【妖怪】人間以外の女の子とのお話19【幽霊】

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1名無しさん@ピンキー
幽霊妖怪天使に悪魔、ロボットだってエイリアンだって何でもOK!
オカルト・SF・ファンタジー、あらゆる世界の人間以外の女の子にハァハァなお話のスレです。
これまではオリジナルが多いですが、二次創作物も大歓迎!
多少の脱線・雑談も気にしない。他人の苦情を勝手に代弁しない。

<前スレ> 【妖怪】人間以外の女の子とのお話18【幽霊】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1149415855/

<保管庫>
2chエロパロ板SS保管庫
http://sslibrary.gozaru.jp/
 →「オリジナル・シチュエーションの部屋その5」へどうぞ。

過去スレとか関連スレは>>2-5へどうぞ。
2名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 00:45:36 ID:PSPhzGve
<過去スレ>
【妖怪】人間以外の女の子とのお話17【幽霊】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1138894106/
【妖怪】人間以外の女の子とのお話16【幽霊】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1136184690/
【妖怪】人間以外の女の子とのお話15【幽霊】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1129137625/
【妖怪】人間以外の女の子とのお話14【幽霊】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1123248462/
【妖怪】人間以外の女の子とのお話13【幽霊】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1118943787/
【妖怪】人間以外の女の子とのお話12【幽霊】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1112711664/
【妖怪】人間以外の女の子とのお話11【幽霊】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1105867944/
【妖怪】人間以外の女の子とのお話10【幽霊】
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1102854728/
【妖怪】人間以外の女の子とのお話9【幽霊】
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1099739349/
【妖怪】人間以外の女の子とのお話8【幽霊】
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1093106312/
【妖怪】人間以外の女の子とのお話7【幽霊】
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1088018923/
【妖怪】人間以外の女の子とのお話6【幽霊】
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1084053620/
【妖怪】人間以外の女の子とのお話5【幽霊】
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1077123189/
【妖怪】人間以外の女の子とのお話4【幽霊】
http://www2.bbspink.com/eroparo/kako/1072/10720/1072019032.html
【妖怪】人間以外の女の子とのお話3【幽霊】
http://www2.bbspink.com/eroparo/kako/1065/10657/1065717338.html
【妖怪】人間以外の女の子とのお話U【幽霊】
ttp://www2.bbspink.com/eroparo/kako/1047/10479/1047959652.html
人間じゃない娘のでてくる小説希望(即死)
ttp://www2.bbspink.com/eroparo/kako/1046/10469/1046994321.html
3名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 00:48:08 ID:y4jl1OaF
>>1乙!
4名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 00:50:04 ID:Ye/W1EEX
>1乙
前スレ長生きだったねえ
5名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 00:54:47 ID:PSPhzGve
<関連スレ>
かーいい幽霊、妖怪、オカルト娘でハァハァ【その11】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1142074376/
【【獣人】亜人の少年少女の絡み4【獣化】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1152198523/
【亜人】人外の者達の絡み【異形】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1098260654/l50
ロボット、アンドロイド萌えを語るスレ:α4
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1150463153/
触手・怪物に犯されるSS 8匹目
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1145112008/
猫耳少女と召使いの物語8
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1147852863/
魔法・超能力でエロ妄想 その3
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1145518730/
<エロくないのは↓へ>
【何でも】オリジナルSSスレッド【OK】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1126341412/l50
6名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 00:55:39 ID:P97AyMqX
>1乙
7名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 00:57:34 ID:PSPhzGve
【夏の約束(7)】

「……こう?」
「って、締めるなバカ。俺をあの世へ道連れにする気か」
「どうすりゃいいのさ?」
「肘を曲げて、俺の首に両腕でぶら下がるようにしろ」
 言いながら俺は、前かがみになって、浦島の背中に手を回す。身体も冷たいな、やっぱり。
 血の気は失せてるけど、生きていたときと変わらない童顔が、俺の眼の前に近づいた。
 潤んだ瞳が、俺を見つめて、
「やだ、顔、近づきすぎ。変な気、起こさないでね」
「このまま転がしとくぞ、次の電車来るまで」
「やめてよ、まじそれシャレにならないから」
 まるで自分が轢かれて死んだことを認識しているみたいな口ぶりだな。
 俺は浦島の身体を抱え上げたが、このまま前かがみの格好では、まともに歩けなかった。仕方がない。
「しばらく我慢しろ」
 俺は言うなり、相手の顔を俺の胸に押し付けるかたちで、しっかり身体を抱え込んだ。
「……汗くさいけど、我慢する……」
 浦島が殊勝なことを言う。こっちだって血まみれのおまえを抱えて我慢してるんだから、おあいこだな。
 いや待て。こいつの本当の身体は、きのう火葬場で焼かれたはずだ。じゃあ、俺が抱えているのは何だ?
 よくわからないが、抱えている感触は確かにあった。深く考えないことにしよう。現実と理性にサヨナラだ。
 俺は胸に抱きかかえた浦島の身体を、えっちらおっちら、車まで運んだ。
 いや、それほど重かったわけではないが、運びづらかった。
「ちょっと、いったん下ろすぞ」
 俺は上半身しかない浦島の身体を地面に転がして、助手席のドアを開けた。
8名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 01:02:53 ID:PSPhzGve
【夏の約束(8)】

「さあ、乗ってくれ」
 もう一度、浦島の身体を抱えて、助手席に乗せてやった。
 腰から下がないおかげで妙に座高が低くなる。
 あえて視線は向けないようにしていたが、胴体の轢断面からは臓器が露出しているはずだ。
 それで椅子に乗せられているのだが、痛いということはなさそうで、安心した。
「寒いとか言ってたのは、大丈夫か?」
「あ、うん。いまは平気」
 そう言うと、浦島は俺の顔を見て、微笑んでみせた。
 やべ。こいつ、笑うと妙に可愛かった。
 死んじまったあとになって気づいてどうすんだ、俺?
 いや、顔も声もそこそこ可愛いのはわかってたけど、普段の言動がアレだから。
 女として意識できる相手では、なかったよな。
 照れ隠しに相手の顔から視線をそらし、俺は浦島の身体にシートベルトを締めてやった。
 とっくに死んでる奴の身の安全を気にしても仕方ないが、椅子から転げ落ちられても困るしな。
 その浦島が、狭い車内をぐるりと見回して、
「軽なの?」
「ああ。それがどうかしたか?」
「……いやべつに」
 さっきの殊勝な微笑みはどこへ行った? 口をとがらしてるんじゃない、このお化け女。
 俺は助手席のドアを閉め、運転席側に回って、車に乗り込んだ。
「どこへ連れていきゃいいんだ、おまえの家か?」
 俺は浦島の横顔を見てたずねる。
9名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 01:08:07 ID:PSPhzGve
【夏の約束(9)】

 浦島は、その座高ではダッシュボードしか見えてないだろうが、まっすぐ前に視線を向けたまま、
「……あんたんちは?」
「構わねーけど」
 俺が一人暮らしなのは周知のことだ。幽霊が転がり込んでも迷惑になるまいと、浦島も考えたのだろう。
 自分の家に帰って、腰から下のないスプラッターな姿を家族に見せるよりマシだろうし。
 しかし俺のアパートへ行くとして、この下半身の無い幽霊女をどうやって車から部屋まで運ぶか問題だぞ。
 誰かに見られたら、シャレにならんことになりそうだ。
 ま、いいか。車で走ってる間に成仏するかもしれんしな。
 シートベルトをしようと思って、ふと自分の体を見て気づく。
 かなり流血しているように見えた浦島の身体を抱えたのに、俺の服はまったく汚れていない。
 そんなもんだよな。幽霊だから。
 俺はシートベルトを締めて、車を発進させた。
 
 しかし助手席の幽霊女と何を話せばいいのか。
 とりあえず、自分が死んでいることを認識しているのかどうか、確かめようと思った。
「おまえ、どうしてあんなところに転がってたんだ?」
「わかんない。文化祭終わって、打ち上げに行って……かなり飲んでたとは、思うけど」
「いや相当飲んでたくせに、無理して自転車で帰ったんだろ。他の女子が止めたのも聞かずに」
「じゃあ、そうなんじゃない? ぜんぜん記憶ないけど」
「おまえ自身のことだろ、んないい加減な」
 あきれて俺が言うと、浦島は口をとがらせて、
「しょうがないじゃん。あんたは酔っ払って記憶なくしたことないの?」
10名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 01:09:28 ID:PSPhzGve
【夏の約束(10)】

「そこまで飲まねーよ」
 俺が答えると、浦島は、ふんっと生きた人間みたいに鼻息を鳴らした。
「つまんない奴。あんたみたいのと飲むのが一番シラけるのよね。一人だけ冷静ぶって」
 おまえ、酒で文字通り身を滅ぼしたのに、その反省はないんだな。
 いや、そもそも死んだことを認識してないのか。俺はそこを確かめるべく、さらに質問した。
「おまえの中で、きょうは文化祭の打ち上げの何日後だ?」
「は? あたしの中で? 何それ、何かのたとえ話?」
「つまり、この世の時間では、きょうはあれから六日たってるんだよ。信じられねーかもしれねーけど」
「……やだ。聞きたくない」
「あ?」
「そんな話は信じない。それを認めたら、あたし生きてられないから」
「いや、生きてられないって……」
「わかってるよ。お経は聞こえたし、お線香の匂いもしたし、踏切の外でクラスのみんなは泣いてたし」
「…………」
 こいつ、自分の死を認識しながら、あえてそこから眼をそむけてたのか。
 浦島は言葉を続けた。
「電車はびゅんびゅん、あたしの上を通り過ぎるし。それなのにあたしは、その場に転がったまま動けないし。
 立ち上がろうとしても立てなくて、腰から下の感覚がないの。体も起こせないから自分では見えないけど、
 手を伸ばして触ってみたら、わかるじゃない? 自分の身体がどうなってるか」
「……わかってるなら、ここにいるおまえは何なんだよ?」
「浦島涼美。それじゃダメなの?」
 浦島は、じっと俺を見る。そんな顔すんな、畜生。いまにも泣きだしそうな、誰かにすがりたいみたいな。
11名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 01:14:43 ID:PSPhzGve
【夏の約束(11)】

 どうせなら生きてる間に、おまえのそういう顔を拝みたかったよ。
 いや、おまえの中では、まだおまえは死んだことになってないのか?
 生きていることにしたい理由はなんだ? この世に何の未練があるんだ?
 いっぺんに全部は訊けないので、俺はとりあえず次の質問に移った。
「……俺に電話してきたのは、どうしてだ?」
「免許持ってる奴、あんたしか思い浮かばなかった」
 それだけか。まあ、そうだろうな。
 俺がさらにたずねようとして、
「じゃあ……」
 口を開きかけたとき、浦島が言った。
「ねえ」
「あん?」
「少し、寝させてもらっていい? 疲れた……」
 返事を待たず、浦島は眼を閉じた。
 すぐに、寝息を立て始める。
 こいつが死人だと思わなけりゃ――なおかつ、こいつの素の性格を知らなけりゃ、惚れてしまいそうな寝顔。
 そっか。自分が轢かれた踏切に、ずっと一人ぼっちで転がっていて。
 きょうまで落ち着いて眠ることも、できなかったんだろうな。
 俺の車の助手席でよけりゃ、いくらでも眠ってくれ。軽のレンタカーだけどな。
 そのまま成仏してくれたら、なおのこといい。
 
 アパートに着くまでの間に、浦島は成仏しなかった。
12名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 01:19:40 ID:PSPhzGve
【夏の約束(12)】

 仕方ないので、目を覚ました浦島を車内で待たせて、いったん一人で部屋に帰り、毛布を抱えて車に戻った。
 車外から見たら、座高は不自然に低いとしても、下半身が無いなんてわからない。
 まったく、生きているままの浦島に見える。
 助手席のドアを開けて、シートベルトを外してやった。
 いや腕はあるんだから、ベルトくらい自分で外せそうだけどな。
「どうするの、その毛布?」
「悪いが、しばらく喋るな」
 俺は浦島に頭から毛布をかぶせた。こうするんだよ、この毛布は。
「……これ、ちゃんと日に当てて干してる? なんか変な匂いがする……」
 何やら聞こえたようだが気のせいだ。死人に口なし。俺は毛布でくるんだ浦島の身体を抱え上げた。
 腰から下がないにしても、いやに軽い。
 元の体重が四十数キロとして、半分と見積もっても二十キロ超。
 だが、そこまで重たい荷物とは感じない。やっぱり幽霊だからか。
 その割に抱いてる感触はあるのだから、わけがわからない。
 エクトプラズムとかそういうものの塊(かたまり)か? あいにくオカルトには詳しくないが。
 車のドアを蹴飛ばして閉め、えっちらおっちら階段を上って、自分の部屋に浦島を運び込む。
 六畳の真ん中にそっと寝かせて、毛布を開封した。
「悪かったな、変な匂いの毛布でさ」
「ううん……」
 しおらしく首を振ったのは、どういう心境の変化か。浦島は、黒眼がちの潤んだ瞳を俺に向けた。
 わずかに開いた唇から、白い歯が覗いている。
 考えてみたら、この部屋に、母親か大家のババア以外の女を入れるのは、初めてだった。
13名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 01:24:47 ID:PSPhzGve
【夏の約束(13)】

 その女が死人というのは問題だが、浦島だという点については、いまの顔を見てたら気にならなかった。
 やべ。まじ、惚れる。
 どうして生きてる間にその色っぽい顔を見せなかった、浦島?
 下半身がねーんじゃ、ナニもできねーだろーが。
「この部屋……」
 浦島が口を開き、俺はきき返す。
「あん?」
「シャワーあんの?」
「ああ」
 俺はうなずいたけど、ちょっと待て。男の部屋に来て、まずシャワーの話題か?
「借りていい? やだもう、血まみれなの……」
 浦島は寝返りを打つように、ごろりとうつ伏せになると、腕だけでずりずりと、床の上を這い始めた。
 うわ、礫断面からこぼれた腸を引きずってるぞ、おまえ。
 ずりずりと這い進んでいく浦島を、あっけにとられて眺めていた俺だったが。
「……連れてってやるよ。ここまで来て遠慮すんな」
 我に返って、浦島の前に回り、その両肩の下に手を入れて身体を抱え上げた。
 濡れた瞳が、すぐ眼の前にある。俺は視線をそらし、浦島を抱えて風呂場に向かいながら言った。
「誤解しないで聞いてくれ。この身体で一人でシャワーは無理だろう。だから、俺に手伝わせてくれないか?
 いや、変な気を起こしたわけじゃないぞ。というか、この状況でそれは無理だろう。ただ純粋に……」
「……もういい。シャワーいらない。下ろして」
「あ?」
 きき返す俺に、浦島はそっぽを向いて、それ以上は何も言わない。
14名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 01:29:55 ID:PSPhzGve
【夏の約束(14)】

 仕方なく、俺は浦島を抱えて六畳間に戻り、床に転がすのもなんなので広げた毛布の上に寝させた。
 ふくれ面の浦島は、俺と眼を合わせようとしない。
 何の文句があるんだ? シャワーを手伝うと言ったのが、そんなにスケベに聞こえたか?
 でなきゃ……まったくその逆で、本当は変な気を起こしてほしかったのか?
 この俺に? いまの状況で? 下半身のない、腸がはみ出してるおまえに対して??
 ――だが、その下半身にさえ眼を向けなければ。
 あどけなさを残した小作りな顔。その割に豊かな、白いワンピースの胸。
 潤んだ瞳。濡れた唇。乱れて頬にかかった、さらさらの髪。
 そんな色っぽい風情の女が、俺の部屋の真ん中で、無防備に転がっている。
 その気になれ……と、誘ってるのか、やっぱり?
 だけど、相手は浦島だ。ただでさえ地雷みたいな女が、しかも化けて出てきてるんだ。
 迂闊なことをしたら呪い殺されるだろう。
 くそったれ。浦島じゃない、ほかの女だったら、ここで口説くって選択肢もアリだけどな。
「……浦島」
 呼びかけた俺に、彼女は答えない。構わず俺は、言葉を続けた。
「本当は何がしたいんだ、おまえ?」
「…………」
「自分が、もう死……その、わかってるだろ? でも、心残りがあるから、生き続けなきゃならないんだろ?
 だから、俺でよけりゃ、手伝うから。行きたいところがあるなら連れて行くし、やりたいことがあれば……」
「莫迦。健忘症。若年寄り。まだらボケ」
「は?」
 そっぽを向いたまま憎まれ口を叩き始めた浦島に、あきれて俺はきき返す。
15名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 01:30:43 ID:PSPhzGve
【夏の約束(15)】

「健忘症……?」
 待て。俺は、こいつに何か言ったことがあったか? 何かを約束したりしたか?
 口説いたことはない。断じてない。女として意識してなかった相手を口説くわけがない。
 だけど、友達としてなら……
「……あ」
 俺は声を上げた。そのときの俺は、ずいぶんなマヌケ面だったろう。
 免許を取ったら車に乗せてやる。そう言ったんだ、夏休みに入る前に。
 深い意味なんてなかった。ほかの女友達も何人かいる前で、そいつら全員に向かって言ったんだからな。
 決して浦島ひとりを誘ったわけじゃない。断じてない。
 でも、浦島にとっては、それが心残りなのか? なんだよそれ、どういうことだ、いったい?
「……あたし、まだ十八だよ。心残りなんて、いっぱいあるに決まってるじゃん……」
 浦島は、顔をそっぽに向けたまま、泣き出していた。
「行きたいところ、やりたいこと、山ほどあるよ。友達とも……、それに……」
 何て言いたいか、わかったけど、俺は口に出さなかった。
 彼氏、か。
 こいつ、彼氏なんていたのかな? いるわけないよな。いたらクラス中の話題になってたはずだ。
 地雷女の浦島と付き合いたがる野郎がいたら、そいつのツラを拝みたい。
 ――鏡を見りゃいいのか。
 そう。俺は、このお化け女に惚れ始めていた。
 だって、顔だけ見てりゃ、けっこう可愛いし。
 いまの泣きじゃくる様子なんて、普段とまるで別人で、保護欲そそられるし。
 だが、浦島当人は俺をどう思ってる?
16名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 01:35:49 ID:PSPhzGve
【夏の約束(16)】

 いや、いまさら、その気がないなんて言わせないぞ。
 一人暮らしの男の家に上がり込んで、シャワー浴びさせろとか言って。
 挙げ句に部屋の真ん中に転がってるんだからな。
 生きてるときから、こいつが俺に気があったかどうかは知らん。
 でも、いまとなっては俺以外の選択肢がないってのが本音だろう。
 それで構わなかった。消去法で選ばれたのだとしても。
 俺だって、生きてたときのおまえを女として見てなかったんだ。いまとなっては後悔してるけどな。
 彼氏ができりゃ成仏するんだろう? 俺でよけりゃ付き合うよ。いや、付き合わせろ。
「浦島……」
 俺は彼女のかたわらに膝をつく。
 そして前かがみになり、床に手をついて、
「こっち向けよ」
「…………」
 涙をためた眼が俺に向けられる。ふくれ面。紅い唇をとがらせてる。
 俺は顔を近づける。どんな莫迦でも、いくら浦島でも、俺が何をする気かわかるだろう。
 浦島は拒まなかった。むしろ眼をつむった。
 俺は唇を重ねた。
 ひんやり冷たくて――でも不快じゃなかった。精気を吸われるようなこともなかった。
 舌を突き出すと、受け入れてくれた。
 冷血な軟体動物みたいな浦島の舌と、たぶん興奮で火照ってるはずの俺の舌が絡み合う。
 浦島相手に欲情しちまってる俺は莫迦だな。しかも腰から下のない轢死体も同然の浦島に。
 片手で髪を撫でてやる。さらさらと手触りがいい。
17名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 01:36:46 ID:PSPhzGve
【夏の約束(17)】

 色白のおでこと黒く艶のある髪の境界――つまり生え際に、小さなホクロを発見した。
 生きてるときには気づかなかった。こんなに顔を近づけたことはないからな。
 くそ、生々しすぎるぞ。おまえ、本当に死んでるのか?
 唇を離す。浦島が眼を開けた。
 頬を上気させ、とろんとした瞳で、俺を見つめる。
 微笑んだ。やっぱ可愛かった。
 生きてるときから、ずっとそういう顔をしてりゃよかったのに。
 そうすりゃ彼氏なんか選び放題だったと思うぞ。
 ま、それができないのが、浦島だったんだろうけど。
 浦島が右手を上げて、俺の頬を撫でる。ひんやりした手が心地よい。
 左手に握っていたはずの携帯は少し離れたところに転がってた。
 さっき風呂場に這って行こうとしたときか、手放したのは。
「……どこ見てんの? こっち見て」
 言われて俺は、浦島の顔に視線を戻す。
 口調はいつもの浦島だけど、微笑んだ顔は、まるで別人だな。
 照れ隠しに、どうでもいいことを俺はたずねた。
「おまえの携帯」
「ん?」
「あれも幽霊か?」
「普通の携帯。電池はとっくに切れてるけど」
 浦島は、くすくす笑う。
「電池もないのに、どうやって電話したかは訊かないで。あたしだって説明できない」
18名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 01:46:00 ID:PSPhzGve
【夏の約束(なかがき2)】

いやすでに完結まで32レス分、書き上がってるんですけどね
連続カキコしたらエラーになるから、小出しに投下してるんですよ
でも、もう気力が尽きたので寝ます
リアルタイムで読んでる人がいたらスマソ
続きは日が昇ってからでも……
19名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 01:51:13 ID:D1G9bPVw
>>18
GJでした。
続き期待してます。
20名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 01:53:46 ID:P97AyMqX
>>18
えー、mjk!
日が昇るまで待つぞ――
21名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 02:14:28 ID:J/xO2YRl
>>18
キャモーン!щ(゚д゚ )щ
22名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 05:21:54 ID:PSPhzGve
【夏の約束(18)】

「さっきは悪かったよ。すぐに電話に出ないで」
 謝る俺に、浦島は微笑む。
「でも、迎えに来てくれたから……」
 陳腐すぎる言い方だが、笑ってると天使みたいだな。本当のところは幽霊だけど。
 もう一度キスをした。
 そして、再び唇を離し――どうするべきか、俺は考えた。
 キスだけで成仏できるわけじゃないらしい。じゃあ、どうするか?
「……シャワー」
「え?」
「血を流したいんだろ。浴びに行くか?」
「…………」
 浦島は真顔になり、じっと俺を見つめる。
 やべえ、地雷踏んだか? 怒り出すか? 呪われるか?
 浦島が口を開いた。
「……あたしの身体、きっとスプラッターだよ。自分でも怖くて見たくないくらい」
「じゃあ、おまえは眼をつむってていいよ。俺が洗ってやる」
「我がままなこと言ってもいい?」
「何だ?」
「あたしだけ見られるのは、やだ。あんたも服を脱いでくれる?」
 
 俺はとりあえずトランクス一丁になり、浦島を抱えて風呂場に入った。
 彼女の身体をタイルの床に置いて、ワンピースの背中のジッパーを下ろす。
23名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 05:25:36 ID:PSPhzGve
【夏の約束(19)】

 臓器の覗いた轢断面で床に立たせた格好だけど、当人は嫌がりはしなかった。
 白い背中と、白いブラジャーが覗いた。
 腰から下が引きちぎられたワンピースから、浦島の両腕を抜いて、完全に脱がせる。
 浦島は、されるがままになっていた。
 服の上から見ても豊かだった乳房が、いまやブラジャー一枚だけに覆われて、俺の眼の前にある。
 あー、そのやわらかそーな谷間に、早く顔を埋(うず)めてーぜ。それくらいさせてくれるよな?
 脱がしたワンピースは床の隅に放り投げたが、次の瞬間には、消えてなくなっていた。
 まずワンピースが成仏か。脱がせるたびに、極楽往生が近づいてくるのか?
 それはいいとして……いままで、あえて見ないようにしてきた彼女の腰から下も。
 ワンピースがなくなったことで、嫌でも目に入った。
 ちょうどヘソの辺りだろうか。血で染まった皮膚が引きちぎられて、べらべらにめくれて。
 その下から、腸やら、そのほか名前のわからない臓器やらが、こぼれ落ちんばかりに覗いていた。
 皮膚の下の黄色い組織は脂肪かな。ガキの頃、図書館で興味本位で開いた医学事典の解剖写真を思い出す。
 浦島当人はというと、しっかり眼を見開いて、顎を引き、まじまじとその部分を見つめていた。
 怖くて見たくないんじゃなかったのか、おまえ?
「電車になんて、轢かれるもんじゃないね……」
 他人事みたいに冷静に、浦島は言った。
「飛び込み自殺を防止したかったら、こういう写真を駅に貼っておいたらいいんじゃない?」
「おまえ、やっぱり浦島だな」
 俺としては、あきれるしかなかった。当人が意識してるか知らないが、真顔の台詞もギャグに聞こえる。
 浦島の身体を壁に立てかけた。ほとんどモノ扱いだけど、これが嫌だったら床に転がしておくしかない。
 シャワーをフックから外して、風呂桶に向けて、お湯の栓をひねる。
24名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 05:27:55 ID:PSPhzGve
【夏の約束(20)】

 水流に手を当て、温度を確かめる。温まってきたところで、水の栓もひねり、温度を調節した。
 凍死しそうだと言っていたくらいだから、少し熱いくらいがいいだろう。
 これくらいが適温かな。さあ、洗ってやるか。
 浦島の前でしゃがみ、お湯のシャワーを、彼女の血まみれのおなかに当てた。
「……あったかい……」
 浦島が嬉しそうに眼を細める。
「なんなら、風呂につかるか? お湯ためてやるぞ」
「ありがとう。でも、大丈夫」
 浦島は微笑み、首を振る。まじ可愛い。
 こいつが死んだのは人類の損失だな。生きていたら、(その性格さえ治せば)言い寄る男も出てきただろう。
 そして恋愛して結婚し、子供の一人も産んでただろう。生まれて来なかった子供と浦島当人にも不幸な死だ。
 こびりついた血を洗い流すように、浦島のおなかを撫でてやる。
 床に流れていくお湯は透明のままだけど、浦島の身体からは、確実に血が洗い流されていた。
 どういう仕組みか俺にはわからん。幽霊自体が理不尽な存在だ。
 露出した臓器がお湯に濡れるのも平気らしいし。
「ブラジャー、外すぞ」
 俺が言うと、
「あ、待って。先にあんたが脱いでよ」
 浦島は眼を上げて、じっと俺の顔を見る。
 俺は苦笑して、シャワーヘッドを風呂桶に放り込み、
「わかったよ」
 浦島が見ている前で、おもむろにトランクスを脱いだ。
25名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 05:38:31 ID:PSPhzGve
【夏の約束(21)】

 別に隠すことはねーやな。人並みの大きさのモノが、中途半端に堅くなってぶら下がってるだけだ。
「わあ……」
 浦島は眼を丸くして、まじまじと俺のモノを見つめた。
 ちょっと待て。そんなに眼を輝かせて見つめられると、さすがに恥ずかしくなる。
「……いちおう訊くけど、おまえ、自分のオヤジ以外の男のモノ見るの、初めてじゃねーよな?」
 俺が言うと、途端に浦島は変な顔をした。頬を赤くして、唇を歪め、
「……そんなこと、ないけど……」
 俺の生命を賭けてもいい。こいつ絶対、処女だ。
 確かめる方法は永遠に失われたけどな。永遠に処女のままなんて、さすがに哀れだ。
 しかし同情したところで、こいつが成仏できるわけでもない。
 処女喪失の代わりに、ペッティングくらいは体験させてやろう。
「ブラ、外すぞ」
 俺はもう一度、宣言して、浦島の背中に手を回し、ブラジャーのホックを外した。
 肩紐から両腕を抜かせ(浦島は大人しく協力した)、幽霊ブラジャーも風呂場の隅に投げ捨てる。
 はい、成仏。あとは浦島、おまえ自身だけだ。
 処女のオッパイは、感動モノの麗しさだった。
 ブラジャーを外しても形よく上を向き、その頂きには桜色の控えめな乳輪と乳首が添えられている。
 生きてる間にこいつをモノにしなかった俺たち男は、本当に莫迦だな。
 浦島自身にも問題はあったけど。こんど生まれ変わるときは、その性格は絶対、治して来い。
 シャワーを麗しの乳房に当てた。
「んっ……」
 浦島が眼をつむる。色っぽい声を出しやがって、この処女。
26名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 05:43:37 ID:PSPhzGve
【夏の約束(22)】

 乳房に手を触れ、やさしく洗ってやる。
 やわらかな質感が最高だった。本当に幽霊か、ますます疑わしくなる。
 あー、もう、我慢できん!!
 俺は浦島の唇にむしゃぶりついた。手探りでシャワーの湯と水は止めた。
 浦島は拒まず、舌を絡めてきた。
 濡れた乳房を手でまさぐる。最高だよ、おまえ。
 唇を離し、念願の乳房の谷間に顔を埋めた。むひょー。甘い体臭がたまらねー。
 いや幽霊に体臭があるのも変だけどな。何かのサービスか?
 乳首に吸いつく。れろれろと、舌先で転がしてやる。反対側の乳首もだ。
 眼を上げると、浦島は、頬を紅潮させながら、きゅっと眼をつむっている。
 声を上げるのさえ、こらえているみたいだ。おまえのその声がいいんだけどな。
 だから俺は、舌で責めてないほうの乳首をつねってやった。
「あうっ……!」
 声を上げた浦島の、耳元でささやく。
「可愛いから、もっと鳴いてみろよ」
「そんな……」
 その切なげな声がたまんねーんだ。
 乳首を指で、こりこり弄びながら、彼女の白い首筋に舌を這わせる。
「ああっ……、んくっ……、はうっ……」
 我慢するのをやめて、浦島は声を上げることにしたようだ。素直で可愛いぞ。
 もう一度、二度、三度、左右の乳首を交互に吸って。
 次は当然、もっと「下」を責めるべきだけど……
27名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 05:44:50 ID:PSPhzGve
【夏の約束(23)】

 浦島が、恍惚とした瞳を俺に向けた。
「ねえ、口でしてあげよっか……」
 それしかないわな。おまえとヤるには。
 だけど、この麗しの処女である浦島が、引きちぎられた胴体から臓器を晒してるのは紛れもない事実で。
 そんな女と、ナニをいたしている俺は、きっとイカれてるんだろう。
 浦島は昇天できたとしても、俺が地獄に堕ちるかもしらんな。
 いまは天国を味わってるけど。
「そこ、座って……」
「ああ」
 言われるがまま、俺はタイルの床に腰を下ろす。両脚は広げて、前に投げ出した。
 ぱたりと、浦島は、うつ伏せに体を倒すと、ずりずりと両腕で這うようにして俺の下腹に顔を近づける。
「ヘタクソでも、怒んないでね。あんまり経験ないから……」
 瞳を潤ませ、俺の顔を見上げて言う。なんというか、浦島らしからぬ、いじらしさ。
「おまえがしてくれるだけで感動モノだよ」
 俺は浦島の頭を撫でた。
 あんまりどころか経験ゼロだろうけど、からかうには永遠の処女である浦島が気の毒で、
「だけど、歯は立てるなよ」
 冗談めかして、それだけ言った。
 浦島は微笑み、
「わかんない。噛みちぎって天国に持ってちゃうかも。あたしが天国に行ければだけど」
「おまえなら行けるよ。でも噛みちぎるのは勘弁な。俺は地獄行きかもしれないだろ、去勢されたままで?」
 俺たちは、くすくす笑い合う。
28名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 05:54:57 ID:PSPhzGve
【夏の約束(24)】

 だけど、天国か。本当にあるのかね? あるいは、神様なんてやつも本当にいるのか。
 いるんだったら問い詰めたい。どうして、浦島を死なせたのかと。
 死にかけるくらいの目にあって、その反省で酒を断ち、ついでに性格も改善されて、まともな恋愛をする。
 そんなシナリオも有りだったんじゃないか? 浦島に恋愛体験させてやるならさ。
 ――お?
 俺が空想にふけっている間に、浦島が大きく口を開けて、俺のモノをくわえ込んだ。
 いや待て、すまん。シャワーを浴びたのは浦島だけで、俺のチンポは洗ってないんだ、そういえば。
 だが、浦島はまるで気にしていないようで、ひんやりした口腔全体が俺のペニスを包み込む。
 処女のオッパイを可愛がる間に八分くらいの堅さになっていたペニスは、さらにむくむくと膨張した。
 浦島の口の中で、自分のモノが怒張するのが、はっきり感じられたのだ。
 しかし、浦島は、それきりどうしていいか、わからなかったらしい。
 爪の綺麗な白い指で、俺のペニスの根元を支えつつ、口はそのペニスを頬張ったまま、眉根を寄せている。
 とりあえず、もっと奥までくわえようとしたみたいだが、
「――え゛っ」
 えづくような声を上げて、いったんペニスを口から放した。涙を浮かべて咳き込みながら、
「ごめんなさい……」
「いいよ。無理すんな」
 俺が頭を撫でてやると、浦島は首を振り、
「だいじょぶ。要領はわかってるから。あの……雑誌とかで見て」
 とりあえずフェラは初体験ってことを自分でバラしちまったな、浦島。
 浦島は、もう一度、俺のペニスを口に含む。
 奥まで呑み込むと、またえづくと思ったか、ペニスの先っぽを唇でくわえ込むかたちだ。
29名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 06:00:13 ID:PSPhzGve
【夏の約束(25)】

 そして、ぎこちなく頭を上下させ始め、唇で俺の亀頭をしごき上げるようにした。
 ギンギンに堅くなっている俺のペニスには、それだけでもなかなかの刺激だった。
 だいたい、あの一歩間違えたら「痛い」系の性格の、しかしビジュアルだけは上等な部類の浦島が。
 初体験であろうフェラを自分から申し出て、実行してるんだ。
 おっかなびっくりな様子で、ちらちら俺の顔を見上げたりしながらな。
「ちょっと口を離して、舌を伸ばしてみろよ」
 俺が言うと、きょとんと浦島は眼を丸くして、
「え、こう?」
 舌を、べーっと伸ばしてみせる。それだけなら、ただのアカンベーだが、
「それで俺のチンポ舐めてみな。根元から先っぽまで」
「うん……」
 浦島は頬を赤くしながら、眼を細めて、俺のペニスに舌を這わせた。
「色っぽいぞ、おまえ、その顔」
 俺が言ってやると、浦島もまんざらでもなさそうに、口の端を笑みの形に吊り上げる。
 おびえた小動物(というか仔ダヌキ)っぽい表情もいいが、小悪魔っぽい顔が似合うな、おまえには。
「はあ……、んは……、んっ……、んふ……」
 血管の浮いた竿から、張り出した雁首から、赤黒く充血した亀頭まで。
 何度も舌を往復させているうちに、浦島もノッてきたらしい。
 ときおり竿にキスしたり、ちゅぱっと亀頭を吸ったりするアドリブも効かせる。
 さらに、俺の玉袋まで舌を這わせたかと思うと、
「――はうっ!?」
 玉袋をつまんで引っぱり、甘噛みしやがった。
30名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 06:05:20 ID:PSPhzGve
【夏の約束(26)】

 いや、金玉ごと噛まれていたら、たとえ甘噛みでも悶絶していたかもしらんけど。
「ごめーん、痛かった?」
 小悪魔顔で、くすくす笑う浦島に、俺は苦笑するしかない。
「遊んでねーで、ちゃんと奉仕しやがれ。口だけで俺をイかせなきゃなんねーんだぞ、おまえ」
「口だけじゃないわよ。こっちも……」
 と、浦島は両手で自分の乳房を寄せてみせた。
 おお、我が麗しの処女乳房。いや、とりあえず、いまの間は「我が」と呼んで許されるよな?
 浦島は、そのなかなかに豊かな乳房の谷間に俺のペニスを挟み込む。
 だが、ちょっぴり眉を曇らせて、
「あ……そか」
「あん?」
「あの……さ、オッパイでしごいてあげようと思ったら」
「ああ」
「上半身を反らせるというか、どうしても背筋力が必要じゃない? だけど、あたし……」
「……悪い。俺も気づくべきだった」
 つい普通のセックスをしてる気分になってたけど、そうなんだよな。
 しかし浦島は、すぐに悪戯っぽい顔になり、
「ていうか、あんたが上で動けばいいじゃん? あたしが仰向けに寝て、オッパイで挟んであげるから」
「……了解」
 提案通り、俺たちは上下入れ替わった。浦島の体を仰向けに寝かせて、その上に俺がのしかかる。
 浦島の胸に俺のペニスが来るってことは、彼女の顔は俺の腹の下ということになる。
 まあ、腕立て伏せみたいに両腕を突っ張って、顎を引けば、なんとか浦島の色っぽい顔も観察できるか。
31名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 06:06:50 ID:PSPhzGve
【夏の約束(なかがき3)】

前スレでも断りましたが、グロ注意です、この話。
特にここから先がね……
32名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 06:11:58 ID:PSPhzGve
【夏の約束(27)】

 浦島が両手で寄せている乳房の間で、俺はペニスをピストン運動させ始めた。
 唾液で濡れているので、それなりにスムーズに動く。
 考えるとおかしな現象だがな。浦島の血で俺の服は汚れなかったのに、唾液ではチンポが濡れるのか。
「んっ……、あ……、く……、んんっ……」
 チンポでオッパイの谷間を撫でられてるだけなのに、感じてるのか?
 浦島は眼をつむり、実に可愛らしい声を上げる。その声に俺も興奮して、腰の動きを早める。
 本当にヤってるような気分になってきた。
 つまり、浦島の、いまは亡き(というか俺は拝んだこともないが)処女膣に挿入してる気分だ。
 浦島もそれをイメージしてるのかもな。つまり、正常位の普通のセックスを。
 愛らしい浦島の鳴き声を聴き、眼の端に涙を浮かべた随喜の表情を眺め、俺は腰を突き上げる。
 あ、きたきた、けっこう近づいてきたぞ、フィニッシュが……
「……坂田ぁ……」
 浦島が俺の腕をつかんだ。涙ぐんだ眼を、俺に向けて、
「一生のお願い。あたしの身体の中、かき混ぜて」
「……あ?」
 浦島が自分の乳房から手を放したおかげで、俺のチンポは、彼女の胸元を上滑りしている。
 それでも腰を動かし続けながら、俺は、まじまじと浦島の顔を見る。死人が一生のお願いだと?
 浦島は、何もかもかなぐり捨てたように、俺に訴えた。
「あたしに突っ込んで、あんたのオチンチン。お願い。あたしの中、ぐちゃぐちゃにして」
「なっ……?」
 俺は浦島の腰から下に眼を向ける。まさか、内臓の露出した、そこにチンポを挿入(い)れろってか??
 俺の腕を、ぎゅっとつかんだ浦島の手。冷たくて、はかなげで。
33名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 06:17:21 ID:PSPhzGve
【夏の約束(28)】

 黒眼がちな瞳が切実に求めている。
 だが、それは人倫に外れた所業ではないか? 死んだ女の内臓に挿入だと?
「このままじゃ逝けないよぅ、あたし……」
 浦島の眼から涙があふれ出す。
 くそっ。望み通り昇天させてやる。ここまでイカれた俺は地獄行き確定だな。
 ヘソの辺りで引きちぎられた浦島の胴体。
 その礫断面に露出した、腸その他、何やらわからない赤い臓器の間に、俺はペニスを突っ込んだ。
「あああっっっ……!!」
 浦島が声を上げ、俺の体に、ぎゅっとしがみつく。
 冷たく湿った感触が俺のモノを包み込む。俺は腰を動かし始める。
 臓器とペニスがこすれ合う、いやらしく湿った音が耳に入らないように、
「鳴けっ! 鳴いてみろっ!!」
 俺は浦島を怒鳴りつける。
「ああっ……あっあっ……くっ……あっ……あああっ……!」
 浦島は狂おしげに髪を振り乱して声を上げ、そして――
 
 俺は、浦島の中に放出した。

 俺は浦島の身体を抱いて、そのまま風呂場の床に倒れ伏していた。
 自分の荒い息が、耳にうるさい。
 何てことやっちまったんだ、俺。このまま死んだほうがいい。死ね、俺。
 浦島も乱れた息をしている。あんな行為を求めたこいつも、成仏できないかもな。
34名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 06:22:58 ID:PSPhzGve
【夏の約束(29)】

 それとも思い残すことがなくなって、とりあえずこの世におさらばできるか? 行き先は地獄かもしれんが。
「……ねえ」
 浦島の指が、俺の指に触れた。そのまま、指を絡めてくる。手をつないだ。恋人同士みたいに。
 顔を見やると、浦島は満ち足りたように微笑んでいた。
 地獄行きの予感は霧散した。こいつの行き先は、天国しかあり得ないと思った。それほどの笑顔。
「あたしのこと……」
「あん?」
 何を言いたいのかと俺は訊き返したが、浦島は微笑んだまま、何も言わない。
 くそったれ。女はいつもそれだ。言葉で言わなきゃわかんねーのか、女って種族は。
「……愛してるよ」
 俺は言った。耳が熱くなるのを自分で感じながら。
「あたしも……愛してる」
 微笑む浦島。莫迦ヤロウ、本当に愛してんだ。天国で待ってろ。俺も絶対、そこに行ってやる。
 俺は浦島と唇を重ねた。
 
 それから俺は、浦島と自分の身体をシャワーで洗い清め、六畳間に場所を移してもう一度、交わった。
 今度も浦島の腹の中で放出した。本当に俺が地獄行きを回避できるか怪しくなってきた。
 俺たちは手をつないで並んで床に寝転がった。
 もう一度「愛してる」を言い合って、それからしばらく無言でいると、浦島の寝息が聞こえてきた。
 俺は体を起こし、愛する幽霊女の頬にキスをした。
「おやすみ」
 俺が声をかけると、浦島は口元に笑みを浮かべたが、眼は開けなかった。いい夢を見てくれ。
35名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 06:28:23 ID:PSPhzGve
【夏の約束(30)】

 そして翌朝。
 眼を覚ました俺の隣には、誰もいなかった。幽霊じゃないはずの携帯もなくなっていた。
 俺が素っ裸で寝ていたことが、昨夜の出来事を物語っていたが、それだって夢か妄想かも知らん。
 時計を見ると、まだ学校に間に合う時間だったが、きょうばかりは登校する気にならなかった。
 とりあえず服を着て部屋を出て、レンタカーを返しに行った。車内にも浦島がいた痕跡はなかった。
 コンビニで弁当を買って部屋に戻り、お気に入りのCDをコンポにセットしてメシを食う。
 それからもうひと寝入りして、次に起きたのは夕方だった。
 あしたは、ちゃんと学校行くか。浦島の幽霊の話は誰にも聞かせる気はないけどな。
 俺は心に決めて、夕飯の買い物のために部屋を出た。
 
 野球中継を眺めつつ、手作りの雑炊を口に運ぶ。
 ホームチームの頼りない四番が凡フライを打ち上げてCMタイム。俺は食い終えた雑炊の丼を流しに下げた。
 六畳間に戻ると――
 裸の浦島が床にうつ伏せに寝転がり、頬杖ついてテレビを眺めていた。轢断面から見える臓器が生々しい。
「……おい」
 俺の押し殺した声に、浦島が振り向く。きょとんと眼を丸くして、
「え、何?」
「いや、何じゃなくて、どうして……」
「ああ、ごめん。夜しか実体化しないみたい、あたし。朝いなくなってたから、心配した?」
 悪戯っぽく笑って言いやがるが、俺が訊きたいのはそういうことではなくて。
「成仏したんじゃないのか、おまえ? 思い残すことがなくなって」
「思い残すことなんて、いっぱいあるよ」
36名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 06:35:07 ID:PSPhzGve
【夏の約束(31)】

 浦島は口をとがらせた。
「せっかく、その……あたしたち、付き合ってると思っていいんでしょ? それともまさかセフレのつもり?」
「せふ……」
 腰から下のない幽霊をセフレにしたがる莫迦がいたらツラを拝みたい。
 俺は断じて違うぞ。本気で浦島を愛してる。彼女に告げた言葉に偽りはない。いまでも同じ気持ちだが……
 浦島は、じーっと睨むような眼を俺に向け、
「一緒に行きたいところ、やりたいこと、いっぱいあるのに、あんたはエッチだけが目的? はーん?」
 そうか。考えたら、こいつは最初から、そう言っていたのだ。
 くそったれ。俺は本当にクソ野郎だ。一発ヤれば浦島が成仏できると勝手に思い込んでいた。
 だったら何発でもヤってやる。浦島が本当に昇天できるまで。だって俺は、おまえを愛してるんだから。
「すまん」
 俺はその場に正座して、浦島に手を合わせた。
「そんなつもりで言ったんじゃないんだ。とりあえず、今夜どこでも連れて行くから、許してくれ」
 浦島は視線をそらし、ぶっきらぼうに、
「……海」
「海? よし、海だな」
 俺はうなずく。それで機嫌を治してくれるなら、お安い御用だ。
 すると浦島は、口をとがらせながらも頬を赤くして、
「朝日が昇るまで、浜辺でずっと愛し合うの」
 う……なんだ、それがお前が彼氏を作ったらやりたかったことか? 微笑ましいじゃないか。付き合うぞ。
 浦島は、じろっと俺の顔を見て、
「あと、車は軽とセダンは禁止。家族旅行じゃないんだから」
37名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 06:41:14 ID:PSPhzGve
【夏の約束(32)】

 あー、高校生の財布にそれは厳しいが、きょうくらいは仕方ない、ご要望に応えよう。
「……わかった」
 俺がうなずくと、浦島は、そのまましばらく俺の顔を見つめてから、
「こっちに来て、抱いてキスして」
 俺は言われるまま、浦島に歩み寄り、彼女の身体を抱き起こして、唇を重ねた。
 舌を絡め合い――唇を離す。
 そこで、ようやく浦島は笑顔に戻ってくれた。いまのこいつにぴったりな、小悪魔の笑顔で、
「出かける前に、一回エッチする?」
 
 最後に、浦島の携帯のことに触れておく。
 俺は知らなかったが、行方不明だった携帯は、葬式の翌日に見つかって浦島の家に届けられていたらしい。
 浦島が轢かれた場所から少し離れた、線路脇の畑に落ちていたのを、畑の持ち主が見つけたそうだ。
 浦島の両親は、携帯を娘の仏前に供えた。踏切で地縛霊と化しながら、浦島はそのことを知った。
 葬式の読経も聞こえていたらしいから、そういう超感覚があるってことか、幽霊には?
 そして念力だか何かで携帯を手元に呼び寄せ、浦島は俺に電話をかけてきたというわけだ。
 納得いくようないかないような、幽霊の浦島が実体化してるのと同じくらい、都合のいい話だな。
 ちなみに、きょうの昼間は消えていた浦島の携帯は、実体を失う前に彼女が押入れに隠したらしい。
 自分が携帯ごと消えたら、俺がどういう反応をするか見たかったのだそうだ。
「普通に淡々としてるんだもん、薄情な奴だと思った」とは浦島の弁。
 だから、それはお前が無事に成仏したと勘違いしたからなんだけどな。
 ともかく、その携帯で、翌日から俺が学校に出かけている間、浦島はバシバシとメールを送って寄越す。
 発信者『浦島涼美』――他人に見られて季節外れの怪談ネタにされる前に、登録名を変えるべきだろうな。
【終わり】
38名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 06:52:34 ID:PSPhzGve
【夏の約束(あとがき)】

お眼汚しをば。
ちなみに最後の行で「季節外れ」というのは設定が秋(二学期)だから。
タイトルは幽霊ネタが夏の「お約束」って意味もあったり。

えーっ、今回の話がお気に召しましたら、
他スレで人外と化しちまった女の子のこんな話も書いたのでよろしければ。
微妙に今回のとネタがかぶってるのですけどね(汗
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1136653189/251-285

【以上】
39名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 08:46:49 ID:dLPyc8BT
ぐっじょぶ!
萌えますた
40名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 11:56:02 ID:ZsGuSKm8
下半身が無いのが物凄く残念……
41名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 13:37:21 ID:D1G9bPVw
>>38
GJ!最高でした
>>40
逆に考えろ、こんな経験普通は出来ない
42名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 13:51:51 ID:ROZyVNBD
PSP超GJ!
43名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 21:52:36 ID:iLsRcRf+
うーむ想像するとそうとうに不思議というか不気味なシーンが頭に浮かんでくるな
44名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 15:17:28 ID:ppetN5VE
考えるな、感じるんだ
45名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 15:29:30 ID:ZUYPKEXH
くなさんさんの新作キテター!!
某スレ251さんといい、この季節は職人さんが豊作だあね
46かわわらし:2006/07/24(月) 20:30:44 ID:CmJ+QmE2
うお〜。
なんか、GJの作品ばっかだ。自分の作品を投下するのが恥ずかしい
けど、頑張ってなんとか投下。
かわわらし第3話です。本当は外伝的なものになる予定がなんでか第3話に。
では。はじまりはじまり
47かわわらし3 1/8:2006/07/24(月) 20:31:21 ID:CmJ+QmE2
「ほら。さっさとこっち運んでよ」
「はいはい」
 大学2年の俺が、今は中学生の女の子に顎で使われていた。
 バイト暦は彼女の方がはるかに長い。仕方ないことだろう。
 ここは、とある海岸の海の家。
 俺の叔父さんが経営しているんだけど、今年は人手が足りないということで俺がバイトに借り出された。
 バイトは俺のほかに中学生の美咲という女の子だけ。
 叔父さんと叔母さん合わせて4人で客をさばかなくてはいけないのだった。
「はい。じゃあ、今度はこれをあっちとあっちのお客さんに運んで」
「へいへい」
「返事はきちんとする!」
「はいよ」
 中学3年生の女の子。美咲ちゃんは、今年で3年目のバイトだそうだ。
 仕事もきっちりこなすし、俺よりもテキパキと正確に素早く働く。
 ってことで、店では俺の方が立場が下だ。
「そこのヤキソバはけたら、今日はもう店じまいだな」
 叔父さんの声が奥からする。
「は〜い」
「んじゃ、頑張るかな」

「お疲れさま」
 店じまいとなり4人で後片付けを終わらせる。
「あぁ、そうだ。今日は私と家内は、会合あるから遅くなるんだ。美咲ちゃんを連れて帰ってくれないか?」
「了解です。じゃあ、車借りますね」
「あぁ。そのまま家においておいてくれ。私たちは別な人ので送ってもらうよ」
「わかりました。気をつけてくださいね」
 俺と美咲ちゃんは店を出て裏手の駐車場に止めてあった車に乗り込む。
「お疲れさま。何か冷たいものでも買っていく?」
「いい。太るし」
「十分スタイルいいと思うんだけど」
 美咲ちゃんは叔母さんの方の親戚らしく、彼女も俺と同じようにバイトの間は叔父さんの家にやっかいになっていた。
「そういえば、夏休みなのに友達とかと遊ばないの?」
「友達と一緒にいても楽しくないから」
「そうなんだ」
「それに・・・・・・いいや。なんでもない」
 そう言うと美咲ちゃんは窓の外の方を向いてしまった。
48かわわらし3 2/8:2006/07/24(月) 20:32:03 ID:CmJ+QmE2
『と、いうわけで。明日はお休みにするよ。今晩もちょっと帰れないから戸締りだけは忘れないようにな』
 叔父さんから電話が来た。
 なんでも他の海の家で食中毒者が出たとかで、明日はすべての海の家を検査するそうだ。
「だって」
「そう」
 美咲ちゃんはリビングに横になってテレビを見ていた。
 俺は晩飯の後片付けを始める。
 俺と美咲ちゃんの分だけなのに3人前の食器があった。
 彼女はスタイルいいけどものすごい食べるんだよな。
「ねぇ・・・お兄ちゃん」
 食器を洗っていると、後ろから声をかけられた。いつもなら一言も話さないのに。
「なんだい。美咲ちゃん」
 あれ。そういえば、お兄ちゃん?美咲ちゃんって、俺のことお兄さんって呼ぶんじゃなかったか?
「彼女いる?」
「いないよ。いたらこんなとこにバイト来てないって」
「そっか」
 食器を洗っていると誰かが背中から抱きついてきた。
 誰かって・・・家には俺と美咲ちゃんしかいないわけで。
「・・・立候補していいかな?」
 その声は俺のすぐ後ろから聞こえた。
「美咲ちゃん」
 俺は食器洗いを止めて、彼女の方に向きを変えた。
 うつむいているため美咲ちゃんの顔は見えない。
「キス・・・して」
 美咲ちゃんは可愛い。中学生だけど・・・道徳には反してる。
 けど・・・1年以上女性と接する機会のなかった俺は我慢することが出来なかった。
 彼女の頬に手をあてて顔を上げる。
 瞑った目がすでに心の準備が出来ていることを物語っていた。
「うん」
 段々と顔を近づけ・・・俺は美咲ちゃんとキスをした。
「ん・・・っ?・・・っっっ!?!?」
 俺は胸に強い衝撃を感じて突き飛ばされた。
 実際には美咲ちゃんがその反動で俺から離れたんだけど。
「な・・・何してるのよ!!!」
 美咲ちゃんは目に涙を貯めて俺を睨む。
「え?」
「寝てる私に・・・酷い・・・ケダモノ!!!」
49かわわらし3 3/8:2006/07/24(月) 20:32:52 ID:CmJ+QmE2
「ちょ、ちょっと待ってくれ。俺は君がキスしてくれって言うから」
「私が?・・・まさか・・・」
 美咲ちゃんは両手で自分の後頭部を抑える。
 何・・・してるんだ?
「ん・・・んぐぐ」
 変な呻き声が聞こえる。
 同時に後頭部を抑えていた両手を離す。
「ぷはぁ。死ぬかと思ったじゃない。もう」
「へ?」
 美咲ちゃんの口は動いていない。さっきから閉じられたままだ。
「腹話術?」
「そんなわけないでしょ。はぁ・・・こんなことで人間に正体を知られるなんて」
 美咲ちゃんは俺に背を向ける。
 彼女の後頭部。
 長い黒髪を自分の手でかきわけると、そこにももう一つの口がついていた。
「な・・・え!?あ・・・」
「驚いたよね・・・私、二口女・・・妖怪なの」
「お兄ちゃん。私にもキスして」
「アンタは黙ってなさい!!あ〜もう・・・どうすんのよ」
 二口女?
 そう言えば漫画かなんかでそういう妖怪の話は聞いたことがあったような。
 いやいや。そもそも妖怪って空想の産物じゃないのか?
 あの口だって最新鋭のSFX・・・みたいな。
「お兄さん。一応言っておくけど、このことは口外無用だからね」
「大丈夫だよ。お兄ちゃんなら」
「本当にあんたは・・・あんたが勝手なことするから、私が独り言女とか腹話術女とか言われるんでしょうが」
 前の口と後ろの口が言い争ってる。
「だって。後の口ってだけで、私は色々損してる気がするもん」
「そういう種族だから仕方ないでしょうが・・・そもそも、仲間のみんなだってあんたのその自分勝手さは類を見ないって言ってるのよ」
「仕方ないじゃない。他の人と違ってちゃんと意思を持ってるんだから」
 夢じゃないんだよな。現実なんだよな。
 夏の暑さにやられてるわけじゃないんだよな。俺は・・・俺は・・・
50かわわらし3 4/8:2006/07/24(月) 20:33:34 ID:CmJ+QmE2
「いいこと。今度から勝手な真似はしないで・・・私のファーストキスだったのに」
「嬉しいくせに」
「な!?」
「お兄ちゃん。美咲ちゃんはそんなこと言ってるけど、本当はお兄ちゃんのこと」
「わ〜わ〜わ〜わ〜〜〜〜〜〜」
 美咲ちゃんがまた後ろの口をふさぐ。
「ん〜ん〜〜〜・・・ぷはぁ。本当に死ぬかと思った!!私が死んだら美咲ちゃんだって死んじゃうんだからね!!」
 呼吸器は前と後ろで別々なんだろうか?
 って、そんなこと考えてる場合じゃなくて。
「お兄ちゃん。私も美咲ちゃんもお兄ちゃんが好きなんだよ。毎晩毎晩・・・オナニーしちゃうくらいに」
「ちょ、何言ってるのよ!!」
「今まで誰かを好きになったことの無い美咲ちゃんが初めて好きになった人への告白」
「美咲ちゃん」
「私は・・・別に・・・お兄さんのことなんて」
 美咲ちゃんは顔を真っ赤にしてうつむく。
「一目惚れの初恋だもんね。ほら、お兄ちゃんに・・・素直になりなよ」
「・・・あんたは素直すぎ・・・私なんて・・・可愛くないから・・・ダメだよ」
 先ほどより顔を真っ赤にして俺のほうを見る。
 可愛い。凄く可愛い。
「可愛くないと思ってる子にキスなんてしないよ」
「え?」
「・・・もう一回キスしたい・・・いいかな」
 美咲ちゃんはうつむくと小さくうなずく。
 俺は先ほどと同じように彼女の頬に手をあてて俺のほうに顔を向ける。
 閉じられた目から涙が零れ落ちた。
「美咲ちゃん・・・可愛いよ」
「・・・お兄さん・・・好き」
 俺は美咲ちゃんと唇を合わせて・・・抱きしめた。
51かわわらし3 5/8:2006/07/24(月) 20:34:17 ID:CmJ+QmE2
「んっ・・・あ・・・ダメ・・・」
「気持ちいいんだ?」
 全裸の美咲ちゃんが布団の上で体をよじる。
 俺は、彼女の乳首を口に含み指で小さなクリトリスをいじる。
 一生懸命にシーツを掴み、抵抗している彼女がいじらしくって、とても可愛らしかった。
 俺は美咲ちゃんを横向きにして、その背中から抱きしめる。
「ん・・・あ。お兄さんの・・・大きい」
 俺のペニスが美咲ちゃんのお尻にあたった。
「ひゃっん」
 後ろからヴァギナとクリトリスを交互にせめる。
 俺は空いた方の手で髪を掻き分ける。
「え?」
「こっちも」
 俺は後頭部の小さな唇と口付けをかわした。
「んっ・・・あ・・・お兄ちゃん」
「どっちも俺の好きな美咲ちゃんだからな」
「・・・ありがとう」
 今のはどちらの口から発せられたのだろう。
「お兄さん・・・最後までしてくれるよね」
「いいのか?」
「うん。私も・・・もう一人の私も・・・お兄さんと一緒になりたいから」
 俺は微笑むと美咲ちゃんを抱きあげ、ソファーに座る。
「いいな」
「うん」
 小さなヴァギナに俺のペニスの先が突き刺さる。
 きつい抵抗感。それを無理矢理破る。
「んっっ」
 背中に回された手が俺の背中をひっかく。
「最後まで・・・やめないからな」
「うん・・・やめないで・・・最後まで・・・奥まで・・・お願い」
 俺はゆっくりと美咲ちゃんの体を沈めてゆく。
「あ・・あぁ・・・はぁふぅ・・・んっっ」
「お兄ちゃんのが・・・くるぅ」
 ズブズブと狭い膣を俺のペニスが犯してゆく。
 俺のが3分の2ほど入ったところで、奥に到達したようだ。
「あ・・・届いてる・・・お兄さん」
「うん」
52かわわらし3 6/8:2006/07/24(月) 20:35:11 ID:CmJ+QmE2
 俺は美咲ちゃんを抱きしめてキスをする。
「痛い?」
「うん・・・少し」
「じゃあ、痛みがひくまでこのままでな」
「ありがとう」
 俺たちはお互いに抱き合ってその時間を過ごした。
「・・・お兄さん・・・いいよ。大丈夫」
「もう?」
「私たちは痛みに強いから」
 俺の顔を見て微笑む。
「じゃあ、動くよ」
 俺は美咲ちゃんの腰の辺りを掴んでゆっくりとその体を上下させる。
「ふあ・・・お兄さんのが・・・いっぱい」
「お兄ちゃん。すっごく気持ちいい」
 二つの口から熱い吐息がこぼれる。
「美咲ちゃんの中。温かくて気持ちがいいよ」
「わた・・・わたしも・・・気持ち・・・いい」
 口付けを交わして、舌を絡めあう。
 少しの刺激を与えるだけで、彼女のヴァギナはさらに締め付けてくる。
「よっと」
「きゃっ。あぁっ」
 俺は美咲ちゃんの体を抱き上げて俺に背中を向けるように座らせる。
「んっ。さっきとは・・・違う場所が・・・ジンジンする」
 俺は先ほどと同じように体を動かしながら、口付けを交わす。
 今度は後ろの美咲ちゃんと。
「っ・・・んっ・・・は・・・ぁぁ」
 後ろの美咲ちゃんは、前よりもずっと貪欲に俺の舌に舌を絡めてくる。
 唾液が混ざり合い、俺が彼女の口に流し込むとそれを美味しそうに舐め、飲み込んだ。
「お兄さんの・・・すごい・・・ゾクゾクしてくる」
 腰の動きが自然と激しさを増しはじめる。
「ぁ、ゃ、ぁ、ぁぁ、は・・・はげ・・・しい」
「深いよ・・・お兄ちゃん・・・もう・・・もう・・・私たち」
 二つの口から限界を感じ取ると、俺は一際大きく腰を動かし・・・奥で精液を吐き出した。
53かわわらし3 7/8:2006/07/24(月) 20:36:28 ID:CmJ+QmE2
「・・・ごめんな」
 俺は汚れたソファーを拭きながら、シャワーから出てきた美咲ちゃんに謝る。
「なにが?」
「中に出しちゃったろ。気持ちよくてついな」
「あぁ。うん。大丈夫だよ。まだ私たち子供つくれないから。安心して。お兄ちゃん」
 あれ?前の口が動いて無い。
「ひょっとして。美咲ちゃん寝ちゃった?」
「というか。気絶。お兄ちゃんの濃い精液を受けて気絶しちゃった」
「えぇぇ!?」
 体は後ろの美咲ちゃんが動かしているんだろうが、目を瞑って口も開いてないのに動いてしゃべっているのは少し怖いかも。
「お兄ちゃんのすっごく濃くて量が多いんだもん」
 それだけ気持ちよかったってことかな?
 美咲ちゃんが俺の隣りに来て寄り添ってくる。
「お兄ちゃん・・・私もお兄ちゃんのこと好き・・・だからね」
「うん。ありがとう」
 俺たちはその日、一緒の布団で抱きあって眠りについた。

「もう会えないって・・・なんで」
「この夏が最後なの。人間たちと一緒に暮らせるのは・・・子供の・・・まだ欲求の少ない間」
 夏ももうすぐ終わり。海の家も終了し、俺たちはバイトから開放された。
 今は。美咲ちゃんを彼女の『家』まで送っている途中だった。
「欲求?」
「うん。食欲と・・・性欲・・・大人になると今の3倍は食べるし・・・性欲だって」
 美咲ちゃんは助手席で俯いてしまっている。
「そっか」
「ごめん」
「謝ることじゃないよ・・・同じ学校の友達ともお別れしてきたんだろ」
「うん」
 一生懸命に涙をこらえる姿が俺には、たまらなく辛かった。
 今日に限って後ろの口も何も言わない。いや・・・彼女も何も言えないのかもしれない。
「ここでいいよ」
「ここって」
 山道の途中で美咲ちゃんはそう言う。
「村のみんなは人間が嫌いだから」
「一人で大丈夫か?」
「帰ってくるのはしばらくぶりだけど・・・生まれ育った場所だよ。平気」
「・・・じゃあ」
「うん」
 美咲ちゃんが車を降りる。
 一度も振り返らずに山の奥へと歩を進る彼女に、俺は何も言葉をかけることは出来なかった。
54かわわらし3 8/8:2006/07/24(月) 20:37:10 ID:CmJ+QmE2
「と、いうことが4年ほど前にあったわけだ」
 テーブルの向かい側で翠と睦月は興味深々といった感じで聞いていた。
「なるほどのぉ。主殿がワシらに対してあまり驚かなかったわけがようやっとわかったわ」
「ん?」
「元々肝が据わっておったのだろうが、過去に二口と会ったことである程度の抵抗が減ったのじゃろ」
「あぁ。そういうのはあるかな。妖怪とか・・・そういうものが居るんだなって信じるようにはなったし」
 そんな話をしていたら、ドアベルが鳴った。
 誰か来たようだ。
「はいは〜い」
 翠が立ち上がって玄関へと向かう。
「こんにちは。今日、隣りに引っ越して来た者ですが、挨拶に伺いました。家主さんはいらっしゃいますか?」
 あぁ。そういや引越し業者が着てたな。隣だったんだ。
「おにいさ〜ん」
「ん。どうも、はじめま・・・あ?」
 玄関先に立っているのは一人の少女。
 最後に見た時から成長しているとはいえ、間違いない。
「・・・お兄さん?」
「美咲ちゃん?」
 ウソだろ。さっき話ししていた、もう思い出にしかなっていなかった・・・美咲ちゃんが・・・なんでここに?
「美咲。挨拶終わった?」
 もう一人。今度は大人の女性が玄関に顔をだす。
 まさか。
「あれ。先輩?うわ。なんでこんな場所にいるの?」
「ん?おぉ。貴様は人魚娘ではないか。ふむ」
 睦月が俺の後ろから顔を出して言う。
 ってことは、やっぱり間違いないんだよな。高校の時、付き合ってた瑞樹か。
 唯一、全てに取り残されている翠は俺と彼女たちを交互に見比べていた。
「・・・ふ〜ん。お兄さん。随分いいご身分じゃないですか?」
「へ?」
 美咲ちゃんが靴を脱いで俺の目の前に立って、俺を見上げている。
「ばか〜!!!!」
 美咲ちゃんのアッパーが俺の顎に付き刺さった。
「あ〜あ。せっかくお兄ちゃんに会えたのに。ま、いっか。お兄ちゃん。またよろしくね」
「先輩。私もあの日のこと忘れてませんからね。ビシビシ行きますからそのつもりで。ってわけで、おじゃましま〜す」
 二人は倒れている俺をまたいで部屋の中へと入っていく。
「大丈夫か?主殿」
「・・・お兄さん。大丈夫?」
 あ・・・あはは・・・ダメだ・・・悪夢だ・・・

つづく
55名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 21:22:26 ID:mnMSUnm+
これはつまり座敷童効果ということなのか?!
激しくGJ!!
…まだまだ女性(妖怪)遍歴あったよな〜wktk
56名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 23:46:32 ID:ft6E9ALO
>夏の約束
どう『イタイ女』なのかさっぱりす。普通に可愛い娘じゃ?
飛んでるエピソードの一つでもあれば
・・なんにでもやたらと処女をつける主人公に笑いましたw

>かわわらし3
二口女イイ!
せっかくツンデレなんだから、後ろが本音をバラしまくった方が面白そうですね
57名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 23:49:17 ID:23+g2LAl
いいハーレムだ、少し借りるぞ。

俺も主人公みたいに大勢ととまでは言わないけど妖怪娘と出会いたいー!
58名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 00:07:00 ID:ppetN5VE
GJ!!濡れ女まだ〜?(AA略
59名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 08:02:44 ID:mBJhEdBC
ハーレムGJ
まだ増えそうだなw
60名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 10:24:05 ID:drUQ2fLX
>>56
真っ二つになってるから胴体がイタイんだよ。
61名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 19:58:38 ID:q2lPJigy
かわわらし殿GJ!
このまま妖怪娘を増やして、
いずれは百鬼夜行ハーレムにしてしまえ!(゚∀゚)9m
62名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 21:40:57 ID:5zeiAKEO
まさか本当に二口女がくるとは思わなかったのでとうもろこし
噴いた。
この先の登場妖怪予想

