまだ余っている。気力もある。何も問題は無い。ただ一つ麟の事のみが気になった。
101〜特殊生態系体験記29〜:2008/03/27(木) 03:45:29 ID:8I4fHxP+
 しばらくすると、レオンの前に影があった。影はレオンを見下ろしている。30分程経って二人の間にようやく言葉が生まれた。

「……何故お前がそこまでする?お前を動かすものは何だ?女か?今さらじゃないか!これまで何人も袖にしている人間が。」

堅爺は続ける。

「それに、世界の半分は女だろう?他にいくらでもいる!あの娘にこだわる理由は何だ!?」

その問いに、レオンは閉ざしていた口を静かに開く。そして麟の正体とそのいきさつを語った。それを聞いた堅爺はさらに激昂していく。

「なんだ!!珍しいから傍に置いときたいだけじゃなんじゃろう!?心底見損なったぞ剛腕の!!」

興奮している堅爺を前にレオンは、とても穏やかだった。

「俺、麟の事愛してるんだよ、堅爺。」

突然の宣言に驚くも、あまりにふてぶてしいその言葉に噛みつく堅爺。

「それもこれも、珍しいからじゃろうが!!!」

「…違うんだよ、それ。麟の奴、昨日俺以外の男にヤられかけてさ。俺ぎりぎりで間に合ったんだ。そこで俺本当に心配でさ、優しい言葉かけてやろうとしたんだ。なのにさ…」

レオンはふっと笑う。

「俺気づいたら、あいつの顔叩いてたんだ。で怒鳴ってたんだ。なんか勝手に俺から離れてくのが、すごい腹立たしくてさ。」

あれだけ興奮していた堅爺は別人のような落ち着きで、静かに話を聞いている。

「俺今まで女に対してそんな感情持ったこと無かったから、自分が麟に何してるのかまるで分かんなかった。
その時に俺気付いたんだ。相手がいないと駄目なのは麟だけじゃなくて、俺もなんだって事に。それだけあいつを愛しているって事に。」

レオン晴れ晴れとした顔で続ける。

「だから…だから俺、あいつといろんな事して、いろんな綺麗なもん見たいんだ。砂漠の夜の星の宴を。密林の大瀑布を。沼地の神秘的な霧を。火山の火柱の荘厳さを。森丘の風吹く絶壁を。
そこに行った時麟がなんて言って、どんな顔で喜ぶのか。俺、見たいんだ。
だけど、その場所に連れて行って、襲われて怪我でもしたら本末転倒になっちまう。
俺の方もこんな職業やってるから、いつ死ぬか分かんねぇ。だから出来るだけ早く、多く、麟の為にいろいろしてやりたいんだ。」

「剛腕の……」

「だから頼む!この通りだ!!あんたの作る防具が必要なんだ!!」

再び土下座するレオン。少しの沈黙のち堅爺が一言。

「……明日あの娘っ子と来い。」

それだけ言うと堅爺は工房の二回の自分の部屋に入って行った。レオンは無言で工房を後にした。
段々と家に帰る足が速くなる。

(この事麟に言ったら、なんて言って喜んでくれるかな?また泣いちゃったりしてな。)

満点の星が空で微笑んでいた。
102キリンの中の人:2008/03/27(木) 03:52:45 ID:8I4fHxP+
これで投下終了です。
意見などはバンバン書いちゃってください。
うーん、なんだか麟がヤンデレに流れそう。
ま、それもいいけどやっぱり自分の中では、
天真爛漫な淫乱甘えん坊って設定なんで
そんな風にはなることは無いと思います。
次こそ、活力漲る暴走麟を書いてやる!

それとチラ裏ですが、書きたい内容を
今の文章数にするとなんと80位になりそうです。
ただの欲張りです、本当に(ry
そんなわけですので、
もうしばらくこの変態に付き合ってもらえれば光栄です。
ではまたの機会に。ではではノシ
103名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 04:02:49 ID:s3kOCzCS
だいぶ よくなったように みえた
104名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 04:13:57 ID:HOeLrxSX
なんつーか・・・かゆくなってくる文章だ!(悪口ではない)
GJ・・・とまではいかんがこれからもガンガレ
105名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 04:21:20 ID:cYYc5NAa
読めなくはないよー
ガンガレ
106名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 00:25:42 ID:/7RqUJel
キリンの人はアイルーの如くどんどんレベルアップするね〜

購入したGを起動させてネコートさんを見てたら本気でおっきした
ちょっと電撃短小フルフルに突っ込まれてくる
107名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 00:54:51 ID:p5vI7/na
絶望した!!何処にも売ってない2ndGに絶望した!!
そして>>106の何気ない一言を一瞬でも嫌味として受け取ってしまった自分自身に絶望した!
108名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 00:59:15 ID:cQtOB7Qo
>>107
つまりネコートさんでおっきしたいわけですねわかります。
109孤独を知らない男:2008/03/28(金) 02:56:58 ID:cQtOB7Qo
それでは、『孤独を知らない男』第十話投下致します。
今回は非エロっす。
 
 
 
『孤独を知らない男』:第十話
 
 
 
熱風が吹きすさび、熱砂が巻き上げられる。
温度の高い空気は風にかき混ぜられ、かくはん機の鉛のように渦巻き、
重々しい渦が絵を描くペンのように砂漠の上を彷徨う。
太陽は一年を通して最も光り輝き、太陽自身の生命エネルギーが、
この土地だけは地表にいる全ての生物の力を奪っているのかとふと思う。
潤いを奪い、灼ける温度を与え、目を眩ませる光線を浴びせかける。
度の過ぎた恩恵に動植物も耐え切れず、息づく者の少ない異形の土地。
 
──しかし、ここは天国だ。
 
草木は生まれた途端に枯れ、あるのはただの砂ばかり。
その砂さえも粒子が細か過ぎて固体であるように見えない。
水のように一つ所にとどまっておらず、風によって動き、時折その地形すら変える。
そこに生物感や躍動感は少しも感じない。実に味気ない物質だ。
乾いた風は思考を麻痺させ、灼かれた岩盤の上ではカエルが何匹もひからびて死んでいる。
ただの一歩も、ただの一挙動も動く気を起こさせないこの果てしない大地は、
まさに当て所ない絶望を表現しているようで、冒険心や征服欲といったものすら掻き立てない。
なるほど、人間がここに来るのを嫌がるはずだ。
 
──でも、ここは楽園だ。
 
一匹の巨大な竜が雄々しく吠える。
ぎゅっと美しいまでのカーブを描いた双角を高く掲げ、
敵を威嚇するように、己を鼓舞するように、武器の存在を強く誇示する。
吠えるその声は何百人分の勝鬨に勝り、掲げられた角は何百人を軽く蹴散らせる。
しかし、この竜はこれから戦うのだ。
目の前に立っている、一人の少女を相手に。
 
長いボロ布を体に巻き付けただけの少女の身なりは貧相であり、とてもハンターとは思えない。
褐色の肌、黒い瞳、きりっと吊り上がった目に、艶のある黒い長髪。
端正にして美麗な少女は17歳か18歳に見えるが、
吠える角竜を相手に物怖じもせず、寧ろ貫くような視線で毅然として向かっている様は、
まるで何十年も修羅場を潜ってきたかのような凄みを感じさせる。
垂れ下がった両腕には僅かに力がこもり、拳を握ったり開いたりしている所から、
この少女もまた、闘志が十分であることが窺える。
 
だが、両者の体格の比率は一体どれほどだろうか?
目の前で吠える角竜を見て、恐怖を感じない人間はいない。
それは、己の小ささを多少なりとも自覚しているからだ。
しかしこの少女は、まるで自分がこの角竜と同等かそれ以上であるかのように思っている。
ゲネポスよりも無防備で柔弱に見える少女が、真正面から角竜に挑もうとしている。
角竜も、もちろん手加減をするつもりはない。
自分の全身全霊をかけてでも外敵を排除することを、己に誓っているからだ。
 
角竜は頭を少し下げ、真直ぐに少女に対して突進を始めた。
迫り来る角を見て、少女は考える──
 
110孤独を知らない男:2008/03/28(金) 02:59:19 ID:cQtOB7Qo
──あいつも、このようにして私を見ていたのだろうか?
 
角竜ほど向上心の高い動物はいないと言っていいだろう。
飛竜の中でも最も誇り高い種族は、砂漠という過酷な環境の中、
常に自分を強くし続ける意思を持つことによって生き延びて来た。
より強い者になり、より強い者と戦い、より強い者と番う。
角竜にとって、強さとは即ち存続のための文化でもあった。
 
──何故、あいつは強かったのだろうか?
 
とはいえ、角竜の間には角竜の流儀があった。
強さとは、周りを排他することによってでしか得られない。
しかし相手の強さの誇りを失せぬよう、決して侮ってはいけない。
怒りも憎しみも逃走も、相手を好敵手として認めていればこそ。
己の全存在を賭けて相対するに相応しい相手であった、と認めていればこそのもの。
そこに非礼は一切なく、角竜同士は一切の淀みなく純粋に戦闘に専念する。
それが角竜同士での戦闘の流儀であった。
 
だが、ハンターと呼ばれる人間の種族は違った。
角竜に殺されたハンターは多いが、ハンターに殺された角竜の数はそれを上回る。
砂漠の支配者と言えど、上手く組織的に行動されたらいくらなんでも適わない。
だからだろうか。ハンターは角竜たちをよく侮る。
侮り、見くびり、欲望を剥き出しにして戦う。
純粋な戦闘による結果をなによりの至上とする角竜たちにとって、そんな種族は反吐を催すほどの対象だ。
だからプライドを守るため、角竜たちは逃げずに己の一命をとしてハンターたちと戦う。
お前たちの強さなど絶対に認めぬぞとばかりに、死ぬまで戦い続ける。
 
今、目の前にいる角竜も恐らくそうするのだろう。
少女はハンターではなかったが、角竜たちにとって最早違いはない。
憎むべきハンター、という意識が時間を経て、憎むべき人間、という所まで来たのだ。
しかし、少女はそれを知って尚相対するのだ。
迫る角を前に、拳を開いてやっと構えるような姿勢をとった。
前傾気味の低姿勢で、両手は下に、まるで飛び掛かるように構える。
 
──あんなのは初めてだった。生まれて初めての感覚だった。
 
111孤独を知らない男:2008/03/28(金) 03:00:25 ID:cQtOB7Qo
角が最早避けられない所まで迫った時。角竜が勝利を確信しかけた時。
少女は大きく前方に踏み込んで両手を前に突き出し、
あろうことか、襲い来る二本角を素手で掴んだ。
凄まじい衝撃が全身を駆け巡るが、少女は一切怯まずに踏ん張った。
後退する体に地面の砂が掘削されるようにかき分けられ、砲弾が爆発したような衝撃音が響く。
巻き上げられた砂が視界を覆い、後退するように滑った跡の長さが7m程になった時、
角竜の突進は止まった…否、止められた。
少女が角を掴み、踏ん張る力によって角竜はそれ以上の前進が出来なくなっていた。
 
──何故だろう。あいつの事を考えると、勇気が湧いてくる。
 
狼狽するような、混乱するような、いかにも哀れな声で角竜が鳴いた。
最早、容赦がないのは少女の方だった。
角を捕まえた二本の腕に加える力の指向性を少し横にずらし、
まるでハンドルを捻るように、両腕を少し回転させる。
それだけで角竜の首はいとも簡単にねじれ、頚椎の破壊される鈍い音が響き渡った。
 
──何故だろう。あの瞬間、清清しい風が心の中に吹いた。
 
巨体が砂の上に倒れ伏す。
神経を残らずねじ切られたのか、その体はもうピクリとも動かない。
少女は角から両手をベリリと剥がして掌を見ると、
その掌は擦り剥けて、真っ赤な血が滲むようにして出てきていた。
 
「………脆い。」
 
掌を見ながら誰に言うでもなく、少女は一人で呟いた。
だが、悪い気はしていなかった。
何故なのだろう。
 
──あいつの事を考えると、気分が晴れてくる。
 
初めて私に深い敗北を刻み付けたあいつ。
初めて私に結果以外の、戦うことの素晴らしさを教えてくれたあいつ。
初めて私に強さとは何かを実戦で語ってくれたあいつ。
私の全ての運命の分岐となったあいつ。
殺したいほど憎いと思わなければならないのに、
心の中には、軽やかでありながらもしっかりと芯のある何かが存在した。
その感覚は嫌いではなかった。寧ろ好ましいぐらいだった。
 
「とても、熱いな…」
 
少女はそう呟くと這うようにして角竜の死体の影に入り、
日の光を防げるその場所で寝転んで、すっと目を閉じた。
あいつとの戦いから一ヶ月──その時はもう近い。
 
112孤独を知らない男:2008/03/28(金) 03:02:11 ID:cQtOB7Qo
 
「うーーーむ…」
「モグモグモグ」
 
トネスと共に食卓を囲み、肉にかじり付きながら唸る。
モノブロスの肉はよく叩いて筋を切らなくては食べられたものではないから、
食べると、やはりアプトノスの肉よりは味が落ちる。
しかし俺が唸りながら顔をしかめているのは、俺の料理の味が悪いからではない。
ここのところ、ちょっとしたある心配事があるのだ。
無心に料理を口に押し込んでいるトネスは、俺のそんな様子に気付く気配もないがな。
まあ、だから俺も、心置きなく自分の心中を表情に現すことができるわけだがね。
 
「ムグムグムグ…ごちそーさまー。」
 
早くも食事を終えたトネスがぺこりと頭を下げる。
こいつも人間としての礼儀作法や道具の使い方などはだいぶ憶えてきたようで、
ナイフやフォーク、更に箸の使い方までも既に完璧にマスターしている。
しかし、こういった一つ一つの動作にはまだ幼子のような、あどけなさが残っている。
必要以上に頭を下げるその姿は、まさしく子供のようで可愛らしい。
 
「うむ…それじゃあアイテム整理やっといてくれ。」
「はーい。」
 
こいつは俺を疑うということを全くしない。
頼めば頼んだままをしてくれる。
彼女は食器を下げると、アイテムボックスの方へとてとてと小走りで行った。
 
俺の方から改めて告白をしたことで再び幕を開けた同棲生活。
それが始まってからというものの、彼女はとても明るくなった。
元々快活としたやつだったが、今のトネスには迷いがない。
俺の事や、群れの事がとても良い方向に解決したからだろうか。
パーシェルとの事件なんてなかったかのように、繕ってる風でもなく元気いっぱいである。
そんな彼女は、見ていて、生活していて、抱いていて、とても好ましいものであるだろう。
 
しかし、対する俺の方はどんどん暗い気持ちになっていった。
あることを心配する心が、日に日に膨らんでいくのだ。
生活に陰を落とすほどのものではなかったし、そもそも憂うる必要すら有るのかどうか分からない。
だが、考えずにはいられない。あの可能性は……
 
コン コン
 
玄関の方からノックの音が響いた。
冷凍マグロを砥石で研いでいたトネスがすかさず反応し、
「はーい」と呼び掛けながら玄関の方へ走っていく。
俺は料理の最後の一欠片を口に含み、どこか上の空でゆっくりと咀嚼する。
柔らかく調理された肉を噛み砕いて、味わうこともなく呑み込んだ。
ただ体に染み付いた本能のみで、空の食器を片付け、桶の中に溜めてある水で洗い始める。
多分、この動作は記憶に残らないだろう。
 
「えっと……あの、ジェロス〜…」
 
やや経って玄関からトネスが戻ってきた。
「なんだ?」と応えて振り向くが、どうも様子が変である。
覗き込むように、壁から体を半分ひょいっと出した態勢で俺に呼び掛ける声や態度は、どこか遠慮がちだった。
学校で起こした問題を、恐る恐る親に白状する子供にも似ている。
例えがさっきから子供ばっかりだな……
 
113孤独を知らない男:2008/03/28(金) 03:07:59 ID:cQtOB7Qo
「あの………従兄弟さんが…」
「………従兄弟?」
 
従兄弟? いるにはいるな。三人ほど。
しかし一人はギルドに潜入しての内偵をまだ続けてるし、
残りの二人は三ヶ月をかけたヤマツカミ安全討伐メニューの真っ最中だったはずだ。
もしかして手紙でも来たのか?
久し振りに心配事に対する思考を切り、皿洗いを中断。
エプロン(裸じゃないぞ)をパンパンと掌で叩いて手の水気を切り、トネスの方を向いた。
 
「従兄弟さんが…砂漠で保護され──」
「邪魔するぞ。」
どかどかどかどかどかどか
 
と、トネスの言葉の途中で、不遜極まりない態度でそいつはどかどかと玄関の方から姿を現した。
艶やかな褐色の肌をした、まだ10代後半程度と思われる黒髪の美少女。
その姿に見覚えはない。しかしこの時点で、ある程度悪い予感はした。
予感と共に、俺はいきなり現れた少女に対して言いようのない既視感を覚える。
 
「ああっ!まだダメですよー!」
「よいではないか。」
 
トネスが慌てて止めようとするも、少女はずかずかと上がり込むと、
台所の傍に立つ俺に気付いたのか、俺の方を向いて立ち止まった。
俺をじっと見つめる少女の吊り目に対して、俺もつい睨み返してしまう。
尤も、敵意があるわけではないし、俺の顔はもともと睨み顔だ。
しかしある不安のせいで、その睨み顔が更に険しくなっているのだ。
 
「…………………」
 
スゥーッと少女が注射器を構える看護婦のように、右手を自然な動きで目線の高さまで上げると、
その人指し指だけが、右腕を上げる動きとは対照的にビシィッと俺を力強く指差した。
その動作に、俺の額には冷や汗すら浮かぶ。不安が的中しそうなのだ。
しかしトネスはぽかんとしてその動きを見守っている。
状況を理解し切っていないので、どうしたものか困っているのだろう。
 
「決闘だ。」
 
やがて、少女は冷たい声でそう言い放った。
その視線と指先は、間違いなく俺を射抜いている。
 
「…何故だ?」
 
俺は『こいつら』の流儀を知っている。
だからこの問いは無意味だ。
しかし問わずにはいられない。
いくらなんでも、否定したい。
 
114孤独を知らない男:2008/03/28(金) 03:10:30 ID:cQtOB7Qo
「流儀に拠って、権利を有する。」
「流儀…?」
 
あくまでスッとぼけていると、少女はいかにもバカにしきったような目で俺を見た。
余りある身長差を補って見下すために、顎を少し上げる仕草そのものは妖艶だ。
しかしその動作は、見た目以上の気品と気高さを放っていた。
トネスよりも小さなその少女の姿が、年季を重ねた熟練ハンターの姿と重なって見えたような気がした。
 
「まだ気付かんのか? まあ無理もあるまい。
 このような脆く、非力な肉に包まれてしまっている状態ではな。」
 
「はン」と少女が鼻を鳴らし、俺を見下す。
そして決定的な言葉を、その小さな唇から吐き出した。
 
「私は一月前、無惨にもお前に屈してしまった黒角竜だ。
 従兄弟と偽ってまで会いに来てやったぞ。再び私と戦えることを光栄に思うがいい。」
 
俺は頭を抱えて大きなため息をつきたくなった。
トネスが目を丸くして絶句している。
少女は俺を見下ろすように顎を上げながら、鼻息を荒くしていた。
どこか自慢するような微笑まで浮かべている。
まさか「してやったり」なんて思ってるんじゃああるまいな…
 
「我が名はディア。
 人間どもに訊ねられたから、わざわざその場で名付けたのだ。」
 
──俺の心配とは、あの黒角竜に喰われたアイテムポーチの中にモドリ玉が入っていたこと。
砂漠から帰る道中の馬車内でそのことを思い出し、ずっと不安でいた。
そしてその心配は半分実現し、半分杞憂となったことが目の前で証明された。
少女が仁王立ちになって腕を組み、「フハハハハ」と高笑いをし始める。
トネスは全身を棒のように硬直させており、俺はそっとエプロンを外した。
 
 
 
再挑戦での決闘──それは角竜の流儀だった。
115孤独を知らない男:2008/03/28(金) 03:16:21 ID:cQtOB7Qo
これにて第十話終了でございます。
近ごろは色んな人のSSが増えて嬉しい限り。
皆さんもっと色々書きましょう!
 
ところで前スレの話題で、時期的にもかなり前ですが…
ヤマツカミ擬人化なら、雄にすれば触手プレイできるんじゃね?
クンニの時の吸引力も凄まじいんじゃね?
大雷光虫で痺れさせた所を襲うってのできるんじゃね?
 
…やれるかもしれないな。
116名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 04:26:13 ID:eEyNir/6
その少女の股間には二本のアレが生えてるんですねわかります
いや、おもしろいと思いますはい。

エロ装備スレでナルガ装備を見て
ロ マ ン テ ィ ッ ク が と ま ら な い
117名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 05:01:40 ID:eEyNir/6
新亜種出たので。
----------------------------------------------------
ざざーん・・・・・・・・

青い空に、青い海。
水しぶきに霞む滝と、岩山と崖。
白い砂浜と、うごめく飛竜の頭骨。
ザザ美が砂浜をぶらぶらしていた。

「・・・すすーむすすーむご飯がすすーむ
 塩漬けザザミソ磯の味ー・・・」
背負った殻を左右に揺らしてぱちゃぱちゃ波を叩きながら貝殻を探す。
貝殻や、どこからか訪れた漂流物を集めることが大好きで、
先ほど大きな翠色の鱗を拾い、宝物が増えたと上機嫌だった。

先週、姉に仕返ししてもらったものの、あの時の恐怖(り、りんかーん・・・)は未だ拭えず、
まだ一人で出歩くのは怖かったが、あれから情報を仕入れてくるようになった姉によると
(ハンターの知り合いを作ったらしい・・・さすがっ)ここ一週間程、
密林における依頼は出ていないらしい。
だから今日は思い切って趣味のたからもの集めを再開したのだった。

「・・・すすーむすすーむご飯がすすーむ
 中落ち霜降り霜降り中落ちフルフルさんっておいしいのかなー・・・」
テキトーなメロディーで今考えてることを歌いながら俯き歩いていると、
何かに頭をぶつけた。
「ったぁ」
尻餅をついて何事かと顔を起こすと、目の前には二本のツノの角竜ディアブロス!
・・・・・・の頭骨と思わしきものが、デン、と転がっていた。
「(と、とんでもない殻をみつけた!)」
こんなものも流れてくるのかと歓喜の声を上げ、
しげしげ眺め抱きついてその感触を味わう。
「さっそく・・・」
いそいそと、殻・・・もといモノブロスの頭骨を脱ぎ、
どこから入れそうかとディアの頭骨を撫で回す。
と、
モゾモゾその骨は動き始め、砂と共にツノを天に突き上げた。
巻き込まれたザザ美はぽーんと打ち上げられる。
「あわわわわ」
空中で手足をバタつかせても何の甲斐もなく、無様に砂浜に落下する。
「うぎゅっ」
砂浜だったから良かったものの、それでも体を強く打ちつけ息も一瞬止まり、
その場で蹲って痛みが去るまで耐える。
滲む涙をそのままに頭骨を見やると、
「・・・は、はいって、入ってたんだ」
ディアブロスの頭骨の下に、人影が現れた。
118名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 05:02:19 ID:eEyNir/6
「・・・・・・これ、ボクのだよ」
不思議とどこかザザ美と似た顔立ちの少年はそう呟くと歩いて近づいてくる。
少しザザ美より背が高く体つきもいい。
その手にはヤオザミで作られたと見られる巨大な鋏が握られていた。
「(やる気だ・・・!)」
ハンターがいないと思ったらこんなのが、などと心内で毒づき、よろよろ立ち上がる。
彼女も武器として鋏を持っていたが、殻の中にしまってあった。
「(どうしよう・・・)」
自分のモノ殻はあの子のすぐ脇に転がっている。
こっちは手ぶら。服装も軽く、赤シャツブルマ。
紫色の髪と瞳の少年は尚もにじり寄ってきており、
紫がかった甲殻で作られた鎧をかちゃかちゃ揺らし、だんだんと笑みを浮かべてきた。
「(なんかお姉ちゃんに似てる)」
などと考えてるうちに、どん、と背中に崖を感じ、もう逃げ場はない。
目前にせまる少年はすわった目に満面の笑みを浮かべ、両手の鋏を擦り合わせている。
頬を冷や汗が伝う。

「もう逃げられないよ?さあどこを切ろ、っわ」
ザザ美はば、と足元の砂を蹴り、左側へ駆け出す。
目を塞がれた紫の髪の少年は何か悪態をつきながら音のした方に鋏を振るう。
「いっ」
背中を切り付けられながらも何とか自分の殻にたどり着き、中に潜り込む。
目を擦ってい少年はその殻に蹴りこむが、びくともしない。
「・・・チっ、クソったれ!この臆病め!――隠れたって無駄だ」
というと背を向き、ディアブロスの頭角を突きつけて後ろ向きに駆け、
モノブロスの頭骨にぶつけひっくり返した。
頭をぶったのか目を回しているザザ美を砂浜にひっぱり出し、その体に鋏を走らせ、
シャツを切り裂き、その乳房の間に生じた赤い筋から血の雫がこぼれ出す。
「くっ痛、は、きゃあああ」
片方の鋏の切っ先を左肩に突き刺され悲鳴を上げ、両手で鋏を押さえるも
相手の方が力が強く、ずぶ、と少し深く差し込まれた。
「くうぅう」
痛みから涙がこぼれ、しかしそれでも少年は手を休めない。
ディアブロスの甲殻を脱ぎ捨てると馬乗りになり、
ザザ美の右肩にも鋏を突き刺す。
「ぃああああ・・・!」
上気した顔はにやにやといやらしく歪み、ぐりぐり鋏をねじ込み、
その度上がる悲鳴を満足気に聞き、腹の上で腰をくねらせ股を押し付ける。
119名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 05:03:38 ID:eEyNir/6
「ご、ごめんなさいっ」
楽しんでいると、ザザ美がそんな声を上げた。
「・・・何が?」
手を止めて聞き返す。
「か、殻、骨、とろうととして、ごめんなさ」
「もうそんなことはいいんだ」
また手首を捻る。悲鳴が上がる。
「それよりボクはねえ」
右に捻る。
「君のことがさあ」
左に捻る。
「気になってしょうがない」
右に捻る。
「いやあしかし」
左に捻る。
「かわいいよねえ」
右に捻る。
「一目ぼれしちゃったよ」
左に捻る。
「ぜひとも君をね」
右に捻る。
「手に入れたくなってさあ」
左に捻る。
「それにしてもいーい声だねえ。ははは、起っちゃったよ」
捻じ込む。
「え?何?聞こえないな」
手を止める。
ぐすぐす泣きながらザザ美は呟いた。
「お・・・おねえちゃぁん・・・」
「は?何を言っt」「何 や っ て ん だ ガ キ」
右顔面に強烈な蹴りを食らいすっ飛ぶ少年。
「げぶらごべぶへはばあ」
キリモミ回転し砂中に頭から突っ込む。
「おねえちゃん」
青いロングヘアを揺らし、ギザ美が傍らに立っていた。

120名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 05:04:09 ID:eEyNir/6
「おねえちゃんっ・・・」
「ああ、ザザ美、大丈夫?大丈夫じゃないわよねえ。痛いでしょう?」
肩と首の付け根や胸のキズから出血が酷い。
ギザ美はベルトに下げていたポーチから何やら取り出す。
「これ、前追い払ったハンターが落としてった薬なんだけど・・・効くかしら」
といって傷口に粉末をかける。彼女は知らなかったがそれは秘薬というものであった。
血は止まった。
「ああ、良かった・・・包帯は後で巻いてあげるから、ちょっと待っててね。
 おねえちゃん、あいつを懲らしめてくるから・・・・・・」
ぎ、と少年を睨みつける。
殻から双剣ヤツザキ・オリジナルを取り出すと殻は脱ぎ、
刃を鳴らせながらスタスタと歩み寄る。
ちょうど起き上がった相手はこちらを見てどなった。
「ぺ、ぺ・・・な・・・誰だよ、お前!なんdぐへ」
顎を蹴り上げ、近づいて踏みつける。何度も。
「私?私はあなたがその汚らしくて不細工な鋏でにやにや変態みたいに笑いながら虐めてた
 あのかわいいかわいいザザ美の姉ですわかりました?わかったなら返事をしなさいよ
 だいたいあなたこそ誰ですのこんなところに何のようなの早く答えなさいよ
 返事もできませんの?言葉を知りませんの?寝っころがってるだけじゃ答えにならないのよ
 早く起きなさい、ほら」
髪を掴んで持ち上げ額を刃で引っかく。
「どなた?」
「あ、だ、ぃ・・・」
答えようとするが突然の展開と恐怖で声が出ない。
「聞こえ」
柄で頬を殴る。
「なくてよ」
「だ、ダイミョウ、です・・・っ」
121名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 05:06:15 ID:eEyNir/6
その後、しばらく折檻を加え続けていたがザザ美に止められ、やっと手を止めた。
「お、おねえちゃん、この人死んじゃいそうだよ・・・」
「大丈夫よ。こういう生き物、馬鹿、っていうだけどね、こいつらはとーってもしぶといの。
 殺しても死なないと思うわ。やってみる?」
「だ、だめだよっ」
「ザザ美はやさしいのねえ・・・少し優しすぎるくらいよ・・・・・・ねえ、ダイミョウさん、
 今日は妹に免じてこれくらいにしておいてあげますけど、
 ・・・次何かしたら、ばらばらにしてランポスたちに撒くので」
「は、はひ」
腫らした顔を俯けて声を絞り出した。
と、
近くの砂が急に盛り上がり、次の瞬間、何かが飛び出してきた。
「っ・・・?ザザ美、私の後ろに」
妹をかばいながら、それと対峙する。
出てきたのは――
「・・・ぷはあ、あ、ギザ美さん、始めまして」
ぽかんと見つめる姉妹。姉が答える。
「あら・・・どなた?」
赤みがかった髪とギザ美より頭二つ分高い身長、屈強な肉体に黒鎧竜の頭骨を背負った男は、
「ショウグン、です」答えた。
「ショウグンさん?・・・それで何のようですの。さんづけで呼ばれる筋合いは無くてよ」
「いやいやいやいや・・・えーとね、俺と、・・・あ、ここらへんに紫色の髪した子供来ませんでした?」
「そこに転がってます」
指差された方を見やると、
「だ、ダイミョウー!」
「に、にいちゃん・・・」
近づいて抱き寄せる。
122名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 05:07:03 ID:eEyNir/6
「どうしたんだ!?」
「えーt「妹に襲い掛かったから返り討ちに致しましたわ」」
背後から答えられる。
返事に困る。
「・・・何だってお前そんなこと」
「いや、気の迷いだよ、兄ちゃん・・・」
とりあえず弟をその場に寝転がす。
「えーっと、そうだ、今日は挨拶に来ましてね」
「挨拶?」怪訝そうに聞き返すギザ美。
「いやーちょっと前、新しく来た飛竜どもに住んでたエリアから追い出されましてね、
 近種のあなた方がこの辺に住んでるそうだから、近くに引っ越してきたワケです」
頭をぽりぽり掻いて男は答える。ギザ美は言う。
「早速妹が害を被ったわけですが」
「それについては申し訳ないです、はい」
申し訳ないだと?と言わんばかりに眉根を寄せて下から睨みつけるギザ美。
「え、えー、俺の弟もさんざんボコボコにしたんでしょう?じゃあ、もうチャラd」
首につま先が捻じ込んだ。見事なハイキック。
「ごほおっ、じゃ、じゃあこうしましょう、あれです、えー、
 週一で我々の狩猟した獲物の何割かを献上するんで」
「9割」
「せ、殺生な」
「じゃ出て行ってくださる?」
「2、2割り」
「話になりませんわ」
「3割・・・」
「はあ・・・(ため息をつく)」
「4割り・・・4割りで勘弁してください」
「・・・・・・・・・」
ちら、とザザ美を振り返る。
「ザザ美はどうするの?」
「わたしは・・・2割でも3割でもどうぞー・・・て感じだけど・・・」
「あなたは・・・本当にやさしいというか甘いというか・・・・・・」
ふぅ、と息を吐いて答える。
「3割でいいです。後はどうぞご自由に。私たちの土地でもないので。
 ただし、妹に手を出したら殺 し ま すのでその旨宜しく」
男の顔がぱあと明るくなる。
「いやあははは、それではこれからどうぞよろしくお願いします」
手を握ってぶんぶん振る。
「あ、妹さんもh」顔に拳がめり込む。
「言った傍から(ビキビキ」
「おねえちゃんっ」

----------end.
123名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 05:09:28 ID:eEyNir/6
新亜種を。
ごめんエロ書き忘れた。次はもうずっぽんずっぽん行くから勘弁。

ようするにGにはアスールもノワールも出なさそうで残念だなあっていう
124名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 11:10:17 ID:U6gQHPg1
GJ
もう辛抱ならんからちょっと密林行って
えらそうなギザ美を俺のカオスオーダーでぐっちょんぐっちょんにしてくる!
125砥石:2008/03/29(土) 07:02:28 ID:SAG61ktR
私は力が無い…私にできる事…それはただ迫り来る敵から逃げることだけ…

―いたぞっ!しぶとい奴等だ―
―さてと…躊躇は無用なんだよな…?―
―死ね…死ね…死ねぇっ!―ー


意識が遠のく寸前。最後に見た風景は、目の前に広がる夥しい血飛沫だけだった…


【二つの手:第1話】


「予定通りなんだな?」
「そうニャ。旦那。あと数十分でココット村ニャ。」
「アプトノスに車を引かせる乗り心地も悪くねぇんだが、イヤンクックでも手懐けて空を飛んでみたいねぇ…」
「何バカな事言ってるニャ。言葉も通じてないのにクックの背中に飛び乗るなんてそのまま飲み込まれてお陀仏ニャ。」
「本気にするなよ。冗談だよ。じょーだん。」

金で雇ったアイルーは一度だけ男に溜息を吐き捨ててアプノトスに鞭を振るい、目的地をただ目指している。
その溜息を吐き捨てられた男は気にする様子も見せず、大きな欠伸と共に大きく伸びをすれば、もう一度衣類の入った皮袋を背もたれにもう一度倒れこんだ。
元々住んでいた名も無き村に生涯身を置く事も考えていたのだが、武器を手にする者としては強さを求めて飛び出してしまうのは、
もはや運命的な事もあったのだろう。誰も止めようとはせず「死ぬな」の一言だけを授けるだけであった。

「旦那、見えてきましたニャ。」
「へぇ…あれがコ…ココット村…だっけ?」
「さっき言ったニャ。物忘れの酷いハンターなんだニャ。」
「……すみませんね。」

暖かくなってきたにもかかわらず目の前に広がるのは一面白い雪を纏った山々の数。
その麓に草木の緑と民家の屋根の朱が目立っている場所がアイルーも言ったココット村なのだろう。
なだらかな田舎道を下り、放牧されているポポを横目に村の前まで車を移動させると、
先に手続きを済ませておいたのでこれから身を置くこととなる家まですんなりと案内されることとなった。

「必要最低限の生活用具は用意しておいた。足りないものは自分で仕入れてくるといい。間違っても私に頼るなよ?君とは違ってもう数十年は武器を握っていない人間だからな。」
「ああ、助かる。まぁダメだと思ったらすぐに荷物まとめて村を飛び出すさ。」
「そうならないように、あと私のようにもならない事を祈っておくさ。武器は握れなくとも世話焼きぐらいはできる。」
「そりゃありがたい。ハンターとしてはそれなりの経験は積んでいるつもりだが、この村じゃヒヨッ子なんでね。頼りにさせてもらうぜ?」

用意してもらった家に足踏み入れると、暖炉の炎と天井に吊り下げてあるランプの炎が部屋を照らしていた。
床の所々に傷もあれば明らかに新品ではない家具もあることから、誰かが使った後なのだろうと簡単に推測することもできた。
絵の入っていない額縁。うっすらと埃の被ったティーセット。全部白紙のままのスケッチブック…
本来の持ち主がどうなっているのかは考えないことにした。生きていようが死んでいようが今日からは自分自身がこの家に身を置くことになるのだから。

「気に入ってもらえたかな?少し遅れたが私はアレス。これからよろしく頼む、ハンター殿。」
「贅沢すぎて俺には勿体無いかもな。俺はラング。よろしく頼むぜ。」
「私はギルドにいることが多い。解らない事があれば聞きに来るといい。それでは失礼する。」
「ああ、ありがとう。」
126砥石:2008/03/29(土) 07:04:42 ID:SAG61ktR
私は力が無い…私にできる事…それはただ迫り来る敵から逃げることだけ…

―いたぞっ!しぶとい奴等だ―
―さてと…躊躇は無用なんだよな…?―
―死ね…死ね…死ねぇっ!―ー


意識が遠のく寸前。最後に見た風景は、目の前に広がる夥しい血飛沫だけだった…


【二つの手:第1話】


「予定通りなんだな?」
「そうニャ。旦那。あと数十分でココット村ニャ。」
「アプトノスに車を引かせる乗り心地も悪くねぇんだが、イヤンクックでも手懐けて空を飛んでみたいねぇ…」
「何バカな事言ってるニャ。言葉も通じてないのにクックの背中に飛び乗るなんてそのまま飲み込まれてお陀仏ニャ。」
「本気にするなよ。冗談だよ。じょーだん。」

金で雇ったアイルーは一度だけ男に溜息を吐き捨ててアプノトスに鞭を振るい、目的地をただ目指している。
その溜息を吐き捨てられた男は気にする様子も見せず、大きな欠伸と共に大きく伸びをすれば、もう一度衣類の入った皮袋を背もたれにもう一度倒れこんだ。
元々住んでいた名も無き村に生涯身を置く事も考えていたのだが、武器を手にする者としては強さを求めて飛び出してしまうのは、
もはや運命的な事もあったのだろう。誰も止めようとはせず「死ぬな」の一言だけを授けるだけであった。

「旦那、見えてきましたニャ。」
「へぇ…あれがコ…ココット村…だっけ?」
「さっき言ったニャ。物忘れの酷いハンターなんだニャ。」
「……すみませんね。」

暖かくなってきたにもかかわらず目の前に広がるのは一面白い雪を纏った山々の数。
その麓に草木の緑と民家の屋根の朱が目立っている場所がアイルーも言ったココット村なのだろう。
なだらかな田舎道を下り、放牧されているポポを横目に村の前まで車を移動させると、
先に手続きを済ませておいたのでこれから身を置くこととなる家まですんなりと案内されることとなった。

「必要最低限の生活用具は用意しておいた。足りないものは自分で仕入れてくるといい。間違っても私に頼るなよ?君とは違ってもう数十年は武器を握っていない人間だからな。」
「ああ、助かる。まぁダメだと思ったらすぐに荷物まとめて村を飛び出すさ。」
「そうならないように、あと私のようにもならない事を祈っておくさ。武器は握れなくとも世話焼きぐらいはできる。」
「そりゃありがたい。ハンターとしてはそれなりの経験は積んでいるつもりだが、この村じゃヒヨッ子なんでね。頼りにさせてもらうぜ?」

用意してもらった家に足踏み入れると、暖炉の炎と天井に吊り下げてあるランプの炎が部屋を照らしていた。
床の所々に傷もあれば明らかに新品ではない家具もあることから、誰かが使った後なのだろうと簡単に推測することもできた。
絵の入っていない額縁。うっすらと埃の被ったティーセット。全部白紙のままのスケッチブック…
本来の持ち主がどうなっているのかは考えないことにした。生きていようが死んでいようが今日からは自分自身がこの家に身を置くことになるのだから。

「気に入ってもらえたかな?少し遅れたが私はアレス。これからよろしく頼む、ハンター殿。」
「贅沢すぎて俺には勿体無いかもな。俺はラング。よろしく頼むぜ。」
「私はギルドにいることが多い。解らない事があれば聞きに来るといい。それでは失礼する。」
「ああ、ありがとう。」
127砥石:2008/03/29(土) 07:05:32 ID:SAG61ktR
お互い握手を交わした後、石段を降りる彼の下に子供が集まっていくのが見えた。老若男女問わず慕われているのは彼の態度もさることながら
常に人を思いやる優しさなのだろう。握手を交わしたときの手の厚み、傷はハンターとしての歴史を物語っていた。
ある程度家の中を歩き回って、有る物無い物だけを確認する。十分過ぎるほど生活用具は揃っているがアイルーくらいは雇ってもいいだろう。
さすがに依頼の後から自炊するのも肉体的にも限度があるだろうし、毎日肉を丸々一つ齧るのも何か物足りない。
毎日ギルドでの食事だけするのも、それはそれで構わないが金銭的にも打撃が強い。
結局安定した収入ができるまではギルドの食事を取ると決め、元々部屋にあった大きめの窓から外を見渡すと西日は山に身を隠し始め、白い山々を赤く染めようとしていた。
期待は自然と右手に力を込めさせ、苦笑しながら体を反転。そのまま部屋の片隅に置いてある装備一式を改めて眺めてみた。
ハンターになった初めの頃は市販の装備一式でランポス一体にでも苦戦したものだ。
短い片手剣を嫌い、力一杯両手剣を振り回していた日々。慣れないヘビィボウガンを抱えてアプケロスから逃げ回った日々
「狩る者と狩られる者」
龍に金を積んでも意味は無い。相手を倒すか自分が倒れるか、この世界は理不尽な法則で成り立っているのだ。

「ふん。面白いじゃねぇか…やってやるよ。だから…俺と一緒にボロボロになるまで付き合ってくれよな?」

大きな亀裂や細かな傷が冒険の数を語るその胴当てを優しく撫で、そのまま古めかしいドアに歩み寄りドアノブに力を込めた。
世界にとっては微々たる存在の一人の人間、そんな小さい人間の新しい生活が始まろうとしていた。
128砥石:2008/03/29(土) 07:08:08 ID:SAG61ktR
125は誤爆です(汗)
2chに書き込むのは殆ど初めてなので、申し訳ないです。
とりあえず…書いてみました。
一回に投下できる分量がいまひとつ解ってないので、2個に分けたつもりが
中途半端になってしまって…また続きが書けたら投下します〜
129名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 12:01:57 ID:5dObli6U
文体は好みだけど
量が少なくて評価できないわ
130名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 15:01:02 ID:k3/Xe3e3
正直な感想を言うなら「え、ここまでしか書けてないのに投下しちゃったの?」ってとこだな。
漫画雑誌で新連載漫画の第一話が「村にハンターが来たよ」だけだったら第二話以降誰も読まないぜ。
せめてアバンタイトルで痛めつけられている何者かと出会うとこまでは書いておくべきだったかと。
131名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 15:52:52 ID:UM9B+NpS
今更ながら孤独男投下分読み終わったが
ジェロス一族のパワーインフレに吹いた
どいつもこいつも古龍を倒せる位の実力者に祖父はギルドナイト2人を返り討ち
暗殺者への対抗策もいくつも持っていてギルド内部に潜入してのスパイ行動だってやっちゃうぞ♪
なんか段々厨設定になっていってる気がする

つーかギルドに楯突いてて過去にギルドナイトを含めた暗殺者を返り討ちにし続けてる一族が
ギルドに潜入するなんて無理がないか?
普通はマークされてると思うが
132名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 15:56:49 ID:nAKCBPIg
133名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 18:33:10 ID:q/s+NUEV
>>131
モンハン自体が厨ニ化し始めてるからおkじゃね?
134名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 19:50:59 ID:GRGEX/wv
まあ、厨ニ病=王道だからね、ウン。
135名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 00:22:21 ID:FRblvolr
>>131
古龍とか特性を良く知ってれば楽に狩れそうなもんだがね
ギルドナイト二人はギルドナイトがへたれだったってだけだろ、へたれだから二人で挑んだとかさ、暗殺者の対処は暗殺のしかたを知ってれば概ね対処可能な気がするよ
潜入とかなら普通に変装とか身分偽装とかあるだろうに
136名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 01:04:08 ID:MwmpWyZ3
よく分からないから古龍っていうんじゃ……

ああ、一族秘伝の古龍生態記録とかがあるんですよね
137名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 01:29:57 ID:W2/P3RR9
逆に厨っぽくない舞台設定を教えてもらいたいもんだよ。
とりあえず厨が〜 とか言っとけばOKだと思ってね?
138名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 01:44:09 ID:MwmpWyZ3
舞台は問題なくモンハン世界だから文句はないよ。
背景設定がちょっと人間離れしすぎてるだけで。

ゲームシステム的には古龍も一人でフルボッコにできるかもしれないけど
現実にはあれだけサイズ差のある生物を一対一でどうにかできるとは考えにくい。
SS書くときはゲーム的な嘘をどれだけ現実に近づけるかが課題だろう。
あまりにも現実離れしすぎた能力を持たせると反感買いやすいからね。
139名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 03:14:24 ID:q9d0ZHxV
かつてこれ程厨設定と罵られた話があったろうか。
うん、あった気がする。
対抗文化はお嫌いですか。
俺はどうでもいいや。
大きな組織に所属するのしないの、でも実力は一級品って一昔前のラノベを思い出す。
まああえてゲームのプレイヤーサイドでない視点ってのも、悪くはないと思う。
いつかはミラ装備出てきただけで、設定的にどうよって話題になったことあるな。
モンハン世界の魅力は、竜の生き物らしさと力強さだと思うんだ。
(龍のデタラメさが、それを台無しにしてる部分もないではないけど)
世界設定上強者である竜を、ゲームがそう見せられないのがそもそもの問題なのかもしれんね。
140孤独を知らない男:2008/03/30(日) 03:16:31 ID:MWUfm0DC
ゴズ家の設定に関しては、『古くからハンター一筋でやってる家系』をまずイメージして、
そのイメージから様々な設定を生み出していきました。
歴史がある分、独特で強力な戦闘術があったりとか、
掟至上主義だったりとか、独自の誇りのようなものを持っていたりとかです。
 
それでは『孤独を知らない男』第十一話投下いたします。
とってつけたようなエロ有りです。
 
 
『孤独を知らない男』:第十一話
 
 
敗北し生き延びた者は、一度だけ同一の個体に対して再挑戦する権利を有する。
その上で再度敗北を認めた時、挑戦者は縄張りの半分を譲渡せねばならない。
挑戦を受ける者はその限りではなく、敗北したとしても義務が生ずることはない。
また、この流儀は繁殖期に於ける男同士の争いには適用されない。
女同士であれば、繁殖期に於いても流儀の行使は可能である。
 
ディアブロスの世界にある暗黙の流儀。
それは法律というよりも、むしろ本能に近い。
そうするのが自分にとって一番良いことを全員が知っているから、
それが自然として、流儀という形になる。
自然の中にある流儀や鉄則は、そうやって生まれるのだ。
 
「どうやってここまで来た?」
 
家の裏にあるちょっとした空き地。三人はそこに移動していた。
ジェロスと少女が改めて相対し、まずジェロスが訊ねた。
少女は長い黒髪をかき上げながら答える。
 
「少し癪だったが、ハンターどもに保護されるフリをした。
 それで取り敢えず人里に降りてから、従兄弟と偽ってお前を探そうと思ったのだがな…
 保護されて連れて来られたのがここで、思いのほか早く見つかった。」
 
トネスがジェロスの名を呼ぶ場面に、まだ角竜だった少女は遭遇している。
彼女の知能なら、それを利用するのは容易いことだろう。
 
「それも運命だろう。
 さあ、潔く私に敗北しろ。」
 
拳を開いたり握ったりしながら、ディアはジェロスを睨み付けた。
まったく面倒なことになった…
なんで俺の周りにはモンスターばかりが寄り付くんだ?
いや、人間を寄せつけていないだけか…
 
「い…いい加減にして下さいッ!」
 
なんてジェロスが考えていると、横で状況を静観していたはずのトネスが、
搾り出すようにして、ディアに向かって怒鳴った。
ディアは片眉の端をぎりっと吊り上げてトネスに視線を移す。
 
「襲ってきたのはあなたからじゃないですか!
 なのにいきなり決闘だなんて、勝手過ぎます!
 あの時ジェロスはあなたを殺すこともできたのに…
 どうしてそんなことを思い付くんですか!?」
 
吊り上がったディアの眉がだんだん下がっていく。
しかし表情が穏やかになったわけではなかった。
 
141孤独を知らない男:2008/03/30(日) 03:20:21 ID:MWUfm0DC
「どうして…? そんなこと決まっている。
 こいつの強さを確かめるためだ。」
 
ディアの細い腕がすっと上がってジェロスを指さした。
表情はなんとも冷ややかだが、眉が微かにしかめられている。
 
「私を倒したほどの人間なのだ。
 その強さの秘密をものにするまでは何度でも闘うぞ。」
 
砂漠の支配者の座から蹴落とされる時。
その時こそが、即ち角竜が滅びる時なのだとジェロスは考えている。
最も強い者であるからこそ生きていられる角竜たちにとって、
もっともっと強くなりたいという願いは切実なものだ。
しかしディアの場合は、そこにもう少しだけ違う感情が絡まっているようだ。
それが何なのかは本人も分かっていないが、彼女は実の所、
流儀ではなく、その感情に従ってここまで来ていた。
 
「いい、トネス。大丈夫だ。」
 
何かをディアに言い返そうとしたトネスだったが、ジェロスに制された。
「でも」とすかさず反論しようとするが、鋭くも暖かい視線を向けられて「大丈夫だ」と言われてしまえば、
もう彼女には何をすることも出来なかった。
納得していないような表情を浮かべながらも、彼女は引き下がる。
それを確認して、ジェロスは再びディアの方を向いた。
 
「…さて、お前が流儀に則って決闘をするというのなら、受け止めてやる。」
 
そして片膝をつき、片手を地面に添えて、まるで跪くような姿勢になった。
しかし屈服したわけではない。研ぎ澄まされた闘志が全身から溢れている。
眼光も鋭く、真直ぐからディアの睨みを切り裂いていた。
 
「かかってこい。」
 
ジェロスがそう言った直後、ディアが突進してきた。
強靱な脚力で地面を蹴り、一気に間合いを詰める。
弓を引き絞るように右腕を大きく引いて肉薄する姿が、一瞬だけ大きく見えた。
しかしジェロスは慌てることなく、タイミングを合わせて前方へ跳んだ。
極限まで姿勢を低くし、頭からディアの足下に飛び込む。
地面と平行になったその体は、あと20cm下がれば地面に全体を擦り付けるだろう。
──本来はリオ系の飛竜に行う技だが、人間相手にも応用出来る。
ジェロスはその状態から、足を払うように右手の手刀を薙いだ。
 
「ッ!」
 
神速の攻撃であったにも関わらず、少女は見事に反応した。
ギリギリで飛び上がり、手刀を回避すると……
ボロ布の下に隠していた尻尾を繰り出した。
このままジェロスの頭上を飛び越えつつ、尻尾で叩き下ろすつもりである。
 
「(ほぅ…)」
ドズゥゥゥッ!
 
142孤独を知らない男:2008/03/30(日) 03:21:31 ID:MWUfm0DC
──が、既にジェロスは左手の手刀を繰り出していた。
跳んで上に逃れることを予想していたのだ。
飛び上がった少女の右膝に手刀が突き刺さり、
ディアはバランスを崩して。そのまま吹っ飛びながら墜落した。
着地や尻尾の攻撃もままならないタイミングと威力だった。
やや上を向いて突進する傾向があるリオ系の飛竜の股下を潜りつつ、
足と腹部を同時に攻撃する、双剣の戦闘術の応用である。
 
「うッ、ぐぅっ…!」
 
自分の突進の勢いで派手に吹っ飛んだディアは、痛みに顔を歪めつつも、
地面を尻尾で強く叩き、一気に起き上がって再びジェロスの方を向いた。
一方のジェロスも、着地してから素早く跳ね起き、半身になってディアの方を向く。
お互いの視線と闘志が交錯するが、ディアは既に息が荒く、
その息も煙突の煙のような黒色になっている。今の一撃で激昂したようだ。
 
「ぐぐ…グオオオオオオオオオオォォォォォォォ!!」
 
威嚇するように、ディアブロス特有の大きな吼え声と共に少女はまた突進した。
ジェロスはまたもや冷静に…半身になることで隠した右手、
そこに握られた、さっき拾った石ころをディアの顔面目掛けて投擲。
飛礫が少女の視界を塞いだその瞬間に踏み込み、右手の中指を首に突き刺す。
突き刺す場所は頸動脈。動脈へのピンポイント攻撃は血流を混乱させ、
脳へ送る血液の流れを一瞬だけ停止させる。
 
ズドッ!
 
