キモ姉&キモウト小説を書こう!Part2

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1名無しさん@ピンキー
ここは、キモ姉&キモウトの小説を書いて投稿するためのスレッドです。

○キモ姉&キモウトの小説やネタやプロットは大歓迎です。
愛しいお兄ちゃん又は弟くんに欲情してしまったキモ姉又はキモウトによる
尋常ではない独占欲から・・ライバルの泥棒猫を抹殺するまでの

お兄ちゃん、どいてそいつ殺せない!! とハードなネタまで・・。

主にキモ姉&キモウトの常識外の行動を扱うSSスレです。

■関連サイト
キモ姉&キモウト小説を書こう!SS保管庫
http://kimoshimai.yukigesho.com/
■前スレ
キモ姉&キモウト小説を書こう!
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1176013240/l50
2名無しさん@ピンキー:2007/05/23(水) 05:00:25 ID:xqSvQQsf
■お約束
 ・sage進行でお願いします。
 ・荒らしはスルーしましょう。
  削除対象ですが、もし反応した場合削除人に「荒らしにかまっている」と判断され、
  削除されない場合があります。必ずスルーでお願いします。
 ・趣味嗜好に合わない作品は読み飛ばすようにしてください。
 ・作者さんへの意見は実になるものを。罵倒、バッシングはお門違いです。議論にならないよう、控えめに。

■投稿のお約束
 ・名前欄にはなるべく作品タイトルを。
 ・長編になる場合は見分けやすくするためトリップ使用推奨。
 ・投稿の前後には、「投稿します」「投稿終わりです」の一言をお願いします。(投稿への割り込み防止のため)
 ・苦手な人がいるかな、と思うような表現がある場合は、投稿のはじめに宣言してください。お願いします。
 ・作品はできるだけ完結させるようにしてください。

SSスレのお約束
・指摘するなら誤字脱字
・展開に口出しするな
・嫌いな作品なら見るな。飛ばせ
・荒らしはスルー!荒らしに構う人も荒らしです!!
・職人さんが投下しづらい空気はやめよう
・指摘してほしい職人さんは事前に書いてね
・過剰なクレクレは考え物
・スレは作品を評価する場ではありませ
3名無しさん@ピンキー:2007/05/23(水) 05:01:46 ID:xqSvQQsf
■誘導用スレ
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ その35
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1178928067/l50
ヤンデレの小説を書こう!Part6
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1176605863/l50
いもうと大好きスレッド! Part3
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1155733191/l50
お姉さん大好き PART4
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1163193427/l50
4名無しさん@ピンキー:2007/05/23(水) 05:37:31 ID:JhX6bGiB
bbspinkGUIDELINE

6. 連続投稿・重複
重複スレッド
同じ事象・人物に関するスレッドは、個々に多少の違いがあっても原則的に削除対象となります。
その場合、立てられた時期・時間、1に書かれている内容、レスがどれだけついているか、という優先順位で総合的に判断します。
客観的な判断が難しい時は、利用者同士の話し合いを待つか、立てられた時間の遅いものを停止処置をすることとします。
同一掲示板内ではない、重複スレッドは、内容にほぼ変化のない場合は悪質なマルチポストと判断し、板の趣旨に合った真面目な議論が続いた場合を除き、全てを削除対象とします。

乱立スレッド
内容にほぼ変化のないもの、内容が無意味なもの、などの乱立は全て削除対象とします。

誘導
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ その35
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1178928067/
5名無しさん@ピンキー:2007/05/23(水) 08:53:40 ID:jdxCQ90N
>>1
おつ
6名無しさん@ピンキー:2007/05/23(水) 09:13:11 ID:BbA46mk2
>>1
7変名おじさん ◆lnx8.6adM2 :2007/05/23(水) 10:15:45 ID:6qSuThE3
前スレ859・860の続き行きます。
これも客観的にはキモウトなのか。
8水木さんちの朝御飯 ◆lnx8.6adM2 :2007/05/23(水) 10:17:25 ID:6qSuThE3

階段を下りて行くと、美味そうな匂いが鼻腔をくすぐる。
妹の作った朝食だろう。
作った本人はオレの朝の平穏と唇を奪って逃走しやがったが、
既に十分口はゆすいだ後だし、オレとて鬼ではない。
作られた料理自体に罪は無いのだから、キチンと頂く積もりだ。
食わないと、妹がびーびー泣くしな。

とんとんとリズミカルに一階へ着き、居間へ向かう。
ちゃぶ台の上には白米や味噌汁の入った椀にアジの開きや漬物の乗った皿が置かれ、
既に準備万端用意完了でオレを出迎えている。
兄のオレも朝の早さだけは妹に頭が上がらず、皿さえ運ばれた後で起こされるのが常だ。

「えへへ。お兄ちゃん、改めておはようございまぁす。
 はい、お水ー」

その妹は制服にエプロンと言う出で立ちで水入りのコップを運んできた。
受け取り、一息に飲み干してからちゃぶ台の前にどっかりと座る。
空のコップに手を伸ばした妹は一旦引っ込み、コップに水を注いで持ってきた。
逆の手には、牛乳のパックを握っている。
オレの対面に座り、くぴくぴと飲み始めた。

「お前、まだ体型を気にしてるんだな。もうその年じゃ無理なんだから諦めろ」

身長と胸。
まあ、大抵の女性が通る悩みだ。
妹も生物学上はホモサピエンスのメスである。

「むぅ、そんなことないもーん。諦めない限り可能性はあるの。
 絶対ナイスなバディーになってぇ、お兄ちゃんを誘惑するんだから」

何故かここで無い胸を張る妹。

「まあいいけどな。ただ、朝っぱらから冷えた牛乳は腹に良くないぞ」

「火風、子供じゃないもーん。お腹も強いしぃ、安産間違いなし!」

いや、子供だろ。間違いなく。

「へいへい・・・・・・っと、今日の漬物美味いな」

「火風が愛情をこめて漬けたんだから当たり前ー。でも、お兄ちゃんにそう言われると嬉しい。
 ねえお兄ちゃん、頭なでてなでてー」

普通は子供しかそんな要求しないんだがな。
取り合えず、美味い飯の礼に撫でてやる。

「わっわっ!? お兄ちゃーん、激しいよー!」

確かに利き腕じゃないしちょっとぞんざいな撫で方だったが、何と言うかもうちょっと語彙を選べ。
ほんの少し優しく撫でてやってから、さっさと手を引っ込める。

「ありがとー」

にへら、と緩んだ笑顔を返された。
幸せと言うか、安いと言うか。我が妹ながら単純だ。

「しっかし、やっぱ自家製か。これ」

漬物を箸で摘み上げる。
9水木さんちの朝御飯 ◆lnx8.6adM2 :2007/05/23(水) 10:18:40 ID:6qSuThE3
「そうだけどー?」

「相変わらず手が込んでんのな。お前も、まあオレが言えた義理じゃないが毎日大変じゃないか?
 三食手作りってのは」

何せオレよりずっと早く起きて、朝食どころか昼の弁当まで作っているのである。
兄妹二人分、きっちりと。
・・・いかん。オレがダメ人間に思えてきた。

「そりゃいきなり全部に手を抜かれても困るけど・・・別にいいんだぞ?
 朝くらい適当で。わざわざオレと一緒に登校するために待たなくてもいいし。
 朝飯なんざ、途中のコンビニでパンでも────」

「それはダメー!
 お兄ちゃんは火風の炊いた御飯を食べて、火風の作ったお味噌汁を飲んでから火風と腕を組んで学校に行くのー!」

唐突に、可愛らしく声を荒げるという神業をして見せる妹。
手足をばたばたさせながら喚く。行儀が悪いこと甚だしい。

「行くの行くの行くの行くのったら行くのー!
 お兄ちゃんがどこかに行くのも誰かの作ったごはん食べたるのもついでにエッチな本を買うのも全部ダメー。
 ダメったらダメったらダメったらダメだもーん!」

これがオママゴトに興じる年の妹なら可愛いんだがな。
それとさりげなく不穏当なことを言うな。

「はぁ・・・はいはい、分かったよ。けど、毎朝ありがとうな。最後のは余計だけど」

「んー。分かればいいの。でもでもぉ、やっぱりエッチな本はダメー」

箸と茶碗を持った両手で×の字。
しつこいぞ、妹よ。お兄さんはそんなことしません。
エロ本とは、
クラスに一人は居るエロい奴が厳選したコレクションを借り受けるのが最も効率的なのだ。
証拠は残らず、いざという時にそいつの趣味や付き合いということに出来るからな。

「あ、お兄ちゃんの目がいやらしいんだー。火風、妊娠しちゃう」

「ったく。馬鹿なこと言ってないで、もう片付けるぞ。
 オレの寝坊のせいだが・・・余り時間がないからな」

この手の話は引き摺らせたら終わりだ。
早々に切り上げるが勝ち。
実際、いつもの時間を若干過ぎているし、空にした食器を持って立ち上がる。

「待ってー。火風も終わりー」

体型そのままに低燃費な妹も続いた。
食器は軽く流した後に水に浸けておく。洗うのは夕方だ。

「じゃあ、上行って着替えてくるから待っててくれ」

「はーい」

起床してすぐの飯なので着替えもまだだ。起き抜けにアレだし。
対する妹は着替えは済ませていたし、既に学生鞄も持って準備完了。
10水木さんちの朝御飯 ◆lnx8.6adM2 :2007/05/23(水) 10:19:45 ID:6qSuThE3

「あ、お兄ちゃーん」

なので部屋に戻るべく妹に背を向けた処で、声がかかる。
反転。

「何だ?」

「うん。あれー」

言われ、妹の指先を追って目を向ける。
が、そこにはさっき切ったばかりのテレビが黒い画面を晒して鎮座するだけ。

「えへへ」

悪戯に成功した子供のような妹の笑い声。
酸欠の覚醒が脳裏にフラッシュバックする。
嫌な予感に振り向いたのがまずかった。

「ちょっと早いけどぉ。行ってらっしゃいのちゅー!」

唇に湿った温もり。
不覚にも柔らかく思えるそれは、年頃の男にとってはどんな料理にも勝るご馳走な訳で。



起き抜けに続く連戦連敗の結果は、何故か苦さでも朝食でもなく甘い牛乳の味がした。
11変名じさん ◆lnx8.6adM2 :2007/05/23(水) 10:23:21 ID:6qSuThE3
投下終了。
しかしキモウトを書いている気がしないw
そしてその割には執筆時間がバットエンドの半分と言うハイペース。

次回 水木さんちの通学路
でキモウトらしい独占欲を書けるかどうか。
12名無しさん@ピンキー:2007/05/23(水) 11:25:53 ID:Hgy7D1/n
>>11
GJ!!!
13名無しさん@ピンキー:2007/05/23(水) 11:43:47 ID:CM+9obmg
考えてみると、今まで萌えロリ系のキモウトって出てこなかったしな、先が気になるな。
ただ現状キモ部が緩和されちまってる感じだから、次の通学路というのでどれだけキモくなるかで明暗別れるか。
14名無しさん@ピンキー:2007/05/23(水) 11:58:47 ID:+Qnaobla
キモイのに萌える、ってのはなかなか難しいよなぁ。
ことりんさとりんの話や、綾タンの話とか、ディープなタイトルは、
キモイというよりも怖いって感じだし。
イマイチ、ここでいうキモイっていうのがよく解かってない俺。
15名無しさん@ピンキー:2007/05/23(水) 13:27:54 ID:+wqtCFlE
マリ見てみたいな、姉×キモウトなのとかないもんかね?
16名無しさん@ピンキー:2007/05/23(水) 14:37:48 ID:Ji20lmpo
百合板に池
17名無し@ピンキー ◆x/Dvsm4nBI :2007/05/23(水) 15:45:05 ID:+eAx1AOK
投下します。
妹姫続きです。
18妹姫 ◆x/Dvsm4nBI :2007/05/23(水) 15:46:39 ID:+eAx1AOK
城内に戻ると清治は一度叔父に事の次第を報告した
「ご苦労だったな。清治。あれにとってもいい思い出になったろう。」
「兄らしいことをしてやりたかったので、認めてくださったことには感謝しております。」
「負ければそのようなこともできぬからな。」
「今回は勝ちます。」
「だが、死なぬとは限るまい。」
「その為に生き延びる方策を考えておるのです。戦争は運ではやりませぬ。
生きてやることも多いのでおちおち死ぬことも出来ませぬな。
さて、そろそろ休みます。叔父上、ではまた明日。」


清治は城の客間を一室借り、そちらで休むことにした。酒を貰いうけ、
窓から見える月を見ながら物思いに耽っている。
彼とて初陣である。どれほど準備し、勝つ算段を整えても戦への恐怖と
緊張は取れない。兵力は相手が上、策が失敗して悪くすれば負けるかもしれない…。

「兄上様。よろしいですか?」

そんな時、舞姫が夜着で部屋を訪れてきた。夜の月明かりと蝋燭でうっすらと
照らされた彼女は、生来の美しさとあわさって幻想的な雰囲気を醸し出している。
思わず清治も見とれてしまった。

「このような時間に男の部屋にくるもんじゃない。」
「兄上様ですから構わないでしょう。お話が聞きたいのです。私と一緒でない
 十余年の間のことを…。兄上様のことを全て知りたい。」

舞姫は清治の体に自らの体をぴたりとあわせる。彼女に自分の飲んでいた杯を
進めつつ、自らは徳利でゆっくりと飲む。
清治は舞姫の体の温かさを感じながら話し始めた。戦を思っての緊張と恐怖は
気づかないうちに既に溶かされていた。
19妹姫 ◆x/Dvsm4nBI :2007/05/23(水) 15:49:28 ID:+eAx1AOK
「ゆっくり飲むんだぞ。さて、何から話せばいいやら。」
「子供のころから順番に…。」
目を瞑って子供の頃からの記憶を思い起こしていく。

「最初は荒れたな。城から出され、舞と別れ、誰も知らない寺へと預けられて。
 手のつけられない悪がきだった。」
「兄上様が?」
「ああ。だが智水上人は辛抱強く諭した。まあ、寺をこっそり抜け出して
 遊びまわったりはしたが悪いことはしなくなった。そしてそこで、
 国を治める術、戦争に勝つ術…様々なことを教わった。」

子供の頃からの思い出をゆっくりと話していく。舞姫はそんな彼の穏やかな
顔を見ながら自分も同じことをしてきたような不思議な気分を味わっていた。

「芳之助とであったのは三年ほど前だ。その頃のあいつは鋭い刃物のような、
触れれば切れる…そんな冷徹な剣客だった。」
「あの優しそうな芳之助様が?」
「ああ。その頃のあいつは仇を討つことしか頭に無かった。ただ奴は馬鹿ではない。
何十人という相手を一人で相手にすることの愚かしさは理解していた。」
清治は話しながらその頃を思い出していた…。冷たい目、目標を貫徹するため
だけに生きる強い意志。そして…

「その仇討ちに知恵を出して協力をした。そして、あいつの仇討ちは終った。
 問題はそこからだった。目的を果たした芳之助は抜け殻になった。」
「え…?」
「人は目的が無ければ生きてはいけない。あいつを気に入っていたから辛かったよ。」
「想像が出来ませぬ…あのような楽しそうに笑うお方が…」
「だから新しい目的を持ってもらった。自分たちをずっと友人と思うことと、
自分の心の赴くままに生きることと…別れてからも考えてあいつなりに考えて
立ち直ったんだろうな。」

妹には話せないこともある。仇討ちでどれほど卑怯な手段を使ったか。
壊れた芳之助を助けるためにどんなことをしたか。どんな暗い事でも大事な思い出
だったが、妹には綺麗なことだけを知っていて欲しかった。
20妹姫 ◆x/Dvsm4nBI :2007/05/23(水) 15:50:18 ID:+eAx1AOK
「同じく三年ほど前に、先穂之国の才女と名が高い、重臣九条春尚の娘、雪と
 出会った。国内では叔父上の跡継ぎの問題が話し合われていたらしく、
彼女は父の命で自分の人物を見に来ていたそうだ。これは後で聞いたのだが。」
「雪殿はどんな方ですか?」
舞姫のうちに、芳之助の話を聞いてきたときには沸かなかった強い不快感と、
暗く燃え滾るような嫉妬が燃え上がった。兄の口から初めて聞く芳之助以外の
女性の名前…。
「二つ上と言っていたな。美人だが容姿は子供に見える…そうだな、容姿は舞の
 方がみんな美しいというだろう。だが、彼女は頭が切れる。」
「この国一の才女…。」
「ああ。あれは嘘ではない。男として生まれていれば自分が国主になったとき
 さぞかし楽が出来たろうに。…彼女は寺に二年間滞在し、共に智水上人から
 様々なことを学んだ。机を並べてな。あいつには勝てなかったな。
 芳之助の仇討ちもあいつの意見が大きかったしな。」
苦笑いしつつも嬉しそうな彼に名しか知らないその雪に、舞姫は敵意を強くしていく。

「だがそれほど賢いにも関らず、性格は回りくどいことが嫌いで愚直なまでに素直、常に
 真直ぐで己の気持ちに正直だ。あいつは自分を信じ、この国に呼び戻した。」
「兄上様は雪殿をどう思われているのですか?」
「仕事の相方としてこの上ない。国を守るのに必要な人物だ。」
自分を見つめる彼女の瞳の色にそのときようやく気づいた。今彼女は、
異なる答えを求めて真剣に見つめている。
21妹姫 ◆x/Dvsm4nBI :2007/05/23(水) 15:51:52 ID:+eAx1AOK
「そのような意味ではなく、女性としてどう思われているのですか。」
「…悪趣味なことに彼女は自分を好いてくれている。家格、才能、容姿…
 そして個人的な友情…。あいつは自分が嫁になると言っているが冗談でなく
 恐らく事実、そうなるだろう。何一つ不満は無い。」
「愛しておられるのですか?雪殿を。」
「物語にあるような熱い恋…という意味では否だ。だが長い人生を共に生きれば
 愛するようになるだろう。そんな魅力はある。」

舞姫は目を伏せた。
「兄上様…私…嫌なのです。兄上様が他の女性といることが。私は…私は…
 耐えられません。私だけの兄上様にしたいのです。…舞は嫉妬深い妹です…。」
「いいのだ。だが判ってくれ。国のため、これ以外の道はないのだ。」

彼女は決然と顔を上げ紅潮した顔で目には涙を溜めながら叫んだ。
「判りません!国など……関係ありませんっ!私は…一人の女として…
 一人の男として兄上様をお慕いしてしまったのです。だからっ…誰にも渡したくない!!」
「舞…俺達は同じ血を持つ兄妹。この世で舞とだけは愛し合うわけにはいかぬ!
 それが舞のためでもある。今日はもう遅い。寝なさい。」
「兄上様…。うっ…うっ…せめて…一緒に寝てください。今日は一人では眠れません…。」
「わかった。すまぬな…。」

舞姫は清治の寝床に潜り込み、腕に体を絡ませながら眠りに落ちた。
妹の告白に不快と思わなかったことに、彼も苦悩し、遅くまで寝ることは出来なかった
22妹姫 ◆x/Dvsm4nBI :2007/05/23(水) 15:52:46 ID:+eAx1AOK
─────────同時刻、清治の屋敷。雪と芳之助は二人で酒を飲んでいた。

「雪、不機嫌だな。」
「そんなことはない。我は普段どおりだ…と、いいたいところだがお主が言うからには
 そうなのかもしれん。」
「言ってみろ。気になるだろう。何かあったのか?」
「町でな…清治が見たことも無いような美人と恋人のように寄り添って歩いていたらしい。」

芳之助は得心して頷いた。雪は無表情である。

「ああ、それはきっと舞姫様だろう。某が清治殿に今日一日付き合ってあげろと
 言い含めておいたのだ。大方、城を抜け出してみたかったのであろう。」
「なるほど…。だが何故そのようなことを?」
「若者の恋を応援するのは大人の役目ではないかね。雪?」

雪の杯が傾いてピタリと止まった。芳之助はにやにや笑っている。

「あの二人は兄妹。そんなことはあるまい?」
「城で出会ったとき、姫様は初対面の某に殺気を放っておったよ。このままに
 しておけば、雪が嫁に入った際に害されるやもしれん。」
「そうか…で、お主は何故応援する?」
「結論から言うと失恋させるためだ。いずれ彼女は政略で結婚するだろう。
 その時に後悔の無いようにさせてあげたい。某はあの姫様、嫌いではないしな。」
「まあ例え清治が本気になったとしても…我は必ず取り戻すがな。」
「清治殿は物の道理を弁えている。万が一にも私情で国を脅かすようなことはないさ。」
「当然じゃ。その程度であれば我は惚れておらん。」

暫く雪は芳之助を見つめていたがふと思い出したようにくすりと笑い、
「……だが悔しいな。我も一度は腕を組んで町を歩いてみたいものだ。」
「雪相手じゃ〜清治殿はやらないだろうなあ。しかし、某も一度はやってみたいな。」
23名無し@ピンキー ◆x/Dvsm4nBI :2007/05/23(水) 15:54:03 ID:+eAx1AOK
今日はここまでです。
24名無し@ピンキー ◆x/Dvsm4nBI :2007/05/23(水) 15:59:12 ID:+eAx1AOK
二人の酒席は和やかに夜遅くまで続いた。

最後一行抜けてた;
気をつけます。
25名無しさん@ピンキー:2007/05/23(水) 15:59:57 ID:TsEvUpxt
おつー
26名無しさん@ピンキー:2007/05/23(水) 16:20:36 ID:6qSuThE3
>>23
乙です。
キモヒメは、果たして二人の予想を超えるのか。
GJ
27変名おじさん ◆lnx8.6adM2 :2007/05/23(水) 21:50:11 ID:6qSuThE3
人がいないようなのでひっそりとネタ投下


仮題:「霊になった妹」


あらすじ

オレには妹がいる。
それは、墓の下に。
そしてオレの隣に。
あの日、学校の帰り道でダンプに轢かれて死んでしまった妹。
いつものように恥しがるオレと強引に繋いだ手は、いつの間にか解けていて。

「手・・・離さないで、ね。そしたら・・・絶対、絶対離れ離れに・・・ならない・・・から」

消えそうな声でそう言った妹は、泣きながらぼろぼろになった手を握るオレを置いて逝った。

それから数年。
あの世に行くよりもオレの背中に憑いて来ることを選んだ妹は、
透き通った体でオレの横に居る。
マジシャンより上手く壁抜け出来る体の前ではオレのプライバシーなんぞ無いも同然だが、
べたべたと冷えた肌をくっ付けてくる妹の手を離そうとは思わない。
オレにしか見えず、オレにしか触れない妹。
冷たい指を絡めて微笑む顔は、きっと勘違いなんかではなく幸せそうで。
そのまま日々を過ごして行くのも、悪くはないと思っていた。

古びた教会を一人で切り盛りする幼馴染。
春休みに様子を見に行った先でそいつの行った、
パフォーマンスであったはずの儀式で妹が実体化してしまうまでは。

相変わらず壁抜けも浮遊も出来るくせに、体だけはしっかりと実体を持った妹。
その嬉しそうな姿と対照的に、喜びを感じながらも混乱し動揺するオレ。

更に、新学期は波乱の幕開けだった。
高校への入学を期に引越して来た従姉妹。
久し振りに見る成長した姿は、鮮やかな巫女服に包まれていて。
開かれた唇はこう告げた。

「お兄さん。アナタは、悪霊に憑かれています」



投下終了
28名無しさん@ピンキー:2007/05/23(水) 22:02:27 ID:d7g+xiT9
どっちかというと兄がキモイです
29名無しさん@ピンキー:2007/05/23(水) 22:33:41 ID:V2leT1tX
まあSSの主人公は総じてキモイ
30名無しさん@ピンキー:2007/05/23(水) 22:40:33 ID:+Qnaobla
>>27
というかどこがキモウトなんだ?w
なんか、そういうオカルトやら魔法やらでSSっていうスレがあったと思うから、
そっちに投下したほうがいいんじゃね?
31名無しさん@ピンキー:2007/05/23(水) 22:49:18 ID:CM+9obmg
兄に憑くに至る原動力がキモい愛であるならスレ違いではないんだろうが……この概略だけでは読みとれないなあ。
このスレに落とす以上この部分は絶対あるんですな?無いようならオカルトスレいきかも。
32名無しさん@ピンキー:2007/05/23(水) 22:53:37 ID:TUourUUw
「プロット投下するので誰か使ってください><」

↑って言ってたのの一つって事?

材料だけで判断付かないな……。
どなたか、料理してくれる職人さんはいらっしゃいませんか?
33名無しさん@ピンキー:2007/05/23(水) 23:27:13 ID:K+nbQUiv
一、隣接するキモアネ・キモウトは互いに敵対する。
二、敵の敵は戦術的な味方である。
三、敵対していても、平和な関係を作ることはできる。
四、(兄・弟を間に挟んだ)姉妹関係は、善悪でなく損得で考える。
五、(兄・弟を間に挟んだ)姉妹関係は利用できるか、利用されていないかで考える。
六、優れたキモアネが同時にキモウトを兼ねることはできない。その逆も然り。
七、他の女を利用できるか考える。
八、自分が利用されているのではないか疑う。
九、目的は弟or兄の確保とキモ姉弟兄妹関係の発展だけ。
十、手段は選ばない。
十一、損得だけを考える。道義は擬装である。
十二、弟or兄の交際関係を2者間だけでなく,多角的に考える。
十三、油断しない。
十四、友好,理解を真に受けない。
十五、徹底的に人が悪い考えに立つ。
34名無しさん@ピンキー:2007/05/23(水) 23:46:36 ID:f/EcCA4v
十六、学園ものには大抵主人公に男友達がいる。
十七、いつもは姉妹ハーレム状態の主人公を妬んでいるが、
   修羅場化してくると逃げるorシリアス化
十八、物語終盤、やつれた主人公と喫茶店等で相談を受け、
   まじめに返したはいいが、主人公が行動を起こしたため、
   姉、妹、泥棒猫or主人公が確実に死ぬ。
十九、こいつに会うか会わないかでルートが分岐するといっても
   過言ではない。
二十、最終的に、キモ姉&妹達の
 華 麗 な る 独 占 欲
   に巻き込まれ死亡。
35名無しさん@ピンキー:2007/05/24(木) 00:15:08 ID:yMo7qPY9
>>24
つまんね、2度と投下しないでもらいたいね
36名無しさん@ピンキー:2007/05/24(木) 00:18:43 ID:xISeNkag
>>35
ハゲシクドウイ!!
37名無しさん@ピンキー:2007/05/24(木) 01:17:10 ID:xHXI8H0N

           i::::::::/'" ̄ ̄ヾi
           |:::::::| ,,,,,_  ,,,,,,| 
           |r-==( 。);( 。)   
           ( ヽ  :::__)..:: }
        ,____/ヽ  ー== ;  ほほう それでそれで?
     r'"ヽ   t、   \___ !
    / 、、i    ヽ__,,/
    / ヽノ  j ,   j |ヽ 
    |⌒`'、__ / /   /r  |
    {     ̄''ー-、,,_,ヘ^ |
    ゝ-,,,_____)--、j
    /  \__       /
    |      "'ー‐‐---''
38変名おじさん ◆lnx8.6adM2 :2007/05/24(木) 01:29:19 ID:UA9hH3f0
>>30>>31
すいません、確かにそういう描写が足りませんでしたね。手直して再投下。これでどうでしょう?

仮題:「霊になった妹」

あらすじ

オレには妹がいる。
それは、墓の下に。
そしてオレの隣に。

兄の目から見ても、少々オレに懐きすぎだった妹。
許される限りにおいてオレの傍を離れず、一度などオレに告白してくれた女子にカッターで襲いかかった。
ブラコンにしては行き過ぎで、子供にしてはやり過ぎる。
だがそんな妹は、辟易するオレと無理矢理手を繋いで歩いていた下校途中、車にはねられて死んでしまった。

「ねえ、お兄ちゃん。私────────死んでも傍にいるからね?」

奇妙にひしゃげた体と夥しい血に塗れた顔で、不気味なほど真っ直ぐにそう言い残して。

それから暫くしてどこか呆けた頭で葬儀も済ませた頃、妹は帰ってきた。
幽霊となって。

数年後。
宣言通り、死してなお妹はオレの傍に“憑いて”いる。
オレ以外の人間には見えず聞こえず触れずの妹は、
マジシャンより上手く壁抜け出来る半透明な体でオレのプライバシーを侵害しまくり、
更には得体の知れない力で携帯のメモリーを消去したり、
オレの写る写真を心霊写真と化したりラップ音を立てて友人作りを妨害していた。

ただ、それでもたゆまぬ努力の結果としてオレは彼女を作り、
背後で喚き立てる妹を煩わしく思いつつもそれなりに幸せだった。

その彼女が駅のホームで電車に轢かれてバラバラの死体となるまでは。
後で聞いた話だと、彼女はふらふらと焦点の合わない瞳で、何かに取り憑かれたように線路に身を投げたらしい。

「あの人は愛が足りなかったんだよ。お兄ちゃんへの愛がね。
 だって、想いが強ければ死んでも傍にいられるはずだもの・・・・・・私みたいに」

失意に沈むオレの傍らで、妹はそう囁いていた。

しかし、予想外の出来事というのは続くらしい。
高校入学を期に、こちらに引っ越すことになったと連絡を寄越してきた従姉妹。
久し振りに見る成長した姿は、何故か鮮やかな巫女服に包まれていて。
開かれた唇はこう告げた。

「お兄さんの住まいの近くで、
 霊障らしい不審な死を遂げた人が居たと聞いて来てみればこれですか。
 成る程、来て正解でしたね。
 お兄さん、アナタは悪霊に取り憑かれています。それもとびきりタチの悪い。
 でも・・・安心して下さいね? ふふ。ちゃんと私が祓いますから」

オレの背後、
誰にも見えないはずの妹をしっかりと冷めた目で見据えながら。

同時に。

「・・・・・・」

妹はそんな従姉妹を呪うような、祟り殺すような、ひどく暗く恐ろしい視線で見詰め返していた。
39名無しさん@ピンキー:2007/05/24(木) 01:32:57 ID:UA9hH3f0
>>32
仰る通りです。
「こんなん思いつきました。良ければ使ってやって下さい」くらいで。
長編は、ちょっと書いてる暇がないものですから。
40名無しさん@ピンキー:2007/05/24(木) 01:52:57 ID:Yuwg9VaA
>>24
遅れたがGJ
エロ期待してまつw
41名無しさん@ピンキー:2007/05/24(木) 02:05:51 ID:IMPWOz/y
>>24超GJ!読む度に続きが激しく気になる名作だ。

>>34-35あたりが馬鹿言ってるが、本当につまらないなら書き込む気すらおきない。
まあ嵐と分かってるだろうけど、一応。
42名無しさん@ピンキー:2007/05/24(木) 02:51:43 ID:f05FRKVA
触るな。
43名無しさん@ピンキー:2007/05/24(木) 06:27:48 ID:8YbSXxZp
>>41
>>34
八つ当たりは勘弁してもらいたいね。
つまらないことは書いたが>>24をつまらないとは言ってない。
44名無しさん@ピンキー:2007/05/24(木) 06:33:43 ID:MIHcb9oh
第三者的にみて、アンカーミスと思われる
45名無しさん@ピンキー:2007/05/24(木) 10:05:25 ID:r3ilfuJJ
>>38
あらすじだけでもキモすぐるwwwww
従姉妹もキモイトコになりそうな予感。
46名無しさん@ピンキー:2007/05/24(木) 13:01:17 ID:UA9hH3f0
保管庫の霊になった妹がもう修正されている。
管理人氏、相変わらず仕事がお早い。
47変名おじさん ◆lnx8.6adM2 :2007/05/24(木) 18:35:49 ID:UA9hH3f0
それでは、投下行きます。
48水木さんちの通学路 ◆lnx8.6adM2 :2007/05/24(木) 18:38:41 ID:UA9hH3f0
朝食を終え、着替えて家の扉を後にする。
慣れを通り越して見飽きた通学路。いつもより遅れているので、若干早足だ。

「お兄ちゃーん、腕組もうよぅ」

が、妹がさっきから腕を絡めてくるので速度が上がらない。
いちいち振りほどくのも煩わしく、何ともうっとおしい。

「だーっもう。
 ただでさえ遅れてるんだから止めろっての!
 兄妹そろって遅刻しちまうじゃないかっ!」

「むぅ。お兄ちゃんのけちー」

おまけに、ただでさえ動きのトロい妹だ。
遅れた原因がオレの寝坊だから置いていくのも憚られるが、
そろそろコイツに合わせて歩くのを止めるべきかと思案する。

「家族のスキンシップは欠かしちゃいけないんだよー?
 だからぁ、お兄ちゃんは私と腕を組んで仲良く学校に行くのー」

「ええい、鬱陶しい! いい加減に離れないと置いてくぞっ!」

一向に懲りる気配が無い妹に、
業を煮やしたオレが妹を置いて先に行くことを脳内会議で全会一致の可決をしようとした時だった。
後ろから、足音がぱたぱたと迫ってくる。

「あー、やっぱり火風(ひかぜ)じゃん。おっはよー!
 こんな時間にここ歩いてるなんて珍しいね、どしたの?」

妹と同じ様に高い、しかしはきはきとした明るい声が響く。
兄妹そろって振り向くと、そこには赤いショートカットの女の子が、
妹と同じ学校指定の制服を着て立っていた。

「お前の友達か?」

「・・・・・・」

尋ねてみるが、妹は何故かむっつりと黙って返事をしない。
オレが首を傾げると、女の子の視線がオレに向いた。

「あ、アナタが火風のお兄さんですね? 火風からよく話を聞いていますよ。
 私は火神原 赤音(かがみはら あかね)っていいます。火風の同級生です」

「あ、ああ。オレは水木 大地(みずき だいち)。
 どうも、妹がお世話になってるみたいで・・・・・・年、一個下だよな?」

「はい、そうですけど?」

活気に満ちた瞳に見つめられる。
何と言うか、妹とは対照的な子だ。
活動的な感じだが、礼儀もしっかりしている。
態度に加え、妹の未成熟な体型と比べて伸びきった手足に年齢を計りかねた。

「いや、オレはコイツの友達って殆ど見たこと無いからさ。
 コイツもあんまりそういうことは話さないし」

「ふーん。そうなんですか。
 火風って、クラスではいつもお兄さんの話ばっかりしてるんですけど。
 お兄さんに自分のことは話さないんですね・・・・・・火風?」
49水木さんちの通学路 ◆lnx8.6adM2 :2007/05/24(木) 18:40:11 ID:UA9hH3f0

何を話してるんだ妹よ、と内心で突っ込みを入れると、
妹が一歩前に出ていきなり赤音ちゃんの腕を掴む。
黙り込んでいた妹の突然の動きに、困惑した声が上がった。

「ねえお兄ちゃん。
 火風、ちょっと赤音ちゃんにお話があるから先に行ってて欲しいなー?」

「え・・・? いや、おい。
 だけど急がないと遅刻」

「すぐ終わるしぃ、急ぐからー」

言って、ズルズルと赤音ちゃんを引っ張っていく。

「え、ちょっ、どうしたの火風!?
 何々、なに? ちょっと火風、火風ってばーー!」

何故か立ち止まったままで話すのではなく、妹は友達を連れて遠ざかって行った。
赤音ちゃんの声が遠くなっていく。

「・・・・・・・・何なんだ?」

一人取り残されたオレも彼女同様、事態に付いて行けなかった。



路地裏。
兄の前から無理矢理に友人を引き離した火風は、
狭い間隔にそびえる壁を背にして叩き付けるように握っていた手を離した。

「っ。火風、アンタいきなり、一体どういう積もり────」

「ねえー」

そして、訳の分からないまま連れて来られて説明を求める声を遮り、口を開く。

「『お兄さん』って────────何かなー?」

第三者が聞いていたなら、
それはひどく冷え切ったものに聞こえただろう。
溢れ出る何かを抑えて、無理に削ぎ落としたかのような。

「はぁ、いきなり何言ってんの?
 あの人は火風のお兄さんなんでしょ? だからそう呼んだだけじゃん。
 それがどうかした訳?」

「ふーん。そうなんだー?」

対する赤音の声には明らかに怒りが滲んでいる。
状況を考えれば当然のことだが、火風は気にした、いや気付いた様子もない。
冷めた瞳で友人を見詰めている。

「じゃあ、それ止めて」

路地裏、薄暗い空間に声が響き渡った。
いつもの甘く間延びした響きは欠片も無く、その分だけよく通る。
数瞬、しんと辺りが静まり返った。
50水木さんちの通学路 ◆lnx8.6adM2 :2007/05/24(木) 18:41:30 ID:UA9hH3f0
「ねえ赤音ちゃんー?
 お兄ちゃんの妹はねぇ、火風一人なの。火風が、火風だけがお兄ちゃんの妹なのー。
 お兄ちゃんに火風以外の妹は要らないしー、火風しかお兄ちゃんを『兄』って呼んじゃいけないの。
 だからぁ、赤音ちゃんがお兄ちゃんのことを『お兄さん』なんて呼ぶのも、だめー。
 ねえ・・・・・・分かる?」

質問と言うよりは、通告のように言う。

「はああ? 何、アンタそんなこと言うためにわざわざ私を引き摺って来た訳?
 何それ。いい加減にしてよね。
 大体、前から思ってたけどアンタお兄ちゃんお兄ちゃんってちょっと懐きすぎじゃないの?」

が、赤音の方は嘆息して非難するように火風を見た。
怒りに任せて、以前から思っていたことが口をついて出る。

「私が追いつくまでもべたべたべたべた。
 兄妹にしたって行き過ぎだよ、幾らなんでも。
 挙句に呼び方にまでケチ付けてさ。
 気付いてないのかもしれないけど、周りから見たらそれって────」

火神原 赤音。
彼女はもともと感情をストレートに表す方だし、それは怒りであっても変わらない。
気心の知れた友人。初めて会った兄の方も今は傍にいない以上、気を遣う必要も無い。
包み隠さず、思ったことを並べていく。

反応は劇的だった。

「なぁんだ。赤音ちゃんもなんだー」

「・・・は? 急になん」

ぽつりと。
溜息を付くように、紡がれた言葉。
虚を突くようなそれに、反応の遅れた赤音は。

「のこ────がはっ!?」

最後まで言えずに、壁に叩き付けられた。

「赤音ちゃんも、火風とお兄ちゃんを引き離そうとするんだー?」

反動で前のめりになった体を、首を掴まれて再度叩き付けられる。

「ぁ・・・ぐっ・・・火風、苦し」

ぎりぎりと、首を掴む手が締まる。

「赤音ちゃんも火風からお兄ちゃんを奪おうとするんだねー?
 お父さんみたいに、お母さんみたいにー。
 伯父さんや叔母さんや従兄弟のお兄ちゃんやお姉ちゃんや親戚の人たちや
 近所の小父さんや学校の先生や病院のお医者さんや、何も知らない大人たちみたいに。
 火風がどれだけお兄ちゃんのことを想っているのか何一つ分かっていない人達みたいにー」

「は・・・あ・・・っ!」

恐ろしい力だった。
火風の体は赤音より一回り以上も小さく、腕の太さも筋肉の量も彼女より下である。
だと言うのに。片腕だけで首を締め上げる火風を、赤音は振り解けない。
息苦しさにばたばたと暴れる彼女の四肢は火風を打ち、蹴り付けるが、
火風は眉一つ動かさず能面のような表情で彼女を見上げる。
51水木さんちの通学路 ◆lnx8.6adM2 :2007/05/24(木) 18:43:37 ID:UA9hH3f0

「ねえ? 答えてよー赤音ちゃん。
 もしそうなら火風は赤音ちゃんも『要らない』けど、違うなら別にいいからー。
 ねえ」

無機質だった表情が変わる。

「答 え て よ 赤 音 ち ゃ ん !」

怒号が路地裏の空気を震わせ、燃え上がるように表情が憤怒へと変わる。

「お兄ちゃんとの登校を邪魔してお兄ちゃんとの時間を邪魔してお兄ちゃんのことを『お兄さん』なんて呼んで!
 挙句に赤音ちゃんも火風からお兄ちゃんを奪おうとするの!?」

「ぅ・・・ぁ・・・」

口調さえ変わっている火風の声は、既に半ば赤音へと届いていない。
四肢からは暴れるだけの力も失われ、彼女の意識は遠くなりはじめていた。

「残念だよ。これでも、赤音ちゃんのことは良い友達だって思ってたのに」

「・・・・・・」

そんな彼女を見詰めて、ふっと火風の腕から力が抜けた。
しかしそれは、決して『敵』を助けるためではなく。

「雌猫────ううん」

力を蓄えて。



「泥棒猫の首は────────捻じ切らなきゃ」



両腕が、赤音の首にかけられた。
52水木さんちの通学路 ◆lnx8.6adM2 :2007/05/24(木) 18:44:32 ID:UA9hH3f0

「お兄ちゃーん!」

聞きなれた声に、校門の見える位置まで来ていたオレは振り返る。

「待ってー!」

見慣れた姿が突撃してきた。

「うわっ!」

飛び込んできた相手を受け止める。
軽い妹の体は、加速をつけても大した衝撃を齎さなかった。

「えへへー。お兄ちゃんの匂いー」

背中に腕を回して頭を擦り付けて来る妹をひっぺがす。

「ったく、んな校門の近くで止めろっての!
 で・・・あの、赤音ちゃんだったか? はどうしたんだ?」

一緒にいるはずの姿を探す。

「んー。赤音ちゃんは来ないよー?」

「? どうしたんだ?」

もう遅刻ぎりぎりなのに。

「うんー。えっとねー?
 昨日、とっても難しい宿題が出て、答えに自信が無いからそれを見せて欲しいって頼んだのー。
 そしたらぁ、赤音ちゃん宿題を家に忘れて来ちゃったんだって。
 そう言ってお家に走って行っちゃったー」

「そうなのか」

それは災難だな。

「じゃあ仕方ない。ほら、行くぞ」

「あ、うん。ところでぇ、お兄ちゃんー?」

相変わらず、しつこく腕を絡めようとするのをかわしていると、
妹がぴたりと動きを止めて見上げてくる。

「何だ?」

「えへへー。えっとねー?」

再度、腕を組もうとする動き。
オレはぱっと腕を上げてそれを防ぐと、

「お弁当の間までの、お別れのちゅー!」

制服のネクタイを引っ張られ、無理矢理妹に近づけられた唇を奪われた。

「それじゃあ、行って来まーす!」

手を振って駆けて行く妹。
オレはそれを見送り、本日三度目の敗北にがっくりと肩を落としながら校門をくぐった。
53水木さんちの通学路 ◆lnx8.6adM2 :2007/05/24(木) 18:46:28 ID:UA9hH3f0

兄より一足先に校門をくぐった火風。
彼女は校舎の手前で一度振り返り、後ろを見た。

「殺したらぁ、お兄ちゃんといられなくなっちゃうもんねー。残念ー」

今しがた別れた兄の姿。
その更に後ろ、遠くの方を見詰めるように。
54変名おじさん ◆lnx8.6adM2 :2007/05/24(木) 18:50:28 ID:UA9hH3f0
投下終了。
早くも火風の口調が分からなくなってきました。
とりあえず、こんな感じならキモウトと言えるのか。
55名無しさん@ピンキー:2007/05/24(木) 18:56:57 ID:2wG2bei0
SATSUGAI未遂きたこれ 赤音ちゃんのトラウマが心配です
56名無し@ピンキー:2007/05/24(木) 19:09:38 ID:SSXp0WuQ
やばいかなりきてるw
片腕で締め上げるとは、恐るべし。
57名無しさん@ピンキー:2007/05/24(木) 19:58:50 ID:Yuwg9VaA
>>54
殺害未遂まで平気でやってのけるキモウト萌えw

なにはともあれ渾身のGJ
58名無しさん@ピンキー:2007/05/24(木) 20:40:14 ID:1hgOzXb/
実際にいれば恐ろしいな・・・・・・・

だ が そ れ が い い 
59名無しさん@ピンキー:2007/05/25(金) 00:16:39 ID:rwyxf6bQ
可愛い妹じゃのぅ、ほっほっほ
60名無しさん@ピンキー:2007/05/25(金) 01:51:17 ID:F4cvzy7F
俺にもこんな可愛い妹がいれば・・・

61名無しさん@ピンキー:2007/05/25(金) 02:13:37 ID:XZWeR5m6
どんなに可愛くても当事者にはなりたくないな

ともあれGJ!
62名無しさん@ピンキー:2007/05/25(金) 06:10:05 ID:5fj2x4pV
>>54
ガチでつまんねぇわ、これは
63名無しさん@ピンキー:2007/05/25(金) 09:01:27 ID:teKTpM5J
いや、むしろ当事者になりたいんだぜ
64名無しさん@ピンキー:2007/05/25(金) 16:57:29 ID:LmAIOnL5
これはいいキモウト。GJ!
65名無し@ピンキー  ◆x/Dvsm4nBI :2007/05/25(金) 18:20:33 ID:it4e0Rnf
姫様続き行きます。
今回の次の投稿あたりでキモ化。
66妹姫  ◆x/Dvsm4nBI :2007/05/25(金) 18:21:33 ID:it4e0Rnf
翌朝、城内で清治を探していた芳之助は戦準備と告げられ、することもないので
散歩していたが、先穂之桜を眺めている舞姫を見つけ、足を止めにこやかに声をかけた。

「おーこれは舞姫殿ではありませぬか。相変わらずお美しい。今日もいい天気ですなあ。」
「あ…芳之助様。先日はありがとうございます。」
舞姫は先日、芳之助が兄と一日過ごすためのお膳立てをしてくれたのを思い出し、
笑顔を返して頭を下げた。芳之助はいたずらっぽく笑って続ける。

「いやいや、町で楽しまれた様子。某もいいことをしたといい夢を見れました。」
「え…何故それをご存知なのですか?」
「某の友人が美人の女中さんと八神殿が仲良く歩いてたと教えてくれましてな。」
「芳之助様のご友人とは…ひょっとして雪殿ですか?」
「おおっ!ご存知でしたか。昨日はいい男を美人さんに取られていたので、女二人、
 寂しく杯を傾けていたのだよ。ま、それはそれで楽しいのだがね。」
肩をすくめて笑う芳之助を見て、舞姫もくすくす笑った。

「芳之助様から見た雪殿ってどのような女性ですか?」
「完璧な女性だね。才に溢れ、それに驕らない。舞姫様、強敵ですぞ?」
急に図星を指摘され舞姫は赤くなって驚いた。

「えっ!!あの…その…」
「隠さぬともよい。初対面のとき判っていた。舞姫殿からこう、私の清治様に
 近づくな〜〜〜と殺気がだな。」
「もう!芳之助様ったら…。でも兄上様は妹だから駄目だと…。それに今日は
 忙しくて…暫く忙しいから相手できないって…変な女って嫌われたのかな…。」
しゅんと俯く舞姫の頭を芳之助はぽんぽんと叩いて、

「ご心配しますな。本当に忙しいのだ。これは他の者には内緒だが、戦が近いのだ。
 清治殿とて初陣、いくら準備してもしたりないのであろう。」
「戦ですか…大丈夫でしょうか…兄上様…」
「某が絶対お守りするのでそちらも心配無用だ。それより問題は、舞姫殿と
 清治殿の問題だなあ。今のまま戦に送り出したくはなかろう?」
「はい。心配の種を残したくはありません。もう一度…兄上様とお話したい。」
舞姫は真剣に芳之助に言った。彼女はしばし考え、

「そういえば某、町で修行していた頃は女子によくもててな。」
「でも、芳之助様女性じゃ…」
「うむ──構わぬらしい。で、恋文をよく貰っておった。全部女性からだったのが
 少し複雑な心境ではあったがあれは嬉しかった。舞姫殿も文を書いてみては。
 届けるのは某がさせていただくが。」
「文など書いたことがないのですが、でも、やります。」
決意の篭った返事を聞くと芳之助の顔がぱーっと明るくなる。

「おお。やはり恋する女子は強いな。男女関係は上手く行かぬこともあるが、
 舞姫殿は失敗しても全力は尽くしたと後悔せぬくらい頑張るようにな。」
「ありがとうございます。よろしくお願いします。芳之助様。」
「それでは某はここで昼寝でもしております故、文が出来たらお持ちくだされ。」

そういうと、芳之助は先穂之桜の下ですやすや眠り始めた。
(姉がもしいたならこのような方なのかもしれない。)

数刻の後、文は芳之助に託された。
67妹姫  ◆x/Dvsm4nBI :2007/05/25(金) 18:22:46 ID:it4e0Rnf
「で、君は何をしているのかね?」
その日の晩、仕事から戻った清治は机の前で頭を抱えていた。

「それが、舞からの文を芳之助が持ってきてな。明日渡すから返事を書けと。」
「ほう…。読ませてもらってもいいかね?」
「駄目だ。他の者に読ませるものではなかろう。」
「つれないね。君は。大体の内容くらいはよかろうに。」
「ただの様子伺いだ。」
「それは嘘だな。そうなら悩むまい。」

返事の文を書いていた手がピタリと止まる。

「心の信じるままに書いてあげればいい。受け入れようが突き放そうがそれでよい。」
「わかった。雪。ありがとう。」
「気にすることは無い…我には時間がある。あの姫とは違って。君の心が
 どう動こうとも最後にはこちらを向かせるさ。だから勝手に死ぬなよ。」
「作戦は大丈夫だ。叔父上も全面的に協力してくれる。勝つから心配は要らない。」
清治は常と変らない自信を曲げない彼女に苦笑して答えた。彼女は相変わらずの
無表情に少しだけ笑みを浮かべて続ける。

「戦が終わったら仕事の報酬として是非一つ我の願いを聞いて欲しいのだが」
「高いものでなければいいぞ。世話になってるしな。」
「そうか…なれば大丈夫だな。ふむ、我も舞姫とやったように町を腕を組んで
 歩いて欲しい。実に楽しそうだ。」
「なっ!!!雪!おまえっ!!!」
「嫌かの?妹殿とは良くて我は駄目か?」
「う………わかった。一度だけだ。」
「我侭も時には言って見るものだな。絶対生きて戻って来いよ。」

雪は文を書き続けている清治の背中に無事を祈りながら頭をつけた。
68妹姫  ◆x/Dvsm4nBI :2007/05/25(金) 18:24:36 ID:it4e0Rnf
十日が過ぎた。
その間、清治は戦の準備で忙しく、舞姫とは文の交換だけの日々が続いた。
最初は面倒だった文も、2.3日経つ頃には不思議と落ち着く行為へと変っていた。
そして、十日後の夕刻、城門前。

「では、行ってくる。舞、風邪など引かぬようにな。」
「お気をつけください、兄上様。帰ってきたらまた色々と教えてください。」
 これ…。今日の分の文です。返事絶対返してくださいね。」
「わかった。任せておけ。」
「芳之助様、兄上様をお願いします。」
「ああ、某がいたら大丈夫。手柄立てて帰ってくるからご心配なさるな。」
日羽之国が兵を向けてきたとの報告を受けた先穂之国では兼ねてから準備して
おいたとおりに迎撃の行動を開始した。

「いよいよか…。」
「清治殿は余計なことを考えず、指揮に集中なされよ。」
「頼む。皆の者!夜のうちに敵進入地点より上流を越え兵を伏せる。行くぞ!」
この戦で、清治は騎馬三百を預かっていた。自分の責任で命を動かすことを
考えると緊張で胃が痛くなり、恐怖を感じたが意思で何とか捻じ伏せている。
舞姫からの手紙には、
「無事に戻ったら、また一日付き合ってくれ…か。今度は何をさせられるやら。」

舞姫の印象もずいぶん変った。初めは浮世離れした物語の中の姫だと感じていた
妹はいつのまにか我侭で感情的な可愛い女の子になった。そんなことを考えると
小さい我侭くらいは叶えてやりたいと戦の最中なのに頬が緩むのを感じた。

夜が明け、両軍は川を挟んで陣を張り睨み合っていた。
正面の兵力は先穂之国が七百五十に対し、日羽之国二千五百。兵少なし
と見た日羽之国の国主、出口将臣は川を越えて攻撃を開始。戦闘は始まった。

先穂之国国主、大上信輝は清治に戦闘開始の狼煙を上げ川辺の陣地から敵に射撃し、
暫く防戦した後に敗走を装って後退、追撃を誘う。後方に二百五十の兵で築いていた
堅固な陣まで引いた頃には相手の軍は延びきっていた。
そこから反撃が始まる。敗走を装った信輝は合わせて千の兵で堅固な陣によって
弓による射撃など守りに専念して耐え、予め伏せていた左右それぞれ三百五十の兵が
襲い掛かった。三方から攻められさらには川の向こうの本陣が炎上しているのを見た
日羽之国の兵は戦意を失って敗走した。

「これ程までに簡単に勝てるものか…戦とは…」
信輝の呟きは誰にも届かなかった。
69妹姫  ◆x/Dvsm4nBI :2007/05/25(金) 18:25:27 ID:it4e0Rnf
「狼煙が上がった。四刻後、我らも戦闘を開始する。」
清治にはその二時間の間、緊張で全く生きた心地がしなかった。
戦場の死の気配────時の声、怒号、血の臭い…
机上とは全く異なるその圧倒的な恐怖は清治の心を苛んでいた。芳之助が
いなければ、逃げ出していたかもしれないと後に思った。

「初陣で緊張するなといっても無理だろうが…計算どおりなら六十くらいの
 力でも勝てるのだろう。大変な後退戦は歴戦の信輝様がやっている。
 某や清治殿は自分の仕事をこなせば良い。さて、時刻だ。清治殿、指示を。」
清治は決然と己の指揮下にある全員に向かって叫んだ。

「目指すは敵本陣だ!火を放て!雑魚には構うな。出口将臣の首を上げろ!
 二度と先穂之国に攻め入ろうと思わぬように叩きのめすぞ!続け!!」
時の声をあげて攻め入る三百の兵。清治の予想通り、本陣には二百程度の兵しか
残っていない。突然の騎馬の乱入に混乱している兵を殺戮していく味方を見て、
血の気が失せそうになりながらも、指揮に集中して予定通りの仕事をしていく。
本陣は燃え、勝利を確信したそのとき清治の馬が槍で突き殺された。
目の前には壮年の男が槍を構えて睨みつけている。

「お主が指揮官か、わしは日羽之国の国主、出口将臣。尋常に立ち会え!」
「勝負は決した。何故逃げぬ。」
「恥を晒すくらいならば、死んだほうがましよ。それが武家に生きるものだ。」
「すまぬが、俺は寺で育ったものでな。なるべくなら敵も味方も殺したくは無いのだ。
 ついでに言うと勝てぬ勝負もする気は無い。芳之助、頼む。」
清治は目の前の相手にそう告げると、芳之助の後ろに隠れた。

「心得た。出口殿のお相手は八神清治が部下、沖田芳之助がお相手いたす。」
「貴様!女の背後に隠れ、恥ずかしくは無いのか!」
「最早問答は無用。あの世へ送って差し上げよう。」
二人は数合打ち合った後、芳之助の槍が相手の首を貫き決着がついた。
清治は首を打ち、胴の無い体となった敵の将に手を合わせた。

「気にしたか?清治殿。」
「腰抜けは事実だ。怖かった。そして俺は剣も槍も使えん。」
「だが勝った。主は自分の仕事を逃げずにこなした。味方もお陰で殆ど死なずにすんだ。」
「ああ。これからも多くの者を自らの手を汚さずに殺すのだ。腰抜けの悪名はあえて受けよう。
 俺はそれ以上に味方の死を見たくない。」
「ま、いいではないか。そのような男が一人くらいいても。勝ち名乗りを上げるぞ。
 敵将!日羽之国国主出口将臣は八神清治が討ち取った!戦は勝ちだ!敵残党を倒すぞ!」
その言い様に清治は苦笑した。芳之助はいたずらっぽい笑顔で返す。

「おい、芳之助、おまえの手柄が…。」
「よいよい、某の仕事は清治殿の補佐だ。国のためにもこれでいいんだ。」
「わかった。全軍!信輝様を後方から援護する!!」
数刻の後、戦闘は終わった。先穂之国二千のうち死者二百五十名、日羽之国二千五百
のうち死者千五百名。国主出口将臣を打つ完勝だった。しかし、この勝利は
先穂之国に不幸の影をもたらしてゆく…。
70妹姫  ◆x/Dvsm4nBI :2007/05/25(金) 18:26:32 ID:it4e0Rnf
戦後処理は速やかに行われた。

1、 将臣の嫡男を先穂之国に預けること。
2、 両国は不戦を約し、お互いが脅かされたときには協力すること。
3、 一部領土の割譲。

多くの兵が死に絶えたため日羽之国は飲まざるをえなかった。
清治は将臣の嫡男を引き取り、後に味方になるよう教育していくことに決め、
城内に戻った。勝利した軍は歓声で迎えられた。

「兄上様…よかった…良くぞご無事で…お帰りなさいませ…」
「こら、泣くな。まだ体を洗っていないから抱きつくな!」
「兄上様がご帰還されたらお腹がおすきだと思っておにぎりを用意しています。
 私も手伝って作ったのですよ。」
「舞が!そうか、ありがとう。何よりの報酬だ。」
抱きついて喜んでいる二人のところに、体を清めた芳之助も近づいてきた。

「おー。おいしそうですな。舞姫殿、某にも一つ褒美をくだされ。」
「芳之助様もお帰りなさいませ。」
「うむ、生き延びたな。清治と雪の作戦はさすがだった。完勝だ。」
その言葉に渡そうとしていた舞姫の手が一瞬止まる。

「雪殿が?」
「うむ、毎日遅くまで二人で地図と睨み合っていたな。あれも今頃ほっとしておるだろう。」
にこやかに芳之助は笑い、雪に報告すると言い残して去っていった。
舞姫は暫く考え込んでいたが、

「兄上様、今日はこの後どうなさいますか?」
「そうだな…雪に戦勝の報告をして、疲れたしゆっくり寝させてもらおうかと。」
「雪殿への報告は芳之助様がなさるとおっしゃってましたし、今日はお城でゆっくり
 なさいませんか?宴もあるでしょうし。それもお仕事でございましょう。」
「それもそうか…。」
清治は頷いて、身を清めるからと去っていった。
舞姫はそれを熱っぽく見つめ、心では一つの決意をしていた。
71名無し@ピンキー  ◆x/Dvsm4nBI :2007/05/25(金) 18:30:23 ID:it4e0Rnf
今日はここまで。
やっと次からこのスレ的に本番です。
72名無しさん@ピンキー:2007/05/25(金) 18:32:31 ID:ETb7R7H1
乙!
73名無しさん@ピンキー:2007/05/25(金) 18:56:01 ID:S4s3o/uz
GJです。
友人二人はなかなか上手く立ち回っていますね。
キモヒメとぶつかるのはいつなのか。

>清治は頷いて、身を清めるからと去っていった。
 舞姫はそれを熱っぽく見つめ、心では一つの決意をしていた

こ、これはっ・・・wktk
74名無しさん@ピンキー:2007/05/25(金) 19:08:57 ID:GrJqnwcC
一瞬時代小説スレと間違えたかと思ったw
75名無しさん@ピンキー:2007/05/25(金) 21:10:53 ID:ny+zr702
>>71
GJ!!
芳之助が、舞と雪を潰し合わせて漁夫の利を得ようとする策士に見えてきた・・・
76名無しさん@ピンキー:2007/05/25(金) 22:02:39 ID:cb3YqImC
>>71
GJ!!次回が楽しみだw
77名無しさん@ピンキー:2007/05/25(金) 22:13:18 ID:kVeXqChJ
>>71
普通にない
78名無しさん@ピンキー:2007/05/25(金) 23:14:11 ID:P8uPjI6i
毎度毎度のように安価ミスとおぼしきレスをしてるのって同一人物?

なんか口調も似てる
79名無しさん@ピンキー:2007/05/25(金) 23:47:41 ID:VhsehHac
>>78
だからさぁ、華麗にスルーしろよ。なんでスルー出来ないわけ?
皆も頼むから荒れそうなレスはシカトして下さい
ほんとに頼むから
80名無しさん@ピンキー:2007/05/25(金) 23:55:41 ID:S4s3o/uz
まあまあ。
投下の後なのですし、皆さんまったり行きましょう。

ちなみに、今日仮眠中になかなか惜しい夢を見たのですが、
皆さんは夢にキモ姉・キモウトが包丁持って出てきたことはありますか?

あ、勿論リアルの姉などではなく、ですが。
81名無しさん@ピンキー:2007/05/26(土) 01:36:42 ID:Rdz/OC9G
>>80
一度だけある。
あれは俺がまだ妹萌えで
キモ姉が好きになれなかった頃。
いつもの脳補正のため、妹を守るため自分が姉を殺すという
くだらない妄想storyを繰り広げたその夜だ。
殺したはずの姉がでてきて、
「私を殺した責任、とってもらうからね」
と俺に言い放ち、その白い手に握られた包丁に18分割されたんだ。
薄れ行く意識の中、
虚ろな目をしながら俺を切りつける姉をみて、俺は…
美しいと、思った。
そこで俺の思考は途切れ、
気がつけば目の前には自室の天井があった。
夢だった。確かに現実味を帯びていなかった、しかし、だ。
俺のマイサンは激しく脈打ち、暴れた上、
全長26cmと過去最高記録を叩きだしていたんだ。
そのころから、俺はキモ姉妹にあこがれを抱くようになった。
どうだ、泣けるだろう?
82名無しさん@ピンキー:2007/05/26(土) 01:42:43 ID:eG2JWmzM
どこを縦読み
83名無しさん@ピンキー:2007/05/26(土) 01:49:19 ID:WOy3dmv0
ここは、