しっとりとしたお姉さま濡れ女
陽気なけらけら女
ワイルドな風貌の天狗娘
お約束な猫又

でも、作者の方はサブティーン〜ミドルティーンがお好みみたいだし、
「ボクっ娘の狐娘」あたりに賭けておこうかな。
63名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 22:28:58 ID:vqaUvYI2
とりあえずまずは雪女や九十九神や幽霊あたりじゃないかと
既に主人公の過去の話の中で情報出てるし
まだ人魚の初体験話も
64名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 22:30:19 ID:OyeTUxPK
>>62
おまえ、自分が読みたいだけだろwwww
65名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 22:54:51 ID:5zeiAKEO
いや、ロリ系は射程範囲外w
ただ、これまで出てきた濡れ場のある女性キャラが全員
ロリ系だったんで、まだ出てないタイプを予想してみたw
かわわらしシリーズは、特に最初のなんかは読み物として
面白かったんで楽しみにしてる。
66名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 22:56:24 ID:6y/17xgO
あんまり展開予想をしちゃうと、かわわらしの中の人が書きづらくなっちゃわね?
67名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 00:07:41 ID:mH4xYDuq
まぁそうだよな
俺からはロリはいい!お姉さまを持ってこい!!とだけ言っておく
68名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 00:55:28 ID:OZKPryCB
んじゃ俺はロリでも可だからwktkと言っておく
つか注文あるぐらいなら、自分で書いたら?>67
69名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 01:57:47 ID:IBgzlDXo
そして新たな神が誕生する
70名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 07:05:05 ID:mqXBro2y
神、>>67に期待、と
          ∧_∧
    ∧_∧  (´<_`  ) 兄者ロリコンじゃなかったか?
   ( ´_ゝ`) /   ⌒i
   /   \     | |
  /    / ̄ ̄ ̄ ̄/ |
__(__ニつ/ 妖怪  / .| .|____
    \/____/ (u ⊃
71かわわらし4:2006/07/26(水) 07:30:39 ID:vKx8W+FS
みなさま、お褒めの言葉ありがとうございます。
前回は変な引きで終わってるので、今回は早めの更新です。
72かわわらし4 1/8:2006/07/26(水) 07:32:35 ID:vKx8W+FS
 俺の部屋に3人の少女と1人の女性がいる。
 俺の右隣に翠。左隣に美咲ちゃん。テーブルを挟んで向かい側には睦月と瑞樹だ。
 なにやら犯罪めいた匂いがするが、みんな人間じゃないからなぁ。
 いや、人間じゃないから犯罪めいているのか?
「で。どうするのじゃ?」
 4人の中で一番小さい(といっても、実年齢は一番上だが)睦月が最初に口を開いた。
「お兄さんは私と一緒なの」
 翠が俺の右側から俺に抱きついてきた。
「別に。お兄さんがどうなろうと私には関係無い話だし」
「もっと素直になったら?お兄ちゃん好き好き〜って」
「ば!アンタねぇ!!」
 美咲ちゃんは顔を真っ赤にして口をパクパクとさせている。
 この2人も相変わらずだなぁ。
「先輩って見境無かったんだ。昔は私一筋だったのに」
 瑞樹の視線が鋭く突き刺さる。
 そんなジト目で俺を見るな。
「まぁ、ようするにここにいる全員が主殿に惚れておるわけじゃな」
「私はお兄さんが大好きだよ」
「誰がこんなヤツ・・・一人寂しくしてるならもらってやってもいいけど」
「はぁ・・・なんで先輩のこと嫌いになれないんだろう」
 8つの視線が全て俺に向く。
 河童に座敷童に二口に人魚。
 誰を選んでも円満解決にはならない気がする。むしろ、悪化?
「お兄さんは今までの中で私が一番だって言ってくれましたよね」
「はぁ!?先輩。私の初めて奪っておいてそれはないんじゃない」
 瑞樹がテーブルを叩いて身を乗り出す。
「や・・・あのな。えと。睦月。幸せは」
「すまん。こればかりはワシにも解決は無理じゃ。そもそも、だらしのない主殿が」
 だらしないって。別れた後に別な女と一緒になるのは普通だと思うが。
 やっばいなぁ。最悪、血で血を洗うことになりそうだ。
 人外が4人なだけにどれほどの規模になるのだろう。
 エロ本とかなら、ここで俺を一番気持ちよくさせた人が勝ちとか・・・そんな感じに。
「お兄さんは誰が好きなの!」
 翠の一言に皆の視線が更に強まる。
 家庭的で可愛らしい翠。
 傲慢だが実にいじらしい一面をもつ睦月。
 一緒にいて一番楽しい美咲ちゃん。
 健康美に溢れた瑞樹。
 ダメだ・・・それぞれの主張が強すぎてとてもじゃないが1人には決めれない。
73かわわらし4 2/8:2006/07/26(水) 07:33:47 ID:vKx8W+FS
「えっと・・・俺は」
 キョロキョロと4人の顔を見比べる。
「はぁ・・・お兄さんのバカ・・・私帰る。瑞樹さん、行こ」
 美咲ちゃんが立ち上がる。
「じゃあ、先輩、これからよ!ろ!し!く!おねがいしますね」
 2人が俺の部屋を出る。
「翠。ワシらも今日はどこかに行こうか」
「え?」
「主殿に1人でゆっくり考えてもらうのがよかろう」
 睦月が翠の手を取って立ち上がる。
「主殿。主殿が考えて決めた通りにするとよい。皆、それで満足するじゃろう」
「どんな結果でもか?」
「どんな結果でもじゃ。誰か1人を選ぶか、全員か・・・さっきも言ったじゃろ。全員主殿に惚れておるのじゃよ」
「お兄さん。私も・・・お兄さんの決定に従うから」
 睦月と翠も部屋を出て行った。
 今はこの部屋に俺1人だけ。
 静かだ・・・こんなに静かなのは久しぶりだな。
 ベッドに横になって思い出す。
 4人のことを。俺が一番好きなのは誰かを。
74かわわらし4 3/8:2006/07/26(水) 07:34:29 ID:vKx8W+FS
「はぅっ・・・お兄さん・・・お兄さん・・・私・・・もう」
 俺は翠の小さな体を乱暴に揺さぶる。
 細いスリットは、今は大きく開いて、俺のペニスを完全に飲み込んでいた。
「少し我慢できるか?」
「え?・・・ひゃぅっっ」
 小さなお尻の穴に指を入れる。
 その瞬間、膣がぎゅっと収縮して俺のペニスをひどく締め付けてきた。
「だ・・・らめ・・・そこ・・・あぁふぅ・・・動かさないで」
 小指しか入らないほど小さな穴だけど、俺の指を美味しそうに吸い込んでいく。
 未発達な胸。そして、その頂点についた小さな乳首。そこに舌を這わせるとさらに膣の動きが激しくなる。
「ゃぁ!もう・・・もう・・・あぁ・・・あぁぁぁぁぁ」
 気持ちがいいと思った瞬間、翠の絶頂と共に締め付けはさらにひどくなり、快楽よりも痛みが勝るほどだった。
 そうなると、俺は絶頂を感じる間も無く、まるで牛の搾乳のように翠に搾り取られてしまった。
「・・・ぁぁ・・・入ってる・・・お兄さんの・・・いっぱい」
 俺はこの不思議な感覚が好きだった。
 絶頂でもないのに全てを吐き出す感覚。ある種の不完全燃焼だが、普通では絶対に味わえ無いこの感覚が。
「お兄さん」
 翠が瞳に涙を溜めて俺を見上げる。
 上気した顔がすごく可愛らしい。
「ひどいよぉ・・・私のこと・・・いじめて」
「ごめんごめん。翠があまりにも可愛くてついな」
「うぅ」
 俺は涙を舐め取り、頬にキスをし、唇に口付ける。
「んっ」
 お互いに舌が絡み合い、卑猥な音が部屋に響く。
 そうするうちに俺のペニスは翠の中でまた大きくなる。
「お兄さん」
「ん?」
 翠は俺のを抜く。
 そのまま四つん這いになって、お尻を俺の方に向けた。
「ここ好きでしょ?」
 翠は自分のお尻をひっぱる。
 お尻の穴が横に広がって、奥が少しだけ見えた。
「今度はここに・・・お兄さんのきゅうりを下さい。翠の体は・・・全部・・・お兄さんのモノだから」
75かわわらし4 4/8:2006/07/26(水) 07:35:13 ID:vKx8W+FS
「くぅっ」
 俺は両腕を睦月の力で押さえつけられ、後ろ手に組まされていた。
 そして、全裸で胡坐をかいて座っている俺のペニスを、睦月の足が揉んでいる。
「どうじゃ、主殿」
 睦月の左足の指が器用に俺の竿を上下運動し、右足の指が亀頭を刺激していた。
「ワシのような可愛い少女に足でしてもらいたかったのじゃろう?」
 事の起こりは睦月に、以前買ったエロ本を読まれてしまったことだった。
 そこには、確かに睦月のような小学生の女の子に足コキされている漫画が載っていた。
 興味が無かったわけではないが、まさか本当にされるはめになるとは。
「ほれほれ。足だけじゃ可愛そうじゃからな」
 睦月はスカートをまくり上げて、小さな白いパンツを少しだけずらす。
 そこには小さなヴァギナが見て取れる。
「どうじゃ?挿れたいか?それなら、早く一度いくことじゃな」
 そう言うと、睦月の足は更に激しく俺のをしごく。
 足の裏で俺のを挟んだり、ただ踏みつけたり。
 けど、そのどれもが気持ちよかった。
「ふむ。更にサービスじゃ」
「へ?おわぁぁ」
 俺の体が勝手に動く。
 その場に仰向けに倒され、俺の顔面の上に睦月のお尻が乗っけられた。
「ワシの匂いを嗅ぎながらいってよいぞ・・・ほほぅ。なんじゃ、更に大きくなりおったわ」
 睦月は完全に俺の上に乗って、足で俺のペニスを、まるで玩具のようにこねくりまわす。
 匂いをって言われたけど・・・この体勢なら。
「ふぁぅっ!?な、何をするのじゃ」
 丁度、口の辺りに睦月のヴァギナが乗っかっているのだ、舐めない手はない。
「なんだ。睦月も感じてるんだ・・・すごい濡れてるぞ」
「ば・・・馬鹿者・・・今は・・・ワシが・・・上位なんじゃぞ・・・やめ・・・やめるのじゃ」
 舌で舐めても舐めても奥から愛液が流れ出てくる。
 うっ!?睦月の抵抗なのか、ペニスへの刺激が更に高まる。
 俺はそれに更に抵抗するかのように、舌をすばやく動かす。
「はぁ・・・だめ・・・だめじゃ・・・もう」
「俺も。出すぞ・・・睦月」
 睦月の体が痙攣を始める。それが足を伝って俺のペニスにも。
 うあ・・・っっ
「ひゃっっ・・・主殿・・・ダメじゃ・・・目を・・・瞑っ」
 自分の精液が飛び出して、腹の上にかかるのがわかる。
 そのほかに、睦月から飛び出す温かい液体。
 これって。
「睦月。漏らした?」
「はぁ・・・はぁ・・・ち・・・ちがう・・・これは」
「・・・お仕置きだな」
 俺は見逃さなかった。お仕置きの言葉と同時に、愛液が更にあふれ出てきた事を。
76かわわらし4 5/8:2006/07/26(水) 07:35:51 ID:vKx8W+FS
「お兄ちゃん」
「ん?」
 俺の背中に美咲ちゃんが抱きついてくる。でも、今のは後ろの方か。
 昨夜、彼女としてしまってから、俺の中に確実に彼女を意識する心が生まれていた。
「美咲ちゃんがね。お兄ちゃんのこと大好きで大好きで、今日も買い物しながら濡らしてたんだよ」
「ちょ!あんたねぇ、ある事ない事言いふらさないでよ」
 あれ。美咲ちゃんも起きてるんだ。珍しいな、起きてるのに後ろが体を動かしてたなんて。
「昨日の夜だって、隣りで寝てるお兄ちゃん見ながらオナニーしたくせにぃ」
「してないしてないしてないしてない!!」
 叔父さんたちは今日も会合。保健所の検査結果があまりよくなかったらしい。
 だから、今夜も2人っきりだ。
「今日もお兄ちゃんにしてほしくて、シャワー浴びた後も濡らしながらずっと待ってるんだよね」
「だからぁ。お兄さん。信じちゃダメだからね」
 俺は美咲ちゃんを抱き寄せキスをする。
 自然と舌が絡み合い、段々と美咲ちゃんの顔が上気してきた。
「じゃあ。検査しようかな」
「え?」
 俺は美咲ちゃんを布団の上に押し倒すと、ワンピースを捲くり上げてパンツを一気に脱がす。
「お、お兄さん」
「ふぅん。濡れてるな」
 美咲ちゃんの顔が真っ赤に染まる。
「そ、それは・・・あんなキスされたら・・・濡れちゃうよ」
 俺は剥ぎ取ったパンツの中側を広げて、美咲ちゃんの眼前に差し出す。
「じゃあ。これは?」
 そこには染みが出来ていた。
 さっきついたような染みじゃない。明らかにその前から濡れていた証拠だ。
「うぅぅ。ヘンタイヘンタイヘンタイヘンタイ!!お兄さんなんて・・・だ〜いっきらい!!!」
 美咲ちゃんが俺の胸をポカポカと叩いて、そっぽをむいてします。
 俺はそんな美咲ちゃんの耳元で囁く。
「そんなに俺の事を見て感じてくれてたんだ」
「・・・ぅぅ」
 美咲ちゃんの目に涙が溜まる。
「嫌いにならないで・・・エッチなこと・・・考えてて・・・ごめんなさい・・・」
 涙がボロボロとこぼれだす。
 俺はその涙を指で拭いて、キスをした。
「嫌いになんてならないよ。むしろ俺を好いてくれて嬉しい・・・ありがとう」
「お兄さん・・・えへへ・・・大嫌いってのは無しにしてあげる」
 俺が微笑むと、美咲ちゃんは俺の頬にキスをした。
「お兄さん。大好き・・・さっき抱きついたのもね・・・ホントは私なんだよ」
77かわわらし4 6/8:2006/07/26(水) 07:36:25 ID:vKx8W+FS
「せん・・ぱい」
 この夏から付き合いだした後輩の瑞樹。
 水泳部だけあって引き締まった体が、すごく綺麗だ。
「ダメだよ・・・こんな場所で」
 ここは学校のプールのプールサイド。今日は水泳部はお休みで瑞樹は自主練習をしていた所だった。
 俺たちはそこで全裸になっている。
 学校のプールだが、水泳部専用のプールだ。一般の生徒は普通は入ってこない。
「誰かにみつか・・・ぁぁぅ」
 日に焼けた水着の跡が妙にエッチで・・・俺はもう暴走寸前だった。
「瑞樹。瑞樹としたい」
「私も・・・でも・・・別な場所が・・・いい」
 そう言っている瑞樹だが、彼女のソコはプールの水以外のもので濡れていて準備はよさそうだった。
「なぁ、瑞樹。そこに手をついて」
「するの・・・大丈夫かな?」
「平気だろ。植物に囲まれてて外から見えないし」
 瑞樹は、俺の言う通りにフェンスに手をつけて俺にお尻を向ける。
「いくぞ」
 俺は後ろから瑞樹を突く。
「え・・・あぁ・・・はくぅっっっ」
「今日はすんなり入ったな・・・痛みはどうだ?」
「だい・・・じょうぶ」
 初体験と同じこの場所での2回目の経験。
「はぁっ!ふ、ふかいよぉ。この前よりずっと・・・やん・・・はぁん・・・ぁ。ぁぁ」
 俺が腰をうちつけるたびに、Eカップの大きな胸がブルブルと震える。
 俺はそれを揉みながらも、乱暴に前後運動を繰り返した。
「瑞樹・・・そこの影・・・見てごらん」
「え?・・・うそ」
 プールはフェンスに囲まれ、さらにその外側は丈が2mほどの植物に囲まれ外からは見えないようになっていた。
 しかし、植物なのだから隙間は多く存在する。
 俺たちのすぐ側。そこの木と木の隙間。誰かが覗いていた。同じ学校の生徒か・・・はたまたただの通りすがりか。
「先輩・・・だめ・・・やめ・・・あぁぁっ」
 見られているとわかった瞬間、瑞樹の中が更にきつくなる。
「ダメ。いく・・・いくいく・・・いっちゃ・・・う・・・ぁっっっ」
 瑞樹は背を大きく弓なりにそらす。
 同時に俺も瑞樹の中に精液を出し切った。
「はぁ・・・はぁ・・・見られ・・・ちゃった」
 植物の隙間にはもう誰も居ない。
「見られていくなんて。瑞樹は変態だな」
「先輩が悪いんだから・・・でも・・・気持ちよかったのも事実だし・・・先輩!絶対にこの責任は取ってね」
78かわわらし4 7/8:2006/07/26(水) 07:38:07 ID:vKx8W+FS
「すまん」
 俺は部屋に4人を呼んでその前で土下座をした。
「どうしても1人に絞る事なんて出来ない。みんな魅力的で、決めれなかったんだ」
 4人は何も言わない。
 どんな顔してるんだ?呆れてるのか?怒ってるのか?
「で・・・1番の最善策は・・・俺が皆から離れればいいんだと思う。ホント、勝手でごめん」
 俺は更に頭を深く下げる。
「まったくよ。人の人生引っ掻き回すだけ引っ掻き回してトンズラですって?」
 美咲ちゃん。怒ってるよな。
「先輩の優柔不断は今に始まった事じゃないとはいえ。これはちょっとね」
 瑞樹。ごめんよ。
「本当に甲斐性のない主殿だのぉ」
 睦月。今まで色々してくれたのに恩を仇で返すような結果になってしまった。
「でも・・・でも・・・それがお兄さんだよ。誰も傷つけない優しさ」
「翠」
「はぁ。無理言って村を出てきたんだから、絶対に幸せにしてよね!」
「美咲ちゃん?」
「ふふん。ワシが主殿のような者を離すと思うとるのか?」
「睦月」
「先輩。約束、守ってよ。責任取ってくれる約束でしたよね」
「瑞樹」
「お兄さん。昨日、皆で話し合ったの。お兄さんならきっとこういう結果になるだろうって」
 翠は俺の目の前に座って、俺に向かって微笑む。
「でね。その場合一番の解決策は、私たちみんなをお兄さんが幸せにすることだと思うの」
「俺がみんなを?」
「うん。みんなはお兄さんが一番好き。お兄さんも一番が決めれないくらいに皆が好き。それでいいんだよ」
 翠が俺を抱きしめる。温かい。
「みんな・・・ありがとう・・・出来る限り・・・いや、絶対にみんなを幸せにするから」
 この先どうなるかなんてわからない。
 けど、俺を信じて・・・俺を好いてくれるみんなの心に応えるためにも頑張らないとな。
「お兄さん。大好き」
 翠が俺にキスをする。
「先輩。次は私。私にもして」
「ふん。お兄さんだけ幸せになろうたってそうはいかないんだから・・・・・・私だってして欲しいし」
「ワシを放っておくとすぐに破滅じゃぞ」
79かわわらし4 8/8:2006/07/26(水) 07:38:42 ID:vKx8W+FS
 ベッドの上には俺を取り囲むように眠る4人の美少女。
 睦月の力は本当にすごい。なぜか、応募した記憶の無い懸賞が当たって、キングサイズのベッドが届いてしまったのだから。
 俺は4人を起こさないようにベッドから降りる。
 ベランダから外を見ると、雲ひとつ無い綺麗な月夜。満月だった。
「お兄さん」
「翠」
 翠が俺の隣りに立つ。
「ごめん。起こしたか?」
「大丈夫だよ」
 翠は俺に抱きついて寝てたからな。さすがに起こさずにってのは無理だったか。
「お兄さん」
「ん?」
「・・・私病気かも」
「なっ!?」
 声を上げそうになって、慌てて口を塞ぐ。
「胸がねぎゅ〜って締め付けられるように痛くなるの。お兄さんが他の人と一緒にいると」
「他の人って・・・美咲ちゃんとか?」
 翠は小さくうなずく。
「今は?」
「少しだけ」
 俺は翠を抱き上げると、ソファーに座って膝の上に翠を座らせる。
 少しの間見つめあい、自然と唇と唇が触れた。
 いつものような熱いキスじゃなくて、触れるだけの優しいキス。
「・・・どう?」
「落ち着いた・・・お兄さん・・・好き」
 胸に翠の体を重さを感じる。
 俺はそのまま翠を抱きしめて呟いた。
「ごめんな。翠のこと大好きだけど・・・他の3人も同じくらいに好きなんだ。我ながら酷い男だと思うけど」
「そんなことないよ・・・お兄さんは優しいから」
「その優しさが翠を苦しめてるんだろ・・・なぁ、今度2人でどっか行こうか。他の3人には内緒で」
 翠が俺を見上げる。
「綺麗な川のある高原とか。うん。約束。絶対に2人で行こうな」
「あ・・・うん!」
 また翠は俺の胸に頭を預ける。
「こうしてると、すごく落ち着くの。胸の痛みも消えちゃう」
「いいよ。このまま寝て。一緒にいてあげるから」
「うん・・・ありがとう・・・おやすみなさい。お兄さん」
80かわわらし4:2006/07/26(水) 07:44:10 ID:vKx8W+FS
今回で本編は一旦終了です。
次回から外伝となります。
雪女や九十九神や幽霊。その他色々。
色っぽいろくろ首とか、みなさんが期待している濡れ女とか。
まぁ、かわわらしと書きつつ河童は一回もでてこなくなるのは、愛嬌で許してください。
多分、次回、外伝の開始ってことで区切りいいので主人公の名前・・・出るはずです。

一応、本編メンバーの年くらい書いておきます。
主人公:24 翠:15 睦月:不明(外見は自由、でも普通は12歳くらい)
美咲:18 瑞樹:23
容姿は大体その年齢の平均的な体型。瑞樹だけは胸がでかいって感じです。
81名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 07:46:15 ID:H/KLQgCU
リアルタイムGJ
82名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 12:56:20 ID:QV1SE8LU
激しくGJ!
主人公は人外娘を4人同時に相手して藻大丈夫な位絶倫なのか…
8367:2006/07/26(水) 19:17:37 ID:mH4xYDuq
かわわらしさんGJ!!
なぜか期待されている67ですが。
読書感想文すら親に書かせていたほど文才がまったくないので書いたところであまりに酷いものになるかと。
また、北方謙三スキーですのでもれなくハードボイルド+主人公はオッサンになりますw
84名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 19:24:49 ID:OEplDnYE
今までにもハーレムものってあったけど
和物(妖怪)オンリーってのは初か?
人魚が人魚の姿でエロしてないのが残念だけど、GJでした
外伝も期待してますよ
85名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 20:47:47 ID:vKx8W+FS
どうも『かわわらし』を書いてるものです。
GJと書いていただけると、ほんと心が温まります。

ちょっとここで聞きたいんですが。濡れ女がどんなのかわからないので調べてみました。
で、みなさんが期待してる濡れ女って下半身蛇のラミア娘です?

俺はてっきり名前から、
いつも雨に濡れたみたいに全身ずぶぬれの女で、美人だけど暗くてみんなから嫌われ者
でも、一歩踏み込んで近づくと、すごくはにかんだ笑顔の可愛い女性を想像してた。
蛇女の場合・・・絞め殺されそうなんですが。

>人魚が人魚の姿で
人魚って哺乳類?魚類?
魚類だと体外受精になる〜・・・でも、肺呼吸ならイルカやジュゴンと同じ哺乳類で交尾可能かな?
まぁ、今回の話は過去話だったので、主人公は人魚って知らないわけですし。
これから先はどうなるかわかりませんが

今週末にはなんとか外伝1を投下したいと思います。ではでは

86名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 20:52:09 ID:Nzu53IDR
グッピーなどの卵胎生の魚は一度お腹の中で卵を
孵してから稚魚の状態で産みますし、
ハイランドカープというメダカの仲間は真胎生メダカと呼ばれ
卵子を卵にせず卵子を精子に結合させる哺乳類みたいな生殖の形態を取ります。
87名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 22:09:44 ID:mqXBro2y
>>82
多分主人公は、
妖怪達に精をあげる代わりに、
妖怪たちから正体不明のエナヂヰを頂いているに違いない。
だから4人くらいなら平気へっちゃらでやりまくりなのさ!

ほんまに、こんなシステムだったとしたら、
百鬼夜行ハーレムに膨れ上がったとしても、
平然と同時100人斬りが達成できそうだ・・・'`ァ(*´Д`) '`ァ
88名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 22:48:53 ID:opHKV8B3
>>85
日本では人魚はジュゴンだったらしい
だから哺乳類でいいんじゃないか?

最後に決めるのは貴方ですが
89名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 22:55:52 ID:QRW3yyne
>>88
人魚がジュゴン扱いなのは主にヨーロッパだろ
日本のはどっちかっつーと魚とか龍とか両生類とか入ってる
90名無しさん@ピンキー:2006/07/27(木) 00:36:46 ID:d4ZH/zBL
日本の人魚は美人じゃなかった、が、西洋の影響か近年は美人となったらしい。

ネタを一つ
一見、人魚かと思ったが、実はある女の呪いの言葉が海で結晶し実体化した怪物だった。
「人魚の正体は、呪言だったのだ」
91名無しさん@ピンキー:2006/07/27(木) 00:38:03 ID:d4ZH/zBL
フレデリック・ブラウンのSSに、人魚と結婚して人魚になった男が、体外受精だと聞いて思わず自殺しそうになる話ってのがあったな。
92名無しさん@ピンキー:2006/07/27(木) 00:50:44 ID:rzAezH96
>>91
椎名高志の4コマにもあったなそういうのw
93名無しさん@ピンキー:2006/07/27(木) 01:11:08 ID:A863a4Lx
シャケに転生すんのだけは嫌、なんてのもあったなあ

>かわわらし
乙っす。微妙に寸止めだw
ラミアで書き難いなら、水女で良いと思いやす
94名無しさん@ピンキー:2006/07/27(木) 01:20:59 ID:WDEWbnKI
昔、式貴士のカメレオン・ボールという作品があってだな…
95名無しさん@ピンキー:2006/07/27(木) 21:51:14 ID:6AbEEISL
>>くなさん様
わざわざ前スレ>>611に答えていただきありがとうございます
96名無しさん@ピンキー:2006/07/27(木) 23:37:50 ID:9lvsYTi1
妖怪ハーレムといえば恋姫とか思い出すな
97名無しさん@ピンキー:2006/07/28(金) 06:02:53 ID:6+XMhzHq
優柔不断も、あそこまでいくと格好良いよなw
98名無しさん@ピンキー:2006/07/28(金) 08:13:47 ID:Y7kDRaU7
>恋姫
マンションOBAの多数決シーンパクってたな。
鬼火の色で表示するっての。
99名無しさん@ピンキー:2006/07/28(金) 10:03:41 ID:a+wMbSyr
3人以上のハーレムもので、誰か一人選んで完結したSSってひでぼん以外でなにがあったっけ……?
100名無しさん@ピンキー:2006/07/28(金) 13:04:12 ID:lglq1zd8
ttp://www.youtube.com/watch?v=zuFmncqqOUY

サリナの発言にバカにされたことをおこって頬を膨らまして「違います」っていってるこっくりさん
101名無しさん@ピンキー:2006/07/28(金) 20:41:52 ID:sluQ44K6
>99
誰か一人を選んだ段階でハーレムじゃなくなるからね

逆ハーレムを楽しむモン娘とかってあったっけ?
女郎蜘蛛タンとか、たくさん囲ってそう
たくさん拘束しているの間違いかもしれないけどw
102名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 01:40:25 ID:SnfgzQHn
一人ずつ食うor殺すで逆ハーレムはなさそうだけどなw
103かわわらし外伝1:2006/07/29(土) 10:55:08 ID:a/nW+tUL
ども。色々人魚についての考察があって勉強になりました。
女郎蜘蛛の話は、いずれやってみたいなぁ。このシリーズとは別に。

今回は外伝第1話。年上のお姉さんが出てきます。
けど、年上って書いたことないから、あんまり年上らしくないかも。
読んでみて注意点や直した方がいい点などありましたら、ドシドシ書いてください。
次回の参考にさせていただきます。
104かわわらし外伝1 1/8:2006/07/29(土) 10:55:43 ID:a/nW+tUL
「ふぅ。いやぁ、助かりましたよ。ここに宿があって」
 俺が駆け込んだのは山道の途中にあった古い旅館。
 卒業旅行と称して1人で北海道を旅して回っているのだ。
「道外からの旅行者ですか?」
 玄関で座って靴を脱いでいると、後ろから声をかけられた。
「えぇ。大学の卒業旅行です」
 サークルメンバーとの旅行なのだが、俺1人だけ先行して北海道を満喫するつもりでいた。
「そうでしたか。ここらへんは雪が多いですから気をつけたほうがよろしいですよ」
「3月だとまだ冬なんですね」
 北海道を舐めてかかっていた。まさかこんなに雪が多いとは。
 俺は靴を脱いで立ち上がり振り返る。
「いらっしゃいませ。当旅館の女将を勤めさせていただいております」
 綺麗な和服姿の女性が深々とお辞儀をする。
「では。こちらに記帳をお願いします」
 名簿に記帳をする。
「河野忠さまでございますね。では、お部屋へご案内させていただきます。どうぞこちらへ」
 30代前半だろうか。大人の色気のようなものを背中から感じる。
 白い肌と長い黒髪。口には真っ赤な紅。斜め後ろを歩いていると、時折見えるうなじがなんとも言えない。
「さっきの名簿なんですけど、泊り客って俺だけですか?」
「えぇ。この時期はあまりお客様は来られないので・・・こちらの部屋です。どうぞ」
 案内された部屋は綺麗な部屋だった。
 窓の外は一面雪景色。こういうのを雪渓というのだろうか。あまり大きくは無いが川が流れている。
「綺麗な部屋ですね」
 俺は時計を見る。午後4時。雪が降ってきて暗かったからよくわからなかったが、まだこんな時間か。
「ありがとうございます。ご夕飯は何時にお運びいたしましょう」
「何時でもいいよ。そちらの都合のいい時間で」
「では。午後7時からご夕飯とさせていただきます。大浴場は先ほどの廊下の突き当たりにございます」
「ありがとう」
「では。ごゆっくり」
 女将は部屋を出て戸を閉める。
 さてと。携帯は・・・あちゃぁ、やっぱ電波届かないか。ま、今日はのんびり休ませてもらうかな。
 俺は着ていたものを脱いで浴衣を着る。そして、座布団を並べて横になった。
「ふわぁぁ・・・ねむ」
 車の運転疲れのせいか、すぐに眠ってしまった。
105かわわらし外伝1 2/8:2006/07/29(土) 10:56:18 ID:a/nW+tUL
「河野さま・・・河野さま」
「んっ・・・ふわぁぁ」
 揺さぶられて目が覚める。
 俺を揺さぶっていたのは美人女将だ。
「お食事の準備が出来ました」
「ん。もうそんな時間か」
 テーブルの上には豪華な食事が並んでいる。
「うわ・・・俺、そんなに金無いですよ」
「これはわたくしからのサービスです」
「ど、どうも」
 なんでいきなりサービスなんだ?
「じゃあ。いただきます」
 女将が俺の隣りに座って徳利を持つ。
「それもサービス?」
「お客さま1人っきりですし。今日は特別に」
 俺は女将の酌で日本酒を喉に流し込む。
 旨い。そこらの居酒屋の酒とは根本的に物が違うな。
「女将は夕飯は?」
「この後ですが」
「じゃあさ。一緒に食べませんか。どう見ても俺1人で食えるような量じゃないし」
「しかし」
「いいのいいの。さささ」
 俺は小鉢を女将に渡して、鍋から熱々の肉や野菜を盛る。
 俺も一口食べる。
「ん。旨い。これ女将作ったんですか」
「はい。料理長も今日はお休みでして」
「すごいなぁ。こんなの1人で出来るなんて。さささ。女将も」
「はぁ」
 女将は手に持った小鉢をじっと眺めている。
「どうかしました」
「いえ・・・あの、恥ずかしながら猫舌でして・・・お客さまの前でフーフーとするのもいかがなものかと」
「俺は気にしませんよ。それとも、俺がフーフーしてあげましょうか?」
 女将が驚いた表情で俺を見る。
 まぁ、当たり前だよな。
106かわわらし外伝1 3/8:2006/07/29(土) 10:56:51 ID:a/nW+tUL
「では・・・お願いします」
「へ・・・あ。はい。じゃあ・・・ふー・・・ふー・・・もういいかな?あ、客が言ったからって無理しないでくださいよ。嫌なら嫌と」
 そう言っていると、女将は俺の方に顔を向けて口を小さくあけている。
 食べさせてくれってことかな。
「熱かったら言ってくださいね」
 俺は料理を女将の口の中にいれる。
「ん・・・おいしい・・・丁度いい熱さです」
 女将が微笑む。むぅ、なんかものすごく可愛らしいだ。
 さっきまでとのギャップがあって、さらに可愛らしく見える。
「河野さま」
 女将が俺の方に向かって上半身を倒す。
「女将!?」
 俺の浴衣の前を開いて、トランクスの上から俺のペニスを撫ぜる。
 雪のように冷たい手が俺のペニス包み込む。
「あぁ・・・久しぶりの男の方の」
 トランクスの窓から器用に俺のペニスを抜き出す。
 すでにギンギンになっているペニスを物欲しそうな目で眺めている。
「これも・・・サービス?」
「これは・・・わたくしのわがままです」
 女将が俺のペニスを一気に口含む。
 アイスキャンディでも舐めるかのように、丹念に丹念に俺のを上から下まで舐めまわす。
「はぁ・・・おいひい」
 口の中も冷たい。けど、なんだろう。不思議な感覚で俺のペニスの勃起は収まらない。
「熱い・・・河野さまの・・・男根・・・熱くて・・・溶けてしまいそう」
 亀頭を裏筋を袋を・・・全てを満遍なく舐める女将のテクニックは、そこらの風俗嬢顔負けのベテランだった。
「ぐ・・・女将。もう」
「らして・・・くらさい・・・すべて・・・お飲みいたします」
 女将の口が最初よりも更に深く俺のを飲み込む。
 女性の性器とは違った感触が気持ちよくて。女将の口の中に精液を出した。
「んっ」
 女将の喉が動く。
 そればかりか、まるでストローでジュースを飲むかのように俺の中の残った精液を吸いだされた。
「・・・はぁ・・・おいしい・・・河野さまの熱くて濃くて」
 口の端から零れた精液を指ですくって、それを美味しそうに舐めている。
 精液はまずいと聞いているが・・・彼女は本当に美味しそうに舐めていた。
107かわわらし外伝1 4/8:2006/07/29(土) 10:57:27 ID:a/nW+tUL
 女将が俺にしなだれかかってくる。
「河野さま・・・今晩は・・・床を共にいたしたく・・・願います」
 それがどう言う意味かわからないほど俺は馬鹿じゃ無い。
 今は彼女もいないし。いいよな。多分、女将とは最初で最後だろうし。
「俺でよければ」
 顔を上げて俺の顔を見て微笑む。
 なんだろう。今までの微笑み方と違う。そう・・・まるで獲物を狙う犯罪者のような。
「では・・・隣の部屋にお布団を敷いてまいります」
「あ、俺も手伝う」
 それが起こったのは、俺が立ち上がった時だった。
 テーブルの脚が曲がるタイプだったのか、俺がテーブルに手を置いて力を込めるとテーブルがこちら側に傾いたのだ。
「えっ」
 まだ立ち上がっていなかった女将の体に向かって鍋が傾く。
 俺は咄嗟に女将を右手で突き飛ばすと、左手で鍋を押さえた。
「くぅっ」
 鍋は女将の方に飛んで行く事はなく、俺の左腕に支えられる形で止まった。
 けど、熱されていた鍋の側面を押さえたのと、衝撃で飛んだ汁で、俺の左腕に焼けるような痛みが走る。
 俺は静かに鍋を持ち上げると、床に落ちたコンロの上に乗せる。
「河野さま!!」
「あはは・・・女将は大丈夫?」
「はい。わたくしは・・・河野さまは早く冷やさないと」
 女将が氷水の入ったポットの中身をタオルにかけ、俺の腕に巻きつける。
 見た感じではただれたりしてはいない。真っ赤になっただけだから、しばらくヒリヒリする程度だと思う。
「大丈夫だよ。火傷ってほどじゃなさそうだし。それよりもせっかく料理を用意してもらったのに」
 テーブルの上は滅茶苦茶だった。皿やらなんやらは全て床に散らばり、もう食べれるような状態ではない。
「料理はまたお作りします。あぁ・・・河野さま・・・わたくしのせいで」
「いやいや。原因は俺ですし。それに、すぐに冷やしていただいて。ありがとうございます」
「河野さま」
 女将が立ち上がる。
「では、少しお待ちください。隣りの部屋に布団を敷いてまいります。その後に治療を」
「あぁ。別にそこまでしていただかなくても」
 女将が部屋を出る。
 まぁ、確かにこの部屋に布団を敷くわけにはいかないよな。皿とか料理が散乱しちゃってるし。
108かわわらし外伝1 5/8:2006/07/29(土) 10:57:59 ID:a/nW+tUL
 俺は女将に言われて隣の部屋に行き、敷いてもらった布団に横になる。
 先ほど仮眠をしたせいか、それとも腕の痛みのせいか。一向に眠くはならなかった。
「河野さま・・・腕のお加減はいかがでしょうか」
「あぁ。まだ少しヒリヒリするけど平気平気。毎年、日に焼ければこんなもんだし」
 実際はそれよりもずっと痛いが、女将を心配させても仕方が無い。
 怪我が左手なのがせめてもの幸いだ。車はオートマだし、移動には問題はないだろう。
「お薬をお持ちしました」
 女将の手には大きな葉っぱの包みがあった。
「さ。お手を」
 俺は言われて手を見せる。
 うん。やっぱり真っ赤になった程度だな。
「あぁ・・・こんなにも熱をもって・・・申し訳ありません」
 女将の手は先ほどと同じようにひどく冷たい。
 ただ、今はその手が俺の患部に当てられていて気持ちがいい。
「少し沁みますよ」
 大きな葉っぱの包みを開くと、そこには軟膏のようなものが入っていた。
 それを指で一すくいし、俺の腕に塗る。
「うぅ」
 少し沁みるどこの騒ぎじゃない。めちゃめちゃ痛い。
 塗り薬のあとは、油紙のようなものをその上に張り、包帯を巻いてもらった。
「これで明日には少しはよくなっていると思います」
「ありがとうございます。俺の不注意なのに」
「いえ・・・あの・・・」
「うあ」
 女将が俺の胸に倒れこんでくる。
 予想だにしていなかったこともあって、俺たちはそのまま布団の上に倒れこんだ。
「先ほどの河野さま・・・とても頼もしく見えました・・・初めて会ったわたくしなんかのために」
 暗い部屋。だけど、女将の顔はよく見えた。それだけ・・・2人は近い距離で顔を合わせていたのだ。
「・・・河野さまの熱い体で・・・わたくしを抱きしめてはくだいませんか」
 真っ赤な紅を塗った唇はとても魅力的で。
 俺は彼女を抱き締め、その唇を奪った。
109かわわらし外伝1 6/8:2006/07/29(土) 10:58:34 ID:a/nW+tUL
「んっ・・・ぁぁ・・・はぁ。河野さま」
 抱き締めキスしてわかった。
 女将は体中全てが冷たい。先ほど口でしてもらった時もそうだったが、女将の吐く息すらも凍えるような冷たさだ。
「・・・氷を抱いているようですか?」
「あ。いえ」
「いいのです・・・体質ですから・・・河野さまの体温で私を暖めてください」
 俺は彼女の顔に唇を当て、下を這わせるように段々と下へ降りてくる。
 頬。首筋。鎖骨。ゆっくりと和服を脱がし、露になった双丘に唇を当てると、彼女の白い体が赤みを帯び始めた。
「ぁぁ・・・んっ・・・そこは」
「綺麗ですよ・・・女将。名前を教えてください」
「はぁっ・・・雪花・・・雪の花と書いて・・・せっかです」
「いい名前だ・・・白くて綺麗な体にぴったりな綺麗な名前」
「ぁぁっ」
 俺は固くなった突起を口に含む。
 そこも冷たくて・・・まるで、新鮮なさくらんぼを食べている感じがした。
 胸を満遍なく舌で愛撫しながら、手は雪花さんの脚を撫ぜる。
 冷たくて滑らかで弾力のある魅力的な脚。
「河野さまの手が・・・あぁっ」
 そのまま着物の中に手を滑り込ませる。
「下着つけてないんですね」
「・・・はい」
 雪花さんは自ら脚を開き、俺が動きやすいように体を動かす。
 俺は体勢を変えて雪花さんの両脚の間に入る。
「これが雪花さんの・・・綺麗だ」
「・・・はずかしい」
 雪花さんのソコは綺麗なピンク色をしていて、白い肌に比べて妙に艶かしい姿をしていた。
 人間離れした体の、もっとも人間らしい部分。
 俺はそこに手をあてて、指を少しだけ入れる。
「はぁっ・・・熱い・・・河野さまの指が・・・熱くて・・・あぁぁっ」
 雪花さんのソノ中も冷たかったが、火照った俺の体には丁度よかった。
 微かに勃起した陰核を舐めてみる。
「ひぃっ・・・あぁ・・・すごい・・・そこ」
「どうしてほしいですか?」
「舐めて・・・もっと・・・いっぱい・・・気持ちいい場所を」
 俺は雪花さんの腰を両手で掴んで、顔を秘部に密着させて全体を優しく舐める。
「はっはっ・・・河野さま・・・すごい・・・気持ちいい・・・あんっっ」
 特に陰核を刺激するたびに背を反らせて体を細かく震わせる。
「河野さ、あ・・・もう・・・わたくし・・・最後は河野さまの・・・男根で」
110かわわらし外伝1 7/8:2006/07/29(土) 10:59:07 ID:a/nW+tUL
 俺は起き上がると、上から腰を掴んで彼女の体を引き寄せる。
「いきますよ」
「はい」
 雪花さんの秘部を一気に貫いた。
「ふぁぁっっっっっ・・・」
 一突きすると、雪花さんは体から力が抜けぐったりとした。
「・・・すごい・・・河野さまの・・・たった一回で頭が真っ白くなってしまいました」
「雪花さんの中もすごく気持ちがいい。冷たくて・・・複雑に動いて俺のを刺激してきますよ」
「ふふ・・・相性いいのかもしれませんね」
 俺は雪花さんの笑顔を見ながら、ゆっくりと腰を引く。
「はぁっ」
 そして勢いよく打ち付ける。
「ぁぁっっっっ・・・はぁ・・・すごい・・・河野さま・・・久しい殿方の」
 俺と雪花さんは狂ったかのように激しく腰を動かす。
「あ、あ、あぁ、はっ、んっ、ぁぁ、はぁっ」
 奥に到達するたびに、雪花さんの膣は俺のモノを締めつけてくる。
「河野さま。もう、もう」
「俺ももうダメだ」
 腰の動きがお互いに速くなる。
「は、ぁぁっ」
 雪花さんの背が反らされると同時に、俺も膣内に射精をした。

「はぁ・・・はぁ・・・河野さま」
「雪花さん」
 俺たちは東の空がうっすらと明るくなるまで行為を続けた。
 何度出したのだろう。
 こんなにも気持ちのよかった女性は初めてかもしれない。
「もう・・・朝・・・ですね」
 俺がそう言うと雪花さんは暗い顔になる。
「はい」
「お別れですね」
「・・・はい」
111かわわらし外伝1 8/8:2006/07/29(土) 10:59:42 ID:a/nW+tUL
「雪花さん。また来ますね」
 身支度を終え、俺は車の前に立つ。
「・・・もう。会う事は無いでしょう」
「え?」
 雪花さんからのキス。
 けど、昨夜のように冷たくは無い。温かい優しいキス。
 彼女の瞳から零れ落ちる涙は・・・まるで氷のような輝きを放っていた。
「最後に楽しい一時を過ごすことが出来て・・・嬉しかった」
「雪花さん?」
「・・・さようなら・・・」

 俺は雪花さんの別れの言葉の後の記憶が無い。
 次に覚えているのは、山道を下って麓の町に入ったところだった。
 俺はいぶかしく思いながらもコンビニに入る。
「あの」
「ん?」
 初老の男性定員が俺の呼びかけに答えてくれる。
「そこの山の旅館なんですが」
「は?そこの山に旅館なんてないぞ。山向こうの町中にならあるが」
「え?でも、そこで綺麗な女将さんが」
「はっはっは。狐にでも化かされたんじゃないのかい?」
 狐にって・・・マジ?
「もしくは・・・雪女か・・・まぁ、それは無いか・・・雪女ならアンタはとっくに死んでるからな」
「雪女って。怖がらせないでくださいよ」
「あれは。悲しい生き物じゃよ・・・この辺りでも多く話が残っているぞ」
「悲しい?怖いじゃなくて?」
「恐ろしい・・・が、それ以上に悲しい」
 雪女か。確か、気に入った男を氷の柩に入れて連れ帰るとかなんとか。やっぱ怖いだけだよな。
「雪女はな。誰を好きになることもできないのだよ。誰かを好きになると、その想いで体が熱くなり・・・自らの想いで溶け死ぬのさ」
「え?」
「まぁ、ただの御伽噺・・・雪女なんぞこの世にいるわけがない」
 もし・・・本当に雪花さんが・・・いや。そんなことは無いな。考えすぎだ。
 旅の思い出。決して忘れられない思い出として、俺は胸に深く刻み込んだ。

『・・・さようなら・・・愛しています』
112名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 12:27:57 ID:soo+8ypu
GJ!

この雪女も、いずれ時々来る訪問者として
主人公の百鬼夜行の一員になる。
体がとけるという障害も、百鬼夜行の魔力に助けられて・・・。
という電波を受信した(゚∀゚)

113名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 14:15:50 ID:7OG1m4cy
所詮は伝説、そんなことはないと言う事で一つ手を打ってもらえませんか?

言い忘れてたがGJ!!!
114名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 15:28:04 ID:KpxO4IZR
GJ

きっとみんなでスキー旅行とか行った所にまたその宿が出てくるんだな。
ワクテカ
115名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 16:43:18 ID:VwlW+Bc5
GJ
雪女は雪が解けるころに死ぬが冬になればまた生まれる。
とかで転生雪女タン、毎年違う女性でも中の人は同じトカででも来てほしいな。
116名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 22:58:49 ID:SnfgzQHn
そんなことしたら冬の初め頃はロリでかわわらしの得意分野になるんじゃねw
俺はお姉さまの方がいいが。
117名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 22:59:59 ID:SnfgzQHn
敬称つけ忘れた…orz
スマンコ
118名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 04:08:52 ID:oNEK79hC
なんか未亡人チックなエロスがあるな…
GJ
119名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 07:07:29 ID:Cg9BcxOo
鴛鴦夫婦がまた読みたい、とキボン

ペットのしつけもいいが、ちゃんと夫婦で営んでるとこをみてみたいです
120名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 23:04:22 ID:Kcgk7Mbi
>ちゃんと夫婦で営んでるとこをみてみたいです

私も見たいっす。
121名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 23:13:09 ID:Rl1WbfQP
まずははじめての営みからですな。
122乙×風 ◆WApneMW3ro :2006/08/02(水) 16:33:43 ID:TRabud1w
お久しぶりです。陵辱分を補充しに来ました(コラ

>>38
GJです。このシチュは、自分には考え付かないですわ……。
それと例のスレのSS、おいしゅう頂きました。

それじゃ続きを投下させていただきます。
キーワードは「輪姦」「レズ」「フタナリ」です。
例によって苦手な方はスルーを。
123ふぉーりんシスター8:2006/08/02(水) 16:35:01 ID:TRabud1w
「エルカぁっ!! ――っ!?」
 友人の名を叫びながら教会の門を蹴り開け、目の前の光景に絶句してしまった。
「あっ…! やだっ…! もう、止めてよぉ! うあっ!? そ、そんなに激しくしちゃ…だめ、! 
 私壊れ、ちゃうよっ」
「文句ばっかり言ってる割には、アソコはぐちょぐちょだぜ!」
「おらぁ、手もしっかり動かせよこの淫売!」
「ほら、俺様のチンポ舐めさせてやるよ! 口を開けろ!」
 教会の中で、ファシスの仲間の傭兵達十人に、エルカは輪姦されていた。
 シスター服をずたぼろに引き裂かれ、ヴァギナだけではなくアナルと口にまで男根を突っ込まれている。
 華奢な手にも一本ずつ肉棒を扱かせられ、自慢の栗色の長髪もずりネタにされていた。
「んんっ…! んむうううっ!」
「おう、おう! なんだよ全然うまいじゃねえか! さっすがエルカちゃん!
 料理だけじゃなくてスケベな事も上手だったんだな!」
「本当に、スケベな体だぜ! 俺、もう出ちまう!」
「ああくそ、俺もだ!」
「全員で、一斉に出してやるからな!」
『うおおおっ!』
 男達が一斉に吼えた。
 どびゅううぅぅっ!! どびゅるるるるっ!!
「ん――――っっっ!?」
 びちゃびちゃと、エルカの体に白濁液が降り注ぐ。シャワーを頭から被ったように、
 布切れとなったシスター服を、滑らかな髪を、あどけない顔を、瑞々しい肉体を汚していく。
 当然のように、三つの穴にも、同じように汚液を注がれていた。
「はあはあっ…! どうだエルカちゃん。ザー汁まみれになった気分は?」
 体の内側に三人分、外側に七人分。計十人分の精液を受けたエルカの体は、中も外もどろどろだった。
「んう…っ――げほっ、げほっ!」
「そうかまだ足りねえか!?」
「や、違っ」
「よーしお前達! 二週目だ!」
「いやあああぁぁっ!?」
 汚されている。エルカが、滅茶苦茶に犯されていく。
「き…っ、貴様らあああぁぁぁっっ!!」
 頭に血が上ったファシスは剣を抜いて、最愛の友の下へと駆けた。
「――おう? ファシスじゃねえか、どうだお前も混ざ――べ!?」
 引き抜いた剣の腹で、仲間の顔面を叩きつける。本当は殺してやりたい衝動に駆られたが、
 それでは悪魔の思う壺だろう。憎しみで我を忘れるのを必死で堪え、だが容赦なくファシスは仲間の顔面に、
 剣の腹で、もしくは鞘を叩き込んでいく。
「ぐあっ!」
 十人目の仲間を昏倒させるのに、五秒と掛からなかった。
124ふぉーりんシスター8:2006/08/02(水) 16:35:59 ID:TRabud1w
「エルカ! 大丈夫か!?」
 エルカに組み付いた男達を引き剥がし、彼女を救出する。抱き寄せた体は、男達の欲望で穢れ、
 ファシスの体も汚していく。吐き気を催すような悪臭がするが、レイプされたエルカの事を思えば、
 これくらいなんでもなかった。
「ふぁ、ファシス…! ファシスぅ! ふええぇん!」
「エルカ、もう、大丈夫だっ。大丈夫だから…」
 泣きついてくるエルカをあやす。
(やはり、エルカはエルカだ。悪魔になったなんて、とうてい思えない)
 その身を汚す事になったしまったが、エルカの反応に、ファシスは安心した。
 だが。
「ああ、それは違うよファシス」
「何?」
(今、何に対して違う、と?)
「だからあ。悪魔になったなんて思えない、っていう事に」
 首元から聞こえてくるエルカの声は、どこかいたずらっぽく聞こえる。
(私の、心を、読んでいる!?)
「だって悪魔だもん☆」
 どす、と首筋に、何かが突き立てられた。
「うああっ!?」
 いきなりの激痛にパニックを起こして、ファシスは悶え、暴れた。
「ちゅーっ☆」
 だが、ひ弱な筈のシスターにがっちりと体を押さえ付けられてしまう。
 ファシスには知る由もないが、十人分の精気を同時に吸った今のエルカの力はファシスより数段強い。
 かくして、ファシスはエルカに大量の血液と、微量の精気を吸収されてしまう。
「――ぷあ。ご馳走様っ」
 首筋から顔を離したエルカと見詰め合う。彼女の口の端からは、牙が生えていた。
「エルカ…そんな、まさか…」
「うん。私、もう完全な悪魔になってるんだよ? 身も心もね☆」
「だが、その姿は…!」
 真紅の瞳や猫目。牙は人のものではないがそれ以外に異常は見られない。
「ああ、これ? ファシスを騙す為に羽の尻尾は魔術で隠してるの――そうだなあ。
 服もぼろぼろだし、折角悪魔になったんだから、服も新しくしようかな」
 エルカがファシスから離れる。その手を掴もうとするが、体が痺れたように動かない。
「ああ、さっき血を吸った時に麻痺の魔術を掛けてあげたから、しばらく動けないよ?」
 言うと、エルカの真下に魔方陣が現れ、赤く輝きだした。
 エルカの体を汚していた精液が魔力へと変換され、溶けていく。

 そして、ぼろ布同然のシスター服が姿を変えていった。
125ふぉーりんシスター8:2006/08/02(水) 16:37:01 ID:TRabud1w
 長いスカートはそのまま、前面にばっくりと入ったスリット。それは魔方陣から溢れる余波に仰がれて、
 その内側にある黒い下着とガーダーが丸見えだ。
 また、襟元の白い部分はごっそりと無くなって、豊かな胸を半分近くを露出させている。
 胸元の谷間へと吊り下げられたアクセサリは母親から譲り受けたロザリオを逆さま――逆十にしたネックレスだ。 長い袖は上腕部分で切り取られ、露出した腕を覆うように黒い手袋が嵌められる。
 背中の生地が、背骨中心に尾てい骨辺りまで消え失せる。
 逆二等辺三角形状に露出した背から、赤黒い、グロテスクな色の蝙蝠の羽が生え、晒された肌の下端――
 つまり尾てい骨辺りから尻尾が生え出す。

 露出した肌の部分に黒い紋様が浮かび上がると、赤い魔方陣は光の粒子となって消えた。
「――うん。こんなところかな?」
 エルカがファシスの瞳を覗き込み、そこに映った自分の姿を確認する。
 神を冒涜し、男を惑わす格好をした悪魔は挑発するようなポーズを取る。
「あわっ、ちょっとエッチ過ぎるかなっ? あ、でも、せくしーだね。ねえ、ファシスはどう思う?」
「……あ、う、嘘だ…こんな事…」
 完全な悪魔となった友人を目の当たりにして、ファシスは呆然と呟く。
「おー、やってるねー」
 教会の窓から、この事態を招いた張本人、いや、悪魔が侵入した。
 教会を覆う結界は、既にその効果を無くしているらしかった。 
「うっわ、エッロ!」
「う、そうかな?」
「そーよぉ。肌の露出はアタシより少ないけどさあ。服のデザイン自体がメッチャきわどい。
 あー、しかもベースにしたのがシスター服? よくもまあ、こんなの思いつくわね」
「えへへぇ」
「それにしてもデッカイおっぱいねー。何食ったらこんなになるのさ?」
「わっ、やだっ、コノットたらぁっ…あんっ☆」
「……っ、な…?」
(どういう事だ?)
 エルカとコノットの、あまりの仲の良さに、ファシスは開いた口が塞がらない。同じ悪魔になったからと言って、 悪魔はファシスとエルカにとって家族の仇だ。それが何故、仲睦まじき姿を見せているのか。
「この男共からタップリ精気を奪ったんでしょ? 少しはアタシに分けなさいよ」
 コノットがエルカの唇を奪う。
 舌を伸ばし、唾液をこぼすほど濃厚なキスを、ファシスは羨望の眼差しで見詰めた。
 同時にコノットの言葉にファシスは耳を疑った。先ほどの傭兵達の輪姦。
 あれはエルカが望んでやった事だというのだろうか。
「待て。それでは、先ほどエルカが襲われていたのは…」
「ちゅっ、ちゅぷっ、ちゅうぅぅっ…! ――ぷはっ」
 コノットが唇を離すと満足そうな顔をしていた。少量ではあるが精気を分けてもらったようだ。
 そして犬が餌を平らげた直後のように口周りをぺろりと舐めると、
 勝ち誇ったような笑みを浮かべながらファシスに言った。
126ふぉーりんシスター8:2006/08/02(水) 16:38:02 ID:TRabud1w
「あれはエルカが自分から進んでしてたのよ? ねー、エルカ?」
「うん。私って意外と演技力あるのかもね。ファシスったら必死になって傭兵さん達を気絶させるんだもん」
「そんな、嘘だろう?」
 エルカは、傭兵達が押しかけてきた時、彼らの暑苦しさに苦笑いを浮かべていた。
 そんな彼女が、いきなりレイプされ、輪姦されるのを自ら望んでいたというのか。
「本当だよぉ。実はね、皆にレイプされてる間、気持ち良くてエッチな声が出ちゃいそうだったんだから。
 また、して欲しいかも」
「またMっ気の強い悪魔っ娘になったわねえ」
「そうかなぁ。だって精液って、臭くてどろどろしてるけど、美味しいよ? エッチだって気持ち良いし」
「やめろエルカ! そんな事を言うな!」
「ぶー。どうして? 本当の事なのに」
「まあ、ファシスはアタシ達に比べてまだまだガキだからね」
「あーそっか。ファシス処女だっけ? エッチ知らないんだもんね。
 さっき私の部屋でしたのはエッチの内に入らないし」
「なっ…!?」
 エルカの部屋で繰り広げられた濃厚なレズプレイを思い出して、ファシスは顔を真っ赤にした。
(まさか、あれで戯れのつもりだったと言うのか!?)
「じゃあ、本番してみよっか?」
「ついでに精気も吸って少し大人しくさせたら?」
「そうだね。ファシスの精気、味見しよう☆」
 二匹の悪魔は邪悪な笑みを浮かべると、エルカだけが歩み寄ってくる。
 親友の、人間の時には見る事のなかった嗜虐的な笑みに、ファシスは恐怖を覚えた。
(エルカに、精気を吸われる!?)
「エルカ、馬鹿な真似は止め――っ!?」
 制止の言葉は、エルカの強引なキスによって中断されてしまう。
(え、エルカの、舌が入って!?)
 何て乱れで破廉恥な行為だろうと思う反面。先程、羨ましいと思って見ていた行為を、
 今自分が受けているという充足感がある。何しろ相手は愛しのエルカだ。
 理由がどうであれ、状況がどうであれ。唇を重ねるという事が嬉しかった。
「ちゅっ、ちゅぴっ、ちゅぅっ」
 唇を啄ばまれ、口内粘膜を嘗め回される。舌を舌で絡まれ、思い切り吸われると、快楽すら感じた。
 それだけではない。大量に流し込まれる唾液を飲み込むと、体に力が漲って来る。
 相変わらず体は痺れたままだったが、じっとしていられなくなる。
「――ぷはっ。うふふっ。さっき私達の事じいっと羨ましそうな目で見てたでしょう?」
「そ、それは…!」
「キス、気持ち良かった?」
「あーうー…!」
 言い訳が思い付かなくて幼児のような言葉になってしまう。
「ファシスったら可愛い☆ それじゃあ、もっといい事しようねっ」
 エルカが、ファシスの体に手を伸ばすと、鼻歌を歌いながら鎧を外していった。
「止めろ!」
「あ!?」
「おっ?」
127ふぉーりんシスター8:2006/08/02(水) 16:39:12 ID:TRabud1w
 ファシスの叫びも空しく、二匹の悪魔が鎧の下から現れた下着を見て反応した。それもその筈。
 ファシスの下着は、エルカに破られた時のまま、秘部と乳房だけを露出させていたのだ。
「ナニよこれ? アタシの事淫乱とか痴女とか貧乳とか言っておいてっ、ファシスも十分変態じゃん!」
「違う、これは! エルカが――ひゃあっ!?」
 丸出しの秘所――それも皮越しに敏感な肉芽を揉まれ、ファシスは間の抜けた声を出した。
「うん? 私が、どうかした?」
 犯人のエルカはにこやかな顔で、だが容赦なくファシスのクリトリスを責める。
(ううっ!? 何だ!? アソコが、燃えそうに熱い!)
 正確には揉まれ続けているピンク色の真珠が、熱せられた鉄棒が中に入っているのではないか、
 と思うような熱さを持っている。強すぎる刺激に自分の股間を恐る恐る覗き込む。
 どうやら麻痺の魔術は効果が切れているようだった。
「ひっ!?」
 ファシスは見てしまった。男根が血を集め勃起するように、クリトリスが体積を増していく光景を。
 ぎちぎちと皮を押し広げながら、やがてファシスの肉豆はペニスと同等の形、大きさになった。
「出来上がりー☆」
「うわあああぁぁっ!?」
 ショックの余り、ファシスは情けない悲鳴を上げてしまった。
「もう、大げさだなぁ」
「ナニ言ってんのよ? エルカだってチンコ生えた時は似たような反応してたじゃん?」
「え、ええ? そう、だったかな?」
「そうよぉ。まあ、一回抜いたら大人しくなったけどね」
「うーんそうかも。ファシスも、男の子の快楽を知ったら、きっと気に入ると思うよ? と言う訳で――あむっ☆」
「ひゃあっ!?」
 エルカに擬似男根の亀頭部分を咥えられる。
 ぺろぺろぴちゃぴちゃ、飴でも舐めるように舌を這わされると、おぞましい官能が背筋を駆け抜けた。
「ふっ…! はっ…! くぅ!?」
「にしししっ。かっわいー声出しちゃってさ。エルカにフタナリチンポ舐められて感じてるのぉ?」
「感じてなど――ひきっ!?」
 鈴口に舌先を捻じ込まれ、苦痛と、それ以上の快楽を感じてしまう。
「れろれろ――んー? ファシスは相変わらず嘘つきさんだね。おちんちんの先からお汁が出てるよ?」
「う、嘘だ!」
「男の子もね、感じると濡れちゃうんだよ? ――うふふっ。
 ファシスのおちんちん、びくびく動いて、べとべとで、すっごいやらしいよ。
 ちゃんと男の子の臭いだってしてるし――はあっ…なんだか興奮してきちゃった」
「あのさー。折角でっかいオッパイがあるんだからパイズリでもしてあげたら? ファシス超喜ぶんじゃない?」
(何だそれは…!)
「あー。そうだね。さっすがコノット! ――それじゃあ、早速」
「待て! 何を――!?」
 言い終える前に、雄器官が豊かな二つの膨らみに包まれる。
 絹のような肌越しに柔らかい脂肪が、敏感な粘膜を刺激した。
「うっ!? はあっ!」
128ふぉーりんシスター8:2006/08/02(水) 16:40:27 ID:TRabud1w
「うふふふっ」
 エルカは怪しい笑みを浮かべると舌を出し、自分の胸の谷間へと唾液を垂らしていく。
 先走りと唾液で胸が淫靡な光沢を放つのを確認すると、こねる様に乳房を揉みしだき始めた。
「うんっ、はあっ、あふっ、んんっ、乳首が、ファシスのおちんちんに擦れてっ――はぁん☆ 気持ち良いよぅ」
 既に破廉恥なまでに勃起した乳首を、肉棒に押し当てて、エルカが官能に表情を緩ませる。
「はっ! あっ! エルカ! そんな、だめだ! はあっ!?」
 色っぽい声と共に肉棒が刺激される。
(何て柔らかいんだ! それに、暖かい!)
 異形の器官が胸に埋もれると、にちゃにちゃと粘液が攪拌される音がする。フェラと違い、
 ペニス全体に満遍なく刺激を受けると、ファシスは尿道近くがぞわぞわする感覚を覚えた。
「はあ、はあ、あふんっ、ああんっ」
 エルカの吐息が、亀頭部分にかかってくすぐったい。
 快楽に悶えていると少し離れた所でニヤニヤと笑っているコノットが語りかけてきた。
「ファシスったらだらしないわねえ。エルカにばっかり奉仕させて自分はちっとも動かないんだから」
「ん、そうだよぉ、動いてもいいんだよ? さっき精気を少し分けてあげたからね。
 本当は体が熱くってしょうがないんでしょ?」
「だが!」
「いいからぁ、ほら、こうして――」
「はあっ!?」
 エルカが胸を掴んでリズミカルに上下に動かす。ペニスが扱きたてられる感触に、ファシスは腰が浮いた。
「はあっ、はあっ――れろっ」
「…っ…っ!」
 エルカは胸で擬似ペニスを扱きつつ、飛び出してくる亀頭部分に舌を這わす。
(駄目だ! 腰が!?)
 性感が高められたところで、フェラを受ける。すると、あまりの快楽に腰が勝手に動き始めた。
「はあ、はあ! すまない、エルカぁ! 腰が、勝手に――はあぁっ! 」
「あ!? はんっ! …そう! そうだよファシス! もっといやらしく、腰を振って! はあっ、れろ!」
「っ! エルカ、エルカぁ!」
(あ!? 何かが、こみ上げてくる!?)
「あん!? ファシスのおちんちん、びくんってなったよっ? うふふっ、もうすぐ射精するんだねっ」
「射精っ? 駄目だ! そんな事、出来ない!」
 今射精したら、エルカが汚れてしまう。
「いいの! 私、ファシスの精液が欲しいの! だから、出してぇ! ファシスので、私を汚して!」
 上目遣いのまま言ったエルカの言葉が、ファシスの理性を崩していく。事の成り行きを見守っていたコノットも、
 淫らな行為に当てられたように、はあはあと息を荒げて興奮していた。
「う、うあああっ!」
 どぷっ、どぴゅっ!
 絶叫を上げ、ファシスはとうとう男の絶頂に達してしまった。擬似ペニス内の輸精管をどろどろとした粘液が、
 大量に駆け抜け、鈴口から飛び出していく。その未知の快楽に、ファシスは腰が抜けそうになる。
129ふぉーりんシスター8:2006/08/02(水) 16:41:18 ID:TRabud1w
「あっ、やあぁんっ☆」
 エルカは顔面と胸元に白濁液の洗礼を受けると、甘ったるい声を出してその熱さを感じていた。
「あああっ! ――あぁっ……はあっ…!」
 かくかくとはしたなく続いていた空腰が、急に止まる。男のアクメ――その余韻は気だるく、
 急速に力を失っていく気がした。体内で暴れていた淫気が、射精と共にエルカに吸収されたのだ。
「はあ…っ、んっ…これが、ファシスの精液…っ」
 エルカが自分を汚す白濁液の量にうっとりとする。精気を提供されたファシスが吐き出したその量は、
 通常の二倍近い。
「うふふっ――ちゅるっ」
 胸元を汚している粘液を両手で弄ぶと、つまみ食いでもするように口に含んだ。
「…!? エルカ! 駄目だ! 汚い!」 
「ファシスのだから、平気だよお。それに、ファシスの、私への愛が沢山詰まってて、美味しい☆」
「…っ…! ば、馬鹿な事言うんじゃない!」
「あ、アタシも味見させてーっ」
「貴様も便乗するな!」
 ファシスの精気に寄せられるようにコノットがエルカに飛びついた。
エルカの顔に付着した汚液を、犬が甘えるように舐め取っていく。
「うわ、ホントだ。ファシスのスペルマ、すっごい濃い♪」
「うん、臭いも、とっても素敵☆ 頭がくらくらしてくるっ」
 ぺちゃぺちゃと、二匹の悪魔がファシスの欲望を啜り、食らっていく。
「お前達…! 馬鹿な事は止めろ…!」
 言いながら、二人の美少女が白濁液を舐め取り合う光景に、
再び股間の無礼者が力を取り戻しつつある事に気付いた。
(何とはしたない体だ! 悪魔に襲われているというのに!)
「なーによぉ。偉ぶっちゃってさ、チンコはしっかり勃起させてるじゃん」
「う、うるさい! 元々私の物ではないんだ!」
「ファシスったらほんと意地っ張りだよね。素直にエッチしたい、って言えば良いのに」
「まあ、ウブな娘みたいだからねー。アタシ達がリードしてあげるしかないわねー?」
「そうだね☆ という訳でファシス、本番いこっか?」
「今何と言ったっ?」
「えー? だからぁ、今から本番だよ、って言ったの」
「な!?」
(それはつまり、この体で、エルカと…!)
「セックスするって言ってるのよ!」
 コノットの直球な言葉にファシスは狼狽した。
「馬鹿な!」
「疲れてる? いいよ、ファシスは動かなくても」
 怪しい笑みを浮かべたエルカがファシスへと近づき、自らの下着を下ろしていく。
「そうではない! エルカも、軽々しく――うああ!?」
130ふぉーりんシスター8:2006/08/02(水) 16:42:29 ID:TRabud1w
 全てを言い終える前に。エルカはそそり立った肉棒へと腰を下ろした。
ずちゅり、という音がすると敏感な粘膜が温かく、どろどろとした膣壁に包まれる。
「ん、ふっ…どうっ? ファシス、女の子の中はっ?」
「は、あぁあっ!」
 肉壷内部がぞわぞわと動き、ファシスの擬似ペニスを締め付ける。
未知なる快楽にファシスは声を裏返して喘いだ。
「動いて、あげるねっ――んっ、んっ、はぁ、ふぅっ」
「うあぁっ!? あっ! ああっ! 駄目! 駄目だぁ! エルカぁ!」
「あっ、んっ、んん…! うふふっ、ファシスの、おちんちん、私の中で、びくびく、してるよ?
 気持ち良いんだね? ――んっ、はんっ!」
 エルカの体が上下へと動く度に、豊かな二つの膨らみが跳ね、その先端が汗や精液を飛ばす。
結合部からは雌の発情臭が漂い始め、ぐちゅぐちゅという水音と共に、ファシスの理性を溶かし始めた。
(気持ち良すぎる!)
 それだけではない。自分の体を跨ぎ、腰を使うエルカの姿が。
体を汗ばませ、淫臭を発し、控えめな喘ぎ声を上げるエルカの姿が。
とても色っぽく、そして愛おしく思える。
その体はすでに人間のものではなくなってしまったが、それでもエルカに対する気持ちは変わらなかった。
「エルカ!」
「きゃんっ!? ファシスっ? ――はっ、ん! やっ…あん!」
 溢れる愛おしさを劣情へと変換させる。エルカを感じたい一心でその体を貪る事にした。
 手を伸ばし、跳ね回る乳房を掴む。おぞましい男根の存在を受け入れ、エルカを突き上げる。
「エルカ! はあっ! 好きだ! はあっ! はっ! 愛してる!」
「私もっ、あっ! ファシスの事、んっ! 好き! はんっ! 大好き!」
 淫らなシスター服からこぼれた胸を力任せに揉む。優しくするつもりが溢れる情動がそうさせてくれない。
「んっ!? もっと、もっと激しく! ファシス! 私をもっとめちゃくちゃにして!」
「エルカ、エルカ!」
 狂ったように名前を叫びながら腰を何度も突き上げる。限界はすぐに訪れた。
「好きだあぁぁぁっっ!!」
「ファシスぅっ!」
 どぷっ! どぴゅっ!  
 子宮口へと擦りつけた亀頭から、欲望と愛情の塊を吐き出した。
 
 ――もし自分が男だったら――そう考える事が何度もあった。
 エルカが好き。だが自分は女。女同士が果たして結ばれる事が出来るのか?
 どうして自分は男ではないのか? もし、男であったなら――

「願い、叶ったじゃん」
「――う、貴様…?」
 傍観を決め込んでいたコノットが近づき、ファシスの顔を覗き込む。
131ふぉーりんシスター8:2006/08/02(水) 16:43:45 ID:TRabud1w
「エルカとエッチするの、望んでたでしょ?」
「……そうだ。悪いか…!?」
「はあ、はあ…悪くないよぉ」
 心地よい疲労に息を荒げるエルカが微笑む。
「でも、悪魔に願いを叶えてもらったんだから。それなりの代償を払ってもらわないとね?」
「…エルカ? ――っ!?」
 その言葉の意味を理解する前に、急速に体から力が抜けていくのを感じた。
(精気を、吸われて!?)
「んっ、あぁん…いいよぅ…☆」
「…エルカ…そんな…」
 官能的な吐息を漏らしながらエルカが体を震わせる。その様子を見ていると、先程の激しい交わりさえ、
 今の彼女にとっては精気を吸う為の『ただの余興』に過ぎない、という事に気付いてしまった。
(私の愛を受け止めてくれたのではなかったのか?)
「ぷっ――あはははっ!」
「何が、おかしいっ」
 気だるい体に鞭打ってコノットを睨みつける。
「うーわ乙女チック! 聞いてるこっちが恥ずかしいわよっ! アンタねえ、アタシ達は悪魔よ?
 人間とエッチするのは、精気を吸う為に決まってるじゃん。それを勝手に、
 ぷぷぷっ、愛とか、好きとか、バッカみたい!」
「そ、そんな事は…!」
 縋るようにエルカを見詰める。悪魔になってもエルカはエルカだ。
 ファシスの心を受け止めてくれる、優しい親友の筈だ。
 だが、
「んー? ファシス? どうだった? 燃えたでしょ? 私、頑張って演技したからね」
 足元の地面が崩れたような気がする。演技? さっきの交わりが? 好きだと言ってくれたのも?
(嘘だ…)
「嘘じゃないよう。だってそうした方が、ファシスもその気になるじゃない。
 そうしたら、効率よく精気も採取出来るから」
「わああぁっ!」
 ファシスは頭を抱えて叫んだ。
 悪魔は悪魔。そこに人の優しさは存在しない。あるのは狡猾な知恵と、欲望に忠実な思考のみ。
 愛を語ったファシスは、ただの道化に過ぎなかった。
「ふふふ、相当参ってるわね。いい気味よ」
「ファシス、その顔、とっても素敵だよぉ」
「ひっ」
 二匹の悪魔が邪悪な表情を浮かべる。この瞬間、ファシスの心は恐怖に支配された。
(食われるっ、この悪魔共に、身も心も…!)
「あーあ、なによ、その反応は? こんな美少女二人に囲まれて、失礼しちゃうわね」
「そうだよぉ。これからもっと良い事するんだからぁ。もっと仲良くしようよぉ」
「え…!?」
 今、なんと言ったのか。
「まだまだ、宴は続くのよ。覚悟しなさい♪」
 無邪気な笑顔で、ピンク髪の悪魔が宣告した。
132乙×風 ◆WApneMW3ro :2006/08/02(水) 16:50:09 ID:TRabud1w
以上です。
悪魔エルカはコスも性格もエロスなのでエロカと呼んであげて下さい。

ちなみに次回更新分ですが話の構成上、
いつもの半分くらいのボリュームになっています。
密度はいつもの倍くらいありますけど。

では今回はこれで失礼します。
133名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 16:53:03 ID:1irlmQRx
おお!
リアルタイムで立ち会えた!
ワンパターンですがGJ!
このままエロに走ってください。
134名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 18:03:04 ID:s7XYPer2
うおぉー!GJであります!

エロカエロいよエロカ…
135名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 19:38:39 ID:FtUGahhN
良心が無いから悪魔なんだけど、
ちょっとは演技じゃない方がクるものがあるよね……。

甘っちょろい考えなのは百も承知ですがorz
136名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 20:18:49 ID:egypZ8Tp
>>136
よう、俺
137名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 20:28:45 ID:egypZ8Tp
まちがえた
>>135だたorz
138名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 22:25:53 ID:9yl3ec8D
>「うっわ、エッロ!」
>「う、そうかな?」
>「そーよぉ。肌の露出はアタシより少ないけどさあ。服のデザイン自体がメッチャきわどい。
> あー、しかもベースにしたのがシスター服? よくもまあ、こんなの思いつくわね」

このやり取りがかなりツボにはまった。これからもワクテカしながら待ってます。
139名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 23:17:12 ID:5fp/deLY
>>135
>>136

よう、同士達
全く最近は俺が多くて困る。
140名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 00:07:28 ID:YJNHVunG
>>135
>>136
>>139
まったく、こんなに俺がいたらドッペルゲンガーどころじゅないじゃないか。
141名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 00:09:40 ID:w0ocqzEo
>>135
>>136
>>139
>>140
こりゃ俺しか居ない予感だな
142名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 00:32:02 ID:RLdESgy4
>>135
>>136
>>139
>>140
>>141
俺多すぎだろ
143143 ◆MABOUp7up. :2006/08/03(木) 01:37:25 ID:dIIMzeXc
皆様お久しぶりです。流れ豚切の上、人外度0%の気がしますが投下しちゃいます。


「さってと、今週も無事に終わったか〜」
「どうにかこうにか、ね。で、週末は久々に家族サービスかい?」
会社を出て、思いっきり伸びをする俺に、同僚の新條が話しかけてくる。
「そうだな〜。まあ、せいぜい3人で買い物に行ったり、近所の公園を散歩するくらいだろうけど」
「な、なんだそりゃ? それが家族サービスかい?」
「ああ。変ににぎやかなところに行くより、そういうほうがいいんだってさ」
首をコキコキ鳴らしながら答える俺を見て、怪訝そうな顔で俺を見る新條。
……まあ佳乃の場合、まだ街の中とか人が多いところは、慣れていないところがあるんだろうし、
幸乃も、まだまともに歩けるわけじゃないから、それでいいのは俺も同意なんだがな。
「ふ〜ん、そんなもんなのかねえ……」
「言ってるおまえはどうなんだ? カミさんとどっか行くとかないのか?」
「え? 僕? ……う〜ん、そうだねえ……」
天を見上げながらつぶやく新條に、俺は逆に問いかけてみた。
すると新條は、天を見上げたまま腕を組み、考え始める。
「ま、いいや。お前が下手に出掛けると、足の骨とか折ってくるしな。それじゃ、また来週」
「う……ま、またそれを……。ま、また来週」
かつて、新條が冬山に行ったとき、足を骨折して入院したのを思い出した俺は、
肩をすくめながら、別れの言葉を掛けた。
新條は、憮然とした表情になりながらも、手をひらひらと振り返し、反対側のホームへと去って行った。
144143 ◆MABOUp7up. :2006/08/03(木) 01:38:05 ID:dIIMzeXc

「ただいま〜」
「おかえりなさいませ、信幸様」
「………ど、どしたの? 佳乃」
いつもと同じように帰りの電車に乗り込み、いつもと同じように自宅近くの駅に着き、
いつもと同じように自宅に戻ってきて、いつもと同じように玄関を開けた俺は、
いつもと違う光景に、思わず固まってしまった。
そう、いつもなら幸乃を抱っこしながら、笑顔で迎えてくれる佳乃が、
今日は何故か三つ指ついて、深々と頭を下げながら出迎えてくれたのだ。
「先にお風呂になさいますか? それとも、お夕食にいたしましょうか?」
「え、えっと……晩ご飯が先、かな……」
「かしこまりました。さあ、どうぞ……」
呆然とする俺をよそに、佳乃は俺の鞄を手に取りながら、優しく問いかけてきたかと思うと、
俺の返事ににっこりと笑みを浮かべ、そっと手を差し伸べてくる。
思わず佳乃の手を握り返した俺は、手を引かれるままに、居間へと歩き出していた。

「いかがいたしますか? 一杯、お付けしましょうか?」
脱いだ上着を佳乃に渡し、ネクタイを緩めながら、夕食の支度済みのテーブルの前に腰を下ろす。
と、俺の上着をクローゼットに掛けなおした佳乃は、こちらに振り返りながら問いかけてくる。
「う、うん……」
「かしこまりました。少々お待ちくださいませ」
俺が戸惑いながらも返事をすると、佳乃はペコリと頭をさげ、台所へと歩いていった。
「さあ、どうぞ……」
「あ、ありがと……って、何かあったの?」
冷蔵庫からビールを取り出し、テーブルの角を挟んで俺の斜め前に座った佳乃は、
俺が手にした空のコップに恭しくビールを注ぐ。
夕食時に、佳乃にお酌をしてもらう――それ自体はいつもと変わらない光景なのだが、
まるで召使いか何かのような佳乃の態度に、何とも言えない気持ちがふつふつと湧き上がり、
我慢できなくなった俺は、思い切って問いかけてみた。
「はい……実は今日、幸乃ちゃんを連れて病院へ行ってまいりまして……」
「ああ、定期健診だったっけか。何か変わったこととか、なかった?」
ビールを注ぎ終え、瓶をテーブルに置いた佳乃は、ちらりと幸乃のほうを見ながら口を開いた。
その幸乃はと言えば、赤ちゃん用の小さな布団の上で、お気に入りの玩具を握り締めたまま、
すやすやと寝息を立てている。そんな幸乃の姿に、思わず目を細めながら相槌をうつ。
「はい、幸乃ちゃんは順調に育っているとのことで……で、わ、われも一緒に診ていただいて……」
「え? よ、佳乃も? どこか具合でも悪かったの?」
だが、佳乃の次の言葉に、俺は思わず佳乃のほうを仰ぎ見ていた。
……具合が悪いのなら、尚更こんなことをさせるわけにはいかないじゃないか。
「あ……いえ、じ、実はその……ふ、二人目が……中に……」
俺の驚きの表情を目にした佳乃は、戸惑いながらも顔を伏せ、そっと自らのお腹を撫でまわす。
「………え? ふ、二人目?」
「は、はい……」
予想だにしなかった言葉に、頭の中が真っ白になった俺は目を丸くさせ、鸚鵡返しにつぶやく。
佳乃はそんな俺を見返し、お腹に手を当てたまま、コクリと頷いた。
「本当なの!? おめでとう、佳乃!」
「きゃっ………あ、ありがとうございます」
次の瞬間、俺は自分でも無意識のうちに佳乃を抱き寄せ、祝福の言葉とともに軽く頬にキスをしていた。
突然のことに、佳乃は驚きの表情を浮かべながらも、微笑みを浮かべる。
145143 ◆MABOUp7up. :2006/08/03(木) 01:38:39 ID:dIIMzeXc

「あぶ、ぶう」
「よかったな〜幸乃、おまえ、お姉ちゃんになるんだぞ〜」
「ま……あなたったら……」
と、俺の声で目を覚ましたのか、幸乃がこちらを見ながら不機嫌そうに、手足をじたばたさせている。
嬉しさで気分が高揚していた俺は、佳乃から離れて幸乃を抱き上げながら、話しかける。
幸乃は突然抱っこされたせいか、一瞬目を丸くさせていたが、すぐに笑みを浮かべ、
「ぱー、ぱー」と覚え始めたばかりの言葉を口にして、俺に向かって手を伸ばそうとしてくる。
そんな俺たちを見て、佳乃は口元に手を当て笑顔を浮かべている。
……笑顔は笑顔なのだが、どことなく苦笑いに見えるのは、何故なのだろうか?