脳の働きが一瞬だけ停止してディアがふらついたその瞬間に、
ジェロスはしっかりと関節を押さえた寝技をディアにかけた。
少女の胸から苦しそうなうめき声が響く。
突進の勢いを利用して引き倒したので、胸を地面に強打したのだ。
そして痛みに呻くその瞬間にも、ジェロスは寝技をより強固な形へと持っていった。
これを解くのは力ではなく技術であり、人間になったばかりの彼女に、
最高に実践的なこの寝技を解くほどの技術はなかった。
 
「勝負ありだな。」
 
背中越しにジェロスの声が少女に響いた。
少女は苦痛と悔しさに眉をしかめて下唇を噛み締める。
勝負そのものは一瞬でついたが、それを心配そうに見ていたトネスが駆け寄ってきた。
角竜ディアブロスも、人間の姿になってしまえば他愛無い。
ディアは暫くは抵抗していたようだったが、やがて諦めたのか、かくっと力を抜いた。
 
143孤独を知らない男:2008/03/30(日) 03:24:07 ID:MWUfm0DC
 
「…いたッ!いたい!いたいぞ貴様!
 ゲネポスごときに私の肌を触らせてやろうというのだから、もっと優しくしろ!」
 
決闘が終わり、ディアの傷を治療するため家に戻ると、
早速少女はトネスの治療に文句を垂れ始めた。
トネスはそれに対していかにも気に入らない、という顔をして俺の方を見るが、
俺は涼しい顔をしてランスを研ぐだけで何も言わない。
それを見て、ますますトネスは不満そうに治療を続けた。
しかし俺に愚痴を言ったり、ディアに言い返したりはしていない。
 
だが、無事でよかった。
ディアにモドリ玉を喰わせてしまって、もし人間になってたらヤバいな、と考えた理由は二つ。
一つは、もしかしたら俺に再び突っかかって来るかもしれないということ。
もう一つは、人間になったディアが砂漠の環境に適応できず、野垂れ死にしてしまっているかもしれないということ。
人間の体で厳しい砂漠の環境を耐え切ることはできない。
もし人間化が原因で死ねば、俺が殺してしまったことになるのだ。
それは一族の掟に触れることになりかねない。
しかし、無事に生き延びて俺に挑戦して来れた。
だから俺はディアの姿を見た瞬間に、内心ちょっとだけホッとしたのだ。
 
「…二度、負けたよな?」
 
ランスを研ぎながら、俺はディアの方を向かずにそう呟いた。
その言葉に、ディアがびくりと反応する。
そう、二度負けた。角竜の流儀に則るなら縄張りを明け渡さなければならない。
しかしただの浮浪児に縄張りも何もないもんだ。だから代わりのものを要求してやろう。
 
「もう、突っかかって来るなよ。」
 
研ぎ上がったランスをアイテムボックスに放り込む。
ディアは苦虫を噛み潰したような表情をしていたが、
俺の言葉に対してすかさず反論するだけの余裕はあったようだ。
 
「う、うるさいッ!人間になった時のはノーカウントだ!
 角竜同士の闘いじゃないから、角竜の流儀は通じないぞッ!」
 
なんともまあ勝手な理論を吐きながら、少女は立ち上がった。
治療中だったトネスが「あっ、まだ…」と呟きかけるが、
ディアはここに来た時と同様にずんずんと玄関に向かって歩いていった。
激昂すると妙に仕草が子供っぽくなるな。いや、外見は子供そのものなんだが。
 
「次だッ!いいか!次こそは倒してやるぞッ!
 こうなったら何度でも挑んでやるからな!首を洗って待っているがいい!」
 
ディアはそう怒鳴り散らすと、玄関から外へ出ていった。
その様子を、俺はどこか微笑ましげに。トネスはどこか心配げに見ていた。
 
「……大丈夫かな?」
 
トネスは思わず俺に訊ねる。
さっきまで少女に不満そうな不機嫌そうな顔を向けていたわりには、結構本気で心配している。
なんだかんだ言って世話焼きで優しいものな、こいつ。
 
「……………ま、30分ってとこか。」
 
ふっと思わず笑みが漏れてしまう。
トネスは不思議そうに俺のその顔を見つめていた。
既に全ての予想はついている。
 
144孤独を知らない男:2008/03/30(日) 03:28:13 ID:MWUfm0DC
 
  コン  コン
 
果たして予想ピッタリに、30分後遠慮がちなノックが響いた。
既に待機済みの俺がドアを開くと、そこにはディアがちょこんと立っていた。
しかし、その姿は先程とは打って変わって小さく見える。
少し俯き加減に、長い黒髪を弄くり回していた。
 
「…何か用かな?」
 
思わずこぼれそうになる笑みを堪え、俺は意地悪をして訊ねた。
 
「何か、用…って、その…」
 
ディアは恥ずかしそうにもじもじしている。
外見相応の仕草と、大人びた声と口調とのギャップが面白い。
 
「……と…トメテ、ホシイ…」
「あァ〜〜〜?聞こえんなァァ〜〜〜〜?」
 
敢えて意地悪をしてやる。
迷惑をかけた罰だ。
 
「とっ…泊めて欲しいっ…!」
 
目をぎゅっと瞑り、頬を真っ赤にしながら声を搾り出す。
精一杯の覚悟で言い放ったようだが、流石に俺の顔は見上げれないらしい。
しかしもうちょっと意地悪してやるか……
 
「どうしてだ?」
「どうしてもなにも…なんなのだあれはッ!
 野宿しようと思ったらいきなり襲われたぞ!
 繁殖期も過ぎたというに…どういうことなのだッ!」
 
人間の世間を知らぬディアはとても恥ずかしそうに声を張り上げている。
人間の中には四六時中繁殖期のヤツもいて…そういうヤツはハンターに多い。
女ッ気がなく、いつ死ぬか分からぬ生活なのだ。体が子孫を早く残そうとするのだろう。
だから路上などで良い感じの女が野宿でもしようものなら、
そーゆーのは真っ先にそう言った連中の餌食である。
身寄りも人脈もない浮浪児なら、連中も心置きなく犯せるというものだ。
だがディアなら、そういった連中は苦もなく蹴散らせるだろう。
 
145孤独を知らない男:2008/03/30(日) 03:29:34 ID:MWUfm0DC
「そ…れに…オスというのは、あんなにも……」
 
口元を右手で隠し、何かを思い出すように横を向く。
どうやら、本当に危ないところまで行ったらしいな。
この仕草と表情から、多分『見た』のだろう。もちろんアレを。
だからこそ、最初から物凄く恥ずかしそうに言葉を紡いでいるのだ。
流石に、分かっておいて完全に放置しておいたのは悪かったかな。
 
で、襲われた所をからがら逃げ延びて、家の中でなくば危険だと判断したのだろうが、
お金もないし、自分の事情を知っている人間の家はここしかない。
下手に事情を話せば人間に捕まる可能性もあるから、ディアに選択肢は一つしかなかった。
即ち、俺に「泊めてくれ」と頼むことである。
 
「俺もオスだが、いいのか?」
「…お前には、あのゲネポスがいるだろう…」
 
全くもってその通り。一年に一人の相手としか番わぬ角竜にとって、
既に妻をとっている者に対しては、貞操を心配する必要がないのだろう。
そこまで俺は予想していたから、答えも既に出ている。
 
「いいだろう。当分の間は泊めてやる。」
「………すまん。
だが決闘の事とは別の問題だからな!」
 
自分の立場が分かっているのか分かっていないのか。
そんな言葉を吐きつつ、少女は俺の背中に続いて家へと入ってきた。
トネスにももう話してあるから、特に驚いたりはすまい。
寝場所は、居間に毛布を出してやれば事足りるな。
 
「だが、居候となるからには…それなりの事はしてもらうぞ。」
 
歩きながらそう告げると、ディアがうぐっと声を詰まらせたのが分かった。
 
「まあ取り敢えず、細かい話は明日だ……
今日はもう遅い。さっさと寝ろ。」
 
居間に到着すると、そこにはもう毛布が用意されてあった。
トネスは先に寝室へ行ったようだが…気を利かせて用意してくれたのか。
俺はディアの首根っこを掴んで毛布に放り込むと、灯りを全て消し、
毛布を被る少女をその場に残して寝室へと向かって行った。
 
146孤独を知らない男:2008/03/30(日) 03:30:37 ID:MWUfm0DC
 
「はっ…あ、ぐぅっ、ふか…い、よぉぉ…」
 
後ろから力強く責め立てられ、トネスが追い詰められたような声を出す。
ジェロスとトネスの寝室は一本の燭台だけが唯一の明かりとなっており、
朧げで妖しげであるその光は、ベッドの上で蠢く二人を、闇の中に微かに浮かび上がらせていた。
時刻は既に深夜に到達しようとしている。
ディアが寝静まるのを待ってから始めたので、二人とも我慢の限界だったのだ。
ディアの寝付きに焦らされたトネスは、前戯もそこそこに本番を要求して来たのだった。
 
「はっ…あっ、う、う、んんぅ…ひっ…やぁぁ…」
 
深く強く貫かれる快感に、トネスの芯はもうとっくに蕩けており、
上半身を支えることもできずに、ベッドの上に突っ伏している。
そしてジェロスに向かって高く突き出された、形の良い豊満な臀部を彼は鷲掴みにしていた。
指が深く埋まるほどに強く掴んでいるが、その痛みさえも既に淫らな色を帯びており、
突き上げられる悦びに腰をくねらせる度、淫らな喘ぎが漏れ出る。
ジェロスも、腰を叩き付ける度に微かに己を締めるトネスの膣の具合と、
男の情欲を更にそそる彼女の反応を楽しんでいた。
 
「あぅっ、あぁぅっ、き…て…はぅっ…もっ、とぉ…」
 
切なげにトネスがはしたない要求をする。
それに応えるように、ジェロスは腰を叩き付ける速度を速めると、
途端にトネスの喘ぎが高さを増し、声量も大きくなって、シーツを握り締め始めた。
しかし、彼はそれだけで済ませなかった。
上体を更に深く傾けると、両手をトネスの胸とベッドの間に差し込み、
柔らかでありつつも、確かな感触のある胸を少し手荒に揉みしだきだしたのだ。
 
「ひぅっ! そ…こはっ、だめえぇぇぇ……!」
 
トネスの体とベッドの間に挟まれ、少し押し潰れたようになった乳房が、
少しだけ横にはみ出るような形となって、それが彼の目についたのだ。
強く突き上げられる衝撃だけで達してしまいそうなのに、
更に弱点である胸への攻撃となれば、その荒っぽい動きによる痛みすら、悦楽に早変わりする。
ギシギシとベッド全体が軋み、それに合わせてトネスは楽器のように鳴く。
 
「あっ、は…ひぐっ、はっ、はっ、あ…んっ…ジェロ、ス…はげ…し…!
 いっ…ひぅんっ、あっ、あぁっ…!イクっ…イクっ!イクぅぅっ…!」
 
トネスの声がどんどん甲高くなっていく。
ジェロスの動きも、時と共にどんどん速く、そして激しくなっていった。
林檎を掴むようにトネスの胸を強く掴み、獣のように腰を叩き付ける。
高まる射精感を助長するかのように、トネスは更に強く彼自身を締め付けた。
 
「くッ…!」
「んんうううぅぅぅぅぅっ…!!」
 
熱い奔流が走り、トネスのなかにそれは放たれた。
トネスはシーツを強く握り締めて目を固く閉じ、放たれた熱を感じる度にびくりと震えた。
一滴残らず吸い上げるように締め上げつつ、与えられる悦びに打ち震える。
そして接合部から白い液体が溢れ出す頃に、全身から力が抜け、
彼女は腰を高く突き出してベッドに突っ伏したまま、熱い呼吸をし始めた。
 
147孤独を知らない男:2008/03/30(日) 03:31:59 ID:MWUfm0DC
「………あの子、どうするの…?」
 
それから熱い余韻も消え、だいぶ落ち着きを取り戻してきた時、
トネスはジェロスの胸の中でそう訊ねた。
既に二人は互いに正面から密着した状態で、揃ってベッドの上に横になっており、
毛布を肩の部分から体に被っていた。。
 
「さあな…あいつのしたいようにさせるしかないな。」
 
角竜はみんな、命がけの誇り高い頑固者だ。
自分の精神に関わることは絶対に自分で決めようとするだろう。
それが分かっているから、ジェロスもディアに関しては好きにさせるしかなかった。
しかし、本人が強くなりたいと望むなら……
一族の技術を教えるのもいいかもな。上手くすれば心強い味方になるかもしれない。
来るべき暗殺者との戦いに向けて、味方は多い方がいいだろう。
そんなジェロスなりの打算があったからこそ、ディアをすんなり泊まらせた。
闘ってみて分かったが、ディアに闘志はあったが殺気はなかった。
いきなり不意打ちを喰らわせて殺すなんて事は、恐らくしないだろう。
 
「むぅぃ……」
 
トネスは少し不満そうな声をあげた。
顔を胸に埋めているためその表情は見えないが、大体予想はつく。
暗殺者のこともトネスにはもう話してあるから、心配なのだろう。
ジェロスはふっと微笑み、片手でトネスの頭を優しく撫でる。
さらりと流れる砂漠色の髪の感触が心地よい。
 
「大丈夫だ…ゴズ家の技術を信じろ。
俺は誰にも負けんよ……」
 
優しく囁き、トネスを安心させてやろうとする。
とはいえ、ジェロス自身も多少の不安は感じていた。
ディアのことは安全だと分かっているからトネスほどの不安感はないが、
暗殺者の襲来に関しては、どうしても不安に思ってしまう。
襲われた経験がない訳ではないが、やはり命を狙われるというのは嫌なもの。
正体の見えない暗殺者に四六時中狙われるのは、非常に気分が悪い。
だが、それも宿命だ。ゴズ家の当主が安寧の内に死ぬことはあり得ない。
その結末は、モンスターか暗殺者の手にかかっての死、以外にあり得ないのだ。
 
148孤独を知らない男:2008/03/30(日) 03:33:32 ID:MWUfm0DC
「大丈夫だ……」
 
とはいえ、それをトネスには気付いてほしくない。
ジェロスは噛み締めるように、再度呟いた。
勝手な願いかもしれないが、ジェロスは心からトネスの幸福を願っていた。
だから、あんまり心配をかけさせたくない。
それと同時に、自分自身もこの幸せな時間から抜け出したくはない、
という気持ちがジェロスの心の片隅には存在した。
 
「ジェロス…」
 
ジェロスの胸に顔を押し付けたまま、トネスの体が小刻みに震え始めた。
声も、まるで闇を怖がる小動物のように弱々しい。
 
「すきだよ……だから…だからどこへも行かないで…
 勝手な気持ちかもしれないけど……あなたを、失いたくない…」
 
「…………………………」
 
ジェロスは、そんな彼女の頭を黙って撫で続けた。
子をあやす母親のように、可能な限り優しく。
確かに感じるトネスの温もりを愛でるように、可能な限り愛おしく。
 
 
 
──このとき、ジェロスの心の片隅に別の感情が現れた。
それにはジェロス自身も気付いていないが、この感情はいつか種火となるだろう。
隅っこにひっそりと隠れ、いつか時を待って燃え上がる。
そこからは、鞠が坂道を転がり落ちるが如し。
この危険な種火が、いつしか彼自身をも焼く。
今まで一度も抱いたことのない、特異な感情である。
 
その感情は、パーシェルの父親を殴った時のものに似ていた。
その表情は、蝋燭の火を眺める彼自身の父親のそれに似ていた。
彼自身も気付かぬ、些細な想い。
しかし、確かにそれは今この場で誕生した。
 
(ゴズ家にさえ生まれて来なければ、こいつを悲しませることもなかったのだろうか)
 
とうとうぐずり始めてしまったトネスの頭を撫でながら、
彼はまったく無意識に、頭の中で読み上げることすらなく、
そんな考えとも呼べぬ朧げな想いを、心の片隅に産み落とした。
149孤独を知らない男:おまけのようなもの:2008/03/30(日) 03:42:42 ID:MWUfm0DC
緊急企画:『ジェロスに聞こう!ゴズ一族について』
 
この企画はQ&A形式で、ゴズ一族についてのことをジェロス氏に教えてもらう企画です!
なにせ非常に特異なオリジナル設定ですからね!
 
Q、あなたの曾祖父がギルドナイト二人を返り討ちにしたというのは本当ですか?
A、ああ、本当だ。その時の負傷で10日後に死んだらしいがな。
  俺の曾祖父は一族の歴代の中でも相当強い人だったらしい。
 
Q、従兄弟がギルドに潜入してるそうですね?
A、……よくそんなこと知ってるな。ここだけの話だが、あいつはもう死んだことになってる。
  ショウグンギザミに胸を刺されたとき、治療中に暗殺者が来ないようにとそうしたらしいな。
  そいつを今になっても利用しているようだが、怪しまれてくると他のギルドに逃げ込むようだ。
  地方によって、ハンターを統轄するギルドはそれぞれ違うからな。
 
Q、ヤマツカミ安全討伐なんてよくできますね。
A、…3ヶ月もかけてじわじわ闘えば、それなりの腕でも狩れると思うぞ。
  おれたち一族は時間制限に縛られないから、じっくりと長期的に戦える。
  敵の生態や動きを観察するだけの時間は十二分にあるってことだ。
  古龍相手に一般ハンターどもがやるような短期決戦を一人で挑めば、流石の俺達でも苦戦するさ。
 
Q、トネスさんのウィークポイントは?
A、胸だな。特に乳首辺りが弱い。で、それがどうかしたか?
Q、なんでもありません
A、そうか
 
Q、古龍生態記録などはあるのですか?
A、ハンターとして重要な情報はだいたい記録として残っている。
  …だが、古龍に関しては口伝だ。書物を残すと古龍観測局と揉めなきゃならなくなって面倒だからな。
  尤も、古くからの口伝だから民間伝承みたいで殆ど役に立ちゃしないが…
 
Q、では、古龍はどのように狩っているのですか?
A、情報に関しちゃ、先代の経験から教わったりとか、一族同士で連絡を取り合ったりしているが、結局は実戦で戦い方や生態を学んで狩るしかない。
  それでも一族の戦闘術は豊富にあるから、他の一般ハンターどもに比べて生存率は高いようだが、
  己自身の経験が最もモノを言うのは、俺達も一般ハンターもさして変わりはない。
 
Q、暗殺者への対抗技術はどうやって確立したのですか?
A、長年に渡るギルドとの戦いの中で、自然に確立された。
  同時に対人戦の技術も生まれたよ………本来、ハンターには無用の長物なんだがな…
 
Q、トネスさんの好きな体位は?
A、俺は横からが好きなんだが、あいつは後ろからが好きなようだ。
  ………これゴズ家に関係あることか?
Q、ありません
A、………
 
Q、ゴズ一族の強さの秘訣はなんですか?
A、百年以上ハンターだけやってきた中で培われてきた歴史的技術と、
  膨大なそれをものにするための地獄の鍛練だ。
  跡取りは5歳から一日15時間の鍛練を毎日やり、一人前になっても狩りの日以外は一日に10時間は鍛練する。
  俺達は超人じゃない。ちょいとばかし他の連中より努力家なだけだ。
 
Q、当主はどのようにして決まるのですか?
A、直系の男子か女子かから、戦闘能力によって決められる。
  モンスターや暗殺者にあっさりやられる当主じゃ適わんからな。
 
Q、トネスさんの胸のサイズは?
A、Dカップ……だから関係ないだろこれ。
Q、すいませェん
A、お前は磔刑だッ!
150孤独を知らない男:2008/03/30(日) 03:44:16 ID:MWUfm0DC
これにて『孤独を知らない男』第十一話は終了です。
ゴズ家については、確かに読者の方々を置いてけぼりにしている感が少なからずあるので、
これから善処していきたいと思っています。
151名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 03:49:42 ID:k04Tv1n9
GJ!!
本当に楽しませてくれますな!!
ギルドナイト戦にそなえてジェロスさんには
つ体術珠G
を送ります。
これがあれば一発一発がかなり重くなります。
昔はこれで4人で祖龍をフルボッコで15分で蹴り殺したもんだ・・・・。
152名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 04:00:05 ID:d5a+eaR7
これは・・・ディアにランスフラグ!
そのうちバサル幼女ハンマーがくるんですねわかります
153名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 08:16:09 ID:8g44rgIe
もしディアと犯っちゃうのなら、トネスはどうなるんだろうな。
嫉妬して病むか、悲しみで泣くか、何だかんだで認めるか。
154名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 08:22:59 ID:86AblLGH
面白かったぜ
155名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 13:42:36 ID:/mvsxlza
業務連絡:まとめwikiに8スレ目保管完了
先立っての予告通り、どうにか今月中に8スレ目までまとめられました
今回は個人的なお気に入り作品が入っていたため
保管作業中に何度か右手が股間へ伸びるというアクシデントがありましたが
ハイパー賢者タイムの到来とともにつつがなく作業完了できました
156名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 14:24:34 ID:ZYrqIYiM
乙!あなたのおかげでおかずに不自由がありません
157名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 14:32:08 ID:W6+eqtxc
3ヶ月もかけてじっくり戦ったら古い傷は癒えちゃわないかとか思ったんだがどうだろ?
ゲームだとある程度ダメージ与えて25分たったら撤退、
次に戦う時はダメージは蓄積されたままだから平気と考えるべきか
でもヤマツカミはやたらでかいからなぁ

まぁいくらじわじわ戦っても戦闘中は常に死の危険があるから「安全」とは言い難いけど
158名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 14:46:33 ID:nQhYgWt1
孤独の人GJでした。
獄長吹いた。そして質問者自重しろ。

>>153
ディアとやる確立はほぼないんじゃないのか?
もしかしたら『相手側から言い寄る(トネスに悪いと思いつつも)』とかの可能性もあるから完全にないとは言えんが。
159名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 02:26:16 ID:grXrCMXu
>>150乙です
ディアのツン具合にニヤニヤしっぱなしだ
どうしてくれる


ところで、ネコートさんの紳士口調にクエスト受注するたびに
悶えるのはきっと俺だけじゃないはずだ
160名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 05:13:34 ID:/EH90+FD
長年連れ添った、最高の相棒といえる異性のお供アイルーが擬人化。
中々良さげなこの電波は、このスレの誰かが飛ばしたに違いない。
161名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 07:43:44 ID:7jGyxWPCi
>>160
イイネ
162名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 07:49:22 ID:PI0cpyS4
GJッ
ディアがドリルランスでゲッター2ですねわかります
163名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 13:22:19 ID:Kky1qP5P
ネコートさんの口調萌えるよな。
ときどき「ニャ」語尾の地が出そうになって、
取り繕って言い直してるとこがさらに萌える。
164名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 19:40:02 ID:kjx+k2jA
>>160
その電波、多分俺だ。やれやれ、風邪で脳が発信機になっちまったみたいだな。

しかしいまだに星二つの俺は何時になったらネコートさんに口をきいてもらえるやら……
早く喋りたいよ。
165名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 23:10:43 ID:J+PvvGOk
ナルガの尻尾ぬこの逸物そっくりワロタ
166名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 12:52:12 ID:3VBGyK5v
つまりナルガの尻尾がハンターの尻にアッー
167名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 15:29:45 ID:/8Lg3goc
ところでゲリョスは尻尾が圧倒的弱点だという事を知って以来、
あの尻尾がどうにもちんこに見えて仕方がないんだが…

そこにもってきて、Gでやるようになった尻尾広範囲ふりまわし攻撃を見るともう
毎回「ちんちんぶらぶらソーセージ攻撃」とかいう消防並センスの命名が脳裏をよぎるので困る
168名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 16:57:18 ID:Oje24ALc
>>167を見たらもうゲリョスが狩りにいけなくなったw

ところで最近ガレオスが何故か可愛く見えて仕方ない
これはドラゴンファッカーへの第一歩か?
169名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 21:59:41 ID:Ghr5cY3V
ガレオスが可愛い?俺はもう連中のウザさにドラゴンレイパーですよ
170名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 22:06:33 ID:h2Az2PS4
ファンネルだもんな、ガレオス…
でもヤツら、瀕死になるとザコでもキューキュー言いながら脚引き摺るんじゃなかったっけか?
元気のなさが顕著に表れる背ビレとか、超ラブリーだと思うな
171名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 23:10:06 ID:A3b29hsm
何回やっても何回やっても白チ○コ(P2Gオフライン緊急クエ)がたーおーせーないーよー……orz
硬いし強いし手持ちに火属性の武器ないし……オトモにスキル習得させるにもポイント足らんし……

ところで、白チ○コとかふんどしとか言っちゃう女ハンターって胸キュン?
172名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 00:15:13 ID:wiUCBETs
シールドヘビィマジオススメ
咆哮さえしのげるなら奴の攻撃に当たる理由はどこにもない
173名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 00:26:38 ID:KTzuGx9g
リロード中吼哮で乙る>>171が見える
174名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 00:50:41 ID:56GIIP17
ネコミミナルガときょぬーウカムはまだですか…
175名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 03:19:28 ID:C+rr0hJx
176名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 08:44:10 ID:UIjrdif9
高耳さえあれば無問題
あの白いヤツの尻にお前のマグナムをぶち込んでやれ
177名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 10:41:16 ID:kzYtxTX0
アッー!!
178名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 13:03:01 ID:jccO0ofT
>>172
近接オンリーだけどヘビィでやって勝ちました。1乙で。
と言っても「どうせ高台には登ってこないだろwww」→「ちょ、放電体当たりやめアッー!」な乙でしたが。
何気に咆哮も防げるし(直撃と同じくらいの硬直だけど)、ちょっと楽しい。
ヤバイ、太刀一筋なのにヘビィに浮気しそう……

フルフル倒した記念に何か書いてきます
179名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 19:37:22 ID:dxtmRnBz
太刀一筋()笑
180名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 22:41:58 ID:A4TdVe/m
今って初代から10代目までのテキスト落とせるの?
181名無しさん@ピンキー:2008/04/03(木) 22:03:47 ID:2gSq1Fch
−自然に存在しない生物を創るのが罪ならば、創られた者が子孫を残すのも罪になるのだろうか?

そんな事を考えながら街と森丘を繋ぐ道を歩く青年が一人。
何も持たず、街中を歩くような服装で森丘への道を歩く様は一種の不気味ささえ感じさせる。
彼には何も無かった。職も住居も無く、名前すらその場限りの物しか持っていなかったのだ。
何故なら、彼は人であり人でない存在だったから。

彼等はハンターズギルドによって創られた。
人間と飛竜を強制的に交配させ、誕生したハーフ同士を更に交配させる事で「生産」されたのだった。
イャンクックとリオレイア、そして人間という三種の生物の血を継いだ彼は同時期に誕生した兄弟達と共に脱走し、追っ手を撹乱するためためそれぞれ別の地域で生活することになった。

彼は人間に紛れて夜を過ごし、昼間は飛竜の姿で狩りを行って生活していた。
最近は更に「ネコートさん」と呼ばれるアイルーを介して自分を討伐する依頼を出し、やってきたハンターを一人ずつ殺している。
ハンターズギルドに復讐するには、まずギルドに所属する人間を少しでも始末するのが得策だと考えたからだ。
ハンターの仕掛ける罠や戦術は人間の知能を持つ彼には通用しなかったし、それに加えて飛竜としての力もある。負けを知らなかった彼は、いつからか自らの力を過信し始めていた。

(今日のハンターは…女か…)
そんな彼にも悩みがあった。繁殖期だ。
自分が自然に存在しない生物であることで苦しんでいた彼は、同じ苦しみを味わう者を増やすまいと決意していた。
しかし動物としての本能には逆らえず、リオレイアやイャンクックの雌、そして人間の女を見ると欲情してしまう。
そのためやってくるハンターが女の場合は自らの性欲とも戦わなくてはならなかった。
やって来るハンターは女。それだけでも勃起しかねない程に蓄積された性欲は、彼の決意を揺るがす程に高まっていたのだ。

そうしてやってきた女ハンターと戦っている彼は、いつに無く興奮していた。
相手が女だから、というだけではない。彼女が持っていた双剣がギルドの刺客であるギルドナイトが扱う物だったからだ。
落ち着きを無くした彼はもはやただの飛竜、いつもなら素早く飛びのいて不発にしてしまう落とし穴に呆気なくはまり込み、攻撃を受けて弱った彼は麻酔玉によって意識を失ってしまった。

気がついた頃にはすっかり日が沈んでいた。
(夜…?確か俺はハンターに…)
本来なら捕獲された既に街に運ばれているはずの時間である。
負けたのが夢だったのかとも思ったが、それならば台車に縛り付けられている訳が無い。
不審に思ったが、逃げるなら今しかない。
ハンターに姿を見られることなど考えもせず、人間に姿を変えて拘束から逃れようとする。
しかし人間の姿になった途端、急に全身の力が抜け身動き一つ取れなくなってしまう。
再び身体の自由を奪われ苦しんでいると、背後から女の声が聞こえてきた。
「そりゃ飛竜用の麻酔だもの、人間には強すぎるでしょうね」
先程彼を倒したハンターだろうか。振り向く力も無かったため姿は見えなかったが、残った力で問う。
「なぜ捕獲したモンスターを運ばない?こんなところに置く意味なんて無いだろう」
すると彼女からは意外な返事が帰ってくる。
「あんたが飛竜と人間のハイブリッドだって聞いたから、もしかしたら人間の姿にもなれるんじゃないかと思って待ってたの」
人間の姿になれるのがそんなに面白いか、と怒鳴ろうとすると更に意外な言葉が耳に入る。
「飛竜の逞しさを持った人間って、こっちも相当強いんでしょうね」
すると彼女は

って電波を受信した気がするが文才が無い
182名無しさん@ピンキー:2008/04/03(木) 22:14:13 ID:qZfysGky
>>181
NA MA GO RO SHI !
そこまで書いといて、文才ないも何も。
三回まわってわっふると鳴いてやるから続きを…
183名無しさん@ピンキー:2008/04/03(木) 23:05:07 ID:coVvJKqy
なんという高度な誘い受け
それだけの文章が書けるのに文才がないだと?贅沢ぬかすな!
罰として速やかに続きを投下するように!












楽しみだから
いや、まじでまじで
184名無しさん@ピンキー:2008/04/03(木) 23:27:53 ID:zL4Ph5De
そ、そんな麻痺毒で身体の自由を奪われてじわじわと生きながら食われるような苦しみを味あわせるなんて……なんて鬼畜!
185名無しさん@ピンキー:2008/04/04(金) 00:00:26 ID:2gSq1Fch
sage忘れた上になんか変に期待させてしまったようで申し訳ない
エロ書けないのに後先考えずにエロに持って行った俺が馬鹿だった
186名無しさん@ピンキー:2008/04/04(金) 01:08:27 ID:ABUlv9sd
男は度胸
やってみるもんだぜ?
187名無しさん@ピンキー:2008/04/04(金) 01:10:47 ID:g6LxvfH/
盲目のハンターとフルフルのSS書いた者です。

以前に書いた内容忘れて続きが書けない…。メモに残しとくべきだった。
WiKiにいつか保存されたら、少し修正して再び最初から投下したいと思います。
少なからず期待してくれてる人、本当にモウシワケアリマセンorz
188名無しさん@ピンキー:2008/04/04(金) 08:10:16 ID:eGgbHYQi
おぼろげな記憶によれば、
フルフルと一緒に雪山の洞窟にいったんだっけ?
189名無しさん@ピンキー:2008/04/04(金) 08:21:53 ID:QR1Q9m5z
何それ
未完結の中途半端な過去作品を保管させた上で
wikiに保管された奴とは別に投下しなおすってこと?
保管の手間を二倍にするキャンペーンでもやってんの?

未完で放り投げるのはそう珍しいことでもないから構わないけど
「俺が今まで書いてた分を誰かがうpしてくれたら続き書くわ」ってのは流石にどうよ
その気になれば過去ログ見る方法なんていくらもあるだろうに
190名無しさん@ピンキー:2008/04/04(金) 09:16:49 ID:rPdcWG2e
ヒプノック討伐クエのムービーで、

ゲネポス「ゲヘヘ、姉ちゃん俺達と楽しいことしようぜ!」
ヒプノック「いやーーーっ! 来ないで! あっち行ってぇぇぇっ!(睡眠ガス)」
ゲネポス「ちょwおまwww……Zzz……」

というのを連想した俺は間違いなく変態
さて、行きたくないけど大学行ってくるか……モンハンやる時間ネーヨ
191名無しさん@ピンキー:2008/04/04(金) 11:53:45 ID:9NaptiJD
上でもかかれてたがネコートさんがかわいすぎる
今までクエストやってくれたお礼に、とかいってせまってくる
擬人化ネコートさんという妄想がふくらんでしかたない
192名無しさん@ピンキー:2008/04/04(金) 13:01:57 ID:jcDsYqop
>>191
擬人化?ネコートさんは猫だからいいんだぜ
193名無しさん@ピンキー:2008/04/04(金) 14:45:32 ID:QFJ1VI8k
一緒に戦い、深い絆で結ばれるであろうオトモアイルー
口調、コートといった動く萌要素なネコートさん
どう見ても猫科です本当に(ry なナルガクルガ

ふと気がついたんだが、2ndGは猫だらけだな
194名無しさん@ピンキー:2008/04/04(金) 15:25:18 ID:g6LxvfH/
確かにそう言われれば猫だらけだぬ。


うはwwww夢がひろがりんぐwwww
195名無しさん@ピンキー:2008/04/04(金) 20:20:43 ID:GKaAuQi+
2つの意味で「もえ」れるわけだなwwww
196名無しさん@ピンキー:2008/04/04(金) 22:18:59 ID:88kXeDjt
擬ガノ♂の話って続きまだ投下されてないよね?
197名無しさん@ピンキー:2008/04/04(金) 22:25:44 ID:BrM/pqmJ
>>196
まだだな。あの話は大好きだから続きが楽しみだ
何か独特の雰囲気があるんだよな。キャラは皆魅力あるし
198名無しさん@ピンキー:2008/04/04(金) 22:28:17 ID:QR1Q9m5z
>>196
珍味の人のやつなら>>43-51で完結しただろ
199名無しさん@ピンキー:2008/04/04(金) 22:32:33 ID:88kXeDjt
あれ?ソレだ
途中の話は何処にあるんだ? 読み飛ばしてたらしい

実はガノスの方に萌えてたりする俺は男としてマズい気がした
200名無しさん@ピンキー:2008/04/04(金) 22:52:28 ID:QR1Q9m5z
8スレ目540-547
9スレ目570-580
10スレ目348-359
>>43-51

頑張って過去ログ探すか
業務連絡の人でも待て
201名無しさん@ピンキー:2008/04/04(金) 22:56:00 ID:DprFcJgi
>>198
完結してないぞ
まだ続くらしい
202名無しさん@ピンキー:2008/04/04(金) 22:56:24 ID:88kXeDjt
そこまでわかってるんだったらアンタに保管してもらいたかったっていう・・・

まあいいか、気長?に待つ。ありがとう
203名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 03:30:26 ID:3IOmdV0Z
>>181の続きをエロ書けないなりに頑張ってみた

すると彼女は彼の体を仰向けにひっくり返す。
「あら」
そこは既に臨戦態勢。
更に女の顔が見えた事で硬さを増している。

彼は元々全裸だ。街から着て来た服は帰りにまた着るため人目に付かない場所に隠してある。
「な、何を」
「えい」
握られる。それだけだった。
性欲を覚えて以来蓄積され続けた(人間の文化に興味を持たなかった彼は自慰を知らなかった)欲望は握られただけで吐き出された。
「結構濃いし、量も抜群…よし」
「い、今のは…うあっ!?」
二発目。彼にとって人(?)生二度目の射精。鋼の意志によって封じられていた筈の欲望は次から次へと溢れてくる。
連続で与えられる快感の前に、彼の理性はあっという間に消し飛んでしまった。

いつの間にか朝になっていた。
どうやら気絶してしまったらしい。
彼はあれから数十回に渡って射精し続けた。指だけで文字通り搾り尽くされたのだった。
既に麻酔は抜けきり、体は思い通りに動くようになっている。
そしてあの女ハンターは前方で肉を焼いていた。

彼にとってギルドは敵だ。故に、ギルドに所属しているハンター(それもギルドナイトの剣を身につける事が許された実力者)は倒さなくてはならない。
そしてその倒すべき実力者が無防備に肉を焼いているとなれば、これほどのチャンスはない。
そう考えた彼は彼女を倒すべく起き上がる。台車から下りるときに気付かれるかと心配もしたが、彼女は肉を焼くのに夢中なのか気付かない。
人間の姿であっても飛竜の力は健在だ。全力で殴り掛かればハンターとて無事では無いだろう。それに今の彼女は防具を外している。
今なら殺せる、そう確信した彼は駆け出す。女はようやく気付くが武器を持っていない状態ならば負ける要素は無い、そう思っていた。
しかし次に見たのは女の死体でも逃げる女でもなく、青空と女の顔だった。
「ちょっとあんた、怪我したらどうすんのよ!」
何が起こったのかわからない。確かに丸腰の彼女に殴り掛かった筈。そして自分はそう簡単に投げ飛ばされるような体重では無かった筈だ。
「それにしてもこれ、こんなに便利な技だったんだ…あの段ボールのオッサンに感謝だね」
技というからには体術か何かだったのだろう。ならば想定不可能な攻撃をしてやればいい。
「っ!?」
倒れた状態からの蹴り。仮に足首を掴まれたら膝を曲げて距離を詰め、もう片方の脚で蹴り飛ばしてやればいい。飛竜の持つ強大な力があって初めて成り立つ強引な攻めだ。
しかし予想は再び裏切られた。足首を掴まれたところまでは想定していたが、軽々と放り投げられるとは思わなかったのだ。
204名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 03:33:04 ID:3IOmdV0Z
「…で、なんでアンタはハーフの癖に人間を殺すのさ?」
「…ギルドが憎い、ただそれだけだ」
足首を掴まれ放り投げられた彼は地面に叩き付けられた。これが人間であったら間違いなく死んでいた筈だ。
彼女もただの人間という訳ではなさそうだ。第一、あれだけの力を持つ人間等いないだろう。
だから彼女の質問には素直に答えた。ハンターを殺してきた理由も、これまで溜め込んでいた理由も。
しかし彼女は彼の認識を否定する。
「アンタ、つまり黒狼鳥は人間が創った種だとでも言いたい訳?」
「そうでなかったら何故俺がここにいる!?確かに俺はギルドの実験で生み出された!」
「アンタはそうかもしれないけど、自然に発生する黒狼鳥もいるってことよ」
「なっ…」
これまで兄弟以外の黒狼鳥など見たことがないし、人間の資料にもそのような情報は無かった。だから自分は人工的に創られた種だと思っていた。
「黒狼鳥はイャンクックとリオス種のハイブリッド種、確かに別種の飛竜が交尾するなんて滅多にないし、それがちゃんとした卵になるのはかなり珍しいわ」
「それでも生まれる黒狼鳥はいるのよ」
確かに有り得ない話では無い。しかし一つだけ問題がある。
「ならば人間はどうする?いくらなんでも人間の血は自然には入るまい」
そうだ。人間と飛竜が自然に交配するなんて有り得ない。しかし彼女は動じる様子もなく話し続ける。
「いるのよ、たまに。竜に欲情する人間とか、人間に欲情する竜とか。あとは人間になれる竜。ドキドキノコでモンスターが人間になるなんて話も聞くわね」
どれもおかしな話だ。現実味が無い。こんな不自然な話を聞かされても聞き苦しいだけだ。
「あら、信じてないのね?」
当然、そんな奇妙な話を信じるような馬鹿ではない。すると意外な言葉が反ってくる。
「信じられない、って言うなら証拠を見せてあげる」
それだけ言うと彼女はインナーを脱ぎ捨てる。それを見た彼は柄にもなく慌てて目を逸らした。搾り尽くされた後なので勃起は免れたが、やはり繁殖期は繁殖期だ。こういう光景には弱い。
一糸纏わぬ姿となった彼女は驚くべき跳躍力で跳び上がり、姿を変える。
「リオ…レイア…」
そこにいたのは陸の女王、リオレイア。
その姿に目を奪われた彼はいつの間にか勃起していた。
そう、この青年にとって彼女の姿はとても魅力的だった。殺す気が無くなった今考えて見ると人間の姿も相当に美しかった。

彼女はすぐに人間の姿に戻った。このベースキャンプは飛竜にとってはやはり狭い。
「どう、信じてくれた?見ての通り私は人間とリオレイアのハーフ。もっとも、ハーフでも竜と人間、両方の姿になれる者はほとんどいないみたいだけど」
「…」
もはや何も言うことは無かった。ギルドが生み出した、ということを除けば自分も普通のハーフだったのだ。これまで背負っていた重荷が消えて行くようだった。ギルドに復讐する、なんて考えは既に安堵に押し流されていた。
205名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 03:34:07 ID:3IOmdV0Z
「…だったら、何故人間になるのを面白がって見ていた」
「簡単な理由ね。竜と人間のハーフは竜に匹敵する力がある。もちろん性欲も相当強いわ」
それは自分でも知っている。というか彼女に逢わなければ発狂していたかもしれない。竜の性欲はそれだけ強烈なのだ。
「で、何故かハーフってのは女ばっかりで男のハーフって少ないの」
「そこでアンタよ。黒狼鳥はオスが多いって話だし、黒狼鳥のハーフならきっと男だって踏んでたのよ」
嫌な予感がする。逃げ出したいが、生殖本能と地形がそれを許さない。
「ようやく私を満足させられそうな男を見つけたんですもの、とりあえずクエストの時間が切れるまでは頑張って貰うわよ♪」
「う、うわっ!やめろ、放せぇーっ!」
いくらハーフでも散々搾られた身では持つわけもなく、泡を噴き気絶したまま運びだされた。
完全に搾り尽くされ弱り切っていたおかげで救助したことにして連れ出せた、というのは結果オーライとでもいうべきだろうか?

「おーい、準備できたか?」
「えっと…角笛よし、閃光玉よし…うん、大丈夫ー」
数カ月後、彼等は夫婦となりハンターとなっていた。
人々の生活に害を与えようとする者だけを狩り、人間の私利私欲で狩られようとしている者は角笛で安全な場所まで連れて行ってやった。
二人ともモンスターの言葉はわかるが、人間の姿で説得しても相手には伝わらない。
竜の姿でいようものなら相手は縄張りを侵害されたと思って怒り狂うだろう。
説得は出来ないが考えは解る。人を傷付ける意志のない者をそうと知って狩るのは唯の殺戮だ。
その信念は彼等がハンターとして名を残そうとは考えていないことを意味していたが、互いがなるべく傷付かないようにする仕事はやり甲斐があった。
二人は幸せだった。人生を共に過ごし、共に戦う仲間が出来て。

…ただ、毎晩のように搾り尽くされる夫はスタミナ不足が目立ち、暇があれば元気ドリンコを調合する毎日だったという。

エロはさらっと流した。反省はしない
206名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 07:24:43 ID:iT9yGq27
乙狩れ〜。

でも、やっぱもうちょっとエロスが欲しかったな。
207名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 23:59:37 ID:8uSk+onM
乙ガレオス。
エロが苦手なのはよくわかった。
それ以外に、話を駆け足にしたのかちょっぴり説明不足な感がある。
208名無しさん@ピンキー:2008/04/06(日) 01:26:07 ID:t3esgmVk
やっぱエロは無理だ
それと昔から説明を省く癖があるから文章書くの自体が苦手だったんだ
書いてみて初めて解ることってのも結構あるもんなんだなぁ、と

今まで通り読むだけに専念するよ
209名無しさん@ピンキー:2008/04/06(日) 01:31:22 ID:POpx4cWo
乙ガレ
結構おもしろいと思ったがねー
まあ人それぞれさね。
おつかれさんです
210名無しさん@ピンキー:2008/04/06(日) 01:47:05 ID:9B3kamXx
>>208
いやいや、文章が苦手だって言うけど181の短い文で、少なくとも三人を生殺しにしたんだぜ?
それに>>186では阿部さんならぬ、ABUさんを降臨させたんだ。
おまいさんなら寸止めの達人になれるさ!
読み専とか寂しいこと言わずに、素晴らしい電波をもっとこのスレに発信してほしい。
211名無しさん@ピンキー:2008/04/06(日) 11:30:41 ID:uzh70jmk
エロが駄目なら否エロを書いたらどうだろう
212名無しさん@ピンキー:2008/04/06(日) 13:09:29 ID:HQamS5j7
ここって否エロでもよかったっけ?
213名無しさん@ピンキー:2008/04/06(日) 13:48:27 ID:55OMc7bo
そりゃエロパロだからエロいほうがいいと思うけど、
面白けりゃなくてもいいや
214名無し@ピンキー:2008/04/06(日) 13:50:53 ID:EXhwUo8X
215名無しさん@ピンキー:2008/04/06(日) 16:00:02 ID:OHOLNAqQ
>>214
何か高校生自称した厨ニがクソ文書いて自画自賛してるHPでした。
216名無しさん@ピンキー:2008/04/06(日) 22:12:15 ID:qDZjiqUE
業務連絡:まとめwikiに9スレ目保管完了
>>187氏の作品「見エナイ君ニ」は未完のため保管しておりませんでしたが
続きが執筆されるということなので8スレ目・飛竜種の項目に保管させていただきました
改訂や加筆の際は該当ページを直接編集していただけると助かります

直接投稿作品「紅い災厄との出会い」の続編も投稿されております
この機会にまとめwikiで過去の良作とともにお楽しみください
217名無しさん@ピンキー:2008/04/06(日) 22:31:00 ID:HNNkqBV+
竜姦というか竜同士のSS乗っけてるサイトなら見たことあるな
218名無しさん@ピンキー:2008/04/07(月) 00:17:09 ID:1mnKdF7c
MHである必要が無くなってる気がするけど

投下するよー
219子どもの願い:2008/04/07(月) 00:18:13 ID:1mnKdF7c
 とある村の広場。太陽が柔らかく照らし、でも秋風は枯葉を運んでいる。
 一人の人影の背中を吾輩は追いかけた。右手を伸ばす。
 風を孕んで膨らむ肩ほどの金髪。質素な服。無駄な肉を削ぎ落とした身体。
 少しばかり記憶と形が違っても決して忘れるものか。あれは吾輩の全部である。
 万の想いは一つの言葉に。
「――お母さん!」
 呼ばれて振り向く人影。空色の瞳と鋭い顔つきの彼女は、疑問の表情を浮かべていた。
 柔らかい唇が言葉を紡ぐ。
「――――――――?」
 え?
 頭の中が真っ白になった。
 伸ばした手は指先から砕けて虚空に融ける。血が流れ出ることは無く、黒い断面が乾いた土塊みたいに崩壊。
 見えないナイフでガリガリ削られる。
 あ、あぁぁぁ、あぁあぁぁあぁぁ……。
 衝撃は波紋のように全身に広がり、冷たい物がほつれた処から身体を侵す。
 そんなのって、ないよ。

 堪らず跳ね起きた。下着が身体に張り付いて気色悪い。
 時刻は深夜。窓を木枯らしが叩いていた。鼓動と呼吸がちぐはぐなリズムを刻む。
 静かな吾輩の部屋に無様な荒い吐息が混ざる。
「……あぁ……、ぅ……」
 毛布を手繰り寄せて、膝を抱える。
 大丈夫だ。吾輩の身体はここにある。
 お母さん……と呟いて、今だ震える身体を慰めた。
220名無しさん@ピンキー:2008/04/07(月) 00:18:52 ID:1mnKdF7c
 晴れて吾輩とトラッドと二人がハンターとなり、吾輩が村から村への護衛依頼を果たしていた時のことであった。
 村真ん中の広場に車は止まる。ポポが大きなため息を吐いて白い湯気が口元に浮いた。内面を代弁『しんどいわぁ〜』
 よしよしと頭を撫でると、気持ち良さげに小さな瞳を細めた。
 村人が集まってきて、広場が賑わい出す。
 ポポ車から積荷が降ろされ、それぞれの荷物を運搬屋が運ぶのであるが、中には待ちきれず受け取りに来る村人もくる。
 ぼんやりと人の流れを見ていると、冷たい風に紛れて柔らかな音が聞こえてきた。笛の音だ。耳に慣れた、大切な調べ。
 子守唄にした旋律であった。
 一日の始まりを告げる曲でもあった。
 曲の穏やかな雰囲気とは逆に、弛んでいた意識の糸が一気に引き絞られる。
 音源は真後ろだと判断するより前に、音を求めて辺りを見回した。
 いない。
 疎らな人々の中にはいない。
 いない。
 車体の後ろに回りこむ。誰かにぶつかったけれど謝りもしないで走る。
 少し離れたところに子どもたちの人集りがあった。
 きゃいきゃいと笑顔で一人の大人を囲んでいた。
「ねーねー! もっと明るくして!」
 あれは、
 女の子の注文を受けて、曲調が変わる。
 長い指は独立した別の生き物のように動き、唇からは力強く鋭く息が吹き出される。
 金色の緩やかな流れの髪は吾輩の記憶より短くなり、閉じられた瞳の色は「これが空の色」と教えてくれたことを覚えている。
 鼓動が知らずのうちに駆け足になる。
 むねが苦しい。
 ああ、あしがもつれる。これだから二足歩行は。
 前のめりになったからだをむりやり蹴飛ばして前へなげだす。
 たくさんのひとみが吾輩をみつめる。知ったことか。
 両手を伸ばしてお腹に飛び込み抱きしめた。ふわっと、いい匂いに包まれる。
 つっかえるその言葉を吐き出した。
「おかあさん……」
 顔をそのまま押し付ける。
 経こんだ腹は少し弱めに押し返してきて、夢ではないと教えてくれる。
 本物である。
 ぐいぐいと顔をこすり付けていると、両の腕を彷徨わせる様子が身体を伝って見えてくる。
 母は戸惑っているようだった。
 なんだかおかしいのである。
 名残惜しさを堪えつつ、顔をお腹から引き剥がして見上げる。
「……お母さん?」
 母は眉間に皺を寄せ、口を開けたり閉じたりしている。苦しそうに搾り出される言葉。
「ええと、貴女、だれ?」
 心臓を射抜かれた。が、すぐに持ち直す。吾輩は今は人の身体だ。母が気付かなくとも無理はない。説明すればきっと判ってくれるとも。
 そうでなければ悲しすぎる。
「うーと、ええと。あの、コッチの方に……」
 袖を引っ張って歩き出す。子どもたちはよく分かっていないのか膨れっ面になっていたり、別の遊びを始めたりしていた。
「少し待て……わたしは既婚だったのか?」
 逸る心を抑えて、人気のないところへ行こうとした時だ。
 空色の瞳がゆらゆら揺れている。母らしくない仕草。まるで迷子のような様子だ。
 いったい何を言っているのであろうか。
 違うと言うため、息を吸う。
「ナナシ?」
 遮られた。
 控えめな男性の声。ゆっくり怪訝そうな顔で歩いて来るのは黒狼鳥の防具で身を固めたハンターだった。独自に改造しているのか、吾輩がまだ見ぬ素材で各部を補強している。
 剥き出しの童顔は不安そうな色で彩られていて、背中の銃槍が耳障りな金属の擦れ合う音を立てた。
「知ってる人が来たって? おめでとう」
 そう笑いながら困った顔で祝福する。嬉しさと寂しさをブレンドしたような笑顔だ。
「ジノ……どうしよう」
 母の困惑した表情に少しの安堵が混じる。
 二人の間で空気が弛緩。ありていに言うなら『ほっとした』
 お? おおお?
 なんだか、おかしいのであるよ。
221子どもの願い:2008/04/07(月) 00:19:59 ID:1mnKdF7c
 数日後。吾輩と叔父貴どのはテーブルに突っ伏していた。
 家の中でも冬の匂いが日々増していくが、この部屋は暖炉が暖かく照らしている。薪が爆ぜて、火の粉が飛沫いた。
 台上に頬をくっつけた吾輩から、るー、と流れ出た涙が水溜りを作っている。人生とは、ままならない物である。
「なんてこった……」
 おでこを机にくっつけた叔父貴どのが呻く。意気消沈。絶望崖っぷち。そんな言葉が思い浮かぶ。
「砂糖を吐くかと思ったのであるよ……」
 ドロドロの甘さに浸かった脳を酷使して思い出す。
 吾輩はあの後にトイジノ・ユーゴ氏の家へ招かれた。そこでナナシと呼ばれた母と、ジノと呼ばれるユーゴ氏が、
「うっぷぅ……」
 イチャイチャイチャイチャイチャイチャイチャイチャイチャイチャイチャイチャイチャイチャイチャと、
まるで恋愛小説に出てくる学童二人と言った様子で、付かず離れず甘酸っぱい毒を撒き散らしてくれたのだ。
 出現した桃色の空気に当てられ、吾輩の精神は重大なダメージを負った。しばらくは砂糖菓子も見れなかった位である。
 問題はそこではなく。
「記憶喪失……ねぇ」
 叔父貴どのが呟く。
 そう、母は記憶を失っていた。
 吾輩に対して問いかけたのはそういう理由だったらしい。自身の過去の重みを知るために。長さを知るために。
 ユーゴ氏が古塔を訪れたとき、その根元、崩れた外壁の小山から腕が生えていたらしい。
 瓦礫を掘ると壊れた鎧に包まれた女性、気絶している母がいたと言う。
 相当高い位置から落ちたようで、遠くの壁に針で刺したような穴が見えたそうだ。
 慌てて村まで持ち帰り看病すること三日三晩。
 目覚めた母は名前と思い出を落としてきたらしい。
 着けていた鎧は汎用品。武器は無惨に粉々に。手掛かりが見つからないまま数ヶ月を過ごし、吾輩が発見した、となる。
 首を捻ったまま視線を下へ、ぼんやり後ろを眺める。目には何も映ってはいないが。
「うー……」
 呻く。
 母の回答は、「貴女が信用できるか判らない」という物。今だ離れた村のユーゴ氏の家にご厄介になっている。
 おいおい、それは酷いのであるよ。吾輩が望むなら、絶対叶えるって言ったのに。
 言ったのに。
「どうするかなぁ……」
 繊細な乙女心の判らない、無粋な男の声。
 呪いを込めて見上げると、口調よりも遥かに落ち込んで見える叔父貴どの。オデコはテーブルから離れず、表情は窺えない。
「……吾輩、もう一回行ってみようと思うのであるよ?」
 伏せた犬のように顎をくっつけて叔父貴どのに、伝える。折角見つけたのだ。このまま諦められようものか。
 風が窓を叩く。いつもよりも大きく聞こえた。
 しばらく無音が続いて、吾輩がまどろんでくる。暖炉から聞こえてくる音が心地よくて瞳を閉じる。
 いかんな、と思い、欠伸をしていると、
「よしっ!」
 テーブルの上に両拳を叩きつける叔父貴どの。テーブルが跳ねた。
「俺も行って姉さんと話そう。 荷物まとめないと…………ミズチ?」
 おいおいいったいどうしたんだ? という視線を旋毛に感じる。
 吾輩は震える身体をテーブルに押し付けるので精一杯であった。
「……ッ………〜〜〜〜っ………っ…………!」
 口を半開きにして涙を堪える。
 すごく、 舌、かんだ。
 いひゃいのへあぅ。
222子どもの願い:2008/04/07(月) 00:21:16 ID:1mnKdF7c
「けっこうショックだ……」
「である……」
 いつもと違うテーブルに、先日と同じように二人で倒れこむ。
 再び吾輩はユーゴ氏のお宅を訪れた。
 今度は叔父貴どのも一緒であった。もしかしたら何か思い出すかもしれない、と言う期待はあった。
 しかし、数時間に及ぶ話し合いの結果は
『ごめんなさい』
 何も思い出せないという悔やむような返答。
 それでいながら、申し訳なさそうに瞳を伏せて下唇を噛む姿は記憶の中の母そのものであり、吾輩の中の思い出を呼び起こすには充分すぎた。
 叔父貴どのも何かしら感ずるところがあったのであろう。口惜しそうに拳を握り、また来ると告げ、今日のところは宿屋の借りた一室に引き上げたのである。
「こうさー……なんかもっと取っ掛かり見たいのあるだろー……」
 張りを無くした声。
「ていうかユーゴ氏、邪魔であるよ」
 知らずのうちに口調が不機嫌になった。あの男がいるせいでぷらいべぇとな話が出来ないのだ。何度卵の時に拾ってもらったと言いかけたことか。
 しかしながら母は隣に座るユーゴ氏の服の袖を握り締めていて、決して離そうとはしない。吾輩の中の精悍なイメージが崩れるから勘弁して欲しいと思うが蛇足か。
 重度の依存症である。母も吾輩も叔父貴どのも。
「叔父貴どの……」
 ん? とこちらに顔を上げる叔父貴どの。艶めくような縋るような瞳で見つめて、視線が絡む。震える唇で伝える。
 ――どうにかせよ。
「うわー!? チョー傲慢――――ッ!?」
「だってだってだってー! どうしらたいいか皆目検討もつかないのであるよー!」
「俺だって知るかバカチンがー!」
 二人涙目でテーブルをドンドン。立ち上がった拍子に椅子がバタバタ。地団太踏んで床がドスドス。悲鳴がピーピー。暖炉パチパチ。
 しばらく喧嘩をしていると、
 扉が勢い良く押し開けられた。壁と一緒に快音を立てる。
 廊下のひんやりした空気が滑り込む。視認出来ない速度で侵入する影。真っ直ぐ吾輩たちのいるこちらへ接近。
 床を小気味良くタップタップタップ! 微かに捉えた白フリル。思わず息を呑みそうになり口を開ける。
 遅かった。
 影から何かが伸びて叔父貴どのに伸びる。狙いは? ――頭だ。危ないと叫ぶ頃には打撃音が室内の空気を張りのあるものに塗り替えていた。
 力を無くして前のめりに倒れる体。その向こうに見える正体不明の脅威。
 緊張の糸が張り廻った貸し部屋でナニカが吾輩に伸びる。背を逸らし鼻先を掠める。引き戻す瞬間に捉えたのは見慣れたシルエット。
 ――麺棒だ。木目の柔らかげな、使い込まれた一品。
 え? なんで麺棒が……?
 意識の間隙を突いて、第二撃が側頭部を打撃。音が消えた。そうとも腕は二本あるのだ。眼球と脳が不規則に振動。
 質素な木天井と日焼けした白壁紙が揺れる。
 叔父貴どのが床に倒れこんだ。やけにゆったりと見えた。
 肺から抜けた空気が声帯を揺らして、あ、の音が漏れ出す。
 狭まった視界に映るのはボリュームのあるパーマの髪。丸い熟したボディ。膝が砕けて床に崩れる。
 仰向けと横向きの中間で倒れた吾輩に迫るおば様。一歩、空気を押し割り、二歩、床が軋んで、三歩――!

