【ご主人様と】メイドさんでエロパロ【呼ばれたい】

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1名無しさん@ピンキー
そんなのきぼん。自分も時間があったら書かせて頂きます。



ローカルルールは最低限の義務として厳守。
版権ものも、オリジナルもどうぞご自由に。

2名無しさん@ピンキー:2005/05/19(木) 00:28:15 ID:I084+25K
     /                /      ゙i,  ヽ  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
    j                ,ィ/        |  | <私はムスカ大佐だ。
    lィ'             ,ィ/j/          | iリ  |緊急事態につき私が>>2ゲットする!
   |         /l /          '"` | j   |
   リ!      /,ノ           _,、-''''` /リ   |>1 返したまえ、いい子だから。
     |   _.._ l/   ,.--;==ミ 、 ___,.ノ /{.○-゙‐rV   |>3 これは、私の機関の仕事です。
    ヽ,/`ヽヽト、 ´  {,.○-`‐‐ 、,.-ト|    ,ノ   |>4 バカどもには、ちょうどいい目くらましだ。
     ∧  ゙i,   `ヽ,r'´      ノ.  ゙、--‐''´|   |>5 ・・・言葉をつつしみたまえ。君はラピュタ王の前にいるのだ。
   ,,.く  ヽ   ゙i     ヽ、 __,,、-'"     〉   /   |>6 君のアホ面には、心底うんざりさせられる・・・。
ハ'´  |  ゙i   |           ' '     iヽ'" ̄ |>7 ハッハッハ、何処へ逝こうというのかね?
゙、゙i,_r'シニZ`ー┬ト'i       _____ ,  |  \ |>8 ひざまづけ!
   _゙V  ヽ,.レ''ヽヽ     `ー─''''"´   /    |>9 命乞いをしろ!!
 /./ ヽ/     ,」ヽ     __,,、-─‐-、j     |>10 よし3分間待ってやる。
  / r'´  --‐‐'''"´ ヽ \   (.r‐'''""゙゙`ヽ,`)    |>11 あぁ〜・・・目が、目がぁ〜!
  l .|     __,,、--`ヽ \ ___ヽ     /´|     |>12 見ろ、>>1がゴミのようだ!!
 j |           ,⊥`ー 、 ゙!    レ' |     | >13 TVで放送しているのは完全版ではない。覚えておけ。
|  |        -‐''"´   ヽ、⊥ヽ|    |彡'|     |>14-1000 太ったらカリオストロ伯爵に似てそうだな。
3名無しさん@ピンキー:2005/05/19(木) 00:41:46 ID:jQMQwkdt
小林ィー――――っ!!
4名無しさん@ピンキー:2005/05/19(木) 01:06:51 ID:Y+sUOwfC
これは時節柄不謹慎なインターネットですね
5名無しさん@ピンキー:2005/05/19(木) 03:05:13 ID:M/Wy0Kbq
あれか、山手線ゲームとかするのか
6名無しさん@ピンキー:2005/05/22(日) 12:52:45 ID:D30PoLsK
>2
  ∧_∧
 (=゚ω゚)ノ
7メイドたん ◆MOEe/oMUZ. :2005/05/24(火) 10:18:27 ID:8nJQi4ck
こ…こんにちわ…。
8名無しさん@ピンキー:2005/05/24(火) 11:42:53 ID:vrKf3Vrs
メイドたん(*´д`)はぁはぁ
9メイドたん ◆MOEe/oMUZ. :2005/05/24(火) 13:47:06 ID:8nJQi4ck
えーと…ご…ご主人様?
10名無しさん@ピンキー:2005/05/24(火) 13:56:52 ID:wVoQoJsy
名前教えて欲しいな
11メイドたん ◆MOEe/oMUZ. :2005/05/24(火) 14:06:08 ID:8nJQi4ck
ご主人様のお許しが無いと…。

誘導されてきたんですけど、ここは何をする所なんですか?
12名無しさん@ピンキー:2005/05/24(火) 14:46:35 ID:t8NqZyvY
SS書いてくれる人にハァハァするところ
13名無しさん@ピンキー:2005/05/24(火) 15:24:52 ID:RV+M9/GY
最初に投下されるSSって、やっぱかn(ry
14メイドたん ◆MOEe/oMUZ. :2005/05/24(火) 21:54:16 ID:8nJQi4ck
SS…ショートストーリーかな?
うーん、そっちは経験無いなぁ。どんな感じなんだろ?
他のスレも見てみます。
15名無しさん@ピンキー:2005/05/25(水) 14:27:08 ID:FKEuOe9V
なりきりはイラね
SSきぼん
16名無しさん@ピンキー:2005/05/26(木) 00:41:07 ID:dIwvL/TY
いやいや、SS書いていただけるのでは?
応援してます
17名無しさん@ピンキー:2005/05/30(月) 21:15:29 ID:yqHaj0nb
SSマダー?(AAry
18名無しさん@ピンキー:2005/06/07(火) 01:04:32 ID:2WHUNB8y
「キスもしたことの無い女の子の口でフェラされたい」ってスレにメイド?らしきSSあるよ
そっちは旦那様って呼んでるけど
19http://tinyurl.com/8j54w:2005/06/16(木) 02:49:46 ID:2g+ov52s
女子にもメイド服は人気↑
あと、このスレッド500位までsageられていたから、ageるぞw
20名無しさん@ピンキー:2005/06/16(木) 23:35:45 ID:zNM0KjD4
ごめん、かなりここのSS読みたいのであげとくよ
21名無しさん@ピンキー:2005/06/17(金) 00:02:53 ID:PV675LgH
そんなにいやらし合体や猥褻奉仕がみたいのか。
22名無しさん@ピンキー:2005/06/17(金) 02:11:08 ID:0DpV9Bjn
「あっ、坊ちゃま何をなさいます!?」
「○○……ボクはお前が好きなんだ……なあ、わかってくれよ……」
「お戯れを……ああっ、そのようなことは……やぁんっ……だ、旦那様に知られたら……!」
「父さんなんか関係ない。ボクはボクの意思でお前を……」
「ああ…んっ……坊ちゃま……ど、どこでそのような、あっ……ことを……」
「ボクだって、もう、大人だ。」
「んひゃっ、ぼ、坊ちゃまぁ……」








いかん、最初は冗談だったのにだんだん本気になってきた。
「ご主人様」じゃないのがアレか。
23名無しさん@ピンキー:2005/06/17(金) 03:03:50 ID:sYSbxLVt
同い年で、幼馴染みなご主人様をキボン
24名無しさん@ピンキー:2005/06/18(土) 22:22:32 ID:PnxQBy3h
ここってえちぃシーンが無いのもおk?
25名無しさん@ピンキー:2005/06/18(土) 23:28:34 ID:buKTMTNJ
>>24
何でも有り

萌えられさえすれば!
26名無しさん@ピンキー:2005/06/19(日) 00:39:18 ID:K3+2pZmu
うむ。
基本だな。
27名無しさん@ピンキー:2005/06/19(日) 01:05:06 ID:cEgt+prk
萌えられさえすればなんでもいい……
そんなふうに思っていた時期が俺にもありました。AA略。
28名無しさん@ピンキー:2005/06/19(日) 01:48:07 ID:MfYHG402
萌えられれば…というのを考えてたけど、結構難しいな
もうちょっと悩んでくる
29名無しさん@ピンキー:2005/06/19(日) 22:19:34 ID:4k9JrLOT
キラー7のメイドさん萌えw
30名無しさん@ピンキー:2005/06/20(月) 20:35:48 ID:DnLtB1Od
えちぃのじゃなかったら>>23のシチュで書けないこともない…かな?
一週間ぐらいあれば
31名無しさん@ピンキー:2005/06/20(月) 20:54:02 ID:j7ZrZgzB
>>30
是非ともおおおぉぉぉぉお!
32名無しさん@ピンキー:2005/06/21(火) 22:25:12 ID:c0l72aTw
スレがたってから一ヶ月たってもSS投下されないことだし……エロじゃないの投下してもいいよね?
パロでも無くても。
33名無しさん@ピンキー:2005/06/21(火) 22:31:18 ID:JxRuH8fb
>>32
OKだあああぁぁぁぁ
34似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/06/22(水) 03:17:46 ID:zSrCOcVd
では投下します。
エロ無しなのでどうもごめんなさいとしか言えません。
35うちのメイドは14才 ◆DMzTyHF5uc :2005/06/22(水) 03:18:42 ID:zSrCOcVd

              序


イギリスなのである。
時は十九世紀末、産業革命により発展著しい大英帝国が舞台なのである。
貴族たち上流階級はとても華やかーな貴族的生活を送っているのである。
一方、農工商たち庶民はまあ庶民的な生活を送っているのである。
時代は100年ほど違うけれど、人間そんなに変わらないのである。
何が言いたいかというとこれは舞台が十九世紀末イギリスだからといって
細かいことにこだわらないでいただきたいのである。
おおらかな気持ちで楽しんで欲しいのである。
この物語は、人生をおおらかな気持ちで楽しんでいる人たちの話なのである。
36うちのメイドは14才 ◆DMzTyHF5uc :2005/06/22(水) 03:19:26 ID:zSrCOcVd
「ごちそうさま。」
そう言うと少年は椅子から飛び降り、足早に食堂を出ようとした。
金色の髪が軽やかに舞った。
その瞳は、将来の英国紳士を保障するかのような紺碧であった。
ちいさな足音が、たたたっ、と響いた。

「お待ちください坊ちゃま、人参がまだ残っています。」
むんず、と後ろ襟を掴まれる。
「わ、ユカリ、何するんだよぉ。」
人参からの逃走が失敗に終わってしまったこの少年は、ティム・ダーヴァレイといい、
本作の主人公の一人であり、現在ロンドンで大人気の『ダーヴァレイ輸入家具』店長の
一人息子である。
鉄道、蒸気船などの蒸気機関の発達により海外とのやりとりが――まさに時代を
変えてしまうほど――容易になり、ロンドンの下町で代々細々と家具店を営んできた
ダーヴァレイ家であったが、当代ジョン・ダーヴァレイが23のときに一念発起し、
フランス家具の輸入を始めた。
新事業は驚くほど順調に進み、最近ではアジアの家具を仕入れるなど新しい商売の
研究に余念がない。

「何するんだよぉ、と言われましても、『食べ物を残させないようにしてくれ』との
旦那様のお言い付けですので。」
後ろ襟を掴んで離さないのはユカリと呼ばれたメイドである。
英国人に比べ明らかに黄色い肌、黒髪、小さく黒い瞳、低い鼻、それらの特徴全てが
彼女はこの国の人間ではないと――西洋人でなく東洋人であると――教えている。
37うちのメイドは14才 ◆DMzTyHF5uc :2005/06/22(水) 03:20:21 ID:zSrCOcVd

「だって……にんじん嫌いなんだもん。」
ティムはいかにも子供のよく使う理由をまさに子供らしく東洋人メイドに伝える。

「だってもBecauseもありません。いいですか、この人参も農家の人たちが
朝早くから収穫したものなのです。ぼっちゃまの目覚める何時間も前から。一本一本、
丁寧に。それを坊ちゃまは食べ残す、と言うのですか。」
ユカリはそう言うと、ティムに目線をあわせ、じっと見つめる。
ティムはユカリに見つめられ、反射的にこちらもじっとユカリの瞳を見つめ返すが、
ユカリの黒く澄んだ瞳はなんだかすべてを見通しているようで長くは見ていられなかった。

ティムはふっと視線をはずし
「きみ、英語うまくなったねぇ。」
と、笑顔を作る。が、

「話を摩り替えないでください。」
あっさり真意を見透かされる。ティムは、はぁ、とため息をひとつ吐き観念した。
「わかったよ、食べる、食べます。ユカリの言うとおりにするよ」
と言って再び椅子に座った。大人用の椅子と机は10才のティムには大きすぎ、
ティムは机の上にほとんど顔と腕だけ出して、残った人参をなんとかやっつけた。

「ご、ごちそうさまでした……」
「坊ちゃま偉いっ!」
ティムの背後でユカリは、ぱちぱちと手を叩く。
38うちのメイドは14才 ◆DMzTyHF5uc :2005/06/22(水) 03:21:30 ID:zSrCOcVd

ティムは、ひょい、と椅子から飛び降り、
「あのさあ……その、『坊ちゃま』って言うのやめてくれない?年だって、四つか五つしか
変わらないんだよ?」
ユカリに不平を言う。そうなのだ。ユカリはティムの教育係と言う役目も負っている以上、
ティムにはいろいろ指導しなければならないので、随分年上のように感じるが、
そのユカリもまだ14才の年若き少女なのだ。

「嫌ですか?……ではどうお呼びいたしましょう。」
「そうだねぇ……旦那様、じゃあないし。ご主人様、でもない。……普通に名前で読んでくれればいいよ。」
「かしこまりました、ちむ様。」
「ちむ、じゃなくて、ティムだよ。ティム。」
「はい、ちむ様。」
「だからティムだって。」
「ちむ?」
「ティム!」
「ああ、ちむ!」
「テ、ィ、ム!!」
「だから、ちむ様はちむ様でしょう。何がおかしいのですかちむ様。」
「……もう『坊ちゃま』でいいよ……」
ティムはがっくりとうなだれ、ユカリは何が気に入らないのかさっぱりわからずに
怪訝な表情を浮かべている。

「ユカリがうちにやってきて、そろそろ一年が経つし、英語も上達したかと思ったけど、
やっぱりまだまだだね。」
かぶりを振ってティムはため息をつく。今からちょうど一年ほど前の夜、ユカリはダーヴァレイ家にやってきた。
父親、ジョンの不祥事のせいで。



39うちのメイドは14才 ◆DMzTyHF5uc :2005/06/22(水) 03:22:09 ID:zSrCOcVd



今日も父の帰りは遅そうだ。店が忙しいのだから仕方がない。それはわかっている。
商売がうまくいっているおかげで暮らしていける。ご飯も食べられるし、服だって買える。
頭ではわかっているのだが、心は頭ほど簡単に納得してはくれない。
「やっぱり……さみしいな。」
ベッドの上でそう呟き、読み飽きた子供向けの本を投げ捨てる。
本は赤い表紙を上にして倒れた。あれでは中のページが折れ曲がってしまうが、
ティムは気にもしなかった。
枕元のランプを消し、ごそごそと布団にもぐりこむ。

がちゃん。
ティムがまさに寝入ろうかとしたその瞬間、玄関のドアが開く音がした。
「パパだ!」
いそいで枕元のランプに火を灯し、階段を駆け下りる。

「パパ!」
だがティムの差し出すランプの光に照らされたのは父ではなく、
不思議なほど黒い髪と瞳を持った少女だった。

40うちのメイドは14才 ◆DMzTyHF5uc :2005/06/22(水) 03:23:08 ID:zSrCOcVd

まるで夜の暗闇を原料に作られたかのような漆黒の瞳。
寝る前に読んだ童話のせいで、夜の精霊の夢でも見ているのだろうか。
その瞳を見つめれば見つめるほど簡単に現実感は失われていく。

「あの」

どちらが口を開いたのかわからない。あるいは両方が同時に声を発したのかもしれない。
だがどちらにしろその声は
「ただいまぁあーーーーーー、おぅ、マイサン!いい子にしてたかい? 
父は今日もへとへとで参った参ったまったく商売繁盛で嬉しい悲鳴絶賛絶叫中
ってかんじですよ。ほんとにもう。あれっ、なに固まってるんだマイサン!」

ジョン・ダーヴァレイのダミ声にかき消された。

「パパ……。」
これは夢ではなかったか、と胸を撫で下ろす。
「この」
「おおっとぅマイサン!聞きたいことはよくわかる。このチャーミングなお姉さんは
いったい誰か、ってことだろう。ハハハ、それぐらいパパにはお見通しさ!どうだ、
大当たりだろう。」
「うんまあ、そうなんだけど……。」
「ハハハ、やったね!」
「うん、それでこのおねえちゃんはどうゆう……」
「まあそれはいいじゃないか!」

41うちのメイドは14才 ◆DMzTyHF5uc :2005/06/22(水) 03:24:05 ID:zSrCOcVd

……いいわけないだろう、と言いかけたところに、馬車の従者が入ってきた。
「旦那ぁ、やっぱりまずいですよ、素性の知れない娘っ子をさらって来るなんむぐぉ」
ジョンは素早く、そして力いっぱい従者の口を押さえた。

毎日毎日重たい家具を上げたり下げたり動かしたり運んだりしているジョンの腕は、
筋肉がピレネー山脈のように連なっており――本気になればりんごの一つや二つなら
握りつぶせようかというほどで――その腕に口を押さえつけられた従者の顔は、
見る見るうちに青く暗くなった。

「パパ!その人死んじゃうから!!パパ!」
「ええい、いっそこのまま……!」
「パパ!何言ってるの!?ばかなことかんがえないで!」
「……ハハハ、ジョークだよ、ジョーク。」
と言って口から手を離す。

ぶはっ、と息を吐き、どひゅう、と息を吸い込むのに一生懸命の従者にジョンは
「いいかい、私は偶然にも、記憶喪失の東洋人の娘を発見し、保護し、
家に連れてきた。それだけだな?」
従者は、力いっぱい血をめぐらせ真っ赤にした顔をがくがく上下させる。

「パパ?」
「うん?」
「記憶喪失なの?このおねえちゃん。」
「ああ、そのようだ。何しろすごいスピードではねたからなあ。」
「はねた?」

42うちのメイドは14才 ◆DMzTyHF5uc :2005/06/22(水) 03:24:49 ID:zSrCOcVd
「……ジョ、ジョークジョーク。ハハハハハハハハ!」
「速くしろ、速くしろ、なんて言うから……」
再びジョンの手のひらが従者の口にあてがわれる。

「なにか、いったかね?」
従者はぶるぶる左右に首を振る。
動脈が浮き出ているところからもジョークではなさそうだ。

「はねたんでしょう。パパが馬車を急がせて。従者さんは悪くないんでしょうどうせ。」
ティムが核心をつきすぎた質問をする。ジョンはゆっくりとティムのほうに向き直り
「……最近、コミュニケーション不足だったな……。」
「……痛い!痛い痛い!!パパごめん!痛いってば!イーターイー、イーターイー。」
両こぶしをティムのこめかみにあて、回転させる。
「彼女は、偶然、記憶喪失で、私が、保護したんだっ!」
「わかった、わかりました。ごめんなさい、あやまるから、もち、もちあげないでぇええ
 ひぃいいいいぎゃああああ」
「ウム、わかればよろしい」

ぱっ、とこぶしを離すと持ち上げられていたティムの身体は、どすん、と音を立てて
床に落ちた。
したたかにうった尻を撫でていると、
「くすっ」
笑い声がした。ばっ、と女の子を見る。
確かに笑顔を作っている。目じりを細め、口からは白く美しい歯が覗いている。
ランプの明かりに照らされたその笑顔はひどく美しく見え、
「あは、あははははは」
ティムもつられて笑ってしまう。
「わは、わははわは、わははははっはは。」
ジョンも大きな声で笑い出した。
43うちのメイドは14才 ◆DMzTyHF5uc :2005/06/22(水) 03:25:20 ID:zSrCOcVd

「あはは……ねえきみ、名前もおもいだせないの?」
ティムが上目遣いに少女に尋ねる。するとジョンが
「あー、何度も聞いたが『わからない』『思い出せない』ばっかりだ。まいったぜ、たくっ。」
横から口を挟む。

「ゆかり、私の名前……ゆかりっていうの。」

「!」
驚いたのはジョンである。自分が――おそらくかなり高い確率で――原因だろう
少女の記憶喪失に当然ながら責任を感じていたのだ。なにを聞いてもダメだったのに。
息子にはすらすら自分の名前を答えたのだ!
それも――随分なカタコトながら――英語で!
「へえ、ユカリ、っていうのか。故郷は?思い出せる?」
「故郷……日本、日本よ!」
「NIFON?知らないなあ……、パパ、わかる?」

ジョンのほうを向くと、わなわな震えているようだった。
「それはJapanのことだ、マイサン。」
「へえ、Japan!ずいぶん遠くからきたんだねえ!Chinaのまだ東の島国だろう?
この間先生におそわったんだ。なんでもしつれいなことをした人はおなかを切って
あやまるとか……。なんともハードな国だねえ。」
ジョンは震えている上に、冷や汗らしき液体をだらだら体中に流していた。
44うちのメイドは14才 ◆DMzTyHF5uc :2005/06/22(水) 03:25:50 ID:zSrCOcVd

「わっ、パパ、なにこの汁!」
「……ティム、今な、その日本人たちが条約改正交渉にイギリスにやってきているんだよ。」
「じょうやく……?よくわかんないけど、じゃあこのおねえちゃんもその人たちの……?」
ジョンはこくりとうなずく。
「ああ……おそらくな……。だが、だとしたら……国際問題だぁ!は、破滅……」
「まぁ、いいじゃん日本なんて小国。戦争しても余裕でしょう?」
「そういう問題じゃない。直接日本と戦わなくても例えば日本の対英感情が悪くなって
 日本がロシアと組み、港を貸したりしたらどうなる?ロシアは労せずして永年の悲願、
不凍港を手に入れることになるんだ!そうすればロシアの力は更に強くなる。
その原因がうちにあるなんてことになったら、ああ、女王陛下に顔向けできないっ!」
「うん、その前に潰れるだろうねえ、うち。」
「だろうなあ……。ああ……せっかく事業が軌道に乗ってきたってのに……」

ジョンはしばらく顔を膝の間にうずめてひとしきり泣いたあと、
ぱっ、と顔を上げ
「この子をメイドとして雇おう!そうだ!それがいい!!筋書きはこうだ。
『記憶喪失の東洋人女子を保護、名前以外はさっぱりわからず、とりあえずメイド
 の仕事を教えつつ同時に保護し続ける。身元がわかればすぐに親御にお返しする
という契約を結んだので、まったく私の善行であり、なんら問題はない』これだ、
 完璧だ!よし、早速契約書を書くぞ!……出来た!」
「速ッ」
「そうだ、これでお前も寂しくないなマイサン」
45うちのメイドは14才 ◆DMzTyHF5uc :2005/06/22(水) 03:26:59 ID:zSrCOcVd

ティムはさっきの笑顔を思いだした。
あくまでも現実感のない美しい黒い瞳、髪と笑顔。
彼女がメイドとしてうちに来る、毎日、一緒にいられる。
そう思うと、ティムはなぜか胸の熱くなるのを感じた。

「うん、そうだね。ぼくも……うれしいよ。」
「だろーう。さあ、サインをしてくれ!」
ジョンはユカリに契約書を渡しユカリも素直にそれに従う。

「できました。」
ジョンはうやうやしく契約書をうけとり
「うん……Yukari Tamura……どこの国の名前かなんて、さっぱりわからないな!」
「パパまたへんな汁が。」

何はともあれ、こうしてユカリはティムと一緒に住むこととなったのだった。





46うちのメイドは14才 ◆DMzTyHF5uc :2005/06/22(水) 03:27:44 ID:zSrCOcVd




「あれからもう一年か……いろいろあったなあ……ねえユカリ。」
ティムは食事の後片付けをするユカリに声をかける。
「ええ、そうですね坊ちゃま。」
ユカリは片付けながら返事をする。

「ほらあの、ほんとにユカリの父親が迎えに来たときはどうなることかと思ったよ。」
ユカリは、はた、と片付けの手を止め、首をかしげる。
「……?」
「ほら、来てすぐくらいのころ。ユカリが……」
「…………?」
ティムが事件のあらましを説明するが、ユカリにはピンと来ないようだ。

「……きみ、ひょっとして記憶喪失ひどくなってない?」
「……あは。」
ティムに照れたような笑いを見せる。

「あは、じゃないよ。記憶がかんぺきににもどんないと日本にはかえれないんでしょ?」
「ええ、そうみたいです。」
「みたい、って。なにそれ。」
「いやぁ、いまいち記憶が曖昧模糊としてると言いますか、はっきりしないといいますか、
よく覚えていないと申しましょうか……。」
ぽりぽり、と頭をかく。黒髪に純白のメイドキャップがよく似合う。
47うちのメイドは14才 ◆DMzTyHF5uc :2005/06/22(水) 03:28:37 ID:zSrCOcVd

「ユカリぃ……たのむよ……。」
「ええまあ、自分でもどうにかしたいとは思っているんですが……これがどうにも。」

「……どうにも?」
「……こうにも。」
ティムは、プッ、と吹き出し、大笑いした。
つられてユカリも笑い出した。とにかく、ユカリがきてから、ティムは笑顔でいることが
多くなったし、それは本人も自覚していた。
夜の精霊は不思議な魔法を使うのだ、あのときベッドから投げた童話にはそう書いてあった。



48うちのメイドは14才 ◆DMzTyHF5uc :2005/06/22(水) 03:29:28 ID:zSrCOcVd

「……まぁ、ユカリの記憶がもどらなければその分、
ユカリはこの家にいられるわけだから、それはそれで……」
「あら、ぼっちゃま、独り言ですか?若いのに。」
ぬっ、とユカリの顔が視界に入ってくる。呼吸が止まるかと思った。
黒く美しい瞳に自分の顔が映っているのが見えた。独り言を聞かれた恥ずかしさと、
急に顔が近付いてきた驚きで、顔が真っ赤になってしまう。

「わっ、ユカリ!いたの!?」
「さっきから、いますよ。」
「そ、そう……。」
「ええ。」

しばらく沈黙が続いたあと、ユカリが小さくつぶやく。
「……それはそれで、か。」

しっかり聞かれていたらしい。
「わあああああああああああああ。ほらさ、なんだ、その、ええと。」
「ふふ……嬉しいですよ。ぼっちゃま。」
「……そ、そう、そりゃ、よかった。ぼくも、うれしいよ。」

白く透き通った肌を真っ赤に染めて、ティムはソファに身を沈めた。
ユカリは平気で仕事を続ける。ティムはそのまま眠ってしまった。
寝ていてティムは気付いただろうか、ユカリが気分よく鼻歌を歌っていたことを。
或いはその旋律にまどろんだのだろか。
とにかく二人の日常は今日も続いていて、ロンドンの町は今日も騒がしかった。
49似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/06/22(水) 03:32:56 ID:zSrCOcVd

終わりです。
ですが一応まだ続きがある予定です。

脱字
>或いはその旋律にまどろんだのだろ「う」か。
脳内補完よろしく頼む紳士。
50名無しさん@ピンキー:2005/06/22(水) 21:20:22 ID:H8Cr6uJU
GJ紳士ー!!!
51名無しさん@ピンキー:2005/06/22(水) 21:55:45 ID:D9gxlhIf
続きをカモーーーンン!
52名無しさん@ピンキー:2005/06/24(金) 18:44:10 ID:kxdRtovR
いまいち掴めないんだけどどういうの書いたらいいのかな?
上の>>49みたいな感じの?
それともギャグ風味の準ラブコメ系?
53名無しさん@ピンキー:2005/06/25(土) 19:39:25 ID:CV9qHHHj
好きなように書けば?
54名無しさん@ピンキー:2005/06/27(月) 01:46:13 ID:aU+7yryR
調教ものは微妙だが、メイドさんなら何でもいいんじゃないか?
俺は何でもいいぞ、ロリメイドでもお姉さんメイドでも猫耳メイドでもふたなりでも
メイドさんならば!
55似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/06/28(火) 01:51:38 ID:Z6vzFeb7
なんか落ちてきてるし保守代わりに「うちのメイドは14才」の
続きでも投下しておきますね。
56女中少女危機一髪 ◆DMzTyHF5uc :2005/06/28(火) 01:54:06 ID:Z6vzFeb7
うちのメイドは14才「女中少女倫敦危機一髪」

人気輸入家具店を営むジョン・ダーヴァレイは新聞――今来たばかりの朝刊――の
三面をめくり呟いた。
「日本人の尋ね人は……無しか。」
ふう、とため息をついて紅色の茶が入ったティーカップに手を伸ばす。
近頃は一面よりも先に尋ね人の欄を先に読むのがすっかり習慣になってしまった。
丸パンとぐじゃぐじゃに焼いたスクランブルエッグ――毎朝変わらない朝食――
を一口ずつかじって自分にとってのニュース価値は三面の尋ね人欄より小さい一面に
目をやる。やはり特にどうと言うニュースもない。

「さぁっ……と、そろそろ仕事に行くかぁ。」
空になった皿とティーカップを前に、大きく伸びをして立ち上がり慣れた手つきで
食事の後片付けをする。
住み込みのメイドを雇っているとは言え、今の時間から働かせるには少々気の毒である。
それにそのメイドは本当のメイド――下層階級かどうかという意味でも――
少し違う可能性がある。
「すぐに何か情報が出ると思ったんだがなあ……。どういうことだろう。」
若さの割には量の多い自慢の口ひげに手をやりつつ首をかしげる。
数秒考えこむが何の情報もない以上、確たる答えは出ない。
「まあ……なるようになるかぁ。」
楽天家の結論はいつもこうだ。

57女中少女倫敦危機一髪 ◆DMzTyHF5uc :2005/06/28(火) 01:54:53 ID:Z6vzFeb7

「行ってきます、ティム。」
すやすやと寝息を立てている息子のティムの頬に軽くキスをして、音のしないように
気をつけて扉を閉める。クローゼット兼使用人部屋の扉を横目に一階に降り玄関を出ると、
朝のロンドンは白いもやに包まれ、眼前は真っ白で通りの向かい側の家も見えない。
「24時間働けますか、と」
ジョンはぽつりと気合を入れて、今日も仕事に出かけていった。


時間が経ち朝の光が強くなると太陽は朝もやをかき消し、日光はすべての家屋へと
降り注がれていく。他のすべての家屋同様、日光は窓からこのティム・
ダーヴァレイの寝室へも差し込んできた。
光が古オークの床を侵食し、じわじわその範囲を広げベッドに到達し、
徐々にシーツを白く煌かせた。
一定のペースで朝の進攻は続き、その日光が自分の目に入るか入らないかのところで、
小さな身体を一度ぴくりと動かし、ティムは目を覚ました。

「ああっ……ふぁ……あああっ……と。」
子供は反応が早い。一度あくびをするともう身体は臨戦態勢で、がばっと起き上がり
シーツをずばっと跳ね除け、だだだっと階下へ降りていった。
一階にはいつも通り机の上に父親が用意した朝食――いつも通りにパンと
スクランブルエッグだろう――が置いてあった。
そしてこれもいつも通り、父の姿はもうなかった。
58女中少女倫敦危機一髪 ◆DMzTyHF5uc :2005/06/28(火) 01:55:55 ID:Z6vzFeb7
「また、見送りできなかったな……。」
ティムは肩を落とし、自らの安眠を悔いる。今日こそ父と共に朝食を取り、
朝早く仕事へ出かけていく父の見送りをしようと思っていたのだが。

「ふぅ……明日は、今日よりはやく起きよう。」
朝食の皿の上に掛けておいてある新聞紙を手に取り、広げる。
ばさばさとめくり尋ね人欄を探す。ティムも父と同様、尋ね人欄には気を配っていた。
他の記事はまだよくわからないのだが。
「今日も何もない……ね。」
それだけわかると、ばさりと椅子の上に投げ置いた。

やはり朝食はいつもと同じものであった。味気ないパンと塩味だけのスクランブル・
エッグ。せめてここにもう一品、簡単なスープでもあればもう少しこの食卓も華やぐ
だろうに。とは言えもちろん自分では作れない。腕のいいコックがいたならば簡単な
スープぐらい簡単に――正に朝飯前だと言わんばかりに――作ってしまうだろうが
ここにはそんなしゃらくさいコックはいないのでどうしようもない。

59女中少女倫敦危機一髪 ◆DMzTyHF5uc :2005/06/28(火) 01:56:38 ID:Z6vzFeb7
「でもメイドはいるんだけどなぁ……。」
と呟いて天井を見上げる。薄いシミがひとつふたつみっつ。特に何の物音もしない。
「ふつうメイドっていちばんはやく起きるものだよねえ……。」
今日も彼女を起こすのは自分の役目になりそうだ。と思いティムは、ふぅ、と
小さな息を吐き出した。

 
(押し入れ兼使用人部屋)
という父親お手製のプレートがぶらさがった扉の前でティムは立ち止まり、
こんこん、と小さく2回ノックをした。
「ユカリー、朝だよー。」
が、予想通り返事はない。
どんどん、と大きくノックしてもやはり返事はない。
どがんどがん、小さなこぶしを力の限り扉にぶつける。
かたかたとプレートが揺れるだけで部屋からは何の反応もない。
「ユカリ!入るよ!」

がちゃり、ノブを回し中に入る。押し入れも兼ねているだけあって、
部屋の窓は小さく、部屋全体が暗くほこりっぽい。小さな窓から入ってくる太陽光線に
空気中の埃が反射して空間上に道を作っていた。
掃除用具や大小とりそろえた木箱を壁に押し付け、部屋の真ん中にあるベッド
――同じ大きさの木箱を並べた上に布団を敷いたもの――の上で、ユカリは幸せそうに
寝息をたてていた。
60女中少女倫敦危機一髪 ◆DMzTyHF5uc :2005/06/28(火) 01:58:09 ID:Z6vzFeb7

なぜか足音で起こしてしまうのはかわいそうな気がして、そろそろと床を鳴らさないよう
に気をつけてユカリの寝ているベッドまで近付く。
「ユカリ、朝だよ。」
ティムは枕元で囁くが、何の反応も見せない。
「ユカリ、起きてよ、朝だってば。」
語調を強くするがユカリの黒い睫毛は上下重なったままである。
「ユゥカリィ!朝だぞー!」
力いっぱい叫んでもその小さな鼻の鳴らす寝息は一定であった。

「ああもう……ユカリってばー」
身体を揺らし名前を呼ぶが起きない。まったくこの娘のどこにそんな図太さがあるの
であろうか、何をしようとまったく動じない。
「ええいっ……」
ティムは一気にユカリの身体をまたぎ馬乗りになり、
「ユカリ、そろそろ起きなよ!ユカリったら!」
ゆかりの両肩を揺らす。木箱がきしきし言った。

「……ん……んん……」
ゆかりがティムの体の下で寝返りを打つ。ゆかりの体がちょうど正面を向いたとき
まぶたがぴくぴくっと動いた。
61女中少女倫敦危機一髪 ◆DMzTyHF5uc :2005/06/28(火) 01:58:46 ID:Z6vzFeb7
「ユカリ!おはよう!」
「ん……タロウ……?」
「だれだよタロウって……僕だよ、ティムだよ。」
「……あぁ……ぼっちゃま……」
何とかまぶたを持ち上げ、のしかかっているものを認識する。が、
「……おはよう……ございま」
すぅ、と寝息を立て、再び眠りの世界へと帰っていってしまった。

二人の会話は実際には英語なので、
「……グッ……モーニン」
ぐぅ、と寝息を立てたのかもしらないがまあそれはどうでもいい。

「ユカリ!起きようよ!朝だってば!」
ティムは挫けずにゆかりを起こそうとするが、ゆかりのまぶたは頑なに閉じられている。

「……はあ、もう、ここまでしてるのになんで起きないんだよ……」
ティムは肩を落とし、ゆかりの寝顔に視線を向ける。
安らかな寝顔、この形容が実にしっくりくるのは、こころなしか微笑んでいるように
見える口元のせいかもしれない。
自分が黙ると、すぅ、すぅ、という小さな寝息が確かに聞こえる。

「……まったく、幸せそうな顔しちゃってさ。世のメイドが見たら叱り付けられる……
 よ……ふぁ、ああ、ああ……ああ、なんか眠いのが……うつってきちゃった。」
時間が経つにつれ気温は緩み、ここちよい具合になってきていた。
程よい気温、薄暗い部屋、柔らかな布団、幸せそうな寝顔、これらのさまざまな環境が
ティムの小さい脳を睡眠モードに移行させた。

62女中少女倫敦危機一髪 ◆DMzTyHF5uc :2005/06/28(火) 02:00:10 ID:Z6vzFeb7
「ちょっと……おじゃま……するよ……」
ティムは足をどかし、もぞもぞとゆかりの隣にもぐりこんだ。
「…ん……」
ゆかりは無意識のうちに応え、ティムのためにスペースを作る。
ティムはゆかりと向かい合わせになり、背を丸める。
触れていないのに体温が伝わってくる。さっきは微かだったゆかりの寝息が
はっきりと聞こえる。薄目を開けると間近にゆかりの寝顔がある。
すう、すう、という寝息で、ぱら、と前髪が少し垂れた。

「…ユカリは……ほんとに……幸せそうに……寝る、ね……ぁ、ふぁああ、あ……」
ティムは小さな口で大きく欠伸をして、口とまぶたはほとんど同時に閉じられた。

どちらがどちらの手を握ったのかはわからないが――あるいは互いの無意識によって――
二人の手は握り合わされ、互いに伝わるあたたかな体温と安心感は、二人の安眠に
一役も二役も買った。

おかげで少し寝すぎてしまったようだ。
63女中少女倫敦危機一髪 ◆DMzTyHF5uc :2005/06/28(火) 02:01:23 ID:Z6vzFeb7


「あらあらあら、まあまあまあ!下に誰もいないと思ったら随分と仲のいいこと!
 まるで子猫の姉弟ね!」
日も高く上り明るくなってきた頃、部屋に甲高い声が響いた。
「はいはいはい、起きる起きる!」
恰幅のいいおばさんは二人の寝るベッドから掛け布団を勢いよく剥ぎ取ってしまう。
急に外気に触れた二人は揃ってぶるるっと震えた。

「ふぁ、ああ……やぁベルおばさん……おはよう。」
先に来訪者に気付いたのはティムだった。ベッドの上で身体を起こし伸びをする。
「おはようじゃないわよティムちゃん。何でまたこんなところで寝てるの。」
腰に手を当て半ば呆れ気味にたしなめる。
ベルはダーヴァレイ家のお隣さんで、これまで細々した家事やティムの面倒を
見てくれていた。ジョンとは長い付き合いで、ティムが生まれて母親が
すぐ死んでしまった後などは、ベルに母乳を分けてもらったのだった。

「ああ……たしかユカリを起こそうとして……わっ、おばさん!いま何時!」
「もう十時を回ってますよ。早くしないと家庭教師の先生がいらっしゃるわよ。」
「十時……げっ、ラテン語の宿題やってないよ!うわぁ、朝やろうと思ってたのに!」
「その考えが大体の間違いの元ですよ。ほら、早く顔を洗ってらっしゃい!」
と言った頃にはティムはもう階段を駆け下りていっていた。

64女中少女倫敦危機一髪 ◆DMzTyHF5uc :2005/06/28(火) 02:02:58 ID:Z6vzFeb7
一方ユカリは布団を剥ぎ取られながらもまだ眠り続けていた。
「まったく……この娘はほんとに……」
いまだ覚醒を拒むゆかりを起こそうとベルはゆかりの顔に手を伸ばした。が、
「涙……」
ゆかりの頬に一筋の涙が流れ、触れるのが一瞬躊躇された。
悲しい夢でも見ているのだろうか、涙は次々と溢れ、止まらない。

「ユカリちゃん……ユカリちゃん……?」
心配になり、ユカリのなで肩を軽く揺らす。三度目の呼びかけでユカリの目が覚めた。
「……あ、ベルおばさん……おはようございます……。」
丸く黒い瞳に涙がなみなみと溜まっていて、今にも零れ落ちそうだ。

「ユカリちゃん、怖い夢でも見てたの?泣いていたわよ。」
「いえ、違うんです。今、みんなが……」
「皆が?」
「…………。」
「ユカリちゃん?」
「…………ぐぅ……」
「……早く顔を洗ってらっしゃいっ!」
ベルの怒号がびりびりと部屋中に響き、ようやくゆかりの頭脳も起きることが出来た。

65女中少女倫敦危機一髪 ◆DMzTyHF5uc :2005/06/28(火) 02:04:05 ID:Z6vzFeb7
一階では、パンと卵を詰め込みながらなにやら必死でノートに書き連ねている
ティムの姿が目に入った。

顔を洗い、洗面器に水を汲んで2階へ運び、ベルに急かされながら体の清拭をする。
清拭がすむと新しい下着をつけ、黒一色のドレスを着る。そして襟カラーをつけ、
エプロンに袖を通し、メイドキャップをつける。
仕上げにリボンを結べば立派なメイド一人前の完成だ。

「着替えたらおいでよー。」
部屋の外からベルが呼ぶと、すぐに中からゆかりが現れた。ベルはじろっと
ゆかりを眺め、写真家や画家がやるように指で枠をつくりその中にゆかりの姿を入れ、
「うん、かわいいかわいい。袖の長さもぴったりだし」
と最後に自分の詰めた袖のことも忘れずに、ゆかりのメイド服姿を褒めるのが日課に
なっていた。
66女中少女倫敦危機一髪 ◆DMzTyHF5uc :2005/06/28(火) 02:10:14 ID:Z6vzFeb7
「じゃあもう時間がないから、早く洗濯しちゃおう。洗濯物、持ってきて。」
ベルはゆかりの指導者でもあった。ゆかりにメイドの仕事――家事一般とも言えるかもしれない――
を教えているのだった。

「今日のはこれだけ?」
「はい、ベルさんのところは?」
「うちのもそんなに多くないから、一緒にやっちゃおう!」
「はい!」







(to be continued)
67似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/06/28(火) 02:23:08 ID:Z6vzFeb7
ぶつ切りでここまでです。申し訳ない。
推敲が足りてないです。申し訳ない。私の目は節穴です。

>>56
>それにそのメイドは本当のメイド「とは」――下層〜
68名無しさん@ピンキー:2005/06/28(火) 19:28:43 ID:U0ZfrNl/
エロを!もっとエロいのを!
691レスメイド:2005/06/29(水) 09:54:48 ID:11XG/Fn2
ラグにふかく腰掛けて読書をする俺の左手をとり、命じられたまま
メイドのまなみが丁寧に腕をマッサージしている。
ほほ笑みながら親指をつかい腕をもむまなみは先輩メイドが用意した専用に浅くすわっていた。
慣れないのかラグを避けるように両足が開いている。
短いスカートからすらりと伸びた脚、ふともも。そしてその奥の……。
「…………」
じっとまなみの表情に注目したまま指先をのばしてふとももにふれた。まなみの反応はない。
ゆっくりと撫でる。
ピクッとまつげを震わせて俺をうかがう。困ったように首をかしげてほほ笑んできた。
体をずらしてより腕をのばす。スカートの隙間から手を入れ内股をかりっと引っ掻いた。
体を仰け反らせ反射的に逃げをうつまなみの腕をしっかり握り逃げられないようにした。
「ごしゅじんさま…?」
答えないでやると、しばらく視線をさ迷わせたあとまたマッサージに戻った。
腕をのばす。
まなみの手でのちいさな抵抗をものともせず、目的の、最奥にある体温で暖かくなった布にふれた。
「っ……」
まなみを視線をさげ、しかし仕事はつづける。
さっきまでの優しげなほほ笑みはいまはなく、眉をよせて瞼は泣きそうに震えていた。
割れ目を中指の先でゆっくり上下になでる。
汗のためかじっとり湿った布のなかで、なんとクリトリスは膨らんでいた。
おや、と思い下着の隙間から無理矢理指をもぐりこませるとクチュと卑猥な音が聞こえ、
そこは確かにまなみが興奮していることをつたえていた。
70名無しさん@ピンキー:2005/06/30(木) 00:12:03 ID:RijaEKzU
>>69
GJ!GJ!GJ!たまんねぇー
メイドの良いところは自分に尽してくれるとこだね。
71名無しさん@ピンキー:2005/07/02(土) 00:19:31 ID:aVCP04JY
>Yukari Tamura




……((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
72名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 20:41:31 ID:1gjepAun
すまん!おまいら、俺、『ご主人様』もいいけど、
『旦那様』もいいかなぁと思っちまった。
73名無しさん@ピンキー:2005/07/13(水) 04:18:55 ID:stgC/LWQ
メイド喫茶のあのアニメ声?が気持ち悪い。よって俺の脳内マイメイドは厳かかつ淡々とした口調。

『……ご主人様、そろそろ精神病院に戻る時間ですが……』
74似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/07/14(木) 00:12:11 ID:FdD/LgZv

大きなブリキのたらいに水を張り、石鹸を少々いれる。そこに洗濯物をぶっこみ
ぎゅうぎゅう押し付けたりごしごしこすったりざぶざぶ流したりしてきれいになったらば
力の限り絞り上げ、しわを伸ばして干しておく。あとはお日様の仕事である。

書いてしまえばわずか三行の仕事であるが、これがなかなかに重労働で、
終わると肩に三キロぐらいのしかかっているように感じる。
三キロの重みに何十年も耐えてきたベルは何十年もそうしてきたように、
ひと仕事終わった快感を深く味わうよう深呼吸した。埃っぽいロンドンの空気で
あっても、このときばかりは最高の味である。
三キロの重みにはまだあまり慣れてないゆかりだったが、その分新鮮な快感を
その胸に吸いこんで、大きく吐いた。

「さあ、ここはこれでもういいから、先生に出すお茶の準備でもしておくれ。」
「はいっ」
めくり上げていた袖を下ろし、いそいそと階下へ降りていく。ゆかりの足が階段を
踏むのにあわせて黒く重いスカートのすそがひらひらふわふわ小さく泳いだ。

75似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/07/14(木) 00:12:48 ID:FdD/LgZv

階段を下りるとティムはまだ一心にノートに向かっていた。
「ぼっちゃま……まだ宿題を終わらせてないのですか。すぐに先生がおいでに
なりますよ。」
「あああ静かにしてよもうすぐで終わるんだ!あと、あと少しで!」

ごんごん。
「…………、坊ちゃま。」
「…………。」
ごんごん。
「坊ちゃま。」
「…………。」
ごんごんごん。
「先生がおいでになったようですが。」
「…………うん。」
「いかがいたしましょう。」
「……世間話でもしてて……できるだけゆっくり……。」
「了解」
76似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/07/14(木) 00:13:21 ID:FdD/LgZv

ごんごんごん。これはノックの音である。
「はーい只今」
扉を開けるとそこに立っていたのは豊かな白髭を蓄えた老紳士であった。
「すいません先生、洗い場にいたものですから。」
ゆかりは手を前で組み、軽く会釈をする。
「おお、おお、ユカリちゃん。おはよう。」
老紳士は出迎えが遅れたことは意に介してない様子で長い眉毛の下からゆかりを見つめる。
「うん……よく、働いているようだね。いいことだ……。人は、よく働き、
よく学ばなければならん。それは人に課せられた義務であるし、本来義務を
果たすことは快感を伴うものなのじゃ。主はこう仰っている『神聖なものを
犬に与えてはならず、また、真珠を豚になげてはならない』つまり……」
「ええ、ええ。よくわかります。猫に小判、豚に真珠、糠に釘、
馬耳東風、馬鈴薯麺、多くの格言があります。」
これは思わずとも作戦通りだわ、と内心思っていることはおくびにも出さず
ゆかりは適当に話をあわせた。
「おお、さすがユカリちゃん、出来の悪い小僧とは一味違うわい。」
ふぉふぉふぉ、と白ひげの奥から笑い声が漏れた。

「だーれが出来の悪い小僧ですか。」
「坊ちゃま!」
宿題はもう終わったのですか、と目でたずねるとティムは小さく頷いた。
77名無しさん@ピンキー:2005/07/16(土) 05:29:33 ID:zV89PZTw
もまいらメイドに幻想持ち過ぎ。もちっと引いて考えれ。
78名無しさん@ピンキー:2005/07/17(日) 00:53:03 ID:EYk89Kuj
もまい妄想にリアリティ期待し過ぎ。もちっと引いて考えれ。
79名無しさん@ピンキー:2005/07/17(日) 05:10:08 ID:Pb7Ls9rW
もちっとしたメイドたん………



(;´д`)ハァハァ
80名無しさん@ピンキー:2005/07/18(月) 01:59:09 ID:4xadI7LB
っていうか、メイドさんなんか幻想の中でしかお目にかかれない存在だし
81名無しさん@ピンキー:2005/07/18(月) 10:12:55 ID:IUSxYG6F
『むぎゅる』だっけ?このスレ的にあれはどうなの?
82名無しさん@ピンキー:2005/07/18(月) 16:15:26 ID:zgeDKEui
マガジンZのアレなら『ぷぎゅる』
むぎゅるは知らない。
83名無しさん@ピンキー:2005/07/19(火) 15:31:59 ID:wrnPhsEE
ニートの元になぜかメイドが来たっていうの書くおwww
84名無しさん@ピンキー:2005/07/25(月) 02:29:55 ID:hmBXxE1B
保守
85似非紳士:2005/07/28(木) 03:45:57 ID:aO4phqng
「なんじゃティム坊、おったのか。」
「そりゃいるさ、ここはボクのうちだからね」
マーロットは髭をひとさすりしてから
「ふむ、その論理は矛盾があるな。所有者の家には必ず所有者がいると仮定すると、
家を留守にしてきておる儂自身が仮定から外れる反例である。よってその論理は成り立たない。証明終了じゃ。」
と言って、かかか、と高笑いを見せた。
「はいはい、わかったから早くはいってよ。ユカリ、お茶お願いね」
「かしこまりました。」
「アッサムのあっついのをな」
横から口をはさむマーロットに
「ええ、承知しております」
ゆかりは慇懃に対応した。

「ひとんちのメイドに自分の好みを仕込まないでよ」
「ふむ、まぁよいではないか。妻にも先立たれた老い先短い老人には、若い子が入れてくれる紅茶が
何よりの楽しみなんじゃよ。」
「いや、婆ちゃん生きてるじゃん。」
「……」
「こないだ先生の忘れた教科書を持ってきてくれたじゃん」
「……年をとると物忘れが激しくなってのぅ…」
「自分の奥さんが生きてることぐらいおぼえときなよ老害。」
「……それが教師に対する言葉かね生徒よ。」
「は、何がですか?幻聴ですよ、幻聴。痴呆性の幻聴。」
ティムはニヤニヤと笑みを浮かべる。

「……おりゃ」
マーロットは持っていたステッキで廊下の先を行く失礼な生徒を殴った。
ごつん、といい音がしてティムは前につんのめって振り返った。
「っ!……いてぇっ……くそっ……このっ…」
ゆかりは口元の緩みに気付かれぬよう、静かに玄関の扉を閉めた。
86名無しさん@ピンキー:2005/07/28(木) 13:00:34 ID:NVBu6WuE
>>85
お疲れ様です。
続きを楽しみにしておりますヽ(゚∀゚)ノ
87らうぐた ◆7b9DL4hJvA :2005/07/30(土) 15:55:32 ID:QgvTvw4e
テスト&保守
88名無しさん@ピンキー:2005/08/02(火) 22:23:35 ID:HpZ2gX9q
メイドさんにメッ!されたい。
89名無しさん@ピンキー:2005/08/02(火) 23:34:48 ID:7Yn1a+nu
めっめっめっ!めいどさんぶぎー!
90名無しさん@ピンキー:2005/08/13(土) 22:07:38 ID:gANdCLJ2
ホッシュート
91名無しさん@ピンキー:2005/08/15(月) 13:29:46 ID:kHZw5+Kq
IDが惜しい事になったので飛んできました
92名無しさん@ピンキー:2005/08/15(月) 13:31:06 ID:kHZw5+Kq
ごめん誤爆
板違ってた
93名無しさん@ピンキー:2005/08/23(火) 10:40:10 ID:2U/OtCm0
+ERoMaidpっつーのだった
94名無しさん@ピンキー:2005/08/24(水) 21:27:19 ID:5tGbRvBe
>>93
あわてものさんワロス
95似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/08/26(金) 00:32:59 ID:2Z0f0mFk

ずっ。
注文どおりアッサムの熱いのをすすりながら、マーロットはティムのノートをめくり目を通した。
前回言い渡したラテン語書き取り百種百回はとりあえずきちんとやってあるようだ。
「ふむ、一応ちゃんと宿題はやってあるようじゃの。感心感心。」
「ははは……まあね」

余裕、とでも言うような態度でいるティムだが、ついさっきまで酷使していた右手は未だ少し震えているのだった。
小さな胸に少しだけ良心の呵責を感じながらティムはミルクティーに口をつけてすすった。
牛乳を紅茶の後から入れるやり方で淹れたミルクティーは葉の香りが死なずに残って、
口内で牛乳のまろやかさを楽しむほどに紅茶の香りも鼻から抜けていく。
ティムはこうして淹れたミルクティーが好きだった。
こんなに和やかに茶など飲んでいられるのも無事に宿題を終えることができたおかげである。
では無事に宿題を終えることができたのは誰のおかげかと言うとそれはやはり自分以外のほかにおらず
これはもう自分で自分をほめてあげていいんじゃないかなあとティムが内心で自らのがんばりを
自賛しているとマーロットが口を開いた。

「ふむ…では始めようか、ティム坊、この、ここのページを読んでごらん」
ティムは差し出された本を受け取り朗々と読み始めた
「『群衆の中から私をよぶのはだれだね……、聞いてやるから返事をしなさい。』
『……三月の十五日には重々御用心なさい』
『あれはなんだ、ブルータス』
『預言者らしきものが、三月の十五日を用心しろと言うのです……』」
ティムはちらりと上目で見ると、マーロットは「続けなさい」と促した。
「『……つれてまいれ、そいつの顔を見てやろう……』
『こら、預言者よ、王の前に出て参れ』
『預言者よ、ほら、わしの前に出てきて見なさい』
『王よ、三月の十五日に気をつけることです……』」
「沙翁物語!」
96似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/08/26(金) 00:35:15 ID:2Z0f0mFk

ゆかりが不意に立ち上がり叫んだ。マーロットは重い眉を吊り上げ、若い頃には好奇心に
何度も丸くした瞳――今は楕円にしかならない――をゆかりに向けた。
ティムは口を半分開けたままで固まってしまった。
「あ……いえ、その本、『沙翁物語』の確か……『ジュリアス・シーザー』というのでは?」
「!」
二人は驚き向き合い、視線でこれは十分に驚くに足るべきことだと確認しあってから
同時にゆかりの方に振り向いた。
「ユカリ!それ……」
ティムは慌てて表紙を確かめる。『シーザー王』赤の地に金の字で確かに刻印されていた。
「ユカリちゃん、それを、どこで……」
マーロットも、ゆかりの事情はジョンから聞かされていた。そしてジョンに、ゆかりにも
ティムと同じに教えることを頼まれていたのだ。

「どこで……ええと……せんせいに……それで、ならって……」
「ふむ、ユカリちゃんは、先生にそれを習った。それから?」
「弟たちに……聞かせたり……」
「すこし、聞かせてくれんかな?」
「ええ……『三月の十五日は來たぞ』
『さやう。併(しか)しまだ過去りはしませんぞ。』
 『シーザー、ご機嫌よろしう……此書面をお讀み下さい。』
『ツレボニヤスが願ひをります、御閑に……御閑に……』
……だめです。もう、思い出せません。」
驚いたことにゆかりは、少しの小節ではあるが確かに暗誦したのだった。
97似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/08/26(金) 00:37:40 ID:2Z0f0mFk

マーロットはゆっくりと嘆息して言った
「ふうむ……シェイクスピアの作品が遠く極東の島国にまで知れ渡っていることも驚きじゃが……
ユカリちゃん、今、他に何か思い出したことは無いかね?……そうか……いや、なに、
それだけでも十分じゃ。女子にもこのような教育を受けさせていると言うのか……やっと封建制を
抜け出したような後進国で……まったく、世界は広いわい。しかし、どうやらこれでユカリちゃんの
身元は判明したようじゃな」
「えっ!?」
身元が判明した、その言葉にティムは大きく身を乗り出した。
「恐らく、条約改正交渉団の中に親か血縁者か……何しろ関わりのあるものがおるじゃろう。
進んだヨーロッパ文化を見ることがどれほど現在の日本に役立つか、日本人たちは
良くわかっておるようじゃ。出来る限りの人材に世界を見せておきたいのじゃろうよ。
ユカリちゃんはひょっとしたら日本でとんでもない逸材だったのかも知れんぞ。
記憶を取り戻せないにしても、最初から英語を使っていたんじゃろう?その一事でも……
まったく……地球の裏側にありながらよくぞこのような……。」
まったく感心した、そんな様子でマーロットは大きく息を吐きだし、驚きで持ち上がりっぱなしだった
上まぶたをようやくおろした。
98似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/08/26(金) 00:38:58 ID:2Z0f0mFk
なるほど言われてみればそうかもしれない。たしかにユカリは――かなりつたないながらも――
最初から英語で自分たちと会話をしていた。それが清国の貿易船員の娘であるなどとは
考えづらい。身元がわかった、ではこれからしかるべき対応はどのようであるか。とりあえず
その交渉団に連絡を取ってみる、連絡がついたなら関係者を探し事情を説明し、
引き取ってもらう。

引き取ってもらう、考えがそれにたどり着くと、ティムは自分の喉がきゅうっと締まり
痛くなるのを感じた。いやだ。なにかこの結論に抗う事由は無いだろうか、無意識のような
速さでティムは考えをめぐらせ、思い当たる。

「……って言ってもさあ、ユカリ、記憶喪失になっちゃったじゃん。日本のイツザイだったかも
しんないのをこんなのにしちゃって、はい返します、じゃまずいんじゃないの?」
「坊ちゃま、『こんなの』とはなんですか、『こんなの』とは。」
『こんなの』扱いされた少女は、口を尖らせて問いただす。
「例えば、主人よりその息子よりゆうっくり寝てる、ねぼすけメイドってこと。」
「う。」
『こんなの』扱いされるに足る理由が無いでもなかった、と思い出し言葉に詰まる。

「ふむ、まあ……そうなんじゃが、今のままでは誘拐した、とも思われんだろう、向こうからすれば。」
「でもさあ、新聞の尋ね人欄にも広告出さないんだよ?毎日チェックしてるのに。」
「ふうむ……どういうことじゃろうな。新聞を使うことを思いつかんのか……?または……」
「または?」
「なにか、事情があるのかもしれん。」
「じじょうって?」
「事情は……ほら、その、なんじゃ、いわゆる、ひとつの……事情は事情じゃよ!」
マーロットは一人で指をひらひらさせた後、考えに詰まると大声でごまかした。
99似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/08/26(金) 00:40:25 ID:2Z0f0mFk

じとっ。
じとじとっ。
「うっ……なんじゃ、ふたりとも、そんな目で見るのはやめい。」
ティムとゆかりは互いに顔を近付け囁きあった。
(自分で言っといて逆ギレ……坊ちゃん、どう思います?)
(ほんとうやっかいなじいさんだよね……まったく、まいるよ)
(ちょっと旦那様に言って家庭教師の先生をかえてもらいましょうか)
(うん、それがいちばんいいかもね……)

「……おぬしら、それ聞こえるようにゆっとるじゃろ……」
マーロットはひたいに浮き出た血管をぴくぴくさせながら、肩をわなわな震わした。
(あらやだ坊ちゃま、悪口はしっかり聞こえるみたいですよ)
(ふふ、ほんとだね、悪口だけはよくきこえるなんて、不幸な耳をもったものだね)
にやにやと意地の悪い笑い――しかしひどく楽しそうな笑顔――を浮かべながら耳打ちしあう二人は
もちろん腹立たしいのだが、その様子はあくまで微笑ましく――子供の笑顔というのは得てして
人の怒気をおさめてしまう――マーロットも本気で怒る気にはなれないのだった。
「まったく……老人にはもっと敬意を払わんかい。気まぐれにすねて老衰で死ぬぞ。」
「あらやだ、先生ったら冗談を本気にしちゃって。」
「あははは、せんせい、ジョークジョーク。」
ティムは面白くて仕方が無い、と言うような笑顔を浮かべマーロットをなだめる。

100似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/08/26(金) 00:41:34 ID:2Z0f0mFk

(ふん……ティム坊め、ユカリちゃんが来てからと言うもの、よく笑うようになったわい。
 初めておうた時は「寂しくて仕方が無い」みたいな表情をしとったくせに……。
 ま、これが本当のティム坊なのかも知れんな……。なにしろ、よかったわい。)
マーロットが無言で考えていると
「なに、せんせい、ホントにすねちゃったの?」
ティムが眉毛の奥の瞳を覗き込む。やはり反応は気にするのだ。
「ティム坊、自分のやった小さなからかいが必要以上に他人を傷つけたかもしれないと
 気をつけ、反省するのはとてもよいことじゃ……が、わしのアゴヒゲを引っ張るなといつも言うて
 おろうがっ!!!」
「きゃははははははっ!」
瞳を覗き込むと同時に掴んでいたヒゲをぱっ、と離して、ティムはマーロットから飛び退いた。
ゆかりもおなかを抱えて笑っている。まったく、記憶喪失の割には明るい少女だ。
「ふんとにもう……この二人は……」
あきれ声をだしながら、鷲づかみにされたヒゲを直す。

二階ではベルおばさんがいつものように仕事をし、マーロットはいつものようにティムと
ゆかりに勉強を教え、ティムとゆかりはいつものように勉強して、たまにマーロットをからかう。
これがダーヴァレイ家のいつもの風景なのだった。







101似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/08/26(金) 00:43:57 ID:2Z0f0mFk
>>85の続きでした。一応まだ続きます。まったりと。
102名無しさん@ピンキー:2005/08/26(金) 01:26:02 ID:6osDDvaH
GJ!!続きが楽しみです。
103 ◆T0nhaMJx3A :2005/08/31(水) 11:09:50 ID:kiY8mzj+
GJ!!
104名無しさん@ピンキー:2005/09/01(木) 19:40:13 ID:QZlbrDjj
ageて見る
105名無しさん@ピンキー:2005/09/03(土) 22:29:03 ID:z4OQduKJ
>>101
今さら読んだのですが、何というかこう、もしマンガ化するとしたら麻宮騎亜先生の絵柄が似合いそうな、暖かいお話ですね。ユカリ嬢が愛らしくて好きです。続きまだかな。
106名無しさん@ピンキー:2005/09/09(金) 01:48:21 ID:3barDxYh
保守
107名無しさん@そうだ選挙に行こう:2005/09/11(日) 11:39:53 ID:8v9f9Kmt
かれこれ2週間も経っているが、続きはまだなのか!?
108名無しさん@そうだ選挙に行こう:2005/09/11(日) 22:39:03 ID:1ZY28sGB
まあチンコを長くして待とうぜ
109名無しさん@ピンキー:2005/09/22(木) 23:36:04 ID:4kt3GnD7
さて、最後の投下からそろそろ 四 週 間 が経つ訳だが。
110名無しさん@ピンキー:2005/09/23(金) 17:51:39 ID:Q7odIG8U
これから毎日定期的にageる。いい加減怒って来たぞ。早く!!!!続き!!!!
111名無しさん@ピンキー:2005/09/23(金) 18:39:21 ID:U9NldkPt
やぁ(´・ω・`)
実は今君に呪いをかけたんだ。
君はもう一生、異性を拝めなくなる。そんな呪いだ。
もちろん童貞なら一生童貞のまま人生を終える。処女もしかり。
災難だと思って諦めてくれたまえ。
ただし一つだけ呪いを解除する方法があるんだ。
このスレに以下の言葉を書き込むだけでいい。
↓   ↓    ↓   ↓    ↓   ↓    ↓   ↓   

http://life7.2ch.net/test/read.cgi/hikky/1127309107/
http://tmp5.2ch.net/test/read.cgi/tubo/1122342910/
http://etc3.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1127309008/
http://news19.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1127450638/

「ネコミミ板から記念カキコにゃ。 」と。


ただし、どれかひとつでも貼り忘れると呪いが100倍の威力になるから気をつけろ。

では、健闘を祈る。

112名無しさん@ピンキー:2005/09/24(土) 15:12:07 ID:JleArEZn
荒らしが来ようと気にせず定期age。
113似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/09/24(土) 18:21:02 ID:Kzr5LCk/
いやー…ようやく仕事がひと段落つきましたですよ。
もうなんだか忙しくて忙しくて忙しかったです……。
でもそういう時ってありますよね……。

続きは近いうちに。
次の投下で話にもとりあえずひと段落つくはずです。とりあえずね。
114うは尾毛 ◆6R9duTuDhI :2005/09/24(土) 22:56:53 ID:90bY49Mf
【ちょwwwwテラメイドスwwww】


さて、唐突だが俺の名は「唐巳達樹」。18歳だ。
何故こんな紹介をするかと言うと話が進まないからである。我ながら切実。
そして今日もVIP浸りだ。受験?何それ?
と、何者かの侵入。ヤバスwwww
瞬時のショートカットキーでメイドエロゲーを最小化する。
デスクトップはこんな時のためにカー○ィのものだ。
「おっす、達樹」
入ってきたのは親父だ。珍しいな、二人揃って…
「どうしたんだ?親父?」
「突然で悪いんだが、ちょっと仕事の都合でな。
 母さんと海外に行くことになったことを伝えに来た。」
「ふーん。じゃあ海外に行くのか…パスポート取らなきゃ。」
「いやそれが、出発が明日だからお前のパスポートを取ってる暇がないんだ。
 おまけに期間が三年ときたもんだ」
「ちょ、それって俺に一人で暮らせと!?」
言っておくと俺はエロゲの主人公じゃないので一人暮らしなんて
できるワキャない。料理なんてカップラーメンしかつくれねーよ。
「そこで…お前にちょっと耳よりな話がある。」
115うは尾毛 ◆6R9duTuDhI :2005/09/24(土) 23:04:15 ID:90bY49Mf
親父が意味深な顔をする。確か親父かこの話をする時は
大抵フヒヒヒな話の時だったな。新作エロゲの話とかエロ動画サイト入会とか云々。
こういうえろい親父でよかったわな。思春期の男としてはwww
「お前の為にメイドを雇っておいた」
「は?日本にメイドなんていたん?」
「性格にはメイドロボットを買ったといった方がいいかな…」
「ちょwwwメイドロボなんて、そもそも現在のロボの最新技術でもアシモが限界やろwwww」
「これは二次創作だぜベイビー」
「反則だそれwww」
「フヒヒヒ、すいません!!」
なんだこの親wwww
「まぁとにかくそういうことで明日からメイドロボか来てくれるかんな。
 ピッチピチのかわいこちゃんだぞ。それじゃーな。せいぜいフヒヒヒな三年間を過ごせよー。」
ピチピチとかわいこちゃんて死語じゃね?
まあいいや。メイドロボとは…こりゃ期待しなけりゃ男じゃないぜ!!
そしてあわよくば(自主規制)
116うは尾毛 ◆6R9duTuDhI :2005/09/24(土) 23:09:53 ID:90bY49Mf
そして翌日。

家はウソのように静かだ。当然だよな…朝早く発ったらしいから…
眠い目をこすって下に降りる。すると……

「あ、おはようございます。ご主人様」
緑色の髪を肩まで伸ばした、メイド姿の女の子がおりましたとさ。めでたしめでたし。
「お、おおおおおお!!!!」
知っていたとはいえ興奮する俺。ストーリーの進行が強引なのは仕様です。
「私、秘密未来技術研究裏開発所から派遣されました
 M-O-E-G型と言います。もえぎと御呼び下さい、ご主人様」
そう言ってにこりと笑うメイド娘。

みwなwぎwっwてwきwたwぜwwwwww


--------------
短くてスマンコ。
117うは尾毛 ◆6R9duTuDhI :2005/09/24(土) 23:10:39 ID:90bY49Mf
あ、続くでござるよ?
118名無しさん@ピンキー:2005/09/24(土) 23:16:01 ID:u1MSKyvf
リアルタイム拝見。


ちょwwww
主人公の名前は内藤に違いない
119名無しさん@ピンキー:2005/09/25(日) 00:40:32 ID:/m0OYeTX
元ネタ知らんけど、なかなかイイ!!!!GJ!!
120フェチ板より1:2005/09/25(日) 10:04:37 ID:OdW2G+Kw
56 :名無しさん@ピンキー:2005/06/21(火) 12:23:46 ID:NkslYryU
物欲しげな瞳をしている少女の視線の先には、白濁に塗れたモノがあった。

メイドさん「御主人様、私がコレを頂いてもよろしいでしょうか?」
御主人様「ああ、構わないよ」

”御主人様”と呼ぶ青年から許しを得た下働きの少女は、途端にそのモノに
むしゃぶりついた。色々な角度から執拗に舌を這わせる。小綺麗であった顔
もみるみる白濁で汚れ、舌先は別の生き物であるかの如く動き回っている。

御「逃げはしないんだから、そんなに慌てなくても大丈夫だよ。」
メ「ふぁい、ん、んふぅ…」

トロンとした瞳、恍惚に浸る表情、ピチャピチャと室内に響く卑猥な音、
根元から先端まで舌で丹念に嘗め回す。たまに口内に含み、レロレロと
舌を動かしたかと思うと、今度は吸い上げる。一連の行動に休みは無い。

御「美味しいかい?」
メ「はい、とっても…美味しいです」

そのモノの根元を離さない様に、キュッと握り締めていた両手が離れる。
白濁塗れで独特の匂いを放っていたモノを、彼女が嘗め尽くしたからだ。

メ「また、お菓子作りの時は呼んでくださいね」
御「ああ、でも君も好きだね。泡だて器に付いた生クリーム舐めるの」
121フェチ板より2:2005/09/25(日) 10:05:57 ID:OdW2G+Kw
68 :Part1:2005/06/22(水) 13:44:28 ID:WSEytVXL
メイドさん1「いつもは自分でしてるんだけど、優しくしてね」
メイドさん2「私も人にするのは初めてなんだけど、頑張る」

室内に二人の下働きの少女がいる。一人はもう片方に体を預けている状態。
もう一人は彼女の肉穴に、先端のえぐれた異物を挿入する瞬間であった。

メ1「んっ!い、痛い…」
メ2「えっ、あ、ご、ゴメン…」

その長い異物がゆっくりと彼女の肉穴に埋まった瞬間、体を預けている方の
少女から悲鳴が上がった。うっすら涙も見える。スムーズな挿入だった為、
深い侵入を試みていたもう一方の少女は、慌てて肉穴から異物を引き抜く。

メ2「ほんとにゴメン。今度はもっと優しくするから」
メ1「うん。お願い。」

一方の少女は異物を慎重に、且つ優しく挿入していく。上下左右に動かし、
もう一方の少女の耳元で、痛いかどうかを確認しながら挿入を繰り返した。
体を預けている少女の口からは、痛みとも快感ともつかない嬌声があがる。

メ1「んん、ぁっ…はぁ…」
メ2「大丈夫?気持ち良い?痛くなったら言ってね。」
メ1「ん〜ん。凄く、気持ち、いいよ…」
122フェチ板より3:2005/09/25(日) 10:07:36 ID:OdW2G+Kw
69 :Part2:2005/06/22(水) 13:45:17 ID:WSEytVXL
もう一方の少女が挿入を繰り返す際に、肉ひだの部分もこすりあげるので、
受身のままの少女は、体をピクピク痙攣させながらも満足げに答えている。