「で、お袋には知らせたの?」
「あ……い、いえ。あなた様が、直接お知らせになったほうが、よろしいかと思いまして……」
幸乃を抱っこしたまま、振り返りながら尋ねてみると、佳乃は首を横に振る。
「何だよ、そんなに気にすることでもないだろうに……」
俺は軽く肩をすくめながらも、携帯電話を手に取って、お袋の番号へと掛けた。
……やっぱり我が家でも、俺の見えないところで嫁姑問題が発生しているのだろうか?
いや、あのお袋ならば、そういう問題は発生しそうになさそうなのだが……。
『はい、もしもし?』
「あ、もしもしお袋? 実は、二人目が出来ちゃったみたいでさ」
『まあまあ、本当なの? おめでとう。……信幸、明日は家にいるのかい?』
電話口のお袋は、俺の報告に声を弾ませたかと思うと、急にトーンを落として何やら問いかけてきた。
「ああ、休みだけど、どうかした?」
『うん、ちょっと大事な話があるから、明日そちらにお邪魔しようかと思ってね』
「大事な話? いったい何?」
『ちょっと電話ではアレだから、明日直接会って話すね。それじゃ、佳乃さんにも体を大事にって伝えといて』
「あ、おいお袋……ったく」
「ど、どうしたのですか?」
こちらとしては、単におめでたの報告をするだけのつもりだったのだが、
妙に気になる終わり方で、一方的に電話を切るお袋。
俺が妙な顔をしているのを目にして、佳乃が不安げな表情で、こちらを見ている。
「何だかよくわからんが、大事な用があるから明日こっちに来るらしい」
「は、はあ……何があったのでしょうか?」
俺がそう答えると、佳乃は訳が分からない、という顔で俺を見返してきた。
……正直、俺もお袋の考えはよくわからん。いつだったかは、『必ず帰って来い』とか言ってきて、
実家に帰ってみると、『俺たちの結婚式の予約をしていた』とか言い出すくらいだし。
「ん〜。子どもが出来た、と子どもが産まれた、と聞き間違えたか? ……いたた」
「ま、まさかそんな……」
宙を見上げて予想を口にしてみると、いきなり幸乃に頬っぺたをつねられてしまった。
そんな光景が面白かったのか、佳乃は口元に手を添え、笑みを浮かべながら返事をしていた。
146143 ◆MABOUp7up. :2006/08/03(木) 01:39:12 ID:dIIMzeXc

「あ…あなた」
夜――俺は肩を軽く揺さぶられる感覚に、目を覚ました。
ふと見ると、佳乃が覆いかぶさるような姿勢で、俺の肩に手を添えていた。
「ん? ど、どしたの? 佳乃」
「その……お情けを…いただきたいと……」
半分寝ぼけた頭で問いかけた俺は、思いもよらない佳乃の答えを耳にして、一気に目が覚めた。
「お、お情けって……お腹に子どもがいるんだろ?」
「今さら何をおっしゃるのですか。かつて幸乃ちゃんがお腹にいたときにも、
あんなにお情けをいただいていたではありませぬか……」
俺の返事に、佳乃はため息をついたかと思うと、呆れ顔でつぶやくように答える。
そうつぶやく佳乃のネグリジェは、前がはだけていて隙間から、豊かな胸が見え隠れしている。
……ところで、「あんなに」のところで佳乃の声に、かなり力がこもっていたような気がするのは、
果たして俺の気のせいだろうか?
「い、いや、確かに、そりゃそうだったけど……」
「それとも……もう、こんなはしたない女は、お嫌いになられましたか?」
目のやり場に困りながらも、俺は目を泳がせながら返事をする。
と、佳乃はさらに身を乗り出し、俺に体をぴたりと体を寄せ、寂しそうに問いかけてきた。
「い、嫌なはず、ないだ……ん、んむっ……」
俺が言い終わる前に、佳乃はいきなりくちびるを重ねてきた。
さらに佳乃は自らの舌で、俺のくちびるの隙間を押し広げたかと思うと、
そのまま俺の口中へと舌先を潜り込ませてくる。
「ん、んふ……っ……んっ…」
佳乃の舌先が、俺の舌先に軽く触れ合った。その途端に佳乃は、
まるで求めていたものが見つかった、と言わんばかりの勢いで、自らの舌を俺の舌に絡めてくる。
俺もまた口先をすぼませ、潜り込んできた佳乃の舌に軽く歯を立てながら、夢中で舌を絡めていった。

「っ……。ん、んんっ」
しばしの間、お互いの舌を激しく絡めあっていたが、不意に佳乃が舌を抜き、
くちびるを離したかと思うと、ゆっくりと上半身を起こしてきた。
「よ、佳乃……」
「んふ……っ」
佳乃の、ぞっとするほど艶めかしい表情を目にした俺は、まるで金縛りになったかのように、
身動きひとつ出来ず、つぶやくように口を動かすのが限界だった。
そんな俺を見下ろす佳乃は、妖しく微笑みながら俺の両頬を手で抱え、
軽くくちづけをしてきたかと思うと、ふたたび体を起こし、俺のズボンへと手をかけてきた。
ふと見ると、俺のパジャマの上着はいつの間にかボタンが解かれ、素肌が露わになっている。
「あ……よ、よし…あっ」
俺が佳乃に声を掛ける間もなく、佳乃は俺のズボンを下着ごとずり下ろした。
同時に、半勃ちで先端が半分近く皮に覆われた状態の、俺のモノがその姿を現す。
「んふふ……っ、んんっ」
「あく…っ、よ、佳乃…っ、あっ…」
下着をずり下ろされた反動で、前後にぷるぷる揺れるモノを目にした佳乃は、
嬉しそうに微笑みを浮かべたかと思うと、おもむろに口に含ませた。
さらに左手でモノを握り締めながら、舌先をすぼませ、皮の隙間へと潜り込ませてくる。
「ちょ、よ、佳乃っ……く、う、ううっ……」
「っ、ん、ふっ、んっ、んふ、んっ……」
モノから伝わる刺激に、俺は全身を震わせながら、思わず佳乃の頭に手を添える。
佳乃は、俺の仕草を気にする風でもなく、それどころか逆に動きを激しくさせてきた。
147143 ◆MABOUp7up. :2006/08/03(木) 01:39:54 ID:dIIMzeXc

「くふ……っ」
「佳……乃っ…」
やがて、俺のモノは佳乃の舌使いによって、ガチガチに勃ちあがっていた。
モノから口を離し、そそり立つモノを見て嬉しそうに笑みを浮かべる佳乃は、
舌を伸ばして尿道口を舐め上げたかと思うと、ゆっくりと体を起こし、俺の股間へと跨った。
「ん……んんっ、あ、はあ……あっ……」
「よ……佳、乃…」
騎乗位の姿勢になった佳乃は、震える俺の手を優しく握り締めながら、
モノに自らの股間を押し付け、ゆっくりと腰を前後に動かし始める。
「あっ、あは…ああ、あっ……」
上半身を軽く仰け反らせながらも、腰を動かし続ける佳乃。
俺もまた、佳乃の腰の動きに合わせるかのように、無意識のうちに腰を揺さぶり始めていた。
二人が腰を動かすたびに、擦りあわせる股間からは、ねちゃねちゃとした音が響いていたが、
そのうち痺れるような感覚が、下半身に襲い掛かってきた。
……もう、もうイッてしまうかも……。
そう思って、ひときわ強く腰を突き上げた瞬間――
「あ、ああっ。よ……佳乃?」
不意に佳乃が腰を浮かし、立ち膝の姿勢になった。
お互いの体が離れたことにより、モノへの刺激が中断された俺は、不満げに佳乃を見上げる。

「あ、あなた……も、もう……」
「く……っ、……」
そっと繋いでいた手を離した佳乃は、俺のモノと自らの割れ目へと手を添えながら、妖しく微笑む。
佳乃の意図を察した俺は、軽く手を添えられただけで、暴発してしまいそうな勢いをどうにか堪えて頷いた。
「んっ、あっ……ああっ、ああ……」
「あっ! あ、ああっ!」
俺が頷くや否や、おもむろに腰を落とす佳乃。
その途端、こみ上げる刺激に全身がビクリと震え、二人の口からあえぎ声が漏れ出す。
「あっ、あ、ああ、ああんっ……」
「う……っ、よ、佳乃……お、俺、もう……」
佳乃は艶めかしいあえぎ声とともに、腰を上下に動かし始める。
まるで少しでも長く、この刺激を味わいたいかのように、なぞるようにゆっくりと。
だが俺は、さきほどからの立て続けの刺激に、早くも限界に達しそうになっていた。
「あは……あっ、ああっ、あああっ……」
「うっ! うああっ! よっ、佳乃おっ!!」
俺の声が耳に届いたのか、佳乃は唐突に腰の動きを早めだす。
次の瞬間、俺は悲鳴交じりの絶叫とともに、佳乃の中であっけなく果ててしまっていた――
148143 ◆MABOUp7up. :2006/08/03(木) 01:40:26 ID:dIIMzeXc

「あ……あは、あ……信幸様のが……中に……あ、ああ…っ……」
「く……ううっ、よ、佳……乃っ……」
俺が絶頂に達しても、佳乃の腰の動きは止まろうとしない。
虚ろな目で天を見上げ、パクパク動く口からは、うわ言のようにあえぎ声が漏れ出している。
一方の俺はといえば、達した直後で敏感になっているモノへと加えられる刺激に、
下半身がビクビク震えてしまっていた。
「あっ、あは、あんっ! あっ、ああっ!」
やがて、佳乃のあえぎ声が甲高く、断続的な悲鳴交じりなものへと変わっていった。
それとともに、佳乃の腰の動きが短く素早い動きへと変わっていく。
佳乃が腰を上下に動かすたびに、二人の繋がっている場所からぐちゅぐちゅという音とともに、
白濁した液体が溢れ出し、俺のふとももをつたって流れ落ちている。
「よ、佳乃……っ」
「あ…あな、た……あ、あっ、あああっ!!」
おもむろに、佳乃が俺の手を取り、自らの豊かな胸へと導いてくる。
俺は半ば無意識のうちに、佳乃の胸を激しく揉みしだき、その頂を指で挟みあげていた。
その途端、佳乃は上半身を弓のようにしならせ、悲鳴とともに絶頂に達していた。

「はあ……はあ、はあ……あ、あなた……」
「佳乃……」
佳乃は肩で息をさせながら、繋がったままゆっくりと俺の上へと覆いかぶさってきた。
俺はそんな佳乃をそっと抱きしめ、軽く頭を撫でる。
ほんのり上気している佳乃の肌は、玉のような汗がしたたり、情事の激しさを物語っている。
……いや、かくいう俺も汗まみれなのだが。
「…………あ。ゆ、幸乃ちゃん……」
不意に佳乃が顔を巡らせ、隣で横になっている幸乃に声を掛けた。
その幸乃はといえば、いつから目を覚ましていたのか、キョトンとした顔でこちらを見ている。
……いったいいつから見ていたんだ? この娘は。
「ん〜? お父さんお母さんがうるさくて、目を覚ましちゃったですか〜?」
佳乃は俺から離れ、幸乃を優しく抱き上げながら、微笑みかける。
……何気に物凄いことを言っている気がするのだが、気のせいだろうか?
「だあ」
「ん〜、ごめんなさいね〜。一緒にお風呂入るから、機嫌直してくださいね〜」
佳乃に抱き上げられた幸乃は、嬉しそうに笑みを浮かべながら、手をばたつかせる。
そんな幸乃に、佳乃は頬ずりとともに、こぼれんばかりの満面の笑みを返していた。
149143 ◆MABOUp7up. :2006/08/03(木) 01:41:02 ID:dIIMzeXc

「そっか……親子3人、川の字で寝るのもあと少し、ってことなんだなあ」
風呂をあがってから、俺たちは幸乃を真ん中にして布団に入った。
上機嫌で俺の顔を見上げる幸乃の頭を撫でながら、俺はポツリとつぶやく。
「そう…ですね。でもその分、にぎやかになるってこと、ですよ。ねえ、幸乃ちゃん?」
俺のつぶやきに、幸乃の手を優しく握りしめていた佳乃は、
微笑みを浮かべて返事をしつつ、幸乃へ顔を寄せながら問いかける。
「にぎやかになる……か。佳乃は、大丈夫なの?」
「何が………ですか?」
そんな佳乃を見つめながら、俺は佳乃に話しかける。
佳乃は俺の問いかけに目を真ん丸に見開き、きょとんとした表情でこちらを見つめ返してきた。
「い、いや……これから、幸乃に手が掛かっていくだろうに、もう一人なんて……」
「ふう………何をおっしゃるかと思えば……。大丈夫に決まっているじゃありませんか」
あまりにも意外、という佳乃の表情に、俺は戸惑いながらも言葉を続けた。
だが佳乃は、大きくため息をつきながら呆れ顔で答え、幸乃に視線を移す。
「そ、そう?」
「ええ……だって、幸乃ちゃんがお腹にいるときも、生まれてからも、ずうっと……」
「ず、ずうっと?」
幸乃を見つめながら答える佳乃は、そこで一旦言葉を切り、ふたたび俺を見上げる。
こちらを見上げたときの佳乃の表情が、あまりにも真剣な表情だったので、
思わず俺はゴクリと唾を飲み込み、佳乃の顔を見返していた。

「……こんなに大きな子どもの面倒まで、見ていたのですから……。大丈夫に決まっていますでしょ?」
「え……あ、う………」
佳乃はしばしの間、真剣な表情のままで何も言わずに俺を見つめていたが、
不意に悪戯っぽく笑みを浮かべたかと思うと、そっと俺の手を取りながら小首を傾げる。
俺は返す言葉が見当たらず、視線を逸らしてしどろもどろに口を動かすしかなかった。
「ぱー、ぱー」
「うふふっ、これからも頑張ってくださいね、パ・パ」
「そ、その……が、頑張ります……」
俺の内心の動揺を知ってか知らずか、幸乃が嬉しそうに俺に向かって手を伸ばしてきた。
追い討ちをかけるように、佳乃も嬉しそうに声をかけてくる。
俺は幸乃と佳乃の手を握り返し、そう答えるのがやっとだった――
150つぶやきマボ ◆MABOUp7up. :2006/08/03(木) 01:49:55 ID:dIIMzeXc
>143-149で続きます〜。

一応予定では、>143で登場したもう一人の話と、
素直に>149の続きとあるのですが、
どっちを優先していきましょうか……。

1.>143の続き。
2.>149の続き。
3.保管庫で止まっている話の続き。

……今さらながら、いくつ途中で止めてるんだ自分orz
151名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 02:06:57 ID:YtfQOov+
>>150
プロットできてるんだったら「お袋来襲」まではすらっと投入してほしいなあ。
もちろん「闘技場」の続きだと嬉しさ爆発です。
 
がんばれー。
152名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 22:50:51 ID:jUN87vZp
妖精かなにか?普通の人じゃないの?
153名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 23:03:46 ID:scZvmiDn
>>150
お久しぶりでーす。待ってました。
>143で登場したもう一人はアイリスの旦那ですよね?
俺、アイリスの話も好きなんです。
自分としては>149の続き、>143の続き、保管庫で止まっている話の続き、の順で優先して欲しいです。

一番いいのははマボさんのやりやすい流れでしょうが。
続き楽しみにしてます。
154名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 07:33:23 ID:cyn22t/h
>>150
お久しぶりです。久々に堪能しました。
あなたの書く作品なら諸手を上げて大歓迎なのですので
無理をしないで書きやすいようにがんばってください。

・・・ところで花の精霊、アヤメとかはだめでしょうか?
155名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 10:20:46 ID:UNGl4YYN
今朝、変な夢を見た。
夢の中で、綺麗だけど喪服みたい黒い格好をした女性に追われた。
砂時計の砂が全部落ちるまで逃げ切れたら願いを一つかなえてあげる
だけど、途中でつかまったら・・・その時にはあなたの命を貰う
とかそんな内容だったけど。
何とか時間まで逃げ切れたんで、まだ生きたいと答えたら目が覚めたがどう思う?

156名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 10:43:46 ID:N8z/pXNw
>>155
そこは「あなたを孕ませたい」だろ。


・・・・・・よかったな((((((;゚Д゚))))))ガクガクブルブル
157名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 11:40:32 ID:gHjvQRUF
仕事中にこのスレ見ていたら、何だか背筋が寒くなってきたのだか、皆は大丈夫?
158名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 13:08:13 ID:Ir9qaDoN
クーラー効き過ぎで風邪ひいてる
159名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 15:04:07 ID:v8oXMJkC
>>155はアマラ深界に夢の中で行っちゃったんじゃね?
160名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 16:27:36 ID:ywNsMR0r
インスマウス面の女に求愛される夢を見た
やっちゃった


死にたくなった
161名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 17:49:04 ID:F/Lv6YKt
>>152
保管庫で最初から読めば幸せになれるよ。

>>154
花ならアヤメ以外にも、スミレ、ユリ、サクラなど如何でしょうか?

>>155
夢占いのサイトを見たら、追われている夢は自分が危険な時、周りの誰かが助けてくれるという事の暗示で、人物の夢で知らない人の場合は、その人物が身のまわりの誰かと似ているらしい。
嫌な感じを受けたなら、その似ている人物が災いをもたらすか、その人物に対してストレスを感じることがあるらしい。

が、ガチでヤバいモノが目を付けた可能性もあるから、一応神社でお祓いを受けた方が良い。
心霊系サイトとか回った後とか俺もあるから。
162名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 18:08:21 ID:s85lgbkW
>>159
俺もそう思ったw
163名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 18:56:14 ID:Ir9qaDoN
>>155
おいしいもの 食べて うんこすれば治るよ
164名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 20:19:01 ID:k6k+VCL6
>>157
仕事中という点にツッコミを入れればいいのかい?

>>159,>>162
あらまそうかい。
165名無しさん@ピンキー:2006/08/05(土) 20:54:26 ID:ARUg6kpS
山田君、>>164を持っていきなさい
166山田:2006/08/06(日) 08:27:18 ID:VHibRvN6
.       ∧_∧  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
       (;´Д`)< すいませんすぐ片付けますんで。 ( `
  -=≡  /    ヽ  \_______
.      /| |   |. |
 -=≡ /. \ヽ/\\_
    /    ヽ⌒)==ヽ_)= ∧_∧
-=   / /⌒\.\ ||  ||  (´・ω・`) ←>>164
  / /    > ) ||   || ( つ旦O
 / /     / /_||_ || と_)_) _.
 し'     (_つ ̄(_)) ̄ (.)) ̄ (_)) ̄(.))
167名無しさん@ピンキー:2006/08/06(日) 11:16:24 ID:3gSj+4NK
゚ ゚             ( д )
168名無しさん@ピンキー:2006/08/06(日) 16:44:24 ID:czdZYE/t
>>155
そこで「結婚してください」とか言ってたらどうなっていたんだろw
169名無しさん@ピンキー:2006/08/06(日) 17:03:13 ID:b6tmg8eK
な、何よあなた!
ね、願い事なら何でもいいってわけじゃなくてさっ!


わ、私で……いい、の?
170かわわらし外伝2:2006/08/06(日) 18:13:13 ID:IOhL+44s
実は翠は俺の夢の産物だったりする。

いい感じになった女の子が実は河童でしたと言う夢を見て・・・あぁ。可愛けりゃ河童でもいいか。
なんて思ったのが始まりでした。

というわけで、外伝2です。
外伝の3をやったら本編に戻ろうかなと思ってます。
ちなみに、雪女って再登場させて欲しいです?
171かわわらし外伝2 1/8:2006/08/06(日) 18:14:12 ID:IOhL+44s
「ここか」
 俺はこれから俺が住む部屋のドアを見つめる。
 2LDK。築5年。駅徒歩10分。家賃7万5千円。敷金礼金0。
 非常に美味しい物件だが、今までここに入居した人は全員1ヶ月以内に退去している。
 そんな曰く付きの物件だった。
 俺は恐る恐るドアノブを回す。
 今日からここに住むのだ。会社にも近いここをどうしても手放したくはない。
 幽霊?悪魔?出るなら出てみろ。俺は今までに妖怪とエッチしたことだってあるんだ。怖いものなんて。
 勢いをつけてドアを引く。
 そこにはおどろおどろしいお化けも、怖い顔の悪魔も、もちろん鬼も妖怪も居なかった。
 ただ、代わりに。
「ついに・・・ついに見つけましたわ!!!」
 俺と同い年くらいの女性が、仁王立ちで立っていた。

「つまりキミは、明治時代にこの土地に生まれた富豪のお嬢様で、許婚に殺されてしまったと」
「そうよ」
 女性は白いワンピースで、髪はセミロングをアップにしている。
 肌は白く、化粧のしていない素の顔はとても綺麗だった。
 唯一の装飾と言えば、左手薬指に光る小さなダイヤの指輪。
「で、その生まれ変わりにとり憑いて殺すためにここに居たと」
「ほう。んぐんぐ。おかわり」
 今はその可愛らしい口に、俺の買ってきたシュークリームを頬張っている。
 オヤツを食べる幽霊って。しかもおかわりを要求してくるし。
「はいはい。ってことは、俺がその許婚の生まれ変わり?」
 シュークリームを口に頬張りすぎたのか、口は動かさずに首だけをコクコクと縦に振っている。
「あのさぁ、ウソをつくならもう少しマトモなウソを」
「ウソじゃないわよ!閻魔様もそう言ってたもの」
「閻魔様って」
「ふぅ。ごちそうさま。ささ、さくっと私に殺されて・・・って、ちょっと。何するのよ」
 俺は立ち上がった彼女の背中を押して部屋の外へと連れ出す。
「シュークリーム食わせてやったんだ。いいだろ。ほら、自分の家に帰れ」
「あの程度でわたくしが、懐柔されると思って?むしろ、懐柔しようとしたその心にブチギレ寸前ですわ」
 ブチギレって、明治時代には無い言葉だろ。
「はいはい。じゃあ、ちゃんと帰れよ」
「はっ!?ちょ、ちょっとま」
 ドアを閉める。ドアの外で何か叫んでいるがそのうち諦めて帰るだろ。
172かわわらし外伝2 2/8:2006/08/06(日) 18:14:57 ID:IOhL+44s
「さてと、掃除掃除」
「末期の掃除だなんて。変わってますのね」
 !?
「な・・・なんで」
 さきほど家の外に追い出した女は、リビングに置いてあるテーブルの上を陣取って仁王立ちしていた。
「幽霊にとって壁など無いに等しいですわ」
 マジか?いや・・・待て待て。俺がここの部屋に入った時だってすでに居たんだ。
 意外と隣人とかでどっかに抜け穴があるとか。
「それにしても」
 テーブルから降りて俺の目の前に立つ。
 俺の頬に当てられた彼女の手は、ひんやりとしていた。
「よく似ていますわ・・・あの方に」
 彼女の瞳は黒く綺麗で、吸い込まれそうな魅力があった。
「むぅ?」
 眉が寄って不思議そうな顔をする。
「あ。そだ警察警察」
 俺は携帯電話を取り出して警察に電話をかける。
「何を考えているのですか!!」
 携帯をひったくられた。
「何って」
 電話を切って棚の上におかれる。
 なんで明治生まれが携帯のこと知ってんだよ。
「まったく。油断も隙もなさすぎですわ・・・そこまで似てなくてもいいのに」
 女性はブツクサと小声で文句をたれている。
「あのさぁ。マジで不法侵入で訴えるぞ」
「わたくしを捕まえられるものなら捕まえてごらんなさい」
 無造作に突きだされた腕を俺は掴む。
「え!?」
 何を驚いてるんだこいつは。掴めというから掴んだのに。
「そういえば・・・先ほどもわたくしの背中を・・・はっ!?いつまで掴んでいるつもり!!」
「あぁ。悪い悪い」
 俺は手を離す。
「でだ。お前は本当に何ものなんだ?」
 女性は俺を睨むと、まだ新しいベッドの上に腰掛けた。
173かわわらし外伝2 3/8:2006/08/06(日) 18:15:40 ID:IOhL+44s
「わたくしの名前は九条櫻。九条家第二女子ですわ。そして、貴方は河野聖さまの生まれ変わり」
「河野?俺も河野だぞ、河野忠だ」
「なんですって!?まさか・・・聖さまと同じ血を?」
 櫻は俺の体を上から下まで舐めるように見る。
「やはりそっくりですわ・・・生まれ変わりだけではなく同じ血を引いているのならば納得ですわね」
「あのさ。その遊びに付き合ってやってもいいんだが・・・そろそろ部屋を片付けたいんだが」
「遊びですって!?」
「だって、さっきからおかしいだろ。言葉遣いとか携帯とか・・・明治生まれには見えない」
「あぁ。それはこの部屋に住んでいた人たちから勝手に覚えさせてもらいましたの」
 納得出来そうな出来なさそうな理由だな。
 といか、コイツがいたから今までの入居者がすぐに退去したのか?
 いやいや。納得してしまったらコイツが幽霊だと認めてしまうことになる。まぁ、幽霊の存在自体は否定しないけど。
「あれ。じゃあ、さっさと俺を殺せばいいんじゃね?こんな押し問答してないでさ」
 俺がそう言うと、鋭い視線で睨まれた。
「ど、どうした?」
「うぅぅ」
 その瞳からポロポロと大粒の涙がこぼれ落ちる。
「やってますわ!先ほどから何度も何度も・・・けど・・・貴方は何ともないのですか?」
「え?あ〜」
 俺は自分で全身を見回す。
 特に外見上の異常はない。別にどこかが痛いわけでもないし。
「もうだめです・・・貴方を殺せない・・・わたくしは・・・地獄行き」
「ちょっと待ってくれ。なんで、お前が地獄行きになるんだよ」
「成仏を拒んで貴方を待ち続けたからです。ふふ・・・馬鹿みたい」
 肩から力が抜け、腕がブランと揺れる。
 けど、俺は何て言葉をかけていいのかがわからない。
「・・・そんな悲しそうな顔をしないで・・・本当に・・・お優しいところまでそっくり」
 先ほどから不思議な違和感があった。
 コイツは自分を殺した許婚を酷く憎んでいるはずだ。なのに、たまに優しい笑顔と言葉を俺に向ける。
「なぁ。本当にお前はその許婚のことを憎んでいるのか?」
 震えていた肩が1回だけビクンっと大きく動き、そして顔をゆっくりと俺の方に向けてくる。
「わたくしは」
「本当のことを話してくれないか?」
174かわわらし外伝2 4/8:2006/08/06(日) 18:16:28 ID:IOhL+44s
 櫻から聞いた話は衝撃的だった。
 櫻は聖に殺されたわけではなかった。聖は人殺しをした。それは事故だったが、警察は殺人と断定したのだ。
 聖が自首しようとしたその時・・・櫻は全ての罪を遺書に書き残し自殺した。
 事件は櫻がやったということとなり聖に罪が及ぶことはなかった。
 しかし・・・聖は櫻を失い・・・そして、罪の意識にさいなまれ・・・櫻の死から数年後。山の中でひっそりと命を絶ったというのだ。
「しかし、聖さまは前世の業により、地獄行きとなると閻魔様がおっしゃいました。ですから私は」
「聖を待って自分も地獄に落ちるってことか。あのさ、一つ気になるんだが、聖の魂ってもう地獄にいるんじゃねぇの?」
 櫻は首を横に振る。
「聖さまの魂は消滅し転生を果たしました。地獄に行く事なく」
「あ〜。なるほど。それでか・・・俺が生まれ変わりだなんだってのは」
 話はよくある怪談話だが、当事者となると少し変わってくる。
 信じるわけにはいかないよな・・・信じたら殺されそうだし、しかも地獄行きだもんな。
「それにしても。お前。本当にその聖ってヤツのこと好きなんだな」
「え・・・あ・・・わたくしは」
 顔を真っ赤にして俯く。
 手をぎゅっと握り締めて軽く震えている。
 先ほどまでの強気な態度とはうって変わって初々しい。
「俺が死んでやることは出来ないけどさ。まぁ、そういうことなら、俺の部屋に居てもいいぞ」
「え?」
「って、ごめんな。俺と一緒に居ると許婚のこと思い出しちゃうか」
 俺が笑っていると、櫻は俺の側に寄ってくる。
「ありがとうございます。本当に・・・お優しいお方」
 そのまま俺の胸に体を預ける。
 温かい。こんなにも温かい幽霊なんて居るはずがない。
「もう・・・貴方を殺すことは諦めました・・・元々出来ないことだったのです・・・聖さまを殺すことなど」
 俺の胸の中で櫻は涙を流す。
 そうだよな・・・身代わりになるほど愛している人物を殺せるはずなんてないじゃないか。
「忠さまのお胸・・・温かい・・・まるで聖さまに抱いて頂いているよう」
「櫻さん」
 口が勝手に動いた。え?あ、ちょっと待って。櫻さんって。
「櫻さん。もう、この腕で抱くことは出来ない・・・そう思っていました」
「聖・・・さま?」
「はい。100年ほど・・・お待たせしてしまいましたね」
「ぁぁ・・・聖さま、聖さま。お待ちしておりました。この日・・・この刻を」
 あ〜。マジか?これはマジなのか?
 マジで幽霊とか生まれ変わりとかそういった類なのか?
175かわわらし外伝2 5/8:2006/08/06(日) 18:17:06 ID:IOhL+44s
「んっ」
 俺の体は櫻さんを抱き寄せ、その唇を奪っていた。
「はぁ・・・聖さま・・・櫻は幸せでございます」
「櫻さん」
「はい」
 何か勝手に話が進んでる・・・って、櫻さん、マジで幸せそうな顔してんな。さっきみたいな強気な顔や暗い顔の影は微塵も見えない。
 それなら・・・ま、いっか。
「このような場になって・・・本当に申し訳ない・・・私の妻となってくれないだろうか」
「ぁぁ・・・はい・・・喜んでお受けいたします」
 櫻さんは顔を両手で覆って大粒の涙を流している。
「櫻さん」
「ぁっ・・・聖さま・・・そんないきなり」
 聖が櫻さんをベッドの上に押し倒す。
「時間がありません。最後に貴方を感じさせて欲しい」
「・・・はい。聖さま」
 櫻さんは自分の着ていたワンピースを脱ぐ。
「綺麗です。櫻さん」
「恥ずかしい」
 櫻さんの体は本当に綺麗だった。全身は白く綺麗な肌。
 ほどよく膨らんだ乳房と、薄く毛の生えた恥丘。彼女は下着をつけては居なかった。
「あ・・・あの・・・わたくし・・・知識があまりありませんの・・・どうか・・・お優しくしてください」
「えぇ。私も実践は始めてですが、ある程度の知識はあります・・・だから心配なさらずに」
「はい」
 聖は両手で優しく胸を揉みながらキスをする。
「んっ・・・ぁぁ・・・聖さま・・・声・・・出てしまいます」
「出してもいいですよ。さぁ、櫻さんの可愛らしい声を聞かせてください」
「ふぁっ・・・んっ・・・んっ・・・はぁ」
 胸を揉んでいると、彼女の乳首が少しずつ固くなってくる。
 今度はそれを指で摘んだり舌で舐めたりし始めた。
「どうですか?」
「はぅっ・・・なんだか・・・胸が切なくて・・・あぁ・・・締め付けられるよう・・・ぁぁぁっ」
 乳首を噛むと、櫻さんは声をあげて背を反らす。
176かわわらし外伝2 6/8:2006/08/06(日) 18:18:14 ID:IOhL+44s
「え?あ、きゃっ」
 聖が櫻さんのお尻を高く持ち上げて、彼女のまだ湿り気の無い秘部に舌を這わせる。
「聖さま・・・そんな・・・汚い場所をお舐めになるのは・・・はぅっ」
「櫻さんに汚い場所なんてありませんよ・・・それに、舐めてほぐさないと、痛みがあるようですし」
「痛み?」
 櫻さんは本当に知識が無いのか、これから何をするのかがよくわかっていないようだ。
「交わりには痛みを伴うと聞いております」
「そう・・・なのですか」
「怖いですか?」
「・・・はい。けれど・・・わたくしは聖さまとでしたらどんな苦痛も耐えてみせますわ」
 櫻さんが優しい微笑みを浮かべる。
「櫻さん」
「はい」
 聖は櫻さんの秘部に自分の男根をあてがう。
 ゆっくりとそれを差し込むと、櫻さんの顔が徐々に歪み始める。
「い・・・っっっ」
「あ、櫻さん!」
「止めないでください・・・わたくしは大丈夫です」
 櫻さんの瞳から大粒の涙が零れ落ちる。
 二人は口付けを交わすと、お互いの顔を見て微笑む。
「んっ・・・あぁ・・・っぅ」
「はっ・・・ん・・・櫻さん・・・全部入りましたよ」
「あぁ。聖さま・・・愛しております」
 聖が腰をゆっくりと動かし始める。
「はぁっ・・・聖さま・・・いた・・・い」
「すみません。けど・・・櫻さんの中が気持ちよくて」
「聖さま・・・かまいません・・・お好きなように」
 櫻さんは横を向いて聖にされるがままになっている。
 シーツを握りしめ、唇を噛みしめ、痛みを一生懸命に耐えている。
「あ、は、あ、櫻さん、櫻さん」
 聖はさらに腰を激しく動かす。
 俺は・・・この身勝手な男が許せなかった。自分を懸命に待ってくれていた一途な女性だと言うのに。
「・・・は・・・ひじ・・・聖・・・さま」
 櫻さんの体から力が抜け、目も虚ろになってくる。
 聖も櫻さんを好きなのはわかる。その気持ちは俺の中に入ってくるから。
 けど・・・彼女を思いやるその気持ち・・・それが無いのは俺にはどうしても許せない。
「んっんっ・・・櫻さん、気持ちがいいよ・・・はぁは!?」
 急に体が重くなる。
 いや・・・この感覚は。
「櫻・・・さん?」
 俺の目の前には櫻さんがいる。いや・・・それは先ほどから変わらないはずなのだが・・・
 けど、この感じ・・・直に櫻さんに触れている感覚。ひょっとして。
 俺は腰を動きを止めて、櫻さんの胸に手を当てる。
177かわわらし外伝2 7/8:2006/08/06(日) 18:18:51 ID:IOhL+44s
「はぁっ・・・んっ」
 小さいけど柔らかい胸が俺の手によって形を変える。
 聖が消えたのか。俺が拒絶したからかな。
「櫻さん」
 俺は彼女の傷みがひくまで、ゆっくりと胸を愛撫する。
「聖・・・さま?」
「痛かっただろ。大丈夫か?」
 櫻さんが俺の顔を見る。
「・・・忠さま」
「ごめん。聖・・・消えたみたいだ・・・」
「・・・そう・・・ですか」
 俺は悲しそうにうつむく彼女の顔を持ち上げ、口付ける。
「んっ・・忠さま」
「櫻さん」
 軽く勃起した乳首を口に含んで舌で転がすように愛撫する。
「ひゃぅっ・・・はぁ・・・忠さま・・・あ。あ」
「気持ちよくしてあげるよ」
 繋がったまま、胸と陰核を愛撫する。
 先ほどよりもずっと濡れてきた、これくらいなら少しは痛みも和らぐだろう。
「動くよ」
「あ・・・はい」
 辛そうな顔を見せる彼女に俺は微笑みを返す。
「優しくするよ」
 俺は動く範囲を極力少なくして、ゆっくりと腰を動かす。
「んっ・・・んっっ・・・ぁっ・・・さきほどと・・・違う・・・あ・・・・あぁ・・・」
 段々と櫻さんの口から熱い吐息が漏れ始める。
「忠さま」
「どう?」
「・・・わかりません・・・なんだか・・・体が熱くて・・・あぁぁ」
「気持ちがいい?」
 俺がそう聞くと、彼女は首を縦に動かす。
 彼女が痛みを感じていないのを確認して、俺は腰の動きを大きくする。
「はっ・・・あ・・・あ・・・あぁ・・・なにか・・・きます」
「俺ももう・・・櫻さん」
「忠さま」
 お互いに抱きしめ合い、口付ける。
 同時に彼女の膣が俺の男根を締め付け、俺は精液を彼女の中に吐き出した。
178かわわらし外伝2 8/8:2006/08/06(日) 18:20:18 ID:IOhL+44s
「忠さま」
 ぼんやりとする頭の中で俺は彼女の声を聞いた。
「今宵はありがとうございました」
 彼女は両手で俺の手を握る。
「聖さまと忠さま・・・わたくしは・・・忠さまを・・・」
 唇に温かいものが触れる。
「もう・・・いきます・・・さようなら・・・また・・・会いましょう」

 俺の頭がはっきりとした時にはもう櫻さんの姿は無かった。
 時間は・・・まだ3時前か。どうりで暗いわけだ。
 彼女は本当に幽霊だったのだろうか。
 櫻さんと聖。
 夢か現か・・・ま、なんでもいいや・・・最後の櫻さんの顔が・・・とても幸せそうだったから。
 俺はそんなことを考えながら眠りについた。

「・・・時です・・・お目覚めの時間です」
 体を誰かに揺さぶられ俺は目を覚ます。
 ん?
 まさか!櫻さん!?
 俺は布団を跳ね除けて起き上がる。
「おはようございます。今日からよろしくおねがいします」
 ベッドの横に立ち、俺を見下ろしている女性。
 不思議な感じのする茶色の瞳と、抑揚の無い声。
「・・・って。キミ・・・誰?」
179名無しさん@ピンキー:2006/08/06(日) 18:37:36 ID:7lFu/AeW
なんか続きそうな件について。
とりあえずある程度時間立ってるのに書かれないので終わったと判断し

リアルタイムGJ!
いいよいいよいいよー!
180名無しさん@ピンキー:2006/08/06(日) 23:04:07 ID:IOhL+44s
うお・・・続くって書くの忘れてました。
今回の最後は次回に繋がってます。
181名無しさん@ピンキー:2006/08/06(日) 23:51:51 ID:sBdZnby0
GJ!!GJ!!
そして、雪女を心よりお待ちしております。
182名無しさん@ピンキー:2006/08/07(月) 00:38:54 ID:BLaNdHSZ
いや、雪女もだけど
この引きで続き来なかったら泣くw
183乙×風 ◆WApneMW3ro :2006/08/08(火) 18:25:09 ID:GUl+4nDk
流れを切ってすいません。続きを投下させてもらいます。
例によって今回も陵辱一辺倒、鬼畜度がより一層増しています。
苦手な人はry

キーワード「レズ」「ふたなり」「陵辱」「苦痛系」
184ふぉーりんシスター9:2006/08/08(火) 18:26:19 ID:GUl+4nDk
「ファシス言ったよね? 私の部屋で、私の奴隷になるって」
「あ、あれは…!」
「口答えは許さないよ? 奴隷なんだから」
 悪魔の瞳を半眼にし、エルカは残虐な表情を浮かべる。
「うふふ、私とコノットで、今からファシスを本当の奴隷にしてあげるね。誰に対してもお股を開くような。
 一日中欲情しているような。自分からおちんちんをおねだりするような――そんな淫らな肉奴隷にしてあげる。
 素敵でしょ?」
 エルカは背筋を振るわせる。親友を絶望させるだけでなく、獣同然の存在へと貶める。
 想像すると、背筋を心地よい寒気が走りぬける。
「そんな…嫌に決まってるじゃないか!」
「そう? じゃ、私コノットと一緒にこの街を出て行くね」
「今生の別れね」
 二匹の悪魔がいきなり立ち上がる。エルカの股間からファシスの精液が溢れ出し、下着を汚していった。
 一方、魔術の効果が切れたのか、ファシスの擬似男根も綺麗に消え去っている。
(動揺してるね?)
 愛する者と二度と会えなくなるという恐怖に、ファシスの心は凍えていた。
「この街、母さんの匂いが沢山してうっとおしいし、二度と戻ってこないから」
「楽しかったわよ。じゃあねん♪」
「――待て!」
 背を向ける二匹の悪魔に、ファシスは思わず声を掛けていた。
「何か聞こえた?」
「空耳よ」
「待ってくれ! 頼む!」
(うふふ☆ ファシスったら必死なんだから、おかしいっ)
 必死の懇願に、ようやく悪魔達が振り返った。
「ファシス、どうしたの? 奴隷は嫌じゃなかったの?」
「…嫌だ。けど、エルカと離れるのはもっと嫌なんだ!」
 最初から選択肢などない。ファシスの運命は決まっていた。
「だからナニ? ほら、ちゃんと最後まで言いなさいよ――分かってるでしょ?」
「エルカの奴隷にしてくれ!」
 ファシスの口から再びその台詞を聞いて、邪悪な心が満たされていく。だが、
(足りない。それじゃ足りないんだよファシス)
「違うよぉ肉奴隷だよぉ。意味が全然変わってくるんだからぁ」
「くっ…!」
 ファシスが屈辱に臍を噛む。惚れた弱みか、どんな理不尽な要求にも堪えるしかなかった。
 悔しさと愛しさの狭間で揺れるファシスの顔。その顔を見ると、胸が高鳴ってきた。
「え、エルカの――肉、奴隷に、なりたい、です…」
 その瞬間、悪魔達の中で何かが弾けた。コノットが爆笑し、エルカが歪んだ笑みを浮かべる。
「あっはっはっは! ねえ聞いた聞いた!? 肉奴隷になりたい、だって! どこの変態よ!?
 今時娼婦でもそんな事言わないわよ!?」
「仕方ないなあ。ファシスがそこまで言うなら、私――いや、私達かな? 肉奴隷にしてあげてもいいよ?
 全く、しょうがない変態さんだねっ、ファシスは?」
 悔しさで涙を流すファシスを身ながら、エルカは興奮に徐々に息を荒げていった。
「でも。ようやく素直になれたね」
「ラブパワーって奴ね。恐れ多いわ」
185ふぉーりんシスター9:2006/08/08(火) 18:27:08 ID:GUl+4nDk
 二匹の悪魔が再びファシスへと近づく。その心と体を、貶める為に。
 だが、同時にファシスは心のどこかで安心しているようだった。
 これで、エルカと一緒になれる――そんな思考が流れ込んできた。
(そんな考えが吹っ飛んじゃうくらい、今から酷い事、されるのにね)
「うふふ☆ それじゃあファシス。望み通り肉奴隷にしてあげるよ」
 ファシスを組み敷く。彼女はエルカの顔を見ないようにしながら尋ねてきた。
「また、あのおぞましいモノを生やされてしまうのか?」
「おちんちん? 違うよぉ、今度は私がファシスを犯すんだよぉ」
「…何っ?」
 言って魔術で自らの肉豆を変化させる。皮を押し広げながら肥大化していくクリトリスの感触に、
 エルカは甘い声を漏らした。目の前に突きつけられた異形の物体に、ファシスが目を見開く。
「あん――さあ、ファシス? お股、開いて」
 だが、抵抗は無駄だと分かったのか、顔を真っ赤にしながらファシスは大人しく従う。
 その顔を、滅茶苦茶にしたいと思った。
 尻尾を素早く動かす。矢じり型のそれを股下で挟むように服の下へと潜らせ、擬似ペニスの真下へと持ってくる。 そしてそれを脈打つ茎へと螺旋状に巻き付けていった。
「な、何をしているだ!?」
 横目でそれを見ていたファシスが狼狽の声を上げた。それはそうだろう。
 これから自分の処女を散らす肉棒が、いまや少女の手首ほどの太さになっている凶悪な物ならば。
「はあ、はあ、見て分からない? おちんちんに尻尾を巻き付けてるの」
「ま、まさかそれを?」
「当たり前だよ。この太いのをファシスの中に突っ込むんだよ」
「馬鹿な! 入る訳がない! 止めてくれ!」
「うるさいよ!」
 ぱしんっ、口答えするファシスの頬を、叩く。立場の分かっていないファシスには折檻をする必要がある。
「…エルカ…?」 
「肉奴隷なんでしょ!? そんな口、利いてもいいと思ってるの!?」
「う、あ…許してくれ…! 頼む…」
「駄目っ。ファシスは、私達の玩具なの…! 玩具は黙って、犯されて!」
 仲良く矢じりと並んだ亀頭を、ファシスの濡れた淫裂へとあてがう。
「ひっ!」
 恐怖に青ざめるファシスの顔を眺めてから、
 一気に、それを突き入れた。
 めりめりめりっ!
「ひぎいいぃぃっ!?」
「はあっ! はあっ!」
(入ってる! 私のが、ファシスの中に入ってる!)
 明らかにオーバーサイズのイチモツが、ファシスの膣内を強引に拡張しながら最奥へと到達した。
 処女膜は無残に散らされ、ファシスの太股に多量の血が垂れる。
186ふぉーりんシスター9:2006/08/08(火) 18:27:55 ID:GUl+4nDk
「死ぬぅ! 抜いて! 抜いてぇ!!」
 体の中心から裂かれるような激痛が、ファシスを襲っている。その感覚を読み取り、幾分か共有しながら、
 彼女の悲鳴を聞いていた。友人の叫びは、音楽家の演奏のように心に染みて心地よい。
「大丈夫だよぉ。さっきのエッチで、肉体強化の魔術を少し掛けてあげたから、これくらいじゃ壊れないよ?
 アソコ、沢山裂けたみたいだけどね?」
「ありゃあ、かわいそーに。治ってもマンコガバガバになっちゃうかもね」
「そうなったら、ファシス。私達のおちんちんじゃないと満足できない体になっちゃうね?」
「そん、なっ…! ――ぎゃあっ!」
 蛙が潰された時のような醜い叫び声。エルカが腰を思いっきりピストンさせたのだ。
「ねえっ、嬉しいっ? 私無しでは生きられない体になって、嬉しいっ? 何とか言ってよ!」
「あっ、があ! ひぎぃ!」
「はあっ! はあっ! ファシス! なんて痛そうな顔っ、痛そうな声! もっと見せて、もっと聞かせて!」
 狂ったように腰を動かす。溢れ出る鮮血を潤滑油に、まだ未開の膣を蹂躙していく。
 女性にしては引き締まった下腹の一部があり得ないほど膨らみ、エルカのピストンに合わせて
 男根の形を浮き上がらせる。
「あらあら、かわいそーに。アタシが慰めてあげよう♪」
 コノットがファシスの背へと回り込む。
「はっ! ぎいっ! ――はぁっ…!?」
 悲鳴の中に、甘い声が混じった。コノットが、優しくゆっくりとした動作でファシスの胸を揉み解し始めたのだ。
「ふふふっ」
 コノットは怪しく笑うと、ファシスの耳たぶを甘噛みし、桜色の二つの頂点を優しく揉み解していく。
「はっ! はっ! ――ああっ! はうん!」
「なーにアンタ? アタシに優しくされて、感じてるの?」
「えーっ? 私の愛は、受け止めてくれないんだっ」
 コノットが、胸から腹、腹から臍、臍から股へと徐々に右手を滑らせていく。
「ふふふっ、スゴイ。アンタの腹、盛り上がってるわよ?」
 そして勃起したままのクリトリスを優しく優しく撫で上げた。
「くあっ!?」
「あんっ…! ファシスの中、締まるよぉ!」
「ふふっ、クリトリス、気持ちイイでしょ? ――ちゅっ、ちゅぅぅ♪」
 コノットはファシスの胸と肉芽をいたわるように愛撫しながら、首元に顔を埋める。
うなじにキスをし、浮き上がっている冷や汗を吸引する。
「ふあっ、やめっ! さわ、るな!」
「どーして? 痛いより気持ちイイ方がイイでしょ?」
「だがっ!」
 ピンク色の悪魔を言葉で拒絶する。だがファシスの体は、痛みよりも快楽を与えてくれるコノットへと傾いた。
 激痛の中、愛人の戯れのように優しい刺激に、体を預けてしまいそうになる。
「あー、ファシスったら浮気するんだ?」
「違うんだ! これは! ――があ!?」
187ふぉーりんシスター9:2006/08/08(火) 18:28:56 ID:GUl+4nDk
 器用に尻尾の先端だけを動かして、敏感な肉ヒダを掻き回してやる。
 矢じりのかえしが、肉のトンネルを傷付け、新たに血を流させる。
「ねえ、私の痛みと、コノットの快楽、どっちが好き? ねえ、ファシスったら、答えてようっ」
「あ、がっ! ぎっ! ――ふあっ、はうぅ…!」
 二匹の悪魔に挟まれて、ファシスが混乱する。身を裂く激痛は友人が。優しい快楽は仇が。それぞれ与えてくる。
 ――違う、こんな筈ではない。悪魔は冷酷で、エルカは優しい。その筈だ。
 だが、今自分に与えられているのは全く逆。一体どうなっている――
 そんな思考が流れてくる。
(さあ、どっちなの? 私とコノット、どっちがいいの!?)
 ある意味被虐的な行為に、エルカが背筋を振るわせる。もし、快楽に傾倒したファシスが、エルカを見放し、
 コノットを愛するようになったら――そう思うだけで、達しそうになる。
「ファシスは、ファシスは私を好きなんだよね!? だから私が何をしても、私を愛してくれるんだよね!?」
「ほら、ファシス。気持ちイイでしょ? もっと気持ちイイ事、したげよっか?」
「私は、――っ、っ…私はぁっ!」
 快楽と痛みの狭間でファシスは揺れ――

「エルカがいいんだぁ!」

「……っ!?」
(あ、イっちゃう)
どぴゅるっ! どぷどぷるっ! どくどくっ!!
「うがあぁっ!?」
「はぁっ! はぁっ! ハァアンッ…!」
 ファシスの最奥へと精を放つ。矢じりの先端と亀頭の両方から噴出したマグマは、
 あっと言う間にファシスの胎内を満たし、彼女の腹を更に圧迫する。
 熱さと苦しさで目を見開くファシスに構わず、エルカは更に快楽を得ようと腰を振った。
 ぐちゃぐちゃと彼女の腹を掻き回すと、精液と血液、それに空気が混じってピンク色の泡が漏れ出す。 
「ふふふっ。フラれちゃったわね。残念」
「当たり、前だ…! 私は、エルカしか、愛さない!」
「だってさ、エルカったら愛されてるねー。妬けるわ――ってありゃりゃ? エルカ?」
 コノットがエルカの心を感知して首を傾げた。
「……いらない……」
「エルカ?」
「ファシスの愛なんて、いらないっ」
「なっ!?」
188ふぉーりんシスター9:2006/08/08(火) 18:34:58 ID:GUl+4nDk
(すごく不愉快だよ! ここまで、苛めてるのに、まだそんな事を言うんだから!)
 そう、今のエルカにとって、ファシスの愛は眩しすぎた。
「そんな、私にどうしろと言うんだ!?」
「ファシスはねえ、肉奴隷さんなんだよ! おちんちんを突っ込まれる為なら誰にだって、悪魔にだって、
 お股を開くような、そんな浅ましい人間じゃなくちゃ駄目なの! 愛?
 ファシスにはそんな高尚な感情、必要ないの!」
 息を荒げるエルカに、ファシスは呆然とするしかない。その背で、コノットが面白そうに笑っていた。
「エルカぁ? どうしてファシスを堕とすのにそんなに拘るの?」
(それは…)
 その問いに対する応えは、自分の中の最も暗い部分。悪魔となったエルカの深層心理だ。
 それを自ら暴く、という被虐にエルカは声を震わせながら告白する。
「私は、悪魔になって、とてもエッチで嫌な子になったの。なのに、ファシスは人間のままずっと
 私を愛してくれてる。それが私には我慢できないのっ。ファシスには私よりも浅ましい、
 エッチな子になって欲しいの! そうすれば! 私は、大好きなファシスを見下しながら、
 ずっと一緒に居られる! 一緒に居られるんだよ!」
 激白に、コノットが邪悪な笑みを浮かべる。
「最高よエルカ。アンタの愛は、ムチャクチャ曲がってる」
(愛? これが? ファシスを貶めて、ずっと一緒に居たいと思う事が?)
 そうかも知れない。愛の形なんて千差万別。誰かに拘り、一緒に居たいと思うなら、それはきっと愛だろう。
 だが、悪魔となった自分が、人を愛するなんて、認めてはいけない気がした。
「違うよコノット、私はただ、ファシスを汚したいだけ。無茶苦茶にしたいだけなの!」
 そうだ、その為の陵辱なのだ。
「っ? …何だ!?」
 ファシスが急に腹部に強烈な疼きを覚え、顔をしかめた。
「ふふっ。ねー、ファシス? 知ってる? 悪魔の体液はね、媚薬と一緒なの。それに加えて、
 今私はあなたに精気を送り込んだ。エッチな悪魔の精気をね。どういう事だか分かる?」
「まさか…!?」
「そう。今からエルカとアタシで、アンタをレイプする。そして、その体に汚い悪魔のスペルマを何度も注ぐのよ。
 アンタが淫乱な雌になるまでね」
 コノットの説明に、ファシスが顔を青くした。
「じゃあ――始めようっ」
 恐怖に慄き、首を振るファシスにエルカは禍々しい擬似ペニスを突きこんだ。
189乙×風 ◆WApneMW3ro :2006/08/08(火) 18:39:46 ID:GUl+4nDk
以上です。前回で宣伝したとおり今回は少し短めです。
その分、エルカ視点で描写した彼女の歪みっぷりがいい感じで書けてると思いますが。

……ちゃんと書けてると思いたい。

純情な女の子が邪悪になっていくのを見てハアハアするのは俺くらいですかね。
……はい俺くらいですね。ちょっと吊ってきます。

それはともかく。次回更新分でようやくファシスの陵辱編が終わります。
ついでにコノットの過去話などもやる予定です。

それではまた。
190名無しさん@ピンキー:2006/08/08(火) 20:24:51 ID:Tt8Fkr5p
相変わらずエロス。
「ずっと一緒に居たい」か……人間性を捨て切れていないのは善い事か悪い事か。
それに、歪んでいても愛は愛なんじゃないでしょうか。

個人的な妄想としては、やっぱりファシスも悪魔になって三人仲良くエロエロで過ごしました。
っていうのが現状で最もベターな終わり方だなあ、と。



……要するにGJ!と言いたい訳だ。
135辺りの悪堕ちスキーな名無しより。
191名無しさん@ピンキー:2006/08/08(火) 21:52:13 ID:cE/T+9IG
愛と邪悪の狭間で揺れ動くエルカタン( ;゚∀゚)=3ハァハァ
ところで………

>>185
「な、何をしているだ!?」とはなんですか?
192名無しさん@ピンキー:2006/08/08(火) 22:21:31 ID:QBtQCV/W
俺も純情な女の子が邪悪になっていくのを見てハアハアする口。
でも同時にファシスのような堅物な女の子がエロに翻弄される姿見るのも好きです。
個人的にはファシスが逆転してエリカが人間に戻る・・・・・


なんてラストにならないようにしてくださいw
堕ち切らずに正気を保ったまま肉奴隷として飼われるに1票。
193名無しさん@ピンキー:2006/08/08(火) 22:33:04 ID:xAM1XOSZ
>>191
何をするだァーッ
194名無しさん@ピンキー:2006/08/08(火) 22:37:42 ID:WA4a6FcG
ゆ、ゆるさん!
195名無しさん@ピンキー:2006/08/08(火) 23:46:42 ID:x7K16ILn
君がッ!続きを書くまでッ!ハァハァするのをやめないッ!
196名無しさん@ピンキー:2006/08/08(火) 23:46:58 ID:M0DGT36g
>>189
GJでした。エルカの心の奥の奥ではまだ葛藤が続いているのだろうか……。
俺も同志>>190同様、ラブラブハッピーエンド所望。
「みんなで幸せになろうよ。」がモットーなモンで。
197名無しさん@ピンキー:2006/08/09(水) 01:37:38 ID:IxgqAPhE
陵辱物のラブラブハッピーエンドって、雌奴隷?w
乙っす〜
198名無しさん@ピンキー:2006/08/09(水) 17:27:48 ID:QqIGZFyL
GJッス
ファシスも悪魔k(ry
199名無しさん@ピンキー:2006/08/11(金) 14:47:14 ID:Z1qB2YNs
>>197
口では抵抗しながら、体が逆らえない。というパターンもありかと

>>199
それなんてツンデレ?
200名無しさん@ピンキー:2006/08/11(金) 17:11:29 ID:Re1YzPBL
快楽堕ちはラブラブとかツンデレとは言わないのが普通だと思うのだが。
201名無しさん@ピンキー:2006/08/11(金) 19:57:26 ID:pOXGFvYA
くやしい……でも、体が感じちゃう…ビクビクッ
202名無しさん@ピンキー:2006/08/12(土) 00:15:22 ID:Ai6DSl0C
ツンツンから奴隷へ
略してツンドレ
203名無しさん@ピンキー:2006/08/12(土) 05:52:46 ID:/gAjbL/t
誰が上手いことを(ry
204名無しさん@ピンキー:2006/08/13(日) 00:04:31 ID:dmZ2mROC
ギシギシアンアンから奴隷へ
略してアンドレ
205名無しさん@ピンキー:2006/08/13(日) 00:26:20 ID:U0tokHr5
アンドレ〜〜〜〜!!
206名無しさん@ピンキー:2006/08/14(月) 22:47:48 ID:jBC1JW7m
オスカル〜〜〜〜!!!
207名無しさん@ピンキー:2006/08/14(月) 23:05:21 ID:3I5rvsxg
ラスカル〜〜〜!!!
208名無しさん@ピンキー:2006/08/14(月) 23:53:23 ID:j4upesF7
>>207
化け狸少女と化け狐少女に囲まれる展開を妄想した
209名無しさん@ピンキー:2006/08/16(水) 22:48:43 ID:n13LL3br
先日の妖怪大戦争って、このスレ的にはヒットじゃなかったか?
川姫の肌の質感を確認するシーンか、ろくろ首とか。
210名無しさん@ピンキー:2006/08/16(水) 23:01:46 ID:psbfeUWV
三次元の映画で君はなにを言っているんだ
211名無しさん@ピンキー:2006/08/17(木) 00:03:24 ID:nrOmz54/
雪女は好きでした!!
212名無しさん@ピンキー:2006/08/17(木) 01:17:43 ID:1S/fA60w
キャラは良いんだけど、話がさw

pink板十五日閉鎖案は回避の模様(間に合わなかったらしい)
削除板は移動したそうです
213名無しさん@ピンキー:2006/08/17(木) 01:23:37 ID:1S/fA60w
投下無いけど立ってました

妖怪大戦争のエロパロ
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1155309724/
214乙×風 ◆WApneMW3ro :2006/08/17(木) 18:23:59 ID:yS1Hqq/g
お待たせしました。続きを投下させてもらいます。
ちなみにエロシーンに関しては今回更新分最後となります。
その分非常に濃い内容になっているので、例によって苦手な(ry

キーワード「レズ」「陵辱」「アナル責め」「二穴責め」「ふたなり(凶悪)」
215ふぉーりんシスター10:2006/08/17(木) 18:24:54 ID:yS1Hqq/g
「んっ、んっ、あんっ、ファシスのアソコ…きつきつだよぉ」
「い、ぎ…っ…はっ…かはっ」
 エルカが注挿を始めた。悪魔の粘液も暴力的なサイズの擬似男根には効果が薄いのか、
 ファシスは未だにヒューヒューと苦しげに呼吸を繰り返している。
(いいザマよ)
 悪魔によって大好きな友人を悪魔へと変えられ、その友人に今こうして犯されている。 
 その屈辱感と絶望が、コノットの暗い心を満たしていく。
「ね、エルカ? ファシスの奴、まだ苦しいみたい。ちょっとは手を抜いてあげたら?」
「あっ、あん、あっ――ん、そうだね、まずは、エッチの気持ちよさを知ってもらった方がいいね」
 相方がコノットの思考を素早く読み取り、考えに同意する。
 それはシュトリの悪魔が持っている、女性の思考や、深層心理を読み取る能力だ。
(便利なんだけど、エッチに夢中になっちゃうとそんな暇も無いのよね)
 それに対象との距離や、自分の魔力量によっても大きく効果範囲が変わってくる。肌を重ねていると確実だが。
「…ぐあっ!?」
 ファシスが悲鳴を上げる。エルカが擬似ペニスに巻き付けていた尻尾を引き抜いたのだ。
 ファシスの膣内から強烈な圧迫感が消え、彼女は安心したようだ。
「でも、今度は私があんまり気持ちよくないなあ。ファシスったらアソコ伸びすぎて全然しまらないよ?」
「ううっ…!」
 エルカの容赦ない言葉攻めは、ファシスの心をずたずたに切り刻んでいく。コノットも興奮してきた。
「じゃあ、こうしましょう♪」
 コノットが股下から尻尾をくぐらし、ファシスの桃尻の中央へとあてがった。
 びくり、とファシスが体を震わせ、肩越しにこちらを見る。
(あぁっ、その怯えた表情がたまんないわっ)
「な、何をする気だ!?」
「うふふっ、アンタの尻のバージンを貰うってことよ!」
 宣言と同時に、尻尾を突き入れた。
「ひ!? あ、馬鹿止めろ!」
 下着の繊維がぶちぶちと破れ、やがて尻尾の先端が茶色の窄まりに埋まった。
「うああぁぁっ!?」
「あんっ――あはっ☆ ファシスのアソコ、締まってきたよ?」
「そうでしょ? さて、じゃこっちも――それっ」
 ずにゅにゅにゅっ! 
「ひっ!? っ! か…っ! …っ」
 一気に奥まで突き入れる。ペニスで犯すのとは違い、悪魔の尻尾は、ファシスの肛門の最奥まで侵入する。
「あぁん…ファシスのケツ、さいこぉ♪」
 腸壁が尻尾を全体的に締め付ける感覚に、コノットは恍惚とした表情を浮かべた。
 そして更なる快楽を貪る為に、突き入れた得物をピストンさせる。
 ずぬぬっ…ずぬぬっ――尻尾をゆっくりと引き抜き、先端が抜けてしまう直前で再び尻穴へと差し入れていく。
 尻尾の太さはある程度自由に変えられる。今ファシスを肛姦する尻尾は、
 男根よりも一回り小さく、負担が小さい。それでもファシスは、一方通行である筈の穴を逆行し、
 折り返し出て行く長い異物の感触に、ただ戸惑うしかなかった。
「ひいっ? あっ!? だめだぁ!」
「どう? 尻尾で尻を犯される感覚は? 超イイでしょ?」
「そんな訳が、はあっ、あるかぁっ」
「本当かなぁ?」
 言いながら手を伸ばし、ファシスの乳首を捏ねる。
「ふあっ!?」
 不意打ちの攻撃に、ファシスが甘い声を出す。
「あー、私も☆ ――ちゅっ☆」
 エルカがファシスの唇に、コノットはうなじにキスをする。エルカの胸に実った巨大な二つの果肉が、
 ファシスの胸に押し付けられ、ピンク色の先端同士が捏ね繰り回される。
216ふぉーりんシスター10:2006/08/17(木) 18:27:21 ID:yS1Hqq/g
 更にコノットは胸を揉んでいた手を下へ滑らせ、快楽神経の集中した肉豆を皮越しに軽く揉む。
「んむっ? んんっ…ふん、んん…っ!」
 愛らしい少女の姿をした二匹の悪魔に体を密着させられ、濃厚な愛撫を受けるファシスは、
 そのあまりに淫靡な責めに悶え、感じているようだった。
 悪魔達の愛撫は、先程と打って変わってまるで恋人にするように優しく、
 ファシスの理性が徐々に溶かされていく。
「ちゅっ、ちゅっ――ふふっ、どう? 気分、乗ってきたんじゃない?」
「――ぷはっ! はあ…! はあ…!」
「あははっ。ファシスの目、トローンってなってる! 感じてたんだね?」
「ううっ…」
 先程エルカに注がれた精液の効果も相まって、優しく、だが濃厚な愛撫から開放されたファシスの体と心は、
 快楽を受け入れる用意が出来つつある。
「うふふー。それじゃ動かしてみますか?」
 ゆっくりと尻尾を引き抜いていく。
「んあぁっ」
 矢じりに腸壁を引っ掛けられ、外側へと引っ張り出される感触に、ファシスは鼻にかかった喘ぎを漏らす。
(うふふ。こいつ、感じてるじゃん!)
「ケツ、イイでしょ? うんちが出て行くような気がするのが、たまんないでしょ?」
「ば、そんなわけは! ――はうっ!?」
 尻尾を勢いよく挿入して意地っ張りを黙らせる。
「あん☆ ファシスのアソコ、さっきからきゅうきゅう締め付けてきて…堪んないよう」
「ほら、エルカも言ってるじゃん――ね? 気持ちいいんでしょ?
 尻の奥までずぼずぼされるの、ステキでしょっ?」
 興奮したコノットが息を荒げながらピストンのスピードを上げた。
 性交の際この悪魔達は尻尾に性感帯を作る。肛門深く突き入れた尻尾は、
 大きな面積を柔らかい腸壁に締め付けられ、悪魔の脳に至高の官能を伝えていた。
「ち、違う! そこは、うぁあぁっ――べ、便を出す所だぞ! 感じるなんて、不潔だっ」
「黙りなさいよこのエロ剣士! さっきからウネウネアタシの尻尾を締め付けてくるクセに!
 あん、ほらまたぁ!」
「わ、私も、おちんちん締め付けられて…もう我慢出来ないよっ」
「あぁ!? え、エルカ、やめ――はぁうっ!」
 性欲に抗えなくなったエルカがファシスの膣を蹂躙し始める。
「はあっ、はあっ、んく…! ――ぁんっ、ファシスのアソコ、気持ちいいよぅ!」
「あっ、あっ――はぁあぁぁ…っ――はぁっ、あぁん!」
 前の穴と後ろの穴を同時に責められ、ファシスはあられもない声を上げ始めた。
「んっ、はぁっ…♪ …なによ? 前と後ろにチンコと尻尾を突っ込まれて、感じてるの? この淫乱!」
「ちが、ちがうぅっ」
「違わない!」
「そうだよ! ファシスは変態さんだよ!」 
「ううっ! ――あっ、はぁっ、あうん…っ」
 ファシスの声がせつなく、甘いものへと変わっていく。犯されている二つの穴からは粘液が多量に分泌され、
 卑猥な音を立てると、辺りを甘酸っぱい雌の発情臭で満たしていく。 
「はぁっ、はぁっ、はぁっ!」
「はあぁぁ…ううぅん…!」
「あっ、あっ――はあぁぁあっ…! あっ!? はあん!」
 前後から犯されていたファシスが、体を痙攣させた。
「あっ!? はっ! ヘンに、ヘンになる!」
「あははっ! イクんでしょ!? 悪魔に二穴責めされて、イっちゃうんでしょ!? 変態!」
「ファシス! いいんだよっ、変態さんでいいんだよ!? だってファシスは私達の肉奴隷なんだから!」
 性に敏感な悪魔達は、獲物が絶頂寸前である事を察知すると、猛然とペースを加速させる。
 尻尾と擬似ペニス。互いの存在を確認するように、腸壁越しに擦り合った。
「うああああああっ!!?」
 尻尾の先端とペニスの亀頭でぐりぐりと腸壁を挟み、揉み込まれた瞬間、
 ファシスは絶頂に達した。
「あ、きゃぁんっ☆」
217ふぉーりんシスター10:2006/08/17(木) 18:28:08 ID:yS1Hqq/g
「あはっ♪ 締まるぅ♪」
 どぴゅるっ! どぷどぷどぷっ!
 前と後ろ。両穴に大量の精液が注がれると、ファシスは下半身を焼く粘液の感触に、
 更なる高みへと押し上げられる。
「あぁぁあぁぁっ!!」
 髪を振り乱すと、擬似男根と淫裂の隙間からびしゅびしゅと汁が迸る。余りの快楽に、潮を吹いたらしかった。
(うふふっ。よっぽど気持ちよかったのね。感じまくり♪)
「アンタっ、雌奴隷の才能あるわよ? さっきまで処女だったのに二穴責めされて感じてるんだから!」
「あはっ、そうだね。それにファシスったらこんなに私達の精液を飲み込んで、
 もっとエッチな体になっちゃうんだから」
 エルカが擬似ペニスを抜き、コノットも尻尾を引き抜いた。
「はあっ! はあっ…! はあっ――っっっ…! あっ!? あついぃっ!?」
 絶頂に喘いでいたファシスが体を痙攣させ、目を見開く。悪魔の精がファシスの体を犯し始めたのだ。

 悪魔変異の魔術を使用した上で悪魔が人を犯せば、犯された人は悪魔へと落ちるが、魔術を使用しない場合、
 人の身は只ひたすら淫らな雌へと堕とされていく。

「どう? ファシス? 私達の精気は? エッチしな事したくてたまらないでしょ?」
「はっ、あぁっ…! え、エルカぁっ、助けて、くれぇっ、おかしく、なりそうだ…!」
 悪魔達に大量の淫気を注がれたファシスの体の中では、熱く淫らな疼きが快楽を求めて暴れまわっている。
 このままでは放っておけば、本当に壊れてしまうだろう。
「…いいよぉファシス。貴方をめちゃくちゃに犯してあげても☆
 だからね? おねだりして? いやらしい言葉で」
「…そ、そんなっ…」
「イヤなら言わなくてもいいわよ? アンタ、ここで発狂するだけだから」
「くっ、そっ――はあっ! う…! はぁっ、はぁっ…!」
 喘ぎがどんどん切羽詰ったものへと変わる。ファシスの中でなけなしの理性と、
 堕ちていく本能がせめぎ合っていた。
(イイわよ! ファシス、ここまで汚されても理性を保てられるその強靭な精神! 
 もっと葛藤しなさい! アタシを楽しませて!)
 高潔な魂が堕ちた瞬間――その瞬間がコノットにはたまらない。特に、憎しみの対象がそうなった時は、
 それだけで達しそうにもなる。
「あ、アソコを…!」
「マンコって言え! この雌!」
 口汚く罵ってやると、プライドに亀裂が入っていく。
「私の――ま、ま、――マンコに、あ、熱いのを…入れてくれ!」
「熱いのってナニさ?」
「駄目だよファシスぅ。ちゃんと言ってくれないと、このはしたないおマンコに、
 何を突っ込めばいいのか分からないよ?」
 傷付いたプライドを更に傷付ける。渦巻く欲情の炎が子宮から蜜を搾り出し、注ぎ込まれた精液を洗い流す。
 やがて、僅かに残された理性も、洗い流した。
「私のマンコに、ペニスを入れてくれ! あぁっ! もう、我慢できないんだ!
 アソコが、マンコが疼いて…! 思い切り掻き回して欲しいんだ!」
 ファシスが、本能に屈した。
(やった、やったわよ! あぁ、んっ…! アタシも、軽く、イっちゃう♪)
 屈服感、征服感に酔いしれて、コノットが体を振るわせる。
 だが、まだだ。ファシスへの復讐心はまだ満たされない。
「いいわよ! 望み通り、犯してあげる! こっち、向きなさい!」
(アタシのチンポで、ヨガリ狂わせたげる!)
 ファシスの腕を取り、こちらを向かせる。
 欲情に染まった剣士の瞳を眺め、優越感に浸りながら、自分の陰核を肥大化させ、陵辱の準備をする。
 クリトリスの皮が擬似ペニスを締め付ける感触に熱い吐息を漏すと、
 両手で彼女の膝の裏を持ち上げた。
「うあ!? な、何をっ」
「アタシがアンタを犯すのよ! その恥知らずなマンコに、アタシの濃いザーメンをどくどく注いでやるのよ!」
218ふぉーりんシスター10:2006/08/17(木) 18:29:06 ID:yS1Hqq/g
「い、嫌だあ!」

(ああ? 今コイツなんて言った?)
 つい今しがた、確かにファシスの心は屈した筈だ。だというのにコノットを拒む原因は何故か。
 コノットはファシスの心を読み取る。
「――あ、ああ。ナルホドねっ。そーかそーかあはははっ!
 アンタ、中出しされて赤ちゃん出来ちゃうんじゃないかって思ってたんだ?」
 中に出されれば妊娠する。それもエルカの子供なら構わないが、相手がコノットとなると話は別――という事だ。
「あのねファシス。私達の精液ではね女の子は妊娠しないの。逆に私達が赤ちゃんを産む事もないんだよ?」
「…う? そう、なのか?」
「そう、アタシ達はね。女の子を悪魔へと堕落させる事で繁殖しているの」
「……それでは、まさか」
 ファシスがその事に気付く。エルカはコノットに犯され、悪魔となった。ならばコノットも――
「そうよ。元々アタシもニンゲンよ?」
「あー。私、コノットの人間の時の話、聞きたい」
「ええ? しょうがないわねえ。いいわよ」
 
 ――コノットは、貧しい農村で、父と母、三人で暮らしていた。
 ひもじい暮らしは苦痛ではあったが、親が居れば幸せだった。
 だが五年前の春、大規模な飢饉が村を襲う。
 冬が終わり、村全体が飢えていた時に起こった惨事。
 このお陰で、領主に治めるべき作物も育たず、多くの村人は飢えに苦しんだ。
 コノットの家族も例外ではない。特にこの時、母親は妊娠していた。無事生まれればコノット妹となる女の子。
 だが、胎内で我が子を育てるほどの食べ物が、この時は無かった。
 食べ物が、金が必要だった――

「アタシはね。親に売られたのよ」
「何だと…!」
「それだけじゃないわよ。アタシを買い取った貴族のおっさんに、毎日のように慰み者にされたわ」
「コノットかわいそー」
「セリフ棒読みだっつーの」
 相方に頭にチョップを叩き込む。
「まあ、その時のアタシは愛らしくて可愛い只の美少女だったから、そりゃあもう、地獄のような日々だったわ。
 しかもその金持ちのおっさんも相当ヘンタイでね? 怪しい道具とか怪しい薬とかなんかイロイロ使うわけよ。
 んで、不覚にも――アタシはおっさん好みのちょっぴりHな女の子に調教されたワケ」
「なんだか凄そうだねー。私もして欲しいかも」
「犬にファックされたいならいいかもね?」
「い、っ!?」
 ファシスが驚きの余り目を見開き、
 エルカは自分が犬に組み敷かれる姿を想像してうっとりとした表情を浮かべている。
「犬ならまだマシよ。アタシはアルラウネにヤラれたんだから」

 アルラウネというのはラフレシアのような巨大な花を胴体とした、女性型モンスターだ。
 人間の雌を引き寄せる特殊なフェロモンを発し、胎内に種を植え付ける事で繁殖する。
 アルラウネ自体も理性を持っており、人買いや調教師と協力するケースは少なくなかった。
 アルラウネは種を増やし、調教師は奴隷をいち早く淫らな雌へと変える事が出来る、
 ――利害が一致しているからだ。

