1 :
名無しさん@ピンキー:
■お約束
・sage進行でお願いします。
・荒らしはスルーしましょう。
削除対象ですが、もし反応した場合削除人に「荒らしにかまっている」と判断され、
削除されない場合があります。必ずスルーでお願いします。
・趣味嗜好に合わない作品は読み飛ばすようにしてください。
・作者さんへの意見は実になるものを。罵倒、バッシングはお門違いです。議論にならないよう、控えめに。
■投稿のお約束
・名前欄にはなるべく作品タイトルを。
・長編になる場合は見分けやすくするためトリップ使用推奨。
・投稿の前後には、「投稿します」「投稿終わりです」の一言をお願いします。(投稿への割り込み防止のため)
・苦手な人がいるかな、と思うような表現がある場合は、投稿のはじめに宣言してください。お願いします。
・作品はできるだけ完結させるようにしてください。
SSスレのお約束
・指摘するなら誤字脱字
・展開に口出しするな
・嫌いな作品なら見るな。飛ばせ
・荒らしはスルー!荒らしに構う人も荒らしです!!
・職人さんが投下しづらい空気はやめよう
・指摘してほしい職人さんは事前に書いてね
・過剰なクレクレは考え物
・スレは作品を評価する場ではありません
優しくて美人で巨乳のキモ姉がほしいです。
>>1の方、乙です。
時に、皆様に質問。
このスレ的には、世界観は現代以外・異世界やファンタジーでも構わないのでしょうか?
>>8 いいんじゃね?
でも、近親と愛し合う事が禁忌って世界じゃないと、まずいだろうな。
「皆さーん、病んでますかー!!」
「それでは早速、いってみよ〜!!」
「ハイ!」
「1・2・3・ヤン!!!」
「キモ姉キモ妹」「ほのぼの純愛」
「嫉妬に修羅場に三角関係」
ドキドキ 止まらない
「依存」「空鍋」「包丁一閃」
「お兄ちゃんどいてそいつ殺せない!」
ズキズキ 恋わずらい
多分……
ピタッと指が 触れるたび
胸が 子宮が 疼くのよ
ワ・タ・シ・ダ・ケ・ミ・テ
カイカン 愛の拉致監禁
I Want You
熱い私の処女を今すぐ奪ってよ
誘って 触って 一服盛って 押し倒して
心も 身体も 全部わたしだけのもの
眠らせないの セツナイ刺激 All Night Long
kill the rival
きっと報われる 素敵な私 女の子
声も吐息も視線も
生殺与奪も わたし次第
愛しております
前世から 来世も 未来永劫!!
「好きだよ。……大好き!」
ヤンデレヒロイン!
「泥棒猫、殺してやるぅぅぅぅっっっ!!」
「ヤンデレヒロイン! ヤンデレヒロイン!」
「雌豚屠殺 ヤンデレヒロイン!!」
「ヤンデレヒロイン! ヤンデレヒロイン!」
「幼さんハンバーグ ヤンデレヒロイン!!」
「ヤンデレヒロイン! ヤンデレヒロイン!」
「姉妹母従姉妹(アネウトハハイトコ) ヤンデレヒロイン!!」
「ヤンデレヒロイン! ヤンデレヒロイン!」
「貴方に依存 ヤンデレヒロイン!!」
「ヤンデレヒロイン! ヤンデレヒロイン!」
「SHUFFLE!スクデイ ヤンデレヒロイン!!」
「ヤンデレヒロイン! ヤンデレヒロイン!」
「流鏑馬一発 ヤンデレヒロイン!!」
「ヤンデレヒロイン! ヤンデレヒロイン!」
「ヤンデレヒロイン! ヤンデレヒロイン!」
「ヤンデレヒロイン! ヤンデレヒロイン!」
「ヤンデレヒロイン! ヤンデレヒロイン!」
「最後にもいっちょー、ハイ!」
「ヤンデレヒロイン!」
住人被ってる所でコピペされてもなぁ……。
どう反応しろと、
正直つまらん
愛想レスをする気にもなれん
勝手にOPテーマとか調子に乗るな
>>9 逆に親近以外と愛し合うのが禁忌な世界もありじゃね?
当然弟と結婚出来ると思っていたキモ姉に「俺は禁断の愛(非血縁)に生きる!」と言い放つ弟。
ミコミコナースなつかしいなw
16 :
名無しさん@ピンキー:2007/06/14(木) 23:19:43 ID:aurYgxR3
OPテーマGJです。
>>16 多分嫉妬スレにあったやつをコピペしただけだろうからGJはしなくていいと思う
聖のお兄様
綾
虎とあきちゃん
毒にも薬にもなる姉
続きまだすか? そろそろ破裂しそうっす!
宇宙人妹を忘れないで上げてください
ごめん…破裂しそうで焦ってたんだ
宇宙人妹
まだすか?
あれ・・・?
保管庫が見れないんですが、もしかして私だけですか?
あ、今度は見れた。
すいません、勘違いか何かだったみたいですorz
保管庫更新きてるな。
管理人様、いつも乙です!
キムスメってのはないのかなぁ・・・
自分の子供だとしゃれにならないか
キモウト兼キムスメで
キモウトから生まれるキムスメ
父兼兄の主人公を取り合い殺し合い
>>27 ロリは、犯罪だよな!
妹だって、半分犯罪なのにw
個人的には身内全般扱ってもいいと思うけどな。
推奨はしないが否定もしない感じで
母ネタや娘ネタ書きたいひともいるかもしれんし
>>29 それやるとどんどん関連スレとかぶっていくぞ?
門を狭くしても良くないぜ
もう今さらじゃね
少なくとも姉、妹、嫉妬、ヤンデレとかぶってんだし
娘スレはないし母だけじゃね
33 :
名無しさん@ピンキー:2007/06/16(土) 19:00:05 ID:LmQcRzCS
菊門なら狭いほうがいい
34 :
名無しさん@ピンキー:2007/06/16(土) 19:01:51 ID:ka+C/aY3
でもここはキモウト・キモ姉を掲げてるんだし、せめてヤンデレスレにしとけば無難じゃね?
どうせここの住人はみんなそっちも見てるんだし
>>32 それなら嫉妬かヤンデレスレに投下すればいいじゃない
分かったから同じことを言わなくていいです><
てか、ここは嫉妬スレの荒らしを引き寄せるために作ったスレじゃなかったけ?
ここは荒らしホイホイだったのか
それは一スレ目の事だから、ぶっちゃけ、このスレはもう関係ない……はず。
>>38 住人の一人が言った事を真に受けてどうするよ・・・
いいこと思いついた。
姉・主人公・妹の三人兄弟って設定だったらキモ姉・キモウト分を両方補充できるんじゃね?
>>42 主人公のストレスが相乗効果で通常の3倍になりそうですが、楽しそうですね。
投下をお待ち申し上げます
互いにキモい姉妹の百合(キモウト→←キモ姉)はスレ違い?
>>45 百合に否やはないが、両方ともキモだと単なる超バカップルになるおそれは?
それさえ大丈夫なら俺は文句ない。他の皆さんは知らないけど
キモ姉&キモウト小説が読みたい・・・
ようするにキモ姉&キモウトの二人が登場して欲しいんだよな・・
キモ姉キモウト単体では得ることができない禁断の味を俺達は食えるかもしれないな
48 :
45:2007/06/16(土) 23:28:31 ID:D7DBcyXR
あ、そうか互いにだとバカップルになってしまうな
とりあえずキモウト→姉(普通)な百合で書き始めてみる
反対あるようなら投下は控えます
49 :
42:2007/06/16(土) 23:43:29 ID:bkfkxvon
ここでいうキモって性格と行動のキモさの事だよね
顔がキモいキモ姉&キモウトの話ってありなんだろうか?
百合は専門板があるんだからそっちでやれよといつも思う
>>50 確認しておきたいが、お前はそれで萌えられるのか?
俺は無理
美人万歳
あれか
ピュアメールの妹みたいなもんか
本音を言うと・・
キモ姉がブラコンでありシスコンでもあり
弟と妹の事を大切に想い
キモウトは
お兄ちゃん子であり、お姉ちゃん子でもある。
二人に甘えるのが大好き
その基本設定で作品を書けば・・
萌えるな・・
特に妄想してしまった俺がw
>>50 それは勘弁だね・・・、行動がきもいだけでも兄または弟に引かれるってのに
そんな報われないのを書くなんてさ
キモくたって仲のいい姉弟兄妹は羨ましいな…ハァ
>>8 で言ったような感じのものがやっと一つ書き上がったので投下。
ね、眠い。眠さこらえて推敲したんでかえって変になっているやもしれません。
エロくないよ!
夕方。
カーテンの隙間から入る細い斜陽に照らされた、赤と薄い黒が溶け合う我が家の一室。
オレは、妹と向き合っていた。
「兄さん」
オレを呼ぶ声が、緊張の分だけ重く感じられる。
「とうとう、来ましたね」
「・・・ああ」
答える声も奇妙に喉にへばり付き、篭ったようになる。
向かい合うオレと妹。
挟まれるテーブルの上には、夕日に照らされてなお青い色をした紙切れが載っている。
その色から取って、通称『青紙』。正式名称を、婚礼督促状。
我が国の法に曰く、
『明日の国力を担う次代の若者を生み育てるは、これ国民の義務なり』
超少子化のこの国がもう10年も前に決定した、国を保つための国策。
数十年前に比べて人口が半数を割った国が、恐怖と不安と危機感に迫られて作った法。
生まれてから20年の間、つまり21歳の誕生日を迎えるまでに結婚すること。
そして25歳までに子供を設けること。
国民の三大義務に追加された、今の四本柱の一角。
達成できなければ刑罰の対象。逆らった者、逃げた者には特に重い懲役が課され、
でなくとも囚役中に強制的に精子を搾り取られ、卵子を犯される。
過去に例の無い悪法とされる一方、国の余りの窮状に止む無しともされた法律だ。
時限立法とされた一夫多妻制容認特別法を可決して20年、
なお止まらない少子化に歯止めを欠けるための苦渋に塗れた一手。
「それで、兄さん。どうします?」
「・・・・・・」
そして、オレはつい先日に成人した。
これで今日から大人と喜んだ矢先に、この『青紙』。
25歳までに子供を設けよという『赤紙』に比べればまだマシ、だが。
「どうしようもないさ。今まで通りだ。
頑張って彼女を作る。そして結婚してもらう」
オレには、彼女がいたことがない。
つまり惚れた相手と結ばれたことは一度も無い。
告白されたこともあったが、
返事を待って貰っている間にいつも急に気が変わったと言ってそそくさとオレから離れて行った。
そして彼女いない暦20年。タイムリミットまでもう一年もない。
戸籍上だけの偽装結婚という手もあるが、
子供を作らないと結局は更に重い刑罰の対象だし、何より相手がいることなので世間的には最終手段とされている。
「それが駄目だった場合は?」
「それこそ、どうしようもねーよ。
今度の誕生日までに結婚出来なければ刑務所行き。
偽装結婚するよりは、強制されてでも子供作って出て来た方が良いからな。
刑罰と言っても、刑務所で宛がわれた相手と子供作ればいいんだし。
身ごもった相手と結婚か、最低でも子供を育てる義務は課されるけど、早ければ一年くらいで出てこれる」
「そうですか。でも、兄さんはそれでいいんですか?」
「・・・・・・」
沈黙。
いいはずはない。だが仕方が無い、とも思う。
納得は出来なくとも。事実、どうしようもないのだから。
言葉が出ない。
黙り込む間にも、部屋に差し込む光は弱く、闇は濃くなっていく。
「兄さん」
「・・・?」
沈黙を破ったのは、妹の方からだった。
何だ、と視線で答える。
「私は兄さんのことが好きです。
それはもう、重度のブラコンと言われるくらいに。そのことは知っていますよね?」
「ああ」
知っているも何も無い。
妹は昔から、それこそ今になっても異様にオレに懐いている。傍目にも心配される程に。
妹がブラコンだなんて、まさしく今更だ。
「それがどうした?」
「いいえ、別に。ただ────────兄さんには、それを改めて認識して欲しかったので。
私が兄さんを好きだと。兄さんを愛しているのだと。誰よりも。
それだけですよ」
すっ、と妹が立ち上がる。
言いたいことは言ったとばかりに歩き出し、扉の奥へと消えた。
「何なんだ・・・? いやそれよりも。これから、一体どうするか・・・」
暗くなった部屋で一人。オレは頭を抱えた。
自室へ戻り、扉を閉じる。素早く施錠。
内と外を完全に遮断し、私はベッドに倒れこんだ。
「ふふ、うふふ。うふふふふふふふふっ!」
シーツを握り締め、込み上げる歓喜を噛み締める。
抑え切れぬ嬉しさが喉奥から漏れ出すが、止まらない。
「兄さん・・・兄さん、兄さん兄さん。
兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さんっ!」
どうしようもなく唇が開き、顔に笑みを刻んでしまう。
幸福が私を包み込み、待ち望んだ未来が私を祝福していた。
「うふっ! ふふ、うふふふふっ!
うふふっ、うふっあはははははははははははははははははははははははっ!
あはっははははははははははははははははははははははははははははっ!!」
今日。
兄さん宛に婚礼督促状が届いた。
それ自体は分かっていたことだ。そんなことは決まっていたことだ。
にも関わらず、飛び上がりたくなる程に嬉しい。
私は兄さんが好きだ。大好きだ。はっきりと異性として愛してる。
ブラコンだ何て、そんな兄離れできないだけの乳臭い女と同じ半端なモノとは一緒にして欲しくない程に。
頼れる兄、程度のモノではない。
兄さんに代わりはいない。兄さんは唯一だ。それが欠けたら、他の何物でも埋めることは出来ないくらい。
私にとっては兄さんが最上で、絶対。
兄さん以上の存在などこの世に居ない。兄さんに代われる者などこの世に存在しない。
兄さんの価値は世界一だ。
「もう直ぐ────────もう直ぐですよ兄さんっ!」
なのに、誰も兄さんの価値を分かっていない。
例えば芸能人など、演じているキャラクターに何の意味があるのだろうか。
格好が良ければ惚れてしまう程度の恋に、どの程度の重みがあるのだろうか。
財力。運動能力。容姿。
そんな、他者との比較や関係性の中で左右されるモノ何かに興味は無い。
金など使えば終わり。誰かより速く大きく強いからといって、それではより強い雄に惹かれる動物と同じだ。
容姿の優劣の基準など時代の中でどれほど推移してきたことか。
いや、そもそもルックスルックスと騒ぐなら特殊メイクで仕上げた自分の顔にでも見惚れていればいい。
他者と比較されるモノに意味など、愛する価値など微塵もない。
「もう直ぐ、私が兄さんを幸せにして上げます!」
にも関わらず、世の大多数の女はそんなものを価値の基準にする。
脳が腐っているとしか思えない。
だから兄さんも良い相手が見付からなかったのだろう。
兄さんに愛されるという無上の栄誉を受けながら、それを溝に捨てた女達。
勇気を出した告白を袖にされた時の兄さんは、いつも悲しそうだった。
兄さんを悲しませた女共は考え得る限りの後悔をさせてから始末したが、
兄さんを慰めながらも暗く沈んだその顔を見ると胸が締め付けられた。
兄さんのことを好きになった女も同様だ。
やれ優しいだの何だのと、自分にとって都合の良い部分しか見ていない。
暗に優しさ以外の部分は好きではないと言っているのと同じである。
それでは駄目だ。
兄さんの一部しか好きでない者が、どうして兄さんと未来を共に歩んでいけるだろうか。
兄さんの全てを受け入れることが出来るだろうか。
無理に決まっている。
そんな差別的な愛を、私は愛とは認めない。
兄さんの魅力の一端にでも気付けたのは立派であるが、彼女達も兄さんの伴侶としては相応しくなかった。
「兄さんと結ばれて、兄さんを愛して、兄さんに愛されて」
だが私は違う。
私は生まれてから今まで誰よりも兄さんの近くで、誰よりも長く兄さんを見てきた。
世間的に長所とされる所も短所とされる所も含め、兄さんの全てを見てきた。
他人が知っていて私が知らない兄さんのことなど唯一つとしてあり得ない。
逆のことなら幾らでもあるが。
兄さん自身より兄さんに詳しいのは、兄さんという兄を持てたことに加えて私の自慢なのだ。
その上で、私は兄さんの全てを愛し、受け入れられると断言できる。
兄さんの全てを生涯に渡って愛し続けることを誓える。
兄さんの心も体も長所も短所も何もかも余すことなく愛し抜き、私の全てを兄さんの意志に委ねられる。
他の誰でもない、兄さんだから。
兄さんだけに感じる唯一無二、兄さんのみに捧げる絶対不変の愛情。
世間のどんな恋人同士よりも積み重ねてきた時間。
身内であると同時に最も身近な他人として、愛情と気遣いを両立させる心。
消すことの出来ない家族の、兄妹の血の絆。
それら全ての事柄が、私と兄さんは最良の、そして最愛のパートナーになれると示唆している。
「兄さんと私の二人だけで、何時までも、何処までも幸せに」
だから、もう何年も前に私は決断をしたのだ。
兄さんが二十歳になるまでに、婚礼督促状が来るまでに、
私の眼鏡に適う相応しい女が見付からなかったらこの気持ちを成就させようと。
兄さん自身の意志を尊重して、せめて二十歳までは様子を見ようと。
その結果は言うまでもない。
見付からなかった。誰一人、兄さんに相応しい女はいなかった。
幾度かは兄さんも焦りのせいで兄さんに吊り合わないこと甚だしい女に告白したりもしたが、
そこは兄さんに事前の相談を受けた段階で対処しておくことでどうにかなった。
今、強く思う。
やはり、この世に兄さんに相応しい女はいないのだ。
私を除いて。私という、たった一人の例外を除いて。
ああ。
もしかすると、これはやはり運命だったのかもしれない。
ならばどうしてもっと早く決断しなかったのかという後悔も感じるが、それも些細な問題だ。
これから兄さんと迎える夢幻のような幸福の日々を思えば、些かのロスには目を瞑れる。
実は婚礼督促状、と言うよりも現在の結婚と子作りを強制する法制度には穴がある。
いや、穴と言うよりは抜け道と言った方が適切かもしれない。
殆どの人間が存在を知らない、法の網目。
もっとも、その存在を知った所で大多数の人間はそれを選ばないだろうけど。
それは一夫多妻制容認特別法が巻き起こした騒動の熱が冷めない内に、ひっそりと可決された法案。
人口に膾炙する訳でもなく、メディアに騒がれるでもなく静かに、秘されるように。
理論的に考えれば、婚姻を強制するような権利抑制型の法律よりも、
権利拡張型のそれの成立の方が早かったのは当然かもしれない。
近親婚容認特別法。
ある条件下に限ってのみ父と娘、母と息子、姉と弟、そして兄と妹の婚姻を認める制度。
条件は二つ。
前提として、必ず子供を設けること。
婚姻は、両者の合意に基づいて行われねばならないこと。
幼き日。
幾つもの偶然に、
今思えば必然の運命に導かれてその存在を知った時には、歓喜の余り涙した。
私が兄さんが二十歳になるまでは様子を見ようと思ったのも、この法律があったからだ。
それまで待てば、私も結婚と出産の可能な年齢になる。
多分、兄さんは私が正面から結婚しようと言っても聞き入れてはくれない。
兄さんはいつだって真っ直ぐで、一度決めたことは簡単には曲げない人だから。
兄さんとて私の想いには薄々気付いているだろう。
それでも受け容れてくれないのは兄さんがそう決め、それを守ろうとしているからだ。
兄さんは意思が強い。
21歳が近付く焦り程度では、この法律のことを教えても私との結婚は考えないだろう。
「そのために────────兄さんを、犯す」
だから、兄さんを犯す。
腕力云々の前に兄さんに抵抗されると私には強行出来ないから、睡眠薬で眠ってもらっている間に。
兄さんの素肌を晒して、兄さんの逞しい腰の上で、兄さんの胸板に顔を擦りつけながら、
兄さんの手を胸に当て、兄さんの唇を貪り、兄さんの強暴だろう肉の棒で処女膜を破ってもらって、
その痛みと圧倒的な歓喜に涙しながら、兄さんの子種を子宮に注いでもらって、兄さんを感じて絶頂し、孕む。
それは、何と素敵な未来なのだろう。
数ヶ月もすれば腹も膨らみ、誤魔化しは効かなくなるはずだ。その時に告げる。
きっと、歓喜で興奮で感動で感銘で快感で絶頂で満面の笑みと涙で、顔をぐちゃぐちゃにしながら。
兄さんの子供が出来ました。だから私と結婚して下さい、と。
そうすれば、きっと兄さんの考えも変わる。
近親婚を容認する法律のことも教えてあげれば尚更だろう。
刑罰を受ける心配だってないのだ。
今まで待って現れないのだから、兄さんに吊り合えるだけの女なんていない。
私を除いて。
今まで何人もいて駄目だったのだから、兄さんを愛してもその全てを愛し続けられる女なんていない。
例外は私だけ。
兄さんが婚礼督促状の期限に間に合わず、
愛してもいない相手との苦痛に塗れたセックスで子供を作るくらいなら、
その精液は溢れんばかりに私の胎内へと注がれるべきだ。
兄さんは私を嫌っておらず、私は誰よりも兄さんを愛しているのだから。
そう。そうだ。
最早、待ってなどいられない。これ以上は待てない。
私は兄さんと結ばれたい。そして、私は兄さんを幸せに出来る。
私以外に兄さんに相応しい、私以上に兄さんを幸せに出来る女などいない。
なら、兄さんが私と結婚するのに何も問題はない。
出来るだけ子供を産まねばならないと言うなら、息絶えるその瞬間まで子供を産み続けよう。
兄さんのために尽くせるなら本望である。
子供を仕込む段階でも、どんなプレイにでも応じてみせる。
それが兄さんの愛し方で、兄さんの快感になるならば。
今のところ部屋にある雑誌や室内での自慰行為でもそんな気配は無いが、
性癖というのはいつ開花するのか分からないもの。
しかし不安は微塵も無い。
兄さんと結ばれた生活の中でなら、私はどんなことでも喜びに変えて見せよう。
蝋燭で焼かれようが鞭で打たれようが荒縄で縛られようが、兄さんによる加虐ならば快楽だ。
首輪を巻かれようが乳房に穴を開けられようが四肢を切り落とされようが、兄さんからの被虐ならば快楽だ。
同じ事を兄さんにしろと言われても即座に実行しよう。
だからこそ。
「待っていて下さいね、兄さん。もう直ぐですよ。もう直ぐ行きますから。
もうすぐイキますからね、兄さん。うふふっ、あははははははははっ!
あはっははははははは! 兄さん! 兄さん兄さん兄さん!
兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん愛していますっ!!」
私は跳ね起き、机の上に用意しておいた睡眠薬を掴み取った。
これからの準備のために。
これからの未来のために。
外は既に真っ暗。そろそろ夕飯を作らなければならない時間帯だ。
家事の大部分、炊事の一切に関しては私が取り仕切っている。
だから料理を乗せた特定の皿に薬を混ぜる程度のことは訳が無い。
気落ちしている兄さんは、それでも美味しそうに私の作った料理を食べてくれるだろう。
私の愛情と愛液と愛欲と、ほんの少しの薬が入った手料理を。
「待っていてくださいね────────兄さんっ!!」
私は開錠した扉を開けた。
私と兄さん、二人の幸せな未来へ向けて。
投下終了です。どうも難産続き。
RPG系世界観で、
魔物使いの少年と二人っきりで居続けるために出てくるモンスター全てを滅殺するキモ姉妹というのも考えましたが、
なかなか書き進められません。
>>47の方の言うような雰囲気でもないのですけど。
次はファンタジーっぽくなるやも。
では皆様、ご機嫌よう。
ドGJ!!
ファンタジー物・・・・俺が一番好きな物だ!究極にwktk。
ところで誰かキモスメスレ建ててきてくれんかね?キモママスレでもかまわないが。
キモパパスレだけは勘弁な・・・・
次スレはキモカゾクスレだな。
今年の梅雨は暑いから3日間全裸でもなんともありませんね
>>64 GJ
69 :
48:2007/06/17(日) 12:04:41 ID:08Ux8rD2
やっぱり百合はダメか
出直してくる
出直すっていうか、だから専門板行ったらええやん
また、おまえか。
ヤンデレスレで追い出されたのによくやるよ。
追い出されたて。何の話?論点反らすな。
腐どもが数字板に籠もって境を守ってるのを見習えよ。
何のための専門板だ?
一人で吼えてろよw
いやまあアレだ、俺が言いたいのは、百合板から出てくんなみたいなアホな話じゃなくて、
特別そういう専門板がわざわざ用意されてるジャンルの投下は専門板でやりましろうぜ、と
百合を否定してるわけじゃなく、住み分け使い分けをちゃんとしようね、って言いたいんだ
>>69の方
まあ、作中に百合キャラがサブで出るのはいいのでしょうが、スレ的には姉妹が百合だとマズイでしょうね。
テンプレでも限定されていますし。その場合は専門の所で。
ですが、実は妹狙いで兄に手を出すキャラとかで絡めるならいいやもしれません。
キモ姉妹の百合にはなりませんが、
スレに合う形に改変して投下すればよろしいかと。
このスレに投下したいと思っていらっしゃるのなら、スレチでない限りお待ちしております。
すいません、トリ外し忘れました。
キモウトSS書きに逝ってきますorz
こんなとこに百合を持ち込んでくるお前が悪い
やさしくレスしてくれてる人に向かった暴言を吐くとは何事、お前みたいのが居るから日本がどんどんだめになっていく
もう二度とこのスレにはくるな、他のスレへ行って書いてくるなりなんだりすればいい
てか、変な奴が沸いたと他のスレで書き込んでいる奴がいるよな・・w
試験的SS投下第二弾行きます。
書き上がったものから投下。
短い、エロなし!
81 :
夢見る薬:2007/06/17(日) 18:03:13 ID:NRzIB+Kl
今、僕はある店の中、ある扉の前に居た。
名前は“ルカ兄妹の魔法薬店”。
冒険者の僕が資金や材料を集め、それを元に妹が魔法薬を調合して切り盛りしてきた店である。
今日は思ったより早く仕事が終わり、かつ珍しい材料が手に入ったから急いで帰宅したのだが、
妹の姿が見えず、店内を隈なく探す内に此処に辿り着いてしまった。
“乙女の秘密の調合室☆ 覗いちゃイヤン♪”
鋼鉄の扉にはそう書かれたプレートが下がっていたのだが、
偶然に手に入ったエンシェントオークのリンガ(精力剤の材料になる超高級品。これだけで僕の月給と同じ)、
それも新鮮な奴を出来るだけ早くに見せてやりたいと思った僕はついそれを無視してしまったのだ。
果たして、扉を開けるとそこは魔界だった。
「淫魔の血液、六角山羊の角、メデューサの蛇髪、魔法薬・赤の十六番・・・・・・」
魔女の大釜。
そう呼ばれる特大の調合器具の口の辺りで、梯子をかけて上ったらしい妹が長大な棒切れを掻き回す。
その一方で、此処から見えない内部には次々と得体の知れない物が投下されていた。
名前だけで高級品だと分かるが、同時にそれがただの魔法薬の材料ではないとも理解できる。
「角鯨の瞳、ヴァンパイアの牙、竜の皮」
釜の下では轟々と炎が燃え盛り、室外まで漂う異様な熱気を生み出していた。
炎に照らされる妹の頬は赤く染まり、
器具の大きさと数を考えれば決して広くは無い室内に押し込められた、
形容できない、何十という材料や薬品の混ざった匂いが鼻をつく。
「魔法薬・青の四番と紫の六番・・・」
ボコンボコンと、煮立った湯で泡が弾けるような音がする。
妹の手にする試験管から液体が注がれると、大釜からは煙が立ち昇って異臭の強さが増した。
鼻を近づけて一嗅ぎした妹は、うぇ、と顔を顰めて。
「うわっ、流石に強烈だよ。でも、これも完成までの一歩と思えば・・・・・・くふふ♪」
唾を嚥下する音が聞こえた。
それは僕のものだったのか、それとも妹のものだったのか。
蒸し上がりそうな部屋の中、妹は相変わらず黒いローブに身を包み、
大量の汗を掻きながら棒で釜の中の何かを混ぜ込んでいる。
汗まみれの顔に笑みを貼り付け、うふふ、あははと笑いながら、
生贄でも投げ込みそうな魔女釜に怪しげな品を入れてかき混ぜる妹。
下手な悪魔崇拝者でも裸足で逃げ出すような光景だ。
「お兄ちゃん」
びっくう! と背中が跳ねた。
いきなり名前を呼ばれ、気付かれてすわ生贄か、と後退る。
が、細い扉の隙間から覗ける妹に動きは無い。
そろりそろりと扉の前に戻ると、どうやら僕に気付いて呼んだわけではなかったようだ。
「待っててね。もうすぐだから」
雲も見えない調合室の天井を見詰め、妹は呟くように言う。
「もうすぐ、お兄ちゃんを幸せにしてあげるからね」
いつの間にか釜の中を混ぜる棒を握る手は止まっていた。
しかし、その力自体は強まり、微かに血管が浮き出るほどぎゅっと棒を握っている。
82 :
夢見る薬:2007/06/17(日) 18:04:46 ID:NRzIB+Kl
「あの剣バカも乳メイドも引き篭もりメガネも視界に入らないように、
世界で一番お兄ちゃんを愛している私とだけ、永遠に愛し合えるようにして上げるからね。
兄妹の、血の絆をもっともっと深く太く強くするからね」
何故か僕の知人と思われる人物のことを羅列していく妹。
そして不穏当な発言が混じったのは気のせいだろうか。
「くふ、くふふふっ。くふふふふふっ! くふふふふふふふふふふふふっっ!!」
はまり過ぎだ。
言っては悪いが、普段から魔女めいた衣装の妹には似合い過ぎる笑い方である。
隠そうともせずに篭った笑い声を上げ、釜の縁で背を曲げてぷるぷると身を震わせる妹。
僕の背筋を冷たい物が流れた。
「お兄ちゃんは私のモノお兄ちゃんは私だけのモノお兄ちゃんを本当に愛しているのは私だけ
お兄ちゃんを幸せに出来るのも私だけお兄ちゃんと結ばれるべきは妹である私
いつもお兄ちゃんの傍にいた私誰よりもお兄ちゃんを見てきた私お兄ちゃんと血の絆で結ばれた私
他の女なんて要らないお兄ちゃんを誘う雌猫は死ねばいいお兄ちゃんを奪う泥棒猫は殺す」
止まっていた手が一転、がっしと両手で掴んだ棒が物凄い勢いで回転する。
ばちゃばちゃと跳ねる不気味な色の液体が釜から零れ、床に落ちてしゅうしゅうと音を立てていた。
「だから────────お兄ちゃんが、私だけを見るように。私しか見れなくなるように」
お薬を作らなくちゃ、と囁いた。
魔女釜を囲む炎はますます燃え上がり、赤々と照らされる妹の顔の中で汗と二つの瞳が爛々と輝く。
いつの間にか調合室に満ちた異臭は消え去り、
代わってひどく蟲惑的な、食虫花の蜜のような危うい匂いが漂っていた。
汗で肩に張り付くローブを上下させる妹は荒い呼吸でそれを吸い込み、溶けそうに熱い吐息を漏らす。
「さて、と。最後の材料、あとは愛させる対象の体液だけだね」
しばらくして息をつくと、妹は奇妙な行動に出た。
釜の中の薬?を混ぜる棒を手放すと、両脚で釜の口の部分に立つ。
かと思うと覗き込むように背を曲げ、上半身を突き出す格好になった。
「流石に暑いし疲れたし、愛液じゃなくてこれで────────んあ」
妹は口内で舌をもごもごと蠢かせ、唇を上下に離して小さな口を限界まで開ききる。
綺麗に並んだ妹の歯、濡れ光る赤い舌が外気に晒された。
その釜口へ向けられた舌を伝い、雫が落ちる。
途中で舌との間に糸を引いたその雫は、妹の唾液。
音もなく釜の中へ導かれた体液は先に入れられた材料と交じり合い、
やがて魔女釜から赤紫の光が柱となって立ち昇った。
甘い匂いが更に強まって室内に充満する中、妹は天を向いて叫び上げる。
「出来た────────惚れ薬っっ!!」
と、妹は高らかに第一級禁薬指定魔法薬の名前を口にする。
それは製造どころか必要な材料のうちの幾つかを所有するだけで罰せられる、かなり危険な魔法薬。
効果は、対象に飲ませることで混ぜた体液の持ち主を永遠に愛し続けるように心を変えてしまうこと。
そして。
考えたくないことに、妹は僕のことを口にしながら作ったそれに自分の唾液を混ぜ込んだわけで。
「くふふふふっ! あとは、これをお兄ちゃんに飲ませるだけ。
くふっ! くふっふ、くふふあははははははははははははははははははっっ!!」
逃げろ、と。
絶叫する本能に従って僕が家出を即断し実行したのは、それからコンマ二秒後のことだった。
投下終了。
ちょっと出かけないといけなくなったのでこれにて。
次の作品はいつになりますやら。
ではまた。
>>83 >テンプレでも限定されていますし。その場合は専門の所で。
>スレに合う形に改変して投下すればよろしいかと。
>このスレに投下したいと思っていらっしゃるのなら、スレチでない限りお待ちしております。
いつも投下してるのは偉いと思うが、お前は板違いを解消する努力をしてないだろ?
偉そうに人のことを言うのは止めような。
また、変な職業煽動家もどきがやってきたよ・・・・
本当に暇だな・・この人は
>>84 意味が分からない。
スレ違いのSSだったか?
一々相手をするオマエモナー
ID:08Ux8rD2
がID変えて暴れているだけなのでは?
まあ、個人的にはキモ姉分が少ないことに苛立ちを隠せないわけだが・・
キモウトが多すぎるぞ
>>86 堂々とエロパロ板でエロなし!とか開き直ってるでしょ。
前に1回叩かれてるのに、その後も結局居直って居着いてるでしょ。
頻繁に投下してるし、待ってる住人もいるようだから、貢献具合からいってもおじさ
んはここに居ていいとは思うけど、棚が丈夫になっちゃったり、人に言ったりしてて
いい立場じゃないのだけは忘れない方がいいよってこと。
91 :
名無しさん@ピンキー:2007/06/17(日) 19:40:58 ID:chmLm4vv
何と言うバレバレの自演…
>>83 お待ちしてました。
なんとなく、泥棒猫扱いされていた3人の人相風体名前が(ry
>>88 見せてくれ、君のキモ姉SS!
煮えさせてくれ、このスレの読者を!
でも確かに、あまり開き直るのは良くないと思うぞ。
叩かれる原因にもなるだろうし。
でもまぁ、これだけハイペースで投下してくれる職人さんも珍しいし、今後も期待してますよ。
上の自演達が俺のせいになっててびっくりしたw
イラッときた (笑)
ムラッときた
安心しろ。
――――まだ半勃起だ。
何ィ!
100%中の30%・・・!!
>>100 幽白乙だが漢字でてこねー
トグロ(弟)だっけ?
ながれをぶったぎって、初投下。
あたしは学校から帰ると、玄関の植木鉢の下から合鍵をとり、玄関のドアを開ける。
今日は委員会で遅くなると言って家を出てたが、なんか生徒会のやり手女会長と一年の書記の男の子が謎の失踪をとげたそうで、今週の委員会はお流れになってしまったのだ。
つまり、いつもより二時間早くこの家に帰ってきたことになる。
玄関には二つの靴が脱ぎ散らかされていた。ひとつはお兄ちゃんがいつも学校へはいていくシューズ。そしてもうひとつはお姉ちゃんのハイヒールだ。
「…ん。今日はお姉ちゃんも早かったのかな」
この家に住む姉弟は私の幼馴染だ。
学校では一年先輩のお兄ちゃんと大学生のお姉ちゃん。
あたしたち三人は小さい頃からずっと一緒だった。ただの幼馴染をお兄ちゃんお姉ちゃんと呼ぶほど、私はこの家族といつも一緒だった。
二人のお父さんとお母さんはいつも留守で家を空けていて、ほぼ二人暮らしだ。
そして、私は自分の両親と二人のお父さんお母さんからお兄ちゃんとお姉ちゃんの世話を任されていた。
「美夏ちゃんはしっかりしてるし。あの二人をお願いね」
そうやって二人より年下のあたしに保護者役を頼むのはどうなんだろう。
でも、小さい頃から三人のまとめ役だったあたしはなにも気にすることはなかった。
「ただいまー」
返事が無い。ゲームでもやってるのかな。
お姉ちゃんとお兄ちゃんは二人揃って無類のゲーム好きだからプレイに夢中になると周りの声が聞こえなくなる。だから、晩御飯のときはテレビのスイッチを切って二人を呼んだりする。
「まぁいいや」
あたしは、靴を脱ぐとお兄ちゃんたちが居るらしいリビングを通らず、廊下を通ってそのまま台所まで歩く。別に二人のゲームを邪魔する気は無い。
カバンをおろして椅子に引っ掛けると、いつものように美夏は冷蔵庫を開けた。
「あれ。牛乳が無い」
今日はクリームシチューにしようと思っていたのに。冷蔵庫を開ければ、昨日何本も買っておいた牛乳は一本もなくなってる。
あたしは部屋から顔を出すと大声でお兄ちゃんを呼んだ。
「おにいちゃーんっおねえちゃーんっ。牛乳全部飲んだのー!?」
リビングに向かって呼ぶが、返事が無い。リビングは明かりがついていておにいちゃんとお姉ちゃんは居ることはわかる。
まったく、よっぽどゲームに夢中になってるのね。HALOなんてどこが面白いのかしら。無駄にゲーム機大きいからリビングで邪魔になるのよ。
「おにいちゃーんっ、おねえちゃーん!」
返事は無い。
もう、いい加減にして欲しい。お姉ちゃんもゲームに夢中だから恋人が居ないのよ。
「ちょっと、お兄ちゃん! 牛乳!」
あたしは部屋から出て、直接リビングに居るお兄ちゃんのところへ歩く。
お兄ちゃんとお姉ちゃんがゲームに夢中になってるはずのリビングに顔を出してあたしはもう一度叫んだ。
「おにいちゃ、聞いてる……!」
……。
リビングで、お姉ちゃんとお兄ちゃんは下半身を露出させていた。
カッターシャツの胸元を大きく開けたお姉ちゃんはリビングの小さなテーブルに手を着いて、ジーンズのミニスカートは縞々のショーツと共に足元でいい加減に床に脱ぎ捨てられてくしゃくしゃになっていた。
そんなお姉ちゃんを、学生服を着崩し制服ズボンをさげただけのお兄ちゃんが、お姉ちゃんをお尻を強くつかみこんで、背後から犬のようにばんばんと腰を打ち付けていた。
何をしているのか。あたしはすぐにわかった。
「あ、あふっ、あんっ、ふんっ、ふぅっ、んぅっ」
お兄ちゃんの腰がお姉ちゃんのお尻に叩きつけられる度に、お姉ちゃんは悩ましい声をあげて気持ちよさそうによがる。
「いいっ、姉ちゃん、しまるっ、姉ちゃん、姉ちゃん!」
そして、お兄ちゃんはまるで恋の媚薬で狂ったかのように、お姉ちゃんを何度も呼びながら出し入れを繰り返していた。
ばちんっばちんと肌を叩きつける音とびじょりびじょりと何かがかき乱されるような水音がリビング中に響いている。
異様な雰囲気。異様で淫靡で背徳。あたしは二人の交わりを目を丸くして眺めていた。
が、すぐに正気を取り戻し、あたしはこれ異常ないぐらいの大きな声を出した。
「な、なにやってるの!!」
あたしの姿に先に気付いたのはお姉ちゃんのほうだった。
「あン、おかえりぃ、んっ、ンふっ、ああっ、そこ、そこいいっ!」
お姉ちゃんはいまの自分の状況を悪びれもせず、あたしに笑顔を向けてよがりながら答える。
「あ、美夏。おかえり。今日、委員会は、なかったの、かっ? 、んっ、んっ」
ふんふんと鼻息を荒くしながら、二人はいつも遅く帰ってくる私を出迎えるように笑う。
そして、今行っている行為が、さも日常のように。ぶるぶると小刻みに震えながら。腰のグラインドを止めない。
お兄ちゃんのアレが、お姉ちゃんのあそこに出し入れしているのが見える。毛に覆われた棒が、出たり。入ったり。時々、奥まで差し込んだままお兄ちゃんは腰を小刻みに動かして、お姉ちゃんの反応を見ている。
「うんんんんっ! それ、えぐれてぇ、いいぃっ!」
「姉ちゃんのもいつもより、ごつごつしてるっ!」
「……うわぁ……」
「なにやってるの! ふたりとも! 離れて! 離れてよ!!」
あたしは何故か涙を流して絶叫していた。
「お姉ちゃんも、お兄ちゃんも! 実の血のつながった姉弟でしょ!」
「え、美夏ちゃんっ。いつも、いつもしてるもんね。ね、昌樹?」
「え、あ、うん。なにを、いまさら、姉ちゃん? ねぇ?」
腰の動きを止めないまま、二人はあたしを見ながら、何も疑問にもたずに二人はお互いに頷きあう。
「そ、そんな……!」
「だって、いつも言ってるじゃないっ、あたしは昌樹のこと、誰よりも大切だって」
「そうだよ、俺は姉ちゃんのことが、大好きで、尊敬してるって」
信じられない。そんな、確かに二人は仲がいいけど……! それは違うはずでしょぉ!?
腰の動きを止めないまま、二人はあたしを見ながら、何も疑問にもたずに二人はお互いに頷きあう。
「そ、そんな……!」
「だって、いつも言ってるじゃないっ、あたしは昌樹のこと、誰よりも大切だって」
「そうだよ、俺は姉ちゃんのことが、大好きで、尊敬してるって」
あたしは死刑判決を受けたように呆然としていた。二人の悪気の無い笑顔が、余計あたしを絶望の淵に追い詰める。
「なにも、変じゃないよね? あン!」
「変、じゃ、ないよ、なっ!」
その声と共に、お兄ちゃんの腰が大きくグラインドしはじめ、ゆっくりだった行為が、本格的な動きへと再開された。
「おおおっ! からみついてくる! んんんっ! ああああ!」
「アん! いやぁ、激しっ、激しい! 激しい! あん! あン! あン! あン! あン!」
ばしん! ばしーん! ばしぃん! ばしぃん!
腰を叩きつける音が、これまでに無いほどリビングに響き渡った。
淫靡な匂いがリビング中に広がっていく。二人の間にはもう私は見えていなかった。
「姉ちゃん姉ちゃん姉ちゃん姉ちゃん!!! んんんんっ」
「んん、むちゅ、んちゅるちゅる、ちゅば、ちゅばちゅば!!」
お姉ちゃんとお兄ちゃんは首を大きく曲げて、むさぼりあうように唇を求めあった。
お互いの舌がお互いの舌を嘗め回し、口の端から落ちてゆく唾液がお姉ちゃんが手を着いているテーブルにぽたりぽたりとおちていく。
あたしはこういった経験は無い。つまりセックスという行為自体も見るのは初めてだった。他人の行為を見ることなんて一生無いと思っていた。むしろ考えたこともなかった。なのに。なのに。
それなのに。まさか。実の姉弟で、とても仲良しの幼馴染の二人のセックスを見ることになるなんて。
「姉ちゃん! 俺、もう、もう、もぅ、げ、限界!」
「うん、いいよっ。私も、もうすぐだから! 一緒に、一緒に、一緒に、一緒に」
「いいの!? 中! 中で! 中に出すよ! 中に! 中に! 中に! 中に! 中に!」
「出して! 出して! いっぱい、いっぱい、中に出して! ぶしゅってして! 全部注いで! 中に! 中に! なかに!」
「「なかに! なかに! なかに! なかに! なかにぃ!!」
そして、二人の動きは事切れたように止まる。
「あああぁぁぁぁ! 来てる! 来てる! 昌樹のぉ! せーえきぃ! きてるぅぅぅ!」
「姉ちゃんんんんん。姉ちゃんんんんんん!!」
お姉ちゃんは大きく体をそらして。白目をむいて虚空に向かって吼えるように、下半身に注がれる快楽を享受していた。
そしてお兄ちゃんも、実の姉の体にどくりどくりと、腰をお尻にくっつけたまま小刻みに体を震わしていた。
「ああ……最高ぉ……」
「ううん……なかだし……きもちぃぃ……」
そうやって、汗まみれの体をくっつけて一向に離れないお兄ちゃんとお姉ちゃん。
傍から見れば想いあい愛し合っている恋人のようだ。でも、ふたりは実の姉弟だ。
「い」
あたしはお兄ちゃんが好きだった。
幼馴染で、ずっと一緒で、仲の良かったお兄ちゃんが、クラスメイトの誰よりも好きだった。お姉ちゃんも、どの友達のなかでも一番好きだった。
「い、い、い、い………」
将来あたしはお兄ちゃんと結婚して、大好きなお兄ちゃんと、そして大好きなお姉ちゃんに囲まれながら、幸せに暮らせると確信していた。
でも。それはただの妄信だった。
「いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」
二人の抱き合う姿。あたしの家族よりも大事なお姉ちゃんと、お兄ちゃんの瞳の中には。
実の弟と、
実の姉。
血のつながったお互いの姿しか見えていなかった。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああ!!」
(おわり)
これでおしまいです。
日曜の夜はいろんなものが書きたくなる。
い、いいのか!?
いいならGJするぞ!
リアルタイムなんて初めてだ!
>>89 住人満足してるから別にええがな
つかお前こそえらそうなこと言える立場じゃねぇだろ
このスレに貢献してからほざけ
>>108 リアルタイムは初めてか坊や?
力抜いてリラックスしながらGJ!!と言え
力み過ぎは良くない
>>107 ゲェーーーッ!?赤いパパさんっ!
某スレでのメイドさんSSの投下、お待ちしております
GJでした。日曜日は、すばらしいと再確認した、
月曜?なにそれ?
>>88 およびですか?
>>83 ファンタジー風キモウトGJ!
投稿多数な方は違いますね。
前スレでおほめの言葉をいただきましたが、より実力差を実感。
精進します。
近日中とか言ってて一週間待たせました。すみません。
ではキモ姉投下。
・・・そのまえに、
注意事項
エロなし(あと何話かで入れる予定。)
キモ姉もの。(血縁なし)
では、「毒にも薬にもなる姉」第一話です。
第一話
「能ある姉は本意を隠す?」
灯火 芥
心地よい香りがした。
懐かしいような香り。
ああ、これは昔よく嗅いでいた匂いだ。
ある日突然無くなった匂い。
そうだ、これはお姉ちゃんの匂いだ。
気が付いたらバイクに乗っていた。前に見えるのはお姉ちゃんの背中だ。
荷物はサイドカーらしきものに乗せられていた。(微妙な大きさで人は乗れなそうだ。)
「おはよー。どう?風の中での目覚めは。」
ちょっと待って、俺どうしたの?
「あの後倒れちゃったから、私のマンションに運んでる途中。」
倒れるほどのショックだったのか。
「ん?でも意識がないのにバイクの後ろに乗れる?」
「そういうときのために、しばるベルトとかあるからね。」用意周到。おみごと。
でもまだ何か違和感。
…待てよ、腕が上に来すぎていないか
「どうよ、グリップ効いてるでしょ。
お姉ちゃんの胸。」
「ああ、道理でぷにぷにしてると思ったら。」
「もっと飛ばすよ。もっとぎゅってしがみつかなきゃ危ないよ。」
正直バイクはなれない。思わず力を強くする。ぎゅー。
「あふぅ。そうそう。」
……え?
うわあああああああああっ!しまった!もっと早く気づけ俺!
「おねえちゃん!外して!」
「大丈夫、強く握ったりしてもきょぬーのままだよ。しぼむどころか大きくなるかも。」
「そこじゃない!こんな街中でこんなことさせんな!」
「こんなまちなかで…。ふあっ、ああっ。」やばいあせて手が動くと逆効果。だめだ、勝ち目がない。
「なんでもするから外してくれ。」事実上の敗北宣言。
「じゃあ、跪いて足をお舐め。」
「女王様!?」
「違う、そこは可愛い声で姉様とお鳴きなさい!」なんのことだ。
灯火 光
なんだ、もっともんでいいのに。
まあこんなスキンシップをしているうちに私のマンションについた。
大家は別に雇っているが、オーナーは私。でも内緒。
そんなこと言ったら別の空き部屋を貸してくれと言いだす。
あっ、それはそれで有りかな。
そしたらいろいろなところにカメラを設置して…。
「何にやにやしてるんだよ、キモイよ。」
「これから始まる生活のことを考えるとね。ついね。」
あっくーは溜息を吐きだす。私はすかさず深呼吸。
吐息こい!あっくーの吐息こい!
なにがしたいと冷静な突っ込みがくる。ぐう。
そんな会話をしながら2階・0231号室の前に来る。
「はい合鍵、何だか恋人みたい。」
あっくーはそっけない相槌を打つのみ。冷たい。
いけずー。
しかしくじけない。素直になるまで何度でも。
「さてここが二人の部屋だよー。」
そう、いろんな意味で二人が過ごすのに最適な。
そのための準備や策略は一つたりとも欠かしていない。
これでいろんなことが正当化される。
ふふふふふふふ…。
灯火 芥
どうやらこのマンションの広さは初めから二人暮しを想定したものらしい。
「家具はお姉ちゃんの趣味でそろえたからちょっと気になるかな。」
光ねえのインテリアの趣味はシンプルを好む。
だから何ら問題はない。
いや、隣で怪しげな笑いをしている本人が問題なのだが。
しかし無印のシリーズが多い。
デスク・椅子・ダブルベット。結構値は張りそうだ。
教授とはそんなに儲けられるのか?
本棚としていくつかカラーボックスがある。まあ、本が多いのは当然か。
しかしその倍ぐらい漫画が多いのはいかがなものか。
昔から頭がいいのに、マンガばっか読んでたからな、光ねえは。
しかしそんなのはブラコンの前では些細なこと。
オタクでも何でもいいからブラコンだけは直してほしい。
だが何か物足りない。何だろうか。
「そうそう、ソファーは今ないの。ちょっと壊れちゃってね。」
「ああ、それか。」まあ、別に不可欠ではない。
「あとお風呂なんだけど、ちゃんと二人で入ろうね。」
「却下。」
「でも光熱費浮かせるにはこれがいいの。」なぜそんなところはけちる。
まあこれは毎回理由をつけて時間をずらせるかな。
「あとそこの本棚、大事に扱うなら読んでもいいよ。今では手に入らないものもあるから。」
そんなに古い学術書まで読んでるのか。
感心。
「これ、限定版のカバーだから。このカードが付いててね。」
マンガかい。
GJ!憂鬱な月曜の仕事の前にいいものみれた。
灯火 光
こういったのだ、もう固定観念を抱いただろう。
あの日からマンガ好きを演じ続けた。
正しくはサブカルチャー好き。
ぶっちゃけオタク。
要はバカになりたかった。
いや、バカとして見てほしかった。
(漫画好き=バカというのもどうかと思うが。まあ、判断者が馬鹿だし。)
その要因は馬鹿どもにあるというのは一つの皮肉か。
馬鹿どもは店に並ぶ宝石の美しさは知れど、己が炭鉱からとれた金剛石の輝きに気付かない。
磨けばより輝くのに、ただ燃やしてしまう。
まさに蠅。目は多くあれど、意味を持たない。
もしこれからも馬鹿な真似をするのであったら…。
いよいよ不要となったのだ。
駆除の時間か。
しかし、その金剛石は自力でここまで輝きを取り戻した。
そう、この大学に一般合格。
親からも、先生からも、クラスの人からも四面楚歌を受けながら。
そのうえでこの結果。
お姉ちゃんね、今回はなーんにもしてないよ。
信じてたから。
二年前に手紙が来てから。
一文字一文字全部覚えてるよ。
「二本松大学は馬鹿な僕にはレベルが高すぎるので、今からでないと追いつきません。」
高二の初めから進路を考える人はそうそう馬鹿とはいえない。
「でも僕はどうしても二本松でないとかなえられない夢があります。
ある教授のもとで勉強したいのです。まあ、よく笑われるけど。」
目標を明確に持つ人を笑える人はいない。
だから、願掛けを込めて。
一緒に頑張ろうと思って。
お姉ちゃんもさらなる挑戦をして完璧になった。
そしたら社会は私をほめたたえる。
ちょっとうっとうしい。
この力を社会に役立ててくれと人々は願う。
いいよ。ただついでだけど。
その前に、
「生きてますかー、おーい。」
うわあぁぁっ!近くにあっくーの顔が!
灯火 芥
これも昔からの癖でなんも前触れもなく考え込んで、そのまま何があっても動かない。
けど今までこんな険しい顔をしていたことがあろうか。(そのあとなぜかやさしい顔になったが。)
もしかしてこの六年のうちに色々あったのだろうか。
「あっ、ごめんねごめんね。」
「お姉ちゃん、よく一人暮らしできたね。」
まあ、いろいろあったかなーとごまかしている。
前言撤回。
変わらないな。
いろいろ策略を練ったりするのが得意なのにどこか抜けている。
それが灯火 光。
ん、策略…。
ちょっとまてよ、ソファーがないってことは…。。
「あの、お姉ちゃん、布団とか予備のベットとかない?」だめだ、声がひきつっている。
「何言ってるの、そのためのダブルベットだよ。」
や、やられた。
灯火 光
そのあと私の作ったご飯を食べつつ色々な話をした。
いままでのこと、これからのこと。
一緒にお風呂は無理だった。まだまだこれから。
でも文句をこぼしてたけど、結局一緒に寝てくれた。
「変な事するなよ。」
「お姉ちゃんはされてもいいけど。」
「はいはい。」
「弟に一蹴されたー。うわーん。」
結局壁の方を向いたままだけど、一緒に寝てくれた。
まあ、なんだかんだ言いつついうことを聞いてくれる弟。
それが灯火 芥。
変わってないね。
そういうところは。
そして変ったところもあった。
これからはずっと一緒だよ。
まだある春休みも、学校生活も。
そんなことを考えている間にあっくーは気持ちよさそうに眠っていた。寝返りを打ってこっちを向いていた。
そんな彼を抱きしめて私も眠りに落ちた。
「あっくー…。」
「光ねえ…。」
そのあとの目覚めは携帯の着信音だった。
あっくーの携帯のディスプレイは忌むべき単語が並べられていた。
from 母
sub 寮の件
寮に連絡をしました。
話はすべて聞いています。
再び光に迷惑をかけていると自覚しなさい。
とにかく今日光と一緒に家に戻りなさい。
二人に話があります。
早急に来なさい。
幸せをいろいろな意味で破壊したメール。
この時点で何かの感情がこみあげてきた。
始まった。色々と。
いよいよ熟慮断行といったところか。
リアルタイム超GJ!
割り込んですいません。だが幸せが二乗になった!
投稿完了。
次回はいつになるだろうか…。
早めに仕上げます。
>>107 大物キター!
なんか、名作の後に駄作を載せてすみません。
あとGJです。
前スレで出てきた質問事項。
「姉しよ好き?」「海ねえ?」「あえて巴ねえ。」
ええ好きです。
ついでにきみあるもすきです。
ただ光ねえには大きな違いがあります。
それは第二話で。
「U-1さん?」
いや、赤の他人です。
エヴァもKanonも扱ったことがありません。
というより新人です。
以上。
それではおやすみなさい。
あと最後に一つ。
>>121 気にしなくて結構です。
いや、俺も赤いパパ氏にしそうになったんで。割り込み。
ではこんどこそおやすみなさい。
>>107 当事者ではない第三者の視点ってのは初めてかも?
姉兄ともにキモイ。素晴らしい。
GJ!!
>>122 テンポ良くてくすっと笑えるネタも満載でGJ!!
さてこれからどうなるのやら?
>122
いつになるかなんて言わないで早く続きを読ませてku re yo!
ツナギの小ネタを投下します。
連続の神の降臨で
いきりたちっぱの息子を萎えさせるのに使ってください。
気温30℃を超える中、学校から家に帰り、大量の汗をかいた俺は
すぐさま二階の自分の部屋に入り着替えた。
部屋の中も蒸し暑く、エアコンを最大出力に設定し、
泣きながら赤くなっていく想像の地球の顔面に妄想の蹴りをいれ、
冷蔵庫を全開にしてその前に座る。
「…あ〜〜〜〜…」
分かってるよ…これは扇風機じゃないことくらい。
緊急冷却を終えた俺は再び二階へと足を運ぶ。そろそろ冷えたかな?
…鳥肌がたった。寒いからとかじゃなくて。
「ん、あぅん!おにいちゃぁん!」
俺の部屋の中で下着を鼻に押しつけながら大切なところを
いじいじしてあかる妹を見つけたからだ。
昔から極度のブラコンで、どこへ行くにも
「お兄ちゃん」何をするにも
「お兄ちゃん」だった妹、
いや、お互い高校生となった今も変わらず続いている。
キモ姉キモウトスレ的にいえばこの状況は明らかに
“兄に向けられた狂愛”だが、
妹は決定的なミスを犯していた。
「ん、んっ!おにいふぁん…」
妹の蛮行を見過ごすわけには行かない。意を決した俺は部屋に足を踏み入れ
「摩耶…それ山崎の」
下着が体育の時間からかって友達から盗んだまま返すのを忘れた
レアアイテムだということを告げる。
「ふぇ!?」
下着を加えたまま見たことのないくらい目を見開きながら硬直する妹。
………
「××××××」(乙女の音声モザイク)
ビチビチビチ
その場で激しく吐いた妹。
「お…お兄ちゃん…なんで他人の下着なんか…」
怒りと苦しみに狂っている妹に事情を説明した。
「…という訳なんだ。」
「………」
「摩耶?おーい?」
…お兄ちゃんのバカーっ!!私の初オナニー返せー!!
うわぁまて勝手に人の鞄を漁るお前が悪い、てか
鞄に下着が入ってる時点で不審に思えってぇーー!
においを嗅ぐなー!
ソレハオレノオイナリサンダーー!
投下終了。
たまにこんな小ネタは…だめですかね?
神職人様方、引き続き宜しくお願い致します。
>>130 そういう軽いノリ、結構好きだ
よかったらこれからもたまに書いてくれ
GJ
あ〜ぁ…男友達に妹の初オナニーとられちゃったよ
妹が初めて口に入れた下着は男のではなく、友達の下着
初めて口に入れた間接ちんこは、男のではなく友達のちんこ
>>130 クスっと笑える感じがとても良い
またの投下を楽しみにしてる
GJでした
>>132 妹のオナニーを止めさせるためとっさについた嘘、と俺は脳内変換した
>>130 兄の使用済みパンツでオナニーするのはキモウトだ!!
兄のパンツの匂いを嗅ぎ分けられるのは良く訓練されたキモウトだ!!!
本当キモウトは地獄だぜーーーー!!!
俺もこのスレの兄みたいにがむしゃらに愛されてぇ〜!
俺は弟みたいに愛されたい
>>107の赤いパパ氏
神はいた・・・もとい神が来た。このスレの歴史に新たな1ページが!
ある意味第三者視点と言いますか、珍しい形ですね。震える親指でGJさせて頂きます。
嫉妬からハーレムまで、某スレとか某スレとか某スレとかの作品もお待ちしておりますね。
乙でした。
>>122のらむだ氏
一週間の間隔などお気になさらず。
私は完璧姉の支援が望めるならば半月程度の籠城戦は余裕であります、サー!
一月・・・? ・・・・・・何とか。 そういえば、親との対決はこのスレ初のような・・・。
次回を楽しみにしつつGJを!
