【MH】モンスターハンターでエロパロ 10匹目【モンハン】
雇いネコたちがいるアイルーキッチンに続く場所。
そこを塞いでいたのは、破壊された机、鍋、椅子、本、その他諸々の集合体。急ごしらえのバリケードらしきものだった。
そして、それを無理矢理に突破しようと暴れているのは――雪山で保護し、以来ずっと眠り続けていたはずの女。
その身を包んでいたはずの俺の予備インナーと毛布は、何故か一寸刻みの惨殺死体となって床に散乱しており、
本人はというと、その、なんというか、素晴らしくネイキッドな格好でバリケードにタックルをかましていた。
どうすればそうなるのか問いただしたいくらいにボサボサに乱れた水色の短髪と、
所々が赤くなり、場所によっては出血さえしている白い肌が、この惨状を作り上げたのが誰であるかを雄弁に語っていた。
そしてよくよく耳を済ませてみれば、バリケードの奥から
「ここを突破されたら終わりニャ!」
「最終防衛ラインニャー!旦那さんが帰ってくるまで死守するのギニャァオゥ!?」
「あぁ!ハンク料理長!しっかりするニャ!」
「ぐ……ボ、ボクの心配をしてる暇があったらバリケードを支えるニャ……」
「ハンク料理長ー!?そんな、ボク達を置いていかないでくださいニャ!」
「ここは戦場だ……運命は自ら切り開け……」
「何を言ってるのニャ料理長ー!!死んじゃダメニャー!!」
「大丈夫ニャ……死神は死な……あぅん」
「「「「料理長――ッ!?」」」」
とかなんとか聞こえてきたり。
……どうやら俺が不在の間、ネコたちは荒れ狂う破壊神からキッチンを死守していたらしい。
リーダーであるハンクが倒れたせいか、猛威を振るう女の前に、バリケードが少しずつではあるが確実に崩壊の兆しを見せ始めていた。
「……とりあえず、止めなきゃいけない、よな?」
正直何が何だか分かったものではないが、それだけは確かだ。
荷物を置き、俺は全裸で暴れる女に手を伸ばす。その肩を掴もうとして――次の瞬間には天井を見ていた。
「え?」
衝撃で宙を待った雑貨達が。俺の身体にドサドサと降り注ぐ。
遅れて発生した胸と背中の痛みの挟撃を感じたところで、俺は自分が転倒したことを自覚した。
慌てて身を起こすと、女が裏拳を放った姿勢のままこちらを睨んでいた。
その瞳の色は、青。と思いきや、女の瞬きと共に鮮血を思わせる真紅に染まった。
それを見た瞬間、俺の頭の中で散らばっていた思考のピースが急速に連結。カチリと嵌まる音が聞こえた気がした。
真紅に染まる青い瞳。鮮血。雪山。竜。ティガレックス。捕獲。謎の消失。女。眠り。
ひょっとして。いやまさか。ありえない。だが――
「お前、まさか――っ!」
俺の言葉は、前触れなしの跳躍から放たれた女の踵により中断を余儀なくされる。
横に転がってその一撃をなんとか躱し、全身をバネにして飛び起きた俺は、
既に現時点の最優先事項が事実確認ではないことを理解していた。
「延長戦開始、ってか?……なけるぜ」
その後の戦果は以下の通り。
俺が常人では到底考えられぬ力を発揮する女を制圧し、ネコ達が戦争の終結を悟るまでに要した時間……約一時間。
荒れ果てた室内を片付けるのにかかった時間……約半日
損壊した家、家具の修理・新調費……当日の収入とほぼ同額。
言葉さえ理解できぬ元飛竜に俺を信用してもらうのにかかった時間……約一ヶ月。
人間の言葉、常識、その他諸々を教え、理解させるまでにかかった時間……約十ヶ月 ※一部未完につき現在も進行中。
すり減らしてきた俺の神経……計測不能。
◇
そして、現在。
どういう理由かは今でも分かっていないが、ティガレックスから人となった女――スレィ(命名したのは俺だ)は、
傍から見ればちょっとばかりおかしい女、というくらいまでには人らしくなってきていた。
一年足らずという短期間で完全な白紙からここまで学習・理解させた俺は、正直褒められてもいいと思う。
ひょっとしたら、ハンターより幼児教育の方面に向いているのかもしれない。
引退後はそっち方面で生計を立てていくのもアリかな、とか考えるのは後にしよう。
まぁ実際のところ、短期間の成長を可能にしたのは、俺の補助ではなく本人によるところが大きかったりもするのだが。
多大な手間と時間をかけ、俺や他の人間が敵ではなく、
また自分自身が人となったことを認めさせてからというもの、スレィは知識の吸収に貪欲になった。
竜であった頃の食欲を思わせるほどに。
言葉を教えれば、正しく使いこなせるようになるまで喋り続け、挙句の果てに喉を潰した。
文字の読み方を教えれば、寝る間も惜しんで家にあった本を読みふけり、あっという間に全て読破。新しい本を買えとせがんできた。
文字の書き方を教えれば、正しく書けるようになるまで家にある紙という紙に文字を書き殴って資源を浪費し、本の収集が趣味な俺は泣いた。
その貪欲さはとどまるところを知らず、最近は人の心理や行動にまで興味を示すようになっていた。
興味の対象になるのはもっぱら俺なのだが、こればっかりはすぐに理解できないようだ。
まぁ、当然といえば当然だ。人の心の完全な理解など、人類誕生以来、未だに成功例がない。
だが、スレィは諦めなかった。
今まで学ぼうとしてきた知識は全て身につけることに成功しているので、ムキになってるんだろうなと思っていた。
だがそれは違っていた。真相はたった今本人が語った通りだ。
「阿呆面」
「……え?」
「阿呆面、と言ったんだ。何度も言わすな馬鹿。って何度も言わすな馬鹿。余計に腹が立つ」
「いや、その、なんというか」
「何だ。言いたいことがあるなら遠慮しないで言え」
スレィが不意に見せた弱気な態度のおかげで、俺はすっかり心を乱されていた。
今の今まで、こいつは強気で居いることしかできない奴なのだと思っていたのに。
外見が人でも、中身は未だに竜で、本人もそれを望んでいるとばかり思っていたのに。
いつの間にか、一丁前に落ち込むなんてことができるようになっていたとは。
本心から人になりたいと望み、その為に努力していたとは。
あぁ、全く嫌になる。
何がって、スレィのことを『人間になって一年少々の、単純明快で分かりやすすぎる元飛竜の馬鹿女』だと思い込んで疑わず、
偉そうに教師面してきた俺自身が、だ。畜生め。
二十三年という月日を最初から人として過ごしてきたにも関わらず、
俺はスレィが今まで幾度となく繰り返してきた通り、未だに度し難い馬鹿のままなのかもしれない。
だが、別にそれでもよかった。馬鹿は馬鹿なりに出来ることをやるまでだ。
「俺はお前に謝りたい」
「はぁ?」
スレィの頭上に、特大疑問符が再浮上。
「謝るって、何故だ。確かにお前は馬鹿で薄鈍でふざけすぎな男だが、謝る必要がどこにも見当たらない。見当たらないぞ!