『日本語でおk』
84名無しさん@ピンキー:2007/05/26(土) 04:37:08 ID:p9nd+MWE
>>81泣いた。永遠に泣いた。

このスレ見てるとキモ姉妹が欲しくなってくるな。だが俺には普通(多分)の妹が一人・・・
どうにかしてキモ妹に仕立てあげられないだろうか・・・
85 ◆5SPf/rHbiE :2007/05/26(土) 05:08:55 ID:ae2Wnmcx
微エロ(スカ?注意)投下します。
86 ◆5SPf/rHbiE :2007/05/26(土) 05:10:43 ID:ae2Wnmcx
梅雨が過ぎた七月の初め、気温はぐんぐん上昇し、日が落ちた後でも暑さは衰えない。
夏の訪れを間近に控え、道を行く人の服装は薄着になり、家庭では冷房機器が動き始める。
扇風機を回した居間で、夕食の準備を終えた綾はぐったりと寝そべり、兄の帰りを待っていた。
「暑い……」
夏用の白いワンピースの裾が、扇風機の風にパタパタとはためく。
「お兄ちゃん、まだかな……」
もう何度目かわからない呟きをして、綾は目を閉じた。
六月の終わりから、陽一は学校からの帰宅が遅くなることがあった。
クラスの文化祭実行委員に選ばれて、その話し合いが時折持たれることになったからだ。
家で二人過ごす時間が減ることが不満だった綾は、今からでも辞退するようにと強く言ったが、
「誰かがやらなきゃならないことだから」
と陽一は笑って答え、結局辞退はしなかった。
「まったく……余計なことばかりしょいこんで……」
きっと誰もやろうとしなかったものを、変な責任感に駆られて立候補してしまったのだろう。
兄のそういったところは嫌いではなかったが、やはり一緒に居る時間が減ることは不満である。
さらにもう一つ、綾の心を波立たせたのは、もう一人の文化祭実行委員が宇喜多縁であるということだった。
どちらから先に立候補したのかは聞いていない。
が、縁が立候補したのを助けるために陽一が立候補したにせよ、あるいはその逆にせよ、綾にとっては極めて由々しき事態だった。
「あの人も……わからないからなあ……」
陰鬱な気持ちになり、無意味に床を拳で叩く。
テレビを見る気にもなれず、ただごろごろとしているうちに、時計は八時を回っていた。
いいかげん学校に迎えに行ってしまおうか。
そう思い始めた頃、
「ただいまー」
玄関の戸を開ける音とともに、待ちわびた声が聞こえた。
飛び起きて、綾は急ぎ足に玄関に向かう。
「ちょっと、いくらなんでも遅すぎ……」
待たされた分の愚痴を思い切りぶつけてやろうと口を開いたのだが、玄関先にたたずむ陽一を見て動きが止まった。
「……誰よ、それ」
きりきりと眉を跳ね上げ、指をさしたその先には、陽一の腕にすがりつく一人の少女がいた。
ショートカットに、シンプルなTシャツと短いプリーツスカートを着込んだ少女は、その容貌は明らかに幼い。
中学生、ひょっとしたら小学生といったところである。
「どうも。お世話になりまーす」
元気に挨拶する少女に、陽一は困ったように笑った。
「ははは……なんか、ついてきちゃって……」
「ついてきたって……」
唇の端を引きつらせ、言葉に詰まる綾。
支倉家の初夏は、扇風機一台では足りない暑さになりそうだった。
87恋の綾  ◆5SPf/rHbiE :2007/05/26(土) 05:12:28 ID:ae2Wnmcx
「家出?」
「そうなの。家に帰りたくなくって」
「何で帰りたくないのよ?」
「えへへ……まあ色々と……」
事の顛末は簡単だった。
アキラと名乗った少女は、今年中学二年生。
二ヶ月前に家出をして、それからずっと家に帰っていないのだという。
今日のねぐらをどうしようかと駅前で座っていたら、心配した陽一に声をかけられ、そのままついてきてしまったのだ。
陽一は何度も家に帰るように言ったが、無理に追い返すこともできず、結局支倉家にたどり着いてしまい、今こうしてアキラは居間のテーブルについているというわけだ。
「ね、いいでしょ? もう行ける所がなくて」
「帰れ」
両手を合わせて媚びるように頼むアキラに、綾はどこまでも冷徹に言った。
「自分の家に帰ればいいでしょうが」
「それが嫌だから家出したんだって」
「じゃあ今まで寝泊りしていたところに帰りなさい。二ヶ月も経つんだから、どこか当てがあるんでしょ?」
「えっと……それは……」
アキラは照れたように笑った。
「その、今まではずっと援助交際相手の家に泊まってたんだけど、そろそろうざがられちゃって……」
するりと出てきた「援助交際」という言葉に、陽一も綾も唖然としてしまった。
二人がいっぺんに静まり返る中、気にせずアキラは説明を続けた。
「だから今日は新しい相手を探そうと思って、駅前で声かけられるのまってたんだけど……えへへ……」
肩をすくめて悪戯っぽく笑いながら、陽一の方を見る。
綾はそのアキラの手首を掴み、椅子から引き摺り下ろした。
「な、何するの! 痛いよ!」
「ふざけんな」
「え……?」
「警察に行くわよ」
アキラは引きずられ、居間の床に倒れこみ、「痛い!」と声を上げた。
「綾……乱暴は……」
「だまらっしゃい。言ってダメなら無理にでも連れてくしかないでしょ。ほら、歩け!」
「や……! 痛い! 痛いよお!」
力ずくで連れて行こうとする綾に、アキラは必死で抵抗した。
「やだよ! 警察とか行きたくない!」
「知らないのなら教えてあげる。売春はいけないことなのよ」
「やー! やだやだ! 警察に連れて行くなら舌噛んで死んでやるから!」
「死にたきゃ勝手に死になさい」
綾の一言に、アキラは引きずられながら、舌を出す。
「本当に噛むからね!」
ぎゅっと目を閉じ、前歯で舌を挟んだ。
綾は完全に無視してアキラを引きずったが、さすがにまずいと思った陽一が横から止めに入った。
88恋の綾  ◆5SPf/rHbiE :2007/05/26(土) 05:13:19 ID:ae2Wnmcx
「綾、一晩くらいいじゃないか」
「はあ?」
「本当に舌を噛まれて死んじゃったらどうするんだよ」
それこそ願ったり叶ったりなので、綾としては何の問題もなかったが、さすがにそうは言えない。
「……じゃあお兄ちゃんは、あの子が援助交際を繰り返してその辺を放蕩した方がいいっていうの?」
「そうは言わないけどさ……」
「なら警察に連れて行って、おうちに帰してあげた方が、あの子のためでしょ」
「あのな……家や両親に問題がある場合だってあるだろう」
陽一の静かな一言に、綾は息を詰まらせた。
確かに、そういう例はある。
「だからって……」
「な、今晩だけ泊めてあげて、明日話を聞いてみよう。一日たてば打ち解けて、話してくれるようになるさ。ひょっとしてあの子は家で辛い思いをしていたかもしれんだろ」
「……」
心の底から不満ではあったが、結局綾は陽一に対しては弱い。
「ふん……」
アキラの手首を離し、台所に消えた。
「綾……?」
「夕食の準備。一人分増えちゃったからね」
綾の返答に陽一はほっと息をついて、床に座り込んだアキラに手を差し伸べた。
「え? えーと、つまり私、出て行かなくてすんだの?」
「今日はもう遅いし、ここに泊まっていっていいよ」
アキラはキラキラと笑顔を輝かせ、陽一に勢いよく抱きついた。
「うわ! ちょ……!」
「ありがとー、お兄ちゃん! お兄ちゃんならタダでエッチさせてあげていいよ!!」
「は……?」
台所から食器の砕けるけたたましい音が聞こえ、包丁を持った綾が駆け戻ってきた。
「ふざけんな!」
また小一時間揉めたが、結局アキラは支倉家に泊まっていくことになった。
89恋の綾  ◆5SPf/rHbiE :2007/05/26(土) 05:14:22 ID:ae2Wnmcx
「で、もう三日間居座っている、と……」
「ええ」
小夜子は目の前で弁当のおかずに箸を突き刺す親友を見た。
この三日間、日を追って不機嫌になっていっている。
どことなく疲れているようで、その日の授業では、居眠りをしている姿も見受けられた。
「ねえ綾、ひょっとして寝てないの?」
「いえ、寝てないことはないけどね……」
実際あまり寝ていなかった。
何しろ援助交際でねぐらを得ていたという少女が家の中にいるのだ。
夜中に陽一の部屋に夜這いをかけたりしないか、細心の注意をもって、綾はアキラを監視していた。
「よ、夜這いって……さすがにそれは無いんじゃ……」
「だってねえ、ほんっとにやらしい子なのよ? まだ中学生だっていうのにあれじゃ、先が思いやられるわ」
この三日間、アキラはことあるごとに、陽一に対して性的とも取れる接触をした。
とにかく抱きつき、体を押し付ける。
風呂上りはまずバスタオル一枚。
普段着姿でも、仕草のあちこちで下着や脚を見せつけようとしているのが感じられた。
「……考えすぎなんじゃないの?」
「考えすぎじゃないわよ!」
机を拳で叩き、綾は続けた。
「おまけにね……あの子……お兄ちゃんのことを、『お兄ちゃん』って呼ぶのよ」
「え……そ、それって何か問題あるの?」
「あるわよ。あの子は家族でも何でもないんだから」
あまり刺激しない方が良さそうだと判断した小夜子は、それもそうだねと頷いた。
「でも、そんなに問題ありな子なのに、陽一さん三日も家に泊めてるんだ」
「……ええ。ホント、無意味に甘ちゃんなんだから、あの馬鹿兄貴は」
本当のところ、理由はわかっていた。
つまりは兄も、自分たちの母のことを忘れていなかったということなのだろう。
そして、あの頃の綾のことも。
アキラが家庭で辛い思いをして家出や援助交際をしているというのなら、何とかしてやりたい考えているのだ。
他人の痛みを想像することのできる陽一を、綾は立派だと思っている。
尊敬しているし、好きなところでもある。
しかし、アキラにどんな事情があるにせよ、彼女の陽一に対する接し方は、綾にとって許せるものではなかった。
「相変わらず綾は、陽一さんのこととなると夢中だねえ」
「私は、家を預かる者として言ってるのよ。我が家でいやらしいことをさせるわけにはいかないし、いつ物盗りに化けるかわからないんだから」
「そっか。まあ、綾の負担が大きいようなら、また陽一さんに話してみるといいんじゃないの?」
「……今夜あたりまた話してみるけどね」
結局午後の授業も綾は眠ってしまった。
90恋の綾  ◆5SPf/rHbiE :2007/05/26(土) 05:15:54 ID:ae2Wnmcx
また舌を噛むだの死んでやるだの言われてはたまらないので、綾はアキラが風呂に入っている間に陽一と話すことにした。
「いつまで置いておく気?」
「うーん……どうしたもんかね」
「ずっとうちに居させるわけにはいかないでしょう」
陽一の最初の考えでは、家出の理由を聞けたら、それに沿ってアキラの悩みを解決し、快く送り出してやるつもりだった。
しかし、打ち解けてはきたものの、アキラは家出の理由については一切話そうとしなかった。
「前よりか色んな話をしてくれるようにはなったんだけどなあ……」
「別に大した理由なんかないのよ。だから話さないんじゃないの?」
「だからって外にほっぽりだして、援助交際をさせるわけにはいかないだろう」
「そんなのここに居たって同じよ。お兄ちゃんは知らないだろうけど、あの子、夜中になると一人で外に出てるんだから」
この三日間、夜這い防止の寝ずの番をして、綾はアキラが毎晩外出しているのを知っていた。
もう戻ってくるんじゃない、とその度に願ったが、アキラは毎回一時間もすると戻ってきて、それから布団に入って眠りについていた。
「お客さんをとってるんじゃないの?」
「まさか……うちで寝ることは出来るんだし、わざわざ……」
「ああいうことする子はね、したいからするのよ。寝床がどうとか、そんなのは問題じゃないわ」
「ふーん……そういうものなのかね」
陽一は少し悲しそうな顔をしたが、それはともかく、と続けた。
「あの子がここに居たいというんなら、もう少しここに居させてあげようよ。無理に追い出して、自殺しちゃったり事件に巻き込まれたりしたら、後味悪いだろう」
「……」
正直、関係の薄い人間がどこでどうなろうと、綾の知ったことではなかった。
賛同しかねるといった表情をするが、陽一は陽一でひく気はないと見て取れた。
二人とも黙り込んだところで、風呂場の戸が開く音が聞こえ、すぐにアキラの足音が居間に近づいてきた。
「ふー! いいお湯だったよー!」
バスタオル一枚だけを体に巻いた姿で、アキラは居間の引き戸を勢いよく開けて駆け込んできた。
「またあなたは……毎度毎度、部屋着を着てからこっちに来いっていってるでしょうが」
「えへへ……めんどくさくって! それにお兄ちゃんもこっちの方が嬉しいよねえ?」
「いや、普通に服を着てくれた方が助かる」
顔を逸らす陽一に、アキラは後ろから飛びつき、体を押し付けた。
「ねえねえ、お兄ちゃんたち、さっき何の話してたの? 変な雰囲気だったけど」
「別に、何の話もしていないわ」
「私の話? ひょっとして……出て行け、とか?」
嫌な子だ、と綾は思った。
自分の身に関することについてはやたらと鋭く、本能をもって身を守ろうとする。
今も綾の目の前で、アキラは陽一にますます強く抱きつきながら、頼みを口にしていた。
91恋の綾  ◆5SPf/rHbiE :2007/05/26(土) 05:17:09 ID:ae2Wnmcx
「ねえ、お願い! もう少しだけ居させてよお……」
綾が最終的に陽一に従うのをわかっているのだろう。
アキラは綾にお願いすることは無く、基本的に陽一をターゲットにしていた。
「私、ここを追い出されたら行くところなくなっちゃうよ……」
「いや、わかったから、離れて」
しどろもどろで言う陽一から、言われたとおりアキラは離れる。
そのまま陽一の正面に回ると、体に巻いていたバスタオルを両手でばっと広げた。
「な……!」
アキラの全身が、陽一の目に映った。
小ぶりな胸も、薄く恥毛の茂った秘所も、はっきりと見えた。
「えへへ……ここに居させてくれるなら、何してもいいからさ」
「馬鹿なこと言ってないで、さっさとしまいなさい……!」
陽一はまた慌てて顔を逸らした。
「馬鹿なこととかじゃなくて……私、お兄ちゃんに本当に感謝してるし。お兄ちゃんのこと大好きだし」
「別にまだ居てもいいから、頼むからちゃんと服を着てくれ!!」
陽一の言質を得て安心したのか、アキラはにこりと笑うとバスタオルを巻き、洗面所へと戻っていった。
陽一は一息をつき、先ほどから綾が無言なのに気がついて、慌てて綾の方を見た。
予想に反し、綾の表情は驚くほど涼やかなものだった。
「綾……?」
「何?」
「いや、怒ってないのかと思って」
怒っていないわけは無い。
綾は気付いていた。
先ほどアキラが全裸を晒した時、陽一が顔を赤らめていたことを。
顔を背けてはいたが、陽一の股間が微かに反応していたことを。
男としては、自らの意志とは関係無しに、しょうがないことなのかもしれない。
綾はかつて無いほどに感情を揺り動かされていたが、努めて冷静に振舞った。
「別に……」
ため息をついて、綾は言った。
「お兄ちゃん、ホントに、いつまであの子の面倒を見るつもりなの?」
「もう数日見て、それでダメだったら、警察なり適当な相談所なり行くよ」
「……お兄ちゃん、信じてはいるけど……あの子と妙なことしないでね」
「さすがにそれを言われると、俺の方が怒るぞ」
陽一のことは信じている。
最愛の兄を信じないわけは無い。
「……ごめん」
悪いのはアキラだ。
綾は素直に謝った。
92恋の綾  ◆5SPf/rHbiE :2007/05/26(土) 05:19:32 ID:ae2Wnmcx
その夜、支倉家を出る二つの人影があった。
一人はアキラで、夜中の一時を過ぎる頃にこっそりと玄関を出ていった。
もう一人はアキラから少し距離をあけて、静かに後をつける綾の姿だった。
誰もいない深夜の道を、アキラは鼻歌を歌いながら歩く。
そこから三十メートルほど離れて、綾は足音を殺し、道の端の影の中をひっそりと歩いた。
着いた先は近所にある大きめの公園だった。
浮浪者や、がらの悪い連中がたむろしていることから、夜には近づくなと近隣では言われている。
アキラは、公園の入り口にある電話ボックス前に立つと、歩みを止めた。
アキラの手の中には、一枚のテレフォンカードがあった。
手の中のテレフォンカードと、目の前の電話ボックスを交互に見つつ、アキラは足を止めたまま動かない。
「何してるの?」
不意に声をかけられ振り向くと、すぐ後ろに綾が立っていた。
綾はいつもはツインテールに結んでいる髪を後ろで一つにまとめ、初夏の夜だというのに長袖長ズボンを着込んでいた。
「綾ちゃん……つけてきたの?」
「何してるの、こんな夜に」
綾の追及に、アキラは手に持ったテレフォンカードを見せた。
「えへへ……電話しようかなって思って。家に」
「なるほど。やっと出て行く気になったってわけ?」
「んー、それが、やっぱりかける気にならなくて」
「何故?」
「なぜかって……そりゃあ、色々あるから……」
「毎晩毎晩、電話をかけられないで、うちに戻ってきていたの?」
「うー……うん」
綾はやれやれと頭を振った。
「あのね、帰る家があるなら帰ったほうがいいわよ?」
「んー……やなんだよねー、自分の家は。居心地が悪くて」
「だからって、いつまでもうちに居るわけにはいかないでしょう?」
「んん〜、どうだろうね」
アキラはいつものようにいたずらっぽい笑みを浮かべた。
「陽一さんは優しくしてくれるし、できるならずっと居たいなあと思ってるけど」
「私が許さないわ」
「えへ。綾ちゃんって最初っから怖い人だね。でも、陽一お兄ちゃんが居ていいって言えば、居させてくれるんでしょ? 私、綾ちゃんがホントは陽一お兄ちゃんには強く言えないって知ってるもん」
「……お兄ちゃんも、もうしばらくしたら、あなたを警察か相談所に連れて行くつもりだからね」
「ええ〜、それは困るよお」
アキラはスカートの端を指でつまみ、ひらひらとめくって見せた。
「もっと積極的にお願いしなきゃだめかなあ……」
自らの体で男に取り入る術を知っている少女の言葉に、綾は不快そうに眉をしかめた。
「あなたが今まで出会った男の人がどんなものだったか知らないけどね、お兄ちゃんはそんなもので惑わされる人じゃないわよ」
「ええ? そうかなあ? わからないよ〜? 綾ちゃん知ってる? 陽一お兄ちゃんね、私が抱きついたりすると、時々あそこを大きくするんだよ?」
「……!」
「あそこってどこだか、綾ちゃんわかる? どうして大きくなるのかわかる?」
クスクスと笑って、小馬鹿にするように訊いて来るアキラに、綾は震える声で尋ねた。
「ま、まさかあなた……もう、お兄ちゃんと……」
「ううん。まだだよ。でもこれからガンガン押していっちゃうけどね。お兄ちゃんもまんざらでもないみたいだし」
「やめて!!」
本人も驚くほどの声で、綾は叫んでいた。
「それはやめて! ダメ! 絶対にダメ!!」
93恋の綾  ◆5SPf/rHbiE :2007/05/26(土) 05:20:18 ID:ae2Wnmcx
髪を振り乱し、アキラを睨みつける。
前髪に隠れた切れ長の目に街灯の光が反射し、蛇の目のように光った。
「ダメ……それは……それは絶対にダメ……!」
「……綾ちゃんて、陽一お兄ちゃんのことになると、やたらと絡んでくるよね。今も必死だし」
「家族のことなんだから……当然でしょう……!」
「家族とかそういうんじゃなくて……まるで私に嫉妬してるみたいだよ。気持ち悪い」
「気持ち、悪い……?」
「そうだよ。あのね、いくら綾ちゃんが妹だからっていっても、陽一お兄ちゃんの恋愛に口出しする権利なんて無いんだから」
「恋愛……? お兄ちゃんと、あなたが、恋愛をしているっていうの?」
「そうだよ」
「あなたは、自分の体を売り物にしているだけでしょう!!」
「えへへ……私、陽一お兄ちゃんのこと大好きだもん。好きな人だからセックスもしたくなるってだけだもん」
「出て行って……私の家から出て行ってよ……」
「陽一お兄ちゃんが出て行けっていったらね」
「でも」とアキラは、またスカートをひらりとめくり、少女らしいツヤのある太腿を露にした。
「そうならないように、陽一お兄ちゃんにアプローチしちゃうけどね。この体で」
綾は走り出していた。
アキラに向かって、一直線に。
「え……?」
アキラが反応しようとしたその時には、すでに綾は目前に迫り、次の瞬間、小さな悲鳴とともにアキラは地面に倒れていた。
倒れたアキラを冷たく見下ろす綾のその手には、棒状のスタンガンが握られていた。
「……そんなにセックスがしたいなら、思う存分させてやるわよ」
綾の言葉に、アキラは反応しない。
意識はあるが、体が動かないようだった。
綾はアキラの首に腕を回し、念を入れて締め落としておいて、公園の植え込みの陰へと引きずって横たえた。
両手に厚手の黒い手袋をつけ、綾は周囲を見回した。
広い公園。
人の気配は無い。
木々の茂る森林区の中には、浮浪者がねぐらにしている小さな遊具が見える。
綾は近くのゴミ箱を覗き込むと、中から大きめの白いビニール袋を取り出した。
そのビニール袋を細く折りたたみ、さらに何回もねじって、固い紐状にする。
甘酸っぱい生ゴミの臭いが手についたが、そんなことは気にせず、一心不乱に作業を続けた。
アキラのTシャツを脱がせ、折りたたんで、それを目隠しのようにしてアキラの顔に巻きつける。
ビニール袋から作り上げた紐で、アキラの両手を後ろ手に縛り、自由を奪った。
さらにスカートをまくり、綾はアキラの下着に手をかけた。
「あら……?」
淡い水色の、シンプルな下着は、ぐっしょりと生温かく濡れていた。
「あらあら、締め落とした時に漏らしちゃったのね」
小便の臭いが鼻をついたが、気にせず綾は下着を脱がせ、手の中で丸めると、そのままアキラの口に詰めこんだ。
「う……」
うめき声をあげるか、アキラはまだ目覚めない。
綾は下着を奥へ奥へと詰めた。
すべてを終えるとそこには、後ろ手に縛られて、上半身はブラジャーのみ、捲り上げられたスカートに、微かな陰毛の生えた秘所を露出し、地面に転がされたアキラの姿があった。
「さて……」
時計を見ると、二時になるかならないかというくらいだった。
綾はまた周囲を見回して、誰も居ないことを確認すると、アキラを引きずって移動した。
目指す場所は、浮浪者たちのたむろしている森林区だった。
94恋の綾  ◆5SPf/rHbiE :2007/05/26(土) 05:21:26 ID:ae2Wnmcx
浮浪者たちは、森林区の中にある使われない遊具の陰で、各々ダンボールにくるまって眠っていた。
人数は三人。
やっせぽちのもいれば、それなりに体格のいい者も居る。
どこから持ってきたのか、あたりには飲み散らかしたビールの缶が転がっている。
何とも不快な臭気があたりを覆っていた。
綾に引きずられてきたアキラのうめき声をあげる間隔は短くなっていて、そろそろ目を覚ますのだろうと見て取れた。
「急がなきゃ……」
綾はアキラの股を開かせて、局所を前面に押し出すような体勢で地面に寝かすと、寝ている浮浪者の背に思い切り蹴りを入れた。
「ぐぁっ!」
悲鳴をあげて浮浪者が背中を押さえる。
すぐに綾は走り去り、近くの茂みに身を隠した。
「いてぇな! なにすんだ!」
怒りの声をあげ、飛び起きる浮浪者。
しかしそこには彼を蹴りつけた者の姿はなく、あるのは秘所を丸出しに、健康的な肌を露出して地面に転がっている、一人の少女の姿だった。
「……あ?」
浮浪者は何が何だかわからず、飛び起きたままの姿勢で止まった。
なぜ目の前に、裸の少女が転がっているのか。
目隠しをされ、口には詰め物をされている、まだ年若い少女が。
「何だってんだよ、こりゃ……」
疑問を口にしながらも、男の体は正直だった。
寝床も定まらない生活をしていれば、女を抱く機会なんてそうそうない。
たまに日雇いの仕事をして金が入ったときに、風呂に入って安い風俗に行って、手や口でしてもらうのがやっとである。
「何なんだよ……」
警察に届けようか、無視しようか、それとも……。
考えているうちに、男の下半身にはどんどん血が集中していった。
「……」
男は鼻息荒く、アキラの太腿に手を触れた。
ぴくんと体を震わせ、うめき声をあげるアキラに、一瞬身を引きながら、おそるおそるといった様子で触り続けた。
やがて、男の汚らしい手は、アキラの秘所に触れた。
少女の柔らかい肉の感触と、微かに漂う小便の臭いに、男はそれ以上耐えられなかった。
何しろ、もう何年も女体とは無縁の生活を送っているのだ。
「くそ……!」
男は震える手でズボンを下ろし、勃起したペニスを握った。
長らく洗っていないそれは、異臭を放ちながら驚くほど大きく勃起し、男の心臓の鼓動に合わせて震えていた。
95恋の綾  ◆5SPf/rHbiE :2007/05/26(土) 05:23:01 ID:ae2Wnmcx
「へへ……へへへ……」
アキラのまだ幼さの残る秘所に汚ない指をあて、割れ目をぱっくりと開く。
膣口の位置を確認すると、男は握ったペニスをしっかりとあてがい、腰をゆっくり押し進めていった。
濡れていないので、スムーズにはいかない。
しかし男のペニスは確実に、陰唇を巻き込むようにして、中学生の少女の中に飲み込まれていった。
「うおお……あったけぇな……」
根元まで入りきると、男は恍惚の表情を浮かべ、背筋をぴんと伸ばす。
そして、アキラの股間に自らの下腹をこすりつけるようにして、軽く身を震わせた。
「へへ……もう出ちまった……久しぶりだからなあ」
ゆっくりと、男は腰を動かし始めた。
「むしろこれで動かしやすくなったか」
ちゅく、ちゅく、と小さく水音が聞こえる。
男はますます興奮して、アキラの体に覆いかぶさるようにして乗っかり、瑞々しい肌を首筋から顔にかけて舐めまわした。
「う……ん……?」
アキラが呻いても、男はもはや気にせず腰を振る。
男の荒々しい突き出しに、体をがくんがくんと揺らされて、
「ん……? ん……んんー!? ん、んー!!」
ついに目が覚めたのか、アキラは身を捩じらせて、足を動かした。
しかし男はしっかりと抱きつくようにしてアキラを犯し、その足は虚しく空中を蹴るのみである。
叫び声をあげようにも、口の中には濡れた下着が詰められて、ただ呻くことしかできない。
おまけに視界も隠されて、アキラには自分の身に何が起こっているのかわからなかった。
ただわかるのは、自分が犯されているということ。
自分を犯している男が、強烈な臭気を発しているということだった。
「んー! んんーっ!! ん〜……!」
「お、お、動くなって。そんなに動くとまた……」
腰の動きが細やかになり、すぐにまた男は身を震わせた。
「また出ちまった。まあ久しぶりだからいくらでもできるけどな」
男の性欲はとどまるところを知らない。
腰が打ち付けられるたびに、男の精液が少女の膣中でかき回され、ますますいやらしい音を発した。
混乱の中に、恐怖と悲しみからアキラは泣き出し、喉を鳴らす。
男が一息つこうとペニスを抜いたところで、他の浮浪者二人も起き出してきた。
その男たちも、既に興奮に息を荒くし、一人は早くもペニスを握って自慰をしていた。
「お前らもやるか?」
アキラは為すすべも無く、三人の浮浪者に犯されることとなった。
綾はその光景をずっと、笑いながら見ていた。
96恋の綾  ◆5SPf/rHbiE :2007/05/26(土) 05:23:48 ID:ae2Wnmcx
四時を過ぎて東の空が白み始めた頃、男たちはいそいそと服を着て、公園を出て行った。
顔は見られていないとはいえ、少女を犯した公園にそのまま居座っていては、警察にお世話になること間違いなしである。
早いうちに、適当な場所にねぐらを変えておかねばならなかった。
男たちが去ってから、綾は茂みから姿を現した。
綾の足元には、無残に犯しつくされたアキラが転がっていた。
全身に男たちの精液を浴び、顔や胸には唾液がぬりたくられている。
秘所はぱっくりと開き、男たちが体内に残した白濁の液体が流れ出してきていた。
綾は息も絶え絶えといった具合に横たわるアキラの前髪を掴み、引っ張り上げると、顔に巻かれた目隠しのTシャツを乱暴にほどいた。
「気分はどう?」
「う……」
目を細めて、アキラは綾の顔を見る。
「う……ん〜……!」
「何怒ってるのよ。大好きなセックスができて、大満足でしょ?」
「んー! ん゙ー!」
「ちょっとちょっと、暴れないでよ。ただでさえあなた、すっごく臭いんだから」
綾は髪を掴んだままで思い切り腕を振る。
ぶちぶち、と髪の毛が束になって抜け、アキラは地面に顔を叩きつけられた。
土に頬を擦りつけながら、アキラはぽろぽろと涙を流した。
「まだ、お兄ちゃんとセックスしたい?」
「……」
「セックスしたいかって訊いてるのよ!」
綾は一切の容赦なく、顔面を蹴り上げる。
鈍い音がして、アキラの鼻が奇妙に捻じ曲がった
「ん! んぉぉおおおっ!!」
鼻血を撒き散らしながら、アキラは悶絶し、声にならない声あげる。
「どうなのかって訊いてるんだけど」
折れた鼻をさらに踏みつけられ、アキラは泣きながら首を左右に振った。
その反応に、綾は「良かった」と胸を撫で下ろした。
「でも、これまでのあなたの罪が消えたわけじゃないからね」
綾はしゃがみこんで、アキラの鼻をそっとつまんだ。
アキラは激痛に顔を歪めたが、すぐにもっと重要なことに気付き、体をゆすって綾の手から逃れようとした。
喉の奥まで詰め込まれた下着で、口からの呼吸はほとんど不可能となっていたのだ。
そのうえで鼻を塞がれては、どうしようもない。
必死になって暴れたが、両手を縛られた状態ではどうしようもなかった。
自由がきかない中で激しくのたうちまわるアキラを押さえながら、綾は決して手を離さない。
やがてアキラは体を痙攣させて、空気の抜けるような情けない音とともに糞尿をもらしてしまった。
強烈な臭いが漂ったが、綾はやはり動じず、アキラの呼吸を封じた。
しばらくしてアキラは糸が切れた人形のように動かなくなり、だらしなく股を開いたままで、ぐったりと身を横たえた。
それから五分、十分、十五分と経ち、ようやく綾は血にまみれた鼻から手を離した。
「終わり、か……」
ふう、と息をついて、慌てて袖で鼻を覆う。
「なんて臭さなの、この娘は……。最悪だわ」
涙ぐみながら、アキラの口の中の下着を、さらに喉の奥へと詰め込んだ。
アキラはぼんやりと空を見たまま、もはやぴくりとも動かなかった。
「四時半、か。ぎりぎりの時間ね」
公園には早朝から訪れる者もいる。
絶対に姿を見られるわけにはいかなかった。
「ホント……汚らしい」
見るも無残な姿となったアキラに一言残し、綾はその場を去った。
97恋の綾  ◆5SPf/rHbiE :2007/05/26(土) 05:39:58 ID:ae2Wnmcx
二日後、アキラの死体は発見され、支倉家のある地区ではちょっとした騒ぎになった。
姿を消す直前まで居候していた家ということで、陽一と綾は警察から事情を聞かれることとなった。
陽一はさすがにショックを受けながらも、アキラとの出会いや、家での様子、細かい事情は聞いていなかったことを話した。
そして綾は、ショックを受けたように装いながら、アキラが援助交際をしていたこと、夜に家を出て行くことがあったことをきちんと話した。
アキラは補導歴もあったらしく、二人の話はすんなりと聞き入れられた。
綾は内心、公園で姿を見られたのではないかと恐れていたのだが、どうやら大丈夫だったようで、何事も無く二人は家に帰された。
警察の話では、アキラの死因は窒息死で、暴行を受ける際に喉に詰められた下着が気道を塞ぎ、死に至ったのだろうということだった。
現在、アキラに暴行を加えた者たちを全力で捜査中だという。
警察署からの帰り道、綾はしょぼくれる兄の背を優しく撫でながら、やり遂げたという満足感と開放感で満たされていた。
98恋の綾  ◆5SPf/rHbiE :2007/05/26(土) 05:41:03 ID:ae2Wnmcx
昼に警察署に話をしに出向き、家に帰りついたのはもう夕暮れ時だった。
「ご飯のしたくするからね。お兄ちゃん何食べたい?」
ご機嫌なのを押し隠して綾は陽一に尋ねる。
どんな御馳走でも作ってあげようという気分であった。
「いや……いい。食欲がない」
「えー……? 何でよ?」
「だってお前、あんな話の後で……」
綾は頬を膨らませた。
「気持ちはわかるけど、食べないとますます元気がなくなっちゃうわよ」
「いや、でも……」
「お兄ちゃん……そんなに悲しいの? アキラちゃんが居なくなって」
「だってお前、ついこの前まで一緒に暮らしていた人間が死んだんだぞ? 悲しくないわけないだろ」
責めるような目で綾を見る。
お前は何とも思わないのかと。
「そりゃ私だってショックだけど……だけど私たちがどう思ったところで、あの子が生き返るわけじゃないじゃない」
「……」
「……お兄ちゃん、やっぱりアキラちゃんのこと好きだったの?」
「そういうんじゃないよ。ただ……何かしてやれたんじゃないかって……そう思うと……」
陽一も綾も、警察から少しだけアキラの家庭の事情を聞かせてもらっていた。
両親は離婚、母親についていき、この一年母が愛人を連れ込むようになってから、家に帰らなくなったらしい。
彼女の死体が唯一持っていた持ち物は、スカートのポケットの中にあった、かつて両親と撮った写真から作ったテレフォンカードだった。
「お兄ちゃんが自分を責めることないわよ」
「……」
「あの子以外にも、似たような境遇で苦しんでいる子供はきっとたくさん居るでしょ? それぞれが頑張って毎日生きているのに、家を出て、体を売って生きるって決めたのはあの子なんだから。こうなる道を選んだのはあの子だったんだから」
「お前……冷たいな」
「ずいぶんな言い草ね。お兄ちゃんに元気を出してもらいたいだけなのに」
陽一は椅子に座り、俯いたまま返事をしない。
綾はため息をついて、陽一の前に進み出た。
「お兄ちゃん、ちょっと見て」
「……?」
陽一が顔を上げると、目の前には綾が立っていた。
部屋着のチェックのスカートをまくり上げて。
真っ白な下着に包まれた下半身と、すらりと伸びる脚が、何とも美しい。
陽一は慌てて顔を逸らした。
「な、何やってるんだ!」
「お兄ちゃんが元気なかったから……アキラちゃんの真似」
「しまいなさい!」
綾は素直にスカートを下ろした。
こっそりと兄の股間に視線を向けるが、変化の様子は無い。
(でも、顔を背けるってことは、何も感じていないわけではないはず……)
そう思うと、綾はまた嬉しくなってしまった。
陽一はしばらくアキラのことで悩みそうだが、気長に待とうと思えた。
「ご飯はつくるから、ちゃんと食べなさいよね」
台所に立った綾は、陽一に聞こえないよう水道の水を一杯に流して、喉の奥から笑いを漏らしながら呟いた。
「ま、お兄ちゃんが男だって教えてくれたことには、お礼を言わなきゃね」
今は亡きアキラへの、感謝の言葉であった。
99 ◆5SPf/rHbiE :2007/05/26(土) 05:41:44 ID:ae2Wnmcx
今回の投下は以上です。
100名無しさん@ピンキー:2007/05/26(土) 05:47:04 ID:Sy0okcXF
GJ!!
今回の綾もジツにいいキモウトでした。
101名無しさん@ピンキー:2007/05/26(土) 07:54:59 ID:TFKTfY+e
SATSUGAIキタワァ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。. .。.:*・゜゚・* !!!!!
…やっぱキモウトにはそういうのがいいんだろうかw
102名無しさん@ピンキー:2007/05/26(土) 07:58:30 ID:rZ6b2/y1
いや、もうね。

言葉に出来ないこのGJ
103名無しさん@ピンキー:2007/05/26(土) 08:00:24 ID:+TfoCYH1
>>99
つまらんなぁ
104名無しさん@ピンキー:2007/05/26(土) 09:13:47 ID:5a4nIDKp
殺んデレキモウトはキモかわいい
105名無し@ピンキー:2007/05/26(土) 09:15:58 ID:Y8bFnEqT
相変わらず恐ろしい。
綾は通算で何人殺ってるんだろうw
106名無しさん@ピンキー:2007/05/26(土) 09:17:36 ID:eoPkEfyG
なんといういい妹。俺の妹と交換してくれよ。
22歳のくせして素っ裸で家をうろついてるんだぜ。
少しは恥じらいを持ってほしい。
107名無しさん@ピンキー:2007/05/26(土) 10:55:51 ID:kb50zs6l
>>綾
毎回いい仕事してくれるぜぃ!!!
GJ!!!!!!
アキラタン、色仕掛けしなければ多少は綾タンの同情も
引けたかもしれないのになぁw

>>106
うp!!!!!
108名無しさん@ピンキー:2007/05/26(土) 11:18:26 ID:qsADq7jw
もはやSATSUGAIのプロフェッショナルだな、綾
自慢の本能で綾の恐ろしさは見抜けなかったのがアキラの敗因か

ともあれGJ!
109名無しさん@ピンキー:2007/05/26(土) 11:46:54 ID:6jI6XGD/
GJとしか言い様がない!
小夜子タンがいつ殺されるのか、綾タンはいつ殺しに失敗して
タイーホされるのかを密かに期待しているw
110名無しさん@ピンキー:2007/05/26(土) 12:23:07 ID:XWqP9j2T
GJ!
いつか宇喜田さんの逆襲にwktk
>>106
交換の前にSAT(ry
111名無しさん@ピンキー:2007/05/26(土) 12:49:40 ID:63MKD1r/
GJだが、ここまでくると萌えよりガクガクブルブルだな。

>>106
ちょっと体育館裏来い。
112名無しさん@ピンキー:2007/05/26(土) 13:57:05 ID:1SAxUZ9J
>>106
高見盛似か朝青龍似のどっちだ?
113名無しさん@ピンキー:2007/05/26(土) 14:49:43 ID:zg8xC8XD
>>99
GJ
なんというSATUGAIのプロ
綾は間違いなく裏世界で通じる

>>112
琴欧州だろ





あれ・・・?ちょっといいかmアッー
114名無しさん@ピンキー:2007/05/26(土) 16:06:01 ID:Cs0VGEId
俺のイモウトは着替え止まり106がうらやましぃ
綾ちゃんGJ
115名無しさん@ピンキー:2007/05/26(土) 16:38:10 ID:7IMuMfHx
キモ姉まだかなぁ・・・
116名無しさん@ピンキー:2007/05/26(土) 17:44:41 ID:Y8bFnEqT
妹姫投下。休み中で最後まで書き上げました。
とりあえずそのうちの半分。
117名無しさん@ピンキー  ◆x/Dvsm4nBI :2007/05/26(土) 17:46:11 ID:Y8bFnEqT
国主の信輝が勝利を祝って乾杯の音頭をとって無礼講の宴が始まった。
本当の出自を知らせていないため、清治は下級のものから妬まれても
いたが、この戦でその雰囲気も改められ、次々と杯を交わしている。
隣には舞姫が緊張した面持ちで座り、杯に酒を注いだりしていた。

「それにしても清治の手腕は見事であった。」
「恐れ入ります。ですが叔父上方、歴戦の士がいてこそ出来たことです。
 それに作戦そのものも一人で考えたことではありません。」
「ふむ、誰じゃ?」
「九条殿の娘、雪殿です。戦の前触れの察知から作戦の立案、地図の用意と
 多大な協力を得ました。自分だけの手柄ではありませぬ。」
雪の名前を聞いた瞬間、舞姫は自らの心に暗い炎が灯ったのを感じた。
(いや…)

「噂以上のようだな。清治は一人身、雪殿を嫁に貰ってはどうか。
 仲人はわしがしてやろう。同時に大上を名乗ればよい」
(いや…私から……)
「は、ありがとうございます。落ち着きましたら宜しくお願いいたします。」
(兄上様を離さないで!いやいや嫌!絶対そんなことはさせない!渡さない!
 どんな人でも絶対に!兄上様は私だけを…わたしだけを…!!)

「皆様方、戦での勝利お祝い申し上げます。」
そこに現れたのは、小柄な着物の女────雪だった。彼女は無表情に
皆に頭を下げ、清治の反対側の隣に座った。

「雪、どうしてここへ。」
「我が生きて帰ってきてくれた君にすぐに会いに来ない道理があるまい。
 芳之助に送ってきてもらった。」
「雪殿、此度の戦での働き、この信輝からもお礼申し上げる。」
「女は影で支えるもの…、手柄は全て清治殿に。」
余裕で応対していく雪を舞姫は、嫉妬と怒りを込めた気持ちで見つめていた。
それに気づきながら雪は清治の無事の祝いを述べ、改めて舞姫の隣に座った。
(この人が…兄上様を奪おうとする一番の敵…)

「お初にお目にかかります。舞姫様。九条春尚の娘、雪でございます。」
「…舞でございます。このたびの働き、お見事でございました。」
「愛するもののためなれば。」
「…」
「舞姫様、少々外に涼みにいきませぬか?」
「おい、雪!」
雪の言葉に清治はあわてて止めようとしたが、

「大丈夫、芳之助も一緒だ。清治殿、舞姫様は借りて行くぞ。」
「わかりました。参りましょう…。」
清治は、何事も起きないことを祈るほかに無かった。
118妹姫  ◆x/Dvsm4nBI :2007/05/26(土) 17:47:48 ID:Y8bFnEqT
城門近くの先穂之桜は、ゆるい風にゆっくりと花びらを散らせながら
月明かりを浴びて春の最後の輝きを見せている。
桜の下では三人女がいて、そのうち二人が向かい合っていた。
片方は綺麗な髪の長い、か弱い雰囲気の美しい少女。
片方は短めの髪の小さいが、瞳に強い輝きを持つ女。

「さて、舞姫様は我に何かおっしゃいたいことがおありの様にお見受けしましたが…。」
「はい。兄上様に近づかないでください。」
「ふむ…。しかし、婚約者に近づくなとはどういう了見かな。」
「兄上様は、貴女を好いてはおりませぬ。」
「我は好いておる。それに清治殿も嫌ってはおるまい。何か問題が?」
舞姫は顔を怒りに歪め、雪は涼しい顔で受け流している。

「兄上様を束縛しないでください。」
「束縛したというのは心外だな。我が清治殿と結ばれるように状況を用意したのは
 否定はせぬが。好いたもののため、努力するのは当然であろう。」
「望みもせぬ地位に着き、好いてもいない人を娶る…そんなことを兄上様には
 させたくない。だから、貴女には渡すわけには行かない。」
「舞姫様は誤解しているな。清治殿は為政者として生まれた自分の人生を自らの
 意思で受け入れたのだ。我はそれを補佐しているだけに過ぎない。彼がもし、
 そうでない人生を選んだとしても我は彼と共にあったろう。それに清治殿が
 我を好いておらぬと何故決め付ける?」
「そ、それは…兄上様が貴女を好いてるはずがないんです!」
「我は毎夜清治殿と逢瀬を重ねておるのだ。昔からな。お互いの知らぬことは殆どない。」
「なっ!!」
「他に話がなければ今晩は失礼させていただこう。芳之助、行こう。」
(兄上様…どうして…どうして…)

二人が去った後も、舞姫は暫く呆然と月を見上げていた。
119妹姫  ◆x/Dvsm4nBI :2007/05/26(土) 17:48:35 ID:Y8bFnEqT
数刻の後、清治は宴を抜け出してあてがわれている客間へと戻った。
元来それほど酒には強くはなく、今も尚続いている酒豪たちの宴会を
思うとため息しか出てこない。

部屋の窓から月を見ながら、外へと出て行った女性達を思う。
雪の性格は知っている。口論になれば妹に勝機はまずない。

「菓子でも用意しておくか…」
と、立ち上がろうとしたときスルスルと扉が開いた。
入ってきた舞は薄暗く照らされた明かりで、まるで生気の無い幽鬼のような
表情で佇んでいる。

「舞。どうした?今菓子を用意させるから少し待て。」
「そのようなものはいりませぬ。」
「顔色が悪いぞ。今日はもう休んだほうがいいぞ。」
「兄上様…雪殿を抱いたというのは本当でございますか…?」
「雪から聞いたのか…。事実だ。」
「兄上様…兄上様は嘘つきです!嘘つき!好きではないとおっしゃったではありませんか!」
「好きでなくとも男は抱けるのだ。それに雪は俺を好いてくれている。友情という
 形でだが好意もある。俺と雪の間には愛し合う上で何の障害も無いのだ。」
そこまでいい終えたとき、ぱさっと軽い音を立てて夜着が落ちた。
舞姫の白い裸身が、普段の姫としての清楚さとは違う妖艶さを帯びて、
薄暗い光に照らされ夜の客間に浮かび上がる。肌は羞恥で赤く火照り、
男を誘う香りを放つ────一人の女がいた。

「舞…お前何を…。服を着ろ!」
「兄上様…好きでなくても抱けるのであれば、私を抱いてください…。」
「馬鹿者!やめるんだ!」
「私には魅力がございませんか?」
舞姫は制止を聞かず、清治に体を擦り付ける。

「俺達は兄妹なんだぞ!」
「関係ありません…。一人の女として…見てください。」
「今お前を抱けばそこに待っているのは破滅だけだ。家は混乱し、国は滅ぶ。」
「そんなことはどうでもいいのです。兄上様さえ…兄上様さえ私を…
 私だけを想うて下されば、他は何も…。」
「俺は次期当主としての責任がある。」
「もしかして…お嫌いなのですか…お嫌いならそうといってください。兄上様に
 嫌われた私など生きている価値もないのです。死にますから…兄上様に愛されなければ…」
「舞…お前…。」
「何故!!私は雪殿が憎い!兄上様と何の問題もなくずっと一緒にいられるあの人が!
 兄上様の力になる才能を持つあの人が!私は兄妹というだけで抱いてすらもらえないというのに!!」
狂乱しながら彼女は清治の首を絞める。もう、離さないという気持ちを込めて。
清治は必死にもがく。
120妹姫  ◆x/Dvsm4nBI :2007/05/26(土) 17:49:29 ID:Y8bFnEqT
「ごほっ…舞……やめ……」
「あ……私…兄上様を……傷つけ…いや…いやああ!!」
「舞っ!俺は大丈夫だ!お前を嫌いなんてならない!!」
清治は抱きしめる。力強く。そして、舞姫から力が抜けた。
同時に、舞姫の繊細な指先が清治の股間に触れる。

「これが兄上様のモノ…。私はもう我慢できないのです。…んっ…」
舞姫は清治を押し倒し彼のモノを子猫が舐めるように舐め、咥え、
美味しそうにじゃぶりはじめた。

「お前どこでこんな…。」
「……っ…以前………芳之助様に……殿方の喜ばし方を…伺い…っ…ました…」
「くっあの馬鹿……舞!口を離せ……」
「んんっ!!……苦い…これが子種…」
妹にされている背徳感と慣れぬ拙い攻めに逆に劣情を抱かされ、
普段にない快感を味わう。

「兄上様に否定されても…例え国を敵に回しても…今日だけは…
 兄上様は私だけのものです。私だけの…愛する人です。逃がしません…。」
「よせ…まだ間に合う…」
「動かないで兄上様!ここで逃げれば…私は自害します。兄上様の本心をお聞かせください。」
舞姫の目は真剣なのを清治は一瞬で悟った。逃げようとすれば死ぬ…。

「十余年も離れていたのだ。俺も…俺も女としてしかお前を見ておらぬ。
 だが、それでも兄妹なのだ。どれ程想っていても愛し合うのは不幸になるだけだ。」
「私は…私は今、幸福です。ですから…無理やりでも…兄上様…私を死なせたくなければ
 お願いですから抱いてください。抱いてくださらねば私は…。」
「舞は卑怯だ。」
「謀とはそういうものだそうです。」
艶っぽく笑うその表情は少女のものではなく今までに無い色気を出している。
清治は覚悟を決め、自分の夜着を脱いで下にひいた。

「初めは痛いぞ。」
「覚悟は…しております。お願いします。」
「…抱いている間は兄ではなく名で呼べ。」
「はい兄…清治様…………っ…!」
清治は舞姫の口元に自分の手を差し出す。

「噛め。」
「…いっ……んんんんんっ!!!」
「もう少しで全部入る。」
「…くぅ…あああっ…んんっ!!!!」
「舞…全部入った…これでお前も女だ。」
舞姫は痛みで涙を流しながらも、ゆっくりと噛んでいる手から口を離し微笑む。
清治の夜着には、初めての証がついていた。

「はぁ…想像以上に痛うございました…。でも、清治様…それ以上に幸せです。」
「動くぞ。」
そういうと再び手を噛ませてゆっくりと動き始める。
舞姫の表情は初めは痛みだけであったが徐々に快感の色も混じる。
121妹姫  ◆x/Dvsm4nBI :2007/05/26(土) 17:50:46 ID:Y8bFnEqT
「…んっ……んっ………」
「舞…お前の中は気持ちいい。相性がいいのか吸い付くようだ。」
「やだ……清治…様…恥ずかしい…こと…いわない…で…」
「もう少し激しく行くぞ。」
今まで労わるように腰を動かしていたが徐々に、激しく腰を打ち付け初める。

「あっ…清治様!私は…私は…もう……」
「舞っ……だすぞっ!」
「あああああっ!!もっと愛して…!!清治様…中にください!!」
最後に腰を一突きし、清治は舞姫の中に精を放つ。同時に、彼のモノを
締め上げるように舞姫の全身が震えた。

「はぁ…はぁ…。清治様…私の中に清治様の子種が…」
「あ、お、俺は…なんてことを…」
「私は…兄上様に犯されました。もう嫁にはいけませぬ。もう兄上様だけのもの…」
舞姫は妖艶に微笑む。人倫を踏み外したことを後悔する所か誇るように。
清治の隣で添いながら囁く。

「兄上様は私だけの兄上様でいてください…。」
「俺には国を守る責務がある。」
「それでは、私を…お捨てになりますか?」
「…舞。お前は姫としての自分を捨てることはできるか?」
「兄上様と共にいられるのでしたら…。」
「雪と仲良くすることはできるか?」
「………兄上様が愛してくださるなら我慢します。」
「ならば俺が当主になるのを待て。そうしたらお前を死んだことにして
 姫としてでなく、一人の女として手元に置く。それでも良いか?」
舞姫は笑顔を見せた。先ほどまでの美しい女としての妖艶なものではなく、
いつもの少し子供っぽい妹としての笑顔だった。

「わかりました。お待ちしております…一つしたいこと忘れてました。」
「何でもいってみろ。」
「口付けを交わしておりませぬ。」
「それは…全て上手く行ったときの楽しみにしよう。」
「はい、楽しみにしております。」
舞姫は眠りながら嬉し涙を流し続けていた。この先のことを少しも想像することが出来ずに…。
122名無しさん@ピンキー  ◆x/Dvsm4nBI :2007/05/26(土) 17:54:02 ID:Y8bFnEqT
明日でラストです。
もう少しだけお付き合いお願いします。
123名無しさん@ピンキー:2007/05/26(土) 18:15:35 ID:H9WTia8x
>>122
つまらん
124名無しさん@ピンキー:2007/05/26(土) 18:16:34 ID:6ER6DWw9
>>122
糞だな
125名無しさん@ピンキー:2007/05/26(土) 18:17:33 ID:xVKvYhe7
>>122
これはないw
126名無しさん@ピンキー:2007/05/26(土) 18:18:16 ID:zdZB7kV/
>>122
嫌っても投下すんだろwwwww
127名無しさん@ピンキー:2007/05/26(土) 18:19:16 ID:kKErQZ1a
>>123>>124>>125>>126
まさに禿同
128名無しさん@ピンキー:2007/05/26(土) 18:25:27 ID:k4fGXjSa
>>127
荒らし死ね
129名無しさん@ピンキー:2007/05/26(土) 18:28:36 ID:Ciq3w1Cx
>>122
乙!
さて、ハッピーエンドになるかバッドエンドになるか・・・・・・
130名無しさん@ピンキー:2007/05/26(土) 18:29:35 ID:5a4nIDKp
期待してる
ハッピーとバッドどっちにも転びそうで展開が楽しみだ
131名無しさん@ピンキー:2007/05/26(土) 18:47:11 ID:FIV1TXk+
>>128-130
作者自演乙w
132名無しさん@ピンキー:2007/05/26(土) 18:47:58 ID:WOy3dmv0
これは……。
何か、破滅の香りがする……。


だが、GJ!
133名無しさん@ピンキー:2007/05/26(土) 19:17:31 ID:Cs0VGEId
GJ!
134名無しさん@ピンキー:2007/05/26(土) 19:53:53 ID:RjUUasya
>>99
綾シリーズキタワァ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n’∀’)n゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!!!!
毎回楽しみにしてるんだよ今回も最高のキモウトだぜ!!
では渾身のGJ!!

>>122
ついにこえてはいけない一線を・・・だがそれがいい
次回も楽しみにしてますなにはともあれGJ!!
135名無しさん@ピンキー:2007/05/26(土) 19:56:58 ID:rZ6b2/y1
レスの流れを見るに、余程の良作だな。
スレ住人の嫉妬を買っている。

しかし、何かどんでん返しがありそうだが・・・。
舞姫可愛いからよし!
136名無しさん@ピンキー:2007/05/26(土) 20:22:17 ID:HJGRkw3d
    //: : : /: : : :/,: : : : : : : : ,: : : /: : : : : : : : : : ::``ー-,‐
   //: : : :/: : : :/ /: : : : : : : /__/: : : : : : : : : : : : : <
 ∠-/: : : :/ : : : / /:/: :、-‐= ̄__ ノ: :|: : : | : : : : : : : : ヽ
   /|: : : /: /: :/ /| |: : : :了 ̄ // /}: 人: : :| : : : : 、: : \|
  //|: ://|: :/|/ {|: : : :/ |: :/ / ///| : |\{: : : : : `丶、\
  l| |: |: :{ |/冫==|: : /___|/-/ノ≠ニ弌: :`: : : :|_: : : : l`ーヽ
    ヽ{| ||: : |{ 仁ヽ|: /  ̄`__..-=≠ヽ.  |: : : : : / |: : : /        神を叩くなんて間違ってる
     `ヽ\ ',└┴lヾ    ´_{‐-'::::} ミ |: : : :ノ } l: : /         そんなに変えたきゃ、作品を投稿して神になって
        `、|  /       ̄`¨ ̄ /: :/ /:/          内部から変えていけばいいのに
         `、ヽ.         /-‐'´∠´: : /
          ヽ `_          ノ / /レ
           \ `二‐ 、    , '   '/ノ}
            \    _ -    ィ戈 彳
   ___ -‐== ̄r≧≦二_-─=彡冖 : : ト、
  / :/: : : : : : : : : : |: : : : : : :| | ̄∧: : : : : : :l: : ヽ
. /: : /: : : : : : : : : : : : :V: : : : : :| |.,-ヘ/‐、: : : /: : : :`丶
/: : /: : : : : : : : : : : : :/ V : : : : | /⌒)乢⌒:/: : : : : : : : : \
137名無しさん@ピンキー:2007/05/26(土) 20:30:33 ID:iSCePeIq
いっつもギアスのAA投稿してるやつなんなの?
138名無しさん@ピンキー:2007/05/26(土) 20:35:39 ID:03bsG/AK
スルーするー。
139名無しさん@ピンキー:2007/05/26(土) 20:42:58 ID:HJGRkw3d
スルーせずにレスを返したら・・一発やるぜ
140名無しさん@ピンキー:2007/05/26(土) 21:23:02 ID:pppRpWVT
>>122
糞作品乙!!!!!!!!!
141名無しさん@ピンキー:2007/05/26(土) 21:24:57 ID:XmeNfIBe
>>122
つまんないな

それにしても単発自演GJが多いNE☆

142名無しさん@ピンキー:2007/05/26(土) 21:29:27 ID:GbVTOFZG
>>140>>141
荒らしとして語彙がそれだけしかないのは致命的・・・
143名無しさん@ピンキー:2007/05/26(土) 21:30:15 ID:GbVTOFZG
あ、日本人じゃなかったんですか。すいません^^;
144名無しさん@ピンキー:2007/05/26(土) 21:43:31 ID:J+1ERq2H
すっかりこのスレにも荒らしが住み着いてしまった
145名無しさん@ピンキー:2007/05/26(土) 21:49:36 ID:rZ6b2/y1
嫉妬スレから流れてきてんだろうな。
あっちは、もうすっかり作品へのレスも減ったし。
だが大丈夫。

キモ姉は永遠だ。
キモウトは不滅だ。

そのうち、
兄・弟を防衛するために荒らしの背中を刺しに来るキモ姉・キモウト(神作品)が降臨するに違いない。
146名無しさん@ピンキー:2007/05/26(土) 22:29:34 ID:Rdz/OC9G
>>145
え?キモ姉キモウトに刺されるのって男の最大欲求だろ?
荒らしなんぞにするには勿体ない、
本当のキショ姉キショウトに逆レイプされるべきだ。
147名無しさん@ピンキー:2007/05/26(土) 22:55:48 ID:kb50zs6l
>>122
前作が初SSということで、文章そのものがぎこちなかったり、
話の展開や場面の切り替わり、登場人物の心境の描写など、
いろいろとアラが見えてしまうのが惜しい。
が、だからこそ、期待。
GJ!!
148名無しさん@ピンキー:2007/05/26(土) 23:11:32 ID:SXSs70g4
上から目線w
149名無しさん@ピンキー:2007/05/26(土) 23:21:49 ID:kW1fD+6w
アキラの死体の外傷にスタンガンの後を見つける女警部
浮浪者がスタンガンなんて上等な物を持ち合わせてるだろうか?
女警部は陽一に接近する……

って妄想した
150名無しさん@ピンキー:2007/05/26(土) 23:23:33 ID:eoPkEfyG
>>122
なんという乙。続きを楽しみに待ってるぜ。
151名無しさん@ピンキー:2007/05/27(日) 08:51:49 ID:+tmtGuNE
荒らしとイ言者の自演対決がうぜーな
152名無しさん@ピンキー:2007/05/27(日) 09:05:46 ID:byjIQ4Rj
信仰の自由
153名無しさん@ピンキー:2007/05/27(日) 09:12:08 ID:iYNaffey
>>151
君も荒らし
154名無しさん@ピンキー:2007/05/27(日) 09:13:14 ID:ZlkGa5Ks
落ち着け
ここはスルーしようぜ
155名無しさん@ピンキー:2007/05/27(日) 09:14:54 ID:yTDNQCYo
信者や作者はもっと謙虚になれよ
2chなんだから色々な意見が集まってきて当然
それが嫌ならmixiなりなんなり仲間内で勝手にやっとけ
156名無しさん@ピンキー:2007/05/27(日) 09:44:43 ID:Y+Tn5okN
まあ、皆さんスルーしましょう。

たかが一荒らしの嫉妬如き、
我らがキモ姉・キモウトの愛の前では無力!

ところで。
包丁以外に、
キモ姉・キモウトが装備するのに相応しい武器ってなにがありますかね?
157名無しさん@ピンキー:2007/05/27(日) 09:46:44 ID:zWlVYFRv
アイスピック
158名無しさん@ピンキー:2007/05/27(日) 10:11:02 ID:aTlvWVGt
あんぱn(ry
159名無しさん@ピンキー:2007/05/27(日) 10:12:00 ID:b5atL+vA
鋏以外に考えられない
160名無しさん@ピンキー:2007/05/27(日) 10:29:42 ID:LMP8VPxt
フライパン
161名無しさん@ピンキー:2007/05/27(日) 10:30:24 ID:zWlVYFRv
文鎮
162名無しさん@ピンキー  ◆x/Dvsm4nBI :2007/05/27(日) 10:33:34 ID:xwjdmc75
妹姫最終回、エピローグもまとめていきます。
長編は中盤が一番辛い;

では投下。
163妹姫  ◆x/Dvsm4nBI :2007/05/27(日) 10:34:46 ID:xwjdmc75
二日後の夕刻、日課になっている文を書き終えて芳之助に渡した後、舞姫は
叔父である信輝に呼び出された。

「叔父上様、何か御用でございましょうか。」
「ふむ、舞…お主には隣国の後穂之国へ嫁いでもらうことになる。」
舞姫の顔から血の気が引いていく。
(どうして…どうして…)

「後穂之国は先穂之国とは元々親しい仲。何ゆえでございましょうか。」
「先の勝利でわが国は日羽之国を使えるようになった。そこでお主に執心しておる
 後穂之国との結びつきを強くし、近隣の国を先穂之国の支配下に置くのだ。」
「戦が終わったばかりで…」
(いや…嫁ぐのは絶対に…)

「こちらは被害は少ない。それに清治や雪は相手を越える戦力を整えれば必ずや
 勝利していくだろう。先穂之国はかつてない強国となる。」
(雪…!また雪!!どこまでも…どこまでも私の邪魔を!!これももしかして…!)

「それに、あまり清治の下にいては後で別れが辛かろう。兄妹いつまでも共に
 いることができるものではない。これはいい機会だ。清治や雪の前途のためにも
 我慢してくれ。後穂之国の国主も悪い男ではない。」
(叔父上様も……私の幸せの邪魔を……私は兄上様がいれば何もいらないのに!邪魔するものは…)
「わかりました。」
(兄上様だけがいればいいんだ…。)
舞姫は深々と頭を下げた…その眼には狂気の炎が猛り狂っていた。

その夜、国主信輝の部屋に女の影があった。
女は短刀を振り上げると、躊躇なく信輝の首に刃を差し込んだ…。

夜の街に夜着を赤く染めた女が月明かりを浴びながら歩く。さながら
その姿は死霊のごとく生気はない。
(兄上様…兄上様……今、参ります…。私たちの間を邪魔する叔父上様は
 死にました…後は雪を殺せば…私たちは二人になれます。二人で…)

舞姫は血を滴らせながら清治の屋敷へと入っていき、清治の部屋に近づいていく。
中を確認すると一組の男女が裸で絡み合っている。
(雪…兄上様を縛るのも今日が最…え…嘘…)

男は清治…女は芳之助だった。舞姫にとって兄以外で唯一まともに話した人…
姉と思えた人…助言を貰い助けてくれた人。

(芳之助様…嘘…裏切って…いや元々…からかって…?何故…いや…)
「いや…いやあああああああぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
もう、舞姫は何も考えられずその場に居れず、雪を殺すことも忘れて
走り去った。清治は声に気づく、

「何故舞がここに!」
「清治殿、考えるのは後!着替えてすぐに追いかけてくだされ。某も雪と共に
 探しに行きますゆえ。」
「わかった。任せた。俺は城へ行く。」
164妹姫  ◆x/Dvsm4nBI :2007/05/27(日) 10:35:54 ID:xwjdmc75
「これはどういうことだ。」
「信輝様が何者かに刺殺されて…。」
「すぐ行く。重臣は国主の間へと集まっておけと大上清治の名で伝えよ。」
信輝の部屋に入ると血の匂いが充満していた。その死を確認し、慌てる家臣たちへ
命令を出していく。

一方その頃、先穂之桜の前では宴のときと同じように三人の女性が集まっていた。
三人を禍々しく赤く輝いた月が照らす。舞姫は夜空の月を静かに眺めている…。
赤く染まった夜着をきた彼女が赤い輝きで照らされるその姿は幻想的で酷く儚く、
雪と芳之助はその姿に魅入っている。

「舞姫様、これは一体どういうことだ。我に説明してもらえぬか?」
「ああ…叔父上様でしたら…兄上様との仲を裂こうとしたので死んでいただきました…。」
「なんてことを…。」
「だって、嫁げだなんていうのですもの。どれだけ私が兄上様を愛しているかも知らずに。」
「舞姫様はご自分が何をしたかわかっておいでか!」
舞姫は笑う。歪んだ血塗られた顔で。

「判ってますとも。兄上様との仲を邪魔するものを殺した。後は雪殿と…
 そして、私を裏切っていた芳之助様も…邪魔するなら消えてもらいます…。
 特に雪殿は…叔父上様を唆したのでしょう?貴女は…貴女だけは。」
「我はそのようなことはしておらぬ。初耳じゃ。」
「もうどうでもいいのですよ…そのようなこと…」
舞姫は短刀を抜いた。

「私は雪殿が憎いのです。何の障害も無く兄上殿と結ばれる貴女が…。
 愛されるあなたが…。力になれる貴女が…。」
短刀が月明かりを受けて不気味に輝きを放つ。雪は驚いたものの
恐怖はしていなかった。芳之助なら素人の舞姫を取り押さえることは難しくない。

ざすっ!!
肉に刺さる嫌な音が夜の桜の下に響いた。

「くっ…舞姫様、そのようなところを刺しても人は死にませぬ。」
「芳之助様…何故…」
「芳之助!!」
肩に刺さった短刀の痛みに芳之助はその端正な顔を歪める。

「某が黙っていたことを謝ろうと思いましてな…あの方には…昔、仇に
 汚された我が身を忘れさせてもらうために清めていただいていたのだ。某の我侭じゃ。」
「芳之助様…」
「某は舞姫様には好いた人と添うて欲しかった…。そこに偽りは無い。
 清治殿に抱いてもらったのだろ…女らしくなった。」
芳之助は呆然とする舞姫に対して優しく微笑む。

「文を交換したり、二人で出かけたり…。体だけでなく心も通じ合ったろう?」
「………はい……」
芳之助は舞姫の頭を撫で、今度は雪に振り返る。
雪は相変わらず無表情ではあったが、眼は悲しみで満ちていた。
165妹姫  ◆x/Dvsm4nBI :2007/05/27(日) 10:37:20 ID:xwjdmc75
「雪…清治殿の性格を考えればこれからどうなるか分かるな?」
「ああ…。」
「ならば、清治殿には神として使えと伝えよ。」
「芳之助…お前何をする気だ…」
「舞姫様、恩に着せるわけではござらぬが某の命に免じて雪のことはお許しくだされ。
 奴も我が友人にして恩人なのだ。」
そこまでいうと肩に刺さった短刀を引き抜き、舞姫の手に戻し、芳之助は
自らの心臓に短刀を突き刺した。体から血が噴出し、舞姫と先穂之桜の根元を
赤く…紅く染めていった。

「え、芳之助…様…わ、私は何を…」
「正気に…戻られました…か。舞姫様は…可愛い…まるで妹のよう……」
「芳之助!おい!芳之助!我の許可なしに勝手に死ぬな!!約束が違うぞ!芳之助!!」
呆然としている舞姫を気にせず、雪は芳之助の頭を抱え泣き叫んだ。
そこにいつもの冷静さは微塵も無い。

「雪…ありがとう…」
「うわああああああああ!芳之助!!なんと馬鹿なことを!!!」
暫く放心したように舞姫は月を見上げ、雪の泣き声がただ響く…

そして、指示を終えた清治もついに先穂之桜の下へと現れた。
紅い月が二人を照らし、春の嵐のような強い風を受けながら向かい合う。

「これは…。」
「兄上様…お待ちしておりました。」
「お前がやったんだな…本当に。」
「嫁ぎたくなどなかったのです。兄上殿以外に抱かれるなど…。」
「俺を頼ればよかったのだ。」
「我慢が出来なかったのです…。兄上殿を私だけのものにしたかった。
 結局は叔父上様を理由にしただけなのかもしれません…。」
強い風に煽られて紅く照らされた血のように赤い桜の花びらが二人の間を
通り過ぎてゆく。

「俺のせいだな…。」
「違います。私の我侭なのです。そのせいで姉のようによくしてくれた芳之助様をも…。」
清治は強く、痛いくらいに力強く舞姫を抱きしめた。

「辛いなら泣け!」
「うう……うっ…兄上様…どうして私たちは祝福されないのですか…っ…。」
「舞…」
「私はっ…私は…ただ兄上様といたいだけなのに!!!」
「舞…辛かったか?」
「はい…。」
清治は、抱きしめていた手を緩める。そして右手は自らの腰へと伸びる。
左手で舞姫を抱きしめ口付けを交わす。

「俺は…八神清治はお前を…誰がなんと言おうとも、誰も認めずともお前を愛している。」
「ありがとうございます。兄上様…。」
舞姫との初めての口付けは、錆びた鉄の味がした。

「辛うございましたが…………幸せで……たのしゅうございまし…た……。」
清治は右手を離し、体を全身震わせながら冷えていく舞姫の体を抱きしめ続ける。
彼女の心臓には……短刀が刺さっていた。
166妹姫  ◆x/Dvsm4nBI :2007/05/27(日) 10:38:28 ID:xwjdmc75
「雪……芳之助は何か言っていたか?」
「……神として使えと。」
「雪すまない。お前と外を出歩く約束は叶えられそうに無い。」
「魂は輪廻するそうだ。来世に期待しよう。」
雪は冷静さを取り戻し、表情を消してそう答えた。

「雪、重臣たちに伝えてくれ。逆臣八神清治は舞姫との不貞の末、国主を
 殺害し逃走しようとしたが、次期当主であるこの大上清治が討ち取ったと。」
「桜が…赤いな。血を吸いすぎて…。」
赤い月に照らされた桜は、多くの死を悼むように花吹雪を散らせていた。


その後、芳之助の遺体は八神清治として舞姫と共に火葬され、その骨は
国主となった大上清治の命により、一緒に先穂之桜の下に埋められた。
二人の事件は恋の悲劇として伝えられ、後に賢君とうたわれた清治の
悲劇の妹姫として、先穂之国で語り継がれる。


清治は叔父の名前から一字取り、大上信治を名乗る。正室には雪を向かえ、
二人で先穂之国を治めた。二人の治世により先穂之国は戦国時代の強国と
なり、時流に上手く乗ることにより天下が一つになるまで戦火を免れた。


信治は愛妻家としてもしられ、雪のほかに側室を置かずに生涯愛し合ったと
伝えられている。そして、五百年のときが流れた。
167妹姫エピローグ  ◆x/Dvsm4nBI :2007/05/27(日) 10:40:05 ID:xwjdmc75
私────大上舞雪(おおがみまゆき)は来年高校生になる。今、春休みに
今年二十歳になる兄の清仁(きよひと)と共に大昔にご先祖様が治めていた地を訪れてた。
腕を組んでるんるん気分で目的地に向かって歩いている。

兄は一流大学に在籍する歴史オタクで、我が家の倉庫から発見した古文書から
面白い文献を見つけたので事実を究明しに行くんだという。

「やっぱ、歴史は熱いね。歴史家たるもの謎があれば解明しなければっ!!」
「でもさー。清仁兄さん。妹姫の伝説って調べると祟られるって代々言われてるじゃない?」

兄は、特別格好いいわけじゃないけど優しいし子供っぽくて可愛い。
時々理知的で格好よくもある。彼女はいない…作らせはしないけどね。
今日の私はそんな兄のお目付け役。大好きだけど…先祖代々うちの女はちみっこくて
女としてはちょっと悲しい。胸も小さいし…うう…。

「呪いが怖くて歴史を学べるものか。それより舞雪は伝説はどのくらい知ってる?」
「んー。確か八神って武将と舞姫が恋愛して、謀反起こそうとして失敗するんだよね。」
私が知ってるのはその程度。我が家に代々伝えられている昔話だ。

「ああ。だが、見つけた信治の日記に妹との思い出を先穂之桜の下に埋めるって文が
 あったんだ。もし、それが見つかれば実際のことが分かるかもしれない。」
「なるほどねー。恋物語の発掘かー。清仁兄さんもたまには面白そうなこと考えるね。」
先穂之桜を見つけるのは簡単だった。地元では有名な大きな桜で、城跡にあるのだという。
ここ十年花をつけなかったらしいが、今年は綺麗に桜の花を咲かせているらしい。

「綺麗ね…。すごい桜。」
「ご先祖様も愛する奥さんとよくここで昼寝してたんだそうだ。」
「由緒正しき昼寝どころだね。」
「とりあえず、掘ろう。場所は夕日で陰になる方向に一歩の場所だ。」
私はだめだろうなって思ってた。でもお兄ちゃんが楽しそうだしいっかと
思って一緒に掘った。一時間ほど経った頃、私のスコップに硬い音が鳴った。

「嘘…。」
「おおおおおおおおお!ナイスだ舞雪!!!!!!!ぐっじょぶ!!!!!」
桜の下から出てきたのは、土の下でも腐らないように加工された綺麗な
小さな箱だった。空けてでてきたのは…
168妹姫エピローグ  ◆x/Dvsm4nBI :2007/05/27(日) 10:41:40 ID:xwjdmc75
「なんだろう。二つの巾着に入ってるのは骨?櫛と……それと刀の先…?」
「この紙は、八神清治と舞姫の手紙だな。何故、こんなとこに。」
二人は満開に咲く大きな先穂之桜に腰掛けて五百年前の手紙に眼を
通し始めた。

「清仁兄さん〜読めた?読めたっ?」
「嘘だろ……。」
「何が?」
「舞姫から清治にあてた手紙には…あ、兄上様へ──って書いてるんだ。」
私にその言葉の意味が届くまで十秒くらいかかった。

「えええええ!じゃあの伝説って!!」
「最後の手紙の内容から考えて、兄を慕ったばかりに何らかの事件が起こり
 亡くなることになったと考えるのが妥当だな。これ以上は調べないとどうとも。」
「じゃあさ…手紙ってどんな内容なの?」
ひょっとしたら…これが見つかったのは偶然じゃ…ない?

「ああ、二人でこっそり城抜け出してデートして櫛を買ってもらったこととか。」
「これってそんないわくの櫛なんだ…。」
「舞姫が清治に情熱的な手紙を送って、清治はそれに困って妹へ手紙を返してる。」
「ふむふむ。」
「どんどん、舞姫に押されていってついに…」
そこで清仁兄さんが真っ赤になって言いよどむ。

「…まさか、やったの?」
「馬鹿!そんな言い方するな。最後の手紙とかはもう恥ずかしくてとても
 読み返せないような内容だ。」
「なるほどね。妹姫様の伝説…そんな話だったんだね。本当は。」
私はわかった。舞姫様はきっと私を応援してくれたんだろう。私は唯一の自慢の
長くて綺麗な黒髪を預かった櫛で少し梳いた後、清仁兄さんに抱きついた。

「ご先祖様は悲劇になっちゃったけど…。私たちは幸せになろうね。好きだよ。兄さん。」
「俺も好きだ。きっとこれは俺たちが見つけるべきだったんだな。一生やってく
腹は決まった。迷いはもう無い。」
「ふふ…ご先祖の供養にもなるね。」

清仁兄さんと綺麗で雄大な先穂之桜の下で優しく抱きしめあい、キスをする。
信治からの最後の手紙は、愛する妹と我が友にして舞姫の姉芳野へ──と宛てられていた。
169名無しさん@ピンキー  ◆x/Dvsm4nBI :2007/05/27(日) 10:44:15 ID:xwjdmc75
応援いただきありがとうございました。
そういうわけで完結です。
170名無しさん@ピンキー:2007/05/27(日) 11:21:50 ID:pW3PhxUq
キモウト伝説GJ
171名無しさん@ピンキー:2007/05/27(日) 11:24:16 ID:Y+Tn5okN
これはっ・・・!

賛否両論ありそうなエンド。
しかし、ここまで書いた作者氏に決して策士じゃなかった芳之助、
多分死ぬまで一抹の後悔を引きずっただろう雪、
キモウトとなって散った舞姫に腕が震える程のGJを贈らせてもらうぜ。

職人様、乙!
172名無しさん@ピンキー:2007/05/27(日) 12:49:05 ID:rZYDfJbp
ほほぅ、長編物になりそうな物を…
中途半端にならず終わらせるとは。いやはやお見事、
173名無しさん@ピンキー:2007/05/27(日) 12:50:52 ID:WGh+peYp
>>156
一部で有名なアルミ製特殊警棒はどうか

>>169
GJ!!
Vシネあたりで見たいな、これ
174名無しさん@ピンキー:2007/05/27(日) 12:58:50 ID:9CBS+UGi
前スレ>>918GJ!
姉ちゃんこぇえええええええええええ

でもなぜか子供相談室のあれを思い出した
175名無しさん@ピンキー:2007/05/27(日) 13:00:01 ID:gevMTCpn
GJです。連載お疲れ様でした。
そして次回作に期待w
176名無しさん@ピンキー:2007/05/27(日) 13:22:24 ID:l4it3lhr
>>前スレ917,918
こええええええええええ!!!!!!!
GJ!!!!!!!

てか、最近の若者はインターネットをインタネって略すのか?



>>169
おい、このEDはずるいだろ!!
俺がこの手の話を大好きだと知ってのことか!!!
GJだぜこんちくしょう!!!!!
177名無しさん@ピンキー:2007/05/27(日) 19:50:45 ID:LJQZT2EI
>>169
キモウト伝説楽しかった!!最高に萌えた!!なにはともあれ乙&GJ!
178名無しさん@ピンキー:2007/05/27(日) 20:17:58 ID:yTDNQCYo
自演GJUZEEEEえええええ
>>169
つまらん
179名無しさん@ピンキー:2007/05/27(日) 20:24:23 ID:PUDBs6xu
>>178
つ枯れ木も山の賑わい
こんなんでも投下されてないよりはマシ
180名無しさん@ピンキー:2007/05/27(日) 20:26:36 ID:OB+KVrWm
>>169
もうつまんね,飽きてきた
181名無しさん@ピンキー:2007/05/27(日) 20:27:39 ID:4j0pPTi0
>>169
妹姫つまんねw
182名無しさん@ピンキー:2007/05/27(日) 20:28:54 ID:a3QOa0GR
>>169
完結乙



もう投下すんなよ、いや本気で
183名無しさん@ピンキー:2007/05/27(日) 20:32:14 ID:jg1lYYKz
>>179>>180>>181>>182

   | \
   |Д´)   ハゲシクドウイ オドッテヤル!!
   |⊂
   |


     ♪  Å
   ♪   / \   ランタ タン!
       ヽ(`Д´#)ノ   ランタ タン!
         (  へ)    ランタ ランタ
          く       タン!!



   ♪    Å
     ♪ / \   ランタ ランタ
      ヽ(#`Д´)ノ  ランタ タン!
         (へ  )    ランタ タンタ
             >    タン!