>>130の方
新人さんGJです。乙です。妹の心の傷に合掌。
そちらのタイトル的に私では腰が引けますが、誰もいないうちにこっそり投下しますね。
では、何故かファンタジー書いてる間に脇で書き上がった話を投下。
グロはないと思いますが、注意を。エロなし。
ワタシは掃除をしていた。
「はぁ・・・はっ・・・はあ・・・っ!」
荒い呼吸をしながら、ワタシに背を向けて必死に逃げようとする溝鼠を追いかける。
常人とは重心の異なる体でバランスを取りながら追いかけるその姿が、段々と迫ってきた。
「はあっ・・・はあっ────────ひぃいっ!?」
溝鼠がワタシに振り向き、疲労からかだらしなく弛緩していた顔の筋肉を引き締める。
見ていて面白いほどに、その表情が恐怖に染まった。
「ねえ、待ってよ」
「っひぃぃいいいっ!?」
その背中に声をかけてやると、溝鼠は迫り来るワタシに対する怯えで硬直しそうになる四肢を懸命に動かして駆ける。
思った通り、実に愉快だ。
弱者を嬲る愉悦と獲物を追い詰める喜悦に、冷たい体が内から熱くなっていくような錯覚を抱いた。
一段上がったギアで普通よりずっと重い体を、普通より遥かに強い力で動かして溝鼠を追い立てて行く。
「ねえ、待ってってば」
「いやぁっ!? 来ないで、お願い来ないでぇぇぇえええっ!」
溝鼠と同じ距離を同等以上の速度で走りながらもワタシの肌には汗一つ無く、呼吸には微かな乱れも無い。
全てはお兄ちゃんの愛のおかげ。お兄ちゃんが造ってくれたこの体のおかげだ。
ワタシは、もう二桁近くも前になる年に事故に遭った。
辛うじて繋がっていた意識を病院への搬送途中に失い、沢山の人の努力と祈りの甲斐なく死亡。
ただ、奇跡的にその時の私の頭には傷一つ付いていなくて。
その分野の専門家だった私のお兄ちゃんが保存した私の脳から記憶を引き出し、
それを作り上げた機械の体にインストールして私をアンドロイドとして復活させてくれたのが少し前のこと。
私が目覚めてワタシとして誕生した時に見たお兄ちゃんの姿は苦心の日々でやつれ果てていたけれど、
それも私を甦らせようと少しも休まずに頑張ってくれたからで、
お兄ちゃんの変わらない優しさと愛情に感動しすぎたワタシはその場でフリーズしてしまった。
フ ル メ タ ル
全身金属のボディ。
人でなくなってはしまったけれど、ワタシは今の自分を心の底から愛しく思う。
大好きなお兄ちゃん。世界で一番愛しているお兄ちゃん。
頭が良くて何でも出来て、なのにそれを鼻にかけたりせずにいつも優しくて、誰よりも素敵だったお兄ちゃん。
ううん。今でも素敵なワタシのお兄ちゃん。
そのお兄ちゃんとの兄妹の絆、
物理的な血の繋がりは失ってしまったけれど、ワタシとお兄ちゃんの心の結び付きは今も変わらない。
どころか、苦労に苦労を重ねて甦らせたワタシを妹であると同時に自分の傑作だと感じているお兄ちゃんと、
二度目の人生を与えてくれたお兄ちゃんを兄であり親であり造物主であると考えているワタシ。
お互いに抱く愛情も心の距離も以前よりずっと強く深く近い。
ワタシからお兄ちゃんに対しては特にだ。
何故ならこの体はお兄ちゃんに設計され、部品を選ばれ、組み上げられ、人工の毛の一本一本を植えられ、
人造の肌を一枚一枚張られ、動力を注がれ、命を吹き込まれ、お兄ちゃんによって生み出された物なのだから。
何年もの間をお兄ちゃんが私のことだけを想って私のために造り上げた、全てをお兄ちゃんの愛情で満たされたボディ。
法的には、アンドロイドのワタシはお兄ちゃんの所有物だ。
加えて定期的なメンテナンスと補給をしないとワタシは機能や人格を保てない。
お兄ちゃんによって生み出され、
お兄ちゃんによって所有され、お兄ちゃんに管理されなければいけない、お兄ちゃんに依存しきった体。
同時に被造物として、
お兄ちゃんのために存在しお兄ちゃんのために使われお兄ちゃんの意志に全てを委ねる道具としてのワタシ。
ワタシの全てはお兄ちゃんの手により、ワタシの全てはお兄ちゃんのためにある。
それは、何と言う幸せな存在理由なのだろうか。
ワタシの中では日々、数値化できない想いがバグのように募っていく。
このボディになっても消えなかったもの。
死んで新しい体で甦ったワタシの中で、たった一つだけ昔と変わらないもの。
どうしようもない程に強い、お兄ちゃんへの愛情。
鋼鉄の中身を紛い物の皮膚で覆っても抑え切れない感情が信号となって電子の意識の上を走り、
人間的な体の構造を失くしても湧き上がる欲情がお兄ちゃんを求める。
愛してる。兄として家族として異性として他人としてどうしようもなく、ワタシはお兄ちゃんを愛している。
戸籍では死んでいて生前の友人知人や家族にも会えないワタシにはお兄ちゃんしかいない。
被造物であるワタシには持ち主であり想い人であり兄であるお兄ちゃんだけがいればいい。
だから。
「待ってって言ってるんだけどなぁぁああ!」
ワタシからお兄ちゃんを奪おうとする者は許さない。
お兄ちゃんとワタシの間に入ろうとする者は許せない。
今、ワタシが追っている溝鼠はお兄ちゃんに手を出した。
その薄汚い体でお兄ちゃんに擦り寄り、汚らわしい唇でお兄ちゃんに噛み付いた。
許さない許さない許さない。殺してやる殺してやる殺してやる!
お兄ちゃんの作ってくれたこのボディで。
この脚で追い詰め、この腕で殴り潰し、たとえ逃げたってこの目で見つけ、この耳で捉えてやる。
逃がしはしない。
「ひぃぃいいいいやぁぁああ────────あ」
だけど。
そう意気込む必要もなかったみたい。
追い続けた溝鼠の前には、いつの間にか壁がそびえ立っていた。左右に道らしきものはない。
完全な袋の鼠。
お兄ちゃんと同じ研究室で働いているとか言っていたから頭は良いのかとも思っていたけど、
所詮、溝鼠は溝鼠でしかなかったみたい。
自分から逃げ場の無い場所へ逃げ込むなんて。どうしようもなく滑稽だと、顔の人工筋肉が収縮する。
ワタシと目を合わせた、壁を背にして上下の歯を打ち鳴らす溝鼠の顔が恐怖に歪んだ。
「ひいっ!? お、お願いだから落ち着いてちょうだい、ああアナタはきっとバグに侵されているのよ!
だから早く私と一緒に戻って、アナタのお兄さんのメンテナンスを受けましょう!?」
愉快だけど、愚かだ。
ワタシが、他でもないお兄ちゃんに造られたワタシがバグに侵されてるだんて、ワタシ達兄妹への侮辱も甚だしい。
それがワタシの回路を逆撫でするだけだと気付かないのだろうか。溝鼠らしい低脳っぷりだ。
やっぱり、こんな奴をお兄ちゃんの傍には置いておけない。コイツはお兄ちゃんに相応しくない。
掃除を、駆除をする必要がある。
お兄ちゃんの傍に居ていいのはワタシだけ。お兄ちゃんに相応しいのはワタシだけ。
老いず朽ちず、科学共にバージョンアップのみを続けていけるワタシだけが、お兄ちゃんと結ばれるべきだ。
衰えることも醜く変わり果てることもなく、お兄ちゃんのためだけに稼動し続けられる存在。
完全で完璧で、それでいてお兄ちゃんの手で完成へと向けた改良を重ねて行けるボディ。
部品を変えオプションを付け電子脳の記憶を記録を書き換え、幾らでもお兄ちゃん好みになれる道具。
ああ。
本当に、私は死んで良かった。
今のワタシになれて良かった。
「ねえ、お願いよぉ・・・・・・」
一歩、追い込んだ溝鼠へ歩く。
駆動系の唸りが聞こえ、関節部が軋みのような音を上げる。
「うぅっ、来ないで・・・・・・来ないでえっ!」
ほんの僅かしかない距離で、更に一歩。
生前と変わらない色の人工皮膚に覆われた、金属の塊を振り上げる。
「ごめんなさいっ! 私が悪かったなら謝るから、幾らでも謝るからぁっ!
だからお願いよぉ・・・・・・命だけは助けて! 殺さないでぇえっ!」
機械にさえ不快と感じられる溝鼠の悲鳴。
ワタシは聞く耳を持たないのに、ひたすらに喚き続けている。
流石に五月蝿いので、聴覚にあたる機能をシャットダウンした。
音という情報だけが、ワタシの意識から締め出される。
「────! ────────っ!?」
これでもう、何も聞こえない。おかげで一つのことに集中できる。
お兄ちゃんがワタシにくれた体は、前よりもずっと強くて、便利だ。
目の前のことにだけ意識を傾けられる。
「っ! ────っ!」
どれだけ愛情に焦がれ、激情に焼かれても、数値化できないそれから一歩引いた位置で物事を見れる。
同時に余分なものを全て排除して、ただひたすらにお兄ちゃんのことだけを想い、考えることが出来る。
最愛のお兄ちゃんが造ったワタシの体には、本当に最高以外の言葉が思い付かない。
「────────」
だって。
「────────げばっ」
溝鼠を叩き潰して壁に貼り付けてやっても、
触覚も嗅覚も切って気持ち悪い肉の感触や汚らわしい血の臭いを、温度を感じなくて済むんだから。
ほんの少しだけ聴覚を戻すのが早くて、即死した後に口から溢れ出した血が流れる音を聞いてしまったけど。
そんなこと、少しも気にならない。
これでようやくワタシはお兄ちゃんだけを想い、
お兄ちゃんの傍で、お兄ちゃんだけと共に存在して行けるのだから。
いつかお兄ちゃんが死んでしまい、ワタシと同じ冷たさになったお兄ちゃんの体に抱き付いて機能を停止するその時まで。
投下終了です。
タイトル前半をフルメタルにするかメタルギアにするかで迷ったり。
何故ファンタジーを書いている最中にこんなネタが湧いてくるのか。
王様は問いました、妹なら何でもいいのかと。
私は答えました、キモウトならと。
まあ、既に物理的な血の繋がりはないのですが、これもアリでしょうか。
ではまた、いつかの投下にて。
GJ!!!
タイトル吹いたwwwww
GJです!!!!
夕日ロマンスって漫画をたまたま読んだんだけど…最高だった!!
姉が黒髪に黒い改造制服で、従妹が金髪に白い規定制服のやつだよな。
見た目も性格もほとんど変わらなくて、姉が従妹に対して「偽者!!」とか言ってたあたりには萌えた。
おそらく『籠の中』の作者さんはこれの一部の設定を参考に書いたと思われるから、
『籠の中』が大好きな人は楽しめると思う。
148 :
名無しさん@ピンキー:2007/06/20(水) 00:20:31 ID:w8ahh56N
あげます。
前スレで出た『虎とあきちゃん』って続き出るんでしょうか?
夕日ロマンスは推奨
つーか読んでみ?スレ住人ならニヤニヤがとまらない
153 :
名無しさん@ピンキー:2007/06/20(水) 13:56:09 ID:mDIyZuyj
夕日ロマンスって何で連載してるんだ?
ageちゃってすいません。以後注意します
投下します。
「虎ちゃんおはようのちゅー」
翌日、馬鹿な寝言をほざいてる亜紀姉の頭をはったおして叩き起こして
一緒に学校に向かうと、下駄箱にはラブレターが入っていた。
「放課後、屋上で待ってます。か…宛名はないが…俺にも春が来たきたきたっ!!!」
俺は隣ですのこに躓いてこけている駄目姉に悟られないように気をつけながら
スキップして教室へと向かっていった。俺の時代は近い。
放課後、シューマッハもびっくりなドリフトを演じながら猛ダッシュで屋上に
向かうとそこには気弱そうなおさげで眼鏡の女の子が立っていた。確か隣のクラスの…
「えっと、榛原和歌…さんだっけ。」
「あ…うん…。名前どうして……。」
「その……榛原さんの友達がそう呼んでいたのを聞いたことがあるんだ。」
俺は飛び上がって喜びそうなのを堪えながら抑えて話していた。榛原さんは、
眼鏡を取ると可愛いし、実はスタイルもいいのだ。それを知っている男連中では
守ってあげたい感じで人気NO.1だ。俺もだめ姉の世話より可愛い女の子とラブラブしたいぜ。
彼女はにこっと嬉しそうに微笑んで、
「嬉しいな。私その…地味だから…顔も忘れられているかと思ってた。」
「そんなことないよ。榛原さんは可愛いから。」
うおおおおお言ってる俺が超はずかしぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!
「それより…どうしてここに呼んだの?」
「それはその……あの……私…わたしっ!!青野君のことがっ…すっ!」
彼女は俺の顔を見て真っ赤になりながら上目遣いで…俺はそのときを待っていた。
が、
「きゃああああぁぁぁぁ!!!」
そこには何故か姉が居た。何故かバケツを持っていて、こけて、自分で水をかぶっていた。
榛原さんといえば、目の前に現れたドジ美人をあっけに取られたように見つめている。
「うえええ〜〜〜〜〜〜〜〜ん、ずぶぬれだよぉぉぉぉ〜〜虎ちゃん助けてぇぇ〜」
「あ、おい。こっちくんな!」
おい、こら俺に抱きつくな!!胸の感触がって違う!!!
「え…え……青野君……下の名前で呼び合う人が……しかも、こんな美人…えとえとっ!」
「まて、榛原さん誤解だ。こいつは!」
「私…私…知らなくてっ!!ごめんなさい!!!!」
榛原さんは泣きながら走り去っていった。
「亜紀姉……説明してもらおうか?」
「いやん、虎ちゃん怒らないで〜。」
俺の怒りは臨界点を既に突破していたが、一応姉の言い分も聞いてやろうと思っていた。
「あのね〜〜。虎ちゃんのラブレター見たの。」
「いつっ!!!」
俺は見せた覚えもないし、朝はさっさと隠して教室に入ったはずだ。
「昨日の放課後。」
「…………なんで俺の下駄箱を?」
「みやちゃんが浮気調査の基本だって。」
頼むからみやちゃんとやら…プライバシーは大事にしようぜ。第一俺と亜紀姉は
姉弟だ。浮気関係ねえ!!
「それでね〜〜相談したらね。泥棒猫には水でもかけとけって言われたの。」
「ほほう…。それを真っ正直にやろうとしたわけか。弟の恋路を邪魔しようと。」
姉は嬉しそうにわらって頷いた。男なら百人中九十九人まで蕩ける様な笑み。
例外は俺だ。
「この馬鹿姉がぁぁぁぁぁぁぁ俺の青春をかえせええええええ!!」
「きゃあああぁぁぁっ暴力反対暴力反対だよぉぉぉぉっ!!」
とりあえず、頭をぐりぐりしカバンの中から体育で汗をかいたら使うつもりだった
タオル出して、姉の綺麗な髪の毛を拭いてやった。
「虎ちゃん優しい〜〜〜お礼にはぐしてあげるね?」
「いらん。」
俺の春は遠い。駄目姉を連れてため息を吐きながら帰途に着いた。二人で歩くと
通りすがる人が皆振り返るのは姉が無駄に美人なせいだろう…。いつまで、こんなことが
続くのだろうか。
翌日、榛原さんと顔を合わせるのが気まずかった俺は寝ぼける姉を連れて、早めに
学校へと向かい誤解が解けることを祈って、俺の気持ちを全て書いた手紙を押し込んだ。
焦っていたため、下駄箱を間違えていたことに気づいたのはその日の放課後だった…。
投下終了。次辺りからもう少し長めにいきます。
161 :
名無しさん@ピンキー:2007/06/20(水) 18:08:43 ID:S85q7C19
駄目姉が可愛くて仕方ないので困ってしまいますw
ごめんageてしもうた
主要人物
ユウ
紅 夕暮(くれない ゆうぐれ)
ヒロの姉。鶴ヶ崎高校3年。
姉弟の仲は良く、それ以上の感情を持っている。ブラコンであることは周囲の友人も知っている。
黒い改造制服を着ており、そのため学校では「暗黒姫」「黒い魔女」の通り名で有名になっている。
トモ
ヒロ・ユウの異母兄弟。邦府高校1年。
ヒロの妹だがヒロに好意を抱いており、そのためユウとはライバル関係にある。ブラコンであることは周囲の友人も知っている。
ユウとは対照的に髪の毛の色などは白(カラーでは金髪)だが、顔は似ている。
wikiより
まさにスレ住人を釣ろうとしてるかのような設定
俺は1スレが出来る前にすでに釣られてたクマー
>>160 行動の結果が泥棒猫の被害に繋がらないだけで、キモ姉がこんなにも可愛く見えるとは・・・!
でも心理描写が入るとどろどろなんだろうなぁ。それだいいんだけど。
GJです。
長目の更新、期待してまつ。
夕日ロマンスはコミックスが楽しみだ。
が、「夕日ロマンスの」を入れておかないとな、
>>163。
>>160 GJ!
俺の亜紀姉のイメージはアイマスのあずさをちゅるやさん風にした感じ
166 :
名無しさん@ピンキー:2007/06/20(水) 23:36:39 ID:bSFA5bHo
>>163 ちょwww何その痛い設定wwww
一気に夕日ロマンスを買う気が無くなったじゃねーかww
>>163 ちょwwww黒い魔女とかwwwwモロ邪気眼wwwww
>>160あき姉ちゃんキター!
ダメ姉ホント可愛いな。
泥棒猫の始末すらちゃんと出来ねえところに悶える。
たとえ全部計算づくでも俺は姉ちゃんを支持する。
GJ!
次回以降は長めになるそうなのでwktkして待ってます! ありがとうございました。
一応言っておくけれど……。
作中で魔女とか言われたりしないからな。
『主人公に告白しようとすると邪魔をしにくる黒い魔女』という噂がある、
ってのが一話でちょこっと出てきただけだぞ。
今日訳分からん言葉思いついたんだ。
「お姉ちゃんどいて!そいつ殺せない!」
はてまたなんでこんな言葉を思いついたのか・・・
今日訳のわからない言葉(ことのは)を思いついた
まで読んだ
言葉が妹ならノコギリで手足を切断さうゎああっなにを(ry
じゃあ俺は言葉を姉、世界を妹に…
あれ、お腹に何か刺さって…首から…血?
あれ?俺落ちてるの?こr
グシャッ
172 :
名無しさん@ピンキー:2007/06/21(木) 03:29:08 ID:sDfpGc5Q
以前、ある新ジャンルに投下した姉がキ印なので、こっちに再投下して良い?
続きも勿論、用意する。
以下、その姉↓
俺の部屋には姉がいる。
姉「大丈夫? 宿題一人で出来る? お姉ちゃんが教えてあげようか?」
弟「大丈夫だよ。分からなくなったら俺から聞くから」
姉「あ、うん。分かった。じゃあ外にいるね」
遠慮して自分の部屋さえ持たない姉がいる。
弟「いいよ、またずっと廊下で待つつもりでしょ」
姉「でも……弟君の勉強の邪魔したくないし」
弟「外にも出かけないならここにいていいから。ね?」
姉「あ……うん」
俺の部屋には姉がいる。屋根のあるところにいさせてもらうだけでも遠慮する、バカな姉がいる。
↑?
>>172 あるていど書き溜めて、まとめて投下したほうがいいぞ。
177 :
名無しさん@ピンキー:2007/06/21(木) 18:23:50 ID:VB55V6X/
>>174 その書き溜めたもの
俺の家には居候の姉がいる。
姉「あ、それじゃ、ごちそうさまです」
弟「姉ちゃん。俺、今日バイトで遅いから先にお風呂入ってて」
姉「うん」
そんなこと言って、絶対に俺や両親よりも先に入らない姉。
姉「じゃあおじさんおばさん、学校行ってきます」
俺よりも両親と長く住んでるのに、未だに敬語が抜けない姉。
姉「じゃあ行ってくるね。弟君」
弟「ああ」
俺の家には姉がいる。ずっと居候みたいに縮こまってる姉がいる。
178 :
名無しさん@ピンキー:2007/06/21(木) 18:24:45 ID:VB55V6X/
姉は俺にいつも優しい。
姉「はい、弟君」
弟「なんだよこの服」
姉「プレゼントだよ」
弟「……」
姉「どうしたの? 変で嫌だった?」
弟「いや、そうじゃなくて。いい加減、自分の為にお金使いなよ。いつもいつも買ってくれるのは嬉しいけどさ」
ろくすっぽ友達と遊ばずに、姉は俺のご機嫌取りにばかりお金を使う。
姉「あ、ごめんね。じゃあそれ、返品して違うの買うから」
弟「だから、もっと遊びの為に使いなよ。姉ちゃんだって友達いるだろ? 彼氏とかもs
姉「別にっ」
弟「え?」
姉「別に……私はそういうのいいから。弟君が喜んでくれるなら……」
そういって姉はいつも俺に何かをくれる。
179 :
名無しさん@ピンキー:2007/06/21(木) 18:26:48 ID:VB55V6X/
俺と姉の関係を一言で表すなら、平行線が妥当だろう。
姉「弟君。お腹空いてない? 今、何か作ってあg
弟「いいよ姉ちゃん。なんでそんな俺に構うんだよ」
姉「え……あ……ご、ごめんね……ごめんねごめんねごめんね。ねえ許して弟君。邪魔だったらはっきり邪魔だっていいから。そしたらお姉ちゃん消えるから。
だからごめんね。許して弟君。ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
そうやって姉はいつまでも頭を上げない。
怒りなんてもうとっくになくなっているのに、姉はずっと「ごめんなさい」と繰り返した。
180 :
名無しさん@ピンキー:2007/06/21(木) 18:28:56 ID:VB55V6X/
俺は地元の高校に通っている。
弟「じゃあ行ってくるね」
姉「行ってらっしゃい弟君……やっぱり、途中までお姉ちゃんついていk
弟「いいよ。もう高校生なんだし」
姉は大学進学を勧める両親の話を丁重に断り、地元の中小企業に勤めている。
姉「じゃあ、あの、良かったら帰りに夕ご飯の材料買うから……その」
弟「荷物持ちね。分かった。いつものスーパーね」
律儀に食費まで入れている姉は、やはり俺に荷物持ちなんてさせない。
弟「じゃあ、行ってくるね」
姉「うん。行ってらっしゃい」
181 :
名無しさん@ピンキー:2007/06/21(木) 18:30:15 ID:VB55V6X/
高校では俺は変人だ。
弟「おはよう」
女「あ、おはよう。今朝はお姉さん、いなかったね」
俺「ああ」
女「……ねえ、やっぱりちゃんと嫌なら嫌だってちゃんと言ったほうが良いと私は思うな。弟君も迷惑n
俺「迷惑とは思ってないよ。ただいい加減、あんな肩肘張った生活しなくて良いと思ってる」
女「でもさ、なんかちょっとあそこまでいくと気持ち悪くない? 時々、ちょっと頭おかしいんじゃないかって」
俺「悪口ならそこまでにしてくれないか?」
女「……ごめんなさい」
俺は高校では変人だ。変な姉をかばう変な弟だ。
182 :
名無しさん@ピンキー:2007/06/21(木) 18:31:24 ID:VB55V6X/
スーパーでの待ち合わせは長年続いてるものだ。
タタタ
姉「弟君」
弟「わりぃ姉ちゃん。なかなかダチが離してくれなくてさ。待ったろ?」
姉「ううん。大丈夫だよ。さ、入ろう」
姉は中学に入ると、自分から家の手伝いをするようになった。まるでそうしないと自分の居場所がなくなるように。
姉「お菓子とかいる? 何でも好きなもの買ってあげるから」
弟「いいよ。これ以上食ったら太る」
母がそこまでしなくて良いというのに、姉は自分の居場所を守り続けた。
姉「今日は弟君の好きなもの作るね」
もう、そんなことしなくても居場所なんてとっくにあるというのに。
183 :
名無しさん@ピンキー:2007/06/21(木) 18:32:47 ID:VB55V6X/
俺の趣味はクレーンゲームだ。
ゲーセン
弟「よっ、と。よし、取れた」
姉「わぁ。やっぱり上手だね、弟君」
弟「ほら。これ」
姉「え……いいの?」
弟「ああ」
俺からのプレゼントはよっぽどのことじゃないと受け取らない姉の、唯一受け取ってくれるもの。
姉「ありがとう。大切にするね」
姉はすごく嬉しそうだった。たかが100円のプレゼントに姉はすごく喜んでいた。
終了したんであればその旨書き込んだ方がよいですよー
それはそうと、攻性では無いキモ姉って言うのもなかなか……良いかも。
でも完全にキモいかというとそんなことないし、依存かというとそうでもないし、嫉妬からは遠く、とあれこれ考えるとやっぱりこのスレが一番近いんだろうか。
185 :
名無しさん@ピンキー:2007/06/21(木) 18:57:31 ID:VB55V6X/
>>184 いちおう、ここまでです。お騒がせしました。
続きは出来たら早めに。
186 :
名無しさん@ピンキー:2007/06/21(木) 19:02:27 ID:7yQrGMX4
sageぐらいしてくれ…話はそれからだ
はいはい俺も同じ穴の狢orz
ごめん…
SSをすべてageて書き込む人初めて見た
微妙に混沌としはじめつつも、読みふけってしまう俺がいる
これもキモ姉・キモウトの成せる業か・・・
>>188 よっぽどの自信作なんだろ、放っておいてやれよ
自信作ねぇ…自信作…自信作……
…これ以上噛みついちゃだめだ!皆落ち着こうぜ!な!?
エロパロ板になじみがうすいんだろ
>>185 とりあえずSS投下するときはsage投下したほうが無難だ
メール欄に半角文字でsageと入れるだけでよし
荒れる原因にもなったりするからこうしたほうがいいよ
お騒がせしました
みんな厳しいこと言ってるけど内心では投下を心待ちにしてるから、
まったり続きを投下すると泣いて喜ぶよ。
「」の前に姉とか弟とか書くのも要らないと思う
>>197 それは自信がないんだ大目にみてあげてほしい
ふたば分家の++の小説スペースで
>>197の言うようなシナリオもどきの話者注記入りで書くくせに
妙に他人の作品を上段から批評する癖のある痛い書き手を思い出した
新ジャンルスレなら問題ないが
ここで台本小説はなぁ
どうしても厨っぽいイメージが付く
まぁ初投下らしいし大目に見てはいかがかね?
話者注記入りにすると精神、内面描写を少なくする癖が付くからな。
必然的に内容が浅くなってしまう。
多少長くなってもいいから登場人物の会話だけで文章構成
というのは止めてほしい。
203 :
202:2007/06/21(木) 22:33:46 ID:9TTrg3Bb
誤解を招く前に修正
多少長くなってもいいから
“文章の殆どを登場人物の会話で構成”
というのは止めて欲しい。
連レススマソ。次の小ネタ考えるとします。
ほんとどこ行っても批評家多いな
「おまえら、この女の本当の名を知りたいか?」
「ならば、教えてやろう。こいつの名前は、ジャギ!! おれが嘗て、“姉”と呼んだ女だ!!」
前スレまでは良スレだったんだが
批評家をきどるつもりは無いけど
話を書く上で話者注記無しの方が多少つたない文になっても書き手の技術向上もなるしいいと思うぜ?
別に『技術なんていらない』とか『俺は書きたいように書く』とかいう完全なオナニーなら文句はいわないけど
こういう公の場に出す以上見てもらうっていうのが意識にあるんだろうから、やっぱり真摯に受け止めるべきではないだろうか
と、完全に批評家きどりですね、すいません。
台本小説じゃなくて台本そのものなら、俺は別に構わないや
台詞だけで描写や心理表現も可能だし
要は何にせよ、書き手の腕とセンスが大事、二兎は良くないってコトですね
引っ張りすぎ
何度も同じような発言し合ってんな
台本調の作家はスルーが基本でしょ。
>>208 確かにそうかもしれん。
台詞、描写共に重要である故に書き手の才能が求められる。
どんな方法であれ心理描写を上手く活字に出来ることが
ss制作の鍵か。
ん?台本が落ちてる。なになに?
♀「あらあんな所にピエールがいるわ」
♂「おやあんな所にカトリーヌがいるぞ」
…何これ?
212 :
>>172の:2007/06/21(木) 23:55:59 ID:VB55V6X/
蒸し暑さだけが漂う残暑。俺はクーラーもついてない部屋で一人、長期休暇の課題に取り組んでいた。
これでも真面目な性格が幸いしてか、友人連中に助けを求めるような真似はしないで済んでいる。数学の教師が
出してきた殺人的な量の問題冊子も、今日明日で目処がつくところまできていた。
ここで訂正、このクーラーも数日前に壊れて地獄と化している部屋には俺以外のもう一人の住人がいる。
「あの、宿題大丈夫……? よかったら、その、お姉ちゃんが見てあげようか?」
俺の部屋には姉がいる。姉弟なのだから当然なのだろうけれど、社会人の姉に高校生の弟が各々、別々の部屋も
持たずに一つの部屋を使用しているのは驚くどころか奇異の目で見られるだろう。確かに両親は一般人ではあるけ
れども、個々の時間の所有を訴える時期をとっくに迎えてる子供二人に部屋を与えられない程度の経済状況でもな
いし、そこら辺の一般的な感覚を有していることは長男の俺が保障する。
話を戻そう。とにかく、“俺の部屋”に姉がいるのだ。
俺は姉の問いに首を横に振ると、「分からなくなったら聞くから」と付け足しておく。そうでもしないと姉はす
ぐに、
「あ、うん、分かった……じゃあ、お姉ちゃんは外に出てるね」
こんなことを言い出すのだ。
「いや、いいって。また廊下で待つつもりでしょ?」
振り向く俺に姉はおずおずと頷く。そう、姉は曰く、弟の邪魔をしないように廊下でおとなしく待つ、なんてこ
とをする。一度、どうしてそんなことを、と問い質したら、盛大に泣きつかれたのは記憶に新しい。
ごめんね。お姉ちゃんやっぱり邪魔だよね? こんなお姉ちゃんいらないよね? 弟くんの邪魔しないように一生
懸命やってるけど、でも出来なくてごめんね? やっぱり弟くんにとってお姉ちゃんなんていらないよね? お姉ち
ゃん弟くんの為を思ってやってるけど、でも私って気が利かなくて馬鹿だし邪魔だし、こんなのいらないよね?
弟くんのお姉ちゃんでいる事自体間違ってるよね、ごめんね、ごめんね、本当に、イライラしたらお姉ちゃんぶっ
たって殴ったって良いからね? それで弟くんの気が済むんならどんなにしたっていいからね? だから、そのね、
もう少し、お姉ちゃんをここに置いて欲しいな? ね? ね?
俺の部屋には姉がいる。屋根のあるところにいさせてもらうだけでも遠慮する姉がいる。
>>172のを書き直しました。突然の投下ですいません。
順次、書き直しできたらと思います。それでは。
いちいち叩かれそうなことをするおまえがなんか可愛いよ
この流れで書き直したお前さんに惜しみないGJを送ろう
頑張れ
♂「…………」
♀「どうしたの?ピエール兄さん」
ピエ「ちょっと、こっちに来いカトリーヌ」
カト「きゃ……兄さんったら強引v」
ピエ「そうじゃないだろ!騎士団の宿舎に居る女というのはどういう女だと思う?」
カト「生き別れた兄に会うために修道院を抜け出して来た最愛の妹?」
ピエ「お前が修道院に入ってまだ二日だろう!というか修道院からココまで三日かかるだろう!」
カト「兄さんへの愛ね。少しでも速く兄さんに会いたくて二日でここまでついたわ」
ピエ「どこからつっこめばいい……」
カト「もちろん、私の大事な穴からよ。兄さんが望むなら後ろが初めてでもいいわ」
ピエ「小首を傾げて可愛らしくそういう下品な冗談を言うな!」
カト「本気なのにぃ〜」
ピエ「頬を膨らますのもダメ!女の子なんだからもっと清楚にしなさい。はぁ、何のために修道院にいれたのか……」
カト「兄さん?頭痛?大変、騎士団なんてやってる暇ないわ!一緒に家に帰りましょう!!そして二人で暮らすのよ!」
ピエ「誰のせいだ!というか父上も母上も健在だ!それに騎士団に入るのは僕の夢だ」
カト「……居ないわよ」
ピエ「は?」
カト「私と兄さんを引き離すような♂と♀なんて、もう居ないから安心して兄さん。大丈夫、騎士団なんか入らなくても暮らしていけるお金も用意したから」
ピエ「何を……言ってるんだ?」
カト「そう、でも兄さん、夢が大事なんだ。私、負けたくないの。兄さんに寄ってくる雌豚にも、兄さんの夢にも。私は兄さんの一番になりたいの。
だって私の一番は兄さんなんだがら、兄さんの一番も私だよね?でもね、人って大きくなると色んな邪魔のせいで、本当は一番なのに
そうじゃないものを一番って呼んだりするのよね。兄妹で結婚できないとかも同じね。社会って酷いわ。でも純粋な兄さんを取り戻してあげる。
大丈夫、兄さんは純粋で綺麗なままで居てイイの。障害は全部私が排除するから、私達を認めないものだって逆に利用してもみせるわ」
ピエ「カトリーヌ?」
カト「ふふ……大丈夫、私、兄さんとの初めてはこんな草の上じゃなくてシルクのベットの上って決めてるから」
ピエ「お、おい!カトリーヌ、こんな所で何をし始めるんだ……辞めないか、言ってるだろう清楚にしろと。そんな娼婦のような真似事……冗談でも……」
カト「見て、兄さん。私の身体、兄さんの好み?もっと胸があった方がいいって言うんなら、私努力するわ。逆は無理だけど」
ピエ「服を着なさいと言ってる!!」
カト「ダメよ、兄さんはこれから善良な修道女を襲おうとした罪で騎士団から除名されるんだから……」
ピエ「カト…リーヌ……」
カト「大丈夫、牢屋からはスグに出してあげるから。ふふ、兄さんは私の所に帰ってくるし、強姦魔には雌豚は寄ってこないだろうし、一石二鳥ね……」
ピエ「カトリーヌ?やめなさい、いつもの優しい妹に戻ってくれ、な?カトリ…」
カト「助けてぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
まあ「」だけの奴はネタ向けではあるんだけど
>>212 みんな期待してるんだよとりあえずGJ
俺も期待してます
220 :
>>177の:2007/06/22(金) 01:29:22 ID:NmC4o+JB
少しだけ慌しい朝食の時間。今のご時世には珍しく、家族揃って食事を摂る我が家は実に和やかなものだ。家族
の誰それがこんなことをした。隣家の奥さんからこんな噂を聞いた。まるでサザエさんのような光景は俺の中では
当然になっており、先日、その様子を長年の友人に話したところ目を丸くしたのはまた別の話だ。
「ごちそうさまです」
談笑の中にあって一人、手を合わせて食事の終了を知らせる姉に俺は目を向ける。なぜだか、毎回のように家族
の誰よりも早く食事を終える彼女は、エプロンを着け直すと一人、流し場で洗い物を済ましてしまう。
「それじゃあお父さん、お母さん。行って来ます」
エプロンを外した姉は、両親の返事もそこそこにいそいそと玄関の方へと行ってしまう。姉はあまり態度に出さ
ないが、親を避けている節がある。初めこそ、ありえないことだが親を嫌っているのかもと考えた。しかし、長年
姉の様子を見るにそれはやはり間違いだと気づく。姉はまるで自分がこの場にいることが失礼だと、自分に言い聞
かせるように両親と接していた。自分の存在を恥じるように、すまなそうに人生をそう過ごしていた。
果たしてそんな行動にどんな意味があるのか、俺にはさっぱり理解できない。だからといって俺には全く別の態
度を取る。今も姉の去った台所には一つの弁当が置かれている。もちろん、姉が作った俺の弁当だ。
「ごちそうさま」
いい加減、俺もこれ以上のんびりしていられない為、手早く準備をして家を出る。両親は相変わらず暢気に緑茶
を啜っている。養われている以上、こんなことを言うのもなんだが随分とのんびりした親だと思える。
まあ、実際に血が繋がっているわけでもないし。
俺は二人に聞こえない程度にそう一人ごちると、いってきますと玄関を開ける。
「だからね、今度、弟くんにも買ってあげたいと思うんだけど」
安易に地元の高校へと進学した俺の登校はいつも徒歩だ。自転車の購入も考えたが、今のところ、その希望は隣
でひっきりなしに喋っている人物によって粉砕されている。人物なんて隠す必要も無い、姉の独断だ。
「それでね……って聞いてる? 弟くん? お姉ちゃんの話、つまんない?」
不安そうな瞳と共に腕を掴まれる。俺はただただ苦笑するしかない。想像して欲しい、スーツを着た女性と腕を
組んで堂々と登校する高校生が回りにどう見られるか。はたして学び舎でどんな噂を立てられているのか、自分で
は怖くて詮索すら出来ない現状だ。
けれど、ここで姉を拒絶するような態度を取ってしまえば俺は通学することすら困難な状況に陥るだろう。
そもそも、なぜ先に行った姉と一緒に登校しているのか。答えは簡単、この姉は家を出て最初の曲がり角で待っ
ているのだ。そして俺と僅かな時間を共にする。例え、勤め先が学校と正反対の位置にあろうとだ。
それじゃ弟くん。一緒に行こう。え? 大丈夫だよ、まだ時間なら余裕あるし。弟くんも知ってるでしょ? お姉
ちゃんはただ弟くんと一緒に歩きたいだけだから。それとも、こんなお姉ちゃんと一緒に登校するの嫌? それだっ
たらお姉ちゃんの話なんて聞かないでいいから、うるさいって怒鳴ってぶったって良いから。それかもしも弟くん
が車に轢かれそうになったらお姉ちゃんが身代わりになってあげるから。そんな程度のものだって思って良いから。
だから弟くん、一緒に行こう? ね? ね?
頑張れー
なんだかなあ
嫉妬スレと比べると質が堕ちるな・・
やはり、俺が望んでいるキモ姉妹の話は読めないのかな・・
226 :
名無しさん@ピンキー:2007/06/22(金) 02:01:10 ID:5glBbMZJ
>>221 同じ物書きもどきとして君の熱意に敬意を表する!
「なぁ、○○」
「あぁっ…!!」
昼食の時間、明日の日曜の予定を聞こうと妹に顔を向けた瞬間、
彼女はアメリカンロブスターの如く体を反った。
「…何してんだ?お前」
「だ、だって…!お兄ちゃんに見られると…あぅっ!」
また体を反った。一体何がしたいんだ?
「具合でも悪いのか?」
妹の額に手を触れる。成るほど少しあt
「ふ、ふぁぁぁぁっ!?」
触れたと同時にここ一番の大声と海老反りを見せて、
妹は椅子から転げ落ちた。
「お、おい?大丈夫か!?」
ビクンビクンと全身を激しく痙攣させる妹。頭でも打ったか?
「おに…ちゃん…」
微かに呟いた妹の下半身…
と、その周りの床が少し粘り気のある液体で激しく濡れていた…
ある意味[超・キモウト]
先の一件がありながら勢いでやった、後悔はしている。
>>221が普通に面白いのは俺だけか?
俺の好みにど真ん中
俺も姉(もしくは妹)が好みのタイプだと面白いと思うし、好みじゃなければ面白くないと思う
SS的に面白いかどうかなんて俺には区別がつかん
俺の読書力なんて所詮そんなもの
俺も大好きだけど?
続きをキモ姉に監禁されながら待ってるよ。全裸で
キモというよりイタイ姉だな
このスレくらいしか収容できなさそうだが
非エロ投下します。
章間キャラクター紹介です。
鏡を割った次の日の朝、綾は包帯を巻いた手で朝食を用意し、起きてきた陽一を出迎えた。
「綾、手の包帯、どうしたんだ?」
「昨日部屋の鏡を割っちゃって、その時少し切ったのよ」
「切ったのよって……大丈夫なのか? 食事の支度、俺が代わろうか?」
「やあよ。お兄ちゃんが作っても、美味しくないもの」
「そりゃお前ほどには美味く作れないけどさ。怪我してると水仕事は辛いだろ? 無理するなよ」
綾は陽一の言葉に、ありがとうと礼を言った。
降り注ぐ朝の日差しの中に、端整な微笑が美しく輝く。
「でも痛いほうがいいのよ。これは罰だから。痛い方が自分が馬鹿だって忘れないで済むから」
「罰?」
「ええ、失くしちゃった罰」
「失くした?」
「……鏡よ。大きい鏡は高いからね」
それはともかく、とトーストを載せた皿をテーブルに置きながら、綾は陽一に尋ねた。
「一晩考える時間があったわけだけど、四辻夕里子さんとはどうするの? 付き合うの?」
「ん……まあ……付き合おうかなあと思ってる」
わかっていたことだった。
陽一がどんな夢を見ていたかはわからない。
しかし、性器に刺激を受けている時に、陽一は夕里子の名を口にした。
恐らく、今の陽一にとって、最も「女性」を感じさせられる人物は、四辻夕里子なのだ。
「へー、よかったじゃない。これでお兄ちゃんも女がらみで妙なことに巻き込まれなくなればいいけどね」
ごく平静な様子で綾は言った。
「まったく、今まで散々迷惑かけられたもんだわ」
「はは……いや、すまん」
「これを機会にしっかりするのよ? もし何も変わんないようだったら、四辻さんとの付き合いについて、私も考えさせてもらうからね」
「ああ……ごめんな、心配かけて」
「別に。これで私も楽になるわ」
ふん、と鼻を鳴らし、トーストをかじる。
テーブルの下で、綾は右の拳をぎゅっと握った。
力強く握り、小さく震わせる。
白い包帯に、じわりと赤い血が染み出した。
「今日も会うの? 四辻さんと」
「ああ。返事をする約束があるしな」
「ちゃんとデートの報告はしなさいよね」
「いや、もうあれは……恥ずかしいから勘弁して欲しいんだが」
昨日のキスの報告がよほど堪えたのだろう。
陽一は困ったように言った。
「なに? この夏休み中私が鍛えてあげた恩を、もう忘れたっての?」
「そういうわけじゃないけどさ。夕里子さんにも悪いし」
「……まあいいわ。じゃあ今度その夕里子さんを家に連れてきなさいよ。どんな人かしっかり見てあげるから」
「そうだな。そのうち連れてくるよ」
「あんまりどうしようもない人だったら、その時は遠慮なくいかせてもらうからね。あと、いきなり不純な交際はするんじゃないわよ?」
「するか!」
顔を赤くする陽一を指差して、綾は笑った。
「ま、精々うまくやんなさい」
始業式までの一週間、綾は四辻夕里子についての調査はしなかった。
鏡を割って負った傷が完治するまでは、行動を慎むつもりだった。
怪我をした状態で事に当たっては、思わぬところでつまづくことになる。
夕里子の周辺を探っていたという痕跡を残してしまったら、それは致命的な結果を招く可能性があった。
「今年はもう二人殺しているものね……」
一方は事故として処理され、もう一方は別の容疑者が追われているが、被害者たちと綾に接点があったことを知っている者はそれなりにいる。
そして次に狙うのは、陽一の恋人となった四辻夕里子だ。
夕里子を排除することに成功したとしても、こうも立て続けに綾の周囲で人が消えていたのでは、疑う者が現れてもおかしくない。
だから、夕里子を排除するプロセスにおいて、証拠を残すことは絶対に許されない。
どんなに疑われても、証拠がない限り敗北はないのだ。
「お兄ちゃんが疑われる可能性があるのが嫌だけど……でも、お兄ちゃんが四辻夕里子に汚されるのは、絶対に防がなくちゃいけないしね」
綾は自室の天井板を一枚外し、天井裏から金属製の箱を取り出した。
蓋を開けると、中には鉈、金槌、包丁や異常な刃渡りのナイフが数本。
束ねられた細いワイヤーに、透明な液で満たされた小瓶なども入っていた。
廃品、盗品、合法的な入手物――綾が数年にわたって集めてきた、外敵排除のための道具だった。
「お兄ちゃんは渡さないわ」
水を入れた洗面器と砥石を床に置く。
鈍く光る包丁を握り、静々と研いだ。
「私のためにも。お兄ちゃんのためにも。私たちは、ずっと二人でいる方が幸せなんだから」
鋭い切っ先を見つめながら、綾は呟いた。
「馬鹿な女に穢されないよう、私が守ってあげるからね、お兄ちゃん」
新たなる学期の始まりとなる九月一日、生徒たちが休み中の出来事を話し、教室はいつも以上のざわめきに包まれている。
普段より少し遅めに登校してきた綾に、小夜子はさっそく声をかけた。
「機嫌悪いね」
「久しぶりに会って第一声がそれ?」
綾はため息をつくと、乱暴に椅子を引いて座った。。
「別に、いつも通りよ。この通り、元気一杯」
「ふーん……?」
「……まあ、ちょっとは機嫌悪いわよ。休み中に手を怪我して、色々不便なの」
「陽一さんがお付き合いを始めたからじゃないの?」
「なっ……!」
綾は包帯を巻いていない方の手で、机を叩いた。
「何で私がそんなことで怒るのよ! お兄ちゃんが誰かと付き合ったくらいで!」
「怒ってないんだ?」
「別に、ようやく肩の荷がおりたって感じよ」
意外、といった風に小夜子は腕を組んだ。
「私、陽一さんが誰かと付き合うことになったら綾は絶対反対すると思ってたから、ちょっと驚いたわ」
「そりゃお兄ちゃんに憧れみたいな気持ちはあるけどね。ブラコンとかじゃあるまいし、誰と付き合おうが、私はお兄ちゃんの意志を尊重するわよ」
「ふーん……でもやっぱり不機嫌よね」
「だから、それは手を怪我したせいよ。まあ、あえて言うなら、お兄ちゃんと相手の四辻って人の付き合い方が、こそこそしていて嫌な感じはするけどね」
「こそこそ?」
「そうよ!」
綾はまた机を叩いた。
「お兄ちゃんが誰と仲良くしようがそれはいいわ。ただね、付き合うなんてことになったら、家族に顔見せくらいしてもいいじゃない?」
結局陽一は夏休み中、夕里子を家に連れてこなかった。
「もうちょっと待ってくれないか」
そう言われ続け、二学期になってしまった。
そして、やはりデートの報告は無い。
どんなことをしたのか聞いてもごまかされてしまい、いつどこでデートをするのかも教えてもらえなかった。
二人の仲がどれだけ進展しているのか知ることができず、綾はそれなりのストレスを感じていた。
「四辻って人はあれかしらね? 何か後ろ暗いことでもあるのかしらね?」
「いや、むしろユリねえは綾に会いたがってるんだけど、陽一さんが今はまだよしておこうって言ったらしいわよ」
「何でよ?」
「ほら、まあ、綾は怖いところあるから」
「はぁ? 何で私が怖がられるのよ」
声を低くして睨みつけてくる綾を、「まあ落ち着いて」となだめながら、小夜子は言った。
「ほら、陽一さんの付き合う人となると、綾は評価厳しそうだし。なまじ自分で何でもできる分、陽一さんの恋人にも同じくらいを要求するでしょ?」
「仮にそうだとして、どうして私に会うのはよしておこうって話になるのよ?」
「まあ、陽一さんも付き合い始めで夕里子さんに気を遣ってるところがあるんだろうし……」
それに、と小夜子は言葉を続けた。
「陽一さん、綾には絶対納得してもらいたいって思ってるだろうから、そのための準備期間なんじゃないかしら」
「別に、今来ようが後で来ようが、私が納得するかしないかに大した違いは無いわよ」
言って綾は苛立たしげに窓の外を見る。
紺色のリボンで結んだツインテールが揺れた。
「ねえ小夜子、思ったんだけど……」
「なに?」
「あなた、やけに詳しいわね。そもそも、お兄ちゃんが四辻さんと付き合い始めたのをどうして知ってるの? ユリねえって誰?」
小夜子は一瞬首を傾げ、ぽんと手を打った。
「ユリねえは夕里子姉さん。言ってなかったっけ? 私、ユリねえとは従姉妹同士なのよ。うちは分家だけど。夏休み中に何度か会って聞いたのよ」
綾は絶句してしまった。
言っていないし聞いていない。
縁もそんなことは言っていなかった。
「従姉妹……? 小夜子と……四辻夕里子が……?」
「ええ」
小夜子は頷いて小さく笑った。
それまでの気さくな雰囲気とは違った、柔らかな微笑だった。
「実は私もそれなりのお嬢様だったのですよ」
「知らなかったわ……」
「まあ言うことでもないしね。家に来れば何となくわかったかもしれないけど、綾ってば何度誘っても来てくれないし……夏休み中だって……」
ぶつぶつと愚痴に転化する小夜子に、綾は落ち着いて尋ねた。
「夕里子さんとは仲がいいの?」
「年が近かったから、親戚の中じゃ一番仲がいいわよ」
「夕里子さんは、どうしてお兄ちゃんを好きになったのか、聞いてる?」
「んー……何かね、去年の今頃、助けてもらったらしいのよ。陽一さんに」
「いつどこでどんな状況で?」
やっぱり怒ってるなあ。
そう思いながら、小夜子は話を続けた。
「その……ユリねえはさ、去年の春くらいから、ストーカー被害に遭ってたのよ」
「は?」
「つけまわされたり、変な手紙や写真が届いたり。一時期は本当に大変だったらしいわ」
恐怖に震え、神経をすり減らされた。
警察には相談しなかった。
「ユリねえ、全寮制の私立に入るはずが、親御さんの反対を押し切ってこの高校に入学したのよ。
ストーカーに遭ってるなんて言ったら、もと行くはずだった高校に絶対に押し込められちゃうからね。
それで友達とかに相談して色々対策を練ったりもしたんだけど、なかなかうまくいかなくて……」
身の危険を感じるようにもなった。
決して一人にはならない。
慣れた建物にしか入らず、初めての建物はおおよその構造を把握する。
窓にはカーテンをかけ、傍には寄らない。
尾行確認ほか細々とした注意を怠らないようにした。
「ちなみにその時相談に乗ってくれたのが、宇喜多さんらしいわよ。あの、陽一さんのクラスの」
「へえ……あの人がねえ……」
「でも、なかなかストーカーが離れなくて困っていたところで、陽一さんが助けてくれたらしいのよ」
夕里子と女友達が、いつも通り二人で下校していた帰り道、ストーカーの男は夕里子に接触を試みてきた。
突如夕里子の手を握り、熱烈な愛を説いた。
そこにたまたま現れたのが陽一だった。
陽一は、男を止めに入り――
「殴られたらしいわ。思い切り」
倒れた時、頭に二針縫う傷を負った。
血を流す陽一を見て、男は慌てて逃げ出そうとしたが、何とか陽一が追いすがり、捕まえた。
それがきっかけとなった。
縁は、陽一の怪我を理由に警察に届け出ると言って男の家族を脅し、
男を県外の親戚のもとに住まわせて別の学校に転校させること、今後絶対に夕里子に近づけさせないことを約束させた。
そうして、夕里子は一連のストーカー被害から解放されることとなった。
「あの馬鹿……駅の階段で転んだって言ってたのに……!」
綾は昨年兄が怪我を負って帰った時のことを思い出していた。
そんな事情があったとは、全く知らなかった。
「そんなわけで、ユリねえにとって陽一さんは、恩人で、王子様ってわけなのよ。まあ陽一さんは、ユリねえのことはあんまし覚えてなかったみたいだけど」
「なるほどね……」
少し安心したように、綾は息をついた。
「大体わかったわ。お嬢様がちょっと暴力的な日常に触れて抱いた憧れっていうわけね。ま、すぐ飽きるわね、きっと」
「んんー……どうだろう。結構本気だと思うわよ。何しろ一年間ずっと好きだったわけだし。それに、ユリねえ、許婚がいたんだけど、陽一さんに助けられた頃、婚約解消しちゃってたから」
「い、許婚?」
「うん。四辻は本家だから、今でもそういうのやるのよ。これも親御さんに逆らって、ユリねえはかなりの労力を払ったはずだから……陽一さんに関しては、ユリねえは本気なんだと思う」
「なるほどねえ……」
どうやら生ぬるい説得や嫌がらせが通じる相手ではないらしい。
(やっかいではあるけれど……わかりやすくていいかもね)
話し合いが通じないなら消せばいいだけのことだ。
「ねえ……夕里子さんとお兄ちゃん、今日の放課後デートするらしいんだけど、どこでデートする予定なのか聞いてる?」
「聞いてるけど……?」
自分に一番近い友人と、目下一番の宿敵とで、同じ血が流れている。
聞いたときはショックではあったが、今のところその血の繋がりが綾に有益な情報をもたらしてくれるのは確かなようだった。
「今日は陽一さんが文化祭実行委員の集まりがあって一緒に帰れないから、駅前広場で三時に待ち合わせだって」
「ふーん……なるほどね」
「……あ、綾、まさかデートの邪魔とかは……」
「夕里子さんは私に会いたがってるんでしょ? 大丈夫。小夜子の従姉って聞いたからには、そう無茶はしないわよ」
目を細めて笑う綾に、小夜子は困ったように言った。
「やっぱり綾は……ブラコンだと思うよ……?」
「ちがうっての。あくまで、家族の幸せを願う良き妹よ。自分で言うのもなんだけどね」
始業式の後は、新学期の心構えを説くホームルームがあり、学校は午前中で終わった。
綾は小夜子と昼食をとって別れた後、一人で駅前広場に向かった。
この街で駅前広場というと、学校最寄の駅から一駅行った、中心街の駅前の広場のことである。
通学定期とは逆の方向なので、切符を買うかどうか迷ったが、時間に余裕もあったことから、綾は歩いて行くことにした。
ただ月がかわっただけなのに、風も日差しもどこか涼しくなったように感じる。
おしゃべりをする学生、子供の手を引く主婦、忙しなく電話をかけるサラリーマン。
淡い午後の光の中、人々の行き交う並木道を、綾は歩いた。
じわりと汗が滲んだが、初秋の風がすぐにかき消してくれた。
駅前広場には、二時前には着いてしまった。
「さすがに早く来すぎちゃったわね……」
綾はあたりを見回し、広場を見渡せて時間を潰せるような店はないかと探した。
と、そんな綾に声をかけてくる男が居た。
「あの、すみません」
柔和な笑みを浮かべた、全体的にほっそりとした男性。
手には、「現世幸福の追求」と大きく印刷された、いかにも怪しげな冊子を持っている。
一目でキャッチセールスか宗教の類だと見て取れた。
男性は、どこか疲れた笑いを浮かべながら、綾に話しかけた。
「この冊子を買っていただけませんか?」
「いりません」
冷たく言い切る綾に、男はくじけず話を続けた。
「幸福の追求に興味はありませんか? この冊子は幸福を呼び寄せるための能力開発について……」
「いりません」
「……どうか……一冊だけでいいんです……そうでないと今日のノルマが……」
「消えろ」
綾のひと睨みで男は言葉を飲み込み、肩を落として去っていった。
男はしばらく広場をうろついた後、今度は自転車を押して歩いてきた少女に話しかけた。
「すみません……この冊子を買っていただけませんか?」
「え? 私ですか?」
目をぱちくりとさせる少女。
綾と同じ高校の制服。
栗色の髪を腰まで伸ばした、穏和な顔立ちの、美しい少女だった。
「はい。現世での幸福の追求について説明したものなんですが……」
「申し訳ありません。私、特別な宗教には関わらないよう親の方から厳しく言われておりまして……」
「そこを何とか!」
綾の時とは違った柔らかな拒絶に活路を見出したのか、男は少女に頭を下げて、すがりついた。
「一冊だけでいいんです。そうでないと、今日のノルマが……」
「ノルマ?」
「はい。ほんの少しの寄付でいいんです。どうか人助けだと思って……」
「その、ノルマとやらを果たさないと、何か良くないことがあるのですか?」
「はい……その……先生からのお叱りが……身勝手なことだとは思いますが、どうか……」
必死な様子の男に、少女は少し悩んだ様子を見せ、やがてにっこりと笑った。
「わかりました。何か大変な御様子ですし、一冊でよろしければ」
「あ、ありがとうございます!」
おいおい、と脇で聞いていて綾は思った。
少女は笑顔で男に尋ねる。
「寄付はいくらぐらいにすればいいんですか?」
「それは気持ち程度で十分ですので」
少女は自転車を広場の隅に止めて財布を取り出し、百円玉をいくらか男に手渡した。
それと交換に、冊子を受け取る。
「それでは。ノルマ、頑張ってくださいね」
言って頭を下げ、歩き去ろうとする少女を、男はまた引きとめた。
「あの、もしよろしければ、話を聞いていってもらえませんか?」
「え? 話……ですか?」
「はい。この近くの教室で、その本の内容についてわかりやすく説明会を開いておりまして」
「すみません。それは遠慮させていただきます」
「そこを何とか。ただ来ていただくだけでいいんです。これもその……ノルマがありまして……先生にお叱りを受けることに……」
「お気の毒だとは思いますが、私にも予定がありまして……」
男は去ろうとする少女の腕を掴んで、必死になって引き止めた。
困り顔の少女はどうやら強く言えない性格らしく、無理に引き剥がそうともしない。
五分、十分――男は少女を離さず、延々頼み込み、しまいには涙を浮かべる始末だ。
「本当に……大変なんですね」
と同情の色を見せ始めた少女に、やれやれと綾は頭を振った。
普段ならこんな場面に出くわしても我関せずと放っておくところだが、その少女についてはどうにも見捨てるのが酷に思えた。
「同じ学校のよしみか……」
綾は二人に近付くと、いきなり男の膝裏を蹴り、首根っこを掴んで地面に引き倒した。
「わっ……」
「きゃっ!」
男と少女が、それぞれ声をあげる。
綾は倒れた男の腹に蹴りを入れると、低い声で脅しつけた。
「嫌がってるんだから、いいかげんにしておきなさいよ」
「あ、う……」
男は咳き込みながら立ち上がり、逃げるようにその場を離れた。
男が広場を出て行くのを見届けるて、綾は栗色の髪の少女に向き直った。
「ああいった輩は、一度甘くすると調子に乗りますから、気をつけた方がいいですよ」
「……すみません。助かりました」
少女は心からの感謝を露に、深々と礼をした。
「ちゃんとはっきり断らないと」
「そう……ですね。でも何か困っていたみたいでしたから」
「お人よしも結構ですけど、それであなたが困ることになったら本末転倒でしょう」
「確かに……あなたにもご迷惑をおかけしてしまいましたし……すみませんでした」
また謝る少女の制服の校章の色を見ると、緑色の刺繍で描かれている。
一つ上の学年の生徒だとわかった。
「……まあ、丁寧にお礼を言っていただくのはいいですが……あれ、先輩の自転車ですよね?」
「え?」
広場の隅を振り返る。
なんと、先ほど少女の止めた自転車に、見知らぬ男が跨ろうとしていた。
慌てて少女は駆け寄り、声をかけた。
「あの、すみません。それ、私の自転車なのですが……」
「え」
男は驚いたように一瞬動きを止め、すぐに謝った。
「あ、す、すみません。別に盗もうとしていたとかじゃないんです」
「はあ……」
「その、すごい急ぎの用ができちゃって、どうしても自転車が必要だったんです。それで借りようと思って……」
「まあ……そうなんですか」
頬に手を当て、思案顔で栗色の髪の少女は頷く。
「ちゃんと返すつもりだったんです。だから警察とかには……」
「ええ。そういった事情でしたらお貸ししますよ」
「え? いいんですか?」
おいおい本気か、と綾は思った。
結局男は、ぺこぺこと頭を下げながら、自転車に乗って行ってしまった。
少女はというと、それをにこやかに見送っていたりする。
「大丈夫でした。やむをえない事情で借りたかっただけだそうですよ」
安心したように報告する少女に、綾はため息をついた。
「……たぶん、あの自転車、戻ってきませんよ」
「え? どうしてです?」
「どうしてって……」
無断で自転車を拝借しようとする人間の言をどうしてそこまで信用できるのか、そっちの方が聞きたい。
宗教勧誘を哀れんで、さらに自転車を目の前で奪われた少女。
(ある意味すごいけど……)
変な人だと綾は思った。
「まあいいです。でも自転車がなくなったら先輩も困るんじゃないですか? どこかに行く途中だったんでしょう?」
「いえ、それは大丈夫です。どうせしばらくここにいるつもりでしたから」
「この広場に?」
「はい。デートの待ち合わせでして……」
言って、恥ずかしそうに少女は笑う。
白い頬に赤みが差し、何とも可愛らしかった。
「あんまり楽しみで……ちょっと来るのが早くなってしまいました」
近くに立ってみると、少女は綾より幾分か背が高い。
自分より先輩で背も高い少女の、その初々しい姿に、綾もつられて微笑んでしまった。
「羨ましい話ですね。何時が待ち合わせだったんですか?」
「三時なんですよ。これから一時間、待ちぼうけです」
ふふ、と少女は笑った。
綾の表情が変わったことに気付かずに。
「……失礼ですが、先輩、お名前は?」
「あ、すみません。助けていただいたのに名乗りもせず……。私、四辻夕里子といいます」
どんな人なのかと思っていた。
兄の唇を奪った人間は、どんな顔をしているのか。
どんな性格をしているのか。
自分より優れているのか、劣っているのか。
(こいつが……)
動かないままの綾に、夕里子は心配そうに声をかけた。
「あの……?」
「あ、いえ、失礼しました……私も名乗らなければいけませんね」
綾は努めて静かな声で言った。
「支倉綾です。よろしく、夕里子さん」
「支倉……綾さんですか?」
「はい」
「あの……ひょっとして……陽一さんの妹さんですか?」
「そうなりますね」
どこか不敵な表情で言う綾。
夕里子は身を固くして、深く頭を下げた。
「お、お初にお目にかかります! 私、陽一さんとお付き合いさせていただいております、四辻夕里子です!」
「ええ、聞いていますよ。兄も嬉しそうに話していました」
「そそ、そうですか……」
改めて綾は四辻夕里子を見た。
髪は長く、綺麗な栗色をしている。
睫毛も長く、少し垂れ気味の目は、いかにもおっとりとした気性を伝えていた。
背も高い。
そして、スタイルは非常によい。
(別にコンプレックスがあるわけじゃないけれど……)
綾は自分の胸と夕里子の胸を、じっと見比べた。
「あ、あの……綾さん?」
「……そんなに固くならなくてもいいですよ。私と話すのは緊張しますか?」
「え、いえ、その……」
「夕里子さんの方が先輩なんだから、もっと気楽な口調でいいですよ」
「いえ、私、この喋り方の方が慣れていまして……誰と話すにも、こんな感じなんですよ」
言ってほんのりと笑う。
まだ緊張はしているようだが、懸命に綾と話そうとしているのが見て取れた。
「あのまま勧誘に引っかかっていたら、お兄ちゃんとデートできなくなっていましたね」
「すみません……何とか逃げるつもりではいたのですが」
「少し隙が多いようですね」
「はい……ボーッとしてると良く言われます」
赤い顔で縮こまる夕里子。
綾は信じられなかった。
この、四辻夕里子という人物に、兄を奪われたことが。
縁のような機知は感じられない。
アキラのような過激なまでの自己主張も感じられない。
隙だらけの、凡庸な人物に思えた。
(どうしてお兄ちゃんはこんな女に……)
兄にとって自分が今のところ女ではないのは、先日痛いほど良くわかった。
だが、なぜこの女なのか。
今目の前にいる女が、陽一にとって自分よりも魅力的だなんて、認めたくはなかった。
「夕里子さん……私、夕里子さんに会ったら聞きたいなと思っていたことがあるんですよ」
「あ、はい……何でしょう」
「お兄ちゃんは、あなたのどこが気に入って付き合う気になったのだと思いますか?」
「え、ええと……それは……私もわからないんですけど、こう言ってくださったことはあります」
夕里子はその時のことを思い出してか、はにかんで言った。
「その……裏表がなくていいって」
「……!」
裏と表。
(私は……)
今こうして夕里子と話している時も、綾はいかにして夕里子を排除するかを考えている。
鞄の中には、綾が扱える限りの道具が詰め込まれている。
(真逆、か……)
どうやら兄の好みは、自分とは対称の位置にある人物らしい。
(でも……この女にお兄ちゃんは渡さない)
好みなんてものはわかってしまえば何とでもなる。
裏表のない性格になればいいだけのことだ。
裏を見せないようにすればいいだけのことだ。
(こんな馬鹿な女と一緒に居たら、お兄ちゃんが苦しむことになるもの)
黙り込んだ綾に、夕里子は心配そうに声をかけた。
「あ、あのぅ……綾さん?」
(お前にお兄ちゃんは渡さない)
「その、大丈夫ですか?」
(お前にお兄ちゃんは穢させない)
「綾さん……すみません……私、何か変なことを……?」
(お兄ちゃんは、私が守ってみせる……! 私が幸せにしてみせる……!)