「あの時、世界に絶望していたアタシは、快楽がこそが全てだった。そんな時よ、親を見かけたのは」
 野外調教と称して館の外に連れ出された時の事だ。両親が手を繋いで幸せそうに笑っているのを見てしまった。
「あいつらは、そりゃあもう幸せ絶頂、てな感じで手を繋いで歩いていたわ…! 信じられなかったわ! 
 アタシの事を売って、どうしてそんな顔が出来るのか! あいつらは分かってなかったのよ!
 売られたアタシが、毎日何をされてるのか! どんな気持ちでいたのか!」
219ふぉーりんシスター10:2006/08/17(木) 18:30:20 ID:yS1Hqq/g
 その日から、コノットは理性を取り戻した。気が付けば体は随分と淫らで、いやらしくなっていたが、
 されるがままの人形ではなくなっていた。憎悪が、コノットの心を支えていた。
「いつか復讐してやる! そう思ったわ――そして、その日は思ったより早くおとずれたの」
「悪魔が、現れたんだね」
「そう。アタシを悪魔にした悪魔。ビトリ=シュトリ。ビトリは言ったわ。復讐したくはないか? ってね。
 もちろんアタシは二つ返事でオーケーしたわ」
 調教の末、淫らになった心身は、シュトリの悪魔となるには適材だった。
 思い出す。悪魔となる為の儀式。ある筈の無いものを生えさせられ、
 精気を絞りつくされた後、魔の精気を受ける。
 無論、その過程で悪魔ビトリの性的嗜好にも付き合わされた。彼女は鎖を用いた束縛を好んでいた。
 コノットの首に嵌められた無骨な鎖は、その時の名残でもある。
「悪魔となったアタシは先ず、アタシを散々な目に遭わせてくれたおっさんから精気を吸い取った。
 おっさんだけじゃない。館にいた使用人、メイド。皆犯して、よがらせて、精気を奪ったやったわっ」
 興奮する。あの時の事は今でも鮮明に思い出せる。男女問わず十人以上との交わり。
 乱交の中、悪魔の体を思う存分味わい、魔力を蓄えた。
「そして、力を付けたアタシは、あいつらに復讐したの」
 口の端が釣り上がる。
「アタシはママ――あの女の前で、パパを襲った。そして、考えられるスケベな手段をありったけヤって、
 干乾びるまで精気を吸い尽くしたの! あはははっ! 最高だったわよ! その時のあの女のカオ! 
 涙で顔をくしゃくしゃにしてさ、アタシに言うの! どうしてこんな事するの? ってね!
 わらっちゃうでしょ!? ――こんな事になったのは誰のせいだっつーの!」
「ぐっ!?」
 ファシスが呻き声をもらす。気が付けば、コノットは掴んだファシスの膝に、ぎりぎりと爪を立てていた。
 血の玉が溢れ出し、やがて赤い筋となる。どうやら頭に血が上っていたらしい。
「まあ、それはともかく。売られたアタシがどんな生活をしていたのか。
 あの女も気になっていたみだいたったから、教えてあげたのよ――その体に、たっぷりとね…」
「うわあ、コノット鬼畜だぁ」
「貴様、まさか、父親だけでは飽き足らず、母親までも…!」
「ええ、襲ったわ。でも精気を吸ったわけじゃない。アタシがおっさんにされた事と同じ事を、してあげたのっ」
 強制自慰。フェラチオ。中出し。アナルファック。二穴、三穴責め。媚薬浣腸。放置プレイ。擬似ペニス――
 数え上げればキリがない程の淫行を、三日三晩、休み無しで施した。勿論体力が切れれば精気を分け与えた。
「三日よっ、三日でどうしようもない雌豚に成り下がったわ! あはははっ! 信じられる!? 
 お腹に赤ちゃんがいるのに、精液ちょうだーいっ、ってねだってくるのよ!? もう畜生以下よ!」
「すごーい! それで、コノットのお母さんどうなったのっ?」
「ああ、人買いに売りつけたわ。今頃、人間でもモンスターでもなんでも相手に、
 ズンズンパンパンやってんじゃない? うふふっ! 本当にいい気味よ!」
「貴様! 実に母親に何をしたのか分かっているのか!?」
「……あのさファシス、自分の心配をした方がいいわよ? アンタも今から同じ目に遭うんだからね!」
 まんぐり返しと言われるその体勢を強要すると、斜め上から極太サイズの肉棒を沈め落とした。

 ***

 ずりゅりゅりゅっ!
「くああぁぁぁんっ!?」
「まだまだあっ」
 肉のシャフトを膣に差し込まれたまま、茶色の窄まりに尻尾の先を突き入れられた。
「ひ、や、止め――ひきいいいぃぃぃっ!?」
 尻尾は、先程肛門の中にぶちまけた擬似精液を潤滑油にして、スムーズに進入していく。
「あははっ! ファシスの体は本当にスケベねっ。マンコもケツもドロドロでっ、
 アタシ、ちょうイイわよ! アンタもイイんでしょっ!?」
 日本の凶器を突っ込んだ瞬間から、二つの穴はきゅうきゅうと締め付けてくる。
 コノットが昔話をしている間に淫気が全身へと回ったらしい。窮屈な姿勢で二穴刺しされているにも関わらず、
 ファシスは感じていた。
「そ、そんな事はぁ…!」
 だが、戻り始めた理性は、そんなはしたない自分を認めるわけにはいかない。
「ふふふっ! そう、こんなんじゃ足りないんだ!? じゃあ、もっとステキな事をしたげる!」
「――ふあん!」
 クリトリスを直に揉まれ、ファシスが甘い声を上げる。
220ふぉーりんシスター10:2006/08/17(木) 18:31:09 ID:yS1Hqq/g
「あ!? ふあああっ!?」
 ファシスの淫核が肥大化し、再び擬似ペニスとなる。
 自分の顔に向けて徐々に迫ってくるグロテスクな肉竿に彼女は目を白黒させた。
 しかも。すでに健全な成人男性並のサイズのそれは、未だに尚膨張し続けている。
「うわー、おっきい☆」
 隣で傍観していたエルカが熱い眼差しで、成長を終えた擬似ペニスを見詰めた。
「う、嘘だ…こんなのっ…!」
 ファシスが涙声で言う。そう思うのも無理はない。今回の擬似男根は尋常ではないほど大きく、長い。
 その幹は子供の手首ほど、長さも50センチほどある。赤々とした亀頭は通常サイズのペニスよりも
 一回り大きく、恐ろしいほどエラが張っている。全体を太く色濃い血管が走り、
 鈴口からは大量の先走りをとろとろと垂らし続けていた。
「うふふっ♪ どう? デカチン気に入ってくれた?」
 言いながら両手で肉のシャフトを両手で軽く握られる。
「ひゃあうっ!?」
 それだけで、危うく達しそうになった。巨大ペニスがびくびくと鼻先で暴れ周り、
 ファシスの目元に、口の中に、顎に、カウパー液を飛ばしてくる。
 獣臭が鼻をつき、心が淫らに燃え上がる。
(だ、出したい!)
「そのチンコにはね、さっきアタシ達がアンタに注いだ精気を凝縮してあるの。
 アンタ、出したくてしょうがないでしょう?」
「う…!」
 はしたない心を見透かされ、再び理性に、プライドに傷が付く。
「アンタには、オンナとオトコ、両方の快楽を同時に感じてもらうわ♪ エルカ、後ろ回って」
 挿入されたまま体勢を再び変えられる。正面座位の体勢になったファシスをサンドイッチするように、
 二匹の悪魔が体を密着させた。ただし今回は前がコノット、後ろがエルカだ。
 愛するものの姿が視界に映らず、気持ちが沈む。だが、それ今のファシスはそれ以上の劣情を催していた。
 体勢を変えても、鼻先には長大な擬似ペニスの先端がぷらぷらと揺れながら、律動している。
 その先端から立ち上る芳香を嗅ぎ取ると、頭がくらくらしてきた。
(おかしい、自分のモノだというのに、この淫らな気持ちは何だ!)
「ほら、ファシス、良い事してあげるよ☆」
「ふあっ!?」
 後ろからエルカに胸を揉まれる。それどころか彼女の手は、
 ファシスのやや小さめの膨らみを寄せるようにもみ込み、
 薄気味悪い擬似ペニスを二つの小さな脂肪で包み込んだ。
(私の胸が、私のアレを包んで…! うっ!)
 セルフパイズリとでも言おうか、あまりに長大なペニスは、
 ファシスの胸に収まりきらず、びくびくとのたうっている。
(あ、熱いっ…それに変な汁が溢れて…っ、汚らわしいっ)
 だが気持ち良い。サイズは小さいが、感触は柔らかい。芯にしこりを残した乳房は、弾力もある。
 エルカに奉仕してもらった時の事を思い出して、ファシスは陶酔した。
「さ、ファシス。自分で舐めるんだよ」
「気持ちイイわよ」
 悪魔達が囁くと、火照った心身は従順に応えた。
 ファシスは生臭い香りを立ち上らせる亀頭部分に舌を伸ばし――
 ぺろり。
「……っ」
 痺れるような快楽が先端から腰、そして脳髄を順に走り回る。
 びくんと、冗談のような大きさのそれが跳ね、催促するようにファシスの唇へと押し付けられる。
「気に入ったようね。この――ヘ・ン・タ・イ♪」
221ふぉーりんシスター10:2006/08/17(木) 18:31:51 ID:yS1Hqq/g
「あははっ、ファシス良い感じに堕ちてきたね☆ もっと気持ち良くしてあげるからね」
「くはぁ!?」
 コノットの尻尾が入ったままの肛門に、更にエルカの尻尾が入り込んでくる。
 螺旋階段を上るように、エルカの尻尾はコノットの尻尾へと巻きつくように腸壁をこそぎながら進んだ。
(さ、裂けるぅ!)
「はっ! あ、! …! はっ…ん…!」
 だが不安とは裏腹に、鼻先の擬似男根に吐きかけるのは悩ましい嬌声。
 茶色の窄まりも白くなるほど伸びているが、裂ける事はない。
 体内に注がれた淫気が、体を淫らなものへと変えていた。
「あは、ファシスのお尻っ、きゅうきゅう締め付けてくるよっ」
 そういうとエルカは自己主張している三つの勃起を擦り付けるようにファシスの体へと押し付けていた。
「はっ…! はっ…! はぁっ…!」
 臀部に敏感な肉芽を擦り付け、エルカが荒い息を吐いている。体全体を上下へと動かす度に、
 ファシスの背中で柔らかな胸の感触と、硬くしこった乳首が転がる感触がする。
(え、エルカが私の体を使って…!)
「アタシもしたげる♪」
 胸を覆うベルトを上にずらしたコノットが、正面から体を密着させてくる。
「ふぁ…!」
 二つの平坦な膨らみがファシスのそれと密着し、巨根を圧迫する形となった。
 擬似ペニスのすぐ向こうに、コノットの顔が見える。
「アタシも舐めるの手伝ってあげるわよ♪」
「い、いらなっ――くはぁんっ」
 亀頭の裏側に舌を這わされて嬌声を上げてしまう。
「ぺちゃ、れろっ――うふふっ、ほらぁ、ファシスも――ちゅっ、ぺろ――舐めなさいよぉ」
 小悪魔の誘惑になけなしのプライドを持って耐える――が、暴れん棒の根元をいきなり何かに掴まれ、
 はぁう、と情けない声を出してしまう。ファシスの体をズリネタにしていたエルカが、
 後ろからファシスのモノを両手で包み込んだのだ。
「はぁ、はぁ…ファシスっ、一緒に、気持ちよくなろっ」
 巨大な竿の根元を両手で扱かれる。大量の先走りを纏わりつかせ、
 じゅくじゅくと卑猥な音を奏でる手コキは、ファシスの性感をあっと言う間に高めた。
「あっ!? やめ、だ、だめだ、エルカ!」
 口では拒絶しながら、愛する者に快楽を与えられているという事実が嬉しい。
 エルカへの愛情が溢れ、それは魔の力によって淫欲へと変換される。
「はぁっ…はぁっ…エルカぁ……ん――ちゅ、ぺろ…」
 気が付けば、ファシスは自分のイチモツに舌を這わせていた。
(わ、わたしは…なにをしている…?)
「気持ちイイコトよ♪ まだまだよくなるけどね♪」
 コノットが腰を使いめる。
「はぁっ!? はっ! ぁん! はあんっ!?」
(なんだこれは!? すごい! よすぎる!)
 コノットのペニスが、ファシスの子宮を炙る疼きを解消するように、力強く突き込まれる。
 敏感になった肉壷内の肉ヒダ一枚一枚が、肉棒の熱さ、硬さ、それにエラの形まではっきりと感じ取り、
 ファシスの脳を蕩けさせるような快楽を生み出す。
 ぱつぱつっ、と腰がぶつかるたびにファシスは喉の奥から色っぽい喘ぎ声を漏らした。
 だが、快楽の発生源はそこだけではない。
 コノットが激しく腰を動かす度に、腸内の二本の尻尾が引きずられるように肛門を出入りする。
 ドリル上の肉縄が腸壁を巻き込み、裏返しながら茶色の窄まりから粘液と共に一瞬姿を覗かせる。
 排せつ感とそれの逆流感が交互に襲い掛かりつつ、腸内の性感帯をほじられる感触に、ファシスはむせび泣いた。
 また、はしたなく勃起した乳首は、同じくコノットの二つの頂点と擦り合わされ、
 むず痒いような痺れるよな官能を生み出している。
 そして何より。
 エルカに根元をしごかれ、ピンク髪の悪魔と自分でフェラをする巨根が、気持ち良かった。
「ちゅぴっ、れろれろっ、はあっ、はあっ! どうファシス!? 頭おかしくなりそうでしょ!?」
「はむっ、ぺちゃ…! ぺろ…! あっ!? はぁあっ! ぁん! ああ! いい! すごすぎる!」
 二匹の悪魔に体を揉まれながら、乳首を、尻穴を、ヴァギナを、そして男根を同時に責められる。
222ふぉーりんシスター10:2006/08/17(木) 18:32:49 ID:yS1Hqq/g
 ついさっきまで処女だったファシスにとって、その快楽は彼女の理性を崩壊させるには十分だった。
「はぁ…っ! はぁっ…! ファシスぅっ…気持ちいい、って言ってぇ? ねえ、言ってよぉ!」
「はん! あはんっ! 気持ちいい! 気持ちいい!」
 ぱんぱんっ! 
 ちゅくちゅくっ!
 ずにゅにゅっ! ずるるるぅっ!
 肉と粘液の摩擦が様々な音と淫臭を生み出す。
 それらが更に三人の少女の興奮を煽り、
「うあああぁぁあぁぁぁぁあぁぁぁっっっ!!?」
「あっ! あっ! あっ! イっちゃう! わたしイっちゃうよぉー!!」
「はっ! はあっ! あんっ! あっ!? アタシもキちゃうっ!
 あああぁぁぁぁああんっっっ♪」
 同時に果てた。
 びゅるるぅっ! どぱどぱっ! ぶっしゅうぅぅっ!
 子宮にはコノットの精液が、アナルには二本の尻尾から、そしてだらしなく開いた口には自らの迸りを受ける。
(――――いい…)
 子宮が痙攣するという雌のオルガズム。精液が輸精管を駆け抜ける雄のオルガズム。
 両性の絶頂を同時に味わってしまったファシスの理性はぐずぐずに溶け、
 凛々しい顔の下からは、頬を緩めてベロと涎を垂らすという、メス同然の表情が浮かび上がる。
 体の真芯にはこびりつくような熱が体積していて、磯臭い臭いが辺りに充満していた。
(あ、あつぃ…)
 淫気が再び体を犯していく疼きに酔いしれる。
 折角大量の淫気を吐き出したというのに、二穴から再び大量の魔液を注がれてしまった。
 これでは、
「あ、あぁ…っ?」
 再び体が快楽を求めて疼く。
『…ふふふっ』
 前後からは二匹の悪魔が不気味な笑い声を漏らしていた。
「ファシスぅ。壊れてない? 壊れた? はぁ…はぁ…いいよ、壊れるまで何度でも犯してあげるからね?」
 耳元で囁かれる友人の言葉に、恐怖以外の何かが背筋を這い上がる。
(もう、駄目だ…私は、堕ちる)
 とうとうファシスは観念した。その目から意思の光が徐々に消えていく。
(せめて、エルカだけは…助けたかった……)
 叶わぬ願いだと思いながらファシスは視線を彷徨わせ、

 ――そして、『それ』に気付いた。
223ふぉーりんシスター10:2006/08/17(木) 18:34:13 ID:yS1Hqq/g
以上です。コノットの過去話に出てきたアルラウネとかシュトリの悪魔とか、
話の題材としては良いと思うんですが、今の所、登場させる予定はありません。
というか、次回更新分が最終回となります。

随分と長い間お世話になりましたが、よろしければもう少しだけお付き合い下さい。
ではまた。
224名無しさん@ピンキー:2006/08/17(木) 21:35:48 ID:MzMYGj2y
GJいいよいいよ〜
225名無しさん@ピンキー:2006/08/19(土) 20:35:46 ID:bFmv17jJ
今日、図書館の本の中で読んだんだけど、
白装束の美人(幽霊)がタクシーで
「私、○○寺方面に行きますの、一緒しませんか?」とか、
「どうかお受け取りください、彼方に受け取って欲しいのです。」
と、包みを差し出し、家で開けてみると香典袋が十数冊入っていて、
3000円から5000円のお金が入ってた。
と言う話を読んだんですけど、これは

 これで彼方は私の所有物

ってことで良いんですかw
226名無しさん@ピンキー:2006/08/21(月) 01:07:25 ID:8zseBQYx
>>223
猛烈にGJです。今1から9まで読み直して大興奮。
最終回も期待してます。
227名無しさん@ピンキー:2006/08/21(月) 14:46:35 ID:6XeC0U9j
>>225
香典ドロの幽霊なんでないの?
228名無しさん@ピンキー:2006/08/25(金) 02:49:11 ID:+SbtY2Bw
保守
229乙×風 ◆WApneMW3ro :2006/08/26(土) 19:34:00 ID:1qQxdrDH
お待たせしました。ふぉーりんシスター最終回投下しに来ました。
エロシーンに関しては一切無しで、エピローグというか後日談のみの
内容となります。
それではどうぞ。
230ふぉーりんシスター11:2006/08/26(土) 19:34:55 ID:1qQxdrDH
「ふひー、流石に疲れたわねー。アタシちょっと抜けるわ」
 そう言ってコノットがファシスの体を開放する。
 そして魔術を発動させ、意識を失っていた傭兵十人を覚醒させた。
「アンタもファシスと盛ってばかりじゃなくて、精気を補充しなさい。
 教会の結界と血の浄化作用、二つの破邪の力を同時に抑えているんだから魔力の消耗はバカにならないわよ?」
 言い終えると死んだ目をした傭兵達の内一人を押し倒し、食事を開始する。
(そうだなぁ。確かに魔力を使いすぎたかも……)
 先程傭兵達から精気を吸い上げたが、その分は殆ど使い切ってしまった。
 残った魔力は結界と浄化作用の抑制に使っているので、密着しているにもかかわらずファシスの心理を読めない。
「ファシスに犯してもらおうかな☆」
「…っ!」
(わっ?)
 煽るように言うとファシスが弾かれたようにエルカの手を離れた。
 あれだけ淫気を注いではまともに動く事は出来ないと思い、油断していたのだ。
(がんばるなぁ、ファシス。堕とし甲斐があるよ☆)
 目を細め、笑みを浮かべる。だがその先で、べしゃり、とファシスの体が崩れ落ちた。
 剣と鎧、それにマントが近くにある。
 この期に及んで、力でケリをつけるつもりか。
「甘いよファシス」
 エルカが魔力を解き放ち、剣を遠くに弾き飛ばす。これで自由に使える魔力は殆どなくなった。
「はあ、はあっ、ファシス、観念しなよ。早く、ファシスの精気を吸わせてよぉっ!」
 立ち上がり、獣のようにファシスへと飛び掛る。
 地面に這いつくばったファシスの体をこちらへ向け、

 次の瞬間、ファシスにキスされた。

「…っ?」
 意味が分からない。ファシスは無理心中でも狙っているのかと思ったのだが、そうではないようだ。
 ならばこの口づけにはどんな意味が――
 考える前に、ファシスの口から、唾液が送られてくる。エルカはそれを反射的に飲み込み、
「っ!? げはっ!? がはっ!」
 むせ帰しながら、ファシスを突き飛ばした。
(やだ! 何これ! 苦しい!)
 まるで熱湯――いや、毒液を口移しで飲まされたような感覚に、喉が焼け、体中を苦痛が蝕む。
「エルカ!?」
 遠くでコノットの声が聞こえる。それを聞きながら余りの苦痛に、エルカは絨毯の上に倒れた。

 その視線の先に、『蓋の開けられた聖水の瓶』が転がっている。
 傭兵達が所持していた聖水は全て割った。だが、ファシスの分は――

(ファシス! これを狙って!)
「げほっ! げほぉっ! ぎいぃあぁあぁあぁっ!!」
 苦痛の余り喉奥から人外に相応しい悲鳴が上がる。
 エルカの裸身を黒く彩る魔術文字が急速にその数を減らす。
 体内に取り込んだ聖水が、血の浄化作用を強化し、エルカの体を人間に戻しているのだ。
 そして浄化が進めば、教会の結界を抑え込んでいた魔力も弱まる。結果。
「ぎっ!? ひぎいいっっ!?」
 コノットが、エルカと同じように悲鳴を上げる。
 教会を覆っていた、破邪の結界が復活したのだ。
(油断、しちゃった…)
 苦痛にのたうつコノットを見ながら、エルカの意識は闇に沈んだ。
231ふぉーりんシスター11:2006/08/26(土) 19:36:13 ID:1qQxdrDH
***

『お早う。ファシス』
『今日のご飯、どうかな?』
『えへへー』
 ファシスの脳裏に、人懐っこい笑顔を浮かべた友人の姿が浮かび上がる。
 その笑顔に、何度救われただろう。家族を失い、絶望していた自分を救ってくれた。
 厳しい剣の修行にも、彼女の笑顔で乗り越えられた。
 そう、今自分がこうしていられるのも全て、エルカのおかげなのだ。
 そしてその笑顔を、失う訳にはいかなかった。

「……なんとか、なるものだな」
 倒れたエルカに寄り添うように、ファシスは彼女の体を抱く。
 先程まで苦しんでいた姿が嘘のように、エルカの表情は穏やかだった。
 遠目から見れば教会の中で居眠りをするエルカに膝枕をしているだけなのだが、
 エルカもファシスも、赤い絨毯にも、夥しい量の粘液が付着しており、
 辺りに鼻がすえるような性臭が漂っている。
 そう。エルカもファシスも互いに汚され、汚しあった。エルカの魂は一度闇に染まり、
 ファシスを奈落の底へ突き落とそうとした。その事実は消えない。

 だが、その笑顔は守る事が出来た。

「……うぅ、んー…?」
「エルカ」
 最愛の人が、緊張感の無い感動詞を漏らしながら目を開ける。
 うっすらと開いたそれはあどけなさを残した、朱色の瞳をしていた。
「ほえー? ファシスぅ?」
 舌足らずな口調で自分を見詰めるエルカの姿に、ファシスは苦笑する。
 寝起きのエルカを見るのは久しぶりで、おかしかった。
「むー。どうして笑うのぉ?」
「いや、すまない。いつものエルカだな、と思って」
「はえ? なにそれ? わたしはぁ、わたしだよぉ?」
「そうだな」
「むー」
 口を尖らせた表情が、こんなにも可愛い。
(戻ったんだな)
 実感する。これが、本当のエルカだ。
 包み込むような優しさを。春のような穏やかさを持っている、エルカ=ウィンリンクだ。
「? ねえ、ファシスぅ。どうして裸なの? ――あわっ、私も裸だぁ!?」
「ああ、それは」
 説明しようとした瞬間。エルカが硬直した。
「エルカ?」
「夢じゃなかったんだ…?」
 エルカの声は震えていた。その目がファシスの体を、自分の体を見、教会内のその淫惨な光景を見とめる。
 弾かれたようにファシスから飛び退くと、彼女の内股にこびり付いた破瓜の血とそれ以上の白濁液に気付く。
232ふぉーりんシスター11:2006/08/26(土) 19:37:47 ID:1qQxdrDH
「わ、私…! どうしよう…! ひどい! なんて事を…!」
「え、エルカ、お前、記憶が残ってるのかっ?」
「わ、たし! ファシスの事、汚しちゃった! ううん! それだけじゃない!
 ギズさんも、傭兵さん達も! 私が、襲って…!」
 ギズを襲った悪魔がエルカだという事を知り、ファシスは愕然とする。
 だが、今は情緒不安定になっているエルカを宥めるのが先だった。
「落ち着くんだエルカ! お前はあの悪魔に操られてただけだ!」
「……ファシス、違うよ…違うのっ……私、操られてなんか無い! 全部、私の意志なの!
 悪魔になった事も! ギズさんを、傭兵さん達を襲ったのも!」
「エルカ…」
 血を吐くように真実を語る親友に、掛けるべき言葉が見つからない。
「私、悪い子だよね? シスターをしているのに、お母さんの娘なのに――いけない事、たくさんしちゃった。
 私の料理が美味しい、って言ってくれたギズさんとだって、何度も交わって、精気を吸って、
 どうしようファシス!? もうギズさん目を覚まさないかもしれないんだよ!?」
「エルカ、もういい」
「何がディースの娘よ! 悪魔にそそのかされて! 何の罪も無い人を襲って! ファシスにも酷い事して!
 最低だよ! 私、なんか…っ、死んじゃえばいいんだ!」

 ぱあんっ。エルカの頬が鳴った。

「…ファシス?」
 エルカが打たれた左頬を押さえながら、ファシスを見る。
「逃げるのか?」
「え?」
「罪を犯したなら償えばいい。だがそれすらせずに死を選ぶのは、ただの逃避で、安易な選択だ!
 本当にすまないと思っているのなら、生きて罪を償ってみせろ!」
「ふぇ…」
 エルカの表情が歪む。親に叱られた子のよう瞳を潤ませると、肩を震わせながら泣き始めた。
 ファシスは子供のように泣きじゃくる友人に近づくと、その体を抱きしめる。
 エルカは甘えるようにファシスの胸に顔を埋めた。
「罪が重いなら、私も一緒に背負ってやる。だから、その…なんだ…」
 ここまで格好を付けおきながら『しめ』の言葉が思いつかない。
 と。鼻水を垂らしながら顔を上げたエルカがファシスに問い掛ける。
「…ぐず、ひっぐ…本当?」
「な、何がだ?」
「一緒に、背負ってくれる?」
「あ、ああ! もう私とエルカは一蓮托生だ! ずっと一緒に居てやるとも!」
(……む? 気のせいか? いつの間にかニュアンスがすり替わっているような…)
 だが、ファシスが疑問に思う間に、エルカはくしゃくしゃだった顔に笑顔を浮かべている。
「…ファシス。ありがとう…」
「み、水臭い事を言うなっ。これくらい、当然だっ」
 久しぶりに見たエルカの笑顔に思わずドキマギしてしまう。
 調子に乗ったエルカが――あははっ、ファシス照れてる――とからかってくる。
 先程までは考えられなかった穏やかな時間が、ここにある。
(終わったんだな、本当に)
 感慨深げに教会内を見回し――
233ふぉーりんシスター11:2006/08/26(土) 19:38:33 ID:1qQxdrDH
「……後始末が残っていたな」
「え? ファシス?」
 ファシスの視線の先、礼拝堂の中心近くでコノットが倒れている。
 体を覆っていた悪魔の紋様は消えているが、羽も尻尾も健在で、
 時折思い出したかのように小さな体を痙攣させている。
「…コノットを、どうするの?」
「後ろを向いていろ」
 エルカの問いには答えない。ファシスは客席の下にあった愛剣を拾い上げると、コノットの元へと歩み寄る。
 この小さな少女は悪魔だ。エルカを堕とし、自分を貶めようとした諸悪の根源で、
 死んだ家族と、ディースの仇だ。
(生かしておくわけにはいかない…!) 
 剣を返して逆手に持つ。体重を乗せ、足元の小悪魔へと一気に刃を付き立てる――
 その寸前で、エルカが腰に抱きついてきた。
「だめっ!」
「っ!? エルカ、何をする!?」
「コノットを殺しちゃだめ!」
「何故だ! こいつは全ての元凶で、悪魔だ! 殺す理由はあっても生かしてやる理由は無い!」
「違う! 違うよファシス! コノットだって元は人間なんだよ!?」
 そうだ。シュトリの悪魔というのは、元は普通の人間なのだ。
 頭では分かってはいる。だが自分に、いや、エルカに施した非道を考えると、怒りで何も考えられなくなる。
 それに加え、足元の少女の姿は未だに悪魔そのものだ。それだけで、生理的嫌悪が憎悪が溢れ出して来る。
「分かっている! だが、悪魔は許せないんだ!」
「それじゃ、悪魔じゃなければいいんだね?」
「……どういう事だ?」
「ファシス、剣を貸して」
「構わないが、何に使うつもりだ?」
 剣を手渡されたエルカはその重みに、あわわと情けない声を上げる。
「私に出来る…ううん。私にしか出来ない、償い――かな?」
 はにかむようにそう言うと、刀身を自らの左手首に押し当てる。

 そしてファシスが止める暇も無く、細い手首を切り裂いた。
 
 ***

「らっしゃい! らっしゃい! お肉が安いよ! 今ならおまけでアタシも付いてくるわよ♪」
 快活な、だがふざけた少女の声が響いている。
 街の中心にある商店街。
 太陽がちょうど真上にある頃。ファシスは教会への道すがら、とある少女の様子を見に来ていた。
「真面目に仕事せんかぁい!」
「うぎゃっ」
 客引きをしていた十代半ば頃『に見える』少女が、肉屋の奥から出てきた中年の女性に頭を小突かれている。
 ピンク髪のショートヘア。くりくりとしたエメラルド色の瞳。
「もお! すぐに叩かなくってもいいじゃんっ。それに、結構効果的だと思うんだけど。
 アタシの魅力、っていうの? すぐに街中に広がって今にもアタシ目当ての男が店に寄って――
 商売繁盛間違い無しよ!?」
 幼女体型で客を誘惑しようとしている自意識過剰のその少女は……
「仕事を手伝っているのか邪魔しているのかどっちなんだ? コノット?」
「げっ!? ファシス!」
 口煩い小姑を見るような目で下品な悲鳴を上げたのは、元悪魔のコノットだ。
234ふぉーりんシスター11:2006/08/26(土) 19:39:11 ID:1qQxdrDH
 あの事件から、二週間余りの時間が経っていた。
 人間に戻ったエルカは、怒るファシスからコノットを助ける為に自分体を傷付け、
 浄化の血を用いて見事コノットを人間へと戻したのだ。
 だが、いくら人間になったといっても彼女のしてきた事が許されるわけではない。
 だから、三人は嘘をつく事にした。
 元凶であるコノットは、別の悪魔に操られて今回の騒動を起こした――そういう事にしたのだ。
 言ってみればコノットも被害者という事で街の人間も渋々ながら彼女を許す事にした。
 しかし、ごめんさい、ですむ問題でもない。
 そこで――精気を失い働けなくなった者の穴埋めをする――
 という条件の下で、街の人間はコノットを許す事になったのだった。

「態度がなっていない。いらっしゃいませではないのか?」
「いらっさいませー」
(人間に戻っても根本は変わっていないな)
 やる気も誠意も欠片ほどに感じられない。
 肉屋のおばさん――店主である主人はコノットに精気を吸われて現在療養中――
 が、コノットの頭を小突いている姿を見て、ファシスは思わず溜息を付いた。
 甘い汁を啜っていた時間が長かったのだろうか。コノットが更生するにはまだまだ時間が掛かりそうだった。
「ご主人の具合はどうですか?」
「あらあ!? ファシスちゃん! お陰様で随分元気になってねえ!
 この子の尻ばっかり見てはニヤニヤしてるのよ!
 いやだわぁ! おほほほっ!! ……毒でも盛ってやろうかしら」
「……そうですか…それは良かったですね…」
 苦笑いを浮かべながら相槌を打つ。
「そうだ。一番良い肉をもらえませんか?」
「あらま? エルカちゃんおつかいだったの?」
「ああ…はい…そんなところです」
 エルカの名前が出ると、途端にこそばゆくなってしまう。
 あの件以来どうにも彼女を意識してしまっていけない。
「本当仲が良いわねー。ほらコノット! お肉詰めて!」
「へーい。んー、こんなごつい肉なんに使うの?」
「考えていない、が。このところ誰かさんと違ってエルカは頑張っている。ちょっとした土産だ。
 ありつきたいなら、さっさと仕事を終わらせて夕飯までに帰って来るんだな」
「じょ、冗談でしょ!? ここが終わってもまだ八百屋と雑貨屋と酒場で仕事があんのよ!?
 夕方までに返れる訳無いじゃない!」
「知らん。自分で蒔いた種だ。自分でどうにかしろ。それでは失礼します」
「はいはい。エルカちゃんによろしくねぇ。ほら、あんたはきびきび仕事する!」
 肉屋を後にし、教会へと向かう。背中から、コノットの怨嗟の声が聞こえる。
「ファシスの薄情モノーっ! 鬼ーっ! 悪魔ーっ!」
(お前に言われたくはないっ)

 ***
235ふぉーりんシスター11:2006/08/26(土) 19:40:02 ID:1qQxdrDH
 賑やかな商店街を抜け、暫く歩くと教会が見えてくる。
小さな菜園。洗濯物が干された庭。雑木林に囲まれた教会の敷地で、孤児達が元気に走り回っている。
「あ、ファシスねーちゃんだ!」
「ほんとだ!」
 きゃいきゃいと黄色い声を上げながら六人の少年少女達がファシスの元へと集まる。
「お仕事の話聞かせて!」
「剣見せてよ!」
 教会出身者の中でも最年長のファシスは、子供達から慕われている。
 傭兵という職業柄、小さな男の子にも人気があった。
「まあ待て。話なら夕食の時にいくらでもしてやる。それより、エルカは居るか?」
「エルカねーちゃん? 今、『お仕事』してるよ?」
 仕事というのは精気を失った人達を療養する事だ。
 あの事件の後、精気を失った人達をどうするか、途方にくれていた二人だが。
 教会内を調べてみると、失った精気を回復させるというアイテムを見つけた。
 今回のような被害者が出た時にと、ディースか神父が用意していた物らしい。
「…そうか」
(仕方が無い。子供達の相手をしてやるか)
 そう思った矢先に、教会の扉が開く。
 中から、割と元気に見える肉屋の主人と、
「お大事にー」
 彼を笑顔で見送るエルカが出てきた。やがて、のほほんとした顔がこちらを向く。
「あーっ、ファーシスっ」
 ぱたぱたと、それこそ子供のようにファシスへと駆け寄り、その胸に飛び込んでくる。
「え、エルカ!」
「今日も来てくれたんだっ。嬉しいな!」
 言いながら人懐っこい笑みを向けてくる。

 あの件を境に、エルカが少し変わった。
 先ず一つ。ファシスにやたら甘えるようになった。隙を見つけては今のように抱きついてくる。
 その二。エクソシストの勉強をし始めた。今回コノットが人間に戻れたのは結局、ディースの血のお陰――
 その事実に、何か思うところがあったのかもしれなかった。
 そして最後に――

「あ、ああ。たまたま近くを通りかかってな…」
 嘘である。エルカの顔が見たくなった――と言うのが恥ずかしく、意識せずに照れ隠しになってしまうのだ。
「むー? 本当?」
 訝しげな視線がファシスに刺さる。それから逃れようと辺りへ目を泳がす。
 だがシスターと剣士を取り囲む子供達は、好奇心旺盛の目で事の成り行きを見守っていた。
 あの件から『付き合う』ようになったファシスとエルカ。別に言いふらしているわけではないが、
 教会の子供達も、街の人々もその事には気付いている。
 と、エルカがファシスの持つ小さな紙袋に気付いた。
「ん? それは何?」
「ああ、これは、コノット奴の様子を見に商店街に行ってな。そのついでだ」
「えー? エルカねーちゃんの手料理を食いたいから買って――いてっ?」
 にやにやしながら不穏当な発言をする男の子の頭を小突く。
「なに、どうせ安物だ。遠慮なく使ってくれ」
236ふぉーりんシスター11:2006/08/26(土) 19:40:45 ID:1qQxdrDH
「安物――?」
 エルカが袋の中身を確かめ、その顔に疑問符を浮かべた。
 そう言えばエルカはあの店の常連でもある。肉の種類、値段をある程度知っている筈だった。
 エルカは何か考えるような仕草を見せて、一人納得したように頷いた。
「コノット、元気にしてた?」
 急に話題を変えてくる。肉の値段にあえて触れてこない辺りが返って怖い。

『相変わらず素直じゃないねファシスは。私の体に気を付けて一番良いお肉を買ってくれたんだよね?
 ――うん? そっかそれで私に精を付けさせて早く<良い事>でもしよう、って事なんだね?
 もう、ファシスのエッチ☆』

(とか考えてるかもしれない…!)
 気のせいかその顔もどこか悪戯っぽい表情だ。
 ファシスは気を動転させながら、それでも何でもない振りを装うしか出来なかった。
「元気すぎる。そして全然反省していないようにも見えた。
 客引きに色気を使うなというのだ。全く、悪魔の時としている事は変わらないじゃないか」
「あははっ」
 だが。
 屈託無く笑うエルカを見るとこちらもおかしくなってくる。
(本当に良かった。エルカを守る事が出来て) 
「――しかし本当に驚いたぞ、あの時は」
「何の話?」
「コノットを浄化する為に私の剣を使っただろう?」
 思い出すのは二週間前のあの事件。
 エルカはコノットを浄化する為に、ファシスの剣を使って、自らの体を傷つけた。
 手首を裂いたエルカの出血は酷かったが、正確な処置を施したので大事には至らなかった。
「ああ、あの時は…だってああでもしないとファシスがコノットの事、許さなかったでしょ?」
「それはそうだが……そこまでしてコノットの奴を助ける事も無かっただろう? 
 もしそれでお前に何かあったら――そう思うと気が気ではなかったんだぞ?」
 実際ついこの間までは貧血気味らしく、顔を青くしている時が何度もあった。
「あははー。ごめんね。心配掛けちゃって。でも、もう大丈夫だよ? ほら――」
 エルカがガッツポーズをしようとし――不意にその体が傾いた。
 背筋が凍る。
「…っ、エルカ!?」
 慌ててその体を支えてやる。そら見た事か。気丈に振舞っても疲労は誤魔化せない。
 だが、様子を見ようとエルカの顔を覗きこもうとした瞬間、彼女の手がファシスの首を後ろに回される。
(…何を?)
 その行動の意味を考える暇もなく、顔を引き寄せられ、
 エルカに唇を奪われた。
「……っ、っっ!!?」
 目を丸くしながら慌てて飛びずさる。
「えへへー」
 エルカはしてやったり、と頬を緩ませていた。
「ば、ば、…な、にを! こんなところで!」
237ふぉーりんシスター11:2006/08/26(土) 19:41:36 ID:1qQxdrDH
 子供達が見ている前でいきなりなにをするのか。そう訊ねたいのに言葉が意味をなさない。
 周りを見渡すと案の定、事の成り行きを見守っていた六人の孤児達が口をあの字に開けたまま呆然としている。
「ファシスは私とキスするの、嫌?」
「そ、そんな事はっ――ああ、お前ら勘違いするな…! 決して私がやましい気持ちなのではないからな…!
 ――ああ、そのなんだエルカも! 嫌とか良いとか、そうではなくてだな、」
「それじゃ、今度はファシスが私にキスして☆」
(どうしてそうなるっ?)
 とんでもない事を言う恋人に思わず頭を抱えたくなる。
 甘えてくれるのは嬉しいが、何事にも限度というものがあると思うのだ。
「駄目だ」
(…ここでなければ別に良いのだが)
 心の中で付け加えるが、何を勘違いしたのかエルカは表情を沈ませてこう言った。
「……どうして? 私の事、好きじゃないの?」
「そ、それは…」
 周りを見る。好奇心の塊のような視線が六方から放たれている。ここで首を縦に振ってもよいものか。
「酷い! 私の事は遊びだったんだね!?」
 だからどうしてそうなるのか。
「ち、違う!」
「ずっと一緒に居てくれるって、あの時言ったのに! ファシスの嘘つき! 私の事なんてどうでもいいんだ!」
「だから違うと言っている!」
「本当に?」
「当たり前だ! 今でも私は、お前の事を愛している!

 ――――あ」

(言ってしまった)
 頭に血が上ってついつい本音をぶちまけてしまった。
 子供達の前で。
 がっくりと項垂れるファシスとは対照的に、エルカは手の平を返したように笑顔を浮かべている。
「じゃあキスして?」
(敵わないな、エルカには…)
 先程の言葉や立ち振る舞いが全部演技だったという事にようやく気付いて、ファシスは溜息をついた。
「子供達が見ているぞ?」
「…見られてもいいもん。ちょっと恥ずかしいけど、今すぐ、ファシスにキスして欲しい」
 言ってエルカが顔を背ける。その頬が若干赤らんでいる事に気付いて、ファシスは胸が高鳴るのを感じた。
「わ、分かった」
 覚悟を決めて、エルカの顎に手を添え――ふと、周囲を見渡した。
 アダルティックな場面を予感した孤児達の中でも年長の少女三人が、年少組みの三人の目を両手で塞ぎ、
 自分達はちゃっかりと事の顛末を見届けている。
「ファシス、目を閉じてくれなきゃ、やだよ」
238ふぉーりんシスター11:2006/08/26(土) 19:43:43 ID:1qQxdrDH
「あ、ああ」
 だが今更止められない。エルカの声に目を閉じると、最愛なる者へゆっくりと顔を近づけていく。
 石鹸と、日向の匂いが混じった香りが、手の平から伝わる肌の温もりが、顔をくすぐる吐息が。
 恥ずかしいと思う以上に、身を締め付けられるような愛情を生み出す。
 心音が大きくなり、木の葉が擦れる音、風が洗濯物を揺らす音をかき消す。
 鼻先に、エルカの顔がある。
 いつしかファシスは、彼女の唇の感触を味わいたいと思い、

 自分の唇を押し付けた。

 そう思った。唇には、確かに温もりを感じる。
「――ぷぷっ」
 堪えるような笑い。
 目を開けるとそこには、人差し指でファシスの唇を阻止するエルカの顔がある。
「あははっ。ファシスったら変な顔ーっ」
 指まで指されて大笑いされる。
(からかわれたのか!?) 
 ファシスの顔が耳元まで赤くなっていく。
 自分の道化っぷりが惨めで、そしてそれを子供達に目撃された事がとてつもなく恥ずかしい。
 穴があったら入りたい気分だった。
「え、エルカ! お前な!」
「なーに? 続き、したい?」
 にっこり笑顔で言われる。それだけで言葉に詰まってしまう。
 否定出来ない自分が情けない。
「もうちょっと素直になったら、してもいいよ?」
 とんっ、と足取り軽く、ファシスから遠ざかると、ぺろり、と舌を出す。まるで小悪魔のように。

「でもそれまでは、おあずけだよ☆」
239名無しさん@ピンキー:2006/08/26(土) 19:51:19 ID:hVve/4X2
んー最後に後書きがくるかと思ったんだけど…終わりかな…?
リアルタイムGJ!


                                                      ,.:'⌒ヽ.
               ii          ,. :_, ._‐┬‐- 、.,_                   ,イAI:101:',
               ii  _____,,, ...-;´/・ω・ ) ||┼ ii`ヽ、....,,,,,____       ,イ    : |: :',
               iil´    |: i  ̄ ` ̄ ̄ ̄=  ̄ ̄ ̄       |: ̄~ `''' ' '' '゙__ :└‐‐:',
             :,´ ̄ !  _ _ ‐――, ´ ̄ ̄ `ヽ     (::::::::::::) |::::|    `ー――‐‐イ  _,.ヽ
              ' '''iil    :_|:  / -=====-   \ー--.、     |::::|  _____,,,,....: ---‐''´
               ii`ー―‐iニィ''`ー‐┬‐‐‐┬‐‐‐`''´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
               ii       砂糖
                         蜂蜜  
                        水飴  しろくま君
                        シュガーシロップ   練乳
                                

ここでこの甘ったるい気分をどうにかするアイテムを投下!
240乙×風 ◆WApneMW3ro :2006/08/26(土) 20:02:22 ID:1qQxdrDH
以上でふぉーりんシスター、終了です。

結末に関しては色々突っ込みどころ、というか思われるところがあると思います。
ファシス肉奴隷エンドとか考えてはいたんですが、コノットが熱しやすく、
冷めやすい性格なので、ファシスが堕ちきっちゃうと飽きて別の獲物を探しにどこかへ
行っちゃうんですね。まあ、コノットが居なくてもエルカとファシスで延々とエロってそうですが。
まあ、自分自身ハッピーエンドが好きなもんで――結局全員人間に戻る、
という形で落ち着きました。
よく考えたらここは人外スレだというのになんという横暴な話(汗

いやあ……長かったです。投下を開始してから二ヶ月、三ヶ月くらいでしょうか?
最後までお付き合いしてくれた住人の皆様、本当にありがとうございました。
最初の頃は、これだけの長編を投下し続けて良いのだろうか?
と思っていましたが無事投下し終えて何よりです。

それではこの辺りで失礼します。
241名無しさん@ピンキー:2006/08/26(土) 20:06:25 ID:lPl89Td5
>>240
リアルタイム乙でございました。

個人的にはいい終わりだと思ったりします。

……あとはなんかの拍子でまた悪魔化とか。。。(ボソ
242名無しさん@ピンキー:2006/08/26(土) 23:32:22 ID:V8I01F76
>>240
GJでした。
全員人間エンドは思いつかなかったな。
そういや傭兵全員に法儀式済み聖水が配られたてたし、エルカの血には浄化能力があったんだっけ。
243名無しさん@ピンキー:2006/08/26(土) 23:52:09 ID:6lCA+F0F
>240
GJ!乙です。
確かに甘ったるい(良い意味で)作品ですね。

ところで、こんな感じの人外っ娘はなかったと思うのでちと書いて見ました。
今夜はほんの冒頭部分だけで、今後セックスシーンはあるけど、エロにはあんまり期待しないで下さい。
244名無しさん@ピンキー:2006/08/26(土) 23:53:52 ID:6lCA+F0F
都心部にあるオフィス街、そのとある高層ビルの一室に奴らはいた。
数多の机の並ぶ一フロアぶち抜きの広大なオフィス、奥の方を見れば、責任者のものらしい豪華なデスクも見える。
「全ク、一々現場に出向かなければならないと言うのハ、困ったものダ……」
清掃業者の作業服と帽子姿の女性が、微かに訛のある言葉使いで呟く。
「仕方ねぇだろう。解除されないためには、外部からの操作を受けつけないようにしなきゃならねんだから」
同じく作業着に帽子姿の男が答える。
男が操作しているのは時計とコードと電子部品とプラスチックからなる、素人目にもわかる時限爆弾だ。
「ところデ、変更された爆破時刻は何時なのダ? いくら偽装しているとは言エ、あまり長く置いておくと流石に怪しまれるゾ」
「当初の予定から1日遅れて、明後日。時刻は同じだ」
男は顔も上げずに答える。
「ナ、なんだト! それでは月曜日ではないカ! 大惨事になってしまうゾ!」
女は、任務中にもかかわらずつい声を上げる。
「それでいいんだよ。昨日、ここの極東支配人のスケジュールが判明してな、明日の昼間にここに来るらしい。それで急遽変更になった。
 お前だって、奴には恨みがあるだろう?」
 俺の住んでいた村も、お前の住んでいた村も、奴のせいで無茶苦茶にされたんだ。その恨みを晴らすチャンスじゃないか」
「シ、しかシ。それでは他の人間も巻き込む事ニ……」
「同じワールドウッド社の人間だろ、だったら同類じゃないか」
「しかシ、殺戮は……」
尚も食い下がる女に、男はピシャリと言い放つ。
「それにそもそも日本人だ。俺ら途上国の人間の搾取の上に繁栄を築く豚どもだ。ならばこれくらいは当然の報いだ」
「貴様、“戦士”としての誇りを忘れたのカ! 民への殺戮ハ、“戦士”の重大なタブーだゾ!」
ついに女が怒鳴った。
爆弾を弄っていた男が、ジロッと横目で見る。
「ふん。やっぱりお前は組織に逆らったか……。やれっ」
「なニッ?」
不意に、女は背後から羽交い締めにされた。
清掃作業員の振りをして、ビルの各処に散らばっていた見張り達が、何時の間にか背後に忍び寄っていたのだった。
「貴様は常々組織のやり方に反抗的だったからな。さて、始末させてもらおう……俺様の毒針で」
言うが早いか男は作業着を脱ぎ捨てる。と、男の姿がグッと一回り膨張し、暗赤色の殻に包まれる。
今まで爆弾を操作していた手は、硬質の殻に包まれ、巨大な鋏と化す。臀部の上からは、先端に針のついた甲殻類の尾が生える。それはさながら、人の体型をした蠍。
帽子が脱げ落ちた頭部はさらに奇怪だった。頬からは節足や鋏が生え後頭部に辮髪のように尾が生え、それ一つで1匹の蠍と化していた。
奇怪でグロテスクこの上ない姿、それがこの男の正体なのだ。
「くっくっく。この“蠍の戦士”の俺様の毒には、さしものお前もイチコロよ」
毒を滴らせる針を振り上げる。
「貴様ラ……」
ギリリと歯軋りをすると、女の姿も豹変した。文字通り“豹変”だ。
女性の優美さとしなやかさを保ったまま、肉食獣の鋭さ美しさをも兼ね備えた、人と豹の中間形態に変貌したのだ。
「グァァァァッ」
豹女は大きく吠えると、力任せに作業員達を振り解こうとする。抑えつける側は四人掛かりにもかかわらず、今にも振り解かれそうだ。
「チッ、変身しやがったか。が、無駄だ」
蠍男がサッと毒針振り下ろす。が、豹女に刺さる筈の毒針はスパッと切れ、明後日の方へと飛んで行く。
「ぐぎゃぁぁぁぁっ。お、俺様の尻尾がぁぁぁっ」
尻尾を抑えて苦しがる蠍男の傍らに、鮮血に塗れた奇妙な形のナイフが転がっていた。
「そこまでだ。テロ組織『グリーンシェイド』の工作員ども!」
少し離れた場所にある、天井の点検用ハッチから、金属の装甲を身に纏った男が飛び降りてきた。
「お、おのれ。メタルガーディアン! よ、よくも俺様の尻尾を……」
血を滴らせる尻尾を抑えながら、蠍男は毒針の様に鋭い視線で金属装甲を睨みつける。
中世欧州の甲冑をよりスタイリッシュにして、各処にハッチとランプを取りつけたような姿をした装甲の男が、スックと立つ。
「貴様等には、黙秘権と弁護士を呼ぶ権利がある」
金属の右手が、腰に吊るしたホルスターから、SFチックな変わった形の拳銃を抜く。
「あと、全部ゲロって、司法取引で無罪と日本国籍を得る権利もある」
同じく左手で、腰に吊るした塊を手にする。
「取りあえず、一眠りしている間に考えな」
245名無しさん@ピンキー:2006/08/27(日) 00:13:39 ID:KHiRJzV+
よし、支援だ!
246名無しさん@ピンキー:2006/08/27(日) 07:47:20 ID:iC+crmIF
>>240
くはっ!GJ!
もう毎回毎回、次の投下が待ち通しかった日々が終わってしまうんですねー。
終わり方は自分もハッピーエンドな感じでGJだと思いました。
また気が向いたらエロエロな作品を投下してくだされ!
247名無しさん@ピンキー:2006/08/27(日) 09:41:15 ID:3xVbtCy+
>>240
長編の投下お疲れ様でした。
予想の斜め上を行く終わり方だったのが衝撃的でしたが、楽しめました。
悪堕ちスレ住人としては残念な結果でしたが、エルカとファシスが幸せそうなのでよしとします。
たまには萌え話でなくエロエロ風味もいいですね〜。
248名無しさん@ピンキー:2006/08/28(月) 03:10:28 ID:A95t3bI5
良くも悪くもきれい過ぎるよね
それが作風なんだろうけど物足りないなぁ…
249名無しさん@ピンキー:2006/08/28(月) 15:55:40 ID:RwgiVBZH
>>248
ヒント:男は黙って脳内補完
250かわわらし 外伝3:2006/08/30(水) 19:59:11 ID:UiL5iC8z
誰?ってくらいに忘れさられてそうなくらい久しぶりです。
仕事が忙しくてね・・・って、言い訳ですね。ごめんなさい。

誰も待ってないかもしれないいけれど『かわわらし 外伝3』です。
今回はふたなり娘です。
ふたなりがダメな方でも、大丈夫なように作ってみましたが・・・
どうしてもダメだと言う方は申し訳ありませんが、NGとしてください。
では。かわわらし 外伝3 どぞ〜
251かわわらし 外伝31/9:2006/08/30(水) 19:59:47 ID:UiL5iC8z
「行って来る」
「行ってらっしゃいませ」
 名前を知らない女性に家事をしてもらうようになって1週間。
 不思議な女性だった。
 何度名前を聞いても『ありません。お好きなようにお呼びください』
 何度何故ここにいるのか聞いても『一葉さまの約定により』
 何度家に帰れと言っても『貴方様のお側が私の居るべき場所です』
 さすがにこのやり取りは3日で飽きた。いや、3日ももったと言うべきか。
 朝は起こしてくれるし、朝食と昼の弁当も用意してくれている。
 夜は俺が帰る前にお風呂と晩御飯の支度がしてある。
「いたれりつくせり・・・ではあるよな」
 見た目は美人の部類に入ると思う。
 長い黒髪と大きめな濃い茶色の瞳。年は二十歳前後くらい。
 黒のメイド服に包まれた体は、衣服の上からでもわかるほどのスタイルのよい体だ。
 問題は、焦点の合ってなさそうな瞳と抑揚の無い声。
 まるで・・・そう、一昔前の映画に出てくるロボットのような感じ。
 そういや、この前買ったゲームにもあんな感じのロボットが出てきたな。

「ただいま」
「おかえりなさいませ」
 女性は深々と頭を下げて俺を出迎えてくれる。
「夕食になさいますか?それともお風呂になさいますか?」
 このやり取りも1週間も続くとただの日常だな。
 それにしても、この女。一体何者なんだろう。
 一葉ってのは俺のばあちゃんだから・・・ばあちゃんの知り合いの孫とかかな?
 でも名前が無いってのも変な話だよな。便宜上、全身黒尽くめなので、クロって呼ぶことにしたけど。
「忠様?」
「あぁ。飯にするよ」
 以前、何とか説得して帰ってもらおうと思ったのだが、どうも頑固というかなんというか。
 それ以来説得はしないことにした。ばあちゃんはもう他界してるし、お袋も親父も何も知らないって言うし。
 さてさて。どうするべきかな。
「今晩は忠様の大好きな肉じゃがにさせていただきました」
「俺の好きなって・・・なんで知ってるんだ?」
「秘密です」
 クロは俺のことをよく知っている。
 多分ばあちゃんに聞いていたとかだと思うけど、なぜかいつ聞いても秘密としか言ってくれない。
 まぁ、家事全般は完璧だからありがたいと言えばありがたいんだけど。
252かわわらし 外伝3 2/9:2006/08/30(水) 20:00:33 ID:UiL5iC8z
「忠様」
「ん?」
 クロが俺の部屋に入ってくる。
「忠様は性的欲求不満状態ですか?」
「は?」
「忠様の物と思われる精子が大量に付着したちり紙をゴミ箱より大量に発見しました」
 そりゃあ、俺もまだ若い男だし。毎日1回や2回はするけど。
 それを一々報告に来るのはどうかと思うぞ?
「あのさ」
「もし、欲求不満状態であるのであれば、私の体をお使いください」
 そう言ってクロはベッドの上に上がってくる。
 今はいつものメイド服ではなく、俺が買ってきた白いパジャマ姿だ。
「いや、そうじゃなくて」
「私の体では満足なされませんか?」
 クロの手が俺の下半身を撫でまわす。
「性器を接触させての性行為を行うことは出来ませんが、それ以外の部分を使用し、忠様に奉仕させていただきます」
 俺はあっけにとられているうちに、ズボンを下ろされた。
「失礼します」
「くぅっ」
 俺が返事をする前にクロは俺のペニスを口に含む。
 器用に舌を絡め、先っぽから根元までを満遍なくゆっくりと刺激してくる。
「んっ・・・はぁっ・・・んむん・・・ん」
 温かな口とヌルヌルとした唾液。
 久しぶりの女性の感触。それも極上の感触に耐えれるはずもなく、すでに限界に達しそうだった。
「クロ。もう」
「だしてください・・・お望みは顔射ですか?それともゴックンですか?」
「お前、どこでそんな言葉を・・・うあ・・・どっちでもいい。出すぞ」
 俺はクロの口からペニスを抜き、綺麗な顔目掛けて精液を放った。
 俺のを舐めていた時同様に、表情一つ変えずに俺の精液を顔面で受ける。
「予想よりも多くの精液を確認しました。お体は大丈夫ですか?」
「はぁ・・・はぁ・・・大丈夫だ・・・満足した」
「そうですか」
 クロは四つん這いのまま仰向けになっている俺の上にくる。
 ベッドの。俺の頭の辺りにあるティッシュを取っているのだろう。
253かわわらし 外伝3 3/9:2006/08/30(水) 20:01:16 ID:UiL5iC8z
 俺の目の前にはクロの豊満な胸がある。
 パジャマの隙間から見えるそれは柔らかくて美味しそうだ。
「クロ」
「はい。なんでしょうか?」
「まだ満足しきってないや」
「では、もう一度口で」
 俺は答えずに目の前にある胸を鷲づかみにする。
「今度は胸でした方がよろしいですか?」
 これでも表情一つ変えない。
「いや」
 仮面のように変わらない顔。俺はその顔が喘いでいる姿がどうしても見たくなった。
「全身を使って奉仕してくれよ」
 クロのパジャマを剥ぐ。
 豊満な胸が俺の目の前に現れる。大きいけど垂れておらず、ピンを張っている。逆に乳首は小さくて、そのアンバランスさが可愛い。
 俺は続けて下の方にも手を伸ばす。
「んっ」
 微かにクロの眉と口が動く。
「どうした?」
「・・・胸・・・ではダメでしょうか?」
「俺は全身を使って奉仕してくれって言ったんだぞ」
 明らかにクロは動揺している。まだ表情にはっきりとした変化が現れたわけでは無いが間違いは無い。
「でも」
「ばあちゃんとの約束で何でもしてくれるんじゃなかったのか?」
「それは」
 クロは俺の顔を見ないようにそむける。
「クロ」
「・・・ませんか?」
「は?」
「嫌いに・・・なりませんか?」
 再度、俺の方を向いたクロの顔は、微かな表情の色が見える。
 けど、その泣きそうな顔に俺は罪悪感で胸が押しつぶされそうになった。
「ごめん。無理言って」
 気づいたらそんな言葉を口にしていた。
「いえ・・・構いません」
254かわわらし 外伝3 4/9:2006/08/30(水) 20:02:02 ID:UiL5iC8z
 クロはその場で立ち膝になると、躊躇いがちにゆっくりとパジャマのズボンを下ろし始める。
「どうぞ・・・ご覧下さい」
 脚の付け根部分。そこには女性のソレではなく、俺の小指ほどの小さなペニスがくっついていた。
「お前。男なのか?」
 胸は本物だよな。顔つきや体だって女性そのもの。性転換?ニューハーフってやつか?
「これでも・・・愛して下さいますか?」
 そう言うと、大きく脚を開いて、小さなペニスを持ち上げる。
 そこには俺の想像していた・・・いや、それよりもずっと綺麗なヴァギナが存在していた。
 丁度クリトリスのある部分にペニスがある。そんな感じだ。
「クロ」
「私には奉仕する全ての人を満足させるために両方の機能が備わっています」
「半陰陽・・・というか、完全にふたなりってやつか」
「気持ち悪い・・・ですか?」
 表情には特に変化は無い・・・けれど、どこか物悲しそうな顔に見えた。
 感情の起伏が少ないだけで、不安や喜びなどの感情はきちんとあるようだ。
「クロ。こっちにおいで」
 俺はクロを抱きしめる。
「忠様」
「可愛いよ。すごく・・・一緒に気持ちよくなろう」
 クロが微笑んで俺を顔を見る。
 初めて見るクロの人間味溢れた表情。
 俺たちは自然と唇が交わり、温かさが溢れだしてきた。
「どちらでしますか?」
「どちらって?」
「いれるのといれられるのです」
 真顔で俺に聞いてくる。まぁ、確かにクロとするならどっちも可能なんだよな。
「いれられるよりはクロにいれたいなぁ」
「わかりました。では、準備します」
 クロは自分の手でヴァギナに触れる。
 準備とは濡らすということだろう。
「俺がしてやるよ」
「え?あ、忠様」
 クロをベッドに押し倒し、俺が上になる。
「しかし、これでは奉仕が」
「いいのいいの。気にするな」
 クロの豊満な胸に舌を這わせながら、ヴァギナに手を当てる。
 手のひらに大きな感触。さすがに大きめのクリトリスだと思うのは無理か。
「はぁ・・・あ、た、忠様。それは」
 右手でクロのペニスをしごきながら、左手でヴァギナの中を指でかきまわす。
 我ながら初めてにしてはなかなか器用だと思う。
255かわわらし 外伝3 5/9:2006/08/30(水) 20:02:47 ID:UiL5iC8z
「ふぁ・・・あ・・・変に・・・変になります」
「一回いかせてやろうか?」
 クロは首を横に振る。
「忠様と・・・一緒に」
 両方刺激されるという感覚がどういうものなのかはわからないが、クロの濡れ方から察するにかなりのものなのだろう。
「わかった」
 両腕を広げて俺を待つクロの上に覆いかぶさる。
 ほんのり温かく細い腕が、俺の首に回された。
「いくよ」
「はい」
 クロは目を瞑って、じっと俺を待っている。
 ひょっとして初めてなのだろうか。
 俺はゆっくりと腰を沈める。
「ぁ・・・ぁ・・・あぁ」
 ズブスブとクロの中に入っていく度に、クロは小さな声を上げる。
 俺のが奥に到達するとクロの体が小さく震えた。
 同時に俺の腹に何か温かいモノがかけられる。
「はっ・・・ぁぁ・・・申し訳・・・ありません」
「ん?あぁ。いいよ。気にしなくて」
 俺の腹にかけられたのはクロの精液だった。
 完全に勃起したクロのペニスが俺とクロに挟まれてビクビクとしている。
 なんだかものすごく不思議な感じがする。
「それよりも、辛そうだが大丈夫か?」
 クロは全身に汗をかき、相変わらずの無表情の中にも辛さがみて取れる。
「・・・申し訳ありません」
 小さく呟く。
「何が?」
「・・・奉仕する身でありながら、快楽を感じ先に果ててしまったことです」
「はぁぁ・・・あのなぁ。だから奉仕とかそういうのはいいんだって」
「しかし」
「果てたってことは気持ちよかったってことだろ?なら、俺としてはクロが俺を感じてくれて嬉しいよ」
「・・・そう。なのですか?」
「あぁ。やっぱさ、好きなヤツとエッチするんなら、俺のこと感じて欲しいし」
 クロが目をパチパチさせながら俺を凝視する。
256かわわらし 外伝3 6/9:2006/08/30(水) 20:03:30 ID:UiL5iC8z
「ん?」
「好き?って・・・誰と誰がですか?」
「俺とクロが。俺はクロのこと好きだぞ」
 そう言うと、クロは無表情のまま顔を真っ赤にして横を向いてしまった。
「あ・・・ありえません。忠様が私を好きだなんて」
「クロ」
「はい?」
 俺が呼びかければこちらを向いて返事をする。
 ある種の反射動作なんだろうけど、俺はそれを逆手に取った。
「ん!?・・・んっっ・・・ぁっ・・・はぁ」
 唇を重ね舌を絡めあう。
「忠・・・様」
「俺はクロが好きだ。だから、もっと感じて欲しい」
「はぁっ・・・んっっ」
 ゆっくりと腰を引く。
 クロの膣は俺のに複雑に絡み付き、まるでタコの吸盤のようだ。
「ぁぁ・・・忠様・・・私は今・・・貴方を感じています」
「俺もクロをいっぱい感じてるよ」
 段々と俺の腰の動きも速くなる。
 その動きに合わせるかのように、彼女の中からは蜜が大量に溢れだしてくる。
 クロの顔にも悦びの色が見え始める。
「ぁ、ぁ、ぁ、はぁ、忠様、もう・・・もう」
 俺ももう限界だった。
 腰の動きをさらに速め、フィニッシュに備える。
「いくぞ」
「はい。きて下さい」
 俺がクロの中に精液を放出すると同時に、クロの膣はきつく締まり、まるで俺のを搾り出すように複雑に動いた。
「忠様の精液が・・・はぁ・・・はぁ・・・あっ」
 クロが俺の顔を見てハッとなる。
「ん?」
 顔に手を当てると、何かヌルッとした感触がした。
 まさか。
「申し訳ありません!」
「ん。まぁ、何事も経験だし・・・ま、いいよ」
 どうやら、クロから飛び出した精液が、今度は俺の顔にかかっていたようだ。
「いけません。少しお待ちください」
 繋がったままでクロが上半身を起こす。
 そして、俺の顔に舌を這わせ、精液を舐め取ってくれた。
257かわわらし 外伝3 7/9:2006/08/30(水) 20:04:15 ID:UiL5iC8z
「忠様。終わりました」
「ありが・・・とう」
「どうかなさいました?」
 俺は目を疑った。
 目の前のクロの表情。そこには満面の笑みが浮かんでいた。
「あ。えっと・・・あのな」
「はい」
 笑みを浮かべたまま俺に顔を近づけて来るクロ。
「・・・笑顔。可愛いな」
「え?・・・あ・・・はい。ありがとうございます」
 初めて見たクロの笑顔は、俺の心臓が弾けるかと思うくらいの衝撃を与えてきた。
 マジで反則だと思う。
 クロが何者かなんてどうでもいい。ずっと、一緒に居て欲しい。
 俺はそう思って、その日はクロを抱き締めて眠りについた。

「ん・・・ふぁぁ。おはよう・・・あれ?」
 抱き締めていたはずのクロの姿がない。
 朝飯でも作ってるのかとも思ったが、台所にもいない。
 というか・・・どこにもクロの姿が無かった。
「クロ?」
 クロに当ててた部屋にも、風呂にも、トイレにも、どこにも居ない。
 スーパーにでも行ったかと思い外に探しに出ては家に戻りを繰り返した。
 けど・・・俺は結局クロの姿を見つけることは出来なかった。
258かわわらし 外伝3 8/9:2006/08/30(水) 20:05:00 ID:UiL5iC8z
「・・・あ?」
 ドアのチャイムが鳴る。
「クロ?」
 俺は玄関に向かってかけだした。
 クロが居なくなって1週間。
 町で似ている人を見かけては、不振人物と思われるくらいに声をかけたりしてまわったくらいだ。
「よっ。元気そうだな」
「・・・親父かよ」
 ドアをあけた俺を待っていたのは、田舎に居るはずの親父だった。
「なんだなんだ?ひょっとして、彼女でも来るのか?だったら、手短に済ませないとな」
「手短って・・・なんか用事か?」
「用事も無くてこんな遠くに来るか馬鹿。と言っても、出張のついでだったりするんだがな」
 近所迷惑になりそうなくらい、大きな声をで馬鹿笑いを始める親父。
「うっさいなぁ。で、用事って?」
「あぁ。これだこれ。お袋・・・お前の婆ちゃんから、渡しておいてくれって言われたの忘れててな」
 俺の目の前に大きめの木の箱を突き出す。
「ばあちゃんって・・・死んで何年立つと思ってんだ」
「お前が独り立ちしたら渡せって言われてたんだよ。使わんとは思うが捨てたりするなよ」
「ばあちゃんの形見だし、そんなことはしないって」
「そうか。じゃあ、渡したぞ。俺は今から仕事だ。お前も頑張れよ。じゃあな」
 親父はそれだけを言うと外に停まっているタクシーに乗り込む。
「ったく。言うだけ言って帰るか?ま、いいけど」
 俺は家の中に入ってテーブルの上に木の箱を置く。
 結構な大きさで重さだ。一体何が入っているのやら。
「・・・え?」
 中に入ってたのは真っ黒なお釜だ。ご飯を炊くときに使うやつ。
 そういや、ばあちゃんちってカマドあったっけ。けど、ガスコンロじゃ使えないよな。
 仕方ない。ばあちゃんには悪いけど、押入れにでも入れておくか。
「あれ」
 お釜の中に一通の手紙を見つけた。
 まだ新しい感じの紙だ。親父かお袋が入れてくれたのかな?
『忠様。黙って居なくなったことをお許しください』
 え!?
 俺はその書き出しに目を疑った。
259かわわらし 外伝3 9/9:2006/08/30(水) 20:05:47 ID:UiL5iC8z
『忠様。黙って居なくなったことをお許しください。
 忠様とご一緒できた日々、私は幸せでした。
 今はまだ力不足のため、短い期間しかお会いする事が出来ません。
 いずれまた、必ず忠様の元へと帰ります。
 忠様。私も忠様が好きです。
 またお会いできる日を夢見て。クロ』

「・・・あの馬鹿親ども!!何がクロのことなんて知らないだ!!」
 俺はテーブルに手を叩きつける。
 こうして親父の持って来た物の中に手紙が入ってるってことは、やっぱり親父たちは知ってたんだ。
「ったく」
 俺は安堵でその場に崩れ落ちてしまった。
 クロは俺のことが嫌いになって居なくなったわけじゃない。
 力不足の意味はわからないけど、また会いに来ると書いてある。
 それだけで・・・十分だよな。
「親父にはそのうちそれと無く聞いてみるか」
260かわわらし 外伝3:2006/08/30(水) 20:10:07 ID:UiL5iC8z
以上です。
久しぶりに書くとドキドキです。

次回は本編に戻って河童が出てきますよ。
ほのぼの系です。そのうち、妖怪娘たちだけのお話も書いてみたいと思ってたり
では
261名無しさん@ピンキー:2006/08/30(水) 20:17:49 ID:cTAAOyjg
初めて投下直後に遭遇した……!!
GJ!と言わせて貰うよ。
でも、なぜふたなりだったのか判らなかった。お釜の付喪神だから?