だから謝るな馬鹿……馬鹿。そうか、あまりに馬鹿になりすぎて、意味もなく喋るようになってしまったのか。そういうことか!」
一人で勝手に慌てて、勝手に納得し始めたスレィに、思わず笑いがこみ上げてきた。
そんな俺を見たスレィは、『何が可笑しい!説明しろ馬鹿っ、腹が立つ!』と予想通りの怒りの台詞をぶつけてくる。
そんなスレィにまた笑いがこみ上げてくる。スレィが怒る。
笑いが止まらない。怒る。
爆笑。激怒。
間抜けすぎるいたちごっこは、スレィが再び俺に齧りついたことで終わりを告げた。
「あいたたたた……。まぁとにかく俺は謝りたいんだ。お前に。というわけで謝らせてくれ」
「だから何故だ!」
スレィの顔に先程までの不機嫌さが戻ってきているのが確認できたので、俺は質問に答えてやる。本心からの言葉で。
「別に理由なんてない。なんとなくだ」
「……お前という男は、本当に嫌な奴だな」
「心外だな。お前の為に謝ろうとしてるのに」
「どういうことだ」
「気になるのは分かるが、にしてもそうやってすぐに聞くのはどうかと思うぞ。少しは自分で人の気持ちってもんを考えてみな」
「嫌だ。考えた結果が間違っていたら嫌だし失礼だろう。それを防ぐには、本人から本心を聞くしかない」
「別にそうでもない。少なくとも俺は。それにもし失礼に当たったとしても、その時は謝って許してもらえばいいだけの話だろ」
「…………あ」
「もしかして、間違うのが怖いのか?」
「まさか!……ただ、そういう発想がなかっただけだ」
「だろ?だったら試してみることだ。
いいか、言葉を信じるな。言葉の持つ意味を信じるんだ」
「……むぅ」
女が黙り込んだのを見計らい、俺は喉元で燻っていた言の葉たちを解放する。
「すまなかったな」
反射的に毒を吐こうとしたであろうスレィの口は、しかし何も喋らぬままに閉じられる。
怪訝な視線が俺を射抜く。
だが、それはやがて向こうから逸れていき、たっぷり数秒の間を挟んでから戻ってきた時には、
何か別の感情が宿っているように思えた。
その時のスレィは、そう。変な言い方だが、とても人らしい顔をしていた、気がする。
「なんとなく許してやってもいい、ような気がする。だから私はお前を許そう」
「そうか。ありがとう」
「どう、いたしまして」
妙なところで律儀な奴だな、こいつは。
「お前が謝った理由は未だに分からないのだが……私なりに考えてみることにする。
……これでいいのか?」
「最後の一言さえなければ満点だったが、まぁ十分だ。よくできました」
素直な賞賛にスレィの顔がほころぶ。
火竜族の逆鱗並みに貴重で美しい表情は、しかし瞬時に我に返った本人によって公開を打ち切られてしまう。
けれど残念。今の表情は、その熱で俺の網膜にしっかり焼き付いていた。厳重に保存し、脳内で保管しておこう。
「結論が出たらすぐに確認するからな。その時は答えてくれるよな?いやむしろ答えろ。答えさせる。答えなかったら食い殺す」
「……カニバリズムだけは勘弁してくれ」
先の会話の中にヒントどころか答えに近いものを混ぜていたのだが、気付かなかったようだ。
こいつにはまだ難しかったか。まぁいい。
「全く、人間というのは本当に複雑で面倒な生き物だな。
こんなにまどっろっこしくて弱い連中が数多の竜と龍を屠ってきたとは、とても信じられん」
自分がその『複雑で面倒でまどろっこしくて弱い生き物』に狩られたという過去を棚に上げたまま、スレィがぼやく。
言葉の後に吐いた溜息が俺の頬を撫で、前髪を少しだけ揺らした。
「ま、それが人間の最大の武器で、一番面白いところだったりもするんだけどな」
台詞の途中で余計な感情が発生したことに、気付いたときにはもう遅かった。
「それが理解できたら、お主も一人前ぢゃ。もうワシが教えることは何もない……おそらく。たぶん。きっと。もしかして。
うぅむ、これぞ感動のエンディングぢゃ!」
言い終えてから正確に一秒後、耳を噛まれた俺の悲痛な絶叫が、狭い室内に響き渡った。
「ところでレオン」
「……うぐおぉぉ……」
「人の話を聞け!」
「……はひ?」
「人の行動には理由が存在する。だが、それを常に意識しているわけではない。
それを踏まえた上で、一つ聞きたいことがある」
いつも通りに堂々とした、それでいてどこか奇妙な感じがする口調だった。
ふと見ると、冗談抜きで耳を丸ごと齧り取られるかと思うほどの激痛に耐え抜いた俺を眺めるスレィがいた。
まるで、フィールド上に落ちているモンスターのフンを見るような目で。
明かりが落とされ、月明かりのみが差し込む暗い室内ではよく分からないが、
心なしかその頬が赤みを帯びているような。
俺は半ば無理矢理痛みから立ち直った、ことにして無言で続きを促す。
「今現在お前の指がしでかしている行為は、なんとなくか?それとも確固とした意思があるのか?」
全身が硬直。
かろうじて呼吸だけは続けられたが、ものすごぉく気まずい空気が部屋を満たした。
何故か?察してくれ。
戸締りを完璧に済ませ、天窓以外の全ての窓にカーテンがかけられた家。
耳が痛くなるほどの静謐の中で、やけにはっきりと聞こえる囲炉裏で燻る炭の音。
時間帯は深夜。
寝台に横たわるスレィ。そして覆いかぶさる俺。
これらの条件の下でやることといえば、アレでナニなことしかないだろうがっ!
はじまりが何だったかは、今でもはっきりと思い出せる。
あれはそう、俺がスレィに文字の読み方を教えはじめて暫く経ってからのことだ。
スレィに対する様々な不安要素から、長い間家を空けるのが事実困難だった当時、
俺は雪山でのドスギアノスやドスファンゴの狩猟といった、遅くとも半日ほどで終わる軽いクエストをこまめにこなす事でなんとか糊口を凌いでいた。
その日も煌剣リオレウス振り回してドスギアノスをサクッと一頭仕留めた俺は、
減額なしのクエスト報酬と全素材売却額を足しても、大型飛竜のそれの足元にも及ばない収入を軽く嘆きながら帰宅した。
『ただいま』と呟いてドアをくぐり、スレィのどこかぎこちない『おかえり』を聞きながらマフモフS一式の防具を脱ぎ、
楽なフードつきの普段着に袖を通したところで、スレィが後ろから近寄ってきて『おいレオン、この本について聞きたいんだが』と言ってきた。
もう何度聞いたかも分からぬ程に繰り返されてきた質問に振り向いた次の瞬間、俺は凍りついた。
大昔にギアノスの氷液を食らって、雪達磨の中の人になった時よりも堅く。硬く。固く。
スレィが片手で掲げていた本は、一見しただけでは普通の文庫となんら変わりはなかった。
だがそこに書かれていたのは、その、なんというか、強いて言うならば、『男性専用精神保養兼邪欲求発散用文章』。
ちなみにタイトルは、『怪物狩人淫行記』。
内容の詳細は……最早言うまい。
本棚の奥底に精巧に隠していた(つもりだった)俺の愛読書を、スレィはどうやったのか発見し――
「一通り目を通してみたところ、私と同じ境遇の人のことが沢山書かれていたんだが。これは事実に基づいた本なのか?」
――読破していやがった!
ショックによる氷結が未だ解除されない俺の無言を肯定と受け取ったのか、スレィは喋り続けた。
「事実だとするなら、文中にやたらと出てくる○○○を×××したり△△△しながら□□□したりすることはとても気持ちよくて楽しいということだよな。
しかもその後には大抵いい結末が待っているときた。というわけで実践してみたい。
付き合ってくれるよな?いやむしろ付き合え。付き合わせる。付き合わなかったら噛む!」
「おわぁっ!?」
浮遊感。そして柔らかな衝撃。
俺の襟首を掴み、凄まじい膂力で思い切り寝台に放り投げたスレィは、間髪を居れず俺にのしかかってきた。
「ちょ、おま、待てっ!お前にはまだ早い!早すぎるから!」
「早い?何故だ。納得できる理由を説明しろ馬鹿。五秒以内にだよんさんにぃいち、時間切れだ。残念だったな!」
「理不尽にも程があるッ!?」
硬直からようやく解き放たれた俺の抗議も虚しく、スレィは着たばかりの俺の服を脱がしに、否、破りにかかる。
独特のいびつな音を響かせ、服の繊維が引き千切られていく。
「安心しろ。本によれば、男のほうもこの上ない快楽を味わうことが出来るそうだ。
私もお前も大満足できるというのに、やらないなんて馬鹿な話があるか!」
「そういうのは時と場合に寄るんだよ!」
「おや、そうなのか?女が無理矢理男を押し倒して▽▽▽したり◇◇◇する話も多かったのだが」
「俺にそういう趣味はないっ!」
反射的な反発でそう言ってはみたものの、布越しに伝わるスレィの柔らかすぎる尻の感触に、俺自身は愚直に反応。
うなだれていた鎌首をもたげ始めていた。
どんだけだよ俺!?今の今まで自覚していなかったが、俺ってそっちの気があったのか!?
とか考えていたら、突然スレィの腕が動きを止めた。
「そうか。それは悪かった。ならばお前が理想とする状況設定を教えてくれ」
「へ?……そう、だな。やっぱなんつーか、こう、互いに互いが好きで……つまり相思相愛な、そう、所謂和姦が――はっ」
馬鹿馬鹿俺の馬鹿!不意を衝かれたとはいえ、質問に正直に答えるなんて!