メ2「それじゃぁ、仕上げにイキますね」

異物を引き抜いた少女は、モジャモジャの茂みの部分を、もう一方の少女の
肉穴にあてがってウゾウゾとイヤラシク動かし始めた。単調な動きだったが、
されている方の少女からは挿入時とは違った形で、快感の声が上がっていた。

メ1「ああ〜、最初の方は痛かったけど、気持ち良かった。」
メ2「フフ、それじゃ今度は御主人様にしてあげようかな、耳掻き」
123名無しさん@ピンキー:2005/09/25(日) 15:25:59 ID:mdX46d4P
なんとなくオチが読めてたけど面白かったw
124名無しさん@ピンキー:2005/09/25(日) 16:52:12 ID:3qNq1Y8P
>>95-100の続編をお待ちしてます
125名無しさん@ピンキー:2005/09/26(月) 21:09:39 ID:OgvMV3T8
続きマダー(AA略
126似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/09/28(水) 03:18:34 ID:LxWpaiLP
「まあったく……この蝶ネクタイっつうのは、いつもの事ながらうっとしいぜ。」

絨毯じきの廊下を二人の日本人が歩いていた。
大柄の男と小柄の男、大柄の男が首元に結わえられた蝶ネクタイを
いかにもうっとうしそうに引っ掻いた。
「馬鹿者、これからだというのにもう緩めてどうする。もう交渉も大詰めだ。
 気を引き締めてかかれ」
小柄の男がそれを嗜める。この男、体格は小さく、となりの男とは三十センチほどの
身長差があるが、その小さな体から出る気迫は鋭い。青く燃えるアルコールの炎を思わせる気迫である。
その気迫の源は自らが日本外交の最前線に立っているのだという自負心であった。
眼光鋭く見据えられた大柄の男は軽く肩をすくめ呟いた。
「へいへい、分かってるよ。しかしなあ、先進家のお前と違ってどうにも俺はこの
 首にぴったり来る感じが、慣れねえんだよなあ……。」


「慣れると言えば、ゆかりちゃんは元気かい?この頃、顔を見てないけど……。」
思い出したように、大柄の男は尋ねた。
娘の事を聞かれ、小柄の男はぴくりと反応した。
「……ゆかりには、英国人の家庭教師に、ホテルでみっちりやってもらっている。
 むりやり船に乗せてもらったのだ。この間に多少なりとも成長してもらわんと、
私の立場がなくなってしまうよ。」
「へぇえ、名門田村家の息女ともなると大変だな。本当に小さな頃から学問を、それも、
四書五経より洋学を、ずっと勉強させてきたんだろう?ゆかりちゃんがアレだけ優秀なのも
頷ける……しかし、勉強ばかりでは息が詰まってしまうだろう。そうだ、後で
部屋に様子を見に行くよ。……どうした、肩が震えてるぞ。」
127似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/09/28(水) 03:19:51 ID:LxWpaiLP

ぎくり。
この男、普段は頑愚で無神経なくせに何故このようなときにだけ細かいことに気付くのか、
付き合いが長すぎるというのも考え物だ、心の中だけで呟いて、口からは嘘を吐く。
「……武者震い、だ。なに、ゆかりは元気だ。特に何も必要ない。」

「そうか、なんにせよさっさと話をまとめて、ゆかりちゃんも連れて倫敦観光でも
行こうぜ。……最近ゆかりちゃん、どんどんカエデさんに似ていくよなあ。
ありゃあ美人になるぜ。」


「……、いやー、そうなんだよ。」
急に、小柄の男から、体の震えも鋭い気迫も消え失せた。
眉は下がり、頬は緩み、口元からは白い歯がこぼれている。カミソリの切れ味を思わせた鋭さは消え、
一瞬にして好々爺然とした和やかな雰囲気をかもし出している。
その顔の崩れ方は数秒前の様子からは想像もつかない。破顔一笑、といった風情だ。
男は更に続け、
「やっぱりお前もそう思うか?ん?ん?やあ、やっぱりそうかあ、お前は女を見る目が
あるなあ! ホントにもう夜に見るとドキッとするときあるんだよーぉ。
 前まではかわいくてかわいくて目に入れても本当に痛くない感じだったけど
 最近はなんて言うかこう、目に入れたら痛いだろうけど、むしろそれが気もち良さそう?
 みたいな感じの……。」

「わかった、わかったから。……だぁら、ゆかりちゃんがかわいいのは分かったって!
あんまり大きな声を出すな!廊下に音が響く!!……お前……なんでいつもそう、
ゆかりちゃんのこととなると人が変わるんだ?……部下が見たら悲しむぞ。」

大柄の男に遮られてやっと喋るのをやめた。
128似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/09/28(水) 03:20:51 ID:LxWpaiLP
「……すまない、取り乱した。」
小柄の男は我に帰り、呼吸と態度を整えた。
「ゆかりと倫敦観光も楽しそうだが、いまは交渉に集中だ。この交渉いかんで、
日本の命運が変わるんだからな。」

「……わかってるさ。よし、行こうぜ。」
大男はそう気合を入れて、古く重い扉を開けた。
小柄の男の目つきが変わり、再びカミソリのような鋭い雰囲気が戻ってきた。

今まさに条約改正の交渉にはいらんとしている小柄の男、この男こそが、田村ゆかりの父、
田村清五郎であった。

田村清五郎は長机の席に座りながら、とりあえず誤魔化せたか、と胸を撫で下ろした。
ゆかりは一週間ほど前から行方不明だ。すぐにでも探しに行きたいが、立場上それも
出来ない。ゆかりは自分のあまり無い権力を十二分に行使して無理矢理つれてきたのだ。
行方不明ともなれば一気に大問題になってしまう。そしてなにより今自分で言ったとおり、
この交渉には日本の命運がかかっている。
ここで自分が抜けてしまってはまとまりつつあるこの改正も、フイになってしまう
可能性すらある。
なにしろ相手は世界一の大国、大英帝国だ。どんな気まぐれで条件を変えてくるか
分からない。その時に自分がいなければ交渉はまとまる方向に行かなくなってしまう
かもしれない。もちろんこちらにもカードはある。イギリスの競争相手国――帝国主義
時代の現在、それは仮想敵国と言ってもいい――フランスやロシアに、日本の港や
商業地を有利な条件で使わせるぞ、という脅しだ。
しかしそれは出来るだけ使いたくない捨て身の戦法、諸刃のカードである。
イギリスと手を結ぶためにロシアやフランスに港や商業地を独占されては本末転倒だ。
イギリス側もその事情はわかっている。分かってはいるが本当にそれをやられては
たまらない。外交とは自分の事情と相手の事情を天秤にかけた綱引きのゲームなのだ。
その微妙なちから加減で成り立つゲームも、どうにか出口が見えてきた。
それも日本にとってそう悪くない条件で、だ。

ゆかりのことをとにかく早く探しに行きたいが、この話をまとまらせるまではそれは
129似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/09/28(水) 03:21:30 ID:LxWpaiLP
かなわない。ゆかりに数日間ついてもらっていた家庭教師のキャシアスに一応、市内を
探させてはいるが、広い倫敦だ、見つかる当ても特に無い。
今のところ新聞にそれらしい事件や事故の記事も無い。ここは世界一の先進国で、
国民の社会意識の高さは日本を含むアジアとは比べ物にならない英国だ、
いま正に外交真っ最中である国と、自国が不利になるような事件はあまり起こすまい。
と、清五郎はある意味で英国人を信頼していたが、もちろん強く心配しゆかりの
身を案じていた。
「ゆかり……」
清五郎は小さく呟いた。向かい側の扉が開き、英国の交渉団が入って来た。
さすが体格とスタイルが日本人とは違う。黒いモーニングが立ち姿も美しくきまっている。
当然だ、洋服とはもともと西洋人のために作られている。今の世界も、先に産業革命を
経験した順に強く大国であるのが常識だ。しかしその中でやれることをやるしかない。
清五郎は「負けじ」と念じ目に力を込めた。正念場なのだ。
そして交渉は再開された。



130似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/09/28(水) 03:25:05 ID:LxWpaiLP


////////////////////////////////////////


今日は7時間かけた交渉だったが、結局まとまりはしなかった。着実に進んではいる、
だがどうも英国側からやる気というか、素早くまとめようという気が見られない。
政府の交代は知っているが、対日政策に大きな違いは無いはずだ。

「要は、舐められてるんだろうな。」
ホテルのロビーで、大柄の男、と呼ぶのもいい加減にいいだろう、吉岡大介がそういった。

「いくら日本が明治維新を経て開化の道を歩んでいるからと言って、英国から見れば
 取るに足らないアジアの小国だ。こちらのカードが諸刃だというのも分かっている。
 しかし実行不可能ってわけじゃない。その上でまだ自分が多く利益を得られる
ぎりぎりのラインを探っているんだろうな。なにしろ俺たちにとっては慣れない外国の地だ。
日にちを延ばせばそれだけ俺たちが疲れて、有利になるとでも思っているん
だろうよ。」

吉岡の考えを聞いた清五郎は顔を上気させた。
「なめるな、奴らとは心構え、気構えが天と地ほど違う。こちらは国の命運を背負って
 きているんだ。一週間や二週間引き伸ばされたからと言って、疲れるようなやわな男は
 この中にはおらん!」

「まあ…そう鼻息を荒くすんなって。たく……古い家系ってのはこれだから……。」
「文武両道!田村家の家訓だ!!」
「へいへい……ゆかりちゃんも苦労するよ、こんな親で……ごほん、いやなに。
 ま、なんだ、相手ももうここらが閉め時だとは分かってはいるさ。その上でまだ協議を
 しつこく諦めない……英国が世界一の帝国だってのも、頷けるぜ。」
「……うむ……そうだな。」

「さあ、明日に備えて早く休むこったぜ。ゆかりちゃんが帰りを待ってんだろ?」
「……ああ……うん、まあな。」
清五郎は頼りなげな足取りで部屋へと向かった。
「なんだあいつ、自分が大丈夫か……?」
吉岡は清五郎は疲れているのかと思った。清五郎がエレベータに乗るまで後ろ姿を
見ていたが、どうもドアにはさまれたようだ。いくら奴が先進家で、サンドウイッチを好んで食べると言っても、
自分がサンドウイッチになる趣味があるとは思えない。
疲れているに違いない、吉岡はそう確信した。

131似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/09/28(水) 03:29:45 ID:LxWpaiLP
がちゃり。
部屋のドアを開けるが中に人はいない。めまいに似た感覚を覚える。
「ううう……ゆかりぃ……どこへ行ってしまったんだよぅ……」
清五郎は口からそう漏らして、ベッドに倒れこんだ。自分のベッドではない。
ゆかりが使っていたベッドだ。
鼻を広げ思い切り匂いをかぐが、英国ホテルのベッドメイキングは完璧で、清潔なシーツの香りだけが感じられた。

「ゆかりいぃ……あー心配だ心配だー……生きていてくれ……!!交渉さえ済めば、お前を探しにもいけるのに……!」
ベッドの上でぐねぐねと身体をくねらし、いまはもう無いベッドに残ったゆかりの余韻をサルベージしていると、
不意に声をかけられた。

「あの……ミスター・タムラ……」
いつの間にか部屋に入りドアの前に立っていたのは長身痩躯の青年であった。
金髪碧眼で、じつに英国人らしい。なかなか整って、頭のよさそうな顔立ちだ。
清五郎は青年の姿を認めると、静かにベッドから降り、椅子に座り、足を組み、
身体を向きなおし、蝶タイを締め直し、体勢を整えてから話しかけた。
「おや、キャシアス君じゃないか。いつからいたのかね。」
完璧に紳士ぶった話し方だ。

「……いえ、ついさっきから……。」
「そうか、そうか。ふむ、私に気取られずに背後をとるとは、なかなかやるね君も。
 どうだ、ひとつ柔道の稽古をつけてやろうか。」
「バリツですか?……結構です。いえ、本当に。」
「そうかね……?残念だ。……それで、今日もゆかりは見つからなかったのかね。」


「ええ……ロンドンは狭いと言っても歩き回るとなるとやはり広いです。」
キャシアスは声のトーンを落とした。今日もゆかりの発見は適わなかったのだ。

「ですが、ひとつ重要かと思われる情報を手に入れました。」
「なに、どんな情報かね。」
清五郎の目の色が変わった。
132似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/09/28(水) 03:31:53 ID:LxWpaiLP

「ええ、異国人のメイドがいる家がある、とか。なんでもそれも黒髪で背は低く……
 年も、若い少女のようです。ひょっとすると……」

キャシアスが喋るのを食い入るように見つめていた清五郎が口を開いた。
「ゆかりかも、知れんな。……キャシアス君、確かめては来たのかね?」

清五郎は勤めて冷静な態度をとった。しかし心はゆかりらしき者がいたということに、
ひどく興奮しているのだ。

「いえ、時間も時間でしたし……それに、僕が見ても正直……本人かどうか見極める自信
 はありませんし……東洋人の顔は見分けがつかなくて……住所は聞いてきましたから、
 明日、その住所を尋ねてみますよ。場合によっては、すぐに連れて帰りましょう。」

数日の間だけであるが、キャシアスはゆかりに勉強を教えていた。
その短い間にキャシアスはゆかりが聡明で明晰な頭脳の持ち主であると気付き、
行方不明になってからは、父、清五郎同様、その身を案じていたのだ。
一週間かそこら探し回ってようやく手に入れた情報がメイドの情報である。
無理矢理働かされているとなれば、多少腕力に物を言わせても連れて帰るつもりだ。
なに、これでも学生時代はボクシングをやっていたのだ。ちょっとやそっとの相手には
負ける気がしない。

「いや、待てキャシアス君、君は若いから、腕力に訴えてどうこうしようという気も
 あるかも知らんが、いま君は『異国人のメイド』と言ったな。メイドと言うからには、
 何かしらの契約があり働いているのであろう。不当な契約だろうが、それが正式に二人の間で交わされたものだとしたら
 それは契約として成り立っている。それは、そういうものなのだ。
 それに、もしそのメイドがゆかりじゃなく、単なる人違いだったらどうする気かね。
 ……見分けも良くつかんくせに。」

「う」
キャシアスは痛いところを突かれた。
133似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/09/28(水) 03:36:14 ID:LxWpaiLP

「ですがミスター……では一体どうしろと……。」
「うむ……少し考えさせてくれ。」
清五郎はアゴに手を当てて考え始めた。
二、三刻して、キャシアスがぼーとし始めた頃、再び清五郎は口を開いた。


「うむ、その家を訪ねるのは午後からにしよう。私も一緒に行く。このタイミングで何か騒動が起きて
 しまっては、国際問題にもなりかねんからな。」
「なんですって、しかし、ミスターには仕事があるでしょう。……そうか、今日、無事に
 締結が済んだんですね。おめでとうございます!」
「……いや、まだだ。」

はあ?キャシアスは、理解できない、といった表情をみせた。
「じゃあ、行けないでしょう。何を考えてるんです?」
「交渉は明日――それも午前中――に終わらせる。」
「馬鹿な、いままで散々交渉を引き延ばされたてどうのこうのと愚痴っていたのに
 明日だけで、それも午前中ですべて終わるわけがないじゃないですか!」
 
かぶりを振ってキャシアスは尋ねた。しかし、しばらく清五郎からの反応はなく、
部屋を沈黙が包んだ。
キャシアスは沈黙に耐えられず清五郎の方に目をやった。

ゆらり。
清五郎の背中から炎があがっているように見えた。
青白い炎の中で、清五郎の鋭い目だけが光を持っていた。

目の錯覚かとまぶたをこすった。確かに炎は目の錯覚であったが、神経の錯覚ではなかった。
すごい迫力だ。緊張で無意識に顔が強張る。声を出すことが出来ない。全身の毛穴が
開くようだ。

「終わらせると言ったら、終わらせるのだ。」
清五郎は短くゆっくりと、それだけ言った。

「キャシアス君……明日、二時ごろにまたこの部屋に来てくれ。
そのとき私は、交渉を終えている。」
清五郎はまるで、それが変わりようのない確かな予定であるかのように言った。

「Yes,sir!」
自分にとって最大限の敬意を表す方法、短い軍隊生活で身に着けた敬称と敬礼が自然と口をついた。
キャシアスはカチコチと歩き、音を立てずに退室した。

廊下に出た瞬間、冷たい汗がどっと噴き出た。
久しぶりのこの感覚、ボクシングの対戦相手が持つ敢闘精神とは明らかに異質のもの。
どちらかと言えば軍隊生活で味わうことの多かった感覚。殺気。
それを全身に叩きつけられた。
あの小さい体のどこから……自分よりもかなり小さい清五郎に畏怖した、そのことを
屈辱とは思わず、むしろ不思議に思った。

「本当に、午前中だけで済ましてしまうかもしれないな……。」

「しかし、日本人っていうのは……」
よくわからない、そう呟いてキャシアスは家路に着いた。




134似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/09/28(水) 04:01:39 ID:LxWpaiLP
ええとその、>>100からの続きです。不思議なことにメイドさんが出てきません。メイドスレなのに。とほほ。
前の投下から一ヶ月も経ってしまいました……。とほほ。

時間も経ってしまって分かりづらい状況になってしまっているので少し説明をします。

>>35-38
ゆかりがダーヴァレイ家にきた時を基点として一年経過ぐらい。

>>39-45
ゆかりがダーヴァレイ家にきたいきさつ。

>>46-47
エピローグ的なもの。>>35-38と同じ時間帯。

135似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/09/28(水) 04:03:23 ID:LxWpaiLP
>>56-66>>74-76>>85>>95-100>>126-133
『女中少女倫敦危機一髪』としてのまとまり。
特に>>126-133は父親の登場。ゆかりがやってきて一週間くらいの話。






>>113の「ひと段落着く」は嘘でした。
考えてる「ひと段落」がつくのは次か……その次か……とほほ。
次の投下は近いうちに。次はメイドさんも出てくるはずです。きっと。
136名無しさん@ピンキー:2005/09/28(水) 13:33:46 ID:F7hZUKjd
>>135
もしかして忘れてる?とか不安になり始めてたので、安心しました。GJ!!
137名無しさん@ピンキー:2005/09/28(水) 16:03:28 ID:EXSByQTR
まだ一週間だったんですか・・・
3ヶ月くらいたってたのかと思ってましたよ。
138うは尾毛 ◆6R9duTuDhI :2005/09/28(水) 16:42:12 ID:BlLC8umM
クオリティタカスクリニックボンバーwwwwww
139名無しさん@ピンキー:2005/09/28(水) 23:10:33 ID:F7hZUKjd
>>138
続きマダー(AA略
140うは尾毛 ◆6R9duTuDhI :2005/09/28(水) 23:15:02 ID:1irYrEUS
明日書けたらいいなと思っている。
141名無しさん@ピンキー:2005/09/29(木) 00:59:42 ID:KWTxtB7G
>>140
ヨッシャー!!期待してますぜ、うは尾毛氏!
142似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/10/03(月) 20:45:59 ID:J9obPAZH
続きを投下します……
が、異常に長くなってしまいました。申し訳ない。

気を長くして読んでください。
143似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/10/03(月) 20:46:33 ID:J9obPAZH

実質的には合意に達している。しかしイギリス側はまだ締結を拒んでいる。
いったいこれ以上何を欲するのか、吉岡はいまいち掴みかねていた。
そもそも自分はこういった相手の要求をちまちまと推理するような仕事は嫌いなのだ
そういった仕事は相方の清五郎に任せて自分は清五郎の立てたその計画に沿って実行する。
二人はいつもそのように仕事をしてきていた。
「あいつはいまいち、押しってもんが足りねえんだよな」
それも昨日の様子を見ると、長引く交渉の疲れも出てきているようだ。
今日はあまり清五郎には期待しない方がいいかもしれないな、そんなことを考えながら
吉岡はラウンジを見渡した。
深いゆったりとした一人用のソファに、清五郎らしき頭の天辺を発見した。
清五郎は背が低いので、英国人用に作られたここのソファでは頭だけがはみ出るのだ。

「よう、どうだ、昨日は眠れた……か……」
清五郎の持つ雰囲気が普通ではない。
後から声をかけた吉岡は、前面に回りその様子を認めるとぽかんと口を開けたまま固まった。
「ああ、大介か……。おはよう」
「お、おう。お前……」
異常にに殺気立っている、その理由を聞こうとしたが、清五郎本人に遮られた。

「大介」
「うん?」

「今日で交渉を終わらせる。」

清五郎は吉岡の目を見ずに言いきった。
静かで力強い言葉だった。

144似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/10/03(月) 20:47:24 ID:J9obPAZH


清五郎は英国側の交渉人がテーブルにつくとすぐに発言した。
「私が思うに、日本と英国、両者はすでに実質的に合意に至っています。
 しかしあなた方は、一向にこの交渉を終わらせようとはしない。
 その理由は一体なんなのですか、はっきりとお答えいただきたい。」

英国の交渉員たちは面食らった。
これまで折衝を繰り返してきて、相手側の要注意人物、一番のタフ・ネゴシエイターは
今、始まりしなに発言したセイゴロー・タムラの隣に座っている、ダイスケ・ヨシオカの
はずだった。東洋人の区別は苦手だとはいえ、英国人のように体が大きく語調も内容も
強い発言の多いヨシオカと、対照的に非常に体が小さく、強く発言することは
ほぼなかったといってよいが鋭い質問や要求をしてくるタムラの区別は英国人にも
分かりやすかった。

面食らったのは英国側だけではない。
もちろん英国人以上に田村の気性を知っている日本人たちである。確かに普段から
静かな迫力はその体から発していた。だが今日のような、荒々しく燃えたぎる迫力を
放つ田村を見たのは初めてのことだった。国際情勢を良く知り、外交の何たるかを
体得している田村がこのような会議の流れを無視するような、放言ともいえる出端の発言
をするとは誰も夢にも思ってなかった。
もちろん、いちばん付き合いの長い吉岡は更に驚いた。

「おい、田村、お前、どういうつもりだ。一体何を焦っている」
吉岡が右隣の田村に日本語で呟いた。田村は気にせず対面を睨み続けている。
「焦ってなどはいない。無駄な時間を省きたいだけだ。お前も、互いにこれ以上の譲歩は
 不可能だと思っているだろう。ここらが落ち着かせどころだ、とな」
「そりゃあ、そうさ。しかし……何をそこまで焦る必要がある。大詰めになってこそ
慎重に時間を掛ける。お前が今まで言っていたことじゃないか」

英国側交渉団、中央に座っている太った男が苦々しい表情で発言した。
「あー……ミスター・タムラ、私たちはこう考えています。交渉と言うものは、
 えてして終わり際にもめることが多い。つまり交渉が終わりそうになってもそれは
 終わりそうなだけで、終わりでは無い。話し合いというのは詰めにこそ時間を
 掛けるべきではありませんかな?」
145似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/10/03(月) 20:48:23 ID:J9obPAZH

発言の間も、清五郎は殺気を以って相手を睨みつけることをやめなかった。
発言後も同様であった。太った男はとても田村の目を見てはいられず、
左下に目を逸らした。
「ええ、確かにそのとおりでしょう。しかし今の場合、終わり際になってまだ揉め事を
 起こそうとしているのは私たちではなくあなた方だということはお分かりでしょう。
 ……いい加減にはっきりなさい、これ以上、何がしたいというのです」

「おい、田村、言い過ぎだ。落ち着け!」
吉岡が清五郎を制するが、聞く耳を持たなかった。

英国側は言葉に詰まった。
何人かが顔を見合わせた後、しばらくして、再び太った男が発言した。
「いいでしょうミスター・タムラ。私たちはまだ日本側に譲歩が足りないのではないか……、
 と考えています。
 具体的に言うと、日本のどこかの島を英軍の基地とするかもしくは――少なくとも、
 ロシア、フランスには基地を貸し与えないことを約束していただきたい。
 このうちのどちらかが、もし約束できるというのなら私たちは今すぐにでも
 この条約を締結してよいと考えています」

その言葉に、吉岡たち日本の交渉団は目を丸くした。もちろん英国に日本のどこかの島を
与えるなどというのは問題外である。軒先を貸して母屋を取られるということに
ならないとは言えない。
しかしロシアやフランスへ日本の港や領土を貸し与えないという条件は、こちらとしても
そのようなことをする気は全くない、むしろイギリス側が日本はロシアやフランスに港や領土を貸し与えるかもしれない、と考えていることが驚きであった。

結局、舐められているんだろうな――昨日、自らが発した言葉を吉岡は思い出していた。
舐められていただけではない。
日本は、だまし討ちのように策謀をめぐらして、英国に不利な行動を起こすかもしれない、と疑われていたのだ。
吉岡は今更ながら日本の国際的立場、イメージの低さを再認識し、黙り込んだ。

しかし相手側から決定的な言葉を引き出せた。
イギリスに島を差し出す、という条件はもちろん飲めないが、露仏に港や領土を与えない、
ということは日本としての元からの立場であった。日本側交渉団は互いに顔を見合わせ
色めき立った。
146似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/10/03(月) 20:48:56 ID:J9obPAZH
今の言葉を引き出せたのは清五郎のスタンド・プレーのおかげだ。
「清五郎!」
吉岡は右隣のちいさな男に呼び掛けた。
暴走には違いないが、このスタンド・プレーは今回一番のファインプレーである。

清五郎は静かに立ち上がるとはっきりとした口調で、英国側の発言に応えた。
「もし脅迫を以って日本にそういう要求をする国があれば、ロシアでもフランスでも、
我々は日本全土を焦土となすとも抵抗するでしょう」

そういうと清五郎は、頬を緩めにっこりと笑った。
気圧されるほどに発せられていた殺気が、穏やかなものになった。
英国側に掛けられていた異常なまでのプレッシャーは、まるで今までそんなものは
無かったかのように霧消してしまった。
また、同時に英国側にはこのような心情も浮かび上がった。
この男は嘘をつくような人物ではない、極東における英国の国益は、日本と組むことで
守られるという考えは、けして間違いではない。
それは何か言葉で説明するべき思考と言うより、感覚における確信であった。

そう思うと、いままで場を支配していた、重く冷たい空気が一変して暖かなものになった。
結局、今日、交渉の場を支配していたのは清五郎の迫力であった。
この男の迫力に英国側交渉団は気圧され、日本にとって損でない条件での完結を見た。

清五郎は柔らかな笑顔のまま、対面の太った男に右手を差し出し、握手を求めた。
太った男もそれに答え、二人はがっしりと握手を交わし、上下に大きく振った。
清五郎は手を離すと、倒れこむように椅子に座り、まぶたを閉じた。

「おい、やったな清五郎!あったく、あんな調子でやられちゃあ、俺の出番が
ねえじゃねえか!!……おい、清五郎……?」
返事が無い。吉岡はがなるように清五郎に話しかけたがそれでも返事はない。
まさか。

日本を代表して世界一の帝国と渡り合ったのだ。
まさに今の英国とのやりとりは田村清五郎、一世一代の大舞台であった。
147似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/10/03(月) 20:49:48 ID:J9obPAZH
吉岡は口を結び、清五郎の身体に耳を近づけそばだてる。
「やはり……!清五郎……!!」

たった今の瞬間までの主役が急に黙り込んだことに、日本側も英国側も全員が、
清五郎の様子がおかしいことに気付いた。部屋に緊張が走る。

耳をそばだてていた吉岡は、すっと身体を離すと、勢いよく清五郎の頭をはたいた。
「起きろこの大馬鹿野郎!」
吉岡の耳に聞こえたのは、清五郎の安らかな寝息であった。

「!?」
身体を跳ねつけて目を覚ました清五郎の様子を見て、部屋は爆笑の渦に包まれた。

「は……!し、失礼しました!!すみません、昨日、寝てなくて……」
清五郎が英語で弁明すると、英国側の太った男が笑顔で言った。
「ミスター・タムラ、お疲れならお先にホテルに戻ってはいかがですか?
 なに、あなたは今日はもう十分に働いた。お仲間も許してくれるでしょう」

「ええ、あなたがたさえ許してくださるならば……。おい清五郎、お前、帰って
 もう休め。なに、後は細かいことだけだ。心配するな。
 と、いうより……またそんな中央の席で寝られてはかなわんからな」
吉岡がわざわざ英語で発言したので、部屋に再び爆笑が起きた。
清五郎は従者に支えられるようにして退場した。
今日の主役は、交渉が始まってわずか一時間で去っていったのだった。
笑顔を残したまま、英国代表は言った。
「まったく……悪魔のような殺気を我々に叩きつけて発言を求め、自らも大いにりりしく
 演説をぶったかと思えば、今度はすぐに寝入ってしまうとは……まったく、不思議な
 魅力のある男ですな」

「は、まったく、お恥ずかしい限りです」
吉岡は汗を拭きながら言った。

「いやなに、われわれはあの男が日本側の代表にいたことを幸運に思っていますよ。
 あのような男がいるのなら、日本は約束を破るようなことはしないだろうと確信します。
 ……では、残りの細かいことについて話し合いましょうか……建設的に」
「ええ、こちらこそ!」
吉岡は英国代表の発言に答え、テーブルに身体を大きく乗り出した。


148似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/10/03(月) 20:50:25 ID:J9obPAZH

ようやく決着がついたか。
何も考えられないような――それでいてなんでも理解できるような――夢うつつの中に
清五郎はそれだけを思っていた。

今から思えばこの交渉など長かっただけで何の意味もなかったような気もした。
問題は行方不明の娘のことである。
しばらくすればキャシアスがここに来るはずだ。
仕事は予想以上に早く終わった。まだしばらく時間がある。
今はただ眠ってしまおう――――

キャシアスが来るまでの三時間、清五郎は泥のように眠った。
149似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/10/03(月) 20:51:01 ID:J9obPAZH


「ミスター・タムラ……起きてください」
キャシアスはおそるおそる清五郎の身体を揺らした。なにしろ昨日の迫力はすごかった。
起こしたときもしも機嫌が悪かったとしたら、命が危ない。
しかし大方の人間は寝ているところを起こされた場合、機嫌が悪くなるものだ。
大体で言えば、70パーセントくらいだろうか。

「ふふ……生きて帰れる率30パーセントか……母さん…今までありがとう」
キャシアスが死を覚悟していると、清五郎の体がぴくりと動いた。
「ん……」

キャシアスはとびのき、心臓が破れそうなくらい鼓動を打つのを感じた。
オーケー、まだ生きている。
心臓の動きに生の喜びを感じた。
「ミ、ミスター……?」
「ああ…キャシアス君か……、どうしたね、なに、もう時間か……そうか、では、
行くとしようか…。ふぁ、あああ」
大きく身体を天に伸ばして、清五郎はあくびをした。
どうやら機嫌も悪くないし、殺気立ってもいないようだ。
いままでの清五郎に戻ったらしい。キャシアスは心底ほっとした。
150似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/10/03(月) 20:51:52 ID:J9obPAZH



「キャシアス君、ここがその、東洋人のメイドがいるという家かね」
「ええ、そのようですミスター」
キャシアスは住所を控えたメモを確かめながら返答した。
二人の前に建っているのは、石造りで、一つの建物に二つの扉がある不思議な家である。

「キャシアス君、どちらが玄関かね」
「いえミスター、これは建物は一つですが、住んでいる人は違います。こちらの方が
 建物を二つ建てるより安く済むのです」
「ふむ、長屋と一緒だな。特別裕福な家、というわけではなさそうだ。
「ええそうですね。ではまず僕が様子を見に行きます。ミスターは少し陰で隠れて
 見ていてください。もちろん僕はできるだけ紳士的に話を聞いてみますが、
 なにしろ相手は人さらいの可能性もあります。なにかあったら、警察に
 連絡してください。」
「承知した」

清五郎は言われたとおりに建物の陰に隠れ、顔だけだしてキャシアスの様子を覗いた。
キャシアスは慎重に扉を叩き、反応を待つ。
しばらくすると家主らしき男が玄関に現れた。よくは見えないが、筋肉質で随分
体格のいい大男である。歳は自分よりも下の様に見えるが、生意気にも口ひげを蓄えている。

清五郎がつぶさに相手の様子を観察していると、不意に背後から声をかけられた。
「あら、だんなさん、うちに何の用?」
振り返ると、大きな女がいた。簡素な服に白いエプロン。
くりっとした丸い目でこちらのことを見ている。この家か隣の家の主婦であるようだ。
働き者であるな、ということが身なりや雰囲気から感じ取れた。
「あら、あなた――日本人?ひょっとして、ゆかりちゃんの――」
主婦の女から娘の名前が出た。間違いなくゆかりはこの家にいるようだ。
「あの――!」

どか。
清五郎が喜びと驚きをもって話そうとすると、背後から物音が聞こえた。
151似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/10/03(月) 20:53:21 ID:J9obPAZH

振り向いた清五郎の目に映ったのは、キャシアスが家の主人を殴り倒している姿であった。
「きゃっ!ダーヴァレイさん!!」
主婦の女が叫んだ。苗字で呼んだことから、どうやら隣の家の主婦であるようだ。
しかしそんなことを考えてる暇はない。

「な、なにやっとるんじゃオノレはーッ!!」
つい日本語で叫んでしまっていた。背後でおばさんがびっくりしていた。

キャシアスがこちらを振りむいた。やっちまった。表情がそう言っていた。
「ば、」
馬鹿者、と叫ぼうかとしたとき、家の奥から女中が、続いて子供が現れた。
「か、」
清五郎がその姿を認めると、叫びは途切れて続かなかった。

間違いない。娘のゆかりだ。
清五郎は女中の制服に身を包んだ娘を見て、体が動かなくなった。
女中をやらされている、そのことは確かに屈辱的ではある、が、とにかく行方不明だった
ゆかりが生きてくれていたこと、その喜びが清五郎の身体を包んで麻痺させた。

「あんた、ゆかりちゃんのお父さんかね?
事情は良くわからないが、出てかないとまずいんじゃないかい?」
なんだか震えている清五郎におばさんは語りかけた。

はっ、そうだった。
娘の無事を確認した感動で今の状況をすっかり忘れていた。
気がつけば、子供の泣き声が大きく響いている。状況は更に悪くなっているようだ。

「ゆかり――!」
清五郎は娘の名を呼び駆け出した。
これで無事にゆかりを連れて帰れる。何があったかは知らないが、とにもかくにも
元気そうで良かった。何よりだ。交渉も無事に終わった。さあ日本に帰ろう。
そうだ、その前に二人でロンドンの街でも観光に行こう。きっと楽しい。

しかし次に清五郎の目に入ってきたのは、空中で逆立ちをしている家庭教師キャシアスの
姿だった。

「……は?」








152似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/10/03(月) 21:11:32 ID:J9obPAZH


曇りがちなロンドンにしては珍しく、今日は目の覚めるような快晴であった。
青い空はロンドン市民の頭上に広がり、二つ残った白い雲が控えめに浮かんでいる。
そのロンドンの空の下、ダーヴァレイ家は今日もいつも通りだ。

ゆかりは白磁のティーカップに熱い茶を注いだ。白いカップに紅茶の赤色が美しい。
ベルおばさん特製のスコーンを添えてテーブルの上に静かに置く。
「先生、お茶が入りました。どうぞ」

先刻から紅茶の香りに気がついていたマーロットは、その言葉を待ちわびていたかのように
笑顔を見せ、縦横にしわの刻み込まれた手をティーカップに伸ばした。
「おお、ありがとう……うん、実にうまい。五臓六腑に染み渡るわい」
そう言ってマーロットは、ひげの間から熱気のこもったため息を吐いた。

「そんな大げさな……ユカリ、ぼくにもちょうだい」
ノートに向かっていたティムもその手を止め、紅茶を受け取った。
マーロットの紅茶と違い、ティムのものには牛乳が入れてあり、その色は優しい駱駝色である。
舌ざわりはあくまでもまろやか。しかし丁寧に煎れられた紅茶は優雅な香りを損なわない。
「うぅん……ユカリはお茶を煎れるごとに煎れるのが上手になってゆくね」
ティムは目を細めてゆっくりと一口目を味うと、一度カップをソーサー上に置き、
ゆかりの技術の向上を褒めた。

「ありがとうございます」
振り向くと、ゆかりは満面の笑みを見せた。
褒められた事が素直に嬉しいのだ。
153似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/10/03(月) 21:12:09 ID:J9obPAZH

「さいしょのはひどかったもんねえ……はっぱがカップの中をおよいでたんだもん」
「坊ちゃま……あれはもう忘れてください。今はもう茶こしの使い方も覚えました」
ユカリがばつ悪そうに答えると、ジョンのやかましい笑い声が響いた。

「だっはっは、なんだ、そんなことがあったのか。それはぜひ飲んでみたかったな!」
「旦那様…ご冗談はよしてください」
困った顔を浮かべながらユカリはジョンに紅茶を手渡す。いつもはジョンがこの時間に
家にいることなど考えられないことなのだが、「きょうはあと書類仕事だけだから」
ということで、家で仕事をしているのだ。
仕事机などこの家にはないので、ジョンはティムが勉強するのと同じ机で仕事をしていた。
ティムの側に比べて、ジョンの側にはさまざまな書類や資料が散乱しており、
マーロットはその様子を見て嘆息した。
「ダーヴァレイ君……仕事の方は、忙しそうじゃな」
「ええまあ、おかげ様で」
「ふむ、仕事も良いが、たまには今日のようにティム坊と一緒にいる時間も作って
やりなさい……子供はなにより、親と一緒にいる時間が好きなんじゃから」
「はあ、ごもっともです」

「坊ちゃま」
ユカリがティムの耳元で囁く。
「なんだいユカリ」
「あの二人って、どういった関係なんですか?」
「……ぼくにもよくわからないんだけど、なんでもパブでしりあったらしいんだ。
 『なんだか意気投合した爺さんの話をよく聞いてみたら、偉い先生だったからお前の
家庭教師、頼んどいたぞー!』ってことだけ……」
「またそんないい加減な……」
「パパらしい、でしょう」
ユカリは声を出さずに苦笑した。

「それにキミ、一度言おうとおもっとったのじゃが、ユカリちゃんのことは一体どうする
つもりなんじゃね」
マーロットの口から自分の話が出てきたので、ゆかりは二人の会話に加わった。
口をはさむことはしないが、身体を二人の方に向け、じっと話を聞いている。
「ええ……ですが身元が分からないことにはなんとも……」
「ふむ、それなんじゃが、どうやらお前さんの予測どおり日本の条約改正交渉団の
 どなたかの関係者である可能性が高いと思うぞ」
「え、先生、それはどうゆう……」
マーロットはシェイクスピアの一件をジョンに説明した。
ジョンは信じられないと言うような目でゆかりをすこし見つめると、またマーロットに
視線を戻した。
154似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/10/03(月) 21:13:31 ID:J9obPAZH

「そうですか……なるほど、ですが、なぜ何もニュースにならないのでしょう?
 正式な外交使節の関係者が姿を消したとなれば、ニュースになってしかるべきでしょう」
「うむ……そこなんじゃが……」
「それに、ユカリちゃんが記憶喪失になってしまっているとその日本人たちに知れたら……」
「ううむ、まずいことになるかもしれんのう……交渉がわが国に不利になるような……」
ジョンはもしそうなったときの状況を予想して恐しくなった。
頭の中に新聞の一面トップが想像された。
【『ダーヴァレイ家具店』店主逮捕!日本使節の娘を記憶喪失にして誘拐!!】
【日本使節団激怒「このような犯罪国家に対応するためには、露西亜、仏蘭西などとの
二国間交渉も考える」】
【ダーヴァレイ家具店倒産!元店主、一家心中を図る】

間違いなく、うちは非難の矢面に立ち、店は潰れてしまうだろう。
「こ、こりゃやばい」
ジョンは顔を青くした。
「先生、ど、どうしましょう……」
「うむ、それなんじゃが、こんどわしの方から……」

不意に扉を叩く音が響いた。
ジョンは驚いて跳びあがった。
「まさか……」
嫌な予感がした。

「はーい」
ゆかりが返事をし、玄関に出迎えに行こうとしたが、ジョンがそれを遮った。
「ああ、いい、いい、ユカリちゃん、おれが出る」
「え、しかし……」
「いいんだ、君は少し、部屋の奥にいてくれ」
ジョンはこわばった顔でそう言った。ゆかりはそれに従うことにした。

ジョンは恐る恐る扉を開けた。立っているのは痩せ型でひょろ長い印象の青年であった。
「……どちら様で?」
ジョンは思い切り凄んでそういったが、青年は唇を吊り上げて笑うだけだった。
嫌らしい笑みだ。ジョンはそう感じて、冷や汗を流した。
ジョンの持つ野性の勘が、こいつは敵だとそう言っていた。
155似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/10/03(月) 21:14:59 ID:J9obPAZH

痩せ型の青年は、家主の発する凄みを気にすることなく、ゆっくりと言った。
「……お宅で、日本人のメイドを雇っているでしょう。ユカリ・タムラという名前の。
その事について、少しお話があります」
そう言って、自分を紳士に見せたいためか、青年は何とか笑みを浮かべようとしている
ようだった。
しかしそんな笑い方をする奴はろくなことを考えてないんだ、ジョンはそう思った。
脅迫、されているのかもしれない。どこからかユカリちゃんの情報をつかんで、
いま、事業が上り調子のうちから金を巻き上げようと――。
警察に言うわけにもいかない。ジョンは最善策を探し、思考を脳内に駆け巡らせた。

「……てめえ、俺を脅迫する気か」
「え、いやそういうことでは――」
青年が弁明しようと口を開いた瞬間、青年の顔にジョンの大きな握りこぶしがすっとんでいった。
ジョンの思考が出した一番の解決策は「こいつをぶん殴ってなかったことにする」だった。


156似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/10/03(月) 21:16:36 ID:J9obPAZH
続きます。
157似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/10/03(月) 22:02:07 ID:J9obPAZH


こぶしが背中に隠れるほど振りかぶり、腰の力を十二分に乗せて、大きく円を描くように
青年の顔にこぶしを放った。重い家具を毎日運んでいるのだ、
握力と背筋力には少なくない自信がある。

自慢じゃないがこれを食らって立ち上がった奴は今のところいない。
青年が答えようとする隙をついてぶん殴った。
青年は必ず白目をむいてひっくり返るだろう。
そうすればもう二度と、ウチを脅迫しようなどという気は起こらないはずだ。

「!?」
しかしジョンの分厚いこぶしに手ごたえは無かった。目に映ったのは石畳の風景である。
「…っぶないなー、もう」
自分の体の間近、ふところから声がした。
避けられた。ジョンがそれに気付き視線を下に移そうとしたとき、あごに何かが当たった。
なんだ、何が当たったんだ。それを判断する前に、なぜか青年の背が伸びた。
確かに痩せ型で背は高かったが、こんなにも見上げていいはずが無い。
これでは青年の身長は軽く2メートル半はある。

ジョンはそうして初めて自分が地面に膝をついていることを悟った。
「ばかな――」
立ち上がろうとしたが、膝が笑って言うことを聞かない。
ジョンはそのまま仰向けに倒れてしまった。意識が無いわけではない。
青い空がよく見える。しかし立ち上がれない。空がぐるぐると回った。

「きゃっ、ダーヴァレイさん!」
青年――キャシアスは、背後から割と年のいった感じの女の声を聞いた。
振り向くと、清五郎とどこかの主婦が目を丸くしていた。

しまった、やっちまった。
目で清五郎にそう訴える。
「――――!」
清五郎が何事か言おうとしたとき、玄関の奥から物音が聞こえた。

「旦那様?」
若い女の声だ。
姿を現した少女は、黒髪で利発そうな顔立ちの、東洋人。
間違いなくユカリであった。
158似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/10/03(月) 22:03:02 ID:J9obPAZH

「ミス・ユカリ!」
キャシアスは元教え子の少女に声を掛けた。
しかしゆかりはキャシアスに怪訝な表情を見せ、そして地面に横たわるダーヴァレイの姿を
認めると、黒い瞳を大きく見開いた。

159似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/10/03(月) 22:04:29 ID:J9obPAZH


「ユカリ……どうしたの?」
いたたまれなくなったティムも様子を見に玄関に現れた。
心配そうにゆかりを見つめている。

「わっ!」
玄関先に大きな人影が倒れているのにまず驚き、声を上げた。
その正体が自分の父親であると理解すると、ティムは駆け寄り体を揺すった。
「パパ、パパ!どうしたの!!大丈夫!?」
「う……ティムか……」
ダーヴァレイはどうにか首を回して、ティムの姿を視野に入れる。
「なに……大丈夫だ」

ティムは、きっ、とキャシアスを見上げ、睨みつけた。
しかしキャシアスには、小さすぎて視界に入らないのか、ティムを完全に無視し、
ユカリの方に話しかけた。

「さあ、ミス・ユカリ、もうこの家にいる必要はないんです。お父さんも待っています、帰りましょう」
キャシアスは精一杯冷静を装い、ゆかりに話しかける。

しかしゆかりはそれに応えず、ただ口に手を当てて青ざめた顔をしていた。
「ミス・ユカリ……?私です、家庭教師としてあなたのお父さんに雇われた――」
ゆかりは全くキャシアスの言葉に反応しようとはしない。

「ミス・ユカリ――?」
キャシアスはゆかりに手を伸ばした。
しかしその手は、小さな手によって払われた。

「やめろ!――なんだよお前……!パパにこんなひどいことして……!!
 それで、ユカリをどこかにつれていこうっていうのか!!
 ぜったいに、そんなこと、させるもんか……!!この……ひとでなし……!」


160似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/10/03(月) 22:05:02 ID:J9obPAZH

ティムは立ち上がって両手を目いっぱい広げ、ゆかりとキャシアスの間に仁王立ちになった。
両目には涙が今にも溢れんばかりにたまり、下睫毛がなんとか決壊を防いでいた。
足は振るえ、まともに立っていられる気がしない。しかし今、無理してでも立っていなければ、
ゆかりは連れ去られてしまうだろう。状況が良く飲み込めないティムにも、それだけはわかった。


父は足元で寝転がっている。
今ゆかりを守れるのは自分しかいないんだ。
その思いだけがティム・ダーヴァレイの小さな体を支えていた。

161似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/10/03(月) 22:05:46 ID:J9obPAZH


おもしろくない。
そう思ったのは人でなし呼ばわりされたキャシアスである。
元はと言えばそっちが先に手を出してきたのだ。こっちは仕方なく応戦した。
そうだ、これは正当防衛じゃないか。素人に手を出してしまった罪悪感で気付かなかったが、
そうだった、あの状況なら正当防衛といえるじゃないか。
何故ここまで悪し様に罵られなければならないんだ。
そう考えると、なんだか腹が立ってきた。

「あのなあ坊主、そういうことはもっと度胸がついてからやるんだな。
 どうだ、膝がガクガクと震えているじゃないか」
キャシアスはティムに目線をあわせ、こぶしを握ると、ティムのひたいを小さくこづいた。
ティムはあっけなくうしろに倒れ、しりもちをついてしまう。

簡単に倒された悔しさと恥ずかしさからか、数秒後、ティムは堰を切ったように泣き出した。
両目から涙が溢れ、口からは感情の奔流が、泣き声となって吐き出された。


162似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/10/03(月) 22:06:44 ID:J9obPAZH


ティムは自分が泣き出してしまったことに気付いた。
それも無様にしりもちをついて。
自分がユカリを守らなければならないのに。

かっこわるい。
泣きやめない。
何とかして泣き止んで、再び立ち上がりたいのに。
大きい痛みを与えられたわけじゃない。
しかし立ち上がれない。足も手も言うことを聞かない。
この腰を、冷たい地面から離すことができない。

それが悲しくて悔しいから、泣くことがやめられない。




163似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/10/03(月) 22:07:34 ID:J9obPAZH

「……じゃあ、ミス・ユカリ……」
キャシアスはきまり悪そうに後頭部を掻きながら、ゆかりに話しかけた。
子供をこんなに泣かせるのは、自分がやったこととは言え、あまり好きではない。

「……をする……」
「え」
キャシアスは初めて喋ったユカリの言葉を聞き逃した。
「……何を、する……」
しかしゆかりはぼそぼそと小さく喋って要領を得ない。
こんなに大声で泣かれてしまってはじきに人も集まってくるだろう。
キャシアスは真正面から、ゆかりの肩に手をかけた。

ぶわ。
キャシアスは不意に全身が総毛立つような感覚に襲われた。

筋肉がこわばる、神経が尖る、すべての感覚器官が総動員される。
高い崖から滑り落ちるような、恐ろしくも気持ちいいような感覚。
この感覚はつい最近――昨日、味わった感覚だ。
清五郎が放った、圧倒的質量の殺気。

それを目の前の少女が発している。
そうだ、この娘はあの清五郎の娘なのだ、それをキャシアスは思い出した。
「ミス・ユカリ、とりあえずここを離れよ」

「う」
言葉の途中で、ユカリの姿が掻き消えた。
ゆかりの肩に伸ばしていた腕が前に引っ張られ、体が宙に浮かぶ。
次にキャシアスが目にしたのは、逆さになった世界の中でこちらに向かって走ってくる
清五郎の姿であった。
164似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/10/03(月) 22:08:26 ID:J9obPAZH

瞬間、キャシアスの肺からすべての空気が吐き出された。
少し遅れて全身に激痛が走った。
何とか目を開けると、目に映ったものは、逆光の中のユカリの顔であった。
背中に当たっている硬いものは、恐らくは地面であろう。
しかしなぜ地面がこんなところに――

キャシアスは再び思い出した。この娘があの清五郎の実娘であること。
そして田村家の家訓に「文武両道」というのがある、と清五郎が言っていたこと。
そしてユカリは、「文」については素晴らしい才能を持っていたこと。
では「武」については――?ゆかりが失踪する前にそう聞いてみればよかったと、
キャシアスは後悔した。いまだ、自身が何をされたか理解していなかったのだ。

投げられた。
そう理解できる前に、キャシアスの意識は失われた。




165似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/10/03(月) 22:09:09 ID:J9obPAZH
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一体どういうことなのか、旦那様は目の前の青年に殴り倒されたようだ。
それも青年はなにか自分のことを知っているふうだ。
しかし全く事情が分からない。
「お父様のところに帰ろう」と、この人は言った。

この人は自分の父のことを知っているのだろうか。
しかし一体何故に旦那様はこの人に殴り倒されなければならなくなったのか。
わからない。

「やめろ!――なんだよお前……!パパにこんなひどいことして……!!
 それで、ユカリをどこかにつれていこうっていうのか!!
 ぜったいに、そんなこと、させるもんか……!!この……ひとでなし……!」
坊ちゃまが私の前に立って言った。
でも、すぐに倒されて、泣き出してしまった。



なにかが、はじけたようなきがした。





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166似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/10/03(月) 22:09:43 ID:J9obPAZH


「何をする」
自分でははっきりとそう言ったつもりだったが、この男には聞こえていないようだ。
「坊ちゃまと旦那様に、何をする、と言っているのだ」
いまだ聞き取れない様子だ。
なんという愚鈍な男だろうか、実にもどかしい。

体を熱い何かが暴れまわっている。
だめだ、坊ちゃまを泣かせたこの男を、許せる気がしない。
熱い何かはスピードを増し、体が破裂しそうにになる。
男は無遠慮に肩に手をかけてきた。

触れるな。

体の中を暴れていた何かが、急に喋りだした。
「その手を左手でつかんで」
言われるがままに体が動く。
「そうしたら右手は襟をつかんで、肘を相手の脇にさしこむの。同時に膝を沈めて」
大丈夫、ここまでやったら体が思い出した。

後は相手の体を前に引き出して、膝のばねを使って――――
「一気に、跳ね上げる!」
体の動きと声がシンクロした。

男はきれいに浮き上がり、目を白黒させている。
そのまま、背中から石畳に叩きつける。


「ふふ……なんだ、覚えてるじゃない。ちゃんと」

声はそれきり消えてしまった。


167似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/10/03(月) 22:10:52 ID:J9obPAZH



男がユカリに手をかけたと思った次の瞬間、男の体がふわりと浮き上がった。
なんだ、そう思っていると、次第にそのまま前方向に飛んでいく。
体の後から現れたのは、広がったスカート、そしてその中身だった。
ユカリの足と、そのまま上になだらかに丸みを帯びて行き、おしりのあたりまで丸見えの
白いドロワーズに、シュミーズのすそまで少し見えている。

ユカリ、はしたないよ。

なんだかのんきにそんなことを思った。


ずどん。すごい音がして、段々と時間の流れが元に戻っていった。

ティムは我が目を疑った。
あの小さなユカリが、いくら痩せているとは言え自分より40センチは大きいだろうと
いう大のおとなを、かついで、ぶん投げてしまったのだ。
男はきれいに一回転して、地面に叩きつけられた。

なにしろ涙で風景がにじんでいるのだ。見間違いかもしれない。
そう思って、瞳を両手でごしごしとこすった。
しかし視界が晴れても、目に映った風景は一緒だった。
父親を倒した男が、地面に寝転んで、気を失っている。
168似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/10/03(月) 22:12:19 ID:J9obPAZH

「ユカリ……?」
ふわり、とスカートのすそが戻った。
ゆかりは振り向くと、ティムのそばに駆け寄り尋ねた。
「坊ちゃま、大丈夫ですか!?……ああ、額が赤くなって……」
こづかれた額の真ん中辺りに手を当てる。
やはりあんな大男を投げ飛ばせるとは思えない小さな手だ。
「だ、だいじょうぶだよ……それより、ユカリ、今のは!?」

先ほどまで大量に流れていた涙は驚きでどこかへ行ってしまった。
ゆかりは、すぅ、と息を吸ってから答えた。
「今のは講道館柔道、相手の懐に飛び込んで背負って投げる、
 基本にして最大の技、背負い投げです。素早く懐に飛び込めば、
 相手には消えたようにも見えます。そして相手の体を崩せば、
 ばねのちからだけでも、女の力でも、大の男を投げられるのです。」

「コードーカン……セヲイナゲ……、ユカリ?それって!」
ティムはゆかりの口から聞き慣れない言葉を聞いた。
それはゆかりの以前の記憶のうちにある単語に違いなかった。
「ええ……こう、急に、思い出したみたいです」
「ユカリ……」

ティムが呟くように名前を呼ぶと、男が駆け寄ってきて、ゆかりに抱きついた。
「ゆーーーーーーーーかーーーーーーーーーーりーーーーーーーーーーー」
抱きついた男は、そのままゆかりに頬摺りする。

「…………!!」
いきなり抱きつかれたゆかりは、一体何がなんだか分からない。
顔を紅潮させ、息を短く吐いたかと思うと
「えいっ」
男の体が宙に舞っていた。
169似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/10/03(月) 22:13:36 ID:J9obPAZH

男は地面に投げつけられる刹那、ぱん、と地面を叩き、起き上がる。
見事な前周り受身である。

「ふ、キレがいまいちだ。鍛錬を怠っていたな、ゆかり」
男は佇まいを直しながら、ゆかりに向け笑顔を見せた。

当のゆかりは一体何のことかわからないといった様子で立ち尽くしている。
「どうした、まさか父の顔を忘れたわけではあるまい」
清五郎はダーヴァレイの体を起こし介抱すると、キャシアスの背中に回り気合を入れる。

「ふん!」
「…う……」
気付けなどお手の物と言わんばかりの、随分慣れた様子でキャシアスの意識を回復させる。

「……あの、そのことについてお話したいことがあるんですが……」
ジョンがよろよろと清五郎に近付いて話しかけた。
「話?……一体、どういうことです?」
清五郎は片眉だけを上げ、聞き返した。

「おうい、いつまで外におるんじゃ、はよう戻ってこんかい」
中からマーロットが紅茶を片手に現れた。
今までの騒動などまったく意に介してない様子である。

「先生……ずっと家の中にいたんですか」
ジョンが呆れたような声を出す。
「だってわしそういう荒事は苦手じゃもの」
マーロットはそう言うと、音を立てて紅茶をすすった。





170名無しさん@ピンキー:2005/10/03(月) 22:47:53 ID:N6HPzVpu
ゆかりテラツヨスwwww
171似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/10/03(月) 22:57:41 ID:J9obPAZH
「……なるほど、そういう理由で、あなた方がゆかりを保護してくれていた、と」
清五郎は紅茶に手をつけず、ダーヴァレイの話に聞き入っていた。

清五郎はちらりとゆかりを見た。
「……ゆかり」
「……はい」
「ほんとうに、父がわからないのか……?」
「……すみません」
「あやまら、ないでくれ……」

清五郎はいきなり机に突っ伏して、動かなくなってしまった。
いきなりの行動に一同は驚いてしまう。
よく様子を窺うと、時折、袖の隙間から嗚咽が聞こえてくる。

「セイゴローさん、なんと言っていいか……」
ジョンが清五郎を慰めようと、声をかけた。
すると清五郎は、ばっ、と顔を上げ、
「ミスター・ジョン・ダーヴァレイ」
ジョンの名を呼んだ。

「不躾な願いではありますが、しばらくこのまま娘をこの家に置いてやってはくれませんか」
涙の跡も隠さずにそう言った。
「娘は、親の私が言うのもなんですが、女だてらに日本をしょって立てる人物でありました」
しかし、と清五郎続けて
「しかし、日本語も満足に思い出せない今の様子では、今日本に帰っても仕方ありますまい。
 それになぜか、そちらの坊ちゃんと一緒にいるときに、記憶は蘇りやすいようだ。
 坊ちゃん、あなたがキャシアスに立ち向かったときの表情、忘れますまい」

清五郎はじっとティムの瞳を見つめた。
深い青の瞳に吸い込まれそうになる。
172似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/10/03(月) 23:04:45 ID:J9obPAZH

しばらく話をした後に、
「……では、私はこれで。まだ仕事もありますので」
清五郎はおもむろに立ち上がり、家を後にしようとする。

「ゆかり」
玄関で娘の名を呼び、再び抱きしめる。
今度はゆかりも投げ飛ばしはしない。
「ゆかり」
「はい」
「いいか、この世界一の帝国の文物を深く学び、よく習え。
 そしていつの秘か記憶がすべて戻ったら、日本に帰ってきてくれ。
 どうか、帰ってきてくれ。……頼む」
ゆかりは、きっとそうします、と答えて、自分の記憶にはない父を見送った。


夕暮れに染まるロンドンの街は、怖いくらいに美しかった。
173似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/10/03(月) 23:11:17 ID:J9obPAZH
「ユカリ……本当によかったの?」
すっかり陽も落ち、暗くなった室内のランプに火を灯しているゆかりに、ティムがそう尋ねた。

「ええ……確かに、あの方がお父さんというのは、何となくなんですが、分かる気がします。
 きっとあの方の言ったことはすべて本当なのでしょう。ですが……」
「ですが?」
「…………」
「?」
「いえ、なんでも、ありません」

ゆかりは結局答えをはぐらかすと、はにかんだような笑みを見せた。
ランプの明かりに照らされたその笑顔は、不思議なまでに美しかった。


ティムはとりあえずユカリが連れて帰られなくてほっとしていた。
ジョンはとりあえず嘘がばれなくてほっとしていた。

ゆかりは次の日からもいつもと変わらない様子で働いている。
ユカリと居ると、退屈だけはしなさそうだ。ティムはそう思って、一人静かに笑った。
174似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/10/03(月) 23:16:07 ID:J9obPAZH
ああああ長い……。
一応これで『倫敦少女女中危機一髪』の話は終わりです。

メイド+少女+柔道が強い=素晴らしい!!

というあまり一般的ではない思い付きがこの話の核でした。
とりあえずのひと段落も、ようやく着きました。
よかったよかった。


正直この(↑)思いつきは突飛すぎると思います。
175名無しさん@ピンキー:2005/10/04(火) 00:29:52 ID:QwVsyQUx
取り敢えず…えーと、なんだ。



ゆかり父テラカッコヨスwwww



で、声板ゆかりんスレ住人としては妙な気分になったり
176名無しさん@ピンキー:2005/10/06(木) 22:07:23 ID:6l9PT9Tl
>>174
何つーか。このSSは下手にエロに行かないで欲しい。勝手だけど。
ユカリちゃんにエロは似合わない気がすんだよな。
強いし、可愛いし、それだけで俺は満足。
177名無しさん@ピンキー:2005/10/07(金) 00:14:18 ID:N76Y000F
>>176
そうだよな。かっこよくて可愛い、それだけで満足できるぜ。
178名無しさん@ピンキー:2005/10/10(月) 00:49:12 ID:x/Y10FFw
そこにエロが入るともっと満足できる俺ガイル
179名無しさん@ピンキー:2005/10/12(水) 03:43:36 ID:ij/UNLOq
こっそり保守
180名無しさん@ピンキー:2005/10/12(水) 13:47:58 ID:aWi33MoN
似非紳士さん再降臨期待age
181名無しさん@ピンキー:2005/10/13(木) 21:52:35 ID:TPRfmy3E
>>180
うは尾毛氏も。
182名無しさん@ピンキー:2005/10/17(月) 22:04:51 ID:MA29WG2x
保全age
続きが楽しみですなぁ
183名無しさん@ピンキー:2005/10/24(月) 00:52:28 ID:TtSwy9A8
h
184 ◆7b9DL4hJvA :2005/10/25(火) 00:11:07 ID:QMPG7fAu
hosyu
185名無しさん@ピンキー:2005/10/25(火) 22:52:30 ID:R+w4F366
>>140
続きマダー(AA略。
186似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/10/27(木) 23:30:39 ID:gqhPGW30
違う人ですが、続き投下します。
なんだかまた長くなりそうだったので少しづつ…というか、何回かに分けて
投下すると思います。

できれば最後まで、お付き合いよろしくおねがいします。
187A SLITGHT DISPUTE IN MARKET ◆DMzTyHF5uc :2005/10/27(木) 23:32:05 ID:gqhPGW30

             A SLIGHT DISPUTE IN MARKET
            ――市場でのちょっとした騒動――

霧の街ロンドン。
ガス灯のほんのりとした明かりが朝もやをぼんやりと照らす中を、痩せた馬の引く荷馬車が
のっそりと進んでいった。
「おお寒い……。あったく、いつの間にか随分と冬が近付いてやがる…ついこの間まで
 暑い暑いとわめいていたってえのに……」
野菜がぎっしりと詰め込まれた荷馬車に乗った男は、誰に言うわけでもなくぼやいた。
やはりいつの時代も、季節の移り変わりに一番敏感なのはそれに左右される農家なのだ。
男は郊外から野菜を売りに来ている農家兼八百屋の一人で、向かう先はロンドン最大の
青果市場である、コベントガーデンであった。
そこで荷馬車をそのまま屋台として、自分の畑の野菜を売って生活しているのだった。
「寒いが、今の時期にがんばらにゃ、年が越せねえものなあ」
少しの間、両手を握り締め暖めると、手綱を上下に躍らせて、仕事場へと急いだ。



188ASLITGHTDISPUTEINMARKET ◆DMzTyHF5uc :2005/10/27(木) 23:32:53 ID:gqhPGW30


日が昇れば気温もゆるむ。
気温が緩めば眠くもなる。
眠くなれば抵抗も出来ずに寝てしまうことだって十分ありうる。
「……二人とも」

豊かなひげをたくわえた老人が、左手に本を持ったままで咳払いをした。
半ば呆れたような、半ば感心しているような目で教え子二人の姿を見つめるのは、
ダーヴァレイ家の家庭教師、マーロットであった。
本に目を落としていた少しの隙に、教え子二人の意識がなくなってしまっていたのだ。

雇い主の息子であり、もともとの教え子であるティム・ダーヴァレイは完全に
天井を見つめ――見つめているがまぶたは開いてない――小さな手だけが自動でペンを動かしている。
案の定、手元の紙にはミミズののたうち回った跡だけが見事に描かれていた。
どこかの美術館で、ミミズののたうち回った跡の絵コンクールでもあれば結構いい線
いくかもしれない。
もちろんそんなものはあろうはずもないが。

もう一人の教え子である日本人の女の子は、仕事着である黒いワンピースと白のエプロン姿の
ままで机に突っ伏していた。
低い鼻から安らかな寝息が漏れているのが聞こえる。
そのたびに短い前髪が少し揺れるのが愛らしい。
完全に寝入っている。
ほんの2,3分でここまで熟睡できるというのは、実はなかなかに才能が必要かもしれない。
目を離す前には右手にしっかりと握られていたペンも、机の端にまっすぐに置かれている。
まるで自主的に寝入ったかのようにも見える、が、この娘はメイドの仕事もやりながら
勉強をしているのだ、まあ仕方がないといえば仕方がない。

しかし、この日本人の娘が自国に帰らずに英国に残っている事情を知っている身としては
ここで彼女を甘やかすことは彼女のために何もならないとわかる。
ここは心を鬼にして、と決意を固め、更に大きくもう一度、咳払いをする。
189ASLITGHTDISPUTEINMARKET ◆DMzTyHF5uc :2005/10/27(木) 23:33:41 ID:gqhPGW30

不意の大きな音にびくっと体を震わせて、ティムは目を覚ました。
「んん……はっ」
「おはよう」
マーロットは十分に怒気をこめた声で、紳士的に挨拶の言葉をいった。
「……ごめんなさい、先生。……わっ、なにこれ」
ティムは手元の惨状に驚いた。
自分は真面目にペンを走らせていたはずであったが、なぜか紙にはミミズしか
描かれていない。
「……あちゃあ」
「あちゃあ、ではないわい……ユカリちゃん、おおい、起きんか」
マーロットは依然目を覚まさないメイドの少女に声をかけた。
かなり大きな音で咳払いをしたし、事実ティムは目を覚ましたのだが、
ゆかりは先ほどから体勢すら変わっていない。
安眠を頑なに貫いている。
マーロットが声をかけようが、ティムが体を揺らそうが一向に目を覚ます気配すらない。

「……先生、こうなるとユカリ、なかなかおきないですよ」
「ううむ、何と言うか、逆に大したものじゃのう」
マーロットが困ったようにため息を吐きそのあごひげを揺らすと、ティムはおもむろに
椅子から降りて台所へ向かっていった。
「おい、ティム坊」
「ちょっとまっててぇ」

ティムが台所から戻ってくると、その手にはグラスが握られていた。
底の方に少しだけ、スプーン一杯分くらいの水が汲まれている。
「なんじゃ、ティム坊、それをどうする気じゃ」
「まあみててよ、おもしろいから」
そう言って笑うと、静かにその水をゆかりのうなじ、えりと首筋の間にたらした。
190ASLITGHTDISPUTEINMARKET ◆DMzTyHF5uc :2005/10/27(木) 23:34:41 ID:gqhPGW30

「!!」
秋が深まり気温が下がれば水道の水だって冷たくなる。
冷たい。
ゆかりはなんのことやら分からない冷たさに驚いて目を覚まし、背筋を伸ばした。
いや、伸ばしたというよりも驚きで、勝手に伸びたと言うほうが正しいのだが、
どちらにせよ、背筋を伸ばしたことで、水が首筋から一気に背中を垂れていった。
「ひゃ、ひゃああああああああぁ、冷たい……!」

眠気が一気にすっ飛んでいく。
背中をもぞもぞと抑えるゆかりの様子を見て、ティムはげらげらと大笑いをしていた。
「ぼ、坊ちゃま!何するんですか!」
まだ背中をまさぐりながら、ゆかりはティムに叫んだ。
「だって、ユカリがおきないんだもん」
「そ、それにしたってもう少し、やり方というものが……!」
ティムは慌てるゆかりの様子を嬉しそうに見ながら、こう言った。
「でも、これだとすごく目がさめるでしょ?」
「確かに、そう、ですけど……」
背中を撫ぜながら、ユカリは口を尖らせる。
たしかに寝ていたのは自分だし――ゆかりはティムも寝ていたことを知らない――
実際に眠気は全くなくなってしまった。納得するしかないのかもしれない。
そう思うと続く言葉は出なかった。

二人の様子をマーロットはただ優しい目で見つめていた。
まるでそれは、孫を見る祖父の目であった。
「ユカリちゃん、一体なんでそんなに眠くなるんじゃ?寝てないわけではなかろうに」
ここのメイドは特例である。主人より先に寝ることが許されている――というか、
主人の帰りが遅すぎるので、主人が帰る前には寝ているのだが。

「それが、私にもよくわからなかったんですけど、最近ひょっとしたら原因がわかって」
「ほう、一体、どんな理由じゃ」
「ええ、……あの、」
ゆかりはいったん声を切った。
その様子にティムはのどを鳴らした。
ひょっとしたらなにか重大な病気かもしれない、不意にそんな不吉な考えが浮かんだのだ。
ゆかりの続ける言葉に集中する。

「時差ぼけ、じゃないかな、って……」

三秒くらいの間があった。ゆかりがこちらへ来てもう一ヶ月かそれ以上は経つのだ。
そんなわけないだろう、ティムとマーロットが同時にそう叫んだ。

191ASLITGHTDISPUTEINMARKET ◆DMzTyHF5uc :2005/10/27(木) 23:36:43 ID:gqhPGW30


「さて二人とも、少し難しい話をしようか」
マーロットは突然思い立ったようにそんなことを言い始めた。
「ええ、いや、いいですよ別に」
「そうだよ、今やってるのでせいいっぱいだって」
もちろん二人は不平を言うが、聞き入れられなかった。
「いや、なに、実際は簡単な話じゃよ。そして――大事な、話じゃ」
マーロットがなにやらいつもと違う様子になったので、二人も真剣にマーロットの話に耳を
傾け始めた。
「うむ、話というのは勉強というものの……本質についてじゃ」
「ほんひつ?」
「本質、じゃ」
「ほんしつ」
「うむ、そうじゃ。」

マーロットは小さく、咳払いを一つした。
「二人は、勉強とは、なんだと思う?――ティム坊」
「えっ……そうだなあ……いろんなことをおぼえること、かなあ」
「うむ、それももちろんそうじゃ。まずは知識を増やさないことには話にならん。
しかし、勉強にはそれよりも大事なことがある――なんじゃ、ゆかりちゃん」
「ええっ……あの、そうですね……考えること、でしょうか」
マーロットは大きく頷き、嬉しそうに言った。
「うむ、そのとおりじゃ。ここは何故こうなるのか、これがこうなればどうなるのか、
本当にそれが真実なのか――考えることじゃ。勉強とは、知識を増やすのと、
考える力を身につけること、それが勉強の本質なのじゃ」

マーロットの言葉にも、二人はどこか釈然としない、分かったような分からないような
顔をしている。
「ふふ……それでよい。わからん時は、よく、考えることじゃ」
マーロットは目を細め、満足そうに微笑んだ。

192A SLITGHT DISPUTE IN MARKET ◆DMzTyHF5uc :2005/10/27(木) 23:38:19 ID:gqhPGW30

そんな話で、今日の授業は終了した。
「どうもありがとうございました、先生」
ゆかりはマーロットに帽子を渡した。玄関の外は夕焼けが街を赤く染め始めている。
「うむ、ありがとう……おお、今日は見事な夕焼けじゃのう。季節はすっかり秋、か」
「ええ、いつの間にか。朝晩は随分冷え込みますね……では、お気をつけて」
「うむ、また明日、の」
「ええ」