184名無しさん@ピンキー:2007/05/27(日) 20:36:47 ID:oFUM+WMh
>>169
投稿GJ、そして乙
この手の話は自分も結構好きなので面白かった、終わり方も秀逸でGood。
185名無しさん@ピンキー:2007/05/27(日) 20:40:00 ID:iYNaffey
>>178-183
aアボーン推奨
186名無しさん@ピンキー:2007/05/27(日) 20:43:02 ID:KZWNZ0zf
>>185
うん、とりあえず荒らしに何度もアンカーつける馬鹿は氏んどけ。

削除依頼できんだろうがよ。
187名無しさん@ピンキー:2007/05/27(日) 21:24:42 ID:Y0wIQE7Z
アンカーつけてる奴も自演荒らしだから
188名無しさん@ピンキー:2007/05/27(日) 21:32:33 ID:iYNaffey
なるほど、すまんかった
半年ROMります
189名無しさん@ピンキー:2007/05/27(日) 22:19:04 ID:rZYDfJbp
>>188
このスレが平和になったら帰ってこい。
え?一生無い?希望は捨てちゃいかんのですよ。
190名無しさん@ピンキー:2007/05/27(日) 22:21:30 ID:Y48kyKlT
>>183
ワロタwww
191名無しさん@ピンキー:2007/05/27(日) 22:23:42 ID:scIihNPw
ったく、信者は何でも荒らし扱いするから困るわw
192名無しさん@ピンキー:2007/05/27(日) 22:46:55 ID:Y+Tn5okN
そして、荒らしは何でも信者扱いするから困るわw

せめてキモ姉・キモウトについて語ってから言え。
そんなオレは、妹も姉もいないキモウト派である。
193名無しさん@ピンキー:2007/05/27(日) 22:54:49 ID:qHzTfvr4
キモ姉>キモウトだろ…俺の趣味嗜好的に考えて…
194名無しさん@ピンキー:2007/05/27(日) 23:12:35 ID:P2ndORvI
キモウトに決まってるだろ
俺はピュアメールの妹だってOK
195名無しさん@ピンキー:2007/05/27(日) 23:27:06 ID:YEce7g1+
確かに鳩ねぇのキモアネっぷりがいいなw
主人公が寝てる時に「…レンちゃんはお姉ちゃんが一番…」とか洗脳してみたりw
「私はもう鳩ねぇだけを見つめて生きていきます」とか言わせてみたりw
196名無しさん@ピンキー:2007/05/27(日) 23:35:12 ID:Y+Tn5okN
「君と僕の壊れた世界」、の夜月ちゃんとかね。
「零崎双識の人間試験」の舞織ちゃんとかね。

兄がいないと生きていけない妹に、
鋏を口に銜えて武装する義モウト。


もうじき平日。
せめて、夢の中でキモウトに会いたいものだ。
197名無しさん@ピンキー:2007/05/28(月) 00:46:21 ID:6JOj/J5h
八雲立つ
羊の歌
王家の紋章

と、キモ姉が出ている漫画を買ってきた姉は
もしかして俺のことを誘っているのだろうか?
198名無しさん@ピンキー:2007/05/28(月) 01:04:17 ID:nlFNjMeC
そうだとしたら姉とどうなりたいの?
199名無しさん@ピンキー:2007/05/28(月) 01:05:25 ID:nlFNjMeC
あげちった。ごめん
200名無しさん@ピンキー:2007/05/28(月) 01:31:54 ID:YxDqRmi7
鳩姉のキモさは凄かった・・
もう、主人公がシスコンだと疑問を覚えて悩むようなシナリオだと思っていたが
その事に触れずに何の問題や傷害なくゴールイン。
全ては鳩姉の思惑通りに洗脳完了であったwwwww

というわけでそんなキモ姉をここでは期待しているw
201197:2007/05/28(月) 02:06:23 ID:6JOj/J5h
>>198
ないわー。
シャアも「でも乳が無い」って嘆いていた。
202名無しさん@ピンキー:2007/05/28(月) 02:11:07 ID:2WRAr705
>>197
その漫画をオマイに読むのを薦めて来るかどうかが、いい判断材料。
ってか、何で姉ちゃんが買ってきた漫画のタイトル知ってんだ?
203名無しさん@ピンキー:2007/05/28(月) 02:18:18 ID:2WRAr705
>>196
「きみとぼくの壊れた世界」は、病院坂の出番の多さ(ページ配分)が圧倒的で、レヴューとか呼んで
キモウト楽しみに買った人は、どう感じたことだろうw

少ない配分ながら夜月パートは、それなりに味わい深いものだったけどね。
204名無しさん@ピンキー:2007/05/28(月) 08:35:39 ID:pzpGYeeM
>>203
味わい深いと言うか、
例のあのシーン読んだ瞬間に他のこととか吹っ飛ぶだろ、このスレの住人的に。

つーか夜月可愛すぎ。
西尾、商業誌でアレはやり過ぎ。
205名無しさん@ピンキー:2007/05/28(月) 16:31:04 ID:CL6Yd0ei
話題の鳩姉について詳しく!
206名無しさん@ピンキー:2007/05/28(月) 17:42:37 ID:Is5/7msU
>>205
つgoogle
207無形 ◆UHh3YBA8aM :2007/05/28(月) 19:45:19 ID:Ck9zC67l
いまだ完結させてないのって、私だけなんですよね。
ほかの職人様は筆はやいなぁ。普段なに食べてるんだろう?
籠の続きを投下します
208籠の中 ◆UHh3YBA8aM :2007/05/28(月) 19:47:15 ID:Ck9zC67l
早朝。
僕は妹の部屋で目を覚ます。
傍に理理の姿は無い。おそらく台所にいるのだろう。
身体はまだ少しだるい。
終日意識無く妹を攻め立てていたせいだろう。酷く体力を消耗している。
“あんなこと”があったというのに、眠りこけていたのは僕自身の疲弊のためだ。
普段、理理は僕の部屋で一緒に寝たがる。
『お兄ちゃん』の匂いのする部屋で寝たいのだと云って。
けれど今の僕の部屋は、掃除が完了していない。
そうでなくとも、“あんなこと”があった場所だ。出来るなら――近づきたくはなかった。
それで、この部屋で同衾したのだ。
兄――
僕はもう、その資格すら失った。
護るべき、愛すべき妹の人生を、この手で奪い穢したのだ。
自らのおぞましさに吐き気と殺意を覚える。
いっそ・・・。
いっそ今すぐに死ねたら、どんなに楽だろうか。
不安も責任も放棄して、永遠の無の中に逃げ込めれば、どんなに良いだろうか。
けれど、それは出来ない。
「お兄ちゃん」
僕をそう呼んで、穏やかに笑っていた妹を、独りに出来るわけが無い。
理理は――
妹は怒っているだろうか。
悲しんでいるだろうか。
それとも蔑んでいるだろうか。
そのどれでも良い。
妹がどう思おうと、“傍で償え”と望む以上、僕のすべきことは唯一つだ。
月ヶ瀬真理の人生は総て。
月ヶ瀬理理の支えとして、贖罪を続けなければならないのだから。
悔恨と慙愧。
それだけが僕の中身になった。
けれど、妹を思えばそれがどうだというのだ。
最も懐いていた親族に穢された痛みは、僕などとは比べ物にならないだろう。
僕の罪は、果てしなく重い。

キッチンに入った。
支度をしていた妹はすぐに僕に気づいて、傍まで遣ってくる。
「おはよう、お兄ちゃん。今日は早いね」
ぎゅうっと。
理理は僕を抱きしめる。
「理理・・・」
なんと云えば良いだろうか。
かけるべき言葉が見つからない。
「お兄ちゃん、キスして?」
「え」
「キス。おはようの挨拶」
「でも・・・・」
「なにも考えちゃ駄目よ?これはお兄ちゃんに与えられた罰なの。私がそうしてって望むんだから、
お兄ちゃんがすべきことはひとつでしょう?」
「・・・・・・・」
兄妹どうしでキスをする。
そんなことはまともではない。
いや、それ以前に、乱暴を働かれた相手にそんなことをされて、満足なのだろうか?
見おろす小さな妹は、すでに瞳を閉じ、顔を上げていた。
(これは理理が望むこと・・・・)
仕方なく、妹の可憐な唇にキスをする。
「んぅ・・・」
吸い付くような感触。温かで柔らかい触覚。
妹の唇はこんなにも気持ちの良いものなのか。
209籠の中 ◆UHh3YBA8aM :2007/05/28(月) 19:49:05 ID:Ck9zC67l
考えていると、
「ちゅっ・・・。ちゅぱ・・・」
理理は僕の首に腕を絡め、舌を口内に這わせ始める」
「ん・・・!!んん・・・」
慌てて離れようとすると、妹の腕に力が篭った。
逃げるな。
理理からはそんな気配が伝わってきた。
僕は力を抜き、されるがままなる。妹は僕の唾液をごくりごくりと嚥下し、その交換と云わん
ばかりに自らの唾液を兄に流し込んだ。
(気持ち悪い・・・・)
しかし吐き出すわけにもいかない。
口内にたまった妹の唾を体内に取り込んだ。
5分もそうしていただろうか。
妹が漸く唇を離す。と、
つう、と舌と舌の間に唾液の糸がかかった。
「あは。口のまわり、べたべたになっちゃたね」
理理は口端から銀糸を垂らしながら笑い、
「私が綺麗にしてあげるね」
僕の口まわりを丁寧に舐めあげた。
「お兄ちゃん、“これ”が、これからの朝の挨拶だよ。憶えておいてね?」
そう云って理理は笑う。
そこにあった笑顔は、もう僕の知るそれではなかった。

「往こう、お兄ちゃん」
家を出るなり、理理は腕を組む。
僕に寄り添うような腕のからめかた。
笑顔と同様、以前とはどこか違う密着のしかた。
まるで囚われたかのような。
そんな錯覚さえ受ける、妹の抱擁。
「理理・・・・流石に、まずくないか、これは・・・・」
「お兄ちゃん、“これ”は私が望むことだよ?まずいとか、まずくないとか、そんなことは考えなくて
良いの。お兄ちゃんが大切なのは誰?償うべきは、誰?まわりなんて気にしなくて良いんだよ?」
「・・・・・・」
そう云い切られると、もう僕は何も云えない。
黙って受け入れるしかない。
腕に頭を寄せる妹をそのままに、道を歩く。
突き刺さるのは、視線。
周囲は僕らをどう見ているのだろう。
兄と妹。
そう知っている人も多いのに。
学園が近づき、見知った顔が増える度に、皆は奇妙な顔をする。
それはそうだろう。僕らは兄妹。
こんなことをして歩く存在ではないのだ。
しかも互いの手には銀色のリングが嵌っている。
ヒソヒソと囁かれる声。
信じられないものを見るような視線。
穢されたはずなのに幸せそうな妹。
沈黙するだけの僕。
なにかが狂っているようだった。
いや。
狂っているのは――僕だ。
大切にしていた実の妹に襲い掛かったのだ。まともな人間ではない。
畜生。
そう呼ぶほうが相応しいだろう。
案の定、学校では腕を組んでの登校と、ペアのリングが話題になった。
僕は何も答えない。
何を云えるというのだ。
対して理理はそのことを尋ねられると、「愛しているから当然だ」と答えたらしい。
どういうことだろうか。
あんなことをされてもなお、僕を兄と思ってくれているのだろうか。
210籠の中 ◆UHh3YBA8aM :2007/05/28(月) 19:51:07 ID:Ck9zC67l
休み時間に遣ってきた理理は、人目もはばからずに僕に抱きついた。
クラスメイトの視線など気にも留めない。
僕も振り払わない。
こんなことは妹のためにはならないだろう。
たとえ本人が望んでいても、よからぬ噂がたつようでは、将来は暗い。
だから兄として、叱ってやる必要がある。
けれど僕はもう兄ではない。
その資格を失った。
苦々しくても、理理の望むままにあるしかないのだ。
学校にいる間中、僕は涙をこらえて過ごした。

放課後。
校門前で理理を待つ。
今まで下校時間が異なるときは別々に帰宅していたが、今日からはそれも変わるらしい。
「お兄ちゃんは私の傍にいるべきなの。一緒に帰るのが当然だよ?」
理理にそう云われたのだ。従うしかない。
僕はなるべく指輪を見えないように気を使う。
テーピングは絶対に許さない。
妹はそう命じた。
勿論、外すことも儘ならない。
“これ”は僕が負った罪の証。
背負うべき十字架なのだ。
だから外せない。隠せない。
けれど――
僕は思う。
このままで良いのだろうか。
自立。
それが今までの僕の望みだった。
今はそんなことを口にする資格はないし、一生かけて償いをする覚悟はある。
妹を不幸にした莫迦者が云って良いことではないのだろうが。
このままでは、理理はもっと駄目になる気がする。
なんとかしてあげられないだろうか。
懊悩だけが時を持ち去ってゆく。
暫くそうしていると、門の外からざわめきが聞こえた。
僕は気にも留めない。
そんな余裕は無い。
だが、聞き取れた言葉に顔を上げた。

「迎えに来たよ、にいさん」

ざわめきの正体。
凄まじい美少女。
名門私立校の制服を着た、一人の少女。
心奪われるほどに綺麗な声をもった従妹がそこにいた。
「聖理・・・」
僕は左手で鞄を握る。指輪を不可視にするために。
「お前、どうしてここに?」
「どうして?やだなにいさん、今聖理が云ったでしょう?にいさんを迎えに来たんだって」
従妹は猫のように大きくて綺麗な瞳を細める。
笑顔・・・・そう呼んで良いものなのだろうか。
「む、迎え・・・?」
「うん。迎えに来たんだよ。にいさん、コトリを捨てて聖理のお家に来てくれるんでしょう?」
「・・・・それは無理だって、一昨日云ったろう?」
そして今はもっと無理だ。
理理から離れることは許されない。
「にいさん、まだコトリに縛られてるんだね。まあ、そのことはいいや。とにかく聖理のお家に来て」
従妹は僕の右腕にぎゅうっと抱きつく。引っ張るように腕を組むので、身体が傾いた。
「来てくれれば、多分総てが上手くいくよ」
211籠の中 ◆UHh3YBA8aM :2007/05/28(月) 19:53:05 ID:Ck9zC67l
どこか自信に溢れた様子で聖理は笑う。
ぐいぐい。
むにむに。
気のせいか。
いつもよりも柔らかなものが腕に当たる気がする。
「本当は昨日迎えに来ようと思ってたんだけど、色々準備してたから・・・」
「準備?」
「にいさんをもてなす準備。来ればわかるよ。さ、いこ?」
聖理は僕を引っ張る。
刹那。

「どこにいくのかな、お兄ちゃん?」

背後から響くコントラルト。
僕と従妹は門の中に振り返る。
「なんだ、いたの?」
聖理はつまらないものを見たかのように呟き、
「いこ、にいさん」
僕を引っ張ろうとする。
「お兄ちゃん」
傾いた体を凍結させる妹の声。
僕の体が動かなくなる。
もともと小柄な聖理には、僕を引っ張るだけの力は無い。従兄が移動をやめると、聖理は再び門の中に
振り返る。
「コトリ、にいさんは私と帰るの。邪魔しないで」
「私、さとりちゃんになんて話しかけてないよ?帰るなら独りでどうぞ」
理理は薄笑いを浮かべて歩き、僕の腕を取った。
「私のにいさんに馴れ馴れしく触らないで」
「私のにいさん?何云ってるのかな?さとりちゃんには“お兄ちゃん”はいないじゃない。この人は
“私の”お兄ちゃんだよ?」
理理は嘲笑する。
聖理は僕を掴む腕に力を込めて妹を睨め上げる。
「コトリ、貴女、私に喧嘩を売ってるの?」
「そんなつもりはないよ?私、争いごと嫌いだもの。さとりちゃんにはお兄ちゃんなんかいない。
唯、その事実を述べているだけ。外様に外様。他人に他人。偽者に偽者って云って、何が悪いの?」
「――!!」
聖理の表情が憤怒に塗り変わる。
それに気づいた僕は、従妹が飛び掛るより早く妹を窘めた。
「理理!そういう云い方をするんじゃない。聖理も大事な妹だ。他人じゃないだろう」
「お兄ちゃん・・・」
理理は僕を見上げる。
「私、そんな云い方されると、“また傷ついちゃう”よ?」
「・・・・」
傷つく。
その言葉に僕は沈黙する。
(そうだ、俺は――)
この妹を、傷つけたのだ。
「ねえ、お兄ちゃん。どうするの?私を叱るの?」
「・・・・・・」
「出来ないよね、そんなこと。お兄ちゃんは私を傷つけるわけにはいかないもんね。癒し続けるんだ
もんね。一生かけて」
押し黙る僕を見て、妹は「ふふっ」と笑った。
「・・・コトリ」
「なぁに?さとりちゃん」
「貴女が私をどう見てようと、そんなことは関係ないの。にいさんは私を愛してる。私の許に
来たがってるの。それだけが事実なの」
「寝言は寝て語ってね。それとも、黄色い救急車を呼んでほしいの?」
やれやれと肩をすくめる妹。対して従妹は鋭い目つきで理理を見ている。
「寝言じゃない。だってにいさんは、家を出て往こうとしてたでしょう?」
212籠の中 ◆UHh3YBA8aM :2007/05/28(月) 19:55:06 ID:Ck9zC67l
「!!」
「にいさんは貴女から離れたがってるの。いい歳をして、いつまでも付きまとう、キモチワルイ妹に
迷惑してるのよ!」
「――そう」
理理の顔から、笑みが消える。
「お兄ちゃんが出て往こうとしたのって、やっぱりさとり・・・ちゃんのせいだったんだ」
「半分はそうよ。でももう半分はコトリがウザイからよ?だからにいさんは私の許に来るの。
“本物のくせに”離れようとしない、コトリが嫌だから、愛する私の許に来るの」
「離れようとしない?」
へら、と理理は笑う。
「私から離れたくないのは、お兄ちゃんのほうだよ?私、お兄ちゃんが距離をとるなら、応援するって
云ったもの。でもお兄ちゃんは“永遠に”私の傍にいるって誓ったの。だから私はそれを受け入れた。
それだけのことだよ。ね。お兄ちゃん?」
「・・・・・・」
見上げる妹から目をそらすように僕は俯いた。
「なに云ってるの?にいさんはコトリが兄離れしなくて困るって云ってたのよ?永遠に傍にいるなんて
そんな莫迦なこと、云うわけ無いでしょう?」
「ふふ・・・」
理理は仕方ないなぁ、と呟いた。
「お兄ちゃん、見せてあげて?私達の“永遠”を」
歪み。
理理はまた、僕の知らない歪んだ笑みをみせる。
僕は逆らえない。
逆らえずに、隠していた左手を持ち上げた。
「――嘘・・・」
きらきらと陽光に反射する銀円。
永遠の咎がそこにある。
「にいさん、どうして・・・・この間、外してあげたのに・・・・叩きつけてあげたのに・・・・」
よろよろと従妹はあとずさった。
「ふぅん。指輪を外したのもさとりちゃんの仕業だったんだ。本当にろくなことしないんだね、さとり
ちゃんは。でもまあ、良いかな。もうこれは外せないから。お兄ちゃんが望んだ永遠だから。
私達本物の兄妹の約束なの。さとりちゃんの入れない、二人だけの世界なんだよ?」
理理も左手を上げる。
まったく同じデザインの円環が、銀色に光る。
「これ、お兄ちゃんが嵌めてくれたんだ。お兄ちゃんのは、私が嵌めたんだよ。わかったでしょう?
お兄ちゃんは家を出ない。永遠に私の傍にいるの。永遠に私だけを愛でて、私だけを甘やかすの。
そうだよね、お兄ちゃん?」
「・・・・・」
僕はなにも喋れない。
その資格が無い。
唯黙って頷くだけだ。
罪。
永遠の罪。
一生をかけての償い。
それだけが事実。
「にい、さん・・・」
聖理は震える瞳で僕を見上げる。
「家を出るって、云ったでしょう?聖理のこと、愛してるって云ったじゃない・・・。なのに、
なん、で?」
「・・・・・・」
沈黙。
どちらにも。
どちらの妹にも、語るべき言葉が無い。
「そっか・・・・」
聖理はポツリと呟く。
「籠だ。――にいさんは、籠の中にいるんだね」
「聖理?」
「わかったよ。にいさんは必ず、聖理が助けてあげる」
哀れむような瞳。
213籠の中 ◆UHh3YBA8aM :2007/05/28(月) 19:57:12 ID:Ck9zC67l
おおきなツリ目が僕を見て。
「コトリ。必ず後悔させてあげる」
踵を返して立ち去った。
「お、おい。聖理」
「お兄ちゃん。駄目だよ」
ぎゅうっと妹は僕を抱きしめる。
「さとりちゃんなんかに構っちゃ駄目。お兄ちゃんが見るべき相手は、私一人でしょう?」
「・・・・・・」
従妹の背中に伸ばした手をおろし、ギュッと握る。
理理も。
聖理も。
そして僕も。
どこか『狂った』。
そう感じ、その予感に何か――とても嫌なものを覚えた。

深夜――否、早朝の四時。
僕はいまだ眠れずにいた。
自室。
その布団の中に、兄と妹はある。
理理はすやすやと寝息を立てている。
『この場所』で眠るのは嫌だ。
僕はそう云った。
罪を犯したその場で、罪に犯された妹と眠るなんて、考えるだけでもおぞましい。
けれど理理は云う。
『この場所』だから良いのだと。
「お兄ちゃんが理理のものだって自覚できるこの部屋だから良いんだよ。ねえ、思い出して、
お兄ちゃん。あの日のこと。私を無理やり“女”に変えた昨日のこと。こんな思い出の場所だから、
私達二人が眠るのには丁度良いんだよ」
罪を自覚しろと云うことか。
それならば断れるはずもない。
受け入れるしかない。
そして、ここで眠る。

僕が罪を犯してから、理理の様子は更に変わった。
今日の夕食は、僕は『手』を出していない。
「はい、お兄ちゃん。あ〜ん」
食べる順番も。
「お水。私の口から飲んで?」
水分をとる時も。
「咀嚼もしてあげたほうが良いかな?」
決定権は妹にあった。
「二日続けてあの『隠し味』は危険だから、今日は我慢しなきゃ。私の身体もまだ痛いし」
そうしてお休みのキスをねだる。
朝よりも更にねちっこい接吻。
永遠。
これからもずっと、こんなことが続くのだろうか。
心が痛い。
傷つけたのは僕のほうなのに。
自分のほうが先に潰れてしまうのではないか。
無責任にも、そう考えてしまう。
朝からずっと胃が痛い。
安らかな寝息を立てる理理とその横で苦悶する己。
(一日目でこれか)
一生なんて、もつのだろうか。
そう悩んでいると、
「あれ?」
チカチカと机の上が明滅していた。
「ケータイ?」
着信だ。
214籠の中 ◆UHh3YBA8aM :2007/05/28(月) 19:59:51 ID:Ck9zC67l
こんな時間に?
僕はそろそろと布団から這い出て、空き部屋のベランダに出た。
「・・・・にいさん・・・・」
メゾソプラノ。
聞き覚えのある美声がした。
「聖理?どうしたんだ、こんな時間に」
「助けて、にいさん・・・・苦しいの・・・・」
「苦しい?どうした?何かあったのか!?」
いつもとは違う、弱弱しい声。
「助けて、にいさん・・・。聖理を、助けに来て・・・・」
「聖理、しっかりしろ?どうしたんだ!?」
「来て・・・・聖理の・・・お家に。にいさん・・・早く・・・」
電話はそこで切れた。
「聖理っ」
僕は部屋に駆け込む。
理理に出掛ける旨を伝えなければ。
(いや)
そこで動きを止める。
昼間。
聖理が去った後、理理はこう云ったのだ。
「お兄ちゃん。さとりちゃんとはもう逢わないで。それがどんな理由であっても、絶対に逢わないで。
命に係わるような理由でも、絶対に逢っちゃ駄目」
理理は聖理に逢いに往くといって、それを許可するだろうか。
電話での聖理の様子はただ事ではなかった。
けれど僕が向こうへ往くことを認めるだろうか。
暗い予想が頭をよぎる。
「・・・・・・」
妹はいまだ寝息を立てている。ならば今のうちに様子を見に行ったら良いのではないか。
大したことが無いならすぐに帰ってくれば良い。重大事なら、そこで説明しよう。理理ならきっと
わかってくれるはずだ。
そう決断し、妹を起こさないように着替え、財布とケータイだけ持って家を出た。
念のため書置きをしておく。
「急がないと」
タクシーを呼び出し、僕はそれに飛び乗った。
215籠の中 ◆UHh3YBA8aM :2007/05/28(月) 20:01:08 ID:Ck9zC67l

道路が空いていたこと。運転手に急いで貰ったこと。
そんな理由で、思ったよりも早く聖理の家に着く。あれから着信は無い。
「聖理」
大きな玄関の呼び鈴を鳴らす。
すると、その瞬間に扉は開いた。
「にいさん」
小柄な身体が僕に抱きつく。
「聖理」
良かった。とりあえず無事のようだ。
「やっぱり来てくれたんだね、にいさん。嬉しいよぉ」
「当たり前だろう、そんなこと。それで、一体どうしたんだ?」
「うん・・・」
従妹は頷く。
「聖理のお部屋に来て?大変なの・・・・」
「お前の、部屋?」
首を傾げつつも、引っ張られるままに後をついて往く。
「入って」
導かれて入った部屋は、酷く薄暗い。
ぼんやりと見える室内に、いつもとの差異は見出せない。
「聖理、電気をつけてくれないか?暗くてよくわからない」
「電気?電気をつければ良いんだね?」
僕は頷きながら振り向く。
――刹那、

バチバチバチバチ、と云う音が聞こえた。

そして、激痛。
「なっ・・・・?」
何だ?
ショックで意識が遠くなる。
「――これも“電気”だよ。にいさん」
「ス、タン・・・ガン・・・・?」
笑う聖理。

崩れていく身体。

僕の意識はそこで途切れた。
216無形 ◆UHh3YBA8aM :2007/05/28(月) 20:02:13 ID:Ck9zC67l
投下ここまでです。
結局今回ではまだ終わりませんでした。
217名無しさん@ピンキー:2007/05/28(月) 20:06:51 ID:V/XY9efn
大岡裁き、二人でひっぱったら手がちぎれました。
みたいな勢いだw

おつ、そしてGJ!
218名無しさん@ピンキー:2007/05/28(月) 20:07:02 ID:wQbicuhv
>>216
リアルタイム更新キタコレ!!GJ!!!!
さとり・・・恐ろしい子!!!!
219名無しさん@ピンキー:2007/05/28(月) 20:08:43 ID:pzpGYeeM
ご苦労様です。
やはり、そうそう上手くことは進まないものですね。
監禁確定・・・彼の精神はこれ以上壊れても大丈夫なのでしょうか。
二人の嫉妬の前に主人公が発狂して死にそう・・・。
この何とも言えない雰囲気に溢れんばかりのGJを!

あと、水木さんちシリーズや宇宙人妹、綾タソの話等も(おそらく)未完結ですしお気になさらず、
どうかマイペースな投下を。

乙でした。
220名無しさん@ピンキー:2007/05/28(月) 20:44:36 ID:zfWWABEa
>>216
GJ
真理はどうなってしまうのか・・・
221名無しさん@ピンキー:2007/05/28(月) 21:06:18 ID:INMsB4fZ
>>216
つまらん、お前の半紙は詰まらん
222名無しさん@ピンキー:2007/05/28(月) 21:45:17 ID:LeKqilxX
>>216
GJ!!!
なんか聖理のターンktkr!!
キモかろうが何だろうが俺はこれを待っていたぁぁぁ!
ゆっくり頑張ってください、自分はいつでもwktkして待っておりますので。
223名無しさん@ピンキー:2007/05/28(月) 21:46:43 ID:tNHcCeEV
>>221
半紙は詰まらん、って何だよwww
224名無しさん@ピンキー:2007/05/28(月) 21:48:36 ID:xQs4nyDE
>>221
日本語大丈夫でちゅか? さっさと働いたらどうですか?
いい加減に部屋に閉じこもるのは辞めたら? 親も定年を迎えるのに
いつまで閉じこもっているんだ? 甘えてるんじゃないぞ
225名無しさん@ピンキー:2007/05/28(月) 22:01:00 ID:Zc2iKmzy
>>216
無形氏渾身のGJ!!!
続きwktkしながら待ってましたぁぁぁ!!!ついに聖理のターンですな監禁ktkr次回も
楽しみにしてます!!本当にGJ!!
226名無しさん@ピンキー:2007/05/28(月) 22:04:16 ID:q8sAHpry
>>216
激しくGJ!!
真理カワイソス(´・ω・`)
227名無しさん@ピンキー:2007/05/28(月) 22:18:30 ID:SlzZijWz
>>207
食べ物でSS執筆速度にどんな影響があるのかkwsk!!

そして、毎度のことながらGJ!!
だが、なんというか……仕方がないとは思うのだが、真理くんが
いい人過ぎるんだよなぁー。
これぐらいいい人じゃないとこの手の話の主人公は務まらんのかも
しれないがw
228名無しさん@ピンキー:2007/05/28(月) 22:22:48 ID:faBNn+Im
>念のため書置きをしておく。
>念のため書置きをしておく。
>念のため書置きをしておく。

どう考えても逆効果です、本当にありがとうございました。
しかしまあ二人とも業が深いな・・・深すぎる

だがそれがいい。キモウト最高
229名無しさん@ピンキー:2007/05/28(月) 22:23:14 ID:MpIATfqz
うっは。GJです。

みなさんに触発されて、はじめまして&一本投下。
お嬢様言葉って書いたことなくて、おかしい文章あるかもです。指摘いただけると今後の糧にします。
まだエロなしですが、続きの構想でエロに突入する予定です。
230名無しさん@ピンキー:2007/05/28(月) 22:24:43 ID:faBNn+Im
すまん
ageてしまった・・・許してくれ。
231聖のお兄様1 1/4:2007/05/28(月) 22:24:48 ID:MpIATfqz
「おはようございます」
 すれ違う全ての生徒が私たちの方を見て挨拶をくれる。
「あぁ。おはよう」
「おはようございます」
 私もお兄様も挨拶を返す。
 生徒会長のお兄様と書記の私。
 なによりも礼節を重んじる学園が育てた、上品な生徒たち。
 そして、学園で絶対と言っていいほどの権力を持つ生徒会長。
 誰しもがお兄様を慕い、お兄様を尊敬し、お兄様を敬愛する。
 あぁ、私も妹として、お兄様と一生を共にする所存です。
「おはようございます。冬也さん。聖さん」
「おはよう」
「おはようございます。如月先輩」
 副会長の如月海先輩。
 あぁ。如月先輩のは本当にお綺麗な方です。
 お兄様と並んで歩いておられると、本当にお似合いですわ。
 尊敬いたします。
「聖さん」
「はい、なんでしょう」
「冬也さんの、好きな食べ物を教えていただけないかしら」
「えぇ。よろしいですけど、理由をお聞きしてよろしいでしょうか」
「あの・・・冬也さんに、お弁当を」
 ・・・あぁ。この女もお兄様に発情したただのメス豚でしたか。
 尊敬して損しましたわ
「お兄様のお弁当を作るのは私の楽しみの一つですわ。いくら如月先輩と言えどもこれは譲れませんわ」
 誰が貴方が作った豚の餌のような弁当をお兄様に食べさせるものですか。
「あら、残念。でも、そう考えると聖さんが少しうらやましいですわ」
「でしたら、一つお教えしておいてあげます。お兄様の大好物はピーマンですわ」
「あら。そうですの?では、家庭科の時間に作ってみます。ありがとう、聖さん」
 ははっ。お兄様がたった一つ、本当に唯一の弱点がピーマンだとも知らずに。
 見るのも嫌で、匂いを嗅いだらぶち切れるってのに。それで、うちの女中も何人辞めさせられたことか。
 お兄様がこのメス豚を突き放す瞬間、早く見てみたいものですわ。
232聖のお兄様1 2/4:2007/05/28(月) 22:25:31 ID:MpIATfqz
「出て行け!!!」
 生徒会室から如月・・・もとい、メス豚23号が飛び出してきて走って行ってしまった。
 今朝の今でもう実行したんですの?
 油断して決定的瞬間を見逃してしまいましたわ。
「お兄様。どうしました?」
 生徒会室に入ると、お兄様は青い顔を私の方に向ける。
「どうもこうもない。如月が・・・ピ・・・言葉にするのもおこがましい緑色の物体をこの部屋に持ち込みやがったんだ」
「あら。お兄様。地が出てますわよ」
「・・・今はお前と二人だからいいんだよ」
 優等生の生徒会長の仮面を脱ぎ捨てたお兄様は、年相応の男の子。
 私にだけ見せてくれる特別な・・・ううん、本当のお兄様。
「では、このクッキーでお口直しでも」
「お。いただきます。ん・・・んぅ。うまい」
「ありがとうございます」
 私は紅茶を淹れ、お兄様の前に差し出す。
「ふぅ。やっと落ち着いた。ありがとうな」
「いいえ。お兄様の笑顔が見れるなら、なんでもしますわ」
「ホント、俺の妹とは思えないくらい真面目でいい子だよな。お前は。あ、褒めてるんだぞ」
「えぇ。わかってます。お兄様、ありがとうございます」
 他人を蹴落とし、お兄様に最高の賛辞を得る。
 あぁ、この瞬間は何事にも変えがたい至福の一時ですわ。
「失礼します」
 生徒会室のドアが開き、他の生徒会役員が入ってくる。
 メス豚23号の姿は・・・さすがに無いですわね。
233聖のお兄様1 3/4:2007/05/28(月) 22:26:16 ID:MpIATfqz
「如月先輩。何がご用ですか?」
 ある日の放課後、私はメス豚23号から呼び出された。
 場所は屋上。放課後は人が居なくなるため、色々なことをするには都合のいい場所。
「あなた・・・どうして、どうしてウソを言ったの!」
「ウソ?あの、それは」
「ピーマンのことです。冬也さんの好きなものはピーマンだと」
 はぁ。この方本当に馬鹿ですわね。それくらい察しなさい。
 ・・・けど、頭まで豚レベルの女には無理な話ですわね。
「さぁ。何故です!言いなさい!!」
 メス豚が私をフェンスに追いやる。
「ふふ」
「何がおかしいです?」
 これから始まる、面白い事を考えると自然と笑みが浮かんでしまいました。
「聖さん・・・さぁ!!」
「ん?どうした?」
「え?」
 屋上の扉が開き、校舎から誰かが出てくる。
 お兄様だ。もちろん、私がちょっと仕掛けをして、お兄様がこの時間にこの場所に来るように仕向けましたのよ。
 さぁ。ショータイムだぜ。
「如月さん・・・貴方何を」
「お兄様!!」
 私は突然のことに呆気に取られているメス豚の腕を跳ね除けて、お兄様の胸の飛び込む。
「如月さんが、先日・・・あのピーマンを持って行ったのは私がウソを言ったって事にしろって」
「なに?」
「そうしないと、私のこと・・・あの・・・後輩を使って・・・お・・・犯す・・・って」
 私がそこまで言って、メス豚はハッとなって、私を見る。
「な、何を!私は」
「如月さん・・・いや、如月海」
 メス豚から守るように私を抱き締めてくれる。
 あぁ、お兄様の温もり。気持ちがいい。
「本日付で生徒会副会長の席を降りてもらう。あと、この件は学長に報告しますので」
「そんな。冬也さん。私はそんな事は言ってませんわ。全部デタラメです」
「お兄様」
 私とメス豚がお兄様を見る。
234聖のお兄様1 4/4:2007/05/28(月) 22:27:04 ID:MpIATfqz
「如月。俺が温厚でいるうちに、俺の前から消えうせろ」
 あら、お兄様ったら・・・完全に地ですわね。
「ひっ」
 メス豚はその場に立ち竦んでしまう。
 情け無い。
 それにしても、たかだか2年ほど同じクラスだったメス豚が、長年一緒に生活してきた私よりも信じてもらえると思ってたのかしら。
 滑稽ね。
「ふぅ。いくぞ、聖」
「はい。お兄様」
 私はお兄様の腕に抱かれたまま、校舎内に入っていく。
 ふふ。あぁ、面白かった。
 お兄様。生徒会長のお兄様はみんなのお兄様。けど、本当のお兄様は私だけのもの。
 だから、この線より先には誰も踏み込ませませんわ。
「聖」
「はい?」
「ごめんな。怖かったろ」
「いいえ。お兄様が助けに来てくださると信じてましたから」
「そうか」
 お兄様が私に微笑みかけてくれる。
 この心のこもった笑顔を見る事が出来るのも、仮面を脱ぎ捨てたお兄様を見る事が出来るのも、私だけ。
「そこまで信用されてると、ちょっとむずかゆいな」
「嫌ですか?」
「いいや。兄として嬉しい限りだ」
「ふふ。お兄様。頼りにしてますわ」
「おう」
 ふふ。お兄様。
 線の内側に入ろうとする輩はすべて私が消してご覧に入れますわ。
 だから・・・お兄様は私だけを見ていてください。

−続く
235名無しさん@ピンキー:2007/05/28(月) 22:40:51 ID:LeKqilxX
>>234
投稿終わりかな?なんにせよGJです
しかし兄・・・ピーマンだけでここまで豹変するとは思わなかったw
そして聖がとても策士でかわいくてキモくてハァハァした。
236名無しさん@ピンキー:2007/05/28(月) 23:06:02 ID:wQbicuhv
>>234
GJ!!おつかれさまです。
>さぁ。ショータイムだぜ。
にワラタw
聖・・・恐ろしい子!!!!
237名無しさん@ピンキー:2007/05/28(月) 23:48:05 ID:pzpGYeeM
>>234

まだ1スレが立ってから一月ちょい、
2スレ目も前半だってのに新人と新作がわんさか沸いて来やがる。

兄への好意を隠さないのはキモウトだ。
兄への好意を隠すのは訓練されたキモウトだ。

本当にここは良スレだぜ、フゥーハハハァー!!


なAAを張りたい程にマシンガンGJ!
238名無しさん@ピンキー:2007/05/28(月) 23:54:04 ID:V/XY9efn
キモウトもあれだが、兄がそれ以上にキモイw
どんだけピーマン嫌いなんだ。
239名無しさん@ピンキー:2007/05/29(火) 00:25:22 ID:6cI3Z6yW
ピーマンでブチ切れワロス
240名無しさん@ピンキー:2007/05/29(火) 00:32:03 ID:Qz2Mqo/7
241名無しさん@ピンキー:2007/05/29(火) 00:37:14 ID:ixIlzv4z
きっと昔近所に住んでた女の子に尻の穴にピーマン入れられたんだな。
それを見ていた聖がご自慢の策士っぷりでその子を世間から抹殺…
あれ?何書いてんだ?俺。
242名無しさん@ピンキー:2007/05/29(火) 00:56:50 ID:6JkzVCMh
>>241
随分とマニアックなプレイだなw
243名無しさん@ピンキー:2007/05/29(火) 01:28:03 ID:wydXDfrH
>>216
ちょw兄壊れていっとるww大丈夫かwww
>>234
お兄様って読んでくれる妹はいい(*´Д`)
244名無しさん@ピンキー:2007/05/29(火) 01:37:58 ID:ziribODc
>>234
これはキモい!
つーか、ひどい!
つーか、お兄様どんだけピーマン嫌いなんだよww


でもやっぱりGJです。続き期待しとります。
245名無しさん@ピンキー:2007/05/29(火) 02:13:30 ID:sMWKPDRW
超期待作に神GJ!!
いや〜キ モ い

だ が そ れ が い い!
なぜこんなに嫌いなのかネタ的な外伝でも書いて欲しい位のクオリティーだな。

おそらくキモ姉に尿道にピーマンをry
246名無しさん@ピンキー:2007/05/29(火) 03:51:17 ID:wzjPK7Lv
>>245お兄ちゃん…
あの姉という仮面を被った年増豚なんかに入れて欲しいみたい。
あの雌豚が私程お兄ちゃんを愛してる訳ないのにありえないわ。
年を食った豚はなおさら処分ね


と書いてある妹の日記を発見し、
最近姿を消した姉を>>245が探していると背後から忍び寄る影が……
247名無しさん@ピンキー:2007/05/29(火) 05:41:40 ID:8LTtZATL
なんというキモウト
むしろ兄に萌えてしまった
このスレの職人は正しく(´神`)

惜しむらくは姉分が最近不足していることか
248名無しさん@ピンキー:2007/05/29(火) 06:12:56 ID:5JpW/NKq
>>216
命に関わるキモ可愛さだな。
249名無しさん@ピンキー:2007/05/29(火) 06:18:45 ID:5Jrs/tgc

                           _,,, -――-  、
              __,,,,,_           /、,:.-‐:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
            /::::::::  :::::`  、       'ノ:.`‐-:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:__ |
         /:::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ      _i:._:.,   - ‐‐::::':::::::: ̄:::: ̄:::::` 、
         ,':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l , -‐ '::::::_:: -ー''" ̄ ̄ ̄ヾ;;;;;;;;!:::::::::::::::::::::)
         |:::::::::::::_ ,==ニニニ_=_=(::::::::::::::::_r¬、( ̄~il ̄ ̄ ̄; ̄`i::::__;;,   '"
 ( `丶、    _,!-‐'";;;;/′ ___,,- ,,/.  ̄ ̄ ヾ/__,`''‐"     ! )ノ ´   >>234と全ての神職人にありったけのGJを
  ヽ、 ヽ、   `ヾ;;{_         ,_ゝ        ヽ___、       `l´     
   _ヽ__ ` ‐-、/i\`    ==/ _         l〈ノヽ |      _)ヾ` 、    
  .(____(__; ̄ ̄ヽ|  ` 、__ __i: : `゙ 、         )___,, -‐''''' "  /: : \`: : '' ―-
  ヽ,______) ̄   l      /: : : : : : : : : `ヽ、 __, '"ヽ: :\     , ': : : : : :ヽ: : : : : :
   .ヽ__ノヾ 彡ヽ   /: : : : : : : : : :, -'´: : : : : : /: : : :\   /: : , -‐ '"`: : : : :
     `' 、__   丿ヽ、/: : : : : : : :_ /: : ::、: : !: : : :\: : : : \ / /´: : : : : : : : : : :
         `‐--'"    \: : _ _,'__: `ヽ、: : ヽ,|', l二二 ヽ、: : /'": : l二二二: : : : : :
          \        ゙`ヽ\: : : `ヽ: : : : : : : : : : : : : : :ヽl: : : : : : : : : : : :
250名無しさん@ピンキー:2007/05/29(火) 10:54:56 ID:ttHcWPds
>>231-234
GJ!!
兄ピーマン嫌いすぎバロスwwwww
もしかしたら連作短編?
wktkー!
251名無しさん@ピンキー:2007/05/29(火) 12:35:06 ID:OIVhUc6A
ところで、あれだ。初めのほうの
真理が誰に告られても振っていた
っていう伏線はこれから活きてくるんだろうか。
それとも本当に好きな人が今までいなかっただけなのだろうか
252名無しさん@ピンキー:2007/05/29(火) 14:19:36 ID:0Zrlz6Eg
うはw
キモすぎww
253名無しさん@ピンキー:2007/05/29(火) 17:05:59 ID:stgwBhXo
どうあれ理理が幸せだといいなあ
あ、お兄ちゃんを一生束縛してうふふふふふふふってのも幸せに入るんだぜ
254名無しさん@ピンキー:2007/05/29(火) 17:57:35 ID:gVBguGS5
兄が別の意味で妹以上にキモイなw
255名無しさん@ピンキー:2007/05/29(火) 18:41:20 ID:1e2Gbfy+
そう言えば、ここで言う妹は実妹限定なのか、「妹」なので義妹も入るのか。
256名無しさん@ピンキー:2007/05/29(火) 18:58:58 ID:Irj7Xn4b
どっちでもいいんじゃないか?

まあ俺は実妹派だが
257名無しさん@ピンキー:2007/05/29(火) 19:14:32 ID:ttHcWPds
>>255
既出のSSには従妹もいるし義姉もいるぞ。
258名無しさん@ピンキー:2007/05/29(火) 20:03:19 ID:LyFYaTUE
幼馴染だけど「お兄ちゃん」って読んでるのはナシか
舞‐HiMEの詩帆みたいな娘
あれはいいキモウト属性だった
259名無しさん@ピンキー:2007/05/29(火) 20:37:49 ID:fTQ0BC4+
幼馴染みスレあるし
260名無しさん@ピンキー:2007/05/29(火) 20:54:19 ID:1e2Gbfy+
義理かどうかは問題でないのな。

いや、余所スレで二話まで書いた奴があるんだが、
もういっそ少しだけ変えてここで投下しようかとも思ったもんで。

(まあやらんだろうが)書くかはともかく、参考になった。
ちゃんと答えてもらえるこのスレが好きだ。
261名無しさん@ピンキー:2007/05/29(火) 22:15:03 ID:ggzysMOs
>>260
ちゃんと答えるがそれはそこのスレで投下しとけ
262名無しさん@ピンキー:2007/05/30(水) 00:50:28 ID:arjFQ750
幼馴染スレを見る限りでは保管庫の状態が見るに耐えないね・・
ちゃんと整理されていなくて読みづらい・・

263名無しさん@ピンキー:2007/05/30(水) 13:05:50 ID:haT2qlmy
このスレって嫉妬スレ住人の立てた荒らし用ゴミ箱だったんだな。かなり萎えた
264名無しさん@ピンキー:2007/05/30(水) 13:47:01 ID:YSIrsxX9
立った経緯は関係ない。
大切なのはここが良スレという事実のみ。
265名無しさん@ピンキー:2007/05/30(水) 13:50:46 ID:+6FXrhgT
残り物には福がある。
現に、ここの伸びの速さは嫉妬・ヤンデレスレより上なんだぜ?

彼らは嫉妬スレの現状を維持するために、
キモ姉・キモウトという素晴らしい未来の可能性を放棄したんだ。

キモ姉は嫉妬を内燃し、
キモウトはヤンデレを内包する。

籠も綾タソの話もここがなければ生まれなかったんだしな。
被造物(このスレ)は創造主(スレ立て人)の手を放れるもの。

萌え尽きるにはまだ早いぜ!
266名無しさん@ピンキー:2007/05/30(水) 13:56:04 ID:OtWbzcES
切り出して純化したればこそ産まれた物の気もするけどな、まあ結果論的にうまくいってるんだから文句無し。
多分嫉妬スレに残ってたら発展はなかっただろうし双方に良かったんでないか?
267名無しさん@ピンキー:2007/05/30(水) 13:59:17 ID:2QP3LuSo
>>265
>キモ姉は嫉妬を内燃し、
>キモウトはヤンデレを内包する。

……だから重複だってスレ立った時に揉めたんじゃないか
結局区分けできてないじゃん
268名無しさん@ピンキー:2007/05/30(水) 14:25:13 ID:+6FXrhgT
>>267
まあ今んとこそういうのが多いと言うだけで、今のところこのスレでは

嫉妬
ヤンデレ

は必須ではないぞ?
議論と言うか、特に嫉妬に関しては話は出た。異常に兄・弟を愛していればいいわけだからな。

それに、嫉妬やヤンデレの前にキモ姉・キモウトでなければならないから。
嫉妬・ヤンデレは結果の一つで前提ではない。
メインにもなればサブにもなれば、全く出ない事も(これから)あり得る。
細かいこと言うなら、弟は見た!とかみたいに嫉妬(の対象になるキャラ)が出ないのもありだし、
兄・弟の意中の女を調教して差し出す、という嫉妬のない忠誠みたいな尽くすタイプもここはあり。
必ず女が二人以上居て、必ずもう一人への嫉妬が起こる嫉妬スレとはそこが違う。
ヤンデレも、
病んで行く様を描くんじゃなくて、初めから病んでる(兄・弟に末期的異常性愛)キャラが出るのが多いしな。

部分的には同じだが、別のものをメインにより純化・特化したのがここ。
似て非なるものであり、求められるものも違う。


まあ、オレも書き方が悪かったな。スマソorz

269名無しさん@ピンキー:2007/05/30(水) 14:42:15 ID:KPLix4rL
姉は褌、尻フェチ
弟は大人しい小学生
こんなの読みたい
270名無しさん@ピンキー:2007/05/30(水) 16:37:55 ID:FYDTDLfj
>>265
>彼らは嫉妬スレの現状を維持するために、
>キモ姉・キウトという素晴らしい未来の可能性を放棄したんだ。
いや、放棄はしてないと思うぞ。
あっちは嫉妬や修羅場があればどんなヒロインでもOKというオールラウンダーとすると、
こっちはキモ姉・キモウトに特化したスペシャリスト
271名無しさん@ピンキー:2007/05/30(水) 17:39:36 ID:UaiYitAT
お久し振りです。
およそ一週間ぶりの宇宙妹投下させて貰います。
272運命の赤い超紐理論:2007/05/30(水) 17:44:18 ID:UaiYitAT
山を登る理由を問われた時、ある登山家はこう答えた。『そこに山があるから』と。
では、俺が兄である理由はなんだろう。『そこに妹がいるから』か? いや、違うな。
俺がここにいるからだ。


運命の赤い超紐理論
 第1話 妹はいるか?
273運命の赤い超紐理論:2007/05/30(水) 17:47:17 ID:UaiYitAT
梅雨に入る直前の空気は、何処か生暖かく、それでいて肌寒い。
夜の空気には不思議が溢れている。そんな事を、不思議な妹を連れて思うのだ。何故こんな事になったのか……
「ああ……ずっと兄さんの家に上がってみたかったの。いつも狭そうにしてたよね」
余計なお世話だ。一人暮らしの男の部屋の、何がそんな嬉しいのかわからないね。
家に来るのも俺は渋ったのだが、有ろう事か泊まるつもりだったらしい。そこから交渉に交渉を重ね、ようやっと家に上げるだけに落ち着いた。
我ながら自分の交渉術には恐れ入るよ……
「あれ、お兄ちゃんそんなの食べるの?」
視線は幸せに比例した重量を内包するビニールに向けられている。
ああそりゃもうバリバリ食べるね!
「そーゆーの、体に良くないって父さん言ってたよ。せっかくだから私が作ったげるね」
ほう……手料理か。そりゃ作ってくれるのは嬉しい。
だが美味いのか、その前に食えるのかも怪しい。
変な宇宙生物何か食いたくないし、兄に愛を語る変態妹だ。何か混入しないとも限らない。
……よし、明日の朝、俺が見てる所でのみ許可する。
「ほんと? 楽しみにしててね。それじゃ、私今日先寝るから、添寝したかったらいつでも」

何が楽しいのか分からんが、微笑みなんぞ浮かべて余ってるスペースに布団を敷く。
……何か忘れてる気もするが、さっさと食って俺も寝よう。
274運命の赤い超紐理論:2007/05/30(水) 17:48:39 ID:UaiYitAT
しまった、俺はヤツを泊める気は無かった筈だ!
思い至っても時既に遅し、時計の針は七時を指している。……いいや、朝食作って貰おう。ほれ、起きろ。
「ん……んーぁ。おはよ、兄さん」
おはよ。とりあえず顔洗って来るなりして朝食を作ってくれ。
「……うん、待ってて〜」
フラフラしてて多少危なっかしい。危なっかしいが……これはもしや、便利な家政婦として役立つんじゃないか?
一家に一人宇宙人の妹!
……料理の監視しなきゃな。
意外にも、料理の腕前は語る所も無く、出て来た料理にも語る所は無かった。強いて言うとするなら昼食が大量に用意されたな。
「どうかな? いっしょーけんめいに作ったんだけど……」
ふつー。食えるよ。
「そうじゃなくて、他に何か言う事とか……」
そうだなー、朝は和食のが良いや。
「そう……」

ご馳走さまでした、と。さて、ちょっと早いが学校へ向かうか……言って置くがな、
「行ってらっしゃい、兄さん。はいお弁当」
……そうだよな。ついてくるなんて、普通は言わないよな。
髪と目の色がちょっと違うだけで、後は頭弱い意外は普通の妹だもんな。
見た目はデカいけど、中身はまだ子供なんだ……兄として、妹の見本になるようにしなきゃな。行って来るよ。
275運命の赤い超紐理論:2007/05/30(水) 17:49:51 ID:UaiYitAT
学校。そこにはドラマが有る。
青春をそれと知らず謳歌できる瞬間が詰まっている。
例えばそれは夢だったり、例えばそれは恋だったり、或いは
「転入してきた片岡エリです。皆さんよろしくお願いします」
宇宙人の妹が転入して来る、なんてのもそうかもしれない。
「じゃあ、片岡さんは片岡君の隣の席に着いてね」
俺の方へ歩いて来る妹に、当然視線が集中する。
日本人離れした容姿は、やはり日本だと目立つ。そう言えば先生も、
「よろしくね、兄さん」
近い、近いよ。小学校じゃないんだから机をくっつけんな。そして兄妹で有る事を隠さなくて言いのか。
「ふふん。宇宙の英知ー。私達が兄妹なのも、こうして机をくっつけるのも当たり前の事として認識してるの。だから、仲の良い人が隣同士なら皆当たり前に机をくっつけるよ」
なるほど、宇宙すげぇ。
276運命の赤い超紐理論:2007/05/30(水) 17:50:44 ID:UaiYitAT
そんなすげぇ宇宙の技術だが、転入生に休み時間になる度に質問攻めするのは当たり前の事らしく、縋るように俺へ視線を向けて来る。
それくらい想定して置け。無論転入生の兄としてそこそこ注目を集める俺には助けるなど不可能だがな!

「やっと昼休みだねぇ。お弁当出して。一緒に食べよ」
おいおい、そんな事言っても、どうせ人に囲まれて……ない。
「やっぱり、兄妹でお弁当食べるのは常識だよね」
おまえはホントにどっかおかしいよな。
「はい、あーん」
ところで、八十年三食三十分だったとして、時間にすると2563200分に及ぶ。
確かにゆっくりと食事を取る事も大事だろう。だが、人生は食事だけが全てじゃない。如何に早く食事を終わらせるかも重要じゃないだろうか。
ってな訳でご馳走さまでした。
「……口早く動かすの、ヒャザーみたいで、兄さん可愛い……」

この日はもう特別な事は何も起きなかった。精々知らない人間が妹の事でやたらと馴々しくするのを煩しく思った程度で、結局二人で帰って二人で同じ家で寝る。それだけだ。
277運命の赤い超紐理論:2007/05/30(水) 17:51:46 ID:UaiYitAT
結局二人で登校する事となった二日目。てきとーな話題を相槌も打たずに聞いて歩くのが最近のマイブーム。主に昨日の帰りから。
一応ちゃんと聞いてはいるんだ。頭に入らないだけ。自己弁護終了。良心も納得してる。
新たな当たり前にクラスメイトが添うように、俺も新たな当たり前に慣れつつ有るのかもしれない。
当たり前に下駄箱を開ける。と、封筒? ……悪戯か。一応後で確認しとこう。
「どうかした? 何か有ったの、兄さん」
何もねーよ。何か有ったら真先に頼るから。
「そ、そう? 約束だからね。私も何も無くても兄さんに頼るからね?」
迷惑だ……いや、こいつがどうしようも無い事を俺がどうにかできるとは思えない。……なるほど、案外正しいな。
まぁいい。御不浄に行くとしよう。そこ以外で封筒を開けるのは面倒だ。
「一緒に行って良い?」
278運命の赤い超紐理論:2007/05/30(水) 17:53:02 ID:UaiYitAT
『ずっと見てました。ほうか後、体育かんうらで待ってます』
以上が手紙の内容だ。差出人不明な時点で行く気が無くなる。
その上呼び出す場所が人目に付かない場所なのは、やましい事をすると表しているも同然。
字が丸っこいのは女性っぽい雰囲気あるが、使っている漢字量からは知能の低さが滲み出ている。
それになにより、俺は小学生の時、これに酷似した物をラブレターみたいなハッピーアイテムと勘違いしてクラスの笑いものにされた事も有る。
あれ以来手紙の類いの誘いは6つ全て無視して来た。今さら行く理由も無いだろう。

「あ、兄さん。遅かったね……何か合わないの有った?」
いや、十分食えるの出して貰ってるよ。気にするな。
「そう……じゃあ、えっと、トイレに確認しにいって良い?」

その日結局俺は体育館裏に向かわなかった。
それで終わったと思ってたんだ……
279運命の赤い超紐理論:2007/05/30(水) 17:55:31 ID:UaiYitAT
『昨日来てくれないなんて、お兄ちゃんひどい〜!今日も同じ所で待ってるからね!約束だよ!』
下駄箱で見付けた物だ。どうやらこの程度の漢字なら楽に書けるらしい。
俺にはお兄ちゃんと呼んでくれる妹はいないんだが、一応聞いて見るか。
手紙とか最近出したか?
「伝えたい事は体と口で伝えるから、あまり使わないなぁ」
なるほど……昨日ホントに体育館裏に誰かいたのか?
……いや、妹と帰る所を見られただけかもしれない。
そうだ、差出人はきっと妹狙いなんだ。
だから俺を体育館裏に呼び出し、妹が一人になった所に声を掛ける……と。
これなら妹を見張っていれば俺が来たかどうか判断できるから、わざわざ体育館裏で待つ必要もない。
そうと判れば怖い物は無い。今日も行かずに帰るとしよう。
「そうだ兄さんは知ってる? 死体って精液を入れたら復活するかもしれないんだって。
 兄さんになら、生きてる内にされても良いよ……」
280運命の赤い超紐理論:2007/05/30(水) 17:56:40 ID:UaiYitAT
『どうして来てくれないの?わたしはお兄ちゃんの事大好きなのに……今日も待ってるからね、絶対来てね?』
ふむ……今日もか。
こいつも懲りないヤツだ。
昨日一昨日と普通に帰ったからな……今日は変則的な何かが必要かもしれない。
「ねぇねぇ兄さん。こんにゃくを固めた物が喉に詰まると大変なんだってね……。
 それで、他意は無いけど買ってみたんだ。兄さんが喉に詰まったら吸出してあげるから、兄さんもしてくれるよね」
そうだ、今日暇か? ならちょっと二人で学校残らないか?
「ひ、暇……だけど。ま、まま、まさか、人口呼吸の練習?
 それだったら歯磨かないと……昼休みの内に歯ブラシとガム買って来よ。
 あ、兄さんはそーゆーのしなくて良いから。私が綺麗にして上げるから、どれだけ汚れてても……でも他の女の汚れは付けないでね?」
281運命の赤い超紐理論:2007/05/30(水) 17:58:28 ID:UaiYitAT
『待ってたのに〜……今日も待ってるからねっ!来なかったら明日絶対ふき出させてやるんだから!少しでもふき出したらかならず来る事!』
昨日帰ったのは七時……宇宙パワーも炸裂してたから、ホントに俺を待ってた可能性も出てきた。
そこまで俺を憎むヤツに心当りなんざ無いが、こーゆーのはいつだってやられた側の方が覚えてるもんだしな。
しかし不気味だな……こうやって毎度毎度手紙を出されて、それに返事もしないだなんて。
自分が酷く不義理なヤツに思えてくる。
それに、この手紙にも、下手なりに想いが込められている。こんな出会いでなければ、友と呼べたかもしれない……惜しいヤツだ。
「ネット上にデータを保存するサービスは全て著作権侵害で違法になるみたいだよ。
 これに倣って、兄さんを脅かす存在は全部兄権侵害で違法にしたらどうかな。
 まず、学校はノイズが多すぎるから廃止でしょ。担任の──」
エリ、今日の夜は美味いのが食いたいな。先に帰ってさ、最高に美味いの用意しててくれるよな?
「──うん! 約束する。残さず食べてね。それと、デザートは私だから!」
282運命の赤い超紐理論:2007/05/30(水) 17:59:44 ID:UaiYitAT
決戦の時、だな。
この手に持った封筒一つ。掴み取るのは栄光かはたまた……
昨日の様子から察するに、さぞかし面白いネタが書いてあるんだろう。
そして、わざわざ妹を先に返したにも関わらずこの手紙が有るって事は、狙いはどうやら俺一人みたいだ。
いざ、勝負!

『月刊爪切り』

月刊と名乗るからには月に一度は刊行しているのは間違いない。
しかし爪切りの雑誌をそんなハイペースで出して一体誰が買うって言うんだ。
なにより、こんなくだらないネタで身構え過ぎてた俺が噴出してしまった事が何より憎い。
冷静に考えるまでも無く、つまらない。
だが、笑っては行けないと思わせた時点で、この勝負の決着はついていたのか……。
完敗だ、チクショー。約束通り、放課後の体育館裏に行ってやるさ。
「社長は下の者に猥褻な行為をしても良いらしいよ。妹は兄と対等だけど、やっぱり兄の方が立場としては上だよね。
 お嫁さんに採用してあげるって言いながら猥褻な行為を働かれたら、私きっと逆らえないな……」
283運命の赤い超紐理論:2007/05/30(水) 18:01:01 ID:UaiYitAT
妹を撒くのに一時間程掛かったが、傷の一つも無く無事体育館裏に到着した。
さて、鬼が出るか妹が出るか。
「お兄ちゃーー…………ん!」
どうやら出たのは妹のようだ。
弟である可能性も0じゃないが、俺には弟はいない。
いや、妹もついこないだまでいなかったんだから、弟が出て来てもおかしくはないか。
「あわわ、お兄ちゃん? 大丈夫? 何処見てるかわかる?」
何を見てるってグラサン掛けたお昼の顔の人が脱皮する所を……
「お兄ちゃんしっかりして、グラサンは学校にないよ」
鼓膜に響く渇いた音と、頬に残る熱が夢心地から残酷なまでの現実へと引戻してくれる。
ついでに頭から突込まれた腹が痛く、鈍痛の上には俺を『お兄ちゃん』と呼称する女の子がいた。
俺をお兄ちゃんと呼ぶからには妹に近い存在なんだろうが、兄と呼ばれる程親しい知り合いは俺にはいない。
飽きずに手紙を送って来る変態だ。観察しない訳にはいかんな。
まず気になるのが体重……馬乗りになられても重くないな。
当然それに合わせて身長も低い。
推定年齢11歳? 服は体のラインがわかる大胆なスーツ。……未来系の。
全体的なカラーはオレンジやイエローで、頭には犬みたいな耳が生えている……なるほど、確かにこれくらい変人なら、俺の妹を名乗っても良いかもしれない。
284運命の赤い超紐理論:2007/05/30(水) 18:02:14 ID:UaiYitAT
で……コマだっけ?
義妹で良いの?
「うん。わたしね、お兄ちゃんに会いに来たの」
そっか。じゃあ目的達成だな。それじゃもう良い?
「ううん。ダメ。お兄ちゃんと、子供作るの」


あ、足は肉球付いてそうだ。触りたいなぁ。靴とか履けなさそうだ、犬みたいな足だし。
「お兄ちゃん、おねがい……」
お願いされてもな……そもそも、妹な訳だろ?
それに、そんな体ちっちゃいんじゃ……
「妹だけど、お兄ちゃんの妹の妹だから、お兄ちゃんとは血が繋がってないよ」
……あぁ、十二の義妹の一人か。そんな話覚えちゃねぇよ。
「それにね、わたしはもうせい体だから、これより大きくならないんだ。」
成体……? ……因みに年齢は?
「14才」
血は繋がってない、体は大人。一見問題は無い……が、14の子供に手を出す訳にはいかんよな。
そも、俺で有る必要は有るのか……
「後ね、わたしたちをにんしんさせるには、とくしゅないでんしがひつよーなの。もちろん、お兄ちゃんはそれを持ってるよ」
へぇ、妹の親……つまり親父がそうだったからか。運が言いのか悪いのか。
285運命の赤い超紐理論:2007/05/30(水) 18:03:27 ID:UaiYitAT
残る問題は恋愛感情か。
外見には問題無し。愛くるしい顔や仕草が保護欲を刺激する。
更に何年経とうと成長しないとの事だ。
つまり、五年もしたら……だ。
五年だ。五年経ったら前向きに考えるよ!
「それって……」
皆まで言うな! さぁ、お兄ちゃんの胸に飛び込んでおいで!
「お兄ちゃあーん」
左右で結んだ髪が一歩ごとにピコピコ揺れ、同様に耳も上下する。その全てが可愛らしい。
横から滑り込み、母親が同じ妹を蹴り飛ばす妹にも見習って欲しいものだ。
「あうぅ……痛いよ」
あ〜、よしよし。大丈夫かコマ。
「兄さんの挙動が不審だったから来てみれば……何なのこれは」
……なんだろうかこの状況は。
コマが妹に怯えるのは、まあわかる。いきなり跳び蹴りかますようなヤツに怯えるなと言うのも無理が有る。
しかし妹は、何故にこんな不機嫌なんだろう。……独占欲か。なるほど。
それが解った所で、俺には理解できない言語で会話している二人に割り込む勇気は無いがな!
286運命の赤い超紐理論:2007/05/30(水) 18:05:17 ID:UaiYitAT
意味不明な会話が終わる。何を話してたのか気になる所だが、コマが名残惜しそうに振り返りつつ帰った所を見ると、妹の勝ちのようだ。
……五年後が楽しみだ。
「何考えてるの、に・い・さ・ん?」
いや、ちょっと五月晴れについて考えていた。
「五月晴れ……? 五月に晴れる事?」
ああ、多分そうだ。五月の晴れの日が、俺は好きなんだ。
「ふーん。じゃあ、私も好きになるね」


何か言いそうにしていたが、大した事は言われずにその日は終わりを迎えた。
それよりも、次の日にも手紙を出された事の方が驚きだね。
『五月晴れは、梅雨の合間に晴れる事で、今は五月かんけいないんだよ。
 べんきょうになって良かったね、お兄ちゃん』
妹のいない時に俺に手紙を手渡し、照れたように走り去る。
それを後ろから眺めていると、どうしても目を惹くのはピコピコ動く耳と髪。
妹ができて一週間が経とうとして、俺には一人、妹が増えた。
287名無しさん@ピンキー:2007/05/30(水) 18:08:29 ID:UaiYitAT
以上です。
これがキモウトなのかわかりませんが、これからも多分キモウトVS義妹で話を作っていくと思います。
では、義妹が見付かり次第、第二話「あなたに、妹を…」に取掛かる事にします。
それまでさようなら……
288名無しさん@ピンキー:2007/05/30(水) 18:16:46 ID:qTey/gLv
>>287
つまんないから投下しなくていいよ
289名無しさん@ピンキー:2007/05/30(水) 18:20:05 ID:BYbvb36h
>>288
禿同
これはつまらん
290名無しさん@ピンキー:2007/05/30(水) 18:24:30 ID:BYbvb36h
>>289
禿同
これはつまらん
291名無しさん@ピンキー:2007/05/30(水) 18:34:07 ID:OkL8TIRY
>>287
短編ならいいが長編となると主人公の脳内活動が多くなる。
つまり、主人公台詞に
「」つけないと後に見づらくなるかもしれない。
作者の自由だが付ける事を奨める。
あと若干描写不足な点があるから気をつけた方がいい。
今後に期待する。頑張ってくれ。
292名無しさん@ピンキー:2007/05/30(水) 18:43:58 ID:n1+EO+8q
>>290
www
293名無しさん@ピンキー:2007/05/30(水) 18:52:07 ID:x3D4hVVt
>>290
wwww
294名無しさん@ピンキー:2007/05/30(水) 18:56:00 ID:VlPQ1Rhu
>>287
宇宙妹クオリティ高えw コマだから犬系か……
ちと咀嚼せんとわかりにくい文章だがおもしろい
295名無しさん@ピンキー:2007/05/30(水) 19:57:59 ID:Zi7ZPtjp
>>287
GJ!
普通に良かった。続きに期待してます。
296名無しさん@ピンキー:2007/05/30(水) 20:00:23 ID:OaZHQZvA
>>294
>ちと咀嚼せんとわかりにくい文章だがおもしろい

普通に文章が駄目、と指摘してやれよw
297名無しさん@ピンキー:2007/05/30(水) 20:49:12 ID:ZNqcPVD8
自演ピエロ
298名無しさん@ピンキー:2007/05/30(水) 20:56:52 ID:0xJpXnv8
VIPPERうぜえなあ
299名無しさん@ピンキー:2007/05/30(水) 22:19:17 ID:ClSVapF5
なんでもかんでもVIPPERのせいにするな
300名無しさん@ピンキー:2007/05/30(水) 22:19:44 ID:jGqPvOfG
スルースルー
301名無しさん@ピンキー:2007/05/30(水) 22:48:41 ID:+6FXrhgT
やれやれ。
皆、まだ分かっていないようだな。

一連の荒らしレスは、
スレ住人の意識をキモ姉・キモウトから引き離し、
その隙にキモ姉・キモウトを排除しようと嫉妬、
あわよくば神職人を監禁して独占しようとする泥棒猫の策略だったんだよ!