 二人とも正座させられて、静かにしなさいと怒られました。
 足が痺れたのである。


 雨の日も雪の日も風の強い日も根気良く通い続けた。
 ぶっちゃけ路銀が危ないのである。
 最近の食事が質素になっているのは気のせいではないと思うのである。
 枯れ葉混じりの風が一際強く吹いて、軽く咳き込んだ。
「風邪か?」
 叔父貴どのが額に手の平を当ててくる。皮の厚い職人の手であった。
「……大丈夫であるよ」
 微笑んでみせる。母を取り戻すまではおちおち倒れてもいられないのだ。
 でも、と言いかける叔父貴どのの背中を押してユーゴ氏宅へ道を進む。
 口元を隠してもう一度小さく咳き込んだ。
 手の平をじっと眺めて、赤く滲んだ唇を気付かれないように拭った。
223子どもの願い:2008/04/07(月) 00:22:17 ID:1mnKdF7c
 ユーゴ氏のお宅一室で吾輩とユーゴ氏は向かい合っていた。
 会話は無い。吾輩の眉が険しくなっているのは身体が少しだるいからである。他に理由など無い。
「は、ははは……飲む?」
 困り眉で笑いながらお茶を勧めてくるユーゴ氏。
「……むぅ」
 少し悩んでしぶしぶ受け取り、そのままテーブルの上に置く。
 食器がぶつかり合ってガラス質の音を立てた。仔犬のように身を震わす童顔。
 ……なんだか見てると腹が立ってくるのである。
 垂れ気味の目だとか、緩みっぱなしの頬だとか、勢いのない声だとかが、あ、ゴメンいらないんだねゴメンね?という台詞とかの気弱な仕草が神経を撫で上げるのである。
 なんでこんな奴に、と思っていると隣の部屋からの扉が開いて、叔父貴どのが飛び出してきた。
「うぉぉオおおオォォおおおおぉォおオおおおおおぉお!!」
 心の奥底から溢れて止まらない慟哭だった。声が頭を殴りつける。頭痛が増した。
 流れ出る涙を拭いもせず玄関から走り去る叔父貴どの。
「ミ、ミスミさん!?」
「…………散ったのであるな」
 溜息を吐いた。
 最後の手段。昔懐かし恥ずかしい思い出も玉砕したようであった。いつもなら慰めに行く心優しい吾輩であるが、今回は話が違う。
 ダメだったら吾輩と母が二人っきりで話し合う予定だ。
 喉が鳴る。唾を飲もうとしたが出なかった。喉が乾いてしょうがない。こんなことになるなら意地を張らず、飲んでおけば良かった。
 後悔してももう遅い。椅子が軋む声を背中を押す気持ちに変えて、一歩一歩開きっぱなしの扉に近付く。
 足が重い。早く行きたいのに。話したいのに。
 扉を盾にして、中をこっそり窺い見る。
 質素な部屋であった。ベッドの他は床に一つ横笛が転がっているだけの何もない部屋である。
 寝具に腰掛けている母すらも置物に見えてくるから不思議である。
 部屋の中の金髪さんは口元を手の平で隠すようにして、視線を右下へ向けていた。
 頬がほんのり赤らんでいて、眉が怒りの形と困惑の八の字に、苦悩の互い違いに回るように変わっている。
「あのー……」
 入ってもいいのであるか? と聞こうとすると、
「え……? あ、ああ。 ……こちらへおいで」
 今気付いたという感じで慌てて自分の左側を叩く。ベッドに座れと言うことらしい。
 では、と失礼した。尻の下で寝具が軋む。
 開いた空間が気になって、ぺたりとくっつく。
 右の傍らにいる人の温もりがやけに遠い。
 しばらく、無言のままで時間が流れた。
「ミズチ……ちゃん?」
 か細い声。低めの音が心地よい。ん、と頷く。
「わたしは、申し訳ないが、……思い出せない」
 胸を奥のひび割れたところがジクリと痛む。
 うん、と頷く。
「あのね……笛を吹いて欲しいのであるよ」
 最初から用意していた台詞を出す。上手く行くだろうか?
 いいよ、と母は笛を拾って奏で始めた。
 流れ出したのは心が澄むような優しい曲である。
 指に動きが染み付いているのか、幾度も幾度も繰り返した調べが母の周りで螺旋を描いて解けていく。
 唇がキスをするときみたいに突き出されていて、ほんのり濡れていた。
 目を奪われていると、曲は少しだけ溜めるような、勢いの落ちるパートに差し掛かった。
 曲はそこで途切れる。母が唇を放したのだ。
「わたしの楽譜はこれよりどうも進まないんだ」
 と、苦笑いするのが雰囲気で伝わってきた。背筋に鼠が走り回る感じ。吾輩は俯いたままである。
224子どもの願い:2008/04/07(月) 00:23:22 ID:1mnKdF7c
「お母さんは、……ユーゴ氏が好きであるか?」
 小声で呟いた。
「うん」
 と思わず零れた力強い返事。鼻の奥がツンとなった。
「……たまには帰ってきて欲しいのであるよ」
 息を呑む音が聞こえた。数拍置いて、深い溜息。
「わたしの記憶が戻ったらジノはきっと離れようとするから」
 わたしは、そんなに、可愛い女じゃない。と俯く。
「ユーゴ氏も、きっとお母さんのことを好いているのであるよ?」
 好きな男のために悩む女が可愛くないわけ無いのである。
 ああ。
「……怖いんだ。今まで黙ってた分、すごく重い」
「ずっと隠してはいられないのであるよ?」
「……いつから気付いてたんだ?」
 ああ、やはり。
 そう、母の記憶はとうの昔に戻っていたのだ。
「いくら身体が覚えていると言っても限度があるのである」
 確信したのはついさっきである。
 身体が覚えるのは脊髄反射までで、一分たりとも間違わずに曲を奏でるなんて出来ないのだ。
 あの男は記憶が戻ってなお、母に一緒にいたいと思わせたのだ。吾輩は母の帰る場所に成れなかった。
 頭の奥で音が何度も反響する。
 そっか、と隣の人が肩から力を抜いた。
「身体は小さくなったけど、大きくなった」
 頭に手の平が乗せられる。肩が思わず跳ねる。
「本当に大きくなった」
 撫でる手から暖かさが染みてくる。頭痛がほんの少しだけ和らいだ気がした。
「吾輩のこと、聞かないのであるか?」
「うん」
「……たまには帰ってきて欲しいのであるよ」
「うん」
「もっと、たくさん教えて、……甘えさせて欲しいのであるよ」
「うん」
「うん、うんって、大キライである」
「うん」
「あんな奴と、別れて、欲しいの、であ、る」
「ゴメンね」
 親の幸せを願わない子供なんているであろうか。頭に血が昇ってきて、代わりに目から水が出てきた。口に入ってちょっとしょっぱい。
 そうとも。答えなんてわかっていた。帰ろうと思えばいつだって帰れたのだから。
 それでも伝えずにいられなかった。
「……全部吐き出しちゃえ」
 甘く頭を侵す言葉。それをきっかけに思いが氾濫する。卑怯者だ。そんな卑怯者大キライだ。
 手を乗せたまま頭を引き寄せられる。
 どこにも行かないで、みんな一緒に暮らそうと言おうとした。
「……あ」
 喉を昇ってきたのは赤い液体。口から吐き出した。鉄錆びの匂いが部屋に篭もる。
 ああ、はしたない。母の前でみっともないのである。
 頭が重くて、身体が重くて、心が重くて、世界が暗い。
 終わりが近い。
 母の元に通い始めてから、日に日に身体が壊れていった。
 赤い水溜りに顔から崩れ落ちて首が横を向く。薄暗がりの中で母の唇が良く見えた。
 音が遠い。怖い顔をしているのである。ちょっとだけ、面白い。
「…………………………!」

        なまえを
 ねぇ
                よんで?
225名無しさん@ピンキー:2008/04/07(月) 00:24:04 ID:1mnKdF7c
ここまで。NGはなし。
226名無しさん@ピンキー:2008/04/07(月) 00:37:51 ID:+iPoPU32
なんというか、GJのレスすら無粋に感じるようなものすごい読後感だ……

ナズチの人は相変わらずグイグイ引き込んでくれるなぁ。
続きを期待してお待ち申しております。
227名無しさん@ピンキー:2008/04/07(月) 01:11:18 ID:la/+vy/n
これはまた……なんとも素晴らしく書けるもんだ、うらやましいっすよ

この続きは心して待たせていただきます
228名無しさん@ピンキー:2008/04/07(月) 02:27:13 ID:HUBIfOlW
>>217の竜同士が気になる・・・誰か知らない?
229名無しさん@ピンキー:2008/04/07(月) 05:55:54 ID:s8GoVcJq
>>216
いつもお疲れ様です。ありがとう。

>>225
なんか思わず息をのむ展開というか。
うっかりこっちまで切なくなった。
230名無しさん@ピンキー:2008/04/07(月) 11:40:46 ID:yc3zG1DN
誰も悪くない…分かってるけど、ミズチおかんを殴りたくなったわ。
しかしGJ!
231名無しさん@ピンキー:2008/04/07(月) 21:37:03 ID:la/+vy/n
>>230
確かに、少しだけ暗い思考になる
232孤独を知らない男:2008/04/07(月) 22:55:10 ID:DHq/DePn
>>216さんお疲れさまです。
 
えー、今回は少し間隔が開きましたがクオリティは相変わらず。
やや捏造設定あり。何人か人が死ぬのでそこんとこ御注意。
非エロですのでそこんとこも御注意。
 
それでは『孤独を知らない男』十二話、投下致します。
233孤独を知らない男:2008/04/07(月) 22:57:50 ID:DHq/DePn
「…と、いうわけで飛竜種と鳥竜種の具体的な差異は以上の通り。
 分かったか? 分かったら返事。」
「はーい」
「うむ」
 
居間に即席の勉強机が用意されてあり、そこにディアとトネスが並んで座っている。
そして黒板の前で教鞭を振るうは、この家の主ことジェロス・ゴズだ。
黒板に書かれた要点を教鞭で指し示しつつ、二人に授業している。
 
「うむ、よろしい。
 まとめると、鳥竜種は飛竜種よりも飛行能力や機動能力に優れており、
 繁殖能力が高い反面、個々の戦闘能力は飛竜種よりも低い。
 つまり戦闘能力というよりは、種としての存続能力に長けている。
 戦闘に勝利することが、必ずしも種の繁栄には繋がらないということだろう。」
「はい。」
 
ディアが手を上げて「質問したいな」という意図を示す。
ジェロスは教鞭を畳みながら、「なんだ」、と訊ねた。
 
「戦いに勝たなければ生き残れないのではないか?」
 
少し不満げな口調であった。
──ディアがこの家に来てから、既に六日が経過していた。
一日目と二日目はあんまりこの家のことに関わろうとしなかったディアだったが、
ジェロスの毎日12時間にも及ぶ鍛練と、トネスに対する講義を何度も見る内に、
より強くなろうとする角竜の本能がうずうずと騒ぎ始めたらしい。
家事などはまだからっきしだし、それは本人もやろうとしないが、
いつの間にかディアはなし崩し的に鍛練や講義に参加するようになっていった。
もちろんそれを狙って、ジェロスはわざと鍛練や講義をディアの目の前でやった訳だが。
本人はこの現状に不満や疑問などはないようで、至って普通の様子でジェロス達との生活を過ごしていた。
 
「そうだ。確かに生物同士の戦いでは強い方が勝つ。
 しかし大自然の中で種を存続させるとなれば、事はそう単純なものではない。
 大自然でどのような変動があろうと、生き延びる事の出来る能力が肝心なのだ。
 例えば、角竜の身に降り掛かる災難は戦闘だけではないだろう?
 餌が少なかったり、旱魃が起きたり、病気が流行したりもする。
 そういった不測の事態をいかに乗り越えるか。そういった能力は戦いから得られるものではない。
 確かに飛竜種と鳥竜種が戦えば飛竜種が勝つだろうが、大自然が両者に襲い掛かった時、
 より多く生き残るのは恐らく鳥竜種の方だろう。
 繁殖力と適応力の高い彼らは『自然に対して強い』のだからな。」
 
ディアはきらきらと目を輝かせながら「なるほど」と頷いた。
講義をしていると、彼女はたまにこういう素直な反応を見せる。
その反応が、彼女の知能の高さをしっかりと証明しているようでとても面白い。
トネスの方も、感心したようにしきりに頷いていた。
どちらも素敵な反応をしてくれるな、と思いながらジェロスは講義を続ける。
 
「とは言え、ちょっとやそっとの変動じゃ飛竜達もびくともしない。
 なので近年に於いては、鳥竜種から飛竜種に変化する生物まで現れている。
 現状では鳥竜種でいる意味があまりないためだろうな。
 そういった例はゲリョス亜種やイャンガルルガに見られる。」
 
ディアはジェロスが想像していた以上に純粋であるようだった。
純粋に強さを追い求め、純粋に様々なことに関心を持った。
時折、角竜独特のプライドの高さがそれを邪魔する時もあるようだが…
講義を受け、鍛練を積んでいる時のディアはとても一生懸命である。
たまにトネスを見下したような態度や発言をすることもあるが、
そういう時もジェロスにたしなめられると、しゅんと小さくなるようにして退いてしまう。
トネス本人は、最近ではそんな様子を寧ろ微笑ましく思っていた。
ここ数日、生活を共にして、ディアが無害であることを信じ始めているのだ。
234孤独を知らない男:2008/04/07(月) 22:59:27 ID:DHq/DePn
 
「そのことを踏まえて、まずはイャンクック討伐について話す。
 イャンクックは鳥竜種の中でも大型に位置する上に、攻撃パターンが非常に飛竜に似ている。
 火球を吐き、翼で飛び、突進をし、尻尾を振るう。
 なので飛竜の前にイャンクックと戦っておくと非常にやりやすい。
 飛竜の動きをある程度予習できるためだ。
 イャンクック攻略は、即ち飛竜攻略の大本であると思え。」
「はーい」
「うむ」
 
と、これからが本番だと言う時に、玄関の方からノックが響いた。
重く響くその音は来客を報せるものだ。
ジェロスは教鞭を置き、腰のナイフをすぐ抜けるよう、柄に右手を添える。
一体何を仕掛けて来るか分からぬ暗殺者を警戒するためだ。
トネスも周囲をキョロキョロと見回しはじめるが、ディアはきょとんとしている。
ジェロスは警戒を怠らぬようにしながら、玄関の方へ歩いていった。
 
「…誰だ?」
 
前方のみならず、全方位に対して注意しながらジェロスは来客を確かめようとした。
一箇所に注意を集めさせておいてから、他の人員が別の場所から侵入し、
虚を突いて一気に制圧するのは暗殺の常套手段だからだ。
 
「手紙ニャー」
 
が、今回の来客者は暗殺者ではないようだった。
ドアの向こうから、この村の些事一般を任されているアイルーの声が響いてきた。
暗殺者は、アイルーやメラルーを直接暗殺に関わらせることはない。
彼らは口が軽いし、ギルドの権力が及ばない独自のネットワークを持っている。
なので猫族の間で一度流れた噂は止めることが出来ず、
悪い噂や陰のある噂などはあっという間に広まり、ギルドの権威に傷が付く。
権力組織としては、何があろうとそれは避けたいところだ。
 
「ああ、ご苦労さん。」
 
ジェロスは幾分か緊張を緩め、ドアを開いた。
その先にいたのは、手紙を掲げるように差し出す白いアイルー。
ジェロスはそれを受け取ると、懐から金貨を一枚弾き飛ばしてドアを閉めた。
手紙を届けてくれたネコはその金貨を追って何処かへと走っていく。
 
受け取った封筒を光りにかざして中身を確認するが、どうやら本当に手紙のようだ。
次に、差出人の名前を見る。
 
「………」
 
差出人の名前を見て、ジェロスはちらりと一瞬だけ居間の方に視線を移した。
睨むように顔をしかめ、暫しその名を見つめる。
差出人の欄にあった名前はゴーラス・グランデ──パーシェルの兄だった。
 
235孤独を知らない男:2008/04/07(月) 23:00:41 ID:DHq/DePn
例の事件のあと、ジェロスは情報屋を使ってグランデ一族の事を少しだけ調べてみた。
ゴズ家と同じく、本家はこの村にあるが、ハンター家系ではない。
奇しくも現当主(パーシェルの父親だが)とその息子達は全員ハンターとなったが、
農夫、漁師、建築家、土木屋、ギルド職員など多様な職業の人間が親戚にいる。
その中でもパーシェルは一族の鼻つまみ者であり、親族の多くからは嫌われていた。
金は盗むわ、従兄弟に手は出すわ、叔父の妻に手を出したこともあった。
だから父親と同じ村にハンターとして縛り付け、自分達に殆ど迷惑がかからないようにした。
他の親族や兄弟達は殆どがドンドルマや他の村にいるのだ。
この村に本家がある、と言っても常駐しているのは当主だけなのだ。
そして、問題児パーシェルの兄ゴーラス。
ジェロスはグランデ一族の経歴も大体調べていた。
唯一祖父の経歴だけがまったく掴めなかったそうだが…
 
ゴーラスは、ドンドルマで活動している現役ハンター。
歳は25。妻子や恋人は無し。品行方正で勤勉であり、パーシェルとは真逆のタイプ。
優しくて誰からも好かれるような男だったからこそ、パーシェルとの繋がりも他の連中に比べて深かった。
 
「どうしたの?」
 
トネスが心配して居間の方からやってきた。
ジェロスは素早く、且つ不自然な動きに見えないように、手紙をポケットに押し込んだ。
態度には一切表さないが、あの事件はまだ辛い記憶として残っているはずである。
彼はそれを考え、可能な限りグランデ一族の事は黙っていることにした。
 
「…講義の続きは明日だ。ディアの稽古の相手をしてやれ。」
 
だが、彼は戦闘以外の場面に於いての人間の心理を殆ど知らなかった。
うまい言い訳やはぐらかしもせず、幾分か突き放すようにそう告げると、
彼はさっさと寝室に向かって行ってしまった。
トネスが何か言いたげだったが、そんな暇すら与えられなかったし、
有無を言わさぬ彼の性格は、また彼女自身が一番よく知っていた。
 
「………」
 
トネスは心配そうにジェロスの後ろ姿を見送るしかなかった。
彼女を気遣ったはずのジェロスの行動は、逆に大きな心配を彼女に与えることにしかならなかった。
明らかに不審な彼の行動に、彼女の悪い想像力ばかりが掻き立てられる。
ディアは不思議そうに、ぱちくりとジェロスとトネスに交互に視線を送るだけだ。
ディアはまだ、この家の複雑な事情を知らない。
 
「…ばか…」
 
トネスは俯いてそう呟くと、身を翻して外に出て行った。
その時の彼女の表情はとても悲しげであった。
ジェロスが彼女に心配をかけたくないと思ったのと同じように、
彼女もまた、蚊屋の外で心配ばかりはしたくないと思っていた。
 
哀れなディアが更に目を丸くし、取り敢えずジェロスの方を追うことにした。
 
236孤独を知らない男:2008/04/07(月) 23:02:06 ID:DHq/DePn
 
この度、パーシェル・グランデの兄として貴殿への御連絡が遅れたこと、真に申し訳なく思っております。
ハンターという職業柄、文の一つも綴る暇のない生活が続いたため、
これほどまでに連絡が遅れてしまいました。
その由、一先ず御理解を賜りたく存じます。
パーシェルの犯した罪については、父の文より聞き及びました。
人々を守ることを生業とするハンターが人道を踏み外し、人々を害する罪は赦し難く、
それが実弟の手により行われたとなれば、慙愧に耐えません。
そして被害に遇われた方と関係者の方々が負った心の傷の事を考えると、
大きな罪悪感と、本当に申し訳ないという気持ちでいっぱいになります。
弟の犯した罪を赦せなどとは、もとより申すつもりはございません。
弟はこのような死に方をして当然の人物でしたし、被害者の存在を思えば、ただただ謝罪するしかございません。
本当に申し訳ございませんでした。
最早私に残された道は、この事件の事を、弟を止められなかった私の責任として、
その罪を一挙に背負うしかないと考えております。
それは一生を賭して購い続けるべき罪であるでしょう。
 
そこで是非とも、貴殿に直接お詫びを申し述べたいと思います。
この文が到着する頃には、私はこの村のはずれ──ギルドの貸小屋──に到着していると思いますので、
今夜、どうか貸小屋へとご足労を願います。
傲慢であり偽善であると罵られることを覚悟の上で、慎んでお願い申し上げます。
 
彼に送った手紙に、私はそう書いた。
そして今、私は貸小屋の中を彷徨っている。
日は既にとっぷりと暮れており、明かりと言えば壁にある燭台の火のみ。
その頼り無い火の下で、私は右に左にうろついている。
心中の不安を掻き消すように。精神の彷徨だ。
 
パーシェルは、兄という立場から見ても最低の人間だった。
高慢で、喧嘩っ早く、いつも他人を見下し、美人と見れば見境なく誘惑して、時には強姦まで強行していた。
一族から絶縁同然の処分を受けたのも、その色情のためだ。
あろうことか、結婚寸前の従妹を強姦して妊娠までさせてしまったのだ。
もちろん従妹の結婚は破談となり、そのショックと、孕んだ子への恐怖と嫌悪から彼女はノイローゼに陥り、
ある日、非合法の堕胎薬を大量に飲んで二度と子が産めない体となってしまった。
従妹の肉親を始めとした親戚一同は、当たり前のように烈火のごとく怒り狂い、
パーシェルの死をなんら憚ることなく私達に求めた。
それを私達兄弟と父が必死の説得を繰り返し、二度と親戚の者に近付かせないという条件で、
なんとか、パーシェルの命を助けてもらい、この村に隔離するような形で押し込んだ。
それでも弟の素行は一切改善しなかったが、それに関して、私達はもう諦めていた。
犯罪さえ犯させぬように監視していれば、それでいい。そう思っていた。
 
だが、そんな認識だからこそあの事件が起きたのだろう。
その報せを父の文で知った時、私は深い失望と衝撃のため暫く動けなかった。
己の命が危機に瀕するところまでいったのに、何故学ばないのか。何故懲りないのか。
失望の内容はだいたいそんなところ。
衝撃の方は、パーシェルが死んだことに対するものだった。
 
確かに、パーシェルは最低の人間だった。
でも死ぬことはなかった。
だからこそ私達は、顔に泥を塗りながらも弟の命を救ったと言うのに、
腐っても私の弟であった人間が、殺されてしまったのだ。
自業自得だし、いつかこんな死に方をするだろうとは、心の片隅で思っていたことだったが、
だからと言って感情が完全に割り切れるわけではなかった。
兄弟を失った衝撃はそのまま、私の中で深い悲しみとなったのだ。
 
だから、私は手紙を書いたのだ。
ゴズ家のことは知っていたが、私なりの決着をきっちりつけるために。
 
237孤独を知らない男:2008/04/07(月) 23:04:24 ID:DHq/DePn
貸小屋の扉が少し乱暴にノックされた。
私は足を止め、思わず息を飲んで扉の方を見つめる。
いよいよだ。
 
「どうぞ。」
 
抑えようとはしたが、私の声は幾分か震えていた。
扉が開き、その先から黒い人影がぬっと現れる。
黒い闇の中から睨み付けるように光る二つの眼は、まるでモンスターのようだった。
限り無く黒に近い赤茶色のローブは暗闇に溶け込み、その眼光も相まって、暗殺者のような雰囲気を演出している。
これが──ゴズ家の現当主、ゼロス・ゴズ。
 
「ゴーラス・グランデだな?」
 
重々しい言葉が闇に響いた。
低く重いその声には、私より3つ歳上なだけの人間とは思えないほどの風格があり、
これまでの彼の人生の凄まじさを物語っているようだった。
私は高鳴る心臓の鼓動を抑え、動揺を表さないように、彼に対して頭を下げた。
そうせねば、私の表情だけでバレてしまいそうな気がしたのだ。
 
「今更謝罪とは、どういうわけだ?」
 
頭を下げている間に、必死に顔を取り繕う。
ハンターとしての集中力を発揮させ、冷静さを完全に取り戻した頃に、
私はゆっくりと頭を上げて彼の眼を真直ぐ見据えた。
 
「遅れたことに関しても、ここで謝罪いたします。
 多忙であったとはいえ、これほどまでに遅くなってしまったのは私の不徳のなすところ。
 事件の責任とともに、深く陳謝致します。」
 
彼がゆっくりと近付いてくる。
燭台の火が揺らめくと共に彼の影まで揺らめき、
非常に大きな動作で近付いてくるような錯覚を覚えた。
まるで、接近してくる、死という概念そのものを見ているようだ。
緊張の度合いが更に増してくる。最早少しの息苦しさすら感じた。
 
「お前は誠実な男のはずだろう。」
 
手を伸ばせば届くような至近距離で、彼は足を止めた。
鋭く光る眼には、こちらの心を見透かしているような力強さがあり、
私はもう、気後れしないようにするだけで精一杯だった。
 
238孤独を知らない男:2008/04/07(月) 23:05:54 ID:DHq/DePn
「言え。暗殺者どもは何を狙っている。」
 
くわっと私の目が大きく開いたのが、自分で分かった。
頭を下げていた時から左手を添えていたナイフを抜き、彼に突きかかる。
その直後、私は後悔することになる。何故私は彼と戦おうと思ったのだろう?
対人戦術を知らない私が、暗殺者との戦いを連綿と続けて来たゴズ一族に勝てるはずがないのに。
私の繰り出した左腕に、彼の両腕が蛇の如く巻き付いたと思った瞬間、
私は既にうつ伏せで床に押し付けられていた。
 
「がッ…!」
 
左肩に激痛が走る。関節を抜かれたらしい。
額に脂汗が滲み出るのと同時に、私は顔をしかめた。
 
「ヤツらがお前を利用することを思い付いたとして…目的はなんだ。
 なんのために、俺をこんなところに呼び出した。」
 
流石だ。
私は咄嗟にそう思った。
私は決着をつけるため、とあるコネを使って暗殺者に接近した。
そこで暗殺者が一計を案じ、それに従って手紙をゼロスに書き送ったわけだが。
やっぱり、あまりにも不自然な点が多過ぎたか。
 
「…ゴズ家の人間は、冷徹にして非情…
 現当主のゼロス・ゴズは特に………人間を見下している所すらある…」
 
苦し気に私は言葉を紡いでいく。
途切れ途切れに声を吐くのは、半分本気で半分嘘だ。
私の役目は時間を稼ぐこと。
あんまり露骨にやると、業を煮やされて手酷い拷問を受けるから、加減しないといけないが。
 
「……しかし…人質は効く…」
 
彼の表情は見えないが、背中越しに息を呑んだのが分かる。
目を見開き、驚いていることだろう。流石に拘束を緩めるほど甘くはないが。
 
「………クズどもが…
 いつからギルドの暗殺者は矜持を捨てた。」
 
忌々しげな彼の言葉を聞いた瞬間、私は後頭部に鈍い痛みを感じて気を失った。
核心を言うのが、少し早過ぎたか。
 
239孤独を知らない男:2008/04/07(月) 23:08:36 ID:DHq/DePn
 
ゴーラスに当て身を喰らわせてから、俺はとにかく走った。
素早く流れる風景に既視感を覚えるが、それを気にする余裕もない。
燃え滾るような怒りが溶岩のように湧いてくる。
お前達は考えることは同じか。所詮人間か。
お前達はどこまで堕落したというのだ。
いつから誇りも意地も捨て去った。
憎い。恥知らずめ。人間め。そんなに俺の命が大事か。そんなに主命が大事か。
まさしく憤怒。もう噴火寸前だ。
 
だが、無事でいてほしい──そんな想いが、まるで清水のように俺の怒りをギリギリで押さえ付けていた。
もう、俺ははっきりと自覚していた。
トネスを失いたくない。あいつが悲しめば俺も悲しい。
まるで子供だが、それ故に純粋な想いだった。
どうか無事でいてくれ。
怒りとはまた違った熱さが、足を更に速めさせる。
 
我が家に到着すると、壊れんばかりの勢いで戸を蹴り開けた。
ドアノブを掴み、捻る。その動作の時間すら今は惜しかった。
真直ぐ居間に向かって駆けるが、既に家中の明かりが消えている。
居間に入ってざっと周囲を見回しても、人影はなく、家主の帰りを迎える声もなかった。
──遅かったか。
 
「止まれ。」
 
俺が凝視しなかった闇の中から、聞いたことのない男の声が響いた。
同時に部屋の明かりがつき、その姿が露になる。
 
「…トネス。」
 
思わず、呆然としたように呟いた。
柱にトネスが縛り付けられている。
殴られたのか。右目の辺りを腫らし、潤んだ瞳で俺を見つめる。
半分意識がないような、濁った目であった。
そして、トネスの直ぐ傍には男が立っていた。
見覚えのないその男は抜刀していて、刃をトネスの首に向けていた。
 
「ぅ、あ…」
 
トネスが何かを言おうとするが、言葉になっていない。
混乱のためか、恐怖のためか。胸を締め付けるような光景だった。
俺の中で紅い炎が燃え上がるのを感じた。
 
「ゼロス・ゴズだな?
 動くなよ……我々の目的はお前の命のみ。
 従えばこいつに危害は加えない。」
 
トネスの傍に立つ暗殺者が、刃を更に彼女の首に近付けつつ告げた。
真直ぐ俺を睨んでいるのは緊張のためか用心のためか分からないが、従う他にない。
俺と暗殺者との距離は3mほど。遠過ぎる距離だ。
勝機もなく暴れれば、トネスの命はない。
 
240孤独を知らない男:2008/04/07(月) 23:10:47 ID:DHq/DePn
「武器を捨てろとは言わん…手を上げろ。武器を咄嗟に抜けないようにするんだ。」
 
だが、3mという距離は相手からしても微妙な距離だ。
狭い室内だからそれ以上距離を取れば、もし格闘となった時に壁が邪魔になる。
だから武器には絶対に触れさせないつもりだ。
武器を捨てるフリをして投擲でもされたら、反応し切れない。
達人の手による、3mという近距離でのナイフ投げは、正面からであっても目視はほぼ不可能。
だから相手としては、俺が武器に少しでも触れるようなことがあってはならない。
そしてその警戒の心理を知っているから、俺も従わざるを得ない。
ゆっくりと両手を高く上げていく……

背後で、僅かに揺らめく人の気配。
思った通り、暗殺者は2人か。
前回は1人を送って失敗したから、今度は2人。
なんともヤツらが考えそうなことだ。
 
「………」
 
トネスの首に刃を押しあてている刺客が、俺の背後に目配せをした。
どうやら俺の背後にいるヤツが止めを刺してくれるらしい。
俺の両手はもうすっかり上がってしまっている。暗器も持ち合わせていない。
腰にナイフは差しているが、抜けないのでは丸腰同然だ。
 
「──アイテムボックスの中は調べたのか?」
 
手を上げたまま、正面にいる刺客を睨み付けながら俺はそう始めた。
怪訝そうな、それでも目一杯警戒するような顔色を刺客が浮かべる。
いくら戦闘の技術や知識が豊富でも、これはどうかな?
 
「調べてないのか?」
「……なんのことだ?」
 
刺客は刃を更にトネスの首に押し付ける。
切っ先が僅かに彼女の首の皮膚を裂き、赤い珠のような血が滴る。
その光景に言いようのない怒りを覚えたが、ぐっと堪えなければならない。
勝機はすぐそこまで近付いているのだから。
 
「そうか…それはマズいな。
 実は暗殺者対策としての罠がこの家には張り巡らされていてな。
 居間の床に一定以上の重量が加わると、全体がほんの少しだけ沈み込むように出来ている。
 今、四人いるよな、この部屋に…確実に一定以上だ。」
 
背後から殺気が立ちこめる。煙という形で見えそうなほど、濃い殺気だった。
 
「その沈み込みを合図にしてな…
 アイテムボックスの上げ底に隠した、大タル爆弾Gが起爆する仕組みになっている。
 火竜のブレスよりも強力なヤツだ…早く止めないと家全体が吹っ飛ぶ。」
 
刺客の目が少しだけ開いたのが分かった。
ちゃきっと強調するように剣の角度を変えて、「でたらめだ」と怒鳴った。
アイテムボックスはヤツの右側4mの所にある。
この距離で上げ底に隠されているのなら、導火線の音も聞こえるはずはあるまい。
 
241孤独を知らない男:2008/04/07(月) 23:12:10 ID:DHq/DePn
「俺にとっちゃあ、でたらめかどうかなんてのはどうでもいい事だ。
 どうせお前達に殺されるんだからな…何百年も手こずったゴズの当主を討てるんだ。凄い手柄だな。」
 
そうだ。だからこそこいつらは生きて帰りたい。
俺に対して警戒を払うような素振りは見せていても、こいつらは勝利を確信している。
完全に俺の上を行ったと思っている。だから生きて帰りたい。
何百年も持ち越しにされて来た手柄を自分達のものにできるのだ。
ずっと影で生きて来た者にとって、それは空前絶後の巨大な魅力だ。
俺よりも、寧ろこいつらの方が今は死を恐れている。
それを再認識させて動揺が生まれれば有利だから、俺はこんな事を言ったのだ。
 
「死は怖いだろう?
 影の中で死ぬのは恐ろしいだろう?
 さあ、もう時間がないぞ…」
 
立場は逆転した。
刺客はちらちらとアイテムボックスの方に目が泳ぎ始め、
背後から漂う殺気にも、動揺の色が現れ始めた。
手負いで丸腰の状態でも、俺は2分程度なら確実に戦える自信がある。
ヤツらもそれを分かっているから、俺には迂闊に手が出せなくなった。
生きて帰りたい──ヤツらのその本能が俺を優勢へと押し上げる。
 
やがて、目の前の刺客が首をアイテムボックスの方に向けた。
その瞬間、全ては動き出す。
 
「今だ」
 
ドゴンッ!!
 
目の前の刺客の背後にある床が突如突き破られ、そこからランスを構えたディアが飛び出した。
暗殺者の気配を感じたのと同時に、床下に隠れたのだろう。
居間で姿が見えなかったのでもしやとは思ったが、流石は元角竜だ。
高速の突進は見事に刺客の背中を貫き、脇腹から先端を突き出させた。
まるで脇腹からタケノコが生えているようだな。
 
剣が振り下ろされる気配を後ろで感じるのと同時に、素早く振り向きつつ両手を高く掲げる。
その手で、振り下ろされる剣の握り手を暗殺者の両手ごと覆うように掴むと、
回転の勢いを利用して左手前側に引き込み、前につんのめったような姿勢にさせる。
そこから、伸び上がるような右膝を暗殺者の顎に叩き込んだ。
確実に顎の骨は粉砕したが、まだ終わらせない。
左手前側に引き込んだヤツの両腕を今度は捻り上げつつ、
体を更に回転させて、ヤツの両腕を自分の体に巻き付けるようにする。
その状態から右膝を少しだけ下ろしてヤツの両肘に添えると、逆方向に関節をへし折った。
ぼぎり、という関節の壊れる音が、確かな手応えを実感させてくれて、
痛みのあまり気絶したそいつを、俺は床に引き倒した。
 
「……ハッタリは、暗殺者養成のカリキュラムには入っていないようだな。」
 
泡を吹いて気絶している暗殺者の横顔を、屈み込んで見下ろす。
少し考えれば分かりそうなもんだがな。
同居人がいるのに、そんな危ない仕掛けをしておくはずがないだろう。
床が僅かに沈み込むのは、ただ単に古い家だからだ。
 
「大丈夫か?」
 
暗殺者の落とした剣を拾って首に突き刺し、止めを刺すと、俺は後ろを振り向いた。
そこには、柱に縛り付けられたトネス。
脇腹に大穴を空けられ、更に首があらぬ方向へ曲がっている刺客。
そして、その傍で倒れ伏しているディアの姿があった。
 
242孤独を知らない男:2008/04/07(月) 23:13:28 ID:DHq/DePn
「!」
 
俺はナイフをトネスの方へ投げながら、ディアの方へ向かった。
ナイフは正確にトネスのロープの結び目を切り、彼女を自由にする。
だが、今はディアの方が緊急性が高い。急いでディアの下に駆け寄ると、
俺はランスを握る小さな体を少し乱暴に抱き起こした。
 
「う、ぐ…くそ、なんて脆いんだ…」
 
ディアは苦悶の表情を浮かべていた。
左脇腹には指一本分ほどの穴が空いている。刺客もただでは殺されなかったようだ。
不意打ちとは言え、まだ対人戦を学ばせていないディアがギルドの暗殺者を倒すのは荷がかち過ぎたか。
最初のランスの一撃を当てた直後に、剣を突き刺されてしまったのだろう。
だから、倒れている刺客の首は異様な角度で曲がっているのだ。
剣を刺された直後、ディアはランスを持っていない手を使って、刺客の首をへし折ったのだろう。
 
「こ、んなに…痛い…初めてだ…いたい…すご、く…いたい…」
「傷は浅いぞ、ディア。だが喋るな。
 トネス、回復薬を出してくれ。」
 
俺がトネスの方を振り向くと、彼女は解けたロープの上に座り込んで呆然としていた。
呼吸が荒く、全身からは汗が吹き出ている。
大きく見開かれた目は何を見ているのか分からない。何も見ていないのかもしれない。
トネスは俺の言葉に応えず、ただただ絶句するように座り込んでいた。
 
「トネス」
 
今度ははっきりと、そして力強くその名を呼ぶ。彼女の意識を呼び戻すように。
トネスは肩をびくりと跳ねさせ、ゆっくりと俺の方を向いた。
だが、未だ殆ど放心しているような状態だった。
 
無理もない。本気で人間同士が殺し合うのを見るのは初めてなのだ。
自分と同じような形をしたものが、なんの躊躇もなく同種の手によって眼前で壊れていく。
それを己の手で行使したことのあるディアはまだしも、彼女は人間を殺した事がない。
多くの場合、それの初体験は非常に衝撃的なものだ。
トネスは人間化してから、精神や思考も人間に似てきている。
優しいこいつが、人間の惰弱な精神力でその衝撃に耐えられるのだろうか。
 
「回復薬を、取ってきてくれ。ディアの治療をせねばならん。」
 
しかし、それを気遣うよりも、まずはディアの治療を優先せねばならない。
トネスを愛する者としては辛いところだが、見事俺の窮地を救ったディアの命だ。報いてやりたい。
はっきりと、明瞭に俺はトネスに指示を出す。
 
「う、うぅ……」
 
うんと頷いたようだったが、舌はもつれ、頭の動きも殆どなかった。
だが指示を与えられた事によって、少しだけ正気を取り戻したようだ。
ふらりと立ち上がり、彷徨う亡霊のようにアイテムボックスの方へ歩いていく。
恋人の痛々しい姿に、ゴーラスと会った時以上に俺は表情を曇らせた。
 
「う、ぐ…やはり…貴様は強いな…」
 
だが、ディアが再び何かを喋ろうとしたので、視線を褐色の少女の顔に向ける。
先程よりは多少苦痛の色が抜けた顔だったが、眉は力強く中央に寄せられていた。
出血が酷いが、回復薬をかけてからでなくては止血もままならない。
痛むだろうが、今できる事は手でしっかりと押さえてやるだけだ。
 
243孤独を知らない男:2008/04/07(月) 23:14:45 ID:DHq/DePn
「一人殺すのが…精、一杯だ…とても、貴様のようには…」
「喋るなと言っているだろう。これは助かる傷だぞ、死にたいのか。」
「ふん…本、当に…軟弱な…体だ…よく、こんな体で…私を、倒した…」
 
もしや俺の声が聞こえていないのか?
勢いに任せるように、ディアはどんどん言葉を紡いでいってしまう。
これは死ぬ事はない傷で、それはこいつも分かっていように。
まるで死を覚悟しているような物言いだ。
 
「強く、なりたいぞ…貴様のよう、に………正式に、頼むよ…
 教えて、くれ。強く、なる、方法…うぐッ…」
「ああ、教えてやるとも。もとよりそのつもりだ。
 技術を殆ど教えてない割には立派な突きだったぞ。お前はいいハンターになれる。」
「そう、か…」
 
やっとこ正気の殆どを取り戻したトネスが、慌てて走り寄ってきた。
そして震える手で俺に回復薬のビンを渡すと、患部周辺の衣服を鋭い爪で裂いた。
 
「ねぇ…治る…?」
「大丈夫。やはり軽い傷だ。
 内臓を深く抉ることを考えるほどの時間はなかったようだな。」
 
心配そうに訊ねてきたトネスにそう答えながら、回復薬を傷口にかけた。
どくどくと溢れるどす黒い血が緑色の透明な液体で洗われ、泡が傷口を覆った。
生命力の強い角竜なら、人間化していてもこの程度なら大丈夫だ。
トネスが一緒に持ってきていた針と糸で傷口を丁寧に、素早く縫い合わせ、その上から包帯を巻いて保護。
残った回復薬はディアに飲ませ、体力をつけさせる。
 
「……にがいぞ」
「良薬は口に苦しという。苦くてよかったな。」
 
処置を施したディアを抱え上げ、寝室へと連れていく。
トネスは先行して、寝床を整えに行ったようだ。
だが、その体は未だにふるふると小刻みに震えていた。
ディアを寝かせ、死体を片付けたら、一緒に寝てやろう。
しっかりと抱き締め、危機は去ったと安心させてやりたい。
 
そしてその後は………決して許さない事にしよう。
彼女とこの家を血で穢した罪は重いぞ。
ギルドの連中め。
この怒りは一滴も漏らす事なく、全て吐き出してやる。
決して許す事はないだろう。
少なくとも半殺しだ。
この世に生まれてきた事を後悔させてやる。
 
先行するトネスが、俺の名を呼んだ。
だが、俺は心中に渦巻く怒りのため、それに気付かなかった。
孤独な月が雲に隠れていく。
それによって俺の表情が闇に隠れたのは、良いことだった。
244孤独を知らない男:2008/04/07(月) 23:16:54 ID:DHq/DePn
これにて十二話終了でございます。
安西先生…エロが書きたいです…
 
えろい話に繋げられずに困ってしまいます。
えろくなくてごめんね。
245名無しさん@ピンキー:2008/04/08(火) 00:40:03 ID:YPLySPbx
GJ!
面白くなってきたな。
さあ、ディアと治療と言うなのエロを(ハンマー溜め3
246名無しさん@ピンキー:2008/04/08(火) 03:12:45 ID:QXVs7Meg
>>224
乙、無理にエロに持っていこうと
しなくてもまったく問題ないんだぜ
247名無しさん@ピンキー:2008/04/08(火) 03:22:19 ID:dFPcQahu
ナルガってもう出てる?
248名無しさん@ピンキー:2008/04/08(火) 04:59:59 ID:I0mQnmHF
wikiがリンク変更されていたので復旧してみましたが…
携帯からやって大丈夫だったかな?
249名無しさん@ピンキー:2008/04/08(火) 05:00:02 ID:I0mQnmHF
wikiがリンク変更されていたので復旧してみましたが…
携帯からやって大丈夫だったかな?
250名無しさん@ピンキー:2008/04/08(火) 11:00:38 ID:K2+aquxq
少なくともこっちでは二重投稿してるんだぜ。おちつけ。
251名無しさん@ピンキー:2008/04/08(火) 17:12:10 ID:yaqj7+fq
リンク直しといた
ウイルス入りのブログにでもご招待いただけるのかね、ああいうのは
252名無しさん@ピンキー:2008/04/08(火) 23:28:00 ID:3iClH74h
これは13VS1フラグ……ゴクリ……
253名無しさん@ピンキー:2008/04/09(水) 03:43:30 ID:NpZ4DF07
ここの住人的にこのサイトはどういう評価なの?
ttp://www.geocities.jp/iyamuri2/
254名無しさん@ピンキー:2008/04/09(水) 17:27:33 ID:KgNTGnbW
SS読んで久々に笑ってしまった‥‥
255名無しさん@ピンキー:2008/04/09(水) 17:42:47 ID:7AjchRgx
ちんこ勃つのに笑えちゃう……
くやしいっ! でも(ry
256名無しさん@ピンキー:2008/04/10(木) 00:39:51 ID:0qs9CXQB
ふと思ったが藍の流星の依頼主とは旨い酒が呑めそうだ
ちょっとヤンデレ入ってるっぽいけど
257名無しさん@ピンキー:2008/04/10(木) 01:24:50 ID:ysrpCsLI
思った思った

俺脳内設定では、あの人は過去に婚約者をモンスターに殺されて
ちょいとおかしくなった人なのかなとか勝手に思ってる
258名無しさん@ピンキー:2008/04/10(木) 02:44:49 ID:7JqBGEju
>>256
すまんがまだそこまで行っていない俺に詳しく教えてくれ。
259名無しさん@ピンキー:2008/04/10(木) 05:25:50 ID:p0ecHxh5
携帯でwikiを見てたら、またしてもウィルスブログに。orz
今PCが使えないから、誰か修正を頼みます。
260名無しさん@ピンキー:2008/04/10(木) 20:18:08 ID:PEc5Shd8
>>259
すまん、うっかり踏んでしまった。
ノートンでは・・・・いや、防げないか。
261名無しさん@ピンキー:2008/04/10(木) 23:16:30 ID:FUxgq8xV
SS書けないんで支援
珍味の人のガノさん達をば
http://up2.viploader.net/pic2d/src/viploader2d353519.jpg
262名無しさん@ピンキー:2008/04/10(木) 23:21:14 ID:CZxm50P1
愛しの彼が の人思い出す絵柄だ
つまりLikeっぽい
263名無しさん@ピンキー:2008/04/10(木) 23:42:16 ID:AW0BarxM
ナッヘ可愛いよナッヘ
264名無しさん@ピンキー:2008/04/10(木) 23:47:21 ID:0qs9CXQB
>>258
没落貴族が月夜の砂漠で出会ったナナに一目惚れ
265名無しさん@ピンキー:2008/04/11(金) 00:10:14 ID:bn4z14Vb
>>261
俺の脳内ではノトスはもうちょっと前髪がうっとうしいイメージ

……明確にビジュアル化しようとして浮かんだのはヴィラルだった
266名無しさん@ピンキー:2008/04/11(金) 00:52:34 ID:oGM1zDqu
>>261
ピースフルハートかわいいよピースフルハート
個人的にはノトスの髪型はマスターロングとかテオストレートとかを想像していた。(各自確認お願いします)
267名無しさん@ピンキー:2008/04/11(金) 01:31:10 ID:/RQ95NUg
>>261
ナハエゥア、やわらかそうでかわいい…
ノトスが某赤カエル似で吹いた。
GJ!そしてありがとう!
268名無しさん@ピンキー:2008/04/11(金) 07:44:34 ID:tBGzONPi
>>265
よう俺
269名無しさん@ピンキー:2008/04/11(金) 08:12:00 ID:0U1ya2Md
>>261
これはGJと言わざるをえない
ノトスもナッヘもどっちも可愛いよ
270名無しさん@ピンキー:2008/04/11(金) 10:18:35 ID:LZt5KOcn
>>265
お前のせいでイメージが固定された
271名無しさん@ピンキー:2008/04/11(金) 16:23:34 ID:MBAYzsdV
>>265
ヤツの声が檜山で固定された
どうしてくれる
272孤独を知らない男:2008/04/11(金) 16:32:31 ID:CB2dc4qy
>>261
上手ッ!可愛ッ!
 