そう思った時にはもう手遅れで、目の前の女は『そうかそうか』と呟きながら満面の笑みを浮かべていた。
それは竜の笑み。己の間合いに迷い込んだ哀れな獲物に向ける、絶対強者の表情だった。
「分かった。それでは私はお前を愛そう。このままずっと。だからお前も私を愛せ。それで全てが解決する」
表情を一切崩さぬまま紡がれたのは、一方的過ぎる告白。愛を与え、愛を欲する言葉だった。
凡人が言えば真っ先に脳の心配をされるであろうそれも、
妙に生き生きとした美貌の持ち主が紡ぐことによって、あたかも物語の見せ場を飾る名台詞のような響きでもって俺の耳に飛び込んできた。
「どうだ、できないか?難しいか?」
こいつはそういう奴なのだ。
ひとたび目的ができると、それしか頭になくなり、達成する為の努力も手間も惜しまず、手段も選ばなくなる。
今回もそうに違いないと、分かっているはずなのに。分かりきっている筈なのに。
畜生。本能って厄介すぎる。
間違ってはいけない選択をする時に限って、意思とは関係なく肥大化し、冷静な思考を塗りつぶしてくる。
それはこの時とて例外ではなくて。
客観的に見ればあまりに馬鹿馬鹿しすぎる勢いだけの愛の言葉を前に、しかし俺の思考は掻き乱されて原形を失い、
心臓は運動と驚愕と、それ以外の何かによって五月蝿いくらいに猛り狂っていた。
駄目だ。それを言っては駄目だ。言ったが最後、複数の意味で貪り食われることになる!
理性が紡いだ最終警告は、耳元で高鳴った鼓動に掻き消された。
そして、返事はいつの間にか俺の口から滑り落ちていた。最悪で最高の選択の結果が。
「いいだろう。俺もお前を愛してやる。このまま、ずっと」
交錯する視線。眼前の青い宝玉の瞳が、紅蓮の炎に染まる。
そこに映る俺のにやけ顔が、そしてスレィ自身の満面の笑みが見えた。
狭い部屋の中を、耳障りな音を立てて完全に破れた俺の服が舞った。
そして再び現在。
異常な状況だったとはいえ、思考猶予時間と最終決定権があった状況で交わしてしまった言葉を覆すこともできず、させてもらえず。
俺とスレィは、保護者と被保護者から恋人同士へと関係を変化させることとなってしまった。
言いだしっぺに自覚があったかは謎だが、例の本を教科書代わりにしたスレィに幾度となく食われ、極稀に食い返したりしてるうち、
俺自身も『ま、遅かれ早かれいつかはこうなっただろうし、教育課程が早まったってことで(笑)』と思うようになっていた。
……いや、まぁ嘘だが。
しょうがないだろうがっ。
二十代前半の健全な成人男性が、肉体関係を求めてくる絶世美人の誘いを断れる要素が見当たらない。この星の何処にもだ。
もし断る奴がいるとすれば、そいつは男にあらざる者か、頭の中に女という生物が存在しない奴のどちらかだ。
そして今日も、『年の瀬だし、記念ということで』というスレィの謎提案にちゃっかり乗り、
実は先程からずっと口先と平行して指先を動かし、俺なりに心を込めた様々な愛撫をしていたのだが。
スレィはその理由を問いただしてきた。絶対に分かっているはずなのに、だ。
こういう行為の理由を、しかも行為中に口に出すことほど無粋なことはないと俺は思う。
となれば、必然的に答えは決まってくる。
「いや、まぁ、そういう流れだったし。本能の赴くがままに、なんとなく」
「ほう」
スレィの目が細められる。
あ、これはヤバいと思った時には、俺の耳はスレィの言葉の穂先に貫かれていた。
「つまりあれか、普段から『こういうのは互いのことを愛しく思いながらやるのが一番いいんだ』と言っていたのは全て嘘ということか。
それどころか、以前交わした互いを愛し続けるという約定も忘れていたと。
私はお前のことを心から愛していたのに、当のお前はそんなの関係ねぇとばかりに本能に身を任せ、なんとなくヤっていたと。
そういうことなのか」
「すまん。嘘だ。許してくれ。お前のことが愛しくてたまらなくて、愛情表現を我慢できなかったんだ」
「なら最初からそう言え。この嘘吐きめ」
言葉とは裏腹に、今のこいつはこの上なく楽しそうだ。
ははは、こいつが言葉攻めに目覚めたのはいつ頃だったっけかなぁ、と考えかけて、やはりやめた。どう考えても現実逃避だし。
ただ、いつだったか本人が
『身体と言葉で同時に相手を組み伏せると、なんだかすごく気持ちいいし興奮するぞ!』と言っていた、とだけ言っておく。
しかしまぁ、この執拗過ぎる言い方からして、我慢して意思説明をしたところで
『ほう。人間の男というのは、そんな下卑たことを考えながら女の身体を触っているのか。全く度し難いな』とでも言われたに違いない。
二重陥穽を仕掛けてくるとは、こいつも随分とやるようになったものだ。
教師面してられる時間も、もう残り少ないのかもしれない。
それは即ちスレィがまとも(果たしてそうなのか?)な人間になるということで、
それこそが目的なのだから喜ぶべきなのに、妙な寂しさを感じるのは何故だろうね。
とか考えてる俺をよそに、とっても頑張り屋さんな俺の指先は不屈の闘志の下に勝手に活動を再開。
スレィの両足の付け根にある茂みを突破し、
肉の花弁に到達したところで、指先がいつの間にかあふれ出していた蜜で濡れた。
スレィの持つ数多くのおかしな点のうちの一つだ。
愛撫すればしっかり濡れる程度に感じているのに、口からは喘ぎ声の一つも出てこない。最初の頃はそうでもなかったのだが。
かといって、ずっと喘がないかと言えばそうでもない。
下の口で俺自身を捕縛し、自らの動きで蹂躙している時は普通に喘ぐ。
女の喘ぎ声に対して人並みに執着がある俺は、当然そのことについて尋ねた。
対するこいつの返答は、『お前の攻めで喘ぐなぞ、なんだか負けたみたいで悔しいし気持ち悪い。だから耐えている』だった。
負けず嫌いにも程がある。まぁ、こいつらしいといえばらしいが。
「ご苦労」
寝台の軋む音。奥を目指そうと動いていた指先は、離れていく割れ目を捉えきれない。
身を起こしたスレィに肩を掴まれ、世界がぐるりと回転。間髪入れずに布団に叩きつけられた。
先程までとは体勢が逆転。スレィが俺を組み伏せる形となる。
暗い部屋の中でも、まるで炎龍の宝玉のような赤みを帯びたスレィの瞳がよく見えた。
こいつの瞳の色が変わるのは、感情の高揚の証。人となった今でも消えずに残る竜の名残のひとつ。
見るものに感嘆と畏怖を等分に抱かせる双眸が、俺を睨んでいた。
「なぁ、もう少し弄らせてくれてもいいんじゃないか」
「断る。ここが濡れた時点でお前の役目は終わりだ。あとは黙ってされるがままになるがいい」
「手厳しいこった」
「今に始まったことでもないだろうが。今更文句を言うな馬鹿。腹が立つ……っ」
スレィの手に導かれ、俺自身が熱く柔らかな粘膜に包まれていく。
その感触に、先の妙な会話でややうなだれ気味だった俺自身が瞬時に臨戦態勢に突入。
正直すぎる反応に、俺は苦いほうの笑みを浮かべるしかない。
徐々に落とされる腰と、動かずに待つ腰とがついに接触。
ミラボレアスよろしく全身を硬化させた俺自身が、完全に飲み込まれた。
熱い吐息の二重奏。全身の力が抜けそうになるほどに甘美な感覚が腰から全身に伝播してきた。
それはスレィも同じだったらしく、瞼を閉じて快感を噛み締めているようだった。
隙だらけなのをいいことに、俺は腕を伸ばしてスレィを抱き寄せる。
急接近する鮮血色の唇に、強引に己のそれを重ねた。
見開かれる瞼。俺は逆に目を閉じた。
言われたとおりにこのままヤられてしまってもよかったのだが、
年のはじめくらいはフェアプレイをしたいなと思ったのだ。
鼠に噛まれた猫、いや、虎は今どんな表情をしているのやら。見てみたいが、今はやめておく。
触覚だけを頼りに相手の唇を数回啄ばみ、浅く口に含む。あれ?何の抵抗もないぞ?
目を開けてみると、そこには不在。
二つの赤い宝玉は、瞼の裏へとその姿を消していた。
先程までの言葉とはまるで逆の、男の攻めを待つ女の顔がそこにはあった。
これは好機か、それとも罠か。
その一瞬の逡巡が命取りだった。
俺の口が止めていた呼吸を再開した途端、スレィの目が見開かれ、赤い残像を残して急接近。
スレィの上下の唇が、俺の口を襲撃した。
それは甘さとは遠く隔絶した口付け、というより最早噛み付きと言うべきだろこれはっ!?