あの、あの、と困ったように話しかけてくる夕里子に、綾はにこりと笑って手を差し出した。
「よろしく、夕里子さん」
「あ、よ、よろしくお願いします」
嬉しそうに夕里子は握手を交わす。
その手をぎゅっと握り、綾はにこやかに言った。
「私、お兄ちゃんの恋人に関しては妥協するつもりは全くないので。覚悟しておいてくださいね」
「え、あ、はい。……え?」
陽一がやってきたのは、待ち合わせ時刻の十五分前だった。
改札口からは、陽一に続いて縁と小夜子も姿を現した。
「あら、意外と早かったわね」
「小夜子ちゃんが教えてくれたんだよ。お前が夕里子さんに会いに行くつもりだって」
「ふーん。それで急いで来たの……」
ちらりと小夜子を見ると、小夜子は両手を合わせて謝ってきた。
「ご、ごめん綾。信じなかったわけじゃないんだけど、やっぱり気になって……」
「ま、仕方ないわよ、小夜子は自分で言ったことには責任感じる方だものね」
自分の発言のせいでデートがおじゃんになっては、従姉である夕里子に顔向けできないといったところだろう。
半ばそのつもりでもあったので、これに関しては小夜子を責める気は綾にはなかった。
「お前なあ……心配してくれるのはありがたいけど、そのうち家に呼ぶって言ったろ?」
「今日会いたくなったんだからしかたないでしょ。それに会いに来て良かったわよ。私、夕里子さんを助けたんだから」
「え?」
綾の言葉に、夕里子は再び「すみません」と謝った。
「その……恥ずかしながら、宗教の勧誘につかまってしまいまして……」
「それよりお兄ちゃん、夕里子さんはもう一時間近くここで待ってたんだからね。ダメよ、あんまり女の子を待たせたら」
「え? そんな前から?」
「お兄ちゃんとのデートが楽しみで仕方なかったんだって。それでずっと早くからここで待ってたのよ」
綾の言葉に、陽一は顔を赤くして夕里子を見た。
夕里子はというと、それ以上に赤くなっていた。
「あ、あの、それほど待ったわけではなかったんですが……はい……楽しみで……すみません」
「うん……俺も楽しみにしてたよ」
初々しい様子で挨拶を交わす二人に冷ややかな視線を送りながら、綾は縁に話しかけた。
「縁さんはどうしてこちらに?」
「私は今日は買い物があったから」
「てっきり私と同じでデートを見に来たのかと思いましたよ」
「それも面白いかもしれないね」
あはは、と縁は笑った。
そして、陽一と夕里子を見て、穏やかに目を細めた。
「良かった。うまくいってるみたいだね」
「ええ。まさかあんな人だとは思いませんでしたけど」
夕里子を見ると、小夜子と挨拶を交わしていた。
「ユリねえ、久しぶり」
「お久しぶりです。といっても、十日も空いていませんが……」
夕里子は、従妹である小夜子に対しても、やはり丁寧な言葉遣いを崩さない。
そういう躾を受けているのだろう。
「可愛いし、いい子でしょ?」
「大したいい人ぶりではありましたね。数分の間に勧誘に連れ去られそうになり、さらに自転車を盗られていましたよ」
「相変わらずだね、夕里子ちゃんは。前に色々教えて、ちょっとは注意深くなったと思ったんだけど」
「色々?」
「うん。夕里子ちゃん、ああいう性格だから、男の人に変に誤解というか期待されて、ストーカー被害に遭ったことがあるんだ。
ちょうどその時私はクラス委員だったから、相談を受けて対策を練るのを手伝ったわけ」
「ああ、その話なら聞きましたよ。……要は頭が緩くて隙だらけってことなんじゃないんですか?」
こら、と縁は綾の額を人差し指でつついた。
「冗談でもそんなこと言うもんじゃないよ?」
「兄を任すに足る人物とは思えませんね」
「夕里子ちゃんはね、優しい人なんだよ。本当にいい人で、優しくて、人を惹き付ける力がある。私とかとは違ってね」
「縁さんも人望はあるとお聞きしましたが?」
「私は、みんなに役立つ力がなかったら、誰にも見向きもされないよ」
陽一と夕里子と小夜子が楽しそうに話している。
そこから数歩距離を置いたところに、綾と縁は立っていた。
「人を惹き付ける力、ねえ……」
「だって綾ちゃん、普段見知らぬ人を助けたりする?」
「いいえ」
「でも今日は夕里子ちゃんを助けたんでしょ?」
「……」
同じ学校の生徒だったから、たまたまそういう気分になっただけ。
それ以上の理由はないはずだった。
「それに自転車の件も、夕里子ちゃんは盗まれたとは思ってないんじゃないかな」
「貸したと言ってましたよ。正気を疑いましたけど」
「ほかの人ならそのまま盗まれちゃうけど、夕里子ちゃんがそう言ったなら、返ってくるんじゃないかな」
「どんな理屈ですか、それは……」
「そういう人なんだよ、夕里子ちゃんは」
言って、縁はいつものように朗らかに笑った。
結局その日は全員で遊んで、日が沈む頃になって再び駅前広場に戻ってきた。
談笑しつつ、「また明日」と各々別れを告げる。
陽一が夕里子を送っていくことを申し出て、夕里子は嬉しそうにそれを了承した。
別れ際、夕里子は綾にぺこりとお辞儀をした。
「今日は……綾さんに会えて嬉しかったです。その、今後ともよろしくお願いします」
「私はかなり小うるさい人間ですから、よろしくしない方が夕里子さんにはいいかもしれませんよ?」
「いえ、そんな! よろしくしたいです! 陽一さんの妹さんですもの!」
「……本当に、お兄ちゃんが好きなんですね」
夕里子は恥ずかしそうに俯いた。
「は、はい……大好きです……」
隣に立った陽一が、照れた様子で夕里子を急かした。
「じゃ、じゃあ夕里子さん、行こうか」
「はい。あ……自転車」
夕里子の呟きに広場の隅を見ると、もとあった場所に自転車が置かれていた。
前籠の中にはチラシが一枚。
決して上手とは言えない字で、
『ありがとうございました』
と書かれていた。
「本当に戻ってきた……」
呟く綾に、縁が「ほらね」と声をかけてきた。
「夕里子ちゃんは真っ直ぐな分、色々あっても最後には好かれちゃう子なんだよ。愛されすぎて困ることもあるけど」
「へえー、まるで聖女様ですね」
友達として付き合う分にはいい人なのかもしれない。
しかし、陽一にちょっかいをかけた以上、人格の良し悪しなど関係はなかった。
どうしてやろう。
綾はただそれだけを考えていた。
次の日、生徒たちはいつも通りに登校して、授業も始まる。
綾は一時間目の休み時間に、自転車通学者用の駐輪所を、一人訪れていた。
手にはいくつかの工具を持ち、周囲をきょろきょろと見回している。
すぐに、目当てのものを見つけた。
昨日はっきりと目に焼き付けた、夕里子の自転車だった。
「聖女様だか何だか知らないけどね……」
綾は自転車の脇に座ると、素早い手つきで前輪と後輪のブレーキワイヤーを切断した。
「その隙は致命的よ?」
誰にともなく語りかけながら、切断した箇所を接着剤で止めなおす。
かかった時間は、ほんの数十秒だった。
「まあ、運がよければ死んでくれるでしょう」
綾は間接的に事故で殺す方法はあまり好まなかった。
自分の目の届かないところで事が起こるため、確実性が下がり、どうしても運まかせになるからだ。
「当たればもうけ、ってとこかしらね」
誰にも見られていないことを確認すると、綾は駐輪場を後にした。
放課後、小夜子が図書委員の集まりがあるということで、綾は一人で帰ることになった。
(久しぶりにお兄ちゃんと帰りたいな……)
そう思って校内を探す。
陽一はすぐに見つかった。
駐輪場で、陽一と縁と夕里子の三人が、夕里子の自転車を囲むようにしていたのだ。
「お兄ちゃん、何してるの?」
「お、綾、今日は小夜子ちゃんは一緒じゃないのか」
「小夜子は委員会だって。それより何やってるのよ?」
綾の問いに、縁が代わって返事をした。
「うん、ほら、昨日夕里子ちゃん、自転車を貸したじゃない? 知らない人に」
「ええ」
「だから念のため具合を見ておこうと思って。変なところがないか」
「へえー……」
「タイヤの方は異常はなかったけど……」
綾の見ている前で、縁は後輪を回し、ブレーキのチェックをする。
何度か普通にブレーキはかかったが、さらに勢いよく車輪を回してレバーを引いたその瞬間、軽い衝撃と共に突如ブレーキが弾けた。
「お?」
「え……?」
「あらら」
「ふーん……」
四人がそれぞれ反応を示す。
縁は靴を当てて、摩擦で車輪を止めた。
「あはは、ちょっと危なかったね」
ブレーキワイヤーを調べながら、縁は言った。
慣れたもので、すぐにワイヤーの切れた箇所を見つけ、「ほら」と夕里子に見せた。
「一度切れたのを、接着剤か何かでつけたみたいだね。軽いブレーキなら普通にかかるけど、ちょっとスピードの出た状態でかけると、ワイヤーが切れてブレーキがきかなくなるみたい」
「そんな……」
「危なかったね」
陽一も夕里子も顔を青くしていた。
綾も信じがたいという顔をしていた。
陽一たちとは驚きの理由は違う。
こうも簡単に看破されるとは思っていなかったのだ。
(この女……)
綾は縁を見た。
感情を押し殺していたが、自然視線は冷たいものになった。
「何かな、綾ちゃん」
「いえ……縁さんが注意してくれていて良かったなと思って。下手したら大事故になっていましたね」
「そうだね。まさかとは思ったけど、支倉君と夕里子ちゃんが付き合ったら、ちょっと注意しなきゃならないかなと考えてたから」
「それはまた……どうしてですか?」
綾だけでなく、陽一も夕里子も疑問の顔で縁を見た。
「ん? ほら、前に夕里子ちゃん、ストーカー被害に遭ったって言ったでしょ? 支倉君と付き合うことになったら、ひょっとしたらまた何かしてくる人がいるんじゃないかと思って」
「あの……でも……去年のあれは……ここまで危険なことはありませんでしたし……」
まだショックから抜け出せないのか、弱々しい声で夕里子が言う。
確かに、と縁は頷いた。
「今回のは、それこそ昨日自転車に乗っていった人が、壊れたブレーキを無理矢理直しただけなのかもしれないから、何とも言えないんだけどね」
「……警察に言うか?」
「あはは。警察っていうのは、意外に動かないものだよ。こういう時に役立つのは、周りの人」
縁は夕里子の肩に手を置いた。
「夕里子ちゃん、念のため、これからしばらくは、前に教えた通り身の回りに注意して」
「……はい」
「支倉君も私も、送り迎えするから。家の人には……うーん……話したくないなら話さなくてもいいかな」
「はい……。縁さん、すみません……またご迷惑をおかけして……」
ぱたぱたと手を振り、縁は笑った。
「気にしないでいいって。私が二人の仲を取り持ったわけだしね。できるだけの協力はするから」
言って、綾の方を振り返る。
「綾ちゃんもよろしくね」
「は? 私が?」
「もし夕里子ちゃんを狙うストーカーだったら、今回は夕里子ちゃん自身よりも、支倉君が危害を加えられる危険が高いでしょ? 彼らの思考からすると『奪われた』わけだから」
「……! なるほど」
ひょっとしたら縁は自分に対して疑念を抱いているのかも知れない――綾は思った。
縁の言葉は裏返せば、陽一が狙われず夕里子に危害が加え続けられる場合、それは、陽一を『奪われた』と感じている人物がいるということだ。
夕里子ではなく、陽一に執着する人間がいるということになるのだ。
(あからさまに夕里子さんだけを狙うのは、こちらも危ないかもしれない……)
縁の言葉は、それだけで夕里子に防御壁を張り、綾の行動を見えない網のように縛り付けた。
(やりにくい……)
これまでに、縁に何らかの物的証拠を見られたことはないが、敵意は露にしてきた。
縁が綾を疑っていたとしても、それは感情を根拠にした、小さな推測のレベルだろう。
(それでも……この女が警戒しているとなると……)
考えながら、綾の視線は知らず知らず縁へと向いていた。
「綾ちゃん、あんまり見つめられると照れちゃうよ」
縁は微笑んで、綾の頬に指で触れた。
「わ、綾ちゃんの肌、つるつるだね。どうしたの? ボーッとして」
「……いえ……縁さんは、凄いなあと思って。こういったことに、慣れてるんですか? 普通気付きませんよ?」
「慣れてるわけじゃないけど。ただ私は、自分だったらどうするかなって、それで予想を立ててるだけだよ」
「じゃあ縁さんは、意外とストーカーさんと気が合う人なのかもしれませんね」
「そうなのかな? あまり嬉しくないけど」
陽一は元気をなくした夕里子を慰めている。
恐らくこの数日、陽一の瞳に収まった回数が一番多いのは夕里子だろう。
綾は胸の内が引き裂かれるように感じた。
「……わかりました。お兄ちゃんに何かあっても嫌ですし、私も力の限りを尽くしましょう」
やりようはいくらでもある。
こちらは十年間戦ってきたのだ。
夕里子が綾の前に歩み出て、頭を下げた。
「すみません……綾さんにまでご迷惑をおかけしまして……」
「いえ、気にしないで下さい。まだストーカーかどうかはわかりませんし」
「そう……ですね」
綾は夕里子の手を取り、ぎゅっと握った。
「夕里子さん、力の限りを尽くすといっても、前に言ったことについては変わりませんからね」
「え?」
「お兄ちゃんの恋人に関して、私は絶対に妥協しないということです」
「あ……はい」
「夕里子さん、家事が苦手と言うことですし……せめてお料理くらいはできるようになってくださいね。そしたら私も安心ですから」
「は、はい! 頑張ります!」
笑って互いの手を握る妹と恋人の姿に、陽一はほっと安堵の息をついた。
その陽一の背中を、縁がパンと叩く。
「良かったね、仲良さそうで」
「ああ……ホント、良かった……」
澄んだ秋空には、雲ひとつない。
「このまま晴れてくれればいいんだけど」
縁は一人、呟いた。
今回の投下は以上です。
固定登場人物の紹介でした。
惜しみないGJ!の拍手を。
キモウト話に推理サスペンスも混じって、先が非常に気になります。
殺すか、バレるか、綾がどう動くか、縁がそれにどう気づくか。
次も楽しみに待ってます。
陽一くんに一言申す!!!
どれかひとりくれwww
毎回GJ!
綾はもちろんだが
前回から縁さんに底知れぬものを感じる……
>>228の様な頭の悪いのもっと書いてくんないかなw
わかった! 緑はバーローの親戚なんだよ!
バーローw
>>250 綾きたああああ!!乙です!
緑は死亡フラグをたててるような・・・w
でも、なんか一枚噛んでるような気も
よく考えてみた
緑は孔明なんだよ!
げぇ!緑!!
ジャーン ジャーン
緑じゃねえ!縁だ!
うう綾には幸せになって欲しい・・・
今更だけど、縁は「えにし」でいいんだよな?
ゆかりだろ普通w
夕里子があんまりにもいい娘だからか、綾がいつにもまして悪役に見えるw
>>263-264 俺も「えにし」って読んでたw
るろうに乙
普通に「えん」と読んでいた俺
綾が幸せになれたらいいんだけど
今のところそんな気配はないな
>>250 GJ!!
キモウトとか抜きにして考えると縁、次点小夜子が好みだなぁ
聡明さと洞察力カコイイと同時に死亡フラグorzの板ばさみ
さらに夕里子のお嬢様モエスそして綾ヤンデレキモカワイイの四つ巴で悶えてる
あんたマジ神だよ・・・
ちゃんとキャラの書き分けできてるのがいいね。
ステレオタイプと言えばそうかもしんないけどさ。
なんにせよGJ!
綾タン幸せになってくれえええ!!!
>>250 綾キタワァ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。. .。.:*・゜゚・* !!!!!
どうすれば丸く収められるんだろうかなぁ… やっぱMINAGOROSHI?
272 :
名無しさん@ピンキー:2007/06/22(金) 23:13:33 ID:gggs2BZn
なんかすでに兄にも警戒されてる感じ・・・
>>250 なんというKIMOUTO NOTE……
これから兄を取りかえそうとする綾と友を守ろうとする縁の壮絶な頭脳戦が始まるに違いない!
タイムリミットは優一と夕里子が初エッチを済ますまで!
キモウト抜きでもワクテカさせていただきます。
>>273×優一
○陽一
俺の名前が優一だからかなりびびった。
キモウトノートwwwそうかこれはA(綾)とY(縁)の戦いか。
ならデュークやレムもry
デュークやないリュークや!
デュークだと殺し屋になってまう
しかし、綾タンって今まで何人殺してるんだろう?
語られてるのは、母親、痴漢扱い女、円光女のすくなくとも三人だが、
他にもたくさんいそうだ。
それほど彼らの周りで死人が出てたら、しかも事故死やあからさまな
他殺が出てれば、警察は黙ってないと思うんだよねぇ。
まぁ今回、そんなのを匂わす発言も出てきた事だし、ちょっとそういった
展開にもwktkしておこう。
実は縁は夕里子の護衛
水面下で綾×縁のサドンデス・バトル開始
縁さんに期待
きっと全ては孔明の罠なんだよ お嬢とキモウトを排除
綾シリーズの為だけに毎日このスレ巡回している俺ガイル。作者様超GJ
小夜子も殺しちゃいそうで嫌だなあ・・・
あっそ
聖のお兄様はまだですか?
こんばんは、らむだです。
このスレ消化早いっすね。
一週間で200スレになりそな勢い。
その流れを止めかねない自分の投下です。
注意事項
ぶっちゃけいつものノリなし!(黒いよ)
キモ姉もの
エロなし
ではいきます!
第二話 「姉の炎」
灯火 芥
気分を紛らわすために本を読んで気分を害しては意味がない。
結構暗い本だ。
父親によって兄妹とその母親が困らされている四人家族。
主人公は家族を守るために父を高校生とは思えない巧みなトリックで殺してしまう。
しかし凶器を隠すところを人に見せられてしまい、そこからどんどん闇の中に落ちてしまう。
……ちょっと待て、ディスプレイの前の皆さん、なぜにやけてるのでしょうか。
言い忘れたが主人公は兄の方だ。妹じゃない。
まあ、そんな暗い本を読んでいたのだ。暗くなるも当然。
ただ単に車酔いかもしれない。
今は姉とともに実家に帰るところだった。
いきなりこんなメールだもんなとぼやいてみる。
「しかし姉貴、今まで二人に連絡入れなかったの?」
「いやあ、うっかり。」あんたほんとに教授か?
その割には俺には月に数回手紙を送っていたが。
でもそれはとても心の支えとなった。
あの中では。
灯火 光
弟は表には出ていないが、怯えている。
馬鹿二人に植えつけられた恐怖。
母・灯火 舞(まい)と父・灯火 鴈(がん)。
大人ではない。ただ図体ばかり大きくなった餓鬼。
その餓鬼が性欲を貪る様に満たし、意図せぬものが出来てしまっただけで「親」と呼ばれる。
その子に満足できず他から子を拾う。
それが名前の理由。
ほかの人や役所には芥川龍之介からとったと言いふらす。
あっくー自身もそう言っている。
でも本人は気づいている。
そのままの意味だということに。
できることなら親権と権限と威厳と人権と人望と人格と人徳と人生を根こそぎ奪い取り、
あるべき名前に戻してあげたい。
あるべき道を歩ませてあげたい。
あるべき幸せを味あわせてあげたい。
幾度となく考えたこと。
裁判所も取り扱わないほど明瞭過ぎる事件に幕が下りる。
有罪か無罪かはすべてはもうすぐ決まる。
どちらかは言うまでもあるまい。
あっくーの車酔いに気付きトイレ休憩中、こんなことばかり考えていた。
あたりはすでに赤く染まっている。
「出てきたときはお昼前なのに、ついてないね。」
「考えることすべてが裏目に出で、渋滞に巻き込まれっぱなし。まあ、僕としてはうれしいけど。」
そのために渋滞情報と春休みのラッシュを逆に利用した。別に気付かなくてもいいけどね。
このPAを超えれても兵庫の家はまだ遠い。
しかし今日はつくつもりはない。
このまま遅れに遅れて京都あたりで一晩泊まり、翌日の午前中に私だけで事を済ます。
これであっくーを馬鹿どもに合わせなくて済む。
「このままじゃ今日中は無理かな?」あっくーから切り出した。
「じゃどこか途中でお姉ちゃんとベットインといこう。」
チェックインな、と突っ込む弟。
「まあ、お金ならいざといえばカードあるし。」
「ちょっと待て、黒くなかったかそのカード。」
あっくーのために手に入れたブラックカード。
名義はあっくーでゴールドがあるのはまだ秘密。
灯火 芥
「重要なのは持っているものを有効に使えるかどうかだよ。」と姉談。
たしか株とかもやってるって話だよな。これはこれからへのヒントとして覚えておこう。
「いちおう現金で十万近く。数日なら大丈夫かな。」
「でも車はけちるのか。」
そう、姉は車を持っていなかった。
バイクならあるが、それでは長旅はきついからということでレンタカーを借りた。
借りたのはナビなしの車だった。
でも車種は最新のもの。浪費してるのか節約してるのかよく分からない。
そして今、PM10:20と車のデジタル時計にはある。
姉によると渋滞で京都に着くころには12時を超えようだ。やっぱし観光客が多い。
「もしもし、お義父様。光です。いま京都にいます。はい、ええ、だから今日はここで一泊して、明日に。」
報告をしていたが、いきなり携帯を渡された。
「あっくーにだって。」
とりあえず受話器を取る。
「何を考えている!屑!」
灯火 光
私にも響く罵倒。
それに怯えるあっくー。
すぐさま携帯を奪った。
「いいか、何時になってもいいからとにかく早く来い。」
「わかりました、お義父様。」
「ひかり、なんでおまえが、」
有無をいわず切る。
「あっくー。」
大丈夫、というその眼はおびえていた。
このとき決めたのだ。
コンマ一秒でも早く終わらすと。
AM1:00
やっと家に着いた。
あっくーは寝たように見えたので私の背中におんぶしてあげた。(実はあっくーはとても小さいのだ。)
目には涙を浮かばせていた。
ごめんね、もうじきの辛抱だから。
「ただ今戻りました。」
「光、無理を言ってすまなかった。」
「その言葉はあっくーにかけてください。」
「いや、分かっている。元凶はそいつだからな。」
日本語で話せ。そう口に出そうになるが、ここは糖衣で包み込む。
「お義父様、お言葉ですがなんのことですか。」
「光、迷惑をかけたね。」
「お義母様まで、いったいなにがあったのですか。」
「そいつのことだ。」昔、人を指差すなと言いつつあっくーを指差すとは。さすが蠅。
灯火 芥
正直ずるいことだとわかっている。
話したくないから寝たふりなんて。
光ねえは気づいているのだろう。
しかし見て見ぬふりをしてくれた。
「とりあえずそいつを起こせ。」低く響く父の声を
「別に話を明日にしてもかまわないのでは。」押しのけていく。
「そうじゃなくて態度の問題なのよ。」甲高い母の声を
「眠る子を無理やり起こすのは親の態度としていかがなものでしょう。」はね返す。
「お前は親に向かって口答えするのか!」
「親ならどんなに歪んだ理屈も通るのでしょうか?」
「ねえ、光。そろそろ弟離れしてみたら。」
「それこそ間違ったことじゃないのか、光。」
「姉が弟をかわいがるのは当然の理です。」
ここで口調が変わった。
「親が弟を虐待していてはなおさらです。」
冷たい口調だった。
絶対僕には出すことのないもの。
そんな声も出せるのかという印象。
「とりあえずもう夜も遅いですし、今日はこれにて。」
僕を優しく抱えたまま部屋を出ていく。
とても頼もしかった。
灯火 光
五感がすべてアラームを鳴らしていた。
(こいつらは芥をめちゃくちゃにする気だ)
(あっくーと会話をさせてはならない)
そして一つわかったことがある。
過度のストレスは人の成長を妨げる。
もしこいつらがいなければあっくーはもう少し背が大きかっただろうに。
いや背だけじゃない。
成長が妨げられたのは精神面でも。
何のために存在しているのやら。
とにかく玄関まで出てきたところで蠅は必死にたかる。
「じゃあ、起きたらそいつに言ってやれ。お前はもう退学済みだと。」
「お父様、何を寝ぼけたことを言っているのですか?」
「退学の手順はもう踏んである。」はいはいと受け流す。
もういろいろと面倒になったので消すことにする。
あっ、と上を向く。
蠅もつられて上を向く。
その時につい口が開く癖、直したほうがいいですよ。
まあ、たいていの人はそうなるけど。
同時に殺虫剤を噴射する。
蠅はむせる。
「申し訳ありません。蠅がいたもので。」
このすきに家を出る。
そのまま速攻で車に乗り逃げる。完璧な流れ。
車の近くまで近寄りとめようとするがアクセルをおもいっきし踏み振りきる。
そのままビジネスホテルに逃げ込んだ。
あっくーをベットの上に寝かす。
「もう、いいよ。」
「ごめんね、お姉ちゃん。」
その表情は今までの中で最も悲しげだ。
「どうしよう、大学に行けないや。」大量の涙とともに語る。
あんなにがんばったのに、と泣きじゃくる。
「はったりだよ。目の焦点ずれてたもん。」
実際はそうではない。
現に昼に事務員からそのことの連絡は受けていた。
もちろん蠅の妨害など、私の二つ返事で跳ねのけられる。
だが保留にしてもらった。
とりあえずシャワーを浴びてすぐベットに入る。
あっくーもいちおう浴びる。
ベットはダブルだったが、あっくーはまだ何も言わない。
眠れるかな、と不安げだったのであれをあげる。
「快眠薬。睡眠薬と違って危険じゃないよ。」
いい夢が見られるよ。
満たされる夢が。
あっくーは素直に私が手渡したコップの水で飲み、ベットの中に入った。
ベットの中で胸が顔に当たる様に抱きしめると向こうから抱きしめられた。
恥ずかしそうにあっくーは口を開いた。
「あの、光ねえ、僕のこと好き?」
大成功。
「うん、何されたって構わない。」
今日はここまで。
いろんな意味でこれからです。
さて、次はいつにできるかな…。
それでは良い夢を。
一番槍いただきー!
ここはキモ姉キモウトスレです。
子供に愛情注がないキモ親には残酷な方法でご注文退場いただきましょう。
ご注文だって。
携帯から書き込むもんじゃないね。
>>291 GJ
実姉がいるんで、山本くん以外のキモ姉に限らない姉小説に萌えられなかった俺でも心が動かされたよ。
GJと乙
続きが、すごく・・・楽しみです・・・
GJと乙
続きが、すごく・・・楽しみです・・・
うわ、連投スマン
とりあえず、親には「終わらない夏休み」並みの残酷な殺され方を姉にしてもらい
たいな。ぶち殺しちまえ
>>292 こんな親、キモくもねぇ、唯の屑さっ!
どんな風に逝くのかwktk
>>299 キモ姉が俺達の想像力で図れる訳がない!!
きっと予想外すぎる事をしてくれる筈だぜ
どんどんハードルがあがってくなw
やはりこの手のキモ姉はいいな。
溺愛という言葉すら生ぬるいほどの溺愛。
DQN親にどのような神罰を下されるのだろう(wktk
こいつはくせえッー!ゲロ以下のにおいがプンプンするぜッーーーーッ!!
こんな悪には出会ったことがねえほどになァーーーーッ
実子が不出来で虐待に走っただと?ちがうね!!こいつは生まれついての悪だッ!
姐さん 早えとこ弟さんの人生から退場させちまいな!
ちなみに「芥」という言葉は「小さいゴミ」という意味らしいです。
親は死ねっ。氏ねじゃなくて死ね!
ともかく作者様GJです。
通報しますた。親を。
なんつーかGJ
ここにしろ嫉妬スレにしろ、登場人物に対して死ねとかあんまり書かないほうがいいぞ?
読者ももう少し感想の時の言葉を選んだ方が良い。
特に
>>298みたいな事書かれたら作者さんも嫌だろうに・・・
相手するな
嫌われるように書いてるんだろうから、作者も嬉しいだろw
別に登場人物に死ねといっても作者に死ねといってるわけじゃなくってよ
酷い登場人物に頭がカァッとなるのはそれだけ感情移入ができるいい作品てことだと思うぜ
感情のままに悪感情をキャラに対して吐き捨てるような感想は、作者にとって何の実にもならないよ
悪役を表現する技量を称えるくらいならともかくさ
キャラ叩くならまだしも作者にプレッシャーになるような書き込みは控えるべきかと
あーーーー、一つだけ言わせてくれ
作品を楽しもうぜ!!!
みんなでwktkしようぜ!
作者様GJ!
光姉さんがあっくーのためにどんな行動に出るか楽しみでなりません。
キモ姉&キモウトのキモさに比べたら、感想レスのプレッシャーなんて
たいしたもんじゃねーだろ。
>>298 終わらない夏休み読んでみた
これは怖いな
でも嫉妬とか余り関係ないような気がするけど猟奇的なのは間違いないな
親が酷いから、光の愛情がまともに見えるな
光はキモ姉ではない
投下します。
その日の放課後の屋上───待っていたのは長い黒髪を後ろに縛った、俺と
同じくらいの身長の目付きの少しきつい隣のクラスの───男だった。あれ?
「こんにちは。青野虎之助君。」
奴は男にしては高い声で俺のほうを向いた。まてまてっ!なんで俺の名前をっ!!
俺は榛原さんに手紙を渡したはずじゃっ!!!下手すればこのままアッーーな関係に?
俺様一生の不覚。
「君のことはよく知ってるよ。昨日榛原さんに相談されたからね。」
彼の表情は読めない……。何考えてるんだ。てかなんで榛原さんと仲いいんだ?
やつは、男の俺に呼ばれたことがわかっていてもそれほど不機嫌なふうもなく淡々としている。
確か剣とかいったか…。こいつの名前。美形で女に人気のあるやつだ。
馬鹿姉め。どうせなら今日乱入しろよっ!!
「まさか、話してもいないのに一目で僕のことを見抜くなんて…。」
はっ?何いってんだこいつ。
「僕が女だって……どうしてわかったんだ?」
えーっと。ちょっとまて。整理しよう。俺は朝、榛原さんに渡すつもりで下駄箱に
手紙を入れた。だけど、間違えた場所に入れてしまった。そいつは男のはずだったが
偶然にも男装した女だった………なってこった。何か言わないと!!!
「わかるに決まってるだろ。どこからどう見ても可愛い女の子にしかみえん。」
俺はニヒルに笑って……あれ、これまずくないか?
なんか剣さん赤くなってますよ?
「嬉しいことを言ってくれるな。親の都合で男として暮らしていたから…そんなこと
言ってもらえる日が来るなんて思っても見なかった。」
嬉しそうに笑う剣さん。だけど…俺は…。
「剣さん…ごめんな。その手紙、榛原さんに宛てたものなんだ。昨日、姉と一緒にいて
告白されたのに誤解されてしまって。君のことわかってたのは本当だけど、下駄箱を
間違えてしまったみたいだ。可愛いっていったのは嘘じゃない。ほら、俺、女見る目は
厳しいんだ。姉があんなのだから。」
大嘘をつく俺。完璧だまされてました。はい。だけど嘘ってときには必要だよね?
「気にするな。なんとなくそうだろうとは思っていた。だが、僕も君に惚れたようだ。
これからは榛原もライバルだな。彼女には悪いが…。手紙は僕から彼女に渡しておこう。」
ちょ、おまおま…何がどうなってんだっ!
どうやら、俺の学園生活には暗雲が立ち込めているようだ。そして、いつの間にやら
姉が屋上に来ていた。俺と剣さんは突然現れた美女のほうを向いた。
「あれ…あのお手紙、男の子に渡したの〜?」
なんでこんなとこに駄目姉が…手紙?
「おい、亜紀姉。ちょっとまて…なんで手紙のこと知ってるんだ。」
「それはね〜。虎ちゃん寝てるときに読んじゃった。おねーちゃんにもあんな熱い
手紙書いて欲しいなあ。そしたらすぐにOKだしちゃうのに。」
こいつにはプライバシーという言葉が存在しないのかっ!
「だって、虎ちゃん心配だもん。あーんな、格好いいお手紙を男の子に渡すなんて…
やっぱり、正しい道をお姉ちゃんが教えてあげないとね。そんな、男同士の禁断の
関係なんて………どっちが攻め?どっちが受け?きゃーきゃーきゃー♪」
「いや、亜紀姉…その道も絶対間違ってるから…。てか、俺はホモじゃねえ!」
完全放置状態の剣さんはそんな俺たちの様子を見ながらくすくすと笑っていた。
「いや、失礼。私は剣薫です…青野亜紀さんですね。お噂どおり美しい。これから、
私は正式に虎之助君とお付き合いさせていただこうと思っています。よろしくお願いします。」
丁寧に姉に礼をする剣さん…って…俺の意思は!?
「あらあら、虎ちゃんの姉の亜紀です。だけど、だめよー?虎ちゃんは私のお婿さんの
道しか決まってないんだからねー。」
「んなわけあるかあぁぁぁぁ!」
こんな駄目姉の婿なんかになった日には二十代で禿げるわ。俺を放置して見詰め合う
姉と剣さん。おおバックにオーラが見える…。
剣さんの後ろには竜。亜紀姉の後ろには太ったぶち猫…
「あうぅぅぅぅ…」
「…………」
あ、喰われた。
「いやああああ〜この人怖いよぉ………虎ちゃん〜〜〜〜!!!」
そして泣きながら正面から抱きつく姉。理性を溶かすフェロモンを全快にした女の感触と匂いが
俺を侵食する。全身全霊を使ってなんとか俺は引き離した。
「やりますね…。だけど僕は負けません。今日のところはさよならです。マイラバー虎之助君。」
男装少女、剣薫は大げさな身振りを入れて去っていった。どうして俺の周りには変な奴
ばっかり集まるんだろうか。春は遠い。
その夜、一日の疲れを癒すべく俺は風呂に入っていた。この時間は家事と勉強と姉の世話に
追われる俺にとって数少ない安らぎの時間だ。俺は湯船につかりながらささやかな幸せに
浸っていた。
「ふぃ〜〜〜今日も大変だったなぁ。」
「だよね〜〜〜びっくりだよね。」
「まさか、あんなことになるなんてなあ……っておい!」
風呂の入り口にはバスタオル一枚で身体を隠した駄目姉がいた。
「今は入浴中だっ!帰れ!!」
「だめよ〜。ちゃんと虎ちゃんに正しい道に戻ってもらわないといけないんだから。」
「はあ?」
「いくら恋人が出来ないからって男の子に告白しなくてもいいじゃない。」
俺の制止も聞かず、狭い風呂に強引に入ってくる。柔らかいからだがいっぱいあたって
…ちょ、まずいことに…
俺は大事な部分が過敏にならないうちに脱出しようとしたが姉に腕を掴まれた。
う、動けない…なんて強さだ。
「それでなんで亜紀姉は俺の風呂に乱入することになるんだ。」
「正しい道に戻すには弟とは一緒にお風呂はいるべきなんだよ?お姉ちゃん天才っ!?」
「わけわからん……。」
俺は何もかも諦めて脱力し、メリハリの利いた姉の肢体をみないようにしながら
身体を洗ってとっとと風呂を上がろうと心に決めた。が、
「あ、お姉ちゃんが虎ちゃんのお背中流してあげるね。嬉しいな〜こんなの子供の頃以来だね。」
と、姉は追いかけてきた。もう抵抗しても無駄なのはいつものことなので悟りを
開こうとしていたのだが…背中に当たるむにゅんという犯罪的に柔らかい感触が
俺を悟りの極みから呼び戻した。
「ちょ!亜紀姉!!なにしてだあああ!」
「えっとぉ。正しいお背中の流し方…………なんだって。えへへ。恥ずかしいね。」
鏡を見ると……バスタオルもつけていない裸の姉が身体に泡をぬりつけて、俺の
身体に擦り付けていた……思わず噛んじまった。姉は幸せな顔で俺に身体をすりすりしている。
「俺が恥ずかしいわっ!亜紀姉、やめろ〜っこれはだめNG!」
「えええ。折角お姉ちゃん頑張ってるのに〜〜気持ちよくないの?」
ええ、そりゃスタイル抜群で絶世の美人な姉にこんなことされるのは気持ちいい…だが!
人の道は確実に踏み外しているはずだ。
「ほら、お、俺達は姉弟だろうが。こういうのはだめだ!」
「姉弟とか関係ないよ虎ちゃん。男の子好きの虎ちゃんを女の子好きに戻すほうが大事なんだから。
あれ………虎ちゃんのおちんちん………子供の頃と随分違うね。上向いてるよ?」
ま、まずい……駄目だ駄目だと思っていたが、意味不明なくらい駄目だ。逃げよう、
何が何でも逃げようっ。これ以上の羞恥プレイはたえられん。
「えいっ!うわ、硬い〜〜それに熱くてどくどくいってるよ〜。」
逃げる前に、姉のしなやかで細い指先は、俺の息子を完全に拘束していた。背中から
両手を回しているために胸は完全に押し付けられ、逃れられない反則的な快感を俺に与える。
蒸気に曇った欲室内は徐々にピンク色に空気が篭っていっている錯覚に陥らせた。
「亜紀姉………俺、本当に怒るぞ?」
「うう、虎ちゃん怖い……ねー。酷いよねー。」
泣きそうな声で俺の息子に語りかける馬鹿姉…って!!上下に動かすなっ!
「あれ?なんか出てきた…。お湯じゃないよね。もっともっとしてみよ…」
「うわああぁ馬鹿姉!!亜紀姉っ!!やめやめっ!!!」
片手で俺を抱きしめ、あいた手で姉は俺のあそこを可愛がり始めた。柔らかい感触
だけでなく、姉の熱い吐息が無意識なのか俺の敏感な首元にかかった。
「うああぁぁ…やばい、やばいって亜紀姉…だめだ…くううう!!」
「うわあ、白いのがすっごいいっぱい……ああっこれがもしかして…。へえ〜こんな風に
なってるんだね。虎ちゃん…。気持ちよかった?ねえ気持ちよかった?」
「…………」
俺は遊び半分で強制的にいかされたショックと、それを姉にされたことの二重のショックで
打ちひしがれた。姉は…それを舐めたり匂いを嗅いだりして好奇心を満たしていた。
「うう〜〜ごめんなさいいい、ね、虎ちゃん、怒らないで〜」
風呂から上がった俺は自分の部屋で駄目姉を正座させていた。見た目だけは美しい姉は
俺を涙目で上目遣いしている。
「あんなことはしちゃだめだ。第一男女七歳にしてといってだな。一緒に寝るのも駄目なのに
裸であんなことしたら駄目なんだ。」
「でもでも〜男の子好きになるくらいならお姉ちゃんがって思ったんだもん。虎ちゃんの
ためなんだよ〜?」
この姉は本気だろう…だから、いつもあんまり強くはいえないのだが…。
「俺はちゃんと女の子が好きなの。それに剣は女らしいから大丈夫だ!」
「そうなんだ…ああ、でも愛する虎ちゃんが剣さんと仲良くなっちゃうのも困るなあ。」
「いい加減俺も彼女いない暦=年齢を卒業させてくれ。亜紀姉。」
俺はため息をついた。そんな俺に姉は名案とばかりに手を叩いた。
「じゃ、お姉ちゃんが恋人になってあげる!!そしたら、卒業だよ。ないすあいであー!!」
「アホか。」
あほなことをいう姉を一旦放置し、飲み物を用意するために部屋を出た。姉の宿題を
見てやんないとだめだしな。そして暫くして戻ると…
「虎ちゃん虎ちゃん虎ちゃん〜〜〜〜っ!」
姉が俺のベッドの上で虎のぬいぐるみを抱きかかえ、転げまわっていた。俺は問答無用で
布団から引き剥がしてベッドから亜紀姉を叩き落し、軽く蹴りを入れた。
「いやん、虎ちゃん大胆…ああああ、嘘嘘。将軍様助けてー暴力反対よ〜」
そして、黙ってお茶菓子を出して自分の宿題を片付けさせた。
ちなみにこの日は……すっきりしたせいかよく眠れた。畜生。
投下終了です。
うぉ〜きたきた!あきねえ可愛いなあ。GJ!
そんなもん投下されたらGJとしか言えんがな
猟奇もんが多い中でほのぼのとしたキモ姉は癒されるなぁ
GJ
虎ちゃんのラブコメ体質が大波乱を呼びそうでwktk
あっちもこっちも血生臭い話ばかり投下してる中、ケラケラ笑って読める亜紀姉は実に希少だ。
これからもまったりやっていって欲しい。
心からのGJを!
なんかえらく久々です。以前こちらに投下したお姉ちゃんと明人の続きを書きたいと思っているのですが…。
こちらのスレに投下して大丈夫でしょうか?キモくないと以前に言われたので、普通に姉萌えスレにでも投下するかどうか悩んでいます。
とりあえずこれから書きます。色々とお姉ちゃんにはフラストレーションが溜まっているんですよ…。ウケケケ、報復じゃ…。
男なんだろ?
グズグズするなよ
>>331良い作品だったけどスレの趣旨とは若干ずれてるし
姉萌えスレに送った方がより多くのGJ貰えて書き手も気持ちいいかなーと
思ったり思わなかったり期待したりwktkしたり
>>331 少なくとも俺は十分キモイと思ってた。
だからお願いします。
>>331 俺のエンジンに火を付けろ!
前から思ってたんだけどここって女性は何人くらいいらっしゃるのかな?
女の人挙手して!
はいはいワロスワロス
誰か嫉妬スレまとめサイトにあるみたいな
キモ姉キモウト派閥図つくってくんないかな
ちなみに俺は
キモウト独占欲腹黒かわいいよ派
キモ姉包容力依存心やわらかいよ派
キモ姉最強依存心光源氏計画派
>>341 依存心光源氏計画を
心光源氏と読み、更にそこから
“マコモー”と呼んでしまった…
キモウトよ!私を監禁しろ!!
派閥とかは荒れるからやめた方がいいとオモ
ここでオーガニック系に分類されるであろう宇宙妹を投下します。
長編でキモウト分を薄めずにやるってどうすれば良いんでしょ?
とりあえず主人公は相変わらず括弧が付かず、名前も大した意味が無かったりしますが、少しばかしスレをお借りしますね。
人生とは宝くじのようなものだ。
可愛い妹のいない人生を、ハズレと呼ばずなんと呼ぼう。
第二話 あなたに、妹を…
妹が二人になって数日。俺はてっきりコマも一緒に住むのかとも思ったのだが、家に居座る妹は相変わらず一人しかいない。
そして変わらず買って来るよりはマシな食事を振舞ってくれる妹には、俺が見ていない所での調理は許して居らず、不味くない料理の安全性を確保している。
結局、妹がいようが増えようが、生活するにおいてさしたる問題は存在しないようだ。
今までと変わった事なんて、ホントに数えるくらいしかない。
家でも学校でも妹と行動を共にして、いない時にはコマの相手をする。
一日一回の手紙のやり取りも、なんだかんだで楽しくなってきた。
今、地球には俺しか知らない宇宙人がいて、その宇宙人は俺の妹で、思ってたよりもずっと世界は楽しい所みたいだ。
そんな妹が、まだ11人も残っているってんだから、退屈だなんて言う暇も有りはしない。
ただ一つ贅沢を言わせて貰えるとするなら、
「兄さん、適度に精液を排出しないと体に良くないらしいよ。
でも、一人ですると変な癖が付いちゃうかもしれないんだって。そこで二人でやるのはどうかな?」
コイツをどうにかしてくれないだろうか。
以前は「一人でやってろ」と迂闊にも助長させるような事をしてしまい、大変面倒な事になってしまった。
今回も当然面倒な事になってしまい、ただ寝るだけに多大な労力を支払うハメになった。
次回に備える何かを模索している内に、無情にも夜は更けて行く。
今日は先日の中間テストの返却日だった。
だったと言うからにはもはや大半のテスト結果が帰って来ている。
それにしてもテストってのは退屈でしょうがない。どれだけ頑張ろうと決められた範囲内でしか点を取れない……これが退屈で無い訳が無い。
が、これは自分に限った話だ。人のテスト結果、特に妹のテスト結果ともなれば、自然と興味をそそられる。
で、どんな感じかな?
「…………」
こちらに向けられた数枚の紙には、凄惨極まる惨状が広がっていた。
……宇宙人、ダメだなぁ。
「それは違うよ。宇宙人はダメじゃないの。
兄さんも知っての通り、宇宙の技術は地球なんて比じゃないでしょ?」
まぁ確かに。明らかおかしなヤツが学校に居座ろうと文句を言われない程度には凄い。
「そう、宇宙の技術は凄いの。その気になれば生まれた時から一歩も動かずに生涯を終える事もできるくらいね。
発達していった科学を更に発展できるような人間は一握りで、それ以外はなんでそんな事ができるかすら知らない人も多いよ。
車はアクセルを踏めば動く事を知ってれば、アクセルを踏むとどんなメカニズムが働いているか知らなくても問題はないでしょ?
だから、私は悪くないの。生きてく上で困らないの」
……科学の進歩も考えもんだな。しかし、点数悪くて恥ずかしいならそういや良いのに。
変な所で恥ずかしがるな。
午前中の授業が終わり、昼休みに入る。
逆に午前中の授業が終わらずに昼休みに入るなんて有りえるのか考え始めた時に、妹が険しい表情を浮かべ、急に飛び出していった。
止める暇も無かったが、止めるつもりも無かったのでどうでも良い。このパターンだとコマの登場だな。
どういう訳か、あの二人は同時に現われたのは最初の一回限りで、それ以降はどちらか一人づつとしか会わない。
一緒に生活している妹と比べ、圧倒的に過ごす時間が少ないコマだが、その少ないチャンスを無駄にした事は無かった。
二人は仲が悪いのかもしれない。が、そんな事より飛び込んで来るだろうコマに備え全神経を集中させる。
ギラギラと光る目を落ち着きなく動かす俺は傍目には危ない人間なんだろうが、幸いな事にこの時間に俺達兄妹に意識を向ける者は誰一人いない。
何でも、認識をほんの少し弄ってるだけだとか。これを小娘が簡単に使っている辺り恐ろしい。
当然小娘でも使える分、宇宙人には効果は薄いらしく、今話しかけて来る人間は必然的に宇宙人となる。
俺の知っている宇宙人は妹二人だけで、それ以外の声が聞こえたとするなら、それは多分、妹の妹にして俺の義妹、そして俺の妹になるだろう存在だ。
「確かに人間の頭の善し悪しは差が有りますよね。私も受けてみたんです。
そんなに睨まないでくださいよ。別に何かするつもりは有りませんから」
などと、身長およそ五尺二寸の眼鏡をかけた女が、テスト用紙を点数が見えるようにこちらに向けながら俺に声を掛けてきたのだから、この眼鏡は、残念な事に俺の妹なんだろう。
眼鏡をかけた人間の性根は、レンズのように曲がってしまっている。
これは俺の経験則だが、少なくとも今まで会った眼鏡はすべからく変態だった。つまり目の前の眼鏡も変態だろう。更に髪は緑ときている。日本人的感覚からはまともとは思えない。
ついでにテストの点数も俺と同じときている。宇宙人の知力なら-や満点以上を取ってみせろ。
それで何の用だ、大した事ない宇宙人の変態。
「さっきから変態変態と……違います」
黙れ変態! 眼鏡と話す事は特にない!
だが、話を聞いてやるくらいならしてやろう。
「はぁ。では言いますが、とりあえず子供を」
会って間もない人間に子供をねだるヤツを変態と呼ばず何と呼ぼう。
呆れに気付いている筈なのに、顔には余裕と自信が満ち溢れている。眼鏡をかけたヤツの傲慢な態度は何を根拠にしてるんだかわからない。
その自信を音に乗せて緑眼鏡が吐き出してきやがった。
「貴方がどこまで知ってるか不明瞭なので、一から話す事にしましょうか。長くなりますけど、よろしいですね?」
よろしくない。けど、どうせ俺の意志や人格は無視するんだろ?
「はい。お話が早くて助かります」
ついでに手早く済ましてくれりゃ一番なんだがな。
「私は、これでお兄様をずっと見ていたんです」
これで……? これはただの親父が残したってだけ……じゃなくて盗撮用アイテムだったな。うん。癖で未だに持ち歩いてしまう。
ネタが割れているのだから捨てた方が良いかもしれない。
「では、姉さん達のせいで犬臭い体を私が清めて差上げますから」
清める? 言葉の意味を飲み込めない。だってそうだろう? ここは教室なんだぜ。水だってクラスメイトが各自用意した飲み物くらいしかない。
何をするのか理解できなかった俺の耳に、周囲の雑音に紛れて衣擦れの音が入ってくる。
発生源は緑眼鏡だ。どうやって着てどうやって脱ぐのか傍目にはわからない白い服を一枚一枚剥していく。
何枚脱いでも忙しなく動く手が止まる様子は見えない。いや、それより何をしてるんだね君は。
「聞いてませんでしたか? 清めて差上げるんですよ」
清める、と言うのが何を指すのか理解できない。理解できないが、教室の中で女性が服を脱いでいるというのはなかなかに滑稽な光景だ。
俺がこの光景の一部と化す前に御暇させて頂こう。
「んふふ、ちょっと退屈させちゃいましたかね? でもお兄様は帰ったりしませんよね。私にはわかりますよ」
ああ、当然だろ。俺がナイリの事を置いて行ったりするもんか。
……なるほど、俺の行動を変えるくらいはちょろいってか。
いや、変わった訳じゃない。素直になっただけさ。俺が妹を、ナイリを邪険にしたりする筈がないだろ。
ああ、ナイリって名前なのか、この緑眼鏡。
「私達の種族が女性しかいない事はご存じですよね?」
緑眼鏡は、まず確認するように口を開いた。もっとも、俺の答えなんざ要らないんだろうが。その証拠に、俺の反応を待たずに語り出したんだからな。
「種を存続させる為には他の種族の子供を宿す必要があるのはお解り頂けますよね?
ですが、それなら何故私達姉妹の父親全てが違うんでしょうか?」
……知るか。親父に甲斐性が無かったんじゃないのか。
そもそもただの一人も父親が一致しないだなんて聞いた事が無いぞ。
「ん〜……惜しいです。正解は、母親が最低だからですよ」
反則じゃないか。身構えてたのが馬鹿らしい。
常にポーカーフェースを心掛けている俺だが、顔に出ていたのかもしれない。緑眼鏡は口許を掌で隠して笑ってやがる。お嬢様気取りか。
「真面目なんですね。わざわざ考えて貰いありがとうございます」
……どうにも居心地が悪い。さっさと続きを頼む。
「はい……えー、現在残っている私の種族は、姉妹全ての数と同じ十三人。絶滅の危機に瀕しています。
このままではマズい。とでも遺伝子が反応したんですかね。絶滅しないように勝手に恋をするんです。あなたに」
なるほど。あの二人は、そしてこの緑眼鏡は、そんな都合により俺なんかをあてにしているのか。可哀相に。
「寂しいですか? あなたの今まで築いた物ではなく、ただ生まれだけで選ばれた事が」
全て解っている。とでも言いたげに眼鏡を光らせる。一々癪に触る女だ。
「お馬鹿さんですね。生まれや育ち、全て含めてあなたでしょう?
ずっと見てきた私も保証してあげます。だから安心してください。私はお兄様が大好きですよ」
こちらに差出された手には、俺が肌身離さず持っているペンダントに良く似た物が乗っていた。
「さぁ、お兄様。どうぞご覧になってください。お兄様の為に、13年間磨き続けてきたんですよ」
ああ、綺麗だよナイリ。
教室の安いライトで照らされ輝く白い肌、緩やかに上下するふくよかな双丘、その上で呼吸に合わせて震えている薄桃色の突起、それら全てがたまらなく愛しい。
「まぁ……お兄様ったら……そんなに見詰められたら、私……」
自分から見せ付けて来た癖に、恥ずかしいのか赤く染まった顔を逸してしまう。
それでも、伺うようにチラチラ視線を動かす俺の妹が、どうしようもなく可愛らしい。
俺が見て、俺を見て、お互いに愛を確認し合う。これこそが兄妹の正しい在り方じゃないか。
血の繋がりが兄妹足らしめる訳じゃない。決して切れない男女の絆こそを、兄妹と呼ぶのだろう。
そんな煮立った思考の俺と、13歳の平均どころか成人女性を大きく上回る胸囲を持ったナイリを、冷静な俺が観察していた。
自分がもう一人いる感覚、この教室の連中もそうなのか興味が有ったが、それよりかは今の状況を打開する方が先だろう。
まず、体は動かない。口も自由にならない。
なるほど、確かにこれは俺にはどうする事もできなそうだ。
しかしこのままでいる訳にはいかない。俺は何故か、大人の女の体に嫌悪感を持っている。
誤解のないよう言って置くが、幼女愛好の趣味もない。当然同性にもな。
何故か知らないが、女らしい体付きが、頭痛や吐気を伴う程嫌いでしょうがないのだ。
つまり俺は今、地獄にいる。打開する為に取る行動は一つしか無い。
さぁ、助けろ俺の妹よ!
『現実は小説より奇なり』
ああ、正しくその通りだと思うね。
結論から言うと、強く願っただけの俺の思いは、エリにもコマにも届きはしなかった。
だが、俺がこのまま父親になってしまうような事態には、結局到らなかった。
では何が起こったのかと言うと、余りに荒唐無稽過ぎて俺には上手く説明する事ができない。
それでも説明しなきゃならないな。
まず始めに、光が俺を包んだ。光量を把握してる時間が無かったが、多分教室程度は満たしてたんじゃないかね。
次、最終工程。俺が目を開けると、そこにはデカい蛹が有った。
緑色で、薄い網目状の模様が走り、教室の光や窓から差込む光で透けて見える中身は液体状。
時折『お兄様』と鳴声を発する所から推察するに、これはナイリなんだろう。
…………とりあえず、脱ぎ散らかされている服を家に置いて来よう。
まぁ、俺は家に帰った途端疲労任せに寝てしまったのだが、嫌悪感や体の不調から開放されて気が緩んでしまったんだ。仕方ない。
流石に一日に何人もの妹の相手をする力は俺にはまだ養われて無いらしい。
『15年間兄さんの為に〜』とかなんとか言って全裸で布団に入って来るヤツが煩しかったりしたせいで、ナイリの事を忘れてしまっていたのも、きっと仕方ない事だ。
さて、翌日。もう俺は地球人と挨拶をする習慣を失ってしまったようだ。
誰も俺がいる事に気付いていない気すらしてくる。
だが、それは既にどうでも良い。問題が有るとすれば今日は平日で、平日には学校が有り、学校の空き教室でデカい蛹を見付けてしまった事だろうか。
五秒に一回、規則正しく『お兄様』と囀るその蛹は、公共良俗反する落書きで埋め付くされていた。
筆跡は三種類、一つは今も手にしている妹の手紙と同じ文字。二つ目は昨日見た妹の答案と同じ文字。最後の一つも、何処か忘れたが、いつだったか見た字に酷似している。
だが、これを見た事が有るという事実は大切だ。たとえ中身がわからなくても、どうなるかを理解していれば問題はないって事だからな。
だから、ナイリが何故蛹になったのかわからなくても、今は安全だと理解していればそれで良いんだろう。
雨の降らない梅雨、夏の到来は未だ遠く、新たな妹の来訪は、近い。そんな予感めいた物を、三つ目の字を眺めながら、強く感じたのだ……
以上です。気が付いたらこのスレで一番最初に投下された作品が終了していたりして、胸に来る物が有りますが、それの次の次くらいには私のが果たして完結を迎えられるのか心配だったりします。
では、次回の変態性2割増しの『私の妹は凶暴です』でお会いしましょう。
最近小ネタが全然浮かんでこない…
そもそもギャルゲ業界は何をやっているんだ?
純愛やら泣きゲーやら、在り来たりな物ばかり作って、
肝心なヤンデレ、キモ姉キモウトが例の傑作を最後に無くなった。
おまけ的要素でキモ成分が入ってたりする時もあるが、
前面に売りとして出されている物がまず無い。
誰でもいい、キモ姉キモウト物のゲームを作ってくれ頼む。
>>356 やっぱただでさえ少ない購入者を減らしたくないのだろうね。
多分責任は萌えゲーばかり買うようになった消費者にもあると思う。
同人ならヤンデレ特化のが今度の夏コミで出ますよ。
>>355 乙!
ところでこの作品の題名はなんだい?