ユカリはゆっくりと扉を閉め、リビングに戻った。
「坊ちゃま……なんですかその格好は」
「……だって、つかれてんだもん」
ティムが椅子を二つ並べて、その上に両手をだらしなくのばして寝転がっていた。
「だからと言って、そんなところで寝るものではありませんよ」
「ああもう、うるさいなあ。ぼくはつかれてんの。もっときょういくにゆとりが
ほしいの!」
「また、どこかで聞きかじったようなことを……」

ゆかりはそう言うと、黙って2階へ上がり、スケッチブックをもって降りてきた。
「……ユカリ、なにするの?」
「あら、坊ちゃまはお疲れみたいですから、どうぞお気になさらないでください」
そう言って、机にスケッチブックを広げ、クレヨンを取り出した。
それを見てティムは、がばっと起き上がりゆかりに話しかけた。
「お絵描きするの?」
「んー……そうですけど、お疲れでしょう。どうぞお休みになっていてくださいな」
「……もう、つかれてないよ。だからクレヨンかして」
と言って右手を差し出すが、ゆかりは相手にせずに一人でなにやら描こうとしている。
「ええー、そうですか。疲れてるように見えますよー?」
「つかれてないよ、だから早く……ねえ、かしてよ」
「あらー、そんな、無理して私に付き合ってくださらなくてもよろしいんですよー」
ティムは右手を動かして催促したが、ゆかりはなかなかクレヨンを渡そうとしない。
「……ねえ、ぼくも描きたいの!だから、かして!」
ティムが我慢しきれないと言うように右手をばたつかせると、ゆかりは笑って
クレヨンを差し出した。
193A SLITGHT DISPUTE IN MARKET ◆DMzTyHF5uc :2005/10/27(木) 23:40:19 ID:gqhPGW30

ようやくクレヨンを受け取ったティムは、嬉々としてスケッチブックに絵を描き始めた。
ゆかりはその様子をにこにこと見ていた。
「……ねえ坊ちゃま、それは何を書いているんです?」
「ん、うんとねえ、ねこ!さいきん、よく見るんだ」
しかしスケッチブックに描かれたそれは、確かに足が四本と尻尾が一本あるというのはわかるが、
全体的には猫かイグアナか判断しかねる絵だった。
しょせん十歳児の画力である。

「……ねこ、ですか?それが?私はまたてっきりイグアナかなにかかと……」
ゆかりはどうも歯に絹を着せるということをよく知らないようだ。
ティムはあからさまにムッとして
「じゃあユカリ、描いてみなよ、猫」
ゆかりにスケッチブックを突き出した。
「ええ、いいですとも」
またゆかりも、自信満々にスケッチブックを受け取った。
しかししばらくして、ゆかりの口からとんでもない言葉が漏れた。

「……ええと、猫って、どんなのでしたっけ」
「おい」
思わずティムは立てていた肘を滑らした。あやうくあごを机にぶつけそうになる。
「いやあの、ぼんやりとは分かる気がしなくもないんですが……あの、ヒントを…」
「ヒ、ヒント?えー……ねこのヒントか……ううん、ユカリ、ヒントのあげようがないよ」
「そんなあ」
「そんなあ、じゃないよ。人の描いたねこをばかにしておいて、そりゃないんじゃない?」
「あ、でも待って下さい、なんだかだんだん思い出してきましたよ」
「そうかい?……ていうか、それくらいすぐに思い出してよ」
ティムは困ったように笑った。
194A SLITGHT DISPUTE IN MARKET ◆DMzTyHF5uc :2005/10/27(木) 23:41:45 ID:gqhPGW30

「よし、できました!」
その言葉にティムは首を伸ばし、スケッチブックを覗き込む。
「どれどれ……」
ティムはその絵を見て眉を寄せた。
確かに線もはっきりしていて思ったほど下手ではない。が、いくつか腑に落ちないところがある。

「ユカリ」
「はい?」
「何でこのねこ、右手を上げてるの?」
「……なんででしょうねえ」
「左手にもってるこの、きいろいのはなに?」
「ええとそれは……小判ですね。金貨です」
「なんでねこが金貨なんてもってるの?」
「……それは、その猫が招き猫だからですよ」
「……マネキネコってなに?」
「……さあ?」
「さあ?って。ユカリ、これ、日本の物のなにかなの?」
「……さあ?」
「さあ?って」
ゆかりは何かを思い出したらしいが、それがなんなのかは分からないらしい。

「ふう……きみって、つくづく、なんぎな頭してるね」
「私も、そう思います」
「あ、やっぱり?」
二人は目を見合わせて、笑い声を上げた。
夕日が差し込む室内に、幸せな音が満ちていた。
195A SLITGHT DISPUTE IN MARKET ◆DMzTyHF5uc :2005/10/27(木) 23:42:38 ID:gqhPGW30

「あ、そうだ!そろそろお買い物に行かなきゃいけないんでした!」
ゆかりが思い出したように立ち上がり、机に手をついた。
「……坊ちゃまも、行きます?」
椅子に座ってゆかりを見つめる小さな瞳の持ち主に、ゆかりは尋ねた。
「うん、いくいく!」
ティムは嬉しそうに椅子から飛び降り、ゆかりについて行った。
玄関の扉を開けると、真っ赤な海に飛び込んだように感じる夕焼けの綺麗な日だった。






                *続く*

196似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/10/27(木) 23:48:28 ID:gqhPGW30
というわけで、続きます。
タイトルのA SLIGHT DISPUTE IN MARKET (市場でのちょっとした騒動)で
韻を踏んだつもりで「これどう?」と詳しい友人に見せたところ、
「確かに日本語では、〜ト、になって韻を踏んでるっぽいけど英語で発音するとそうでもない」
と一蹴されました。いろいろと難しいものです。
197名無しさん@ピンキー:2005/10/28(金) 16:56:51 ID:UCyjYXzh
>タイトルのA SLIGHT DISPUTE IN MARKET (市場でのちょっとした騒動)で
>韻を踏んだつもりで「これどう?」と詳しい友人に見せたところ、
>「確かに日本語では、〜ト、になって韻を踏んでるっぽいけど英語で発音するとそうでもない」
>と一蹴されました。いろいろと難しいものです。
ええい、俺にも分かるように言え!
198名無しさん@ピンキー:2005/10/28(金) 18:00:30 ID:m29xS3oz
脚韻は最後の母音から考えんと。
末尾の子音だけ揃ってても駄目ってこっちゃね。

詩のような行概念の無い普通の文で作るなら、文要素で工夫しないと難しいかも。
あとは強勢(アクセント)がどうこうとかあったような・・・




あー、はい。殆ど知ったかです。

haste makes waste.
急がば回れ
199名無しさん@ピンキー:2005/10/28(金) 21:41:58 ID:T5bLe8J4
勉強になるスレだなあ
200名無しさん@ピンキー:2005/10/29(土) 00:44:24 ID:TGuKjOm4
>>196
読んでて何度も
「かーわいい〜…」
と呟いてました。
ただし、頭の中では
「萌え〜〜!!」
と絶叫してました。
流石に夜中に
「萌え〜〜!!萌え〜〜!!」
とか言ってたら家族にヘンな眼で見られそうなので…。

ところで似非紳士殿、いわゆる個人保管庫(個人サイト)などはお持ちでしょうか?
もしお持ちならば、メル欄ではなく本文にURLを載せて頂けないでしょうか。
当方携帯なので、メル欄が表示されないのです…orz
201名無しさん@ピンキー:2005/10/29(土) 14:06:03 ID:bslHG3R6
>>200
PCくらい買えよw
202名無しさん@ピンキー:2005/10/30(日) 17:20:07 ID:cqh9UU9h
>>200
ネットカフェ逝って調べてきなされ
203名無しさん@ピンキー:2005/11/01(火) 00:21:15 ID:vwjPNvsH
>>202
あーそうか、その手があった。
ネカフェの存在すっかり忘れてた。
すっかりご無沙汰だな。
204似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/11/03(木) 02:10:33 ID:jMzb0Xky
続きです。
205似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/11/03(木) 02:11:30 ID:jMzb0Xky


ロンドン最大の青果市場であるコベント・ガーデンには、小さな屋台の八百屋や果物屋が
所狭しと通りの両端を埋め尽くしていた。
いつも賑やかなこの市場だが、特に夕暮れのこの時間は、今が正に食べどきの――腐りかけて
いるとも言える――野菜を早く売り切ってしまいたい八百屋たちの怒声に似たような
値引きのアナウンスが飛び交って、喧騒に輪をかけている。
その言葉を待ってましたとばかりに買い物客はどっとその店に押し寄せ先を争い手を伸ばす。
手ばかりが多くてどれが誰の手か見分けがつかない。
生活力のにじみ出ている多数の手の中にまぎれて一本、明らかに小さな手が混ざっていた。
「っ……くっ……も、もう少し……」
手は見えない品物を触感でまさぐり、その中の一つを力いっぱい握り締め、思い切り引き抜いた。
目の前を塞ぐ買い物客の壁の間からすり抜けて出てきたのは、まるまるとしたカブであった。
ティムは引き抜いたかぶらを目の高さに上げまじまじと眺めた。
「なんだ……なにかと思ったらただのカブかぁ……」
少しがっかりしたような表情を見せるティムとは対照的に、ゆかりは目を輝かせた。
「おじさん!本当にこれ一個1ペニーでいいの!?」
売っているのが何かは分からなかったが、とりあえず安そうだったので一緒にきている
ティムに手を突っ込ませていたのだった。
「おう!男に二言はねえ!!ただしそいつは今日中にくわねえと味が落ちるから、
 気をつけてくれよぅ!」
ゆかりは大きくうなずいて、財布から1ペニー銅貨を取り出した。
「おじさん、ありがとう!」
「あいよー、またよろしくな!」
206似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/11/03(木) 02:12:03 ID:jMzb0Xky

ゆかりはすっかり笑顔になって、ティムから受け取ったかぶらを買い物かごに入れる。
ティムはいまいち嬉しくもなさそうである。下唇を突き出して黙っている。
「どうしたんです、坊ちゃま?」
「……かぶ……あんまり好きじゃないし……」
「あら、そうでしたっけ?」
「うん……」
自分があれだけ一生懸命頑張って手に入れたものがあまり好きでないカブだったとは。
ティムは少し落胆した。
「だってカブってさあ、なんかスジがあったりして食べにくいくせに味うすいしさぁ……」

口から出る言葉はどんどん小さくなる。
「あ、でも!」
ティムは思い出したように手を叩いた。
「ポトフに入ってるのは好き!しっかりスープをすいこんでるやつ!あれなら、
 スジもやわらかくなってるし、かめばかむほどじゅわっとスープがしみだして……ああ」
ティムは味を思い出して、恍惚とした表情を浮かべている。
たしかに、ポトフのスープをよく吸い込んだかぶらは極上の味だ。ティムが唇の端から
よだれを垂らすのもうなずける。

その様子を見ていたゆかりは、ティムがあまりにもおいしそうに言うので、
自分もポトフが食べたくなってしまった。
「そうですね……たしかベーコンとジャガイモはまだありましたし……
 うん、今日はポトフにしましょうか!」
「やったあ!」
ティムは目と口を大きく開いて喜んだ。
ゆかりもにっこりと微笑んで、足りない材料を買わないと、と言った。

207似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/11/03(木) 02:13:11 ID:jMzb0Xky

「……ゆかり、あとなにをかうの?」
「そうですね……たまねぎとキャベツも買いましたし……あとは、ニンジンですね」
「え」
ティムは口を半開きにしてそのまま固まってしまった。
「……坊ちゃま、ニンジン嫌いですもんね」
「まあ、ね……」

ティムは視線をそらし、どこを見ればいいのか困った様子できょろきょろと動かして
結局、視線は宙に浮かべたままにした。
「できることなら……いれてほしくないんだけど……な」
「だめですよそんなの!やっぱりポトフには人参がなくちゃ。それに、人参の
 赤色があるとないとじゃ見た目の華やかさが大違いなんですから」
「べつにいいよ、はなやかさなんて。赤がほしけりゃ赤チンでも入れときゃいいじゃん」
「なかなか無茶言いますね坊ちゃま」
「見た目なんてわるくてもあじはかわんないよ!」
「変わりますよお!赤色があるとおいしそうに見えるんですから!見た目のためだけにでも
人参は入れる必要があるんです」
じゃあみるだけでたべなくてもいいよね、と思ったが口には出さなかった。
きっと否定されるだろう言い訳は夕飯の時にとっておくことにしたのだ。

ゆかりは屋台に雑然と並べられたひげの長い人参に次々と手を伸ばし、じろじろ睨んで
ひとつひとつ品定めをしている。こういった場所で野菜を買うには注意が必要で、
傷やいたみがあるものは除外するし、形や色、それに手触りがいいものは味だっていいのだ。
ティムはじっくりと品定めをしているゆかりのうしろでかばんを持ち、何を見るとなく
ぼーっと人の流れを見ていた。
すると、人ごみを掻き分けるように勢いよく走る男が目に入った。
真っ赤な帽子が騒々しくほこりっぽい市場ではかなり目立つ。
なんだこんなところでそんなに走るなんて、そう思って無意識にその男に集中していたところに
女の叫び声が耳に入ってきた。一度目はよく聞こえなかったが、二度目ではっきりと聞き取れた。
その声の意味するところはティムの頭を一度に覚醒させた。
「どぉ、どろぼおー!!」
泥棒である。引ったくりである。事件である。

208似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/11/03(木) 02:17:13 ID:jMzb0Xky

目の前を走っていった男、あれがその泥棒に違いない。
そう確信したティムは、ばっと振り向いてゆかりに声をかける。
「ユカリ!」

ユカリにも叫び声は届いていたらしくティムの目だけを見るとうなずいて、
はじけたように走り出した。
「わっ……ユカリ、あの赤いぼうしの男……だよ!!」
ティムもあわてて追いかけるが、なにしろゆかりは人と人との間を実に巧みにすり抜けていく。

風にスカートの裾をひらひらとはためかせながら走るゆかりはまるで岩と岩との間を
泳ぐ魚のように素早く、うまく人ごみを抜けられないティムは引き離されてしまった。
犯人は赤い帽子の男だ、それだけ伝えるとティムはゆかりに任せて、追うのを諦めた。

赤い帽子の男――その特徴を持つ男をゆかりは必死で探した。少し離れて俯瞰してみれば
すぐに発見できるのかもしれないが、しかしこの国の人間は男も女もみな背が高く体格がいい。
背の低いゆかりが人ごみの中に入ると、他人の頭など全くと言っていいほど見えなくなってしまう。
それでもどうにか人をすり抜けながら、男のいった方角を目掛けて走る。

「見つけた!」
市場の中心から少し離れ、人垣が若干少なくなって来たあたりで、ゆかりは目立つ赤色の
帽子をかぶった男の後頭部を発見することが出来た。
足に力を込め、追うスピードを上げる。
徐々に赤い帽子が近付いてくる。
すると、赤い帽子が急に人の影にひっこんだ。

しめた、さては焦って転んだんだな――!!
209似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/11/03(木) 02:18:02 ID:jMzb0Xky

ゆかりはそう思い、一気に赤い帽子が転んだと思しきあたりに駆け込む。
ゆかりはあたりの人に目を巡らせ、このあたりで転んでしまったはずの赤い帽子の男を捜すが、
だがそこには赤い帽子の男も、転んだような様子の男もおらず、ただ人が多く歩いているだけだった。
「そんな、なんで――!?」
ゆかりが目を見開きもう一度あたりを見回そうとしたとき、人の中から声が上がった。

「――赤い帽子の男なら、あっち、向こうの方にいるぜ!」
そういって指し示した方向に目をやると、確かに赤い帽子をかぶった男が全力で
走って逃げているところだった。

「うそ!あんな、遠くに……!だれか、その男を――!」
ゆかりは声の限り叫んだが、声は人のざわめきにかき消され男はさっと路地へ入り、もう
見えなくなってしまった。
一度は追い詰めたかと思ったが、完全に逃げられてしまった。
「……ああ……」
ゆかりはがっくりと肩を落とし、とぼとぼと来た道を戻った。
210似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/11/03(木) 02:18:46 ID:jMzb0Xky


「ユカリ!……そのようすじゃ、逃げられたみたいだね」
ティムは肩を落とししょぼくれた様子のゆかりを見て、慰めるように声をかけた。
「ええ……申し訳ございません。なんだか、やけに足の速い男で……」

「そうか、そりゃしかたないよ……で、ちょっとてつだってくれる?おばあちゃんを
 家まで送りたいんだ」
「え、どなたをですか?」
「つきとばされたの、先生んちのおばあちゃんだったんだ」
「ええ!?」
ゆかりは声を上げて驚いた。今の引ったくりの被害者が知り合いであったことと、
その知り合いが突き飛ばされて怪我をしたらしいということにである。
「うん、本人は大したことない、っていってるけど……おしりを強くうったみたいで
 いえまで歩けそうにないんだ」
「本当ですか!……わかりました、お安い御用です」

「そうですか、助かりますわ……ええと、ユカリちゃん」
隣に座っていた優しい雰囲気の老婆が、ゆかりを見上げて声をかけた。
顔には深いしわが刻み込まれているが、そのしわのどれからも嫌な感じはせず、むしろ
幸せそうに見えるのは、そのしわが永年顔をしかめてきてできたようなしわでなく、
長い人生の間、笑みを浮かべ続けてきたことによって出来ているしわだと一目で分かるせいであった。

「……ええと……いつかお会いしたいましたっけ……?」
ゆかりは名前で呼ばれたことに少し驚いて老婆に聞き返す。
老婆の代わりにティムが口を開いて
「ごめんなさいおばあちゃん、うちのメイドはちょっとあほなの」
と老婆に謝った。

「坊ちゃま!!あ、阿呆とはなんですか、阿呆とは!そりゃあ確かに、他人よりも
ちょーっとだけ記憶力が悪いことは認めますが……今のはいくらなんでも、
ひどすぎじゃあないですか!?」

思いもかけないひどい言い草にゆかりが反論する様子に、老婆はくすくすと笑うと
「そうよティムちゃん、人の名前を忘れることなんて、誰にだってよくあることよ。
 ユカリちゃんに謝りなさいな」
諭すようにティムに言った。
211似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/11/03(木) 02:19:42 ID:jMzb0Xky

優しく微笑まれてそう言われたティムはユカリの方に向き直り、
「……ユカリ、ごめんね」
素直に謝った。

「いえ、いいんですよ、分かってくだされば」
その素直な様子に、ゆかりも微笑んで返した。

「ほら、ユカリちゃん、いつだかうちの主人が教科書を忘れちゃった時に……」
老婆はゆかりに思い出させようと、初めて会ったときの話を始めた。
「ユカリ、ほら、そのときに会ったじゃない」
ティムもその時の話を始めるが、ゆかりはさっぱり思い出せそうにない。

「ううん……思い出してくれないかしら?」
「……やっぱりあほだねきみ」
「う」
詳しい説明を聞いても思い出せないゆかりは、ティムの再びの罵りに短い呻きをあげる
ことしかできなかった。

「ほんとにユカリは……ほら、アルマおばあちゃんだよ!マーロット先生の奥さんの
……ほら、昔シスターをやってたとか、話ししてたじゃん」
それを聞いてようやく思い出したようで
「ああ、元シスターの、アーマさん!」
思い出せた喜びに手を叩くが、いまいちゆかりは人の名前の発音が苦手で、アルマ、と
はっきり言えないのだった。
「アルマだよ、アーマじゃなくて。ア、ル、マ」
「……アーマ…アルゥ…アルゥマ……さん」
ゆかりはティムが言ったそのままで発音しているつもりなのだが、いまいち上手に
言うことができない。

「ふふ……いいですよ、どちらでも、呼びやすいほうでどうぞ」
アルマは目じりを細め、その様子を楽しんでいた。
「それで、悪いんだけど……家までおんぶしていってもらえるかしら?
いえ、大丈夫なんだけどちょっと、おしりが痛くて……」
「ええ、もちろん」
「助かるわ。ありがとう」

ゆかりはアルマを軽々と背負って持ち上げた。
「ユカリ、そのまま投げちゃダメだよ」
「えっ、なにそれティムちゃんどういうこと」
「坊ちゃま!……大丈夫です、そんなこと致しませんから……」
ゆかりは後に背負っているアルマに振りむいて
「ところで、ひょっとして何か、あの男に盗まれたんですか?」
「ええ……でも大丈夫よ、大したものじゃないし…あの人もきっと何か事情があって
 あのようなことをしているのでしょう。彼の者に、神の加護がありますように……」

そいういうとアルマは、ゆかりの首にまわしていた両手を解き、背中の上で
十字を切り祈った。
212似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/11/03(木) 02:20:17 ID:jMzb0Xky

自分から物を盗み怪我をさせた相手の身までを案じ、祈るその精神にゆかりとティムは
少なからず驚いた。
「……おばあちゃん、大した物じゃないっていっても、いったい何をぬすまれたのさ」
ティムが見上げて聞きなおす。アルマは少しうつむくとぽつりと答えた。
「うん……ブローチ、なんだけどね」
「ええ!?」
ティムは驚いた声を上げる。
「それってあの、若いころに先生からもらったって言って、いつもたいせつにしてたやつ!?」
アルマは少しだけあごを下げてうなずいた。

「……たいした物じゃなくないじゃん!おばあちゃんのたいせつな物じゃない!!」
「いいの、いいのよ。きっとあの人に必要だったのでしょう。だから神様が
 こうして彼に渡したのよ。きっと」
「そんな、けがさせるくらいなら神様はもっとじょうずにわたすよ!もう、おばあちゃんは
 いくら元シスターだからって、あんなやつにまでなさけをかけること……」
「主の愛はどのような人にも等しく与えられるわ。これでよかったのよ、きっと」

あくまでも自分に怪我をさせた相手を憎もうとすらしないアルマの言葉を、ゆかりはただ
黙って聞いて歩いていた。


               *続く*

213似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/11/03(木) 02:24:11 ID:jMzb0Xky
というわけで、続きます。

>>200
HPは持ってません。今のところ必要もないので……。

214名無しさん@ピンキー:2005/11/03(木) 13:23:10 ID:7rGX5Ltn
ゆかりゆかりゆかりゆかりFuFu!

オリコン10位だお
215200:2005/11/03(木) 22:30:03 ID:VJP8b0NJ
そうですか……。
しかし、毎度ながら乙です。ゆかりちゃんホントかーえーなー。
つかアルマさん優しい。流石は元シスター。どっかの特務機関のシスターだったら居合い斬りで仕留めそうだけども。
216名無しさん@ピンキー:2005/11/14(月) 19:41:20 ID:4mD0NJxW
保守age
217名無しさん@ピンキー:2005/11/23(水) 02:45:17 ID:AdAEDOqJ
保守age
218似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/11/24(木) 01:42:47 ID:nzeSLmuV
遅くなってしまいましたが、>>212からの続きです。
219似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/11/24(木) 01:45:03 ID:nzeSLmuV

アルマを背負って歩くゆかり達がマーロットの家に着いたのは、街を赤く照らしていた
太陽もほとんど隠れ、あたりが薄暗くなった頃だった。
思いがけない客にマーロットは驚いた顔を見せ、アルマが怪我をして歩けないから
背負ってきたのだという事情を聞くと、いつもは厚い眉に隠れて見えない目を大いに
見開いて更に驚きを示した。
アルマはここで降ろしてくれていいと言ったが、ゆかりは寝室まで運びアルマを
質素なベッドの上に寝かせた。

「ああ……ユカリちゃん、ありがとう、ね」
ベッドに寝かされたアルマは、息を吐き出すと何よりまず先にゆかりに礼を言った。
「いえ、お礼なんて。それより腰は大丈夫ですか?ひどく痛みませんか?」
「ええ、すこししりもちをついただけだもの……。大丈夫よ」
「そうですか……」
少ししりもちをついただけだとアルマは言ったが、そんなことはあるまい。
少なくとも立って歩けない程度の痛みがあるからここまで背負われてきたのだ。

「おう……二人とも、悪かったの……どうじゃアルマ、痛むか」
マーロットがポットとカップを持って寝室へ入ってきた。
「あらおじいさん、ええ、大丈夫よ。大したことは、ないもの」
「そうか……大したことはない、か」
マーロットはポットとカップをベッドの横のサイドテーブルに置くと、ベッドの際に腰かけてため息を吐いた。
短く吐かれたため息で口ひげが少し揺れる。
「お前はきまって、ほんとうは大変な時にそう言うんじゃ。」
マーロットはそう言って目を伏せた。あら、そんなことないわよとアルマは言ったが、
「ふん……何年お前とつきあっとると思っとるんじゃ、それくらいわかるわい」
とマーロットが言い返すと、アルマは黙って微笑むだけだった。

220似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/11/24(木) 01:46:26 ID:nzeSLmuV
「ほれ、二人とも、飲むか。外はもう寒かったろう」
そう言うとマーロットはサイドテーブルのカップをティムとゆかりに手渡した。
「あ、すいません。言ってくだされば私が……」
「なに、今日はユカリちゃんたちが客じゃ。これくらいのお礼はさせい」
「そうですか、では、遠慮なくいただきますね」
先生が紅茶を淹れるなんて珍しい、というか淹れられたんだな。と、普段マーロットに
紅茶を淹れているゆかりは意外に思った。
だが熱い茶を好みにしているマーロットが淹れたにしてはカップもやけに冷たいような、
だとか、ゆかりがいろいろと不審に思っていると

「へえ、先生、自分でもお茶淹れられたんだ?」
ティムも同様に思っていたらしく、そのことについてマーロットに尋ねつつカップに口をつけた。
「うむ?いやそれはお茶じゃあ――」
「んにぃ……にぃっがぁー!!」
マーロットの言葉の途中でティムが叫んだ。
舌を突き出して必死に口の中のものを出そうとしている。

「坊ちゃま!?」
いったい何事かとゆかりも自分のカップに口をつける。
「にがっ……先生、これ……」
眉毛をハの字にしてゆかりがマーロットの方を見るのと、アルマの怒鳴り声が響くのとは
ほとんど同時だった。
「あなた!!」

アルマはかたわらにあるポットを両手でつかむと、鼻をひくひくと、匂いを嗅いだ。
「……やっぱり、ビールじゃないの!!子供になんてものを飲ますのよ馬鹿!」
「だってわし、紅茶なんて淹れられんし……」
「だからってビールなんて出さないでちょうだい!二人ともまだ未成年でしょ!!」
「だって、わしが子供の頃には未成年がビールを飲んじゃいかんなんて法律は……」
「何年前の話をしてるの!」
「う……」
半世紀とちょっとだけ前じゃよ、と言う言葉は口元で留めた。
実際はマーロットの子供の頃は半世紀どころか70年ほど前にさかのぼるのだが。
221似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/11/24(木) 01:47:12 ID:nzeSLmuV

しずかな部屋にいきなり響いたアルマの怒声と、いつも家でみせる教育者然とした態度とは
かけ離れた様子のマーロットに、ティムとゆかりは目を丸くした。
二人とも頭からつま先までぴんと伸ばした同じ姿勢で固まっている。
「……あらやだ、ごめんなさいね、二人とも。おじいさんはほんとにもう……、
 あたしがいないと、なんにもできなくて」
アルマはそう言って謝った。
マーロットは威厳なくうなだれている。
二人は初めて見るマーロットの情けない姿に、すごく愉快なものを感じた。
「いえ、とんでもない。誰にでも得手不得手はありますから……ね、先生?」
「そうだよおばあちゃん、おばあちゃんがあやまることなんて何も……ねぇ、先生?」
二人とも意味ありげな笑みを浮かべながらマーロットを見つめた。
目は口ほどにものを言うというが、二人の表情は言外の言葉を実に雄弁に語っていた。
その二人の表情に、マーロットは顔をしかめて唸るだけだった。

222似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/11/24(木) 01:47:48 ID:nzeSLmuV

「ユカリちゃん」
ゆかりが新しく茶を淹れ、それも飲み終わり後片付けをしようと台所に立つと
マーロットが声をかけてきた。
「悪いが、今日はうちで夕飯を作っていってくれんかのう?わし一人ならパブでも
どこでも行くんじゃが、ほれ、ばあさんはああじゃし……、それにもう、すっかり暗いしのう。
しかしまったく……ロンドンも物騒になったもんじゃわい」
「ええ……あと少しで、犯人を捕まえられたんですが……すいません」
「だれもそんなこと責めとりゃせんよ、なに、ヤードの連中だって無能ではなかろう」
「……だと、いいんですが」
「なんじゃ、警察を信用しとらんのか」
「いえ……そういうわけではないんですが」
とは言うが、やはり警察には捕まえられないような気がした。
何しろあの素早さはそうあるものではなかった。

「……ふむ、まあええわい。それで、どうじゃ、飯を作っていってはくれんかな?」
「ええ、それはもちろん」
「そうか、助かるよ。ジョンには後でわしからも説明しよう」

223似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/11/24(木) 01:48:33 ID:nzeSLmuV

二時間ほど前に自分で選んだ人参を見つめながら、なんだか珍しいことになっちゃったなあ、
とゆかりは心の中で呟いた。
「ええと……包丁は……」
慣れない台所は使いづらい。
ゆかりが包丁を探してあちこちを探していると、アルマが杖をついて現われた。
「包丁なら、流しの横にあるわよ」
「奥様!」
大丈夫なんですか、そう聞きたいのを表情で察したアルマが、聞かれる前に答えてしまう。
「大丈夫よ。ほら、杖だってついてるし……おじいさんの、なんだけどね」
そういって右手の杖を見せ、ふふ、と小さく笑った。

「手伝ってはあげられないけど、ベッドで寝ているだけなのもなんだか落ち着かなくてね……
お邪魔かしら?」
「そんな、邪魔だなんて!」
「そう?……それで、なにを作ってくれるのかしら」
「ええ、まあ、予定通り、ポトフでいこうかな、と……そうだ!奥様、よかったらポトフの作り方教えてくれませんか?私、まだお料理があんまり上手じゃなくって。
いま、覚えてるところなんです」
「あら、そうなの。ええ、私のやり方でよければ、いくらでも」
「本当ですか!……嬉しいです」
ゆかりは本当に嬉しそうに笑った。
天真爛漫なその笑顔に、アルマはなんとも言われない気持ちのいい感情を覚えた。
本当に素直に感情を出して表情を変えるゆかりを、好ましく思う。

224似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/11/24(木) 01:49:37 ID:nzeSLmuV

しばらくして、
「ユカリー…、まだぁー?」
「アルマー…、まだかのう?」
 料理ができるのを待ちかねたティムとマーロットが台所をのぞきに来た。
 台所の扉から首だけ出してこちらをのぞいている。
「はいはい、今できますよ。座って待っててください」
「……なんですかおじいさんまで!もう少しくらいまってなさい!」
アルマが怒ったので、二人は急いで戻っていった。

「恥ずかしいわ……ほんとにもう」
アルマがゆかりに言った。
こんろの上の鍋からは、野菜や肉やスパイスの混ざったいい香りが白い湯気と一緒に
もわもわと立ち昇っている。
「いえ、仲がよろしくて、羨ましいです」
「ふふ……あの人も私も、出会ってからもう随分経つっていうのにあの人のああいうところは
ちっとも変わらなくて……。困っちゃうわ」
しかしそう言ったアルマの表情はちっとも困ったようではなくて、優しい微笑がうかんでいた。

ゆかりはアルマのそんな様子をじっとを見ていると、アルマもそれに気付いたらしく、
顔を赤くして
「さあ、もうできたわ、早く持って行きましょう」
といってゆかりを急かした。
225似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/11/24(木) 01:50:35 ID:nzeSLmuV

居間には天井からつるされたランプに火が灯されて、暖かい橙色に部屋を照らしていた。
ティムとマーロットはきちんとテーブルについて待っている。
「はいはい、おまちどうさまでしたー」
ゆかりがテーブルの真ん中に鍋をどんと置いた。
「アルマさん風ポトフですよ。……うまくできたかは、わかりませんが」
ゆかりが自信なさげに言葉を付け足すと、アルマがうしろから声をかけた。
「あら、ユカリちゃん、包丁の使い方もじょうずでしたよ」
「へへ……そうですか?」
この人に褒められるとなぜか、すごく嬉しい。
飾り気のない褒め言葉にゆかりは照れてぽりぽりと後頭部を掻いた。

大きく口を開けた鍋からは白い湯気と最高の香りがどんどん湧き上がってきていた。
その香りに食欲を大いに刺激されながらも
「いがいと、ごうかいだねえ……おばあちゃん風ポトフ……」
目の前に置かれた鍋を見てティムが呟いた。
どうやら食べたい者はここから好きなだけとるというシステムらしい。
「そうかしら?……ティムちゃん、いっぱい食べてね」
「うん、食べるよ」
「ユカリちゃんも、エプロン外しなさいな」
「ええ、ありがとうござます」
ゆかりがエプロンとヘアキャップを外し、ティムの隣に座るとアルマが厳かに祈りを始めた。

「……天にまします我らが神よ……本日も糧を与えたもうたことに感謝します……」
マーロットも口をそろえて呟いている。
いきなりであせったのはティムとユカリである。
普段はこんな長ったらしいお祈りなどはしないのだ。
食べる前には「いただきます」食べ終わったら「ごちそうさま」
実にシンプルな感謝の言葉だけである。
226似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/11/24(木) 01:51:19 ID:nzeSLmuV

ゆかりは小声でティムに耳打ちした。
「ぼ、坊ちゃま、お祈りですよ!」
「う、うん……そうだね」
「……お祈りの正しい文句、わかります?」
「……パパも、知らないんじゃないかな?」
二人は目を合わせると苦笑いだけで意思を疎通した。
アルマがちらりとこちらを見たので、慌てて手を組みアルマに続く。
正しい文句は分からないがとにかくそれらしいことをアルマの真似してごにょごにょ言った。
「――……アーメン」
三分ほどかかったお祈りの最後だけはティムとユカリもきれいに唱和した。

「ふう……いっただっきまーす!」
と言ってナイフとフォークを持つと、ティムはあっという間に一皿目を平らげた。
「坊ちゃま、早いですね」
「おなか、へってたんだもん」
「おかわり、取りましょうか?」
「うん、おねがい」
ゆかりに皿を手渡し、その間にもパンをちぎって口に放り込む。
小さな口にどんどんパンが吸い込まれていく。
よほど腹が減っていたのだろう。
「ハイ坊ちゃま、どうぞ」
「ありが、と……う……」
おかわりをよそった皿を受け取ろうとゆかりへ伸ばした手は、勢いを失って止まった。
皿には、いろどりきれいに人参が顔を見せていたのだ。
「……どうぞ」
「たべるよ……食べますよぉ…だ」
諦めたようにティムは皿をうけとり覚悟を決めると、鼻をつまんでおそるおそる人参を飲み込む。
ゆかりはその様子見て満足そうに微笑んだ。
227似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/11/24(木) 01:51:57 ID:nzeSLmuV

どうやら味も好評のようでほっとした。
じっさいに自分で食べてみるとやはりおいしい。
上々の出来に、スプーンを口に入れたままのゆかりの口から自然と満足げな笑いが漏れる。
「むふ、むっふふ、むふふふ……」
「ユカリ、なにそのわらいかた」
「…………ごめんなさい」
さすがに自分でもすこし気持ち悪いと思った。

228似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/11/24(木) 01:52:27 ID:nzeSLmuV

「ああそうだ。今日は庭の花にまだお水をやっていなかったわ」
アルマが思い出したように言った。
「おいおい、そうはゆうても今日はもう暗いし、お前はそんなじゃから、無理じゃろう。
 明日わしがちゃんと二日分やっとくよ」
「ううん……今日やらなかったら明日に二日分やればいいとか、そういうものじゃないのよ。
 それにおじいさん、水をやりすぎてすぐ腐らせちゃうじゃない」
「う……古い話をよう覚えとるわい。なに、失敗を経験したわしはあの頃のわしとは違うのじゃ」
「そうかしら……不安だけど、おじいさんにやってもらうしかないものねえ……。
 こんなじゃ、きっと水も運べないだろうし……」
「そうじゃ、大体アルマは少し働きすぎなんじゃ、他みたいにうちもメイドを雇えばよかろう。
 それくらいの貯金はちゃんとあるんじゃぞ。どうじゃ、この際、いい機会と思って。
 それに、ユカリちゃんみたいなメイドならお前も気に入るじゃろ」
「……メイドが嫌いなわけじゃないの。でもね、やっぱり自分でできることは自分でやった方が、
 気持ちいいじゃない?私だって、まだまだ元気なのよ」
「でもいまは怪我しとるじゃろうが……」
きっと二人はいままでに何度か同じ問答を繰り返しているのだろう、マーロットは
何度も聞いた同じ答えに諦め顔でそうつぶやくだけだった。

元はシスターだったアルマだ、自分である程度のことはできるし、自分ができるうちは
他人に頼る気もしないのだろう。
世間の風潮に流されない、教義を自分の中に消化して信念としている、立派な人物であった。
229似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/11/24(木) 01:53:08 ID:nzeSLmuV

「ねえ、ふたりも、自分でできることは自分でやったほうがきもちいいわよねえ?」
アルマはティムとゆかりに話を振った。
「え、ええまあ……」
「うん……まあ、そうだよ、ね……」
ティムとゆかりはそれぞれ自分の生活を振り返った。

……そういえば今日も坊ちゃまに起こされたんだった、あ、あとあのお洋服の直しも
面倒くさいからベルさんにやってもらって……
……ああ、今日もけっきょくまたちゃんとよしゅうしないでごまかしちゃったっけ。
そうだ、もうやってあるって言ったあのしゅくだいもホントはまだやってないし……

「や、やっぱりアルマさんのゆうとおりですよねえ、坊ちゃま?」
「ホントそうだよね、ね、ねえ、ユカリ?」
「ですよねー……あ、あははは」
「だよ、ねー……え、えへへへ」
二人は顔を見合わせずに笑った。
笑い声はどことなく乾いていた。

230似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/11/24(木) 01:54:18 ID:nzeSLmuV

「ア、アルマさんは昔、シスターさんだったんですよね?」
なんだか話題を変えたくなったので、ゆかりはとにかくアルマに話しかけた。
「ええ、そうよ」
「シスターさんって、結婚しても、いいんですか?」
と聞くと、横からマーロットが口をはさんできた。

「わしが無茶を言った!」
マーロットはなぜか自信満々に胸を張っている。
「ほんとうはずっと教会でお仕えするつもりだったのだけど……」
「先生がむちゃを言ったんだね?」
「うむ、ティム坊、その通りじゃ!」
ティムは皮肉のつもりでそういったのだが、やはりマーロットはなぜか胸を張った。
きっとよほどの無茶をしたのだろう。

「ふふ……あまりにも、熱心に誘ってくるものだから……情にほだされた、っていうのかしら。
 すごく純粋な人で、わたしの、あとの人生は、神様じゃなくて、この人と暮らすのも
 いいかもしれないって思って、ね。私は神様より、人の持つ神性に惹かれちゃったの。
 人の中にも神様はいるってことに、気付かせてくれた、すごく純粋な人にね」
 アルマは少し気恥ずかしそうに、昔のことを思い出しながらぽつりぽつりと口に出した。

「そうなんですか……」
ゆかりの感心したようなくちぶりにアルマはハッとして、
「あらやだ、何を言っているのかしら、私ったら!もう随分昔の話よ、忘れて頂戴!!」
アルマはランプの暗い明かりでも分かるほど顔を真っ赤にして両手をぱたぱたと振った。

「ふふふ……奥様ったら、可愛い」
「やだ!ユカリちゃんってば何を言うの!!」
アルマは、からかわないでよ、という風にユカリの肩を叩くまねをした。
見ると、マーロットもしわまみれの顔を赤くしている。
231似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/11/24(木) 01:55:28 ID:nzeSLmuV

「そ、そうじゃ、おまえ、あの時あげたダイヤのブローチはまだ持っとるのか?」
マーロットはごほんと咳払いをしてからアルマに話しかけた。
聞かれたアルマは口ごもって答えようとしない。

「なんじゃ、あれじゃよ、結婚する時、記念にあげた……」
「おばあちゃん、ひょっとしてあのぬすまれたブローチ!?」
ティムが驚きの声を上げた。若い頃にもらった、とは聞いていたがそんなに大事なもの
だということまでは知らなかったのだ。
ティムの叫びにアルマは困った顔をした。
「なに!あれを盗まれたのか!!」
アルマはマーロットに何を盗まれたかとはまだ伝えていなかったのである。
「なんじゃあ……くだらん賊ふぜいめがッ……!!」
初めて聞く事実にマーロットは驚き、あらためて怒りをあらわにした。

「やめて」
アルマははっきりと短く言い切った。
一度息を吸いなおして、言葉を続ける。
「大丈夫よ。確かに品物は失われてしまったかもしれないけど、思い出も、
 あのときの幸せな気持ちも、なにも失われていないわ。それに、きっとあの人にも
 何か事情があるのよ……。だって考えてもみて、あんなに安くておいしい食べ物が
 いっぱいある市場で、盗みを働かないとそれすら買えずに眺めてるだけなのよ。
 いったい、どれほど辛いことでしょう。ね、私たちはこうしてご飯が食べられて
 幸せじゃない。せめてもあのブローチが彼の救いになれば幸いよ。
 彼が救われますように、祈りましょう?」
232似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/11/24(木) 01:55:55 ID:nzeSLmuV
そう言ってアルマは本当に祈り始めた。
そんなアルマの様子にマーロットは半分呆れたような表情で
「……ばあさんは人が良すぎるわい……」
と呟いた。
あのブローチは、二人の思い出の品なのだ。そう簡単には諦めきれない。
それに、怪我をしているのは自分じゃないか、なぜそうも盗人の立場になれるのか、
アルマ以外の三人には理解ができなかった。
しかしそれでも、無心に祈りを捧げるアルマの姿には少なからず人の心を打つものがあった。
三人はアルマの祈りが終わるまで、黙って彼女を見ていた。
233似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/11/24(木) 01:56:41 ID:nzeSLmuV

「今日はありがとうね、二人とも」
玄関の扉を開ければ、外はもうすっかり暗く、ぽつぽつと星がでている。
「ああ、いいですよ見送りなんて、外は寒いですから早く中に入ってください」
「そうだよおばあちゃん、これでかぜでもひいちゃったら、さらに大変だよ」
「そうじゃそうじゃ、二人の言う通りじゃ。はよう中に入ってやすんどれい」
ゆかりとティムとマーロットは立て続けに言った。
アルマは少し不満そうな顔をして、それでもしっかり三人を見送って家の中に入っていった。

「先生もべつによかったのに。こなくても」
「なに、こんな遅くに子供だけでは帰らせられんよ」
マーロットは季節の移り変わりの速さに少し驚いた。
本当にいつの間にか寒くなったものだ、喋ると息が白くなって出ていく。
ティムはそれを楽しむように何度かため息を吐く。
「大丈夫だよ、ユカリがいるし。それに、先生が来たら来たでさ、 
帰りはよぼよぼのろうじん一人になっちゃうじゃん」
「ほほ、そうじゃな、ユカリちゃんがおれば……誰がぁヨボヨボじゃ!」
「きづくのがおそいよ……」
マーロットがすかさずティムの頭を小突くと、「いたいなあ」といって小さな両手を
ポケットから出して頭をさすった。
234似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/11/24(木) 01:58:15 ID:nzeSLmuV

ジョンの家がある通りまでつくと、マーロットは早々に帰っていった。
家でお茶でも、とゆかりは言ったのだが、「ばあさんが心配じゃから」と言って帰ってしまった。
良い夫婦だ、素直にそう思った。

その良い夫婦の奥さんが怪我をさせられた、あんな良い人が傷つけられたのだ。
アルマがいい人であるのは初対面のゆかりも、一日だけで十分にわかっていた。
青く冷たい空気の中を、二人は黙って石畳を蹴り進んだ。

「ユカリ」
少し進んだところで、ティムは耐え切れないと言った様子で歩を止め、呟いた。
「なんですか、坊ちゃま」
「……はんにんを、ゆるせるかい?」

ティムはまっすぐにゆかりを見上げて聞いた。
強い意志を持った目だ。
「当然――許せません」
ゆかりは何か足元から熱気が立ち上るのを感じていた。
しかしそれは錯覚であり、熱気の正体は自らの純然たる怒りであった。
ゆかりはティムの青い瞳に、怒りの炎が燦然と燃えているのを見た。
ティムはユカリの瞳にまた同じものを感じ取っていた。
二人は言葉を交わさずに、互いの瞳を見つめながら頷いた。


晩秋のロンドンの夜はもう十分に寒かったが、二人は全くそれを感じなかった。
明日から盗人狩りだ――。
二人の決意は固く一致していた。






235似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/11/24(木) 02:01:53 ID:nzeSLmuV
というわけでまだ続くんです…。
秋の話のつもりで書いてたのに、気付けばあと一週間で12月ですね…。
11月中にはどうにか決着させたいところですが。
236名無しさん@ピンキー:2005/11/24(木) 05:55:18 ID:9PxD95lR
エロパロ板なのになぜか爺さんに萌える俺ガイル
237名無しさん@ピンキー:2005/11/24(木) 08:05:16 ID:ZA2ly9LI
さぁ…

    おいで…
238名無しさん@ピンキー:2005/11/24(木) 17:02:04 ID:Na5lHa7C
>>235似非紳士氏
10日以上動きが無かったので少々心配になっていたのですが、投下があったのでほっとしました。
ともあれGJ!!
239名無しさん@ピンキー:2005/11/25(金) 01:30:31 ID:lDu4QHUb
>>237
なんで湯婆婆がw
240 ◇7b9DL4hJvA:2005/11/28(月) 23:17:14 ID:HJg7pg1p
ぷちほしゅ
241似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/11/30(水) 23:51:19 ID:adCl/6Qt
>>234からの続きです。
秋の話も、なんとか決着がつきます。
242似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/11/30(水) 23:53:28 ID:adCl/6Qt
『A SLIGHT DISPUTE IN MARKET  人の中の神様』



翌朝、夜露になりきれなかった水分は空気中で他の水分と結びつき、漂い、
霧となってロンドンの街に覆いかぶさる。
その中を、黒い外套を着込んで歩く二つの人影があった。
ティムとゆかりである。
いつもはこんなに朝早くから活動を始める二人ではない。目的がある。
昨日の夕方――随分時間が経ったような気もするが――アルマからブローチを奪って、
一度は追い詰めておきながら、逃げられてしまった引ったくり犯を捕まえようと、
今からコベントガーデンへ向かうところなのだ。

「坊ちゃま、寒くは無いですか?」
ゆかりは隣を行くティムを気遣った。やはり朝はかなり寒く、体が自然と縮まる。
「うん、大丈夫」
ティムは短くそれだけ言うとうつむいて、首だけでもマントにうずめる。
「そうですか」
ゆかりもそうとだけ言って、じぃっと前を見て歩いた。

243似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/11/30(水) 23:54:03 ID:adCl/6Qt

少し時間が早すぎたかもしれない、あまりに道にひとけが無いのでそう思っていたゆかり達だったが、
コベントガーデンに着くとそこにはもういくらかの馬車、一口に馬車と言ってもいろいろなものがあるが、
この場合は大八車を馬が引くというだけの簡素なもので、その荷台には野菜が満載されている、
そういった馬車が並んでいた。

「わあ……もうこんなに」
ゆかりはいつもの自分は今から何時間後に起きているのか思い出しながら、この時間に
これだけの人数が商売の準備を始めていることに驚いた。
まだ夜もあけきってない朝、いや、人によっては深夜と言うかもしれない時間だ。
それなのにここに集まっている男たちはただ黙々と馬の世話をしたり、馬車の泥を落としたり、
商品である野菜を美しく並べたりしている。

無心に働く人々の姿を眺めていると、急に声をかけられた。
「おう!なんだ!!ユカリちゃんじゃねえか!どうした、こんな早い時間に!」

振り向くとそこにいたのは
「……誰でしたっけ?」
ゆかりには分からなかった。

男は少しがっかりした様子で自分のことを説明した。こういうとき、ちょっとむなしい。
「おぅ……ほら、昨日さ、カブラ買ってくれただろ。うちでよう」
「ああ!八百屋のおじさん!!昨日のかぶら、おいしかったです」
思い出してくれたか、男の顔がぱっと明るくなる。
本人に自覚は無いのだが、ゆかりはこの界隈ではちょっとした有名人であった。

だいたいこんな下町の実用的な青果市場に、可愛らしい東洋人の女の子がいるというのが珍しい。
そしてその子がメイドとして働いているようだというのもまた珍しければ、
極めつけは昨日の、市場を北から南まで股にかけた大捕り物である。

犯人を逃がしてはしまったものの、素早い身のこなしで雑踏をすりぬけ、犯人を後一歩の
ところまで追い詰めたと言う話は、昨日のうちにこの市場に広まっていた。

なんだか面白い娘がいる。
そういった印象で、なんだか多くの人に知られてしまっているのだった。
244似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/11/30(水) 23:58:25 ID:adCl/6Qt

「で、どうした今日は。午前と午後を間違えたんか?」
八百屋の親父は大して面白くも無い冗談を言うと、がははっと大口を開けて笑った。
体を動かしているものは体温も高い。暖かな息が白くなって、冷たい空に広がる。

「いえ、その、昨日の引ったくり犯のことで、知っていることがあれば教えていただきたいな、と」
「うん?ああ、きのうのあの野郎のことか。まぁったく、このコベントガーデンでよう。
 ふてえ野郎だぜ。」
親父は、吐くようにつぶやくと、
「だが、あいつは、昨日初めて見たな。ここらでは見ない顔だったぜ」
とも付け足した。

「ということは、いままではああいったことはなかったんですか?」
「いやまあ、無いっつうこともねえけどよう、あんまり大きな事件も無かったんだよ。
 なんだ、昨日怪我をさせられたのはアルマさんだって話じゃねえか。
245似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/11/30(水) 23:59:19 ID:adCl/6Qt
「お知り合いなんですか?」
「おう、知り合いつうか、な。……あの人は珍しい人だぞ、いつも俺らみたいな者にも
 丁寧にお礼を言ってくれるんだ、きれいな英語でさ、『ありがとう、ミスター』なんつってよう。
 俺が、『’’ミスター’’なんて悪い冗談はやめてくれ』つうとアルマさんは

 『あら、あなたは十分に尊敬に足る――リスペクタビリティを備えた立派な人物だわ。
 ほら、自分の手を見てごらんなさい。切り傷がいっぱいで、分厚くて、ごっつくて、
 働き者の、立派な手をしているわ。そんな手になるまでどれくらい働いて、その成果、
 おいしいお野菜を私たちに届けてくれたんでしょうね。私には、とてもできないわ。
 だから私は尊敬するの――いつもありがとう、ミスター』

 なんつってくれて……そういわれた時よう、なぜだか涙が出てなぁ。初めて――そう、
 初めてかもしれねえな、自分の仕事に、誇りつうもんを感じたのは。それからなぁ、
 こう……目の前が、ばぁー……っとひらけてな。それまでは面倒くさい……憂鬱な作業でしか
 なかった農作業の一つ一つが、楽しくなってきてなぁ……寒くて、その分きれいな空気の中で、
 この荷台に今、収穫した野菜を山積みにしたその姿をみてると……何ともいえない……
 こう、喜び、みたいなもんが、体中に漲って来るんだよなあ……。
 まあ、つまりアルマさんは俺の人生を全く好転させてくれた、大恩人ってわけだ。
 ……そのアルマさんを―――――」

八百屋の主人は明らかに顔を紅潮させ、怒髪天といった様相だった。
目は空を睨み、食いしばられたあごは小刻みに震えている。
「さぁ、ユカリちゃん、俺にできることがあったら何でも言ってくれ。
 あいつを、捕まえるんだろう?周りの奴らにも できるだけの協力をさせよう。
 なに、ここの奴らは多かれ少なかれ、アルマさんには世話になってるんだ。
 嫌だなんて、言わせねえよ」
そう言うと、八百屋の主人は市場を見渡した。どの顔も知っている。
みんなこの市場で精一杯商売をしている、仲間なのだ。

246似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/12/01(木) 00:08:35 ID:YVYjKtbw
「そうですね、あの、昨日は、犯人が人ごみの中に倒れて、しめた、と思ったら
なぜか逃げられてしまっていたので、今度は人ごみにまぎれさせる暇も与えたくありません。
どうにかして、人ごみをなくしたいんですよ」
そういうゆかりに、ティムが横から口をはさんだ。
「とはいってもユカリ、やおやさんたちはともかく、ここに来てるのはだいたい
 ふつうにかいものにきてる人たちだから、おじさん達がきょうりょくしてくれたとしても
 それをなくすのなんて、むりなんじゃない?」
「そう、なんですよねえ……」

それはゆかりも分かっていたことだった。八百屋の主人が協力してくれると言う申し出は
実にありがたいのだが、問題は人ごみなのだ。
どういった協力が一番効果的か、どう要請するべきか、ゆかりは口に手を当てて考え込んだ。

――人ごみは犯人が逃げるのに有効でこそあれ、こちらの有利にはならないことが分かった。
どうにかして人ごみをなくしたい。犯人を人ごみから隔離した場所なら捕らえられるはず。
しかし人ごみを構成しているのは事情も知らない一般の買い物客だ。
今、商店の主人たちの協力という犯人の知らない新しい武器を手に入れた。
これをフルに使って犯人を追い詰めたい。
しかし商売の邪魔になるような、あまり無茶な要求をするのは避けたい。
ではどうすればいいのか……――


三人が黙ったままで、数分がすぎた。
247似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/12/01(木) 00:09:59 ID:YVYjKtbw

「!」
ゆかりのまぶたが、ぱっと開いた。
「何か、思いついたのか?」
ゆかりは店主に向かって小さくうなずいた。
「ええ、少し、聞いてもらえますか」

「おうよ。……ふんふん……はぁはぁ……」
八百屋の主人はユカリのアイディアにいちいち相槌を打ちながら話を聞いた。
「ううむ、なるほどなあ……よし、仲間にも頼んでみよう。なに、聞いたところじゃ、
こっちには実は大した負担じゃあない、と思う。みんな、協力してくれるはずだ」
自分の提案が無茶なものではないか少し不安になっていたゆかりは、その言葉に表情を明るくした。

「そうですか!よろしく、お願いします!」
ゆかりが丁寧に頭を下げると
「おうよ!」
そう言って、八百屋の主人はその分厚く汚らしい――誇り高い、握りこぶしで、胸を叩いた。

その後、主人とゆかり達は犯人確保のための協力のお願いと、作戦の説明に回った。
どの商店の主人も、協力に応じてくれてゆかりはほっとした。
ただその中の一つに、
「ほんとうに、これだけでいいのかい?」
と、更なる協力を申し出てくれたところがあったが、
「ええ、あまり皆さんのお仕事の邪魔になってもいけませんから。それに、大事なのは
 どれだけいっせいに始められるかなんです。」
と断った。
「そうか……なあに、うちらにだって、あんなあくどい野郎にいられちゃあ迷惑なんだ、
 協力はおしまんぜ。それに、この話、うちらにとってもそう悪い話ってわけじゃあない。
 ……いやあ、なんだか、楽しくなってきたな!」
野菜の端物を積んでいる屋台の店主は、そう言って目を輝かせた。
「そうですか、よろしくお願いします!」

ゆかりは、頭を深く下げて頼んだ。
どうやら協力の約束はうまく取り付けられた。
後はうまいこと犯人が現れるのを待つばかりである。





248似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/12/01(木) 00:10:29 ID:YVYjKtbw





「ユカリ……」
ティムが隣に座っているゆかりに声をかけた。
二人は安っぽい木のベンチに朝からずっと座って、犯人が現れるのを待っていた。
そろそろ尻も痛くなってきた頃だ。
しかし犯人は一向に現れず、昼間に一度は高く上った太陽も傾き、いつも埃っぽい
コベントガーデンを赤く照らしている。
「はあ」
ゆかりは気の抜けた返事をした。
朝早くからずっと座って通りとにらめっこをしているのだ、さすがに疲れてきた。
「はんにんがまたここにあらわれる、ってほしょうはあるの?」
「…………。」
ティムの質問にも、ゆかりは押し黙ったままだ。

しばらくの沈黙の後、ようやくゆかりは返事を返した。
「いえ、それは……」
「……そうだよねえ」
もちろん犯人が再びここにやってくる保証などあろうはずもない。
しかし他に、方法もないのだ。
仕方ないか、といった風情でティムはベンチから立ち上がり、両腕を空へ掲げ
背伸びをした。
夕暮れ時のコベントガーデンはいつものように賑やかで、人ごみで溢れかえっている。
ロンドン最大の青果市場の人ごみは生半可ではなく、地方出身の者などはこの人ごみを
見てなにかの祭りかと勘違いするほどなのである。
通りの向こう側の屋台で、あまり甘くないオレンジを売っている。
だが日が傾いてきてからは、太陽がオレンジに素晴らしい着色をほどこし、それなりに売れ始めていた。

249似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/12/01(木) 00:10:52 ID:YVYjKtbw

ティムは両手を後頭部で組み、大きな石の柱に体を預け、ぼんやりと賑やかな通りを眺めている。
人、人、人。まるで人の海である。
不意に、ティムの瞳の端を、夕焼けに溶け込むような赤色の帽子をかぶった男がかすめた。

あの帽子、どこかでみたことがあるような気がする。

「……!」
両手をほどき、意識を帽子の男に集中させる。

男はまわりの人垣をいらいらと見回すと、視線を元に戻し、買い物に夢中になって
通りに背を向けている女性の手提げかばんに素早く右手を伸ばした。

ゆるんでいた意識がビシバシと音を立てて超加速的に覚醒していく。
水をたっぷり含んだ雑巾の両端を持って、思い切りひねりを加えるように、
ティムはあらん限りの力を振り絞って喉を震わせた。

「やめっ……やめろォォォオオオオオオオオっオオオオ!!」

意思を持った叫びは、目の前の屋台を――うず高く詰まれた数々の野菜を――人の海を貫通して、
一直線に男の耳に突き刺さった。
250似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/12/01(木) 00:11:34 ID:YVYjKtbw

「なっ……、くそっ……!!」
男は体を反転させ、人々を押しのけ一目散に走り出した。
「おじさん!」
ゆかりもその姿を認めると、一瞬で戦闘態勢に入り、はじけるように飛び出していった。
「おうよ!」
今までゆかり達の目の前でいつも通りの商売をしていた八百屋の主人は、ゆかりの言葉に
――ゆかりはもう走り出し、いなくなっていたが――威勢良く返事をして、親指と人差し指で
丸の少し欠けた形、アルファベットのCのような形を作って口に入れると、
空に向かって強く強く吹いた。



ピィッ、ピィィィイイ、イイイイイイイイイイイ―――――

力強い指笛の音が、空高く響いた。







251似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/12/01(木) 00:12:17 ID:YVYjKtbw

「おっ!合図だ、犯人の野郎が現れやがったのか、ようし……」
指笛の音は市場全体に届いた。
大根の土を洗い流していた店主の親父は腰を上げると、隣の店主と目配せをし、
せぇの、と声を上げた。
作戦開始である。


「さあ!なんとたった十分間だけのタイムサービスだぁ!!お姉さん方よっといで!
 驚き桃の木まだ19世紀!びっくりして腰を抜かしちゃいけないよ!!
 たった今から十分間だけなんと全店の全部の野菜を半額!全店!全店全品半額だ!!
 コベントガーデン史上初の歴史的ターイムサービス!!どうこれお姉さん!!
 さああー!これで買ってくれなきゃうそ!早い者勝ちだ!!
 近くの野菜をとにかく掴めぇー!!」

そういった声が、道の両端から、買い物客の耳にステレオで入った。
店主たちの叫び声は一斉にひろがっていった。
一店や二店だけではない、コベントガーデンの入り口から出口まで――、
ほぼ全部の店が商品を半額にしはじめたのだ。
252似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/12/01(木) 00:12:55 ID:YVYjKtbw

コベントガーデン全店全品一斉の半額タイムサービス。それも十分間だけ。
そんな値下げ聞いたこともない。買い物客は信じられないと言った様子であちこちで
それぞれの店主に対して尋ねた。
「ちょ、ちょっと!なに!?本当に全部半額なの!?」
「そうさぁ!ちょっとした事情があってね!!さあー早くしないと時間は勝手に過ぎていくよ!!
 なにしろたった十分間限定のお値段だ!あと530秒……520秒……」
「あ、ま、待ちなさいよ!買う買う!!これとこれと……これもいただくわ!!」
「あいよぉ!あぁりがとうござぁいまぁーす!!」

そんな予想だにしない突発的な値下げ――それもなんと、半額!――の声に、
ああ今日の夕飯は何にしようかしらだとか、家にはどんな野菜が残っていたかしらだとか、
犬は大根たべるのかしらだとかぼんやりと考えながら無秩序にぶらぶらとしていた
買い物客の目は獲物を見つけた鷹のように、くわっと見開き、われ先にと間近の店に飛び込んでいった。

何しろたった十分間だけの半額サービスだと言う、何の事情があるかはよく知らないが
そんなことを考えている暇があるならとにかく品物を掴んで手に入れなければならない。

こうして通りに充満していた人の群れは、犯人の男を残して整然と
通りの両側にきれいに並んで、ゆかりと犯人まで一直線に道をあけた。
八百屋の親父がつけた作戦名は
「The Miracle of Moses」――モーゼの奇跡。

親父がつけた名前にしてはなかなかハイブロウだ。

253似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/12/01(木) 00:14:03 ID:YVYjKtbw

「な、なんだァ!?」
逃げる男は目の前の事態が理解できずに、素っ頓狂な声を上げる。人ごみにまぎれて逃げるはずが、
その人ごみが消失してしまったのだから無理もない。
振り返ると、昨日も追いかけてきた小さなメイド姿の女の子がスカートのすそを
持ち上げて走り追いかけてくる。
やばい、目が怖い。

「う……うわッ!」
男は慌てて走り出した。とにかく逃げねば。

男はおびえたように何度かうしろを振り返る。
信じられないことに振り返るたびに少女との距離は近くなっている。
重たいスカートを持ち上げ、両手を前後に振り勢いをつけることすらままならないはずなのに、
なんだあの速さは――!?

