おらおら、WWF(World Wide Fund for Nature:世界自然保護基金)の
愛くるしいパンダ様が
>>2ゲットだぜ! 頭が高いんだよ、ボケ!
. ,:::-、 __ >1 クソスレ建ててんじゃねーよ。ビンスみてーに裁判で潰しちまうぞ。
,,r 〈:::::::::) ィ::::::ヽ >3
>>2ゲットも満足にできねーお前は、俺の着ぐるみ着てプラカード持ってろ(プ
〃 ,::::;r‐'´ ヽ::ノ >4 お前はカキフライのAAでも貼ってりゃいいんだよ、リア厨ヒッキー(プ
,'::;' /::/ __ >5 汗臭いキモヲタデブは2ちゃんと一緒に人生終了させろ、バーカ。
. l:::l l::::l /:::::) ,:::::、 ji >6 いまさら
>>2ゲット狙ってんじゃねーよ、タコ。すっトロいんだよ。
|::::ヽ j::::l、ゝ‐′ ゙:;;:ノ ,j:l >7 ラッキーセブンついでに教えてやるが、俺はストーンコールドが好きだぜ。
}:::::::ヽ!::::::::ゝ、 <:::.ァ __ノ::;! >8 知性のねーカキコだが、お前の人生の中で精一杯の自己表現かもな(プ
. {::::::::::::::::::::::::::::`='=‐'´:::::::::/ >9 つーか、自作自演でこのスレ盛り上げて何が楽しいんだ?
';::::::::::::ト、::::::::::::::i^i::::::::::::/ >10-999 WWEなんか見てるヒマがあったら、俺に募金しろカスども。
. `ー--' ヽ:::::::::::l l;;;;::::ノ >1000 1000ゲットしたって、WWF時代の映像物に販売許可は出さねーよ。
`ー-"
>>1超乙!!
今スレは荒らされなければ良いな……。
その後、>3 を見かけたものはいなかった…
即死回避保守。
ほしゅ
ほーしゅ
喪主
保守。
とりあえず、保守代わりに投下させてもらいます。
SS書きはじめてそれほど長い訳じゃないので見苦しい所があるかもしれませんが……
もしそういった所があれば指摘御願いします。
ミン……ミン…ミン…
ジジ…ジ……ジ…
ブナ、ナラ、カエデ。冬になれば葉を落とし、その白い木肌を見せる樹々も、今は青々とその先端を豊かに繁らせている。
――夏。
木々をよくよく見てみれば、そこには空蝉。オオムラサキが飛び、甲虫類が樹液に群がる。
垂れた樹液はやがて樹の下に浸透し、腐葉土の帯水層に合流する。
腐葉土はその中に住む蟲たちを目的とする食虫動物によって所々掘り返され、食事の跡地から水がこんこんと滲み出る。
滲み出た水は高配に従って流れる。次第にいくつものそれらが纏まり、林の中に小川が出来る。
さて、この流れを追ってみると、そこには――
夏緑樹林に囲まれる様に立地しながら、少しそこから距離を取った和洋折衷な雰囲気の屋敷。小高い丘の上にあるそこからは、少し離れた町――いや、村といって差し使えないだろう――を見下ろす事が出来る。
2kmも町からは離れていない為、全景を見渡す事は出来ない。が、そこは十分に見晴しが良いと言って良かった。
水田も所々に見えるが、それより多いのは畑。この辺りの特産品は根菜と言う事になっている。
が、少しでも水田があると言う事は、水源は必ずある。見れば、町の西端の方にゆっくりと中の下程度の規模の川が流れている。
その川に流れ込む幾つもの用水路のうちの一つ。それを辿って行けば、この屋敷のすぐ横にある林の中の小川へと繋がっているのだ。
屋敷の中、2階。見晴しのいいこの丘の中でも特にその目的に適っている場所、広めのリビングルーム――では無く、そのすぐ横にある書斎。
今、その中ではちょっとした雑務に終われていた。
「……若。私はご自分で使う本だけでも纏めておいてほしい、と言いましたよね?先程。」
「……たしかに言ったな、うん。」
「……で、この有り様はなんですか?本でピラミッドでも建造するおつもりで?」
「……面白いアイデアだ。しかし人員も物量も足りないな。よし、真弓君。成瀬氏の所に連絡を取ってくれ!すぐに事業を始めよう。これは一大興行になるな!」
「かしこまりました……って!なにバカな事言ってるんですか!」
若い女がやはり若い男をモグラを叩くが如く殴り倒した。しかもゲンコで。
ところで、二人の見た目は分かりやすくその属性を表している。
男の方は真中から分けた黒髪で、少々目つきが悪い。が、青いスーツもしっかり着こなしており、清潔感は十分だ。顔つきは生まれつきのようである。
傍らの女性の手引きがあったとしても、この性質は元来の者であろう。かといって取っ付きにくい雰囲気ではない。
よくよく観察すれば、礼儀をわきまえた野心家と言った印象を受ける。企業家、と呼ぶべきだろうか。
対して女性。こちらはその職が一目瞭然だ。何故かと言えば、その服を見れば分かる。
フリルのついたエプロンドレス。和服ベースだが、間違い無しに女中服。
肩で切りそろえた栗色の髪。根本の方まで同じ色だから、色素が薄い質なのだろう。
先程の会話だけ見ればきつい顔だちが思い浮かぶかもしれないが、むしろ人の良さそうな顔だちだ。それでもやはり真面目ではありそうだが。
童顔ではあるが、可愛いと言うよりそれと美人の中間……と言った感じである。
「……っつぅ〜……」
男が頭を抑えている。普通ならこんな事を使用人にされて黙っている主がいる訳ないのだが……
「……本当、今やるべき事をしちゃいまいましょうよ。そうすれば後が楽なんですから……」
女性の態度には主と使用人と言うより友人同士の様な物がある。先程のやけに改まった言葉遣いは皮肉だった様だ。
「……で、今回は何に気を取られていたんですか?
どうせそれにかまけて本の整理が頭からどっか行ってしまったんでしょう。君って人は本当に要領が悪いんですから……」
溜息と呆れ顔のコンボで女性が男を見下ろす。
「……いや、蔵書を見ていたらずっと昔に無くした昆虫図鑑を見つけてね。覚えているかな、ガキの頃俺が昆虫博士って呼ばれてたのを。
で、それを見るうちにそういえば屋敷の外にも林があったなあ、と思った訳だ。そこで俺は考えた、今から久しぶりに森林浴でもどうか……と。
幸い今日はいい天気だ。外は暑いかもしれないけど森の中は涼しいだろう。」
「昆虫博士ってのは自称だったと思うんですが。それに今はそれどころじゃないでしょうに……」
「大丈夫だ!森の中で迷って時間を無駄にする事はない。ほら、あそこを見ろ。あの用水路は森の中の小川に繋がってるんだ。あれを辿れば万事解決だ。」
「そういう事を言ってるんじゃありません!」
ぼぐり。二度目の打撃音が屋敷に響く。
・
・・
・・・
「……そういえば君の方は?」
「私の方はとうに終わりましたよ。ついでに若のメールチェックをして、私に出来る事はやっておきました。書類の方も同様です。」
どさどさ、と書類の束を机に置く。
「こっちのは後若が印を押すだけです。しっかり目を通してもらいたいのは一旦書斎から出しておいたので。」
「……相変わらず有能な事で。」
「若の要領が悪すぎるだけです。バイタリティを一つの物に注げるってのは一つの才能ですけど、他の事に目を向けられなくなるってのが困り者ですよねー……」
ふう、と息をつく。そのまま眉尻を下げて苦笑。
「ま、そのおかげでやりがいのある仕事はさせてもらってますが。」
男もやはり苦笑。がそこで何かを思い付いたらしい。そのまま考え込む。
またか、と女性は思いながら、しかし男に呼び掛ける。
「……若?」
はっと気付いた様な顔をして、男は目を上げた。
そのまま女性の顔を見つめる。
「……え、えーと。どうしたんですか?若。見てても面白くない顔だと思うんですが。なにかついてるんですか?」
男はやや言葉に詰まる。
「いや……」
と、女性はややしかめっ面になる。
「言いたい事があるならさっさと言っちゃって下さい。さっきも言った通り、時間が勿体ないですよ。」
と、これを聞いて男は決めた様だ。
「……そうだな。単刀直入に聞こうか。……一体どうして君はここで働いてるんだ?」
「……へ?どういう意味で言ってるんですか?……もしかして私、なにか粗相でも。」
女性は困惑する。それも、自分が暇をだされる畏れも持って。
……と、男はそれに気付いた様だ。
「あ、いやそうじゃない。むしろ逆だよ。
……さっき言ったけどね、俺は結構本気で君の事を有能だと思ってる。なのにそんな君がこんなとこに居てもいいものか、とね。
君ならもっと未来がある生き方ができるはずだよ。こんな落ち目の旧士族にそんな時代錯誤な格好して仕えつつ、俺達が何とかやってる会社を手伝うよりも……
100年前ならいざ知らず、この平成の御代だ。君にはそれだけの実力がある。俺と同じ大学も出ているんだし、学暦も十分だろう。」
はあ、と女性は安堵のため息をつく。
「……そんなことですか。それは簡単です。
いいですか?我が真弓家は戦国の昔より若の家系、枯川家に仕えているんです。その姓の示す通り、枯川を守る弓として私達は……」
と、そこまで言って遮られた。
「あー。聞きたい事はそういう事じゃ無くてね……
じゃ、聞き方を変えようか。枯川家次期当主とその使用人兼護衛兼秘書の真弓としてでなく、枯川朧とその親友兼幼馴染み兼元同級生の真弓水晶として、ね。
水はどうしてここで働いているんだ?」
水晶、と呼ばれた女性は本日何度目か分からないため息。
「……まためんどくさい事考えますねー……
でも答えないと作業再開してくれませんもんね、若の性質考えると。
しばしお待ちを、切り替えますから。」
言うなり水晶は目をつぶり、握り拳で軽く額を三度殴った。
「……で、『どうして私がここで働いているか』だったかな?朧。」
「……いつ見ても君のそれは多重人格にしか見えないんだけどな、水。
……DV喰らってるとかは……ないか、あの親父さんたちだし。」
と、水晶はむくれ顔。これも含め、先程までよりやや取っ付きやすい表情になっている。まあ、さっきまでの表情にしても十分親しみやすかったのだが。
「……あのね、君は私と私の家族を何だと思ってるの。公私のけじめをつけているだけだって。仕事じゃ私と似た事してるけど、プライベートじゃ父さんだってあなたのお父さんと平気で殴り合ったりしてるじゃない。
それと同じ。のーぷろぶれむ。Do you understand?」
「アレと一緒にしないでくれ…… 俺はあそこまで体力ないよ。」
と、二人揃って苦笑い。
「ま、それには同意しときますか。……で、本題に入るけど。」
と、水晶は目をつぶって考え込んだ。
「……ここで働く理由、ねぇ……
……ざっと考えて3つくらいあるかな。」
それを見て朧は意外そうな顔。
「……そんなにあるのか?」
水晶はジト目を朧に向ける。
「そりゃああるわよ。ここにはいろいろ思い入れもあるし。
……っと、一つ目の理由簡単にいい過ぎちゃった。ま、そういうことかしらね。
それにさっき言った『真弓としての立場』が加わったと言う所かな。」
「……君らしいというかなんというか。結構サバサバした性格に見えて感傷好きなんだよね。」
と、水晶は顔を赤くする。
「なんというか……。もう。次の理由言わせてもらうわね。
2つ目は……私は憶病者だからって言う事にしときますか。」
「……臆病者?君が?」
「そ、臆病者。知らない所にいってうまく立ち回る勇気は私にはないって事。その点では君と私は良いコンビかもしれないわね……
君なら興味さえあればどこにだって行くもの。安心できる暮らしが好きなのよ、私。」
「ああ、そういう意味か。だったら……」
朧はそれを聞いて難しい顔。
「……どうしたの?」
「……いや、だったらそれこそここに居るべきじゃないんじゃないか?水。俺が言うのもなんだけど、家の未来は結構暗いぞ?」
朧はうつむいてため息をつく。
水晶はそれを見てしばし無表情。そして目をつぶり、言った。
「……最後の理由。さっき君は私の事を有能だって言ってくれたけど、私の方もそれと同じ。
こう見えて、私は結構君の事買っているのよ。それこそいつかこの家を立て直すどころか、それ以上に大成するだろう……ってね。
だったらそれを信じてここに居ても、別に構わないでしょう?どうやら私は君の役に立っているみたいだし。」
朧は顔をあげる。見れば、水晶はくすくす微笑んでいる。
そして、深呼吸。ゆっくりと息を吐きつつ、朧は言う。
「……2つ目の理由と矛盾しているぞ、それ。」
「あら、どうして?そうは思わないけど。仮にそうだとしても、それくらいは君の事信頼してるって事よ。」
「……やれやれ。俺も期待されたもんだね……」
そして、朧は苦笑しつつ立ち上がる。
「さーて、さっさとやる事終わらせますか!」
朧は傍らを見る。と、そこでは水晶が己の額を殴っていた。
切り替えか……と朧は思う。
と、そこで水晶は朧に思わぬ事をいった。
「……いえ、やっぱりいいですよ。……森林浴、行きたいんですよね?」
「ん、まあ……な。」
さて、どうしたのだろうか、といぶかしむ朧。
「とりあえず、今日はもういいです。たまには御自分の望む事をするのもいいでしょうしね。私が続きをやっておきますよ。」
口調は切り替わったものの、水晶の表情はくすくす笑いのままだ。
今の会話のおかげかな…と朧は思う。
彼女は自分を信頼してくれて、更に楽しんでこいと言う。ならば。
「……一緒に行かないか?森林浴。」
「……え?」
口端を上げつつ、朧は言う。
「俺がたまに遊んでいいのなら、君だって同じだろ?一人で行くより誰かと言った方が話しも弾むしな。整理は明日でもいいだろう、どうだ?」
水晶はしばし考え込む。そして
「……しょうがないですね。ええ、私は構いませんよ?」
話しが早い。多分、彼女も鬱憤が溜まっていたのだろう。
「じゃ、用意して来てくれ。まだ午前中だし、向こうで弁当を食べるってのはどうだ?きっと気持ちいいぞ。」
「……うーん、今からじゃちょっと間に合いませんかねー…… もっと早く言って下されば良かったんですけど。
ティーセットはどうですか?それくらいなら大丈夫だと思います。」
「じゃあ決まりだ。頼んだぞ?」
「……はい!」
水晶の足取りは軽い。と、その後ろ姿に朧が呼び掛ける。
「あ、それとだな……」
「……はい?」
一つ前の言葉とイントネーションの違う同音語での水晶の返事。それに笑いつつ朧は言う。
「……これからも宜しくな。少なくとも、俺が君を使用人として見る気を変える時まで、ね。」
「……さらっと不吉な事言ってくれますねー、若。はいはい、首にならない様頑張りますって。」
苦笑しつつ、自室へ向かう水晶。それを見つつ朧は呟く。
「……遠回しすぎたかな。まあ、いいか……」
どうせしばらくはこのままだろう。それについて悪い気はしない。過去も変わるときは変わって来たのだし、未来においてもそれは同じだ。
出来るのは
「……今そのものを楽しむ事、だな……」
無論過去を踏まえて未来を見据える事も忘れてはならない。
だから、それをしつつ朧は今を考える。
さて、森林浴を楽しむ為にはどうすればいいかな、と……
……とりあえず、これで終わりです。
身分とかあまり関係ない、ドロドロしていないメイドって出来ないかなーと思ったんですが……
その意図って出せてるんですかねー、これ……
もし続きかいて欲しいって言う方がいたら書くかもしれません。
……後、おまけです。
……その夜。
「あー、かゆいかゆいかゆい!どーしたものかな、もう!」
「……どうした、水?」
「森の中で蚊にあちこち……
何で君は全然食われてないのよ……」
「……さあ。」
「あーもう、素直に書斎の整理しているべきだったかもしれないわね……」
「……すまん。」
>>17 まずは乙。
率直に、読んでて痛々しいな。中学生くらいだとこういうのもあるかなーって思った。
面白くない無駄な文章が多いのも気になった。冒頭なんかは特に。
方向性を間違ってるような気がする。
下地はあるみたいだし、磨けば光ると思うよ。
続きは…書きたいなら書けばいい。誰も止められはしない。
でも、もっと自分の物語を作ることを意識しないと、評価は厳しいと思うよ。
がんがれ超がんがれ。
>>17 乙。
水晶の性格(口調)にもっと落差があるといいと思った。
エロ入れればもっと評価高くなるのにな。残念。>17
追伸・文章自体はそんなにキライじゃないよ。
ただ俺の嗜好が(w
とりあえずGJと言っておくー
ん、SSとしては口説いのかもね。ともあれGJ。
続きはお好きに。読む人はいるのだから
確かに磨けば光るかもね。細かい所はおいておいて、普通にラノベ的な感触
今のままでも十分面白いし、GJと言える。
けど、登場人物の名前を何て読むのかを入れてくれたらもっと良い。
あと、冒頭部分の森の描写は大して必要無かったかも。実際に森の中には入らなかったのだし。
続きは強制はしないけど、最後まで書く気と覚悟があるなら。
あと大事な事。
マイナスな評価があっても、それを受け入れ、精進するのが大事。どんな事もそう。
自分に言い聞かせるな、俺。
やっぱり冒頭に無理が有りましたか……
落ち武者等の作った村、名前が思い出せないんですけど高校地理で習うそれの用な雰囲気を出したかったんですが、ちょっとくどかったですね。田舎くささというか。
批評は受け入れて、自作に活かすつもりです。
ただ、濡れ場に関してはただでさえあの程度の物が更に酷くなるので……
入れるにしてももっと修練を積んでからになると思います。
……後は名前の読み方ですが、
男の方が
『枯川 朧(こがわ おぼろ)』
女の方が
『真弓 水晶(まゆみ すいしょう)』
で、朧からはプライベートでは『水(すい)』と呼ばれている事にしています。
設定はいいから萌えかエロを書くんだ。
そういう設定は劇中でさりげなく説明するほうがいいよ。
あるいは冒頭で散々説明しておいて
「しかしそんなことには目もくれず」
とか肩透かしする方法もある。
但しこの方法、半端だと面白くないので、もう何割かねちっこく説明を入れてしまった方がいい。
その辺のバランス感覚は、やっぱり慣れか。
結局は実力。面白く作れるかどうかの力量。
ほどほどにしておかないと、厨が持論を述べだして止まらなくなるw
創作指南スレ化してもつまらないので、この辺りで。
>>29 まぁ実力つけるにはひたすら場数踏むしか無いんだがな。何だってそうさ。
とりあえず即死回避は完了だ。
書き手の成長過程を見るのも良いものだしな。
あれ、スレを間違えたかな?
失礼しました。
と思うほどのなんかマジメな感じで、驚きました。
一回の話でスレをまたぐというなんとも申し訳ない感じで……
前スレ
>>927からの続きです。
*あらすじ*
オフト夫人が飼っている猫が誘拐された!
犯人の要求はわからないが、とにかく一時間後にトラファルガースクウェアに行かなければ!
猫よ、今助けに行くぞ!
走る走る、メイドが走る。
路地に馬車の姿はない。
住宅街だ、流しの馬車、今で言うタクシーのようなものはこのあたりには少ないのだろう。
「くそっ、大通りはどっちだ」
ゆかりは2,3度首を左右にふり、走り出した。
このあたりの地理には暗い。
邸宅ばかりのこのあたりでは、道が細かく入り組んでいるということはないが、どの道も
それなりに広くそれなりにまっすぐ伸び、どこにも特徴がない。
気ばかりが焦るが、それでも大通りに出る道は見つからない。
「ええい、ままよ――」
左に曲がれば、おそらく良いのだろう。
勘。
これに頼って、走り続ける。
いま、勘だけに頼っていいほど余裕があるわけではない。むしろ、時間が無さ過ぎるのだ。
この邸宅の一つを訪れ、事情を説明し、道を尋ねるその時間が惜しい。
それならば、賢いやり方ではないかもしれないけれど、愚直に走り続けるほうが良い。
そう判断したのだ。
果たして思惑通り、大通りに出た。
しかし通りは、呆れるほどに混雑している。
普段は正しい二馬力で調子よく走っている二頭立ての馬車も、パズルのようなこの道では、
ただそこに立ちすくんでいるしかない。
大通りに出たところで馬車を拾って行こうかと思っていたが、今日のこの様子では、
このまま走っていった方が速い。
夫人の家から恐らく北上して出たのだから、犯人の指定したトラファルガースクウェアに行くには、
右へ、つまり東へ行けばいい。
走る走る、走る。
ロンドンの道路というのは堅い。
コンクリートで固めた上に木口を並べて、その上をアスファルトで鏡のように砥いである。
その道路を、堅い靴底で叩いてゆく。
足が痛む。
しかし、ゆかりの脳裏に顔が浮かぶ。
オフト夫人の、魂というようなものが一度に抜けてしまったあの顔だ。
あれほどいきいきと赤かった頬の色が、一瞬で変色し、生命の強さを失ってしまった。
その心境を思うと、足が痛いなどとは、思うことすら、彼女の思いの強さに対して失礼である気がする。
ゆかりは前を見据え、走る。
ゆかりが路地から飛び出した通りは、オクスフォード通りと呼ばれる、
百貨店や大型商店の多く集まった通りで、道行く人もどこか気品に溢れている。
気品に溢れているなどと書けば、体からじわっ、となにか上品の気体化したようなものが
にじんでいるような人を思うかもしれないが、要は服装が清潔で高価、婦人ならば、例えば
その帽子が仰々しく派手なことや、男性で言えば、杖の意匠の凝り方、つぶれた丸帽でない、
山高帽の様子などでわかる。
分限者の集まった高級住宅街が近く、このような百貨店としても、需要と供給の関係で、
この通りに集まるのだろう。
そして金持ちが多い地域となれば、蛾がろうそくの明かりに引き寄せられるように、
金の匂いに引き寄せられて、露天の物売りや大道芸人も集まってくる。
そうして人が増えれば、とうぜん警戒すべき事件や人物もあるだろうから、たちんぼの
警官だって増える。
なすのへたのようなヘルメットをかぶった警察官が、道端に立ち尽くしたり、
不運にもその役を与えられた者は、辻の中央に立って、右手を左手を次々と上げ下げし、
この大混雑した交通の案内を一手に引き受けている。
つまりこの通りは、金持ちから警察官、多種な人々の洪水であった。
ゆかりはその中を走る。
人ごみを早く走るコツは、斜めに足を踏み出すことだ。
ひとを追い抜く、人とすれ違う時に、意識して足を斜めに踏み出す。
真横によければその後もう一歩、踏み出さねばならない。
だから斜めだ。斜めによけて、避けると同時にさらに進んでゆくのだ。
時間がない。
道が込んで馬車が使えないことにも原因があるが、それよりもこの通りに出るまでに
時間を食ってしまった。
ゆかりは飛ぶように走る。
足と地面が触れるのは、つま先だけ。そのほうが速く走れるということをユカリは体感的に理解していた。
そして、足で体を「引き付ける」と言ったイメージで足を運ぶ。
ふくらはぎと、ももの裏、この筋肉を使うことを意識して、ぐんぐんっと、スピードを上げる。
人と交差する時だけ、足を地面に叩きつけ、その勢いを殺さぬよう、方向を変えぬよう、
動きの線だけを変える。
この走り方は、以前コヴェントガーデンで身につけたものであった。
この人ごみの中を、全力で走る少女。
それも東洋人。
やはり、人々の視線はゆかりに集まる。だがその集まった視線は、あまりの速さに
すぐにふりきられて、見失ってしまう。
風が、通り過ぎた。
ただそうとだけ感じて、特に気にも留めない者もいた。
東へ。
余計なことは思わずに、そうとだけ念じて、ゆかりは走り続ける。
長いスカートのすそが舞う。
大きな柱が立っている。
ローマ式のエンタシス、真ん中がふっくらとして、浮き彫りの線が縦に入った立派な柱である。
その大きな柱のさらに上に直立不動の体勢でいるのは、かの有名なネルソン提督である。
詳しい説明は省くが、
1758年、ノーフォークに生まれた彼は、その生涯で数多くの武功を立て、そして1805年、戦死した。
英国史上もっとも有名で、もっとも愛された軍人である。
市民は彼の偉大な功績を称えるために、145フィートの柱を御影石で作り、
その上に彼の銅像を建てた。
それだけではない。
その柱の周りには、日本の狛犬のように彼を守護する獅子の像を四体つくり、
その両脇には噴水も建てた。
余程、彼を愛していたのだ。
しかしその大きすぎる柱のせいで、全体を眺めれば提督の顔がわからないし、かといって近付いて見上げてみれば見えるのは提督の鼻の穴だけ、といった様子であるが、
このトラファルガー広場は、それでも市民の自慢の種である。
余談だけれど、このライオンというのは、現代日本でも見られる。というのも、
巨大百貨店、三越デパートの玄関に鎮座しているあのライオン像のモデルがこれらしいからだ。
そう思うと、それに守られているネルソン提督までもがなんだか身近に感じるから不思議だ。
閑話休題。
手紙にあった
「かぎは ライオンが 持っている」
というのは、恐らくこの柱の周りに四頭黙って座っているライオン像の事であろう。
ゆかりは一度ここを訪れたことがあったので、あれを読んですぐにピンと来た。
だからこうして一も二も無く飛び出し、走ってきたのだ。
息は弾み、汗は流れる。
せっかくの余所行きが、汗と、ロンドンの粉塵を随分吸い込んでしまった。
切れる息と、もつれる足が困りものだったが、ゆかりはなんとか4つのライオン像のうち
3つまでは調べた。
異常は無い。
となれば、最後の一つである。
その像の台座には、立ち番をしている警官の、外套が引っ掛けられていた。
この時代、110番をしようにも個人の家に電話など無い。
ましてや携帯電話などは、お釈迦様にもトーマスエジソンにも思いつかぬころである。
防犯の必要上、警官は多い。そしてその主な仕事は、町のパトロールと立ち番である。
巡査、つまり「巡」って「査」――調べる、者達だ。
邪魔臭い。と、それを取り上げると、大きく開いたライオンの口に、赤い封筒があるのが見えた。
これが「かぎ」だろうか、この中に鍵が入っているのか――?
と思案しているうちに、笛の音がした。
高く響くこの音は、リコーダーとかクラリネットと言うたぐいのものではなくて、
警官の良く使うホイッスルの音だ。
「それはぁー 本官のォー ものだぁー」
見ると随分遠くから警棒を振りかざし、こちらに走りよってくる警官の姿がある。
職業病かもしれないが、ひどいガニマタ走りである。
ゆかりの左手には外套。
とはいえ、高価なものではない。
警官の安月給で十分に手の届くものなのだろう、いや、この安っぽさは、支給品かもしれない。
「ちが、誤解、です」
息は切れている、うまく喋れない。
しかし息を整えて、きちんと説明すればわかってくれるはずだ。
・まず、私は怪しいものではない。
・猫が誘拐され、犯人の要求に従っているのだ。
・そしてその要求は恐らくこの赤い封筒に関係するものであり、
・貴官の外套にはなんら関係は無い。
ということを。
めんどくさい、とゆかりは思った。
猫が誘拐?そんなことをすぐに信じてくれる警官がいるだろうか。
この人ごみの中を散々全力疾走してきて、服装も崩れ、肩で息をしている私が
怪しくないと、自分でも言い切れるだろうか。
ちょっと難しいかもしれない。
「ごめ、なさ、じかん、ないの」
ゆかりは息たえだえにそう言うと、左手の外套をぽいとその場に投げ捨てて、身を翻らせた。
「あっ、本官の――!きさま、待てぇーい!」
外套を投げ捨てられた警官は、激昂しておいかけてきた。
ゆかりはひたすらに逃げる。
つかまったら、さらに時間を食うだろう。
結局、このしつこい警官をまくのに、時間と体力を激しく消耗した。
鉄柵に肩を持たれかけて、来た方向に振り返りしばらく眺めた後、ようやく大きく息をついた。
「はぁっ……あの警官……めぇ……」
余計な体力を使ってしまった。赤い封筒の中を確かめる暇も無かった。
ポケットから封筒を取り出すと、汗のせいで随分やわらかくなっている。
糊付けされた封筒を、丁寧に開く。
そこには、最初の手紙と同じ、角ばったアルファベットが並んでいた。
よく こられたな 。
つぎは ピカデリーサーカス まで こい。
いそいで こい 。
じかんを すぎれば ねこを ころす 。
おどし ではない ほんきだ 。
その しょうこを どうふう しておく 。
証拠――
証拠を同封しておくと、書いてある。
封筒を逆さにして2,3度振ってみると、ちいさな綿のかたまりが、手のひらに落ちてきた。
これが証拠だろうか。
ゆかりはその綿を、左右に広げてほどいていった。
何か固いものが指に当たる。
なんだろう。
それが何かを、理解した瞬間、ゆかりは反射的に体を翻らせ、駆け出した。
いままで確かにそこにあった何十キロかの肉体が、いまはもうあれほど遠くにある。
風が彼女を追いかけていく。
綿に包まれていたのは、白く尖った、宝石のように小さく光る、猫の牙であった。
付け根の部分には、肉のこびりついたような血が、赤黒く固まっている。
おどし ではない ほんきだ 。
手紙の文面がいやらしくねばついて、頭から離れていかない。
一刻でも早く、指定された場所――トラファルガースクウェアまで行かなければならない。
足に疲れがないかといえば、当然、ある。
しかし――
止まることはできない、ここで止まってしまって、リオと呼ばれた、「この子」と呼ばれた、
息子のように思われている猫が、殺されてしまっては――
腕を振れ、体をもがかせろ。
足が動かなくても、腕を振れば自然とその反動で足は前に進んでくれる。
体を前に倒しこめば、足は反射的に進んでいく。
だからまだ限界ではない。足は動く。
痛みや疲れがあるから、と、歩みを止めるのは、それはただの、
甘えだ。
一瞬、脳裏を、エナメル質の白と、まだらの濃い赤、コントラストが占める。
ほどいた綿からごろりと転がった、牙。
その鮮やか過ぎるイメージは、さらなる想像を掻き立てる。
暗く冷たい部屋の隅に追い詰められた、可憐な仔猫。
にじり寄ってくる大きな影。
右手には、わずかに差し込む光を無機質に反射する、金属製のペンチ。
嫌がる猫の顎を握り締め、無理矢理開かせた口に、不似合いなほど大きなペンチがねじ込まれる。
響く猫の「泣き」声。
ゆかりはかぶりを振って、そのイメージを打ち消そうとするが、
一度浮かんだ悪いイメージは、そんなことでは消えてくれない。
今はただ、走るしかない。
ぎゅうと唇を強くかんで、走り続ける。
冷たく乾いた外気に、汗はすぐに気化して、流れない。
かわりに、呼吸から多くの水分が放出される。
吐いた息が白く結露し、彼女の足跡を空中に点々と残していく。
三度前の呼気が消えて霧消するまでに、ゆかりは六歩進む。
その轟々と走る動きと、リズム良く吐き出される煙は、蒸気機関車を思わせる。
唾液から、水分が失われていく。
粘度の高くなった唾液が喉にまとわりついて、呼吸がしづらい。
喉を下品に鳴らして唾液を吐いたが、唾液はただ糸を引いて、ゆっくりと後方に流れていく。
きらきらと光る透明の糸が口から頬に、服に、まとわりついた。
慌てて、袖口で口元を拭く。暗い染みがついた。
絶望したい気分に駆られたが、それもできない。
大丈夫、血を吐いたわけではない。
足も、引き裂かれるように痛いけれど、痛みは克服できる。
大丈夫、まだ間に合う。大丈夫、大丈夫――――
そんなことを考えているうちはまだよかった。次第にそれすらも考えられなくなった。
ネルソンの銅像があるトラファルガースクウェアから、ピカデリーサーカスはそう遠くない。
しかし、警官に追いかけられ、右も左もわからない道を、ひたすら走った。
思考は消え、視界は狭まる。足は萎え、腰を支えることも危うい。
限界かもしれない。
意識が薄れていった。
ゆかりが飛び出していって三時間が経った。犯人が指定した時間をとうに過ぎている。
うまくいったのかいかなかったのか、犯人を追い詰めたのか逆に追い詰められているのか。
ただ背中を見せて走り去っていったゆかりは、無事なのかそうでないのか――
ティムは心配で仕方がなかった。
短い前髪が不安そうに揺れた。
暖炉に火をくべる。座っているオフト夫人の表情は、いまだ死人のそれである。
今すぐにでもゆかりを追いかけてロンドン中を捜し歩きたいが、
足に障害を持ち、まともに歩けないこの人をひとりで置いてゆくわけにもいかない。
「奥様、お気を確かにおもちくだせえな」
ひょっこりと顔を出したのは、アメリカの炭鉱夫が着るような、青いデニム地のオーバーオール、
それも着続けてあちらこちらに穴があいてしまっているものを着た、
召し使い、と呼ぶのもためらわれる支那人の男である。
その男に呼ばれたオフト夫人だったが、暖炉を見つめて返事をしない。
「奥様」
二度目の呼びかけにようやく顔を振り向かせ、
「あああ、シーナかい……あの子は、無事かねえ、あの子は、好奇心が強いんだよ。
うちの一人息子にそっくりで、あの子は、どこにでも一人でいっちまう。
私を置いて。ねえ、あの子は、ぶじかねえ、あの子は……」
言葉の最後には、涙が深いしわを伝って流れていた。
シーナは手を取り
「大丈夫です奥様、きっとあの子は、リオは生きていますでに」
と、いった。
オフト夫人は、オ、オ、オと声を上げて泣いた。
だが、ティムの目には信じられないものが映っている。
これは暖炉の火の加減のせいではない。
ソファに泣き崩れるオフト夫人を目の前にして、男が浮かべている表情は、
大きくゆがんだ、ひどく楽しそうな、笑顔である。
音を立てて、薪が爆ぜた。
「……嬢さん……お嬢さん」
声が聞こえる。光は無い。
「お嬢さん、大丈夫かい、お嬢さんよ」
男の声だ。軽く頬を叩かれる感触がある。
おきなければ。
なぜ?
だってそれは――
「――――――!」
ゆかりは跳ね起きた。
しまった、どうやら気を失ってしまったようだ。
焦点が合わない。世界はどこまでもぼやけている。
「いま、何時ですか、私は、今――どれほど――」
ゆかりは目の前の人影のようなものの両肩を握り、体を揺らすようにたずねた。
「お、落ち着きなよ。なに、気を失ってたのは一瞬だ。驚いたよ、
いきなり倒れたと思ったら、一回転して、そのまま動かなくなっちゃうんだからな」
「い、いきなり倒れた?あの、それで、ここはどこ――ですか?」
次第に、目の前の男に焦点が合った。
警官である。
一瞬、トラファルガー広場のしつこいあの警官が追いかけてきたのかと焦ったが、
どうやら別人のようだ。
「ここ?覚えていないのかい?ここはピカデリーサーカス交差点のど真ん中で、
私は立ちんぼの警官だ。そろそろ私を、交通整理に戻してもらいたいのだがね」
なるほどその浮島のようなスペースを中心とした四辻には、大量の馬車が、目を血走らせて
――馬ではなく御者が――その中心を睨みつけている。
いま、警官が整理を行えないせいで、辻の信号はいわば全て赤なのだ。
倒れるまでの記憶が徐々に戻ってきた。
ピカデリーサーカスは、倫敦一の大混雑交差点だ。
そして、倫敦の道路というのは、どこも道の真ん中にまっすぐ、十センチほどの段差があり、
長細い浮島を作っている。
そこに街灯を立てたり、停留所としたり、あるいは警官の立ち尽くす見張り台となる。
夜にはこの浮島から伸びるガス灯が点々と光り、道の左右をわける目印になる。
道の端から端を横断する時には、はしる馬車の間をすり抜けすり抜け、とりあえずこの
浮島までたどり着く。
そうしてそこで一呼吸整えてから、ふたたび端を目指して走り出すのだ。
ゆかりは、倫敦一の大混雑交差点の、この手信号警官の立つ浮き島を目指して走り出た。
倫敦一、すなわち世界一と言っても過言ではないこの道路の幅は広く、安全地帯も遠い。
その浮島まであと一歩、というところで膝が抜け、危うく馬車に轢かれそうになった。
ゆかりはこの交通の濁流の中で安全地帯たる浮島まで、あと一歩。
だがその体躯堂々たる巨大馬も、ゆかりのからだを踏み潰すまで、あと一歩。
二本足と四本足の関係からも、同じあと一歩とは言え、どうやら馬の方に分があった。
このままでは、踏み潰される。
ひづめの音がすぐそこに聞こえた。
汗が冷たい。
「……――っ!」
とっさに頭から転がり込んで、つまり前回り受身で間一髪、馬車を避け難を逃れたが、
あまりに無呼吸の運動を続けたために、脳が酸素欠乏を起こして気を失ってしまったようだ。
「ところで」
警官は外套のポケットに手を突っ込んで、赤い封筒を取り出した。
「君がそんなになってまで、ここに来たのは、これを探しているからかな?」
ゆかりは目を見張った。
「どうしてそれを――」
その反応に、警官は逆に驚いたように言った。
「なぜって、君は右手に、全く同じ封筒を握り締めているじゃあないか」
ゆかりははっとなって自分の右こぶしを見た。
なるほど、焦りのせいで気付かなかったが、たしかにそのこぶしにはあの封筒が握り締められたままである。
「じゃあ、確かに渡したぞ」
そうとだけ言うと、警官は高く笛を鳴らし、右手を上げ左手を上げ、交通整理を再開した。
ゆかりはしばらくぼうぜんと、その封筒を眺めていたが、やがて思い出したようにそれを破り読み始めた。
ごくろうさん
さっさと うちに かえりな 。
また あした あそうぼうか 。
これだけであった。
いままでの様に、どこへ行けとも、どうしろとも、書かれていない。
ただ三行、こうとだけ――
あまりに不可解である。目的も、何もかも。
最初の手紙には「目的は金ではない」と書いてあった。
では目的はなんだろうか。
オフト夫人は足が悪い。普段の歩行ですら困難だ。
混雑したオクスフォード通りを滑稽なまでに走らせ、
トラファルガースクウェアで封筒を見つけさせ、
ピカデリーサーカスで、曲芸じみた技能が必要になるほどの混雑した道路の横断をさせる。
もし今日、自分がいなくて、オフト夫人がこの事態にあたることになっていたら
どうなっただろうか。きっと混雑した道を歩くのにも、段差のある広場を探すのにも、
馬車をすり抜けて歩くのにも何をするのにもその度にいちいち困って困って、
困り果ててしまっただろう。
それが目的なのだろうか、犯人は。
愉快犯。
その言葉が思いつくまでに、時間が掛かった。
最後のこの手紙、その最後の三行目、ここがやけにゆかりの目に付いた。
「あそ う ぼうか――」
誤字である。
いままでの手紙どおりの書式である。ぎちっとした書体に、必要以上に間隔のあいた単語と単語。
ブロック体で、間隔をあけて、馬鹿丁寧に書いたようにも見える。
犯人の筆跡を消すために、意識してこま切れに書いた様にも見える。
しかし、それが誤解だとしたら――――
最後の誤字は、計画の詰め、最後の最後で見せてしまった気のゆるみ、かもしれない。
ということは。もし、そうだとしたら。
ほんとうは英語が得意でなく、本当にこの形式でしか、単語単語で、文章を区切らないと、
英語を書けない者が犯人だったとしたら――
綿から糸がつむがれるように、ガラガラと音を立てて、ゆかりの頭の中でその考えはまとまった。
ゆかりは、馬車の行きかう辻へ身を投じた。
向こう岸へ、間隙を縫ってゆく。
血液が頭脳に集まる。意識が澄んで視界は冴えてきた。
馬車の全ての動きが見える。御者が手綱を引く、あと50センチ左へ。
身をわななかせた大きな馬の鼻先を通り過ぎる時、鼻息が髪にかかって揺れた。
警官がけたたましくホイッスルを鳴らしたが、無視だ。
ゆかりはあっというまに全ての馬車をすり抜けて、走り去っていった。
犯人は、この卑劣極まりない愉快犯は、あの下男、シーナだ。
ゆかりはからだ全体を燃やすようにして、走る。
オフト夫人の邸宅に辿り着いた頃には、日が傾いていた。
まぶしいオレンジが、目に刺さる。
シーナはいた。
温室、コンサバトリーに、小さな猫、リオを抱えて、立っていた。
他の猫はどこへ行ったのか、いまここに居るのは、リオを抱えたシーナと、ゆかりだけである。
「やあ、おつかれさまでがんした」
シーナは悪びれる様子無く、ゆかりに微笑んだ。
「あなっ……たっ……がっ……」
ゆかりは肩で息をしている。というより、息も絶え絶えで、立っていられるのが不思議なくらいだ。
胸に孔があいたかのように、ひどく痛む。こぶしで胸を押さえつけ、ほとんど水分の無い生唾を苦労して飲み込んだ。
体をおもいきり柱によりかからせている。
自分の足だけでは、まともに立っていられないのだ。
「うまく喋られへんのですやろ、そりゃ、あれだけ走りゃあ、当然でがんす」
悔しいが、シーナの言うとおりであった。
怒りに任せて、走ってきた。
風が吹いていたが、向かい風を押しつぶすように走ってきたのだ。
「なんっ……でっ……」
逆光になって、シーナの表情が読めない。
逆光もそうだが、また意識が朦朧としてきて、うまく焦点が合わさらないのだ。
「なんで、ときましたでがんすか。あなたも見ているはずでがんすがね」
ゆかりは答えられない。
「……俺はな、猫が憎い」
男は驚く程流暢に話し出した。
「おれが働いて働いて働いて、あの婆あからもらう日当の、倍も三倍もするような餌を、
ビフテキを、こいつらはただ、何も考えずに、むさぼり食っている。
夢にまで見る、血の、滴るような、あの分厚い牛肉を、だ」
「だがそれよりも、猫よりも、あの糞婆あだ。あいつをとっちめにゃあ、俺の気が済まん。
俺はあいつを苦しめるために、あいつの苦しむ姿を見るために、この計画を考えた」
「だが、お前という想定外の因子が現れ、計画は変更を余儀なくされたが、結果は、
むしろ良かった。傑作だったぜ、あの婆あの哀れな顔といったらよう」
男は一気にそういって、そして思い出すかのように小さく笑うと、
その笑いはどんどんと大きくなって、部屋中を満たした。
「あーあ、傑作だ。愉快、愉快」
「つまり俺は、あの婆あより、力も、知恵もある。
だからあの婆あを使って、俺が愉快になるのは当然のことだ。
正義とは力のことだよ。なあ日本人。わかるだろう」
男はゆかりを見た。もう笑ってはいない。
「所詮、力のあるものが正義で、力のない者はそれに虐げられ、従うしかないんだろうがよう!」
男は、語気を強めると共に、両手にも力を込めた。手中の猫が苦しそうに鳴いた。
「だからって、その猫は――」
「関係ない、って言いたいのか。この長毛の猫と、俺の嘆きが」
「……ばか言えっ!」
「この猫がいつも食っているのは、俺が一日働いて得る金の倍以上するものだ。
そんな理不尽ができるのは、一にも二にも、この国が強く、富んでいるからだ。
馬鹿げた言いがかりで切り取られた俺の国、その豊かさが廻りまわって、猫の餌になってるんだよなあ。
なあ、どこに正義があるんだよ。知ってるなら教えてくれ。あんたは頭がよさそうだから、
知っているなら教えてくれよ。世界のどこに『正義』なんて――」
男の様子が変わった。
最初、男は怒りに満ちていた。理不尽に対する怒りだ。
しかし、途中から怒りというよりも、自分に対する哀れみや、悲しみといった感情に変化していた。
自分の境遇や、世の中の理不尽に怒るよりも、悲しくなってしまったのだ。
自分のことでありながら、哀れみを感じるようになってしまったのだ。
自分自身に対して、「哀れ」と感じるのだ。
この感情は、怒りよりも、悲しい。
「正義が本当はどんなもので、どこにあるのかなんて、私にはわかりません。
……でも、あなたがやっているのは、明らかに不正義の、八つ当たりです」
だいぶ呼吸も落ち着いた。
膝はまだガクガクと笑っているが、ゆかりはつとめて平静を保ち、諭すように言った。
ゆかりは、まぶしさに目を細めた。
「そんなこと……わかっているさ。だがな……俺は、こいつより、強い。
だから俺にはこいつを自由にする権利がある――これが俺の、そして世界の、正義だ」
男は、抱いていた猫を高く放り上げた。猫は着地に備えて、空中で素早く身を翻す。
その時シーナの足は、背中につくほど高く振り上げられ、落ちてくる猫を、蹴りつける。
「やめろっ――」
男の足と落ちてくる猫の間に、滑り込む者がいた。
物陰から現れたその体は、猫が落ちる寸前、男の足が振りおろされる寸前、
自分の体を猫と足の間に滑り入れることに成功した。
ティムである。
猫を抱き、来るべき衝撃に備えて体を丸める――前に、シーナのつま先がティムの横腹にめり込んだ。
肺を一度に押しつぶしたような音が、ティムの喉から漏れた。
ぐうぅ、という音は重く、少年が出した声とは思えぬ低音で、ゆかりの耳に届いた。
「この糞餓鬼――」
シーナは、もう一度足を振り上げたが、再び振り下ろすことはできなかった。
片足で立ったままで、なにか固いものを、大きな質量のあるものをぶつけられた。
体がよろけて、振り上げた足はそのまま地面に戻さざるを得ない。
最初、少女が体当たりをかけてきたのかと思った。
体の軽い少女だから、体がよろけるだけで済んだのだろうと。
しかし違った。
少女は、ただ直立不動で、こちらを睨みつけているだけである。
猛禽のような鋭い瞳で、睨み、射すくめている。
殺気。
シーナがぶつけられたものは、実際にはこれであったが、その言葉を英語ではなんと言うのか、
彼は知らなかった。
状況に反するようだが、ゆかりは、この感覚自体は嫌いではなかった。
頭に血が上ってはいるのだ。しかしその血は、冷たい。冷たい血が脳を満たして、世界を異常に冷やしてくれる。
次第に回りから音が消え、さらに、色が消える。
灰色に満ちた世界になった時、体中を巡るエネルギーを、男の瞳へ、突き刺す。
感情を抑えることなく、相手の体に思い切りぶつけてやる。
強い風に炎が煽られるように、感情の奔流は大気中を吹き荒れ、
自分の殺気に、男の身は焼かれる。
ゆかりは重心を左右に揺らすことなく、男との間合いを詰める。
一足飛びに襟首を掴み、つるし上げ、投げ飛ばしてやりたいところではあるが、
いかんせん膝が笑って、言うことを聞いてくれない。
このままでは、シーナをぶん投げることも、不可能かもしれない。
その不安が、的中してしまったかもしれない。
ゆかりが、シーナの襟首を掴んだ。
しかし次の瞬間、ゆかりの膝が、崩れ落ちた。
「限界が来たのだ!ははっ、ざまあみろ!」
とシーナは卑しい笑みを浮かべた。
シーナの考えは半分、当たっていた。
もう自分で立っている事すら難しいのだ。膝が勝手に抜けてしまった。
確かに限界は来ていた。当然だ。
あまりにも走った。ひっ迫した心理状況で、走り続けたのだ。
本当はもう、ひっくり返って寝転がりたい気分であった。
しかし、この男は許せない。
脳裏に、血のこびりついた牙が、赤く白く、閃く。
そして足元に、体を丸めて腹を押さえているティムの姿がある。
眉をしかめて咳き込んでいるのが、見えた。
灰色の世界の中で、自分の背骨を貫いて走る、真っ赤な炎を感じた。
炎は一瞬で、足に、膝に、ふとももに燃え移り、痛みに似た刺激を呼び起こした。
いまだ。
いまだけだ。ただこの一瞬だけ、立ち上がることが出来れば良い。
そのことだけに集中すれば、出来るはずだ。
異変が起きた。
もう一度見る。
シーナは襟首をつかまれ、ゆかりは膝から崩れ、体を落とした。
シーナはこのときに変だと感じるべきであった。
体力の限界で、足が崩れてしまったのなら、ゆかりの腕はだらしなく伸びきり、
自分の体が引っ張られることはないはずだ。
しかし現在、シーナの上体は、崩れ落ちたゆかりの体についていくように、前方に、
そして下方に引っ張られ、両足のかかとは浮かび上がり、爪先立ちになっている。
不安定なのだ。
崩し。
これが、成っている。
ゆかりはいったん、崩れ、否、相手の体を崩し、地に膝が着くかと思うほど自分の体を沈み込ませた。
そして
「ふんっ」
と体中の声を絞り出すような気合をかけ、シーナの体を肩に担ぎ上げた。
あとは、放り投げるだけである。
担ぎ上げられたシーナの視点はめまぐるしく変わった。
ゆかりが見える。そして彼女が膝から崩れ落ち、消える。
いきおい体が引っ張られ、汚い地面が視界に入り、近付く。
と思ったら、その地面が遠くはなれてゆき、体に浮遊感。
そして、天井、夕焼け空。
少し遅れて、背中と後頭部に、強い衝撃。
暗転。
『肩車』
相手の体を両肩で担ぎ上げ、地面に落とす荒業だが、
前方への崩しが完璧ならば、立ち上がる力、吊り手で地面へ引く力、左手で足を放り投げる力、
それらの力がてこの原理で100%伝わり、この技は「担ぐ」というより、
自分の肩を支点に、相手の体を縦方向、地面に向かって「ぶん回す」といった感覚になる。
だから『肩車』という。
ゆかりがやったのは、それであった。
「正義がなんであるか、正確には、わかるはずも無いが、それがあるとすれば――
私とお前がどちらも幸せになれる、自他共栄の中に、それを目指すやり方の中に、
あると、私は思う」
男は気を失っている。返事はない。
夕日が血のように赤い。不似合いな静寂が続く。
ティムがよろめきながら上半身を起こした。猫がするりと腕を抜けた。
「――――坊ちゃま!大丈夫ですか!?」
ゆかりは躊躇無く汚れた地面に膝をつき、ティムを抱き起こす。
う、と小さなうめきが漏れた。
「ああ、だ、大丈夫……」
「無茶、しないでください」
涙がこみ上げてきた。ふくらんだ袖で拭う。
汗、粉塵、土、涙。
色々なものを吸い込んで、せっかくの余所行きだったが、汚れきってしまった。
みゃあ、と猫が鳴いた。
ゆかりはそれを抱き上げ、撫ぜる。
「――――そうだ」
ゆかりは猫の口に、親指と人差し指とさしいれ、口を開かせる。
予想は外れて、鋭い牙が、きちんと生え揃っている。
「んん?」
猫は口に指を入れられることをあからさまに嫌がり、ゆかりから離れていった。
どういうことだ、あの「しょうこ」の牙はリオのものではなかったのか?
ゆかりは乱暴に気付けを施して、シーナを蘇らせた。
「……う、な、なんだ」
シーナの喋り方がおぼつかない。衝撃がよほど強かったようだ。
「ああ……あの牙か、ありゃ……乳歯だよ。お前さんにも、覚えがあるだろう?」
毎日世話をしているのだ、情が移らないわけが無いじゃないか、と男は言った。
良くも悪くも、純粋すぎただけなのかもしれない。
「―――あなたに言っておくべきことが、一つあります」
シーナはうつろな目をゆかりに向けた。
「オフト夫人は、あなたの給料を、銀行に積み立てています」
シーナの反応は無い。
聞こえているのかいないのか、あるいは聞こえているが、意味がわからないのかもしれない。
ゆかりは続ける。
「あなたにずっと働かせるのも、給料をあまり渡さずに、半分以上積み立てているのも、
すべて、あなたのため、なんです」
「年老いた自分が死ねば、この家に仕事はなくなる。だから、そのときのために、
庭師として独立できるだけの技術と、資金を、蓄えさせているのだ、って」
ゆかりは、哀れな支那人を見続けた。
無表情のままで、そのうつろな目から、涙がこぼれた。。
「――――そんなことさ、きいて、ねえで、す」
そのままで、ぽろ、ぽろと、涙を流し続けた。
沈む夕日が温室を、暖かく柔らかく、橙色で満たした。
リオが戻ったとわかると、たちまち、オフト夫人の顔色は鮮やかなものに戻った。
犯人も、その目的も、ゆかり達は黙っていた。
シーナは、今日もオフト夫人に怒鳴られながら働き続けている。
しかしその表情には、随分と明るさが増し、庭師の技術も目に見えて上達している。
心の持ちようというもので、人生は変わる。
彼の人生には、いままで一筋も感じられなかった希望や、感謝の心、それが感じられるようになっただけで、
こうも人間が変わってしまうのは、ゆかりやオフト夫人の驚いたところであった。
今日も彼は大きな楡の木に登り、手入れをする。
夫人はあそこがダメだ、ここが悪いといちいちケチをつける。
いままでと違うのは、シーナの明るい表情と、手入れを終えたその木の下で、
二人で紅茶を飲むことが日課になったことだ。
だが、
「ううむ、紅茶というのは、こうして飲むとおいしいものでごぜ、ますねえ。奥様」
「そうかいそうかい。最近はあんたも腕が上がっているようだし、良い事だわ」
「つぎは、血の滴るようなビフテキがくいてえですよ、奥様」
「調子に乗るんじゃないっ、百年はやいよっ」
「うう……この、オニババア」
「ああ?なんだって!?もう一度言ってみな!!」
「いえ、なんでも、ごぜませんでげすよ、これまた」
シーナの英語は向上していない。
樹下に響く笑い声に、楡の葉が優しく揺れた。
足元で、猫が幸せそうに鳴いた。
「坊ちゃま、大丈夫ですか?おなか」
「もう大丈夫だって!ほんとだよ」
「嘘ですよ!ほら、こんなに痣が残ってるじゃないですか」
「わぁっ、きゅ、急に服、めくり上げないでよ!びっくりするじゃん!」
「痛いの痛いの、飛んでけえ」
「ひゃあっ!ユカリ、ゆびが冷たいっ!」
「……あ、ごめんなさい。でも……仕返し、です。いつかの」
そう言ってゆかりは、微笑んだ。
ティムは、やはりこの笑顔のためになら、体を張ることなど惜しくない、と思った。
小さいけれど、男なのだ。
「あーっ!リオ!あなたその魚!」
名を呼ばれて、猫は自分の体ほどもある生魚をくわえたまま、振り返った。
どうやらダーヴァレイ家は、彼の行動範囲にすっぽり入っているようだった。
リオは髭をひくっとさせたあと、裏口から逃げていった。
「待ちなさい!こら、ちょっと!あなたいつももっといいもの食べてるんでしょうが!」
ユカリは立ち上がり、お魚くわえた猫を追いかけようかとしたが、
「あっ」
つまずいた。
「なんのっ」
前回り受身。
華麗に立ち上がる。
「おおっ」
「ちっ……逃がしたか」
「あはは、ざんねん」
「……坊ちゃま、楽しそうですね」
「ん、まあ、ね」
「でもこれで、今日の夕飯、ポテトだけですよ」
「ええっ」
ダーヴァレイ家は今日も平和だ。
>>55はエピローグです……。
名前変えようと思っていて忘れました。
まぬけですよ。
なんというか相変わらず、
「どこがエロパロじゃあっ!」
という内容ですが堪忍してください。
エロくないけどかわいいなゆかりん
で、エチーな展開は今後あるんですよね?
きっと切り裂きジャックに犯されながらバラされるゆかりんを最期にもってくるんだろ。
氏賀Y太ホント勘弁
スレタイが微妙に変わってる時点で、俺は半ば諦めてるがな>エチーな展開
前スレでエチーな展開を入れないでと言ったのは実は俺だったり。
なんかイメージ湧かないし、似合わないと思うんだよね。
>>58 俺そういうのホント駄目だから勘弁してくれ。
勘弁してくれじゃなくてNG指定すりゃいいんだ
相も変わらずあったかなラストで良かったです。
でもやっぱりエロがほしい、と思ってしまう俺がいる。
SSを書くのはまだ初心者だが、メイドさんが坊ちゃまに
エッチな御奉仕とかするSSを書いてもいいかな?
>64
書くべし。
おまいの妄想をテキストエディタに叩きつけろ。
>>63です。
初めて小説を書いたので投下しときます。
初心者なので、分かりづらい文章になりますが
どうかご容赦を・・・
<淫らな御奉仕・目覚め編>
ここはマイデ王国の首都ディアム。
この王国は豊富な鉱物が産出されているお陰で、三百年以上も繁栄を続いている。
国内には色んな宝石店が沢山いるが、その中で莫大な財力で王国を影で支えている財閥がいる。
その名は「ディアモンテ財閥」。その財閥は数々の宝石店を莫大な財力で買収し、支配した。
それだけでなく、王室を財力の力で癒着し、王室御用達として王国の保護下に置かれた。
この物語は、ディアモンテ財閥の総裁の幼き御曹司、ジョン=ディアモンテと、彼等を世話をするメイド
ソフィアによる、とてもエッチな物語である。
ここはディアモンテ邸。屋敷の窓の外から朝日の光が射し込み
ロングスカートのメイド服に着替える下着姿のソフィアの体に当たる。
「ウフフ、今日も坊ちゃまを御奉仕してあげるわ」
服を淡々と着替え、黒のストッキングに足を通し、スルスルと太腿まで上げる。
「この脚で坊ちゃまのアレを擦ったら、気持ち良いでしょうね」
メイド服を着替えたソフィアは、ゆっくりとした歩きでジョンの部屋に向かい
部屋の扉の前でノックをした。
「坊ちゃま、朝で御座います。早く起きて下さい」
「う、う〜ん、後5分。ムニャムニャ・・・」
「もう、坊ちゃまったら・・・。ドアを開けますよ」
部屋の扉を開けると、部屋のベットの上にはジョンがパジャマ姿で横になって寝ていた。
「坊ちゃま、坊ちゃま、起きて下さい。朝食が冷めてしまいますよ」
「う〜ん、だから後5分寝かせてよ、ムニャムニャ・・・」
ジョンの体を揺らしても全く起きる気配も無く、眠り続けた。
「全く起きないのであれば、今からソフィアからの御奉仕をさせて頂きますわ」
ソフィアは微笑みながらジョンの横でお互いの顔が向かい合う形で寝転び
手袋に包まれた自らの手を彼のズボンの中に入れ、幼い肉棒をやさしく握り締め、ゆっくりとリズムに乗せながら
肉棒を上下に擦った。
「う〜ん、なんか気持ち良いなあ・・・、ハッ、何してるのソフィア!?」
「お目覚めですか、坊ちゃま。まだ目覚めておりませんから、御奉仕をしております」
「こんなに朝っぱらから御奉仕をして、もし服に射精したらどうするんだ?」
「大丈夫で御座います。後の処理はこのソフィアにお任せ下さい」
「そ、そんな・・・」
その間に、サテンの生地で作られたソフィアの手袋で擦られ
ジョンの肉棒が限界に達しようとしていた。
「うっ、ソフィア、もう出そうだ・・・」
「もう射精をするのですね、何処に射精したいのですか?」
「ハア、ハア、ソフィアの口の中に出したい・・・」
「そうですか。でも、ダメです。坊ちゃまは最初に私が起こしに行っても起きなかったじゃないですか」
「そ、そんな・・・」
「でも、私の御奉仕に感じてくれましたから、特別にそこで射精させてあげますわ」
「え、そこって・・・?」
ソフィアはロングスカートを捲り上げ、その中にはピンクのショーツと黒のストッキングが露わになり
ジョンの肉棒をそちらに向けた。
「さあ、思いっきり射精してください、坊ちゃま」
「そ、そんな事をしたらソフィアの下着とストッキングが・・・」
「大丈夫で御座います。だから、好きなだけ射精してください、坊ちゃま!!」
その瞬間、ソフィアの手の動きが激しくなり、上下に動かすスピードが速くなった。
「うっ、もう射精しちゃうよ、ソフィア!!」
「私に掛けて下さい、坊ちゃまの熱いザーメンを!!」
「あああ、ソフィアーーーーーーッ!!」
「思いっきり射精してください、坊ちゃま!!]