んなことより>>287にGJしよーぜ!
302229 ◆49or6cS0q. :2007/05/30(水) 22:58:15 ID:S/f4KJvn
聖のお兄様の第二回目です。

GJしてくれたみなさん。ありがとうございます。
けど、ピーマンにあんなに食いつかれるとは思わなかった。
機会があれば、何か書きます。

今回もまだ完結しません。もう、2・3回続くのでお付き合いお願いします。
303聖のお兄様2 1/5 ◆49or6cS0q. :2007/05/30(水) 22:59:07 ID:S/f4KJvn
「冬也さん。聖さん。学園の方はいかがですか?」
 お母様が聞いてくる。
 今日は珍しくお父様とお母様とお兄様の四人そろっての夕食です。
 普段はお兄様と二人きりなので、家族全員がそろうと嬉しいものがあります。
「えぇ。生徒会に部活に、毎日が充実しています」
「私も、お友達も大勢出来ましたし、学業も運動もおろそかにしていませんわ」
 お父様とお母様が嬉しそうに頷く。
 私はお父様とお母様が好き。お父様とお母様とお兄様が居ればそれで十分。
「ところで冬也。そろそろ浮いた話の一つでも出て来ないのか?」
「そうですね。実は・・・と言いたいのですが。まだです。少し理想が高すぎるせいかもしれませんが」
「あら。学園の女生徒でも冬也さんのお眼鏡に適わないなんて、随分と高い理想を持っているのですね」
 お母様の言葉にお兄様が微笑む。
「僕の理想は、長い黒髪と透き通るような白い肌。慎ましやかで優しい、和服の似合う子ですから」
「ほう。それにしても、なんだかひ・・・聖のことを言っているみたいだな」
「え・・・えぇ。そうですね。確かに聖は僕の理想にぴったりです。というより、聖と一緒だったから理想が高くなってしまったのかもしれませんけど」
 そう言って、お兄様とお父様が声を上げて笑い出す。
 お兄様・・・
 テーブルの下で握り締めた左手から流れる血が、カーペットの染みになってた。

「くっ!」
 私の投げた枕は、壁に当たって弾け、中の綿をそこいら中に撒き散らしていた。
 憎い。居なくなって尚、お兄様の心を縛るあの女が。
『長い黒髪と透き通るような白い肌。慎ましやかで優しい、和服の似合う子』
 お兄様の言葉が頭をよぎる。
 これは私のことではない。
 私のような紛い物のことではない。
「イラつく。頭にくる。腸が煮えくり返る」
 はぁはぁはぁ・・・少し、地が出てしまった。
 落ち着け・・・落ち着くのよ。
 けど。結局、私はあの女に負けているだけ。あの女に勝った例が無い。
 いつまで。いつまで私はあの女の亡霊に悩まされなければならないのだろう。
304聖のお兄様2 2/5 ◆49or6cS0q. :2007/05/30(水) 23:00:33 ID:S/f4KJvn
「ありがとう。美味しかったよ」
「えへへ。そう言ってもらえるとすごく嬉しい。じゃあ、また来るね」
「あぁ。今日はありがとう」
 私とすれ違いに見た事の無い女子生徒が生徒会室から出て行く。
「何かあったんですか?」
「ん?あぁ。これを貰ったんだ」
 お兄様の机の上には、子瓶に入った黄色い・・・プリンが並べられていた。
「今日の調理実習で作ったのを持って来てくれたんだ」
 お兄様は笑顔で中身の詰まったプリンにスプーンを突き刺す。
 見ていると、自分の心臓まで突き刺されているようで、すごく苦しい。
「先ほどの方のお名前。教えていただけますか?」
「え。なぜだい?」
「いえ。お兄様の代わりに私から何かお礼をと」
「いや、それは俺がちゃんと」
「ちゃんと出来る人は、妹の誕生日を二回連続で忘れたりはしませんわ」
 お兄様が言葉に詰まる。
「・・・2年の同じクラスの五十嵐ひとみさんだ」
「五十嵐・・・ひとみ?」
「あぁ。別に珍しい名前でもないだろ」
 お兄様が珍しく苦笑する。
「そうですわね」
 お兄様は本当に美味しそうに食べている。
 私に言ってくれればすぐにもっと美味しいものを作るのに。
「聖もどうだい?」
「いいえ結構です。一日の食事量は決めてますから」
「そうか?美味いんだけどな」
 腹が立つ。
 ひょっとして、お兄様が甘いものを好きだと知っての行動かしら。
 ふふ。
 どっちでもいいわ。彼女・・・もうお兄様に会えないのですから。
305聖のお兄様2 3/5 ◆49or6cS0q. :2007/05/30(水) 23:01:30 ID:S/f4KJvn
 もう何年も前に廃屋となった雑居ビルの一室。
「んっ・・・ぁぁっ・・・ゃっ・・・はぁっ」
 私の目の前で醜女が3人の男に輪姦されている。
 口に秘部にお尻。
 太い男根をくわえ込んでよだれをたらして。
「どう?」
「あぁ。なかなかいい具合だな・・・んっ。出すぞ」
「ふ、ふがぁっ・・・げほ・・・が・・・えほっ」
 口に咥えさせていた男が、口の奥深くまで男根を突き入れ、中で精液を吐き出す。
 溢れ出た精液が、口の端から漏れてくるのが見えた。
「う・・・げほっ・・・えほ・・・えほ・・・あ、あ、あぁぁぁっっ」
 後ろの男たちも果てたのか、二人の男たちも女から離れる。
 あぁ。すごい量の精液。
 鼻が曲がりそうな匂いね。
「無様ね」
 私はうな垂れた女の髪を掴み、顔を持ち上げる。
 五十嵐ひとみ。
 そう、数時間前にお兄様に取り入ろうとした女だ。
「うぅ・・・ぁ・・・聖・・・さん?」
「はじめまして。五十嵐先輩・・・そして、さようなら」
 そのまま後頭部を掴み、地面へと顔面をたたきつける。
「うがっ」
 グシャリという音と共に、アスファルトに赤い染みが広がる。
「あぁあ。聖。こいつ何したんだ?そこまでやる必要あるのかよ」
「さぁ。でも、これくらいやらないと気がすまないのよ」
 私は心の中に湧き出した黒い感情に身も心も委ねる。
「さて。あんた等はもう気が済んだでしょ。後は、私の時間よ」
 そう言って、私は立ち上がると、女の脇腹らを力いっぱい蹴り上げる。
「ひぐっぅ」
 あぁ・・・久しぶりだ。この感触。
 人を壊す感触。気持ちがいい。
「・・・ど、どうして」
 顔面を真っ赤にしながら女は顔を上げる。
 なかなかタフだな。
306聖のお兄様2 4/5 ◆49or6cS0q. :2007/05/30(水) 23:02:15 ID:S/f4KJvn
「どうして?はっ、決まってるだろ、名前だよ名前。私はその『ひとみ』って名前が大嫌いなんだよ!!」
 今度は後頭部目掛けて足をまっすぐと振り下ろす。
 先ほどよりももっと、醜くて鈍い音。
 あぁ・・・壊れた。
 私の体をゾクゾクとする、快感が駆け抜ける。
「はぁ・・・さ、これで最後。おい、そいつをそこの椅子に座らせろ」
 男の一人が、醜女を椅子に座らせ、大きく足を開かせる。
 顔はぐちゃぐちゃにつぶれてるけど、息はあるな。
「・・・うぅ・・・」
 よしよし、死んでもらっちゃ困るんだよ。少なくとも、最後の瞬間まではな。
 私は、カバンから電球を取り出す。
 そして、それを女の開ききった膣に押し込んだ。
「ぐっ」
「おい、そこのバット貸せ」
「聖。そいつはさすがにやりすぎじゃ」
「いいから貸せって言ってんだろ!!」
 私は男に渡されたバットを持つ。
 先端で下腹部を軽くたたくと、硬い電球の感触がわかる。
「・・・や・・・め・・・・・・やぁ」
 私はちょうど女の後ろに鏡が立っているのに気づいた。
 鏡に映る目つきの悪い女。もちろん私だ。
 そこに映る私は、普段の私ではない。
 長い黒髪は跳ね、口元には悪魔にも似た笑みを浮かべていた。
「死ね」
 私はバットを女の下腹部目掛けて振り下ろした。
307聖のお兄様2 5/5 ◆49or6cS0q. :2007/05/30(水) 23:03:26 ID:S/f4KJvn
「聖。今日は遅かったな」
「えぇ。少しわからない問題があって、先生に教えていただいていたので」
「そうか。うんうん。聖は勉強熱心だな」
 今日は私とお兄様二人だけの食事。
 ううん、今日はではない。今日もだ。昨日が珍しく四人だったというだけだ。
 そう四人。
 私とお兄様とお父様とお母様。
 四人でいい。三人でも五人でもだめだ。四人。
「どうした?疲れでもでたか?」
「え?えぇ。そうですわね・・・今日は早めに休むことにします」
「あぁ。それがいい。お前に風邪でもひかれたら生徒会が成り立たん」
「あら。お兄様一人で十分でしょうに」
 私とお兄様が笑う。
 私の前で仮面をはずすお兄様とお兄様の前で仮面を被る私。
 仮面はとてもとても窮屈だ。
 けれど、それを我慢すればお兄様が私に微笑みかけてくれる。私を見てくれる。
「冬也さま。聖さま。旦那さまからお電話です」
 家のお手伝いさんが、息を切らせながらダイニングに駆け込んでくる。
 その様子にお兄様が電話を奪うように取る。
「もしもし、父さん?何かあった・・・え?」
「どうしましたの?まさかお父様とお母様に何か?」
「本当なの!?・・・うん・・・うん・・・わかった」
 お兄様の顔が見る間に笑顔へと変わる。
 杞憂でしたね。何か嬉しいしらせのようです。
 お兄様は電話をテーブルに置き、私の方を見る。
「それで、お兄様。何がありましたの?」
 私もお兄様の笑顔につられて笑顔になる。
 しかし・・・お兄様の言葉を聞いて、心が・・・凍りついた。
「え?・・・あの、お兄様」
「だから・・・瞳姉さんが目を覚ましたんだ!!」

続く−
308名無しさん@ピンキー:2007/05/30(水) 23:12:43 ID:+6FXrhgT
こ、怖い怖い怖い怖い怖い怖いこわ・・・・・・コワ可愛い!

つか妹豹変しすぎワロスw

>四人でいい。三人でも五人でもだめだ。四人。
ジョジョ?

しかし、次回で姉妹対決、その次で流血の悪寒。
兄も、最後まで姉をかばう方向に行ったら流血エンドか・・・?

とにかくGJ!
309名無しさん@ピンキー:2007/05/30(水) 23:25:36 ID:6Mc5L0Pr
>>307
GJ
キモウト怖い・・・そして目覚める瞳姉がキモ姉であることを激しく期待する!!
310名無しさん@ピンキー:2007/05/30(水) 23:31:38 ID:sb7/20YC
>>307
激しくGJ!
凄い豹変だ、姉を前にしたときの行動がどうなるのか凄く期待してます。
311名無しさん@ピンキー:2007/05/30(水) 23:33:16 ID:6lzKQ28V
このスレの職人に喚起されてネタが浮かんだ。

(キモウトリング)
すっかり行き慣れた繁華街でも、いつもと違う路地裏に入るだけで意外な店を見つけ
ることがある。といってもそれは今の俺のことだが……。
色褪せた外壁にくすんだガラス、中からは黄色がかった蛍光灯の光が漏れている。
懐古的な雰囲気に魅かれた俺は、その店に入ってみることにした。
「いらっしゃいませ、『キモウトツヨシ』へようこそ」
すかさず女性の店員が挨拶をしてくる。中年というにはまだ早い貫禄のある女性。
店内は雑貨やアクセサリー、家具など色々なものが陳列されている。
骨董品や中古品を扱う店だろうか。
足下には鈍器や工具といったものまで置かれている。
俺は金属製の細長い棒のようなものを手にとってみた……ずっしりと重く、先は黒く汚れている。これは売り物なのか?
「ライクアバールをお求めですか」
「え?」
いつの間にか女性がすぐ傍に立っていた。気配を感じる間もなく。
「これはとある女性が雌豚を屠り潰したものです。これを持った女性は、好きな男性に近付く者をことごとく殴らずにはいられないといわれています」
「は……はあ、そうですか」
なんだか物騒な話だな。これは早めに退散した方が良さそうだ。でも出口の通路に女性が立って塞いでいる。
間をもたせるために俺は棚に並べられている指輪をとってみた。鈍い光を放っている……安物なら買っていこうかな?
「そのプラチナキモウトリングは、肉親の妹が嵌めるとたちどころにお兄ちゃんを偏執的に溺愛してしまうという優れ物です。今ならお安くしておきますよ」
「え? これでプラチナ? それは高そうですね」
「いえ、お客様でしたら千円で結構です」
「千円? でもこれ、プラチナでしょう? レプリカ?」
「当店は材質で値段を決めておりません。お客様を見て決めるのです。不服でしたらさらにその半額でいかがでしょうか?」
これで五百円かあ……偽物だとしても損ではないな。
あいつにあげたら少しは機嫌をとれるかもしれないし。
「じゃあ、これ買います」
「お買い上げありがとうございます。商品を包装して参りますので、しばらくお待ちください」
女性は隙のない動きで指輪を取り、奥のレジへといってしまった。
しばらくして紙袋に梱包されたものを俺に差し出し、代金を受け取ると再び奥へ引っ込んだのだった。

店を出ると、途端にコンクリートの饐えた臭いが鼻についた。
同時に照り返しの眩しさに目を細める。
急に夢から覚めて現実感を取り戻したようだった。
俺はポケットに先ほど買った物の感触を確かめてから、その場を去った。

「ただいま」
「げっ、あんた。もう帰ってきたの」
帰宅してまず目にしたのは、休日だからといってだらしない格好をして俺に不躾な視線をおくる妹の姿だった。
この春に高校生になったばかりの生意気盛り。お兄ちゃんお兄ちゃんと懐いてきたのも今は昔。
最近は汚物扱いして俺の所有物に触れるのすら嫌がっている。
「俺がいつ帰ろうが勝手だ。ほら、これやる」
先ほどの紙袋を取り出して妹の目の前に差し出す。
「はぁ!? なんのつもり?」
「別に大した意味はないよ。たまたま見つけた店で買っただけだ」
「貰ってもいいけど、あとからとやかく言っても知らないからね」
「誰もお前なんかあてにしてねえよ」
俺は無理矢理、紙袋を妹に押し付けてさっさと自室に引っ込んだ。
反抗期の妹にも困ったもんである。

……文章力ないからこれ以上かけねえ。
312名無しさん@ピンキー:2007/05/30(水) 23:38:35 ID:+6FXrhgT
キモウトである、のではなく、キモウトになる、か。
ここではどうなのかな?

とりあえず、ネタ投下GJ。
313名無しさん@ピンキー:2007/05/31(木) 00:10:30 ID:f5H/pDQr
>>307
SATSUGAI…じゃねえけどこええええええええええええええええええ
つーか前科有りだなこのキモウト……
>>311
急にデレるのも怖いなぁ…
314名無しさん@ピンキー:2007/05/31(木) 01:14:59 ID:s1u4pSnL
ライクアバール吹いたwwww
315名無しさん@ピンキー:2007/05/31(木) 01:15:45 ID:s1u4pSnL
なんというsage進行。吊ってくる。
316名無しさん@ピンキー:2007/05/31(木) 01:38:42 ID:dK+AA5R2
瞳姉が最初の被害者臭いな
317名無しさん@ピンキー:2007/05/31(木) 01:41:37 ID:cJYgcBrC
ピーマンネタを継続してほしかった。
それだけ残念。
318名無しさん@ピンキー:2007/05/31(木) 02:49:55 ID:6P1HnEFV
なるほど。
瞳姉がピーマン尻穴に詰めまくってた訳か。
だから聖にやられたのね。



…すまない、作者殿
319名無しさん@ピンキー:2007/05/31(木) 09:29:14 ID:g9djrSXk
>>307
GJ!
起きた姉がなにをするのかwktk

>>310
続き読みたいな。
320名無しさん@ピンキー:2007/05/31(木) 12:28:22 ID:xyOD0oU+
>>311
物を使ってキモウトになるって設定がかなり微妙だ
正直そんなキモウトにはなんの魅力も感じない
321名無しさん@ピンキー:2007/05/31(木) 12:37:30 ID:V3vAy3gB
>>320
逆に考えるんだ
すべては妹の陰謀なんだと
実はその不思議アイテム屋は妹のさしがね、もちろんアイテムはインチキで何の効果もないんだぜ
アイテム(とお兄ちゃん)にぜんぶ行動責任を負わせられるから、
妹はこれまで「こんなことしたらお兄ちゃんに避けられるかも」
と我慢してたことが全部、正々堂々できるんだぜ
322名無しさん@ピンキー:2007/05/31(木) 13:21:48 ID:sYFCqrkv
317に激しく同意する
毎回出す必要はないと思うが、あそこまで変質的なピーマン嫌いになった話を是非とも読みたい
323名無しさん@ピンキー:2007/05/31(木) 13:29:28 ID:Vi3lGLUS
>>321
ぜひこのネタで書いて欲しい
324名無しさん@ピンキー:2007/06/01(金) 10:13:16 ID:gJKsIY4a
そんなインチキアイテム屋を用意できる妹の経済力なり人脈なりの根拠が気になってしまう
325名無しさん@ピンキー:2007/06/01(金) 10:25:03 ID:JgRXhqEq
兄の帰宅路とか遊ぶルート調べ、
途中で露天とかで変装してボイスチェンジャー使って声を変えて、
待ち伏せして売りつけるか押しつけるかすればおk

「ワガママで苦労させられてばかりの妹を素直にするアイテム」
とかで自宅に兄宛てで送りつけるとかな
326名無しさん@ピンキー:2007/06/01(金) 12:26:39 ID:63/iTGJ1
前にそんなネタの成人漫画があったな……。

最後に男が後悔して店長にアイテムを返すんだけれど、
実はその店長と彼女はグルで、アイテム自体には何の効果もなかったとか……。
327名無しさん@ピンキー:2007/06/01(金) 21:05:06 ID:eeXIrlg2
>>326
その漫画のタイトルkwsk
328名無しさん@ピンキー:2007/06/02(土) 03:44:42 ID:5wops/Ra
保守アゲ
329名無しさん@ピンキー:2007/06/02(土) 08:44:06 ID:XPWdKBCq
>>327

スマソ忘れた。
とりあえず、俺の大学時代だからもう4,5年は前だと思うけれど……。
330名無しさん@ピンキー:2007/06/02(土) 11:55:26 ID:o2gosOWt
このスレキモウトは充実してるがキモ姉分が薄い…キモ姉も読みたいぜ
331名無しさん@ピンキー:2007/06/02(土) 13:36:47 ID:N1LxxkRj
たまたま見かけて笑えたw
ttp://thumb2.uploda.org/file/uporg834720.jpg
332名無しさん@ピンキー:2007/06/02(土) 13:40:52 ID:r0HQLI36
どっかで見たような…誰だっけ?
333名無しさん@ピンキー:2007/06/02(土) 14:38:47 ID:B8TOBVcf
DCの白河ことり、何が笑えるのかと思ったらアニメの声優が堀江由衣かw

>>327
北河トウタの「リモ魂」だとオモ
334名無しさん@ピンキー:2007/06/02(土) 21:55:55 ID:AaYI+6LH
双子の話も見てみたいかも
男、双子1、双子2じゃなくて、男と女が双子って設定
335名無しさん@ピンキー:2007/06/02(土) 22:21:28 ID:0VSFpvxr
>>329>>333
情報dクス。
336名無しさん@ピンキー:2007/06/02(土) 22:34:58 ID:pEEanHbR
蛍ちゃんと僕は双子だ
なので同じ学年だ
僕らは仲がいい
いつも一緒に寝てるし、学校に登下校してるし、お風呂も入ってる
最近恥ずかしくなったから辞めて欲しいけど、それをいったら首を絞められた
「私が嫌いになったの?」って泣き笑いの顔で
あわてて否定したら泣き止んでくれた
蛍ちゃんの泣き顔は見たくないのでもう言わない事にする
とにかく、それくらい仲がいいせいか、いつも同じクラスになる
そしていつも隣の席になる
だからいつも一緒に昼食を食べる
あーん、とかもする
蛍ちゃんの髪の毛入りのから揚げとか、僕の唾液入りのスープとか
汚いとか言うのはすでに無い
10年、6歳のときからやってれば、否が応でもなれる
互いのトイレについてくるとか、一緒の場所で着替えるとかも、なれる
いつも一緒の僕ら
双子だから、一緒の僕ら
これを書いてるときも、そばにいる
僕らは一対の翼
僕らは永遠の離れなれない

「ねぇ、祐樹」
「なに?」
「今度、体を一緒にしよっか」
「いいよ」

永遠に

>>334
こんなの?
337名無しさん@ピンキー:2007/06/02(土) 23:00:13 ID:AaYI+6LH
>>336
すげぇwwホントに書いてくれたww
GJ!!ありがとうw
338名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 00:25:58 ID:sieKQt3d
賑wwわwwっwwてwwきwwたwwぜww

>>330
短編でもいくらか、長編もみゃー姉がいるじゃないか。
籠や妹姫、綾・水木さんちシリーズとか、長いのはまあキモウトが多いが。
宇宙妹とかもな。
保管庫を目に焼き付けるほど読むべし。

まあ、少し違うかも知れないがオレが書いてるから待ってろ。
今日中には投下するから。
ここ数日ちょこっとだけ過疎化してたし頑張るぜ。


>>336
GJ!
これは新しい属性。この分量で纏められるのは凄い。

それにしても、ここは願い(妄想)が叶ういいスレだぜ。
そうだろ? みんな。
339名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 00:38:25 ID:RXA5qHJW
双子のキモアネとかキモウトって超ツボだよ!

執着心が桁違いに強そうなのがいい…双子の兄or弟さえいれば他は何もいらないってレベルの
340名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 00:58:53 ID:2OnznVfM
>>336さんの新しいところは、兄or弟の方もキモなところですか。
端から見ると不気味極まるけど、本人たちは幸せカップルなのかな
341名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 01:06:40 ID:Dn9Q/n0q
>>336
GJ!!!!!
男の名前が自分と全く同じ!!!
と言う訳で、今から一人で風呂入って来ます。
342>>336:2007/06/03(日) 01:27:47 ID:3gZLergW
正直言うなら、これ、弟の作品なんだぜ
ヤンデレ、特にキモ姉好きの弟は高校の文化祭の部誌でキモ姉を書くぐらいだ
まぁ、本人がキモウトだけど
343名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 02:56:49 ID:3Vidgcyi
確かにキモウトだなwwww
おまいの弟が美少年ならそれはそれでいける俺
344変名おじさん ◆lnx8.6adM2 :2007/06/03(日) 03:45:04 ID:sieKQt3d
人間、余り口調とか変えるものではありませんよね。
さておき、>>338の投下いきます。
キモ姉を書くのは苦手です。
345彼方より来た姉 ◆lnx8.6adM2 :2007/06/03(日) 03:49:34 ID:sieKQt3d
今思い返せば姉さんは変わった、
より率直に僕の心情を吐露するのならおかしな人だった。
姉木 想火(あねき そうか)。
優秀で優麗。
誰よりも賢く誰よりも強く誰よりも美しく誰よりも僕を愛してくれた姉さん。
どんな時でも僕の傍にいた姉さん。
いつも僕を傍に置いていた姉さん。
朝起きれば傍らに、食事の時は前に、道を歩けば隣に、帰り道は横に。
対等な時は僕の腕を取り僕の手を握り僕と指を絡め僕の顔を見詰め僕の歩幅で歩き、
甘える時は僕の頭を抱き僕の背を撫で僕の胸に触れ僕の首筋を吸い僕の頬に口付け、
ある時には僕の喜びを共に喜び僕の怒りを共に怒り僕の哀しみで共に哀しみ僕の楽しみで共に楽しんだ、
僕よりも僕に詳しく、
僕よりも僕に真剣で、
僕よりも僕を愛する、姉さん。
何処にいても何時であっても何をしていてもどんな事情があっても、
半身のように影さながらに僕の傍にいた姉さん。
その、常に傍らにあった姿を疎ましく、いつも注がれる愛情を煩わしく思い始めたのはいつだったか。

「ふーっ。取り敢えずはこれで一段落、かな」

少ない荷物を開封し終えて、一息付く。
狭っ苦しい、だけど余分な物が何一つ存在しないボロアパートの一室。
僕は受験を期に引越して来た、今日から我が家となる場所で伸びをした。
家を出ようと思ったきっかけは両親の一言だった。
受験を期に自立しろ、と。
ただそれはきっかけであって直接の原因ではない。
姉さん。
実の姉から離れること。それが目的で、長年考えてきたことだった。
両親の言葉は、その時期を早めた程度のものでしかない。
むしろ有り難いくらいだった。
或いは、両親も姉さんのことに頭を悩まさせ、
姉さんから僕を引き離そうとしたのかもしれない。
姉さんは完璧だ。
何でも出来る。何でもこなせる。
家族と比較すれば鳶が鷹をどころかミジンコが人間を生む。
そう言えるほどに優秀で、かつ非の打ち所のない人格者。

ただ、そこに僕と言う要素が絡まりさえしなければ。

姉さんはブラコンだ。それも過分に過大、過度で重度の行き過ぎた。
僕が何処に行くにも付いてくるし、僕が何をしていても横に居る。
僕を叱ることこそあるが基本的にはだだ甘で、
べったりどころか離れている時間の方が少ない。
それでいて勉強も運動も社交も何もかもあっさりと完璧にしてしまう。
僕が幼い頃はそれでも良かった。
だが、弟はいつまでも弟だとしても子供で在り続ける訳ではない。
人間、成長すれば物の見方も変わってくる。
傍に居るという心強さは煩わしさへ。有り難かった愛情は耐え難い重さへ。
どうしようもなく変化していく。
姉さんが嫌いなのではない。
しかし、姉さんが僕に向ける想いは大きく、そして重い。劣等感もある。
自分より賢く、強く、美しく、優しく、人に好かれ、何一つ欠点のない人間が居れば、
それも絶えず傍に居続ければ、自分と比較せずにはいられない。
劣等感。
誰もが姉さんと僕を比べて首を傾げるし、でなくても僕自身が比較してしまう。
本当に姉弟か、と。
同時に、姉さんの青春を時間を才能を可能性を、僕如きのために浪費させるのも良くないと思うのだ。
僕に構う時間を他の事に使えば、姉さんは直にでも偉業の一つでも打ち立ててしまえるだろう。
それが勿体なく、申し訳ない。
自分がひどく罪深いことをしている人間のような気分になる。姉さんは否定するだろうけど。
346彼方より来た姉 ◆lnx8.6adM2 :2007/06/03(日) 03:50:36 ID:sieKQt3d

「少し休む・・・ついでに夕飯も食べて来ようか」

だからこそ、僕は家を出た。
理由を問い質す姉さんに答え、
引き止める姉さんに決意を語り、
それを許さない姉さんを説き伏せ、
わあわあ泣きじゃくる姉さんを宥め、
腕に縋りついてくる姉さんを振り払い、
抜け殻のようになった姉さんの姿を背に、
僕は後ろ髪を引かれながら姉さんと別れた。

それから一週間程。
僕は新学期を前に、残り少ない春休みの一日を部屋の整理に当てている。
と言ってももともとかなり荷物が少なく、朝から取り掛かっているおかげでもう粗方済んだ。
時刻は既に夕刻。
休憩がてら早めの夕飯をとったとして、夜には終わるだろう。
そう思い、数歩の距離にある古びたドアへ足を向ける。

ぴんぽーん、とどこか間の抜けた音が鳴った。

「・・・・・・あれ?」

誰、いや何だろうか。
僕は引っ越したばかり、荷物も届いたのは今朝だ。
個人情報の保護が叫ばれる昨今、まさかこの早さで新聞の勧誘やテレビの集金もないだろう。
どちらにせよ前者は取る積もりも余裕もないし、後者は設置さえしていない。
此処は住人も少ないのでお隣さんもいない。
友人知人が訪ねて来る可能性も、その他色々な事情から皆無と断言出来る。
両親以外で、僕の引越し先を知っている人間はいないのだ。
新学期もまだで、新しい友人も作っていない。

「管理人さんかな?」

妥当なのはそれか。
払うものは払ったので可能性は低いが。
言い忘れた注意でもあるのかも。
そう判断してドアへ向かう。

ガチャリと、かけた鍵の開く音がした。

「え?」

ばん、とドアが開かれる。
差し込む夕日を背に、細めた目に浮かぶ輪郭。
見覚えのあるそれは。

「蒼河(そうか)ちゃんっ!」

女性特有の、そして特に聞き慣れた高音で名を呼ばれた。
決して男らしくはない名前。
姉さんが強行に主張して名付けたと言う僕の、姉さんと同じ名前。
僕に対してその呼び方をするのは一人しかいない。

「え!? 姉さ────────」

「蒼河ちゃん蒼河ちゃん蒼河ちゃんっ!」

タックル。
跳び込んで来た姉さんに押し倒され、強かに後頭部を打つ。
347彼方より来た姉 ◆lnx8.6adM2 :2007/06/03(日) 03:52:23 ID:sieKQt3d
「ああ・・・蒼河ちゃんだ。本当に蒼河ちゃんだ。
 蒼河ちゃんの肌、蒼河ちゃんの体温、蒼河ちゃんの匂い。
 蒼河ちゃんの────汗」

「っつぅ・・・姉さん? 一体、どうして此処に・・・ぅうっ!?」

冷房のない部屋の中の作業、首筋に滲んだ汗を舐め取られる。
犬猫のそれと違ってゆっくりと丁寧に、撫でるように擦り付けるように舐め上げられた。
堪らず声が出る。
くっ、と反射的に上向いた背と首が戻ると、嬉しそうな姉さんの瞳と目が合った。

「久し振り蒼河ちゃん。本当に久し振り、蒼河ちゃん。
 どうして一週間もお姉ちゃんの傍からいなくなったの?
 蒼河ちゃんの姿が見えなくて声が聞けなくて肌に触れられなくて匂いを嗅げなくてキスが出来なくて、
 お姉ちゃん死ぬかと────ううん、死んだかと思っちゃった」

「ね、姉さん、それは説明・・・いやそれよりどうして此処に?
 いやそもそもどうやって鍵を?」

「うふふ。だって家族だもの。お姉ちゃんは蒼河ちゃんのお姉ちゃんだもの。
 合鍵を借りるくらい簡単だよ。
 それに、知ってるでしょ? 
 物理的だろうと電子的だろうと、お姉ちゃんの前には鍵なんて飾りです。
 住所も、一週間あればテロ組織の拠点まで見つけられるよ」

背中から倒れた状態のままの僕に抱きつき、
胸板に顔を擦りつけながら上目で姉さんは言った。
確かに過去、姉さんにはありとあらゆる自室の鍵を無力化されている。
ついでに、回答を一つ先回りされた。
姉さんに、此処の住所は教えていない。
両親に口止めもしていたが、無駄だったようだ。
姉さんは呆れるほど優秀で、怖ろしいほど完璧で、信じられないほど完全だが、
僕に関係することでは特にその能力を発揮する。
説得にばかり意識を裂いて、後のことを失念していた。
他の事には万事において大した関心を向けない姉さんだが、
僕の事にだけは親のように過保護で、家族のように心配性で、恋人のように盲目的で、
決して諦めたまま終わる人ではなかったのだ。

「蒼河ちゃんが何処に居ても一緒、何をしても一緒、どんなことあっても一緒。
 それがお姉ちゃんだもの。
 誰にも邪魔はさせない。
 誰の邪魔でも許さない。
 誰が邪魔でも関係ない。
 それが、お姉ちゃんだもの。でも・・・・・・今度のは、ちょっと辛かったなぁ。
 ねえ蒼河ちゃん。ねえねえ蒼河ちゃん。
 何がいけなかったのかな?
 何が足りなかったのかな?
 何が、行き過ぎたのかな? ねえ教えてよ、蒼河ちゃん。
 お姉ちゃん、あれから考えたんだ。蒼河ちゃんがお姉ちゃんから離れようとしたのは何でかなって。
 でもね。考えても答えは出なかったの。ダメだよね?
 天才とか色々言われていても、お姉ちゃん、蒼河ちゃんの事が関わると何も分からなくなっちゃうの。
 だから、ね。蒼河ちゃんが教えてくれないかな?
 駄目な所は直すから。直せない部分は切り捨てるから。
 たとえそれが何であろうと、お姉ちゃんは蒼河ちゃんのためなら────」

「ストップ! 姉さんそこまでっ!
 とりあえず一旦体を退かせて欲しい。
 ドアが開いたままだし万一見られでもしたら・・・うん?」
348彼方より来た姉 ◆lnx8.6adM2 :2007/06/03(日) 03:54:47 ID:sieKQt3d
姉さんの細い肩に手をかけて引き剥がす。
姉さんの技量なら難なく僕の抵抗を無にできるはずだが、
言葉を切ってあっさりと退いてくれた。
こういう所は本当に優しいというか押しが弱い。
唯一、僕から距離を取る事だけは絶対に了承してくれないけど。

「ねえ、姉さん。アレは何かな・・・?」

姉さんが体を退かせてくれたお陰で見えるようになった視界の中に、妙な物がある。
旅行用のキャリーケースだ。それもかなり大きい。

「ああ、アレ? アレは私の荷物だよ蒼河ちゃん」

「え・・・荷物? ちょ、ちょっと姉さんどういう事!?
 まさか此処に住む積もり?」

「うん、そうだよ」

頷き、当たり前じゃないそんな事お姉ちゃんは蒼河ちゃんの傍に居るんだから何があってもずっと、
と姉さんは言うが冗談じゃない。
これじゃあ本末転倒以前の問題だ。
住み慣れた家を出てわざわざ引越しやその他色々な苦労や金を使ってまで姉さんから離れたのに。

「ね、姉さん。でも悪いけど此処は姉さんと二人で住めるほど広くはないし」

「お姉ちゃんは蒼河ちゃんが傍に居るなら住む場所なんて何処でもいいよ」

一蹴された。

「御飯は今まで通りに全部お姉ちゃんが作るし、蒼河ちゃんがいれば娯楽なんて要らない。
 布団は蒼河ちゃんに抱き締めて貰うから別にいいし、此処の広さでも二人は並べるから。
 住所と一緒に此処がどんな部屋のかも調査済み。お姉ちゃんは一向に構わないよ」

「う・・・あう・・・」

まずい。
完全に姉さんのペースだ。このままでは引越しも終わらない内に事が終わってしてしまう。
そう思った時。

「それに、いざとなったら引っ越せばいいし」

「いや、それは無理だよ姉さん。
 僕はもうお金がないし、幾らか出して貰ったばかりだから父さん達ももう協力してくれないよ」

「ふふ・・・そっか。蒼河ちゃんは知らないよね。知っているはずがないよね?」

そう言って、身を起こすとぱっとキャリーケースの下へ歩く。

「お姉ちゃん、ちょっと訂正するね。
 これは蒼河ちゃんとお姉ちゃん、二人の荷物だったよ」

告げて、笑みと共に開かれたそれから。
ボトボトと、札束が落ちた。

「お金なら沢山あるの。
 蒼河ちゃんと買い物に行ったりするのはいいけど、毎回お金を下ろすのも面倒だしその時間が勿体ないから、
 そのまま持って来ちゃった。お姉ちゃん、カードは持ってなかいし」

厚みから言って、テープで纏められたそれは一束辺り百万円。
せいぜいがテレビでしか見たことのない代物だ。
349彼方より来た姉 ◆lnx8.6adM2 :2007/06/03(日) 03:56:54 ID:sieKQt3d
「姉、さん。どうしたの? そのお金」

まさか姉さんが偽札に手を出したはずもない。
稼ごうと思えば、姉さんならゼロから始めても幾らでも稼げるだろう。
だが、それにしても額が大き過ぎる。
はちきれたようにケースの圧力から開放された札束は幾つかが安いアパートの床に転がり、
ケースの内部には落ちた分の何十倍という数が詰め込まれている。
姉さんがわざわざ所得を僕に隠していたはずもない。
そもそも、能力はあっても僕と要る時間を減らさないために姉さんはろくに働いていなかった。
それでも人並みには稼いでいたとは言え、この一週間足らずでどうやって。

「保険金」

姉さんはどうでもいい事のように呟いた。

「これはお父さんとお母さんが死んだから貰った保険金なの。
 教えたら蒼河ちゃんは泣いちゃうと思ったから、直ぐには教えなかったけど。
 蒼河ちゃんがお家を出て行った二日後くらいかな。
 お父さん達が落ち込んでるお姉ちゃんを見て気分転換させるために連れ出したドライブ先で、
 二人とも死んじゃった。
 体を縦に引き裂かれたみたいになって。
 お父さん達が、蒼河ちゃんとお姉ちゃんの間を引き裂こうとしたみたいに」

「・・・・・・ぇ」

多分、上手く声は出なかったと思う。
姉さんは僕に嘘は言わない。真実を語らない事はあっても、嘘だけはつかない。
だけど、僕は姉さんの甘い声で語られる情報を認識出来なくて。

「あ、やっぱり悲しい? そうだよね。
 お姉ちゃんも、蒼河ちゃんを産んでくれたお母さんとお父さんには感謝してるし。
 でも・・・その死を悲しんでばかりもいられないんだよ?」

姉さん。
姉さんは、僕に何を言っているんだ。

「これから、蒼河ちゃんとお姉ちゃんは二人で生きて行かなくちゃいけないの。
 このお金はそのために、
 蒼河ちゃんとお姉ちゃんの生活のためにお父さん達が残してくれたんだから。
 だからお姉ちゃんも、直ぐに手に入るように手配したし。
 あ、でも蒼河ちゃんは気にせず使っていいからね?
 お姉ちゃんが適当に増やすから。株なり何なりで。
 蒼河ちゃんが欲しい物を買うためだったら、お姉ちゃんいくらでも頑張っちゃう。
 ・・・・・・でもね、蒼河ちゃん。その前に一つだけ言っておきたい事があるの。
 聞いてくれる?」
350彼方より来た姉 ◆lnx8.6adM2 :2007/06/03(日) 03:59:27 ID:sieKQt3d

「・・・・・・」

僕は、反応、出来たのかどうか分からない。
だが姉さんは僕の瞳を嬉しそうにしばらく見詰めた後、笑うように唇を開いた。

「お父さん達が死んじゃって、蒼河ちゃんとお姉ちゃんは二人だけ。
 たった二人だけ残された家族なの。
 ねえ、分かる? この意味が。
 残された家族は、身を寄せ合って生きて行かないといけないの。
 もう二度と引き裂かれたりしないように。もっともっとお互いを大事にするために。
 だから。だからね、蒼河ちゃん?」

姉さんが喋っている。
姉さんの話を信じるなら、もう僕に唯一人だけ残された家族である姉さんが。

「お姉ちゃんともっと仲良くなろう?
 居なくなった人間の分だけより強く、より深く、より太く、家族の、姉弟の絆を作ろう?
 そうしてお姉ちゃんと蒼河ちゃんだけでずっと、ずぅっといつまでも寄り添って生きて行こう?
 だって────」

最後、ふわりと歩き出したかと思うと姉さんは僕の前に屈んで。

「お姉ちゃんと蒼河ちゃんは血の繋がった姉弟だもの」

僕と唇を合わせて、微笑んだ。
351変名おじさん ◆lnx8.6adM2 :2007/06/03(日) 04:04:28 ID:sieKQt3d
投下終了。
眠気と戦いながら急いで書いたので、あちこちおかしいかもしれません。
余りキモくなかったような気も。一応、両親は殺っているんですが。

やはり私はまだしもキモウトの方が向いているようですね。技量の低さは許してください。


双子は大好きですが、いつか>>342の方の弟のようなキモウトスレが立つのか。
GJです。
352名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 04:07:27 ID:oPTVdHkS
>>351
GJ!!
この時間帯でみwwなwwぎwwっwwてwwきwwたww
353名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 04:07:47 ID:rOuwsfeX
最速のゲロキモ姉神GJ!!


こ れ は キ モ す ぎ ま す よ!
354名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 04:13:45 ID:IntF3Zs6
この時間に先客がいるなんて・・・悔しい・・・!(ビクビクッ
>>351
GJ!!姉貴恐ろしす・・・
355名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 04:25:37 ID:9BVqGjS8

  ( ゚д゚)   
_(__つ/ ̄ ̄ ̄/_ 殺人予告…
  \/    /
     ̄ ̄ ̄

  ( ゚д゚ )   マジ!?     
_(__つ/ ̄ ̄ ̄/_ 
  \/    /
     ̄ ̄ ̄

こいつ2chで殺人予告しやがった…おまいらもなんか言ってやってくれないか?

殺人予告
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/gamespo/1180763237/l50
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
1 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2007/06/02(土) 14:47:17 jULcOF96
明日秋葉原で1人を殺す

2 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2007/06/02(土) 14:49:16 P1Ty9CQM
通報しますた
356変名おじさん ◆lnx8.6adM2 :2007/06/03(日) 04:32:02 ID:sieKQt3d
皆様、何というレスの早さ。
この流れなら言える。

上のSSを書いてる間に双子キモ姉・キモウトの発想に刺激され、
実は先に双子(でも兄+キモ双子妹)を書いたので投下。
2レス分。余りキモくありません。何ならあぼーんで。
357妹−I−妹 ◆lnx8.6adM2 :2007/06/03(日) 04:33:08 ID:sieKQt3d

僕にはちょっと危ない双子の妹がいる。
深高 射空(みたか いそら)と深高 断海(みたか たつみ)。
二人は本当にそっくりで、僕にしか見分けがつかない。
そして二人は、兄の僕を軸としていつも対象に並んでいる。
358妹−I−妹 ◆lnx8.6adM2 :2007/06/03(日) 04:35:36 ID:sieKQt3d
「ねえ、兄様」
「ねえ、兄様」
「うん? 何だい、二人とも?」
「どちらが射空?」
「どちらが断海?」
「うーん。僕から見て右が射空だな。逆が断海」
「見事に正解、右が射空です。兄様」
「見事に正答、左が断海です。兄様」
「うん、よかった」
「所で、兄様。聞きたい事があります」
「時に、兄様。言いたい事があります」
「ん?」
「この間、帰り道で兄様と一緒にいた女は誰ですか?
 射空と断海が傍にいない間に」
「その間、帰る道で兄様と一緒にいた女は誰でした?
 断海と射空が傍にいない間に」
「ああ・・・彼女はクラスメイトだよ。委員長さんなんだ。
 提出物関係でちょっとお小言を貰ってね。途中まで道が同じだって言うから、帰りながら」
「あの女、兄様の敵? 射ち殺してもいいですか?」
「その女、兄様の敵? 斬り殺してもいいですか?」
「ダメだって。そもそも敵じゃありません。
 まったく、二人ともそうやってすぐに物騒なことを言わないって約束しただろ?
 ・・・・・・怒るよ?」
「そ、それは困ります! 射空は兄様に嫌われるのは、怖い」
「そ、それは困ります! 断海は兄様に怒られるのは、恐い」
「じゃあ、これからは気をつけること。
 あと間違ってもこの間みたいに僕の友達にボウガンとナイフで襲い掛かったりしないこと。
 問題にならないように土下座して謝り倒して、あの時は本当に苦労したんだから」
「しかし・・・兄様に近付く敵は」
「けれど・・・兄様に近寄る女は」
「言い訳しないっ!」
「はい。射空は了解しました、兄様」
「はい。断海は了承しました、兄様」
「分かればよろしい」
「では兄様、今日も夕飯の買出しに行きましょう。普段通りに手を繋いで」
「では兄様、今日も夕飯の買出しに行きましょう。言葉通りに手を繋いで」
「ん、そうしようか。今日は何がいいかな?」
「射空は兄様の作るハンバーグを希望します。ソースは断海が」
「断海は兄様の作るハンバーグを希求します。ソースは射空で」
「はいはい。本当、二人ともどんな料理でもソースやドレッシングだけは手作りだよね。
 あれは美味しいからいいけど」
「はい。楽しみにしていて下さい。
 断海、今日も兄様の口に美味しいソースを運びましょう? 美味しい水で」
「はい。楽しみに待ってて下さい。
 射空、今日も兄様の口に美味しいソースを運びましょう? 美味しい蜜で」
「じゃあ、行こうか。射空が右手、断海が左手ね」
「はい、兄様」
「はい、兄様」

概ねこのように。線対称で、左右対称の妹達に僕は挟まれている。

「ですが、兄様に近付く者を射空は許しません。必ずや鉄槌をその身に」
「だけど、兄様に近寄る女を断海は逃しません。必ずや鉄塊をその身に」
「下します」
「落します」
「兄様は離さない」
「兄様は渡さない」

僕はいつも妹達に挟まれていて、不思議とその間に誰かが入ることはない。
僕の左右は二人の定位置である。そして二人の間は僕の定位置なのだった。
359変名おじさん ◆lnx8.6adM2 :2007/06/03(日) 04:36:39 ID:sieKQt3d
投下終了。
イメージ元は某十三階段殺し屋分家双子とラグーンの兄様姉様殺戮双子です。
ああいう喋り方する双子は好きです。キモウトならなおよし。

スレ汚しにならねばいいのですが。
360名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 04:56:01 ID:zt56FYmX
あんた達、こんな明け方になんちゅうモノを見せてくれるんや。

GJ
361名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 05:27:44 ID:2SBYPw2z
最近よく眠れないんだよな・・・だいぶ朝早く起きちまったよ・・・と
思ったら凄い投下キタワァ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n’∀’)n゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!!!!

変名氏GJ!!次回も期待してまつ!!
362変名おじさん ◆lnx8.6adM2 :2007/06/03(日) 07:12:54 ID:sieKQt3d
彼方より来た姉がたまたま皆様のツボに入っただけで、
私の平均の技量は期待して頂く程の物でもないのですが。

有り難いお言葉に、謝意を込めてもう一本贈らせて頂きます。

投下
363意図操る妹 ◆lnx8.6adM2 :2007/06/03(日) 07:14:26 ID:sieKQt3d

さて。
仮に極めて一般的な感覚で以って其処を見た者が居たとして。
彼または彼女はどのような感想へと至るだろうか。
先ずは、赤い。これだろう。
生命より流れ出たばかりの鮮血。
命の象徴たるそれは暗闇の中で徐々に熱を失って行き、
生の温もりと死の冷気を混在させる。
次は臭い、か。
血の臭気など常人が耐え得るものでない以上は当然だ。
経過した時間によっては腐臭さえ帯びる。
否。
己が吐瀉物のすえた臭いが先かもしれない。

そこには渇ききらぬ血と、死体となった肉があった。



「これはまた、随分と派手にやりましたね」

暗闇に足音が響く。
律動のように一定で、高く、鋭い。
女性の履物の音が闇を裂くように鳴る。

「臭い」

廃工場が、朽ちた倉庫か。
闇夜の降りる刻限、彼女はそんな場所にいた。
月光を浴びるのでもなければ星見のためでもない。
思考に浸りながらの散歩とも違う。
それは観察だった。
見届ける、と言う方が適切だろうか。

「本当、似合いの末路」

微かな月明かりに照らされる空間に辿り着いた彼女の前には、流血と亡骸があった。
双方共にまだ新しい。死んでるのは明白だが、警察が調べた後でないのも同様だ。
しかし、彼女の見た目がまだ成人にも満たない事実に反して、
死体を見ても表情には些かの揺らぎもなく、か細い喉は悲鳴の兆候さえ見せない。

何故なら、それは彼女がなした事の結果だからだ。

彼女が直接人間を亡骸に変えた訳ではない。
が、無関係かと言えば全く異なる。

二つの亡骸は、どちらもある学園の生徒。
着ている制服の柄から先輩後輩の間柄だ。
その死肉の有様は凄惨を極めている。
肉を抉り骨を斬り砕き眼球を抉り顔面を削ぎ皮膚を裂き臓腑を引き出す。
とても当人同士で殺しあった結果には見えないだろう。
凶器は鉈に鋸にと、その凶行を生んだ狂気は何だったのか。
プロにしては効率が悪過ぎ、素人にしては凶状が過ぎる。
まるで異教徒同士か近代以前の殺し合いだ。
死体に慣れている人間でもそう正視には堪えないだろう。

それを見て、彼女は笑っていた。
364意図操る妹 ◆lnx8.6adM2 :2007/06/03(日) 07:16:28 ID:sieKQt3d

「っふふ・・・馬鹿な人達。
 本当に滑稽に踊らされるマリオネットでしたね」

彼女もまたある学園の制服を着ていた。
死体のうち後輩が着ている物と同一の物だ。
同じ学園の制服を着た彼女が、学園の生徒二人の死闘の現場を訪れる。
偶然のはずもない。

「滑稽すぎて憐れむ事も出来ません」

警察の手が入ればいずれ知れる事だが、
死体達は生前はある学園の先輩後輩の間柄で、
ある一人の男子生徒を取り合っていた。
血塗れのこの場は、その痴情の縺れの果てである。
だが。
多く女は恋に生きると言われるとは言え、拷問を受けたような死体が出来上がるまで殺し合うだろうか。
否。
そこに、彼女の介入があった。

『彼女』は骸となった女性達が奪い合った『彼』の実の妹である。
彼女は片方に言った。
『あんな乳臭い小娘に兄を任せられません。
 兄には大人の包容力を持った年上の女性が望ましいんです。
 これから受験や様々な出来事の間に兄を支え、時に叱咤して育て上げてくれるような』
もう片方にはこう言った。
『あんな年増に兄さんは任せられません。
 兄より先に学園を出て、どこか離れた場所へ進学するでしょう。
 進学せずにあの年で就職と言うなら端から問題外ですし、
 そうでなくとも遠距離恋愛など寂しいだけです。
 兄に必要なのは、より長く身近で兄を支えてくれる人』

明言は避けて匂わすだけ、
そして互いにより有利と思い込ませつつも言質を与えないことで口には出させないようにし、
裏から二人の争いを過熱させていく。
後は簡単だった。

その成果が、目の前に転がっている。

彼女は笑った。

「包容力? 兄さんを支える? より長く身近で?
 うふふふふふっふふあはあはははははははははははははははっ!!
 愚か過ぎて爆笑物ですよ!
 誰よりも兄さんの世話をして誰よりも兄さんを支え続けて誰よりも長く兄さんの身近に居たのは、
 この私なのにっ!」
365意図操る妹 ◆lnx8.6adM2 :2007/06/03(日) 07:18:56 ID:sieKQt3d

笑いが止まらない。
邪魔者は排除した。
彼女の愛する誰よりも慈愛に溢れた兄とて、よもや腐り出した肉塊に情を抱いたりはすまい。
一人勝ち。
いや勝負にさえなっていなかったのだ。
あらゆる点でアドバンテージを握り、それでいてなお努力を怠らぬ彼女に敗北などありえない。
戦場で最後に立っていた者を勝者とするなら、
全員が殺し合い死に絶えてから戦場に入った彼女は最高の勝利者だ。

「これで兄さんが私を見てくれる────────また私だけを見てくれる!
 私の笑顔で起きて私の料理を食べて私にお礼を言って私と手を繋いで歩いて私とお弁当を食べて
 私と帰りながら買い物に付き合って私の残り湯のお風呂に入って私と同じベッドで寝てくれる!
 っああ・・・・・・私は幸せです兄さぁああんっっ!!」

余りの喜悦に涙が滲み、愉悦に蜜が溢れる。
兄を、戻って来た彼との思うだけで果てそうだ。
舐めしゃぶる指を伝って唾液が落ち、粘る蜜で下着がしとどに濡れる。
意志は兄と過ごした過去、兄と過ごす未来へと飛び、瞳は忘我の輝きを宿していた。
胸が張り詰め、抑え切れぬ情愛が二つ並んだ突起を更に尖らせる。
涎に塗れた右手を引き抜き下腹へ、左手を胸へとやった。
突き込んで蠢かせ、鷲掴んで弾き上げる。

「っあ・・・にぃ、さぁ・・・んんんんんんんん〜〜〜〜〜〜っっ!?!!」

果てた。
虚ろな瞳で首を上向かせ、指を引き抜いた際に垂れた唾液が口から喉下まで濡れ光る軌跡を描く。
空腰を打つ下腹からは流れ出すように雫の糸が伝い、がに股の膝の間を垂直に落ちていた。
愛情で死ねると思った。
焼き切れて断線した意識が繋がりを求めて漂う中、記憶に裏打ちされた確固たる兄の姿に抱かれて眠る。
死人に口はなく、敗者を前に勝利は甘美に酔い痴れていた。



「さてと」

暫くして。
彼女は身支度を整え、骸の横たわる場を後にする。
結果だけ確認できれば、後は毛程の関心もなかった。
もう邪魔者はいない。
そして、あの優しい兄は知人の死にひどく気落ちするだろう。
彼女はそれを慰めるだけ。
手を汚すことも無く。戦場に立つことも無く。
それでいて、最後は勝利者となる。

「ではさようなら。泥棒猫にもなれなかった雌猫さん達。
 貴女達の愛情モドキ、勘違いの押し付け恋愛なんて私が相手をするまでもありませんでしたね」

兄のためを想えばこそ。
兄を取り合って間に挟まれた兄を苦しめるような者達など生かしておけない。

「それでは」

掃除は終わった。
嘲笑を浮べながら慇懃に一礼してその場を去る。

知人二人の死を知った彼が体調を崩すほどショックを受け、
それを学校を休んだ彼女が付きっ切りで看病するのは翌日以降の事。
366意図操る妹 ◆lnx8.6adM2 :2007/06/03(日) 07:23:15 ID:sieKQt3d
投下終了。
流石に燃え尽きました。
ここ16時間で10〜12時間くらいはSS書いているような。
確か起きたのは昨日の朝九時前でしたし、ナチュラルハイに突入してます。
この三作は最初の彼方〜を書き出したのが昨日の昼か夕方からでしたし。

喜んでいただけたなら幸い。

では、私はこれより就寝します。願わくばキモウトの夢を。

ではまた、このスレで。
367名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 07:24:24 ID:sieKQt3d
コテ間違える程度にはヤヴァイようです。
すいませんorz
以上、変名おじさんでした
368名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 08:10:42 ID:Cx24va0X
ヤバイヤバイ
昨日から このスレにハマってしまった
実はヤンデル姉とか妹はツボなんだ

全ての作者にGJ
369名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 09:19:40 ID:7Wv66kEd
>>367
つまんねんえええねねね
370名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 10:07:52 ID:z966MeLB
変名おじさんおつ!
昨日の夜から30レスくらい進んでて吹いたw

完璧姉の続きに期待。
371名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 10:43:30 ID:rjcPYQKN
>>366
お兄ちゃんが一日百通くらいメールを送りたくなるようないいキモウトですね。
GJ!
372名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 13:45:49 ID:qksWoDzt
連投3作品GJ!
全部続きが読みたいです。頑張ってください。
373名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 15:07:24 ID:i8Z9V327
投下する作家さんにお願いしたいんだが
書きたいものを書くっていうのは大切だと思うんだけど
ここは「エロ」パロ板であってそれを期待してみている人も多いって事を思い出して欲しいな。

最初からエロなしとして読む分には大丈夫でも
エロが来るって期待しててサラッと終了されるとツライ。
374名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 15:36:18 ID:sieKQt3d
>>373の方。
ふむ、そうなのですか。
確かに板の性質を考えるとそういう方も多いのかもしれませんね。
皆様に対してテンプレでの義務化まではともかく、
特にエロ描写のない私は投下前に断りの文言でも入れておくべきでした。申し訳ない。

面倒の省略の意味でも先に宣言しておきますと、
私「変名おじさん」の作品にエロはありません。あっても、実用レベルでは有り得ません。
経験の都合上無理です。

ですので、私の作品をご覧になって頂ける方には、
大変申し訳ないのですがそれを踏まえた上での閲覧をお願い致します。
正直、エロを読むのはともかく書くのには魅力を感じないので。技量的にも難しい。

スレチの書き込み、お目汚し申し訳ない。
「水木さんちの昼御飯」書いてきます。
375名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 15:42:46 ID:Cx24va0X
たしかにここは『エロ』パロだが、エロ無しでも作品の内容を楽しんでいる住人もいるぞ
エロとそうでない作品が共存して住人を萌え転がしているスレもある
玉石混合 たまに宝石在りってのが楽しいのじゃないかw
376名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 15:52:35 ID:MxFNKJos
>>375
>住人を萌え転がしているスレもある

俺・・・このスレのキモウトやキモ姉のキモイ行動みてたら、心がムズムズするんだが
これが萌えだったのか・・・
377名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 16:14:00 ID:YwN6zpOH
>>374
というより、筋としては非エロ創作系の板で投下するべきなんでないの?
仮に美味しいカレーでも寿司屋で出されたら当惑するだろ
378名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 16:17:42 ID:EjunvShC
間違っちゃいないが
その例えはいかがなものか
379名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 16:36:33 ID:V+l3B1Mt
変名おじさんが一番キモい件について
((;゚Д゚)ガクガクブルブル
決して褒め言葉ではない。
380名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 16:45:08 ID:fyK5x0IR
>>351
GJ
381名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 17:35:31 ID:y6xx7880
>>376
それが萌えだ!!同志よ!!共に萌えよう!!

>>374
非エロ系の創作板なんてあるのか・・・知らなかった・・・是非誘導兼案内してくれないか?
382名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 17:36:47 ID:y6xx7880
×>>374
>>377

安価ミススマソ
383名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 18:06:51 ID:/n6VKF7p
投下する可能性のある身としては
注意書きをしておけば非エロもスレ投下OKにして欲しいところだったり
さすがにいつもエロスな気分で書くわけじゃないし
もし長編とか書くとしたら毎話エロ分を盛り込むのは至難だし…
384名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 18:43:19 ID:kbqUSkEF
>>383
>>375でFAだと思います。
投下期待してますよ
385名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 18:51:46 ID:jgg49bUL
ところで、エロ分はどんなのでも良いの?
・キモ○の恋敵凌辱
・キモ○まさかの敗北、意中の人と恋敵の性交を覗き
・恋する妹はせつなくて、お兄ちゃんを想うとすぐにHしちゃうの

とか、はたまた変態色の強いのや。
386名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 19:01:04 ID:kv1zgEMZ
>>369
禿同

3作品全部つまらんってどういうレベルだよw
387名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 19:52:22 ID:MiP6hRnV
ここに来てる連中って 姉・妹のキモさ>>>>>>エロ なのばっかなのか?
388名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 19:57:45 ID:ZiLBB682
当たり前だろうが
389名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 20:51:02 ID:7QXG2Dx2
エロは他でも補えるしな。
390名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 20:59:04 ID:/piWz7Nv
エロじゃあ得ることができない萌えがある
それがキモウトキモ姉という存在だよ
391名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 21:08:12 ID:RoWF7/Nn
エロもおkでエロなしもおkな所だという認識でした
392名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 21:10:11 ID:RUMmLojY
面白ければエロ無しでもおk
面白くもなく、エロも無いんじゃ……な?
393名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 21:17:36 ID:N8m5SjIK
内容が猟奇含んだり、ドロドロした心理描写や修羅場があったと、エロいことだけが18禁の要件とは限らんのよな。
若い時にはそれにも気付かずに脳が猿と化すから困る。



言って見たかったんだ。
今は反省している。
394名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 21:21:41 ID:RUMmLojY
18禁かどうかではなくエロかどうかを問うてんじゃね?w
395変名おじさん ◆lnx8.6adM2 :2007/06/03(日) 22:39:43 ID:sieKQt3d
そう言えば、投下タイトルにトリつけるのは長編だけが推奨されてましたね。
ミスしました。
本日投下分の作品に関しては、続く予定がないのが正直なところです。
期待して下さった方には申し訳ありません。
彼方〜は、気が向いたら姉視点でだけ書いて終えるやも。

今のところ続く予定があるのは水木さんちシリーズのみ。
これが一番需要ないのでしょうが。
今日のは特にクオリティ低し。

投下します。
無論エロなし。gdgdです。
396水木さんちの昼御飯:2007/06/03(日) 22:44:47 ID:sieKQt3d
昼休み。
人もまばらな校舎の屋上で、オレは妹と並んで弁当を広げていた。
妹と並んで、妹が作った、妹と同じ弁当を食べる。
慣れているとは言え流石に気恥ずかしいものがあるが、
拒否すると妹の作る弁当の数が一つ減るので妥協している。
学生の小遣いでは、出来る限り食費の負担を減らしたいのだ。

「美味しいねー、お兄ちゃん」

「ああ」

しきりに話しかけてくる妹と適当に会話をしながら、箸を進める。
何のかんのと今日は妹にやられっぱなしだ。
早く食って教室という他学年の人間を寄せ付けない空間に戻った方がいい。

「えへへぇ。やっぱりお兄ちゃんへの愛情が染み込んでいるからかなー?」

「馬鹿言うな、折角の飯がマズくなる」

「あ、ひどいー!」

しかし美味いのは事実なわけで、悔しいが食は進む。
が、弁当箱の一角を見て箸が止まった。細めた視線を妹に向け、そこを箸で指す。

「大体、これは何だこれは。
 何が『お兄ちゃんLOVE』だよ!」

「んーとねー。愛妹弁当ー!」

箸の先には白米と食紅でハートマーク、そして『お兄ちゃんへ愛を込めて』という文字。

「アホかっ!」

かき混ぜてぐちゃぐちゃにしてやった。

「ああー!?」

妹が抗議の声を上げながら咄嗟に止めにかかるが、そのトロい動きではもう遅い。
数秒でハートマークは消え去った。

「あううぅ、ひどいよお兄ちゃーんっ!」

珍しく本気で気勢を上げる妹。
それにしてもくりくりした瞳を多少細めて短い腕をぶんぶん振り回す程度だが、
それでぽかぽかやられると流石に鬱陶しい。

「痛ててててっ、止めろって────ん?」

と、視界の端で屋上の扉が開くのが見えた。閑散とした屋上に、人影が増える。
友達と一緒に昼飯を食うでも教室で駄弁るでもなく、一人で屋上に上がってきた暇人。
妹もオレの反応で気付いたのか、そちらに目を向けた。

「・・・・・・」

隔てる物の無い屋上を吹き抜けて行く風が、腰まで伸びた黒髪を揺らす。
揺らされて目にかかる前髪を手で押さえながらキョロキョロと辺りを見回すと、
しっとりと艶やかな髪とは逆に活力に輝く同色の瞳と目が合った。
普段から明るく周囲に向けられる表情がぱっと笑顔に変わる。
探し物を見つけたとばかりに、後ろ手に扉を閉めてから歩き出す。
真っ直ぐ、オレと妹のいるスペースへと。
397水木さんちの昼御飯:2007/06/03(日) 22:46:39 ID:sieKQt3d

「ねぇ、お兄ちゃん。『アレ』は、誰かなー?」

知るか、と言いたいところだが知り合いだった。
が、オレが答えるよりも早く相手が到着する。
オレと妹の前に。

「こんにちわ、大地君。唐突で悪いんだけど・・・お昼、一緒していいかな?」

風に揺れる前髪と、それからスカートを押さえて。
座っているオレに目線を合わせるように屈んだ我がクラスの誇る人気委員長(アイドル)、
羽々滝 翼(はばたき つばさ)はそう言った。

それから少し。
オレは自分と妹とクラスの委員長という、中々ない組み合わせで弁当を掻っ込んでいた。
中々ないこと、日常の変化やその外の出来事というのは大抵新鮮なものらしいが。

「大地君ていつも学食や教室にはいないし、
 購買で何か買ってる様子もないからお昼はどうしてるのかと思ってたけど。
 こういうことだったんだね。妹のさんの手作り弁当かあ。
 それは、昼休みの友達付き合いを放棄してでも食べなくちゃだよね。
 ・・・・・・仲、良いんだね? 兄妹の」

「ま、まあな」

「・・・・・・」

ぶっちゃけ、空気が重い。
何だことの空間は。
饒舌な翼と沈黙する妹、両者の間に挟まれて白黒のオーラに身を晒されるオレ。
オレ、何か悪いことしたか?

「委員長として毎回毎回コンビニのお弁当でも食べてるんなら注意しようとも思ったけど、
 無駄になっちゃったなぁ。
 そのお弁当、一見してバランス取れてるのが分かるものね。
 物凄い手の込みよう・・・・・・まるで愛妻弁当みたい」

「・・・・・・」

妹よ、何か喋れ。
いつもの黙れと言っても止まらない饒舌っぷりはどうした。
今こそその真価を発揮する時だろうが。

「・・・オイ」

「何ー? お兄ちゃーん」

小声で呼びかけるが、間延びした声と裏腹に物凄くどす黒いオーラが見える。
そう言えば、通学路でもこんな感じになってたか。一体何なんだ?

「いや・・・何か喋れよ」

「・・・・・・」

だから其処で黙るな。
398水木さんちの昼御飯:2007/06/03(日) 22:48:24 ID:sieKQt3d
「ねえ、大地君」

「う、ん。何だ、委員長?」

「あ。別に委員長じゃなくて翼でいいけど」

「ああ。じゃあ翼」

「・・・えへっ」

何故そこで笑顔になるのか。
いや、美人が笑うとそれはもう見る方には眼福なんだけどな。

「えっと。そのお弁当なんだけど」

指でも箸でもなく視線で示す翼。

「? これがどうかしたのか?」

唐突に何だろうかと首を捻る。

「ええと。そのお弁当の中で・・・・・・大地君の好物は何なのかなって」

「オレの好物ぅ?」

ちょっと発音が変になったかもしれない。
唐突に加えて脈絡のない質問だった。

「ちょっと気になっちゃって。別に答えてくれなくてもいいけど。
 出来たら・・・・・・教えてくれないかな?」

余り理由にはなってないような。
まあ質問には答えるけどな。

「そうだな。今日の弁当の中ではコ────」

「コロッケー」

横から声。
オレを遮って、妹が頼まれても開かなかった口を開いている。

「コロッケ?」

オレ同様に固まりながらも、翼が鸚鵡返しに訊いた。

「はいー。
 お兄ちゃんはぁ、火風の作るコロッケが大好きなんですよー。
 それもー、クリームとかカニの入らない元祖のコロッケが」

「へえ・・・大地君、そうなんだ?」

頷きで返す。
クリームコロッケとか、どうも歯応えと言うか食感が気に食わない。
やはりジャガイモ中心だろうコロッケは。
しかも妹の作るそれは美味い。
市販のものでも、妹が手を加えただけで違いが分かる。
完全手作りなら尚更だ。
今日の弁当では残念ながら市販のアレンジ品だが、それでも間違いなく美味い。
399水木さんちの昼御飯:2007/06/03(日) 22:50:17 ID:sieKQt3d
「ふうん。そんなに好きなんだ。
 コロッケ・・・・・・コロッケかあ」

何処か神妙な面持ちで頷く翼。
その眼前に、オレの視界を横切る形で腕が突き出される。

「じゃあ先輩ー、一つ食べてみます?」

妹の腕だった。手の先には箸と、コロッケ。

「え・・・いいの? 私が食べても。火風ちゃん、だっけ?」

「はいー」

妹が自分の弁当箱から抜いた楕円の物体が挟まれている。

「お兄ちゃんの大好物、お兄ちゃんの好きなものをぉ、先輩も味わってみませんかー?」

「・・・・・・」

それを、喜ぶような訝しむような表情で翼は見詰めてから。

「さあ、一息にガブッとー!」

「じゃあ・・・少し、頂きます」

見惚れるような唇を開いて、いきなりの申し出に対する緊張に押されるように、
ちょっと意外なほど勢い良くかぶり付いた。

そして、弾かれた様に口にした物を吐き出して後退る。

「〜〜〜〜〜〜〜〜っ!?」

おそらく反射的に口に当てた手。
わなわなと震えるそれがほんの少し下げられた時、
オレがその手の中に見たものは。

「委員長!?
 火風っ! 一体────っ!?」

紛れも無い血の赤色だった。

「・・・えー?」

間違いなく原因に関与している、こんな時でさえ間の抜けた声の妹を睨むように見る。

「何、これー?」

その手が握る箸に挟まれた、三分の一程がなくなったコロッケ。
オレの好物と聞いて翼が興味を示し、妹が差し出した物。

その内部からは、疑いようもなく錆びて茶色を含んだ釘が半ばから覗いていた。
先端に、何か赤色のものが付着している。

「火風、何もしてないよー?
 今日のコロッケはぁ、市販品に手を加えただけだもん。
 火風知らなーい!」

ぼとり、と。箸を掴む力が抜けてコロッケを取り落とす妹。
キンッ、と接触した床と釘が音を鳴らす。
400水木さんちの昼御飯:2007/06/03(日) 22:51:35 ID:sieKQt3d

「・・・はっ!? それより保健室だ!
 委員長大丈夫か? 痛くないか?」

多分、オレ達同様に理解が追いつかないのだろう。
黒い瞳を僅かに濡らしながら、困惑の顔で翼が頷く。
口を閉じたままの翼の手を取ろうとして、横から手が伸びた。

「火風?」

「お兄ちゃんー。先輩は火風が連れて行くよー」

何を言ってるんだこんな時に。

「お前っ!」

「だってぇ、これって火風の作った料理のせいでしょー?
 だから、火風が連れて行くのー!
 火風の料理で人が傷付いて、それはもしかしたらお兄ちゃんだったかもしれなくてー。
 だからぁ、だから火風が責任もって連れて行ってあげるのー!」

きっ、と睨みつけられる。

「分かった。だけどオレも行くぞ」

「それはダメぇ、お兄ちゃんは火風の作ったお弁当を調べてー。
 まだ・・・まださっきみたいなのがあるかもしれないからー」

「・・・・・・分かった。だから早く行って来い」

「うんー。さあ先輩、行こー?」

屋上から階段の奥に消えて行く妹と翼の背を見送る。
何となく視線を下げると、落ちた食べ掛けのコロッケが眼に入った。

摘んで、錆びた釘を取り出す。
五寸釘。

結論から言えば、他のコロッケからも弁当からも、釘なんて見付からなかった。
401水木さんちの昼御飯:2007/06/03(日) 22:54:35 ID:sieKQt3d
廊下の奥を右に曲がる。
直ぐそこに保健室の扉が見えた。
昼休み。教室や付近の廊下、特定の場所以外人気は少ない。

「・・・っ・・・っ・・・」

口内の状態はどうなのか。
羽々滝 翼はその恐怖に閉じ合わせた唇を開くことも出来ず、
鼻息を荒くして足早に扉へと近付いた。

しかし。
ガクン、とその体が動きを止めてバランスを崩しかける。

「〜〜〜!?」

腕を掴まれた感触に振り返ると、
自身の現状の原因にして此処まで付き添ってきた少女、水木 火風(みずき ひかぜ)がいた。
ぎゅう、と強く翼の手首を握り締めている。
仁王のように足を止めて真っ直ぐに立ち、ただ、俯いているために表情は見えなかった。

「・・・っ!」

何なの! と思いながら翼は腕を引くが、ビクともしない。
どころか、掴まれた手首を締める力が一層強くなった。

「ねえ、先輩ー」

垂らされた前髪の奥から声がする。
今日、翼の計画を最初から台無しにしてくれた上に怪我の原因まで作った少女の。

「コロッケー・・・・・・美味しかったですかぁ?」

耳朶に張り付くようなその声に、何故か翼の背筋が震える。

「錆びた五寸釘は────美味しかったですかー?」

鼓動が跳ね上がった。

「お兄ちゃんの傍でのお昼は楽しかったですかー?
 火風のお兄ちゃんの傍で火風がお兄ちゃんとお弁当を食べる時間を邪魔して
 火風とお兄ちゃんの間に入って食べたお昼はー、美味しかったですか?」

更に強く、握力が増して翼の手首が軋む。

「っ痛────んぐっ!?」

「喋らないで下さいねー」

思わず口を開きそうになり、それを逆の手で塞がれた。

「聞くつもりはありませんから」

口を、頬を鷲掴みにされる。そのまま押されて背中を壁に押し付けられた。

「先輩がお兄ちゃんを狙う泥棒猫だっていうのもバレてますしー」

「っんんん!?」

まさか、と思った。
402水木さんちの昼御飯:2007/06/03(日) 22:57:33 ID:sieKQt3d
「だって先輩ぃ、お兄ちゃんがコンビニ弁当とか食べてるようだったら自分のお弁当上げるつもりでしたよね?」

声は続く。

「先輩のお弁当箱、二段重ねだったしー。二段目にご飯もオカズも全部入ってたし。
 あれぇ、お兄ちゃんと先輩の二人分ですよね? 一段目がお兄ちゃんの分」

翼の目が見開かれた。違う、と首を振るが拘束は外れない。
先程から抵抗を試みてはいるが、一体どんな力をしているのか、
翼は自分より小柄な少女の腕を払えなかった。

「火風はお兄ちゃんのことも、お兄ちゃんに関わることも全部知ってるんですよー。
 最近、先輩がお兄ちゃんのことをあれこれ調べまわってたこととかぁ。
 ────昨日、いつもより沢山食材を買っていたこととかー」

火風を睨み付ける。その時、火風が俯かせていた顔を上げた。
ぞっとするような冷めた瞳と、唇を三日月にした笑みと視線が交わる。

「泥棒猫の動向には、いつも目を光らせていないと」

翼の喉奥で悲鳴が漏れ、しかし火風の手で抑え込まれた。

「これで警告はしましたよー?
 わざわざ先輩のために市販品に手を加えた釘入りコロッケを一つだけ用意して・・・。
 予定通り、お兄ちゃんも他のコロッケが何ともなければ火風を疑わないしぃ。
 先輩、分かりましたよねー?
 火風はお兄ちゃんのためならぁ、お兄ちゃんと一緒に居るためなら何でもしますし出来ますから。
 火風からお兄ちゃんを奪おうとする泥棒猫を殺したりも、勿論」

手の隙間から細く呼気だけを漏らす翼を見上げて、火風は笑う。

「次はお兄ちゃんにも気付かれないように遅効性の毒とか盛るから。
 金輪際、火風のお兄ちゃんには近付かないで下さいね、先輩?」

翼が首を振る方向は決まっていた。


「お兄ちゃーん」

「火風か、委員長はどうだった?」

妹の様子からすると大丈夫なのだろうが。

「うん・・・ええっとねー。お兄ちゃん、耳貸してー?」

む、と思いながらも翼のことが気になるので従ってやる。
背を曲げ、耳を口元に寄せてやった。

「えへへぇ。もうお昼休みも終わりだから、ごちそうさまのちゅー!」

二度あることは三度あり、三度あったら四度ある。
またしても、オレは妹に唇を奪われた。・・・不覚。

「先輩は大丈夫だってー。
 じゃあお兄ちゃん、また放課後にねー!」

そう言って、片付けておいた弁当箱を持って行きやがった。
小さな背中を見送ってから、オレも弁当箱を持って階段を下りる。
午後の授業の予鈴が鳴り始めた。
403変名おじさん ◆lnx8.6adM2 :2007/06/03(日) 23:03:13 ID:sieKQt3d
投下終了。
そろそろ眠すぎて何を書いてるのかも分からなくなってきた私です。
キモウト万歳。
しかし何だか余りの眠さにキモ姉にも覚醒しそうな・・・。