これから保管庫を覗きに行くつもりだがせっかくなら投稿された作品を優先的に読みたい
GJはそれからだ
>>358 申し訳ないです、題名出し忘れてたです。これでお願いします。
>>355 >少なくとも今まで会った眼鏡はすべからく変態だった。つまり目の前の眼鏡も変態だろう。
ひど!w
>ああ、ナイリって名前なのか、この緑眼鏡。
相変わらず面白い文章書くなぁ 読みにくさが同居するのもまた一興
ない
ちなみにここは職人もほとんどいないので時期に星屑になる
リョナ2板にでも移住しろ
同人なら「愛狂のある妹」っての買ったお
勿論このスレの影響でw
さて、昨日宣言したものを書き上げたので、投下します。仕事が早く終わってよかった。
書いている時はちょっと客観的にウチの姉弟を見られるんですが、もしかするととんでもないかもしれません。我ながら。
「お姉ちゃん、おめでとう。」
「サンクス、アキヒト。姉ちゃん、頑張っちゃったよ。」
時は4月。お姉ちゃんが、第二子を出産。出産後、二ヶ月近く実家で暮らしていた。
その間、中山家は戦場のようであった…。
〜戦場その1、休日の昼間編〜
お姉ちゃんの子供(海、3歳)はママ、ママと甘えまくり。そしてそのママは俺にべったり。
何をするにも二言目には『アキヒト〜』である。かなり困る。
理由を聞けば『一番いい使いっ走りじゃん。迷惑かけてもごめんの一言で済むし。』
俺はこういう時ほど、お姉ちゃんに頭が上がらない性格を恨むときはない。
文句はもちろん言うが、結局一々付き合っているのだから…。
俺はそれでもいいのだが、海の相手をする時は困る。
年相応の独占欲を持つ海は俺たちの仲の良さが面白くなく、幼いジェラシーを一身に受けつつ、海と遊ばねばならない…。
結構強烈なジト目で見られるのは気持ち良いとは言いがたい。そのくせお姉ちゃんは、
「アキヒト〜、沙耶(妹)のおむつ取り替えるから手伝って〜」
「なして俺…。」
「アキヒト〜、海が花火やりたいってさ。夜になったら、ちょっと付き合ってよ。」
「(お姉ちゃん…産後の今は、俺がいつも以上に反抗できないことを絶対理解してる)……了解。」
これである。この苦労を誰にぶちまければいいのだ。
そんなこんなで、仕事が休みの日はお姉ちゃんのパシリ、仕事の日は仕事と休めない。
むしろ仕事のほうが稼げる分マシではないかと思ったりする。
だが、結局付き合う。どこまでも。毒食わば皿まで、って気分。
〜戦場その2、夜編〜
長男、海はとにかく花火が大好きで、真っ昼間から花火、花火とせがむ。
お姉ちゃんに『夜にやろうね』と釘を刺されてからは若干マシになったけど、
それでも常に花火はストックしとかなければならない。
もちろん、今夜も花火である。昼間に約束された分、自分も付き合うしかない。
お姉ちゃんは文字通りの左団扇で海と戯れている。
お姉ちゃん、俺に用意からほぼ丸投げするのはやめてください。
「えーっと…線香花火は確定。ロケット花火は近所迷惑。パラシュートは…見えないな。
ドラゴンでも持ってくか。」
片手に余るぐらいの量の花火を持っていくと、海は奇声を上げて喜んだ。
お姉ちゃんはやれやれ、って表情をしている。
まずはドラゴンから点火。
「おぉ〜、しゅご〜い!」
海はそりゃもう物凄い勢いで喜んでいる。
燃えた火薬の匂いが鼻をくすぐって、俺まで意味もなくテンションが上がる。
いくつになっても、ガキだな。俺って。お姉ちゃんはそんな俺に気づいているのか、微笑んでる。
消えかけた炎に照らされた顔がなんだか凄く大人に見えて、一瞬見入った。
「おっしゃー、次は線香花火だ。お姉ちゃん、海、持ってくれよ。」
ごまかすように大きな声を出した。ちょっと声が上ずってたけど。
袋から線香花火を出して、二人に持たせて火をつける。
儚い光が、少しずつ出てくる。
「この細い細い裏道を抜けて、誰もいない大きな夜の海見ながら、
線香花火に二人で、ゆっくり、ゆっくり火をつける、と。」
「すげぇ懐かしい歌を歌ってるね、お姉ちゃん。」
「できれば海がいないといいんだけどね。二人きりの花火なんて、ロマンチックじゃん?」
「姉弟にロマンもへったくれもないと思うけどね。」
一本目の線香花火が終わった。新しい花火を袋から出して、ライターに手を伸ばす。
儚い火花が、手元でまた咲く。
「アキヒト。」
「ん〜?」
小さな花火に目を向けていて、お姉ちゃんの表情がわからない。意識を集中していて、生返事しか出ない。
次の台詞は、大した事じゃないだろう、っていう俺の想像を超えていた。
「いつもありがとうね。付き合ってくれて。」
「へ?」
ちょっと狼狽した。いつも元気で、俺は振り回されっぱなし。
それでも、礼なんて言う人じゃない。少なくともさっきまではそう思っていた。
なんて反応すればいいのかわからない。
ごまかすように、新しい花火を出す。お姉ちゃんも黙って手を伸ばす。
「なんだか、キャラじゃないかな?」
「そう…かもね。でも、嬉しいよ。」
その後は、声を発せずに花火を楽しんだ。微妙な空気を感じているのか、海も神妙。
花火が終わって家に戻ると、いつものお姉ちゃんに戻っている。
元気で、俺以上の楽天家で、時折クールな人になる。
部屋に戻って、ベッドにダイブ。ちょっときしむ音がした。
(いつもありがとうね、付き合ってくれて)
さっきから、この台詞が頭をぐるぐる駆け回っている。
お姉ちゃんにこんなに重いお礼を言われたのは初めてかもしれない。
(…寝るか。テキーラでも呷って)
ため息混じりにグラスを用意して、キンキンに冷したテキーラを一気。
喉が焼けるみたいだけど、それがまた美味い。
三杯目を飲み干すと、眠りに落ちていった。
〜戦場その3、やっぱり飲み編〜
さて、お姉ちゃんはつい最近まで妊娠していた。
もちろん、酒はほぼ断っている。
その辺はキッチリした性格なので、義兄も特に文句を言わずに済んだ、と喜んでいた。
ただ、無事出産した今、そのリミッターは見事に吹っ飛んだ。
そして、そのリミッターが無くなったお姉ちゃんの相手は、俺。
義兄は、必ず俺に回す。結構憎らしい。
「それではアキヒト、泉水を宜しく頼むよ。」
今にもシュタっと走り去りそうな感じで、兄貴は言い放った。
とりあえず走り去る前に捕まえる。
「何故じゃ…兄貴…。」
「決まっているだろう。俺がいなければこの地の平穏は守れんのだ。」
「…消防士兼救急救命士だから言ってる意味はわかる。だけどなんか違う気がするよ…。
なんか…こう…腑に落ちない。誇大広告的な…。」
「それは置いといても、実際のところ、二日酔いでできる仕事じゃないからね…。人命がかかってるんだから…。」
ぐ、と言葉に詰まる。言っていることにスジは通っている。
嫁さんと酒を飲んでいたら二日酔いになりました、じゃシャレにならないからね。
「…お姉ちゃんは、やっぱり飲むのかな?妊娠中でほとんど飲めなかった分、仇を取るように…。」
「まぁ、間違いないだろう。軍資金は渡しておくから、後は頼むよ、アキヒト。」
そういうと、俺が何か言う前に万券を俺に渡して、車に飛び乗り走り去っていく…。
(…逃げ方がうめぇ。流石に火事場から人を抱えて脱出するだけのことはある。)
ちょっと違う気もするが。ともあれ、相手は俺に任された。
「アキヒト。飲むぞ。」
俺に回ってくるのである。常に。
すでに日は落ちだ。でも、海が寝るには若干早い。
「お姉ちゃん…海と沙耶は?」
「心配しないで。お母さんとお父さんに任せてきたから。」
「…手回しがいいね。」
「逃げられないよ?アキヒト。」
さらっと言った言葉とその笑顔が物凄く怖い。菩薩の笑みでオーラは夜叉だ。
俺はもう逃げる手が尽きたことを理解し、黙って酒を仕入れにいった。
「それじゃ、乾杯!」
「かんぱ〜い…。」
焼酎のロックで乾杯。
俺はお姉ちゃんのペースで飲みながらチャンポンすると間違いなく二日酔いになるので、今夜は焼酎オンリーだ。
「アキヒト、テンション低いぞ。もっと上げていこう。」
上げられるか、と心の中で突っ込みつつ、黙ってグラスを傾ける。
お姉ちゃんが言うことは、いつも通り。他愛も無いこと、昔話、何度も何度も聞いた話。
それでも、なんだか今の時間が得がたいもののような気分になる。楽しい。
「アキヒト、目を閉じて。」
お姉ちゃんは、いつものようにキス魔。
俺も、いつものようにされるがまま。
と思っていたけど、その日はちょっと別の酔い方をしていたらしい。
何回目かのフレンチキスの時、唇を割って舌と酒を流し込んだ。
「…!!ぷは…。」
「いつかのお返しだよ、お姉ちゃん。」
この反撃は予想していなかったらしく、顔が真っ赤になっている。
俺も顔に血が集まるのを感じた。今まで何度もキスしたけど、こっちからなのは初めてだ。
なんだか自分の行為が物凄く恥ずかしくて、その後は潰れたフリをして寝た。
お姉ちゃんはその後も飲んでいたみたいだけど、無理に起こそうとはしなかったみたい。
そして、朝。
「アキヒト…姉ちゃん、ちょっと辛い…。」
「海と沙耶が待ってるよ。今日は厳しく行くからね。」
「うー…。」
ちょっとだけ、昨日までとは立場が違う気がした。
このSS通りの事をやっているのが笑えるぞ、ウチの姉弟…orz
おつまみ代わりにでもなれば幸いです。
374 :
名無しさん@ピンキー:2007/06/27(水) 18:39:29 ID:SaqvTQDw
ビールが進む!!
ウチの姉弟とか言われると
なんかすげえ萎えるんだけど・・・
その気持ちは分かる。
リアルな話を聞くと軽く萎える。
文章創作板で体験談を語られてもね・・・。
そういう需要のあるスレにいったほうがいいと思うよ
まあお前らもそれくらいにしとけや
無闇に空気悪くすんじゃねえぞ
投下します。
翌朝、暑くて寝苦しく眼を覚ますと美人な姉の顔が目の前にあった。とりあえず、ベッドから
転がして床に落とす。美人は三日で飽きるというが全くそのとおりだと俺は思う。
カーテンと窓を開けると朝日と気持ちのいい風が部屋に入り込む。今日もいい天気だ。
「起きろ、亜紀姉。俺のベッドに潜り込むなっていってるだろ?」
「うぅ〜ん、もう朝〜だって、虎ちゃん…お姉ちゃん怖い夢みたんだもん。」
「ほら、朝飯用意してやるからさっさと起きろ。」
「はーい。」
俺は昨日の味噌汁を温め、魚を焼き弁当を作る準備をし、寝ぼけてる姉を洗面所まで
手を引いて連れて行って無理矢理顔を洗わせた。パジャマからちらちら見える谷間は
頑張ってみないようにする。
そんなこんなで学校に向かうと、正門の前で長い黒髪を無造作に後ろで縛った男…もとい
女らしい、剣薫が立っていた。
「おはよう、虎之助君、亜紀先輩。」
「おはよう。お前こんなとこで何してんだ?」
「決まってるじゃないか。君を待っていたんだ。」
彼女はばんばんと背中を叩きにこやかにそういった……何か周りの視線が痛い。
女子の視線が俺たちに集中しているような…。
「おはよう、薫ちゃん。虎ちゃんに1m以内に近づいちゃ駄目よ〜。変な噂立っちゃうから。」
「僕はどう思われても構いませんよ。二人に愛があればいいんです。」
「俺はホモ扱いはちょっとやだな。」
ここは珍しく駄目姉と同意見だ。
「貴女も虎之助君に近づきすぎると彼にシスコンという在らぬ噂が立ってしまいます。」
「虎ちゃんと私は両思いだからいいのよ?」
「そんなわけあるかっ!」
姉の頭にチョップで突っ込みをいれる……なんだか今度は男からの羨む視線が痛い……。
「それでは、僕たちは教室に向かいますので…亜紀先輩。」
「あ、おい、剣さん、腕掴むな。」
「他人行儀な…薫と呼んでくれ。」
薫は俺の腕を掴むと、教室に歩き出そうとした。女子からひそひそ声が聞こえてくる…
俺もうだめかもしれん…
「じゃ、虎ちゃん。いってくるね。」
「ああ、気をつけてな。」
言った傍から躓いてこけている亜紀姉をみて、ため息をつきつつ自分も教室へと向かった。
「虎之助…朝から目立っていたみたいね?」
教室に入るなり不機嫌な口調で俺に声をかけてきたのは風紀委員の塚本風子だ。この、
背の低いポニーテール女は何故か俺を敵視しており、何かにつけて難癖をつけてくる
俺にとって最大の天敵だった。
ちなみに二番目は馬鹿姉の外見に目がくらんだ全学年の名も知れぬ馬鹿どもだ。
彼氏と思われてるせいであいつらと何度俺が喧嘩をするはめになったことか。まあ、間接的に
姉のせいだが…これは流石に姉のせいにするのは可哀想だ。
「いつも通りの平穏な日常だよ。俺は風紀委員に目を付けられることはしてないぞ。」
「あれだけ騒ぎ起こせば十分でしょ!……まさか、虎之助がそっちの人だったなんて…。」
「俺はノーマルだ。」
どっちかというと女好きだ。ただし、駄目姉除く。
「行きも帰りも美人なお姉さんと一緒、時には手を繋ぎ、腕を組んで帰宅するシスコン。
加えてホモ……ああ、どうしょうもないわね……。」
なんか、派手に手振りをしてわけわからんことをいうちびっ子に、俺は疑問に思ったことを
問いかけることにした。
「なんで帰りのことを知ってるんだ。お前家逆だろ?」
「た、たまたまよ。さっさと席に座りなさい。ホームルーム始まるわよ。」
急に話を変える敵性生物にはいはいと頷いて俺は彼女の隣である自分の席に座った。
昼、俺は弁当を持って隣のクラスにお邪魔していた。目ざとく俺を見つけ、手を振る
薫を見ない振りし、目当ての人を探す。おさげ髪の彼女は端のほうの席で一人、ゆっくりと
ご飯を食べていた。
俺は勇気を振り絞って声をかける。
「榛原さん……話があるんだ。屋上でご飯食べながら聞いてくれないか?」
「青野君…。うん…」
風を遮るもののない屋上には気持ちのいい風が吹いていた。そして、何故か
亜紀姉が一人で弁当を食べていた。
「あ、虎ちゃーん。偶然だね。どしたのーお食事?」
姉には超能力でもあるんだろうか。にこやかに魅力的な笑みを浮かべる姉が
ちょっと怖かった。
「榛原さん、場所を変えよう。」
「え、でもあの人一昨日の…」
「虎ちゃん一緒にご飯食べよ〜?」
困惑する榛原さん、このままでは一昨日の二の舞に…。何度も邪魔されてたまるものかっ!!
「聞いてくれ榛原さん。」
「きゃっ」
俺は榛原さんの肩を強く掴んで彼女の眼を真剣に見つめた。眼鏡の奥にある綺麗な
瞳に不安の色が宿るのが判る。だが、やめられん。
「手紙は……読んでくれた?」
「何それ。」
薫…覚えてろ…今度殴ってやる。みんな男と思ってるから問題ないぜ。
「あそこにいるあの駄目女は………似てないが俺の実の姉なんだ。」
「え、えええっ…そうなんだ。」
彼女の優しそうなおっとりとした顔に理解の色が浮かぶ。よかった、信じてくれて。
「だから、誤解はしないで欲しい。あ、これクッキー…後で食べて。俺が昨日作ったんだ。」
「あ、ありがと…誤解?」
「だからその、俺が好きなのは…うわわわわっ!」
「虎ちゃん〜ほら一緒に食べよ?」
邪気のない満面の笑みで物凄い力でひっぱっていく亜紀姉。運動音痴の癖に力だけは
強い。って…
「ああああああ、榛原さん〜〜〜っ!!!!」
俺はなすすべもなく去っていくその背中を見つめるしかなかった。上機嫌な姉に
一発チョップを食らわせ、諦めて昼食にしたが姉の抗議の声を無視しながら食べた、
今日のおにぎりの味はかなりしょっぱかった。
「は〜気が重いなあ。」
「虎ちゃん大丈夫?お姉ちゃんが元気付けてあげようか?ほーら、重いの重いの飛んでいけ〜♪」
「俺が気が重くなってるのは亜紀姉のせいだっ!…ったく。」
翌日、俺は相変わらず能天気な姉と一緒に学校へと登校していた。
「はー。俺の恋も二日の命だったか…」
「お姉ちゃんの恋は永遠だよー。虎ちゃんも一緒に永遠に。」
「絶対いや。」
「青野君っ!」
そんな馬鹿ないい合いをしていたときに聞こえてきたのは榛原さんの声だ。まさに天使の声…。
正門では榛原さんが俺を待っていた。
「クッキー有難う。美味しかった…。昨日はごめんね?」
「いいんだ、榛原さん。俺が誤解させるようなことしちゃったから…。」
重い気分は完全に吹っ飛んでいた。やったぜひゃっほっほー甘いもの作戦大成功っ!
「あらあら、榛原さんでしたっけ。弟がいつもお世話になってます。」
姉は外見だけは大人っぽい笑顔で軽く会釈した。
「いえ。お姉さんとは知らずに…いっぱいご迷惑を…。」
紅くなって下を向く榛原さん。まじ癒される〜。
「それじゃ、私も教室いくね。またね〜榛原さん、虎ちゃん。」
去っていこうとした姉は忘れ物をしたといった感じで俺に向かって振り向いた。
何も言わずに笑顔でつかつかと俺に向かって歩いてくる。
そして…
「あ、虎ちゃん〜私寂しい〜くなるから、一日頑張るために行って来ますのキスしてね。」
と、理解不能なことを目の前の馬鹿姉はほざき…俺の唇を自分の柔らかい唇で塞いだ。
両手は俺の首に回し、自分の身体に引き寄せ…口を開けて舌を入れてくる。たっぷり
十秒間唇をつけて離した。周りの男たちから強烈な殺意が集まり、ようやく何が起こったのか
俺は理解した。お、お、お俺のファーストキスがああああああああっ!!
「おいこら、馬鹿姉っ!何するんだ!?」
「虎ちゃんエキスをいっぱい貰ったわ〜三日は戦えるわ。虎ちゃんったらもう積極的なんだから♪
ふふ、みやちゃんがこうしたら元気出るって教えてくれたの。じゃあ虎ちゃんまたねえ〜。」
そして駄目姉は……スキップしながら上機嫌で去っていった。ギギギっと首を動かして
榛原さんの方を向くと、そこには笑顔の榛原さんが立っていた。
やばい、殺られるっ!!俺の全神経は告げていた。
「青野君の馬鹿ああああっ!!!!!!」
思いっきり頬を張って去っていく榛原さんを俺は見送ることしか出来なかった。
春は──────────遠い。
投下終了です。
乙乙
GJであります!
>>384 おいおいどうしてくれるんだ?
俺のバルカンレイヴンが鋼鉄棒みたいになっちまったぜ?
こりゃ一発いわねぇとわかんねぇみたいだな…
G J !
>>384 乙乙乙! これからも亜紀姉にはキモ姉と萌え姉の中間の存在として頑張って欲しいですね。
GJ!
なんだろう…この感情
なんというキ萌エ姉。
ちょっと聞きたいんだがキモママのSSはどのスレなのかな?
メインが母でも恋のライバルに姉か妹が居ればこのスレでもOK?
勿論キモ姉とキモウトだよな?
>>393 考えついたのは一応キモ姉とキモウトです。
でもメインは母親。
無理にこのスレじゃなくてもヤンデレの小説スレの方がいいかな…
たしかキモ母は前例があったな
でもあれは最終勝利者がキモ母だっただけだったか
だが、どのスレだったか思い出せない
嫉妬スレ、ヤンデレスレ、キモ姉キモウトスレ…もうSSがごっちゃになってしまってる
755 名前: 名無したちの午後 [sage] 投稿日: 2007/06/29(金) 01:11:27 ID:zs0TvykV0
>>250 うん、さっき帰ってきたんだけどさ、もう凄まじい泥酔状態(今はもう寝てるけど)
婚約者の人に抱えられて、しっかりしろ!とか言われてた
で、慌てて玄関まで迎えに行って、どうしたんですか?って聞いたら
「いや、俺もわかんねーよ、いきなり電話で呼び出されてさ・・・」
「はぁ、すいません・・・、幻滅して婚約解消とかしないで下さいよw
姉貴、めっちゃ喜んでましたから」
「いや、それは大丈夫だけどさ、その・・・」
「何です?そこで止めないで下さいよw、に・い・さ・ん!w」
「おお、兄貴って言われるの嬉しいなw、うん、あのさちょッと気になったんだけど
飲んでる間、○○ずっと、君の事話してたり、○○〜(←俺の名前な)、○○〜って言ってたり・・・」
「はぁ?他には何か言ってました?」
「いや、他愛も無い話だよ、ちっちゃかった頃の話とかね、何かあったの?喧嘩でもした?」
「なんもないっす、まぁ、注意しておきますね」
で、婚約者さん帰ってさ、姉貴にあんま、こう言う事起こさない方がいいよって言ったら
「うるさい!!!!あんたなんかに私の気持ちがわかるか!
この最低男!!バカ!!!!」
何で俺がキレられるんだよ・・・、だから酔っ払いはいやなんだ・・・orz
投下します。
朝、俺を風紀の乱れと大騒ぎする風子を華麗にスルーしつつ、朝の心の傷を忘れること
で癒していた俺だったが、昼休み急遽生活指導質に呼び出された。
「で、何で呼ばれたか判ってるな?」
目の前にいる生活指導のハゲデブは名前すら勿体無いので俺はハゲデブと命名して
やった。名は体を現す。
脂ぎったその身体が俺の不快指数を上げまくっていたが、模範的な生徒である俺は
一応頭を下げ、その後で胸を張って大声で言ってやった。
「全く心当たりがありませんっ!!」
ハゲデブはパワーアップしてハゲデブベスに……言いにくいから蛸でいいや。蛸になりつつ
俺を怒鳴りつけた。
「朝してたことだっ!!」
「何のことだかさっぱりわかりません。」
「貴様っ!馬鹿にするのかっ!」
「いえ、僕は先生を超・尊・敬っしておりますっ!」
やべ、楽しくなってきた。
「朝お前とお前の姉である青野亜紀が正門でキスしていたと報告を受けた。事実か?」
「心当たりがありませんっ!」
蛸は八本中右と左の二本の足でどん!と机を叩いたが、俺は無視する。
「何人もの生徒が見ておる。言い逃れをするなっ!!」
「ほほー。僕の尊敬する大先生は自分の見ていない風聞を信じて、罰するのですか。尊敬
すべき先生がすることとはとても思えません。僕は無実なのに残念ですっ。」
蛸はいよいよ顔を真っ赤にし…高血圧だな。血管を切れそうにしながら怒っていた。
「いい加減にしろっ!!」
「わかりました。では僕もあの風聞を先生の奥様に伝えることにします。」
「な、なんだそれはっ」
「先生は自分でご存知でしょう。あのことですよ。」
あのことってなんだ?ふははっ俺も知らん。
「お互い風聞で余計な波風を立てるのはよくないと思いませんか?」
「そ、そうだな。今回は不問としておこうっ。以後気をつけるように!」
俺はハゲデブが一番生活指導する必要があるんじゃないかと正直思った。ああ、勿論
姉を個人的に呼び出しても通報するということを伝えることは忘れなかった。あんなやつと
二人きりにさせてたまるもんか。
ハゲデブをからかって教室に戻るとなんだか教室に人だかりが出来ていた。そんな中
風子は一人風紀がどうとか喚いていたが誰も聴いちゃいないようだ。何があるんだろう…
と俺が近づくと急に道が開いた。
「虎ちゃん〜〜心配したよ〜。」
ぶほっ!!!なんで馬鹿姉がっ!!!
「青野〜俺はっ俺は悲しいっ。何でこんな美人で優しそうなねーちゃんがいるんだ!!!」
そういったのはクラスメイトの馬鹿筆頭、明伊だ。周りの男どもも亜紀姉のフェロモンに
あてられてそーだそーだと文句を言っている。女子ですらうっとりと亜紀姉を遠巻きに眺め
俺と見比べてため息をついていた。友情ってなんだろう…。しょっぱい汗が流れてるよ。
「虎ちゃん…生活指導にお世話になるようなことしちゃだめでしょう。めっ!」
かわいらしくぽかっと軽く俺の頭を叩く亜紀姉。男の八割がその姿を見て撃沈される。
そーだそーだとわめく男達。お前らは理由知ってるだろ。世の中はいつだって不条理だ。
「わかった、わかったから教室に帰れ。なっ?」
「折角だからお昼もって来たのよー。一緒に食べよ?」
はい!はい!はい!と何故か敬礼する男たち。男って馬鹿だとつくづく痛感する。そんな
不思議空間を泳いでロリ風紀委員はやってきた。ポニーテールをはためかせ、短いコンパスを
必死に伸ばして歩き、亜紀姉に相対しびしっと指を突きつけた。
「亜紀先輩!貴女は我がクラスの風紀を著しく乱しています!即刻たちのいてくださいっ!」
よくいったぁぁぁ。たまには良いこというな。風子。俺の中でお前の株価が暴騰中だっ!
駄目姉は風子をぽかんと見ていたが…すくっと立ち上がると、
「やーんっ。必死になってびしって小さくて可愛いぃぃぃぃっ!!!!」
わけわからんこといいながらその暴力的に大きい胸で風子を力強く抱きしめた。
「むががががふがふがむががあああっ!!」
「あ、亜紀姉やめろっ!風子が窒息する。」
男なら本望かもしれんが。生憎風子は女であって苦しいだけだろう。名残惜しそうに
風子を離した亜紀姉はううーと半泣きで身構える風子をほんわかと見つめている。
「ふーふー。きしゃー!!」
「じゃあね。この可愛い風子ちゃんと虎ちゃんと三人じゃ駄目かな〜?」
俺の天敵は警戒しつつ暫く悩んだようだが、頷いた。三人での食事は、何故か風子がやけに
ご機嫌だったせいで珍しく平穏に終わることが出来た。
放課後、振られたことを痛感しつつしょんぼり姉と帰宅していると正門に見知った二つの人影が
見えた。薫と………笑顔の可愛い俺の天使、榛原さんっ!!
「やあ、虎之助君、亜紀先輩。元気かい?」
「あら、榛原さんに薫ちゃん。こんにちは。」
「あまり元気じゃなかったがたった今元気になったぜ。」
「ほう、嬉しいね。そこまで僕に会えて嬉しかったなんて。」
俺は薫を無視し、あわせ辛そうに顔を横にしている榛原さんの方を見た。
「もう、会ってくれないかと思ってた。」
「ううん。私こそごめんね。剣君に相談したら虎之助君は普通の弟だって…。」
全くもってそのとおりだ。よく言った薫。今度頭なでてやろう。
「でも、虎之助君は剣君と相思相愛だって…。そっちの人だなんて気づかなくて…」
おいちょっと待てっ!
「愛に性別は関係ないよ。そこにあるのは愛だけだ…」
こいつ本当に女か?大げさにくねくねするこいつを見てちょっと不審を抱いた。
「聞いてくれ榛原さん俺はノーマルで榛原さんのことが…君のことがす…「そうよ!
虎ちゃんはノーマルで女の子が好きなのよ〜。私と相思相愛なの。えへ。お姉ちゃん照れちゃう。」
「おいこら、俺にちゃんと会話させてくれっ!!」
そんな俺たちのカオスな状況に、榛原さんはくすくすと笑っていた。
「本当に仲いいんだね。三人とも。」
優しい口調だ。穏やかな…温かい感じの。だけど、何故寒気が止まらないのだろう。
他の二人を見ると同じような渋い顔をしている。榛原さんはにこやかに微笑んでいるだけだ。
「だけどさ…。青野君…いえ、虎之助君は私のものなんだよ?…いい加減ふざけてんじゃねえよ。
いてまうぞゴラァ!!」
…
えー?
何か聞こえたような…。
「は、榛原さん?」
「え、どうかした?虎之助君♪」
「イエナニモ。」
そういえば天使って、天罰とかでいっぱい人殺しているんだよね…。
俺どこで人生間違えたんだろう。
あの後、俺達はなんとか電話番号の交換だけして別れた。姉はトラウマになったのか
帰り道では怖いよー怖いよーとしかしゃべらなかった。静かで非常に良い。
姉を適当に部屋に捨て、俺はいつも通り夕食を作る。今日は金曜日だからカレーだ。楽でいい。
今日は久しぶりに母親が帰ってきていた。
「虎〜。いつもすまないねえ、ごほっごほっ。」
「それは言わない約束だぜおかっちゃん。」
馬鹿な会話をする俺たち。母親は姉をそのまま年をとったような雰囲気で、どっちかというと
美女だろう。姉と違って有能でもある…らしい。本人曰く。
俺は親父似だ。困ったことに全く冴えない。
「で、学校はどうなんだい?」
「俺は問題ない。授業は余裕だし、友人関係も大丈夫だ。」
「ふむ…亜紀は?」
「相変わらず問題だらけだ。」
母親はため息をついた。そりゃそうだろう。親もあの究極無能が心配でないはずがない。
「金持ちのぼんぼんとでも見合いさせたほうがいいのかしらねえ。」
「確実に返品されると思うぞ。」
「うーん、どうしたものかねえ。虎に永遠に面倒見てもらうわけにもいかないし…。」
「当たり前だ。」
悩む俺たち。家庭とは悩むもの、大変なものなのだ。そんなとき、姉が立ち直ったのか
俺たちの会話に入ってきた。
「あ、お母さん久しぶりだね。元気〜?」
「亜紀、学校はどう?」
返事をする前に小走りで走って俺に抱きついて言った。相変わらず大きい反則的に
柔らかいその身体が俺に押し付けられる。
「ばっちり、完璧、全然問題なしだよっ。愛する虎ちゃんがいるからね!!」
俺と母親は同時に溜息をついた。
俺たちの家庭問題がいつ解決するのか…。それは神のみぞ知るところだ。
投下終了です。まったり続きます。
グッジョブ!!!
GJ!
ちっちゃい風紀委員長もそろそろ本格参戦でしょうか
虎もててるなあ
姉はイイ・・・・
キモ姉ならもっとイイ・・・
でも亜紀姉はこのままでイイ……。
いやいやこれは変貌フラグたちそうな姉さんですよ。
まあたたないに越した事はなくはないんだけどな。
と言うかだな?なにげにキ萌ヒロインハーレムとか斬新すぎる展開への布石が打たれているように見えるのは俺だけ?
むしろ変貌したお姉ちゃんに輝くばかりの笑顔で監禁されたい
なあ、俺solaを12話まで観たんだが、
どうしても蒼乃姉さんに声援を送ってしまうんだ……
蒼乃姉さんに敬礼!
あれはいい姉だ。
地方でアニメが見れない俺に誰かkwsk
投下待ってます
今日来い!
職人さんたち忙しいのかのう
>>413 ポイントだけ教える
詳しくはぐぐれ
・化け物の生け贄に捧げられた姉を、決死の覚悟で救出に来る弟
・実は若い娘の姿な化け物と、弟が仲良くなるのがおもしろくない姉
・弟事故死、後を追って姉自害
・「どうして生き返らせたりなんかしたの!? 依人がいない世界で、生き続けていたくなんてない!!」
・化け物にされた姉、数百年後に化け物力で弟創造
・そこに化け物娘あらわれ、弟と知らずちょっかいを出すが…
短編を投下します
「どういうことですか! 志望大学を変えろって!!」
私は思わず立ち上がって、大きく手を振り上げて机を叩いて抗議する。バンっという乾いた音が進路指導室に響き渡る。
私の机の向かい側に座っていた進路指導の高倉良子先生は肩をびくりと震わせた。
しかし、すぐに冷静さを取り戻したようで、手元にある紙束と私を見比べていた。
「え、えっとね。沢木さん。あなた、たしかN大学を受験するつもりよね……」
「ええ、そうです」
私は鼻息を荒くして答える。それに高倉先生が困ったように眉をハの字にして言葉を続ける。
「でもね。あなたの成績だともっと上の大学を狙えると思うの。テストはいつも学年1〜3位をキープしてるし、生徒会役員だし……。この学力だとW中央大学も夢じゃないわ」
「そんな大学、興味ありません」
「興味ないって……。でも、もったいないとおもうの。あなたぐらいの人がN大学って……」
特徴的なおおきなメガネのずれを直すと、なおも高倉先生は私を説得しようと上目遣いでこちらをのぞく。歳に似合わない童顔のせいか、一年生の後輩に見つめられるような気分になる。
「ねぇ、沢木さん。もうすこし考え直してくれないかしら?」
「それよりもひとつ気になっていたんですが……」
私は、くるりと視線を高倉先生の隣に移す。そこには俯いたまま私たちのやり取りを黙って聞いていた弟の誠二がいた。
「なぜ、誠二が居るのですか?」
それも、私の横ではなく何故か机を挟んで高倉先生の隣に居る。
本来、進路指導を受けるべきなのは誠二のはずでしょう。ただでさえ、私と違って成績が悪いのだから。
「ね、姉さん。それは……」
「最近は帰ってくるのも遅いし、作ってあげているご飯も残すし。今日はこんなところにいるし、どういうことかしら?」
「あ、あの、えっと」
私と視線を合わせようともしない誠二。
「なぜ、あなたがここに居るのかしら? 説明しなさい。誠二」
「それについては、私から話すわ」
誠二を睨みつける私を遮るように高倉先生はズレたメガネをあげて言う。
そんな先生に、私は嫌悪感を丸出しにした顔で誠二を指差した。
「高倉先生。私より誠二の進路のことが問題なのではないですか? ここで相談するのは誠二のことにしません? 最近の誠二の成績と普段の態度は目に余るものがありますし……」
「いえ、今日はあなたのことを話し合います」
私を正面から真剣な表情で見据える高倉先生。ぐっと一文字に結ばれた口元からは、決意に満ちた感情が感じられる。
「沢木君にも来てもらったのは、あなたの進路のことにも関係があるからなの。そうだよね? 沢木誠二君」
自分に振られ、誠二は怯えながらもこくこくと頷いた。
「う、うん。一度、正面から姉さんとこのことに話し合いたかったんだ」
「それなら家でも出来るでしょう! 誠二!!」
なんで、わざわざ先生を挟んで、こんな補導された万引き女子高生みたいな状態で話し合わなくちゃいけないのよ!?
私が誠二につかみかかろう体を乗り出そうとして、
「やめなさいっ。沢木さん」
高倉先生に腕を掴まれとめられてしまったのだった。早い。
私が手を振り上げた瞬間に予想したように立ち上がり、二の腕を掴んで止めたのだ。その細身の体にどうしてこんな力があるのかと思うほどの強い力。
「あなたがそんな風だから、今日は先生が居るんです。いいから座って話をしましょう!」
くっ、これでは私が悪者みたいだ。私が力を抜いたと感じたらしい高倉先生はふぅと安心したように息を吐くと、掴んでいた腕を離した。そして、席に座るように促される。
私は軽く舌打ちをして私はパイプ椅子に座って、先生と誠二に向き合った。舌打ちした瞬間、誠二が少し怯えたように肩を震わせたのが気になった。……なに。イライラする。
「まぁ誠二のことはいいわ。たった一人の家族だし、三者面談に居てもいいでしょう。でも、保護者は私ですからね?」
「ええ、とりあえず落ち着いて話しましょ」
高倉先生はにっこりと笑って書類を指で叩く。その笑顔がわたしの感情を逆なでする。
「まず、沢木さん。どうしてあなたは学年トップの成績なのに、N大学を受験するつもりなのか聞かせてくれないかしら?」
「……別に」
「怒ってるわけじゃないの。ただ、理由を教えてくれないかしら」
「理由なんて無いですよ。先生は私がN大学へ行くのは無理だと言いたいんですか?」
「いまはこちらの質問だけに答えて頂戴。あなたの学力なら十分上の大学を狙えるのよ。それなのにどうして、」
「……だから、理由はないと何度も……!!」
「誠二君」
……!
高倉先生はくるりと頭を動かして、隣に居る誠二に聞く。
「誠二君の志望大学はどこだったかしら?」
睨み付ける私にあたふたしながらも誠二は答えた。
「え、N大学……」
「そうね。頑張らなきゃね」
答えた誠二を褒めるように高倉先生は目を細めて誠二の頭を撫でた。
そして、今度はしたり、とした顔で高倉先生はこちらに視線を戻す。
「あなたが理由無く志望する大学と、弟である誠二君がギリギリ入れそうな大学が一緒なのは偶然なのかしら?」
「か、関係ありませんっ!」
「声が震えていますよ」
くっ、私のこめかみに一筋の汗が流れる。
「ねえ、沢木さん。先生に本当のことを教えてくれないかしら?」
高倉先生は回答が分かっておきながらも、あえてそれを私に言わそうとしている。
「姉さん……」
心配そうな顔で、私の顔色を伺う誠二。
……中一の頃、両親が交通事故で死んだ。あたしとまだ反抗期も来ていない小学六年生の誠二を残して。二人はこの世を去った。
それ以来、私たち姉弟はずっと二人っきりで暮らしていた。幼い頃からすでに親から自立していた私と違い、まだまだ親にべったりだった誠二には親の居ない家なんて考えられなかったようだ。
だから、私は誠二の母親代わりとなったのだ。
誠二のために私はなんでもやった。料理も家事も、大好きだった陸上の夢もあきらめて、誠二のために夜もバイトして働いて、誠二を養っていった。
そのせいで、私のせいで誠二が虐められることのないように。誠二のせいで落ちぶれたと言われないように、成績も上位をキープし、誰もやらないような仕事も全て進んでやり、他人や教師からの信頼も勝ち得た。
そして、誠二が私に甘えないように徹底的に厳しく誠二を教育した。私の青春はすべて誠二のために捧げた。そして、そのことに私は後悔はない。
成績がいいとか、内申がいいとか、そういうことはただの副産物に過ぎない。
私にとってはいかに誠二のためであるか。それだけが重要なのだ。
なのに、なのに。
「あなたは、誠二くんと同じ大学に通いたいから、ここを志望しているのよね? あなたの志望している学部も誠二君とまったく一緒だし。ねぇ、沢木さん」
どうして、この教師は。まるでそれが悪いとも言いたげな表情で、私を見つめるのだ?
そして、どうして誠二はそれを止めようとしない?
あまつさえ、
「僕は、僕は姉さんの重荷になりたくない」
……なんでそんなことを言ってくるの?
「姉さんには十分感謝してる。だから、これからは姉さんには姉さんの道を進んで欲しいんだ」
やめてよ。
「姉さんは僕のためにいっぱいしてくれた。だけど、もういいんだ。僕は姉さんを自由にさせてあげたいんだ」
やめてよ。だめよ。
あなたはまだ私が居なきゃダメじゃない。料理だってヘタだし、洗濯だって上手くできない。勉強だってそのN大学に受かるかどうかも微妙なところよ。
「自惚れないで、誠二。あなたみたいなダメな男。まだまだ私の傍に居なきゃダメなのよ」
「自惚れているのはあなたよ。沢木さん」
高倉先生が、初めて立ち上がった。
「……!」
私は、ヘビに睨まれた蛙のように、動けなくなる。
高倉先生の顔は憤怒に満ちていた。可愛らしい幼げな童顔の顔は真っ赤に染まり、眉間には何十もの皺が縦に連なっている。メガネのフレームが熱気で割れそうなほど熱を発し、折れそうなほどの強さで奥歯を噛みしめて、私を睨んでいた。
まるで般若だった。
こんな小さな若い体のどこに、これほどの怒りを込めることができるのだろう。鎖で絡めてガードした心を一瞬で丸裸にしてしまう程の威圧。
私は初めて、この先生に恐怖を抱いた。
助けを求めようにも、机の向こうに居る誠二は私を同情の瞳で見つめている。机一つしか離れてないのに、誠二がとても遠くに感じる。手を伸ばしても、心が届きそうに無い。
「誠二君の傍に居なきゃダメなのはあなたです。あなたは、それを認めたくなくて、誠二君のせいにして納得しているのです」
「そ、そんなことない……!」
「いいえ、そうです」
高倉先生の言葉が、私の丸裸になった心を鋭利なナイフで突き刺していく。
「悲劇のヒロインを演じて、自己満足しているだけ」
違う……違う違う違う違う!
「違う!」
「違わなくても、そう見えます。それは誠二君にも」
高倉先生の隣にいる誠二も私を見ていた。ここで誠二が違うといってくれれば、すべて元通りなのに。どうして言ってくれないの!? 誠二!!
「あなたがそうやって、誠二君を理由にして苦労するごとに、誠二君を罪悪感で苦しめていることに気付いてないのですか?」
やめろ! 言うな! 苦しめてなどいない! 誠二のことを一番分かっているのはこの私だ!! たかが、教師風情がなにがわかる!?
だから、だから、違うと言いなさい、誠二! 頼むから、頼むから! 違うって言って!! 言ってよぉ!!
「そんなの嘘だ! 私は誠二のためにやってきた! 誠二は私がいないとダメなんだ! 誠二を一番分かっているのは私だ! だから誠二は私の言うことだけを聞いていればいいんだ!! 私の言うとおり、行動して私のために……」
「ふざけるな!!」
しかし、そんな私に業を煮やした先生は。
私との間にあった机を蹴り飛ばした。
大きく横に跳ねていく学習机。
そして、高倉先生は私の首根っこを掴みあげると。
「あなたの都合で、誠二を貶めるな」
「……」
メガネごしに見えるの瞳の奥に住む、高倉先生に姿を化かした鬼が、私を地獄の業火で焼いている。
「確かに、あなたは誠二をずっと支えてきたわ。それは認めてあげます。しかし、もうあなたの役目は終わりなのよ」
冷静に言葉を紡ぐ、高倉先生。ぎりぎりと襟を締め上げて私を睨みつける。
「誠二くんは、もうあなたの支えを必要としていない」
せ……誠二。た、す、け……。
「そして、あなたも。もう誠二くんはあなたの自己満足の道具じゃないの」
「……う」
「姉としての自覚を持ちなさい! 沢木千鶴!!」
………う、う、う、う。
「うるさぁぁぁああい!!!」
私は、掴み上げられていた腕を払うと怒号を上げて、高倉先生から距離をとる。進路指導室の窓から落ちる夕日の光が、目の前にいる高倉先生と誠二にかかってまるで後光のようだった。
「うるさいうるさいうるさい! お前に何が分かる!! 私は姉として、誠二の肉親として当然のことをしただけ! それだけだ! 間違いない!」
怒鳴り咆哮し罵声を二人に浴びせる私に、高倉先生は、もはや何も言わず。同情した目で私は見つめていた。
…なんだ、その目は。
「かわいそうね。沢木さん」
…やめろ。そんな目で私を見るな。
「弟に依存していることに気付けてないあなたは、誠二君の親代わりとしても、姉としても失格よ」
「黙れ! 黙れ黙れ! 誠二! 私は先に帰る。帰って今日のことをゆっくり話すからな、覚悟してなさい! わかった!? 誠二!」
「ね、姉さん!」
私は誠二の返事も聞かず、進路指導室の引き戸をちからいっぱい引いて、外に飛び出た。大きな音が鳴り、たまたま近くにいたカップルがその音に驚いている。
そいつらを一瞥すると、カップルは私の剣幕に恐怖を感じたのか、そそくさと逃げていった。
く、怒りが脳をたぎらせている。
あの教師。高倉良子……。
なにも、わかっていないくせに。私と誠二のことなんてこれっぽっちも知らないくせに。
いや、それよりも誠二だ。
あの愚弟め。本来あなたは私のほうに立って、高倉先生に言うべき人なのよ。「僕は姉さんがいないとダメ」って。
それなのに……こともあろうに、「姉さんはもう必要ない」? 愚弟め。成績も悪いくせにいきあがって。これは、帰ったら本気で教育してあげないとダメだわ。
「私に逆らうとどうなるか思い知らせてやるわ……」
くくくくく、まず、自分がどれほど小さい存在なのかわからせてやる。
通販で買った、あれもこれもそれもこれも、引っ張り出して使ってあげましょう。
一日で教育しなおして、私に逆らえないようにしてやるわ。
「ふふふふふははははははははははははっっ!!」
私は大きく笑うと、走り、校舎を飛び出して、自宅へと急いだ。
いまから、誠二の再教育の準備をしなければならない。その内容を想像する度に、私は心の底から沸き起こる笑みを抑えることが出来なかった。
「はやく、はやくぅ、帰ってきなさい! 誠二っ。いっぱいいっぱい教えてあげるから……、その体で……。ふふふふふふふふ……!」
しかし、私がいくら待とうとも、誠二は一向に帰ってこなかった。
誠二はソファで横になっていた。
「………」
正面にある小さなテレビからは、お笑い芸人たちが司会者と共に笑いながら自分たちの失敗談を披露している。
しかし、まったく内容が頭に入らない。ただ、テレビを無感動に見つめているだけ。
(本当にコレでよかったのかな……)
「くすくすくすっ。おかっしい」
そんな無表情にテレビを眺める誠二の頭を自分の膝に乗せて、高倉良子は口元に手を当てて上品そうに笑っていた。
黄色のパジャマで普段は後ろでアップにしている髪の毛を、下ろしているプライベートモードだ。
二人が居るのは、高倉良子のアパートだった。テレビと二人用のソファ、それと可愛い小物が並んだ部屋で、二人は恋人のように体をくっつけている。
事実。二人は好きあっていた。このことを知っているのは、お互いのみである。校長や高倉良子の両親、そして誠二の姉でさえも、この二人の関係は知らない。
誠二は体の左半分に感じる太ももの温かさを感じながら、今日のことを思い出していた。
姉との対決。始めて見た姉の取り乱した顔。そして……、高倉先生。
「………」
「どうしたの? 誠二くん」
ふと、顔を上げると。高倉良子がにっこりと微笑んで、誠二の頭を優しくなでていた。
「えへへ。可愛いね。誠二くんは。でも、どうしたの? テレビ、面白くないの?」
あの進路指導室の時の鬼神の顔を微塵にも感じさせない。麗しい女神の表情。そういえば、この笑顔に自分は惹かれたのだ。
「いや、えーっと…」
「お姉さんのことが気になる?」
「うん……」
誠二が軽く頷いた。
その瞬間。
ミシィッ!!
「いっ!!」
いきなり、自分の耳が高倉良子によって引っ張られる。
「いたたたたたた、いたいいたいいたい!」
高倉良子の指に力が込められ、引きちぎれそうなほどの引力を耳たぶが受けている。そのまま誠二の頭は浮いていき、耳たぶだけで吊り下げられてるようになってしまう。
そして、そこまで伸ばした耳に、高倉良子は優しくささやきかける。笑顔のまま、女神の表情のまま、その瞳の奥に潜む
「誠二くん。お姉さんのことなんてもう考えなくていいのよ? 今日あれだけ言ったにも関わらず、まだわからなかった大馬鹿なんですもの」
「今日、もし誠二くんがほんとの家に帰ったら、きっとあのお姉さんにこの世のものとは思えないほどの酷いことされるんだよ? だから、先生がここに住ませて避難させてあげてるの」
「誠二くんは今日から先生の部屋に住人になったんだよ。だからここでは先生のルールに従うの。約束したよ? 覚えてる?」
「言ったよね。このアパートでは先生以外他の女のことを口に出しちゃダメだって。先生、被害妄想の誇大妄想女だから誠二君が自分以外の女の子の名前言っただけで、
寂しくて寂しくて寂しくて寂しくて寂しくてサミシイサミシイ病でウサギみたいに死にそうになっちゃうの。それが誠二君の実の姉だとしても。いや、姉だからこそね……」
「わ……わかったっ、わか、いたいいたい!」
高倉良子は誠二の姉の気持ちが痛いほどわかっていた。自分と同じ人間だから。
徹底的に愛しい人を自分に向けさせるための束縛。自分と同じ欲望を持っていることに気付いていたのだ。
しかし、それを彼女にわからせてやる必要は無い。むしろ、それを利用して誠二とあの五月蝿い姉を引き離すこと。高倉良子にとってはそれがなによりも重要だった。
「だから、この家では。お姉さんの話は禁止。わかった?」
「わかったわかったわかったわかった!」
「そう。うふふ、よかった」
耳たぶを離す。ぼふんと頭が膝枕に落ちた。頬をはねる弾力が気持ちいい。
「えへへ、誠二くん。これからもずっと一緒だよ」
「うん、先生……」
高倉良子の唇が、誠二の頬に触れる。そのまま、高倉良子は膝枕していた膝を外すと、ソファの上をのそのそと動き、誠二に覆いかぶさる。そして、潤んだ瞳で誠二に優しく微笑みかけると、自らの体を任せるように肌を合わせていった。
高倉良子に服を脱がされながらも、誠二は(本当に、本当にこれでいいのだろうか)と、家で自分を待っているはずの姉を思いながら、ずっと自問していた。
高倉良子と歩む未来は、姉と歩む未来とそう変わらないことにも気付かず……。
(終わり)
終わりです。改めてみてみると、姉結構沸点低いな。
私の書くキモ姉キモウトものは大抵、姉妹が不幸になります。
次作も気が向けば。
>>425乙&GJ!
他の作品だと姉が主導権を握る話が多い(気がする)んで、こういうのは新鮮で良いな。
>>425 両方とも怖い、だがそれがいいwww
弟が姉に次ぎあう時がものすごく気になるな。
短編なのが惜しい。
作者さんGJ
>>425 GJ!
ぜひとも姉の誠二奪還編が見たい!
>サミシイサミシイ病
雛…
敗北するキモ姉もまたかわいい
>>425 なんという乙・・・そしてGJ
しかし先生もずいぶんキモイが家に帰らなくなった弟を思う姉はどのように歪んでしまう
んだろうか・・・そこが気になるぜ・・・
432 :
名無しさん@ピンキー:2007/07/04(水) 18:23:23 ID:LZ1gtyEX
GJ!