えー、『孤独を知らない男』第十三話投下致します。
今回もまた非エロですが…次回こそはいける!(無論性的な意味で)
NG? …まあ、あんまりグロくはないんじゃあないかな…
273孤独を知らない男:2008/04/11(金) 16:34:53 ID:CB2dc4qy
元は会食をするための部屋だったのか、異様に横長な部屋、それに見合うような大きな長いテーブル。
上には等間隔で燭台が置かれており、豪華絢爛な椅子が並んでいる。
しかし燭台に蝋燭は刺さっておらず、テーブルには食器も置かれていなければ、テーブルクロスもかけられていない。
壁に並んで取り付けられている大窓からは朧げな月光が差し込み、この部屋の闇を少しでも薄めようとしている。
部屋には豪華な意匠が施されており、光があれば実にきらびやかに輝き、見る者を楽しませるのだろうが、
この闇の中。それらは却って闇の内に潜む恐怖を思い起こさせ、不気味さを演出していた。
月光、闇、人面を象った豪華な意匠。それらは人の心を狂わせる。
人々は昔から、それらを避けて生きてきた。
 
では、窓に背を向けて椅子に座す、この一人の老人は何者なのか。
月の光が逆光になって顔の細かい造りは分からないが、刻まれた皺はくっきりと深く表れている。
年老いた白髪に艶はなく、まるで枯れ木のように荒れているが、
片方しかない瞳に宿る眼光は、老人でありながら、青年のように鋭かった。
老人は机の上で指を組むように手を組み合わせており、
まるで闇の中という状況を好むかのように、明かりをつけようとはしなかった。
だが、ただ闇を睨み付けているだけの眼光は、誰かに似ていた。
 
「来たか──」
 
前触れなく、鍵をかけた鉄扉のような唇が開いた。
老人の視線は相変わらず闇の中に向けられているが、重々しい言葉を向けられ、そこで何かが蠢く。
深淵より蠢き、姿を現したのは、闇を切り取ったような色だった。
闇によく溶け込むと言われる濃い赤茶色は、寧ろ黒よりも闇らしく、
広い帽子のつばに隠されていた眼光が表れるまで、それは人ならぬもののようにすら見えた。
 
「ゴズの当主、ジェロスよ。」
 
闇から現れたのは、ジェロスだった。
いつからこの部屋にいたのかは定かではない。
だが、彼の目の前にいる老人は、その存在には最初から気付いていたようだった。
ジェロスと老人は、そのまま暫し睨み合う。
互いを探り合うように。獣同士の威嚇のように。
そして、唐突にその静寂は破られた。ジェロスの言葉によって。
 
「驚いたぞ。まさかあんただったとはな。」
 
老人が鋭い目つきを維持したまま、ニヤリと笑んだのがわかった。
大胆で不敵な笑みであった。
 
「ギルドナイト・ドン・グランデ。
 ………道理で素性が掴めなかったわけだ。」
 
老人の名はドン・グランデ。
パーシェル、ゴーラスの祖父にして、周辺を管理しているギルドのナイト。
ゴーラスに半殺しの拷問を行って、ジェロスはそれを知ったのだ。
ドンがギルドナイトの一人であること、今回の暗殺の責任者であること、その全てを。
 
「やはり、あの程度のヒヨッコに御主を始末させるのは、ちと荷が重かったらしい…」
 
ドンも口を開く。
笑んだ表情から放たれた言葉にしては、妙に重く、低い声だった。
 
「当然だ。
 ……だが、不思議だ。
 今回の暗殺にギルドナイトが駆り出されてたんなら、何故あんたが来なかった?」
 
274孤独を知らない男:2008/04/11(金) 16:37:00 ID:CB2dc4qy
並の暗殺者を束ねて向けるのは無意味。
ギルドナイトを送るにも、貴重な人材を失うリスクが高過ぎる。
それを覚悟の上で、ギルドもナイトに暗殺を任せただろうに、無駄な犠牲を出されてしまっては堪ったもんじゃない。
しかもゴーラスによると、あの人質暗殺作戦はドンが命じたものではなく、
実行した暗殺者達が自分で考えだしたものだという。
つまりギルドから受けた暗殺命令を、ドンは傘下の者に丸投げしたのだ。暗殺の下請けである。
 
「お前こそ、どうやって侵入した?」
「ゴーラスに暗殺者のねぐらをゲロさせた。
 そこを探してみたら、あったよ。ギルドからの命令書が。」
 
ジェロスは懐から書簡を取り出し、テーブルの上に投げ出した。
ギルドが特殊任務を職員に命じる際に発行する命令書。そして暗殺は常時、特殊任務に該当する。
特に暗殺の命令書には、まるでフリーパスのような効果がある。
暗殺者は職業柄、身分証明書などを持っていないので、その代わりが命令書となるわけだ。
おかげでジェロスは身分をドンの部下と偽り、ドンに報告がある、と嘘を言って内部に侵入することができた。
 
「そうか…今度からはもっとよい制度を考えておかねばな。」
「その時はもっといい侵入をするさ。」
 
ドンは口を閉じ、鼻でため息をついた。
目の前にいるこの男なら、それを成功させるだろうな、と思ったからだ。
だからこそ、自分もこの部屋で待っていたのだが…
 
「そろそろ、俺の質問に答えてくれ。」
 
「…ゴズ家の当主がどれ程のものか、試してみたかったのだ。」
「俺を試す?」
「ああ。」
「…呆れたジジイだな。」
「それは今に始まったことじゃあるまい。」
「で、何故だ?」
 
ジェロスは本当に、少しばかり呆れていた。
この老人は、全く私的な理由でむざむざ2人の部下を見殺しにし、
予測はしていなかったろうが、己の孫まで危険に晒したというのだ。
ジェロスもあまり人の事は言えないが、非情なヤツだな、と思った。
一般人が彼に対してそう思うように、である。
 
「……ハンターの質は、めっきり落ちた。」
 
ドンは数秒ためると、体を横に向けて語り始めた。
窓の奥で輝く満月を見上げ、どこか懐かしそうに。
 
「昔は良かった。技術も装備も施設も知識も殆どない中で、みんな死に物狂いだった。
 溢れんばかりのエネルギーと情熱を、誰もが心に宿していたし、
 ハンターという仕事は活気に満ち、数多くの英雄が生まれた。」
 
ジェロスから老人の表情は見えないが、ドンは遠い目で月を見上げていた。
無防備な状態。攻撃するなら今が絶好のチャンスだったが、
ジェロスは、彼自身も度し難い感情によって一歩も動けなかった。
 
275孤独を知らない男:2008/04/11(金) 16:38:46 ID:CB2dc4qy
「……今は見る陰もない。道具や技術が発達し、ハンターにとって暮らしやすい世の中になると、
 徐々に情熱は冷め、ハンターたちの魂は澱み、荒み始めていった。
 モンスターと真剣に向き合うことをしなくなったハンターたちは、まさしく狂人と化していった…
 命を奪うことの重みも知らずに、やれどれだけ早く殺しただの、やれ邪魔なだけだから殺すだの…」
 
ドンは月から目を背けるように視線を外し、再びジェロスの方を向く。
 
「…そんな時代を生きた者として、儂は御主に共感を覚える。
 儂と御主は、案外似た者同士なのかと思ってな…」

「………望まぬ運命を押し付けられた、という点もか?」
 
ジェロスの言葉に、老人は微かに眉を寄せた。
近頃夢の中に度々現れるようになった自身の父親。
彼が何を考えていたのかが、ジェロスにも段々分かりかけてきていた。
そして、ドンがギルドナイトという地位を疎ましく思っていることにも、気付いていた。
 
「確信した…やはり儂と御主は似ている。」
 
ドンはため息を吐きつつ椅子から立ち上がった。
 
「…だが、やるせなきかな主従の理…やはり主命には従わねばならん。
 言い遺す言葉を考えておけ、ジェロス。」
 
そして真正面からジェロスの目を見据えた。
それは静かな水面のような表情だが、激しい闘志が見え隠れしており、
冷たい眼差しの奥で、滾るような炎が燃えているように感じた。
 
──刹那
 
2人は飛び上がり、テーブルの上で火花を散らせた。
右の逆手で握ったナイフが空中で衝突し、互いを弾き合う。
ジェロスは直ぐさま相手の懐に右手を滑り込ませるようにして次撃を放つが、
体を傾けつつ、受け流すように左手を添えられて外してしまった。
同時にドンのナイフが首筋に迫るが、それは腰を落として回避。
姿勢を低くした状態から、逆手のナイフを、腰に突き刺す裏拳のように繰り出す。
だが右肘と左手首に阻まれ、紙一重の所で先端は皮膚まで届かなかった。
 
──互いのナイフには毒が塗ってある。少しでも相手に傷をつけられれば、その時点で勝利はほぼ決定する。
 
ドンは左手にひねりを加えてジェロスの右手を掴もうとするが、全力で右手を引いてなんとか回避。
右手を引いた力を利用して回転しつつ伸び上がり、左肘を顎に向けて振るう。
この至近距離なら当てれることは当てれるが、それほど相手は鈍くない。素早く後ろに退いて難無く避け切った。
それを追うように、ジェロスは深く踏み込んで右手を振るう。
ドンはこれ以上退けばテーブルから落ちてしまうので、左手で受けるしかない。
そこでジェロスは右手首を捻り、ドンの左手に傷を与えようとしたが、その前にドンの左手ががっちりとナイフの握り手を掴んだ。
予想外の速さにジェロスは驚いたが、そんな暇もない。今度はドンのナイフが迫ってきたのだ。
ジェロスはそれを左手で受け、素早く相手のナイフの握り手を掴んだ。ドンがそうしたように。
 
「くっ…!」
 
この流れはマズい。そう思ったジェロスは金的蹴りを振るが、それもドンは足を上げて素早くガード。
その上、ガードした足を素早くジェロスの蹴りに絡ませ、互いの足が外れないようにした。
直後、ドンは飛び上がるように踏み込む。
 
276孤独を知らない男:2008/04/11(金) 16:40:07 ID:CB2dc4qy
ドカァァンッ!
 
やばい。ジェロスがそう思った瞬間には、もう押し倒されていた。
支えが足一本しかない状態で飛び込まれたら、当然倒れてしまう。
ドンの思った通りに、ジェロスは仰向けに押し倒された。
しかもその時の衝撃で、ジェロスの絡んだ足の関節が軋み、激痛を訴え始める。
そうなるように、ドンは足を絡ませたのだ。これでガードポジションをとることは出来ない。
 
ぐっ、とドンは上体を大きく反らした。
この態勢から頭突きを繰り出されれば、ジェロスに逃れる術はない。
上半身全体を強靱な射出器にし、頑強な額を脆い顔面に叩き付ける。その攻撃は一撃で相手を失神させることさえある。
 
どぐッ!
 
振り下ろされた額は、鉄球を落としたような音と共にジェロスの顔を潰した。
ジェロスの帽子が外れ、ついでに意識まで肉体から外れそうになる。
このままでは、マズい。こんなものを何度も喰らえば確実に死ぬ。
相手が再び上体を大きく振り上げた所で、ジェロスの肉体は咄嗟に動いた。
右手の指は殆どが拘束されているが、親指だけは自由。そしてナイフは逆手で握っている。
ジェロスは全身の力をその親指に込め、爆弾のスイッチを押すように、ナイフの柄頭を強く押し出した。
鍛え上げられた指の力によって射出されたナイフは、そのままドンの左腕に傷をつけた。
 
二度目の頭突きをジェロスに喰らわせた所で、ドンははっとしたように己の左腕を見る。
そこには、何も持たぬ右手を無意味に掴む自分の左手。傍に落ちているナイフ。
そして数cmほどの切れ込みから、どす黒い血を流す己の二の腕があった。
 
こうなると、後は時間との戦いだった。
ドンの全身に毒が回るのが先か。
ジェロスの意識が頭突きに潰されるのが先か。
額を振り下ろすドンの動き、断続的に響く音の間隔が速くなり、
その度にジェロスの全身がびくりと痙攣する。
ドンは歯を食いしばり、額に血管を浮かせ、顔面を真っ赤にしながら額を振り下ろし続ける。
ジェロスは気を失いそうになりながらも、最後の糸の一本を放すまい放すまいとして、自然と両手に力がこもる。
骨は軋み、肉は潰れ、一撃一撃に皮と血飛沫が無惨に飛び散ろうとも。
 
そして、そんな状態がなんと2分間も続いたが──
 
「ぐっ…がふっ!」
 
──勝ったのは、ジェロスであった。
上半身をぶんぶん振っていたため、その分毒の廻りも早かったのだろう。
ドンは口から血を吐き、後ろに倒れ込んだ。
その体が、先程までのジェロスのように痙攣し始める。
 
277孤独を知らない男:2008/04/11(金) 16:40:56 ID:CB2dc4qy
だが、ジェロスも敗北一歩手前であった。
彼は帽子を拾うと、よろよろ立ち上がりながらそれを被り、自分も瀕死である事を隠そうとする。
実に厳しい戦いだった。これ程の苦戦を強いられたのは、彼のこれまでの経験からも初めての事だった。
恐らく、毒の廻りがあと五秒遅かったら負けていただろう。
周囲のテーブルは、ジェロスの血ですっかり赤く染まってしまっている。
 
「さ…流石…だッ…」
 
ドンが苦しそうに言葉を紡ぐ。胸部が激しく上下しており、吐く息も荒い。
肌色は青白く、苦しげな表情にもどことなく力がない。
 
「……お前こそ…今までで、最強の相手だった…」
 
ドンを見下ろしながら、ジェロスは素直な見解を述べた。
これまで戦ったどの暗殺者、どのモンスターよりも強かった。
「流石はギルドナイト。」
ジェロスはそう続けて言おうとしたが、口にたまった大量の血を吐き出すと、それを言う気力も勿体無く思った。
それほどまでに、彼も消耗していた。
 
「…とどめを、刺せ…」
 
敗北は死。それが互いの流儀であった。
ドンは苦しそうに、介錯を望む。
 
「だが断る。」
 
ジェロスは可能な限り冷たく、その頼みを断った。
憐憫などかけては、この素晴らしい敵に対して失礼となるからだ。
 
「仁義の、ねぇ…手前ェの部下に…暗殺を任せ、トネスを怯えさせた…
 その罰だ…たっぷり、苦しめ……」
 
ドンがジェロスに対して共感を覚えたなら、その逆も然り。
短い間だったが、ジェロスもドンに対して共感していた。
ただし、それは同情の色合いの方が濃い。
ジェロスには、ドンがまるで自分の昔の姿であるように思ったのだ。
トネスと出会う以前の自分にそっくりであるように、感じたのだ。
あの頃、ジェロスはある意味で世の中に対して絶望していた。
世界は腐ったと物知り顔で威張り散らし、同時に閉じこもってもいたあの時期。
目の前で今にも死にそうに苦しんでいる老人が、まさにそれであると思ったのだ。
 
「……情けを、かけるつもりか…?」
 
もちろん、ドンは不服そうである。
ジェロスはそれに応えずに、懐から音爆弾を取り出してドンの傍に置くと、ふらふらになりながらも窓へと向かう。
老人は首だけを動かして、その動きを追っていった。
テーブルから下り、椅子を掻き分け、窓を開く様を。
 
「………そう、捨てたもんじゃないぞ…」
 
ジェロスは窓に背を向けて、老人にそう告げた。
背中から風を浴び、ローブが旗のように揺れる。
その目は穏やかなもので、老人が、その目は自分にはないものだ、と気付いた瞬間に、
ジェロスは颯爽と窓から飛び出し、月明かりの中へと消えてしまった。
 
278孤独を知らない男:2008/04/11(金) 16:41:55 ID:CB2dc4qy
 
朝になると、あいつは家の前に倒れていた。
凄まじい打撃を顔面に喰らったようで、頭は血塗れで、鼻は折れ、眉間の辺りがパックリ割れていた。
私はあいつに縋り付いてパニックに陥ったトネスをなんとかなだめると、回復薬で治療した。
ただの回復薬では心許ないので、グレートの方を使って。
それほど酷い怪我だった。トネスはずっと泣き叫び、何度もあいつの名を呼んだ。
幸い、命は助かったが…三日間、眠ったまま。
一体何があったのかも分かりゃしない。
 
眠っているあいつの横顔を眺めながら、軽くため息をつく。
私の横ではトネスがソファに倒れて眠っていた。
三日間、寝ずにジェロスの面倒を看ていたためだ。
こいつは私よりも下等だが、そういう一途な所には敬意を表する。
真直ぐで純粋な想いは、何に向けたものであれ私にとっては非常に好ましいものだ。
とは言え、所詮下等は下等。あいつが重傷を負った理由には気付いていないようだった。
だが、私には大体想像がつく。この間家を襲った連中に関係する事だ。
ジェロスは何かをし、生還したが、この家の前で力尽きたのだ。
 
刺された脇腹の傷がちくりと痛んだ。
傷口そのものは消えているのだが、まだ痛みが残っている。
本当に弱い肉体だ……だが、それ故に敏感だ。
竜であった頃には感じなかった事が、近頃感じ取れるようになった。
例えば、今目の前で眠っている一人の男に対する感情…
それは日に日に、はっきりとしていく暖かさだった。
 
ジェロスは、恐らく戦いに行ったのだ。
私の横で眠っている女を、助けるために。
私のためじゃあない。
自分が愛し、自分を愛する女を守るために。
私のためじゃあない。
だが、嫉妬という感情は芽生えて来ない。
恋愛感情とか、そういうものではないのだ。
 
「…いつまで、この女の相手をさせるつもりだ…」
 
返事が返って来ないと知りつつも、私は話し掛けた。
 
「せっかく心配してやってるんだぞ…さっさと目醒ませー…」
 
我ながら、よくこんな力のない声が出るものだ。呆れてしまう。
角を折られた上に、こいつには牙まで抜かれてしまうのか。
御免被る。そんなのは御免被るぞ。私は強くなりたいというのに。
 
トネスの静かな寝息だけが聞こえてくる。
あいつの鼓動も呼吸も、聞こえてこない。
私はまだ、あいつから何も教わっていない。
イャンクックの倒し方も、ランスの使い方も、火の扱い、調合のレシピやコツも。
冗談じゃない、私は強くなるためにここに来たのに。
このままでいてなるものか。必ず起こしてやる。
 
「……おい」
 
私は立ち上がり、ふらふらと彷徨うようにあいつの傍まで行った。
 
279孤独を知らない男:2008/04/11(金) 16:42:51 ID:CB2dc4qy
「おい!」
 
力強く、あいつの襟首を掴んで引き上げる。
すっかり元の形に戻った顔は、本当に安らかに眠っており、今にも起き出しそうだった。
この野郎…気持ち良さそうに三日も眠りやがって。
どれだけ心配かけやがる、さっさと起きないか。バカ、ばかめ、ばかやろう。
 
「おいッ…起きろ!起きろジェロス!」
 
襟首は右手で掴み、左手で張り手を頬に喰らわせる。
ばかやろう。早く起きろ。泣き出しちまうじゃないか。
私に黙って、お前がこんなになる程強いヤツと戦いに行くなんて。
話が違うぞ。約束はちゃんと守るんだろうが。
起きろ、今直ぐ起きろ。さっさと起きろ。
ばかめ、ばかだ。ばかやろう。
 
「ちょっ…ディア!やめて!」
 
私の怒声にトネスが起きたようだ。
後ろから私に抱きつき、無理矢理あいつから引き剥がす。
 
「ぐッ…うぅ…」
 
それで正気に戻った。
全身から力が抜け、だらりと床に倒れる。
 
──やってはならぬ事をしてしまった。
トネスに対して、申し訳ない気持ちが沸き上がる。
 
「……ごめん…」
 
迂闊にも、私は下等生物に対して謝ってしまった。
トネスは黙って首を横に振ると、私を解放してジェロスの傍へ向かう。
だが、私はもう動く事が出来なかった。
手足を投げ出すように床に倒れ、ぼんやりと天井を見つめるしかなかった。
 
あいつには、トネスがいる。
あいつを起こしていいのは彼女だけだ。
私があいつを起こしてはいけない。
 
本当に…人間は敏感過ぎる。
角竜の頃に感じなかったことが多過ぎるのだ。
実に弱い生き物だな…こんな事なら砂漠にいれば良かった。
人を憎み、繁殖期には種付け用のハンターでも拉致して、気侭な生活を送る。
砂に抱かれて眠り、アプケロスを狩り、たまに角竜と喧嘩し、ゲネポスを追い散らして縄張りを拡げる。
人間の姿で、以前とほぼ変わらぬ角竜としての生き方をするのだ。
 
 
嗚呼──
 
 
それはなんとも、今になっては悪い冗談だ。
280孤独を知らない男:2008/04/11(金) 16:44:09 ID:CB2dc4qy
これにて第十三話終了でございます。
 
やったぜ!エロに繋げるシチュエーションは完璧だ!
281名無しさん@ピンキー:2008/04/11(金) 18:56:42 ID:is/6norI
俺エロなくても孤独さんの作品好きだぁ〜〜〜w
続き頑張ってください
つGJ
282名無しさん@ピンキー:2008/04/12(土) 00:40:45 ID:zRLt+hMd
自分に言い聞かせるような後書きで吹いてしまったw
モンハンと掛け離れて来た気もするが、GJ。ディアは菜食主義ではないんだな。
283名無しさん@ピンキー:2008/04/12(土) 12:33:49 ID:Owh5d7H6
親指だけでナイフ投擲するってどんだけ・・・
そんな手で愛撫したらどうなるんだろうとか考えたのは俺一人でいい
284名無しさん@ピンキー:2008/04/12(土) 15:33:02 ID:2LC9LI0y
285名無しさん@ピンキー:2008/04/12(土) 19:33:17 ID:K8JW4DUu
そういえばモノディアは草食だったね
286孤独を知らない男:2008/04/12(土) 19:38:04 ID:2NaNTl2C
>>285
それは知りませんでした。
イメージ的にてっきり肉食かと。
 
でもそう言えば、モノブロスの口は肉食えなさそうだな…
今更修正するのもなんなので、気になる人は脳内補完してください。
287名無しさん@ピンキー:2008/04/13(日) 03:24:02 ID:xZVX1x8f
モノディアの顔はリアル角竜まんまだからな
288名無しさん@ピンキー:2008/04/13(日) 05:30:47 ID:77nZyXNg
教官!!ここはエロくないと、投下できないいんでしょうか?
289名無しさん@ピンキー:2008/04/13(日) 06:12:28 ID:q9UkH9IZ
ここは何板だ!言ってみろ!
…あとは、わかるな?
 
個人的には事前に注意書付けておいてくれたらいいと思う。
ただ板的にエロくする努力はした方が無難かと。
290名無しさん@ピンキー:2008/04/13(日) 06:15:30 ID:77nZyXNg
>>289
しかし、夜中にカタカタとエロシーンを書いてる自分にふと虚しさが!!
そもそも、経験も無しに、みなを満足させるエロが書けるわけありません!!
291名無しさん@ピンキー:2008/04/13(日) 06:43:38 ID:q9UkH9IZ
貴様というヤツはッ!!
そんなもの妄想…ゲフンゲフン想像力でカバーしてやるという気概がなくてどうする!
羞恥心を発揮していいのは、ことの前のご婦人だけと知れ!!
なぁに、大きな嘘も小さなホラの積み重ね。やってみるがいい。
 
女性の方ならスマン。
書き手スレを見るに、経験無いけどエロ書いてる人は多いみたい。
物書いてる時に我に返っちゃダメだw
292名無しさん@ピンキー:2008/04/13(日) 06:55:54 ID:77nZyXNg
>>291
おk、現実に戻らないことが大切なんですね
あと男です
じゃあ今から創作活動に励みます
293名無しさん@ピンキー:2008/04/13(日) 10:15:06 ID:EjVXQZs1
292に期待(´ω`)

ところでこのスレは漫画(オラージュ)は扱わないの?
294名無しさん@ピンキー:2008/04/13(日) 11:14:28 ID:unlHedmI
そもそも、あまりに地雷っぽすぎて読んでない人多いんじゃね?真島ヒロだし。
295名無しさん@ピンキー:2008/04/13(日) 13:32:53 ID:Sp54PAbF
風属性【笑】

アレは先生の顔に怒りを禁じえない
296名無しさん@ピンキー:2008/04/13(日) 14:16:52 ID:PLpNUcyv
闇属性や光属性にも期待
297名無しさん@ピンキー:2008/04/13(日) 16:03:59 ID:ftQp86Ra
業務連絡:まとめwikiに10スレ目保管完了
ログ確認中に自分の業務連絡レスを発見して
なにやら気恥ずかしい気持ちになったりならなかったり

>>293
モンハン漫画は「マ)王と各種アンソロだけですよ?
オラージュ? ライバル? 何のことです?
298名無しさん@ピンキー:2008/04/13(日) 17:31:15 ID:AjrLvpfL
そういやライバルでRAVE2の連載始まってたけどなんかモンハンに似たモンスが出てたね。
まったく真島先生ときたら、アハハ、ハハハ・・・
299名無しさん@ピンキー:2008/04/13(日) 19:28:16 ID:zAvTcO0Y
つよ○すがアニメ化まだなのと
けよ○ながアニメ化まだなのと同じ理屈か



……カプコンは血迷っても氏のモンスターを
実際にゲームに出さないで欲しい
あと風属性も
300名無しさん@ピンキー:2008/04/13(日) 20:55:45 ID:akWKZpf+
笑いを提供してくれるネタとして立ち読みくらいはしてやれw
301名無しさん@ピンキー:2008/04/13(日) 21:02:17 ID:t4keyf0r
純粋に面白いのか……
他がアレだから、面白く見えるのか……

ただあのクックフェイスは確実に無い
302名無しさん@ピンキー:2008/04/13(日) 21:04:02 ID:q9UkH9IZ
コンビニで一冊見付けて買おうと思ったら、目の前でメガネのにーちゃんに立ち読み始められちゃった
(´・ω・)

>>297
お疲れ様です。いつもありがとうございます。
303名無しさん@ピンキー:2008/04/13(日) 21:09:35 ID:pwv71Dlj
>>297
逆鱗日和は?

んな洒落はともかく、俺だって妄想のみでエロを書いているんだ。世の男性に出来んわけがないだろ。
……下調べも必要だがなッ(←処女膜の表現でツッコまれた)
304名無しさん@ピンキー:2008/04/13(日) 23:58:39 ID:Sp54PAbF
俺なんて『本人が童貞の為中略』で本番シーン誤魔化したんだZE☆
305名無しさん@ピンキー:2008/04/14(月) 02:42:21 ID:kV3DT3x3
ここって、書いたら文才無くても投稿していいの?
306名無しさん@ピンキー:2008/04/14(月) 06:41:57 ID:aygCdps7
書き上げた時点で文才無いって事は無いと思うよ。
投稿してくれるのは住人にとってはとても嬉しい事だし。
ある程度見直しする事と保管庫覗いて他作品と比べてみるのも大切だと思う。
そんで自分の満足できる物が書けたら投下〜。

要するに速く投下するんだ!ハリーハリーハリー!
307名無しさん@ピンキー:2008/04/14(月) 12:30:31 ID:rrqsch9n
自分で文才あると思ってる人なんか、そうそういないんじゃ?
文章力は才能で勝手につくものじゃない。努力で磨ける
才がないって初めから言い訳する誘い受けは、好ましかない
けどここはエロパロ板。求められているのは文の技巧じゃないし
やってみりゃいいんでね?
308名無しさん@ピンキー:2008/04/14(月) 12:48:14 ID:jQkq+qtV
ある程度の妥協も必要だよね
延々と書いては消して、書いては消しての無間地獄へ突入するよね
抜け出せないね
309名無しさん@ピンキー:2008/04/14(月) 21:57:00 ID:OWZW2CLv
俺の場合、そうなったものは放置する。欠点がバラバラ出てくるから手が止まるんだと思うんだけど、
その場合「自分の形式では仕方ないもの」まで直したくなってきてるだろうから、距離を置いて頭を冷やす。
その間しょーもない小ネタでも書きつつ、似たスタイルで面白い人の作品を読み耽ってスキルアップ。

まぁ、俺にはその繰り返しでもう二年も推敲してるネタ(他スレ用のもの)があるがねorz
310名無しさん@ピンキー:2008/04/14(月) 23:02:35 ID:rrqsch9n
orzヾ(・ω・`) サワサワ
311名無しさん@ピンキー:2008/04/14(月) 23:08:08 ID:kPBvwPea
orzヾ(・ω・`)ヾ(・ω・`)サワサワ
312名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 01:36:34 ID:7zsrRebo
ここ突然書き手スレ化する頻度高いなwww
313名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 01:39:38 ID:juIuw46E
>>310
>>311
お前らいいやつだなwww

参考になるかはわからんが、過去に「勢いで書いてみた俺自重」みたいな
作品でも面白いものは結構あったし、暖めてるネタがあったらとりあえず
ざっと書いてみて投稿してみるのも一種の手かと
314名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 17:57:12 ID:t4dBHo4w
まとめサイト荒らされてね?
作品見れねえよorz

315名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 18:15:11 ID:76j15RQi
今度は全体的にリンクが変えられてる……orz
316名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 19:31:27 ID:ip7XPbMn
現在まとめwikiを修正中・・・・全くくだらんことをやりおって。
しかし書き換えられたアドレスについてだが
なにかまずいものでも入っていそうな気がしてならない。
これなんだが・・・・なにかウィルスとか入ってるのか?
ttp://diary.blog.yam.com/zhang4335
317名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 19:32:14 ID:ne/UnZFL
>>316
ノートン先生が警告出すくらいにはなんかやってるっぽい
318名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 19:34:44 ID:ip7XPbMn
>>317
なに!?
・・・・あれ?俺もノートン入れてるがうっかり入ってしまった時
何も起きなかったぞ。
・・・・まさか!!俺のPCは既に時遅しなのか・・・・?
319名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 19:46:18 ID:ne/UnZFL
危険度:高レベル
既知の攻撃シグネチャに一致するネットワークトラフィックを検出しました

と出てるんだが・・・
320名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 19:48:59 ID:EBSa7AmV
うちのソフトでも検出されたぞ
321名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 19:50:54 ID:ip7XPbMn
>>318
・・・・俺はそんな警告出てないぞ。
ちなみに俺のはノートンアンチウィルス2005だが・・・・。
俺のPCもう駄目かもしれん・・・・後は任せた・・・・。
322名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 19:53:10 ID:ne/UnZFL
俺のはノートンインターネットセキュリティ2008だな
323名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 19:53:39 ID:EBSa7AmV
中華サイトみたいだし
よくあることだ
324名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 20:13:26 ID:ip7XPbMn
修正完了・・・・見逃してるところもあるかもしれないから確認よろしく。
まったくくだらないことをしおって・・・・。
とりあえずzbaghshは荒らしということでOK?
325名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 20:35:41 ID:dDDlKFjh
>>324
gj
あとは特定して通報だな
326名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 21:05:38 ID:ne/UnZFL
>>324
乙&GJ
327名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 21:13:06 ID:ip7XPbMn
ちなみにzbaghshが荒らした形跡の一例。
http://wiki.livedoor.jp/mheroparo/d/%b9%c3%b3%cc%bc%ef?v=7
リンクは全部ブログへの入り口なのでやたらクリックしないこと。
少しは特定の役に立てると思い貼ってみる。
じゃあ俺はノートンで緊急スキャンしてくるよ・・・・。
もし異常を見つけたら後は頼む・・・・。
328名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 22:44:40 ID:t4dBHo4w
>>324
乙&GJ
そして役に立てなくてすまん
(´・ω・`)
329名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 22:59:22 ID:yiu6L3NY
魂を継ぐものネタで書こうと思うのだがどう思う?
330名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 23:10:24 ID:wnVSev4M
魂を継ぐもの・・・ってあの小説か。
いいとおもうぞ。大歓迎だよ。
331名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 23:25:40 ID:yiu6L3NY
おk、ただいま鋭意作成中だ^^b
だが、非エロになりそうな流れだ・・・・・
332名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 23:39:20 ID:dDDlKFjh
まずい、擬人化ミラボをシュレイド城の兵士に、性的拷問させてる最中に、俺が正気に戻ってしまった・・・orz
もう書けない・・・
おとなしくハンター×ハンターの純愛物書きます
333名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 23:42:06 ID:yiu6L3NY
とりあえず最初だけ投下
キオ×ノーラ(たぶん非エロ
334名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 23:43:03 ID:yiu6L3NY
「くそっ!・・・」
キオがジャンボ村を出てから1ヶ月ほどしたある日、キオは村長から
ドドブランゴ討伐の緊急の依頼を受けていた。
もちろん弟子としてのミモリもつれてきていたが、ドドブランゴの
体当たりをもろにくらい怪我がひどいので先にポッケ村へ帰らせた。
キオ一人なら道具をフルに使えば何とか討伐できるだろうだが、今
回はキオ一人ではない。
「キオさん・・・・・大丈夫ですか?やっぱり私なんかは来なかっ
たほうがよかったんでしょうか・・・・・。」
そう、ノーラも一緒なのだ。
「そんなことないって・・・。」
一緒にポッケ村に移ってからノーラもキオの役に立とうと必死にな
った調合を学び、今では調合書なしでもいにしえの秘薬を調合でき
るようになったし、よりキオの元気が出るようにキッチンのアイル
ーたちと一緒にクエスト前の食事を考えたりしていた(その結果乳
製品+酒がいいとわかった。)
しかし、ノーラにできるのはこれが限界だ。
実際にキオのようにモンスターと対峙する事はできない。
ならせめて、痺れ罠などひとりでは持っていける数に限度があるも
のを自分もパーティーメンバーとして持って行ったり現地で安全な
場所で調合をしたりして助けようとおもった。
ちなみに非武装ではギルド側も許可してくれないので武器はハンタ
ーカリンガ(ポッケ村ではこれが鉱石系片手剣の初期らしい)、防
具は寒さをしのぐためのマフモフシリーズをつけている。
そのノーラの装備に対してキオは全身をジャンボ村のおばあちゃんが
作ってくれたレウスシリーズで固めて武器はツインフレイムを使って
いる。
ミモリをつれたレウス狩りの後から自分は改めて双剣を使い始めた。
その後何度か村の客員ハンターや時々顔を出しにきてくれたエーデリ
カやロッシイとレイアやレウスを狩った(ミモリはそのころ修行のた
めにドスギアノスやイャンクックを何頭かかっていた)
335名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 23:45:05 ID:yiu6L3NY
続きはそのうち、お休みおまいら
336名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 23:47:12 ID:dDDlKFjh
>>335
おやすみ
337名無しさん@ピンキー:2008/04/16(水) 16:19:06 ID:HUpApq/1
338名無しさん@ピンキー:2008/04/16(水) 16:31:38 ID:G120sPgn
>>337
非エロはそっち行ってくれるといいんだがな
そうすると人が居なくなるという
339名無しさん@ピンキー:2008/04/16(水) 23:42:20 ID:t9e8p7p7
またwiki荒らされてないか?
魚竜種と古龍種の作品のリンクがが何か変なブログにつながってるんだが……
340名無しさん@ピンキー:2008/04/17(木) 00:00:29 ID:zwUow2pQ
今見てみたけれどすべて例のブログへのリンクへ書き換えられてるな。

>>339
>>314-328のやり取りに出てくるブログ。
いったい何が目的なのやら…
341名無しさん@ピンキー:2008/04/17(木) 02:34:06 ID:Zn0ubEmX
・・・・ノートンアンチウィルス2005では脅威は確認されないか。
それと再びwikiのリンク直しといたよ。
忘れてる部分もあるかもしれんから確認よろしく。
しかし何で管理人は全く動かないんだ?
頼むから対策とって欲しい・・・・。
342名無しさん@ピンキー:2008/04/17(木) 12:12:01 ID:SnaGmowA
しかし心の貧しい人がいるものだな
343名無しさん@ピンキー:2008/04/17(木) 12:31:00 ID:HOwYQa4Z
こんな過疎スレを怨むような人間は――…

…まあ、居ないこともないか。馴れ合いとか書き手間の関係のゴタゴタで荒れたりしたし。
元書き手とかが犯人だったら悲しいな
344wiki作って放置した奴:2008/04/17(木) 12:31:07 ID:JvF07Qi0
仕事が忙しくてPCでネットなんざできねぇよウワァァァァンヽ(`Д´)ノ

なんかバカがいるのでwikiの編集制限かけた方がいいかね?
確かパスワードロックが出来たと思うから、ロックかけてスレにパスワード書くとオモ
いやホント放置すんません
345名無しさん@ピンキー:2008/04/17(木) 12:58:07 ID:dQ+e5U6L
>>343
このスレに云々でなく、たんにwiki荒らし回ってるスパムだろ。
あんなもん、大方中華なロボットだと思うぞ。
手動だったらびっくりだ。
>>344
お忙しい中こんなことになっててほんとご愁傷様…
wikiのコメントの方はご覧になりました?
346wiki放置した奴:2008/04/17(木) 22:14:49 ID:JvF07Qi0
すまん、パスワードロックだと思ってたのはID保持者のみ編集可能というものだった
それにスパムチェッカーは発動してたみたいだから人力っぽい
糞扉のID取得は癪だと思うがほとぼりが冷めるまで編集制限つけておく
俺がもっと早く見てれば対策の立てようもあったのに遅れてマジスンマセンorz
347名無しさん@ピンキー:2008/04/17(木) 22:28:14 ID:e/2SzPU6
>>346
お疲れ様です。

とりあえず、規制中の更新とかはどうしよう。
348名無しさん@ピンキー:2008/04/17(木) 22:46:14 ID:IeYxn7o+
>>346
あえてモンハンスレ風に

角竜鎚カ乙レンダー
349名無しさん@ピンキー:2008/04/17(木) 23:36:21 ID:ZRtxjQlV
管理人さんお疲れ様でした、てかリア生活あんだからしょうがないさ

>>343「もしかしたら」「もしかして」
「ぼくのつくったさいきょうもんすたーをいろものにするなー」ヽ(^Д^メ)ノだったり
350名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 00:25:16 ID:0DAaEuQ6
>>346
ドスイー乙
3死しない程度に頑張れ〜!
351名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 01:17:38 ID:7JeEp/d0
俺もSS書こうと思って今日はじめてモンハン買ってみたんだがイノシシに轢き殺された
352名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 01:50:32 ID:5hkWMoxi
>>346
忙しい時に乙ガレオス。
つ【元気ドリンコ】
>>351
慣れれば「その尻もらったー!」ってくらい余裕で倒せるよ。
尻からやろう。ダメでもワキから。
地面をふごふごしてる時とか、イノシシも結構かわいいよ。
353名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 02:42:03 ID:rUiGOeV2
でも大型モンスター相手にしてる時横から突っ込まれると腹立つよな。

ファンゴ「そ、そんなやつばかり相手してないでちょっとは私の方を見なさいよ!」
という猪突猛進なツンデレ娘という設定が一瞬頭に浮かんだ。
354名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 02:46:48 ID:ZTZmONfV
猪ってのは豚だ

雄の豚の玉はすげーでかくて、一度の射精でとんでもない量を出すんだ
それがドスファンゴみたいなデカさになればもっと凄いだろう


だれかこれを生かせないか?
355名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 02:49:09 ID:Bz7TAqZ0
ブルファンゴはまだ可愛げがある。予備動作(首振り含め)があるから。

ドスファンゴは……うん、殺意って言うのかな、それしか沸かないね。

避けようと思って足かき中に移動→安心→追尾突進でアッーとか
突進ガード→攻撃→ノーモーション連続突進でアッー→乙とか。

ブルファンゴがツンデレならドスファンゴは……ストーカー?

「逃げないでウフフ、私の愛(突進)を受け取ってよぉ」
「いっぱい、いーっぱい愛(突進)してあげるからね」
356名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 10:06:46 ID:iKhsjEWt
このスレを見て、唐突にゲリョスファッカーを脳裏に浮かんだ。
これは書けというお告げなのか?
まぁ、暇があったら作って見るわ。(;・ω・)

>>355
その発想は無かったwww
通りでドスファンゴに合う度に轢かれるわけだ。
357名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 11:19:38 ID:p49dyRXu
前にどっかのスレで、「こっちが追ってる時にはぶち切れそうな勢いで逃げるのに
こっちが大形モンスターと戦ってる時にはぶち切れそうな勢いで構ってくるガレオス」を
ツンデレ変換したレスがあったのを思い出した
358名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 14:19:42 ID:4WoWzEJ/
あら、Wikiまた書き換わってら
359名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 14:29:57 ID:Bz7TAqZ0

 ま た か よ orz
360wiki放置した奴:2008/04/18(金) 16:06:39 ID:zyjFdQ8o
しかも俺のIDが通報されて編集できねぇ…………
基本設定いじっても荒らされそうだから管理人のみ編集可能にした
しかもスレまとめと作者まとめまで消してやがる…………
361名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 17:05:30 ID:Bz7TAqZ0
後、キャラ別検索の古龍種へのリンクが魚竜種になってるので修正よろしくです。
362名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 17:12:33 ID:p7nVUQHT
坊主憎けりゃの類か?嫌がらせにも程があるぞ
363名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 18:42:40 ID:d2rmlW7H
現行スレ荒らすならスルーですむところを……
まとめ荒らすなんて陰湿過ぎる
364孤独を知らない男:2008/04/18(金) 18:48:48 ID:XNWVk9ih
いよいよとなれば、別のWiki作ってそっちに引っ越す必要性も出て来そうですね…
環境的に私には無理なんですが…
 
あ、ところで『孤独を知らない男』第十四話、投下致します。
やり残した事はありますが、今回は念願のエロあり!NGなし!
365孤独を知らない男:2008/04/18(金) 18:49:59 ID:XNWVk9ih
宿命がある。
 
戦い続ける宿命。
訣別する宿命。
殺し続ける宿命。
惨死する宿命。
諦めねばならぬ宿命。
 
精神がある。
 
屈服しない精神。
敬う精神。
気高く誇りある精神。
掟を遷守する精神。
絶対に倒れぬ精神。
 
ゴズ家のこころは素晴らしい。
己が狩人なるを示す。
自然を敬い、慎むこころ。
時と名のつく砥石に磨かれ、遂には得難き宝となった。
ゴズ家のこころは太古のこころ。
狩人の全てが、そこにある。
 
故に掟は呪縛となり、教えは時には呪詛となった。
得難きもので、素晴らしきもの。
なればこそ捨て難く、また逃れ難い。
宿命は鎖となりてこころを縛り、精神は杭となりて体を打つ。
 
我が愛よ永久に、と願えども叶わぬ宿願。
惨死の宿命、掟のこころがそれを許さぬ。
愛しき者の暖かみ、流れる髪の心地よさ、体を寄せれば伝わる鼓動。
全ては一炊の夢。実像はなく、空虚のみがそこに在る。
無という孤独がそこにある。
 
いつしか残滓も零れ落ち、真の孤独が待っている。
悲しみだけが人生だ。
こころは凍てつき、体は毀れ、一片の炉も潰れ果つる。
なればいっそと思い立ち、愛など要らぬと開き直る。
そもそも知らねば、感じる事も永久に無い。
腕はのこぎり、足は車輪。
臓腑は歯車、頭は木っ端。
何も感じる事なくば、何も悲しむこともなし。
 
 
 
この歌を誰が作ったのかは分からない。
一説によれば、『当主が子を成した際、子が齢五を数える頃には、配偶者は当家より絶縁すべし。』
この掟を書き加えた御先祖様の一人の作らしい。
歴代の中で、詩を好んだのは彼一人だけだったというから。
 
そして一族の史書によれば、彼は暗殺者との戦いに巻き込んで、妻を死なせてしまったという。
どの情報も断片的であるため、この歌と、この掟の作者が彼であるという証拠はどこにもないが。
 
もし、そうだとしたら──
 
366孤独を知らない男:2008/04/18(金) 18:51:32 ID:XNWVk9ih
 
「………ん」
 
暗闇の中から目を開けると、そこはもう少しましな暗闇だった。
時刻は夜であるようだが、眠りながら何日も経っていたような感覚だ。
天井は見慣れた我が家、寝床も慣れたベッドの上。
左隣の燭台で蝋燭が燃えているのも、いつもの配置、いつもの状況。
朝には…まだ早い。もう少しだけ寝ていようか。
 
「…?」
 
が、胸に微かな違和感がある。
そこを見ると、トネスの横顔が覆い被さっていた。
そこでようやく右隣の方を見てみると、ベッドの傍に寄せてある背の低い椅子と、そこに座すトネスの下半身。
だが、彼女は座ったまま俺の胸の上に倒れ込んで、そのまま眠ってしまったようだ。
安らかそうに眠る顔を見下ろし、頭にそっと右手を添える。
 
「…思い出した。」
 
そう、思い出した。
俺はドンに辛くも勝利した後、家まで帰って来たはいいが、門前で気を失ってしまったのだ。
右手を頭から顔の横へと移動させ、顔にかかった砂漠色の髪をどけてやる。
すると、目の下にある縦線状の赤い筋が見えた。明らかに涙の痕だ。
 
「心配かけたな…」
 
俺が涙の痕を親指で少しなぞってやると、
トネスは喉から「キュゥゥ…」と高く細い音を出しながら、もぞもぞと動いた。
下唇を軽く噛むように引っ込めつつ、寝相を変える様が愛くるしい。
本当に、俺は何日も眠っていたようだな。
再び彼女の頭に右手を移し、後頭部にある一対のトサカを軽く指で挟んでやる。
 
「ん…んぁっ」
 
トネスは、今度は明確な人間の声で反応を示した。
まるで喘ぐようなその反応に、思わず軽く頬が弛んでしまう。
 
「ん…んんっ…クー……」
 
だが、その刺激は同時に覚醒も促してしまったようだ。
喉を鳴らしながら、トネスは顔と上半身を持ち上げていく。
俺はするりと彼女の動きに任せるままに右手を抜いたので、頭とトサカを触られた事には気付いていないようだ。
両目を瞑ったまま、ごしごしと片目だけをこすっているその仕草はまるで猫のようだ。
トサカもへたりと力なく倒れている。
 
「トネス。」
 
不意にその名を呼んでやると、まだ眠たそうに薄く目を開けた。
どうやらまだ頭がぼんやりとしているようで、俺が目を醒ましていることには気付いていない。
しょうがないので、手を後ろにつき、俺も上体を少しだけ起き上がらせる。
少しけだるいような感覚が、長い間眠っていたことの物理的な証明となった。
 
「……… !」
 
トネスはそんな俺の姿を見つけると、みるみる目が醒めていくようだった。
目を見開き、驚いて息を呑む表情への変化が、少し面白い。
そして同時に、微かな光の奥で揺れるその表情は、なんとも儚げであった。
 
367孤独を知らない男:2008/04/18(金) 18:53:58 ID:XNWVk9ih
「ッ…!」
 
トネスは再び俺の胸に顔を押し付けた。
ただし今度は全身で飛び込んできたため、せっかく起こした俺の上体は、再び押し倒されてしまう。
砂漠の砂のように流れる髪が胸板にあたって心地よかったが、彼女の肩は小刻みに震えていた。
本当に、こいつは泣き虫だな。
こいつに触れていると、柄にもなく微笑んでしまう。
 
「大丈夫だ…もう心配ない…
 言ったろ、俺は負けないんだ…」
 
ゆっくりと、彼女の体を抱き返してやる。
本当に、俺は長いとこ眠ったままだったようだ。
あまり力は込められないが、愛でるように背中をさする。
 
「ッ────」
 
と、トネスが顔を上げたかと思った瞬間、飛び込むようにして、唇を合わせられた。
いきなり強引に唇を押し付けられて多少驚いたが、悪い気はしない。
目尻にためた涙を親指の腹で拭いながら、こちらからも応じてやる。
互いに舌を入れるようなことはしなかったが、唇の最も深い所で繋がった。
 
「んっ…」
 
俺と彼女は暫くの間そうしていたが、後頭部にあるトサカをちょいと摘んだ所で、トネスの方から顔を離した。
そのまま俺の顔の両横に手をついて上体を起こし、腰の辺りで馬乗りのような態勢になる。
 
「…おかえり…」
 
思わず、息を呑んだ。
泣いてるとも笑ってるともつかない表情は、実に健気で、
精一杯に搾り出した掠れた声からは、押し殺し難い感情が滲み出ていた。
 
俺は上体を起こし、トネスを抱き締めた。
それによって彼女の座る位置が、俺の腰から足の上へと変わる。
今度は彼女も驚く事はなく、首に鼻先を寄せてきた。
 
「…今、帰った。」
 
素直に「ただいま」と言うのはなんとなく気恥ずかしかったので、少しお茶を濁したような返事をする。
それでも、トネスはこくりと小さく頷いたようだった。
この状況でそれはもう、互いに了解済みの合図に等しかった。
 
「ん…ぁっ」
 
トネスのうなじに口付け、舌を這わせると、潤いのある唇から艶かしい声が漏れる。
少しだけ顔を上向きにして濡れた睫毛をゆっくりと閉じていくのが、見なくとも感覚で判った。
そして彼女の火照りが高まっていく事に気を良くした俺は、今度は少し強めに吸い付いた。
 
「ひぁっ!?」
 
トネスは驚いたような甘い声と共に、体をびくんと跳ねさせた。
実は、トネスの首やうなじを強く責めるのは初めてだ。
ドスゲネポスだった時代に撫でてやった事は何度もあったが、舌と唇で変幻自在の接触を行った事はない。
彼女はそんな未知なる快感に驚きながらも、悦楽を感じているようだ。
俺は何度も吸い付き、舐り、口付けしながら、狙いをだんだんと下へと移していく。
 
368孤独を知らない男:2008/04/18(金) 18:54:59 ID:XNWVk9ih
「んッ…やぁぁ…」
 
そして俺の唇が胸元までいくと、極まったような細く甘い声をあげた。
彼女の秘裂からはじわりとした湿気が感じられ、少し俯いた顔には朱が差し始めている。
呼吸には艶めいた色が混じっており、前髪が汗で額に張り付きつつあった。
ここから本番に行くのは、いつもよりも少し早いが…
 
「ジェ、ロス…あたってる、よぅ…」
 
…正直言って、俺の方もそろそろ限界だ。
なんとも恥ずかしそうな、それでいて切なそうな声を聞いて、遠慮が吹っ飛んだ。
体を少し離して服の裾を掴むと、一気に持ち上げて脱がし、Yシャツの前を開かせて、下着を外す。
大きく開いたシャツの前からはみ出るように突き出た双丘を、今直ぐに揉みくちゃにしたい衝動に駆られたが、
ここはそれをグッと堪え、小さく呟くようにトネスの名を呼んだ。
 
「………」
 
それ以上の言葉は喋らなかったが、俺の意図は伝わったようだ。
伏し目がちに視線を落とし、羞恥と期待に顔を赤らめながら、彼女は自らスカートをたくし上げた。
白いタイツの根元に張ったガーターリングと下着が露になり、その下着には早くも染みが広がりつつあった。
その湿り気は、もう十分であるように思われた。
縮こまらせるように足を曲げさせ、下着も脱がせると、やはり準備は万端。
あれだけの事でこれほどまでに感じているのは、異例のことだ。
 
「言葉が、見つからん。」
 
何か──俺は事前に何か言わなければならないような気がした。
だが、何を言えばいいのか…
今この場で言わねばならぬ事が多過ぎて、混乱してしまう。
こいつに心配をかけたこと。再び抱き合える歓び。感じる肌の暖かさ。結果的に蚊屋の外にしてしまった罪悪感。
全てぶちまけたかったが、それは興ざめだ。だから分からなくなった。
それに対し、トネスは薄く目を開きながらにへら、と力なく笑んでみせ、
俺の股間に手をやり、すっかり怒張したものを引き出した。
 
「不粋だよ……気持ちさえあれば、じゅうぶん…」
 
……こいつめ。随分と言うようになった。
この短期間で大きく変化している。俺も、こいつも。
そして俺は、俺自身の変化を喜ぶのと同時に、少し滑稽であるようにも思えてきた。
今までは迷い無き人生を送ってきたはずだったのだがな…
 