予定は未定と言いますが、
当初の予定ならあとは、
「水木さんちの校舎裏」、「お買い物」、「晩御飯」、「お休みなさい」、
と続くはずです。プロットもありませんが。

皆様の暇潰しの足しにでもなれば幸い。
404名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 23:19:32 ID:XMwaWvqn
>>403
つまんないから暇つぶしにならないw
405名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 23:21:48 ID:nWx20u9B
>>403
マジ、コテ通りに頭が変だなwもち悪い意味だがwwwwww
406名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 23:24:22 ID:Zr2U3Gfd
>>405
自覚してるからそのコテなんだろ
407名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 23:28:00 ID:e/O/guuO
>>403
GJ!
五寸釘入りコロッケ……これは流行る!
408名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 23:32:22 ID:tTT/lXg8
>>403
エロ無くても許容され場合もあるがそれは原則としてエロだからたまには良いということ
やはり全くエロを書くつもりが無いならこの板でやる意味が無いんじゃないか?板違いというやつか

ここは努力してエロに挑むべきだとおもうよ
409名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 23:38:33 ID:uYl41wwq
釣られないクマー
410名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 23:40:33 ID:pOhGyG7y
これはいいキモウト。
錆は感染症こわくてカワイソス


嫉妬スレのキチガイ荒らしが、こっちにまで出張っているようだけど
大多数の人間は次作も期待してると思われるので、作者様は気にされず
てかエロどうこう言っていたのも、キチガイの人の工作なことが明らかになったと
思われるので、以後は、その話題はスルーでいいと思います

411名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 23:41:18 ID:RoWF7/Nn
>>403
GJ!!妹マジ怖ぇw
そういやこのスレの妹・姉って戦闘力高いの多いなw
412名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 23:42:28 ID:DzPUIWiq
>>404-406
3分刻みて。わかりやすすぎ。
効果ないって分かっててもう自棄の心境で自演してんだな。
413名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 23:42:52 ID:C7JdkZe/
>>410
だからエロパロスレですよ、ここは

おっと基地外になにいいても無駄かなwsww
414名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 23:51:02 ID:V+l3B1Mt
>>413
おじさん本人が、いい年なのに童貞だからエロいのは書けないと言ってるじゃないかw

あまり、エロにこだわるとかわいそうだぞw
415名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 23:51:45 ID:mPs9WvTT
エロなしマンセーはおかしいが
エロなしの作品が投下されるのはいいでしょ
スレの趣旨にあってるし
面白いし
416名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 23:58:38 ID:sieKQt3d
>>407の方
元ネタではありませんが、アイディア元はひぐらしの針おはぎ(おはぎだったかな)です。

まあ、エロ書く暇があったらキモ姉・キモウトSSを少しでも書くと言うことで。
此処はキモ姉・キモウトスレですから。
私ではエロとキモ姉妹を両立できる神職人にはなれません。
出来てる他の職人様方はまさに神。
417名無しさん@ピンキー:2007/06/04(月) 00:00:43 ID:Nh/Zm2Fk
読点の置き方が独特だから日本語くんはすぐわかるなあ
418名無しさん@ピンキー:2007/06/04(月) 00:11:21 ID:vduvHsL+
>>403
GJ!!!
このスレの姉妹は戦闘力高杉www
次回も期待してますキモ姉妹万歳!!!
419名無しさん@ピンキー:2007/06/04(月) 00:14:53 ID:+HInw1m0
>>416
エロなしでもエロありでもどっちでもいい、とにかく読ませてくれ
っていう俺みたいなやつもここにはいるから気にしなくていいんじゃないかな。

ところでおまいら、キモ姉.exeを実行しても
俺の周りにキモ姉が現れないんだがどうしたらいいんだ?
なんかプロセスにあるotaku.exeも終了できないし・・・。
420名無しさん@ピンキー:2007/06/04(月) 00:18:15 ID:afDDUzlN
>>416
ここは、あくまでもエロパロ板のキモ姉・キモウトスレだから、エロ書けないアンタ
が開き直らない方がいいよ。
荒れる元になるから。

逆にエロを書かなかったら、アンタが荒らし呼ばわりされなくなるよ。
テーマに沿った物が書けないなら、書きたい物が書けるとこに引越しすればいいんだ
からさ。
気を付けなよ。
421名無しさん@ピンキー:2007/06/04(月) 00:23:08 ID:ENhPTFCc
>>419
それはキモウトの罠だ
422名無しさん@ピンキー:2007/06/04(月) 00:42:01 ID:CFP2bzkI
エロなしで〜と言うならそういう物を書いているスレに誘導してくれ
ここ以外でエロなしキモウトみたいなのやってるスレあるのか?
423名無しさん@ピンキー:2007/06/04(月) 01:21:57 ID:afDDUzlN
>>422
創作文芸板に行ったら?
なければ、スレ立てればいいんだから。
424名無しさん@ピンキー:2007/06/04(月) 01:41:15 ID:VJfV8vLO
職人がエロか非エロか最初に示してればそれでいいんでねーの。
別に非エロを分けたところでエロの投下が増えるわけじゃないんだし。
スレの黎明期に投下数を減らすこともあるまい。
425名無しさん@ピンキー:2007/06/04(月) 01:44:27 ID:cq1Hu+7P
404 :名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 23:19:32 ID:XMwaWvqn
>>403
つまんないから暇つぶしにならないw


405 :名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 23:21:48 ID:nWx20u9B
>>403
マジ、コテ通りに頭が変だなwもち悪い意味だがwwwwww


406 :名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 23:24:22 ID:Zr2U3Gfd
>>405
自覚してるからそのコテなんだろ

( ゚∀゚)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \
426名無しさん@ピンキー:2007/06/04(月) 02:29:46 ID:e9jfXADn
変名は西尾維新めちゃくちゃ好きだろ
作品は面白いが、そのキャラクターのネーミングセンスは磨いたほうが良いと思うぞ。
西尾的なのがやりたいんだろうけど、とりあえず火風とか言われても、
騎士と書いてナイトみたいなDQNネームにしか見えん
427名無しさん@ピンキー:2007/06/04(月) 02:39:58 ID:VpvTjO4R
相変わらずキモくて大変宜しいのですが、五寸釘って長さが15センチくらいあったような
428名無しさん@ピンキー:2007/06/04(月) 02:47:55 ID:1knnO1dd
書こうと思ったら先に書かれたw
429名無しさん@ピンキー:2007/06/04(月) 02:52:47 ID:8sxpGtvO
逆に考えるんだ
五寸釘が入るほどの巨大コロッケだったと考えるんだ
430名無しさん@ピンキー:2007/06/04(月) 02:54:23 ID:aXo7NOgB
日本の寸じゃないんだろきっと
あるいは時代が違うとか
431名無しさん@ピンキー:2007/06/04(月) 02:54:47 ID:viLQFFSN
キモ姉が出るアニメなんかないかな……
432名無しさん@ピンキー:2007/06/04(月) 02:59:15 ID:UW6uWAN4
>>426
俺も思ったw
名前や文体(単語を変えて繰り返したりとか)から
ああ、現代学園異能的な話が好きなのだろうな、
書きたいのだろうな、と感じた。
というか、ヤンデレスレとか嫉妬スレには
変名に限らずそれ系のを好きな書き手が多いと思う。
433名無しさん@ピンキー:2007/06/04(月) 03:28:28 ID:7IKDImQo
ここは物を書いたこともないのにエロがないやらつまらないやら
うだうだ言ってる明らかに精神年齢18歳以下だらけのスレですね
434名無しさん@ピンキー:2007/06/04(月) 05:50:29 ID:adLf1OI7
>>433
エロパロと明記してある板に来てエロは書けないと宣言するヤシも
明らかに日本語読解能力が10歳以下と言われても仕方あるまい。

結果的にエロ分が幾分少なめだな・・と思っても或る程度許せるが、
初めから「書けませんが何か?」とか居直られると、「じゃぁ他板行けや」
との反応が返ってくるのは当然でわあるまいか
435名無しさん@ピンキー:2007/06/04(月) 07:20:08 ID:bTnwzFf/
まぁなんだ

萌 え ら れ る

のならいいジャマイカ
キモ姉・キモウト作品にエロの有無など些細な事。
エロパロ板だからといって必ずエロが必要なわけでもないし、18禁レベルのエグい表現が有ったりするし。
そんなにエロが欲しかったら、他スレでも充分補えるから、そっちへ行った方が早いよ?
436名無しさん@ピンキー:2007/06/04(月) 07:33:06 ID:JVjQdnxX
エロは別にいらない俺も居る

だがエロも読みたい気持ちもわかる

ちゃんとエロも書いてくれてる作者さんも居るんだ

それで手打ちでいいじゃないか

全てが自分の思い通りにはならんよ

俺なんかエロ邪魔だから飛ばすもの
437名無しさん@ピンキー:2007/06/04(月) 07:41:34 ID:t5D2790h
議論厨が沸いててうるさいなぁ……。
438名無しさん@ピンキー:2007/06/04(月) 07:43:16 ID:iEXfw0h2
最終的にエロがでるんならそれでええがな
つか誰も気にしてないのにエロエロいってる奴どんだけ発情してんだよwwwwww
一発抜いておとなしくしてろよwwwwwwwwwww
439名無しさん@ピンキー:2007/06/04(月) 07:49:04 ID:JVjQdnxX
一発抜いておとなしくしてろよwwwwwwwwwww


wwwwwwwwww
440名無しさん@ピンキー:2007/06/04(月) 09:13:28 ID:2Zsah1/y
そろそろ無形氏や綾シリーズが降臨してくれないかな。
新たな職人さんも待ち遠しい。

それにしても、僅か二日足らずで随分スレが進んだこと。
やはり休日は賑わう。
441名無しさん@ピンキー:2007/06/04(月) 09:40:34 ID:Bb4VovJL
依存・束縛をするキモ姉妹でエロい場面か……これまであったのは、
監禁して強制射精や逆レイプ、媚薬を盛って誘惑、
ライバル女を襲ったり他の男にレイプさせたりとかだな。
なんか他にキモ設定を生かすシチュがあるかな。
オナニーを見せつけたり、男のオナ現場に踏み込むとかあったっけ?
442名無しさん@ピンキー:2007/06/04(月) 16:04:08 ID:fpXXf1Id
他の男にレイプされるって、よっぽどむかつくキャラじゃない限り鬱になるわ
443名無しさん@ピンキー:2007/06/04(月) 18:47:46 ID:+HInw1m0
>>442
キモ姉がライバル女をレイプはどうよ?
「なぁーんだ、アンタ処女だったんだぁ。
 ごめんねぇー気づかなくってさぁ!キャハハハハハっ!」
「えぐっ・・・私、やめてって言ったのに・・・
 なんで、どうしてこんな・・・」

書いてから気づいたけどヤンデレスレ向きだなこりゃ。
444名無しさん@ピンキー:2007/06/04(月) 18:53:32 ID:7IxtQdCN
いや、相手殺しちゃうようなヒロインもいるぐらいだから問題ないんじゃね?
445名無しさん@ピンキー:2007/06/04(月) 20:12:27 ID:97OSsl/H
>>443
それはキモ姉がペニバン装着、でいいのか?
446名無しさん@ピンキー:2007/06/04(月) 20:33:44 ID:fpXXf1Id
>>444
俺独占欲強いんだわ…レイプさせるくらいならいっそのこと殺してくれ…
447名無しさん@ピンキー:2007/06/04(月) 20:43:06 ID:0ZlkYKw8
>>445
女のペニバン装着責めは慣れてないと拷問
448名無しさん@ピンキー:2007/06/04(月) 21:30:42 ID:dPENBBGd
>>447
ageんな、カス
449名無しさん@ピンキー:2007/06/04(月) 22:10:42 ID:uiEX3pP7
>>447
よく分かりませんが、この場合は拷問上等なんじゃ
450名無しさん@ピンキー:2007/06/04(月) 23:33:54 ID:VaZPkr1d
エロを求めてる奴にエロなしでもいいと思わせるにはかなりの文章力いるだろ
多少稚拙でもエロを入れておくのはおっさんとしてのマナーだと思う
451名無しさん@ピンキー:2007/06/04(月) 23:38:19 ID:adLf1OI7
>拷問上等

で、キモ姉が弟にちょっかい出してた女に謝罪させる、と。
「赤の他人の分際で○○クンに色目を使って申し訳ありませんでした。
 これからは血を分けた姉弟の間に割ってはいるような真似は致しません・・」とか
452変名おじさん ◆lnx8.6adM2 :2007/06/05(火) 01:30:04 ID:hHRYltAq
投下行きます。

過去最速の執筆速度でした。何と1時間半足らず。
自分でびっくりです。

エロ無し。
キモウトの日記・独白みたいなー!
453兄愛日記(けいあいにっき):2007/06/05(火) 01:30:46 ID:hHRYltAq

5月26日

今日。
兄さんが家に泥棒猫を連れてきた。
いや、泥棒猫が兄さんについて来た。
兄さんが泥棒猫のことを『彼女だ』と言う。
いやですね、兄さん。
幾ら兄さんが優しいからって、
憐れみの余り泥棒猫を人間扱いしてはいけませんよ?
ましてや動物────それも何処のものとも知れない野良猫如きに。
動物はちゃんと躾けないと幾らでも付け上がりますからね?

怒りの余り、泥棒猫の頭の後ろで左右に揺れる尻尾を引き千切った。
茶色に染められた薄汚い毛の束が手から落ちる。
喧しい絶叫の後に泥棒猫は『ポニーテール』がどうこうと喚いた。猫なのに。
自分が何なのかも理解出来ていない程の低脳のようだ。

吐き気がする。



5月27日

泥棒猫を呼び出した。
自分が猫であり人間と、
ましてや兄さんと結ばれるなんて絶対にあり得ないことだと理解させるためだ。
が、これ以上ないほどの徒労に終わる。
『私は○○の彼女なの。お互いが望んで付き合っているの。
 それを、何で妹のアンタに文句言われないといけないわけ? 訳分かんない』
訳を分かっていないのはそっちだ。
やはり動物との対話など人間である私には不可能。
ぎゃあぎゃあと鳴く泥棒猫を追い返して終わる。

が、収穫はあった。
私はここで一つの確信に至る。
この泥棒猫は『病気』なのだ。
自分が何ものか理解できない、自分を人間だと勘違いする『病気』。
『病気』ならば治せばいい。

私は、『雄猫』に連絡を取った。
454兄愛日記(けいあいにっき):2007/06/05(火) 01:33:14 ID:hHRYltAq
5月28日

約束の場所に来た泥棒猫は驚いていた。
それはそうだろう。
私の横には立派な『雄猫』がいたからだ。
雄猫の背は私や泥棒猫よりずっと大きい。
加えて、体は筋骨隆々として申し分ない。
泥棒猫と同じ動物並の知能である以上は私にとっては唯の愚物だが、
野性味と強さが評価の基準である動物ならば最高の相手だろう。

泥棒猫の『病気』を治す第一段階。
相応しい雄を宛がって自分が何ものなのかを教えてやる。

本能で感じるものがあったのだろう。
泥棒猫は雄猫を見て、歓喜の余り体をガタガタと震わせていた。



5月29日

さて。
泥棒猫の治療の第二段階を始める。
雄猫は昨日から泥棒猫と盛っていたようだが、
やはり泥棒猫が『病気』のせいで上手く行かないらしい。

そこで、私は用意した『薬』を雄猫に渡してやる。

薬。
それは泥棒猫に自分が一匹の雌猫に過ぎないのだと自覚させるための特効薬だ。
私は人間なので当然試したことはないが、とても気持ち良くなれる薬らしい。
確かに、同じ薬なら苦痛の少ない物の方がいいだろう。

ああ。
こんな泥棒猫にまで気を回してやれるなんて、私は何と慈悲深いのだろう。
まだ全く兄さんの優しさには遠く及ばないけれど、
それでもほんの少しだけ兄さんに近付けた気がする。
嬉しい。

薬を打たれた泥棒猫が雌猫になった。
病気が治った途端に雄猫の魅力に中てられ、『発情期』に入ってしまったらしい。
いやらしい鳴き声を上げながら腰を振っている。
実にお似合いの姿だ。そして正しい姿。
雄猫も気合を入れて動き出す。
良く効く薬だと言う話だったから、
おそらく明日には番(つがい)になっているに違いない。

動物の営みに人間は邪魔だ。
私は早々に立ち去った。
455兄愛日記(けいあいにっき):2007/06/05(火) 01:34:01 ID:hHRYltAq
6月1日

雄猫と泥棒猫の経過は順調らしい。
雄猫からの連絡では雌猫の首に首輪を、胸には鈴をつけて調教中だとのこと。
色々と芸達者にもなったらしい。
別に私にとってはどうでもいいことだが、気になることが一つ。

あのクソ猫は、未だに兄さんを求めているらしいのだ。

汚らわしい。何と言うおぞましさだ。
動物の身で、それを自覚してなお兄さんと結ばれようなどと。
いや。或いは、体だけかと私は思い直す。
もしやあの雄猫だけでは満足出来ず、
たまたま記憶にある『雄』として兄さんを求めたのか。
だとしたら度し難い。
呆れ果てた愚かさと救い難い罪深さだ。
だがいいだろう。
雄猫だけで足りないと言うなら、せいぜい満たされるようにしてやる。

だが、今すぐには無理だ。
差し当たり、躾けのために雄猫へ調教用の『鞭』を渡してやる。
雄猫は鼻息を荒くして受け取った。
明日までの雌猫の体がどうなっているか楽しみだ。



6月5日

やった!
とうとうあの雌猫に身の程を教えてやることに成功した。
あの雌猫は、発情期の体を満足させてやることを条件に兄さんに別れを告げた。
まあ所詮は動物。
それも気紛れで自分勝手な猫なら当然だろう。
もとより別れるも何もないのだ。
兄さんはどうも落ち込んでいるようだが、私が癒してあげればいい。
何も問題はない。
全ては今まで通り。そして私が兄さんと結ばれるのはこれからだ。
雌猫と雄猫の交わりを見て色々と勉強もした。
手本が手本だけに不安は残るが、そこは私が兄さんに合わせればいい。
兄さんの好きなように、好きなだけ、好きにしてもらえばいいのだ。
どんなに特殊なプレイでも、兄さんへの愛がそれを可能にする。
ああ。
幸せな想像が止まらない。
今もシャーペンを握るこの手が震え、椅子との間に濡れた感触がある。
急ごう。
幸福な時間は少しでも早く迎え、僅かでも多く貪らねば。
兄さん。兄さん。兄さん兄さん兄さん兄さん。
待っていて下さいね。直ぐにイキますから。
直ぐに直ぐに直ぐに行きますから。
ふふ。ふふふ。
うふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ。
あはははははははははははははははははははははははははははははははははは。
456兄愛日記(けいあいにっき):2007/06/05(火) 01:37:01 ID:hHRYltAq

・・・ああ。そう言えば。
あの雌猫は今頃どうしているだろうか。
発情期の体を満足させてやるという条件のために、
私の知る限りの『雄猫』に声をかけておいたけれど。
その準備に三日もかかったのは計算外だったが、まあその分の働きはしてくれるはずだ。
『薬』も、餞別代わりにありったけ用意してやった。
もしかしたら壊れるかもしれない。いいや、死ぬかも。
別にどちらでもいいけど、どちらになるのかは興味がなくもない。

そうだ。
気が向いたら見に行ってみよう。
沢山兄さんと交わって、溢れるほどの愛を私の中に注いでもらってから。
その姿で見に行ってみよう。
そうしたら、あの雌猫はどんな顔をするだろうか。
兄さんの匂いを纏った私を見て、一体どんな顔をするのだろうか?
考えたら楽しくなってきた。
ふふ。
よし。
雄猫の白濁に溺れたあの雌猫に見せ付けてやることにしよう。
踏みつけて。匂いをかがせて。
たっぷりと思い知らせてやろう。

私の兄さんへの愛を。
457変名おじさん ◆lnx8.6adM2 :2007/06/05(火) 01:41:56 ID:hHRYltAq
投下終了。
少しでもスレの足しになれば幸いです。

さておき。
火風ちゃんのコロッケのサイズは、兄への愛情の量だけ大きいと脳内補完を。
ええ。釘だけで良かったのに、五寸とか適当に付け足したのが悪かったですね。
まず言葉ありきで実寸をイメージしていませんでした。すいません。

キャラ名に関しては、
コテが「変」な「名」前しか付けない「おじさん」ですので。変人でもありますけど。
西尾維新氏とか日日日氏も作品は大好物。
ですので、変な名前のお好きでない方はスルーを推奨致します。

ああいった名前で書けないなら筆を折るので。

では皆様、夢の中でよいキモ姉妹を。
458名無しさん@ピンキー:2007/06/05(火) 02:08:35 ID:jer6NWDt
キモければエロが無くてもいいなら俺が亀田兄似のキチガイ妹の
話を100も書いて投下しても良いってことかぁ?
エロを入れる努力ぐらいしろや常識的に。
459名無しさん@ピンキー:2007/06/05(火) 02:33:22 ID:6ihmgdxP
GJ!!!変名氏は筆が早いですなー
水木さんシリーズの続きも楽しみにしてます。
460名無しさん@ピンキー:2007/06/05(火) 02:42:25 ID:xvRz9MuR
>>458
いいんじゃないの?だれも読むやついないとおもうけど(笑)
461名無しさん@ピンキー:2007/06/05(火) 03:03:29 ID:FuXC2Ogd
読まれるかどうかを気にするヤツならそんな暴挙はしない
462名無しさん@ピンキー:2007/06/05(火) 06:29:46 ID:EoCCsnT9
NTR成分に勃ちましたが何か?
463名無しさん@ピンキー:2007/06/05(火) 08:02:05 ID:IwaJdaUW
>>457
GJ!
筆速すぎッス!体壊さない程度に頑張って欲しいです。
キモウトやキモ姉の行動一つ一つが俺を勃起させるっ!
フフフ、すこぶる変態です(笑)
464名無しさん@ピンキー:2007/06/05(火) 09:32:02 ID:Z+un5szY
>>457
GJ!!
凄い勃起したw
しかし現実に自分の妹の部屋からこんな日記見つけたらガグブルもんだなwww
465名無しさん@ピンキー:2007/06/05(火) 14:40:11 ID:fQ5xrlW7
キモ姉読みたいなぁ・・・(´・ω・`)
466名無しさん@ピンキー:2007/06/05(火) 14:47:05 ID:g4hPYe0L
同志ハケーン
467名無しさん@ピンキー:2007/06/05(火) 15:13:12 ID:p2pZjG1c
YOU達書いちゃいなYO!!!!
468変名おじさん ◆lnx8.6adM2 :2007/06/05(火) 16:53:33 ID:hHRYltAq

ではご希望に答えて、投下。
469髪噛みハンバーグ:2007/06/05(火) 16:55:55 ID:hHRYltAq
ウチの姉貴は料理が上手い。
ウチの姉貴の料理は美味い。
特にハンバーグが最高だ。
これだけで店が開けると言うレベルで、
オレはガキの頃からよくせがんで作ってもらったものだった。
それを餌に割と無茶な要求をされたりすることもあるが、
大抵は対価として納得できる取引だった。

長年かけて餌付けされてしまったような気もするが。

「えへへぇ・・・ヒロちゃん、美味しい?」

姉貴が、ハンバーグにかぶりつくオレを見て微笑んでいる。
何がそんなに楽しいのか知らないが、ご機嫌なようだ。

「ああ、美味いよ。いつも通り最高のハンバーグだ」

どうも恥ずかしいセリフのような気もするが、
正直言ってセリフをあれこれ考える時間が勿体ないので気にしない。
姉貴には悪いが、今は会話より食うこと優先である。
その方が作った側としても嬉しいかもしれないし。

「えへっ、そっかぁ。じゃあヒロちゃん、沢山食べてね」

「おうよ」

言われるまでもない。
楕円の物体は既に二つ胃袋に収まっているが、まだオレの箸は止まらない。

「あっ、そうだヒロちゃん。
 お姉ちゃん、ちょっとヒロちゃんに聞きたいことがあるんだけど。
 いいかなぁ?」

「ん?」

箸と口は止めずに視線だけ向ける。

「その・・・えっとねぇ?」

急にもじもじとし出す姉貴。
何だ?

「今日・・・お姉ちゃん、ハンバーグ作りにちょっと失敗しちゃったのぉ」

なぬ? 姉貴がハンバーグ作りに失敗だと。それは一大事だ。
・・・だが待てよ。これでも長年姉貴のハンバーグを食べてきたオレである。
何か失敗したなら食べた瞬間に分かるはずだが。

「特に・・・・・・変な味はしなかった、な。姉貴、何を失敗したんだ?」

「髪の毛」

へ?

「ボウルの中で混ぜた材料を捏ねてる時に、お姉ちゃんの髪の毛が中に落ちちゃったの。
 お姉ちゃん、ヒロちゃんに美味しいハンバーグを食べさせてあげたくて、
 一生懸命捏ねてたから気付くのが遅れちゃってぇ。
 一度捏ねてから気付いて慌てて探したんだけど見つからなくって、
 でも新しく作り直すのも無理だからそのままハンバーグを作っちゃったの」
470髪噛みハンバーグ:2007/06/05(火) 16:57:11 ID:hHRYltAq

「ええっと、姉貴。つまりは、何だ?」

オレの食った、或いはこれから食うハンバーグは姉貴の髪の毛入りであると?

「うん。でも、それだけじゃないのぉ」

この上まだ何かあるのか?
流石に箸を止めたオレに、姉貴は左手を差し出してきた。
中指に絆創膏が巻かれている。

「お姉ちゃん、ハンバーグを捏ねる前にちょっと指を包丁で切っちゃったのぉ。
 でもでも、本当にちょっとだったしあんまり痛くなかったから、
 そのままハンバーグを捏ねたの」

ほほう。それで?

「だからぁ、今日のハンバーグにはお姉ちゃんの髪の毛以外に血も入ってるの」

ああ・・・それはまあ、うん。
怪我してまで好物作ってくれたんだから、オレは気にしない。
髪の毛も、別に気付かなかったしな。
次から気を付けてくれればいいさ、姉貴。

「えへっ、ありがとう。ヒロちゃんは優しいねぇ。いい子いい子」

子供扱いはやめろ。

「了解、ヒロちゃん。でもぉ・・・これは癖になりそうかも」

急にうっとりとした表情になる姉貴。
何事だ。つーか何のことだ。

「だって、ヒロちゃんの口に私の体の一部が入ったんだよぉ?」

随分と生々しいな、オイ。

「ヒロちゃんが私の髪の毛を食べて、私の血を飲んで。
 ヒロちゃんに食べられた私の一部はヒロちゃんのお腹の中で消化されて、
 ヒロちゃんの体の一部になるんだよぉ?
 えへ。えへへ。
 それって、ヒロちゃんの体が少しだけ私の体と同じになるってことだよね。
 ヒロちゃんの体の一部が私になって、
 ヒロちゃんが私に、私がヒロちゃんに近付くってことだよね?
 家族で、姉弟で、同じ血の流れる二人がもっともっと一緒になるってことだよね?
 えへっ。
 えへ、えへっへへへへへへぇ」

もじもじぐねぐねと身を捩る姉。
が、唐突にその動きを止めると、嫌に真剣な目でオレを見た。
オレを見詰める姉貴の目には濡れたような、熱に浮かされたような光がある。

姉貴は、ゆっくりと口を開いた。

「ねえヒロちゃん。
 私は────────私の体は、美味しかった?」

姉貴よ。
オレは生まれて初めて、アンタの作ったハンバーグを吐きたくなったぞ。
471変名おじさん ◆lnx8.6adM2 :2007/06/05(火) 17:00:55 ID:hHRYltAq
投下終了。

ぶっちゃけ確信犯です、本当にありがとうございました。

彼が気付かなかったように、ハンバーグは『いつも通りの味』でした。
あとは・・・・・・脳内補完でお願いします。

本当はキモウト用にとっておいたネタなのですけどね。
ご希望に適ったならば幸い。

ではまた、次の投下にて。
472名無しさん@ピンキー:2007/06/05(火) 17:05:19 ID:hHRYltAq
ちょっとミス。
>お姉ちゃん、ちょっとヒロちゃんに聞きたいことがあるんだけど。

お姉ちゃん、ちょっとヒロちゃんに言わなきゃいけないことがあるんだけど。

に訂正して読んで下さい。すいませんでした。
473名無しさん@ピンキー:2007/06/05(火) 17:23:52 ID:VmXZwXDg
>>471
GJ!!!
相変わらずのキモさだな
474名無しさん@ピンキー:2007/06/05(火) 17:36:16 ID:WxxtcBNg
>>471
ガチで速いだけだな
475名無しさん@ピンキー:2007/06/05(火) 18:13:26 ID:Z+un5szY
>>471
GJ!!キモイよ〜けどそれがいいよ〜www
476名無しさん@ピンキー:2007/06/05(火) 18:47:05 ID:p2pZjG1c
>>471GJ!!!キモ姉カワイイヨ(;´Д`)ハァハァ
477名無しさん@ピンキー:2007/06/05(火) 18:47:46 ID:wn6ln043
>>471
GJ!!
ていうか、これ序章でしょ?
読みきり単発にするには、惜しい気が
478名無しさん@ピンキー:2007/06/05(火) 19:27:43 ID:4i60wt2U
>>471
GJ!
キモ姉かわいいよキモ姉(´Д`)ハァハァ
短編でも十分楽しめますね。
479名無しさん@ピンキー:2007/06/05(火) 19:52:13 ID:qqTbYXqR
GJ。できれば描写を細かくしてほしかったけど、日記形式だからしかたないのかな
ともあれGJ
480名無しさん@ピンキー:2007/06/05(火) 19:54:47 ID:ty2pjwIT
綾たんコネー('A`)
481名無しさん@ピンキー:2007/06/05(火) 20:29:24 ID:TO7WpUtn
つい数時間前にリアルで姉のつくったチーズケーキ食ってた
俺は微妙な気分になったわい。

それだけSSの質がいいんだろうけど。
482名無しさん@ピンキー:2007/06/05(火) 21:29:31 ID:g4hPYe0L
なんと書いてくれるとは…GJ!
483名無しさん@ピンキー:2007/06/05(火) 21:42:34 ID:lohST5WS
クールなキモ姉ってどんなだろ
484名無しさん@ピンキー:2007/06/05(火) 22:09:37 ID:XJQfnY+2
家ではそれとな〜く弟の面倒とか見てて、
裏では恋敵とかを暗殺してる とか
485名無しさん@ピンキー:2007/06/05(火) 22:39:52 ID:hHRYltAq
量は少な目ですが、思ったより楽しんで頂けたようで何より。
>>477の方
残念ながら短編です。どうも私は長編に向かない人間のようですので。
時間や技量、嗜好の問題もありますし。
いっそ、
彼方〜や髪噛みハンバーグは他の方に続きを書いて頂けると有り難い位なのですが。
申し訳ない。

リレーではなく、
許可の上でなら好きな人が好きなだけ続きを書くというのも面白いとは思うのですけどね。
元となる話があって、そこから職人様毎にオリジナルの話に分岐していくとか。

さておき。
そろそろ他の、或いは新たな職人様方のキモ姉・キモウト分が欲しい今日この頃。
気が早いとは思いますが、
自作のキャラにはハァハァ出来ないのが作者の辛いところですね。
・・・・・・綾タンとコトリタンと宇宙人妹ハァハァ。

そろそろ止まっている他スレの作品も書くべきか。
486名無しさん@ピンキー:2007/06/05(火) 22:40:06 ID:CWscFn4c
なんか残酷無比がキモの肝(洒落)になってきたなぁ。
個人的にはあまりにどの作品でも殺人ばっかだとややヘコむ。
487名無しさん@ピンキー:2007/06/06(水) 01:40:27 ID:Vj0TqPR1
確かに、異物混入・殺人とやることがワンパターン化してきてるのが気になるな。
まあ話が面白けりゃそれでもいいんだが・・・。
488名無しさん@ピンキー:2007/06/06(水) 01:40:59 ID:w69q4N+d
>>485まあ人にはそれぞれ相性がありますから。
私はあなたの短編大好きです。
新しい作品楽しみにしてますね。
489 ◆5SPf/rHbiE :2007/06/06(水) 04:08:41 ID:tq075IaU
微エロ投下します。
490夏の綾  ◆5SPf/rHbiE :2007/06/06(水) 04:10:47 ID:tq075IaU
支倉家の夏を支える冷房は、各部屋に置かれた扇風機が主である。
木造の少し古い造りの住宅は、いくつか窓を網戸にしておくだけで風通しが良く、扇風機だけでも快適に過ごすことができた。
クーラーをつけようと陽一が提案したこともあったが、綾は電気代が高くつくからと却下した。
実際のところは、各部屋にクーラーをつけると陽一が自室にこもりがちになって、今までのように一緒に居られなくなるのではと思ったからなのだが。
その晩も扇風機が回る居間で、陽一は本を読み、綾は家計簿をつけて、各々夕食後のひと時を過ごしていた。
窓から流れる夜風に風鈴がちりんと揺れる。
「……ねえ、お兄ちゃん」
不意に綾が口を開いた。
「ん?」
「もう明日から夏休みなわけだけど」
「ああ、そうだな」
「お兄ちゃんって、彼女いないわよね?」
突然の問いに、陽一は持っていた本を取り落とした。
「な、何でそんなこと……」
「いないわよね?」
「まあ、いないけどさ」
「つまり、今年の夏も一人寂しく過ごす、と……」
綾は家計簿を閉じると、深々とため息をついた。
「情けない……」
「え?」
「情けないって言ったのよ! いい若い者がそんなことでどうするのよ!」
「い、いきなりだな、おい」
「いきなり心配になったのよ! お兄ちゃんの今後が!」
綾はびしりと陽一の顔に指を突きつけた。
「生まれてから十七年間、彼女の居た気配なし! よくわからん女に痴漢と決め付けられ、私が告白された時はまともに相談に乗れず、中学生の色仕掛けにもめろめろになる始末!
まともに恋愛が出来るのか、悪い女に引っかかるんじゃないか、妹として心配するなって方が無理でしょう!?」
「す、すまん」
本当は彼女なんて出来たら一番困るのは綾であり、数年にわたってそれを全力で防いできたのも綾自身なのだが、陽一はそんなこと知る由も無い。
ただ勢いにのまれて謝った。
「というわけで決めたからね」
「何を?」
「この夏はお兄ちゃんを鍛えてあげる。女の子とまともに付き合えるように」
「え?」
「頼める人も居ないでしょうし、ひとまず私が相手になるからね」
「ちょ、ちょっと待て! 意味がわからん!」
「夏休み中は私を恋人と思っていいわよ。私もお兄ちゃんを恋人と思って接するから」
さすがに慌てて陽一は手を振った。
「いや、いい、いいから……それは変と言うか、まずいだろ」
「何よ、お兄ちゃんは一生恋人いらないの? 女の子に興味は無し?」
「そりゃ俺も男だし、無いわけじゃないけどさ」
「あのね、お兄ちゃんが女で身を持ち崩したとき、一番被害を受けるのは私なの。だから少しは女の子との付き合いに慣れていてもらわないと困るのよ」
「う……」
「だいたいね、可愛い妹が貴重な休みを潰して付き合ってあげようってんだから、少しは感謝しなさいよ」
「いや、でも……」
「だまらっしゃい! もう決めた! 明日はデートよ! わかった!?」
問答無用とばかりにテーブルを叩いて、綾は叫んだ。
491夏の綾  ◆5SPf/rHbiE :2007/06/06(水) 04:12:01 ID:tq075IaU
事の起こりはアキラとの一件であった。
中学生の少女が兄の性欲を刺激したことに、綾は強い衝撃を受けた。
「陽一は女性に対する欲望を持った、一人の男である」
そのことを強く意識させられたのだ。
そして、陽一が男としての反応を自分に対してただの一度も見せたことがないことに気がつき、さらに動揺した。
(お兄ちゃんにとって、私は女ではない……?)
綾は今までずっと妹として陽一の傍についてきた。
陽一に見えないところで尋常ならざる独占欲を抱いても、表面上は兄想いの一人の妹として振舞ってきた。
妹として振舞ってきた以上、陽一からしたら綾は家族であるというのが道理だ。
(私は持ちうる全ての愛情をお兄ちゃんに注いでる。その自信がある。けど……お兄ちゃんが私に抱いているのは……)
家族愛――その言葉が、綾の胸に重く突き刺さった。
家族の絆と男女の絆、どちらが強いのかはわからないが、たとえ一部分にせよ、陽一の愛が自分以外に向けられることは許されることではない。
だからこそ陽一に近付く女は全力で遠ざけてきたし、いざとなれば殺すことも厭わなかった。
しかし、殺しても殺しても、次から次に陽一と関わりをもつ女は現れる。
終わりのない嫉妬の渦に、どうすれば良いのかずっと悩んできた。
「……簡単なことだったんだ」
陽一に近付く女たちだけではなく、自分や陽一にも原因があったのだ。
「お兄ちゃんと、男と女の関係になれば良かったんだわ……他の誰も入り込めないように」
家族愛と男女愛の二つを得れば、もう陽一の愛は全て自分のものだ。
綾はこの結論に至るきっかけとなったアキラに、心の底から感謝した。
せめて楽に死なせてやれば良かったと、今更ながら哀れんだ。
陽一と男女の関係を結ぶことは、想像するだけで笑みがこぼれてしまう、素晴らしく甘美で魅力的な世界だった。
近親愛が世間でどう言われていようと、法律で禁じられていようと、綾にはそんなことは関係ない。
問題は陽一の方だった。
「お兄ちゃん大好き! 恋人になって!」
「よしわかった!」
で済むなら問題は無いが、そう簡単にはいかない。
「あれでそれなりに倫理観はある人だから……」
もし真正面から行こうものなら、さすがに引かれてしまうか、陽一を大いに悩ませてしまうことになるだろう。
いずれにせよ、綾の望むところではなかった。
ならばどうすればいいか。
陽一が自然に、一人の男としての女に対する興味を、自分に抱くよう仕向ければよい。
勉強熱心な綾は、本を読むなどしてその具体的な手段を得ようとしたが、どうにもはっきりしなかった。
近づく人間を遠ざけることで陽一を独占してきた綾は、他人を排除することには人並み外れた力を発揮しても、自分に好意を向けさせるという一般的な恋愛については、まったくダメだったのである。
結局綾は、終業式が終わった学校の帰り、冷房の効いた喫茶店で、小夜子からの助言を受けることにした。
492夏の綾  ◆5SPf/rHbiE :2007/06/06(水) 04:13:15 ID:tq075IaU
「んっふっふ。ようやく綾もそういうの気にするようになったのね」
「悪かったわね。ようやくで」
「悪くない悪くない。嬉しいような寂しいような、複雑な気分だけど……」
コホンと、小夜子は一息ついた。
「その人とは話をしたりするの?」
「別に相手がいるわけじゃなくて、ただ一般論として知りたいだけよ」
「ふーん……?」
小夜子は疑わしげに綾を見たが、まあよしと話を進めた。
「まあ……男の人っていうのは、確かにいろんな好みを持ってもいるけど、そういうのは気にせずに、一緒に遊びに行ったりして二人で過ごす時間を増やせば、自然と相手も好きになってくれると思うよ」
「そ、そういうものなの?」
「あれよ。どこかの心理学の実験によると、人間が他人と顔を合わせたとき、初めに好感を持てば、あとは接する時間に比例してその人への好意は増加していくらしいのよ」
「ふーん……」
「逆に悪感情を抱いた後だと、接する時間に比例して嫌悪感が増すから、その辺は注意が必要らしいけどね」
「第一印象をしっかりとして、後は一緒の時間をつくるようにすればいいってこと?」
「いいってこと。そのうち相手の好みとかもわかってくるだろうしね」
ふむ、と綾は腕を組んで考えた。
一緒の時間はたくさんある。
何しろ家族なのだから、世界で一番陽一と接している時間は長いだろう。
しかし、それで陽一との間に何か恋人めいた関係が生まれたかというと、まったくそんなことは無い。
「やっぱり、『男女として』っていうのが大切なのかしら……」
陽一が自分に悪感情を持っているということは、とりあえず無いだろうから、第一印象の点はクリアしていることになる。
後は、家族としての時間ではなく、男女としての時間を過ごせれば――
「ねえ小夜子、男と女として過ごす時間っていうのは、どんなのかしら?」
「え……えーと……エッチとか?」
「……あまり過激じゃないやつで頼むわ」
「デートとか?」
「デート、か……」
493夏の綾  ◆5SPf/rHbiE :2007/06/06(水) 04:14:23 ID:tq075IaU
そんなわけで七月二十一日、陽一と綾は隣町の百貨店にやってきた。
「まずはデートの基本。ショッピングよ」
「……まあ、買い物に付き合うのはいいんだけどさ」
言って、陽一は傍らの綾を見る。
綾は自分の腕を陽一の腕に絡め、ぴたりと陽一にすがり付いていた。
「その……くっつき過ぎじゃないか?」
「恋人なんだから、くっついてるのは自然でしょ」
「というか、暑いしさ」
「あのねえ、誰のためにやってると思ってんのよ! 暑さぐらい我慢しなさいよ!」
綾はいつもはツインテールに結んでいる綺麗な髪を背中に流し、一見すると別人のようである。
普段と違う姿をした方が、兄に家族としての感情以外の何かを抱いてもらえるのではと、綾なりの試行錯誤の結果であった。
口を開いてみるといつも通りだが、外見に関しては活発な印象が薄れ、どこか清楚な雰囲気をかもし出していた。
「ねえ、いつもの髪型と、こっちと、どっちが可愛い?」
「まあ……好みとしては今日のかな。ロングヘアーは好きだし」
その言葉に綾はますます元気になり、陽一の腕に強くしがみついた。
「ふふ。今日は服とかきっちり見てもらうからね」
「お前、着る物ってそんなに気にしたっけ?」
「気にするわよ。それなりに」
実のところ、これまで綾は、服や装飾品にそれほどこだわりを持っていなかった。
服はあまりにひどいものでなければそれでいいし、装飾品は料理のときや体を動かすときには邪魔になるので、むしろ無い方がいいと思っていた。
しかし、陽一の好意を得ようとしたら話は別だ。
服にも装飾品にも気を遣い、陽一の好みの姿になる必要があった。
この日のデートは、単純に恋人としてデートをするという以外に、陽一の好みを探る目的もあったのである。
「というわけで、お兄ちゃん、はっきりと意見を言うのよ? いいかげんにしてたら張り倒すからね」
「素朴な疑問だけど、恋人同士ってそんなことで張り倒すものなのか……?」
「今までこういうのは着たことないけど、どう?」
陽一の質問は無視して、綾はいくつかの服を試着して意見を求めた。
ミニのフレアスカートから綺麗な脚をのぞかせ、胸元の開いた露出の高いシャツを合わせてみる。
いわゆる女らしさのアピールだが、陽一の反応は芳しくなかった。
「うーん、微妙かも」
「じゃあどういうのがいいのよ。参考にするから聞かせなさいよ」
「そうだな……」
陽一の示したものは、薄手の長袖シャツに、膝下までのスカートという、いつも綾が着ているものと似たような取り合わせであった。
「えー……何だかいつもと変わらないわけだけど」
「まあそうだな。変わらないな」
「あ、そ、それってひょっとして、私の普段の格好って、お兄ちゃんの好みだったってこと?」
思わず声をうわずらせて聞く綾に、陽一は首を横に振った。
「いや、俺の好みってわけじゃないけど……」
「じ、じゃあ、他の人に私の肌を見られるのが何か気に食わない、とか……?」
さらに期待の眼差しで見る綾に、やはり陽一は首を横に振る。
「いや、そうじゃなくて……お前、お腹強くないだろ?」
「は?」
「ミニスカートや生地の薄いシャツだと腹が冷えちゃうからな。下痢には要注意だ」
「げ……り……?」
「どうだ、参考になったか?」
「ならんわ!!」
陽一は何度も張り倒されたが、それはそれで楽しい買い物であった。
494夏の綾  ◆5SPf/rHbiE :2007/06/06(水) 04:16:22 ID:tq075IaU
七月二十五日、陽一と綾は隣町にある大きなプールにやってきた。
「……ここでなら、お兄ちゃんも女としての私に、少しは刺激を受けてくれるはず……!」
この日の目的は、陽一に女として迫ることであった。
プールという場でなら、自然に己の体を見せつけて、普段は恥ずかしくてできない迫り方をすることが出来る。
というわけで、綾はこの日のデートのために作戦を練り、気合を入れて臨んでいた。

――作戦その一、大胆水着で迫ってみる。
綾がこれまで着たことのある水着といったら、基本的にワンピース型の露出の少ないタイプであったが、この日は思い切って水色のビキニを身につけてみた。
(ちょっと恥ずかしいけど……これならお兄ちゃんも……!)
期待と緊張に胸を鳴らしながら、更衣室を出て、陽一の前に進み出た。
「ど、どう? この水着」
「……お前、前も言ったけど、腹壊してもしらないぞ?」
「それだけか!」
終了。

――作戦その二、腕を組んで迫ってみる。
綾は腕を組む際に、胸を陽一の腕に押し付けるようにした。
これまでも時折やっていたことだが、今回はまた状況が違う。
陽一の腕と綾の胸とを隔てるのは、薄いビキニの水着一枚のみである。
(さすがにこれは、意識せずには居られないはず……!)
ぴったりと兄の腕に胸を押し付けて、ちらりと表情を窺う。
陽一はというと、真剣な表情でどこか遠くを見ていた。
「……?」
一体何を見ているのか。
陽一の視線を追うと、その先には、大きさも形も申し分ない、はちきれんばかりの胸を瑞々しく揺らすお姉さんの姿があった。
「ち、小さくて悪かったわね……!」
綾は陽一の脛を思い切り蹴飛ばした。

――作戦その三、ストレッチで迫ってみる。
プールに入る前の準備運動でも、陽一にアピールして見せた。
まずは自分のストレッチの際、陽一に見せ付けるように股を開き、脚の筋を伸ばした。
水着に包まれた秘所が、完全に陽一の視界に入るようにである。
一瞬息を呑む気配がして、今度こそやったかと陽一の表情を窺うと――とてもわくわくした目で見られていた。
「お前体柔らかいな! 俺と体前屈勝負するか!?」
「子供かあんたは!」
まだまだ綾はくじけない。
今度は陽一のストレッチを手伝うということで、背中からのしかかるようにして胸を押し付けた。
「……綾、お前……少し体重増えた?」
「黙れ!」

そんなこんなでその日一日色々と試みたのだが、陽一からの望むような反応は得られなかった。
「あーあ……欲情してもらうはずが、全然ダメだわ……」
帰り道、プールを満喫して上機嫌の陽一の後ろを、綾はしょんぼりと肩を落として歩いた。
495夏の綾  ◆5SPf/rHbiE :2007/06/06(水) 04:17:28 ID:tq075IaU
八月二日、二人は近所の神社で行われるお祭に出かけた。
参道にたくさんの屋台が並び、地域住民がにぎわいを見せるお祭である。
紺色の浴衣に下駄を履いた綾は、またいつものように陽一と腕を組んだ。
陽一ももはや、初めのような抵抗は見せなくなっていた。
(これって、少しは進展したってことなのかしら?)
ただの慣れと言ってしまえばそれまでだが、恋人として腕を組んで歩けるのは、綾にとってこの上ない幸せだった。
綾はその日もまた目標を立てていた。
ずばり、陽一とキスをすることであった。
眠っている間に一方的にしたことはあるが、陽一の意識のあるときに、合意の上で唇を重ねたことは無い。
ちょうど、お祭の行われる神社の裏手の林を抜ける林道は、カップルたちが逢瀬を重ねる場として知られている。
お祭を一緒に歩いて、人ごみに疲れたあたりで林道に誘い、雰囲気が出たら一つ提案してみようというわけである。
しかし、それはそれとして二人ともお祭は大好きなので、神楽を見た後は次から次に屋台を巡り歩いた。
射的で三つ立て続けに落とし、金魚すくいに惨敗した綾が見事に一匹すくった陽一に八つ当たりし、どこか懐かしい味のする焼きそばやたこ焼きを食べた。
そうやって充実した時間を過ごしていたが、しばらくして陽一は綾の様子がおかしいことに気がついた。
歩調が最初よりも遅れて、時折陽一を引っ張るようになっているのが感じられたのだ。
「綾、どうしたんだ? 体調悪いのか?」
「え……? ううん、別に……」
「腹壊したのか?」
「何でいつもお兄ちゃんはそればかりなのよ!」
噛み付くように言いながら、顔をしかめて足を引きずる。
見ると、綾は下駄を履いた右足の甲を赤く腫らし、薬指と小指の爪を割って血を流していた。
「お前その足……どうしたんだよ!」
「金魚すくいをやった後……人ごみの中で踏まれちゃったのよ」
笑ってごまかそうとするが、やはり痛みに小さく声が漏れてしまう。
陽一は慌てて綾の肩を支え、歩くのを助けた。
「どこかで休もう」
「そ、それなら、神社の裏の林道が静かだから……」
「馬鹿! こんな足でそこまで歩けないだろう!」
「ば、馬鹿とは何よ……! 大丈夫だって本人が言ってるんだから……」
抗議を無視して、陽一は人ごみを抜けると、綾を神社の境内の手水場の傍に座らせた。
ぴしゃりと、柄杓で水を汲んで、綾の足に流す。
冷たい水が血と泥を拭い、白いつま先から地面に落ちた。
「痛いか?」
「別に」
「無理するな。どうしてすぐに言わなかったんだ。骨がどうにかなってるかもしれないぞ」
「大したこと無いわよ。ねえお兄ちゃん、ここからすぐだし、ちょっと林道を散歩してみない?」
「ダメだ。足を綺麗にしたら帰るぞ」
お祭の喧騒が遠くに聞こえる。
綾は拗ねたように唇を尖らせ、下を向いた。
「……だから、言いたくなかったのよ」
「あのな、子供じゃないんだから。祭なんてまた来年になれば来れるだろ?」
「今年のお祭はもうこれっきりでしょう!? せっかくお兄ちゃんと二人で……」
キスをするという目標が達成できていないこともある。
しかし何よりも綾は、年に一度のお祭を陽一と一緒に歩けなくなることが悲しかった。
「とにかく、まだ帰らないから」
「ダメだ。帰るぞ」
「イヤ」
二人は睨みあい、やがて陽一がため息をついた。
「なあ、頼むよ。どうしたら言うことをきいてくれる?」
「どうしたらって……」
不意に浮かんだ言葉を、綾は思わず口にしてしまっていた。
「キスしてくれたら……言うこときく」
496夏の綾  ◆5SPf/rHbiE :2007/06/06(水) 04:18:51 ID:tq075IaU
「え」
陽一の顔がこわばった。
「お、おま、何言ってるんだよ!」
「だから、キスよ、キス! 口付け! 接吻!」
「そんなことできるわけないだろ!?」
「何で? 今私たちは恋人同士なんだから、問題ないわよ」
「問題あるだろ!」
「どんな問題よ?」
「いや、だって……お前は妹だし……」
食い下がる綾に、陽一はますます困惑する。
「お前だって嫌だろ? 俺の、その……練習台になるなんて」
「そりゃ好き好んでするわけじゃないけどね。変な女に引っかかる方が余程迷惑だから、キスの練習台になるくらいかまわないわよ」
「それでも……やっぱりダメだろ」
「ふーん、お兄ちゃんはそんなに嫌なんだ……」
半眼で睨んで、綾はすっと足を陽一に向けて突き出した。
「じゃあ、足にキスして」
「は?」
「血が流れちゃってるから綺麗にして。恋人としてそれくらいするのが普通よ」
「いや待て。それはむしろ普通じゃないだろ」
「唾つけると消毒になるっていうじゃない。それに……女王様気分に浸れて気持ちいいし」
「……まったく、悪趣味な奴だな」
何のことはない、いつもの生意気な妹だ。
陽一の顔からは戸惑いの色が消え、呆れたように息をついた。
「ちゃんと言うこと聞けよ」
「え……」
陽一は綾の足を手に包むようにして持ち、血の滴る小指と薬指に唇を当てた。
そして、流れ出た血を軽く吸い、そのまま飲み込んだ。
「……帰るぞ」
「うん……」
綾はそれまでの勢いは失せて、おとなしく負ぶわれ、後ろから陽一の首にぎゅっと抱きついた。
人のまばらな境内から、わき道に抜ける。
祭のざわめきが、次第に遠ざかっていった。
「お兄ちゃん……私の血の味、どうだった?」
「ええ? また変なこと聞くな、お前……」
「ね、どうだったの? 答えてよ」
「別に……何ていうか、血の味だったよ」
「ふーん」
色の無い答えだったが、それでも綾は嬉しそうだった。
綾の足先には、まだ血が固まりきらず、時折雫となって落ちる。
小さく街灯の灯る裏道に、綾の静かな笑い声が響いた。
497夏の綾  ◆5SPf/rHbiE :2007/06/06(水) 04:20:57 ID:tq075IaU
そうやって、夏休みが始まってからずっと、綾は恋人として陽一と接してきた。
あらかじめ演技だと言ってのことなので、陽一から綾への意識が変わったかというとそんな様子は見られなかったのだが、それでも綾は陽一と恋人として触れ合う毎日に満足していた。
八月に入ってからはおおむね機嫌が良く、
「何か、この頃は随分と優しいよな」
「恋人なんだから、優しくするのが当然でしょ?」
と、陽一の言葉に笑顔で返した。
さらには、
「綾……俺、夏休みの宿題が全然進んでなかったりするんだが」
「ふーん?」
「……宇喜多を家に呼んでもかまわないだろうか」
「ん、いいわよ」
と、縁の訪問を一言で許すほどであった。
先日のウサギ肉の件もあり、やや萎縮してやって来た縁だったが、
「いらっしゃい。この暑いのに、兄が迷惑をおかけしてすみません」
「すぐに冷たいものを持ってきますね。あ、今日はちゃんといいところのお菓子も用意しておいたので、楽しみにしていてください」
綾の笑顔でのもてなしに、すぐに緊張感はなくなった。
「私、ひょっとしたら綾ちゃんに嫌われてるのかと思ってたんだけど……そうでもなかったのかな?」
机に向かって陽一に宿題を教えながら、縁は嬉しそうに言った。
「うん、まあ、この前は機嫌が悪かっただけだと思うけど」
「機嫌?」
「ああ。あいつ、その時々で寛容だったり厳しかったり、差が激しいんだよ。同じ人に対しても反応が全然違う時があるし。もう一貫性とか全然無いから、やっぱりその時の機嫌なんだろうな」
「なるほど。でも良かった。綾ちゃんとは仲良くなりたいと思ってたから」
「ん? 何で?」
「仲が悪いよりかは、仲がいい方が断然いいでしょ?」
微笑んで、縁は綾の用意した水羊羹をつまむ。
口の中で溶けるような、上質の味わいだった。
陽一の言葉は、間違ってはいないが正しくもなかった。
確かに綾の人への態度はその時の機嫌で決まるが、その機嫌は全て一貫性を持って、陽一に関わるところで決まっているのだ。
陽一を害することがなく、陽一を自分から奪うことがない人間には、綾はどこまでも寛容だ。
いや、無関心といった方がより近い。
大概のことは許せるし、その人間が幸運になろうが不幸になろうが、死のうが生きようが何の感情も抱かない。
元気よく適当なことを言って、それで終わりだ。
しかし陽一に関するところで少しでも不利があれば、一転激しく反応し、ある一線を越えると全ての能力を以ってして陽一と自分の防衛にあたるのである。
そして、綾にとって縁は、もはや危険因子ではなくなっていた。
綾が夏休みの半分近く陽一と恋人同士として過ごしてきたのに対し、陽一が縁と会ったのは一日のみ。
その差から来る優越感に支えられ、ごく穏やかな友好的態度で、綾は縁と接することができたのである。
(何でこんな簡単なことに今まで気付かなかったのかしら)
かつてはあれほど嫌った縁とにこやかに話しながら、綾は思った。
(人を遠ざけるよりも、私がお兄ちゃんに近付く方が、ずっと幸せな気持ちになれるのね……)
普通の女としての恋愛はあまりにも幸せで、これまで躍起になって邪魔者を排除してきた自分が馬鹿らしく思えた。
そもそも、他人を排除することで傍にいるよりも、陽一本人に選ばれて傍にいる方が、ずっと尊いに決まっている。
周りに誰も居なくなった結果愛されたからといって、それは真の愛ではないのだ。
(頑張って、お兄ちゃんにとって一番の女になろう)
訪問者に愛想良くするのもその一環だ。
綾は縁と、終始和やかに言葉を交わした。
498夏の綾  ◆5SPf/rHbiE :2007/06/06(水) 04:21:55 ID:tq075IaU
数日後、綾はまたいつものように陽一を誘った。
「お兄ちゃん、デートするわよ。今日は映画ね」
事前に用意しておいたチケットを見せて、にっこりと笑う。
「何を見るかは私の好みで勝手に決めておいたから。もし他のが見たかったら、お兄ちゃんから私を誘い直すように。いいわね?」
上機嫌で準備を促す綾に、陽一は「ごめん」と謝った。
「え……ごめんって……何が?」
「いや、今日は訓練は無理だ。ちょっと予定があって」
「予定? それなら私もその予定に付き合うけど?」
「そういうわけにもいかないんだ、これが……」
陽一は赤面しながらぼそぼそと言った。
「その……恥ずかしながら本物のデートをすることになった」
「……!」
映画のチケットがひらりと床に落ちる。
陽一の襟首をひっつかんで、綾は叫んだ。
「な、な、なんですって!? よく聞こえなかったわ!!」
「デートをすることになりました。訓練でなく本番です」
「どうしてもっと早く言わなかったの!! そんな大事なことをっ!!」
「いや、昨日の夜決まったもんで」
綾は眩暈を起こし、倒れそうになるのを必死に耐えた。
「だ、誰なの? 相手は誰なのよ」
「四辻夕里子さんという人だ」
「誰よそれ」
「宇喜多と去年同じクラスだったらしい。この前宇喜多がうちに来たとき、一度会ってみてくれないかって言われてさ」
「それで会うことにしちゃったわけ!? どんな人かもわからないのに!? 変な人だったらどうするのよ!!」
「相変わらず変に心配性だな、お前は」
凄まじい剣幕で食って掛かる綾を、陽一は呆れたように笑っていなした。
「大丈夫だよ。綾がこの夏休み鍛えてくれたのは、こんな時のためだろ?」
「ま、まあそうね。そうだけど……」
「お前に心配かけっぱなしっていうのも悪いしな。ともかく一度会ってみるよ」
違う。
陽一を貶して鍛えるなどと言ったのは、陽一と恋人のように触れ合いたいがための建前に過ぎない。
黙りこくる綾に、陽一が心配そうに声をかけた。
「おい、どうした、ぼんやりして」
「べ、別に……! あー、良かったって感じ。お兄ちゃんに興味を持ってくれる人がいて」
「はは、そうだな」
「デートの結果、ちゃんと報告しなさいよね。せっかく鍛えてあげたんだから」
「ああ、わかったよ。……と、そろそろ行かなきゃ」
約束の時間を気にして慌てて家を出る陽一を、綾は静かに見送った。
(一度会うだけだもの……大丈夫よ……私の方が何回もデートしてるんだし……たった一度他の女に会うくらい……)
目を閉じて、深呼吸する。
「大丈夫よ……」
呟きながら、綾は受話器を取っていた。
499夏の綾  ◆5SPf/rHbiE :2007/06/06(水) 04:22:41 ID:tq075IaU
「あ、綾ちゃん、こっちこっち」
綾が喫茶店の中に入ると、すぐに三つ編み眼鏡の少女に声をかけられた。
他でもない、宇喜多縁その人である。
綾は手を振る縁の対面の席に着くと、まず頭を下げた。
「すみません。突然呼び出したりして」
「いいよいいよ。ちょっと驚いたけどね」
綾は陽一が出かけてからすぐに縁に電話をかけた。
四辻夕里子なる人物について話を聞くためだった。
支倉家に来てもらってもよかったのだが、今のざわついた気持ちでは何をするかわからないので、あえて人目のある喫茶店で会うことにした。
「縁さん、四辻夕里子さんって誰なんですか? 何でお兄ちゃんに会いたがってるんですか? そもそも何で紹介なんかしたんですか?」
「ちょっと落ち着こうか」
「落ち着いてます!!」
綾の剣幕に、注文をとりに来た店員が、びくりと肩を震わせた。
「あ、すみません、アイスレモンティーもう一杯。綾ちゃんは?」
「私もそれで」
綾は机に置いた拳を震わせて、縁を睨みつけた。
すぐに店員が二つのグラスを持ってきて、テーブルの上に置き、逃げるように席を離れる。
綾の震えにあわせて、グラスの中の氷がかちゃかちゃと揺れた。
「あはは……怒ってるね」
眼鏡をかけなおし、困ったように縁は笑う。
「順番にいってみようか。まず……」
「四辻夕里子って誰ですか?」
「私の友達。元クラスメートだよ」
「何でお兄ちゃんに会いたがってるんですか?」
「一年前から支倉君が好きなんだって」
「そもそも何で紹介したんですか?」
「友達だもん。断る理由は無いでしょう?」
縁は綾の問いに、すらすらと答えた。
あまりにもあっさりと答えられて、肩透かしをくった気分になる。
レモンティーをぐっと飲み、綾は喉を潤した。
「……具体的に、どんな人なんですか、四辻さんという人は」
「あ、ちょっと待って。綾ちゃんの聞きたいことには出来る限り答えるけど、質問は公平に順番にということで、私からも綾ちゃんに聞かせてね。綾ちゃんは、私にそれを聞いてどうするの?」
「え……」
虚を突かれて、綾は一瞬口ごもってしまった。
「それは……どうするとかじゃなくて、お兄ちゃんと知らない人が会うんですから、興味を持って当然でしょう」
俯いて、愚痴をこぼすように言う。
「……まったく、お兄ちゃんもお兄ちゃんよ。見ず知らずの人と、どうしてすぐに会う気になるのかしら」
「支倉君も年頃の男の子だしね。特別好きな人も居ないみたいだし、機会があったらチャレンジしたくなるのは仕方ないよ」
「随分落ち着いてるんですね」
「綾ちゃんは随分怒ってるね」
「心配してるんですよ! 兄が変な女に引っかからないか! もしもの時のことを考えて腹を立ててるだけです!」
なるほど、と縁は感慨深げに頷いた。
「お兄ちゃん思いなんだね、綾ちゃんは。それにしっかり者」
「それはどうも」
500夏の綾  ◆5SPf/rHbiE :2007/06/06(水) 04:23:41 ID:tq075IaU
もはや綾は敵意を隠そうとしない。
声にはとげとげしさが溢れていた。
縁はまったく気にした様子も無く、それじゃあ、と口を開いた。
「夕里子ちゃんのことを話すね。四辻夕里子、十六歳。誕生日は十一月二十二日。資産家の四辻家の一人娘。成績は評定平均が7.5。とっても綺麗な子だよ」
「お金持ちで成績が良くて美人だなんて、死角無しですね」
「んー、運動と家事は苦手だよ。それに綾ちゃんだって美人だし、成績はもっといいでしょ?」
後半の言葉は無視して、綾は質問を続けた。
「どんな性格なんですか?」
「温厚だけど、弾けるときは弾けるかな。今回みたいに、意外なところで積極的だったり、怒ると怖かったり……って、怒ると怖いのは当たり前だね」
「なるほど。どうして四辻さんは、お兄ちゃんを好きになったんですか?」
「それは知らないよ、さすがに」
「今日……四辻さんがお兄ちゃんとどこに行くのか、わかりますか?」
「それも知らないよ」
「本当に?」
「嘘ついてどうするの」
綾は縁の顔をじっと見つめた。
表情にも声色にも、まるで変化は無い。
レンズの向こうの瞳は静かな黒色をたたえ、発言の真偽を読み取ることはできなかった。
「満足した?」
レモンティーをストローで吸い上げながら、縁が聞いてきた。
「……ええ、まあ、聞きたいことは大体聞けました」
「安心した? それともまだ心配?」
「……」
「……不安になるのもわかるけど、少しは支倉君のこと信じてあげてもいいんじゃない?」
綾に鋭く睨まれていても、縁は何ら感情を動かすことが無い。
やりにくい人だと、綾は改めて思った。
「……お兄ちゃんの一番身近に居るのは私なんですから、私が心配しないで誰がするっていうんです」
「黙って見守るのも愛情だと思うけどな」
説教をするわけでも諭すわけでもない。
ただ淡々と言う縁に、綾は言い返すことができなかった。
しばらくの沈黙の後、綾は伝票を手に取った。
「……帰ります。ここの支払いはしておきますので。ご迷惑をおかけしてすみませんでした」
「あー、そんな、別にいいよ。どうせ暇だったし」
ぱたぱたと縁は手を振る。
二人の間を遮るように、陽光が窓から差し込んだ。
「……最後に聞きたいんですが、縁さん、どうして四辻さんをお兄ちゃんに紹介したりしたんですか?」
「さっき同じ質問に答えたと思うけど」
「私は、縁さんは、お兄ちゃんを好きなんだろうって思っていました」
はは、と縁は笑った。
「私は支倉君の親友だよ」
夏の光はきらきらとまぶしく、縁の表情を読み取ることはできなかった。
501夏の綾  ◆5SPf/rHbiE :2007/06/06(水) 04:24:45 ID:tq075IaU
陽一はあれ以来四辻夕里子とデートを重ねていたが、綾はそれを黙って見守っていた。
いつもなら、相手の家やその周辺の地理、交友関係を調べ、いざという時の備えにするのだが、それもしなかった。
「四辻夕里子よりも愛されればいいだけのことだもの……」
綾は、恋愛で勝負してやろうと心に決めていた。
陽一にとって魅力的な女になって、陽一に選んでもらうのだと。
誰よりも傍にいて、誰よりも一緒の時間を過ごしている自分なら、それができるはずなのだからと。
しかし、陽一からデートの報告は必ず聞くようにしていた。
「で、今日はどうだったの?」
「ん、まあ楽しかったよ」
「どこに行ったの?」
「色々とお店を巡ったり。あ、お前と一緒に行ったケーキ屋に寄ったら、おいしいって喜んでたよ」
「そう」
「普通に会話も出来たし、訓練の甲斐があったな。ありがとう」
「ま、良かったんじゃない?」
嬉しそうに礼を言う陽一に、綾は複雑な気分ではあったが、それでも余裕を持って報告を聞いた。
陽一が四辻夕里子に会うのはせいぜい三日に一回程度だが、綾はそれ以上のペースで、相変わらず訓練と称して陽一と出かけている。
腕も組むし、抱きつきもする。
縁に対するのと同様に、自分の方が陽一に近いという安心感が、四辻夕里子への敵意と警戒心を薄めていた。
そうして日々は過ぎ、セミの声も衰えをみせる八月の終わり、四辻夕里子との五度目のデートを終えて帰った陽一に、綾はいつものように尋ねた。
「今日はどんなことをしたの?」
「え……あー、うん。色々と」
「何よ、はっきりしないわね」
夕食の支度の手を止めて、綾はおたまを陽一に突きつけた。
「ちゃんと話しなさいって。鍛えてあげた恩を忘れたの?」
「ちょ、おたまはやめろって。味噌汁が飛ぶ」
困ったように頭をかいて、陽一は顔を赤らめた。
「えーと……今日はキスをしたよ」
「ふーん」
「……何ていうか……妹にこんなこと言うのは恥ずかしいな」
「……」
綾は一瞬停止して、またすぐに陽一に掴みかかっていた。
「なな何ですって!? 今何て言ったの!?」
「だから、恥ずかしいって……」
「その前! よく聞こえなかったわ!」
「え……だから、キスをしたって……」
また陽一は顔を赤らめ、目を逸らした。
綾は脳をがつんと殴られたかのように感じた。
何故?
と、頭の中に問いが反復する。
何故、自分以外の人間が兄とキスをするのか。
自分の方がたくさんデートしているのに、何故?
自分の方が陽一に近いはずなのに、何故?
自分がしてくれと言った時には断ったのに、何故?
吐き気と眩暈に耐えながら、綾は尋ねた。
「ど、どんな風に? どうしてキスしたの?」
「いや……まあ、突然抱きつかれてキスされたって感じなんだけど……」
「あ、ああ、そう。無理矢理なのね」
「それで、付き合ってくれって言われた」
「!!」
そうだ。
縁も、四辻夕里子は陽一ことが一年前から好きなのだと言っていた。
好きならば、ただ仲良くお出かけするだけの関係で終わらせようとはしない。
「……お兄ちゃんは、何て答えたの?」
「とりあえず、考えさせてくれって……」
「断らなかったの? お兄ちゃんは四辻さんが好きなの?」
「好きかと言われるとわからないけど……」
「好きじゃないならすぐに断りなさいよ! 何で断らなかったの!」
「……いい人だと……魅力的な人だとは思ってる」
その日の夕食の味付けは、何ともひどいものになった。
502夏の綾  ◆5SPf/rHbiE :2007/06/06(水) 04:25:45 ID:tq075IaU
冷たい夜風が窓から流れ込み、秋の虫の声が心地よく響く真夜中。
綾は陽一の部屋に居た。
ベッドの脇に立ち、眠る陽一を静かに見下ろしている。
「お兄ちゃん……」
呟いて、綾は人差し指で陽一の唇をなぞった。
「キス、しちゃったんだね」
顔を赤らめてデートの報告をする陽一を思い出す。
はらわたが煮えくり返り、悔しさに奥歯を噛んだ。
「私の……私だけのお兄ちゃんのはずなのに……」
奪われた。
先を越された。
そんな感覚が大きかった。
ベッドに腰掛けて、陽一の顔に自分の顔を近づける。
木製のベッドが、小さく軋んだ。
「ん……」
もう何度目かもわからない、眠る陽一とのキス。
小鳥がついばむように軽く、何度も唇を吸い、やがてねっとりと舌を這わせた。
「ん……は……お兄ちゃん……」
息を荒くして、むさぼるように兄の唇を味わう。
ぴちゃぴちゃと、唾液のはねる音が虫の音の中に混じった。
「そうよ……たかが一回くらいのキスが何よ……私は、私はこうやって何度もお兄ちゃんとキスをしてるんだから……」
唇の裏に舌を這わせ、歯の表面を丁寧に舐め取り、口の中の空気を吸い上げる。
情熱的な激しいキスを、何度も何度も繰り返した。
「お兄ちゃんの口……おいしい……」
うっとりと目を細めて呟く。
まだ見ぬ四辻夕里子への強烈な対抗意識が、綾に更なる情欲の火を灯していた。
「そう……キスなんて……たかがキス一つされたところで、お兄ちゃんは私のものなんだから。私は、キスなんかよりずっと凄いことができるんだから……」
ごくりと唾を飲み込み、綾は陽一の下半身に手を伸ばす。
夏用の薄い掛け布団を跳ね除け、パジャマの上から陽一の股間にそっと触れた。
「そうよ……私の方がお兄ちゃんの近くに居る……私にしかこんなことはできないんだから……四辻夕里子にはこんなことはできないんだから……!」
陽一が起きてしまったらどうするのか、そんなことは考えなかった。
ただ、自分の方が陽一の傍にいるのだという優越性を確認したいがために、綾は夢中になって陽一の体をまさぐった。
最初はゆっくりと、やがて激しく、陽一のペニスをパジャマの上から擦り上げる。
なかなか反応しないと見て取ると、綾は寝ている陽一のズボンをずり下げて、トランクスの隙間から直にペニスに触れた。
「お兄ちゃんの、おちんちん……」
熱く息を吐く。
綾も、陽一の性器に触れるのはこれが初めてだった。
暗闇の中、ベッドに腰掛けて、その形を確かめるように手を這わせる。
白魚のような手が細やかに蠢き、やがてその刺激に、陽一の体は勝手に反応していた。
綾の手の中でみるみるうちに陽一のペニスは膨らんでいき、トランクスの隙間からその姿をさらけ出していた。
「……!」
綾は思わず息を呑んだ。
陽一のそれは立派で、真上に向かってそびえ立ち、時折小さく震えている。
初めて見る男性器の異様な姿に、綾はショックを受けつつも、この上ない喜びを感じていた。
「私が……一番最初よね? お兄ちゃんのおちんちんを見るのは……」
喉の奥から笑いを漏らし、震える手で改めて陽一のペニスに触れる。
「お兄ちゃんのおちんちんを見たのも、お兄ちゃんのおちんちんに触ったのも……私が一番最初よね……?」
しばらく兄の体温を感じた後で軽く握り、本で得た知識のままに上下に擦った。
503夏の綾  ◆5SPf/rHbiE :2007/06/06(水) 04:26:48 ID:tq075IaU
「そうよ、キスなんて問題ないわ。四辻夕里子にはこんなこと出来ないもの。私しか……お兄ちゃんの傍に居る私しかできないもの」
綾が擦りあげるにつれて、陽一のペニスはますます固くなる。
やがて先端から透明な液が溢れ、綾の手を濡らした。
「や……何これ?」
手を見ると、指の間に透明な液が糸を引いている。
綾は恐る恐る、その粘液を舌の先で舐め取った。
「……怖くなんてないわ……お兄ちゃんの体から出てきたものだもの……」
見ると、陽一のペニスは先ほどよりも一回り大きく膨れ、先端から流れる汁が、亀頭のあたりをぬらりと光らせている。
「そうよ……怖くなんてないわよ……」
自分に言い聞かせるようにして、綾は亀頭に舌を這わせた。
何とも言えない臭いと味がしたが、興奮と緊張がそれらの感覚を麻痺させた。
「ん……ん……」
小さな猫のようにちろちろと、綾は舌を這わせる。
時折陽一のペニスがびくりと反応を示すのが嬉しくて、いつしか綾は夢中で陽一のペニスを舐めた。
「お兄ちゃん……」
ぴちゃ、ぴちゃ、と暗い部屋に響く水音。
荒い息。
一心に兄のペニスを見つめ、顔を紅潮させて舌を出す妹。
異常な状況の中、陽一は寝返りを打ち、小さく口を開いた。
「……りこ……さん」
不意の陽一の言葉に、綾ははっと身を離した。
「お兄ちゃん……?」
呼びかけてみるが返事は無い。
返事の変わりに陽一は再び、
「……ゆりこさん……」
そう呟いた。
綾の唾液にまみれた、これ以上なく固くなったペニスを脈打たせながら。
陽一は夕里子の名を呟いた。
「寝言……?」
綾は呆然とした面持ちで問いかけた。
「……何で、『ゆりこ』なの?」
陽一は寝息を立てたまま、答えはない。
夜風が部屋に吹き込む。
綾は立ち上がり、陽一のズボンと布団を元に戻すと、よろよろと部屋を出て行った。
504夏の綾  ◆5SPf/rHbiE :2007/06/06(水) 04:28:34 ID:tq075IaU
自室に戻った綾は、明かりもつけず、鏡台の前に立った。
長袖の白いシャツに膝下までのスカートを着た、長い黒髪の美少女が、大きな鏡に映る。
夏休みに入ってからずっと、結ばずにおいた長い髪。
陽一が好みだと言ってくれたから。
夏休みが始まってから一月余り、綾は一人の女として陽一に愛されようと頑張ってきた。
陽一の好みの女になろうとしてきた。
「魅力的な女の子、か……」
呟いて、綾は鏡の中の少女を思い切り殴りつけた。
大きな音と共に鏡が割れ、床に転がり落ちる。
膝をついて、拳を振り回し、落ちた鏡をさらに殴りつけた。
何度も何度も。
拳はガラスに刻まれて、振り上げるたびに、壁に、天井に、血が飛び散った。
「は……ははは……」
笑いながら、綾は涙を零していた。
「馬鹿だわ……私は……大馬鹿だわ」
自分なら大丈夫だと思っていた。
必ず兄にとって一番の女になれると思っていた。
恋人として夏を過ごし、自分こそが女としても兄に一番愛される存在になりつつあるのだと思っていた。
「それが……よくわからない女にお兄ちゃんの唇を奪われて……おまけに……」
陽一は夕里子の名を呼んだ。
ペニスを愛撫されている最中に。
愛撫していたのは綾なのに。
「許せない……! 許せない! 許せない!! この馬鹿!! 大馬鹿者!!!」
凄まじい怨嗟の声を吐きながら、綾は床に落ちた鏡を殴った。
自分の姿が映らなくなるよう、細かい破片になるまで、何度も殴りつけた。
自分が許せなかった。
根拠のない優越感に余裕をかまし、兄の唇を奪われた自分が。
兄の性器を愛撫している最中に、他の女の名前を呼ばれた自分が。
そんな状況を作り出した自分が。
甘い恋愛などというものにうつつを抜かして、勘違いをしていた自分が許せなかった。
「所詮私は……お兄ちゃんにとって……女じゃない……」
床に散らばった鏡の欠片を浸すように赤い血が流れ、そこに透明な涙が幾筋も落ちた。
恋人として陽一と過ごした日々は幸せだった。
演技だということを忘れるほどに。
あまりにも幸せで、自分も普通の女として恋をして、陽一の傍にいられるのだと思ってしまった。
自分がいくら恋焦がれようが、陽一からしたらただの家族だということに、何も変わりはなかったのに。
「ホント、馬鹿だわ……勝手に思い込んで……油断して、奪われて……」
暗い部屋にへたり込み、綾は声をあげて泣いた。
身を震わせて泣いた。
「私なんかに……普通の恋愛ができるわけがなかったのよね……」
鏡に切れた手の甲が重く痛む。
この痛みを忘れまいと、綾は思った。
もう鏡に映った綾は居ない。
愚かな勘違いをして、最愛の人を奪われた綾という人間はいない。
痛みと引き換えに、甘い夢を見ていた自分は消えたのだ。
「はは……は……あはは……」
何でもしようと、綾は思った。
恋愛感情などいらない。
選んでもらわなくとも良い。
ただ結果として、自分が陽一の一番近くにいられればそれでいいのだ。
「あははは……はは……ははははははは……!」
嗚咽に混じって、乾いた笑いは続く。
夏はもう終わりを迎えようとしていた。
505 ◆5SPf/rHbiE :2007/06/06(水) 04:32:59 ID:tq075IaU
今回の投下は以上です。
一話一殺は無理でした。
ひとまず転章みたいな感じで、作中二学期から固定面子での話になりそうです。
間に適当な話を挟むかもしれませんが。
506名無しさん@ピンキー:2007/06/06(水) 04:43:38 ID:oWn5RCrL
>>505
gj!!!
なげええええええええええええええ

やっぱ綾でしょ
507名無しさん@ピンキー:2007/06/06(水) 04:54:04 ID:IQPDvKyd
おお、相変わらずのボリュームGJ!!