その時、ジョンの肉棒から熱い精液がソフィアの下半身に向けて発射し
彼女のショーツとストッキングを白い精液で汚した。
それでも、彼女は手の動きを止めず彼の精液を出し続け
最終的にショーツとストッキングと右手の手袋を精液まみれにした。
「どうでしたか、私の御奉仕は?」
「凄いも何も、こんなにベトベトに汚したら掃除が大変だよ・・・」
「大丈夫ですよ。ハンカチで拭けば綺麗になりますから、フフフ」
そう言いながら、ソフィアのショーツに付いた精液を指で掬い取り、精液を舐め取った。
「それでは、坊ちゃまのペニス中に残っているザーメンを吸い取らせて頂きます。」
「うあ、き、気持ち良い・・・」
ソフィアのお掃除フェラで、ジョンの肉棒に残っている精液は全て吸い取られたが
早くも限界に達してしまう。
「うああ、また出ちゃう!!」
「あ、ひょっとみゃってくらひゃい、うぷっ!!」
その瞬間、ジョンの精液がソフィアの口内に発射し、彼女の口内を精液まみれにした。
「ゴホッ、ゴホッ!!坊ちゃま、今のは早過ぎます!!」
「ゴメン、ソフィア。余りにも気持ち良かったから早く射精しちゃった」
「もう、坊ちゃまったら、そんなにソフィアの御奉仕に感じているんですね」
ソフィアはショーツやストッキングに付いた精液をハンカチで拭き取り
ジョンの肉棒を丁寧に拭いた後、長い金髪と自分のメイド服を整えた。
「坊ちゃま、続きは朝食を食べた後にしますので、早く食堂に来て下さい」
「分かったよ、ソフィア」
二人は部屋を出て、一緒に手を繋ぎながら食堂に向かった。
これで今回の分は終わりです。
続きは完成しましたら、投下しますので
どうぞお楽しみ下さい。
>エロ男爵
ひとまず乙。
だけどいくつか問題点が。
エラそうなコトを言うけど。
>>68 >繁栄を続いている。
「繁栄「が」続いている。」、または「繁栄を続「け」ている。」でしょ。
>宝石店が沢山いる
宝石店は「いる」ものじゃない。「ある」ものだ。いるとして宝石商。
>王室を財力の力で癒着し、
「財力の力」はいくら何でもおかしい。あと「王室「に」」だから。
>窓の外から朝日の光が
「の光」要らない。「朝日が」で十分。
>坊ちゃまを御奉仕して
「坊ちゃま「に」御奉仕」ね。
>>70 >長い金髪
こういう容姿なんかの描写は最初のうちにやって欲しいな。
コトが終わってから言われても困る。
全体的に「て」「に「は」「を」「が」の使い方がまだまだ。面白いしエロいけど、これらが足を引っ張ってる。
あと適度な所で句読点を。句読点が無くて読みづらい箇所や、逆に多すぎて読みづらい箇所がある。
修行も兼ねて続きを早い内に投下しておくれ。
部屋をお連れします
あなたを呪まーす
とりあえず、前回の続きです。
ところで前回はさらっと書くだけにしておいたのですが、この話にでてくるメイド服はいわゆる和風メイド服というか和装メイド服というかの系統です。
本筋には絡みませんが、一応ワンポイントという事で。
丘の不上の構造物。武家屋敷にバロック調の建築物を無理やり増設した、田舎町を見渡せる家。
夏の最中青々と繁る夏緑樹林に囲まれたその中に目を転じてみれば、一寸した喜劇を見る事が出来る。
「……ふう。」
広々とした客間の中、黒いおかっぱの小さな少女が重そうな花瓶を卓の上に置く。
汗をふきふき、和服風の女中服を直して一息。
十数秒掛けて息をついた後、放たれる言葉がある。それは、主を呼ぶ声。仕事の確認をしてもらう声だ。
「若〜!……若!」
返事がない。
気弱そうな顔だちで、彼女は意味も無くあちらをうろうろ、こちらをうろうろ。
「ど、どこですかぁ〜?お掃除ー、おわったんですけどー……」
やはり返事はない。
「う……」
眉尻を下げ、泣き出しそうに見えなくもない顔で、彼女は音を聞く。
自分の姓が示すもの――木製の扉がノックされる音。
彼女――木ノ戸 瑠璃乃(きのと るりの)はそちらを振り向く。
古びた取っ手が回される音とともに、道しるべが現れた。
「せ、せんぱ〜い!助かりましたあっ!」
そこにいたのは瑠璃乃と同じく白と黒の和服にエプロンドレスを混ぜた様な服を来た、栗色の髪を持つ童顔の女性。瑠璃乃の顔を見るなり、溜め息をつきつつ彼女は口を開く。
「……お昼の後片付けもせずどこにいっていたのかと思っていたら……
はあ…… 私の昼間の仕事は家事では無く、秘書なんですけど。」
少しばかり不穏な気配。それを先輩に感じ取った瑠璃乃は取り繕う様に言う。
「ご、ごめんなさいぃ〜…… 水晶先輩……」
顔をあげる。目の前の先輩――真弓 水晶(まゆみ すいしょう)は怒ったと言うより呆れが大きい。
大学の講義がない日にだけ勤めている自分と違い、この女性は代々この枯川家に仕えるという家系の末裔だ。この家の事については経験も知識も遥かに勝っている。
下手を起こして暇を出される訳には行かない。全くやる気の見えないゼミの先輩を何とか説得して仲介してもらい、やっと旧家の生活に直に触れる事が出来る様になったのだから……
人文学やら民俗学やらを学びたかった彼女にとってはこの家にあるもの全てが、それこそ食事から蔵の中身までが研究対象だという千載一遇の機会なのだ。
「全く……使う機会もないこんな客間を掃除するよりも他にする事があるでしょうに。
とりあえず、私に洗い物やら買い物やらをプレゼントしてくれた理由が知りたいものですね?」
笑顔。ただでさえ小動物の様な瑠璃乃は鷹に狙われた様になっている。
が、なにか思う所があったらしい。8割怯え、2割疑問の入り交じった表情。
「そそそそそれは……わっ、若に言われたからで……」
しばしいぶかしんだ後、それを水晶は口に出す。
「……若が?」
・・・十数分前。
「……むう。門外不出で貸し出し拒否?この像は今度の特別展の目玉……の次くらいになるからな……
ここで引く訳には行かないか……」
無数の本棚に囲まれた場所。古書の保存も考え、薄暗いながらも風通しの良い書斎。
その中に肘をつきながらPCをいじっている男がいる。その傍らに居るのは水晶だ。
顔だけ見ればチンピラ気味だが、しっかり整えられた髪や背広のおかげであまりそういった印象はない。
男は傍らの電話に手を延ばす。
と、水晶が意図を察知。電話を取り、男の手に置く。水晶はそのまま受話器を渡した手でボタンをプッシュ。
いくつもの電話番号が画面が示され、その中から一つを選びだす。
コール音。
少し後、相手が出た。
『はい、こちらは伊月(いつき)郷土博物館です。どのような御用件でしょうか?』
「……ああ、枯川…… 枯川 朧(こがわ おぼろ)だ。企画部の東(あずま)部長に繋いでもらいたい。」
男――朧が名乗ったとたん、受付嬢の声の調子が変わった。
『は、はい!至急お取次ぎいたします!し、しばしお待ちを!』
キャッチの電子音。古い施設には有りがちな、ファミコン並みの音源の陳腐な音楽が流れ出す。
「……ふう。」
朧は一息。と同時に、内心溜め息。
「……どうしたんですか?」
水晶の声がかかる。長年の付き合いか、隠した筈のものでも分かってしまうらしい。
その事に苦笑しながら、朧は答える。
「いや、受付の人がどうも外来の人だったようでね。やけにかしこまっていたというか……
まあ、そういうことだよ。」
「外来……ああ。」
水晶は軽く手を打ち合わせる。
「部長という立場なんだからいい加減慣れて下さいよ。特別扱いが苦手、と。ま、ここらの人じゃ今更そんな態度は取りませんもんね。」
くすくすと納得と苦笑の混ざった顔で、水晶は朧の肩を叩いた。一回。二回。三回で朧が水晶の方を見る。
「痛いんだけどな……。そんな笑いどころでもないだろうし。何にせよ君はなにかと手を出し過ぎだと思うんだけどな。」
”くすくす”から”くっくっ”へと、笑い声を変えつつ水晶が答える。
「まあ、気にしないで下さい。性分なので。それに十分笑いどころですって。
2年前うちの乗っ取り騒動であれだけ表に出ていた人が今更何をいいますか。」
笑いと疲れ。呆れと言う感情をそれぞれのやり方で表現する二人。
そして朧が、
「そうは言っても、地方新聞の片隅に出ただけじゃないか……
誰も知りはしないよ。」
と、そこまで言ったとたん、屋敷に響き渡る声。
『若〜!……若!ど、どこですかぁ〜?お掃除ー、おわったんですけどー……』
二人は顔を見合わせる。
「木ノ戸君か…… 雇ってから三ヶ月。様子はどうだ……」
い、と言おうとして朧は言葉を飲み込む。水晶の様子に気になるものを感じたからだ。
はっきりとした疲れの表情。
朧の経験で言えば、自分の様に彼女がこんな表情で呆れを表現するのは多少なりとも苛立ちがあるときだ。
「……客間……の方ですか。ちょっと彼女に用があるので、ここを離れますけど……宜しいですね?」
その言葉と同時に、朧が耳と肩で挟んでいた受話器から電子音が途切れた。彼には頷く事しかできない。
・・・現在。
書斎。その中の一角にて先程から全く姿勢を変えずに朧が話を続けている。電話口からは低いが、通る男の声。
『……で、君の考えとしては例の像一式に対して、私達が金銭以外の対価として”草蛍”を貸し出せば大丈夫だろう……と?』
落ち着いたその声に対し、朧は淡々と論を述べる。
「ええ。大方間違ってはいないですね、東さん。とりあえず、それ以外にも詰めは必要でしょうが。
実は先方も特別展を企画してましてね…… ま、私達の仏教展と違って刀剣類がメインの様ですが。だからこその”草蛍”ですよ。
あの刀ならおそらく向こうも納得するでしょう。それに、なにせあれは私の先祖が使っていた…… 引いてはうちに所有権があるんですからね。所有者の許可も必要ない。
今回限定の裏技になりますが、一番手っ取り早いでしょう。いかがです……?
もし足りないと言うなら、うち所有の他の武具類も御自由に貸し出してもらって結構ですよ。
こちらとしても、今回の展示には力を入れているのでね。」
『……しかし、そうすると常設展の方の目玉が無くなるな……』
「……前々回の特別展……その際にうちから貸し出したままのものがありましたよね?
幕末に輸入された宝石類。あれなら見栄えもいい。十分代わりはこなせますよ。」
と、ついに向こうは折れた。
『……分かった。検討してみよう。』
「お解りいただけて何よりです。」
口調こそ変わらない。しかし、明らかに朧の顔には安堵が浮かぶ。
電話は続く。
『……しかし……』
「? なんでしょう。」
『相変わらず君の情報収集能力は凄いな。あちらさんが何かしらを企画し始めたとは聞いていたが、刀剣類とは知らなかったぞ。
この御時世だ、企画どまりと言う事も……』
「……まあ、そうでしょうね。正直に言えば、刀剣類というのは先方の各方面への動きを観察して得た情報からの推察ですから。
ああ、御心配なく。スポンサー経由で裏づけは取れていますよ。開催そのものはまだ先の事にはなりそうですがね。」
『……。”理将の枯川”は500年経った今も健在と言う事か……』
「はは、ご先祖様に失礼ですよ、それは……
いずれにせよ、今後何かあったら随時お知らせします。それでは。」
電話を置く。と。
「……はー。なんか……すっごいですねー……」
「ぬわあああっ!」
「ひゃああっ!……び、びっくりしたあ……」
朧の側にいた瑠璃乃が、朧の悲鳴に連鎖。
「……何息子を人質に取られた王様の断末魔みたいな声出してるんですか……」
冷静なのは水晶一人。
「い、いつからそこに……」
「『ええ。大方間違っては〜』あたりでしょうかね。」
「……。全然気付かなかったな。」
「……これだから。全く…… 周りが見えなくなるのを何とかして下さいよ……」
すまんすまんと朧。と、水晶が朧の方を向き直す。
それを見て朧が尋ねる。
「さて、水。木ノ戸君への用事は終わったのかな?」
ええ、と微笑んで頷く水晶。
そして……
「げぷっ!」
腹を押さえ、うずくまる朧。
「??? ど、どうしたんですかあ、若!なにが起きたんですかあ!?」
おたおたする瑠璃乃の前に、水晶が立つ。満面の笑みで。
見れば、水晶の拳は堅く握られており、つい今し方なにかを殴った様に見える。
動作の素振りも見えなかった事に怯える瑠璃乃の傍らで、水晶が言の葉を告げる。
「聞きましたよー、若? 今度、仕事絡みでお客さんが来るそうじゃないですか…… それも二三日のうちに。
……誰か重要な用件でお呼びする際はそれなりの準備が必要だから、必ず余裕を持って一週間前……遅くとも4、5日前までには私に話を通す様に……と言いましたよね?しつこく何度も何度も何度も。
全っ然自己管理の出来ない若のスケジュールを考えるのに苦労するのは……誰だと思ってるんでしょうかねー?」
と、朧が腹を押さえつつ立ち上がった。ぎこちなく。
「は、はは。いやー……すまんな。いやほら、今度の特別展の事で頭がいっぱいでな……
すっかり忘れてたんだ、うん。
今朝先方から電話があって初めて思い出したくらいでな。本当は一ヶ月前に話は出てたんだが……」
「一ヶ月……ね。その間放置プレイって訳ですか?私は。」
枯れ木を割った様な音が響いた。水晶が指を鳴らしている。
「は、はははは…… ま、まあそう気にしないでもいいじゃないか。
来るのは君もよく知っている人だからね。
北光 奏(きたみつ かなで)先輩だよ。婿?子になったから、今は成瀬(なるせ)先輩だけどね。」
北光と言う固有名詞を聞いたとたん、水晶の顔が青ざめた。
「き、北光…… って!あの変人の集まりだった文芸部の北光先輩ですか……?」
「変人とは酷いな、俺もその一員だったんだから……。確かに文芸部の割に何故かサバゲーとかはやっていたけどさ。
ほら、もうすぐお盆だろ? 彼の里帰りついでに仕事の話をね。」
ははは、と朧は愉快そうに笑う。
と、水晶の顔に青筋が浮いた。
それを見て瑠璃乃は思う。この目の前で馬鹿をし続けている間抜けは、本当にさっきまで大きな仕事に尽力していた若なんだろうか、と。
瑠璃乃が小心者の割には失礼な事を考える中、水晶が後ろ手に震える拳を隠しつつ問うた。
「……で、北み…成瀬氏が来るのは、あさって…ですか?しあさって…ですか?」
一見笑みだが、よく見ると口端がひくひくと震えている。
それに気付かない間抜けは、ついに禁断の言葉を口にしてしまった。
「いや、明日の昼だよ。」
「あしっ……!」
絶句。
水晶は言葉もない。
瑠璃乃は理解が追い付かない。
間抜けの馬鹿は止まらない。
「あ、そうそう。先輩が豚のモツ料理と伊月鍋を出して欲しいって言っていたんだったかな。
ほら、たしか高校の卒業式の日に君が作った奴だよ。いたく気に入ってくれたみたいでね。」
誉められたのが自分であるかの様にイイ笑顔。
ちなみに伊月鍋とはこの町の名物である山菜と川魚ベースの鍋だ。上手く下ごしらえしないと魚の臭みが出やすい。
また、豚モツも同じく下ごしらえに時間がかかる。つまりは、この間抜けはもはや今日は正午すらとうに過ぎたというのに、明日の昼に合わせてやたらに時間のかかるものを作れと言っているのだ。
しかも、水晶は今日の買い物を既に終えている。無論鍋やらモツやらの材料など買ってあるはずもない。
「……ん?」
と、間抜けが見れば水晶が自分の額を小突いた拳を下ろしている所だった。
「……。」
「……水?」
沈黙。
「……瑠璃ちゃん? そういえば、この前研究対象として、うちに伝わる実戦武術……真弓槍武術(まゆみそうぶじゅつ)を見たいって言ってたよね?」
「え?ええ、はい、まあ……」
曖昧にうなづく瑠璃乃。
瑠璃乃の記憶によれば、真弓槍武術とは戦国時代に単騎当たりの戦力では武田の騎馬部隊に匹敵するとまで言われた武術だ。広範囲を対象とした槍技と、隙の少ない打突技中心の体術を理念としているらしい。確かに見てみたいと言った覚えがある。
ところで、この先輩について彼女が最近分かってきた事がいくつかある。
一つは、水晶が老若男女かまわず、躊躇いなく人を殴ると言う事。
一つは、素の水晶が結構ざっくばらんな口調であると言う事。
一つは、水晶が公私をかなりはっきり区別すると言う事。
「で……私、体術の方なら今ここで見せてあげたいと思うんだけど……どうかな?」
普通なら、この時間帯に水晶がこんなくだけた口調で話す事などあり得ない。
普通なら。
ここでやっと間抜けも不穏な雰囲気に気付いたらしい。
微笑みこそ崩さない。が、ゆっくりと立ち不がり、水晶の方を向いたまま、そろりそろりと部屋の入り口へと後ずさる。
今水晶は笑みつつ瑠璃乃と向かい合っている。その瑠璃乃が横目で主の方を見る。と、地面になにか落ちた。
……朧の冷や汗。
見れば、朧も水晶も皆引きつった笑いをしていた。
不意に、朧が後ろを向いて走り出した。
「逃げられると思う!?」
叫び。一瞬で二人から笑みが消える。
真由乃が水晶に目を戻した。しかし、そこには既に誰もいない。
「真弓槍武術……無手ノ伍、虎塵ッ!!」
張った首を回したときに出るのが強くなった様な音。そちらの方を瑠璃乃が見てみれば、丁度水晶の右ストレートが朧の鳩尾に食い込んだ所だった。
詰まった息が朧から漏れ、壁に叩き付けられた。そのまま崩れ落ちた朧は、今度は踏まれた虫の様に四肢を転げ回らせている。
水晶が瑠璃乃に振り向き、また笑む。
「……どう?見えた? ショルダータックルの後、その反動を回転に変えて反対側のストレートを叩き込む技なんだけど。」
「……見えなかったです……」
瑠璃乃は心底残念そうな顔をする。
意外に図太いわね、と思った後、水晶は気付いた。
(……こりゃ、若と同じタチだわ。 一度入り込むと周りが見えないってか……)
見れば、瞳に星が入っているかの様になっている。どうやら”武術を見せる”と言うキーワードを聞いた後、ずっとこうなっていたらしい。
「……ま、いいわ。他の技も見せてあげるわよ?」
「はい!お願いします!」
……さて、ズレた女中と暴力女中が暴走した為、この後屋敷には何度か悲鳴が上がったと言う。
正気に戻った後にズレた女中が幾度も主に平謝りしたはいいが、主に聞いている余裕など無かったのは言うまでもない。
……以上です。
コメディ重視のはずが、代日本にメイドがいる理由とかまで書かないと気がすまないという理屈くさい性格のせいか説明過多に……
それ以上になにかハッタリめいた伏線張りまくってますが、お付き合いいただけると幸いです。
……全部解消するまで書けたらいいなぁ……
薄暗い書斎。その中に朧が大の字になって倒れている。
と、体の節々を押さえつつゆっくりと立ち上が……れず、こけた。そのままファックスの所まで這って、朧は一息。
どこからともなく長さが2m近くある紙を取り出した。それをファックスに設置し、送信先を入力。ディスプレイには”水晶の自室”と表示されている。決定。
ファックスが読み込み口から機械の中に入り、別口から出てくる。
朧は紙が出てきたのを確認すると、それを手に取った。そして、まだ読み込まれていない紙の方にそれを回し、テープで接着。
丁度ファックスを通して紙が輪の形になっている。永続ファックス送信装置の完成だ。
数時間後には、はたして水晶の部屋はどうなっているだろうか。
……そして、それに気付いた水晶が朧に何度打撃を入れる事だろうか。
>>82 グッジョーブ!!
俺も以前RPGツクールでゲーム作ろうとした時にやたら設定細かくして、苦労した覚えがあるなぁ。
脱線。
永続FAX送信装置はやりすぎでしょwwつか水晶さん怖いwwwww
>>71 初っ端から激しく好みな展開で'`ァ'`ァしますた
手袋で手コキ気持ちよさそう…
>>82 永続ファックスはやばいでしょ(^^;
撲殺されても自己責任ですなw
ほすあげ
87 :
名無しさん@ピンキー:2006/03/30(木) 23:23:59 ID:P9eSpyKv
さげとったわ
なあ、前のメイドスレを見たんだが
リーシェってメイドのやつ、随分前にどこかで(たぶん一般サイト)で見た…
ほぼまんまコピペで(覚えてないが)
確かリア厨かリア工が作者のサイト
age
職人さんどこいったー
期待ほす
>>88 その作者が21になったから前スレに投下したとか。三年以上前の事なら可能性は高い。
保守
何で有能なメイドさんって強いイメージがあるんだろう
ベットの上でも有能です
「カスタムメイド」という言葉に過敏に反応してしまう今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか
>96
それは普通だろ?
98 :
SS保管人:2006/04/12(水) 23:51:42 ID:edjufdr7
中 だ 今
>>98\
で か 日 乙. \彡彡彡'/∠ミミミミヾヽ、
出 ら は. /,彡彡'フ∠ミシミ≧ミミミミヾk、
し. 安 <彡彡彡//ミジ゛ ` 丿 `ヾルリlハ,
て 全 ヽ彡rニヾシ゛ / ドk杉
よ 日 ___V/^! 〈 ‐<´ヽ ! ヒ'|
い . /彡彡'l{ソ ヽ-、ィラト、| / jE!
ぞ /ィ彡彡イ{ ` / v〈_ノメ、j / /ミリ
/\∧ / 彡彡彡彡' l ヾニ´ ヽ ,∠-/シ′
─--、∨ 彡彡彡'/ \ _r人 、,斥厂ノ´
`ヽ ヽ≦彡彡/  ̄ _ Yヒ'´`メ、
j 卜、 `く \ ,.<´ヽ> ヽ7 ´ノ′
/l <ヽL. \ ,.、 〈__j/ ノ勿´
/ / , ,ハ\ \ ヽ 〈彡ゝ-z‐ァァテ彡'〃
ノ /ノ/:.:.:.:.:.:ヽノへ、} ヽヾ≦≦彡≦彡′
// :.:.:.:.:.:.:.:.:.八\ ヽ、/ i\-、 ` ̄´
‐´.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/.:.:.:ヽ、〉ノん、_⊥}
-.:.:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:`dトr─-、 〉
.:.:.:.:.:.:`:メ:、.:.:.:.:.:.:.:.:.:ノ:.:.:.:ヽ.二∠ヽ、
.:.:.:.:.:./.:.:.:.:.:\.:.:.:、.'.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:lヽ`ハ\
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>>98 自分の駄文が載っているのを見ると何というか、こそばゆいというか……
何はともあれ、有難うございます。
では、続き投下させてもらいます。
夏緑樹林の衣をまとった山々。すぐ近くに繁華街を持ちながらそれに侵食されず、むしろそこすら包み込むような出で立ちの山景に、よく見れば開けた場所がある。
山から流れる川の周囲にできた集落。
村と町の中間くらいの規模のそこの中心からは少し離れた丘の上へと続く川沿いの道の上に、2つの人影がゆっくりと歩を進めていた。
影をよくよく見れば、二人が二人とも同じ服……和服をベースにした、腰帯に大きなリボンのついた女中服を着ている。
買い物帰りなのか、二人とも両手に膨れたビニール袋を抱えていた。
「……。」
小柄な方の影、一見成人前にも見えるショートカット……木ノ戸 瑠璃乃が急に立ち止まった。
「……どうしたの?瑠璃ちゃん。」
「あ、水晶先輩。ほら、見てください! 町が……すっごい綺麗です……」
水晶と呼ばれた女性が振り返ってみれば、そこには西日に照らされる山間の町の姿。
うっすらと霧が差し、まるで
「……麻婆豆腐みたい。」
こけ。瑠璃乃が思いっきりバランスを崩した。
「ど、ど、どこがですかあっ!」
「いや、町全体が真っ赤だし、建物は白っぽいのが多いし。似てるかなと思ったんだけど。
……どうしたの?」
「……もーいいです。先輩にそんなこと聞いた私が馬鹿でした。おしゃれしてるのも見たことないですし……
宝石の一個くらい買ってもいいと思いますよ?素材、すごいいいんですから……」
「あら、私だって貴金属の一つくらいは持っているわよ。」
興味津々と言った様子で瑠璃乃は身を乗り出した。
「え?どんなのですか?」
「八ツ菱ゴールドインゴット。金は価値が変わらないからね、これでどんな経済恐慌が来ても安心!という訳。」
「……。」
だめだこりゃ、と思い、瑠璃乃はすたすたと歩き出した。
「あ、それだけじゃないの。」
「??? なんです?」
「殴る際に威力が結構増すのよ、握ってると。金は大きさの割に重いから……」
「……。」
今度こそ瑠璃乃は無視して歩き出した。
「ちょっとー、どうしたのよ。」
呼びかけに対し、瑠璃乃は足を止め、振り向いた。
「はあ……先輩、もう少し身だしなみに気をつけないと若に嫌われちゃいますよ?」
「いつも私は清潔にしてる筈だけど。」
「そーじゃなくってですねー……」
「それに、何でそこで朧が出てくるのよ。」
「え?あれ?」
先輩たち、お付き合いなさってるんじゃないですか?と言おうとして、瑠璃乃は言葉を飲み込む。
確かに二人の間の距離は非常に近く見えるが、果たしてその距離はどんな類のものなのだろうか。聞いたことがなかった。確かめるまでもなく、瑠璃乃にはそうとしか見えなかったからだ。
だが……たとえ距離が近くても、その道が傾斜のきつい山道で出来ているのか平坦なアスファルトで出来ているのかでは全く意味合いが異なる。
「あー……なーる。そういうことね?」
「え、あの、えーと……」
心のうちを見透かされ、瑠璃乃は動揺。
……若といい、どうしてこの家の人は時々怖いくらい人の心を読めるんでしょうか。
「そりゃ顔に出てるからよ、あなたの場合。結構親身な付き合いだし、私も少しはその心得があるつもりよ? 朧ほどじゃないけど。」
また心の内を読まれた。
「……ここに勤めている限り、私は公開羞恥プレイですか?」
「さあ。私に言われても。……それより。」
「?」
「……私たち、そう見える?あなたからは。」
瑠璃乃は改めて水晶を見た。今の彼女の薄い笑みからは、何の感情も読み取ることが出来ない。
「えーと……」
「ま、見たとおり、よ。私と彼の関係は。そこから何を読み、どう解釈するかもあなたの自由。
……でも、これだけは言っておこうかしらね。」
「何を……ですか?」
「私には、ね?少なくとも……彼とはあなたが思っていたような関係にはまだ、なれないの。ならないのではなく、なれない。」
「え?ど、どういうことですか?主従関係だから?そんなの時代遅れじゃ……」
「……そういう事じゃあないわね。」
「じゃあ……」
「……借りが、あるのよ。大きな……ね。私は彼と対等じゃない。
……そして、彼は私が従属することを望んでいない。契約して雇うことにはかまわないけど、所有物として扱うことを嫌うの。」
「何が言いたいのか、よく、分かりません……」
「……要はね? 彼がもし私とそういう関係になることを望んでいたとしても……借りを返さない限り私にはその資格がないの。
だって、借りがあるままそういう関係になったとしたら、私はそうすることで、彼のものになることで借りを返した、と言うことになってしまうでしょう?
私を一個人として扱ってくれる彼への冒涜なのよ、それは。だから……ね。」
瑠璃乃は続く言葉を待つ。しかし、水晶はもう言うことは終わったとばかりに、口をつぐんで開かない。
聞くのをあきらめ、目を落とした瑠璃乃の耳に、小さな、本当に小さな呟きが聞こえた。
……自分勝手で、ごめんね、と。
いっつも平気でブン殴ってるくせに何を言いますか、と瑠璃乃が思ったのは余談でしかない。
・
・・
・・・
しばし無言で歩く二人。が、
「……さっきの宝石店の前もそうだったけど、瑠璃ちゃんってなんかキラキラしたものが好きなの?」
話題を戻し、水晶が口を開いた。気まずい雰囲気を慮ったのか。
「フツーはそうです。……でも、宝石店まであるなんて、この町の商店街……というよりパサージュって大きいですよね、町の規模の割に。」
緊張が解け、苦笑とともに瑠璃乃も応対。
瑠璃乃の疑問に対し、
「ん〜……」
モツやら川魚やらの入った袋を片手に持ち替え、水晶はがりがりと頭をかいた。
「……あのね、この町にも昔、ニュータウン計画があったの知ってる?」
「いえ、あまり……」
「ま、詳しいことは端折るけど、あそこは立ち消えになった計画の名残。私たちが生まれたくらいに作られたけど、結局……て事。」
「へえ〜……」
古いこと以外にさほど興味のない瑠璃乃ではあるが、今いるのと違う形でこの町があったかもしれないと思えば少しは気になるというものだ。
「何で計画が消えたんですか?ここの人の反対とか?」
「全然。むしろ有り難がってたって話だわよ。」
「それじゃ……」
「ああ、そのあたりは私もよく知らないの。後で朧にでも聞いてみたら?」
あ、はい、と、そこまで言ったとき、声が後ろからかけられた。
「あら?そこにいるの水ちゃんでしょ。」
とりあえず振り向けば、そこには。
「あ、長土のおば様。こんにちは。」
留袖をした、長髪の女性が一人。ややしわがあるものの、若いころの艶姿を十分に思い浮かべられる容姿の女性だ。
と、脊髄反射で返事をした水晶が彼女の姿を見るなり、急にそわそわしだした。
「あー、だいじょぶだいじょぶ。あの子は家にいるから。」
「……そうですか。」
明らかにほっとした様子の水晶。それを見て、長土と呼ばれた女性は苦笑。
「親の私がいうのもなんだけどね、あの子は結構掘り出し物だと思うわよ?器量もいいし、料理とかも私がしっかり仕込んだし。性格だって尽くす方だし……」
「その分趣味嗜好についていけませんって…… あれは拷問ですよ……」
やたらと辛そうな顔でここにいない人間へのコメントをする水晶。
「そんなだから行かず後家なのよねえ…… 久明くんと桃花ちゃんは結婚しちゃったし、奏くんさえいいお嫁さんもらった……もらわれたんだっけ?まあ、そうだって言うのに……」
はあ、と肩を落とした彼女に対し
「えーっと……こちらのかたは?」
置いてけぼりで話の分からない瑠璃乃は戸惑うばかり。
「あ、ごめんごめん。えーと、この人はね」
くいくいと、水晶が指差すところを見れば。
「……旅館?」
それは、屋敷へと至る道を少しそれた場所にある、切り立った崖に面した木造日本建築だった。
湯気の立っている場所、おそらく露天風呂があるだろう場所からは、真下の川とともにいい景色が見えそうである。
「そ。……十六夜(いざよい)君ちの新しい人? あたしゃ長土 楓(ながつち かえで)。
あそこに見える長土旅館の女将ってのをやってるのよ。」
と、水晶がそれをフォロー。
「この人は現当主の十六夜様……つまり朧のお父さんの同級生でね?一応、枯川の分家筋にあたる家の人なの。正確には分家の分家なんだけど……
まあ、瑠璃ちゃんの好きそうなものがいっぱいある場所だから、今度お邪魔させてもらうと良いかもよ?」
「朧君から聞いてるわよ、、みょーなもんが好きな子が来たってね……
ま、雰囲気作りのために古臭いもんだけはたくさんあるから、いずれいらっしゃいな。」
「あ、よろしくお願いします。」
旅館は盲点だったな、と瑠璃乃が思う傍ら、水晶と楓は別のことを話題に。
「そうそう、もう知ってるかもしれないけど、今来てるのよ、奏君。うちに泊まっててね。
ほんと、あの子と会ったのも久しぶりだわね……
明日そっちへ行くんだって?」
「……ええ、知ってます。でもつい最近に知ったばかりですが。
どこかの誰かさんが今日になるまで放って置いてくれたんです。有難いでしょう?」
それを聞いて楓は苦笑。
「大概付き合い長いんだから、それくらい許容してやんなさいな……」
「だめです。私には責任があるんですから。彼の面倒を見るって言う……ね。」
やや真面目になった水晶の顔を見て、楓は吐息。
「複雑だわねえ…… ま、あなたが納得してるんならいいけど。
……別に、朧君に義理立てする必要もないのよ? あなたの本当の……」
楓は何かを言いかけた。が、愁いを帯びた水晶の微笑を見て……それ以上を口にするのをやめた。
「……そういえば、奏先輩の様子はどうでしたか?」
「は?」
「……人の話位聞いててくださいよ。もう……」
頬を膨らませた水晶の顔には、もう先ほどの表情は見られない。
そのことにどう対応したら良いのか分からないまま、楓は話を切り替えることにした。
「あー…… うちの子とのやり取り見る限り、昔どーりだったわねぇ……
相も変わらずの芸風だわよ、口が悪いのは。
それよりうちの子がはしゃいじゃってねぇ……」
「あの人と話の合う人はもういませんからね、このあたりには。北光先輩もお気の毒に……」
「ま、本人たちが楽しんでるから良いでしょ。それより、明日頑張んなさいよ?奏君も結構曲者だから。」
それを聞き、水晶は苦笑しつつ息をついた。
「分かってますって……」
「それならよし。」
と、それを言った後、何かに気づいたように楓はぽんと手を打つ。
「あ、奏君といえば一つ変わったことがあったわよ?」
「? なんです?」
さて、明日のもてなしに役立てばいいのだけど、と水晶は考える。
「いやー、奏君、あんな辛辣な人間がバカップルになるとは思わなかったわ。
明日会ったとき、楽しみにいてみなさいな。奥さんの方もすごいかわいいわよ?」
「へえ〜……」
少し興味を持つ話題だ。が……それ以上に気になる言葉があった。
「……奥さんの方も、来ているんですか?」
あれ、と楓。
「……聞いてないの?盆でこっちにきたって。二人そろってうちに泊まってるわよ?
それどころか、明日朧君の家に二人で行くって聞いてるけど……」
水晶と瑠璃乃は買い物袋を見た。そこにある材料は、本日二度目の買い物にわざわざ行ってきて得たもの。
しかし、そこにある材料は、どう見ても一人追加できる余裕はない。
水晶は無言で携帯電話を取り出し、コール。
「……えーと、水晶先輩?」
水晶は答えない。しばし後、彼女はつぶやく。
「……ファックス中? 嫌な予感がするわね……
……瑠璃ちゃん?」
「はっ、はいっ?」
不穏な雰囲気におびえた瑠璃乃は、どもってしまう。
「今あなたが持っているのは私が持って帰るから、悪いけどもう一度買い物してきてくれないかしら?」
「え…そ、それは構わないんですけど…… 先輩は?」
「ちょーっと急用ができたから、先に帰らなくちゃいけないの。じゃ、悪いわね?」
感情の読めない笑みの水晶と、引きつった笑いの瑠璃乃。
それを見た楓は、内心つぶやく。
(やっぱこの子達も濃いわねぇ……)
そんなことに気づくよしもなく、水晶は別れを告げた。
「では、おば様。またいずれ。」
轟、と強い息吹。
一陣の風とともに、水晶は見る見る丘の向こうに消えていく。
残されたのは、瑠璃乃と楓。
「……まあ、いろいろ大変だろうけど……頑張りなさいよ?」
「はい……」
振り回され、うなだれる瑠璃乃を見て、最後に楓は一言告げた。
「ああ、明日からはすごい疲れると思うわよ?
あの子達のように濃い面子がお客で行くでしょうから。」
それを聞き、瑠璃乃は気が遠くなる。
……果たして、自分はこの地でまともに勉強することなどできるのだろうか、と、眩暈の中思えるのはそれだけだった。
……とりあえず、今回はここまでです。
そろそろ導入も終わりで、やっと本編に入れるところまで来たというかなんと言うか。
とりあえず、次回でメインキャラがそろうはずです。
自分が本当に書きたいことがかけるようになるので、それを楽しんでもらえたらよいんですけど……
……そしておまけです。結構はっちゃけてしまいましたが、気にしないでください。
一部の名詞は、知っている人は知っているということで……
丘の上、和洋折衷の妙ちきりんな建物。
惨劇は今、まさにその中で起きている。
「わーかー…?ほんとーに、ほんっとうに知らなかったんですか?お客の数が二人だって。
……正直に言うなら、今なら……」
「そうやって手をぼきぼき鳴らすのはやめた方がいいと思うな水それより本当のこと言えば許してくれるのかだったら話は早いいや実は」
「棒読みってことは、知ってたんですね?そーですか。へえ……」
「ああそうだよ許してくれるかついでに言っておくがもうひとつ」
「誰が言ったら許してあげるといったんですか?私が言おうとしたのは、
『"正直に言うなら、今なら真弓槍武術基本技フルコース、お値段はお安くサンドバック100回の刑!""ワオ!それはお得ネ、スミス!""オフコース!しかも、なんと今回は特別に未完成の奥義がついてくるノサ!さらに……』」
「インチキ臭い洋モノ通販ごっこは悪趣味だからやめてくれそれより外道だよそのやり方は水ああもういいどうとでもなれ実は君の部屋にとてもすばらしいプレゼントを贈ってしまったんだがそれを見ても怒らないように」
「ごちゃごちゃ御託はいらないんですよ。私が外道?
昔の人は言いました。"妥協は堕落の第一歩"とね。さあ……このあたりで引導を渡してあげます。」
・
・・
・・・
屋敷の外。もはやすっかり暗くなった玄関に、一人の少女が入ってくる。瑠璃乃だ。
ふと、屋敷が揺れたような錯覚を彼女は抱いた。地震だろうか?
そう思い、何の気なしに足を止める、と。
破裂。
いきなり目の前の窓ガラスが割れた。
「ひ、ひえぇっ!」
何かが窓を突き破り、こちらに飛んできたのだ。
よく見れば、それは
「……若?」
と、それまで窓からの室内灯に照らされていた彼女に影が差した。
「無手ノ弐……翔凰。」
部屋からの光を遮ったのは、背後に光源を置いた仁王。またの名を真弓 水晶。
おびえる瑠璃乃も、彼女の視覚には届かない。あるのは獲物を見据える鷹のような目のみ。
一息つき、彼女は
「無手ノ拾弐、飛燕ッ!」
ダウン状態の朧に追加攻撃。さらに、水晶は連携を繰り出す。
「無手ノ伍、虎塵!」
一瞬で彼我の距離を詰め、
「無手ノ弐!翔凰!」
相手を浮かせ、
「無手ノ肆、牛輪!無手ノ玖、夜馬!」
空中コンボ。
止めに
「無手ノ壱、堕鳳ッ!!」
地面に思い切り叩きつけ、再度ダウン状態に。繰り返せば、永続コンボだ。
このハメは、その後、水晶のゲージが溜まりきって超技を出すまで続けられたという。
当然オーバーキル状態になった朧が、紙でいっぱいになった自室を見た水晶の新しい連携の開発台にされたのはまた別の話である。
うん、わかった。
微妙
>>108 よくわかったな。
俺もわかった。
微妙
110 :
名無しさん@ピンキー:2006/04/18(火) 01:23:20 ID:3EKwe+k7
結局の所、自分が面白いと感じるもの(=書きたいもの)が他人も面白いと感じるとは限らないわけで。
まあ、ここは書くのも読むのも自由な場所。続きを書きたいのであれば誰も咎めない。
勿論、批評するのも自由なんだけどね。
――ここの住人とは合わなかった。
結論から言えばそういう事だけど、いろいろと間違った方向に行ってしまった気がしないでもない。
俺はエロかわいいメイドさんが読みたいんだよぉ!
都心からはやや離れているとはいえ、緑の多い大きな邸宅が集まるこの地域は、
元々、伝統を誇る名家や経済を動かす富豪、高名な碩学が住まうとされていた。
閑静な住宅街には、朝が来ても通勤ラッシュを支える交通機関の音も届かない。
その静かな一角に、この屋敷もあった。
3階建ての洋館の母屋の玄関に続く道路を挟んで芝生が広がっている。
左手の芝生の奥には、亭(あずまや)に続いて、葡萄の茂る棚がある。
棚をくぐると行く手を塞ぐ池があり、橋が架かって池の中の島に続いている。
島にはまた亭があり、その向こうには対岸に続く橋がある。
対岸には、テラス。テラスは別棟の2階建ての洋館から出入りできるように
なっていた。別棟の2階には、3つの客用の部屋があり、それぞれにお付き部屋を
付属する大がかりな客間であった。
客間にも、同じように朝が来る。昨夜よりこの客間に滞在しているのは、
年の頃13-4歳の少年であった。まだ声変わりせず、華奢な体の少年は、
慣れない館の臥所でどのような夜をすごしただろうか。
しかし、ベッドに横たわり、未だ目覚めぬ少年の体にはある種の異変が
起こっていた。
年の頃なら二十二三、長い黒髪をひっつめにして、三つ編みにしたうえで
編み込んでまとめ、カチューシャというよりはヘッドドレスをつけている。
知性と敏捷さ、段取りと抜け目なさを感じさせる表情は、端正というより
やり手の女性というタイプの顔で、しかも、黒縁の眼鏡が美貌にワンポイントを
加えていた。時々、くっと力の入る顎の筋肉、次第に寄っては緩む眉根。
見れば見るほど悩ましい表情でありながら、声を漏らすことなく無音であった。
洗濯したてで糊の利いた白いエプロンは、両肩にフリルがつき、胸当てと
前垂れの部分にもフリルで縁取られていた。エプロンの下には、この館の
ユニフォームなのか、くすんだ黒のワンピースを着ていた。しかしその
ワンピースのふわりとしたスカート部分は、彼女の両手でたくし上げられ、
彼女の上体の動きに連れて揺れていた。
スカートの下は、ガーターベルトから釣られた黒のストッキングと、
透き通るような白い太股があらわになっていた。
そしてその太股の合わせ目の黒い茂みの下では、少年のまだ幼い
陽の気の凝る逸物が、ぬるぬるとこすり挙げられ、絞られているのであった。
少年に背を向け、つるんとした、それでいて動きで揺れる円尻を少年の細く
平らな腹にぶつけ、彼女の透き通った太股は勤勉に、太股の主の上体を
上下動させるのであった。別人格のような腰が、上下動の他に、円運動
をするたびに彼女の眉根はより、そしてゆるむのであった。
>>111 連載途中の長編は途中で感想がつけられない。よって早々に続きを書き上げることを要求する。
113 :
名無しさん@ピンキー:2006/04/28(金) 19:40:02 ID:f5wb1yp+
現代日本で少女メイドを持とうと思ったら、海外から輸入するしかないからな・・・
あと数年たてば、少年律動体操を踊れる人材が密入国してくるかもしれんが。
養子として迎え入れて、食事と部屋、そして、適切な給料をコズカイで与えれば?
掃除や洗濯などを「実の子ども」と一緒に行わせるとか、ちゃんと学校に行かせるとか。そういう事をすれば良いよ。
115 :
名無しさん@ピンキー:2006/04/29(土) 15:55:54 ID:MwkdYOuP
付き合った彼女をメイドにすりゃいいんだょ。
周りから見れば普通の高校生と大学生のカップルだけどな。
116 :
名無しさん@ピンキー:2006/04/29(土) 19:16:31 ID:k8WrA4LC
リアルでそれやって半年で破局した漏れがやってきましたよ。
どんなに家事が得意で世話女房な娘でもリアルエロゲーは無理!
・・・惜しいことしたな
118 :
名無しさん@ピンキー:2006/04/29(土) 23:59:49 ID:TwpVqe6V
俺の彼女は料理も洗濯も出来ないけど本人からすすんで「ご主人様」って呼んでくれます。
メイド服買ってやったら喜んで俺の家だけだけど着てくれます。
出来ないけど俺のために一生懸命ご飯作ってくれたりします。
かれこれもう3年...絶対手放せぬ。
メイド喫茶で話を聞いたら、メイド服を、というより可愛い服を着れてうれしい、もっと可愛い奴を着てみたい、みたいにはなしていたな。
やるんなら、金に糸目を付けずに徹底的に可愛いのを用意したら、うまくいくかもな。
120 :
しゃばら:2006/04/30(日) 02:00:49 ID:V3Apavi3
短いながらにその内書かせていただきます。
122 :
116:2006/04/30(日) 09:24:31 ID:aO6F92P+
真に惜しいのはその娘がHカップだったことだけどな。
・・・故に、今でも時々後悔している。
エロゲーをリアルでやったら愛想を尽かされるからな
お兄さんからの忠告だ!
124 :
118:2006/04/30(日) 15:18:33 ID:x/o41g4P
>>119 ナイスアドバイス。でも学生の俺には金が...
>>121 ......orz
>>122 それは惜しい!
うちの子はCだけど形が悪いのか仰向けに寝るとぺったんこ。貧乳。でも萌え。
何のスレだここは
>>126 冥途さん関連の作り話を書くスレッド。
>>118 そんなに気にしなくても
例えば、お誕生日などに、ドレス(と言っても、日本語ではワンピース)やスカートとブラウスシャツ などでも良いのでは?
日常着られる一般的な形でも、生地を選べば良いと思いますよ。
学生さんと書かれていますが、高校生さんですか、大学生さんですか?専門学校?
年に1回ですから1万円くらいは頑張って下さいよ。
Cカップ(周囲でトップバストとアンダーバストで12.5cm違い)と言っても、チェスト(脇下囲)バスト(胸囲)ウエスト(胴囲)の寸法で結構見た目変わりますよ。
例えば
小柄(背丈140cm、体重35Kg トップバスト74cmアンダーバスト62cm、ウエスト55cm ヒップ 83cm 位)な人と
大柄(背丈180cm、体重70Kg トップバスト88cmアンダーバスト75cm、ウエスト67cm ヒップ 95cm 位)な人と
では、見た目の印象はかなりちがいますよ。
この場合、小柄な子では胸は大きく出っ張って見えますが、大柄な小は微乳に見えます。
人の体つきを円筒、胸を球を半分に切った形と考えた場合、直径約20cmに高さ4cm突起2個と、直径約24cmに高さ2cmの突起2個 の違いになりますから。
(本当は、胴回りなどは横長なので、もっと大きな違いになります)
今、例に出した寸法の根拠はこの辺にあります。
・
http://www.jisc.go.jp/newstopics/1998/jisl4004.htm http://www.jisc.go.jp/newstopics/1998/jisl4005.htm ・身長体重比(BMI/ボディ マス インデックス)
・ニッセン、ファーストリーディング(ユニクロ)、良品計画(無印良品)、の服寸法
パシッ、ピピー、パシッ…
俺の自慢のカメラの音が響く。
今日は都内の某スタジオでメイドの写真撮影が行なわれていた。
「可愛いねぇまなみちゃん!もっと笑顔ちょうだい」
「えっと…え、えへ」
ぎこちない笑顔でかえす恥ずかしがり屋の彼女はまなみ。
短いスカートと胸元の開いたメイド服で撮影にのぞんでいた。
「こういう写真って初めてで……うまくできなくてごめんなさい」
「いいよいいよ。俺の言うとおりにしてれば大丈夫だから。ご主人さまだと思って頼ってよ」
冗談めかして言うとまなみもはにかみ、うなずいた。
「は、はい。ありがとうございます」
「うん。じゃあイスに座って。ああ、もっと足広げて」
「はい。こう、ですか?」
素直にイスに腰掛け肩幅ほど足を開いた。
俺は納得いかなげな顔でまなみに近づくと触るねと断って、白い脚に手をかけた。
「う〜ん…もっと、こうかな!」
「きゃあ!?」
ガパリ。
男の手によって膝を持ち上げられるように大きく広げた。
「おーいやらしいパンティが丸見えだ」
「や、やめてください…っ!」
「ここでは俺がご主人さまだ!メイドなら逆らうな!」
強いことばにハッとしたまなみの抵抗がやんだうちに両足が左右の肘掛に乗せてしまう。
「へぇ。見かけによらず淫乱そうなマンコしてるな」
指をパンティの端にかけてずらす。
「マン毛もボーボーだし、このビラビラ……真っ黒じゃねぇか!」
「い、いやぁっ…見ないでください…っ」
「中のアンバイを調べてやる。淫乱らしくガバガバか?」
「アァっ!」
指を二本まとめてぶちこんだ。
「締まりはいいがさすが淫乱だな、中がヒクついてやがる」
「ぁ、あぅ…ァ、はぁん」
「なんだよ、自分から腰回してんのか?淫乱とおりこしてブタだな、雌ブタだ」
言葉ぜめに感じるのか、まなみの秘所はもらしたように濡れてきた。
しかし俺の言葉もウソじゃない。まなみは自分で腰を動かしている。
それどころか……
「マンコヒクつかせてるじゃねぇか!」
「アッァア!あひっ…ああぁあああ!だめ!そんなにしたらイクっイっちゃうよぉ!」
指で思い切り掻き回してやると、よだれを垂らしながら仰け反った。
「チンポいれてやるから、いやらしき言葉でご主人さまにおねだりしろ」
チンポをぬたぬたになったマンコに押しあてる。
まなみは顔を赤くしてちいさくうったえた。
「ご、ご主人様のりっぱなお、おチンポをまなみのヌルヌルおマンコにください…」
「なにが欲しいって?」
「…ンポ、おチンポです……おチンポ、おチンポください…っおチンポ欲しいのぉ!」
じゅぶぶぶぶ!
「キャアアアアアア!ァアァア!あんぅ!おチンポ気持ちい!まなみのマンコにご主人様のおチンポはいってるよぉ!」
まなみは絶叫のあとおチンポとマンコを連呼してイキまくっていた。
そのあとはたっぷり種つけし、あふれないようバイブをつっこんで撮影再開。
緊張のなくなったまなみはうっとりした笑みを浮かべて撮影は成功した。
131 :
126:2006/05/02(火) 05:38:12 ID:NYgOxD/c
134 :
126:2006/05/03(水) 20:22:23 ID:cNw+1Qte
>>133 メイドさんと遊ぶのか?架空メールを作りあって?
今長編(長さ的には中編?)書いてる。
初めて地の文を一人称ですます体で書いたんだけど難しいね。
>>136 読ませ下さいね。ゼヒ。
普段使わない丁寧語でお話をするのは難しいです。
それに「若者語」も使えなくなる場合も多々有りますよね。
138 :
136:2006/05/05(金) 01:55:12 ID:DevTNuVq
多分書きあがるのは休み明けですがうpします。多分万人受けしないのですが。
へい、丁寧体というものは大変面倒くさいものだと痛感しました。
確かに、『コンビニ』という言葉すら使えずコンビニエンスストアと長ったらしく書かなきゃいけないので…マンドクセ
>>111さんの続きにwktk。
139 :
名無しさん@ピンキー:2006/05/09(火) 23:57:35 ID:P7ynDlsq
保守
140 :
名無しさん@ピンキー:2006/05/12(金) 15:48:00 ID:r0TTw0RB
そろそろ、深夜、塾帰りの女子小学生か中学生を拉致・誘拐して
自宅でメイドにしていた、という事件が発覚しそうな気がする・・・・
家出娘なら結構されてそうだと思う
>>140 そうなると、ますますヲタに対する世間の目が冷たく厳しくなるな。
ヲタはみんながみんな犯罪者なワケじゃないんだっつーの。
俺は三次元なんかに興味は無いぞ!!
orz
142 :
名無しさん@ピンキー:2006/05/23(火) 23:19:49 ID:+VARg4Np
鉄腕アトムが日本のロボット研究者の基本となったように
魅力的なメイドロボットが将来の人口減少・少子高齢化時代の日本を救うかもしれない・・・
だって、出たら買うだろ?
皆の衆
メイドロボット!?
ははは…
出てもどうせ
君等の財力じゃ
手に入れる事は
できないよ!!
って、(゚3゚)さんがいってた
メイドロボットよりも専用メイド兼彼女がほしいとマジレス
「将来の人口減少・少子高齢化時代の日本を救うかも」
それはない。魅力的なメイドロボットの体の一部分の出来次第で、
誰も人間の女性と結婚しなくなるからな。
ちぃのように………記憶リセットされるんなら……うわあ〜ん。
146 :
名無しさん@ピンキー:2006/05/24(水) 04:18:18 ID:tnkdYX/c
でも、俺たちの世代は機械に看取られて逝く最初か次あたりだろ。
老化する団塊の世代対策と社会に普及する自動機械はそういったニーズを生むだろうし。
それに、メイドロボットをそっち方面に使う奴らはどーせ嫁は来ないと思うぞ
漏れも含めて!
そこで、だ。
生身の女に相手にしてもらえない連中が知恵をしぼって、
受胎可能なアンドロイドを発明する訳だ。
148 :
名無しさん@ピンキー:2006/05/24(水) 07:58:27 ID:RkjKKqkb
電撃萌え王でそんなマンガ連載されてたな・・・
>>147 かくして完成した最高級メイドロボたち。
しかし、あまりに高性能に作りすぎたため、
彼女達は人間の女性をはるかに凌駕する能力を持ってしまった。
しかも、開発者が精魂こめて作り上げた感情プログラムにより
「人間の女性に相手もされないような男性、お断りです」と本末転倒な事態に陥ってしまう。
この話はそんな時代に
あるメイドロボに一目ぼれしたヘタレご主人様が愛を求めて闘う姿を描いたドタバタラブコメである
そんな話よろ
↓
せっかくツンがデレかけしてるのに、
指でリセットスイッチでツンに初期化。
泣くに泣けない悲しい物語……
>148
それなんてドラゴンパーティ?
152 :
137:2006/05/26(金) 15:40:42 ID:oN85i4uM
機械的冥土さんといえば、安藤まほろさんだと思います。
『えっちなのはいけないとおもいます』とおっしゃりながらも、御主人様とお風呂に入っていますし。
それから、受胎可能な場合、遺伝子は御主人様の遺伝子だけですから、おそらく男しか産まれないと思います。
男の遺伝子だけで女が産まれたら結構怖いと思うのですが。性格や行動パターン的に。
以前、柴田昌弘さんが描いてたと記憶していますけど、女が皆、工場で作られたモノ、って言う話を。
>>145 ちぃの場合、本当に記憶がリセットされるかどうかわからないですよ。
お母さんとお姉さんの話だけでしかないですから。
少なくても起動のスイッチは仕掛けてありましたね。あの場所に。どういう設計思想かわかりませんけど。
>>152 君はアミテージを知らんのか
言っとくが、アーミテージじゃないぞ。
念のため。
ヘンリー・アーミティッジ教授
アーミテージ国務長官
アミテージ・ザ・サードだっけ?
152
>それから、受胎可能な場合、遺伝子は御主人様の遺伝子だけですから、おそらく男しか産まれないと思います。
男性の性遺伝子はXとY両方持ってるから
XY(男)でも
XX(女)でも
両方できるんジャマイカ
ウィンターミュート
>152
CLAMP先生ってみんな女性だから、
リセットスイッチがアソコにしかけてある(と俺は思ってた)のは、
「喪まいら、丹精込めてちぃの心を育てても、
まんこのためなら、そのちぃが居なくなってもいいのかよ」
と挑戦されているのかと思って、悲しかった。
起動スイッチでもあるから、スケベでなければ起動できないのに、
フィジカル面で全てを希望したとたんに、メンタル面で全てを失う…
なんて恐ろしいワナなんだ。
こんな危険なトラップをクリアできないと女の子とは仲良くできないのか…
先生それは過酷すぎます。
と当時思ったよ。
>>152 むしろ精神的に女性の男女が生まれるのでは…?
161 :
名無しさん@ピンキー:2006/05/30(火) 10:33:21 ID:sA36mfyN
喪前ら、新谷かおる先生が定期的にエッチしないと
最高性能を発揮できない女の娘型パソコンマンガを書いてたのを
しらんのか!
ずいぶん昔だが、ツンデレ同級生もマスターに死なれた「未亡人」パソコンも
おったぞ。
でも、メイドはおらんかったなぁ・・・
秘書タイプはいたけど
162 :
152:2006/05/30(火) 23:14:24 ID:5Q3y9rwN
ぶっとびCPU(白泉社、JETS(ジェッツ)コミック)ヤングアニマルに1996年から98年頃に載せていたものだね。
でも、アレは、その精子というか・遺伝子と言うか。それを使って記憶領域を確保する。
で、その遺伝子というか、白濁液というか、が劣化すると性能も劣化する。
子作り機能は、なし。
それから、最初に入れた遺伝子情報を記憶して、次回以降同じ遺伝子情報で無ければ、機能しない。
だたし、最初に記憶した遺伝子情報を持つ人が、解除命令を出すと、その次に入れた遺伝子情報で機能するようになる。
御主人様の趣味で輪姦した場合狂人になる。
で、それなら、私は、ハンドメイド・メイやハンドメイド・マイ、または、ユリア100式(白泉社 ヤングアニマル)を推薦するな。
http://www.hand-maid.net/ http://www.wonderfarm.co.jp/hand-maid/ http://www.wonderfarm.co.jp/handmaid/ メイは子作り機能あり、マイは子作り機能は無いが高性能ビデオ撮影・編集機能があり
ユリア100式は、ダッチワイフ。
いずれも、人と同じ飲食物を利用した燃料電池で駆動する。
h
>162
ぶっとびCPU、コミック文庫もDVDも購入しました。
御教示のおかげで楽しい時間を過ごせました。
ありがとうございます。
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 早く次のメイドさんが来ますように・・・
\_____________________
o〇 ヾ!;;;::iii|//"
∧∧ |;;;;::iii|/゙
(,, ) |;;;;::iii|
⊂ ヾwwwjjrjww!;;;;::iii|jwjjrjww〃
( ,,)〜 wjwjjrj从jwwjwjjrj从jr
166 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 23:40:35 ID:aT99QjLb
ほしゅ人様
>165 ロベルタちん
こんにちは。メイドになってまだ半年。新人メイドの真綾といいます。
まだまだわからないことがたくさんあって、ご主人様やお屋敷で働く他の方達にご迷惑ばかりかけていますが、若さと情熱、そしてご主人様への一途な想いを胸に、毎日頑張っています!
私のお仕えするご主人様はとてもお優しくて紳士で…
ちょっぴりエッチなんだけど、でもそこも含めて真綾はご主人様にもうメロメロです。
そうそう エッチって言えば、この前こんなドキドキなことがありました………
コンコン…
「失礼致しますご主人様 お呼びでございますか?」
「ああ、真綾。わざわざ済まないね。ちょっとその窓ガラスのくもりが気になったものだから…」
「あ…申し訳ございませんご主人様っ、今すぐお拭き致しますね」
「ああ、ありがとう」
私の失敗を叱るわけでもなくにっこり微笑むと、ご主人様はそのまま大きな肘掛け椅子をくるりと回転させ、またデスクに向かい何やらお忙しそうに書類にペンを走らせ始めました。
私は恥ずかしい気持ちでいっぱいになりながら窓拭き用の布を手に中庭に面した小さな小窓へと向かいました。その窓はほんの少し出窓になっていて,そこに手をかけ窓の向こうに目をやれば手入れの行き届いた美しい中庭を眺めることができるようになっています。
ご主人様はきっとお仕事のお疲れを癒すために窓から中庭を鑑賞なさろうとして窓の汚れにお気付きになったのでしょう。
私の背が小さいから…そんなことは言い訳になりません。
いつだってご主人様のお考えになること、お目になさるもの、お耳に入るものに配慮し気を配っていなくてはいけなかったのに…。
それだけではありません。
私はさっきご主人様からお呼びが掛かったとき、どこか淫らな期待をしてお部屋へと向かっていました。
こんな日中の明るいうち、しかもお仕事中にご主人様がそんなことをなさる筈がないのに…。
真剣に書類に向かわれるご主人様のお姿に、自分の至らなさ、軽薄さを痛感させられ、私は恥ずかしさで頬を赤らめずにはいられませんでした。
でも、そんなことを気にして落ち込んでる場合ではありません。
窓ガラスをピカピカに磨き上げ、ご主人様にご満足頂けるようにしなくては…!
私は夢中で窓を磨きました。
夢中でになるあまり丈の短いメイド服のスカート下の下着が丸見えになっていることにも気付かずに…。
「随分と大変そうだね」
突然声を掛けられ、私はびっくりして振り向きました。
するとそこには書類仕事をなさっていたはずのご主人様が椅子を完全にこちら側へ向け、くつろいだご様子で私に微笑みかけていらっしゃいました。
「え…っ?」
いったい何のことだかわからず、返答に困り戸惑っているとご主人様は微笑みを絶やさずこうおっしゃいました。
「高いところに手が届かず大変そうだな、と思ってね。随分と一生懸命背伸びをしているようじゃないか。」
「……?」
「かわいいパンティーに包まれたかわいいお尻が丸見えになるくらい、一生懸命…ね」
ええっ?!と驚く間もなくご主人様はツカツカとこちらへ近づくと、高い場所のガラスへと身体を伸ばし爪先立ちになっている私の後ろに立ち、いきなりむにゅうと私の両方のお尻を掴み上げました。
「あっ!?ひゃあぁんっっ!」
突然のことに私は思わずはしたない声を上げてしまいました。
「おやおや何だい?そんな声を出して…傷つくじゃないか。イヤだったのかい?」
ご主人様は手を休めることなく強弱をつけながら上へ下へ左右前後に…と私のお尻を撫で上げていきます。
”イヤ”なはずなんてありません。だって私は…ご主人様にこのお部屋に呼ばれたときから、ずっとそれを期待していたんですから…。
「イヤ…なんて…ぁ…っん…っそ、そんなこと…そんなことあるはずが…ござぃ…ませ…っぁぁああ…っ」
お尻を撫でられているだけだというのに私はゾクゾクと感じる気持ちを止めることができませんでした。
もっと…もっと乱れたい…もっと感じたい…。
けれど頭の片隅に真面目な私が頑張っていて、ちゃんと窓拭きをしなければ、という気持ちも微かに残っていたのです。
「まど…まどをふかなく…ちゃ…っぁんっごしゅじんさまぁ…っ」
「ふふふ…っ 窓はちゃんと磨いてもらうよ…?キミは窓を拭く手を休めてはいけない。ボクはそんなキミを後ろからたっぷり味わわせてもらうからね…」
窓を拭きながら…?お仕事の最中にご主人様に後ろから貫かれてしまうの…?