ゆかりは黒いロングスカートをひざの辺りまで持ち上げ、逃げる犯人を懸命に追う。
犯人は不自然な走り方しかできないはずのゆかりがこれほ早く走ることに驚いた様子だったが、
ゆかりはこの西洋人には不自然な、同じ手と足を出して走ることに慣れていた。
それは「なんば」と呼ばれる、日本人特有の歩法で、西洋式の別の手と足を出す歩き方を
仕込まれているゆかりだが、本気で急ぐ時にはどうしてもこの走り方になるのだった。

うしろが気になり振り向くと、やはりさっきより少女は近付いてきている。
ドロワーズからはみ出る細い足首からは考えられないような速さで、その走りはまるで飛ぶようだ。
あの重たげなスカートも、ばたばたと風にはためく白いエプロンも、あの少女にはなんの
障害にもなっていないようだ。
いや、少女が速いと言うより、自分の足が遅いのか――そうだ、考えてみれば随分と長いこと
まともなものは口にしていない――、気のせいか、目も、霞んできた――。

男の足はふらつき、ついにゆかりはその背中に追いついた。
「捕った!」
254似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/12/01(木) 00:14:45 ID:YVYjKtbw



不意に、全ての動きが遅くなった。
体が思うように動かないわけではない、だが、ゆっくりと動いているように思う。
これは違う、動きが遅くなってるんじゃあない、知覚の速度に動きが追いついていかない、
知覚が早すぎるんだ――。
しばらく前にも感じた、やけに時間がゆっくりと流れる、――夕焼け時のような――
神聖さすら感じるようなこの領域に、またやってきた。


255似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/12/01(木) 00:15:14 ID:YVYjKtbw

左手で前を行く男の左腕を、右手で上着の襟首を掴む。
この瞬間だけを一見すると、ダンスを踊っているようにも見えるかもしれないが、決定的に
ダンスと違うのは、男がゆかりに背を向けていることだった。
両コブシをしっかりと握り締めると、すかさず男の足元に右足を飛ばす。
いきおい、男は前につんのめり、背伸びをしたようになる。

こうなれば、男は自分の意思では体をコントロールできない。
これを「崩し」と呼ぶ技術であることを、ゆかりは思い出していた。
男はあと、自分のされるがままになるしかない。

崩した体を、ゆかりは、思い切り地面に叩きつける。
――変形の体落としだ。

男は顔面からしたたかに地面に落ち、体中の息を地面に向けて吐いた。
256似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/12/01(木) 00:15:45 ID:YVYjKtbw
――体「落とし」、「投げ」ではなく。
そう名づけられたこの技は、相手の体を高所――身長分――から、思い切り地面に向かって、
できるだけ垂直に、「落とす」のだ。
その力には重力も加わって――柔道の数ある投げ技の中でも、かなり痛い。

「まだ!」
ゆかりは掴んでいる左腕を首に回し、首と右手で肘を極めると、男の左肩甲骨の辺りに
右ひじを落とし、体を安定させる。
左手で右手の手首を掴み、がっちりとホールドする。これでもう逃げられない。
あとは体重の移動で、男の肩の極め具合を調整することすら可能だ。

「ぐぅっ……!」
しびれに似た鋭い痛みが、男の肩を襲う。

――脇固め。相手の肩関節を極め、身動きがとれなくする技だ。
てこの原理を利用したこの技は、痛みの強さも、自分が相手の背中側に上るという体勢も、
そのまま体重をかけ安定させやすい形からも――小さな者が大きな相手を制するのに
非常に効果的な技であった。

257似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/12/01(木) 00:16:25 ID:YVYjKtbw

「いやあ、下が石畳じゃなくて良かったですねえ。ちなみに、もう少し体重をかけると、
 肩、外れますけど……どうします?」
ゆかりは力を緩めることなく――それどころか徐々に力を込めつつ――組みしかれた男の
後頭部に声をかけた。

「…………」
しかし、男からの返事は無い。
「――じゃあ、遠慮なく」
ゆかりが思い切り体重をかけようかとした瞬間――

「ま、待て!」
後頭部から声が上がった。
「ん?なんですか、この期に及んで。大丈夫ですよ、ちょっと涙が止まらないくらい
 痛いだけですから。まあ、外した肩を入れるときに下手をすると、腕が上がんなくなっちゃいますが……
 どうせろくなことに使わないんだから、いいでしょう」

ゆかりの目の色がいつもと変わっている――、後から追いついてきたティムは、はあはあと
肩で息をしながらゆかりの様子を眺めていた。
「あっちゃー……ユカリ、スイッチ入っちゃってるよ……」
こりゃ止めようがないね、と両手を上げ肩をすくめた。
しかし男は叫んだ。

258似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/12/01(木) 00:16:56 ID:YVYjKtbw

「ち、違う!人違いだ!!……俺は……盗人じゃ……ない」
まさか、今日は人ごみにまぎれる隙もなかった。しかし
「ユカリ……その人……あたま……」

ティムの震える声を聞き、ゆかりは目の前の頭を眺めた。
「頭……?」
別に禿げてはいない。

「……!!」
しかしゆかりは気付いた。あるはずの物がない。
なんということだ、赤い帽子をかぶっていない。
投げた時に落としてしまったか、と、辺りを見回すがそんな様子もなさそうだ。

「ユカリ!」
ティムが、通りのはるか前方を指差して叫んだ。
馬鹿な。
間違いなく、あの赤い帽子をかぶった男が悠然と逃げ去ろうとしていた。

259似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/12/01(木) 00:17:22 ID:YVYjKtbw
まさか。しかし実際に男は逃げている。ではやはりこの男は人違いであったか。
無実の人になんてことを。
いや、それよりも――
「誰か、その人を捕まえて――!!」
ゆかりは大声を上げるが、もうだいぶ走ってきて市場から離れてしまったのだ。
周りに人影はない。
そんな、ここまで追い詰めておいてまた逃げられるのか――無関係の人までぶん投げておいて――

ゆかりは絶望的な気分で
「な、だから俺は犯人じゃあないんだって」
と繰り返す男の声も耳に入らず、ずっと関節を極め続けていた。

「だれかいる」
ティムは小さくそう呟いた。
「え?」
逃げる男はもう豆粒のようで、ゆかりにはよく見えない。
「あれ?あれって、ひょっとして――」
ティムには男のシルエットもよく見えているようだ。
逃げる男に影が立ちふさがった。


260似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/12/01(木) 00:17:57 ID:YVYjKtbw


「……ゥアァックス・ボンッバァアアッ――――!!」

逃げる男のあごの下、のどもとに太腕が勢いよく命中した。
走っていた勢いもあり、のどにめり込んだ腕を支点に、男の足はほとんど顔の前まで
跳ね上がった。
そしてようやく重力が戻ってきたように、ゆっくりと背中から落ち、完全に沈黙した。

261似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/12/01(木) 00:18:25 ID:YVYjKtbw
「パパ!」
逃げる男の前に立ちふさがったのは、ジョン・ダーヴァレイその人であった。
ティムは慌てて駆け寄った。

「おう?なんだ、ティムか!どうだ見たか!パパは本当は強いんだ!!」
いつぞや、一発でダウンしたことを気にはしていたらしい。
「――どうしてこんなところに!仕事は!?」
「いやなに、あまりにも仕事が多すぎたのか、従業員が一人ぶっ倒れちまってな、
 病院に送っていったところなんだ。そうしていたら、なんと、怪しく逃げる男と
 『誰か止めて』ってな女の子の叫び声だ。そうか――じゃあ、あそこで
 なんかえげつない関節技をかけているメイドはユカリちゃんか」

ジョンは遠くにユカリの姿をみつけると目を細めた。
「うん、そう、いまスイッチ入ってるから」
「ああ……スイッチ……」
ジョンは納得した顔を見せる。
ロンドン広しとは言え、大人の男に関節を極める少女はうちのメイドぐらいのもんだろう。
「うん……でも――」
「なに、人違い!?……そいつは……」
とにかく事情が良くわからない、ジョンはゆかりにも話を聞こうと
ぐったりした男を持ち上げて歩いていった。

「パパ!そんな、えりのうしろをもち上げたら首がしまっちゃうって!!
 ああ……!な、なんか口からあわが……!!」 
「おっとっと、間違えた。……しかしなんだこいつ、えらい軽いなあ。殴った時も思ったが」

「あ、兄貴……ああ……」
不意に、ゆかりの下に組み敷かれている男の口から言葉が漏れた。
「あにき!?」
ティムは驚いて両者の顔を見比べた。くぼんだ目、こけた頬、血色の悪い唇。
なるほど確かに良く似ている。
262似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/12/01(木) 00:18:55 ID:YVYjKtbw

人違いかと内心絶望しながらも、まだどうも納得できずに関節技を解かなかったゆかりは、
何が引っかかっているのか、昨日のことを深く思い出した。
――ええと、昨日は犯人が人ごみの中に倒れたと思ったら、消えていて、誰かが
「赤い帽子の男ならあそこに!」って、それで、見ると今日と同じようにはるか遠くに
赤い帽子の男が――

「…………!」
ゆかりは何かに気付いたようで、目を見開き男に向かって叫んだ。
「――昨日、男の場所を指差したのはあなたでしょう!」
ゆかりの言葉に、男は表情をこわばらせる。

「な、なんだ、話が見えないぞ、ユカリちゃん」
ジョンは当惑した表情だ。しかしゆかりはそんなジョンのことは気にせず
「坊ちゃま、こいつのポケットを、探してもらえますか」
「う、うん」
ティムは遠慮せずに男のポケットに手を突っ込んだ。

ティムが男のポケットから取り出したものは、赤い帽子、ジョンが担いでいる男のものと
全く同じ帽子であった。
「ユカリ、これは――」
ティムはユカリに説明を求めた。
そしてゆかりは、関節を解くことなく、説明を始めた。
263似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/12/01(木) 00:19:30 ID:YVYjKtbw

「そう、つまり――犯人は二人組だったんです。
 あなたがまず品物を奪い、逃げ――人ごみに隠れ、赤い帽子を外す。
 そして遠くで待機していたもう一人――旦那様の肩の上の人――が赤い帽子をかぶり、走り出す。
 人は、目立つ赤い帽子が一緒なら、それは同一人物だと思い込む――心理トリック、
 とでも言うんでしょうか。
 そしてその後、あなたは盗んだ品物を持って、悠々と歩いて現場から離れれば良い。
 品物を盗んだ犯人は、もう遠くに逃げたのだから、ここにいるはずもないと人々に――
 私に、そう思わせる。
 つまりは、そういうこと、ですね?」

ゆかりの謎解きは正しかった。
男は言葉なく、がっくりとうなだれた。

264似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/12/01(木) 00:20:00 ID:YVYjKtbw
そうして、二人組みの盗人たちは、厳重に荒縄で縛られ、土の上に正座させられた。
「さあて……こいつら一体どうしてくれようか……」
この犯人がアルマを襲った犯人だと知ると、例外なくジョンも怒り、指をぽきぽきと鳴らした。
正座させられた二人組の姿を見ると、一人は気絶しっぱなしで口の端には泡が浮いており、
もう一人は体全体を土で汚し、顔も地面に叩きつけられたような跡があるし、しきりに肩を痛がっている。

「こっ……これ以上か!」
八百屋の主人はもうこの二人はジョン達がどうかしてくれた後だと思っていたのだ。
驚くのも無理はない。


265似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/12/01(木) 00:20:27 ID:YVYjKtbw





犯人の二人は、荒縄で縛られたまま、アルマが横になっているベッドのそばに
正座させられていた。

「警察に突き出す前に、まずはアルマさんに謝ってもらう」
そういってジョンが、両肩に担いでここまで運んできたのだ。
犯人の二人は、顔が良く似ている。
やせている人間に自然と共通する特徴の分を差し引いても、やはりよく似ている。

「あなたたち、兄弟なの?」
アルマがベッドに横たえたままで尋ねた。
今日になって痛みが強くなったらしく、杖をついて立ち上がることもできないと言う。

犯人達はアルマの問いにも無言でただ床の一点を見つめている。
「おら、どうなんだ、おい」
ジョンが犯人たちの背中を軽く蹴った。
体が波打つ。

「やめて。……事情を、聞かせてくれないかしら?」
アルマはゆっくりとした喋り方で、再び犯人たちに話しかけた。
床を見る瞳を、アルマは視線の力で持ち上げてしまった。
犯人の一人、「兄貴」と呼ばれたほう――ジョンにぶん殴られた方――は、ぽつりぽつりと、
すこしずつ話を始めた。

266似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/12/01(木) 00:21:54 ID:YVYjKtbw

「……俺んちは、昔からの小作農で、麦とか――大豆とか、とうもろこしとか、そういった、
 穀物を栽培して、ずっと、ずっとやってきてたんだ。
 でも、最近は――アメリカや、カナダなんてえ海の向こうから、もっと安価なものが、
 大量に輸入されてきて、国内の穀物農家は、もう、だめなんだよ。
 なあ、あんたら知ってたか?アメリカやカナダのものは、俺らが作ったのと同じ量を
 半額で売る。こんなもの、勝負になるはずがないんだ。
 親父は、なんとか新しい作物をつくろうと必死になってやっていたけど、
 うちは代々穀物しか作らない――というより、うちの畑では、それ以外のものは
 うまく実が、ならなかったらしい。
 そんななのに、親父は無理して――、あっさり、病気にかかって死んじまった。
 うちに残ったのは、高い高い小麦しか作れない畑――それも、半分は地主に取られるんだ――
 と、体の弱い母親だけさ。俺たちは、無理をするなといっていたのに、母親は――
 ……親父と一緒の病気にかかって、今、家で寝こんでいるよ。
 医者が言うには、滋養を取って休養することだ、だとよ。
 ――滋養なんか……どこにあるんだよ……畑にすらありゃあしない……」

男はそこでいったん言葉をやめた。
267似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/12/01(木) 00:22:39 ID:YVYjKtbw
ぐぐっとのどを鳴らすと、今度は隣の弟が喋りだした。

「目の前にあるのは、親父も死んでおふくろも倒れ、新しい作物の栽培を試みて失敗し、
 荒れ果てた畑と、俺たち二人だけになっちまった。
 この畑をまた、せめて小麦だけでも栽培できるようにするには、俺たち二人だけじゃあ
 ――……とても、無理だ。
 ここにいてももう先がない。ましてやおふくろの病気だって、治るはずもない。
 ロンドンに行けば何とかなる――そうとだけ信じて、畑の横を走っていた汽車に
 飛び乗った……文字通り、な。
 中のガキどもは、猛然と煙を吐いて走る列車に興奮していたが、俺たちはちっとも
 いい気分じゃなかった。これの仲間が俺たちの生活を壊しやがったんだ。
 俺たちはロンドンについてまず、港を見に行ったよ。
 はるか彼方の大陸から、大豆や小麦を満載して入港してくる威風堂々とした蒸気船!
 ――涙が出て、止まらなくなった。あのでかい船から、どんどん、どんどん、
 木箱が吐き出されてきやがる。いつまでも積荷が降ろされるのを見ていたよ。
 仕事を探しても、俺らみたいな、紹介状も無い、小汚い田舎者には、どんな仕事もなかった。
 仕事が見つかるまでだ――そう思って二、三日は、あの市場で野菜を盗んで食ったり
 してたんだが――急に、その、お袋のことが心配になっちまって――」

「アルマさんの、ブローチを盗んだんだな?」
ジョンが犯人たちをにらみつけた。
268似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/12/01(木) 00:23:25 ID:YVYjKtbw

「ああ――、怪我までさせるつもりはなかった――信じてもらえないかもしれないがな。
 そうしてあんたからブローチを盗んだんだ。
 人間、切羽詰るといろいろ考えが浮かぶもんだ、そこのお譲ちゃんが言ったとおりに、
 ちょっとした細工を考えたんだが――、たった一日で見破られちまった」

「そう……」
アルマは、その後に何も言葉を続けず、ただ二人の顔を見つめるだけだった。

まっすぐに見つめられた犯人は、その瞳を見返すことができずに、目を逸らして言う。
「――あんたには、正直、悪いと思ってる。怪我をさせるつもりはなかったんだ」
「さあ、これで俺たちの話は終わりだ、殴るなり蹴るなり、警察に突き出すなり好きにしてくれ!」
犯人たちはそういって、胸を張った。
269似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/12/01(木) 00:24:10 ID:YVYjKtbw
ティムはそんな犯人達をただじっと見つめるアルマの表情が何かに似ていると思った。
アルマの若い頃がなぜか容易に想像できる――、その理由が、はたと分かった。
あの石膏像に似ているのだ。小さな赤子を抱いた、神々しく美しいあの――
教会のマリア像――
ステンドグラスを通った鮮やかな光がその白い体に降りかかると、本当にどこかこの世の
ものではないような美しさを持ち、その表情は人の中の神性を十分に表現しいえた――
そのマリア像がそのまま年を重ねたような表情を、アルマは浮かべているのだった。

犯人達の話を聞いているうちに、ティムの胸の中に、何か新しい感情が生まれていた。
怒りのようなとげとげしいものではなく、哀れみのような他人行儀なものではなく、
どことなく悲しみに近い、が、悲しみとも少し違う。
この二人と、自分との境遇の差は何が生んだものだろうか。
そんなことを考えているうちに、なぜか、そういった感情がティムの心を満たしていたのだった。

「生まれ」――もちろん、厳しい階級社会のこのイギリスでは、その一言に尽きるだろうが、
ティムは生まれてまだ十年しか経っていないのだ。
まだ十年分しか、この社会に対して接していない。
ティムの中の、社会に対する確固たる――犯人は悪い意味でこれに囚われている――信頼
は、この部屋の中にいる人間の中で、ティムが一番持っていないのだ。
270似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/12/01(木) 00:24:41 ID:YVYjKtbw

ティムはこの二人と自分とに、大きな差があるとは思えないのだ。
十年前には、彼は、母の中よりも前、階級差などあろうはずもない、茫洋としたものが
どこまでも続く無意識の世界に、彼はたった十年前までいたのだ。

現在の社会の認識、固定観念、ティムのそれは、たった十年分しかない。
まわりの大人や老人に比べて、かなり柔軟に形を変えられる。
もし明日、父が過労か何かで倒れれば、自分のうちだってどうなるか分からない。
この世はひょっとすると、ぜんぜん決まってなくて、固まってなくて、どうなるか分からないものなんじゃないか。
ティムが生まれて初めて感じたその形容しがたい感情は、東洋的に言えば
――ゆかりならば――「無常観」と言うようなものだったかもしれない。

「無常観」世界が一定でないことに気がついてしまった者が感じる諦念に似たきもち。
自と他の境遇の差は、確固断崖ではなくて、非常に有機的な――境目のない――ものだと
気付いた、ティムの感情であった。


ティムの口は自然と開いていた。

「ねえパパ、この人達、うちで雇ってあげられ……ううん、パパの店で、雇ってもらえませんか?」

271似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/12/01(木) 00:25:40 ID:YVYjKtbw

その言葉はその場にいた全員が――実はティム自身も――驚かせるに十分な言葉だった。
「ど、どういうことだ、ティム」
父ジョンは、息子の真意を図りかねる。ティムは自分でも言いたいことはまとまらないのだが、
とにかくこの気持ちを、なんとか言葉にしようと努めた。

「うん、あの、あのね、最初はもちろん――怒っていたし、許せなかったけど――
 この人達の話を聞いたら――」

「かわいそうになった、って言うのか?」
気の変わりやすい子供のいいそうなことだ、ジョンはティムの内心を類推して
言ったが、それは素早くティム自身に否定された。

「ううん!ちがうの。いや、かわいそうはかわいそうなんだけど――なんて言うか――
 その、口ではうまく言えないんだけど、この人たちとぼくと、あまりちがいはないような
 ――なんて言うか、今の世の中はぜったいじゃないような――、たとえばパパ、
 パパが明日、かろうか何かでたおれちゃったら、それでお店がまわらなくなって
 つぶれちゃったら、ぼくたちだって明日から……おかねが手に入らなくなっちゃうでしょう?」
「パパは倒れたりしないぞ」
「―――……じゃあ、たとえば、どこかの馬車に猛スピードではねられて、きおくそうしつに
 なったりしたら」
「ごほんごほんげふん」
ジョンはわざとらしく咳払いをして、ティムの言葉を遮った。

272似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/12/01(木) 00:26:34 ID:YVYjKtbw

「ただぼくたちは今まで、たまたまそうならなかっただけで、この人たちはたまたま、
 考えもしないようなふこうなできごとが起きちゃっただけで――にんげんのなかみは――
 ええと――ほんひつてきには――?」

「本質的、じゃ」
マーロットは昨日教えたばかりの言葉の意味を、それこそ本質を理解し、言い表そうとする
けなげな教え子に感動を覚えながら、間違いをそっと正した。

「そう、本質的には、何も、どこも変わらないんじゃないかなあ、って。
 ねえ――、やっぱりぼくの言ってること、おかしいかな?」

自らの言葉の途中から、ティムは泣き出してしまっていた。
頬を流れる涙もそのままにほっておいて、思いを言葉の形にして、やっとやっと吐き出した。

273似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/12/01(木) 00:28:08 ID:YVYjKtbw

ジョンはじっと押し黙ってわが子の喋るのを聞いていた。
子供だから情が移って哀れみをかけた――一度でもそんな風に感じて――それは歴史上の
観点からも親が自分の子供に対してそうするのは仕方なのないことだけれど――
息子をかんたんに侮っていた、そのことを恥じた。

ティムの言葉の途中から、ジョンの目にも涙が溜まり、溢れかえらんとしている。
今喋ったら、涙声になりそうで、それがいやで、黙っていた。

「私も」
ゆかりが、そんなしっとりと湿気を含んだ空気の中に、ふるえる涙声を発した。
「私も、そう、思います」

ティムは視線をゆかりに移し、彼女の涙に濡れた瞳と頬を見つめていた。
274似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/12/01(木) 00:28:57 ID:YVYjKtbw
すこしあって、アルマが笑顔で言った。
笑ってはいるが、彼女も涙声である。

「そうよ……ティムちゃん。その通りよ。本来この世界に――主が愛する者たちの中に―― 
 人の貴賎なんて、階級、クラスによる人間性の差なんて、あるはずもないわ」
アルマはそう言うと、満足げに頷いた。

マーロットは、教え子の成長に感動し、胸を詰まらせながら、諭すように話した。
「そうじゃ、ティム坊。今の社会が、何で不変なものであろうか。人間と同様に――
 不変の存在ではない。そのことによう一人で……。
 じゃが、社会を無理に変えようとしてはいかん、ただ、流れを、時代の潮流をよく見て、
 勉強して――つまり、自分で考えることじゃ。
 それが学問の――本質、じゃよ」
マーロットは白く長い眉の下からティムを見つめた。
その小さく丸い瞳からは、涙が溢れている。

「あんまり……むずかしいこと言われても……わかんないよ」
「大丈夫、お前さんは賢い、今分からなくてもいつか、きっと分かる」

いままで黙ってそのやりとりを聞いていた犯人二人は、同時にわっと声を出して泣き出した。
「あぁ……兄貴ぃ……」
「うん、うん……」
縛られたままで器用に互いの顔を肩に押し付け合い、泣き続けている。
275似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/12/01(木) 00:29:38 ID:YVYjKtbw
「ああ、俺たちは本当になんと言う境遇だろうか」
「ああ、本当に……」
二人はぎゅっと目をつぶり
「本当にすみませんでした!ブローチはもう現金に換えて、お袋に送っちまいましたが、
 なんとか、どうにかして、その分のお金はお返しします。
 どう謝って、どう償えばいいのか、わかりませんが、とにかく、二度とこのようなこと
 はいたしません」
平身低頭、頭を床に着くくらいのところまで下げ、懺悔の言葉を口にした。
弟の言葉に、兄もうんうんとうなづいて、そのたびにあごから、涙がしずくとなって
ぽつぽつと落ちた。
276似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/12/01(木) 00:30:24 ID:YVYjKtbw

「ふん、そんなに世の中は甘くないぞ」
そう冷たく言い放ったのは、ジョン・ダーヴァレイであった。
「確かに社会は変わるし、人も変わるさ。しかしそれは、今、現在の話じゃない。
 そんなものは、朝が夜に、夜が朝になるように、朝日がじりじりと昇るように、
 夕日が黙って沈んでいくように、誰もなんとも思わない程度の速さで変わっていくものだ。
 いくら今、お前たちが改心したと言っても、アルマさんを傷つけた罪は消えないんだ」

「パパ」
自分の思いが伝わらなかったかと、ティムは父を呼んだ。

「黙っていろ、ティム」
ジョンはいまだかつてティムに対して発したことのない、冷たく低い声でそれを制した。
その初めて見る父の気迫に気圧され、ティムは驚き、何も言えない。

「もちろん、わかっています。ですからまず、警察に出頭して……」
「いえ、いいのよもう。私はあなた方を許します。そして神も、あなた方の罪を許されるでしょう
神とは、この世の中で最も寛容なもの――それを、その精神を、神というのです」
そのアルマの言葉に、二人は再び涙を溢れさせた。
これが今まで感じることのなかった、神の――人の――愛か。
そう思うと、涙が溢れて止まらないのだ。

「パパ……」
「旦那様……」
ティムとゆかりは、濡れた瞳でジョンを見つめる。
その視線から逃れるように、ジョンは顔をそむけた。

277似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/12/01(木) 00:31:11 ID:YVYjKtbw
「ええい!ダメだダメだダメだ!!犯人はすっかり改心、被害者のアルマさんは犯人を許す、
 犯行にいたった事情もそれなりにある、こんなんじゃあ、警察に突き出しても、
 何日か牢屋でゴロゴロして、すぐに出てきちまう!」
ジョンは大きくかぶりを振って嘆き、言葉を続けた。

「そんなんのは罰とは呼べない、仕方ない、こうなったら明日っから、
 重たい家具を上げたり下げたり動かしたり持ち上げて運んだりさせてやる!
 はっきり言って辛いぞ!!覚悟しとけ!」
278似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/12/01(木) 00:33:53 ID:YVYjKtbw
ジョンの言い切った声の大きさに、一瞬、場が静かになるが、

「パパ!」
ティムの喜ぶ声が、まず最初に響いた。
ジョンに飛びついて、首からぶら下がる。

「ありがとう!パパ!!」
ジョンはティムの体を下から持ち上げると、
「うん……ティム、お前、いつの間にか、大きくなったなぁ……」
しみじみと呟いた。

「うむ、それでこそじゃよ。……みてみい、おまえがいつまでもぐだぐだ言うから、
 茶がぬるくなってしまったではないか、馬鹿者」
「な、先生、私だって意地悪で言ってたんでは……!」
「わかとっるよ、なあ、ユカリちゃん、茶をもう一度淹れてくれ……そう、7人分じゃ」

きょとんとしている犯人二人組に、マーロットは尋ねた。
「おぬしら、熱いアッサムは、好きかな?」

二人は喜びの表情と涙を浮かべ、またひとしきり泣いた。
ティムもゆかりもアルマも、微笑んでいた。

ジョンは明日から増える二人の従業員のことを考えていた。

大団円、であった。



そしてロンドンの街は夕焼けを飲み込み、夜をゆっくりと迎え、ぼんやりと朝になって、
時間は流れている。
人が変われば徐々に社会は変わり、さらにのんびりした速度で、時代も変わり、巡っていく。
だがとりあえず今日のところは、大団円で、夜のロンドンは意外と静かに更けていくのであった。














  『A SLIGHT DISPUTE IN MARKET 人の中の神様』   
 
                     
                     END
279似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/12/01(木) 00:38:18 ID:YVYjKtbw
【A SLIGHT DISPUTE IN MARKET epilogue】



「坊ちゃま……」
ティムが振り向くと、ガス灯のうす青い明かりに照らされたゆかりが、微笑んで立っていた。

犯人二人は、マーロットたちと一緒に住むことになった。
するとジョンは「初仕事だ」と言って、二人分の家具を運ばせようと、店まで行ってしまった。
ティムとゆかりは、先に家まで帰っていいと言われたのだった。

「ユカリ、ねぇ、これで、よかったんだよね」
「ええ……とても、立派でした」
「そうかい、うん、まあ、よかったよ、あのふたりも、パパにゆるしてもらえて」
「ええ、そうですね……」

不意に、背後から抱きすくめられた。
「すごく、御立派、でした」
気温がすっかり落ちている分、お互いのあたたかな体温がよく伝わる。
ゆかりはおなかが、ティムは背中が、とても暖かい。
ティムは自分の前面に重ねられたゆかりの両手に自分の手を重ね、頭を後ろに預けて、
下からゆかりの顔を覗き込んだ。

「ふふ……あったかいね、ユカリは」
そう言って愛らしく笑った。それを見てゆかりも目を細め、微笑んだ。
静かな寒空の下で、ふたりだけがこの世界の生き物であるかのように、あたたかかった。


自宅の鍵を自分が持っていると気付いたジョンは慌てて家に戻った。
隣人のベルが預かってくれていたようで、ベル宅に招きいれられると、そこには
仲良く丸まって眠る二人の姿があった。
こうしてみると二人ともまだまだ子供だ。

「今日は二人ともよく頑張ったもんなあ……お疲れ様」
といって、ジョンは二人のひたいにそっと唇をあてた。
ぴくり、とティムのまぶたが動いた。
「まったく……お前の成長には、驚かされたよ」

ジョンは、父としてこの上なく幸せな気持ちとティムとゆかりを抱きながら、
自分の家に帰った。
父としての本質ってのは、子供の成長に驚かされるものかもしれんな――そんなことを思いながら、
ジョンは短い眠りに落ちた。
ロンドンの夜は意外に静かだ――。










280似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/12/01(木) 01:02:49 ID:YVYjKtbw
気分としては11月末日の深夜なのですが……もう12月ですねえ……。

というか、長い!ですね。
すいません。

なんとか11月(気分の上での秋)中に仕上げたくて、後半推敲足りません。
すいません。

とりあえず>>270
>確固断崖では〜×
>確固たる断崖では〜○


なんだか他にも直したいところがいろいろ……あああ……

まさに
haste makes waste.
ですね。
281名無しさん@ピンキー:2005/12/01(木) 01:03:01 ID:MvRaw1OH
似非紳士さんモエ。女性的な文体で読んでて気持ちよかた。
282名無しさん@ピンキー:2005/12/05(月) 20:17:12 ID:Rg5aq7F/
283名無しさん@ピンキー:2005/12/05(月) 22:37:18 ID:u7HmWFIc
284名無しさん@ピンキー:2005/12/07(水) 12:31:51 ID:uU0RRLei
続き楽しみ保守
285似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/12/15(木) 01:15:19 ID:UxpPpLc0
クリスマスまでに一本投下したいと思ってます。
まだ書けてませんが。
286名無しさん@ピンキー:2005/12/15(木) 01:55:44 ID:cFPRnV9G
>285
お待ちしております!!
287名無しさん@ピンキー:2005/12/15(木) 06:38:13 ID:suSe24Ar
正座して待っておりまっす!!!!!
288名無しさん@ピンキー:2005/12/18(日) 08:17:48 ID:4Ezaz6Lw
時々ageとかんとこのスレ消えるからなぁ・・・
289名無しさん@ピンキー:2005/12/24(土) 19:15:58 ID:3sFPzsSd
クリスマスage
290似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/12/25(日) 02:03:13 ID:f5d2bqqj
というわけで、投下します。一度に最後までいくので長くなるかと思います。
根気よくお付き合いください。
291クリスマスに奇跡が ◆DMzTyHF5uc :2005/12/25(日) 02:04:26 ID:f5d2bqqj


第一幕 ティムとジョン


ロンドンの街に雪が降る。
ドーヴァーの湿気を含んだ雪は綿のように分厚く、湿って重い。
しかしその雪も冬が深まれば、結晶にまとわる湿気すら凍りつき、軽やかに散らばって降る。
そんな雪は積もらない。あまりに軽いので、少しの風でもタンポポの綿毛のように飛び立ち、
どこかへ行ってしまう。

石建ての家は凍りつき、ロンドンの街は氷の世界へと変貌を遂げる。
人々はそれぞれの暖炉に火をくべ、家全体を暖めて、エスキモーの氷の家になるのを防ぐ。
暖炉には煙突がついている。煙突はただ煙を排出する役割だけでなくその熱を伝導させる役割もある。
つまり冬の住宅にとって――もっとも、年間平均気温の低いイギリスでは、冬を待たずに
秋ごろから火を入れるのだが――暖炉は家の心臓で、煙突は家の血管のようなものなのだ。

血管が詰まれば熱は体中に行き渡らなくなり、死んでしまう。
凍死してしまう。
そんな事態に、ダーヴァレイ家は見舞われていた。

「さささささささささ、さむい……」
小さな体に着られるだけの防寒具を着込んだ少年、ティム・ダーヴァレイは、その防寒具の
実用性を疑わせるほどに体を震わせ、歯の付け根が合わない口を、何とか動かした。
分厚い手袋におおわれた両手をリスのようにすりあわせて暖を求めている。
もともと白い肌からさらに血の気が失せ、顔面は蒼白だ。

目の前の暖炉に火はくべられていない。
取り除かれた木灰がちりとりの跡を残して平行線の模様を描いている。
その平行線をじっと見つめていると――あまりうろうろ周りを見回すほどの気力もない――
それが次第に婉曲してきた。
まがる、まがる、まがる。
あるじの無い暖炉がその存在理由を失うように、ティムの意識は失われつつある。
292クリスマスに奇跡が ◆DMzTyHF5uc :2005/12/25(日) 02:05:26 ID:f5d2bqqj

これは……ひょっとして結構あぶないんじゃないだろうか。
なんだか寒いのか寒くないのか判然としなくなってきた。
もう目に見えているものが真実なのかどうか怪しい。
まがる、さむい、さむい、まがる、さむい――――

「ぼく、もう……」
疲れたよ、まるで別の国のかわいそうな少年のようなセリフの途中で、暖炉から人間の顔がごろりと出た。
ティム・ダーヴァレイの父、ジョン・ダーヴァレイであった。

「……なにしてんの、パパ」
薄い意識が少し元に戻った。これが幻覚でないなら、どうやら父親は煙突から落ちたようだ。
「落ちた」
ジョンは至極簡潔に答えた。
体はロープで吊るされている。ロープを煙突の外にくくり付け、掃除をしていたのだった。
どうやらそのロープが外で、解けたか、どうかしてしまったようだ。
ジョンは逆立ちしたような体勢のままで固まっている。ただ、その逆立ちは手を着いていないが。
短いジョンの髪の毛が暖炉を底を撫ぜ、新しい模様が描かれる。
「助けてくれ、ティム、頭に血が上ってきた」
「うん、でも、どうやって?」
「そうだな、ちょっとこっちにきて、体を持ち上げて逆さにしてくれ」
「そんなの、むりだよ、パパ重いもん」
「う、そうか。なら天井に上ってロープをひっぱり上げる……のも無理だよなあ」
「そうだね」
「ううむ……いかん、鼻血が出そうだ」
みるみるジョンの顔は赤くなって、完熟トマトの色になった。季節外れの大きなトマト。
「あらまあ」
「……なんでそんなに落ち着いてるんだ、パパが大ピンチなんだぞ」
「いやもう、なにしろさむくて、パパのバカにつきあう気力もなくなっちゃったよ」
「いやまて!今本気でピンチだ!ちょっと!ティム?」
「はいはい……はやくそうじ終わらせて、アルマばあちゃんとこいこうよ、さむいし」
「だからね、ティム?今マジでヤバいんだっで。でいうがごれみでわがれよ」
ついにジョンの鼻から鼻血が溢れ始めた。逆向きにしたたる赤い噴水。
言葉も濁点がいっぱいだ。
293クリスマスに奇跡が ◆DMzTyHF5uc :2005/12/25(日) 02:06:05 ID:f5d2bqqj
「わあ、きょうのパパは芸にきあいが入ってるねえ。いつもそうならいいんだけど」
「ぢょ、マヂ、ローブ、ぎっでぐで」
「なに?」
「ぞごに、ナイブがあるがら」
鼻血はジョンのひたいに二本の赤い筋を描き、ぽつりぽつりと暖炉の底に垂れる。
灰色の幾何学模様の中に突然現れる赤い点。なかなかにアーティスティックだ。
「切ればいいの?じゃあ、きるよ」
刃渡りの短いナイフではロープはなかなか切れなかったが、それでも半分くらい切れ目を入れると、
ジョンの重みでぎりぎりとちぎれていった。

ごつ。
いきおい、ジョンは頭から暖炉に落っこちた。
のそりのそりと暖炉から這い出ると、素潜りの後のように大きく息を吐いた。
「ぶはっ!……鼻血の海でおぼれかけた……」
「だいじょうぶ?あはは」
「ティム!笑い事じゃないぞ、何でもっと早くたすけてくれんのだ!……って」
ティムの体は寒さに震え、顔面はロウの様に蒼白であった。
寒いのだ。
目もうつろで表情も定まらない。意識は半分だけ起きている。
「ティムー……だいじょうぶかー……」
ジョンもティムも、けっこう危ないところまで来ていたのだった。
「危うく親子同時に死んでしまうところだったなぁ、わはは」
「ほんとにねえ、あはは」
ジョンは鼻血の跡をふき取らないままで笑った。
死の恐怖から逃れた喜びか、それともティムを凍死させかけたことをごまかす笑いか。
どっちにしろ、キリストの誕生日が二人の命日になることは避けられたようで安心した。
そうだ、今日は聖クリスマスだ。こんな日に死んでたまるか。
「煙突掃除も終わったし、よし、先生んとこいこう!」

294クリスマスに奇跡が ◆DMzTyHF5uc :2005/12/25(日) 02:07:17 ID:f5d2bqqj

なぜ、やおら煙突掃除なのか、簡単だ、アルマに叱られたのだった。
「なんですって!クリスマスを前にして大掃除をしていない!?ジョン君!大掃除は一年を締めくくる
大切なおしごとです!今からでは大掃除はできないだろうから、煙突だけでも掃除していらっしゃい!
 煙突が詰まればそれは人間で言う大動脈が詰まったようなもので……」

「大掃除なんてしていない、まして面倒な煙突掃除なんかとてもとても」というジョンの言葉に
アルマはいきなりすごい剣幕で怒り出した。
アルマにかかればジョンでさえ「ジョン君」になる。
話はまだ続きそうだったが、ジョンは遮って反論を唱えた。
「し、しかしアルマさん、今日はもうクリスマスで、掃除屋だって今日は休みで」
「煙突掃除くらい自分でできるでしょう!」
「はい!できます!」
ジョンはかかとをつけ、直立して返事をした。
イエス、マム。敬語の無い英語にも敬意の表し方はある。
ジョンがそんな言葉を使うのは随分久しぶりのことだったけれど。
いったいアルマさんってどういう人なのだろう、なんであんな迫力があるのだろう、
いつもは静かな老婦人なのに。
ジョンはひとり疑問を抱きながらも、誰か協力者を探す。
そうだ、この家には自分の会社の従業員がいるはずだ。そいつらを連れて行こう。
ジョンたちはマーロットの家にクリスマスを一緒に祝おうと、お呼ばれしていたのだった。

「フィリップ!ラスバート!!」
「は、実家の村に帰郷しています。だって、クリスマスだもの」

フィリップ、ラスバートは、もと盗人で、今はジョンが経営するダーヴァレイ家具店の従業員である。
いつもはジョンに仕事でこき使われている。
そうだった、そういえばそれなりのボーナスと
「精一杯、親孝行してくるんだぞ」
というかっこいいセリフまでつけてクリスマス休暇をやったのだった。
そういうと二人は
「はい、ありがとうございますボス!かっこいいですボス!最高ですボス!」
などと言って涙ぐむのだった。かっこいいジョンは、さらに特別ボーナスもつけてやった。
くそ、肝心な時にいないなんて。
ジョンは自分のかっこよさを恨んだ。
295クリスマスに奇跡が ◆DMzTyHF5uc :2005/12/25(日) 02:08:23 ID:f5d2bqqj

「ユカリちゃん……」
「がいなかったら、誰がこんなに大勢の料理を用意するの」
ゆかりは、黒の簡素なドレスにいつもの白いエプロン、ヘアキャップ、襟カラーと、
クリスマスの日でもいつものメイド服姿である。
「ユカリちゃん、今日ぐらい他の服でよかったのに」
「いえ、どちらにしろお料理は手伝いますし、それに……他の服、ないので」
「なんですって」
アルマはジョンを厳しく睨む。
このばあさん、怪我が治って絶好調だな。内心でそんなことを思った。
「こんど、買いに行こうな……」
「パパ!ぼくのも!」
「うん……」
ジョンは洋服のことには頓着しない。
着られればいいじゃないかと、ティムにはいつも少し大きめの服を買い与えている。
子供の服を買うくらいのお金はあるが、面倒くさいのと、ジョンはどうも服屋の
「上流でござい」
というような雰囲気が好きにはなれなかった。
だからいつも見当をつけて、てきとうなサイズのものを買ってくるのだ。

「先生……」
「わ、わしゃこんな寒い中外に出たら、死んでしまうわい!」
マーロットは半分冗談で言ったのだが、ジョンは「確かに」と納得した。

「ティム……」
最後に残っていたのはダーヴァレイ家の長男、ティムだった。
「え」
ティムは慌てて首を振り回し、どこかに煙突掃除の手伝いなどしなくていい理由はないかと
探すが、残念ながらアルマもゆかりも、ティムが煙突掃除に行くのを止めてはくれなかった。

「おばあちゃん……」
アルマは呼ばれても知らん顔している。煙突掃除は男の仕事、そんなふうに決めてかかっているようで、
いい機会だからティムも手伝ってきなさい、というわけだ。

「ユカリ……」
誰でも良いから誰か止めてくれ、助け舟を出してくれ、とゆかりの名を呼んだ。
さすが親子で、表情がジョンとよく似ている。
しかし止めてくれる者はいない。ああ、どうやら行くしかないみたいだ。
296クリスマスに奇跡が ◆DMzTyHF5uc :2005/12/25(日) 02:09:58 ID:f5d2bqqj

そうティムとジョンが決心したのが今から数時間前の話である。
おかげで凍死しかけたのだった。

「ただいま」
「おかえりなさい……って、あらまあ、すごいわね、ふたりとも」
アルマは玄関に出て驚いた。
そこにはスノウマンが二体並んで立っていたのだった。大きいのと小さいの。
雪国に住む人なら二人の様子がよく想像できるだろう。
吹雪の中を歩けばいつの間にか自分が雪だるまになってしまっているのだ。
死なないコツは一つ、生きているうちに家にたどり着くだけだ。

「ただいま」
スノウマンはそれ以外の言葉を忘れてしまったようで、ぼそぼそとそれだけ呟いている。
暖炉の前まで歩いていき、30分かけて解凍された。

「ふぅうっっ、あはぁー……」
小さな方のスノウマン、もといティムは「生き返った」といわんばかりに大きなため息を吐き、
背中を反らした。
「いやぁー……いちじはしぬかと思ったよ」
隣を見るとジョンはまだうつろな瞳で暖炉の火を見ていた。
体が大きい分だけ解凍に時間がかかるようだ。

「さあさ、もうすぐお料理ができるから、みんなテーブルについてまっててくださいな」
アルマがキッチンから現れて、そう促した。
なるほど確かに、厨房の方から料理のできるいい香りが溢れてきている。
ティムは小さな鼻をひくひく鳴らした。
いいにおい。

冷えたり死にかけたり暖められたりしたティムはどうにも腹がぺこぺこで、
溢れてくる夕飯の香りは脳髄まで染み込んで空腹中枢を刺激した。
胃が広がり、食べ物を受け付ける体勢に入る。唾液が口中に湧き出してくる。
若いティムの自律神経は敏感で、健康的に活動しているのだった。

そこまで腹を減らして食べる、一年に一度の豪勢な料理はたしかにおいしかった。
あんな事件が無ければ最高だっただろう。
そう、あんな事件が起きなければ――――









297クリスマスに奇跡が ◆DMzTyHF5uc :2005/12/25(日) 02:10:40 ID:f5d2bqqj

第二幕 マーロット

マーロットは長いひげをさすりながら赤々と燃える暖炉の火を眺めていた。
石炭は,炭素,水素,酸素,窒素,硫黄を主成分とする天然有機高分子化合物である。
大昔に死んだ植物のかたまりやなんかが、いま目の前で熱と光を伴う酸化、じわじわと燃焼を行いながら大気に還ってゆく。
その光景は大河の流れを思わせる感慨深いものではあるけれど、それをただ眺めているのにも
飽きた。

いつものクリスマスを思い浮かべる。
妻のアルマと二人きりで静かに祝うクリスマス。
もちろん、それは楽しいものだし、不満などあろうはずもないのだが。
今年は、家庭教師をしている生徒とその家族も招待した。
にぎやかなクリスマスになりそうじゃ。
マーロットはやはり、一般の年長者がそうするのが好きなように、
若い者たちと一緒に食事を取ったり、ものごとを祝ったりするのが好きなのだった。

「おおい、どうじゃ、料理の方は」
マーロットはキッチンを覗き込んだ。オーヴンのあたりからいい匂いがしてきている。
マーロットはこんな風に、調理中のキッチンを覗く事が好きだった。
例えば今、その土壁の中からいい香りを染み出させているオーヴン、その中の料理を思うと、胸がわくわくするのだ。
鍋の中で煮えているものをみると、気分が楽しくなってくるのだ。
白菜が、人参が、キャベツが、生肉が、卵が、ジャガイモが、色々なものを「材料」から
「料理」に変えてしまう工程を見るのが楽しかったし、好きだった。

「おじいさん、なんですかお行儀の悪い!」
とまあ、アルマには叱られてしまうのだけれども。
男子厨房に入るべからず、そんな言葉があるところにはある。
マーロットは不幸にも、そうした時代のそうした国に生まれた男子なのだった。
しかし待つ側には待つ側の楽しみもあるもので、マーロットは、料理ができるまでじっと待っている、
廊下から料理が運ばれる足音が聞こえる、どきどき、銀の盆がテーブルに乗る、切り分けて、
配って口に入れるまでの高揚感と、焦らされる感じ。それはそれで嫌いではなかった。

298クリスマスに奇跡が ◆DMzTyHF5uc :2005/12/25(日) 02:11:45 ID:f5d2bqqj

「もう少しでできますから、居間で待っててください」
ゆかりにそう言われて、マーロットはおとなしく居間まで戻った。
そうじゃ、今日はユカリちゃんも料理を作るんじゃった。
いつにもまして、楽しみじゃわい。

こうしてマーロットは居間で、二体のスノウマンと共に暖炉の前で炎を見つめていた。
「もうすぐお料理ができるわよ」アルマがやってきてそう言った。
楽しい。
マーロットはワクワクしながら食堂にテーブルのセッティングをした。

そう、マーロットが思うように、楽しくなるはずだった。


あんな事件が起こらなければ。






299クリスマスに奇跡が ◆DMzTyHF5uc :2005/12/25(日) 02:12:50 ID:f5d2bqqj

第三幕 アルマとゆかり

勝手口の扉を開くと、吹雪が吹き荒れていた。横殴りの白。
「毎日、吹雪吹雪、氷の世界……」
ゆかりは木箱から大根を探しだして引っこ抜いた。
その木箱も半分雪に埋まっているし、側面にも雪がこびりついている。
冷たい。
そして寒い。
それだけ取り出すとひょっとからだを戻し、扉を強く締めた。

「坊ちゃま、大丈夫かしら。凍えたりしてなければいいけど」
誰にいうでもなく呟いた。
その予感は大当たりだったのだが、だからと言っていまこの厨房にいる自分が何かできるわけでもない。
背後からアルマが話しかけてきた。
「大根、あったでしょう?」
「ええ、ありました。ですけどこれ……」
「なに?」
「完全に、凍り付いちゃってて、包丁の刃が立ちそうにないんですけど……」
「あらまあ」
「……どうしましょう」
「なあに、すこし火の近くにおいておけばすぐ溶けるわよ」
「そうですか」
「そう、ちょっと貸して」
アルマはゆかりから凍りついた大根を受け取る。
おもむろに大根を振り上げ、調理代の端に叩き付けた。
大根は見事二つに折れ、内面の白さは雪のようで、空中でくるくると2回転した後、どすんと
調理台の上に落ちた。

300クリスマスに奇跡が ◆DMzTyHF5uc :2005/12/25(日) 02:14:05 ID:f5d2bqqj
ゆかりは目を丸くしてアルマを見る。一体何事だ。
アルマはさも当然といわんばかりの表情で言った。
「こうすれば、早く溶けるわ」

「そ、そうですね……」
アルマさん、怪我が治って絶好調ね……ゆかりは内心でジョンと同じ事を思った。

楽しいクリスマスの楽しい準備だ。
遠足の前の日、リュックサックに荷物を詰めるのと同じことだ。
楽しいもののために準備する時、やはりそれは楽しい。

そう、楽しくなるはずだった。そう思っていた。
あの、窓も開けていないのに空気が凍りつくようなあの瞬間までは――







301クリスマスに奇跡が ◆DMzTyHF5uc :2005/12/25(日) 02:17:27 ID:f5d2bqqj


幕間 モノローグ

まずい。
表情が強張る。
否、
表情だけではない。頭からつま先まで、全身だ。
右手に握っているものに体温が吸い取られるように、体が冷たくなっていくのがわかる。
背中のまんなかに冷や汗が流れる。頭の毛穴が一斉に開いていく。
髪が逆立つ感覚。
まずい。
これは、ひどくまずい。

なんでこんなことになってしまったのだろう、楽しいクリスマスのはずが――――




302クリスマスに奇跡が ◆DMzTyHF5uc :2005/12/25(日) 02:18:42 ID:f5d2bqqj

第四幕 事件


すっかり準備の整った食堂を、赤々と燃えるろうそくが照らしている。
マーロットは特別の日にしか使わない純銀の蜀台を引っ張り出してきた。
ろうそくの炎が反射して、その繊細華美な細工を、一層ひきたてている。
美しい。
ティムはちろちろと反射するその光に見とれ、口を半開きにして呆けていた。
やはり純真な子供である。
美しいものや景色には一瞬に心を奪われる感受性を持っている。

半開きの口にマーロットがほこりを投げ入れるまで、ティムはその炎に見とれていた。

「はい、おまたせ」
アルマがまず料理を運んでくると、ひっきりなしに料理が現れた。
長方形のテーブルはシーツの先まで銀盆のドームが乗りきっている。
「あ、アルマ、何でそう一度に持ってくるんじゃ。そんなに無理せんでも……」
「あら、じゃあ一皿食べたらまたあの寒い寒い台所へ行ってお料理を取って来い、って言うの?誰がそれをするの?誰が」
「……すまん」
303クリスマスに奇跡が ◆DMzTyHF5uc :2005/12/25(日) 02:19:13 ID:f5d2bqqj

料理はおいしかった。
途中、ゆかりの作った魚料理だというので、みんながワクワクしてそのふたを開けると、
大きな魚がまるまる姿焼きにされていて、みんなあとずさった。

「ユカリ……なにこれ、どうしたの」
「へ、坊ちゃま知らないんですか?お祝いといえば鯛の尾頭付きでしょう」
「いや……しらないけど……」
「そうですか、じゃあ良い機会じゃないですか、食べてください」
「こわい」
「え」
「こわいよ、それ」
なるほど確かに、魚の丸焼きというのはよく見てみるとなかなかにグロテスクなものかも知れない。
うつろな目、鋭い牙をだらしなくみせる開いた口、反り返った尾っぽ。
見れば見るほど、おそろしい。
ティムはユカリの袖をぎゅっと握った。
「怖くなんかないですよお、おいしいんですから。ほら、それに」
と朗らかにいうとゆかりは、胸びれの辺りを器用に切り分け、小さな骨を取り出した。
「ほら、見てください、これ、この穴のところが目で、ここがしっぽで、この魚みたいでしょう?」
「……うん」
「鯛の鯛、って言ってめでたいものなんですよ」
「そうなの?」
「ええ、これさえあれば、人生、順風満帆、家内安全無病息災商売繁盛で笹もってこーいってなもんですよ」
「そう……なの?」
「そうですとも!」
ゆかりに言われると、なんとなくそんな風にも見えてきた。
よく見てみると、この骨もユーモラスな表情でかわいいかもしれない。
鯛の鯛で二重にめでたい、なんてばかげた発想も、レトリックな面白みがある。

「ようし、ぼくも男だ。こんな魚ふぜいにびびってちゃあ、ダーヴァレイ家の名がすたるってなもんだね」
「お!よく言ったティム!それでこそダーヴァレイ家の男だ!」
肉や魚を切り分けるのは男の仕事である。
ジョンの掛け声を背中に受け、ティムはおそるおそる魚にナイフを入れた。
意外と柔らかな感触。
ナイフを徐々に進ませる。
が、ティムのナイフはふらふらと、あっちを切ったりこっちを切ったりで、一定しない。
304クリスマスに奇跡が ◆DMzTyHF5uc :2005/12/25(日) 02:19:46 ID:f5d2bqqj
「坊ちゃま」
「ん」
「坊ちゃま」
「なに」
「目を開けて切ってくださらないと、身がぐちゃぐちゃです」

しばらくの沈黙が流れる。その沈黙に耐えかねるように、ティムがぼそっと口を開いた。
「……だって」
「はい」
「こわいじゃん」
まだ目をつむったままである。
ぎゅうと閉じられた小さなまぶたに無数のしわが乗っかっている。

ゆかりは嘆息するように言った。
「坊ちゃまの、意気地なし」
「……うう……わかったよう」
こわごわ目を開ける。
ぎろり。

「 !! 」

目が合った。
ぎゃあ。と叫びたかったが、声にならなかった。
驚いてティムは、とすん、と椅子にしりもちをつき、みんなでそれを見て笑った。


305クリスマスに奇跡が ◆DMzTyHF5uc :2005/12/25(日) 02:20:21 ID:f5d2bqqj
料理が大方終わると、アルマさんがプディングを運んできた。
ひき肉のゼリーよせに、干しぶどうや卵、砂糖をまぜて甘く味付けした料理である。
こう書くと、なんだかゲテモノ料理のように感じるが、まあ実際に食ってみるとそれなりに旨いのである。
英国のクリスマスでは、これが定番料理だ。
「さ、食べましょ、お楽しみもあるわよ」
アルマはそういってゆかりにウインクした。年のわりに器用である。

ボールをひっくり返して取り出したプディングはドーム型になっている。
ゼラチンで固められた表面は、一分の隙もなく、てらてらと輝いている。
それをアルマは間違いなく五等分――ジョン、ティム、マーロット、ゆかり、アルマ
――して、わける。
五人がそれぞれのプディングをすっかり食べきった頃に、アルマが五人の顔を見渡した。
「さあ、来年一年の幸運を手にした人は、誰かしら?」
一同、きょとんとした顔をしている。
「誰かの分の中に、ルビーの指輪が入っていたでしょう?その指輪がプディングの中に
 入っていた人は、来年一年、幸運が訪れるの。残念ながら私のプディングには入っていなかったけれど……
 誰か、入っていたでしょう?」

皆一様に首を振る。
「おかしいわね……」
アルマが小首を傾げる、その仕草をゆかりは見ていた。
その時、ゆかりの頭に電流が走ったような衝撃があった。

これはきっと、事件だ。

灰色の――と本人は思っている――脳細胞が風雲急を告げる。
今、言わなければ――立ち上がらなければ――だめだ。

「犯人は、この中にいますっ!」
そういってゆかりは決然と立ち上がった。
固いテーブルの音が響いた。

306クリスマスに奇跡が ◆DMzTyHF5uc :2005/12/25(日) 02:21:12 ID:f5d2bqqj

「な……!」
「……っ!」
「ユカリッ……」
「なんてこと……!!」
それぞれ言葉を失った。なんということだ、プディングの中に仕込まれていたルビーの指輪が消えた。
そしてその犯人はこの中にいる――――!?

「ユカリ、どういうこと?」
「簡単ですよ坊ちゃま。考えてください――運ばれてきたプディングには一つの傷もなかった、
 つまり、それまでに何者かが指輪を取り出した形跡は無い、ということです。
 ここに運ばれてきて、切り分けられるまで、確かに中にはルビーがあった。
 しかし全部食べつくしてみると、果たしてルビーは消えていた」

ゆかりはそこで一度大きく嘆息して、
「残念なことです……この中に心根の腐った大馬鹿野郎がいるだなんて……」
かぶりを振って肩を落とした。随分な言いようだ。

「そ……それで、ユカリは犯人がわかっているの?」
「ええ、大体は」
その言葉に空気がひどく緊迫したものになった。
それぞれが互いに視線を送りあうが、目を合わせることはない。
様子をうかがっているのだ。

ごくり。
誰かのつばを飲み込む音が響いた。
そして再び現れるものは、完全な静寂――――

「考えてみましょう」
ゆかりはテーブルに身を乗り出し、きっと前を見据えた。
こつ、こつ、と指でテーブルを叩く。

「犯行のチャンスは一度――食べているうちに、それを発見し、誰にも見つからずに
 それを隠してしまうことです。どうですか、誰か、怪しい行動をとっていた人を
 見つけませんでしたか――?」

ゆかりはそう言うとざっと一同の顔を眺めた。
ぴくりと、マーロットの眉が動いた。
307クリスマスに奇跡が ◆DMzTyHF5uc :2005/12/25(日) 02:22:07 ID:f5d2bqqj
「――先生?」
「ふむ……いや、ジョン君がな……」

「なっ、せ、先生!?」
マーロットの口から出たのはジョンの名であった。
ジョンは驚きマーロットに向く。
「何度も……口の中に手を入れて、こう……」

そう言ってマーロットは口の中に手を入れる仕草をした。
なるほど、口に入ったルビーをとるならば、それには不可欠な動作だろう。
「旦那様……」
「パパ……」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!あれはただ歯の間に挟まった肉をとろうとしてただけで、
 そんなルビーの指輪なんて俺は知らん!無実だ!」
「犯罪者はみんなそういうんですよね……ああ!旦那様が犯人だなんて!!
 私、明日からどうやって生活を送れば……日本に帰るしかないのかしら……」
「パパ!ばか!ユカリが帰っちゃうじゃん!何でそんなことしたのさ!このだめおやじ!」
「ちょ、ちょっと、待て……ティム……普通に傷つくぞ……俺……」
「というと……?」

「というと、もなにも、俺は犯人じゃない!事実無根だ!」
「そうですか……?」
「そうですか、じゃないだろう、ユカリちゃん」
「本当にそうですか?」
「本当だってば。それを言うなら、マーロット先生だって、途中で何度も鼻をかんでいたじゃないですか。
 そのときに、さっと口の中からハンカチの中に隠す事だって……」

今度はマーロットに視線が集まる。
敵意のこもった、冷たい視線が。
308クリスマスに奇跡が ◆DMzTyHF5uc :2005/12/25(日) 02:22:52 ID:f5d2bqqj

「ば、馬鹿な、わしはただ風邪気味なだけじゃ!」
「は、そういえば先生、料理の途中で台所を覗きに来られて……」
「せんせい……」
「あなた……」
「ば、婆さんまで、なんじゃい!よってたかってわしをいじめる気か!いじめじゃ!
 老人いじめじゃ!敬老精神はどこにいったんじゃあー……」
「先生……今ならまだ間に合います。自首してください」
「うう……ユカリちゃん……すまんかった、ほんの出来心だったんじゃあ――……
 ……って、なんでじゃああああああ!わしゃ何もしとらんわい!」

「おお、ノリツッコミだね」
「変な言葉知ってるな、ティム」
「まあね、ほら、ぼくって、はくひきか、だから」
「それを言うなら、『博識家』だろう」
「そうかも」
「そうですよ、坊ちゃまったら」
どっ、と明るい笑いがおきた。
「おーいい……」
「あら先生、なにか」
ゆかりはマーロットに冷たい流し目で答えた。
309クリスマスに奇跡が ◆DMzTyHF5uc :2005/12/25(日) 02:23:26 ID:f5d2bqqj

「なにか、じゃなかろうが!ユカリちゃん!」
「えーでも、犯人が先生じゃないって言うなら……」

ゆかりはちら、と隣に座る少年を見た。
「坊ちゃま?」
「ユカリ……やめてよ」
「ですよねー」
そう言ってゆかりは顔をほころばせてティムと笑いあった。
ティムのことなど全く疑っている様子もない。
「おい、ユカリちゃん……」
「わしたちに比べてなんじゃその態度は……」
大人二人が手を伸ばしうなだれた。
が、当のゆかりは気にしていない。

が、その時、再びゆかりの脳裏に電流が走った。
「わかりましたよ……真犯人が……」
「えっ!」
「本当か」
「なんじゃと!」
「…………そうなの、ユカリちゃん?」
「ええ……悪いことはできないものです、悪事は必ず露見し、罰が当たる……
 真実はいつも一つだとか、ありえないものから消していって最後に残ったものが真実だとか、曽祖父の名にかけてどうのこうのだとか
 ……まあそんな感じです」

そして再び、ゆかりにみなの視線が集まる。
ゆかりは大真面目な表情で、息を吐いた。
「全ては、仕組まれていたことだったんです」
「えっ!」
「本当か」
「なんじゃと!」
「…………そうなの、ユカリちゃん?」
三度、一同、驚きの表情になる。
律儀な人達だ。
310クリスマスに奇跡が ◆DMzTyHF5uc :2005/12/25(日) 02:24:38 ID:f5d2bqqj

「ええ……つまり、逆から考えてみれば良いんです。
 アルマさんはルビーが消えたと言った。
 旦那様の歯には肉が挟まった。
 先生は風邪気味で鼻をかんでいた。
 それらは、なぜそうなったのか――――?」

「ユカリ、いったいどういうこと?」
ユカリは腕を持ち上げ、ゆっくりと対面に座る真犯人を指差した。
「ええ……真犯人はあなたですね――――アルマさん!」

空気が冷たく、固まった。



「あら……一体、どういうことかしら、ユカリちゃん」
名指しされたアルマは、ふてぶてしくもポケットに手を差し込んでいる。
「信じられません……アルマさん……あなたがっ……こんな」
「いいから説明して頂戴。どうして、私が犯人なの?」
「……良いでしょう!そこまで言うなら説明して差し上げます!聞いてください、みなさん」

皆、固唾を呑んでユカリを見つめた。
311クリスマスに奇跡が ◆DMzTyHF5uc :2005/12/25(日) 02:25:18 ID:f5d2bqqj

「いいですか……今日、私は確かに料理を手伝いました。しかし、
 私は一切プディングには手を触れていません。つまり、ひき肉の大きさを細くするも太くするも、
 長くするも短くするも、アルマさんのさじ加減一つなのです。つまり――」
「わざと、肉の加減を調整して、歯に挟まるように――誰かが、口に手を突っ込むような状況を作った、
 っていうのかい?」
ジョンが途中から付け足した。
ゆかりは前を――アルマを、見据えたまま頷いた。

「ええ、そうです。そして、先生の体調も、アルマさんならたやすく調節することも可能でしょう――
 なにしろ、先生っていう人は、日常生活のほとんどをアルマさんに頼りっきりで一人では
 何もできないどうしようもないダメ老人の典型みたいな人なんですから!」
「ユ、ユカリちゃん……な、なんか、言葉にトゲがないかのう?」
マーロットはまぶたをぴくぴくさせながら口をはさんだ。
しかし誰も意に介しない。

「へえ……じゃあ、動機は?私には動機がないわ。だってそうでしょう?
 そんな面倒くさいことをせずに、調理前にそのままもらってしまえばよかったのだもの」
アルマは微笑を崩すことなく、ゆかりの推理に反駁する。
「そこが味噌です」
「MISO?」
ティムが怪訝な表情をした。眉間にしわがよっている。
「ああ……なんていうんだろ、そこが事件のコンソメ……違うなあ、事件のフォン・ド・ヴォー……
 事件の、なんというかこうどろっとして少し臭くてそれでも味付けには欠かせない大事な大豆製品なんです!!」

「……だいずせいひん、なの?」
ティムの眉間のしわは一層深くなっている。
「ええ!大豆製品ですとも!」
ゆかりは即答したが、ティムは納得いっていないようだ。
312クリスマスに奇跡が ◆DMzTyHF5uc :2005/12/25(日) 02:26:32 ID:f5d2bqqj

「つまりアルマさんは――遊ぶ金欲しさだったんです!本当は、ルビーの指輪なんて、最初からないんでしょう
 みんなに『ルビーの指輪』と言えば、見たこともない皆は、そう思い込むでしょう!
 そしてその代金を家計から引く!しかしルビーなど買っていない!
 ……手元に残るのは、多額の現金……恐ろしい、手口です……」
ゆかりはため息を一つ吐いた。今日はため息の多い日だ。
しかしアルマは笑顔を崩さず、まだポケットに手を入れたままだ。

「ユカリちゃん……その推理……」
「大当たりでしょう!」
ゆかりは自信満々だ。大きく胸を張る。
「20点」
「へ?」
ゆかりは何のことか分からず、間の抜けた声を出した。
「20点ね。まあお話としては面白かったけれど――荒唐無稽すぎるわ。
 いえ、お話としては面白かったのよ?だから……上げられるのは、20点までだわねえ
 それに、あなたもルビーの指輪は、見たでしょう?」
「ええ!確かに見ました!けど」
「え、ユカリ、見たの?」
ティムが言った。
ティムとジョンとマーロット、ただ待っていた男三人はその指輪を実際には目にしていないのだ。
しかしゆかりは確かに見たと言う。

「じ、じゃあ、いったい指輪はどこにあるっていうんですか!それに、犯人は――――!?」
ゆかりは気色ばんでアルマに詰め寄った。
313クリスマスに奇跡が ◆DMzTyHF5uc :2005/12/25(日) 02:27:37 ID:f5d2bqqj

アルマは終始一貫して、にこやかな表情とポケットに手を入れた体勢を崩さない。
「……わからないかしら。さっきから、ヒントを出しているんだけど」
「ヒント……?」
ゆかりはまじまじとアルマの姿を眺めた。
確かに何か違和感がある。なんだろう。
頭、上品な白髪。顔、整った表情、浮かんだ微笑。体、簡素だが美しいドレス。
どこもおかしくはないように思える。だが違和感がある。

そうか、それは服装や容姿じゃなくて格好、体勢だ。
そうだ、いつも礼儀正しいアルマさんがずっとポケットに手を突っ込んでいる。
ポケット――――――?
 
まさか。
記憶が、ばっと蘇ってきた。
314クリスマスに奇跡が ◆DMzTyHF5uc :2005/12/25(日) 02:28:28 ID:f5d2bqqj



ユカリちゃん、この指輪、そのプディングに入れてちょうだい――――



このセリフを確かに聞いた。そのときに、指輪も受け取ったのだろうか。
そうだ。
受け取った、確かにアルマからルビーの指輪を受け取った。
だがそれはどこへ。
そうだ、たしかあのとき何か別のことをしていて、後で入れようとそのままポケットに――――

素早くポケットに手を突っ込む。
ひやり。
嫌な冷たさが指に当たる。
その冷たさの正体を指でまさぐる。
丸い。輪だ。輪の一部に何かついている。
――――間違いなく、指輪だ。

なんということだ。

まずい。
表情が強張る。
否、
表情だけではない。頭からつま先まで、全身だ。
右手に握っているものに体温が吸い取られるように、体が冷たくなっていくのがわかる。
背中のまんなかに冷や汗が流れる。頭の毛穴が一斉に開いていく。
髪が逆立つ感覚。
まずい。
これは、ひどくまずい。
315クリスマスに奇跡が ◆DMzTyHF5uc :2005/12/25(日) 02:29:10 ID:f5d2bqqj

みなのゆかりを見る目つきが変わった。
まさか……
それはないよね……
いくらなんでも、あそこまで人を悪し様に罵っておいて、それは……
言いたい事がひしひしと伝わってくる目つきだ。

「ユカリ……?」
ティムがポケットに手を入れて固まってしまったゆかりに声をかける。
返事はない。
「ユカリ……?」
まだ返事はない。
「ユカリってば」

長い沈黙の後に、ゆかりは口を開いた。
「あ」
「あ?」

「……あ、あやまちは、だれにでも、ありますっ!だから重要なのは、それを責めることじゃなくっ、
 広い心で許し、温かい目で見守ることじゃないかなっ!なんてっ……!」

ゆかりは必死で笑顔を作っている。
ここまで「必死さ」なんてものが伝わってくる笑い顔はなかなかない。
普通、人は必死な時には笑わないものだ。
しかし、この笑顔からは、ゆかりの必死さがぎゅんぎゅんに伝わってくる。

みんな、事態を理解した。
一斉に叫ぶ。
316クリスマスに奇跡が ◆DMzTyHF5uc :2005/12/25(日) 02:29:45 ID:f5d2bqqj










「ごまかされるかっ!!!!!!」









317クリスマスに奇跡が ◆DMzTyHF5uc :2005/12/25(日) 02:30:38 ID:f5d2bqqj
最終幕 きせきのひと

とにもかくにも、ゆかりの勘違いということで、一件落着だ。
「ご、ごめんなさいぃー!!」と謝るゆかりの声の後には、笑い声が続いた。

ゆかりは確かにいろいろ言ったが、なぜか本気で憎たらしいとは誰も思っていない。
それはこの娘に、見かけのことだけでない愛嬌があるからだし、みんなもそれを気に入っていた。

そんな魅力を持つ人は稀有で、だが確かにいるのだ。
今だって、さんざあしざまに言われて怒っていたジョンとマーロットも、ゆかりの謝るのを聞いたら
すぐに笑顔になってしまった。

そんな奇跡みたいな人が、いるのだ。自分の近くに。
ティムはそう思って、だとしたら、その奇跡の恩恵を一番受けているのは自分だ、と思った。
なぜなら、ゆかりがきて一番楽しんでいるのは僕だ。そういう自負があったのだ。


その夜、ティムはずっと昔のこの日に生まれたという人にすこし感謝をして、笑顔のまま、ぐっすりと眠った。






                        クリスマスに奇跡が・終わり

318おまけ ◆DMzTyHF5uc :2005/12/25(日) 02:32:14 ID:f5d2bqqj
                       ☆おまけ☆


「サンタクロース・ジョンの寝顔拝見コ〜ナ〜……」

ジョンはティムの部屋の扉の前で、誰に言うでもなく呟いた。
時間は深夜二時。
ティムもゆかりも、楽しかったクリスマスパーティの思い出を胸に、寝静まっている時間である。
ジョンは、帽子にからブーツまで揃えて、完璧なサンタルックだ。
白いふわふわの付けヒゲもしている。
こういうところでは完璧主義のようだ。
きし。
床を踏むと音が響く。
なるたけ音を出さないように、ジョンは猫のように用心深くティムの部屋に侵入した。

「ティムー……サンタさんだぞー……」
もちろん聞こえないように呟く。
ベッドに近付くにつれ、ティムの小さな寝息が耳に入る。安らかな寝息だ。
例年どおりに、ベッドには靴下がくくりつけられている。
どうやらティムの心にはまだサンタは確かに存在しているようである。
よかった。ジョンはそう思った。

真実を知っているわけではない。
サンタの正体は父親で、プレゼントは父の汗と引き換えだという現実は知らない。
無知なのだ。

だが、そっちのほうが幸せだ。
無知であることは、無垢であることと相似の関係なのだ。

ジョンは安心して、丁寧にラッピングされたプレゼントを靴下に入れる。
息子はあくまで幸せそうに寝ている。
明日は朝が早いが、この寝顔はジョンにとっての何よりのプレゼントだ。

「ん……ママ……」
ティムが唐突に呟いた言葉にジョンの心臓は一気に縮んだ。
まだ立って歩く事もできないころに死んでしまった母親の夢を見ているのだろうか。
壁には生前ジョンと生まれたばかりで抱かれているティム、三人で撮った写真が掛けられている。
ティムを抱く妻の、いつまでも若く、変わらないほほえみ。
それがティムとジョン、二人の思う彼女の基本形だった。
「ティム……」
お前も、そんな夢を見ることがあるのか、と息子の寝顔を眺めた。
が、その寝顔が突然、苦しみの表情に変わった。

「……ママ、ならない……じつに、よのなかは、ままならない、ものだなあ……」
と何かを悟ったように言った。

ジョンは思わずティムの頭をはたいてどんな夢を見ているのか問いただしたくなる衝動に駆られたが、
すんでのところで自制した。
(まあ、あいつにはあいつなりの悩みがあるんだろう……)
ジョンはなんだか、とぼとぼと、ティムの部屋を後にするのだった。

319おまけ ◆DMzTyHF5uc :2005/12/25(日) 02:32:57 ID:f5d2bqqj

ジョンの目の前には「ユカリちゃんの部屋」と書かれたプレートが下がっていた。
自分が作ったものだから、愛着のあるものだ。

「ユカリちゃんはまあ、サンタの風習なんて知らないとは思うけど、まあ、いつも働いてくれてるお礼、だな」
ジョンは元物置の扉をゆっくりと開いた。
ギギ、と古い扉が鳴った。
寒い。
もともとが物置だったゆかりの部屋は、冬になるとひどく寒い。
その中でゆかりは、木箱を並べたベッドの上で体を丸めて眠っている。
(ううむ……こりゃ、なんか考えんとゆかりちゃん凍死してしまうかも分からんな……)

ティムの時と同じく、安らかな寝息が聞こえる。
寝顔を上から覗く。
この娘はまあ、なんと幸せそうな顔をして眠るんだろう。
ジョンはそう思った。
ゆかりの寝顔があまりにも幸せそうなので、それを見たジョンも、幸せな気持ちになった。

(メリー・クリスマース……)
やはり靴下など用意されていなかったのでジョンはゆかりの枕元にそおーっと、
ゆかりを起こさないように気をつけて、プレゼントを置いた。
のだが。

320おまけ ◆DMzTyHF5uc :2005/12/25(日) 02:33:30 ID:f5d2bqqj

にわかに、ゆかりの体が動いた。
布団が跳ね上げられ、両足が生き物のように飛び出した。
ゆかりはまだ寝ている。体が反応しているのである。
プレゼントを置かんとするジョンの腕を取り、足を絡みつけ、首の後で足を組んだ。
ジョンの顔は動かせなくなり、首は両足でぎりぎりと締めつけられる。
苦しい。
三角締めだ。
肘関節を極めながら、頸動脈も締め、失神させる。
なかなか極まりづらい技だと言われているが、ゆかりの動作は俊敏で、正確だった。
確実に肘を極め、動脈を締めている。

足の力は腕の力の約三倍。
この技なら、非力な女性でも簡単に、首の太い男だろうがオトす事ができる。
実際、この技の場合、筋肉が動脈を圧迫するので、肩の筋肉が盛り上がっている男性の方が落ちやすいのだ。
そしてジョンの筋肉はこれでもかと言うくらい盛り上がっている。

「ちょ、ユカリちゃん!俺、俺!!」
ジョンは慌てて声を上げるが、ユカリの耳には届いていないようだ。
そういえばいつかティムがいっていたような気がする。
ユカリちゃんの寝起きの悪さは只者じゃあない、日本をしょって立つほどの大物だと言う話も頷ける、
とかなんとか。
ジョンはゆかりに声を掛け続けるが、首は絞まれど返事はない。

「オレオレ、俺だよ、俺だってば……」
「じゃあおまえは詐欺師か!……許せん……!」
だめだ、完全に夢の中だ。
ゆかりの正義感溢れるセリフを聞いてジョンが諦めた時、同時に意識も薄れていった。
321おまけ ◆DMzTyHF5uc :2005/12/25(日) 02:34:50 ID:f5d2bqqj

ゆかりが体にのしかかる重みに気付いて目を覚ましたのは、少し時間が経ってからだった。
驚いた。
見ず知らずの、変な格好をした人間が、股間に頭を突っ込んでいる。
ゆかりも年頃の――というには早いのだろうが――れっきとした、女性だ。
叫び声を発する前に、体が動いた。
ベッドの段差も利用して、思い切りぶん投げる。背負い投げ。

ジョンが目を覚ましたのは、目を覚ましたゆかりにぶん投げられてだった。
体中が痛い。
乱暴な気付けだ。
それでも物音に気付いてやってきたティムから急いで身を隠したのは、父親の意地であった。

「ユカリ、なにこの白いの」
ジョンは木箱の後であごをさすった。
(しまった!)
つけひげが落ちてしまっていた。

ゆかりはジョンから大体の事情と習慣を聞いたので、どうするべきかわかっている。
「さ、さあ、なんでしょうね?……あっ、こんなところにプレゼントがある!!
 なんでだろう!?」
ゆかりのそのセリフは結構わざとらしかったが、ティムは何かに気付いたように慌てて自分の部屋に戻った。
しばらくすると、ティムの歓声がゆかりの部屋まで届いた。

「ユカリちゃん、ナイス!」
ジョンは物陰から親指を立てたげんこつを出した。
「いえ、それより、早く――――」

「ユカリ!見て!ほら!」
ティムが自分のプレゼントを持って帰ってきた。
目が爛々と輝いている。
こういうときの子供は本当に素早い。


結局サンタクロース・ジョンは朝までその格好でいた。

322おまけ ◆DMzTyHF5uc :2005/12/25(日) 02:35:58 ID:f5d2bqqj
翌朝。

「あっ、ボス、おはようございます!ありがとうございます、あんなに休みと、ボーナスもらっちゃって……
 母も、随分と喜んで……って、どうしたんですか、なんだか、動きがおかしいですけど」
「……極められて、締められて、とどめに投げられた」

「はあ?」とその従業員は首を傾げたが、そいつの双子の弟は敏感にも何か感じたようだった。
被害者同士のシンパシー、だったのだろう。
「さあ、今日も仕事……がんばるぞぉ……」
「元気出しましょうよ、ボス」
「うん、そうね……」
なんで俺がこんな目に。
ジョンはずっと昔の昨日に生まれたというひとを、ちょっとだけ恨んだ。



おまけ・終わり。


323似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2005/12/25(日) 02:47:22 ID:f5d2bqqj
以上です。根気よくお付き合いくださった方、どうもありがとう。

おまけの方は、今回ゆかりが柔道技を出してないなあと思ったので作りました。
ジョンはかわいそうですが、まあ彼なら大丈夫でしょう。
ラストの一文が本編のと対比されてたりしてます。

ところで、田村ゆかりさんって有名な方のようですね。
いまさら何だ、と思われるかもしれませんが、この間、雑誌かなにかで見ました。

ゆかりの名前を決めた時は完全に頭の中で考えて、語感と雰囲気で決めたものなので、これは全くの偶然です。
何かで聞いて頭に残っていたのでしょうか。



それでは皆様、よいお年を。
324名無しさん@ピンキー:2005/12/25(日) 03:34:23 ID:vYsRsyob
クリスマスSSぐっじょぶb
リアルタイムで投稿見たのは久しぶりだよ。

似非紳士氏こそよいお年を。
325名無しさん@ピンキー:2005/12/25(日) 06:39:30 ID:HSjAV2sW
GJでっす!
次回は大晦日と正月ですか〜?
楽しみにしております。
326名無しさん@ピンキー:2005/12/25(日) 17:53:41 ID:81sR1Wul
>>323
非常にGJです!
というかいつの人だゆかりちゃ〜〜ん!
井上陽水の『氷の世界』の歌詞を予見しているとは……。
おまけにオレオレ詐欺の手口を知っていた…。
100年前の英国で何故…………
327物書き:2005/12/26(月) 00:26:21 ID:sY4G5j1b
こっちに有ったんだ、別スレでメイドたちの大和書いているものですが
こっちに書かせてもらいます。
328物書き:2005/12/26(月) 00:29:03 ID:sY4G5j1b
前置き


戦艦大和に乗るメイド 
メイドによるメイドのためのメイドによる統治 
のメイドの国を創ろうとしているらしい 


対するは巫女の軍団 ・・・・・

         メイドたちの大和 


    ・・・・・・・・・今此処に真実が明かされる・・・・・・・・・・ 
329物書き:2005/12/26(月) 00:30:27 ID:sY4G5j1b


センカン大和を奪うメイドたちから書こうと思うたのに・・・ 

ある晴れた昼下がり 
メ1「行くよ・・・私達は前艦橋を押えるから」 
メ2「判った、私は管制装置を」 
主「なあ辞めようよ、それ以前に縄解いてくれよ」 
メ3「機関部と船体内を制圧する」 
主「なあ、無視 無視ですか」 
数時間後・・・船首に押し込まれた兵士たち 
兵士1「此処から出せ貴様ら!!」 
兵士3「隊長!!諦めましょう・・・」 
兵士2「貴様ソレデモ海軍軍人か歯ぁ食いしばれ。パーン」 
兵士5「ほかの奴らどうなったんだろう・・・・」 
兵士1〜3「知るか!!!!」 
回し蹴りを食らう兵士9
続く 
330物書き:2005/12/26(月) 00:33:28 ID:sY4G5j1b
メイドたちの大和其2

メ「黙っているデス逆賊ドモ」 
船首兵士一同「そりゃ、お前らだ!!」グぉーガンガン! 
メ「扉を溶接シトクです」指示を受けたメ9が溶接を開始する、ッボ、パチパチ 
兵士3「おい!止めろ溶接するな!!」 
兵士4 5 1「止めろ」タックルをしだす始末 
メ「一つ良い事を教えてやるデス、我々はこれから巫女に宣戦布告するデス」 
一同「ナンダッテー!!!」 
兵士1〜3、5「そんな事日本臣民としてやって良いと思っているのか!!」 
兵士8「別にゐ・・・・・バタ」殴られて気絶する、兵士8 
331物書き:2005/12/26(月) 00:37:50 ID:sY4G5j1b
    メイドたちの大和 日本情勢説明 

????「今現在、世界は参つの大派閥に分かれている、 
   君たちのいた世界の 
   資本主義・共産主義・社会主義ならぬ 
   巫女派とメイド派そして擬人化派だ、これらは 
   思想でも有り宗教のようなものでもある、 
   他にも小さな派閥は有るが追々説明しよう 
   日本は巫女と擬人化を思想としての政策が行われている、 
   又、メイドは巫女と、水と油の関係にある、 
   2.21事件の他、巫女とシスターの関係悪化によって 
   起こった日露戦争などがある・・・・・・」 
   
 ps;「盟友独逸は、擬人化政策を
   推し進め従わないものは 
   強制収容所に送られている・・・・」

332物書き:2005/12/26(月) 00:44:16 ID:sY4G5j1b
   メイドたちの大和 其参 [sage許可も無いのに続ける] 


がっガ・・・ボイラーが、音を立て、煙突から大量の煙が出る。 
メ25「ボイラ-温度上りました、何時でも出航出来ます」 
メ?「よし、出航だ進路北に取れ、機関微速」 
メ25「機関微速 ヨーソロー」 
動き出す大和・・ゴ・ゴ・ゴ
兵士15「?・・・・ん・・! 動いてる、出航の予定は無いはず・・敵機襲来にしては静か過ぎる」 
気配に気付いた時 
すでに遅し、首筋にひんやりとした違和感を感じる兵士15 
メ50「見つけた、まだ居たなんて・・・動かないで、撃ちますよ」 
兵士15「ムザムザ捕まるか!!」メ50に襲い掛かる 
目をつぶるメ50その時 ゴン、ガコン! 鈍い音がした目をあけると其処には、 
自爆して気絶した兵士15とブっ壊れて開かない扉があった 
爆弾で変形させたらしい

名実共に閉じ込められた事を意味していた。 
メ50「自爆と見せかけて閉じ込めるなんて・・・」 
閉じ込められたのが船尾艦艇格納庫とは、
ついていない メ50であった、
近くには気絶した兵士15、奥のほうには 
 小型船舶 一応船舶用の出口はあるが 
クレーンで出し入れをするらしく、
崖の様になっている・・・・
333物書き:2005/12/26(月) 00:59:50 ID:sY4G5j1b
 メイドたちの大和 其四

?「フッフッフッフ」 
メ50「!!」振り返ると其処には、伸びていたはずの兵士15が居た 
兵士15「まさか、大和を占拠するとは思いなんだ」服の肩をグイっと掴む っバ 
メ50「!御前は・・・」兵士15の正体は巫女だった 

そのころ某軍港 
本物の兵士15は「のっ乗り遅れた・・・」膝を付いて笑っていた・・・ 

メ50「巫女が乗り込んでいるなんて・・・」銃を構える 
 「この距離なら外さない」!自信が有った、ダガ
カン!カン!カン!実際には 地面に当たり巫女は居なかった、
巫女1「遅い!!」 ブン 間一発巫女の横薙ぎを後ろへかわす、
それを巫女1が追撃する、ガキン!!巫女の刀とメイドの歩兵銃が交わり音を立てる、
其処へもう一刀でメイドへと袈裟懸けに攻める・・・・・・

其頃の本物の兵士15
「な・・・なんで置いて くんだよー お玉さん、もう一献」
お玉「大変だねゑ、急の出航で船に乗り遅れるなんて・・」
自棄酒を飲んでいた・・・

334物書き:2005/12/26(月) 01:34:43 ID:sY4G5j1b
そんな中空から迫るセーラー服の姿が有った・・・・・
普通我々の居た世界では普通考えられない鉄の翼、発動機、そしてプロペラ・・・
「擬人化航空機兵」と呼ばれる存在である・・・
ちなみに今我々の頭上を掠めたのは
正式名称;「擬人化航空三菱九九式艦上爆撃兵」
と呼ばれる日本の主力爆撃機兵の一つ(この数え方違和感あるな、)
である
335物書き ◆UsF/eVSscw :2005/12/26(月) 01:47:37 ID:sY4G5j1b
男たちの大和其6

??「早すぎてスカートの中が見えない・・」
??「所で俺たちはいつ、元のいや現在にもどれるんだ
    2ChのOFで、男たちの大和を見ていたらこんな所に」
??「シラネAA略」
??「しかし、この大発高性能だな・・・
    大和に付いていけるなんて」
??「操作できないけどな」
336物書き ◆UsF/eVSscw :2005/12/26(月) 02:03:45 ID:sY4G5j1b
間書き
・・・・・・・・・っは・・寝てない、寝てない・・335の??は 上から??1〜
と書けばよかったと後悔、
彼らは元の時代に帰る事が出来るのでしょうか、
そして メイドたちは建国できるのか、日本軍は大和を取り戻せるのか
337名無しさん@ピンキー:2005/12/26(月) 16:35:56 ID:sY4G5j1b
誰も居ない・・・・
338名無しさん@ピンキー:2005/12/26(月) 16:36:49 ID:sY4G5j1b
あげわすれた・・・・
339物書き ◆UsF/eVSscw :2005/12/27(火) 00:11:06 ID:6pORhGel
メイドたちの大和其7

其頃の主人

主「な・・なんでゑ、スカートハァかセル、すかぁとは・・ 嫌ぃだとぉ・・ハウ・・」
め2「御転婆も良いですけど、もう少し乙女心を持たないと」
つうっと〇所を撫でる「ハウ!」ビクンと背が跳ね剃る
め「着替えましょうね〜可愛いですよ〜」スパッツを脱がす
主「だ・・ダメゑ・・・やぁ・・・・、」逃げようと身をよじる
「逃がしません、あらあら、こんなに漏れてきましたよ」
主「やあ・・・ダメゑ・・嫌だァ、それは・・・がやるからァ・・」
を揉んでいた手でツウっと脇を撫でる、

某所で遊ばれていた・・・因みに主人は♀だったりする。
340名無しさん@ピンキー:2005/12/27(火) 00:13:30 ID:SNwlbDOz
>339
百合か!!