怯む俺の唇を、スレィの舌は容易に突破。
勢いのままに俺の口内を隅々まで蹂躙し、挙句に舌同士を絡ませてきやがった。
自分がやってやろうとしたことをそっくりそのままやられてしまったという屈辱さえも、
流れて混ざった唾液の甘さと舌先で感じる湿った柔肉の感触を前に霞み、どうでもよくなった。
スレィの舌という名の奇襲部隊は、一頻りの破壊活動を済ませた後、悠々と撤退していった。
憎たらしくも美しいい覇者の笑みを浮かべるスレィ。
その舌先で糸を引いていた唾液が太腿に零れ、月明かりを受けて煌く。
俺はそれを目の前にしながら、口を手で押さえて絶句することしかできなかった。
ふと気付いてしまった。
……こういうのって、本来女がすべき反応だよな?
未だにそう考えられる程度に残っている理性が憎い。
早いところ消え失せて、暫く帰ってくるな。畜生め。
年初めからこんな調子では、フェアプレイなんぞ当分望めない気がしてきた。
それどころか二度とできないかも知れない。こいつの気が変わる可能性は……なさそうだし。経験的に考えて。
脳内で誰かが『希望を捨てるな若人!この世に完全など存在しないのぢゃ!必ず最後に愛は勝つ!うお、感動的っ!』
と叫んでいたが、俺の脳は腰を動かし始めたスレィの感触を貪るのに御執心だったため、その言葉の羅列が理解されることはなかった。
結局のところ、いつも通りに『ま、気持ち良いからいいか』という適当すぎる結論に縋るしかなさそうだ。
別にそれで構わない。男女が馴れ合う理由なんて所詮は……やめよう。今はこんな阿呆なことを考えてる場合ではないだろうに。
再び近づいてきたスレィの唇を受け止め、猛攻撃を仕掛けてくる舌を申し訳程度に迎撃しながら、俺は願う。
あの時の約束がなるべく長く続くようにと。
人の性格や感性なんてのは、誰であろうとどこかしらおかしいのだ。
法や常識という、大昔に誰かが決めた標準ピッタリの性格の持ち主なんていない。
もし仮にいたとしても、そいつは凡人ではなく正常すぎる異常者だ。
真実が捉え方次第でいくらでもその姿を変える以上、あらゆる点において万人の手本になる人間なんて存在し得ない。
そんなことは誰でも知っている。
つまるところ、こいつは今のままでも十分に人らしいのだ。
本人がそれを悟るのは、恐らくそう遠い未来ではないだろう。
そしてその瞬間、俺はこいつを保護する理由を失う。傍に居る理由も。
正直な話、それはちょっと嫌だ。あぁ認めるとも。嫌だよ。
だから、保護以外に唯一俺の傍にこいつを繋ぎとめておくことのできる、愛情の交換を誓ったあの約束を、俺は手放したくない。
つーわけで、こいつと交わる時くらいは好きにさせてやろう。
それでスレィが満足できるなら、安いものだ。ナニをやられたところで、こっちは苦痛どころか気持ちいいんだし。
なにより、純粋なお楽しみもしっかり存在する。
それは情事を終え、こいつが眠ってしまった後に訪れる。
本人は知らないだろうし教えないが、色の変わる瞳以外に、もう一つだけ竜であった頃から不変のものがある。
それは寝息。薄く開かれた就寝中のスレィの口から、普段そこから紡がれる言葉からは想像もできぬ、
『ふごー』『ふぃーゅ』『ひゅごー』といった感じの愛嬌に溢れた音声が響いてくるのだ。
その時のスレィの可愛さときたら。もうたまったものではない。
愛しさのあまり、眠ることを忘れて見入ってしまうことがあったり。
その感情を本人は知り得ないし伝えられないのだが。
「な、あっ」
「どした?」
「お前も、好きに動いて、いいんだ、ぞ?」
自身の動きによって不自然に途切れた言葉。その意味に、俺は瞬き数回分の間呆けてしまう。。
ええと、この人、さっき確かに俺の役目は終わりって言いましたよね?
どういう風の吹き回しだと考えて、すぐにピンときた。
ひょっとしてアレか、手持ち無沙汰で不満っぽく見えた俺の気持ちを察してくれたとか?
随分と唐突な心変わりだこと。まったくなけるぜ。いい意味で。
スレィの本心は分からないが、問いただすなんて無粋な真似もしたくないし、すべきでもないだろう。
結論。そういうことにしてしまえ!
「じゃ、お言葉に甘えて」
「応」
密林に降り注ぐスコールよろしく突然訪れた幸運を堪能すべく、俺はスレィの動きに合わせて腰を突き上げる。
更なる深層へと侵入していく俺自身に、スレィは正直に反応。口の端から嬌声が零れた。
本音を言うと、こいつの腰を掴んででももっと深く突きたい。だが俺はそうしない。
俺の役目はスレィ自身が貪る快楽を引き立ててやることだからだ。
こいつの行動を妨げてはいけない。実に女らしいこいつの反応を眺めているだけで、十分満足できる。
許可されたとはいえ、調子に乗っちゃマズかろう。
と、いつまで考えていられるかな。正直なところ、かなーり自信がない。
現に今も頭の隅っこで『けどアレじゃね?もっと激しく攻めた方があっちも気持ちいいんじゃね?』とか思ってるし。
マズいマズい。そりゃマズいって。自重しろレオン。
数日前のクリスマスに仕事が入っていて、性なる夜にナニが出来なくて悔しい思いをしたからって、限りある体力を消耗するな。
これが終わった後、眠りこけるこいつを眺めて楽しむ任務がまだ残ってる。残ってるんだから!
前言は撤回する。だから去るな理性。
動くな腕。手。指。止まれって。止まれ止まれとまれとまレとマ――――
そこから先の記憶はおぼろげで、しかも断片的にしか残っていない。
まるで全てが夢であったかのように。
つまりアレだ。あんまり覚えてないや。
それを自覚してしまい、深く肩を落とす俺と、反比例するかのように元気かつ爽やかな表情を浮かべながら眠るスレィ。
それぞれの抱く感情など知る由もなく、水平線が太陽とキスしながら一日の始まりを告げる。
時計が動き始めたときから一切変わらぬペースで時を刻む。
新しい年が始まった。
以上、投下終了。
MHの世界にクリスマスやら正月やらの季節イベントは存在するのか、ってのはかなり疑問だけれど、気にしたら負けということでひとつ。
フロンティアには両方でイベントがあったようだから、そういう概念はある、のかな。謎。
ハンター大全でもモンスターのサイズ表記はセンチメートルだし、何故か重量は書いてないしで謎の多い世界だなと再確認。
蛇足になるけれど、ヒロイン名「スレィ」が別の作者さんが書かれた作品の登場人物名とかぶり気味なのは、
故意にやったわけではなくて単なる偶然なのですよ。「ティガレックス」を逆読みして、余計だと思った文字を間引いた結果です。一応。
それではまた本編の続きで。
情事といえば確かに情事だが
行為の真っ最中に余計な事ばっかり考えてるなこの男。
人らしいだの寝顔が可愛いだのは入れる前に済ませといた方がいい。
描写されない部分はないのと同じだから、行為の途中に違う描写入れちゃうと
その間はまぐわってないのと同じ事になる。
実際行為の最中に違う事考えるのって相手にも嫌がられることがあるし
エロパロとしての実用性(?)にも問題が出てくる。
>>552 そうか?俺はこれはこれで好きだけどねーw
まぁ人それぞれ好みがあるってことでおk
そしてガユ○師匠にこんな所であえると思ってなかったわww
思わず吹いたwww
何かニ作品も投下されてた〜。
お二方お疲れ様でした。
どちらも個性がはっきり出ていてとても面白かったです、GJ!