この調子で他のしばらく見ない神も投下してくれるとうれしいなぁ。
262名無しさん@ピンキー:2006/08/30(水) 22:27:00 ID:3LRSc25I
>>260
GJ!
九十九神たんカワイイヨハアハア
次回も期待してます
263名無しさん@ピンキー:2006/08/30(水) 22:45:35 ID:uY0TZA+O
>「いれるのといれられるのです」
いれられたいです
264名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 06:32:09 ID:0yG16pmQ
GJ!!
おっきしたぉ

>>261
お釜かwwwwwwwww


265名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 22:07:57 ID:awKU02+6
いやいや釜じゃなくて釜の蓋の九十九神でしょ。
で、戻ってきた時に「おお、これこそ釜の蓋なり。蓋なり。ふたなり。フタナリ」
・・・お後がよろしいようで。テケテンテンテレツクテンテン
266名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 23:00:07 ID:ZYnmEeT1
山田君>>265の回線切ってきて
267名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 23:37:56 ID:FuUuLrVh
>>265-266
不覚にもワラタ(w
268名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 02:07:38 ID:lQr4jAMw
>>261
納得。
ついでに言うと、しばらく見ない職人様方のうち、某880氏は生存確認が取れてる。どうやらリアルで忙しいらしい。
269他スレより業務連絡:2006/09/01(金) 11:51:57 ID:K9zMF2jK
ところで乙×風さん無限の果肉まだー?
270名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 14:59:03 ID:PUxMZF/d
たまにあげるでやんす
271名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 01:04:41 ID:07qICTZ7
コンビニで、夜食を買った帰りの事だった。
ここは山の斜面の住宅地。しんと静まりかえった家まで続く緩やかな、しかし長い坂道。そこを上っているとき、ふと顔を上げると坂を上りきったところに、月を背後に少女が立っていた。
年の頃は14・5だろうか。
夜闇を紡いで織ったような色彩の、リボンとレースのフリルをふんだんに使った古風な西洋風の衣装。
月光そのままのような金色の髪に、逆光でもわかるキラキラと輝く蒼い瞳、白磁のような滑らかな肌。
さながらそれは、アンティークドール。
僕と目が合うと、彼女は薔薇色の唇を綻ばせて微笑んだ。思わず僕も微笑み返す。かなりぎこちなくだったけど。
「ねえ、あなた」
彼女が語りかける。水晶の鈴でも振ったような、透き通ったよく通る声だった。
「は、はい。何でしょう」
反射的に、上ずった声で返事をする。なんか、不審人物みたいだ。
「死んで頂戴」
微笑んだまま、少女は坂の上からの5mを一飛びで詰め、僕をそのまま押し倒す。
「え!?」
わけもわからず、僕は少女に押し倒され、そのまま坂道に倒れる。
深い海の様に輝いていた蒼い瞳は、今は血の様に紅く輝く。笑う様に開いた口からは、鋭い銀色の牙が覗いている。
272名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 02:40:10 ID:sectkwXW
・・・続きは?
273名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 06:08:48 ID:91SWcmak
死んで頂戴、でメガテンのアリス思い出したw
274名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 20:32:21 ID:jslAOzSr
ご愛読ありがとうございました

271先生の次回作にご期待ください


(´・ω・`)まさかな…
275名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 14:28:40 ID:rP9F7rQE
(´・ω・`)まさかな・・・
276なしれ ◆8XSSeehUv6 :2006/09/06(水) 20:43:02 ID:kwuZ/Lex
>>271さんの続きを待ちつつ投下します。
例の「住み込み弟子」シリーズ外伝になります。人魚ネタ、9レス消費予定。
277『海竜の鱗』 なしれ ◆8XSSeehUv6 :2006/09/06(水) 20:44:27 ID:kwuZ/Lex
「しっかし‥‥姐さん、あれはめったに――」
「お願い、あんたのとこにしか頼めないのよ。
もちろん手間賃も弾むつもりだし――なんとかしてよ。ね?」
 渋るオレに、赤紫の髪の美女が食い下がる。相変わらずすげぇ胸だ。
視線をそこへ集中させないようにするにはなかなかの鍛錬が要る。
「師匠‥‥安請け合いするからそういうことに‥‥」
 美女の横にいる童顔野郎が何か言ってる。
「うるさいな、あんたは黙ってなさい。――ねえファイグ、どうにかならない?
交易商人を通じてっていうのが難しいなら、産地へ脚を伸ばしてみるとか。
ほら、ダハーシュとかならここよりは――」
「そうだ、海辺なら何か手がかりとかあるんじゃないのかな?」
 童顔野郎――ラートとかいう見習い魔導士だ――が、また口を挟む。ええい、お前は黙ってろ。
だいたいオレより二歳も年上のくせに、オレと同じかヘタすりゃオレより若造に見えるってのは
どういうことだ、おい。まあそれはともかく。
「うーん‥‥他ならぬナイア姐さんの頼みだ、オレも何とかしたいよ。
でもなあ‥‥爺さんの代に扱ってるのはガキん時に見たことあるけど‥‥海竜の鱗なんて、
オレは扱ったことねぇよ。問屋連中の話にも出てこねぇしなあ」
 魔導具屋「ナイアのお店」のカウンター。商品の配達に行ったオレをとっつかまえて、
何の話かと思えば‥‥これだ。ナイア姐さんが「手間賃をはずむ」と言う限りは相当な儲け話だし、
美人の頼みを断ったとあっちゃ男が廃る。だけどそれも事によりけりだ。
欲に目が眩んで信用を失うようじゃ、商売人として論外の外だ。できない頼みは断るほかない。
けどなあ。うーん。

「なあ姐さん、それって急ぐのか?」

 * * * * *

 提示された期間は二ヶ月。経費込みで百ハダル。
‥‥我がシャダイム商会の――要するにオレの年収丸々一年分だ。おいしい。おいしすぎる。
が、商品はかの珍品「海竜の鱗」。魔導具の材料にもなるらしいが、普通はそんなことには使わない。
はっきり言うが、好事家が装飾品として家宝にするようなネタだ。
‥‥まあ、オレは仕入れて売るのが仕事だ。何に使われようが知ったことじゃ‥‥待てよ。
確かアレって、昔は‥‥。

「海竜の、なあ‥‥。最近はまたあんなものが流行っとるのか?」
 ひんやりと涼しい室内で、先生は椅子にゆっくりと腰掛けてそう言った。
――町医者「キダシュ医院」。かつて高級な薬として使われていたということを思いだして、
とりあえず一番博識そうな先生に聞いてみることにしたんだが‥‥。
「流行る?」
「うむ、この前も中年の男がわしに聞きに来てな。そんなものはもう手に入らん、と言うたのじゃが」
 ははあ、なるほど。そいつがナイア姐さんのところに泣きついたのか。
‥‥表情は読めないが、かすれがちな声もいささかうんざりした響きだ。
「昔は年に一、二回は仕入れられたんじゃが‥‥」
「どれぐらい昔――」
「ふむ‥‥四百年ぐらい前じゃな」
 少し首をかしげ、おもむろに返ってきた答えがそれか。リザードマンという種族を甘く見すぎていた。
「竜鱗湯という薬になったんじゃ。不老長寿の薬だ、とか言うてな。
実際はせいぜい疲労回復の栄養剤ぐらいにしかならん、とわしがいくら言うて聞かせても――
まあ、名前が派手じゃから、効き目は二の次、三の次で金持ち連中が欲しがったもんじゃ。
値段も高くなるばかりで、仕入れるのも止めてしもうたわ」
 しゅうしゅうと音を立てながら、老医師は昔話を語るような口ぶりで教えてくれた。
が、それじゃあオレとしては困る。効き目はともかく、現物が手に入らないと話にならねーんだから。
「そんときの入荷ルートとか‥‥先生は知ってるかい?」
「あいにく‥‥待て。あれは確かダハーシュからの商人だったか‥‥?」
278『海竜の鱗』  ◆8XSSeehUv6 :2006/09/06(水) 20:45:51 ID:kwuZ/Lex

 * * * * *

「うっぷ‥‥はぁ‥‥くっそー‥‥これだから‥‥」
 これだから嫌だったんだ、海へ来るのは。
 ビルサから貨客船でアルム・シェダ河を下ること一日、港湾都市ダハーシュ。
名目上は独立国だが、事実上ビルサの属国だ。だからある程度は異種族も住んでる。
 船から下りるや、蒸し暑い潮風が吹き寄せてきた。べたつく潮風もうんざりだが、
船の揺れはもっとうんざりだ。でもオレが乗ってきたのは川船だ。乗ったことはないが、
海の外航船はもっと酷いらしい。‥‥そんなものに乗るぐらいなら儲け話なんざ誰かに売ってやる。
第一、これも百ハダルのためだからここまでこれたんだ。
報酬が半額だったらダハーシュくんだりまで来ねぇぞ、オレは。
 オレは‥‥というか、オレの曾々爺さんの代から続く問屋業は、東方交易路の商人が
本来の取引相手だ。ダハーシュから発する海の交易路は専門外。やっかいな仕事だぜ、
自分で引き受けたとはいいながら。
 とはいえ、今回のはネタがネタ、普通の流通経路では入ってこない商品だからな。
人間関係の粗密より、商売人としての勘と経験の方が役に立つだろう。‥‥と、思う。思いたい。
 で、だ。オレの経験として、やっぱり妙なものってのは人間以外の方が詳しい。
でもなあ。海のモノに詳しい種族って‥‥。

 * * * * *

「なあ旦那、イスラって人魚は知ってるかい?」
「――なんだ、あいつに用か? んー‥‥確かフェガル号を先導してくるはずだからな。
そうだな、たぶん夕方には帰ってくるだろうよ」
 さほど期待せずに船乗りらしきおっさんに尋ねると、予想以上にはっきりした答えが返ってきた。
なるほど、「顔が利く」ってだけはある。――「海に詳しく人間とも交流が深い種族」と言えば人魚、
ここの人魚の頭領・イスラなら頼りになる――情報を集めた結論はそういうことだった。
他の人魚でもいいのかも知れないが、どうも今はみんな出払ってるらしいし、
その頭領にも夕方になれば会えるというんだからそれなりにツイてる。なら、それまで待つとするか。

 太陽が西に傾き、暑さが少し和らいだ頃。宿の二階から、にわかに騒がしくなった埠頭に目をやると
沖に船影が見えた。急いで宿を出て船着き場から沖を見ると、だんだんと船影が大きくなってくる。
大きな三角帆が風を受けて膨らみ、ゆっくりとこちらへ来る。あれがフェガル号だろうか。
停泊している商船と比べてもなかなか大きい。
 周りの水夫たちも忙しそうに走り回っている。船はどんどん大きくなり、
甲板で接岸準備に励む人影も見えてきた。
 そしてその船の前に、いた。海面を船と併走しながら、船の上へ合図を出している。
遠目には良く分からないが、金色に輝く海面から見える人間の上半身。その人影が水面に沈むと同時に、
水しぶきを跳ね上げる大きな魚の尻尾。あれが‥‥人魚か‥‥。

「どけ、邪魔だ! こっちは忙しいんだ、見物はあっちでやれ!」
 初めて見る人魚の泳ぎに見とれていると、荒っぽいおやじに突き飛ばされた。
しゃーねぇ、埠頭が落ち着くまで待つか。

 フェガル号が接岸後しばらくして荷下ろしが峠を越えたころ、ようやく件の人魚に会えた。
そいつは埠頭から少し離れた防波堤に、上半身をうつぶせに乗せて休憩中だった。
港の外れだからだろう、周りに人影はない。遠くに威勢の良い掛け声を聞きながら、
オレは生まれて「人魚」と会った。
 人間で言えば二十代の半ば、ってところだろうか。濃い茶色の髪は肩まである。
日に焼けた小麦色の肌、目は大きいけれど少しつり目がちだ。力強い印象の腕や背中。
でかい乳が防波堤の上に乗り、脇からはみ出して存在感を主張している。
くびれた腰の下からは大きな魚。――でもそれは普通の魚じゃなかった。大きな鎌形の、黒い胸びれ。
上半分が長い上下非対称の尾びれ。人間と同じ上半身にも、背中には三角形の背びれが突きだしている。
いわゆる「サメ」ってやつだろうか。
 ‥‥白状すると、ちょっと見とれてしまった。が、これってオレの想像してた人魚とは
ちょっと違う気がする。人魚にもいろいろ種族があるんだろうか。ま、いいや。
「あんたが‥‥その、イスラさんかい?」
「‥‥あん‥‥? なんか用か、ぼうず」
279『海竜の鱗』  ◆8XSSeehUv6 :2006/09/06(水) 20:47:41 ID:kwuZ/Lex

 * * * * *

 イスラという人魚はなかなか豪快なねーちゃんだった。商談を持ちかけようとすると
いきなり酒を持ってこいと言われ、そしてそれをラッパ飲みにしながらオレの話を聞く。
胸の下まで海に浸かったまま、背中と腕で防波堤にもたれかかっているから‥‥乳は丸出しだ。
すげえ。思わず視線が吸い寄せられるが、それを何とか我慢しつつオレの求める物を尋ねる。と――、
「はん、くだらないねえ。陸の連中は相変わらずあんなのが好きなのか?」
 低めの、かなりドスのきいた声で笑う。
‥‥イスラ姐さん、あるいは姐御とでも言った方がしっくりきそうだ。
「あんなの‥‥って、おいおい、人間はああいうのが大好きなんだぜ?
だからさ、面倒がらずに売ってくれよ、高く買うからさ」
 周りに人はいないとはいえ思わず声を低くして説得するが、姐さんは肩をすくめるだけ。
「売るもなにも‥‥あれはもう手に入らないよ」
「え‥‥っ!?」
 そ‥‥それは困る‥‥! ナイア姐さんには何とかするって言ったんだ、
仕入れられなきゃ面目丸つぶれだ。
「‥‥何を泡吹きそうな顔してんだ?
ま、せっかく酒を持ってきてくれたんだし――そうだな、手に入らないってのは正確にはちょっと違う。
ぼうずはなかなか良い面構えだから、特別に教えてやるか。正確に言うと、『売らない』ってのが
アタシらの掟になってるんだ」
 品定めをするかのようにオレの顔と体をしげしげと眺めると、少し肩をすくめて話を続ける。
さっき自己紹介はしたんだが、名前で呼んでくれる気は無いようだ。
「――昔はな、海竜の鱗を拾ってきて人間と交換したんだよ。酒とか肉とか、そういうのとな。
人間にとっちゃボロい商売だったんだろうが、アタシらは結局海から出られないんだ、
金なんかもらってもしょうがないんだよ。‥‥それに人間は何を勘違いしたのか知らないけど、
アタシらを使用人みたいに扱いはじめたんだ。『食いもんをやるから、お宝を採ってこい』みたいにな」
 ‥‥オレも商売人の端くれだ、昔の商人連中が何をどう考えてたかはある程度解る。
それがいいかどうかは別として。
「それでもう、あれを交換材料にするのはやめたんだ。『取り尽くして見つからない』とか言って
取引量をだんだん減らして、交易自体をやめた。その交易の代わりに、こうやって一族の中で
何人か体力のある奴が、水先案内と近海の護衛をする。これでアタシらは食い物にも酒にも困らない、
陸の連中のごたごたにも巻き込まれない、ってな。――それに、この仕事の報酬は悪くないんだ。
みんながたらふく飲み食いできるぐらいの量を確保できるぐらいには、ね。
そうなると、海竜の鱗をわざわざ密売する奴もいない。
――そういうことだ。っと、悪い、長話になったな」
 ふふ、っと笑ってみせる。気が付くと太陽はもう西に沈んで、ほんのりと赤みを海に
残しているだけ。代わりに涼しげな銀の光が、東からイスラの肌を照らしている。
 ‥‥そうか、水先案内の仕事にはそういういわれがあったのか。欲のない種族ってのは
こういう工夫も必要なわけか‥‥大変だな、オレら人間のせいとはいえ。
 ‥‥あれ? ‥‥ちょっと待った。今、何か言わなかったか?

「‥‥姐さん。『食うに困らないから密売しない』‥‥そう言ったよな?」
 オレの言葉に人魚がにやりと笑う。
「ああ、言ったよ。ふふふ、『何とかして売ってくれ』‥‥そういう顔だな」
 何か‥‥雲行きが怪しいな‥‥これは。もしや乗せられたか‥‥?
でも引くわけにゃいかない。妙な条件を呑まされようと、百ハダルと面子がかかってるんだ。
オレは禁断の言葉を口にした。
「ああ、頼む! 何でもする、売ってくれ!」
「よし、いい返事だ。じゃ、アタシを楽しませてくれよ」
280『海竜の鱗』  ◆8XSSeehUv6 :2006/09/06(水) 20:49:49 ID:kwuZ/Lex
「‥‥?」
 どういう意味だ‥‥?
「‥‥ぷはっ‥‥旨いな、この酒。――なんだ、聞こえなかったのか?
今回は特別だ。ぼうずがアタシを楽しませてくれれば、それでいい。
――ふっふっふ。今度はちゃんと聞いてたか? 『 た の し ま せ ろ 』よ?」
 イスラは酒瓶の残り三分の一を一気にあおり、こぼれた酒を手の甲で拭う。
と、さっきの言葉をほんの少し詳しく繰り返し――含み笑いをしたかと思うと、にたりと笑った。
こ、怖ぇ‥‥。
「‥‥い、いや、だから楽しませるってのは――」
 オレの言葉が終わらないうちに、焦れたようにバシャッと尾びれを跳ねさせる。
飛沫が月の光にきらきらと輝いた。
「あん? 説明がいるのか? 勘の悪い奴だな、耳かっぽじってよく聞け。
アタシは女、お前は男。――はい、説明は終わり、商談成立。いいから脱げ」
 ちょ、ちょっとまて姐さんオレはまだなんにも答えてな――
 ドバシャッ!!
「ぶばぷぅっ!? げほっ、な、何しやがる!」
 いきなり尾びれを強く振ったかと思うと、物凄い量の水が押し寄せてオレの全身がずぶぬれにっ。
あーあ、遠方に商談だからってちょっとはマシな服を選んでたのに‥‥。
「――っと、悪いね、尻尾がむずがゆくてさ。さ、そんな濡れてちゃ風邪ひいちまう、さっさと脱ぎな」
「だ、だからなんで脱がなきゃ――」
「黙って脱げ」
「はい」
 怖ぇ、怖ぇよこの人魚。目が据わってるよ。
「ほらほら、下も脱ぎな。ったく、人間ってのはなんでそんなに布きれをごちゃごちゃ着てんだ」
 っだー、もうヤケだ。何だか知らないが脱いでやる!
「下着もな」
 ‥‥。
 ‥‥そうか、さっきの説明はそう言う意味か‥‥。貞操の危機だな、これは。
いやべつに童貞じゃねーけど。つか、こういうことを取引材料にするか‥‥。
「よし、脱いだな。ふふ、生き物ってのはみんな生まれたままってのが一番きれいだろ?
さ、こっち来な――どうした?」
 じょ、冗談じゃねぇ! こ、こんな真っ暗な海に、何でオレが入らなきゃなんねーんだ!
人間ってのは陸の上で生活する生き物なんだよ!
「ははーん。泳げないのか?」
 オレの表情を読んだのか、姐さんは馬鹿にしたかのように笑う。
あ、う、いやその、‥‥馬鹿にされたとあっちゃ意地でもそれに乗るのがオレの流儀だが、
溺れちゃ命に関わるしな‥‥。
「心配しなくてもアタシが乗せてやるよ。ほら」
 そういうと背中を水面から露出させてこちらに向ける。褐色の肌がぬらぬらと光り、
妙に色っぽい。その背中に三角形の背びれが見える。
「じゃ、ひれに掴まって――安心しな、落としゃしないよ。で、そう、そうやって跨ってごらん」
 思った以上にざらつくひれに必死で掴まる。そして太股で下半身をしっかり挟んで、
どうにか滑り落ちずに掴まってられそうだ。‥‥足元は見ない。真っ黒な水が揺れて、何も見えない。
「ひと泳ぎするよ。落ちないようにしっかり掴まってな」
 そういうとイスラは下半身を力強く左右に振る。最初は腰や上半身も尾びれとは
逆方向に振れていたけど、それはすぐに止まり、尾びれだけが勢いよく、
だがしなかやかに左右に振れる。尾びれの先が水面を切り裂き、その後ろに小さな波が航跡を描く。
ときおり頭を水面から上げながら、悠々と泳ぐ。大きな胸びれが、水中を飛ぶ鳥の翼のようだ。
「ちょっ、どこまで行くんだよ‥‥」
 すごい速さだ。
「一度入江から出るよ」
 な、なにー! 入江から出るって‥‥それって、あの聞くだに恐ろしい
「外海」ってやつじゃないのか!? そんな恐ろしい所へ‥‥なんて思っていると、
もう入江東端の灯台がすぐそこに迫っていた。灯台を過ぎると途端に波が荒くなる。
真っ黒い波が次々に押し寄せ、白い波頭がオレを笑う。
爺様、親父、まだ「そっち」へは呼んでくれるなよ‥‥!
「くっくっく。震えてんのかい? 心配するんじゃないよ。
岬より東に砂浜があるんだ、そっちへ行くよ」
 波だ、波。大波。背よりも高い波が押し寄せてくる。その波を巧みに乗りこなして、
イスラは颯爽と泳ぐ。こんなのは波の中に入らないとでも言いたげだ。
281『海竜の鱗』  ◆8XSSeehUv6 :2006/09/06(水) 20:51:33 ID:kwuZ/Lex

 * * * * *

「さ、もうすぐだ――浜に乗り上げるよ、しっかり掴まりな!」
 目の前に白い砂浜。背後から大波。背びれに必死に掴まる。ふっと体が浮いたように感じ、
物凄い勢いで浜に向かって突き進んで――!

「おい、大丈夫か?」
 その声で、やっとオレは正気に戻った。い、いや、失神なんかしてねぇぞ!
「‥‥そんなに怖がるかねえ‥‥。まあいいや。――さてと。ここで楽しもうか」
 ちょっとふらつくけど、酔ったというほどじゃない。‥‥酔ってる暇なんざありゃしねぇ。
長い時間しがみついていたような気もするし、あっという間だったような気もする。
が、ダハーシュの街はもう岬の向こうに隠れて見えない。
 背中からオレを下ろすと、イスラ姐さんは体を仰向けに回転させて伸びをした。
サメの白い腹が上を向き、人間でいうなら脚を投げ出して座ったような格好になって‥‥
その‥‥なんだ、胸が丸見えになる。さっきは商談ってことだったからじろじろ見るわけにも
いかなかったが、今ならじっくり見られる。‥‥すげえ。日焼けした肌が濡れて光り、
ナイアの姐さんほどではないけど相当でかい胸が堂々と丸出しになってる。濃い色の乳首、
引き締まった腹。その脇には数列の鰓孔。大きな胸びれ。そしてその少し下、人間でいうなら
股より少し下に‥‥腹びれがあって、その間に‥‥。そこの形は少し人間とは違うようだが、
種族は違えど「大人の女」だ。いやらしい雰囲気が匂い立つ。
「‥‥お? よれよれで役に立たないかと思ったら、案外元気じゃないか」
 にやりと笑った視線をたどると‥‥
「おぅわっ!?」
 勃ってやがった。さっきまで縮み上がってたくせに、節操もなく。そしてそれを姐さんが掴んで――。
 ちゅぅうっ。
「っく、ちょっと姐さん、いきなり‥‥!」
 チンポを掴んだかと思うと一気に腰を抱き寄せて、その先端に唇をつける。舌を這わせて、吸う。
ぬめる舌が先に絡まって、カリの根本を舐め上げる。
 ちゅぅっ、じゅるっ、ぢゅうっ。
 吸い上げ、舐め上げ、くわえて。横から唇を前後に這わせたかと思うと、
根本まで一気に飲み込んだ。そのまま舌を絡ませ、頬の粘膜で亀頭を擦る。‥‥すげ‥‥ぇ‥‥。
「そん‥‥な‥‥いきなり‥‥激しすぎるだろ‥‥」
「‥‥んっ、と。あん? なんだ、もっといちゃいちゃしたかったか?
恋人でもないんだ、遠慮する意味もないだろ」
 理屈になってるのかどうかよくわからないことを言うと、目で笑う。
「ま、こっちの元気は心配要らないみたいだな。
なら、予定通りアタシを楽しませてくれよ‥‥ほら、ぼさっとするなよ」
 たしかにここまで来て引き下がるわけにはいかない。というか、引き下がりようがない。
商談がどうこうってのもあるが、豪放ながらも美人が誘ってるんだ。引き下がれるはずがない。
オレは意を決して、彼女を砂浜に押し倒した。
「ひれ‥‥痛くないか?」
「ふふ、気遣ってくれるのか? 大丈夫、痛まないよ」
 押し倒したことで背中のひれが横に折れたが、別に問題はないようだ。
だったらこっちも安心して抱ける。肩を押さえて、唇を重ねる。飾り気のない、
だがみずみずしくきれいな唇。その唇をついばみ、舌で割ってその中に滑り込む。
温かくぬめる粘膜がオレを迎えてくれる。互いに絡み、絡まれて、たっぷりと唾液を送り合う。
「んふ‥‥ぅ‥‥。はぁ‥‥巧いじゃないか‥‥」
 声が熱っぽくなってる。月光じゃよくわからないけど、たぶん少し赤くなってると思う。
「――かわいいよ、姐さん」
「か、かわいい!? まだガキのくせに生意気なこと言うんじゃな――あっ‥‥!」
 耳元で囁いてやるとむきになって言い返すが、乳首をつまむとその抗議も中断した。
282『海竜の鱗』  ◆8XSSeehUv6 :2006/09/06(水) 20:54:45 ID:kwuZ/Lex
 張りのある胸。揉み込むと弾力が手のひらを押し返し、溢れる肉が指の間から顔を出す。
同時に、ぴくぴくと体が震えて、唇から甘い声が漏れる。
「っく、あ、‥‥あん‥‥っ。は、‥‥ぁっ‥‥」
 途切れ途切れの声。
「ふふん。姐さん、そのガキに揉まれて感じてるのか?」
「ま、まだ感じてない――ひっ! あ、ああっ、や、やめ‥‥!
噛むな、ちょっ‥‥ああぅっ!!」
 コリコリになった乳首を軽く噛んで、抵抗する姐さんを黙らせる。
乳首が弱い――少しキツめの攻めが好きみたいだ。ふふん、もっと喜ばせてやるよ。
こっちもいじって、と――。
「は、あぁっ!! な、やめろ――ああっ、あぁぁあっ!!
ど、同時に、なんて‥‥! ――ひぃいっ! 噛むな、つまむな!!
あふっ、はぁあっ!! く、っくううっ!!!」
 歯で乳首を噛み、左手でもう片方の乳首を強めにつまむ。右手を伸ばして人差し指を
腹びれの間に滑り込ませ、親指で肉芽を嬲ってやる。頭をのけぞらせてビクビクと跳ねるイスラ。
‥‥かわいすぎる。
「なんだよ、もうイくのか?」
「‥‥だ、誰がっ‥‥あぅうっ!!
ひぃっ、く、あ、あ、ああ、‥‥あっ! はあっ、ああぁぁああっ!!!」
 途切れ途切れの喘ぎが詰まり、一気に噴き出した。波の音に混ざって伸びやかな嬌声が響く。
腰を浮かせてこわばったかと思うと、ビクビクと震えてゆっくりと崩れた。

「はぁっ‥‥ぅ。やるじゃないか‥‥。ふふふ、取引のしがいがあるってもんだよ。
さあ、続き、してくれよ‥‥」
 イスラは上半身を起こし、オレの首に絡みつく。褐色の、少し筋肉質の腕が、
しっとりと首に、背中にまとわりつく。その言葉に口づけを返して、そして唇を下へずらしてゆく。
たっぷりかわいがってやった乳首に、もう一度挨拶。びくんと跳ねる身体。引き締まった腹筋の、
中央を走る溝に舌を這わせて、へそから徐々に下へと滑ってゆく。左右の鰓孔を軽く舐めて、
そして蜜がほとばしる腹びれの間に――。舌を細めてそこをつついてやると、顎をのけぞらせて
吐息を漏らす。尾びれがひくっ、ひくっと左右に揺れる。たっぷり蜜が溢れているのを確認すると、
オレは波で軽くサオを洗って唾を塗り、そして脚でサメの胴を抱えるようにしてゆっくりと差し込んだ。
「ああ‥‥ぅっ、はぁ‥‥んっ! あう、いい‥‥」
 甘く熱っぽい声。腰を奥まで突き入れると、感極まった声で喜ぶ。マンコは人間よりも下にあるから、
オレの頭は姐さんのへそのあたりになる。ちょっと色気の少ない視界だがしかたない。
片手で体を支え、片手で乳首をつまんでやる。
「あっ!! はぁっ、そう、いいよ‥‥!! あはぁっ、あん、ああっ‥‥!」
 膝まで波が洗う中、腰を使って突く。乳首をひねり、胸を揉み、じっくりと、時に激しく人魚を抱く。
イスラは悶え、喘ぎ、身体をくねらせて悦びを表現する。褐色のしなやかな身体が月光に照らされ、
幻想的な色気を振りまく。汗とも波飛沫ともつかない水滴が肌を濡らし、
とどろく波でさえ打ち消せない声が響く。
「っく、あっはあぁっ!! 突いて、深く――そう、ああ、イく、イっ‥‥くぅ!!」
 がくんがくんと上半身を跳ね上げ、達した。とろんと熔けた目がオレを見つめ、
半開きになった唇から途切れ途切れの小さな喘ぎが尾を引いている。

 体に渦巻く快楽の余韻を味わい――でも、何かが足りない。イスラはそう言ってる気がした。
‥‥が、正直言ってオレにはそれがなにか分からない。
しばらく普通に腰を使ったが――ええい、もう直接聞こう。
「なあ、姐さん‥‥オレは人魚としたことないから分からないんだけど
‥‥して欲しいこととか、あるか?」
「あ‥‥はぁ‥‥。‥‥して欲しい、こと‥‥? あ‥‥ん‥‥噛んで‥‥」
 乳首を噛んでやったのがそんなに良かったんだろうか。でもこの体勢だとそれは難しい。
「ひれ、噛んで‥‥」
 とまどいを汲んだのか、小さな声で、彼女はそう言った。ひれ‥‥ねえ。
折れても痛くないって言ってたから、感覚がないのかと思ってたけど‥‥。ためしにやってみるか。
 手近な胸びれを片手で引き寄せ、端を軽く噛んでみる。反応がない。
もう少し力を入れて噛んでみると――
「もっと‥‥強く噛んでくれ‥‥。んっ‥‥」
283『海竜の鱗』  ◆8XSSeehUv6 :2006/09/06(水) 20:56:56 ID:kwuZ/Lex
 結構強く噛んでるつもりなんだけどな‥‥。
感覚が鈍い部分なんだろうか。思い切って強く噛んでみるか?
――でも、痛がられたり血が出たりしたら困る‥‥ええい、なるようになれ。

 がりっ!
「ああっ!! そう、噛んで‥‥!!」
「い、痛くないか?」
「いい、噛んで、強く!!」
 ‥‥。オレ、こんな強さで噛まれたら騒ぐぞ。ま、いいや。欲しがってんだから
思いっきり噛んでやろう。
 腰を弾ませながら、ひれを噛む。歯形が残りそうなぐらい、強く。
「ああ、いいっ‥‥!! はぁっ! あう、あぁうっ!!
突いて、噛んで、ああ、もっと強く!!」
 格段に反応が跳ね上がる。がむしゃらに腰を動かしながら、胸びれを手当たり次第に噛みまくる。
付け根から端まで、何度も何度も。噛みつくたびにビクンビクンと震え、一層喘ぎが激しくなる。
あそこの締め付けも単なる締め付けからうねりに変わり、蜜もどんどん溢れてくる。
「かはっ‥‥! ひ、あはぅっ!! う、巧いよ、っく、あ‥‥くぅぅぅっ!!」
 突き上げるのと同時に思い切り噛むと、仰け反りながら身体をよじる。砂浜に横向けに転がり、
尾びれがびくっ、びくっと跳ねて打ち寄せる波を弾く。その堂々とした体躯にしがみつき、
背びれを強く掴んで突き上げる。
噛まれて感じるんだ、爪を立てられても感じるだろう――勘は当たった。
背びれを引きちぎりそうなぐらい強く掴んで引っぱり、その反動で思い切り突く。
そして口はざらつく胸びれを食いちぎらんばかりに噛みつく。
 ――イスラは狂乱した。
「ひ、ひぃいい!! あ、ああっ!! あぉ、あひっ、くっ、ああぁあっ!!」
「気持ちいいのかよ、こんなに噛まれて!」
「――っくぁ、んあああっ!!」
 涙目になってがくがくと首を振るが、言葉にならない。手は掴まるものを探して暴れるが、
砂浜の砂を掴んだところで支えになりはしない。空しく砂浜を引っ掻き、引き締まった上半身を
のけぞらせると、おっぱいがこれ見よがしにゆさゆさと揺れる。
 そのおっぱいを時に片手で揉み潰し、乳首を捻り上げる。喘ぎが一層甲高くなり、
半開きになった口から舌を突きだして痙攣する。
「いいいように嬲られて、あんあん喘いで、恥ずかしいと思わないのかよこのスケベ女!」
「だっ‥‥だって‥‥!! いい、いいよ‥‥!! きもちいい‥‥――ひぃっ!!」
 調子に乗って荒い言葉をぶつけると、必死になって言葉を返そうとする。
なんてかわいいんだ、姐さん。お返しに胸びれを思いっきり噛んで、噛んで、噛みまくってやる。
歯形が残るぐらい、血が滲むぐらい強く。口からよだれを垂らし、
マンコをぐしょぐしょにして悶える人魚。チンポへの締め付けがひくひくと痙攣を帯び始め、
それを強く突き上げてかわいがる。――そして。
「あ、あ、ああ、――あぁああああぁぁぁああっ!!!!」
 限界まで仰け反り、全身を激しく跳ね上げ、絶叫。暴れて転げ回るイスラにしがみつき、
思い切り抱きしめ、噛みつき、腰を打ち上げて――!
「ああっ!! くぅっ、とまら‥‥ない‥‥っ!! またイく、っく、っくぅぅうう!!!」
 絶叫、痙攣、強烈な締め付け。熱く熔けきった肉襞に抱きしめられて‥‥堪えられるわけがなかった。
284『海竜の鱗』  ◆8XSSeehUv6 :2006/09/06(水) 20:59:25 ID:kwuZ/Lex

「はぁっ‥‥はぁぁっ‥‥」
 息を弾ませる姐さん。オレの息も荒い。
「やるじゃ‥‥ないか‥‥」
「へへっ‥‥。楽しんでくれたか?」
「ああ、十分にね‥‥」
 うっとりとした声でそう言う。低い声ながらも色っぽい。
でもな、この体勢で余韻に浸られると困るんだが。
「‥‥でさ、姐さん。言いにくいんだが‥‥重い」
 彼女が暴れた拍子に体勢が入れ替わってしまったんだが――めちゃくちゃ重い。苦しい。
「うん‥‥? あ、あれ!? 悪い、はしゃぎすぎた!」
 上下が入れ替わったことに気付いてなかったのか。慌てて身体を回転させ、オレを解放する。
その拍子に繋がっている部分がほどけ、そこから白い液体がこぼれた。それを波が洗ってゆく。
‥‥いつの間にか波打ち際まで近づいていたらしい。それに気付いてないんだから、
オレも相当はしゃいでいたようだ。
「潮が満ちてきたな‥‥。ファイグ、寒くないか?」
「‥‥そういや、ちょっとだけ」
 お楽しみの最中はそれどころじゃなかったが、事が終わってみると濡れた体に風が冷たい。
「こっち来いよ、暖めてやるから‥‥あっ!? ちょ、ちょとまて、‥‥あっ、お、おい‥‥っ!」
 姐さんに寄り添うと、人肌が温かい。思わず抱きしめてしまう。
――目の前に、顔。唇。胸にはでっかい乳が押しつけられる。そして背中に回した手には、背びれ。
 ‥‥これで「体を温めるだけ」なんて、十代の男として失格だよな?
 唇を重ねて、それをずらして、背びれを掴んで、乳首を噛む。漏れる喘ぎ。
ひれに噛みつくと、また尾びれをくねらせて――。


 月が高く昇り、潮が満ちて、引いて。
 楽しい商談を終えて、オレたちは港へ戻った。帰りも彼女の背中の上だが、今度は妙な注意事項がついた。
「間違っても背びれを噛むなよ? ‥‥溺れるのはお前だからな」

 * * * * *

「あいよ、これが例のもの。‥‥悪いがこの取引はこれっきりだよ。
理由は前に言ったとおり。わざわざ言うこともないだろうけど口外無用、秘密だよ」
 数日後。イスラの指定した日、ようやく目的の品が手に入った。
「ありがと、姐さん。――無理言って悪かったな」
 協定破りの、いわば密貿易みたいなもんだからな。オレも口に出せるはずがない。
「ふふ。ま、こういうのもたまには悪くないよ。アタシも楽しんだしさ。‥‥なぁ?」
 意味ありげに笑う。
「ま、まぁ、オレも楽しかったよ」
「あっははは! ‥‥ふぅん? じゃ、今度は外洋で泳ぎながら、ってのはどうだ?
めちゃくちゃ燃えるぞ? ――なんてな、冗談だよ。ま、取引ってのは今回きりだけど、
遊びに来るってなら話は別だ。また来いよ、遊んでやるから」
 豪快に、楽しげに、だが少し色っぽい目で笑ってそう言う。人目に付かないように、
その唇にそっと唇を重ねて、オレは彼女に別れを告げた。

 ――海は嫌いだ。外洋なんざお断りだ。でも‥‥人魚は別だよな。うん。
285『海竜の鱗』  ◆8XSSeehUv6 :2006/09/06(水) 21:01:26 ID:kwuZ/Lex

 * * * * *

「はいよ、姐さん! 入荷したぜ、海竜の鱗!!」
 意気揚々とカウンターに向かうと、本を読んでいたラミアに声を掛ける。
と、目を丸くして驚くナイア姐さん。
「え! もう手に入ったの!? やるじゃない、さすがシャダイム商会ってところね」
「ふふん、見直してくれたか? ――で、お代は‥‥」
 さすが姐さん、おだて方も大したもんだ。これでオレも大儲け、姐さんも大儲け、なんだろうな。
「それがさ‥‥」
 言葉を濁す姐さん。‥‥まさか注文取り消しじゃねぇだろうな‥‥。
「あ、いや、お代は払うから。それは安心して」
 そう言いつつ、横の童顔野郎に目をやる。
「いや、その、実はね、ファイグ――」

 なんだそりゃ。なんだそりゃおい。――童顔野郎が説明したのはこういうくだりだ。
 とある豪商が「ナイアのお店」に注文をした。そいつが説明したところによると、
どうも海竜の鱗を原料に魔導処理を施した媚薬だか強壮剤だかを手に入れようとした。
カミさんをよろこばせるため、だとよ。
 で、そいつはその薬の作り方の秘伝書をナイアさんに渡した上で、
とんでもない額を前払いで渡したらしい。――事のくだらなさはさておくとして、
それならそれでまぁいい。問題はその先だ。
 ‥‥破産しやがった。
 そいつの所有してた船団が嵐で全部沈没、運悪く隊商も盗賊に襲われて大損害。
さらに失火で屋敷も燃えた。カミさんに逃げられるわ、債権者に追われて夜逃げするわで
そいつは行方知れず。つまりオレの仕入れた商品は意味が無くなった。
‥‥仕入れに掛かった時間は半月ほどなのに、よくもまあそれだけの不運をしょいこめるもんだ。
 とりあえず大儲けはした。けどなあ。こう、張り合いってもんが‥‥。

 とりあえず手形を手にして、姐さんの店を後にする。強烈な日差しがなんだか空しい。
ドアを閉めて、店の横で資金の使い道を考えつつ――声が聞こえた。
「で、師匠。どうするんですか、これ?」
「決まってんじゃない、例の薬を作って、ふたりで‥‥」

――ええいそういう話は小声でしやがれ、くそったれ。ああもう、またダハーシュへ行こう。
しばらく働かなくても飯は食えるし。くそ。


(終)
286なしれ ◆8XSSeehUv6 :2006/09/06(水) 21:02:09 ID:kwuZ/Lex
以上です。
287名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 21:04:26 ID:Lusl2wil
>>286
RTGJ
人魚エロいよエロいよ人魚エロいよエロいよエロロロロロロロロロロ
288名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 21:14:22 ID:YyGbmWli
ttp://eoo.moo.jp/cc/archives/2004/12/post_42.html
こんなモノを読んだあとでは余計おっきした

グッジョブの極み!
289名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 22:19:41 ID:6fS3LbeS
エロ人魚GJ!

……見た目はぜんぜんSSとは違うんだけど、最近入手した某同人RPGの人魚を思い出したよ。
あっちは純愛の象徴みたいなものだったけど、こういうのも好きだな。
290名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 23:54:53 ID:R9zPTHn9
>>289
あっちの人魚(特にフレデリ●)も好きだがこっちの人魚も(・∀・)イイ!ね
姐御肌で鮫肌っすかw
291名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 00:38:06 ID:Dm3jgezn
人外スレ幽霊スレで御三方のSSを読めてなんかしあわせ。
292名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 00:02:32 ID:sxB7xcNR
人魚エロイよ、人魚
噛む意味が分からなかったけど、鮫の交尾ってそうなのかしらん?
293名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 00:09:40 ID:F84vPoH/
僕より2・3年下の少女の身体は、小さく細い。それなのに僕の身体は、か弱いはずの彼女にしっかり押さえつけられている。
彼女は心を蕩かすような妖しい微笑みを浮かべたまま、僕の首筋に顔を寄せる。微かな吐息が僕をくすぐる。
と、彼女はふと突き立てようとした牙を止めて、腿に当たった固いものに目をやる。僕のアレだ。
突然現われた普通でない相手に、いきなり殺す宣言されて押し倒されてるのに、恥ずかしながら僕はすっかり興奮していた。
「ふうん。生存本能? それとも……?」
少女はルビーの目を細め、落ちついた様子で訝しげに呟く。そして、値踏みするように真正面から僕を見た。
魅力の魅の字は魑魅魍魎の魅。僕はまるで、魂を吸い取られたかのように見詰め返す事しかできなくて、二人でしばらく見詰め合った。
と、少女は大理石の繊細な彫刻のような白い手を僕の眼前に持ってくる。白魚のような指の先では、鋭い爪が月光をはね返し、牙と同じ白銀に輝いていた。
僕は痺れたように、それを見る。何があるのか判ってて理解できて反応もできる。それでも敢えて何もしたくない、そんな奇妙な感じだった。
流れる様に滑らかな動作で、少女の爪が僕の首筋を引っ掻く。一瞬の痺れ、そしてひりつくような僅かな痛み。傷口から熱い血潮が滴るのを感じた。
少女は、鋭い爪の先端を僅かに染める紅を、血色の瞳で見詰める。そしてわずかに出たピンクの舌が蠢き、ゆるりとした動作でその命の滴を、淫靡に妖しく舐め取る。
柔らかな舌が唾液の糸を引きつつ先端から離れると、少女の目付きがは緩み、瞳は焦点を失い、桃色の息をゆっくり一息吐き出す。
それを見ると、僕の部分は一層いきり勃つ。
「ふふ、やっぱり」
少女は覆い被さったまま、確信に満ちた瞳で僕を見下ろす。
294名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 00:14:16 ID:JrP3GS6V
名前欄にタイトル入れるとか、コテハン付けるとかは出来ないのかね?
295名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 00:44:33 ID:F84vPoH/
ごめん。私が悪かった。以後気をつけます。
296名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 01:20:48 ID:vAGOW3/C
マァマァ(´∀`)ノ((´・ω・)ショボショボ
297名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 05:42:15 ID:1jeF5CPK
流石にブツ切り過ぎるんだよ
投下はメモ帳か何かで、ある程度書いてからにした方が良い

内容が把握出来ないし、コテもアンカーも無しじゃ続きか分からん
298名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 21:20:08 ID:rjPnFumT
289の某同人の詳細が知りたいから誰か教えてくれ。
299なしれ ◆8XSSeehUv6 :2006/09/08(金) 22:50:28 ID:WaqZA7lv
>>287-292
感想thx。
「純愛の象徴」みたいな人魚をこういう風に書くのはどうかな…
とも思ったんですが、受け入れてもらえて何よりです。

>>292
噛むのはお察しの通り、サメの交尾が元ネタです。
サメの本に、「寄り添い型」交尾の例としてあげられた文章に
次のようなのがあって萌えてしまった…というのが理由だったり。(以下引用)
「(シロワニというサメは交尾の際に)だいたいどの雄も雌の胸鰭ないしは頭部側方部から
胸びれに噛みつく行動がみられる.(中略)なぜ,噛みつくかといえば,
1つには雄が交尾しやすいように雌の動きを制御すること,
あるいは雌の発情を促すという説がある.」(谷内透『サメの自然史』)

…著者の先生も、まさかこんなところで引用されているとは思わないだろうけどw
300名無しさん@ピンキー:2006/09/09(土) 21:32:29 ID:S7wgNrO0
>>298
もう知ってたらスマンが、Succubus Questだと思われ。
入手困難という説もあるが、店頭なら何とかなる?
虎穴にある。
301名無しさん@ピンキー:2006/09/09(土) 21:40:26 ID:sjygvXMt
>>300
フリーの頃のツクール版ならまだファイルミラーとか探せばあるんじゃない?
302名無しさん@ピンキー:2006/09/09(土) 21:58:22 ID:S7wgNrO0
>>301
いや、人魚が出てくるのは新しい方だから……。
303名無しさん@ピンキー:2006/09/09(土) 22:11:19 ID:sjygvXMt
>>302
残念だ…
探してこようと思ってたのに…
30412-91:2006/09/11(月) 00:04:00 ID:Y6Ci01ee
271・293の続きです。
タイトルは「僕と月夜と夜の少女」です。
305僕と月夜と夜の少女:2006/09/11(月) 00:04:44 ID:Y6Ci01ee
彼女は一層妖しい笑みを浮かべた顔を、僕の頬に口付けしそうな程寄せた。
「ねえ。これから貴方のここを切り裂いて……」
くすぐる様に囁きつつ、名刀の輝きを持つ鋭い爪が、僕の喉を軽く突つく。
「貴方の中を流れる、熱くて真っ赤な血潮を……」
僕の顔を撫でる様にして、眼前に繊手を軽やかに舞わせる。
「この手で、触ってみたいの」
この繊細で見事な造型の手が、僕の血に濡れる。穢れなき新雪のごとき純白の肌を、紅い僕の色で染める事ができる。彼女を、僕が染める。
そう考えただけで、僕は爆発寸前まで高まる。
横目でそれを確認すると、少女は身を起こし、膝立ちになって、より高みから僕を見下ろす。その真紅の視線に心臓を射られ、僕の身体は凍りついてしまった。
「そして、ここと……」
少女は大胆にも自らの胸元をはだける。
白く細い喉から続く彼女の胸元は、同じく夜闇の中でもはっきりと浮きあがり、とても眩しい。さらに続く膨らみを見た時、あまりに眩しく神聖で、僕は直視できずに思わず目を下に逸らす。
「ここにも……」
その視線を追うかのように、少女は今度は夜色のスカート越しに、自らの陰部に触れる。妖しく、艶めかしく、撫でる様に、自慰をするかのように。
少女の声が、艶を帯び、陶酔の色に染まる。
「塗って、みたいの。貴方の血を」
少女の膨らみを、触れてはならない場所を、僕の血が染める。彼女の神聖な部分を、僕の血が汚す。
それはそれは、僕の命なんかよりも、とてもとても素晴らしい……
不意に少女の手が動いた。そっと、微かに、僅かに、柔らかに、僕のその部分に触れた。
「っっっっっ!!!!!」
彼女の感覚は、ほんの一瞬。しかし僕は、その一瞬で絶頂に至って放ってしまった。
「ふふっ。やっぱり貴方、コワレテいるのね」
少女は、満足げに微笑んだ。
306僕と月夜と夜の少女:2006/09/11(月) 00:05:50 ID:Y6Ci01ee
恥辱と混乱と、射精後の脱力感とでぐったりしている僕に、彼女は両肩と胸元をはだけたまま、再度顔を寄せて甘く囁いた。
「貴方、変態でしょ。血を見ると興奮するタチだなんて」
少女は僕の性癖を言い当てる。
そうだ。彼女の言うように、僕には確かに人には言えない性癖がある。それが血液に対する欲情だ。
勿論ただ血液であればいいというわけではない。女性の体内を流れる血、女性の傷口から滴る血、そういったものに欲情するのだ。
実際、自慰をしつつ妄想するのは、血塗れの女性や自分が女性の血に塗れる事。
そもそもは幼い頃のTVの映画で、クリストファー・リーが美女の首筋に噛み付くのを見て、仄かなエロティシズムを感じた事に起因する、アブノーマルな性癖だ。
「ねえ貴方。私の血の下僕になりなさい」
それは唐突で、理不尽で、訳も判らない。でも僕には抗いようのない絶対の命令。
「は、はい」
直感的に、僕は頷く。
「ふふっ。良かった。契約成立ね」
目を細めて、心から嬉しそうに少女が笑う。まるで大輪の花が咲いたような、闇夜を不意に照らす満月のような、そんな笑みだった。
「貴方みたいにコワレテいる人って、血の下僕の素質があるの」
少女のガラス細工を思わせる華奢で冷たい両手が、僕の両頬に当てられる。
「普通の人間だったら、夜の住人になった途端、壊れちゃうわ。だって、人を餌食にする本能が、今まで培ってきた理性を壊しちゃうもの」
真紅に輝く瞳が、僕を真正面から見詰める。
「でも、貴方は違う。貴方は既にコワレテいるもの。コワレテいながら人として生きているもの。
 だから貴方は壊れない。夜の住人になっても人のままでいられる。血に飢えたただのケダモノにならない。だからあたしの忠実な下僕になれる」
少女は一息いれて、唇を湿らせる。唇を濡らす舌が酷く艶めかしい。僕は思わず溜息を漏らす。
307僕と月夜と夜の少女:2006/09/11(月) 00:07:28 ID:Y6Ci01ee
「……そうね。まだちょっと若過ぎるわね。あと10年くらいは欲しいわね」
僕の顔を見ながらそう呟き、少女は身を起こす。心地よい頬の冷たさと、彼女の顔が離れる事に、僕は一抹の寂しさすら感じていた。
「10年待ちなさい。それから貴方を、血の下僕にしてあげる」
10年って、じゃあそれまでは……。僕は泣きそうな顔になっていたのだろう、彼女が微笑みつつ高らかに宣言する。
「安心なさい。それまで貴方の傍に居てあげる。貴方の心が変わらないよう、監視してあげる。他に心を奪われないよう、支配してあげる」
多幸感で痺れた頭のまま、僕はゆっくりと身体を起こす。少女も立ち上がった。
「本当はね、貴方の血を飲み干して、10年くらい眠るつもりだった。けど、貴方のせいで気が変わったわ」
少女は背すじをのばし、凛とした表情で、名匠の作のような繊細な右手の甲を差し出す。
「さあ、誓いなさい、貴方の言葉で。この私、ダイアナ・ムーンライトへの永遠の忠誠を」
僕は操り人形のようなぎこちない動きでひざまずくと、総てを見通すような揺るぎ無い意思のこもった紅玉の視線を、憧憬と忠誠と愛情のこもった瞳で受けとめる。
「私は、ダイアナ・ムーンライト様に永遠に変わらぬ、絶対の忠誠と愛情を誓います」
夜の世界を睥睨する満ちたる月の立会いのもと、僕は恐る恐るその神聖な手を取り、その甲に口付けし、少女への永久の誓いを立てた。
これが、僕とダイアナとの出会いだった。

<了>
308名無しさん@ピンキー:2006/09/11(月) 01:22:26 ID:eY8CKZnL
X-MENいいな。白眼のオネーチャンがよかった
309名無しさん@ピンキー:2006/09/11(月) 10:08:46 ID:3gfhAagE
>>307
GJ!
血ってエロいよな…
310名無しさん@ピンキー:2006/09/11(月) 21:14:46 ID:eY8CKZnL
よかったけどなんかダイアナ・ムーンライトって厨臭い
311名無しさん@ピンキー:2006/09/11(月) 23:58:04 ID:T23qoXjN
>>310
完全にオリジナルのキャラ名考えるのってけっこう難しいよ。
どうしても今まで観てきた創作物のキャラや出会った人々から影響を受けたネーミングになる。場合によってはモノの名前も人名にできるし。
312名無しさん@ピンキー:2006/09/12(火) 01:57:22 ID:DKich8sq
>>310
俺のじーちゃんもそんな名前だった
313名無しさん@ピンキー:2006/09/12(火) 04:00:48 ID:wF1PTo74
>>312
大穴月光さんか!
314名無しさん@ピンキー:2006/09/12(火) 04:29:48 ID:oxPm9foG
ケツの穴の広い人だなあ
315名無しさん@ピンキー:2006/09/12(火) 20:30:59 ID:eMJQQ9Aa
>>314
アッー
316名無しさん@ピンキー:2006/09/13(水) 01:23:10 ID:Yp1pqo5s
317名無しさん@ピンキー:2006/09/13(水) 22:25:34 ID:m+rtAoal
>>311いかにもって感じがな…
俺は名前はあくまでもありきたりなどこにでもありそうな名前の方がいいと思う
318名無しさん@ピンキー:2006/09/13(水) 23:45:09 ID:CJw+dZDi
鍛冶屋さんがスミスという姓を名乗ったり、
靴屋さんがシューメイカーという姓を名乗ったり、
そういう事もあるじゃろ?
31912-91:2006/09/14(木) 01:03:28 ID:Rcga9UAJ
まあね、自分でも思うよ。ムーンライトって姓はどうかと。
でもまあ、一応由来めいたものは設定としてあるわけで。
まあ、その辺は続編で書く予定。
320名無しさん@ピンキー:2006/09/15(金) 03:34:29 ID:H6oP31bZ
ムーン=月
ライト=(夜神)月



つまり、あいつはキラだったんだ!
321名無しさん@ピンキー:2006/09/15(金) 13:06:11 ID:9y2Fp9Sz
大穴月(ライト)・・・

ケツの穴の大きいキラだなあ
322名無しさん@ピンキー:2006/09/17(日) 00:40:38 ID:QfIFgt53
某サイト9月中旬っていうからさすがに今日あたりに更新だと思ったんだけどなぁ
323名無しさん@ピンキー:2006/09/17(日) 03:50:28 ID:iuQNEzSt
それこそ
「私の名前は<種田とめ>よ」とかの方がよかったのかっ!!!!?

本名言うのが恥ずかしかったんだろ!咄嗟に考えちゃったんだよっ!!!
だから天然っ娘だったんだよ!!!
なっ、かわいいだろ!!!!!!!?


俺はそうは思わん!!!!!!!!!
324名無しさん@ピンキー:2006/09/17(日) 14:36:14 ID:3GGG/3yp
その昔、私立探偵レイモンドという漫画があってだな……
主人公の探偵は確か、本名が山田助平とかいうんで、普段は偽名のレイモンドと名乗っていたわけだ。
325名無しさん@ピンキー:2006/09/17(日) 20:37:22 ID:0YK2zSbB
見た記憶がある。耳に寄生虫入れたり古代遺跡発掘したり。
このスレとの接点は殆どなさそうだったが。
326名無しさん@ピンキー:2006/09/18(月) 02:12:06 ID:euHtlQcN
>>324
その漫画読んでないのに知ってる…
地元の本屋で地元出身だからかサイン色紙飾ってたからなぁ
327名無しさん@ピンキー:2006/09/19(火) 04:42:51 ID:HrKbyuXk
保管庫落ちてる…
328名無しさん@ピンキー:2006/09/19(火) 14:59:42 ID:vFxyrMbC
はいはいヒラーリンヒラーリン
329名無しさん@ピンキー:2006/09/20(水) 22:48:57 ID:tU3y0f5j
ほす
とろとろまだかなぁ
330名無しさん@ピンキー:2006/09/20(水) 23:10:38 ID:/RWcw98m
個人サイトの話をわざわざここでするなよ…
331名無しさん@ピンキー:2006/09/25(月) 23:36:01 ID:HrFqe15w
hoshu
332名無しさん@ピンキー:2006/09/27(水) 20:33:19 ID:XouX/+jk
「わたし、何だって知ってるんだからね!」という勝ち気なドリッピー娘を想像してみた。

「ほら、どんどん玉がお腹の中に入っていくでしょ。(にゅぷっ)
 さて、今何個入ってるのかな?」
「あっ・・・やだ・・・5こ・・・?」
「ダメだよちゃんと数えてなきゃ。最初からやり直しね(ズルズルッ)」
「ご、ごめんなさ・・・ひゃうん、〜〜〜ッ!!」

「オレはハチドリさ。お嬢ちゃん、ちょっとで良いから啜らせてくれよ」
「ダメ!そんなこと・・・あっ、ダメだってば!つついちゃダメぇ」

「じっとしていなさいって言ってたのに、いけない子だな」
「ご、ごめんなさい・・・もう絶対しませんからっ、許して・・・」
「悪い子にはお仕置きしなきゃ。・・・ココを擦るとどうなるのかな?」
「ふあっ、やだぁ、またイッちゃうぅ・・・!!(ビクビクっ)」

このくらいしか覚えてないや・・・というかスレ違い?
333名無しさん@ピンキー:2006/09/27(水) 23:44:04 ID:Ar9aQJmE
雨だれドリッピーなんて説明無しじゃ通じないだろw

小ネタとしては乙
334名無しさん@ピンキー:2006/09/28(木) 00:05:56 ID:GeupGwDZ
マジで?勝手に有名だと思ってたが違うのか。スマソ。
335名無しさん@ピンキー:2006/09/28(木) 22:51:56 ID:/veGWHak
>ドリッピー
一時新聞の広告で盛んに出てたからな。
でも内容までは全く知らないからな、タイトル出されるまで判らないよ。
336名無しさん@ピンキー:2006/09/30(土) 14:23:02 ID:PZLgETNS
>>332
乙! 勝気ドリッピー娘萌えたよ。いっそ書いて投下してくれ。
ドリッピー持ってたけど結局良く聞かないまま捨てちまったよ。
くそ〜、ちょっと後悔。

337名無しさん@ピンキー:2006/09/30(土) 23:53:14 ID:jy55CKtu
保守
338 ◆LUNAAEiCCA :2006/10/01(日) 11:00:19 ID:vm9iHq0/
唐突に投下。


「さて、と。これでよし、と……」
 部屋の床に、灰を使って何やらややこしい文様を描き終えると、緊張がほぐれたのか、
自分でも気づかないうちに独り言が漏れ出す。
 時計を見ると午前2時50分。いわゆる、草木も眠る丑三つ時であると同時に、何だか
上半身裸&下半身黒タイツで踊りたくなるような時刻だが、生憎とそういう趣味は無い。
 しかし、電灯があるにも関わらず、蝋燭の明かりのみを頼りに何やらゴソゴソしている時点で、
傍から見るとさぞ異様な光景に映るであろう。
「今度は……これ、を……っと」
 手にした古びた本に目を通しながら数本の蝋燭に火をともし、文様のところどころに配置していく。

――そう、すべてのきっかけは、この古びた本だったのだ。
「やってはいけない」
 ………何だか、大昔に一部の方々に大流行した、とある本を思い出すタイトルで、
僕自身もてっきりその類のパクリ本かと思っていたのだ。
 で、中を開けてみると、「悪魔と契約する方法」とか載っていたりしたわけで、早速実践に
移ってみたわけだ。
 言っておくがあくまでも、悪魔が実在するかを確認するための召喚儀式であり、
決してタイトルの横に描かれていた、美人な悪魔のイラストに惹かれたわけではない――
339 ◆LUNAAEiCCA :2006/10/01(日) 11:00:50 ID:vm9iHq0/
 本に書かれたとおり、煙草の灰を使って文様は描き終えた。蝋燭も指定した場所に配置した。
あとは、この本に書かれている呪文を読み上げるだけ、だ。
 ……問題は、この大量の灰を手に入れるために、煙草を何カートン使用したのか、ということ
なのだが気にしてはいけない。これも美女、いや悪魔が実在するのかを見届けるための実験なのだ。
「よし……いくぞ」
 ゆっくりと立ち上がると、右手をゆっくりと高く掲げた。手には、やはり本の指示どおりに作った、
紅く光る丸い石を収めた細長い杖がある。
 本の中に、赤文字で大仰に「なお、契約が無事完了して悪魔が魔界に帰るまで、
決して魔法陣を破壊してはいけない。もし破壊してしまった場合、怒り狂った悪魔は目の前の
あなたを墓場まで道連れにしてしまうだろう」などと書いてあったのを思い出し、思わず
ゴクリと唾を飲み込んでしまう。
 こういう本で、こういう警告というか脅し文句はよくあることなのだが、実際に儀式を行なっていると、
何となく本物っぽく思えてしまうのが、不思議なところだ。
「世に3つの界あり。ひとつは現、ひとつは冥、ひとつは魔。…………」
 一瞬頭に浮かんだ、嫌な考えを振り払った僕は、ふたたび本に目を通し、書いてある言葉を
読みあげる。よく考えりゃ、床の文様は西洋文化っぽいのに、何で呼び寄せる言葉は日本語なんだ?
 そんなことを考えながら、僕は本の中身を読みあげ続けた。
「………我は命ず、今こそ道を辿りて魔より現へ」
 最後の一節を読み終わると同時に、手にしていた杖で空中に星を描く。
もし、この本が正しければ、文様の上に美女が……もとい、悪魔が登場するはずだ。
340 ◆LUNAAEiCCA :2006/10/01(日) 11:02:08 ID:vm9iHq0/
「……………」
だがしかし、何も起こらない。
何がまずかった?
杖の作り方を間違えたか?
文様の描き方を間違えたか?
読みあげた呪文を間違えたか?
というか、やはりそもそも本の中身がデタラメだったのか?

ドサンッ

 などと考えていると、いきなり背後で何かがぶつかったような音が響き渡ると同時に、
文様の上に配置していた蝋燭の明かりが、すべて掻き消えてしまった。
 不思議なことに、『文様の真ん中から、外へと向かうように炎が揺らいで消えた』のだ。
そう、まるで文様の真ん中から、外に向かって強風が吹いていたかのように。
 だが勿論、屋内で、しかも部屋のど真ん中で、そんな風など吹くわけが無い。
「い、いたたたた………」
 突然部屋の中が暗くなったことに動揺していた僕の耳に、誰かの声が届く。振り返ってみると、
さっきまで誰もいなかったはずの場所に、白いチューブトップの上から短めの黒いベストを羽織り、
ベストと同色の肘まで覆う手袋と革製のミニスカート、それにブーツを履いている女の子が、
尻餅をついた姿勢で目に涙をにじませながら、お尻をさすっていた。
 よく見ると、Mの字になっている足の間から、白いパンティまで見えたりするのですが。
341 ◆LUNAAEiCCA :2006/10/01(日) 11:03:04 ID:vm9iHq0/
「…………………」
「あ。…………………………………コ、コホン」
 呆気に取られている僕の視線に気づいた女の子が、一瞬動揺したような表情を見せたが、
軽く咳払いをしながら、何事も無かったかのように、ゆっくりと立ち上がった。
「我、魔より現へ道を辿りし者。……汝が、道を作りし者か?」
「え……えっと、は、はい……」
 女の子は手を腰に当て、僕に向かってピシリと指を突き出し、そう問いかけてきた。
その姿に、何ともいえない威圧感を感じた僕は、しどろもどろに返事をするのがやっとだった。
「そうか……では汝に問う。己が身を贄として叶わんとする願いとは……」
 僕の返事に、腕組みをしながら満足そうに頷いた女の子は、ゆっくりと言葉を続ける。
「いや……帰ってもらっていい?」
 そんな女の子の言葉を遮るように、僕は反射的に、つぶやくように口を開いていた。
「………………え?」
 聞き取れなかったのか、女の子は目を丸くさせている。
「だから、帰って」
「そ、そそ、そんなあ。だ、だって私、まだ何も、願い事聞いてないですよお?」
 たちまち泣きそうな顔になり、その場にへたり込んだかと思うと、情けない声を漏らす女の子。
「だって……ねえ」
 女の子の突然の変わりように、半ば呆れ返った僕はボリボリと頭をかきながら、
目の前の女の子と手元の本とを見比べてみる。
 確かに服装といい、髪の毛の隙間から覗く羊みたいな角といい、背中から生えている
コウモリみたいな羽といい、スカートの下から伸びている尻尾といい、そっくりだ。
 ……だがしかし。
342 ◆LUNAAEiCCA :2006/10/01(日) 11:03:47 ID:vm9iHq0/
「だ、だって、どうしたんですかあ?」
 上目遣いにこちらを見上げる女の子。その目は少々潤んでしまっている。
その胸元を見てみると……正直言って、ほとんど膨らみが無い、のだ。というか真っ平ら。
 一方で、本の中の悪魔はこちらに向かって、これでもかと言わんばかりの大きな胸を強調させ、
妖しく微笑んでいたのだ。これはどう考えても、誇大広告ではなかろうか?
「お、お願いですよお。黙ってないで、せめて何か、願い事を言ってくださいい……」
 僕が黙っているのを見て、何を勘違いしたのか、女の子は消え入るような声とともに、
僕の裾にすがりついてきた。ふたたび女の子の顔を見てみると、堪えきれなくなかったのか、
涙がひとすじ、頬を伝って流れ落ちていた。
 よく見ると胸だけでなく、顔だちも少しばかり子供っぽいけれど、十分に可愛いかったりする。
意外と好みのタイプかも。……胸を除けば。
「……。願い事って……何でもいいの?」
 そんな女の子の涙を目にして、胸がズキンと痛くなってきた僕は、宥めるように女の子の
頭を撫でながら、問いかけた。
「は、はいいっ!」
 思い切り大きく頷き、期待に満ちた目でこちらを見上げる女の子。その表情を目にした時、
僕の胸を、再びズキンとした痛みが襲い掛かると同時に、心臓の鼓動が激しく鳴り響きだした。
「じゃ、じゃあさ……。僕とエッチしてくれる?」
 僕はしばし逡巡したのち、自らを落ち着かせるように、心臓の鼓動を抑えるように、
何回か大きく息を吐いてから、出来るだけゆっくりと、『願い事』を口にした。


そして続く……かもしれない。
343名無しさん@ピンキー:2006/10/01(日) 14:42:05 ID:+ScFkc4M
    ∩
( ゚∀゚)彡 悪魔!悪魔!
  ⊂彡

    ∩
( ゚∀゚)彡 純情!悪魔!
  ⊂彡

    ∩
( ゚∀゚)彡 悪魔!悪魔!
  ⊂彡

    ∩
( ゚∀゚)彡 ロリッ娘!悪魔!
  ⊂彡

    ∩
( ゚∀゚)彡 悪魔!悪魔!悪魔!!悪魔!!!
  ⊂彡

主題歌作っといた
続き頼む
344名無しさん@ピンキー:2006/10/01(日) 15:32:13 ID:2tm2NQlb
今後に期待!
ところで、主題歌と言えばこんなんどうよ?

Should be do be シャララ 恋の奇跡〜
Should be do be シャララ 叶えましょう〜
345名無しさん@ピンキー:2006/10/01(日) 18:31:02 ID:Who90zF7
>>344
『とらぶるEvocation』乙

そういやヒロインの中の人はその後、いきなり小6に急成長した魔女の赤ん坊
になったり、口から電撃吐く魔物の子になったりしてたなぁ。
346名無しさん@ピンキー:2006/10/01(日) 18:35:31 ID:dcRoteXy
流れを読まずに予想

くしゃみ一発でとんでもないことに
347名無しさん@ピンキー:2006/10/01(日) 19:59:13 ID:2tm2NQlb
>345
より正確に言うと、中島零の聖デモーニッシュナイトなんだけどな。
それの巻末ゲストコメントで、えびふらい(とらEvoでもゲストやってた)が書いたのが344のネタ。
348名無しさん@ピンキー:2006/10/01(日) 22:34:14 ID:pC3YmSej
アイリスさんとは正反対な体型ですか。
349名無しさん@ピンキー:2006/10/02(月) 20:15:47 ID:w8s/+Mqc
アイリス、はやくおとなになるからね。
350名無しさん@ピンキー:2006/10/02(月) 22:10:29 ID:BiUEnYkh
>上半身裸&下半身黒タイツで踊りたくなるような時刻
ここに過剰反応した俺はこのスレ失格?
351名無しさん@ピンキー:2006/10/03(火) 00:48:03 ID:RbrMa+H1
>>347
俺が持ってるの再販版だからよくわからん……
ラテルタンも城ノ崎三姉妹も可愛いから好きだ。
352名無しさん@ピンキー:2006/10/04(水) 15:16:20 ID:stsAVF7D
ネタを考えていて、怪人赤マントの女性化を試行。
よりによって怪人赤マンコと言うのが連想されました。

小学校の男子トイレに潜んでいて「アカイマンコハイリマセンカ」と尋ね、
この問いに「いる」と答えれば名前通りの赤く熟れた前の方で、
「いらない」と答えると後ろの穴で一滴残らず搾り取る恐ろしい妖怪。
と言う電波を受信。

ただのショタ好き痴女か…。
353名無しさん@ピンキー:2006/10/04(水) 16:48:00 ID:81kYAQGU
しかし襲われたのは用務員の山田泰三(47)
354名無しさん@ピンキー:2006/10/04(水) 20:49:13 ID:AVWn9e/7
と権蔵くん(67)
355名無しさん@ピンキー:2006/10/04(水) 21:50:08 ID:DHhKr2i0
と偶然忘れ物を取りに来た校長先生春雄くん(59)
356名無しさん@ピンキー:2006/10/04(水) 21:54:17 ID:FbevfHDS
どいつもこいつも君付けする年齢じゃねぇ!?
357名無しさん@ピンキー:2006/10/04(水) 22:15:49 ID:6AuqjWBH
>356
国会では老人が君づけでよばれてますよ。
40・50は若造な世界だし。
358名無しさん@ピンキー:2006/10/04(水) 22:18:56 ID:hZKP4vWU
>>357
国会の話をしていればそれでいいんだろうな。
だが、今回はお呼びじゃないぞ。
359名無しさん@ピンキー:2006/10/04(水) 22:24:13 ID:6AuqjWBH
日本の財政界を裏から支配する、齢1000年を超える、外見妙齢の美女。
文字通りの「財政界の妖怪」というネタもありかと。
360名無しさん@ピンキー:2006/10/04(水) 22:30:27 ID:81kYAQGU
それ何て玉藻前?
361名無しさん@ピンキー:2006/10/04(水) 22:53:51 ID:zcbvQuZC
>>352
なぜかスパイダーさんを思い出した
362名無しさん@ピンキー:2006/10/05(木) 03:44:41 ID:79+M7YmP
>>352
それってたしか、

精通前なら生還。20歳過ぎまでだれにもばらさなければなんともないが、しゃべってしまうとその夜に襲われる。
精通後なら「チンむ犬」に変えられてしまう。吸い取られた精を補充しない限り、人には戻れないあわれドッグ。台詞は「掘っといてくれよ」

とかなんとか後日談が付いたり付かなかったりするんですね。
363名無しさん@ピンキー:2006/10/06(金) 00:38:33 ID:YHzFaSHN
>>355
名字は佐藤ですか?(相方は鈴木くん)
364名無しさん@ピンキー:2006/10/06(金) 08:20:40 ID:LlVCrLJF
それなんてホーンテッドじゃんくしょん?

そういやアレOP・ED曲とメインキャラの一人を仲間由紀恵が担当してたんだよなぁ。
365名無しさん@ピンキー:2006/10/07(土) 17:19:44 ID:s7LRXXjR
朝比奈すぺしゃる〜!!
そして18禁の花子さん(國府田マリ子)
366名無しさん@ピンキー:2006/10/08(日) 20:11:57 ID:gr/oLooY
そういや仲間は(機動戦艦)ナデシコにも出てたなぁ。

本人的には消し去りたい過去なのかもしれんが。
367名無しさん@ピンキー:2006/10/09(月) 01:42:04 ID:3Xr1TIZl
トリックだって色物だべ
たまたま人気出たから、大河にまで出てるけどさ
368名無しさん@ピンキー:2006/10/09(月) 18:06:02 ID:TXFJrgGD
こんばんは
初心者SS書きで途中までしか書けてませんが百合物投下させていただきます
369蛇遣い座と巳年生まれ:2006/10/09(月) 18:09:23 ID:TXFJrgGD
「はぁ……」
私は学校の校門から出ると、大きく溜め息を吐いた。

私、東藤 美虎(とうどう みこ)、兎年の蛇使い座は今現在3つの悩みを抱えている。
1つは明日のテストの事。高校三年にもなると、受験という言葉が頭の片隅をひらひらと飛んでいるのが嫌でも目に入る。
あまり頭の出来がよろしくない私は一夜漬けという形でテストを乗りきり、楽して大学合格の指定校推薦枠を確実に取らなければならない。
その為にも今日は誰にも邪魔されないよう部屋に篭り、徹夜で勉強をするつもりなのだ。
2つ目の悩みは私の両親の事だ。
私の両親は一言で言えば、『変人』だ。
いつだったか私が学校から帰ってきた時に二人揃って居間に居た時がある。
その時二人は何をしていたかというと……その……情事の最中だったのだ……
(;゚Д゚)ポカーンとしてる私に気付いた両親が、最初に言った言葉は…

「やぁ、おかえり。ふんっ、美虎も混ざるかい?」
「んっ、駄目よ。アナタ……はんっ!美虎の最初は、私が貰うんだから……ぁん、イィ……」

私は大急ぎで居間を抜け出し戸籍を調べたが、どうやら血は繋がっているようで……
その日からの私は、−と−が交われば+になるものだ、と半ば強引に私自身を納得させて生きていく事になった訳で……
370蛇遣い座と巳年生まれ:2006/10/09(月) 18:10:42 ID:TXFJrgGD
だけどこの2つの悩みは大した問題ではない。一番の問題は3つ目の悩み、『愛』についてだ。
勘違いしないでもらいたいのは、私は別にアイだのコイだのには悩んではいない。
私の場合の『愛』は……
「お姉ちゃ〜ん♪」
私の義理の妹……これが私の一番の悩み、『愛』だ。
私が通ってきた道を振り返ってみると、手をぶんぶんと振りながら、こちらに満面の笑みを浮かべている愛が目に入った。
愛は手を振るのを止め、こちらに『下半身を引きずりながら』全速力で近付いてくる。正直に言って私は愛が苦手だった。
義理の妹という事で敬遠してしまいがちになっているという事もあるが、なにより愛は人間ではないのだ。

「お姉ちゃんは明日からテストだよね?」
「そうだけど………愛もテストでしょ?」
「うぅん、一年生は今度の連休明けだよ♪」
そう言って愛は細くて長い、先っぽで2つに分かれた舌をペロッと出した。
私と並んで歩く愛は、蛇の下半身をするすると起用に動かして私との距離をキープしている。
371蛇遣い座と巳年生まれ:2006/10/09(月) 18:11:25 ID:TXFJrgGD
愛は上半身が人間の女の子の体、下半身が蛇の体をしている。
今は制服のスカートで隠れているが、大体おへその下辺りから蛇の体である……らしい。
山奥の孤児院で人間の孤児達と一緒に暮らしていて、それを私の両親……もとい、変態2人組が家へと迎え入れた。
その時の私は断固反対した。
なにせ愛は人間ではない(少なくとも半分は)。人で無いものに対する恐怖心は、そう簡単には拭えなかった。
しかし、私の反対を押し切り、「可愛いから」「ラミアたんモエス」「ロールミー!」等の意味の分からない理由で愛は我が家の家族になった。
372蛇遣い座と巳年生まれ:2006/10/09(月) 18:13:42 ID:TXFJrgGD
「でもさ……ちょっと数学で分からない所があるんだ……だからお姉ちゃんに教えて貰いたいな、って」
「………?愛が……私に勉強を??」

意外だった。
愛は成績優秀で常に学年のトップに位置している事を私は知っている。
その愛が、いくら2つ年上であろうと学力の底辺を維持している私に『勉強を教えてもらいたい』など、天変地異が起きない限り有り得ない事だと思っていた。
「ね?いいでしょ?お姉ちゃん?」
愛が私の前に回り込み、立ち止まって私の顔色を窺う。
優しげな桃色の髪の毛から覗く愛の赤い瞳は、私を真っ直ぐに見つめてきて心臓をドキドキと打ち鳴らす。
「ご、ごめんね……私も自分の勉強があるし……」
なんとか目を逸らし、顔を俯かせて愛の横を通り過ぎようとした。
「ぁ、待ってよ!お姉ちゃん」
突然後ろから抱き締められた。背中に愛の大きな胸が押し付けられる。
「1時間……うぅん、30分だけでいいの。ね、お願い……お・ね・え・ちゃん♪」

愛のお陰、というか愛の所為で私達義姉妹は学校や近所ではちょっとした有名人になっている。だから今の私達は端から見れば姉と妹がじゃれあっているように見えるだろう。

『でも違う……』

耳元で囁かれる甘い声、頬にかかる吐息、背中に擦り付けられている豊かな乳房……

「わ、分かったって!」
腕を使って愛を引き離す。自分でも分かるくらいに顔が熱くなっているのを感じる。愛の方へと向き直れない。
「ちょっとだけでいいなら……教えてあげられるから……後で私の部屋に来て……」

自分でも驚く程に声はすんなりと出た。まるで何かに導かれるように……
誰かにこの真っ赤な顔を見られたくないと思い、愛を残して私は俯いたまま早足で家に向かった。
私がその場から離れた直後、愛が微かに笑った気がした………
373蛇遣い座と巳年生まれ:2006/10/09(月) 18:16:11 ID:TXFJrgGD


「………で求まった式にχを代入して……」
「それじゃあ、この問題は?」
「それはこの公式の応用で……」
「ぁ、そっか♪なるほどぉ♪」
私は自分の部屋で愛に数学を教えていた。流石の私も2つ下の愛におぼろ気ながらも数学を教える事が出来た。
基礎は出来るのだから後は応用だけのはず……私が少しだけ自信を取り戻した事は、このさい黙っておこう。

「ん、こんな所かな。後は愛一人でも大丈夫だよね?」
「うん♪とっても助かったよ!ありがとっ、お姉ちゃん♪」

満面の笑みを浮かべて私に礼を言う愛。その愛が段々と私に近付いてくる。私の視界は愛で埋め尽され、そして……



ちゅ…………



な………

「な、何してるのよ、愛!!」
私は座ったまま後退りをした。
右手は私の唇に、さっきまで愛の柔らかな唇が触れていた場所に当てられている。
「えへへ♪勉強教えてくれたお礼♪」
愛は悪びれずに、むしろ楽しそうに舌をペロリと出して言った。2つに分かれた先端がチロチロと動く。
「ふふっ、お姉ちゃん可愛い♪もしかしてキス初めて?」

再び硬直。

一拍空けてから私の顔はどんどん熱くなる。
「かっ!関係無いでしょ、愛には!」
「全然カンケーありだよ?」
愛がするするとこちらに近付いてくる。私は更に後退りをしようとしたが、背中と壁をより押し付けるだけになった。
「もし初めてなら、お姉ちゃんのファーストキスを貰っちゃったんだもん。責任取らなきゃ、ね♪」
「っ!せきに、んっ、ぁ……」
責任なんて取らなくていい!
そう言おうとした矢先に私の唇と愛の唇がまた重なる。
ただし今度の口付けはさっきのようなただ触れ合うようなモノでは無かった。
愛の舌……平べったくて、細長くて、どこかひんやりとしたそれが私の口の中に入ってくる。
「ん、ふむ………んんっ、むぅ……」
「ちゅ♪ぴちゃ、ちゅうぅぅ、はむっ……」
374蛇遣い座と巳年生まれ:2006/10/09(月) 18:18:08 ID:TXFJrgGD
思うままに私の口腔を嬲っていた愛の舌が私の舌に絡み、巻き付いてきた。更にそのまま扱くように前後に動く。
「ん、ひふぁ……ふぁ、ふぁひ……んんっ……」
自分の舌から伝わってくる今までに体験した事の無い感覚が脳に響いていく。
段々と激しさを増す愛の舌使いに頭が真っ白になっていって……
「んっ、んひゃうぅっ!!」
私の体の中で何かが弾けた。
身体中がとろけていくような不思議な浮遊感。
ビクビクと体が何度も跳ねるのを抑えられない。

私の痙攣のような反応が完全に止まった後、愛がゆっくりと口内から舌を引き抜いていく。

「ふあっ………ぁぅ……?」

鏡に見た事のある女の子が二人映っている。
一人は真っ直ぐな桃色の髪をしていて、鏡には後ろ姿しか映っていない。

そしてもう一人は、だらしなく口を半開きにして虚ろな眼差しで鏡越しの私を見ていた。

『あれは………誰?』

「ふふっ♪お姉ちゃん、キスだけでイッちゃったんだね。カ〜ワイイ♪」
愛の声が遠くに聞こえる。自分の体なのに感覚がはっきりしない。ぼやけた視界にぐらぐらと揺れる世界が映った。
『ぁ、落ちる……』
頭の片隅でそれを感じ、私はゆっくりと目を閉じていく。
375名無しさん@ピンキー:2006/10/09(月) 18:19:53 ID:TXFJrgGD
ここまでしか書けてませんorz
駄文ですがお暇な時に読んでやってください。ではノシ
376名無しさん@ピンキー:2006/10/09(月) 18:26:12 ID:ok017VjZ
リアルタイムGJ!
駄文なんて事はないとおも。
人外娘とのレズプレイは久しぶりに見たので、なかなか新鮮だった。
義理の姉妹というのはおそらく新境地だけど。

予想するに、ガチレズならロールミーしながら愛撫で責める。
変化球なら実は生えてて……という展開とか?
なんにせよ、wktkしながら続きを待ってますね。
377名無しさん@ピンキー:2006/10/09(月) 22:15:31 ID:CALuLcD/
すでにエロい展開で続きwktk
人外娘が普通に義妹というのがすばらしい
378名無しさん@ピンキー:2006/10/09(月) 22:21:27 ID:Die9LOvW
バカオヤ(´・ω・)カワイソス
379名無しさん@ピンキー:2006/10/09(月) 22:37:32 ID:DYLruEjF
GJ!
早く続きプリーズ。
380名無しさん@ピンキー:2006/10/10(火) 02:11:06 ID:ojkyZbKT
GJ!!親とお姉ちゃんは普通なのか?
381375:2006/10/10(火) 21:35:22 ID:DAjUutk2
まさかこんなに反響があるとは・・GJ下さった方へのお礼はちゃんと完結してからにさせて頂きます。
只今続きを誠意制作中だと思われますのでワッフルワッフルしながら今しばらくお待ちください

>376氏
レスを見て、物凄く変化球が投げたい年頃になりましたが、ここは当初の予定通りガチ百合・・かも
382名無しさん@ピンキー:2006/10/10(火) 22:15:27 ID:Kr2piKgg
「かも」ってどういうことだぁ〜〜っ!