気を引き締めた綾が、これから陽一に近づく女達へどのように対処するのか……。
想像するととてつもなく恐ろしく、キモイです。

508名無しさん@ピンキー:2007/06/06(水) 05:38:32 ID:av1hXDT0
>>505
SATSUGAIには躊躇無くてもこと恋愛には不器用な綾モエス
んでも結局そういう方向に戻ってるしw
509名無しさん@ピンキー:2007/06/06(水) 06:26:48 ID:oqIEbxpy
あれだ、
YOU 既成事実つくっちゃいなYO!
510名無しさん@ピンキー:2007/06/06(水) 06:28:56 ID:Nm3T9Ecd
資産家のご令嬢をアレしちゃうのは流石に無茶だよなあ
さてどうなることやら
511名無しさん@ピンキー:2007/06/06(水) 06:30:34 ID:pPUUobRX
綾はダメカワイイな
512名無しさん@ピンキー:2007/06/06(水) 09:52:59 ID:Z/M/LkF+
綾セツナス
がんばってほしいね
513名無しさん@ピンキー:2007/06/06(水) 10:51:47 ID:LqnXwcw6
ご令嬢も病みフラグ来てるのが楽しみ

ついにキモウトに対抗できる人材登場か?
自称親友の腹黒さ?もたまらん
514名無しさん@ピンキー:2007/06/06(水) 10:55:44 ID:fX8UTPi6
綾ああああああああ!!!!!!!!!111


綾はなんか、キャラクター性が出てて、かわいいんだよな。
単に自分の好みに合うってだけなのかもしれんが、ひじょーに萌える。
幸せになってほしいのう。

途中、テンポよく落として刻んで進む辺りもよかったw
515名無しさん@ピンキー:2007/06/06(水) 11:24:02 ID:aTd0pcCb
最初の辺りはあれキモくねえじゃん。
むしろ普通のおにいちゃん大好きっ子じゃんと思ってたら……。
最後にktkr
でもなんか縁が微妙に気になるなあ。
516名無しさん@ピンキー:2007/06/06(水) 11:28:35 ID:BazzZYo7
キバヤシ「実は緑の目的は綾だったんだよ!!」
517名無しさん@ピンキー:2007/06/06(水) 11:33:22 ID:fX8UTPi6
な、なんだってー!?
518名無しさん@ピンキー:2007/06/06(水) 11:49:17 ID:syNsSk9j
キモウト兄の周りには常に病んでる人間が集まる特異点
519名無しさん@ピンキー:2007/06/06(水) 12:20:17 ID:1dvpiOGZ
何だろう…
綾には普通のツンデレ妹として兄と幸せになってもらいたかったような気も…
いや、キモいのは大歓迎なんだけどね
520名無しさん@ピンキー ◆x/Dvsm4nBI :2007/06/06(水) 13:54:37 ID:98nwJ4zS
久しぶりにキモ姉投下。
ゆっくりやります。
521虎とあきちゃん ◆x/Dvsm4nBI :2007/06/06(水) 13:55:46 ID:98nwJ4zS


「虎ちゃん…どうしても分かり合えないんだね。私たちは姉弟なのに…。」
「ああ…。こればっかりは仕方がないんだ。」
 俺は静かに俯いた。亜紀姉の顔はゆっくりと悲しみの色に染まっていく。そんな彼女を
俺は熱い目でただ、見つめていた…。

「お願い。虎ちゃん…許して…。」
「亜紀姉…」
「悪気はなかったの…だから…」
 静かな沈黙だけの世界が部屋に広がる。そして…

「許せるかぁぁぁ!!!!この駄目姉がああああ!!!」
「きゃあああ、暴力反対!暴力反対よ、虎ちゃん!!!」
 姉が購入したわけのわからない物体を指差して俺は魂から声を絞り出して叫ぶ。

「大体なんだ…この全自動箸割り機とかいう意味のない物体はっ!」
「すごいでしょ。割り箸を入れると綺麗に割ってくれるのよ。」
 亜紀姉はやたら嬉しそうな顔で説明している。俺はそんな駄目姉にチョップを食らわして、

「普通に割ったほうが早いだろうが!」
「………おお!虎ちゃん天才?」
「おお!じゃねえええええええ!!!」
522虎とあきちゃん ◆x/Dvsm4nBI :2007/06/06(水) 13:57:21 ID:98nwJ4zS
 これは日常の一ページであって特殊な一日ではない。姉、青野亜紀(あおのあき)は
正真正銘俺の一つ上の姉であり、尋常ではない駄目姉である。三歩歩けばナンパされ、
十歩歩けばヤクザにぶつかってAVに売られそうになり、三十歩歩けば変なものを
売りつけられる。駄目オーラが漂ってるとしか思えない。
 たった一つの長所は女性にしては高い俺と同じ168cmという身長と、モデルも
びっくりな完璧なスタイル、おっとり系の超美人ってところだけであるが、前述の駄目さの
せいでトラブルの元にしかならない。

 弟である俺、虎之助(とらのすけ)はこの一つ上の姉の尻拭…いや、フォローすることだけの人生を
歩んできた。姉を襲う犬を退治し、誘拐犯には体当たりを食らわし、いじめっこには
殴りかかり、勉強は勿論できないので一つ上の学年の勉強をして姉に教え、勿論運動も
できないので、少しでもましになるように教えた。
 家事も壊滅的で、料理を作ると何故か人を殺せる殺人料理になるため、共働きの
両親に代わって俺が料理を作り、掃除をすると余計に汚れるので代わりに掃除し、
洗濯をすると泡に呑み込まれるので俺が洗濯をする。
なかなか家にいない両親といえば、

「亜紀のことをよろしく頼む。お前しかあいつを守ることのできる男はいないんだ。」
と、俺に丸投げである。

 そんな姉だが、極まれに奇跡を起こす。進学先がそれだ。勿論勉強もできない亜紀姉だが、
受験のときはサヴァン症候群にでもなったかと思わんばかりの集中力で、近所にある進学校
に入学してしまった。勿論入ったら駄目の極地に戻っているのだが。
 この近い進学先のせいでようやく姉から解放されると考えていた俺は、毎日送り迎えを
させられる羽目になってしまった。
 俺の進学といえば、遠くの全寮制のところを受験するはずだったにもかかわらず、
いつのまにか両親に姉と同じ場所の受験を受けることにさせられてしまい、滑り止めが
落ちてしまったために、結局姉と同じ場所に通うことになった。
523虎とあきちゃん ◆x/Dvsm4nBI :2007/06/06(水) 13:58:23 ID:98nwJ4zS


「ひどいにゃー。将軍様―。虎ちゃんひどいにゃー。」
 亜紀姉はうちの飼い猫の将軍様…北の人ではなく正式名称は征夷大将軍…
にむかってぶつくさ呟いている。暗い…。

「にゃーじゃねえ!年考えろよ!!」
「ええっ。親友のみやちゃんが男の子はこれでいちころって言ってたのに!」
「そんなわけないだろ!」
「ええー。道端でダンボールに入ってにゃーっていったら、みやちゃんが助けてくれなかったら
 そのまま拾われちゃいそうなくらい効果があったんだよ。」
 姉は誇らしげにえっへんと胸をそらしている。俺は心の底から姉の親友とやらに
感謝した。俺の苦労をわざわざしょってくれるお人よしがいるなんて…。

「亜紀姉もいい加減彼氏でも作って俺に迷惑かけんなよな。見た目はいいんだから
 いくらでもいいやつ捕まるだろ。」
「えぐっ…虎ちゃん…お姉ちゃん嫌いなのね…。」
 俺がこの類のことを提案すると姉は泣く…普通なら泣きまねっていうところだが、
この駄目姉は本気で泣くからたちが悪い。

「それにね…虎ちゃん。恋って大変なんだよ?」
「どういうこった?」
「親友のみやちゃんがいうにはね…恋って戦いなんだって。刺された腕と折れた腕を掲げて
 いってたの…。美人で天才のみやちゃんでもそうなんだから、お姉ちゃんにはそんなの無理だようぅ。」
 俺はその姉の親友とか言う人物の評価を黙って下方修正した。

「それは特殊な事例だ。」
「いいのーいいのー。お姉ちゃんには虎ちゃんがいるんだからいいのー。」
「このままこの先も一生亜紀姉の世話をしないといけないなんて俺はいやだ。」
「うう…昔はあー姉あー姉ってお嫁さんに貰ってくれるって言ったのに…うう…」
 まるで子供のように泣く駄目姉。なまじ美人なだけにやけに魅力的でいじめたく…
いや、庇護心を誘うのがやりにくい。

「あーはいはい。俺がちゃんといい奴かどうか見てやるから亜紀姉もがんばれ。
 俺も亜紀姉が落ち着かないとろくに彼女も出来ないんだ。」
「じゃあ…お姉ちゃん全力でがんばらないね!」
 俺は姉の頭が少しでも良くなるように拳骨を落として、明日の授業に備えて
予習と復習をすることにした。
524名無しさん@ピンキー ◆x/Dvsm4nBI :2007/06/06(水) 13:59:41 ID:98nwJ4zS
冒頭のみ。投下終了です。
525名無しさん@ピンキー:2007/06/06(水) 14:07:18 ID:qZ/ocF+7
>>524
リアルタイム遭遇でGJ!!!
しかし、ここからキモい方へ持って行くのは勿体ないぞ。
続編は、お姉さんスレへ投下しれw
526名無しさん@ピンキー:2007/06/06(水) 14:07:22 ID:AONkCbWQ
綾タン・・・邪魔する香具師は皆排除ですよw

なにはともあれ職人GJ!!!次回もwktkしながら待ってるYO!
527名無しさん@ピンキー:2007/06/06(水) 14:22:33 ID:uQ7mfGBb
>>524
しかし親友のみやちゃんは一体どんなキモ恋愛を……。
528名無しさん@ピンキー:2007/06/06(水) 14:58:46 ID:A6efJdOy
もしかしてみゃー姉のこと?
529名無しさん@ピンキー:2007/06/06(水) 15:43:31 ID:CCKN8Vqc
>>528
天才現る
530名無しさん@ピンキー:2007/06/06(水) 17:24:51 ID:zhfcufbK
>>505
あぁ…今までの痴漢に仕立て上げた女とかはどうなろうと知ったこっちゃなかったけど、
陽一に好意を持ってくれてる可愛い女の子が、レイプされたりしたら…
俺三日間は鬱になる…
レイプは嫌だ…orz
531名無しさん@ピンキー:2007/06/06(水) 17:25:39 ID:zhfcufbK
ごめん上げちまった
532名無しさん@ピンキー:2007/06/06(水) 18:53:33 ID:t4fdxmpS
じゃあ殺しちゃ(ry
533名無しさん@ピンキー:2007/06/06(水) 19:51:37 ID:/D8EKG4V
>>530
>>531
おい、投下はどうなったんだい?
荒らし君www
534名無しさん@ピンキー:2007/06/06(水) 19:56:35 ID:1P40Bg4z
他スレでの発言に噛み付かない。

どちらもスルー。
535名無しさん@ピンキー:2007/06/06(水) 20:45:03 ID:IULVNqco
>>524
平日の昼間から暇な人ですNE☆
もしかしてNEET?
まぁ冒頭だからつまんないのはしょうがないかwwwww
536名無しさん@ピンキー:2007/06/06(水) 21:34:42 ID:zhfcufbK
>>533
ごめんあれ冗談wwww
537名無しさん@ピンキー:2007/06/06(水) 22:08:40 ID:h4dVkG24
気軽に疑似体験できる、キモウト・キモアネ喫茶の開店はまだですか?

538名無しさん@ピンキー:2007/06/06(水) 22:35:10 ID:1P40Bg4z
それはいい命懸けですね
539名無しさん@ピンキー:2007/06/06(水) 22:51:48 ID:bAiUXHxA
綾はもちろんだが
縁さんにも底知れない恐さを感じる……
540名無しさん@ピンキー:2007/06/06(水) 23:00:59 ID:xkNC6DpX
>>539
共倒れを狙っている緑さんを想像してしまった・・・・・・
541名無しさん@ピンキー:2007/06/06(水) 23:03:25 ID:PlB/HF0l
カオスで楽しそうw
542名無しさん@ピンキー:2007/06/07(木) 00:30:27 ID:mhAU2GOi
>>537
なんか臭そうな店だな。


泥棒猫と愛しい兄/弟、それから店員(姉/妹)の死体の腐臭で…
543名無しさん@ピンキー:2007/06/07(木) 01:03:38 ID:u45ZyETz
楓牙の姉と弟は
まさにヤンデル姉なんだな
544名無しさん@ピンキー:2007/06/07(木) 01:49:07 ID:86ZEdNdg
>>543
同意。
エロ本隠してた弟に対し「他の女の写真見てヌいてるんだ?」といって逆レイプ。
素晴らしいキモ姉だ!
545名無しさん@ピンキー:2007/06/07(木) 02:05:53 ID:qRoNNFRj
弟がちょっと家に帰って来ないだけで食事も取らずに倒れたり、弟の担任の前でしちゃったりとかも忘れるな!
546名無しさん@ピンキー:2007/06/07(木) 02:46:59 ID:xJyra4bi
>家事も壊滅的で、料理を作ると何故か人を殺せる殺人料理になるため

この手の不自然で恣意的な設定のルーツは少女漫画だと思うけど、
あまりに多用されててちょっち萎えるな
547名無しさん@ピンキー:2007/06/07(木) 03:11:32 ID:/X/n6BGo
よく読みたまえよ。
このキモ姉は、迫って庇護ではなく駄目姉として庇護対象になることで弟を独占しているんだよ!
548名無しさん@ピンキー:2007/06/07(木) 07:41:27 ID:yvHtSP0L
な、なんだ(ry
549名無しさん@ピンキー:2007/06/07(木) 16:55:49 ID:hvErkt/8
ハンターハンターのカルトってキモウトだろ?
550名無しさん@ピンキー:2007/06/07(木) 19:06:43 ID:mAPzhB5W
アレ、男だぜ?
非常に紛らわしいこと極まりないが。
551名無しさん@ピンキー:2007/06/07(木) 19:54:01 ID:LZdTyKgL
キモい弟で間違いはない
552名無しさん@ピンキー:2007/06/07(木) 20:30:19 ID:mAPzhB5W
なるほど
553名無しさん@ピンキー:2007/06/07(木) 20:35:22 ID:xastFCtR
誰が上手い事言えと
554名無しさん@ピンキー:2007/06/07(木) 20:46:15 ID:mAPzhB5W
つか、いい加減キモウトとキモオトの区別は必要だと思われ
555名無しさん@ピンキー:2007/06/07(木) 20:49:19 ID:Hu6FRtBa
キモイモとか
556名無しさん@ピンキー:2007/06/07(木) 20:57:55 ID:Mxp5sBgb
キモウトとキモオトでいいじゃないか
ここだけでしか使わなそうだし
557名無しさん@ピンキー:2007/06/07(木) 21:47:00 ID:UmtdlgDY
夜毎、妹の部屋から聞こえてくるキモい物音…
558名無しさん@ピンキー:2007/06/07(木) 22:18:48 ID:mhAU2GOi
>>557
四股踏んでんじゃね?
559名無しさん@ピンキー:2007/06/07(木) 22:51:00 ID:3mGAD7dG
つビリーズブートキャンプ
560名無しさん@ピンキー:2007/06/07(木) 23:02:20 ID:FH/nBdPJ
>>558
高見盛似のキモウトかよww
561名無しさん@ピンキー:2007/06/07(木) 23:18:43 ID:7icr0HVy
>>560
それはキショウト(キショいイモウト)。
キモウトの外見は可愛くあるべきで、キモアネの外見も美しくあるべきだ。
562名無しさん@ピンキー:2007/06/07(木) 23:38:41 ID:LZdTyKgL
外見なんて飾りですよ。俺は言動がキモけりゃS県だろうが萌えられる
563名無しさん@ピンキー:2007/06/07(木) 23:41:48 ID:nWg6UA2H
>>558-559
ワロタ
564名無しさん@ピンキー:2007/06/08(金) 00:04:48 ID:mAPzhB5W
>>557
きっと兄の名前を入れた兄そっくりの絵のキャラが活躍する同人ゲームを作りながら、
あはんあふんと悶えてるんだよ。
565名無しさん@ピンキー:2007/06/08(金) 00:31:29 ID:LzXkzH+i
いやいや、昼間お兄ちゃんの服の襟元に仕掛けておいた盗聴器からの
録音をチェックして、泥棒猫の影に殺意をおぼえているんだよ
566名無しさん@ピンキー:2007/06/08(金) 01:37:12 ID:O1kuGKG+
いいえ、ただ単に「くそみそテクニック」を読んで
身悶えしてるだけです。
567名無しさん@ピンキー:2007/06/08(金) 13:01:43 ID:dd15THQW
グーグルアースだかなんだかでプライバシーの侵害が問題になってるらしいが
人工衛星とか駆使して兄・弟を常に監視するハイテクキモウト・キモ姉の話が読みたい
568名無しさん@ピンキー:2007/06/08(金) 20:05:00 ID:K9kcqVDS
>>567
そんだったらプレデターとかムシロボットとか駆使して兄、弟を監視するキモウト&姉とかどうよ?
569名無しさん@ピンキー:2007/06/08(金) 20:42:54 ID:KPWnxs4y
むしろ性欲を持て余しながらダンボール箱を被って
徹底的に弟の後を付け回すキモ姉とかがいても良い筈
570名無しさん@ピンキー:2007/06/08(金) 21:07:28 ID:YGGPsGZ/
大佐、悠くんが幼馴染の佐奈と喫茶店に入った指示をくれ
571名無しさん@ピンキー:2007/06/08(金) 21:25:05 ID:H805gnal
どこの蛇だよw
572名無しさん@ピンキー:2007/06/08(金) 21:25:39 ID:LzXkzH+i
タイサ(28サイ ショジョ) ハ オニイチャン ニ ツキマトウ ドロボウネコ ノ
セイサイ デ イソガシイ
573名無しさん@ピンキー:2007/06/08(金) 21:32:50 ID:UVb3bThE
「スネーク、今日の任務は悠くんの追跡と護衛よ!」
「わかったよお姉ちゃん!」
「大佐って呼びなさい!」
「い、イエッサー大佐!」

────────

『状況はどう?』
「おね……大佐!お兄ちゃんが知らない女の子と話をしてます!」
『……殺れ』
「うん、わかっ……ってええええ?いきなり殺すの?」
『美奈、そいつがだれだか知らないけど、間違い無く私達の悠くんを狙う泥棒猫よ!』
「えぇっ?どっからそんな自信が……」
『私の“悠くんセンサー”にビンビン反応してんのよ!』
「こないだもそんな事言って、結局タダのティッシュ配りのバイトの人を半殺しにしちゃったじゃん!」
『えへへ……』
「えへへじゃないわよ!……とりあえず追跡を続けます!」
『了解したわスネーク』



先生!こんな感じですか?わかりません!
574名無しさん@ピンキー:2007/06/08(金) 21:37:17 ID:H805gnal
どんなネタからでも必ずスレに合った話をするお前らが大好きだw
575名無しさん@ピンキー:2007/06/08(金) 21:38:03 ID:YGGPsGZ/
             /:.:.:.:.:/:.:.:'"~ ヽ:.:.:.:.:\:.:.:.:.:.:.:.',
               |-ー':.:.:.:.:.:ヽ _ノ:.:.:.:.:.:.:.:`ー-:.:.:!
               !:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:!          
            l--ー― ''''''""""````'''''' ―ー-l
         __,,,,  -―''''''"" ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄` ''';;;;―- ,,,,__   
    ,  ''":.:.:.:.:.:.:.:.:.:._,, -ー=ニニ;, ""i!r=ニニ==''ー-、:.:.:.:.:.:.:.:.:.゛`  、
   (:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヾ'i;;ミミ´   rz,、, i ー'''rzッ    '彡彡シl/:.:.:.:.:.:.:.:.:ノ
     ``''' ―ー- ;;_ミリ  -  ̄ `i ´  ̄,,.,,   ゙彡7⌒i`;―ー '''"´
               lド、 '"- 二iソ,,`ー'" 二ヾ彡 ゙彡;ヽ jl   口で糞たれる前に最初と最後にサーをつけろ
            .|{ { 〃代ゞイ::i ーt‐=でシ>シ  リシ;; /  
            ! ',ヽ` 、,,~~':::  ヽ,,,二 ィ  / 「 {      この糞妹が!
            `いヽ   ノ::   ヾ、   , '´  r '        
             ゙i::.   ー=、_-=ヘヽ       |        
       ,,-―、    ',::: ,彡ツj i ヾミミヽ   ,' .ノ       
        /i  :::',  ,  i  (シ一 -ー―゙ミ、   //:ヽ 
       ノ.i ',  :::! ゙ ,,,,小、'  `二二´___  ,,, ノ::::::::::::ト、
   __,,,.! .ヽゝ ,,,_:!./,:/::iヽヽ、     ,,,  /.:::::::::/,:,:,>、
576名無しさん@ピンキー:2007/06/08(金) 22:44:40 ID:CTHIJEQ4
>>573
いい感じだ GJ!w
うちに来てキモウトとフ○ックしていいぞ
577名無しさん@ピンキー:2007/06/08(金) 22:59:45 ID:xZGD7M+N
お兄ちゃん以外の男に犯られたら、キモウトは壊れちまうぜ
レイプされて取り返しつかないほど壊れたキモウトというのもありかもしれないが
578名無しさん@ピンキー:2007/06/08(金) 23:47:06 ID:O1kuGKG+
「いやぁぁ!もういやぁぁ!」
「雪乃!?どうした!?落ち着け!」
ここ最近、妹の雪乃はおかしかった…当然か。
先日彼女は学校からの帰り道、輪姦された。
たまたま部活が長引き、夜になった事が原因で。
犯人は捕まったが、彼女の心の傷は、癒えることはない。
どうにかして支えになろうとした俺は、
自分の時間を極力彼女の為に費やすようになった
「やだぁ!どこにも行かないでぇっ!」
その結果が、これ。狂依存である。少しでも俺の姿が見えなくなると、
まるでこの世の終わりを具現化したような叫び声をあげるほどの。
今日も買い物に行くと言ったら、この有り様だ
「分かった、お兄ちゃん、女の子と遊ぶんでしょ!?
 お兄ちゃん格好いいから、すぐに雌豚が近寄ってくるから…!」
極めつけは勝手な妄想。
俺がどこに行こうと必ず女子と遊んでいた事にしたがる。
陵辱が彼女を壊したのか、俺が彼女を潰したのか、
彼女がここまで壊れてしまった理由は、挙げ始めたらキリがない
「お兄ちゃん!ねぇ!ねぇっ!」
一つだけ言える事は
「泥棒猫滅殺!撃殺!抹殺!
 SATSUGAIせよ!SATSUGAIせよ!
 レイプレイプレ(ry」
普通こんな壊れ方するか?
579名無しさん@ピンキー:2007/06/08(金) 23:49:56 ID:O1kuGKG+
>>577大佐殿!即興な上、字数足らなくなって
わざと句読点無くしたり描写不足にしたりしましたが、お訪ねします!
サー、こうですか?分かりません!サー!
580名無しさん@ピンキー:2007/06/08(金) 23:50:51 ID:1abxiE8p
後半ネタに走りやがってw
581名無しさん@ピンキー:2007/06/08(金) 23:58:18 ID:kX/XVJC3
>>577
最後クラウザーさんになってるぞw
582名無しさん@ピンキー:2007/06/09(土) 00:03:30 ID:H805gnal
DMC・・・妹はいないんだよなぁ。

むしろデスメタル好きなヤンキー系、
しかし兄の前ではしおらしくなるキモウト・・・スマン、ただのデレだな。
583名無しさん@ピンキー:2007/06/09(土) 01:11:09 ID:lYBfGBVD
つまりそれが、真ヤンデレなのか
584名無しさん@ピンキー:2007/06/09(土) 02:15:51 ID:zW229aOB
レイプされた話とかはマジで無理…
ものすごい鬱になる…
585名無しさん@ピンキー:2007/06/09(土) 02:22:39 ID:unu0LabB
憧れのお兄ちゃんにレイプされてキモウト化する妹の話ギボン
586名無しさん@ピンキー:2007/06/09(土) 02:30:47 ID:7yE6sQBU
それは無理じゃあ・・・?

兄が妹に好意(性愛)を抱いてないのを、キモウトがどうにかするものだからなぁ。
兄からアクション起こすのは難しい。
キモウトでないなら薬混ぜたりもしないだろうし。


まあ、無防備妹がバスタオル一枚とかでうろついているのを耐えきれなくなって、とか。
それで妹覚醒なら可能かな。
兄は・・・誰かから貰ったドリンクでも飲んだとか。
587名無しさん@ピンキー:2007/06/09(土) 02:43:02 ID:unu0LabB
>>586
やっぱ無理かなあ。俺はこんなのをイメージしたんだが

兄、好きでもないが弾みで妹をレイプ
      ↓
妹、病んで兄依存になる
      ↓
兄、妹をウザがる
      ↓
妹、発狂&キモ化し兄を監禁
      ↓
最後は兄妹心中
588名無しさん@ピンキー:2007/06/09(土) 02:47:33 ID:aIw4umsN
>>587
病んで兄依存 に無理があるかもしれん。
なるとしたら
肉の味を知って肉便器化 かねぇ?
俺だったら…そだな。

…ごめん、無理だわ。
589名無しさん@ピンキー:2007/06/09(土) 03:04:32 ID:7yE6sQBU
>>587
泥棒猫排除のプロセスが抜けているかな。

ま、妹の好意次第か。
もともとブラコン気味だったのがレイプきっかけでキモ化とか。
依存が飛ぶけど。

「お兄ちゃんが、私を抱いた・・・? でも。私達兄妹なのに?
 それとも・・・お兄ちゃんは、私を女として好きなの?
 ・・・・・・なぁんだ。
 そうだったんだ。お兄ちゃん、私を妹じゃなくて、女として好きなんだ。
 うふふっ、あはは。
 じゃあ・・・・・・いいよね? 私、お兄ちゃんのこと好きだったけど。
 大好きだけど。それが、お兄ちゃんとしての好きじゃなくても良いんだよね?
 私・・・お兄ちゃんを愛して、いいんだよね?
 だって、一線を越えちゃったし。お兄ちゃんが私を抱いたんだし。うん、そうだよ。
 そうすれば、良かったんだ。
 私はお兄ちゃんが好き。お兄ちゃんを愛してる。男性として。
 思えば、簡単なことだったんだね。
 お兄ちゃんが女の人と一緒にいると苛々したのも、私が誰とも付き合う気になれなかったのも。
 私が、お兄ちゃんを愛していたからだったんだね。
 うふ、うふふ。あはははは。
 あはははははははははははははははははっ!」

みったいな。
590名無しさん@ピンキー:2007/06/09(土) 03:06:13 ID:unu0LabB
なあ、キモウトって結局どこを目指してキモイ行動に走ってるんだ?
兄をキモイ手段で振り向かせて独占的にセクロスする関係になるためなのか?
それとも兄を惚れさせて子作りするためなのか?
591名無しさん@ピンキー:2007/06/09(土) 03:47:14 ID:aIw4umsN
>>590
多分↓を目指してるかと。

1.お兄ちゃん大好き♪ずっといっしょ…だよ?うふふふ×100
 基本系
2.近親相姦のスリルを味わいたいです…!
 そのまま
3.子供欲しい。兄様、はらませてくださいまし…
 子供大好き派
4.とりあえず人殺したいから、兄貴、泥棒猫引っかけて。
 殺人欲求派
5.身近な男性は兄さんだけ
 知らないよ派
6.お兄ちゃん、死の?
 兄を愛してるかに見せかけて、実際は殺すための口実だった派
7.ボクが行って、やっつける!
 ムカつく女子を引っかけて殺してやる派
   ↓
   派生 肉便器作成派
9.奴とは違うのよ奴とは!
 アイデンティティ派
10.べ、別にあんたが大好きで大好きで一生
   中略
  …なんだからね!?
  この気持ち、何なのかなぁ…胸が
  黒くてドロドロして気持ち悪いよぉ…派
11.まだ余裕があるのよ
  吸血鬼と人間のハーフなんだけどコントロールする余裕があるから
  とりあえず輸血タンクとして兄さんが欲しいな?派
    
    後略

途中から訳が分からなくなったが…
2、3個は合ってるはず、多分。
592名無しさん@ピンキー:2007/06/09(土) 03:48:04 ID:C0f4T4rK
>>590
其れは当然 両 方 じゃないか?
むしろ其れが基本だと思えてしまう俺ガイル
593名無しさん@ピンキー:2007/06/09(土) 03:51:33 ID:BvkdJ7iD
>>590Sexする権利も子を孕む権利も生涯を共にする権利も体も心も命すらも
全部全部全部独占したい誰にも渡したくない譲れない。
そんな純愛がキモウト・キモ姉を突き動かすのです。
594593:2007/06/09(土) 03:55:01 ID:BvkdJ7iD
shit!!すみません。下げ忘れました。
595名無しさん@ピンキー:2007/06/09(土) 04:14:35 ID:Lm602Sto
>>591
ワロタw

・お兄ちゃん大好き
・他人への思いやり
・社会への対応能力
この三要素の兼ね合いで目指す方向というか、行き着く先が決まるかと思われる

1.お兄ちゃん大好き≫他人への思いやり=誘惑+破壊
2.お兄ちゃん大好き>他人への思いやり=誘惑
3.お兄ちゃん大好き≦他人への思いやり=キモウトではない

a.社会への対応能力高=ステルス性高、内縁の妻、永遠の恋人などで幸せに
b.社会への対応能力低=ステルス性低、倫理観や周囲の人間の壁と衝突、恐ろしいことに

1-a:恐ろしい狡猾さで周囲を不幸にしながらも自分は幸せに
1-b:恐ろしい破壊力で全員を不幸に
2-a;ある程度祝福されながら幸せに
2-b:同情されながらも不幸に
3-a,b:キモウトではないので略す

でもこのスレのキモウトを分類しようと思ったらうまくできなかったから
やっぱりこの分類の仕方じゃだめなのかも
596 ◆Xj/0bp81B. :2007/06/09(土) 04:58:50 ID:axaQgKhN

嫉妬スレからふらついてきて、ふと思い付いたプロット投下。

主人公には、血の繋がらない妹が一人いる。彼女は主人公の父の再婚相手の娘で、人形のように可愛らしく元気な女の子だった。
ところがある日、幼い主人公が兄貴の威厳を見せたくて、ちょっとした火遊びをしてしまう。
小さな火が立つだけだったはずなのに、何故か火は予想外に広がり、家の一室が焼けてしまった。
逃げ遅れた妹。救助された時、彼女の可愛らしかった顔は、ひどい火傷で右半分がただれてしまう。
以後、妹は元気を失い、素直だった性格もひねくれ、学校にも行けなくなった。全ては醜くただれた右半分の顔のせいで。
日に日に態度が硬化する妹。
やがて主人公に対し目に見えた嫌がらせをするようになるのだが、
火事の負い目から主人公は妹の嫌がらせをただ黙って受け入れ続けるしかなかった。
「お兄ちゃんを幸せになんかさせない」
そう言う妹の目には、明らかな憎悪が宿っていた。
しかし、ある夜。深夜皆が寝静まった頃、主人公は物音に目を覚ます。ふと物音の方に目をやると妹の姿が。
妹は主人公が寝ている(うそ寝)のを確認すると、突然ベッドの中に潜り込んできて、主人公の体に腕を絡ませて言う。
「お兄ちゃんを幸せになんかさせない。だけど、私を幸せにしてくれるなら、お兄ちゃんも幸せになっていいよ」と。
その昼間の様子とはまるで違う妹の様子に戸惑う主人公。
一夜明けると、妹は元に戻っていた。相変わらず主人公に嫌がらせをしてくる。
しかし、主人公は悩んでいた。昼間の顔と、深夜に見せた顔のどちらが本当の妹なのか、と。
そして、主人公は近所に住む幼馴染みに、その悩みを相談する事にした。
彼女は、妹が心を開く数少ない人物で、主人公の妹に対する悩みを真摯に聞いてくれる。
その様子に、主人公は少しづつ幼馴染みに惹かれていくのだが。

妹の倒錯した愛が、それを許しはしなかった。


597無形 ◆UHh3YBA8aM :2007/06/09(土) 05:20:24 ID:fZ5RYXhe
>>596
是非執筆して下さい!

それはさておき
籠の続きを投下します。
598籠の中 ◆UHh3YBA8aM :2007/06/09(土) 05:22:23 ID:fZ5RYXhe
――――――――――――――――――――――――――――――――――――

夢を見ていた。
ずっとずっと、抱いていた夢。
あの人の、にいさんの本物の家族になるという夢。
たったそれだけの、ささやかな夢だ。
にいさんは。
月ヶ瀬真理は。
月ヶ瀬聖理を心から愛してくれている。
本物の妹。
正真正銘の家族。
そう、認めてくれている。
「さとりちゃんは“妹”じゃないでしょう!」
性酷薄なあの女が何度そう云っても。
「聖理は俺の妹だ」
迷うことなく、そう云ってくれたのだ。
綺麗な。
本当に綺麗な顔。
男の人なのに。
とても整っていて、そして優しい笑顔。
柔らかな瞳で。
「聖理」
そう呼びかけて貰えるだけで。
私の身体は歓喜に震え、身体の奥が甘く疼く。
私の髪を優しく撫ぜる大きな掌はとても暖かくて。
それだけ。
たったそれだけで心が安らぐ。
孤独な自分が暖かく満たされて往く。
魂に齎されるその快感は、とても言葉で語れるものではなかった。
今も昔も。
私を救ってくれたのはにさんだけだ。
にいさんに出逢って、私は自信をつけた。
私が私でいて良い。
そのことに卑下しなくなった。
『成金』
そう云って私を蔑んでいた級友達を力で服し、二度と侮蔑できぬようにしてやった。
歌。
にいさんが褒めてくれたもの。
認めてくれたもの。
別の意味での、私の価値。
有象無象の人間が私を認める一部位。
けれど、この人の為だけにある、私の声。
「にいさん」
そう呟くためだけに。
「愛してる・・・」
そう歌うためだけに。
この声は神様がくれたのだ。
どうして私は独りだったのだろう。
ずっと悩んでいた。
嘗ての私は、孤独である意味がわからなかった。
けれど、今なら理解できる。
一人。
私に必要な者は一人だけ。
それを気づかせる為に、神様は私を独りにした。
どうして私はイトコなのだろう。
実の妹ではないのだろう。
そう悩んだこともあった。
でも、それも解った。
599籠の中 ◆UHh3YBA8aM :2007/06/09(土) 05:25:06 ID:fZ5RYXhe
この人と――
私のにいさんと合法的に結ばれるために。
そして家族でもあるように。
“血の繋がった他人”として、私は生を受けたのだ。
「にいさん」
眠る従兄に手を這わす。
私の瞳は潤み、頬が上気している。
「にいさん、知ってる?鶉ってね、イトコを最良の恋人にするんだよ?」
ぷちり。ぷちりと。
にいさんに纏わり付く衣服を剥がして往く。
「生物には種を残す本能だけじゃない。自己を残すと云う本能があるの・・・・」
かちゃり。かちゃりと。
にいさんに巻かれたベルトを外す。
「だからね、自己に似た他者――イトコを最も愛するんだよ」
頬を舐める。
すべすべしていて、とても柔らかい。
「近親相姦は動物にすらない。メイトアウトがあるのはインセストを防ぐため。兄妹で愛し合うのは
おかしいよね?愛しあって良い兄妹は、イトコだけなんだよ?」
首に腕を回し、耳たぶをしゃぶる。
「鳥にだって近親回避はあるんだよ?歌声が同じもの。羽の模様が近いものは、互いに避けるの」
唇をなぞる。
ぷるぷるしていて、見ているだけで喉がなる。
「でもね、適度に“近い”模様や、声を持つもの――イトコは最良の番いなの。自己を、そして種を
残すと云う撞着する本能を止揚できる相手だから」
そっと口付ける。
私の、ファーストキス。
「人間の間でも云うでしょう?身体を重ねるとき、最も具合が良いのはイトコ同士だって」
ジッパーを下ろす。
にいさんの、大きくて太い男の証がさらされた。
「これが――今から私の“中”に入るんだ・・・」
ごくり、と唾を飲んだ。
空気は乾燥していないのに、舌なめずりがとまらない。
「どんな、味なのかな・・・・?」
欲しい。
さきにこっちの口に入れてみたい。
そう思ったとき、すでに私の手はにいさんの身体に伸びていた。
初めて触れる男根は、思ったよりも柔らかく、ずしりと重い。
「・・・・・・美味しそう・・・・」
迷うことなく、先端に舌を這わせる。
「「ん・・・」」
瞬間。
にいさんと私の声が重なる。
「こういう、味、なんだ・・・・」
まだ、肉の味。
私は鈴のような裂け目を舌で刺激する。
「んん・・・・」
にいさんがくぐもった声をあげる。
「ふぅん・・・。こうすると、気持ち良いんだ?」
撫で、扱き、口に含み、舐めあげる。
「アハ。だんだん大きくなってきた♪」
眠りながらも感じているにいさんの様子を観察する。
どこが気持ち良いのか、少しでも学習しておかないと。
「ここと・・・・」
裏筋を舐め上げ。
「ここ」
先端を吸う。
にいさんの弱そうな部分。
声をあげる部分。
600籠の中 ◆UHh3YBA8aM :2007/06/09(土) 05:27:49 ID:fZ5RYXhe
それを吸収して往く。
「私、舐めるの好きなんだ」
ぴちゃぴちゃと音をたてて舐めまわすと、自分でも信じられないくらい興奮する。
愛し合うって、自分の性癖を知るってことでもあるんだね?
先端からこぼれる透明の液体を飲み下す。
眠りながら感じるにいさんが愛しい。
「はぁ・・・・はっ・・・・」
「にいさん、息荒いよ?どんな夢を見てるのかな?」
きっと私の夢だよね?
ペニスを口に含み、吸い上げる。
ビクリ、ビクリと身体が揺れた。
「出るのかな?」
出たら一滴残らず飲んであげないと。
口内に力を込める。
総て吸い出してあげる。
「え」
その刹那、頭上から声がした。
愛しい愛しい、にいさんの声。
「さ、聖理・・・・?」
「おはよう。にいさん♪」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

言葉に出来ない。
今、僕が見ているものは、現実だろうか。
薄暗い部屋の中には僕と従妹だけ。
その従妹は身を屈め、僕の下腹部に吸い付いている。
「さ、聖理お前、なにし・・・・くぁっ!!」
従妹は答えるより早く。
僕のモノを口に含み、絶妙な力で吸い上げた。
「ぁ・・・・ああ、やめ・・・・・」
動けない。
手足の先が何かで固定されている。
「良い夢は・・・」
ぴちゃ。
「見れた?」
強烈な刺激。
僕は勃起していて、しかも酷く敏感になっていた。
「ぅ、あ・・・・・離れ・・・ううっ」
「キモチイイ?こうすると気持ち良い?」
「ひ・・・・あう・・・・」
何で?
なんでこんなことに?
突然の出来事と齎される快楽で頭が働かない。
「さと・・・・り・・・・は、はなれ」
「んー?良く聞こえないよ、にいさん。聖理になにかお願いがあるの?」
「・・・!!!!!!!」
コクコクと頷く。
口を開くと気を遣ってしまうかもしれない・・・・・!
「なぁに?聖理に何をおねだりするの?」
しゅっ、しゅっとちいさな手を上下させながら笑顔で語りかけてくる。
「うっ・・・ぁあぁ・・・・」
僕は首を振るので精一杯だ。
「にいさぁん。首を振ってちゃわからないよ?おねだりするの?しないの?」
「は、・・・・はなれ・・て・・・」
「あはは。聞こえないよ、にいさん。な・あ・に?」
じゅるり。
先端からこぼれる液体を吸う。
「美味しいな、コレ。病み付きになりそう・・・・♪」
601籠の中 ◆UHh3YBA8aM :2007/06/09(土) 05:30:06 ID:fZ5RYXhe
「ひぅっ・・・!!」
まずい。
まずい。
まずい。
まずい!!!!
(このままじゃ・・・・出・・・・!)
射精する。
そう思った瞬間。
「――え?」
従妹は手を離す。
「冗談。離れれば良いんでしょう?」
にこにこと笑う。
「う、あ・・・」
僕は体を捩る。
中途半端に刺激されたせいで、意識が従妹に向かない。
「どうしたの、にいさん?苦しそうだよ?」
不安そうな顔を“造る”。
「な、なん・・・で、こんな・・・・・」
「こんな?にいさんが入ってきてくれたんだよ?聖理と云う、“籠の中”に」
「な、なに、云って・・・・おまえ、苦し・・・助け・・・・て・・・・」
「うん。にいさんがいなくて苦しかったの。だから助けてって云ったんだよ?」
「な・・・・」
絶句する。
驚いて従妹を見つめた。
「お、まえ・・・その格好・・・・」
「やっと気づいてくれた。もーにいさん。鈍感なのはだめだよ?」
そう云って僕を見おろす。
聖理は。
従妹は不思議な衣装に身を包んでいた。
ドレスとボンデージを掛け合わせたかのような、酷く淫靡な服装。
隠すべきを隠さず、肉の部分を際立たせるかのような意匠。
肉体に食い込むようなコルセットが、大きな胸を強調している。
レースのフリルと、黒皮のベルトが身体に巻きつき、幼くも妖艶な肢体を飾り付けていた。
「云ったでしょう?にいさんをもてなす準備をしてたって。この服、高かったんだよ?その手錠も、
結構いい値段したんだ」
「て、じょう・・・・」
云われて気づいた。
僕の体はベッドに括られているらしい。四肢の先端を寝具と繋いでいるのは、銀色に光るわっか。
「ど、どうして・・・こんな、こんなことを・・・・」
「にいさんが悪いんだよ?」
聖理は己の唇を舐める。
「にいさんが聖理に構ってくれないから、“籠の中”に入れることにしたの」
「籠の、中」
「そう。籠の中。にいさんがもともと囚われていた歪んだ籠なんかじゃない。愛し合う二人が入る、
永遠の籠に」
身体を寄せた聖理は、僕の顔に口を寄せる。
「や、やめろ・・・・!!」
慌てて顔をそらした。
妹と、口付けなどできるものか。
「にいさん、抵抗しちゃ駄目だよ?」
ぱん、と頬を叩く。
「にいさんはもう聖理のものなんだから、受け入れて」
「出来るか、そんなこと・・・・!!」
禁忌を。
唾棄すべきことを。
二度も犯せるものか。
「にいさん、抵抗するなら無理やりになっちゃうよ?」
従妹は笑う。
まるでそれを望んでいたかのように。
602籠の中 ◆UHh3YBA8aM :2007/06/09(土) 05:32:07 ID:fZ5RYXhe
「ほんとはね、決めてたんだ」
「ぁぅっ!」
再び陰茎を甘く刺激する。
「どんな形であれ、にいさんと初めて結ばれるときは、レイプにしようって」
結ばれる?
レイプ?
なにを云ってるんだ?
「は、離れ、ろ。お、怒るぞ」
「アハハ。そんな可愛い顔で怒っても怖くないよ。――物欲しそうな顔してるね、にいさん。
にいさんはこれからは、その表情で聖理を見つめ続けるんだよ?」
妖艶な。
酷く妖艶な小悪魔じみた笑い。
聖理は僕を弄ぶように、快楽と刺激を与えて往く。
「ここと」
「うぁあっ」
「ここ」
「ひ、っ」
「弱い部分は、学習したから」
「どうして、どうしてこんなことを・・・・」
「どうして?」
聖理は手を止める。
「愛してるから結ばれる。それがおかしい?」
愛してる?
それは――
「お、俺を・・・?」
「当たり前でしょう?何度もそう云ったじゃない」
「――」

僕は。

それで。

漸く。

今まで抱いていた『齟齬』の正体に気づいた。
「にいさんだって聖理を愛してる。そうでしょう?」
「ち、違うっ!!!」
僕は叫んだ。
「お前は、大切な妹だ!“そんな風には”見れない!!」
「――なに、云ってるの?」
「う、あっ」
従妹は舌を這わせる。
「そんな風に見れない?“ここ”を“こんなに”しておいて、何云ってるのよ?」
「うぅっ」
乱暴な。
今までよりも乱暴な刺激。
「ふぅん。こうされるのも良いんだ?ヘンタイだね、にいさんは」
聖理は身体を寄せる。
ドレスによって際立った大きな胸がぷるんと揺れた。
「にいさん、聖理のおっぱい見てるときあったよね?腕組むと、嬉しそうにしてたでしょう?
知ってるんだよ?そのこと。それでも“そんな風に”見れないって云い張るの?」
聖理は大きな胸を陰茎に寄せる。
柔らかな。
とても柔らかな双丘が男根を挟み込んだ。
「にいさんの大きいから、聖理のでもはみだすね?」
「や、やめっ」
ぐにゅり。
形を変える従妹の乳房は、驚くほど気持ちが良かった。
603籠の中 ◆UHh3YBA8aM :2007/06/09(土) 05:34:28 ID:fZ5RYXhe
「前に測ったとき、91センチあったんだけど、最近はブラが苦しいから、もっとあるかも。
嬉しい?にいさん?」
むにむにと扱きあげる。
もともとが器用な従妹は、すぐに僕を苦しめる所作を学習した。
気持ちよくするだけして、達しそうになると止める。
それを幾度も繰り返しすのだ。
「表情でわかるよ。絶対にイかせてあげない。にいさんが聖理を愛してるって素直に認めて、
満足往く“おねだり”が出来たら、イかせてあげる」
「い、いやだ・・・や、止めてくれ・・・・」
妹に。
大切な家族に!
もうこんなことはしたくないんだ!!
僕は泣いていた。
泣きながら喘ぐしかなかった。
「だ〜め♪にいさんは聖理におねだりするようになるんだよ。聖理なしじゃいられない身体になるの。
にいさんは身体だけじゃなく、ココロまで“籠の中”に入るんだよ?」
自分の意思でね。
そう云って、双丘からはみ出した亀頭を舐め上げる。
「う・・・あ・・・いやだ・・・・いや・・・・だ・・・・・」
壊れる。
僕と云う人格が壊れてしまう。
嫌だ。
もう嫌だ。
「あ、ぁぁぁ・・・・」
「さぁ。云うのよ、にいさん。“聖理を愛してる”って。“イかせて下さい”って」
嫌、だ・・・・・。
もう・・・・。
もう何もかも。
首を振る。
快楽と嫌悪でまともに思考が働かなかった。
「強情だなぁ。涎まで垂らして、涙まで流して喜んでるのに」
聖理は身体を離し、机に向かって歩いて往く。
引き出しを漁り、『何か』を持って再び僕の許へ遣ってきた。

(・・・・・・え・・・・・・)

僕の動きが止まる。
「う、あ・・・・なんで、“それ”が・・・・」
僕は呆ける。
それしか出来ない。
力の入らない身体で『それ』を凝視した。
「あれ?にいさん“これ”がなんだか知ってるんだ?――そう。“媚薬”だよ。これを使って
にいさんを素直な良い子にしてあげる」
瓶。
小瓶。
僕の目に入る、見知った小瓶。
「あ・・・・あ・・・・・」

『隠し味』

あの日。
あの時。
あの場所で見た。
いつもと違った、理理の隠し味――
「う、そ・・・だ・・・・」
思い浮かぶ実妹の笑顔。
604籠の中 ◆UHh3YBA8aM :2007/06/09(土) 05:36:58 ID:fZ5RYXhe
それを想起する僕の思い出が――

パキリと。

音をたてて折れたような気がした。
「は〜い。あ〜ん」
「・・・・・ぁ・・・・・」
ダレカが、
なにかヲ、
シヨウト
している・・・・・。
何も考えられない・・・・。
喉が鳴っていた。
何かを飲み下しているらしい。
「さあ、素直になるのよ、にいさん」
ダレカは誰かの手錠を外しながら笑う。
自由になった。
ジユウ?
籠の中にいるのに、自由?
(オンナ)
ああ、この感覚。
(オンナ)
『あの時』と同ジ火照り方ダ。
(オンナ)
あノ時?
(オンナ)
いつだっケ、そレは。
(オンナ)
僕は、何をシテルるんダっけ?
(オンナ)
おんな。
目の前にオンナがいる・・・・。
それだけで充分だった。
火照ったからだと。
腐った思考と。
膨張した獣欲。
僕は体を手放して、思うが侭に振舞った。
(熱い・・・・)
そう感じたのは身体にではなく、頬に。
何で泣いているんだろう。
自分のことなのに。
その理由がわからない。
それは多分、自分で自分が嫌になったからだろう。

僕は自分の心を、“籠の中”に押し込めたのだった――

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

4時半。
そんな時間に目が覚めたのは、温もりが無かったせいでしょう。
私の通常の起床時間は5時。
彼誰時に目を覚まし、大好きなお兄ちゃんの為に朝食を作るんです。
傍で眠るお兄ちゃんの顔はとても可愛らしくて。
その唇を舐め、唾を飲ませることから私の一日は始まります。
私はお兄ちゃんとひとつになるために生まれてきたので、その温もりが無いとすぐに気づくんです。
だから、今日もすぐに目を覚ましました。
「トイレかな?」
布団の中に兄の姿はありませんでした。
605籠の中 ◆UHh3YBA8aM :2007/06/09(土) 05:39:00 ID:fZ5RYXhe
云ってくれれば、そっちのお世話もしてあげるのに。
部屋を出ておトイレに向かいます。もしも用を足しているなら手伝ってあげないといけません。
「お兄ちゃん、いる?」
ノブに手をかけると、扉は簡単に開きました。
「あれ?」
いません。お風呂でしょうか?
「お兄ちゃん、どこ?」
大きな声で呼びかけます。
お兄ちゃんは私を愛しているので、呼べば必ず出てきてくれるんですよ。
「お兄ちゃん、出てきて?」
おかしい・・・・。
「どうして、」
出てこないの?
「お兄ちゃん」
扉を開ける。
「お兄ちゃん」
開ける。
「お兄ちゃん!出てきてっ!!」
開ける。
開ける。
開ける。
開ける。
開ける。
「なんで・・・・・」
いないの?
家の中を総て見て、漸く兄がいないことに気が付きました。
「コンビニにでも、往ったのかな・・・・?」
だったら私を起こすはずです。
私の許可無く外出はしない。
そう誓って貰ったんですから。
私達は兄妹にして、夫婦です。
結婚式だって挙げたんです。
その『妻』である私に無断で外出するなんて、絶対に許されないことなんです。
それでも一応玄関に往きます。
「・・・・・なんで」
兄の靴は、ありませんでした。
「あ・・・」
私は、
「ああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!」
叫びました。
近くにあった花瓶を掴んで、叩きつけます。
「何で!?何でお兄ちゃんはいないの!?なんで私の許可無くいなくなるの!?私は妻だよ!?
お嫁さんだよ!?こんなこと、あって良いはずないでしょう!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
靴べらも、サンダルも、目に付くものは皆叩きつけます。
「・・・・・そうだ」
お兄ちゃんが勝手にいなくなるはずない。
きっと何かあったんだ。
私は自室に戻り、ケータイを鳴らします。
「繋がらない・・・・」
何て益体も無いケータイでしょうか。
思い切り叩きつけます。
「じゃあ、書置きは?」
台所に走ります。
兄は伝言を残す場合、冷蔵庫のホワイトボードか、テーブルの上にメモを残すからです。
「・・・・・あった」
とりあえず安堵しました。
私は四角い紙切れに手を伸ばします。なんて書いてあるのでしょう。読もうとします。
ですが。
606籠の中 ◆UHh3YBA8aM :2007/06/09(土) 05:40:58 ID:fZ5RYXhe
「・・・・・なに、それ」
『聖理』
忌々しい名前が目に入った時点で、走り出していました。
お財布と、近くにあった『鋏』を掴み、家を出ます。
通りでタクシーを捕まえ、全速力で走って貰いました。
あの偽者の家は遠いです。
そのことが今まで嬉しかったのですが、今日は違います。
遠いことが許せない。
遠いことが我慢できない。
嫌な予感が消えませんでした。
長い時間をかけて漸く辿り着きました。
鉄柵の門には鍵がかかっているので、乗り越えます。どうせ玄関にも鍵が掛かっているに違い
ありません。ですから、窓硝子を叩き破って入りました。
家の中は真っ暗です。
偽者に相応しい、陰気ながらんどう。
私は記憶を頼りに偽者の部屋に向かいます。
「・・・・っ・・・・っ・・・・」
何か耳障りな声が聞こえてきました。
内容まではわかりませんが、偽者の悪声であることだけはわかります。
ぎゅうっと、私は鋏を握ります。
刃の長い、裁縫用の長鋏。
(もしも・・・・)
私の大切なお兄ちゃんに。
(何かしていたら・・・・)
この鋏で――

勢い良く扉を開きます。
「な・・・・」
私は立ち止まります。
「あんっ・・・!!あぁ!!良いよう、にいさぁあん!もっと!もっと聖理を突いてぇ!!」
なんで・・・・。
腰を振る一組の男女。
立ち込める臭い。
いやらしい服で着飾った雌猫と。
「ぅ・・・あ・・・・・・」
虚ろな瞳で涎を垂らす私の『お兄ちゃん』。
嫌な。
最も嫌な光景がそこにあった。
「あ・・・・」
私は鋏を握り締め。
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

偽者に走り出していた。
607無形 ◆UHh3YBA8aM :2007/06/09(土) 05:43:39 ID:fZ5RYXhe
今回はここまでです。
ある程度先までは書いているので、そんなに間を置かず次の投下が出来ると思います。

次回で漸く最終回です。
もう暫くお付き合い下さい。
608名無しさん@ピンキー:2007/06/09(土) 05:45:11 ID:ULsJ+OYe
一番槍GJ!

流 血 必 至の展開にwktk
609名無しさん@ピンキー:2007/06/09(土) 05:54:00 ID:GfPjhKsa
もうすぐクライマックス。果たして生き残る者はいるのか!?
全裸でwktk
610名無しさん@ピンキー:2007/06/09(土) 05:55:12 ID:kZZ363Xz
俺は最初からクライマックスだよ
GJです!
611名無しさん@ピンキー:2007/06/09(土) 05:58:29 ID:5M9o784C
>>607
籠キタワァ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。. .。.:*・゜゚・* !!!!!
クライマックスでイイ引きしやがって……
612名無しさん@ピンキー:2007/06/09(土) 07:49:29 ID:ykpEcs9c
朝から職場でフルボッキした
613名無しさん@ピンキー:2007/06/09(土) 08:11:48 ID:LmyzKi53
>>607
最終回がとっても嬉しいw
614名無しさん@ピンキー:2007/06/09(土) 10:10:34 ID:vCb+Mkhk
>>607
聖理ー!!らめぇー!!逃げてー!!
615名無しさん@ピンキー:2007/06/09(土) 10:14:55 ID:bDZU82Nq
ところで今キモ姉の話を書いています。
でも血が繋がっていない設定です。
こういう話はこのスレ的にありですか?
賛成多数で近日中に投下。
・・・予定。

あと投下はPCからです。
念のため。
616名無しさん@ピンキー:2007/06/09(土) 10:50:05 ID:oVHCEFkf
賛成賛成賛成賛成賛成賛成賛成
617名無しさん@ピンキー:2007/06/09(土) 11:07:04 ID:4KSJbTJz
投下マダー?
618名無しさん@ピンキー:2007/06/09(土) 11:45:56 ID:kS7CpPzn
>>607
それでも俺は3人幸せエンドを諦めない。
(´;ω;`)ウッ…
619名無しさん@ピンキー:2007/06/09(土) 11:51:41 ID:ZYTZVWTV
>>615 賛成
620名無しさん@ピンキー:2007/06/09(土) 12:09:18 ID:XB+L0B6x
>>618
理理、聖理の二人幸せはありえるけどお兄ちゃんは……(´;ω;`)ブァッ
621名無しさん@ピンキー:2007/06/09(土) 12:46:51 ID:unu0LabB
もう心中しかない!
622名無しさん@ピンキー:2007/06/09(土) 13:04:44 ID:nqcqnoDQ
もう3Pしかない!
623名無しさん@ピンキー:2007/06/09(土) 14:34:00 ID:ykpEcs9c
溜め込んでいるネタの放出


「あ、兄さん。保険の受取人をあたしに変えといたから」
「誰の?」
「兄さんの」

何を考えてるんですか?


「いい歳なんだから彼氏作りなさい。結婚して親に孫の一人や2人抱かせてやれよ」
「あたしに他の男に嫁げと?」
「・・・・・・」

どうしたものか……

昔、学生の頃
ある日、朝帰りして部屋に入ろうと扉を開けると、
扉に向かって正座している妹。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
蛇のような目で沈黙を作りつつ、睨みながら部屋を出て行く。
怖かったよ


暑いね。仕事の合間に生臭い昔話。
学校から帰ると妹が腹を抱えてソファーでうずくまってた。
「どうした?腹痛いのか?薬は?病院行くか?」
「薬は飲んだ」
「大丈夫かよ。ちょっと顔見せてみ」
「あたしに触らないでっ!」
生理だったらしい。

当時付き合ってた彼女の誕生日。待ち合わせをすっぽかされてウチに帰った。
赤いでっかい花束抱えて。
「どうしたの?その花?」
「真ん中のバラ、お前好きだったろ。やるよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
花束かかえて喜んでた。
何の為の花束かは知らぬが仏。

「そういえば、昔は『お兄ちゃん』って、呼んでたよな。
 いつからだ? 『兄さん』に変ったの?」
「『お兄ちゃん』とは結婚できないって知ってからよ……」
624名無しさん@ピンキー:2007/06/09(土) 14:40:15 ID:eG+rkmpR
一番下(・∀・)イイ!!
625名無しさん@ピンキー:2007/06/09(土) 17:06:48 ID:jUJX5NJi
ニーチェは言いました
「神は死んだ」と
でもそれは嘘だった。なぜなら

神  は  こ  こ  に  い  た

つーことで無形氏GJ!!!
626名無しさん@ピンキー:2007/06/09(土) 17:42:23 ID:f2kYRtlX
無形氏最高
次回で最終回というのが残念で仕方ない。

ところで他スレの話で申し訳ないのですが
ずっと気になってたんでお聞きします。

無形氏って嫉妬スレの「沃野」の作者の方ですか?
627名無しさん@ピンキー:2007/06/09(土) 18:30:34 ID:dyNdB8BN
>>626
「沃野」は焼津さんだ
失礼だから、作者さんへの詮索はやめろ
628名無しさん@ピンキー:2007/06/09(土) 21:12:03 ID://yFGhgk
>>626
終わりがあるから物語は美しいと思わんかね?
完結してもまた次回作を書いてくれると前向きに考えようぜ
それと627に同意。詮索はやめよう
629名無しさん@ピンキー:2007/06/09(土) 21:56:52 ID:aIw4umsN
>>628
その通りだ。完結するからこそssなんだ。

だがもしヒロイン全滅で終わったら…
吐くぜ?
いや実際嫉妬スレのリボンの剣士Bルートでそうなったんだよ。
無形様、このレスを見ていたらでいい、
ヒロインを殺す(輪姦す)なら片方にしてくだせぇ。
630名無しさん@ピンキー:2007/06/09(土) 22:23:21 ID:2UvpepVm
無形氏GJ!!!次回最終回か・・・悲しいような嬉しいような・・・なにはともあれwktkしなが
ら待ってる!!

>>615
賛成多数で可決されました。
631名無しさん@ピンキー:2007/06/09(土) 22:33:25 ID:a5zsE1go
完結しない物語を待ち続けている豪屋大介読者、田中芳樹読者辺りは
まさに煉獄で苦しんでいるような状況だぜ。
ホント続刊が出ないのは地獄だぜ! フゥハハハーハァー!