ああ…なんて淫らでなんてステキなんでしょう…。
これから自分を襲ういやらしくも魅力的な行為に胸の高鳴らせている間に、私はパンティーを剥ぎ取られ、両手を窓につけ両脚を広めに拡げた体勢にさせられてしまいました。
170 :
168:2006/06/29(木) 03:13:10 ID:yTAOwcPs
文字書き2度目の未熟モノ故 いろいろとご容赦ください
このあとささっとブチ込んで終わるか
もうちょい遊ぶか考え中。
近日続きを投下しに参ります
今日は寝ます
お久しぶりです。
久しぶりに投下します。
少し懐かしいですね
倫敦はその日も雨だった。
先週末からずっと同じような、何枚も重なるように厚く覆った雲から、大粒ともいえないが
さりとて濡れて歩くにはすこし体がじっとりして嫌だな、といういかにも中途半端な雨粒が
中途半端に降り続く中途半端な天気が続いている。
石畳を打つ雨は耳にうるさく、一年でも一番日照時間が長いこの時期だというのにいつまでも
暗く冬のような空は気分を落ち込ませるし、湿度が高いと何よりも家中がじめじめして単純に
不愉快だ。
屋根から滴り落ちる雨を、頬を膨らませて少年が見ている。
まったく、毎日毎日飽きもしないでよくふるものだね。
すこし雨を褒めたくなる。
少年はティム・ダーヴァレイという。
今年で十歳になった。
ティムは頬杖をつきながら窓の外を見ている。
空は暗く大気は澱んで、昼だというのに街灯に火が灯され異様な雰囲気をかもし出し、
いつもは景気よくはためいている、明るい白色の洗濯物も見えない。
このあいまいな雨が降る街には誰も出たがらないのか、窓枠の中に人影は見えない。
人どころか鳥もリスも馬車さえも通らない。
静物画のような風景の中で、控えめな雨だけが上から下へと飽きることなく動き続けている。
なるほど、雨の降り続く倫敦は全体的にねずみ色の様相である。
ざああとなり続く雨音が耳に入り続けて、その音だけが意識を埋め尽くしてしまい、
何も考えられなくなるようなけだるい日曜日の午後である。
ティムはぼんやりと灰色の意識下で、窓を見る目の焦点を変える。
ガラスには活力という物の感じられない、およそ少年らしくない濁った目をしたティム自身が映っていた。
母親譲りの美しい金髪――だとよく言われる――が、ガラスの中でも輝いている。
頬杖をついた辺りの頬肉は不自然に寄り顔に波をつくり、そんな気はないのに眉間にも薄くしわが寄っている。
普段は我ながら美しい瞳をしているな、と思うことがあるほどの青い瞳も、ガラスの中の
少年のものはその輝きを持ち合わせておらず、どこを見ているのかよくわからない。
さらにそのガラスの向こう側には、雨が滴っている。
その無気力無表情な顔の上に雨が流れ、開いているのに物を見ていない無意味な瞳から次々に
涙だけが流れ出ているようにも見えて、ティムは嫌な気分になって椅子を降りた。
気分が盛り上がらない。
どうもこう、さあやるぞ、とか、元気出していくぞ、とか、腹を抱えてゲラゲラ笑うような気分にならない。
圧倒的にダウナーで憂鬱で胸の辺りが不必要にもやもやする。
いつもなら、こんな気分になったときには、家の使用人と遊んだりおしゃべりをしたり馬鹿にしたりして
気分を盛り上げるのだけれど、どうもそんな気にならない。
というのも、ティムのこの暗い気分は、大元は天気のせいであるのだが、
実際にはその使用人――わかりやすくメイドと書こう――メイドから、伝染してしまったもので、
自分を支配する、この地下室の湿っぽい部分に一週間ほど放置した食パン――カビだらけ――のような気分の発生源
――悪の根源――はそのメイドであるからだった。
「ユカリぃ……入るよ」
ティムは二階の使用人部屋――壊れかけた父手製の看板が掛かっている――の扉の前に立ち、
小さなこぶしでこんこんと数度叩いた。
返事はない。
返事はないが扉を開ける。
なに自分は雇い主の息子であるのだし、文句を言われる筋合いも無い。
というより、彼女がどのような状態にあるのかティムには大体想像がついていたのだ。
死体がそこにあった。
と思うかもしれない。慣れていない人なら。
ユカリと呼ばれたメイドは、粗末なベッド上に突っ伏して寝転がっており、ただでさえ窓が小さく
光の入らない部屋――しかも外は雨である――の中で、黒いワンピースをだけを着てただ寝ているものだから、
暗い。
そのベッドを中心に、黒い、というか、「暗い」が広がっているようだった。
一段高いはずのベッドが、逆に一段低く、どんよりと暗く感じられる。
「ユカリ……まだ死んでるの」
ティムはベッドの上に横たわる彼女に声をかけたが、返事が無い。
ただの屍のようだ。
しかばねは黒い髪をぴくりと揺らし、いかにも面倒くさそうに顔だけを上げて振り向いた。
「生きてますよ……まだ」
ゆかりはかろうじてその二語だけを発した。
それにしても蚊とんぼの唸るような声量である。
彼女は「生きている」といったが、なるほど肉体的にはそうであろう、
しかし精神的には死んでいるといって差し支えの無いほど、彼女からは活力や精気といったものが無く、
もし自分がハエならすでに彼女にたかっているだろうし、菌類ならば十分に繁栄しているだろう
とティムは思った。
部屋中に口ではうまく説明できないような、気の流れ、というようなものの無い、
澱んだ空気が充満している。
その澱んだ部屋の真ん中で、ベッドに突っ伏して空気を吸っては吐くだけの生命活動を繰り返して
部屋の空気をさらに澱ませ続けている精神的死人の彼女の名は、田村ゆかりという。
黒髪、黒い瞳、黄色い肌、小さな体。彼女は日本人である。
なぜ日本人である彼女がこのような場所でこのような職についているか、
それを簡単に言うとこうである。
ティムの父親であるジョン・ダーヴァレイが彼女を馬車で撥ねた。
なんということだ、彼女は記憶を失っってしまった、どうしよう。
そうだうちで保護しよう、英語英国文化を学ばせるためにもまあついでにメイド兼子守もやってもらおう。
とまあこんなところである。
大筋で間違いはない。
「ねえユカリ、げんき出してよ、ぼくもつまんなくなっちゃうじゃん」
ティムは戸口に立ったままで、ベッド上の彼女に声をかける。
「そうですね……私としてもそうしたいのは山々なんですが、いかんせんこう、なんというか、元気がもうひとつ、出なくてですね」
ゆかりもやはりベッドに突っ伏したままで答える。
「なんですかね……お天道様が出てないとこう……ダメですね私は」
たしかに今の様子を見るに、かなりダメである。
そして彼女は同じ体勢のままで言葉を続けた。
「今の私はメイドというより……冥土ですね」
たしかに今の様子を見るに、かなりダメである。
「太陽が出てないとダメ、って……いつもは光合成でもしてるの?二酸化炭素すって酸素吐くー、っていう」
呆れたようにティムは言ったが、ゆかりは「ええ実はそうなんです」と気のない返事をするだけだった。
聞くところによると、彼女の国日本というのは、ブッディズムと、アニミズムから進化した
独自の宗教の入り乱れた国であり、そのアニミズムの方は太陽を最高神としているらしいと
いうことだから、まあ彼女がほとんど生ける屍と化しているのも精神活動の活発さが最高神
の停滞した活動と連動してしまうのも宗教上の理由からならまあ仕方ないか……
と思うようにティムは自分を持っていこうとしたが、自分でもこの屁理屈には納得することが出来なかった。
ちょっとろんりてんかいに無理があったかな、と一人で反省するのだった。
「ああそうだ、ゆかりいつだか言ってたじゃん、ニホンの神話にそういう話がある、とかなんとか」
今の屁理屈を考えている間に思い出した。
そうだユカリはいつだかそんなことを言っていたのだ。
昔々おおむかし、太陽神アマテラス某が隠れてしまってどうのこうのとかいう……
ティムは部屋の中にずかずかと入っていき、隅に置いてある大き目の木箱の中から一冊のノートを取り出す。
ノートには『Memory note』と流麗な筆記体で書かれている。
「タタタ タッタターン……記憶ノートぉー」
とティムはまるで独特の効果音を口に出してまでそのノートを取り出したが、
ゆかりはティムを目で追うだけで――クビすら動かしていない――その上
「フン」
と鼻で笑っただけで何も言わなかった。
これにはティムも傷ついた。すこしばかり。
しかし、彼は今の状態の彼女が本当の彼女でないということも十分に知っているので、我慢して
ノートをめくり始める。
「ああ、あった、これこれ、ええとなになに……」
ゆかりは諸事情により記憶喪失である。
あるが、もともとの彼女は実に博学多彩であり博覧強記人畜無害、というような才人であったらしく、
底なし沼に泡が浮かぶような頻度でときよりその記憶が蘇る。
そしてその記憶を再び忘れないようにするために、彼女はノートをとり始めたのだ。
自分の記憶をノートに取るというのはなかなか空しい感情を伴ったりするようで、
たまに深いため息をついていることもあるがしかし彼女はこのリハビリに懸命に取り組んでいた。
そしてそのノートにはこう書いてある。ティムはそれを朗々と読み上げた。
「『アマテラスオオミノカミが天岩戸にお隠れになったとき、ウズメノミコトがその岩の前で
陽気で楽しい踊りを踊り、その歓声が気になったオオミカミはついに我慢しきれずにでてきたということだ
……それにしても私は変なことを思い出すなあ』」
「……(ユカリ、自分でもへんだとは思っていたのか……)」
ノートから顔を上げると、ゆかりの黒い瞳がこちらを向いている。
瞳に輝きが無い。
泥炭地にビー玉を放り込んだような、そんな色をしている。
視線が合って、ティムは一瞬どきりとしたが、ゆかりのほうには何の反応もみられなかった。
瞳孔が開いている。
なんだか死臭までしてきそうだ。
「……ユ、ユカリ、元気だしなよ、ほら、太陽が出ないならさ、ユカリがこの、
ウブメのなんとかさんみたいに歌って踊って元気を出すとかさあ、」
ティムは明るく喋っているが、ゆかりは「ああ」とか「うう」とかどうにも母音以外の音を発する気はないようだ。
「ほら、ニホンの踊りってやっぱりどくとくなんでしょ?見たいなあ、ユカリがウブメさんみたいに踊るところ……!」
ティムはベッドの傍まで寄り、なんとか元気を出してもらおうと躍起になっている。
正に天岩戸のウズメノミコトのように。
ゆかりもその様子に気づき、思い浮かぶままにその顛末を話してやることにした。
「ええそうです……、日本の神話を集めた本『古事記』の中にはそういうお話があって……
偉いアマテラス様が岩の向こうにお隠れになった時に、ウズメノミコトさまが踊りを踊って……」
ゆかりが話しだすと、ティムは「待ってました」とばかりに瞳を輝かせ、話に聞き入る。
ベッドのそばに腰かけ、彼女に相槌を打ちながら聞いている。
なんにしろ元気を出してほしいのだ。
そうして一緒に遊びたいのだ。
「うんうん、ねえユカリ、ほら、踊りなよ、ウズメさんみたいにさ、そしたらお日様も出てくるかもよ?」
おどれば元気も出るよ、ほらゆかり、さあ。
「そうですねえ、ウズメ神みたいに……坊ちゃま、見たいですか?」
「うん、すっごく見たい!」
「そうですか……坊ちゃまがそこまで言うなら……」
のそ、と冬眠開けの熊のようにあくまでスローモーに上体を起こそうとした時、
「…………!」
ゆかりは急に顔を赤らめさせ、紅潮しだした。
ティムはわくわくと瞳を丸くしてゆかりを見つめている。
ゆかりは頬を真っ赤にしてティムを見ている。
「ぼ、坊ちゃまの助平っ……!」
喉の奥から絞り出すような声で、ゆかりはそんなことを言った。
「んん?」
ティムには何のことだかわからない、なにかの聞き間違いかと思い、首を伸ばしてゆかりを見つめなおす。
しかしゆかりはなんだか別の意味に取ったらしく、ティムの他意の無い視線に顔の赤色を深め、
ついにティムから視線を外した。
「……ユカリ?」
ゆかりの細い指が、白いシーツを握り締めている。
放射状に寄ったそのしわを凝視するように、ゆかりは視線を右下へ逃している。
ティムの呼びかけにゆかりは答えない。
「……見たいな?ユカリのウズメさん踊り」
特に意図するところはないのだが、その言葉にゆかりはびくりと体を震えさせ、過剰なまでに反応した。
弓なりに曲がる耳の上部までが赤く染まっているのが、暗いこの部屋でもわかる。
ゆかりがなにを考えているのか、ティムにはわかりかねた。
「……わかりました」
ゆかりが言った。
「坊ちゃまが……そこまで言うのなら……」
やおらゆかりは、シーツを持ったままで立ち上がった。
その瞳は黒くゆらゆらと潤んでおり、表情にはある種の決意が表れている。
上気させた赤い頬から、ほぅ、と艶っぽいため息をひとつ吐いた。
小さな唇が濡れている。
持ち上げたシーツは足から首元まですっぽりと隠され、その下に何も着ていないと言われれば信じてしまうかもしれない。
シーツに体が密着して、うすぼんやりとした曲線が、シーツの白いひだの下から読み取れる。
ティムはベッドに腰かけているので、視線の先にある小さな二つのこぶは、おそらくゆかりのひざだろう。
それが細かく震えている。極度に緊張しているのか、あるいは逆に興奮しているのか。
ゆかりの様子がおかしい。
「あの……ユカリ?」
ティムは本の小さく首をかしげてゆかりの名を呼んだが、ゆかりは答えずに、
持っていたシーツを一旦、ぎゅっと握り締める体を縮めると、少しして、
諦めたようにそのこぶしを開き、シーツははらりと儚げに落ちていった。
シーツは無作為にベッドの上に落ち、半分はティムの膝に掛かった。
「あの……ユカリさん?」
ゆかりは立ったままで、首もとの襟カラーを外し、ベッドに投げ置く。
黒く潤んだ瞳はティムを見ている様でもあり、どこも見ていないようでもある。
「ウズメさん踊りについて……すこし説明してもらえないかな……?」
ゆかりはぴくっと体を震わせ、うつむいて答えた。
手はワンピースのボタンを外し始めている。
「天岩戸にお隠れになった天照大御神の気を引くために、ウズメノミコトは陽気に楽しく踊ります……」
それは知っている。そう書いてあったのだから。
「うん、それで、今のユカリがとても陽気で楽しそうに見えないわけは一体どうしたことだい?」
ゆかりは、目線を床の少し前辺りにあわせたままでぼそぼそと答えた。
「ウズメノミコト、次第に興が乗ってきて、ち、乳房やその……下腹部までもがあらわになったものだから、
一座の神様みんながどっと大笑い……」
ゆかりは説明するにつれ顔を赤らめ、体をちぢこませていくようだった。
しかしすでにボタンは上から半分以上が外され、その隙間から実用的な白い木綿の下着が、
暗い部屋に慣れた目にまぶしいほど覗いている。
「は、恥ずかしいですけどっ……!」
ゆかりが一度にワンピースを脱ごうかとした瞬間――
「ストォォオオオオオオオッップ!!ストォォォオオオオオオオップ!!ッップ!だぁあっ!」
ようやく事情を理解したティムの必死の叫び声が狭い部屋に響いた。
「い、一体なにを考えているのさっ!」
「だって坊ちゃまが『見たい』って……」
「じょ、じょうきし、というものがあるでしょうがぁ」
「『常識』、ですよ、坊ちゃま」
「だあ、あげあしをとるんじゃないよこのっもう……ばかァ」
なんだかティムは情けない気分になってきた。
「馬鹿とはなんですか馬鹿とは……私だって、恥ずかしいのを必死にこらえてですねぇ……!」
「そういうじじょうがあるなら、ひとこと言えばいいだけじゃない!」
「だって坊ちゃまがあんなに期待した目で見つめるんですもんっ!」
期待した目。
確かに期待はしていたが、それは「ゆかりが元気になるかもしれない」という期待の視線であって、
ゆかりが思うような――卑猥な――意図はこれッぽちも無かった。神に誓ってもいい。
なんならアマテラスさんに誓ってもいい、とまでティムは思っていた。
しかし、その期待を込めた視線が、ゆかりにどのように映っていたか、ゆかりがどのように捕らえていたか、
それを思うとティムは自分の頬が急激に熱を持ってくるのをありありと感じ取った。
「……もうっ!このばかっ!」
「人に向かってばかばか言わないでください!馬鹿っていったほうが馬鹿なんですよ!」
「しらないよそんなの!アホメイド!」
「な、なんですって――!」
と、興奮したゆかりが胸を張って言い返そうとしたとき
ぱぱぱつんっ。
といい音がした。
「いてっ」
ティムは柔らかな頬を押さえた。何かが当たったのだ。
なんだろう。暗くてよく見えなかった。
が、前を向いてみると謎は一瞬で氷解した。
胸元まではだけていたゆかりのワンピースの開き目が、腰元まで――それこそ下腹部の位置まで――
大きく広く開いている。
ボタンが飛んだのだ。
……まるみえだ。
「ユカ――」
「ひゃ、ひゃああああああ――――っ!!」
今度はティムがゆかりの叫びに遮られる番だった。
ゆかりは両手で体を押さえ、ベッドにへたり込み、うつむいて丸くアルマジロのように
――あるいはダンゴムシのように――縮こまってしまった。
「ユカリ――?」
ゆかりは答えない。縮こまって肩をぷるぷる震わせている。
「ユカ――」
ユカリは答えない。肩を抱く手がぎゅうと強く握られている。
「ユカリさん――?」
ティムは震える肩にそっと手を伸ばした。
触れた瞬間、静電気が走ったときのように、ゆかりはぴくりと体を震わせた。
「あの、ええと、なんていうか、その――」
ティムはしどろもどろになってしまった。何を言えばいいのかわからない。
思い出されるのは、暗い部屋の中で、白く光るような木綿の下着姿。
いったい何が起こったかわかっていないだろうユカリの間が抜けたような一瞬の表情。
そして全てを理解した時の恥じらいと驚きの入り混じった赤い顔。
この感情をなんといったらいいのかよくわからないが、なんというか、かわいらしかった。
ティムはそのことを言おうかとしたが、やはりそんなことは言えずに、
団子虫ゆかりのからだにシーツをかけて、無言で部屋を出て行った。
ティムは水と間違えて酢を飲み干してしまったようなしかめ面をして、居間のソファに体をうずめていた。
「ううう……なんだか気まずいなあ」
そう言ってまぶたを閉じれば浮かんでくるのは鮮明な記憶である。
暗い部屋、頬に硬いものの当たる感触、ほとんど全身あらわになったゆかりの下着姿、
間の抜けた表情そして、それにつづく驚いた叫び声と心底恥ずかしそうな表情――
ゆかりのためにも、なんとかこの記憶を忘れようとしているのだが、忘れようとすればするほどに
記憶と情景は鮮明になり、忘れ難いものになってしまっていくようで、ティムは嘆息した。
これでまたユカリがふさぎこんでしまったらどうしよう。
そう思うと自分が情けなくなってくるのだが、それよりも恐ろしいのは
「ユカリ……怒ってないかなあ」
ということだ。
丸まったゆかりは、いくらなにを話しかけても返事をしようともしなかった。
まあ仕方ないといえば仕方ないだろうとも思ったが、その原因が羞恥のという感情ではなくて
憤怒という言葉にも表せないような怒りの感情だったらどうしようかと、ティムは思い悩んでいるのだった。
「……神さまぁ」
ティムは十字を切って神に祈ったが、やはりまぶたを閉じるとゆかりの下着姿が思い出されてしまって、
とてもまともに祈れたものではなかった。
不意に扉の開く音がした。
立っているのは――
「ユカリ!」
であった。
扉を開いたところで固まっているゆかりは、さきほどまでの醜態とは打って変わって
きちんと服も、襟カラーもエプロンもつけている、いつもの格好をしている。
顔はいまだ赤く、ティムが振り返るとはずかしそうに視線をそらした。
ゆかりはおずおずと頭を下げ、ティムに聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声で言った。
「さ、先ほどはどうも失礼しましたっ……」
ゆかりは謝っているのだった。
目をつむり、耳を赤くさせ、ひっしで恥ずかしいのをこらえながら。
ティムはそのゆかりの様子を見ると、なんだ全てが馬鹿らしいことだったように思えてきて
「あはっ……ユカリ、なんだ、いいのに……あはっハハハハッハハッハハハ……!」
と腹を抱えて笑い出した。
ゆかりは顔を上げ、唇を突き出して不満を表していたが、それでも笑い続けるティムにつられるようにして笑い出した。
「あ、ユカリ、笑ったね」
ティムは涙を流しながら、ゆかりを見た。
確かに笑っている。
すこし困ったような、元気いっぱいという笑顔とは言い難いが、それでも確かに笑っているのだ。
「げんき……出た?」
ティムは控えめにそう尋ねた。
ゆかりはあくまでも赤い顔で、紅潮した頬を少し緩め、笑顔で答えた。
「ええ、助平な坊ちゃまのおかげで」
「ユカリ、ちが……!ごかいだって……!」
「ええ、本当に誤解ですかぁ?」
「ほんと!ああ、もう、なんていうか……」
ティムは頭を抱えたが、次の言葉は自然に出てきた。
「ごめんね、ユカリ」
ティムはそう言ってから、自分はそれが言いたかったのだと納得した。
そう言えばユカリはいつも、
「わかってくださればいいんです、それで」
と言って最高の笑顔を見せてくれるからだった。
「さあー、すっかり仕事がたまっちゃってますね、私が寝てる間に」
「さぼり魔だね、ゆかり」
「手伝ってくださいよ、坊ちゃん」
「ええ、やだよぉ、ユカリの仕事じゃんそれ」
「ええ、そうですね、言い間違えました。……手伝ってくださいよ、助平坊っちゃま」
「なにそれ……いいよ!わかったよ!てつだうよ!」
「ふふ、ありがとうございます坊ちゃま」
「ええいもうこのっ……まあ、元気が出て、良かったよ」
「どうも、ありがとうございました。助平坊ちゃま」
「……助平はやめてよっ!!」
久しぶりに、二人の笑い声が響いた。
外では、雲の切れ目から光が差し込んでロンドンの街を照らしている。
さあ、仕事だ仕事だ――。
何となく続く。
というわけで、なんとなくぼんやりと続きます。
途中でいちいち打つのが面倒になった題は『雨の日の衝動』です。
では
GJ たっぷり鑑賞させていただきました。
そんな貴方にGJ。
癒し系だ癒し系だ。
強引な展開にワラタw
男は強引なくらいがいいのさ坊や
まあ、オブラートに包んでも仕方が無いから一言だけ。
ありがちな話。
だが、それがいい
190 :
名無しさん@ピンキー:2006/07/05(水) 06:56:55 ID:7ie5xEbj
なんだぁ・・・
マッパじゃなくて下着かぁ・・・と残念に思った私は立派なおっさん
そういやゆかりさんのいる時代はシャーロック・ホームズの活躍した時代?
192 :
名無しさん@ピンキー:2006/07/08(土) 09:13:58 ID:5q+UvKJG
この時代の英国では、南アジアの子供が小姓とかに使われてたんだよな
193 :
名無しさん@ピンキー:2006/07/14(金) 23:10:26 ID:0qHUjO/H
年を経てパブリックスクールに進学した坊ちゃんの荷物を届けに行く
オリエンタルビューティーの黒髪メイドさん
ちょっかいをかけようとした名家の息子を投げ飛ばしてしう事件をおこす。
なんとなく続きです。
まぁ、他愛のない話だなぁとは我ながら思います。
いいんですよ。
グリーンですよ。
195 :
雨の日の衝動 ◆DMzTyHF5uc :2006/07/16(日) 17:07:51 ID:lVoFyubi
磨いている。
ものすごい勢いで磨いている。
餓死寸前のアライグマはこれぐらいの勢いを出すんじゃないだろうか、と思うくらいの勢いで磨いている。
磨いているのは使用人・ゆかりである。
磨かれているのは、机の上に集められた家中のランプである。
そのランプカバーを外し、黒いすすで汚れきったガラスを磨いているのだ。
この時代――この話の舞台は19世紀末ロンドン――の主な室内照明装置は、ランプとろうそくである。
屋外の照明といえば、道路沿いにはガス灯が高く掲げられている時代の話である。
毎晩毎夜、黒いマントを着た男がそれに火をつけて回るというのは、いかにもロンドン的光景と言っていい。
ロンドン港には全世界からの蒸気船が訪れ、汽車は煤煙を上げて邁進し、
馬車は石畳を蹴って走り回っている時代の話である。
ただまあ、ざっと見ても時代設定に矛盾するところなんて数え切れないほどあるが、
その辺は気にしないでいただけるとお互いに幸せになれる。
何が言いたいかというと、つまりこの時代、ダーヴァレイ家のような中流、中産階級の家には、
日用品としての数多くのオイルランプがあるのだ。
しかし、精油技術は高まっておらず、このランプを使えば使うほど、ランプカバーのガラスは
如実にすすで汚れ、黒くその透明度を失ってしまう。
それを磨く必要がある。
誰かが。
では、誰が?
主に使用人が。
「……」
ゆかりはガラスを磨くのに夢中だ。
濡れた布に磨き粉をつけ、それでガラスを必死にこすっている。
「そうだ!ランプ磨きをしましょう!」とゆかりが言い出したのはすでに二時間前の話である。
それから120分間、ティムとゆかりはずっとランプカバーを磨き続けている。
汚れてもいい厚手の服に着替えたゆかりは、ランプカバーを磨く係である。
ゆかりが大体のすすを磨き落とした後、乾いた綺麗な布で汚れをふき取るのはティムの役割である。
煙の当たるところだけが真っ黒になっていたガラスが、ゆかりの手によって
全体的に薄い灰色になったところでカバーはティムにまわってくる。
それを柔らかい布でふき取り、ため息を吹きかけつつガラスを元の色へと回帰させるのだ。
ティムの方が簡単である。
ランプのカバーであるので、このガラスがだいたいにおいてこう、曲線だとか丸だとか、
本体接合部の入り組んだ場所はとことん入り組んで、磨くのにとても面倒くさい形状をしている。
ゆかりは眉の根を寄せながら、それらの面倒くさいものを磨き続けているのだ。
その間ティムは暇である。
暇だから眉の根を寄せ、眉間にしわを深く刻み、ときおりリスのように舌打ちをするゆかりを眺めているのだ。
「ああーユカリ、かなりイラッときてるなぁ」とすぐにわかるが、余計な口出しはしないほうが賢明だろう。
流れ作業の弱点として、前の作業が終わらない限り次の作業が進まない、という状況にティムは陥っているのだった。
ゆかりは今のガラスを磨くのに、かなり力を入れているようだ。
袖をまくった手首の内側に、浮き上がった二本の筋が見て取れる。
ガラスの内側、黒くすすが固まったところに、ゆかりの指が届きそうで、届かない。
「ああもう……くそぅ……」
ゆかりは布に包んだ中指を懸命に伸ばし、すすをふき取らんとしているが、特に汚れた
その部分には、爪の先ほど届かない。
「もう少しで……届くのに……」
ゆかりはランプカバーの中の中指を凝視しながら、忌々しそうに呟いた。
より目になっている。
まぬけっぽい。
だが、頭にかっかと来ているゆかりにそんなことを言うのは賢明でないだろう。
触らぬ神にたたりなしだ。
とくにウブメノミコト神には。
197 :
雨の日の衝動 ◆DMzTyHF5uc :2006/07/16(日) 17:11:06 ID:lVoFyubi
ゆかりは少し中指を後退させ一息つくと、かっと目を見開いた。
小さく息を吐き、勢いよく中指を伸ばしきる。
爪の先ほどで届かなかった汚れに、指が届いた。
が、
ゆかりはすぐに指をランプカバーから抜き、左手でそれを持ち上げた。
「ゆ、ユカリ、どうしたの?」
「…………!」
ゆかりは中指を立てたまま悶絶している。
「つったの!?指を!?」
「…………!」
ゆかりは中指を立てたまま、泣きそうな表情で二、三度頷いた。
ひどい痛みが彼女を襲っているのだろう。
ゆかりは左手で右手を掴みながら、上下に体を揺らして痛がっているが、
雇い主の息子をき、汚らしいやり方で侮辱しているように見えなくもなかった。
「坊ちゃまを……!侮辱しているわけではっ……」
しかし中指はティムに向けられて、そそり立っている。
「わかってるよ」
しかしゆかりの右手は、中指以外折りたたまれて、中指だけがティムに向かって立っている。
「ああその……ごめんなさい……痛い……」
「いいよいいよ……」
ティムはゆかりの右手をにぎりしめ、中指を優しく伸ばしたり曲げたりしてやっていた。
「何をやっているのさ……」
「あのランプがいけないんですよ、あんな変なカタチしてるもんだから……イタタ」
「変なのはキミの頭だよ……」
ティムは情けない気持ちになって、ため息を吐かずに入られないのだった。
「うぅ……ごめんなさい」
ティムが2分ほど治療を施すと、指のひっつりも治ったようで
「もう、治りましたよ、ありがとうございます」
と言い、今度は左手の中指に布をかぶせ、ふたたびランプカバーに挑みかかった。
「あと、これの、この汚れだけで終わりなんですよねー」
左中指が、同じガラスの内側をごしごしこすっている。
「……もう指つったりなんて、しないでよ」
「あはは、大丈夫ですよー、同じ過ちは犯しません」
ゆかりは快活に笑った。
その笑い声が消えないうちに
「ピシッ」
という、カタカナ的な小気味のいい音が、二人の間に響いた。
――ゆかりの手の中から。
「…………」
ゆかりは笑顔のままで固まっている。
ティムは目を細めてそのゆかりを見ている。
「ユカリ」
「……はい」
「ユカリ」
「……はい」
「今の音……なに」
「きっ……気の」
「気のせいではないと、強く思うんだけれど」
ティムは細い目でゆかりを見つめている。
「…………」
ゆかりは固まって動かない。
「ユカリ……そのガラスを……割ったね?」
というティムの質問に、ゆかりは決然と反対した。
「いいえ、ひびが入っただけです――」
ゆかりはこの日二度目の「アホメイド」という称号をティムから受けることとなった。
ランプ磨きは終わった。
ふたりは、玄関へと続く廊下を歩いている。
「やはり左手というのは、中々動かしづらいものですね」
「……もう少し早く気づこうよ」
「新しい発見でした。これも成長です」
「……何もこわさずに成長しようよ、できれば」
「それは……できかねます」
「そんなばかな」
「破壊は創造を生みますよ?」
「……そのプラス思考がうらやましいんだけど」
「あげませんよ、私のです」
「……元気になってくれて、嬉しいよ」
「坊ちゃまのおかげですよ」
「……どういたしまして」
ティムはもう何も言えなかった。
外の雨は上がっている。
次は玄関の掃除をしましょう、とゆかりが言ったので、ティムもついていくのだった。
特に手伝うわけではないのだが。
ただ、働いているゆかりを眺めて、たまにティムが茶々を入れて、ゆかりもそれに答える。
それが二人には楽しいのだった。
簡単に言えば、仲がいいのだ。
しかし、その楽しいはずの仕事も、扉の向こうの状況が台無しにしてしまった。
これは、とても楽しい仕事というわけには、いかない。
玄関の扉を開けた二人の間に、強い緊張が走った。
いったいなんだ、なんなんだ、これは――――
玄関の扉の前、道路へと下りる小さな階段の上、二人並んで呆然と立ち尽くしているところで、
二人が言葉を失っているように、ひとまず話は途切れるのだった。
というわけで、ぼんやりと続く。
というわけで続きます。
別に何回にも分けるほどの話でもないんですが…。
>シャーロック・ホームズの活躍した時代?
実は『ホームズ』読んだことないんですよね…orz
「僕はジュージュツを嗜んでいるからね」
と助手に語ったらしいということだけは知っていますが。
浅っ。
>>192 >この時代の英国では、南アジアの子供が小姓とかに使われてた
中国(清)の肉体労働者や、南アフリカ出身の使用人や労働者は、一定数居たようです。
さすがグレートブリテン。
>年を経てパブリックスクールに進学した坊ちゃんの荷物を届けに行く
>オリエンタルビューティーの黒髪メイドさん
>ちょっかいをかけようとした名家の息子を投げ飛ばしてしう事件をおこす。
いいですねぇw
実は19世紀末には、公立学校令なるものが出されてて、ティムの年齢なら基本的には
小 学 校 に 通 わ な い と い け な い らしいんですが…
まぁ、何か事情があったんでしょう……きっと。
>>200 >小 学 校 に 通 わ な い と い け な い らしいんですが…
>まぁ、何か事情があったんでしょう……きっと。
そこで、現代の最先端 HIKIKOMORI ですよ
え?理由?いや、なんとなく…
ということで、乙でした
百合さん好き
203 :
名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 09:12:42 ID:dIcc1Sdq
体力的に女の子の方が男の子より上なのはこの年代まで。
これ以降は男の子の方があっという間に大きくなる。
そして、女の子は徐々に胸回りとかお尻とかがふっくらしてきて
腰がくびれ始めて・・・・
ティムがゆかりを女として意識してしまうのももうすぐですかね
ご主人様♥
205 :
1-500:2006/07/22(土) 02:03:40 ID:D4X144xN
206 :
1-500:2006/07/22(土) 02:06:24 ID:D4X144xN
「百合さん?」
「…緊張、しました」
そう言って脱力したように馬車の皮張りの座席に沈み込む百合。
「お疲れ様でした」
主人はメイドを労って言う。
宴席からの帰りの馬車の中。
貴族や皇族、綺羅星のような各界の名士たちに混じってなんとか上手く
新年祝賀の儀を乗り切った百合は安堵の溜息をついていた。
「○●男爵令嬢、って言ったらみんな信じてましたね」
「はい、でも…良かったのですか?」
百合は心配そうに尋ねる。
主人は悪戯っぽく笑うと、とある古典文学の名著の名を挙げた。
「あの登場人物ですよ。宴席に出てきた幽霊の名前です」
「え、じゃあ、わたくしは幽霊ですか?」
「誰も気づきませんでしたね。貴顕の方々とはいえ、読書家ってのはわりと少ないみたいですね」
悪戯をしたときの子供みたいな笑みを浮かべる主人。
蕩けてしまいそう。百合はその笑みを見た瞬間、骨の芯が溶けてなくなってしまうような
幸福感を感じた。
身体の芯がとろとろに融けて、熱せられた乳脂みたいに
「うふふふふ」
百合の唇から堪えきれないように笑いがこぼれた。
主人は百合の笑い顔を見て驚いていた。
先ほどまでの緊張がほぐれたせいか、百合はいつになく快活で
表情豊かに話している。
このメイドがこんな素顔を見せてくれたのは初めてかもしれない。
胸の奥がすこし暖かくなった主人は、珍しく世間一般の紳士のような
言葉を口にしていた。
「百合さん、今日はほんとうに、ありがとう」
メイドだから、とか貴族だから、といった肩書きや地位とは関係ない、
純粋な人としての感謝の言葉。それが百合の心にはたまらなく心地よい
響きを持って染み入ってくる。
「あの会場にいた誰よりも、綺麗でしたよ」
そう口にする主人の、優しくて暖かい視線が、
大切なものを慈しむような視線が百合の目を貫いた。
外は冬だというのに。馬車の中が熱く感じられる。
百合は身体が熱くなってきてしまう。
207 :
1-500:2006/07/22(土) 02:06:46 ID:D4X144xN
百合は途端に主人の視線に気がついた。
こんな。
こんなに肌を見せていたなんて。
今更ながらに気づいた。
羽織っていた織物で肩と胸元を固く覆う。
旦那様の視線だけで、胸がときめく。
胸の奥がキュンキュン痛いくらい、切なくなる。
喜んではいけない。
浮かれてはいけない。
このひとは、好きになってはいけない人なのだから。
そう思う頭とは裏腹に、主人のつけている香りを嗅いだだけで
百合の心は騒ぎ出してしまう。
狭い馬車内なのだから百合と主人の膝がぶつかるほどの距離しかない。。
香料と汗、煙草のにおいの混ざった主人の匂いも百合の鼻にはただひたすら、
身体の芯を熱してくるためのエッセンスになってしまっている。
体温を感じられるほどの距離で、百合はこぶしを固く握り締めて耐えていた。
なるべく旦那様が目に入らないよう、窓の外へ視線を逸らして。
――今日のことは、夢。
百合はそう思い込もうとした。
腕を取ってエスコートされたのも。
貴顕や皇族の方々に紹介されたのも。
すべて夢だったのだ。
そう思えば忘れられる。
旦那様に手を握って頂いたときの温もり。
旦那様と肩を並べてすごした数時間。
胸躍る、心震えるような新鮮な体験。
固く封じたはずの心を甘く溶かしていってしまう。
駄目。忘れなくては駄目。思い出しては駄目。
百合は馬車が止まると主人よりも先に立ち上がった。
馬車に乗っているのが紳士と淑女ならば、淑女は紳士よりも
先に降りたりしないのが習わし。
先に降りた男性に手を貸されながら、優雅に踏み段を降りるのがマナーである。
しかし乗っているのが主人と使用人ならば、使用人は主人より先に降りて、
主人の降車に手を貸さなければならない。
百合はそれを実践することで、自分と主人という関係を規定しようとしていた。
「あ、百合さん――」
主人が止めるのも聞かず、百合は止まりかけた馬車の扉を開く。
そしてすばやく踏み段を降り、主人に向けて手を差し伸べた。
208 :
1-500:2006/07/22(土) 02:07:07 ID:D4X144xN
「……」
なにか言おうとした主人も、その百合の態度にはなにも言葉を発することができなかった。
主人の表情に一瞬だけ浮かんだ、憂いを含んだ色。
それは百合の心をさっきとは反対の意味で痛ませた。
百合はもう自分で確信していた。
それは生まれて初めて抱く感情だった。
自分はこの男の人を、尊敬し、敬愛し、思慕し、そして愛しているのだという事を。
差し出されたメイドの手を馬車から降りながら主人は掴んだ。
寂しそうな表情を覆い隠そうとしている。
百合はそこまで見抜いていた。
でも、駄目。
この人を好きになっては、駄目。
この人は私のご主人様で、貴い血に連なるお方で、私のような庶民とは
生まれも育ちも違う方なのだから。
百合はそう自分に言い聞かせる。
何度も、何度も。
だから主人の杖の先が濡れた石畳で滑ったのに一瞬だけ反応が遅れてしまう。
百合の手を取りながら、主人は馬車の踏み段を降りる。
不自由な足を庇いながら杖を地面につこうとした瞬間、それは起こった。
暖かい塊が百合の胸の中に飛び込んできた。
暴力的なまでの触感。主人の肌の匂い。
主人の体温。
整髪料の香り。甘く切なく百合の心を責めさいなむような主人の体臭。
雨で濡れた石畳に杖が滑り、主人が転んだのを自分が身体で受け止めたのだ、と
気づくまで百合には数秒が必要だった。
そして残念な事に、百合が主人に組み敷かれるような格好になっていたのは
これもまた数秒のことだった。
「あ、ごめんなさい。百合さん、大丈夫ですか?」
石畳に尻もちをつきながら、凍りついたように固まっているメイドに主人は
声をかける。
「百合さん?」
頭でも打ってはないだろうか、と心配している主人は百合の顔に近づきながら
その瞳を覗き込む。
209 :
1-500:2006/07/22(土) 02:07:12 ID:D4X144xN
「…さん? 大丈夫ですか? 百合さん?」
思考停止していた百合の脳が動き始める。
触感。体温。匂い。
主人のそれは、全てが百合にとっては目新しく、すばらしく、甘いものだった。
だから百合は顔を真っ赤に染めながら、
「し、失礼しますっ」
とだけ言い残して屋敷の中に駆けて飛び込んだ。
首筋や開いたドレスの胸元まで赤くしながら。
-------------------------------------------------------
メイドさんを甘々にとろかしながら終わる。
続くかも。
俺を萌え殺す(良い意味で)問題作久々にキタワァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
うん、お帰りマジお帰りそしてGJ!!!!!!!!!!!!!!!
211 :
名無しさん@ピンキー:2006/07/22(土) 07:08:48 ID:II9KNVOy
この話を読んで、今日もがんばって生きていこうという気持ちになりました。
GJ!
百合さんいいなぁ。やっぱり好き。
215 :
1-500:2006/07/24(月) 23:18:19 ID:74tCn2oi
感想ありがd。
ところで、この二人はえっちしてもいいもんかね?
いや、エロパロ板でナニ訊いてんだってことになるかもしれんが。
>>215 ヤってもヤらなくても可では。
個人的には下手にヤらずにこのまま萌え殺し路線の方が好きですが。
あとsageた方がよろしいかと。
前スレの嵐がまた来たら怖いので。
乱れる百合さん読みたいが、
>>216氏と同じく萌えカスも残らないくらい
萌え尽きさせてほしい。
ストーリーが進んで、百合さんがその気にならないとねw
あのご主人は押し倒すようなことしないみたいだし。
218 :
名無しさん@ピンキー:2006/07/28(金) 22:44:17 ID:IH2rZzvl
SSを投下してくれるだけで大感謝です。
>>215 やってもいいけど、もう少し垣根を乗り越えるステップを踏んだ方がいい気がする、
220 :
1-500:2006/07/29(土) 03:06:54 ID:YbyHcBAU
>216-219
なるほど。じっくり時間をかけて百合さんを蕩かさねばならんのだな。
なんか自分でエチシーンのハードルを上げちゃったような気もするが(w
じゃあ徐々にそーゆー風味を入れて行こうかな。まあ書くのそんな速くないんで
ぼちぼち投下していきますよ。どうか気長にお待ち下さい。
気長に、転がりながら待ってますw
222
ちょっと来ない間に現人神ご降臨ー!!!!!
イヤホー!!!!!!!
このスレって、メイドが受け身で無くてもいいのかな?
年上なメイドが気弱な次期当主を叱咤激励するうちに、みたいなんは桶?
225 :
1-500:2006/07/31(月) 02:59:26 ID:noxXKIHo
>>224 そーゆーのもものすごく読みたい!!!!!!!!
226 :
名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 10:46:58 ID:i0qF8JLm
なんとなく、メイドの方が偉そうと言うか、ご主人様の色々を管理しているというか・・・
>>224 昔気質の執事とか、メイドさんは毅然とした
少し偉そうな主人を好むとナニかの本で読んだ。
仕えることに喜びを感じるそうな。
だとしたら、不甲斐無い主人を叱るメイドがいても
いいはずだ。
不甲斐ない主人を叱りつつ、実はメイドは超被虐趣味で、
いつか「お仕置き」してくれる立派な主人になることを夢見る乙女とか萌えね?
ということは、
『坊ちゃん』を躾する
若手メイドか?
個人的に坊ちゃんはあんまり好きじゃないんだよな…
どうこうしても、やっぱり主人と従者みたいな雰囲気が好き
坊ちゃんと遊び相手の行儀見習から、数年後にご主人様とメイドになる
大人になって立場をわきまえた行動をとるようになるが、お互い以上に気心の知れた相手はいないため、
ついつい甘え合って、弱いところもさらけだしてしまう。
当然思い合っているものの、メイドは幼い頃からの教育で身分を気にし、
主人も一時の気まぐれで手をつけるには思い入れが強すぎるので、一線を越えられない。
こんなのが好きだ
>>231 それは・・・・かなりの構成力と文章力が必要とされるのでは?
つ紅楼夢。
気付けば車を運転しながら
「メイドさんて運転するイメージがあんまり無いな〜」
とか考えてた。
運転中の妄想は危険なので程ほどにw
1.年齢的に免許は取れないんです。
2.何故か禁止令がでている。理由?語ることも憚られる・・・
3.運転は運転手の仕事ですから。
4.2種、特殊、大型、何でもいけますよっ!
>>236 5.免許取得可能な年齢になる前からメイドをやっていたものですから
取りに行く機会がなかったんです
6.だってご主人様が運転しろとおっしゃらないものですから・・・
>>237 ちょwww
7.ドリルを付けていただければ何とか・・・
>>238 5−1.ご主人様に「取ってきなさい」と言われる
5−2.誕生日に突然ご主人様から免許をプレゼントされる
いやキャタピラとかドリルとかやめようよw
そうだよな。キャタピラとかドリルなんて
市街戦では動きが鈍くなるだけでかえって不都合だ。
やはり基本は機動力。
メイドさん+装甲車+機関銃というのが美しい
お前らは何も分かってねぇな。
メイドさんはいつでも生身でご主人様を守るんだ。
それこそ達人芸でな。
そんなメイドさん達の武器には大量生産品の銃は似合わん。
匠の技の結集である「剣」がイイだろ。
あれこれどこかで見たような気が・・・・・・
しかし、なぜメイドさんは
こんなにも俺の心を捕らえて離さないのだろう。
仕様です
「メイドに不可能はないんですよ」っていう台詞が好きだった。
誰でも思いつきそうな言葉だけど、そのメイドさんが言う分には絶大な説得力
があった。
誰が書いたのか忘れてしまったけど。
メイドさんに似合う装甲車は、
ストライカーICVか、
96式装輪装甲車か、
あるいはSd.Kfz.251か。
M2ブラッドリーも個人的に捨てがたい。
メイドといえばチハ
メイドオタ以外およびじゃねぇ!
メイドには時速200kはでそうなイカつい黒と赤のバイクしか認めない。
ヘルメット外した時とかホレるんだ。長い髪を首振ってバサッてする時とかもう死んでもいいと本気で思えるんだ。
時速200kで疾走する赤と黒のイカついメイド服?
音の壁すら綺麗にみがきあげるメイドさん
>>231っぽいの萌え。と思って一本書いてみました。
ちょっと皆さんの求めるメイドさんとは違うかもしれないけど、後で投下してみます。
SS投下は初めてなんですが、改行は何文字くらいが読みやすいでしょうか。
ヘッドドレスがあるからヘルメット被らないよ
255 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 16:47:44 ID:htILHvrb
文字数はあくまで目安に。
句読点や文節で改行。
勝手に汁。
>253
wktk。全裸正座待機しているよ。
>257
メイドさんに対してなんとハレンチな。
せめてこれだけでも。
っ懐中時計
町はずれの一軒家に日中家事手伝いに来ているおねーさんとかいうシチュが妙に好きなんだが。
これはメイドさんの範疇に入るんだろうか。
260 :
253:2006/08/03(木) 19:20:42 ID:M1/HRByz
>>255,256
了解です。本能の赴くままに挑戦してみます。
投下は21時頃になる予定です。
では投下します。
推敲のために読み返したけどやっぱちょっとビミョンな感じかも。
舞台:日本、年上メイドさんとちょっとうじうじ坊ちゃんです
。
そして……エロがないですorz
----------------
遠野和臣の住む屋敷は、春の花がうつくしいことで有名だった。
この土地に居を構えた和臣の祖父が庭作りに執心していた成果らしい。
なかでも桜の大樹の見事さは群を抜いており、その花の時期には大勢の客を迎えて
庭園で茶会を催すことが遠野の家での毎年の恒例となっていた。
今年もまたうつくしい花の季節がやってきて、和臣の父である遠野家の現当主の招待の下、
風の穏やかなある日の午後にたくさんの客が遠野の屋敷へと集まってきていた。
しかし今年のそれは、例年のものとはわずかに性質が異なっているらしい。
招待客の中に若い女性の姿がやたらに目立っていた。
和臣は、最初の客と言葉を交わしてまだ一時間と経っていないというのに、既にほとほと疲れ果てていた。
淡い紅色の花が柔らかな風にゆらゆらと揺れる下で、初対面の女性達が入れ替わり立ち代りに和臣を囲み、
やたらにくっきりとした発音で名前を名乗り、大げさなほどに丁寧な挨拶ばかりをしては、満足な会話もないまま
次の女性がまた名前を告げる。
十五人まではおもしろがって女性の数を追っていた和臣だが、
その先は数えることにも飽きてしまい、いい加減に限界を感じてその場を逃げ出した。
人々の輪から離れ、庭園の端に並べられたいくつかのテーブルに向かって足早に向かう。
皺ひとつない糊の効いた真白なクロスをかけられたそれらのテーブルの上には、客をもてなすための飲み物や軽食が整然と並べられていた。
給仕姿の男女が数人、丁寧に磨かれた銀色の盆の上にグラスや小皿を乗せては客の輪へと忙しく運んでいる。
幾人かの給仕と擦れ違ってからようやく目的のテーブルに辿り着いた和臣は、
昼の光をきらきらと反射しているリキュールグラスへと迷わず手を伸ばした。
ほっとしたとばかりにため息をひとつ吐き出してから、その中身を一気に煽ろうとする勢いで
和臣がグラスに口をつけた瞬間、その手をぴしゃりと叩く者があった。
「和臣様。今日はいけませんよ」
声の主は女性だった。しまった、とばかりに眉を顰めてグラスを持つ手を止めた和臣から、
彼女は易々とグラスを取り上げてしまう。
恨めしそうに相手を見遣る和臣の視線を気にする様子もなく、
それどころか和臣に向かって有無を言わさぬ笑みをにっこりと向けてから、
彼女は片手に和臣から取り上げたグラス、もう片方の手には客たちが空にしたグラスや皿を載せた盆を手に、
黒いスカートの裾を軽やかに翻して、テーブルの裏に置かれたワゴン向かって歩いていってしまった。
「あからさま過ぎるのがよくない」
和臣はのろのろと女性の後を追い、汚れた皿やグラスをてきぱきと片付ける女性の背に向かって、憮然とした表情で言った。
「薫だってあんな、流れ作業の真ん中に自分が立たされたら、うんざりするはずだよ」
薫と呼ばれた女性は和臣を振り返ると、その言葉に同情した様子もなく、可笑しそうに小さな笑い声をあげた。
「和臣様には、それくらいのほうがわかりやすくて良いんでしょう。和臣様、少し鈍いところがおありだから」
薫の言葉には遠慮というものがまったくなかった。
しかし和臣も、そのことを特に気にする様子もない。ただ黙って、肩を竦めてみせて返す。
「それに、誰も桜を見ていない。それじゃあ、何のために此処に集まっているんだか、わからないじゃないか」
思いつくままに子供じみた文句を並べる和臣の言葉を聞くと、薫はますます可笑しそうに笑う。
「それじゃ、和臣様はご覧になっていたんですか?」
今までの和臣にそんな余裕などなかったことを承知のうえで、薫は笑みを含んだ声で悪戯な言葉を返した。
そして再び和臣に背を向けて、汚れた食器の片付けを続ける。
皿の上の食べ残しを除(よ)け、汚れを布巾でざっと拭い、同じ形の皿同士を丁寧に素早く重ねてゆく。
和臣は黙って薫の後ろ姿を眺めていた。他の給仕の女性達と揃いの黒のワンピース。腰には、身に着けたエプロンの白い紐が前から周ってきており、小さな蝶結びにされている。
膝下丈の上品なフレアスカートの裾からは白くまっすぐなふくらはぎが伸び、華奢な踵はよく磨かれた黒いエナメルの靴で包まれている。
視線を上げると、癖のないまっすぐな長い髪が低い位置で簡素にひとつにまとめられ、うっすらと汗ばんだ白い項が露わになっている。
袖口のカフスや飾り襟は洗いたてのように眩しいくらいの白さだが、和臣は、その先に見える細い手首や項の柔らかな白さを見ていたかった。
食器を片付ける薫の白い指先には、迷いがない。
皿を一枚運んだ先には同じ形の皿が待っており、乱雑な塊の中からひとつひとつ手に取られてまとめられるカトラリーはすべて同じ種類のものだ。
動きが途切れることはなく、途中でためらう様子も見せず、流れるように規則正しく働く指先が、和臣にはどうしようもなく眩しく見える。
薫の指先のように、迷うことなく止まることなく、自分は何かを選べるようになるべきなのか。
認めたくない現実を眼前に突きつけられた気がして、和臣は重い溜息を深く吐き出した。
「……咽喉が渇いた」
不貞腐れたように呟いた和臣の言葉を聞き逃さず、薫は短く了承の返事を告げるとすぐに、
白いクロスのかけられたテーブルから冷たい水の入ったグラスをひとつ、取ってきた。
「今日はアルコールは駄目ですからね」
念を押すように言いながら、薫はグラスに両手の指先だけをそっと添えて、和臣へと差し出す。
「大体、和臣様はまだ未成年なんですから…」
お説教じみた口調で呟かれて、和臣自身も改めて自分の年齢を意識した。つい先月、三月に十八の誕生日を迎えたばかりだった。
薫と初めて出会ったのは、自分が八歳の時だ。薫は十歳で、あの頃のふたりの身長は殆ど変わらず、同じ世界を同じ目の高さで、毎日見ていた。
あれからもう十年が経ったのだという事実が和臣の脳裏でみるみる色濃く膨れ上がってゆく。
「昔も今も、二歳の年の差は変わらないのに」
薫の手からグラスを受け取るために伸ばされた和臣の指先を、グラスの表面を覆った水滴が冷たく濡らす。
ほんの僅かな先にある薫の指先に触れたくなる衝動が、和臣の胸の中に緩やかに生まれる。
「いつのまにか薫は、僕よりすごく年上の人になってしまったように感じる」
神経を張り巡らせ、可能な限り感情を排除して、和臣は静かにそう言った。
その言葉は本心からのものだったが、そうとは悟られたくなかった。
けれども、薫にはすべてを見透かされてしまっているような気もしていたし、自分自身もそれを願っているのかもしれないという気もまた、していた。
いくつもの矛盾した感情に溺れそうになり、和臣は縋るような眼差しを薫に向ける。
薫は微笑みながら、グラスに添えていた手を静かに離した。ふたりの指先の距離が、離れていく。
「同じですよ」
薫はにっこりと笑って言いながら、和臣の顔を見上げた。
「私だって小さな頃は、和臣様のことをこんな風に見上げることなんて、ありませんでしたもの」
薫のその言葉が、ふたりの身長のことだけを言っているのではないと、和臣には解かる。
「落とさないで下さいね」
冷たいグラスを力なく握っていた和臣の手を、薫の掌がそっと包み込んだ。
和臣の心はその温かさにじわりと震える。自分の手を包む薫の掌から、目を逸らせなくなる。
子供の頃は手を繋いだり戯れあうように抱きつきあったり、
無邪気に薫と触れあっていた和臣が、ある時から決して自分の身体に触れなくなったことに薫は気づいていた。
恐らく、薫が「仕事」として和臣の身の回りの世話をすることが決まった頃。
遠野の屋敷で働くメイドの揃いのワンピースを着た姿を和臣に見せたその日から、和臣は薫の身体には、自分からは指先ひとつさえも触れなくなった。
そしてもうひとつ、薫は知っている。薫から手を伸ばして和臣の肌に触れる時、和臣は絶対に、自分からはその肌を離さない。
「私と和臣様は、昔は知らなかったいろいろなことを今は知ったけれど」
視線を落とし、重ねられたふたりの手を見つめながら、薫の唇が静かに動く。
「大丈夫ですよ。昔知っていたことを、忘れたわけではないから」
強い風がざわりと吹き抜けて、薄紅色の花びらが数枚、ふたりの周囲を舞っていった。
地に落ちることなく、風に翻弄されて心もとなく空中を舞う花びらを見ても、和臣の心はもう、いたずらに感傷的になることはなかった。
「あ、ほら。旦那様が及びですよ」
遠くから和臣の名を呼ぶ声がふたりの耳に届く。和臣が振り返ると、こちらに向かって大きく手招きをしている父の姿が目に映った。
和臣は、薫に向かって穏やかな笑みを向け、ありがとう、と小さく呟いた。
薫に背を向けて歩き出そうとする和臣の背中に薫は手を伸ばし、励ますようにそっと背中を押した。
和臣はその時、自分の目に映る花の美しさが、十年前とまったく変わらないことに初めて気がついた。
終
2人の間の空気が感じられたよw
GJ!
乙。
おかわり!
268 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 02:11:57 ID:g5Rcl0k/
GJ!
続編を頼みます
GJ!
舞台が綺麗でいいですねえ。
続きが読みたくなります。
270 :
1-500:2006/08/04(金) 04:43:50 ID:bhZok+h0
薫さん可愛いよ薫さん
あー、上手いなあ。
地の文が上手い人ってウラヤマシス。
続編キボンヌ
>>199の続きです。
前まで
長雨続きでゆかりは滅入っていた。
ティムが何とか元気付けたけれど、仕事はたまってるしランプを磨けば指をつるし、散々だ。
ええいやあ、無理にでも元気を出して仕事をするんだー。
とりあえずは玄関の掃除からだー。
エプロンも接客用のものから汚れ仕事用の分厚くて丈夫なものに着替えたし、
さあいきますよー坊ちゃま。
ええ、僕も手伝わないといけないの?
ありがとうございます、助平坊ちゃま。
わかったよぅ手伝うよぅ……。
そんな感じです。
玄関を開けた。
掃除をするためだ。
訪れた客が初めて見る場所は、客間でも食堂でもなく、やはりそこが入り口である以上、玄関のほかにない。
客がその家について第一印象を抱く場所であるから、玄関とは家の「顔」であると言ってよい。
だから家々の使用人や掃除婦は、一日の仕事としてまず玄関の掃除から始めるし、
その周りにある鉄柵や、重たい扉のつや出しといった仕事に精力を注ぐのである。
通りからまでには数段の小さな階段があり、その上に踊り場のような小さなスペース、そして、
踊り場からはそれ以上の階段が伸びているわけではなく、玄関の扉が客を待ち受けている。
その「家の顔」をきれいにするために、ティムとゆかりの二人は勢いよく玄関の扉を開け放ったのだが、
二人を待ち受けていたのは予想外のモノであった。
ふたりはずいぶんと長いことそのモノを見たまま、そして口をぽかんと空けたまま、
立ちすくんで固まってしまって、まるで季節が変わってしまうほど長い時間そうしていたようななんともいえない気分になった。
二人の意識が放心してどれだけの時間がたったのかはよくわからないが、
その状態から先に回復して口を開いたのは、ティムの方であった。
「……これはまた、おおきい……モノだね」
呆れたような、なかば感心したような様子でティムは呟き、まだそのモノから目を離せないでいる。
「そう……です、ねえ。玄関の前にこんなモノがあるというのは、ないことではないですが……」
玄関掃除や屋外の仕事のような、汚れる仕事のための分厚く丈夫なエプロンをつけたゆかりは、
やはりティムと同じようにそのモノを見たままで呟いた。
二人が目にして放心したモノ、白昼の往来にどかんと鎮座して他を圧倒するモノ、
そのことについて詳しく説明、描写したいのは山々なのだが、あまり詳しく描写をしても、
不快感を思えることはあっても、快感や趣を感じるという結果にはつながらないだろうから、
直接の描写はせずに歯に絹を着せてそのモノについて説明を加えるので、
想像力を適度に働かせて読み進めていただきたい。
適度に、というところが味噌であるので、適度によろしくお願いいたします。
このお話の舞台は、19世紀末イギリスの設定である。
唐突に何を言い出すのかと思うかもしれないが、まあ待ってください。
そして産業革命後、社会の発展著しいこの時代であるとはいえ、一般に自動車が普及するまでには
もう少しの時間を必要として、やはりこの首都ロンドンにおいて、もっとも一般的な移動手段、
物資輸送手段といえば「馬力」を利用した馬車であった。
そして、自動車を動かすのにガソリンが必要であるように、馬車に動いてもらうには
馬のための飼料が必要であるし、自動車が排気ガスを出すように、馬車は
――正確にはそれを引くウマは――固形の、大きな、排気ガスのようなものをぼとぼとと落としてゆく。
二人が目にして、あまりの大きさと唐突さに思わず固まってしまったのは、
ウマ的な排気ガス、専門用語で言えばボロ、ありていに言えば――
丸い大きな馬糞のせいであった。
「これ……どうしようか、ユカリ」
見上げるようにして、かたわらのゆかりに聞いた。
「…………」
ゆかりは黙ったままである。
目線の先には、ほかほかと白い湯気を立ち上らせているモノがある。
すごい存在感だ。
つけもの石くらいの大きさを持ったそのモノは、つい先ほどまで降っていた雨に埃が流されて、
きれいになっている石畳の道にどっかりと座って、見るものに、生命への畏怖と感動すら覚えさせる。
「片付けなきゃ……いけませんよねぇ……」
ゆかりがぼんやりと口を開いた。
そうなのだ。
このモノが鎮座しているのは「家の顔」である玄関のまん前だ。
このままではお客を家に迎え入れることができないばかりか、郵便配達やなにがしかの人、
そして往来の人通りからもじろじろと見られ、そして
「この家のメイドはなんというものぐさで仕事嫌いのだめメイドであろう」
という感想をもたれてしまうかもしれない。
あながち間違ってはいないが、やはりそれはよろしくない。
ゆかりは、ふぅ、と小さなため息を吐き、
「仕方ありませんね、片付けましょう。坊ちゃま、灰塵袋――わかりますか?持ってきてください」
とこう、言ってきた。
「かいじんぶくろ?あやしい人をぎゅうぎゅう押し込める袋ってこと?」
「違います。怪人なんて押し込めるほどいません。ほら、あそこに――」
ゆかりが指差す先には、屋根のついた小さな木の台があって、なるほどその先には何か
袋のようなものが乗っている。
ティムは言われたとおりに、それを取りに行く。
ティムはこの丈夫そうな麻袋を初めて見た。
馬車がこの時代の一般的な乗り物である以上、今二人が直面しているような「問題」もやはり
一般的な問題であり、その場合どうするかといえば、辻のところどころに設置された
この『灰塵袋』にその問題を詰め込んで、決められた所定の場所に置いておけばいい。
そうしておけばいつの間にか回収されて、その「問題」は肥料その他に活用される、という寸法である。
なかなか考えられているのだ。
「ユカリぃ、これでいいの?」
ティムが走って戻ってくると、ゆかりはスコップを持って玄関前のステップに立っていた。
「ええ、それです」
ティムはその「問題」を踏まないように気をつけながら、ステップの上に戻った。
あとはゆかりの持っているスコップで目の前の「問題」を取り除き、それを袋に納めて、
そして所定の場所に置いておけばいいだけの話である。
問題は、その「問題」をどちらがスコップですくい、どちらが袋の端を持ち上げて
スコップから滑り落ちる「問題」を待ちうける係りを請け負うか、ということだ。
「…………」
「…………」
二人の間に、なんともいえない緊張感が満ちている。
ゆかりは黙ったままで、かたわらのスコップ――1mほどある――を手に取り立ち上がった。
ティムはそれを無言で制し、目で訴えた。
――ふくろを持つのはユカリだろう――
木の軸と取っ手の付いたスコップを使うのと、袋の端を持って「問題」を待ち受ける役では、
どちらがその「問題」に直接触れてしまう確率が高いかと考えれば――
やはり後者、素手でまち受ける側である。
それは避けたい。
やっぱり避けたい。
――わたしは女の子ですよ――
中腰で固まっているゆかりの瞳は、そのようなことを訴えているようだ。
――しかしぼくはきみの雇い主のむすこだ――
無言でのやりとりが続いている。
――坊ちゃま、こんな重たいスコップを扱えないでしょう――
――なに言ってるんだい、それこそ君は女の子じゃないか――
二人の視線が交わって、互いの思惑が十分に伝わった頃、ゆかりはごそごそと
ポケットをまさぐって、何やらを取り出した。
開いたこぶしの上に乗っていたのは、表に女王の、裏に女神の浮き彫りがなされている、1ペニー銅貨であった。
ティムはにやりと唇の端を持ち上げ
「おもて」
とだけ言った。
ゆかりもそれを受けて口元だけで笑い、器用に親指でコインを高く弾いた。
コイントス。
正に表と裏、白と黒をはっきりさせたい時には、わかりやすく簡単やり方だ。
ヴィクトリア女王の彫像が浮き彫りになっているほうが表、女神が裏である。
高く弾かれたコインは、再びゆかりの手に握られるまでに、目では追えないほどの回転をした。
ゆかりはティムの方を見たままで落ちてきたコインを掴み取り、左手の甲にぱっと置いた。
ゆかりは不敵に唇を吊り上げている。
ティムはその笑顔を見て少し不安になった。が、
――ハッタリだ――
思い直して、ゆかりに、手をよけるよう促した。
ゆかりは笑顔のままで右手をどけた。
その上面に微笑んだ女王の横顔が描かれていれば、ティムの勝ちである。
逆に、ブリタニカの女神の全身像が描かれていれば、ゆかりの勝ちだ。
手のひらがどけられた。
ゆかりの表情は変わらずに笑顔である。
ティムは体が緊張するのがわかった。
負けた――!?