気になるジャマイカ……。
383名無しさん@ピンキー:2006/10/11(水) 01:51:49 ID:Ekf1D0pj
というか義妹!
卵生ですか?胎生ですか?
出産ですか?産卵ですか?


……GJって言っても、いいですか?
384その1:2006/10/16(月) 20:16:33 ID:TcqwadTA

このスレ初めて書き込みします。一応「人外よりさらに外道の人間」というテーマで書いてみた。
エロ部に入るまでの前ふりが長いけど、面倒なので一度に投下します。(途中で規制くらわねば)
エロしか読みたくねーという人は、多分12レス目辺りからエロに入ると思うので、そっから読んでくれい。(誤差あり)


vampire maiden ヴァンパイア・メイデン

 
 夢野晴夢(ゆめのはーれむ)が番播芽衣(ばんぱめい)の家に招待されたのは、そろ
そろ梅雨も明けようかという六月の終わりごろだった。
 晴夢は、このやや田舎に近い街に、生まれたときから住む高校二年生である。一見した
だけでは分かり辛いが、その性格はかなり傲岸不遜で、ついでに異常なぐらい勉強ができ
ない。取り立てて趣味や特技もなく、授業態度は不真面目でサボりがちであった。長所と
いえば、奇跡的な偶然で顔つきが端整なことと、体が丈夫で病気一つしないことぐらいで
ある。
 その日も、一日の授業が終わり、机の上に出したノート類を一度も開かないまま、薄馬
鹿の如く天井を仰いでいた。窓からは、夏本番の清清しい風がいまにも吹き込みそうな気
配だった。
 そんな時、芽衣は晴夢に声をかけたのだ。
「ねぇ、夢野君。もし良ければ、今度の連休にウチに泊まりにこない?」
「ぁん? 俺がお前んちに?」
「そう。お父さんも、夢野君は特に物理の成績が悲惨だから、特別に個人授業をしたいっ
て……ねぇ、駄目?」
 芽衣は少し身をかがめて、席に座る晴夢に上目遣いで目線を合わせた。白いセーラー服
の胸元が垂れ、隙間から下着のレースと豊かな谷間が覗く。晴夢は思わずそこに視線を集
中させつつ、訝しげに尋ねた。
「何で俺がわざわざ休みの日に勉強しに行かなきゃいけねぇんだよ」
「それは、ついでよぉ。芽衣の家に来るの、いや?」
 甘えた口ぶりで芽衣が小首を傾げると、長いウェーブの髪がさらりと流れて、なんとも
いえない甘くて爽やかな香りがしてくる。つい股間がむずむずしてくるのを晴夢は抑えた。
「お前なら他にいくらでもついてくる男はいっぱいいるじゃねぇか、わざわざ落ちこぼれ
の俺に声をかける理由はなんだよ」
「……芽衣ってヘラヘラしてて誰にでも合わせちゃうから、そんな風に思ってるかもしれ
ないけど、本当は上辺を飾ってるだけで、心を開けるお友達はいないんだぁ。まだ転校し
てきて少ししか経ってないし、慣れない土地で夏休みを一人で過ごすのも心細くて……そ
の点、夢野君なら昔からここに住んでるし、仲良くなれたら頼もしくていいな、って……
思ったんだけど、駄目かなぁ?」
 芽衣は口の端から真っ白な犬歯を覗かせて、最後にしおらしく付け加えた。
「それに……、芽衣は夢野君のことを落ちこぼれなんて一度も思ったことないから……。
しっかりしてるし、きっとお友達になってくれたら楽しいだろうなって……ごめんなさい、
やっぱり勝手だったね」
 大きな眼を残念そうに伏せ、肩を落として去ろうとする芽衣の後姿を、晴夢の声が追い
かけた。
「おい、今度の休みに行きゃあいいのか?」
「来てくれるのっ?」
「まぁ、暇だしな」
 表情を輝かせ子供みたくはしゃぎながら、芽衣は家までの道程を書いた地図を晴夢の手
に握らせた。しなやかな指をぎゅっと絡めつけ、耳元で、
「お家の人には、休みの間はずっと向こうに居るって、ちゃんと伝えといてね。遅くなっ
ても心配しないように……絶対だよ」
 と、甘ったるい声で囁いた。
 晴夢はしばらく、その声音と眩むような香が頭の奥に残って、少なからず淫猥な気分に
なった。芽衣は天真爛漫な顔つきをしているくせに、妙に色っぽい部分があるのだった。
385その2 :2006/10/16(月) 20:21:26 ID:TcqwadTA

 芽衣は二ヶ月ほど前に突然この土地にやってきて、誰も使っていなかった洋館で、父と
二人暮しをしている。東京の端にある閑静な街なので、自然も多く、住宅地を除いては家々
もあまり密集しておらず、距離がある。芽衣の住む屋敷はその中でも特に寂しい所に一軒
だけ建っていた。晴夢が訪れると、まるでゴシックホラーの舞台になりそうな古びた洋館
の重い扉がゆっくりと開かれ、出迎えたのは私服姿の芽衣だった。
「いらっしゃい。来てくれたのね、嬉しいわ」
「おう、邪魔するぞ」
「うん。遠慮せず中に入って」
 芽衣は朗らかに晴夢を迎え入れた。屋敷の内部は外観から連想される通り、映画で見る
ような様相だった。足元の真っ赤な絨毯は廊下の端まで続いており、そこら中の壁には蝋
燭を立てる燭台が張り付いている。
「これは、お前らが越してきたときからこうなってたのか?」
 思わず晴夢は尋ねた。
「んー、そうみたぁい。パパが面白いからそのままにしておこう、って。まるで映画のセ
ットみたいで素敵でしょ?」
 屈託なく笑いながら、芽衣は大広間と思われる部屋に晴夢を案内した。そこには、年季
の入った暖炉があり、天井には丹念に掃除の行き届いたシャンデリアが輝き、大仰な黒塗
りのソファーが真ん中に構えていた。そこに身を埋めているのが、晴夢の学校に科学教師
として転任してきた、番播狗蔵(ばんぱいぬぞう)だった。狗蔵は晴夢が前に来ると、音
も無く立ち上がって挨拶をした。
「よく来てくれたね、夢野君。父として歓迎するよ。娘は君が気に入っているようなので、
仲良くしてやってくれたまえ」
 そして、高そうなパイプを持ち替えると、煙を深く吐き出した。白髪交じりの髪をきち
んと撫で付け、穏やかな目尻は学校で見る時より更に、人が良さそうに緩んでいる。
 晴夢は内心キザな親父が、格好つけんなと思いながらも、素直にこう述べた。
「この屋敷の中広いっすね。トイレ行くだけにも迷っちまいそうだ」
「ははは、私か娘がついておればそんなことにはならんよ。何、君もすぐここが好きにな
るさ」
 そう言って、皺のある口元を一瞬意味ありげに歪ませて笑った。晴夢は変な印象を受け
ながらも、後ろで芽衣が呼びかけてきたのですぐに意識はそちらに向かった。
「夢野くぅん、クッキー焼いたの。台所に取りに来てくれない?」
「ああ、今行く」
 嬉しそうに駆けていく芽衣と、それを追いかける晴夢の姿を見送りながら、狗蔵は冷酷
で不気味な微笑を浮かべた。しかしその笑みは、すぐに温厚な仮面の下に押し隠された。
狗蔵はパイプをまた持ち替えると、肺に深く煙を吸い込んだ。
386その3:2006/10/16(月) 20:23:47 ID:TcqwadTA

 その二日間、晴夢は屋敷で放漫に過ごした。好きな時間に目覚め、眠くなったら部屋に
引っ込んで寝た。芽衣は日中は晴夢に付きまとい、夕方になると食事の準備をして、晴夢
が寝るまで隣で相手をした。その会話の内容や時間潰しは、他愛のないものだったが、ど
ちらにせよ学校一の美少女と涼しい邸内で自堕落に好きなことをして過ごす時間は、中々
心地よいものだった。
「ねぇ夢野君、次は庭でバドミントンしようよ」
「俺とやるんじゃ相手にならないよ、お前は」
「ひどーい、こう見えて芽衣は強いんだからぁ。ねえパパ」
「ははは、手加減してやっておくれ、夢野君」
芽衣は学校で見るより更に活発で無邪気な気がした。
もとより転校してきた当初は、学校中が騒然となったほどの美少女である。その長い手
足に陶磁器のような肌理細かい肌、潤った双眸に漆黒のゆるやかなウェーブとなれば、そ
こらのアイドルが逃げ出すぐらいの愛くるしさだった。顔は幼いが、体は決して未発達で
はなく、寧ろ成熟しているといえる。露出の多い私服になれば、それが良くわかった。そ
のアンバランスがこれ以上ない魅力を放っている。
だが、芽衣は身体の豊満さに比べ、精神の成長は遅いようだった。晴夢はそれがまた男
心をくすぐるような、残念なような相反した気分になった。
 クラスの男を家に招きいれるということは、多少はそういう気もあるのかと期待もして
いたのだ。が、その気配を全く見せず、芽衣は晴夢の部屋が閉まる時は、また明日ね、と、
扉の前で未練なく小さく手を振った。
 芽衣はどうやら純粋に、単なる友人として晴夢に接しているようだ。同性の友達も多い
のにわざわざ自分を誘ったのは不思議だが、女同士というのは色々ややこしい面もあるよ
うなので、あっさりしているという理由で、淡白な性格の晴夢を選んだのかもしれない。
能天気に見えて、慣れない土地で色々気苦労はあるのかもしれなかった。
 そう考えたら、無性にいじらしく思えてきた。だが口には出さず、晴夢はつとめて単な
る芽衣の遊び相手として、気ままな日々を過ごした。
 そんな時に、晴夢は芽衣の部屋に呼ばれたのである。
387その4:2006/10/16(月) 20:27:00 ID:TcqwadTA

 時計を見れば、もう夜の十一時を回っている。何か用事があるんだろうな、という純粋
な義務感に、期待に似た甘い感覚を一筋混ぜながら、分厚い板のドアをノックした。
「どうぞぉ」
 中からはいつも通りの、舌足らずな声が聞こえてきた。だが幾分、しっとりと落ち着い
ているようにも感じられる。ベッドに腰掛けていた芽衣は、晴夢が入ってくると立ち上が
って、傍に寄ってきた。部屋の内装は他の客間と大して変わらずシンプルだった。
「邪魔するぜ」
「ごめんね、こんな時間に。どうぞ、中へ入って」
「どうした、トランプの相手でもしてほしいのか?」
「ん、もう。そんなんじゃないの……ねぇ、こっちに来て」
 芽衣は晴夢の腕に、自身の細い両腕を絡ませた。晴夢はいつも通りの声で言った。
「どうかしたのか? お前、目が潤んでるぞ」
「……夢野君……ううん、晴夢君。お願い、芽衣の隣に来て。ここでお話したいの」
 そう言って、部屋の端に置かれたベッドに引き寄せる。晴夢は黙って言うとおり隣に腰
掛けた。芽衣はしばらく、腿と腿を擦り合わせて躊躇っていたが、やがて顔を上げると、
別人のような艶っぽい目つきで静かに言った。
「……ねぇ、晴夢君は、芽衣のことどう思う?」
「どう、って?」
「可愛いな、とか、綺麗だな、とか、嫌な女だな、とか」
「そりゃ……」
 晴夢は芽衣の瞳を正面から覗きこむと、明瞭に言い切った。
「そりゃあお前、セックスしたいな、だよ」
 単刀直入な返答に芽衣は少しの間、無言で晴夢の顔を探っていた。が、やがて声を立てずに柔和な顔つきで笑った。嫌な顔をするか、冗談に受け取るかの反応を予想していた晴
夢は、落ち着いた仕草に意表をつかれた。
 芽衣はいつもの癖で小首を傾げると、どんぐりを思わせる黒目の大きい明眸で、晴夢を
真っ直ぐに見つめてあどけなく尋いた。
「ホントに、そう思ってるの?」
「あぁ、思ってるさ。お前だけじゃなくてこの世の女全員とな。ブスは除くけど」
「芽衣だけじゃないのぉ」
 芽衣の表情が沈み、眉間に皺が入った。
「それが男の性ってもんだ」
「芽衣だけじゃいやなの? 芽衣だけを見てくれるなら、させてあげるって言ったら、ど
うする?」
 芽衣は不意に体ごと近づいてきた。晴夢の腕をしっかり取ると、その脇腹に体躯を押し
付け、小さな顔を顎が引っ付くぐらい近くに寄せる。芽衣の薄く開いた唇から吐かれる息
がかかると、酔ったみたいな気分になった。
「どういう意味だ?」
「そのままの意味よ。芽衣、晴夢君のことずっと好きだったの。だから、セックスしたい
と思ってくれて嬉しいの。ねぇ、他の誰でもじゃなくて、芽衣だけを見てくれるなら、何
でもしてあげる。……駄目ぇ?」
 芽衣は晴夢の耳元でそう甘ったれると、耳朶をそっと噛んだ。ぞくぞくとした冷たい快
感が、背筋を這い上がってくる。芽衣の蕩けたみたいに黒く濡れる瞳を見ていたら、吸い
込まれていくように、荒々しい衝動が体の中心を貫いた。
 白い手が、晴夢の膝の上に置かれた。晴夢は乱暴にその手を取ると、体の向きを替え、
芽衣を正面からベッドに倒した。新しくはないが高価そうなベッドのシーツに、柔かい黒
髪が藻を散らしたように広がり、頭が深く沈んだ。
388その5:2006/10/16(月) 20:32:14 ID:TcqwadTA

「い、たい」
 咄嗟に芽衣が苦しがった。男の全身が覆いかぶさってくるという初めての体験に、戸惑
うみたいな切なげな眼をする。晴夢はそっと体をわずかに浮かし、食いつくみたいに華奢
な首筋を貪った。形良く浮き出た鎖骨が、否応なしに情欲を煽る。
 すでに下腹部は甘く、熱く疼き、窮屈に収めているのが限界だった。ズボンのチャック
に手をかける仕草を、芽衣は敏感に察知し、つい身を竦め、顔を強張らせた。晴夢は目を
細めて芽衣の白い頬を撫でた。
「……ねぇっ……」
 途切れ途切れに息を吐き、芽衣が上目遣いに晴夢を伺いつつ言った。晴夢はズボンを下
ろしながら、目だけで芽衣を見た。
「もうちょっと、待って、ねぇ? 芽衣に晴夢君に触らせて欲しいの。芽衣ばっかりされ
るんじゃなくって」
「……あぁ、いいぜ」
 下半身はトランクスだけになって、晴夢は芽衣の願い出を聞き入れ、上のシャツも鬱陶
しそうに脱ぎ去った。目配せすると、芽衣は心得たように小さく頷いた。
 芽衣の薄いTシャツは捲くりあがって、折れそうにくびれた腰が露わになっている。そ
れを両手で手早く引き下ろすと、おもむろに起き上がり、ベッドの上に座り込む晴夢に慎
重に抱きついた。首に手を回し、晴夢の膝の上に軽い全身を下ろす。そして、汚れのない
指で、硬い胸元をこわごわと触った。晴夢が少し体を動かすと、驚いて指は引っ込む。
「どうした、続けろよ。……もっと遠慮なく触っていいぞ、手の平いっぱいで」
「うん……。……こう?」
 手を大きく広げ、撫でるようにして上半身をくまなく触れた。しなやかな感触に、無意
識に気持ちが昂ってくる。ふと、芽衣は晴夢の胸に顔を埋めると、五本の指を艶かしい動
かし方で、放り出された内腿に這わせた。無骨な脚が咄嗟に震える。
「ねぇ……」
 またもや芽衣は鼻にかかった、懇願する声で、囁いた。広い肩に手をかけ、鼻と鼻が触
れ合うぐらい顔を近づける。
389その6:2006/10/16(月) 20:34:34 ID:TcqwadTA

「くび。さわっていい」
「……あぁ」
 子供のような手で、遠慮なく長い首をまさぐる。その手つきは自然と下に下がり、胸元
の、乳首の辺りを無造作に触る。
 晴夢はじっとして、されるがままに任せた。芽衣は娼婦を思わせる目つきで、下から晴
夢を覗きこみ、無邪気に赤い舌を少し突き出した。
「耳、触ってみていいかなぁ? これで」
「好きにしろ」
 晴夢と目を合わせ、了解の合図であるかの如く頷く。そして、首周りに抱きつき、頭を
斜めにして、晴夢の耳をつつくみたいにして舌で撫でる。それに飽きたら、唇で耳朶を挟
み込んだ。熱い吐息が、耳の内部にまで入り込んでくる。
 そのまま芽衣は舌を下らせた。後れ毛をかきあげて首筋を舐め、肩にまで差しかかる。
すると今度は横に滑り、柔かい感触が晴夢の背筋を粟立たせる。
 ぐっと、繊細な体がますます密着し、背中の裏側に置かれた手は妖しく動き、媚薬のよ
うな髪の芳香が鼻先いっぱいに広がり、そして、


「……っつ?」


 不意に晴夢は呻いた。それまでの、温かく壊れそうなぐらい淫靡な感触はどこかへ逃げ、
首筋に走った一筋の痛みに全ての神経は集中する。
 目線を滑らせて下を見ると、芽衣は相変わらずのからかうようなあどけない瞳で、こち
らを眺めている。その小ぶりな唇は晴夢の首筋をしっかり咥え、あの端に覗く犬歯が、深々
と皮膚を貫いて体内へ侵入している。
 それだけならいいのだが、芽衣が軽く空気を吸い込むと、晴夢の血がその小さな穴に一
斉に集まっていくのだ。全身の血液があわただしく向きを変え、流れに逆らい上に昇って
いく。その赤い水はすべて、食いついたままの芽衣の口内に流れ出、そのまま細い喉の奥
へと吸い込まれてゆく。
 結論は簡単だった。血を吸い上げられている。
 こんな馬鹿なことがあるのかと、怒鳴りつけたくなった時には、すでに目の前は暗んで
いた。汗が引いた直後と似た感覚で寒くなり、うまく力が入らず、指の先が言うことを聞
かなくなる。そして目前の視界は雨の日のガラス越しの風景みたいにぼやけ、ふっとズー
ムになったように近づいては遠のき、上から下へ、視点は滑っていった。
 上質のシーツに思い切り頭が沈んだ時には、もう指一本すら動かなかった。芽衣の艶か
しい体が、眩しい肌が、晴夢の体の上に纏わりついてきた。その瞳は淫猥で、悪戯が成功
した時のように喜々としている。その眼を見て、やっと謀られていたことを理解した。
390その7:2006/10/16(月) 20:38:29 ID:TcqwadTA

「うふふ。まだ頭ははっきりしてるでしょ? そんなに吸ってないから……」
 美味しいジュースを飲み干した後みたいな顔をして、芽衣は若々しく磨かれた肢体を晴
夢の身体に押し寄せる。晴夢は、からからになった喉から、絞るようにして声をひねり出
した。
「お……まえ……何……した……」
「やだぁ、鈍いんだからぁ。分かるでしょう? 吸血鬼よ、吸血鬼。ドラマとかー、小説
とかー、漫画とかー、色々あるじゃなぁい。でも実際見るのは初めてかな?」
「……吸、血、鬼?」
「そうなのぉ。芽衣って要するにその吸血鬼なの。だから晴夢君の血を吸って殺しちゃおうとしてるの。ごめんね」
 屈託なく微笑み、小首をかしげた。晴夢は瞳を凶暴にしながら、まだ力が入らない指を
震わせ、握ろうとした。が、小刻みに揺れただけで、思う通りにはいかなかった。
「俺を、殺す、のか?」
「そう。全部血を吸いきったら人間はヤワだからすぐ死んじゃうし、それに殺さずに帰っ
て貰ったら困るのよね。晴夢君、芽衣が人間じゃないってこと誰にも言わず黙っててくれ
る? 」
 言いつつ、晴夢の胸を指でなぞった。砂の上に水で絵を描くみたいに、真っ白な指先が
硬い胸の上を滑っていく。
「いんや。百軒隣まで言いふらしてやる」
 眼に力を込め、気丈に言った。芽衣は晴夢の胸に円を描くのを続けながら、くすりと笑
った。
「でしょう? そしたら皆にバレちゃうし、今時ヴァンパイアが生き残ってると知ったら、
偉い科学者を名乗る人がウチに来て、連れて帰られて解剖されちゃうんだから。晴夢君も
解剖されるのイヤでしょ」
 桃色の唇を晴夢の胸に軽く押し付けて尋いた。晴夢はそれには答えず、上に乗る芽衣の
目元を見据えたまま言った。
「何で、俺を選んだんだ? お前に言い寄る男はいくらでもいただろ」
「一番体が丈夫そうだったからよ。軟弱な男の血を吸ってもエネルギーにならないもの。
ホントは、ふっと居なくなっても誰も怪しまないような子にしようと思ったんだけど、居
なかったから、君にしたの」
 そう言うなり、再び小さく穿った穴に歯を押し当て、躊躇いなく吸い込んだ。晴夢はき
つく眉間に皺を寄せた。
「うふん。苦しくはないでしょ? 血を吸われるって、そんなに悪いもんじゃないんだか
ら……今まで死んでいく子に聞いてみたら、なんか、すーっと体の中の糸がほどけていく
感じだって。うふふ、誰かが助けてくれると思っても無駄なんだから。家の人は明日まで
帰らなくても怪しまないから、この館には誰も来ないわ」
 残虐なことを気安く口に出し、芽衣は首を傾けて、あの愛らしい眼をした。
 その顔を見て、晴夢の心の中に、発作的に荒っぽい怒りが噴出してきた。何で俺がこん
な小娘にいい様にされなくちゃならないんだ、という、抵抗を通り越した、暴力的な反発
だった。
「おい」
 低い声で芽衣の注意を引く。手に神経を張り巡らせ、懇親の力で握ってみる。指が動い
た。そのまま勢いをつけて、全力で芽衣を撥ね付けた。抵抗できるとは全く想定していな
かったのか、芽衣はあっけなくベッドの後方に尻餅をついた。
「きゃっ!」
391その8:2006/10/16(月) 20:41:15 ID:TcqwadTA

「いい加減にしろよてめぇ!」
「な、何よ、何で動けるのぉ……?」
 凄まじい形相で自分を睨みつける晴夢を見て、芽衣は狼狽した。晴夢は首をゆっくりと
回す。怒気の成せる業か、全身に活力が溢れ出てくるようだ。晴夢の顔を呆然と眺めてい
る芽衣を見据え、冷たく言い放った。
「フン、ヴァンパイアだかバンパーだか知らないが、男の力を甘く見すぎたんだよ、おま
えは。どうした、さっきみたいに俺を殺そうとしないのか?」
 一瞬、さっと血の気が失せた芽衣だったが、すぐに強気に睨み返した。
「何よぉ、火事場の馬鹿力で立ち上がれたって、どうせフラフラじゃない! そんな状態
で脅したって怖くなんかないんだか……ら……」
 急に、語気が消え入りそうに弱くなった。その瞳は晴夢の腿の上側を注視している。晴
夢が何気なく目を落とすと、丁度パンツに隠れて見えなかった部分に、傷を処置した痕が
あった。
「あぁ、そういえば、前椅子から釘が出てたから引っかかって怪我したんだ。その時に手
当てしたまま剥がすの忘れてたな」
 思い出して呟いた。ガーゼの上に貼ってある薄いテープは、十字の形をしている。それ
を見て、芽衣は凍りつき、途端に泣き出しそうな顔をした。
「? 何だよ?」
「………うぁぁん! 来ないでよ、馬鹿!」
 半泣きになり、ベッドから下りた。晴夢が後を追うと、青ざめて壁に背中をつける。晴
夢は、やっとその理由を理解した。
「お前、もしかして十字架が怖いのか? 吸血鬼だから?」
「………」
「ははん、これは思わぬ弱点があったもんだな。いくら威張ったって、それじゃあ処置な
しだろ。さあ、俺を騙した罰だ。たっぷりお仕置きしてやる!」
「だ、誰があんたなんかにぃっ!」
 晴夢に肩を掴まれ怯みながらも、芽衣は瞬時の判断でその股間を思い切り蹴り上げた。
間抜けな声を上げ晴夢はうずくまる。
「何しやがんだ、てめぇ……! おい、待て!」
「べーっだ! 鈍い人間なんかに捕まらないから!」
 小気味良く言い捨て廊下に出ると、勝手知ったる家の中を迷うことなく駆けていった。
392その9:2006/10/16(月) 20:43:26 ID:TcqwadTA

「……くそっ、どこ行ったかわかんねぇじゃねぇか」
 手早く衣服を身につけ、追いかけて部屋を出たときには、すでに周囲に人の気配はなか
った。しばらく憤然として辺りを見回した晴夢だが、やがて一つ思いつき、階下へ下りた。
 暗闇に包まれた廊下を手探りで進みながら、最初案内された部屋へと向かった。広間は
少し扉が開き、そこから明々とした光りが漏れている。勢い良く扉を開けると、中には誰
もいなかった。
「どこ行ったんだ、あの親父? あいつなら隠れる場所知ってると思ったのに……」
 一人口に出して呟きながら、晴夢は狗蔵の姿を探した。暖炉の中まで身をかがめて覗い
てみているところへ、後ろから声がかかった。
「こんな時間に、もしかして私をお探しかね?」
 振り向くと、いつもの通り、悠然とパイプを咥えた狗蔵が体の後ろで手を組んで立って
いた。晴夢は何気なく尋ねる。
「おぉ、先生、丁度よかった。アンタの娘がこの館の中に身を隠しちゃってるんだけどさ、
どこに居るか知らないか?」
「知っているとも。だが、それを教えたところで、君は芽衣の元へたどり着くことができ
るかな?」
「どういう意味だ?」
「こういう意味だよ。君は今ここでシヌ」
 途端に狗蔵の顔つきが凶悪に変化した。目は釣りあがり、口は頬の真ん中辺りまで横一
文字に裂けていく。鼻先が刃物のように前へ尖っていき、そして何より変化が著しかった
のは、その全身を覆う体毛である。体中の毛の一本一本が、毛穴ごと大きくなったかの如
く太く鋭くなっていった。そしてものの五分もしないうちに、そこには先程までの狗蔵と
は似ても似つかない、生臭い息を吐く獣の姿が一匹あった。
「狼、か」
『ほほぅ、やはりわかるかね。物理は苦手だが動物には一般的素養があるみたいだね、夢
野君。だがわかったところでどうなるものでもない、今君の人生はここですぐ終わるのだ
からね』
 狼に変化した狗蔵は、相変わらずもったいぶった口調で言った。その深く裂けた口には
鈍く光る牙が隙間なく並んでおり、どんなに硬い鉱物でも噛み砕いてしまいそうだった。
 低い声で唸り、今にもその柔軟な肢体を眼前の少年の胸元に飛び込ませ、喉を喰い千切
りそうな狗蔵の様子を、晴夢は表情に変化をつけずに眺めている。
393その10:2006/10/16(月) 20:45:48 ID:TcqwadTA

 その反応を、狗蔵は嘲った。
『あまりのことに声も出ないかね、夢野君。そんなに脅えることはない、今その恐怖を私
が断ち切ってあげよう。私がこの姿でその生命を閉じてきた数々の人間達と同じようにね』
 そこまで言うと、獰猛な牙から透明の涎を滴らせ、真っ赤な口を大きく開き晴夢に飛び
掛ってきた。
『喉元掻っ切ってやる、小僧ォ!』
「うるせぇっっー!! ワン公の分際で人間様に楯突くんじゃねーー!!」
 狗蔵の吼え声よりもひときわ大きい怒声が辺りを貫いた。そして何もかもが静止した後。
そこには、限界まで開いた口に、喉笛の柔かい肉ではなく、硬い足の裏を突っ込まれ、そ
の勢いで床に叩き臥された狗蔵が、情けなく横たわってた。晴夢は足首をいっぱいまで突
き入れたまま、狗蔵の口の中でぐりぐりと左右に動かした。靴の下で長い舌が容赦なくに
じられ、狗蔵は腹を上にして倒れたまま悶絶した。
「おらどうした? 俺の喉元掻っ切るんだろうが、さっさと喰いついてみろよ、足なんか
かじってんじゃねぇ!」
 そう言い、一瞬浮かした足を全力で床に叩きつける。その痛みに狗蔵は、なりふり構わ
ず悲痛な声を上げた。
「あぁーん、そんなに足が好きならいくらでもかじらせてやらぁ。ほら、好きなだけ味わ
えよ。美味いか、え? 何とか言ってみろ」
『や……やめ……』
「あぁ、聞こえねえなぁ? ワン公の分際で行儀が悪いんじゃねぇえか? お前の娘は俺
をコケにしやがるし、どうやらお前ら親子は人間様に対する礼儀ってもんがなってねぇな
ぁ! おらアイツは何処いったんだ? 喋らないと自慢の牙ぁ全部叩き折るぞ!!」
 低い声で呪詛を吐きながら、ますます狗蔵の口内に深く足を沈める。その暴虐にとうと
う狗蔵は、白状した。
394その11:2006/10/16(月) 20:47:59 ID:TcqwadTA

『め、芽衣は、多分屋根裏部屋にいる。あそこは安全だから、きっとあそこに隠れている
に違いない』
「屋根裏部屋だぁ? どうやって行くんだ、そこは? 嘘つきやがったら喉の奥まで足突
っ込むぞ」
『そ、そこの突き当たりの角を右に曲がったら、隅に隠し階段があるから、そこを上に行
けば』
「あっそ、ありがとよ」
 素っ気無く吐き捨てると、ポケットに両手を突っ込んだまま、片足を引っこ抜いた。空
中で汚れを落とすようにして振り、何事も無かったかの如く歩き出す。
「ったく、ワン公の下品な臭いが染み付くとこだったじゃねぇーか。何から何までムカつ
く親子だ」
 更に暴言を一人吐き出す晴夢の後ろで、狗蔵は元の人間の姿に戻っていた。起き上がる
と、怒りに燃える瞳で晴夢の後姿を視界に捉え、どうしようもない衝動に突き動かされ両
手を振り上げ殴りかかった。
「お、おまえだけは許さん! よく……も……」
「あぁ、よくも何だぁ?」
 自分に襲いかかる狗蔵の股間を、芽衣が自分にしたように、晴夢は強く蹴り上げた。言
葉にならない嗚咽を漏らし、狗蔵は床に崩れ落ちた。
「はん、それがお似合いだぜ。じゃぁな」
そう言うと、晴夢は芽衣の所へ一直線に向かった。


 晴夢は気づかない内にほとんど全力疾走しながら、狗蔵から聞き出した隠し通路を駆け
上がり、芽衣が身を潜める屋根裏部屋を見つけ出した。
 荒げた息を整え、乱暴に足で扉を蹴破ると、質素なベッドの上にぼんやりと座っていた
芽衣が何よりも驚いたという顔をして身を固くした。晴夢の上に乗り微笑んでいた時の余
裕は消えうせ、ただ怒りに充ちた侵入者を心の底から畏怖している。
「な、どうしてここがわかったの……?」
「おお、ずいぶんかび臭い部屋じゃねぇか。他の客室より質が落ちるようだな。贅沢なお
前がこんなところに逃げ込むなんざ、よっぽど俺が怖かったのか」
躊躇なく部屋に入ってきた晴夢は、芽衣と目を合わせながらゆっくりと追い詰める。芽
衣は晴夢から身を守るようにして壁に背中をつき、部屋の奥へと後ずさった。
「ま、おまえが俺に躾なおされる舞台としちゃあ、なかなかお似合いじゃねぇか」
「ど……どういうこと?」
395その12:2006/10/16(月) 20:55:33 ID:TcqwadTA

 晴夢は悪しざまに口を歪めて笑うと、大股で一気に芽衣との距離を縮めた。芽衣が身を
よじって逃げようとするのを素早く捕まえ、細い体をシーツの上に強引に沈めた。
「こういうことだっ」
「なっ、やめっ……」
「さっきはよくも俺を嵌めてくれたなぁ、今度は俺がお前にハメる番だっ」
「放して、放してってば! パパはどうしたのっ」
 長い手足をばたつかせる芽衣を、上から組み伏せながら、晴夢は薄く笑った。芽衣は背
筋が冷たくなるのを感じ、思わず大人しくなった。
「あの犬野朗なら、俺がきっちり人間様へ対する礼儀ってものを教えてやったよ。だから
今度はお前に教えてやろうってんだ」
「そんなのいらないわよっ、馬鹿な人間のくせにぃーーっ! あんたなんか大嫌いっ」
「ほほう、言ってくれるじゃないか。その人間に抵抗できず、恥ずかしい目に遭っていく
お前が不憫でならないよ」
 同情めかしてそう言うと、芽衣の衣服を無理矢理剥ぎ取った。下着を着けていなかった
芽衣の白い胸が、突然空気に触れて身を竦めたようにして上下に揺れた。
「や、だっ……」
 顔を崩して泣き出しそうになった芽衣を見下ろし、丸い尻をじっくりと撫でる。芽衣は
背中の毛穴が開いたみたく、身体中を悪寒が走った。既に、臀部を隠す短いショートパン
ツしか、身につけているものはない。
「やだっ、離してよぉ!」
「駄目だね。今になって、許してやるもんか」
 短く言い、芽衣の身体を粗暴な手つきで弄った。芽衣は整った顔を歪めて泣き出す。
晴夢は呆れるぐらい柔かい腿の内側を堪能するように撫でながら、その様子を見て嬉し
げに笑った。
「いいねぇ、盛り上げてくれるじゃないか。お前の童顔が泣き濡れるのは、見てて何とも
いえない気持ちになってくる」
「ひっ、ひどい! 貴方、人間のくせに吸血鬼を犯すっていうの?」
「うるせぇ、吸血鬼のお前に人間の倫理を説かれたくないなー!」
 怒鳴り、芽衣の形のいい胸を強く握った。芽衣が苦痛に息を荒げるのを、面白そうに眺
める。
「んー、やっぱり大きいな。Dカップってとこか」
「やだ、スケベっ」
「お前もだろ? 演技だけであんな色っぽさを出せるかよ。この可愛い顔で、一体何人の
男をたらし込んできたんだ」
 芽衣の顎を二本の指で掴み上げ、耳元で囁いた。芽衣は元気良く反発する。
396その13:2006/10/16(月) 20:57:57 ID:TcqwadTA

「たらし込んでなんかないもんっ、アレは単に、みんな血を吸わせてって言っても言うと
おりになんかしてくれないから、人間の男は馬鹿だから、ああやって騙しておけば一人残
らずあっさり騙されて……」
「ほぉ、その馬鹿な男に今お前は組み伏せられてるわけだ」
 晴夢は言いながら、その舌を芽衣の耳に中に差し入れた。芽衣はつい抵抗を一瞬止め、
大きく全身をびくつかせる。
「んゃっ……」
「気持ちいいか?」
「やめてぇっ……」
「ふふ、他人には平気で纏わりつくくせに、自分の快楽には免疫がないみたいだな。面白
いじゃねえか、今日お前の身体に、男の良さをたっぷり刻み込んでやるぜ」
 言うなり晴夢は着ているものを脱ぎ去った。芽衣はその一瞬の隙をついて、晴夢の身体
の下からすり抜けた。が、華奢な足首を素早く掴まれ、膝をついて四つんばいになった体
勢のまま身動きを封じられた。
「ちょっ、放してよぉっ」
 首を後ろに捻って、晴夢の眼に訴えかけた。だが晴夢は欲情を滾らせたまま、半裸の芽
衣の白い肢体を隅々まで眺めている。芽衣は思わず顔を紅くする。
「いい格好だな」
「やだぁ、見ないでよっっ」
「そうか、じゃあ見るのはやめよう」
 晴夢は尻を突き出したまま嫌がる芽衣のショートパンツを、乱暴に引き摺り下ろした。
下着も一緒に膝下まで下ろされ、桃色の花芯が隠すものもなく、卑猥な目線に晒される。
芽衣が何か言う暇もなく、晴夢はその閉じられた花弁に舌を這わせた。芽衣は暴れようと
する腿を抱え込まれ、犬の格好をしたまま嫌悪と羞恥で泣き喚く。
 その様を加虐的な眼で見つつ、晴夢は芽衣の突起状の豆を甚振った。芽衣の意思に関係
なく、自由をなくした体躯が思わず波打った。晴夢は苛めるみたいな声で囁く。
「ふふ、人間じゃなくても、クリトリスは気持ちいいのか」
「ぁゃっ、やだあぁっ……やめてよ、お願いだからぁっ……」
「どうした、嫌なのか? 嫌ならしょうがないな」
397その14:2006/10/16(月) 21:00:00 ID:TcqwadTA

 そう言いながら、表側をまんべんなく唾液で濡らし、中にまで差し込んでいた舌を、一
筋の糸を引いて抜いた。
 そうして次は、芽衣の小刻みに震える尻に手をあてがい、己の猛ったものを入り口に押
し当てた。芽衣は全力の力を込めて、それから逃れようとした。が、シーツの上に突っ伏
した芽衣の太腿を横に大きく開くと、晴夢は容赦なく芽衣を貫いた。ぱぁん、と体内で何
かが弾け、芽衣は喉から声を振り絞った。痛々しい悲鳴が一筋、寂れた館内に反響する。
「やだぁっ、いぁっ、い、た、いっ……っ……」
「あれも嫌、これも嫌、注文の多い奴だな。慣れないなら痛いに決まってんだろ、我慢し
ろ」
 晴夢は身体を動かしながら、芽衣の毀れるように揺れる胸を愉しげに眺めつつ、冷たく
そう言い放った。ずぶずぶと、さらに晴夢の熱い棒が、奥深くまで侵入してくる。生まれ
て初めて味わう異物感に、芽衣は子供のように甲高い声で叫び続けるしかなかった。
 晴夢は心地良さそうにそれを聴き、脆い膜をこそげ落とすみたく、内部を引っ掻き回す。
「い、やぁっ、放してっ……」
 言いつつも、芽衣はすでにぐったりとして、晴夢の手を払いのける気力も失せたようだ
った。しばらく経つと、晴夢は芽衣の中から自身を引き抜いた。一筋、紅い血が垂れてい
る。
「へぇ、吸血鬼でも、初めてなら血が出るんだな」
「………」
 短く笑うと、晴夢は言い返す体力もない芽衣を裏返し、今度は先程まで自身が収まって
いたところの上にある、小さな穴に舌をあてた。突如、割り込んできた生々しい感触に、
芽衣は声を上げる。
「な、何するの……?」
「気持ちいいことさ」
 晴夢は眼だけで笑んだ。固くしこらせた舌を、綺麗な菊状を描く窪みに挿し入れ、中で
うねらせた。臓器の裏側を舐るような感覚が芽衣の体内を荒れ狂う。不快とも快楽ともつ
かない、何ともいえない気分だった。
 そして、その後晴夢が何をしようとしているのか気づいたときは、消耗も吹き飛び嫌が
った。
398その15:2006/10/16(月) 21:02:55 ID:TcqwadTA

「やだっ、駄目ぇっ、お願いやめてえっ!」
 だが晴夢は動じず、逆に喜びながら芽衣を押さえつけた。
「嬉しいねぇ、もっと泣き叫んでいいぜ、そっちのほうが気分出る」
「あ、悪魔っ!」
 毒づく芽衣を自分の膝の上に座らせると、晴夢は腰を前へ動かし、細い道に凶暴なもの
を沈めた。裂けるような痛みが身体の中心を走り、芽衣は自分が声を上げていることすら
気づかず、その衝撃に身をよじらせた。晴夢は花弁と変わらぬ激しさで芽衣を貫き、柔か
い内部がそれを必死で受け入れる。まるで破裂せんばかりの苦痛だった。
「やだーっ、放してってばぁーっ」
「いいぜ、その泣き声。何たって明日まで、ここで何があっても誰も怪しまないし助けに
もこないんだからな。一晩中愛し合おうぜ?」
 芽衣が言った言葉をそのまま返し、晴夢はいっそう深く突いた。芽衣はひときわ悲痛に
声を上げ、絶望と屈辱を持て余しつつ、叫んだ。
「酷い、あっ、あんたなんか人間じゃないんだからーっ!」
「お前もだろ。同じ人間じゃない奴同士、仲良くしようぜ」
 晴夢は何でもない口ぶりでそう言い、芽衣の泣き声が辺り中に響く中、陵辱は一晩かけ
て行われた。


 翌日。すべてのものに健全な朝の陽射しが平等に降り注ぎ、夜が開け切った後の清爽な
空気が辺り一面を充たしていた。
 晴夢がまばゆい光りの中目覚めると、隣で真っ赤に眼を泣き腫らした芽衣がこちらを伺
っている。芽衣は身体を起こした晴夢の腕に自分の腕を巻きつけると、一言こう呟いた。
399その16:2006/10/16(月) 21:07:16 ID:TcqwadTA

「……昨日は、よくもやってくれたわね」
 その語調は怒っているというより、一晩を過ごした者が初めて目を合わせた時の照れく
ささがあるように思えた。晴夢は頭を掻き、昨日の出来事を整理しながら取り合えずこう
言った。
「何だ、怒ってるのか? まさかまだ俺を殺すとか、そういうのを」
「ううん。もうそんなこと考えてないわ。だって自分の夫となる人間を殺しちゃったら、
未亡人になっちゃうし」
「へえ、夫。……夫?」
 違和感のある単語に晴夢が思わず聴き返すと、芽衣は眩しい笑顔で爽やかに告げた。
「そう。番播一族には、初めて唇を交わした者と結婚しなければならない掟があるの。晴
夢君はその習わしに従えば、芽衣の夫よ」
 すらすらと流れ出てくる言葉に、混乱した晴夢は頭を抱えうずくまった。が、次の瞬間
勢い良く頭を起こすと救われた気持ちで晴れ晴れと答えた。
「何言ってるんだ、俺はお前と唇を交わしてなんかいないぞ!」
 確かに、昨日の一連の流れでも、キスはしていなかった。だが芽衣はそれに対し、あの
いつもの動作で小首をかしげ、愛らしく笑って言った。
「うん。でもねぇ、さっき晴夢君が寝てる間に、芽衣がキスしちゃったの。だって、もう
芽衣は晴夢君以外の人と結婚する気なんてなかったんだもん」
 あのすべての男が魅了される、蕩ける笑みである。そのあどけない笑みと、簡単な返答
を聴きながら、晴夢は再び考え込んだ。
 つまり。
「……俺は、今日から」
 泣きそうな声だった。そんな晴夢に嬉しそうににじり寄ると、芽衣は首の後ろに腕を回
し、無邪気に言った。
「そう。ね、せっかくだからちゃんとキスしよ……いいでしょ?」
 長い睫毛の瞳がたおやかに潤う。白く眩しい肌は陶磁器のよう。ウェーブの髪は、柔ら
かく流れる。
 晴夢は真顔でその爛漫とした顔を凝視し、言った。
「――あぁ、そうだな」
 そして、芽衣の身体ごと自分に引き寄せた。細い顎を上に向かせ、人形のような唇に強
く自分の口を押し当てる。舌と舌が繋がり、唾液が混じった。
 恍惚とした顔をしている芽衣を、しばらく間をおいて突き放すと、ベッドの隅に散乱し
ていた服をすかさず手に持って、部屋を出た。
「どこ行くのよっ」
「俺はお前と結婚するなんざ真っ平御免なんだよ! 俺の夢は世界中の女と遊ぶことなん
だからなっ、じゃーなっ」
「人間の女なんか相手にしなくていいじゃない、芽衣一人で充分だってば! 待ってよぉ、
逃がさないからぁ!」
 芽衣は地団太を踏み悔しそうに言うと、ベッドから跳ね下りてその後を追いかけた。


 朝日が振り込む屋敷の中、一階の広間では昨日から狗蔵が同じ体勢のまま、世の無情を
嘆いていた。

 TO BE CONTINUED?  
 お終い

400名無しさん@ピンキー:2006/10/16(月) 21:24:39 ID:zhvRkUs7
後書きはなしかな?
リアルタイムグッジョ!
401名無しさん@ピンキー:2006/10/16(月) 21:32:40 ID:TcqwadTA
反応ありがとう。ついでに後書き。
途中改行失敗と誤字を投下中に発見。まあ気にせずに読んでください・・。
糞駄文ですが、暇ならよければ感想くれるとウレシス。
402名無しさん@ピンキー:2006/10/16(月) 22:08:43 ID:zVeMTbK9
ぐっじょぶ!
403名無しさん@ピンキー:2006/10/16(月) 22:18:34 ID:bbhKLPVq
GJ!
あえて好きに言わせてもらえば人間以外としてる気がしないかな
404名無しさん@ピンキー:2006/10/16(月) 23:36:44 ID:TcqwadTA
401です。レスありがとうです。
>>403
確かに・・、少し物足りないかもしれませんね。もっと人外的要素を文中に盛り込んだら良かったなと思います。
吸血鬼よりも主人公の性格の方が際立つストーリーを描きたかったのですが、ねらいが成功したか失敗したか読み返してもよくわかりません。

何にせよ、最後まで読んでくれた人はどうもです。
405名無しさん@ピンキー:2006/10/17(火) 00:15:01 ID:/DLlknDL
狗蔵さんが泣ける。
芽衣がほどよくお馬鹿さん。
結婚は嫌なのにしっかりちゅーする晴夢のハンパっぷり。
凄惨な修羅場になったら引くけど、えっちなコメディは好きなので、
もうちょっとどたばたとした続きが読みたいと思いました。

というわけでGJ。
406名無しさん@ピンキー:2006/10/17(火) 00:30:34 ID:SzGP7d3c
読ませて頂きました。
GJ!
407名無しさん@ピンキー:2006/10/17(火) 10:05:27 ID:qu6JBbJS
つまらん
どの辺が人外キャラの話?
エロが少ないのは仕方ないにしても、それ以外の部分が鈍長な上、内容自体が面白くない
あと、続きを書いて下さいって感想を貰いたい作者の意図が見え見えで萎える
408名無しさん@ピンキー:2006/10/17(火) 10:08:26 ID:bTzw5iBe
>>407
批判はどうでもいいからとりあえずお前は執筆作業に入るんだ
409名無しさん@ピンキー:2006/10/17(火) 22:19:12 ID:64mBQSpE
なかなかいい感じでしかもいつもとは違うパターンとはw
しかし登場人物の性格が少々にかりんと重なるような…?
410名無しさん@ピンキー:2006/10/17(火) 23:56:13 ID:GxjPRP2e
かりんって何?
411名無しさん@ピンキー:2006/10/18(水) 00:07:18 ID:GxjPRP2e
>>409
あといつもとは違うパターン、のいつもって何?初めてカキコしてるんでしょ?最新の投下のは
412名無しさん@ピンキー:2006/10/18(水) 00:29:03 ID:bXcxUKew
>410
このスレ住人のくせに、元エロ漫画家の描いたTVアニメ化もした吸血鬼美少女漫画も知らんとは。

ストックしてある吸血鬼ものを何か出したくなってきた。
とは言っても、吸血シーンがちょっとエロチック程度のものなんだけどな。
413名無しさん@ピンキー:2006/10/18(水) 00:37:46 ID:kDck062x
カリン塔に住んでる猫の姿をした仙人
414名無しさん@ピンキー:2006/10/18(水) 01:19:22 ID:bXcxUKew
かりん、アニメ、吸血鬼で検索すると出てくる。
415名無しさん@ピンキー:2006/10/18(水) 17:00:54 ID:KSK9euGS
噛みちゃまかりん  なら知ってる
416名無しさん@ピンキー:2006/10/18(水) 21:44:40 ID:SAvC42n7
かりんは影崎作品の専用スレ行った方が、とも思いますがね。
417名無しさん@ピンキー:2006/10/18(水) 22:01:01 ID:bXcxUKew
かりんスレに、
突然ただ吸血鬼なだけの作品を投下したり、
他スレに投下した作品の感想を書いたりするのは、
あきらかにスレ違いだよ。
418名無しさん@ピンキー:2006/10/19(木) 00:05:10 ID:tmADDIpX
>>417
なんか面白そうだからそのスレに案内して
419名無しさん@ピンキー:2006/10/19(木) 00:25:50 ID:62dx0mxB
ほらよ。
【かりん】影崎作品でエロパロ【櫻の一番】
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1150203733/l50

つか、「かりん」だの「影崎」だので検索すれば一発だぜ?
420名無しさん@ピンキー:2006/10/19(木) 00:48:06 ID:tmADDIpX
>>419
dクス
いや、検索してみたんだが「かりん」では連続テレビ小説しかヒットせんなんだ
影崎って入れても見つかりませんポカーンだったし
何でだろう
421名無しさん@ピンキー:2006/10/19(木) 02:13:49 ID:FbLF1PWu
乙〜
ただ、主人公の性格と能力が破綻してたのが残念
傲慢なら屋敷に行く時にヤラセロだろうし、吸血鬼や人狼に勝てる理由も不明

>417
こっちに言われてもさw
つか、常識扱いしたいなら、もっとメジャーな(ry
422名無しさん@ピンキー:2006/10/19(木) 02:30:10 ID:tmADDIpX
>吸血鬼や人狼に勝てる理由も不明

力道山は狼どころか熊を素手で倒したんだぞ
423名無しさん@ピンキー:2006/10/19(木) 03:23:58 ID:F4wa5L+A
>吸血鬼や人狼に勝てる理由も不明
読者に続編を意識させようとしているんだよ

とりあえず、作品の投下がロクにない現状では、どんなヘコい作品でも大絶賛されるぞ
まぁ頑張れや
424名無しさん@ピンキー:2006/10/19(木) 16:20:20 ID:tmADDIpX
だから作品の投下がロクにない現状での貴重な作品を
なんでそんな風に貶めるかが訊きたい
425名無しさん@ピンキー:2006/10/19(木) 22:49:31 ID:jgXYEfrj
>>424
だから訊くなよ。ほっとけ。
426名無しさん@ピンキー:2006/10/20(金) 04:25:49 ID:DRTutqDu
>424
ヒント:407は、いつもの当番
427名無しさん@ピンキー:2006/10/20(金) 08:08:25 ID:CVh3bv7Z
吸血鬼とか狼に勝てる理由とか気にする奴は
なんで吸血鬼がいるのかは気にならないのか?


(´・ω・)いちいち気にするなよ。
428名無しさん@ピンキー:2006/10/20(金) 13:54:10 ID:F1j9tmQk
ここのみんなのSSは山田悠介先生の小説より面白い
429名無しさん@ピンキー:2006/10/20(金) 17:06:35 ID:1e0A/XiM
このカレー、ウンコよりうまいね。
430名無しさん@ピンキー:2006/10/20(金) 19:25:46 ID:19gTnptI
ども、「擬人化した凶暴な♀動物が逆レイプするスレ」で狼娘のお話書いていた者ですが、それの続編を投稿します。
本来は元のスレに投下すべきだとは思いましたが、内容が和姦なのでこちらに引っ越します。
できれば「擬人化(中略)スレ」のもよんでください。では
431名無しさん@ピンキー:2006/10/20(金) 19:32:10 ID:19gTnptI
 ぎこちない手つきでスプーンを置くと、彼女は手を合わせた。
「ごちそうさま、だ」
「ああ、お粗末さん。大分上達したな。ほら、口についてるぞ」
 唇の端についている食べカスを、青年がぬぐう。
「拭くより、舐めてくれた方が、嬉しい」
「それはマナー違反なんだ」
 青年はまるで子供にするように女の頭を撫でる。女は嬉しそうに、傷のない方の片目を細めた。
 
 青年が狼…いや、女と結ばれてから一ヶ月が経った。
 その最初の数日間は、青年は女に人間としての常識を教えることに費やされた。
 特に問題だったのはテーブルマナーだった。青年が格式のある場所で食事をする機会など一生ないだろうが、それでも犬食いは止めてもらいたかった。
 だが、それ以外のことでは特に不満もなく、二人の時間は穏やかに過ぎていた。

 食器を片付けた青年が振り向くと、女の姿はすでに椅子ではなく寝台の上に移っていた。
「腹も、膨れた。次は、交尾だ」
 もし女が狼の姿をしていたら、千切れんばかりに尻尾を振っていることだろう。
 いや、青年の目には実際に(おそらく幻覚だろうが)振り回される尻尾が見えた。
 もう少し言い方があるだろうに、などと思ったが、すぐに贅沢な悩みだと思い直す。
 青年はまだ若く性欲は有り余っている。
 女は美しくこちらを好いている。
 女が言うとおり腹も膨れており、これ以上の充足はないだろう。
 青年は寝台へと近づいた。
432名無しさん@ピンキー:2006/10/20(金) 19:41:18 ID:19gTnptI
 ベッドに乗った青年に、女は早速擦り寄ってきた。
「んっ…ふぅ…」
 心から安堵した微笑を浮かべながら、甘えた声を出す女。
 女の好きな動作は二つある。
 一つはキス。そしてもう一つは自分の体を擦り付けることだ。
「お前の、体温が、心地いいから」
 と女は言うが、青年はマーキングされているのではないかと疑っている。もっとも、青年にしても女の柔肌の感触を堪能できるのでとめるつもりはなかった。
 だが、それだけではただの生殺しだ。青年は自分の胸に頬を摺り寄せている女の肩に手をやって、そっと押し倒す。
「んん…」
 女は少しだけ不満そうな声を上げシーツの上に寝そべった。
「もっと擦り寄ってたかったのか?」
「…うん、けど、気持ちよくしてくれたら、許す」
 青年はああ、と頷き女の服に手をかけた。
433名無しさん@ピンキー:2006/10/20(金) 19:46:39 ID:19gTnptI
(よく考えれば、裸ワイシャツなんだよな)
 女のワイシャツのボタンを外しながら男は呟いた。
 最近こそほとんどの時間を人間の形態で過ごしている女だが、それまでは狼の姿ばかりをとっており、当然その間は裸だった。
 そして残念なことに、青年には女装の趣味はなく、したがって女物の服はおろか、下着の一枚もない。だから普段、女は裸の上に青年のワイシャツとズボンを身に着けていた。
 そして今、ベッドに上がる前にズボンを脱いだ女が身に着けているのは、サイズが大きい男物のワイシャツだけだった。
「どうした?」
「…!いや、なんでもない。そういえばお前の服も買わないといけないな、って思い出して」
 女の姿に見とれて、いつの間にか手を止めていた青年は、とっさに言いつくろった。だが、そのとっさの言葉に女は驚きと、そしてほんの少しさびしそうな表情をした。
「どうしても…か?」
「いらないのか?」
「お前が、私のために、贈り物を、くれるのは、うれしい。けど…」
 問い返された女は半ば脱がされた服を掻き抱きながら、躊躇いがちに言った。
「この服は、お前の、臭いがするから、着てると、お前に、抱かれてる、気がして、安心するから…」
 興奮した青年は、残りのボタンを引きちぎった。
434名無しさん@ピンキー:2006/10/20(金) 19:51:34 ID:19gTnptI
「ひぅ…あ…んん…」
 青年の愛撫に、女は体を甘い声を上げる。
 青年が指先や、唇を這わせるのは、女の体に刻まれた、大小さまざまの傷だった。
 その傷は、女が独りで生きてきた証拠だった。
 幼い頃に一族と死に別れてから、彼女は独りで生きてきた。
 異なる生態を持つ彼女は、他の狼とは生きて行けなかった。だが人として生きていくことの方がもっと難しかった。
 彼女は捕まり、見世物にされ、時には奇矯な金持ちの慰み物にされた。

「初めては、そこで、奪われた。ごめん、初めて、捧げられなくて…」

 女が本当に悲しそうに言った時、青年は力いっぱい抱きしめることしかできなかった。ただもう二度と、最愛の彼女にそんな想いをさせないと誓った。
 その後、逃げ出した女は追っ手に傷を負わされ、死にかけた。特に右目の傷が重症だった。
 それでもどうにか逃げきったが、山の中で力尽きた。
 そしてそこを青年に助けられたのだ。

「私の、今までは、辛いことが、多かったが、そのおかげで、お前と、会えた。
 だから、私は、幸せ者だ」

 いや、本当に幸せなのは、そんな女に想われた自分の方だと、青年は思いながら、女の右目の傷にキスをした。
435名無しさん@ピンキー:2006/10/20(金) 20:01:05 ID:19gTnptI
「ほ、欲しい…もう、中に、欲しいぃ!」
 幾度目かの軽い絶頂を迎えてから、女は青年を求めた。
 青年は力が抜けた女の足を抱えながら女の上に覆いかぶさる。
 当初、狼である女はバックからが好きだと青年は思っていたが、それは間違いだった。
 女が好きなのは、正常位や騎乗位―――互いに向き合い、抱きしめあうことができる体勢だった。
「その方が、お前を、感じられるから」
 それが理由だった。
 青年は、女の快感と肉欲に蕩けた唇にキスをしながら、自分の肉柱を突き入れた。
「―――ぅんっ♪」
 キスでふさがれた声は弾んでいた。初速のまま腰を動かしながら、青年は女の耳にささやきかける。
「そんなに犯されるのが嬉しいのか?」
「ふぅっ!あふっ、あんっ!う、うれしい!気持ちいい」
「淫乱だな」
 そのささやきに、女の目は一瞬、快楽から覚める。
「い、淫っ!乱!はぁ!嫌い、なの、かぁっ!?はふぅっ!」
 悲しそうに言いながら、快楽に耐えようとする女。それを見て、青年は罪悪感に襲われる。
「そんなことない。大好きだ」
「い、いじわるぅ!あっ、ああああんっ!」
 安堵して気が抜けたのか、女は一気に絶頂に押し上げられた。
 ビクつく膣壁にそれを感じ取り、青年は激しい動きを止めた。ただ体重をかけながら、膣奥をぐりぐりと刺激するだけにとどめる。
「意地悪は、嫌いか?」
「う、ううん…好き、だぁ…」
 青年を抱きしめながら女は言う。
 その目尻から涙がこぼれる。激しい快楽と深い安堵が入り混じった塩辛いしずくを、唇でぬぐった。
「ハァ…、ハァ…そ、それは、マナー違反では、ないのか?」
「今回は特別だ」
 反論は許さないという風に、青年は腰の動きを再開した。
436名無しさん@ピンキー:2006/10/20(金) 20:07:07 ID:19gTnptI
「あんっ!うぁ!はう、はきゅ、はう!」
 一突きするたびに女は嬌声を上げ、体が跳ね上がるほどの反応を示す。
 それに伴い健康的な小麦色の肌に包まれた胸が躍動し、髪が舞いながらほのかな体臭を空気に溶かす。
 そして何度も何度も口付けを求める。
 五感のすべてが女の存在を青年に伝え、青年のたぎる性欲を解放へと導いていく。
 そのことに女も気づいたのか、青年の胴体に足を絡める。
「はぅ…あう!あん…あんんっ!来い、いっぱい……いっぱいぃっ!」
 頬を上気させ、瞳を潤ませて、射精をせがむ。
 それに応えることへの欲求を、青年は我慢できなかった。
 肉棒を可能な限り奥まで突き入れて、青年は粘ついた欲望を解き放った。
「あうぅぅぅぅぅっ!」
 青年の欲望が注ぎ込まれる感触に、女はひときわ大きい絶頂を迎えた。
 女は遠吠えするように喉を仰け反らす。その首筋に噛み付くように、男は唇を這わせる。
「あ、ああ…食べ、られて、いる…」
 青年の耳朶を、女の囁きがくすぐり、青年の鼻腔を女の体臭がくすぐる。
 そのまま、青年が精を吐き出しきるまで、二人はそのまま互いを感じあった。
437名無しさん@ピンキー:2006/10/20(金) 20:20:22 ID:19gTnptI
「ん…むぅ…ちゅぱ、ちゅぱ…。ハァ…綺麗に、なったぞ」
 青年の一物から口を離し、女が嬉しそうな笑顔で言う。ありがとう、というのもなんか変な気がしたので、青年は無言で頭を頭を撫でる。
「…♪」
 女はそれで十分満足だったらしく、上機嫌で青年の胸板に顔を擦り付ける。
 狼といいながら、まるで猫のようだと青年は思った。それと同時に、まあ可愛いからどちらでもいいかとも思った。
 青年は最愛の女を抱きしめ…ふと、重要なことに気づいた。
「なあ」
「なんだ、また、したいのか?」
「いや、そうじゃなくてさ…その、今更なんだが…」
 青年はしばし逡巡した後、意を決して言った。
「お前の名前って何なんだ?」
 この数年の間、青年の日常で他者といえる存在は、獲物以外には狼――この女だけだった。だから名前をつけることもなく『狼』か『おい』、『お前』だけで通じていた。そのままのノリで、一月以上生活していたのだ。
 抱いておいて、それも孕ませるつもりで抱いておいてそんなことを今更聞くなど、自分はなんていう奴なんだろうと、青年は自分を呪う。
「ない。私に、名前は、ない」
 怒られる、もしくは呆れられるかと身構えていた青年に、女は平然と答えた。あっけにとられた青年に女はさらに口続けた。
「必要、なかった。ずっと、独りだった。名前を、呼んでくれる者など、いなかった。見世物に、されていたときは、化け物で、通っていた。
 子供の頃は、あったかも、しれないが、もう忘れた」
「そっか…」
 悪いことを聞いてしまったかと、青年は気まずくなる。だが次の言葉で、そんな気持ちも吹き飛んだ。
「そういえば、私も、お前の、名前を、知らない」
 なんと名前も知らない相手の子供を欲しがっていたのか?
 びっくりした青年だったが、女は意外そうに問い返した。
「お前は、私を、大切にしてくれる、存在だ。それだけで、十分だ」
 含みも何もない、純粋なその言葉に、俺は苦笑した。
「そうだな。だけど名前がないのは不便だな」
「じゃあ、くれ」
「はぁ?」
「服より、そっちの方が、いい。私の、名前を、お前が、つけてくれ」
 いい考えだという風にいう女に、青年は思わず笑ってしまった。女は隻眼をぱちくりとする。
「変なことを、言ったか?」
「いや、光栄だ」
 青年はひとしきり笑ってから、胸の中の女の顔に微笑みかける。
 名前をつけよう。この愛しい女に。この心を捉えた美しい狼に。
「その前に、俺の名前を名乗らなきゃな。俺の名前は―――」








 完




 期待に添えれる内容なら光栄です。
438名無しさん@ピンキー:2006/10/20(金) 20:52:48 ID:APmGwRKV
えろいし、エエ話や・゚・(ノД`)・゚・。

こういうのをまってました、はい。
439名無しさん@ピンキー:2006/10/20(金) 21:06:31 ID:af9thWkk
続編で萎えさせられるとは思ってもいなかったぜ・・・
440名無しさん@ピンキー:2006/10/20(金) 21:48:01 ID:srzM04Sv
んんん、良かったー!!
441名無しさん@ピンキー:2006/10/20(金) 21:56:55 ID:zyciX6ra
ハァハァ…ハァハァ………ふぅ…すっきりした。
442名無しさん@ピンキー:2006/10/20(金) 22:12:15 ID:tFFpOpyV
ええモン読ましてもらた。
久しぶりにエロと感動が両立する事を思い出したyo!
443名無しさん@ピンキー:2006/10/20(金) 23:34:25 ID:19gTnptI
>>439
もっと挿入中のエロ描写を濃厚にしたほうがよかったかな?
物足りなかったという人は参考までに改善点プリーズ。
444名無しさん@ピンキー:2006/10/21(土) 00:06:26 ID:RXFtiROp
GJ!!
ちょっくら前編読んでくる
445名無しさん@ピンキー:2006/10/21(土) 10:32:15 ID:g+pIaZeb
>>443
そいつはおそらく言ってみたかっただけだろうから
放っておけばおk

(´∀`)b また投下よろしくね
446名無しさん@ピンキー:2006/10/21(土) 20:03:27 ID:6eAUI0kj
エロ濃度はむしろコレくらいがちょうどいいけど…

狼が処女性にこだわるものなのかな、っていう純粋な疑問がw
でも狼女さんのつたない愛情表現はかなりツボにきました。
447名無しさん@ピンキー:2006/10/21(土) 21:09:18 ID:AyYhLEgk
狼女は一度孕んだことがあるのかな

前編では中田氏された時「きっと孕む」って言ってたので
少し疑問がw
448名無しさん@ピンキー:2006/10/21(土) 21:16:10 ID:4Edc5LZR
見世物にされていたとき、乱暴されて堕ちたんでない?
化け物の癖に人間様の子供を孕むなんて生意気だ、薄気味悪い、みたいな感じで。
449名無しさん@ピンキー:2006/10/21(土) 21:22:56 ID:AyYhLEgk
>>448
どうゆこと?
450名無しさん@ピンキー:2006/10/21(土) 21:24:58 ID:3JAvCvRj
堕胎させられた、ってことでしょ。
そもそも異種間で孕めるのかという疑問はあるがw
451名無しさん@ピンキー:2006/10/21(土) 21:30:23 ID:4Edc5LZR
>>450
[擬人化した凶暴な♀動物が逆レイプするスレ]
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1156347496/l50
に行ってみろ。答えがそこにある。
452名無しさん@ピンキー:2006/10/21(土) 22:17:50 ID:3JAvCvRj
>>451
おk、把握した。
……やっぱり突っ込んじゃいけない部類だったのね。
453名無しさん@ピンキー:2006/10/21(土) 22:52:29 ID:RXFtiROp
普通に男が孕ませたんじゃないのか?四つ子の
454名無しさん@ピンキー:2006/10/21(土) 22:56:55 ID:3JAvCvRj
いや、設定にあれこれ言うのは無粋な話だったというだけの話。
子どもができないからいいのだ、という立場もあるからね。
455名無しさん@ピンキー:2006/10/22(日) 14:47:40 ID:wtGJLPsF
超遅感想で申し訳ないが、>>7-37の話しを読んだ。
萌えたし、何だか切ない気持ちになったよ。いい話しをありがとう。自分が
大切にしている人の気持ちには応えてあげたいものだ。

ふと思ったんだが、下半身の方はどうなってるんだろうか? 主を失った浦島涼美の
下半身が主人公への想いだけに突き動かされ、踏みきりを渡ろうとする男を夜な夜な
襲っては消え、襲っては消え…やがて噂を聞いた主人公が踏みきりを訪れる…

という話しを妄想してしまった俺はもう駄目だ。
456名無しさん@ピンキー:2006/10/23(月) 10:04:49 ID:ZCCIOxJA
>>455
お前は駄目じゃない。
進化したんだよ。
只の読み人からss職人へと…


さぁ、早くその妄想を垂れ流すんだっ!!!!
457名無しさん@ピンキー:2006/10/24(火) 01:46:32 ID:wJFXThhi
いやその、他人様のSSに自分の妄想をくっつけたものを、ここに
流すのはまずいんじゃないかと。
458名無しさん@ピンキー:2006/10/24(火) 03:04:21 ID:dpUKiUnh
オリジナルで描けばええやん
459名無しさん@ピンキー:2006/10/24(火) 13:52:59 ID:a3RU0HI8
基本はまずキャラ名とタイトルだけ変えてみる。
例:美○女○士○ー○ー○ー○ ⇒ ビ○ナ○フ○イ○

あとは背景世界も変えてみる。
例:美○女○士○ー○ー○ー○ ⇒ ラ○ジ○グ○ー○ト○々
460名無しさん@ピンキー:2006/10/24(火) 21:34:36 ID:HNbyXTSV
そこでウ○デ○ン○ピ○チが出ないのはどういう訳か

いわゆる刻の涙と言うやつか?
461名無しさん@ピンキー:2006/10/26(木) 19:05:28 ID:sPcBOMlJ
マ○ッ○ナ○ト○イ○ース
○ュ○テ○ー○ニー

も参考に
462名無しさん@ピンキー:2006/10/26(木) 22:54:08 ID:1+IZek6N
>>455
ガンバレ
463名無しさん@ピンキー:2006/10/30(月) 19:20:10 ID:+NHPuE6w
保守。
464名無しさん@ピンキー:2006/11/02(木) 00:27:06 ID:bEFmNr4q
んー…捕手
465ッド:2006/11/02(木) 03:03:48 ID:s5TCEqFp
オレの名はブラッククロウ(黒鴉)。もちろん通り名だ。
港町スマグラーレストじゃ、ちったあ知られた盗賊(ローグ)だ。
一攫千金を目論んで、このゼンドリック大陸の港町ストームリーチに来た訳だが、世の中そうそう巧くはいかない。今じゃすっかり落ちぶれて、下水漁りをして日々を過ごしている。
おっと、下水漁りといっても別にヘドロを漁っているわけじゃない。そこんとこ勘違いしないように。
この辺りの下水道には厄介な連中――悪党や人間に敵対的なコボルドやバグベア、ホブゴブリンといった亜人種――が棲みついている。
そんな連中を適当に退治して、貯めこんでいるお宝――連中がさらに深くの遺跡から拾って来たり、不運なオレらの先人から奪ったもの――を略奪したり(なに、構うもんか相手は社会公認の悪党だ)、退治した礼金をせしめたりして、なんとか糊口をしのいでいる。
そんなある日の事だった。港に到着した船から、一人の少女が下りてきた。
少女といっても、真紅の瞳に漆黒の肌、それと対照的な銀髪の最近見かけるようになったドラウエルフ族だ。おそらくオレよりも遥かに年上だろう。
ドラウエルフは通常、知恵と美貌と敏捷性に優れた種族だ。彼女も例に漏れず、整った顔立ちにスラリとした肢体の、じつに魅力的な少女だった。が……
ドッパァァン!
あろう事か、彼女は船から桟橋への渡り板から足を踏み外して、海に転落したのだ。
すぐに海面から顔を出して立ち泳ぎをするものの、上がる場所が見付からずにパニクっている。無理もない。上がれる場所は近くにない。オレは咄嗟に飛びこむ。
「おい、こっちだ」
先導して泳いでやると、彼女は素直についてくる。
東向きの港で、桟橋をグルリと北に回りこむと上がれる場所が見えてくる。
「よう、兄ちゃん。海水浴かい?」
倒れた石柱の上で楽器を演奏していた吟遊詩人が、オレに声をかける。
「まあな。美人が泳いでたもんだから、人魚かと思って、つい海にとびこんじまったよ」
オレの軽口に吟遊詩人は笑った。
ゼンドリック大陸は、いにしえの巨人文明が栄えていたところで、到る所にその遺跡があり、ご多分に漏れずストームリーチの街もその遺跡に建造されている。
吟遊詩人が腰掛けているのも、そんな遺跡の一部だったりする。
ちなみにドラウエルフ族ってのは、その巨人達の支配に最後まで抵抗していた種族だ。逃げ出した他の種族――特に親戚関係のエルフ――なんかより、ずっとプライドも実力も強かったりする。
振り返って彼女を見ると、彼女は微かに頬を朱に染めていた。“美人”て単語に反応したんだろうか?
466ッド:2006/11/02(木) 03:04:22 ID:s5TCEqFp
「礼がまだたったな。助けてくれてありがとう」
彼女は、頬を染めつつやや憮然とした態度で言う。どうも、ドラウ族としてのプライドが傷ついた――それが転落か、助けられた事かはわからないが――らしい。
白銀の髪や、ローブの裾から海水を絞っている。鎧ではなくローブを着て、杖を持っているところを見ると、どうやら魔術師のようだ。
魔術師はその秘術の鍛錬に時間を取られ、鎧を着ての動き方や武器の扱いに習熟してなかったりする。他にも運動能力に劣ったりするものもいる。それなら転落も納得できる話だ。
「よう。姉ちゃん。今日こっちについたばっかりだろ? だったら今夜の宿を紹介しようか?」
「宿、か?」
オレの誘いに、彼女はしばし逡巡する。
無理もない。見知らぬ土地でいきなり馴れ馴れしくする相手に、素直に従うようなのは只のバカだ。
が、オレは一応恩人なわけで、無碍に断るのも躊躇われるのだろう。
「大丈夫だってば、すぐそこの“ウェーブ・クレスト・イン”て、あんたやオレ達みたいな冒険者御用達の宿だよ」
「……そうか、ならばお願いしよう」
彼女は一応の警戒はしつつも同意する。
「自己紹介がまだだったな。恩人殿。私の名はシルバーレイン。ドラウのウィザードだ」
名前の由来らしき、まだ海水に濡れた銀髪を指でクルクルと巻く。
「オレはブラッククロウ。ローグだ。つまりヒカリモノに目がない鴉ってわけさ」
オレの言葉に、彼女の表情が少し緩んだ気がした。
467名無しさん@ピンキー:2006/11/02(木) 21:08:19 ID:qHVtcPCy
…で、これはなに?
元ネタがD&Dオンラインなのは判るが
誤爆?
468名無しさん@ピンキー:2006/11/02(木) 23:20:18 ID:4n6s1XHU
まあ待て、慌てる何とかは貰いが少ないぞ・・・て、ちょっと間が空きすぎのような。
469キュンキュン ◆4hcHBs40RQ :2006/11/03(金) 21:24:16 ID:BEJnIEgy
誤爆?
誤爆……だよね。
一日経っても続き投下されないから、SS投下しちゃってもいいよね?