(;´д`)ハァハァ
341物書き ◆UsF/eVSscw :2005/12/27(火) 12:55:10 ID:6pORhGel
>>340
想像にお任せします・・・・・
342物書き ◆UsF/eVSscw :2005/12/27(火) 14:23:59 ID:6pORhGel
メイドたちの大和其8

「グウィ・ィーー」ターレットが回る
??2「オイ!、大和の主砲動いてねえか」
「グイイン・ガ、ガア、」第参主砲塔の砲身が上を向いていく
??1「まさか・・・・うちら・・狙ってない・・」
??4「ま、まさかぁ」顔には油が浮かぶ
この時副砲第一〜第四砲塔の他、高角砲・高角機銃も動いていたのだが
彼らからは大和の巨漢が邪魔をして見ること叶わず、それが余計
恐怖を掻き立てる。
メ12、「対空戦闘とれ」の号令一下の元、
舷に張り出した機銃、砲塔以外空を向く


其頃の主人2

主「も・・もう、少しゐ・・・でゑ・・・」
這いずって扉から出たとき
め「まだ終わってませんよ〜」
あわや主人、抵抗空しく
足を掴まれ引きずり戻されていた・・・
主「ヒャッ! ひゃぁ・・・・」戻されたとき不意に胸がこすれる
更に御尻を揉まれる
め2「お仕置ですよ(ニコ」
「ャ、ヤア・・ハウ!・・ウィゐ・・・はあ・・あぁ・・」
地面を掴み耐えているが、満更では無さそう
め「ふふふ、喜んでくれて嬉いです」
主「よろこん・・で無い・・・あltう・・ふぁア!・・」
め2「次は・・」徐に胸の紅い出っ張りへと・・・
主「は・・・はあ・ぁ・・・・フエぇ・・・止め・・・ふぅあ!あぁ・・・」
部屋に戻される心境、双六の「始まりへ戻れ」が如し。

其頃の本物の兵士15
兵士15「上がウルへゑ・・・ちびちび」
お玉「上の人何やってるんだろうねゑ」
少し落ち着いたようである。
343物書き ◆UsF/eVSscw :2005/12/28(水) 00:04:38 ID:BJgg3sUB
メイドたちの大和其9
「ドゴオォォン」
??一同ダイハツの上で死を覚悟した・・・・
??5「しっ死んでない・・、何で・・・」耳を押える漂流者一同
所;艦橋上部光学測量機内
メ20「敵機(てきき)1300・・・・900・・・・620・・・・「有効射程距離」入りました。」
「ドゥルルルルルル」機関座が回転し銃口から火を噴き
「ダァァン・・・×∞」の砲音が聞こえ、空を光が貫く此処に
日本軍・擬人化航空機兵とメイドの戦いが始まったのであった。

其頃の主人

・・・・・エ!!・・・・・あ・・ハイハイ・・

諸事情により放送出来ません。
(これは・・・・・30禁か?)



其頃の兵士15

兵士15「五月蝿いな、ちと注意してくる」
席を立ち、2階への外階段を上る、
「ドンドン」兵士15「五月蝿いんだけど・・」
「°っドtd」兵士15「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・プチン・・・入るぞ」
扉を開けたその時、彼が見たものは、
兵士15「す、すまない・・・」そう言うしかなかった・・・・
344物書き ◆UsF/eVSscw :2005/12/28(水) 01:01:34 ID:BJgg3sUB
兵士15が見た光景は・・・・・・・・・・・・・・

女が女色で女を食べるそんな光景だった
(少なくとも兵士15にはそう見えたらしい)

主「ふあ・・はぁ・・・いい・・」秘所を虐められ、喘ぎを上げる
其処に最早・・男勝りな主人の姿は微塵にも無かった・・・
め「ふふふ・・下の口がエロいですよ」ししどに愛液が漏れ太ももを伝って行く
主「あっ・・、駄目だよ・・ソンナ・・」秘所へしゃぶり付く、め2「止りませんねえ」
ミホト(クリの和名之一つ)をチロチロ、主人の秘所がひくつく、「あ!、あぁぁぁ!」
「はぁ・・ハアア・・駄目ゑ・・・」ビクン!、ガクン!背が跳ね、更に愛液が出る。
め1「これは塞がないと」め2「はいーーー」ガムテをおもむろに引っ張る
主「ふぁ・・・な、何?・・・」無知とは時に罪である・・・・・同時にこの時、
兵士15が扉を開いたのである、後の事言わずもかな、逃げたのである兵士15は
その事は後にして、可愛い主人とめいどは、
ペタ、貼られた時感じたのであろうビクンと跳ねる、同時に腕も縛られる
主「ソンナ・・・・ん・・・あ・・・取れないよぅ 眼に水(マナコにミズ)を浮かべるであった」
懸命に剥がそうとする主人を見て
め1・2「クスクス、可愛い自分で取って下さい」楽しんでいた(あんたら鬼や)

345名無しさん@ピンキー:2005/12/28(水) 11:05:39 ID:f55E6TYZ
>>344
せっかく力入れて書いてもらってるところ悪いんだが、すげえ読みづらい。
これじゃSSじゃなくて台本だ。所々日本語おかしいし。
346名無しさん@ピンキー:2005/12/28(水) 11:56:54 ID:O4oWn8GJ
携帯からじゃないかな?
なんか見てて直したくなる文章だなぁ
俺は面倒だが・・
とりあえずGJ
347物書き ◆UsF/eVSscw :2005/12/28(水) 13:30:54 ID:BJgg3sUB
>>345
>所々日本語おかしいし。 
所々、旧かな使いや古語が入っています、
方言も少々入っているかも


台本・・・・・・・最近見なくなった
一言ドラマという書き方なんですけど、
348物書き ◆UsF/eVSscw :2005/12/28(水) 13:53:59 ID:BJgg3sUB
それ以前に此処までエロいの書いたの初めてだよ
349名無しさん@ピンキー:2005/12/28(水) 15:28:51 ID:f55E6TYZ
>>347
>所々、旧かな使いや古語が入っています、
>方言も少々入っているかも

いや、そういう時代のネタだから雰囲気出す為に
旧かな使いや古語を使ってるのは分かるけど、それ以前に

・「」の前に名前書くのはSSとしてイクナイ
・所々文章に筆者がツッコミ入れてるのは何?
・登場人物に名前を付けてみては?

俺の言いたいのはこんな所かな。
350物書き ◆UsF/eVSscw :2005/12/28(水) 16:05:16 ID:BJgg3sUB
>>349
>登場人物に名前を付けてみては?

名前のレパートリーが殆ど無いんですよ今のところ
(乗員3千名全員に名前をつけること自体無理) 

>所々文章に筆者がツッコミ入れてるのは何?

 ()の中は少しでも雰囲気を引き出そうという想いがありまして

>>334に関しては 私の戯れ事見たいなものです、反応を見ようと想って

>・「」の前に名前書くのはSSとしてイクナイ 
如何しよう、長さと、題目を指すけど書式は指さないし
下手に変えられないよな此処まで書くと・・・・

SS(ショート・ショート、ショート・ストーリ、は短編、超短編 サイド・ストーリは番外et、)
351名無しさん@ピンキー:2005/12/28(水) 16:26:36 ID:Zxa8yv90
>>350
ネット上の駄目なエロSS 第五章
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1122722360/l50
352名無しさん@ピンキー:2005/12/28(水) 17:41:16 ID:0OPcdlc2
天才SS書きが光臨した!
メイドたちの大和超期待です!
どうかこのままのテイストで芸術作品を完成させてください。期待してます。
353物書き ◆UsF/eVSscw :2005/12/28(水) 18:01:07 ID:BJgg3sUB
兵士15は走った何所行き着くと知れぬ世を
港をこえ海を越え走った其処に大和を見た、
足がもつれ転び、頭が冷えた・・・・・
・・・・起き上がると其処は銀世界だった、
雪降りしきる時、OF会に出た為
過去に迷い込んだチャンネラー達、
彼ら・・いや・・・世界の行き付く先を暗に示しているようだった・・・
今此処に大型空母2隻からなる機動艦隊による
大和奪還作戦 神州壱号作戦本戦が開始された・・・・
354名無しさん@ピンキー:2005/12/28(水) 18:11:13 ID:/wAMmL3G
>>351を見たまえ
355名無しさん@ピンキー:2005/12/28(水) 18:28:33 ID:0OPcdlc2
>>354
コラ貴様ア
天才SS書きにくだらん難癖つけんじゃねえ
逝ってよしだ
356名無しさん@ピンキー:2005/12/28(水) 18:35:03 ID:XnV6eYcc
言い訳うざす
357名無しさん@ピンキー:2005/12/28(水) 18:40:33 ID:/wAMmL3G
これで天才になれるならゆかりちゃんの氏は界王神だな
358物書き ◆UsF/eVSscw :2005/12/28(水) 19:18:56 ID:BJgg3sUB
舞台が古いから書式も古くしたのがいけなかったか
>355少し沈黙してくれ・・・
359名無しさん@ピンキー:2005/12/28(水) 19:40:35 ID:4F5uH6Km
出ていけとは言わないが
はげしくうざいとだけは言っておく
まあ、察してくれ
360名無しさん@ピンキー:2005/12/28(水) 20:46:50 ID:f55E6TYZ
>>358
>>353とか情況描写はいいんだけどセリフ入るとメチャメチャになるのが惜しいな。

書きたい気持ちもわかるけどもうちょい推敲した方がいいんじゃないかな。
361物書き ◆UsF/eVSscw :2005/12/28(水) 22:13:53 ID:BJgg3sUB
>>360
しばらく、一言ドラマは封印します・・・・・
362名無しさん@ピンキー:2005/12/28(水) 22:27:10 ID:7keLX+Tu
ようやく平和が訪れたかw
↓から何事も無かったかのように通常進行ヨロシク
363名無しさん@ピンキー:2005/12/28(水) 22:35:00 ID:kNLw6ltn
ぬるぽ
364名無しさん@ピンキー:2005/12/28(水) 22:50:29 ID:O4oWn8GJ
ガッ
でも何かを書きたいのは良いことだよ
しばらくどこかで助言貰いながらってのも
365名無しさん@ピンキー:2005/12/28(水) 22:52:34 ID:7keLX+Tu
ゴミがゴミを同情してもねぇ・・・・・
366名無しさん@ピンキー:2005/12/28(水) 23:37:20 ID:kNLw6ltn
めるぽ
367名無しさん@ピンキー:2005/12/29(木) 01:13:47 ID:Ag+zx81f
力ッ!
368名無しさん@ピンキー:2005/12/29(木) 01:33:48 ID:5Wk5UGIB
折角ネ申があらわれたのにカスどもめ。潰しおって。
気にせずメイドたちの大和超期待↓
369某地上最強の男風に:2005/12/29(木) 01:37:12 ID:llTceaeo




















悪はさった!!!!

















370名無しさん@ピンキー:2005/12/29(木) 04:03:02 ID:cWHykXpM
邪神がいると聞いて飛んできました
371物書き ◆UsF/eVSscw :2005/12/29(木) 16:15:42 ID:WLVWbWaX
大和に対し初めに九九式艦爆兵と九七式艦攻兵が
波状攻撃を仕掛ける、
神州一号作戦旗艦空母「蒼龍」の指令オオスミは
算法の魚雷による停止を
受諾これを修正許可、これに対し大和は、蛇行回避を行い致命傷を避ける
と同時に機関全速で離脱を計ろうとするが回避行動で
想うように船足が上らず、抜け出せずにいた。
「舵右20ヨソロー、止め左35・・・機関逆駆け・・」艦長の指示を受け
操舵手が右へ左へ舵を切り魚雷、爆弾を回避する
「人使いが荒いよ・・・もう」愚痴の一つも零したくなるが、
まだ余裕な様だ
指令室伝令管から
「右舷より新たな敵機出現、近づきます」
と右舷警戒していたメイドから報が来る、
オオスミの狙いはこれだった、第一陣で船速を落とし
第二陣で確実にしとめるという筋書きだ・・・・
372名無しさん@ピンキー:2005/12/29(木) 16:52:19 ID:qjxyvLD0
>>371
少しは空気読めカス
373名無しさん@ピンキー:2005/12/29(木) 17:29:54 ID:KjB+ekga
戦争の話はどうでもええわ
374物書き ◆UsF/eVSscw :2005/12/29(木) 21:42:36 ID:WLVWbWaX
>>372
待つ事を知らんのか、最近の若い者は
、他のモンがSS書き込まんだろ!!
375名無しさん@ピンキー:2005/12/29(木) 21:51:08 ID:Q9xdEMha
お前の所為でな
376名無しさん@ピンキー:2005/12/29(木) 21:54:19 ID:llTceaeo
某スレの地雷職人座薬くせぇな
377物書き ◆UsF/eVSscw :2005/12/29(木) 22:05:11 ID:WLVWbWaX
>>375
責任転換しない、自分で書いてから言え
378名無しさん@ピンキー:2005/12/29(木) 22:06:14 ID:ALgTiNq7
……ワザとやってるんじゃないのか?
379名無しさん@ピンキー:2005/12/29(木) 22:24:03 ID:OcX0Z35a
新手の釣りか。
どちらにしてもうっとおしい
380名無しさん@ピンキー:2005/12/29(木) 22:43:12 ID:Ga/Bte89
>>377
フェチ板にカエレ(・∀・)!!
381名無しさん@ピンキー:2005/12/29(木) 22:48:56 ID:ssz9KEIl
>>377
無責任荒らしはチネ(・∀・)!!
382名無しさん@ピンキー:2005/12/29(木) 23:28:30 ID:vRZUCv2Q
>>377
誰も味方しないからカエレ(・∀・)!!
383名無しさん@ピンキー:2005/12/29(木) 23:41:56 ID:Q9xdEMha
「だ、駄目です…こんなことをしていては……」
とある大富豪宅の子供部屋で、少年に胸を揉まれるメイドが申し訳無さそうに言う。
少年はその言葉に気分を害されたようで顔をしかめる。
「…いいの?お姉さんが居間で一人エッチしてた事ばらしても……」
「それは……」
「嫌だよね。パパ、そんないやらしい人なんかすぐクビにしちゃうから」
どうやら少年は、このメイドを雇っている大富豪の息子らしい。
ある日、いつもより早く帰宅した彼はひょんな事からメイドの弱みを握ったのだ。
「………わかり…ました……」
諦めを含んだメイドの言葉に、少年は嬉しそうな笑みを見せた。

>>377
とりあえず5分でメイドのエロパロ書いたよ。推敲してないから所々おかしいかも。
戦争小説も書こうか?
384名無しさん@ピンキー:2005/12/30(金) 00:01:29 ID:dBWz1k1j
漏れが味方するぞ。
メイドたちの大和を書いてる人はネ申だ。
気にせず思うままに書いてくれ。
385名無しさん@ピンキー:2005/12/30(金) 00:09:17 ID:kdBGP2j9
>気にせず思うままに書いてくれ。
やめてくれ、頼むから

ゆかりの氏が書きにくくなる
386名無しさん@ピンキー:2005/12/30(金) 00:12:29 ID:RQX3nPu1
いや、俺は各作家さんの作品はそれぞれの楽しみがあるからいいと思うんだけど、

>>384
キミうざい。ここはキミのスレじゃないんだから自重したほうが良いよ
387名無しさん@ピンキー:2005/12/30(金) 00:19:43 ID:dBWz1k1j
これ程の才能を潰すことがどれだけ人類にとって惜しいことかわからんのか。
そのためならこのスレがいかに荒れようととるにたらない小さなことに過ぎない。
388名無しさん@ピンキー:2005/12/30(金) 00:20:04 ID:kdBGP2j9
才能なんてねぇよ。
389名無しさん@ピンキー:2005/12/30(金) 01:05:15 ID:+0fJtRLY
その前に本当に21歳超えてるのかしりたい
390名無しさん@ピンキー:2005/12/30(金) 02:54:30 ID:0Pzsi3Md
(´∀`)夏でもないのに香ばしいスレになったもんだ…
391名無しさん@ピンキー:2005/12/30(金) 08:13:32 ID:TPegE8aP
>>390
ヒント:冬休み
392名無しさん@ピンキー:2005/12/30(金) 09:13:31 ID:A963n0hK
>>383
三秒で考え付くよ
誰もが一度そのパターンで
393ネ申を崇める会:2005/12/30(金) 20:19:53 ID:46jVVLNx
メイド達の大和続きまだー?(チンチン
394名無しさん@ピンキー:2005/12/30(金) 21:05:39 ID:noL1qMUh
スマブラのスレも冬厨がいるんだが、今流行ってるのか?
395名無しさん@ピンキー:2005/12/30(金) 21:54:25 ID:dBWz1k1j
メイドたちの大和超期待
396名無しさん@ピンキー:2005/12/30(金) 22:37:47 ID:noL1qMUh
自演UZEEEEE!!
397名無しさん@ピンキー:2005/12/30(金) 22:51:10 ID:dBWz1k1j
自演じゃねえよ
メイドたちの大和書いてる人はネ申だ
そこらのSS書きとは比較にならぬ。
398名無しさん@ピンキー:2005/12/30(金) 22:53:41 ID:noL1qMUh
冬休みの宿題やったか?
399名無しさん@ピンキー:2005/12/30(金) 22:56:12 ID:noL1qMUh
まぁ確かにネ申だな。


ギャグじゃないのに笑えるという点でな
400名無しさん@ピンキー:2005/12/31(土) 00:39:14 ID:4GqDs2lK
ネ申作品であるメイドたちの大和の続き期待してます
401名無しさん@ピンキー:2005/12/31(土) 01:10:43 ID:5SLWWbKd
>>400
初歩の荒らし戦術だね。
もう一人の別人格で、自分を応援するようなカキコをすると、更に効果的だよ。
お疲れさん。
402メイドたちの大和:2005/12/31(土) 01:11:23 ID:4GqDs2lK
書く人さんが来ないので続き書いて見ます。
め「環境は制圧しました」
め2「主砲塔制圧完了」
め3「これで艦内管制は完全に掌握しました」
そのとき突然環境に巫女が乱入した。
巫女「巫女だ・・・おう!」
巫女とメイドのバトルが展開される。
め×3「トライアングルアタアック」
巫女は百のダメージ!
巫女をやっつけた。



403メイドたちの大和:2005/12/31(土) 01:20:58 ID:4GqDs2lK
め「大和だ・・・おう!」
メイドたちが目指す野は帝都東京。
巫女主義の国体を破壊するため東京を艦砲射撃で徹底して破壊しようというのだ。
め2「取り舵一杯よーそろー」
そのとき突然機械化航空兵が現れた。
404厨房増え杉:2005/12/31(土) 01:23:02 ID:7TlAZQtt
アローアロー聞こえますかーーー
メイドさんスレのミナサマ コンニチワーッ アローッ
どうしようもない 狗の餌のくそ冬厨ちゃんもきいてますかぁ?
僕様チャンたちの名前はメイドさんスレ古参兄弟ーーーッ
末っ子の>501でーす 始めましてー よーろーしーくーねー
世間では冬休みの真最中ゥ
オツムの足りない冬厨の皆様を美味しく頂いてまーす

このスレはsage進行だぜ
宿題はすませたか? 歯磨きは? メール欄に「sage」って入れるとsageになるの知ってる?
冬コミの準備に夢中でスレをageる準備はOK?

まぁ 何も考えず無闇にカキコする前に「sage」くらい憶えれば? オススメ
じゃあねーッ みんな愛してるよーッ ブツッ ザッザーッ
405名無しさん@ピンキー:2005/12/31(土) 01:28:24 ID:7TlAZQtt
あ〜あ。
クソ厨房共が増え過ぎたせいでレス番ズレこんじまった。
とりあえずメイドたちの大和支持する厨房共は作者と一緒にまとめてフェチ板逝け。
元のスレもあっちだ。
あんなオナニー駄文無駄に容量喰うだけだから。
406メイドたちの大和:2005/12/31(土) 01:29:42 ID:4GqDs2lK
め3「環爆兵です」
め「対空戦闘用意」
大和の対空機関砲が火を吹く。
環爆兵は百のダメージ。環爆兵をやっつけた。
パラララッパッパー
大和はレベルアップした。
め「クリトリスが3ミリおおきくなった」
407メイドたちの大和:2005/12/31(土) 01:43:52 ID:4GqDs2lK
???「ナニをやっておる。これでは帝都が火の海ではないか」
テリー加藤「もっと女を犯せ女を」
カーク「あんたそんなことをいってると警察捕まるよ」


そのとき突然メイドがあらわれた。
め9「メイドだ・・・おう!」
三人「ナニやってんですか」
め9「πなっぷるよ」
メイドは手榴弾を投げた。
ちゅどーん
三人「ぶべら」
屋敷は布団が吹っ飛んだ。
408メイドたちの大和:2005/12/31(土) 01:54:50 ID:4GqDs2lK
――帝都東京。
東京埠頭に巨漢の漢エイ画あつた。
め2「帝都です」
め「主砲発射用意」
め3「主砲発射用意!」
やがて大和の四十五サンチ砲が火を吹く。
この日帝都は壊滅的だげきを受けたのだった。
409メイドたちの大和:2005/12/31(土) 02:04:00 ID:4GqDs2lK
初めてSSを書いて見ました。
感想下さい根。(^-^)v
最低五百字づめ原稿用紙で二十枚以上の感想でなければなりません。

さてこれからですがミスター味ツ子バーサス中華一番を計画しています。

ちなみに普段は萌えBBSというキモヲタのオナニー掲示板で伯爵というハンドルで
オナニーしています。遊びに来て根(o^-')b

ばいばーい
410名無しさん@ピンキー:2005/12/31(土) 02:18:53 ID:UHwHixc/
最低

悪いんだがつまらん
411メイドたちの大和:2005/12/31(土) 02:36:21 ID:4GqDs2lK
>>410
感想は位置卍以上と書いただろうが、馬鹿
出直して来い
412名無しさん@ピンキー:2005/12/31(土) 03:20:42 ID:7TlAZQtt
>411
黙れリア厨。
言ったよな?
こんなオナニー駄文無駄に容量喰うだけだって。
ゆとり教育でますますDQN化したお前のためにひらがなにしてやろうか。

おまえみたいなくそちゅうぼうは、いきてるかちはないから、さっさとしね。
くそだぶんでようりょうつぶすな。
わかったらすぐにかいせんきってくびつってしね。
かなしむやつなんかいるわけないからあんしんしてしんでいいぞ。
413メイドたちの大和:2005/12/31(土) 03:36:32 ID:4GqDs2lK
僕の大作です。
みなさん感想くださいね。o(^o^)o
それと感想は丁寧な文体でないと受け付けませんのであしからず。
ちなみに伯爵は調教ものしか書けません。












414名無しさん@ピンキー:2005/12/31(土) 04:25:36 ID:LVrq4szY
困ったな……メイドは好きだけどご主人様より旦那様の方が好きなんだが……
415名無しさん@ピンキー:2005/12/31(土) 05:20:21 ID:t2PAUCkk
>>414
仲間発見
416名無しさん@ピンキー:2005/12/31(土) 08:57:10 ID:7TlAZQtt
>>413
感想寄越せって言うなら否定的な意見も聞き入れろよ。
肯定的なのも否定的なのもひっくるめての感想だろうが。
お前が言ってるのは単なるガキの我が儘だ。
厨房どころか消防がする様なだだをこねてるだけだ。
417名無しさん@ピンキー:2005/12/31(土) 09:32:04 ID:MTAprC52
荒らしはスルー、これ基本
418名無しさん@ピンキー:2005/12/31(土) 09:54:09 ID:ZZpzV1G/
ぶっちゃけこのスレには神級に上手い人はいない。
五十歩百歩の世界で、一人を叩けば全体に傷が広がるだけ。つーわけで自縄自縛乙。
419メイド達の大和:2005/12/31(土) 14:25:01 ID:ZV6WgGI7
>>416
乾燥は市卍以上と書いただろうが、カスが
420メイド達の大和:2005/12/31(土) 14:28:17 ID:ZV6WgGI7
好評につき第二段です。ところでfusianasanというものがあると聞いたのですが、何なんでしょうか?
421メイド達の大和:2005/12/31(土) 14:34:44 ID:ZV6WgGI7
め「帝都は壊滅した」
め2「見事なり」
め3「これで巫女どもに壊滅的打撃を与えることができましたな」
め4「捕虜を一人連れてきました」
カーク「カークだ・・・おう!」
め「何の役に立つんだこいつ」
め2「何でも天才的な物書きとか。作戦参謀に取り立てては?」
め3「おい、何かいってみろ」
カーク「巫女はの牙城帝都は壊滅しました。今後は巫女の指揮下にある
帝國海軍空母機動部隊・蒼龍・加賀・赤木・蒼龍を支配下に納めるのがベストと判断します」
め2「上策なり」
め「ではそのようにしましょう」
422名無しさん@ピンキー:2005/12/31(土) 14:37:54 ID:7TlAZQtt
>419-420
カスはお前だ。
こんなオナニークソ駄文に一万字も感想書く労力がもったいない(「いちまんじ」と「かんそう」ってこう書くんだよ。知ってた?クソ厨房)。

ついでに言うと大不評だから続きなんぞイラネ。
423メイド達の大和:2005/12/31(土) 14:45:07 ID:ZV6WgGI7
メイド率いるインヴィンシブル・アルマーダは旗艦大和を中心に呉軍港を目指した。
呉には四隻の空母蒼龍・加賀・赤木・飛龍が停泊しているのである。
め「空母だ・・・おう!」
め2「さていかがいたしますか」
カーク「空母を無傷で手に入れるためにはコマンドによる特殊作戦が有効と判断します」
め3「なるほど、では我が裏メイド2000の中から精鋭を選別しましょう」
裏メイドとはメイド達野中から剣術・忍術に秀でた日本国六十六州の精兵部隊である。
メイドたちはスカートの下にプロパンガスをため込んだ。
メイドのスカートが膨らんでいく。なんと!メイドは空を飛んだ。
め「空中奇襲作戦だ・・・おう!」
め2「我が兵は敵の対空砲撃をかわしながら着陸しています」
め3「裏メイド二千みな四隻の空母に着艦しました」

め9「πなっぷるよ」
蒼龍艦員「ぶべら!」
???「何を屋って折るのだ。艦爆を発信させろ」
め9「πなっぷるよ」
???「だべら」


こうして空母四隻はメイドたちの手に落ちた。
424メイド達の大和:2005/12/31(土) 14:52:42 ID:ZV6WgGI7
こうして空母四隻を支配下に納めたメイド艦隊は名実ともに日本国を制圧したも同然だった。
め「さて次は何をいたそう」
め2「おい、何か言って見ろ」
カーク「ここは巫女たちの最後の牙城・巫女ヶ島を攻略するのが上策と存じます」
テリー加藤「巫女ヶ島とは日本国を牛耳る巫女が最後の拠点として設けた要塞島である」
め3「空母四隻の艦爆兵も我々に従うそうです」

一方、巫女ヶ島

???「メイドどもめ。だがこの要塞がある限りびくともせぬぞ」
テリー加藤「もっと女を犯せ、女を」
カーク「あんたそんなこと言ってると警察捕まるよ」

今メイドたちと巫女の最後の決戦が始まろうとしていた・・・
425メイド達の大和:2005/12/31(土) 15:02:48 ID:ZV6WgGI7
巫女ヶ島南方海域――
カーク「巫女ヶ島は目前です」
め「やっちゃえやっちぇ!」
め2「我々の武力の前に取るに足らぬ存在だ」
め3「余裕余裕なり」
カーク「侮ってはなりません」
ト突然立ち上がるカーク。大声でまくし立てる。
カーク「巫女ヶ島にはメイドの天敵・恐るべき対抗部隊が存在しています」
め「何だその天敵とは」
カーク「ご主人さま部隊です」
ご主人さま部隊とはメイドの本能を刺激して屈服させる恐るべき部隊である。
め「何か策はないのか」
カーク「真面目に敵に付き合う義理はありません。『実を避けて虚を撃つ』
艦爆兵で片づけてしまいましょう」

五百期の艦爆兵が飛び立ち、巫女ヶ島に空爆をぶちあてた。
???「しまったああああああ!」
め9「πなっぷるよ」
???「ぶばら」

こうしてメイドによって巫女ヶ島は壊滅した。
426メイド達の大和:2005/12/31(土) 15:09:09 ID:ZV6WgGI7
生まれて二回目にSSを書いて見ました。
感想下さい根。(^-^)v
最低五百字づめ原稿用紙で二十枚以上の感想でなければなりません。

さてこれからですがミスター味ツ子バーサス中華一番を計画しています。

ちなみに普段は萌えBBSというキモヲタのオナニー掲示板で伯爵というハンドルで
オナニーしています。遊びに来て根(o^-')b

ばいばーい
427名無しさん@ピンキー:2005/12/31(土) 15:12:15 ID:vkumP30X
クズ
くっさい駄文であげるな
428メイド達の大和:2005/12/31(土) 15:17:18 ID:ZV6WgGI7
>>427
観相は@万治以上と書いただろうが、カスが
殺すぞ
429名無しさん@ピンキー:2005/12/31(土) 15:49:46 ID:Bo7uUrUg
スレが汚れた
430名無しさん@ピンキー:2005/12/31(土) 15:52:39 ID:Bo7uUrUg
まあ、他の作品の投下まで、いや自分も何か考えてみるかな・・(´・ω・`)
431メイドたちの大和:2005/12/31(土) 16:06:51 ID:4GqDs2lK
僕の大作に乾燥くださいねd(^O^)b
432名無しさん@ピンキー:2005/12/31(土) 16:24:32 ID:7TlAZQtt
>>428
「感想」や「字」すらロクにわからない上、語尾すら間違っている日本語わからないDQN厨房にカス呼ばわりされる筋合いは>427に無い。
むしろ真のカスはお前。
SS書き名乗るならこういう批判も聞き入れろと言ってるだろうが。
感想に条件なんぞ設けるなら感想を求めるな。
さらに言うなら、本当に上手いSS職人は自分から感想を求めるなんて野暮な事はほとんどしない。
本当に上手い職人には勝手に感想レスが付く。
それも敬意を払った口調でな。
それが無いお前は三流以下だと思え。
433メイド達の大和:2005/12/31(土) 17:14:22 ID:8X/xn38W
大好評につき続編です(^O^)
434メイド達の大和:2005/12/31(土) 17:24:51 ID:8X/xn38W
メイド達の手によって帝国海軍の空母蒼龍・加賀・赤木・飛龍は手中に収められ、
旗艦大和を中心にメイドによるインヴィンシブル・アルマーダが結成された。
まさにメイドの春が来ようとしているかに思われた。
だが――
カーク「くっくっく・・・」
巫女屋敷より連れ出され、メイド達の捕虜となり、やがては作戦参謀となったカーク。
彼には隠された野望があった。
カーク「メイド達は今油断している。その隙をついてメイド達を陵辱し、メス豚奴隷に変えてやる。
そうして俺がメイドたちのご主人さまとなるのだ」
カークはめ9を調教した。
め9はもはやただのメス豚奴隷だ。
め9「ああん、カークさま私のまんこにちんぽいれてそして精子口の中に出してください」
カーク「ご主人さまだ・・・おう!」
カークは有頂天だ。
カーク「これからめ1め2め3をも調教して俺が無敵艦隊を乗っ取る」

メイドたちの運命やいかに!?
435メイド達の大和:2005/12/31(土) 17:33:46 ID:8X/xn38W
め1「もはやメイドの天下だな、はっはっは」
め2「日本国内の巫女ははこれで壊滅しました」
め3「もはや我らに逆らうものなどあるまーに」
ト;そこにカークが現れる。
カーク「天地に窮まりなきメイドの方々。ジャスミンティーを持ってきました」
め1「おうわれ気がきくのうカーク」
め2「てぃータイムじゃ」
め3「飲もう飲もう」
カークは三人にお茶を勧める。
ちなみに三人の名前はめ1が鈴木燐花、め2が桜木萌花、め3が大木洋花である。
カークが差し出したお茶の中には気持ちよくなる薬が入っていた
カーク(これで三人は俺のメス豚奴隷だ)
め1「あれ」
め2「体が熱い」
め3「チンポ欲しい」
カーク「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン!!」
ト;飛び出すカーク
カーク「おまえ等おれのメス豚奴隷になるのだ」
め×3「なんだってー(AA略」
ト;メイドたちは目がすわっている」
436メイド達の大和:2005/12/31(土) 17:40:52 ID:8X/xn38W
め1「ざけんじゃねーよ」
ト;回し蹴りを喰らわすめ1
カーク「ぶべらば」
め2「チンポよこせ」
め3「チンポチンポ」
ト;メイド達はカークを組み敷いて女性上位で次々と犯した。
ズッニュー
もはやカークはオス豚奴隷だ!
カーク「ああ、メイド様もっと僕のチンポしゃぶってそれからアナルを調教してください」
ズッニュー
め2「もっと腰を振るんだよ」
め3「チンポに固さがズッニュー足りないわ。もっとズッニューしなさい」
ズッニューズッニューズッニュー
もはやカークはオス豚奴隷だあ!
そのとき巫女の生き残りが乱入した。
「巫女だ・・・おう!」
437メイド達の大和:2005/12/31(土) 17:47:34 ID:8X/xn38W
め1「バトルフォーメーション!!」
め1め2め3がポーズを取った。すると、なんと!
三人のメードは合体し巨大ロボットになった。
巨大ロボットの得意技は電波である。ロボットは毒電波を飛ばした。
巫女「ぶべら」
カーク「ぶべら」
巫女をやっつけた。メイド達に100の経験値。
め1「ふっ、たわいもない」
め2「我らに刃向かおうとは愚かな」
め3「それでこいつどうする」
床にはひくひく痙攣しているカーク。
め1「こいつはこれまで通り作戦参謀として使おう」

Z端掲げよ二位高山上れ

メイド達はいよいよ巨悪に挑もうとする

続く
438メイド達の大和:2005/12/31(土) 17:49:48 ID:8X/xn38W
生まれてV回目にSSを書いて見ました。
感想下さい根。(^-^)v
最低五百字づめ原稿用紙で二十枚以上の感想でなければなりません。

さてこれからですがミスター味ツ子バーサス中華一番を計画しています。

ところでfusianasan というものがあるとい聞いたのですが。
何でもアイピー抜きを防ぐシステムのようです。アイピー抜きが怖いので、
誰か装着方法教えて下さい。ではでは
439名無しさん@ピンキー:2005/12/31(土) 17:55:17 ID:LVrq4szY
空気読まないで聞くけどさ、旦那様とメイドの関係は主従関係のみがいいのか、それとも主従関係を超えて引かれあうのがいいのか……その辺どうなのよ
440メイド達の大和:2005/12/31(土) 17:58:31 ID:8X/xn38W
>>439
こらてめえカス
観相化かねぇかヴォケ
殺すぞ!
いいか、位置卍だ一文字でも足りなければ手足切り落としてキムチづけにして韓国送還してやる!覚悟しな
441名無しさん@ピンキー:2005/12/31(土) 18:17:31 ID:7TlAZQtt
>439
後者の方が物語を広げやすいと思う。よって後者。

>440
ヒント:ウザイからスルーされている
442メイド達の大和:2005/12/31(土) 18:20:49 ID:8X/xn38W
>>441
こらてめえカス
観相化かねぇかヴォケ
殺すぞ!
いいか、位置卍だ一文字でも足りなければ手足切り落としてキムチづけにして韓国送還してやる!覚悟しな
443メイド達の大和:2005/12/31(土) 18:21:43 ID:8X/xn38W
この磨れの住人は皆僕に観相を書く義務があります。
乾燥を書かないクズには生きている価値もありません。
444名無しさん@ピンキー:2005/12/31(土) 18:55:53 ID:7TlAZQtt
「荒らしはスルー」のルールを忘れていたな。
「メイド達の大和」は立派な粘着荒らしだからスルーしよう。
俺もこれからはこのバカを徹底的にスルーするよ。
皆もそうしよう。
445メイドたちの大和:2005/12/31(土) 19:06:03 ID:4GqDs2lK
>>444
SSもかけないカスが必死だな
大口叩く前にSSの一本も書いてみろや
出来ねーんだろうチンカス野郎
446名無しさん@ピンキー:2005/12/31(土) 19:29:03 ID:m0vLg6eK
7TlAZQtt←
必死になって叩いてるのは君だけだね。友達いないの?
読めるレベルのSS書けるようになってからおいで。
荒らしといいながら荒らしの相手するしかのうがないバカは死んでいいよ。
447名無しさん@ピンキー:2005/12/31(土) 19:35:17 ID:OslT1qFb
>>446
確かに他の人はちゃんとスルーしてるよな。
448名無しさん@ピンキー:2005/12/31(土) 19:35:31 ID:3lkscYDa
>>444
うーん
ざっとみると
いい線いってるんじゃないの。君の荒らし対策。
よく頑張ってるね。(同レベルで)
449物書き ◆UsF/eVSscw :2005/12/31(土) 19:46:22 ID:RMU1oXSp
御免、もう書かないよ此処で
エロパロの実力が判っただけで収穫です
>>445、皆さん
サヨウナラ、


PS;助言、感想くれた皆さん有難う
450名無しさん@ピンキー:2005/12/31(土) 19:51:29 ID:Bo7uUrUg
やあ。(´・ω・`)
俺も書くかもわからんね
書いてほしいシチュエーションでも
聞こうかな・・・簡単なのでも構わんです
すみません、いや、謝ってみただけです・・
451名無しさん@ピンキー:2005/12/31(土) 20:12:26 ID:4GqDs2lK
>>449
そんな悲しいこというなよ。
君のSSはネ申だ。是非続き書いて呉。
452名無しさん@ピンキー:2005/12/31(土) 20:14:50 ID:6vceuU1m
>>449
最後に>>451に釣りだってちゃんと教えてやってくれ
453名無しさん@ピンキー:2005/12/31(土) 20:36:16 ID:AerVCHK0
IDが赤いレス3個を透明あぼーんした。
一気にすっきりした。
454メイドたちの大和:2005/12/31(土) 23:34:28 ID:4GqDs2lK
僕の大作に感想くださいねd(^-^)
455名無しさん@ピンキー:2006/01/01(日) 00:50:17 ID:TElr9KhF
>454
いい加減に諦めたら?
肯定的な意見より否定的な意見の方が圧倒的に多いんだし。
誰でも引き際は肝心だよ。
456 【1234円】 :2006/01/01(日) 00:51:06 ID:MI1cy0Db
うちのメイドに配るお年玉の金額。
457名無しさん@ピンキー:2006/01/01(日) 00:53:55 ID:THlVqViG
>>454
こんなメイドさんはいやだけど萌える!!その8
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/feti/1128374269/l50
こっちに帰れクソ野郎
頃すぞ?
458名無しさん@ピンキー:2006/01/01(日) 00:55:39 ID:zeRxgBHT
>>457
餌くれてどうすんの…
報知法治
459メイド達の大和 fi-202231173-49.urban.ne.jp:2006/01/01(日) 02:51:46 ID:2EoNwRdV
め1「日本帝國乗っ取りは成功した。次には何を為すべきか」
め2「おい、何とかいえ」
カーク「は・・・確かに日本国は我らメイドが制圧しました。
ですが世界の趨勢は巫女にあります。巫女大国アメリカの侵攻を防ぐため
沖縄を皇国の要塞として強化するべきです」
め3「ふうむ、なるほどのう・・・」
こうして旗艦大和を中心とするインヴィンシブル・アルマーダは沖縄に向かった。

うちなー巫女「わんなちぇるくぬをメイドに渡してたまるか」

沖縄には本土と違って巫女の精力が残っていた。
彼女たちは島の各地に塹壕を掘って潜んでいた。

め1「まずは沖縄の掃除をせねばならんな、おいどうするか」
カーク「まず艦爆兵で痛めつけ、その後メイド陸軍の上陸作戦を開始しましょう」

メイド艦隊は徹底的な艦砲射撃を行った。
それは地形が変わるほど激しいものであった。
その後裏メイド二千を載せた輸送船が本島南部に現れる。
それにつられて防御拠点を島南部に移す沖縄巫女たち。
だが、これはカーク参謀の陽動作戦であった。
メイド陸軍主力は島の中央部に上陸。
巫女守備軍を分断すると、圧倒的な物量で巫女達を制圧していった。
460メイド達の大和:2006/01/01(日) 03:00:30 ID:2EoNwRdV
め9「πなっぷるよ」
巫女「ぶべら」
こうして沖縄はメイドの手に落ちた。
メイド達は沖縄を要塞島に変えてしまった。
無数のトーチかがたてられ、蛸壺と塹壕で島は地下都市へと変貌した。
そこにメイド陸軍の精兵二十万が篭もった。
さらにはメイド無敵艦隊の存在がある。もはやメイドたちにかなうものはないかと思われた。
め1「おい、ところでカーク。昨今の世界情勢をどう読む」
カーク「はい。擬人化を進める我が友邦ドイツは巫女革命によって巫女かした
巫女連と戦争状態にありますが、宣教は芳しくなく、先のクルスク会戦で壊滅的な打撃を受けました」
カークは言葉を続ける。
カーク「ドイツの首都ニューベルリンが陥落するのは来年のことでしょう。
そうすれば今度は北から巫女連が、東からアメリカが攻めてくることになります」
め2「ふむ、それで」
カーク「腹背に敵を受けては勝ち目はありません。そこで片方を先手を打って潰してしまうのです。
ここひ一つ巫女連海軍の拠点である『東方を征服せよ』を機動部隊による空襲で壊滅させてしまいましょう」
461メイド達の大和:2006/01/01(日) 03:06:34 ID:2EoNwRdV
め1「なるほど。では神州一号作戦を起動する」
神州一号作戦とはこのようなものであった。
まず機動部隊の奇襲によりウラジヴォストークに停泊する艦船
及び痴情施設に壊滅的に打撃を与える。
その後裏メイド二千による空挺作戦で同市を完全に制圧する。
これで巫女連は完全に海軍力を失うはずであった。
果たして作戦は成功した。(描写がめんどいので略)
テリー加藤「もっと女を犯せ女を」
ウラジヴォストークはもはやメイドのオス豚奴隷だ!
そのよメイド達による祝宴が行われた。
め2「チンポよこせ」
め3「チンポチンポ」
ト;メイド達はカークを組み敷いて女性上位で次々と犯した。
ズッニュー
もはやカークはオス豚奴隷だ!
カーク「ああ、メイド様もっと僕のチンポしゃぶってそれからアナルを調教してください」
ズッニュー
め2「もっと腰を振るんだよ」
め3「チンポに固さがズッニュー足りないわ。もっとズッニューしなさい」
ズッニューズッニューズッニュー
もはやカークはオス豚奴隷だあ!

め1「次は真珠湾を襲う!」

続く
462メイド達の大和:2006/01/01(日) 03:07:18 ID:2EoNwRdV
生まれて4回目にSSを書いて見ました。
感想下さい根。(^-^)v
最低五百字づめ原稿用紙で二十枚以上の感想でなければなりません。

さてこれからですがミスター味ツ子バーサス中華一番を計画しています。

ちなみに普段は萌えBBSというキモヲタのオナニー掲示板で伯爵というハンドルで
オナニーしています。遊びに来て根(o^-')b

ばいばーい
463名無しさん@ピンキー:2006/01/01(日) 03:13:38 ID:rI5MoeWC
メイドはどこからくるの?
464名無しさん@ピンキー:2006/01/01(日) 03:29:53 ID:gPX9+GyF
>>463
コラあ乾燥一卍かかんかカスが
くびり殺すぞ
465名無しさん@ピンキー:2006/01/01(日) 03:31:07 ID:rI5MoeWC
GJ
466名無しさん@ピンキー:2006/01/01(日) 03:46:15 ID:rI5MoeWC
満足?
467名無しさん@ピンキー:2006/01/01(日) 03:54:34 ID:6uy8tqy9
ごめん。スルーしきれない。一回だけ許してくれ。

>「メイド達の大和」という屑文章を書いている屑野郎
アメリカからの侵攻を防ぐのに、何で沖縄なんだよ。まるっきり逆方向だろ。
中国はやったのか?それとも大陸が丸々米国領土か?なら勝てるはず無い。
そのうえアメリカはキリスト教の国。ここで言う巫女なんかいない。

戦闘部分だって太平洋戦争の沖縄戦の下手糞な改変だろ。タコが。屑め。
日本軍を巫女、アメリカ軍をメイドに変えただけの糞文章。
そして塹壕と蛸壺じゃ地下都市なんかまず作れない。どっちも半地下施設だから。
もっと言えば空母四隻と戦艦一隻の弱小艦隊じゃ、潜水艦にやられるのがオチ。
そもそも一艦隊で国を取れるか。アホが。空母4隻とろうが、他にもごっそり軍艦があるんだ。
それに地上には対空砲があるし、戦闘機で構成された防空部隊だって居る。
爆撃機だけでどうにかなるもんじゃない。艦上爆撃機程度なら防空壕で十分に防げるし。
あと、艦上爆撃機ばっかりを飛ばしすぎ。被害ゼロで帰れるわけが無いし、爆弾だって足りなくなる。
ごく普通に考えても、何機か護衛の戦闘機が必要。爆撃機だけじゃ全機撃墜でおしまい。

そもそも、日本を占領してどうするつもりだ?貴様の文を読む限り、全く意味が無い。
占領直後の不安定な状態を狙われてどっかの国に再占領される。それでおしまい。

こんな屑文章を見たのは、小学校で無理やり書かされた作文以来だ。
これで聞いてくれなかったら、俺は諦めてもう読まないことにするよ。
468名無しさん@ピンキー:2006/01/01(日) 07:21:21 ID:THlVqViG
>>464
ネット上の駄目なエロSS 第五章
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1122722360/l50
469名無しさん@ピンキー:2006/01/01(日) 10:25:07 ID:TElr9KhF
>467
あんたにGJ
470メイド達の大和:2006/01/01(日) 13:18:27 ID:4jbaKch5
>>465
レス有り難うございますね(^。^)
>>467
公ラア感想レスは位置卍以上と書いただろうが、カスが
ばればれなんだよ7TlAZQtt
てめえくびり殺すぞクラアちんかす野郎が
471メイド達の大和:2006/01/01(日) 13:25:36 ID:4jbaKch5
大好評につき続きです(^O^)

め1「さて・・・真珠湾を襲おうと思うがどう思う」
カーク「危険な賭です」
ト;カークはいつになく真剣な面持ちだ。
カーク「我が艦隊の兵力は大和を中心に準用戦艦や駆逐艦など、
空母も含めて充実していますが、アメリカ軍をあいてにすれば、
なるほど、最初の一二年は存分に暴れられるでしょうが、後が続きません。
週刊エセックスの大軍に押されるのが関の山です。
そのために沖縄を要塞かしたのですが・・・」
め2「では、どうすれという」
カーク「そもそも、アメリカではシスターが優勢でしたが、
大恐慌の後の巫女はの暗躍によって巫女の乗っ取る國になりました。
その秘密を究明すべきです」
め3「ふうむ・・・巫女の秘密のう」
472メイド達の大和:2006/01/01(日) 13:31:37 ID:4jbaKch5
カークたちは巫女の秘密を解明すべく、
捕虜にした巫女を一人連れてきた。
巫女「巫女だ!・・・おう」
め1「頭が高いんだよ、ボケ」
巫女「ぶべら」
ト;頭に回し蹴りを喰らってぶっとぶ巫女。
め2「さて、こいつを陵辱しな」
カーク「まかせてください」
ト;カークは巫女に気持ちよくなる薬を塗った。もはや巫女はただのメス豚奴隷だ!
巫女「ああん、カーク様私のまんこにちんぽいれてそれからあなるも舐めてください」
カーク「ほれほれ、チンポだしゃぶれ」
巫女「ああ、チンポほしいチンポチンポ」
ト;こうしてカークは巫女を調教することに成功した。もはや巫女はただのメス豚奴隷だあ!
め3「それで巫女の秘密とは」
カーク「いやあ・・・それがよく分かりません」
め×3「死ねよ」
カーク「ぶべら!!」
473メイド達の大和:2006/01/01(日) 13:36:51 ID:4jbaKch5
カーク「ま、待って下さい。巫女の秘密が分かりました」
め1「何だそ秘密とは」
カーク「巫女は腋が弱いんです。ここを愛撫されるとたちまち腰くだけになってしまいます」
め2「ほう」
め3「我々メイドがご主人さまに弱いようなものか」
カーク「これを利用して戦えば百戦危うからずです」
巫女「チンポチンポ!」
め1「・・・それでこいつどうする?」
カーク「食肉用にしては如何でしょう」
ト;巫女を挽肉製造器の前に連れて行く一同。巫女をその中に突き飛ばす。
巫女「ひゃぎゃああああ!チンポみるくぅううううううう!!」
め2「それじゃ、食事にするか」
め3「ハンバーグだ!・・・おう」
ト;腹が減っては戦にならぬ。こうして一同ははらごしなえをした。
474メイド達の大和:2006/01/01(日) 13:43:36 ID:4jbaKch5
め1「意外と旨かったな」
め2「まったりとしてこってりとして・・・」
カーク「この際提案します。我々日本国は巫女を食用にする國にしては如何でしょうか」
め3「なるほど。戦闘と食事を一緒にするのだな」
カーク「はい、医食同源です」
め1「いや、違うだろ、それは・・・」
ト;こうしてメイド達は巫女を食用にすることに決めた。
戦艦大和は肉樹園と改名され、メイドたちの胃袋を満たすことになった。
これには世界の巫女はの國が激怒した。
北の巫女連は海軍力を喪失したため何も出来ぬが、
日本を倒すと公言し、不可侵条約の延期取り消しを発表した。
アメリカはメディアを通じて「メイド日本の野蛮」を宣伝して国民を煽った。
はたしてメイドたちの運命やいかに!?
475メイド達の大和:2006/01/01(日) 13:44:07 ID:4jbaKch5
生まれて5回目にSSを書いて見ました。
感想下さい根。(^-^)v
最低五百字づめ原稿用紙で二十枚以上の感想でなければなりません。

さてこれからですがミスター味ツ子バーサス中華一番を計画しています。

ちなみに普段は萌えBBSというキモヲタのオナニー掲示板で伯爵というハンドルで
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ばいばーい
476名無しさん@ピンキー:2006/01/01(日) 15:10:02 ID:DP0pd5Xg
アメリカはボストン茶会事件で負けて、神道を強制されたんだよ! ……('A`)多分

まあともあれ、>>467氏に (・∀・)> 敬礼!
477メイドたちの大和:2006/01/01(日) 15:16:55 ID:gPX9+GyF
>>476
乾燥は位置卍かかんかカス
殺すぞ
478名無しさん@ピンキー:2006/01/01(日) 17:04:14 ID:rI5MoeWC
IDくらい確認したほうがいいよ
479このスレの>>1:2006/01/01(日) 18:05:40 ID:1HFrTFdZ
存在すら忘れてて、ふと見つけて懐かしさに駆られるままに来てみた。


ず、随分とまた、凄いことにww
480名無しさん@ピンキー:2006/01/01(日) 19:22:05 ID:fU7kkm8e
……また変なのが寄ってきちゃったなあ。
481名無しさん@ピンキー:2006/01/01(日) 20:38:52 ID:dhI0XzXq
いきなり氏ねって、どういう事ですか?君には社会の常識がないのですか?
普通は、『あのう、すいませんけれども氏んでくれませんか?』とか
『あなたはには、氏ぬという選択肢もありますよ』とか言うものですよ、
あなたみたいに最初から喧嘩腰だと、
言われた方は『じゃぁ氏んでみようかな』とかいう気持ちがなくなるものです。
まずは、親切丁寧に人に氏んでと頼むべきだと思いますよ。
そこから、人の輪と協調が生まれ、『よーし氏んでみるか』とか
という気持ちが生まれるわけです。

482名無しさん@ピンキー:2006/01/01(日) 20:44:37 ID:umxF96SA
>>479が本物の>>1だとしたら、これはこれで物凄く痛いな…
とうとうコピペ荒らしも出てきたみたいだし
かつてこの板にメイドエロSSの大御所スレがあったことすら知らない奴も多いんだろうな。
483名無しさん@ピンキー:2006/01/01(日) 20:56:46 ID:dhI0XzXq
うはwwwwこれ有名なものだったのかwwww

コピペ大辞典で見つけたのを思うがままに>>477にぶつけてみただけだったんだが
484名無しさん@ピンキー:2006/01/01(日) 21:33:43 ID:rI5MoeWC

たとえ>>1だろうがなかろうが
>>1とか名乗るヤツはいたいと思う
485メイド達の大和:2006/01/01(日) 22:08:50 ID:MeU19CqX
大好評につき続きです(^O^)
Z旗掲げよ新高山上れ!!

ナレーション;呉軍港を厳かに出向する艦影があった。
正面には巨大な菊の御紋。帝國が誇る戦艦大和だ。
あとに様々な艦がつづき、中には空母の艦影もある。
闇の中、大艦隊(アルマーダ)は粛々と海を渡った。

翌日;午前中
飴公1「What!?」
ナレーション;上空には無数の航空機が飛来していた。
メイド艦隊である。
メイド艦隊の艦爆艦攻兵はアメリカ空母を襲う。
戦艦には特殊部隊・裏メイド2000が飛来して艦内を制圧した。
飴公1「The housemaids fall from the sky!!」

この日アメリカ軍は空母四隻を喪失。
同時に戦艦四隻を乗っ取られた。ハワイ島及びミッドウェー諸島はメイド陸軍に制圧され、
日の丸がはためくこととなった。
486名無しさん@ピンキー:2006/01/01(日) 22:11:50 ID:dhI0XzXq
割り込み
487メイド達の大和:2006/01/01(日) 22:13:27 ID:MeU19CqX
め1「ほっほっほ」
め2「大勝利でおじゃる」
め3「めでたや」
カーク「喜んでいる場合ではありません」
め1「なぜじゃ、P−41が泡を食って上がってきたが、皆ゼロ戦化擬人兵が撃退したぞよ」
め2「左様、我が艦隊は無敵じゃ」
カーク「皆さん勝利に酔っているようですが、アメリカの工業力を侮ってはなりません。
彼らの工業生産力は我が国の十倍あります。たとえ今やアメリカ艦隊がカリブ海まで後退したといえど、油断は出来ません」
め1「ではどうすればいい」
カーク「我らには戦略目標が二つあります。
ト;カーク参謀は続けた。
488名無しさん@ピンキー:2006/01/01(日) 22:14:35 ID:dhI0XzXq
オメガツマラナスwwwww
489メイド達の大和:2006/01/01(日) 22:21:28 ID:MeU19CqX
カーク「まず第一の戦略目標はパナマ運河の破壊。
第二目標はロスアラモスで製造中の原爆の奪取作戦です」
め1「ふうむ」
め2「なるほど」
め3「ほほう」
ト;順々に頷くメイドたち。そこへ伝令が入る。
め9「大変です。姿を消していた米空母エンタープライズが襲ってきました」
め×3「なんだってー(AA略」
ナレーション;エンタープライズは難をのがれ、ハワイ近海にいた。
復讐の怒りを胸に秘め、擬人化急降下爆撃兵を大量に発進させた。
め1「擬人化航空兵発進!」
ナレーション;無数のドーントレス航空兵が急降下してくる。
そこをメイドゼロ戦がすんでのところで撃墜する。
逆にエンタープライズは撃沈されてしまった。
め1「ふう、危ない危ない」
め2「大量の巫女が捕虜になりました」
め3「今日はもつ鍋だな」
ナレーション;巫女の腹を割いて大腸をつかみ出すメイドたち。
今夜は祝宴となった。だが、彼女たちはまだこの戦いの恐ろしさを知ってはいない。

続く
490メイド達の大和:2006/01/01(日) 22:22:02 ID:MeU19CqX
生まれて6回目にSSを書いて見ました。
感想下さい根。(^-^)v
最低五百字づめ原稿用紙で二十枚以上の感想でなければなりません。

さてこれからですがミスター味ツ子バーサス中華一番を計画しています。

ちなみに普段は萌えBBSというキモヲタのオナニー掲示板で伯爵というハンドルで
オナニーしています。遊びに来て根(o^-')b

ばいばーい
491名無しさん@ピンキー:2006/01/01(日) 22:25:47 ID:dhI0XzXq
>>490
テンプレ乙
492物書き ◆UsF/eVSscw :2006/01/01(日) 22:39:55 ID:mxPvFunW
490・・・俺が言うのもなんだが、程程にな
493名無しさん@ピンキー:2006/01/01(日) 22:51:26 ID:OZ7mKskV
age
494名無しさん@ピンキー:2006/01/01(日) 22:53:21 ID:dhI0XzXq
本物にも呆れられている話。
495名無しさん@ピンキー:2006/01/01(日) 23:31:59 ID:mRGdBBWc
こんなメイドさんはいやだけど萌える!!その8
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/feti/1128374269/l50


555 名前:名無しさん@ピンキー 投稿日:2005/12/25(日) 21:39:30 TZIlan6N0
小説書くのも好きだし得意だけど、別スレでやりません?

……と言ってみるメイドさん


556 名前:名無しさん@ピンキー 投稿日:2005/12/25(日) 23:36:03 7zXpuGRE0
>>555
メイドたちの小説で立てますか?


557 名前:名無しさん@ピンキー 投稿日:2005/12/26(月) 00:00:34 ZpCJLYT1O
エロパロスレになかったか?


558 名前:名無しさん@ピンキー 投稿日:2005/12/26(月) 00:07:01 nyrOebvx0
すかさず誘導するメイドさん

【ご主人様と】メイドさんでエロパロ【呼ばれたい】
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1116429800/l50

↑で誘導されたばっかりにw
スレ住人にはご愁傷様なことだなwwww
ばぁかwwww
496名無しさん@ピンキー:2006/01/02(月) 00:47:14 ID:vHt2ImYw
>>492
神さま続き書いて下さい。
お願いします。
497名無しさん@ピンキー:2006/01/02(月) 01:06:32 ID:yTCw6LRh
   r ‐、
   | ○ |         r‐‐、
  _,;ト - イ、      ∧l☆│∧  良い子の住民諸君!
(⌒`    ⌒ヽ   /,、,,ト.-イ/,、 l   最近の人工無能はSSを書くまでに進化したらしいぞW
 |ヽ  ~~⌒γ⌒) r'⌒ `!´ `⌒)   
│ ヽー―'^ー-' ( ⌒γ⌒~~ /|  こんな便利な世の中なら
│  〉    |│  |`ー^ー― r' |            不便な世の中の方が1000倍マシだな
│ /───| |  |/ |  l  ト、 |
|  irー-、 ー ,} |    /     i    科学の進歩は必ずしも人を幸せに
| /   `X´ ヽ    /   入  |                 するとは限らないって事だな
498名無しさん@ピンキー:2006/01/02(月) 02:38:05 ID:7E1R6h/w
>>497
考え方と使い方人思う所違うが如し
要するに十人十色、否定はしない
499メイドたちの大和:2006/01/02(月) 02:55:50 ID:vHt2ImYw
僕の大作に感想くださいねd(^O^)b
500名無しさん@ピンキー:2006/01/02(月) 03:30:12 ID:ST+uiulT
>>497
☆「科学の進歩は必ずしも人を幸せにするとは限らないって事だな」
主「そうかなあ。まあ☆君の言うことも一理あるけどね。なんか違うと――あ、百合さーん」
 メイドを呼び止める主人。すこし困った表情をしながら答えるのは百合と呼ばれたメイド。
百「なんでございましょう、旦那様」
主「お茶のおかわりを持ってきて貰えますか?」
百「かしこまりました。――それと、申し上げにくいのですが」
主「なんですか?」
百「百合、と呼び捨てにしてください、とお願い申し上げた筈ですが。
  それと、命令する際には「持ってきなさい」と言って下すって構いません」
 整った顔に固い表情を浮かべたまま、百合はそう言った。
主「百合さんは固いなあ」
百「それが主従というものです」
主「・・・あ、そうだ。百合さん、ちょっと手を貸してくれる?」
百「なんでしょう? こうですか?」
 いぶかしげに両手を差し出す百合。
 それをぎゅ、っと両手で握る主人。
 途端に百合の顔が真っ赤になる。
百「なッ、なッ、な、ナニを、な、なさるのですかっ!」
 百合はどもりながら目を白黒させて叫ぶ。でも、どういうわけか
 その手を振り払ったりはしない。どこかしら嬉しそうな色がその表情の中にはある。
主「☆君、百合さんのこの手なんだけどね、先月まではあかぎれだらけだったんだ」
☆「ほう」
主「でも、今はこんなにスベスベなんだよね」
☆「どうしてだい?」
主「この家に給湯器を入れたんだよ。瓦斯を燃やしてお湯を作るカラクリさ」
☆「冬場の水仕事はきついからねえ」
主「女の子の手がこんなふうにスベスベにできるなら」
 そう言って百合の手を頬に当てる主人。百合は上気した顔で自分の手に頬ずりしている
 主人を見つめている。
主「どんな科学の害毒だって我慢できると思うんだ、僕は」




・・・・・・メイドさんを蕩かしたまま終わる。
501名無しさん@ピンキー:2006/01/02(月) 05:54:26 ID:RbDdvyVY
>>500
GJ
502名無しさん@ピンキー:2006/01/02(月) 12:36:45 ID:vHt2ImYw
僕の大作に感想くださいねo(^o^)o
503名無しさん@ピンキー:2006/01/02(月) 15:29:47 ID:XVvgtdke
>>500
最初から旦那様にラブラブなメイドも良いけど、
こういうのも悪くない。むしろイイ!
GJ!
504名無しさん@ピンキー:2006/01/02(月) 15:44:47 ID:0EKIEyWq
>>500
久々に良いもん見た。GJ
505名無しさん@ピンキー:2006/01/02(月) 17:19:32 ID:ykUvzy61
>>500
何故脳裏に京極堂が浮かぶ……。
それはともかくGJ!
506名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 00:01:16 ID:wAw0Vyr8
あー・・・黙っていたほうがいいんだろうが、
大和とか言う半端な軍事知識で書き込んでいる輩に鉄槌を。
まず第一に、大和の主砲は46cmだ。聞いてるか>そこの四十五と書いた阿呆。
次に、ハワイ攻略と諸々だが・・・・P-41は無いぞ。
時期的に、あの時点の真珠湾にいるのはレキシントンとエンタープライズだ。
他の空母は東海岸と大西洋にいるんだよ阿呆。
それにエンタープライズにやられそうになった時のシーンだが・・・
擬人化して性能が上がっていたとしても零戦は零戦。無理。
しかも急降下し始めた無数の爆撃機。殲滅は無理。急降下速度出されると低速のゼロ戦に迎撃は無理。
されに、あの頃の日本空母の対空砲火はお世辞にも良好とはいえない。寧ろ悪い。
それで無数のドーントレスは撃墜不可。撃沈される。
ついでに。週刊エセックス?それは護衛空母だ。
わざとなのか半端な軍事知識しか持っていないのか・・・阿呆が。

最後に、流れとは関係ない書き込みをしたことをお詫びいたします。
507名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 00:03:47 ID:AaBha3EB
>>506
乙。あの屑には何を言っても無駄だよ。何でも一万字以下は受け付けないとか。
大人しく>>500辺りに萌えておこうぜ。
508名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 00:19:12 ID:WkJFjqY4
やはり自己厨の阿呆には何を言っても駄目か。
軍事の基礎をも知らぬ不届き者が・・・
509名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 00:22:50 ID:BG/eztyF
何だって作品自体よりも大量の感想を要求されるのだろう。
小論文のテストか何かですか。
510名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 00:31:30 ID:pemycOur
まぁとにかくゆかりちゃんを待とうではないか。
511名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 02:24:07 ID:YKz8TQfL
いや、一万字なきゃいけないとか、そーいう訳で無く、ただイチャモンつけてるだけだろ。恐らくは。
512メイドたちの大和:2006/01/03(火) 03:58:03 ID:mGLNcKxU
僕の大作に感想くださいねd(^-^)
513名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 04:13:33 ID:BG/eztyF
すいません、間違ってたらごめんなさいですが
大作さんってご主人様の名前ですか?
514名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 04:21:03 ID:AaBha3EB
違うよ。大作は主人公の父。
茨城の山中でひそかに農業を営んでいる。
515名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 11:30:26 ID:pemycOur
イバールルルァキィー
516名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 11:36:35 ID:DsFDeHMS
>>506
テラスゴスwwwでもどうせ乾燥一卍が来るに15000ゆかり
517メイドたちの大和:2006/01/03(火) 12:41:39 ID:mGLNcKxU
僕の大作に感想くださいねo(^o^)o
518500:2006/01/03(火) 13:18:22 ID:Vs4kBhM9
なんか>>500が好評だったんで書いてみた。
問題は、そんなにエロくないことだ。

----------------------------------------------------------

「百合さ〜ん? おーい、百合さーーーん」
 杖を突きながら、館の中でメイドを探し回る主人。
 メイドは主人に探されていることに敏感でないと勤まらない。
 すぐさま主人のもとに参上するメイド、百合。
「はい、こちらに居ります。……それと旦那様、『さん』はおやめください」
「あ、居た居た。百合さん、温室の夜支度はもうしてくれました?」
「はい、霜が降りないよう、火鉢に炭を入れておきました。
 朝日を浴びられるように、西の窓に白い布も張ってあります」
「わかりました。百合さん、いつもありがとう」
 主人のお礼の声を聞き、一瞬はにかむ様な表情を見せる百合。
 しかし百合はすぐさまその表情を打ち消すかのように引き締めると、
わざと冷たい口調で聞き返す。
「…旦那様」
「なに?」
「わたくしはメイドです」
「? そんなの知ってますよ?」
「メイドは主人の命令をきくのが仕事です。わたくしは命じられた仕事を
 果たしているだけです。ですからいちいちお礼をおっしゃって頂く必要はありません」
 すこし考え込む主人。
 杖を置いて、椅子に座って百合の顔を見上げる。
「百合さん」
 主人は微妙な角度にしか曲がらない膝を叩いて、言った。
「僕は足がこんなですから、温室の花たちの世話をしてやりたくても、できないです」
「……」
「花たちを世話してるとき、百合さんがとても楽しそうにしているのがわかるんです」
「そ、…それは…」
「僕はね、百合さん。大事な花たちが、楽しんで世話されてると思うと嬉しくなるんです。
 そう考えるだけで、とても嬉しい気持ちになれるんです」

「ですから、百合さんには、とても感謝してるんですよ。
 …メイドとか主人とかじゃなく、百合さん本人にです」

「だからお礼を言いたいんですよ。ダメですか?」
「……で、でしたら…か、構いません」
「百合さん」
「はい」
「いつもどうもありがとう」
 主人はそう言って軽く頭を下げた。

 蕩けそうな微笑み。
 百合の瞳にはそう写った。優しそうな、春の日向のような暖かい微笑み。
 その微笑を見ていると、体の中心の冷たい部分にじんわりと暖かい火が点るようだ。

「……し、失礼します」
 そう言いながら、ばら色に染まった頬を隠すように百合は踵を返しそそくさと戸口へ向かう。
 扉を閉めるときにも、顔を見られないよう深々とお辞儀をして。


 火照った頬を冷たい廊下の空気で冷やしながら、早足で歩く百合の胸の中は高鳴っていた。


・・・・・・・メイドさんが照れたまま終わる。
519名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 13:31:37 ID:Hkc+xns7
荒らしが増えたw
520名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 13:44:56 ID:KZOw4kOD
何を今更
521名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 15:48:49 ID:pemycOur
>>518
ぐはぁぁぁぁぁぁ(はぁと)

GJ。超GJ。むしろ神。
できれば長編にしていただけまいか?