だが姉派の私としては姉に勝ってほしかった…。
433 :
名無しさん@ピンキー:2007/07/04(水) 18:33:25 ID:olH06CST
>>431 そりゃ後日(どっから入手したんだか)ランボーなみの武装をして学校に乗り込んで来ますよ。
高倉さんの方が可愛げがあるから、高倉さんに
つ一票
超怖い姉とか見れればそれでいいからどっちでもいいや
投下ラッシュ前の静けさ保守
そして今更ながら保管庫の人乙
調子の変化が激しいな此処・・・
職人さんがんばれ。
関連スレを上げまくってる愉快犯のつもりな奴がいますね
職人様の到来を祈ってるよ
全裸で。
x/Dvsm4nBIです。契約している通信会社である某E社がアク禁に指定されました。
規制中ぼちぼち書き溜めながら解除を待ちます。中途で止めてすみません。
お待ちしております
キモ姉やキモウトが職人達の他の女(スレ)への浮気を許すだろうか。
お兄ちゃんが他の所に行くなんて許さないんだからね
非エロ投下します。
自転車の一件があってから、夕里子は縁の言葉に従い、身の回りに注意して過ごした。
普段から二人以上で行動し、周囲に異変がないか気を尖らせた。
元々友人は多いので、同じクラスの親しい友人の協力も得ることができた。
綾はしばらくの間、夕里子を襲う隙がないかと観察していたが、どうにも難しそうだとわかった。
(慣れてるっていっても、所詮私も一人の女だしね……)
力は人並みだし、持っている道具もごく一般的な凶器に過ぎない。
警戒をしていない相手と警戒をしている相手とでは殺害の難易度は雲泥の差だし、二人以上を一度に葬る自信はなかった。
(やればできなくはないだろうけど、危険すぎるわね)
うまく殺せても、二人分の死体の処理や細工には、単純に二倍の作業が必要となる。
時間が長引けば人に見られる危険があるし、焦って作業が雑になることもあるだろう。
死体の処理で失敗をすると、警察その他に目をつけられる可能性が格段に高くなるのだ。
(しばらくは様子見ね……)
やれやれと、綾は溜息をついた。
「あーあ……うちが何かの工場とかだったら楽だったのに」
「綾さん、経営者になりたいのですか?」
綾の嘆きに、隣を歩く夕里子が、ほんわかとした声で応じた。
放課後、夕里子を送る陽一に綾が同行する形で、三人並んで夕暮れの道を行く途中だった。
「は? 何言ってるんです?」
「いえ……今さっき家が工場だったら云々と仰っていたので……」
「あー、それは……」
あんたとあんたのお仲間の死体処理に頭を悩ませてるんだよ、とは言えない。
綾は「まあ、そんなところですね」と、適当な相槌をうった。
「綾さんはどういった工場がお好みなのですか?」
「そうですねえ、溶鉱炉とか、大きな粉砕機とかあればいいんですけど。ああ、薬品を扱ったりするのもいいですねー」
「鉄鋼、食品、化学……綾さんは色々なものに興味をお持ちなのですね。すばらしいです」
「すばらしいですか。それはどうも」
感心しきりとばかりに頷く夕里子に、綾は微笑しつつ答えた。
「しかし、あれから一週間経つのに、ストーカーとやらは何もしてきませんね」
「え? あ、はい、そうですね。縁さんもあくまで念のためと言っておりましたし……ストーカーなどではなかったのかも知れませんね、あの自転車は」
「ということは、夕里子さんが自転車を貸した男がやったことだったんですかね」
「そうなるんでしょうか……。いずれにせよ、何も起こらないで良かったです」
「ははあ、お気楽ですね」
にこりと笑う夕里子に、それまでとは一転、冷たい声で綾は言った。
「夕里子さんが見知らぬ男に自転車を貸してしまったおかげで、お兄ちゃんもあなたの友達も気を張ることになったわけですが」
「ぅ……はい……それについては本当に申し訳ないと……」
「人望と言えば聞こえがいいですけど、少し他人に甘え過ぎなんじゃないですか?」
「はい……すみません」
綾の追及に夕里子はしょんぼりと肩を縮こまらせてしまう。
また始まったか、と脇で聞いていた陽一は内心溜息をついた。
二人が顔をあわせてから一週間、綾は夕里子に対して常に丁寧な言葉遣いで応じたが、何かにつけて厳しい言葉を浴びせることがあったのだ。
「お兄ちゃんの恋人が他人に平気で迷惑をかける人間だとは、私も思いたくないんですがね」
「本当に……不出来なもので、すみません」
細い声で再び夕里子は謝る。
見かねた陽一が、綾の肩に手を置いて制した。
「こら、綾、夕里子さんをいじめるなよ」
「いじめてなんかいないわ。夕里子さんに、お兄ちゃんの恋人としてふさわしい人になってもらうべく、アドバイスしてるだけでしょ」
「その、俺の恋人にふさわしい人の基準ってのは、誰が決めたんだよ」
「この私がよ。文句ある?」
「大ありだろ! 何でお前が決めるんだよ!」
「たった一人の妹である私が決めないで、誰が決めるっていうのよ!?」
肩をいからせて陽一に詰め寄る綾。
陽一も退くことはなく、二人は至近距離で睨みあった。
「あ、あの……喧嘩は……」
今度は夕里子が割って入ろうとするが、消え入りそうな声は二人の耳には届かなかった。
「……お兄ちゃんは夕里子さんにやたら甘いわよね」
「別に甘くはないだろ。お前が細かいことを気にしすぎるんだよ」
「何よ? 私、間違ったこと言ってる? 夕里子さんの能天気が原因で、みんなが無駄に苦労しているのは確かでしょ?」
「夕里子さんの無防備なところは俺も時々不安になるけど……夕里子さんのために色々するのをみんながどう思うかは、お前が決めることじゃないだろ」
「……」
「少なくとも俺は、無駄とも苦労とも思ってない。これっぽっちもな」
「へえ〜、お兄ちゃんも言うようになったわね」
半眼で睨んで、綾は陽一の脛を勢いよく蹴飛ばした。
「うぐぉっ!」
「よ、陽一さん! だ、大丈夫ですか?」
痛さに悶える陽一と、おろおろと慌てふためく夕里子を尻目に、綾は小走りに交差点を渡る。
「あ、綾……どこに……」
「夕飯の買い物! それじゃあね!」
突っぱねるように言って、そのまま綾は駆けていってしまった。
綾の姿が見えなくなると、陽一は道脇の植え込みの石段に座り、蹴られた脛を見るべくズボンをまくった。
夕里子もその隣にちょこんと座った。
「いてて……あいつ、本気で蹴りやがったな……」
「大丈夫ですか? 私、さすります。任せてください」
「え、あ、いや……」
言うが早いか、夕里子は陽一の脛に触れて優しくさすった。
恥ずかしいのでやめてくれと言おうとした陽一だったが、夕里子の真剣な表情を見て、とりあえずは任せることにした。
「どうですか……? その、少しは楽に……?」
「う、うん。ちょっとくすぐったいかも」
夕里子は綺麗な眉の端を下げて、今にも泣きそうになりながら、懸命に陽一の脛をさすった。
「……陽一さん、すみません。私のせいで、また綾さんと喧嘩になってしまって……」
「ん? 気にしなくていいよ。俺たち昔からあんな感じだから」
「え……昔から蹴られたりしていたんですか?」
「ああ。しょっちゅうケチつけられて、殴られたり蹴られたりしてるよ。だから大丈夫大丈夫」
陽一は軽く笑うが、夕里子の表情は晴れない。
俯いてぽつりと呟いた。
「……綾さんは……まだ私を認めてくださってはいないみたいですね……」
「綾の言ったこと、気にしてるのか?」
「綾さんの仰るとおり、私に落ち度があったのは確かですし……」
「いや、まあ、そんなに気にしなくていいと思うよ」
「え?」
「綾はけっこうきついこと言うけど、それもいつものことだから。夕里子さんに限ったことじゃないし」
「そうなんですか?」
そう、と何でもないことのように陽一は頷いた。
「前に宇喜多にも話したんだけど、あいつ、同じ人に対してもその時々で寛容だったり厳しかったり、わけわからない変化をするからさ。基本的に気分屋なんだ」
「気分屋さん……ですか」
「まあ……心配性なところもあるから、俺と夕里子さんが付き合うことについても色々気にしてるみたいだけど……」
「ですよね、やっぱり……」
陽一も夕里子も共にため息をついた。
「やっぱり会わせるのが早かったのかなあ。……と言ってもあいつから会いに来ちゃったからにはどうしようもないんだけど」
「すみません。私が至らないばかりに」
「あ、いや、こっちこそ、妹一人黙らせることができなくてごめん」
お互い謝って、思いのほか顔が近付いていることに気が付く。
二人は顔を赤らめて姿勢を正した。
「ま、まあ……そんなわけだから、綾の言うことなんて気にせずに……」
「いえ、気にします。ご家族に認められてこそ、陽一さんとお付き合いする資格があると言えるわけですし……」
「そんな大げさな」
「大げさじゃありませんよ。私……胸を張って陽一さんの恋人だって言えるようになりたいんです」
日が落ちて、夕闇に街灯が灯る。
涼しい風が、夕里子の栗色の髪を揺らした。
少し色素の薄い瞳は真剣そのもので、綾の去った後の交差点を見つめていた。
ガラス細工のように繊細なその横顔を見て、陽一は、本当に綺麗な人だなと、一瞬見惚れてしまった。
「うーん……そうまで言われると、俺も夕里子さんの恋人だって胸を張って言えるように頑張らなきゃな」
「え!?」
夕里子は顔を真っ赤にして、あたふたと胸の前で両手を振った。
「い、いえ、陽一さんはそんな、十分にその……私、陽一さんが傍にいてくれるだけで嬉しいですから」
「また大げさだな」
「全然大げさじゃありません! 私、心の底からそう思っていますから! 今もこうして話しているだけで幸せで……」
「そ、そっか」
陽一も夕里子も赤い顔のまま俯いて黙り込んでしまう。
やがて二人はまた並んで歩き出した。
言葉はないままで、互いの手をとって歩く。
陽一と夕里子の付き合いは、初々しくも順調で、少しずつ心の距離を近づけつつあった。
家に帰った綾は、買ってきた鶏肉をまな板の上に置くと、包丁を手にとって思い切り突き刺した。
包丁がまな板に突き刺さる重い音が家の中に響く。
「くそ! あの女……!」
何度も何度も、綾は包丁を振るって肉を刺した。
この一週間毎日のように繰り返しているストレス解消法だった。
「何で……何でお兄ちゃんはあんな奴のことかばうのよ!」
綾が夕里子にけちをつけるのは、陽一の恋人にふさわしい人間になってもらいたいからとか、そんなわけでは当然ない。
陽一と夕里子が深い仲になるのを牽制するためにしていることだった。
あわよくば、文句を言われるのに疲れて、夕里子が陽一から離れていってくれたら、とも思っていた。
しかし、今のところ夕里子が陽一から離れる気配は全くない。
それどころか、陽一が綾の攻撃から夕里子をかばうという構図のせいで、むしろ二人の仲がより緊密になっているように思えた。
「くそ! くそ! くそ!」
綾は狂ったように刺し続け、やがて糸が切れたようにがくんと動きを止めた。
虚ろな目で時計を見る。
そろそろ陽一の帰ってくる時間だった。
「いけない……こんなことしてる場合じゃなかったわ」
綾は陽一の部屋に行くと、ゴミ箱を回収し、自分の部屋に敷いた新聞紙の上にゴミをぶちまけた。
紙くずやビニール袋が散乱する。
綾はそのうちのティッシュのゴミのみを選り集めた。
「一、二、三……今日は少な目ね」
包んで捨てられたティッシュを開き、臭いを嗅ぐ。
一つ目、二つ目と嗅いでいって、三つ目を開いたとき、何とも嬉しそうに微笑んだ。
「ふふ……これこれ」
両の手に捧げるように開いたティッシュを置き、口元に近づける。
微かだが、栗の花のような青臭い臭いがした。
「よしよし。お兄ちゃん、健全な生活を送っているようね」
当面は様子を見ると言っても、急がなければならない時もある。
それは、陽一と夕里子が肉体関係を持ってしまった時だった。
「お兄ちゃんが穢れるのは絶対絶対防がなきゃいけないものね」
陽一も年頃の男。
性欲はあるし、自慰もする。
綾は陽一が夕里子と付き合い始めてから、こうして陽一の自慰がどれくらい行われているかを毎日確認していた。
「これで今週は六回……一日平均〇.八六回……回数には異常なし、と」
安堵の息をつく。
陽一の自慰の回数は、夕里子とことに及んでいるかどうかの重要な指標だった。
自慰の回数が極端に減った時は、陽一と夕里子が肉体関係を結んだ時であり、多少の危険を冒してでも夕里子を排除せねばならない時だと綾は考えていた。
「どうやら今のところは大丈夫みたいね……と言っても、放っておく気もないけれど」
ゴミ箱にゴミを戻し、陽一の部屋に元あったとおりに置いておく。
ただし、精液のついたティッシュは戻さず、ベッドの枕元に置いてあった赤い箱の中にそっと入れた。
箱の中にはそれ以外にも、この数週間で集めた陽一が自慰で使用したティッシュが大量に入っていた。
「ふふ……お兄ちゃんの精子……」
綾はベッドの上で四つん這いになると、箱に顔を擦り付けるようにして、漂ってくる性臭を嗅いだ。
「お兄ちゃん……」
鼻を鳴らしながら、股間に静かに手を伸ばす。
上体を寝そべらせ、熱い息を吐いた。
「今は……こんなことしかできないけど……きっといつか……」
頬を紅潮させ、目を細める。
「大丈夫……お兄ちゃんは……あんな女すぐに嫌いになるはずだもの……ね? お兄ちゃん……」
声を押し殺し、夕影の差す部屋で綾は静かに自慰に耽った。
数日後、綾は夜の街を静かに歩いていた。
綾の前方十数メートルの所には、予備校帰りの女子高生が一人、学校鞄を肩に提げて歩いている。
セミロングの髪を後ろで無造作に束ねた、地味な印象の少女だった。
彼女の名前を、綾は知らない。
ただ知っているのは、自分たちと同じ学校に通っていて、夕里子と同じクラスで学んでいるということ。
休み時間になっても話す友人もなく、机に向かって本を読んでいる、もの静かな人物であるということだけだった。
他にも夕里子のクラスに二、三人似たような人物は居たが、この数日調べたところ、定期的に一人になる時間帯が出来るのは彼女だけだった。
毎週木曜日、予備校の特進クラスで、彼女の帰宅は遅くなる。
帰る時は一人で、人通りの少ない道を通る。
綾が彼女を選んだのは、それらの条件が重なったからに過ぎない。
彼女とは話したこともないし、これといった恨みもなかった。
「気の毒だとは思うけど、これもお兄ちゃんと私の幸せのためだもんね」
綾はズボンのポケットの中で、束ねたストッキングを握た。
どこの店ででも簡単に手に入れることのできる、女性用のナイロンストッキングだ。
先を輪状にして、重みがかかると閉まるように結んである。
いわゆる、クローズドロープと言われる結びだった。
名も知らぬ少女の家は、街外れにある。
家がまばらに立ち、街灯がぽつぽつと立つ寂しい道を歩いて数分、綾は足音を忍ばせて少女に背後から近付くと、首にストッキングの輪をかけ、そのまま後ろに引き倒した。
「……!?」
驚きに、少女は顔を引きつらせる。
肩にかけていた鞄が道に転がった。
少女の尻が地面につかないよう、綾はストッキングの片端を腕に巻き、固定する。
少女は地面に足をつきながら、腰を宙に揺らめかせ、首を吊る形になった。
一秒、二秒と綾は心の中で数える。
少女は慌てたように首を絞めるストッキングを引き剥がそうとするが、しっかりと首に食い込んだそれは、指を割り込ませる隙間もない。
足を踏ん張らせて体勢を立て直そうとしても、綾が少し後ろに下がると、それだけで踏ん張りがきかなくなってしまった。
「……かっ……あ……!」
少女が声にならない声をあげ、綾が心の中で十秒を数え終える頃には、少女は動かなくなっていた。
「ふう……終わりっと」
とりあえず済んだが、のんびりしているわけにはいかない。
綾は少女の死体を引きずって道脇の林の中に運び込むと、適当な高さの枝にストッキングを投げかけて、少女の首をきちんと吊らせた。
綾の身長はそこまで高くないので、手の届く範囲で枝にストッキングの端を結び付けても、少女の足が少し地面についてしまう。
「まあ……自殺の形としては、結構多い型のはずだし、問題ないわよね」
道に転がった鞄を持ってきて、首を吊らせた少女の足元に置く。
さらに少女のスカートのポケットから携帯電話を取り出した。
アドレス帳を開くと、あ行の欄に『お母さん』と登録してあった。
綾は『お母さん』に宛ててメールを打った。
『勉強が辛い。友達もできない。クラスの人には無視される。四辻夕里子にはひどいことを言われた。もうやだ』
そう文面を打って、送信した。
首を吊らせてから既に数分経っている。
「まあ……多分助からないわよね」
もう数分置いて、少女の死をきちんと確認したかったが、長くここにいるのは危険だった。
少女の鞄には『宮入智恵』と名前が書かれていた。
「宮入さん、ね……」
暗闇の中、枝に首を吊った少女の顔を見る。
引きつったままの表情で、虚ろな視線を宙に向けていた。
「ごめんね、宮入さん。恨むなら私と……あと半分は宇喜多縁を恨んでね。あいつが余計なことをしなければ、死ぬのは夕里子さんだけで済んだんだから」
宮入智恵のポケットに放り込んだ携帯電話が、ブルブルと震えていた。
先ほどのメールを心配した母親からのものだろう。
「いいお母さんね……」
少し罰の悪そうな顔をして、綾は背を向けた。
道路に出て空を見ると、薄曇の中に星が見えた。
「まあ……夕里子さんだけ守れば済むと思っているのが、甘いところよね」
くく、と声を忍ばせて笑う。
陽一には買い物に行くといって外に出た。
遅くなった言い訳をどうしようか。
大いに頭を悩ませながら、綾は家路についた。
翌日、学校で緊急の集会があった。
校長から短く、本校の生徒が亡くなったことが伝えられ、全校生徒が黙祷を捧げた。
教室に戻ってから、興味本位で話をする生徒たちもいた。
「なんかさ、自殺らしいよ」
「自殺?」
「ああ。俺、朝見たんだよ。その死んだ人の親が来てるの。凄い剣幕で校長室に怒鳴り込んでさ」
「なんで自殺だからって校長室に行くんだよ」
「よくわからないけど、いじめがあったんじゃないかって話だよ」
ひそひそと、囁くように教室のあちこちで会話が交わされていた。
「……死んだ生徒、ユリねえと同じクラスの人なんだって」
「あら、そうなの?」
沈痛な面持ちで言う小夜子に、綾は初めて聞いたという風に、驚きの表情を見せた。
「じゃあ夕里子さん、ショックを受けてるんじゃない? 優しい人だし」
「うん……多分ね」
はあ、と小夜子は陰鬱なため息をつく。
その顔は、どこか疲れているように見えた。
「何か、この学校ってけっこう人が死んでるよね」
「え?」
「だって……春には事故で一人死んでるし……今回も……」
「あー、まあ確かにね。でも世界では二秒で三人は死んでるんだし、そのうち二人がたまたまうちの学校の生徒になることも、十分ありうることなんじゃないの?」
「まあ……それはそうなんだけれどね……こうも立て続けに人が死んでいると、悲しい気持ちになるというか……」
よしよし、と綾は小夜子の頭を撫でた。
「小夜子はいい子ね。やっぱり従姉妹だけあって、夕里子さんに似てるのかしら」
「私はユリねえみたいに他の人のことを考えてるわけじゃないわよ。ただ、もしも自分が当人になったらって想像すると……悲しい気分になっちゃうのよね」
ねえ、と小夜子は勢い良く顔を上げた。
「綾は死なないでね。もしも綾が死んだりしたら……私……」
小夜子の目は、少しではあるが、潤んで見えた。
「まったく……よくわからない想像力ね。小夜子、泣かないでよ」
「泣いてはいないけど……」
「大丈夫、私は死なないわ。まだまだやりたいことがあるもの。小夜子こそ死ぬんじゃないわよ?」
「私が死んだら……綾は悲しんでくれるの?」
「あったりまえだのクラッカーよ。ま、せいぜい二人とも長生きしましょ」
そう言って、綾は力強く笑った。
その噂が流れてきたのは昼過ぎだった。
死んだ宮入智恵は自殺する直前にメールを母親に送っていたらしいということ。
そのメールにはいじめを示唆する内容が書かれていたということ。
そして、午前中からずっと、四辻夕里子という生徒が話を聞くために職員室に呼び出されたままだということ。
「メールに、四辻って人になんかされたって書かれてたらしいぜ」
「じゃあ……やっぱりいじめで自殺したのか」
「これって、ニュースとかになるのかな?」
噂は静かに、しかし素早く広がり、昼休みが終わる頃には、全校生徒で四辻夕里子の名前を知らない者はなくなっていた。
「馬鹿馬鹿しい」
と小夜子は噂を切って捨てたが、綾は何も言わなかった。
どこか不穏な雰囲気のままその日の学校は終わり、生徒たちはあまり騒ぎ立てないよう教師から注意を受けて、各々教室を出た。
委員会に行くという小夜子と別れて、綾は昇降口に向かう。
どうやら校長室に押しかけた宮入智恵の両親が、メールのことも喚きたてていたらしい。
さすがに昼ほどではないが、四辻夕里子の名を囁く生徒はやはりいた。。
昇降口を出た綾は、校門を出ようとしている陽一の後姿を見つけ、慌てて後を追った。
「お兄ちゃん!」
呼びかけると同時に、後ろから抱きつく。
その勢いに、陽一は前につんのめってしまった。
「おわ! な、何だ、綾か」
「今帰りなの?」
「ああ、まあ、そうなんだけど……」
下校時間だけあって、周囲にはたくさんの生徒の目がある。
突然陽一に抱きついた綾と、抱きつかれた陽一を、道行く人が興味深げに見ていた。
「……何でいきなり抱きついてるんだよ、お前」
「ふふ……これ、今私たちの間で流行ってる挨拶なの。別に深い意味は無いわ」
綾は笑顔で言って、陽一から離れた。
「今日は一人なのね」
「ああ」
「夕里子さんは?」
「……ちょっと色々あって、遅くなるらしいんだ」
「ふーん」
陽一も当然事情は知っているのだろう。
綾の問いに、何とも言えない複雑な表情を見せた。
二人は一緒に帰ることにしたが、言葉少なく、駅に着くまでも、電車に乗ってからも、最寄り駅から自宅に歩くまでも、あまり会話をしなかった。
ただ黙々と道を歩いた二人だが、近所の大きな公園の脇を通ったとき、綾が口を開いた。
「お兄ちゃん、ちょっと寄って行かない?」
「え……」
「公園に。寄っていこうよ」
その公園は、アキラが浮浪者たちに犯され、命を落とした公園だった。
陽一は躊躇したが、綾は有無を言わさず陽一の手を引き、公園に連れ込んだ。
アキラが死んだのはほんの二ヶ月ほど前のことだが、すでに公園は多くの人が平気で訪れるようになっていた。
木がたくさん植わっているおかげで、秋の彩をより身近に感じることができる。
広い芝の運動場では、子供たちが楽しそうにサッカーをしていた。
「元気よね、子供たちは」
「そうだな」
「夕日が真っ赤で綺麗ね」
「そうだな」
無邪気にボールを蹴る子供たちを見ながら、陽一と綾はベンチの脇に佇んで言葉を交わした。
「お兄ちゃん、この公園、覚えてるわよね」
「何がだよ」
「アキラちゃんが死んだ公園だよ」
「……ああ、覚えてるよ。当たり前だろ」
「お兄ちゃん、あの時すごく悲しんでたわよね。それに、自分を怒ってた」
「……まあ、そうだな」
「お兄ちゃんは正義感が強いのよね。ある意味、お母さんの影響なのかしら」
「綾……そんな話をするだけならもう行こう。俺はこの公園にいるのはあまり気が乗らないんだ」
「アキラちゃんのこと、随分引きずってるのね。そんなに悲しいことだったの? そんなに許せないことだったの? アキラちゃんを殺した人達が今も憎い?」
「当たり前だろ。人が死んだんだぞ? 忘れられないし、許せることじゃないだろうが」
憤りを露にする陽一の言葉に、綾は小さく微笑んだ。
「じゃあ、夕里子さんも許せないってことになるわよね」
「……!」
「お兄ちゃんも知ってるでしょ? 夕里子さんが自殺した宮入さんをいじめていたっていう話。
自殺する前に書き残していたんだってね。今日遅くなるっていうのも、その辺の話を聞かれてるんでしょ?」
「……まあ、そうみたいだな」
「いじめて自殺に追い込むのは、人殺しと違うのかしらねえ?」
「夕里子さんがいじめなんてしていたとは思えない」
夕里子の笑顔が思い起こされる。
穏やかな微笑を浮かべ、いつも心配になるくらい優しかった夕里子。
その夕里子がいじめをしていたなんて、到底信じられることではなかった。
「何かの間違い……だと思う」
「ばっかじゃない? 死ぬ前に送ったメールに、夕里子さんの名前がはっきり書いてあったんでしょ? どこをどう間違えるのよ」
綾は、陽一の逡巡を一言で叩き切った。
「別れなさいよ」
「え……」
「別れなさい、夕里子さんと」
「それは……」
「前に聞いたけど、お兄ちゃん、夕里子さんの裏表のないところが好きだって言ったんですってね
でも、ああやって笑ってる裏でいじめなんてして、しかも自殺まで追い込んだとなると……それって、思い切り裏表があったことになるでしょ?
お兄ちゃんの好きだったところが、全部嘘だったってことになるんじゃない? そうだとしたら、もう夕里子さんと付き合う理由が無いんじゃないの?」
綾の口調はあくまで静かで、冷たかった。
赤い西日が逆光になって綾の表情は見えない。
ツインテールに結んだ髪が、血の中に揺らめく影のように、黒く風になびいていた。
その異様な威圧感に圧されて、陽一は言い返すことができなかった。
「ねえ、別れなさいよ。お兄ちゃんとあの人は合わないわ」
「合わないって……」
「私の知ってるお兄ちゃんは、いい人の皮を被った鬼畜を恋人にするような人じゃないもの」
「綾……お前……言い過ぎ……」
綾は歩を進めて、陽一に抱きつき、その胸に顔をうずめる。
突然のことに、陽一は言いかけた言葉を飲み込んでしまった。
「お兄ちゃん、お願いだから……私を守ってくれたお兄ちゃんのままでいて……あんなやらしい人殺しに穢されちゃ駄目よ」
「……」
「ねえ、もう一度聞くけど、夕里子さんを許せるの? 宮入さんを自殺に追い込んだ、夕里子さんを」
「それは……」
陽一は幼い頃に自分の母の壮絶な虐待を目の当たりにしている。
それで綾が死に掛けたことも覚えている。
そんな原体験を持つ陽一にとって、他人を傷つける行為、他人の命を奪う行為は、一般的な倫理観を越えたところで、許されざることだった。
「……許せることじゃないよ。もし……本当にいじめをしていて、自殺に追い込んだとしたら。でもまだ本当に夕里子さんが原因だと決まったわけじゃ……」
「仮にも恋人だから、どうしても贔屓しちゃうのはわかるけどね。死ぬ間際のメッセージを軽んじるのは、死んだ宮入さんがあまりに気の毒じゃないかしら。
絶望して、自ら命を絶とうという時に書いた最後の訴えなのよ?」
「……!」
綾は陽一に抱きついたままで顔を上げ、目で訴えかけた。
「別れてくれるわよね。アキラちゃんのために涙を流したお兄ちゃんなら……私を守ってくれたお兄ちゃんなら……わけもなく他人をいたぶる人を、好きになるはずないものね」
そう、夕里子があの笑顔の裏で級友をいたぶっていたとなると、それは陽一の許容する人物像ではない。
恋愛対象から嫌悪の対象に変わることは間違いなかった。
間違いなかったが――
「別れる……?」
「そう、別れるの。人殺しのいじめっ子が大好きって宗旨変えするなら、それはそれでいいんだろうけどね」
「それはさすがにないけど……」
「じゃあ別れてくれるのね!?」
「そう……だな……許されることじゃないもんな……」
次々と繰り出される綾の責めの言葉に、陽一はついに頷いてしまった。
「じゃあ、今すぐメールを打ってくれる? 夕里子さんに」
「え……? 何も今すぐしなくても……」
「ここからは私の都合になるけど、『級友を自殺に追い込んだ女と付き合ってた男の妹』なんて周囲に認識されると私も困るしね。手早く別れてもらった方がいいわけ」
「……まあ、そうだな。俺だけの問題ってわけじゃないんだよな、こうなると」
陽一はのろのろとした動作で携帯電話を取り出したが、夕里子へのメールを打つ段になってまた止まってしまった。
「どうしたのよ? 文面が思いつかないなら、いっちょ私がすっぱり別れられる強烈なやつを書いてあげようか?」
「いや、いい。自分で打つよ」
しかし陽一の指は動かない。
綾はじっと期待の目で見ているが、数分経っても陽一は動かなかった。
「……ちょっと、お兄ちゃん?」
「ん……ああ、まあ、意外と思いつかないもんだな、別れの言葉って」
これから打つのは夕里子に向けた別れの言葉だ。
凝った文面なんて考えなくてもいい。
書こうと思えばすぐに書けた。
しかし――
(いいのか? 本当に……)
『私……胸を張って陽一さんの恋人だって言えるようになりたいんです』
そう言って恥ずかしそうに笑った夕里子。
綺麗で、冗談だろうと言いたくなるくらい優しくて、一途に自分を想ってくれた夕里子。
いじめは許されることではない。
人の命を奪ったとなれば、なおさらそれは嫌悪の対象になる。
そして、夕里子が死んだ宮入智恵になんらかの嫌がらせをしていたのは――どうやら間違いないらしい。
何しろ、宮入の死の直前のメールがあるのだ。
(でも……)
陽一は携帯電話の画面を見つめたまま、動くことができなかった。
いい加減痺れを切らした綾が陽一の手から携帯電話を奪い取ってしまった。
「あ……」
「私が送ってあげるわよ」
陽一の手を払い、綾が素早くメールを打ち始めたその瞬間、
「支倉君? 綾ちゃん?」
二人のすぐ近くから声がかかった。
振り返るまでもなくわかった。
きっちりと編みこんだ三つ編みの髪に、一切崩すことなく着こなした制服。
眼鏡の少女は、小首を傾げて陽一と綾を見つめていた。
「宇喜田……」
「あら、縁さんじゃないですか」
縁は嬉しそうに手を振って、二人の元に駆け寄った。
「あはは。よかった。人違いだったらどうしようかと思ったよ。西日がきついねえ、この公園は」
「……縁さん、こんなところにどうしたんですか? お家とは別の方向ですよね」
「ちょっと支倉君に用事があってさ。今から家にお訪ねしようかと思ってたんだ」
「何の用事ですか?」
「夕里子ちゃんについてお話があって」
綾は舌打ちをしたくなったが、努めて平静な声を出した。
「そうですか。後で聞きますから、近くの喫茶店で待っていてください。今、兄と大切な話をしていますので」
「夕里子ちゃんに関することだよね? だったら私も混ぜてほしいんだけどな」
「家族としての話し合いですので、ご遠慮願えますか?」
「何か迷ってるようだったら、別の意見も聞いてみた方がいいと思うけど?」
言って縁はちらりと陽一の顔を見た。
いつもの朗らかな笑い顔。
眼鏡の下の瞳には、知性のきらめき。
そして、陽一を見つめる眼差しからは、『力になる』という確固とした意志が感じられた。
陽一の沈んだ表情が、みるみるうちに晴れていった。
「……綾、宇喜多にも話を聞いてもらおう」
「お兄ちゃん!?」
「宇喜多は俺やお前よりも、夕里子さんのことを知っているわけだし、話を聞くのは悪いことじゃないだろう」
「う……」
前回のちゃちな自転車への細工とは違う。
人を一人殺してまで打った、夕里子を陥れるための罠だ。
死に際して残した言葉というのは、日常口にする言葉の何倍も重く見られる。
『自殺した』宮入智恵は、四辻夕里子の名前を残したのだ。
学校や死んだ宮入智恵の親は夕里子を追及する流れになっているし、全校生徒も、四辻夕里子が何かしたのだろうと考えている者が多数だ。
四辻夕里子の名は、級友をいじめの末自殺に追い込んだ生徒として、定着しつつある。
例え縁であっても、挽回の余地はないように思えた。
(でもこの女は……)
油断ならない。
できれば縁を関わらせないうちに、陽一と夕里子を別れさせてしまいたかった。
「……話なんか聞く必要ないでしょ? これまで人前でどんな振る舞いをしてきたにせよ、宮入さんを死に追い込んだ事実に変わりはないんだから。後はお兄ちゃんからメールを送っておしまいよ」
「それは違うんじゃないかな?」
綾の言葉に、陽一に代わって縁が答えた。
「夕里子ちゃんが悪いなんて言い切れないでしょ?」
「お前には言ってない!!」
綾は目を見開いて、縁を睨みつけた。
射殺さんばかりの視線を、縁は笑って流した。
「はは。まあ、私も支倉君に言ってるだけだから、お互い気にせずいこうか」
「ここに居るだけで邪魔なのよ! あんたは!!」
「二人にとってお邪魔なら居なくなるよ」
縁はまた陽一を見る。
「話を聞かせてくれ」
はっきりと、陽一は言った。
「というわけで、支倉君に話をするから、ちょっと我慢していてね」
「この……!」
「あはは。うーん、綾ちゃん怒ってるね。できれば綾ちゃんにも綾ちゃんにも聞いてもらいたいんだけどな。考えが変わるかもしれないし」
「何をどうすれば変わるのよ。夕里子さんのせいで宮入って人が死んだのは間違いないんでしょ?」
「そうとも限らないよ」
ふん、と鼻で笑って、綾は縁を見据えた。
「遺書が残ってたのよ? それで親御さんが学校に怒鳴り込んできたんじゃない」
「遺書って言ってもメール遺書だからね。本人が書いたとは限らないし」
「へええ、また面白いことを言うのね」
「うん、これは今さっき綾ちゃんを見て閃いたことだから、本当に単なる思い付きだけど」
「私を?」
縁は綾が手に握った陽一の携帯電話を指差した。
「ほら、綾ちゃん、今支倉君の代わりに夕里子ちゃんにメールを送ろうとしていたでしょ? それと同じことができるじゃない」
「……!」
「メール遺書なんて、そんなものだよ」
「……あなた、自分が何言ってるかわかってるの? 本人以外がメールを送ったんだとしたら、それは……」
「そうだね。自殺じゃないね」
「警察も自殺だって言ってるんでしょ? それが間違ってるっての? さすがに妄想が過ぎると思うけど」
「あはは。突飛だと自分でも思ってるよ。でも警察も人間の集まりだから、間違えもするし面倒くさがりもするよ。自殺の形になってれば、適当にしか調べないからね。……でもまあ思いつきだから、忘れてね」
置いといて、と物を除ける仕草をして、縁は話を続けた。
「宮入さんが自殺したのはまあ間違いないとして、メール遺書も宮入さんが送ったとしても、本当に夕里子ちゃんが悪いのかどうかは、それとは別問題だから」
「は? 名指しされていてどうしたら別問題になるのよ? あんたも身内贔屓が過ぎるんじゃないの?」
「身内贔屓っていうか、信頼の問題だよね」
「どう違うのよ、それは」
「ちゃんとした理屈があればそれは信頼の問題になって、理屈がなければ単なる身内贔屓だね」
「はー、いちいち仰ることが違うわね。何よ、夕里子さんが悪くないっていう理屈があるって言うの?」
綾はもはや敬語など抜きで、縁に素のままでぶつかっていた。
縁は気にした様子もなく綾と陽一の顔を交互に見ながら話をし、陽一はただ黙って話を聞いていた。
「殺す意図があった場合と殺す意図が無かった場合とで、殺人の罪も重さが違ってくるのは知ってる?」
「まあ、そんな話を聞いたことがあるわね」
「例えば、殺す意図が無くて、百人が見たら百人とも『人の死に繋がるわけは無い』と思う行動をして、その結果人が死んでしまったら、それはその行動をした人が悪いのかな?」
「……言ってる意味がわからないんだけど」
「夕里子ちゃんが宮入さんに『頑張ってくださいね』と声をかけて、その結果宮入さんが自殺したのだとしたら、それは夕里子ちゃんが悪いのかな、ってことだよ」
言葉の捉え方は人それぞれ。
精神状態によっても大きく違ってくる。
メールには『ひどいことを言われた』としか書かれていなかった。
「本当に何気ない一言や単なる挨拶を、不安定な精神状態だった宮入さんが『ひどい言葉』に変換しちゃっただけってこともあるんだよ。その場合、声をかけた人が悪いのかな?」
「……勝手に死んだ人間が悪いと、そう言いたいのね」
「言い方は悪いけど、ぶっちゃけるとそうなるね」
さすがに決まり悪げに縁は笑った。
「……全部縁さんの想像でしょ? それこそ、夕里子さんが陰に隠れてひどいことを言い続けていた可能性だってあるんだから」
「一応色々聞きまわったけど、誰もそんな様子を見た人がいなかったからね。
元々友達の居ない子だったみたいだけど……どんなに隠れるのがうまい人でも、まったく他人に気取られずに人を害するのは至難だよ。
私は、夕里子ちゃんは責められるようなことはしていなかったんだと思うよ。まあ、このあたりが最初に言った信頼の問題になってくるわけだけど……理屈は通ってるでしょ?」
「仮にあなたの言うことが正しかったとしても、夕里子さんが宮入さんの自殺のきっかけになったことに変わりは無いんじゃない」
「その辺は、誰もが可能性のあったことだからね。運の悪い宝くじに当たったようなものだし、私はどうでもいいやって思うけど、これは人によるかな」
ということで、と両の手を叩いて、縁は陽一に向き直った。
「夕里子ちゃんを信頼するのが私の意見、夕里子ちゃんを信頼しないのが綾ちゃんの意見だよ。どっちも理屈としては同じくらいのものだから、後は本当に、夕里子ちゃんを信じるか信じないかってだけ。
私も夕里子ちゃんの知り合いじゃなかったら、ひどいことする人だなあ、で終わってただろうしね」
言い終えて息をつき、縁はいつもの笑いを浮かべた。
「後は支倉君次第。夕里子ちゃんを信じるかどうか選んでね」
「俺次第、か……」
考え込む陽一を、綾は苦々しい表情で見た。
後は夕里子を振るメールを送るだけという状況だったのに、二択にまで押し戻されてしまった。
そして、縁は自殺についてまで疑いを抱いていた。
(この女はどこまで……)
危険を冒してでも殺さなければならないのはこの女なのかも知れない。
しかし、今まで出会ったどの女とも、縁は明らかに質が違った。
縁は小首を傾げたままで、考え込む陽一を見つめている。
やがて陽一は、縁に向かって問いかけた。
「宇喜多、お前は、夕里子さんを信じるんだな」
「うん」
「……俺も信じるよ。まあ、出会って数週間の俺が信じるなんていうのもおこがましいけど……俺の見てきた夕里子さんと、夕里子さんを信じる宇喜多を信じることにする」
「お兄ちゃん!?」
愕然として、綾は陽一を見た。
「お兄ちゃん……私よりも、縁さんの言うことをとるの? 私のことは信じないって言うの?」
顔から血の気が引き、膝ががくがくと震える。
傍目に見ても、普通ではない反応だった。
「綾……?」
「何で……何でそうなるのよ! 何で……!」
「おい、綾、別にお前を信じないとかじゃなくて……」
「うるさい! 馬鹿!」
綾は陽一を平手で殴りつけた。
乾いた音が響く。
そのまま綾は顔を伏せて駆けていってしまった。
「綾!」
陽一は慌てて鞄を持ち、走りだそうとして、縁に向き直った。
「宇喜多、すまん! 俺、綾を追うから……」
「うん、いいよいいよ。夕里子ちゃんのこと、後でちゃんと励ましてあげてね」
「ああ。それと、綾のこと、ごめんな。別にあいつも悪気があるわけじゃなくて……」
「わかってるよ。綾ちゃんは支倉君のことが大好きでだから、心配なんだよね、きっと」
「……ありがとうな」
今度こそ陽一は駆け出す。
綾はすでに公園を出て、その姿はなかった。
一人残された縁は、陽一の後姿に向かって呟いた。
「こちらこそ。信じてくれて、嬉しかったよ」
綾は家に帰ると、部屋に閉じこもり、ベッドに伏せて泣いた。
すぐに後を追ってきた陽一も帰り着き、綾の部屋の戸を叩いた。
「綾! おい! ちょっと話を聞けって!」
「何よ……」
扉の向こうから聞こえる声はくぐもり、震えている。
泣いているのだとすぐにわかった。
「……余計なこと言って悪かったわね……っ……もう、夕里子さんとでも縁さんとでも、勝手に仲良くしてなさいよ」
「綾、さっきのは夕里子さんを信じるか信じないかって問題で、お前を信じるかどうかとは違うだろ。落ち着いてくれ」
「……お兄ちゃんは……私なんかより、縁さんがいいんでしょ」
「宇喜多を信じるって言ったのは、お前と比較したわけじゃない。夕里子さんを信じる理由の一つとしてという意味で……」
「例えば……変な話だけど、私が夕里子さんと同じ立場になって……縁さんが私の味方をしてくれなかったら……お兄ちゃんはどうするの?」
「どうするも何も……俺はお前の味方だよ。兄妹なんだから、当たり前だろ」
「……」
部屋の中から聞こえていた嗚咽が小さくなっていく。
しばらくして部屋の戸が開き、目元を赤くした綾が部屋着に着替えた姿で現れた。
「綾……」
「……」
「えーと……」
ぼんやりと、綾は陽一に顔を向けた。
「夕里子さんとは、別れないのね?」
「まあ」
「お兄ちゃんにも、よくない噂が立つかもしれないのよ?」
「ああ」
綾は細くため息をついた。
髪は解れ、荒んだ目をしていたが、だいぶ落ち着いた様子だった。
「……所詮、妹の心配なんて、余計なものよね」
「いや、ありがたいとは思ってるよ。ちょっと過激かなとも思うけど」
「……もういいわ。今回のことは、好きにすれば?」
腕を回し、コキコキと肩を鳴らしながら、綾は陽一の脇を通り過ぎた。
「さあて……今度はどうしようかしらね」
「え?」
「料理よ。最近つくねが多かったから。今度は何が食べたい?」
「ああ……別に何でもいいよ」
「そう」
綾が階段を下りるのを追って、陽一も階下に下りた。
開いたままの綾の部屋の扉がゆらりと動き、軋んだ音を立てる。
部屋の中には枕が一つ、綿を撒き散らし、包丁の突き刺さったままで転がっていたが、陽一がそれに気付くことは無かった。
今回の投下は以上です。
気付いたら総量194kb……。
終わりまであと2+3話くらいはかかりそうです。
お付き合いください。
462 :
名無しさん@ピンキー:2007/07/08(日) 05:34:46 ID:a6WC0Eh6
欲を言えばもっと続いて欲しいです(●´∀`)
けどペース乱さず最終話まで書き切っちゃってください!
綾ヤバいwww
最後どうなるかメッチャ気になるわwww
これは籠の中に続く大作だ
綾は何人闇に葬れば気が済むんだよwwww
しかも今回の被害者は兄と全く関係ないwwwwww
毎回クオリティー高く、楽しみに読ませてもらってます。
それにしても、縁の登場の仕方と推理が前回よりもグレードアップしててそこも楽しい。
次回以降の殺人鬼綾VSホームズ縁の推理対決も楽しみです。
結末も全然予想がつかないですし、次回以降も楽しみにまっています。
>>461 綾タンキタワァ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n’∀’)n゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!!!!
渾身のGJ!!それにしてもクオリティ高杉・・・綾には幸せになってほしいなぁ・・・
>「あったりまえだのクラッカーよ。ま、せいぜい二人とも長生きしましょ」
人を殺した翌日なのにこの余裕・・・!綾・・・恐ろしい子!!!!
てなもんや三度笠か
何歳だ?
綾・・・恐ろしい子!!!!
縁空気嫁
犯人の側から見たバーローはちょうど縁みたいな感じなんだろうなぁ。
正直、緑と夕里子を応援してしまっている…
今回は被害者可哀想過ぎるだろ…
GJ!!
しかし縁は最終的に兄を手に入れようとしてるかしてないかで私的には印象がぐっと変わるな
本当に夕里子とくっつけようとしてるだけだったら人の恋愛に少しでしゃばり過ぎな感じがある
>>473 まあ普通の恋愛だったらでしゃばり過ぎなのかも知れないけど
腹黒殺人キモウトが暗躍してるこんな世の中じゃ
まじ読みごたえあるわー
これホラー映画にできるだろ
476 :
名無しさん@ピンキー:2007/07/08(日) 18:48:27 ID:FMnwxHWX
綾KOEEEEEEEEE!もはやキモウトなどと言う言葉すら生ぬるい!
しかしながら言わしてもらう。
GJです!!!!!!!次回を楽しみにお待ちしています!
綾たん暴走しすぎ。もちろん性的な意味で
>>461 そろそろ綾タンが恋しくなってきたなぁと思っていた頃に投下ktkr!!!
あー、相変わらず綾タンは素敵だ。
縁タンの推理というか、話の展開のさせ方もいいね。
はてさて、どうなることやら。
残り2〜3話とのことだけど、楽しみに待つ!
だが、不満が!!
オナニーティッシュでハァハァする綾タンをもっと見たかったぞっ!!!
2+3だからあと5話くらいなのでは?あとゆかりかえにしか教えてほしい
だれか綾タソのイラスト描いて下さい><
>>479 同意
ある程度読み進んでから読み方が違う事に気がつくと修正が難しかったりするよねw
兄を悲しませたり苦しませたりした人間に、兄にかわって復讐する話も読みたいな
1話目みたいな感じの
これはキモウトに萌えるスレだったはずなのに
何故か夕里子とくっついてほしい俺ガイル
何故だろう・・夕里子が凄いいい子なのと綾がマジで怖くなってきてるからだろうな
とにかくこれは期待だな
>>483 do-i
今回もgkbrして読んでしまった。
地味無関係の宮入タソテラカワイソス
気持ち的には綾への憤りが出てきた。
今のところは縁委員チョの絶対防衛線とのせめぎ愛を
楽しむことにします。
綾が計画通りにいかなくてギリギリしてる姿に萌える
縁にはもっと綾をボコボコにして欲しい
綾が最高に気分がいい時に奈落に堕として欲しい
綾と陽一が結ばれて欲しい俺は少数派
ノ
一瞬だけコテつけます。
>>479 縁はゆかりです。
えにしちゃんじゃないんです。
残り2+3=5話ほどです。
夏が終わるまでには完結する予定です。
キモ姉、妹とはあんまり関係ないけど、今回の話を読んで「ヤンデレ刑事(探偵)」ってネタを思いついた。
元ヤンデレの女刑事(または探偵)がヤンデレが関与する事件に挑むって感じ。
まあ、どうでもいいか……
>>489 兄から一方的に関係を絶たれた妹が、宗教にはまって兄を刺し殺そうとする話。
その後、妹は階段から落ちてナイフが自分に刺さり昏倒。植物状態に。
……たぶん、キモウト。
兄の方がぶっ壊れてるけれど。
なんて漫画?
自己解決しますた
Arkっていう漫画。前後編とも持ってるので角煮板でリクがあればZipであげられるかも。
ちなみにこれラストを見ると兄のほうが常軌を逸している。
>>479,488
おおう、これは失礼。単なる見間違いだ。
綾タン(*´д`*)ハァハァ
何かと思って気になってみたらサンホラのアレか
遅いけどGJ!
いい調子だぜ縁!
さんざん横暴してくれた綾をぶちのめしてやってくれ!
死んでったかわいそうなキャラのためにも!
……でも心のどこかで皆殺しエンドを期待している俺もいる。
むしろ泥棒猫を全員抹殺して、綾大勝利きぼんぷ
500ゲト
>>498 そしてお兄ちゃんに正体がばれて監禁するんですねw
縁END
縁BADEND(監禁)
夕里子END
夕里子BADEND(財力を使い綾から逃避行)
綾END
綾BADEND(監禁)
綾BADEND(皆殺し、そして最後はお兄ちゃんと・・・一緒に・・・・)
綾BADEND(やりたい放題の綾、そのときイ○は発動した)
全部俺が見たいだけ
>>501 けーさつに掴まるという選択肢はないのだな
503 :
名無しさん@ピンキー:2007/07/10(火) 11:32:10 ID:2hctT8hB
>>500 お兄ちゃんと共犯関係になって、泥沼ながら強固な絆が発生するんだよ
>>502 「9パラごときであたしをとめられると思うなっ!」みたいなことに
ゼロの者氏
監禁したり泥棒猫を全部頃しても
綾は陽一に愛されない
なんでさ
家族としてしか見られない切なさも近親片思いのキモだ
キモウト×キモ兄作品が読みたいです…
そう決めつけるもんではないさ
縁は可愛いね。超越者っぽくて違和感はあるんだが。
あんな女がいたら、確かにラブじゃなくて友人で居たいと思うかも。てかあんな友達が欲しい。
キモウト&キモ姉スレでも必ずしもキモウトが応援されるわけじゃないことが、なんか新鮮だ
けれど綾タンのあの必死さに萌えてしまうw
綾タン必死杉wwwww涙目バロスwwwwwwww
って感じか?w
だがそれがいい!
これだけ必死になっても陽一が落とせなかった時に、綾がどう発狂するのか楽しみだ。
>>516 怖すぎて想像できないな・・・
まぁ普通に監禁するだろ・・・あれ?ループしてる希ガス
連載中リスト
虎とあきちゃん
綾シリーズ
水木さんちシリーズ
運命の赤い超紐理論
聖のお兄様
毒にも薬にもなる姉
+
+
∧_∧ +
+ (。0´∀`)
(0゚つと ) +
+ と__)__)
とりあえず綾には
「吐き気を催す『邪悪』とは! 何も知らない者を己のために利用することだ!」
って言いたい。
>>519 お前それ言うと、時間消し飛ばされてなんだかわからんうちに死ぬぞ。
投下します
それは子供のころの話。
川原に居た僕は、そこで蜻蛉に良く似た昆虫を捕まえた。
一緒にいた姉にそれを見せると、彼女は僕に微笑みながら説明してくれた。
「これは蜉蝣ね。ふゆう目の昆虫。蜻蛉も同じふゆう目だから似ているけど、一応別物」
「かげろー?」
「そう。蜉蝣。短命の昆虫」
顔をみてみなさい。
姉は僕にそう云った。
云われるままに覗き込むと、すぐに違和感に襲われた。
無い。
生物にあるべきものが、それには欠落していたのだ。
「お姉ちゃん、こいつ、口がないよ?」
「うん。そう。口が無い」
「どうして口が無いの?これじゃあごはんが食べられないよ?」
「必要ないからよ」
すぐに死んでしまうから。
姉はそう云って、僕の掌の中の蜉蝣を空に放した。
どこまでもか細い、具象化した儚さはゆっくりと風景に消えて往く。
永遠に生きるものは無い。
不滅の生命は有り得ない。
生きとし生けるものは、皆土に還り。
形あるものは、皆滅ぶ。
それが早いか遅いかの差だけで。
本質は何も変わらない。
たとえそれが――数時間の命であったとしても。
姉はそう教えてくれた。
「じゃあ、お姉ちゃん」
「ん?」
「お姉ちゃんも、いつかは死んじゃうの?」
「・・・・」
僕が不安そうに見上げると、姉は眉をハの字にして笑った。
「大丈夫。私は死なないわ。大切な弟を置いて、死ぬわけが無い。私は永遠に――貴方の傍にいる」
子供心に、それは嘘だとわかった。
けれど、僕にはそれで充分だった。
人を幸せに出来る『優しい嘘』もきっとある。
それがわかったのだ。
その日の会話も。
その時の笑顔も。
総てが色鮮やかに。
今も僕の心に焼き付いている。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
僕にはみっつ歳の離れた姉が居る。
名前は鳴尾至路(なりお しろ)。大学生。
謹厳実直・頑固一徹・石部金吉を地で往く人物で、他人にも自分にも厳しいことで有名だ。
本人曰く、
「優しさこそが最も人を駄目にする。厳しさは人倫の根幹」
だ、そうで、周囲に居る人間は、目上・目下、はたまた同輩・友人であってもその『手厳しさ』から
逃れることは出来ないと云われている。
幼少のころに両親が「あいつは厳しすぎて困る」と愚痴をこぼしていたのを聞いたことがあるから、
その厳しさは筋金入りと云って良い。
「政治の要諦は寛厳両輪の均衡にある。けれどそれが無理なときは厳しさをこそ選ぶべき」
そう云い切る姉の愛読書は『韓非子』と『君主論』。
尊敬する人物は、織田信長、チェーザレ・ボルジア、李世民、、スッラ・フェリックス、
ハンニバル・バルカだそうで、大学では独裁、或は寡頭政治をテーマに論文を書いている模様。
そんな姉なので、周囲にはこう公言して憚らない。
「私は弟の躾を何よりも重んじている。決して甘やかさず、徹底して厳しく育てる。恨まれることも
あるでしょうが、厳しさこそが優しさであるといつか気づいてくれるはず」
多分、姉は本気でそう云っている。
僕を厳しく育て上げることを主眼にし、鍛え上げている『つもり』なのだろう。
僕の名前は鳴尾来路(なりお くろ)。
優秀な姉とは似ても似つかない――不肖の弟です。
※※※
「いやあ、大したものだなぁ・・・」
五代(ごだい)先生は手に持った淡彩画に感嘆する。
某有名芸大の教師である彼から見ても、その目に映る四角い世界の精度は極めて高いのだろう。しきり
に唸りながら驚嘆の声をあげる。
ここは五代邸の客間。
数多くの芸術品に囲まれた僕は豪奢なソファに座り、先生と対面している。
「きみの姉はあれだな、天才と呼べるかもしれんね」
手に持った淡彩画を目の前のテーブルに置き、五代先生は顎を撫でた。
「自分は天才ではない、と、姉は云っていましたけどね。そこまで到達するほどの才覚は無い、と」
姉は自分の評価も適正に出せる人間なので、この自己評価も間違いは無いだろう。
世にある名画家にはとても及ばない。
けれど凡百の絵描きよりは技量が上。
それが姉の下した自己評価である。
「ふぅむ・・・・」
先生は吐息して僕を見る。
「なんにせよ、惜しいよなぁ・・・・」
視線は再び姉の描いた淡彩画へ。
「私が鳴尾くん――きみのお姉さんに逢ったのは、彼女が高校のときでね。教え子がそこの美術教師を
していたんだが、自分の教え子に大才の持ち主がいると報告してきて、その作品を見たのがきっかけ
だった。これがまた凄い。鳥肌がたってね。以来事あるごとにうちの学校に来ないかと誘ったんだが」
ものの見事に袖にされたよ。
先生は残念そうに苦笑する。
「歴史と政治の研究のほうが面白い、そんなことを云われてねぇ」
「まあそうでしょうね。家でもそっち関係の本ばかり読んでいますから」
それでも誘いを断ったことに引っかかりはあるようで、たまに描く絵を五代氏に届けているようだ。
いつもは姉本人が五代邸に足を運ぶのだが、今日は先輩の見舞いに往くとかで僕が代役になった。
「いや、こう云っちゃ何だがね、彼女、歴史研究家としての能力は並だろう?特定のイデオロギーに
捕われずに歴史を公平に俯瞰できる才覚は認めるが、云ってしまえばそれだけだ。明らかに書画家
としての才能のほうが彼女にはあるだろう」
「姉は絵を捨てたわけでは無いですよ。人生の主眼に置かないだけです」
「それだよ」
五代先生は机を叩く。
「絵を主としない。そこが問題だ。これだけの才能の持ち主はうちの学校にもそうはいない!天賦の才
を開花させず、研鑽もせず眠らせてしまうなんてあまりにも勿体無いじゃないか」
先生の顔からは無念さが滲み出ている。
五代氏自体、画家を目指して叶わなかった人なので才能のある人間がそれを放棄することが残念で仕方
ないのろう。
「絵画に限らず最近の芸術界は人材が払底している。有為な人物は一人でも多く必要なのだ。なのに
きみの姉ときたら・・・」
「ちょ、ちょっと待ってください。人無きってのは大げさでしょう。最近は若い世代の台頭が著しい
って専らの噂ですよ?四道義彩子(しどうぎ あやこ)とか水沢(みずさわ)つぐみとか、声楽の世界
では月ヶ瀬聖理(つきがせ さとり)とか」
今日姉が見舞いに往っている相手も芸術ではなくセラミック技術の世界ではあるが当代最高と評される
人物であるし、若い才能が芽吹いているのだが。
「月ヶ瀬聖理?ふん、月ヶ瀬聖理ねぇ」
僕が名前を出した人物が気に入らなかったのか、先生は益益不機嫌になる。
「彼女こそ才能の無駄遣いだろう。声楽の世界では日本どころか世界屈指とまで謳われると云うのに、
ちっともそれを活かそうとしないじゃないか」
吐き出すように云う。
「日本を離れないんでしたっけ、彼女?」
「日本を離れないどころじゃない。日帰りできる範囲までしか出て往かないんだぞ!?歌は世界中の
人間に聞いて貰ってこそ価値があるのに、そんな我侭を・・・・っ」
「でも裏返せば、それを是とさせるだけの才能があるという証左でしょう?天使とまで称される歌声は
それを可能にすると。――でもなんで日本を離れないんでしょうねぇ?」
ふとした疑問を口にする。
すると先生は更に不機嫌になった。
「聞いたよ、理由」
「聞いたんですか?本人に?」
「知人の紹介で逢ったときにな。まったく意味不明の理由だったぞ。曰く、家にニートのくせに専業
主婦面しているドラ猫がいるのでそれをくびり殺してからじゃないとおちおち家を空けられないとか
なんとか」
「なんです、それ?」
「知らん!ともかくあの女の話はするな、不愉快だ」
先生は子供のようにそっぽを向く。
「そう云えばきみも・・・・」
そっぽを向いたままの先生は瞳だけジトリと僕を捉えた。
「随分才能があるのに、無駄にしているそうじゃないか」
「は?何ですか、それ、初耳ですよ!?」
本人だがそんな覚えはまるで無い。
「鳴尾くんがいつも云っている。己は弟に如かず、とね。まったくイヤミな姉弟だ」
「ちょっと、先生、拗ねないで下さい。姉は確かに自分を含めて公平にモノを見れますけど、僕に
関しては出鱈目なんです。過大評価してるんです。珠に瑕なんです。画竜点睛を欠くんです。テストで
平均点より上をとっただけで優秀とか云いふらすような人なんですよ」
運動会で一等賞を取っただけでスポーツ万能と触れ回るような人間なのだ。姉の過大評価で苦労した事
は数知れない。本人は万能な人間だからいいのかもしれないが、そのレベルに合わせねばならない凡人
には相当な苦労が付き纏う。
艱難辛苦を口にしてみても「どうだかな」と先生は拗ねたまま。
居た堪れない空気のまま数分が経つと、客間の扉が叩かれた。
「失礼します」
入ってきたのは、愛くるしい少女。
大きな瞳の、小動物を連想させる女の子。
彼女の手にはトレイがあって、その上にはティカップが見える。お茶を持ってきたのだろう。
「どうぞ」
「ありがとう」
ティカップを置く少女に会釈する。使用人の類ではない。先生の身内だろうか。
「――ああ、きみとは初めてだったね。これは私の娘の絵里(えり)だ」
「はじめまして。五代絵里です。しろさんにはいつもお世話になっています」
少女はその容貌に相応しい甘い声で丁寧に挨拶をする。
興奮でもしているのか、僅かに頬が赤い。
「どうも。鳴尾くろです。こちらこそ姉がお世話になっています」
ぺこりと頭を下げる。
「先生の娘さんですか。随分歳が離れてそうですけど」
「40になってから出来た子だからね。確かに離れているよ。今中3できみのふたつ下だ」
そう答える先生の顔はゆるい。
どうやらこの少女が可愛くて仕方ないようだ。
「しろさんにお話は聞いてました。その・・・とても素敵な人だって」
憧憬の念をもって彼女――五代絵里は僕を見つめる。
けれど僕は気が重い。
(姉は一体どんなことを云ったんだろう)
万事がそこそこの僕が完璧超人とされるくらいだ。この子にどう吹聴しているのか想像するだに恐ろし
い。
「鳴尾くんは滅多に人を褒めないが、きみのことはいつもべた褒めしていてね。娘もきみという人間が
来るのを楽しみにしていたんだよ」
「そ、そうなんですか。光栄ですね」
そう答える僕の笑顔はたぶん硬い。
一方の先生は愛娘の前だからか鷹揚な表情。他方の五代絵里ははにかんで笑っている。
「え、と。くろさんって呼んでも、いいですか?」
「僕のことは好きに呼んで下さい」
「あ、じゃあ、私のことも絵里って呼んで下さい。あと敬語も使わなくていいですよ。くろさんの方が
年上なんですし」
「ん。了解。じゃあ絵里ちゃんで」
「はいっ」
絵里ちゃんはニッコリと笑う。
元気な小動物のような子だ。
愛を注いで貰っている人間で無いと、こんな顔は出来ないだろう。
「それで、くろさんは今日はどうして家に来られたんですか?」
「しろ姉さんのお使いだよ」
机の上に置かれた絵を指し示す。
絵里ちゃんは「失礼します」とそれを手に取った。
「うわぁ・・・・素敵な絵・・・・!!」
頬を紅潮させ、姉の淡彩画に見入っている。
「絵里ちゃん、絵、好きなの?」
「はいっ!大好きです」
彼女は元気良く頷いた。
「好きも何も、絵里は美術部所属の画家志望だぞ。油絵の方だがね」
「へえぇ。絵里ちゃん絵を描くんだ。どんなのか見てみたいな」
「そ、それはその・・・・は、恥ずかしいので・・・・」
途端に顔を真っ赤にしてわたわたと手を振る中学生。
実に初々しい。
「あの・・・しろさんに聞いたんですけど、くろさんも絵を描かれるんですよね?」
「いいや?」
「あれ?そうなんですか?しろさん、自分の弟は絵がとても上手いって仰ってましたけど・・・」
「・・・・」
確かに何度か姉を真似て描いてみた事はあるが、それだけだ。2〜3枚しか描いたことが無い。
姉は無条件にべた褒めしいていたが、信用はまるで出来ない。これも姉の中の僕の過大評価のひとつ
なのだろう。
「まったく惜しいよなぁ。鳴尾くんはそれだけの絵が描けるのだ。絶対に美術の道に進むべきだ。
きみもそう思うだろう?」
先生はまたその話題を蒸し返す。
「お父さん、私にはいつもやりたいことをやれって云ってくれてるでしょう?しろさんだってやりたい
ことをやっているだけじゃないかな?」
「それはそうだが・・・・」
先生は云い澱む。どうやら娘には弱いようだ。
「人間には無限に支路がある。その道のどこを歩くのも自由だ。でもなぁ、多くの人を感動させられる
才覚があるのならば、その道こそを本道とすべきだろう?」
「それはお父さんの我侭だよ。強制されるものじゃないと思うけど」
「いや。それはわかる。わかってはいるんだが、悔しいのだ。やるせないのだ。生きた爪あとを残せる
力があるのに、それをしない。それが歯痒いんだ」
五代先生は心底悔しそうに云う。
生きた爪あと。
そこに居たという証拠。
生き、死ぬ間に残せる自分という足跡。
来た路と、至る路。
その道程を姉は残せるのだと先生は云う。
人生に足跡を刻める者は少ない。
姉はその少数にカテゴライズされるのだと。
けれど――
けれど姉は足跡を残すよりも、それを観察する道を好しとした。
英雄や豪傑の生き様を辿る事を道とした。
(その良し悪しなんて結局――)
僕は思う。
道を歩ききって振り返ったときにのみ、わかることなんだろうなぁって。
至る路。
その支路の寡多も。
その長短も。
歩ききってみなければわからない――永遠の謎なのだ。
※※※
「ただいま〜」
家に着く頃には夜になっていた。
季節が季節だけあって、かなり寒い。
「おかえり。ご飯もうすぐ出来るわよ」
母のそんな声が玄関に響く。
置いてある靴を見ると父も姉も帰宅しているようだ。
僕は自室に戻って部屋着に着替えると、姉の部屋を訪れた。
姉は和室を自室としているので、扉ではなく襖を叩く。
「姉さん、いる?」
「ええ。入っていいわ」
凛とした声。
身が引き締まる澄んだ空気が返ってくる。
「じゃ。失礼します」
襖を開くと独特のスライド音がして、その向こうに正座する女性がいた。
凛然とした美人。
知性と沈着を感じさせる立ち居振る舞い。
鳴尾しろ。
正真正銘僕の実姉である。
「おかえり。クロ」
「うん。ただいま。ねえさん」
帰宅の挨拶。
それはどちらかが戻ったら必ずすることになっている。
僕は姉の前に座る。
すると――
ぎゅ。
思い切り抱きしめられて、頭を撫でられた。
「ね、姉さん」
何で急に?
そう問おうにも、顔を胸元に収められてしまっているので口が開けない。
「信賞必罰。良い子にはご褒美」
「良い子って、僕がなにを・・・・むぐっ」
「お使い。疲れたでしょう?」
苦しいほうが疲れます。
5分くらい呼吸困難が続いて、漸く開放される。
「ぶはっ」
水中から顔を出したように、口いっぱいで吸気した。
幽かに鼻腔をくすぐるのは、慣れ親しんだ『和』の匂い。
そして、姉の匂いだ。
しろ姉さんはそんな僕を見てもう一度、
「お帰り、クロ」
そう云って微笑した。
「じゃあすぐに病院から戻ってきたんだ?」
姉のいれたお茶を啜る。
ほうじ茶の香りが心地良い。
「ええ。朝歌(ともか)先輩は私の見舞いよりも見舞いの品のほうが御気に召したようだから」
「ふーん。何を持って往ったの?」
「四民月令」
大分時間が空いたので自宅に戻ってからは掛け軸を作っていたらしい。
姉の背後には無駄な達筆で「はらぺこ」と書かれた新作がある。先月までは確か「さもしい」だった
はず。姉は絵のみならず書作や彫り物も嗜む。彼女の手の届く範囲には、筆やら彫刻刀やら半紙やらが
散見されて、何かの作業中だったことが窺われた。
「クロは、この時間まで向こうにいたのね」
「うん。なんか引き止められて。夕食もどうかと誘われたけど、断って帰ってきた」
「愚痴なんて聞いていて楽しいものじゃないからね」
良くわかっていらっしゃる。
「でも先生本当に残念がってたよ?しろ姉さんには芸術の道を歩んでほしいって」
「何かを表現するよりも、何かを考察するほうが私は楽しい」
やんわりとした拒絶。
姉は自分の道を常に曲げない。
「そんなことより、この時間まで向こうに居たってことは、彼女には逢ったのね?」
「彼女?絵里ちゃんのこと?」
「絵里、ちゃん?」
ピクリと姉が蠕動する。
「クロ」
「え、なに?」
「女性の名を濫りに呼んでは駄目よ。それは大変な失礼にあたるわ」
「いや、でも絵里ちゃん本人が――」
スコン。
刹那。
僕の背後に音が響いた。
それが姉の投げた彫刻刀が柱に刺さった音だと気づくのに時は要らなかった。
「信賞必罰。悪い子には、お仕置き。――次は無いわよ?」
「あ、う・・・・ごめんなさい・・・」
「そう。わかってくれたのね。嬉しいわ」
姉は何事も無かったかのように微笑んだ。
「そ、それで・・・・絵・・・・じゃなくて、五代さんに逢ったのがどうかするわけ?」
「どうもしない。唯・・・」
「ただ?」
「あの子、一人っ子なのよ。だから兄弟に憧れているの。私が貴方の話をすると、とても喜ぶ。だから
何度かクロのことを話してあげたんだけど、それでいらぬ幻想を見始めているみたいだから」
それは僕に向けていた妙に爛爛としたあの瞳のことだろうか。
しかし、それは、
「姉さんが僕を実像以上に大きく宣伝するからなんじゃ・・・・?」
「私の評価は概ね正しい。それは貴方も知っているでしょう?」
「時と場合によりけりだ」
特に僕に関することは。
「あの子、私が五代先生の家に行くたびに、クロの話をねだるようになったのよ。それで、ちょっと
気にしていたのよ」
「ふぅん?」
いまいち良くわからない。
何にせよ姉が自分でまいた種ではあるようだが。
「しろー、くろー、ご飯できたわよー」
遠くから声が響く。
母のそれ。
聞きなれた呼び出しだ。
「もうそんな時間ね。往きましょうか」
「あ、うん。・・・・お茶、飲みきらなかったな」
「置いておいていいわ。後で私が飲むから」
「え?」
飲みかけですよ?
「何か問題が?」
「いや・・・」
問題と思わないことが問題か。
僕は首を振って立ち上がった。
※※※
「さて、久しぶりだな」
食事を終えた僕は部屋に戻ると久しぶりに筆を取った。
絵を描く。
それは本当に稀な行為。
美術の時間は総て手抜きかサボりなので、自分の意思で絵を描くなんて年をまたいでの“久久”だ。
種類は水彩画。
モチーフは幻想の風景。
求めるものは――幻滅。
我ながら後ろ向きな理由であるとは思う。
あの娘――五代絵里に失望して貰うためのもの。
「くろさんの絵が見たいです」
あちらにいる間に、彼女は何度か暗にそう云った。
「見ても仕方ない」
そう答えても納得しない。
否。
謙遜として信じていない目をしていた。
百聞は一見に如かず。
実物を見れば嫌でも黙するようになるだろう。
精神的に虚弱な僕だ。
無駄な期待に応えるだけの強さはない。
だから“ここに”弱さを表現する。
百円均一で買ってきた安物の画材。
すぐに色あせ、今この瞬間ですらも満足に世界を表現できないチープな絵の具と、ばさばさの筆。
どうせ一枚しか描かないのだから、それで良い。
幻滅を目指す道に無力を乗せ、下書きも無しにかきなぐる。
期待されるのは嫌だ。
プレッシャーは嫌いだ。
重荷には耐えられない。
弱い。
弱い。
弱い。
弱い。
それが僕。
それが中身。
それを表す。
強さはわからない。
強さはしらない。
だからそれは絵に出来ない。
姉のように強くは無い。
描く。
ただ描く。
ひたすら描く。
時を忘れて描く。
どれくらい筆を走らせていたか。
集中力が途切れたその瞬間に、背後に気配を感じた。
よく知った、肉親の気配。
それがすぐ傍に在った。
「――姉さん?いつからそこに?」
「いつでも、ここに」
ドテラを羽織った姉が微笑しながら僕を見つめていた。
「クロが絵を描くなんて、珍しいわね」
「う、うん・・・」
僕が曖昧に頷くと、姉は僕の肩に顎を乗せて四角い世界を賞翫する。
「うん。・・・・良い絵だ。流石は私のクロね」
「そうかな?」
補正の入った評価ではあるのだろうが。
「ねえ、しろ姉さん」
「ん?」
「強さって、なんだろう?」
この人ならば。
強い人間ならば、それはわかるのだろうか。
僕が問うと、姉は僕を抱きしめた。
「それは“美しい”とか、“美味しい”とか“幸せ”とかの定義を求めるのと一緒ね。一つじゃない。
色色な強さがあるし、時と場合と人にもよるわ。強さとは我侭を押し通す力、とか単純に云えれば苦労
はないのだけれど」
そう云いながら僕をくすぐる。
何気にちょっかいを出すのが好きな人なのだ。
「・・・でも、しろ姉さんは強いよね?」
「全然」
肩の上で首を振る。
頬と頬が触れ合った。
「五蘊常苦にも耐えられるかどうか。愛別離苦も求不得苦も怨憎会苦も絶対に無理」
ギュッと姉は腕の力を強める。
「依存しなければ生きていけないのよ、私は。愛するものと離れるとか、欲しいものが手に入らない
とか、泥棒猫をそのままにしておけないとか、我慢できないことが多すぎる」
「姉さんが?」
僕は驚く。
けれど姉はいつもの澄んだ笑顔で「ええ」と頷いた。
「とりあえず無理に強くあろうとすることは無いわ。履き違えなければいい。強さを身勝手さと。弱さ
を優しさと。それに――クロには私がいる」
姉は僕の頭を撫でる。
「永遠なんて無い。不滅なんてありえない。それでも、矛盾しても、こう云える」
頭を抱き寄せ、頬を寄せる。
「貴方が先に死んで、私だけが残されても。私が先に死んで、貴方が残されることになったとしても」
それでも。
「それでも私は永遠に――貴方の傍にいる」
それは強さなのか。
或は弱さなのか。
僕には判断がつかなかった。
たとえ死がすぐそこに迫ったとしても。
それでも。
それでもこの人は、こうやって笑うのだろうか。
投下終了です。
妹モノも書いていますが投下時期は不明です。
>>146氏
未読です。
亀ですが、保管庫管理人様、いつもお疲れ様です。
では、また
うおおおおおお
GJ
GJ。これからの展開に期待してます。
あと妹モノの方も楽しみに待ってます。
GJ!!