体を伸び上がらせて見たそのコインには、女王の微笑が浮き彫りになっていた。
ティムの勝ちである。
ゆかりは、笑っていたが、よく見るとその笑顔はカチコチにこわばっていた。
「坊ちゃま、お願いです!お願いですからがんばってください!」
ステップの下で、袋の端を持ったゆかりが、泣き出しそうな表情で叫んでいる。
ティムは約束どおりスコップで「問題」をすくった。
そして玄関のステップの上で、ゆかりはステップの下で袋を持ち、
ティムがそこにソレを入れるのを待ち構えている。
ティムがすくってスコップの上の乗った「問題」はただの「問題」というより「大問題」で、
スコップの端からはみ出るくらい普通の「問題」よりも大きな「問題」だったので、
ティムの予想以上にその質量は大きく、元々重たいスコップの重みもそこに加わって、
ティムにはすこし、重い。
重たくて、腕が震え始めた。
ゆかりもそれに気づいたらしく、顔色を変えて騒いでいる。
「坊ちゃま!お願いですから!!それを落とさないでください――!落とすならせめて自分の側に――!」
こまったなあ。
とティムは思っていた。
予想以上に重かった「問題」は、自分とゆかりの体のあいだでぷるぷると震えていて、
震えているのは自分の腕が限界をぷるぷる訴えつつ震えているからであって、
このままでは袋に入れようとして失敗し、ゆかりの頭からぶちまけることにもなりかねない。
「もしそうなったら、ごめんね……ユカリ」
「な、何を謝っているんですか?なにがもしそうなるんですか?ちょっと、坊ちゃま!」
「いや、その、なんというか……ちょっとユカリがかわいそうなことになるかも……」
腕の震えが徐々に強くなってきている。
両腕に感じていた「問題」とスコップの重みが、段々と痛みに変わってきた。
「やめてください!なんですかそれ!なんでもうかわいそうな人を見る目つきになってるんですか!
まだ何もなってませんよ、どうにかがんばってその……それを、この袋に入れてください!
ちょっと、坊ちゃま――!?」
ゆかりは眉毛をハの字にしてなにやら騒いでいるが、ダメだ。
これ以上持ち上がらないし、いったん地面に下ろすこともできそうにない。
地面に降ろそうとしても、丁寧に降下速度を調整して降ろすことができない以上、
ガランと取り落としてしまうのは目に見えている。
そうなればその先に乗った「問題」が、どこに跳ねていくかわかったものではない。
そうなったら大災害だ。
どうしよう。
ここはもう、意を決して、前に進むしかない。
退路は断たれている
腕がぶるぶると震えてどうも狙いが定まらないが、他に選択肢がないのだから、
しょうがない。
ぶるぶる震えてどこに行くかわからないということは、ひょっとすると袋に入ってくれる可能性が無いでもない。
地面に降ろそうとしてわかりきった大災害を迎えるよりも、可能性に賭けた方がいくらかましだろう。
たとえ、いくら低い可能性だろうと。
「ユカリ、いくよ」
決心をして袋の入り口だけを見据え、唇をきっと一文字に結んだ。
「ちょ、ちょっと待ってください!そんなに震えた腕で狙いが定まってるんですか!?
いったん地面に置いて――あ、そんな気は毛頭ないですねそのりりしい表情は!
でも表情をいくら凛々しくしたとても、腕の震えは止まってませんよ――!!」
ゆかりはいつもより早口でわめいているが、仕方ない。
もし彼女が「問題」を頭からかぶるような羽目になっても、それは不可抗力というものだ。
謝りたおして許してもらおう。
…………むりかな、やっぱり。
「……せぇの……それっ」
ティムは勢いをつけ、袋目掛けてスコップを振り下ろした。
自分としては、袋の真ん中に狙いをつけていたのだが、やはり意思とは裏腹に
腕は勝手に動いて30センチほど狙いが外れ、スコップだけがスコップに乗っている「問題」は
一直線に、ゆかりを目掛けて飛んでいった。
「――――あ」
一瞬、時間が止まったような気がした。
重さを失ったスコップが、異常に軽く感じられる。
宙に、大きな問題が浮かんでいる。
その向こうで、ゆかりが大口を開けて叫んでいる。
「ゴメン、ユカリ――」
先に謝っておくのがいいだろう。と思った。
ゆかりの表情の変化はゆっくりとしていたが、体の動きは機敏であった。
この結果をある程度予想していたのかどうか、ゆかりはさっと右足を引き、半身の状態になった。
しかしそれでは、いったん避けられたとしても、「問題」が着地してしまえば、
位置エネルギーが運動エネルギーに変わっているし、質量も相当な物だから、
きっと問題は弾けて跳んで、やはり結果的に大惨事になってしまうだろう。
そのティムの不安をゆかりも分かっていたのか、半身の状態になると同時に
袋を持っていた両手は、正確無比にその「問題」の放物線を読み取り、
ゆかりが両手を突き出したところ寸分の狂いもなく、「問題」は自らの意思であるかのように、袋の中に、吸い込まれていった。
どさん。
という、たしかな質量が麻袋に落ちる音と同時に、時間の流れは元に戻った。
ゆかりは麻袋に引っ張られるように、肩を落とし、落とした肩で息をしている。
「ハァッ――」
ゆかりが大きなため息をついたのを見計らって、ティムはおそるおそる声をかけた。
「ゆ、ユカリ――だいじょうぶ、だった」
ティムが声をかけてしばらくした後、ゆかりは勢いよく上体を起こした。
意外にも、ゆかりは笑顔であった。
だが、その笑顔はいつもの爛漫な笑顔でなく、どうも他の感情をかみ殺しているかのような、
安心できない笑顔であった。
「……えぇ、大丈夫でしたよ。おかげさまで」
笑顔ではある。
笑顔ではあるのだ。
しかし、どうもその、見せている白い歯の奥――奥歯をかみ締めているようだ、
頬の筋肉がぴくっぴくしている。
「ユカリ……ひょっとして、怒ってる?」
「いぃえぇ、とんでもない。それよりも、てつだって頂いた喜びで、体中が震えておりますのよ」
口調がおかしい。
ゆかりの口元がつりあがっているのは、明らかに喜びという感情のせいではないような気がした。
怖い。
笑顔なのに怖いとは、いったいどういうことだろう。
というよりも、笑顔だからこそ怖い。
表情から見る以上のものが、ゆかりの体から湧き上がっている。
これはもう、謝るにほかはない。
「ご、ごめんよユカリ、謝るから、怒ってるなら怒ってると、言って……」
ティムはそういいかけて、途中で言葉に詰まってしまった。
ゆかりの背中に、何か居た。
間違いなく何か居た。
憤怒の表情を顔に貼り付けたままで固まったような、ブッダのしもべ――
以前ゆかりが、ノートに描いたものだったような気がする。
そうだ、確か名前は――フドウ、ミョウオウ。
それが確かに、笑顔のゆかりの背中に居た。
あれが噂に聞く守護神というものだろうか。
お、おそろしい。
ティムはゆかりの手から灰塵袋を奪い取るように受け取り、
「こ、これ捨ててくるよ!」
といって走り出した。
ゆかりの背中に見た、恐ろしいイメージが、自分の見間違いであったことを祈りながら。
逃げるように走って「問題」の詰まった袋を、捨てに行った。
灰塵袋を置いたティムが家まで戻ってくると、ゆかりはデッキブラシで家の前を磨いているところだった。
傍らに置いたバケツにブラシをつっこんで水をつけては、道路を磨いている。
肩を怒らせて、親の敵でも見るかのように、道路を磨いている。
遠くから眺めるだけで、ゆかりがイライラと怒っているのがわかった。
ちょっと、近付く前に遠くからなだめてみよう。
「おおい、ユカリ――」
呼びかけて、その声は、唐突な女性の叫び声に遮られた。
「きゃぁあああっ――!!ど、泥棒――――!!」
叫び声の方向を見ると、なるほど。見るからにみすぼらしいなりの男が、不釣合いな高級バッグを抱えて、こちらに向かって走って来る。
ゆかりもそれに気づき、体を走る男の方に向けて、その男が走って来るのをただ見ている。
バッグを抱えた男は、開いているほうの手で自らのポケットをまさぐり、小さなナイフを取り出した。
そしてそれを振りかざすようにして、ゆかりのほうに走ってゆく。
立ちはだかるのは少女ひとり、少し脅せばどうとでもなると思ったのだろう。
ゆかりは、デッキブラシを持って直立している。
男はナイフを片手に走っていき、ゆかりとの距離がどんどん縮まっていく。
ティムは何となく、この男がひどい目にあうような予感がした。
予感はやはり当たった。
男がナイフを振りかざして走っていき、ゆかりとの距離が5メートルほどに近づいた。
それまで悠然と立っていたゆかりは、男が近づいてくるのを見計らって、
持っていたデッキブラシを両手で握り締め、ぐっ、と腰を落とした。
男は、敢然と立ちはだかって逃げようとしない少女に少しひるんだようであったが、
右手に握ったナイフを振りかざして、叫んだ。
「どけっ!さっさとどかねえと――」
と、ありきたりな言葉を途中まで叫んだところで、ゆかりが無造作にブラシを振り上げた。
その動きは素早すぎて、ティムの目にはよく見えなかったが、振り上げられたブラシは、
正確に男の手首を打撃したようで、男の手からナイフが弾き飛ばされ、
ナイフは空中3メートルほどの高さに飛ばされて、浮かんでいた。
「――――!?」
男がわけがわからないようであった。
びりびりとした痛みが走っているだろう手首と、ナイフを握っていたはずなのに、
なぜか空になっている手の平、そしてそれと目の前の少女を見比べ、ただただ
困惑の表情を浮かべていた。
しかしそれも一秒足らずのことで、男はすぐに、ゆかりの横をすり抜けて逃げようとしたが、
ゆかりは
「ふっ」
と強く息を吐き、振り上げたデッキブラシを、そのまま背中から一回転させた。
質量的重点、ブラシの頭は地面すれすれを舐めるようにとんでいき、それは男の足首を的確に捉えて、
男はブラシに掬い上げられるようにすっとび、自らの勢いもあって体を半回転させ、
ほとんど地面と水平になって、宙に浮かんでいた。
きっと男の目には、雨上がりの明るい空が映っていることであろう。
男は1メートルほど進行方向に飛んでいき、石畳の道に背中を、ひどくしたたかに打ちつけ、
「ぐぇっ」
とつぶれたカエルの様な鳴き声を出した。
手を目いっぱい体の前に伸ばして半分ほど体を起したが、そこから急にばたりと倒れて、動かなくなった。
いまごろナイフが落ちてきて、石畳の石と石との隙間に、見事に刺さった。
ゆかりは背中ごしにその声と音を聞き、さも満足そうに、こん!とブラシの柄を地面に打ちつけた。
女性と、その叫び声を聞きつけた立ち番の警官がゆかりの元に駆けつけて目にしたのは、
だらしなく道路に伸びている男と、男のことなど意に介さずに道路を磨いているゆかりの姿だった。
女性は、鞄を取り戻すとゆかりに何度もお礼を言って来た道を戻っていった。
警官は腰に手を当て
「ねぇ、これ、いつぐらいに目を覚ますの?」
とゆかりに聞いた。
「さぁ?見当もつきませんね」
上機嫌で、道路の掃除を続けているゆかりを、ティムは階段の上で見ていた。
掃除を続けるゆかりは、体中を満たしていた怒り感情のはけ口が見つかって、喜んでいるようにも見えた。
「…………おそろし」
ティムはぞっとするものを感じて、聞こえないように呟いた。
もうゆかりを怒らせないようにしよう――――できるだけ。
「しかしなぁ、目を覚ましてくれんと連れて行くこともできんしなぁ」
警官はすっかり困っている様子だった。
ゆかりは「仕方ないですね」と言って、傍らに置いてあったブリキのバケツを持ち上げた。
「ユカリ、まさか――」
ティムが言い終わらないうちに、ゆかりはその水を男にぶっかけた。
「う……うう……」
と男はうめいたが、目を覚ましたわけではないようだ。
警官は、気絶した人間を起こすやり方の中でも、かなり荒っぽい部類に入る
やり方をした少女を、驚きの目で見つめていた。
「ム、まだ目を覚まさぬかこの盗人め」
ゆかりの口調に、ティムは空恐ろしいものと、妙な納得を感じていた。
考えてみれば、ゆかりにはどうやらそうとうのストレスがたまっていたようであった。
やまない長雨、たまっている仕事、面倒くさいランプ磨き、いざ気勢を上げようとした矢先に、玄関先に発生したやっかいな「問題」。
何もかもがゆかりの思うとおりにいかずに、かなりイライラしていたんだろう。
……きっと。
ああ……あの男、スイッチ入れちゃったんだなぁ……。
先ほどまで、「問題」の下の道路を磨いていたブラシで、男の顔をごしごしと磨く
ゆかりを横目に、ティムはぼんやりと考えるのだった。
「き、キミ、彼女、きみんとこのメイド、アレ、やりすぎじゃあないかね」
警官が聞いてきた。
完全にゆかりに恐れをなしている。
自分より大きな男――気絶しているとはいえ、凶暴な犯罪者――を起こすのに何の躊躇もせず、
路傍の石を扱うかのようにするゆかりに対して、警官は完全にビビっている。
そうなるのは、わからないでもない。
なにしろさっきは不動明王を背負っていたのだ。
「ああ……いまユカリ、ちょっと、スイッチはいってるんで……ごめんなさい」
「いや、君が謝るようなことでもないが……」
それにしても、と言って警官は腰に手を当てて、なにかすごい物――動物園の象とか――を見るような目でゆかりを眺めた。
「君んちのメイド、すごいねえ」
警官が嘆息して言った。
「ええまぁ……すごいんです……」
ティムはなんだか情けないような気持ちになった。
デッキブラシの下の犯人が
「……く、臭いっ!なんだか臭いぃ」
と言って目を覚ました。
「あ、おまわりさーん、泥棒男、起きましたよー」
ゆかりは快活にそう言って、手を振った。
いい笑顔をしている。
しばらくぶりに見た、ゆかりのいい笑顔であった。
いまや頭上にさんぜんと輝く太陽のような、とても久しぶりに見る、ゆかりのいい笑顔であった――感情の表現が、いささか凶暴ではあるが――。
どうやらゆかりはずいぶんと長い間、その身をどっぷりとストレスに漬け込んでいたようだった。
止まない雨が止んだ日に、ゆかりは自分の衝動を抑えきれなくなったのだ。
図らずも男は、堆積したストレスが堪忍袋の容積の限界に達した瞬間に、その袋を開け放ってしまったのだろう。
タイミングの悪いことだ。
まあ……そのきっかけがひったくりということを考えれば、じごうじとくだ。
そう、自業自得ではあるが、しかしティムは、デッキブラシの下で
「くさいくさい」
とわめく男に、同情を感じていた。
こういうとき、ゆかりの国では両の手の平を合わせるのだと聞いていたので、ティムはそのとおりにして、
「……合掌」
と、ゆかりに教わった通りのことをつぶやいた。
スイッチの入ってしまっているゆかりは、警官の制止も聞かず、男を磨き続けている。
「ええい悪党っ!今更命乞いとは何事だ。悪党なら悪党らしく神妙にお縄につけいっ」
「つくつく!つくから、やめてくれぇ、た、たすけて、おまわりさぁーん」
男は、助けを求めて警官に手を伸ばしたが、警官は困ったように笑うだけだった。
哀れである。
合掌。
合掌ついでにティムは、このさき訪れるだろう夏は、ゆかり好みのいい天気が続く季節であってほしいと、切に願うのだった。
「おねがいね……あまてらす、おおみみかんさん……」
ティムの呟きが聞き入れられたのかどうか知らないが、空は長雨の名残をすっかり消し去って、透きとおって青い、夏の空になっていた。
雨の日の衝動――終わり
梅雨に書いていた話だったのに……今はもう……8月……
夏
ですよね。
orz
次はもう少し可愛らしい話が書ければいいと思います。
馬糞とか出てこないような。
ヒロインが暴力を振るうことのないような。
アンタこんな時間に何書いてくれてやがるんだこの
GJ!!
GJ!!!!!!!
>>286 馬糞が出てきていても、ヒロインが暴力をふるっていても
今回のも十分に可愛らしい作品でしたよ!
GJです!
はらしょー
長柄(デッキブラシ)で暴漢を撃退したって事は、ゆかりちゃんは薙刀も使えるって事だよな?
恐ろしい娘だ……((((; ゚д゚))))ガクガクブルブル
292 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/06(日) 15:53:37 ID:8MgFqSqE
>>249-250 流れを読まずに亀レスだが、自動車バイク好きとして一言言わせてもらいたい!
ハヤブサとニンジャは300km/h行く。
双子の兄妹に仕えるメイド
兄とは肉体関係ありの恋仲(周囲には秘密だが)でラブラブ
けれどそのことに薄々感づいている妹からはいじめられている
・・・という話はありがち?
最近ありがちな傾向としてはこんなんじゃね?
実は軽度ブラコンな妹で、しかもメイドラブのレズっ子
だけどツンデレなので素直になれず、大好きなメイドにも辛くあたってしまう
本当は二人とも大好き!三人で仲良くしたいのに!
無理に妹だの何だのをからめるのはイカガナモノカ
どうせからめるなら姉(ry
>>295 それはあんたの趣味w
というわけで間をとって
双子の姉妹で主従関係
妹メイド
姉メイド
従姉妹メイド
母メイド
娘メイド
叔母メイド
姪メイド
メイド一族だなw
しかし祖母メイドはないんだなw
本家筋と分家筋が代々主従関係
>>298 孫メイドもいないぞ
祖母メイドと孫メイドが揃うってのも
凄まじいが
301 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/07(月) 20:31:35 ID:LGGf4wwN
黒い三連星姉妹メイド
>301
インド系の三姉妹メイド?
それはそれで……
アメリカのメイドさんはぽっちゃり系の黒人女性で主人の娘に懐かれてるイメージ。
世界名作劇場の若草物語を観ていたに違いない
何か、ここってエロより萌え重視なんですな。ふむ……
>305
いや、エロメインでも全然オーケーな訳だが。
凛としたメイドさんが好きだ。
世話焼きのメイドさんが好きだ。
働き者のメイドさんが好きだ。
つまらないことでも一緒に笑ってくれて、
ささやかなことでも一緒に感動してくれるメイドさんが好きだ。
悲しい時は一緒に泣いてくれて、
グレた時は本気で叱ってくれるメイドさんが好きだ。
しっかり者のようで、どこか天然のメイドさんが好きだ。
最後に
少しだけエッチなメイドさんが好きだ。
つまりメイドさんは女性の理想の姿だと
>>309を見て、某でぶの少佐を思い出したのは俺だけじゃないはずだ。
>>311 ノシ
いっそ完全版にして欲しいとこだな
313 :
1-500:2006/08/09(水) 04:52:40 ID:ZGPsLeyo
諸君 私はメイドさんが好きだ
諸君 私はメイドさんが大好きだ
働き者のメイドさんが好きだ
清潔好きのメイドさんが好きだ
料理上手のメイドさんが好きだ
洗濯が得意なメイドさんが好きだ
凛としたメイドさんが好きだ
世話焼きのメイドさんが好きだ
子供好きなメイドさんが好きだ
甘えん坊なメイドさんが好きだ
やきもち焼きのメイドさんが好きだ
食堂で 客間で
炊事場で 洗濯室で
裏庭で 子供部屋で
宿舎で ベランダでで
風呂場で 主人の寝室で
この地上で働いているありとあらゆるメイドさんが大好きだ
スカートのすそを翻しながら一心に洗濯物を運んでいるのが好きだ
真っ白く干し上がったご主人さまのシャツを取り込みながら満足げな笑みを浮かべたメイドさんには心がおどる
絞った雑巾を手に窓ガラスの汚れをふき取っているのが好きだ
下着を覗かせているのにも気づかずに熱心にガラスに息を吐くのは胸がすくような気持ちだった
主人の背後から茶を給仕しているのが好きだ
こぼさぬ様に緊張しながら手の震えを必死に止めようとしている様など感動すら覚える
近所の幼児をあやしている様などはもうたまらない
転んで泣き出しそうな子供に奇矯な顔をしてみせて笑わせようとするのは最高だ
高価な壷を割ってしまい蒼白になりながら首にされるのではないかと怯えブルブルと震える
メイドさんが涙をたたえた瞳で上目遣いに主人の顔をうかがう時など絶頂すら覚える
胸元をはだけたメイドさんに乳房で身体を洗われるのが好きだ
興奮を必死に抑えながらそれでも固くなってしまう乳首の感触はそれはそれはすばらしいものだ
複数のメイドさんに夜の奉仕をさせるのが好きだ
はしたない声を耳にしながら自分の順番を待つメイドさんの赤く染まる頬は興奮の極みだ
諸君 私はメイドさんを、天使の様なメイドさんを望んでいる
諸君 私に付き従う大隊戦友諸君
君達は一体何を望んでいる?
314 :
1-500:2006/08/09(水) 04:52:47 ID:ZGPsLeyo
更なるメイドさんを望むか?
情け容赦のない甘美な拷問のようなメイドさんを望むか?
愛撫嬌声の限りを尽くし三千世界の鴉を殺す嵐の様なメイドさんを望むか?
『メイドさん! メイドさん! メイドさん!』
よろしい ならばメイドさんだ
我々は渾身の力をこめて今まさに振り降ろさんとするご主人さまだ
だがこの暗い闇の底で半世紀もの間堪え続けてきた我々にただのメイドさんではもはや足りない!
メイドさんを!!
一心不乱のメイドさんを!!
我らはわずかに一個大隊 千人に満たぬ敗残兵に過ぎない
だが諸君は一騎当千の古強者だと私は信仰している
ならば我らは諸君と私で総力100万と1人の軍集団となる
不摂生な生活をしフライパン片手にやってきたメイドさんに叩き起こされよう
ストッキングをつかんで引きずり降ろし女にしか理解できない感覚を思い出させよう
メイドさんに快楽の味を思い出させてやる
メイドさんに主人に仕える喜びを思い出させてやる
主人と使用人のはざまにはメイドさんの哲学では思いもよらない恋愛感情があることを
思い出させてやる
一千人のご主人様の大集団で
世界を萌やし尽くしてやる
「最後の大隊大隊指揮官より全空中艦隊へ」
目標英国本土ロンドン首都上空!!
第二次アイアンメイデン作戦 状況を開始せよ
完全版キター!
すげー!!
次スレはテンプレだなこりゃw
雪乃は、夜更けに主人に呼び出されて客間に向かった。
そこには暗い顔をした主人と、見知らぬ男の姿があった。
男は雪乃の頭から爪先までを舐めまわすように眺め、下卑た笑いを浮かべた。
雪乃に歩み寄ると、細い腕を力まかせにつかんで、部屋の中央に置かれた椅子に強引に導いた。
「ご、ご主人様……?」
雪乃はわけがわからず、主人に助けを求めた。
しかし主人は何も答えず、かわりに雪乃の腕をつかんでいる男が口を開いた。
「ご主人様はお前より偉い。だからお前はご主人様の命令には逆らえない。そうだな?」
雪乃は怯えた表情でこくこくと頷いた。
男は雪乃に、椅子に座るように促しながら、言葉を続けた。
「俺は、そのご主人様よりも偉い。つまりお前は俺の命令にも逆らえないということだ。わかったか?」
男はニヤリと笑い、椅子に座った雪乃の両膝を下からすくい上げて、
椅子の左右の肘掛に乗せた。
「や……っ…!何を……」
慌てて膝を閉じようとする雪乃に、男が無慈悲に告げた。
「閉じるな!そのまま、足を大きく開いていろ!これから俺が、お前の体を楽しみやすいようにな」
自分がこれから何をされるのかを理解して、雪乃は恐怖に青ざめた。
すがるようなまなざしを、再び主人に向けた。
しかし主人は、
「そのひとの言ったとおりだ。そのひとの命令に従いなさい」
と、冷たい声で雪乃に言い放った。
呆然とする雪乃の手首を、雪乃の背後にまわりこんだ男がつかんだ。
雪乃の両腕は椅子のうしろにまわされ、手首がきつく縄で戒められた。
「お、お願い……です……。やめて……ください……」
雪乃は目に涙を浮かべ、震える声で男に懇願した。
しかし男は雪乃のその様子を見て興奮が増したようだった。
「苛めがいがありそうな娘だな。朝までたくさん泣かせてやるから、楽しみにしな」
いやらしい笑みを浮かべた男は、雪乃のエプロンに手をかけた。
そのまま、首にかかる部分の紐を引きちぎる。
エプロンの上半身の部分がだらりとおちた。
男の手はさらに雪乃の黒のワンピースへと伸びた。
胸元のあわせを両手で思い切り左右に引っ張った。
布の裂ける音が部屋に響いた。
「いやぁ……っ……!」
白いレースに包まれた雪乃の胸のふくらみがあらわにされてしまった。
雪乃の頬が羞恥で真っ赤に染まる。
「ウヒヒ、なかなかでかいじゃねぇか」
よだれを垂らしそうな声で男は言うと、いきなり雪乃の胸を鷲掴みにした。
雪乃のおっぱいはたぷんっと揺れて、男の指の間からは柔そうな白い肉がいびつなかたちではみ出る。
「や、ぁ、あぁッ……んっ……!」
男は雪乃の胸のボリュームと感触を楽しんでいた。
ぐにぐにと執拗に雪乃の胸を揉む。
そのうちに、男のてのひらの中心に、固く勃ちあがってくるものの感触が伝わってきた。
つづくかも
>>つづくかも
続けっ!!!
このスレで好きなメイドさんは『百合さん』と『薫さん』
だから時々呼んでみる。
『百合さぁぁん、冷たい麦茶をお願いしまぁぁす。』
『薫さぁん、今夜は梅酒を用意してくださぁい』
などと。
そうするとホラ・・・・・
>>320 目を覚ませ、それは抱き枕だ。
さあ抱き枕の梱包作業に戻るんだ。
322 :
253:2006/08/11(金) 00:23:13 ID:IqX7VI73
>>320 薫さんを呼んでくれてありがとうです。
というわけで、
>>262-265の続編です。
前回が春の話だったので、今回は梅雨の話にしてみました。
323 :
梅雨(1):2006/08/11(金) 00:27:02 ID:IqX7VI73
「……る、……かおる。ねえ、薫――」
和臣の呼ぶ声に薫が気づいたのは、和臣の声がだいぶ大きくなってからだった。
「あ、は、はい。何か……」
慌てて返事をする薫の顔を、和臣がじっと見ている。
薫は思わず、条件反射的に目をそらし、
なにか言い訳になることは見つからないものかと周囲に視線を走らせてみた。
室内に在る姿は、薫と和臣のふたりだけ。
窓の外では細い雨が音もなく降りしきっている。
わずか数秒の沈黙の間が、却って重苦しかった。
和臣は、紅茶が注がれたカップを片手に、訝しげな顔で薫を注視し続けている。
結局その視線に耐えられなくなった薫は誤魔化すことをあきらめて、小さく肩を落とした。
それから、まだ手に持っていたままの紅茶のポットを和臣に向けて軽く掲げてみせて、
「……おかわり、されますか?」
取り繕うように、尋ねてみた。
324 :
梅雨(2):2006/08/11(金) 00:30:06 ID:IqX7VI73
和臣は、当惑していた。今日の薫はおかしい。
洗い終えて丁寧に畳まれた洗濯物を届けてくれた時には、
そのなかに父のシャツが交ざりこんでいたし、
きれいにアイロンがかけられたハンカチは、表裏が逆になって畳まれていた。
薫がメイドの仕事を始めたばかりだった十五歳の頃にはそんな失敗も珍しいことではなかったが、
ここ数年の薫の仕事ぶりからしてみれば、
それが些細なものであればあるほど「失敗」というものは想像し難い。
「いや、おかわりは……。……と、言うより、その……」
和臣は言葉を濁し、自分の右手が持つカップの中身と薫の顔とを交互に見比べる。
続く言葉を待つ薫の表情からは、明らかな不安の色が見てとれた。
薫のそんな素直な表情は、ひさしぶりに見るもののような気がして、
和臣はほんの少しだけ嬉しくなる。
けれど、そんな自分の考えは不謹慎なものであるようにも思えて、
今度は和臣のほうが、薫の視線から目をそらした。
手にしているカップを口元に運び、ひとくち、口に含むと、わずかに渋みを感じる味が口の中に広がる。それは、いつもとは違う味だ。
少し迷ったあとで、和臣はやはり、先ほど一度は飲み込んだ言葉を薫に伝えることにした。
「薫、今日は……少し疲れているんじゃない?」
できるだけ、何でもないことのように、当たり障りのない口調を選んで、和臣は言った。
「今日はもう、この後の予定はあまりないから」
休んでいいよ、と告げる和臣の口調はごく普通に優しいものだった。
薫は一度、何か言いたげに唇を開いたが、
すぐに言葉を飲み込んでこくりと小さく頷き、和臣の提案を了承した。
325 :
梅雨(3):2006/08/11(金) 00:33:26 ID:IqX7VI73
薫の住まう部屋は、母屋からは少し距離のある、平屋建ての別棟の中にあった。
この別棟は、和臣の祖父の代に、遠野の家に住み込みで働く使用人達のために建てられた。
その頃には多くの人間がこの場所で寝起きをしていたが、
今では使用人の多くが通いの者になっているために、ここで暮らす人間は薫ひとりになっていた。
別棟と母屋の間には、母屋から見える整えられた庭園とは違う、
鬱蒼とした森のような裏庭が広がっている。
長く続く雨の雫を重たげに枝葉に湛えている木々の間を抜けて、薫は自分の部屋に戻った。
黒いワンピースのスカートの裾が、湿気を含んで重たく足にまとわりついている。
薫は、白いエプロンの背中を解くと、するりとそれを脱ぎ取った。
一回、二回、ざっくりとたたみ、足元に置いた籐で編まれた籠の中に落とす。
頭にのせた白いレース飾りを外し、ワンピースからカフスとカラーを取り外すと、
それらもすべて一纏めにして、エプロンを落とした籠の中に一緒にいれた。
そこまでして、薫は一度、深い溜息をつく。
服を着替える、ただそれだけのことにも、とても気力が必要に感じていた。
湿ったワンピースを脱ぐために、前身頃にずらりと並んだ包みボタンに指をかける。
それらをひとつずつ、ゆっくりと外していきながら、薫は昨日の出来事を思い出していた。
326 :
梅雨(4):2006/08/11(金) 00:35:26 ID:IqX7VI73
昨日の午前中のことだった。
薫は和臣に頼まれて、書庫から数冊の本を探してくることになった。
午後に来客があるので、それまでに用意をして欲しいという。
「客間にお届けすればよろしいですか?」
和臣に渡された紙片に書かれた文字を確かめながら薫は和臣に訊ねたが、
その問いかけは形だけのものであるはずだった。
和臣は、親しい友人をあまりたくさん持たない性質の人間であったし、
たとえ使用人といえども、信頼に値する相手であることを和臣自身が納得できるまでは
自分の部屋に他人を入れることを嫌がることが多かったからだ。
だからこれまでの和臣は、来客の対応は客間で済ませることが殆どだった。
薫はそれを知っていたから、自分のその問いかけに、和臣が否定の返事をすることは
滅多なことではないと思っていた。
しかし和臣は、答え難そうに少し口を濁した。
「えーと、そうだね……」
薫は、少し驚いて、和臣の顔をまじまじと見た。
「……ここに。僕の部屋に届けてくれるかな。約束は二時だから、できれば、その前に」
来客が誰であるかは、和臣は最後まで薫には告げなかった。
それが答えであるような気がして、薫もそのことを和臣に問いただすことはできなかった。
327 :
253:2006/08/11(金) 00:39:43 ID:IqX7VI73
中途半端ですみませんが、本日はここまでで…
続きはまた近日中に持ってまいります。
か・・・薫さぁ〜んっ!
329 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/14(月) 07:49:36 ID:sFVnvGpK
ゆかりちゃんは何をしていますか・・・
メイドさん達にもお盆休みはあるのだろうか。
ゆかりちゃんは英国在住だからさすがにないかね。
むしろ由緒正しいお屋敷だと、分家筋とか他所に出た連中が集まってきて、
お盆はいつもより忙しそう
332 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/14(月) 20:41:55 ID:NY9Ro2o/
それは、クリスマスとか当主の誕生日とかではないだろうか?
あと、社交で呼んだり呼ばれたりするときに、侍女としてついて行ったり
準備や片付けなど手間がかかりそうだね。
>>330 お盆はないだろうがバカンスはあるぞ
・・・たぶん
334 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/16(水) 12:19:30 ID:kfq5Or5z
メイドと言っても、ゆかりちゃんは「使用人」というより「ホームスティ」しているような待遇と感覚だと思う。
もうしばらくしたら(今でも?)男共を尻に敷いたりこき使ったり・・・・を笑顔とお願いでこなす様に
なるんだろうなぁ
うわーんきもいよー
エロなしの投稿ってありだよね?
自分に官能は書けないのか……と挫折してんだ今。
エロなし多いから平気じゃね?
ゆかりたんも百合さんも薫さんもエロないよ。
だよねーだよねー安心。
しかし屋敷モノ多いよな…自分も例に漏れず屋敷モノなんだがさ。
んで前レスみてたら薫さんと微妙にネタかぶってた(桜が)からちょいちょいと修正できたら投下します。
>>338 「エロ」パロ板なんだからよ・・・スレ違いだっての
よそでやれ
>>338です。
>>339それをエロなしで書いてる全員宛に言うなら出ていくよ
と言いたいとこだがいいや。
そんなこと言われてまで載せる気しない。ご希望どうり載せんよ。
>>340 何様だw
そーやって「そんなことないですー」とかのフォロー書き込み誘ってんだろうな
まじうぜぇ
↓でフォローあったら間違いなくこいつの自演と思われ
そんなことないですー
>340
黙れ
黙って投下しろ
勘違いした小説家様ってなんとかならないかね・・・
自演なんてIDでバレるだろ?
んな低俗な事やんねーよ。
くだらねぇ。利益ないのに
>>343ごめん。
IDなんて簡単に変えられるじゃん。
夏だね
我が儘で傲慢不遜で人間関係を嫌う青年と、元気いっぱいで世話やきでちょっとドジなメイドさんのお話が読みたい。
青年はだんだんメイドさんの温かさに惹かれて行き…みたいな
>>348 勘違いした小説家気取りもうざいが
クレクレ厨はそれにわをかけてうざいな
誰だ怒らせた奴は
投下する奴は誰であろうとかみなんだぞ
>>349 はいはい、すみませんすみません。私が悪うござました
定期的に至ってどうでもいい荒らしが来るよな、ここ。
台風みたいなモンだろ
>>348 「旦那様、起きてくださいませ、朝食の準備ができましたよ」
カーテンが開いて朝日が差し込んでくる。
かまわず布団をかぶり直す。
最近昼夜逆転の生活を送っているため、朝まともに起きれたためしがない。
「旦那様、お気持ちはわかりますけど今日こそは学校へ行きましょう!」
べつに両親の死が悲しいわけではない。
だが親父の権力がなくなると、俺は学校での立場が維持できなくなる。
教師には雑多のクズ生徒と同列に扱われ、今まで見下してきた連中からは逆に憐みの視線を向けられる。
そんなところに誰が好き好んで行けるというのだ。
「旦那様、いいお天気だから一緒にお散歩でもしませんか?
それにそろそろお布団を干さないと、汚いですよ」
相変わらず体をさすられるのが鬱陶しくなってきた。
「だー、うるせーなー!
俺はおまえの旦那様じゃないんだよ!
もう親父もおふくろも…、おまえに給料を払ってた人間はいないんだよ!
他の使用人みたいにさっさと出て行けばいいだろ!?」
「そのことはもういいんです!
私まで出て行ったら旦那様はどうなるんですか…?」
みたいなやつでいいんか?
>>354を読んで、軍板の中高一貫の防衛女子校スレッドのメイド教官物語ネタを連想してしまった・・・
>>359 さて。一緒に巣に帰ろうか。あっちはあっちで過疎ってるんだ
>>725 そこまで能力が高く可憐で引く手あまたなのに主はただ一人と定めるがごとく
けなげに仕える大和撫子メイド・・・・
任務終了後、その国どころか近隣諸国でも活動できなくなると思われ。
と、いうよりそんな彼女に思いをよせる男性多数・・・
「あいつが振られたそうだ」とうわさは千里を駆け巡り
某国で高級クラブの見習いと言う設定で潜入した直後に
どっかでみたような殿方が彼女目当てに贈り物を持って押し寄せ
行方をくらまさざるえなくなる・・・・が、同様な事態が再発することを
危惧した上層部は彼女に現場からの引退と防女教官としての地位を与えた。
生徒の前ではほとんどジャージの彼女
「あたしは、いい男にもて過ぎて防女に出戻ったのよ」と愚痴をこぼすことも
あるが、それを信じる生徒は皆無である
本当は諜報員なのにご主人様に本気で愛されて正妻に納まるくのいちメイドが
続出、裏の花嫁学校の名を欲しいままのする
・・・英語、他一カ国後ネイティブレベル、看護婦並みの医療技術
(理論、実践共に)、婦人警官並みの護身、格闘術、
二輪、四輪限定解除、マナー、礼儀作法も修得・・・で、
国外では子供と間違えられそうな身長150cm台、黒髪、黒眼
けなげに尽くしまくる やまとなでしこメイドさん
(任務なのでご主人様がスキャンダルにまみれても、零落しても
給料が払えなくなっても付いてくる。で、濡れ衣だった、元の
地位に返り咲いた、破産前以上の金持ちに・・となった時に
プロポーズされるが、本人にその気が無い為あくまでも
身分違い、他の理由を並べ立てて身を引こうとし、任務完了後
さっさと帰ろうとするのだが、逃げ切れなかった娘が)
その3
194 名前:委員長支持派 [sage] 投稿日: 03/10/13 02:16 ID:???
>>184 意に染まぬ相手の愛人に納まった防女OBですか。
それはいるでしょう。金と女は諜報の基本です。特に防女入学時はともかく
高等部以降は容姿を磨くことが 義務 となっていますし。
元メイド教官も姿をくらます時に涙を流すくらい”ご主人様”に入れ込んでいたの
だし、ま おとなの男と女だし、多分自棄を起こしたご主人様を「慰める」ことも
あったのだろう。
元ご主人様が未だに独身である理由もそこいらへんが絡んでいるだろうし。
落剥か、スキャンダルか、失脚かで何もかも無くしてうらぶれた古アパートの
一室に越してきた二人。もう給料も払えないと使用人全てを解雇したのに
傍らには当然のように黒髪のメイドがいる。”私にもいくらかの蓄えがありますから”と
けなげに無給で仕えてくれる彼女。そして、しばらくたって、彼女がその技能で
毎日働き自分を養ってくれていることを知る。
同じに、その容姿と高い能力に対し数多くの条件の良いオファーが来ていることも・・・
その事をおくびにも出さない彼女に情けなさと、すまなさが入り混じった気持ちで
問いただすご主人様
「私が主として仕えるのは貴方だけです」
・・・・いくら任務だとはいえ、こんな男にとっての理想をやったから
失踪後、ひそかに指をくわえていた紳士たちが殺到したし、
もう、あそこら辺の国には立ち寄ることもできなくなったのだ
このばかもん。
君はしばらく古巣で後進の指導にあたりたまえ。
現場に復帰するのはほとぼりがさめてからだ
366 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/19(土) 14:12:58 ID:ohReBOjG
防女スレに今まで蓄積された設定やSSはSS職人にとっては
宝かもしれんがデータベースの構築途中で止まってるやん。
私も、百合さんや、ゆかりちゃんの作者さんに防衛女子校諜報防諜専攻課程のSSを
書いて頂きたいですけどね
流れを無視して
>>323ー326の続きです。
エロなしなので、嫌いな方はスルー願います。
夜が更けて、しんと静まり返った空気を、かすかな雨の音だけが震わせている。
薫はベッドの上で横になり、頭まで毛布をかぶって身体を小さく丸めていた。
眠ろうと何度目を瞑っても、雨音がやけに耳について眠れない。自分のそんな状況を、ひどく情けなく感じる。
ざらついた感情が足元から這い上がり全身を覆い尽くすイメージが浮かんで、薫はそれを振り払うように勢いよく身体を起こした。
今日何度目かになる深いふかいため息が、堪える間もなく零れでる。
薫は、眠ることをあきらめて、ベッドの上で身体を起こしたまま、しばらくぼんやりとしていることにした。
枕元に点された灯りのわずかな光は部屋全体を照らすには弱過ぎて、薫の視界はぼんやりと輪郭を滲ませている。
丁寧に皺を伸ばして壁に吊るされている黒いワンピースも壁に溶け込んで消えてしまいそうだ。
それを見ていたくなくて視線を背けると、窓に映る自分の姿が見えた。
昼間はきっちりとまとめられている長い黒髪が、今は下ろされて少し寝乱れている。
薫はその様子に一瞬眉を顰めると、硝子に映る自分自身に視線を向けたまま髪に指をかける。
袖のない寝間着を着て露になっている白い肩に流すように髪の束を乗せてから、
もつれた髪に指先を通し、ゆっくりと何度も、繰り返し、髪を梳き下ろし始めた。
緩慢な動作を繰り返す薫の脳裏に、ひとりの女性の姿が浮かび上がる。
昨日の午後、和臣の部屋を訪れた女性の姿――。
薫自身は後姿しか見てはいないが、綺麗に手入れされた艶やかな長い黒髪が印象的なその女性は、
桜の鑑賞会で和臣と言葉を交わしていた若い女性達のうちのひとりだと、後で知った。
記憶の中の女性の姿が鮮明になるにつれて、薫の指先からは力が抜ける。
ああ、まただ――と、薫は自分の不甲斐なさを恥じ入りながらも、結局、自分の感情を抑えることはできなくて、
もう癖になってしまっているような深い溜息と共に、ぱたりと力なく、その手を膝の上に落とした。
368 :
梅雨(6):2006/08/19(土) 23:52:00 ID:w4wSGgO+
それから、どれくらいの時間が経ったのか。とても長かったのかもしれないし、思いのほか短かったのかもしれない。
眠りのように身体の疲れを癒してくれるわけでもない重苦しい放心に捉われていた薫の意識は、急に現実に引き戻された。
部屋の扉からコツコツと、短く硬質な音が数度、控えめに繰り返されている。
慌てて周囲に目を向けるが、外は相変わらず暗く夜が明けた様子もない。
一体誰が訪ねてきたのか想像もつかないまま、薫は慌ててベッドから降りた。
近くの椅子の背にかけてあった上着を手にとると、それを肩に羽織ってから、扉に手をかける。
「…………はい」
数度目のノックの音に恐る恐る声を返すと、扉を叩く音はぴたりと止んで
「……僕、だよ」
聞き慣れた声が、薫の耳に届いた。
驚いた薫が慌てて扉を開くと、暗い廊下に立っているのは間違いなく和臣だった。
「ど……どうされたんですか、こんな時間に――」
「うん、ちょっと」
動揺を隠せない薫とは対照的に、和臣は、そうすることが当然であるかのように、
いつも通りの穏やかな雰囲気でその場に立っている。
「お見舞い……って言ったら、変かな。今日の薫は、いつもと様子が違ったから」
薄暗がりの中でもお互いの表情がわかる距離まで歩み寄って、和臣は薫の表情をうかがう。
「何か気になることが――仕事がおろそかになってしまうような理由が、あった?」
薫の胸が、ずきん、と痛む。
和臣のやさしい声音に甘えて、胸の内でざわついている感情のすべてを曝け出してしまいたくなるのをぐっと堪える。
早まる心臓の鼓動を隠すように、上着の合わせを押さえる指に力をこめた。
和臣は、黙って薫の様子を見守っている。
問うたところで、薫がそんなに簡単に本音を表さないであろうことは最初からわかっていた。
けれど和臣にしても、心当たりがまったくないわけではなかったし――むしろその「心当たり」が、
ただの自惚れなのか否かを確かめてみたい衝動に駆られていた。
身勝手さを押し殺して、和臣は薫の答を待つ。
いつもの薫であれば、和臣のそういう微妙な気持ちを察することができたかもしれない。
けれど今の薫は、自分のことで精一杯だった。
369 :
梅雨(7):2006/08/19(土) 23:54:11 ID:w4wSGgO+
「今日のことは……本当に、すみませんでした」
薫は俯いたまま早口で言って、頭を下げる。
「今日だけです。今日だけ。明日からは、また、きちんと……」
「――今日、だけ?」
薫の言葉を、和臣の問いが遮った。
薫はぱっと顔をあげると、和臣に縋るような眼差しを向けて、強く頷いてみせる。
和臣は、意外な言葉でも聞いたかのように、何か考えるような顔をして黙り込んでしまった。
そしてやがて、迷いを振り切るような深呼吸をひとつして、
「……そう、か。それじゃ、僕も――」
和臣が、ゆっくりと再び口を開いた直後。
言葉が終わるよりも早く、和臣は薫の腕を柔らかく掴んで、自分のほうへと引き寄せた。
「――今日、だけ」
耳元に落とされる囁きの近さに薫は息を呑む。
突然の状況を理解できずに、薫はただ驚いて、身体も心も竦ませた。
動けないでいる薫の背中に和臣の両腕がまわされて、ふわりと、その身体が包まれる。
和臣は、薫の耳元に寄せていた顔をそのままずらして、薫の肩口に埋めた。
薫の肌から、髪から、立ち昇る甘い香りを間近に感じて、和臣は、深く安堵したような吐息を零す。
その温かさが肌に届いて、薫の肩が小さく震えた。
それはほんの一瞬の、微かな温もりに過ぎなかったにもかかわらず、
触れた場所から薫の身体の内側にどんどん染み込んで、そのまま、甘い痺れを全身に広げていくようだった。
「か……ずおみ、さま……」
呼びかける声が掠れる。身体が、芯から震えて、声を上手に出すことさえできない。
薫は、ままならない身体をなんとか動かして、両手で和臣の身体を押し戻そうとする。
けれど和臣は、薫のその動きを察すると、いっそう強く薫を抱き締めて、離そうとしなかった。
「……嫌なら、これは、罰だと思って」
和臣は顔を上げると、片手を薫の頭に添えて、自分の胸へとそっと抱き寄せた。
薫の頬に、和臣の体温が伝わる。
「薫と同じ。今日だけだよ。明日、薫がいつもの薫に戻ったら、僕もいつもの僕に戻る――」
和臣のその言葉は、彼が自分自身に言い聞かせているもののようにも聞こえたので、
薫は何も言うことができなくなって、その身をことりと和臣の胸に預けた。
自分に委ねられた薫の身体の重みを感じながら、和臣はゆっくりと、薫の髪に顔を寄せる。
壊れやすいものに触れるような手つきでそっと、薫の髪を優しく一度撫でた。
長い髪の毛先まで撫で下ろすとまた上に戻り、静かに撫で下ろし、飽きもせずに何度もそれを繰り返す。
和臣は、自分の手が触れている柔らかな黒い髪に視線を落としながら、ためらいがちにぽつりと呟いた。
「……彼女がいちばん似ていたんだ」
一瞬、薫の身体がわずかに強張って、その後でまたゆるやかに力が抜けていく。そのまま、薫は何も答えなかった。
和臣がそうっと薫の様子を窺い窺うと、薫は和臣の胸に頬を寄せ、とても素直な表情で長い睫毛を伏せていた。
自然のままに髪をおろし、禁欲的な黒い服を脱ぎ、そんな表情を見せている薫の姿は、和臣の目にはただのひとりの女性にしか見えなかった。
離れたくない――そんな考えが瞬間的に浮かんで、和臣は戸惑う。
自分のその感情は、今この瞬間だけに向けられたものなのか、この先の長い時間に向けられたものなのか――。
すぐには判断がつきかねて、和臣はその逡巡を放棄した。今は薫の温もりだけに集中していたかった。
370 :
梅雨(8):2006/08/19(土) 23:57:35 ID:w4wSGgO+
その後のふたりは一言も言葉を発さなかった。
唇を開いて、そこから取り返しのつかないものが溢れ出てしまうことを、ふたりともが恐れていた。
そのかわりに、触れた場所から感じるものを欠片も残さず記憶に留めておこうとするように、
互いの肌の温度や、匂いや、感触を、大切にたいせつに扱った。
やがて雨だれの音が少しずつ小さく、途切れがちになっていくにつれて、ふたりの心も少しずつ、平静を取り戻していった。
薫の身体を抱く和臣の腕が解かれるのを感じて、薫も、和臣の胸に寄せていた顔を静かに上げた。
ふたりの身体の間に、ゆっくりと距離が生まれる。
和臣の両手は薫の背中から腕へと移動して、名残惜しそうに、その肌を辿りながら降りていく。
指先まで撫で下ろして離れていこうとする和臣の手を、薫の指が捕まえて、ふたりは一瞬、両手を繋いだまま見つめあう。
「…………ごめんね」
沈黙を先に破ったのは和臣だった。薫の目から視線を外し、どこか気まずそうに呟く。
薫は、繋がれているふたりの指先はそのままに、微笑んで、左右に首を振った。
「もともと、和臣様に心配をさせるようなことをしてしまったのは私ですし」
繋いだ指先に、ぎゅ、と力をこめて、薫は和臣の顔を見上げる。
「和臣様はこの五年間、私のどんな失敗にも寛容でいて下さったから。今夜のことは、五年分の罰だと思うことにします」
薫が精一杯冗談めかして伝えた言葉は和臣にも優しく伝わって、和臣の顔にも笑みが浮かぶ。
「明日は、美味しいお茶を淹れます」
さきほどまでとはもう別人のように、薫は笑みを含んだ声で、少し偉ぶるように言った。
「うん。楽しみにしてる」
和臣もまた、薫の様子に安堵を導かれ、笑顔を深くして薫に応えた。
最後まで触れ合っていたふたりの指先が柔らかく離れた時、
それぞれの笑顔はもう、昨日までと同じものに戻っていた。
終
371 :
253:2006/08/20(日) 00:02:45 ID:9yIwUeRN
以上です。
なんか書いてるうちに梅雨が関係なくなってしまったし、
ワンパターンしか書けず、申し訳ないです。
GJ!!
薫さんいいなぁww
おはよう
253氏GJです。
薫さんも和臣も素敵です。
253氏のSSを何度も読み返しています。
昼ドラを楽しみにしている主婦の気持ちが理解できたよwww
昼ドラにハマるメイドさん
それは、実際にありそうだなww
市原悦子のファンになったりするんだな
怪談番組を見て眠れなくなるメイドさん
で主人に添寝して貰うとw
でも素直になれずに
「そ、添い寝してさしあげますっ!」
ってなるのかな
主人が寝静まるのを見計らってこっそり潜りこむ
優秀なので気付かせません
しかし、天然なドジッ娘ですから
朝は寝過ごして、ご主人さまの方が先に目覚めて困惑させてしまいます
メイドさんがあんまりよく寝てるので、つい出来心でイタズラしようとしちゃうご主人様
はたして、そのメイドさんの存在意義は?
猫、だな。
ほっぺにひげも描こう。3本ずつ。
なんつーかきもい文章だなw
朝起きると……
メイドが猫になっていた
ど根性メイド
392 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/23(水) 12:31:24 ID:FBrnPBrP
ダブルオーナンバーを持つスパイメイド・・・と言うのを考えついたら
上に書込み済みか。
ゴルゴ13はメイドを雇わないだろうしなぁ
>>391 メイド長と新人メイドが出会い頭に衝突、
何故か新人メイドのエプロンにメイド長が張り付いてしまった。
さぁ新人メイドよ、指示しか出せないメイド長に代わって
ご主人様に奉仕するのだ。
394 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/24(木) 03:28:12 ID:rKOpc+ge
完全制圧完成wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
今日の猫メイドさん。
得意料理はやっぱりネコムライスなのか?
397 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/24(木) 19:19:47 ID:A9nHXV0O
完全制圧完成済みwwwwwwww
無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァwwwwwwwwwwwwwwwww
鎮圧完了wwwwwwwwwwwwwww
必死だなwwwwwwe
猫メイド
犬メイド
牛メイド
兎メイド
マーメイド
メイドさんかわいいよメイドさん。
御主人様が8歳の女の子のまんが、面白いね。
>>399 エロ漫画じゃないのにエロ漫画雑誌に載ってるあれ?
うんうん。
そういえば、妹が姉さんにコスプレさせるまんがも>400だね。
402 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/26(土) 15:58:05 ID:PJp5jKnJ
大正時代に、洋行帰りのご主人様が連れてきたメイドと恋に落ちたお庭番が
ご主人のお許しを得て結婚。
その後、若様は陸士に進学しお庭番の息子たちも陸軍へ。
中国大陸で特務機関を立ち上げる将校と機関員の関係へと。
で、敗戦後、復員した彼らは海外貿易を主とする商事会社を立ち上げ
その海外のアンテナと情報分析能力を駆使して昭和、平成と危うげなく
会社を発展させ、現在社長は三代目。
だが、誤算というか神のいたずらというか、全員男子に恵まれず
次期党首とお庭番の子孫である重臣団は全て女!
仕方がない対処しよう、というときに、重臣筆頭の嫡男に男が生まれ
同時期、党首に娘が生まれた・・・・
「お家の為」
党首と重臣の総意の元、子の入れ替えと婚約が決定され、それから十六年
若様とおそば付きメイドとして婚約その他は本人たちには知らされていないが
血のせいか、人目がある場所では若様とメイドだが、二人きりの時では、お嬢様と下男
(もしくは姉と弟)のような関係である。
403 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/26(土) 16:37:46 ID:Gct45oHJ
フムフム
続き希望wktk。
405 :
402:2006/08/26(土) 18:54:54 ID:PJp5jKnJ
設定提供いたしますのでご自由にSSにでも使用して下さい
−流れを無視して、敵前逆上陸!−
「今日も、またゴーヤーですか」
食堂に入った瞬間、俺は思わず口を滑らしてしまった。
ここで諸兄の中には『貴様ぁ、恐れ多くもメイド様が作ってくれたモノにケチを付けるとは何事だァ! 貴様それでも日本男児かぁあ!!』
と精神注入棒(何故か一発変換W)を構える方も多いだろうが、俺の言い分も聞いて欲しい。
今、食卓に並んでいるのはゴーヤの白和えにゴーヤーチャンプルー。ゴーヤーンブシーにゴーヤーと三枚肉の煮込み、
そしてゴーヤージュースというゴーヤーのエレクトリカルパレードである。
そのあまりのゴーヤーっぷりに
ちげーはうとーてぃうちなーうてぃあいん(気分は居ながらにして沖縄である)
「御主人様、『また』とはなんですか、『また』とは!! それじゃまるで私が手抜きをしてるみたいじゃないですか!」
と先程の俺の言葉に食いかかったのは顔色を王蟲の攻撃色並に変えたメイドの二宮さんである。
二宮さんの料理の腕前は海原なんとかを唸らせる程優秀で、彼女のプライドでもあった。
それ故、自分の料理に関してケチを付けられる事には我慢が出来ないのである。
例えケチを付けたのが、ヒズボラであろうが合衆国大統領であろうが……
「いや誰も手抜きだなんて言ってないだろ! でも昨日も……」
反論はしたかったが、これ以上二宮さんを刺激するのはマズいので、俺は最後の言葉を無理矢理呑み込む事にした。
が、自己弁護の為にこっそり言わせてもらうが、昨日の夕食の献立は苦瓜のそぼろあんかけ、苦瓜と帆立貝柱の中華風酢のもの。
そして苦瓜、いか、トマトのオイスターソース炒め、苦瓜のハリハリ漬け。そして食後のデザートに苦瓜ゼリー……と苦瓜尽くしなのである。
今日で苦瓜ニ連チャン。
「なんですかご主人様、そのご不満そうな顔は!」
「だって……」
「『だって』じゃありません! お母さんは食べ物に好き嫌い言うような子に育てた覚えはありませんよ」
納得のいかない理論で俺を怒る二宮さん。
だって俺26、二宮さんは18……そうか! 俺は養子なんだね? ママァ。
「だいたいですね、今年の夏、御主人様はだらけきっておられます! 日中はロクに外も出ようとせずに冷房の利いた部屋に籠もりっぱなし……
そして夜更かしと朝寝坊の毎日。そのせいで御主人様の体内環境は、そりゃもぉ〜昨今の若者の性の様に乱れまくりなのです。
だから私は少しでも御主人様の体内環境を良くしようとビタミンCが豊富なゴーヤーを食べもらおうとしたのに……
それなのに、それなのに……ご主人様は二宮がまるで手抜きをしているかの様な物言い……あんまりですわ、ヨヨヨヨ」
台詞後半部分は泣き声で、しかもその場に崩れるという演技付きで俺を責める二宮さん。しっかりとハンカチの端っこ噛んで崩れる辺りは芸が細かい。
このままでは気まずいだけで状況は好転しないと判断した俺は、大人しくゴーヤーのフルコースを食べ始めた。
「頂きます……」
「どぉ〜ぞぉ、御主人様⌒★」
ゴーヤーの破片を一つ、また一つと口の中に放り込む俺。噛みしめる度に身震いするような苦みが襲ってくる。
一方、二宮さんは俺が大人しく食べ始めたのでご機嫌である。
「如何ですか? ご主人様」
という問いかけに
なんかゴーヤーって工業用の生ゴム食ってる感じしない?
口に入れた際に広がるあの苦みと、その苦みに本能が反応して『こんなのおくちに入れたら、メッ!』と言わんばかりにウェッとなるあたりが
そんな正直な感想が言えるはずもなし……今日も刑の執行官が見守る中、ゴーヤー拷問は完食するまで続いたのであった。
あの忌まわしい記憶から数時間後、今は草木も眠る牛三つ時。
意味もなく夜更かしをして喉の渇きを覚えた俺は、飲み物を取りに冷蔵庫のある調理室に向かっていた。
長い廊下をひたひたと歩き、調理室の直ぐ近くまで来た時、俺は調理室から明かりが漏れているのに気がついた。
こんな時間じゃ、調理室には誰も居ないはずなんだが……さては電気の消し忘れかな?
と思いつつ、俺は調理室のドアに手をかけた。
すると中から『くちゅ……くちゅ』という生っぽい音と共に、女性の妙に艶ががった声が漏れてくるではないか……
現在、この屋敷には俺と二宮さんしか居ないはず……俺が『古きものども』に魅入られて第三の俺がいなければの話だが。
俺は中の様子を窺うべく、そぉ〜と目を凝らしドアの隙間から覗き込むんだ……そして我々がそこで見たモノは!!(SE:ジャーン ←川口探検隊風)
「んっ、んんっイボが、いボがいいのぉ この全体にみっちり あひぅい、んんん……いぼイイぃぃ!
おまんこ全体を掻き崩す様なこのイボイボがぁ、ふぁぁああああ゛ ら、らメェそれ以上、ごりゅごりゅしちゃらめぇらのぉぉぉお゛!!
らめぇぇェ、イッちゃう……美紀、ゴーヤーで
(中東情勢により原油価格の高騰につき、以下が省略されました。全てを読むにはワッフルワッフルと書き込んでください)
−敵前上陸を図った、第三陸戦隊は全滅してしまいました! 司令官、作戦は失敗です……−
ゴーヤー>>>>>ご主人様
ゴーヤはちゃんと料理すれば苦くない
とまでは言わんが、
なんとかを唸らせるほどでそのレベルか
ちっとも○○してくれないご主人様に業を煮やして意地悪をしている。
そんなゴーヤ料理は
百合さんや薫さんにも作って欲しいとか
考えてしまったよ
最悪な発想ですいません
百合さんや薫さんなら、
密やかに強壮料理だろwwww
413 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/28(月) 16:35:30 ID:2k86/val
毎朝寝起きが悪いと文句を言われていたので、ある朝メイドさんより早起きして
枕元で起きるのをじっと待っていると・・・・逆ギレされて出て行きました。
それから、メイド業界で悪い噂が流れたのか求人広告を出してもろくなのが来ない。
>413
試しにここに求人広告を出してみろw
>406
一人称が「二宮」なのが萌えた
ツボわかってるなあ
なんで誰もワッフルワッフルと書き込まないんだ。
ヒント:四角
メイドさんってよくスカートの下に色々仕込んでいるよね。
銃とかナイフとかモップとか。
>418
もっと恐るべき武器もな
忙しくしているメイドさんのスカートの下からは、
時々ちっちゃいメイドさんがお手伝いに出てくるそうです。
421 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/30(水) 17:16:51 ID:c0VluJCc
>>418 100tハンマー出したメイドさんもいたぞww
>418
塹壕掘り用のスコップ(敵兵の血を吸いまくり)とか
弁当とか御主人様♀の着替えとか。
御主人様専用枕が仕込んであります。
全てのメイドさんに標準装備です。
425 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 18:19:19 ID:4RyvCrmr
枕メイド・・・・・・・
ょぅι゙ょなお嬢様の添い寝を仰せつかったはいいが、
寝ぼけて胸に吸い付かれた上に朝起きると剥かれてるんだな?
427 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 20:57:09 ID:7zNXrpHv
「私、おねしょなんかしないもん!メイドがやったんだもん!」と
真っ赤な顔をして強弁するお嬢様
怖い顔をしてお嬢様を叱る旦那様
しかし、リアルに私がやったとは誰も思うまい・・・・・
428 :
名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 00:16:36 ID:7qHbJbfw
そうきたかwww
もしかして黙っているわけじゃなくて
メイド「お待ち下さい旦那様、私がヤったんです」
旦那様「えぇい甘やかすな馬鹿者が!」
とかなのか。非道いや。
431 :
名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 14:43:34 ID:n6hEFhTJ
百合さん待ち保守
433 :
1-500:2006/09/06(水) 02:53:58 ID:66nUNX3/
>>432 百合さんのことを覚えててくれてありがとう
今考えてるのは独白編と手紙編なんだけど、どっちが読みたい?
>>433 手紙編ってなんだか気になる。
ので手紙編に一票でノシ
声に出してみるもんだ・・・楽しみに待ってるよ。
435 :
名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 07:55:13 ID:HBY66DCs
独白に一票。
百合さんの内面が知りたいわw
悩み難いな
>>433 どちらも気になるなぁ。
書きやすい方からでお願いします。
438 :
名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 17:16:57 ID:p6Dl5kk8
漏れはやっぱりヴィクトリア時代のゆかりたんのメイド話が読みたいな・・・
439 :
名無しさん@ピンキー:2006/09/12(火) 19:18:47 ID:ZkCG+rqB
最近過疎ってるね・・・このスレ
440 :
名無しさん@ピンキー:2006/09/12(火) 23:03:09 ID:yd5e0wbH
他の常駐がいそがしいからなww
441 :
名無しさん@ピンキー:2006/09/14(木) 18:24:54 ID:KT/hhFxw
さて、そろそろメイドさんが恋しくなってきた。
後ろから抱きしめて、耳たぶにキスをしたいくらい、メイドさんが恋しい。
柔らかな肢体と程よい大きさの胸は いつになったら解き放たれるのだろう。
さあ、みんなでメイドさんを呼ぼうじゃないか!