人×人のSSがどんどん溜まってきたんでそろそろ放出しようかなぁとか。
久々に来てみたら殺伐しすぎワラタ
小ネタとか投下できるふいんき(ryじゃないっすねサーセン
そういえばまとめサイトの方はもう大丈夫なのだろうか
大分持ち直したよ
さーわしも書かねば
559 :
雪見:2008/01/07(月) 10:12:29 ID:r90IV246
忘れた頃にやってきましたよ。
塗り直してみた。
ttp://www.dotup.org/ 0651.zip コメント欄「狩ります」
パス mhero
期待せずにどうぞ。
次はキリン娘+バルカンさんの足コキ予定。
ひでえなこりゃ
グロ貼るなボケ
しばらく見ないうちに300も進んでたか
こんばんは。12レスほどお借りします。
・MHP設定。 のつもり。
・モンハン色は弱め、読みづらさはG級。
・「集会所三人娘」と繋がる部分はありますがスルーで。
・最近、淫らな言葉が一発変換されるようになりました。
・誹謗中傷は真摯に受け止めます。
では、はじめ。
564 :
霧の女王1:2008/01/09(水) 00:16:19 ID:UI4gedUt
ある日、俺はボウガンだけでG級まで上り詰めたハンターから滅龍弾の話を聞いた。
何でも龍属性をを持つ唯一の弾丸であるにも拘らず反動が大きく、装填数も少ないことから、ほとんど使われることのない可哀想な子なのだという。
最大で6ヒットし、弱点が龍属性である飛竜の弱点に打ち込めば、あのラオシャンロンにも有効なのだとか。
一時期、武器収集家として名を馳せていた(?)俺はそれなりにボウガンを所有しているが、残念ながら滅龍弾の打てるものはない。
使える/使えないは別にして、比較的簡単に作成できる虫系ボウガンのうち、レア度が高いハニーコーマーを作ってみることにした。手持ち素材を調べると、作成には「女王虫の尻尾」が足りない。
俺は虫討伐系のクエストを受注することに決めた。
クエスト受付カウンターを前にして、俺は困ってしまった。
「女王虫の尻尾」が手に入るの虫クエは星4と星6の2つ。道楽ともいえる武器作成でわざわざG級クエを選ぶ必要はない。
しかし、N級・H級カウンターに「可愛い声で啼く赤服」はもう居ない。3か月前に寿退職している。
新赤服は歴代赤服同様に可愛いが、如何せん行動が幼ない。
仕事は十分すぎる程にできるのだが、子犬のように人懐っこい性格は俺を困惑させる。
マシンガントークを展開する赤服の姿を想像して、軽いため息をつく。
N級・H級カウンターを見ると、案の定一人のハンターが餌食となっていた。御愁傷様。
もう一方のG級カウンターを見ると、全身ガレオスUシリーズのハンターがゲリョス討伐クエストを受注している。
青服がクエスト受注のための書類を作成し始めると、ガレオスハンターはクエストボードへ足を向けた。
俺は青服に近付くと「あいつ、ゲリョスのクエストを受注するのか?」と小声で聞いた。
「お一人で紫ゲリョスの討伐を受注されます。」
声の主が俺だと気付くと、青服は顔も上げずに小声で答えた。
「そうか。」俺ははじめて見たときから、あのガレオスハンターが気になって仕方がない。
ガレオスハンターの後ろに立ち、声をかける。
「あんた、紫ゲリョスを討伐するんだろ?俺はこれから星8ランゴスタ討伐戦に出かけるんだが合流しないか?あんたはゲリョス、俺は虫。ゲリョス討伐が終われば勝手に帰ってくれて構わない。どうだ?」一気にまくしたてる。
ガレオスハンターは振り返ると少し考えるように俯いたが、頷いて俺の申し出を受けた。
どんな顔をしているんだろうか?ガレオスヘルムでは顔が見えない。
目元のスリットから見えるはずの瞳すら、集会所の薄暗い照明の下では確認できなかった。
565 :
霧の女王2:2008/01/09(水) 00:18:53 ID:UI4gedUt
狩り場に到着した俺たちは、違うエリアに配置されてクエストをスタートした。
俺は自動マーキングスキルを活用し、ゲリョスのいるエリアへ向う。
ゲリョス討伐に慣れたガレオスハンターとはいえ、手伝いが必要にならないとも限らない。
なにせ、ここはG級の狩り場なのだから。
ゲリョスのいるエリアに到着すると既にガレオスハンターはいた。そして俺はその動きの良さに驚いた。
得物は焔剣リオレウス。ゲリョスの弱点である頭と尻尾だけを狙い、華麗に舞い、確実な一撃を叩き込む。
まるで俺の入る余地はなかった。あっという間にゲリョスを討伐する。
賞賛する間もなく、俺はそのエリアを離れランゴスタを探しに出かる。
無事ランゴスタを50匹狩り終える。
キャンプに戻り成功報酬で運良く「女王虫の尻尾」を受け取った俺は、ガレオスハンターを探す。
しかしガレオスハンターは既にいなかった。俺の申し出に従って、本当に帰ってしまったようだ。
俺は集会所へ戻る途中、出発前に交換したガレオスハンターのギルドカードを取り出す。
そこにハンターの名前はなく、装備と飛竜の討伐数だけが記されていた。
装備は言うまでもなくガレオスUシリーズ。
討伐数は全体的に少なかったが、ドスガレオス・モノブロス・ディアブロスは群を抜いていた。
青服が言っていた通り、ガレオスハンターは砂漠専門のハンターのようだ。
砂漠の飛竜には劣るもの、ゲリョスの討伐数も多いことが気にかかる。
ハンターに飛竜の得手/不得手があるのは当然で、各飛竜の討伐数には偏りがあるものだ。
しかし、砂漠専門のハンターがゲリョス討伐も得意だとは考えづらい。
俺はガレオスハンターの背後にあるものを想像しながら、集会所に戻った。
昼過ぎの集会所は混雑しており、青服は監視のまっただ中にいる。
俺は青服に帰還証明を提出すると、特に話し掛けることもなくカウンターを後にした。
集会所を見回したが、そこにガレオスハンターの姿はない。
-----------------------------------
俺は青服のカウンターでクエストを選んでいた。
未だ手を着けていないゲリョス2頭クエ「猛毒の包囲網」を受注するかどうか、考えていたのだ。
疲れることを知らないゲリョスを、G級しかも2頭同時に相手するなんてげんなりする。
ふと集会所に光が差し込む。誰かが集会所に入ってきたようだ。そこにはガレオスハンターがいた。
俺を覚えているか不安はあったものの、ガレオスハンターに向って手を振ってみた。
ガレオスハンターは俺に目を止めて会釈した。どうやら俺を覚えていたようだ。
566 :
霧の女王3:2008/01/09(水) 00:21:18 ID:UI4gedUt
俺はガレオスハンターを手招きして呼び寄せる。
ガレオスハンターの得物は焔剣リオレウス。
砂漠の飛竜を討伐する際には鬼斬破か蒼刃剣ガノトトスを持って行くらしいので、今日はゲリョスを討伐するつもりなのだろう。
俺は事のいきさつを話して、猛毒の包囲網への誘いをかけてみた。
案の定ガレオスハンターは無言で頷き、一緒にクエストへ出かけることとなった。
開始エリアに着いて早々、俺の目の前にはゲリョスがいた。
ガレオスハンターの華麗な剣捌きを思い出して、同じように攻撃を繰り出す。
頭部と尻尾を狙いながら炎剣リオレウスを繰り出すがうまくいかない。
何とか頭部は破壊したが、あとはいつものように攻撃し、討伐する。
ゲリョスの発光器官はピュアクリスタル・ノヴァクリスタル・ドラグライト鉱石等から成り、体液である狂走エキスが循環することであの光が生まれる。
周囲一面を晦ませる程の光を発生させるそのエネルギーは測り知れない。エネルギーは熱に変換され、触れない程熱くなる。
剥ぎ取りしたくても、討伐直後はそのあまりの熱さに取り出すこともままならない。
報酬としてドラグライト鉱石を受け取る確率が最も高い理由は、クリスタルの類に比べて小さいため冷えるのが早いことによる。
幸運にも2匹が合流することなく討伐を完了した。
自動マーキングを駆使すると、ガレオスハンターは別エリアで既にゲリョス討伐を完了しているようだ。
剥ぎ取りをしているのか、ゲリョスのそばにいる。
俺はガレオスハンターのいるエリアに向った。
沼地は昼夜を問わず霧が発生しており、視界は良くない。それでも今日は晴れているため、ぼんやりと明るい。
ガレオスハンターがいるはずのエリア2に到着すると、霧の中に大きな固まりが浮かび上がった。恐らくゲリョスの死体だ。
だがガレオスハンターが見当たらない。まさかまた一人で帰ったのか?