ちょっとチラシの裏。
>>506
俺自身たいして軍事に明るくないけど、それでも大和の主砲が46cmという凶悪なシロモノだってのは聞いた事がある。
それすら知らずに戦艦大和の話を書くのはどうかと。
ついでに感想一万字はいくら何でも要求し過ぎ。
「ここが良い、ここがダメ。」すら聞かないのは書き手として下の下。
こういった場で発表する限り、「読んでもらって、その感想を吟味し、精進する。」っていう謙虚な姿勢でいるべき。
無論読み手も、「読ませてもらって、書き手の今後に役立つ感想を書く。」っていう姿勢が必要。
そのどっちが欠けてもいけない。
なんにせよ、過度な感想要求や作者叩きは金輪際止めよう。
522名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 16:47:44 ID:Iycv/jqG
>>518
萌えました・・・
>>521
相手にするのは止めましょう。
無視してたらどっかに行きますよ
523名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 17:08:20 ID:0Dlj752o
>>518
GJというやつだッ

まぁ、またーり行こうや。
524物書き ◆UsF/eVSscw :2006/01/03(火) 19:23:30 ID:ZYRNejwT
メイドたちの大和さん・・・・もう止めて下さい、俺が悪かった

>>518 god gj
525メイド達の大和:2006/01/03(火) 19:34:07 ID:byqbrjN5
>>518
まったく萌えない駄文だな。クズSS書くなカス
526500:2006/01/03(火) 19:49:26 ID:Vs4kBhM9
なんか、喜んで(萌えて)頂けているようで嬉しいです。

だんだん百合さんと旦那様のキャラが判ってきたので(w
短編連作、って形でちょこちょこ書いていこうかと思います。


エロくない部分については、・・・・頑張ります。
ちょいエロ程度でも怒らないで読んでやってください。おながいします。
527名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 20:47:51 ID:vyOjY1V0
みんな牛乳飲んで落ち着こうぜ
528名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 21:03:12 ID:pZf31ryN
>>525
本物もやめてって言ってるし、許してやりなよ
529名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 21:07:02 ID:HTxhnEJE
>>524
お前見て涙が出てきた
530名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 21:09:47 ID:pemycOur
>528
>525が聞く耳持つと思うか?
531名無しさん@ピンキー:2006/01/04(水) 01:14:14 ID:9/cQyix7
快作メイドたちの大和の続きを!
532物書き ◆UsF/eVSscw :2006/01/04(水) 01:21:59 ID:e9rpnN+m
>>531書かない、ついでに書けない、もう
533名無しさん@ピンキー:2006/01/04(水) 01:32:26 ID:9/cQyix7
>>532
根性なしのクズ、カス、クソ厨房!
何が物書きだ。お前の駄文のせいでどれだけ荒れたかわかっているのか。
チンカス野郎が。いますぐ回線切って死ね、死ね死ね!
チンポのカスが
534エビチリ:2006/01/04(水) 01:43:00 ID:5WRNLZVy
はじめまして。
ちょっと変わった世界設定で戦うメイドはどうでしょう?
535名無しさん@ピンキー:2006/01/04(水) 01:53:15 ID:2ciMTmGm
>>534
ご丁寧に痛み入ります。
ですが、間に合ってますので結構です。
536名無しさん@ピンキー:2006/01/04(水) 02:31:14 ID:pah2eHMg
>>533

402のために書ける空気ではない・・・耐えるのだ
537名無しさん@ピンキー:2006/01/04(水) 13:06:31 ID:qXjs/2qq
ようやく駄文レスがどっかに行って
スレが正常に回復したな。
538名無しさん@ピンキー:2006/01/04(水) 17:55:09 ID:s3aNmshL
539メイドたちの大和:2006/01/05(木) 01:13:10 ID:LdkxyDwE
僕の大作に感想くださいね(o^-')b
540メイドたちの大和:2006/01/05(木) 01:38:38 ID:LdkxyDwE
>>467とかのバカどもへ
このチンカス野郎が!
重箱の隅つっつくような揚げ足取りして良作にケチつけてんじゃねえよこのダボが
てめえアイピー抜いて住所調べて家族皆殺しにしてやるから覚悟しやがれよ包茎野郎!
ケツの穴から直腸引きずり出して内蔵全部抜いた後口の中へ詰めてやるから楽しみに待ってな
チンポのカスが
541名無しさん@ピンキー:2006/01/05(木) 02:51:18 ID:3JKTxhNl
はいはいわろすわろす

ってかクオリティテラヒクスwwwwうぇっwww






田村ゆかりんマダー
542名無しさん@ピンキー:2006/01/05(木) 03:44:33 ID:krZcl/2T
>>541
田村ゆかり→般若→オレ達の大和→男達の大和YAMATO→メイド達の山田君
ということだな?
543名無しさん@ピンキー:2006/01/05(木) 04:54:17 ID:eRxDqw9G
(#○)ノ  「なんでお前だけ美味しんだよ!」
ヽ(☆) 「しるかよ!!」

ヽ(○)人(☆)ノ <それはそれとして、>>500のよい子はGJ!!

(☆)ノ  「よぉーしパパもなんかSS投稿するぞ」
ヽ(○) 「……それだけはやめてくれ」
544500:2006/01/05(木) 08:41:28 ID:oUT+ls7f
褒めてくれてありがとう!
なんとなくノったので続きを書いてみた。
問題は、やっぱあんまエロくないことだな。
どうしよう。

・・・・このままじゃこのスレから追い出されかねん。
頑張れ、俺。
545500:2006/01/05(木) 08:42:03 ID:oUT+ls7f
 今日も旦那様の部屋の床には服が脱ぎ散らかしたままです。

 脱いだ服を片付けるとか、仕舞うということを旦那様はなさったことがありません。
 そのあたりはさすが貴族様だなあ、と思います。
 もっとも、本当の貴族様だったら普通は自分で着替えたりせずに使用人に
着替えさせるものだ、と幸恵さんは言います。
 それを聞いたわたくしが「旦那様の服を脱がして差し上げている自分の姿」を想像して
赤面していたら
「バカじゃないの?」
と呆れられました。
 幸恵さん曰く、ふつうは男性の使用人が着替えさせるものなのだそうです。
「百合もやってみれば? 旦那様の服を脱がして差し上げるの。
 ……そのあとベッドに引きずり込まれちゃうかも知れないけどね!」
 幸恵さんはいい人なのですが、性的に放埓というか、おおらかな教育を受けて
育ったらしく、よくこういう冗談を言うので困ります。
 第一、旦那様はそんなことをなさる人ではありません。

 あ、言い忘れましたが幸恵さんは厨房で働いている料理人さんです。
 近くに住む大工さんと結婚していて、住み込みではなく通いです。
 三つになる子供のいる、明るくて陽気なちょっときつめの美人さんです。
 旦那様のことは
「いい男だけど、ちょっと線が細すぎてあたしの趣味じゃない」
と評していたのでそこのところはちょっとだけ安心です。


………わたくしが安心するような筋合いのことではないのですけれど。


 脱ぎ散らかした長袖内着や肌着を拾い集めて畳みます。
 旦那様の洗濯物を洗って干して畳んで新しい着替えを用意するのは
わたくしの仕事です。
 大きなお屋敷ではふつう洗濯専門のメイドがいるものなのだそうなのですが、
この屋敷は大きくはあっても、住まわれているのは旦那様お一人なので
私を含めた使用人は自然と何でもこなすようになってしまいます。

 長袖から取れた釦がないか、布地が綻んでいないか確認していると、
ほのかに旦那様の匂いがしました。
 肌着に染み込んだ旦那様の匂い。土と、肥料と、汗の混じったにおいです。
 その匂いを嗅いでいると、旦那様のあのお優しいお顔が目に浮かんできます。
 一呼吸ごとにあのお声や、真摯な瞳の色が私の脳裏には蘇ってきます。
 なぜだか胸がドキドキします。

 もっと嗅いだら……もっと旦那様のお顔がハッキリ浮かぶのでしょうか?
 白い肌着を見ていると、どうしてもそうしたい誘惑が強く湧き上がっています。
 そんなことをしてはいけないとはわかってはいても、漂ってくる旦那様の匂いには
どうしても、心が動いてしまいます。

 嗅ぎたいです。…でも、そんなはしたないことはできません。


…できません。



……できません。
546名無しさん@ピンキー:2006/01/05(木) 08:43:41 ID:oUT+ls7f
………できません。ダメです。



 平織綿の柔らかな肌着に鼻を埋めて息を吸い込むと、旦那様の匂いが強烈にします。
 以前、私の背後の棚から移植鏝をお取りになったとき、押し付けられた旦那様の胸の
匂いと同じです。
 お優しい顔と、あの素敵なお声。
 そのイメージが広がってきて、泣きたくなるような気持ちが胸のなかから湧き上がってきます。
「旦那様……」
 口の中でそうつぶやくと、頭の芯がぼうっとするくらい、熱い塊が体の中に
生まれてしまいます。






「百合さん?」
「!!!!」
 瞬間、背中に電気が走りました。
 部屋の戸口には旦那様が立っています。
――見られた!?

「……は、はい」
 必死に何気ない風を装って返事ができたのには自分でも驚きました。
 心臓は冷たい手に掴まれたかのように縮み上がり、みぞおちあたりに
冷たい恐怖が忍び寄ってきます。
 見られていたら。わたくしのしていたことが見られていたら…
お叱りを受けるだけでなく、軽蔑されてしまうかもしれない。
 憎まれ、嫌われてしまう……お暇を出されてしまうかもしれない。
 もう旦那様のお側にいられない…
 それはなによりも恐ろしく、辛いことです。

 暗鬱に囚われた気分のまま、震える歩を進めると。
 旦那様は幸い、手に取った紙に視線を注がれていて、私の顔色には気づいて
おられないご様子。
 どうやら、旦那様はわたくしのはしたない行いをご覧になっては
いらっしゃらなかったようです。

「百合さん、王国語が少し読めましたよね? ちょっとこの説明書に書いてある
単語でわからないところがあるのですが…」

 わたくしの胸の中に明るい光が差し込んできました。
――良かった!!
 心からの安堵が暖かくわたくしの全身を包みます。

……安堵している暇なんかありません。旦那様のお手伝いをしなくては。
 わたくしは折り目のついた紙片を旦那様から受け取り、目を通しました。
547500:2006/01/05(木) 08:44:26 ID:oUT+ls7f
「"蔵する""適した"のあとの単語なんですが」
 旦那様がおっしゃる部分に目をやると、幸いそれらはわたくしの
知っている単語でした。
「"憎む"…いえ"嫌う"ですね。次が"明かり"その次が"自然の"です。
 つまり"日光の当たらないところに保管してください"という意味だと思います」

 文章を指しながら訳して差し上げると、旦那様は途端に目を輝かせておっしゃいました。
「ああ、なるほど、そういう意味でしたか」
 年下の、それも女性から何かを教わったりしても、旦那様はそれを恥ずかしく思ったり、
侮辱されたと感じたりはなさいません。
 教師でもあった父から教育を受けていた頃、父の弟子の間違いを指摘したら
酷く怒鳴られたことがありました。
「お前なんか」「賢しらに」「馬鹿にしてるのか」と。
 わたくしが旦那様を尊敬し、お力になりたいと思うのは旦那様がいつでも公平で、
知識や学問というものに敬意を持っており、その敬意の前では男女や長幼の差などは
たいしたことではないと思うほど強く学問がお好きだからです。
……まあ、あまり身分に無頓着すぎるのは行きすぎかとは思いますが。

「百合さんはやっぱり頼りになりますね。ありがとう」
 旦那様はにっこり笑ってそうおっしゃってくださいました。
 見ているわたくしが苦しくなるほどの笑顔で。
「ど、どういたしまして」
 褒められた嬉しさと、頼りにされたという喜び。
 自分でもわかるくらい顔が赤くなってしまった恥ずかしさ。
 返礼もそこそこにわたくしは深くお辞儀をして、洗濯ものを抱えたまま
廊下を駆け出してしまいました。


 洗濯室の前まで行くと、厨房で使った布を洗濯に出しに来た幸恵さんが
いらっしゃいました。
 幸恵さんは、わたくしの顔を見るとなんだか品のない笑みを口元に浮かべながら
「なんかいいことでもあったの? ひょっとして旦那様にお尻でも撫でられた?」
そんなことを訊いてきました。
 つい、かっとなって
「旦那様はそんなことはなさいません!」
と怒鳴ったら
「いやいや、旦那様だって男だよ。木や石じゃあないんだからねえ」
と、これもまたイヤな笑いをなさいました。
548500:2006/01/05(木) 08:45:42 ID:oUT+ls7f
 なんと言い返そうと考えていたら幸恵さんは急に真顔になって
「でも、アレだね。百合は撫でられること自体はイヤじゃないんだね」
と。

 旦那様がわたくしのお尻をお撫でになったら…?
……そのときわたくしはどう思うのでしょう?

 考え込んでいると幸恵さんは優しく微笑みながら、こうおっしゃいました。
「旦那様は百合のこと、好きだとおもうね、あれは。……じゃなきゃ
あの変人の旦那様がああも心を許すもんかい」

…そうなのでしょうか?

…旦那様が…わたくしのことを、気に掛けて…

 幸恵さんは「ま、頑張りな」と言って廊下に出る――前に、
わたくしのお尻を撫でて行きました。

「幸恵さん! なんてこと!」
 幸恵さんは駆けて逃げていってしまいます。



・・・・・・・メイドさんが怒ったまま終わる。
549500:2006/01/05(木) 08:46:27 ID:oUT+ls7f
ほーら、やっぱエロくないわ。
・・・もうちょっと。なんとか次は頑張るから、長い目で見てやってください。
おながいします。
550名無しさん@ピンキー:2006/01/05(木) 09:02:26 ID:snDEv73Z
500氏GJ!エロくなくても十分ですよ!
551名無しさん@ピンキー:2006/01/05(木) 11:18:11 ID:vX/IsC4c
46センチは砲弾の方だろ。
主砲の直径は45センチで間違っていない。
1センチ分歪みながら、砲身内のライフルで回転力を与えられて
直進性が高まるように設計されているんだよ。
知ったかぶりはよくないw
552名無しさん@ピンキー:2006/01/05(木) 12:19:39 ID:b1plerod
500氏GJ!
ゆかりちゃんも非エロだから無問題ですよ。
むしろこのスレではよほどの事が無い限り大丈夫でしょう。

>551
>>506>>521も「主砲が」46cmであると言っているだけで、「主砲そのものの直径」とも「主砲の砲弾の直径」とも言ってない。
言葉の深読みのし過ぎは止めよう。
あと、毎日毎日ID変えて自演するのは見てる方が悲しくなってくるから止めなよ。
アレを擁護する発言をするのは作者のお前だけなんだから。

あと>>540は殺人予告と考えて良いな?
通報しとくよ。
553物書き ◆UsF/eVSscw :2006/01/05(木) 12:31:31 ID:AF9Lyxl+
>>551

2代目大和(一代目は葛城型巡洋艦二番艦)の主砲通称超40サンチ砲は
一般的に46サンチと言われるが実際には0.5サンチ多く
(この事は戦後しばらくしてから当時の記述より
発覚したが大抵出版社に無視される)
46.5サンチ45口径因みに
サンチ×口径(内径)=実際の砲身長
で求められる

新造時
主砲;超40サンチ砲(46.5サンチ)
副砲;15.5サンチ砲 4基
   ;12.7サンチ45口径高角砲6基
   ;25o三連装機銃 8門
   ;13o連装機銃 2門

   沖縄特攻作戦時
主砲;46.5サンチ砲
副砲;3連装60口径15.5cm砲 2基 
   ;40口径12.7cm連装高角砲 12基 
   ;25mm3連装機銃 52基 
   ;25mm単装機銃 6門 
   ;13mm連装機銃 2門

     
554名無しさん@ピンキー:2006/01/05(木) 13:10:04 ID:k6OdgIcm
纏めて軍事板行け
555メイドたちの大和:2006/01/05(木) 14:25:06 ID:LdkxyDwE
またクズSSか。僕の大作に期待くださいねo(^o^)o
556名無しさん@ピンキー:2006/01/05(木) 17:46:31 ID:WPH4n20d
500氏GJ!
続きが楽しみです。

妙な輩が荒らしていった当すれを貴方のSSで癒してください
557名無しさん@ピンキー:2006/01/05(木) 18:41:15 ID:YvXjPGwm
>>555
「無駄なあがき」
558名無しさん@ピンキー:2006/01/05(木) 18:45:30 ID:WPH4n20d
相手しちゃいけないって・・・
このスレに「過去荒らした人間」はいないことになってるので。
完全無視を貫けば、出てこなくなるって。
559メイド達の大和:2006/01/05(木) 18:47:16 ID:1AXiShqP
>>552
ボケ!自作自演じゃないわ。全部てめえの妄想だろが。
SSも駆けないチンカス野郎が。四十五センチ法腹の中にけつの穴からつっこんでぶっ飛ばすぞ
このチンポの仮すのうんこ須加トロ野郎が!
560メイド達の大和:2006/01/05(木) 19:00:32 ID:1AXiShqP
大好評につき続きです(^O^)
め1「我奇襲に成功せり」
め2「神仏照覧」
め3「あっぱれあっぱれ」
カーク「笑っている場合ではありません。我々はカリブ海作戦のただ中にいるのですよ」
ト;カークが三人を諫める。今は洋上。旗艦大和の艦上にあった。
め1「作戦だ!・・・おう」
め2「われなんか言えや」
カーク「では……」
ト;カークが立ち上がり、黒板に貼られた地図と図を前にする」
カーク「我々は『あ号作戦』のただなかにいます。
作戦の概略を改めて説明します。まず機動部隊の空爆でパナマ・キャナルを通行不可にします。
その際はもっとも弱いカトゥーン・ロックを特に標的とします。
同時に第二艦隊が南米南端沖に機械水雷を敷設中です。
マラッカ海峡は制圧済みでメイド陸軍の巨砲が据え付けていますから、
いくら海軍力を増強しても敵は抵抗ができなくなるはずです。」
め3「ふむ、それで」
カーク「作戦の第一段階に成功しますと、第二段階に移ります。
パナマ・キャナルの破壊成功をみてからメキシコ沖を北上し、
爆龍兵部隊によってロスアラモスの原爆研究施設を破壊します。
作戦を容易にするため裏メイド2000をロサンゼルスに上陸させ、攪乱を行います」
め1「では作戦に入ろう」
561名無しさん@ピンキー:2006/01/05(木) 19:09:42 ID:YvXjPGwm
>須加トロ野郎
須加でトロってとれるっけ?
562メイド達の大和:2006/01/05(木) 19:10:52 ID:1AXiShqP
ナレーション;こうして夜が明けた。そして作戦は見事に成功した(面倒なので省略)
め1「ほっほっほ、勝利なり勝利なり」
め2「我が艦隊はやるではありませんか」
め3「メイド勝てり!」
カーク「お見事です」
ト;恭しく敬礼するカーク
カーク「まさかここまで上手く、しかも犠牲僅少で作戦が成功するとは思いませんでした。
ロスアラモスは破壊され、敵の原爆開発は数年遅れました。
我がメイド科学戦隊が現在岡山人形峠で原爆を開発中ですから、
相互確証破壊により手が出せなくなるはずです」
め1「このままアメリカ本土まで上陸出来るんじゃないのか」
め2「余裕余裕」
め3「全世界を革命する力を!」
カーク「みなさん落ち着いてください。所詮日本とアメリカでは国力が違うのです」
ト;カーク参謀はいつになく真剣な面持ちだ。
カーク「いずれは我々の策も破られます。そのときに第一にハワイ及びミッドウェー諸島のメイドが玉砕します。
次に沖縄が決戦の場となります。この沖縄決戦で陸海ともに完勝してこそ、
皇国はメイドの國となります。」
め1「大陸はどうだ」
ナレーション;シナ大陸は巫女コミンテルンの支援を受け巫女はを掲げる紅軍と、
反巫女を掲げる国民党の内戦状態にあった。
カーク「干渉しないことです。連中には勝手に内戦をさせておけばいい。
我々には大陸にまわすほどの兵力がありません」
563メイド達の大和:2006/01/05(木) 19:18:47 ID:1AXiShqP
ナレーション;メイド艦隊はカーク参謀の指導の元、
アメリカ西海岸に徹底的な艦砲射撃をお見舞いした。
大和の45サンチ砲が火を噴く。
これによりアメリカ西海岸の都市の80パーセントが破壊された。
また裏メイド二千の攪乱作戦により、一万人を越す巫女が捕虜となった。
め1「今夜はもつ鍋だな♪」
ト;巫女たちの腹を割いていくメイドたち。腹を割くと今度は内蔵を手で掴みだし、切り分ける。
巫女1「ぐおおおおおおおおおお!!ぐげええええええ!!」
巫女2「ぎゃああああああああああ!!ぐぎゃああああああああ!!」
巫女3「げぼおおおおおおお!!うっげえええええええええええ!!」
ト;凄まじい悲鳴が上がる。巫女たちの大腸は引きずり出され、ナイフで切られて
うんこがもれる。メイド達は血とうんこにまみれながら大笑いする。
め9「ほっほっほ」
め10「きけけけけけ」
め11「ひーひっひっひ」
巫女11「ぐぎゃあああああ!!いてええええええええええ!!」
巫女13「あぎゃあああああ!!もう殺してえええええええ!!
巫女23「ぐぎゃあああああああ!がああああああああああ!!」
この夜、メイド達は存分にもつを味わった。
564メイド達の大和:2006/01/05(木) 19:20:41 ID:1AXiShqP
生まれて7回目にSSを書いて見ました。
感想下さい根。(^-^)v
最低五百字づめ原稿用紙で二十枚以上の感想でなければなりません。

さてこれからですがミスター味ツ子バーサス中華一番を計画しています。

ちなみに普段は萌えBBSというキモヲタのオナニー掲示板で伯爵というハンドルで
オナニーしています。遊びに来て根(o^-')b

ばいばーい
565メイド達の大和:2006/01/05(木) 19:33:42 ID:1AXiShqP
それと僕のSSに文句を言う人達。
自分もそれなりのSSを書いてから逝ってくださいね。
由利さんがどーとかいうクズSSを書いている厨房なら、
位置卍以上での批判を許可します。まともなSSも書けない低脳がつけあがんなやゴルア!!
566名無しさん@ピンキー:2006/01/05(木) 19:35:20 ID:wKlem8Xx
>>561
ああ、白猫の牧場があるらしいぞ。
主に愛玩用らしい。
567名無しさん@ピンキー:2006/01/05(木) 19:35:21 ID:YvXjPGwm
はいはいわろすわろす
568メイド達の大和:2006/01/05(木) 19:38:49 ID:1AXiShqP
それと僕のSSに文句を言う人達。
自分もそれなりのSSを書いてから逝ってくださいね。
由利さんがどーとかいうクズSSを書いている厨房なら、
位置卍以上での批判を許可します。まともなSSも書けない低脳がつけあがんなやゴルア!!


569メイド達の大和:2006/01/05(木) 19:41:14 ID:1AXiShqP
それと僕のSSに文句を言う人達。
自分もそれなりのSSを書いてから逝ってくださいね。
由利さんがどーとかいうクズSSを書いている厨房なら、
位置卍以上での批判を許可します。まともなSSも書けない低脳がつけあがんなやゴルア!!



















































570名無しさん@ピンキー:2006/01/05(木) 19:45:05 ID:2s3jhvSK
ここの先輩方に質問です ('A`)オソレナガラ
ここはあくまで純粋なメイドさんを楽しむ場所であって、
耳+メイドとかゆーハイブッリドものはアウトでしょうか?
571名無しさん@ピンキー:2006/01/05(木) 19:53:15 ID:KsXjhfGv
セーフじゃねえの
とりあえず投下してみ
572名無しさん@ピンキー:2006/01/05(木) 20:15:50 ID:jR76dukW
バカが一人混じってるな。
砲の直径を測る方法には、ライフル溝の山から山、山から谷、そして谷から谷の
3種の方法があり、国際基準ではどうなっているのか、良く知らないらしい。
出版物で得た狭義の知識を、さも自分だけが知っている事実と思ってひけらかすのは感心しないな。
573物書き ◆UsF/eVSscw :2006/01/05(木) 20:46:00 ID:AF9Lyxl+
俺が書いていたのと>>569の書いているの、どっちがマトモナンダ・・・
574名無しさん@ピンキー:2006/01/05(木) 20:49:54 ID:Suw1Y+GH
物書き ◆UsF/eVSscwが一人二役自演で荒らしているのは周知の事実なわけだがw
575名無しさん@ピンキー:2006/01/05(木) 21:01:30 ID:Xzfq4QfR
>>25o三連装機銃 8門
 3基のうち1基は銃口が詰まっているダミーの銃身を1つ装備しているんだね?

>>13o連装機銃 2門
 どうして13ミリ機銃だけは1基しか装備してないの?
576名無しさん@ピンキー:2006/01/05(木) 21:07:49 ID:LdkxyDwE
快作メイドたちの大和超期待(^-^)
577名無しさん@ピンキー:2006/01/05(木) 21:25:15 ID:krZcl/2T
>>570
メイドならネコミミだろうがゴーレムだろうが東方不敗だろうがなんでもOK
578物書き ◆UsF/eVSscw :2006/01/05(木) 22:37:12 ID:AF9Lyxl+
>>574
ID見ろ
579名無しさん@ピンキー:2006/01/05(木) 22:43:55 ID:LdkxyDwE
>>578
ID切替え乙。バレバレだ
580名無しさん@ピンキー:2006/01/05(木) 23:05:20 ID:hYqqlJAb
大ヒント:ネット上の駄目なエロSS 第五章
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1122722360/l50
581名無しさん@ピンキー:2006/01/06(金) 01:38:08 ID:SLlZSNcu
>>578目障りだからトリつけんな

>>579もういーじゃん終わった事を蒸し返すな
582メイドたちの大和:2006/01/06(金) 01:52:32 ID:pd7IX27K
僕の大作に感想くださいねd(^O^)b
非建設的な批判をする包茎野郎は四十五サンチ砲で爆殺します。
百合さんがどうとか下手くそな駄文SSを書いてるバカは逝ってよしだ
このスレは伯爵の専用にしますた
583メイドたちの大和:2006/01/06(金) 01:56:32 ID:pd7IX27K
僕の大作に感想くださいね(^ヘ^)v
584メイドたちの大和:2006/01/06(金) 01:59:10 ID:pd7IX27K
僕の大作に感想くださいね(*^_^*)
585メイドたちの大和:2006/01/06(金) 02:04:59 ID:pd7IX27K
僕の大作に感想くださいね\(^O^)人(^O^)/
586名無しさん@ピンキー:2006/01/06(金) 02:15:11 ID:SLlZSNcu
専ブラ使うとすっきりしますよ
大和はNGわーどです。
587名無しさん@ピンキー:2006/01/06(金) 13:10:19 ID:npxapgcU
>>500,>>518,>>545-548
こう言うもどかしくて、見てて微笑ましい(?)場面があってこそ
エロも映えるのですよ。

GJ&期待
588メイドたちの大和:2006/01/06(金) 16:16:31 ID:pd7IX27K
クズが自演擁護に必死だな
589名無しさん@ピンキー:2006/01/06(金) 17:58:58 ID:jrzoIuyO
自治スレでも取り上げられるんだから大したもんだよ。
590メイドたちの大和:2006/01/06(金) 19:35:10 ID:pd7IX27K
俺は荒らしではない。SSを書いてるだけだ。
文句があるならSSで勝負しろ
591メイド達の大和 最終回:2006/01/06(金) 20:00:41 ID:G+X1ULCk
カーク「来ましたな」
め1「ああ」
ナレーション;遙かなる大洋。それを埋め尽くす艦影。
空にはためくのは星条旗。
――あれから三年。欧州大陸ではドイツ第三帝国が滅亡し、
シナ大陸では巫女はの毛沢東が天下を制した。
アメリカ巫女合衆国では太平洋艦隊の再建が進み、
正規空母十三隻、護衛空母百隻、戦艦十二隻からなる大艦隊が出現した。
ハワイ、ミッドウェー、キッツのメイド陸軍は玉砕し、
今大艦隊(アルマーダ)が皇国最後の要塞・沖縄に迫りつつあった。
592メイド達の大和 最終回:2006/01/06(金) 20:08:06 ID:G+X1ULCk
両艦隊の決戦が始まった。
メイド艦隊は三年間の軍備増強により、
正規空母二十隻、戦艦十七隻、軽空母三十隻の威容を誇るに至った。
またVT信管を何とか三年間で完成させ、新主力戦闘機には烈風が配備された。
米軍はPー6Fヘルキャットを中心に、陸軍はP−51マスタング、
もちろんVT信管を装備し、三十万人の兵員を輸送してきていた。
沖縄を攻略し、そこを拠点にBー29の基地を建設し、本土を灰燼に帰すつもりだ。
ちなみにサイパン、及びマリアナ諸島は核爆発により汚染され、使用することが出来ない。
593名無しさん@ピンキー:2006/01/06(金) 20:11:21 ID:JzqiUson
>>571、577 両氏
(*'A`) レスサンクスコ
    HDD内で埃をかぶってるSSのようなもの
    の推敲に成功したら投稿するよ

(´・ω・`)ここのレバルに追いつけばいいが
594名無しさん@ピンキー:2006/01/06(金) 20:13:20 ID:lotYr7IA
百合さんかわいいな。
エロくなくても俺は好きさー。
むしろ漏れが尻撫でたい。
595メイド達の大和 最終回:2006/01/06(金) 20:17:53 ID:G+X1ULCk
航空決戦が始まった。
両軍の戦闘機兵が凄まじい死をまき散らす。
艦攻艦爆兵がお互いの艦に爆弾を降らせようと、
猛烈な対空砲火をくぐって急降下する。
勝負は初めから見えていた。
圧倒的な物量を誇る米軍相手に、メイド艦隊の主力は摩耗していった。
やがて大和の対空砲火が途切れる。
対空砲門を破壊された上、運悪く副砲に延焼、火災が起きた。
そこを衝いて艦攻兵が航空魚雷を撃ち込む。
必死に回避運動を行う大和だが、右舷に13発の魚雷を受け、舵がきかなくなった。
こうなれば嬲り殺しだ。無数の航空魚雷が命中する。
大和は主砲を最後に一発うちはなすと――それはみごと米巫女空母に命中、撃沈するのだが、
ついに沈没を始めた。
め1「退艦だ!・・・おう」
め1は泣いていた。め1ばかりではない。め2もめ3もめ・・・9も
裏メイド2000も皆が泣いていた。
続々と退艦を続けるメイド達。最後にカーク参謀が敬礼した。
「さようなら、大和」
596メイド達の大和 最終回:2006/01/06(金) 20:26:35 ID:G+X1ULCk
何とかメイド艦隊を殲滅に成功したアメリカ巫女軍だが、
その被害も尋常のものではなかった。
艦載機兵と空母・戦艦のほとんどを喪失し、制海権を維持するには不安定となった。
だが、強いて、続いて沖縄上陸作戦が開始された。
メイド陸軍三十万と米巫女軍の死闘が展開される。
まさに塹壕一つ、蛸壺一つを争う凄まじい鉄と火の旋風であった。
メイド軍は一歩も引かず、次々と玉砕していった。
裏メイド二千は敵後方に特攻急襲し、全員が玉砕した。
そうして米巫女軍の主力は18万人が戦死するに至った。
ここに至ってアメリカ巫女軍も敗北を認めざるを得ず、撤退した。
皇国はメイドたちの無数のむくろの上で守り抜かれたのだ。
翌年、再建されたサンフランシスコで講和会議が行われ、
巫女が占める世界趨勢の中で日本だけがメイドの國として独立することができた。
その平和は永遠につづいていくだろう。
そして、大和は沖縄近海に永遠の眠りについたのだった。

カーク「大和だ!・・・おう」

597名無しさん@ピンキー:2006/01/06(金) 20:27:23 ID:u2ii5cOk
やっと終わったか。これで安心して神のSSを待てる
598名無しさん@ピンキー:2006/01/06(金) 22:13:54 ID:F7T2lgbF
>>597
神って誰のこと
599名無しさん@ピンキー:2006/01/06(金) 22:16:34 ID:ikmZ4T+k
みんなに無視されてたSSを書いてた奴以外の人が
書いてるSSのこと
600名無しさん@ピンキー:2006/01/06(金) 22:29:00 ID:8owrk4Kq
今メイドっぽいものを書いてるんだけど、エロが激しく少ないんだがここに書いてみていいかな?
ED後にしかエッチがないエロゲって激しくウザいよね? だからでちょっと心配。
けっこうな分量になりそうなので、迷惑だったらやめるんだけれども。

大和の人、乙です。内容はともかくとして、その意気込みは見習いたいですw
601名無しさん@ピンキー:2006/01/06(金) 22:31:47 ID:F7T2lgbF
>>575一応突っ込んどく
艦載機銃やトーチカの類は砲塔型の
場合でもワンセットに門で数える
602名無しさん@ピンキー:2006/01/06(金) 23:24:08 ID:7TRgN6U3
>>600
>大和の人、乙です。内容はともかくとして、その意気込みは見習いたいですw

新たな制圧君がスレ荒らしを宣言しました
603物書き ◆UsF/eVSscw :2006/01/07(土) 00:04:35 ID:F7T2lgbF


俺もメイドたちの大和に滅茶苦茶にされた物の続き書くかな・・・・・・書かないでイイ・・・そうですか
604名無しさん@ピンキー:2006/01/07(土) 00:08:05 ID:blYNHbkO
制圧くんって何?
605名無しさん@ピンキー:2006/01/07(土) 01:24:28 ID:m21yzNPg
>603
俺はまってるぜ♪
606名無しさん@ピンキー:2006/01/07(土) 02:23:16 ID:dYReA8qD
>603
アレより遙かにマシだと自分で思えるなら良し。
ただほぼ確実にスルーされるか叩かれるだろう。
ぶっちゃけ脚本形式だったから読みづらい事この上なかった。

>600
このスレに投下されている「SSは」66%非エロですよ、と。
そういえばこのスレの黎明期にTOHEARTの二次創作らしきもの(>>114-116)があったけど、作者の方はこのスレの存在すら忘れているのか……?
複数レス使用でエロの香りを漂わせてたのアレだけだったから続き読みたい……(´・ω・`)

まるで台風のようだった大和も終わったようなので、そろそろ似非紳士氏が再臨しないだろうか……。
一応今までのお話。予復習も兼ねてね。
前半
>>35-48
>>56-66
>>74-76
>>85
>>95-100
>>126-133
>>143-169
607名無しさん@ピンキー:2006/01/07(土) 02:25:50 ID:dYReA8qD
608 ◆ChdC8VZqyE :2006/01/07(土) 02:36:48 ID:kJrdK1wT
「ごめんください」
平成のこの時代に、こんな洋館があるなんて。
いったいあるじさまはどのような方なのだろう。
それなりの会社に就職することもなく、ただ家事手伝いをしていた私には正に朗報だった。
「中へ、どうぞ」
「はい」
扉は空いていた。
不用心だな、いいのかな、と思いながらも土足で進む。
ますます日本とは思えない。
何やら音楽めいたものも聴こえてくる。
「お入りなさい。」
きついドアノブを左回りに開けると、髪が鳥の巣のように荒れている洋装の紳士がいる。
あるじさまも、また日本離れしていらっしゃる…
「お初にお目文字かかります。志藤空海と申します。」
「名前を、もう一度」
「しどうそらみ、です」
「ふむ」
何か考えていらっしゃる。
レコードも止めずに。
あるじさまが黙られたので、興味深い部屋を見渡すことにした。
床から天井まで本棚がそびえ立ち、中身は全てレコードで埋まっている。
「とても音楽が好きなのですね」
「君の方が好きだよ」
「え?」
「生まれながらに5つも音名が入っている。素晴らしい名前だ。我が名は陸野梅黄<りくのばいこう>だ。」
「りくの、さま」
「掃除洗濯炊飯を、よろしく頼む」
面接は無事に済んだらしい。
ベートーヴェン…音楽の教科書が頭をよぎりながら、深々と頭を垂れる。
「宜しくお願いします…旦那さま。」
609名無しさん@ピンキー:2006/01/07(土) 02:36:50 ID:FkK3pJWL
そういや紳士の方、知らなかったらしいので一応声優2板の現行スレをば。住人なんで。

田村ゆかり その183 †今年もよろしくにゃ。わん。†
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/voiceactor/1136132195/




偶然の一致テラスゴスwww
610 ◆ChdC8VZqyE :2006/01/07(土) 03:03:32 ID:yuem/kX7
それからは毎日働き続けている。
とはいえ、ティータイムを設ける時間はあるし、いわゆるメイド服も不自由しない。
「クッキーなどのお菓子は嫌いではない。
少量で空腹も心も満たされる。君も休息だけはきちんと取りなさい。
おしゃれ心も忘れては行けないよ」
「はい、旦那さま」
掃除と言っても、あまり埃がないのだ。
私が来る前から最低限の掃除はしてあったのだろう。
庭掃除も芝刈り器一つで新緑を保っている。
素敵なのに、何か足りないな。
何かが分からないまま、銀食器を黙々と磨くことにした。

「今晩は、酒でも飲まないかね」
「ワインですか?それともウィスキー」
意外だった。
顔には出さず、洋館にふさわしいアルコールを挙げたつもりだった。
「いや、これを」
差し出されたのは。
「まあ、日本酒ですね」
「うちの酒なのだよ」
そう言えば、旦那さまが自身のことを話されたことはまだない。
日本的な名前も気になると言えば気になったが、旦那さまの邪魔になるようで敢えて聞くこともしなかった。
「とてもおいしそうです」
「このままでも旨いけれど、氷のように冷やすと格別にいい味になるんだ。」
どことなく寂しそうな表情をそこそこに、私は早速準備に取り掛かることにした。
「冷えるまでにおつまみを作りますね」
「ではバルコニーで先に待っているよ」
611名無しさん@ピンキー:2006/01/07(土) 03:08:04 ID:fFRy02Mc
おまえら、エビチリ追っ払いやがって。
612 ◆ChdC8VZqyE :2006/01/07(土) 03:36:57 ID:SBn1pN9s
月の綺麗な晩。
虫の鳴き声が心地良い音楽を奏でている。
「ふう」
こんなに静かな夜は、何年振りかな…
「お待たせ致しました。…まあ。」
「ふむ」
「今夜は一段と素敵です、旦那さま」
「君も粋なつまみを作ったものだね」
女性と一緒に酒を飲むのに、櫛も入れなければ失礼にあたるだろう。
眼鏡も拭くか。ならば服も…
「旦那さまの方がよほど粋ですよ」
新米に醤油をたらり。
渋い、が実にうまいつまみだ。
「さ、座って」
「「乾杯」」

「おいしいですね」
「君は実によく働いている。ささやかなご褒美だよ」
まるで少年のように穏やかな笑顔をなさる。
「旦那さまが快適な生活をされることができるのなら、私はそれだけで嬉しく思います。
それ以上は求めておりません」
静かな空気。
星の瞬きがうるさいくらい輝いている。
「昔の話だよ。」
「はい」
「造り酒屋の跡取りが、酒に聴かせていた音楽に酔って家を出た。
一緒に暮らした女は、男の音楽漬けに愛想を尽かせて男の弟の所に逃げた。
男は今、酒と音楽の間でさ迷っている」
全てをはき出したこの館のあるじは、ぼんやり横を向いている。
杯にはまだ口をつけていない。
「旦那さま」
「ん」
指に手を触れ、唇へ持っていく。
冷たさが伝わってくる。それは少し溢れたからだ。
「お酒がおいしいことはもう知ったのですから、もっと知りたい音楽を続けてみてはいかがでしょう」
メイドが主人に意見するなんて、いけないことだ。
「私は旦那さまから逃げはしません」
月と酒のせいにしよう。
「君を聴きたいね」
冷たくて熱い唇が、私の手に触れる。
613 ◆ChdC8VZqyE :2006/01/07(土) 04:17:06 ID:pLSz2C+M
「あんまり…見ないでくださいね」
「どうして?こんなに綺麗なのに」
部屋の中は月明かりがさし込み、うっすらと見える。
スカートを捲り挙げられてへその回りを撫でられているだけとは言え、すごく気持ちいい。
「だってもう…あ、あんっ!」
「だって何?はっきり言わないと聴こえないよ」
だんだん指が登ってきて谷間を往復している。
あまり胸はふくよかな方じゃなく、はずかしい。
「胸あんまり大きくないので…だ、旦那さまの気にいるような…」
「君が感じているのを見ているのはとても興奮するよ、ほら」
「あ…」
布の上からでも分かる。
旦那さま。
「旦那さま、私に触らせてください」
有無も言わさずジッパーをおろす。
私メイド失格だな。
残った理性でそう思い、娼婦としての本能だけになった。

「君はとても悪い子だね。そんなに欲しかったの?」
「違います…ただ、旦那さまに、よろこんでもらいたくて」
喉から旦那さまを出すときに、とぎれとぎれ話す。
苦しい。けれど耐えられる。
「そうかい?でも、ほらこんなに濡れているよ」
「ひゃああんっ!!」
指を見せられて、私はいやらしく感じている事をまざまざと見せつけられた。
旦那さまの指は、私を撫でてしっかりと潤っている。
せっかくのメイド服はくちゅくちゅに…。
「さて、もうそろそろ君が限界のようだ」
え、と思う間もなく、旦那さまは起用にも私の下に滑りこんできた。
下着も取り払われ、ゆっくりと確実に私の中へ…
「あああああん!!!!」
「もうぬるぬるでヒクヒクしてるよ。ゆっくり動かすから痛かったら言ってね。」
痛くない。
すごく、すごく、気持ちいい。
「なか…だんな、さまの、擦れて…すごく、いいです」
「自分から動きながら、とてもいい声をしているね」
言われてから気付いた。
だけど、もう止められない。自分の気持ちいいところを探すのに必死になってしまう。
これからも旦那さまにご奉仕したいな。
そこで記憶が途絶えてしまった。
614名無しさん@ピンキー:2006/01/07(土) 17:35:50 ID:OO1RS6pV
このままSSも途絶えて欲しいな
615名無しさん@ピンキー:2006/01/07(土) 17:45:13 ID:cN0ksX/q
微エロな百合さんキボンヌ
616名無しさん@ピンキー:2006/01/07(土) 20:20:17 ID:EvslvBA4
長いと読む気にならないな・・・・・・・
せめて3レス位にまとめる努力はしてほしい
617名無しさん@ピンキー:2006/01/07(土) 21:15:26 ID:Bgs3wBU7
>>608-613
たまにはこういうのもいいね。GJ
618 ◆ChdC8VZqyE :2006/01/07(土) 22:10:32 ID:yNH8ilgg
短くまとめられるように頑張ります。
次はPCから書こう…
619名無しさん@ピンキー:2006/01/07(土) 22:27:45 ID:mU5jsvzj
3レスで終わるSSってなんじゃいな。あまり短くしても味わいがなくなりそうなものだが。
>>608-613を3レスでまとめろってこと?
620名無しさん@ピンキー:2006/01/07(土) 23:18:42 ID:VUhG6qfW
>>618
長くても気にしなくていいですよ
読み手はあくまで職人さんがいてこそですから
長いのが気に入らなければ読まなきゃいいだけです
GJです
621名無しさん@ピンキー:2006/01/07(土) 23:51:42 ID:t+zdmooH
>>618
自分が気に入らないからアンチに回るとはよく言ったものです
気になさらずに、
622名無しさん@ピンキー:2006/01/08(日) 18:03:13 ID:ZweTgrYp
>619
一度の投下を3レスに区切って何度かに分けて投下という意味ではないだろうか。
3レスだと短すぎると思うが。
これくらいでちょうどいいと思う。
623600 ◆JUBxmKBLaQ :2006/01/08(日) 22:36:51 ID:GhTPkCN0
3レスにまとまるものかどうか……試しに少しだけ投下してみます。
展開が遅くてなかなか話が進まないのは仕様です。
もし目障りだったら、トリップであぼーんでもしちゃってください。
624その1(1/2) ◆JUBxmKBLaQ :2006/01/08(日) 22:38:29 ID:GhTPkCN0
 ずっと走り続けていた。もっと速く、もっと遠くへ……。

 とうに息は切れ、呼吸をするたびに喉が焼け付くようにひりひりする。裸足が地面を
踏みしめるたび、膝が悲鳴を上げた。気を抜いたが最後、地に倒れ伏して二度と起き
上がれなくなりそうで、両腕を振り回しながら走り続けた。
 背後からは何か巨大なものが蠢く気配と、ざわざわと人の話し声のような音が追って
くる。走りながら一度だけ振り返ってみると、雲を衝かんばかりの巨大な灰色のナメクジ
のようなものが何十匹も背後に迫っていた。もしも捕まれば、きっとあのどろどろした
粘液に包み込まれ骨まで溶かされてあの怪物の栄養分になるのだろう。そう考えた
だけで寒気がした。

 行く手は暗い。ぼんやりとトンネルの出口のような明かりが遠くに見えている。まっすぐ
にそこを目指して走っていくけれど、一向に近づくことができない。諦めて立ち止まろうと
何度思ったことだろう。そのたびに、まだ怪物のエサになる覚悟はできていないと思い
直してはまた走り出すのだった。
 僕より少し先を走る妹の背中が見える。さすが、この春から陸上部のキャプテンを
務めているだけあって、僕よりも足は速い。その彼女がふと足を止めて数歩歩んだかと
思うと、がっくり膝を突いた。すぐに彼女の足元から黒い塊が這い登ってきて、妹の
身体を包んだ。
「咲子! 走れ!」
 僕の声は掠れていた。
「だめ、もうっ……膝が笑ってるよ」
 妹に追いついた僕は、彼女の身体を覆った小さな黒いナメクジみたいな化け物を
払い落とそうとして、しかし後から後から押し寄せるそれを食い止められずにその場に
立ち尽くした。妹の肩に手を掛けると一瞬白い素肌が覗いて、しかしまたすぐに黒く
覆い尽くされる。やがて僕の足元からも、妙な感触が伝わってきた。
 ゆっくりと振り返って、間近に迫る巨大な軟体動物をぼんやり見上げた。
もう、考えるのをやめようかと思った。 

 不意に僕の背中をにゅるりとした感触が伝って、思わず背筋を震わせた。身体を
振って振り落とそうにも、なかなかその感触は離れてくれない。やがてその感触は
肩にまで上ってきて、僕の首筋を掴んだ。払いのけようとしても執拗に僕にまとわりつく。
 ぐい、と物凄い力で引っ張られた。コンマ数秒遅れて、肩が外れたかのような猛烈な
痛みが僕を襲う。
「咲子っ――!」
 遠のいていく妹の背中に向かってあらん限りの声で呼びかけた。
「離せ! 離せってば!」
 肩を掴む何かを振り払おうとして、僕は闇雲に腕を振り回した。妹はまるでこちらの
声など聞こえないかのようにうずくまって、周囲の闇に飲み込まれようとしていた。
僕の最後の叫びは声にならず、彼女を掴もうと両手を伸ばしたけれど届くはずもなく
――そして、意識が白く濁っていった。
625その1(2/2) ◆JUBxmKBLaQ :2006/01/08(日) 22:39:36 ID:GhTPkCN0
「うわあああああああーっ!」
「大丈夫ですか、隆志さま。隆志さ……んぐっ!」
 ふにゃり、とでも形容できそうなくらい柔らかな、それでいて確かな弾力が僕の
指先に触れた。
 驚いて身体を起こすと、寝起きでぼやけた僕の視界に見慣れた風景が飛び込んで
きた。妙に天井の高い、20畳くらいの自室。少々くたびれた壁紙に印象派の絵が
掛かり、天井から大きなシャンデリアがぶら下がっている。部屋の中央に、今僕が
座っている自分のベッド。そして僕が掴んでいるのは。
 おそるおそる、そちらを振り向いてみる。予想した通りだった。正確に言うと、予想
された最悪の結果の通りだったのだけど。

「ごめん」
 彼女の喉に食い込んだ手の力を緩めながら、少し拗ねたような声で僕は謝った。
「だ、大丈夫、です……。ちょっとだけ、お花畑が見えましたけど」うっすらと赤く僕の
手の跡が残る首筋をさすりながら、彼女は苦しげに喘いだ。
「ひどく、うなされていらっしゃったようでしたから」
 かすかに紅潮した奈緒さんの頬に乱れ散らばる黒髪の上で朝の光の粒が踊る。
僕はそんな彼女をなんだか色っぽいと思って、すぐにそんなことを考えたことを
恥じた。溜め息をついて俯く。

 彼女は、奈緒さん。うちに勤めてもう3年にもなるベテランのメイドで、歳は確か
今年で21になるはず。すらりとした長身に鴉よりも黒いストレートのロングヘアーが
映える。白黒のツートンカラーの服も良く似合う。日本人離れした彫りの深い細面に
切れ長のまつげ、すっと筋の通った鼻はちょっと低いけれど、ふっくらした唇と頬が
妙に艶やかに感じられる。結構な美人の部類に入ると思うのだけれどあまり男と
縁がないらしいのは、彼女が空手の黒帯だからなのだろうか。

 ぼんやりと彼女を見つめていた僕は、彼女の怪訝な視線に気づいて我に返った。
「ごめん。最低だな」
「いえ」彼女は健気にも微笑んで言葉を接ぐ。「もしも隆志さまがお触りになったのが
私の胸でしたら、今頃は血を見ていたでしょうから」
「あはは、そんな触るほどの胸もっ……」
 僕の言葉は最後まで続かなかった。
「口は禍の門、と申します」奈緒さんは目にも留まらぬ速さで僕の口元に『しぃーっ!』
のポーズで人差し指を立てた右手を突きつけた。それから溜め息をひとつこぼしたかと
思うと、くるりと踵を返して部屋を出て行こうとする。
「ご忠告どうも」
 投げやりに言い捨てて寝癖たっぷりの頭を掻く。舞い上がった埃が朝日に泳いで、
僕はひとつくしゃみをした。
「お大事に」僕に背中を向けたまま、「もうみなさんお目覚めですよ」
「今日は目玉焼きは半熟にしてよ」
「そういうことは、もっと早起きできるようになってからおっしゃってください」
 がちゃり。
 無情にドアが閉まって、僕はまたひとり取り残された。もう7時半を指す壁の鳩時計を
恨めしげに睨んで、転がり落ちるようにベッドから抜け出したとき、遠くから飼い犬の
吼え声が聞こえた。
626名無しさん@ピンキー:2006/01/09(月) 00:16:08 ID:0Kqja23s
21才職業メイドさん、所有スキル空手(法律的に見て凶器レベル)かぁ、
キャラが立ってるなw
627名無しさん@ピンキー:2006/01/09(月) 00:58:42 ID:edcYzqT+
なんか箇条書きに書き殴った、あらすじの説明文みたいなSSだな
本版はこれを元にして書くの?
まさか新しい作風の実験でもしてるのではないだろうね
628名無しさん@ピンキー:2006/01/09(月) 01:24:33 ID:T0nRAwnd
そう言ってるじゃん。まあそもそもが
考慮する必要のない荒らし文句だったとは思うけどね。
他でも使いまわしてるし。内容に関わらず使えるし。
629500:2006/01/09(月) 01:30:36 ID:xQOaPBZ+
>625
え。
おれこーゆーの好きだけどなあ。

あとはエロさえついてればご飯が三杯は行けるー
630名無しさん@ピンキー:2006/01/09(月) 02:03:34 ID:8ePfndyn
別にエロや悲惨な過去無しのまったり系でもいいけどね
631名無しさん@ピンキー:2006/01/09(月) 02:46:20 ID:sjWDvAcA
まったりエロい長編希望。


かえってかなり難しいような気がするが。
632名無しさん@ピンキー:2006/01/09(月) 10:29:05 ID:0Kqja23s
なーんか皆好き勝手言ってんなw
◆JUBxmKBLaQ の中の人も大変だ。
633 ◆JUBxmKBLaQ :2006/01/09(月) 17:30:51 ID:6A4YAqY6
>>627-628
誰のことを言ってるのかと思ったけどやっぱり自分のことか。
荒らしとか使い回しとかは正直何の話か分からないのだけれど…

スキルが足りなきゃ荒らしも同然というのは心得てるつもりで、でも難しくて。
女くさいとか乾いてるとかよく言われます。あまり自分のスタイルというものがないので、
何かご意見いただければ参考にします。みんなありがとう。
634名無しさん@ピンキー:2006/01/09(月) 18:33:48 ID:orftHPzD
>>633
ちょっとおちつけ。
アンカーなくても流れを読もう。
>>628がゆーてる「考慮する必要のない荒らし文句」ってのは、>>616のことだと思うんだが。

長いSSが好きな人もいれば、そうでない人もいる。
自分で長いと感じれば、「長文失礼」とでもことわって、NG登録しやすいように配慮すればいい。
いい雰囲気のSSなんだから、投下方法やら書き手自身のコメントやらに配慮すれば、文句言う奴は減るんじゃない?

635名無しさん@ピンキー:2006/01/09(月) 18:38:20 ID:o/RoqbFf
>>633
長文の場合は「長文」と冒頭に書いてもらえればNG登録であぼーんするんで助かります。
読まないで済むのでお互いにとって良いかと。
636名無しさん@ピンキー:2006/01/09(月) 18:51:53 ID:URWR9s6m
書く側がどうこうするこっちゃないから。俺のように普通にスルーしなされ。
637 ◆JUBxmKBLaQ :2006/01/09(月) 19:23:12 ID:Bb05OvX4
>>634-636
なるほど、どうも。区切りがついた2レスで書き込んだだけだったので、戸惑ってしまって。
全く読まれもしないのは寂しい気もしますが、次回以降は「長文」とつけるようにします。
638名無しさん@ピンキー:2006/01/09(月) 21:09:05 ID:MquHZSvp
GJですよ!いいキャラしてますね!
長文でも全然いいですよ。ていうかむしろ読みたいです。
639名無しさん@ピンキー:2006/01/10(火) 21:23:04 ID:EI3FyCWW
メイド達の大和さんよw

【監禁・調教】M男シチュSSスレ【輪姦・露出】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1110203203/l50

で、スーパーハカーにIPさらされて
他力本願な本人攻撃依頼されてるぞww
まあリアルでなん異常あったら告訴しなw
640名無しさん@ピンキー:2006/01/10(火) 21:26:19 ID:EI3FyCWW
男が女に犯されるやつ8
〜「僕以外の人」からDDoS攻撃やroot経由の設定変更喰らう前に、やめておいたほうがいい。 〜
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1114019984/l50
の1の仕業だからw
見当違いの攻撃されちゃうみたいで気の毒だけど
こらえてくれw
いざとなったら2chにログ提出依頼をして告訴だなw
リアル犯罪には流石に動くと思うんで
641名無しさん@ピンキー:2006/01/11(水) 14:27:01 ID:9N6ZFfVG
【ご主人様と】メイドさんでエロパロ【呼ばれたい】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1116429800/
459 2006/01/01 02:51:46 ID:2EoNwRdV   メイド達の大和 fi-202231173-49.urban.ne.jp

IPアドレス => 「 202.231.173.49 」
ホスト名変換 => 「 fi-202231173-49.urban.ne.jp 」
Network Information: [ネットワーク情報]
a. [IPネットワークアドレス] 202.231.170.0-202.231.175.255
b. [ネットワーク名] URBAN
f. [組織名] アーバンインターネット
g. [Organization] URBAN INTERNET
m. [管理者連絡窓口] NK3869JP
n. [技術連絡担当者] TO1594JP
p. [ネームサーバ] ns.urban.ne.jp
p. [ネームサーバ] ns2.urban.ne.jp
[割当年月日] 2001/08/30
[返却年月日]
[最終更新] 2004/11/26 12:13:21(JST)
642名無しさん@ピンキー:2006/01/13(金) 15:24:28 ID:9WkUR8SR
保守
643物書き ◆UsF/eVSscw :2006/01/14(土) 13:43:49 ID:oxG/XsYn
これで晴れて他人と解かった事だし
644名無しさん@ピンキー:2006/01/14(土) 14:02:23 ID:JJuj5GDG
>>643
おとなしくフェチスレに帰れクズ自演野郎
645名無しさん@ピンキー:2006/01/14(土) 19:57:38 ID:proAgeQf
>>643
余計なお世話かもしらんが……
あんさんこのスレでコテ使うのやめたほうがいいと思うぞ。
少なくともあんま良く思われてはいないと思うから。
646名無しさん@ピンキー:2006/01/14(土) 20:01:08 ID:zREvrcHZ
>>643
つーかコテハン止めたところで文体でバレバレだけどな
そもそもお前がゴミみたいな妄想を貼ったのがそもそもの原因だろうがボケ!
リアルで人に迷惑をかけない方法でひっそり氏ね!
647名無しさん@ピンキー:2006/01/14(土) 21:23:22 ID:ocW/13GR
物書きさんメイドたちの大和の続き書いて下さい
期待してます
648名無しさん@ピンキー:2006/01/15(日) 02:46:55 ID:tffwITNf
物書きさんは示申だ。
続き期待です
649名無しさん@ピンキー:2006/01/15(日) 03:03:15 ID:AYU/odl7
>>647-648
ID切り替え自演ウザイ。
650名無しさん@ピンキー:2006/01/15(日) 06:17:46 ID:tffwITNf
天才物書きさんの大和超期待です\(^O^)人(^O^)/
651名無しさん@ピンキー:2006/01/15(日) 11:44:38 ID:GSeQ2O45
もう戦争物はいい・・・
一回だけエロください。
652名無しさん@ピンキー:2006/01/15(日) 14:40:51 ID:13YDcuGF
どっからおかしくなっちまったんだろうな、このスレ……
昔はまったりと良作を待ってれば良かったのに……
653名無しさん@ピンキー:2006/01/15(日) 15:20:14 ID:f522tJLJ
物書き ◆UsF/eVSscw さんの大作
「メイドたちの大和」の続き、ちょー期待しています!
物書き ◆UsF/eVSscw さんは軍事知識が豊富で尊敬します。
メイド+男たちの大和という奇想天外な発想には嘆息させられます。
擬人化、巫女、メイドという世界設定の奇抜さも群を抜いています。
是非このスレに永くいついて良作を生産しつづけて欲しいです。

あなたの熱烈なファンより
654名無しさん@ピンキー:2006/01/15(日) 20:21:39 ID:dlhMu1Cv
左:物「物メ擬是
左斜:物イき男女にァ
右斜:作すしらいて
右:作!すすすす

そうか、これは暗号だ!
655名無しさん@ピンキー:2006/01/15(日) 23:26:16 ID:T2vkSRtd
似非紳士さん、戻ってきてくれるのかなあ……
最後の投稿からまだ一か月も経ってはいないけど、流石にこれでは……
656名無しさん@ピンキー:2006/01/15(日) 23:32:34 ID:XgLawIOi
戻って来たところで居場所は与えんけどなw
657名無しさん@ピンキー:2006/01/16(月) 00:03:46 ID:nDh9I4IV
万歳
メイドたちの大和
天才物書きさんが書いたメイドものの傑作
軍事小説としても超一流
私はあなたに惚れました
こんな小説あなたでないと書けない
ずっとこのスレにいついて下さい
そして良作を投下し続けて下さい
本当に期待してます







続きフォ―――
658名無しさん@ピンキー:2006/01/16(月) 00:37:33 ID:9zMtK/eX
こいつって、軍板の中高一貫の防衛女子校で荒らしを繰り返してる奴じゃないのか
659名無しさん@ピンキー:2006/01/16(月) 01:00:47 ID:H4jt3pr5
>>658
そうだよ。801板にもいる。
660名無しさん@ピンキー:2006/01/16(月) 02:33:54 ID:jmLwjX9l
物書き ◆UsF/eVSscw は天才です。示申です。
「メイドたちの大和」はその設定のスケールの大きさといい、
独自の世界観といい、奇抜なセンスといい、この板屈指の大作です。
これをこのまま腐らすのはおしい。
どうか続きを書いてください。
今のままで終わらすのはあまりにも惜しい。
思う存分、一万字でも、このスレに投下してください。
「メイドたちの大和」でこのスレを埋め尽くしてください。
みんながあなたを賞賛しています。
天才SS書き物書き ◆UsF/eVSscw さま、
どうか我々凡愚にあなたさまの偉大なSSを拝ませてください。
お願いします。
661名無しさん@ピンキー:2006/01/16(月) 03:07:26 ID:jmLwjX9l
物書き ◆UsF/eVSscw は天才、示申、示申、示申!

物書き ◆UsF/eVSscw は天才、示申、示申、示申!

物書き ◆UsF/eVSscw は天才、示申、示申、示申!

物書き ◆UsF/eVSscw は天才、示申、示申、示申!

物書き ◆UsF/eVSscw は天才、示申、示申、示申!

物書き ◆UsF/eVSscw は天才、示申、示申、示申!

物書き ◆UsF/eVSscw は天才、示申、示申、示申!

物書き ◆UsF/eVSscw は天才、示申、示申、示申!

物書き ◆UsF/eVSscw は天才、示申、示申、示申!

物書き ◆UsF/eVSscw は天才、示申、示申、示申!

物書き ◆UsF/eVSscw は天才、示申、示申、示申!

物書き ◆UsF/eVSscw は天才、示申、示申、示申!

物書き ◆UsF/eVSscw は天才、示申、示申、示申!

物書き ◆UsF/eVSscw は天才、示申、示申、示申!

物書き ◆UsF/eVSscw は天才、示申、示申、示申!

物書き ◆UsF/eVSscw は天才、示申、示申、示申!

物書き ◆UsF/eVSscw は天才、示申、示申、示申!

物書き ◆UsF/eVSscw は天才、示申、示申、示申!
662名無しさん@ピンキー:2006/01/16(月) 03:36:47 ID:nDh9I4IV
天才小説家物書きさま
みんながあなたの素晴らしい才能を絶賛しています
あなたは千年に一度の天才です
偉大なる示申です
このスレに光臨した救世主です
どうかあなたさまの才能でこのスレを救って下さい
あなたの続編を読む光栄にあずからせてください
あなたの才能でこのスレを満たしてください
どうか伏してお願いします
























偉大なる物書きさまに栄光あれ


663名無しさん@ピンキー:2006/01/16(月) 03:48:23 ID:qhZLRIgt
腐ってやがる…
664名無しさん@ピンキー:2006/01/16(月) 03:51:33 ID:GC+y0buq
みんなして暫く放置ウォッチングしてみないか。
この暇人のレスだけでどこまでスレが伸びるやら。
665名無しさん@ピンキー:2006/01/16(月) 04:13:51 ID:nDh9I4IV
万歳
天才小説家物書きさま
たたえあれ
天才小説家物書きさま
偉大なるメイドスレの主
荒廃したスレの救世主
すべての書き手の偉大なる示申
軍事小説の第一人者
メイドものの素晴らしき巧者
大和を蘇らせた男
斬新と奇抜の王子
作家の中の作家
驚異の超SS 書き
みながあなたを称賛する
みながあなたの続きを待っている
ああどうかあなたのお慈悲でこのスレを満たしてください
あなたの御慈悲をめぐんでください



























物書きさまに栄光あれ
666名無しさん@ピンキー:2006/01/16(月) 04:31:11 ID:nDh9I4IV
天才SS書き物書きさま
あなたはこの板が始まって以来の天才です
あなたの栄えある作品にくらぶればこのスレのどのSSもゴミ同然です
どうかあなたの輝かしい作品の続きを読ましてください
お願いします




































667名無しさん@ピンキー:2006/01/16(月) 21:40:06 ID:aVuLPrmL
「艦長!対象がロストしました!」
668名無しさん@ピンキー:2006/01/16(月) 23:05:50 ID:jdRTA7fQ
とりあえず・・・

>>663
焼き払え!!!
669名無しさん@ピンキー:2006/01/17(火) 00:39:07 ID:0F/9jd0Y
>>663
巨神兵がドーンっ!!(懐かしのローカルネタ)
670名無しさん@ピンキー:2006/01/18(水) 22:05:09 ID:5HEdEbWc
まあ (´・ω・`)

お暇を頂いてる間に、こんなに散らかして。
このお土産は故郷の名物の冥土饅頭ですから、おやつにお召し上がりくださいませね?

まったく、ご主人様ったら。わたくしがいないとダメなんですから。
そ・・・そんな嬉しそうにされると照れてしまいます。寂しかったんですか?