442 :
名無しさん@ピンキー:2006/09/14(木) 20:57:15 ID:RaZ73eUf
「せ〜の メイドさ〜ん!」
444 :
名無しさん@ピンキー:2006/09/16(土) 06:08:54 ID:D4nr52hm
完全制圧完成大勝利確定記念
>>443保守ageしたんだろうよ。
そんくらいで一々キレんなや。
>>445 前スレが前スレだったからな。
荒らしの目に付いたらって思ったんだろ。
447 :
名無しさん@ピンキー:2006/09/18(月) 00:42:57 ID:PDEgCJwR
完全制圧完成記念age
お久しぶりです。
夏の話を書く暇もなく、季節は秋になってしまいました。
なんか去年も似たようなことを言っていたような……。
今思うとそんなに長い間書き続けてるんですね。
とっぴな思い付きがこんなに長続きするとは思いませんでした。
今度の話は武力行使がありません。
◆にこにことシャボン玉を◆
時代は19世紀末イギリス、さらにその首都ロンドンである。
道には馬車が行きかうし、汽車は男らしく煤煙を撒き散らして走り回っているし、
夜になればガス灯が道路を、オイルランプとろうそくが家の中を照らしている時代の話である。
時代が古く舞台がロンドンだといっても、人は働いているし、街は騒がしいし、
太陽は東から昇って西に沈んで行くようだし、おおむねのところは今とそんなに変わらない。
大英帝国の大首都大倫敦の小さい通りをぐーっと行ってがーっと入ってぶわーっと進んでいった辺りにある、
平均的なタウンハウスのひとつが、ダーヴァレイ家である。
この家は玄関が二つあり、建物自体はひとつだが中で二つに分かれている。
そうしたほうが安上がりなので、ロンドンにはこのような住宅が数多くある。
その安上がりな家ダーヴァレイ家の台所である。
いつもならば、夕飯に向けてそろそろと食事の準備を始める時間なのだが、今日はいつもと様子が違う。
夕飯の食材はすでに必要な分だけ買ってきて、大きな木の机の上に置いてあるし、
かまども食器棚もいつも通り整理整頓されているのだけれども、
その台所の中心で、少年が木の椅子に座って足をぶらつかせているのはいつも通りというわけではなかった。
はだしの足を木椅子からぶらぶらさせている子供は、このダーヴァレイ家の長男、
ティム・ダーヴァレイ、10歳。
金髪碧眼で健康優良。
これ以上簡単な紹介もないと思う。
そのティムが、足を気ままに揺らしながら、目の前に置かれたタライを眺めている。
木で組まれたタライに、なみなみと柔らかく水がうごめいている。
小さい窓から入る傾いた陽が、彼の金髪と頬を少し赤く染め、光源の小ささに反して、
台所全体を赤く染めて静かだ。
ティムはゆらゆらとした水面が、赤く染まっているのを「きれいだな」と思って見ていた。
そのタライの向こうにかがんで座っているのは、この家の女中である。
黒い髪に白いヘアバンドが映えている。
タライの水面を見つめ、時折、反射する西日に目を細めているその瞳は、黒い。
身体的特徴が示すように彼女は東洋人であり、さらにいえば、日本人である。
名を田村ゆかりという。
自然なつやとしなやかさ、黒髪特有の強さというようなものを秘めた髪、ふっくらと優しい下あごや、
輪郭のそれは、女性、というよりも少女が持つ特徴のそれである。
年は14になる。
まごうことなき、少女、である。
なぜその、日本人かつ少女であるところのゆかり嬢がこのロンドンの街で女中業に身をやつしているかと問えば、
ざっくり言ってこういう経緯がある。
ある日彼女は馬車に轢かれた。
撥ねられた。
彼女の体は景気良く5メートルほど飛んだ。
気がつくと、記憶もとんでいた。
そのときその馬車に乗っていたのがこの家の主人で(本件の加害者でもある)ティムの父、
ジョン・ダーヴァレイであって、その後色々とあって、なんだか結果的に、
ゆかりはダーヴァレイ家のメイドとして働くことになったのだった。
そのゆかりは、タライに張られた水の中で手を動かし、石鹸を水に溶いている。
少しうつむいて視線を水中に向けている彼女の表情は、椅子の上からではよく見えないが、
ちらりとみえる唇の端は可愛らしくつりあがっているし、いまにも鼻歌を歌いだしそう楽しげな様子で、
表情は見えなくとも、彼女の機嫌が上々だということは彼女の丸めた背中から出る雰囲気というようなもので、
ティムには十分に伝わっていた。
「……ユカリ、楽しそうだね」
ティムは自分の足をことさら前後に揺らしながら、眼下でサボン液を作っているメイドに聞いた。
ゆかりは、視線を上げずに手をタライの中で動かしながら答えた。
「ふふ、そうですか?」
ゆかりの手の中から徐々に石鹸が溶け出して、タライの端に小さなあぶくが溜まっていた。
薄い白色の揺れる水面を見ながら、ティムは今さっき起きた事件――事件と呼ぶには余りに
些細なことだが――のことを思い返していた。
いま自分が台所で裸足になっているのも、ゆかりがせっせとサボン液をつくっているのも、
その「事件」が原因なのだった。
話は少し前にさかのぼる。
買い物の帰りだ。
今日は、安くて質のいい野菜がたくさん出ていた。
買い物かごがいっぱいになるほどに野菜を買って、ティムとゆかりが二人並んでゆっくりと歩いていた時の話だ。
今日は昼間に少し雨が降って、二人の歩く舗装されていない道のところどころに、大小さまざまな水溜りが出来ている。
ロンドンにはもう珍しくなった土の道路には、どろの溶け込んだ水溜りがまだらに続いている。
いまはもう雨も上がって、水溜りは落ち着いて道路に寝そべっている。
「今日は新鮮な野菜がたくさん買えましたから、にんじんとじゃがいものスープ、
ゆでアスパラをのっけたサラダと、お肉はたしか昨日の残りがありましたし、それに野菜を付け合せて……」
「ええ、やさいばっかりじゃん」
「いいじゃないですか、ほら、こんなに買っちゃったんですし」
「買ったのはユカリじゃん。もっと肉が食べたいなあ、ほら、今、せいちょうきだし」
二人が会話をしながらも目線を合わせていないのは、べつにケンカをしているわけではない。
地面をみながら歩かないと、泥水に足を突っ込んでしまうからだ。
傍目にはうつむきながらぶつぶつ言い合う、変な二人に見えるだろう。
「成長期だっていうなら私だってそうですよ」
「ええ、そうなの?」
ひらり。
「そうですよ、私はまだ14歳のうら若き……乙女ですよ」
「おとめって……」
「そうですよ、立派な乙女ですよ。清純な」
ひらり。
「……自分で言わないでよ」
「じゃあ坊ちゃまが言ってください、かわいいね、とか、今日も素敵だね、とか」
ひらり。会話をしながらでも注意して地面を見ていないと、水たまりを避けきれない。
「……むちゃ、いわないでよ」
「無茶じゃないですよ、女性は誉められて綺麗になる、って、雑誌に書いてありましたよ」
「じゃあそんな本は見ない方がいいよ……わぁ」
ティムが声を上げたのは、目の前に大きな、
自分の足ではちょっと飛び越えられそうにない大きさの水溜りが現れたからだ。
青い空と白い雲が、パノラマで映っている。
思い切って飛び越えようとしても、向こう岸までもう少しのところできっと足は水溜りに捉えられ、
運が悪ければその足を滑らせて背中を水溜りに打ち付けることにすらなりかねない。
「ううむ……」
ティムは手をあごにやり、唸った。
英語で書けばuhmm,というようないかにもイギリス人らしい唸り声をティムが上げている間に、
ゆかりはスカートの裾も押さえずに、しなやかに、そして軽々とそれを飛び越えてしまった。
ティムは口を半分あけてそれを見ているだけだった。
「ほら、坊ちゃま」
水溜りの向こう岸に着地したゆかりは、こちらに向かって右手を差し出してきた。
ティムは少しむっとした顔で、黙っていた。
「ほら、坊ちゃまってば」
ゆかりが再度右手を広げて差し出したので、ティムは仕方なくそれに手をのせて、向こう岸から引っ張ってもらった。
それからしばらくティムはむっつりと口を一文字にして黙って歩いた。
「どうしたんですか坊ちゃま」
「……」
「さっきから、急に黙っちゃって」
「……」
「坊ちゃまってば」
「……なんでもない」
「なんでもないことないでしょう」
ゆかりは少し考えるように手をあごにやり、
「あ、そうか」
すぐにその手を離した。
「ひょっとして、プライドを傷つけちゃいましたか、さっきので」
ずばりと言った。
その通りだった。
勘がいいのはみとめるけど、もう少しデリカシーというものをもって欲しいと、ティムは思った。
「……そんなこと、ないよ」
小さな口から出たのは強がりの言葉だった。
自分が唸っている間に、ゆかりはさっさと水溜りを飛び越えて、あくまでも自然に手を伸ばしてきた。
紳士が、淑女に対して自然とそうするように、ゆかりも手を差し伸べたのだ。
やっぱりなんだか、くやしい。
「まぁ、仕方ないですよ、今ははまだ私のほうが、背だって大きいし、からだも……」
「そんなこと、ないってば!」
通りの屋根に止まっていた鳩が驚いて飛び立った。
つい大きな声を出してしまった。そんなつもりはなかったのだが。
「……」
「……」
それきりゆかりも口をつぐんで、二人は黙って土の地面を見て、重い空気を身にまとって歩いていった。
黙って歩いて何本目かの街灯を通り過ぎたとき、大きな馬車が向かってくるのが見えた。
自然とティムは、道の脇に身を寄せた。
馬車は遠慮無くスピードを出し、重たい足音を立てて迫ってくる。
高いところに座っている御者はただ前だけを見て、道の端や歩行者には目もくれない。
ふと前を見ると、ゆかりが地面だけを見て、変わらない様子で歩いているのが見えた。
馬車に気づいている様子は、ない。
「……ユ、」
さっき出してしまった大声と、今までの沈黙のせいで、名前を呼ぶのは少し気まずかった。
「ユカリ――」
勇気を出して名前を呼んだのだが、ゆかりは気づかないようで、まだ地面だけを見て歩いていった。
馬車が迫ってきている。
ティムは小走りで背を追いかけた。
「ユカ――」
名を呼ぼうとしたとき、ゆかりは目前の水溜りを避けようとしたのか、
身を大きく左に――今まさに大きな馬車が走りこんでくるところに――寄せた。
――――ぶつかる――――
「ユカリ!!」
考えて出た叫びではなかった。瞬間的に体をひねり、思い切り手を伸ばし、大声で名前を呼んだ。
ゆかりは体をびくっとさせ、顔を上げる。
目前に、馬の鼻面が見えているだろう。
――これらはすべて数瞬の出来事ではあるが――ゆかりは目を見開いたままで、動きを止めた。
いかに俊敏な彼女であろうと、今、見たのだ。
認識が済んで初めて対応が取れる。
まだ、認識が追いついていない。
ゆかりは身をこわばらせ、歯を食いしばった。
その瞬間に、ティムはゆかりの右手を取り、全力で引っ張った。
ごうっ、
音を立てて馬車はゆかりの鼻先をかすめていった。
「……!」
ゆかりは口と目を大きく開いて、声にならない叫び声をあげた。
馬とそれに続く車体をやり過ごすまで、ゆかりはその体勢と顔を続けていた。
あぶないところだった。
自分が声をかけ、この手を引っ張っていなかったら、またもゆかりは撥ねられてしまっていたかもしれない。
ひとまず安堵できる。
ゆかりを助けることが出来た。
ほっとした気持ちがティムを満たした。
悔しい気持ちはどこかに消え去っていた。
心は落ち着いているが、ゆかりを思い切り引っ張ったために、体は大きく傾いていた。
ティムがその大きく斜めに傾いた体を立て直そうと、足を大きくふみだしたとき、
足元から「ばしゃっ」と水音が聞こえた。
なんだろうか。
いや考えるまでも無いという気もするのだが、何となくそうしたかったので、ティムは半ば反射的に目を閉じた。
目を閉じてふと思い出す。
ゆかりは最後、馬車に吸い寄せられるように体を寄せた。
なぜそうしたのか、簡単だ。
ゆかりは目の前にあった大きな水溜りをよけようとして、通りのほうに体を寄せたのだ。
そのゆかりを引き止めたのだから、やはり自分の目の前にも水溜りはあろう。
ふふふ……、馬車をやり過ごして「ばしゃっ」だなんてそんな…ねぇ……
ティムが目を閉じて現実逃避を行っている間にも、冷たいものがどんどん靴と足の間に入り込んでくる。
その感触はじわじわと冷たくて、自分の右足に何が起きているのか、すべてわかる。
もう目を開けて確かめるまでも無い。
「坊ちゃま、あ、ありがとうございます――」
ゆかりが礼を言った時、ティムの右足は、泥水の中に水没していた。
そして場面は夕暮れの台所に戻ってくる。
ゆかりは水の張られたタライの中で量り売りの石鹸を溶かし、サボン液を作っている。
ティムは木の椅子に座ってそれを眺めている。
つまりは、ティムが水溜りに足を突っ込んでしまったので、それを洗うためにゆかりは準備をしていて、
ティムは自分の足を所在なさげにぶらぶらとさせているのだった。
ゆかりは、すんでのところで馬車との衝突を避けてから、やけに上機嫌で、ずっとにこにことしている。
にこにこしながら、ティムの足を丹念に洗い続けている。
助けてもらったお礼のつもりだろうか。
「ユカリぃ、いいよそんなに一生懸命やんなくても。こんなの、水で流せばそれだけで……」
ティムは椅子の上からそう聞いた。
さっきからずっと、自分の足を――矛盾した言い方になるが――手持ち無沙汰にしている。
「だめですよ!泥水なんていうのは、どんなバイ菌がいるかわかったもんじゃないんですから!
ちゃんと石鹸水で洗い流しておかないと、どうなっても知りませんよ」
「……どうなるっていうのさ、たとえば」
「ほら……水虫とかですよ」
「だいじょうぶだよ……そんなの」
「かゆくなっても知りませんよ、旦那様みたいに」
ティムは、ゆかりが「旦那様」と呼んだところの自分の父の姿を思い浮かべた。
家具商を営んでいる父は日中、古い黒革のブーツをずっと履いたままで、
たんすやらベッドやらの重い家具を上げたり下げたりしているもんで、汗をかかない日はないものだから、
その足はすっかり白癬菌――俗に言う水虫菌にすっかり冒されて、雨の日などはかゆいかゆいと難儀している。
「みずむしは……すこし、いやかな」
「でしょう?」
そういうとゆかりは、溶かしていた石鹸を水から上げ、
「では」
とだけ言うと、そのサボン液をティムの足に流しかけた。
水はちろちろとティムの足を流れ、タライの水面に波紋を作って落ちる。
くすぐったいような心地良いような冷たさで、水は流れていく。
水が流れきるとゆかりはもう一度水をすくい、足にかけた。
ゆかりはそれから自分の両手を泡立たせ、ティムの右足を掴んだ。
ぬるっとした感触で、ゆかりの指が足を洗う。
小さい足を包むようにして、ゆかりの両手が動いている。
ぬるぬるとした指が、ティムの足を撫で回していく。
ゆかりの指は、足の指の間までも丹念に洗い、ティムは「ひゃ」と小さな声を上げた。
こそばい。
ゆかりはなぜかこの仕事が楽しいらしく、鼻歌まじりにティムの足を洗っている。
指の間や土踏まず、小指と薬指の指先とかいったところを洗うと、
ティムがつい声を出して反応してしまうので、それを楽しんでいるかもしれない。
ティムはまた、ゆかりの白いヘアバンドが機嫌よく動くのを、椅子の上から見ていた。
うなじが白い。
ティムは、自分の足を洗う指が、しなやかではあるが、一定の固さをもっていることに気づいた。
柔らかいは柔らかいのだが、その柔らかい指を包む皮は、男である自分と比べても、固い。
まあ、自分はまだ子供の指なので比べてもあまり仕方のないことなのかもしれないが。
働き者の手ということだろう。
働いているからこそ、手の皮は厚さを増して、丈夫になる。
だけどもティムは、いつも手袋をして優雅に暮らしている貴婦人のような柔らかいだけ手よりも、
このゆかりの、生活者の強さを持った手のほうが好きだなと思った。
「ユカリ」
自分で呼ぶ気はなかったのに、口が名を呼んでいた。
「なんですか、坊ちゃま」
ゆかりが顔を上げた。
なんと言うつもりだったのだろう、自分は。
自分の足を洗う手が、強さを持った手が、好きだと思った。
それを言うつもりだったのだろうか、
「ユカリの手、好きだよ」
と。
もちろん、そう言ったところでなにがどうなるというわけではないのだが、恥ずかしい。
手が、手が好きだというだけの話でも、ことばの最初と最後だけを取れば
「ユカリ――好きだよ」
と言っている。
それに気づくと気恥ずかしくなり、とてもそれを言うわけにはいかない、と思った。
「いや――あの――」
ティムはことばに困って、視線をぐるぐると動かして、何かを探そうとした。
「なんというか――……プッ」
視線がゆかりの顔に辿り着いた時、つい吹き出してしまった。
頬に小さなシャボン玉がくっついている。ちょこんと。ゆかりはそれに気づいていない。
「ぷ?……なんですか、人の顔を見るなり笑うなんて」
「いや、だってさ、ほっぺたに……」
そう言われてゆかりは、腕まくりをした袖で、自分の頬を拭った。
猫が顔を洗うようで愛らしい、とティムは思ったが、これも口に出しては言わなかった。
「なにか、ついてましたか?」
「うん、ちいさいシャボン玉」
「……そうですか」
と言うと彼女は再び足を洗う作業に戻ろうとして、不意に顔を上げ何か思いついたような表情で、
「あ、そうだ」
ティムに言った。
「坊ちゃま、少し、目を閉じていたください」
「う、うん?」
ティムはおそるおそる目を閉じた。
目を閉じて、足を洗う感触はなく、ゆかりが何をしているかよくわからない。
小さな水音と、ゆかりがとにかく何かをしようとしている気配だけが伝わってくる。
少しして「あれっ……うまくいかないな」というゆかりの声が聞こえてきた。
何かたくらんでいるらしい。
ティムはわりとワクワクして、そのゆかりのたくらみが自分を襲うのを待った。
そのまま足先からサボン液が数滴こぼれたくらいで、ティムは我慢が出来なくなって、目をそっと開けた。
目の前に、ゆかりがいた。
近い。
瞳を閉じ、薄く唇を開けたゆかりが、息のかかりそうなくらいの位置にいる。
ゆかりのまぶたがぴくぴくしている。
「…………!!」
驚いた。
ゆかりは、自分の顔の前で、指の輪を作り、それに向けて息を吹きかけようとしているようだ。
ティムはまず、あまりに顔が近かったことに驚いて、椅子から滑り落ちそうになってしまった。
ガタガタッといったその音でゆかりは目を開け
「あ、目をつむっててくださいって言ったのに」
とその体勢のままで不服そうな顔をした。
「ななな、なに?」
「あ、動かないでください、そのまま……」
ゆかりは、自分の輪にむかって息を吹きかけた。
ゆかりが唇を突き出してふぅぅーと優しく息を吹きかけたその形のまま、虹色のシャボン玉が生まれた。
その小さなシャボン玉は、ゆっくりとゆかりの指を離れ、きらきらとひかりながら色を変え、
やわらかくティムの頬に着陸して、半分になった。
ドーム状になったシャボン玉が、ティムの頬にくっついている。
ゆかりはそれを見て満足そうに
「これでおあいこですね、へへ」
と言って、可愛らしく笑った。
「シャボン玉って、なかなか作るのが難しいですねえ」
ゆかりは指を宙にむけ、息を吹きかけたが、シャボン玉は指から離れず、そのまま消えてしまった。
「息が強すぎるんだよ、ユカリ」
ティムはタライに指をつけ、器用にシャボン玉を作って飛ばした。
ちいさなシャボン玉がいくつか生まれ、ふわふわと台所を飛んでいく。
「わぁ、坊ちゃま上手!」
ゆかりはそれを見て、心底喜んだように、にこにこと笑っている。
ティムが少し指の輪を縮め、それに細く強い息を吹きかけると、今度は小さなシャボン玉が無数に現れ、
星のように宙に浮かんだ。
小さなシャボン玉たちは、夕焼けの色を浴びて、息を呑むほど美しい虹色に染められていた。
「わぁ……!」
ゆかりは濡れた手を組み、その情景に感嘆の声を上げた。
「きれいですねぇ、坊ちゃま」
ゆかりが振り返り微笑んだその表情は、シャボン玉をきれいだと言うその、
夕日の当たったゆかりの笑顔こそが、ひどく美しく貴いもののように見えた。
ティムは一瞬目を見張り、言葉に詰まった。
とりあえず、自分の気持ちを悟られないようにティムはシャボン玉を作り続け、
シャボン玉はどれも虹色の夕焼けを映し出して、幻想的な姿を描く。
ゆかりはそれを見て、にこにこと喜び、ティムはその様子を眺め、なんだか誇らしいような、
それでもちょっとくすぐったいような、言いようのない気分になるのだった。
「ユカリ、お楽しみのところわるいんだけどさ」
「なんですか、坊ちゃま、ほら、もっとシャボン玉作ってくださいよぉ」
ゆかりは両手を上げ下げして、無邪気にシャボン玉をねだる。
その様子をみるとティムは、もっとシャボン玉を作ってあげたい気持ちにもなったが、
自分の要望も伝えなければならない。
「うん、あのねユカリ……」
「なんですか、ほら、早く……」
「あしの泡を、洗い流してくれないかな?」
「あ」とゆかりは言った。
シャボン玉に見とれて、ティムの足がまだ、泡だらけなのをすっかり忘れていたようだ。
ゆかりは慌ててしゃがみこみ、ティムの足を優しく洗い流した。
ティムはその間、椅子に座って、紅く幻想的なシャボン玉の景色と、
その中で実に嬉しそうに笑うゆかりの姿を思い浮かべて、ぼんやりとしていた。
小さな木枠の窓からは、暮れようとする陽に染まった裏庭と、柔らかそうな雲が見えていた。
そのあとゆかりは、予告どおりの野菜たっぷりな夕食を作り、ティムはそれを平らげて、
珍しいことに食事の後片付けを手伝ったりしたのだった。
このロンドンの大都会の中、小さなダーヴァレイ家の一日は今日も、やっぱりとても平和な一日だったのだった。
◆にこにことシャボン玉を◆
終わり
シャボン玉は春の季語だそうですよ。
だからなんだ、と言われれば何も申し上げることは出来ませんが。
それにしてもなんだか久しぶりで、書き方をすっかり忘れてしまっていました。
寝ることと忘れることは得意です。
次は出来るだけ早いうちに投下したいと思います。強く。
雪が降るまでには。
おまいさんは何つータイミングで・・w
取り敢えず尋常じゃない眠気にて起きてから読ませていただきます。
468 :
1-500:2006/09/21(木) 05:19:07 ID:NQt5GAxT
寝てる場合じゃない!
ゆかりちゃん可愛いなあくそー
くそーとか言うな>俺
とにかくGJGJ
俺もがんばる。
雪が降る前には(w
ゆかりたんもティムも何もかもがかわいかったーwww
風景もきれいだし。朝からいいもの読ませてくれてありがとう。
読みやすいしほんわかした気持ちになるし、このシリーズ大好きですよ。
1-500氏のも楽しみに待ってますw
470 :
名無しさん@ピンキー:2006/09/21(木) 07:50:18 ID:C49/iLgU
ふーゆーがーくるまえにー
もーいちどーあのひととー
めーぐりあーいたいー
GJ!!
このスレには頑張ってほしい。
473 :
名無しさん@ピンキー:2006/09/25(月) 19:37:18 ID:FBskkFYy
>>468 私の住んでいる地方の山で、初冠雪が観測されましたww
早w
どこに住んでんだ。イギリスか?w
476 :
名無しさん@ピンキー:2006/09/26(火) 11:30:37 ID:FhsydelQ
477 :
名無しさん@ピンキー:2006/10/01(日) 09:08:49 ID:3V9OMp/e
そーいや、シャーリーの新作は今月だったっけ?
478 :
名無しさん@ピンキー:2006/10/06(金) 09:55:43 ID:EsvLNCfQ
メイドと言っても年季の入ったプロと奉公に上がったばかりの見習いが居ただろうけど
見習いメイドの話とか欲しいですな。
現在で言えば、小学校卒業くらいの年齢が一番多かったらしい
480 :
名無しさん@ピンキー:2006/10/08(日) 13:12:09 ID:CuGPheJ4
メイドというより下働き見習いという感じ。
使用人学校とかもあったそうだけど。
奉公に上がるのはだいたいそれくらいの年齢からだろ。
丁稚にあがるのもそうだったんだし。
戦前は4年制の尋常小学校だけが貧しい家の標準だから、10歳くらいだな。
女の子だったら小学校さえ行かせてもらえなかったかもしれないけど。
俺が爺ちゃんに聞いた話だと、尋常小学校は六年生で、貧乏な子供はその後
高等科に進んだけど、ほとんどが中学校に進学したって聞いたぞ。
五年生中学を卒業した後は、就職するなり高校に進んで大学行くなりした人が
いたけど、大学行った人は金が余ってるかよっぽど勉強できるかのどちらかしか
なかったって。
ちなみに少女のお手伝いさんは? って聞いたら、そんなの見たことも無いって
言われてしまった……。
483 :
名無しさん@ピンキー:2006/10/09(月) 14:08:33 ID:xEfF/IH/
女工が多かったんだよな。
昔、知人に聞いた話だけど会津出身の女の子のお父さんは
地主でも戦後の生まれだけど子供の時小学生の「姉や」が居て
屋根裏部屋に机を置いていたそうだ。
昭和帝の皇后の姉も華族出身だが戦後没落して
ずっと住み込みの家政婦をやっていた、という話もある。
派遣の家政婦は現在もあるし。
ただ、エロゲー的少女メイドが欲しいなら第三世界へ行け。
アフガンなら十歳の少女の相場が小麦粉100キロ。
北アフリカでも日本なら車一台の値段で処女が買える。
北アフリカは紀元前から欧州と交流があったからアフリカ系容姿でないしな。
とりあえず、英語が必要。
日本人は日本人と言うだけで信用があるから後はよろしくやってくれ。
484 :
名無しさん@ピンキー:2006/10/09(月) 16:24:26 ID:1Hl0o3h2
だけど、ここで、このスレで求められているメイドさんは、
あくまで職業婦人なメイドさんだよなと言ってみる。
>>482 聞いたのかよwww勇者www
15〜でねえや〜は〜嫁に〜い〜き〜
の「ねえや」はお手伝いさんのことだろうが15だったのはねえやなのか歌ってる子なのか
486 :
名無しさん@ピンキー:2006/10/09(月) 22:20:10 ID:xEfF/IH/
歌ってる子は男の子のはずだが・・・
ああいや
「15で」のまえに入るのが(私の年齢が)なのか(彼女が)なのかってこと
普通に考えればねえやの方なんだろうが、
なんか15歳の少年が嫁に行ったねえやのことを追慕するっていう風景もいいと思った。
うちの父親(65才)が子供の頃、5人兄弟姉妹1人1人に
ねえやがついてたと言っていたぞ。
小作人の娘達で行儀見習い兼だったらしいが。
ちなみに父親実家は戦後の農地改革で没落したが
当時は東北某県の大地主だったそうだ。
いやー、メイドさんって、本当にいいものですよねぇ。
と言うわけではじめまして、よろしくお願いしますと言いつつ投下させていただきます。
オリヴァー=ウェイトリィは寝起きが悪い。
別に低血圧と言うわけではないが、とにかく起きない。
まあ、一般に貴族と呼ばれる人種は怠惰な物だ。
ましてや王族ともなれば、怠惰に怠惰を重ねて発酵してしまうほど怠惰でも仕方はあるまい。
しかし、どうしても彼に起きて貰わなければならなかった。
彼の面倒を見る。それが仕事であるが故に。
ゆさゆさ。
ゆさゆさゆさ。
ゆさゆさゆさゆさ。
「御主人様、朝でございます」
そう呼びかける声に、しかしオリヴァーは首を振り、毛布を引っかぶろうとする。
「そう意地を張らないで下さい、御主人様。もうとっくに日も昇っております」
起こそうとすれば起こそうとするほど、オリヴァーは意地を張るかのように毛布を握り締める。
「仕方ありませんね。では、最終手段を取らせていただきます」
そう言って、彼を起こそうとしていた者はオリヴァーの毛布を剥ぎとり、目蓋をひくひくさせながら目を閉じる彼の顔へと、己の顔を――唇を近づけてい
く。
古人曰く。お姫様は口づけで目を醒ます。
「ええい、やめんか阿呆っ!」
唇と唇が重なる寸前、オリヴァーはぐわっとばかりに眼を開き、今にも接吻しようとしていたその顔に拳を叩き込む。
ぐふ、と言う呻き声をもらし、しかし相手は顔を歪めることなく、涼しげな顔で言った。
「おはようございます、御主人様。朝食の用意が出来ております。お着替えとお支度が終わり次第、食堂へとおいで下さい」
鼻からだくだくと鼻血を流しながら。
背後にずらっと従者たちの居並ぶ食堂で、しかしオリヴァーは一人、朝食を取っている。
何故なら、従者と主人は同じ食卓を囲むものではないからだ。
主人が食事を取ったのを見届けた後、従者たちは別室で主人とは別の食事を取るのである。
「御主人様、スープのおかわりを」
「……ん」
「御主人様、汚れた手をお拭きください」
「……ん」
「御主人様、食後には何をお飲みになられますか」
「コーヒー」
従者たちは入れ代わり立ち代わり、主人であるオリヴァーの給仕をする。
生まれて以来ずっと繰り返されてきた光景であり、される側のオリヴァーも慣れたものだ。
……だが。
「御主人様、コーヒーをお持ちしました」
従者の持ってきたカップを受け取って一口すすり、しかしオリヴァーはそのまま俯いた。
「御主人様、お口に合いませんでしたか?」
心配そうにその顔を覗き込むのは、今朝方彼を起こしに来た従者だ。
街を歩けば10人中9人が美しいと評するであろう顔は、鼻に詰めた鼻血止めのティッシュのせいで台無しである。
「――――だ」
「はい?」
「だああああああ、もう嫌だ、こんな生活っ!」
叫びと共にオリヴァーは手にしたカップを放り投げる。
金貨数枚以上する高価なカップが砕ける音をバックに、彼は立ち上がり、背後にいる従者たちを指差した。
「何で兄貴が王城で沢山の妻やら愛人やら妾やら側室に囲まれて酒池肉林な生活を送ってるのに、俺がこんな山奥に監禁されてなきゃいけないんだっ
! それも、お前らみたいなのとっ!!」
オリヴァーが指差した従者たち。
それは、黒いワンピースに白いエプロン。長い脚をガーターストッキングに包み、頭にはヘッドドレスを付けた、所謂正統派メイドスタイルの――ロマン
スグレイのオジサマ達だった。
従者の声は清川元夢氏の声で脳内再生していただけると、主人の気持ちが痛いほどわかっていただけると思います。
……物を投げないで下さい。本物のメイドさんもちゃんと出ます。多分次くらいに。
メモ帳からコピペしたら改行がおかしな事に〜
うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ(ry
>>491は 俺たちの夢をぶち壊した・・・・・・・・・
でも、こういうのも笑えて好きだなwwwwww
ちょこっとだけ続き投下
とりあえずここまでで、あとは本物のメイドさん登場まで書きあがったら一気に投下する予定です
これまでのお話
>>489-490 王都アーカムから東へ50マイル。
プロヴィデンスとの国境付近の山の中に、オリヴァーが半幽閉されている屋敷がある。
ここに暮らす人間は、幽閉者であり主人でもあるオリヴァーを始め、その全てが男。
周囲は鬱蒼とした森に囲まれ、迂闊に街道から外れれば命は無い。
半径5マイルに人里はなく、森を通る街道を通り、月に一度生活品必需と食料を届ける荷馬車が外界との唯一の接点だ。
元々、王家ゆかりの錬金術師が、人里離れた場所で自身の研究に打ち込む為に作った屋敷だけあり、まさに陸の孤島と呼ぶに相応しい場所である。
オリヴァーがここへやってきたのは12歳の時。
以来一切女性と逢うことなく、メイド姿のロマンスグレイ達に囲まれながら日々を過ごしてきた。
流石に暴走の一つや二つしたくもなるだろう。男色に走らなかったのは奇跡に近い。
オリヴァー=ウェイトリィ22歳。彼女いない歴22年。童貞。身長は5フィート10インチ(156cm+24cm)。
それが本作の主人公である。
たしかに読んだときにSANチェック要ったけど、
ウェイトリイでもしやと思ったけど、
何故にクトでござるか。
>>492 >>493 精神的ブラクラスマソ。だが、オサーンメイドが出るからこそ、この後登場予定のメイドさんの萌えがアップするのです。
言うなればスイカに塩、お汁粉に塩昆布っ。
>>495 某あ○ほりさとるっぽく、キャラの名前は全部何かから取ろうと考え、たまたま枕元にあったのが黒の断章とESの方程式だったから。
ジョジョの奇妙な冒険があったらきっとジョジョから名前とってたと思ふ。
きっと、ただそれだけの理由。
497 :
名無しさん@ピンキー:2006/10/15(日) 23:46:53 ID:cUzC2Fib
暗殺されもしないで幽閉でとどまっているだけ文明国だな
498 :
名無しさん@ピンキー:2006/10/18(水) 23:14:01 ID:w8Jmm4fW
エロが微少でも良いからSSを投下して欲しいですな
ヽ( ・∀・)ノ じゃエロが(別の次元で)微少なモノ投下すますよ
<丶`∀´> カンシャクオコル! という人はNGワードで対応よろしくおながいします
「イヤァァァァァァァァッ!」
薄暗い部屋に若い女性の悲鳴が響き渡る。
部屋に灯る蝋燭の灯りは、性儀式の祭壇に飾られた燭台のような怪しげな光を放ち、
背後から男に襲われるという凶行を淡々と照らし出していた。
悲鳴は空しく部屋に響くだけで、彼女を助けようとするモノは誰一人として現れはしない。
それもそのはず、男はこの屋敷の主であり、若い女性は男に仕えるメイドだからだ。
主と言えば屋敷に絶対的な権力を持って君臨する王であり、彼に逆らう者などこの屋敷には一人も居ないのだ。
男にとってメイドなど屋敷にある備品であり、所有物の一つに過ぎないからだ。
「ご、御主人様ァァ……お許しくださッくゥゥっ!」
哀れみを乞う女の声が再び部屋に響く。
だが男はただ己の欲望のままに、メイド服の上から豊かな胸をまさぐり揉みしだく。
女の口から漏れるのは快楽に震える甘い吐息ではなく、ただ苦痛に耐える押し殺した声が漏れるだけである……
そもそも事の起こりは些細な事でしかなかった。
メイドの美紀のスカートがいつもより短かかった……ただそれだけの事であった。
いつもより早めに食堂の席についた俺は急ぎ夕食の配膳する彼女を見ていた。
そんな中、彼女のミニスカートから時折こぼれる出る瑞々しく健康的な太股が私を挑発してきたのだ。
日頃から押し殺していた劣情を刺激するのにそれは十分過ぎた。
「ッ!! キャァァ」
目の前に旨そうなエサがぶら下がっているのを見て、飢えた虎は我慢できるだろうか?
ついに俺は目の前で配膳をする美紀を後から襲ったのだ。
突然の出来事に初めは何が自分の身に起こったのか分からず、固まる彼女。
だが俺が躰(からだ)をまさぐり始めた途端、彼女は鋭い悲鳴を上げたのだった。
「御、御主さ……様、おやめぇ……」
「ん? 美紀、お前から誘っておいて、おやめ下さいはないだろう」
美紀は俺の理性に訴えるが、既にハイパーミニモーターを組み込んだミニ四駆並に暴走する俺がそんな言葉に耳を貸すわけがない。
手を胸のあたりに持っていくと、メイド服越しのふくよかな感触を楽しみ為に揉みはじめる。
確かな重さと鷲づかみにしても持て余すその大きさが彼女が持つふくよか胸を物語っていた。
本来このような場合、女性の胸の形を気遣い崩さないようなソフトなタッチで扱うべき所であろうが、
俺の目的は己の性的要求を満たす事だけであり甘いムードを作り出すことではない。
柔らかさを貪るように、俺は両手に力を入れ彼女の乳を揉みしだく。
「ダメェ……む……胸、が……くぅ、御主人さぁ、胸が……痛ひ……んんっくうぅぅぅぅ」
強引に揉まれるにつれ、美紀の声が痛さのせいか次第に途切れ途切れになっていく。
俺はそんな事は気にもせず、野暮ったい服の感触の奧にある柔らかさと、
握っても離せばすぐに元通りになる胸の新触感を堪能していた。
「いやああぁああ!!」
美紀が鋭く叫び、仰け反った。
気がつけば、感触を貪るあまりかなりの握力で彼女の胸を攻めていたのだった。
「いや、いや、いやぁああああああっっっ」
あまりの胸の痛さに我慢できなくなったのか、彼女が再び藻掻き始める。
しかし藻掻いたところで所詮は女の力、後から羽交い締めしている男に叶うはずがない。
それでも逃れようと必死に躰をくねらす彼女の躰を俺は強く引き寄せた。
密着した躰が女性特有の丸みを帯びた柔らかい感触と微かに香る石鹸の清潔な香りが俺の興奮を煽る。
特に彼女の臀部に押しつけた股間に伝わる柔らかさの中にも張りがある胸とは違う感触に、
股間に潜む黒森の主は早くも半身を起こし始めていた。
「んっ……くうっ、ひ、ひあぁぁああ」
臀部に押しつけられ徐々に固くなりつつある危険因子に恐怖したのか、美紀の抵抗は激しさを増していく。
だが自分が藻掻けば藻掻くほど、そのモノの興奮を煽っている事に彼女は気がついてはいなかった。
藻掻く程に彼女の腰は、臀部の谷間に押しつけられた危険因子をその左右の柔らかい双丘で扱き上げるかの如く動かすのである。
その様はさかりがつき、雄自身をねだる雌のそのものである。
俺自身をねだるような腰の動き、そして胸の持つ柔らかさ、そして苦痛で途切れ途切れになる彼女の声……
それらが俺の性的興奮を加速させていった。
興奮は欲求となり、欲求は行動をエスカレートさせていき、更なる興奮の呼び水となっていく。
「きゃぁああ!」
悲鳴と共に美紀の胸元にあるボタンがブチブチとはじけ飛んだ。
興奮ゲージがイエローゾーンの半ばを過ぎた俺には『服越し』という焦れったい感触には我慢が出来なくなっていた。
俺は彼女の胸元まで手を持っていくと、強引にメイド服の中に強引に押し込んだのである。
「ひっ……っん、ひひゃぁああ、……くぅん」
手首がまるまる、美紀の中に沈んで行く。
中はまるでぬるい温泉の様に温まり、ブラの布地の固い感触と生乳の柔らかさが並立している不思議な空間であった。
俺はブラの感触づたいに指先を遊泳させ、辺りをまさぐりはじめた。
「……んんっ……」
指先にまとわりつく生暖かい空気はなかなか乙オブジイヤーである。
辺りを指先でまさぐるうちに、双丘の谷間に布とは違う感触に俺は気付いた。
生乳でも布地でもない、この無機質な固い感触……『濡れ場』なんぞというモンにはとんと縁のない(自分で言ってて空しくなるが)ので
確証は持てないが、多分これが噂に伝え聞く『フロントホック』という奴である事は容易に想像が付く。
俺は手探りで未知なる『ホック』と推測されるモノを外しにかかった。
「……ひぅっ」
指先がホック以外の場所を突いたり、誤爆する度に美紀は悩ましげに声を漏らす。
がブラのホックなど生まれて此の方、本格的に見た事はない俺が本能とフォースのみを頼りに手探りにそれを外そうというのだ……
一々吐息に構っている余裕などない悲しい現実がここにあった。かなり真剣。
「ひにゃやぁっ」
鼻息荒くホックのあたりをいじくり回しているうちに、彼女が突如と声を上げ、ホックが外れた事を俺に告げたのだった。
瞬間、パチンという音と共にブラ生地の焦れったい固さが霧が晴れるかのように無くなり、生乳100lの感触がダイレクトに伝わってくる。
こう……なんというか人肌温度のお湯が詰まった水ヨーヨー(大)という感じで、手触りは肌理(きめ)が細かいつきたての餅の様な『ムニッ』とした感触。
『人類の幸せ』が詰まったそんな風な感触である。
「んっ、くぅん……ひっ、ひぅぅう……ひゃああああああッッ」
秘密のベールがとられ、露わになった美紀の胸を使い攻め立てていく。
片方の手は服の上から、もう片方の手は服の中から直に生乳を揉みしだく。
一粒で二度美味しいのはアーモンドグリコの専売であったが、これもこれでなかなか二度美味しいシチュである。
同じ様に揉み攻め、その感触の違いを楽しむ事も出来るし別々責めて喘ぐ美紀の様子を見るのも一興。
たまの中休みに、上気し桜色染まる彼女のうなじを舐め上げ反応を見るのも面白い。
「ふぁ……んくふぅぅぅぅぅ……」
先程まであれだけ抵抗していた美紀も、生乳を直に攻めらる今となっては艶ががった息をするのに精一杯な様で、今はまな板の上の鯉同然に躰を俺に預けていた。
大人しくなった彼女の様子見ついでにふと胸元を覗き込んでみれば、服の上からでも分かるくらい自己主張をするポッチが目に付いた。
「は、はひぃぃっ!」
いつの間に実付いたのだろうか?
乳房の先には未熟なサクランボが実りっており、俺は直に生乳を嬲る指先でコリコリと固くなった乳首を転がし始めた。
指先で乳首を転がし、扱き、弾く度に美紀は綺麗な音色を奏で膝から力が抜けたかの様にガクガクと躰を震わした。
『男に後から抵抗も出来ずに為すがままに悶える女……』
そっちの趣味は無いが実際に目の前で起これば、満更でもない。
サディステックな笑みを浮かべ俺は彼女を更に追い詰めていく。
「んぅぅぅぅーーーーッ」
『胸への攻撃はこれ以上は効果がない』とBDA(Bomb Damage Assessment)の観測班から報告を受けていた俺は
別アプローチをかけるべく、服の上から胸をまさぐる手を美紀の下半身まで滑り下ろす。
「ひうぁぁぁぁぁぁぁ゛ぁ゛ぁ゛」
そして胸に気を取られて無防備都市宣言状態のスカートの中に手を電撃侵攻させたのだった。
敵の虚を突いた作戦は見事成功し、手は強固な抵抗もなくスカートの中に攻め込んだ。
侵攻旅団からもたらされる感触から柔らかく張りのある瑞々しい美紀の股肉は容易に想像は出来る。
その感触を堪能しつつ、美紀が他人の介入を拒む禁忌な場所へと俺は手を這進めて行く。
「い、ひひゃぁああっ!」
禁忌な場所に近づくにつれ、美紀の声や腰がわなないた。
それが撫でられる事から起こる性感か、それとも好きでも無い男から愛撫される事から起きる悪寒なのか判断はつかない。
が、手が徐々に内股を遡上しかなり際疾い所まで迫る頃には、震えはピークに達し俺に身を預けなければ立てないまでになっていた。
「うぅっ」
呼吸は乱れ、目の前にある彼女の耳たぶは桜色を通り超し熟れたサクランボの様に真っ赤に染まる。
そのサクランボを口に入れしゃぶればコリコリとした歯触りと、同時に彼女から直に香るなんとも言えない香りではなく、匂いが俺を酔わせた。
先程の清楚な石鹸の香りでなく、こうなんというか゛雄の生殖本能を擽るような雌の匂い(フェロモン)である。
腕の中で為す術もなくされるがままメイド、そしてそのメイドの柔らかい胸のと張りのある股肉の感触、恥部責められ乱れる呼吸に鼻腔を刺激する匂い。
これらの五感を刺激する情報は余すことなく黒森の主に伝えられ、いきり立つ主は触手封じ(※1)を破らんが位の勢いで自身を完全直立させていた。
※1 ブリーフを意味する古賀用語。 【類語】コスモプロテクター
「ひにゃぁああぁ」
手がとうとう禁忌の場所まで来た時、性感のうち震えるのみと見えた美紀も悪あがきを見せた。
釣り上げられた魚が最後のあがきとばかりに、ビチビチと跳ねるあんな感じで声を上げ、大きく躰を仰け反らせたのだ。
流石に耳元で叫ばれ続けるのは嫌なので、黙らせるために強引にキスで口を塞ぐ事を考えた俺だが下手をしたら舌を噛まれる可能性もあるので、
代案として乳首を固くなった乳首を思いっきり強く捻り上げた。
「ひぁあ゛ッッ!」
美紀が再び強く鋭く叫び、ビクンと1回だけ大きく仰け反った。
なぶるような愛撫で刺激に敏感になっている乳首を強く捻り上げられたのである。
高ぶった性感で敏感になっている乳首に『痛み』という刺激は許容キャパを超えたらしく、
くたっと糸が切れた操り人形のように美紀は脱力しその躰を俺に預けた。
それが彼女の抵抗の最後であった。
もはや腕の中にあるのは瞳の光が消え恍惚とした表情の為すがままの愛らしい生きた人形が一体あるのみ。
「…………んっ」
為すがままの美紀が小さく息をし、指先がついに彼女の禁忌にたどり着いた事を俺に教えた。
指先にぬるりと冷たい感触が走り、軽くショーツ押せばグジュっとまだ漏出したばかりの暖かい蜜が滲み出してくる。
「痛いのが好きなのかな? 二宮は」
俺は多量に蜜が絡みついた指先を美紀の眼前にちらつかせた。
指先の蜜は蝋燭の光を受け、スペサルタイトガーネットの様なオレンジ色の怪しい輝き放っていた。
俺の言葉に彼女は幼い子が自分のしたことを否定する仕草にようにイヤイヤと小さく首を振ってみせる。
しかし、乳首を弄られる度に漏れる彼女の甘い吐息が俺の問いを肯定していた。
「んっ、くぅぅぅ……ひうっ、ん、んっんんん゛、くぅっ!」
美紀の禁忌な所は弄られる程蜜を湛えはじめ、今では古代にあったとされる空中庭園の如く豊かな蜜を湛えていた。
庭園の花園を指先で弄ればクチュクチュという湿った生音が室内に響き渡る。
顔を真っ赤にし、無言でうつむく美紀は自身が晒す淫乱さを静かに耐えているように見える。
だが、いくら自分が否定しようと自身が発する音は否定出来ない事実。
そんな矛盾に満ちた美紀の姿は愉快なものであるが、同時に不快なモノもこの空間に存在していたのだ。
……それは俺のパンツの中である。
彼女の乳肉と蜜溢れる柔らかい花園の緩やかな感触に股間にある一振りの刀は大いに反応して、
穂先から透明な丁子(ちょうじ)油を滴らせブリーフの中で粗相しっぱなしであった。
当然、気持ちが悪い。
刀となれば、剥き身の刀は鞘へ収めなければならない。
俺は直に生乳を嬲っていた手を美紀から引き抜くと、鞘に収めるべくゆっくりとスボンのチャックを下ろした………………。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
…………、…………。
……、……………………と思わず現実逃避したくなる悲惨な現実が俺に突き付けられていた。
もうなにも言うまい。
目の前の食卓に並べられた料理を見て全て(人生込み)を諦めた。
食卓の上にはゴーヤーの炊き込みご飯を筆頭に、ゴーヤーのみそ汁、焼きゴーヤー、ゴーヤーと変な魚の煮込みや、緑が毒々しいゴーヤーシチュー
苦瓜増量(当社比較120l)な野菜炒めにゴーヤーのワタをくり抜いてそこにすり下ろした苦瓜を詰めた意味不明なモノにゴーヤーのピクルス、ゴーヤーの一夜漬け、
多分ゴーヤーが主成分なんだろうなぁ〜と思われる極緑の茶碗蒸しやゴーヤーの刺身、緑色のとぐろが毒気を放つゴーヤークリーム。
果ては一見無害そうな見えるパンだけどガイガーカウンターを近づければ、苦瓜反応で針が振り切れるであろうと予想されるゴーヤージャムパンもどき
(大きさから言って多分内蔵量は致死量)、そして麺の緑色が目に痛いゴーヤーうどんにゴーヤーそば。あとはオーソドックスにゴーヤーの天ぷら、ゴーヤー酒等々、
地球上で考えられるだけ一杯のゴーヤーの料理が所狭しと並んでいた。
まさに『緑の悪魔』!!
「どうですか、御主人様ぁ♪」
とにこやかな顔で更にゴーヤースパゲティを悪魔の宴に追加するのはゴーヤーメイドこと、メイドの二宮さんである。
事の発端は
>>409の書込だった……
『なんとかを唸らせるほどでそのレベルか』
この一文が彼女のプライドを踏みにじり挑発したのだった。
二宮さんがこの一文を読んでいる時、たまたま近くにいたのが……
生まれて初めて俺は『ブチッ』というよく堪忍袋の緒が切れる際に使用される擬音の生音を聞いたのであった。
あれって擬音じゃないんだ…… ハジメテシッタヨママン
「ど、どうかしたんですか? 二宮さん」
「フフフ、なんでもありませんよ御主人様。フフフフフフ……」
あまりの音っぷりに、おののた俺は思わず声をかけたのだが、二宮さんは答えず笑みを固定したまま静かに席を立つとそのまま台所へ消えて行ったのであった。
まるで魔女がこれから胎児の内蔵を使い若返りの秘薬を作るような怪しげな笑い声を発しながら……
その日を境に二宮さんの『ゴーヤー料理克服特別強化訓練』が始まったのである。
俺という被験体を使った『ごーやーによるごーやーの為のごーやーだけの料理』とゲティスバーグの歴史的な名演説級にごーやーまみれの食生活が幕開けである。
朝、昼、晩は言うに及ばず、お十時におやつに夜食までおんりーゴーヤー。
強化訓練は着実に実を結びはじめ、最近では「日本の夜明けも近いぜよ!」と言わんばかりに俺のウンコは緑がかり、生命の危機を感じている今日この頃であった。
このまま行けば、ギネスブックに『死ぬまでゴーヤーしか食わなかった男』としてノミネートされる日も近いだろう。
もしくは、痛いニュース+辺りに『【アナルにも】御主人様、ゴーヤー死WW【ゴーヤー】』とまぬけなスレで俺の死に様が晒されるとか、そんなの。
その暁には間違いなく
2 名前: オレオレ!オレだよ、名無しだよ!! 投稿日: 2006/08/04(金) 21:23:56 0
ボクのアナルにもゴーヤーが詰まっていますよ、御主人様WWWWWWWWWWWWWWWWW
2あたりにコケにされるのは必定、株用語で言えば『想定の範囲内』である。
元はといえば
>>409の一言(一文)でこの緑の拷問が始まった訳であるから、刑事訴訟は無理にしても民事訴訟で慰謝料などを請求出来るのではないか?
と考えた俺は屋敷の顧問弁護士に相談したのだが、これがまた鼻で笑うだけで『冗談はお前の存在だけにして下さる?』みたいな感じでまったく相手にすらしてくれない。
糞、俺がしがない地方の次男坊だと思って馬鹿にしやがって! 大きくなったら覚えてろォ、死ね、労働階級の敵め! 『氏ね』じゃねーリアルに『死ね』だ!
「どうかしましたか、ご主人様? シチューが冷めてしまいますよ」
さりげなく回想兼階級闘争への新たな決意で現実逃避に走っていた俺を御丁寧にまたリアルワールドに引き摺り戻してくれる二宮さん。
よくみれば「ほらお食べ」とばかりにシチューをすくったスプーン口先に差し出す『アーン』の構えではないか!
二宮さん、俺に喰わせる気マンマンである。
「あ〜〜ン♪」
まるで赤ん坊に離乳食を食べさせるようとする若い母親の様に自らも口をアーンとする二宮さん。
小首を傾げ、ボブカットの奧にクリっとした瞳を忍ばせ笑みを浮かべる彼女。
今すぐマッパ自室にとって返してデジカメでその様子を撮影し、PCの壁紙にしたい衝動に駆られる位の可愛いさだ。
これだけで3回……もとい3杯は軽くイけるね、ナニを。
「ア……!?」
思わずつられて『アーン』した途端、俺の口が半開き状態でフリーズしたのである。
俺の体が冷静にそれ拒絶していたのであった。
体は知っているのであった……微笑む天使がその手に持つのは、間違いなく緑の毒物なのであると。
見た目とシチュの良さに騙され思わずパクついたら最後、スベスベマンジュガニを食ったよりも後悔するのは確実である。
シロウトニモ、クロウトニモオススメデキナイ
「どうしました? ほらアーン」
硬直しなかなかアーンしない俺を見て、二宮さんはちょいと悲しげな表情をした。
止めて下さい、そんな濡れた捨て子犬が哀れみを乞うようなそんな表情は……俺だってアーンしたいのです。
でもスプーンの上でエメラルドのように緑色の光を鋭く放つ、ざく切りの苦瓜の欠片を見たら大体の地球上の生物(単・多細胞関わらず)は拒絶するでしょう。
…………で、でも折角メイドさんが、それも二宮さんがアーンしてくれるのである。
例え100l毒物だと分かっていても、
こ こ で ア ー ン し な け れ ば 、い つ ア ー ン を す る ん だ !
「い、……いただきます」
と開き直った俺は覚悟を決めたソクラテスのようにシチューを一気にあおる。
……
……、…………ぅべぇ……
やっぱり本日もキますたぁよぉ〜口いっぱいに広がる工業用ゴムの味がぁ〜
ほらホームセンターとかで売ってる安物のシュノーケルの口当ての部分を洗わずに、口に含んでしまいウエッとなるあんな風味。
ミルキーはママの味だが、ゴーヤーのこの味は死の予感である。
「ん? どうかしましたか 御主人様」
「いや何でもないよ、何でも……」
「たぁ〜〜〜んとお召し上がり下さいね アーン」
数十秒かけて口の中の産廃をやっと処理すれば、既に目の前には二発(?)目のアーンを装填済みである。
装填の速さはどっかの国産戦車の自動装填装置並かもしれない。
確かに二宮さんのアーンは可愛いしアーンはしたいが、体がそれ以上のアーンを許さなかった。
証拠にアコヤ貝のように固く閉じられる俺の口。
そんな事には気がつかない彼女は再びアーンを俺に強要するのであった。
人権侵害 (・A・)イクナイ!!
「御主人様アーン」
「ムー」
「?、ほら御主人様アァーーーん!」
「ムゥームゥー!」
「アァーーーーーーーーーーーン!!」
「ムゥーーーーーーーーーーーゥ!!」
頑なに拒否する俺に頑なに料理を勧める二宮さん。
『非核三原則を守れ! 米空母寄港反対!!』と言わんばかりに閉ざされたプロ市民チックな俺の口に対して、
日米安全保障条約を盾に寄港する米第七艦隊所属空母並にアーンを強行する二宮さん。
次第に辺りには『喰うか、喰わせるか』という意地と意地とのぶつかり合いみたいな殺伐とした吉野家的雰囲気が漂い始めるまでに……
静かな攻防は着実に状況をベトナム化にしていた。
だが、そんな不毛な膠着状況を打破するかのように突然食堂のドアが開け放たれたのであった! まさに天の助け。
思わず拝むように天界から使わされた調停者をみれば、そこに居たのは当館事実上の支配者である秘書の小田桐さんである。
小田桐さん。SAGA2で例えるなら俺が『しょうぐん』で小田桐さんが『おおごしょ』そんな感じなエライお方。
んじゃ、ついでに言えば二宮さんはなんなのよ? といえば…………もしかしたら『はにわ』かも知れない。
んまぁ詳細は次の機会があればということで。
突然の乱入者に俺も二宮さんも何事かとドアを向いてしまう。
そして、その次の瞬間小田桐さんが叫んだ!!
「あーるぴぃーじぃー!!!」
小田桐さんの言葉が終わるよりも早く、高速な黒いナンカかが窓ガラス割り食堂内に飛び込んで来たのであった!
=おわり=
そういえば、自らの国家や民族に固執する右翼系の若者が世界的に増えているという事実も、多少気になるところだが。
ヽ(・∀・)ノ いじょです
λ...スレ間違えたかとオモタ
色々な意味で激しくぐっじょぶ。
プロ市民とかアナルゴーヤとか色々な物吹いたw
最初の方の無駄なシャレがなければもっとよかった
510 :
名無しさん@ピンキー:2006/10/23(月) 16:12:20 ID:ZH1wBvWo
まとめから、スレ全部
読み返してきた。
いやぁ、メイドさんは萌えるなぁ。
湧き上がってきたものが抑えられそうに無いから、
ちょっと全力疾走してきますねwwww
その湧き上がるエロスをSSにしてぶつけるんだ!
512 :
名無しさん@ピンキー:2006/10/29(日) 18:58:30 ID:KcJbnRQG
メイドさんがずっと留守ですね・・・
ユカリでない小ネタをひとつ。
ユカリの方はまだです
首都東京から遠くはなれたこの岩手にも、新時代大正の世態風俗の情報だけは入ってくる。
明治帝御崩御から数年、岩手の生活はなんら変わることもないが、
さすがに東洋一の大都会東京では、地下鉄が走るだの銀座にはパーラーだのモボだのモガだのどうのこうの。
いろいろと騒がしそうで馬鹿馬鹿しく、想像も出来ないような楽しさがあるようで、
そのの匂いだけが伝わってくるようなこの岩手県に居る身としては、
もどかしいような、別世界のことのような、なんだか言いようの無い気持ちに陥る。
「エロ、グロ、ナンセンスねぇ……」
僕は東京から二週間遅れの雑誌の頁を親指と人差し指だけで挟んで、
光に透かすようにして眺める。
この三つが今の東京で流行しているものだということだ。
春の日曜日のお日様はぽかぽかとして、厚ぼったい窓ガラス越しでも、体に受けたその陽は充分にあたたかい。
窓の外には淋しく青稲の育つ「ぬまばたけ」と、之も寂しく成長している短い杉の木立が並んでいる。
「ねえ、どう思う?ハル」
さっきから部屋の掃除をしているハルを、僕は視界の隅に捕らえていた。
春というのは僕の家のお手伝い……というか、所謂「ねえや」で、
なにかと僕の世話や、細かな仕事をやらせるための、おんなだ。
呼ばれたハルは、こっちが見て驚くほどにびくっとし、驚いた表情でこちらを振り向いた。
「あああ…あ、あの、坊ちゃま、ワタクシ、そういったことはその、よくわかりません。……おもさげながんす」
「ほら、また方言が出た。そこは『申し訳ありません』っていうところだよ。東京では」
「ねえや」とは言うけれど、ハルはまだ13歳の少女で、ぼくよりも3つも下だ。
今は僕の家で働いているけど、小さな頃はよく一緒に遊んだ。
友達というか――妹分というか――なんというか、気の置けない、やつだ。
これからは何事もどのようなことでも、東京にいたほうが有利だということは明白な事実で、
そのために僕や僕の家族は、複数居るお手伝い――そして僕ら子供たちにも――岩手弁でなく、標準語を使わせようとする。
「ま、そうだろうなあ。ハルにはまだ、わかんないだろうなぁ」
僕は少しだけ満足げにうなづく。
そりゃそうだ。
ハルにこんな低俗で不埒な都会の風俗がわかってたまるものか。
まぁ、低俗で不埒でも、そこに権力と情報が集まる以上、そこを目指すべきなのはある意味当然ともいえる。
僕はわりと、この岩手が好きなんだけどな。
確かに田舎で、夜は足元も見えないほど暗くなることもあるけど。
それでも月が大きく出ている日や、夏の夕日が沈んだあとなどは、電気もランプも無くても本が読めるほど明るいし、
冬にまたたく星空は全く格別の様子で――世界は美しい――僕は澄んだ夜空を見て、何度もそう再認識させられる。
だから僕はこの岩手が好きだ。
情報も届かない、不作が続くとすぐに財政がゆきづまってしまう田舎だとしても。
それに――ハルもいるし――
少し思って、自分でもあまりに感傷的なその考えに、顔が熱くなってしまう。
ハルの純朴な笑顔。
ハルは、春に生まれたから、ハルだ。
これ以上簡単な名前も無いと思う。
でもそのハルは、自分が生まれた春という季節が本当に好きで、春の野原のシロツメクサが満開の中でこっちを向いて
「ケンおにいちゃん、ねぇ、きれいだね、ここ。濃いぃ緑の中に、すごく白い花が咲いて、
それがずっと続いて……」
にこにこと笑ってくるくると回るハルの姿は、今でも僕の心の中で、その輝きを失わない。
「あの…ケンさま…」
ハルが話しかけてきていた。
ちょっと気づかなかった。
「ああ、悪い、なんだった?」
いまではハルは僕のことを『ケンおにいちゃん』と呼ぶことは無い。
僕は地主の息子で、彼女は小作の娘で、僕の家のお手伝いだ。
仕方ない、とも思う。
「……あの、その…こ、これなんですけど」
彼女がおずおずと控えめに出した右手には、僕の秘蔵の画版本がぶら下がっていた。
なんというかその、「かなり薄着の」女性の絵や写真が多く載っている、非常にその、興味深い、雑誌だ。
ハルの手からひったくるようにして奪う。
「どわあああああああああああああ!!ハ、ハル!どこからこれ――」
「……その、もう綿入の半纏を片付けようと思いまして……」
まずった。そうだ、もう春だったのだ。
あたたかで分厚い半纏の奥に隠しておいたのが裏目に出てしまった。
「いやその、なんだ、これはその、あの、ほら、都会のね、世態風俗をね、研究しようと思ってね……」
僕がそこまで言うとハルは、青森特産のりんごのように頬を赤らめて、
「はい、わかってます。から…その……ケンさ…さえ良ければ、わだすはいづでも……」
なんてことを言う。
え、今なんて言った?
「あらやんだ、わだすったら、はしだね。坊ちゃま、忘れてくだっせ」
ハルは両手を上気した頬に当て、じっと床を見つめている。
本気で自分の言ったことに困惑している表情だ。
なんというかそれはその、こう、かわいらしい。
ハルは自分でも思わないことを言ってしまう時、ついついなまりが出てしまうくせがある。
つまりなまっている時のハルは、これ以上ないほど僕にその本心を伝えていて、僕はそれがわかる。
その様子を見て僕はこう思うのだ。
やっぱり僕はこの岩手が、ハルの居る岩手が好きなんだ。って。
それにしても、えーと、その……ハル、いま、何ていった?
…………だめだだめだだめだ。
ハルはまだ13歳なんだったら!
ほらみろ!自分の言ったことにあんなに頬を赤く染めて!!
それはその、之ぐらいの年齢になれば……関係を持つことはこの地方では珍しいことではないんだけれども!
でもダメ!僕はもっと都会風にソフティケイティッドされた人間にならなきゃいけないんだから!
だからダメ!ダメだって!だめなんだでば!こら、いうごどさぎげ!!おらの色情狂!
なしてこげなぁ言うことさきがねがぁ!いぐらオラがまだわげぇづっでも……!!