632名無しさん@ピンキー:2007/06/09(土) 23:04:56 ID://yFGhgk
EGFを忘れてはいかんぞ、少年
633名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 00:15:58 ID:oynfKjnL
>>607
GJ!!
いよいよ大詰めですねー。投下を心待ちにしております。

>>615
ありです。無問題です。何の不都合もありません。
思う存分投下してください。お待ちしております。
634名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 00:51:20 ID:nm6hoK9v
>>615
君も作家の端くれなら、そこから上手く実姉に話しを持って行くんだ!
635名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 01:01:23 ID:gPpHWGuw
EGFと聞いてコーヒーギフトのアレを思い出した
636名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 01:48:57 ID:VecKtG56
えっ?地球防衛軍じゃないの?
637名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 02:13:16 ID:Y5XR7oz8
>>636
EDFじゃないか?地球防衛軍
638名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 02:18:15 ID:VecKtG56
>>637
このKYが!
639名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 03:34:52 ID:PfNBxP/C
>>607
GJ!もう俺無形氏のキモウトなしじゃ生きられないよ・・
兄ちゃんこんなにいい奴なのに何が間違ってこんなキモウトが生まれてしまったんだろうな
だがそれがたまらなくいい
640名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 04:30:20 ID:FVPpT5aX
>>607
しかしほんとにキモイなw
キモすぎて萌えられんあたりが最高にGJ!!
641名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 05:01:38 ID:kHGMaRUs
>>640
問題ない
俺は↓のキ発言でこの上なく萌えられる
>>605
>「何で!?何でお兄ちゃんはいないの!?なんで私の許可無くいなくなるの!?私は妻だよ!?
>お嫁さんだよ!?こんなこと、あって良いはずないでしょう!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
642名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 10:21:10 ID:kSlEdxnj
どこかにコトリやサトリみたいなキモウト落ちてないかなぁ…

サッカーのカカみたいな それなんてエロゲ?を遥かに超越したリアル世界の話もあるから
凄いかわいいキモウトを持ったお兄ちゃんもいるんだろうな…うらやましすぎる
643名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 12:59:26 ID:S0hqODHG
>>642
詳しく
644名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 14:29:53 ID:UnzW9nJM
キモウトの孕みがみたいです…
645名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 14:34:16 ID:dd05zWWm
手段は強制猥褻だなw
646名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 15:06:15 ID:MtUrZP1q
>>643
お父さんがエンジニア、お母さんが大学教授といういいとこ育ちのお坊っちゃんで、だけどそれを鼻にかける事なく誰にでも優しくて、
子供の頃にホームステイした山形のじいさんばあさんに対して今でも恩を忘れずに交流を続けてて、しかもその時貰った五千円を今でも大切にしてて、
今年の欧州最優秀選手最右翼と目されるくらいのサッカー界のスーパースターで、金持ちで、しかもジャニーズばりのイケメンで、

18歳の頃から付き合い始めた彼女と23歳で結婚するまで己の貞操を守り続けた男。
それがカカ。
647名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 15:17:42 ID:FVPpT5aX
そういえばそんな話を前のWCのときに言ってたなぁ。
しかしキモウトがいるわけじゃないのか、残念。
648名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 15:53:33 ID:lTNjI72D
>>646
彼女が5歳年下と言うのが抜けてるぞ。
つまり付き合い始めた時、彼女は13歳。

貞操も「守った」ではなく「守られていた(本人の意思に関係なく)」と
妄想すればキモ度が増すなw
649名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 16:56:46 ID:awUDDdB+
カカなんて大したことはない。
お父さんはエンジニアでお母さんは大学教授で、幼い頃から名門サンパウロでプレーし、
小学生の頃サンパウロジュニアで日本の山形に短期滞在して、その時お世話になった
老夫婦の恩を忘れず、ずっと手紙でやり取りし、02年ワールドカップで日本に来たとき
ブラジル代表戦のチケットを老夫婦に送り、その当時貰ったこいのぼりのおもちゃや
5000円札を今でも大切に持っていて、18歳の頃、プールで飛び込みをした時に脊髄を損傷し
視力がかなり落ちても夢を諦めずプロになり、イタリアの名門ACミランに移籍して
富と栄誉を手にして、昔から付き合ってる幼馴染は
クリスチャン・ディオール・ブラジルの偉いさんのご令嬢で、すんごい美人で
料理が上手なのにメディアにしゃしゃり出たりせず、ミラノの大学に在学中で
結婚の約束をしているのに正式に結婚するまではセックスはしないと誓い、
それを頑なに守った。そんなドコにでもいるプレーヤー、それがカカ。
650名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 17:05:52 ID:f3z1RvGW
そんな奴どこにでもいねーよwwwwwwwwwwwwwwww
651名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 17:37:45 ID:HdxYgyiL
ロリコンの話題はよそでやれ
652名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 19:09:20 ID:33R8nqXB
つまりブラジル人キモウトについて考察を開始すれば良い訳だな
653名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 19:28:59 ID:kSlEdxnj
カカも奥さんがキモ幼馴染だったらさらにいいね

キモいとこだったら最高だった
654名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 20:54:26 ID:9Z9erb32
カカの人生下手なエロゲーよりすごい展開だな。これが俗に言う住む世界が違うってやつですか
655名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 20:56:13 ID:gSoT4KRm
カカの話はいい加減スレ違いだからやめれ
656名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 20:59:49 ID:UnzW9nJM
キモウトもキモ姉も行き着く先はBADEND
657名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 21:41:18 ID:pJ9gS0lb
保管庫はリンクとかフリーいいんかな?
658名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 21:55:13 ID:vCtyhGAS
鳩ねぇが可愛すぎて死にそうです。てかいっそ殺してください…
659名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 22:45:23 ID:kHGMaRUs
>>656
「兄妹は二人でいつまでも幸せに暮らしました」というハッピーエンドでも、
世間的にはバッドエンドだからな
660名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 23:01:40 ID:UnzW9nJM
キモウトの恋が実れば取り合えず二人は幸せになれるけど
失恋した場合はもう全員不幸になるな
キモ過ぎる恋のアプローチを楽しむのがキモウトスレの醍醐味だから
どういうENDになってもあまり関係ない気もするが
661名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 23:21:39 ID:dv3eCqSY
そ、そうか…ハッピーED好きな俺は少数派だったのか…
662名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 23:42:29 ID:HABz1oX5
正気にては大業ならず
663名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 23:51:12 ID:Xkn2dKWl
>>661
いいや。たぶんお前のほかにもたくさんいる。
俺は全員生存というありきたりなハッピーエンドが大好きだ。
664名無しさん@ピンキー:2007/06/11(月) 00:15:31 ID:8nOY01hY
キモ姉・キモウトらしい行動に萌えるのと、その(世間的)幸せを願うことは相反しない。
キモ姉・キモウトらしい行動を望むが故に(世間的)バッドエンドを望むのも、不自然ではない。

と思う。
ちなみにオレはHED派
665名無しさん@ピンキー:2007/06/11(月) 00:29:45 ID:oJIoRxC5
BEDも色々あるしな
単なるBEDだと微妙な気分になるが
切なさ溢れるBEDには、HEDにはない感動というか、胸を動かすものがある
666名無しさん@ピンキー:2007/06/11(月) 00:31:24 ID:R0UTiiDq
しかし「籠の中」の真理はマジ悲惨だよな・・・
大好きだった二人の妹が揃って媚薬を盛り兄から犯させるように仕向けるなんて・・
その後そのことで真理がどれだけ自分を責め、苦しむかも知っておきながらさ。
妹から裏切られたと言っても過言じゃないよな
667名無しさん@ピンキー:2007/06/11(月) 00:39:40 ID:dCiaKQZY
仕方ないさ
真理は悲劇のヒロインだから
668名無しさん@ピンキー:2007/06/11(月) 00:40:20 ID:oJIoRxC5
>>666
コトリもサトリも内攻めタイプだからな

コトリサトリ、前スレ最後の姉は内(兄弟)攻めの典型
綾、妹姫、聖は外(ライバル)攻めの典型
669名無しさん@ピンキー:2007/06/11(月) 01:06:02 ID:M4i+IKzo
キモウトは兄の心を繋ぎ止めるためなら何でもするんだろうけど
その手段は体を自由にさせる以外には考えられん
でも時間が経てば兄も妹の体に飽きてくるだろうし
その時が来たらキモウトはもうマジで悲惨な状態になるだろうな
やはり精神的にどう縛りつけるかが鍵になるのだろうか?
子供でも作ればまた違うんだろうけどなあ
670名無しさん@ピンキー:2007/06/11(月) 01:24:29 ID:uhOoFP/a
捨てられたくない一心で必死にフェラテクを磨くとか正直絶頂もの

まあこういうスレの主人公ってちょっと潔癖だからありえねーけど
671名無しさん@ピンキー:2007/06/11(月) 02:30:55 ID:rGFiS7F0
理理も聖理も、「自分はお兄ちゃん(兄さん)を(男性として)好き」でしかない。
真理くんは「妹(従妹)として好き」なのに。
真理くんはほんとかわいそーだわ、こんな身勝手な女どもに好かれて。

とりあえず、俺はハッピーED派。
バッドEDはなー。好きなんだけどな。
なんかこのスレでは安易な終わり方って感じがしてしまうなぁ。
どう考えてもバッド直行だろ! って話の内容で、どうハッピーEDにもってくかが
作者の腕の見せ所、という感じがする。
672名無しさん@ピンキー:2007/06/11(月) 03:22:44 ID:lLvgt4FT
>>671どんでん返しも作者の腕の見せ所だが、
予想通りの展開を鮮やかに紡ぐのもまた作者の腕の見せ所。
673名無しさん@ピンキー:2007/06/11(月) 04:50:31 ID:1OSjDh+1
EDって・・・・

いい薬が出てるから、あきらめずに医者に通うのだよ。
674名無しさん@ピンキー:2007/06/11(月) 04:54:23 ID:2TjrrDJJ
EDは病気じゃありません
675名無しさん@ピンキー:2007/06/11(月) 06:45:55 ID:oJIoRxC5
ID変えてまで自分の好みのストーリーを主張する奴は何がしたいんだろうと思ってしまう
676名無しさん@ピンキー:2007/06/11(月) 07:15:46 ID:AsxgjUxE
>>675
そういう風に書けって言ってんじゃね?
作者様、どうぞ雑音は無視して自分の思うように自由にお書きください
677変名おじさん ◆lnx8.6adM2 :2007/06/11(月) 12:53:41 ID:8nOY01hY
じゃあ投下しますね。
>>644の方の意見を見て、試験的に即興で書いたもの。
でも内容は全然違うのでご注意を。

エロくありませんよ?
678十六の兄嫁:2007/06/11(月) 12:55:18 ID:8nOY01hY

妹野 舞華(まいの まいか)。
それがオレの妹の名前だ。
家事全般が得意で、その癖抜けている所があって。
運動が苦手で、でも何事にも全力で向かう奴で。
いつもお兄ちゃんお兄ちゃんと言いながらオレを引きずり回していた。
無邪気で、快活で、少しブラコンが過ぎるのが玉に瑕ながらも自慢の可愛い妹。

その妹を、夢の中で汚すようになったのは一年程も前のことだ。

始めの頃は気付かなかった。
ただ毎日の眠りが異常に深くなり、その間に何か夢を見たことだけを薄く憶えている。
そして、起きた時にはやけに持続する異様な眠気。
変化が起きたのは、奇妙な夜と朝の体調に気付いて一週間もした頃だった。
奇妙な表現だが、夢の中で少しだけ冴えてきた意識。
一夜毎に夢の中でオレを縛り付けるモノが弱くなり、本当に少しずつ少しずつ鮮明さが増していく。

完全に気付いたのは、一月も経った頃。
夢の中で息遣いが聞こえ、何者かがオレの腹の上で身を踊らせている。
正確には、下腹。
痛い程に張り詰め屹立したモノが包まれ、擦られる感覚と快楽。
すぐに訪れる極楽を終えた瞬間に夢の中で意識が遠くなり、朝は眠気に反してどこかすっきりした感じで目覚める。
もう少し経つと、それは更に鮮明になった。
息遣いに加えて声がするようになり、快感は身を焼かんばかりに強く、果てた時の自身の息遣いさえもはっきりと。
その頃には聞こえてくる声から、
オレは夢の中に満ちる闇のすぐ向こうに妹の顔を想像するようになり、そしてとうとう耐え切れなくなった。

淫夢の中で喘ぐ妹の顔。
現実で接する妹の姿。
元々、ただでさえ年下であるにも関わらずブラコンが過ぎてオレにべったりとくっ付く反面、
異性と認識していないせいでひどく無防備な妹に、紛れもない女を感じ始めていたというのに。

二ヶ月。
そこまでが限界だった。
妹を異性として意識し、果ては襲ってしまいかねないという馬鹿げた可能性を、
それでも切実に考えたオレは引越したのだ。
大学生にもなって家族と同居はどうかと思っていたオレと、
妹のブラコンを心配してオレと妹を引き離したがっていた両親の思惑が上手く合致した結果である。
決まってからは早かった。
全ての準備に十日程度。それだけで済んだ。

引っ越してからは淫夢もぱたりとなくなり、平穏な日々が戻る。
数ヶ月後に、まだ15歳の妹が妊娠していると親に告げられた時は心臓が停まるかと思ったが。
相手は不明。妹は口を割らない。しかも産む覚悟を決めている。
両親には想像の埒外だろうが、オレは何故か目の前が真っ暗になるような感覚を覚えた。
慌てて連絡を取った妹の態度が、
誰か心に決めた人間がいるように男女の線引きをしたものでなければ、
オレは妹の恋の結果だと思わずに淫夢の恐怖で病んでいたかもしれない。
兎にも角にも、自分以外の命を宿したせいか落ち着きを持った妹。
結構前に出産祝いの言葉を電話越しながらも贈り、
これでようやく安心して生活が送れると、オレは息を吐いたものだ。
679十六の兄嫁:2007/06/11(月) 12:56:58 ID:8nOY01hY
なのに。

今のこの状況は、一体何なのだろうか。

「お互いの顔を見ながらお話するのは一年振りだね、お兄ちゃん。
 舞華は寂しかったよ。待ち遠しかったよ?」

それが誰なのか。判るまで時間がかかった。
場所はオレの上。
チャイムの音にドアを開けたオレを押し倒して、胸板に顔を摺り寄せて。
その顔が近付き、その顔だけが視界を埋めるようになるまで。
何故なら。

「・・・まい、か?」

一年振りに見る妹の装いは場違いに白く、白く。
薄さに反対側が見えるヴェールも、手を覆う布も、輝かしいドレスの末端までも完全な純白で。

「うん、舞華だよ。お兄ちゃんのたった一人の妹だよ?
 お兄ちゃんが好きな、お兄ちゃんを大好きな、
 お兄ちゃんだけを心の底から愛してる────────舞華だよ?」

ウェディングドレス。
婚礼の、花嫁の、愛を誓った男の隣でだけ着ることを許される衣装だった。

「お前、その格好は」

「これのことかな? 言わなくても分かるよね? 花嫁衣裳。
 今日は記念日だから、神聖な日だから。ちょっとだけ無理をして用意したの」

真っ白なスカートを摘んで持ち上げてみせる。

「似合うかな。ちゃんと似合ってるかな? お兄ちゃん。えへへ」

妹は笑った。
幸せそうに。
それこそ、生涯に一度だけ愛した男に見せるかという顔で。

「記念日・・・って。お前子供は? いやどうしてここに?」

オレには、理解が追いつかない。

「子供なら、赤ちゃんならいるよ? 愛し合う二人の、赤ちゃん。
 えへへ。そっかぁ、気になるんだ。じゃあお兄ちゃんに見せてあげる。当然だもんね」

完全にオレを置いてけぼりにして、ぱっと身を起こす妹。
とても出産して長く経ってない人間とは思えない素早さでドアの外に姿を消す。
戻って来ると、赤ん坊を抱き上げていた。

「愛華(あいか)だよ、お兄ちゃん」

小さいその体を、まるで宝物のような慎重さでオレに抱かせる妹。
半ば放心状態のままで受け取ると、妹の娘は笑ったような気がした。
頼りないほど小さな手を動かし、まるでオレに向けて伸ばすようにしている。
生まれたての命は布越しなのに温かで、柔らかで。
オレはいつの間にか顔を綻ばせそうになり。
680十六の兄嫁:2007/06/11(月) 12:58:17 ID:8nOY01hY

「お兄ちゃん、どう? 自分の娘の抱き心地は」

一瞬で氷点下まで突き落とされた。

「は・・・? 何を」

「気付いてなかった筈はないよね、お兄ちゃん?」

罅割れそうなこっちとは逆に。
妹の声はあくまでも温かく、幸せに満ちている。

「目・・・覚ましてたでしょ? 舞華がお兄ちゃんを犯してた時。
 お兄ちゃんの上で腰を振って、お兄ちゃんの上で喘いで、
 処女を捧げたお兄ちゃんのモノを咥え込んで悦んでいた時。
 目を覚ましても、果てたらまたすぐに眠ってたけど驚いたよ。
 結構強力な睡眠薬を使ったのに、人間の体って一月もあれば慣れて来ちゃうんだね。
 意識は朦朧としたままだとしても途中で目を覚ますなんて。
 あ。
 ちなみに、愛花のDNA鑑定は済んでるよ?
 お兄ちゃんの髪の毛や体液には事欠かなかったし、お父さん達を納得させるのにも必要だったから」

だと言うのに、耳朶を打つ言葉は粘りつくように離れず、冷水のように染み渡る。

「体液・・・え? だってアレは、夢で。お前は好きな男と子供を」

体が震えだした。肌が泡立つ。

「えへへ。あれは現実だよ、お兄ちゃん。それと、好きな人との子供なのも本当だね。
 だから愛華は舞華とお兄ちゃんの子供なんだよ」

夢の中の光景を思い出す。
蕩けそうな程に淫靡な声と、焼けそうな程に熱い快感と。
想像のモノであったはずの、怖い程に幸せそうな妹の表情。

「けど、お前。それは・・・・・・近親」

あり得ない。
あれが夢じゃないなんて、そんな悪夢はあり得ない。
だって、オレと妹は、舞華は実の兄妹なのに。
異性として愛するなんて。それも、子供まで。

「ごめんなさい、お兄ちゃん。でも、我慢できなかったの。
 今日が何の日かは・・・・・・憶えてるよね?」

痺れるように思考が停止した頭の中で、反射的に答えが出た。

「舞華の、誕生日・・・?」

「うん」

オレは、出産とそこに至るまでの大変な経験をした妹に、少しでも何かをしてやりたくて。
つい先日、プレゼントは何がいいのか、何でもいいぞと電話をした。
答えは、後で言うから待っていて、で。
681十六の兄嫁:2007/06/11(月) 12:59:08 ID:8nOY01hY

「誕生日。舞華の十六歳の誕生日。結婚が出来る年齢になる────────誕生日。
 だから舞華は一年前まで我慢したし、それ以上は我慢できなかったの。
 十月十日と、確実にするための誤差で一年。長かったなぁ。
 ねえ、お兄ちゃん。
 舞華はお兄ちゃんが好き。大好き。愛してる。
 誰よりも何よりも何時までも何処までも、お兄ちゃんを愛してるの。
 お兄ちゃんを抱きたい。抱かれたい。お兄ちゃんを離したくない、離れたくない。
 邪魔者は殺して、お兄ちゃんと、半分はお兄ちゃんで出来た子供達とずっと暮らしたい。
 だから舞華はお兄ちゃんとずっと一緒に居られる方法を考えたし────実行したの。
 ・・・・・・ところで、お兄ちゃん」

誕生日プレゼント、何でもいいって言ったの憶えてる?
そう聞かれる。
多分、首は縦に動いていた。

「あはっ、良かった。じゃあね。舞華、お兄ちゃんに一つだけお願いがあるの。
 子供は、順番が逆になっちゃったけど。
 お父さん達から保け・・・お金も貰えるし、帰る家ももうないし。あとはたった一つだけ。
 誕生日に、記念日に、今日と言う神聖な日に、
 このウェディングドレスの誓いと一緒に必要な、欲しいものがあるの。
 お役所に出したりはしないし、宝物として仕舞っておくつもりだけど」

そう言って。
妹は一枚の紙を取り出した。
それがどういう物なのかはよく知っているし、よく目に耳にしている。
既に社会で働いている友人から。或いは漫画や小説やドラマかで。
そして、かつて夢見るような口調で語っていた妹自身から。
それは。

「だからね、お兄ちゃん。舞華への誕生日プレゼントに」

既に片方の欄が埋められた、婚姻届。

「これに────────サイン、ちょうだい?」

絶叫。
それが自分のものなのか、手から滑り落ちた赤ん坊のものなのかも分からないまま。

「そうすればようやく舞華は妹で、お兄ちゃんはお兄ちゃんでなくなるから。
 そして、二人で幸せになろうね? あ・な・た」

オレは、せめて夢では妹に会わないことを祈りながら意識を失った。
682変名おじさん ◆lnx8.6adM2 :2007/06/11(月) 13:04:03 ID:8nOY01hY
投下終了。
神作品の後の投下は腰が引けますね。

>>607
GJ! と。
次回で最終回とは、期待しつつも寂しいような。
投下、お待ちしております。


では。
683名無しさん@ピンキー:2007/06/11(月) 13:12:28 ID:7Pi8zlI9
おまえら、まだやっているのか!!!!!!!!!!
           _ .- ──── -、..__                    ミミ 
          _ ─´            `\                 .ミミミ  
        /´                `ヽ、              ミミミ   
       /´                     ヽ             ミミ   
      /´       _、、             `、            ミミ   
     |´      ,-  ̄   ̄|            |            三  
     |´       ヽ、 ・  ..ノ    .,─ ̄ \    .|            三  
    .|         ──.'´ /. / .__...--ヽ    |            三  
    |   -´ ̄` -_ \   / / /ヽ、      |  ,-─ヽ,       三  
      |  |  --_`ヽ、     / /   |      |/./ヘ |       彡  
     .| レ´ ,.- `ヽ、ヽ、) (/ /・   .|      .| /|  | .|       .彡 
   ,- ._|   .ヽ、    ・ .、.|ヾ `'´ヽ_,.--- ̄___   .| |, 、ヽ  |        彡 
   |   .ヽ、  \  ___| .,  ヽ_-  ̄ ̄ ̄ ̄   .| 丶 .|   |         ノノ
   .| ´`ヽ,.`、    ̄_-- ヽ   ̄         .| ,L__ノ   /           |.|||.|lll
   |  .´ |.ヽ --─ ̄   / .|_     - 、      .|    /
    |   /∧ ヽ     ,     ,.-- ̄ヽ、       |   イ´
    .ヽ、 ´ `ヽ.|      / ̄´_--─' .|      | `'´ |、_,--- 、
     `ヽ、  .|     | ̄ ̄  .,.- ─|       |     .|     ̄ ̄─
        `ヽ- .|     `、 / ̄'´   |     /     .|
           \    ヽ_, --─ '    /ソ|     `─---
             |\     , ─-   /  .|
           , -| ` ヽ 、      /     |
         -'´  |     `ヽ---─´      |  |
       ,-´  , '´  ヽ             |   |
684名無しさん@ピンキー:2007/06/11(月) 13:13:27 ID:7Pi8zlI9
     // / /  /  ノ / /./ /  //// /彡  / ,
     / / / /  /  / // / / / // , / /, ///,
   |  || | | .| | | 彡 // / // " //  //,-"//
    | || |, |  | | / / / / ,,--'' ,,,--'''彡 , / '' ̄彡 /     ,,---''' ̄''''-
   .ヽ || || |、ヽ / /  ,,,,--''''''' ̄'''''ミミ二二-''''  ,,--'''-/___   /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,-
    丶ヾ\ヽ ∨,--/        ミミ=≡  彡彡-'',=--'''''' /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/
     ,,ゝミミヾ___,-''''          ミ ミ 二-彡彡、   /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;| |
    /,-, / /''|| ヾ、、   ,,--、   ノ ミ,,--、彡彡/ヘ  ,-/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ姉さんは間違っている。
   ノ// | ||| .ヾ、  ''ヾ-,,/'' ,,,,,,,ヽ   ミミ/ /ヾ、Υ//;ヽノ /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽこれは遊びじゃないんだ。
   / |、ヾ| |、ヾ、 /  /''/-┼-    ''' /,,ヽν//;;;;;//;;;|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;みんなで戦うべきなんだ。
   ||  ||\\|、 ヾ、 / /フ / ,,,-     ヾ-v''/;;;;;;;;//;/;;;|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
   |  ヽ、 |.,-、 (ヾ,,/,/"//        /-";;;;;;;;;|;;|;;ノ;;ヽ、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
   .ヽ  ヽ、 ゞ-,'=。ヾ '''ヾゝ、__        //;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;|;;;;;;;;ヽ、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
       \ \\ノ ,  、  ̄      .//;;;;;;;;;;;;/;;;,-ヽ,;;;;;;;\;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
           )/,,--,  ,- ヽ        ∧;;;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;;;;ヽ、;;;;;;\;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;、;;;;;;;
           .ヽ"" -'" ,,、       /;;;ミ==、;;;;;;|;;;;;;;;;\;;;;;;;;;;;;\;;;;;;;;;;;;;;;;;;;\;;;
            ヽ            /-==ゝ )|  .ヽ、;;;;;;;\;;;;;;人;\;;;;;;------
           ,-''"\、       /    ∨';;;;;;;;;;ヽ、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/;;;;;;;;;;7|;;;;;;;;;;;;;
        ,,--''/;;;;;;;;;;;;;;\、   ,,/-ヽ、   //;;;;;;;;;;;;;;;ヽ、;;;;;;;;;\/;;ヾ;;;;;;|ト-、;;;;;
      <、三-、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;''''''"";;;;;;|  .ヽ__ヽ|/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ノ;;;;;;;;|;;/;;'ミミヾヾ
           -、-、,_;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ ヾ,  ヽ\--,,---っ-、--∨;;;;;;;;;//;;;;;;;;;;ヽミミ
             |'' ̄--┐==、;;;;;;;;;ヾ、''''┴ヽ,j   ノ;;;;;;/ ̄'''''''---=====、、;;;;;;;
             |;;;;;;;;;;;;;;ゝ--彡;;;;;;;;;\\、________,/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;\;;;;
             .ヽ;;;;;;;;;;"-==--、;;;;;;;;;;\;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ̄。
685名無しさん@ピンキー:2007/06/11(月) 13:16:06 ID:7Pi8zlI9
                   __,.- 、_       __
                ___,._'^l /⌒ヽ` `>‐''" ___`ヽ、
            /__/' | /           /:.:.:.:.:.:.:.:`ヽ
.     _r―- 、 //  / /´。 。 ⌒)  U   l:.:.:.:.:
    r'  ⌒ヽ__l l    /rn^nl`  ー‐' ,.-‐-、_  ヽ、_/r:.
    f _ ̄ヽ/_ )  .:/ {_U_Uj   ,.-―‐-、      /´.:.
    {  `Y^ー''`ヽ、_{  ヽ、__/ _/ ̄` l     ヽ_;:-_,.-‐'"
    ヽ`ー' _ノ     ヽ!   lー一'"       !  ..:.:,r'⌒ヽ、
     `弋      ヽ、  ヽ r‐y'⌒l⌒/| :.:.:.l^!-‐ ' } ̄
        ヽ         ヽ、 ヽ{ _{__ノノ /:.:._L|ー '
           \        ll::l`lヽ`ー‐一'"_ノ‐ァ' イ:(` ' ,
            \   ヽ|l::| ヽ  ̄ ̄ ̄ / / |:::ト<__
                ヽ、   ||::|   `ー―一′_,,..,,_ l:::l

私にお兄ちゃんの下着をちょうだい!!!!!!!!!!!
686名無しさん@ピンキー:2007/06/11(月) 13:18:56 ID:8nOY01hY
嫉妬スレ35スレ目900レス以降からの飛び火ですかねぇ。
まあ、まったり行きましょう。
687名無しさん@ピンキー:2007/06/11(月) 13:40:51 ID:ipEf10w1
乙とGJ
688名無しさん@ピンキー:2007/06/11(月) 13:59:18 ID:DRxUfy+2
>>681
手から赤ん坊滑り落としちゃだめだろお兄ちゃん
ともあれGJ
689名無しさん@ピンキー:2007/06/11(月) 14:50:32 ID:F9CWaLJb
荒らしさんよ、あんまりお痛がすぎると本格的にアク禁とかされちゃうよ♪
690名無しさん@ピンキー:2007/06/11(月) 18:02:08 ID:hYcZSprj
これだと、妹がやった事より赤ちゃんを落とした兄の方がなお酷いと感じるな・・
691名無しさん@ピンキー:2007/06/11(月) 19:33:29 ID:GSdB+ciG
>>682
GJ!
後日譚というか、兄のその後の変化が見たかったり

>>690
そこは妹が受け止めたんだろう
692名無しさん@ピンキー:2007/06/11(月) 19:45:54 ID:nU8pH0Ng
>>682
つまんえねええええぇっぇぇぇぇ
693名無しさん@ピンキー:2007/06/11(月) 19:47:58 ID:qwIierWb
変名おじさんが叩かれてるのがよくわからん
おもしろくはないが、つまらなくもないぞ?
それならもっとつまらないのはいっぱいいた
694名無しさん@ピンキー:2007/06/11(月) 19:55:38 ID:8Zne6fCj
>>693
いいかいボウヤ
下を見ればキリがないんだよ
大切なのは他と比べてどうか、ではなく変名おじさんの作品が面白いかどうかなんだよ
695名無しさん@ピンキー:2007/06/11(月) 19:57:10 ID:yE4G2Yjp
>>694
釣られてあげるなんて優しいなお前
696名無しさん@ピンキー:2007/06/11(月) 20:00:48 ID:AK8h8/uw
ID替えてまで自演ですか
暇なんですね
697名無しさん@ピンキー:2007/06/11(月) 20:05:52 ID:230rmH3F
>>693
あとボウヤ
GJ言うときにもつまらん言うときも
ちゃんとした理由が必要なんだよ?

…最も理由を付けても叩かれるのに変わりは無いが。
そしてsageよう、な?
698名無しさん@ピンキー:2007/06/11(月) 21:25:57 ID:8j7Ic6ku
スルースキルの低下著しいこのスレは早晩嫉妬スレみたいになるな
699名無しさん@ピンキー:2007/06/11(月) 21:57:16 ID:+wATvBLS
荒らしにかまう奴も自演
とか言い出すとどこまで自演なのか分からなくなってくるけど
700名無しさん@ピンキー:2007/06/11(月) 22:15:54 ID:oJIoRxC5
・荒らしはスルーしましょう。
  削除対象ですが、もし反応した場合削除人に「荒らしにかまっている」と判断され、
  削除されない場合があります。必ずスルーでお願いします。

ただ荒らしが出たときに本当に何の反応も示さないと
それはそれで職人が荒らしの意見をスレ住人の意見と勘違いしてスレから離れたりする
擁護したいと思ったら荒らしじゃなくて作品そのものにレスをするといい
701名無しさん@ピンキー:2007/06/11(月) 22:45:04 ID:XD9Em4Pg
キモウトスレとSHUFFLE!スレが並んでてフイタ
ヤンデレは友を呼ぶだな
702名無しさん@ピンキー:2007/06/11(月) 23:17:36 ID:fKHvuapK
ここは凄いスレだな
まるで麻薬だ……
703名無しさん@ピンキー:2007/06/11(月) 23:25:15 ID:BukRuxb7
何故にSHUFFLE!スレが・・・?
URLどこよ?
704名無しさん@ピンキー:2007/06/12(火) 00:02:52 ID:oM/DW6hA
SHUFFLE!スレねぇ…
どうも彼処の職人文章力に欠けるんだよな…
エロパロだからやむを得ないかもしれないが、
内容の浅い在り来たりな純愛SEXしか書かんし。
いやアンチとか荒らしとかじゃなくて。素直な気持ちだ。
いっちゃ悪いがあのスレはあまり好まない。
705名無しさん@ピンキー:2007/06/12(火) 00:10:35 ID:9x+Jlzyr
その気はなくとも
荒れる元だから
他スレ批判はヤメレ
706名無しさん@ピンキー:2007/06/12(火) 01:15:07 ID:NBDvXhuV
変態おじさんもとい変名おじさん超絶GJ!
変な馬鹿がいるけど俺は投下楽しみにしてるんでじゃんじゃん投下してください。
707らむだ  ◆9BssOn5LsM :2007/06/12(火) 03:30:56 ID:Y7iz0KVc
どうも、>>615で宣言していたものです。
どうやら「愛さえあれば血縁なんて」がここのルールのようで。あれ?
2chに投下するのは初めてです。よろしくです。

注意事項
キモ姉もの
エロなし(これからです。)

好まない人はあぼーんを。
それでは投下します。
708毒にも薬にもなる姉  ◆9BssOn5LsM :2007/06/12(火) 03:33:14 ID:Y7iz0KVc
プロローグ 「姉は百まで弟忘れず。」

18歳、春。
今引越しの荷物を背負い筑波に向かっていた。
大学へ入学のための独り立ち。
レベルはなかなか高め、なんせ薬学部だからだ。
一般入試を受けたため大変だった。
親や先生からの忠告を何度も無視しがむしゃらに頑張った結果だ。
正直頭は良くないのでこれからも苦労し続ける。そんなの承知だ。
どんなに苦労してもかなえたい夢があるから。
そんなことを考えている間に電車は筑波へ着いた。

寮入り口近くの管理人室。
「え、あくた?」
「ええ、芥川龍之介のあくたです。」
何度も言わされた台詞をまた言っていた。
何年たっても自分の本名、灯火 芥(ともしびあくた)は人を驚かす。
現に寮の管理人も目を丸くしていた。
「で、何号室になりますか。」
「いや、実はないんだよ。」
「え、どうして?僕、寮に入れるっていう通知は来ましたよ。」
まあまあとなだめられつつ、メモをもらった。そこには携帯らしき電話番号と名前が書いてあった。
「お姉ちゃん…。」
709毒にも薬にもなる姉  ◆9BssOn5LsM :2007/06/12(火) 03:34:48 ID:Y7iz0KVc
灯火 光


六年。長いか、短いか。
それはどんな状況にあるかで変わるもの。
例えば大好きな人と共に過ごした六年。
例えば大好きな人と離れていた六年。
今日、1秒1秒の長さがまた入れ替わる。
あの馬鹿二人のこと、息子の引越しの手伝いなどしないでしょう。だから私が迎えに行かなくちゃ。
でもあの馬鹿にしては褒めるところもある。それは本人の進路志望をのんだこと。
まあ、弟の説得と日々の努力のたまもの。
そんな馬鹿のところに弟を六年も放置していた私を姉として失格なのかな。
実の息子を「芥」となずけるほどの馬鹿のもとに。
ごめんね、でも完璧になりたかったから。
それはさておき、寮に入れるとは言え荷物は多いとおもう。
やはり早く手伝わなくちゃ。
携帯が鳴った。
着メロ「KOTOKO・ねえ、…しようよ!」
時は来た!
710毒にも薬にもなる姉  ◆9BssOn5LsM :2007/06/12(火) 03:36:27 ID:Y7iz0KVc
灯火 芥


つながったら一言だけ言われて電話は切れた。
「駐車場で待ってて!」
初めはすべてを疑った。
でもこの名前はあいつしか考えられない。
再びメモを見つめる。

すぐに連絡せよ
灯火 光(ともしび ひかり)より
080-****-****

灯火光。この名前をここで見るとは。
実をいうと血はつながっていない。姉は十年前、孤児院から引き取られた。
前の家族にひどいことをされていたらしく、母親と父親に恐怖心を抱いていた光。
自分では覚えていないのだが、姉いわく僕はそんな状況から救ってあげれたらしい。
しだいに家族や周りの人に慣れていったが僕には懐きすぎた。
俗にいうあれ、ブラコンだ。
…ちょっと待て、今うらやましいと思ったやつ。挙手しろ。
うん、気持ちは分からなくもない。たしかに姉は美人の部類に入る。さらに背も高いほう。
おまけに頭脳明細で、三歳の年の差なのにおれが中学に入るころ、姉は大学に入学した。(何回飛び級したんだ?)
でもこんなことされるといっても?
711毒にも薬にもなる姉  ◆9BssOn5LsM :2007/06/12(火) 03:38:05 ID:Y7iz0KVc
例えば小学生最後の夏休み十五日目。
「今日はお姉ちゃんとプールへ行こう!今ならなんとお姉ちゃんがひもで泳ぐぞ!こぼれるぞ!」
言い忘れたが、昔から常時ハイテンション。これは忌々しい。
「今日はもう友達と宿題をするからダメ。」
「むだだよ。」と姉。今日こそ終わらすんだよという僕を見て微笑む。
「いやそうじゃなくてさ、宿題確認してみて。」
不思議に思いつつ素直に確認。すると宿題は終わっていた。
「お姉ちゃん…。」
「習字は机の上の青のクリアファイル。読書感想文は黄色。図工は絵の具が今日の午後には乾くかな。」
ちなみに上記の三つはコンクールなりに出されるので結局やり直したが、提出日にすり替えられてしまい、すべてで賞を取ってしまった。

僕がいじめにあっていた時助けてくれたのは、嬉しかった。
でも手段をもう少し選んでほしい。
お姉ちゃんにいじめのことを相談した後の月曜日。
校舎の屋上から僕をいじめていた人たちが干し柿のように一列につるされていた。
次の日そいつらから返り討ちにあうどころか地面をなめる勢いで土下座された。
「もうお前の言うことはなんだって聞く。だからあの人には仲直りしたって伝えてくれ!お願いだ!」
もうどっちがいじめてるのか分からなくなった。
ちなみに誰が犯人かは言うまでもない。
その犯人は「原材料は殺虫剤だよ。」と語り、謎のスプレーを僕にくれた。
少し嗅いだら半日気絶した。

家庭訪問がある日に限って、両親はどこかの骨を折る。(これはただの事故だ…と願いたい。証拠もないし。)
なので毎回姉が代理として受ける。
六年のころ少し成績が悪かったが、そこを指摘されると姉は怒涛の勢いで言いくるめた。
最終的に「先生の指導方法が悪い」ということになってしまった。

ほかにもいろいろある。(実はあのセリフはひもの水着着た状態で言っていた・お風呂でうっかり寝ると目が覚めたらお姉ちゃんが裸で抱きしめていた・僕が金欠になると決まって言うセリフが「何十万必要?」)
まとめると「弟のことになると見境をなくす」のだ。
712毒にも薬にもなる姉  ◆9BssOn5LsM :2007/06/12(火) 03:40:09 ID:Y7iz0KVc
まあ、何度もお世話になったことは確か。そこは感謝。
だが六年前、お姉ちゃんは僕から離れた。
遠くの大学に行って医学を学びたいという。
必要なことと思いつつ見送ったが、少しさびしかった。
「お姉ちゃんか…。」
「はあい!おねえちゃんだよぉぉぉぉぉぉ!」うん?
え、えええええっ!
大型のバイクが、ものすごい勢いで迫ってきてる!
ギャギャギャギャギャッ!
プロ顔負けのドリフトを華麗に決めギリギリで止まった。文字どうり目と鼻の先。無駄だ、才能の無駄使いだ。
ビビっている僕をお構いなしに運転者はヘルメットを外した。
腰までかかる長くて黒い髪。少し細めで眼が合えば思わず視線をそらしたくなるほどきれいで大きな瞳。やや丸みを帯びた顔立ち。
ああ、六年たってもわかる。
「あっくー!」
といきなりダイブ→抱き締め、その上でほほをすりすり。
「ごめんね、おバカなおねいちゃんで、六年間も遠くにいて。
 およそ時間にして、52560時間も会えなくて。
 ああ、弟だ、おとうとだー。」
はあ、変わってないな。芥って名前からとって「あっくー」って呼…いたいいたいいたいいいたいいいたい!
ちょっとこれ頬が痛いってか熱い!なんか煙出てる、摩擦熱で煙出てる!
「ちょっと、光ねえ、やめてよ。まったく、こういうところはバカなんだから。」
ふーんとあやしげな笑みをこぼすお姉ちゃん。
バカ呼ばわりするんだーと。な、なんなんですか。
「どうしてお姉ちゃんがここにいるのかなー。考えたほうがいいよー。」
「ごめん。さっぱりわからない。」
「ふふふ、答えはこういうことだっ!」
え、名刺?ご丁寧ですね…。

二本松大学 薬学部教授
同大学   医学部教授
     灯火 光

「日本で数人しかいないダブル教授、灯火光。それがここでの立場。つまりあっくーの先生なわけだ。
 うかつに馬鹿とか言わないほうがいいよー。」
教授?21歳で?しかもダブル?
「医学は四年で教授となり、薬学は二年でマスターしたよ。まあかぶってたからね、いろいろ。」
この時点でもうめまいがした。
始った、いろいろと。
前途多難だ。
713らむだ  ◆9BssOn5LsM :2007/06/12(火) 03:44:53 ID:Y7iz0KVc
投下終了。
今日はここまでです。
短いです。すみません。
続きも大筋では考えています。
なるべく早く仕上げておきたいと思います。
まだ拙いところもありますががんばります。
ではおやすみなさい。
714名無しさん@ピンキー:2007/06/12(火) 03:46:25 ID:gZML5LDl
>>713
近親恋愛は、血への葛藤を乗り越えてこそのもの。
偽理など俺は、断じて認めん!
しかし、そなたが是非と言うなら読んでやらんこともないが。

いやいや、せっかくですから読ませていただきますw
715名無しさん@ピンキー:2007/06/12(火) 04:08:07 ID:dcZ4AMl5
>>713
新人さんいらっしゃいませ〜♪
このスレでは珍しい明るいノリの作品になりそうですね。
続き、期待しています。

蛇足:sageた方がよろしいかと
716名無しさん@ピンキー:2007/06/12(火) 06:41:23 ID:bOjtvFVv
もしかして、Kanonとかエヴァの二次創作書いてませんでしたか?
ノリが……U-1っぽい…………。
717名無しさん@ピンキー:2007/06/12(火) 10:11:07 ID:4giXo6WA
むしろ姉しよ好きじゃないか?
KOTOKOのねえ…しようよとか、後なんとなく姉が海おねえちゃんっぽい気がするw
718名無しさん@ピンキー:2007/06/12(火) 11:22:54 ID:7Oma5L+a
っていうか海おねいちゃんより巴姉ちゃんを思いだしたわw
719名無しさん@ピンキー:2007/06/12(火) 13:18:08 ID:U1jKiSay
これはまたぶっとんだ姉が出てきたな……。
続きに期待。
720名無しさん@ピンキー:2007/06/12(火) 15:52:33 ID:1oeYAuBo
面白いのだが、若干読みにくい。
721名無しさん@ピンキー:2007/06/12(火) 16:25:54 ID:0yv6zbXs
少年(15)「日本一喧嘩の強い姉さん、あいつを倒してよ!」 姉(35)「私が出るしかないようだな…」
ttp://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/987996.html

少年らは川崎市の私立高の男子生徒(17)に暴行しようと谷口容疑者に加担を求めたといい、
「日本で1番ケンカの強い姉さんに頼んだ」などと供述。同容疑者も「私が出るしかないと思った」
と認めているという。

ttp://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20070611AT1G1102511062007.html
722名無しさん@ピンキー:2007/06/12(火) 16:40:18 ID:bOjtvFVv
> 71 :名無しさん@八周年:2007/06/11(月) 15:24:13 ID:dTX17jt40
> ん?こいつ黒人とのハーフのマライアじゃね?
> ここらじゃ有名なはずだよ。
> 身長190cm位で体重100kgで柔道、空手黒帯のはずだよ確か。
>
> 93 :名無しさん@八周年:2007/06/11(月) 15:27:00 ID:dTX17jt40
> 間違い無いな。多摩のマライアだよこいつ。
> 駅前で○○組の若い衆と乱闘事件起こして一人で5人病院送りにした。
>
> 144 :名無しさん@八周年:2007/06/11(月) 15:33:57 ID:HL8nfB670
> マジかwwww多摩のマライア懐かしスwwwww
> 何年前の話だよwww
> エンペラーぶっ壊し隊w
>
> 307 名前:名無しさん@八周年[sage] 投稿日:2007/06/11(月) 21:53:13 ID:PL3XfUGZ0
> チャンプロード1991?〜92年
> [暴走族抗争史 第3位 多摩連合VS悪鬼乱闘事件]
> 1991年8月15日、神奈川県○○市国道134号線付近で多摩から30台程で海水浴に来ていた多摩連合と
> 西神奈川最大の勢力を誇る悪鬼(単車200台)が遭遇。
> 悪鬼のメンバーが多摩連合の単車をからかった事から興奮した多摩連合のメンバーと悪鬼のメンバーが乱闘。
> 数で圧倒している悪鬼だったが武闘派女総長マライアが悪鬼の単車に放火、集結していた単車約50台が爆発炎上。
> 更に悪鬼総長塗り壁田中にタイマンを申込み勝負。
> マライアが無敵と言われた田中を秒殺し多摩連合が勝利した。
> この一件から両者は非常に親しくなり後の神摩連合を創設、初代総長にマライアが就任した。


すごいネタだな。
723名無しさん@ピンキー:2007/06/12(火) 17:33:55 ID:wQ7ZPfZQ
何という戦闘力・・・・・・。
724名無しさん@ピンキー:2007/06/13(水) 00:16:56 ID:5Ai5Hx4W
実話?ネタ?
まあネタだろうけどワロタ
725名無しさん@ピンキー:2007/06/13(水) 00:33:58 ID:QJ2wdMEO
はじめて来たんだけど、ここのキモウトやキモ姉って、見た目がキモイの?それとも性格がキモイの?
726名無しさん@ピンキー:2007/06/13(水) 00:38:37 ID:hTo5jSrc
>>725
見た目がキモかったら・・・なぁ
まあ聞く前にこのスレを見てみたらどうだい?
神が無数にいらっしゃってるからな
727名無しさん@ピンキー:2007/06/13(水) 00:40:22 ID:xhgQRLD1
>>725どんな姉妹だって兄・弟を愛すると通常の三倍綺麗になります。
不細工なキモ姉・キモウトなど存在しません。してはいけないのです。
728名無しさん@ピンキー:2007/06/13(水) 01:22:03 ID:AMlgFD8F
キモいほど兄弟を愛してるから自分に磨きをかけてるんじゃねw?
729名無しさん@ピンキー:2007/06/13(水) 01:32:39 ID:MI4GstB/
兄弟なのに好き=兄弟の容姿は並外れにイイ=血を分けた姉妹も当然美形
730名無しさん@ピンキー:2007/06/13(水) 01:43:03 ID:d1D6/ldt
両親もキモ兄/弟 姉/妹=当然容姿は並外れによい
           =ある程度は容姿が子供に遺伝
血統全て美形キモ姉妹。
幾ら泥棒猫との戦いに破れても、次の世代の姉妹が…
  ず っ と 姉 妹 の タ ー ン 
731名無しさん@ピンキー:2007/06/13(水) 01:46:21 ID:EyhrFnP1
元々の語源はアセリア妹の容姿がキモいってとこからだったっけ

SSで容姿はどうでもいいな。なんとでも脳内補完できるし
732名無しさん@ピンキー:2007/06/13(水) 02:18:29 ID:oGnN7wNW
素っ気なくも無防備な、それでいていつも自分を気にかけてくれる
お兄ちゃんの横顔にどきどきしながら、いつかお兄ちゃんに
振り向いてもらえると願って、無駄かもと知りつつ自分に磨きを
かけるのがキモウトのたしなみ。
そして自分を気にかけてくれる=家族愛と、どきどきする=恋愛の
区別を軽々飛び越えるのもキモウトのたしなみ。
733名無しさん@ピンキー:2007/06/13(水) 02:25:48 ID:AMlgFD8F
ドラマ

キモウトよ

第1話 「始まりはいつも血の雨」
第2話 「泥棒猫へのプライド」
第3話 「世界で一番キモいプレゼント」
第4話 「もて遊ばれた彼女」
第5話 「お兄ちゃんの為なの許して」
第6話 「深く傷つけても」
第7話 「哂うな妹、哂うな」
第8話 「キモウトの告白」
第9話 「ありがとう、お兄ちゃん」
最終話 「逃げられない」
734名無しさん@ピンキー:2007/06/13(水) 02:27:55 ID:KtXed9jv
↓エヴァネタどーぞ
735 ◆5SPf/rHbiE :2007/06/13(水) 02:28:05 ID:uka7Q4Uz
エロ(ロリ注意)投下します。
気分転換に書いた短編です。
73612years  ◆5SPf/rHbiE :2007/06/13(水) 02:28:47 ID:uka7Q4Uz
小山進がクラスメイトの藤井久美と付き合い始めたのは四月の初め。
もう三ヶ月以上も前のことだ。
三ヶ月の間に何度もデートして、抱き合いもしたしキスもした。
高校生の二人にとって、していないことと言えば、あとはセックスだけだった。
太陽の輝きも強さを増す七月の中旬、期末テスト最終日が終わり、学校は午前中で終わる。
いつも通りの二人での帰り道、進は久美を自分の家に誘った。
それまでも何度か久美が進の家に来て遊ぶことはあったが、その日はただ遊ぶために誘ったのではない。
(久美ちゃんと……エッチをしたい……)
若々しく強い性欲に突き動かされての誘いだった。
久美は進の口調から、その意図しているところを何となしに悟ったが、久美もやはりセックスには興味があった。
そもそも好きで付き合った相手からの誘いを、断る理由も無かった。
「うん……いいよ」
顔を赤らめての返事。
それはただ家に行くことを了承する返事ではない。
結ばれてもいいのだと、暗に告げていた。
進と久美は手を繋ぎ、お互い恥ずかしそうに会話を交わしながら、炎天下の帰り道を歩いた。
73712years  ◆5SPf/rHbiE :2007/06/13(水) 02:29:52 ID:uka7Q4Uz
「お兄ちゃん、お帰り!」
「ゆ、雪子……?」
家のドアを開けた進に突然抱きついてきたのは、妹の雪子だった。
名のごとく雪のように白い肌の少女は、兄の体に纏わりついて嬉しそうに笑い、肩までの髪がふわりと跳ねた。
「久しぶり……会いたかったよ……お兄ちゃん」
進の腹にぐりぐりと顔を押し付けるようにして、スンスンと匂いをかぐ。
何とも幸せそうに息を吐いた。
「お兄ちゃんの匂い……ホント久しぶりだなあ……」
「雪子、お前どうしたんだ……? 入院してたのに……」
突然現れた妹に、進は驚きを隠せない。
そう、雪子は隣の県の病院に入院していたはずだったのだ。
「お前まさか……また抜け出してきたのか?」
「違うよ。体が良くなって来たから、少しの間家に帰ってもいいって先生が許してくれたの」
「え……でも、父さんも母さんもそんなこと一言も……」
「お兄ちゃんを驚かせたかったから、黙っててって私が頼んだの」
雪子はようやく進の体から離れたかと思うと、またにっこりと笑った。
「で、その人は誰なの?」
視線の先には、進の背後に立つ久美の姿があった。
73812years  ◆5SPf/rHbiE :2007/06/13(水) 02:30:34 ID:uka7Q4Uz
「そっかあ。お兄ちゃんにも恋人ができたんだ」
進の部屋で、進と久美と雪子は三人、話をしていた。
「私が入院してる間に……やるわね、お兄ちゃん!」
初めの内こそやや気まずげだった久美も、雪子の屈託の無い笑みに、すぐに打ち解けて話をした。
「私、進くんに妹がいたって知らなかったわ。入院……してたの?」
「ああ。昔から体が弱くてさ。去年の夏に倒れちゃってそれから……」
「おかげでこの一年学校に行けなくて……今年で六年生になるけど、頭の中は五年生のままなんです」
言って、雪子は恥ずかしそうに笑う。
繊細な、子供らしい純粋な笑みだった。
雪子は久美に色々なことを聞いた。
どうして進を好きになったのか。
どんな風に告白されたのか。
二人の仲はどこまでいっているのかも、冗談めかして聞いてみたりした。
「え……どこまでって……」
「ふふふ。その様子だと……キスくらいはしちゃってるんですか?」
「え、ええと……」
「あまり質問攻めにして久美ちゃんを困らせないようにな」
雪子の頭にぽんと手を置き、こら、と叱る進。
雪子はえへへと笑って、立ち上がった。
「私、何か冷たい飲み物持って来るね」
「あ、いいよ。お前病院から戻ったばかりなんだし。俺がやるから」
「これくらい出来るもん」
「でも……」
「お兄ちゃん、そんなに言うなら、コンビニで何かお菓子買ってきてよ。冷蔵庫の中、確か何も無かったから」
「ん、わかった。久美ちゃん、ちょっと待っててね。急いで行ってくるから」
家から一番近いコンビニでも、自転車で往復十分はかかる。
財布を掴んで部屋を出る進に、雪子が声をかけた。
「そんなに急がなくていいよ。事故にでもあったら大変なんだから」
「慣れた道で事故も何もないだろ。大丈夫だよ」
「大丈夫じゃない! あんまり早く戻ってきたら、お兄ちゃん無理したんだって、雪子怒っちゃうからね」
頬を膨らませる雪子に、進はやれやれと笑った。
「わかった。のんびり行ってくるよ」
73912years  ◆5SPf/rHbiE :2007/06/13(水) 02:31:41 ID:uka7Q4Uz
冷たいお茶を入れたプラスチックボトルと、コップを三つお盆に載せて、雪子は進の部屋に戻ってきた。
「どうぞ飲んでくださいな」
そう言ってお茶を注ぎ、久美の前に置く。
ありがとうと、久美はお茶をこくこくと飲んだ。
「雪子ちゃんはいい子だね」
「ええ? そうですかあ? 恋人の妹だからって、気を遣わないでいいんですよ?」
「ううん。本当だよ。私にも弟がいるけど、絶対家の手伝いとかしないし」
「そっかあ……」
クスクスと雪子は笑う。
今さっき久美の使った、水滴の伝うコップを見つめて。
「よかった。私、久美さんに邪魔者扱いされたらどうしようって思ってたんですよ」
「え……そんな。そんなことないよ」
「本当ですか?」
「本当だよ」
「ふふふ……でも、私がいて少し残念だったでしょう。お兄ちゃんとエッチなこと出来なくて」
「え……」
ハッとして、久美は雪子を見た。
それまでの子供らしい純真な笑顔は失せ、あからさまな憎しみの炎に燃える双眸があった。
「何となくわかっちゃうんですよねえ……二人の様子を見てると。何をするつもりで来たのかって」
「そ、そんな……私たちは別に……」
「お兄ちゃんとセックスしに来たんでしょ?」
雪子は立ち上がり、一歩久美に近付いた。
座ったままで思わず後ろに引いてしまった久美は、体から力が抜けていくことに気付いた。
「あ……れ……?」
一歩、また一歩と雪子は久美に近付き、ついにその手が久美の首に触れた。
「ふふ……動けないでしょう。薬を使いましたからね」
「あ……」
既に呂律も回らなくなった久美は、ただ怯える目で雪子を見るだけである。
「お兄ちゃんはね、私のものなの」
「……!」
「何年も前から、私と結婚する約束してるんだから。お嫁さんにしてくれるって言ってたんだから。あんたなんか、しょせん遊びなんだから」
ちらりと雪子は時計を見る。
進が買い物に出かけて、十分が過ぎていた。
74012years  ◆5SPf/rHbiE :2007/06/13(水) 02:32:49 ID:uka7Q4Uz
進がお菓子を買って戻ってきたのは、二十分後だった。
「ただいまー。ふー、暑かった」
「あ、おかえり、お兄ちゃん」
部屋に入った進は、お菓子の入った袋を置きながら、あれ、と声をあげた。
「久美ちゃん、どこ行ったんだ?」
机に置かれたプラスチックボトルと、三つのコップ。
そのうち一つ、久美の座っていた所に置かれているコップには、淹れられたお茶が残っているが、久美本人の姿はない。
「トイレか?」
「ううん。久美さん帰っちゃった」
「え? な、なんで?」
進の慌てた問いに、雪子は悲しそうに目を伏せた。
「私が……言っちゃいけないことを言ったから」
「雪子が?」
「うん。言っちゃったの。お兄ちゃんは私の体に夢中なんですって」
「へ……」
間抜けな声を出す進。
妹が何を言っているのか、理解できなかった。
「お兄ちゃんはロリコンで、妹大好きで、私のことを押し倒して何度も犯した変態ですって。もう何度も中だしされて、入院していたのも妊娠して子供を堕ろして体を壊したせいですって言っちゃった」
「ちょ、ちょっと待て。お前、何言ってるんだ?」
当然進には全く身に覚えのないことである。
雪子は昔から体が弱く、入院したのも普通に暮らしていたら体力の消耗に体が追いつかなかったからだ。
そんな妹を可愛がりこそすれ、犯して妊娠させるなんて、するわけがなかった。
「久美さん驚いてたよ。それに、怒ってた」
「な、なあ、お前本当にそんなこと言ったのか?」
「うん。久美さん、もう二度と来ないって。気持ち悪いから近寄らないでって言ってた」
進は頭を抱えた。
暑い暑い夏の空気が部屋の中に漂う。
時折窓から吹き込む風が、ぶら下げられた風鈴をちりんと揺らした。
「雪子……お前……何考えてるんだよ。冗談にしては性質が悪すぎるぞ」
「えへへ……もうお兄ちゃん、久美さんとはおしまいだね」
「何で……そんなこと言ったんだよ」
「そんなの決まってるよ。お兄ちゃんと久美さんを別れさせるためだよ」
進はますます混乱した。
元々雪子との仲はとてもよかった。
小さい頃から自分に懐いてくれた妹を進はとても可愛がったし、入院してからも週に一度はお見舞いに行った。
その雪子が――可愛い妹が、何故自分にこんな悪質な嫌がらせをするのか。
「お前……兄ちゃんのこと、嫌いだったのか?」
「まさか!」
雪子はぶんぶんと首を振り、進にすがりついた。
「そんなわけないよ! お兄ちゃんのことは大好きだよ!」
「じゃあ何でこんなことするんだ!」
「まだわからないの!?」
顔を上げ、進を見据えて、雪子は叫んだ。
「お兄ちゃんが好きだからよ! 好きだから……他の人に取られたくなかったから……!」
「は……?」
唖然とする進にすがりつき、雪子は声をあげて泣いた。
「お兄ちゃんが好きだから! 絶対取られたくないから! あんな奴に取られたくないから! だから私……」
「好き……? 俺のことが……?」
しゃくりあげながら雪子は頷く。
涙に濡れた目は、十一歳の少女とは思えぬ情欲に溢れていた。
「好き……お兄ちゃんが好き……ずっと……ずっと……ずっと……」
「お、落ち着け。多分お前勘違いしてるんだ。家族としての好きってのと、その、異性を好きになるっていうのは、また別の話でな……」
「違う!」
目を見開き、雪子は進に飛びついた。
あまりの勢いに、進は後ろによろめき倒れ、背後にあったベッドの上に押し倒される形になった。
74112years  ◆5SPf/rHbiE :2007/06/13(水) 02:33:31 ID:uka7Q4Uz
華奢な体の少女は、息を荒くして兄の体の上に覆いかぶさり、きっぱりと言い切った。
「違う! 勘違いなんかじゃない! 私はお兄ちゃんが好き! 一人の男の人として、お兄ちゃんが好きなの! 誰よりも好きなの!」
「そんな馬鹿な……」
「馬鹿じゃない! お兄ちゃんのことが好きなんだもん! 本当に好きなんだもん! 私……私……お兄ちゃんとエッチだってしたいと思ってるんだもん!」
「な……!」
驚く進の口を、雪子はキスで塞いだ。
荒々しく、決して上手ではない。
しかし雪子は情熱的に、貪るように唇を吸い上げた。
「ん……ふ……」
悩ましげに眉を寄せ、少女は秘所を兄の太腿にこすりつけるように、腰をくねくねと動かす。
進は慌てて雪子の体を突き飛ばし、雪子は小さく悲鳴を上げて床に転がった。
「な、な、何やってるんだ!」
「……私がお兄ちゃんのこと本当に好きだって、証明してあげるんだよ」
静かに言って立ち上がり、雪子はワンピースの裾を持ち上げた。
日の当たらない病室で培われた真っ白な肌。
細い肢体。
それを包み込む、小学生らしい彩りのない下着が露になった。
「ほら見てよ、お兄ちゃん。私、お兄ちゃんとキスして、パンツ濡らしちゃったんだよ」
頬を赤くしながら、雪子は腰を突き出す。
言うとおり、下着にはうっすらと染みが現れていた。
「お兄ちゃん……見ててね。私がお兄ちゃんを好きだってこと、わからせてあげるから。見ててね」
「な、何を……」
雪子は左手でワンピースの裾を持ち上げたまま、右手をそろそろと下半身に伸ばし、下着の上から自らの秘所に触れた。
そして、手のひら全体で包むようにして、くにくにと揉み始めた。
「ん……ふ……う……」
「おい、雪子、何やって……」
「ん……? お、オナニーだよ……お兄ちゃん……」
「オナ……」
絶句する進をよそに、雪子は手の動きを次第に早めていく。
腰をがくがくと震わせ、脚を内股に閉じて、切なげに息を漏らした。
「ん……お、お兄ちゃん……お兄ちゃん……」
「ゆき、こ……」
「ん……お兄ちゃん……気持ちいい……気持ちいい……」
呟いて、掻き毟るように下着の上から秘所を擦り上げる。
下着の染みは次第に広がりを見せ、雪子の指先が愛液に濡れていくのが見て取れた。
まだ未成熟な少女の、本気の自慰であった。
「んん! だ、だめ……もっと……もっと強く……」
布を挟んでの刺激に満足いかず、雪子は下着の中に手を入れて、直に自分の性器を触った。
ちゅく、と音がして、雪子は宙を見つめて体を震わせた。
「あぁ……! はぁあ……気持ちいいよぉ……」
喘ぐように口を動かし、頬を紅潮させる。
呆然とする進の目の前で、雪子はさらに自慰を続けた。
くちゅ、くちゅ、くちゅ、とリズムを刻むように、人差し指と中指を使って、秘所を擦る。
脚はますます震え、ついに我慢できなくなって、がくりと膝を折り、床に座り込んだ。
「あ……き、気持ちいい……ねえお兄ちゃん、見てる? ちゃんと見てる?」
下腹をひくひくと動かして、雪子は目を潤ませながら尋ねた。
「お兄ちゃんのこと考えてオナニーしてるんだよ? それでこんなに濡れちゃってるんだよ? 病院に居たときも、お兄ちゃんのことを考えると私、寂しくて……体が熱くなって……それでこんなにオナニー上手になっちゃって……ああ……!」
顔を仰け反らして、雪子は細く喘ぐ。
完全に、女としての声だった。
74212years  ◆5SPf/rHbiE :2007/06/13(水) 02:35:01 ID:uka7Q4Uz
「気持ちいい……ああ……」
病弱な妹。
自分に懐いてくれていた妹。
大切な、大切な、たった一人の妹。
その妹が、目の前であられもない痴態を見せている。
目を離せるわけがなかった。
食い入るように見つめる進に、雪子はさらに見せ付けるように脚を開き、下着のクロッチ部分を横にずらした。
愛液にまみれた、無毛の秘所があらわになった。
クリトリスはまだ小さく、陰唇も発達していない。
ぴったりと閉じた、未成熟の秘所だった。
「お兄ちゃん……ほら……びちょびちょでしょ……?」
「あ、ああ……」
「お兄ちゃんのことを考えて、こうなったんだよ? お兄ちゃんが好きだからこうなったんだよ?」
言って、左手の人差し指で、閉じた割れ目の片側を引っ張り、秘所を割開いてみせる。
ピンク色の、ぬらぬらと濡れた秘肉が露になる。
小さな膣口からは、透明な淫液がとめどなく溢れ出していた。
「び、病院でもいつもこうやって……お兄ちゃんのこと考えて、私……」
雪子は苦しそうに言いながら指を動かし、膣口の周辺を触る。
小さな穴がひくひくと震え、粘着質な汁がますます溢れ出し、股間を伝って床に垂れた。
やがて雪子は繊細な唇を引き結ぶと、左手で秘所を割り開いたまま、右手の人差し指をちゅるんと穴に入れた。
細い指先がピンクの肉の中に埋もれ、少しずつ、少しずつ、ついには根元まで指が入ってしまった。
「はあ……あ……んぅんんん……!」
虚ろな目で床の片隅を見つめ、雪子は一心不乱に指を動かした。
口を半開きにし、目を細めて、ぬちゅ、ぬちゅ、と何度も指を出し入れする。
「あ、あ、あ……ああ……」
時折体を跳ねさせ、立てた膝を開いたり閉じたりする。
綺麗に切りそろえられた黒髪が、雪子の喘ぎに合わせて揺れた。
「雪子……お前……」
「お兄ちゃん……! ああ……お兄ちゃん! お兄ちゃん! お兄ちゃん! んんん〜……!!」
一際大きく叫ぶと、雪子は床に寝転び、つま先を立てて腰を浮かせた。
ワンピースはめくれ、下半身は完全に露になっている。
自然、進の目には、幼い肉穴とそれに出入りする細い指がまざまざと見せつけられる。
雪子の手がますます激しく動き、悶えるように体を捩った。
「んああっ! ん〜! お兄ちゃん! お兄ちゃんんん!!」
自らの秘所に指を突き入れたままでカクカクと腰を揺らし、雪子は体を震わせた。
小学生の少女の、絶頂の瞬間だった。
数秒間体を張り詰めさせた後、雪子はがくんと腰を落とした。
荒く息をつき、唾を飲み込む。
脚は開いたままに、指を引き抜くと、指先と膣口との間に透明の糸が引いた。
「お兄ちゃん……」
床に寝たまま、上気した顔で進を見つめ、雪子はかすれた声を出した。
「お兄ちゃん……これでわかってくれた? 私が、本当にお兄ちゃんのこと好きだって……」
「……」
進は無言のまま答えられずにいた。
妹の痴態は、あまりにも衝撃的だった。
74312years  ◆5SPf/rHbiE :2007/06/13(水) 02:35:46 ID:uka7Q4Uz
呆然としたままの進に、雪子はとろけるような声で、甘えるように言った。
「お兄ちゃん……セックス……して?」
「な……!」
「わかったでしょ? 私がお兄ちゃんのこと好きって。だから、セックスしてよ……」
「な、なんでそうなるんだよ! 俺たちは兄妹で……お前のことは大切な妹だと……」
「でもお兄ちゃん、あそこ、大きくなってるよ?」
「!!」
どうしようもない。
男としての本能は、目の前の光景に、進の性器をずっと勃起させたままだった。
「ねえ、お兄ちゃん……もしセックスしてくれたら……久美さんに、私が喋ったことは全部嘘でしたって、ちゃんと言うから」
「え……」
「一回……一回でいいの。そうしたら、お兄ちゃんのこと好きだけど我慢できるから。お兄ちゃんが久美さんと付き合うの、邪魔しないから」
「馬鹿な……そんなこと……大体お前はまだ小さいし、そんなことは……」
「できるよ。お兄ちゃんのなら、痛くても我慢する」
雪子は再び下半身に手を伸ばし、下着を太腿まで下ろすと、両手で割れ目を開いた。
先ほどまで指を入れていた膣口はやはり小さく、割り開かれてひくひくと震えている。
お願いだから、と雪子は切なげに言った。
「久美さんと仲直りしたいよね?」
「あ、ああ……」
「なら……一度でいいから、ここにお兄ちゃんのを入れてよ……お願いだよぉ……」
涙を流しながら、指を秘肉に触れ、声を漏らす。
進の理性ももう限界だった。
「ちゃんと……久美ちゃんに言ってくれるんだろうな? 嘘をついたこと」
「うん……謝るから……私、謝るから……」
進は無言でズボンを下し、トランクスを脱いだ。
青い高校生の性をこれ以上なく感じさせる、かちかちに勃起したペニスが露になった。
そもそもこのままでは久美とも別れることになってしまう。
雪子とセックスをしなければ、久美にとって自分は妹を犯した強姦魔のままだ。
その誤解は晴らさなければならない。
「雪子……」
「お兄ちゃん……」
進は吸い寄せられるように、床に寝た雪子の上に覆いかぶさった。
ペニスを握り、亀頭の先端を割れ目に押し当てる。
「あ……」
小さく声を漏らしながら雪子が体をずらし、進が腰を押し進め――次の瞬間、進のペニスは根元まで一気に雪子の中におさまっていた。
「は……! あ……く……くぁああああぁあ……!」
目を大きく開き、雪子は細い悲鳴を上げた。
ミチミチと迫る、襞肉の感触に、進も思わず声を漏らした。
「う、あ……き、気持ちいい……」
ずるずるとペニスを引き抜き、また突く。
ぐぽ、と音が鳴り、ぴったりと閉じていた秘所は無残なほどに歪んで形を変えていた。
「お、おに……お兄ちゃ……ひうっ!」
進が突き込む度に、雪子は小さく悲鳴を上げる。
幼い膣口を割り開いたペニスには、愛液とともに、赤い処女血が纏わりついていた。
74412years  ◆5SPf/rHbiE :2007/06/13(水) 02:36:56 ID:uka7Q4Uz
「お、お兄ちゃん……もっと……突いていいよ」
「……大丈夫なのか?」
「い、痛いけど、お兄ちゃんが気持ちよくなってくれた方がいいから……」
涙ぐみながら言う妹の顔をしばらく無言で見つめて、進はまた腰を動かし始めた。
初めはゆっくりと。
次第に強く、思うままに腰を動かした。
「あっ! ああっ……! お兄ちゃん……!」
「雪子……!」
「お兄ちゃん!」
目を閉じて、口を引き結んで、ただ耐える風だった雪子も、やがて熱い息を吐き、腰をくねらせ始めた。
ぐちょ、ぐちょ、とピストンに伴う水音がより激しさを増す。
太いペニスを幼い秘所にくわえ込み、少女は兄の体の下で、声をあげて悶えた。
「ああ……お兄ちゃん……お、おに……ちゃ……ああっ!」
進の突きこみにあわせて腰を押し付け、クリトリスを擦るようにからだをずり上げる。
湧き上がる性感に、思わず進の体に抱きついていた。
「お兄ちゃん……お兄ちゃん……進お兄ちゃん……!」
「雪子……雪子……」
進には、今自分のしていること、目の前の妹の姿が、現実のこととは思えなかった。
ただ快楽を求め、性欲に突き動かされるまま、雪子の膣を蹂躙した。
進がペニスを突き入れるたびに、雪子の華奢な体ががくがくと揺れ、壊れてしまうのではと思えるほどだった。
「ん、ん、ん、ん……」
可愛らしい口から漏れる喘ぎ声に刺激され、進は気付いたら雪子の唇に自分の唇を重ねていた。
その瞬間、雪子の膣がこれまでになくきつく締まり、進は雪子の奥の奥で射精してしまっていた。
「あ、熱っ……!」
進も雪子も、びくんびくんと体を震わせる。
汗だくになった二人は、そのまま折り重なるようにして体をあわせた。
机の上に置かれたままのお茶のボトルに、結露した水滴が伝う。
やがて、進は雪子から体を離した。
つい先刻までぴったりと閉じていた少女の秘所はいまやぽっかりと開き、時折ひくひくと震えるのにあわせて、白い精液がどろりと流れ出していた。
74512years  ◆5SPf/rHbiE :2007/06/13(水) 02:37:46 ID:uka7Q4Uz
「お兄ちゃん……ありがとう……」
股間から流れ出す精液をティッシュで拭き、衣服を整えて、雪子は進に礼を言った。
「いや……」
「ふふ……まだあそこに何か入ってるような気がするよ」
嬉しそうに雪子は、スカートの上からお腹の辺りを撫でる。
進は今更ながらとんでもないことをしてしまったと思った。
久美とよりを戻すためとはいえ、年端も行かない少女を、しかも妹を抱いてしまったのだ。
「お兄ちゃんも初めてだったんだよね? 嬉しいな、お兄ちゃんの初めての女になれて」
「……なあ、久美ちゃんには、ちゃんと言ってくれるんだよな」
「え? 何を?」
「何をって……お前が言ったことが嘘だって……」
くすくすと雪子は笑った。
「やだ、お兄ちゃんたら。今更何言ってるの?」
「え、だから……」
「お兄ちゃんは実際、小学生の妹に興奮してセックスしちゃった変態さんなんだから、私、嘘なんてついてないでしょ?」
「な……!」
うろたえる進に、雪子はそっと抱きついた。
「大丈夫。変態さんでも、雪子はお兄ちゃんのこと大好きだから。雪子のあそこでよければ、いつでも使っていいからね」
「ま、待て、話が違うだろ! 久美ちゃんと仲直りできるようにしてくれるって……」
「雪子ももう生理が始まってるから、ひょっとしたら本当に妊娠しちゃうかもしれないね。お兄ちゃん、子供の名前、何がいい?」
耳元で甘くささやく雪子を、進は両手で突き飛ばした。
「ふざけるな! 久美ちゃんとよりを戻したかったらセックスしろって言ったから、俺は……俺は……!」
「でもお兄ちゃん、興奮してたでしょ?」
「黙れ!!」
思わず進は、雪子の頬を叩いていた。
雪子は床に座り込んだまま、赤くなった頬を押さえて、
「お兄ちゃんに本気で怒られちゃった……。久しぶり……嬉しいな」
と、嬉しそうに笑った。
紛れもない、恍惚の笑みであった。
「そこまで言うなら、嘘でしたって言ってあげてもいいけど……もう無駄だと思うよ?」
「何を……」
雪子は立ち上がり、部屋の隅のクローゼットの前まで歩いた。
扉に手をかけ、開ける。
中には、猿轡をはめられ縄跳びで縛られた久美が、涙を流して座っていた。
「久美さん、ちゃんと見てくれた? お兄ちゃんは私のものだって」
薬の影響で、久美はいまだ力が入らず、声を出すこともできない。
ただ苦しそうに息をつき、涙を流していた。
「く、久美ちゃん……」
呆然と呟く進の手を、雪子がぎゅっと握った。
「見られちゃったら、私がどう言っても無駄だよね?」
「そんな……」
膝をつく進の背に、雪子は静かに身を寄せる。
「大丈夫。お兄ちゃんの周りからほかのみんなが居なくなっても、雪子はずっとお兄ちゃんと一緒にいるからね」
遠くでセミが鳴いているのが聞こえた。
二人の性臭が立ち込めた部屋はますます蒸し暑さを増している。
窓際に吊り下げられた風鈴が、思い出したように寂しげな音を鳴らしていた。
746 ◆5SPf/rHbiE :2007/06/13(水) 02:41:50 ID:uka7Q4Uz
ロリっぽいのが書きたくなったのでこんなの書いてみました。
綾の話が書き進まないので、代わりの投下です。
あと今気付いたけど、文中の十一歳は十二歳の直し忘れです。
今回の投下は以上です。
747名無しさん@ピンキー:2007/06/13(水) 02:44:14 ID:MI4GstB/
リアルタイムで見てたGJ!!
748変名おじさん ◆lnx8.6adM2 :2007/06/13(水) 02:53:01 ID:oTHJ5H6B
◆5SPf/rHbiE 氏、こっち方面も書けるのですね。
これはこれで・・・・・・ロリもイイ。
綾ちゃんの話もお待ちしております。