でも、このレスを見たときに、ご主人様はきっと、
言葉で言い表せない「やった、また一緒にすごせる。」みたいなものを感じていただけたと思います。

お掃除をしたり、お洗濯をしたり、時々膝枕をして差し上げたり・・・。
殺伐とした世の中で、せめて今だけでも安らぎをと思ってこのレスをしてみました。
さ、お茶が入りましたよ。え?耳掃除ですか? 仕方の無いご主人様。

あ、ちょ・・・ちょっと、ダメ・・・だめですぅ・・・。
671名無しさん@ピンキー:2006/01/19(木) 18:46:04 ID:tbwIJIOF
>>670
久々にいいもん見た。
672名無しさん@ピンキー:2006/01/19(木) 21:08:12 ID:AKG8wW1V
メイドたちの大和のつづきまだー?
673名無しさん@ピンキー:2006/01/20(金) 00:06:09 ID:RVuzRSti
↑が見えないんだがw
674似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2006/01/20(金) 01:41:25 ID:QH9d00nN
お久しぶりです。
スレがやけに伸びてると思ったら、なんというかこう……ちょっと面白い感じになってますね

それはともかくとして投下しますね。
675雪の日 ◆DMzTyHF5uc :2006/01/20(金) 01:42:06 ID:QH9d00nN

                      *雪の日*



雪である。
一面の雪である。

「ユカリ……雪だよ」
「雪ですねえ、坊ちゃま」

家の周りには屋根雪が落ち、そのままつもって高い白い壁を作っている。
ダーヴァレイ家長男、ティム・ダーヴァレイはなかばあきれた様子で呟いた。
雪の壁は、当年とって十歳になる彼の身長よりはるか高くそびえていた。
金髪碧眼
定型句であるこの言葉を体現している少年である。
彼の父、ジョン・ダーヴァレイの髪は黒に近い茶色であるし、瞳の色もティムのような紺碧ではないことからも、
全体に彼は母親似であるようだ。
小さな瞳は透き通って蒼く、その上のまぶたは絵に描いたようにきれいな二重まぶたである。
彼から推測するに、どうやら母親は相当に美人であったようだ。
彼の母親は彼を産んですぐに死んだ。
いつの世も、美人は薄命だと相場が決
676雪の日 ◆DMzTyHF5uc :2006/01/20(金) 01:42:36 ID:QH9d00nN
いつの世も、美人は薄命だと相場が決まっているのだろう。

その隣で彼に応えた少女は、田村ゆかりという。
歴とした日本人である。
なぜ年端もいかぬ日本人の少女が英国でメイド――それも雑役女中――に身をやつしているか、
訝しがる向きもあるだろうが、その事情についてはなかなか込み入ったものもあるので、できるだけ簡単に説明する。
ゆかりは父親らと訪れたイギリスで、猛スピードの馬車にはねられ、記憶喪失になったのだった。
このままでは日本に帰れないのだった。
なんだか勢いのうちに、ゆかりは記憶を取り戻すまで、ダーヴァレイ家のメイドとして暮らすことになっているのだった。

そのゆかりである。
黒一色のワンピースに、反対色の白のエプロン、襟カラー、ヘアキャップ。
白い綿のソックスに黒皮のシューズ。
髪は東洋人特有ので艶やかな黒色で、そこに純白のヘアキャップが特に映えている。

見事な白と黒のコントラストである。
パンダかシマウマのようだ。
褒め言葉になっていないかもしれないが。

服装が黒と白に統一されているのには実務的な意味があり、なかなか洗濯できないワンピースは
汚れの目立たない黒色であるべきだし、そうすることで白いエプロンの清潔感をより際だたせられる。
また一般に、黒の衣料は丈夫にできている。これは衣料に限らずいろいろなものに当てはまる。
黒という色は丈夫なのだ。
簡単に言うとそれは、黒の色素というのは全ての色味を含んでいるという特性があるからだ。
677雪の日 ◆DMzTyHF5uc :2006/01/20(金) 01:43:26 ID:QH9d00nN

話がそれた。
なにしろ雪である。
雪は豊年の使いとは言うが、こうも多いとやはり辟易してしまう。
色素の関係から言えば脆弱であるはずの白い雪だが――実際、個体ではひどく脆いが――
雪は積もるものである。

空から降りてくる時にはこれほど優雅で美しい物もないが、それがつもるとこれはもう
ひどい。
道は封鎖されるし人は転ぶし汽車は運転を見合わせるし屋根雪は雪崩のように落ちてくるし
犬は喜び庭駆け回るしもう大変なのだ。


「雪だるまでも作りますか、坊ちゃま」
「――--…………」
ティムは黙ったままで窓の外を見つめていた。
その視線の先には無数の雪だるまが並んでいる。
無数、というのは数え切れないほどの、という意味である。
ゆかりは彼の言わんとすることがすぐにわかった。

「さすがに、100体も作ると飽きますよね……」
「まあ、ねえ」
「私たちもよく100も作りましたよね」
「一体あたり雪だま三つだから、ぜんぶで300個の雪だまをゴロゴロころがして作ったってことだもんねえ」
「なんで途中でやめなかったんでしょうか」
「ほんとにねえ。二人とも何かにつかれていたとしか思えないね」
つかれていた、というのはこの場合「憑かれていた」のほうだろう。
678雪の日 ◆DMzTyHF5uc :2006/01/20(金) 01:44:07 ID:QH9d00nN

「今となっては……すごい光景ですね、これ」
「というか……」

怖い。

しんしんと雪が降り積もるなか、ただ黙って虚空を見据え続ける100体の雪男たち。
怖い。
二人はただ黙って雪だるまたちを見ていた。

無言の雪だるまたち100体を無言の2人が見つめている。
炭をはめ込まれたその目はうつろで、物言わぬ口は奇妙につりあがってその笑顔はある種の不気味さをかもし出している。 

ずっとそんな風景を見ていると、だんだん、変な気分になってきた。

「――…っっぁぁぁああああああーーーーーーーー!!!だめです、坊ちゃん!いくら雪がひどい
 からといってこんなに家でじっとしていては、私、気が狂ってしまいそうです!」
「……ユカリは体育会系だもんね。止めないから、ちょっとそのへん走ってきたら?」
「ありがとうございます!そうします!!」

679雪の日 ◆DMzTyHF5uc :2006/01/20(金) 01:45:04 ID:QH9d00nN
言うや言わずや、ゆかりはそのままの格好で、雪降る空の下へ駆け出していった。
扉を開ける。ちいさな階段が三段、それを一気に飛び降りた――――
はずであった。
しかし玄関の扉を開けると、そこにあったのは雪の壁である。
ゆかりは思い切り雪の壁に飛び込んでしまった。
冷たい。
「……なに、これ」
埋まっているままで、雪に呟いた。

この時代、玄関の扉は大抵が内開きなので、外にどれだけ雪が積もろうが開くことは開く。
が、開いたところで、そこにあるのはやはり雪であった。
いつの間にこんなに積もっていたのであろう。
何しろ今年の雪の量は異常である。昨日の夜に家の前の雪をきれいにどかしたおいたとしても、
今日の朝には全く元通りになってしまうのだ。

「坊ちゃまぁ……」
「うん、おかえり」
「雪が……」
「うん、しってた」
「止めてくださいよ、じゃあ」
「ひゃくぶんはいっけんにしかず、っていうじゃない」
ティムはユカリと話しながら、ひどく楽しそうな表情をしている。
「……坊ちゃま」
「なに?」
「さては、私で遊んでますね?」
「あ、わかった?」
「わかった?じゃないでしょう」
「いやー、こう雪が続つづくとさあ、ユカリであそびでもしないと気がくるっちゃいそうでさあっはっはっはっはっは」
「あっはっはっはっは。じゃ、ないでしょうがぁあ」
ゆかりは身を震わせて怒鳴った。
震えるたびに体中についている雪がほろほろと落ちた。
680雪の日 ◆DMzTyHF5uc :2006/01/20(金) 01:45:37 ID:QH9d00nN

「坊ちゃま、寒いです」
「そりゃ、雪にダイビングしたんだからとうぜんだって」
「ううう……」
ゆかりは両手で体を抱き、カチカチと奥歯を鳴らしている。
「ああほら、石炭、ふやしてあげるから、だんろの前にきなよ」
「す、すす、すいません」

ぼんやりと燃える石炭の中に、黒々と冷たく光る新しい石炭を放り込む。
じわ、じわと炎は広がりより大きな熱を生む。
ゆかりはしばらくその様子を眺めていたが、服も体も乾くと、じきに飽きてきたらしく、
「坊ちゃま、暇です」
などと言い出した。

「坊ちゃま、何かして遊びましょうよ」
「……しごとしなよ」
「イヤです」
「そんな」
「いえ、仕事は一通り終わってるんですよ。一応」
更に続けた。
「そんなこと言うなら坊ちゃま、宿題でもなさったらどうですか。たんまり出されているんでしょう?」
「うん、そうだね、よし……なにして遊ぼうか」

人はそれを逃避という。

「そうですねえ、何しましょうか」
ゆかりはてをあごに当て考え出した。
なにしろこの長雪で、室内でできる遊びはほとんどと言って良いほどやってしまったのだ。
スケッチブックは二人の落書きでいっぱいだし、
トランプはゆかりがルールをなかなか覚えないので辟易したし、
詩なんか詠めないし、
刺繍なんてゆかりができるはずもないし、
ティムが読めるような本はもともと数も少ないし、そらんじることができるほど読んでしまったし、
古今東西なんかは遊びすぎて「お題になりそうなもの」というお題で遊ぶほどだった。
681雪の日 ◆DMzTyHF5uc :2006/01/20(金) 01:46:45 ID:QH9d00nN

「おにごっこ!」
ティムが手をまっすぐあげて元気よく言った。
しかしゆかりは怪訝な表情をしている。

「家の中ですよ?」
「でもさぁ、さいきん、運動してないじゃん」
ティムはその質問がされることをすでに予想していたようで、表情を変えずにそのままの笑顔で答えた。
「確かに、それはそうですけど……」
「ユカリ、少し太ったんじゃない?」
「え、な、突然、何をおっしゃるんですか。そんなこと……」
「あるでしょう。ユカリ、クリスマスからこっち、ずっと食っちゃ寝してたじゃない」
「う」
「ほら」
ティムはいきなり、ゆかりの横腹をつまんだ。
指と指の間に柔らかい肉が挟まる。
「きゃあっ!」

「……何をなさるんですか!急に!」
「ほら、こんなに肉が」
そういうとティムは、先ほど横腹のあたりをつまんだままの形で、手を目の前にもってきた。
親指と人差し指でCの形をつくっている。
なるほどその隙間が3センチか5センチほどはあるだろうか。
ティムはその隙間からゆかりの顔を覗き込んだ。
顔を赤くして怒っている。
682雪の日 ◆DMzTyHF5uc :2006/01/20(金) 01:47:29 ID:QH9d00nN

「いいでしょう……そこまで言うなら、受けて立ちましょう……あとで泣いても、知りませんからね」
「へっへへー、おデブのユカリになんかには、つかまんないよー、だ」
ティムは調子に乗って手をひらひらとあげた。
が、ゆかりはその挑発には反応しない。

「……に……さん……」
もう数をかぞえている。黙ってはいるが、目は三角につりあがり、胸を張り肩をいからせ、
こころなしか髪の毛も逆立っている。
「げっ!ユカリ!数えるなら数えるって言ってよ!ひ、ひきょうだよ!」
「し……ご……ろく……」
ティムの非難にも、ゆかりは身じろぎ一つせずにカウントを続けている。
ティムは一目散に逃げ出した。
「……くっそ!」
おこらせすぎたかな。

階段を駆け上がる。
とりあえずゆかりの視界から消えなければ。
自分の部屋の扉を勢いよく開ける。

「はちぃ……きゅぅう……じゅう!」
階下から10を数え終わった声が聞こえた。
ティムは柱の陰に隠した身を、ぎゅっとこわばらせた。

683雪の日 ◆DMzTyHF5uc :2006/01/20(金) 01:48:01 ID:QH9d00nN

だん、だん、だんっ
ゆかりは一段飛ばしで階段を駆け上がる。
「太った」と言われたことがそんなに気に障ったのだろうか。
「(気にしてたのかな……)」
だとしたら悪いことを言った。
一秒ごとに近付く足音にびくびくしながらも、ティムはいまさら少し後悔した。


階段を上ると、ティムの部屋の扉が開け放しになっているのが見えた。
「そぉーこぉーかぁー!」
ゆかりは本物の鬼もかくや、といった様子でティムの部屋に飛び込んで行った。
「ばかめ、ここに逃げ場はないぞ!」

隠れていたティムはふと思った。
「(……主人の子供に向かって『馬鹿め』っていうメイドってどれくらいいるんだろう……)」
ゆかりは運動不足からくる欲求不満でいろいろと精神状態が良くないのだろう。きっと。

「どぉーこぉーだぁー」
ゆかり(鬼)はティムの部屋を素早く見渡す。
しかし人影はなく、あるのはベッドと小さな本棚だけである。
そのとき、背後から誰かが階段を下りる音が聞こえた。
「何っ!?」
ゆかりは、ぐりんと首を回して振り返った。部屋の扉は開けたままになっている。

ティムは自分の部屋には入らなかった。
扉だけ開けておいて、自分は階段を上ったところの陰に隠れていたのだ。
開いた扉に気をとられたゆかりは、それに気付かず、ティムの真横を通り過ぎたことになる。
「(あー!どきどきした!)」
目の前でゆかりをやり過ごすと、ティムは逆に階段を駆け下りて行った。

「……そぉーこぉーかぁー!」
階上にゆかりの声が響いていた。
「怖っ!」
684雪の日 ◆DMzTyHF5uc :2006/01/20(金) 01:48:31 ID:QH9d00nN

ティムが一階へと降り、リビングに入ると、二階で
だんっ
と大きな音がした。
何の音だ
と振り返る。
そこで見たのはなまなかには信じがたい光景であった。

まず、鈍い光沢のある黒のシューズと白いソックスをはいた足首が目に入った。
続いて白い綿のドロワーズの裾。
一見、綿の長ズボンだが、ドロワーズというのはれっきとした下着である。
それが腰のあたりまで丸見えだ。
スカートの裾とペチコートのフリルは完全に逆さをむいて、チューリップかバラの花のようにめくれ上がっている。

一瞬のことであるが、随分と長い時間のように感じられる。
人は予想だにしない事態に遭遇すると、脳が異常に高速回転して、自動的にそういった現象が起きる。
「ユカリ」
この女、かなりの高さがある階段を、一気に飛び降りてきやがった。

ゆかりの目はしっかりと絨毯敷きの廊下を見据え、シューズが廊下に接地したかと思うと、
しっかりひざを曲げて衝撃を吸収し、両手を着き、ちょうど陸上のクラウチングスタートのような体勢で着地した。
慣性の法則で、しゃがんだゆかりの頭まで隠していたスカートは、ワンテンポ遅れてゆっくりと、あるべき位置に戻った。

ゆかりがこちらを見た。
黒い瞳が怪しく、ぎらぎらにきらめいている。
目が合うと、 ニィッ と笑った。
685雪の日 ◆DMzTyHF5uc :2006/01/20(金) 01:49:31 ID:QH9d00nN

脱兎。
「ユカリ!も、もっと恥じらいとかを持ったほうがいいと思うよ!」
ティムはそう叫んだが、しかしユカリからの返事はない。
恐ろしい気配だけが背後からひしひしと伝わってくる。
火の燃えたぎる松明を間近に近づけられたように、背中の産毛が逆立つ――肌が粟立つ――
ような感覚だ。

ティムは四つんばいになってテーブルの下にもぐりこんだ。
もう、必死である。
小さな心臓も精一杯に収縮と拡張を繰り返し、体に酸素を送らんとしている。
四つんばいで這って進み、いざテーブルを抜けようかとした時、
「ばあ」
上からゆかりの首が出てきた。髪は重力で逆立っている。

「ぎゃあ!」
一生懸命動いていた心臓が一瞬で止まりかけた。
さっきまでうしろにいたはずなのに。
恐らくまた一足飛びにテーブルの上に乗ったのだろう。
ティムは驚いて立ち上がり、テーブルに頭をぶつけてしまった。
痛い。
痛いが逃げなければならない。

ティムは体を反転させ、テーブルの下から這い出し、台所へと逃げ込んだ。
「逃がさんっ!」
後ろからゆかりの声が聞こえた。
686雪の日 ◆DMzTyHF5uc :2006/01/20(金) 01:50:13 ID:QH9d00nN
あれ、たしか前にもこんなことがあったような。
逃げるだれか。追うゆかり。
そうだ、コベントガーデンの泥棒騒ぎで。
その時ゆかりは見事に犯人を追い詰めて――――

ティムは犯人がその後どうなったのか思い出して泣きそうになった。
したたかに投げられて、いきおいよく鼻血を噴いていたのだった。

「(つかまってたまるか!)」
おかしい、おにごっこはこんなに殺伐とした遊びじゃなかったはずなのに。
ティムはとにもかくにも台所へと逃げ込んだ。

――――隠れる?どこに!?
戸棚?流し?テーブル!?

「そぉー…こぉー…かぁー…」
「(鬼!?)」
だめだ、追いつかれてしまった。
ゆかりは正に鬼のような形相だ。
年端も行かない女性に、鬼、とは随分な形容だが、
ティムにはすくなくともSnow White――白雪姫――には見えなかった。
もう、逃げるしかない。

にげ、に、にげなきゃ――――
ばん
裏口の扉を開ける。
一気に外へ飛び出す。
ゆかりもそれに続く――――

687雪の日 ◆DMzTyHF5uc :2006/01/20(金) 01:50:59 ID:QH9d00nN

もふっ。
「……なにこれ」
体中に予想外の感覚である。
外は雪であった。
否、正確に言うと雪の壁であった。
そこに飛び込んだティムは、人の形を残して雪に埋まってしまった。
「くらい!何!?つめたっ……!」
すっかりパニックに陥ってしまった頭で、どうにかこうにか現状を把握しかけたところに

ももふっ。
ゆかりも飛び込んできた。

ティムは雪の中でゆっくりと振り返った。
ゆかりの顔が間近である。
運動中の、熱い吐息が互いに鼻にかかる距離である。

「わ……!ユカリ!」
ゆかりは無言である。
「ユ、ユカリ、なに、おこってる!?ごっ…ごめん!まさかそんなにおこるとは……!
 ていうかユカリ、はくりょくありすぎだよ!おにごっこ、っていうのは『鬼』じゃなくてもっと『ごっこ』に
 重点をおいて――――!」
ティムがわめくのも意に介さない様子で、ゆかりは黙って手を伸ばしてきた。
殴られる――!?
688雪の日 ◆DMzTyHF5uc :2006/01/20(金) 01:51:50 ID:QH9d00nN
「ご、ごめんよっ!ごめんなさい、ってば――!」
なんとか防御すべく、眼前に伸ばしたティムの小さな手にゆかりの手が重ねられた。

「――――……え」

ティムがおそるおそるまぶたを持ち上げると、ゆかりは口を開いた。
「坊ちゃま、なんですか、こんなところに飛び込んで!風邪でもひいたらどうするんですか!
 ほら、手だってこんなに冷えてしまって……」
ゆかりは心配そうに、ティムの手に重ねた手をこすり合わせて、暖めようとしている。
鬼のように見えた形相も、すっかりいつものゆかりに戻り、よほど心配なのか眉がハの字になっている。
ティムはあっけにとられたように呟いた。
「あ……、うん、ごめん」
「まったくもう、遊びにこんなに必死にならなくても良いじゃないですか!」
だってユカリが怖かったんだもん。
とは言わなかった。

                         *
689雪の日 ◆DMzTyHF5uc :2006/01/20(金) 01:52:40 ID:QH9d00nN

ゆかりが淹れた熱い紅茶を飲み干すころには、服も乾いて体も温まっていた。
暖炉さまさまである。

「ふぅ……」
とティムが一息ついていると、やおら
「思い出しました!」
と叫んで、ゆかりが立ち上がった。

「え……なに、ニホンのこと?」
説明すると、ゆかりは記憶喪失で、今は何とか日本のことを思い出そうと、いわばリハビリ中の身なのである。
「ええ、そうです。坊ちゃん、カマクラ作りましょう。カマクラ!」
「え、幕府?」
「誰が源頼朝の話をしてますか。ていうか何で知ってるんですか。ていうかベッタベタですよね」

「え、なにそのきびしいツッコミ……。いや、この前先生に習ったじゃん」
「そうでしたっけ?」
そうなのだ。二人の家庭教師であるマーロットは、ゆかりの記憶の回復の一助にでもなれば、
と、どこからか日本に関係する本などをちょくちょく持ってくることがある。

「まぁそれはそれとして、今言ってるのは違うカマクラなんですよ。こう、雪でできた家なんです。
 坊ちゃん、今から作りましょう!」
「えぇー…今からぁ?」
今日はもう十分遊んだし、動いた。満足している。
というか正直に言ってもう、疲れた。
ティムはあからさまに嫌そうな顔を見せる。

「人のことをデブ呼ばわりしたのは、どこのどなたでしたっけ……」
「さぁ!よし!うん!早くつくろうよカマクラ!」
「ありがとうございます!」
ゆかりは仰々しく日本式のお辞儀をした。

「くちはわざわいのもん、とはよく言ったもんだね……」
「そうですねぇ、じゃ、行きましょうか!」
「うん……」
ティムは肩を落とし、まだまだ元気なゆかりの後をついていった。
690雪の日 ◆DMzTyHF5uc :2006/01/20(金) 01:53:16 ID:QH9d00nN


日が随分傾いてあたりが暗くなり始めたころ、カマクラは完成した。
積もっている中でも特別固く積もった裏口のあたりの雪山に横穴を掘る簡単なやり方だが、
雪を積み上げていくよりこっちの方が頑丈で大きなものができる。

「できました!」
「おおっ……これは……」
「えへへ、ちょっとしたもん、でしょう?」
ゆかりは自慢げに笑って、鼻の下をこすった。
「うん、それに、あったかいねえ」
「へっへー、これはですねぇ、雪に多く含まれる空気の粒が、断熱材の役割をして外気を
遮断してくれるんですよ。知ってました?」
そう言ってゆかりは、自信満々に胸を張った。
「ふぅん……いや、しらなかったよ。どうしたのユカリ、まるで、頭がいい人みたいじゃない」
「え、ちょっと、坊ちゃま」

ゆかりが情けない声を出していると、
「たっだいまぁ――――!いや――、もう、雪がひどいから店も早仕舞いにしちゃったよ!
 ティムー!ユカリちゃーん!どこ行ったー!?」
ティムの父ジョン・ダーヴァレイが、どなりながら帰ってきた。
「あ、旦那様だ!こっち、こっちでーす」
「こっち?こっちは外じゃあ……おおすごい!何これ!?……カマクラ?ふーん……
 わ!暖かいなこの中!」
「ふふーん、すごいでしょう。パパ、これはねえ、雪に多くふくまれる(中略)ってわけさ!」
「ちょっと、坊ちゃま」
「おお、すごいなティム。お前まるで頭が良いみたいに見えたぞ」
「え、ちょっと、パパ」
似たもの親子であった。
691雪の日 ◆DMzTyHF5uc :2006/01/20(金) 01:53:52 ID:QH9d00nN
その日、カマクラの中に石炭を持ち込んで、夕飯はそこで作った。
三人も入るとかなり狭苦しかったが、それでもジョンなどは体をちぢこめて収まっていた。
石炭の燃える赤色の光がカマクラ中に反射して、異様に美しかった。
ただ焼いただけのパンや、目玉焼きなどを、ティムもジョンもうまいうまいと言って食べた。
ジョンは魚を焼いてワインも飲んだ。
「(何だか、懐かしい感じ――)」
ゆかりはふとそう思った。
「ユカリ、ほら、お芋もやけたよ!」
ティムがそう言って愛らしい小さな手を伸ばしてきた。
その手には串に刺さったほくほくの焼きジャガイモが握られている。
「あ、ありがとうございます」
ゆかりはそれに塩をふって食べた。
おいしい。
単純な幸せである。

いつの間にか雪は止み、雲は晴れ、カマクラの屋根の上には、満天の星空である。
三人はカマクラから出ると、しばらくそれを眺めた。

今日もまた一つ、大切な思い出が増えた。

そしてティムもゆかりも、ついでにジョンも、今日もぐっすりと眠った。
寝る前に、閉じたまぶたに浮かんだのはやはり、今日の満天の星空だった。






                         *雪の日・終わり*
692似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2006/01/20(金) 01:59:34 ID:QH9d00nN
NHK教育の『名探偵ポワロとマープル』が好きです。
それはともかくとして今回もゆかりのアクションがかけなかったのが残念です。
きっと次回こそは。

それではまた。
693名無しさん@ピンキー:2006/01/20(金) 05:10:07 ID:jdS0PcEq


信者が沸くほどでもないと思うが、読める作品が来るのはいいことだ
694名無しさん@ピンキー:2006/01/20(金) 14:54:57 ID:0NDlxmCH
うんうん。
695名無しさん@ピンキー:2006/01/20(金) 16:58:28 ID:TgJlTW6f
平和が戻ってきたな
696名無しさん@ピンキー:2006/01/20(金) 17:00:50 ID:wMagsaG4
メ イ ド 達 の 大 和 は ま だ で す か !?
697物書き:2006/01/20(金) 21:30:59 ID:iiDh4jNe
>>696
こういう人が五月蝿いんで二度と書きません^^
698名無しさん@ピンキー:2006/01/20(金) 21:56:14 ID:hMBqj3L6
ゆかりさんいいですね
なんか心が和みますよ。GJ!
699名無しさん@ピンキー:2006/01/20(金) 23:53:24 ID:wCpzkSfc
ほのぼのいいですね…
また、キャラの壊れ方がよさげ。




で、鬼ごっこのあたりからエロエロな展開を希望した漏れは吊ってくるべきでしょうか?
700名無しさん@ピンキー:2006/01/20(金) 23:53:41 ID:YTMgF+EZ
和むねえ・・・・
701名無しさん@ピンキー:2006/01/21(土) 01:47:39 ID:y26q+j/v
メイドたちの大和まだー?
702名無しさん@ピンキー:2006/01/21(土) 01:53:26 ID:oFbHGwVy
このスレの在り方はこうだったんだよな。
703名無しさん@ピンキー:2006/01/21(土) 02:37:54 ID:gY2itra/
天才SS書き、物書きさんの続きまだかなあ……
704名無しさん@ピンキー:2006/01/21(土) 03:28:13 ID:y26q+j/v
物書きさん続き期待してます\(^O^)人(^O^)/
705名無しさん@ピンキー:2006/01/21(土) 13:00:55 ID:EE3vzTl1
自作自演でアゲる痛い阿呆がいなければ更に最高なんだがな・・・
706名無しさん@ピンキー:2006/01/21(土) 17:32:16 ID:O+nxQcFF
物書き ◆UsF/eVSscw は天才、示申、示申、示申!
クズSSばかりでなく、物書き ◆UsF/eVSscwさんの示申SSもたまには読みたーい
続き早く書いてね♪
707物書き:2006/01/21(土) 17:34:11 ID:f42VsM4O
お断りだ
708名無しさん@ピンキー:2006/01/21(土) 17:38:44 ID:f42VsM4O
>示申
何て読むんだこれ?
流石に「かみ」のつもりだなんていうほどこいつが
とんちんかんのスットコドッコイ、あんぽんたんのノータリンとは思わんが
709名無しさん@ピンキー:2006/01/21(土) 17:50:00 ID:O+nxQcFF
旧字体も知らないんですねw
710名無しさん@ピンキー:2006/01/21(土) 17:52:04 ID:y26q+j/v
またクズSSかと嘆息しています。
早く物書きさん来ないかなあ・・・
711名無しさん@ピンキー:2006/01/21(土) 17:57:14 ID:y26q+j/v
天才小説家物書きさまに栄光あれ\(^O^)人(^O^)/
712名無しさん@ピンキー:2006/01/21(土) 19:19:18 ID:f42VsM4O
>>709
あまり知る必要があるとは思えませんねw
713名無しさん@ピンキー:2006/01/21(土) 19:20:17 ID:f42VsM4O
これからの人生で旧字体が必要になる時は
子供じみた釣り以外に考えられないです><
714名無しさん@ピンキー:2006/01/21(土) 20:02:30 ID:yhiQk14t
>>707-708
分かっててやってるんだったら俺がいいツラの皮だが、
もしも本気でやってるんだったら言っておく。

あ ら し に か ま う な 。

話しかけりゃ話しかけるだけ喜ぶんだから。
あとコテ使うのやめとけ。これも荒らしにからかわれるだけだから。
715名無しさん@ピンキー:2006/01/21(土) 20:06:27 ID:MhcBZytn
>>714
物書きは最初から確信犯
716名無しさん@ピンキー:2006/01/21(土) 20:21:09 ID:O+nxQcFF
物書き ◆UsF/eVSscw は天才、示申、示申、示申!
クズSSばかりでなく、物書き ◆UsF/eVSscwさんの示申SSもたまには読みたーい
続き早く書いてね♪
717名無しさん@ピンキー:2006/01/22(日) 06:26:47 ID:xa5jqopn
>>714
スクリプト荒らしと似たようなモンだからゴッドハンドが来ない限り
無視しても多分無意味。ゴキブリっつーのは大元を叩かにゃぁ
718名無しさん@ピンキー:2006/01/22(日) 09:51:00 ID:CBcYqhFb
すくあらたんみたいに萌え殺しちゃえばいいんじゃね?
719名無しさん@ピンキー:2006/01/22(日) 13:29:53 ID:PWvPiRaC
ムダだろう
アレらは行数しか見ていない。
720名無しさん@ピンキー:2006/01/22(日) 21:14:52 ID:wJ1e4Rz6
>>717
つまり、ホイホイさんのSSって事でつか?
721名無しさん@ピンキー:2006/01/23(月) 21:06:56 ID:EAGBUory
メイドたちの大和超期待です\(^O^)人(^O^)/
722名無しさん@ピンキー:2006/01/23(月) 23:55:34 ID:ENHSV1YH
メイドたちの大和まだぁー?
723メイド達の大和:2006/01/24(火) 02:50:27 ID:y+2g9vj5
薄暗い………
明かりも無く………
闇だけが広がり、光は、消え失せている……
自分が誰なのか、自分は何の為に活動しているのかすら皆無
壊れたメモリーには、一人の男性と数人の使用人〔メイド〕さんが写し出されていた
「これは……」
既に理性は崩壊へと進み
狂気に呑まれつつある自分にも、これだけは破壊されないらしい
神様が居るとするなら
感謝をするだろう



私の意識は其処で途切れた
724名無しさん@ピンキー:2006/01/24(火) 03:10:10 ID:4EI7mEoa
ああ〜また来たよ
さっさとどっかに行ってくれ
725名無しさん@ピンキー:2006/01/24(火) 03:13:08 ID:y+2g9vj5
>>724
ごめんなさい
大和の人では、無いです
少し 小説についてを勉強中ですので
試しに書いてみただけなので
不快と感じるようであれば心からお詫びを申し上げますorz
726500:2006/01/24(火) 03:18:20 ID:mdR1L2Kt
500ですけど、妄想を噴出させてもよろしいでしょうか?






エロクないけど・・・
727名無しさん@ピンキー:2006/01/24(火) 03:25:27 ID:lYm5I3N1
うざい
728500:2006/01/24(火) 03:25:49 ID:mdR1L2Kt
「百合さん、お願いがあるんですけど」
「なんでしょう?」
 箒を持つ手を休めて、百合は主人を見つめる。

「今度、知り合いのところで宴会があるんですが、一緒に来て欲しいんです」
「はい、構いませんが」
 足の不自由な主人の付き添いならば、百合はいままでも何度かしたことがある。

「良かった! 断られたらどうしようかと思ってたんですよ」
 満面の笑みを浮かべる主人の顔に見とれる百合。
 まるで子供のような無垢な笑み。百合はそれを「貴族としての貫禄に欠ける」と
思ってはいるが、その笑み自体は嫌いではない。むしろ好きですらある。
 いつだって、その主人の笑みを脳裏に思い浮かべるだけで
百合の胸の中に暖かな熱が生まれる。

 その笑みをよく覚えておこうとあまりあからさまにはならないよう気をつけながら
百合はしっかりと目に焼き付けておく。

 そんなふうに主人を見ていた百合だが、ふと訝しく思った。
 付き添いならば命令すれば否応なく着いていくのがメイドの務め。
 それなのに、なぜ「断られる」と旦那様は思ったのだろう?
「旦那様?」
「なんですか?」
「その宴会というのはどこで行われるのでしょうか」
「キュウチュウですよ」
 百合が「キュウチュウ」に「宮中」という漢字が当てられるということを
理解できるまで数秒。
「!!!!!」
 驚きのあまり声が出ない。
「きゅ、宮中って…まさか、お内裏ですか? ご禁裏の、御所のことですか!?」
「百合さんはいろんな言い方を知ってますねえ」
 どこかずれた主人の声。
「今はご皇宮、と呼ぶのだそうですよ」
 とぼけた調子の主人とは裏腹に、焦りきった百合の声が部屋中に響く。
「ダメ、ダメです! そんな、恐れ多いです! ムリです!」
「新年会ですよ? 普通の宴会です」
「宴会なんかじゃないです! それって新年祝賀の儀じゃないですか!!!」
 大声を出している百合。こんなに取り乱すことも、それに気づかないでいることも
初めてだ。
「あ、正式にはそう呼ぶんですか」
 この時代のこの国の人間ならばほとんど知らぬもののないその祝賀会の名を
さらりと失念している主人。
729500:2006/01/24(火) 03:26:56 ID:mdR1L2Kt
「ホントならあの、ほら、伊野さんちのお嬢ちゃんを連れて行く予定だったんですけどね」
「伊野さんち…って! 房州公の御令嬢じゃないですか!」
 今日何度目かのはしたない大声に、ようやく百合ははっと気づく。
「……し、失礼いたしました」
 百合はいつになく慌てた顔を見せた。

「あそこのお嬢ちゃん、おたふく風邪に罹っちゃって。 代わりに誰か、と思ったら
百合さんしかいなくて」
「そ、そんな、そんな、貴族の御令嬢の代理なんてできません!」
「え? ダメなんですか?」
「ダメです! ムリです! どなたか、ほかの方を誘ってください!」
 蒼白になって首をぶるんぶるん振る百合。
「え。そんな…ほかに一緒に行ってくれそうな女の人知らないですし」
「旦那様くらいならいくらでもそういう人がいらっしゃるじゃないですか!」
「そんな人いませんよ。それにあんまり知らない人と一緒に行くのいやなんです。
 僕ってほら、人見知りですし」
「服だって持ってません!」
「借りてきますよ。……あ、お古がイヤだってんならどこかに作らせますから」

「ムリです! 無茶です! ご、ご貴族や、ご皇族の方々がいらっしゃる
パーティーなんですよ!?」
「みんな普通のひとですよ。羽根や角が生えてるわけじゃないです」
「ぜんぜん普通じゃありません!」

「それに、しゅ、主上陛下も、い、いらっしゃるような、え、宴席になど」
 百合は心底畏れ多い、という口調で青くなっている。
「一度お会いしたことがありますけど、意外に気のいいおじさんでした」
「お、おじさん…」
 この国で一番尊いはずの人間をおじさん呼ばわりしている、この主人も
相当どうかしている。
「ええ。だから気にせずにどうか」
「無理ですっ!!!」
730500:2006/01/24(火) 03:28:49 ID:mdR1L2Kt
 馬車は揺れている。
 乗っているのは主人とメイド、の二人。
 とはいえメイドも豪奢な正装を身に着けているので見ただけではメイドとは
わからない。
「…」
「綺麗ですよ」
 主人が褒めても、緊張しきっている百合は顔色すら変えない。
「……」
「百合さんはもとがいいから」
「………」
「やっぱり色白だと濃い色のドレスも似合いますね」
 確かに、百合の整ったつくりの顔は美人と言って差し支えないし、
卵型の顔に大きな瞳は人目を引く鮮やかさに溢れている。
 大きく開いた胸元から首筋の肌理は貴婦人や令嬢でも羨むような白さで、
硬質な表情をしていること以外は難点のつけようがない。
「…………」
「……ねえ、なんとか言ってくださいよ」
 向かい合わせの席に座ったまま、百合の顔を覗き込むように主人。
「…む」
「む?」
「…ムリ、です」
「でも、こうして見ると貴族のお嬢さまよりも綺麗ですよ」
「…ご冗談をおっしゃらないで下さい」
「そうですか? どこかのお姫様かと思いますよ」
「おだてないで下さい」
 百合は洋装の夜会服の膝の辺りを絹の長手袋をした掌で握り締めている。
「あまり握ると皺になっちゃいますよ」
 そう言って主人は馬車の向かいの席から手を差し出す。

 百合はその手と自分の手袋をかわりばんこに見る。

 意味がつかめない。
「大丈夫です」
 主人はスカートからそっと百合の手を剥がすと、そのまま握りしめた。
 青白かった百合の顔にゆっくりと血色が戻ってくる。
「僕がついていますから、緊張しないで」
 主人は掌の上に百合の手袋の指先を置いて、上下から挟むようにして
手を握り締めた。
 ぎゅ、と力がこもった瞬間、百合の胸の中で大きく心臓が跳ねた。
「は、はいっ」
 上ずった声で答えながら、百合は自分の顔が真っ赤に染まっていくのを
感じていた。

――これは夢。夢に違いない。だって、夢なのだもの。
 よくわからないことを考えていた百合の脳は、唐突に唇を動かせた。
「あ、あのっ…」
「なんですか?」
「手、手袋を…取って、握って下さいますかっ」
 噛み気味の百合の
「構いませんよ」
 百合の肘まである長手袋を主人は脱がせると、
 そっとその白い手を掴んで優しく撫で始めた。



 馬車の車内が暗くなかったら、主人は人間が赤くなれる限度を目にしていたことだろう。


―――――――――――――馬車の中でメイドさんが蕩けながら終わる。
…いや続く。むしろ続け。
731名無しさん@ピンキー:2006/01/24(火) 03:45:01 ID:vv9vuFgr
キモイんでやめてねw
732名無しさん@ピンキー:2006/01/24(火) 04:37:20 ID:z9i0cBvD
物書き ◆UsF/eVSscw は天才、示申、示申、示申!
クズSSばかりでなく、物書き ◆UsF/eVSscwさんの示申SSもたまには読みたーい
続き早く書いてね♪
733名無しさん@ピンキー:2006/01/24(火) 07:26:48 ID:SJueleSv
500さんGJ
また続きをよろしく。
荒らしに負けず頑張ってね。
734名無しさん@ピンキー:2006/01/24(火) 07:33:51 ID:aUNK8esG
普通にかなり萌えましたよ(´∀`)

あらしにめげず続編を!
735名無しさん@ピンキー:2006/01/24(火) 17:18:40 ID:8k0sB58d
天蓋つきの豪奢な寝台の上で、二つの白い肉塊が激しく絡み合っていた。
それは激しく互いを求め合う男女の姿である。女が快楽に悶え、低く呟いた。
「ああ……ご主人様……」
ふたりは汗みどろになりながら、貪婪なまでに相手の肉体を貪った。
男の背中には見事な彫り物がほどこされており、汗に濡れて艶やかに輝いていた。
焔髪を逆立てた憤怒の形相に鮮やかな全身真紅の六臂像。それは正しく燃え上がる愛欲の紅。
愛染明王の刺青である。愛染明王とは愛欲を貪る神を言う。
女の愛液にまみれた男根が秘所から何度も埋没しては引き抜かれた。
男は黙ったまま、じっとりと濡れた女の明眸を見つめながら、腰を激しく動かす。
雌豹のようにしなやかな肉体をした美しい女であった。
深い乳白色の皮膚からは甘い体臭が漂い、男の鼻腔を刺激する。それは男の理性を溶かす香りであった
「静江ッ!静江ッ!」
男が突き上げる度に淫靡な音が室内に響いた。
静江の柔肉が男根にまとわりつき、襞が蠢きながら、締め上げてくる。
わななく静江の肉洞を、何度も男根で掻き回し、貫いた。
汗を飛び散らせ、ふたりは悶え狂った。それは性を超えた凄絶な男女の激しい営みである。
屹立した男根が脈動した。体中の血液が沸騰し、ついに男は静江の内部に己の精を勢い良く放った。
「あああ……あああああッ!」
射精と同時に静江は絶頂を迎え、背中を反り返らせ叫んだ。
男は眉間に苦悶の縦皺を浮かべ、蕩けるような恍惚とした表情の力強く静江を抱きしめる。
736名無しさん@ピンキー:2006/01/24(火) 17:19:45 ID:8k0sB58d
一風変わったメイドさんSSを考えてみました。こんなのどうでしょう?
やっぱり駄目?
737名無しさん@ピンキー:2006/01/24(火) 18:03:53 ID:i8iJid1R
フェチ板でやってね
738名無しさん@ピンキー:2006/01/24(火) 18:15:18 ID:ZD2TbGQn
天才物書きの大和まだー?
739名無しさん@ピンキー:2006/01/24(火) 19:08:44 ID:5Mgrbb83
>>736
なんでもアリです!ただ「これメイドさんか?」と言われると?ですがw
740名無しさん@ピンキー:2006/01/24(火) 19:25:40 ID:8k0sB58d
うお、推敲せずに投稿したから誤字とかが……申し訳ない
741名無しさん@ピンキー:2006/01/24(火) 23:06:03 ID:y+2g9vj5
今日は体がダルいのです
鼻水さんもせきさんも出てきて喉が痛いですし
頭が熱いです
でも、メイドだるモノ
これぐらいでめげる訳にも行きません
「ご……主人様…朝 ゴホゴホ ゲフンゲフンです…ゲホ」
「 や す め ! !」
「お断りします!」
742名無しさん@ピンキー:2006/01/25(水) 00:28:25 ID:NjJurwf9
メイドたちの大和超期待です\(^O^)人(^O^)/
743名無しさん@ピンキー:2006/01/25(水) 03:25:43 ID:YeK/YPK1
物書き ◆UsF/eVSscw さんまだぁー?
744名無しさん@ピンキー:2006/01/26(木) 01:01:30 ID:soM5M3DZ
物書きさま戻ってきてください
クズSSばかりでなく物書きさまのネ申SSも読みたーい
745名無しさん@ピンキー:2006/01/27(金) 08:16:31 ID:Ky0q1MlX
引っ越した方が良いかもね。他の板に。
雑談系なら問題無かろう
746名無しさん@ピンキー:2006/01/27(金) 17:42:14 ID:MJselmKs
最近クズSSばかりで萎える。
天才物書きさんのネ申作品はまだだろうか。
747名無しさん@ピンキー:2006/01/28(土) 02:44:16 ID:8wpBwrkR
物書き ◆UsF/eVSscw さん早く戻ってきてー
みんながあなたの超大作に期待しています。

まさに示申、物書き!
748名無しさん@ピンキー:2006/01/28(土) 04:03:48 ID:ZCw7zDxL
物書きさんのメイドたちの大和超期待です\(^O^)人(^O^)/
749名無しさん@ピンキー:2006/01/28(土) 06:39:59 ID:wyDjs4Xa
500さん、続きお待ちします。
面白かったです。
750名無しさん@ピンキー:2006/01/28(土) 21:59:47 ID:hmqHh7SX
750
751名無しさん@ピンキー:2006/01/29(日) 04:56:49 ID:ruVcz3si
メイドたちの大和超期待です\(^O^)人(^O^)/
752名無しさん@ピンキー:2006/01/29(日) 06:33:40 ID:NWo042AV
そんなに「メイドたちの大和」とやらを期待しているのなら
どっかで別にスレを立ててやればいいのに。
同好の士が集まって盛り上がるかもしれませんぞ


僕は行かないけど
753名無しさん@ピンキー:2006/01/29(日) 13:21:50 ID:rtrIDQNB
>>752
荒らし目的でやってる自演の確信犯だ。
構うな。
754名無しさん@ピンキー:2006/01/29(日) 17:25:58 ID:Jp08sY9w
今日も人工無能は快調だよ(*○)(☆*)ネー

755名無しさん@ピンキー:2006/01/29(日) 19:32:00 ID:tmCErzXy
メイドたちの大和まだー?
756名無しさん@ピンキー:2006/01/29(日) 21:15:40 ID:ruVcz3si
メイドたちの大和超期待です\(^O^)人(^O^)/
757名無しさん@ピンキー:2006/01/30(月) 16:22:22 ID:sFmlIBA/
…埋めて終わりにする?w



時期を見て良心的な誰かがまた再開する方向で。場所も変えた方が良いかもしらんが
758物書き:2006/01/30(月) 22:53:11 ID:21ejZCQZ
場所変えても追撃するけどなw
759名無しさん@ピンキー:2006/01/31(火) 00:24:20 ID:welvKGqq
>>757
徹底スルーしつつ存続の方向で。
まぁ元凶の物書き本人が謝罪と終了宣言をすれば流石に収まると思うがな。
760名無しさん@ピンキー:2006/01/31(火) 00:32:24 ID:yF22lvIU
相手にするからいけない。
「居ない人」扱いで放置してればどっかにいくだろ。
リアルで友達いなさそうだし、かまってくれるのが売れしいんだよ
761名無しさん@ピンキー:2006/01/31(火) 00:50:54 ID:ZWivJ7YM
物書き ◆UsF/eVSscw さんまだぁー?
みんながあなたの続編期待してますよ!
762500:2006/01/31(火) 00:57:26 ID:gBWetIqo
>757
埋めないで(w

時々思い出したようにマターリ投下するから、まあ気長に待ってクレイ
763名無しさん@ピンキー:2006/01/31(火) 02:25:33 ID:vUhE6xpi
>>762
ウザイ
お前のクッサイ妄想なんかイラネ。スレを汚すなカス。
消え失せろ。
764名無しさん@ピンキー:2006/01/31(火) 03:30:28 ID:DB2Kfhsl
>>762
期待して待ってます
765名無しさん@ピンキー:2006/01/31(火) 17:06:37 ID:vUhE6xpi
>>764
自演乙
766名無しさん@ピンキー:2006/01/31(火) 20:44:13 ID:ZWivJ7YM
物書き ◆UsF/eVSscw さんは天才、示申、示申!
はやく戻ってきてください。みんながあなたの続編に期待しています。
「メイドたちの大和」の続き、ワクテカしながら待ってます!
767名無しさん@ピンキー:2006/01/31(火) 20:57:48 ID:vhFtXXBx
あ、百合さんの人だ。まだいてくれて良かった・・
768名無しさん@ピンキー:2006/01/31(火) 21:22:02 ID:P4xUnpoG
>>765
自演乙www
769名無しさん@ピンキー:2006/01/31(火) 23:10:33 ID:vUhE6xpi
は?自演
何いってるんだ厨房が
自演はお前だろうがバカw
誰も百合さんがどうとかいう糞駄文SSなんか期待してねえんだよ
必死なのは作者のお前だけw
メイドたちの大和超期待です\(^O^)人(^O^)/
770名無しさん@ピンキー:2006/01/31(火) 23:30:49 ID:gnNN8ac/
スクリプトかと思ってたが違ったのか
771名無しさん@ピンキー:2006/01/31(火) 23:32:35 ID:gnNN8ac/
本当のファンだとしても→物書き氏は引退宣言した。故に消えた人に戻ってと言っても無意味。
自演だったとしても→自演が下手。それでは味方は増えない。別スレで研究してみな。
釣りだったとしても→VIPでやれ
772名無しさん@ピンキー:2006/01/31(火) 23:55:35 ID:54Rrjb2T
つまり→ただの嵐
773名無しさん@ピンキー:2006/02/01(水) 00:47:21 ID:x614eiBL
物書き ◆UsF/eVSscw さんまだぁー?
774500:2006/02/01(水) 00:53:33 ID:C2vW69uN
>764
>767
ありがd。励みになるッス。

やっぱ最終的にはエロシーンがあったほうがいいですかね?
775名無しさん@ピンキー:2006/02/01(水) 00:57:33 ID:HIpkmLzs
書ければ、で桶だと思うよ
776名無しさん@ピンキー:2006/02/01(水) 02:15:07 ID:P8uJqz7U
また自演厨房500の糞自演か
777名無しさん@ピンキー:2006/02/01(水) 16:54:19 ID:MfJ4/Hzn
未だに「房」って略さない奴がいるとは
778名無しさん@ピンキー:2006/02/01(水) 18:15:20 ID:tin6vSw3
メイドのメの字も無いな。
SS書きにチャレンジするか?皆で。
779名無しさん@ピンキー:2006/02/01(水) 20:30:38 ID:QXRvd6/h
やっぱり従順なメイドのがここでは需要ある?
ツンデレメイドはなし?
780名無しさん@ピンキー:2006/02/01(水) 21:51:48 ID:JlZxixev
>>779
ありあり。
781名無しさん@ピンキー:2006/02/01(水) 22:42:22 ID:YWoj2RuL
リレー小説するか暇だし。

今私はお屋敷の前にいる
782名無しさん@ピンキー:2006/02/01(水) 22:43:31 ID:0zP+ESU8
メイド達の大和〜序章〜
783名無しさん@ピンキー:2006/02/02(木) 01:15:38 ID:/laQLTVM
女性が共感できるような、あまりモエモエしてないメイドさんと主人の純愛モノをキボン
784名無しさん@ピンキー:2006/02/02(木) 02:48:29 ID:kgDnXfQE
メイドたちの大和超期待です\(^O^)人(^O^)/
785名無しさん@ピンキー:2006/02/02(木) 18:21:39 ID:lyi4zr37
物書き ◆UsF/eVSscw さんまだぁー?
早く戻ってきてください!
786名無しさん@ピンキー:2006/02/02(木) 20:12:29 ID:kgDnXfQE
物書きさんはかならず復活する・・・
天才物書きさまに栄光あれ\(^O^)人(^O^)/
クズSSばかりのこのスレの救世主、天才物書き万歳\(^O^)人(^O^)/
787名無しさん@ピンキー:2006/02/02(木) 20:41:12 ID:e0U4WgwX
「こんな光景見たことある…
 あ、そうだ、又吉イエスだ…」
788名無しさん@ピンキー:2006/02/03(金) 01:02:15 ID:72Mjom9J
メイドたちの大和まだー?
789名無しさん@ピンキー:2006/02/03(金) 02:37:51 ID:5l5WrSAO
お前、いつ寝るんだ?
早く寝ないと明日の仕事がきついぞ

漏れ?
正月出勤の代休を本日から消化中
790若武者 ◆C8rbp8eahM :2006/02/03(金) 05:50:26 ID:6Chsxtho
初投下


朝日が差し込み、微かに眉がしかめられる。
一瞬逃げるように寝返りをうとうとしたが、やがて諦めたように眉間の皺がなくなり目を開ける。
開かれた灰色の瞳の中に、俺が見えた。




「ほら、おはようございますご主人様。は?」
少し腕がきつそうな体勢で硬直してるそいつに笑って言う。
別にご主人様なんて言われることを望んでないけど。
……いや訂正、言われたい。スッゲー言われたい。
そう俺が考えてる間にそいつの顔は赤から青、そして再び赤に色を変え、やがて俺から離れるようにベッドの端に逃げ叫んだ。
「ティト様いい加減やめて下さい!」
ああ、やっぱりご主人様じゃない。
膝枕をしたままそう独白し、上体だけを起こして笑った。
「リーシェ〜……いい加減ご主人様ってハート付きで呼んでくれやぁ」

俺の名前はティト・ルーベンス。一応王室御用達の服飾会社の社長兼デザイナーロナルド・ルーベンスと、同じくデザイナーのリリィ・ルーベンスの愛息子。
ありがちな泥沼話も一切なく、緑豊かな屋敷の中で両親の愛を一身に受けすくすくと大好評成長中。
んで、目の前のオンナノコの名前はリーシェ・レオハルト。この家の執事長を務めるニック・レオハルト……俺はいっつもセバスチャンって呼んでるんだけど、その一人娘。
黒の髪に灰の瞳。キツめの印象だけど美人さんなこの屋敷のメイド。
ちなみに母親は不明だったりする。俺が三歳ぐらいだかの時に突然セバスチャンが連れてきたが、母親が誰かは断固として言わなかったらしい。
791若武者 ◆C8rbp8eahM :2006/02/03(金) 05:51:37 ID:6Chsxtho
「ロベルト様に、ティト様がそう仰ろうと呼んではならないと命じられています」
さっき叫んだのを取り繕うように、いつもの三割増し冷めた声でリーシェが言う。
あの糞親父……。
可愛い息子の純粋な夢を打ち砕いて爆睡してるだろう親父を呪ってみたり。
リーシェは軽い寝癖のついた髪を撫でて直し、ベッドから降りて床に立つ。
「ティト様」
そして、ベッドの中に残された俺を見て口を開き、
「着替えたいので、少々席を外して頂きたいのですが」
困ったような、気恥ずかしげな。とにかく普段あまり見せない種類の表情を作った。
その顔を見てふと思いつく。
掛布団の上であぐらをかいて、我ながら意地の悪い笑みを作って俺は言った。
「見てるから、着替えてよ」
「っしかし……」
すぐにリーシェは反論しようとする。
さっきの表情のまま、むしろ更に色を濃くしたような様子は、見ていてとても楽しい。
「命令だ、って言ったら?」
更に言えば、一瞬リーシェは目を見開く。
次に、ひどく冷たい、限りなく無に近い表情に変えリーシェはロッカーに近付いた。
出来る限り機械的に、羞恥心を悟られないようにして動いているのが見てとれる。

この家には屋敷の大きさの割にメイド
792若武者 ◆C8rbp8eahM :2006/02/03(金) 05:53:19 ID:6Chsxtho
やギャルソンが少ない。
セバスチャンが一人で五、六人分の仕事をしてくれることもあるし、親父が他人に世話をさせることをあまり好まないこともある。
そのためか現在いる使用人は家族同然の扱いで、俺らと同じとまではいかないがそれなりの大きさの部屋があてがわれている。
俺にとってはスーゲ嬉しい配慮だ。

リーシェは白いワンピース型の寝間着を脱ぎ、さらに白い、いっそ病的なまでに透いている肌を晒して黒いドレスを手に取る。
肌がとても綺麗だな、と。どんな手触りなんだろう、と。そう考えている間に、勝手に俺の身体は動いていた。
「リーシェってさ、体温低いよね」
後ろから抱き締めて耳元で言えば、ビク、とリーシェの身体が跳ねた。
晒されたままのその肩は、身体は、微かに震えている。
(ま。感じてるワケじゃ、ないよなぁ……)
むしろ、リーシェを支配しているだろうものは恐怖。
だけど、何故か放してやろうという気は微塵も沸かなかった。
「暖めてあげようか?」
微かに上唇がリーシェの耳に触れるように言う。
何も言わない――というか言えない――リーシェに、俺は更に言葉を続ける。
「首に痕つけてさ。とうとうヤっちゃったって、みんなすぐわかるよ。誰も言わないだろうけど」
耳から唇を離し今度は首筋に舌を這わせ、左の手は青みがかった下着に包まれた胸を揉む。
巨乳とまではいかないがそれなりの大きさで、何より形がいい。

……俺が言った通り、俺とリーシェがデキたところで他のメイドは納得するだけだと思う。
さっき言った通りこの屋敷の使用人は家族同然で、俺が生まれた頃からの……いや更に前からの付き合いの人間がほとんどだ。
だから、俺らが友達と呼べた頃も知っている。
そして俺がずっとリーシェに抱いている想いも、この執着心も、知っていることだろう。
793若武者 ◆C8rbp8eahM :2006/02/03(金) 05:55:09 ID:6Chsxtho
「…………ッ」
ガクガクと、俺の腕の中で震える。
目は固く閉じられ、口は真一文字で。
スウ、と頭の底の方が冷えていくのを感じた。
「……なんちって」
「え?」
小さく……さっきまでと逆の種類の声で呟いて、俺はリーシェを解放した。
「怖がっちゃって、リーシェちゃん可愛いー」
そしてケタケタと、からかうように笑う。
あんな拒絶してるリーシェに、手ぇ出せるかっての。
サド公爵の著書じゃじゃあるまいし、強姦したいとは思わない。
「わ……っ悪い冗談はやめてください!」

(……馬鹿?なに言ってんのあんた)

一瞬呆けてたリーシェは、すぐに我に返り裸体を腕で隠し言う。
その姿に、言葉に、ふ、とフラッシュバックする記憶。
俺を強く睨み……いや違う、純粋に目つきが悪いのか。とにかく、俺に向かって投げ掛けられるぶっきらぼうな言葉。
酷く懐かしいその記憶は、いつのものだったか。
「……、じゃ。俺また寝るから、時間になったらちゃんと起こしてね」
それを頭の隅に押し込み、ひらひらと手を振りドアをあける。
まだ驚いた様子の抜けないリーシェを残し、俺は部屋を出た。
自室に向け歩き出そうと足を数歩進めたところで、動きが止まる。

考えるは己の思考。俺は一体、何がしたいのか。
強姦したいとは思わない。しかし、ただリーシェを抱きたいとも思わない。
(乙女のハートは複雑怪奇、てやつか?)
ガリガリと頭を掻く。
リーシェに何を求め、俺は何がしたいのか。
何度も考えたことだが、どちらもいっこうに答えが出ない。
結局諦め、またいつもの日常に戻るわけだ。
そして今回も、答えは出そうになく。


ふぅ、と息を吐き、俺はまた歩き始めた。
794若武者 ◆C8rbp8eahM :2006/02/03(金) 05:56:26 ID:6Chsxtho
途中コピペミスして変な位置で切れてますが気にしないでやってください
微妙なエロシーンから始めたくせに本番書くかは不明
795名無しさん@ピンキー:2006/02/03(金) 15:05:48 ID:0cVN4ZaR
>>794 いい仕事ですねぇ。本番は、まあどっちでも。結構このスレではストーリー重視させてもらってるんで。
続き期待してますです。
796名無しさん@ピンキー:2006/02/04(土) 00:04:59 ID:QqnbhC+M
メイドたちの大和まだぁー?
797名無しさん@ピンキー:2006/02/04(土) 00:24:36 ID:vpzoW8mz
>>794
GJ。続き期待してますよ。

・・・しかし移転してから携帯だと使いづらくなったなぁ・・・ここ探すのに手間取った。
798名無しさん@ピンキー:2006/02/04(土) 01:43:43 ID:RvExnwTE
>794
GJ。微妙にエロスなのがまたイイです。
続き期待してます。

>797
探しづらいのもあるけど、読みづらいし書き込みづらい。
省略リンク無いし、書き込み欄とレスが同じページだから書き込むのに手間がかかる。
いつまで続くんだ。
799名無しさん@ピンキー:2006/02/04(土) 01:45:57 ID:GYrq3N2W
メイド達の大和超期待age
800名無しさん@ピンキー:2006/02/04(土) 02:27:17 ID:RvExnwTE
800は貰った。

追加報告。
ページの一番下まで表示しきれないトコもあった。
省略表示してくれ……。
801名無しさん@ピンキー:2006/02/05(日) 00:40:35 ID:KVe36UxP
メイドたちの大和まだぁー?
802名無しさん@ピンキー:2006/02/06(月) 18:51:49 ID:f05NFihr
メイドたちの大和超期待します!
803名無しさん@ピンキー:2006/02/06(月) 22:47:21 ID:d260FKZm
 || ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||
 || ○荒らしは放置が一番キライ。荒らしは常に誰かの反応を待っています。..||
 || ○重複スレには誘導リンクを貼って放置。ウザイと思ったらそのまま放置。||
 || ○放置された荒らしは煽りや自作自演であなたのレスを誘います。     .||
 ||  ノセられてレスしたらその時点であなたの負け。              .||
 || ○反撃は荒らしの滋養にして栄養であり最も喜ぶことです。          .||
 ||  荒らしにエサを与えないで下さい。        Λ_Λ シャキーン       ..||
 || ○枯死するまで孤独に暴れさせておいて  \<Ф♯Ф> 頭のおかしい人は相手しない。
 ||  ゴミが溜まったら削除が一番です。      \⊂⊂ |  これキホン。     .||
 ||___ ∧ ∧__∧ ∧__ ∧ ∧____ | ̄ ̄ ̄ ̄|_______||
      (  ∧ ∧__ (   ∧ ∧__(   ∧ ∧      ̄ ̄ ̄ ̄
    〜(_(  ∧ ∧_ (  ∧ ∧_ (  ∧ ∧  は〜い、先生。
      〜(_(   ,,)〜(_(   ,,)〜(_(   ,,)
        〜(___ノ  〜(___ノ   〜(___ノ
804名無しさん@ピンキー:2006/02/07(火) 00:11:38 ID:riRyo89X
クズSSでなくネ申作品である「メイドたちの大和」ちょー期待してます!
805名無しさん@ピンキー:2006/02/07(火) 08:35:53 ID:Ny9lo24p
メイドたちの大和期待上げ
806名無しさん@ピンキー:2006/02/07(火) 10:39:25 ID:C5acGSg7
若武者期待
本番あったら嬉しいがなくても全然構わない
807名無しさん@ピンキー:2006/02/07(火) 17:41:09 ID:f568X9qj
メイドたちの大和期待
808名無しさん@ピンキー:2006/02/08(水) 00:23:35 ID:8kL63QmQ
物書き ◆UsF/eVSscw さんまだぁー?
早く戻ってきてください!

あなたの前代未聞の超大作「メイドたちの大和」には数億人規模のファンがいます・・・!
809名無しさん@ピンキー:2006/02/08(水) 00:35:25 ID:7IJTiuz7
>803
は〜い先生。
でも先生、このスレは今まで一度たりとも荒らされたことなんかありませんよ?
今までに投下されたSS(2レス以上の物)は、
スレ初期のToHeartの二次創作
似非紳士氏のゆかりちゃん
500氏の百合さん
若武者氏のリーシェ嬢
の 4 作 だ け で す よ ね ?
でも荒らし対策は大事ですよね、先生。
810名無しさん@ピンキー:2006/02/08(水) 01:44:54 ID:Gt9PGBr0
そうですね先生!
811名無しさん@ピンキー:2006/02/08(水) 03:38:17 ID:/wcEjrqT
メイドたちの大和まだぁー?
812名無しさん@ピンキー:2006/02/08(水) 18:19:22 ID:jT3NGDv0
メイドたちの大和ちょー期待(−^。^−)
813名無しさん@ピンキー:2006/02/09(木) 01:54:41 ID:wocOwsno
メイドたちの大和まだぁー??
814名無しさん@ピンキー:2006/02/10(金) 00:10:39 ID:/N1IPxxu
メイドたちの大和ちょー期待!!
815名無しさん@ピンキー:2006/02/10(金) 00:12:45 ID:zcy34txP
>>809
ワロスww
816624:2006/02/10(金) 00:59:59 ID:ToXwEx8l
そろそろ全体の構想もまとまったしなんか良い具合に忘れられたしで
キャラはメイドだけどテーマは別物だしで、続きはどこか別の場所で書くことにします。
なんつーか。良作が来ないと流れは戻らないんだろうなと思う。
懐古趣味はないが、昔のエロパロ板にあった2chでも指折りのメイドスレのことを時折思い出す。
817名無しさん@ピンキー:2006/02/10(金) 01:08:16 ID:zcy34txP
黙って消えれば良いと思うよ
818名無しさん@ピンキー:2006/02/10(金) 09:45:02 ID:GMYYTDgr
基地外荒しのせいでスレが閉鎖されるのは悲しいことだ。
だが、当板に別スレを建てて。このスレは「メイドたちの大和」を期待する人と
同作品の作者だけに明け渡すのも手かもしれない。
当然、新スレにはこないだろうし。
819通りすがり:2006/02/11(土) 19:57:35 ID:EbU991bF
この板のスレを適当に見て回って、様々な「荒らされ模様」を見物してる者だが、
荒らしの中身の大体は
・マンセー希望の嫉妬深い書き手
・カプ厨
・同人系の女(男同士を望むので一種のカプ厨)
だった。

なかでもカプ厨はすごいぞw目も当てられない。
ここのようなスレは原作が有る訳じゃ無いので、カプ厨特有の殺気が感じられない。
張り付きと占拠はあるようだが、それはどこのスレでもあった。
張り付いていても、ここぞという時にスレの操作をするか、普段から無駄に書き込んでるかの違い。
どっちにしても心の病なわけだが。

書き手の人、機会があったらカプ厨付きのスレにカプ厨の嫌がるカプを投下してみるといいよ。
おもしろいから…
820名無しさん@ピンキー:2006/02/11(土) 21:27:11 ID:pcZjk63J
メイドたちの大和まだぁー?
821名無しさん@ピンキー:2006/02/11(土) 22:47:29 ID:MrNc6fAS
>>819
お前みたいなスレ荒らし依頼をする
荒らし野郎はとっとと消え失せろ、以上。
822名無しさん@ピンキー:2006/02/12(日) 01:40:37 ID:yDTr/JDo
>>821スレ荒らし依頼をする荒らし野郎乙、以上。
823名無しさん@ピンキー:2006/02/12(日) 03:17:15 ID:SmYkUtmZ
>>822かまう野郎乙、以上。
824名無しさん@ピンキー:2006/02/12(日) 09:15:12 ID:npd6A/ct
>>819-823
野郎ども、乙。
825名無しさん@ピンキー:2006/02/12(日) 12:02:37 ID:5uhYpurm
>>819>>822-824
荒らしをする乙野郎供、消え失せろ。
826名無しさん@ピンキー:2006/02/12(日) 12:37:27 ID:sxr6VzGB
パソコンの前にばかりいないで、たまには外に出ろよ、以上wwwwww
827名無しさん@ピンキー:2006/02/12(日) 15:06:51 ID:5uhYpurm
>>826
お前もな、以上wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
828名無しさん@ピンキー:2006/02/12(日) 16:00:52 ID:zFrneKd9
甘ったるいイチャイチャ系のスレに
鬼畜スカトロレイプ物落とすのも楽しいぜ
829名無しさん@ピンキー:2006/02/12(日) 22:34:16 ID:5uhYpurm
スレ違い投稿荒らしは消え失せろ、以上wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
830名無しさん@ピンキー:2006/02/12(日) 22:42:49 ID:YhcuKktV
無視よ無視。
831名無しさん@ピンキー:2006/02/13(月) 01:03:58 ID:SbrzK79L
全部>>300のせいだ
832名無しさん@ピンキー:2006/02/13(月) 12:27:24 ID:bZpHZ0Lx
最近業者やってるツレに聞いたら
ココが今かなり盛り上がってるらしい→http://moner69.web.fc2.com/

男も女もずっとタダで遊べるし、mixiみたいな感じだな
833名無しさん@ピンキー:2006/02/14(火) 12:00:37 ID:5NjbHGwJ
程度の低いスレだね
834名無しさん@ピンキー:2006/02/14(火) 19:40:34 ID:qjMybi3g
>>833
まさに 五十歩百歩 。
835名無しさん@ピンキー:2006/02/14(火) 20:28:52 ID:l6JV53sk
メイドたちの大和まだー?
836名無しさん@ピンキー:2006/02/15(水) 04:01:43 ID:dfMEXA+5
メイドたちの大和期待しています(^。^)
837名無しさん@ピンキー:2006/02/15(水) 19:30:07 ID:vaOndbeu
メイドたちの長門まだー
838名無しさん@ピンキー:2006/02/15(水) 23:52:25 ID:pAdlWapx
リーシェ嬢もう来ないのか?
このふいんき(ryじゃ投下する気無くすのはわかるが
エロスな空気がツボなんだ
839名無しさん@ピンキー:2006/02/16(木) 00:01:20 ID:OgDzYs0X
ゆ、百合s(ry
840名無しさん@ピンキー:2006/02/16(木) 01:11:05 ID:x64jumRX
メイド達の大和を希望です
841名無しさん@ピンキー:2006/02/16(木) 01:35:14 ID:wj36HRHE
>838-839
ゆかりちゃんと600氏も忘れずに。

しっかし、蒸発した書き手っつーのはどこにでもいるのか。
始めの方だけ投下して、良い評価が得られないからってやめるのは読み手としては非常に悲しいし腹立たしい。
物語がほとんど進んでいないから評価のしようが無いのだし、一部の封建的、保守的なスレ住人が新しい書き手を叩くのは無視すべきだ。
その意味ではヤマトに対する対応は下の下だったかもな。
まぁその後に出てきた自称後継者は最初から荒らすのが目的みたいだったが。

ジャンプで打ち切り食らった漫画にしろ、打ち切りの数週間前からそういう雰囲気は漂わせてから終わるし(ある意味終了予告)、なんの予告も断りも無く蒸発するのだけは勘弁して欲しい。
つまり、何かを始めたのならば必ず明確な終わりを示す事が、どんな事にも言える事なのでは無かろうか。

長々と失礼。
842500:2006/02/16(木) 01:43:45 ID:cEaybMxz
>>839>>841
ごめん。ちょっと多忙で書けてないけど、ちゃんと百合さんをかわいくアレするので待っててクレイ。
843名無しさん@ピンキー:2006/02/16(木) 01:44:53 ID:+Oyi7wfv
>>841
乞食は黙れ
844名無しさん@ピンキー:2006/02/16(木) 04:09:46 ID:xpeYSKC4
メイドたちの大和まだー?
845名無しさん@ピンキー:2006/02/16(木) 07:24:33 ID:rAiWdJ+M
>>841
何のリスクも負わずにタダ読みしてるだけの人間がえらそうにほざくなバカ
846名無しさん@ピンキー:2006/02/16(木) 14:57:41 ID:g36Sj0JF
メイドたん…ハヤテのごとくのオッパーイの画像ならhttp://www.pic-navi.com/indexの一番下くらいにあるサイトに沢山あったぞ
あとこのサイトの動画にもアニメじゃないがメイドさんが縛られて強姦っぽい事されて3Pしてたぞ。
847名無しさん@ピンキー:2006/02/16(木) 20:45:44 ID:CV9OgfAu
メイドたちの雪風まだ?
848名無しさん@ピンキー:2006/02/16(木) 21:47:36 ID:HvRdu4Rm
>>842
期待
849名無しさん@ピンキー:2006/02/17(金) 00:37:52 ID:dUbDRAWT
物書き ◆UsF/eVSscw さんのメイド達の大和ちょう期待です
850名無しさん@ピンキー:2006/02/17(金) 10:21:50 ID:F6jU4qfr
>>847
 それ、なんて妖精空軍?
851名無しさん@ピンキー:2006/02/17(金) 11:30:58 ID:eZBKUDLK
そりゃメイヴやろ。
852名無しさん@ピンキー:2006/02/17(金) 14:43:53 ID:uEyeHB/0
あずまんがスレより。
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1124625526/808
ここで証拠として晒されたIDのうち最初と最後の2つを除いた5つが
ここで連日メイドたちの大和を礼賛してる荒らしとも合致。
さらにそれ以外でも、向こうで同じ手口で荒らしてるレスやバレた後に擁護してるレスとも合致するID多数。

こいつの目的はおそらくこれに尽きる。
>ちなみに普段は萌えBBSというキモヲタのオナニー掲示板で伯爵というハンドルで
>オナニーしています。遊びに来て根(o^-')b
伯爵というのはこいつがあずまんがスレで荒らすときにも騙ってた名前の一つだが、
たぶん何らかの因縁がある相手で、要は外でワザと反感を煽るような真似をして
その掲示板やコテハンに攻撃を向かわせようと狙ってるらしい。
バカ満載のSSを書き、その後はミエミエの自画自賛で荒らすことで。
(たぶん元祖の物書きは本当に別人だろうけど)

そんだけ。
そのセコい目的のためだけに、このスレは利用された。
このくろまんがとかいう基地外に一刻も早い罰が下らんことを。
853名無しさん@ピンキー:2006/02/17(金) 15:24:56 ID:1+d87rPW
>852
本人乙
854名無しさん@ピンキー:2006/02/17(金) 17:56:33 ID:YlEh9NTx
誰が誰かよく分からなくなってきたぞ・・・
批評家を批判してるのが当の阿呆なのか・・・
それともそれを批判してるのが本人なのか・・・
え?俺?前に真珠湾云々を突っ込んだもんだ
855名無しさん@ピンキー:2006/02/17(金) 21:11:23 ID:8rhemb6G
メイドたちの雲龍まだあ?
856名無しさん@ピンキー:2006/02/17(金) 23:40:54 ID:dLe5rE6j
メイドたちのガン=カタまだ?
857名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 00:48:05 ID:3eIdt0/6
メイドたちのキングジョージVまだあ?
858名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 19:20:05 ID:xPG6RLZs
メイドたちの伊400まだー?
859若武者 ◆ENsbL/oteY :2006/02/18(土) 23:12:39 ID:SapSa/iF
最初のから全然投下してなくてすいません
週明けには投下するよう頑張ってますので
860名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 23:51:20 ID:hRCS4wpm
>>859
wktk
861名無しさん@ピンキー:2006/02/19(日) 01:02:52 ID:uM4gpub3
(´・ω・`) メイドガイのSSも対応したスレはここでつか?
862名無しさん@ピンキー:2006/02/19(日) 12:01:02 ID:GtW84CWQ
なえかorふぶきが絡めば問題ないと思う
コガラシ単体では チ ト キ ツ イ
863名無しさん@ピンキー:2006/02/19(日) 23:03:54 ID:P8wdlnzu
メイドたちのMe163マダー
864名無しさん@ピンキー:2006/02/20(月) 00:34:06 ID:mZbKCxlM
メイドたちの六十一センチ九三式無気泡酸素魚雷に期待sage
865名無しさん@ピンキー:2006/02/20(月) 02:26:28 ID:Y/nCg6Sr
もうなにがなんだかわからんなw>メイドたちの〜
866名無しさん@ピンキー:2006/02/20(月) 02:31:49 ID:qf6VKkp0
漏れはメイドたちのアップホルダー期待
867名無しさん@ピンキー:2006/02/20(月) 22:42:43 ID:lrGJfSEp
>>865