「そうだな。お前がいればそれでいい……」
 
ふっと笑みを零しながら、俺はトネスの腰を抱き寄せて一気に貫いた。
瞬間、くぐもったような喘ぎ声をあげて彼女が俺にしがみつく。
重力と俺自身の力に従って侵入した分身は奥深くを叩き付け、それに驚いたように肉襞が締まった。
そこは何よりも熱く、激しく俺を求めていた。
自然と腰を掴む力が強くなり、俺は初めから激しくトネスを突き上げ始めた。
 
「はっ、かはっ、んっ…すご、い…くふぅっ…!」
 
腰を浮かせ、リズムよく腰を深く叩き付ける度に、トネスの体が大きく跳ねる。
砂漠色のショートヘアを振り乱し、手を背中に回し、足はしっかりと腰を抱き締めてきている。
ベッドが大きな軋みをあげ、彼女と俺はあられも無く乱れ、交わる。
 
369孤独を知らない男:2008/04/18(金) 18:56:08 ID:XNWVk9ih
「あっ、あはぁんっ!んんっ…あっ、ひ、んくっ…あぁぁっ!」
 
顔の直ぐ傍で発せられる嬌声が徐々に昂り、否応なく行為を激しくさせられていく。
互いに、最早貪るだけ。腰を叩き付ける勢いで、ふわりと浮き上がったトネスの腰が落ちるのに合わせて中を力強く突く。
重力、落ちる勢い、俺自身の力強さから来る凄まじい衝撃と刺激は、
とことんまで彼女を甘く蕩けさせていくようだった。
そして蕩けた彼女が俺を求める行為が、更にその運動を激しいものとしていく。
 
「もっと、ついてっ…んぅっ!ふ、かく…はげしっ、くぅぅぅぅ!」
 
互いに体を密着させ、互いに絶頂へ向かって乱れる。
前を開いただけで着たままのシャツが、眼前で乳房や髪と共に揺れる。
怒張は彼女の中で更に大きくなり、彼女の中を抉り、穿ち、蹂躙し、犯していく。
甘く、切ない声でトネスは何度も俺の名を呼んだ。
そして懇願する。もっと強く、もっと深くと。
シャツの衣擦れの音、汗ばんだ肉同士のぶつかる音、淫靡な水音に、彼女の喘ぎ声。
しっかりと俺を抱き締める両手と両足の感触も心地よい。
だが、それらに気を向ける余裕すらだんだんと失われていく…
 
「んっ、あっ、あっ!あぃ!ひっ…いっ、いくっ!いくぅぅっ!」
 
そしてとうとう絶頂を迎えようという時には、俺は快楽を生み出しつつも貪る機械、
トネスはそれを締め上げ、喘ぎ続ける楽器へと変貌を遂げていた。
怒張で突き上げる度に奔った、電撃のような快楽に、俺も彼女も完全に屈服していた。
 
「いひッ…きゃひぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」
「…ッ!」
 
最後の瞬間。トネスの膣を貫くように最大限まで犯し、その最奥で全てをぶちまけた。
達した彼女の中に、強く締め付けられたためである。
トネスの内部と全身は歓びに打ち震えつつ、嬌声と共に体を弓なりにピンと伸ばした。
ごぼり、と大量の白濁液が子宮から溢れ出るも、それを気にせず絶頂の快楽に浸っていた。
 
そして彼女は頭に霞がかかったような状態で、未だ対面座で繋がっている姿勢のまま失神した。
 
370孤独を知らない男:2008/04/18(金) 18:56:52 ID:XNWVk9ih
 
──朝、目が醒めると、私はベッドの中で一人だった。
 
昨夜、あまりの激しさにたった一度で失神してしまった私だったけど、
ジェロスがそっと寝かせてくれたのだろう。毛布がかけられていた。
だけど、寝室に彼の姿はどこにもない。
 
それをすこし、寂しく感じた。
体を起こした時の肌寒さが、いっそうそれを強調する。
 
その状況には、憶えがあった。
初めて彼と繋がった夜の、翌日の朝。
あの時も彼は傍らになく、私はああやっぱり、と絶望に暮れたものだ。
その時の絶望はもう忘れたけれど、やっぱり不安はあった。
いつか──いつかあの人を失ってしまうんじゃないか。
ある朝目が醒めれば、全ては夢のように消え去っているんじゃないか。
手にいれてしまった幸福を失う事が、こわくなった。
 
でも、まだ先だ…
ちゃんと彼は帰ってきてくれたのだから。
水を叩き付けるような、ざばぁっという音を外から聞きながら、私はそう思った。
汗の染み込んだタイツとガーターリングを外し、下着を着け直す。
シャツを取り替え、投げてあった上着に袖を通し、スカートを履き替えると、私は裏口に向かった。
 
あの人は、命を狙われている。
最初にそう聞いた時は驚いた。そして悲しかった。
すばらしい人なのに、理解されずに命まで狙われている。
そんな彼の宿命が、悲しかった。
 
ゴズの者が平穏の内に死ぬ事はあり得ない、という事実も私は聞いている。
ハンターはいつ死んでもおかしくない仕事だけど、立派に務め上げて引退する者もいる。
でも一族の人間は、必ず規格外のモンスターか、ギルドの暗殺者に殺されてしまうと言うのだ。
実際、ジェロスのお父さんはキングサイズのラージャンという最強の牙獣種を相手にして…
この先は言いたくない。
宿命とは言え、彼もそんな死に方をしてしまうのかと思うと…やりきれなくなる。
それを埋めるためにも、私は必死に彼を求め続けたのかもしれない。
答えは出したけれど、それでもなるべくなら考えたくはなかった。
 
裏口から外へ出ると、最近ディアと彼とが戦った訓練用の裏庭に入った。
それを突っ切って茂みを超えると、そこには川が流れている。
上半身裸のジェロスはその川のほとりで、水を浴びていた。
桶で川の水を掬い上げ、それを頭から被る。
水浴びというより、水ごりだ。
 
371孤独を知らない男:2008/04/18(金) 18:57:33 ID:XNWVk9ih
「………」
 
私は両膝を抱えるようにしてその場に座り、彼が水を被る様を見る。
彼のことだから、きっと私の存在には気付いているだろう。
でも、彼は親の仇と言わんばかりに水を浴び続けている。
叩き付けるように、振り払うように。
もしかして、それは本当に水浴びではなく水ごりだったのかもしれない。
 
しかし、やがて彼は桶を投げ捨てると、私の方を振り向いた。
と言っても、完全に向き直ったのではなく、横側を向けるようなかんじだ。
そうして、片目だけで私を見つめている。
 
「──覚悟は、していた筈だった。」
 
静かな。まるで囁くような声だった。
ともすれば、彼の体から落ちる水滴の音にすら掻き消されてしまいそうなほどの…
 
「やはり、俺は身も心も超人にはなれないな。」
 
全身から水を滴らせる彼の体は、いつもより白く、細く見える。
その姿と、力のない目と声はまるで少年のようだった。
 
でも──
 
「ジェロスは、ジェロスだよ…私は…それでいいと思う。」
 
私が惚れたのは、ゴズの当主でも、ギルドに逆らい暗殺者と戦うアウトローでも、
あらゆる武芸に精通した最強のヒーローでも、どんなモンスターも狩り殺せる凄腕ハンターでもない。
ジェロス。またの名をゼロス。ジェロス・ゴズ。
私が恋をしたのは、ジェロスという唯一つの存在だけだ。
どれにも分類しない、人間ジェロスに私は惹かれたんだ。
 
「また、泣きそう…」
「俺もだ。」
 
これからも、不安は尽きないと思う。私達は互いを心配し合うのだと思う。
でも、この歩みの先に待ち構えているのは不幸な結果だけだとしても、歩みは止めない。
たとえ結末が深い死の闇と孤独だとしても、できるだけ彼と一緒にいたい。
いまこの時があれば、それで十分に幸せだと感じられる。
限りのある現在を、未来への絶望で使い潰したくはない。
恐れと不安と心配の中で、私は彼と共に闇へ向かって歩んでいこう。
 
覚悟とも言えないような、脆く弱々しい決心。
現実はそう甘くないことを知りながらも、私は心に決めている。
頬を膝に押し付け、潤んだ瞳でジェロスの横顔を見つめる。
思わず、熱っぽいため息が漏れた。
 
ジェロスは、眉間に皺を寄せ、下唇を軽く噛みながらやや上を向いていた。
それは、奥底から込み上げてくる何かを堪えているかのようだった。
372孤独を知らない男:2008/04/18(金) 18:59:55 ID:XNWVk9ih
これにて第十四話終了です。
もっとトネスのトサカとか、刺青みたいなゲネポス模様とか弄りたかったんですが、
長さの都合上カット。次回のエロシーンに持ち越しです。
まあ、次回のエロシーンがいつになるかは私も分かりませんが…
373名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 19:50:20 ID:zu8p5hH0
実はフルフル♀擬人化書いて欲しかったんだよなぁ うへへへへ・・・

って電波を受信して、メモ帳に書いちゃったんだが
ダラダラと無駄に長くて小説とも呼べない代物なんだけど、
個人的には悪くは無いとは思ってるけども、やっぱりキツい事言われるのが嫌だから
投稿しようか迷ってるんだが・・・。

ちなみに初投稿でふ
374名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 19:58:54 ID:KhKqgXUk
>>373
早くうp
375名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 20:19:36 ID:Bz7TAqZ0
>>373
この際だからハッキリ言おう。

グダグダ抜かす暇があるならさっさとうpる。これがこのスレの(というか書き手としての)基本だ。
後で変な事言われようが気にするな、それと相手に批評してもらうのもいい活力になる。
376名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 20:40:21 ID:RA+1ifxk
キツイのが嫌なら投下しないほうがいいぜ。
きつくても読んで欲しくて感想が欲しくて腕を磨けたらいいなと思うんなら投下するんだぜ。
377名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 20:45:34 ID:5hkWMoxi
俺の妄想で萌え殺したらぁっ!て思うなら、是非に投下。
需要は自分で作るんだ。
しかし過去既にフルフル擬人化♀は三件ばかり有ったりして。
書くなってわけでなく、そんな新境地でもないよーと。
378名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 21:24:09 ID:KhKqgXUk
>>373なにを言われようが気にするな。
でも、きちんとした、批評や感想はきちんと聞いたほうがいいぜ。
379名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 21:25:40 ID:zu8p5hH0
調子乗ってマジで投下しそうになった俺を止めてくれてありがとう
とりあえず出直してくる。 駄レススマソ
380名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 21:40:01 ID:KhKqgXUk
>>379
投下しちゃおうよ。
俺も今、執筆してて書き終えたらここの人に読んでもらおうと思ってるんだよ
381名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 22:08:21 ID:a+6Y8aL+
382名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 22:11:53 ID:CDRf/tTu
>>379
凄い気になるじゃないか…
383名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 22:48:28 ID:idMXwwbY
一回投下してみるといいんじゃないかな
推敲はちゃんとしたはずなのに投下してから読み直すと表現が微妙過ぎて死にたくなる、って事が多い俺が言うのもあれだが
384名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 23:01:23 ID:lCdYDmgq
>>372
gj!
ジェロスとトネスがどうなるか気になって仕方ないぜ・・

385名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 23:25:19 ID:EmG9qct9
>>372
乙、GJ。

>>373
手続きや内容があまりに問題だらけでなければそうそう叩かれることはないかと。
もちろん、やっぱり万が一叩かれても泣かないことは前提だけどさ。

あ、でも一つだけ。何処でもそうだが、他職人の投下後すぐのレスで投下予告、というのは控えた方が。
感想言いづらくなるからねー。
386名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 23:35:46 ID:zu8p5hH0
>>385
はい、次からは気を付けます 失礼致しました

投下しようとした物なんですが 正直本当に適当な言葉の羅列に等しい物で
その辺の中学生でも書けるような次元の物です これ自体はDLに封印して
深く反省した上で 一から書き直してきます。
非常に不快な思いをさせたかと思います 本当に申し訳無いです。
387名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 23:37:11 ID:KhKqgXUk
>>386
憲法9条を見ろよ!!!ただの文字の羅列にしか見えないのに、日本国憲法の一つだぞ!!
もっと自分に調子持てって!!
388名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 23:38:02 ID:KhKqgXUk
>>387
×調子
○自信

俺は寝た方が良さそうだ
389名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 23:44:30 ID:5hkWMoxi
ここが結構な頻度で書き手スレ化するのは、実は書き手な住民がいっぱいいるから?
390名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 23:46:46 ID:7JeEp/d0
とりあえず俺はドスファンゴ倒せるようになったからそろそろ一人前だよな
ということでお供アイルーとのSSってのは需要ある?
391名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 23:51:57 ID:XjqcyjsV
ある

♂♂でも♂♀でも♀♀でも全部需要ある
392名無しさん@ピンキー:2008/04/19(土) 00:01:27 ID:Wr2bcoL2
>>390
さあ、次はババコンガにダイミョウザザミにイャンクックにフルフルにまだまだ先は長いぞ


なつき度5のラブラブアイルーも0のツンデレアイルーも期待している
393名無しさん@ピンキー:2008/04/19(土) 00:02:07 ID:KhKqgXUk
>>390
私的には擬人化するといい
394名無しさん@ピンキー:2008/04/19(土) 00:10:39 ID:EzO+lZiO
擬人化ばっかりで擬人化はどうもお腹一杯
395名無しさん@ピンキー:2008/04/19(土) 00:12:01 ID:wU1ZD7SM
俺は食い足りん
396名無しさん@ピンキー:2008/04/19(土) 00:23:21 ID:J3FjTnbT
こうして住民と職人は着々とドラゴンファッカーへの道を歩む訳ですよ。
397名無しさん@ピンキー:2008/04/19(土) 00:43:58 ID:iaZsUHcc
俺は擬人化苦手だけど表現ぼやかせばある程度リバーシブルにできそうだ
ということで今書いてみてる
398名無しさん@ピンキー:2008/04/19(土) 00:49:11 ID:CJ3UQPMQ
>>394
つまり人×人をご所望と。
399名無しさん@ピンキー:2008/04/19(土) 00:55:03 ID:iaZsUHcc
私はまだ駆け出したばかりの新米のモンスターハンターだ。
村での訓練、練習、ひたすら其れをこなし、やっとの思いで数週間前にハンターとしてデビューした。
村の近くの山にまで降りてきていたギアノス5匹をやっとの事で追い払うことができた…だから少し認めてもらえた。
特別強い訳でも、打たれ強く我慢強い訳でもない普通の見習いだった私…それが今はこうして…。
「フィナ!来るにゃ!!」
「あああああ!!!」
ブルファンゴが地面を蹴り飛ばしながら突き進んでくるのが視界に入り、骨銃槍をもつ手に力が籠る。
ブルファンゴにトドメをさす、それにはこれしかないと思った。
衝撃が強すぎて槍をしばらく持つことが出来なくなる程に威力の高い攻撃、竜撃砲を撃つ構えをし、両足に力を込める。
恐怖で体が震える、それを歯を食いしばり震える自分に力を込めるように槍を握り、そして爆音と共に竜撃砲が炎を吹き上げる。
ブルファンゴはその竜撃砲をまともに食らい驚きで走る軌道がずれたらしく新米ハンターのすぐ脇を通り抜けガケに激突した。
体毛からパチパチと火の粉が舞い、血を大量に流しながらバタバタともがいた後ブルファンゴは動きを完全に止めた。
「は…ははは…こわかった…」
力なくへらへらと笑い声を零しながら地面に座り込み、衝撃でぶるぶると震える手を摩るようにしてガンランスを背中に担ぐ。
モンスターの肉を切り分ける為のナイフ、それを取り出すと盾を装備していた方の手を使い、器用にブルファンゴを捌き始めた。


「ダンナ様、お肉焼けましたにゃ」
「ありがとう、ポルカ」
「上手く焼けてるかにゃ?」
「うん!」
一緒にいるアイルーは村で出会い、親しくなったアイルーで…本当は料理を作ったりする方が得意だったらしい。
だが彼女はとても世話焼きな性格で、一人でそんな危ないとこいかせれないにゃ!と、必死に戦いを学んできてくれた。
お互いが新米同士というわけもあり、出会うモンスター一匹一匹が強敵で、倒すたびに二人の友情は深まっていった。
そして今日が初めての大物、今まで闘ってきたモンスターとは格の違うファンゴのリーダーである存在。
それを二人で協力し、多くの傷を負って動けないほどになってはいるが倒すことはできた。それは二人がそこまで成長した証。
「ダンナ様…」
「もう!ダンナ様禁止っていつも言ってるのに…フィナでいいの」
まったくっ!とポルカのダンナ様という発言が気に入らないらしく腰に手をあてながらポルカにそう言いながら頭を撫でる。
「う…っ。でも一応ダンナ様とお供っていうことに…」
「ポルカ」
言葉に詰まりながら言い訳を話すポルカにフィナが少し怒ったような顔を向けるとポルカは大人しく頷き
「わかったにゃ…。フィナ」
照れくさそうにそういうとフィナの体に覆いかぶさるように乗り、口付けをしながら共にベットの上に倒れ込む。
「ポルカ…私が主人なのにいっつもポルカが上なのね」
「今さっき主人もお供も関係ないって言ったのはフィナにゃ」
「んっ!そんなこと言ってないわ・・・呼び方の事を言っただけよ」
舌を絡め合いながら自分達の息を掛け合い、お互いの体温を感じながら服を脱ぎ、お互いに体を見せ合う。
女同士でこんなことをしていて良いのだろうか、たまにそんな事を思うがポルカの舌使いに思考はすぐに消えてしまう。
「ポルカ…ふぁあ!」
「フィナ、ここが弱いにゃ?ニャニャ」
二人のハンター生活はまだまだ始まったばかりだ。
400名無しさん@ピンキー:2008/04/19(土) 00:55:37 ID:EzO+lZiO
ヒトヒト
ヒトドラ
ドラドラ
なんでも食えるんだぜ
さらにはガチホモでもガチレズでも食えるんだぜ
401名無しさん@ピンキー:2008/04/19(土) 00:55:57 ID:iaZsUHcc
文章幼稚だけど気にしないで、元からなの
ごめんね
402名無しさん@ピンキー:2008/04/19(土) 00:59:52 ID:/7G/F4N2
>>397
おk、期待して待ってる

しかし、このスレもまた昔みたいに活気付いてきたな
初代スレから見てる俺にとってはうれしい限りだ。
403名無しさん@ピンキー:2008/04/19(土) 01:01:19 ID:iaZsUHcc
ああ、これで終わり
ちょっと触りを書いてみたかっただけなんだ
404名無しさん@ピンキー:2008/04/19(土) 01:21:02 ID:/7G/F4N2
GJ、なんという執筆速度wwww
無理にとは言わないが、個人的には是非続きを書いてほしい
405名無しさん@ピンキー:2008/04/19(土) 02:22:05 ID:2d4kvOFx
wiki荒らされてるね
406名無しさん@ピンキー:2008/04/19(土) 03:08:19 ID:ba6QeM0v
wikiのリンクが赤くなってるがありゃ何だ?
あと全部「悪意のあるプログラム」判定が出るんだが。
407名無しさん@ピンキー:2008/04/19(土) 06:34:03 ID:xR9APqAV
wikiについては>>360辺りを。大変そう…。
 
原形萌えはあるものの、原形エロは難易度高。
鱗と尻尾が有りゃ良いってものでないし。
さておき長いのを投下。
投下自体に19レスほど拝借。以下、傾向とか。
・シリーズ物のパラレル
・ポッケ村駐在の日記形式
・エロくない。だが上品でもない。オチもない
・風味は少ないが舞台はMHP2。厨設定捏造気味。地理わかんね
・原形萌えかと思えば騙される
以上許せる方はご覧あれ。ダメならスルーでお願いします。
408喰う充実 1:2008/04/19(土) 06:35:39 ID:xR9APqAV
1日目
不本意ながら今日から変な生き物飼うことになった。
兄さんが兄さんちの居候を預けにきた。
とても大事な用があって、どうしても長期間おうちを空けなきゃいけないそうだ。
おうちの管理は雇っている猫達に任せるけど、居候の世話までは無理そうだと。
私のうちは村にかしてもらってるんだし、村長さんに話が通ってるなら文句はない。
居候のヤツの食費を多めに渡してくれて、兄さんは慌ただしく出掛けていった。
ヤツは寂しいのか、部屋の隅っこできぅーと鳴いてる。
ごはん沢山食べた。口の回り汚しすぎ。
拭いてやったら触られるのを嫌がって噛み付きかけた。喧嘩になった。
 
2日目
居候のヤツと私はとても険悪な仲だ。
でも兄さんはどうしても私にしか頼めないらしい。そりゃそうだろ。あんなの。
私は兄さんに借りを返すいい機会だと思うけど、ヤツとの関係は私一人の意識でどうにかなったりしない。
改めて、絶対私を食い殺そうとしたりしないって、ヤツに約束させた。
ヤツは不機嫌そうにギリギリ歯ぎしりしていた。
昨日もそして多分今日も、ヤツは囲炉裏の傍で丸まって寝る。
寒いのは平気らしい。
 
3日目
今日はヤツを連れて村の人にご挨拶。
ヤツは凶悪面なもんだから、ご近所さんちの息子君半泣き。
ちゃんと挨拶しとかなかったら、ヤツがお散歩に出るだけでとっても怖がられたと思う。
ヤツは私に対して殺意たっぷりだけど、他の人には結構無関心で無害。
ごはんの後、また部屋の隅できぅーと鳴いてた。寂しそう。
 
4日目
明日はお仕事。
一人で行かなきゃだけど、薬草摘むだけらしいし、日帰りできるといいな。
今日の内に畑仕事とか済ませた。
畑で大好物のカエルを見付けてヤツは大はしゃぎ。川で泳いで機嫌良さそうだった。
水冷たいのにそれも平気らしい。
ごはんをいっそう沢山食べた。
毛繕いを要求される。ヤツに触れたら嫌なのか、きゅるきゅる変な音を出された。どうしろと。
ヤツのトゲヒレ絶好調。ヤツの体温ひんやり気味。
 
5日目
書いてるのは6日目。昨日が終わったばかりだけど、昨日の事を今から書く。
早朝ヤツに出掛けると声をかけたら、もそもそと起き出して私の寝床へ潜ってまた寝た。
家主が今から出勤だっていうのにいい態度だと思った。
お仕事は頼まれた薬草が思ったより早く多く見付かり、夕方に帰還。
依頼主のおっちゃん宅で晩ごはんをご馳走になった。おいし。うちに帰ったら暗かった。
もうヤツは寝てると思ってこっそり戸を開けたら、なんかしてた。ヤツ気付かず。
枕噛んでお布団相手に一人上手。
見られてたって気付かれたら、絶対機嫌悪くなるだろし、そっとしておいた。
一風呂浴びて帰ってきたら、囲炉裏の傍で寝てた。
複雑な気分だけど、私も寝る。
 
6日目
朝、起きたら首に噛み付かれる一歩手前だった。
すんごい大口開けてて、ギザギザの歯がゾロリと並んでるヤツの面に驚き死にかけた。
約束破ろうとする悪いこは朝ごはん抜きだ、と思ったけど給仕猫達がもうヤツの分も用意してた。
腹いせに、なんで枕がズタボロなのか問い詰めてみたら、ぶちギレ。
がるがるやかましいので、また川に放つ。ヤツ爆泳。
畑仕事の途中カエルを見付けたのでヤツのオヤツに。上機嫌でバリバリまるかじり完食。怖い。
 
409喰う充実 2:2008/04/19(土) 06:37:04 ID:xR9APqAV
7日目
今日は武具屋さんへ。
雪獅子の鋭い牙とかそんな素材を持ち込んで、渋い緑色の防具を作ってもらうことになっている。
ヤツが暇そうなので、連れてった。はじめのうちは置物みたいに大人しい。
最近鎧の胸回りや肩回りがキツかったり。
武具屋の旦那さんにそう言ってみたら、採寸しなおすかいと。
早速お願いしたら、何故かヤツがキリキリいいだした。歯ぎしりらしい、あれ。
武具屋の奥さんに手を引かれて別室に移る頃には、少し静かになってた。何なんだ。
おうちに帰ってからもくるくる唸って不機嫌そう。お風呂行こうかと声をかけても無反応。
水浴び好きらしいけど、熱いお風呂は嫌いって兄さんが言ってた。ここの風呂は温泉だから嫌なのか。
一人でお風呂行って帰ったら、枕が更にズタボロに。ヤツは部屋の隅でじっとしてくるくるいってた。
 
8日目
ヤツが暇さと運動不足でイライラしてるっぽい。
昨夜もお布団相手に一人上手してたようだし、知らなかったけど発情期でもあるのかもしれない。
そう思えば妙に攻撃的なのも納得がいく。
昔幼なじみのうちで飼ってた、番のいない雄鶏に行動が似ている。
考えてみればヤツは珍しい生き物だから、そう易々とお嫁さんなんて迎えてやれないし、可哀想なものだ。
さておき、お仕事入れた。砂漠に青と橙の縞縞模様の大口竜が出たから殺れ、だって。
いい機会だからヤツも連れていく。暴れるの好きだもの。
 
9.10.11日目
砂漠は好きでないけど、仕事は選り好みできない身分。
あの縞縞大口竜は、なんだって砂漠と雪山を行き来するんだろう。奇特な性質だ。
私は槌を担いで、砂竜の良い鱗とかで作った鎧一式を着ていった。
不思議に涼しく感じる鎧で大好きだが、肩口がちょっとまずい。筋量増えたか太ったか。これもサイズ直して貰わないと。
何か気に食わないのか、ヤツに度々ガン見された。喧嘩してる暇がなかったので放置。
縞縞大口竜は、声がデカイから轟竜なんてかっこいい通称がある。デカイっていうか、下手すればヒトが飛ぶ。
で、私が飛んだ。思いっきりヤツに馬鹿にされた。
ヤツはヤツで、轟竜に噛み付きその肉や鱗を何度か食い千切った。大口対決で負けたくなかったらしい。アホだ。
特に大物なあの轟竜に噛み付かれでもしたら、下手しなくてもヤツが死んでたんじゃないかと思うと胃の辺りがぎりぎりする。
竜の大声にうっかり身をすくませた私を蹴って正気付かせたり、竜にはたかれて軽く気絶状態だった私を放り投げたり、色々助けられた。
やはり氷結イチゴをオヤツに与えておいた餌付けが利いたんだと思う。
たまには好物の甘いもの食べさせてやってって、兄さんが言ってたの思い出して良かった。
轟竜はしこたま頭を殴ってフラフラになったところを罠にかけ、麻酔で眠らせ捕まえた。
私の投げた麻酔玉は全部外れた。
 
12日目
轟竜討伐を終えて、私は打撲擦り傷切り傷少し。軽傷。
ヤツの方がやや重傷。無茶するからだ、アホめ。幸い骨とか筋とかに異常はないらしい。頑丈なのが取り柄。
でもちょっと傷が痛々しいから、広々寝床を少し詰めてヤツを寝台に上げた。
怪我してるうちはヤツもおとなしいと思うし、一緒に寝ても寝首を噛むとか変な気は起こさないだろう。多分。
怖いからヤツの方に顔向けて、横向きに寝る。
ヤツは結構元気。今日もよく食べる。念のため、薄めた痛み止めをヤツに飲ませたら、効きがよく腹這いに寝た。
寝ててもヒレがそよそよ動いてて、なんだか可愛かった。
鎧を綺麗にしたから、明日は手直しを頼みに行こう。ついでに轟竜の素材持ち込もう。
 
13日目
寝ているヤツの顔付きは造形美を感じる。結構キレイ。
でも歯ぎしりがうるさい。鼻がつまってるみたいな寝息もうるさい。
薬草の湿布とか、包帯巻き直しとか世話焼いてみた。鬱陶しがられる。
今日は一人で畑仕事。カエルは見付からず。
川で魚を釣ってたら、探検家猫が小舟を漕いで帰還。戦利品だと言って大きな赤身魚をくれた。
半身くらいは給仕猫達に、もう半身はヤツにやることにした。
猫まっしぐら。ヤツまっしぐら。
私はカブトの煮付けを食べた。目玉がぷりぷり。満腹満足。
 
410喰う充実 3:2008/04/19(土) 06:38:11 ID:xR9APqAV
14日目
朝方、ヤツが窓から遠くを眺めてくーくー鳴いてた。寂しいのかも。
そういえば兄さん元気かな。用事はいつ済んで、どれくらい経ったら帰るんだろ。
天気が良くて洗濯大会決行。大物汚れ物を踏み洗いしてたら、ヤツが日向に出てきてた。
ヤツの身の回りの物もついでに洗った。ちょっと嫌そうにしていた。
ついでにお部屋で沐浴させてみた。怪我が治ったら、川で泳がせとけばこういうの要らなさそう。
おっかなびっくり、ぬるめのお湯に脚突っ込んでた。
人目ない方が落ち着くかと思って、ヤツをそのままに洗濯再開。良い仕事が出来た。
ヤツはややスッキリした模様。
今夜から使う抱き枕を干しておいたんだけど、使い心地が楽しみ。
 
15日目
夜中、なんだか目が覚めたら、ヤツに抱き枕を奪われそうになってた。
ヤツの枕はヤツがズタボロ通り越してボロキレにしたあれ。これまで取られてたまるか。
しっかり枕を抱き抱え、脚も絡めて寝直した。ヤツはなんだか壁側を向いてキリキリいってた。
概ね快眠。私の打ち身はそろそろ痛まなくなってきた。擦り傷回復はもう少し。
治りが良いのは温泉のおかげかもしれない。
ヤツの傷の治りも順調。湿布貼り直しや包帯交換時おとなしかった。
いいこにしてたから、給仕猫に貰った氷結イチゴをあげた。
ヤツはヒレをひこひこさせながらイチゴを頬張る。
 
16日目
朝、目覚めたらヤツに抱き付いて脚絡めて寝てた。
ビックリしてヤツを蹴ったら、ヤツ目覚めと同時にぶちギレ。朝から大喧嘩。私は多分悪くない。
どうにも寝ている間に、ヤツに抱き枕を奪われてたっぽい。
朝食後にヤツが家出。昼食前に定位置に居た村長さんと餅食ってるところを捕獲。
近所の引退ハンターさんにフード貰ったらしくてご機嫌だった。被り物好きらしい。
武具屋さんから雪獅子素材の防具を受け取る。頭部防具の名前にキャップと付くけれど、どうみても深緑色のベール。
おうちに帰ってから試着してると、ヤツが興味を示す。
ふざけて着けさせた。私より似合う。ムカつく。
腰部防具は渋ーい青緑色の飾り帯。オリエンタル。
 
17日目
夜中にヤツが寝床を抜け出す気配で目が覚めた。お手洗いかと思いきゃ、立ち去るでもない。
また枕を取り上げる気かと、寝たふりしたまま様子をみてた。
なんだか私の足に顔寄せてて、冷たいやらかいものが。
その後、ヒレをすりすりこすり付けられた。それで満足したらしく、ヤツは寝直した。
今日も一人で畑仕事。植え付けた薬草大収穫。良い具合にマタタビも採れたから、猫達にあげる。
カエルを見付けたのでヤツのおやつに。
久々のカエルにヤツ狂喜。夢中でむさぼり食う。怖いって。
機嫌のいいうちに体を拭いて、薬草湿布の貼り換えと包帯交換した。治りが良くて羨ましい。
明日は一人でお仕事。早く寝る。
 
18日目
毛むくじゃらな大きな家畜飼ってるおっちゃんが、今日の仕事の依頼主。
雪トカゲがまた増えてきて、家畜をガブガブ襲うから、ちょっと群れを散らしてやってってことで。
個人的に雪トカゲは嫌いだけど、冷静に仕事をこなせた。深追い禁物。根絶やし禁物。
夜遅くに帰宅したら、囲炉裏の傍でヤツが丸くなって寝てた。
寝床を見たら、抱き枕に派手な噛み跡発見。またやったのか。そういう生理なら仕方ないんだけど。
寝台で寝なと揺り起す。寝惚けてたらしきヤツに手を舐められた。舌が冷たい。
ついでにヒレでもすりすりされた。
ヤツはふらふらもそもそ寝床に潜り込んで、腹這いに寝た。やっぱり寝息がうるさい。
鎧拭いて、体の汗拭いて、もう寝たいけど眠れそうにない。
寝酒飲もう。
 
411wiki作って放置した奴:2008/04/19(土) 06:38:13 ID:eQsdBoW6
恐らく俺のIDが何故か荒らしIDとして糞扉に登録されているのが原因かと
最近更新したページから、 mheroparoが更新したページは多分リンク戻ってると思う
412名無しさん@ピンキー:2008/04/19(土) 06:41:36 ID:xR9APqAV
>>411
お疲れ様です…
つ【生命の粉塵】
413喰う充実 4:2008/04/19(土) 06:43:11 ID:xR9APqAV
19日目
まだ暗いうちだったと思う。目蓋が冷たくて目が覚めた。
目を開けたら、眼球が冷たかった。舐められたらしい。
半分寝惚けたまま、目にヒレすりすりされるのは困ると思って、先手を打った。
ヤツにちゅーして舌を舐めてやったら、ヤツは倒れた。
頭が目覚めて行くうちに思い出したけど、ヤツはお酒が全くダメって兄さんが言ってた。
酒飲んだ私のその、ちゅーでもダメだったらしい。
先に変なこと仕掛けたのは向こうだし、私は悪くない。きっと。
しばらくヤツは寝たまんまで、心配してあちこち触ってみたけど無反応。私半泣き。
昼過ぎにやっと起きた。お腹空いたってうるさい。
拍子抜けでちょっと泣けた。
腹いせに、お昼ごはんの後に温泉に引き摺り込む。
熱めのお湯が薄皮張ったばかりの傷口に染みたのか、ヤツはギーギーいってた。ざまあ。
そのくせ泳ぐとはどういう了見だ。その上、帰ったら毛繕いを要求される。何様だ。
 
20日目
朝、ヤツがまた窓から遠くをみて、きぅーと鳴いてる。
兄さん元気かな。便りがないのが無事な証拠と言うけれど。
私の畑で今日は何故かサボテンの花が採れた。ここ雪山付近だってば。
明日は久々に修行というか精神鍛練というか、挑戦する。
準備はぬかりなく。
防具を取っ替えひっ替えしてる様子を、ヤツが殺気のない妙な目でガン見してきたが無視。
首洗って待ってろ、黒毛の赤目猿。
 
21日目
昔赤毛猿なんてあだ名があった私が、大闘技場にて強敵・赤目猿に勝利。前にボコられた借りは返してやった。
弓の性能で勝った気もするが、まあいい。
多少の殴りは鎧で止められるなんて慢心があるから、痛いのもらうのさって同僚のメガネちゃんが言ってたけど、本当かもしれない。
嬉しいから一人で祝杯上げた。
ヤツは、夕方帰った私を見るなり何故か脱走。さっきコソッとずぶ濡れで帰宅。
機嫌が良いから拭いてやったりとか晩ごはんとか、ちやほや世話焼き。ヤツは居心地悪げだった。
 
22日目
朝、起きたら目の前にヤツの顔がドンと。
ビックリして飛び起きたけど、ヤツは死んだように眠ったまま起きない。見覚えのある状態。舐められてたっぽい。
見守ってたはずが、うっかり二度寝。
また目が覚めたのは、唇にヒレをすりすりされたとき。お昼前くらい。口開くより前に、腹が鳴る。
昼ごはんを食べて、給仕猫達に近いうちに豪華な晩ごはんをとリクエスト。
理由は祝・二頭の赤目猿撃破だっていったら、猫達皆が小首を傾げた。赤目猿がどんな怪物だか知らないらしい。
昼から畑仕事、久々にヤツを連れてく。ヤツは土を掘り返したり虫を採ったり。
飽きたらいそいそと川へ。プカッと浮いて、死にかけ金魚みたい。帰るよって言っても上がってこない。
仕方ないのでカエルに糸付けて川にポチャポチャ。ヤツはヒレをひこひこさせて寄ってきた。釣れた。
跳ね上がったヤツにのし掛かられるわ、すぶ濡れになるわ、そのままカエル丸かじり見せつけられるわ、えらい目にあった。
 
23日目
夜中ヤツがまたもそもそ起き出す。背中をさすられた。
何かようかってきいたら、ヤツは少ししょんぼりしてたっぽい。
放置しといたら、うなじを一舐めヒレですりすり。ビックリして暴れたら、ヤツのヒレを強打。
ヒレの縁のトゲにプスリとやられた。気付いたら朝だった。
ヒレのトゲに毒があるとは聞いてたけど、見事な昏睡状態だったらしい。
抱き枕の噛み跡が増えてた。人を大変な目にあわせといて、ヤツめ。
今日は口利いてやんなかった。
先日赤目猿戦に使った防具を念のため点検に出した。結構過激な格好だったのねって、武具屋の奥さんに笑われた。そんなこと言われても。
砂竜素材の鎧がやっと手直し終わった。お帰り、トゲヒレ鎧。
 
414喰う充実 5:2008/04/19(土) 06:47:05 ID:xR9APqAV
24日目
猫斡旋してくれる婆ちゃん、通称猫婆ちゃんが兄さんからのお手紙を届けてくれた。
いろんな猫手を渡って届けられたらしい。感謝。
兄さんは伯父さんちにお世話になってるそうだ。あの町、今はどんな風なんだろ。
まだしばらく帰れないって、ヤツが寂しがるよ。
迷惑かけてごめんって、私は大丈夫なのに。ヤツに噛み殺されてないし。
ヤツ宛のお手紙もあった。やさしい言葉遣いで、ちょっと癖のある字が元気かとか、喧嘩してないかとか。
兄さんは相変わらず兄さんだ。もう三十路なのに。
兄さんに手紙を書こうってヤツに言ったら、乗り気みたいだった。
ヤツの字はミミズがセクシィに身悶えしたような感じ。
 
25日目
とっても眠くて体がだるい。重い。無理に起きると頭痛がすごいから寝てた。今回は酷いな。
怪我が完治したらしいヤツを寝台から追い出して久々に一人寝。
給仕猫達が私とヤツの世話を焼いてくれた。
ヤツは何度かお散歩に出たらしい。静かでいいが変なことやらかしてないか心配。
 
26日目
眠いが頭痛はマシになってきた。これじゃこの期間、動きは鈍るし血生臭いしで、猟にも出られそうにない。
起き出してご近所さんと井戸端会議に参加しようとしたのに、ふらふらしてるから早く帰れって叱られた。
武具屋の奥さんに装備の点検終わったって聞いたから取りに行った。
雪獅子素材の飾り帯と、轟竜の上質な爪やらで出来た脚鎧と、蒼火竜の素材の胴鎧と、何だっけ。まあいい。
ともかく、脚鎧と腰防具の組み合わせが露出度高過ぎでヤツの目の毒でしょ、だって。
私のむき出しの尻や太もも見ても、ヤツならきっと硬くて不味そうな肉だとしか思わないんじゃないかな。性別は野郎でもヒトでないし。
腰冷したのはまずかったかもしれない。
ヤツは今日もあちこちお散歩したそうだ。先代ハンターさんに貰ったフードが最近お気に入りらしい。
兄さんへの返事を書いた。ヤツのはまだ完成してないらしい。何伝えたいんだろう。
 
27日目
明日からお仕事できそうと思ったのに、村の方では特に用事は無いと。平和なのは良いことだけど。
同僚のメガネちゃんの雇ってる猫がお手紙持ってきた。身内が結婚式挙げるから、しばらく帰郷するらしい。
今日は給仕猫達が、頼んでた豪華な夕飯にしてくれた。美味しい幸せ。嬉しさ余って猫達にすりすりちゅー。
ギャワワと嫌がる猫あり、すりすり返す猫あり、無反応な猫あり、猫パンチくれる猫あり、もっと撫でろと要求する猫あり。猫それぞれ。
そんなことしてる間、ヤツはキリキリ鳴りながらごはん沢山食べる。
仲間外れは良くないし、ヤツにもすりすりちゅー。
ヤツはビックリして部屋の隅まで逃げた。失敬な。
 
28日目
また夜中、気持ち良く寝てたら冷たい手で頬っぺた撫でられた。目が覚めた。
何か文句言おうと考えてたら、すりすりちゅーされた。
なんとなく勝ち誇ったような顔して、ヤツは炉端で丸くなって寝た。
なんだかもう。どうしよう。
いい加減寝てる人に何か仕掛けるの止めなさいって、言って聞くかな。
とりあえず仕返しとして朝起こす時、ヤツのヒレに息吹き掛けてやった。
ヒレの反応、ビルビビビッ。起きてからも落ち着かなさそうにヒラヒラパタパタ。
朝から村長に数日出稼ぎに行ってきますって、ご挨拶。
そろそろ狂暴な闘争心を溜め込んでいるはずのヤツも連れて。
兄さんへのお手紙届けてくれる人も探さなきゃ。と言う訳で、久しぶりだね集会所。
 
29.30.31.32日目
私とヤツともう一人、赤毛の彼とで森と丘の火竜夫妻討伐へ。
私が弓を、赤毛の彼が片手剣を使う。切断なら任せとけ、みたいな面子。
本当は狩猟笛を担いで来たかったんだけど、まだ演奏上手くないからこっそり断念。
火竜を探す間、ヤツに付け回される。いつものことだけど、その視線に殺気びんびん。いつ噛みつかれるかとひやひや。
火竜の尻尾を切りにいってヤツははたかれ見事に飛ぶ。案外堪えてなさそうだった。
むしろ変な大声出し始めてとっても怖い。丈夫なのが取り柄だが、怖い。
わりとつつがなく両竜捕獲。目くらましの閃光玉がたまたま上手く使えた。
麻酔玉はまた全て外した。シビレ罠にかかって動きのとれないものにすら当たらない不思議。
 
415喰う充実 6:2008/04/19(土) 06:48:02 ID:xR9APqAV
33日目
手紙を兄さんちの猫に託した。どんなルートをたどるかはわからないけど、伯父さんちの兄さんとこに届けてくれる、とのこと。
ヤツは赤毛の彼んちにお泊まり。何故か彼らは結構仲良しなお友達。私にヤツはちっとも懐いてくれないのに。
私は兄さんちに泊めて貰った。主人と居候不在で、雇われ猫達は少し寂しくなってきたらしい。やたらに歓迎された。
兄さんちはお風呂があって使わせてもらう。すごい。いいなあ。
猫達から兄さんとヤツの日常の話をいくつも聞いた。とっても仲良しだって。
ヤツめ、私にはいまだに殺気ムンムン漂わせてくるくせに。そうなるくらいの事をしたから、仕方ないけど。
猫達は私の事を、子供の頃村でガキ大将だった事まで知ってた。何吹き込んでくれてるんだか。
『あの』妹さんですかニャとか、好奇心に満ち満ちた目が可愛いけど不安を煽る。何だと思われてるんだ。
お布団ふかふか。お部屋ホコリも無くてぴかぴか。兄さん不在を、猫達はちゃんと留守番してる。
えらいな。うちの猫達どうしてるかな。
 
34日目
安らかな眠りと目覚めって素敵。猫達が朝から大はりきり。ごはんおいしいけど多い。
昼に赤毛の彼がヤツを返しに来る事になってる。猫達、昼食準備に更にはりきる。
お手伝いする事ないかってきいたら、お客様しててくださいだって。帰る準備も済んで暇だから、日記に落書き。
‖w・´)∋ ヤツ。
(´-」-) 赤毛の彼。
(゜_゚・) 私。
お昼もヤツはよく食べた。猫達は微笑ましげにそれを見守る。
赤毛の彼も猫達の拝み倒さんばかりの勧めでお昼を一緒に。猫コックいいなぁとかポツリ。
お昼が終わり赤毛の彼や私が帰る段になって、猫達しょんぼり。
もっと頻繁にヤツを帰してやれたら良いんだけど。あるいは、今日このまま置いて帰るかとも。
兄さんからヤツを預かったのは私だから、責任を持ってヤツお持ち帰り。またね。
夜遅く帰宅。ヤツがちょっと元気ない気がする。
おまけ。
(◯ω◯)人(σ_σ) メガネちゃんとお嬢さん。
(´∀`) 兄さん。
 
35日目
願望炸裂させ過ぎな都合のいい夢見た。夢の中の私は羨ましいくらいに素直。
起きてからしばらく感情引きずって切なかった。
朝一番、村長にただいまのご挨拶。早速、お仕事依頼あり。
任せとけって思ったけど、聞いたら好きじゃない仕事。仕方ない。急ぎでないらしいけど、明日お仕事に出掛ける。
今日は一人で畑仕事。解毒作用のある薬草をわっさわっさと収穫。
ふと視線を感じ振り返ったらハチの巣箱の陰からヤツがジトッとみてた。
ハチミツ食べようかって呼んだら寄って来た。本当に甘い物好き。でも何だかヤツの反応が鈍い。
ハチミツ食べたあと、ヤツ川でぷかぷか。一向に上がって来ない。カエル見つからなかったから、釣り上げられない。
仕方ないので川に入って捕まえに。水冷た過ぎ。
捕まえに行ったのに、水中でヤツに捕まり首をそっと食まれた。痛くはなかったけど怖い。
寒さと怖さに耐えられず私が家へ逃走。そこから更に温泉に逃げ込んだ。
うちにこっそり帰ったら、ヤツは囲炉裏の傍で丸くなってた。ぎりぎり歯ぎしりうるさかった。
 
36日目
出掛ける準備をしてお昼に出発。防寒着はぬくぬく。
お仕事は雪山の珍味、白いぬるっとした飛竜の幼体を三つとって来て、だって。
珍味扱いだけど、噛みつかれると痛い。
私の亡夫の間接的な死因はこの珍味野郎。成体にこれを卵の状態で産み付けられた。
だからこの白い目無し竜は大嫌い。でも深追い厳禁、根絶やし厳禁。
古龍の脱け殻から、珍味ぽろぽろとれた。途中、雪トカゲの親玉が喧嘩売ってきた。買った。
適当にしばいたらトカゲ逃亡。最初っからくんな。
大した怪我もなく帰還。依頼達成。夜中に申し訳ないけど、早々に引き渡す。あんなニョロニョロしたの手元に置きたくない。
日付変わってから帰宅。ヤツは寝台で寝てる。寝息と歯ぎしりがうるさい。
体拭いてたら、いつの間にかヤツが起きてこっちを見てた。寝起きで目が半開き。
静かにしてるなと思ったら、もそっと寝床を詰めた。一緒に寝させてやっても良いってことか。
でも抱き枕を返す気はないらしい。
 
416喰う充実 7:2008/04/19(土) 06:49:28 ID:xR9APqAV
37日目
ヤツが高熱出して寝込んだ。息苦しそう。
解熱剤は有るけどヤツに飲ませていいかわからないし、栄養剤飲ませて、体の各所を冷まして様子見。
ヤツぐったりしてされるがまま。ごはんほとんど食べない。辛うじて水はよく飲む。
きのうの晩寝る時、またヤツに背中さすられたけど、ひやっとしなかった。何で気付かなかったんだ。
死んじゃったらどうしようって、似た経験を思い出して不覚にも泣けた。
まともに立ってられないくせに、下の世話されるの嫌なのか、ふらふら用足しへ行く。吐いたようだ。
今日はつきっきりで看病。私も体力勝負。
しばらく寝台はヤツに明け渡すから、囲炉裏の側で寝ようとしたら、結構寝にくい。
ヤツにこれを強いてたわけか、私は。
 
38日目
朝起きたら、何故か寝台の上で寝てた。ぼんやり変だなと思ってたら色々とんでもなかった。
乳の間にヤツがはまりこんでるわ、布越しながら脚にナニが擦りつけられてるわ。
私相手に一人上手。息荒いのはまさかそっちか。
まだ熱高いんだから体力使うのよせって言ったら、えらく切なげな目をされた。
仕方ないので手をかした。触っても嫌がられなかった。ヤツ三擦り半。ヤツのナニは意外と普通に粘液を吐く。
もっとって要求された。元気になったら続きをしようと言っておいた。熱で忘れてくれ。
一応おとなしくなったから、拭いといた。
寒いらしく、ヤツがぶるぶる震える。ちょっと鳥のヒナみたい。
お布団枚数増やして、暖かくするためヤツの背中に分厚い毛布当てて毛布越しに添い寝。直にヤツは寝た。
あんまりな元気の無さにまた泣けた。
給仕猫達が気を利かせて、お腹に優しい感じのごはんを作ってくれる。とっても助かる。
ヤツは昨日より少し多く食べてくれた。
 
39日目
ヤツがだいぶ快復。お腹空いたってぼやくくらい。とりあえず高品質な栄養剤とお水をせっせとやる。
もう寝台の上で身を起こしてられるように。猫達が、ヤツを看とくから風呂行けって言ってくれた。
言葉に甘えて風呂へ。清拭はしてても、やっぱり風呂がいい。ヤツも沐浴なりさせてやりたいけどまだ駄目っぽい。
今日はヤツはごはんを沢山食べた。熱もだいぶ下がったみたいで、額から熱を診てもじんわりぬくいだけ。
おとなしくしているうちに、ヤツの伸びてきた爪の手入れをしてみる。ちょっと嫌そう。
 
40日目
ヤツほぼ全快。退屈してきたらしいけど、もう一日おとなしくしてもらう。
毛繕いを要求されたので、乱れ気味なのを丹念に櫛を入れる。なにかきゅりきゅる笛みたいな音がする。
元はつやつやなのに、今はペッタリしてる。伸びすぎかも。風呂入れたげたい。
少し余裕が出たので村長さんに仕事ないかのお伺い。また薬草摘みの依頼あり。早速明日やろう。
お家に帰って大物洗濯。ヤツの身の周りの物もついでに。
終わってから畑で一仕事。眠り薬になる草がもっさもさ。カエルを捕まえた。ヤツの快復祝いにした。
キノコを収穫、虫を捕まえ乳鉢でごりごり擦り潰しハチミツを加え、高品質栄養剤の在庫回復をはかる。
家に帰ったらヤツは炉端で寝てた。揺り起こしてカエルを進呈。いつものような怖い食べっぷりに元気さを噛み締める。
気が抜けたのかなんだか疲れた。
 
41.42日目
雪山へ仕事に。変にすぐ息が切れた。
どうにか指定の薬草を集めて帰還。地面が波打つみたいだった。
よく憶えてないけど、帰還と同時に倒れて家まで運ばれたらしい。
うつったみたい。情けない。
寒くて熱くて体の節々が痛い。立とうとすると世界が回る。
栄養剤と解熱剤飲んで、あったかくして寝た。起きたら汗まみれだった。
着替えようとしたら、当然のような顔したヤツに引っ剥がされ拭かれて下着替えられた。
ビックリしたけど、助かるからまかせる。
火照った顔や首を冷たい手で撫でられるのが気持ちいい。また寝た。
熱高いせいか寝たらうなされる。起きたら私は泣いてた。
ヤツが殺気もなくじっとそばにいる。同病相哀れむってか。賢げな。
 
417喰う充実 8:2008/04/19(土) 06:50:31 ID:xR9APqAV
43日目
体が痛い。思うように動かない。
寝てうなされて起きると汗と涙でぐちゃぐちゃ。物を食べると吐く。
死にはしないと思うけど苦しい。今、竜とか出たらどうしよう。
ヤツにとっとと寝ろ寝てろと叱られる。態度が不気味だけど弱り目に付け込まれないだけマシか。
寝床に入って毛布にくるまる。退屈さも感じないくらい寝た。
 
44日目
今日は風が強い。
なんだかヤツに大切にされてると錯覚しそうで怖い。
たぶんヤツが体調悪い時は、兄さんの接し方がこんな風なんだろう。
兄さん元気かな。手紙届いたろうか。用事ってなんなんだろう。
米粉をお湯に溶いた物を飲む。水は欠かさず飲んでるけれども、栄養剤切らした。
高品質な栄養剤はまだあるけどケチってた。なのに、それがヤツに見つかって無理矢理飲まされた。
体が資本だろ消耗品ケチんな馬鹿って。アホに馬鹿にされた。憶えてろ。
うとうとしてたら、ヤツからでこにちゅーされた。冷たくてちょっとカサついてた。
私がヤツの熱みてたのの見様見真似っぽい。やってみたヤツ自身はなんだコレって具合に首を傾げてた。
 