ゲリョスの倒れている辺りから物音がする。よくよく目を凝らすと、ゲリョスの上にほの明るく光る物体が動いている。
ここは沼地、もしかしてフルフルか?俺は炎剣リオレウスを構えて歩み寄る。
近付くにつれ、光る物体が人であることが分かった。
裸の女だ。しかも俺はその女を知っている。
集会所最難関クエの1つに数えられる「四本の角」の依頼人、「美しい第一王女」、その人だった。
567 :
霧の女王4:2008/01/09(水) 00:22:20 ID:UI4gedUt
俺はゲリョスがはっきり見える距離まで近付いて、ようやく全てを理解した。
女王は倒したゲリョスにまたがり、自慰行為に耽っていたのだ。
周囲の霧が女王の象牙のように白いその肌を反射し、体をぼうっと光らせる。
長い髪は銀色。軽くウェーブがかかりっており、まるでそれ自体が霧のように女王の周りに漂う。
一糸まとわぬその姿は、大理石の彫像のようだ。
俺が名付けてもいいなら、その彫像の名は「霧の女王」。
「ん・・・はぁあ・・・・・・んん・・」
長いまつげに囲まれた瞳は紫水晶のように輝いているが、なぜか焦点が定まらない。
桃色の唇は薄く開かれ、艶めいた声が洩れる。
死んだゲリョスが発するわずかな毒気に侵されたらしく、俺が近付いていることにも気が付かない。
ゴム質の肌の上、かすかな水音を立てながら女王は腰を前後させる。
自らの蜜で滑りを良くなったゲリョスの皮膚にクリトリスを擦り付ける。
どう考えてもあり得ない状況だ。
頭脳明晰で類い稀なる美しさを持つ女王が、俺の前で痴態を晒している。
俺は神聖なものを見ていると同時に、見てはいけないものを見ているような気がして増々頭を抱える。
腰の動きだけでは物足りないのか、女王は両手を自らの胸に運ぶ。桃色の乳首は既に勃っているというのに、毒気のせいで力が入らない。
眉根を寄せ、苦しげな表情を浮かべる。
暫く逡巡した女王は上半身を倒してゲリョスに乳首を当てると、再び前後運動を始めた。腰の動きで乳首が刺激される。
クリトリスだけでなく乳首さえもゲリョスに捧げる。
声は増々艶を帯びる。俺はいても立っても居られなくなった。
俺は女王に近付くと跪き、女王の手をとって甲に口付けた。女王に謁見する際のエチケットだ。
美しい紫の瞳に、俺の手助けが必要か問いかける。
女王は動きを止める。俺を見下し目を細める。どうやら許可は下りたようだ。
俺は立ち上がると装備品の全てを脱ぎ捨てアンダーウェアだけになると、女王の後ろに腰掛けた。
女王の二の腕を掴みその体を起こすと、俺の胸にその背中を密着させる。
女王は、なされるがまま俺の胸に体を預けた。
568 :
霧の女王5:2008/01/09(水) 00:24:00 ID:UI4gedUt
女王の手を取り、刺激を求めている胸にその手をあてがう。
女王の手に俺の手を重ね、指の間から顔をのぞかせる乳首に人さし指をかける。
俺は女王の手のひら越しにゆっくりと力を込め、胸を揉む。人さし指で乳首を刺激する。
女王は少し仰け反り、俺の肩に頭を押し付ける。
瞳は軽く閉じられ、長いまつげを震わせる。
裸の女王を見た瞬間に軽く勃起してしまった俺は、間近にある女王の首筋に唇を近付ける。
しかし俺の意志で女王を穢すことは許されないような気がした。俺の使命は女王を感じさせることだ。
ゲリョスの毒が俺にもまわったのだろうか?普段は己の体に従順な俺がどうしたことか。
女王に快感を与えるためなら、俺の性欲なんてむしろどうでも良いと思った。
しかし、体は正直である。
女王の尻に密着したモノは硬さを増し、痛みさえ感じられるようになっていた。
耐えきれず、まるで挿入しているかのように腰を動かす。
ヌルヌルになったゲリョスの皮膚の上、女王は前に押し出される。
敏感な部分を刺激され、増々潤滑油は供給される。
俺が腰を動かせば、ゲリョスが女王を犯す。
間接的に女王を穢しているいることに罪悪感を感じながらも、俺は動きを止められない。このくらいは許して欲しい。
ゲリョスの上を女王がスライドするたび、淫らな水音が響き渡った。
女王の指間からこぼれる乳首を、人さし指だけでなく親指もつかって摘まみ上げる。
俺はもう腰の動きを止められなかった。
徐々に早まる動きに、女王は体を仰け反らせて息を荒げる。
俺のためじゃなく、女王のためだけに腰を動かした。より早く、より強く。
「あぁっ!」
女王は全身を震わせると身震いし、完全に力を失った。
俺の胸に崩れ落ちる。どうやら失神したようだ。
俺は腕の中にいる美しい女王を、骨が折れる程抱き締め、泣叫ぶ程に突き上げたい衝動に駆られた。
邪悪な考えを追い払うように頭を振ると、ガラス細工を扱うようにそっと女王を抱き上げ、キャンプまで静かに運んだ。
569 :
霧の女王6:2008/01/09(水) 00:24:57 ID:UI4gedUt
女王をベッドに横たえると、タオルをキャンプ裏の湖にひたした。
この湖は水質が大変良いことで知られる。透明度が高く、少し冷たいその水は非常にうまい。
霧が立ち込める中、飛竜だけでなくブルファンゴも多く生息するこの地を訪れるのはハンターだけ。
汚染原因である人があまり立ち寄らないため、変わらぬ美しさが保たれているのだ。
俺はタオルをしぼってベッドに戻ると、汗と土ぼこりにまみれた女王の顔を拭う。
先ほどの艶かしさが嘘のように、高潔で美しい顔がそこにあった。毒気は抜けたようだ。
俺は安堵のため息をついて、女王の体が冷えないようにシーツをかけた。
俺は頭を整理した。
女王が目覚めるまでにしなければならないことはたくさんある。
まずは女王と俺の武器/装備品の回収。
そして女王が目覚めたときの言い訳。これは厄介だ。
とりあえず、覚えていないといえば嘘をついて適当に取り繕う。覚えていても深く詮索しない。
ゲリョスの毒気に冒された上での行為を1から10まで説明する必要はないはずだ。
そして最大の問題は、これ以上にない位張り詰めた俺のブツの収拾である。
収まりそうな気配を見せても、女王の淫らな姿態を思い出す度にブツは硬さを取り戻す。
俺はまたため息をつくと、とりあえず装備品の回収に向った。
女王をキャンプに運び込んから15分ほど経っただろうか。
そろそろ起きてもらわなければ時間切れでクエスト失敗だ。俺はベッドに近付くと女王を見つめた。
この「美しい第一王女」が、なぜ死んだ飛竜で自分を慰めなければならないのか。
忘れたくても忘れられないあの光景がよぎる。またしても股間が張り詰める。帰ろうにも装備が着けられない。どうしたものか。
ブツブツと独り言を呟いていると、女王の目がゆっくりと開かれた。
美しい紫の瞳は聡明さを取り戻している。周りを見回すと、ゆっくり起き上がった。
「女王、何があったか覚えておいでですか?」ベッドのそばに跪き、顔を伏せる。これもエチケット。
答えもなく空白の時間が過ぎる。俺は恐る恐る女王の顔を窺った。
「覚えています。」
「そうですか。」次の言葉が浮かばず、今度は俺が空白の時間をつくり出す。
「望んでしたこと。そう言えば・・・軽蔑しますか?」
顔をあげ、俺は言葉を失った。ちょっとアンタ何いってんの?
570 :
霧の女王7:2008/01/09(水) 00:25:57 ID:UI4gedUt
女王の瞳には一点の曇りもない。「望んで」とはどういうことなのか?