……僕とハルはそのまましばらく、それぞれ別の理由で固まっていた。
窓からはうららかな陽が差し込んで、なにはなくとも僕の世界は平和だった。
小ネタ終了。
1レスで終わるのを目指したんですが。長くなってしまい……。
妄想は膨らむばかりでした。
『人間失格』に「小さい頃、女中にイタズラされた……」みたいなくだりが出てきますね。
とてもすばらしいとおもいます。
日本人同士、さらに年上男、年下女というのも良いと思います。
というか小ネタ作ったはいいですけど、アク禁でしばらく投下できませんでした……。
ユカリの方もそのうちに。
(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)
メイドさんは最高だなあ
517 :
名無しさん@ピンキー:2006/10/31(火) 04:05:18 ID:JyG22QHk
GJ!
この話は、健気な小間使いとのほのぼのした関係ですな。
・・・早く手を付けないと、嫁に行ってしまいますぞ!
『それにしても。。”たま姉”に似てる、、ってなんだろう・・・』
メイド喫茶で働く”なつみ”は、トイレへ行く途中で呟いた。
そもそも、バイトを始めたのは・・(タカアキ君と卒業旅行へ行って。。初めても・・・)
と、少し不純な動機なのだ。
『まぁ、いいや!3月の卒業までに稼ぐぞーっ!』と勢いよくトイレのドアを開けた瞬間・・
宇宙・・それは最後のフロンティア(以下略)時としてワームホールは突然開くのである
それはともかく『どうなってるのよぉー』と、”なつみ”は、何かの光に吸い込まれていった・・・
同じ頃、小笠原慶種と元家老で執事の高田格之助は貴族院に向かう馬車の中で、
原因不明の光に包まれ、、その現象に馬たちも驚き急停止してしまった。
ただし、悲劇の始まりはそこからで、慶種と格之助はその勢いで熱い抱擁と
キスをしてしまった。。二人は御年60歳以上の爺である。。。
何故か格之助の頬が染まり、何かを察した慶種は、、空気を換える為に叫んだ。
『何ごとゾっ!』申し訳なさそうに馬車の運転手は「わかりません」と答えた・・・
その瞬間、馬車の前方に黒い陰が落下し鈍い音が響いた、「イターいッ」
尻餅をついた少女が片目を閉じ、もう片方には涙をためながら腰の辺りをさすっていた。
馬車から降りてきた慶種に、「あぶないじゃない!、どうして東京に時代劇のような馬車と・・」
「あたしは。。ビルの中にいた筈なのに?こんなとこにいるのよッ!」
と慶種にとって意味不明な事を叫んでいたが、、気絶してしまった・・
『おのれっ!無礼討ちにしてくれるッ』と腰の辺りに”ておてお”、お泳がせたが、、
格之助は静かに言った・・「殿、、もはやそのような時代では・・・」
「それにしても、、孝子姫に似てますな・・」
慶種には、酒井家に嫁いだ一人娘の孝子がいたが、子供を生みその後の経過が良くなく
亡くなっていたのであった。
『屋敷で介抱してやれ』と、思うところもあり”なつみ”を馬車に乗せたが。。。
それにしても、、このメイド服はハイカラで素足が見えて”はれんち”ではないか。。
と思う慶種であった。
そして、一連の流れを見ていた庶民からは、、「今夜は、お楽しみですか?」や
「若い娘を手篭めにして爺様もお元気だな」とか「やらないか?」等々の
励ましの数々を受け出発して行った・・・。
つづく、、
似たような話があるかもな('A`)
小笠原屋敷に連れて行かれたなつみは、ベットの中で幸せな夢を見ていた。。
時は過ぎ、、そして朝を迎える・・・
『うーん、、、ここ、、何処?』寝癖のついた髪をいじりながら立ち上がり
ぼんやり(変な夢をみたなぁ・・、、店長ここまで担いでくれたのかな?)
とか考えを巡らせた・・そして古風なホテルの一室を思わせる部屋を見回しながら
自分の姿の深刻さについて考えた時に悲鳴が上がった!
『どうして!、パンツ一枚なのよぉ!!』
『店長のバカァーッ』と無実な相手に罵声を浴びせていた、、、
その時、、部屋のドアが開き老貴婦人が現れた・・
驚いたなつみは、毛布で鼻から下を隠し丸まった
「騒々しい静かになさい」口調は厳しいが穏やかになつみを諭し
『あ、あの、、私の洋服は?』と自然な問いに、
「いま洗濯しています、お昼過ぎには乾くでしょう。」と優しく答えた、
「まずは朝食にしましょう?服はこれを着てね」と渡されたものはどう見ても
宝塚で着るような、年代物の衣装に見えたが、勿論宝塚など見た事はない・・
そして、乙女である”なつみ”は、下着姿で朝食を食べる訳にもいかず
その衣装のような服を着る事にした。
鏡を見ながら『オスカル!』と叫んだ、意味不明な”なつみ”を見て老貴婦人は。。
「頭の打ち所が悪かったのかしら?」と思うのであった。
ダイニングへ向かう途中に老貴婦人は松子であると名乗り、
なつみもまた自分の名を告げ、何が起きたか?を、お互いに確認しようとしたが
要領を得なかった・・・しかしなつみが祖父の名を酒井”しげあき”と教えた時に、
松子もまた孫の名が”しげあき”だと告げる、「偶然ってあるものね」と笑った。
そして、ダイニングでは慶種公が泣いていた・・・
”なつみ”が持っていた女子高の生徒手帳や、携帯にプリクラのカラー写真を見て、
この時代の人間ではない事は悟った・・
だが深刻なのはお守り袋に入っていた、時代を感じさせる和紙に「命名重秋」、
そして公自身の花押を見た時、彼女が自分自身の子孫である事も
理解し「我が家系は他人の家で、使用人として使われているのか!」と嘆くのである、
勿論壮大な勘違いであるが・・・。
松子もまた事情を知り、彼女が困らない様に表向き屋敷の使用人として雇う事にした、
生徒手帳にある授業の生花やお茶を見ると、洗練された女性に感じだたが・・・
実際に生花をさせて見ると、、松子の目には自由奔放!と書いてある様に見え、
それを松子は楽しく感じたし、心地良いように思えた。
なにより、明治日本人は物分りが良かったのである(嘘)
つづく
1-3-1
『なつみさん、あなたには”ヨシアキ”の家庭教師をしてもらいます。』
唐突な申し出に戸惑いながら・・・
「ですが、、あたしこの時代の漢字が・・・」
『足りない部分はお互いに補いなさい、それで大丈夫なはずです。』と松子が言うので
”なつみ”は次期当主で養子の”ヨシアキ”の家庭教師モドキをする事になった。
* * * * *
『何処を見ているのですか?』私のメイド服ってスカートは短いし。。。
想像はつくけど・・16歳の癖に!マセガキだぞ!と心の中で毒づくのであった。
「なつみ、、その様なカッコで平気なのか?」と聞かれて少し意地悪をしてやろう!と
『なにがです?、、ヨシアキ様、、、私のスカートの中に興味がおありですか?』
すまして言ったが、、、「興味なんて。。あ、ある訳ないじゃないか!」
失礼ね!とは思ったが・・
『ですが、、よしあき様の股間は、、膨らんでるように見えますが?』
慌てて手で隠す、彼にさらに追い討ちをかけた『嘘ですよッ!』
クスッとなつみは笑い、、(弟がいたらこんな感じかな?でもスケベじゃないよね。)
とか考えていた。。そして、すでに白旗状態の彼に
『なにか、お飲み物をお持ちしますね』と言うと部屋を出て行った。。
彼もまた悪戯でお返しを実行するだが、そのたびに一枚も二枚も上手で
シタタカな”なつみ”に凹まされていたのだ。
そんなある日仕返しと花火見物を兼ねて、近くの荒れた山寺になつみを誘った。
『ねぇ・・こんな暗い山道を本当に登るの?』不安と恐れで今にも泣きそうな声だが、
ヨシアキに「さすがの、なつみ様も苦手なものがあるのか」等とからかわれると、
『こ、怖いなんて言ってないでしょ!』と一生懸命に言うのだが・・説得力は無かった。
『さあ!いくわよっ!』と威勢は良いが・・・
自分の腕にしがみついてる”なつみ”を見て、仕返しは成功したかな?と思うのだった。
そして、いつからかは思い出せないが、彼女に淡い想いを抱いていた。
1-3-2
山寺の頂上に着くと、指をさしながら「向こうが海で花火が上がるよ」
境内に座ろう。。と続けた、
『よしあき様?こういう時は、ハンカチを広げてそこに座らせるものですよ?』
等と彼女独自の世界観で言うのだ、
なつみの影響を受けている彼は浴衣が汚れる事を察して、
「ならば、私の膝の上に・・・」と言うが、言い終わる前に『えっち!』と返した・・
少し気まずい空気が流れた二人を救ったのは、
打ち上げられた花火の音と光のシャワーだった、そして迷ったが彼の横に座わり
(この時代じゃ無理だし仕方が無いよね・・)と思いながら、
視線は花火が上がる軌跡を追っていた。
月明かりと花火の光に照らされる、幻想的な”なつみ”の横顔と
ふいんき(←何故か変換できない)が綺麗だと思っていた、気が付くと自然な動作で
手を握り、『どうしたの?こういう時は・・・』ベタな事を言うより早く
ヨシアキは、彼女の唇を奪っていた。。
そして、浴衣の裾から手を滑り込ませようとしたが、、、
ペッシ!なつみはヨシアキの頬をぶっていた、『あ、あたし・・そんなつもりじゃない!』
『好きな人だっているんだから!』目に涙をためながら抗議した。
彼は衝撃を受け、、それ以上続けることは出来なかった、そして走り去ろうとする彼女に
「ごめん」「夜道は危ない・・二人で帰ろう」冷静さを取り戻した彼は言った。。
なつみは”あなたと居ても危ないわよ!”と思い・・・悩んでみたものの、
暗い夜道も怖いので申し出を受ける事にした、そして強引には押し倒そうとはしない
彼を信じたのだ、、しかし、帰る道の二人は”5メートル以内に近づかないで!”
と言う彼女の言葉に従う、それは”ヨシアキ”にとって離れてしまった
心の距離の様にも思えた。。。
その日以来二人の会話は、事務的になり”ヨシアキ”は味気ない思いをしていた。
積極的に話しかけるのだが、、貝のように心を閉ざしてしまった”なつみ”に
手を焼いた、そんな二人を見守っている老婦人に「なんとかならんのか?」と
慶種は聞くのだか、、松子は『二人の気持ちしだいです・・』と突き放し笑うのであった
だが、慶種にも焦る理由があるのだ。。この秋にも”ヨシアキ”は、陸軍士官学校に
入校する事になっておりこの屋敷を離れるのだ・・
そして、屋敷を離れる前日の夜に、彼は”なつみ”にも読めるように全文カタカナで
手紙を書いた、、花火の事の謝意、これまで楽しかった事、等々
最後には”アイシテル”と書かれていて、彼女の目から落ちた涙が和紙を濡らした。
眠れない夜を過ごし悩んでいたが”タカアキ君ごめんね・・”
”もうしょうがないよね・・元の時代に帰れないし・・”と思うと眠りに落ちた。
やがて”ヨシアキ”が出発する朝を迎えた、彼を送り出すために他のメイド達と並ぶ
”なつみ”を見て、今日も駄目かと思いながら、松子に挨拶をし馬車に乗り込もうとした時
彼女は”あたし待ってるからね!ずっとヨシアキ様を待ってるからね!”その声に
驚いたが小さく頷くと、微笑とギコチない敬礼をして馬車に乗り込んだ・・・。
・・その後ろで慶種は、『我が家の嫁にはもう少し何かが必要だ・・・』
松子は、それなら女子師範学校に入学させては?と応じ二人を見守った。
つづく
もう1レスで終わらせるから、ごめんね ごめんね(´・ω・`)
おあずけしてごめんね、ごめんね(´・ω・`)
522 :
名無しさん@ピンキー:2006/11/02(木) 16:53:05 ID:SdjlstuX
・・・別に急いで終わらせる必要はありませんぞ!
謝らなくてもおあずけしても構わんから、もっと続けろw
『りこー! りこ!アンミツ食べに行こうよ!みんなも食うでしょ!?』
ホントは、ハーゲンダッツの方が良いけどネとは思っていたが、そんなものは無い・・
そして、久しぶりの学園生活を”なつみ”は楽しんでいた。
リコと呼ばれた、彼女は・・
「りこではありません!さ・と・こです!それに”くう”なんて。。」
以下を続けようとしたが、他のクラスメートの”食う!”と言う合唱にかき消された
美しい日本語は、”なつみ”によって乱された!のかもしれない。。。
* * *
「ヨ・シ・ア・キ!」、、『もう!私が文句言うとすぐそれ!』
高田格之助にすれば、殿直々のご指導でご寵愛となるのだが、
”なつみ”はうんざりしていた。そして、さらに文句を続けるとそこへ直れ!
成敗してくれると、、屋敷の”ほうき”を持ち出して見事な構えを見せるのだった。
”なつみ”も負けずに薙刀モドキにほうきを構えた、ちなみに松子直伝だ・・・
しかし、腐っても武士・・ パシッ「コテェーッ!」その瞬間『イタイーッ!』と、
いつも悲鳴を上げる”なつみ”であった。
珍しく慶種は、まじめな顔をして言うのだ、
我が小笠原家は”異端”といえども一族の物を納得させる為には、其れなりの
教養と経歴が必要だ・・さらに教養はこのワシが教えたから良いとして、、
などと”ずーずしく”いい放ち「ヨシアキも成長し芸者やいい女衆・・・」
と続けたが。。これは”失敗だったか”と胸の内で思うのだ、
なにしろ澄み切った青い空の笑顔が消えいまや、曇り空なのだから・・・
耐え切れなくなった”なつみ”は、『それは、、私じゃダメって事ですか?』
これ以上遠まわしな言い方をしても、泥沼になると判断した慶種は、
「生きている間に・・”ヨシアキ”と”なつみ”子を見たいものじゃ・・・」
そうなる事に反対はしないと言うと、彼女は慶種に抱きついてた、
そして、『私も、負けないように・・???あの、、その手は・・・
わたしは。。。”ヨシアキ”様のモノです!お尻は触らないでくださいね!』
「いかんいかん」、などとワザとらしく咳払いをして、手が滑った等と言うのだ・・
さらに抱き付かれた時に、少し大きくなった”胸の感触”を楽しんだとは、、、
口が裂けても言えないだ・・・
そして”なつみ”はシタタカに・・
『慶種様も浮気したことがあるんですか?』
「勿論じゃとも!」
『あ!松子様!』
爺様の顔が・・半分青くなった・・・
『う・そ・よ!』
「そこへ直れーッ!」『キャーッお許しをー』
そんな騒がしい日々の終わりだった。
* * *
アンミツを食べながら、里子に師範学校入学の経緯を話し最後には
”愛と見栄の為ね”と〆たのだった。
2-1-1 つづく!
ここってメイドさんとご主人様のエロSSスレでおk?
なんか挑戦してみるから誰かおんにゃのこの名前くれ。
2-2-1
彼女が入学して2年が経ったある日の事、
「また、ここにいらしたの?」そう”なつみ”に声を掛けた里子だった。
何故か里子となつみは、気が合い親友と呼べる程になっていた
「それに、、なんだか何時もの曲なのに、、ミスも誤字も多いわね・・」
パイプオルガンで”隣のトトロ”を弾く彼女に言った。
『そ、そうかしら?・・・』
「まぁ、わたしくしも、、弓道をしていますから、気持ちが乱れれば的に。。」
と続けようとしたが、”なつみ”が”ウワノソラ”なので、
「それで、、なにをそんなに気になさってるの?」
『ヨシアキ様からの手紙が2週間も遅くて・・それが気になって・・』
心の中では、携帯が使えればなぁ・・と考えていた。
「しょうがないわね!なつみ!あなたの好きなアンミツを食べに行きましょ!」
『えっ?うん・・里子、ありがとう。』
お腹”いっぱい”にして気分を変えよ!食うぞー!と思う、なつみだった。
校門へ向かうと、、何故か”黒山の人だかりが”出来ていた。
”人だかり”の真ん中には軍服を着た男性がいて、囲まれており
困っている様子だったが、気にせずその側を通り過ぎようとした時、
「なつみ!」と呼び、彼は近づいてくると、
「小笠原ヨシアキ、姫を迎えに上がりました!」笑顔で敬礼をした。
そして、”なつみ”は『わたし、、姫なんかじゃないわ・・それに・・』
泣き崩れてしまいそうになるのを我慢しながら、
『どうして、ここにいるのよっ!・・・逢いたかった・・』
それが限界になり”ヨシアキ”の胸に飛び込んだ。
そして思うのだ”コイツの腕の中、こんなに広かったかしら?”
冷静な里子が、「なつみ!ここじゃ”まずい”わ、、あのお店に!」
ふたりは、ヨシアキを引っ張って走り出した。
2-2-2
”説明して貰いましょうか?なつみさん?”、イタズラ心を丸出しで里子は言った。
照れて下を向き沈黙してしまった彼女に代わって、ヨシアキは話し始めた。。。
私は。。16歳の頃、家庭教師のなつみと出会い、その後イヂメられてました・・
そして復讐すべく陸士に入り、ついにその日が来たのです!それを聞いて里子は、
”分かる!分かるわぁ〜!二人で悪を滅ぼしましょう。”等と言い手を取り合うのだ
沈黙していた”なつみ”は『ちょっと!それって酷くない!?』
思わず立ち上がってしまった、”他のお客様の迷惑になりますよ”と里子
「いつもの、”なつみ”に戻ったか」笑いながらヨシアキは言うのだ。
これ以上余計な事を言われたくない”なつみ”は、『メイドの家庭教師で恋人!です!』
不安になり”ヨシアキ”の方を向く・・頷く彼を見てホッとする、そんなやり取りを見て
里子は「前の二つはともかく”恋人”って事ね」と物分りが良い様だ。
「それで事情はよく分かりました。どうしてこちらへ?」、少しタメライながら
”早期卒業で陸軍第3軍に配属されロシアに行く”そして特別な休暇で”なつみ”に会って
小笠原の屋敷に帰る途中なのだと言った。同じ事は老夫妻にも話す事になるのだが。
曖昧な話をしたが里子は真意を理解した、幸せそうにアンミツを食べている
彼女になにか言おうとしたが、微笑しながら首を振るヨシアキを見て思い止まった。
”それどころじゃないでしょ、出征するって言ってるのに・・”とイライラしたのだ、
そんな”イライラ”を”なつみ”は感じたが、理由が分からなかった。
彼女は『ねぇ、あそこにある写真館って写真を撮ってくれるんだよね?』
と話題を変えてしまい、『記念に、3人で撮ってもらおうよ!』
突然の提案だが先の事を考えると、これ以上無いように思えて写真をとる事にした。
そして写真館から出て”なつみ”と”ヨシアキ”が、いよいよ別れなければならない時、
二人は、なかなかつないだ手を放せないでいた。そんな光景をみて里子は
「あなたは重病よ?暫く静養が必要ね・・ご自宅にお帰りになったら」さらに、
「寮母と、学校には、”わたくし”が報告しておきますから!」
もう、早く行け!と言いたげな里子に、なつみは『ありがとう。。』と言うと、
ヨシアキについていく事にした。
2-2-3
久しぶりに小笠原邸に帰って来た”なつみ”達を歓迎するパーティで
初めて婚約者として紹介されたのだった・・
冷やかされながらも無難にこなし疲れきった二人は寝室に向かった。
寝室には二つ枕が並べられ、意図は明らかだが”ヨシアキ”は、一つの枕を持って
部屋を出て行こうとした、、
『ねぇ、ようやっと、二人きりになれたんだよ?』
『それに。。まだ話し足りないよ・・』と言いながら手を握って制止し、
なつみは彼の背中におでこを付けた。
彼は頷くとベットに入ったが、二人とも背を向けたままなのだ。。
そして、里子が怒っていた訳と事情を正確に説明した、、
『私、待つね・・でも2回目よ?無事に帰ってきてね・・』”ヨシアキ”は指輪の入った
箱を渡し言うのだった・・
「ロシアとの戦争が終わったら結婚しよう・・」
『はい』と震える声で返事をした。
『ねぇ・・”ヨシ・・アキ様?私の・・・・・』そこまで言うと
”なつみ”は、旅と泣き疲れて寝てしまったのだ。そんな彼女に「興味あるよ・・」
そう言うと毛布をかけなおした。
次の日の朝・・ヨシアキはすでに出発してしまい”ぼんやり”と指輪を見つめながら
朝食を済ました、それから彼女はヨシアキとの思い出の場所・・荒れた山寺に向かい
頂上から見える海を見て寮に帰った。
寮に戻って、2週間に1度の手紙を待ちながら”隣のトトロ”を
パイプオルガンで弾いている時、慌てた里子が飛び込んできて電報を渡す。。
そこには、、「ヨシアキ、フショウ ジュウタイ」と打電されていたのだ。
『わたし!行かなきゃ!』走り出し教会のドアを開けた瞬間
”なつみ”は光に包まれて飛んだ!
2-2-4
彼女は病院のベットで目覚めた・・「気がついたか?」そう聞く声は
”タカアキ”だった『わたし!行かなきゃいけないの!』、『ヨシアキ様が!』
「落ち着け!もう少し寝てないと」暴れていたが”なつみ”は力尽きて眠ってしまった。
数日後”なつみ”と”タカアキ”は、荒れていた山寺に居た
『私、三日しか、意識を失っていないの?』
「三日”も”だと思うけど・・・」
『それに、どうして?ここが分かったの?』
”変な事をいう奴が現れたら”は省略して
「遺言だよ・・小笠原の菩提寺に連れて行けってね、でヨシアキ様って?」
『私の婚約者で、あなたの爺様でしょ?』笑顔で薬指の指輪を見せた
俺と言う恋人が居ながら、お前と言う奴はと首を振るのだった。
山頂に着くと”高田格三朗という老いた僧侶に桐箱を渡され
そして”祖父がお世話に・・”と言うと去っていった
箱の中には手紙と写真と指輪が入っていた・・・
”タカアキ”に里子とヨシアキそれに”私”が並んで写っている写真を見せると
驚いたようだ。
手紙は達筆だが”なつみ”には読める・・・
『タカアキが生まれているなら、”ヨシアキ”も、生きて帰ってこれたんだよね』
『ほんとうに良かった』・・そう言うと泣き崩れた。
里子からは、ヨシアキが5年も待っていた事、この桐箱は自分が提案した事
そして、、親友の恋人を奪った事の謝罪が書かれていた。
「他には?」
なつみは答えた
『本当に好きな人が出来たらこの指輪を渡せって・・』
「それって俺にくれるの?」
『私の事許せる?』
タカアキは頷いたそして、「だって、夢の事だろ?」
『でも”まだ”ダメよ!』そう言うと笑った。
少しムッとした”たかあき”に
笑顔で『ねぇ!卒業旅行何処に行く?』と聞くなつみだった。
おわり・・・
(´・ω・`)やぁ
またおあずけなんだ・・・殺伐とした世の中で、
”おあずけ”される喜びみたいな物を感じてくれたと思う・・・。
誤字。表現不足のなか読んでくれた人に感謝します。
新しいメイドの優衣って子が来るらしい!
それに(;´Д`)ハァハァ しているトコに投下するネタでもないので
終了する事にしたお。
おれも(;´Д`)ハァハァ したいからね。
それじゃ。。注文を聞こうか・・。
>>532 おあずけすなw
優衣はまだ来ません。
今名前がきまったばっかやんw
でも2〜3日うちには投下できるようにがんばるお。
>>532 あなたの文は日本語の文法からしておかしい。
「誤字」とか「表現不足」より、もっと初歩的なレベルの問題です。
まずは「読みやすい日本語の文」を学ぶところから始め、
「気の利いた文章表現」を追及していくのが正しい順序ではないでしょうか?
まとめると、「日本語でおk」
>>536 いっしょにがんばりましょう。
ちなみに自分はいろんなスレを飛び回ってるけど
まず勢いで書く→へんなとこ直すでやってるお。
けど最近はどうもギャグ方向へいってしまうんでたまにこゆスレで
エロ初心に戻るようにしてるんだ。
でもここはエロなしが結構多いよな
539 :
名無しさん@ピンキー:2006/11/06(月) 00:24:31 ID:JKrU7O4i
エロなんて飾りだからな
エロは飾りなのか?
エロパロスレなのに?
541 :
名無しさん@ピンキー:2006/11/06(月) 13:42:37 ID:FbzuF68p
エロの砂漠の中に、こんなスレがあっても良いじゃないか・・・・
そうなのか
ここはエロあり
萌えありだとおもっていたが
そうなのか
ここは萌え中心のエロなしが主流か
優衣タソはまだ半分しか書けてないがもう来ない方がいいような気がしてきたよ
・・・ま、注釈入れればいっか
×萌え中心
○メイド中心
でも板の説明見るとオリジナルはこっちのような気ガス
けれどそこを覗くとやはりエロメインはそっちのような気ガス
なんかわけわからんくなるな
「優衣はどっちのスレに行きたい?」
「うう・・優衣、処女だからあんまりえっちなのは恥ずかしいし・・・こっちでいいですう・・・」
「でもこっちのメイドさん達はなんだかしっかりものの清楚な人たちばかりだよ?
優衣みたいにお皿やコップを何十枚も割ってるようなどじっこメイドはいないし、
優衣みたいに大事なところをすぐにぐちょぐちょにしちゃうようないやらしいみっともないメイドさんもいないよ?」
「そんなことっ、言わないでくださいっ(もじもじ)」
「なに?またもじもじさせて。恥ずかしくて感じちゃったの?(ごそごそ)」
「ひゃうっ!?ご、ご主人様あ・・・そんなとこ、触っちゃいやあぁああぁっっ・・・」
「すごいね、もうこんなに溢れて・・・」
「あっ、あっ・・・ああんっ・・・」
「ねえ、どっちのスレがいいの?ちゃんと言ってごらん・・・」
「ふっ・・・う・・・っ・・・そんなの・・・決められません〜〜〜っ!」
・・・決められないようです。
もう寝よう・・・。
こっちにだってエロがあってもいいじゃないか!
むしろ欲しいぞ
あっちはメイドヘルス
こっちはメイドカフェ
カフェにエロはないだろ?
550 :
名無しさん@ピンキー:2006/11/07(火) 10:37:25 ID:L8SEHmTx
このスレは微エロなんだよ!
まあ、展開の仕方もあるし
作者さんにまかせるよ。
ここで、会いたいメイドさんがいるわけだし。
薫さんは忙しいのかな
どんなメイドだろうと血の色に違いはない
>>552 忙しいメイドさん。くるくる働くメイドさん。いいですなぁ。
そんなメイドさんに休暇を与える、
という名目でお仕事取り上げ。
「ちなみに私の血は緑色なのですが…」
と、
>>553の家のクールビューティーなメイドが申しておりました。
>>555 緑とゆーことは酸化銅で酸素を運んでいるのですね
と突っ込むメイド長
「ご主人様……。」
深夜、人気の無い廊下を渡り こっそりと主人の部屋に忍び込む。
屋敷内の他の住人には知られていないとは思うのだけれど
執事さんあたりは気が付いているかもね……。
お咎めが無いのは黙認か……戯れと思われているか……。
誰も知らない私の密やかな楽しみ。ご主人様の寝顔を眺めること……。
端整な顔立ちのご主人様の寝顔には彫像のような美しさがある。
「誰にも渡したくない……。」
そう願っても、何も行動できない私。出来ることといえば、こうして寝顔を見つめるだけ……。
いま、この瞬間だけは私だけのもの……。
そっと髪を撫でる。そうっと唇に触れる。
「はしたない女になってはいけないでしょうか……」
寝顔に問いかけて……そうっとキスをする……。
「おやすみなさい。ご主人様。」
続きは夢の中で……。
メイドさんで書くってけっこう難しいな
だれもいないのかな?
('A`)ノシ
いるよ。書いたり書かなかったりの途中
560 :
名無しさん@ピンキー:2006/11/19(日) 18:16:04 ID:nLSp5tAs
ゆかり嬢ちゃん復活を強く願います!
>557
続き書いてくれー!!
>>556 酸化銅は赤か黒ですよ
と突っ込まれて赤らむ556
ヘモシアニンって緑じゃなかったっけ?
メイドもの、初挑戦ですが投下してみます…!
「もう一年になるんだね。」
ご主人様が、窓の外を見ながらぼんやりとそんなことをおっしゃいました。
「何のことでございましょう」
わたくしは、本当に忘れていたのです。
「君がこの屋敷に来たのは、ちょうど去年のこの日ではなかったかい?アリス。」
「あっ…。はい。そうでございます、ご主人様。」
「一年間、よく頑張ったね。」
ご主人様は、とてもお優しい。
わたくしの目を見て、いつもにっこりを微笑んでくださる。
このお屋敷に来れてよかった、と何度思ったことでしょう。
「ありがとうございます。ご主人様にお仕えできて、アリスは幸せ者でございます」
深々とおじぎをしたとたん、ご主人様がクス、と笑われたのです。
「アリスはまじめだね。」
「あ、あのっ…す、すみません!」
「どうしたの。僕は褒めているんだよ。」
さあ、と言って、ご主人様はサンルームのソファから立ち上がられ、寝室へお戻りになられるとおっしゃいました。
ここのところご主人様は、お母上が亡くなられ、後を追うように父君が亡くなられ、さまざまなお仕事に奔走されたのがお体に触ったのか、お疲れの色が濃くなっておいででした。
お体を見ていただいたところ、過労と言うことだったものの、すこし精神的にお疲れなのではとお医者様も心配されておいででした。
わたくしたちも、ご主人様のそばにおりながら、特別な力になることはできず、無力さをただ感じるばかりでございました。
「ご主人様、寝室の御用意はできておりますが、お部屋が少し寒いかも知れません。わたくし、ストーブの火を見てまいります。」
「いいよアリス。ベッドさえあたたかければ僕はそれだけで眠れるんだから」
「でも…」
「わかったよ、じゃあ一緒にいこう。」
長い長い廊下を、ご主人様の後について歩いて行きます。
このお屋敷にお住まいなのは、ご主人様だけ。50をこえる部屋が有りながら、たったひとり。
これから冬なのに、寒くてなんだかお可哀相…。
ギィっと重厚な扉を開くと、大きな天蓋付きのベッドと、赤々と燃える暖炉の火が目に入りました。
「あたたかくてよかったよ、アリス。」
「はい、ご主人様」
「アリス、忙しくなければしばらく私が眠るまでそばにいてくれないか」
そんなことは、初めてでございました。
いつも凛としているご主人様ですから、そのような、まるでちいさなお子さまのようなことをおっしゃるとは夢にも思いませんでした。
「わ、わたくしでよろしければ…」
「そう。よかった。アリスがいいんだ、僕は…。」
ご主人様は、わたくしより3つ年上でいらっしゃいます。
いちばん年が近いと言うことで、お茶のお相手や、ゲームのお相手など、他のメイドには言いつけにならぬような事でも仰せつかってまいりました。
けれど、寝室にはあまり入った事がなく、いつもはメイド長や執事が出入りしておりました。
今日は成行きとはいえ、少々緊張してしまうのは仕方がありません。
「アリスは、何か悩みごとがある時は、誰に相談するんだい?」
「わたくしに悩みなどございません…。ですが、もしそのような時は、故郷の母に相談します…」
「そうか。アリスのお母さまは御健在なんだね。」
「す、すみません、わたくし……」
「いいんだよ、僕は母がいないことをいつまでも嘆いているわけではないのだから」
「申し訳ありません…」
ご主人様がひろいベッドにお入りになるのを手伝いながら、わたくしは何度か謝りました。
「ねえアリス。君はベッドをあたためたことはある?」
「えっ…?ベッドをあたためる、ですか…」
「そう、冷たいんだ…このベッドは。」
「失礼しました、ただいま炭を持ってまいります!」
後ろを向こうとした腕を、ご主人様がとても強いお力で掴まれました。
「こんなことをいうのは卑怯だとは分かっている。」
ご主人様の、まっすぐで、お強くて、でもどこかお寂しそうな瞳が揺れておられました。
「わたくしがあたためるだなんて、そんな…いけません、わたくしはメイドでございますご主人様」
「そんなことは分かっている。アリス。」
わたくしの腕は解かれましたが、わたくしはそこから動くことができませんでした。
いつもお1人で頑張っておられるご主人様が、わたくしのまえでしずかに涙を流されておられるのです。
わたくしは、お咎めを受けても構わないと心に決め、ご主人様の御髪をそっと撫でて差し上げました。
いつも陽の光を受けて柔らかに輝く御髪は、今日はすこし乱れておいででした。
ご主人様は、わたくしにしがみつき、わたくしの胸で声を殺しながら泣いておられました。
「すこしお疲れなんですわ…ご主人様…」
ご主人様のベッドの中へ引きずり込まれることに、わたくしは抵抗できませんでした。
わたくしが、少しでもお慰めできるなら…。
一年前の今日、初めてお顔を拝見して以来、わたくしはずっとご主人様が好きでした。
こちらから思いを打ち明けることなど、できるわけはないのに。
お茶の時間、お夜食の後のチェスの時間、毎日ではないもののお声をかけていただけるのが嬉しかった。
ワインセラーをお見せいただいた時も、うす暗い部屋に二人きりになることに、どれだけ緊張したことでしょう。
自分のはしたなさに落ち込んだり、またご主人様の優しさに触れて元気になったり…
そんなことの繰り返しで、今日まで来られたのでございます。
広いベッドの中で、わたくしに覆いかぶさるようにしながら力一杯に抱き締めてくださるご主人様。
しばらくするとおちついたのか、わたくしにふわりと優しくくちづけてくださいました。
「ご主人さま…」
「ごめんアリス…」
「そんな…ご主人様が謝るなんて…いけませんわ…」
「アリスの事がどうしても頭から離れなくて…ずっとこうしたくて…」
フリルのついたエプロンは取り払われ、黒いワンピースのファスナーを下ろすご主人様の手にぞくっと震えてしまいました。
やがてワンピースが抜けて、わずかに残ったものを、優しく撫でるようにご主人様が剥いでゆきます。
ひんやりとした手の感触に、思わず…
「あっ……」
「ごめん、手が冷たくて…」
「い、いいえ…だいじょうぶですご主人さま…」
「アリスの肌はさらさらして気持ちがいいね…。それに、いい香りがする」
くるくるとご主人さまの手が身体中を這い回り、わたくしは感じるままに声を出してしまいました。
「あ…ぁ……っ、ご、ご主人さま……っ」
「アリス…」
最後の布が取り払われ、ご主人様はわたくしの茂みにゆっくりと指を差し入れてゆきます。
あつくて、心が破裂してしまいそうなくらい…
「ああぁんっ……」
「いい声だね、アリス…」
ご主人様は少し嬉しそうに、長い指をすすめて来られます。
身体中の熱がそこへ集中してゆくのがわかります。
もう、わたくしはどうすることもできず…ただ、狂ったおもちゃのように何度もご主人様を呼び続けます。
「わ、わたくしだけこんな……ご主人さま、も……あっ…!!」
寝巻きを脱がれ、傾いた陽にご主人様のからだが陰になっておられました。
細いのにこんなに逞しいなんて…。
何度もわたくしの唇を吸われ、胸に顔を埋め、足を絡ませるご主人様が、いつもと随分違って、すこし怖いようでもありました。
初めて経験する、大人の男性…
「アリス…君は、初めてだよね…?」
「は、はい…もちろんでございます…」
恥ずかしくて、もう言葉になりません。
「アリス、好きだよ…ずっと好きだった…」
ご主人様はそう囁かれると、その優しさとは裏腹に、その力強い部分をわたくしに押しあてられました。
鈍い痛みと、それに続く引き割かれるような痛みに、わたくしはご主人様にしがみつくしかありませんでした。
「ご、ご主人さま…っ!!」
「すこし我慢して…アリス…痛いだろう…痛いだろうけど…もう少し……」
「はい……あッ!!!」
熱くて、太いものが何度も何度もわたくしの中を往復し、痺れるような甘い痛みを残してゆきます。
互いの蜜がくちゅくちゅと音を立て、ご主人さまがとおくでわたくしの名を何度も呼んでくださいます。
「アリス…アリスっ!!」
ふっくらと大きくなった胸をご主人さまの大きな手に包まれ、心地よい刺激に我慢しきれなくなった声がますます大きくなってゆきます。
「ああっ、ご主人さまぁっ……!それ…以上は……はぁんっ…!!」
「う……ッ!…ア…リス…っ!!」
鈍い痛みがやがて甘い痛みに変わり、甘い痛みは激しいまでの官能を呼び覚まし…
わたくしは、ご主人さまに何度となく突かれながら、絡み合った脚を解くことができませんでした。
もっとご主人様によくなっていただきたい。
その一心で…。
やがて、激しいご主人さまの動きが一瞬止まり、すぐにドクン、ドクン、と痙攣したようにわたくしの中が弾けました。
とろりとした感触が、わたくしの脚を濡らしてゆきます。
「ご主人さま…おなかが…あつくて……」
「アリス…」
ご主人様は、わたくしを力一杯抱き締められ、何度も、何度もキスをしてくださいました。
ご主人さまをわたくしの肌が、ぴたりとくっついて、その柔らかさに酔ってしまいそうです。
初めての事なのに、全然嫌なことはありませんでした。
それからは、お茶の後やお休み前にご主人様の寝室へ出向くことが多くなり、その度にご主人様はわたくしをベッドの中で抱き締めてくださるようになりました。
この前は、朝のお茶をお持ちした時にも…
でも、それはまたこの次のお話といたしましょう。
おしまいです。
GJ!
なんかしみじみとエロくて(w
いい味わいの作品でした。GJです。
GJです
576 :
名無しさん@ピンキー:2006/11/26(日) 20:26:52 ID:Ume6FUZr
ああ! 投下きてる!
しかもGJ!
人がいるw
>>561 1レス以上書いたことねーーーーーーー!
578 :
253:2006/11/28(火) 16:55:09 ID:Ro4a1Qud
薫さんのエロって、書いてもよいものでしょうか。。?
>>578 流れと必然性があれば
あの二人はもう出来上がってるも同然ですから
あとはきっかけでしょうね
続き超キボンウ!!!!!111
百合さ〜ん、クリスマスの準備は進んでますかぁ?
どうもお久しぶりです。
天気予報で雪マークがだいぶん南下してきましたね。
……。
というわけで書きあがりました。
長いです。すいません。
誤字脱字の類は大目に見てください。
この話は、時代は19世紀末、世界に覇を唱える大英帝国の大首都である大倫敦に、
珍しくも極東の島国日本からやってきた柔道少女田村ゆかりが、
珍しくも偶然に馬車にはねられ記憶を失って、
珍しくも倫敦の一般家庭の女中として働くこととなり、
珍しくもなんともない騒がしく楽しげな毎日を送るという、
なんだか珍しい話である。
1 買い物帰り
11月のロンドンの空は、どんよりと厚い雲に覆われていた。
天蓋のような雲の下に広がる街は、雲の色を映しているかのように、ことさらくすんで単調に見える。
黒い髪の少女と、さらに小さな少年が、その空の下を歩いている。
雪が降りそうだ、夕飯の材料を満載した買い物かごを持った日本人少女、田村ゆかりは陰鬱な空を見てため息を吐いた。
蚤の市で安く買えた――一般的な雑役女中にも手が出る程度の値段の――ケープとひとそろいのコートは、
値段の割りに暖かいが、頬を撫でる外気は冷たく、肌が張り詰めて強張る。
今日の夕飯は茹でた豚肉とジャガイモ、茹でた人参に豆のスープにしようと考えていた。
寒くなって、暖かいスープがおいしい。
使用人が自分一人しかいないダーヴァレイ家では、必然的に調理も自分の仕事である。
買い物からの帰路だ。
歩きながら、家に帰ってからの調理の手順を思い浮かべようとしたが、手順よりもむしろ、
想像はあたたかなスープの完成形に取って代わられ、頭の中をいっぱいにした。
柔らかく立ち上る絹のような湯気と、ちくちくと鼻腔をくすぐるスパイスの香り、
自身も十分に熱くなった金属のスプーンを口に含んだ瞬間に広がる滋味と暖かさ。
調理の手順を思い浮かべるうちに、彼女の頭はそれらのもので埋められてしまった。
早く帰りたくなって、足を急がせた。
こうなると、その味が楽しみで、今の寒さや冷たさもむしろ好ましいものに思えてくる。
いま寒ければ寒いほど、身が冷えれば冷えるほど、夕食の暖かさは耐え難い魅力を持って自分を包むだろう。
それを思い、質素な女中服の中に隠されたしなやかな身を縮めながら、ゆかりは口元だけで笑った。
ゆかりは冬が嫌いではない。
もちろんこの、身を刺す寒さが好きだというわけではないが、なにかこう、気温が徐々に下がって
「冬のにおい」とでも言うべきものが感じられるようになると、心がなぜかわくわくとしてくるのだった。
その心の作用が何に起因するのかはよくわからないが、ひょっとすると失われた記憶
――日本での生活の記憶――に、なにか関係するのかもしれない、
それが何かを思い出そうとしても、まるで濃い霧の中に手を突っ込むように、ひやりとしたものが手に触れて
その中にある確かなものを取り出す前に、それは逃げていってしまう。
ただ「ある」ということだけはわかるが、それが何か、どのような色形をしたものか、
取り出して眺めることは出来ない。
伸ばした手には記憶の匂いだけが残る。
彼女にある鮮明な記憶の中で一番古い物は、まだ暖かい季節、黒い闇がガス灯に照らされた夜、
玄関先で、今、自身の目の前を歩く少年と会話した記憶だ。
「ゆかり――、私の名前、田村ゆかり」
そのとき彼女は、自分でも忘れていた自分の名をすらすらと口にしていたのだった。
「へぷちん」
その少年――ティム・ダーヴァレイは、後ろからゆかりに見つめられていることにも気づかず、
素っ頓狂な声を上げた。
彼はゆかりよりも4つ年下であり、まだ十歳であるので、身長はゆかりの肩ぐらいまでしかない。
かぶっている鳥打帽が少し大きく、いつも何かの拍子につばが目のところまでずり下がってしまう。
ゆかりがそれをかぶせなおすと、さらさらと金糸の様な金髪が揺れた。
瞳は、海か夏の空のような澄んだ「紺碧」という表現の似合う澄んだ色で、
寒さのために赤くなった頬は、子供らしくぷっくりと丸く、小さな形のいい耳が、
これも寒さのためだろうが、痛々しく赤い。
「うぅ、さむい」
言いながら彼は、小さな手の甲で鼻の下をごしごしとぬぐった。
どうやら今の声は、彼のくしゃみの音であったようだ。
彼の父が放つ、大砲のようなくしゃみに比べて、なんと可愛らしい声だろう、と、ゆかりは思う。
彼は父よりも母親に似ているようだ。
暖炉の上に飾ってある写真の中で静かに笑っている彼の母親は、彼を生んですぐに亡くなってしまったと聞く。
彼自身は彼の母親の顔も覚えていないようだが、その面影は白黒写真のおぼろげな姿よりもむしろ、
彼自身の顔立ちの中に見出すことができる。
本人はそのことをわかっているのか知らないが、今はとりあえず、
形のいい鼻からひっきりなしに垂れてくる鼻水を一生懸命にすすり上げている。
「寒いですか、坊ちゃま」
「さむいね。ズズ。早くかえってあったかいお茶が飲みたいな。ズズ。いれてね、かえったら」
鼻をすすりあげながら喋っている。
ゆかりがふところからハンカチを渡すと、ティムは勢いよく鼻をかみ――ハンカチに鼻をかむのはイギリスでは普通の風習であるが――
黙ってそれを自分のポケットに突っ込んだ。
「ええ淹れましょう。暖かいの。そうだ、ショウガも買ってきましたから、中に入れましょうか」
「……いいよ、あれ、にがてだし」
「あったまりますよ?」
「いいって。お茶はお茶、しょうがはしょうが。べつものだもの」
やはり小さいながらも彼は生粋の英国人で、自分の飲む紅茶に対しては、なにがしかのこだわりというものがあるらしい。
「そうですか……あ、また」
ティムはさっきから、自分の手もポケットに突っ込んだままにしている。
「そうやってポケットに手を入れてて、転んでも知りませんよ」
「……さむいんだもん」
「その状態じゃ、受け身も取れませんよ?」
あのように両手が不自由では、もし転んだり投げられたりした時に、思うように受け身を取ることができない。
それは必然的に怪我につながるだろう。
「うん、ころぶのはともかく、そうそう投げられることもないだろうし……ウケミはもとからできないし」
ゆかりは、ティムを含む英国人にはほとんど魔法のように見える技術「ジュードー」を自在に操り、
小さな女の身でありながら、体重が倍ほど有るような大の男ですら投げ飛ばす力を持っている。
そんな彼女がまず受け身の心配をするのは自然といえば自然のことであった。
しかしまあ、ティムにとっては不自然といえば不自然のことであったかもしれない。
「さむいんだから、しかたないじゃん」
ぽつりと言って手はそのままポケットに突っ込んだままにしていた。
ゆかりはそのティムを見て、自然に手を差し出した。
「はい」
「……なにその手」
ティムは首だけで振り返り、その手を眺めて、興味のなさそうな顔で聞き返した。
「わたしの手、暖かいですよ。中で暖めてましたから」
「……やだよそんなの、恥ずかしいもん」
ティムはそう言うと顔を前に戻し、首をすぼめて歩き続けた。
む、かわいくない。これが反抗期というものかしら。
ゆかりは、寒い中に放り出した自分の手をこのままひっこめるのもしゃくだと思った。
人の好意を素直に受け取らないなんて、もう。
少し前を歩くティムの後頭部を見ていると、いいことを思いついた。
その頭にくっついている、赤くなってしまっている小さな耳に、ほかほかした両手を重ねた。
ゆかりがティムの耳を両手で包むようにすると、ティムの体がびくっとした。
小さな耳はやはり、かたく冷たい。
「暖かいでしょう」
自分の手が耳をふさいでしまっていて聞こえてないのかわからないが、
ティムは返事もせずにそれを押しのけようとした。
ゆかりは後ろに伸びてきたその手を掴み、ぎゅっと握りなおして、それから手をつないで歩いていった。
最初は冷たかったティムの手も、ゆかりの手の熱が移って段々と暖かくなっていった。
ゆかりが微笑みかけると、ティムは恥ずかしそうにぷいと横を向いた。
それでも二人が家に着くまで、ティムがゆかりの手を離すことは無かった。
2 家庭教師
暖炉にくべられた石炭は静かにその身を燃やし、石で作られた煙突と壁と部屋全体を暖める。
ティム・ダーヴァレイは上唇を突き出して、ティーカップの中の紅茶をすすった。
熱い。
舌がやけどしそうなほど熱いけれど、今はその熱さがありがたいと思った。
今まで北風が吹きすさぶ外を歩いてきたのだ。
ゆかりに強引に握られていた右手だけはぽかぽかと暖かかったが、やはり室内に入ると
その暖かさで、逆説的に外の寒さがわかる。
その寒い中へ買い物に行って帰ってくるのは、寒いのが嫌いな彼にとってはなかなか
大変なことだったが、それでもその中にずっと立ち尽くす羽目になった老人を見ると、
自分の境遇はまだましだったと思わざるを得ない。
ティムは、神様から命を受け取るように大事に紅茶をすする、自分の家庭教師を見た。
マーロットはショウガの入った温かい紅茶――普通なら熱すぎるほどの温度に淹れられたもの――を一口すすると
「生き返るようじゃ……ほんとうに、生き返るようじゃ……」
と、心からそう思っているような声を出し、しわだらけの顔のしわをさらに深めて、
顔中が鼻をかんだ後のハンカチのようにしわくちゃになった。
「よかったねぇ、しななくて」
ティムも自分のティーカップをすすり、老人の九死一生を喜ぶ。
死にそうな顔をしてなかなか死なないものだと、なかば本気で感心した。
「本当に、申し訳ありませんでした」
ゆかりはその二人の間で、平身低頭、先ほどから謝り続けている。
両手を体の前で組んで、ほとんど頭と膝こぞうがくっつくまでに体を折り、
白いヘアバンドに押さえられていない部分の黒髪が逆立って、床に向かって垂れ下がっている。
奇矯なあやつり人形のする礼のように、ゆかりはとにかく頭を下げ続けた。
英国人が――特に女性が――人にわびるために、軽く体を折ることはあっても、
これほど「頭を下げる」ことはほとんどない。
これはおそらくユカリの国のやりかたを、自然と思い出しているか、体が覚えていたのだろう。
あとで聞いてみようとティムは思う。
ゆかりは他の誰に聞かれても思い出せないようなことを、ティムがたずねるとすらすらと、
忘れていたことを忘れているかのように話し、記憶を取り戻すことがある。
そうやって、ゆかりが記憶を取り戻す手伝いをするのがこの家でのティムの役目だった。
ゆかり沈痛な表情で、何度も何度も頭を下げている。
彼女が頭を下げるたびに、黒く重たいスカートの裾と、エプロン白いリボンが揺れて、
ティムはなんとなく面白く感じて、ずっとそれを見ていた。
「よかった……生きてて……わしゃあ……ここで死ぬかと……ばあさんよう……」
マーロットは心から自分が生きていることを喜んでいるようであった。
なぜこの老人がこうなったかという顛末は、以下のとおりである。
ティムはたまに、自分の家のメイドのまぬけさ加減に頭がほんとうに痛くなることがある。
ずっと歩いていってティムの手があったまり、ほんのり汗ばんだくらいで、二人は家についた。
ゆかりは、家の玄関の前に人影があるのに気づいた。
その人影はどうやら男であるようだ。
間違いなく自分の家の前で、小刻みに震えている。
怪しい――
ゆかりはぎゅっと、ティムの手を握る力を強めた。
が、その気構えは人影の正体がわかると同時に、すぐに解かれた。
人影の正体はティムの家庭教師、マーロット翁であった。
「ユユユユユユユユユユユユユユユユ、ユカリちゃん……」
震えている。
顔色は土気色をしてほとんど生気は無く、彼が蝋人形だといえば100人中50人は信じたろうし、
彼がすでに往生した、神に召された身であると言えば、100人中90人は信じたろう。
「ど、どうしたんですか先生!!まるで死人みたいな顔色ですよ!」
「どどどどど、どうしたもこうしたも……」
マーロットは口がうまく回らずに、何とか喋ろうとしているようだが、
その努力は自慢の口ひげを震わせて、隙間風のような音を鳴らすだけで終わっている。
まさかこの寒空の中でずっと立ち尽くしていたのだろうか、
マーロットはいかにも寒空の中でずっと立ち尽くしていた人のように棒のような体を震わせているし、
口からカチカチと音がなるのは歯の根があっていないせいだろう。
「きょきょきょきょうは……」
「ハイ、きょきょきょきょきょうがどうしたんですか!?」
ゆかりは震える口ひげとあごひげの間から、なんとかマーロットの言葉を聞き取ろうと耳を近づけた。
「おおおおお、遅れるだけで、じゅじゅじゅ、授業自体は、あると言ったじゃ、
じゃじゃ、ろう、ろうろうろう」
「はい、おおおおお、遅れるだけでじゅじゅじゅ授業自体はあると……なんですって?」
ゆかりはティムを見た。
ティムは呆れ顔でこちらを見返している。
「言ったじゃん、だから。家にかぎかけちゃっていいのか、って」
ゆかりはまだティムを見ている。
「そうしたらユカリ『何言ってるんですか、最近物騒なんですよ。特に戸締りには気をつけないと』って、指差しかくにんまでして出ていったんじゃん」
「とととととと、とうし、とうしする、るるる、ところ、ろろろ、じゃった、たたた」
ゆかりは、たっぷりと間をおいて、さも今思い出したという風情で、手を打った。
くべられた石炭がごうごう燃える暖炉の上で、亡き母が笑っている。
「いやぁ、あやうく先生もママのところに行くところだったね」
「……申し訳ありませんでしたってば」
マーロットはが両手で持ったティーカップをあおるように飲み干すと、
そのふさふさした髭の間から、長い長いため息が吐き出された。
「ああ、生き返った」
まったく文字通りの意味だとティムは思った。
「せ、先生、もう一杯いかがです?」
ゆかりはぎこちない笑顔でマーロットの手からカップを受け取り、ポットから茶を注いだ。
笑ってごまかすのはゆかりの得意技だな、とティムは思ったが言わなかった。
二杯目の紅茶を半分ほど飲んでから、マーロットはようやくこちらを向いて喋りだした。
「さてと、ティム坊、遅くなってしまったが授業を始めようか。宿題はやってあるかの」
「うん、ばっちり」
ティムは自信満々で持っていた紙を広げた。
インドを含むアジアやアフリカ、オーストラリアなどさまざまな地域が赤色に塗られた世界地図が、
机の上に勢いよく広げられた。
左右どちらも180度までの緯度が、イギリスを中心に広がっている。
もとは全てがまっしろな世界地図だったが、イギリスの勢力の及ぶ範囲を赤色で塗っていくと、
それぞれが飛び飛びではあるけれど、ほとんど世界中の大陸にクレヨンの赤が塗られた。
マーロットはそれを西から東、北から南に、メガネの奥を光らせて眺めた。
「うん、ようできとる」
「へへ、じつはパパにすこし手伝ってもらっちゃった」
マーロットは胸ポケットに差し込まれた、年季の入った万年筆を取り出し、手帳になにやら書き付けた。
「ティム坊、今日はまず一つマル……と」
学校のように成績表をつけるわけではないだろうに、彼はそうして日々のことを記録している。
マメといえばマメなことだ。
手帳をしまうと、マーロットは所々まだらに赤くなった地図に視線を戻した。
それにしてもよくもこれほど世界中に勢力を伸ばしたものだ。
世界一の帝国の名は伊達ではない。
今となってはけっこうな昔に、一人の技師が、ストーブの上のやかんから発想した機関が
鉄道になり船になり、船は軍艦にもなって、大英帝国の隆盛を作った。
全てはひとつのやかんから始まったといっても過言ではない。
サー・アイザック・ニュートンの頃から、この国の人間は別のものから何かを発想する能力と、
その発想を現実の形にする能力に長けているのかもしれない。
やかんから始まった革命はイギリスを変え、お向かいの国フランスを変え、
そのおとなりの国やら親戚の国やらを変えヨーロッパを変え、世界を変えた。
煙を吐く鉄の船はあっという間に世界を駆け巡り、こうして世界中の人や物、
珍しい文物がこのイギリスに、さらにはその首都ロンドンに集められてくるのだ。
というようなことを、マーロットは言った。
どうやらこれが今日の授業の内容であるらしかった。
「これはおそろしく不遜な言い方になってしまうが」
とマーロットは前置きをしてから言った。
「紀元2世紀ごろの世界の中心がローマ帝国であったとするならば、
現代に於いてその地位は間違いなくこの英帝国ということになるじゃろうよ」
その言葉はティムには素晴らしく誇らしいものに聞こえたが、マーロットはなぜか
あまり嬉しくないような顔をしていた。
「今日、この大英帝国には、物が溢れ人が溢れ、金が溢れておる。じゃが、それがいいことか悪いことか、
最近、わしにはよくわからなくなってきた」
「……どういうこと?お金も物も、人だって、ないよりあるほうがいいし、いろんな人がいたほうが、楽しいじゃない」
ティムにはマーロットが言っている意味がよくわからなかった。
マーロットが嘆いていることについてはよくわからないが、ティムはこの国が豊かでよかったと思っていた。
豊かであればこそ、インドやチャイナのものが買えるし、それはどれも素晴らしいものだ。
どこに嘆くところがあるのだろう、簡単な話じゃないか。
お茶に砂糖が入れば甘い、幸せ。
イギリスが豊かだ、ってことは、そういうことだろう。
「そうじゃな、たしかにアジアから入ってくる品物はわし達の生活を豊かにしてくれるかもしれん。
しかし、精神においてはどうじゃ」
「せいしん……?」
マーロットはしわしわの手の中の、同じように年季の入った古い万年筆を握りなおした。
マーロットはまず、地図の右端にある小さな島――これはティムも覚えた――に指を置いた。
そこに赤色は塗られていない。
「……ニホンだね」
そこから指を南西にすっと動かし、小さな島と半島があるところで止めた。
「それは……どこ?」
「香港じゃよ」
「ホンコン?」
「うむ、まだわしが若い頃にこの島はイギリスのものとなった」
「それって……何十年前?」
マーロットが「若い頃」?そんなことがありえたのだろうか。とても信じられない。
「そうさのう、ざっと50年ほど前かのう」
「そりゃまた、ずいぶんと……古い話だね」
「そう、古い話じゃ。しかし今思えばあれが一つの別れ道じゃった。あの頃のわしは、そんなことは思いもよらなんだがのう」
マーロットは遠くを見ている。
若い頃を思い出しているのかもしれない。
今日のマーロットは何か変だと思う。
死にかけて、なにかが脳に来たのだろうか。
「ふぅん、まあいいじゃんいいじゃん、そんなむかしの話は」
そういったティムの言葉に、マーロットは視線を伏せた。
小さなため息をついた後、伏せた視線をティムに向け、ゆっくりと話し始めた。
「昔の話か。そうさの。たしかにティム坊にとっては大昔の話じゃろう。
何しろ自分が生まれて今まで生きた5倍の長さも昔の話じゃ。
だがな、わしにとっては、一続きの話なのじゃ。あの日受け取った新聞の浮かれた記事と、
今日のイギリスはずっと地続きで、どこも途切れてはおらんのじゃ。それを――
――それをティム坊、わかって欲しいんじゃよ」
マーロットは、ティムを見つめるようにして言った。
ティムはその瞳の奥に、確かにこの老人がたくましい青年だった頃をかいま見たような気がした。
そのころもイギリスは、その国家的視点を世界に向け、着々と国力を強め、
世界にその勢力を伸ばそうとしていたはずだ。
おそらくマーロットも若い頃、その野心を自分の物として、この国が強くなるほどに喜び、
その力に同調して、世界に覇を唱えんとする、世界の中心になろうとするこの国に、強い誇りを感じていたのだろう。
しかしなぜか今、それを、誇りというよりも何か疎ましいもののように感じている、
マーロットが話したことと、それよりも、マーロットが自分を見つめる目から、
ティムはそんなふうに感じた。
それはやはり自分には釈然としなかったが、釈然としないのと同じくらい、
マーロットの気持ちが伝わるような気もした。
ティムはマーロットの目を見たまま、小さなあごをこくりと傾けた。
「この国は、強い」
マーロットは諭すような口調で言葉を繋げた。
「そのことを、お前は誇りに思っていい。それは、ティム坊の父さんや、さらにはそのお父さん、
ずっとずっと、連綿と続くこの国の人たちが賢明に頑張ってきた、努力のその結実じゃ。
だからそのことは誇りに思えばよい。けれど……」
「この国は、強くなりすぎたのかもしれん」
マーロットは視線を落として、何かを諦めるように、ため息をついた。
3 首のない男
玄関の方から、ごつごつというノックの音が聞こえた。
「……はーい」
ゆかりは台所で大きな鉄製のコンロ――キチナーと呼ばれるやつ――を前に、
夕食の準備にいそしんでいたところだった。
外はもうずいぶんと暗くなっている。こんな時間になんだろう。
あとはもうスープを温めて豚肉をゆでるだけで夕食はほとんど仕上がるというのに。
めくり上げていた袖を下ろし、外してたカラーをつける。
帰ったばかりの台所は寒かったが、こんろに火を入れるとすぐに暖かくなった。
おまけにその前に立って鍋を振ったりしていたのだ。
エプロンはまあ、このままでいいだろう。こんな時間に前触れのない来客だ。
わざわざ来客用の、フリルの装飾がついたものに着替える必要もないだろう。
……めんどくさいし。
ゆかりが廊下に出たあたりで、ノックの音がもう一度響いた。
せっかちな人だな。郵便配達夫が速達か電報でも持ってきたのかもしれない。
主人の仕事場へ届くべき書類や手紙が、こちらへ届いてしまうことがたまにある。
「ちょっと待ってね郵便屋さん……」
しかしゆかりが扉を開けた先に立っていたのは、立派な身なりと体格の、太った男だった。
服はその体をぎゅうぎゅうに押し込めたようにみっちり膨らんでいて、ほっぺたは今にも
落ちてしまいそうなほどたるんでおり、なによりゆかりが驚いたのは、その首がほとんど見当たらない――
無いわけではないのだろうが、ぜい肉がつきすぎて首と顔と体に段差がないのだった。
「申し訳ありません、お待たせしました……ええと、あの……」
ゆかりは遠慮がちに大柄の男の様子を眺めた。
天辺の丸い帽子をかぶった男は、牛乳瓶の底のような分厚くまんまるい眼鏡をかけていて、
右手には大きな革のトランクをさげていた。
「どのような、御用向きでしょうか」
首のない男は、顔を満面の笑みに固めたまま山高帽を少し持ち上げると、
不気味に吊りあがった三日月みたいな口を動かした。
「おや、これは可愛らしいお嬢ちゃんだ。奥様に取り次いでいただけるかい?」
この家に奥様はいない。ずっと昔に亡くなってしまっている。
「……あの、どのような御用向きでしょうか」
ゆかりは猜疑心を隠さずに男を見たが、男は鈍感なのか神経が太いのか、視線を気にしていない様子だった。
「それにしても可愛らしいお嬢さんだ。シナ人かい?」
「いえ、私は日本人です。あの……」
「へぇ、ニホン!珍しい!そうか、ウタマロの国だな。そりゃあ美人が多いはずだよ」
「あの、我が家にどのような御用件でしょうか。それを伺わなければお通しする事は――」
『我が家』ということを自分で言って、ゆかりは少し嬉しいような、誇らしいような気持ちを感じた。
間違ってないのよね、べつに。
心の中でもう一度確かめて、もう一度強く言った。
「お客様、我が家に一体どのような――」
「うるさいなぁ、いいから早く中に入れてよ。寒いんだよこっちだって。
僕が話したいのは下女なんかじゃないんだよ。わからないかな?」
男は今までと変わらない笑顔で、無遠慮にそういった。
「な――」
ゆかりは途中で言葉を止めた。怒りよりも早く、背中にぞっとするものを感じたのだ。
太った男の、頬肉に埋もれるような細い目だけが笑っていないのだった。
怒りというよりも気味悪さを、人ならぬ妖怪のような不気味さを、ゆかりはその男から感じた。
「ま、とりあえず話だけでもさ。聞いてくれたっていいじゃない」
「しかし――」
今は客間をマーロットが授業に使っている。
まさかこの、正体のわからぬ男を居間に通すわけにも行かない。
やはりここは帰っていただこう、主人――ティムの父、ジョン――の、仕事の関係ならば
まず家より事務所のほうへ話をしにいくのが筋だろう。
「申し訳ありませんが、お客様――」
「おお、これはこれは、ご主人様ですかな」
ゆかりが頭を下げようとしたとき、太った男は声の調子を上げた。
振り返ると、マーロットが玄関ホールまで出てきていた。
「先生、どうしたんですか」
「わしらならかまわんよ。訪問販売の手合いじゃろう。これも勉強になる。お通しして差し上げなさい」
マーロットはそう言ったが、ゆかりは何となく嫌なものをこの男から感じ取っていた。
段差のない首、厚く丸い眼鏡、笑わない細い目――すべてがゆかりに嫌悪感を持たせたが、
それよりも強く感じていたのは、表層でない、もっと深いところから湧き上がるような、
強烈なものだった。
例えて言うなら清掃のなっていない厠のような――見えるところの汚れは、確かに汚いが、
この男はさらに深いところに汚いものを持っていて、それを必死で隠そうとしている、
そんな感覚をゆかりはもったが、確信のないことなのであまり強く反発するのもためらわれた。
「先生がよろしいのでしたら……」
「ああきみ、わしはこの家の主人じゃないが、かまわんよ。あがりなさい」
「よろしいので?それはそれは、たいへんありがたく存じます。では、失礼して」
男は山高帽を外し、中に入るマーロットについていった。
髪は東洋人のように黒く、禿げて、脂ぎった地肌が見えていた。
男は小さく何かを呟きながら、帽子をゆかりに投げるようにして渡した。
ゆかりはその呟きを聞いて、最初は意味をつかみそこねた。
男はこう言ったのだ。
「黄色く、汚さないでくれよ」
ゆかりを見下ろして、そう言ったのだった。
――あの細い目で!