45日目
今日はまた風が強い。
ちょっと元気になってきた。ふらつかず歩けてごはんも食べられる。
猫達にとても心配かけたみたい。キッチンに顔見せたら、全員寄って来てすりすりごろごろされた。もっふもふ。
またヤツがキリキリいってた。すごい歯ぎしり。
ごはん食べたらまた寝てた。体は拭いてもらえるけど、髪が塩っぽい。お風呂入りたい。
目が覚めたらヤツが仕事道具入れをあさってた。ハチミツならキッチンで貰ってと言ったら、ヒレをピリピリさせる。
寝ている間に誰か来てたような気がしてきいてみたけど、ヤツ無反応。夢だったか。
しばらくすると、ヤツが寄って来てなんか舐めるように見られた。その視線が射抜くようで怖くて、毛布に潜った。
起きたらヤツは居なくて、猫達が夕飯食べさせてくれた。
風凄いのに、風呂行ったんだって。珍しい。すごく眠い。
 
46日目
夜中目を覚ました時、ヤツが居ないと気付く。変な確信を持って仕事道具入れを開けた。
無くなってるものがあった。砥石だの、薬だの。
家を飛び出し、村長さん宅へ。酷く風が荒れてた。
真夜中なのに、村長さんは寝ずに起きてた。ヤツは山に来た風呼びの古龍を追っ払いに行ったと。
古龍に一人で挑むのも馬鹿だけど、そんな依頼、村の駐在にどうしろっての。本調子なら請けてしまいそうだけど。
夜明け頃、荒れた風ん中ヤツが帰還。虫素材の鎧の棘がぺっきり折れて、兜は無くてあちこち氷粒付いてた。
土産って押し付けてきた大きな尻尾を押し退けて、ヤツにしがみついてわんわん泣いた。
安心したらめまい再発。気が付いたら自宅の布団の中だった。
ヤツは風呂行く準備。置いて行かれるのが嫌だったので、強引に同行。
かかり湯だけでギーギー言ってると思ったら、あちこち凍傷。労いも兼ねて背中流した。
いやよく飛んだじゃないアホ。勝手にいなくなるな馬鹿。兄さんからの大事な預かり物って立場わきまえろウツケ。
病み上がりに無茶して死んだりしたら、どうすんだ。等々、沢山罵倒。
ヤツは背中のちっちゃなヒレをヒコヒコさせて黙ってた。
ヤツを温泉に浸けて、私は念願の洗髪。ぶり返すかもしれないが、もう知るかと思った。
帰ったら案の定ぶっ倒れた。
 
47日目
私は結構元気。ヤツも凍傷痒そうだけど元気。
猫達が精のつくごはんを作ってくれた。ちょっと重いけどおいし。
ヤツはちょっと見た目の凶悪さがレベルアップ。
伸び過ぎてた毛が古龍との交戦により切れたらしく、不揃いざんばら。元の量が多いだけにボサボサ具合が怖い。
私の視線に気付かず、ヤツは炉端でくぁと大あくび。口が裂けてノコギリみたいな歯がギラリ。怖いって。
お土産の尻尾は食べられそうにないけど、何か装備品に使えそう。
今日はお外に出るのを猫達から禁止された。手間と心配ばっかり掛させる悪い旦那さんニャって怒ってた。
全くにその通りだから、猫達のだだっ子パンチくらい甘んじて受けよう。
 
418喰う充実 9:2008/04/19(土) 06:52:24 ID:xR9APqAV
48日目
寝ようとしてるヤツに、床は硬いし怪我してるしこっちで寝ないかと提案。打撲とかまだ痛むだろうし。
ヤツ承諾。寝台に上がる。
背中をさすられた。何の意味が有るんだかきいたら、ヤツは答えず、きぅーと鳴いた。
うとうとしかけた時、尻に硬いナニが押し付けられた。途端にいつかの約束を思い出す。
ヤツはこっちの快復まで待ってただけで、忘れてなかったらしい。
うなじから耳まで舐められた。度肝抜かれて寝床から逃げた。のに、捕まった。
明日まで待てと往生際の悪い粘りをみせてみるも、ヤツ歯ぎしりのみで不可と主張。
譲歩して、その、一発抜くから続きは明日と再提案。
ヤツ承諾したもよう。筋張ってて、びくびくぬるぬるしててぬくい。前より長持ちだった。
一人上手のお手伝い終わったから無理矢理寝た。
ほぼ完全快復を果たし、畑仕事したり風呂入ったり。どうにも上の空。
これ書き終わったら件の続きか。ヤツが何故か私の髪の毛に触れてくる。なんだ。
 
49日目
どこまでしたものかと思ったけど、交接までやらかす。
ヤツが見たことないくらい嬉しそうで、勘違いしそうだ。
鳥みたいに早いけど、回復早くて回数多い。そういう性質なのかもしれない。生き物的に。
二人っきりの時、暗くなってから、巣でしかやっちゃダメなんだって吹き込んでみた。信じるかな。
案外慎重に優しくされたけど、久しぶり過ぎて痛かった。
朝、兄さんから手紙が届いた。気まずいタイミング。まだしばらく帰れないって。
尋ねてみた、ヤツに発情期は有るのかって質問には、強いて言えばヒトと同じと返ってきた。
年中なんとなく発情期って事か。そういえば攻撃的なのはいつものことだ。素であの性欲なのか。
手紙の追伸に、次の便りには知らせておかなきゃいけない事を書く、と。用事の内容もその時明らかに、だって。
ヤツはヤツ宛ての手紙にすんごい渋い顔してた。どうみても悪者面だ。怖い。
 
50日目
ヒトも覚えたてはケダモノの如しと言うけど、元よりケダモノなヤツの事、とんでもない。
普通に鱗ヒレ尻尾のない私が、ヤツの性欲の対象になるっていうのも不思議。ヒトだよ、私は。
何にせよ、二桁突入しかけは早いっていっても駄目だ。お互いどこかに無理が出る。傷口開いたりしないのか。
慎重に優しくしてたんじゃなくて、おっかなびっくりだったのか。
朝一、お仕事ないかと村長さんにきいたけど、今は特に無いらしい。いっそ町に出て大物依頼請けようか。
畑仕事も今は収穫待ち。探検家猫から妙なリンゴをもらう。ヤツは川で爆泳。
暇で仕方ないので猫達とかわったリンゴのパイを焼く。リンゴの皮が白くて中が赤い。
色だけで言えばあのぬるっとした目無し飛竜みたいかも。見た目はともかく、いいにおい。
少し酸味が物足りない。猫達とやいやい言いながら食べてると、部屋の入口の陰からヒレが覗いてた。
ヤツの分もちゃんとある。呼んでみたらいそいそと来た。この甘い物好きめ。
 
51日目
私が出会ったばかりの頃のヤツに付けた傷は沢山残ってる。
右目蓋から頬にかけてのが目立つけど、よく見ればお腹と背中に少し、脚に沢山。
殺す気で斬り付けてきた相手に乗るのは、どんな気分か。知らない。
ヤツは普段私の名前を呼んだことないのに、繋がった時だけ何度も嬉しそうに呼びやがる。
相手がヤツじゃないなら、愛しげとか言えるほどのいい声。呼ばれる度、胸が痛い。
私を好きなのかと都合のいい勘違いしそう。本当に止めて欲しい。
寝台がもう一つ欲しい。身も心ももたない。
ご近所さんとの井戸端会議に勤む。好奇心に満ちた目で、ヤツとはどんな関係なのかきかれた。
同僚、居候、兄さんを介しての義兄弟みたいなもの。それだけ。
そうなの、と拍子抜けしたようにきかれてもそれだけ。
兄さんの手紙にまた返事を書いた。兄さんにとても申し訳ないけど、ヤツを預かり続ける自信がない。
 
419喰う充実 10:2008/04/19(土) 06:56:23 ID:xR9APqAV
52日目
色々考えてヤツを兄さん宅へ派遣した。
用事は四つ。
兄さんへのお手紙を届けてくれとあちらの猫に頼む事。
風呼びの古龍との交戦で破損した鎧の修理、もしくは造り直し。
赤毛の彼へお手紙配達。
最後に兄さんちの猫達孝行。
朝に寝床の中で言いつけた。ヤツはギリギリ歯ぎしり。止んだと同時、私を抱き寄せようと手が伸びる。
振り払ったら、きぅーとか悲しそうな声出した。でも不可だ。
ヤツは無表情だったがヒレがこっそりしょげてた。なにその反応。私が悪いのか。
とぼとぼと出掛ける背中に、ちょっと切ない気分にされる。
ところで私、明日は寝込む予定日だ。
 
53日目
頭痛が脈打つみたい。予定通りだけどイライラする。眠い。
ヤツが居ないのが普通だったはずなのになんだか変。窓から遠くを見て、きぅーと鳴いてみた。
うちの給仕猫の内、女の子にきいた。後ろ首噛まれるのはどんな時って。
セクハラニャって言われた。つまりはそんな時、か。
獣は結構そういうスタイルが多いらしいけど、ヤツの場合はどうだったんだか。
仕事道具の整頓や、必要な物の補充生産。装備の軽い点検なんかも。眠い。
 
54日目
頭痛が少しマシになったから村長さんと世間話でも、と思ったら仕事請けてくれないかって。
聞けば、風呼びの古龍が密林に現れてるらしい。尻尾の先のない手負いの龍。
ヤツが追っ払ったアレ。私もまた一人で古龍に挑めとな。
ヤツの方が私より強い。根本的な身体能力というか、性能というか。
でも明後日なら、調子も戻ってそうだから請けてみた。倒そうなんて考えてない。追っ払えたらいい。
対応が早いのが、駐在の存在意義だ。眠い。
ヤツ、楽しんでるかな。
ようやく懐いてくれたのに突き放すような真似しといて、でも妬ましい。
我ながらわけわからん。
 
55日目
眠い。でも明日の仕事の準備をしっかりやった。
風呼びの古龍は何度か見たことあるし、過去に撃退したことあるし何とかなるだろう。
何ともならなかったら、派遣元に応援要請してもらおう。眠い。
食卓で寝こけて猫達にすんごい怒られた。怒られてる側から寝かけてた。
 
56日目
昼に出掛けるけど、朝から軽く風呂。帰ったら、猫達とマタタビ酒でも飲みたい。
そういえばしばらくお酒飲んでないものな。
ヤツはまだ帰ってこない予定。
 
57.58日目
手負いというより弱った龍がいた。ヤツ、追っ払ったんでなく討ち漏らしたらしい。
だけど油断厳禁。変なためらい厳禁。なにせ相手は古龍。
飛ばれると厄介だし、それを叩き落とすための目くらましを効果的に使うのが、私は致命的に下手。
全身全霊をかけて殴打。息の根止めた。
剥ぎ取りしながら気付いたが、翼や尻尾の付け根に歯形が。竜のにしては小さいが、まさかヤツか。
この古龍、鋼龍なんて呼び名もあるんだけど。
今回の負傷、打ち身少しと小さな切り傷沢山。手堅く戦えた。
無事帰還帰宅。猫達とキッチンで晩酌してたらヤツが帰ってきた。えらい剣幕。いきなり押し倒された。
猫達の前なのに、喚くわ服剥がしにかかるわ、ご無体もいいとこ。
酔った猫が、コックの城で乳繰り合うたーなにごとニャって、酒ぶっかけ。ヤツ酔いつぶれ。ナイス猫。
猫達に謝ったりキッチンを掃除したり。
伸びてるヤツを運んで濡れた全身拭いてやって、着替えさせて、ふと気付いた。
襲われたのに何でヤツの世話してるのか。
 
420喰う充実 11:2008/04/19(土) 06:57:46 ID:xR9APqAV
59日目
起きると同時押し倒されると敵わないから、酒をちびちび舐めつつヤツの目覚めを待ってた。
ヤツは只事でない怒りっぷりだった。完璧に周りが見えて無かったっぽい。
無理矢理ことに及ぼうなんて、初めてだった。喰い殺されかける事が何度もあったせいで、あんまりショックじゃないことに少しショック。
目覚めを待ってたはずが、うっかり寝。起きた時にはヤツ脱走済み。
問い詰めたいことはあったけど、仕方ないから一人で畑仕事。力が出る種を収穫。
先代ハンターさんや村長さんにヤツを見掛けてないか尋ねた。
さっきまで、何肉が美味しいか語り合ったとか、一緒に焼き芋食べてたとか。
探検家猫の弟弟子君は、その辺で生魚かじってたッスて言ってた。
猫達は怒っていて、一日ヤツの飯抜き決定。
こんな筋肉の塊でも曲がり成りにもご婦人ニャ。無理矢理しようなんて男の風上にも置けないニャって。
ヤツは夜になっても帰って来なかった。ごはんと寝るとこどうしてるんだろ。
 
60日目
朝になってもヤツ帰って来ず。さすがに心配に。寒いのに。
猫達に、ヤツの分のごはんも用意をお願いした。ビックリされた。ヤツの教育なってなくてごめんなさいって、改めて謝った。
ヤツはヒトでない。でも見た目はほぼヒト同然だから、ヒトのふりをさせている。
元々はどこに出しても恥ずかしくない水竜だったはず。今やどこに出すのもためらわれるトゲヒレ生えた奇人。
努めて、ヤツはヒトでないと自分に言い聞かせてたのがまずかった。
静と動の極端さ。面の凶悪さにそぐわない愛嬌あるヒレの表情。生き物としてヤツはかわいい。
探しても見つからない予感があった。今日は畑で狩猟笛の演奏練習。へふーとかすぴーとか。そんな情けない音がする。
しばらくやってると、ざばと水音。ヤツの後頭部が水面から生えてた。
キョロキョロ見回した後、クルッと振り返った。こっち見んな。
ヤツ水から出て来る。全裸で。何か言う前に、ちゃんと服着た。びしょ濡れ。
私の前まで寄って来て、ヤツはきぅーと鳴いた。おっかない顔してるくせに、きぅー。
おうちに連れて帰って、猫達に謝らせた。
 
61日目
ヤツの言い分をたっぷり聞いた。発端は私がヤツに託した赤毛の彼への手紙だと。
赤毛の彼には、『ヤツがさかりついて手に負えない。きもちよくしてくれるお店紹介してやってください』って、お手紙出してた。
ヤツの私への殺意や険悪な関係を見知っていた赤毛の彼は、ヤツに何事かと尋ねたそうだ。
ヤツと私の近頃の関係やら何やら聞き出した赤毛の彼に、ヤツはこってり絞られたと。順番とか色々あるだろって。
ヤツはヤツで、他所で性欲処理しろって私が提案した事が許せなかった。
それより許せないのが、赤毛の彼を巻き込んだ事で、彼にちらっとでも私が抱かれる様を想像させたであろうことだって。
そっちは知らん。だいたい、ヤツをうちに居候させた時点で、村の人からはそういう関係だと見られてるだろに。
そう言ったらヤツはえらく動揺してた。考えた事もなかったらしい。
ヤツの主張は要約すれば、他の女は要らん。触るのもおぞましい。私としかしたくない。
私がどう思うかは無視かって笑ってやったら、ヤツは変な顔した。
しょんぼりとヤツが言うには。私がヤツに、大好きとか、ずっと一緒にいるとか言ったって。
夢でも見たんだろ。私がそんなこと思ってても言えるわけがない。
 
62日目
朝一、村長さんにご挨拶。以前ヤツがお世話になったお礼と、お仕事ないかの伺いを。
雪山特産の薬草沢山摘んで来てって依頼あり。早速請けて夕方に発つ。
準備をしながら、部屋の隅で私の狩猟笛、リコーダーをすーぴょろひーと吹いてるヤツにきく。
いつ私がヤツに、大好きとかずっと一緒にいるとか言ったのか。
火竜夫妻討伐から帰ってきた晩と、初めてこすらせた日と、だそうだ。
仕事から帰ったら、日記読み直すか。
どうでもいいけど私のリコーダー吹いたな。
 
421喰う充実 12:2008/04/19(土) 06:58:50 ID:xR9APqAV
63日目
また雪山に轟竜が来てた。前とは違うだいぶ若い個体っぽい。小さかった。
殖えてきたのか移動してきたのか。
先制でがっつり殴ったらひるんだらしい。逃げた。防寒着がちょっと破かれた被害。おかげで寒いなんてものじゃない。
身を切るような隙間風。憶えてろ。
何故か期限の時間が短い依頼だけど、問題なく薬草の数を揃えて完遂。帰ったら即風呂入った。生き返った。
それはそれとして、ヤツの発言を覆すために日記を読み返した。
件の日には願望炸裂させ過ぎな都合のいい夢見たのと、熱で弱ったヤツと添い寝しつつ泣いたのと。
血の気が引いた。あれ夢じゃなかったオチか。寝てると思ってアレコレ言ったのに、起きてましたオチか。
あまりの恥ずかしさにほぼ一日布団に引き籠り。猫達に心配される。
おとなげない主で申し訳ない。
防寒着を繕った。強度は多分大丈夫。
 
64日目
囲炉裏の傍で丸くなってるヤツに確認。
ややヤケクソ気味に好き好き大好き言いながら、おっかない面に沢山ちゅー。ヒレがヒコヒコ。
あの日したのはこんなことかときけば、深く肯定された。夢でなかったらしい。寝ぼけて本音がポロリとは迂濶過ぎ。
ずっと一緒にいると言ったのはどんな風にか。分厚い毛布越しに背中を抱いて、涙声でと。ヤツは正確に答えた。
起きてたならその時反応してくれ。言い逃れのしようも思いつかず。私は認める。
好きだから、寝床を半分明け渡すのも嫌じゃない。抱き枕は返して貰って一緒に寝た。
今日も一人で畑仕事。ネチャッとする草とか丈夫な蔦が生えてた。荒れてないか、私の畑。
どこからともなく、ぱーぷぷぺぱぱーぷーと妙な音が聞こえた。
見上げてみれば、畑のある農場の隅に高くそびえる木の枝の上。ヤツが私の狩猟笛、オカリナ吹いてた。
持ち出すな。吹くな。
 
65日目
村長さんと朝一お話。火山で燃料採ってくるお仕事しないかって。ただし大きな蟹が出る。
蟹なんか叩き壊してカニミソすすってやる。食欲から請けた。明日朝に発とう。
ヤツは今日も元気。ごはんを沢山食べた。最近食器使いがちょっとうまくなってきた。
たまに猫と喧嘩する。介入してないけど後で仲直りしてる模様。
久しぶりにトゲヒレ鎧を引っ張り出し、武具屋さんに持って行って微調整。
帰ったら、ヤツがうちの裏手でどぅーほるほーと私の狩猟笛、ホルンを吹いてた。
ちょっと山鳥の鳴き声みたい。吹くな。
丁度いいとばかりに毛づくろいを要求される。交換条件として肩揉みを要求。交渉成立。意外に優しい手つきで悪くない。
と思ったのに息荒くうなじをガン見されてた。怖いって。
毛づくろい中ヤツきゅるきゅり鳴る。なんの音。
 
66.67.68日
トゲヒレ鎧のおかげで火山なのに暑く感じない。すごいなトゲヒレ鎧。
ピッケルへし折りながら燃料採掘するうちに大きな青い蟹、鎌蟹と遭遇。ハサミがシャキーンと伸びるから鎌蟹。とても攻撃的。
カニミソが偉そうに。喧嘩売られた。買って食った。おいし。
あんまりがっつり食べて原形とどめなくなると、大きさ測ってもらえなくなるからほどほどに。
燃料納品、依頼完遂。ヤツへの土産に熱帯イチゴを凍結させる。
昼頃に帰還。おうちに帰る道には高く澄んだ女声の歌が響いてた。
と思ったらヤツがうちの屋根の上で私の狩猟笛、フルートを吹いてた。
素材が気持ち悪くて吹いたことなかったけど、なんと妙なる音色か。それはともかく、私のフルート吹くな。
土産のイチゴをチラつかせてフルート取り上げ。ヤツ上機嫌。甘い物好きめ。
鎧をキレイにした後風呂。さっぱりしたけど、頬がヒリヒリ。
猫に見てもらったら、浅く切れてた。蟹鎌かすったらしい。蟹めが。
猫が肉球で薬塗ってくれた。なにかに目覚めそうな感触。
 
422喰う充実 13:2008/04/19(土) 07:00:16 ID:xR9APqAV
69日目
近頃一緒に寝ていても、こすりつけて来たりしないけど、どういう心境の変化かとヤツにきいた。
段階を踏め、話し合えと赤毛の彼に言われたから。でもどうやりゃいいかわかんねと。
その段階とやらを聞き出し一々実践させた。棒読みでスキデスと言うヤツの姿は見物だった。
段階を踏んだから久しぶりにしてみた。ヤツ遠慮がちにぎこちない。名前を沢山呼ばれた。
朝、兄さんからのお手紙が来た。届けてくれる猫婆ちゃんに感謝。
内容にビックリ。結婚するってなに。子持ちになるって早いよ。いや早くないのか。
ヤツをこのまま私に引き取って欲しかったらしいけど、私が預かり続ける自信ないと書いたから、考えるそう。
ヤツ宛てのお手紙は、前回もそうだったけど私は読んじゃダメらしい。
ヤツは歯ぎしりしながら、ヒレをハタハタ。眉間にすっごいシワ寄せてた。
今日も一人で畑仕事。私の畑では着色料になる実が採れた。どピンク。
風に乗って、でぃーどぅでぃだーだーと不思議な音が聞こえてきた。
首を巡らせてみれば、農場入って左手採掘所の崖の上、一番見晴らしの良いところにヤツ。
私の狩猟笛、バグパイブを吹いていた。よくそんなとこまで持って上がったな。
というか私のバグパイブ吹くな。
 
70日目
抱き枕のズタボロっぷりが気になるこの頃。どう落とし前つけてくれるかヤツにきく。
ヤツ眉根をキュッと寄せてヒレパタパタ。くーぅと鼻を鳴らす。かわいいフリすんな。
交渉の末、腕枕提供させる譲歩を勝ち取る。早速提供してもらう。私が抱き枕の代わりに噛まれるのは遠慮。
もそもそするうちコトに至った。ヤツ趣向を変えるつもりか浅く繋がってからあまり動かず。
焦らしを閃いたらしい。恐ろしい子。
だが考えが足りない。繋がっているということは、お前のムスコは預かったということだ。
自分の発想の下品さに泣きたくなった。ヤツはまだ打たれ弱い。性的な意味で。
今日は朝から畑で狩猟笛練習、と思ったら、川に迫り出す桟橋の上に先客あり。
ふぉおおんと、腹に深く響く音。巻き貝を模したような木笛をヤツが吹いてた。
私の狩猟笛吹くな。しかもどれも私より演奏上手いってなんの嫌がらせだ。
 
71日目
ヤツと色々話し合う。兄さんの結婚と、その後のヤツの身の振り方について。
兄さんも家族を持つにあたって、やっぱり配偶者や子供を一番大事に出来なきゃダメだ。
一方ヤツが独り立ちするのはまだ無理。ごはんも作れないし。
独り暮らしに誰かの手助けを得るにも、ヤツの正体がばれた時の危険性を思えば難しい。
ヤツは一見成人男性だから、兄さんのお嫁さんや子供と一緒に住むのもどうか。
ヤツをうちに住まわせとくのが一番かも。
ヤツはこの村の生活は気に入ってるらしい。私の事は美味しそう、と。どう解釈すれば。考え込んだら味わわれた。
朝一、村長さんにご挨拶。世間話を始めてしばらく、寝不足かいときかれた。枕かえたら落ち着かなくて。
いつものお仕事無いかの伺い。その辺で井戸端会議に参加してたお姉ちゃんが呼ばれた。
薬草摘みのお姉ちゃんがいうには、雪山で白猿に追いかけられて難儀した。ちょっと散らして、と。
承り。明日仕事。
今日はヤツと洗濯大会。
 
72日目
仕事前夜だってのにうちの枕は手癖が悪い。ヤツにぼやいた。寝癖が酷ぇって返された。
さらに言い返す前に、枕に黙らされる。一度済んだら枕はおとなしくなった。
朝から出掛ける準備。今日は遠出しないから多分日帰り。
ヤツに仕事道具のうち消耗品数点の補充を依頼してみた。作ってもよし買ってもよしで。
昼頃出発。昼下がり目撃地点に到達。夕方群れと遭遇。深追い厳禁。根絶やし厳禁。
依頼は果たした。けどそのうち、群れのボスがうちのモンに何さらすんじゃって来るかもしれない。
しばらく前に強いボス狩ったから、新しいボスに代替わりしてるはず。ま、その時はその時。
夜帰還。依頼主のお姉ちゃんが干し芋くれた。焙ると香ばしいよって。
帰宅したら、お風呂、ごはん、それともヤツの三択を突き付けられた。断然風呂。何故かヤツも同行。
ヤツ拒否選択は無かったと言うことか。風呂でヤツは今日の補充成果報告。依頼達成の報酬に毛づくろいを要求。
再び帰宅後、私はごはん。ヤツ干し芋焙り食う。甘い物好きめ。
 
423喰う充実 14:2008/04/19(土) 07:01:29 ID:xR9APqAV
73日目
うちの枕はやらしいこと仕掛けてくるけど、やたらに切なげな声で名前を呼ぶ機能付き。
コトの後には幸せそうに大好きと鳴く。
私にとって大きな問題が一つ。ヤツを何だと認識するべきか。
ヤツはヒトじゃない。トゲヒレ生えた中身子供な口悪い凶悪面の成人男性。それに対して私は恋愛感情を持ち、情欲も覚える。
あくまでヒト扱いしないなら、やってることは竜姦か、器物挿入か。
ヒトとしての内面の未熟さにつけこみ、自分の色に染める楽しみは少年愛好みたいなもの。
どちらにせよ、私はまともな大人としては終わってる。
自覚はあるが、開き直れないからヤツと関係する度、ヤツに対して罪悪感が湧く。
おとなげない保護者代理ですまなく思う。
今日は二人で種まき。畑でやせたカエルを見つけた。ヤツはそれを見逃した。まずそうって。
ヤツの散髪をしてみた。長さはあまり変えない。見た目の凶悪度がやや減少。髪のボリューム大幅減少。すっきり。
兄さんの手紙の返事はまだ書けてない。
 
74日目
ヤツは女体男体の違いに興味津々。
コトの最中、違いが有るからこんなに近く寄り添えると、深いようなことを言い出す。
それは良いけどあちこちいじくり回されるのはまずい。
弱いとこなんか見つけたら、絶対嬉々として攻める。ヤツなら。
今日は猫達とヤツと、おうち中を掃除。仕事道具入れの中も改めて整頓。
猫達、干からびたマタタビにうっとりすりすり。無力な毛玉化。
ヤツにヒレ付きっぽい頭部防具をそっと差し出された。着けてるとこ見たかったらしい。
却下。ヤツしょんぼり。
今更だけど、ヤツがここしばらく本業やってないことに気付いた。
駐在でこそないけど、ヤツは同業者。仕事に出すか。
 
75日目
兄さん宅にもう一度戻ったらとヤツに言う。ヤツ狼狽。
前回同様の娼館行けやコールだと思ったらしい。ヤツなりに傷になってるもよう。申し訳ない。
近頃凶暴さはなりを潜めているが、運動不足で退屈だったりしないのか。
川で泳ぎまくるヤツに、運動不足も退屈もないらしい。
まだ泳いでたんだ。あの川凍らないけど、相当寒いだろうに。
なんでも川底で水竜の鱗を見付け、どこに落とし主がいるか探してるんだと。水中で水竜に襲われたら死ぬから止めて欲しい。
言葉を柔らかくさえぎられた。危険な事してるのはお互い様か。
今日は狩猟笛の演奏練習。ヤツに付き合ってもらう。教え方は下手じゃないけど、何かっちゃからかう癖は私が拗ねるから止めた方がいい。
 
76日目
ヤツ言葉責めに開眼するも、私徹底受け流しの構え。
それは他の技量を磨いてからするもんだ。多分。ヤツのヒレ少ししょんぼり。
朝食後、給仕猫に最近私がヤツにしか構ってないと愚痴られる。お詫びと日頃の感謝を込めて、丁寧に毛づくろい。
キリキリ変な音が大音量で響いてきたと思ったら、視界の隅でヤツが殺気立ってた。怖いよ。
後でしてやるから順番待ちだって言ってるのに、キリキリ歯ぎしりうるさい。お子様め。
猫達を怖がらせちゃいけないので、ヤツを居間兼寝室に追い出し猫五匹を毛づくろい。猫つやつや。猫達満足。私大満足。
部屋を移ればヤツ炉端に鎮座。眉間にシワ寄せ揺らめく火を睨み、飽きずに歯ぎしり。約束通り毛づくろい。ヤツの歯ぎしり止まず。
順番待たせたけど、そもそも猫達へお詫びとお礼の意味での毛づくろい。ヤツにしてやるは義理ない。
少し腹が立った。ヤツのヒレを指先で触ってみた。
ヒレの反応ビルビビビ。代わりみたいに歯ぎしりピタリと止む。
指離す。歯ぎしりキリキリ。ヒレをチョン。ビルビビビ。
しばらく遊んでたら、ヤツふて寝を始める。ここぞとばかり、ヤツのうなじに軽く噛みついた。にゃわって言った。
ヤツぶちギレ。喧嘩になった。
武具屋さんに今更尻尾持ち込み。
 
424喰う充実 15:2008/04/19(土) 07:02:38 ID:xR9APqAV
77日目
くるくるうなる枕はいつも通りにひんやり気味。腕枕ならぬ抱き枕になってもらう。
拗ねてるヤツにはとりあえずちゅー。懲りずにむちゅー。何か言いかけてもちゅう。ここぞとばかりにべろちゅう。
目がとろんとした辺りで、あとは作法を踏まえてイタダキマス。いつも通り名前を呼んでくれた。
落ち着いたところでヤツと語り合う。
話してわかったことは、想像してなかったヤツの執着心と独占欲の存在と、その大きさ。
手に入れたいから喰い殺そうとし、喰い尽せばもう会えないからためらうのを水竜の頃から繰り返し。
ヤツには許されてない、私を害する行為をやらかす竜や獣に対して嫉妬心からぶちギレる。
うなじに噛み付こうとするのは、水竜の交尾時の行動。背中を撫でるのはほぼ無意識の求愛行動。
なんと欲望まっしぐら。元々凶暴なんだと思ってたら、ちょっと違ったらしい。
日記に付けるのも馬鹿らしくて書いてなかった罵詈雑言、頻繁に売ってくる喧嘩はなんだったのさ。
ムラムラとイライラが溜まってちょっと、なんてモノじゃなかった気もする。
今日はお山が何だか静からしい。良くない予感。
ヤツ共々、兄さんに手紙を書いた。村に来てた猫婆ちゃんに、兄さんちの猫達に渡してって頼んだ。
 
78日目
コトの後ヤツがぬかす。
ヒトってサカりゃ相手は自分のモンになるって思ってんだろ、と。そういう考えもなくはない。
毎日頑張ってんだし、その内孕むよな。そしたらつがいになって結婚できるよなて。正気か。
順番が違うって怒っといた。でも、結婚したいとは。
お昼間、ご近所さんちの息子君が血相変えて駆け込んできた。何故か彼雪まみれ。
雪山に雪獅子が続々集まって来てるって。
雪獅子っていうと、白猿のボスとかボス候補のあれだ。牙とタテガミが立派で猿なのに通称雪獅子。
早速ご近所さんの息子君を伴い村長さんに報告。村は厳戒体制に。
私一人でなんとかなるモノじゃなさそうなので、派遣元に応援要請。
火急的速やかにと願っても、最低四五日かかるらしい。
事態の深刻さの規模を探るのは、派遣元がそれ向きな人をやってくれるらしい。
ところで私、明後日くらいに寝込む予定なのに。
 
79日目
こんな時だっていうのにうちの枕絶好調。私もちょっと気分が紛れてるのは確か。
ヤツ体位に色々有りそうだと気付く。子供と同じで要らんとこだけ勘が鋭い。
後ろからのは命の危機を感じるので拒否。ヒレ付きっぽい頭部防具着用も合わせて拒否。
ヤツしょんぼり。こんな事態での未来への約束は微妙に不吉なので、今度しようの一言も飲み込んだ。
朝一、村長さんちにヤツを伴い伺う。先代ハンターさんもきてた。
ここのところちょっと色ボケ気味だが、ヤツは純粋な戦力としては私なんかよりよっぽど今の事態に役立つ、はず。
にしても轟竜出たり農場奥の氷室にでっかい剣刺さってたり、色々ある村だ。
そんな村の長にふさわしく、村長さんは落ち着いてらした。これが貫禄か。
雪獅子大集結はたまにあることらしい。
丁度山の食糧が少なくなる今頃、群れのボスが不在だったりするとボスの座をかけて、はぐれ雪獅子や若い雪獅子がステゴロ大会を開いてしまうんだそうだ。
それは通称雪獅子ファイト。
闘って、闘って、闘い抜き頂点に立った者が雪獅子・ザ・雪獅子、雪獅子王たる群れのボスとして君臨する、らしい。
牙を折られたものは王の資格を失うとか、猿なりに勝敗を決するルールが存在するようだ。
雪山を舞台に繰り広げられる熱い闘いはまあいいとして。
闘いに敗れた弱い者から、その場を後にする。そして身体を癒そうと、ふらっと人里近くに来ることがまずい。
漏れ無く手負いで気が立ってる上、下手すれば波状攻撃とばかり数が来るのが実に厄介なんだと。
前の超大物ボスをブチ倒した身としては、内心冷や汗止まらない。
先代ハンターさんが言うには、自分の方が格上だと殴って解らせたら逃げ出すだろう。
けど、そうなると周りの草食獣が食われて激減の可能性もって。
つまりは、殺れか。
村長に対して、ヤツが何か交渉してたっぽい。
ヤツを一旦兄さんちへ返し、対雪獅子用に装備を組んで来てもらう事にする。
 
425喰う充実 16:2008/04/19(土) 07:04:08 ID:xR9APqAV
80日目
昨日ヤツを送り出した。明日には戻って来てくれるはず。
村の人達は不安らしく、今日はいろんな人に訪ねて来られた。
大丈夫ですよねってきかれても困るが、いい笑顔で大丈夫ですよって返すのも仕事のうち。
ご近所さんちの息子君も来た。何故彼が雪山にいたかをきいてみた。
薬草摘みのお姉ちゃんを密かに見守りに雪山入ってたから、だって。
危険だからもう止めてと言い含めておいた。今回はお手柄だけど、それはそれだ。
息子君に何かあったら親御さんがどんなに悲しむか。
派遣元から、集まって来てる雪獅子は大物揃いって報告あり。上級のお仕事に相当すると。
そんな仕事請けられる人が、今丁度暇って幸運を祈るしかない。現に兄さん不在だし、厳しいかも。
誰が来てくれるか。誰も来なくてもやるしかない。
 
81日目
来るはずのものが来ないっていうのは実に落ち着かない。
ヤツ朝一に戻って来た。早。赤毛の彼に相談して装備組んできたって。
対雪獅子というより、ヤツの趣味を盛り込んだだけに思えるのは、気のせいか。
炎の大剣に猫達すり寄りたがる。やめたげて。
赤毛の彼は、危険な上級の仕事を請けられるだけの実力と認定されてない。力になれなくて申し訳ないって言ってたそう。
ヤツを手伝ってくれただけでも恩の字。ありがたい。
派遣元が雪獅子の誘導や撹乱に力を入れるとかで、連戦になるものの一体ずつ闘えるようにする、つもりだそう。
どんな人使えばそんなこと出来るんだか。過信はしないでおこう。
村周辺を見回る。今のところ異常ない。嵐の前の静けさか。
 
82日目
気にしない、うん。
うちの枕ことヤツは、こんな時でも頑張ってる。君の性春は輝いているか。
結婚したいから孕ませようって、ヒトとヒトでない者の間に子が出来ると疑いなく信じてるらしい。
今のうち、思い残しないようにはっちゃけるのはありかも。
と思ったが、なんか変な知識を仕入れて来たっぽい。出所は赤毛の彼だろか。ムッツリ説が信憑性を帯びた。
派遣元からお知らせ。同僚の女の子、ガンナーのメガネちゃんが来てくれるらしい。優秀な人材じゃないか。ついてる。
見回りでは今日も静か。
ヤツと物を投げる練習なんかしてみる。というか、指導を頼んだ。
報酬は背中流しと毛づくろい。ヤツ上機嫌できゅるりり鳴る。
 
83日目
うちの枕ことヤツは声が低い。その声が名前を囁くだけで、毎度私の心臓鷲掴み。
昼頃、メガネちゃんが相棒と共に村到着。相棒、赤毛の彼は荷物持ちにお供かと。
どうやら赤毛の彼から話が伝わり、メガネちゃん参戦となったらしい。とってもありがたい。
メガネちゃん、トレードマークの伊達眼鏡無し。ツルが冷たいから置いてきたって。なるほど。
一応赤毛の彼も、私達が討伐に向かう間の拠点防衛みたいなお仕事で来てるんだそうだ。
派遣元からまた連絡。結構ベテランな虫嫌いさんの派遣が決まったと。私とヤツとメガネちゃんと、前線は四人で頑張ってね、てさ。
本当に一体ずつならなんとかなりそう。
メガネちゃんは動きの予測がしにくい雪獅子が苦手らしい。足止め中心に頑張ってくれるといいな。
メガネちゃんはご近所さんちに、赤毛の彼は先代ハンターさんちにお泊まり。
メガネちゃん、はっちゃけてないか心配。ちょっと品の無い冗談好きな子だから。
 
84日目
ヤツの背中にはトゲ付きのヒレ生えてる。
水竜だった頃に比べたら、そりゃもう産毛みたいな小ささ。でもトゲ刺さると昏倒する。
そんなヤツには無我夢中で抱き付くなんて、危険過ぎて出来ない。最近巧いからますます危ない。
お昼前、村の集会所前に人だかり。何かと思えばメガネちゃん独演会開催中。
こんな事態の中に降って湧いた娯楽は、村の方々に意外と好評。
ポエマーにしてストーリーテラー、恐るべし。
昼過ぎ虫嫌いさん到着。一応顔見知り。結構男前だったはずだけど、何故か爆発的髪型。オサレ。
大雷光虫虐めたら酷い目にあったって。なにしてんです。
して得物は何かときいたら、虫嫌いさんはいそいそと、怪鳥の顔の耳んところが刃になった双剣を取り出した。これは不覚にも超らぶりー。
一応炎の力を秘めた双剣なんだって。ヤツとメガネちゃんが揃って欲しいと呟く。私も欲しい。
一人赤毛の彼がねーよって言った。虫嫌いさんも先代ハンターさんちに泊まり。
 
426喰う充実 17:2008/04/19(土) 07:07:59 ID:xR9APqAV
85日目
考えてみた。私は竜と寝るのを楽しんでるわけじゃない。
ヤツは元水竜だけど見た目も性質もちょっと個性的なヒト、の範疇。
内面お子様だけど、私だけと接してる訳でない。嫌でも他人様の影響を受けて成長していくはず。
現に赤毛の彼からエロ知識得たりしてるし。
ヤツを好きになってヤツで快楽を得て、なんら後ろめたい事があるのか。いや無い。開き直ることにした。
派遣元からお知らせ。明日、雪獅子の誘導を行うと。
今日は私の装備組み。火力はヤツと虫嫌いさんで稼いでくれるし、私は足止めの方に回る。
取っ替え引っ替えしてる横で、ヤツとメガネちゃんが物珍しげに私の武具を眺めてた。
メガネちゃんに、彼女の親友のお嬢さんはどうしてるときいてみた。
何か気まずい顔で、しばらくあってないんだとぼやかれた。わけありかい。
ヤツ空気を読まず、ヒレ付きっぽい頭部防具をそっと差し出してくる。
垂れ耳フード被ってくれるなら、それ被って見せてやろうと持ち掛け。
ヤツ犯罪的に垂れ耳似合わない。でも一人上機嫌。そんなにヒレがいいか。
今夜は早く寝る。
 
86日目
一年ぶりくらいにヤツの名前を呼んだ。ヤツのヒレがヒコヒコ。
抱き合って一緒に寝てるのに、聞こえないふりして私に何度も呼ばせて、やたらに嬉しげに笑う。笑顔も怖い。
朝、幸いにして体調良し。ごはんもおいしい。猫達に挨拶したら発つ。
明日の日記もちゃんと書こう。
 
――――――――――
 
薄暗い部屋の中、日記から顔を上げた男は溜め息を吐く。気だるげに首を巡らせ、鋭い胸の痛みに低くうめいた。
現在この日記の示すところの87日目。
日付も変わろうという頃だが、日記に今日のことは何も記されていない。
嘘吐きめと男は毒吐き、強く歯を噛み締める。ぎり、と微かな音すら響く部屋には男以外の誰の気配もない。
日記の持ち主さえも居ない。
吹雪が白い闇を成すあの雪山で、帰れば再び睦み合おうと約束を交したというのに。
このような事態になると察していれば、このような想いをするとわかっていたのなら、彼女の手を放しはしなかった。
あの場を逃げ出した己を呪うほか、男に出来る事は何もない。
男は吊り上がった目尻に滲む涙を拭いもせず、部屋の隅の寝台へ、痛む胸をかばうかのように静かに仰臥する。
この部屋の主が残した香りに包まれながら、男は目蓋を伏せる。
涙が一筋頬を滑り落ち、敷布に音もなく染み込む。
手探りで抱き枕を引き寄せ、思う様噛み締めた。このボロ布の断裂を叱る者もここには居ない。
独り寝の切ない想いに駈られ、思わず男は鳴いた。きぅー、と。
 
――――――――――
 
427喰う充実 18:2008/04/19(土) 07:10:23 ID:xR9APqAV
87日目
殺りも殺ったり、8体雪獅子討伐。うち2体は捕獲。とりあえず村の危機は回避できたみたい。
途中、洞窟内で蜂に遭遇した虫嫌いさんがぶちギレ。
私をラリアットで吹っ飛ばした雪獅子にヤツぶちギレ。
ヤツに見事なアッパーカットを決め、気絶させた雪獅子に私がぶちギレ。一瞬ヤツ殺されたかと思ったから、つい。
表情見えない目模様付き緑ベールの女が血まみれの黒い猫槌を手に、脳ミソぶちまけた雪獅子の死骸を粉砕するが如く、執拗に殴打する。
たまにベールが翻る時、目だけ爛々としてて本当に怖かったと、メガネちゃんに言われた。
冷静なつもりでやらかした。申し訳ない。
でも終いには何故かメガネちゃんもぶちギレてた。
黒猫ぬいぐるみに仕込んだ銃から、傷口にえぐり込むように撃つべし撃つべしと、凄まじく正確な連射をやらかすメガネちゃんだって別な意味で怖かった。
8体目を罠にかけ、麻酔で眠らせ捕獲したところで、派遣元からもう引き上げてくんなさいってお知らせ。
誘導からレトリーブまで。派遣元の裏方さんは前線に出る私達よりよっぽど優秀。
日が登りしばらくした頃村に帰還。村長さん始め村の皆様方に事成れりの報告。労われた。
後、装備解いて怪我の手当やら装備の手入れやら。
メガネちゃんほぼ無傷、だけどスタミナ切れでダウン。
虫嫌いさん、気付けば指一本折れてたとビックリしてた。打撲や凍傷等、結構重傷。
ヤツ、息すると胸が痛むとか。触って確かめてみると、肋骨にひび入ったっぽい。擦り傷打撲凍傷等、一番派手に怪我してる。
私は打撲と軽傷。頑丈さが取り柄。
緊迫した事態だったはずなのに、討伐参加四人中三人が見た目ふざけた武器。
猫のぬいぐるみ型仕込み銃を抱えたガンナー。怪鳥の顔付きの双剣背負った剣士。ニヒルに笑う黒猫槌携えた駐在。
唯一、炎龍の力を宿す紅蓮の大剣なんて代物持ち出したヤツはヤツで、ちゃっかり趣味で雪獅子の被り物を。
村の方々にハンターって仕事が誤解されないか心配。赤毛の彼はまともな格好だったから大丈夫か。
厳戒体制が解かれて、夕方辺りから祝いじゃ呑むぞ的な流れに。酒ダメなヤツが逃走。虫嫌いさん怪我軽くないのに飲むは呑む。
赤毛の彼はこっそりお酌する側に回ってた。のに、ばれて酒飲まされる。強くないのに哀れな。
メガネちゃん、請われるまま滑らかに軽妙に、今回の立ち回りを語る。彼女の独壇場。
宴たけなわな頃、酔ってる赤毛の彼にちょっかいかけて遊ぶメガネちゃんに少し相談。
夜中そっと帰宅。ヤツ枕噛んで寝てた。猫達にただいま。すりすりごろごろされた。もっふもふ。すりすり返す。
少し帰りは遅くなったけど、怪我してるヤツに楽しんで貰うための方法はメガネちゃんから聞き出した。
日記も書いた。さて。
 
88日目
気合い入れて寝床に入ったのに、起こしたヤツは何か悟ったような目でそっと腕枕提供。
寄り添ったら誉めるようななだめるような手付きで、髪を撫でられた。ぎゅっとしたかったけど、ヤツの怪我が心配だから止めた。
大人しく一緒に寝た。
明けて。虫嫌いさんは先代ハンターさんとこでお世話になりつつ、しばらく湯治するって。
メガネちゃんと赤毛の彼はもう帰ってった。兄さんへのお手紙を兄さんちの猫に渡してと託した。
メガネちゃんの語りの続きが聞けないと、ご近所さんちの息子君はとても残念そう。
語られた岩竜珍道中とやらは、どんな話だったのか気になる。
ヤツ何か良いこと有ったのか、えらく上機嫌。きゅぅーるとか面白い音が鳴る。
久々に畑仕事。体が丈夫になる種を収穫。冬も近いのに色々育つものね。
ヤツ、ハチの巣箱の陰から私を見守る。泳ぐ許可ならやらん。
くしゃみしても胸痛いんなら、泳がせるなんてできるか。
武具屋さんからひんやりする大槌受け取り。倉庫の肥やしの風化した何かが、古龍の尻尾で綺麗に化けた。
 
428喰う充実 19:2008/04/19(土) 07:13:42 ID:xR9APqAV
89日目
お前のムスコは預かったのお口版実行。初めてだったけど好評で何より。
仰向けに寝そべるヤツにそっと乗ってみた。頑張った。始終乳が何とかうるさい。
次はお前のムスコは預かったの乳版試行予定。
眠る前にヤツにきいた。婿に来ないかと。
ヤツ、ヒレをパタリ。それが順番なら貰われてやろうと偉そうにぬかす。そういう事になった。
朝一、ヤツと共に村長さんにご挨拶。結婚します、仕事は続けますて。
ヤツ、村長さんにこの村定住希望と直談判してたらしい。在住ハンターが増えるのは歓迎って言って貰えた。
村長さんが提案。駐在の仕事はヤツに引き継いだらって。家庭持つならその方が都合もよかろうと。
そんな融通利くのかと思ってたら、派遣元に村長さんがかけあってくれるそう。ありがたいことです。
今日は畑で狩猟笛練習。探検家猫が耳伏せてげんなりしてた。探検派遣忘れてた。
資金出して送り出し。猫逃げるように船出。
 
90日目
昼過ぎに兄さんが来た。すごく挙動不審に見えた。
手紙は読んだ、なんだあの急展開って。私もそう思ったさ。
それより嫁さんは。置いてうろついちゃダメって言ったら、無茶言うなって苦笑。
とりあえず、ヤツを私にくださいって言ってみた。返品交換は不可だ、好きにしろと笑顔が返る。
そんなあっさりと思ったら。本題切り出された。
もう無い私達の故郷。あの村近くの町に住む伯父さんちに長い間とどまっていた理由。
結婚相手が誰か。いきなり降って湧いた結婚話の理由。どっちが急展開だ。
あまりに衝撃が強すぎて私呆然。兄さんは重ねて言った。ヤツの返品交換は不可だ、と。
人の悪い笑みを浮かべてた。
頼まれたって今更俺が放すかよって、ヤツも言う。悪者っぽさ全開の笑顔を兄さんに向けた。
私はヤツにそっとしっかり抱き寄せられ、兄さんに詰め寄ることも防がれる。
大事にするからと、兄さんは私に、ヤツは兄さんに言った。
兄さん、唐突にヤツにむちゅー。ついで私にもちゅう。言葉も無い私達へ、爽やかげな笑顔と愛してるを捨て台詞に帰ってった。
謀られたのか。
始めから、ずっと前から仕組まれていたのかもしれない。
なんて、なんて人を食った話なんだか。
 
 
―終わる―
429名無しさん@ピンキー:2008/04/19(土) 07:16:40 ID:xR9APqAV
以上、投下終了。この話も終了。続かない。
傾向に一つ書き忘れ。嫌な意味で生々しいとこあり。
オチはナポリタン。深読みしてもそこに答えはない。
九十日→くーじゅーじつ→喰う充実。
この話は、某ポッケ村駐在ハンターが某人化ガノトトスを伴わず、一人で砂漠の珍味食い倒れツアーに行き、その暫く後ってパラレル。
故にジャンケンに負けてなった飼育係と白色レグホン雄鶏的関係。
Gは買ってない。そっちのネタは仕入れてない。
文中のヤツは人化ガノトトスだけど、鮫以外もモデルに。
首噛み&背中撫でが性的な事ってのはアヒルより。
某保険CMがイカガワシク見えて仕方ない。
>>261
ノトスの傷逆ー、と一応。
やわらかそうでかわいいナハエゥアに感動した。改めてありがとう。
不機嫌げな面のノトスからネタを勝手にいただいた。シチュ好みで無かったら申し訳ない。
430名無しさん@ピンキー:2008/04/19(土) 08:07:45 ID:eBdT5jov
>>429
GOD JOB!
本当によいものを読ませていただきました
431名無しさん@ピンキー:2008/04/19(土) 12:33:29 ID:pRY2fwoF
>>429

面白くて三回も読み直しちまったぜ
432名無しさん@ピンキー:2008/04/19(土) 13:05:18 ID:WNXaf+8D
規制うざー

>>429
面白かったw
途中のトトスの独り言みたいなのが理解出来なかったが、読みなおしたら
酒から逃げて帰ってきて日記を見てたら、胸がいてーって事だったのかな?w
433名無しさん@ピンキー:2008/04/19(土) 14:58:55 ID:lVijDMZ/
>>429
九十日分もの日記だというのに、これほどテンポがいいとは。相変わらずいいセンス。脱帽。
淡々としてる割に落書きとかしちゃうナッヘに不覚にも萌えたー。
434名無しさん@ピンキー:2008/04/19(土) 16:35:21 ID:t8yN5Sq1
>>429

面白かった、面白かったんだが……
ナポリタンが気になって仕方ない
435名無しさん@ピンキー:2008/04/19(土) 16:41:26 ID:CJ3UQPMQ
>>429
あ、そういう事か。要するに最近ヤンジャンに移行したあの漫画みたいな状態な。

最初の珍味ツアーで『誘う』→珍味とその食らい方
             『誘わない』→この作品

と。

もうこのノトスは狩猟笛使いでいいじゃん。ていうかいちいち変な所で笛吹くな。お前は怪傑ズ○ットか。
久々に笑わせてもらいました&良作投下乙です!
436名無しさん@ピンキー:2008/04/19(土) 18:08:39 ID:Ky0X5GIT
234 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/04/19(土) 18:03:10.91 ID:as1zijbo0
ハンター「おい、アイルー。ゲリョスが倒れたからちょっと攻撃して来い」
アイルー「え、ご主人、あれは死んだフリですニャ」
アイルー「迂闊に近づくと危ないですニャ…!」

ハンター「そんなこと分かってるよ。だからいってるんだろ?」
ハンター「アイルー、お前をここまで育てたのは誰だ?ん?」
ハンター「あの手紙は嘘だったのかい?」
ハンター「僕にオトモできるのが幸せなんだろう?」
アイルー「…行ってきます…ニャ」

243 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/04/19(土) 18:06:17.78 ID:u2keO1M/0
誰か>>234をエロパロ板にコピペしてこいよ


煮るなり焼くなり好きにしてやってください
437名無しさん@ピンキー:2008/04/19(土) 18:10:09 ID:iaZsUHcc
>>436
どうしてほしいの?意味不明
438名無しさん@ピンキー:2008/04/19(土) 19:07:48 ID:wqRDKlT5
ナッヘ童女みたいで可愛いよナッヘ
ノトスショタで可愛いよノトス
439名無しさん@ピンキー:2008/04/19(土) 19:37:19 ID:M006DmEI
なんか幸せな気分になった…
ifものという事だけど今回のも素晴らしかった。
「水竜を捕獲するといびきの音が変」とか「ブラッドフルートの音は自分も好きだな」とか、
珍味の人の話は、モンハンプレイヤーの心理として「ああーあるあるあるある」
って感じの小ネタが沢山ちりばめられてて、そういうとこが好きだったりする。

ところでP2Gには見た目がそのまんまカエルな狩猟笛があるので
ナッヘがそれを背負ってきたらノトスの反応が面白そうだ、と
フロッグクラフトを一目見た時に勝手に思ったりしていた
440名無しさん@ピンキー:2008/04/19(土) 19:57:17 ID:eBdT5jov
よし、ちょっと今からガノトトス捕獲してくる