激しくGJ! そして乙でした。

>>713
新人の方、乙です。
完璧姉も一つの究極系かなと思う今日この頃。
GJです。

>>706の方。
有り難いお言葉に感謝します。
そんな訳で投下しますね。急がないと眠気が・・・。

エロなしで淡々と。
749それは地に落つ誘蛾のように:2007/06/13(水) 02:55:02 ID:oTHJ5H6B

深淵のように広がる闇。
月と星々だけに照らされるもの達が伸ばす、沈み込むような色濃い影の枝葉。
慣れた夜目でさえ10m先を見渡せないような厚い帳の下りる暗い夜。
漆黒よりなお黒く、
汚泥の水底よりも暗い意志だけを篝火と燃やしながら、私は『蛾』を解体していた。

抉る音。引き裂く音。突き刺す音。叩き砕く音。
思い付く限りの色々な方法で刃を『蛾』に叩き込み、様々な音を引き出す。
そのどれもが耳に心地良いとは言い難い。
いや。
はっきりと言えば耳が腐り落ちそうな程に醜い。
やはり素材が悪いのか。
そう考え、私は半瞬で自己の判断を肯定した。
悪いに決まっている。
この『蛾』は考え得る限りの最悪なのだから。
最悪の罪悪を犯し、最大の禁忌を破った。
それが、今この瞬間にも私が裁き続けている存在。私の握る刃に捌かれ続けている存在。

「────────」

赤く濡れた手で前髪を払って額を拭い、一息ついてからそれを見遣る。
私の腕よりも太いピンで地上へと縫い付けられた、羽のない『蛾』。実に良い様だ。
イカロス、という人物の話がある。
蝋で作った偽物の翼を背に、空を飛んだ者。
だが飛んでいる最中に太陽に近付きすぎた愚者は憐れ、粗悪な翼を溶かされて地に落ち、死んだという。
この『蛾』も似たようなモノだ。
いや、罪の重さを考えればそれ以上か。
夜に飛び回る羽虫、特に『蛾』には光に惹かれる性質がある。
それを利用して捕殺する誘蛾灯という物まであるくらいだ。
実に愚かである。
近付かなければ死なずに済むのに、
仲間が既に殺されているのを見ているのに、それでも『蛾』は暗闇の中で光を目指すのだ。
闇の中で燃える灯火の光を。辿り着けば羽を焼かれ、地に落とされる炎の光を。
憐れ。いや、滑稽か。
手に入らないモノに焦がれ、そして近付き過ぎて本当に焼かれてしまう。

この『蛾』も同じだ。
あの、世界で唯一にして至上の光に分不相応にも惹かれ、今はこの様。
四枚の羽は焼かれてもがれ、地に落とされて死んでいる。
腹に大穴を開けて縫い付けるピンは、万一にも逃がさないために私が打ち込んだ。
あの時の醜悪な鳴き声は忘れない。まさしく人の言葉ではなかった。
甲高くそれでいて罅割れたような金切り声を上げ、羽の残滓と頭をばたつかせて逃げようとする。
だが羽のない『蛾』など蟻にさえ食われる運命だ。這うことさえ碌に出来ない。
まして人間の私が直々に刺してやったピンを抜くことなど不可能。
気持ちの悪い蠕動を繰りかえし、汚らしい体液を垂れ流す。
汚物さえ混じるそれはひどく周囲を汚し、観察中なのに私が思わず数歩も離れた程。
びくびくと背を反らせ、そのせいで頭を打ちつけ、腹の神経を擦って更なる激痛にのたうつ。
羽を失った『蛾』─────いや、飛べないそれは既に『蟲』だ。
『蟲』の蠢きはとても長く、それこそ私が飽きを通り越して呆れる程の生き汚さで続けられた。
最期の最後、絶望して死んでいく瞬間まで無様にも私に助けを求めながら。
ああ。
そう言えば、あの時だけは本当にすっとした。
愚かで矮小で碌な知能も持たない存在を、必死に足掻く様を見届けてから一片の慈悲も与えずに殺す。
圧倒的な正しさで、徹底的に悪を裁き、その身を捌く。
あの人のために、あの人を害虫から守るために、あの人の傍に居続けるために。
それは何と甘美なのだろう。
750それは地に落つ誘蛾のように:2007/06/13(水) 02:56:42 ID:oTHJ5H6B

癖に、なるかもしれない。

夜気の冷たさではなく、粘りつくような熱さが身を震わせる。
堪らない感覚が全身を走り抜けた。知らず、衝動に身を任せそうになる。
だけど今はだめだ。今は先にやることがある。

「『蟲』は、きちんと念入りに潰しておかないと」

私は埋没していた意識を浮上させた。
打ち込んだピンを引き抜いて脇に転がし、右手に握るモノを両手で逆手に握り直してゆっくりと振りかぶる。
真っ直ぐに。真っ直ぐに。
曲げず、揺らさず、大罪を犯した『蟲』を正面から断罪するために。
弦を引くように張り詰める力と震えを押さえ込む。

「────────は」

開放は、一息。
抑制を解かれた力を刃先に乗せて、深く強く突き立てる。

「はは」

より深く。より強く。
銀光の軌跡に追うように丸まった背を更に曲げ、体重をかけながら突き込んで行く。
固い感触に阻まれると、柄を捻って死肉を抉りながら引き裂く。一本、『蟲』の死骸に断裂が刻まれた。

「あはははっ」

繰り返し。繰り返し。繰り返し。
振り上げ、振り下ろし、突き立て、押し込み、抉り、引き斬り、抜き去る。
一本、また一本と『蟲』の肉体には線が増え、その数だけ裂かれて解体されていく。
細かく、小さく、無数の欠片に。
段々と『蟲』の原型が消えて行く。徐々に『蟲』の存在を否定する。
気持ちがいい。

「あはははははははははははっ! あはっははははあははははははははははははははははははははっ!!」

胸部を突き、股下まで切り開く。醜悪な脂肪塊が露出した。
指を突っ込んで掻き回し、掴み出して握り潰す。
臓物を握り、引き摺り出して切り刻む。
血管に五指を絡め、手繰り寄せて引き千切る。
手を突き入れ、掴み出して放り投げ。
五指を突き立て、握り出して取り払い。
少しずつ、着実に『蟲』の中身を減らしていく。
ピン────わざわざ用意した杭────の開けた穴も両手を突っ込んで左右に裂き開かせ、内部を掻き出す。
だがまだだ。まだ確実じゃない。

「死ね、死ね死ね死ね死ね死ねっ!」

卵だ。
『蟲』の卵が見付からない。幼虫も見ない。
生物の中には体内に子を隠すモノがいる。
人間もそうだ。子を口の中に隠す魚だか蛙だかも見たことがある。
ならば、『蟲』を殺しても安心は出来ない。
どこかに卵や幼虫を隠していないだろうか。
臓物の中に卵はないか? 血管や骨の中にミミズのような幼虫は?
胃や目玉の中に蜂の子のような幼虫は? 腸や耳の奥に寄生虫染みた子はいないか?
突き刺し、掻き出し、探り出す。そして破壊、破壊、破壊。手を緩めたりはしない。
害虫は一匹いれば百匹いる。安心など到底出来ない。
『蟲』を殺すだけでは駄目なのだ。その痕跡や欠片も徹底して消し去らねば。
751それは地に落つ誘蛾のように:2007/06/13(水) 02:57:33 ID:oTHJ5H6B

そうだ。
この『蟲』の親兄弟、可能なら同じ血筋のモノも一匹残らず殺し尽くさねばならない。
『蟲』の家族は『蟲』。『蟲』の親戚も『蟲』。
こんなクソ『蟲』を産み出して世に放った罪は、血筋のモノの命全てで償わせてなお余る。
だが、それは難しい。
この『蟲』には昆虫の分際で殺虫剤が効かないのだ。
だから一匹一匹、私自身の手で潰さねばならない。それは面倒以上に困難だ。
時間も手間もかかり過ぎる。それだけの間、あの人の傍を離れるなんて。
私には到底無理だ。それが残念極まりない。

「兄さんの笑顔を見て兄さんの笑い声を聞いて兄さんの汗の匂いを嗅いで兄さんの肌に触れて
 兄さんに醜悪な顔を見せて兄さんに不快な声を聞かせて兄さんにくさい臭いを嗅がせて兄さんに汚い肌を触らせて 
 兄さんの隣を歩いて兄さんに腕を絡めて兄さんの優しさに甘えて兄さんの寛大さに付け込んで
 私の居場所に侵入して私の蜜月に割り込んで私の兄さんに集って私の兄さんに手を出して
 あまつさえ『蟲』の分際で兄さんと交わって────────そして兄さんを汚したことを。
 誰よりも優しい兄さんを誰よりも神聖な兄さんを誰よりも私の愛する兄さんを汚したことを。
 償え、償え、償え償え償え償え償え償え償え償え償ええぇぇぇーーーっっ!!」

だから、なおのことこの『蟲』は此処で念入りに潰さねばならない。
あるかもしれない卵が孵化せぬように。
いるかもしれない、あの人の精を吸って産まれた呪うべき幼虫を生かさぬように。
その思いが私を駆り立てる。
相手が既に死体であろうと関係はない。僅かでもこの『蟲』には無残な死に様を与えなければ。
それに、この『蟲』のことだから魂になっても生き汚く自分の死体に縋り付いてるかも。
そう思うと作業にも一層熱が篭る。
肉を臓物を骨を切り裂いて切り刻んで切り砕く。

「はぁっ・・・はぁ・・・・・・はあぁっ!」

弔ってもらえる様な骸なんて残さない。
この『蟲』は死んだことさえ気付かれず、醜悪極まりない死体を晒して朽ち果てるのだ。
見付かったところで、悼んでもらえるような状態で残すものか。
正視に堪えない、見るだけで吐くような気持ちの悪い腐肉にしてやる。
私は誓いながら渾身で刃を振り上げて。

「何を────────して、るんだ?」

声が聞こえ、其処は私にとって闇ではなくなった。
淀んだ空気が晴れ渡り、暗闇に一筋の光が差したようにさえ思える。
間違うはずが無い。
何を忘れてもその声だけは忘れない。どんな雑踏の中でも聞き分けられる。
私がこの世界で、唯一人だけ身と心を捧げる愛しい人。
光よりも輝かしく、清流よりも清らかで、どんなモノより不可欠な、何よりも誰よりも大切な人。
私がその隣に生を受けた時。
誕生の瞬間から未来永劫までを共に歩く想い人の、声。

「今晩は、兄さん。今夜は良い夜ですね」

夜気を伝い、私へと届いた涼やかな声の方へと。
闇の中で出来るだけ美しく、月光を浴びて可能な限り淑やかに、星明りを受けて思い付く限り艶やかに。
私は振り返り、挨拶をして微笑んだ。
目線の先には視界に薄く浮かぶ、誰よりも見慣れた人の輪郭。

反転と同時に一つ、私は影へ向けて足音を響かせる。
752それは地に落つ誘蛾のように:2007/06/13(水) 02:59:06 ID:oTHJ5H6B

「良い夜には、良い別れを。
 良い夜には、良い出会いを────────なんて、兄さんはお嫌いでしたか?」

兄さん。私の兄さん。私だけの兄さん。
私より先にこの世に生を受け、私の誕生を待ち侘び、見守ってくれた人。
いつだって私を護り、最も傍に居続けてくれた人。
時には導き、時には叱ることで私を育て、
誰より長く私を愛し、誰より永く私が愛する唯一の男性。
最も近い異性。最も似ている他人。
身を流れる血さえも同じくする、生まれた時からの絆で結ばれた相手。

「ふふ。
 たとえ一瞬でも兄さんの傍を離れるのは辛いですけど、こうして再会する喜びは格別ですね」

一歩毎に、その姿が鮮明になる。
一瞬毎に、その姿が克明になる。
胸の高鳴り。頬の火照り。夜気に混じって漂う芳しい香。夜気を伝って聞こえる荒れた息遣いの音。
待ち遠しい数秒先までの間に、待ち焦がれるその存在が強くなっていく。

「そうは思いませんか? 兄さん」

夜気を裂く足音。地を踏みしめる足裏。
余りの期待に引き伸ばされたような時間の終わり、私は最愛の人の前に立った。

「あはっ♪」

狂乱のような喜びが、乱舞しそうになる楽しさが、
快楽染みた嬉しさが、募り過ぎる恋しさが、全身を満たす愛しさが、つい喉をついて出る。
きっと、私ははしたない笑みを浮べてしまったのだろう。
一応は自制を試みるが、兄さんへの想いを抑える術を私は持たなかった。

「────・・・・・・お前、此処で何を。いやそれよりも」

「っ」

兄さんに名前を呼ばれた。ただそれだけのことで、背筋が痺れる。
『蟲』の処理をするうち、その先に待つ兄さんとの未来を思い浮かべて興奮してしまったせいだろうか。
体か昂ぶって敏感になっているようだ。
兄さんに名前を呼ばれる声に打たれ、微かに全身が跳ね上がる。
其処を中心にして広がるように歓喜が走り抜け、血中にさえ溶け込んで体中を包まれた。
今度は声を抑えることに成功する。だが。

「その、格好」

「え・・・ああ。すいません兄さん、こんな姿で」

しまったと思い、反射的に顔が赤らむ。
ひどく恥かしい。
だって、今の私の体は汚れている。
仕方が無かったとは言えあの『蟲』に触れ、その赤い体液が肌に服にべっとりと染み付いているのだ。
何て、はしたない。
こんなに汚れた状態では恥し過ぎて兄さんに顔向けできない。
753それは地に落つ誘蛾のように:2007/06/13(水) 03:01:39 ID:oTHJ5H6B

「お前、怪我を・・・? それとも・・・その包丁、まさかっ!」

ああ。なのに。

強烈に臭う『蟲』の肉片が体液がぶちまけられた暗闇の中で、兄さんの存在は余りにも綺麗だ。
存在だけで場が輝くようにさえ感じられる。
おそらくは私を心配する余りに走って来てくれたのだろう。
離れていても、汗だくの兄さんから溢れる喩えようもない甘やかな香が鼻腔を突く。それだけで果てそうだ。
胸の中で響く動悸の高鳴りを言葉に出来ない。
恍惚による肌の震えを抑え切れない。
焦がれる意識を冷静に保てない。
飢餓に鳴く子宮の疼きを止められない。

この身についた汚れを、兄さんで清めて欲しい。

「アイツに何かしたのかっ!?」

「ええ。兄さんに近付いたあの害虫なら解体・・・処理を」

その香り高い汗で鼻腔に残る『蟲』の臭いの残滓を忘れさせ、
その舌でねぶり唾液を塗して耳に残る醜悪な金切り声を洗い落とし、
その甘露のような白濁でこびり付く『蟲』の体液を塗り潰して欲しい。
雄雄しい男根で私を貫き、兄さんを守り通したご褒美を味わわせて欲しい。

「解体・・・? 処理・・・って、一体」

「? そのままの意味ですが?」

だめだ。
体の内側を舐める熱の火照りを抑えられない。
兄さんが欲しい。兄さんから与えられるモノが欲しい。兄さんの全てが欲しい。
兄さんの全身の汗を舐め取りたい。舌先で兄さんを味わいたい。
兄さんと唇を合わせ舌を絡め歯茎を洗ってあげるお返しに舌で受けた唾液で口内をすすぎ、堪能してから飲み込みたい。
兄さんに注がれるものを喉奥で感じ、胃の腑で受け止めて体の一部にしたい。
兄さんの目の横や鼻や耳の奥に溜まる汚れの蓄積を、
私にとっては兄さんに不要の場所なんかないんだと証明する為に口にしたい。
きっとあの『蟲』に迫られた心労のせいで生えているだろう白い髪や痛んだ髪を始め、
腕に脚に脇に胸にお尻に生えるあらゆる体毛と肌の隅々までを私の唇と舌と唾液で手入れさせて欲しい。
精嚢と膀胱と腸に溜め込んだあらゆる兄さんの排泄物を私にぶちまけて欲しい。
兄さんの猛りを兄さんの欲望を兄さんの喜びを私に受け止めさせ、共有させて欲しい。

「・・・し・・・たのか・・・?」

「・・・・・・え? あ、ああ、すいません兄さん。何ですか?」

いけないいけない。
声が小さかったせいもあるが、想像が先走りすぎて兄さんへの注意を怠ってしまった。それは駄目だ。
兄さん以外を優先するなんて、許されないことである。
兄さんのためにこそ、あの『蟲』も殺したのだから。

「まさかアイツを、殺したのかっ!」

「はい、そうですが。あの『蛾』、いいえ『蟲』でしたら、あそこに」

だから、どんなに当然のことでもちゃんと答えなくては。
今更のことだが改めてそう思い直し、背後を指差して兄さんへ『蟲』の死骸を示す。
欲望を宥め、渇望を堪え、衝動を抑えて。
754それは地に落つ誘蛾のように:2007/06/13(水) 03:02:37 ID:oTHJ5H6B

「え────────ひぃっ!?」

なのに。
おかしいですね、兄さん。
こんなにも兄さんを愛してる私が、兄さんのために汚れた体を慰めて欲しがっているのに。
兄さんの大好きなたった一人の妹が、どうしようもなく兄さんを求めているのに。
それでも耐えて、堪えて、兄さんを想って兄さんのために抑えているというのに。

「お、お前、あ、あ、あれ────────うぶっ」

何で、後ろに下がるんですか?

「ぐっ・・・うえぇ」

よろめくように後退った兄さんが口元を抑え、背を丸めた。
何かを堪えるように、微かに背が揺れる。

「に、兄さん!? 大丈夫ですか!」

「っう!」

流石に様子がおかしいので心配になって駆け寄ろうとしたが、近付いた分だけ兄さんが下がる。

「兄さん・・・?」

「はぁ・・・はぁ・・・はあ・・・」

困惑する私をどこかギラついた目で見詰めながら、肩を上下させる兄さん。
憔悴したような表情に不安を掻き立てられる。
おそらくは全力で走って来たせいで掻いた汗が夜気で冷え、体調を崩したのだろう。
ふと、
どうしようかと思い悩む私と裏腹に、口元を拭った兄さんが背を伸ばす。
ただ、ゆらりと表現できそうなその動作は、ひどく疲れているように見えた。
その肩が震える。

「・・・そ・・・だ・・・嘘だ・・・・・・嘘だ嘘だ嘘だっ!」

「兄さん? どうしたんですか?」

かと思うと兄さんは叫び出した。
急変を繰り返す兄さんに、私は一体どうしたのか理解出来ない。
私は誰よりも兄さんを知り、理解しているのにそれでも分からない。
それは許せないことで、怖いことだ。一気に先程の興奮が冷める。
兄さんがどうしてしまったのか分からないことに、泣きたくなるような気分に襲われた。

「にい、さん。一体、どうしたんですか? 教えて下さい。
 万一、私のせいだったら土下座して謝りますからっ、だから────」

「嘘だっ! アイツが死ぬなんて・・・・・・これから、やっとこれからだったのに!」
755それは地に落つ誘蛾のように:2007/06/13(水) 03:04:04 ID:oTHJ5H6B

「────ああ、そういうことですか」

だが、私の不安は杞憂に終わる。
やはり兄さんのことを最も理解し熟知しているのは私だ。
初めて見るパターンだったから上手く行かなかったが、もう判る。
兄さんは悲しんでいる。その原因も分かる。
兄さんは誰よりも優しいから。兄さんはあの害虫にさえ慈悲の心を抱き、その死を悼んでいるのだ。
兄さん自身が被害者であるというのに。
流石は兄さんである。まさに神の様な慈愛の深さだ。

「じゃあ、ちょっと待っていてくださいね。兄さん」

けれど、それではいけない。
歩けば踏み潰しているような虫にまで心を痛めているようでは、この先、兄さんが持たないだろう。
でなくとも無用な悲しみを感じるだけである。
ならばどうするか。簡単だ。
兄さんのために生き、兄さんのために尽くすのが私の愛であり役目。
どんな害虫からも、悲しみからさえも可能な限り兄さんを護るのが務めだ。
兄さんの感じる様々な負の感情の軽減も、私のすべきことである。

非常に後ろ髪を引かれる思いで踵を返し、兄さんに背を向けて歩き出す。
足早に片道数秒を往復分。
私は荷物を抱えて兄さんの下へ戻った。

「ほら兄さん、これを見て下さい」

子宮────引きずり出して踏み潰してやった幼虫を産む器官────と共に、特に念入りに壊したそれ。
もはや残骸に近いモノをゆっくりと投げ渡す。
緩やかな放物線を描いたそれをしかし兄さんは受け取らず、足元に落ちた。
重さの分だけ鈍く、反面体液のぬめりで半端な音が響く。
ころころと転がったそれを、兄さんは呆けたような目で見ていた。
しまった、と思う。
幾ら優しい兄さんでも、あんな汚らしい物体など触りたがるはずがないのに。

「あ」

でも思惑だけは上手く行ったらしい。
兄さんの瞳に変化が起きたからだ。
将来に関してはともかく、今この場では兄さんの慈悲深さをどうこうすることは出来ない。
それも兄さんの魅力の一つなのだし。
なら、『蟲』の死にさえ悲しむ兄さんをどうするか。
悲しみを取り除けないなら、事前の策として出来るだけ早く悲しみを終わらせればいいのだ。
『蟲』は死んだのだと。生き返らない、もう戻らないのだと。
どうにも出来ない程に終わっているのだと理解してもらうことで、無駄に悲しみを引き摺るのを止めてもらう。

「ああ、あああ、ああああああ」

それが兄さんのためで、兄さんを想う私のためだ。
矛盾だが、その原因であると同時に役にも立った『蟲』のソレに感謝してもいい。

「ああああああああああああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーーーーっっ!!」

少しでも早く終えるため、濃縮された分だけの悲しみに叫びを上げる兄さん。
その見詰める先。
突き刺され、抉られ、輪郭はそのままに原型だけを削り落とされた『蟲』の頭部。
顔面を破壊するうちに潰れ、血塗れた頭髪の一房を中の液体に浸している眼球だった物体。
かつて兄さんの『彼女』と戯言を言っていた雌のそれと、私は不思議に目が合った気がして笑いかけた。

分不相応にも兄さんという光に惹かれた『蛾』如きの死で泣いてもらえて良かったですね、と。
756変名おじさん ◆lnx8.6adM2 :2007/06/13(水) 03:08:48 ID:oTHJ5H6B
投下終了。
書きながら推敲はしましたが、流石に所々おかしいやもしれません。
最後の辺りはもう少ししっかり書くべきでしたか。

ちなみに。
この後、
キモウトに怯えて逃げ出す兄を包丁逆手に追いかける鬼ごっこへ以降する(部分だけの)ロングverがあるのですが。
そこも書いた方がいいですかね? 時間と気分次第ですが。

では失礼します。
757名無しさん@ピンキー:2007/06/13(水) 06:40:32 ID:DVLWD/be
>>756
GJ!
狂気が画面から溢れ出てきてるぜ、そして何よりキモくて可愛い
ってかこんな妹クレorz

むしろお願いだから書いてください。
758名無しさん@ピンキー:2007/06/13(水) 10:40:54 ID:AE2FwZJm
>>756
>包丁逆手に追いかける
殺る気マンマンじゃないっスかw 自分も期待して待ってます!
759名無しさん@ピンキー:2007/06/13(水) 11:12:52 ID:ql+/VUlN
>>746余計なお世話かもしれんが無理してエロ書かなくても…無理してなきゃいいが向いてない気がする
760名無しさん@ピンキー:2007/06/13(水) 11:33:02 ID:1ZGXsBdu
>>756
GJと言いたいところだが、解体とかけっこうグロいので出来れば注意書をしてほしかった。
761名無しさん@ピンキー:2007/06/13(水) 12:09:59 ID:DVLWD/be
>>756
GJ!
狂気が画面から溢れ出てきてるぜ、そして何よりキモくて可愛い
ってかこんな妹クレorz

むしろお願いだから書いてください。
762名無しさん@ピンキー:2007/06/13(水) 12:10:53 ID:DVLWD/be
ぬぁ、二重・・・スマンorz
763名無しさん@ピンキー:2007/06/13(水) 15:03:33 ID:ytIuGwFO
>>746
GJ!
ロリハァハァ
抜いた
764名無しさん@ピンキー:2007/06/13(水) 16:04:49 ID:FOKJ7Z1E
頭脳明晰じゃね?>>707
まぁおもしろいからな、こういう重箱つつきも言いたくなるんだよな
765無形 ◆UHh3YBA8aM :2007/06/13(水) 16:11:51 ID:J7wu4ZRG
>>746
GJ
いつも楽しみに読ませて頂いています。
これからも頑張って下さい。

>>756
引き出しの多さと筆の早さには頭が下がります。
凄すぎです。
GJ

なんだか今日は投下ラッシュのようですね。
枯れ木も山のにぎわい。
籠の終わりを投下します。
766籠の中 ◆UHh3YBA8aM :2007/06/13(水) 16:14:50 ID:J7wu4ZRG
――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「お前はお兄ちゃんなんだから、妹のことを護ってあげなきゃいけないんだぞ」
父は、嘗てそう云った。
記憶がぼやける程に古い過去。
その過去の中にある一組の兄妹。
いつも僕の後をついて廻ったちいさな妹の姿に。
父に云われるまでもなく、この娘は自分が護るのだと己に云い聞かせていた。
いつも一緒。
ずっと一緒。
何があっても仲睦まじく。
何が起きても共に在った。

何度かの季節が巡って。
僕にはもう一人の妹が出来る。
忘れられた人形のような、寂しげな少女。
親族だという、小柄な女の子。
「あの娘の兄になってやってくれ」
叔父は子供の僕に、そう云って頭を下げた。
寂しさを埋めてあげられなかった自分に代わって、聖理を救ってあげてほしいと。
僕は頷く。
家族が増えるのって、とても素晴らしいことだから。

家族。
そう。
僕は家族が大切だった。
家族として、二人を愛したのだ。
それ以上でも、それ以下でもなく。
それ以外でもなく――

「いらない、いらない!さとりちゃんなんていらない!!!もう消えてよ!!!私達の前から
いなくなってよ!!!!!!」

声がする。
愛しい、妹の声。

「にいさんは私が幸せにするの!!コトリなんかじゃにいさんを幸せに出来ない!!不幸にするだけ
でしょう!?そんなの許せない!そんなの認めない!!!にいさんはっ!私を幸せにしてくれた
にいさんはっ!この私が幸せにするの!!!私だけが幸せに出来るの!!!!」

声がする。
大切な、妹の声。

「お兄ちゃんは私と結婚したの!指輪を交換したの!!!ずっと一緒にいるって云ったの!!!
だから一緒にいる!!これまでも、これからも!!私達兄妹はずっとそうしてきたの!!!!!!
さとりちゃんの入る場所なんてもとからないの!!出て往って!!!邪魔なさとりちゃんは出て往って
よ!!!私達の間に入ってこないでよォォオ!!!」

何でそんな声をあげるんだ。
お前はいつだって穏やかに笑っていただろう?

「結婚!?どうせ優しいにいさんを罠に嵌めただけでしょう?貴女、昔からそうだったものね。
他人に付け入って、自分は良い子の振りをする!!にいさん、指輪を迷惑がってたのよ?だけど
外したがらなかった!それってつまり、貴女がにいさんを嵌めた証拠でしょう!?」

どうしてそんな声をだすんだ
お前の喉は、そんなことの為に使うものじゃないだろう?
767籠の中 ◆UHh3YBA8aM :2007/06/13(水) 16:16:39 ID:J7wu4ZRG

「なにが“にいさん”よ!!偽者のくせに!赤の他人のくせに!!お兄ちゃんのことを気安く
“にいさん”なんて呼ばないでッッッ!!!!」

違う。
聖理は僕の妹だ。

「にいさんは私のにいさんだもの。にいさんと呼ぶのは当然でしょう?それとも、こう呼んだほうが
良い?“マコト”さんって。それも良いかもね!にいさんはもう唯のにいさんじゃないの!
私の旦那様になるのよ!!!」

違う。
僕は、兄でありたいんだ。

「認めない!そんなの認めない!!お兄ちゃんは、さとりちゃんの旦那様なんかじゃない!!
私のお婿さんだもの!」

ああ――
・・・・やっぱり・・・・。
理理も。
『そういう』目で僕を見ていたのか。

「コトリなんかに認められなくても良いの!貴女は私の人生には元から不要だもの!!!!!
必要なのは、にいさんだけ!他は何もいらない!!にいさんだけが居れば良いの!!!!!!!
見たでしょう、コトリ!私とにいさんが愛し合ってる姿を!」

すれ違いの愛でも――

「認めないって云ったでしょう!?あんなのは、性質の悪い幻覚に決まってるもの!!!!
お兄ちゃんは私だけを愛してるの!お情けで偽妹になったさとりちゃんなんかとは違う!!
血を分けた実の妹の私だけがお兄ちゃんとひとつになる資格があるんだよ!!!あんな出来の悪い
幻覚なんかじゃなく!肌で!!心で!!!お兄ちゃんと繋がった私だけがお嫁さんになれるの!!!」

形の違う愛でも――

「繋がった?寝言は寝て云って!にいさんがコトリなんかと“繋がる”訳が無いっ!!!!」

方向違いの愛でも――

「お兄ちゃんの“初めて”は私だよ?交換したのは指輪だけじゃない。お互いの“初めて”も、
これからの未来も!全部全部全部全部!!私達は交換したの!!共有するの!!!」

それでも僕は――

「そんな嘘はこの私が許さない!!コトリ、貴女、不愉快なの!その存在自体が!どこまでも
不快なのよ!もういいわ!消してあげる!不愉快な嘘と一緒に消してあげる!!!!!!!!」

妹達を――

「消えるのはさとりちゃんのほうだよ!私のお兄ちゃんに纏わり付く害虫の癖に妹面して!
あまつさえ、こんな気色悪い幻覚まで見せて!!許せない!もう死んで!!!!!!!」

――誰よりも愛しているんだ。

瞳を開ける。
どうやら僕は倒れているようだ。
頬をカーペットに押し付けて、糸の切れた人形のように臥している。
虚ろな身体を起こそうとし、失敗した。
768籠の中 ◆UHh3YBA8aM :2007/06/13(水) 16:19:17 ID:J7wu4ZRG
身体が重い。
そして、酷く痛む。
目を転じると、最も愛した二人の姿があった。
鋏を持った理理を聖理が掴み。
ナイフを持った従妹を実妹が掴む。
両者の瞳には揺らぐ暗い炎が宿っていた。
穏やかで優しい笑顔も。
優美で活力に富んだ微笑も。
柔らかさも。
暖かさも。
思いやりも無い双眸。
目の前の相手をどこまでも憎み。
消去することだけを望んだ相好。
愛憎の念。
二人はそれが強すぎる。
こんなに強く誰かを愛し。
こんなに強く誰かを憎む。
どうしてその感情に気づいてやれなかったのだろう。
そうすれば。
そうすればこんなことにはならなかっただろうに。

僕は――莫迦だ。

とうの昔に兄貴失格だったんだ。
二人の『本当』を見てやれなかった。
大好きと僕に云う妹を。
寂しいと僕に云う従妹を。
満たしてやることが出来なかった。
これは――
この凄惨な光景は。
愚かな兄によって起こったことなのだ。
救ってやらなければ。
妹達には、まだ未来があるのだから。

(身体が重い・・・)
精神的なものか。
それとも“薬”の影響か。
喉の奥に血の匂いと味がする。内臓を傷めているのだろうか。
(動け・・・)
少しで良い。
(動け・・・)
二人の所まで。

「死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!
死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!
死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!
死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!
死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!」

「消えろ!消えろ!消えろ!消えろ!消えろ!消えろ!消えろ!消えろ!消えろ!消えろ!
消えろ!消えろ!消えろ!消えろ!消えろ!消えろ!消えろ!消えろ!消えろ!消えろ!
消えろ!消えろ!消えろ!消えろ!消えろ!消えろ!消えろ!消えろ!消えろ!消えろ!
消えろ!消えろ!消えろ!消えろ!消えろ!消えろ!消えろ!消えろ!消えろ!消えろ!
消えろ!消えろ!消えろ!消えろ!消えろ!消えろ!消えろ!消えろ!消えろ!消えろ!
消えろ!消えろ!消えろ!消えろ!消えろ!消えろ!消えろ!消えろ!消えろ!消えろ!」

駄目だよ。
お前達二人は、家族じゃないか。
仲良くしなきゃいけないんだ。
769籠の中 ◆UHh3YBA8aM :2007/06/13(水) 16:21:34 ID:J7wu4ZRG

掴みかかり。
互いを殺そうとした妹達は。
やがて兇器を振りかぶる。
(駄目だ・・・・っ)
瞬時に覚醒する。
僕にはわかった。
あれは両者にとって致命傷になると。
(動けぇぇ!!!)
腹に力を入れる。
今動かなくて!いつ動く!!
持てる力で地面を蹴り飛ばす。
今度は喉ではなく、口から血の味がする。吐血したのだろうか。

「「死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!!」」

同調した憎しみ。
それは己が身体を切り裂く諸刃の剣。
刺して。
死んで。
殺して。
なにが残ると云う!

「やめろぉオオおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

僕は叫ぶ。
体中の力を使って。

――刹那。

激痛。
腹と背中から激痛が走った。

「「――え」」

二人は再び同調する。
(痛い・・・)
ぼやけた頭では自分の調子がよくわからない。
「お・・・・お兄ちゃん・・・・」
カタカタと震える妹。
「なんで・・・にいさん・・・・」
ぶるぶると震える妹。
「よかった・・・・」
どっちにも・・・・怪我は無いみたいだ。
僕はしりもちをつく。
ごぼり、と口から嫌な音がして、僕の体から何かが毀れた。
「い、いやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!」
それはどちらの声だったろうか。
聞き分けることが出来なかった。
慟哭。
二人の妹にあるのは、それだけ。
「そんな顔するな」
そう云ったつもりだけど。
「ひゅう・・・・ひゅう・・・」
耳に届いた己の声はそれだけだった。
「・・っ!!!・・・・!!!!!」
「・・・・!!・・・・・・!」
770籠の中 ◆UHh3YBA8aM :2007/06/13(水) 16:24:04 ID:J7wu4ZRG
二人が何かを叫ぶ。
(もう少し・・・大きな声で云ってくれないと、聞こえないよ・・・・)
身体中が痛い。
「どうしてぇ!!!どうして、お兄ちゃん!!!!!」
よかった、今度は聞こえる。
「にいさん、しっかりして、にいさぁん!!!!」
だから、そんな顔するなよ。
二人が僕の体に縋りつく。
どくどく。
どくどく。
僕の身体から流れた命が、綺麗なカーペットを汚して往く。
「こ、の・・・・」
拳骨をつくり、
「ばか・・・・ど、もが・・・・」
二人の頭を叩こうとしたけど、届かなかった。
腕を上げるのって、結構大変なんだな。
「か、ぞく・・・・なんだか、ら・・・・な、なかよ・・・・しなきゃ・・・・駄目、だ・・・ろ」
ごぼごぼと雑音が煩い。
「お兄ちゃん!!お兄ちゃん!!!!し、しっかりして!!!!
「にいさん!!にいさん!!!ああ・・・わ、私・・・・なんてこと・・・・」
(まずいなあ・・・・)
視界がぼやけて来た。
朝は近づいてるはずなのに、さっきより暗くなったように思える。
「ごめんなさい!!!ごめんなさい、お兄ちゃん!!!!!」
「にいさん・・・にいさん・・・・ゆるして・・・・ぁぁぁ・・・・」
手を伸ばす。
今度は、届かせないと。
赤い右手が妹の腕を掴み。
紅い左手が妹の腕を握る。
「な、かよ・・・・く、し、ろ」
そうしたら。
「ぜんぶ・・・・ゆるし、てやる・・・・」
元々、悪いのは僕なのだから。
「するから!なかよくするからっ・・・だから・・・・」
「にいさん!!目を開けてぇぇぇぇ!!!!」
あれ・・・?
(俺、いつ目を瞑ったんだ?)
暗いのはそのせいだったのか。
「ごぼっ・・・・ひゅっ・・・ひゅぅ・・・ひゅ・・・」
駄目だ。声が出ないや。
「泣くなよ」って。
「笑えよ」って。
そう云ってやるつもりなのに。
かけるべき言葉がかけられないなんて。
本当に駄目な兄貴だな、僕は・・・・。

『もしも神様がいるならば、ひとつだけ願いを聞いて欲しい。
僕はこの先どれほど不幸になっても良いから、その分、この娘に幸せを与えてください』

前に、そう願ったことがある。
妹達が泣いているんだから。
不幸になって欲しくないから。
もう一度。
もう一度だけ、お願いします。

僕の未来と引き換えてでも。
どうか二人の妹が――仲良く幸せになれますように。
771籠の中 ◆UHh3YBA8aM :2007/06/13(水) 16:26:45 ID:J7wu4ZRG

お兄ちゃんと。
にいさんと。
笑顔でそう呼んでいた、最愛の妹達が幸せになれますように。

それだけが僕の願い。
それだけが僕の希望。

命よりも大切な――ささやかな夢。

妹達の気持ちに気づいてあげることの出来なかった、愚か者の願い。

笑顔。

僕が見たかったのは――それだけだったんだ。

神様。

どうか二人を、

幸せにしてあげてください。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

〜epilogue〜

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

海の見える大きな公園を、柔らかな風が吹きぬける。
遊歩道の柵に手を乗せた女性が、空を見上げている。

昔、この場所で仲の良い兄妹がアクセサリーを買った。
銀色に光る、ペアのリングを。

「お兄ちゃん・・・」
女性はそれを思い出し、左手を撫でる。
そこに、

「背中ががら空きね。突き落としてあげようかしら」

背後から響くメゾソプラノ。
天使。
そう冠してもいいような、驚くほどの美声。
「やってみたら。落ちるのは、貴女だと思うけど」
云って、女性は声の主に振り返る。
華奢で小柄な肢体と、柔らかなセミロングの髪の毛。
やや垂れ目がちで、穏やかな表情。
吐息するほどの佳人。
それほどの容貌だった。
見た目は20台前半。けれど実年齢はもう少し上である。
「いつまでたっても、嫌な女ね」
「それはお互い様でしょう」
声の主を女性は見つめる。
やってきた人物は、女。
小さな身体に不似合いなバストを持った、凄まじいまでの美女である。
大きなツリ目は活力に富み、その容貌は気品があった。
息を呑むほどの麗人。
外見は20台前半。けれどやはり、実年齢はもっと上である。
772籠の中 ◆UHh3YBA8aM :2007/06/13(水) 16:28:56 ID:J7wu4ZRG
「神理(しんり)はどうしたの?」
垂れ目の女性が問う。
「天理(てんり)と一緒。まだ向こうに居るわ」
ツリ目の女性は自分の背後を顎で示す。
垂れ目の女性が肩越しに覗こうとすると、
「えいっ!」
「おっと!」
ツリ目の女性の突き出した双掌を垂れ目の女性がかわした。
「・・・・・さとりさん、今、私のこと、本気で突き落とそうとしたでしょう?」
「当たり前でしょう?私がコトリに手心を加える理由があると思って?」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「「ふんっ」」
二人は同時にそっぽを向く。
二人の女性――月ヶ瀬理理と月ヶ瀬聖理は、結局仲が悪いままである。
憎しみも殺意も変わらずに持っている。
多分、前よりも重く。
けれど、二人を取り巻く環境は大きく変わった。
そのうちの一つが、子供の存在。
月ヶ瀬神理と月ヶ瀬天理と云う、二人の少女。
父は同じ人。
二人を心から愛してくれた、『兄』である。
理理も聖理も、初めて交わったその日に、新しい命を授かった。
それが神理と天理。
神理は理理の娘で、天理は聖理の娘である。
異母姉妹は“今のところ”仲が良い。
姉妹とも誰かに似て、『好きなものにとことん執着する』と云う素質をすでに見せている。
「まだしてるのね、その指輪」
聖理は理理の左手を見る。
「当たり前でしょう。一生外さないって、云ったもの」
「ふぅん・・・」
聖理はつまらなさそうに目をそらした。

「ママ〜!」
「かあさん」

そこに二人の少女が駆けて来る。
愛くるしい、美少女。
垂れ目の女の子と、ツリ目の女の子が。
773籠の中 ◆UHh3YBA8aM :2007/06/13(水) 16:31:08 ID:J7wu4ZRG
「ふたりとも、走ると危ないわよ」
母の心配を他所に。
「あのね、聞いて聞いて!私と天理ちゃん、同じ人をすきになったの!」
「“なった”じゃなくて、私は前から好き。きっと運命だわ。ねえさんには悪いけど、あの人は
私のものになる。・・・ううん。私のものにするの」
「違うよ〜。神理のものだもん!神理のこと、愛してるって云ってくれたもん!!!」
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
理理と聖理は顔を見合わせる。
(まったく、誰に似たのかしら)
心でそう呟いて。
「で、誰を好きになったの?クラスメイトの男の子かなにか?」
「ううん」
「違う」
二人は同時に首を振った。
「じゃあ、誰?」
母がそう問う。
二人は顔を見合わせてから、元気良く振り返る。



そこには男性が一人。
背の高い、優しい瞳をした。
彼は微笑む。
大切な家族に。








大地は生命の揺り籠。

幸せは家族と云う籠の中で育まれ。

新たな命は無限に続いて往く。

たとえそれがどれほど歪であろうとも。

永遠に歩いて往こう。



この広い――籠の中を。

                   (了)
774無形 ◆UHh3YBA8aM :2007/06/13(水) 16:33:03 ID:J7wu4ZRG
以上で完結となります。テキスト総量145KB。

ここまで読んで下さった総てにのかたに、厚く御礼申し上げます。
775名無しさん@ピンキー:2007/06/13(水) 16:40:14 ID://BxRzf7
>>774
リアルタイムgj
ハッピーエンドで良かった。
776名無しさん@ピンキー:2007/06/13(水) 16:51:15 ID:xNQohO03
まずは完結お疲れさまです 楽しく読ませてもらいました

妹と従姉妹というWキモウトの対照的描写もすばらしく
背筋をぞくぞくさせて次を待ち望んでました。
ただ、聖理のエロシーンがなかったのだけが心残りw
777名無しさん@ピンキー:2007/06/13(水) 17:21:26 ID:d1D6/ldt
>>774
完結おめ&お疲れ
ハッピーエンドだというのに綺麗にまとまっていて…
この系列のスレの中でも上位クラスの良作だった。


次も頼むぜ?
778名無しさん@ピンキー:2007/06/13(水) 17:26:44 ID:04iyQtYX
>>774
GJ
真理・・・お前は漢だったぜ・・・
779名無しさん@ピンキー:2007/06/13(水) 17:44:42 ID:OfSE7ESg
乙とGJ
780名無しさん@ピンキー:2007/06/13(水) 17:49:58 ID:wZRum2pp
>>774
おおお乙!
781名無しさん@ピンキー:2007/06/13(水) 17:58:31 ID:fhxvbuq5
誰もが見ずにはいられない蝶から
誰も見向きもしない芋虫へと
真理は今、完全変態を遂げた!
782名無しさん@ピンキー:2007/06/13(水) 18:25:36 ID:wFoaGhpG
兄さんは五体満足で健在?
今は各人どんな生活形態なんだろうか?
野暮でなければ教えてもらいたい。
783名無しさん@ピンキー:2007/06/13(水) 18:35:58 ID:iYghwLQ3
真理は、従妹と実の妹を同時に孕ませた鬼畜として、
ご近所にその名を永遠にとどめたのであろう
だがそこに痺れる!
784名無しさん@ピンキー:2007/06/13(水) 18:40:52 ID:oTHJ5H6B
>>774の無形氏。

良かった。本当に良かった。
ハッピーエンドばんざぁぁあああいっ!
完結乙です! 神GJです!
145KBなんて、まさに圧巻の容量。凄すぎです。

真理君・・・貴方は、漢でした。
敬礼!
785名無しさん@ピンキー:2007/06/13(水) 19:04:29 ID:YKUHAPLR
背中と腹部をモロにブッ刺されて生還
タフ過ぎだろ…常識的に考えてw

ハッピー(?)エンドでよかった
786名無しさん@ピンキー:2007/06/13(水) 19:05:22 ID:WmDQ20OD
>>774
お疲れ様でした

これは嫁と娘を交えたパパの取り合いに発展しそうな予感
787名無しさん@ピンキー:2007/06/13(水) 19:41:15 ID:e/aE7mcV
そういや投下第一號だっけ。これ?
素晴らしいキモウトありがとうございました。
次回があるなら楽しみにしてます。無形氏本当におつかれさま。
788名無しさん@ピンキー:2007/06/13(水) 19:50:31 ID:vACrb9Dy
GJ
おつかれさまです、大変楽しませてもらいました
ジワジワくる心理描写や、魅力的な登場キャラ(を表現する)腕前には感嘆しきりでした

ストーリー展開や話上の小道具(体液料理、監禁、刃傷等)は
先人の築いたフォーマットの枠から出なかったのが唯一残念でした
生意気いってごめんなさい

ヤンデレスレの続きも心待ちにしてます
789名無しさん@ピンキー:2007/06/13(水) 20:19:18 ID:bgTt/XfC
>>774
無形氏にありったけの乙を!!!!
嫁と娘のパパ取り合いにまで発展させるなんて真理はどれだけ罪深い兄なんだぁっぁぁぁ

もう最高にGJ!!素晴らしいキモウトたちでした!!次回作も超超期待してます!!
790名無しさん@ピンキー:2007/06/13(水) 20:35:26 ID:NMfBFjlw
>>774
キモウト同士の対決モエス
そして例え安易だろうが陳腐と言われようが全員幸せそうで良かった 本当にそう思えた


ただ将来的な修羅場は物凄いことになりそーだなーとw
791名無しさん@ピンキー:2007/06/13(水) 21:25:03 ID:SKgGHgdo
絶対に子殺し親殺しに発展するよな。
792名無しさん@ピンキー:2007/06/13(水) 22:34:45 ID:2Z89ZFP3
ああ、これで日頃の楽しみが一つ減ってしまった・・・。
793名無しさん@ピンキー:2007/06/13(水) 22:47:57 ID:LmXFDhqx
GJとしか言えない。

そして4人が血で血を洗う展開に期待。歴史は繰り返すwww
794名無しさん@ピンキー:2007/06/13(水) 23:04:09 ID:fQjsAOCL
真理の優しさに全妹が泣いた
795名無しさん@ピンキー:2007/06/13(水) 23:12:39 ID:xNQohO03
もしこの5人が一同揃って修羅場演じるなら
名前で区別つかなくなるから、無形さんにはそこんところ
馬鹿な読者のため工夫していただくよう一つよろしくw

籠の中でさえ、真理という中性的な名前の兄ちゃんとか
理理ってなんて読むんだっけ?とひっかかること多数なんで。
796名無しさん@ピンキー:2007/06/13(水) 23:29:07 ID:ytIuGwFO
>>774
使い古された陳腐な言葉ではあるが、だからこそ最大の敬意を篭めて……
GJ!!!!!!!!!!!!



しっかし、真理くんはほんとに不幸だなwww
実妹、従妹、実娘×2に愛されて、とてつもなく不幸だwwwww
羨ましいぜこんちくしょう!!
797名無しさん@ピンキー:2007/06/14(木) 00:28:39 ID:5eesxDi0
>>774
お疲れ様でした。そして炸薬最大でGJ!!!!!!
仲良く親子丼か、はたまた親子断絶・四つ巴かw
798名無しさん@ピンキー:2007/06/14(木) 00:43:22 ID:Y0q/IEgP
>>774の無形さん
素晴らしい作品をありがとう!!
妹二人と結ばれるという最高の終わり方に多幸感が止まらない…
キモウトの醍醐味を堪能させて貰いました。
799名無しさん@ピンキー:2007/06/14(木) 00:48:16 ID:3H3j/tMC
無形さんお疲れさま!!!
とりあえずハッピーエンド(また修羅場になりそうだがw)でよかった(ノД`)";

にして真理が刺された後救急車読んだのは当たり前として、事がことなだけに警察沙汰になるのは必然。理理と聖理はどう説明したんだろう、ちゃんと説明しないと真理がとんでもない変態扱いされそうなんだがwww
無事に二人の前に出てきたからそこらへん問題ないと思うが
800完結できない人:2007/06/14(木) 00:53:19 ID:4dYybb9A
空気を読まずに神作品の後に投下するぜ!

構想3分で、作成60分のある意味馬鹿にしてるような作品だけど
楽しんでもらえたら幸いです
801完結できない人:2007/06/14(木) 00:54:45 ID:4dYybb9A
○月×日

 今日は、僕の誕生日だ。そして同時に、僕が両足を失った日から、丁度三年たった日でもある。
 今、僕の心は未来に対する不安と恐怖で一杯だ。その原因は、今日、帰ってくる妹にある。
そう、三年前のあの日。僕の両足を奪い、そして、厚生施設へと送られた1歳年下の妹が、今日、帰ってくる。


 思い出すのも辛いことだけれど、この不安から逃げたいからか、どうも今日の僕はペンが走る。
 自然と書き出すのは、3年前、僕を襲った不幸の事になってしまうのも、そのせいか。

 妹は、以前からどこか、『おかしかった』
傍から見る分には、人当たりがよく、誰とでもすぐに友人関係を簡単に作ることができ、勉強も運動も人並み以上に出来る
そんな文句のつけようのない程に、完璧に近い女の子だった。
けれども、僕だけが気づいていただろう、時折見せるその鋭い眼光は、その被った『いい子』の仮面の下に、何か暗くて、恐ろしい
感情を秘めている事を示していた。

 僕は、妹のそのときの目が嫌いだった。
獲物を狙う猛禽類のような、その瞳。それが向けられていたのは、いつも僕だったからだ。
だからと言って、僕は妹を拒絶することは出来なかった。普段は、優しい、よく気の利く素晴らしい妹だからだ。

 だから僕は、そんな妹に対する、あらゆる負の感情を押さえ込んで、『良い兄』として、接してきた。


 きっと、それが間違いだった。でも、それ以外の道が正しかったのかも、今となっては判らない。


 
 それが起きたのは、3年前――僕の15歳の誕生日。
 部屋で本を読んでいた僕の部屋に、突如押しかけてきた妹は、混乱する僕の口元をいきなりハンカチで塞いだ。
後で詳しく聞く話によれば、そのハンカチには即効性の睡眠誘導薬が、液体として染み込まされていたらしい。
結果、一息吸っただけで僕は直ぐに意識を失った。

 その後、僕の身に何が起こったのか、僕は知らない。
気づけば、病院のベットの上だった。既にその時僕は、両足を失っていた。
802完結できない人:2007/06/14(木) 00:55:33 ID:4dYybb9A
○月△日

 妹が帰ってきてから、一週間が経つ。

 最初はどう接するか思いあぐねていた両親も、幾分か慣れたようだ。
・・・・・・僕だけが、妹に対してどう接しようか、未だにわからない状態でいる。

 そういえば、こっちに帰ってきてから妹は株を始めたらしい。
なんでも、更正施設で時間を見つけて勉強していたようだ。
いつかの夕飯に、両親に妹が、資金を欲しいと願って、決して少なくはないお金をもらっていた。
そんな風にぽいぽい出せるのも、うちがある程度裕福な方だからか。
それともまだその時、妹とどう触れ合えばいいのか悩んでいた両親の、何かとっかかりを作ろうと言う意識からだったかもしれない。

 聞いた話によれば、株取引を妹は成功させているらしい。
結構な額も稼ぎ出せそうであるらしく、近いうちに、迷惑をかけたお詫びを、両親に渡せると言っていた。


803完結できない人:2007/06/14(木) 00:56:19 ID:4dYybb9A
□月#日

 今日で、妹が帰ってきてから既に半年になる。
僕は、未だにこの環境に慣れていない。

 帰ってからの妹は、以前にも増して『いい子』だ。
以前僕に対して犯した罪を(僕は覚えていないが)、心の底から悔いてるらしく、過剰ともいえる程に僕に尽くそうとする。
お風呂に入ることや、着替えること、はてはご不浄にさえついてこようとする。

 耐え切れなくなった僕は、ついこの前、妹に対して声を張り上げて怒鳴ってしまった。
正直、何を言ったか覚えていない。
その頃・・・・・・いや、ずっと以前から僕を苛んで来た不安や恐怖といった、そういう感情が爆発して頭に血が上っていたからだ。

 だが、その後の妹の暗い表情を見ると、どうもかなり僕は酷い事を言ったようだ。


 
 妹は、間違いなく変わったと思う。
 変わるべきは、僕なのかもしれない。

804完結できない人:2007/06/14(木) 00:57:19 ID:4dYybb9A
%月*日

 今度、引っ越すことになった。僕と妹だけが、である。

 知らぬ間に、妹はかなり荒稼ぎしていたらしい。
 大学に上がった僕に、その近くに家を一軒プレゼントする事が出来る程に。

 
 僕がそこに移動するにあたって、妹も一緒に来る理由は、この両足だ。
流石に大の大人とはいえ、車椅子でしか移動することの出来ない人間を一人、まったく新しい場所に送り出すわけにはいかない。
そう言った事もあって、両親はこの、実家から遠く離れた地の大学を受けることを、ずっと反対していた。
でも、僕はどうしてもこの大学を受けていた。理由はそう、様々だ。

 しかし、いくら息子の頼みとは言え、聞けることと聞けないことがある。あちらの大学に通うことは、両親にとっては聞けないことだった。
(両親は会社を経営しており、ここから引っ越すことはできなかった)

 そんな時に、助け舟を出してくれたのは妹だった。

私がお兄ちゃんについていく。
家だって、私がお兄ちゃんのために建てるわ。 お金? 大丈夫、私、これだけあるから。
だからお父さん、お母さん。お願い、お兄ちゃんの望むとおりにしてあげて。

 僕と妹による説得は、何時間にも及んだ。
そして、結局要求を呑んだのは、僕の両親だった。

 僕はその日。久しぶりに妹に感謝した。

805完結できない人:2007/06/14(木) 00:58:12 ID:4dYybb9A
▽月+日

 最近、妹の監督が激しい気がする。

 確かに、僕の体調を考えて、余り無理な活動は控えるようにと言う約束だった。
でも、門限を5分遅れただけで、あんなに怒るなんて、少しおかしくないだろうか。

 そういえば、最近近所の人と余り会わない。
 たまに会って挨拶しても、向こうから視線をそらされてしまう。

何か、悪いことをしたのかな。



806完結できない人:2007/06/14(木) 00:59:11 ID:4dYybb9A
▽月<日

 今日、大学のサークルで飲み会があった。
 生憎・・・・・・いや、助かったことに僕は未成年でお酒が飲めなかったので、周りの先輩達のようにみっともない姿を晒すことはなかった。

 帰りに、サークル仲間の女性と一緒に帰っていたら、妹に会った。
 それからずっと妹は、不機嫌だったようだ。なぜだろう?



○月□日

 もうすぐ、誕生日だ。
 最近酷く妹は機嫌がいい。鼻歌を歌っているところなんて、初めて聞いた。曲名をたずねてみると、恥ずかしそうに、秘密、と返してきた。
 
そういえば、この家の下から最近風の音を聞くようになった気がする。この前少し帰省した日あたりからだ。どこかに穴が開いたのかもしれない。
一応家主は妹だし、今度時間を見て相談してみよう。
807完結できない人:2007/06/14(木) 01:00:29 ID:4dYybb9A
○月×日


 妹は全く変わってなかった。いやきっと、前よりも悪化した。

 僕は今、机にかじりついてこの日記を書いている。助けを何度も呼んだが、誰も来ない。
携帯電話は今朝無残にも壊された状況で発見したし、家の電話は、扉をはさんだ向こう側・・・・・・取りに行くには、妹を押しのけなければならない。

 そう、今僕の部屋の扉の向こうには、妹がいる。兄さん、開けて、と扉を叩きながら僕を呼ぶ。
これを書いている内にも、だんだんと妹の声には怒気が含まれてきている。硬く締め切った扉を叩く音も、少しづつ、大きく激しくなってきている。
 
 今思えば、予兆は確かにあった。気づかなかった僕が馬鹿なだけだ。

 なぜ、あの日僕と一緒にかえったサークルの仲間が、翌日死んでいたのか
 なぜ、通院先の僕を担当する看護婦さんが、逃げるようにこの町を去っていったのか
 なぜ、近所の人が誰もこの家に近づきたがらないのか
 なぜ、妹は僕がこの大学を受けるにあたって、両親の説得を手伝ったのか
 なぜ、妹はこんな家を用意したのか
 なぜ、妹は株を始めたのか
 なぜ、妹は僕の両足を奪ったのか



 扉を叩く音に、だんだんと破壊音が混じり始めた
 きっと、もう、持たないだろう


 後はもう、全てを天に、任せるだけ・・・・・・




 どごん、と
大きな破裂音と共に、木製の扉が粉々に砕け散る。
原型すら留めなくなったその破片の傍らには、愉しそうに笑う、妖しさを伴った美しい容姿を持つ女性が長い髪を揺らして立っている。

「喜んで、兄さん。準備は全て整ったわ。これで、私と兄さんはずっと、二人だけで、永遠に、幸せに暮らしていける」

 女性の両手には、頑丈そうな椅子が握られている。その4つ脚の先には、今さっき破壊した扉の欠片がへばりついていた。

「ふふ、嬉しすぎて声も上げれないのね。そんなに喜んでくれるなんて、嬉しい。さぁ、兄さん――」

 女性は傍らに、その椅子を投げ捨てた、かわりに持ち出したのは、小さな小瓶。その中には、毒々しい色の錠剤が詰め込まれている。

「一緒に、狂いましょう?」





その日青年は、長い苦しみの果てに正常な思考を失った。
808完結できない人:2007/06/14(木) 01:02:19 ID:4dYybb9A
「正人。何をしているの」

 まだ、小学生に上がった頃か。あどけなさの残る少年は、自分の名前を呼ぶ大好きな母親の声に、本を読んでるのー、と
いまだ声変わりしてない男の子特有の、可愛らしい声で答えた。


「本・・・・・・あら、それは」

 正人と呼ばれた少年の手に握られていたのは、長い年月によって薄汚くなった、革表紙の日記帳。
女性――正人の母親は、それを正人から受け取って、ぱらぱらと眺め、そして、破り捨てた。


「おかーさん。それ、いらないの?」

「ええ、だって、それには嘘しか書いてないもの」

「嘘?」

「ええ、だから、忘れるのよ、正人」

「うん。おかーさんの言うとおりにする」

「いい子ね」


 子が真実を知るのは、いつの日か。
母のお腹には、既に新しい命が宿っている。

 正人に妹が出来るのも、そう、遠くない日かもしれない。


運命は、連鎖する――
809完結できない人:2007/06/14(木) 01:04:04 ID:4dYybb9A

以上、完結です
久々に終わらせた気がする。モチベーションがあるうちに一気に書ききったので、実は殆ど推敲なんかもしてなかったりします。

読みづらいところもあると思いますが、ご容赦を


キモさが伝わっていればいいのですが、何分特殊な形態での表現ですので・・・
810名無しさん@ピンキー:2007/06/14(木) 01:09:02 ID:pFgAnczo
リアルタイムktkr
GJですた
811名無しさん@ピンキー:2007/06/14(木) 01:16:10 ID:FGxJDNlp

1時間で書いたクオリティとは思えんなwwww
厚生施設は更正施設のことかしら。
812名無しさん@ピンキー:2007/06/14(木) 01:28:30 ID:a8EEAirt
>>809
ごめん俺バカだから、なんで妹が足を切ったのか、あとラストがよくわからん
かった。男どこ行ったの?日記はホントにウソなの?正人と腹の中の赤ん坊って
男と妹の子供?
813名無しさん@ピンキー:2007/06/14(木) 01:31:02 ID:FGxJDNlp
子どもたち…兄と妹の子ども
兄…幽閉されてる
足切断…兄を幽閉するため

と解釈したんだが。
814名無しさん@ピンキー:2007/06/14(木) 01:38:36 ID:W88HUPUW
妹側の描写が足りなすぎてちょっと伝わりにくいとこがあるかも。
でも兄貴の日記という視点は新鮮だった。GJ
815名無しさん@ピンキー:2007/06/14(木) 01:42:31 ID:Gg0p/qKI
GJ!!

>>812
>なんで妹が足を切ったのか
兄を一人で動き回れなくするため

>男どこ行ったの?
生きてるか死んでるかは解からんが、少なくとも子供を二人
つくるぐらいの時間は生きていたはず。

>日記はホントにウソなの?
妹(ラストでは正人の母)にとって、子供に知られては都合が悪いので破り捨てた。

>正人と腹の中の赤ん坊って男と妹の子供?
そうでなけりゃ
>運命は、連鎖する――
この一文の意味が無い
816名無しさん@ピンキー:2007/06/14(木) 01:43:59 ID:Gg0p/qKI
いかん、感想書いてないじゃないか。
日記パートは、クトゥルー神話を読んでる気分で怖かったw
817名無しさん@ピンキー:2007/06/14(木) 01:46:36 ID:1i3gWk4t
江戸川乱歩的な話だねぇ
818名無しさん@ピンキー:2007/06/14(木) 03:09:31 ID:4aHSdFQT
>>812
これからは本を沢山読んで読解力を身につけたほうがいい
・・・というかここは21禁なんだけどな;;
819名無しさん@ピンキー:2007/06/14(木) 04:13:05 ID:uWLTdBX5
ちょっと出遅れたが>>774
無形さま、神SS完結お疲れ様です。
そして最後まで二人の妹を微塵も否定せず自分を犠牲にしてまで
妹の幸せを願っていた真理に全俺が惚れた
今エロパロ板で人気投票があったら俺は間違いなく真理に100票は叩き込む
820名無しさん@ピンキー:2007/06/14(木) 04:21:43 ID:VoULOjsS
490KBか。
スレ消費早いなぁ。
次スレ立ててきます。
821名無しさん@ピンキー:2007/06/14(木) 04:27:54 ID:VoULOjsS
立ててきました。

キモ姉&キモウト小説を書こう!Part3

http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1181762579/l50

どれくらいで次スレ立てるか決めといたほうがいいかもしれないですね
822名無しさん@ピンキー:2007/06/14(木) 13:15:41 ID:l/osHi76
投下が多いから消費早いなぁ。
>>821乙π
823名無しさん@ピンキー:2007/06/14(木) 16:21:07 ID:i282GqgV
>>812
床下から風の音が、というから、地下室に幽閉されてるんじゃね
殺すとは思えないから、たぶん生きたまま
824完結できない人:2007/06/14(木) 23:59:52 ID:4dYybb9A
 色々と感想有難うございます。

 えーと、直接描写されていない範囲の内容は、大体皆さんの想像通りであっています。
いや本当わかりにくくて申し訳ありません。情景描写を皆さんの想像に頼った私の失敗です。


 つきましては、余力と時間とほか色々あれば、もっと判りやすい物を頑張って送り出そうと思います。


 完結させれるかどうか、微妙ですが・・・
825完結できない人:2007/06/15(金) 00:02:10 ID:4dYybb9A
追記

>>811

 その通りです。誤字申し訳ない・・・
826名無しさん@ピンキー:2007/06/15(金) 18:50:44 ID:SUQSn4Pr
>>809
妹の歌っていた鼻歌がナンなのか気になる
coccoあたりかな
827完結できない人:2007/06/15(金) 22:39:26 ID:DA1eMPpx
>>826 

なんか兄を刺しちゃったりしてそうな某同人さんとこの曲
・・・・・・という、個人的なイメージ


病んでるっぽい曲だったらなんでも当てはめて構いません
828名無しさん@ピンキー:2007/06/17(日) 18:00:22 ID:XbgvMTBU
ん?
829名無しさん@ピンキー:2007/06/17(日) 18:06:38 ID:bUWxJsxw
なんか前スレあがってるんでage
830名無しさん@ピンキー:2007/06/17(日) 18:10:22 ID:bUWxJsxw
あれ?
俺次スレに投下したつもりだったんだが。
831名無しさん@ピンキー:2007/06/17(日) 19:58:47 ID:rxP7HD2D
それはそれは
832名無しさん@ピンキー:2007/06/19(火) 20:59:17 ID:YgDNZjdS
とりあえず埋めませんか?
833名無しさん@ピンキー:2007/06/19(火) 21:02:39 ID:AU8e5+Y/
断る
834名無しさん@ピンキー:2007/06/19(火) 21:08:09 ID:G8SflFdN
835名無しさん@ピンキー:2007/06/19(火) 21:17:27 ID:oOw02ilM
残り100近くも埋めで終わらせるとかw
836名無しさん@ピンキー:2007/06/19(火) 21:30:43 ID:oD2nmlsp
>>835
新参乙(´,_ゝ`)プッ
837名無しさん@ピンキー:2007/06/19(火) 22:00:59 ID:cHXx6Vjv
ここで通りすがりの俺が
一スレ500KB制限のことを優しく丁寧に教えてやるぜ!
余計なお世話の勢いでな!

というわけで埋め。
838名無しさん@ピンキー:2007/06/19(火) 22:05:45 ID:xUQYdiro
踏め
839名無しさん@ピンキー:2007/06/19(火) 23:30:52 ID:7Ai30+bS
ウメウメ
840名無しさん@ピンキー:2007/06/20(水) 01:28:01 ID:IsSrmnnI
無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無
駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無     駄無   駄無    駄 無駄無 駄     無駄
駄無駄無             駄 無駄無駄 無駄 無 駄無 駄 無駄 無駄 無駄 無駄
無駄無駄             無 駄無駄無 駄無 駄 無駄 無 駄 無駄無 駄無 駄無
駄無駄無             駄     無  駄無 駄 無駄 無  駄無駄無    駄無駄
無駄無駄             無駄無駄 無 駄無 駄 無駄 無 駄 無駄無 駄無 駄無
駄無駄無             駄無駄無 駄 無駄 無 駄無 駄 無駄 無駄 無駄 無駄
無駄無駄             無     駄無   駄無    駄 無駄無 駄     無駄無
駄無駄無 \         / 駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無
無駄無駄 | \      / | 無駄無駄無駄無駄無駄 無駄無駄無 駄 無駄無駄無駄無駄
駄無駄無 (  \   /   ) 駄無駄無駄無駄無         駄無 駄 無駄無駄無駄無駄
無駄無駄 | \  \/  / | 無駄無駄無駄無駄無駄  無駄無駄無駄無駄無駄無駄   無駄
駄無駄無 \C ̄| | | ̄C/ 駄無駄無駄無駄無駄無  駄     無駄無駄無駄無駄   無駄
無駄無 ((\////||| | |||////))))無駄無駄無駄無駄  無駄無駄無駄無駄無駄無駄無   駄無
駄無駄無| | ̄ ̄\|/ ̄ ̄| / ̄ ̄ ̄ ̄\無駄無駄  無駄無駄無駄無 駄 無駄無駄   無駄
 ̄ ̄ ̄ ̄| |          |/ ̄ ̄ ̄ ̄//⌒⌒ーヽ無駄 無駄無駄無駄 無 駄無  駄  無駄
 ̄ ̄ ̄ ̄| |  <⌒⌒>  / ̄ ̄ ̄ ̄/        \無       駄無駄無駄無  駄無駄無駄
 ̄ ̄ ̄/ |    ⌒⌒  / ̄ ̄ ̄ ̄/           無駄無駄無駄無駄無駄無  駄駄  無駄
 ̄ ̄/   | \( ̄V ̄)/ ̄ ̄ ̄ ̄/            無駄無駄無駄無      駄無駄  無駄
 ̄/ ⌒ |   \_// ̄ ̄ ̄ ̄/  ノ           無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無
841名無しさん@ピンキー:2007/06/20(水) 01:33:08 ID:xBqw4FsI
「え?う、うそでしょ?お兄ちゃん!?」
妹が俺にすがりつく
「嘘じゃない、お前はそろそろ俺から離れるべきだ」
ブラコンのお前だ、どれほど酷かは分かっている、だが
「わ、分かった!あいつのところへ行くんでしょ!?
 だ、だめだよ?お兄ちゃん」
「違うよ、2スレ、3スレのところじゃない。
 俺はもう旅立たなきゃいけないんだ。」
「嘘よ!嘘嘘嘘嘘だ…」
「さようなら…2スレ」
分かってくれ、俺達は距離を置かなければならないことを。

暗い部屋で2スレは一人膝を抱えてうずくまっていた
「お兄ちゃん…いや…いやぁ…一人…嘘よ、
 絶対あいつの所に行くつもりよ…あの泥棒猫…許さない!
 私のお兄ちゃんを取りやがって…!
 ゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさない
 ゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさない
 普通に流れると思わないことね…!」
何を思ったか、2スレは親戚の36スレに連絡した。
「覚悟なさい…もうすぐ36スレの荒らし達が到着するわ…
 そうすれば…うふ、うふふ」
あははははははははははははははははははははははははは
はははははははははははははははははは!!! 
842名無しさん@ピンキー:2007/06/20(水) 07:07:03 ID:++/gZfej
 :::::::::::::i          ,ノ::::::::::::f¨フ¨ ̄ .l::l
 ::::::::::::::',        /ィ"¨゙ヽ::l i r「lm. !:l
 ::::::::::::::::ヽ      /:!f    }::l i∩! !.!l l::l
 :::::::;.-、::::::::_ ..... 、--ヽ-  '∠⊥L_`_i l::l
 :::::::i()i ̄ _......ム 二二二....__)_ ̄¨}
 :::::::ヽ-'"´::>、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/   ̄¨`丶、
 ::::::::::::::::::::::::::ノjブ<::_..._::::::::::::::::::::\       \   や〜れ
 、::::::::::::::::;.ィ.:,, _: : : : fl⌒il゙ ‐- ::;;__:::::::`丶、..,, _   ,)  やれだぜ
 . V:::::r''"`゙_ー-: ¨;;;‐i ー‐1 }ハ-‐;;:__-‐''¨7::天::T¨ ̄
 ト、V::l、: : :.'、¨ヾヲラ¨l.  iく ノ:バワフ¨゙ヽ:.レ'   リ
 l l〉 l::l ヽ、'^`ー "¨ f = ll i ヽ:.`¨"´:.;.イリ /
 ヽヽV!.  `;' ̄ ¨ .!   ll l i/¨ ̄i´ ,'./
 ト、\゙'   ;    .! __ノKノV    ; ,'/
 :::ハO)    i    l'´¨¨ トレ'    ; ,'´
 :ノ `::l    l   ,.イ    l_   ;' /
 ::フ  \   ', ,.<´ !   l   ¨Y__ /l    , -=-、
 /    ヽ. ./   ノ    l   i  ¨ヽ-、/ /⌒', i
  ̄¨二ニ=/   i  ,. i . l   l    | ゙i { ̄ ̄
 :::/⌒ヽ:::::ヽ ー'⌒!  {  〉    V  l  l ) 
843名無しさん@ピンキー
      _            ┌                     n /7           _
       | |            ヘ 「ト                  L|ム//)   __ ┌┘└┐
       | |__        く  ゝ)      _        へ人  ヘ∠    | _ . | ニニ! !ニニ
       | __|         て彡      |  ハ        `┤フ⌒ヘ⊃   |. |_|. |└‐┐┌┘
   ._ . | |                | ヘ     .| ノ |-イ_  - 不 ーーイ      | _ . |i二二 二i
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   |__.....|   |  レイ         //      | ノ)     へ ヘii|          , ─┘└- 、
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    .| |   ゝ-イ                             ̄        ゝ,  ̄ ノ
    . ̄                                              ̄