ゆかりはカッと頭に血が上るのを感じたが、男の、分厚いグラスの奥の細い目を思い出すと、
怒りが気持ち悪さに変わって、吐き気のような感情を覚えた。
ゆかりが新しい茶を入れたポットを客間に持っていくと、太った男は見かけにあわない
冗舌さで、マーロットを――傍らにはティムもいる――相手に、べらべらと勢いよく喋っていた。
「――ですから、こちらの商品は、お若い方から御老人まで、どの年代の方にでもオススメできる
大変素晴らしいものでございまして、かのマリー・アントワネット妃もこちらの商品を
お使いになられていましたとかいうお話も残ってございます。どうですか、先生、
こちらの商品、奥様に」
マーロットは返事をする代わりに、興味なさそうに瞬きをした。
「あ、左様でございますか、そうでしたら、お次はこちらの商品なんかはいかがでしょう。
効果抜群、痩身クリーム」
マーロットの無反応に男は一瞬むっとしたようだが、めげずにトランクから商品を取り出して続けた。
ティムがつまらなそうにあくびをした。
暖炉の前に座った男は、暑すぎるのか、体じゅうから大粒の汗を流している。
ゆかりが茶を渡すと、目もくれずにそれをうけとり、一口すすって
「熱っ」
と舌を出した。
マーロットに茶を出すと、耳に口を寄せて、話しかけてきた。
「化粧品のセールスじゃよ。そんなものをわしに売りつけようとしても、無駄だというのがわからんかのう。
あんなもの、ばーさんも喜ばんし……そうじゃ、ユカリちゃん、一つ買ってやろうか」
「御冗談。そんないいもの頂けませんし、買っていただくなら、この人でない、別の人からにしますよ」
ティムは横で、眠たそうに話を聞いている。
男はそれを見て、鳥肌の立つような猫なで声でティムに聞いた。
「ごめんねボク、ボクにはちょっとつまらないお話だよね。ぼくのお母さんは、いつ帰ってくるのかな?」
「あ、――その、うちは――」
ティムは視線をあっちにやったりこっちにやったり、なんと答えてよいか困っている様子だった。
「お前さん、そんな良いクリームがあるのならまずは自分の体に塗ったらどうじゃ。
おぬし、若いのに太りすぎじゃ」
意外と自分の体型を気にしていたのか、マーロットがいったその言葉に、
男はさらに激しく汗をかき、体を震わせた。
「ハ、はぁ。ですがこちらのクリームはご婦人用でして……」
男のこめかみに青筋が浮き、小刻みに震えているのをゆかりは見た。
どうやら怒っているようだ。
さっさと帰ればいいのに。
男は暖炉の上にある美しい女性――ティムの母――の写真を仰々しく手に取り、
「こちらが宅の奥様ですか?いや、お美しいですなぁ。これならこのクリームは必要なさそうだ」
と、あからさまな世辞を言った。
「いやぁ、ほんとにお美しい――」
男は、汗と油でベタベタした水ぶくれのような手で、無遠慮に写真立てを触っている。
触るたびに男の丸い指紋が、薄いガラスの上に貼りついた。
「このような方ばかりですと、私は商売上がったりですなぁ――」
男が人差し指で、写真の顔に触ると、油で顔が見えなくなった。
ゆかりはそれがたまらなく嫌で、男の手から写真を奪い取るようにした。
いや、事実、奪った。
「な、なんだ、無礼な――!」
男は鼻の脂で滑り落ちた眼鏡を、太い指で器用に上げ、目を剥いた。
「無礼はどちらですか、汚れた手でずっとベタベタと触り、大切な写真を油まみれにして!」
ゆかりはきっぱりと言った。
「げ、げ、下女ふぜいが客にそんな口を聞くのか!この――」
「やめんか、見苦しい」
マーロットが重々しく口を開いた。
ゆかりも男も、動きを止めた。
「大の男がそんなに取り乱すものではない。それからユカリちゃん――」
「は、はい」
「言動がどうであれ、今この人は君にとって客じゃ。それに対する無礼な振る舞いは――良くない」
「ですが、先生」
「謝らねばならん。……できるね?」
珍しくもマーロットは、強い口調でゆかりにそう言った。
ゆかりは強い抵抗感を覚えながらも、どうにか頭を下げた。
「……はい、申し訳ありませんでした」
写真立てを暖炉の上に戻す。
写真の中の美しい女性は、変わらない表情で微笑みかけている。
優しい笑みだ。
ティムは笑うとき、この表情そっくりに可愛らしく笑う。
目を細めて、口もとを広げ、ティムの場合、そこから小さく白い歯がこぼれることも多い。
ゆかりはそれを思い出して、少し心を落ち着けた。
「……ごめんなさい、おじさん。でもね、ほんとにあの写真は大切なものなんだ。
ぼくの、おかあさんの――」
男は興奮が冷め切っていない様子で、鼻息を荒くしていた。
「一昔前ならいざ知らず、写真なんて今時いくらでも撮れるじゃないか。
また撮ったらいいだろう。その写真も、少し古いようだし」
「それが、できないんだ」
「なぜ?」
――なんという鈍感な男だろう!!
ゆかりはそう思っていたが、マーロットに諌められたこともあって、口に出しては言わなかった。
ティムは視線を下げたままで、
「ぼくが生まれるときに――しんじゃってて、もういないんだ。ママ」
眉の根を寄せて、悲しそうに笑って言った。
ゆかりはその表情を見て、たまらない気持ちになった。
だが男はそれを聞いて、急にむすっとした表情をした。
分厚い唇を突き出し、いままでずっと浮かべていた愛想笑いもやめてしまっている。
下唇を突き出して、眼鏡は丸く、首もなく、それはまるで気味の悪いぬるぬるの
深海魚のような顔だった。
「なんだよ――」
男は、苛立った声でそう言い、薄い髪をぐじゃぐじゃっと掻き乱した。
「いないならいないって、早く言えよ。しつこくして損したじゃないか」
男はあからさまに態度を悪くし、口も汚くなった。
椅子に座った腰をずりさげ、大きな腹を突き出している。
「まったく、それならここに居る意味は無いな。帰るわ。コートと帽子」
男は、ここに居るのが老人と子供と少女だけということを思って、これほど尊大な態度をとっているのかもしれない。
「おら、コートと帽子だよ、はやくしろよ、黄色い女」
男の言葉に、マーロットが顔をしかめた。
「お主いいかげんに――」
「うるせえなじじい。黙ってろよ。無駄足踏ませやがって」
男が喋るたびに、頬肉がぶるぶると揺れていた。
ゆかりは自分がなにを言われようと平気だった。
この男の人間性は虫にも劣る。
ずっと感じていたのは、愛想笑いを浮かべ続けても消しきれない、愚かな精神性の臭さだった。
それがわかった今、憤りや気味悪さより、むしろ納得したような気持ちが現れていた。
ゆかりは自分がなにを言われても――男に対する哀れみは多少あっても――
憤りや、憤懣を感じることは無かった。
しかし、強い憤りを感じている者も、いた。
「……いうな」
「ん、なんか言ったかガキ」
「二人にひどいこと、言うなよ」
ティムが椅子から降りて、太った男の目の前に立っていた。
「二人にあやまれ。いますぐあやまれ」
男の前に立ち、強い目で睨みつけている。
そこにはいつもの優しい顔をした、母親に似た少年のティムはおらず、
唇を一文字に結んで、眉を鷲の羽のように吊り上げているその表情は、むしろ父親の顔に似ていた。
ティム・ダーヴァレイという男がそこに居るのだと、ゆかりは思った。
「失礼なガキだな。なんで俺が謝らなきゃいけねえんだ。本当のことを言ってるだけじゃねえか
そいつは下女で、しかも黄色だ。そいつに俺が謝るのか?」
男は細い目をティムに向けた。
喋るたびに口元からつばを飛ばしている。
「坊ちゃま――」
ゆかりはティムを止めようとした。
自分のことは何を言われても気にならない。
そう伝えようとしたのだ。
「全くなんなんだこの家は。無礼な下女に失礼なガキ、やっぱり親無しはこうなっちまうのかね!
息子の教育もせずに死んじまうとは、罪作りな親だ!」
男は大きな声で、がなるように言葉を続けた。
その口は憎らしいほどに速く動いて、ゆかりが止めに入るのを許さなかった。
ティムの表情が、こわばっていた。
「いや、むしろ、俺にとっちゃあ死んでくれてて良かったかもな、どうせあの貧相な身なりじゃ、
化粧品なんてろくに買えやしなかったろうから――」
ティムの目から、大粒の涙がこぼれだした。
頬に一筋、ふた筋と、涙は次々と流れ出ている。
男はそれを意に介さず喋り続けている。
ティムは涙をこぼしながら、しかし、男から視線を外さず、声も上げなかった。
ひとり肩を震わせ、こぶしを握り締め、ただ黙って男をにらみつけている。
ゆかりには、ティムの気持ちが手に取るようにわかった。
いま自分ができるのは、ただそれだけなのだとわかっているのだ。
他には何もできない。
男を殴りつけることも、理路整然と立ち退きを求めることも――
自分には何もできないと、わかっているのだろう。
わかっているから、ただ泣き続けて、立ち尽くしているのだ。
その悔しさと、悲しさに襲われながらも、それでも負けずに、男をずっと睨み続けている。
「おら、どけよ坊主。うわ、なんだよ、汚ねえな」
男は立ち上がり、ティムを疎ましそうに押しのけた。
ゆかりは自分の中でなにかがはじけるのを感じた。
「いい加減にしなさい」
低く鋭い声。
まるで自分の声ではないような、そんな声が出た。
「なんだ――」
うねるような感情の奔流に身を任せると、体が自然に動いた。
身が怒りで燃えそうなほど熱くたぎっているのに、頭は氷をのせたように冷たく冷静で、
自分がなにをすればいいのか、すべてわかる。
世界から音が消えた。
ひさしぶりの感覚だ。
この世界の中で、私は誰よりも速く動ける。
それを私は知っている。
けれどなかなか、思い出すことができない。
それが悔しいとも思うけど、いまはただ、男への怒りがゆかりを支配している。
一歩、机にあった万年筆を手に取る。しっかりとした重みが手の中に入った。
二歩、キャップを外し、逆手に持つ。キャップはするりと外れ、手から滑る様に落ちていく。
握り締めた万年筆の尻を、親指で蓋して、手中でしっかりと固定する。
三歩、男の体に潜り込み、ペン先を、喉に――。
万年筆の鋭い筆先が、男の喉仏寸前できらめいている。
動いたのはたったの三歩だけだった。
その三歩でゆかりは男の体を制した。
万年筆の筆先が男の喉にあてがわれ二人の動きが止まったのと、外したキャップが床に落ちて転がったのは、
ほとんど同時だった。
「――!!」
男は言葉を途中で止めた。
ぐっ、と力を込めると、万年筆の先が、すこし男の喉を刺した。
血は出ていない。
「いい加減にしろ、と言った。下郎」
言葉すら、自分の意思でないように感じるが、自分の口から出ている。
ゆかりは自分の中に、確かに異質な、しかし同質な、青い炎のようなものを感じていた。
自分でないようだが、これも確かに自分だ。
そのどちらにも確信がもてる。
そのことを、不思議だとも思わない。
ただ今はこの男が許せない。
意識はそう言っている。
体を密着させるように近づくと、男はその分、大きな体をあとずらせた。
男の汗が冷たくなっているのがわかった。
「ぺらぺらと、よく喋る口だな……」
自分の中の青い炎が揺れた。
手に力を込める。
万年筆が喉に深く食い込む。
ぜい肉がたゆんで、筆先はめり込むように男の喉に沈んでいく。
もう少し力を入れると皮膚が破ける。
その感触がわかった。
「そのよく動く口は、人を愚弄するためだけにあるのではなかろう」
男の体が震えだした。
冷たい汗が万年筆をたどって、ゆかりの掌に届いた。
男は口を半開きにしたまま、みじろぎひとつしない。
いや、ゆかりがさせていないのだ。
牙が喉に食い込んでいる。
狼が首筋に噛み付いているようなものだ。あとは力強く噛みこむだけで、獲物は死ぬ。
男はゆかりの言葉に、反応を見せない。
体の震えは、膝へ、足首へ、いまや頭からつま先まで男のからだ全体がガクガク震えている。
「私の言ってることがわからないか」
「わへ、へ、へぇ」
男は空気の漏れた皮袋みたいな声を出した。
「そのよく動く口で先生と坊ちゃまに詫びて、さっさと出て行けと言っているっ!」
一喝した。
万年筆を持った右手の肘で男の体を押すと、男は無様に尻餅をついた。
男は両手でずりずりと体を後ろへ持っていく。
じゅ、という音がした。
男が手を置いたところには暖炉があった。
「あち、あぢぃ」
男は身を起こし翻すと、逃げるように這うようにして客間を出て行った。
その大きな尻は、農場の豚を思わせた。
「詫びろ!」
「……す、すいませんでしたぁー……」
泣き声のような叫びが玄関から聞こえ、次に扉の閉まる音が響いた。
「うぇ」
鼻から抜けるような声が聞こえた。
振り向いたら、ティムがさっきからと同じ体勢で固まっていた。
「坊ちゃま――」
ゆかりがそう声をかけた瞬間、
「うぇええええええええええ、えええ、ええええええええええええええ」
ティムの両目から噴き出すように涙が流れ出し、大きな声を上げて泣いた。
「ああ、坊ちゃま。おいたわしい、どうか泣き止んでください――」
「だって、だっでぇ……!」
やはりあの男に言われたのが、悔しく、悲しかったのだろう。
ゆかりはポケットからハンカチを取り出し涙を拭いたが、涙は次々と溢れ出して止まらない。
「ユカリが、怖かったんだもんん……!」
ん?
ゆかりは手を止めた。
「ほんとに刺して、ころしちゃうかと……!」
ティムは泣きながら、途切れ途切れに喋っている。
「い、いやだなあ坊ちゃまったら、私がそんなことするわけ無いじゃないですか。
ねえ先生――?」
ゆかりがマーロットの方を見ると、マーロットはソファの陰に隠れていた。
「ゆ、ユカリちゃん、わしも少し、怖かったわい」
「せ、先生までなんですか!あれは、刺す、って言うよりむしろ、急所を抑えてるぞ、っていう、
心理的な効果で人を固める技術で……!まあ、本当は紙の扇を使う技ですから、
あの鋭利な万年筆では多少、効果がすぎる部分もあったかもしれませんが……
古流には、ああいう荒々しい技がけっこう残ってるんです。講道館の技にはありませんが」
ゆかりは、そう説明したが、どれだけ納得してもらえたかはわからない。
あれは人を制するための技で、殺傷するための技ではない、と。
……誰に教わったのだろう、それは思い出せなかったが。
「……ユカリ、忘れないうちに今のノートに書いておきなね」
ティムはようやく泣きやんだあとに、そう言った。
ゆかりはひょっこり思い出した記憶を、また忘れてしまわないうちに、ノートに書き記しておくことになっている。
「はいはい、わかりましたよ」
ゆかりは赤くなったティムの頬を拭きながら、微笑んで返事をした。
「坊ちゃま」
「イック……なに」
「ありがとうございます、さっき」
「……なにが」
「『謝れ』、って、言ってくれて」
「だって、あいつ、ふたりにひどいこと――」
「わたしはあんなの気にしませんよ。それよりも、坊ちゃまこそ」
「……なに」
「ひどいこと言われて、嫌な思いをされたじゃないですか。私は坊ちゃまが嫌な思いをなされるのが、
一番嫌なんです」
「そんな、ぼくだって――」
「でも」
「?」
「でも、ありがとうございました。坊ちゃまがああ言ってくれて、本当は――嬉しかったんです。……すごく」
そう言うと、ティムは少し照れたような顔をして、目をそらした。
「なんでもないよ、あんなの。ユカリに比べれば」
「そんなことないですよ。勇気のいることです」
本当にこの坊ちゃまは私を驚かせてくれる。
いつもは優しく、柔和な笑顔を見せてくれるのに、怒ったときのりりしい表情は忘れられない。
そう思ったら、すぐに泣き出したり、表情がころころ変わる。
私と先生の為に怒ってくれたとき感じたのは、嬉しさだったのだ。
ゆかりは新しい紅茶を入れるために、台所へ行った。
4 先生という人
「ティム坊」
ソファにうなだれるように座っていたマーロットが声をかけてきた。
緊張して疲れたのか、目がくぼんでしわが深くなっているように見える。
「わしは、今のこの国が……情けない。……情けないが……」
マーロットは体が上下するほどの、大きなため息を吐いた。
「わしが言ったことが……わかった、ろう」
ティムは思い出した。今日の授業でマーロットが言っていたことを。
――今日、この大英帝国には、物が溢れ人が溢れ、金が溢れておる。じゃが、それがいいことか悪いことか、
最近、わしにはよくわからなくなってきた――
「生活は確かに豊かになった。ずっとイギリスに住み続けとるわしが言うんじゃから間違いはない。
しかし、じゃ。精神は、その分だけ、どうしても貧しくなったように感じる」
あの男の言葉を、思い出すまでも無かった。
感覚的に、あの男の精神性が醜く汚いものだとわかっている。
「どうして、豊かになるほど卑しくなってしまうんじゃ……」
マーロットはため息と一緒にそう言い、顔を上げた。
「ティム坊」
マーロットは、ことさらにゆっくりと、ずっとティムの目を見て言った。
「強くあれ、しかし驕るな」
マーロットは、ティムの目を見続けている。
いつもは垂れ下がって眠そうにしている目も丸く開いて、まるで若返った、別人のような表情をしている。
「弱い者には施せ。弱いものがペニーを求めたらシリングを渡せ。泣く者は黙って見守れ。
力を持ったら、愛しい者を守るだけに使え」
ティムはまるで両肩を抱かれているかのような感覚を覚えた。
真摯に語りかけるマーロットから、視線を外すことができない。
マーロットは一つ一つ、数えるようにして言葉を紡ぐ。
「それが、英国人がずっと涵養し続けてきた精神――『正義』ということじゃ」
最後に、そう付け加えて、マーロットは口を閉じた。
ティムは黙って頷いた。
よくはわからないし、マーロットが伝えようとしたことを全て自分が理解しているか
正直に言って自信があるわけではないが、理解しようとつとめたし、
なにか大事なものを今受け取ったような気がした。
「おぬしに――これをやる」
マーロットは、胸ポケットに入れた万年筆を取り出し、ティムに手渡した。
万年筆はティムの手のひらの中できらきらと輝いた。
「うわぁ……きれい」
「螺鈿細工、と言うんじゃ」
「ラデン?」
「貝殻の内側を、綺麗に磨いて細工してあるんじゃよ。わしが若い頃に買ったんじゃ」
「本当にいいの?」
「ああ、良い。しかし、大事に保管してくれよ。特に、ユカリちゃんの手の届かないようなところにな」
「なんでさ」
「武器にされちゃうじゃろ。ユカリちゃんに見つかると」
マーロットはそう言って、不器用にウインクした。
ティムはその様子がおかしかったので、あっは、と笑った。
すると。
ひょこっと扉から顔だけ出して、ゆかりが聞いてきた。
「先生?」
「あひゃ、は、はいっ、ユカリちゃん!?」
「お茶にしようかと思ったんですが、もう遅いですし、夕食にしましょう。一緒に食べていかれるでしょう?」
「お、おう、食べていくぞよ」
「……ぞよ?…わかりました。いますぐしますから、少し待ってくださいね」
「はは、はい、おう、うむ。わかったぞよ」
ゆかりはぱたぱたと足音を立てて、台所の方へ行った。
「せんせい、『ぞよ』って……聞いた事ないよそんなの」
「う、うむ、焦ったわい。しかし」
そういうとマーロットは、本当に胸を撫で下ろした。
ティムはもらった万年筆をもう一度見た。
万年筆はティムの手の中できらきらと輝いていた。
マーロットの気持ちが篭もっているということがティムにはわかった。
そしてその気持ちにできるだけ答えよう、とも思っていた。
青い瞳が、万年筆と同じようにきらきらと輝いている。
5 エピローグ
外は暗く寒いが、ガス灯の光が道なりに点々と続いて、暗さだけは幾分か和らいでいる。
「ふむ、ユカリちゃん、料理の方も腕を上げたの」
マーロットの息が白いのは、寒さのせいと、今食べた夕食の暖かさのせいである。
「ありがとうございます。アルマさんにもよろしくお伝えください」
「おう、ありがとの――ユカリちゃん」
「はい」
「今日は、すまなかったのう、わしがあの男を家に上げなければ――」
「いえ、いいんですよ。私は気にしてませんから」
「そうか。全く、情けないのう、いい若いもんが、あんな……」
「気にしてないからいいんですってば。坊ちゃまが、かばってくれましたし」
「ふむ、今日のティム坊はなかなか立派じゃったな。ユカリちゃん、やつのこと、誉めてやっておいてくれ。
ユカリちゃんに誉められたら、一番喜ぶわい」
「そうですか?……わかりました。夕食食べたあとすぐ眠っちゃいましたから、明日の朝にでも」
「そうじゃったな、やはり、まだまだ子供じゃわい」
「いえ、でも抱えあげたとき、だいぶ――重くなっていました」
「そうか。……成長、しとるんじゃのう」
「ええ、そうですね」
「――それじゃあ、ユカリちゃん。おやすみ」
「おやすみなさい。お気をつけて」
ゆかりは小さくため息をついて空を見上げた。
何か小さいものがゆっくりと振ってくるのが見えた。
「あ、雪――」
今年の初雪は、ひらりと掌に乗って、すぐに溶けていった。
今日雪が振ったことを、明日は坊ちゃまに教えよう。
ゆかりはそう決めて、静かに笑って玄関の扉を閉めた。
『霜月の騒動』終わり。
というか長い!
ですね。
…すいません。
最初から最後まで読んでくださった方(いたら)お疲れ様です。
ありがとうございます。
タイトル忘れてました。
『霜月の騒動』です。
なぜ霜月かというと、書き始めたのが11月だったからです。
クリスマスにはなんか書きます。
なんというかもっと 萌え な感じのものが書きたいです。
いあ、安心しろ。十分萌える
大変いいクォリティでした
はいな、すごく萌えたですよ。
で、伽羅カプとしては所多になるのですかな。
あの顔が浮かんで萌えられねぇ…
>>607 似非紳士氏GJ!
ゆかりちゃんおっかねえeeeeeeeeee!!
カッコ良かったから良いけどね。
懐の豊かさに反比例して心は貧しくなりますからねえ。「僕の心の豊かさは懐の豊かさの上に成り立つ」なんて公言している某超絶ド外道武闘派少年探偵はいつまで経っても心が豊かになる事は無いだろうな。
>>607 しみじみと良かったです。ゆかりとティム坊が可愛いです。
613 :
名無しさん@ピンキー:2006/12/16(土) 18:54:00 ID:9DSasv2V
とりあえず、保守で
保守
615 :
名無しさん@ピンキー:2006/12/22(金) 12:05:51 ID:AwS5+PLh
ぼっちゃま、トンカツです
久しぶりに銀英伝読み返したら
侍女あがりの皇后なんて素敵なキャラがいるジャマイカ
百合さん頑張って
頑張って百合さん
617 :
名無しさん@ピンキー:2006/12/23(土) 12:42:40 ID:YIt69NPq
>>616 ヒルダさんじゃないよね。
マクシミリアン・ヨーゼフ2世(晴眼帝)の皇妃ジークリンデとか?
もう、うろ覚えで思い出せない・・・
>>617 そうそうジークリンデ。
毒盛られて半盲になった旦那(皇帝)を守るため、ずっと銃を携帯してた人
619 :
1-500:2006/12/24(日) 12:06:48 ID:l/2c55Hw
>581
メリークリスマス。
あンたの一言で考えてなかった展開が生じたり生じなかったり。
ストーリーを転がすのは面白いね。
>616
侍女って響きがステキ。百合さんがんばれ百合さん。
620 :
1-500:2006/12/24(日) 12:12:22 ID:l/2c55Hw
----------------------------------------------------------
「百合、クリスマスの準備はどう? 進んでる?」
蓮っ葉な笑みを浮かべながら幸恵が問いかける。
十二月も中旬。ここは屋敷の物干し台で、そう問いかけた幸恵は
手すりに寄りかかりながら面白がるように百合の顔を見ている。
幸恵はこの屋敷の料理人である。ちょっときつい感じの美人で、
結婚して三歳の子供がいるというのにいまだに人の色恋に興味津々の体である。
「くりすます……ですか?」
生まれて初めて雀を見た子猫のような瞳で百合は幸恵に尋ねた。
「そう。クリスマス。……百合、まさか知らないの?」
信じられない、というような顔をする幸恵。
「いえ、存じ上げていますが……昔の外国の…でいうす様という方のお誕生日のことですよね?」
百合は洗濯物を干しながら怪訝そうな目で問いかける。
「なんだ、知ってるんじゃない」
という幸恵に、百合は干す手を止めて小首をかしげながら尋ねる。
「でも、旦那様も私も、でいうす様に帰依してはおりませんし……」
百合がそう言うと、幸恵は一瞬目を丸くしたあとで笑い出した。
くすくす、というような、それでも聞くものを不愉快にさせない笑い方で
幸恵は笑っている。
「やーね、百合って。……あのね、教えてあげるけど、都じゃあ最近はでいうす様なんてのは
どうでもいいのよ。クリスマスは好きな男や惚れた女に贈り物をするっていう風習になってんの。
ここ十年くらいはもうそんな感じのお祭りになっちゃってるんだから」
「そ、そうなのですか……」
「で、どうなのよ?」
「な、ナニがですか?」
上ずった声で聞き返す百合。
「ダンナ様」
幸恵はそれだけを口にする。
「……!」
「百合ってばさあ、最近、夜中に旦那様と逢引していらっしゃるようじゃああーりませんこと?」
瞬時に百合の白い肌が赤く染まる。耳まで赤く火照らせながら、必死に否定する。
「ち、違います! あれは!旦那様が、ほ、翻訳の手伝いをして欲しいとおっしゃったので
お、お手伝いさせていただいているだけで……な、なにもやましいことはありませんッ!」
「ふーん」
ニヤニヤ笑いを浮かべながら、面白がる幸恵。
「毎晩毎晩夜遅くまで、若くて健康な男女が二人っきりになってんのに『何もない』、ねえ?
お熱い夜の勉強会とか――」
「そ、そ、そんなこと、旦那様はなさいませんっ!」
ふるふる震えながら絶叫する百合。おとなしい百合にしては珍しい。
「『百合さん。百合さんの手はとても柔らかいね』『ああっ、旦那様、いけません』
『君のこの白百合のような肌にいつか触れたいと思っていたんだ。ああ百合さん』『旦那様っ』
『百合さ――
バカンッ
621 :
1-500:2006/12/24(日) 12:13:18 ID:l/2c55Hw
バカンッ
洗濯籠で頭を殴られてうずくまる幸恵。百合が振り回したせいで干し残っていた洗濯物が
物干し台の上に散らばってしまっている。
「いたたたたた・・・ひどいわねえ、ぶつことないじゃない」
「ゆ、幸恵さんがとんでもないことをおっしゃるからです!」
真っ赤に上気したままの顔で百合はそう怒鳴る。
「わ、わたくしはとにかく、旦那様にそういうお噂でも立ったら申し訳が立ちません!」
「べつにいーじゃん、メイドに手ぇつけるなんて世間でもよくある話なんだしー」
「ダメですっ!」
「そーおー? 百合さあ、美人だし器量よしだしさあ、絶対旦那も気に入ってると思うよ?」
「……そ、そういう問題じゃ、ありません!」
「いやね、あたしもこの屋敷に勤めてもう6年になるけど、あの人嫌いの旦那様がこんなに長く
女の子を雇ってたのは初めてだよ。前までは数ヶ月とかでやめちゃったりやめさせられたり
してたし」
散らばった洗濯物はまた洗わなければいけない。幸恵さんたら!
と百合は怒りながら拾い集める。
「ま、なんだかんだ言って、旦那様は百合のことが好きなんだと思うね」
「そ、そんなこと、関係ありません!」
「ナニが関係ないのさ? 関係大有りじゃない。
「だ、第一、本当に、だ、旦那様が、そ、そう思っていらっしゃるか…わかりませんし。
そ、そもそも、わたくしは庶民で……旦那様は貴族さまでいらっしゃって……」
「それこそ関係ないじゃない」
鋭い口調の幸恵の台詞に百合は顔を上げてこの料理人の顔を見る。
いつもふざけているような目の色はとても真剣で、百合は少しびっくりした。
「好きなんでしょ?」
「…………」
長い長い沈黙。
田園の中にあるこの屋敷の庭を飛び交う雀の声が物干し台に届く。
うつむいたままの百合は、耳どころか首筋まで薄くばら色に火照らせながら押し黙る。
百合の中でその言葉が渦巻く。
この屋敷に勤めて一年近く。
ずっと、思わないようにしていたこと。考えてはいけないと思っていたこと。
旦那様のお顔。お姿。お声。どれを思い出しても感じることはひとつだけ。
長い長い沈黙を破って、百合はつぶやくように口にした。
「………はい」
―――――――――――――――――――――――――
クリスマス当日の顛末はたぶん、日本時間で年明け以降に書かれるだろう、と推測しながら
恥ずかしがりつつもどことなく嬉しいようなドキドキしているような
メイドさんがうずくまったまま続く。
百合さん超GJ!!
続きが早く読みたいですよ
1-500氏GJです
とうとう百合さんに自覚させちゃいましたねwww
今後の展開がものすごく楽しみです
調子に乗って呼んでおこう
薫さ〜ん、年末年始は大変そーですねー
sfl;sflskdfl
weqrw.;wer;
dfasdfsdf
fddsfsdg
ertetert
hfghfghf
sdafsdafsda
rwerwerhjgtht
百合さんがこれからどうなるか
期待してます。
甘甘になるといいなあ……
クリスマスが過ぎると時間が経つのが早いですねぇ……
クリスマスに投下しようと思っていたものを大晦日に投下します。
時期のはずしっぷりが自分でも痛々しいですが…
ここのところ天井ばかり見ていた。
白い正方形の中に、斜めに線が入っているのがいくつも並んでいる。
枕元のランプに照らされた船底のような天井が、自分の上にずっと続いている。
クリスマス、先生の家で夕食を御馳走になった後、大きなプレゼントをもらって
ちょっと浮かれすぎたのかもしれない。
そのプレゼントは開いて机に置いてある。
鼻水が止まらない。胸が勝手にせきをうつ。首を動かすのもつらい。
視界がぼやけて何を見ても水を通したようにはっきりしない。
意識がもうろうとする。涙が出そうだ。
少年、ティム・ダーヴァレイ――10歳は、風邪を引いていた。
いつもは水晶のように澄んでどこまでも見渡せるように青い小さな瞳も、今は熱のせいか
どんより濁って、どこを見ているのかわからない。
分不相応なほど大きなそのベッドの中に身を横たえて、ちょうど雪原の下の岩のように
ふっくらと盛り上がっている。
家具商を営んでいる父の言うところによると、ダーヴァレイ家具店ではあいにく子供用の
寝具は取り扱っておらず、
だが大は小を兼ねるというし、うちで扱っているのはどれも10年や20年程度ではびくともしない
立派なものなので、寝ているうちに気がつけばぴったりのサイズになるだろう、何せ俺の息子だ。
ということだった。
そういうわけで、いまティム・ダーヴァレイは大人用の立派なベッドに、
小さく熱い豆炭のようなその体を横たえているのだった。
ベッドの横に、ひしゃくのような形をしたアイロン用の小さな石炭入れがある。
その中には赤々と燃える石炭がはいって、その上にあるこれも小さなミルクパンを温め、
中のお湯からはつねに湯気がぼんやりと吐き出され続け、見ているとなかなか不思議な気持ちになってくる。
レンガを敷いたその一式の加湿装置が立てる、こと、こと、という小さな音と
時々自分の体から出るせきの音だけがこの2、3日ティムが聞いている音のほぼすべてだった。
ぐ。
とティムは小さく唸った。
いつの間にか眠ってしまっていたようだ。
ことさらおぼろげな視界の中で、背伸びをしている誰かの背中が見えた。
その背中は、自分よりも大きな何かにむかって一生懸命に手を伸ばしている。
ふっ、はっ、と小さく吐く気合とともに飛び跳ねてその何かに向かっているようだが、
どうにも世界がぼんやりと白くもやがかって、誰が何をしているのかよくわからない。
目を何度かしばたかせると、そのだんだん視界がすっきりとして、体が跳ねるのに合わせて
その背中に結ばれた白いエプロンのリボンがぴょんぴょんと動くのがわかった。
体が跳ねるたびにスカートの裾がゆれ、足首まで隠すブーツのさらにその上までがちらちらと覗く。
木の床に皮のブーツで跳ねていても驚くほど音が出ないのは、ブーツのかかとが磨り減っているせいではなくて、
おそらく着地の時に注意深く足首をしならせて衝撃を吸収しているせいだろう。
今自分の部屋でよくわからないが何かをやろうそしているのは、恐らく家のメイドだろう。
首元で揃えられた黒髪を揺らしている。
その髪の向こうに見える地肌は周りのイギリス人と雰囲気が違うし、なによりあの靴底の硬いブーツで、
音を立てずに飛び跳ねるという芸当が出来そうな人間をティムは彼女の他に知らない。
「ユ――」
彼女の名を呼ぼうとして、せきが出た。
一文字だけ出た声は自分でも驚くほど小さく弱々しかったので、彼女が振り向いたのは
おそらく名前を呼ばれたからというよりも、自分のせきの音でだろう。
猫のような鋭さで彼女はこっちを見た。
低い鼻が顔の中央にちょこんと乗っている。
唇は薄くやや広がっているが、その色は彼女の生命力を表すように血色よく赤い。
イギリスは平らだがイギリス人の顔は平らではない。山あり谷あり彫りが深い。
その中では彼女ののっぺりとして愛嬌のある顔は目立つ。
その平らなキャンパスの中で何より特徴的なのは、目がこの国の人間と比べて明らかに小さく丸く、濃い。
青でなく灰でなく緑でなく茶でもない。
黒。
自分の抜けるような青――自分ではあまり見ないが――とは明らかに違う質の瞳が、爛々と輝いている。
黒い服に身を包んでいる黒髪の彼女の瞳は夜の色を閉じ込めたように黒く、美しい。
「ユカリ――なにしてるの?」
ダーヴァレイ家のメイドはイギリス人ではなかった。
ヨーロッパ人ですらない。
南アフリカ人でも支那人でも印度人でもない。
姓は田村、名はゆかり。
彼女は生粋の日本人だった。
彼女が振り向いたおかげでその向こうにあるものが見えた。
体の奥にあるのは木だ。
それも見覚えがある。
おとついまで居間の暖炉の横で晴れがましく立ち尽くしていた、クリスマスツリーだ。
きれいに飾り付けられたそれは、
枝と枝の間に銀――色がきれいなのだが、銀かどうかはわからない――の動物の形になっているものや、
これはけっこう不思議なのだが、うまく枝をかわして木を燃やすことなく自立している
ろうそくだとかをその身にはべらせて、楽しかったクリスマスの日とまったく変わらない
様子で自分の部屋にやってきていた。
「起こしてしまいましたか?すいません」
「こほっ……いや、いいよ。眠ったつもりはなかったんだけど」
なんとか首だけを向けて話をしているが、やっぱりこれもすこしつらい。
「そろそろこれを片付けようかと思ったんです。でも、なんだかあれだけ苦労して出したものを
二、三日だか一週間ですぐに片付けてしまうのもしゃくだな、と思いまして」
「うん、準備のときは大騒ぎだったもんね……」
「で、まあ、もう少しここに置いておけば、坊ちゃまも淋しくないでしょう」
ツリーはろうそくの炎を銀の動物達が反射して、きらきらと輝いている。
さらにその奥の窓はすっかり暗い。いつの間にかもう夜が来ていた。
暗い部屋の中できらきらと光るクリスマスツリーは、クリスマスと変わらずに綺麗で美しい。
「下からここまで抱えて持ってきてくれたの?」
「ちょぉーっと、重かったですねさすがになかなか」
木はそれだけで大人一人分の重さはありそうだった。
「それでこれがなかなかつけられなくて、最後に」
ゆかりがベッド際まで寄って、手の中から見せてくれたのはラッパを吹く天使の像だった。
布団から手を伸ばしてをれを触ると、陶器製の像はゆかりの手の中で暖かい。
「……あったかい」
そう言って笑いかけると、ゆかりもにっこりと笑い返した。
「いいよいいよ、そんなにちゃんとやらなくても」
「えー、でも、てっぺんに飾りのないクリスマスツリーなんて、ダテマキのないオセチみたいなものですよ?」
「なんだいそれ。どういう例えかぼくにはさっぱり……ごほっ」
胸を打つようにせきが出る。背中が勝手に丸まって、布団の中で体がえびみたいになる。
ゆかりが慌てて近寄ってきて、拍子に落ちてしまった小さなタオルをもう一度洗面器で濡らし、
ひたいにかけてくれた。
「苦しいですか?」
「……だいじょうぶ、だよ」
嘘だった。
頭は痛いし息苦しいし、なんだか気持ち悪くもなってきた。
「それよりさぁ」
「はい」
「そのてんしの像、机に置いておいてよ。いろんな動物はいるのに、人間だけがいないんだ」
言われてゆかりは机を見た。
子供にはこれも大きすぎるデスクの上に、小さな動物達が所狭しと並んでいる。
隅にはその動物達を入れる大きな船が置いてある。
「あ、これ、アルマさんからのプレゼントですね」
ノアの箱舟という。
馬やら牛やら鳥やらリスやら猪鹿蝶、さまざまな動物が小さく木や何かで作られて、
それらが全部「つがい」で入っている。
それらを組み合わせて遊んだり、広げたり戦わせたり、宗教的な、教育的な玩具として贈られる側だけでなく、
贈る側にも人気の高い玩具だ。
蝶はいなかったかもしれない。
「そう……いろんな動物がいるのに、人間だけがいないんだ。これ」
『ノアの箱舟』の話は知っている。神様が、洪水を起こして世界を水浸しにしてしまう。
その箱舟に乗っていた者たちだけが助かって、世界を作ることが出来たんだ。
「これじゃ……だれも……いなくなって……パパも……ぼくも……」
ユカリも。と言おうとして、言葉が続かなくなった。
苦しい。
くるしいのにねむたい。
なんだか体中が暑い。熱いのに寒い。寒気がする。
汗をかいている。冷たい。
ティムは深い所に沈んでいく感覚を覚えた。
どこまでも沈んでいく。ひとりで沈んでいく。
浮遊するような気味の悪さと、暗い海の底に落ちていくような快感が、体を包んでいる。
人間はどうやら船から落ちてしまったのだ。
きっとそうだ。
今までにも増しておぼろげになった感覚の中で、ゆかりがひたいに手を当ててきた。
さっき置いたばかりの濡れタオルも、もう人肌にぬるくなってしまっているだろう。
顔がひどく熱い。
ゆかりの冷たい手が、優しく頬に、ひたいにあてられる。
気持ちいい。
「――お医者様――」
ゆかりは手に持っていた天使を落とすように無造作に置いて、駆け出していった。
ゆかりが部屋から出て行くと、急に部屋が静かになった。
部屋の温度までが下がってしまったようだ。
玄関の扉が閉まる音が聞こえてきた。
ゆかりはどうやら医者を呼びに行ったらしい。
これでこの家には、自分以外の生き物はいなくなってしまった。
「ユカリ」
と、名前を呼ぼうとしたが、自分のせきに遮られた。
呼んだところでもういないのだ。
まるで大きな船に一人きりで乗っているような――
ティムは胸に穴を穿たれたような、痛いほど不安な感覚を覚えた。
胸の前でこぶしを握らなければいけないほど、ひどく胸がいたむ。
呼吸も苦しいが、これは恐らく風邪のせいではない。
なによりこの感覚は、懐かしいものでもある。
ずいぶん久しぶりだ。
胸の上に漬物石を置かれたような痛みを握り締めながら、ティムは眠りに落ちていった。
ここは?自分は眠ったはずだ。だが今は、何か違うところに来ている。
気味の悪い浮遊感はそのままで、違うのはそれがほんとうになっているということだ。
浮いている。どこかのへやの中に。
あたりは暗いが、少し見渡してわかった。ここは自分のへやだ。
だけどここにはあの大きな机も、その上のプレゼントも、なによりきらきら光っていたクリスマスツリーが無い。
夢なんだろうな。
ぼんやりとだが、それがわかった。
だがその自覚は自分を夢から覚ますことは無い。
なぜなら自分はこの世界に興味を持ち始めている。
暗い部屋のベッドでだれか寝ている。
まぶたに幾重もしわがよるくらいぎゅっとつむって、手を胸の上で組んでねむっている。
ねむることはあんなにもきもちがいいのに、こいつはまるで眠ること苦しいみたいに
表情をゆがめて、歯を食いしばるようにして寝ている。
自分だ。
とティムは思った。
昔、こういう風にしてむりやり自分をねむらせることがよくあった。
おきていてもパパは帰ってこないし――、いくら数を数えても日はのぼらないし――、
ねむってしまうのが一番いい。
それに、そうだ、このころにはかすかに母親の記憶があった。
美しく白い肌をした、青白い肌をした母は眠ったような表情で胸の上で手を組んでいた。
「ママにお別れを言いなさい」
と父親は言った。
自分を胸に抱いて。
その言葉の意味はよくわからなかったが、発音の一句一句まで正確に覚えていたのだ。
――いつの間にか、そのことも、母の最期の姿も、その母と同じ姿で眠れば、
母に会えるのではないかと思っていたことも、忘れてしまっていた。
でもなぜだろう、どうして昔はそのことをしていて、今はしていないんだろう。
なんでそのことを忘れてしまっていて、忘れてしまっていたことも忘れてしまっていたんだろう。
手を組んで眠っている自分が、ぽつりと何かを言った。
よくきこえなかった。
眠っている自分は、今の自分よりももっと小さい頃の自分だ。
その、苦悶する表情の小さなくちびるから漏れる声を、今度は聞き逃さなかった。
その唇は小さく動いただけで、りすが鳴くような音だった。
「――さみしい」
目を見開いた。
暗い天井が続いている。
冷たい空気が頬に当たって、呼吸が激しく苦しい。
目が覚めた。
ゆめの中の自分はさみしいといった。
それに驚いた。
動悸が激しく胸を打つ。
心臓の音が部屋中に響き渡るようだ。
犬のように喉を鳴らして息を吐く。
吐いた息はあったかく、そのまま白くなってなかなか消えない。
起きた部屋は暗く静かで、ツリーだけが場違いに晴れがましい。
外は暗く何も見えない。
ちいさなミルクパンも、その下の石炭が燃え尽きたのか静かになって湯気も上がっていない。
夢から覚めた世界は耳が痛むほどしずかで、自分の息の音がよく聞こえた。
ティムは自分で、枕のよこに落ちてしまった手ぬぐいをひたいにかけた。
腕を布団から出すと驚くほど空気は冷たかった。
体温が上がっている分、一層そういう風に感じてしまうのかもしれない。
「はぁっ……」
ティムは大きく息を吐いた。
机を見ると、自分の指ほどにちいさな動物たちが、きちんとつがいになって揃えてあるのが暗い中に見える。
あれらはいい。じぶんと奥さんがいれば、すぐに子供が生まれる。
家族ができるということだ。
神様は家族を作ることを、彼らにゆるしてくれたのだ。
でもあの中に人間はいないし、自分の家には「つがい」がいない。
窓の外は海の底のように暗い。
このふねには自分以外の生き物は乗っていない。
あるのは小さな自分と大きなベッド、大きな机に小さな動物たち。
ティムはなんだか泣きたいような気持ちになった。
穿たれたような胸の痛みも、またぶり返してきた。
そうだ、思い出した。
「ぼくは――さみしかったんだ」
体の芯が刺されるように痛むこの気持ちは
『さみしい』というものだった。
そうだ、このきもちになると眉の付け根は勝手に寄ってしまうし、口は不恰好に下がってしまうし、
なによりも泣きたくなってくるんだった。
ずいぶんと長いことこの感情と付き合ってきたはずなのに、すっかり忘れてしまっていた。
それを思い出したのは風邪をひいたせいか――
「……ユカリぃ」
いまはどこにも、ゆかりの姿が見えないせいだった。
ティムは体を丸めて、再び眠りに落ちた。
次に見たのは悪夢だった。
机の上の動物たちが本物の動物のように大きくなり、跳びはね、暴れ周り、それぞれがつがいで
ティムのことを責め立てた。
「この、ひとりぼっち!」
「ひとりぼっち!」
「ひとりぼっち!」
オウムはオウム返しに、ゾウは器用に鼻を動かして、豚までもが二頭仲睦まじそうにして、
見下すようにしてたった一人のティムの事を見るのだった。
その中でティムは探していた――と思う。
もう布団は着ていなかったが、パジャマ姿で、裸足のままだった。
ティムは動物たちに叫ばれるたびに、足を早く動かそうとしたが、
足は沼の中を走るようにうまく動かない。
「ひとりぼっち!」
「ひとりぼっち!」
「ひとりぼっち!」
逃げても逃げても、後ろから叫び声が追いかけてくる。
耳をふさいでも、目を閉じても、いくら足を早く動かしても、つがいの動物たちはティムの目の前に現れて、
上手に人間の言葉を喋って去っていく。
ティムの部屋はいつの間にかジャングルになり、ロンドンの街になり、行ったことも無いような秘境になり、
ほとんど世界中を逃げ回って居るように思えた。
逃げ回っているのに、さがしているのに、見つからないのだ。
自分を「ひとりぼっち」でなくしてくれる人が。
その人はもう死んでしまったようにも思う。
でもそれには慣れていたはずだった。
いくら胸の上で手を組もうと、まぶたに力を込めて眠りに落ちようと、
ほんとうにその人に会えることは無いのだ。
そう思うと、今にも倒れこんで泣き出してしまいそうだった。
それでも――それでも足を止めることはなかった。
ティムはロンドンの街を走った。
コベントガーデンを抜けて、馬車の往来をすり抜けて、等間隔に光るガス灯を後ろに流していく。
空気は冷たく、息は白くなって汽車のように走った後に残ってゆく。
そうだ、もう少し走れば、うちに着く。うちに帰れば、いるんだ。僕にだって。
居るって、誰が?思い出そうとしても、頭に古新聞でも詰まってしまったのか
それが誰なのか思い出すことが出来ない。
玄関前のステップを一足飛びにして、玄関を開ける。
「ただいまぁ!」
大きな声で言った。
狭い玄関ホールはがらんとして、何の返事もない。
「ただいまぁ!」
居間に向かって言う。
暖炉は燃えているが、だれも座ってないソファがあるだけで、誰もいない。
「ただいまぁ!」
台所に向かって言う。
誰もいない。鉄製のコンロが冷たく黒く光っている。
「ただいま、ただいまってばぁ!」
天井に向かって、壁に向かって、裏庭に向かって、あらゆるところに向かって叫んでも、
だれも、何の返事もない。
なんともいえない気分になる、違う、いるはずだ、どこかにいるはずなんだ――
いきなり、目の前に現れたのは自分の部屋の扉だ。
仕方なしに、少しだけの望みをかけてその扉を開けてみる。
そこにいたのは、さっきも見た今の自分よりも小さな自分だった。
ベッドの上に腰かけて、こちらを見ている。
ティムは何もいえずに、自分の姿を見ていた。
「おかえり――」
と、昔の自分は言った。
「おかえり、ひとりぼっち」
この世界には自分だけしかいなかった。
「うぁ、わ、わぁあああああああうあああああああああああああああああ」
ティムは叫んでいた。
泣いている。涙が頬を伝う。
肺が痛い。
息を吸うと、氷みたいな空気が肺に流れ込んでくる。体がガクガクと震える。
鼻の奥も喉の奥も痛い。
でも何よりも胸が痛い。太い針を刺されるように、ひどく痛む。
注射針だってこんなに痛むことはない。
そうだ、目の前にあるような注射針だって、刺せばそんなに痛くないのだ――。
「――坊ちゃま!坊ちゃま!」
肩を揺らされている。
「お気を確かに持ってください!坊ちゃま!」
目の前にゆかりの顔があった。
きょろきょろと辺りを見回す。
ベッドの横に、注射器を持った医者がいる。
クリスマスツリーも光っている。
机の上には、つがいになった動物たちが整然と並んでいる。
どうやら夢から覚めたようだ。
安心して胸を撫で下ろすと同時に、また涙がぼろぼろとこぼれてきた。
「うぇ、うぇあ、うぇええ、ええええええ……」
口を動かそうとするが、うまく言葉にならない。
「ああ坊ちゃまおいたわしい……!そんなに注射が痛かったのですか」
「ま、まだ刺しちゃあ……!」
ゆかりがゆっくりと立ち上がって、医者を睨みつけた。
「くそ藪めが……そこに直れ」
「ひ、ひぃ、だから、注射はまだ刺しちゃあいないって!」
「問答無よ――……」
歩を進めるゆかりの袖を、何とかつかむことができた。
その隙に医者は素早く部屋を出て行った。それほどゆかりの殺気は尋常じゃない。
「ユ、ユカリ、ゲホっ、ちょ、まって……っ」
せきが出るのと呼吸が苦しいのでうまく喋ることが出来ない。
悪夢から覚めても、熱はまだ冷めていないようだった。
意識がもうろうとする。
何とか顔を上げると、ゆかりの顔が再び間近にあった。
ティムはそれを見て心底ほっとした気持ちになった。
いま袖を捕まえたのも、ゆかりの暴行を止めようとか、医者を逃がそうとかしたのではない。
ただ単に近くを離れて欲しくなかっただけなのだ。
「ど、動物たちは、みんなペアで、なかよく、いるのに、にんげんは、いなくて――」
言葉の羅列が続いた。何を言っているのかよくわからにところもあったが、
やはりそれは自分でもよくわからなかった。
それでもただ、言いたい。言わなければならないという気持ちがティムの中にあった。
「だからぼくはひとりぼっちで――、みんな、それでいじめて――」
ティムは泣きじゃくりながら、ゆかりの袖を離さない。
「ぼくは、ずっとひとりで、さみしくて――」
さみしくて、ずっと泣いていたのだ。
この世界に僕は一人だけだった。
どこをみてもただ一人だった。
底抜けにさみしかった。
「いるじゃないですか」
袖をつかまれたゆかりが言った。
「人間の『つがい』なら、ここに」
「――ここ?」
「坊ちゃまと、わたし」
ゆかりはこともなげに、ティムと自分を人差し指でさした。
『つがい』の意味がよくわかってないのかもしれない、と思った。
でも、嬉しかった。
一人じゃないと思った。
胸が、熱いもので満ちた。
「ユカリ、もうどこへも行かないで」
素直な気持ちだった。
熱が出て、今はもう思い出せないが何かひどい悪夢を見たような気がする。
その夢の中で、なんだかひどくさみしくて、辛くて、悲しくて――
もうこの場所を離れて欲しくなかった。
ティムはしっかりとゆかりの袖を握り締めていた。
「坊ちゃま」
顔を上げる。ゆかりのまんまるで、黒い瞳が潤んでいるように見えた。
「大丈夫です、わたしはここにいます。どこへも――ゆきません」
そう言って、にっこりと笑った。
ティムは思い出していた。
悪夢のことではなく、昔のことだった。
それがどのくらい昔のことだったか、今ではもうわからないほど昔のことだということは
なんとなくわかる。
ひょっとすると自分が生まれてすぐの記憶かもしれない、何しろ言葉を喋れる頃の話ではない。
ベッドで横たわる母に、ベッドの横から父が母に言ったこと、さらに言えば、
今思い出したのが奇跡のように思える――これがほんとうの記憶かどうかも定かではない――が、
母が、自分にしてくれたこと。
それはすごく幸せな気持ちにさせてくれることだった。
それを思い出していた。
ティムはゆかりの唇に、自分の唇を重ねていた。
記憶は定かではないとは言え、自分が生まれたばかりの頃、
母は確かにこうして唇にキスをしてくれた。そう思う。確信していると言ってもいい。
いろんな暖かいものが、唇を通して伝わってくるように感じた。
それだけで胸の痛みは溶けるように消えていく。
裂けるように痛かった胸には、ぎゃくに暖かくて確かな感情が流れ込んできて満たした。
鼻がゆかりの頬に当たっているのが分かる。でもゆかりの鼻は頬に当たってこない。
やっぱり鼻がひくいからだろうか。
二秒か三秒そのままでいた。
安心感とか、幸福感とか、充足感とか、そういった言葉で表される感情をごちゃ混ぜにして、
それに包み込まれるような快感を、ティムは感じた。
あったかい。
ティムがゆっくり顔を離すと、
「ぼく、もうひとりぼっちじゃないよ」
そう言って、ベッドに倒れるようにして再び寝入ってしまった。
その顔は安らかで、幸福感に満ち満ちていた。
気がつくと朝になっていた。
ティムが体を起こすと、横でゆかりが腕を投げ出して、
上半身だけベッドにのっかかっている格好で寝ている。
夜通し看病してくれていたのかもしれない。
「……器用な寝方するなぁ」
なんだか体がすっきりしている。呼吸もスムーズだ。
頭も視界も冴えて、2キロ先の小鳥のさえずりまで聞こえてきそうなほど世界は澄み切っている。
ひたいに手を当てると、ぜんぜん熱くない。
「これは……なおった!」
風邪にかかるときはぼんやりとおぼろげにだるくなっていくが、
治る時は瞬間的に「治った!」とわかる。
若さである。
部屋の隅にクリスマスツリーがある。
なんでこんなものがあるのだろう。昨日まではなかったはずなのに。
ティムは夕べのことを思い出そうとつとめた。
記憶は常に断片的に思い出される。
ゆかりがクリスマスツリーを持ってきたこと。
なんだか胸の悪い夢を見たような気がすること。
目の前に注射針があったこと。
でもなんだか、最終的に幸せな気持ちになって眠ったような気がすること。
スライド写真のようにぱっぱと切り替わる映像の中で、いくつか不可思議なものがあった。
それは同じ部屋で寝ている、いまよりも小さい自分の姿だとか、
いろんな生き物に追いかけられている自分だとか、
ロンドンやジャングルを走り回っているだとかいうような荒唐無稽なものだ。
その中の一枚。
ゆかりの瞳が、明かりの具合かもしれないが黒く潤んでいる。
そしてやさしく、にっこりと笑う。
「そのあとぼくは、ユカリに顔を近づけて――」
――……んん!?
記憶の中のゆかりは、目をぱちくりさせてこっちを見ている。
その距離が近い。
近すぎる。
鼻息がかかる。まつげの本数が数えられそうだ。
ゆかりのまつげは意外と長く、本数も多い。
目と目がこの距離なら、く、くちびるは――。
寝ているゆかりを見た。
唇は血色がよく、ふっくらとしている。
呼吸のたびに少し突き出したその唇から、少し吐息が漏れる。
ど、
と体中に汗をかくのがわかった。
まさか、だが。
正直に言って、あまり記憶がない。
もし記憶が夢でなく、ほんとうにそうなのだったとしたら。
嬉しいような……恥ずかしいような。
やっちゃあいけないことをしてしまったような……なんというかその……
「ん……」
ゆかりが腕を天井にむけて伸ばし、猫のように伸びた。
「お……おはよう、ユカリ」
声が裏返らないか心配だった。
心臓が大太鼓のように鳴っている。
「わたし――そのまま――あ、ああ、坊ちゃまおはようございます。
あら、ずいぶん顔色がよくなりましたね。気分はどうですか?」
意外とゆかりは平静だった。
「う、うん。ずいぶんいいよ。もうなおったね、たぶん」
ベッドから体を下ろそうとしたら、ゆかりに止められた。
肩を抑えられ、無理やり寝かしつけられる。
「だめです、風邪は治り際が肝心なんですよ。もう一日しっかり寝ていてください」
ゆかりは体に上掛けをかけなおしながら言った。
顔を見ると、ついその良く動く唇に目が行ってしまう。
「……なんですか?なにか――」
「ああいや、そのお……ゆうべ、熱に浮かされてぼくがなにかしたんじゃないかと思ってね」
聞くのにものすごくドキドキしたが、聞かないわけにもいかない。
「いいえ、別に」
やっぱり夢だったのだろうか。
確かにキスをしたような感触も、唇に残っているのだが。
「いやでも夢だったら夢だったでまた別のもんだいが……」
「なんの話ですか?」
「いやなんでもない、こっちのはなしってやつですよユカリさん」
「さん、だなんて。やめてくださいよ」
「ああうんなんだかやっぱり熱がぬけなくてねなかなか」
「ほら、だからまだ寝ててください。洗面器に水、汲んできますね」
そう言ってゆかりは洗面器を抱えて、出て行こうとした。
扉の前に立って振り返った。
「あ、そうだ坊ちゃま」
「なに?」
「あ、あの――」
ゆかりは少し返事をしなかった。
何か言うのをためらって居るような様子でもあった。
続きをさらにさいそくしようかとしたとき――ゆかりが一気に言葉を繋げた。
「――あの、また淋しくなったら、いつでも、わたしに言ってくださいね」
「ユカリ!そ、それはどういう――」
ゆかりは何も言わずに最高の笑顔で笑うと、身を翻らせて出て行った。
白いエプロンの結び目と、黒いスカートの裾が踊った。
結局あれが夢かうつつかはっきりしなかったのが心残りだったが、
ティムはなんともいえない幸福感に包まれて、また眠った。
さみしくはなかった。
今はもうゆかりが居ることをきちんと思い出したのだった。
窓の外はすっかり明るい。
また街が動き始める。
寒い日が続くけれど、今日もロンドンは賑やかで楽しげだ――
『かぜひきのひ』おわり。
「ほら坊ちゃま、アーン」
「い、いいよ、じぶんで食べるよ」
「そんなことを言わずに。ほら、アーンしてください」
「う、うん……」
「はい、もう一回。アーン」
「いいってば、はずかしいし」
「恥ずかしがることないですよ。病人は看病してくれる人に従うものです。ほら」
「わかったよ……」
「はい、おりこうさまでした」
「うう……」
・
・
・
「はい、ユカリ、アーン」
「…………」
「どうしたの」
「や、やっぱりだめです!雇われている家の坊ちゃまにそんなに手厚く看護されるなんて、
女中としてありえませんもの!ただでさえ『ホームステイ』だの言われているのに!
それは確かに、大英帝国の文物を学ぶという目的はありますが、
私はあくまで女中としておいてもらっている身で――忠孝の精神から言っても――」
「ううん、ニホンジンだけあってふうけんてきだねえ、ユカリ」
「それは封建的と言います。ゴホ、ゴホッ」
「ほら、つらそうじゃん。それにちゃんとしたメイドぶるなら、朝のはやおきから始めてよ」
「う、い、いやそれはその――ひ、人には向き不向きというか、人には一つぐらい
どうしても出来ないことがあるとでもいいましょうか――ゴホ、ゲホ」
「ああもうへりくつはいいからさぁ、ハイ、アーン」
「………ぁ、ぁー…」
「もっと口を大きくあけて!」
「……ええいもう、はい!」
「そう、それでいいの。病人はかんびょうする人の言うこと聞いてね、ちゃんと」
「ああもう、申し訳ないやらありがたいやら可愛らしいやらで……」
「なにをぶつぶつ言ってるのさ。はい、もう一回」
「……あーん」
「よろしい。これからもすなおであるように」
「なんですかそれ、わたしはいつも素直ですよぉ」
「どこがぁ」
「あ、ひどい坊ちゃま。ゴホゴホ、ゲホゲホ、うぅ、辛いよぉ……さみしいよう……」
「だ!な!何がさみしいのさ!!」
「いいえぇ、なーんでも」
「だからぼくがここにいるでしょ。ユカリがさみしくないように。
……わ、なに、やめてよ急に頭なでないでよ……」
そのころ父・ジョン。
「テ…ティム……パパにも看病を……ゴホゲホッ……うえ……畜生め……母さんよぅ……おいおい……」
風邪が蔓延してもダーヴァレイ家はやっぱりこの日も平和なのであった。
えーとその…なんと言っていいやら。
皆様よいお年を。
時節柄お風邪など召されませぬよう。
新年早々よいものが見られて私は幸せです
パパカワイソス
644 :
名無しさん@ピンキー:2007/01/01(月) 18:28:52 ID:Igfs15U+
坊ちゃまが学校に行く年齢になったら、メイドさんとして忘れ物を
届けに行くような話もありですかな?
あと、GJ!でした。
ぼっちゃま可愛いなあ
新年早々素敵な話ありがとうございました
このスレのメイドさんの定義は人間限定でしょうか?
あるいは、メイドの姿とハートを持っていれば、猫耳でもメカでも血が青くても植物でもショゴスでも何でもおkですかね?
人外メイドの構想があるのですが。
それともやはり人外は専用スレ行き?
しょーじき、よーわからん
白黒付けれる住人いるか?
648 :
1-500:2007/01/04(木) 14:29:59 ID:v9EtXxRb
メイドさんっぽかったらいいんじゃないの
ショゴスはちょっと読みたい気がする
>646YOU!書いちゃいなよ!