ところで、日記の落書きの
>(´∀`)兄さん。
に爆笑したのは俺だけでいい
441名無しさん@ピンキー:2008/04/19(土) 20:25:42 ID:wHYO9pEl
>>436
ふむ、アイルーを道具扱いする男ハンターがアイルー好きの女ハンターに調教され自分がアイルーのように道具扱いされる話が読みたいと。
じゃ、がんばって書きたまへ、応援だけはしてあげる
442名無しさん@ピンキー:2008/04/19(土) 20:27:44 ID:qT/sL+HG
ちょっと聞きたいんだが、ラオやクシャルが岩喰うってのは知ってるんだが
グラビやバサルなんかも岩喰うんだっけ?
どうもごっちゃになって曖昧だ…
443名無しさん@ピンキー:2008/04/19(土) 20:56:32 ID:CJ3UQPMQ
>>442
バサルは身体を硬くするために岩を食う。
444名無しさん@ピンキー:2008/04/19(土) 21:39:47 ID:qT/sL+HG
>>443
つまり、バサルの時は体を硬くするために食べるけど
グラビになるとこれ以上硬くなる必要ないから食べない、と。
別に岩を主食にしてるわけじゃないんだね。
ありがとう、参考になった。
445名無しさん@ピンキー:2008/04/19(土) 21:48:08 ID:eBdT5jov
>>444
グラビモスは確か主食岩とか鉱物だった気がする
446名無しさん@ピンキー:2008/04/19(土) 21:50:02 ID:9Dm3WJAc
なんというらぶらぶっぷり……
砂糖はきそうだぜ。
447名無しさん@ピンキー:2008/04/19(土) 22:01:12 ID:xR9APqAV
>>435
渡り鳥な私立探偵は白いギター背負いだから、ちと違うんでは。
吹くのは、口笛高くやって来る強い男か、ペット持ち01。
 
>>444
板の世界観スレでこんな書き込みあった。
44 枯れた名無しの水平思考 sage 2008/03/11(火) 21:06:56 ID:ABJYTgs5O
グラビは火山岩やら紅蓮石やら食って体内で爆発させ、バクテリアを活性化させて栄養を得ている。
んで、用済みの岩石は火炎袋に送って融解、溶岩に吐き出す。
外敵に遭遇した場合、融解した岩石は熱線の材料になるんだと。

公式設定なのかは知らない。大全欲しいな。
448名無しさん@ピンキー:2008/04/19(土) 22:02:01 ID:b3Bz0Wnm
>>444
堅くするために食うってよりも、どっちかっていうと食べるから堅くなるが正しいかも。
バサルもグラビも主食は鉱物
449名無しさん@ピンキー:2008/04/19(土) 22:27:55 ID:QbzyRVO+
>>447
大全2を引っ張り出してみたところ、同じようなことが書いてあった。恐らく引用だと思う。
バサルに関しては、

普段は擬態しつつ近寄ってきた虫や小動物を、その周囲の岩石もろとも捕食している。
そうして食べた岩に含まれる成分を外殻に蓄積・石灰化することで、より強固で巨大な外殻を作り上げていく。
また火山帯の岩石に生息するバクテリアの中には、岩や鉱物などの無機物からエネルギーを生み出せるものが存在する。
これも同時に食す結果、消化器官でバクテリアが培養され、
バサルモス自身も次第に無機物からエネルギーを摂取可能になるという。

だそうな。で、このバクテリアは爆発で活性化する、と。
グラビモスって普段はゆっくりまったり過ごしてるイメージがあったんだが……
体内で常に(?)鉱石を爆発させてる危険な飛竜だったんだなぁ。なんかシュール。
450名無しさん@ピンキー:2008/04/19(土) 22:50:40 ID:Dd01YTek
451名無しさん@ピンキー:2008/04/19(土) 23:12:03 ID:t8yN5Sq1
まぁ、他の生き物だって食ったものを熱にして動いてるんだから、
元々を考えれば同じようなものなんだろうけどな


因みに、極炎石食ってる固体は体内の熱量が異常に高くなるために黒くなって
それが亜種になるとか
452名無しさん@ピンキー:2008/04/20(日) 07:44:52 ID:TX/cIHvp
453名無しさん@ピンキー:2008/04/20(日) 18:43:27 ID:VwltqTJ3
しかし、主食が岩ってむちゃくちゃ硬いうんこでそうだな・・・
切れ痔の俺は想像しただけでアナルがキュンッ!となる
454名無しさん@ピンキー:2008/04/20(日) 18:49:48 ID:219NUdVN
バクテリアが分解し、硬い成分は甲殻へ
だから実はあんまり硬くないんじゃないか説
 
でももし硬かったらアッー!!されても大丈夫なのだろうか
普段から鍛えられてるから…
455名無しさん@ピンキー:2008/04/20(日) 19:15:21 ID:R6bvNQNj
グラ「ところで俺の尻穴をみてくれ、こいつをどう思う」
ボル「すごく…硬いです…」




ごめん裸で薙ぎ払いビーム受けてくる
456孤独を知らない男:2008/04/20(日) 21:40:00 ID:219NUdVN
『孤独を知らない男』第十五話(クライ…タブン…)投下致します。
今回は非エロ。NGはなしです。
457孤独を知らない男:2008/04/20(日) 21:41:52 ID:219NUdVN
むせ返るような、草と水蒸気の臭い。
雲は異様に大きいが、うんざりする程明るい青空がそれに勝る。
太陽は憎悪を抱いているかのように激しく地表を焼き、纏わり付くような空気には重さすら感じられた。
ここは温暖期の密林。砂漠とは違った意味での、人間にとっての地獄。
だが、ここも彼らにとっては絶好の狩り場の一つでしかない。
 
茂みから覗く銃口。
ライトボウガンの銃口とスコープの数十m先にあるのは、呑気に草を食む草食竜だ。
伏射姿勢の射手は、引き金に指を添えつつも、無駄な力が入らないように肘を開いている。
全身から汗がじわりと滲み出て、呼吸と鼓動が早まり始めた。
 
「撃て」
 
射手の隣から、低く無機質な声が発せられた。
射手と平行になるようにして這い、茂みから双眼鏡で標的を見据えるのは、射手の相棒だ。
標的までの距離、現在の風速や風向き、標的付近の状況などを情報として処理するために存在する。
そのおかげで、射手は狙撃のみに集中することができるのだ。
 
「撃て」
 
何度も繰り返すのは、集中を促すため。
集中をしろ、覚悟を決めろと言われて、一瞬で出来る者は少ない。
出来たとしても、重要なのは素早く撃つ事ではなく、命中させること。
狙撃は万全の態勢から行う事を至上とする。
 
「撃て」
 
集中が研ぎ澄まされていく。
目はスコープの先の標的にのみ注がれ、吹き出す汗の感触は消えていく。
緊張から来る僅かな筋肉の震えは緩和され、呼吸と鼓動も潮が引くように穏やかに。
 
「撃て」
 
水面のような心。枝のように微動だにしない指が、引き金を引いた。
緊張を解いた筋肉で反動を受け止めるのではなく、受け流す。銃身を支えるのは骨だ。
小さな破裂音と共に、薬莢が舞い飛び、銃弾は吐き出された。
狙われている事すら標的に気付かせず、それは高速で飛び──
 
──ピンク色のインクが、草食竜の尻尾に染みのように付着した。
 
「……着弾点誤差、およそ1mか。」
 
射手の相棒は、驚いて逃げる草食竜を確認してから、双眼鏡を下ろした。
その表情は無機質で、失望も怒りもない。
 
「くそッ…」
 
だが、射手自身は違った。
ライトボウガンを下げると、悔しそうな表情が表に現れる。
 
「やはりお前にボウガンは合ってないようだな、ディア。同化が甘過ぎる。」
「ふん…こんな飛び道具なんかと、一体化してなんになる。」
 
生来の負けん気から憎まれ口を叩く射手だったが、所詮は負け惜しみ。
最初からそう思っているのなら、悔しがるような表情は浮かべないはずだ。
 
458孤独を知らない男:2008/04/20(日) 21:43:12 ID:219NUdVN
同化とは、武器を使用した戦闘に於いて重要な概念だ。
自分が武器と一体化し、武器を己の体の一部と認識することで緊張を消し、集中力を引き出す。
要するに精神的なものだが、立派な技術の一つだ。
ハンターが一つの武器を集中的に使う傾向があるのも、ディープな同化を行っているため、と学者は言う。
 
「とにかく…お前にはやはりランスが一番似合うな。」
 
射手の相棒が双眼鏡をしまいながら立ち上がり、ローブを叩いて土埃を落とす。
彼はどこの狩り場でも、それこそ家の中でもローブを着ている。
彼が言うには、それも同化の心掛けの一つらしい。
 
「最初からそう言っているだろう。全く、無駄なことをさせおって…」
 
悪態をつき、機嫌が悪そうな顔をして射手も立つ。
しかし、相棒は帽子の奥で意地悪く笑んだ。
 
「無駄ではない。お前はランス以外の適性がほぼ0な事が分かったからな。」
 
この皮肉のため、射手は相棒をギロリと睨み付けるが、反撃はしない。
したところで、更なる攻撃を浴びる結果になるだけである事を十分に知っていた。
現に相棒はその睨みすら、事も無げに笑って流した。
 
不意に、遠くから呼び掛けるような声が響いた。
獣ではなく、人の声。「ジェロス」と呼んだようだった。
射手の相棒はそれに反応し、声の方を向いた。
 
「何はともあれ、今日はここまでだ。トネスと合流して帰るぞ。」
 
そして、射手に背を向けて密林の出口へと向かい始める。
射手は左手でライトボウガンをぶら下げ、ため息をつきながら右手で顔をさすった。
 
「──師よ。」
 
彼をこう呼び始めてから、一月が経つ。
初め、彼はむず痒がったが、彼女にとって彼をそう呼ぶのは重要な事だった。
 
それは、線引き。
師弟以上にならぬよう、己に戒める意味でも、彼女は彼をそう呼んでいた。
ともすれば自分が師弟関係を超えた慕情を彼に抱いてしまいそうなのに気付き、
ある意味で貞淑な、角竜という種の生物であった彼女は、それをこの上もなく恥じたのである。
 
「なんだ?」
 
相棒は足を止め、射手の方を振り返った。
彼の双眸に見つめられた射手は、これから自分は悪い事をしようとしているのではないかと不安になり、思わず躊躇った。
相棒はそれを訝しんだが……やがて、射手は口を開く。
 
459孤独を知らない男:2008/04/20(日) 21:45:01 ID:219NUdVN
「………トネスとは、結婚しないのか?」
 
彼女が人間社会に於ける結婚、という概念を知ったのは10日程前。以来、ずっと気になって来た。
彼とその恋人は、彼女から見ても非常に仲が良い。
彼が多くを語らない性格だからか、会話はそれほど多くはなかったが、
生活の中のふとした事から、互いを思いやり、そして愛しているという想いが伺えた。
決してベタベタしたりはしないが、間違いなく2人は心が通じ合っていた。
だから、尚更ふしぎなのだ。
それほどの関係になっていながら、そんじょそこらの夫婦よりよほど夫婦らしい関係でありながら、
2人は決して結ばれようとはせず、そういった雰囲気すら漂わせて来ない。
人間になりはしたが、まだその細かな機微が感じ取れぬ彼女の目には、それが奇妙な事にしか映らなかった。
 
「……………」
 
が、彼女は直後には後悔した。
己が師と呼ぶ男は、若干目を伏せ、二枚貝のように口を噤んでしまったのだ。
当人同士での深い事情があっての事だろうに。その疑問を最も深く抱いているのは彼ら自身であろうに。
自分はなんて愚かなことを訊ねてしまったのか、と己の軽率さを恥じた。
ゴズ家の崇高な誇りに潜む、陰惨な死の宿命を彼女は知らない。
だが、本能的に感じ取っていたのかもしれない。この生活が消え行く実像であることを。
だから彼女は己の思惑を超えて、このような愚問を投げ付けたのだろう。
 
「……行くぞ……」
 
ジェロスは遂に答える事がなかった。
そして射手のディアも、それ以上の追及は出来なかった。
 
460孤独を知らない男:2008/04/20(日) 21:50:24 ID:219NUdVN
 
俺は今、村長の家にいる。俺と村長の他に人はいない。
俺達は向かい合うようにテーブルを挟んで座しており、
テーブルの上にはすっかり冷めた茶が置いてある。
既に、この状況が5分ほど続いていた。
 
いきなり、村長が直々に家までやって来て、俺を茶に誘った。
普段なら行く義理はないのだが、俺は既にあることを予感していて、
誘われるままに村長の家に行くと、途端にだんまりだ。
が、その沈黙に苛ついたりはしない。
村長が話し出すまで、俺はとことん待つつもりだった。
 
 
「──討伐を、してほしいんじゃ。」
 
 
そろそろ10分が経とうとした頃に、村長のしわがれた声が響いた。
いよいよ、来たか。
俺はやっと茶を含み、口の中を湿らせてから口を開く。
 
「標的は?」
「炎王龍じゃ。」
 
炎王龍。仕留めた事はあるが、厄介な相手だ。
一人でやるなら、数十日をかけてじわじわと戦わねば危険である。
 
「何故、俺に?」
 
笑えるほど、意味のない質問だ。
俺にこんな依頼が来る表向きの理由など、決まっている。
 
「接近しつつある炎王龍を討ちに、熟練の4人が向かった。
 帰還したのは1人。しかも半身不髄の後遺症が出るほどの負傷をしておった。
 その者の話によれば、あやつの角を折るので精一杯だったそうな。
 だから、御主に頼みたいのじゃ…
 この村であやつを屠れるのは、御主だけじゃ。」
「…ギルドは動かんのか。」
「忙しいと言うてな…救援を送れるのは二月後だそうじゃ。」
「炎王龍は今どこに?」
「砂漠じゃ。この村に向かっておる。」
 
二月もあれば、炎王龍なら砂漠からこの村に来て火山へ帰れる。
確実にこの村を攻撃する、と分かっている訳ではないが、確実にこの村には来ないとも言えない。
だから古龍は、接近して来た時点で追い払うか、討伐せねばならない。
 
問題は、何故人に知られてはならないのか、だ。
理由をでっち上げて家へと誘い、そこで人目を憚るようにして本題を話す。
まるで、この依頼の事は誰にも知られたくないかのようだ。
では、何故知られてはならないのか?
ギルドに所属するハンター達の手前というのもあるだろう。
自分達がのけものにされ、唯一人のならず者に、村の防衛という重要な仕事が任されたと知れば、
決してそのことを良く思ったりはしないはずだ。
村長は、村全体にとって最も良い道を選ぼうとする。
だから時には、嘘もつくし隠し事もする。それが良い指導者というものだ。
 
461孤独を知らない男:2008/04/20(日) 21:51:12 ID:219NUdVN
だが、それだけではない。
この古龍討伐には、恐らく隠された思惑がある。
 
「………わかった。明後日、出立する。」
 
俺はあっさりとそれを引き受けた。
村長は驚きも納得もせず、ただゆっくり、小さく頷く。
いよいよ、来たか。
俺は先程脳裏によぎった言葉を繰り返した。
 
茶を一気に飲み干すと、俺は椅子から立ち上がる。
村長はまだ椅子に座ったままで、茶には全く手をつけていなかった。
 
「村長──」
 
初めて、この人の事を口に出して「村長」と呼んだ。彼はそれにも反応しない。
じっとカップを見つめているが、聞こえてはいるだろう。
 
「──トネスを、頼む。」
 
村長はまた、ゆっくり頷いた。
それを確認し、俺は村長の家を出ていった。
 
明後日、炎王龍の討伐へ赴く。
終わりの時は近い。
 
462孤独を知らない男:2008/04/20(日) 21:52:17 ID:219NUdVN
 
深夜の集会所。ここにハンターの影は既にない。
窓から差す僅かな月明かりと、たった一つのテーブルで燃える一本の蝋燭。
そしてそのテーブルに座す俺だけがいる。
俺の傍らには空っぽのジョッキがあり、目の前には揺らめく炎があった。
その火はえらく儚げで、ぼぅっと眺めていると、まるで吸い込まれるようだった。
火に吸い寄せられる蛾の気持ちが少し分かる。
暗闇の中の灯りは不思議と大きく見え、俺の目玉から脳に侵入し、心を満たしていくようだった。
 
じっ、と蝋燭の火を眺めている。
俺は今どんな顔をしているのだろうか?
じっ、と蝋燭の火に入り込んでいく。
 
「…ジェロス。」
 
と、俺のそんな様子をおかしいと思ったのか、受付嬢のヤツが話し掛けて来た。
「ん」と小さく答え、火から視線を外し、そいつの顔を見上げる。
トネスやディアとは一味違った、きりっとした大人の美しさが俺を心配そうに見下ろしていた。まだ残っていたのか、こいつ。
「相席、いい?」と訊ねてきたので、少し頷いて肯定の意を示すと、そいつは俺の向かいに座った。
 
「炎王龍の討伐…やっぱりあなたが行くの?」
 
こいつなら、村長から話を聞かずともそのぐらいは予想できるだろう。
4人の熟練ハンターを蹴散らした炎王龍。にも関わらず、なかなか上がって来ない追討依頼。
受付嬢という仕事をしていれば、そう言った異変にはより敏感になるだろう。
そして、こいつならば──
 
「…そういや、礼をまだ言ってなかったな。」
 
燭台をスッと横にどけ、そいつの顔を見る。
暫くはきょとんとしていたが、やがて思い出したのか、息を小さく吸いながら体を後ろに引いた。
 
「礼、なんて…」
「お前のおかげで目が醒めた。
 掟を曲げることはやはり出来んが…ある程度、柔軟にはなれた。
 ありがとうな。」
 
そいつは少し目を伏せながら、恥ずかしそうに顔を赤らめた。
子供のようなその仕草は、大人びた外見とのギャップから、とても可愛らしく見える。
頬杖をつき、横目でそれを見ていると思わず頬が緩んだ。
一種の玄妙さすら持ち合わせているこの表情。男ハンターどもに人気な訳だ。
 
「なに、笑ってんのよ。」
「いやいや…俺も変わったな、と思ってな。
 トネスと出会ってから、短期間で随分と変わった…」
「…そうね。以前と比べて、雰囲気が柔らかくなってる。」
「そうか? 以前はどんな感じだった?」
「うーん、そうねえ……モンスターみたいだった、かな。」
「………栄誉なこった。」
 
ジョッキを伏せ、少しわざとらしくふて腐れてみせた。
受付嬢の奴は口に手を添えてクスクスと笑い出す。
 
463孤独を知らない男:2008/04/20(日) 21:53:29 ID:219NUdVN
…以前の俺にとって、人間とはどういう存在だったろうか?
自分でもよく分からないが、見下していた事だけは確かだ。
大自然と比べて実にちっぽけな存在だった人間を、憎んでさえいたかもしれない。
だが、トネスと出会い…愛という人間らしい気持ちを抱いてから、心境に変化が生じた。
のたうち回って必死に生きているのは、大自然も人間も同じだ。
ならば人間が息づく社会も、そう悪いものじゃあないなと思えてきた。
そして同時に、一族の掟と宿命の闇も見えるようになり始めた。
掟は素晴らしい。宿命は誇りだ。だが、それらは個人の幸福を喰い潰して存続してきた。
ゴズ家の歴代の当主達は、その闇と戦い、結局闇の中へ呑まれていった。
物心ついた時、掟は既に体の一部であり、切り離し難い内臓の一つ。
その中で彼らは幸福を必死に追い求め、とうとう宿命に敗北した。
 
「…ずっと、続けばいいのにな…」
 
俺は今、どんな顔をしている?
俺は今、どんな声で喋っている?
俺も、敗北するのだろうか。
俺も、宿命に追い付かれるのだろうか。
 
否、その答えは決まっている。俺の意思を超えたところで。
 
「…やっぱり、行くのね──」
 
逃れ難い宿命は、既に俺を雁字搦めに縛っている。
どんなに抗おうとも、今更無駄な抵抗だ。
 
「──罠だと、知って…」
 
そう。罠だと知っても行かねばならない。
暗殺者との戦いはゴズ家の宿命。
 
過去にも同じ事例は存在した。
古龍討伐をダシに当主を誘い出し、古龍と戦わせる。
当主の住んでいる村を龍が襲うとなれば、出陣しない訳にはいかない。
更に、そうすることによってギルドは村そのものを人質にとる事になるので、ますます向かわねばならなくなる。
かくして古龍と当主との壮絶な決闘の結果、古龍は倒れ、当主は虫の息。
そこで、追跡していた暗殺者が、虫の息を完全に止める。
そして世間や当主の妻にはこう言ったのだ。「相討ちだった」と。
多くの疑惑が残るために、最終手段とされているようだが、ギルドは今回これをやるつもりだ。
 
464孤独を知らない男:2008/04/20(日) 21:55:10 ID:219NUdVN
「恐らく、生きては戻れまい。」
 
村長は、これが罠である事を暗に伝えるために、隠し事のように俺に依頼をした。
この受付嬢も、報せるために俺に話し掛けたのだろう。規則を破ることになろうとも。
この人間的な人間達に最近まで気付かなかった自分が恨めしい。
 
「トネスさんは、知ってるの?」
「いや、まだ伝えてはいない。だが薄々感付いてきてるかもしれんな…」
 
果たして、これをトネスに伝えられるのだろうか。
後の事はディアと村長がなんとかしてくれるとは思うが。
俺自身…どうしたいのか分からない。
トネスに別れを言いたいのか、必ず戻ると嘘の誓いを立てたいのか。
出撃は明後日…明日中に答えを出さなければならない。
 
「…ま、お前に礼が言えてよかった。
 そろそろお暇するよ。随分長居しちまったからな。」
 
蝋燭を元の位置に戻し、俺は立ち上がった。
受付嬢のヤツは立ち上がらず、テーブルの上で手を組んだだけだった。
視線は俺でも蝋燭でもなく、やや下へ向いている。
 
「元気でな。」
 
俺は入口へと向かった。
悔いが遺らぬよう、悔いを残させぬよう、ゆっくりと。
 
そして、後ろからの「まって」と呼び掛ける声に、立ち止まった。
振り向きはしない。背中でそいつの声を聞く。
 
「………あの、ね…実は私、あんたのこと…まだ、少しだけ、好き…なんだよね。」
 
躊躇うように途切れ途切れだったが、はっきりとした声だった。
微動だにせず、ただただ聞くことに徹する。
 
「だから、さ…帰ってきて、欲しいな。」
 
自分はなんて馬鹿な事を言っているのだろうか、と彼女は思っているだろう。
そいつは、そういう女だ。
しかし、俺はその事に気付くのが遅過ぎたのだ。およそ二年ほど。
まったく、そんな男のどこがいいんだか。しかもこれから死にゆく男だと言うのに。
心の中でそう毒づくが、やはり少しだけ嬉しかった。
俺の事をそれだけ気にかけてくれるのだ。有り難くないはずがない。
運命と宿命と因果に真っ向から立ち向かってでも、彼女はその言葉を紡いだのだ。
 
とは言え、賽は投げられたのだ。
最高にどうしようもないタイミングで。
 
「…他ならぬ俺自身が、それを一番望んでいる。」
 
振り向かず、俺はそう言い放つと、再び歩き出した。
 
望んだとて、どうにもならない事はある。
だから俺は振り向かなかった。
これが今生の別れとなろうとも、女々しく死にたくはない。
未練がましく、振った女の顔を振り返るなど…
たとえ相手の心情を理解していようとも、今の俺には出来るはずもない。
 
出立は明後日。
無情な死が全てを奪い去っていく瞬間までの、猶予時間と同じ数字。
465孤独を知らない男:2008/04/20(日) 21:57:35 ID:219NUdVN
これにて第十五話終了です。
この作品も終わりが近いです。
本当は彼らの日常とか描きたかったんですが、これ以上長くなるとヤバいので割愛。
 
行数計算を大幅にミスりましたが、立ち直りが早いのが私の強み。
466名無しさん@ピンキー:2008/04/20(日) 23:16:43 ID:1nkecBa8
誰か保管庫復旧してくれないかな・・・
俺のPCのスペックじゃあ・・・orz
467名無しさん@ピンキー:2008/04/21(月) 01:34:18 ID:EqXgJXPh
>>360ってことは
・編集制限されてるから管理人以外編集できない
・管理人のIDが通報されてるからもう誰も編集できない
まさに\(^o^)/ 解決してくれるのは時間だけか

引越し先くらいは用意できないこともない
(というか現存のwikiを編集しようとして糞扉ID取得しちゃった)けど
10スレ分、全200ページ以上にも及ぶ大量の作品やインデックスページを
また1から保管しなおすのって大変だろうなぁ
468名無しさん@ピンキー:2008/04/21(月) 01:39:13 ID:G/rm0kv7
あと、>>465Gj
469名無しさん@ピンキー:2008/04/21(月) 01:55:17 ID:G/rm0kv7
犯人がわかったら、お仕置きに火炎放射プレイだな
470名無しさん@ピンキー:2008/04/21(月) 02:00:57 ID:EqXgJXPh
>>469
火炎弾速射プレイで勘弁してやろうぜ

4人で囲んで竜撃砲でもいいけど
このスレで言うとなんとなくエロい響きになっちゃうな
471名無しさん@ピンキー:2008/04/21(月) 03:28:29 ID:/Xe7kQmt
すげえ、ほとんどのページのリンク全部真っ赤(ブログURL)だ。
472名無しさん@ピンキー:2008/04/21(月) 03:42:44 ID:/Xe7kQmt
とりあえずスレ別の生きてる場所を使ってタイトルと作者、作品本編をコピーしておいた方がいいんじゃないか?
一応リンクは生きてるし。それだけで作品がほぼ移行できる、はず。

(ほぼ、としたのは確認したところ一部の作品に抜けとハニーザホルンシリーズの補完がされていないため)

と思ったら10スレ目真っ赤だよorz

ま、まあ少なくともこれで少し手間が省けるかもしれないから、ID持ってる人頑張って。
473名無しさん@ピンキー:2008/04/21(月) 03:58:55 ID:EqXgJXPh
>>472
たまに罫線使ってるからそこだけ手を加えなきゃいけないくらいで
作品自体はページ内容のベタコピペでほぼ問題なくいける
左上メニューのページ一覧から現存する全てのページが見られるはず

荒らされてるのが基本的にリンクの多いメニューやインデックスページだけだから
作品自体に影響は出てない……と思うけどよくわからん
古龍種のページが消えてるらしいから作品ページも消えてるやつがあるかもシレン
474wikiに通報された奴:2008/04/21(月) 10:45:47 ID:Pbja3MiN
仕事は一段落したので昼頃見てみる
リンクが赤いってことは動いてくれたのか?
とりあえず昼頃に現保管庫のバックアップとってから一時的に解放してみる
ただ、荒らし対策にID所持者のみ編集可能でやるわ
475名無しさん@ピンキー:2008/04/21(月) 13:48:59 ID:JYgfGW3s
がんがってください、携帯から応援するっす


孤独の人、いよいよ佳境ですね
俺らじゃジェロス始末できないからモンスに殺らせちゃえ^^なギルドの発想が陰湿過ぎるw
476名無しさん@ピンキー:2008/04/21(月) 16:35:59 ID:/Xe7kQmt
そうか?暗殺という枠で縛らなければ常套手段だと思う。

古来にも兵糧攻めとか相手が疲れた所を討ち取る手段もあるし。
モンスターが相手をやってくれればベター、そうでなくとも疲労しきっているため討ち取りやすい。

まあ、それでもジェロスには死んでほしくないけどな!(嫁二人的な意味で)
477名無しさん@ピンキー:2008/04/21(月) 16:45:16 ID:Pbja3MiN
というよりそこまで強いなら暗殺者として殺された奴を「良識ある一般市民」ってことにしてジェロスを殺人犯にしたてあげれば簡単に処刑出来ると思う
まぁそれが出来ないくらいその土地に食い込んでると脳内補完して楽しんでるので問題GUY
少なくとも風属性よりか数百倍現実的
478名無しさん@ピンキー:2008/04/21(月) 19:13:55 ID:nE4j8Bpb
対象が違うものを比べてどうするんだYO
479名無しさん@ピンキー:2008/04/21(月) 20:00:19 ID:RbeJlFVa
>>429
先人にならって三回読み返した
駐在さん日記読んだガノスの兄ちゃんが泣いてんのって、寂しいのと怪我が痛くてだと思ってたけど
もしかして、オナヌーしてたのがバレバレだったってわかったからか…
そりゃ泣くわ
駐在さん懐妊フラグたってる?
 
>>465
乙。
日常描写増やしたっていいじゃない
ところでNGって何なのかわからない
480名無しさん@ピンキー:2008/04/21(月) 21:49:50 ID:JYgfGW3s
^^とwで誤解されたか?
よりにもよってテオ討伐なんて、ギルドのジェロスに対する憎悪がひしひしと伝わってくる選択だよな、
と変なところで感心した次第なんだ、断じて冷やかしなんかじゃねぇっす
481名無しさん@ピンキー:2008/04/21(月) 21:53:00 ID:5LPTbX3p
今さ、ボーンシリーズ装備+にゃんにゃんぼうを装備した女ハンターの話を考えてる
あの装備凄く好きなんだけど
482名無しさん@ピンキー:2008/04/21(月) 21:55:58 ID:peVdM2Ei
ボーンU装備の♂って、ぱんつが網目になってるように見えるんだが
ちんこみえてんの?
483名無しさん@ピンキー:2008/04/21(月) 22:06:51 ID:5LPTbX3p
へー
484名無しさん@ピンキー:2008/04/21(月) 23:44:38 ID:tH77l5t3
トネスという弱点が出来ちまった以上
本気でジェロスを殺すんならテオ討伐に言ってる間にトネス人質に取っちまえばそれで終わりだろ
ギルドが本気で動いたらディアや村長がどうにかできるわけがない

ついでにテオを数十日かけて追跡なんて出来るのか?
もし自分が休息中に移動でもされて見失ったらその時点でアウト
次にあったらたっぷり休息とって角まで再生された奴とご対面だ
ギルドに所属してないから古龍観測所の助けも借りれない
絶対この場所に移動するみたいな一族秘伝の情報でもあるのかねぇ?
485名無しさん@ピンキー:2008/04/22(火) 00:48:45 ID:keGqaIaV
「今にゃ!にゃぁ!!」
ボーン装備に身を包み、アイルー達が使うにゃんにゃんぼうを振り回しながら小さな女の子は叫ぶ。
アイルーやメラルーが住む小さな住居、そこの外にて小さなカカシに向けてパシパシと棒をふるっている。
赤ん坊の頃に両親に捨てられ、偶然興味をもったアイルーに拾われそれからずっとアイルーやメラルーと暮らしていた。
体は小さくハンターとしてはまだまだ未熟で、アプトノスを傷だらけになって倒すのがやっとな程に弱い。
だがそれでもハンターとしての素質はアイルー達からも認められ、アイルー達の住居ではハンターとして生活していた。
アプトノスを狩り、その肉を持って帰りアイルー達に料理を作ってもらう…そんな風にして彼女は成長していった。
そして、女の子だったハンターは少女になり、一回り大きくなった体とにゃんにゃん棒を腰に提げ住居を後にする。
本物の、人間のハンターとして認められる為に、彼女は旅立ったのだった。


ここまで書いて思ったけどハンターに年齢制限はあるのだろうか
486名無しさん@ピンキー:2008/04/22(火) 01:00:28 ID:NtHpU9yI
>>436
亀だがジョークで言ったのにマジでエロパロ持ってきやがったwww

まさかホントにコピペするとは思ってませんでしたごめんなさい
487名無しさん@ピンキー:2008/04/22(火) 01:29:12 ID:51+CEjoS
>>485
その子は俺のオトモになってくれるんですか?
488名無しさん@ピンキー:2008/04/22(火) 02:11:22 ID:keGqaIaV
「ハンターになりたいにゃ!」
ハンターギルドへやってきて、最初の一言がこれだった。
体も小さくまだまだ女にもなりきっていないような少女がハンターになりたい、そう言ったのだ。
酒を飲んでいたハンターは酒を吐き出し、依頼を受けていたハンターは驚きで振り向いたまま硬直している。
「ハンターになるにゃ!」
語尾にアイルーのような言葉を付けたままボーン装備に身を包んだ少女はにっこりと笑う。
「お譲ちゃん、お譲ちゃんに務まるほどハンターってのは簡単な仕事じゃないんだぜ?」
「お譲ちゃんじゃないにゃ、クウはクウっていう立派なお名前があるにゃ」
まだ膨らみ始めたばかりの胸を張り、自分の名前を誇らしげに語ってみせる。
その様子に酒を拭いていたハンターは笑いを堪え切れずに爆笑しながら床を転がり、受付をしていたハンターも笑いを殺しきれないでいる。
それぞれが大人げないとは思いつつも、少女の夢と現実とのギャップを感じ、笑わずにはいられなかった。
「あのなぁお譲ちゃん」
「クウにゃ」
「はぁ…クウ、お前のその喋り方はなんだ?アイルー共の真似か?」
「アイルーはクウのお母さんとお父さんにゃ!クウは立派なハンターだから人間の村に来る事ができたにゃ!」
少女の言葉に次は全員が呆気にとられ、ぽかーんと口を開けたまま固まってしまった。
アイルーが両親?立派なハンター?つまりこの少女はアイルー達の間では凄腕のハンターだということか?
疑問が疑問を呼び、話しかけたハンターはパチクリと瞬きを繰り返しながらしゃがみ、クウと目線を同じくする。
「お前は…今まで何を狩ったことがある?」
「にゃ?ドスファンゴとか、ドスランポスなら倒せるにゃ!」
その言葉に全員言葉を失い、ぽかんと口を開けたまま固まってしまった。
新米のハンターが相手をするかなり弱いモンスター、だが…こんな少女が倒せるほど弱くはない。
年間に何人も犠牲者が出るほどに殺傷能力はあるし、ベテランハンターでも油断すれば簡単に殺されてしまうだろう。
誰もが耳を疑い、目の前の少女の嘘だと考えたが、ボーン装備を持っていることを見るとやはり嘘とは思えなかった。
「だけど、クウの年齢じゃハンターにはなれないぞ。成人していないとだめだ」
「…でもクウはアイルーの中じゃ一番強いにゃ!!それに立派なハンターになるまでお家に帰れないにゃ!」
「…わかった。よし、俺がお前にハンターとして何が足りないかを教えてやる」
そういうと目の前で話を聞いていたハンターは立ち上がり、クウの手を引いて歩きだした。
「ついてこい」
酒場は静まり返り、雀の声が遠くから聞こえてきそうなほど静かに時間が流れていった。
489名無しさん@ピンキー:2008/04/22(火) 02:33:14 ID:keGqaIaV
「にゃに…?これ…?」
「お供アイルーの誓約書だ」
一枚の紙切れを目の前に少女は眼を丸くさせながら首をかしげて見せる。
お供アイルー達に書かせる誓約書、命を共にするハンターに逆らわないこと、などとする取り決めがそこにはあり。
少女がその紙切れをじーっと眺めている様子を男は黙ってベットに座り、武器を磨きながら読み終わるのをまっていた。
「…字が読めないにゃ」
「どれが読めないんだ?」
「全部にゃ」
ダメだ、この少女はどうやら人間の村に解き放たれたとしても生きていくことは無理だと判断できた。
家に着くまでも何度も人間のルールに違反する様な行為…店先に並べてある食べ物を勝手に食べようとしたりしていた。
それを教えながらここまで来たが、本人が本当に分かっているのかも怪しく、字も読めないときた。
ハンターは頭を抱えるようにしてため息をつき、とにかくお供アイルーの誓約書をクウ読んで聞かせてやった。
途中居眠りをしていたのを叩き起しながら最後まで聞かせ、指を使って拇印を押させた。
いや、こちらが強制したわけではなくクウがそれでもハンターと一緒にモンスターを狩りたいと言ったから契約を交わしただけだ。
決して、決して何か悪い心に押されてしまったわけではないことをここで弁解しておく。
「よし、じゃあクウ、俺の名前はイフだ。イ・フ…わかるか?」
「イフ…クウは賢い子だからすぐに覚えるにゃ」
「よしよし、じゃあクウ、明日からお前に狩りのパートナーを頼むぞ?」
「了解にゃ!」
嬉しそうにそう言ってみせる少女の笑顔、それに釣られるようにイフは笑顔を作って見せた。
だが本当の地獄はまだ始まったばかりのようで…。
「うにゃぁ…ふにゃ…」
「…ねむれねぇ…」
布団の中で抱きつくようにして眠っている少女、その少女から視線をそらしながら必死に自分を堪えるイフの姿があった。
次の日、やはりイフは寝不足で狩りに出発できず、少女は一日目からぶーぶーと文句を言い続けていた。
490名無しさん@ピンキー:2008/04/22(火) 02:33:43 ID:keGqaIaV
書いてみたかっただけだよ
別に深い意味もないよ
491名無しさん@ピンキー:2008/04/22(火) 16:15:36 ID:NtHpU9yI
どう見ても続きがありますね
492名無しさん@ピンキー:2008/04/22(火) 17:45:11 ID:iLHDo/Qg
続きがあるとしか言いようがない
493孤独を知らない男:2008/04/22(火) 21:44:14 ID:hHZ/isT3
『孤独を知らない男』第十六話、投下致します。
今回も非エロです。
494孤独を知らない男:2008/04/22(火) 21:45:07 ID:hHZ/isT3
低く、猛る咆哮。怒りに震える赤い影が跳ぶ。
月光に照らされる牙と、青色の瞳が闇の中で光り、覆い被さるような爪が襲い掛かる。
極限まで身を屈めても、その巨体は帽子を掠り、風圧だけで吹き飛ばされそうになる。
が、やられるばかりではない。
頭上を通り過ぎていく巨体に向けて刃を振るい、後ろ足を斬り付けた。
態勢が悪かったため大して深い傷にはならなかったが、ダメージにはなっている。
 
大きな影と小さな影。二つはかれこれ2時間も戦い続けていた。
双方とも疲労とダメージは極致に達しつつある。
大きな影は左目を潰され、尻尾を切られ、翼爪を折られており、全身に斬傷が広がっていた。
一方、小さな影は疲労が限界に達しており、全身の筋肉が震え、整えようもないほどに息が荒い。
 
即座に振り向き、向かい合う両者。
最早、その足を支えているのは互いに気力のみであった。
が、形勢は若干、小さな影の方が有利であった。
大きな影は、その巨大さ故に小さな影を完全に捉える事が出来ないのである。
とはいえ、その無限に近い体力は、小さな影の疲労を促し、だんだんと動きを鈍らせていった。
 
小さな影がよく使う戦法は、ヒット&アウェイのように逃げること。
一旦逃げれば、薬を持つ自分の方が回復は早い。
体調を万全にしてから、同じく逃走を謀る筈の大きな影を追跡し、
大きな影が休息をとるために地上に降り立ったらまた戦う。
これを繰り返し、相手に十分な休息の間を与えず、持久戦で討ち取るのが彼の常套手段だった。
追跡に関しては、飛び去った方向、血の滴、新陳代謝による排泄物や地理的条件などを手掛かりにできる。
ここからの逃走は、まさに小さな影にとっては鉄板の戦略だ。
 
が、それは許されていない。
何故なら小さな影は、ここで死ぬ事が既に決定されている。
ここでの死が、小さな影の運命であり、望みなのである。
許されているのなら、とっくのとうに逃げていた。
それにそんな悠長な事をしていたら、村を襲うまでに大きな影を殺し切れないかもしれない。
それが分かっているから、小さな影は逃げない。ここで決着をつけるつもりだ。
 
大きな影が、息を吸い込みながら首を持ち上げた。極炎を吐き出す予備動作である。
普段なら大きく掲げるように持ち上げるのだが、体力を消耗しているためか、殆ど持ち上がっていない。
そこに、一瞬の勝機があった。
小さな影は刮目し、大きく体を後ろへ引いた。
 
そして、一筋の光が飛んだ。
真直ぐ進んだそれは、見事に大きな影の口腔に入り、大きく開いた気道を通り抜け、直接内臓を串刺した。
小さな影が投擲した太刀は、見事に大きな影の命に届いたのである。
最早咆哮を発する事も出来なくなった大きな影は、そのまま苦しげに呻きながら倒れ、
少し経つと全く動かなくなり、瞳から命の輝きは消えた。
 
小さな影は息を切らしながら、倒れた大きな影に近付いていった。
大きな影──炎王龍は既にして死んでいる。
そう、俺が殺したのだ。
俺はドキドキノコを懐から取り出し、その亡骸にそっと添える。
目を軽く瞑り、荒い呼吸のまま祈りの言葉を心の中で読み上げた。
体力はとっくに限界を超えていたが、最後の仕事だ。
きっちりと為遂げたい。
 
全ての仕事が終わり、俺はゆっくりと振り向いた。
そこにあるのは、黒い人影。顔も姿形も闇に紛れているが、俺に弓を引いていた。
ここからでも弦の軋む音が聞こえ、首にひりひりと殺気のような熱を感じる。
そしてその時は、訪れる──
 
鏃に反射する月光が、俺の視界を埋め尽くした──
 
495孤独を知らない男:2008/04/22(火) 21:47:26 ID:hHZ/isT3
 
「……………」
 
そこで、目が醒めた。
どうやら飛び起きたようで、上半身が起き上がっている。
周囲を見回すと、ここは見慣れた寝室だ。
隣にはトネスの寝顔と、すぅすぅと抜けるような可愛らしい寝息。
 
…夢、か。いや、夢じゃないな。これは明日から実現する事柄だ。
トネスを起こさぬようベッドから出て、服とローブ、帽子を身に着ける。
ひどく汗をかいてしまっていたが、季節はあと数十日で寒冷期だ。
明け方の低気温なら、外に出てローブを脱げば乾くだろう。
俺はため息をついてから、外へ出ていった。
 
少し朝もやの張った、冷たく静かな空気。
今年は、早くから冷え込みが始まっているようだ。
だからこそ、炎王龍が火山から出張って来たのかもしれない。
暫く火山に篭るから、後もう一度だけ自分の活動区域を飛んでみよう、と。
もしそうであれば彼は全く無害である。ただの散歩のつもりならば。
が、そう断定する事は不可能だ。だから俺が狩らねばならない。
 
職業というものは、時として矛盾を孕む事がある。
それは理解しているし、殊更に追及するつもりもない。
しかし思わずにはいられない。ハンターとは因果な稼業だ。
俺は裏手に回り、空き地を超えて川へと向かった。
朝起きたら、川で顔を洗うのが日課である。狩りの時以外は一日たりとて欠かした事はない。
 
精妙で、穏やかなるせせらぎ。
朝もやの中を、時間から取り残されたかのように静かに流れる川には、一種の幽玄さすら感じられた。
この川とも、明日になればおさらばだ。
ローブを脱いで傍に畳み、その上に帽子を置くと、膝をついて両手を差し入れる。
キンと刺すような冷たさが両手を伝わり、腕を伝わり、火照った脳まで届くような気がした。
汗の乾きにより熱かった体が、急速に冷めていく心地よい感触。
両手を椀のようにして水を掬い上げ、零れない内に顔に叩き付けた。
 
思わず、大きなため息が漏れた。この心地よい冷気に集中するように、深く。
──失いたくない物が、多過ぎる。
事ここに至るまでは歯牙にもかけなかったものが、実際は重要なものであった事に今更気付かされる。
 
いや、ここで決心が揺らいでどうする。
俺は心に灯った青い種火を消すように、何度も川の水で顔面を打った。
 
「師よ。」
 
そんな中、後ろから声をかけられた。
この声はディアか。顔を洗う手を止めるが、振り返りはしない。
 
「ディアか。」
「ああ…」
 
俺はよほど夢中で顔を洗ってたようだな。
後方からのディアの接近に気が付かないとは。
 
496孤独を知らない男:2008/04/22(火) 21:48:47 ID:hHZ/isT3
「どうかしたか?」
「師の、様子が…少し、おかしかったから…」
 
……どうやら、ディアを起こしたのは俺だったらしいな。
流石は元角竜と言った所か。中々に鋭い。
ならば、こいつには話しても良かろう。
トネスを託すなら、いずれは話さねばならないしな…
 
「……明日、古龍討伐に単身で砂漠へ赴く。
 村長から…いや、ギルドからそうお達しがあった。」
「…ギルドから…?」
「ああ、そうだ。」
 
勘がいいこいつなら、それが何を意味するかは理解できるはずだ。
ギルドとゴズ家の対立を、こいつは理解し始めている。
そこに由来するゴズ家の宿命と因果関係に関しては、まだ理解できていないようだが、
ギルドが俺を殺したがっている、という事実には気付いているだろう。
 
「…死ぬ、のか…?」
 
ディアの声は微かに震えていた。
その声が一層強く、今日の夢が現実となる未来を俺に突き付ける。
 
「ああ、恐らくな。
 だからディア…お前は村長と一緒にトネスを世話してやってくれ。
 ギルドの目的は俺一人。俺が死ねばトネスに危害は及ばんだろうが、一人きりでの生活は辛かろう。
 トネスの生活を補佐し、支えになってやってくれ。」
「トネスが、悲しむ…」
「悲しんだとて、どうにもならん事はある。」
 
帽子とローブを拾いながら立ち上がり、ゆっくりと身に着ける。
己の心の内を曝け出してしまわないように、ゆっくりと。
自分の言葉を最も否定したいのは自分だ、とバレてしまわないように。
 
「ディア。お前は他の武器はからっきしだが、ランスの扱いは既に一人前だ。
 一族の槍術は種類が少ないからな…お前に教えるべき事はもう無い。
 後は自分なりの戦い方を身に付けていけばいい。要は免許皆伝ってヤツだ。」
「でも…そんな、いきなり…」
「物事は全ていきなりだ。いきなり生まれ、いきなり死ぬ。
 俺も、ただそれだけの事だ。」
 
ディアの声に、言い様のない悲しさが含まれている事に気付く。
しかし、それを受け止めてやる時間はもう無い。
できる事は、師としての助言のみだ。
 
「……ひど、すぎる…」
「ああ、全くもって酷過ぎる。」
 
ギルドも、掟も、宿命も。
全てがゴズ家の人間を縛り付けてきた。
のたうち、苦しみ、足掻き、最後には全てが無駄と成り果てる。
彼らは何度、その運命を呪った事だろう。
彼らはいかにゴズ家を愛し、同時に憎んでいたのだろう。
 
497孤独を知らない男:2008/04/22(火) 21:50:07 ID:hHZ/isT3
「だが、抗う事は出来ん。」
 
俺は、全てを噛み殺し心の奥底に封印しろ、とディアに言っているのも同然だった。
ディアの想いには既に気付いている。トネスとの出会いのおかげで、女心の機微が分かるようになって来たから。
だからこそ、哀れだと思う。
結局、ディアの手は何一つとして目標の物に届かないのだ。
彼女に残るのは、小柄な体には大仰に思える大槍と、戦闘の技術だけだ。
 
そんな事を考えていると、俺は上流からある物が流れてくる事に気付いた。
それを発見した時、正直言って俺は少し驚いたが、
次の瞬間には「ああなるほど」と納得していた。
 
「そういう事だ、ディア。無理矢理にでも納得してくれ。
 これは誰にも止められない運命なのだ。」
「………分かっ、た…」
 
ディアは何かを堪えているようだったが、それは彼女にしてみれば恥ずべき事だろう。
それは、他人に己の弱さを見せつけてしまう事になるのだから。
彼女はそれを隠すため、声を詰まらせながら茂みへ入く。
しかし茂みが揺れ、葉の擦れ合う音が、彼女の心中の動揺を現していた。
 
「トネスには──俺から言っておく。悟られるなよ。」
「…う、ん…」
 
なんと辛い事を強いなければならないのだろう。
ディアは、悲しみのままに泣き叫ぶ事が出来ないのだ。
心の中に溜め込んだ物を、一切吐き出してはならないのだ。
その淡い想いも、胸を引き裂かれそうな悲しみも。
全てを呑み込み、不可能と知りながら忘れ去ろうとしなければならないのだ。
 
「…すまん…」
 
俺の最後の呟きは届いただろうか。
ディアはもうすっかり、立ち去ってしまっていたようだった。
 
次は…と俺は左腰のナイフに手を添え、ゆっくりと後ろを振り向いた。
さっきまでディアが居たであろう場所には、黒く老いた人影が立っている。
その隻眼と、顔に刻まれた深い皺には見覚えがあった。
 
「随分と、味な真似をしてくれるな。毒はもう抜けたのか?ドン。」
「………ふん…」
 
その人物こそ、ギルドナイト・ドン・グランデ。
先ほど上流から流れて来たのは、ギルドナイトの紋章が刻まれた木の皮だった。
こいつはこいつなりに、それで気を遣ったつもりなのだろう。
 
「ジェロス…今回の古龍討伐の真の狙い、知ってたのか?」
「ああ、薄々はな。」
 
二日前、ギルドに潜入してる従兄弟から手紙があった。何やら様子が変だ、と。
そこに今回の計画の概要などは無かったが、暗殺の存在を示唆するような文であった。
恐らく従兄弟も、漠然とした「何かヤバそう」という気配を察知したのだろう。
おかげで、村長に呼ばれ、古龍討伐を依頼された時に全てが理解出来た。
 
498孤独を知らない男:2008/04/22(火) 21:51:39 ID:hHZ/isT3
「もしかして、報せようとしてくれたのか?」
「………ああ、そうだ。」
 
今回の古龍討伐を利用した暗殺に、ドンは絡んでいないと俺はみている。
ドンに再び暗殺が任されたなら、今回はヤツ自身が直接乗り込んで来るだろう。
恐らく、こいつはそういう男だ。決着は自分の手でつけたがるタイプだろう。
だから今回のことは、別のギルドナイトが考案した計画である公算が強い。
しかしそれにしたって、それをわざわざ報せに来るとは。案外殊勝なヤツだな。
 
「そいつは有り難いな…じゃあ、一つか二つ、教えてもらおうか。」
「計画以外の事か?」
「ああ、そうだ…まず一つ目。
 俺が死ねばトネスたちに危害は加えないんだな?」
「無論だ…ギルドの目的はジェロス、お前ただ一人。
 ヤツらは面倒も、ばらまく金も出来れば最小に済ませたがるからな…」
 
それを聞いて、少しだけ安心した。
俺の目論見はやはり、外れなさそうだ。
 
「そうか…なら次、だ。
 現地に派遣される暗殺者の中に、ギルドナイトはいるか?」
「いや、いない。全員ただの雑魚暗殺者だ…
 この方法はかなり成功率が高いからな…奴さんは成功をすっかり確信してる。
 …何故、そんなことを?」
「やっぱり、一泡ぐらいは吹かせときたいからな。」
 
前回の暗殺騒ぎの時、俺は身に染みて痛感した。
このままではトネスを死なせてしまう、と。
必ず戦いに彼女を巻き込んでしまう事になる、と。
ならばその前に、俺が死ねばいいのだ、と。
ただ別れるだけでは、ギルドは彼女を人質にとるだろう。
彼女が平穏に暮らせるようになるには、やはり俺が死ぬ以外にない。
彼女の安全のために、殺されること。それが俺の目論見だった。
が、それでも…相討ちぐらいにはなって、最後の意地を見せつけてやりたい。
歴代のゴズ家当主が、そうしてきたように。
 
「ま、それも宿命だ。」
 
恐らくこれまでの当主たちも、同じことをして来たはずだ。
大切なものを守るために、相手がモンスターであれ人であれ自らを殺させる。
心の奥底では、その大切なものとの平穏なる生活を望みながら。
みんな、泣き言一つ言わず黙って死んでいったのだ。
無念、悲哀、憤怒、憎悪、愛情、願望、歯を喰い縛ってその全てを堪えながら。
 
499孤独を知らない男:2008/04/22(火) 21:52:34 ID:hHZ/isT3
「それより、お前こそいいのか?
 お前の孫を俺が殺すかもしれないんだぞ。」
「……あんな愚かな孫など、どうでもいい。」
 
暗殺者の一団の中に、ゴーラスが混ざっている可能性は高い。
弟を殺し、半殺しの拷問に遭わせたおかげで、ヤツの憎悪はピークに達しているはずだ。
前回と同じように、暗殺者と共に俺に襲い掛かってくるだろう。
そして俺は今度こそ、それを躊躇い無く殺すだろう。
 
「…ジェロス。俺は今非常に歯痒い気分だ。」
「だろうな。
 だが、誰がどう足掻いたところでどうしようもない事だ。
 トネスを危険に曝すことは、やっぱり俺には出来ないからな。」
「俺は、お前のためにしてやれる事があれば、叶えてやろうと思っている。」
「じゃあ…あんたに頼めば、一番確実だろうな。
 トネスにギルドの手が及ぶようであれば、さり気なく守ってやってくれ。」
 
ドンはニヤリ、と笑んだ。
苦笑いでも嘲笑でもなく、少しだけ嬉しそうな笑みだった。
 
「承知した。お前に出会えて光栄に思う、ジェロス・ゴズ。」
「俺もだ、ドン・グランデ。」
 
たった二度の邂逅で、その上歳も30は離れている俺とヤツだったが、
男同士として、ハンターとして理解し合えている感触があった。
もう少しましな形で出会っていたら、友になれただろうな、とぼんやり思う。
 
「さらばだ、戦士よ。」
「ああ、地獄で待ってる。」
 
短くそう交わすと、ドンの姿は一瞬で消えた。
そこで俺は、川のせせらぎに小鳥の鳴き声が混じり始めていたのに気付いた。
顔に僅かばかり残っていた水滴を手で拭き取り、満足げに息をつく。
 
やり残した事は多いが、あまり悔いも心配も無く死ねそうだ。
あと、ただ一つのことを解決すれば……
 
帽子を深く冠り直してから、俺は歩き出した。
愛しのあいつがいる我が家へと向かって。
愛しのあいつに別れを告げるため。
 
死への猶予は、あと一日。
明日、彼女の全てが始まり、俺の全てが終わるだろう。
500孤独を知らない男:2008/04/22(火) 21:54:11 ID:hHZ/isT3
これにて第十六話、終了致します。
もう少しだけ続きますが、どうかお付き合い下さい。
 
次回はエロ有りの予定。
501名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 01:02:45 ID:ZUz2cMs9
>>500
乙、何も知らないトネスが不憫で仕方が無い


ところで、このスレの容量がそろそろ限界な件について
502名無しさん@ピンキー:2008/04/24(木) 00:51:10 ID:dMMYdc1R
>>501
そうさね
そろそろ次スレのテンプレに追加する事とか、話した方が良いかも
503名無しさん@ピンキー:2008/04/24(木) 01:29:09 ID:apeTHSfj
>>489が続きをくれないとうちのヌコを犯しそうだ
504名無しさん@ピンキー:2008/04/24(木) 05:23:47 ID:K/X+evqF
ヤメテ! ぬこが裂けちゃう!
505名無しさん@ピンキー:2008/04/24(木) 11:24:14 ID:psnZCsCZ
取り敢えず次スレに向けてテンプレ書き換えてみた
Wikiの更新が追い付いたんで、テキストへのURLを抜いてみたんだが、肝心のWikiがな…
何かまずいところがあれば言ってくれ


よく来たな。ココはモンハンのエロパロだ!
ぬ!? 「なぜ教官がいるんですか?」だと? 気にするな、考えたら負けだ!
ではさっそく、我輩がココでの掟を手取り足取りやさしく教えてやるぞ!!