よし、投下しちゃおう、投下する。

タイトル「だんぢょん」
ドラゴン娘もの
470だんぢょん 1/13 ◆4hcHBs40RQ :2006/11/03(金) 21:24:59 ID:BEJnIEgy

「ナァーハッハッハッハ、俺様の戦闘力は世界一ィィィィィ!!!」

 世は大冒険時代。
 数百年にわたって人類を苦しめ続けていた魔王は、神に選ばれし人間――勇者によって倒され、
 世界に平和が訪れた。
 しかし魔物たちは魔王が倒されると、人間から奪った宝物と一緒に姿を隠してしまった。
 魔王存命時より、力が低くなった魔物達は、勇者ではない、普通の人間でも大半は倒せる存在となり、
 世界各地で魔物を退治し、溜め込んだ財宝と名誉を手に入れようとする『冒険者』たちが次々と生まれていった。

 そしてここ、冒険者ギルドの中で難易度『高』とされているダンジョン『竜の穴』に単身乗り込んだ男が居た。
 冒険者達に一般的な装備として使われているツーハンドソードを振り回し、
 雑魚モンスターを蹴散らして、馬鹿笑いをしながら深く深くへと進んでいく。

 世界に多く存在するダンジョンの中で最難関の部類に入る『竜の穴』
 とはいえ、出てくる雑魚モンスターは標準より弱い。
 故に今現在、大した装備ではない普通の冒険者が余裕で進めている。
 ではなぜ、難易度『高』なのか。
 それはギルドの中での噂が原因だった。

 『竜の穴』
 その名の通り、ドラゴンが住んでいるというのだ。
 ドラゴンという生き物は、魔王や勇者がいない現在において、世界最強とされている生物。
 その戦闘力は、小国の全軍隊をもっても殺せないほど。
 史上、ドラゴンを殺せる生き物は、魔王と勇者と更に他のドラゴンだけだ、と言われている。
 世界に多く存在する冒険者達を全て集めたとしても、ドラゴンを殺すことはできない。

 出てくるモンスターは雑魚ばかりだが、ボスモンスターは神話の領域に入り、
 例え攻略一歩手前まで楽といえど、最後の最後で絶対に勝てない相手にぶつかる故に、
 ダンジョン難易度最難関とされている。

 とはいえ、竜の穴にドラゴンがいる、という確認は取れていない。
 近隣住民がそれらしき鳴き声を聞き、
 そのことをもとに、腕利きの冒険者達で結成された調査団を派遣したが誰一人帰ってこなかった。
 かなり名の知れた冒険者の集まりが、雑魚モンスターにやられるわけがなく、
 ボスモンスターがいくら強かろうと全員帰還しない、ということはまずありえない事態。
 ドラゴンが存在している以外無い、という判断をギルドの幹部達は下したが、
 確固たる証拠が存在せず、『証拠がない』ということは証拠たりえない。

 故に、ダンジョン紹介パンフレットには『ドラゴン潜伏の恐れ有り故難易度『高』』とだけ書かれている。
 ここ数十年間、竜の穴に乗り込んだ冒険者はいなかった。

 では何故、今この平凡な冒険者が竜の穴に挑んだのか。
 「ドラゴンがいるかもしれない」という噂を聞けば、大抵の冒険者はそこへと赴かない。
 魔物と戦う危険な仕事をしているとはいえ、彼らは決して自殺志願者ではないからだ。
 もちろん、現在竜の穴を攻略している冒険者も自殺志願者ではない。
 が、彼が他の冒険者と違うのは「ドラゴンなんぞいるわけがない」と強く思っていることだった。

 彼は自分で見たもの以外は信じない。
 ギルド発行ダンジョン紹介パンフレットに記載されていた紹介文も、
 考えの参考にはなったとしても、行動の動機を最終的に決定づける要因にはならなかった。
 ドラゴン潜伏の恐れ有り……つまり確実にドラゴンが潜伏していると言い切っているわけではない。
 彼は、何の根拠もなく「ドラゴンなんているか」と考え、続けて、
 「何十年も人が入ってないんならたくさんお宝が残ってるんじゃねーの?」という結論に。
471だんぢょん 2/13 ◆4hcHBs40RQ :2006/11/03(金) 21:25:48 ID:BEJnIEgy

 確かにドラゴンが存在している噂が嘘であれば、実際に何十年も人の入られていないダンジョンであり、
 出てくる雑魚モンスターの強さと合わせて計算すればローリスクハイリターンのダンジョンである。

「チッ、しけてやがんな……」

 しかし、現在十九階まで攻略して、獲得したものはほんのわずか。
 薬草と弟切草と、こんぼうと9G。
 採算が合わないどころか、大赤字である。
 モンスターは弱いといえど、何十年も人が入らなかったためか、普通のダンジョンよりかなり数が多い。
 剣をただ振っているだけで何匹かまとめて倒せるものの、数が異様なのできりがなかった。

 雑魚モンスターの強さによって、ダンジョンの深さというものは決まるため、今はほとんど終盤。
 次の階層のどこかにボスモンスターが潜んでいるな、と思いつつ男は下へ続く階段を睨んだ。

「……」

 実際に降りてみると、今までの階のように小部屋と通路だけで構成されている階から一変、
 王国のコロシアムのような形状の大きな空間だけで成り立っていた。
 降りると共に階段は消え去り、特定の条件を満たさなければ引き返すことはできなくなる。

 ボスモンスターはやはりドラゴンだった。

「……」

 大きな空間の約八割を巨体で占め、
 この世のどんな刀剣よりも鋭い牙と爪を持ち、
 全ての物理攻撃を弾く銀色の鱗に覆われ、
 口からはあらゆるものを蒸発させる火炎を吐き、
 今はなき強大な威力の古代魔法の知識を蓄え、
 半魔法生物であり耐魔法に優れ、ほとんどの魔法を無効果する……。
 地上最強の生物『ドラゴン』

 勇者も魔王もいない現在において、ドラゴンを殺すことができるものは存在しない。
 もしこのドラゴンがほんの戯れに人間を地上から抹殺しようと思い、実際に行動に移した場合、
 一月も経たずに全ての国家が崩壊し、半年も経たずに実際に人間が地上からいなくなるだろう。

 銀色のドラゴンは、気怠げに首を持ち上げ、この階に入ってきた人間を見た。
 黒くくすんだ瞳はどんよりと澱んでいる。

「人間、か……久しく見なかったものよのう」

 ドラゴンは、体を動かすたびにほこりやちりを辺りに撒き散らした。
 百年近い時を、全く動かなかったので、体がすすまみれになっている。
 しかし、それでも鱗が放つ銀色の光は冒険者の目からもはっきりと見えるものだった。

「ちょうど、もう人間は他の種に淘汰されたかと思うておったところよ」

 魔王が倒され、勇者が死んだ世の中は、ドラゴンにとって退屈極まりないものだった。
 同族は全て勇者によって屠られ、この世に存在するドラゴンは、この竜の穴のドラゴンのみ。
 竜の穴のドラゴンは、自分の生命を脅かすものが何一つ存在しない絶対者となり、
 それがいかに空虚なものか、ということを、この竜の穴の最深部でずっと考えていた。
472だんぢょん 3/13 ◆4hcHBs40RQ :2006/11/03(金) 21:26:46 ID:BEJnIEgy

 ドラゴンにとって、この狭い穴と世界は同じだった。
 どちらも自分に関する変化は永久に来ない……いや、むしろ今いる穴に極希にやってくる人間が、
 ほんの少しだけ自分の無限の退屈を紛らわせてくれる……そうドラゴンは考えていた。
 しかし、数十年前にやってきた人間の集団は、
 降りてきた階段が消滅し、更に帰還魔法がドラゴンから発せられる耐魔法効果によって打ち消され、
 ドラゴンを倒さなければ地上に帰還する方法がないと知るや否や、ドラゴンに剣を向けることもせず自殺した。

 ドラゴンは、仮に自分に剣を向けたとしてもその人間を殺すつもりはなかった。
 むしろ、剣を鱗に振り下ろしてくれることを期待していた。
 期待に反して、自分の関与しないところで勝手に死んでいった人間に、一時はほんの少しの期待を寄せていたため、
 ドラゴンはより多くの落胆を覚えた。
 そして、人間という種族にますます興味を失っていった。

 それから数十年後、もう一度人間がドラゴンの目の前に現れた。
 またどうせ勝手に死ぬのだろう、と思いつつも、もしかしたら……という考えも捨てきれず、
 泥のように濁っていたドラゴンの瞳が、少しずつ光を取り戻している。

「ふッ……ふふふふふッ! 出たな、トカゲ野郎! 俺がステーキにして食ってやる!」

 その瞬間、ドラゴンの瞳が完全に以前の光彩を取り戻した。
 例え無力でもいい、自身に何かの干渉をして欲しかった。
 ドラゴンは久しぶりに精神の高揚を覚えていた。

 一方、剣を抜き、ドラゴンに対して戦意を明らかにした男が何故この無謀な試みをしたのか、というと……。
 結論から言えば、男は類い希なる楽観主義者だったのである。
 常人には到底理解できない思考回路でもって、「ドラゴンに勝てる!」という結論を出していたのだ。

「ふんぬッ!」

 さして切れ味も鋭くなく、特殊な魔法付与による効果もないただの剣。
 とはいえ、ドラゴン専用の武器以外では、
 どんな名剣であろうともドラゴンの鱗にダメージを与えることはできないので、
 例え、切れ味が鋭かったとしても無意味なので実質的には大して差はない。

 剣の先端がドラゴンの鱗に当たり、真ん中から少々柄に近い方で折れた。

「の、のわああああ! け、剣が……く、くそう! これは高かったんだぞ!」

 この剣は量産されているため、むしろ剣の中では安いものである。
 しかも、この剣を買うためにこの男は無理矢理腕ずくで半額にさせていた。
 もっとも、彼のそのときの所持金の約九割を占める金額であり、彼の主観から言うと「高い」買い物であった。

「もう許さん! 喰らえ! ファイアーボール!」

 男は懐から札を取り出して、竜に向けて掲げた。
 比較的初心者向けの魔法が封じ込められている札で、これを使えば魔法使いとしての教養がないものでも、
 魔力を使わずに魔法が使える道具である。
 その中で一番安価な『ファイアーボール』の札だった。

 耐魔法の特性を持つドラゴンには、勿論、効かない。
 本来ならこぶし大の火球が飛び出て、敵に向かって直線的に飛んでいくのだが、
 札からは空気が抜けるような音と微量の煙が吹き出るだけだった。

「く、糞ッ! あんの魔法使いの野郎……不良品をつかませやがったな!」
473だんぢょん 3/13 ◆4hcHBs40RQ :2006/11/03(金) 21:27:24 ID:BEJnIEgy

 掲げた札を地面に叩きつけ、憎し、とばかりに男は踏みつける。
 剣が折れ、札もなくなってしまったが、それでも彼は諦めなかった。

 地面に落ちている石を拾って、ドラゴン目掛けて投げつけたのだ。

「……」
「てりゃ、てりゃ、てりゃ、てりゃ!」
「……」
「死ね、死ね、死ね、死ね、死ねぇーッ!」
「……」


 石つぶては、ドラゴンの鱗に傷一つつけることなく、砕けていく。
 それでも男は諦めずに石を投げ続けた。

 ドラゴンは彼に強い興味を惹かれた。
 勇者と魔王以外、ドラゴンにこのように攻撃をしてくるものはいなかった。
 それ以外のものは、はっきり言って抵抗するだけ無駄ということをわきまえており、
 大人しく逃げるか、自殺するかのどちらかだったのだ。
 人間が一枚岩である、とドラゴンは思ってはいなかったが、
 それでも目の前にいる人間が異常であると思っていた。

 最初は何かドラゴンを殺す手段を持っているのかと思っていた。
 が、剣はドラゴンを殺すことのできる特殊な剣ではなかったし、
 札も、今まで自分に向けられたものの中で最低の威力のものだった。
 腕も頭もあまりよさそうではない。
 なのに何故、地上最強の生物に挑むのか。

 考え無しではなかろう、とドラゴンは思った。
 流石にそこまでの考え無しは、この世にいないだろう、と。
 実際、本当はその通りであるのだが、ドラゴンはついつい深く思考して、
 何かあるのだろうと考えてしまった。

「……やい、トカゲ野郎!」

 男は石を投げるのをやめていた。
 と言っても、石を投げてドラゴンにダメージを与えられないことを学習したのではなく、
 ただ単に辺りに石が一個も無くなってしまったので、やめたのだった。
 もし、まだまだ石が地面に落ちていたら、つかれるまで投げ続けていただろう。

 とにかく、自分の力でドラゴンを倒そうということだけはやめていた。

「豆粒になりやがれ!」

 ドラゴンはまたも混乱した。
 確かにドラゴンが知る、古代魔法の中で変身する魔法が存在している。
 しかし、ここまで意図があからさまな発言に困惑した。

 あらゆる叡智を持つ賢者であれど、知ることができないことがある。
 それは愚者の行動理由。

 ドラゴンにとっては、どんな人間の賢者であれどほとんど愚者と言っても差し支えない。
 ましてや愚者の中の愚者の行動理由を、ドラゴンが理解できるわけがなかった。
 とにもかくも、ドラゴンは困惑していたが、しかし、退屈はしていなかった。
 あまりに力がありすぎて、あまりに知恵や知識がありすぎ、今までは何事も理解できぬことがなかった。
 目の前の人間の行動は永い年月を経て積み上げられたドラゴンの頭脳でも理解できないことであり、
 今まさに百年近く停止していたドラゴンの頭が活発に動き始めていた。

474だんぢょん 5/13 ◆4hcHBs40RQ :2006/11/03(金) 21:28:28 ID:BEJnIEgy

「断る」

 相手の行動を理解するためには、相手の行動に合わせてやることが一番だ、とドラゴンは思ったが、
 しかし、自ら魂を捧げる気もなかった。

「もっと別なものなら姿を変えてやってもいいがな」
「……くっ、トカゲの分際で生意気な……」

 男は考えた。
 流石に見透かされていると思ったのだろう。
 悪態をつきながら、自身も頭を働かせる。
 実働タイプである故、物を考えることは苦手で、普段はどちらかというと本能によって行動が決定される。
 そして、今回もまた例外ではなかった。

「そうだな、かわいい人間の女の子に変身しろ! 不細工は駄目だ、可愛い子でな」
「人間のメス? ……変わった物を見たいのだな。
 もっと珍しいものに化けてやることも出来るというのに……まあよい、今変えてやろう」

 ドラゴンにとって最大の不幸と言うと、あまりにも性というものを知らなかったことだろう。
 並ぶもののいない生物であるが故に、個体数は圧倒的に少ない。
 また同時にドラゴンは両方の性を持つ種であり、人間のような男、女という区切りがなかった。
 人間という一つの種類の生き物の生殖に関しても、理論はわかっていたが、
 現実がどういうものなのかは知る必要のない、というより、むしろ知る理由も手段もなかった。

 ともあれ、ドラゴンは古代の魔法の呪文を唱え、人間の女に変身をした。

「おおーっ……って、なんで角と翼と尻尾が残っている?」

 男は興奮して身を乗り出すが、ドラゴンが変化した人間には、
 普通の人間にはない付属物がついていることにめざとく気が付いた。

「ん? これはアイデンティティーを保つためのものよ」
「あ、あいでんてぃてぃー?」
「我が我であるためのもの、というべきことかな。
 そなたは理解できぬであろうが、変身術というものは危険な術なのだ。
 術が精緻になればなるほど、思考までも対象に似てくる。
 我がドラゴンであり、変身して人間の姿に変えているという証である、
 角と羽と尻尾がなければ、完全に我は人間となってしまうのだ」
「は、はあ?」
「詳しくは、外道戦記を読め。あれにそのようなことが書かれておる」

 ドラゴンは、真っ赤に燃えているような赤い髪の女に化けていた。
 外見は十六、七ほどで、冒険者の注文通り、美形の顔つきをしている。
 髪の色と同じく、瞳も真っ赤で、肌はあのドラゴンの鱗のような銀色に近い白だった。
 人間は衣服を纏うという習慣も理解しており、肌の色にあった白いワンピースを着ている。

「ま、いっか、いっただっきまぁーす!」

 男はスカートの裾をむんずと掴むと、力任せに引っ張った。

「な、何をする!」

475だんぢょん 6/13 ◆4hcHBs40RQ :2006/11/03(金) 21:29:03 ID:BEJnIEgy

 ドラゴンは狼狽した。
 ワンピースが無惨にも引きちぎれ、隠れていた柔肌が露わになる。
 ドラゴンの知識においては、人間にとって服を千切る行為は重大なマナー違反であった。
 もちろん、その通りなのだが、全ての人間がマナー通りに生きているわけでないことを失念していた。

「くっ……」

 ドラゴンは元の姿に戻るために詠唱を行った。
 数十年ぶりに自分にとって面白いことに出会えたから、ついつい人間の言うことを聞いて人間の女に化けてみたが、
 それが浅はかな考えであったことをようやく思い知った。
 自分の力が強大すぎても、人間という小さな器に入れてしまったら、易々と殺されてしまう。
 長い時を怠慢に生きていた故に、思考が鈍化していたのだった。

「させるかっ!」

 男はドラゴンの口を塞いだ。
 詠唱が出来なければ、また元の姿に戻ることはできないだろう、と思ったのだ。
 とはいえ、ドラゴンというものになれば、
 口頭の詠唱をせずとも心に呪文を念ずるだけで古代魔法を発動させることができる。
 言ってしまえば、口を塞いでも無駄。

 しかし、今回はそれとはまた別の理由で古代魔法の発動は失敗した。

 ドラゴンは無敵の精神力を持っている。
 眼前に己の死が迫ってきても、まばたき一つすらしないだろう。
 だが、今は人間の器に入っている。
 尻尾と羽と角を、自分がドラゴンであるアイデンティティーとして残し、
 古代魔法を発動させるための魔力を残していたので問題はない。
 けれど、精神力だけは人間のそれとさして変わらないものにしてしまった。

 眼前に迫ってきた男の顔が、ドラゴンの心をかき乱した。

 古代魔法は極めて術者を選ぶ魔法である。
 類い希な精神力を持つ者でなければ、魔力のコントロールに失敗してしまう。
 破滅の衝動のみを持つ魔王、何者にも屈さない正義に燃える心を持つ勇者、
 厳しい修行を積み悟りを開いた魔法使い、そして種として基本的に備え持った無敵の精神力を持つドラゴン。
 それらのものにしか使えないものだ。
 ドラゴンはその精神力を捨て去ってしまったため、
 ほんのわずかな精神の乱れによって古代魔法の詠唱に失敗してしまった。

「うわはははははは! 元の姿に戻れなければ、ただの美人のねーちゃん!
 ステーキじゃあないが、俺がおいしくいただいてやるーッ!」

 古代魔法の詠唱を唇でもって封じた男は、
 今まで感じたことのない動揺にためらっていたドラゴンを突き倒した。
 地面に尻餅をついたドラゴンに覆い被さり、逃げる間も与えずに押さえ込む。

「ひっ……」

 ドラゴンは初めて恐怖というものを感じた。
 さきほどまでは、そこいらを飛んでいる虫ほどの存在だった人間が、
 今では目の前に自分に覆い被さっている。
 精神を人間の器に収めたことにより、己の生命に関して意地汚くなっていた。

476だんぢょん 7/13 ◆4hcHBs40RQ :2006/11/03(金) 21:29:33 ID:BEJnIEgy

 殺される、と思えばふるえが止まらない。
 目の前の人間を振り払うこともできず、ただただ目をつぶって身を縮こませることしかできなかった。

 今現在覆い被さってきている人間の息づかいの移動によって、顔をすぐ近くまで寄せたことがわかった。
 首を絞められている自分の姿が自然と思い浮かび、一層恐怖に身を震わせる。

「きゃ、きゃっ……」

 悲鳴を上げそうになった直前に、何かが口を塞いだ。
 恐る恐る目を開けると、男の顔があり、口を塞いでいるものがその人物の口であることがわかった。

 一体どういう意味があるのか、ドラゴンは理解できなかった。
 まだ人間というものがどういうものなのかを把握しておらず、
 口と口を合わせるという行為に何の意味があるのか知らなかったのだ。
 とはいえ頭の中で知識がなくとも、体は一般的な人間の女。
 ドラゴンは本能的に嫌悪感を感じた。
 男を振りほどこうとするが、いつの間にか頭を掴まれており、くっついている口は引きはがせない。
 それでもなんとか暴れていたが、今度は口の中に何かが侵入した。

 何かは、先端でドラゴンの口の中を縦横無尽に駆けめぐり、歯と歯茎の間を伝うように動く。
 ドラゴンは歯を食いしばって『何か』が舌に触れることを防いだが、不快感は一層高まった。

「こら、歯を食いしばったら舌いれられねぇじゃねぇか!」

 男は口を離し、傍若無人にも言った。
 ドラゴンは、冒険者の憤る様子に、更に恐怖した。
 男の言葉が理解できぬが、それが理にかなわぬことであることはなんとなくドラゴンにも分かった。
 けれどドラゴンは言い返すことは出来ず、脅え、言うことを従うしかないと思った。

「チッ、もういい」

 男は身を引いた。
 やっと終わったか、などとドラゴンは安堵するが、男はすかさず破れた服の中に手をいれこんだ。

「おほほ〜、やーらかいなっ! うむ、満点をやろう!」
「なっ、む、胸を触るなっ!」
「や〜だね、おーう、やーらかい、やーらかい……」

 男の無骨な手は、遠慮のかけらもなくドラゴンの胸を揉みしだいていた。
 ドラゴンはいささか冷静さと勇気を取り戻し、きっと男を睨み付けて悪態をついた。

「うっ、こ……このぉ……ひ、ひとが下手に出てれば、調子にのりおってぇ……」

 男は自分の下でにらめつけてくるドラゴンに、小馬鹿にしたような笑みでもって答えていた。
 もとより、ドラゴンが本当の姿のときでさえ脅えなかった。
 相手が人間の、それも美女であれば、どんなに睨み付けられても、男は毛ほども感じなかった。
 むしろドラゴンの気の強い様子を見れば見るほど、男の嗜虐心は増していった。

「んっ……あっ、さ、さわるな……」

 再びドラゴンの口が塞がれる。
 胸を揉まれながら口づけをさせられ、さっき以上に拒絶してしかるべき状況であったが、
 何故かドラゴンの抵抗の力はさきほどよりかはずっと弱かった。

477だんぢょん 8/13 ◆4hcHBs40RQ :2006/11/03(金) 21:30:16 ID:BEJnIEgy

 ドラゴンにとってはただ胸を揉みしだかれているだけの行為なのに、
 ただ肌を触れられるだけのときとはまた違う刺激が、ドラゴンを混乱させた。
 むず痒いような、くすぐったいような、それでいて二つとも違う感覚が、触られた部位に広がっていく。

「やめ、この……駄目だって、いっておるだろうが」

 再び男の顔がドラゴンの顔に近づいていく。
 ドラゴンはまた口と口を合わされ、舌をいれられるのだろうと、目をつぶってほんの少しうつむいた。
 しかし、いつまで経ってもそのときは訪れず、薄目を開けると、男の顔は横にあった。
 頭の方から、首筋を舐められる感触に、ドラゴンは全身を震わせた。
 全身が萎え、力が抜けていく。
 筋肉弛緩の魔法を使われたわけでもなく、特殊な毒を盛られたわけでもないのに、とドラゴンは思い悩んだ。
 人体の急所でもないところを舐められて、抵抗をするどころか手足を満足に動かせなくなってしまっていた。

「やっと、大人しくなったか。よしよし、その心意気に免じて優しくしてやろう」

 ドラゴンは冒険者の無礼な物言いに憤慨し、言い返そうと思えど、
 今度は本当に口を塞がれて言葉を発することができなかった。
 歯を食いしばる力もわかず、本格的に男の舌がドラゴンの口の中を蹂躙する。
 おtこは自分の舌でドラゴンの舌を絡め取り、その行為が一層ドラゴンの頭の中のもやを濃くしていく。
 舌を伝って唾液が溢れ、少なからずドラゴンはそれを飲み込んだ。

 男はドラゴンの口の中を楽しんだ後、舌をドラゴンの体にゆっくりと下がっていった。
 口の端から涎が漏れているドラゴンの口を抜け、顎を通り、喉を伝い、鎖骨をなめ回し、そして二つの双丘へ。

「あ、きゅぅ!」

 ドラゴンは奇妙な声を漏らし、身を捩った。
 胸の頂点から走る電気ショックのようなものに驚いたのだ。
 ドラゴンの想像を超えた行為と、それによってもたらされた肉体的反応。
 未知の感覚におびえをなし、手で冒険者の頭を払いのけようとするも、
 相変わらず手足には力がこめられておらず、いくら押してもびくともしなかった。

 男はドラゴンの桜色の突起を重点に責めさいなんだ。
 先端を口に含み、吸い付く。
 頭頂付近を口の中にいれたまま、先をとがらせた舌で突起を右へ左へ上へ下へといじくり倒し、
 それに対応するかのように、もう片方の胸の同じ箇所を同じように手で嬲った。

 慣れない体を好き放題にいじくられ、性感帯を開発されたドラゴンは、
 今では軽く皮膚に触れただけでも、激しく反応を返すようになっていた。

 顔は瞳や髪の毛と同じように真っ赤に染まり、つぶらな瞳は潤み、口はだらしなく開かれて、
 男がドラゴンの体を触れるたびに涎が垂れ、悶える声を漏らす。
 五分前の、雄々しかった地上最強の生物は、もはや男に体の自由を奪われた一匹の牝と化していた。

 ドラゴンも、このような快楽の波はあとどのくらいで終わるのだろうか、と判然としない頭で考えていた。
 古代魔法の変身術によって人間になった弊害として、一時的に体が敏感になっていたところを、
 男によって散々開発され、本来であれば一過性なものだったものが、
 その体でいる以上恒久的に続くものになってしまったことに、今のドラゴンは気付くよしもなかった。

 男は、そっと、ドラゴンの臍の下へと手を伸ばした。
 湿り気のある部分に触れられて、ドラゴンは今度こそ、力の入らない手足を振って、
 激しく抵抗をするものの、呆気なく鎮圧される。

「や、やだぁ……」
478だんぢょん 9/13 ◆4hcHBs40RQ :2006/11/03(金) 21:30:55 ID:BEJnIEgy

 ドラゴンの喉からか細い声が漏れる。
 もはや地上最強の生物としての威厳は、一片たりとも存在していなかった。
 男の一挙一動に脅え、快楽に悶える。
 充血して赤く潤んだ秘裂に、人差し指がゆっくり埋まっていく。
 ドラゴンが抵抗らしい抵抗をしていなかったからか――実際はしていたのだが、冒険者は気付かなかった――
 そこを扱う手つきは優しく、丁寧だった。
 それが結局、現段階での快楽すらも拒絶したがっていたドラゴンにとって、
 更に大きな快楽を呼び寄せることになったので、皮肉ともとれる結果になったのだが、
 とはいえ、敏感な部分を乱暴に扱われ、激痛を与えられた方がいいか、というとそれもドラゴンは拒絶しただろう。

「尻尾が邪魔だな……」

 男は呟いた。
 ドラゴンには尻尾が残っている。
 銀色の鱗に覆われている美しい尻尾だが、仰向けに寝た際にどうしても押しつぶされる格好になって腰が浮く。
 それだけならばむしろ触り易いだけで、男は喜んだだろう。
 けれど、ドラゴンが感じるたびに、尻尾の先端が激しく地面を叩いていた。
 そのたびに小石が跳ねて男の体に当たり、男はそれが不快だった。

「きりとっちまうか?」

 ドラゴンは男の独り言を聞いて戦慄した。
 尻尾を切り取られて襲ってくる激痛はもちろん、
 変身魔法を解除するために必要な魔力を溜めている尻尾が欠損したら
 元の姿に永久に戻れなくなる可能性が生まれる。

 とはいえ、尻尾は銀色の鱗に覆われており、他の人間と変わらない部位とは違い、
 物理攻撃を全て弾くようになっている。
 今の男の装備では切除することは不可能だった。
 しかし、冷静な思考が出来ない状態に追い込まれているドラゴンには、
 男が実際にやると言ったのならば、やるのだろうとしか考えられなかった。

「や、やだっ、しっぽきっちゃやだ、なんでもいうこときくから、しっぽきっちゃやだ」

 舌足らずな発音で男に懇願する。
 なんとなく口にした独り言によって、ドラゴンを従順にでき、
 思わぬ幸運に男は心の中でほくそ笑んだ。

 ズボンの中から屹立するペニスを晒し出し、その場であぐらをかく。

「よし、じゃあ、またがれ」

 膝をぽんぽんと叩き、ドラゴンに手招きをする。
 尻尾や翼が邪魔になることを考慮して、体面座位でドラゴンを貫くことにしたのだ。
 ドラゴンは、これから何をされるのかと胸をたからせながらも、そっと男に近づいた。

「こっちの毛も赤いんだな」

 男はドラゴンの陰毛を指さして言った。
 ドラゴンはさっと陰部を手で隠したが、男はその手を引きはがす。
 そのまま臀部を掴み、体を密着させた。

「俺がちゃんとねらいを定めておく。ゆっくりでいい、自分で腰を下ろせ」
「う、うん……」
479だんぢょん 10/13 ◆4hcHBs40RQ :2006/11/03(金) 21:31:27 ID:BEJnIEgy

 ドラゴンは男の言うことに素直に従い、導かれるままに腰を下ろした。
 根本を男が押さえている肉棒の先端が、ドラゴンの秘部に触れた瞬間、
 ドラゴンは微かにうめき声をあげた。

「う……」

 秘部は男によって散々弄られており、ほぐれて抵抗は比較的に少なかった。
 しとどに濡れた愛液が、潤滑液となり、亀頭が半分ほどドラゴンの中に埋まった。
 ドラゴンは圧迫感と、快感によって及び腰になりかけたが、男がドラゴンの頭に手をやり、
 それを何故かドラゴンは男の思いやりと受け取って、再び腰を沈め始めた。
 男は本当に偶然に髪の毛の感触を味わいたくて触っただけなのだが、
 ドラゴンは精神的に緊張しきっており、男の特に意味のない行為にも好意的な意味を持たせた。

「……い、いたっ……」

 処女膜が破れ、秘部にうっすら血が滲む。
 ドラゴンは痛みに顔を歪め、腰の動きを止めたが、男は腰を掴んで押し込んだ。

「い、いた……ッ、ふっ……や、やめ、いた、いの……うごかっ……」
「大丈夫だ、俺は最高にキモチイイ」

 最初こそ出血し、痛みに顔を歪めたドラゴンだったが、
 すぐさまあふれ出る愛液に血は洗い流され、痛みに耐えるうめきに艶が混じっていく。

「ぁっ……なんか、へん……へんだよぉ……いた、いけど、なんか、へんっっ」

 ドラゴンは目の前の頭にしがみつき、もう既に腰を振っていた。
 肉棒が一番奥に突き込まれるたびに、膣の奥の奥、子宮口に触れ、頭の中が白くなる。
 もとより、ドラゴンは悦楽に溺れることの意味がわかっていない。
 一度理性が剥がれると、すんなりと順応していた。
 自分が何を言っているのか、何をしているのかを完全に忘れてドラゴンは快楽に没頭していた。

「いい、いいよぅ……きもちいいよぅ」
「でぇーい! これじゃどっちがどっちを犯してるのかわからねぇじゃねぇか!」

 最初は自分で動かなくてもよくて楽だ、と思っていた男も、
 こうも激しく動かれるとそれはそれで気に入らなかった。
 勝手に動くドラゴンの腰を掴み、一際強く押し込む。
 ドラゴンは背筋を伸ばし、のけぞって悲鳴のごとき声を上げる。
 怒張が子宮を押し上げ、今までのモノとは比べものにならない圧倒的な圧迫感がドラゴンをふるわせる。

 大きく開いた口からは舌が突き出て、肺の中の空気が全て吐き出された。

 更に男はそれだけでは飽きたらずに、自分の腰を浮かばせた。
 ますますドラゴンと男の密着度が上がり、子宮が持ち上がる。

「おらおらおらおらーっ」
「だっ、だめっ、だめぇぇぇぇぇ、そんなつよくうごかしちゃっっ」

 男の暴力的なピストンに、ドラゴンは悶える。
 粘液がこすれあう音と肌と肌がぶつかり合った音が混じり合い、淫靡さをかきたてて。
 ドラゴンは強すぎる快感に、まるで恍惚の人のように口を開いて、意味の成さない舌足らずな言葉を発し続ける。
 両者とも肉欲を満たそうとがむしゃらになっていた。

480だんぢょん 11/13 ◆4hcHBs40RQ :2006/11/03(金) 21:32:04 ID:BEJnIEgy

「いくぞっ、必殺ッ!」

 男はドラゴンの中に熱い迸りを放った。
 肉体労働者特有の、濃くて、熱い体液がドラゴンの子宮に入り込んでいく。

「っ、ぁっ、かはぁっっ」

 子宮からあふれ出た精液を膣に塗り込めるように、ゆっくり油送を繰り返した。
 体内に自分以外の体液が大量に混入したことにショックを受けたドラゴンは、
 爪を男の背に食い込ませながら、呆然とたたずんでいる。

 しかし男が再びキスを求めると、ドラゴンは欲望が赴くままに、男の舌に自分の舌を絡ませた。

「よし、二発目、いくぞ」

 男とドラゴンの睦み合いはまだまだ続いていく。








「さぁーて、すっきりしたし、お宝探しに行くかぁ」

 男は手早くズボンを穿き、白濁にまみれたドラゴンを放って宝を探し始めた。
 ドーム状の空間にはいくつかの横穴が開いており、その中にはいくらかの宝が隠されていた。

 傍若無人の振る舞いをした男の精液を浴びたドラゴンは、
 その場でぐったり横になりながら、ぼんやりと何故こんなことになったのかを考えていた。
 勇者と戦う前に一休みしようとこのダンジョンの最深部で眠りにつき、
 二十年そこそこという短めの睡眠だったのにもかかわらず、
 魔王も勇者も同族も、起きたときには全て死に絶えていた。

 外に出る気もわかず、しかし果てしなく退屈で、時間をもてあましているとき、数十年ぶりにやってきた人間が、
 他の人間とは全く異なる行動をとったためにほんの少し興味を持って、その行動に付き合ったら、犯された。
 一方的に蹂躙され、至るところを嬲られて、あまつさえ最後には自ら狂態を振る舞う羽目になった。

 薄暗い洞窟の天井を見ていると、ドラゴンの胸中にふつふつと怒りがわいてきた。
 地上最強の生物である自分が、下等な生物である人間に、そのような扱いを受けるわけにはいかない……。
 ドラゴンは現在と人間に嬲られていたときの自分を恥と覚え、
 それと同時にその恥の部分にあたる男を排除しなければならない、と考えた。
 人間の体では、冒険者であるあの人間には勝てないかも知れない、
 が、ドラゴンの本当の体であれば、ほんの少し指先を動かすだけで両断することができる。
 ドラゴンはゆっくり息を吐き、心の中で変身魔法を解く詠唱を始めた。

 男はドラゴンにとどめをささず、今は宝探しにいそしんでいる。
 精神は乱されることなく、術式がゆっくりと創り上げられていった。

 が、しかし。
481だんぢょん 12/13 ◆4hcHBs40RQ :2006/11/03(金) 21:32:44 ID:BEJnIEgy

「……」

 ドラゴンの本当の体に戻らず、人間の体のまま。
 魔法は確かに成功していたが、しかし、体は戻っていなかった。
 呪文自体には問題は見受けられなかった。
 ドラゴンは焦って、自分の体に探知呪文を使う。
 古代魔法の詠唱に問題がないならば、自分の体に何か異変が起きたのだろう、と考えたのだ。
 対象をくまなくデータ化する探知呪文が、ドラゴンの体全てを解析し終え、情報をドラゴンの脳へ伝える。

 ちょうどそのとき、宝を探索していた男が戻ってきた。
 手には幾ばくかの宝石やアイテムがあるが、彼が想像していたよりもずっと少ない収穫に対して不満そうな顔をしていた。
 ドラゴンは最終的な結果を受け終え、戻ってきた男の顔を睨み付けた。

「こ、この! な、なんてことをしたのだ、貴様は!」
「お、おぅ、なんだよ、いきなり」
「なんだよとはなんだ。この……私の内臓に傷をつけおって……」
「内臓?」

 ドラゴンが元に戻れなくなった理由は、身体の欠損だった。
 変身魔法は非常にデリケートな魔法の一つで、変身直後の状態を保っておかねば元の姿に戻れなくなるのだ。
 発動時に元の体をデータ化し保存、変身を解くときになって、変身した直後の状態をキーにして、元の姿に復元する。
 多少の誤差は認められるが、大幅に身体に変化があった場合、体の状態は更新され、
 元の体のデータ解凍のためのキーは失われる。
 今回は、処女膜という内臓に一部裂傷ができ、それ故にデータ解凍のキーが失われてしまった。
 ドラゴンが元の姿に戻るためには、もう一度最初から膨大な魔力を要する変身魔法を行わねばならない。

「それだけの魔力が集まるのに一体どのくらいかかると思っているのだ!
 尻尾と羽と、角があるおかげで器は問題ないが、必要な魔力が集まるまで……想像もしたくない時間待たねばならない」
「……そうか、お前は元の姿に戻れないのか」
「何がおかしい!」
「いや、元の姿に戻るっつーんなら、殺さなきゃならんかったが、ま、戻れないんならそんな手間は必要ねーな」

 男はドラゴンの姿を改めて見た。
 角、翼、尻尾はもちろんとして赤い髪と瞳を見なければ普通の人間と変わらない体だ。
 それどころか、一般的な男が欲情するために必要以上の容姿を持っている。
 ところどころ――特にむっちりした太もも付近に――白濁液が付着しており、官能的な雰囲気を醸し出している。
 そんな姿を舐めるように見ていた冒険者は、ふと思いついた。

「そうか、元に戻るためには時間がかかるのか……」
「そうだ、この、だから駄目だと言うたのに、貴様は無理矢理ッ」
「最後はお前も楽しんでただろ」

 ドラゴンはどさくさに紛れて責任を全て冒険者に転嫁しようとしたが、即座に斬り捨てられた。

「じゃ、時間が経つまで俺んちに来るか?」
「何? ふん、そのような必要はない、誰が下界になど出るか。ここで待っていれば十分……」

 ドラゴンの腹が、ちょうどそのときに鳴った。
 本当の体であれば、食事はそれほど必要がない。
 動かずじっとしているだけならば、数百年に一度だけ食事を取ればよい。
 だが、今の体は人間のそれだ。動かなくても腹は減り、何も食べなければ飢え死ぬ。
 こんな洞窟に人間が食べられるものはなく、生き延びるためには外に出なければならなかった。
482だんぢょん 12/13 ◆4hcHBs40RQ :2006/11/03(金) 21:33:20 ID:BEJnIEgy
「……」
「意地張るなよ」
「……うるさい、黙っておれ」

 ドラゴンはそっぽを向いて、ぶつぶつ呟いていた。
 空腹はごまかせぬほどになってきて、かといって食べ物のことで人間に屈服するのはドラゴンの矜持が許せなかった。
 理性と本能の葛藤は続く。

 男もただ待つということはしなかった。
 ドラゴンの様子をうかがいながら、携帯食料を取り出し、ほんの少しかじる。
 干した肉を、ドラゴンの視界に置いた。

「……う……」

 男は何も言わず、ただ干し肉の端を指で摘んで左右に揺らした。
 干し肉が揺れるたびにドラゴンの目線は左右に動く。

「欲しいか?」

 ドラゴンは瞬時に二度頷いた。

「じゃあ、ついてくるか?」

 ドラゴンはとまどっている。
 思わず干し肉に伸びそうになる手を何度も引き留めた。
 男は、その様子をしばらく眺め、最後には干し肉を自分からほうってドラゴンに渡した。

「え?」
「くれてやる。味わって食えよ、俺が一食抜いてお前に恵んでやるんだ」
「……元凶は貴様のくせに」
「何か言ったか?」

 ドラゴンは干し肉に噛みついた。
 瞬く間に干し肉はドラゴンの胃袋に収められる。
 男はドラゴンが食べ終えたのを確認すると、今度はマントを放った。

「行くぞ」
「何を言う。今の肉はお前が無条件で我に譲渡したのではなかったのか!?」
「うだうだ言うな。一食食えても次はどうする?
 どうせあてもねーくせに、変に意地張ってるなよ、俺が食わせてやるから、来い」
「貴様は、信用ならん」

 ドラゴンは赤い瞳で男を睨み付ける。
 男は鋭い視線を軽くいなした。
483だんぢょん 13/13 ◆4hcHBs40RQ :2006/11/03(金) 21:34:31 ID:BEJnIEgy
「俺は美女か美少女には嘘をつかないたちなんだ」
「もう既に我を騙しておいて何を言う」
「そりゃ、お前が美女でも美少女でもない、あのジャンボな爬虫類だったときの話だろうが。
 第一、俺は『かわいい女の子になれ』と言っただけで、別に嘘なんてついてないね」
「そのようなことを言って、我をごまかすつもりか!?」
「あっそ、じゃあどうすんだよ。お前、これから一人で生きていけるのか? 超ド級の世間知らずなのに?」
「ぐ……」

 ドラゴンは言葉を詰まらせた。
 確かにドラゴンには、本当の姿に戻るための魔力が溜まるまで生き残る自信はなかった。
 人間の体になって早々、一方的に体の自由を奪われたのだ。

 このまま竜の穴にいても餓死する他なく、たった一人で外の世界に出てもうまく生きる自信もない。

「しょ、しょうがないな、貴様がどうしてもと言うのならば、ついていってやっても構わぬが」

 虚勢を精一杯張ってドラゴンは、男から渡されたマントを羽織った。
 男はドラゴンのことを気遣う様子もなく、
 フロアにボスモンスターがいなくなったことで出現した階段を登り始めた。
 少し遅れて、おずおずとした様子でドラゴンも男の後を小走りでついていった。




 結局のところ、ドラゴンはまたも男に騙され、体をいいように嬲られるのだが、
 それに気付いたのは、男の自宅のベッドの上……しかも裸で組み伏され、更に敏感な体をなで回されて
 悶えているときだったのだった。
 もちろん、男は「世話をしてやる」とは言ったが「抱かない」とは言っていない。
 やはり嘘はついていなかった。

 合掌。
484キュンキュン ◆4hcHBs40RQ :2006/11/03(金) 21:35:27 ID:BEJnIEgy
以上。
では人間以外の女の子とのお話スレにますますの発展を祈って、退散致します。
485名無しさん@ピンキー:2006/11/03(金) 21:47:46 ID:+b2sAreT
RTGJ
486名無しさん@ピンキー:2006/11/03(金) 22:04:28 ID:L3V4FCIi
ランスかと思たです。
487名無しさん@ピンキー:2006/11/03(金) 23:03:02 ID:Qxf8nnon
キュンキュン GJ!

ところで
>>465の板ってどこですか?
488名無しさん@ピンキー:2006/11/03(金) 23:15:05 ID:aeM+jLih
キュンキュン氏の執筆の早さにはただただ脱帽…素晴らしいです。
489名無しさん@ピンキー:2006/11/03(金) 23:27:49 ID:3oJXR2yR
小ネタがオイシかったです。
タイトルだんじょんでドラゴンステーキ、とか
490名無しさん@ピンキー:2006/11/03(金) 23:30:37 ID:Cy9TkJJS
バカだwそしてエロいw
もうGJとしか言う言葉がないねw
491名無しさん@ピンキー:2006/11/04(土) 00:41:53 ID:bW/kmXxS
>詳しくは外道戦記を嫁

ここで吹いてしまった。
てかこういう娘を待っていた!!もうなんて言えばキュンキュン様に喜んでいただけますか?
投下有り難う御座いました
492名無しさん@ピンキー:2006/11/04(土) 22:21:00 ID:yly++zFX
超GJです!ファンタジー好きだし(ついでにランスも好き)
こういうのを待っていた!最高としか言いようがありません。
自分も以前投下したんですが、冒頭が冗長と言われてしまい、
前フリをきっちり組んでなおかつ面白いのはすごいです!
参考にさせていただきます。よければ技術を盗ませて頂きます。
では、これからも頑張ってくだされ!
493名無しさん@ピンキー:2006/11/04(土) 22:29:14 ID:JSlr83aN
>>484
おおおお・・・・キュンキュンGJ!!!
旧東ドイツ国歌がBGMで流れてくるようなすばらしい出来ですお。
494名無しさん@ピンキー:2006/11/05(日) 00:29:05 ID:ftobj/8s
ああ、出来ればドラゴン娘が地上に出てきた後日談が読みたいなあ。
活目して待っています。
495名無しさん@ピンキー:2006/11/05(日) 00:35:29 ID:JItzRP4D
あ、後日談漏れも希望〜

なんか可愛いな、この二人>>484
496名無しさん@ピンキー:2006/11/05(日) 01:06:53 ID:R9DuIchu
キュンキュン氏キタ━━━(゚∀゚)━━━!!
御馳走様でした!竜娘かわいいよ竜娘!
497名無しさん@ピンキー:2006/11/05(日) 21:21:04 ID:gfChTh1n
GJ!!
今日の朝からぶっ通しで全部読まして戴きました。
こーゆーの…




498名無しさん@ピンキー:2006/11/06(月) 00:45:11 ID:+guBuw0n
GJ! 馬鹿でいいわw
世界観とエロが一体となってる辺りも素晴らしいですね
4991レスバカ話 ◆QnKpOCEIdw :2006/11/06(月) 04:13:50 ID:s4KYS29u
実にくだらない妄想でしかもオチがついてしまったので書いてみた。
一話完結


あなたに買って頂いて早3日、あなたはもう私をいらなくなったのでしょうか?
私と共に買って頂いたあの娘は、すぐに手を出されましたのに。
あの娘のように私も、乱暴に裸にされてあなたにとろけたいのに…

なのにあなたはご友人に私を譲ろうとしたりして…私を試していらっしゃるのですか?

もう私の躯は待ちきれずに、肌着の下に蜜をにじませております。
想像するだけで、このはしたない躯の内は溶けそうになります。

どうか…どうかお情けを…


あっ!やっと私を……
そう、そうして頂きたかったんですぅっ!!
もっと乱暴に服を破いてぇっ!あぁ…はしたない私を見てっ!!先祖代々受け継がれてきたこの白い肌も、あなたの為に今ここにあるんです!!
あっあぁ!
感じるっ!もっと舐めて!
私を溶かして!!
もっと…もっとぉ……

っひゃあん!ダメぇ!
噛んじゃダメですぅ!
もっと!もっとあなたといたいのぉーー!!
駄目ぇ!
んあああぁぁぁ!!!!!!!!

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「やっぱハッカ味ダメだな。俺の口に合わねーや」
「だからって口に入れた直後に噛むかフツー!飴が歯にくっつかねーか?
つーか隣でボリボリやんなよっ!!」





…正直スマンかった。
500名無しさん@ピンキー:2006/11/06(月) 06:48:12 ID:XQ2vUdWd
↓こっち向きのネタだな
だめぇ 中に白いの出しちゃいやぁぁぁぁぁぁ
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1151854542/
501名無しさん@ピンキー:2006/11/06(月) 19:56:11 ID:/nJfj88f
>>499
GJw

>>500
そんなスレがあったのか…
502名無しさん@ピンキー:2006/11/08(水) 00:54:43 ID:LOHr9eDn
なぜか不意に、嘉門達夫の
「私はバッテラ」を思い出した俺ダランいんどらーばしー
503その1:2006/11/09(木) 04:40:32 ID:A3JtWcZ3
唐突に投下。概要はVS猫っ娘。異世界に迷い込んだ女子高生が主人公。
前フリ長いしエロは少ないです。が、心が広い人がいたら読んでくだされ。



 二ノ宮杏菜(にのみやあんな)は、一体自分が何故こんなところにいるのか本当にわからなかった。


 今日一日の行動を思い返してみても、普段となんら変わりはなかったはずだ。私は何にも悪いことして
ないわ、という心持ちで、杏菜は冷たい地面に放心したように座り込み、他にどうすることもできずここ
に至った経緯に思いを巡らせた。
 杏菜はいつも通り、白いブラウスの上に裾の長い黒いニットを着ており、胸元にはグリーンのラインが
入ったボリュームのあるリボンを蝶結びにしている。短いスカートから伸びる足を覆うハイ・ソックスは
紺色で、足元はローファーという、毎日同じの通学スタイルだ。

 が、今杏菜の目の前に広がる風景は、平坦な日常生活とはかけ離れた異様なものであった。杏菜は頭を
抱え込む。どうなってんの、と思わず心中で高い声を上げる。今日もいつもと同じ八時半に母親に起こさ
れ、鏡の前で念入りに髪を整えてから学校に向かい、退屈な授業を受け、昼食を食べ、居眠りをし、放課
後は教室でお喋りをしてから帰路についた。こんな異常な事態に放り出される要素など、一分もなかった
はずだ。


 しかし。杏菜は気弱に顔を上げ、きつく瞬きをする。だがどれほどしっかり瞼を閉じ、夢から覚めるよ
うにと期待をこめて力一杯開けようとも、視界は変わらないままだった。素っ気無く突き放されたような
気分になって、固い地面に全身を投げ出して泣き出したくなった。
 そんな杏菜を笑うように、瞳に映る荒涼とした黄色の大地には、冷たい砂埃が吹き続けている。杏菜は
弱々しい表情になってそれを見つめた。
 辺りをどれほど見回しても人の気配はなく、気温は肌寒い。さらに砂っぽい風が容赦なく吹き付けてく
るので、自慢の黒髪はざらざらした感触を含んで、いつもの光沢を放つような艶やかさはすっかり失われ
ている。これが頭を巡らせて追いつく範疇であれば、眼前の虚空を睨みつけて一言毒づくぐらいのことは
してやるのだが、今はこんな場所に来るなど想像もしたことのない、現実味のない空間に一人置き去りに
されている。生まれ持った気強さや能天気さも身を潜めて、杏菜は眉を八の字に下げ目尻に涙を滲ませた。


 どれほど目を凝らして遠くを見つめても、水平線のようにただ地面が続いているだけで、突き出した岩
や傾斜はあっても杏菜が求める類のものは一切なかった。道路標識でもビンでもゴミでも、自分の目に見
知ったものがあるだけで、このどんな感想を吐いて良いかもわからない空疎な世界からずいぶん救い出さ
れると思う。だがいくら念じようとも、何もない広々とした大地があり続けるだけである。いっそこの景
色そのものがテレビのスイッチを切ったときのように横にぶれて真っ暗になり、気がついたら見慣れた自
分の部屋にいるといいのだが、ありったけの意識を込めても辺りは揺らぎもしないまま、体表は固くざら
ついた地面の感触を感じ続けている。


 上を見上げると、鉛色の空があった。どんよりと澱んだ雲が、錆びついたようにゆっくりと流れている。
杏菜は心の曇天を映し出しされたような気分になって、観念したみたいに声を上げてしゃくり上げ始めた。
504その2 :2006/11/09(木) 04:50:30 ID:A3JtWcZ3
 
 その時、不意に何かが地面を駆ける音が聞こえてきた。耳に一筋流れ込んできたそれは、最初は単に
地響きに似た唸りにしか聞こえなかったのだが、よく耳を凝らすうちに、何者かがこちらに近づいてく
る音だとわかった。

 注意しなければわからない程度のものだったが、見渡す限り同じ景色で、感覚が普段より鋭敏になっ
ている杏菜はすぐに気がついたのだ。地獄の池に落ちた男が蜘蛛の糸に縋る気分で、その重々しい地鳴
りを追い続けていると、次第にそれは大きくなり、やがて視界の端に、粟立つみたいに砂塵が広がった。

 無心にそれを注視したら、砂塵の中心にいるのは上に人を乗せた馬の団体で、大きな体躯を支える
四本の足が地面を蹴ることによって砂が舞い上がっているのがわかった。心を空っぽにして見つめてい
ると、最初は小さな黒い点に過ぎなかったそれらはぐんぐん近づいてきて、気づいた時は自分の目の前
で一斉に止まった。ブルルル、と鼻を鳴らす馬は黒光りしていて、今まで見たことのある動物の中で
一番大きかった。

 思わず圧倒されていると、その上にまたがった男が体を斜めにして、地べたに座り込んだ杏菜を興味
深げに見た。先程まで先頭を走っていたその男は、汚れているが頑丈そうな皮で出来た服に硬そうなブ
ーツを履いて、顔は四角くていかつい体格だった。顎から耳の後ろまで野卑な髭にびっしり覆い尽くさ
れており、乱髪が風になびいている。

 杏菜はぼんやりとした表情で、男の顔を覗き込んだ。見回せば、馬に乗るのは全員男であり、数えて
みると七名ほどいるのだが、彼らは自分を取り囲むように円になっている。

 再び円の中心の男に視線をもどせば、男は目をいやらしげに細めて杏菜の全身をじろじろと眺めていた。
杏菜の肌を嫌な予感がひしひしと貫いたが、どうすることも出来ず、その精悍な顔つきのリーダー格と
見られる男が、叩き伏せるように威圧的な語調で問いかけてきても、たどたどしく返事をするしかなかった。

「おい、お前はこんなところで何をしているんだ!」
 警察が、夜中に道端に立つ商売女を詰問するみたいな、辺り中に響き渡る力強い声だった。杏菜は思わず
身を竦めながら、「わたし……」と弱く呟いた。
「わ、わかんない、気がついたらここに………」
 杏菜がすっかり脅えているのに、男は征服欲が満足したのか、口の端をにやりと上げて続けて言った。
「おまえ、どこから来たんだ」
「あの、わたし、家に帰ろうとしてたんだけど、いつもの道歩いてて、そっから猫を追いかけてて、
それで、よくわかんないうちにここにいて」

 言い終わったあと、杏菜はふと思い出した。そうだ、いつも通り友達と別れて帰り道について、
遠藤さんちの白い塀に出たところで、塀から地面に軽やかに下りてきた猫が何かを咥えていたので
好奇心にかられ追いかけたら、次の角を曲がったところでぱんっと何かに衝突したみたいに真っ白
になって、しばらくして気がついたらここに倒れていたのだ。その時のことを丁寧に思い返すと、
意識が途切れる一瞬前、誰もいない路地に出た自分の真正面に、白いドアのような四角いものを見た
気がする。それに真っ向からぶつかり、いや飲み込まれ、いや潜り抜けて? ここまでやって来たの
だろうか。


 杏菜が呆然とした目で中空を見つめていると、男は馬鹿にした声を出した。
「ふん、なんか知らんが呆けてやがるな。こいつ、どう思う?」
「この女、『マヨイ』じゃないですか」
 ふと聞きなれない単語が耳をかすめ、杏菜は顔を上げて男と目を合わせた。自分で意識しないうち
に、すがるような弱々しい顔をしていたようで、男は完全に下の人間を見る目つきで杏菜を見下ろした。
「そうだ、違いねえ。おい女、お前はいくところもないんだろう。ここじゃあ『マヨイ』は、見つけて
拾った人間のものにしていいことになってるんだ。その道理じゃあ、俺が一番最初に見つけたお前を、
俺のものにしたって文句はねえな」
「ま、まよい、って?」
「へへ、マヨイってのは、お前みたいに、どっから来たのか自分でもわからずにぼんやりふらついてる
奴のことだ。どこからか迷い込んでくるから、マヨイって言うんだ」
その意味を頭で理解し、噛み締めているうちに、男はさっと馬から半分身を乗り出して、下にいた
杏菜を掬い上げた。
505その3:2006/11/09(木) 04:55:50 ID:A3JtWcZ3

「きゃっ? な、なにすんのよ!」
 軽々と抱え込まれ、男の前に荷物みたく置かれた杏菜が驚いて声を出したのを、男の唇が塞いだ。
急な出来事に、杏菜は大きな瞳を激しく瞬かせた。ぬめった感触が口内を這い回り、汗じみた臭いが
鼻から入り込んでくる。口を離すと男は冷たく言い放った。
「お前は俺の所有物になったんだ、俺は今からお前のご主人様だ。俺のモノをどうしようと俺の勝手だ」
「そ、そんなものになった覚えなんかないっ」

 男の胸の中に抱え込まれたまま叫ぶと、周り中から弾けるみたいな笑い声が上がった。脇にいた
痩せぎすの男が、馬の上から杏菜に向かって子供に言い聞かす声でこう言った。
「お前が覚えがなくても、この国の法律でちゃーんと決まってんだ、わかったかい、お嬢ちゅわん」
「それともここで一晩明かすかい、夜になりゃあ砂雑魚の餌食になって、朝には白い骨が転がってるよ」
「大人しくお頭の言うこと聞いたほうがお利口さんだぜ」
「マヨイの行く道なんて、男なら死ぬまで炭坑の中を這い回るか、ガスの出る洞穴に潜るはめになって、
女ならせいぜい見世物小屋に売り飛ばされるか浮浪者の慰み者だぁ」
 
ぽんぽんと下卑た揶揄が飛んできて、杏菜は抵抗もできずに言葉を失った。男らの話では、ここに
いれば一晩も持たずに凶暴な生物の餌になる運命のようである。なら、少しでも長く生き延びるなら、
この男に今は拾われるしか選択肢はなかった。

 お頭と呼ばれた男はすっかり大人しくなった杏菜の顎を二本の指で掴むと、自分の方へ向けさせた。
まじまじと好奇に満ちた目で杏菜の顔を眺め、口から乱杭歯を覗かせ、言った。
「気の強そうな顔してるじゃねぇか、俺はお前みたいに顔が良くて聞き分けの悪いガキが一番好きだぜ。
たっぷり教育して、男の偉さというものをわからせてやらなきゃいけねぇな」
 ははははは、と下品に笑うと、馬の腹を足で蹴った。鳴き声を辺りに響かせ、馬は最初見たときと
同じように、勢い良く走り出す。杏菜は男の腕に抱えられながら、この後に予想される苦難を想像した。



 杏菜を拾った男らが馬を走らせ、数時間かけて辿りついたのは、そう大きくもないが活気のある街だった。
砂が入るのが耐えられず、それでも何とか細く目を開いていると、不意にずっと向こうに豆粒みたいな建物の
集まりが見えてきて、ついほっと息をついた。

事態が何も好転しているわけでもないのだが、この砂ばかりの風景を長く見過ぎたため、人のいる場所に
出れただけで一旦心が上向きになったのだ。空は鉛色が幾分暗く濃くなって、重苦しい色合いになっている。
杏菜は灰色の風景に己の運命を映し出して睫毛を伏せた。
今まで生きてきて、これほどまで不安で心細い気持ちになったのは初めてだった。

 男らは街に入ると、ごみごみした通りを抜け、ある薄汚れたレンガの階段の前で馬からおりた。
頭の男は杏菜を抱き抱えて地面に下ろすと、その細い階段を上った奥にある、暗くしけた雰囲気の
店に無理矢理連れて行った。ガラスの破れたドアをくぐると、耳障りなベルがカランカランと鳴り、
狭い店の真ん中には古びたカウンターが置いてあった。そこに腰掛けている年老いた男が、興味
薄そうに二人を見上げる。丸い眼鏡をかけた、小柄な老人だった。

「よぉ、今日は上玉を連れてきたぜ」
 頭の男は、慣れた様子でそう声をかけ、杏菜をカウンターの前に突き出した。
 老人は、んー、と呟きながら眼鏡の縁に手をかけ、杏菜を頭の天辺からつま先まで一瞥し、
もごもごと篭った声で男に向かって、
「なにやら奇妙な身なりをしてるが、これはマヨイかね、まだ変化してないようだがね」
 と老成さが滲み出た声で言った。
「おおよ、間違いなくマヨイだ。変化はこれから始まるんだろうよ、その前に俺が手をつけて
飼いならそうと思ってな」
「いくらお前さんが仕込んだところで、渡す金額は決められたぶんだけだよ」
 ちっ、わかってらぁ、守銭奴のジジイめ、と毒づき、男は杏菜の腕を引いて店を出た。
506その4:2006/11/09(木) 05:01:15 ID:A3JtWcZ3

階段を下りて通りに出ると、下に残っていた男達が、入り口に馬を繋いでいる最中だった。
「こいつ幾らぐらいでした?」
「まだわかるかぁ、変化したあとにどんなんになるかわかりゃしねぇんだ」
 素っ気無く言うと、杏菜の腕をまた乱暴に掴んで、今度は街の外れのけばけばしい外装の
建物へ向かった。その扉をつま先で蹴って開けると、おい帰ったぞ、と胴間声を張り上げる。
中からは貧相な成りの背の低い男が出てきて、お頭お帰りですか、と媚びた声で言った。

部屋の中は乱雑に散らかっており、酒や情交を重ねた臭いが染み込んでいた。どうやら
この男らの根城であるようだ。
留守番をしていたらしい若い男は、横に立つ杏菜の顔をちらりと見、「こいつは?」と訊いた。
おう今日拾った奴だ、と部屋の奥にずんずん進みながら男が答えると、へぇ、まだ普通の体して
ますけど、もう売値は決まったんですかい、と先程の男らと同じようなことを質問した。

「いやまだだ、あのジジイ足元見やがって、変化が起こっても抱けるナリしてたらあそこへ
売り飛ばして、駄目なら見世物小屋に連れてきゃいいだけの話だ」
「へーえ……こいつ今可愛い顔してるのに、変化が起こったら目も当てられない様になるってぇ
こともあるんですからね、マヨイってのはわかりませんわ」

 言いながら、奥へ消えていく杏菜の全身を邪気に満ちた目で眺めていた。頭の男は杏菜を
一番奥まった部屋に連れて行くと、乱暴に背中を押して、床に敷かれた寝床の上に倒れ込ませた。

 足を前方に投げ出して、脅えた目で自分を見上げる杏菜を、楽しげに眺めたまま、男は衣服を
手早く脱ぎ去った。杏菜は露出した男の肌を目にして、ひきつるような声を出した。
「へへ、怖いのか? 叫んで暴れたって誰も助けにゃ来ねえぜ、マヨイはここでは道端で腹を
すかした野良犬と同じか、それ以下だからな」
「あ………」
 懇願する視線を投げかける杏菜に、下卑た笑いを浮かべた。

「心配しなくたってお前も、すぐ一人前に床あしらいできるようになるさ。あいつらだって、
今日は久々の根城に帰ってきて、さっき行ったあの店で好きな子を抱いてるぜ。あの店にいる
メスどもの半分は、元はお前とおんなじマヨイだった。お前をあそこへ売った後は、俺も
ときどき買いにいってやるよ」
 絶望的ともいえる一言をあっさり繰り出すと、その屈強な体で杏菜を組み伏せようとした。
杏菜は我を忘れて抵抗した。

「やっ、やだっ、やめてえ、放してっ!」
 指の間を一杯に開き、振り出した手の平が、勢いでばちん、と音を立てて男の顔に当たった。
手痛い反撃を顔面に食らった男は、怒気を滲ませた表情で口から泡を飛ばした。
「何しやがる、この、糞アマがっ!」
 男は杏菜の二の腕を硬い床にねじりつけ、白い脚の間に自分の体を割り込ませた。
カエルが解剖台の上に引きずり出されたような格好で、杏菜は泣きじゃくりながら二本の脚を
ばたつかせる。大きな体躯が全身に覆いかぶさってきて、あの野性的で下品な臭いが鼻腔を貫き脳内を埋め尽くした。
507その5:2006/11/09(木) 05:05:14 ID:A3JtWcZ3

男は荒々しい手つきで杏菜の服を剥ぎ取ると、床に散らばった黒い髪に顔を埋め、固い胸板を杏菜の体に擦り付けた。
杏菜は悲愴な声を上げたが、その声は男の口内に飲み込まれて消えていった。

男はぬらぬらとした唇を残虐に歪ませながら笑い、
「聞き分けのない子供には躾が必要だな」
 と言うと、杏菜を反対に引っくり返して、手元にあったシーツを裂いて両の手首に巻きつけた。
そして体を起こしてふてぶてしく胡坐を掻くと、杏菜を片手で簡単に引き寄せる。手を縛られた杏菜は、
身動きできずに、膝を曲げた体勢で男の胸元に倒れ込んだ。

男は杏菜の首筋を掴んで顔を真っ直ぐ上げさせると、そのまま首から胸、胸から腹に向かって舌を這わせていった。
全身を嬲られる感覚に、杏菜は片目をぎゅっと瞑ったまま、小さく体を震わせるしかなかった。

「随分いい体をしてるじゃねぇか」
 乳房を無造作に掴んでにじられ、その鮮烈な痛みに、杏菜は大きく体をびくつかせた。男は面白そうにそれを見、
丸い尻をじっくりと撫でたのち、豊かな内腿に何度も指を往復させる。嫌悪と羞恥で吐きそうになったが、
出てくる反応は、自分でも意外なほどに落ち着いたものだった。

「ほぉ、大人しくしてるな」
 黙って弄ばれる杏菜に向かって、男はからかうみたいに言うと、杏菜の体を床に下ろした。
そして胡坐を掻いた膝の上に手を乗せて、自分の股間を指し「おい、ご主人様のものを綺麗にしろ」
と慇懃に言い放った。

杏菜は逃げだしたくなったが、逃げたところでどうなるものでもないのだろう。その無慈悲な現実が否応なしに
頭に滑り込んできて観念し、目を細く潤ませながら、そっとその場にうつ伏せるようにして、男の股間に顔を近づけた。
男は杏菜の頭に手を置き、自分のものに押し当てる。感じたことのない圧迫感が頭を覆い、杏菜は顔を上げたくなったが、
意思に反してさらに下にやった。

 すでに逞しく漲った男根に、男は自分の指を添え、杏菜が咥えやすいようにぐいと上向けた。鼻先につんと臭いが
漂ってきて泣きたくなるも、それでも健気にそっと口を開け、小さな舌を突き出すと、男の先端に軽くかすった。
男の身体がかすかにびくつき、さらに杏菜を押さえる手に力が入った。杏菜は顔を横にして、そそり立った男根を、
横側からアイスキャンディーを貪るように舐めていった。

 初めて見る男の男根が、間近で血管を浮き上がらせ聳えている。目を閉じることも出来ずに、視界を涙で
ぼやけさせたまま、舌を動かした。男根から発される熱気が肌にびしびしと伝わってきて、生々しさが顔にぺったりと
張り付き、自分がこうしている様を別の自分がどこか遠くで眺めているような奇妙な感じに襲われた。ふわりと目の前の
景色が遠くなり、現実感が消失し、テレビの中で行われていることを傍観しているだけみたいな淡白な気持ちになってくる。
508その6:2006/11/09(木) 05:08:30 ID:A3JtWcZ3

「下手くそだな」
 男が野太い声で言い、急速に周りの風景が再び自分の前に戻ってきて、現実に引き戻された。
そうだ、これは現実なのだ。どこかもわからないよそよそしい世界で、自分は名前も知らない男に
奉仕している。んっ、くっ、と、杏菜は短い声を苦しげに吐き、眉間に皺を寄せ、したくもない作業を
懸命に続けた。目だけで上を見ると男は幾分つまらなさそうな顔をしているが、同時に杏菜の
たどたどしさを楽しんでいるようでもある。

「どうだ、しゃぶりがいがあるか、俺のものは」
 そう胴間声で言われ、杏菜はどう答えていいのか見当がつかず、頭を小さく下に滑らせて
頷いて見せた。男は下品に笑った。最初見たときより、男根はさらに大きく膨張し、
いまにも破裂せんばかりに猛っている。

 不意に男はぐっと杏菜の頭を下に押した。口が押し広げられ、太い男根が奥まで遠慮なく
入ってくる。ぐぅっ、と息が詰まってつい舌で押し返そうとしたが、口内を占拠したそれは
びくともしなかった。喉の寸前まで埋められ、ふぅっ、と息を漏らしながら、他にどうすれば
いいのかわからないので、湧いてくる唾液を飲み込み、男のものを吸ってみる。

そうだ、もっと強く吸え、と指図され、杏菜は言われるままに慣れない口淫を続けた。

 床に這いつくばった格好で、杏菜は男の股間に顔を埋め、ひたすら時が過ぎるのを待っていると、
やがて男はうっ、と短い声を上げた。熱いものが杏菜の口の中でほとばしって、喉にまで飛び込んできた。
杏菜は思わず眼をいっぱいに見開いて、男の手の力がふっと緩まったので急いで顔を上げ、
白い濁ったものをシーツの上に吐き出した。

 げほげほと喉の奥から咳き込みながら、床に頭を着けて肩を震わせていると、
立ち上がった男が杏菜を抱え起こした。男は最初と同じように仰向けに杏菜を寝かせると、
二本の脚をしっかり抱えて左右に開かせ、その真ん中に自分の身体を入れてのしかかって来た。
杏菜が目をやると、先程達した男のものは、すでにまた意欲満面に屹立している。
いよいよ体中に恐怖が走り、叫びだしたくなったとき――

 部屋の外で、なにやらもの凄い物音が響いた。何者かが壁を突き破ったかと
思われるぐらいの、聞いたことのない轟音だった。

 男は杏菜の脚を持ったまま、首を後ろへ回した。杏菜も、危険を一時的に忘れ、
男の肩ごしに後方を覗きこんだ。
 どたどたと向こうが騒がしくなり、ひゃあああ、とさっきの見張りの男が、
尻尾を踏まれた犬みたいな情けない声を上げている。もう一度ばりばり、と壁が紙のように
破れた音がし、そのまま静かになった。男は眉間に皺を寄せて、閉じられたドアを凝視している。
詳しい状況は見ないことにはわからないが、いずれ家屋の一部が壊れていることは明白だった。
509その7:2006/11/09(木) 05:12:56 ID:A3JtWcZ3

 物音は一旦収まったが、気づけば、何者かがこちらに向かってくる足音がだんだん近くなってきている。
音の主はそれを隠すつもりもないようで、短い廊下を大股で歩いてくる。そして勢い良くドアが開かれ、
こざっぱりとした軽装の若い男が立っているのが、自分を組み伏せる男の身体の向こうに見えた。
頭の男は、眉を顰めたまま杏菜から身体を放し、辺り中に響き渡る声で一喝する。

「何だ、お前は!」
「野盗ごときに名乗る名はない」
 若い男はあっさりと言い、躊躇なく部屋の中へ歩を進めてきた。
ブーツの底が床にぶつかるたびに音を立て、シーツの上に全裸で放り出されている杏菜をちらりと見ると、
興味がないようで再び自分の前に立ちはだかる男に目線を戻している。

杏菜が見た限り、身長は低くないがそんなに体格が大きいわけでもない。杏菜を犯そうとしていた男と
正面から向き直っているが、どちらの方が強いかは歴然としているように見える。寝床から起き上がった
男は白いシーツを股間に巻きつけ、分厚い胸板を前へ堂々と突き出し、無礼な侵入者を威圧するように
睨めつけた。が、入ってきた男の方は飄然とその顔を見返している。

「この根城に押し入ってくるなんざいい度胸だな、トチ狂ったのか若造」
「いや、むしろ正常だ。単なる仕事だから」
 まるで脅し文句を理解できていないように、若い男は何でもない風に答えた。
頭の男はそういう態度が感に触ったのか、肉まんみたいな筋肉が盛り上がった肩を
大きく揺らし、拳をつくってぽきりと指を鳴らした。

「いい根性だ、この女といい最近のガキは生意気でしょうがない、大人の怖さって言うのを
きっちりわからせてやらなきゃいけねえな」
 そう言うと、二、三歩前ににじり寄って距離を詰め、その拳を迷いなく目前の男へ向かって
振り出した。杏菜はぐっと目を閉じた。あの若い男が吹き飛ばされると思ったからだ。

 瞬間、何かが床にぶち当たって弾き飛ばされた音がした。杏菜は全身を竦めて、
部屋がびりびりと振動するのを感じながら、自分が殴られたように縮こまった。
やがてそっと目を開けると、そこには意外な光景があった。


 てっきり無残に倒れ込んでいると思われた若い男の方は、さっきと変わらない位置に
立っており、自分にのしかかっていた大きい男が、視界から消えていた。杏菜が顔を
動かすと、何とその男の方が、弾き飛ばされ部屋の壁に衝突したようで、体を
くの字に折り畳んで床に突っ伏している。

 何が起こったのかしばらくわからなかったが、杏菜が目の前の状況を整理している間に、
若い男は杏菜をまたいでいき、慣れた手つきで部屋の奥をあさりだした。呆気に取られていると、
男は棚の中から金貨と思わしき貨幣を発見したようで、それを懐にすかさずしまい込んだ。
頭の男は、気絶しているのか動かない。

 杏菜が男の行動を目で追いかけていると、部屋の入り口から「あのう……」とおずおずと声がし、
小柄な老婆が中の様子を覗き込んできた。男は振り返って老婆に歩み寄り、こう言った。
510その8:2006/11/09(木) 05:16:38 ID:A3JtWcZ3
 