見つめる女王の目から光が消える。その姿は本物の彫像のようだった。
「砂漠専門のハンターであるあなたが、なぜゲリョス討伐を?」飛竜相手の自慰行為に至った理由を遠回しに問いただす。
聞き流すべきところなのに、反射的に言葉が出てしまった。生来のいじめっ子体質が憎らしい。
女王はシーツを軽く握ると、苦しみに顔を歪めて話はじめた。
「砂漠の民を守るために、私は強くなりたかったのです。」
・・・・・・・・・・
なんとかH級まで辿り着いた。身分を隠すため男性用の装備を身に付け、女王はたった一人でここまできた。
砂漠の飛竜の中で最強といわれる黒いディアブロスを討伐するため、一日も早くG級に昇格しなければない。
しかしH級で思わぬ障壁が立ちはだかる。砂漠と違い視野の狭いジャングルでのゲリョス戦で繰り返し失敗していたのだ。
立ち振る舞いを見直すため、ゲリョス討伐を得意とするハンターに同行する。
黒い瞳のそのハンターは無口だったが、少年のような純粋さと父親のような優しさを併せ持つ男だった。
女王が一人でゲリョス討伐ができるようになるまで、ハンターはまるで影のように付き添った。
抗いがたい運命だった。女王はハンターに恋をする。
ハンターもまた同行者が女であることを知り恋に落ちる。
二人はゲリョス討伐クエストを受注することで逢瀬を重ねた。身分を公にできない女王はそうする他なかったのだ。
相手が何を求めているのか、瞬時に分かってしまう二人に言葉はなく、お互いの名前すら知らない。
早々にゲリョスを討伐すると、クエスト終了の最後の1秒まで相手を求めて体を合わせた。
だがある日、飛竜調査員としても有能だったそのハンターは、ギルドから灰ラオシャンロンの調査を命ぜられる。
すぐに戻るといったハンターは、帰ってこなかった。それは抗いがたい運命だった。
・・・・・・・・・・
「もう一人では生きて行けないのです。でも砂漠の民達を思えば、死ぬことも許されない。
気が付けばいつもゲリョス討伐を受注し、あの人が残した焔剣リオレウスで戦っていました。
あの人が与えてくれた悦びと死ぬための猛毒をゲリョスに求めました。歪んだ愛、とでもいいましょうか。」
女王は自嘲的な微笑みを浮かべた。
だが、すぐにその顔から表情が失われる。
「いっそあの人を忘れられたら、こんなつらい思いをせずにすむのに。」
女王は一滴の涙も流すことなく、かすれた声でそう言った。
571 :
霧の女王8:2008/01/09(水) 00:27:32 ID:UI4gedUt
俺はベッドに近付くと女王の髪を撫でた。「歪んだ愛があなたを救うとは、俺には思えないね。つらいならなおさら。」
女王の肩に手を置く。「それに、あいつを忘れるなんて無理でしょ?」女王は体を強ばらせた。
「なら忘れなければいい。あなたに刻み付けられたあいつを忘れなければいい。」女王は顔をあげる。
女王は泣きそうな子供の顔で俺を見る。「今のあなたを見たらあいつだって悲しいだろうさ。」
女王は少し俯く。「あなたもそれを分かっているはずだ。だから俺に止めてもらいたかったんでしょ?」俺は続ける。「歪んだ愛は今日でおしまい。」女王は助けを求めるように俺を見た。
「一体、どうすれば・・・。」
俺は女王の側に腰掛けた。「心が寂しければ、あいつの笑顔を思い出せばいい。」
俺は女王の頬に触れた。「体が寂しければ、俺がいるじゃないか!」戯けた口調で言い放つ。
女王は目を見開いたが、ゆっくりと微笑んだ。良かった、冗談は通じたみたいだ。
俺は昔を思い出した。「泣きたければいつでも泣けばいい。無駄に思えても、一頻り泣けば落ち着くもんだ。」
「私は・・・あの人の名前を知らない。あの人の名を呼ぶことすらできな・・・」
女王の言葉が終わらぬうちに、重ねるように俺は言った。「グレン。俺の親友だった男さ。」
「グレン・・・。グレン・・・・・。」
女王はその名を何度も繰り返すと、大粒の涙をポロポロと流した。頬の曲線を光の筋が流れる。
これまで誰にも言えず、一人で抱え込んでいたんだろう。女王はやっと解放されたのだ。
俺は女王の背中を優しくさすりながら、グレンの事を話した。
とても優秀なハンターだったこと。人一倍勉強熱心で飛竜の弱点を研究していたこと。無口だけれど意見を求められれば言葉少なに的確な答えをくれたこと。その微笑みは女だけでなく男までも魅了したこと。あいつの周りには自然と人の輪ができていたこと。
俺が話終わる頃、女王はまだ少し泣いているようだったが、その瞳には光りが差し、口元には微笑みが浮かんでいた。
女王の涙を拭い、「さぁ戻りましょうか。女王陛下。」俺はベッドから立ち上がった。
女王は頷いてこちらを見ると、驚いたように手で口元を覆った。
丁度女王の目線の先には、立ち上がったことで勃ち上がったもう一人の俺があった。
やべ、忘れてた。
投下紫煙
573 :
霧の女王9:2008/01/09(水) 00:29:12 ID:UI4gedUt
「私がゲリョスで・・・、私のせいで、こんな・・・、ごめんなさい!」
女王は困惑している。そりゃそうだ。自分を立ち直らせた男がこんな状態って。そりゃ酷い。
だがちょっと待って欲しい。あんなイイモノ、じゃなくて凄いもの見せられて勃たないほうがおかしい。こんなに気まずい思いをしても勃っている自分を誇りに思うよ?
とりあえず素直に謝る。「すみません。あまりにも強烈だったので、つい。・・・・って、あぁ?!」
俺は目を疑った。張り詰めたアンダーウェアを女王が人さし指でなぞっている。上から下、下から上へ。
唖然とする俺を後目に、女王はアンダーウェアをずり下げると、天を向くモノをそっと掴んだ。
「あなたは私を慰めてくれました。今度は私が慰める番です。」
清らかに微笑むと女王はそういった。ちょっと待って!慰めるの意味が前後で変わってるって!
女王はヌメリを纏う先端部分に親指をあて、ゆっくりと円を描いた。「ちょっと待ってください!あなたはそんなことする必要ない!ほら!汚れるからその手を離して!」
ハンターとは思えない細く美しい指で俺のモノを扱きながら、女王は飛竜の上で腰を振っていたときと同じ顔で俺を見る。
それはとても淫らな笑顔だった。俺は震える。やめて欲しくない。
女王の手は一体何度往復したのだろうか?俺は堪えきれず射精した。
白い液体は女王の手だけでなく、その美しい顔をも汚した。
-----------------------------------
「そんな夢をみて、だ。今朝は夢精してたんだ。」俺は情けない話をしていた。
ピロートークにしては長過ぎる俺の話を、ところどころ吹き出しながら聞いていた青服は、ついに堪えきれず大笑いする。
5分程笑い転げていただろうか。「そんなに笑わなくても良いだろう?」俺は少しむくれる。
「ごめんなさい。間違いだらけの妄想だったから。ふふっ、まず一つ目。ガレオスハンターは男。」
俺は驚いた。「そうなのか??見目麗しき高貴な女じゃないのか?!」その問いに青服は頷いた。
「女と見まがうばかりに端正で美しい顔だち、だけど男。そして砂漠の国の王族関係者で民を守るためにハンターをしている。この部分は当たらずとも遠からず。ゲリョス討伐はただの気分転換。」
なんて事だ。俺は男にここまで執着していたというのか。青服はさらに追い討ちをかける。
「二つ目。本物の『美しき第一王女』は50歳。とても美しい人だけれど50歳。」
俺はもう立ち直れそうにない。
574 :
霧の女王10:2008/01/09(水) 00:33:33 ID:UI4gedUt
「三つ目、あなたの親友『グレン』は生きてる。」
そうともグレンは生きてる。俺のくだらない話を、いつも笑いながら黙って聞いてくれる。
グレンは本当に良い男。夢の中で女王に話したことは全部本当だ。
しかし1点だけ違うところがある。グレンは女を愛さないのだ。いや男が好きということじゃない。
『ハンター稼業は死と隣り合わせ、そんな道を選んだ俺に女を愛する資格はない』んだそうだ。
冷静な奴のこと、いくら女王のように美しい人が現れても衝動的になることはない。だろう。多分。
だが俺は、グレンが女王のような一途に愛せる女と一緒になることを望んでいる。奴にはその価値がある。
一方で、俺はこう思う。グレンの言う通り、ハンター稼業は死と隣り合わせの過酷な世界だ。だからこそ、愛する人と共に生きていたいと。
ククっと笑う青服の声で、現実に引き戻される。
「四つ目、夢精で目が覚めるところ。昨日は村の道具屋さんに手を出しているはずなのに。」
迂闊だった。青服の監視は集会所だけのものと勝手に解釈していた。魔の手は村の隅々にまで及んでいたようだ。気をつけねば。落ち込む俺の頭を青服が撫でる。
ふと思い出したように、俺は質問を投げかける。「俺が死んだら、あんたは霧の女王のように苦しむか?」
「・・・多分、苦しまない。ハンターのあなたが死んだとしても、それは想定内のことだから、」
G級受付嬢は知っている。ハンター稼業がいかに厳しい職業なのかを。
冗談を言いながら手を振って狩り場に向ったハンター達が、もの言わぬ姿になって帰ってくることを。
その悲しみを。その絶望を。
ニヤついていたはずの青服が真剣な顔になる。悲しげな瞳がが俺の目を捉える。
「でも、あなたは死なない。」