そういえば夕日ロマンス買った?今日発売だよな?
俺の大学の購買には売ってなかったなぁ……。
あいかわらず一気に読ませる面白さをもちながら、
月ヶ瀬聖理という単語をだして前作のファンへのサービスも忘れない
そんな作者にはGJ!としか叫びようがないなこりゃ
新作投下キタコレ!!
毎回自分のつぼにはまるものばかりで嬉しいですw
妹ものにも期待してます
作者さんGJ
>>530 なんつーか、キモ姉という属性抜きで読めました。
個人的にしろ姉さんは今月亡くなられた某写輪眼刀姉のイメエジをあてさせていただいてます。
GJでした。
おおお!
このスレに居座るきっかけとなった無形さんの新作キタコレ
聖理と理理が出てきたんなら真理が今どこに勤めてるとかもサラッとでいいから描写してほしいな
俺実は真理ファンなんだw
>織田信長、チェーザレ・ボルジア、李世民、スッラ・フェリックス、ハンニバル・バルカ
絶対友達・上司にしたくない人間ばかり並んでるw見事だ
才能のない作家に引導を渡すのが俺達の批評家の役目だと思わないか?
思わない
というかお前が批評家だとも思わない
ただのこじきだろ
∧_∧ ・・・・・・・・・・・・・
< `Д´ > ∧_∧
/ \ < `Д´ > ・・・・・・・・・・・・・
__| | | |_ / ヽ、
||\  ̄ ̄ ̄ ̄ / | | |
||\\ (⌒\|__./ ./ このスレッドは
|| \\ ~\_____ノ| おはようから、おやすみまで、暮らしを邪魔する在日
. \\ ________\ 捏造一筋、チョン日新聞
. \|| ____|| / お口の悪臭 キムチ
. || ̄ ̄ ̄|\____\ / あしたのゴミ 捨民党
. || | |======== | The fabrications are infinite, 韓国政府
_| |oo======= | \ Drive your delusions, ヒュソダイ自動車
|\\|_____|\ \ Shift the past, シンスゴ
| | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| 犬を、おいしく、楽しく、COREAN FOODS
| | 生野キムチ. | Inspire the anti-Japanese, プロ市民(サヨ)
爆発一番 ハム日新聞
拉致ひとすじ 金正日
妄想 ふくらまそう 民口寸
淫らな明日のために 従軍慰安婦
黄色いエラ 街宣ウヨ(ジサクジエン)
犯行は計画的に ほのぼのレイプ
歴史をクリエイトする 朝魚羊総連
電波も全開に コリア 観光局
悪名世界一への挑戦 しG電気
ご覧のキムチ野郎の抵抗でお送りします。
..--‐‐‐‐‐‐‐‐---..,
/:ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;) / 在日の「生活が第一!」
|::::/ ヽヽ /
|:::ヽ ........ ........ /:::|
|::/ ) ( \:|
/ ̄\iヽ;| -=;;・;=‐ ‐=;・;;=- |6)
, ┤ ト、| 'ー-‐' ヽ. ー' |/ 年金問題のどさくさに、民潭職員を擁立!
l \__/ ヽ /(_,、_,、_)\ |
| ___)( ̄ | / トエェェェェエイ \ | 北朝鮮の工作員にも地方参政権を!
| __) ヽ.ノ |ュココココュ| l
ヽ、__)_,ノヽ ヽニニニニソ /`ヽ、 証拠なんか無くても慰安婦に賠償金を!
\ \ / ヽ
相手しちゃ駄目だに。
うおっ、期待大の新作が投下されとる。
>>530 相変わらずレベルが高くて超GJです。
これからの展開にメッチャ期待しておきます。
五蘊盛苦…
無形氏新作キター!!
相変わらずの重厚な雰囲気がたまりません。
鉄の女シロねえの弟贔屓がなんとも…
次回も期待!
なんか前作と比べると大分趣味の世界が入ってるように見えるなw
そっちのほうが筆が進むんならもちろん否やはないが
>>530 なんて素晴らしい姉……!!
こりゃあ続きに期待せずにはいられませんぜ!!GJ!!
>>539 兄弟殺しの信長・世民と近親のチェーザレが意味深だと思う姦
>>530 この上なくGJ!!!
どうでもいいけどタイトル見て初代ペルソナを思い出した
>>530 うぎゃああああああああああああああああ無形氏の新作がああああああ夢にまで見た新作
がキタ━━━(;´Д`);´Д`);´Д`);´Д`);´Д`)━━━━!!!
しかも待ちに待ったキモ姉・・・引力爆弾クラスのGJ!!!この大作でどれだけ俺は萌だ
えるのだろうかwktk
>>551 信長は自分を裏切った浅井と朝倉の頭蓋骨を漆で固めて金箔を張った上で
それを器にして酒を飲むような男だしな。
姉を裏切るとしろも・・・ガクガク(((( ;゚Д゚))))ブルブル
無粋なのかもしれないが
カゲロウは蜉蝣目、トンボは蜻蛉目だよう
久々に来たら無形氏の新作!しかもキモ姉!!
夕日ロマンスも良かったし、今月は良いことが多いぜー
557 :
名無しさん@ピンキー:2007/07/14(土) 15:15:41 ID:aJ0kNAao
人殺しと一緒になんかなりたくないだろ一般人なら
558 :
名無しさん@ピンキー:2007/07/14(土) 15:17:29 ID:aJ0kNAao
人殺しと一緒になんかなりたくないだろ一般人なら
559 :
名無しさん@ピンキー:2007/07/14(土) 15:18:25 ID:aJ0kNAao
人殺しなんかと一緒になんかなりたくないだろ一般人なら
/⌒\
( ・∀・) ?
ノルリノルリ
人殺し?あぁ、
狂愛者(人殺し)のことか。
人殺しと書いてー
おっぱいと読むー
その心は?
ちわ〜三河屋で〜す
誰か説明してくれ
つまり全てがFになるんだよ
そんなゲームもあった気がする
何この流れ・・・・・・・?
/ヽ /ヽ
/ ヽ / ヽ
______ /U ヽ___/ ヽ
| ____ / U :::::::::::U:\
| | // ___ \ ::::::::::::::|
| | | | | U :::::::::::::|
| | .|U | | ::::::U::::|
| | | ├―-┤ U.....:::::::::::::::::::/
| |____ ヽ .....:::::::::::::::::::::::<
└___/ ̄ ̄ :::::::::::::::::::::::::|
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\ \ \___ ::::::
/⌒\
( ・∀・)ノ 良くあること
ノルリノルリ
兄が妹に優しいから妹が兄に甘えるようになるのか、妹が兄に甘えるから兄が妹に優しくなるのか。
どっちが先だと思う?
わたしは生まれたときからお兄ちゃんのもので、
お兄ちゃんはわたしのものなんだよ?
>わたしは生まれたときからお兄ちゃんのもので、
お兄ちゃんはわたしのものなんだよ?
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|::::::=ロ -=・=- |, | -=・=- ロ=::::::|
|::::::::/ヽ /ノ ヽ /ヽ:::::::|
|:::::/ `─── / ` ─── 丶:::|
|:::ノ (●_●) |::|
|::| l l |::|
|::| __-- ̄`´ ̄--__ |::|
|::| -二二二二- |::|
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\::::::\ _- ̄ ̄ ̄-_ /::::::/
|Ξ|~ \ / ~|Ξ|
/::::::ヽ/|\_______/|\ /:::::::ヽ
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|::=ロ -=・=- ┣━┫ -=・=- ロ=::|
/|:::/ヽ /ノ ヽ / ヽ|ヽ
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ヽ| (. o⌒o .) .|ノ
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きめぇwwwww
三次元の人間はこんなもんだろ。
このAA見てありえないとか思ってる人は、
二次元に浸りすぎて感覚が麻痺してるんじゃないか?
まずAAなんか貼るな、一回台風で飛ばされとけカス
このスレにおいて下手にリアルを持ち出すのは明らかに無粋。
リアルに宇宙から妹が来て欲しかったり、過剰なまでに過保護な姉が欲しかったりする俺は、このスレじゃ正常?
581 :
名無しさん@ピンキー:2007/07/15(日) 13:36:20 ID:8pD3RMpJ
>>580 ここのスレタイが見れないのかい?そういう人たちが密かに萌えるスレじゃまいかwここに
いる限りキモ姉妹好きは正常さw
キモ姉Aの弟はキモ姉Bが好き。
キモ姉Bの弟はキモ姉Aが好き。
…この場合、どうなる?
>>584 キモ姉Aの弟はキモ姉Bの弟。
・・・ようは二人ともオレのm(ry
>>584 四人ないまぜで爛れた生活を送るという手もあるぞ
>>530 GJ!
絵描きの独裁者ってチョビヒゲのドイツ人ですか^^
修羅場が好きなんで、読み尽くした修羅場スレから流れてきたんだけど…
まとめ最初の「籠の中」こわいよ最高だよ 他のも楽しみだよみんな大好き
>>588 まめちしき
あいつはオーストリア人なんだぜ
ヒゲはオーストリア国籍なだけで人種的にはドイツ人
32年以降はドイツ国籍
このスレ定期的に廃れるNE!
それ言ったら「人種的にみてオーストリア人」なんていないし
もうどっちでもいいから、所詮白人だろ
目欄ミスったw
Austriaの日本語表記は オーストリー なんだぜ。
カンガルーとコアラのオーストラリアと間違われまくったので、2006年10月に駐日オーストリア大使館が
日本語表記を「オーストリア」から「オーストリー」に変更するって発表したんだ。
間違えるからってインタビューで言ってたね
オーストリーじゃなくてエステライヒが良かったよママー
さあ、次はどれが来るんだ!?
そういえば最近、変名おじさんの姿を見ない。
ネタ切れか?
共産主義家庭の弟は姉の事を
「同志お姉ちゃん」や「同志○○姉」って呼ぶの?
>>599 Republik Osterreichっていっつも引っかかる(オーのウムラウト省略)
reichは「帝国」っぽく聞こえるから、「エスター帝国共和国」って何だという感じ.
兄or弟が強い(権力持ち・万能者)パターンって少ないな
スターリンやヒットラー(後期)クラスのブッ壊れ兄or弟を盲目的に愛す姉or妹とか
それは子供のころの話。
川原に居た僕は、そこで蜻蛉に良く似た昆虫を捕まえた。
一緒にいた姉にそれを見せると、彼女は僕に微笑みながら説明してくれた。
「これは蜉蝣ね。ふゆう目の昆虫。蜻蛉も同じふゆう目だから似ているけど、一応別物」
「かげろー?」
「そう。蜉蝣。短命の昆虫」
顔をみてみなさい。
姉は僕にそう云った。
云われるままに覗き込むと、すぐに違和感に襲われた。
無い。
生物にあるべきものが、それには欠落していたのだ。
「お姉ちゃん、こいつ、口がないよ?」
「うん。そう。口が無い」
「どうして口が無いの?これじゃあごはんが食べられないよ?」
「必要ないからよ」
すぐに死んでしまうから。
姉はそう云って、僕の掌の中の蜉蝣を空に放した。
どこまでもか細い、具象化した儚さはゆっくりと風景に消えて往く。
永遠に生きるものは無い。
不滅の生命は有り得ない。
生きとし生けるものは、皆土に還り。
形あるものは、皆滅ぶ。
それが早いか遅いかの差だけで。
本質は何も変わらない。
たとえそれが――数時間の命であったとしても。
姉はそう教えてくれた。
「じゃあ、お姉ちゃん」
「ん?」
「お姉ちゃんも、いつかは死んじゃうの?」
「・・・・」
僕が不安そうに見上げると、姉は眉をハの字にして笑った。
「大丈夫。私は死なないわ。大切な弟を置いて、死ぬわけが無い。私は永遠に――貴方の傍にいる」
子供心に、それは嘘だとわかった。
けれど、僕にはそれで充分だった。
人を幸せに出来る『優しい嘘』もきっとある。
それがわかったのだ。
その日の会話も。
その時の笑顔も。
総てが色鮮やかに。
今も僕の心に焼き付いている。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
僕にはみっつ歳の離れた姉が居る。
名前は鳴尾至路(なりお しろ)。大学生。
謹厳実直・頑固一徹・石部金吉を地で往く人物で、他人にも自分にも厳しいことで有名だ。
本人曰く、
「優しさこそが最も人を駄目にする。厳しさは人倫の根幹」
だ、そうで、周囲に居る人間は、目上・目下、はたまた同輩・友人であってもその『手厳しさ』から
逃れることは出来ないと云われている。
幼少のころに両親が「あいつは厳しすぎて困る」と愚痴をこぼしていたのを聞いたことがあるから、
その厳しさは筋金入りと云って良い。
「政治の要諦は寛厳両輪の均衡にある。けれどそれが無理なときは厳しさをこそ選ぶべき」
そう云い切る姉の愛読書は『韓非子』と『君主論』。
尊敬する人物は、織田信長、チェーザレ・ボルジア、李世民、、スッラ・フェリックス、
ハンニバル・バルカだそうで、大学では独裁、或は寡頭政治をテーマに論文を書いている模様。
誰か投下プリーズ
ほsy
保守
キモ姉妹が見れないとあまりの渇きに死んでしまいそうだ・・・作者様・・・投下を・・・
そろそろ綾タンが来るはず……
唐突だけど、変名おじさんの作品って需要あるの?
誰にも呼ばれてないし、最後の投下作品2レスしかついてないけど
まあ、SSとしては普通くらいのレベルだし、数をこなしてくれればもっと良くなるはず
大いにある
俺は、とあるキーワードをあぼーんにしてたら、全く作品が表示されなくなってたか
ら、書くの止めたんだぐらいに思ってた。
きっと、これからも俺の環境だと読むことないかも。
投下して
>>611 変名おじさん作品は
いい感じのキモ姉が書かれてるから好き
617 :
名無しさん@ピンキー:2007/07/22(日) 15:18:58 ID:asygNNqU
み…水…。
618 :
名無しさん@ピンキー:2007/07/22(日) 15:26:15 ID:Epv0IfA9
まさかキモ姉キモウトが焦らしプレイとは…
>>618 いいね!そのキーワードで俺もBANするわwwwwwww
>>619 兄、もしくは弟だって
夜の生活が渇ききれば知らず知らずに『女』として自分を見はじめるだろうという作戦なんだよ
昼寝してたら母に監禁される夢見た・・・惜しい!!
中学の時の部活の顧問(女)から社会人の今でもたまに手紙が届く。
結構ビッチリ字が書いてあってちょっとキモい…惜しいな。
…いや、いい先生じゃないか。
>>623 どうせその先生に筆下ろししてもらったんだろ?
むしろ、その先生の処女を奪ったって可能性も。
厨臭い馴れ合いに絶望した
スルーくらい覚えろ厨房
なにより投下が無いのが辛いです
まあ、お姉ちゃん大好きな妹がお姉ちゃんを妊娠させるネタとかどうよ
ふたなりだろうが人外だろうが、投下してくれるなら何でもかまわんぜ
いやあそうもいかんだろ……
どんどんと中毒になっていくので注意が必要だな・・
最低でも1日1回見てしまうwwwww
>>630 動画見た・・
とりあえず、貴方はヤンデレスレの方がお似合いだと言っておこう
>ヤンデレ
違うだろwww
君には精神科をお勧めするよ
vipとニコニコは消えてなくなればいいのに。
>>638 ちょっ、おま、
それじゃヤマヤミはどうなるんだよ!?
口に釣り針がひっかかって血が出てます。痛いです。
つなぎネタに土曜までになんか短いの落とします。
もしなかったら完結できなかったものとして忘れちゃってくださ・・・・・・
期待
642 :
真っ白:2007/07/25(水) 21:53:04 ID:+6n9fdo2
少年の目覚めは、窓一つない、日の光さえ差し込まない牢獄のような暗い部屋に、ぽつんと置かれた寝台の上。
瞳に飛び込んでくる、物心ついた頃から見続けてきた光景が、白い少年を迎える。
この大地に生れ落ちてから14年が経った今でも、この暗澹とした世界以外を彼は、知らない。
古木が軋む音と共に、暗闇に包まれていた部屋に、一筋の光――といっても、それは酷く頼りない微かな物だったが――が、刺し込んだ。
長い白髪に隠れた、濁った青色の瞳が眩しげに細められる。そんな微弱な輝きでさえも、この14年を闇の中で暮らしてきた少年にとっては毒以外の何者でもなかった。
病的なまでに真っ白な肌の華奢な腕が、その輝きを嫌がるように少年の眼前で交差される。
しかし、そんな行為を嘲笑うかのように、光は、腕をすり抜け、閉じた少年の瞼の上からでも、その神経を苛んでいた。
「レイ。食事よ」
静寂に満ちた部屋の中に、女性的で、柔和な声が響き、土の壁に吸い込まれていった。
「姉さん・・・・・・眩しい・・・・・・」
白い少年――レイは、消え入るようなか細い声で窮状を訴えた。
息を呑む音と共に、ごめんなさい、と慌てたような声と、再度古木の軋む音が辺りに木霊して、レイを光から解放する。
「大丈夫? ごめんなさい。調子はどう?」
再び暗闇に閉ざされた世界に、レイは安堵する。大丈夫だよ、と呟いて、柔らかな寝台の上にレイは再び寝転んだ。
心配なのか、未だに穏やかな声で体調を尋ねてくる大好きな姉に、レイは精一杯の笑顔を返す。
そうしてやっと安心したのか、姉暖かい手のひらの感触が、冷め切ったレイの頬を優しく撫でた。
この、数メートル四方の小さな部屋が、レイにとっての全てだった。
レイは知らない。父と母という存在を。彼が知っているのは昔からレイを育ててくれる姉だけ。
レイは知らない。頑丈な樫の木で出来た扉の向こうに広がる世界を。彼が知っているのは土壁で閉ざされた部屋の中だけ。
レイは知らない。太陽のぬくもりを。彼が知っているのは、優しい姉と暖かな布団の感触だけ。
レイは知らない。あらゆる事を。彼が知っているのは姉が与えてくれる都合のいい知識だけ。
レイは知らない。
彼を愛おしそうに見つめる姉の、情欲に満ちた瞳を。
レイは知らない。
姉の肉体の中で、彼に触れるたびに沸き起こる衝動を。
レイは知らない。
こんな穏やかな日々はもう数年もすれば終わるという事を。
レイは知らない。何も知らない。
生まれたばかりの赤ん坊のように、無垢で純粋なまま人生を送ってきた少年は。
遠からず、そんな彼とは対照的に、その欲望に身をささげた女の手で汚されるのだろう。
――数年後
その漆黒の暗闇の中で、純白を犯す悦びに打ち震える女と、自らを取り巻く真実と共に、絶望を感じながら汚される少年が其処には居た。
困惑と拒絶と哀願の悲鳴は、歪んだ愛を持ってしまった姉をさらに昂ぶらせ、レイをその濁った色で塗りつぶしていく。
疫病に滅んだ、誰も近寄らなくなったその廃村に、たった二人生き残った姉弟の嬌声が、空しく木霊していた。
わざと結構ぼかして書いています。
一応、なんか色々細かく説明できるもの(姉視点)の構想はありますが
モチベーションの問題で3割くらいしか書けていません。いや、なんか酷く長くなってしまいそうで・・・・・・
余りにも物足りない、とか、理解できない、とか、そんな感じの意見が多かったら
頑張ってそっちも書き上げようとか、一応は、思っています。
鬼才あらわる
>>643 GJです!
気長に待ちますんで続きをお願いします
投下します。
とある県立高校では、今日終業式が行われた。
明日からは夏休み。待ちに待って待ちくたびれてようやく夏休みがやってきたのだ。
プール、花火大会、夏祭り、帰宅部には関係ないが合宿などが行われる。
夏休み自体が一種のイベント期間のようなものだ。
哲明も明日から来る夏休みを心待ちにしていた。
哲明は、学校にくるのが――一言で言えば、憂鬱だった。
学校の立地条件が悪いとか、クラスメイトの中に嫌なやつがいるとか、そういうことではない。
日々、高確率で下駄箱の中に入っている手紙を見るのが嫌だった。
哲明は、可愛いハートマークのシールで封をされている便箋を開き、中に入っている紙を見た。
『哲明君へ
あなたがいつもクラスで友達と笑いあっている姿を見ていると、私の心はとても熱くなります。
男の子でも女の子でも分け隔てなく見せる、あの明るい笑顔を私にも見せてください。
2年A組の、あなたの机の前で待っています 』
ラブレターだった。誰がどう見てもラブレター。
好き、の一文字はないが、文を読めば書いた人間の好意は伝わってくる。
哲明は文章の書かれてある紙を、再度便箋の中に収めた。
そして、一言。
「……またかよ」
と、言った。
続けて鼻から、長いため息を吐き出す。
便箋をかばんの中に入れると、2年A組の教室、哲明の所属するクラスへと足を向けた。
哲明という男は、特別容姿がいいわけではない。
しかし、女生徒の方から笑いながら話しかけてくることから考えて、容姿が悪いわけではない。
性格は、当たり障りのない平凡な性格。
癇癪持ちではないし、鬱の気があるわけでもない。
成績は学年全体で見ればいいほうだ。
ヤマが当たれば学年でベスト5に入るし、ヤマが外れても学年で上位10番以内には食い込める。
スポーツは得意ではない。特に野球がだめ。どうしてもボールをキャッチができないのだ。
それでも体力はそこそこにあるので、体育が嫌いなわけではない。
哲明はこのように、どこの学校にでも居そうな男子生徒なのだ。
それなのに、なぜ学校に通う日は8割という高確率でラブレターが下駄箱の中に入っているのか。
理由は簡単。ラブレターを出している人間が、同一人物だから。
>>643 GJ
今の住人は作品に飢えてるからな。
とりあえず書きたいのを書いて落とすのもありかもしれん。
哲明は2年A組の教室の前に到着した。
ドアを開ける前に、ドアに入っているガラスから、中の様子をを伺った。
中には、女性教師が1人いる。女子生徒の姿はない。
普通に考えれば、女子生徒がいないのだから帰るべきなのだろう。
その普通であったら、どれだけよかったことか。
ラブレターの送り主が、女性教師でなければどれだけよかったことだろう。
そんなことをひとりごちながら、哲明は2年A組のドアを開けた。
教室の窓は全て締め切られていた。
明日から夏休みだから一ヶ月以上教室が使われない。そのため開けておく必要は無い。
しかし、窓を閉め切った教室というのは空気の流れが滞っている。
否応無く入り込んでくる熱気が教室内にこもり、サウナ状態になっている。
そんな状態の中でも、スーツ姿の女性教師は汗一つかくことなく立っていた。
哲明の机の前に。
「テツ」
「なんですか……先生」
「今は私達しかいない。いつも通りに呼んでいいぞ」
「……何の用だ? マカ姉」
マカ姉、と呼ばれた女性教師は、しかめっ面で哲明を見つめた。
「……テツ、マカ姉というのはやっぱりやめにしないか?」
「昨日俺がクラスの女の子からもらってきたマカダミアンナッツ入りのチョコレートを全て1人で食べつくした罰だ」
「全てと言っても、たかが一箱じゃないか」
「一箱に50個も入っていたけどな」
「……そろそろ、以前のように本名で呼んでくれてもいいだろう?」
「好きなんだろ。マカダミアンナッツ。だったらマカ姉って呼んだ方が嬉しいんじゃないかと思ってな」
「……ちっ」
マカ姉は苦虫を噛み潰した表情で、舌打ちをした。
この女性教師は、哲明の姉だ。血の繋がった、実の姉。
髪型は毛先に少しのくせがある、腰まで伸びた黒のロングヘア。
手入れが大変であることは確か。それでも彼女は髪を切らない。
それは黒のロングが好きな哲明にとっては喜ばしいことだった。
知性を感じさせるような顔には、どことなく眠そうな感じの瞳が貼り付いている。
華奢な印象を与える体に、今はスーツを纏っている。
オフィス街を歩けば、その姿はとても様になることだろう。
マカ姉と哲明の年齢差は6つ。年は離れているが、兄妹の中は良好。
それもそのはず。年が離れていても、2人が離れることはほとんどなかった。
正確には、姉の方が離れようとしなかったのだ。
今日哲明の下駄箱の中に手紙を入れたのは、当然マカ姉だ。
普段の口調と文章から感じる印象が異なるのには、特に意味はないらしい。
この方が受けがいいから、とでも思っているのかもしれない。
なぜ彼女が手紙で哲明をわざわざ呼び出したのか。その理由を、哲明はよくわかっていた。
「今日は何時に帰るんだ?」
「5時だ。それまで、学校で待っていてほしい」
「今、12時半だぞ。4時間以上待てっていうのか?」
「いいじゃないか。何か用事があるわけでもないだろう?」
確かに、哲明に予定はない。しかし、それとこれとは別だ。
「……暑いから、帰りたい。クーラーのある家の中で涼みたい」
「だったら、職員室に来ればいい。それとも生徒指導室のほうがいいか? 今日なら空いているぞ」
「いや、俺は帰る。帰ってゲームの続きをやりたいんだ」
「テツ。お前は私よりもゲームをとるのか?」
「マカ姉。俺が言うのもおかしいけど……社会人として、弟よりも職務を優先してくれ」
その言葉を残して、哲明は教室から立ち去ろうとする。
そうすると、当然哲明の背中はマカ姉に向けられる。
背中を向けるということは、相手に隙を見せるということ。
マカ姉の白い手が、哲明の尻――ではなく、腕に伸びる。
次の瞬間。
「ふんっ!」
「……んっ? ああ、マカ姉、俺のかばん返せ!」
「ふははははは! テツ! これが無ければお前は家には帰れまい! 財布も鍵も携帯もこの中に入っているのだろう?!」
「このマカダミアン野郎! 待ちやがれ!」
姉弟2人は、同時に教室から飛び出した。
鞄を持って逃げる女性教師と、それを追いかける男子生徒。
どう見ても、異常な光景だ。
2人の走る速度はほぼ同じだった。だから一向に距離が縮まらない。
そうなると、先を走っている姉に、事は有利に運ぶ。
かばんを持ったマカ姉は、職員室に飛び込んだ。
哲明も同じように職員室へ飛び込もうとするが――彼は生徒。飛び込めるはずがない。
ドアに阻まれ、姉の手からかばんを奪うことができなくなった。
職員室のドアが開いた。顔を覗かせたのは、若い女性教師の面をつけたマカ姉だった。
「哲明君。さっき廊下を走った件についてお話があります。生徒指導室で待っていてください」
「……………………わかりました。先生」
顔にニキビでもできちまえ、と哲明は思った。
そう願っても、哲明の姉の顔にニキビができるはずもない。
マカ姉――本名は別にあるが、彼女の顔にニキビができたことは、一度も無いからだった。
哲明はそのことをおかしいと思っていない。たぶん体の出来が違うんだろう、と自分を納得させていた。
*****
哲明が職員室の隣にある生徒指導室の扉を開けたら、すでに先客がいた。
女子生徒だった。
制服に入ったラインは青。青のラインはこの高校では二年生であることを示す。哲明と同級生だ。
女子生徒は椅子に座って、生徒指導室に置かれている雑誌を読んでいた。
この女子生徒に、哲明は心当たりがあった。
正確には、見知った仲だった。とても深く。おそらくブラコンの姉よりも深く。
「明菜?」
「……? テツ兄。どうしたの?」
明菜、と呼ばれた女子生徒は、雑誌から顔を上げて哲明を見た。
「テツ兄も呼ばれたの? 指導の黒田に」
「いや、違う。明菜こそどうしたんだ。何かやらかしたのか?」
「んなわけないじゃん。……ま、いつも通りってやつよ」
「ああ、また髪のことで呼ばれたのか」
明菜のボブカットの髪は茶色をしている。染色しているわけではない。自前の色だ。
その証拠に、双子の兄である哲明の髪も茶色をしている。
地毛だと言い張っても、指導の先生は信じない。今日のように、明菜をときどき呼び出しては尋問をする。
哲明も、呼び出されたことがある。
哲明は明菜の向かいの位置にある椅子に腰を下ろした。
「黒田の奴、何回言っても信じないからな。証明するのもなんだかめんどくさいし」
「ねえ? 双子の兄も同じ色なんです、って言っても、じゃあお前ら2人で同じ色に染めてんだろ、としか言わないし」
「指導の先生、マカ姉に代わってくんねえかな」
「マカ姉って何……ああ、昨日なんか大騒ぎしてたアレね。
マカダミアンナッツチョコレートを全部食べたから、マカ姉。いい名前じゃん」
哲明と明菜は双子の兄妹だから、当然同じ家に住んでいる。6つ離れた姉も同じ。
しかし、ブラコンの姉と双子の妹は、哲明の見た限りではあまり仲が良くない。
いがみ合っているわけではないが、にらみ合っていることがよくあるのだ。
「ところでさ、テツ兄はなんでここにいるの?」
「ああ、マカ姉に鍵の入ったかばん盗られてな。帰れなくなっちまったんだ」
「……また、あの女…………どうしてくれよう」
明菜の呟きは、哲明の耳に届かない声量で発せられていた。
哲明は頭を抱えて、ため息を吐いた。
「あー、合鍵作っとけばよかった。ゲームやりてえのに」
「またそれ? あのさ、夜中もあれだけやってんだから今日はやらなくてもいいんじゃない? 目、悪くなるよ」
哲明は昨晩、正確には今日の午前3時までロールプレイングゲームを遊んでいた。
中古で買ってきたゲームだったが、ベストセラーになるほどの面白さで、時を忘れて熱中していたのだ。
なぜ明菜が、哲明が寝る時間を削ってまでゲームをしていたことを知っているのか。
それは、哲明と明菜が同じ部屋で寝ているからだった。
「別にいいだろ、そんなこと」
「良くない。眼鏡は不便だって友達が言ってたし。テツ兄が眼鏡かけてるのなんて見たくないし」
「お前さ、いい加減に別の部屋に移ればどうだ? 空き部屋、まだあったろ?」
「嫌。めんどいし」
「じゃあ、俺が出て行こうか? 俺はその方がい――」
「駄目っ!」
哲明の言葉を遮るように、明菜が大声で吼えた。
「絶対に駄目! 駄目ったら駄目!」
「……なんでだよ。別にいいじゃんか」
「だって、私から離れたらテツ兄、1人で――」
「1人で?」
「1人で…………アレを……しごいて……」
明菜の声が小さくなっていく。同時に顔が少しずつ紅くなっていく。
机の上で指を組み、開いたり閉じたり。さらに目まで落ちつかない。
哲明は妹のおかしさに疑問を抱きながらも、問い詰めることはしなかった。
ただ、肩をすくめてみせた。
明菜もまだ子供だな。1人で寝るのが怖いなんて。
仕方ない。俺が折れるしかないか。
「そんなに嫌だって言うなら、やめるけどさ」
「いや……ティッシュさえくれるなら、やぶさかでは……ないよ」
「ティッシュなら店に行けばどこでも売ってるだろ」
「いや……テツ兄のアレがついてなきゃ……さすがにそれは売ってないし」
「さっきからアレアレって、何を言ってんだお前は」
そう言われて、明菜は肩をびくん、と震わせた。
「え、あ……私今、何言ってた……?」
「アレをしごいてとか、ティッシュにアレがついてなきゃ、とか」
「うわ、そんなダイレクトなことを? ごめん、テツ兄、今の忘れて!」
そう言うと、明菜は目を閉じて顔の前で合掌した。懇願しているらしい。
「このとーり!」
「わかったわかった、わかったから。なんでそんなに必死なんだよ」
妹がなぜここまで必死になって謝るのか、哲明にはわからなかった。
――もし、妹が毎日ゴミ箱の中身を漁っているという事実を知っていたならば、理由がわかったかもしれないが。
哲明は、指導室の壁に掛かっている時計で時刻を確認した。
すでに1時を10分ほど過ぎている。
どうりで腹が空腹を訴えているわけだ。
明菜も同じらしく、落ち着かない素振りを見せていた。
「テツ兄、ご飯食べた?」
「いいや。今日は家で食べるつもりだったから」
今日は終業式の日なので、校内の食堂は営業していない。
しかし、なんとかして腹は満たさなければならない。昼飯抜きにするつもりはない。
「明菜は家の鍵持ってたよな?」
「うん」
「じゃあ、帰ろう。腹減ったし。……あ、でもマカ姉がここで待ってろって言ってたっけ」
「放っておけば? 誰もいなければ諦めて帰るでしょ」
「それもそうか」
哲明は手ぶらで立ち上がった。明菜は机に置いていた学生かばんを持って立ち上がった。
指導室のクーラーを切り、ドアを開ける。途端に廊下の熱気が2人を襲った。
気温差に辟易しながらも、2人は指導室を後にした。
廊下の窓は開け放たれてはいるものの、それでも廊下にこもる熱気を追い払うまでには至らない。
風は吹いていない。陽光は窓を通って廊下を照らし、さらに気温を上昇させていた。
廊下を歩いている哲明の額に、汗が浮かんだ。
汗をハンカチで拭いながら歩いていると、後ろから足音が聞こえてきた。
明菜の足音ではない。
明菜は、窓側を歩く哲明の左側にいて、日差しを避けるように歩いている。
では、誰が?と思い、哲明は振り向いた。
後ろから歩いてきているのは、スーツ姿のマカ姉だった。
ただし、右手には哲明のかばんを、左手には自分のハンドバッグを握っている。
哲明はその場で立ち止まった。マカ姉を待とうとしたのだ。
しかし、明菜に腕を引っ張られて、強制的に歩かされることになった。
「待てって明菜。マカ姉が後ろから来てるぞ」
と言っても、明菜は歩みを止めない。いや、さらに速度を上げた。
そうすると、マカ姉の足の動きも忙しくなる。大股で前を歩く二人に近寄っていく。
「おい、明菜ってば――っ?!」
哲明の言葉が合図になったのか、明菜は哲明の手を引いたまま走り出した。
わけのわからない展開に、哲明の足が遅れた。
哲明が後ろを振り向いた。
その時、目にしたものを見て、哲明は――身の危険を感じ、駆け出した。
「待てぇぇぇぇっ!! テツぅぅぅぅっ!!」
マカ姉が、目を吊り上げ、腕を大きく振り、足を大きく踏み出して、追いかけてきていた。
廊下を全力疾走。教師にあるまじき行為だ。
だがそんなことは知ったことではない、といった感じでマカ姉は走り続ける。
哲明と明菜は、脇目もふらずに全力疾走をしていた。
廊下を曲がり、階段を駆け上がり、直線の廊下をひたすらに走る。
哲明はわけもわからないまま走らされていた。
そもそも、なんで逃げてるんだ?俺も、明菜も。
「明菜ーっ!」
「なー、にー! テツ兄!」
「なんで走ってんだー!?」
「…………知らなーーいっ!」
「はあぁぁぁ?!」
いきなり逃げておいて、知らないはないだろう。
哲明が、明菜に文句を言おうとしたとき。
「待て、明菜ぁっ! この卑怯者があ! いろいろ考えてみたが、やっぱり貴様のしたことは許せんっ!」
走り続けているマカ姉が、呪詛の言葉を吐き出した。そのせいで、哲明は口を開くのを止めた。
代わりに、マカ姉の台詞に疑問が沸いてきた。卑怯者?どういう意味だ?
しかし考える必要はなかった。
後ろから追いかけてくる姉が、わざわざ意味を説明してくれた。
「お前が部屋に持ってきたマカダミアンナッツのチョコ! お前があんなものを持ってこなければ!」
「へーん、だ! 一晩で全部食べるあんたが悪いのよぉ!」
「ふざけるな! 仲直りのしるしだとかなんとか言って、私を罠にはめたのは貴様だろうっ!
そのせいでマカ姉、なんぞという名前でテツに呼ばれているんだぞ! 撤回させろ!」
あー、つまり。
昨晩姉が、俺が女の子からもらってきたチョコを全て食べたのは事実だった。
んで、そう仕向けたのは妹だった、というわけか。
しかし、姉よ。さすがに一晩で食べなくてもいいだろう。
明菜、哲明、そして教師の順で、3階へ向かう階段を駆け上がる。
そして再び、誰も居ない廊下を全力疾走。もはや暑さも感じない。顔に当たる逆風が涼しいくらいだ。
「いい名前じゃん、マカ姉って! この間のマロ姉よりいい感じ!」
「なんだと! あれもお前が同じ手口で仕掛けてきたんだろうが!」
「あはははははは! マシュマロ食べてー、マロ姉ー!」
「こ、の……その顔! テツに見せられないようにしてくれるわぁっ!」
さらにスピードを上げる明菜。明菜についていく哲明。それを追いかける、お菓子好きの姉。
いつまでも息を切らさず、怒鳴り散らしながら走りつづける姉妹に挟まれ、哲明は止まろうと考えても止まれなくなった。
今日の昼飯はなんだろう。できたら、冷やし中華が食べたいな。
どこまでも加速していく鼓動に危機感を覚えながら、哲明はそう思った。
おしまい
終わりです。
キモ姉妹ってこんな感じですか?
656 :
648:2007/07/26(木) 01:14:57 ID:8LJvMIUy
途中で割り込むとはなんたる失態。吊ってくる。
>>655 その前にGJ。
たまにはヤンデレっ気がないのもありだな。
投下乙であります。
かわいいよ明菜かわいいよ・・・
是非とも続きが読みたいのですがw
テツ鈍感にもほどがあるだろw恐竜の神経でも流用してんのか。
マカ姉かわいいよマカ姉。
本名呼んでもらえなくて拗ねるのがまた素晴らしいよ。
>>659 続きは俺も望むところだけど、ヘタに流血沙汰起こすくらいなら一話完結で我慢します。GJでした!
もう一度言わせてもらう
鬼才あらわる
>>655 なんだか爽やかだなwww
病んでるのもいいが、そんなんばっかだと食傷気味になるしな。
こういうのもいいなー。
>>655 まだだ!まだ終わらんよ!!
続き書いてくれなきゃテロ起こす
こう・・・コミケで姉物買い占めるとかそういうテロ起こす
GJ!! なんか夕日ロマンスっぽいなぁ。こういうのもたまにはいい。
>>663 >>655の続きキボンなのは俺も同じだが、
>こう・・・コミケで姉物買い占めるとかそういうテロ起こす
こっちはお前、どっちにしろやるだろう?
>>663 地雷だけは避けろよ?
どこぞの「ぱぎゅ〜」が口癖な同人漫画家Lvの物だけは買うな。
誰かネタをくれたら、それを基に頑張ってもいいかなと思っている。
正直、思い浮かぶ話がありきたりなように思えてきて、思考が詰まってしまって仕様がない。
書く気すら起こらなくなったんだから尚更始末が悪い。
こういうときは、誰か別の人に頼ってもいいと、思うんだ。
クールで、無表情に弟を奴隷のようにパシらせこき使い貶したりするけど
心の底ではもんの凄い弟LOVEで弟が他の女と話すだけで内心キレまくってる、けど表面上はKOOLに装ってる
そんな姉
しっかり者で真面目で容姿も成績も完璧超人
でも普段は弟の世話ばかり焼いて甘やかす
口癖が「本当にとしくんは私がいないとだめなんだから」
実際のところは弟の世話をすることに依存していて
自分でもその自覚があるがどうしようもないので
弟を囲い込んでその障害は全部排除している
そんな姉
表面的には弟に全く干渉しない。姉から弟に話しかけることは事務的内容以外
ほとんどなく、普通の姉弟以上に疎遠な関係。
でも実際は弟と接することに対して極度に緊張してしまう為、うまく会話が出来ないだけ。
裏では弟の生態観察(盗聴&盗撮は当たり前)、弟関連ゴミ(体液付き)の回収、
ストーキング、泥棒猫の排除を当たり前のようにこなす。
そんな姉
そんな姉達が私は大好きです!!
でもゾウさんはもーっと好きでッしゃきゅばべっ
・・・右よし。左よし。
よっしゃ!今のうちに不意討ちじゃぁ!
というわけで「薬にも毒にもなる姉」第三話です。
相変わらず姉ものです。
エロがないのはあと少し待ってください。
それでは。
第三話 姉の意図
灯火 光
朝になったら目覚める。これは基本。
じゃあその基本ができない人ってどんな人?
ねぼすけとか夜型人間とかは除いて。
もうどうしても起きられない人。
「…何が言いたい。」
「これはあっくーの羞恥プレイ?」
「いや、結論を言え。」
おはようのちゅー
「んぐ、むごごががぁっ!」大喜びだ。
「ぷはっ、舌使いが激しい。」
「少し寝ぼけただけでこれはないだろ!はあ、いっそのこと窒息死させてくれ…。」
つまり王子様はお姫様にキスで目覚めるわけだね。
ふふふふふふ。
とりあえず朝ごはん。
あっくーは何だかしおしおしていた。
「ごめんね、お姉ちゃん。」
「うん、ホント激しかった。でも覚悟はもうできてる。でも式は6月にあげたいな〜。」
「ほんと昔に戻っちゃった。我慢してたけど。」無視ですか。てかあっくーのチキン。もっと、乱れる喜びをー。
「一人で立派に生きていけるように努力してたけど。」
あれはあっくーが小三の時かな。
それまではあっくーは素直にお姉ちゃん子だった。
蠅がたかるのを除けば幸せだったあのころ。
だけどある日を境に独り立ちして…。
お風呂も一緒に入らなくなった
二人でよりも友達と遊ぶようになった
勉強のわかんないところをとことん自分で考えるようになった
一人で寝るようになった。などなど。
神様、なんで人は成長しちゃうのかな。
「お姉ちゃんだって、僕から離れるために独り立ちしたのに。僕がまた逆戻りしちゃった。」
もう涙目になってきたあっくーを抱きしめる。
あっくーはもう十分強いから大丈夫だよ。
「ううん、弱い。また自分の親から逃げてる。」
「弱いってことが分かっているだけで、自分から逃げていないから強いよ。…て感じのことがなんかの漫画にあったような。」
灯火 芥
とりあえずお姉ちゃんなりの元気ずけをされた。
…まあ、いいや。
そういえば言い方も変えようかな?
姉貴と「あっくー、無駄な事考えない。」ふわぁ!
「あっくーがお姉ちゃんを呼ぶ時はお姉ちゃん以外無いんだよ。ついでに一人称もボクだよ。」
これは従うしかない。
昔自分のことを俺と言い始めたころにはひどい目にあった…。
「そんなことよりどう説得するか考えようよ。」
そこは正論だった。
「いっそのこと無職でお姉ちゃんのヒモになる?」自分から勧める人がいるとは。
10時頃ホテルを出た。
再び家に向かった。
「とにかく、自分一人で頑張ってみるからね。」
「うんうん、強いぞ。」
とにかく話さなければ始まらない。単純な結論に至った。
とりあえず今から向かうことを父に電話で報告。
「おかけになった…」
なんだ、電池切れてるのかな?念のためお姉ちゃんのを借りているのに。
かれこれ五回。無返答。
「もうついちゃったよ。」
あっという間に家の前だった。
さてインターホンを鳴らす。
…無反応。
もしやと思い振り向く。
ポストをみると当然の如く新聞がまだある。
「はいはい、ちょっとどいてねー。」
とお姉ちゃんは二つの太めのクリップを変形させてカギ穴に差し込んだ。
はたから見れば犯罪者。でも仕方ないだろう。
灯火 光
ロックを解除と同時に中に駆け込む。土足のまま駆け込んだ。
薄暗い家の中で人影を探す。居間、客室、台所、お手洗い。
「一階にはいないね。」
「まだ、寝てるだけならいいけど。」
奥へと進む足は焦りを表している。
寝室のふすまを急いで開けた。
「きゃあああああ!」
「どうしたの!」
「あ、あ、あはは、あははは。」
「お姉ちゃん、どうしたの?」
あははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは、
はははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは。
もはや、笑うしかない、状況だった。
蠅はいなかった。
あるのは、亡骸が、二つ。
すでに二人とも倒れていた。
布団から出てはいたが、床に這いつくばっている。
今日家に着たばかりで、この状況。
今笑わずして、いつ笑おう。
「もしもし、もしもし!」
しかしあっくーは、
「救急車をお願いします。対象者は二名!」
助けを求めていた。
「呼吸はまだあります。あ、あと・・・」
あっくーはそれをもとめるんだね。
「ど、瞳孔は・・・」
じゃあ、そうしようか。
「まぶたが閉じてて・・・」
「患者は二名ともインシュリンの過剰摂取による低血糖と見られる。ブドウ糖とグルカゴンを用意。」
「お、おねえちゃん!」
電話を奪い取り即座に指示を出す。
灯火 芥
覚えていない。
救急車で一緒に運ばれて、まるでドラマのシーンのような治療室の前のソファーで横になっていた。
何があったのか理解できない。それ以外思うことがない。
頭も心もついていけない。涙が出てくる以前の問題。
あれから何時間がたったのかわからない。
30分?6時間?それとも半日?見当がつかない。
自分の中身が空っぽになったみたいだ。
……たすけて。
「んー、どうしたのかな?」
上から光ねえが顔を覗き込んだ。
「今何時?」
「もう2時だよ、おなか減ったでしょ。ほらほら。」
コンビニの袋からサンドウィッチやらおにぎりやらを取り出す。
「いらない。」正直吐き気がしていた。
「…口移し希望ね。ちょっと待ってて。」
「わかった、食べます。だからやめて。」
消化しやすそうなたまごサンドをもらう。
以外に食べれた。おにぎりを数個もらう。
「大丈夫。低血圧じゃ人はそんなに死なないよ。」
「そう。」そうか、だから光ねえは落ち着いてられるのか。
しかし疑問が残る。
「お父さんは高血圧だったけど、なんで二人は低血圧で倒れていたの?」
お姉ちゃんは少し視線をずらした。
「…ミュンヒハウゼン症候群。」
ミュンヒハウゼン症候群
受験勉強の中でちょっとだけ目にしたことがある。
大雑把に言えば仮病だ。
症状をでっち上げ、病気のふりをして周りの人の注意を引こうとする精神面の病気。(本人は自覚なし)
また、薬のあやまた利用で病気の症状を自ら引き起こす人もいる。
たとえば、インシュリン…。
「え、それじゃあ自分でああなったの?」
「二人とも注射のあとがあった。お父さんは当然だけど、お母さんは必要がないのに。」
「そんな…。」
「たぶん私があんなこと言ったから。」
弱弱しく光ねえは言った。
「『自慢の娘』に突き放されたから、注意をひきつけようとして
「だから全部私の責任。」
目は潤んでいた。それでも僕のことだけを考えていた。
見計らっていたかのように手術中のランプが消えた。
灯火 光
あっくーにも担当医師にもお願いして一人きりにさせてもらった。
「いや、まだ三人か。」
意識不明、それが今回の結果だ。
「あなたたちが忌む、あっくーのおかげでこうなったんですよ。」
あの時のあっくーは予想外だった。
まさか自分から救急車を呼ぶとは。
「六年間。その間に考えが変わると思ったら。変わっていなかった。」
まったく救いようがない。
救いようがないのは今も同じと『独り言』をつぶやいた。
ハエのような醜い生物にも長所はある。
生命力。
しぶとさ。
「まあ、不思議ではないですが。」
当然といったほうがいい。
「ところで私は今医者と薬剤師の両方の資格を持ってるんです。この前はお父様のために血圧降下剤を開発していました。
そう、注射では一回一回がわずらわしいですから。たとえば、吸引。粉末状でそれを吸うだけで済む薬。
結果は失敗でした。利きすぎるのです。最少量にしても高血圧が、低血圧になってしまうほど。」
でも最終的には二人のために利きましたね。
昏睡状態から、脳死状態へ。
「あっくーはがんばりました。」
そう、これは私が望んだ結果です。
「それだけはわかってあげてください。」
「それでは」
永久に
「さようなら。」
誰にも切り離せない絆で結ばれた
「私たち二人は」
愛を味わいながら
「支えあい」
この上ない笑顔で
「生きていきます。」
そしてチューブというチューブを切り離した。
灯火 芥
春休み終了まであと一週といったところだ。
四十九日を終えたあと、筑波のマンションに戻ってきた。
時計によるともう五十日らしい。
「あっくー。」
「何、お姉ちゃん。」
「二人っきりになっちゃったね。」
「・・・うん。」
「やっぱしお姉ちゃん、間違ってたのかな。尊厳死なんて。」
「正解がないだけじゃないかな?どっちにしたって。それに・・・」
「先に言っておくよ。頼りたいときはお姉ちゃんを頼って。もうあんなこと…。」
そっか。だからべたつくのか。
一人が怖いから。
明確すぎる理由だ。
「わかった、ありがとう光ねえ。」
背中に寄りかかりながら、時々は甘えようと思った。
それが光ねえの強さになるのなら。
ぷはっ!
息を潜めるのも苦労するぜ
GJだw
第三話、これにて終了です。
なんか完結のようですけどまだ続ける気持ちです。
よろしくお願いします。
>>298-318 なんというか、ビビリました。
このあたりを読んで、話を変えました。
そのせいでかなり遅れました。
すいません・・・。
>>315の目欄
せ、正解!
らむだは遊び人なので、こんなことを毎回隠しています。
隠れてないのもありますが。
暇になったらでいいので探してみてください。
ちなみに今回も。
>>518 待たせました。すいません。
え?お前はついで・・・。
それではまたの機会に。
てか、次は早くします。
すいません。
GJィ!!!
光ねえかわいいよ光ねえ
wkwktktkして続きも待っておりまする
>>682乙かえり、そしてGJ!!
作者さんはきちんと感想読んでくれてるんだなー。
そういうのが反映されてるのを読むとすごい嬉しいです。
意見を聞いてくれるのは嬉しいがあまり聞きすぎるのもよくない。
さじ加減が難しい
全レス状態になると容量も食うしねぇ。
でも、自分のメッセージが作者さんに届いてるってのが実感できるところがいいよね
らむだ氏GJ!
細かい事言わせて貰うと、
元気ずける ×
元気づける ○
ま、あんまり気にせず、頑張ってくれ。続きも待ってる。
ニャ━━━━ヽ(゚∀゚)ノ━━━━ン!!
690 :
689:2007/07/29(日) 23:47:03 ID:m0SgWOar0
692 :
ツナギ小ネタ:2007/07/30(月) 03:20:59 ID:uZ1TLEdW
妹であるが故、
それ故兄を、若しくは弟を愛せない。
そんな規定、規則、概念を一体どこの誰が創り上げたのであろう。
遺伝の問題は分かる。だが倫理的な問題とはなんだ?
同じ血を分かつ者同士、何故愛し合ってはならない?
互いを誰よりも理解し合った二人なのに、何故時を分かち合えない。
血をより濃く残すため、本能で身内と交尾する動物が
世の中にはいるというのに…
不幸にも神は私を人として創り上げた。
だから私は”仮想”の兄を想い、来る日も明くる日も
体を慰め続ける、実の兄を持ちながらも。
「ただいま〜、ウヒヒッ!いや〜いい新刊がいっぱ」
「死ね!キモヲタ!」
バキィ!!!
どうやら神は人の理想を悉く粉砕するのがお好きなようだ…
また(トリップ無いから誰も知るはずありませぬが)
即興で書いちまいました。ルール違反…
深夜の暴走は怖いですな、
気がついたらネタを書き上げてる私が…
スレの趣旨と全く違いますがクールダウンにお使いください。
今気づいた。
これ妹スレ行きの物だった…誤爆スマソ
深夜には気をつけます。
えんがちょえんがちょ
>>692 その後に妹のクラスに女の子が転校してくる
↓
仲良くなる
↓
転校生の女の子の家に行く
↓
転校生の兄登場
↓
理想ktkr
↓
だけど転校生女も兄を…
とかもいいかもな
>>692の11行目までが何となくきのこっぽいなw
700 :
ドラ〇もん:2007/07/31(火) 12:07:25 ID:IeE3Hoz6
ジャイコ「お兄ちゃ〜ん」
ジャイアン「…うるさい」
ジャイコ「え!」
ジャイアン「うるせえつってんだよ!」
ジャイコ「!?……い、いつもの優しいお兄ちゃんじゃない……ねぇ!どうしたの!」
ジャイアン「…キモい」
ジャイコ「え!」
ジャイアン「デブでブスのお前が甘えてもキモいだけなんだよ!あと、俺が優しいのは映画だけだ!」
ジャイコ「………」
ジャイアン「おい、どうした!何も言い返せねぇのか!?この脂肪分100%が!お前みたいな奴はさっさと死ぬぇ!!!」
ジャイコ「…………殺」
その後、ジャイアンの姿を見た者はいないと言う…
ジャイコってよく考えたら腐女子だよな…
やっぱフジコはすげえ
>>703 腐女子という言葉は最近だと801好きだけじゃなく、単に同人女とかオタク女という意味でも使われる
ジャイコが好きな人って、のび太?
ジャイアンだろ
>>705 ドラえもんによって改変された後の世界だと、出来杉くんと結婚してるな。
改変される前ならのび太と結婚してるけれど。
時空パトロールはまずのび太のとこに行け
>>709 本編でのび太の孫がなにやら言い訳して犯罪じゃないとか言ってたけどそれが負かり通るならとんでもないザル法でふね
どうでもいいが、ジャイ子はのび太と結婚しない場合大漫画家になる可能性がある。
それこそジャ○プの看板作家レベルになるとかならないとかそんな噂も。
そういや、なんでジャイコは出来杉くんと結婚する歴史の方だと大漫画家になる上に超美人になるんだ?
>>712 いや、あれジャイコじゃないだろw
出来杉くんは普通に美人な嫁さんと結婚してた気がする。
外国人とのハーフと結婚してたな出来杉君は
とりあえずそろそろスレ違い
えっと・・・ここはドラえもんスレでつか?
じ、冗談じゃ…!