「お目当ての奴ならそこに倒れてるぜ、ほら、お探しのもんはこれだ」
 そう言いじゃらじゃらと何かが詰まった袋を老婆の手の上に置いた。察するに、男が懐にしまったの
とは別の金貨の袋のようである。
老婆はみるみるうちに安堵の表情になり、男に向かって、有難うございます有難うございますと
何度も頭を下げている。

「これで仕事は終了だ、そういうことでいいな」
「は、はい、本当に、あの時村にあんた様が通りかかってくれんかったら、村人一同破滅でしたです。
有難うございます」

 平身低頭で礼を述べる老婆に、男はもういいから早く出て行ったほうがいい、と言い、老婆は
もう一度お辞儀をすると、素直によたよたと廊下を戻って去っていった。それを見届けた男は、
改めて杏菜のほうに向き直り、杏菜の一糸纏わない全身をじろじろと観察した。

 このまま行ってしまわれるのではないかという不安が脳をよぎったが、男は無言で杏菜の傍に
よって来て、手を縛る布を外してくれた。思わず口からほっと息が漏れ、杏菜は男に礼を述べた。

「どうもありがとう………」
「お前、マヨイか」
 男は素っ気無く訊いた。杏菜は頷いた。
 間近で見れば、男は非常に美しい相貌をしていた。鼻が一筋すっと伸びており、
瞳の色は薄い茶色で、女みたいに長い睫毛は、上下するたびに音を立てそうだった。
無造作な黒髪が、整った顔つきに野性味を加えており、そのアンバランスさが魅力を
最大限に引き出している。杏菜は少しの間その端整な容姿に見惚れていたが、やがて
自分が裸なことを思い出してあわてて俯いた。

 男は自分のマントを取ると、杏菜の肩にかけた。ふわりと薄い布が体を隠してくれ、
杏菜はまたありがとう、と言った。それには答えず、じゃあな、と短く言って立ち上がると、
男は部屋を出ようとした。

「ま、待って」
 杏菜は引き止めた。男は顔だけで杏菜を振り返る。
「お願い、私、行くところがないの。一緒に連れてって」

 男は、その願い出にしばらく返事をせず、黙って杏菜の顔を眺めている。
杏菜は自分がすごく図々しいことを言った気がしてきて、後ろめたそうに
身を小さくしながらも、二つの瞳で真っ直ぐに男の眼を覗き込み続けた。
この世界で、今この人に取り残されてしまえば、もうあとは本当に
何の救いも訪れない予感がしていた。

 やがて男は口を開いた。よく通る、透き通った声だった。
「なら勝手についてこい」
 そうして、さっさと背中を向けて歩き出した。杏菜は嬉しさに顔いっぱいで
微笑み、素早く立ち上がると男の後についていった。頭の大男は、二人が通り過ぎても、
まだ目を覚まさずにその場に沈んだままだった。
511その9:2006/11/09(木) 05:20:08 ID:A3JtWcZ3
 
 部屋を出ると、入ったときとは比べ物にならないほど室内は荒れており、そこら中に壊れた物の
残骸が飛び散り壁には穴が開いている。
見張りの男は、顔面に殴られた跡をくっきり残し、眠るように気絶している。杏菜は呆れてそれを
見ながら、前を歩く男に言った。

「これ全部あなたがしたの」
「ああ、仕事だったからな」
「仕事?」
 見る影もなくなった根城を後にすると、男は杏菜を街の反対側に連れて行った。その道すがら、
簡単に説明した。

「俺はああやって賞金首の奴らをぶっ倒して日銭を稼いでる。たまたまある村を通りかかると、
あいつらが村中の金品を奪って行ったあとで、そこであの野盗を退治して金を奪い返すように
頼まれたんだ」
 ま、くだらない仕事だったけどな、と付け加える男に、杏菜は名を尋ねた。
「助けてくれてどうもありがとう、貴方は何て言うの?」「俺は、レリィだ」

 杏菜はレリィ、と口の中で反復しながら、内心女の子みたいな名前だと思った。
この世界にそういう価値観があるのかは不明なので何とも言えないのだが。

 レリィのほうは、杏菜に何も訊かないので、杏菜は他に何を尋ねて良いのかも
わからず、ただ広い背中を追いかけ続けた。やがて質素な宿屋に到着し、杏菜は
風呂にありつくことが出来た。ここでの日没は判りづらいが、すでに時刻は夜になったようである。

 そこの浴室は、杏菜の認識でいう露天風呂だった。周りは石で囲まれ、中からは
白い湯気がゆらゆらと昇り大気に溶け込んでいる。杏菜はここに来てから初めての
歓喜という感情をくっきりと感じ、大喜びで湯船に足を入れた。つま先から這い上がってくる
熱い湯の流動する感触に、じわじわと感動し、口元から笑みがこぼれる。

 男に嬲られた肌をゆっくりと湯の中に沈め、念入りに体を洗った。手入れを怠
ったことのない髪を、丁寧に梳きながら砂を落とす。生まれ変わったぐらいの清爽な気分で、
杏菜は肩まで湯に浸かったまま、思い切り手足を伸ばした。視界まで開けてくる気がした。

 湯気の立つ前方を眺めていると、ふと、その中で灰色の影が動いた。影はざぶざぶと
湯を蹴り、杏菜に近寄ってくる。そこから姿を現したのは、自分と同じで衣服を取り去った
レリィだった。

「何だ、お前もいたのか」
 何気ない声で言われ、杏菜は拍子抜けした。が、異性にこの場所で鉢合わせするのは、
あんなことがあった直後でも、大変なことには違いないので、咄嗟に腕で大事なところを
覆って体を後ろへ向けた。
「ち、近寄らないでっ」
「何でだ? さっきまで裸でいたくせに、今さら恥ずかしいのか」
512その10:2006/11/09(木) 05:22:42 ID:A3JtWcZ3

 無神経に言い放ち、レリィは無遠慮に距離を詰めてくる。杏菜は泣きそうになり、自身を抱きしめたまま
声を荒げようとしたが、突如体の奥底から湧き出てきた異常な感覚に、一斉に神経が集中した。どくん、どくんと
心臓が早鐘みたいに鳴り乱れ、体中の毛穴が開き、血流が逆向きになって流れ出したように全身が
落ち着かなくなって、意思とは関係なく震えだす。

「あ………な、何、これっ」
 うわ言みたいに口に出すと、無意識に立ち上がり、二、三歩よろめいた。ふらふらと湯船から這い出す
杏菜を見て、レリィは全く表情を変えず、ごく当たり前の口調で「あ、変化が始まったか」と呟いた。

 杏菜は体を震わせたまま、ゆっくりとレリィを振り返った。
「へ、変……化?」
 レリィは自分には関係ないといった様子で、肩を竦める。
「『マヨイ』は、最初はみんな、ここの奴らと同じ普通のナリをしてるんだが、ここに来て数日の間に
必ず『変化』して、それぞれ奇天烈な外見に変身するんだ。だから、マヨイと普通の人間との区別はすぐにつくのさ」

 そうか。そういう意味だったのか。杏菜は湯船を出たところで地面に膝を着きながら、その説明を冷静に受け止め、
やっと「マヨイ」という言葉の意味を理解した。見世物小屋。売り飛ばす。あの野盗の男の言っていたことの切れ切れが、
一筋の輪になって繋がった。つまり、ここに迷い込んだ人間は、そういう運命にあるのだ。

「あ――」
 ぜいぜいと息を吸い込むと、開いた口から喘ぎ声が漏れた。身体の真ん中から泡立ってきて、全身の血が、
何か別の液体に姿を変える。子供のようにその場にうずくまり、自分が何者かに変化する恐怖を感じていると、
世界が回り出したみたいに不安定に視界がぐらついた。

 変わる、変わる、私が変わる――
 頭の奥でひたすら叫び声を聞き続け、目を閉じることもできず見開いていると、突然重しが除けられたみたいに
ふっと身体が楽になった。

 嵐が過ぎ去ったような感覚で、頼りない足元で立ち上がり、湯船に映った自身の姿を見れば――
 そこには。

「な、何これっ?」

 杏菜が素っ頓狂な声を上げると同時に、レリィは湯船から出てきて、杏菜の隣に立った。
「おお、それが変化した姿か。なかなか様になってるじゃないか」
513その11:2006/11/09(木) 05:25:43 ID:A3JtWcZ3

 裸のまま脇により、戸惑う杏菜に揶揄する目線を送る。
 杏菜の頭からは、ピンク色の二つの耳が三角に突き出し、それと同じ色の尻尾が尻の上側に生えている。
それは、杏菜の世界で言う、猫のものにそっくりだった。杏菜は口に手をあて、体をひねって自分の全身を見下ろした。

「や、やだぁ、こんなのっ」
 激しく狼狽する杏菜の内腿を、柔らかい毛が撫でた。意識しなくても耳はぴょこぴょこと動き、尻尾は自由自在にくねった。
ある程度は自分の思い通りに動かせ、また感情の起伏に合わせて、勝手に反応するようである。

 はははははは、とレリィは大きな声で笑った。その快活な笑い声は、すっかり黒く塗り潰された天空に吸い込まれていった。
それがあまりに遠慮ない様子なので、杏菜は頬を膨らませながら意見した。

「そんなに笑わないでよっ」
「いや、悪い。俺もマヨイが変化したのは何度か見たことあるが、お前みたいに、変化のあった直後に元気よくわめいたり、
ころころ表情を変えたりしてる奴は初めてだったんでな」

 目力の強い双眸を細めて、レリィは楽しげにそう言う。杏菜は拗ねて唇を突き出し、首を後ろに回して自分の尻尾を
じっくりと観察した。ふわふわした毛に覆われたそれは、手で握ってみるとほんのりと温かく、生き物であるかのように
脈打っている。

 強くて手に力を込めると、ちゃんと骨も通っているのが確認できた。次は、湯船の中の自分と目を合わせながら、
ぱたぱたとはためく耳を触ってみる。指が触れると、最初は別の人に触られた感じで大きく反応したが、
次第に耳と尻尾が自分の一部として一体化していくのがわかった。

 それらが生えた以外は、特に変わったところはない。杏菜はほっと息をつきながら、湯に映し出された
自分の顔を安堵の目で見つめた。

「へぇ、よく動くんだな」
 不意にレリィがその大きな手で、無造作に尻尾を握った。杏菜は思わずびくっと身を竦めた。
背筋を指でなぞられた時と似た、ぞわぞわとした感じが這い上がってきて、
「何するのっ」と甲高い声を出してしまった。

 レリィは尻尾をしごくようにして、手を上下させた。内部の骨に指を当て撫でられる独特の感触があり、
杏菜はその場にへたり込みそうになった。異物感と同時に果てしなく蕩けるような、感じたことのないものが
体の中心を刺激する。レリィはそれを見透かしたように、先ほどとは違った感じで目を細めた。

「ふふ、なかなか毛並みのいい獣だ……」
 低い声で言い、杏菜の顔を自分の方へ引き寄せた。いとも簡単に顔と顔が触れ合い、唇が繋がれた。
杏菜が一瞬のことで何もできずにいると、そのまま杏菜の細い体躯を、後ろから羽交い絞めにするように抱き寄せた。

「んっ、ふっ」
 レリィは慣れた舌つきで杏菜の舌を絡め取ると、無遠慮に弄った。苦しげに声を出す杏菜の口内に、レリィは
自分の舌を躊躇いなく擦り付けていく。いやらしい肉の皿が動きを止め、そっと離れた時には、その間と間を、
透明な唾液の雫が一筋垂れた。
514その12:2006/11/09(木) 05:46:17 ID:A3JtWcZ3
 
「な、なに………するの………?」
 杏菜は子供みたいに一言訊いた。レリィは脇の下に手を差し込んできて、背中に回ったまま
自分の体の自由を封じている。頑丈な手の一方が、ほどよい大きさの胸に当てられ、もう一方で
滑らかな肌の感触を味わうレリィを、問いかける目で見つめると、彼はあっさりと言った。

「マヨイは、最初に拾った奴のもんだが、そいつを倒した奴に所有権は移動するんだ。だからお前は
俺の物だ、つまり何をしようと俺の自由だ」
「な……なんで、あなたは………」
 ぐるぐると混乱する頭で、舌たらずに言葉を発する。ふふ、と残虐に口の端を上げてレリィは笑う。

「俺はそこらへんの女を強姦する趣味はないがな。こうして立派な人外に化けたお前を見てたら、
無性に犯したくなってきた」

 ほら、どうだ? とレリィは、目のすぐ下で脅えたように小刻みに動く杏菜の耳を掴んで
引っ張った。杏菜は堪えきれずに眉に皴を寄せた。何ともいえない感じが、体中を震わせる。
尻尾が勝手に動き、杏菜の足の間をくぐって、膝下へ巻きついた。その先端はレリィの
ふくらはぎを撫でている。毛玉が当たったみたいな感触に、レリィは気持ちよさそうな目をした。

「はは、面白いぐらい動くな、この動物の耳も尻尾も」
 笑いながら、さらにくいくいと耳を弄ぶ。杏菜は耐えられず悲願した。
「や、やだそれ、放してよっ」

 放してよぅ、ともう一度言う。じっとしておこうと思うのに、尻尾は杏菜が脅えたり
身を震わせたりするのに合わせて活発に動き、そこら中をくねりまわる。その様子に
珍しそうな目線を注ぎながら、レリィは女を口説く時の顔に戻って、杏菜の顔の横に
ついているほうの耳に口を近づけ息を吹きかけた。びくん、と素直に体が波打つ。

「ふぁっ」
「こっちの耳も、気持ちいいか」
 大人の男の声を出し、レリィは戸惑いを隠せない杏菜の顔を横目で見つつ、耳たぶに
舌をかすらせた。初めて受ける愛撫に、杏菜は片方の目をきつく瞑った。それを余裕のある
態度で観賞しながら、レリィはさらに己の舌を杏菜の耳の中にくぐらせる。鼓膜の傍に
直接熱い吐息が入り込んできて、なまめかしい動きが縦横無尽に狭い穴を這いまわった。

「やだっ、やめてよっ……」
 弱弱しく杏菜は訴えた。自分ではもっと毅然とした声を出したいのに、思うようにできない。
尻尾が陸に上がった魚が跳ねるようにぴくぴくと震え、レリィの足にいちいち当たった。
515その13:2006/11/09(木) 05:49:02 ID:A3JtWcZ3

「はは、正直だな」
「っ、嫌だ、放してっ……放せっ……」
「そんな汚い言葉を使う子はお仕置きだ」
 言うなり、再び杏菜の口を唇で塞ぐ。ふぅっ、と息の塊が、レリィの口の中へ吐き出された。

 レリィは混ざり合う唾液を、音を立てて飲み込みながら、杏菜の脚の間に指を伸ばした。
杏菜は否応なしに身を固くするが、レリィは構わずに長い中指を閉じた割れ目に沈み込ませ、
他の指全体で花弁を撫でた。

「うぁっ、やだっ、やだぁっ」
「ここは変化してないのか、なかなか味な変身をするじゃないか」
 一人でそう言って笑うと、そのまま手を上に移動させ、黒い茂みに埋めた。揉むしだくようにして
細い毛の感触を楽しみつつ、耳元で杏菜に囁いた。

「可愛いぜ、尻尾の毛がピンクなのに、ここは黒いのが面白い」
 杏菜は羞恥に耳まで真っ赤に染めた。レリィはまた杏菜の閉じた花弁に、自分の指の腹を当てると、
何度も往復させた。ざらついた指が大事な部分に容赦なく擦り付けられ、杏菜は息を呑んだ。
快楽とも嫌悪ともつかないものが混ざって溶け合い、華奢な全身が小動物のように細かく震える。
やがて指の先を花弁の中へ埋めると、レリィはぬめった内部をぐちゃぐちゃと掻き回した。

「んぁっ、やぁっ」
 思わず声を上げる杏菜を楽しげに見下ろしたまま、レリィはおもむろに指を引き抜くと、
どこに目当てのものがあるのか完全に見知った風に、そのまま指を上へ滑らせた。ふっくらと
盛り上がった花弁の周辺を、押すようにして揉み、花びらを上へ引き上げる。すると指先に
豆粒状の突起が触れ、レリィは目だけで笑うと、肉の鞘に包まれたそれを、指で掻き分けて
剥き出しにした。その小さな芽をいやらしい手つきで弄られたら、
杏菜は嬌声に近い物憂い声を出すしかなかった。

「いやっ、あっ、あっ、はぁっ……」
「どうだ、いい気持ちだろう」
「くあっ、あぁんっ、そ、そんな、こと、ないっ……」
 苦しげに、レリィの腕の中で体をびくつかせる。ぴーんと、糸が張ったみたいに尻尾が
真っ直ぐになり、それをレリィは自分の手の中に収めた。短い細かい毛が生えているのを、
愛らしげに眺めてそっと撫でる。そのまま杏菜の体の前に手を持っていき、杏菜の敏感に
なっている部分へ、それをぐいと押し当て前後に滑らせる。にぁっ、と子猫のような声が
杏菜の喉から飛び出てきた。

516その14:2006/11/09(木) 05:51:16 ID:A3JtWcZ3

「にゃっ、ああぁっ、ふぁっ」
 自分自身の一部が、花弁に擦りついてくる、その柔らかい淫靡な感触に杏菜はすすり泣くみたいに鳴き声を上げる。
ケバ立った毛が花びらの外側を繊細に撫でるのは、無骨な指が暴れるのとはまた違った悦楽があった。
にぁにぁと杏菜が猫の声を出すのを、レリィは完全に動物を見る目をして、優しげに微笑み、杏菜の肢体を片方の手で
弄りながら、首筋に顔を近づけて舌をなぞらせた。

「はぁんっ」
 生温かくぬらりとした感触が、鎖骨の裏側をかすり、そのまま体中に広がっていく。レリィは尻尾から手を放すと、
杏菜の太腿を下側からがっしり掴んで、ぐいと横に引き上げた。もう一方の手は丸い乳房を揉んでいる。杏菜は、
屈強な力で自由を奪われているため、抵抗することもできず、されるままにされた。

 レリィは立ったままの体勢で、杏菜の脚の間に自分のものをあてがい、杏菜の体を下ろすようにして、花弁に深く沈める。
「っ、ひぁっ、いっ、ぁっ」
 杏菜は顔を歪めて、手をばたつかせた。だがレリィは細い矮躯を捕まえたまま、さらに後ろから体を密着させ、
ずぶずぶと根元まで杏菜の中に自分自身を埋めた。杏菜の足はがくがくと震え、体の中心に走る激痛に、その場に
立っていられなくなる。

「やだっ、いあぁっ、いた、いたいっ、いたぁっ」
 つま先が宙に浮き、杏菜は持ち上げられた格好で、レリィの腕を振り解くようにして全身を激しくよじらせる。
だがいくら嫌がって暴れようとも逃げ出すこともできず、レリィは動じない様子で「何だ、初めてか」と呟いている。
杏菜は思考の追いつかない頭で、たどたどしく首を下に振る。

「お願い、いぁっ、つっ、放して、放してぇっ」
 頭の上に二つ突き出した猫の耳は、びくびくと細かく震えながら前に折れている。尻尾は下にぶらんと垂れ下がって、
末期の動きを繰り返す芋虫みたいに、元気なく宙をうねる。

 レリィが杏菜を突き上げると、杏菜の意思に関係なくびくんと尻尾は後ろに揺れた。杏菜は懇願する瞳で、
レリィを見上げた。その表情を、鼻先を突っつけるようにしてじっと見つめながら、レリィは冷酷に口の端を上げて
ふっと笑った。

「人間のお願いなら聞いてやらないこともないが」
 そう言い、とめどなく涙を零した杏菜の頬をぺろりと舐めた。杏菜は眉間を険しくしたまま、鼻をすする。
「お前はけだものだからな」
 素っ気無い言葉に、杏菜は、ちがうっ、と哀れな声で反抗する。
517その15:2006/11/09(木) 05:52:43 ID:A3JtWcZ3

「私は人間よ、私はっ」
「いいや、違うね。お前は単なる俺のペットだ。人間様のすることを嫌がるなんて、とんでもない我侭だ」
 こう言い放ったレリィの瞳は、爬虫類みたいに感情を宿さない様であり、またぎらぎらと氷の下で炎が
燃えているようでもある。

「っぁっ、あぁっ」
 子供のように泣く杏菜の尻尾をレリィは手に取り、あやすみたいに愛撫した。しかし、柔かい表情とは裏腹に、
腰を容赦なく突き動かし続けながらである。レリィは尻尾の先端を二人の繋ぎ目に近づけると、杏菜を貫いている
肉棒に、頼りないふわふわとした毛をぽんぽんと当てた。

「っ、んっ」
 思いがけない感触に、レリィは髪の匂いを嗅ぐように杏菜の頭に顔を埋めたまま、杏菜の中に自分の熱い濁りを
ぶちまけた。杏菜は、人形の糸が切れたみたいに、その場に崩れ落ちた。目を細めて、肩で息をする。

 地面に垂れた尻尾は、蛇がうねる要領で弛張を繰り返している。耳はすっかり前に倒れ、微かに震えるだけである。
レリィはかがみこむ杏菜の背後から、その耳に舌をつけて舐め、先端を唇で咥えた。ふぁんっ、と杏菜は痛みも忘れて
大声を出す。

 杏菜の耳を噛みながら、レリィは面白そうな目で、その様子を楽しんだ。杏菜は、陵辱された苦痛が残る中で、
それ以上の甘美な感覚に、眉間に皺をつくって戸惑うように息を荒げた。
「気持ちいいのか?」
「っ、はっ、へ、変な……感じ……」

 無意識に答える。じゃあこっちはどうかな、と言い、レリィは杏菜のくねくねした尻尾を握った。指先をわずかに
動かしながら、力強くしごいていく。「ふぁっ、にゃ、にぁぅっ」と杏菜は嬌声を上げた。レリィの指が弾くようにして
尻尾を撫でるたびに、言葉に言い表しがたい渦が体の中に巻き起こる感じだった。

「にぁ、にぁんっ」
 レリィの手の中で、尻尾は喜んでいるみたいに、勢い良くうねる。頭の上の耳は息を吹きかけられると、ばたばたと
強く反応した。レリィは単なる人間の娘を犯すのとはまた違った感情を宿した瞳で、可愛い猫だ、と呟いた。

「にゃぁん?」
「よし、じゃあ、四つんばいになれ」
「ど、どうして?」
「獣にはその格好が一番ぴったりだからだ」
 横柄に言い放ち、レリィは杏菜の前に立ちはだかると、困惑した眼前に自分のものを突き出した。杏菜は息を呑んだ。
518その16:2006/11/09(木) 05:55:08 ID:A3JtWcZ3

「どうした? 舐めろ、お前の仕事だ」
 どこかで聞いた台詞を吐き出すレリィに、杏菜は反抗する。「嫌よ、いやっ、どうして私が」
「どうしてだと? お前は人間以下のけだものなんだぞ、拒絶なんか許されると思ってるのか。
偉そうに」

 そう言うなり、杏菜の鼻先にぐいっと天を仰ぐ男根を突きつける。思わず目を瞑る杏菜の頬に、
ぺちぺちと生温かいものが押し当てられる。やだっ、と短く言うと、レリィは恐ろしく冷たい目をして
杏菜を睨みつけた。

「や、やだ……」
「いやだ、とは大きくでたもんだな。嫌だの嫌じゃないの、そんな要求は対等な人間同士がするもんで
あって、単なるペットのお前にそんな権利はない」

 何気なく残酷な言葉を放ち、レリィは誇示するみたいに自分のものを杏菜の目の前にちらつかせる。
杏菜が目を逸らそうとすると、髪の生え際を野蛮な手つきで掴み上げられ、観念しておそるおそる
唇を開くしかなかった。半分ほど開いた口に、一気に凶暴な棒は入り込んでくる。

「んぅっ、んんっ、くぅっ」
 レリィはさらに根元まで口の中へ押し込むようにして、杏菜の小さな頭を手の平で固定した。
杏菜は地面に手をつき、もう片方の手はレリィの尻の後ろに回す。レリィのものに透明な唾液が
ねっとりと絡みつき、湿った柔かい感触が這い回った。

「上手だ、いいぞ」
 満足げにレリィは言った。杏菜は喜ぶわけにもいかずに、涙を滲ませ苦しげに吐息を
漏らしていると、やがて喉に熱い塊りがぶつかった。それでもレリィが口の中のものを
引き抜かないので、そのままそれを奥へ滑らせるしかなかった。

「んっ、ぅっ」
 ごくん、と音を立てて、杏菜の細い喉が上下し、胃の中にレリィの吐き出した欲望を
流し込む。レリィがゆっくりと腰を引くと、肉棒の先端と杏菜の舌の先の間に、つぅっと
一筋の糸が出来た。

 杏菜の目がだんだん焦点を失ってきたのを愉しげに眺め、レリィは四つんばいになったままの
杏菜の後ろへ回った。無防備に空気に晒された白い臀部を、円を描く手つきで撫でる。不意に
ざらついた指が初心な肌をなぞり、杏菜は大きく体を震わせた。ピンク色の尻尾が跳ねるように動き、
レリィの腰の裏側に擦り付けられた。

「ふふ、相変わらず元気がいいな」
 柔らかい毛の感触に目を細めながら、レリィは目の前でしなやかにくねる尻尾を根元から捕まえた。
「にゃぁぁっ」

 嫌がるとも喜ぶともつかない声が杏菜の喉から搾り出され、尻尾は逃げ出すようにしてレリィの
手の中で暴れる。レリィはその反応が気に入ったのか、しばらく尻尾の先端がばたばたと虚空を
切るのを嬉しそうに見た。

「さて」
 ふとレリィは言い、片手に持った尻尾をぐいと上に引き上げる。隠すものもなく、杏菜の花弁が
露わになった。もう一方の手で尻を掴み、レリィは自分の肉棒をそこへゆっくりと挿しいれた。
閉じた花びらが無理矢理開かれ、ぐぐっ、と窮屈な道を熱いものが割って入っていく。
杏菜は身をよじらせた。
519その17:2006/11/09(木) 05:57:25 ID:A3JtWcZ3

「んぁっ、にゃっ、ぬい、抜いてぇっ」
「駄目だ」
 短く答え、レリィはますます深く腰を杏菜の内部に沈めた。しっとりとした柔らかい感触が自身のものを
包み込み、それはレリィを押し返すようにひくひくと伸縮する。

「うぁっ、あんっ、にゃぁあ……」
 杏菜は下を向き、地面を掻き毟るみたいにしてぎゅっと指を握り、懸命に耐える。レリィは腰を前に
突き出してはそっと引く動きを繰り返しながら、握った尻尾を丁寧にしごいた。はぁ、にゃあんっ、と
杏菜は高い声で鳴いた。
「やっぱり、猫は猫だな……」
「にぁ、あっ」

 からかわれても言い返すことが出来ず、尻尾が愛撫される心地よさと、火傷するほど熱い棒が自分の
奥を突いては戻る慣れない感覚に、杏菜は細い肢体をくねらせた。白い背中が浮き上がり、闇の中に
にゃあんっ、と猫のようであり人間のものでもある甘い声が細々と流れ続ける。レリィが緩急をつけた
動きを繰り出していると、だんだん杏菜に変化が訪れてきた。花弁の内側に硬い肉棒を擦り付け、内部を
深いところまでえぐるたびに、じわりとぬめった汁が湧き出してきて、少しずつレリィのものに絡みついた。
粘膜のぶつかる水っぽい音が辺り中に響き、レリィは口の端を上げて低い声を出す。

「滑りが良くなってきたな」
「にぁっ、ぁっ」
「初めてを犯した男に、後ろから貫かれて、喜んで応えるなんて、やっぱりお前は人間じゃない、
いやらしいケダモノだ」
「ちぁっ、ちがうっ、にゃぁっ、んっ」
「違う? 違うんなら、この溢れ出てくる蜜は何だ。おしっこか?」
 レリィは結合部に指をくぐらせた。透明な温かい液体がしっかり絡みついた。

「ふぁっ、にゃ、わかんにゃっ、いっ」
「そうだろう、お前は単なる人間以下の動物だからだ。何もわかるわけないんだ」
「そんなこと、な、あっ、ぁぁっ」
「そんなこと、なんだ? 言いたいなら言ってみろ、言えないだろう、言えるわけないんだ。
人間の言葉なんてわからないだろう」
 意地悪に吐き捨てて、下から突き上げた。杏菜はびくんと素直に身体をよじらせる。

「ふぁっ、にゃあんっ」
「悔しいなら何か喋ってみろ」
「あ……あっ、にゃっ、にぁんっ」
 途中で深く中を刺激されながら、杏菜はたどたどしく喘ぐ。レリィは口を歪ませて笑う。
「ほら、人間の言葉なんて使えない、お前は単なるメスネコだ」
520その18:2006/11/09(木) 05:58:47 ID:A3JtWcZ3

 否定したくても出来ず、杏菜は頭が次第に霞がかっていくのを他人事のように感じ、短い声を切なげに上げる。
レリィはペットを見下ろす視線で杏菜を眺め、尻尾を放した。解放された尻尾は、杏菜の体が快楽を受け入れるのに
合わせて、びくんと張ったり、根元から振れたりした。その先っぽがレリィの胸の中に飛び込むと、細い毛がレリィの
固い胸元をなぞるみたいに撫で、乳首の辺りに何度も触れる。思わずにまりとしてしまうような独特の感触が、一定の
間隔でこすりつけられる。見れば杏菜の耳はびくびくと、いかにも堪えきれないという風に揺れている。

「そういえば、お前の名前は何ていった?」
 唐突に尋ねられ、杏菜は呂律が回らない舌を必死に動かして答えた。
「あっ、あん、にぃやっ、なっ」
「にぃな?」
 レリィは自分の体の上で躍っている尻尾を手のひらでこするように弄びながら、訊き返した。
「ちがっ、わ、わたしは、あんっ、にゃなっ」
「そうか、ニィナか」

 誤解したまま納得するレリィに、訂正する言葉を持たず、杏菜は体の底から何かが昇りつめてくるのをうっすらと
感じ、ひたすら喘ぎ続ける。「ニィナ、お前は今日から俺のペットだ。わかったな」そう言われ、杏菜はがくがくと
頷いた。

 満足げに笑い、レリィは杏菜の身体を引き寄せるとありったけの力を込めて突き入れた。
「ふぁっ、にゃぁああんっ」

 口を限界まで開き、杏菜は小さな爪で地面を引っ掻いた。レリィが杏菜の尻尾を強く握ると、杏菜は耐えられずに
一気に昇りきった。一段ときつく締め付けられ、レリィも後を追うようにして、熱いものを杏菜の中に発した。レリィが
手を放すと、杏菜の体はずるずると滑り落ち、地面にべったりと臥せた。波のように全身が上下する。

 脚の間からは白いものがつたって、腿に流れており、尻尾はゆっくりと中空に弧を描いている。頭の上の耳は、ぱたぱたと
前後へはためいている。
 ニィナ、と名づけられた、もとは杏菜だったものは、初めて達した余韻を噛み締めるように、横になってぐったりと尻尾を
振り続けた。その真ん中をレリィは捕まえ、感触を楽しみながら指の中で弄ぶ。

「ニィナ、なかなかいい名前だ。おい、これからは俺の言うことをちゃんと聞くんだぞ、わかったか」
 脇にかがんでそう言うと、杏菜(ニィナ)の髪に指を指し、そっと撫でた。杏菜(ニィナ)は気だるそうに瞳を動かし、
レリィの茶色の目を覗きこんで、ゆっくりと、だが確実に頷いた。レリィは満足げに笑むと、「よし、まずは――」と
形の良い唇を動かして言う。
521その19:2006/11/09(木) 06:00:03 ID:A3JtWcZ3

 そして視界はぶれ、暗闇の中に砂嵐が走り、杏菜は深い眠りの中に引きずられるようにして意識を落とした。
 そっと目を開けると、見慣れた自分の部屋だった。ベッドの上で、きちんと服を着て寝ていた。

 杏菜はおもむろに身体を起こすと、本当に自分の体が確かめるように、全身を手のひらで触った。どれほど疑って
確認しようと、今朝と全く変わりのない杏菜であり、腕にも脚にも傷一つない。あの時男に剥ぎ取られた制服はどこも
破れた箇所すらなく、紺色のソックスが少し捲くれているだけで、スカートもブラウスも普段通りだった。ローファーは
履いていなかった。

 妙に白けた気分で、あそこでの体験を一つずつ思い返す。夢とも思えなかったが、何一つ確かめようのないことだった。
あの砂だらけの大地の固さ、野盗の根城の酸い臭い、処女喪失の痛み、大きな手が全身を這い回る感触、どれもありありと
浮かんでくるが、それも全て夢の見せた、虚構の出来事だったのだろうか。

 釈然としない気持ちで、ベッドから起き上がろうとすると、ずきんと鮮烈な異物感が股間に走った。今も何かが膣内に
突き刺さっているみたいな感じがする。
 ああ、夢じゃない、と杏菜は息をついた。すると、淋しい気分が無性に湧き上がってきた。もうあそこには戻れないのだろうか。
部屋の壁にかかった時計を見つめて、杏菜は自分でも予期しなかった虚無感を噛み締めた。

 ふと最後に聞き取れたレリィの言葉を思い出した。
 まずは、首輪をつけなきゃな。首輪。首輪。
 自分があの人のものだと証明する、一番の目印。首輪、買ってくれるって言ったわよね、と杏菜は心中で何度も呟いた。

 そしたらだんだんと胸の底から温かくなって、わくわくしてきた。まだ首輪をもらってないってことは、もう一度あそこにいけるんだ。
またレリィに会えると思うと、本当に嬉しくなった。

 あそこでは杏菜は杏菜じゃなくてニィナになって、人間ですらない、一匹の動物に成り下がる。
好きなだけ己の獣を解放していいんだ。それを受け止めてくれる人がいるのだから。
 杏菜は自分の首に、分厚い首輪が窮屈にきらめくのを想像しながら、満ち足りた気分で部屋から出て行った。

【END】
522あとがき:2006/11/09(木) 06:09:00 ID:A3JtWcZ3
投下終了です。途中、改行に失敗して行が長くて見づらい箇所がありますが、
本当にすみません。
改めて見直したら、こりゃ自己満足の駄文だな・・。エロは薄いしで。

とりあえずは精一杯書きましたんで、よければ読んでやってください。
このスレの皆さんに感謝を込めて。
523名無しさん@ピンキー:2006/11/09(木) 13:43:20 ID:Vc5GRHrD
いや、濃すぎるぐらいにエロいのでグッジョブ。
むしろ自己批判が萎える。
524投下者:2006/11/09(木) 20:51:06 ID:A3JtWcZ3
>>523
おお・・・、何とありがたいお言葉が!
長文を垂れ流して心臓バクドキだったのですが、そう言ってもらえてありがたや。

今後は余計な付け足しは控えます。そんじゃ!
525名無しさん@ピンキー:2006/11/10(金) 01:08:38 ID:ldfJubtU
陵辱じみてるのがなんだかなあ。
もう少し詳しい事前注意を入れて欲しかった。
悪くはなかったから一応GJ。
526キュンキュン ◆4hcHBs40RQ :2006/11/10(金) 21:43:46 ID:ghk15/fG
孕ませ/種付/受精/妊娠/妊婦/出産/HRネタ総合【4】 スレ
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1161058172/

にて、化け猫との絡みを投下しました。
元々ここに投下するために書いた物ではありますが
孕ませ要素がやや少ないといえど存在していたため、向こうに落としました。
よろしければどうぞ読んでやってください。

いつぞや書いたドラゴン娘は、気が向いたら続きを書きます。
527名無しさん@ピンキー:2006/11/11(土) 13:12:06 ID:uG3DI0lS
どいつもこいつもわかってねぇ!
猫は気高い生き物だってオセロットも言ってるだろ!
飼い主なんか暖かい肉の棒か下僕くらいにしか考えてないんだよ!





でもGJ
528名無しさん@ピンキー:2006/11/11(土) 19:34:03 ID:HY3NEb2D
隊長!!もう我慢できません!!









GJ!!
529名無しさん@ピンキー:2006/11/12(日) 01:25:04 ID:SjphUhm5
俺…死ねる…。







   G   J   
530名無しさん@ピンキー:2006/11/12(日) 01:48:40 ID:l/vEhhEi
GJ






スイマセン…つい。
531名無しさん@ピンキー:2006/11/13(月) 07:33:31 ID:NFK/hPA7
思わずベットの上を転げ回ってしまった。
ベットから落ちちゃたジャマイカ…










つまりは、それ位GJ!!
532名無しさん@ピンキー:2006/11/14(火) 00:06:28 ID:JseTci9w
つかお前等どの作品に対してのGJなんだ?








GJ
533名無しさん@ピンキー:2006/11/14(火) 19:23:27 ID:+DUjireW
作者さんのためにも、どの作品にGJかは明示したほうがいいと思ふ。






つーわけで>>ここ一連の投下 GJ
534名無しさん@ピンキー:2006/11/14(火) 23:45:24 ID:PXVWBZEr
コテのは微妙だな













二次としてならGJ
535名無しさん@ピンキー:2006/11/15(水) 07:47:02 ID:LYqhjwWz
>>534
あー・・・コテの椰子ね
最近あちこちのスレに投下して有名人気取ってるが
一連のスレ神とは格が違うと自覚無い痛い厨







だがいくらか空気読んでTXT投下にしたのはやや大人に(ry
536名無しさん@ピンキー:2006/11/15(水) 17:29:42 ID:sbsd+uZ9
投下してくれるだけいいでしょ
ここにはいないけど、SSも書かないし、無駄にAAはってる、
かなりとかいう糞コテなんかより遥かにましだ


それはそうと職人さんたちGJ!
537名無しさん@ピンキー:2006/11/15(水) 19:26:35 ID:Q90hthmC
そうやってどこの投下先でも些細な批判に反応する




自演乙!な厨でもあるよなW





古巣に居ついてりゃ0,000コンマは多めに見てもらえたのにW
すぐ他人と比較するとこなんかも特徴でてるぜYOU
538名無しさん@ピンキー:2006/11/15(水) 20:23:59 ID:TbC5dYsO
ここはギスギスしたインターネットですね
539名無しさん@ピンキー:2006/11/15(水) 21:02:58 ID:MOjHhMjo
勘違いしちゃいけねえ。ギスギスしてるのは場所じゃなくて人さ、いつだってな

そう、例えば>>535のような
540名無しさん@ピンキー:2006/11/15(水) 21:29:51 ID:GqltGRTv
アイリスさんマダー?
541名無しさん@ピンキー:2006/11/16(木) 03:53:19 ID:ZQWYtIgK
(´・ω・)
豆腐の無い湯豆腐が晩御飯でした。




((´;ω;))ウッ
542名無しさん@ピンキー:2006/11/16(木) 06:39:22 ID:F1+Hm0rO
オマエモナー

>>539

偉大なる言葉を贈ろう
 
          人の尻見て我が身をナオセ


コテでシチュスレ渡り歩いてついたレスより一部抜粋

>別スレでも使ってるコテハンだとそっちに気を取られて作品評価は二の次になりそうな予感。
>実際なっちゃってるし。
>個人的にはこの後どう転んでいくかで評価は決まりそうだが、今後もテキスト投下推奨。 

空気も読めない香具師に限って自己主張は激しいという典型例
543名無しさん@ピンキー:2006/11/16(木) 08:39:34 ID:ZBxFvAUH
尻を見るのか……。
544キュンキュン ◆4hcHBs40RQ :2006/11/16(木) 08:42:43 ID:IHDjiG3g
申し訳ありません。
おっしゃるとおりです。
私は空気が読めない厨でした。
スレ神との格の差もわきまえず、ただただ楽しんでもらいたくてSSを投下したとはいえ、配慮の足りない立ち居振る舞いをしてご不快な思いをさせて大変申し訳なく思っております。

今後、同じことを繰り返さないよう、今回のことを心に刻み、よい糧にさせていただきます。
545名無しさん@ピンキー:2006/11/16(木) 09:20:38 ID:bFbAJenw
バカにされているように感じるのは
俺の心がせまいからだろうな
546名無しさん@ピンキー:2006/11/16(木) 10:02:31 ID:ZBxFvAUH
>>544
そのレスも含めて下手な言質を取られないようにご注意。
隙あらば他人を貶めて自己満足に浸りたがるのは、人間の原始的佐賀にございます。
547名無しさん@ピンキー:2006/11/16(木) 11:10:06 ID:DJpu+CaU
それで結局>>528-532のレスはどの作品に対してのGJなの?
548名無しさん@ピンキー:2006/11/16(木) 11:20:44 ID:t9UBtPc8
クトゥルフ神話の話に出てくる魔法怪盗団の話ってどこにあるの?
549名無しさん@ピンキー:2006/11/16(木) 11:36:29 ID:EssZI+6g
>>545
いつの間にいたんだ、俺。
スルーしていくつもりだったんだが、こういうのを実際やってるのを見ちゃうとなあ

普通の住人もむかつくとは思わないのか('A`)
空気読めない奴だということは>544でよーくわかった。前のGJは取り消す

550名無しさん@ピンキー:2006/11/16(木) 11:49:27 ID:q5vOhsMS
>>544
挑発してるように見えるのは
俺の心が汚れちまってるからなんだろうな

>空気も読めない香具師に限って自己主張は激しいという典型例 
全くだ。やかましいコテほど煩わしいものは無い
551名無しさん@ピンキー:2006/11/16(木) 12:18:16 ID:CfKPkKwK
>>544 あんたヘタレ勇者の人?!だったらとっとと続き書けや
552名無しさん@ピンキー:2006/11/16(木) 13:03:29 ID:t9UBtPc8
みなさん僕の質問は華麗にスルーですね・・・orz
まとめに見当たらないので聞いたんですがまとめにあるんでしょうか?
553名無しさん@ピンキー:2006/11/16(木) 14:17:38 ID:Z4DHg0dd
>>551
いや、>>542を見ると明らかによそのスレからなんか混じってきてるだろ。
変なの連れてくるコテ職人にはこの際退場してもらいたい。
粘着厨引き連れたカリスマコテ職人は自サイトでも作って活動してくれまいか?
ただでさえ荒れやすいスレに火種の燃料投下はイラネ。
554名無しさん@ピンキー:2006/11/16(木) 14:39:31 ID:jEjlv0tI
悪いけどSSも    投下が無いよりはまし  という代物だったしね
このまま荒らされるなら>>553に同意
他にも職人さん来てくれてるし
555名無しさん@ピンキー:2006/11/16(木) 18:20:40 ID:jPXRR5+4
ヒント:IDが単発
556名無しさん@ピンキー:2006/11/16(木) 18:22:22 ID:afmzR5Zr
キュンキュン氏、あなたの作品を何時までも待つ
ファンの1人のNHK会員より
557名無しさん@ピンキー:2006/11/16(木) 18:59:17 ID:ZBxFvAUH
こんなにひどい自演は久々だぜジョニー。
558名無しさん@ピンキー:2006/11/16(木) 19:08:35 ID:QhXep+Mh
よくわからないけど、なんでこんなキュンキュン氏が叩かれてるの?
俺には普通に謝っている……まあ、謝る必要のないことを謝ってるけど、
ただ謝ってるだけにしか見えないんだが、なんでみんな叩いてるのさ?

粘着厨が沸くのは問題だろうけど、それはそもそもが粘着厨が悪いんであって、
キュンキュン氏は同情されこそはすれ、責められるいわれはないと思うんだが。
559名無しさん@ピンキー:2006/11/16(木) 20:54:41 ID:WCGbSvgi
実は妊娠 VS GK並みの攻防戦がこのスレで展開されているだけだよ
560名無しさん@ピンキー:2006/11/16(木) 21:04:51 ID:QhXep+Mh
なんだ、あのときの荒らしが個人叩きにうつっただけなのか。
アホらし。
561名無しさん@ピンキー:2006/11/16(木) 21:12:09 ID:jPXRR5+4
日付が変わりIDが変わった後また荒らし始めるに5000メリーサン
562名無しさん@ピンキー:2006/11/16(木) 21:23:50 ID:QM0P+ADp
いつもの人だったらまたしばらく出てこない。
563名無しさん@ピンキー:2006/11/16(木) 22:44:23 ID:irqgsMFd
挑発に感じるのはその人の心が歪んでいるから。
そんな裏ばかり勘繰って人生辛くない?
サラッと流せば治まるのに。
折角SS書いて投稿してくれてるんだから。
感想だけ書いて大人しくできないのか?
何時までも前の話持ち出すの止めとけ。
次やったら叩けばいいんだから。
564名無しさん@ピンキー:2006/11/16(木) 23:11:48 ID:t9UBtPc8
ひでぼんの書にでてくる魔法怪盗団の話ってどこにあるの?
565名無しさん@ピンキー:2006/11/16(木) 23:23:10 ID:NVmLrDw7
お前の心の中に
566名無しさん@ピンキー:2006/11/16(木) 23:36:04 ID:t9UBtPc8
まじで教えてほしいんですが
まとめにないんですか?
567名無しさん@ピンキー:2006/11/16(木) 23:46:29 ID:ZBxFvAUH
あるといえばあるし、ないといえばない。
568名無しさん@ピンキー:2006/11/16(木) 23:51:38 ID:DJpu+CaU
誰か投下したらこのギスギスも緩和されるよ
569名無しさん@ピンキー:2006/11/17(金) 00:06:06 ID:O6TX/rOL
>>567
???
どういうこと?
570名無しさん@ピンキー:2006/11/17(金) 00:21:44 ID:kPhF5QEe
ID:t9UBtPc8が書けばいいジャマイカ
571名無しさん@ピンキー:2006/11/17(金) 00:43:54 ID:qicLP+kx
荒らしと自演は2chの華
572名無しさん@ピンキー:2006/11/17(金) 03:03:49 ID:xgKUVBtP
小まめに流れを変えないとすぐに腐るけれどな。
573名無しさん@ピンキー:2006/11/17(金) 03:05:19 ID:aT8tcbgu
>>555
それを言ったら単発じゃないIDの方がはるかに少n(ry
叩きと擁護レスの時間帯がきれーに分かれてるのも不自然ジャマイカ

いやまあ、俺はいずれこうなると予想はしてたよ。 

このスレでなるとはやや予想外だったけどな
それだけ他所のスレで反感買う行為をしてきた結果だし
謝罪だってここの住人へじゃなく粘着に対する煽りだろ

謝る必要性も無いのに早朝からコテでわざわざレスするってのは不自然
そんな弱気な書き手だったら元から同一コテであちこちに出没するか?
このカオスな流れを見てほくそ笑んでるのは他ならぬ当人に違いない
よかったな、ここでは話題にしてもらえてW 
574名無しさん@ピンキー:2006/11/17(金) 03:44:18 ID:+O5X2d4K
(´・ω・`)誤爆
575名無しさん@ピンキー:2006/11/17(金) 04:49:01 ID:pFYN5tHv
576名無しさん@ピンキー:2006/11/17(金) 04:50:23 ID:R3AevTvK
>>573
キュンキュン氏、反感を買う行為なんてしてたか?
俺の見ている限りではスレを同一コテで渡り歩いていただけで、
何レス消費するだとか、属性だとかそんなことしかか書かれていない前書き、
終了と「このスレに祝福あれ」とかそういったことしか書かれていない後書き。
これでどう反感を買う行為してるっつーのさ?

ああ、そうか、荒らしが横行していた孕ませスレに作品投下してまったりとした雰囲気に変えちゃったからか。
577名無しさん@ピンキー:2006/11/17(金) 06:20:43 ID:cC/OWLmZ
どうみても自演コテ叩きと過剰コテ擁護の泥試合です。
本当にありがとうございました(’A`)
578名無しさん@ピンキー:2006/11/17(金) 07:26:09 ID:Myv1Dkdl
他スレの事は見てないから知らないし
このスレで特に反感を買うような行為がいままであったようには感じなかった

しかし>544の謝罪は、俺もバカにされたように感じたよ

あからさまに荒らしなんだから黙っていれば良かったのに…
まあ一番どうしようもないのは粘着厨なわけだがな
579名無しさん@ピンキー:2006/11/17(金) 08:57:57 ID:0VTiLBz3
成人した奴らが夜中までかけてなに不毛な事してるんだか…
荒らしはスルーが鉄則とどこのすれでも言ってるだろうに

俺は良作品が読めればいいわけであって。
別にほっときゃ沈下すると思ってたさ

しかし>544は致命傷だったな

今までの後書きや明るい雰囲気ぶち壊す
これが本性だったのかと思ったね
御本尊自らが乗り込んできたら台無しだろうに。
580名無しさん@ピンキー:2006/11/17(金) 09:32:39 ID:av5XXNlD
そういや、今まではこのスレの作家達は、皆荒らしや煽りに関してはガン無視していたな
581名無しさん@ピンキー:2006/11/17(金) 14:42:28 ID:YspWIt1v
というかお前らもガン無視しろよ・・・。
一気に読み飛ばした俺が流れを読まずに言ってみる
582名無しさん@ピンキー:2006/11/17(金) 16:45:05 ID:R3AevTvK
なぜか>>544を>544と表記するやつがやたら多いな。

それはそれとしてもうそろそろ次スレの時期だね。
誰かその前に作品投下しないかな。
583名無しさん@ピンキー:2006/11/17(金) 16:50:51 ID:yvMT6/XT
むしろキュンキュンIDちょっぱった別人の荒らしでしょアレは。
無視すれば良いんだってw
有名になればこういうのが増えるのは自明だし。
寧ろ我慢出来ずに反応した連中はお馬鹿さん認定出されても仕方ない
584名無しさん@ピンキー:2006/11/17(金) 18:04:06 ID:vxmWlGqf
>>583
IDちょばったって…あんたw 
コテトリだぞ? キュンキュン ◆4hcHBs40RQどこのスレ見ても同じだぞ?
別人の荒らし設定はさすがにかなり苦しいこじ付けじゃないか?



もう言いたくもないがやはりここは自演乙というべきなんだろうな…
585名無しさん@ピンキー:2006/11/17(金) 21:12:47 ID:DtiAryPE
格好だけ擁護で実質荒らしだ罠
586名無しさん@ピンキー:2006/11/17(金) 22:23:07 ID:MlBGOjA1
まあまあ、みんな頭を冷やそうぜ。
ちゃんと属性とかレス数とか最初に書いて
エロいの投下してくれるんだから別にいいじゃないか。

ちょっと有名になった人を叩くってのがこのスレは以前からあって困る。
587名無しさん@ピンキー:2006/11/17(金) 23:45:12 ID:O6TX/rOL
魔法怪盗団の話のある場所を教えて下さい
588>>503-521(その1):2006/11/17(金) 23:48:06 ID:FdSLFZAS

 以前投下した者です。
 実は前のと同じキャラ名で、一人称視点のやつを描いていたので、
投下しちゃいます。また猫娘なんですが、ちょっとしつこいかな?

 折角描いたやつなので、良ければ読んでください。こっちの方が話そのものはシンプル(?)です。
 属性は多分普通。陵辱ではなし、和姦。 見苦しい部分や気分を害した部分があればごめんなさい。



 今日、猫を拾った。
 なかなか毛並みの良い猫だ。生意気にも土台は人間の姿をしているが、黒い髪を掻き分けて
三角の尖った耳が突き出しているし、尻からは長い尻尾が伸びているので、間違いなく猫には違いない。
 
 俺の名はレイノルズ・リッティと言う。縮めてレリィと呼ばせることが多い。だから、最初俺を
見たとき、耳を前に倒して脅えた目つきでうなだれているその猫にも、そう名乗ってやった。

 猫は、しけた街の寂れた裏通りで、複数人の男達に襲われている最中だった。猫である
ことは間違いなくても、体は人間のものとさほど変わりないので、まあ仕方のないことと言える。

 というより、ここらへんでは、そういったケモノ(獣人と呼ぶのが分かりやすいかもしれない)
は人間以下としてぞんざいに扱われることが普通なので、俺は格段驚きもしなかった。非力なくせして、
夜中にうろついている奴が悪いのであるし、慈善事業をする趣味もないからだ。

 だが、男らがあまりに野卑でしつこいので、つい制裁を与えてしまった。猫が地面に
ねじりつけられている場面に、意図せずに出くわした俺を見て、そいつらは「何だ兄ちゃん
おまえも混ざりたいのか」「そこで指くわえて見てるなら俺らが終わった後に譲って
やってもいいぜ」とふざけた口をきいてきた。俺は男どもを一人残らず蹴散らすと、
もう二度となめた態度を取れないように、顎いっぱいまで開かせた口の中に拳を突っ込んで
歯を叩き折った。

 こんなわけで、脚を両側から左右に開かされ、大の字の体勢で
組み伏せられていた猫は、自由になった手足を労わるように撫でながら、
冷たい地面の上に座り込んで俺を見上げてきた。まだ男らに捕まって
間が経ってなかったようで、衣服は綺麗なものだった。

 猫はなかなか愛らしい容姿をしていた。長い黒髪は腰に届くほどあり、
ふっくらとした頬は、灰色に薄汚れている。幼い顔立ちのわりに豊満な肉体を、
薄いまといもので覆い、それでも隠し切れず露出した太腿が、黒い闇夜の中に
ぼんやりと浮かんでいた。
589その2:2006/11/17(金) 23:51:16 ID:FdSLFZAS

 俺はそれを見て、これなら男らが暗い欲望を噴出させても、まあ理解できると思った。
が、猫は窮地を救い出してやった俺を見ても、安堵や感謝の表情をするわけでなく、ただ
一挙一動を窺うみたいにして、びくついた視線を投げかけてきている。

 思うに、人間でない体をしながら、人並み以上の相貌を持っている者の宿命として、
何度となくこんな目に遭ってきたのだろう。俺は猫に歩み寄った。猫はかすかに体を
逸らし、大きな瞳で、俺の顔を見つめ続けている。

 猫を覆い隠すように身をかがめ、手を差し出すと、猫は極端に怖がり、自身を
抱きすくめるみたいに腕を曲げた。どうやら、俺が先程の男らと同じことをすると
思ったようである。

 その警戒を解くために、俺は猫の腕を強引に取り立ち上がらせた。猫は二、三歩
よろめいたが、すぐに二本の足で地を踏みしめた。そして戸惑いながら、黒目がちの双眸を
いっぱいに開き、俺の顔を凝視している。俺はそれを、鼻を鳴らして悠然とした目で見返した。

 ざっと上から下まで猫の肢体を一瞥すると、滅多にない魅惑的な体つきだった。ただ
人間の女と違うところは、顔の横についている丸い耳の他に、頭の天辺に獣の耳が二つあるのと、
足下に、膝の下を過ぎたぐらいまでの尻尾が垂れていることである。

 獣人の中には、目を逸らしたくなるほどの容貌をした奴もいるが、それで考えたら
この猫は、まったく観賞に耐えられる部類だった。それどころか、その辺の人間以上の
魅力を放っていると言ってもいい。けだもの独特の悲愴感というか、人間に対しての
遠慮がちな態度も相まって、無償に力づくで手に入れたくなってくるのも事実だった。

 が、そこまで考えて、俺は踏みとどまった。馬鹿馬鹿しい、ここでこの猫を
押し倒してしまえば、さっき奴らが言っていたことそのままになってしまうじゃないか。
夜道でか弱い生き物を捕まえて集団でものにしようとする、そんな汚らしくて
しみったれた行為と、同じことを繰り返すのは死んでも御免だ。

 俺は猫に向き直ると、ゆっくりと言葉を投げかけた。
「怪我はないのか」
「は、はい」
 猫は驚いたような、困惑するような目つきで、おずおずと返事をした。
590その3 :2006/11/17(金) 23:53:34 ID:FdSLFZAS

「そうか。良かったな。俺はレリィってんだ。お前は」
「わたしは、ニィナと言います。あの……」
 そこまで言って、猫は、初めてこちらに感謝の目線を送ってきた。体の前で手を組み、
頭をぺこりと下げる。
「助けていただいて、どうもありがとうございました」

 俺は猫を軽く睨めつけながら、こんなところを夜ふらふら歩くんじゃねぇと
厳しい声で言った。すると猫は耳を倒し、悲しげに眉間に皺を寄せ、
いっそう身をちぢ込ませてはい、とか細く答えた。

 俺はしばらく間をおくと、幾分声をやわらげて
「お前、もしかして行くところがないのか」
 と訊いた。猫は唇を苦しげに噛んで、俯いている。さっきまで
気がつかなかったが、よく見れば、猫は貧相な首輪をしていた。
この身なりから察するに、大方どこかの金持ちの飼い猫だったのだろうが、
何らかの理由で捨てられたため、行く当てもなく夜の通りをうろついていたのだろう。

 見る限り従順そうで、見目も良い猫が追い出されたとなれば、せいぜい
その家の夫人が、夫が可愛がるのを見て悋気し、叩きだしたというのが関の山だろう。
外見が一部を除いて人間の娘とほぼ同じなので、正気ではいられない気分というのも
わからないではない。

 そんな場景を思い巡らし、そもそも主人にいい様にされるのが仕事なのに、それで
気に入られずに放り出されるという理不尽さを強いられた目前の無力なけだものに、
俺は少なからず心が移った。猫のほうは、腰に手を当てて自分を眺めている俺を盗み見ては、
再びつま先に目線を落とす。どういう顔をすれば良いのかわからないといった様子だ。

「おい、大人しく俺の言うことを聞くというなら、俺がお前を拾ってやってもいいぞ」
 俺がふと、明確にそう言うと、猫は足元から目を上げ、俺を見た。黒目いっぱいに、
射抜くような力強い目つきの俺の顔を映し出し、猫は二、三度大きく瞬きをした。
俺は猫の瞳の中の自分と目を合わせ、黙って猫の反応を待った。すると、猫も俺の眼の中に映る
自分の頼りない顔を見つめながら、形の良い眉を下げて、どう答えたものか必死に考えている。
591その4:2006/11/17(金) 23:56:09 ID:FdSLFZAS

 そして、ずいぶん長い時間をかけて、やっと「こんな私でも、いいんでしょうか」と
問いかけてきた。
「いい」
 俺は素っ気無く返事をした。猫はそれを聞くなり、息をつくようにして肩を下げ、
こくん、と頭を小さく下へ動かした。

「そう言ってくださるなら、私、あなたのところへ参ります」
 猫の呟きに、俺は満足して笑ってみせた。猫はその顔を見ると、みるみるうちに
全身の力が抜けたみたいに安堵し、初めて目尻を下げて顔中で微笑んだ。やはり
緊張していたのか、ぴくぴくと震え倒れていた耳は、今は先端を突き出すように
ぴんと上へ張り、元気よくはためいている。
 
 猫の体の後ろで、長い尻尾まで嬉しげに大きく振れる。その様を見て、
俺は無意識に顔を緩ませた。
「おい、ニィナ、じゃあ行くぞ」
 そう声をかけると、はいっ、と猫は素直な目で、生き生きと返事をした。


 俺はお尋ね者をとっ捕まえては、その首にかかっている懸賞金を頂くという、
しがないその日暮らしをしている。定職につくのも億劫だし、一つの街に
長く留まるのも味気がないので、まあ自分の身にあった生活といえる。

実入りがないときは徹底的に懐が寂しくなるが、その代わり仕事が
成功したときはまとまった収入があるので、さしてこの不安定さに不満はない。
そもそも俺が本気で仕事にかかって失敗することなどないのだから。

 が、今はちょうど路銀が乏しい時期で、猫、もといニィナに持ち合わせが
あるわけもないので、仕方なくその晩は野宿をすることにした。俺はあの男達を
撃退するのに余計な体力を使ったことを心中で苦々しく思いながら、あいつらから
金銭を剥ぎ取ってやればよかったと後悔していた。

 それは強盗だって? そんな倫理観は通常の人間にだけ当てはまるもんであり、
あんな人間のゴミどもがどうなろうと知ったことじゃねぇ。ニィナはさくさく歩を
進める俺の後ろを、三歩ほど離れてついてきている。その身のこなし方は、人とまったく
同じように見えて、やはりどこか少し違った。

 俺のブーツの底が硬いレンガにぶつかっていちいち音を立てるのに対して、ニィナは
ほとんど物音というものを上げずに歩く。ちらりと後ろを横目で窺うと、俺との距離が
これ以上開かないように、早足で俺の背中を追いかけつつ、それでも一定の間を保ったまま、
しなやかな動作で歩を繰り出している。

 俺はその数歩分の隙間に、ニィナの体に染み付いた謙虚さみたようなものを感じた。
それとも単に、そう簡単に相手と密着しない、動物特有の本能から来る行動かも知れないが。
どちらでも良かったので何も言わずに進み続け、街の外に出て、いくらか行ったところで
歩みを止めた。
592その5:2006/11/17(金) 23:58:53 ID:FdSLFZAS

この辺りは気候が温暖で、土壌は豊かであり、街から離れたところでも緑の芝が地面を
覆っている。さらに目の前には、清涼な泉が湧き出していた。そんなに大きくはないが、
水は澄んでいて冷たく、手に心地よかった。

 俺はくるりとニィナを振り仰ぐと、「よし、今日はここで寝るぞ」と言った。ニィナは
異存がないようで、頭上の耳を同意するみたいにぱたぱたと動かし、俺の瞳を見つめたまま
頷いた。俺はそう多くない荷物を、その辺に突き出した岩の上に下ろすと、その中から一つの
石鹸を取り出した。

「どうした? ついて来い」
 俺の手の中の白い塊りに、不思議そうな視線を注ぐニィナを誘導すると、俺は泉の縁に立って
衣服を脱ぎ去った。あわてて首を後ろへ向けて、顔を紅く染めるニィナを引き寄せ、
その身に纏った簡素な服を脱がせにかかると、ニィナは跳ねるようにして腕を伸ばし俺の手から
逃れようとした。が、俺はニィナの腰の辺りを捕まえ、後ろに引く体を無理に自分の前に
固定させたまま、手早く服を剥ぎ取り、ニィナを裸に剥いた。

「あっ……」
「ん、これは外れんな。まあいいや」
 頭のついていかないニィナが困惑の目線を投げかけるのを無視し、
俺はそ知らぬ顔で細い首に巻きついた黒い首輪を引っ張ったが、
見た目の割りに頑丈でどうにも外れなかった。大して邪魔にもならないので、
そのまま気にせず、ニィナの体を泉の中に沈めた。驚いたのか、ばしゃん、と
水音を立て尻餅をつくニィナに、俺は水を蹴りながら歩み寄った。

「何ぼーっとしてるんだ、久々に風呂にありつけたんだろう。もっと喜べ」
 両手で水をかけながらそう言ってやると、ニィナはやっとことの意味を理解し、
目元を緩ませてゆるやかな笑みを見せた。そして、やはり数日間の汚れが気になっていたのか、
小さな手を頬にあて、ごしごしと拭い始めた。

俺は手に持った石鹸を慣れた手つきで泡立て、掻き混ぜるみたいにして頭を洗った。
その様子を感心した目つきで眺めているニィナの方を見、手を動かしながら言った。

「野宿することなんざそう珍しいことでもねーからな、こうして持ち歩いてるんだ」
「まあ、そうなんですか」
 そしてざっと上から水を浴びて、泡を洗い流した髪の水気を切りつつ、ニィナに向かって
呼びかけた。
「さあ、おいで。体を洗ってやろう」
「え……、でも……」
「遠慮することないぞ」
593その6:2006/11/18(土) 00:00:58 ID:FdSLFZAS

 俺は大股でニィナに近寄ると、その二の腕の辺りを掴んで自分に引き寄せ、膝の上に
座らせて向かい合った。ニィナに何か言う暇も与えず、手の平に石鹸をこすりつけると、
ニィナの体に塗りたくっていった。

「あっ」
 ぴくんと、ニィナの尻尾が屹立した。体の上を、大きな手が滑っていく感触に、戸惑う目線を
送ってくる。俺はなめらかな肌を指で堪能しつつ、構わずに大人しくしているニィナの全身に
泡を擦り付けていく。

ニィナは強引に這い回る指と、気泡の頼りない冷たさに、眉間に皺を寄せ、じっと俺の手を
受け入れ続けている。見れば二つの耳は、俺の手が動くのに合わせてぱた、ぱたと揺れ、尻尾は
水に浸かったまま、先端で宙に曲線を描いている。俺はものの数分で、ニィナの首から下、太腿、
細い腕に、真っ白な泡をまぶした。

「どうだ、ひんやりして気持ちいいだろ」
「は、はい……」
 もじもじと、困った顔をしてニィナは答えた。どこに目線を定めていいのか判断しかねる様子で、
俯いて、頼りなげに視線を漂わせている。俺はふと思いつき、口の端を上げて、ニィナにこう言った。

「そうだ、俺の体も一緒に洗ってくれないか。それなら手間が省けて一石二鳥だろう」
「え、ご主人様のも、洗う?」
「そう、こうだ」
 ニィナの体を抱き寄せ自分に密着させると、俺はニィナの尻を抱えたまま、体を上下に滑らせた。
あっ、とニィナは短い声を上げた。ニィナに付着した細かい気泡が、俺にも擦り付けられ、俺が体を動かすたびに
ますますこちらへ移動してくる。

「こういう要領だ。わかったな?」
「あ……、は、は、はい、やってみます……」
 俺の肩に手をかけて、ニィナはたどたどしく呟いた。そして、俺に抱きついて、
そっと肌と肌を重ねると、先程俺がしたのと同じように、ぎこちない動作で体を上下させた。
594その7:2006/11/18(土) 00:02:31 ID:FdSLFZAS

 柔かい肌が全身に纏わりついてきて、俺はつい目を細めた。ニィナのほうは、意識を
集中させて、懸命に俺の体を洗っている。豊かな胸と太腿が、絡みついては上に下に滑り、
石鹸の淡い感触も相まって、俺はこれだけでじわじわと気分が高まってくるのを感じた。

「もういいぞ、よくやったな」
 俺は体を放して、ニィナの頭を撫でてやった。ニィナは幾分ぼんやりとした目で、それでも
嬉しそうに満面で微笑んだ。てっきりこういった情事には散々付き合わされて慣れたものだと
思っていたが、反応を見るにどうも経験が薄いようである。

 俺に応えるように、体を投げ出して快楽を高めてくるのもいいが、こうして初心な感じで
ぎこちなく戸惑われるのも嫌いじゃない。というより、むしろこっちの方が教えがいがあって
いいかもしれない。

 俺は自然と昂ってくる体を抑え、ニィナにこう言った。
「体が冷えないうちに上がるか」
「はい」
 ニィナは素直に従った。俺がニィナの体の泡を、指を使って隅々まで洗い落としてやる間、
じっと耳を伏せて、体を固くしていた。俺はその作業を終えると、ニィナを泉の縁へ連れて行った。

 ニィナは頬の汚れも落ちて、最初見たときよりもずいぶん明るく、さらに好ましい造作になった
ように思える。本人もさっぱりした目つきで、あどけなく俺を見つめている。それでもその瞳の奥に、
裸であることの恥じらいを混ぜながら、である。

「こっちへおいで」
 俺が静かにそう言うと、ニィナは頭を下げて、遠慮がちに近づいて来た。闇の中に見える体は真っ白で、
折れてしまいそうなぐらい細い。足の後ろに、生き物のように尻尾が揺れている。

 俺は泉のほとりの平らな岩に腰を下ろすと、ニィナを腕の中に収めた。俺が引き寄せると、
ニィナは膝を折り曲げ、俺と同じ高さに顔を持ってきた。俺はすぐ近くにある唇に自分の口を重ねた。

「んっ」
 ためらいがちに舌が引っ込み、ニィナは驚いたみたいに体を動かす。俺はしっかりニィナの体を抱いたまま、
ますます深くニィナの口内に侵入した。奥へ隠れた小さな舌を裏側から絡めとって、思いのままに嬲ってやる。
595その8:2006/11/18(土) 00:05:08 ID:FdSLFZAS

「ふぅ、んっ」
 ニィナは苦しそうに顔をゆがめ、甘んじてそれを受ける。経験がないのか、下に目を
やれば、黒色の尻尾は緊張しているみたいに真っ直ぐに張り、ときどき波打っている。
すぐに舌を引こうとするニィナを叱り付けるように、俺はひたすらニィナの舌を弄り、
口の中いっぱいに自分の唾液を擦り付けた。

「はぁ、ぁっ」
 ニィナは俺の強引で執拗なキスに、瞳を潤ませて懇願する顔をした。だが俺は
それを冷たい目で見下ろしながらゆっくりと舌を引き抜いた。まるで、
まだまだこれからだ、と暗示するように。

 ニィナは、しばらく口を開けて、喘ぐみたいに空気を吸っていた。俺はそんな
ニィナの全身にむしゃぶりついてやる。乱暴に乳房を咥え、手は臀部をまさぐった。
ニィナはびくついて体を震わせたが、俺は構わずにニィナに愛撫を加え続けた。
ニィナの体の後ろで、尻尾は上に持ち上がって、先端だけ揺れている。

「あっ、あっ」
 舌を動かすたびに声を上げるニィナを、俺は加虐的な目つきで眺め、
固くした全身をほぐすようにして刺激を与える。ニィナは完全に耳を倒し、
俺を嫌がっている様子でもないが、受け入れているわけでもなく、
逃げようとはせずにただ体を竦めている。ニィナの肌はしっとりと
なめらかで、指に吸い付くようだった。

 その感触をたっぷりと楽しみながら、俺はニィナの二つの乳房を両手で掴み、
内側から押しつぶすみたいにして揉んだ。
「うぁっ」
 ニィナの体が大きく跳ねた。痛みと、まだ快楽とまでいかないむずむずとした
疼きが這い上がってきて、困ったように眉を下げている。その変化をからかうように
眺めつつ、俺は丸い二つの胸を長い間まさぐった。

 ニィナの胸は呆れるほど柔かくてマシュマロみたいだった。その先端に、
透き通ったピンク色の乳首が尖っている。指の先でそれを円を描くみたいにいじると、
ニィナはぴくぴくと体を揺らす。

 腹や腰や太腿、尻を、時間をかけて手の平いっぱいでじっくりと丁寧に撫で回していると、
ニィナは段々と落ち着いてきた様子で、黙って俺の手の動きにあわせて目を細めている。
弱い刺激を感じるたびに、ニィナの尻尾は伸縮するようにして反応する。だが、その黒い瞳には、
まだ未知の感覚への慣れない戸惑いや、異性への恐怖感が混在していた。
596その9:2006/11/18(土) 00:07:10 ID:evl9KVsp

 それは俺にとって、そこはかとなく心地よいものだった。俺は平らな岩肌の上に
寝転がると、ニィナに、俺をまたいで俺とは逆向きに体を向けるように言った。
「え……でも………」
 ニィナは不安と躊躇いの色を顔中に映して、窺うように俺を見つめた。俺は、何気ない
表情のまま、深く頷いてやった。何も怖がることはない、という風に。

 それを見て、意を決したのか、ニィナはこわごわと俺の上に寝転がった。引き締まった尻が
俺の眼前に突き出され、その間の薄い色の花弁まで、隠すものもなく空気に晒される。
そしてニィナの目の前には、ちょうどそそり立った俺の男根がすぐそこにあった。

 黒々と猛った異物を直視し、ニィナは引きつったような表情で目を見開いた。その後、
急いで顔を逸らすみたいに、後ろを振り仰いで、自分の脚の下に顔を埋めている俺を見た。
俺はやわらかく微笑んで見せた。

 ニィナは俺の自信に充ちた目を見て、幾分安心したみたいに顔を緩めた。俺は俺で、
張りのあるニィナの太腿を掴むと、指と指の間を開いて丹念に滑らせた。ニィナの
花弁の上には控えめに菊状の穴があり、そのさらに上に、細かい毛の生えた尾が
空気を撫でるように揺れている。

「ご主人様ぁ……」
 俺を振り見たまま、ニィナはぐずるように、鼻にかかった声を出した。俺は
それをあやす風に優しく、だが拒否を許さない断定する口調で、言う。
「俺のを、舌でしごくんだ。できるな?」
「……私が、ですかぁ……?」
「お前がやるんだ」
 強い瞳で答える。目前に突き立った猛々しいものに、目のやり場すら困って
当惑していたニィナは、俺のゆるやかな命令に、観念したように息を吐き、
再び俺の股間に顔を戻した。
597その10

 鼻先に突っつく距離に、凶暴なものが聳えている。畏怖があるのか、頭上の耳は前に
折れていた。こわごわと手を伸ばし、それを細い指で包み込む。ものをすっぽりと包む、
繊細な感触に、俺はつい体をぴくりとさせた。

 するとニィナは驚いて指を引っ込めた。俺は言った。
「やめるんじゃない」
 それを聞いて、はい、と素直に返事し、ニィナはまたそっと俺のものを握った。
もう片方の手を俺の腿に置き、ぎこちなく白い指を上下させる。俺はだんだんと
気分が昇りつめてくるが、それを表に出さず、変わらない声で言った。

「ニィナ、もっと強くだ。強く、速く」
「は、はい」
 ニィナの尻尾は、俺の顔にかからないところで、漂うみたいに振れている。
それを眺めていると、何故か淫靡で高揚した気持ちが無性に湧いてくる。
ニィナは言われた通り、指に力を込めて必死に手を速め始めた。むずむずと
高まってくる快楽に、俺は口元を緩めながら、俺の上に寝そべったニィナの
秘所に目線を戻す。

 それは、ニィナの髪の色と一緒の黒い毛にうっすら覆われ、閉じた貝みたいに
深く切れ目が入っている。その花びらの色は見事なピンク色で、今まで俺が
見た中で一番純真で、なおかつ衝動を激しく湧き上がらせる色あいだった。

「何て可愛いんだ」
 俺は挑発するように言いながら、そこへ熱い息を吹きかけてやった。
「あっっ」
 ニィナは俺の体の上で大きく揺れた。だが俺に太腿を抱えられているので、
体を浮かすまでには至らない。
「俺に見られて、ますます鮮やかなピンクに染まってるぜ、お前のここ」
「っ……嘘です……」
 卑猥な言葉に、思わず反抗するニィナをからかうように、俺はそこへ
指を伸ばして、両側から花びらを外へ向かって開かせた。さらに濃いピンクの
中身が、隠れようもなく顔を覗かせる。
「嘘なもんか」
 それをまじまじと眺めた後、俺は鼻が埋まるほどそこへ顔を押し当てた。
ニィナはぁっ、とまた声を上げ、無意識に逃れようとするが、俺はがっしりと
ニィナの体を固定し、舌先で花弁を撫で上げた。
「はっ、あっ」
「手がお留守になってるぞ」
「あ、は、はぃ……」
 体を震わしながらも、俺に言われるとニィナは素直に俺の男根に意識を戻した。
俺はそれを好ましく思いながら、ニィナの花弁をますます強く責め立てる。
外側を唾液でまぶしたら今度は中に侵入し、固くしこらせた舌をくねらせる
ようにして暴れさせ、柔な肉壁に容赦なく擦り付けた。