劇場版ドザエモン
メイド達の恐竜2006(CV:水田わさび)

いっそこんなのやっちまおうか?wwwwww
そういや俺のび太の恐竜見たこと無いかもしれないな。
868名無しさん@ピンキー:2006/02/21(火) 01:00:32 ID:5fejMy0l
メイドたちのこんごう超絶期待age
869名無しさん@ピンキー:2006/02/21(火) 01:09:39 ID:x+e/uivM
メイドさんとやわらか戦車
870名無しさん@ピンキー:2006/02/21(火) 01:11:27 ID:mJFxC5k0
メイドさんの恐竜戦車
871名無しさん@ピンキー:2006/02/21(火) 23:06:27 ID:2kTQxKxu
メイドさんの肉弾戦車
872名無しさん@ピンキー:2006/02/22(水) 01:34:32 ID:HLDNMLcK
もうわけわからん。
873名無しさん@ピンキー:2006/02/22(水) 03:30:26 ID:H6oV/B7L
メイドたちのEF200まだですか?
874名無しさん@ピンキー:2006/02/22(水) 23:34:52 ID:OteKnh9X
もうすぐ春ですね。
ところでイギリスにひなまつりという行事はあったっけ?
875名無しさん@ピンキー:2006/02/23(木) 02:18:57 ID:yA1zzc7i
メイドたちの吉田戦車
876名無しさん@ピンキー:2006/02/23(木) 03:23:59 ID:rdK5qF6x
メイドたちのF-15Jまだかよ
877名無しさん@ピンキー:2006/02/23(木) 04:04:42 ID:ngST9/8G
メイドたちのNCC-1701Eに期待
878名無しさん@ピンキー:2006/02/23(木) 05:54:54 ID:IhEJIgUK
EF200と吉田戦車しか知らない
879名無しさん@ピンキー:2006/02/23(木) 12:14:21 ID:Cr5KepaK
メイド達の桜花特別攻撃隊 マダー?
880名無しさん@ピンキー:2006/02/23(木) 14:50:00 ID:67f+K7lZ
>>877
そんなお前のIDはST9。叛乱か
881似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2006/02/23(木) 23:38:18 ID:KQyt+tGU
お久しぶりです。
一ヶ月以上ぶりの投下になりますね。
882倫敦全力疾走 ◆DMzTyHF5uc :2006/02/23(木) 23:39:39 ID:KQyt+tGU

                     倫敦全力疾走



ティム・ダーヴァレイは夢を見た。
それがどこかはわからない。
いつのことかもわからない。
しかしその茫洋とした場所をひたすらに走っている。
自分が何のために走っているのか、さっきまでは覚えていたようにも思うけれど、
もうわからない。
ただ走らなければならない。
往々にして、走る夢というのは、本人の必死さに反して、足は前に進んでゆかない。
ただ足が地面のようなものを蹴りつけ、そこをぐるぐるとさせている。

しかしやはりそれをやめることはできない。
そうしなければ、何か大切なものが失われてしまうような気がするからだ。
「くそっ、いったいなんだって言うんだ」
夢の中で少年は叫ぶ。
徒労――その言葉は知らないが、彼が感じているものはそれであった。

一体ここはどこなんだ。
家の近くの通りのように見えるのに、その家もこの街灯にも、目の前の石畳の並び方にも、
見覚えは一つもない。
ティムはただ足元を見て、走るように足踏みをする。
走っているはずなのに走っていない。
「なんなんだよ」
顔を上げると、遠くに見慣れた背中がある。
それに追いつこうと足をばたつかせるが、体は前に行かない。
背中は一度振り向いてこちらを見たが、見えていないのか、全く彼に興味を示さず、歩いていった。
くそ、なぜすすまないんだ、すすめ、すすめ、すすめ――――

883倫敦全力疾走 ◆DMzTyHF5uc :2006/02/23(木) 23:40:33 ID:KQyt+tGU
いらだちに背中が熱を持ったころ、彼は目覚めた。
朝である。
爽やかな朝である。
鳥はやかましく鳴いているし、東向きの窓からはガス灯の青い光ではない、黄色い太陽の
光が差し込んでいるし、
布団はセルロイドのように乱れている。
みまごうことのない、これでもかこれでもまだ寝ぼけまなこを続ける気かといった
一種の強迫観念を持った――言い過ぎにも程があるが――なにしろ、強迫観念のようなものまで持った
いつもの通りの、19世紀末英国ロンドン、いつも通りの朝の光景である。

彼――朝日の中で目をつむったままの少年――ティム・ダーヴァレイは憮然とした表情である。
短く上向きの眉と眉の間には、この小さな眉間に良くぞこれほどのしわが作れるものだと
キリスト教で言うところの創造主の緻密さにまったく感心させられる程のしわを刻み、
いつもは鼻の下に小さくのっかっている屈託のない唇は大きく横に広がり裾野の広い山を描き、
ついでに髪の毛はねぐせで好き勝手な方向に逆立っていた。
まるで様々に深刻な社会の問題を、一身の責任と考え悩んでいる政治家――ありえないものを
実際にあるかのように言うのが比喩というものだ――のようであった。

「あー……」
あの背中はだれの背中だっただろうかなあ、すごくみおぼえはあるんだけれど。
今まで見ていた映像と、今取り囲まれている環境のあまりの違いに、意味のない声が出てしまった。
事態が良く飲み込めない、現況を把握できない、少し時間が欲しい、そういった時に
大人が良く使うような、鼻から抜けるAが出た。
そうしてゆっくり時間を掛けて、
「なんだ……朝か」
爬虫類なみの神経伝達速度で、じぶんは眠りから覚めたのだなと認識した。

なんだかあまりよくない夢をみた気がする。
さっきまでそのことについて何か考えて、考えなければならなかったような気がするけど、
とりあえず朝だし外はもう明るいしおなかすいたし鳥は鳴いてるし馬車は走ってるしおなかすいたし
「とりあえず起きよ……」
朝の光が差した部屋の中にそう呟いて、彼には珍しいことなのだが、割ともたもたしてふとんを跳ね上げ、
ひんやりと硬い床に足を下ろして、その冷たさに異質な快感を覚えつつ、階段を下りていった。
884倫敦全力疾走 ◆DMzTyHF5uc :2006/02/23(木) 23:41:11 ID:KQyt+tGU

不思議なもので、夢というものは、その世界の中にいるときには、それ以外に世界がある
などとは思いもつかないほどに意識は夢に縛られて満たされているのに、いざそこから
覚めてみると、その内容、世界の記憶は驚くほど簡単に失われて、胸に不思議な感触だけを
残して消えてしまう。

顔を洗う前と後では、人相がほとんど変わってしまっている。
ティムの小さな脳は、物事を忘れるのに向いていた。
「……なんだか、いやなゆめを見たような気がするけど」
前髪の先からしずくが落ちる。
両手に持ったタオルでそれを受け止めた。
「顔あらったら、わぁすれちゃったぁ」
小鳥がちちちと鳴いた。

あはは、と一人であくまで陽気に笑い、タオルを濡らしてきつく絞ると、頭から首の根元まで、
冷たいタオルでこする。この冷たさが気持ち良い。
ついさっき、洗面器にためた水を手に取り、それを顔にぶつけるまで、一体何が気に入らずにイライラしていたのか、夢みが悪かったような気もするけれど、もう思い出せない。
びりびりとしびれるような冷たさの、氷になる一歩手前の水が、眠気も記憶も、
夢から身にまとってきたような澱んだ空気も、一度に洗い流してしまった。

居間に戻る。暖炉にはうす暖かく石炭が燃えていた。恐らく父親のジョンが一時間か
もう少し前――実際には二時間半前――に火を入れてくれて行ったのだろう。
実際に紙や木屑から、固く冷たい石炭に火を灯すまでの手間と時間を考えると、
種火だけでも残して行ってくれる父親の心遣いは実にありがたい。
「ううぅ、ああ、あったかい」
ティムはその小さな両手を、胸の高さで、じんわりとそこに届く熱をうしろに逃すまいと
しているかのように目いっぱいに広げ、水の冷たさに赤く染まった小さな手と、
その指の隙間から見える、指以上に赤く燃える石炭を眺めた。

火力を強めようと暖炉のそばのバケツ――本当は、石炭を入れるバケツというものには、
それ専用の、花やなにかの美しい細工が施されたものがあるのだが、父はそういうものには、
控えめに言って余り気を使わない方で、この家で使われているものはいわゆる
「普通のバケツ」というか、ブリキでできた至極簡単で質素なものだった。
父は家具商をやっているというのに、こんなことでいいんだろうか、と思わなくもないが、
昔から医者は不養生するものだし、紺屋は白いハカマをはくものだと一人うなづいて――
そのバケツから、黒々と、氷のように光る新しい石炭を、スコップに二杯か三杯、
暖炉に投げ込んだ。

885倫敦全力疾走 ◆DMzTyHF5uc :2006/02/23(木) 23:41:48 ID:KQyt+tGU
「そうだ」
と呟くと、柄の細いスコップをバケツに投げ入れ、再び台所に向かった。
そうだった、じぶんには仕事があったのだった。
二階の物置部屋――元・物置部屋でまだおそらく、安らかに眠っているだろうメイドを
その眠りから覚ますという仕事が。
ただこれがなかなか大変な仕事なのだ。
だからとりあえず台所に向かう。


――東洋人は表には出さないが、その身にはごうごうと音を立てて燃える闘志を持っているようだ。
そう思うと、彼らの髪の色がまるで石炭のように深く、光沢、つやのある黒であることは
その内に秘めた熱量を黙って表しているようにも見える――

いつだかの新聞の、外交官のインタビュー記事にそんなことが書いてあった。
ごうごうと音を立てて燃える闘志。
そんなものが、ほんとうにあるのか、実に疑わしい。
あるとしてもうちのメイド――東洋人――の場合、眠りを維持することに
その燃えたぎる闘志を使っているんじゃないかと思われるほど、
いつでも彼女の眠りは深い。

「『Sleeping Beauty』みたい……か、なぁ?」
自分で口に出しておいて、やっぱりその例えはちょっと眠り姫に失礼だな、とも思った。
だって彼女はお姫様でなくきちんと自分のやるべき仕事を持った労働者で、本来メイドと
いうものは家のだれよりもより先に起き、朝のお茶やご飯の準備をして、主人を送り出すものだ。
しかし彼女はいつもだれよりも遅く起きるし、自分が起こしに行かなければいつ起きるのかもわからない。
ひょっとしたらそのまま夜まで寝ているかもしれない。
そして夜になり目を覚ますと
「あ、夜だ」
と言ってそのまま寝るのだ。
自分の想像にティムは少し微笑んだ。
それに、なにより眠り姫と違うのは、その起こされ方だろう、姫は王子様の優しいキスで
起こされるが、彼女は自分に起こされるのだ。
水で冷たくひやした手を押しつけられて。

886倫敦全力疾走 ◆DMzTyHF5uc :2006/02/23(木) 23:42:53 ID:KQyt+tGU
台所を出て階段を上がる。
階段を一段上がるたびに、くっくっと笑い声が漏れそうになるが、
口をふさいでなんとかこらえた。
思惑通りに手は冷たい。
元物置部屋、現使用人部屋の扉をゆっくりと開ける。
この部屋は他の部屋より寒い。冷たい風がティムのくるぶしを撫でる。

その部屋の真ん中で、ダーヴァレイ家の雑役女中――メイド・オブ・オールワークス、
田村ゆかりは掛け布団を巻き込むように、丸まって眠っている。
いつものように彼女は、その両まなこをしっかりと閉じ、黒いまつ毛はもう離れない、
離れたくないと互いにからみ合い、横一文字を書いている。
木箱を横に並べて作られたベッドに近付くと、すう、ふう、すう、ふう、という規則正しい
幸せそうな寝息が耳に届く。
「やっぱり、まだねてるよね……」
だから起こしにきたんだけど、と心の中で付け足すと、その冷たさを確かめるように
両手を互いにすり合わせた。
つめたい。
まるで氷みたいだ。
ちいさく突き出された唇の両隣にふっくらと膨らんでいる、柔らかそうな彼女のほっぺたを、
この両手で挟んだら彼女はどんな反応を示すだろうか。
きっと
「ひゃ、ひゃあ、ひゃああああああ、あああ…ああああぁあああああああ」
とか、まぬけな叫び声とともにとび起きるだろう。
ティムはその姿を想像して、再びくっくっとくぐもった笑いを漏らした。

いけない、ここで起こしてしまったらけいかくが水のあわだ。
ティムは一度、きっ、と前を見据え枕元にそっと立ち、深く息を吸い込むと

「ユカリぃ!朝だよぉー!!」
と耳元で叫ぶと同時に、小さな両手でそっと彼女の頬を包んだ。



ゆかりはティムの予想したとおりのまぬけ声を上げて、予想したとおりの表情で、
予想したとおりに飛び起きた。
887倫敦全力疾走 ◆DMzTyHF5uc :2006/02/23(木) 23:43:48 ID:KQyt+tGU

                *

「まったくもう、ひどいじゃないですか、起こすにしてももう少し、方法というものが
あるでしょうが」
少女は憮然とした表情で言った。
田村ゆかりという。
当年とって14才、紛れもない日本人の娘であるが、わけあってこのダーヴァレイ家で
住み込みのメイドとして働いている。
わけ、というのは、彼女は交通事故――馬車との接触事故――で頭部に強い衝撃を受けて以来、
記憶喪失になってしまい、日本のことも、自分のことも、すっかり忘れてしまっていたのだった。
だがどういうわけか、いま彼女が強い不平をあらわにしている少年、ティム・ダーヴァレイ
と一緒にいると、なぜか記憶が戻りやすいようなので、記憶障害のリハビリを目的として、
今この倫敦で暮らしているのだった。
そして19世紀末、この英国は押しも押されぬ世界一の大帝国である。
そしてその首都ここロンドンは『人間の潮が八方から押し寄せてくる』世界の中心なのである。
その世界の中心に住まい、学び、英国事情に精通するということは、発展後進国日本にとって
非常に有益であるはずだと彼女の父、田村清五郎が考えたからであった。

ゆかりはその憮然とした表情のまま、続けて言う。
「せっかく、良い夢見てたのに」
「へぇ、ほんとう。どんな夢」
「忘れました」
「……なんでそれで良い夢、ってわかるのさ」
「なんとなく、です」
なんだいそれ、てきとうじゃないか。とティムが非難するような口調で言うと
「内容は忘れましたけど、なんとなく良い気分だけ残ってる…残ってたんです!
 それなのにあんな起こされ方したから。そうだ、あんな起こされ方したから
 忘れちゃったんじゃないですか!せっかくの良い夢だったのに!」
再び、自分の起こされ方に対しての不満を口にする。
ティムは少しむっとして
「……じゃあ、どんな起こされ方がいいのさ」
と聞いた。
ゆかりは少しの間
「そうですねぇ……」
と中空を見やり、色々と考えを起こした。
十秒くらいして考えがまとまったらしく、明るい声で言った。
「キスで起こしてください!『Sleeping Beauty』の王子様みたいに!」

888倫敦全力疾走 ◆DMzTyHF5uc :2006/02/23(木) 23:44:25 ID:KQyt+tGU
そんなことできるわけないじゃん
と言おうとして思った。
そうだ、ちょっとからかってやれ。
「……ユカリ」
「はい?」
「なにいってるの、いつもさいしょにそうやっても起きないから、いろいろ
 くふうしてるんじゃない」
「え」
「だからぁ、いつもいちばんさいしょに、ユカリに、その、キスしてるんだよ。いつも」
「えええ」
「でもユカリ、起きないじゃん。それでも」
「あの、それは、こう……ほほにかるぅく、とか、おでこにちゅっ、とかではなく……」
「ちがうちがう、ほんとうの、口と口の、『Sleeping Beauty』みたいな、キスだよ」
「…………本当ですか」
「ほんとほんと、今日なんて、いくらキスしても起きないんだから、困っちゃったよ」
「…………!」
「だからしかたなくああいうふうに起こすしかないんじゃん。あれ、いつもさいしょにキスしてるの、
しらなかった?」
小首を傾げてゆかりを見る。
ゆかりは手を口元に――正確には、くちびるに――やり、冗談半分だったはずの言葉を
吐いたその口が、今までとは全く違った意味を持つものになってしまったというような、
その驚きに満ちた表情が、ティムの丸く、真っ青な瞳に見つめられ、あっという間に
赤く染まっていく。

「……ほんとに、しらなかったの?」
さらにティムが問い詰めると、ゆかりはうつむき、指を唇に当てたままで、真っ赤な顔を
横に二、三度振った。
暖炉ではさっきティムが入れた新しい石炭が勢いよく燃えていた。
その炎に照らされていることを加味しても、ゆかりの顔は真っ赤で、耳の先まで赤く染まっている。
ゆかりは驚きと恥ずかしさで、ただ床の一点を見つめていた。
頭が混乱して、まともにものを考えることができない。
考えれば考えるほど思考は行くあてをなくし、出口を見つけられずに、こんがらがる。
こんがらがった思考は頭の中で熱を生み、その熱は頬を、いや、顔全体を上気させている。
889倫敦全力疾走 ◆DMzTyHF5uc :2006/02/23(木) 23:45:10 ID:KQyt+tGU

きっと耳まで真っ赤だろう。
自分でそう思うと、さらに熱は高まるようだ。
とても顔を上げられない
「ユカリ」
声をかけられた。やさしく、ただ名前を呼ぶだけ以外の、甘い意味を持つような。
ゆかりはぴくりと体を震わせたが、その声に答えることはしない。
ティムは思い切ってゆかりの手を取った。
ゆかりの体が再びぴくりと――今度はより大きく――震えた。

手を握られたことで、さらにゆかりは体を固くした。
ティムがゆかりの手の平を、指でなにやら触っている。
その少しくすぐったい不思議な感覚に、ゆかりの意識は集中する。
いや、矛盾した言い方になるが、意識が、「無意識的に」そこに集中してしまうのだ。

さわられている。

その感覚が、ゆかりの胸の鼓動を早め、あまりにも強く脈打つものだから、ティムに
それが伝わってしまわないかと心配になる。
手にも汗をかきはじめた。
どきどきする、いや、手の平を触られるその感覚には、背中がぞくぞくするような刺激さえある。

さわさわ、さわ。とリズムを取って動くティムの指は、何か文字を書いているようだ。
目も上げられないゆかりは、感触だけでその文字を読み取る。
混乱する意識の中では、よく読み取れないが、しかしティムの手は何度も同じように動き、
同じ文字を書いているようだから、恐慌下にある頭の中でも、どうにか形をなしていく。

・それはアルファベット三文字のようだ。
・それはLからはじまるようだ。
・それはLとIとEのようだ。

・L―I―E

890倫敦全力疾走 ◆DMzTyHF5uc :2006/02/23(木) 23:45:58 ID:KQyt+tGU
なんだっけそれ。
混乱と熱のせいで、たった三文字のアルファベットからなる単語を理解するまでに三秒かかった。
ようやく視線を上げ、ティムの満足そうな笑顔を見つけるまでに三秒。
小さな口が声を出さずに
「うそだよ」
と動くのを見るまでに三秒かかった。

そして全てを理解したゆかりの怒号が響くまでに、やはりもう三秒かかった。

                  

ティムがほうりこんだ新しい石炭の炎も、少し落ち着いた。
「そんなにてれるんなら、さいしょから『キスで起こして』なんていわなきゃいいじゃない」
少したってゆかりの呼吸が落ち着いた後で、ティムはそう言った。

「こんなはずじゃなかったんですよう……」
「じゃあどんなはずだったんだよ」
ゆかりはまだ頬にうっすらと赤みを残している。
してやられた。
そう思っている表情だった。

ティムは
してやったり。
そう思っている表情だった。





891似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2006/02/23(木) 23:47:25 ID:KQyt+tGU
続きます。
次は早くに投下できる予定です。
892名無しさん@ピンキー:2006/02/24(金) 00:08:00 ID:wZfzbuRO
>891
似非紳士氏GJ!超GJ!
耳まで真っ赤なゆかりちゃん(*´д`)ハァハァ
893名無しさん@ピンキー:2006/02/24(金) 00:43:22 ID:Oj0D1KLg
ゆかりとティムの大和まだぁー?
894名無しさん@ピンキー:2006/02/24(金) 02:22:02 ID:H+X830Kd
>>891
とても書きなれてますね。GJ!
895500:2006/02/24(金) 02:41:01 ID:/5NUVaA7
>891
エロイよゆかりんカワイイヨ!!
896名無しさん@ピンキー:2006/02/24(金) 15:47:00 ID:Qr0prH52
軽薄すぎる
897名無しさん@ピンキー:2006/02/24(金) 21:12:14 ID:YM1Hm8Mc
久々にGJ
898名無しさん@ピンキー:2006/02/25(土) 17:54:07 ID:5xUIkBG+
メイドたちの第36SS所属武装擲弾兵師団に期待してます!
899名無しさん@ピンキー:2006/02/26(日) 19:12:08 ID:Re9URG9S
メイドたちの紫電改まだでしょうか。
900名無しさん@ピンキー:2006/02/26(日) 19:33:36 ID:OsM3UAHD
頭が寂しくなったご主人様を復活させるメイドの話ですかそれは。
901名無しさん@ピンキー:2006/02/27(月) 17:18:02 ID:tC7tAejQ
はろーあたし
902名無しさん@ピンキー:2006/02/27(月) 21:30:40 ID:rKIv6Qas
メイドたちの雷電33型待ちくたびれたYO!
903似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2006/02/28(火) 03:42:46 ID:jyKvYlf7
続きです。
904倫敦全力疾走 ◆DMzTyHF5uc :2006/02/28(火) 03:43:44 ID:jyKvYlf7


「坊ちゃま見てください」
「わっ、仔猫じゃん。どうしたのそれ」
ゆかりが誇らしげに差し出している右手の先には、小さな猫が首の後ろを持たれてぶら下がっている。
体も、四本の足も、尻尾までつながる背骨も重力に負け、だらしなく伸びきっている。
だが猫はこの状態でも何一つ不自由は無い、といわんばかりの様子で、余裕たっぷりに
「みゃあ」と応えるように鳴いた。
「ふっふっふっ……世界の中心ロンドンでは、不思議なことが起きるもんですねえ」
「……どゆこと?」
「坊ちゃま知ってました?ロンドンでは猫が釣れるんですよ」
「はあ?」
「いえちょっと聞いてくださいよ」

台所にある裏口を空けると、ほんの数坪しかない小さな裏庭がある。裏庭には小さな畑――
赤レンガでふちどられた花壇――があるが、冬場なので今は何も植えられてはいない。
春になれば、種々のハーブや野菜を育てるこの花壇も今はただのミミズの巣である。
この小さな雌雄同体はその長細い体をちぢこませ、冷たく暗い土の中で、気温がゆるんで
この土が柔らかくなり、好きなだけ、気のすむまでそれを食むことができるようになる
あの素晴らしい季節――春が来るのを、人間を含めた他の生物同様に待ち望み、
今はただ黙って静かに眠っているのだった。

そしてその小さな生態系を持った煉瓦囲いのとなりには、テームス川にかかるタワーブリッジ、
その二つの塔を思わせる立派な様子で――極度の近視には立派に見えるかもしれない――
つまり全然立派でも何でもないボロっちい木の棒が二本、良い具合に離れて立っている。
これは、見たところ宙に向かって伸びているだけでなにを支えているわけでもないし、
何のための柱だろうと訝しがる人がいるかもしれないが、答えはその二本の柱の間に、
サーカスのように張られた細い麻紐を見ればその疑問は解決するだろう。
要は、その張った紐に洗濯物を引っ掛けて干すためのもので、そんなロンドン橋だとか
もったいぶって言うほどのものではないのだ。
じゃあそんな余計なこと書かなければ良いじゃないか、そうすれば簡潔明瞭サルでもわかる
場面の説明が可能じゃないか回りくどい野郎だなオレッチ気が短いからそういうの
あんまり好きじゃねえんだよねべらんめえべらんめえという倫敦っ子気質もいるだろうがやはり
簡単に書くと
「棒が二本立ってて間に洗濯紐が張られてる」
とまあ、あまりにも簡潔に過ぎる無味乾燥質実剛健意思疎通的なことになってしまうので
やはりある程度の回り道は人生を豊かにするこのていどの遊びはあってもいいんじゃないか
多少面倒くさくてもそこまで目くじら立てて近代的タイムイズマネー精神に犯されなくったって良いんじゃないか。
申し訳ない、話がそれた。
905倫敦全力疾走 ◆DMzTyHF5uc :2006/02/28(火) 03:44:23 ID:jyKvYlf7

例えばそうしたような無言の思考を永年に渡りずっと続けていたかのような二本の粗末な
木の棒は、随分と長いあいだ雨風にさらされてきたので、
威厳と風格というよりは憐れみとか悲壮感といった雰囲気を持っていた。
そしてその二本の間に張られ続けていた麻紐も、やはり大分くたびれていたのだった。


ゆかりはそれを前々から張り替えよう張り替えようと思っていたのだが、そして新しい
きれいな紐も用意してあったのだが、何故かそういった用事というのはこれといった
きっかけがないと中々実行しないもので、結局今日この日までほうっておかれていたのだ。
が、ティムとの、ふとした会話の勢いで
「思い立ったがGood day ですよ坊ちゃま」
と日本のことわざ――失われた中のささやかな記憶――と、この仕事のことを思い出し、
そうだ、思い立ったがGood dayだ昔の人はいいこと言うなあと真新しいロープを脇に携え
勇んで裏庭に出て行ったのだった。

「あああ、こんなにほつれて……」
麻紐には永年の疲労が蓄積しており、ほとんどちぎれている部分もあった。
ささくれた木の棒に刺さらないように気をつけながら、ゆかりは丁寧に固く結ばれ続けて
いた麻紐を解いていった。
両方とも柱から外し、さあさっさと巻き取ってゴミ箱にポイだ、とそのロープを端から
ぐるぐると巻きつけているところに異変は起きた。
ロープの向こう端から、なにか生き物のうごめく気配を感じたのだ。
注意深く視線を上げるとそこには、ほどけてヘビの尻尾のようになったロープの端を
懸命に追いかける仔猫の姿があった。
ゆかりがこちら側の端からロープをくるくると巻き取れば、
当然向こう側の端っこは地面に引き擦られてこちらへ向かってくる。
ちょうど何か小動物が、その尖って光る爪から、必死に逃げるような動きで。

釣りの疑似餌のようなもので、猫はすっかりロープを自分の獲物だと信じきっているらしく
必死の形相で右から左から爪を立て、その生物的な無生物へと、激しい攻撃を加える。
906倫敦全力疾走 ◆DMzTyHF5uc :2006/02/28(火) 03:45:51 ID:jyKvYlf7

こちらがロープを巻けば巻くほど猫はあせって、その獲物に追いすがってついてくる。
「おおっ……これは……」
ゆかりはちょっとした感動を覚えた。
おもしろい。
万力を込めいくらはたこうと殴ろうと、この獲物は一向にその動きを止めない。
そのことが不思議なのか悔しいのか、
猫はとにかく一心不乱にロープを追いかけてくる。
その様子をゆかりはおもしろがって、やはり釣り人がリールを巻くように
ロープを巻き取ってゆく。

くるくるくる。   ばしばしばし。
 くるくるくる。   ばしばしばし。

たわむれに手を止めてみた。
当然、ロープの動きも止まる。
「ついに仕留めた」とばかりに猫は、小さな頭の半分ほどにまで口を大きく開き、
長く鋭い二本の牙を妖しくきらめかせた。

そこで唐突に巻き取りはじめる。
猫は口を大きく開いたままで一瞬体を大きく震わせ、獲物がまだ生きているという事に気づく。
そして再びそれに向かって、必死の様子で爪を振るう。
猫は右へ左へ、なにか前衛的なダンスを踊っているようでもある。
ゆかりは笑いをこらえるのに必死であった。
右へ動かせば右に。
左へ動かせば左に。
これを何かの生き物と――自分の獲物と信じきって疑わない猫の蒙昧さ――純真さを
ゆかりは可愛らしく思った。
可愛らしく思っても、このいたずらをやめはしないのだが。
いや、むしろ可愛らしいと思うからこそのいたずらなのだ。

907倫敦全力疾走 ◆DMzTyHF5uc :2006/02/28(火) 03:46:25 ID:jyKvYlf7
麻紐は殆ど巻き取られ、端とそれを追う猫はほとんどゆかりの目の前まで来ているが、
いまだに相手は無生物であると発見した様子はない。
必死ではたき、爪を立て、腰を振り、この獲物を逃すまいと頑張っている。

「それっ」

ゆかりは最後のロープを、三次元的にひらめかせた。
軽々と宙に浮かんでゆく麻紐の端。それを追い、跳び上がる猫。
猫はいよいよ鬼気迫った表情で麻紐を追い、いよいよ空中でその獲物に深く爪を食い込ま
せることに成功した。

しかし麻紐の上昇は止まらない。
いきおい猫の体は空中で伸びきり、あたかも二本足で立ち上がったようになった。
放物線を描く運動の途中には、その頂点で一瞬の無重力の時間がある。
なるほどその姿は、他にない大魚を釣り上げた釣り人の姿と似ていなくもなかった。

空中で長靴を履いた猫はそのあと、そのまま落ちていくだけである。
「ほっ」
そして落ちてきたところを、ゆかりはエプロンの前端を持って待ちうけ、見事捕獲の儀、
となったわけである。

捕らえられ、急に視界が真っ暗になっただろう猫は、ゆかりのエプロンの中で暴れる。
暴れはするが出られはしない。ただなにか蠢いているだけである。
「……ねこぶくろ」
ゆかりはもぞもぞ動く自分のエプロンを見つめて呟いた。



「――――という、わけなんですよ」
908倫敦全力疾走 ◆DMzTyHF5uc :2006/02/28(火) 03:46:57 ID:jyKvYlf7
「そうかい、そりゃまた、まぬけな猫もあったもんだね」
「ふふ、動物って、ほんとに可愛いですよね」
「よりによってユカリにつかまるなんて」
「ちょっと坊ちゃまそれどういう」

ユカリが投じかけようとした異議は、猫のいかにも間延びした鳴き声に遮られた。
猫は床に両手――両前足をついたお座りの格好で、二人を見上げている。
「おーっ、ないたね。まいごのまいごの仔猫ちゃん、あなたのおうちはどこですか」
「……なーん」
ティムの問いかけにこたえるかのように、猫は再び鳴き、ごろごろと言った。
猫というものはふしぎなものだ、とティムは思った。
ただ眺めるだけで、柔らかくてあたたかいきもちが胸を満たして、自然と笑みがこぼれてしまう。
「ふふ、ふふふ」
ティムは仔猫を抱き寄せ、頬を寄せる。
「なーん」
猫の細く長いひげが、頬を撫ぜる。
抱き上げた脇の下は、暖かく、毛がふさふさしている。
こうしていると、心が落ち着くようだ。仔猫もティムも、似たような満足げな表情を浮かべている。

「ユカリ、ほら、この手のぶぶんがやわらかくて、きもちいいよ!」
「肉球って言うんですよ、そこ」
「へー。にくきゅーにくきゅー」
ティムはおもむろにソファの上に寝転がり、まぶたを閉じてそこに猫の前足を押し当てる。
そしていかにも気持ちよさそうに笑うのだ。
「うわー……柔らかくて……これは、ちょっとしたものだね」
「梶井基次郎ですか」
「うん、いや、しらないけどさ」
猫は再び「なーん」と鳴いて、ティムの腕からすり抜けて逃げていった。

猫はゆかりの足元に走りより、なむなむ言いながら2,3度ふくらはぎに体を摺り寄せた。
「キャッ!」
「なおりおやりむやーお」
「すごい声でなくね……ユカリ、こいつ、腹へってるんじゃない?」
「そう……なの?」
ゆかりは自分のふくらはぎにほほを摺り寄せる小さな生き物に向かって聞いた。
「なあん」
猫はまるでそれに答えるかのように目を細めて鳴いた。
長いひげが機嫌よく持ち上がった。
909倫敦全力疾走 ◆DMzTyHF5uc :2006/02/28(火) 03:48:03 ID:jyKvYlf7


やはり腹が減っていたのだろう、小猫は自分の体ほどの大きさもある皿に注がれたミルクを
あっという間に飲み干し、顔を上げ大きく長く鳴いた。
「二杯目の催促……してるの?」
猫は応えず、床に前足を着いた行儀のいいお座りの状態のままで、口の周りに飛び散った
ミルクを、器用に舐めとった。
「はいはい――――ああ、ほら、もう少し落ち着いて飲みなさい!顔が真っ白じゃない」
二杯目のミルクもすぐに空になった。舌のいきおいでミルクは四方に飛び散り、
いたるところに白い粒がはじけている。
「まったくもう――――」
真白になった猫の腹を拭いているとき、首の辺りに手ごたえがあるのを感じた。
「――――ん?」
長い毛に隠れてしまうほどの布製の小さな首輪だった。
「ああ、やっぱり飼い猫だったんだ、そいつ。すごい人間に慣れてるもんねえ」
「ちょっと待って下さい、なんだか文字が――」
布の首輪をほどいてみると、そこには赤い糸で美しい刺繍がしてある


    この子を 保護してくださって ありがとうございます

    この子は 好奇心が 強く いつも勝手に どこかへ出かけてしまうのです

    この子を 保護してくださった やさしい あなた様に 

おりいっての お願いがあります 

以下の住所まで この子を 届けていただきたいのです

    あつかましい お願いとは 思いますが よろしくお願いいたします

    ささやかですが 御礼も いたします


そしてその下には、やはり同じ赤い刺繍で、西ロンドンあたりの住所が記されていた。
910倫敦全力疾走 ◆DMzTyHF5uc :2006/02/28(火) 03:49:02 ID:jyKvYlf7
この子を――この子は――この子を――冒頭から続けられるこの表現に、
ゆかりは飼い主のこの猫に対する愛情思い、自然と笑みがこぼれるのであった。

「へえ、きれいなししゅう」
「あら坊ちゃま、刺繍のことなんて分かるんですか」
「うんまあ、少なくともユカリのクサビ形ししゅうよりはうまいなってことぐらいはね」
「……そうですか」
ゆかりは肩を落としあからさまに落ち込んでいる様子であるが、ティムはそれに委細かまわず
「ねえ、ユカリ!『お礼いたします』だって!いったい、どんなお礼かな?」
と、小さなハンカチのようなものに施された刺繍の文面に、無邪気に目を輝かせた。
「坊ちゃま、そんなお礼だけを目当てにする善行は、誰のためにもなりませんよ」
そのティムの様子にゆかりには珍しくまっとうなことを言った。
「それに、今からこのお宅まで行くには今日はもう遅すぎますから、明日になったらたずねましょう」
ティムはその答えにほほを膨らませ、明らかな不満顔をした。
「ちぇー、せっかくの『お礼』なのにさー」
「大丈夫ですよ、そんなに焦らなくても。それより」
と言ってゆかりは顔を上げ
「明日このお宅にお邪魔するとなれば、なにか手土産でも……
そうだ、チェリーパイにしましょうか」
ティムの表情が一変して、輝くような笑顔になる。
「ユカリ!チェリーパイ、焼くの!?」
「ええ、手ぶらで行って……いえ、その猫さんだけ持って行くのも、失礼でしょうから」
「味見は?味見!」
あまりにも魂胆が見え透いているので、思わずゆかりは笑ってしまった。
「ふふ、しますよ。ちゃんと。私が」
「ユカリぃ……」
ティムはゆかりを見上げて見つめている。
さっきの猫と同じ表情で、何をいわんとするか、その青い瞳が十分に伝えていた。

「他人様に差し上げるものなんですから、ちゃんと味見してくださいね、坊ちゃま」
ティムの表情が、ぱぁっと明るくなる。
「うん!がんばるよ!」
育ち盛りなのであった。
911倫敦全力疾走 ◆DMzTyHF5uc :2006/02/28(火) 03:50:05 ID:jyKvYlf7
続きます。
続きは近いうちに。
912名無しさん@ピンキー:2006/02/28(火) 10:31:04 ID:wq9Jb75C
視点がおかしくて読んでてクラクラする
913名無しさん@ピンキー:2006/02/28(火) 18:11:06 ID:epo2v2/W
んなこたない
914名無しさん@ピンキー:2006/02/28(火) 21:29:03 ID:iBwSTV9I
GJ!
この面白さはどこから沸いてくるのだろう。
羨ましいなぁ…。
915倫敦全力疾走 ◆DMzTyHF5uc :2006/02/28(火) 23:53:24 ID:jyKvYlf7
続きです。
916倫敦全力疾走 ◆DMzTyHF5uc :2006/02/28(火) 23:54:43 ID:jyKvYlf7

ゆかりはぽかんと口を開けた。
「でっ……かい家!」
予想以上である。
例の猫を届けに来たのだが
「この住所だと、結構な金持ちの家の猫かもしれないな」
と、昨夜ジョンの言ったとおり、このあたりはどうやら分限者の多く集まる
地域らしく、右を見ても左を見ても、広い前庭をもった、どれも一軒がティムたちの住む
集合住宅一つ分はあるような邸宅ばかりである。

高さ6メートルほどある、庭の中心に聳え立った大きな楡を背中に、やはりこれも
必要以上に大きな門を目の前に、ゆかりはおそるおそる右手を構え、二、三度強く叩いた。
反応は無い。
もう一度、より強く扉を叩くがやはり反応は無い。
あまり強く叩いても手の甲が痛くなるだけだ。
あまり品のいいやり方ではないが、この際、大声を上げて呼んでみようかと思った。

その時、背後の楡の木から何かが落ちるような物音が聞こえた。
驚いて振り返ると、一見して身軽そうな男が立っていた。
どうやら今木から降りたのはこの男で、楡の木の手入れをしていたようだ。
服装が小汚い貧相な服なのも、これは要するに作業着だからなのであろう。
自分たちがいつもは着ない余所行きの綺麗な服を着ているものだから、男の貧相さが、
いやに目に付く。
だが服装よりもゆかりたちの目を引いたのは、その男は見るからに英国人ではなく
ゆかりと同じ黄色い肌をしていることであった。
男も同様に、自分の仕える家を訪ねてきた客人――それも可愛らしい女の子――が、
自分と同じ東洋人であることに驚きの表情を見せ、二人に近付いてきた。
近付くと、バラの茎のような、その体のやけに細いのがわかる。
「お客様――だすかね?あんらあ、そちらのお嬢さんは、どこのご出身でがんすか」
あまり英語が得意でないらしく、男はかなりつたない言葉遣いで話しかけてきた。
「あ――日本、です」
「ああ、そうでゴゼマスカ、あちしは、清国は広州の出なもので、英語があまりうまく
 ないもので申し訳ねですんだけど、そいでえ、おふたりさん、は、きょうは、いったい
 どんな御用で、いらっしゃたったのでアリマスカネ?」
男は節くれだった手で帽子をくしゃくしゃに掴みとると、胸の前で両手を合わせ、
挨拶らしいことをした。
917倫敦全力疾走 ◆DMzTyHF5uc :2006/02/28(火) 23:56:30 ID:jyKvYlf7
なるほど男の目は切れ長で細く、英国人向けの服はサイズが合わず不似合いで、
丸い撫で肩のその様子は、いかにも支那人という風体であった。
遠くで見た時は、30代か40代に見えた男だったが、こうして近付いて見てみると、
その浅黒い肌の下には確かに若さというようなものが潜んでいて、どうやら20代――それも、
前半の、れっきとした若者であるらしかった。

「あの、この子猫の首輪に、こちらの住所が刺繍してあって――」
ゆかりがそういって肘に掛けたバスケットを開けると
「みやあ」
と、まぶしそうに目を細めた猫が、頭だけ出して鳴いた。
男はそれだけで万事納得したらしく、
「ああ、今回はーいつもより長く帰ってこんので、
 あっしがさがしにいくところのちょうどでごぜましたですよ」
と言った。
「それでですね今日、こちらに届けにうかがったのですが、御主人様はご在宅ですか?」
そう聞くと男は、顔中にくちゃくちゃっと深いしわを浮かべ、二、三度首を横に振った。
「ご在宅ではないのですか?」
ゆかりがさらに問うがやはり男は首を振り、
「ああ、お嬢さん、申し訳ないだがね、あちしは、英語が良くわかんねえでもんでです、
 もう少しゆっくり喋っていただきたいのだよおねげえします。お嬢さん、日本人だのに
 英語がお上手で妬ましい……でねくて、心憎い……や、羨ましい、であります」
一事が万事このような調子で、この支那人の男は、この国での意思疎通は
かなり苦労している様子だった。


「シーナ!」
突然に、頭から怒号を浴びせられた。
みると二階の窓から老婦人がこちらに顔を出して、こちらに叫んでいる。
「あ、おくさまあ!リオの野郎が帰って来ましたのですよ!」
と、シーナと呼ばれた男は二階の窓へと叫びかえした。
「そうなのならいつまで玄関先で突っ立っているの!早くその方たちを家の中まで
 案内しなさいよ!この愚図!給料減らすわよ」
老婦人は、身なりも住んでいる家も立派のものなのだが、
正しい婦人には一生縁のないであろう、他人を罵るスラングまでをも
立派に使いこなしている。
918倫敦全力疾走 ◆DMzTyHF5uc :2006/02/28(火) 23:58:03 ID:jyKvYlf7

「そんなあ、これいじょ減らされたら、パンの耳も買えねくなってしまいますに」
男は泣きそうな表情で、二階を見上げて叫んでいる。
やはり見た目の通り、けっこう悲惨な身の上のようだ。
この家ではこのような会話の仕方が度々あるのかは知らないが、二人とも家の中と外、
二階と玄関の前という三次元的音声のやりとりを、特に何だということも無く続けている。
それに驚いているのは小さな訪問者二人である。
「……奥様め、人が支那人だからってつけあがりやがります……あ、ごめんなっせ。
 つい本音が口をついてしまうです。ささ、おふたりさん、どうぞ中へお入りになすって下せ」
「は、はい」
「はは……なかなか、おもしろいうちだねえ、ユカリ」
ゆかりも顔を半笑いに固めたままで、ティムに相槌を打った。

扉を開けると広々したホールである、が、人気があまり無いせいなのか、赤い絨毯に
うっすら白いほこりが積もっているのが目に付く。
そのような小さなことに、ゆかりはどことなく寂しさを感じる。
踊り場に、軍人の大きな肖像画の掛かった階段を上って、左に客間があった。
なぜか部屋の入り口は小さく不思議に思ったが、中に入ってみて意外とそれが広く感じたことから、
これは部屋を広く見せるための工夫なのだと合点がいった。

客間に通されてしばらくした後、先ほど窓越しに見た老婦人が杖をついて出てきた。
どうやら足が悪いようだ。いかにも重そうに引きずって歩いている。
バスケットから仔猫が飛び出して、足元にまとわりついていった。
「リオ」
と呼んで、彼女はその仔猫を抱き上げた。
どうやらこの人が飼い主に違いないようだ。

「あなたたちがリオを連れてきてくれたのね、あらあら、いままで何人かに連れ帰って
 もらったけど、あなたたちみたいな可愛らしい人たちは初めてだわ」
老婦人を窓越しに見たのは顔だけだったし、距離もあったのでわからなかったが、
彼女はでっぷりと肥えており、胴回りはゆかりの倍か三倍ほどありそうだ。
それは足も悪くなるだろうな、と二人は思ったが、もちろん口に出すわけはない。
体中に過分に栄養が行っているからその分、顔の血色は人並みはずれて良く、
ほっぺはぷっくらと膨らみ、おしろいを濃く塗ってもなお明るい。
愛嬌というよりも、迫力がある。
その大きな声と体格のよさに、二人は圧倒されてしまった。
919倫敦全力疾走 ◆DMzTyHF5uc :2006/02/28(火) 23:59:20 ID:jyKvYlf7
「刺繍を見てくれたんですって?私は見ての通り足が悪くて、家にいてもすることが
 無いものだから、刺繍ばっかりしているの。だからもう猫のものにまで刺繍しちゃって…
 ごめんなさいね、ほんとうは、 あたしが探しに行かれればいいんだけど、
 どうしても足が痛くてねえ……あ、リオ、っていうのは、私の息子と同じ名前で、
 やっぱり息子も好奇心が強かったもんだから、ちょっと息子には悪いけどね、
 名前を使わせてもらったの。だからかわからないけど、やけにこの子には愛着がわいちゃってね」

と女主人は、聞かれてもいないことをべらべらと喋りだすのであった。

やはり猫のことを「この子」と呼ぶ女主人を、ゆかりは好ましく思った。
しかしそれにしてもよく喋る人である。
会話に付け入る隙がない。
一人が一方的にまくし立てることを「会話」と呼んで良いのかは知らないが。
まあいい。

「あ、あの、奥様……」
「あら、なにかしら――ええと――」
「ゆかり、と申します。奥様」
「そう、ユカリちゃん。私は、オフトっていうの。よろしくね。
 ねえユカリちゃん、、あなたも東洋人のようだけど、シーナと同じ出身?」
「いえ、私は日本人です。それでですね奥様――――」
「そう!違うの!そうよねえ、あんな小汚い支那人と一緒にされちゃ迷惑よねえ。
 まあ、日本っていう国もあまりよく知らないけど――きっと小さい国なんでしょうね。
 あの支那人も、ホントの名前はワンって言うらしいんだけど、意味を聞けばそれは
 『王』――『King』のことだ、なんて言うし、ワンは英語ではナンバーワンの1だし、
 目つきは悪いし――体も細くて貧相だし――それにこんな汚らしいあなたに
 そんな名前はとってももったいなすぎて、そんな名前はふさわしくないわ!
 って私が言って、いつも国名で読んでるの。シーナシーナってね」

「はは……」
随分物事をはっきり言う方だな、とゆかりは思った。
920倫敦全力疾走 ◆DMzTyHF5uc :2006/03/01(水) 00:01:32 ID:IHsChKOG
「アラごめんなさい、私ばっかり喋っちゃって、なにしろ夫と息子が軍人で、
 二人一遍に死んじゃったもんだから――まあおかげで私はこうして国からの受給金で
 有閑生活を送れるんだけど――いつも喋る相手がいないものだから、お客様が来ると
 嬉しくって、つい喋りすぎちゃうの。
 使用人はシーナと、通いのがいるけど、住み込みのはいないのよね。
 住み込みのを雇ってもいいんだけど、やっぱりお金は倹約すべきだし、住み込みで
 雇ってそいつがもしハズレだったりしたらいちいち面倒くさいしねえ、
 新しく雇ったりするのも。それに私あんまり使用人って好きじゃないのよね。
 ここいらに住んでる人は、使用人を持たないと自分の家が裕福に見られない、
 なんて思ってるからか知らないけど、みんな雇っているのよね、それも何人も。
 まあ、そりゃ私の家は金を湯か水みたいに使えるほどお金持ちではないけれど、
 使用人を雇えないほど貧乏ってわけじゃないのよ、私は、金銭面でも精神面でも、
 行動容姿その他もろもろひっくるめても、自分が正しい淑女の道を踏み外してないと思っているわ。
 それにしても、私はもっと毎日おしゃべりを楽しみたいんだけど、シーナはアレだし、
 通いの奴も働くは働くんだけど、あれも気の廻らない奴というか、会話が好きじゃないみたいでねぇ」

それはきっと、この広い屋敷で用事をするというのは、仕事が多すぎて、会話をするような
余裕は無いんだろうな、と、うっすらほこりの積もった赤いじゅうたんを思い返して、
ゆかりはその使用人に少し同情をした。
「さっきも済まなかったわね、気の利かないシーナの野郎が応対しちゃって。
 でもあいつは気が利かないというよりもただ英語の問題なのよね。あれ、どうにか
 ならないものかしらねえ。……あら、ユカリちゃん、それで、なんだったかしら?」
ゆかりは隙を見つけてオフト夫人に口を挟もうとしていたのだが、この夫人、喋りに隙がない。
おしゃべりに興味の無いティムは、リオと呼ばれた猫と楽しそうに戯れていた。
ゆかりはひとりでタジタジしながら、女の口が止まるのを待っていたのだ。

「ああ、あの……お口に合うかはわかりませんが、チェリーパイを焼いてきたので、
 よろしければ、どうぞ召し上がってください」
ゆかりはバスケットの猫が入っていた反対側のふたを開け、中からパイを取り出した。
つやのあるパイ生地の隙間から、甘い、良い香りが漏れている。
オフト夫人は、もともと明るい顔色をさらに明るくして、
「まあ嬉しい!私、チェリーパイが大好物なのよ!ありがとう!」
とひとしきり喜んだ。
そして何度か顔を近づけその香りを堪能すると、ひどくいい案が浮かんだ、というように
柏手をぱぁんと打って立ち上がり、
「そうだわ!今日はお天気もいいし、外の楡の木の下でお茶をしましょう。
 そうだわ、そうしましょう!」
と言うと、使用人の名をやはり大声で叫んだ。
921倫敦全力疾走 ◆DMzTyHF5uc :2006/03/01(水) 00:02:50 ID:IHsChKOG

日差しは確かに暖かく、まるでもう春が来たかのような暖かさである。
二人が家に着いたときに、シーナが登って手入れをしていた大きな楡の木である。
頭上に覆いかぶさる楡の葉は、太陽光線を遮り、または透過させ、その取捨選択の能力は
やはり自然のつくりたもうた奇跡といってよいような、樹下の白いテーブルクロスに、
えもいわれぬ美しい文様を描いている。
うまく手入れされているように見えるが、オフト夫人が言うにはシーナは素人なので
まだまだ粗があるから、やはりもっと仕事をさせなければなるまいということだ。
オフト夫人は大きめに切り分けたチェリーパイを頬張って、満面の笑みに顔をとろけさせた。

「おいしいわぁ。ユカリちゃん、お料理上手ねえ、すごいわ」
「僕もてつだったんだよ!」
「そう、ティムちゃんも、えらいわねえ」
「坊ちゃまは試食しただけじゃないですか」
「う、まあ、そうだけどさあ」
「あら、それだって立派なお手伝いだわよ、ねえ」
「ねー」

樹下の茶会は、チェリーパイの出来の良さのおかげもあって、なかなか楽しいものになった。
「この楡の木はね」
大切な木なの、とオフト夫人は言った。
「この楡の木は、主人が私と結婚した時に植えたの。いまじゃもう、
 こんなに大きくなっちゃって――主人が先に死んじゃったわ。まったく、軍人なんて
 夫にするものじゃないわね。お父さんみたいになるんだ、って、息子まで軍に行って、
 ほんとに同じように死んじゃうンだもの。だから、そうねえ、この木は、二人の、いえ、
 家族の――思い出、ね。踊り場にある肖像画なんかより、よっぽどあの人のことを思い出させてくれるわ。
 ……ね、ユカリちゃん、軍人なんかと結婚しちゃダメよ」
オフト夫人はそうして自らの境遇をあっけらかんと語るが、やはり言葉の端々に、
過去はどうで、財産もできたが、今は一人になってしまって寂しいのだという本音が、見えていた。
猫に住所をつけた首輪をさせ、放し飼いにしているのも、それはやはり半ばわざとで、
こういう来客を楽しみにしているのだろう、ともゆかりは思った。
922倫敦全力疾走 ◆DMzTyHF5uc :2006/03/01(水) 00:04:34 ID:IHsChKOG

「ああそうだ、リオを連れてきてもらったお礼を上げなくちゃね」
オフト夫人は真白な封筒を取り出すと、ゆかりに手渡した。
中には現金が入っている。それも、1ポンド札。大金である。
「――――奥様、こんなに、戴けません!」
「いいのよ、こんなにおいしいチェリーパイも作ってもらったのだから」
「でも……」
そりゃ、この大きな屋敷を見た時に「お礼ってどれくらいもらえるんだろう」という
下卑た考えがかすめなかったわけではない。
むしろ楽しみにしていた。楽しみにはしていたが、現実にこのような大金を、
ただ猫をとどけたからといってもらってしまっていいものか、と、やはり十分ためらわれる。
しかしオフト夫人は逆にこちらが願うように
「ああ、ね、もらってちょうだい、いいのいいの」
と何度も言った。
上流階級なのである。

彼女は手を目の前で振り、謙遜のように、
「他に使いみちが無いんだから」
と言ってもう一度、封筒をゆかりのほうによこした。
なるほど身よりも後とりもない倹約家の老人には、俗世的なものとは違った価値観があるのだろう。
少し離れて雑草をむしっていたシーナが、仁王のように険しい表情になったが、
このときは、誰も気がつかなかった。
「ありがとう、ございます。奥様」
はにかんだ様子で、結局それをバッグの内にしまったゆかりに、夫人は笑顔でうなずいた。

オフト夫人は思い出したように言った。
「そうだ、温室――コンサバトリーにね、この子の母親もいるの。見て行くでしょう?」
「シーナ!ここ片付けておいて」
「かぁしこまりましたぁ」
「坊ちゃま、コンサバトリーって?」
「……あったかいへやのことで、ふつうは植物を育てたり、そこでお茶を飲んだりする……らしいよ」
「へえー、すごいですね」
と、ティムは聞いただけの知識で言ったのだが、実際に見たことはない。
今日実際に見るのは初めてと言うことになるが、ここの温室が彼のなかのイメージとして、
温室の標本となってしまったとしたら、それには少々問題がある。
そこは猫だらけの猫屋敷であった。
923倫敦全力疾走 ◆DMzTyHF5uc :2006/03/01(水) 00:05:19 ID:IHsChKOG

「あれがこの子の母親よ」
とオフト夫人は言ったが、どれがどれかわからない。
しかしティムにはわかっているのか、
しきりに「かわいいなあかわいいなあ」といって喜んでいる。
猫はそれぞれ気のむくままに、重力さえも彼らを支配し得ないような動きを見せ、
その暖かな部屋の中で、飛んだり伸びたり逆に丸まったりして、猫の猫たるゆえんを見せ付けている。

後片付けを終えたシーナが入ってきたが、誰もそれを気に留めなかった。
「かわいいかわいい」と次々と猫に挨拶するティムを見て呟いていた。
「かわいい……ですますか」
シーナは無表情で猫を見つめた。
そこに映るのは明らかに好ましい感情ではなかった。

「あら、シーナ、いたの。そうだわちょうどいい。この子達の餌を持ってきてちょうだい。
肉がちょっと古いから、良く焼いてね。」
「……はい」
そういってシーナは温室を出て行った。
ゆかりはシーナの様子に何か違ったものを感じながらも、室内に目を戻した。
温室の端に、餌場なのだろう大きな皿が置かれている。
餌場にはオフト夫人が言った「肉」の破片がところどころ残っていた。
ゆかりはなにか安いゴミのような肉か、食事に使わなかった端の肉を与えているのだろうと思っていた。
この奥様は、余り肉の寄せプディング――ゆかりの得意料理の一つ――などは
お召し上がりにならなさそうだし、と。
しかし違っていた。その皿に残っている肉の破片は、端肉などではない、
明らかに良い部位の牛肉である。
これはビフテキの破片である。
ゆかりは自分の目を疑った。
ビフテキとはビーフステーキ、つまり牛肉の焼いたものである。
倫敦のビフテキは中流以上の人にとってはポピュラーで、この時代で言えば、
神戸で言う牛鍋と同じようなものだとはいえ、
猫にこのようないいものを食わせるというのは古今聞いたことがない。
猫にはミルクかせいぜい行灯油でも与えておけば良いものだと思っていたゆかりは、
目を丸くして見ていた。
924倫敦全力疾走 ◆DMzTyHF5uc :2006/03/01(水) 00:06:16 ID:IHsChKOG
オフト夫人はそのようなゆかりを見て、微笑みを浮かべながら言った。
「ふふ、自分でもおかしいとは思うんだけど、なんだかこの子たちには
 いいもの食べて元気でいてほしくってね。もう主人や息子にお金を使えない分、
 こんなところに使っちゃうの」
さきほどは「お金は倹約するべきだ」と言った人間がこのような行動を取るのは、
畢竟その矛盾が人間らしさ、人間味と言うようなものなのだろう。

「なんだかこうやって餌をあげているうちにどんどん数が増えちゃってね。
 でも、少ないより多いほうが私も楽しいから、いいのよ。もうこの子達は――
 ――家族みたいなものだしね」
オフト夫人がそう言うと、一匹の猫が背後から彼女の首に飛びついた。
「おお、おお、元気のいい子だね……」
その猫にも、やはりオフト夫人は優しい目で体を撫ぜてやるのだった。
だがその優しい瞳の内側には、寂しさが水晶体でくるまれているのだ。
本人はどう思っているかわからないが、やはりゆかりは彼女のことを
「淋しい人だ」
と思った。

「あら、そういえば――リオがいないわね?――リオ、リオ!」
先ほどまで一緒にいたのだが、もう姿は見えず、返事もしない。
「あらやだ、あの子ったらもうどこかへいっちゃったのかしら。
 せっかく連れて帰ってきてもらったのに。本当に、好奇心の強い子だわ――……息子に似て」
オフト夫人が大きな体をぐるぐると回し、室内を見渡して、猫の名を呼んだがやはり気配はない。
まいったわねえ、オフト夫人はそういった表情を浮かべて両手を掲げた。
そのときである。
シーナが息を切らして入ってきた。

925倫敦全力疾走 ◆DMzTyHF5uc :2006/03/01(水) 00:07:45 ID:IHsChKOG

「奥様」
「怪しい男が、この紙を渡してくれと頼まれましたですんよ」
ずっと最初に見た時からの服を着ている。
シーナの服は作業着ではなく、普段着なのだ。それも、それ一着しかないらいしく、
ずっと着続けているようで、かなり臭う。
オフト夫人は露骨にシーナにいやな顔を見せ、それを受け取る。
だが、その手紙の中身を見て、オフト夫人の顔色が変わった。

ゆかりの反応は鋭い。
その鋭さ、事態の切迫を感じ取る力は、彼女が思春期の少女だからなのか、
それとも親譲りの鋭敏さかはわからないが、ゆかりは自分の顔の強くこわばるのを感じた。
――――――――――――事件だ。
ゆかりは奪い取るように夫人の手から受け取り、
わしづかみのままで読んだ。



 2じ までに トラファルガースクウェア までにこい

 ねこは おれが あずかっている 
 
 こないと ねこの くびを きりおとす
 
 もくてきは かねではない
 
 だから こないときは さっさと ねこを ころす
 
 らいおんが かぎを もっている




926倫敦全力疾走 ◆DMzTyHF5uc :2006/03/01(水) 00:12:20 ID:IHsChKOG
誘拐。
誘拐である。
猫の誘拐などついぞ聞いたこともないが、この奥様と猫の関係を思えば、それはやはり
息子が誘拐されたに等しい衝撃を受けるだろう。
その溺愛を知っていれば、営利誘拐を企てるものがいてもおかしくはないかも知れない。
しかし目的は金ではないと書いてある。
ではいったい何のために――――――

そのとき、遠くでビッグベンの音が鳴った。
一時である。
ここから倫敦の中心、トラファルガースクウェアまで、約一時間。
足の悪い彼女では、一時間半、いや、二時間はかかるだろう。
「……なんてこと」
彼女は劇役者のように大げさな動作で驚いて見せたが、
平生、赤みが差して明るい彼女のほほから、
さっと血の気が引けていくその変わりようのほうが、彼女の絶望を示している。
オフト夫人はへなへなとその場にへたり込んだ。
今や彼女のふっくらした頬は安物のろうそくのように青ざめて白く、しなびたレーズンのように皺が増え、
健康的な頬の色で若く見えていた彼女だったが、それがなくなると年相応、
いやそれすら通り越し、一度に老け込んでしまったように見える。

「奥様、私が参ります、奥様はここに」
ユカリは返事を待たずに駆け出した。
はきなれない革靴が、緊迫感のない音で鳴った。

927倫敦全力疾走 ◆DMzTyHF5uc :2006/03/01(水) 00:15:33 ID:IHsChKOG

ティムは思い出した。
昨日の朝に見た夢を。
そうだ、ぼくはひっしに走っていたのだった。
だれかをひっしに追いかけて、追いかけて――――
追いかけたけれど、けっきょくおいつくことはできなかった。
そして前を行く背中はどんどん小さくなり、離れていってしまった。

そして思い出した。
その背中の持ち主を。
なぜあの時すぐにわからなかったのだろう。
あれは間違いなくゆかりの背中だった。

いま突風のようにかけだしていったゆかりの、背中そのままだった。
そして今、ティムは何故か、このままゆかりが戻らないんじゃないかという不安を、強く感じていた。
「ユカリ――――」
名を呼んだ声は届かずに、西倫敦の曇りがちな空へと吸い込まれていった。


928似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2006/03/01(水) 00:23:19 ID:IHsChKOG
というわけで、続きます。

ところで>>908
>「梶井基次朗〜」
一応、この話の舞台は1890年代としてあります。一応。一応です。
ところが梶井基次朗『愛撫』(猫の肉球をまぶたに乗っけて「きもちいいなあ」って言う話)の発表は1930年……

日本で言えば大正時代ですね。
適当すぎました。
あはは。
調べたところで後の祭り……

あはは……
929似非紳士 ◆DMzTyHF5uc :2006/03/01(水) 00:25:01 ID:IHsChKOG
基次朗×
基次郎○

恥の上塗り……o.../rz
930名無しさん@ピンキー:2006/03/01(水) 01:29:45 ID:4AqdlRRU
似非紳士氏GJ!!
容量がアレだから続きは次スレかな?
っつーワケで誰かお願いします。俺が挑戦したらホスト規制……
931名無しさん@ピンキー:2006/03/01(水) 02:37:15 ID:Aaf9Ofr7
似非紳士さん、GJ!文章の書き方うまいですねぇ…すらすら読めますよ。
梶井基次郎というと、「桜の樹の下には死体が埋まっている!」の文章が
まず頭に浮かんできます。()それしか浮かばないとも言う…(^_^;)

次スレなんですが、立ててしまって良いのでしょうか?もしよければ立てて
みようかなと思いますが。
それからタイトルはどうしましょ?
932名無しさん@ピンキー:2006/03/01(水) 17:26:12 ID:gxGIO5dD
“メイド”は残しておくべきだろうけど、エロパロはいらないかも。入ってないのが多いし。
933名無しさん@ピンキー:2006/03/01(水) 19:01:23 ID:R5ffXyxV
メイドたちの零式艦上戦闘機32型まだ?
934名無しさん@ピンキー:2006/03/01(水) 20:48:02 ID:9/WN/0Yf
駄作がのさばるから職人が来ない
935名無しさん@ピンキー:2006/03/01(水) 22:24:26 ID:Aaf9Ofr7
【ご主人様】メイドさんでSS【朝ですよ】

前スレ【ご主人様と】メイドさんでエロパロ【呼ばれたい】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1116429800/

ローカルルールは最低限の義務として厳守。
版権ものも、オリジナルもどうぞご自由に。

こんなもんだろうか?意見求む。
936名無しさん@ピンキー:2006/03/02(木) 01:14:02 ID:cIvThFMC
>935
OK、そいつで頼む。
あとこのスレ内のSSの収容依頼も頼むわ。ヤマトの処遇は任せる。

SS保管庫
http://sslibrary.gozaru.jp/
937名無しさん@ピンキー:2006/03/02(木) 01:57:47 ID:hbZyR0Vl
収容依頼は一応、連絡板に書き込んでみたが、スレ立てがホスト規制で駄目だった。
他の人頼む…
938名無しさん@ピンキー:2006/03/02(木) 02:01:21 ID:WYiDc0Z1
>>937
依頼する時はスレ内でSSのリストをまとめて行くのがマナーだぞ。
向こうさんも忙しいみたいだし。
939名無しさん@ピンキー:2006/03/02(木) 22:22:17 ID:s849SnHW
メイドたちの天霧まだかよ
940名無しさん@ピンキー:2006/03/03(金) 18:35:10 ID:ynVH9aor
メイドたちの流星改楽しみに待ってます
941名無しさん@ピンキー:2006/03/04(土) 02:30:26 ID:rhlos3Pg
942名無しさん@ピンキー:2006/03/04(土) 18:07:08 ID:9ItKKRAh
リーシェ嬢いつまでも待ち続けます
943名無しさん@ピンキー:2006/03/04(土) 22:37:20 ID:n3NTazid
メイドたちの九七式軽爆撃機とてもよかったです。
944某所12-91:2006/03/05(日) 02:02:02 ID:47vBC+LX
>937-938
代わりにリストアップしといた。
大体30分くらいで済むよ。
945名無しさん@ピンキー:2006/03/05(日) 20:28:28 ID:KldYyrDJ
メイドたちの瑞鳳の続き待ってます
946名無しさん@ピンキー:2006/03/05(日) 23:05:11 ID:y1wjh2mj
漏れはメイドたちのインディファティカブルに期待しちゃうぜ。
947名無しさん@ピンキー:2006/03/06(月) 01:41:51 ID:13OfhIfW
俺は次スレを待つ。

ホスト規制が………。
948名無しさん@ピンキー:2006/03/06(月) 02:44:05 ID:QF2g+m9E
メイドたちの利根まだぁ〜?

あとまんま>>935パクッたけど、駄目だったら削除依頼よろ。
【ご主人様】メイドさんでSS【朝ですよ】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1141580448/
949名無しさん@ピンキー:2006/03/07(火) 19:57:01 ID:v6Vvw13k
メイドたちの大和路快速まだですか?
950名無しさん@ピンキー:2006/03/08(水) 19:09:05 ID:xFG9dyqI
メイドたちの大鳳まだぁ?
951名無しさん@ピンキー:2006/03/09(木) 18:18:05 ID:qd7pzWcI
メイドたちの大和証券超期待です\(^O^)人(^O^)/
952名無しさん@ピンキー:2006/03/10(金) 22:33:32 ID:Q6YB1Wm5
メイドたちの氷川丸はどうなってるんですか?
953名無しさん@ピンキー:2006/03/12(日) 22:34:57 ID:JwQE4stH
メイド達のコキ10000を希望です
954名無しさん@ピンキー:2006/03/13(月) 20:31:16 ID:u6PSbYgM
メイド達のコキフ10000を希望です
955名無しさん@ピンキー:2006/03/14(火) 00:22:37 ID:vCqevcGq
メイド達のタキ1000…って、このスレ鉄ヲタ多くないか?w
956名無しさん@ピンキー:2006/03/14(火) 00:43:39 ID:JOTkfJcG
メイドたちの稚泊連絡船すら出ないうちに鉄道ファンを名乗るとは笑止!
957名無しさん@ピンキー:2006/03/14(火) 02:18:57 ID:SKR4wvT2
メイドたちの「おまいらメイドたち言いたいだけちゃうんかと」乞うご期待です
958名無しさん@ピンキー:2006/03/14(火) 02:32:49 ID:Bf5MRC6R
メイド達のレサ10000を希望です
959名無しさん@ピンキー:2006/03/14(火) 02:54:07 ID:Bf5MRC6R
メイド達のレムフ10000を希望です
960名無しさん@ピンキー:2006/03/14(火) 03:10:20 ID:Bf5MRC6R
メイド達のワキ10000を希望です
961名無しさん@ピンキー:2006/03/14(火) 03:11:50 ID:Bf5MRC6R
メイドたちの2SC1815に期待しちゃうぜ。
962名無しさん@ピンキー:2006/03/14(火) 11:26:09 ID:OJOYFuxQ
>>961
なんか連射回路組みたくなってきた
963名無しさん@ピンキー:2006/03/14(火) 13:53:08 ID:N11lULEQ
メイドたちの CDC 6600 に期待
964名無しさん@ピンキー:2006/03/14(火) 14:56:15 ID:fNx8vl0F
もうわけわかんねえwwwwwwwwwwwww
965名無しさん@ピンキー:2006/03/14(火) 17:57:47 ID:Bf5MRC6R
837、847、855、858、863-864、868、873、876、898-899
902、933、939-940、943、945、948-954、958-961
おれの書き込みはこれだけか。
案外少ないもんだな。日本海軍の艦コンプリートは無理そうだな。
966名無しさん@ピンキー:2006/03/14(火) 18:22:54 ID:qy2oEDIw
荒らしの遺産をネタとして活用したのは一応評価すべきなのだろうか
967名無しさん@ピンキー:2006/03/14(火) 23:25:02 ID:3jOgIqUd
メイドたちのATHー900LTDに期待
968名無しさん@ピンキー:2006/03/14(火) 23:30:20 ID:0tsrWnge
メイドたちのBB-61に期待
969名無しさん@ピンキー:2006/03/15(水) 01:50:29 ID:7JDMFfyV
メイドたちのエアロスターに期待

わかる人いるかな?
970名無しさん@ピンキー:2006/03/15(水) 03:17:59 ID:t9pYKfdE
>>969
メイドたちのリコール隠しには期待しません
971名無しさん@ピンキー:2006/03/15(水) 04:16:21 ID:rZ3RZYoi
メイドたちの大切なクラリネット
972名無しさん@ピンキー:2006/03/15(水) 09:38:33 ID:3AuCxo30
メイドたちのブルーインパルスまだぁ?
973名無しさん@ピンキー:2006/03/15(水) 15:53:36 ID:EywKh73K
メイドたちって、何ですか?
974名無しさん@ピンキー:2006/03/15(水) 18:28:43 ID:x9BRFP1J
メイドたちって、何?
975名無しさん@ピンキー:2006/03/15(水) 19:46:21 ID:NOpJG/e1
メイドたち、下から見るか横から見るかに超期待sage
976名無しさん@ピンキー:2006/03/16(木) 06:54:30 ID:W48XHVqb
メイドたちの奇妙な冒険に期待
977名無しさん@ピンキー:2006/03/16(木) 10:14:57 ID:lwWaBTRX
メイドたちの96式多目的誘導弾に期待
978名無しさん@ピンキー:2006/03/16(木) 19:44:09 ID:xF8rsKBy
メイドたちの海鷹おもしれEEEEEEEeeeeeeee!!!
979名無しさん@ピンキー:2006/03/16(木) 19:54:28 ID:7OjudDjt
メイドたちのヤマト運送に期待
980名無しさん@ピンキー:2006/03/16(木) 22:48:43 ID:w3JFkDc8
メイドたちのカンガルー急便に期待
981名無しさん@ピンキー:2006/03/17(金) 00:23:06 ID:blT8dVXI
>>979
ヤマト運「輸」だよとマジレス。
982名無しさん@ピンキー
メイドたちの葛城級二番艦大和に期待