ナナリーの日記
○月×日
今日、カレンさんという新しい人が生徒会に入った、お兄様に近づいたら許しません
相変わらずシャーリーさんもお兄様に気があるみたいで、死ねば良いのに
ミレイさんみたいに早く諦めた方が身のためですわ
○月△日
今日、CCと言う人がお兄様に会いにきた、死ねば良いのに
□月○日
最近、お兄様の帰りが遅い、どこかの泥棒猫にたぶらかされて無ければ良いけれど
□月●日
シャーリーさんがお兄様と喧嘩したらしい、良い気味
このまま二度と近づかないで欲しい
□月▲日
今日は変な男の人に誘拐された、お兄様がスザクさんと協力して助けてくれた
やっぱりお兄様は最高
×月□日
お兄様がスザクさんの事を好きか聞いてきた、
好きだと答えたけれど本当はお兄様に近づかなければという条件がある
▲月×日
そういえば泥棒猫のカグヤさんは元気かしら
718 :
時給650円:2007/08/01(水) 13:27:23 ID:HtP9Iqwx
昔、どこかのスレ(忘れんなよ)で投下した妹モノです。
保管庫にも無かったし、多分ここじゃないとは思うんですが。
719 :
時給650円:2007/08/01(水) 13:37:52 ID:HtP9Iqwx
「可苗(かなえ)、ちょっといいかな?」
「はい?」
秀樹は、おずおずと妹に話し掛けた。
彼女は、制服の上にエプロンを羽織った姿で、晩飯の食器の後片付けをしている。
「何でしょう、お兄ちゃん」
蛇口を捻ってお湯を止め、エプロンの前掛けで手を拭きながらこっちに笑顔を向ける。
例え、仕事中であっても手を止め、人の話はキチンと聞く。
亡き母から仕込まれた躾は、こういうちょっとした動作にも表れ、さらにその所作一つ一つに、溢れんばかりの気品が満ちている。
さらに、その輝くばかりの美貌は、彼女の通学する高校(私立フローレンス学園)において、“フロ学の五花”と呼ばれるほどの可憐なものであった。
しかし、秀樹は知っていた。
この花が、決して可憐なだけの存在ではないことを。
その笑顔の裏には、鬼子母神も裸足で逃げ出す、情の怖さがあることを。
そして、これから自分が彼女に対して言う台詞が、まさしく、寝ている虎の尾を踏むに等しい発言であることも。
「――今晩はさ、その……」
「どうしました?」
「……俺、独りで寝ていいかな……?」
「……」
「……あの、可苗……?」
妹の表情から、感情が消えた。
可苗は、その目鼻立ちが美しいだけに、その顔から表情が消えると、さらに凄まじい恐怖と威圧感を相手に与える。
無論、彼女がそんな威圧感を与えねばならない相手など、この実の兄以外にはいないのだが。
――きゅっ。
可苗が再び蛇口を捻る。
ステンレス製のシンクに、叩きつけるような勢いで、水が流れ出す。
勿論、食器洗いを再開するために流す水ではない。
これから起こる騒ぎを、少しでも紛らわすための、意図的な騒音だろう。
この家は二世帯住宅で、階下には、何も知らない祖母が住んでいる。今の二人の関係を、何をどう間違っても、祖母に気取られる訳にはいかないのだ。もっとも、最近は耳が遠くなりつつある祖母相手に、そこまで神経を使う必要があるかどうかは疑問だが。
720 :
擬似姉妹:2007/08/01(水) 13:42:19 ID:HtP9Iqwx
――つまりは演出なのだ。
この水音一つで可苗は、この空間は今、外界から遮断されたと。さらには『私は本気なのです』と、そう言いたいのだ。
可苗はシンクから離れ、表情も変えず、足音すら立てずに秀樹に近付いてくる。
「か、可苗……っ」
「お兄ちゃん、何でそんなこと言うの?」
「ちっ、違うんだっ、――これは、その……」
「可苗のこと、嫌いになっちゃったんですか?」
「いや、だから、聞いてくれ可苗っ! ……これは、その――」
その瞬間、秀樹の目から火花が散った。
腰や膝から力が抜け、壁際に立ててあった食器棚に頭をぶつけ、へたり込む。
彼はその、頬から響く、熱を伴った痛みを感じ、初めて自分が妹のビンタに張り飛ばされたことに気付いた。
いや、もはや眼前の女は“妹”などと呼んでいい、気安い存在ではなくなっていた。
「“お姉様”でしょ? “可苗お姉様”。二人きりで、こういう話をする時は、お兄ちゃんが可苗の“妹”になるはずじゃなかったのですか?」
「……」
「忘れたのですか? “秀美”」
可苗は、その瞳にようやく感情の灯火をギラつかせて、食器棚と背後の壁に、身をゆだねたまま、だらしなく尻餅をつく兄に囁きかけた。
それも意図的に、“秀美”と兄を女の名で呼びながらである。
その眼光に輝く感情とは、怒りと情欲。
そういう生々しい閨の話題を、自分からは滅多にしようとしない兄が、ようやくその手の話の口を開いたと思ったら、寝室を別々にしようというオチだったという失望。怒り。
さらに、その話を口実に、今晩はどれほど酷いお仕置きを、眼前の愛する男に施すことが出来るだろう。そんな情欲。
可苗のその眼光に、秀樹が思わず目を伏せる。
「……忘れていません、“可苗お姉様”……」
「うん、それでいいんです、“秀美”――」
そう言って、可苗は目を潤ませた兄の顎を、くいっと持ち上げると、貪るようなキスをした。
そう。
彼と彼女の間には、そういう契約が結ばれていた。
実の兄妹でありながら、秀樹にとっては、可苗とそういう関係を結んでしまったという事実そのものが、彼の魂を呪縛する格好の鎖となり、以降、可苗の言い出すムチャクチャな要求を、断固たる態度で拒絶できない根拠となっていた。
そして可苗は、性行為に及ぶ晩には、秀樹のことを兄ではなく“妹”として扱うことを、一方的に彼に宣言し、その宣言は忠実に実行された。
実の“兄妹”では無い、かりそめの“姉妹”での痴戯として、可苗は秀樹を嬲り抜き、弄びたおしたのである。
「じゃあ、説明してもらえますか“秀美”、何故そんな可苗を怒らせるようなことばかり言うのか?」
「……」
「言いたくないんですか? それとも、口が利けなくなったんですか?」
「……」
「なら、お仕置きの続きをしましょう」
可苗の細い左手が、秀樹の首にかかる。
その指は、丁度測ったように秀樹の頚動脈にかかっている。
可苗はこうやって、息が出来るギリギリの状態で秀樹に往復ビンタを喰らわすのが大好きだった。
「待って、待って! 言う! 言うから!!」
「では、聞きましょうか」
「……ですから、その――」
721 :
擬似姉妹:2007/08/01(水) 13:44:07 ID:HtP9Iqwx
この期に及んでも秀樹は言いよどんでいる。
もっとも、早暁までに及ぶ行為を連日連夜、飽くことなく繰り返す可苗の化物じみた性欲は、普通の男ならば3日と耐え切れない過酷なものではあった。
だが、秀樹が言いたいのは、そんなことではなく、更に恥ずべきことであったからだ。
「――たいんです」
「はっ?」
「お尻がもう……痛いんです……。ですから、しばらく、その……休ませて頂きたいんです」
「ぷっ……!」
「?」
「くすくすくすくす……なぁに、それ……?」
「か……なえ?」
「お尻が痛いって……ぷっ……そんな理由で……そんな死にそうな顔しちゃって……くすくすくすくす……かっ、かわいい……」
可苗は、余程おかしかったのか、膝を突き、腹をよじるように笑い始めた。
そんな可苗を複雑な表情で仰ぎながら、しかし、秀樹の心中は穏やかではなかった。
痛いのである。
実際、可苗にペニバンで掘られた肛門が、もはや悲鳴をあげているのだ。
現状では、未だあくまで日常生活に支障をきたす程度ではない。
また、ペニバンを装備し、腰に手を当てて仁王立ちに構える可苗は、それだけで彼の股間がはちきれそうになるほど凛々しいのだが、明らかに、これ以上のアナルセックスはまずいと、そう思わせる痛みが秀樹の肉体を支配しつつあった。
しかし、可苗が笑ったというのは、秀樹にとってはまだ、『少なくとも、今夜は救われたかもしれない』という、希望を抱かせはした。
そして、そのことが、より深い絶望へと秀樹を蹴りこむこととなる。
「じゃ、“前”でしましょうか?」
「なっ?」
「“後ろ”が嫌なら“前”を差し出す。これは妹として、いえ、“兄”として当たり前の事と思うんですけど」
「かなえ……」
冗談ではない。
そもそも、可苗に尻を差し出したのも、彼自身、性行為にどうしてもペニスを使用したくないからなのだ。
兄妹相姦というタブーを犯すことを、この実の妹は何故か、まるで躊躇わない。
避妊に対しての感覚がズボラだというわけではない。
基礎体温も計れば、ゴムも着ける。膣(なか)出しするのは基本的に安全日だけだ。
しかし万一、可苗が妊娠するようなことにでもなれば、自分が全ての責任を負って自殺しても追いつかない。――秀樹はそれくらいは考えるだけの責任感と冷静さはあった。
しかし、かつて可苗は、そんな兄の小心さを笑うようにこう言い放った。
『安心して下さいお兄ちゃん。可苗は、お兄ちゃんの子供なら、むしろ何人身ごもっても大丈夫です』
この発言に、秀樹はさらに慄然とした。そして……
ペニスを使わずして、妹の獰猛なまでの性欲を静めるための器官として、アナルを泣く泣く差し出したのが、そもそもの彼らの擬似姉妹プレイ――姉に貞操を捧げる妹というシチュエーション――を始めるきっかけだったのだ。
722 :
擬似姉妹:2007/08/01(水) 13:48:07 ID:HtP9Iqwx
「どうします? このまま“兄”として“前”を使って普通にします? それとも“妹”として私に“後ろ”を差し出します? 可苗はどちらでもいいんですけど」
可苗は薄ら笑いすら浮かべている。
秀樹が知る彼女の排卵周期では、そろそろ危険日真っ盛りのはずである。にもかかわらず、可苗はその笑みを消そうとしない。
(今日、“前”を使ったら、お前は妊娠しちまうんだぞ)
などとは、秀樹は言わない。
妹に対し、“妊娠”というキーワードが脅しにならないことは、この身を以って嫌と言うほど知っているからだ。
「“後ろ”を使ってください、可苗お姉様……」
「いいんですか? まだ痛いんでしょう“秀美”」
「ですから……その……優しくしてください……」
「くすくすくす……仕方が無いですねえ……他でもない、大事な“妹”の言うことですからねえ」
可苗は、その美貌に張り付いた歪んだ笑みを消そうともせず、へたり込んだ秀樹を、頭の先から爪先まで、舐めまわすように視姦すると、
「じゃあ、いつものように始めましょうか」
エプロンを外し、制服と下着を脱ぎ始めた。
そして、その放り投げられた下着と制服とエプロンは、いつものように秀樹が、いや“秀美”と呼ばれる人物がまとうことになる。
「相変わらず、すごく似合ってます……やっぱり“姉妹”の血は争えないですね」
すでに可苗は全裸になって愛用のペニバンを装備し終え、いつでも戦闘態勢に入れる準備は出来ている。
そして、やはり可苗のエプロンと制服に着替えを済ませた“秀美”のメイクを仕上げていた。
「……ありがとうございます、“可苗お姉様”」
秀樹は可苗から目を逸らしながら呟く。
実際、秀樹には女装がよく似合った。
可苗は、ともに十人並みの器量しか持たない両親から、どうしてここまで――と、他者が溜め息をつくほどの美貌と気品を持って生まれついたが、兄の秀樹とて、決してブ男ではない。
妹の美貌がズバ抜け過ぎているから目立たないが、彼とて、美男とは呼べぬまでも、充分ハンサムで通る容姿の所有者であった。
可苗がふざけ半分に彼に強制した女装で、二人は意外なほど女装に違和感の無い秀樹の姿に愕然となる。
そしてその事実は、可苗の嗜虐的で倒錯的な情欲を、人一倍刺激する結果となった。
彼女は自分のクローゼットを秀樹に開放し、非安全日以外の晩、つまり生で膣内射精が可能な晩以外の性行為は、すべて兄に女装を強制し、彼を“秀美”と呼んで、以前よりなお一層、秀樹を弄ぶようになった。
「――これでいいですよ“秀美”」
メイクは終了した。
そこにいるのは、可苗に良く似た一人の少女“秀美”であった。
エプロン、制服、そして下着までも、可苗がさっきまで身に着けていたものは全て秀樹に着替えさせ、彼女は満面の笑みを浮かべていた。
すでに可苗のペニバンの内側は、雨季の湿地帯のようにぬかるみを帯びている。
「さあ、いつものように挨拶して下さい“秀美”」
「は…い…」
“秀美”はのろのろと体を起こし、可苗の足元にひざまずくと、そっと、可苗の爪先に口付けをした。
「どうか今晩も……よろしく“秀美”を可愛がってくださいませ。“可苗お姉様”」
723 :
擬似姉妹:2007/08/01(水) 13:57:21 ID:HtP9Iqwx
「んふふふっ……はい、よく出来ました」
世にも嬉しそうな笑顔で、可苗はシンクで未だ出しっ放しになっている水を止めた。
「それじゃあ“秀美”、お尻を見せてください」
「お尻を――ですか?」
「はい。たった今おっしゃったじゃありませんか。お尻が痛いと。それほど痛いなら、この可苗お姉様が治療してあげます」
「はい……」
耳まで真っ赤にして“秀美”はうつむく。
ウィッグでよく見えないが、羞恥の余り、恐らく首筋まで紅潮しているはずだ。
いつもこうだ。
“秀美”はいつまでたっても、可苗の責めに慣れない。
どれだけ分厚いメイクを施しても、派手な女物の衣服を着せても、彼が女装に興を覚えること無く、男としての羞恥心を忘れることも無かった。
そして、自分が可苗の“兄”なのだという事実も。
(そうこなくちゃあ、ね。お兄ちゃん)
可苗自身、この兄が、妹である自分に、自ら尻を差し出して『僕に可愛い格好をさせて下さい』とおねだりする瞬間など想像できない。あくまでも羞恥にむせび泣く兄に女装を強制するからこそ面白いのだ。
まあ、自らおねだりする兄の姿も、なかなか乙なものではあるだろうと思うが……。
「後ろを向きなさい」
と、言われるがままに可苗に背中を向けた“秀美”の肩が震えている。
例え何をされるか想像はしていても、やはり怖いのだろう。
可苗は、そんな健気な秀樹が可愛くて可愛くてたまらなかった。
文字通り、この手で縊り殺したいほどに愛しかった。
そんな彼が、いや“秀美”がはいているスカートを、そっとめくり上げ、ショーツを膝元までズリ下ろす。
ショーツはじっとり湿っていた。
無論、秀樹自身の体液ではない。
可苗自身の愛液だ。
秀樹がその下着に着替える前、つまり行為直前に可苗の衣服に着替えさせられる前に、すでにして可苗は、今夜の楽しみに興奮して、濡らしてしまっていたのだ。
もっとも、二人からすればそんなことは、特に珍しいことでも何でもないことだったが。
「あ〜あ〜、確かにこれは痛そうですねぇ」
彼の肛門は、日々の荒淫にすっかり化膿寸前にまで腫れあがってしまっていた。
「ん……ぐぁっ……」
可苗の舌が、そんな“秀美”のアナルをほじくる。
それも、執拗に。何度も何度も、なぞるように。
快感はあった。
しかし“秀美”は、ひりひりとした痛みが、快感以上に、染みとおるようにアナルに吸収されていく。そんな刺激に声を立てる。
「“秀美”、あんまり大きなお声を出したら、下のお婆ちゃまに聞こえちゃいますよ」
「――でっ、でもっ……ひぅっ……ぐっっ!!」
ねちょり、にちゃり、くちゃり……。
徐々にだが、可苗が這わす舌の音の響きが大きくなってゆく。
「ひぐうううっっっ……!! おっ、おねえさまぁっっ!!」
(――お声が大きいって言ってるのにぃ)
ずぶり。
可苗が、舌を“秀美”のアナルに直接挿入してきたのだ。
「〜〜〜〜〜〜っっっっ!!」
もう、自力で立っていられなくなったのだろう。“秀美”が壁に手をついて、体重を預け、必死に崩れ落ちないように、身を支える。
(無駄な抵抗ですよ、お兄ちゃん)
GJ!!いもうと大好きスレだったかな?
GJGJ!!
726 :
擬似姉妹:2007/08/01(水) 14:05:02 ID:HtP9Iqwx
可苗の両手が“秀美”の尻タブを割り、唇と肛門をゼロ距離にして、可能な限り、舌を直腸内に侵入させてくる。
可苗は、この兄を“秀美”と呼んで妹扱いをし、まるで玩具のように弄ぶが、その心中では、決して彼を軽んじているわけではない。
むしろ逆だ。
彼が好きで好きでたまらない。
そういう意識こそが、可苗のサディズムを刺激し、嫌がる女装を強制し、男であるはずの秀樹を敢えて男扱いせずに、その肛門を辱め、嬲り、弄び、彼の魂に徹底的な屈辱感を与え続ける。
自分は実の妹から、女のように犯される兄なのだという、屈辱感を。
それこそが、秀樹に対する可苗なりの愛情と独占欲であり、可苗なりに秀樹をトリコにするための努力の表れであった。
可苗の舌が、こりっとした前立腺に到達する。
「〜〜〜〜〜〜〜っっっ!!!!!」
もはや“秀美”は声も出ない。
というよりむしろ、自ら、声を上げられないように、自分のスカートとエプロンを必死に口にくわえ込み、歯を食いしばっている。
膝も腰もふくらはぎも、下半身はガタガタに脱力しまくっているのに、とっさにそういう機転だけは回る。もっとも彼は基本的に頭のいい男ではあったが。
肛門の中には、当然トイレで拭ききれなかった排泄物のカスなども残っていた。
しかし、可苗は全く気にもせず、というよりむしろ、可苗自身の唾液でゲル状になった彼の排泄物のカスを、自ら進んで吸引し、飲み込んだ。
汚い、などとは思わない。
これが、愛する男の生み出した物質なのだと思うと、むしろ、神にかしづく殉教者的な感覚すら浮かんでくる。
「はぁっっっっ!!!」
“秀美”はとうとう、口中のスカートとエプロンを吐き出し、その場に崩れ落ちてしまった。
しかし、それでもなお、可苗の舌は“秀美”の肛門から離れない。
腰から崩れ落ちた“秀美”に合わせて、膝をついて巧みに身を低くし、なおも執拗にそのアナルを口撃する。
「あっ……あっ……あっあっあっあっ……」
“秀美”自身、ここまで来たら、もはや腫れた肛門に唾液が沁みる痛みより、直腸からじかに発生する快感に、神経を支配されている。
床に膝をつき、のけぞるようにして、この圧倒的な快感をやり過ごそうとする秀樹。
だが、そうは問屋が卸さない。
そもそも、可苗はアナルを責められている“秀美”が、この程度の刺激で満足できるはずも無い事など、百も承知だった。
――くちゅり。
ペニバンから生える擬似ペニスを片手で握り、軽く上下させる。
(っっっっっっっ!!!!!!)
その瞬間だけで、軽く絶頂2回分クラスの高圧電流が、可苗の全身を貫く。
が、可苗はこらえる。
(まだ……ダメ。まだ逝っちゃダメ……。可苗が、可苗が先に逝っちゃダメなの。お兄ちゃんを逝かせてからじゃないと……可苗は逝けないの……。)
布一枚に隔てられたペニバンの奥には、少々小ぶりだが、やはりれっきとした擬似ペニスが彼女の胎内をえぐっている。
そして膣からは、大量に分泌した白い愛液が、通気性のいい布を通して、外に突き出したディルドーにしたたり、それを握り締めた可苗の小さな手をグッショリと濡らす。
そして、
(そろそろかな……?)
と思った可苗は、自分より20センチも小柄な妹に壁に押し付けられ、四つん這いに悶え苦しむ兄の腰に手を回し、ぐいっと引き寄せ、そのまま、仰向けに引っくり返してしまった。
「“前”も“後”もダメなら、お口とお指しかないけど、“秀美”はどっちがいいですか?」
727 :
擬似姉妹:2007/08/01(水) 14:07:32 ID:HtP9Iqwx
「口と……」
“秀美”の震える声を聞いて可苗はにんまり笑った。
見るもの全てを魅了するような、いやらしい笑顔で。
「指……?」
引っくり返されると同時に肛門への愛撫がやんだため、“秀美”は何ともいえない潤んだ目で可苗を見上げる。
可苗は可苗で、眼前の少女のその切なげな瞳に、締め付けられるようなトキメキを覚えたが、敢えてこらえ、
「そうです。どっちがいいか、この“お姉様”に教えて下さい。キチンと聞こえるようにハッキリと声に出して、ね」
そのまま、ペニスをれろ〜〜っと、舐め上げた。
「あうううううっっ!!」
「お口ですか? ――それとも」
可苗は、自身の本気汁で白く染まった人差し指を、
――つぷり。
と、爪半分だけ挿入した。
「ひううううっっっ!!!」
「お指ですか? ――それとも」
「かなえ、かなえ……おねえさ……ひぃぃぃっ!!」
可苗の舌が、再び“秀美”の亀頭をくすぐった。
「両方同時、がいいですか?」
「はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ……!」
もう“秀美”は、息も絶え絶えになっている。
「ふふ……、早く教えてくれませんと、可苗、やめちゃいますよぉ?」
「――待って、やめ、やめないで、くださいっ!!」
「だったら早く、言いな……さい!」
最後の『さい』に合わせて、可苗は“秀美”の乳首を捻った。
「っっっっ!!!」
「あらあら……本当にどこでも感じるお体なのですね。羨ましいですわ、全く……」
さらにそう言いながら、彼のアナルに突っ込んだ指をねじり、徐々にだが、深く挿入しつつある。
「――ああ……」
もはや“秀美”は、腫れ上がった肛門の痛みを感じていなかった。
ただ、絶望的なまでに耐えがたい、快楽への餓えがあった。
――つつっ。
「あっ!」
“秀美”を突如襲った空白感。
「時間切れです」
可苗が、彼のアナルにインサートしていた指を、引き抜き始めたのだ。
それも、挿入時と同じく、じわじわとした速度で。
「どうしたのです“秀美”? そんな目でこちらを見て」
「……」
“秀美”はふるふると首を振り、世にも切なげな眼差しで可苗を見つめる。
しかし、可苗の意地悪は終わらない。
「あなたがいけないんですよ“秀美”。お口かお指か両方か、早く言わないからですよ」
「――可苗お姉様っっ!!」
728 :
擬似姉妹:2007/08/01(水) 14:09:56 ID:HtP9Iqwx
可苗の死刑宣告を遮るような形で声を上げる。
実際、この妖艶すぎる妹に洗脳された兄には、彼女が提供する黒い快楽をはねのける精神力は、もはやなかった。
「――ください……」
「何を……?」
「“秀美”のいやらしい身体に、……かっ、可苗お姉様のお指と、お口の……お情けを下さい……」
すでに“秀美”の顔は、羞恥で耳まで真っ赤になっていた。
そしてそのペニスからは、先走り液がどくどくと滴り落ちている。
「――聞こえません」
「えっ?」
「もっと大きい声で、具体的に言ってください。可苗は“秀美”のどこに何をすればいいのかを」
「……」
「言えないのですか?」
可苗は、すっと身体を離す。
「まっ、待ってっ!?」
“秀美”は、半ば恐怖に近い心境で可苗の手を取り、
「いっ、いれてください」
「どこに? 何を?」
「可苗お姉様のお指を“秀美”の“後”にいれて下さいっ!」
「それだけでいいのですか?」
「いいえっ、いいえっ! お姉様のお口で、“秀美”のクリトリスをおしゃぶりしてくださいっ!!」
「――んふふふ、よく言えました」
『ご褒美』と言わんばかりのタイミングだった。
次の瞬間、“秀美”のアナルに可苗の人差し指が奥まで捻りこまれ、その衝撃で思わず発射された彼のスペルマは、可苗の愛情こもったディープスロートにより、1gも外気に触れる事は無かった。
そのまま可苗は、指も抜かず、口も離さずの三連発で適度に彼の精を散らした後、ペニバンを脱ぎ捨て、ペニバン内側の小ペニスを“秀美”に突きつけた。
「“秀美”、これを咥えてください」
突きつけられたミニディルドーは、可苗の純白の本気汁がねっっとりと付着している。
しかし、それを汚いと思う神経は、当然いまの“秀美”にはなかった。
また、次々と新たな快楽を与えてくれる可苗に逆らうと言う選択肢も、当然彼には持ち合わせてはいなかった。
「はい。可苗お姉様」
まるで、聖なる神具を扱うように、うやうやしく手に取ると、なんの躊躇いも無く“秀美”はそれを口に咥えた。
何をするかも、何をされるかも分かっている――。
「さあ、来て“秀美”……今度はあなたが可苗を満足させて下さい」
“秀美”はそのまま四つん這いになり、口から擬似ペニスを生やした奇怪な生物となって、可苗の下半身に覆い被さる。
「くふうううっっっ!!」
可苗は“秀美”の頭部に両足を回して固定すると、
「突いてっ、突いて下さいっ!! ……可苗のおまんこの奥まで、もっと、突いて……ああああっ!!」
今度は、可苗が自分の口に物を突っ込む番だった、というべきだろう。
(きっ、きもちいい……!!!)
実際、彼女のいびつな愛欲は、この兄が自分のためにどこまでプライドを捨ててくれるかによって、その感度が上昇し、もはや普通のセックス――正上位や後背位といった通常の――では、満足しきれぬほどに肥大していた。
つまり、男としての兄を騎乗位でねじふせるのも、男を捨てて女装してくれた兄を犯すのも、人を捨てディルドーを咥えた“犬”と化した兄に奉仕させるのも、同様に、彼女を異常なまでに興奮させる効果を生むのだ。
それは結果として、可苗の兄に対する愛情というエネルギーを、ますます歪んだ方向へと導き、秀樹自身すら気付いていなかったマゾヒズムを確実に萌芽、育成させてしまった。勿論、兄自身はあくまで認めようとはしないだろうが。
そして、この二人は、もはや引き返せないところまで来てしまっている。
宴は、まだまだ終わらない。
729 :
時給650円:2007/08/01(水) 14:16:44 ID:HtP9Iqwx
以上です。
>>724 多分違いますな。一応、向こうの保管庫も当たってみたし。
で、いま続編書いてます。
お尻を犯されるなんとかスレとか
割り込みスマソ
肛門にトラウマがある俺には怖くて最初の部分までしか読むことができん・・・
不覚にも興奮
魂響 陵辱sideの紅を思い出して興奮してしまいますた。
あのゲームはキモキャラばっかでオカズにもできたしよかった。
>>733 ガキの頃ウルトラマンのフィギュアで遊んでたんだ(15センチ位の大きさの)
部屋中にフィギュアを撒き散らかして部屋の中をフィギュア持って駆け回ってたんだ
で、走り疲れて床を確かめないでドスンと座りこんだんだ
俺の尻の下に長く尖った尻尾のついている怪獣が置いてあることに気付かないで…
兄妹だけど姉妹の妹にされるて、どれだけ変態行為やねんwwww
女にお尻を犯される男の子スレか・・・
>>736 俺の肛門がキュっと締まった
この夏最高峰の恐怖をありがとう('A`)
>>735 名作だよなぁ。はんぱなくエロかった。
女装といえば某緑の看護婦もそうだな。
あれも良かった。
>>740 スレ違いと知りつつもつい反応。
某緑の看護婦は良かったよな。あれは実に心が安らいだ。癒しというか・・
でも、ガキの頃からアナルオナが好きだった
>>736はむしろ気持ち良かったのであった…
痔持ちの俺は掘られるぐらいなら死を選ぶ
綾分が著しく不足しております
ロォォォドォォォロォォォドォォォ
義理キモウトができました
>>747 ブサイクですけど、仕草は可愛いです。…とか?
>>748いや、スペックは普通。
キモかったらいいなと俺の願望。
>>749親を離婚させろ。または犯らせろ。話はそれからだ。
実妹が可愛いのも逆に辛いよ
やるわけにもいかんし・・・・
>>751 ……同感。
というか少し前に彼女が出来たのがバレたんだが、その時から何故か妹の機嫌が悪いんだ……。
直前まで普通に話してたのにバレた瞬間からいきなり悪くなったというかlllorzlll
>>752 それは多分、何故貴方には恋人ができて私にはできないんだ!…と思ったからでしょう
リアルの話はよそでやれ
それにあまりにも胡散臭すぎるしな
>>751 妹なんかどんな顔してても可愛いもんだよ?
>>755 俺もいい加減うざいんだけど・・・
他所でやってほしい。
ここは職人様の描くキモ姉妹に萌えるスレだ。自分の姉妹自慢はよそでやれ
>>755 スレ的に、なんて言葉は使えないんだよその場合
いい加減消えてくれよ
投下はまだですか・・・
待つな
おまえ
が書く
のだよ
綾かわいいよ綾!!
765 :
名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 11:24:06 ID:tbmaUzJQ
待ちます!
何週間。いや、もう何ヶ月でも待てる尾!!!!!!!!!!!!!!
とりあえずいわせてくれ。
綾と俺の妹を交換してくれ!
保管庫更新キテタコレ
770 :
名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 12:19:47 ID:SvEoAuZd
>>768 確かに、お前の妹の顔は酷過ぎるからなー。
wktk
保管庫更新おつかれさま!!!!!
哲明の腹には、傷の跡が残っている。
かなりの古傷だから、上半身裸になってもほぼ目立たない。
大きさは、せいぜい1センチ程度しかない。だが、決して軽い傷だったわけではない。
この傷を負ったとき、哲明の腹には深々と刃物が突き刺さっていたからだ。
話は7年前に遡る。
双子の兄妹の哲明と明菜が10歳、2人の姉が16歳の頃。
哲明は、年の離れた姉とも、顔のそっくりな妹とも仲が良かった。
3人はいつも一緒に遊んでいた。
両親が家を留守にしていても、姉が一緒にいれば双子の兄妹はどこにでも遊びに行けた。
遊園地、海水浴、外食、祖父母の家。
哲明は両親がいなくても、姉と妹がいれば寂しくなかった。
だが、哲明のいないとき、年の離れた姉妹は険悪な空気になった。
姉は双子の兄妹の面倒を見ていたせいで、小さなストレスをよく受けていた。
そんなストレスだらけの日々を救ってくれたのは、愛しい弟の存在。
どんな小さなことでも頼ってくる弟を見ていると、くじけそうな時でも力が湧いてきた。
対照的に、妹のことは可愛いとは思わなかった。
小学校を進級していくごとに生意気になっていくのも、妹が弟と同じ顔をしているのも、姉は気に入らなかった。
そんな姉の態度を察したわけではないだろうが、妹も段々姉に反抗的になっていった。
言うことを聞かない、悪口を吐く、わざと家を汚す。
妹は両親がいないストレスを姉にぶつけていたのだ。
だが妹が姉に意地悪をするのは、両親が留守にしているストレスだけではなかった。
双子の兄が、同性から見ても綺麗な姉に懐いているのが気に入らなかった。
妹は小学4年生の頃から、家族の一員である姉に嫉妬していた。
姉妹がどうにか共同生活を送れていたのは、哲明がクッションになっていたからだった。
だがある日、どうにか保ってきたバランスが崩れた。
それは、哲明が地元の小学生と一緒に泊まりでキャンプに行ったことが発端だった。
哲明が留守にしていたのは、たったの一晩だけ。
しかし、その短い間に、姉妹の仲はそれまでにないほど険悪になった。
姉妹はお互いに、今まで溜めてきたストレスを全てぶつけ合った。
それで膿がとれればよかったのだが、実際にはより深い溝が生まれてしまった。
事件が起こったのは、翌日の昼に哲明が帰ってきたとき。
姉妹は哲明が帰ってきた途端、玄関へ出迎えにいった。
この時、哲明は姉の懐に最初に飛び込んだ。お姉ちゃん、お姉ちゃん、と言いながら。
妹は当然腹を立てた。昨晩あれだけ口論しても姉に負けたとは思わなかった。
だが、兄の行為によって明確に勝敗が分かれた。
妹はその頃から芽生え始めていた小さなプライドをずたずたにされた。
それだけなら、まだよかった。
姉が、弟を胸に抱きながら勝ち誇った笑みを浮かべたのだ。
何も言わずとも、姉の言いたいことは知れた。
あなたがどれだけ哲明を好きでも、哲明はあなたに抱きついたりしない。
所詮あなたは、ただの生意気な妹に過ぎないのよ。
妹は怒りで我を忘れた。姉への憎しみに、心を支配されたのだ。
部屋に戻って彫刻刀を掴み、玄関にいる姉に向けて刃を向けた。
哲明は突然のことに呆然としていたが、姉は冷静だった。
力の勝負になれば、高校生にとって小学生をねじ伏せるなど簡単なこと。
姉は、妹が近づいた途端に蹴り飛ばそうとして待ち構えた。
妹は彫刻刀を振りかざして、襲い掛かった。
哲明はその時、姉妹を止めようとして2人の間に飛び込んだ。
あまりにも絶妙のタイミングだった。姉妹は動きを止められなかった。
結果、哲明は妹に腹を刺され、姉に背中を蹴られた。
浅く刺さっていた彫刻刀が、背中を蹴られることで、より深く突き刺さった。
妹も姉も、何が起こったのか理解できなかった。自分達のしたことの結果も理解できなかった。
哲明は腹から血を流したまま、妹に向かってのしかかるように倒れた。
押し倒された妹は、両手を顔の前にかざした。
妹の手には、真っ赤な鮮血に濡れていて、紅い手袋をしているようだった。
哲明はその後すぐに病院に運び込まれた。
すでにその時点で、哲明の顔からは血の気が失せ始めていた。
手術室の外で、姉妹はお互いの手を握り締めていた。
そうしなければ、とても耐えられるものではなかった。
愛しい弟が、大好きな兄が、自分のせいで死んでしまうかもしれない。
ごめんなさい、ごめんなさい。もう喧嘩なんかしないから。
哲明は翌日の昼には意識を回復した。連絡が早かったおかげで、出血多量死を免れた。
涙で頬を濡らし、目を赤くした姉妹に、哲明は言った。もう喧嘩なんかしないで。僕は2人とも好きなんだ。
姉兄妹(きょうだい)3人で、ずっと一緒にいたい。
姉妹は、首を何度も縦に振った。もう、2人の間の溝は埋まったのだ。
それ以来、姉妹の間に共通意識が生まれた。
哲明は私達がずっと守る。ずっと私達と一緒に暮らすんだ。他の誰にも渡さない。
姉妹はもう、哲明から離れられなくなった。哲明にブラザーコンプレックスを抱いてしまったのだ。
*****
夜の帳が落ち、明かりの灯っていない部屋の中。
明菜は、腹を出して眠る兄の姿を眺めていた。
「テツ兄の傷、まだ残ってるね」
眠る兄を起こさないよう、軽く腹の傷に触れる。
肌触りは変わらない。だが、うっすらと浮かぶ傷に指を這わせるだけで胸が痛む。
この傷は哲明の体にいつまでも残る。成人しても、初老を迎えても、死の目前の時になっても。
傷をつけてしまったのは、明菜と姉。
あの事件を思い出さない日など、一日たりとてない。
明菜は一生かけて兄を守ろうと誓っている。おそらく姉もそうだろう。
「私達で傷の責任は取るからね、テツ兄」
明菜は舌の先で、哲明の腹の傷を舐めた。哲明は体をぴくりと動かすが、起きようとはしない。
「また明日ね。おやすみなさい」
明菜は二段ベッドの上、自分用のベッドにもぐりこんだ。
8月30日、木曜日の午前8時。
哲明、明菜、そして2人の姉が同居する家にて。
ダイニングキッチンの中では、明菜が朝食を作っていた。
ガスコンロの火を止め、おたまでお椀に味噌汁をそそぐ。
炊きあがっている米の表面をすくい、ご飯茶碗によそう。
ご飯と味噌汁、卵焼きを乗せた小皿をお盆に乗せると、明菜はテーブルの前に歩いていく。
テーブルの席についているのは、新聞を読む姉の姿。
明菜は茶碗をテーブルの上、自分と姉の席の前に置いていく。
そして、口を開く。
「ガリ姉、ご飯できたよ」
途端、ギリッ、という歯軋りの音が部屋に響く。
新聞がゆっくりと下りていき、姉の憤怒の表情があらわれる。
「今、なんと言った」
「聞こえなかった、ガリ姉? ご飯できたよ、って言ったの」
「そのガリ姉というのはなんだ! リカ姉と呼べ、と言っただろう!」
「昨日、冷凍庫の中に入ってたアイス全部食べたじゃん。テツ兄の分も」
「くっ……しかし、昨日テツと交渉してリカ姉と呼ぶことに決まったはずだ」
「えー。リカ姉って普通すぎじゃん。ガリ姉のほうがいいって」
「いいわけがあるか! それじゃ私の体に骨と皮だけしかないみたいに聞こえるぞ!」
「違うの?」
「違う! 少なくともお前よりは胸も尻も大きいんだ!」
「太ってるだけじゃないの、それ」
「口の減らない妹だな……まあいい。いただきます!」
ぱん、と手を叩いて、ガリ姉――もとい、リカは朝食に手をつけた。明菜もそれに続く。
朝食を食べているとき、2人の間に会話が起こることは少ない。
哲明と明菜の通う高校の教師であるリカから、学校についての話題を振る程度のものだ。
もちろん、哲明がいれば状況は全く変わる。
リカと明菜は哲明の両サイドに椅子を持ってきて、肩をくっつけるようにして食事をする。
会話は途絶えないし、哲明にあーん、と言いながらおかずを差し出す動きも止まらない。
今そうしていないということは、つまり哲明がいないということに他ならない。
哲明は朝から友達と遊びに行っているのだ。
「まったく、ゆっくりできるのは今日と明日だけだというのに、テツの奴……」
「あーあ、今日こそはデートしようと思ったのにな」
「待て。明菜は一昨日テツと買い物に行っただろう。私を差し置いて」
「ガ――リカ姉は月曜日、私に黙ってテツ兄と図書館に行ったじゃん」
「それの何が悪い。私の本職は教師だぞ。夏休みの間に勉強を教えるのは当然だ」
「テツ兄、先月で宿題終わらしてたのに、無理矢理勉強させられて可哀相」
「お前はそのテツに無理矢理宿題を手伝わせていただろうが!」
「なによ、それが悪いっての?!」
「宿題ぐらい自分でやれ! 何のための学生生活だ!」
決してこの姉妹の仲が悪いわけではない。今日はたまたま2人の機嫌が悪いだけなのだ。
「この無い乳! スポンジ頭! いまだにブラしなくても平気なくせに!」
「うっさい、見た目だけ大人の中身はお子様ヤブ教師! 糖尿病でダウンしちまいな!」
哲明の住む家は、いつだってにぎやかだ。
違いがあるとすれば、女性二人の声がピンク色であるのか、そうでないのか。その一点だけだ。
*****
夕方の7時、哲明は家に帰ってきた。玄関を開けると、姉妹の姿が目に入った。
明菜は寝そべりながら宿題をしていた。リカは爪をやすりで整えているところだった。
思わず哲明が後ずさると、姉妹は同時に顔を向けた。2人とも満面の笑みだ。
「おかえりテツ兄! もう、どこに行ってたの!」
「遅いぞ、テツ。外出したときは1時間おきに連絡しろと言っていただろう」
「ただいま。ちょっと勉強に付き合わされててさ。あと、ガリね――じゃない、リカ姉。そんなこと聞いてないから」
哲明が靴を脱ごうとすると、2人は同時に腕を掴んだ。
「今日何が食べたい? ハンバーグがいい? それともテツ兄の好きな海老ドリア?」
「テツ、今から食事に行かないか? この間いい雰囲気のバーを見つけたんだ」
「あー、その……実は、もう食べてきたんだ。だから夕食はいらない」
「へ?」
「なんだと?」
明菜とリカは、まったく同時に顔を歪めた。そして同時に哲明の腕を掴む手に力を込めた。
「……ねえ、そんなこと聞いてないんだけど。それこそ連絡の一つぐらいしてくれてもいいでしょ」
「まったくだ。私はそんな子に育てた覚えは無いぞ。誰にそそのかされた?」
「そそのかされたって……いや、電話しなかったのは悪いと思うけどさ。携帯失くしちゃったからできなかったんだよ」
「え……それで遅くなったの?」
「ああ、友達の家で勉強してたら、なんでかどこかいっちゃって」
哲明は嘘を言っていない。午前中から友人の家で宿題を手伝わされていたのだ。
連絡をしようと思ってポケットを探っても、携帯電話は入っていなかった。
家を出るとき、哲明は必ず携帯電話を持っていく。今日も持って行ったはずだった。
「で、見つかったの?」
「いいや。もしかしたら家に置いてきてたかもしれないと思ったから」
「それは無いぞ、テツ。私は何度もテツの携帯電話に連絡を入れた。しかし、テツの部屋から着信音は鳴らなかった。
やはりその友達の家に忘れてきたんじゃないか?」
「やっぱそうかな……」
哲明は肩を落として嘆息した。そして、こう言った。
「よりによって、女の子の家に忘れてくるなんて」
女の子の家。忘れてきた。この二つの言葉から導き出されるもの。
姉妹は同時にそれを悟った。
「テツ、まさか……」
「女の家に、行ってた、の……?」
リカと明菜は、体を震わせている。もちろん、怒りで震えているのだ。
なぜ怒っているのか、という問いは愚問であろう。
哲明が明菜でもリカでもない、女の元にいく。それは、姉妹にとって何よりも許せないもの。
さらに、哲明が女の家に行くと言わなかった事実も怒りを濃くさせていた。
「誰、相手は」
「どこの不届き者だ、その女は。私のテツに手を出すなどと」
「あの……明菜? リカ姉? 腕が痛いから、離してくれないか?」
「正直に答えたら離してあげるよ」
「ああ。だが答えなければ、このまま握りつぶす。すぐ言え、早く言え、嘘偽り無い答えを返せ」
誰の家に行っていたのか。
哲明はわけのわからない展開に不機嫌になりながらも、問いの答えを返した。
「クラスメイトの朝倉さんのところ。夕食もご馳走になってきた」
「朝倉? 朝倉というと、私の受け持つクラスで成績トップでついでに学年トップ。
机や下駄箱やロッカーなどのパーソナルスペースにラブレターが大量に入っているというあの朝倉か?」
「まあ、そうだけど。なんでそんなに詳しいんだよ」
「なーるーほーど。とうとう要注意人物が動き出したってわけね」
「あ、明菜? なんだよ、要注意人物って」
「そのまんまの意味よ」
「はあ?」
なんで朝倉さんが要注意人物? なんかおかしいぞ、2人とも。
頭を捻る哲明をよそに、明菜とリカは顔を見合わせた。
「明菜」
「うん、わかってる」
それだけ言うと、2人は哲明の腕を離し、家の奥へと向かっていった。
哲明は肩を並べて廊下を歩いていく姉妹の背中を見送った。
2人がここまで協調性を発揮することはあまりない。
もしかして今日は何かいいことでもあったのだろうか、と哲明は思った。
――姉妹がこのときが来るのを待っていたことなど、哲明は知るよしもない。
------
次回へ続きます。
流血は(たぶん)ないですが、修羅場は作る予定です。
GJをたらふく贈呈しよう。
続きを待ってるよ。
文章も上手いし先の展開も楽しみだな。GJ
GJ!
(たぶん)に不安とwktkが複雑にからみあいつつ行ったり来たり
俺はいったいどーしたらいいのだwww
続きwktk
質問なんだが、DODのフリアエってキモウト?
785 :
名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 04:19:11 ID:vM9S9FT2
>>775 GJ!
いったい何をする気だ姉妹は
俺も何か書きたいんだけど弟が16歳だからPCに有害ブロックが入っててここに入れない。
携帯からじゃ限界があるから俺はどうすれば良いんだろう……
>>785 PC上でテキストエディタ等を使って創作
↓
メールの本文に貼付けて自分の携帯に転送
↓
携帯から掲示板にコピペ
じゃ無理?
>>784 実の兄に恋→受け入れられないと知ったら自殺
十分キモウトだと思う
>>786 携帯からだと一回に書き込める字数が少ないから細々になって読みにくくなると思うんだが?
携帯によるかな。
750字くらい書き込めるものならそんなに細切れにはならない。
確か修羅場スレでも携帯で投下していた作家さんもいたし
非力なキモウトがお兄ちゃんの手足を切断するにはどんな道具が必要かな
まずナタとかノコギリでは無理だとして回転ノコギリみたいな骨まで楽に切れる大型の工作機械だな
止血が問題になりそうだけど切断する前に腕と足の付け根を紐で絞めて一気に切断したあと傷口をバーナーで焙るのはどうだろう?
体力を考えて数回に分けて切断した後、化膿止めを飲ませて定期的に包帯を代えたりしてこまめにお世話すればいけるんじゃないかな
>>779 せっかく濃い過去があるならそこもしっかり書いて1話稼げるのに、と思ってしまった
>>784 怪物転生して惨殺されたあとで大量発生するとこまで含めれば
>>790 お兄ちゃん虐殺スレ思い出した
>>790 恐ろしかー!!
非力な場合は鋭利な刃物で関節を解体するんだ
お、恐ろしかー!!!
>>790 その後に無垢な顔でニッコリ笑って
「あはっ、お兄ちゃんにはもうどれも必要ないから切っちゃった♪
これからはお兄ちゃんのお世話は全部、ぜーんぶ私がしてあげるの。
だから私だけの・・・私だけのお兄ちゃんでいてねっ!」
なんて言われた日にはグッドエンドだな。
>>790 痛さでショック死BAD END
自分がされたら嫌だけどそう言うシチュエーション萌える
痛み対策は必須だな
キモウトだってお兄ちゃんを殺したいわけじゃないだろうし
あんまり傷口をグズグズにしたくないから関節で切り落とせるとしても機械を使うかな
キモ姉だったら外科医設定とかですんなり処置できそうだけどキモウトは大抵のSSで〜高1ぐらいの設定だから色々厳しいよな
そこで闇社会と関わりを持つ高1キモウトが出てくるわけですよ。
超強力速攻性全身麻酔や、指定領域破壊爆弾や、超速攻性止血薬や、超高圧力水発射装置(いわゆるウォーターカッター)や、分子切断ナイフや、全血液型対応万能血液や、病原菌完全掃討薬などの便利な物を使ってスムーズにヤンエロに突入するんだ。
なんかやられた兄が悲惨な気がするな。
ちっとも悲惨とは思わない俺はもうダメかもしれん
つーかキモウトは兄妹でセックスすることに抵抗はないんですか><
>>801
ヤンでなくてもないだろ・・・・・
常識的に考えて・・・・・・・・・・・・・・・
抵抗があっても我慢できないのがキモウトです
抵抗はありませんがタブーだとは理解しています
でもお兄ちゃんをメス豚どもから守るためには些細な事でしかありません><
キモ姉も同様です
タブーなのに・・・だけどry
ってところもあるんじゃね?
むしろ兄妹でセックスしちゃ駄目だという世の中が間違ってると思ってます
兄の子を産みたいと思う気持ちの前では近親相姦に対する抵抗など有って無いも同然
異常者特有の超論理で解決します。
お兄ちゃんを好きになるのがおかしいのはわかるけど、
あたしは好きになったのがお兄ちゃんだっただけだもんね
とか
お兄ちゃんを好きになっちゃいけないなら子供を作ってパパとママになればいいんだよ
そうすれば普通の夫婦なんだもん
とか
妹「百万円で法律が変わってお兄ちゃんと結婚できるってアニメで見たもん!」
お兄ちゃんと私の二人っきりの世界をつくれば何も問題なんて無いよね!
第2回、投下します。
朝倉直実という女について。
本名、朝倉直実。県立高校に通う、17歳の高校二年生。現在、付き合っている男子はいない。
学業成績を一言で言い表すならば、優秀。
五段階評価で表すと五、上中下で言えば上の上。
つまり、他に並ぶものがいないほど、学業において優れた成績を誇っているということだ。
実例を挙げるとしよう。一学期の期末テストでのことだ。
朝倉直実はテストの成績で、同級生全員の成績を上回った。
5教科全て100点満点。2位との差を20点つけて1位に輝いた。
彼女と同じクラスである男子生徒、今回の結果で学年4位だった哲明との差は34点。
同じく同級生であり、女子生徒の中でのワースト1の地位を不動のものにしている明菜との差は、325点。
朝倉直実という女子は、成績において死角がない。
それではテストがない教科、例えば体育ではどうだろうか。
成績優秀ときて、スポーツ万能とまでくればもはや非のうちどころがない。
100メートル走をしたら途中で失速したり、バレーボールをしたらボールを追いかけて仲間とお見合いをして
相手チームに1点あげてしまうような女の子であれば、比較的多く存在していそうな気もする。
が、朝倉直実は100メートル走では陸上部の女子といい勝負をするし、バレーボールでは相手チームの
コートにビシバシとスパイクを決めてしまう。
このように、朝倉直実はスポーツにおいても活躍してしまう身体能力を持ち合わせている。
結論から言うと、テストの成績は全教科満点、スポーツにおいては皆に頼られる、
という非の打ち所がない特徴を兼ね備えているのが、朝倉直実という存在だ。
このうえ容姿までいいと来ていれば、もはや日本を代表する女子高校生代表に選ばれてもいい。
世界各国の女子高校生を相手に戦ってもらいたいほどだ。
そして、二度あることは三度ある、というわけではないだろうが。
朝倉直実は美少女だった。綺麗か可愛いかで言わせれば、可愛かった。
髪の毛は黒く長い。それは長い髪が好きだからではなく、単に色々な髪型をするのに便利だったからだ。
弄らないロング、リボンでつくったポニーテール、リボンをダブルで使用したツインテール、
動きの邪魔にならない三つ編み、コンパクトにまとめたお団子頭、など。
化粧はしていない。化粧するのをためらっているわけではなく、必要がなかったから。
まつ毛は程よく長く、二重まぶたは目の存在をはっきりさせ、顔は肌色の牛乳を張ったようになめらかで、
手入れの行き届いた眉毛はすっきりしていて、鼻は小ぶりでバランスよく調和をとっていた。
まだまだ褒めることができる部位はあるが、彼女の外見でもっともいいところに比べれば霞んでしまう。
それは、笑顔。朝倉直実の笑ったときの顔は眩しいほどに輝いていた。
会話をする男子女子先輩先生、皆が笑顔に見とれるか顔を逸らすかした。
そして、朝倉直実は会話をする際、ほぼいつも笑顔を浮かべていた。
もちろん哲明に対してもそれは例外ではなかった。
いや、朝倉直実が特に仲良くしていたのは哲明であったから、他のクラスメイトと比べてみても、
哲明が彼女の笑顔を見る機会は多かったと言えるだろう。
「つまり、それが問題なわけよ!」
「全くだ」
と、哲明の姉と、哲明そっくりの顔をした明菜が問題視するほど、朝倉直実の笑顔は魅力的だった。
それは哲明の姉妹が意識する、または敵意を向けるほどのものだった。
このように、朝倉直実は才色兼備を体現している存在だ。
あまりにもできすぎているため、かえって対処に困るような女。そう思っていただければいい。
朝倉直実についての説明は以上で終了とする。
リカと明菜は、リカが1人で使用している部屋で会議を行っていた。
もちろん、哲明に近づく有象無象の女の1人である朝倉直実対策についてだ。
わざわざリカの部屋で会議をしているのは、哲明に聞かせたくないから。
明菜と哲明が同じ部屋で寝ている以上、リカの部屋しか秘密の会議を行える場所は家の中にないのだ。
「さて――明菜」
リカ、という本名とは少々かけ離れたあだ名で呼ばれている哲明の姉は、テーブルに肘をついて話を切り出した。
「最初の議題だ。あの女を近いうちにやってしまうか、じわじわと追い詰めてからやってしまうか。どちらがいいと思う」
「そうね、思いっきりへこんで10kg以上痩せさせる程度にやってしまうのがいいと思ってるよ。
あそこまで人気者だとそれぐらいが限界じゃないかな」
哲明の妹で、哲明と顔のつくりがほぼ同じである明菜は、慎重な意見を述べた。
対処に困る朝倉直実は、当然ではあるが人気者だった。
同級生下級生上級生、一部の教師たちにまで好かれている。
彼女が1人になる隙はなかなか生まれない。
「そうだな。その程度ならあまり目立たないだろう。
できれば私が今のクラスを担任している間は動かないでおきたいところだが」
「そんなこと言って、テツ兄をとられちゃったらどうすんの」
「それについては私に考えがあると言っているだろう? 後は明菜が賛成してくれればすぐにでも実行できる」
「テツ兄にクスリ飲ませて無理矢理、ってやつ? 前から言ってるけど、それパス。
テツ兄から襲ってもらわないと意味無いじゃん」
「お前はテツのほうから襲い掛かってくると思っているのか? 本気で?」
「……そりゃ、ありえないことだとはわかってるよ。けどやっぱり初めては……ねえ?」
「まあ、な。やれやれ、初めての壁さえ越せばこちらからヤリたい放題なのに」
姉妹が同時に、ため息を吐く。
彼女達が言っている初めて、というのは、当然エッチのことだ。
この姉妹は兄または弟である哲明に、欲情している。性欲を抱いている。姉にいたっては犯したいとまで思っている。
今まで哲明が貞操を守れてきたのは、明菜のおかげなのだ。
姉は快楽主義者だった。対して妹は少々ロマンチストの気があった。
初めては男の方から。プロポーズは男の方から。おかえりとただいまの挨拶は熱いベーゼで。
「それよりリカ姉。朝倉直実についてだけど」
「うむ。どうやってテツに近づけさせないようにしてやるか」
「あの女、ちょっと成績がいいからって調子にのってテツ兄に近づいてきて。
しかも今日は適当な理由で家に連れ込んだ。今までわざと宿題やらなかったに決まってるよ」
「しかも、テツの携帯電話まで奪った」
「許せないね」
「絶対にな。そろそろ私も我慢の限界だ」
2人の意見がひとつにまとまった。
「近いうちに、あの女がテツ兄に近づいてきたら」
「二度とテツに近づくことができないようにしてやる。必ずな」
時刻は夜の9時。
夏とはいえ、すでにこの時刻には外は暗くなってしまっている。
リカの部屋で行われる会議はこれからまだまだ続いていく。
隣の部屋でテレビゲームを遊んでいる哲明は、隣の部屋で自分の姉妹が物騒な会議を行っていることなど知らない。
いや、知らないほうがいいだろう。
仲のいいクラスメイトを陥れようとする策を練る姉妹の姿を見たら、哲明が彼女達に失望することは間違いない。
8月31日、金曜日。
世の小中高校生にとっては憂鬱であったり忙しくもあったりする一日だ。
朝、哲明はいつも通りの時間に目を覚ました。
哲明は今日一日、何の予定も入れていない。
友達と遊びに行くことも、夏休みの残りの宿題に追われることも、姉妹のどちらかと遊びにいく予定も無い。
ただ、一つだけ気がかりなことがあった。
昨日、クラスメイトの朝倉直実の家に宿題を手伝いに行った際、携帯電話を忘れてきてしまったのだ。
もしかしたら自分の家に忘れてきたかもしれないと思い、家中を捜索したが、携帯電話は見つからなかった。
道端で落としたということも考えられるが、友人の家に忘れてきた可能性の方が大きい。
仕方が無い。今日はとりあえず朝倉さんの家に行くことにしよう、と哲明は思った。
哲明が居間へ向かうと、朝食の香りが嗅覚をついた。
キッチンの奥に見えるは、黒くて長い髪。リカだった。
哲明の家では姉兄妹3人がローテーションで調理を担当することになっている。
一昨日は哲明、昨日は明菜、そして今日はリカ。
3人の中で料理が一番上手いのは哲明だ。
いや、哲明の味覚はあまり実力差はないと判断している。
ただ、姉妹が揃って哲明の料理が最高だ、と言い張るのでそういうことになっているだけだ。
哲明が居間へ足を踏み入れると、テーブル席についてオレンジジュースを飲む明菜と、
慣れた手つきでフライパンでベーコンを焼いているリカが同時に振り向いた。
「おはよ、テツ兄」
「おはよう、2人とも」
「おはよう、テツ。もうすぐでできるから座って待っていてくれ」
「うん、わかった」
哲明がいつも座っている席に腰を下ろす。
明菜はそれを見ると、すぐに椅子を一緒に哲明の隣に移動した。
肩と膝が触れそうなほどの距離。明菜の口が、哲明の耳の近くに寄った。
「……ねえ、今日さあ、暇?」
「暇はあると言えばあるけど。また買い物の付き合いか?」
「いやいや、今日はそれじゃなくて。まあ、ショッピングもいいんだけどさ。今日、プールに行かない?」
「プール? んー……別にいいけど。用事が終わってからな」
「オッケオッケ。夕方でも大丈夫だよ。むしろ、その方がいろいろと先の展開が……」
「――ほう。どんな展開がある、というのかな。明菜よ」
上から喋るように言ってきたのは、リカ。トレイには三人分の朝食が乗っている。
今朝のメニューはバターロール、焼きベーコン、サラダ。
トレイからテーブルへと皿を移し終えると、リカも椅子に座った。当然、哲明の隣。
哲明は今、右を明菜に、左をリカに固められている。
だが特に気にした様子もなく、哲明は朝食に手をつけ始めた。
おかしいとは思っているが、今さら何か言っても無駄だとわかっているからだ。
明菜は舌打ちを一度かましてから、姉は鼻で嘲笑してから朝食を食べ始める。
「テツ、おいしいか?」
「うん」
「ふん。簡単な料理なんだから味にそんな差がでるわけないでしょ。誰が作ったって一緒よ」
「愛情の入れ方が違う。出来合いのものとは一味も二味も違う。別のものも入れたからな」
「――なんですって?」
姉の言葉を聞くと、なぜか明菜が顔色を変えた。
「あんた、まさか……それはやらないって約束したでしょ?!」
「明菜? どうかしたのか?」
「テツ兄は黙ってて。……もしそうだったら、リカ姉、あんた……」
手で持っているフォークを突き出さんばかりの顔をして、明菜がリカを睨む。
対して姉は顔色も変えることなく、静かに答えた。
「安心しろ――――ブラックペッパーのことだ」
「あ、ホントだ。少し辛い」
「なんだ……紛らわしいこと、言わないでよね」
安心した様子で明菜が肩を落とす。
「ところで、さっきプールに行くと言っていたが」
「あ、それは――」
明菜が姉の言葉を遮ろうとしたとき、哲明が口を挟んだ。
「リカ姉も行く? 3人で行ったほうが楽しいし」
「もちろんそうするとも。私は体育教師じゃないから、こんな時でもないとテツの成長した体を直に見る機会がない。
ふふふ、楽しみだ。期待しておけ、テツ」
「何を」
「私の水着姿を。そして……誰かさんとの圧倒的な差にも」
リカがチラリ、と視線を移動させた。その先に居るのは明菜――のシャツの胸元。
Tシャツの形はほぼ真っ直ぐになっていて、乱れていない。女性特有の胸に起因する起伏が小さい。
もちろん無いわけではない。うっすらとだがカーブがある。
だが、よく見なければわからない。ぱっと見ではカーブというよりストレート。
「明菜、我が妹よ。やはり今年もスクール水着か?」
「……悪い?」
「悪くはない、私はな。だが、テツは面白くないだろうなあ、毎年毎年スクール水着では」
「いや、別に俺はなんでもいいんだけど」
そもそもあまり重要視していないし。
「ふん、知らなかったの? テツ兄はスク水が好きなのよ。いわゆるスク水フェチ。知らなかった?」
「なに?! それなら私もスクール水着にならないといけないのか、テツ!」
「どっちから突っ込んでいいかわかんないけど、とにかく2人とも落ち着け!」
3人がそれぞれに声を張り上げた。
――その時。
家中に鳴り響いた電子音を聞き、3人は停止した。
「誰だろ」
「なんか約束でもしてたの? リカ姉」
「いいや。今日はなんの予定も入れていないぞ」
リカだけではなく、明菜も哲明も、今日は誰かと会う約束をしていない。
ということは、予定外の来客だということになる。
これが昼であればよくあることだが、今は朝。しかも朝食をとっているような時間だ。
「俺が出てくるよ。近所の人かもしれないし」
哲明は両隣を固めながら寄り添ってくる二人をどけて、玄関へと向かった。
玄関のすりガラスを通して見た向こう側は朝の光で明るくなっていた。
その光の一部を隠すようにして、人影があった。
哲明は玄関の鍵を開けて、ドアを開いた。
「はい、どちらさま……あれ?」
玄関にいた来訪者を見て、哲明は疑問の声をあげた。
今日こちらから訪ねていこうと思っていた友人がそこにいたからだ。
髪型はポニーテール。着ているのはヒラヒラのワンピース。そして顔は眩しい笑顔。
クラスメイトの朝倉直実だった。
「おはようテツ君! いい朝だね!」
「朝倉さん……おはよう。どうしたのこんな朝から」
「んん? なんだか不可解そうな顔だね。私が来ちゃいけないの?」
「そういうわけじゃないけどさ」
「ふーん……まあいいや。それより、はい」
「ん、これって……俺の携帯?」
朝倉直実が哲明に向けて差し出した手に乗っていたのは、携帯電話。
それも、昨日哲明が失くしてしまった携帯電話だった。
失くしてしまったはずのものを、朝倉直実が持ってきた。ということは。
「昨日私の家に来たとき忘れてったでしょ。だから、持ってきてあげたんだ。しかも朝イチで」
「あ、やっぱり朝倉さんの家にあったんだ。ありがと、持ってきてくれて」
「いやいや、気にしないでいいよ。――意外とうっかりさんだってことも、わかったしね」
「あはは……気をつけます」
「うん、そいじゃあね! これ以上居たらうるさい人たちに見つかりそうだし! バイバーイ!」
哲明が何か言うより早く、朝倉直実は身をひるがえして玄関を後にした。
姿が見えなくなるまで背中を見送ったあとで、携帯電話を開く。
特に変わったり、壊れている部分はない。
壁紙や通話履歴、メールのフォルダを確認してみたが、特に変わったところはない。
なにも弄らずに返してくれたのだろう、と哲明は思った。
居間に戻り、姉妹2人と肩を並べて食べる朝食を終えて、哲明は部屋に戻った。
今日は姉妹2人とプールに行くことになっているから、準備をしなければいけない。
バッグに去年使用したトランクスタイプの水着とタオルを数枚入れる。
財布の中身は充分入っている。プールに行く準備は整った。
部屋の同居人である明菜はというと、水着を両手で体の前にかざしてにらめっこをしている最中だった。
何を思っているのかはわからない。
もしかしたらスクール水着しか持ち合わせていないことを嘆いているのかもしれないし、
単純に自分の起伏の少ない体型でスクール水着を着たときの格好を想像しているのかもしれない。
どちらにせよ、哲明が軽々しく声をかけられそうな顔ではなかった。
ベッドに腰掛け、明菜の準備が終わるまで哲明は待つことにした。
突然部屋にメロディが鳴り響いた。電子的なメロディは、明菜の携帯電話から発せられていた。
明菜は水着とのにらめっこを止めて、携帯電話を開いた。
そして、目を逆立たせた。
ぼんやりと明菜の顔を見つめていた哲明からでも、変化は感じ取れた。
頭が震え、少し開いた唇から食いしばった歯が見え、握り締められている携帯電話がミシミシ言っていた。
携帯電話が喋っているわけではない。携帯電話の本体が悲鳴をあげているのだ。
携帯電話を握り締める明菜の手には血管が浮かんでいた。
明菜が怒っている、ということは哲明にもわかった。
その理由はおそらく携帯電話に着信した何かが原因だろう。おそらくはメールだ。
哲明の位置からは画面が見えないので、明菜が見ているものはわからない。
明菜は携帯電話を折りたたむと、すっ、と立ち上がった。
「テツ兄、ごめん」
「なんだ、どうかしたのか?」
「今日は、プール行くのなしにしよ。用事ができちゃったんだ」
「そうなのか? なら、残念だけど仕方ないか……」
「ごめんね。また今度、邪魔なやつを片したら行こ」
明菜は携帯電話を持ったまま、部屋のドアを開けて出て行った。
夏休み最終日なのだからプールに行きたかったのだが、1人で行ってもあまり面白くない。
友達もたぶん今日は遊ぶか宿題をしているだろうから、誘っても無駄だろう。
哲明はバッグの中身をひっくり返し、タオルと水着をタンスの中にしまった。
そのとき、ジーンズの後ろポケットに入れていた携帯電話が振動した。
メールが届いていた。送り主は男友達の1人。メールの本文はこう。
『お前が朝倉直実を仕留めたというメールを送ってきたことについて。
今俺の心は感動している。しかし拳は枕を殴り続けている。
なぜ俺が感動しているのかというと、お前もとうとう明菜嬢以外の女に興味を持ち始めたと知ることが出来たからだ。
だが俺の拳は感動ではなく、怒りに打ち震えている。貴様が抜け駆けしたということに怒っている。
お前は殴られれば悲鳴をあげるだろうが、枕は悲鳴をあげない。だから俺は枕を殴っている。
もしお前が俺愛用の枕に対して哀悼の意を示すならば、すぐに説明しろ。
どうやって鉄壁の朝倉直実を仕留めたのか、いかにして付き合うに至ったかを詳細にメールで説明しろ。
どこまで行ったのか、それも教えろ。傷にならない程度に。
こんなメールを送ってくる俺の心がおかしいと思っても、友達だというのならば笑わないでくれ。
決してお前が羨ましいとか、そんなわけじゃないんだ。返事、待ってます』
普段と比べて以上に長いメールを読んで、哲明はなんと返事をするべきか迷った。
朝倉直実と付き合っていないし、交際始めましたというメールを送った覚えもないからだ。
見に覚えのないことを説明できるほど、哲明の想像力は優れていない。
この日の哲明は、友人から似たようなメールを何通も受け取った。
送られてきたメールに対する返事をすることで、31日という夏休み最後の一日は過ぎていった。
隣の部屋からは物音と怒号が何度か聞こえてきたが、精神的に参っていた哲明は深く考えず、
メールの文章を打つことに没頭することにした。
第2回はここまでです。もちろん次回へ続きます。
キモ姉妹の仇敵は完璧超人w
鈍い兄とか策略とかツボ抑えてあって面白い
最後の友人メールは伏線なのかね
こ、これは!
まさか盗んだテツの携帯からアドレス帳に入ってる人に向けてかたっぱしから
でっちあげメールを送りまくったのか?
ま、まさかねー。そんなことあるわけ・・・
たっく・・・なんてwktkフラグを残してきやがる・・・
大好きだ!GJ!!
>>820お前なあ・・・普通に考えて朝倉がでっちあげメールを送ったにきま
もう皆わかりきってんだろ!
朝倉がm
お前らどうしたあああああ!!
・・・これまでのログから察すr
まあ普通に考えりゃ朝倉が
……ん?こんな朝っぱらに誰だ?
朝から失踪者が多くてワロタw
朝倉さん、n
お前ら落ちt
何馬鹿なことやってんの?