1.人X人・擬人化・竜姦なんでもこい! だが、特殊な内容を伴う場合、事前に断りを入れておけ!
2.基本的にココはsage進行だ。レスを書き込む前にメル欄の"sage"をよく確認するんだぞ?
3.480KB、または950レスまで来たらもう一人前のスレだ。アトはお前達が教官となって後進を導くのだ!

そして最後に、

すばらしい作品に巡り合えた時には最大級の賛辞を!
我輩は貴様達がココで立派に活躍することを楽しみにしているぞ! 以上!!

=全ての始祖・初代スレ=
MHでエロパロ!
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1141488219/

★前スレ★
【MH】モンスターハンターでエロパロ 12匹目【モンハン】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1206019004/l50

エロパロSS保管庫(07/06/17より更新途絶…)
モンスターハンターSS保管庫
http://ss.ares-ac.com/mh/

☆新たなる保管庫☆
モンスターハンターでエロパロスレ保管庫
http://wiki.livedoor.jp/mheroparo/d/FrontPage
〜Wiki形式だから皆で協力して更新していこう!〜
506名無しさん@ピンキー:2008/04/24(木) 18:56:22 ID:ozCqNW06
>>503
待ってくれ!それだけはやめるんだ!

>>505
乙でござる
507名無しさん@ピンキー:2008/04/24(木) 20:26:36 ID:UOwgGocT
また保管庫が工作されている件について
/(^o^)\ナンテコッタイ


携帯厨の俺にはどうすることも出来ん…
orz
508名無しさん@ピンキー:2008/04/24(木) 21:08:00 ID:dMMYdc1R
数日後、そこには変わり果てた>>503のωが…
ぬこは爪も牙もある肉食獣だぜ
>>505
執筆しながら投下は避けようって注意を加えた方がいいと思う
メモ帳やwordにまとめて投下、携帯ならメール機能を活用するんだ、とか
509名無しさん@ピンキー:2008/04/24(木) 23:16:58 ID:gg5ykZOD
ここは非エロでもおkですかい?
510名無しさん@ピンキー:2008/04/25(金) 00:20:05 ID:81EAYNEo
>>503
これが後に、キャットファッカーと呼ばれるスレ住人誕生の瞬間だった
つか非擬人化ネコでエロは需要あるのか?
511名無しさん@ピンキー:2008/04/25(金) 00:24:09 ID:HvqhQUsJ
>>503
「にゃー!いふー!」
「朝から元気だなおまえは…」
頭をガリガリと掻きながらため息交じりに追いあがったイフはラフな格好のままクウに手を引かれてキッチンへ向かう。
なぜだかクウの手がべとべとする気がしたが、クウの様子から何か飯を作ったのだろうと何となく予想できた。
何だかんだであれから3日、しっかりと生活リズムや文字の書き方、生活の仕方を教えてきたが覚えてはなさそうだ。
だが吸収力は早いようで、文字の練習として始めた日記は今のところ続いているようだ。
「にゃにゃーん♪」
「…おにぎりか」
えっへんと胸を張りながらおにぎりの乗った皿をイフに差し出すクウ。
まるで小さな子供が父親に「作ったから食べて」とせがむ様な姿に見え、ため息をつきながらも椅子に座りおにぎりを受け取る。
「なかなか上手に握れてるな」
「うん!クウは料理得意にゃ!」
「そうか……っ!?」
おにぎりに触れると考えていた以上にぬるぬるとした触感が伝わってきて思わず手を退ける。
なんだ今のぬるっとした感触は…そう思いながら自分の指を摩るように動かし、おにぎりを皿ごと近づける。
「お前、何を入れたんだ?」
「ふにゃ?まぐろだにゃ」
もぐもぐと自分用に作ったのであろうおにぎりを口いっぱいに頬張り美味しそうに食べているクウ。
それをみながらどうやら食べれるらしいことは確認し、ふぅっと息をつくとおにぎりを持ち上げパクリと一口食べた。
塩加減もちょうどよく、ぬるりとした何かもまぁ気持ちは悪いが味に影響はないようだ。
「…ところでこのぬるぬるしたのは何なんだ?」
「…?ふにゃ!それはクウが味見をした証拠にゃ!」
笑顔で答えるクウの様子にぽかんと口をあけてクウを眺め、どういう意味なのか理解できないでいると
「美味しくできたかクウがぺろぺろして確かめたにゃ!」
「……」
じゃあこのおにぎりは唾液べっとりおにぎりなのか…半分もかじった後でそんなこと言うなよ…。
頭の中でそう呟き、イフはそのまま頭から机の上に倒れ込んだ。
「ふにゃ!?」
「…きもちわるい…」
驚いて飛び上がるクウを尻目にイフは胸を摩りながら込み上げてくる吐き気と戦っていた。

○月×日 くう にっき
きょう くウは はりまぐろを つた
おにぎりつくる と いふ が たべた
たおれた
512名無しさん@ピンキー:2008/04/25(金) 01:24:02 ID:0V0xHETX
>>511
助かったのニャ
503旦那から貞操を守れたニャ
513名無しさん@ピンキー:2008/04/25(金) 01:45:30 ID:0cw4/0/R
なつき度☆
「旦那さんんんんっ…!もっとぉ…!もっとしてニャァぁぁ…!」

なつき度☆☆
「ん…っ旦那さん…ボクらアイルーはどんなに乱暴にされても平気だニャ…
だから……だから……思う存分…どーぶつみたいに犯して欲しいニャァァァ!!」










なつき度☆☆☆
「旦那さんの変態!ボクなんかになじられて、アイルーにこんなことされて喜んで…!
旦那さんは変態だニャ!もう絶対に離れたりしないニャ!ずっと一緒だニャ!(ギュッ)」
514名無しさん@ピンキー:2008/04/25(金) 01:49:17 ID:Ib6MIdET
非擬人の猫でエロっつーと
どうしてもナルガのしっぽ=猫の逸物説を思い出してしまう
515名無しさん@ピンキー:2008/04/25(金) 02:53:24 ID:GWAKs+so
最近ねこが可愛すぎて近所の野良猫みて尻尾がおっきした
更にその現象からこんな電波が飛び込んで来た

「ネ、ネコートさん!これは浮気では無いんです!本当です!ただあなたが相手をしてくれなくて最近欲求不mウボァ」
言い訳したら爪付肉球パンチされた。痛気持ちいい。
「うるさい!恥知らず!スケベ!貴殿なんかモンスターハンター全裸クリアでもしていろ変態!」
罵倒されつつ胸倉を掴まれた。最高に勃起もんだ。
「私というものがありニャがら!私と…いうもの、が…ありヒッながら…グズッ…」
私の胸に顔を埋めて泣き始めたネコートさんを優しく抱擁しながら、心から言葉を紡ぐ
「貴女は永遠に私のものであり
私は、永遠に貴女のものですよ…
愛しています、ネコート…」


…どうやら自分は頭が病気のようです

『恋の病』という名の、ね…
516名無しさん@ピンキー:2008/04/25(金) 02:57:02 ID:GWAKs+so
ムシャクシャして投下した

さあ罵って下さい!それが私の糧となる!
517名無しさん@ピンキー:2008/04/25(金) 07:44:22 ID:Iy1iZHXe
>>516
ネコートさんは譲らない
518名無しさん@ピンキー:2008/04/25(金) 08:38:37 ID:0V0xHETX
>>515
ネコートさんは人間でいうといくつくらいの歳かニャ
激しく交尾したい
519名無しさん@ピンキー:2008/04/25(金) 12:11:33 ID:+XFIIjJY
ネコートさんは猫又ニャ、百や二百は当たり前ニャ
520名無しさん@ピンキー:2008/04/25(金) 18:14:52 ID:0naTEdKO
なおったなおった!Wikiがなおったー!

>>508以外の意見などはないようなので、お節介かもしれんが書き直してみた。
なんかマズいところがあれば言ってくれ。
 
 
 
よく来たな。ココはモンハンのエロパロだ!
ぬ!? 「なぜ教官がいるんですか?」だと? 気にするな、考えたら負けだ!
ではさっそく、我輩がココでの掟を手取り足取りやさしく教えてやるぞ!!

1.人X人・擬人化・竜姦なんでもこい! だが、特殊な内容を伴う場合、事前に断りを入れておけ!
2.基本的にココはsage進行だ。レスを書き込む前にメル欄の"sage"をよく確認するんだぞ?
3.480KB、または950レスまで来たらもう一人前のスレだ。アトはお前達が教官となって後進を導くのだ!
4.作品はメモ帳やword、携帯ならばメール機能を利用し、まとめてから投下するのだ。書きながらの投下はやめておけ!

そして最後に、

すばらしい作品に巡り合えた時には最大級の賛辞を!
我輩は貴様達がココで立派に活躍することを楽しみにしているぞ! 以上!!

=全ての始祖・初代スレ=
MHでエロパロ!
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1141488219/

★前スレ★
【MH】モンスターハンターでエロパロ 12匹目【モンハン】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1206019004/l50

エロパロSS保管庫(07/06/17より更新途絶…)
モンスターハンターSS保管庫
http://ss.ares-ac.com/mh/

☆新たなる保管庫☆
モンスターハンターでエロパロスレ保管庫
http://wiki.livedoor.jp/mheroparo/d/FrontPage
〜Wiki形式だから皆で協力して更新していこう!〜
521名無しさん@ピンキー:2008/04/25(金) 19:17:13 ID:BXdd56T/
よし、wiki管理人の人、お疲れ様だ!

にしても未だに女教官に会えない。何故だ?
えんえんとP2Gを男キャラでプレイしているが、出てこない。
522名無しさん@ピンキー:2008/04/25(金) 21:52:26 ID:Au+CvkgB
馬鹿だなお前
お前が見てるあの凶漢…じゃなかった教官が実は女なんだぞ
523wikiの人:2008/04/25(金) 23:48:20 ID:dVivj4iH
とりあえずID取得者のみ編集可能にしてみた
今までの荒らしのIDは編集禁止にしたし、これで中華や一見の荒らしは回避出来ると思う
ただ、管理人IDは相変わらず荒らし認定なので別ID取得まで他の人頼む

っていうかさっき携帯で見てみたら早速直接投稿貼られてるし…………

投稿は構わんが仕事増やしてくれんなよ……
524名無しさん@ピンキー:2008/04/26(土) 01:53:58 ID:jW/Nn0dX
乙、ご苦労様でした。
525名無しさん@ピンキー:2008/04/26(土) 11:39:53 ID:UGbV/4Qw
タイトルに全角半角混ざってて吹いた>直接投稿

復帰乙です
526名無しさん@ピンキー:2008/04/26(土) 21:50:12 ID:cJma1+XR
まんこ
527名無しさん@ピンキー:2008/04/26(土) 22:08:58 ID:OpKacLp+
擬人化ナナ・テスカトリ小説書きます。
初執筆ですので、駄文の極みかと思いますが、よろしくお願いします。

作中では、モンスターの強さのバランスが意図して変えられてます。
具体的には、
リオレイア<一流ハンター<ドドブランゴ<超一流ハンター
<ディアブロス<クシャルダオラ<一流ハンター四人<ディアブロス亜種
<ナナ・テスカトリ<<ミラルーツ
ぐらいです。

あと、基本的にゲーム中のモンスターのデザインは
センスが悪いと思ってます。
そのせいもあってか、作中にオリジナルのモンスターが登場します。
あらかじめ、ご了承ください。
528名無しさん@ピンキー:2008/04/26(土) 22:14:59 ID:OpKacLp+
第一話 炎国の皇姫妃
 @

火山。
ハンターたちの間ではその言葉だけで通じる、危険な狩猟場。
赤銅色の岩肌と赤く燃え滾る溶岩に覆われ、頂上に近づくほど高くなる熱気はそれだけで近づく者の命を削っていく。
食物となるものも少なく、来るものを拒むかのような過酷な環境。
それでもこの地に住むモンスターは、その悉くが高い生命力を誇る。
そしてその生命力ゆえに質の高い素材を求めて、幾多の怪物を屠った一流のハンターたちが命を賭けてこの地を訪れる。
この地獄すら彷彿させる大地を悠然と歩くモンスターがいた。
2匹のナナ・テスカトリである。
炎妃龍ナナ・テスカトリ。
あらゆる生態系を超越し、時に災害と同義に扱われる古龍種の中にあってなお破壊力に長けた青の皇妃。
その周囲は彼女の意思ひとつで炎の海と化し、立ちふさがるものは街であれ軍隊であれ瞬時に灰燼に帰すという。

「くそ…。どうりで……」
この俺、ソロ専門の狩猟笛使いの『ミギワ』は、二匹の炎妃龍の死角である岩影で彼女達を観察していた。
今回の俺のターゲットは岩竜の名で呼ばれるバサルモスという飛竜である。
火山に生息する大型モンスターの中では下位に属し、熟練のハンターなら容易に倒すことができる。
そのため俺は、今回の狩猟は火山の鉱物を採掘するついでとしか考えていなかった。
貴重な鉱物を持ち帰り、あわよくば小金稼ぎもしてやろう、と。
しかし今、このフィールドには飛竜はおろか、小型の肉食獣すら見当たらない。
この過酷な生態系を我が物顔で闊歩する彼女らがその原因である。
古龍はその圧倒的な力ゆえに他の生物たちにとって圧倒的な脅威となる。
モンスターに大別される獣たちですら畏怖の果てに、縄張りを捨て逃走するのだ。
その古龍が、二匹である。
ナナ・テスカトリは、古龍としては比較的人前に現れる頻度は多いものの、一般的なモンスターに比べれば個体数は少なく、二匹同時に現れることは極めて稀といっていい。
この地のモンスターたちは踵を返して、我先にと逃げまどっただろう。
今回のクエストのメインターゲットを達成することは、もはや不可能に近い。
吐き捨てたくもなるものだ。
しかし、この二匹の炎妃龍は…。
「親子…?」
よくよく観察すれば、二匹の炎妃龍の片方はもう片方の半分程の大きさしかなく、その色も青というより紫に近い。
また大型の炎妃龍は、紫色の炎妃龍に常に気を配り、優しげに見つめている。
(色が青と赤に分かれるのは第二次性徴のようなものなのかもな)
そんな事を考えると、普段は畏怖の対象でしかない炎妃龍も母元を離れてすらいない子供に見えてしまうから不思議だ。
つとめて油断しないよう、気を引き締めながら俺は今後のことを考えた。
いまだその生態の多くが謎に包まれ、研究の対象となっている古龍だ。
親子連れの個体が見つかったとなれば、古龍観測局は諸手を振って喜ぶだろう。
だが二匹の古龍を相手するなど、大型モンスターに攻撃されたくせにハンターを反撃してくるコケブタの如き愚かさだ。
ここは大人しく、クエストをリタイアするか、サブターゲットである燃石炭を採掘して村に帰るべきだろう。
というか、それ以外の選択肢などほぼあり得ない。
うん、そうしよう。
生憎と、ここまで極端なリスクを楽しむような精神は持ち合わせていない。
俺は静かに撤退を決意した。
529名無しさん@ピンキー:2008/04/26(土) 22:16:36 ID:OpKacLp+
 A

最初にそれ(・・)に気付いたのは俺だった。
スキル『千里眼』。
遠く離れた場所まで見ることができる視覚強化の力。
この力が古龍の五感ですら気付けなかった、未知の存在を察知した。
炎妃龍の親子の背後にそびえる岩壁の上、断崖に臨むようにしてそれ(・・)はいた。
輝くような銀色。
一目見てそれと分かる、絹のようなしなやかさと鋼のごとき硬度をもつ、あまりにも美しき体毛。
にも関わらず、俺が感じたのは圧倒的な危機感。
一瞬にして理性が崩壊するのを自覚する。
今すぐこの場を逃げ出さなければ――殺される。
恐怖に駆られ、すぐさま走り出そうとした俺は、それでもかろうじてその場に踏みとどまった。
これまで幾多のモンスターと対峙した一流のハンターの成せる技である。
概して、はじめて出会ったモンスターには圧倒されるものだ。
大きく深呼吸をして、動悸を抑える。
(落ち着け。アレは俺を見てはいない。眼下の炎妃龍二頭に背中を向け、俺を狙うなど…)
自分が標的でないという事実にも助けられ、俺は何とか冷静さを取り戻した。
しかし考えてみれば、この状況は悪くない。
アレが何をするつもりなのかは分からないが、もし古龍と戦うつもりなら、労せずして貴重なモンスターの素材を手に入れることができるかもしれない。
俺は恐怖と戦いながらも、この場に留まることを選択した。

「しかし、何なんだアレは…?」
これまで、数多くのモンスターを狩ってきた俺でさえ正体の分からないモンスター。
その姿は一言で言えば、巨大な銀色の狼である。
美しい銀色の体毛と、力強い四肢。
捕食者の証である牙と、誇りすら感じさせる鋭い瞳。
(見た目から判断すると牙獣種のようだが…)
牙獣種の中で俺が狩った最大のものはドドブランゴである。
あの銀色の巨狼はドドブランゴより一回り大きいように見える。
そんなモンスターは彼(か)の金獅子しか有り得ないはずだが、特徴は全く一致していない。
十中八九、公式には確認されていないモンスターだろう。
クエスト中に未確認のモンスターと出会った場合、ハンターはその詳細なレポートをギルドに提出することで、相応の報酬をもらうことができる。
ギルドですら確認されていないモンスターとの遭遇は、俺も初めての経験だ。
そのことが危険性に直結するわけでもないが、最悪「ギルドで確認されていないのは、出会った人はみんな死んでいるからだニャ」なんてこともありえるのだ。
俺は一層気を引き締め、銀狼の特徴を記録を始めた。

記録を終え再び銀狼に目をやると、銀狼の目は崖下を歩く炎妃龍の親子に向けられていた。
(やる気、か…?)
超越者に等しい古龍と。
未知の銀狼が。
(正直……心躍る)
めったに見れないであろうモンスターたちの戦いに自然と胸が高鳴る。
瞬間、銀影が跳躍した。
(速い!)
狙いは…子龍か!
戦闘の定石に従い、弱いものから狙う。
銀狼は一陣の風と化し、岩壁を駆け下りた。
530名無しさん@ピンキー:2008/04/26(土) 22:17:30 ID:OpKacLp+
 B

言ってしまえば、彼女たちには油断があったのだろう。
いかにこの地が過酷な生態系とはいえ、自分たち古龍に挑む者など稀にすらいない。
自分たちと戦って勝ちうるものがいないと言っているのではない。
自分たちと戦うリスクを犯す理由を持つものがいないのだ。
火山とはいえ、草食モンスターは生息している。
わざわざ食用に自分たちを襲えば、例え勝てたとしてもただでは済まず、以後の狩猟に響くような手傷を負ってしまうかもしれない。
当然、大人しく攻撃力も低い草食モンスターを狙うだろう。
それが彼女の本能的な判断であり、それは間違いではなかったが、それでも例外は存在する。
そして、彼女の過ちは自分たちがそもそも例外的な生き物であることを考慮していなかったことだった。
つまるところ彼女、炎妃龍ナナ・テスカトリは忘れていたのだ。
モンスターと呼ばれる生き物は、食い合い・殺し合いへの衝動がときに生存本能を凌駕する、ということを。

銀狼は彼我の距離を詰めると、いまだ自らに気付かぬ子龍の直上へ踊りかかった。
紫の子龍が上方を仰ぐが、もう遅い。
落下の勢いで加速した銀狼は、もはや眼前。
炎妃龍の幼体は一瞬にして銀狼の豪腕により叩き伏せられた。
(すげえ…)
勝敗は決した。
致命傷でないのは明らかだが、いかに古龍とてあの状態から逆転は出来ないだろう。
ようやく危機を悟り子龍が暴れまわるが、銀狼の巨体を押しのけるには至らない。
銀狼は彼女を押さえつけ、その体に牙を立てた。
銀狼の牙は炎妃龍の右の翼と前脚の肉に深く食い込み、わずかな間の後、引きちぎった。
「オオオオォォオオオ!!!」
子龍が苦悶の声をあげる。
鮮血が飛び散り、火山の大地を染めた。
「ウォォォオオオオオオン!!!」
子龍の声を掻き消すような銀狼の巨大な咆哮。
十分な距離をとっている俺でさえ、震え上がらせる程の音量だ。
しかし、その声は…
「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォ!!!!!!!」
さらなる咆哮によって掻き消された。
531名無しさん@ピンキー:2008/04/26(土) 22:25:26 ID:OpKacLp+
以上、第一話でした。
次回は炎妃龍VS銀狼です。

感想・評価等、よろしくお願いします。
今後の執筆に生かしたいので、
できるだけ具体的にダメな部分を指摘していただければ幸いです。
532名無しさん@ピンキー:2008/04/26(土) 22:36:00 ID:FDTmU9QE
>>531
……あれだとりあえず>>527
>あと、基本的にゲーム中のモンスターのデザインは
>センスが悪いと思ってます。

ルーツを初見した時の俺の感動に謝れ
ナズチを初見したときの俺の興奮に謝れ
アカムを初見したときの俺の絶望感に謝れ

モンスターハンターの総てを愛するハンター達に謝れ
あんたがデザイン云々言ってもどうでもいいが、正直表に出すな。胸糞悪い

あとオリジナルが受け入れられるかは……他の人が答えるさ
533名無しさん@ピンキー:2008/04/26(土) 22:41:34 ID:UGbV/4Qw
>>532
既存のモンスターがセンス悪いって言って
出してきたオリジナルモンスターが銀色の狼だもんよ

その辺は察してやらにゃ
534名無しさん@ピンキー:2008/04/26(土) 22:43:55 ID:xmiW9EYG
>>531
・・・この人、何でMHやってるの?
535名無しさん@ピンキー:2008/04/26(土) 22:51:12 ID:cJma1+XR
>>531
銀色の狼…すごくセンスがいいですね!
ゲーム中では絶対に見ることのできない、オリジナリティあふれるモンスターの登場にものすごく興奮しました。
難解な表現も多用されていて、全く読み手のことを考えずに、独自の世界観を出そうという強い気持ちが伝わってきました!
普段からラノベばかり読んでる僕にとってはすごく読みやすかったです!
536名無しさん@ピンキー:2008/04/26(土) 22:52:35 ID:OpKacLp+
>>532
>>533
すいません。
ただ俺自身があまり感動できなかったんで。

いえ、デザインのコンセプトは大好きなんですよ。
どちらかというと、色彩とか造形が気に入らなくて、
いまひとつ心が動かされなかった、って感じで。
確かに、評論スレでもないのに
ファンの人間がいると分かっている場で言うべきではなかったですね。
以後、気をつけます。

良ければ、文章の評価もお願いします。
537名無しさん@ピンキー:2008/04/26(土) 22:55:01 ID:FhCHlt4Z
こんな殺伐とした状況だけど投下して良いのかな?
538名無しさん@ピンキー:2008/04/26(土) 22:56:36 ID:UGbV/4Qw
>>537
どうぞどうぞ(ダチョウ倶楽部的な意味で)
539名無しさん@ピンキー:2008/04/26(土) 22:58:34 ID:FhCHlt4Z
>>538 了解、熱湯風呂は勘弁

盾と武士
「そなたに 惚 れ 申 し た ッ !」
大名ザザミの私に向かって言い放たれた言葉です。声の主は“ハンター”。老山龍の防具を被り、角を使った龍殺しの太刀を背

負っていました。“惚れた”と言う言葉がどういう意味かは分かりませんが、なんというか、奇妙な感覚です。だって大名ザザ

ミを狩るならまでしも、話しかける人間なんて滅多に、いえ、初めて聞きます。
小さな人間が地面に頭を擦りつけ(アイルーさんが敵を見つけた時のような体勢)になり、戦う素振りを全く見せないのですか

ら。そうしていると、また叫ぶように話を続けました。
「この世に生を受け早くも20と3年、東方での元服を境に竜を葬っていた拙者だが、そなた程立派な“大名”と合い見える事

がごさらんかった」
「鎌蟹には無い堂々とした鋏、赤銅のごとき堅牢な体、大地を踏む巨大な足、天を正に突き刺さんとす一角竜の角!まさに戦国

大名ッ」

「惚れ申したラばッ!?」

その立派な鋏で海に向かって殴り飛ばしました、正直言って煩いです。私たち盾蟹一族は煩い――特に高い音が大嫌いなのです

。キーンとした音はクラクラしちゃいますから。あれさえ無ければ私達は鉄壁で名を馳せていたのに。まぁ、別段気にしてませ

んけど。
「なんたる豪力、拙者を地平の彼方まで吹き飛ばす程とはッ」
あ、もう戻ってきました。ガノトトスさんに食べられてしまえば良かったのに。人間って案外丈夫なんですね。それともこの人

間だけなんでしょうか?
「これは迂濶だったッ!拙者とした事が“武器”と“防具”を持ち謁見していたッ!!」
「なんたる不覚に無礼千万、腹切りものだッ。侍、いや、漢たるもの重要な要件を伝える時は“裸”と決まっていたものを、拙

者が忘れていたことが弛んでいたッッ気遣いを感謝いたす!」
あ、甲冑を脱ぎ始めましたよ。馬鹿なんでしょうか、この人間は。ここに“大名ザザミ”がいるのに防御を捨て、何をやらかす

のでしょう。それよりインナーまで脱がないでください。鋏で目を覆いたくなります、まあ蟹なんですけどね。人間の裸体なん

てどうでもいいですけど。
「拙者は折り入って重大な話をしたく、ここへ参った次第にござる。そなたに敵意はござらん」
武器である太刀まで置いてどっかりと座りしたよ、馬鹿じゃないですね。完璧な大馬鹿でした。そのブラブラした物をカミザミ

が挟みに来たりするかも知れないのに、そうなったら丸腰で殴り、撃退する気なのでしょうか?彼らの甲殻は硬いですよー、な

んせ私と同種ですから。
「一目惚れ。鬼人となりて火竜や轟竜、はたまた老山竜を狩り得られたのは武具と一時の満足感のみ」
「蟹なんぞ下等な生物。仙高人を見ても知性や、働くべき理性もなくただ縄張りを徘徊し、破壊するのみの畜生だと拙者は考え

ていた。無駄に早いだけの鎌蟹もしかり」
言っておきますが、人間の言葉なんて断片的にしか分かりません。今私に向かって放たれている言葉は半分も分かりませんよ。

だって蟹ですし。アイルーさん達なら分かりそうですが、翻訳の代償として殻の角を要求されそうですね。殻は私の住処であり

武器でもありますから、「はいあげる」なんて訳にはいきません。だから渡しませんよ絶対に。
「ただ、それは違った。鎌蟹には無い威風堂々とした姿、仙高人には無い知性。現に拙者が丸裸になった今でさえ、攻撃してく

る素振りさえもない。弱き者に手を出さんとす姿に感銘を受けた次第にござる!」
540名無しさん@ピンキー:2008/04/26(土) 23:04:05 ID:cJma1+XR
乙!改行が意味不明なことを除けば面白かった
続きに激しく期待
541名無しさん@ピンキー:2008/04/26(土) 23:04:58 ID:FhCHlt4Z
>>539 メモ帳でやったら変な間隔が空いたよorz

「そなたを“殿”と呼びいただく事を許し候えばッア!?」
えーい、ごちゃごちゃと。フーフー吹くなら敵をおびき寄せる角笛くらいにしてほしいです。
言ってる意味がぜんぜん分かりません。裸になったり刀を置いたり座り込んだりして正気の沙汰とは思えない人間の男を殺したところで、鋏が汚れるだけ。
ご飯を食べられなくなっちゃいます。
なので殴る程度にしました

“渾身の力”を込めて遺跡の島に吹っ飛ぶように。

当分は戻って来ないでしょうし、私は退散することにします。
ええ、いろんな意味であの人は怖いですから。


「惚れ申した!」

「……」

また来ましたよ、ええ。懲りずに。だってあれですよ、普通は蟹に殴られ離れ島まで飛ばされたりなんかしたら「憎憎しさ100%絶対に殺してやる!」じゃあないですか。
もっと考えられないのは最初から“インナー”で来ましたよ。まぁ全裸よりはましですが、ありえませんよね。密林は温暖な気候故に多くのモンスターが生息しています。
例をあげるなら雌火竜こと“リオレイア”桃毛獣“ババコンガ”、そして私“大名ザザミ”。どれも強力で防具無しでは太刀打ちできないようなのばかりです。

命知らずの馬鹿です。もう一度言います、命知らずの馬鹿です。

そこまでしてなぜ来るのでしょうか?
「拙者は殿の臣下になると誓った身、死せても尚三途の川を渡る際もご一緒させていただきたく候。
殿の死=拙者の死にござる。殿と一心同体でなければ勤まらねばならぬ役目、故に殿の身をばッ!?」
黙れ人間、ごちゃごちゃうるさいです。そろそろ鋏じゃあなくて殻で潰しますよ、殻で。
でも正直言って気持ち悪いし……悩みますね。
いかに触れないでこの人間を殺すか。ブレスは却下します、「裸相手にブレス使わないと勝てないのか」とか言われそうで負けた気がしますから。

えーい、このムラムラした気をどう発散したら良いのでしょう。

「ぬぬぬ……拙者とした事が迂闊であった。殿に差し上げようとして持ってきていた献上品を忘れていたとは……切腹してもおかしくない程の段取りの悪さッ!申し訳ございませぬ殿」
あ、大きいマグロ。滅多に取れないドス大食いマグロじゃあないですか、この人間はいい物を持っていますね。でもどうするつもりでしょうか。まさかガツガツといく気ですか、私の目の前で。
「殿!お召し上がりください」
542名無しさん@ピンキー:2008/04/26(土) 23:06:09 ID:TSNxqTy3
>>536
オリキャラは仕方ないとして
オリ龍とかしかもあからさまな厨丸出ししてる時点で感想もらう資格は無いと知れ。

はいはい、かっこいいねー、強いでちゅねー

あと、ナナの周りの炎の壁は?
粉塵爆発は?
そもそも古龍は身体能力からして桁外れな設定だが、一撃?
第一野生の生物が殺気に気付かないとでも?
543名無しさん@ピンキー:2008/04/26(土) 23:09:01 ID:FhCHlt4Z
>>539 >>541 の盾と武士続き

殿、いい食いっぷりでおられますな!ささ、まだ沢山有りますのでごゆるりとお食べください」

誘惑に負けました悔しい、でもおいしいッ。これでも年頃(?)の乙女蟹なんです、いずれ来る繁殖期のためにいっぱい食べたいんです。
でも良かったです、毒とか入ってなくて。そこそこ信用できますね、人間のくせに。でもこんな事をして何の得があるのでしょうか、マグロを取るのも簡単では無いでしょうに、本当に理解不能ですよ。
「まさに豪傑のごとき食いっぷり、将来大物になられる証。これから毎日持参し参じます故、楽しみにしていてくだされ」


毎日来るということですか。いつまで続きますかね。逃げますよ、もちろん。



いや、本当に毎日来ちゃってます。逃げてる私を捕捉し、かつ私が出てくる場所を予測してお肉を焼いて待ってます。来るたびにお土産(?)はポポのタンだったり、すごい時は火竜の肉だったりとお目にかからないような物まで持ってきます。
ただ、私は流石に『これは無い』と思い始めましたよ。なぜかって?人間の施しを受けたくないのもそうですが、なんというか依存のような関係になりたくないのです。
私は誇り高き盾蟹、人間はそんな私達を狩るハンター。ポポとティガレックスのように相反する存在なのですから。

考えた末に私は砂漠へ移住しました。新天地とは新たな天と地と書きます、つまり心機一転がんばろうという決意なんです。殻の心配をしなくて良いし、何より砂漠なのでインナー姿の奴は暑さで参ってしまうはずです。だから来れないはず!
「殿おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおどこにおわすうううううううううッ」


……ミョウナ コエガ ヒビイテ キマス スナノナカハ オトガ ヨクヒビキマス
私の考えに抜かりはありましたか?いいえ、無かったはずです。考えに考えた最良の方法でした。あっつい日差しは体力を奪い、洞窟の寒気は気力を飛ばします。化け物ですか?化け物なんでしょうね。
今回は鎧を着込んでいるようですけど……。この人間を繋いでいるのは何でしょうか。まさかとは思いますが、食べ物を与え肥え太らせ、肥大した真珠を回収しようとかとんでもなくヤバイ事でしょうか?

何にせよこのまま地中にいたほうが良さそうです。
「ぬぬぬ、密林から殿が消え早1週間、砂漠で巨大なザザミを見かけたという情報が入った故に飛んできたものの
  ……ガセでござったのか?何にせよ殿の場所を把握できない拙者の失態は大きい、この上は腹を斬り果てるか……」
なんかまた鎧を脱ぎだしましたよ、太刀まで抜いてお腹に突き立てええぇぇ!?
自害する気でしょうか、まずいですよ。こんなところでぶちまけられたりしたら困りますよ、ゲネポスがうじゃうじゃだと面倒で(餌場的な意味で)困ります。

何とかしてでも止めないと……。
544名無しさん@ピンキー:2008/04/26(土) 23:09:02 ID:TSNxqTy3
ぬあ、最悪の形の割り込みだ…
失礼致しました
545名無しさん@ピンキー:2008/04/26(土) 23:13:00 ID:FhCHlt4Z
>>539 >>541 >>543 続き

「浮世も楽しゅうござった……せめて30の年を越しとうございましたがこれもまた宿。殿、あの世でお待ちしておりまッブシャ!?」

その時でした、砂が盛り上がったと思うと爆音が辺りに響き渡ります。

『グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ』
「ううおお、耳がッ」

角竜ディアブロス。まさかですよ、この人間(と地中の私)はディアブロスの縄張りに入っていたというのですか?
私は地中にいるので当分は大丈夫ですが、人間はいま裸(正確にはインナー姿)で当然ながらあの二本の角に貫かれ死ぬことは目に見えてます。
逃げるにしても角竜はプライドが高く、縄張りを侵した者は例え異種であろうと双方どちらかが死ぬまで攻撃をやめようとしません。
到底逃げ切れるようなものではないのです。だから砂漠に住む者はディアブロスの縄張りだけは入ろうとしないのに……やっぱり人間は馬鹿なのですね。

「ぬぬぬ、後ろを取られるとは不覚也」
「丁度いい、拙者の死出の旅へ共せよ。遠からん者は音に聴け、近くば寄って目にも見よ。我こそは東方で生まれしハンター大……べッ!?」

あー、尻尾に跳ね飛ばされてますよ。当然ですよね、あんな細身の刀で防御できるのなら苦労はしないでしょうし、いちいち名乗りをする必要性が見受けられません。散々言いましたが、馬鹿ですね。
それともあれが礼儀とかでしょうか、滑稽です。とても滑稽です。

「名乗りの途中で手を上げるとは礼儀を知らぬ暴君、ならばこちらとて義と礼を持って当たる必要は無い。我が龍刀【朧火】の錆となれ」


あ、やっぱり礼儀みたいでしたね。私の予測は当たるのです。


地中から見ていましたが、人間の戦いはすごいです。いまさらですが言いますが防具は何も着ていなくディアブロスの突進を喰らったら即死でしょう。普通にぶつかるだけて痛い筈です。なのに、なのに人間は互角、それ以上の戦いを繰り広げています。
ディアブロスの尻尾を斬り落とし、自慢の角片方はどこへ行ったのやら。どこにそんな強さがあるのでしょうか。私には散々殴られたくせに。

「どうした暴君、丸裸の拙者を殺せぬとあらば砂漠にいる獅子やら砂竜やらに顔向けできんぞ。それとも角片方を失った時点で既に権威失墜したか?愉快愉快」
「ググ・・・・・…オオオオオオオオオオオオオオオオオ」

ディアブロスの口から黒煙が吐き出されています。モンスターには怒る時に独特な動作をする事で有名です。私が見た中ではリオレイアが口から火の吐息を吐いたりします。私たち盾蟹は泡を吹きますね。どうしてかと言われても夢中で覚えてません。それくらい怒り心頭なのです。

「ヴオオオオオオオオオオオオオオオオアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」
「また強烈に耳がッ!?」


バインドボイス、所謂咆哮。私も苦手です。爆弾のように耳を劈き、動けなくなってしまいます。当然人間はそれに対する備えは全くしていない訳で……

「不覚ッ!耳が聞こえないッ早くやめろおおおおおおおおおお」

やっぱり耳を押さえしゃがみこむわけです。隙だらけ=死に直結。蟹である私でさえも分かりますよ、いま人間は本当に絶体絶命だという事が。怒ったディアブロスの突進は岩盤なんて余裕で突き抜けます、片角だろうと無かろうと。人間のような体なんて紙屑……

『ただの角竜にやられるとは不覚也……せめてせめてもう一太刀浴びせて相打ちとしたかったが、どうやら天命らしい。殿、お待ちしております』
546名無しさん@ピンキー:2008/04/26(土) 23:15:15 ID:FhCHlt4Z
うへ、メモ帳のやつ見たら全部やり直しだorz

最後のやつ上げるのちょい待ってください
547名無しさん@ピンキー:2008/04/26(土) 23:23:44 ID:X2MQ7LWH
>>531
とりあえずオリジナルモンスターの説明がキリンと被るように思えた
銀(白?)色だし硬いし
個人的に輝龍ミオガルナと同レベル
548名無しさん@ピンキー:2008/04/26(土) 23:24:02 ID:T0xnfXC5
よし!それじゃあ最後のが上がったら俺が次スレを立てる!
549名無しさん@ピンキー:2008/04/26(土) 23:26:25 ID:xcnaPbsG
ザザミも武士も良い意味で馬鹿野郎wwww
550名無しさん@ピンキー:2008/04/26(土) 23:34:32 ID:P5RDjGxJ
生殺しですかよ! 生殺しですかよ!?

お待ちしてます。インナーで。
551名無しさん@ピンキー:2008/04/26(土) 23:36:42 ID:FhCHlt4Z
ひいいい

言えない、ディアブロス最初からやり直しなんて言えない
容量的に辛そうなので次スレお願いします
552名無しさん@ピンキー:2008/04/26(土) 23:41:39 ID:T0xnfXC5
委細承知……
 
次スレ:【MH】モンスターハンターでエロパロ 13匹目【モンハン】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1209220799/l50
553名無しさん@ピンキー:2008/04/26(土) 23:42:06 ID:P5RDjGxJ
>>552
GJ&梅
554名無しさん@ピンキー:2008/04/26(土) 23:57:57 ID:UGbV/4Qw
>>547
「狼」って明言されるまではもさもさした毛の塊想像して
一人で和んでたのは内緒だ
555名無しさん@ピンキー:2008/04/27(日) 00:18:22 ID:V0Z66zVV
>>531
とりあえず、この板の二次で書くには適さん書き手さんだと思う。
原作を愛せよとまでは強制できんが、設定借りる立場で敬意を払えない人は駄目だ。
それと機種依存文字で番号ふるの止めた方がいいと思うよ。
@←これね
ぼくのかんがえたもんすたあは、自サイトかチラシの裏に書いて欲しいってのが本音ですよ
556名無しさん@ピンキー:2008/04/27(日) 00:57:35 ID:kIh3B830
取り敢えず今我々がやるべき事は、
このスレを埋めつつ>>545にwktkすることだと思うのだよ
557名無しさん@ピンキー:2008/04/27(日) 01:00:59 ID:U4DPrV8W
でけたああああああああああああああ

新スレにこのスレの分を含め、投下したほうがいいですか?
558名無しさん@ピンキー:2008/04/27(日) 01:06:11 ID:kIh3B830
うむ、新スレに最初から再投下した方がいいと思うぞ
保管庫でまとめる時にやりやすくなるからな
少なくとも私はそうした
559名無しさん@ピンキー:2008/04/27(日) 01:07:26 ID:CLkpVYkd
>>531
いまどき銀色の狼なんて出してる人間が他人のセンスを語るなよ、恥ずかしい。
文章は下手だけど次に期待
ちょっと反応が厳しいからってこの程度で筆を折るほどヘタレじゃないだろうし、なにより自業自得だしな
560名無しさん@ピンキー:2008/04/27(日) 01:22:52 ID:lIc/OcHF
まんこ
561名無しさん@ピンキー:2008/04/27(日) 01:25:02 ID:kIh3B830
>>560
もっと上品な埋め方はないのかい
562名無しさん@ピンキー:2008/04/27(日) 01:33:25 ID:lIc/OcHF
おまんこ
563名無しさん@ピンキー:2008/04/27(日) 01:36:15 ID:oEeP8lU1
「お」を付けただけじゃねーかw
564名無しさん@ピンキー:2008/04/27(日) 01:36:23 ID:kIh3B830
OK、俺の言い方が悪かった
 
もっとモンハンらしい埋め方はないのかい?
565盾と武士:2008/04/27(日) 01:39:04 ID:U4DPrV8W
なんと説明したらよいか、拙者には今微妙な気持ちの変化がありまする。特に護ると思ったときから……なにかこう
始めは戦人として、なんだが今は違う気がする。こう、青臭い……ほろ苦いような。
そうだ、これだ、この言葉!いまの心境を的確に汲み取り、思いを伝える言葉。
「姫、“惚れた”と連呼なさるが今回は違う表現を使いまする。それよりもっと気持ちの篭った人間の使う言葉」
「なんでしょうか、私がわかるのでお願いしますよ」
「“一目惚れ”にござります。つまり拙者は姫の事が好き……という事にござる」
「……へ、すき ですか?」
「左様にて」

なんですか、それ。わかりません。でもなんとなく気持ちは伝わります」

ぎゅっ と、また姫がだきついてえええええええええええええええええええええええええええ!?口付けだとおおおおおおおおおお
磯の香りと女子の香りが混じって拙者には未知の領域……いぜんに拙者の初めてが奪われた!?
「ならこういうことですね、私はこれ以外表現の方法をしりません。ケルビ夫婦がこんなことをしていたので。それが好きということですか」
「姫……段階が違いまする。そして痛い痛い痛い拙者が痛い痛いそのまま抱きしめるなんておかしい!盾蟹の力は健在とな!?理不尽、なんという理不尽」
「違うのですか、わかりませんよ」

でも、この痛さは戦う痛さではなく、別の痛さと感じる…ような気がしまする。
「で、私がこんな姿になっても、まだ人間は惚れていてくれますか?よく分かりませんけど」
「むしろ惚れ直しました、姫。いえ、もとからずっと惚れておりました」
「そうですか、それは良かったです」

盾と武士 fin
566名無しさん@ピンキー:2008/04/27(日) 01:40:16 ID:U4DPrV8W
スレみすったーよorz

とりあえず役目は終了しました、ぶしとかにの作者でした
567名無しさん@ピンキー:2008/04/27(日) 01:47:40 ID:kIh3B830
>>565
なんとモンハンらしい埋め方
568名無しさん@ピンキー:2008/04/27(日) 01:54:48 ID:lIc/OcHF
なんでベースキャンプから出た瞬間にいきなりババコンガが目の前に居るのよ。
さあ、出発するぞ!ってときにいきなり遭遇しちゃうなんて、思ってもみなかったわ。
心の準備もできてなかったから、いきなりババコンガの…その…排泄物をもろに直撃しちゃって。
突然の出来事で頭が真っ白になって、
戦うどころか別のエリアまで逃げてきてしまったのはまあいいとして。

「うう、消臭玉持ってくるの忘れちゃった」

心の準備もなくいきなり走り回っちゃって、お腹もすいたから何か食べたいんだけど
持ってきたこんがり肉にも嫌なにおいが付着してとても食べられたもんじゃない。
ハァ。仕方ない、臭いが落ちるまで待つしかないわね。
…ていうか、ベースキャンプのほうに逃げればよかったじゃない。すぐ近くにあったんだし。
どれだけ慌ててたのよ、私。

自分の間抜けっぷりに少し落胆したものの、気を取り直して立ち上がる。
くよくよしても始まらないわ。とりあえず初っ端から傷を負わなかっただけよしとしましょう。
とはいえ、この臭いはいただけないわね…はやくなんとかしたいところだけど。

と心の中で呟いてみたそのとき、透明な水を湛えた湖が視界の片隅に見えた。
ちょうど走ってきたばかりで汗もかいてる。変な臭いも付着してる。
目の前には綺麗な湖が在る。
あれ?これって…?

「…誰も見てないし、いいよね。」

私は自分の鎧の留め金に手をかけた。
569名無しさん@ピンキー:2008/04/27(日) 02:05:00 ID:kIh3B830
よくやった!うちにきてヌコを○ァックしてもいい!
570名無しさん@ピンキー:2008/04/27(日) 02:05:54 ID:lIc/OcHF
ありがとうございます!
571名無しさん@ピンキー:2008/04/27(日) 02:13:50 ID:JZOxwp+V
>>569
サーイエッサー!!!
572名無しさん@ピンキー:2008/04/27(日) 02:19:07 ID:z7o7HnH7
>>568
わっふるわっふる
573名無しさん@ピンキー:2008/04/27(日) 06:25:20 ID:0m9AB5l+
俺…火竜の逆鱗が出たらこのスレにSS書くんだ……
574名無しさん@ピンキー:2008/04/27(日) 12:39:59 ID:rAN1Vs16
業務連絡:まとめwikiに11スレ目保管完了
容量限界で途中までとなった「孤独を知らない男・第七話」は
当スレの所属ということにさせていただきました

ふふふもうすぐこのスレも保管してくれるわー
575名無しさん@ピンキー:2008/04/27(日) 12:42:17 ID:rAN1Vs16
いかん一番肝心なことを書き忘れていた

wikiの復旧作業をお手伝いできず申し訳ありませんでした
576小ネタ:2008/04/27(日) 19:22:18 ID:MG9bPkTd
知ってるかい、相棒。
クックたんのおかーさんは、産卵期になると抱卵のために胸毛がフッサフサに生えるんだよ。
ああそうだね、君の方がハンター生活長いもんね。こんなの常識か。
で、触ったことあるの。ないんだね。僕もないよ。手触り良くってあったかいのかな。
なにさ、ヨダレと鼻血拭けって。ホントだ、つい。ハンカチありがと。
じゃあさ。モスってなんで特産キノコ好きか知ってるかい。
美味しいから。いやいやそうじゃないんだな、これが。
匂いが有るでしょ、独特の。アレがね、不思議にオスのフェロモンそっくりなんだって。
そう、だから特産キノコのとこで嬉しそうにフゴフゴしてるのはみんなメス。
殿方の素敵な香りに夢中なメス豚ちゃんてワケさ。
そう言うと、円らな瞳でキノコをフゴフゴしてるモス達が途端に卑猥に見えてこないかい。
……え、こない。奇遇だね、実は僕もさすがに豚は守備範囲外で。
メスばっかりって言えば、ランポスたんの群れって、ほとんどメスだってね。あとは子供。
オスはドスランポスたんになるんだ。他のトカゲちゃんもそう。ドスは全部オス。
はぐれになるかボスになるか、群れを守れるドスランポスたんだけが繁殖できるって事なんだろうね。知らないけど。
ハーレムを築くには、それなりの甲斐性が必要らしいよ。
喋ってないでちょっとは手伝えって顔してるね。
穴掘るのに、非力な僕を動員したところで、大して作業がはかどるとは思えないよ。
でもじっとしてても寒いし、手伝ったげよう。なに、お礼はいいよ。
あのぬるぬる竜はいつ来るかなぁ。
アイツ嫌い。
男の人はアイツ好きだよね。何が嬉しいんだかニヤニヤ見ちゃってさ。
分かってるさ、似てるんだって言いたいんだろ。
君らのナニには歯が生えててあんなに伸びんのかって訊きたいね。
アイツに限らず、なんでもかんでもおちんちんいゃっほうだしさー。馬鹿じゃないの、馬鹿でしょ。
だいたい、アイツってば両性っていうか単一性なんじゃないの。
世界は自分と餌だけ。一匹からでも殖えて食って殖えて食って。
やだねー、なんて唯我独尊。自分で自分を産んでずっと生きるんだよ。
だからアイツ嫌い。
さて、そろそろ来るかな。網張って、土被せとこうか。
僕はあくまでサポートだかんね。アテにしないでよ。
じゃ、頑張ろうか。
ああ、でも……。誰とも寄り添う必要のない一生って、やだね。
やだとも思わないし思いつきもしないんだろね、あの竜。



エロも落ちもなく終わる。
ネタの一つは捏造だが、モンハン的かつ性的に埋めを目指した。
フルフルはなめくじと違って、本当に単一生殖が可能なんだと思ってる。
577名無しさん@ピンキー:2008/04/27(日) 19:58:32 ID:hAdOSzes
これはいいメガネ
578名無しさん@ピンキー:2008/04/27(日) 20:02:28 ID:8qDBzz3n
伊達メガネ嬢キター!
ヨタ話のように見えて、「自分で自分を産んでずっと生きる」とかラスト二行になんかドキっとした。

ザリガニやメダカ等にも、一匹しかいないのに卵産んでそれが孵って増殖する種が実際あるけど
フルフルが単一生殖できる生物としたらそんな雰囲気だろうか。
579名無しさん@ピンキー:2008/04/27(日) 21:19:32 ID:rAN1Vs16
冒頭五行を見ただけで伊達メガネ嬢であると言葉でなく心で理解した
580名無しさん@ピンキー:2008/04/28(月) 03:07:52 ID:48/zgG2K
埋め乙
名前が出てこないのに誰かわかるっていうもすごいな
それだけ強烈なキャラってことか
581名無しさん@ピンキー:2008/05/01(木) 14:54:37 ID:ESFp6fLA
manko
582名無しさん@ピンキー:2008/05/02(金) 01:08:04 ID:oo8hM70+
だからせめてもう少し上品に埋めろと
583名無しさん@ピンキー
角煮にえらくもったいない流れが……
ディアのアナルに貫通弾とか尻尾攻めとか
埋めネタにもってこいなんだからこっちでやろうよ……