俺は死なない?不思議そうな顔をしている俺に、青服は微笑む。
「ココット村に女がいる限り、女を抱くために必ずあなたは帰ってくるから。」
青服はどこまで俺のことを知り尽くしているというのか。「ごもっとも。」俺は青服を抱きしめ、その頬にキスをした。「素晴らしい回答だ。褒美とらせる。」青服の耳に囁く。
青服は少しうんざりした顔を向けたが、諦めたように苦笑した。
575 :
霧の女王11:2008/01/09(水) 00:35:11 ID:UI4gedUt
夢の話には意図的に省略した部分がある。それは女王とグレンが快楽を貪る部分。
さすがにそこまで話せば、青服はドン引きしてしまうだろう。お前の頭にはエロしかないのか、と。
俺はグレンの真似してみることに決めた。「ご褒美はちょっと短め。でも濃厚。」青服に前置きする。
青服は何をされるのか分からず、怪訝な顔を向ける。
俺は不敵な笑みを浮かべて青服をうつ伏せにすると、腰を引き上げた。
その素晴らしい眺めを存分に楽しんだ後、先端を尖らせてその存在を主張している部分に触れる。
「はぁん!」
青服は悩ましげな声をあげる。その声だけで十分だった。
腰を掴み素早く青服にモノを差し込むと、上体を倒して青服の背中に押し付ける。背中や首筋にキスの嵐を浴びせ、柔らかい胸を揉む。
いつもよりハイスピードな腰の動きに青服は艶めいたため息を洩す。
俺は青服の背中に唇を這わせて吸い付き、その白い肌に赤い印を付けていく。
読めない展開に青服は溺れ、俺のモノを締め付ける。でも、まだいかせない。
俺は青服の肩に噛み付く。
「痛っ!!」
鋭い痛みに声をあげ、青服は快楽の波から引き上げられる。「まだいっちゃだめ。」俺は意地悪く告げる。
夢の中の親友は、こうして何度も女王を焦らしてやがった。鬼畜な奴だ。
俺は青服の乳首を転がすように摘みながら、腰を突き上げ続ける。背中や首筋に赤い印がどんどん増える。
「ぁぁぁぁ・・・・・もう、いいでしょう・・・??いかせて・・・!」
再び青服の中が俺を締め付ける。俺はまた青服の肩に噛み付く。「まだ、だめ。」
俺は同じことを何度も繰り返した。悦びを与えておきながら、最後の楽しみはお預けにする。
グレンが本当にこんなことをするのかどうかは怪しいところだ。俺の願望が夢に現れただけかもしれない。俺はキチク。
「・・・お、おねがい。もう・・・だめ・・・なの。」
何度目かのお預けを食わせたとき、青服は涙を浮かべて懇願した。これ以上続ければ、出入り禁止になりそうだ。「じゃ、一緒にいこう?」
力なく頷いたのを確認すると、俺は力を強めて胸を揉みしだき、腰を叩き付けるように深く突き刺した。
「・・・・・・・・!!!!」
青服が声にならない声をあげる。俺は痛いほどの締め付けに耐えながら、青服の耳元に口を寄せた。
「愛してる。」
今まで誰にもいったことのない言葉を口にする。
その言葉の持つあまりに甘美な響きに全身の力が一気に抜け、俺は青服を満たした。
576 :
霧の女王12:2008/01/09(水) 00:39:20 ID:UI4gedUt
「ごめん。ご褒美、凄すぎた。」軽く息を弾ませながら、俺は謝った。
青服は何も言わずにベッドの上を転がり、俺に背を向ける。こりゃ本当に出入り禁止だな。
俺は体を起こすと恐る恐る青服の顔を窺った。青服は、震えながら静かに泣いていた。
「私を霧の女王のようにしたくないなら・・・死なないで。」
いつもはクールな青服の涙に驚く。俺が死んでも「苦しまない」と言ったのは強がりだったのか。
「わかった。」俺は背中から青服を抱き締め、泣き止むのを待った。
「知ってるか?」震えが止まった青服の後頭部を見つめながら俺は言った。
「この村の女のためなら、例え這ってでも俺は帰ってくるんだぜ?」
青服がゆっくり振り向く。涙はもうない。いつものような冷たい視線で俺をみた。口元には微笑み。
「それに、あんたを他の男に抱かせるなんて、まっぴら御免だ。」俺がつけた噛み跡に口付ける。
「私は男に抱かれるわ。あなたの生死に関わらず。」
そうだな。俺の死が青服を縛ることになっては困る。優しい男はゴマンといるのだから。青服には幸せになって欲しい。
顔をあげると青服と目が合った。何、その淫らな微笑みは。俺は青服の言葉を咀嚼する。
ちょっと待て。「俺の生死に関わらず」ってどういうことだ?俺以外に青服をヒーヒーいわせるヤツが、今もいるということか!?
「明かりを消して。」
スタンした俺に声をかける。そろそろ青服の寝る時間だ。時間制限付きクエストで鍛えられた俺の体内時計が判断する。
俺は燭台のろうそくを一気に吹き消すと、青服の隣で横になる。俺の首に腕をまわすと青服は静かに目を閉じた。
俺の頭の中で村中のハンターの顔がグルグルまわる。青服を抱く男は誰なのか?あいつか?それともヤツか?
柄にもなく思いつめ、闇を見つめて歯ぎしりする俺の隣で、かみ殺した笑いが聞こえた。
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G級受付嬢は知っている。どんなに危険だと分かっていてもハンターを引き止める術のないことを。
己の力を試すため、愛する人を守るため、一財産築くため、珍しい武器をつくるため。様々な想いを胸に秘めて狩り場へ向うハンター達。
死をも恐れず、意気揚々と出発するその姿は生命感に溢れ、光り輝く。
そんなハンターを受付嬢達は最高の笑顔で送りだす。生還することを願って。
『ご武運を!』
577 :
「俺」の父:2008/01/09(水) 00:45:20 ID:UI4gedUt
以上です。
「赤髪」の後、スレストッパーになってました。すみません。
うpし過ぎたので、これで打ち切ります。
初めて書いたのですが、エロよりもそこに至る過程にこれほど苦労するとは思いませんでした。
「清楚な女性がゲリョスの死体で擦り付けオナ二ー、なんてネクロマンティック!」
とか考えて書きはじめたのですが、おかしなことに「集会所三人娘」が先にできてました。
GJを下さった皆様、本当にありがとう!モチベーションあがりました!
このスレは1代目からずっと見てます。
「フルフルと一緒」で泣きそうになったり、「ドドブラ(後編で人になる)x女ハンター」で切なくなったり。
書き手のみなさんの表現力や豊富な語彙には驚かされます。ただのズリネタ(?)に留まらぬ良作ばかりで。
特に「珍味の人」。もうあなたの作品を何度読み返したか知れません。
次回作お待ちしています。ああ催促ではありませんよ。願望です。
>>480 その設定いただきます。構想はできあがりました。暫くお待ち下さい。
>>552 「エロパロとしての実用性」なんか凄い説得力。勉強になります。
長くなりました。それではROMに戻ります。
【引き続き、モンハンのエロパロスレをお楽しみ下さい。】
>577
GJ!そうか・・・・しばらくROMに戻るのか。
いつでも待ってるぜ。
ところでみんなはボス系モンスターが擬人化した時のイメージってどんなん?
ところでそろそろ次スレ立てたほうがいいんじゃないのか?
もう496KBにまで達してるぞ。
>>577氏
この一言に尽きる、GJ!!
いやむしろグッドジョブ!!
自分も1代目からずっと見てます。
「フルフルと一緒」シリーズは本当に感動しました。
実は少し目から汗が出たのは秘密ですが。
これからも良作を待っております。
>>577 しばらく遠ざかっていたら、なかなかどうして素敵なSSが
受付嬢をそういう目で見た事なかったから新鮮だった。
つきましては番外でいい、是非ポッケ村のツンデレハンターを食っちゃう話を書いてくれw
ネタ出しじゃなくリクエストなんてする奴ひさしぶりに見た
いいもの読ませて貰ったぜ……!
585 :
教官:2008/01/09(水) 22:51:50 ID:9UNLgtSy
うめうめ
うめうめ
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/ ... / ̄ ̄ ヽ \
/ / ',.. ゙!
i' ..{0} /¨`ヽ {0} ゙!
i' . l ヽ._.ノ i ゙!
| . |. `ー'′ | | ひゃあああんッ!!!
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〉、 \ _ 山 __,/ ,r'、
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彡へu ゙T' ‐.、____ ,.‐ イ" ⊂、 〈
ヽ、 /. リリ
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ヽ ヽノ、◎ _/ ̄ ノ 私がイャンクックです
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∠ 人_ \`´/ |
∠_/ 人  ̄ _ノ
∠ __ノノ ヽ、_ /
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ヽ_;:;:ノ |/ _ / 青かったりします
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