そんなやつくるわけg
829 :
名無しさん@ピンキー:2007/08/10(金) 11:22:35 ID:exGxLGHJ
さぁここでキモウトコール入りました
キモ姉!!キモ姉!!キモ姉!!キモ姉!!キモ姉!!キモ姉!!キモ姉!!キモ姉!!キモ姉!!
D・V・D!D・V・D!D・V・D!D・V・D!D・V・D!D・V・D!D・V・D!D・V・D!D・V・D!
「ね、姉さん」
「いやあぁ」
全く、変な振りするなよ。
職人様が投下しづr
完璧超人朝倉wwwまぁキモ姉妹に勝てる泥棒猫なんてこの世には存在しn
うわwww朝倉嬢、それはやりすg
しかし素晴らしいな。泥棒ネコにキモ姉妹とは・・・死亡フラグ
主人公四面楚歌www
一度でいいんだ。贅沢は言わない
一度だけ主人公の立場に立ってみたいんだ
>>837 一度狙われたお兄ちゃんは一生キモウトから逃げられない
839 :
名無しさん@ピンキー:2007/08/11(土) 00:38:31 ID:Xx6lRxj5
>>837 姉妹によっては最悪死ぬぞ?
考えてる内容が分かったら最悪の場合犯られる前に殺るけど
まぁ、いずれにせよ一般人がHAPPY ENDと思うものを迎えられる可能性はまず無いな。
いや、このスレの住人達からしたらHAPPY ENDかもしれんけど。
sageろよ夏厨さんよ
素人さんだな
素麺さんだな
奪われた携帯には実は盗聴機が仕掛けられていて………
なんて想像したのは俺だけじゃないはず。
あれ、こんな深夜に誰かきt
なんかキモ姉、キモウト、嫉妬板の作品って
ヒロインが顔も運動神経も頭脳も最高の完璧超人が多いな
健全なる精神は健全なる肉体に宿る、ってか
>>845 その代わり精神に異常があrん?一階から物音が…ちょっと行って来る
>>845 性格がおかしいから他のところ秀でてないとただのストーカーになってしまう。
それだとただのサイコホラー(座敷女しかり)になるので恋愛系にするには仕方のない処置なのです。
この系統の作品は性格と他の部分とのギャップがキャラの魅力に繋がるのです。
個人的には運動がいいと勉強ダメ。もしくは成績優秀なら運動神経なし
という感じのほうが愛着が持てる。だから双璧なら双子の妹が好きだな
完璧超人はどうもね・・・あくまで個人的意見ね
天然っぽいけど実はすべて計算で動いてる姉とかどうよ?
運動なんてできないよぉーとか言ってるのに
弟のいないとこでは50mを6秒くらいで走ってる。
>>849 俺も完璧超人はちょっと…だな。
むしろあきねえみたいなダメ姉みたいなのの方が萌えるw
『お姉ちゃんはネプチューンマン』
ぜひ、これをもとにSSを作ってくれ
ビッグ・ザ・キモウトと一緒にトーナメント出場か
実はブラックペッパーではなく…
>>847 そう言えばたまに障害者なのにとびっきりの美人が居るな。
>>850 立ちが悪いなwwww
>>855 私のお兄ちゃんは障害者だけどとびっきりのお兄ちゃんだよ
ほらお兄ちゃん!どうして逃げようとするのかな?
そんな体じゃ床を這うしかできないのに……
>801から>805までのレスを見てついカッとなって初SSを書いたが
見直したらあんまりキモくなかったと言うオチがついたんだが
そうか。
次をがんばれ。
>>857 いいじゃん、ソフトキモだって俺は全然イケるぜ?
860 :
857:2007/08/11(土) 16:12:32 ID:FFID6qeW
書いちゃった以上もったいない気がするので投下する。
――ぼうっとして授業に集中できない。どうも風邪気味なので早退します。
そう担任に言い残し、服も着替えずに兄の帰宅を待ち構える香奈美は、帰宅した兄が家の鍵をかけるのと同時に、兄に背中から抱きついた。
密着する兄の体温、無意識のうちにぎゅっと力がこもる両腕、覗き込むと突然のことに驚いている兄の顔。
いつまでも味わっていたくなる感情を抑え、香奈美は抱きしめていた腕の力を抜き、開放した兄と向かい合う。
「――お帰りなさい。兄さん」
「…ああ、ただい――」
その続きを止めるキス。
そのまま、兄にしなだれかかる香奈美。バランスを崩し、二人は玄関に倒れこむ。
マウントポジション――ちょうど兄を押し倒した格好で、香奈美は続ける。
「…ご飯もお風呂も私も準備はできていますが、やっぱり私としては兄さんをいただきたいのです」
「…普通、その答えを選ぶのって帰ってくる側じゃっ――!?」
選択の余地を与えないように、香奈美は又キスをした。
前よりも長く、互いの吐く息と息さえもまざりあってしまう程のディープキス――次第に体も密着させ、香奈美は全身を尽くし兄を侵略する。
それを拒絶しようともがく兄の舌の動きは、逆にキスのアクセントとなり――
香奈美は、その口内での擦り合いだけで達してしまいそうになった。
ひとしきり蹂躙し終えた後、香奈美は兄の顔を抑えつつ、耳元でささやく。
「…女の子同士でも…猥談ってするんですよ?兄さん」
兄の顔から、下半身へ手を伸ばす香奈美。
「今日は困っちゃいましたよ…たまたま初えっちがどうのって話になっちゃって…」
指で、布越しに兄のそこを刺激する。
「…私…そのとき顔に出ちゃってた……みたいで……」
一旦愛撫を止め、ズボンのベルトを解く。
「それで…友達が…ニヤニヤしながらいろんな事聞いてきて…」
そのまま、ズボンを最小限に脱がす。
「…もちろん誤魔化しましたよ…?兄妹でこんな事して――」
そして、現れたトランクスから性器を引き出した。
「――るなんて…ふふっ…ばれたらオシマイですよ?にいさんも、わたしも…」
自分で言ったその言葉の意味する背徳に、逆に興奮を覚える香奈美。
「…兄さん」
香奈美は制服のスカートをめくりあげる。
――スカートの中からは、とろとろと愛液の流れる秘部が、剥き出しのまま現れた。
861 :
857:2007/08/11(土) 16:13:36 ID:FFID6qeW
「…もう、我慢ができないんですよ。兄さん…」
ぽつり、ぽつりと語りだす香奈美。
「きのう、にいさんに抱かれてから…ずっと…こうなんですよ…」
昨日、確かに彼らが一線を越えた――尤も、それは半ば逆レイプのようなものだったが――ことは事実である。
それに負い目を抱いているからなのか、或いはこの状況を受け入れたのか――今、兄はほとんど抵抗せず、香奈美に流されている。
「…あれから、朝起きても…学校でも…ずっとずっとずぅっと…」
香奈美は左手で兄の右手を持つと――その指先を、そこに擦り付ける。
くちゅり、と粘液の音がたった。ぴくっ、と震えた香奈美は、蕩けきったような顔で続ける。
「…ここがおばかになっちゃって…もう自分でいじっても満足できないんですよ…?」
くちゅり、くちゅり、くちゅり、くちゅり。
ひとしきり堪能したのか、香奈美は兄の右手を両手で抱き、あふれ出た自らのそれに塗れた指先を舐め始める。
その感触と、その光景の艶かしさに――それは、妹に抱いてはいけない感情と理解していても――兄のそこはひくひくと強度を増す。
香奈美は兄の指から舌を離すと、ゆっくりと、自らの入り口に兄自身を持っていき――そして、一気に腰を下ろした。
「――あぁ……」
自らを貫く肉の感覚――兄の存在を感じ、背を反らせ声をあげる香奈美。
――そして、前のめりに倒れこみ兄の体にもたれ掛かると、香奈美は兄と額を重ねて、そのまま首に手を回す。
互いの吐息が、二人の顔をさらに朱に染めた。
「…にい…さん…」
兄の上で腰を蠢かせながら、香奈美はかすれた声で続ける。
「こんな事…しちゃって…っ…本当に…ごめ…んっ…なさい…」
「でも…でも…これで…にいさんは……本当に私だけのにいさんになった…んですよね………?」
「……もう…にいさんが…誰かのものになっちゃうんじゃないかって……考えなくていいんですよね……?」
「…もし…わたしを捨てたりしたら……このこと…世間に言いふらしちゃいますよ…?」
「……ふふっ……でもっ…にいさんはぁ…優しいから…きっとそんなことしないでしょ…う……」
「………にいさんは…優しいから…」
「…………だからぁ…だからぁっ……」
その続きは、互いの絶頂の声にかき消され、音になることは無かった。
――愛されなくても構わないです。だから、にいさん。ずっと、私にあなたを愛させてください。
そして、同情でも哀れみでも構いませんから、ずっとずっと、私をあなたの心の中に居させてください。
862 :
857:2007/08/11(土) 16:17:36 ID:FFID6qeW
途中から兄がまったくの無言になったり、
二人の外見設定がまったくなかったりするのは仕様
昨日何がおきたかほぼノータッチなのも仕様だ…だが私は謝らない。
以上お目汚し失礼
>>862 人 /H\
( ;0w0)( ;0M0)<ショチョー!!
>>862 いや、イイ!いかにもキモウトって感じだ。
>>862 GJ
なんつーか、割と直球勝負なキモウトだな。
>>862 あのな。この手の直球がうけないとでも思ってるのか?さいきん作者方の作品はクオリティを
どんどん増していくがちょっとエロスが足りないな・・・と心の中で暗い欲望を抱いている住人
がいないとでも思っているのか?まぁなんだ
∩
( ⌒) ∩_ _
/,. ノ i .,,E)
./ /" / /"
./ / _、_ / ノ'
/ / ,_ノ` )/ /
( / good job!
ヽ |
\ \
>>862かわいいキモウトだなぁ・・・
GJ!!!
さて、変態さんのおまいらにキモ姉かキモウトの作り方をぜひ伝授してほしいんだが。
まず両親を再婚させます。
もしくは生まれ変わって出会う
姪っ子でもなんとかお兄ちゃんと言ってくれるかも知れない
おじちゃんの方が確率高そうだがw
俺は従妹からお兄さんって言われてる。
だがリアルのヤンデレには興味がないし怖いから作成しようとは思わんです><
>871
何となく実兄に性的虐待されてて「あんな奴お兄ちゃんじゃないよ! …お兄ちゃんが本当のお兄ちゃんだったらよかったのに…」
とか言って最後実兄殺って血まみれの体で夜這いに来る姪というのを思いついた
>>868 自分がものすごいちっさい時から妹にかっこいいところを見せていれば惚れてたかも、とか思ったりしてます。
妹、いませんけどね。
では投下します。第3回です。
夏休みが明けた9月1日土曜日。
今日からは全国の小中高校で一斉に二学期が始まる。
そうなると、当然中には憂鬱な気分で学校へ向かう人間もいる。
夏休みが永遠に続くわけではないとわかっていても、学生の本分が勉強であるとわかっていても、
夏休みという超大型連休が終わった次の日に学校へは行きたくないものだ。
哲明もそのクチだった。
哲明は成績や学校での生活に不満があるわけではない。それでもやはり二学期初日は気乗りしないものだ。
今日は半日で学校が終わること、土曜日であるため明日の日曜日が休みになっているのが少しの救いだった。
そんな兄とは対照的に、明菜の気はかなり充実していた。
今日の食事当番が哲明だったため、朝から哲明のエプロン姿を見られて嬉しかったり、
哲明の作ったスクランブルエッグの塩加減が彼女の好みに合っていたというのも上機嫌の理由に入る。
しかし最大の理由は、明菜の体の中で闘争心が燃えさかっているからだった。
普段から明菜は姉とよく口論になるように、割と好戦的な性格をしている。
もちろん誰かれかまわず喧嘩を売るような馬鹿な真似はしない。
事が愛しの哲明に絡んでくるときになってようやく火がつくのだ。
現在明菜の心に火がついているということは、彼女の周囲で哲明に絡む非常事態が発生している、ということだ。
非常事態。それは哲明の姉妹にとっては哲明を奪われる可能性を孕む事態のことを指す。
時に大胆なことをしてでも哲明の身は守らなければならない。
そう考える姉妹にとって、今の状況では羞恥心など邪魔なものでしかない。
二学期初日から腕を組んで登校することを恥じている場合ではないのだ。
「おはよー、明菜ちゃん」
「今日も二人とも仲いいな」
「夏休みの間に一線を越えたりしちゃった?」
などと、知り合いから声をかけられても恥ずかしがってはいけないのだ。
だがそれは現状が非常事態であると知っている明菜にとってのみ適用されるものであるため、
現状に何の問題点も見いだせない哲明には関係がない。
だから今の哲明は、左腕をがっしりと掴んでくる妹に困惑していた。
「なあ、明菜。朝からどうしたんだ?」
「どうもしてないけど。ただ腕を組みたいだけ」
「そういうのはやめてくれって前頼んだら、いいって言ってくれたじゃないか」
「条件付きでね。非常事態のみ、その約束は無効になる」
「じゃあ……今が非常事態?」
「そうよ」
哲明は周囲を見回した。
同じ高校に通う生徒達が一人、あるいは数人で固まりながら歩いていく。
一学期と何ら変わりない光景だ。
「今のどこが非常事態? むしろ明菜と、後ろから尾行してくるリカ姉の方が異常なんだけど」
兄の呑気な声を聞き、明菜は嘆息した。
「テツ兄、昨日変なメールが届かなかった?」
「ああ、俺が朝倉さんと付き合いだした、とかいうメールが」
「それ、嘘でしょ?」
「当たり前だろ。俺が朝倉さんみたいな人気者と付き合えるわけがない」
「それなのに、嘘のメールが出回っている。これについてどう思う? 異常だと思わない?」
「どうせ誰かの送ったいたずらだろ。俺からメールが送られてきた、とか言ってるけど俺は送ってないし」
「……本気でそう思ってるわけ? 悪意のある人がやった、とか考えないの?」
「そこまで深く考えるほどのもんじゃないだろ」
「……ま、いいか。そう思ってるならそれで。その方が下手に動かないでもらえるから」
明菜は振り返った。後ろからはスーツを着た女性ががついてきている。
哲明の姉であり哲明と明菜のクラスの担任でもある、リカだった。
リカと肩を並べて一緒に歩いている人の姿はない。
学生の通学路を利用する先生があまりいない以上、それは普通の光景だ。
むしろ普通でないのはリカの方かもしれない。
血のつながった弟と妹を尾行しているのだから。
「さっきから何でリカ姉もついてきてるんだよ」
「用心のため。後ろからやってくる猫を事前に防ぐにはああするのが一番なの」
「お前が腕を組んでてリカ姉が尾行しているのは、猫除けのためなのか?」
「ええ、そうよ。しかも狡猾な、ね」
「どんな猫だよ、それ」
猫パンチをヒットアンドアウェイで放ってくるような猫なのだろうか。
「いくよ、テツ兄。あんまりゆっくりしてると遅刻する」
「はいはい」
哲明と明菜、それとリカは他の登校中の生徒に混じって、高校の正門へと入っていった。
哲明と明菜が校内に入ったとき、異変が始まった。
周囲の人々が、その視線を二人に注いでいるのだ。
それは双子の兄妹で腕を組んでいることに対する奇異の視線なのかもしれない。
が、今日ばかりはそれは外れだろう。
「あの男の方?」
「そう、2-Aの哲明君。朝倉さんと付き合ってるんだって」
「しかも妹とも一緒かよ……」
ひそひそと聞こえてくる声が語っているように、例の嘘メールの噂のせいで哲明の名が知れ渡っているのだ。
弁解しようにも、どう弁解すればいいのかわからない。
嘘だ、事実無根だ、と言うのは簡単だ。しかしそれを信じてくれるか、というと話は別だ。
大抵の人間は噂などどうでもいいと思っているため、それが事実かどうかなど気にしないのだ。
結局のところ、噂が沈静化して人の興味が失せていくのを待つのが良策なのだ。
「なんかやけに視線が痛いな……」
「そりゃそうよ、朝倉直美なんて人気者を射止めた人間がいたら誰だって見てみたいもん。
私だってその相手がテツ兄じゃなきゃ面白がってたよ」
それは哲明も同じだった。
同級生の恋愛沙汰、しかも人気者の朝倉直美の恋人。
相手の男にしばらく興味を抱くのは当然だろう。
哲明と明菜が教室の前にたどり着いたとき。
廊下にいたクラスメイトたちが一斉に教室へと避難していった。
哲明、もしくは明菜が恐れられているわけではない。
おそらくは2人が教室にやってくるのを待っていたのだ。
「ふん、やっぱりそうくるわけね……上等だわ」
「ああ、絶対なんか言われる……入りたくねえ」
「入らないわけにはいかないでしょ。ほら、いくよ」
明菜は哲明と腕を組んだまま、教室のドアを開けた。
途端に歓声が起こった。クラスメイト達のあげる喝采の声だった。
「おめでとう、哲明君!」
「いつから付き合いだしたの? もしかして夏休みの前から?」
「初体験、おめでとう」
「鉄は熱いうちに打て……」
「出るテツは打たなきゃな……」
しかし、歓声は急に静かになった。
歓声を聞いて明菜の顔が怒りの形相になったのだ。
尖った眼差しがクラスメイトを射貫く。
小さな悲鳴が起こり、視線が次々と哲明から離れていく。
「あ……あははは……」
「あー……なあ、宿題やってきたか?」
「見てみてこれ、部活焼け。もー最悪だよねー」
入り口に立ったままだった哲明と明菜はようやく自分達の席へ向かった。
哲明の席は廊下側の一番後ろ。明菜の席は哲明の前。
そして、哲明の左には黒髪を垂らしている女の子が座っていた。
彼女の顔には、もはや武器にすらなりうる威力を持った小悪魔的な笑顔が貼り付いている。
校内に広がる噂話の渦中の人、朝倉直美だ。
「おはよう! テツ君!」
「おはよ、朝倉さん」
「明菜ちゃんも、おはよう」
「……ええ、バッドモーニング」
明菜はそれだけ言うと机の上に両腕を置いた。そして腕を枕にして眠りについた。
「明菜ちゃん、なんか不機嫌みたいだね。なにかあったの、テツ君」
「朝倉さんも知ってるよね、あのメールの話。あれを聞いて明菜が不機嫌になっちゃってさ」
「へー。テツ君、愛されてるねえ。――私も愛しちゃおっかな」
「ん……今なんか変なこと言わなかった?」
「んーん、なんでもないよ。空耳空耳、あはははっ」
ぱたぱたと手を振っておどけてみせる朝倉直美。顔色は変わらない。
2-AのHR前の朝の時間で哲明と朝倉直美が会話をするのは珍しくない。
クラスメイトも、哲明の前の席に座る明菜も、2人の会話に耳を傾けていた。
それはクラス担任であるリカが教室のドアを開けて教壇に立つまで続いた。
帰りのHR終了後、リカは誰もいない教室にいた。
教師が放課後に一人で教室の中に残っているということは、生徒絡みの用件があるということに他ならない。
そしてその通り、リカは一人の生徒を待っていた。
リカの場合、放課後に教室に呼び出す相手は自身の弟の哲明であることが多い――というより全部だ。
しかし、今日呼び出した相手は哲明ではない。
リカは今日、弟に近づこうとする一人の女子生徒に呼び出しをかけた。
誰にも知られない、当事者間でしか知り得ない連絡方法で。
教室のドアが開いた。
リカがドアの方を振り向くと、呼び出した相手が不思議そうな顔をして立っていた。
「あ、あれれ? 先生?」
「来たか、朝倉直美」
「え、この手紙って、先生? やけに綺麗な字だったからどんな男の子かなー、と思って来てみたら、先生?」
朝倉直美が右手でつまんでいるのは白い便箋。ハートのシールで封をしてある。
「そうだ。呼び出したのは私だ」
「なんで先生が? 私、夏休みの間に変なことはしてませんよ」
「白々しい……では聞こう。私の弟、哲明が朝倉の家に行っただろう、30日に」
「はい。その日までずっと遊びまくってたから、宿題が終わりそうになかったんですよ」
「それについてはいい。学生ならばよくやることだ。私だって高校時代には同じことをした。
私が問題視しているのは、その日に哲明の携帯電話を奪い、いたずらメールを送ったということだ。
学園内の一部を混乱に陥れる危険があるので、即刻撤回してもらいたい」
「……ああ、私と哲明君が付き合っている、ってやつですね。あれ、本当ですよ」
「…………何?」
朝倉直美は教室内に入り、校庭側の窓を開け放った。
さっきまで閉めきられていて滞っていた教室の空気が凪ぐ。
窓の手すりを掴みながら、独り言のように校庭へ向けて言葉を続ける。
「30日、テツ君が私の家に来たとき、告白したんです」
「……ほう」
「私、もちろんオッケーしました。だって、私の想いはテツ君に伝わっていたんです。
毎晩寝る前にテツ君を想って、結局眠れなくなった日もありましたけど、全部報われたんです」
「くだらない冗談だ」
「その後で、2人一緒にベッドの中で……あ、先生にこんなこと言っちゃまずいんだっけ」
「弟はそんなことは言っていなかった。私を騙したいなら、弟と裏を合わせておくべきだったな」
「だからあ、本当ですってば。本当だからこそ、テツ君があのメールを友達に送ったんです、よ」
「だが、お前の家には弟の携帯電話があった。しかも31日の朝まで。いたずらメールを送ることはできた」
「証拠はあるんですか?」
「無い。メールの送信履歴を消したりごまかしたりすることはいくらでもできるからな。
だから、こうやって直接注意をしている、というわけだ」
「なーるほど。……でも、先生」
朝倉直美は、窓にもたれるようにして、リカの方を振り向いた。
「テツ君が送った、っていう証拠はあるんですよ?」
朝倉直美はリカの近くへ寄ると、スカートのポケットから携帯電話を取り出した。
ポチポチ、と何度か操作して、携帯電話を教師に渡す。
「見てください、そのメール。メールアドレスの欄、テツ君の名前になってるでしょ?」
「『さっき友達に俺たちが付き合っているというメールを送ったから。ごめん、黙ってられなかった。』、ね。
くだらない。朝倉が弟の携帯電話を持っていたのなら、こんなメールを送るぐらい簡単だ」
「それ、私がテツ君に携帯電話を返したあとで送られてますよ?」
「……な?」
メールの送信時間は、8月31日の午前9時。
この時間には、哲明、明菜、リカの3人は朝食を終えていた。
顔をしかめて携帯電話を見つめるリカの頭部を見下ろしながら、朝倉直美が言葉を続ける。
「私が携帯電話を返しに行ったのが――何時だっけ。まあ、8時までには返してましたから」
「……いや。この携帯電話のアドレス帳に細工をすれば、これぐらいはできる」
「まだ信じないんですか? じゃあ、『テツ君』って名前で登録してあるアドレス帳、見ていいですよ」
リカは手探りで朝倉直美の携帯電話を操作した。
その手は、軽く震えていた。
もしかして、いや、まさか。という哲明への信頼と疑念が交錯する。
『テツ君』という名前で登録してあるデータのメールアドレスが弟のものと同じだった場合、
このメールは哲明が送った、ということになる。
リカはアドレス帳の『テツ君』のところにカーソルを合わせ、決定ボタンを押した。
ディスプレイに表示された内容を見て、リカの顔は青ざめた。
表示されていたメールアドレスが、脳の深い部分に刻み込んでいるものと同じだったから。
「馬鹿な、これは……テツの……」
「ね? このメールは、テツ君が送ったものなんですって」
「そん、な…………テ、ツ……」
リカはその場に膝をつきそうになったが、朝倉直美への対抗心でどうにか耐えて机に手をついた。
だが、足が震えているのは隠せない。
嘘だろう、テツ。私と明菜じゃ駄目なのか?朝倉直美の方がいいのか?
リカの自問に答えるものは、彼女の心の中にはいない。
ただ、確認した現実を受け入れるしかない。――テツが、朝倉直美を選んだ。
リカの手の中で携帯電話が振動した。画面には、メールの着信を報せる文字。
「見ていいですよ、先生。そのメール」
うわついた心地で、リカはメールを開いた。――そして、さらに希望が薄まった。
「先生、なんて書いてありました?」
「……あ……て、つ……嘘、だ……」
「ふん。――あーあ、あっけないの。悪いですけど、携帯返してもらいますね。……それじゃ先生、ご機嫌よう。
ご無事でしたら、また月曜日会いましょうね」
朝倉直美が教室を後にして、一人になっても、リカは体の震えを抑えられなかった。
たった今突きつけられた決定的な証拠。
先ほどのメールの本文には、朝倉直美への想いが何行にも渡って綴られていた。
文章の全てが、哲明に言われたかった言葉ばかりだった。
その言葉は、リカではなく朝倉直美に向けて送られていたのだ。
メールの送信者の欄には――『テツ君』と表示されていた。
第3回は終わり。次回へ続きます。
なんかややこしい展開になってますが、あと2・3回で終わります。
>>881 グッジョブ!
朝倉直美…恐ろしい子!
だが逆に朝倉は死亡フラグ立てたということに…ウヘッヘッ
凄く新鮮だなw
キモ姉から見ると間女の方も策士として優秀なのは
素ン晴らしいGJありがとう!
朝倉さん今んとこ優勢だけどこのままだとやりすぎちゃって
どうやってメール送ったとかがばれたときに逆に殺られそうな希ガス…
それにしてもどうやって送ったんだろ…?
なぁ、キモ姉でもキモ妹でもなくてキモ娘(キムスメ?)のSS
「重度のファザコン、父親に近づく女をことごとく〜」ってのを書き始めてしまったんだが
よく考えたらってかよく考えなくてもここはスレ違いだよな、、、?
どっかいいスレないかな?
嫉妬スレで良いんじゃね
嫉妬スレか、ありがとう
上の方でキモムスメスレとかキモカゾクスレとかいってるの見つけたらもしかしたらあるのかなぁと思ったんだ
スレ汚しスマソ
メールの時間差送信は送信予約で可能だ
問題は、この姉妹がいると言うことが解っていて
策略をめぐらせる朝倉さんの勝算やいかにってとこだw
実に楽しみな戦いになるなw
続きが楽しみだわ
修羅場!修羅場!!!!
>>881 頭脳が良いという割りには、その携帯の手段は稚拙っぽくないか?
リカ姉も普通騙されるかなあ。
>>891愛する弟の事となると冷静さを欠いてしまう姉って素晴らしい!
893 :
689:2007/08/13(月) 00:36:36 ID:KJJxSEZ2
689もとい、完結できな(ry です。
中国への急な出張で遅くなってしまいました。
三日以内になんとかする(予定な)んでお待ちをー
>>893 おぉ!
チャイニーズシーフキャットとの出会いはあった??
ともあれ待っておりまする
>>891 そんな携帯の時間差送信という稚拙な手段を今まで知らなかった俺が通りますよ、と。
第4回を投下します。
「そんなの、タイマーメールでできるじゃん」
リカが失意のままに家に帰って妹に事情を説明したら、開口一番にそう言われた。
リカが朝倉直美と教室での会話をしているうちに、明菜は哲明と一緒に帰宅していた。
それは朝倉直美と哲明が同時に帰るのを妨害するための行為だった。
哲明と明菜が帰っている間に、リカが朝倉直美へ哲明に近づくなと警告をする。そういう段取りだった。
明菜はすぐにでも朝倉直美をどうにかしたかったのだが、教師であるリカの提案でとりあえず警告だけしよう、
ということが昨日の姉妹会議で決定していたのだ。
「タイマーメール? なんだそれは?」
「はあ……リカ姉、それでも教師? 本ばっかり読んでるからそんなことにも気づけなくなっちゃうのよ。
今時のケイタイなら、時間指定でメールを送れるのよ」
「そうなのか? それは一体どうやって……」
「細かいところはわかんないだろうから説明しないけど、ウチの姉兄妹が加入している電話会社だったら、
ケイタイで使える――パソコンで言うところのインターネット、それのサービスで設定できるの」
「な、なるほど……今時はそんな便利なサービスがあるのか」
「ねえ、正直に答えてよ? 本気で、気づいてなかったわけ?」
「……すまん」
リカは深く頭を下げた。
対して明菜は呆れた様子で嘆息した。うつむき、眉間を指でつまみながら言葉を続ける。
「リカ姉、パソコンの起動の仕方は?」
「馬鹿にするな。電源スイッチを押せばいいだけだろう。それぐらいわかる」
「じゃあ、電源を落とすときは?」
「また電源スイッチを押すのだろう?」
リカはよどみなく答えを返した。自分の答えに完璧な自信を持っている。
明菜はまた嘆息して、肩を大きく落とした。
「……DVDの録画の仕方は?」
「あの……なんとかボタンを押して、新聞の番組欄の下に書いてある番号を入れて、送信する」
「ハードディスクってわかる?」
「ビデオデッキの中に入っているビデオテープみたいなもの、とテツから聞いた」
「じゃあ、ハードディスク以外に保存するとき、どうしたらいい?」
「そのときは諦めろ、俺か明菜に聞け、とテツに言われた」
「あああああ……」
明菜は、馬鹿アホガリ姉、と言いたい気持ちを抑えて頭を両手で抱えた。
今の会話でわかるとおり、リカはデジタル関係に弱いのだった。
アナログなもの、たとえばビデオテープや自動車のエンジン構造などは理解できる。
だが、CDのような薄いものになぜ音楽が保存できるのか、と問われると見当もつかなくなる。
そういうものなのだ、と説明してもどうしても理解できない。
そして、デジタルの塊である携帯電話についてもそれは同じだった。
電話の仕方、メールの送り方は知っているが、壁紙の設定方法や着信音の変更の仕方はわからない。
デジタル関係に人並みの理解力を示している哲明と明菜がいるからこそ、リカはどうにか携帯電話を使えている。
そのリカにとって、朝倉直美のやってのけたことは魔術にしか思えなかった。
あのメールを哲明が送ったということを、欠片も疑わなかったのだ。
明菜はかぶりを振ってから、ようやく顔を上げた。
「やっぱり私が朝倉に言うことにしとけばよかったわ。まさかそんな簡単な策に引っかかるなんて……」
「重ね重ね、すまん」
「まあいいわ。朝倉が嫌がらせや遊びじゃなくて、本気でテツ兄を奪おうとしてる、ってこともわかったし」
「うむ」
「それで他には? 朝倉が携帯電話を返した後、テツ兄のアドレスでメールを送った以外に、何かやってた?」
「ああ。私が朝倉と会話しているとき、テツのアドレスでメールが送られてきた」
「なにそれ? どんな状況で?」
「私が朝倉の携帯電話を手に持っているとき、メールが着信したんだ。メールの本文はテツからのラブレターだった」
「え……? いや、テツ兄が朝倉にそんなメールは送らないだろうけど。どういうことよ、それ。おかしいじゃない」
明菜は顎に手を当て、考え込むそぶりを見せた。
なにがおかしいのかわからない姉は妹の様子に首を傾けた。
「なにがおかしいんだ? そのタイマーメールとやらでできるんじゃないのか?」
「タイマーメールはね、リカ姉がケイタイを持っているジャストのタイミングで送信するような設定はできないの。
あらかじめ時間指定しないとメールは送信されない。
朝倉が、リカ姉に呼び出されることを31日のうちに読んでたとは思えない」
「いや、あの朝倉だぞ? もしかしたらということも……」
「私はそうは思わない。あの手の女は無駄なことはしない。そんないちかばちかの賭はしないはず。
朝倉は超人じゃない。ただの泥棒猫よ」
「では、タイマー以外の方法であのメールを送ったということか?」
「そうに違いないわ。もしかしたら朝倉が今日リカ姉に呼び出されるのを読んでいた、とも考えられるけど。
それでもリカ姉がケイタイを持っているときに着信させるなんて芸当は不可能よ。
テツ兄が朝倉にラブメールを送るなんて、それ以上にありえないけど」
「あ……それについてなんだが、明菜……」
リカが言いにくそうな様子で口を挟んだ。
「なに?」
「もしかして、テツが朝倉を選んだということは……」
「ありえない」
「しかし、朝倉はあの年にしてはしっかりしているし、外見や素行に問題はない。テツがそれに騙されて告白したりとか」
「……殴られたいわけ、あんた?」
落胆の色に染まった姉の顔を両手で掴み、明菜は正面から向き合った。
「テツ兄はそんなに馬鹿じゃない。朝倉の本性に気づいてる」
「しかし、それは」
「もちろん私の希望みたいなもんだけど。それでも、あんたみたいに諦めるよりはマシよ」
「私は! ……私は、諦めたりなど……」
「誓ったでしょ? テツ兄は私たちで守るって。そしてテツ兄を絶対にものにするって。
もし、テツ兄が朝倉を選んだとしても」
「選んだと、しても?」
「奪っちゃえばいいのよ、朝倉から、テツ兄を。そのためなら――不本意だけど、朝倉を傷つけることもいとわない。
テツ兄が悲しむことはしたくないけど、テツ兄を奪われたままでいるよりはずっといい。
昔、同じ台詞をリカ姉から言われたんだけど、もう覚えてない?」
「いや。もちろん、覚えている。そうだったな――しばらく忘れていたよ。
今の甘い生活に溺れて、私はそんな物騒なことを思い出したりもしなくなっていた」
「でも、思い出したでしょ。今、はっきりと」
「ああ。――テツは私たちが守る。テツは私たちとずっと一緒に暮らす。他の誰にも渡さない」
「――たとえ、どんなことをしてでもね」
リカの言葉は2人の目的。明菜の言葉は決意の深さ。
2人の目的も、決意も、ずっと昔から変わらない。
姉妹が誤って哲明を傷つけてしまったときに、はっきりと心に刻みつけていたはずだった。
「どうして忘れてたかな、こんな大事なこと」
「おそらくは、テツのせいだろう。テツを見ていると、どうしてもぬるま湯に浸かっていたくなる。
今のまま、何もしないままでもテツが待っていてくれると思いこんでしまう」
「そんなこと、ありはしないんだけどね。テツ兄だって檻の中にいるわけじゃないんだから、誰かと出会う。
そして、私たち2人以外の誰かと親密になるかもしれない」
「本当は檻の中に入れたいんだけどな、私は」
「それは同感。ま、テツ兄はそれを望まないだろうからやらないけどね」
「難儀なことだな。愛する人を持つというのは」
「難しいから、楽しいんじゃん。その方がやりがいがあるってもんよ」
「そうだな……明菜にはその調子で難しいテストにも挑んで欲しいところだ」
「お断り。テツ兄以外のことでエネルギーと頭を使うなんてごめんよ」
「だからスポンジ頭なんだ、お前は……ん?」
耳障りな振動音。リカは一度体を震わせてから、携帯電話を取り出した。
「なに、どうかした?」
「メールが届いている……しかも、テツから」
明菜はリカが持っている携帯電話の画面を覗き込んだ。
送信者名は哲明。リカの携帯電話のアドレス帳には哲明のメールアドレスももちろん登録されている。
メールアドレスが間違っていることはない。携帯電話を誰かにいじらせたこともない。
メールの本文には、哲明が書いたらしい文章が綴られていた。
その文章もなかなかに忌々しいものではあった。
だが、たった今送られてきたメールにはさらに不愉快なものがくっついてきていた。
携帯電話で撮ったらしき朝倉直美の写真と、『俺の彼女です』というタイトル。
「……やっぱり問答無用でヤってやろうか、朝倉のやつ。
テツ兄がこんな馬鹿なメールを送るはずがない。嫌がらせのつもりかしら」
「うむ。文章だけならともかく、画像はな……タイトルもありえない。やはりこのメールは朝倉が送ったということだな」
「問題は、どうやって送っているか、ね。メルアドはテツ兄のやつだし。
タイマーメールじゃ画像は一緒に送れないように、電話会社の設定でなってるし」
「もしや、テツの携帯電話にハックとかクラッカとかいうのをしているとか」
「それを言うならハッキング。でも、PCじゃあるまいし経由して送るなんて……できるのかしら?」
「私は知らないぞ」
「最初から聞いてないし期待もしてないわよ」
2人の会話はそこで途絶えた。
こうなっては明菜にもお手上げだった。
明菜の知識は携帯電話のネットワークの深淵まではカバーしていない。
朝倉が送っていることは間違いない。だが、送信方法がわからない。
「どんなトリック使ってやがんのよ、あの女……」
明菜がつぶやいたその時、部屋のドアがノックされた。
2人が会話しているのはリカの部屋。姉妹は同じ部屋にいる。
ということは、姉妹以外の人間がノックをしているということだ。
この家にいる人間は、姉妹の他には一人しかいない。
「テツ兄?」
「あ、明菜か? ちょっと俺の部屋に来てくれないか?」
「いいけど……なんで? あ、もしかして……とうとう」
明菜は期待に顔をほころばせた。だが、すぐに表情は曇ることになる。
「携帯が見あたらないんだ。ちょっと探すの手伝ってくれ」
「またあ? ……あ、でも、もしかして。――わかった、すぐに行くよ、テツ兄」
「ああ」
携帯電話が見あたらない、と哲明は言っていた。
しかし、ついさっき哲明のメールアドレスでメールが送られてきた。
哲明以外の人間がメールを送った、ということは100パーセントの確率で確定した。
そして。
「もし今、テツの携帯電話が見つからなければ、それを朝倉が持っているかもしれない、ということだな」
「そうよ。それなら、さっきのメールだって送れるわ」
姉妹は部屋を飛び出して、哲明の待つ部屋へ向かった。
部屋の中は哲明の机以外、今朝明菜が見た光景のままだった。
「テツ兄、最後にケイタイを見たのはいつだった?」
「たしか学校だったかな。メールが届いてないか見て、それから……どうしたか覚えてないんだ」
「ふうん。ちょっと電話でもかけてみましょうか。知らない人が出るかもしれないし、ね」
明菜は自分の携帯電話を使って、哲明の番号に電話をかけた。
呼び出し音が携帯電話の受話器から聞こえてくる。着信音も、振動音も聞こえてこない。
いつまで経っても電話の相手は出ようとしない。
明菜は笑みを浮かべたまま、うんうん、とうなずいた。
「ふふん。出られるわけがないわよねえ。これはもう、確定かしら?」
明菜は通話終了のボタンを押して、携帯電話を折りたたんだ。
「リカ姉、決まりよ。テツ兄のケイタイは今――」
そして、決定的な一言を言おうとした。だが。
「あ、あった!」
突然の兄の言葉に遮られた。見ると、哲明が学生かばんの中から携帯電話を取りだしていた。
「あ、電源が切れてる。どうりでなんの音もしないわけだ」
「え〜〜、何よそれえ。もう、どうなってるわけよ!」
明菜がうめくのも無理はない。哲明の携帯電話は朝倉直美の手にある、とほぼ確信していたのだ。
だが、携帯電話は哲明の手の中にある。
明菜は八つ当たり気味に二段ベッドの下にある、哲明用のベッドへ身を投げた。
「だー、もう! わっけわかんないわよ、あいつ魔術師か何か? テツ兄、どういうこと!?」
「どういうことも何も……なんで明菜が怒ってるんだよ」
「テツ兄にはわかんないよ、ふん!」
明菜は完全にすねてしまった。哲明のにおいが染みこんでいる枕に顔を埋める。
哲明は妹の様子に首をひねるばかり。
そして、リカはというと――薄く笑っていた。
「明菜、さっきの電話で、コール音がしていたな?」
「うー、あー……うん」
「しかし、テツの携帯電話の電源は切れていた。
それなら普通、コール音は鳴らない。代わりに録音を促すメッセージが流れたりするはずだ。
これから、何がわかる?」
「えーっと……まあ、そういうこともあるんじゃないの? 電話会社の機械が故障してるとか」
「そうではない。そういうことではなく――さっき、明菜の電話はテツの番号に繋がっていた、ということだ」
「は? ……頭いかれてんの? だって、テツ兄のケイタイはここにあるじゃん!」
「お前はデジタルには強い。だが、物事を整理して考えるのは全然駄目だな。
だから私の担当する国語で赤点ギリギリの点数しか取れないんだ。頭を使え、頭を」
「あんたに言われたくないわよ! このアナログ即物女!」
再び枕に顔を埋めた妹から目を逸らし、リカは哲明と向き合った。
「テツ。昨日変なメールが届かなかったか?」
「あー、あれ。俺が朝倉さんと付き合いだしたってメールについて、友達に聞かれたよ。
変だよな、俺そんなメール送ってないのに。なんで俺に聞いてくるんだろ」
「なるほど……ありがとう、よくわかった」
リカは哲明からも視線を外すと、天井を見つめた。脳内に思考を巡らせる。
リカはデジタルに弱い。だがそれは、デジタルの過程を理解できていないからだ。
過程さえ頭の中で理解できていれば、リカの脳は常人以上に機能する。
今、リカの脳内では朝倉直美のしてきたことが全てインプットされている。
朝倉直美がどうやってメールを送ったのか、これからどう動くかが、組み合わされていく。
「テツの携帯電話はここにある……電話は繋がっていた。
いたずらメールが送られたのはテツに携帯電話を返した後の時間……タイマーで送ることは可能。
昨日明菜に送られてきたメール……送ってきたのは友人……内容はいたずらメールについての話。
いたずらメールそのものは明菜には送られていない……それはわざと。
ばれることを恐れているわけではない……こんなことをすれば必ずばれる。
その上で朝倉がもし、『アレ』をしていたならば、タイマーであのメールといたずらメールを送る。
そうすれば、テツ宛に友人からのメールが送られてくる。
だがこれは、長くもつ策ではない……期間が限られている。
私ならば、いや誰でもその前に動く……ばれる前に、必ずテツに接触してくる。
それなら、あえてこちらから動いてやれば、逆転のチャンスが生まれる。
ふふっ、はははっ。わかったぞ、明菜!」
リカの顔がベッドに横になる明菜へと向いた。
明菜は、姉の顔を珍獣を見るような目つきで眺めていた。
「ンな長い独り言ぶつぶつ言ってると、気持ち悪いんだけど。……何がわかったのよ」
「どうやってあのメールを送ったか。そして、これからどう動くかも、な」
「え……マジ? なんで? あと、これからどうすればいいの?」
「まあ焦るな、物事には順序というものがある。詳細は作戦と同時に話してやる。その前に……テツ」
ゲームでもやろうとしていたのか、哲明はテレビの前にいた。
ゲーム機のコントローラーを右手に持ったまま、電源を入れようと身を乗り出している。
「ん、何?」
「明日は何か用事が入っているか?」
「あいにく予定なし。あ、暇なら3人でプールにでも……」
「それは来週に持ち越ししよう。それより明日暇ならば、デートをしろ。――朝倉直美と」
部屋を沈黙が支配した。
このときの明菜の顔は、姉への何を言い出すんだという思いと、脳内の哲明と朝倉直美が腕を組んだり
同じグラスに入ったジュースを飲んだりキスしたりしている想像のせいで、奇妙に歪んでいた。
哲明は身を乗り出した不自然な姿勢に耐えられなくなったのか、その場に座り込んだ。
明日は9月2日、日曜日だ。
天気予報では、明日のこの地域は晴れのち曇り、ところにより雨だと言っていた。
デートするには微妙だが、悪い日和でもない。
リカは明日、無理矢理にでも哲明と朝倉直美をデートさせようと考えている。
――明日朝倉直美を罠にはめなければ後日、実力行使しなければいけなくなるからだ。
第4回はこれで終了。そして次回へ……。
リアルタイムGJ
GJ!!!!!
今回は姉妹二人の朝倉女史の奸計に対する推理考察が素晴らしい!
特に今まで散々マロ姉、マカ姉とバカにされてきたリカ姉が別人のようだ…
次回の展開にwktkせずにはいられないっ!
やべー・・・俺どうやってメールを送ったのかわかんねーよ
お前らわかる?
GJ!!!!!
これは携帯が2つって事なのかな?
SIMカードかな、とか思ってみる
隠れ弱気っ子のリカ姉いいなぁ・・・
携帯のトリックはメ欄かな?
昔ホームアローン観たとき電波回線ジャックってのがあったけどそんな感じじゃね?
アセリアのキモウトが成長して美化されたんだが
策略を感じてしまう
策略おもしれえw
結託したキモ姉妹の逆転も楽しみだ
携帯の機種と色が同じものをもう一つ用意して、テツの携帯だと偽ってテツに返せばいいんじゃね?
そしたら番号とかアドの件は解決するし。テツの携帯に繋がったのも頷ける。
後はばれないように、少しいじくればいいだけだろ。
なんか推理物っぽくて新鮮だなw
続きをwktkしつつ待ってます。
キモウトssを投下しようと思う。
…どうやって題名入れるんだ?
少し前にFOMAカードのフォーマットミスとかコピーの件が話題になっていなかったか?
>>918 ありがとう。
じゃあ、駄文を投下してみる。暇だったら読んでくれたらうれしい。
920 :
桜の網:2007/08/13(月) 19:58:37 ID:+3xLz44g
感情が行動に起因するものだというものは知っていたけれど、
行動によって感情が知らされるなんてことは僕の十八年の短い人生の中では一度もなかった。
十八歳、成人までもう少しであり、ある程度の解禁をむかえる夏。
悠太はこの人間を焼き殺そうとしている太陽の下で―――凍りついていた。
目の前には日傘。淡い水色の中に白いバラのような刺繍が見える。
柄のところは木製で、上等な樹から作られているのだろう、木の色は鈍いながらもしっかりとしていて、とても高価に煌く。
ニス等を塗って光らせているようなものではないと素人にもわかって、
悠太はもしかしたら、太陽の光を和らげているのは、高級さも輪をかけているのかもしれないと思った。
傘の下にはフリルのドレス。白を基調としたシルクは太陽の下にあるのが不自然なはずなのに、なぜかそこにあるのが必然であるかのように輝いていた。
ヨーロッパのお姫様。
この形容が正解で、もしここにいる人間がそうだとしたら、驚きこそするけれど何とか力になってあげようと悠太は思う。
質問には喜んで答えるし手助けもしよう。道案内だって惜しまない。なんなら大して力が強いわけではないけれど、護衛だってしてもいい。
でも、今彼に向かってにっこりと微笑んで、先月骨折したばかりの右手をギブスの上から思い切り右足で蹴りつける彼女は―――妹だ。
「兄さん、今日はどちらへいかれるのですか」
睥睨。少女は射殺すように見る。だが悠太は、返事をすることができなかった。
彼女がドレスのことなど気にもせずに放った回し蹴りで呻いていたから。
この炎天下にドレスという不釣合いな格好に輪をかけて恐ろしい行動をする実の妹。
「桜」
せめて名前だけでも呟いて、桜の質問に答える意志があることを示さなければならない。
悠太はあまりの痛さにコンクリートのど真ん中で蹲っていたけど必死で答えた。
「兄さん、私にはわかりません」
くるくると回される日傘。それは桜の機嫌がいいときに出る癖で、決まって兄に関すること。
事実、機嫌がいいのだろう。
このような奇行、常軌を逸してはいる。だが、悠太はわかっていた。
これが悠太のことを心配して起こることだということを。少しばかり兄思いが過ぎるが。
「なぜ、外に出て行かれるのです。この暑苦しい太陽の下へ。屋敷にいればいいではないですか。
もし足りないものがあればすぐに用意しますのに。まあ確かに、たまには外に出たいという気持ちもわかりますが」
921 :
桜の網:2007/08/13(月) 19:59:22 ID:+3xLz44g
悠太は桜を見る。
美人だと思う。綺麗なロングの黒髪に、透き通るような白い肌。
髪は腰元まであり、風がそよそよと彼女の髪を揺らす。ここだけ見ればとても愛らしいことは間違いない。
ドレスではなくて着物を着ていれば、大和撫子と表現してもいいだろう。
下世話なことではあって、兄としてみてはいけないことだけれど桜は胸だって豊かだ。ドレスいっぱいに開いた胸元は健康的な色気を放つ。
これが肉親でなければ悠太とて、ずっと側にいてもいいのだが。いかんせん妹ではいささかムードがない。
「夏休みも、もう終わりなんだ。たまには遊びにいかせてよ」
そう、悠太は高校三年生の夏休みの八月半ばまで屋敷から一歩も外に出ていなかった。
外に行こうとすると、どこからともなく、桜はもちろん、使用人、執事、ガードマンが屋敷に連れ戻した。
その後は、桜によるお仕置きである。悠太はこれが嫌でたまらない。
「兄さん、何も私は遊びに行くな。なんてこと言ってはいないのですよ。ただ、私に無断で行くというのが気に入らないだけで」
「言ったじゃないか、白石さんの家に行くって」
「許す、とは言っていませんよ。それにしても、白石、あのご老人ですか。確かにあの方は、とても穏やかな人ではありますが…」
桜の目が険しくなる。もともと釣り目気味の目が更に鋭く、美人がこういう顔をすると、その筋の人にはたまらないものがあるだろうなと悠太は思った。
「あの女もいるのでしょう?」
「あの女?ああ、亜美のことか」
刹那、桜が悠太の腕に足を置く。まだ蹲ったままだった悠太の格好からすれば、
なんだか女王様にしつけられているみたいに思え、実際、桜が足に力を入れればまた激痛が悠太を襲うだろう。
「その名前は兄さんが口にしてはいけませんよ。口が穢れてしまいます」
「穢れるって…、そんなに邪険にしたらだめだよ。同じ、妹だろ」
ごりっ
「あああああああ」
悠太の叫びが木霊する。桜の足が悠太の腕を踏みつけていた。
「同じ?あははははははははははは。兄さん、何言っているんですか。同じなんかじゃないですよ。だって、私は人間で、あの子は猫でしょう?」
悠太はやめて、やめてと叫ぶ。おそらく桜が喋っている声は聞こえていないのだろう。
ただ自分の腕を桜の足からはずそうと必死にもがく。
桜は、喋りながらもしっかりと悠太を見ていた。自分に懇願する兄の姿を。
高校生にしては幼い顔の兄。女性的とも言える彼の顔は、学校でも人気があるようだ。
事実、屋敷にも何回か女からの電話が何回かかかってきていた。
もちろん、ソレは処分したけれど人気がある、ということに関しては桜も納得してしまう。
顔は整っていて、かっこよくもある。が、美形と表現は適切ではないだろう。
ただ、庇護欲はそそるものがある。なんだか守ってあげたくなる小動物特有の目。
加えて今の表情。前述とは矛盾するが、いじめてみたくもなる。なんだか、泣く姿が見たくて。
桜からすれば、このギャップが麻薬であった。
兄という自分よりも年上の男が、そして肉親が私に哀願するこの姿。
なんともそそるではないか。
「私の側を離れる時は、私が納得できる理由、離れているおおよその時間、そしてそれに伴う代償が必要だと教えたでしょう。
加えて、GPSと発信機、盗聴器をいつもの二倍はつけないといけませんのに。なぜ兄さんは守ってくださらないのですか」
きっと、兄はあまりの痛さに聞いていないのだろう。でもそれがいい。
まだ完全に感知していないのに病院の院長に金を渡して、退院させたかいはある。
西園寺財閥、なんて忌々しいこと意外に思うことなど何もなかったけれど、多少は役に立つものだ。それに関しては感謝してもいいだろう。
桜は屋敷に連れ戻すためにガードマンに命じて車にあまりの苦痛に気絶した悠太を押し込むと、意気揚々と車に乗り込んだ。
922 :
桜の網:2007/08/13(月) 20:00:30 ID:+3xLz44g
暗い地下室。わずかな光はぼんやりと壁を写している。窓はない。喚起のための小さな穴のようなものはあるが、
そこから風を感じることはなかった。ゆえに臭いはこもっている。すえた臭い。
「脱いでください」
桜は、悠太に命令した。悠太は言われたとおり脱ぎ、トランクス一枚になった。
「いい眺めですね、兄さん」
桜の格好はドレスではない。ゴスロリ、というのだろう。黒と白をベースにした人形に着せるような服をまとった桜。
豊満な体の彼女が着ると、なんだかエロティックに見えないこともない。なんだかここだけ異空間みたいだなと悠太は思った。
「すいません、兄さん。このようなことしたくはないのですが、掟ですから」
「わかっているよ。早くしよう」
桜は鞭を取り出した。だらんとした鞭が地面につく。結構な長さだ。おそらく悠太の身長ぐらいはある。
そして桜は鞭を思い切り悠太に向けて振るった。
ビチィ
「―――痛っ」
男にしては白い肌に、赤々としたものが点々とつく。すでにいくつもの赤点がついているのは、悠太が以前にお仕置きされた時のものだ。
悠太が外出するというのは、正確に言えば別段変わったことではない。
華の高校生。外出などやってしかるべきだ。桜も、兄が出かけるというのを推奨こそしないものの止めたりしたことは夏休み前まではしたことがなかった。
ある日、桜は悠太が出かけるというので、どこに行くか尋ねた。すると兄は街に買い物に行くらしい。桜は自分も同伴していいか訪ねた。悠太はにこやかに了承した。
暑い空の下。二人は街までやってきた。悠太は新たな夏物の服が欲しいといっているので、まず衣服を買いに行った。
店は主にカジュアルな服が多く、悠太には似合いそうなものが数多くあった。女性用の服もある。
桜は、ここで兄の服を見立ててあげたり、見てもらったりしようと決めて、先に自分用の服を買いに女性用の服を選びに行った。
しばらくして服を二、三着もって悠太のもとに帰ってくると彼は一人ではなかった。
「あれ、悠太。この子、誰」
「ああ、妹だよ」
「妹?亜美ちゃんじゃなくて?」
「うん。まあ、ちょっとね」
女は悠太の腕を取り、絡めている。悠太は困ったようにしているが、女は決して離そうとはしなかった。
桜は、自分の心から沸き起こる黒いものに気づいたが、兄の手前、平静を保った。
なぜこの化粧の濃い女は、兄さんの腕を取っているのだろう。女との距離は二、三メートル離れているのにここまでくさい香水の臭いが届く。
「兄さん、彼女、なんですか」
「いや、違うよ」
笑いながら悠太が言う。女はそれを聞いて甘ったるい声で、ひどいなあ悠太は、などといっていた。
それから女は用事があるとかで帰った。塩でも撒きたかった。
もう桜は洋服を悠太に見立ててもらうどころではない。ただ、不快感だけが付きまとっていた。
店を出て、今度は喫茶店に入る。
なんとなく桜は悠太に話しかけることが出来なかった。しかし悠太はそれに気づいていないようで、満面の表情で桜に微笑む。
そして、桜が悠太に話しかけようと口を開きかけた時、さらに不快な出来事は起こった。
923 :
桜の網:2007/08/13(月) 20:01:07 ID:+3xLz44g
「あれ、悠太君?」
「あー、本当だー」
「え、あー、悠太ぁ」
今度は女の三人組だった。おそらく悠太の友人なのであろう。甲高い声が店内を包む。
悠太は少し桜に申し訳なさそうに、けれど友人に向かって話しかけていた。
これだけでは、止まらなかった。悠太は驚くほど友達が多い。それも女が。
街に出れば女友達と会うし、家にだって電話をかけてくる。
だから桜は、悠太の交友関係を絞ることにした。というより、夏休みに入ってあまり外に出られないようにした。
理由は、西園寺家次期当主の仕事が山ほどあるということにして。
これは、半分本当でもう半分は嘘だ。
次期当主、になるのはたぶん桜本人だろう。生まれた時から西園寺の一人娘として育てられた彼女は、
この間まで西園寺の息子ということを知らなかった悠太よりもはるかに内情に精通しているし、大きな声では言えないが父親は、悠太を疎んでいる。
となれば、当主は決まったようなものだ。
実は悠太は、このことを見抜いていた。
最近までここにいなかった自分が当主になどなるわけがないと悟っていた。
だが、桜に対し負い目はある。いくら、自分が西園寺の息子であるということを知らなかったとはいえ、
この屋敷に一人で十年間以上も桜を置いていたのだ。自分に何も非がないなどとはいえない。
悠太は極力、桜の仕事を手伝った。それは西園寺財閥というものの姿と大きさを理解するものから、中小企業などの仕事に関連したものなどさまざまだった。
悠太は、今までこのようなことを一人でやっていたのかと桜に問うと、桜はあいまいに頷いた。
このように、負い目を感じていた悠太であるから、桜が細工をするのも簡単なものだった。
その際たるものが、お仕置き。
先に言ってしまえば、そのようなものは西園寺家にはない。
というのも、桜が勝手に作り出したものなのだ。
悠太は幼い時からこの屋敷で育ったわけではない。だから、この西園寺という家のことを良く知らなかったのだ。
桜がこの家のことを教えると、そうなのかと信じたし、しきたりや掟があれば黙って従った。悠太は常識も良識もあったが、人を疑うことには疎かった。
続いて、外出の許可制。電話の録音。どんどんエスカレートしていく。
そして、最後には簡単には悠太は桜の側を離れることが出来ないようにした。その時には悠太が外に出られるのは、桜の目を盗んだときだけになっていた。
ビチィ、ビチィ
暗い部屋に音だけが木霊する。
桜はお仕置きの時間、とても幸福感に包まれる。鞭が赤い螺旋を刻む時、兄が自分だけの物になったかのような錯覚に陥るからだ。
マーキング。
桜がつけた傷。桜によってつけられた跡。それが兄を縛る。桜の愛情が兄を縛っている。
ああ、兄さん。兄さん。誰にも、誰にも渡さない。
桜は、半日ほど兄を嬲った後、眠ってしまった兄を見て、幸せそうに赤く腫れた肌に舌を這わせた。
悠太に意識はないのに、桜は堪えきれずに悠太のトランクスを脱がした。
924 :
桜の網:
西園寺桜。
高校一年になったばかりの彼女には、人より少しばかりの不遇な環境があった。
まず桜は父親を知らなかった。もちろん、いないわけではない。
しかし、西園寺財閥という大手企業から中小企業、分野は農業などの第一次産業からサービス業まで携わっている会社の社長をしている父親は、
娘が生まれたというのに一度も会いに行くことはなかった。
桜が生まれ、現在の十六歳になるまで一度も対面したことがない。
だからもし、桜が父親と会うことがあっても、桜自身が気づけないであろうことは想像に難くないだろう。
母親もそんな父親に対し、諦観の念が強かったので彼に対して何か言うことはなく、自分ひとりで育てていこうと決めていた。
母は父親の気まぐれで抱かれた女の一人であり、彼女はそれを知っていたというのもこの気持ちの起因するところではある。
ただ、母親が桜を捨てなかったのは、彼女の少しばかりの夫に対する抵抗であった。桜の父が母親と結婚したのは惰性だった。
そんな母であったから、彼女は桜には愛情をたっぷりと注いだ。
起床から就寝まで常に桜の側にいることはもちろん、欲しいもの望むもの、そして時には躾も心を鬼にしてやったように思う。
だが、桜が四歳の時、母は死んだ。突然の心不全だった。
桜は親戚の顔も見たことがなかったから、それから独りになった。
これは桜にとって相当、堪えた。まだ愛情を渇望する時期であった桜は、甘い蜜をもらってからそれを理不尽に取り上げられたのだった。
財閥の一人娘、というのに齟齬があると気づいたのは小学六年生の時。リムジンという趣味の悪い黒光りする車の中、執事が言った一言が発端だった。
「もうすぐ、中学生ですね。早いものです。桜様は将来なりたい職業などがおありなのですか」
執事の長谷川がいった言葉に桜は始め、何も答えなかった。
どうせ、会社を継げといわれるに決まっている。
女という性別であったことが、会社に反映される世の中ではもうない。
一昔前であったなら、有望な企業などに花嫁などとして忌々しく送りつけられているだろうが、今は違い女社長という立場は珍しくなどはない。
だから、当然後継者となると思っていたから、何気なく長谷川に言った。
「私には、決まった道筋しか用意されていないのでしょうに。どうせ将来は会社を継ぐことになるでしょう」
「それは…なぜです。別に決まってはいないでしょう。後継の心配はないのですから」
長谷川は、雇われただけのただの人間だったが、とても甲斐甲斐しく桜を育てたといってもいいかもしれない。
小学六年生というこのときまで、桜の信用できる人間は、長谷川だけであったし、また長谷川自身、桜を娘のように思っていた。
だからではある。後継の心配はないという失言をしてしまったのは。
「後継の心配がない…とは、どういうこと」
長谷川は桜の質問に答えることが出来なかった。桜に対してくれぐれも、他に兄妹がいないことを知らせてはいけないといわれていたからだ。
桜の顔は驚きに染まっていた。
ぼんやりと景色を眺めていた状況とは打って変わって、重い空気が車内に立ち込める。
桜が、変わったのは長谷川から「後継の心配はない」と聞いた後からだった。
屋敷の使用人の誰に聞いても、意味がわからない、知らない、聞いたことはないと言う。
長谷川ではない執事に父親に連絡を取らせ、事の真偽を確かめようともしたが、父親には繋がりもしなかった。
そして、桜は執事などを通しても事実が更に隠蔽されることに気づく。
小学生としてここまで生きてきたが、これほど自分が馬鹿だということを恥じたことはなかった。