ジャンル分けはいつも悩むよなー
関係性と属性のどっちを優先するか
例えば「幼馴染み」の「素直クール」は幼馴染みスレにするか素直クールスレにするか悩むわけで
幼馴染みのメイドさんなんてどうすりゃいい?
どっちでもいいんじゃね?
書き手さんが好きな方に投下すればいい
651 :
名無しさん@ピンキー:2007/01/07(日) 10:52:14 ID:SszY/D41
行くところが無かったり、事情があって逃げるように住み込み家政婦に
なった(外出しないで生活できる)メイドさんの話とか読んでみたいですな
みっちゃんは家の住み込みの使用人だった。
みっちゃんの両親も住み込みの使用人で、つまり使用人同士の子供だった。
一方、僕は家の主人の一人息子――つまり若旦那様だ。
全く立場が違う二人だったけど、歳が近かったからだろう、僕らは良く遊んだ。
みっちゃんの両親は少し困っていたようだったけど、僕の父さんは気にした様子
もなかった。
だから、僕とみっちゃんは広いお屋敷の中で自由に遊べた。
小さい頃、僕はおままごとが好きだったんだけど、みっちゃんはかけっこや木登り
が好きだった。家の中で遊びたいという僕を、お日様が気持ち良いから、という理由で
外に連れ出すのがみっちゃんだった。
勿論みっちゃんとは今でも仲が良い。
でも、僕達はもう大人と子供の中間くらいの年齢になってしまった。
今までのように、気兼ねなく話すようなことも、身分の違いから難しくなってしまった。
みっちゃんは僕を坊ちゃま、と呼び、敬語で話す。
少しだけ悲しい気持ちもしたが、仕方ないことだった。
ある日の夕方、みっちゃんが突然言ってきた。
「坊ちゃま、久しぶりに一緒にお風呂に入りませんか?」
僕は面食らった。
そりゃあ、子供の頃は一緒にお風呂に入るなんて良くあることだった。
でも、僕らはもう子供じゃない。
「うん、いいよ」
いつの間にかそう答えていて、自分でも驚いてしまった。
よかった、とみっちゃんは微笑んだ。
夕食が終わり、風呂場に行く。みっちゃんは風呂場の前で待っていた。
銭湯のようなうちの風呂だけど、流石に男湯と女湯には分かれていない。
十人くらいが入れる脱衣場に、二人で入る。心臓の鼓動が速く、大きくなってゆく。
僕は服を脱いだ。籠に脱いだ服を入れる。
みっちゃんが後ろから抱き付いてきたのはその時だった。
僕は上ずった声を上げる。
「み、みっちゃん……」
「どうかこの場だけでも、光治と呼んでください」
ちゃん付け、使用人、お風呂…
見事に嵌められたぜ
光治という名前の女の子かもしれないじゃないかw
若旦那が女の子なんだよ
見事にやられたわw
不覚にも萌えに萌えてた30秒前の自分をぶん殴りたい
むしろこれでも良い気がアッー
台→エ に脳内置換。
実は男として育てられたお嬢様だったんだよ。
662 :
名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 19:18:52 ID:z4f4B8g9
メイドと言ったら発展途上国から出稼ぎにやってきた娘だよな・・・
なぜか童謡赤とんぼなイメージを想像。
結婚して辞めていっちゃった。
あれから手紙もこなくなった。
おんぶされて赤とんぼ見た記憶も薄れ…。
せつねー。
664 :
名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 20:40:43 ID:n9oTegwL
::::::::::::::::: * :::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ☆.。::::::::::::::::::::::::::::::.:*・゜☆ :::::: ::::::::
:::::::::::::::::: :::::::::::::::.:*・゜☆ :::::::::::::::::::::::::. :*・゜☆.::::
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::::::::::::::::::::::::::::::: !ヽ、 ,! ヽ 一万年と二千年前から愛してる
,! -‐‐‐'' ヽ :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::: / ´`)'´ _ !、 八千年過ぎた頃からもっと恋しくなった
lヽ / ノ , ` `! :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
lヽ、 / Y ,! ヽ-‐‐/ l 一億と二千年前後も愛してる
. l >‐'´` l ノ ヽ_/ ノ :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
,ノ o ヽ l _,イ 君を知ったその日から僕の地獄に音楽は絶えない
i'.o r┐ * ヽ、 ヽ、_ ,..-=ニ_
l ノ ノヽ、, !..□ / ヽ
ヽ .ィ'. ,! ハ/ 、 `!
`ー-、_ く´ l / ヽ l
,! `! l ヽ、__ノ
l `! `! ! l
l . l , l ヽ、 、_ ,ィ ノ
l、_,! し' l l `l l
他のスレに投下したものを大幅に書き直した話でもおkでしょうか?
そのあまりの悲惨さに、イザベル・クラチットは言葉を失って立ち尽くしていた。
手織りの絨毯の上には燭台が転がり、鏡は砕け散り、房のついた枕は群生するキンポウゲの
ようにそこいらに点在していた。
寝室の主は、純白のマルセイユ織りのカバーが、無残にも引きはがされた寝台に腰をおろし
ていた。
イザベルはブローン夫人にうながされるまま、おそるおそる彼に歩み寄った。
「失礼いたします、旦那様。あの、恐れ入りますが、ここを整えてしまいます間、少しお離
れいただくようお願い申し上げます」
彼女の雇い主は、彼女の声に身を固くしたようだった。
彼は顔にかかる、とび色の巻き髪をはらいのけることもせず、億劫そうに杖をつくと立ちあ
がった。
ハシバミ材でできた簡素なつくりのそれは、弱った足腰を支える類のものではなく、彼をぶ
ざまな転倒から守り、忠実に防ぐ役割をはたしていた。
足元をすくう邪魔なものはないか、杖で丹念に確かめながら、彼は遅々とした足どりで壁際
までさがった。
イザベルはめくれた掛け布団をもとに戻しながら、初めて見る主人の顔がずいぶんと若いこ
とに驚いていた。
当の本人は台所女中がじろじろ見ていることなど、もちろん気にする風はなく、冬のかすか
な陽射しが差しこむ背の高い窓の前で、打ち捨てられた彫像のように、黙然と動かなかった。
「名前は?」
イザベルはびっくりして飛び上がった。暖炉の飾りだなに置かれた調度品が口を利いても、
これほど平静を失うことはなかったかもしれない。
破片をかき集めていた従僕や、壁のしみを拭いていた女中たちは、黙々と仕事を続けながら
成り行きを見守ろうと耳をすましていた。
「あの、イザベル・クラチットと申します。お目にかかれて大変光栄に存じます」
束の間、彼女は自分の皮肉に気づかなかったが、おとずれた沈黙の原因をさとると、みるみ
る血の気を引かせていった。
「旦那様、お許しくださいませ」イザベルは徒労と知りながらも深く頭を下げた。「どうか
お許しくださいませ」
フランプトン・パークの主人にして、フェザスタンホー家の当主であるウィリアム・フェザ
スタンホー卿は、その灰色がかった緑の瞳が、まるで見えないことに今さらながら負い目を感
じるのか、けわしい横顔を彼女からそむけると言った。
「さがっていい」
「ご無礼をどうかお許しください」
「もうさがっていい」
彼のかたくなな言葉に、台所女中は己の失態を呪いながら部屋を辞した。
あくる日、イザベルは屋敷の長い廊下をバケツを片手に歩いていた。
覚悟をきめて向かったブローン夫人の部屋で、彼女は容赦ない解雇ではなく、図書室の掃除
をいいつけられたのだった。
陰気な空からふりそそぐ午後の光は、それでも暗い半地下から出てきたイザベルには真夏の
太陽のようにまぶしかった。
廊下のつきあたりにある頑丈な扉をおしあけると、そこはなんとも暖かく居心地のいい、し
かし恐ろしく大きな部屋だった。
絨毯の敷きつめられた縦長の図書室は、厩舎にいる馬を放し飼いにしても、まだ余裕がある
かもしれなかった。
イザベルは、炎がはぜている暖炉のかたわらにバケツをおろすと、袖をまくりあげた。
大釜からくんできたばかりのお湯に両手をひたすと、その温もりが凍えきった骨にじんじん
と染み入るようだった。
そのとき、ひだの寄ったカーテンの一部だとばかり思っていたものが、突然こちらめがけて
歩き出したので、イザベルは悲鳴をあげると、立ち上がりざまにバケツをけたおしてしまった。
杖をついていたウィリアム卿もひどく驚いた様子だった。
「怖がることはない」
「どうかお許しください」イザベルは、絨毯がぐっしょりと含んでしまったお湯を一心に拭
きとりながらいった。「いらっしゃるとは存じあげませんものでしたから。本当でございます」
「ぼくがここにいる間は誰も入ってこない。だから慌てることはない」
イザベルはすっかり気が動転して、彼の話に耳を傾けることなどできないありさまだった。
「ぼくが頼んだんだ」彼はいったん口をつぐんでから、再びいった。「君にここで掃除か何
かさせるよう、とにかくなんだっていいから、ここに来てもらうよう、ぼくが彼女に頼んだんだ」
「それでしたら、あの」雑巾ではたらずにスカートの裾まで使って、懸命に絨毯を乾かそう
としていたイザベルは上の空でいった。「窓拭きをはじめてもよろしいでしょうか?」
「本当に掃除をしてもらいたいわけじゃない」ウィリアム卿は笑っているのか、イザベルに
は見当もつかなかった。
「違うんだ。……ぼくは話相手がほしい」
「と申しますと?」
「君に話相手になってもらいたい」
「わたしが?」イザベルは信じられない思いで問い返した。「わたしがでございますか?」
「長い時間でなくていい。十分か、十五分だけでもいい」
「……急にそうおっしゃられても、わたしにはどうすればよいのかさっぱり」
イザベルは手にした雑巾を、やたらめったらにねじりながらいった。
「嫌ならいい。無理にとはいわない」
「ですが、あの」
「ほかの仕事で忙しいだろう。邪魔をして悪かった。いっていい」背を向けたウィリアム卿
には有無を言わさぬ強引な感じがあった。
「それなら、なぜわたしをお呼びになったのか、それだけでもお教えください」
イザベルはウィリアム卿の勝手な振る舞いに少し腹を立てながらいった。
「わけがわからないままじゃ、すっきりいたしませんし、夜眠れなくなったら大変でござい
ますもの」
「君は、エリザに……いや」
「そのお方がどうなすったのでございますか?」
「なんでもない」
「立派な紳士でおられるなら、はっきりとおっしゃってくださいな。それでも殿方でござい
ますか?」
「……声が似ている」ウィリアム卿は彼女の勢いにおされたのか、渋々ながら答えた。
「エリザに」
「エリザ様というお方に、わたしの声が似ているんでございますね?」
「ああ」
「それなら最初にそうおっしゃっていただければよかったんですわ。わたしがバケツを倒し
てしまう前に」
「ぼくには君を驚かせる気など毛頭なかった」
「あらかじめブローン夫人から伝えるなり、何なり、なさって下さればよかったんです」
イザベルは、先ほど露骨にうろたえてしまった自分を恥ずかしく思うあまり、段々と彼を責
め立ててやりたい気持ちにかられていった。
「そうすれば、わたしだってあのように慌ててしまうことも、叫び出してしまうこともあり
ませんでした」
「それはすまなかった」ウィリアム卿はむっとした素振りを隠そうともしなかった。
彼の尊大な態度に、イザベルはついつい語を荒げた。
「旦那様は本当にそう思っていらっしゃるのでございましょうか? わたし、信じられませ
んわ」
「ぼくは心からすまないと思っている。偉大なる神の御名にかけて誓うよ」ウィリアム卿は
殊勝にもいった。
「これで気はすんだか?」
「ええ、結構ですわ。主の御名にお誓いなすったんですもの」イザベルは鼻息も荒く答えた。
「わたし、話相手でもなんでもいたしますわ」
「よかった、嬉しいよ。それでは感謝のしるしにグランドピアノでも贈ろうか。君、ピアノ
は弾けるかい? ああ、そうだ。その前に応接間はどこにあるのかな?」
「わたしを傷つけてお笑いになりたいのなら、勝手になさったらいいわ」
イザベルはどうしようもない悔しさに、自分でも知らないうちに涙ぐんでいた。
「わたし、あなたのいうことなんかもう聞かないから!」
「泣いているのか?」
「いいえ、泣いてなんかおりません」
イザベルは泣くまいと我慢すればするほど、どんどんと溢れでる涙を袖でこすりながらいった。
ウィリアム卿はたじろいだように、見えない瞳をゆらすと、できるだけ優しく語りかけた。
「泣かないでくれ。君を泣かすためにここに呼んだんじゃない」
「わたしは泣いてなんかおりません」
イザベルは笑おうと努めたが、まるでうまくいかなかった。
「それに、旦那様がおっしゃったことも、別に気にしてなどおりませんもの」そういった彼
女は下を向いていたので、よけいに声が震えてしまった。
ウィリアム卿は手を伸ばして彼女のほうに近づくと、その頬をそっとなでた。
「やっぱり泣いているじゃないか」親指で彼女の熱い頬から涙をぬぐうと、ウィリアム卿は
いった。「こんなに濡れている」
イザベルはひんやりとした指先に触れられて、あれ程たかぶっていた気持ちが凪いでいくの
がわかった。
「ぼくを許しておくれ」
「……わたし、泣いてなんかおりませんもの」イザベルは蚊の鳴くような声で反抗した。
「どうして嘘をつく必要がある? 悪いのはぼくだろう?」ウィリアム卿は顔を寄せて、彼
女の囁く言葉を聞き逃すまいとした。「許してくれるね?」
彼女はその問いに、思わずこぼれた笑みで答えた。
「よかった。嬉しいよ」手のひらから伝わる満面の笑みに、満足したように彼はいった。
ウィリアム卿は確かに笑ったとイザベルには感じられた。
(おわり)
クオリティ高いな。
674 :
637=閑話:2007/01/24(水) 20:40:50 ID:F8x+wq8d
ただの閑話なんだ。
「ER」という海外ドラマを見た。そのシーズン[の16話「秘密とうそ」でな。
休憩中に部長(小宮和枝)が患者から預かってる「SM道具」で、カーター(平田広明)、アビー(葛城七穂)、ルイス(山像かおり)
ルカ(てらそままさき)、ガラント(三宅健太)が遊んでたんだ。
それを部長に目撃され、特別講義に逝った。 だが、部長が大雪で遅刻。暇な5人はそれぞれプライベートを語りだした・・。
で、「初体験Hはいつ?」の話題のとき・・。(以下あいまい)
ルイス 「カーターは初体験いつ?」
カーター 「ん? 12だよ。」
ルイス 「うそ!? まさかメイド?」
カーター 「うん。向こうが一度はシタほうがいいって言うしさ。それに気持ち良かったよ。」
というのをこのスレみてしばらくしたら思い出した。 閑話終わり。
>>674 くそっ!カーターめ!
12歳でメイドさんに?
真偽の確認のためERを借りに行かねば!
カーターの実家は資産1億ドル(だったかな?)のカーターファミリー財団。
メイドさんの一人や二人いてもおかしくない。
676 :
673=閑話:2007/01/24(水) 22:04:39 ID:F8x+wq8d
637は関係ないんだ。
>>657 間違の場合は申し訳ない。
>>676 657ではなく675だろ?
それより、くそっ! オレも!確認だ!
>>675を書いたものです。カーターは11歳の時に25歳くらいのメイドさんに筆おろししてもらってるとは!羨ましい。
さすが大金持ちのお坊っちゃん。
ナニこの素敵設定
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/4152/1164680303/ >議会政治において新たに参加するであろう女性という強大な票を獲得して自派に取り組めば、軍の影響力が強いとはいえ一応民主主義国である日本議会が強力な味方となる。
>議会政治とプロパカンダを理解しすぎていたゲッベルス宣伝相はメイドSSを流行の尖兵と位置づけして婦人層を取り込み、トルコとタイを使った三画交易を使ってまでメイド服とメイド映画を持ち込んで
>スカートの短い大陸風フレンチメイドを流行させ、保守的な空気に倦んでいた日本の女性層に一大ブームを巻き起こした。
>「どうせ女の遊びだ」とたかをくくっていた東条内閣は事態を静観するという男らしいミスを重ね、今度は外交と諜報にかけてはろくでもないほどえげつないイギリスの介入を呼び込んでしまう。
>英国情報部の意を受けて大挙するヴィクトリアンメイド達が「伝統と格式こそ流行の最先端」を合言葉に、ロングスカートを冬の帝都で舞ってみせる姿がフレンチに恥じらいを覚えた婦人層をひき付ける事に成功したのだ。
>この時点において、事態は完全に政府の制御する状態から外れて暴走してゆく。
>英独のメイド達は諜報と色事による政府中枢の懐柔を目的としていたから、大漁の手駒を得た彼女達は猛然と活動を始め、軍から政治家、官僚に実業家の幅広い男達をオセロゲームのごとく奪い合っていた。
680 :
名無しさん@ピンキー:2007/02/02(金) 23:25:38 ID:+fnkoIKU
国産の健気な小間使いの少女と言う存在を君たちは忘れてはいないかね?
雷鳴が轟く暗黒の雲が空を覆っている。
大地は見渡す限りの荒野。雑草も生えてさえない。
目の前には・・・・・・なんか言葉では言い表せられない黒い巨大なモンスター。
私は今、このモンスターとの最終決戦をするのだ。
生きるか死ぬかの瀬戸際。
風でエプロンドレスのロングスカートがなびく。
私には伝説の魔剣がある。
負けるはずがない!
自分の丸眼鏡が一瞬キラリと光り、
「てりゃぁぁぁぁぁぁ」
目の前の敵に剣を振り降ろした。
ぱしっ
カサカサカサカサ・・・・・
ものすごい素早さで新聞紙の剣をかわし、ヤツは逃げていった。
「ふぇ〜、ご主人様〜、また逃げられましたぁ〜。」
「お前がボーっとしてるからだろ。」
私にはまだ経験値が100足りないようです。
オレはGが嫌いだからメイドさんに(ry
待ってればこのメイドさんがご主人さまで夜の経験値稼ぎをするSSが投下されるんだよな?
志村、逆、逆!
レベルが近ければ、経験値は両方に入ります。
ちょっとここの住人に聞きたい
ご主人さまを呼び捨てにする上にタメ口なメイドさんは有りか無しか
仕事が完璧ならアリ
投下してもらえるのならアリ
幼馴染的エロ本設定ならOK
普段は呼び捨てタメ口でもえっちい事されてスイッチが入るとご主人様って呼ぶようになって従順になれば言う事無し
このスレの保管庫みたいのある?
692 :
1-500:2007/02/09(金) 15:46:24 ID:Y1yyrg6m
>>692 貴族の雛祭りって面白そうだね
と、つぶやいてみる
694 :
名無しさん@ピンキー:2007/02/18(日) 01:25:08 ID:+UOK46qg
メイドはやっぱり近世でないと
萌えないなぁ・・・
695 :
転載:2007/02/20(火) 13:08:27 ID:/xqny/MZ
580 :Mr.名無しさん :2007/02/13(火) 22:07:04
さてさて今回は縁側に腰掛けて日向ぼっこ中の二人
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
主「二月なのに春みたいだねぇ・・眠くなっちゃうよ・・ふぁ〜」
相変わらずグータラな主人
メ「フフフ・・・ご主人様はいつでも眠いんじゃないですか?」
主「うっ・・今日はキツイね・・けど眠いものは眠いんだから仕方ないよ。ふぁ〜」
メ「最近ご主人様も忙しかったですもんね・・・はい、どうぞどうぞお使いくださいな♪」
そう言いながら膝をポンポンしながら名無しちゃん
主「い、いや、わ、悪いよ。君も最近忙しくて疲れてるんだから・・」
本当は無性にして欲しいけどかなり恥ずかしいので断る主人
メ「私の膝じゃダメですかぁ?
(もうっ!私も勇気出してるのにご主人様ったら・・頑張るのよっ!私っ!」
上目遣いでさらに膝ポンポンする名無しちゃん
主「う、うん、じゃぁお願いしようかな」コロン
妙な気迫に押されて憧れの膝枕してもらう主人(ヘタレ)
メ「は、はいっ!頑張っちゃうので良く御休みくださいっ!」
いざやってみるとかなり恥ずかしい事に気付く名無しちゃん
主・メ「・・・・・・・・・・・・」二人とも無言だが充実した昼下がりを満喫しましたとさ。
622 :Mr.名無しさん :2007/02/19(月) 01:53:56
ドキドキ……
こんな日が来るとは思わなかった。
挿れた後、フゥーっと力を抜いた。
そして、痛くないように、できるだけ軽く柔らかく動かす。
彼女も、初めてと言ってくれたから、優しく優しく。
気持ち良さそうなメイドさんの表情。
緊張を気取られないように、メイドさんに話しかけた。
ご主人様: 「大丈夫? 痛くないか?」
メイドさん:「平気です。 ご主人様、お上手ですよ」
ご主人様: 「そうか? じゃあ、このまま奥までイれるよ」
そうしてそのまま、奥までユックリと挿れて行く…………
ご主人様が、初めてメイドさんに膝枕で耳掃除してあげる、そんな平和な夜。
今週の『ゾクセイ』が面白かったなんてことは秘密だ
ゆかりちゃーーーん!!
百合さーーーん!!
薫さーーーん!!
水晶さーーーん!!
カムバァッーーーーーク!!
700 :
1-500:2007/03/04(日) 03:51:36 ID:UbYulxCW
超スローペースな俺が来ましたよ。最初に投下したのが去年のお正月だもんね。
まあ、ゆっくり書いてきますので気長にお付き合いください。
----------------------------------------------------------------------------------
前略
伯母様、お加減よくお過ごしですか。私は相変わらず無事にやっています。
安心してください。
都では今年の冬は暖かく過ごしやすかったですが、そちらでも例年にない暖冬で
雪も少なかったと聞いています。
それでもどうかお風邪を召さないようお気をつけ下さい。
咲は先月で七つになりましたが、先生や伯母様の言うことをちゃんと
聞いているでしょうか? 心配です。先月から先生に字を習っているとのことですが、
あの子は飽きっぽいから根気良く続くかどうか不安です。
どうか「お姉ちゃんが咲からの手紙を楽しみにしている」と言って励まして
やってください。お願いします。
さて、先の手紙でも伯母様に言われたので身の回りのことをいろいろ書くことにします。
今日は私の仕事場の話を書きます。
わたくしの働かせて頂いているこのお屋敷は、都の近郊にある田園地帯に建っています。
半世紀前くらいに流行した外国風の石造りのお屋敷です。
この規模のお屋敷ならば、普通は様々な従者や使用人がいるものですが、旦那様が
雇っておいでになるのは私のほかにお料理の世話をしている幸恵さんと、庭師をなさっている
定吉さん、そして執事の狩野さんの三人がいるだけです。
前の手紙にも書きましたが、お三人ともとても親切にしてくれていて、私はとても楽しく
働かせていただいています。
お屋敷をそれだけの人数で切り盛りするのは大変かと思われるかもしれませんが、旦那様は
普段は蘭の栽培の温室と書斎、それに図書室くらいしかお使いになりませんし、
あまりお客様をお呼びになったり宴席を催したりはなさりませんので
日々の仕事の量はさほどでもありません。機械が大変にお好きで、お湯を沸かす機械や
敷布を洗う機械など、そんなものをよく買ってきたりお作になったりしてくださるので
仕事が楽になってしまい旦那様には申し訳ないです。故郷では冷たい水であかぎれを
作りながら洗濯や炊事をしていたのに、とそう旦那様に申し上げたら「百合さんのような人が
手を荒らさないためにscienceは進化したのです」とおっしゃって下さいました。
旦那様は素晴らしいお方です。
百合はこんなお方にお仕えできてたいへんに幸せです。
旦那様のことも書きます。
私の働いているこのお屋敷の旦那様は、一言で言えば変わったお方です。
こう申し上げるのは失礼ですが、全然貴族らしくありません。
旦那様のお父様は皇位継承名簿にお名前が載っているほどの名門の出なのですから、
それなりの体面というか、風格というか、そういったものがあって然るべきとは思うのですが、
なぜかそういったものをまったくお持ちになっていません。
比べてみると、庭師の定吉さんや執事の狩野さんのほうがよほど貴族っぽいというのは
いささか問題があるように思えます。
といっても、もちろん外見が貧相だ、というのではありません。
お優しい瞳と、柔和な物腰や口調に温かみがありすぎて貴族の方のような冷たい威厳の
ようなものをお持ちになっていないだけです。
私はお父様をずっと若くしたらこんな感じなのかな、と旦那様を見ると思ってしまいます。
自分を律しつつも他人を優しく労わる、暖かい瞳のお方です。
さて、その旦那様ですがまもなく三十になろうというのにご結婚なさる気はおありに
ならないようです。
庶子とはいえ、名家のお血筋なのですから、よその伯家や爵家さまからお嫁さんをお取りに
なるとか、末のないどこかの家をお継ぎになるとか、いくらでも方法はあるとおもうのですが、
女の方がお嫌いなのでしょうか。
もちろん、旦那様はけっして魅力のないお方ではありません。お優しい顔立ちで、どなたにも
丁寧な言葉をおかけくださる、紳士の鑑のようなお方です。
701 :
1-500:2007/03/04(日) 03:52:00 ID:UbYulxCW
旦那様はそもそも滅多に社交の場にお出になりません。
お屋敷で蘭の栽培をしつつ、お隣の農事試験場でいろいろな穀物や稲の改良の仕事を
なさっておいでです。いつも所員の先生や博士さんたちと一緒に忙しくなさっています。
「ご飯がお腹一杯食べられればたいていの争いなんてのは起きない」というのが
旦那様の口癖で、所長の役職にいらっしゃるのに手ずから泥に塗れていらっしゃるのは
本当にご立派だと思います。
先だっても農耕馬の馬具を改良するのに馬を借りてきたのですが、この馬が旦那様の
御髪を大変に気に入ったらしく、馬のよだれまみれになってお帰りになったときがありました。
そうそう、馬といえば先の戦で旦那さまは軍人として戦役に参加されたそうです。
あのお優しいお顔で、兵隊として戦場にいるだなんて想像もできないのですけれど、
兵隊ではないそうです(当たり前ですよね、貴族様なのですから)。聞くところによると、
兵隊さんの食べるご飯や、鉄砲の玉なんかを配る仕事をしておられたとか。
旦那様が荷車にご飯を積んで戦場を配り歩く姿を想像して可笑しく思っていたら、
それも違うそうです。執事の狩野さんに笑われてしまいました。
兵隊さんたちのご飯をいつどこに届けるか決めたりとか、玉が足りなそうなところに
多めに配っておくよう命令するとか、そういうお仕事だそうです。
狩野さんに言わせると「配送屋と仕出屋と修繕屋を合わせたようなお仕事」だそうです。
配送屋さんだとすれば、旦那様の軍人のお姿が想像できます。
先だっての秋のお祭りの日、旦那様のご領民…というよりももう農地は払い下げて
しまったのでもう領民ではないのですが、その近隣の農民の方たちを招いてお屋敷の裏庭で
大鍋を振舞う芋煮会を催したのですが、笛太鼓の演者さんたちの手配から料理の材料の確保、
桟敷の準備から燃料やけが人の予防まで、旦那様は見事に差配を行っておられました。
これが軍仕込みのお手並みなのだなあ、と感心しました。
狩野さんにそう言ったら、それもそれですこし違うと言われてしまいましたが。
(狩野さんは旦那様が軍人の頃の部下だったそうです)
なんでも、旦那様は大変優秀だということで、陛下から直々に勲章をお貰いに
なったこともあるそうなのです。
雲の上の方とお会いになった方だと思うと、いよいよもって緊張しなければと思うのですが、
(そもそも、旦那様ご自身が雲の上の階級の方なのですけれども)旦那様の
こちらの気が緩んでしまうような暖かい笑顔で見つめられると、とても緊張しようがありません。
笑みがこぼれそうになるのを必死にこらえつつ、
「旦那様、なにかご用でしょうか?」
と言うしかありません。
と、なんだか書いていると旦那様のことばかりになってしまいました。
夜も遅くなりますので今日の手紙はこれくらいにしておきます。
また手紙を出します。
どうか、身体にお気をつけてお過ごしください。
かしこ
伯母様へ 百合より
702 :
1-500:2007/03/04(日) 03:53:54 ID:UbYulxCW
以上「百合さんの手紙」編でした。
エロくもなんともないですが、なんとなくこんなイメージなのかな、と
文章でスケッチしてみただけであります。
次は
>>209の次の日あたりのお話を考えています。
やっぱり気長にお付き合いください。
シベリア出兵か上海事変あたりで輜重関係の陸軍軍人として活躍した経歴もある
昭和初めあたりの学究肌の青年華族、ってなとこか。
雰囲気は出てるね。
キタ(ry
気長に着いていきますわ
>>702 GJ!
一時間半後にはもう投下されてるこの驚愕の事態。
まだまだこのスレも捨てた物じゃあないな。
706 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/10(土) 11:04:26 ID:9pFpy+mm
投下が少ないけどね・・・・
寂しいな。
708 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 22:28:55 ID:cId+BOQy
新作投下祈願age
「ご主人様」より「旦那様」の方が萌えるのは俺だけ?
俺はマスター派
全部好きだ
わが君
713 :
1-500:2007/03/21(水) 23:23:24 ID:NDXB/LDU
『旦那様』だと、二人の関係性がただの主従ではなく屋敷に雇われている使用人と
屋敷の「旦那」をしている人、という複雑な関係性が生じるからなんとなくスキだ。
いやあくまで主従であるのかもしれないけど、ワンクッション置いたほうが萌えるというかなんと言うか。
ちなみに私はメイドさんよりかは執事のほうが好きだったりするw
俺は学園長派だが何か?
名前欄隠し忘れたorz
百合さんの続編は超スローペースだけど書いてるからそのうちお見せできると思う
>>713 メイドさんも好きだが最近はお嬢様と執事に傾きつつある。
そういうスレもあるのかな?
俺はお嬢様×メイドさんがいいかな
719 :
メイドさん:2007/03/22(木) 14:21:32 ID:41U+1VM6
保守
722 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 21:07:08 ID:QttNxjhq
投下祈願で
723 :
名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 00:51:13 ID:WHeE1nFK
ほす
724 :
名無しさん@ピンキー:2007/04/07(土) 01:45:19 ID:RRF0N8AQ
保守
しこしこ書き始めたがだいぶズレたものになりそうだ
かゆい
うま
728 :
名無しさん@ピンキー:2007/04/13(金) 20:39:13 ID:a2acaJ+i
ほすほす
729 :
名無しさん@ピンキー:2007/04/14(土) 10:16:47 ID:FYzctNL1
冥土スレ?
730 :
名無しさん@ピンキー:2007/04/14(土) 10:22:09 ID:IgcYCc6G
いや、正当な萌えメイドさんのスレだ
731 :
名無しさん@ピンキー:2007/04/15(日) 11:29:06 ID:zCw0rgDS
ロボメイドはロボか、メイドか? こっちの投下が久しいようなのでこっちに投下
保守代わりにどうぞ
突然の出張命令から1週間。やっと家に帰ってきた。
家には優秀なメイドがいるので、留守にすること自体は不安は無いのだが
なんせ、寂しがり屋だからなぁ……。ロボの癖に。
感情機能も高性能化するのはいいが、寂しさが募って仕事に支障をきたすのは本末転倒だろうに……
愚痴めいたことを思い浮かべながら家路を急ぐ。
やっと玄関の扉に手が掛かる。……が、何だ? 扉の向こうに気配が……。
ええい、ままよ――
「おかえりなさいませ、マスター。お帰りをお待ちしておりました」
待ってたって……まさか……
「交通機関の時刻表から帰宅時刻を推定しました。2分前からここで待機しておりました。
ああ、マスター、とても会いたかった……」
フルパワーで抱きしめられる……クッ、さすがに息が苦しい……ガハッ!
しまった! 声もだせない……顔の毛細血管が破裂する……肋骨が軋む……
「も、申し訳ございません。私ったら……」
「あ、ああ、まだ……生きてるからいいよ……もう少し手加減してくれると助かる」
「申し訳ございません、だって……1週間も会えなかったんですもの……」
「あー、分かった分かった。それより、腹が減った。飯は出来てるか?」
「はいっ! 腕を増設して目いっぱい頑張りました。さすがにマニュピレーター16本の同時作業は難しかったです。
目と耳も増やすべきでした」
「いや、想像するだけで怖いから止してくれ……寒気がする」
732 :
名無しさん@ピンキー:2007/04/15(日) 11:29:38 ID:zCw0rgDS
脱いだ上着を預け、居間へ向かう。いい匂いが漂っている。ふむ、中華かな。
ダイニングへ入ると、そこにはテーブル一杯に並ぶ料理の数々。
これって……満漢全席……
「ここまで気張ることはないだろう」
「何をおっしゃいますか。私の気持ちはこれだけでも足りないくらいです。貴方に私の料理を食べてもらえない間……
私が、どんな気持ちで過ごしていたか……マスターにはご理解いただけないのですか?」
「上目使いで見上げるな。分かってやってるだろ。……ああ、拗ねるな拗ねるな。お前の気持ちも分かるよ。
俺が言い過ぎた。とにかく、美味そうな料理が冷めてしまってはいかん。食うぞ」
「はいっ!」
技巧を凝らした数々の料理。確かに美味い。
「量がありますから、全て召し上がるのは無理ですよ。でも、全てに箸をつけていただけると嬉しいです」
そんな目で見られたら、全部喰いたくなるだろうに……計算してやってねぇか?
俺が食う姿を嬉しそうに目を細めて眺めるメイドロボ。
かいがいしく主人の世話を焼くことに喜びと存在意義を感じるように作られた。
男の理想の姿、そのままに……
「あーー、喰った喰った。さすがに腹が苦しい。ちょっと喰いすぎたか」
「本当に、食べすぎですよ」
と、言いながらも嬉しそうな顔をするなよ。こっちまで嬉しくなる。
「美味かったよ。ご馳走さん」
「はい。お粗末さまでした。お風呂の支度ができています。お先にどうぞ」
「お先にって?」
「片付けたら、お背中を流しに行きます。ゆっくり温まっていてくださいね」
「おいおい」
「お風呂が済んだら就寝前にマッサージをしますね。お疲れでしょうから」
「いやいや、そこまでは――」
「よろしいですね、マスター」
「はい」
>>733 見たけど、、、、何がやりたいんだ、これ?
つうか、保管庫なら
>>98に既にあるから。
735 :
名無しさん@ピンキー:2007/04/19(木) 14:37:31 ID:uaLcA/7M
しゅしゅしゅ。
圧縮回避保守
しゅしゅっしゅ〜
しゅしゅしゅっしゅ〜
sdasdqew@;r@
qwerfqewr
asqwerwe
afssdafdas
yutyie
ygeryeryre
sadfsarfsa
739 :
名無しさん@ピンキー:2007/04/28(土) 13:52:43 ID:IKPY0FBX
ボクは……薫さんを忘れない……
万能メイドさんがじつは処女、っていうのが読みたいです!
741 :
名無しさん@ピンキー:2007/05/02(水) 20:54:56 ID:7IVfuzqI
ハヤテスレ行けば見れそうだな
ごめん、今は他所作品書いてるから書けない
742 :
名無しさん@ピンキー:2007/05/02(水) 22:05:56 ID:ptBlZGkn
>>741 職人様、ガンガレ。
どのスレかは分らんが、住人も期待してると思う。
わっふるわっふる
保守
期待されてしまったし、RTで短編を…
「おやめくださッ!…ん…」
思えば、本日のご主人様は少々様子が違いました…
本日はご主人様と二人きり。これはチャンス!と、日頃より溜まっていた思いをぶつける…といっても愚痴ではなく、胸に秘めたこの思いを伝えてしまうつもりでした…
ですから、普段は皆で半日かけて終えるお仕事を、お昼までに終わらせました。そしてお茶の後にお出かけを…などと思っていたのです
しかし、私がお茶のご用意をしていると…
「いい機会だし、たまにはお前も付き合わないか?」とお誘いいただけたのです!
それはもう嬉しくて、危うく気を失ってしまいそうでした。しかし「ご主人様と同じ席でお茶を戴くなど恐れ多い事はできません、気持ちだけ受け取っておきますわ」と、断らざるをえませんでした
すると、ご主人様は寂しそうな表情を見せましたが、そのままお茶を召し上がりになりました
私は後ろ髪を引かれる思いでしたが、ご主人様の隣に立ち、御用を待ちます。しかし(あぁ…あの向かいの席に座れたら…)と、後悔していると、ご主人様が私をお呼びになりました
「この後、時間は空いてるか?もし空いているなら、片付けが終わったらオレの部屋に来てくれ」
「はい」
これはまたとないチャンス!と喜びつつも、それを悟られぬようにお返事を致しました
そして片付けの後、ご主人様のお部屋へ向かったのです
軽くノックをし、「失礼します」と挨拶をして戸を開きます。すると、ご主人様はソファーから立ち上がり、私を手招きしました
「はい…?」と疑問に思いつつ近付いたその瞬間!ご主人様が私の手を引いて抱き留めたのです!
私が何が起こったのかわからず困惑していると、ご主人様が口を開きました
「お前が欲しい…ずっとそう思っていたんだ」
そういって私をソファーに押し倒したのです。
「いけません…こんな」
あまりの嬉しさに思わず顔が綻んでしまいましたが、これを素直に受け取るわけにはまいりません。後ろ髪を引かれる思いで抵抗をさせていただきました
しかし、「やっぱり5才も年下じゃイヤか?」と悲しそうな顔になるご主人様、それを見て私は慌ててしまい、うっかり口を滑らせてしまったのです
「イヤだなんてそんな!私はご主人様を…」と、そこまで言って口を塞ぎます。しかし時既に遅く、それを聞いたご主人様は笑顔を取り戻し、私に覆いかぶさったのです
「おやめくださッ!…ん…」
その後、私はご主人様に素早くメイド服を剥ぎ取られ、今まさに全てをさらけ出そうとしていました。抵抗の言葉も、優しく唇を合わせられ続かず、次第に不思議な感覚に落ちていきました
ご主人様が私の胸を強く、それでいて優しく揉みしだきます。「ふ……ん……はぅ………ぁ……」
次第に吐息が漏れ、体から力が抜けていきました。
それを感じ取ったご主人様は、下着の上から私の秘所を撫で摩ります
「んふ………フあっ!……」
ご主人様の指が優しく一撫でする度に、私の体には弱くも甘美な電気が走ります。もう私の秘所はしっとりと湿り気を帯び、下着は意味を成さないほどに透けてピッタリと張り付いてしまっていました
「もうこんなになってるんだな…」そういうと、遂にご主人様は私の下着をスッと下ろしました
「ん?そうか…初めてだったのか…」そういうと、私の秘所に軽く口付けをするご主人様、私の溢れ出た愛液をそっと吸い上げます
「んン!……やッ………だっ…………ダメで…す…」
快感を全身に受け、次第に乱れていく心。それを理性で抑え、必死に拒む私…それに気付いたのか、ご主人様が私に優しく耳打ちします
「いいんだよ、無理に抑えなくて…関係なんか気にしなくていい、今は一人の女になるんだ」耳元で優しい声で囁かれて、次第に力が抜けていきました。それに気付いたご主人様が、私の秘所に指をゆっくりと差し込みます
「ん!………やゥ……ふァン……ンあっ!!」ご主人様の指が、とても優しく私を掻き混ぜます。それはとても気持ち良くて、私は声を抑える事もできず、淫らな液を溢れさせます
「そろそろいい…かな?」
と、私の秘所に硬くなったモノを宛うご主人様。その言葉に、私は一瞬戸惑いました。しかしそれを察したご主人様はまた優しく囁きます
「大丈夫、優しくしてやるから…ほら、肩の力を抜いて」
その言葉に私は覚悟を決めます。ご主人様の背中に手を回し、目を閉じて力を極力抜きました
そしてご主人様が私の中に優しく入ってきました
「…ッつ!…痛ぁ………ンはッ………は…っあ…」
今までに感じたことのない痛みに耐えきれず、思わずご主人様の背中を引っ掻いてしまいました。しかしご主人様は顔色一つ変えずに私を気遣います
「悪い、痛かったか?でもすぐ良くするから我慢してくれよな」
そう言って、片手で胸の、もう一方で秘所の突起を摘み上げます
「んふぁぁあん…やっ……らめれすぅッ……」
思わずはしたない声を上げてしまいましたが、ご主人様は満足気な顔をして続けます
「さて、じゃあそろそろ動くぞ」
そう言って胸を責める手を私の腰にまわし、ゆっくりと優しく腰を動かし始めるご主人様。多少の痛みはあるものの、それは優しい愛撫で掻き消されて快感だけが私を支配していきます
「んはッ!…ぁああ…ダメッ……こん…なぁあん……」
もはや私の中には理性など殆ど残っておらず、ご主人様への思いでいっぱいになっています
ご主人様が両手を私の腰に回し、先ほどよりも激しく私を突き上げてきます
「ぁんあぁッ!…やめ…ら…めぇ………んああ!…変っ…っにい…」
次第に込み上げる思いに不安を感じつつも、体はご主人様を求めます。いえ、私の体も心も、もはやご主人様の虜となっていました
「ご主ッ…じっ…ん!…様ぁ……もッ…も……ん!ぅ…ぅ……わた……くひぃ…し……」
私の限界を悟ってか、ご主人様が私に語りかけます
「も…もぅ…イクぞ……中に…いいよ…な」
「アッ…ッは…ハヒぃ…」
断る理由などありませんでした。私はもはやご主人様のモノなのですから
それを聞き、ご主人様が私をより激しく突き上げます。私はあまりの快感に打ち震え、頭が次第に真っ白に染まっていきます
「ンはぁ!…ダッ…メ!……やっ…あぁあっ!!……ンあぁぁあんああ!!!」
頭が真っ白に……真っ白に染まって………ドクンとご主人様が脈打ち、私の中に性を注ぎ込む感覚だけが感じられました
私たちは、しばらく繋がったままで互いに気持ちを確認し合いました。ご主人様がモノを引き抜くと、私からは私達が愛し合った証が流れ出します
それを見たご主人様は、私を優しく撫で「ずっと面倒をみてやるからな」と言って下さいました。
それを聞いたら、何だが涙が止まらなくなり、またご主人様に困り顔をさせてしまいました
その後、私達は元の関係に戻りました。どんなに愛し合っていても、所詮は主人と従者、結ばれるわけにはまいりません
しかし、時折ご主人様は私を求め、私はそれに応じて身を任せます。そう、今夜もまた…
「ご主人様、愛しております」
あーあ、結局熱が入って普通サイズSS書いちゃった。長編書いてる途中だったのになぁ…まぁいいかww
誤字脱字はスルーヨロ、気をつけたけど、勢いだから部分で敬語になってなかったりしても気にしないでくれ
じゃあスレの御武運を祈りつつageてくよノシ
GJ!GJ!
>>752 この程度の長さの文章が長くて読むのが(ryというヤツはメイドさんにきつく叱ってもらうべき
乙
754 :
名無しさん@ピンキー:2007/05/24(木) 00:42:32 ID:4/HyF7mj
一人語りうざいっす
755 :
名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 14:52:40 ID:Cx24va0X
おーい お茶
パチンコのローズテイルアルティメットって台がメイドさんハァハァな台なんだが、
誰かSSを書いてくれないかな?
ごめん、俺パチンコやらない。
誰かやらないか?
戦うメイドさんはいいよね
あまりに強大な敵
生きて帰る可能性は2%以下
主人ともに絶体絶命の危機
諭すように、穏やかに微笑みかけるメイドさん
「メイドに不可能はありません。 旦那様の為ならば……」
何そのまほろさん
何その「ヨーグルト=青葉=一流」さん
阪神が負けると大暴れするメイドさん
「私の最終学歴ですか?
そういえば江田島塾長はお元気なのでしょうか…」
なメイドさん
パターン1:ジェンダーチェンジな方。
最後に昔の写真が出てくる。
パターン2:富樫や虎丸タイプが冥土服。
民明書房の解説付き。
パターン3:見かけは正当派メイド。でもXY。
最後はフリチン。
>>764 パーフェクトなメイドさんなら♂でもいい
>>765 そりゃ執事だ…………とツッコもうと思ったが…………
綾崎ハーマイオニーメイドって手があったか…………
>>764 >パターン1:ジェンダーチェンジな方。
「ゲッターチェンジな方」
と読んでしまった。
どんなメイドさんだよ…
モーフィングはみたくないかも
頭とエプロンと足元の組み合わせで三種類のタイプに変化するんですね
メイドさんよりも 早乙女博士 vs 江田島平八 の方が見たい気がする。
急に活気づいたなw
ゆかりちゃん帰ってこないかな……。
意外と住人がいるのにワロタw
賑やかになってきた皆に触発されて、なんとなくエロなしB級バトルメイドもの書いてみたり。
ある程度まとまったら投下するのでそれまでこのノリが続く事を祈るっぜ。
スレに活気がないと書き込みすらできない俺鶏肉。
>>773 Okok、期待して待ってるぜ?
どうでも良いけど、携帯でokok打とうとすると、「ふにふに」になる事に今気付いた。
ふにふにメイドさん……
やわらかおっぱいがふにふにメイドさん
776 :
名無しさん@ピンキー:2007/06/16(土) 09:03:37 ID:LmQcRzCS
二の腕がふにふにのメイドさん
ダイエット中
「むしろふにふにの方が良くね?」
とかご主人様に言われて葛藤するメイドさん
778 :
773:2007/06/16(土) 20:46:42 ID:8rbqqcRy
オーラの泉で花は献身的〜〜と言う話をしていたのを聞いて脳内で即座に花の擬人化メイドさんが想像されたのは俺だけで良い。
それはさておき、とりあえず導入部投下。
導入部なので短めですが御容赦を。将来的には中編予定。
誰かと共に迎える朝は良い物だ。
さらに、目を覚ませば温かな朝食までもが用意されているとくれば言うことはない。
目を覚まして最初に感じるのは、味噌汁と炊き立ての米の香り。
耳を澄ませば軽やかな包丁の音と、かすかな鼻歌が聞こえてくる。
――相変わらず、微妙に音程がずれてるな。
思わず苦笑する。
炊事洗濯は言うに及ばず、日常知識や護身術、それら全てにおいて水準以上の能力を誇る彼女にも、苦手という物は有るらしい。
さて、そろそろ起きて彼女を手伝うべきか。それともこのまま彼女が起こしに来てくれるのを待つべきか。
彼はわずかに考え、彼女が起こしに来てくれるのを待つことにした。
朝食の準備を含め、この家の家事全般は彼女の仕事だ。
テスト明けで疲れている体の事もある。
せっかくだ。ここは、おとなしく彼女に甘えることにしよう。
それからしばらくして、開け放しのドアから誰かが部屋に入ってくる気配。
主人を驚かさぬよう、最低限の気配と足音は立てつつ、しかし主人の邪魔にならぬ様極限まで殺された気配と足音。
それは彼女が、一流のメイドであることの証明だ。
「慧様……」
言葉とともに、そっと彼女の手が彼の体に添えられる。
「起きてください。朝食の準備ができましたよ?」
語尾をわずかに上げる半疑問系は、彼女の癖だ。
実のところ、さっきから彼の目は覚めている。
にも拘らず、彼女が起こしにくるまで寝た振りをしていたのは、ひとえに「メイドさんに起こしてもらう」という至福の一時を味わうために他ならない。
その事を彼女に気付かれぬよう――彼女の事だ。とっくにばれている可能性もあるが――いかにも今起きました、と言うようにその身を起こす。
体を延ばして欠伸を一つ。ついでに目許をこすりつつ、
「ん……、おはよう。御咲」
「はい、おはようございます。慧様」
そう言って彼女――白沢慧のメイド・草壁御咲は、紫陽花のような笑みを浮かべた。
「いただきます」
手を合わせ、まずは温かな湯気を上げる味噌汁を一口。
――美味い。
目が覚めたばかりでやや味覚が鈍感になっていることを見越した、やや豆の香りの強い味噌。
具材は豆腐とワカメだけのシンプルな物だが、朝食としてはその素朴さがむしろ良い。
「どうぞ、慧様」
御咲が炊飯器から茶碗にご飯をよそってくれる。
炊き立てのかぐわしい香りをたてるご飯は、俗に十五穀米だの十六穀などと呼ばれる雑穀入り米だ。
しかし、ただの雑穀米ではない。
慧の体調やその日の天気、あるいは食事の献立に合わせ、御咲が毎回配合を変えているのだ。
今朝の献立はご飯に味噌汁、味海苔に納豆、漬物と簡素だが健康的なメニューだった。
「ごちそうさま。今日もおいしかったよ」
「お粗末様です」
慧の言葉に彼女は控えめに微笑み、食後のお茶を注いでくれる。
「今日は薬草茶なんだ」
「はい。テスト明けで疲れもたまっていらっしゃると思いまして」
好みの分かれる香りの強い液体はしかし、確かに彼女の言う通りテスト明けの疲れた体に染み渡って行くような気がする。
白米と味噌汁の朝食に、食後のお茶。
いかにも日本の朝の風景と言った献立だ。
これで家が昔ながらの日本家屋で、部屋が畳だったら言うことはないのだが、残念ながら慧の家はごく普通の最近の家であり、また家で唯一の和室は今は亡き父親が集めた民俗学の資料で埋め尽くされている。
「まあ、これはこれで良い光景だよな」
流し台で食器を洗う御咲の後ろ姿――主にゆるやかに膨らんだスカートに包まれた尻のあたりに視線をやりながら慧は、誰にでもなくそう呟いた。
「どうかいたしましたか――って、慧様。今、どちらをご覧になっていましたか?」
気付かれたか?
とっさに慧は、うまい言い訳を考えるため、周囲に視線を走らせる。
そこで視界に入ったのは、向日葵の写真に彩られた七月のカレンダー。
「いや……僕が御咲と出会って、まだ一月しか経ってないんだな、と思ってさ。
何かもう、ずっと一緒だったような気がするから」
その言葉に、御咲は目を細め、
「そう言えばそうですね……。ふふ、私も慧様とおんなじ気持ちです。
まだ一月しか経っていないなんて、信じられないくらいに色々なことがありましたし、ね?」
「そうだね」
慧も微笑の表情を作り、頷く。
慧が彼女と出会ったのは、六月の梅雨の最中。
それは――紫陽花の花が奇麗に咲いていた頃の事だった。
某演劇集団キャラメル箱ならダンスシーンが入るようなタイミングでとりあえず導入部終了。
ダンスシーンのBGMはPCゲーム『クラナド』より『Ana』あたりでお願いします。
来週中には続きを投下できる様に頑張ります。ではではその日まで、ごきげんようノシ
782 :
名無しさん@ピンキー:2007/06/17(日) 09:58:02 ID:dVs0Wq+3
年下の若いメイドさんが まるでお姉さんのように世話を焼いてくれたり
叱ってくれたりすると悶える
>>781 ずいぶん糖度高そうなのが来てたな。
期待してます。
新参ですが。
お嬢様とメイドの百合百合なやつを考えてるんですが、投下してもよろしいですかね?
なんでもこいだ
>>780,
>>784様
乙の準備が調いました、wktkしておきますので5日程で投下して下さいませ
いや、もっとかかってもかまわんwネタにしたかっただけだ
零れる吐息が、次第に乱れていく。
胸がどきどきして、苦しくて、切ない。
それでも――止まらない。止められない。
もう我慢できないほど切ないのに、今すぐにでも求めて欲しいのに……
貴女はどうして、私を抱いてくれないのですか?
―Remain―
「発情期、というやつなのかしら」
「え?」
主の口から突然発せられた言葉に、上条 静流(かみじょう しずる)はどきりとした
。
静流の一日は主の髪梳きから始まる。メイドである彼女の仕事は色々あるのだけど、
主なものといったら主である少女、香具山 澪(かぐやま みお)の世話をすることだ。
彼女は決まって朝食の前にその長い髪を整えることを望むため、これは毎日の日課とな
っている。
しかし、今日の澪は何やら不機嫌な様子だった。メイドの些細な動揺にも気付いた様
子を見せず、頬杖をついたまま面白くなさそうに続ける。
「猫よ、猫。どこかで盛っていたのかしらね、にゃぁにゃぁ鳴いてうるさいったらなか
ったわ。おかげでちっとも眠れなかったもの」
「……あぁ。猫、ですか」
ほんの少しの安堵を感じながら、そこで静流は、おや、と思った。昨日の夜、そんな
声が聞こえただろうか。
「おかしいですね。私には聞こえませんでしたが」
「貴女がそんな時間に寝ていたはずはないわよね。何をしていたの?」
「……業務日誌を、書いていたと思いますが」
ふぅん、と澪は鼻を鳴らす。後ろに立っている為に表情は見えなかったが、その表情
に変化はなかったはずだ。
「どうせ誰も読まないのに。ご苦労なことね」
「いえ、習慣ですから」
「そう。……静流?」
「何でしょう、お嬢様」
「手、止まってるわよ」
言われて初めて気付き、静流は「も、申し訳ありません……」と櫛を動かす。しっか
り者の静流にしては珍しい。
気を取り直して澪の髪を取る。腰まで垂らされた銀髪は全く癖が無く、櫛は止まるこ
となく彼女の髪を梳かしていく。その度にほのかに甘い香りが漂ってくるような気さえ
した。
静流は思う。澪は美しい。恐らくは、この世界の誰よりも。
少女と女性の合間にあるそのどこか危ういような美しさも、冷たい眼光をたたえた瞳
も、その些細な仕草でさえも、見るものを魅了してやまない。まるで誘蛾灯のように人
を惹きつけ、虜にしてしまう。
仮にも契りを結び、その御腕に頬を撫でられた者ならば、尚更……
「――にもいたようね」
「え?」
不意に声がかかり、静流は我に返る。全然気付かなかった。澪は今、何と言ったの
だろう。
「……もういいわ静流。貴女ってば全然人の話聞いてないし」
美しい銀髪を弄びながら、澪が不機嫌そうに言う。……あくまで不機嫌そう、なので
あって実際に不機嫌な訳ではないのだが、そんなことは静流には分からない。
「所詮、私の話など聞くに値しないということね。悲しいわ」
「そ、そんなこと……っ!!」
「ふふっ」
慌てる静流を見て溜飲が下がったのか、澪の顔に小さな笑みが浮かぶ。
「冗談よ。けれどもそうね……貴女、最近呆っとしすぎよ。一体そんなにいつも、何を
考えているの?」
かたん、という音がした。
それが澪が椅子から立ち上がった音だということに気付くよりも早く、澪の両手が静
流の頬に伸ばされる。ひやり、と少し冷たい感触。半瞬遅れてそこからじわりと広がっ
ていく、ほのかな熱。
「貴女の心を捉えて離さないものは何?知りたいわ……」
「お、お嬢様……」
静流の胸の辺りに澪の頭がある。妖しげに笑い、見上げる澪。たじろぐように見下ろ
す静流。ふっと吹きかけられる甘い吐息が静流の肌を撫で、桜色に染め上げていく。
「……ねぇ、静流?」
頬から、首筋へ。首筋から、胸元へ。
ただなぞるだけの澪の指は、静流が淫らになるスイッチを的確に押していくようで。
彼女はその衝動を、どうしても抑えることができない。
――それは……それは……っ
「お嬢、様……」
静流は知らずに、その細い澪の体を……
「……ふふっ」
抱きしめようとした。その腕を、すり抜けていった。
「ダメよ、静流」
「え……?」
おあずけをくらった仔犬のような―実際、状況としてそう間違っている訳ではない―
顔をして、静流はふぬけた声を出す。
その彼女の様子に気付いているだろうに、澪はあくまでも無邪気な笑顔で微笑んだ。
「だって、ほら。昨夜はとても暑かったでしょう?静流を汗臭くする訳にはいかないわ
。湯浴みをしてくるから、しばらく待っていなさい」
「そ、そんな……」
澪の体臭はどちらかといえば甘いような香りで、彼女の言うような汗臭さは感じない。
けれどもそのことについて不平を言おうとした彼女の前で、澪は有無を言わさずにシル
クのネグリジェを脱いだ。
白磁のような肌が外気にさらされる。大きくない両胸につんと自己主張をしている桜色
の蕾も、毛の一本すらも生えていない秘所も子供そのものである。しかしその裸身は、
どこか冷たさをまとった彫刻のように美しい。
その神々しさすら感じる彼女の裸身に、静流は二句を続けることができない。
「――それ。不潔だから、もう洗ってしまっても構わないわ」
見とれている静流の頬にもう一度手を触れ、澪は囁いた。
「おあずけよ、静流。貴女は優秀なメイドだもの……このくらい我慢できるわよね?」
「……はい」
「……いい子」
ちゅ、と頬にキスを一つ残して彼女は踵を返した。さらりと銀色の髪が翻る。
「あぁ、そう。貴女にわざわざ言うまでも無いことだとは思うけれども。……私の命令は絶
対よ?おあずけと言った以上、私が湯浴みをしている間、絶対に自分を慰めてはダメ。も
し破ったら――」
女神の微笑みは、あくまで神々しく、慈愛に満ちたように……
「――お仕置きよ」
一応これで導入は終わりですな。
続きはできるだけ早く書けるように頑張ります。下手糞で申し訳ない。
GJは完結まで待つぜ
ところで現在492KBだな。
もうそろそろ移住の時期か。
>>791 GJ
ところどころ改行がおかしいようだが。
>>237 モントゴメリー(英国軍人)に仕えるメイドさんご奉仕団(連隊)。
トブルク要塞も陥落し、ここで防がないと中東まで抜かれる為後がない英国軍。
「キャタピラ(履帯)車両の扱いなんて、お手の物です」と、レンドリースのシャーマンで出撃。
エル・アラメイン戦の勝利に大いに貢献し、救国のメイドさんズとなる。
「エル・アラメインの前にメイドさんの出撃無く、エル・アラメインの後に敗北無し」 ・・・・・・ あれ?
795 :
名無しさん@ピンキー:2007/06/22(金) 21:07:02 ID:ovheFgGi
時期的にはそろそろ百合さんが来るころかな
493kb、次スレの季節だが、既に立っていたかな?
>>798 グラッツェ!
そういえば、保管って確か板総合のところに依頼してるんだよな?
ネタで埋めるのはいいが、AAとかで埋めるのはあまりよくないような…
容量ぎりぎりだと放っておいても落ちなかったっけ?
百合の続き書いてるんですけど、どっちに載せた方がいいですか?
旧板? 新板?
>>802 容量的に新スレでお願いします。
ってか誰か保管依頼したか?速い方が良いぞ。
了解。
途中まで新板にさらしておきます。
保管依頼完了。
つっても、未収録分は
>>784氏の作品だけだったけどな。
一時間経たない内にもう収録されてた。
保管庫管理人氏、お疲れ様です。
なんという仕事の速さ。
保管庫管理人さん、ありがとです。
>>805、GJ!
,. -─ - 、
__ _ r-〜^ーr〜' //´ ̄`ヽ}
r'´/} >‐‐‐ -- x へ リ
r‐ァ'r‐ァ `ヽ
r' / ノ-ァ . . ., /ヽ . ヽ ヽ
fV 〈ー/ / / / / ll l l .
ト.jヽN! l 土十. l| |l l l l}
Vハハl l l.ィテ〒l ll リナメ ハ! f´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
. 乂_fl lイ kr;::リ fir:::トll / | | お帰りなさいませ
. / /l i l l| ̄ . `ー'リilレ' リ | ご 主 人 様
/ ///l l lト、 ヮ . イ ll| _乂___________
ん'//从l ll \ _ イl l リ
f~´`ヽレ' i「ハlー‐r‐rァ リ ノ / r= ァ(⌒)
/´ ̄ メハヽ. }o{ `ー rレ'ヘ.- 、 { / `ー‐'/7、
. / `ーくil i }o{ l V´ ) \ N. / { ! ____
. / }ト. l }o{ ハヽ ┐ ヽ ハ __ノ/ _(/`ー‐ヘ __
{ (´ } `´~「 `´|~ Y´` V〈 } (´ `ー‐‐‐' (.__`ー__‐‐_'_) `)
} . ! } リ . ' . } ij }く ヽ.j `ー‐‐.ァ──── r─── '
. / ヽ、 ___ハノイ . レ' --ァ' /\ ⌒ー‐ 'ノ
/ ヽ.ノ `ヽ , ' . l //´`ヽ / `ー‐ァ'´ ̄
. / ーく '. / / / }`ヽ./ >‐〈 c /
そろそろ埋めるか
たとえこれが一夜限りであったとしても
これまで思い続けてきた私の気持ちが満たされるなら
この一夜だけでもご主人様のお気持ちを慰められるなら
それだけでいい――と、私は思った。
白いシーツの上に横たえられて、ご主人様の体の重みを受ける。
すべての着衣をご主人様の手で脱がされていたから、
木綿のシーツのぱりっとした肌触りを背中に感じた。
ご主人様ならシルクのシーツだって毎夜新品のものを使えるのに、
この木綿の感触が好きなのだといって、私たち召使に微笑むのだ。
ご主人様のベッドの上で裸体を晒していると思うと、恥ずかしさが込みあげる。
突然の呼び出しだったので、何も準備していなかった。
昨晩お湯をつかったが、今日一日大旦那様のご葬儀で立ち働いたので、
今はずいぶん汗ばんでいるはずだ。だが、それを拭う暇さえなかった。
葬儀がひと段落ついたので、ご主人様は先ほど湯を浴びられたが、
その準備と後始末を他の召使いたちと一緒にするので手一杯だった。
清潔な白いシーツの上で汗じみた体を愛する人の目に晒す恥ずかしさに
目を閉じて顔を横に向けると、シーツからお日さまの匂いが立ちのぼる。
ふふっと笑う声が上から降りた。
「あ、あの……申し訳ございません」
「どうして謝る必要があるの?」
「あの、……あ、汗も拭っておらず……そ、その、体つきも……」
ご主人様が私の頬に手を添え、しっかり仰向かせる。
顔の両側に腕をつき、そのまま伏せるようにして私に口付けをする。
軽く唇を触れ合わせた後、舌先で唇を舐めそのまま滑らすようにして首筋を下り
胸元へとたどりつく。ご主人様はそこで顔を上げて、深く息を吸い込む。
「お前の肌から甘い香りがするよ。ぼくの大好きな香りが。
それで、体つきが、どうしたの?」
「……そ、その……む、胸、小さくて……」
「小さくて、かわいい……愛しいよ……」
ご主人様の舌がピンクの頂を舐め上げた。
突然の刺激に、私は声をあげてしまった。
「ねぇ、もっと、……もっと、お前の声を聞かせてほしいな」
ご主人様は若旦那で跡継ぎということでひとつ。