【女装】処女はお姉さまに恋してる 第2話【百合】

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1名無しさん@ピンキー
ここは「処女はお姉さまに恋してる」のSSスレです。
優雅に礼節を以て投下しましょう。

前スレ
【女装】処女はお姉さまに恋してる【百合】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1108774069/
2243:05/03/08 04:14:53 ID:L2PE/JvJ
初スレ立てだから、テンプレとかほかに何かあったらよろしく。
3名無しさん@ピンキー:05/03/08 04:14:56 ID:Yo2apNlh
        __,,.. ------ 、,,__                   __,,... ___
    ,. -‐''"~           ~゙ ‐-、 ,, ,,. ----- .,,,__ ,. -‐''"~       ̄~゙'''' ‐‐- 、
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  ヽ、              /                 \                /
    ヽ、           /       /    ヽ         ヽ              /
     ヽ、         /       /. l      }  ハ }  、  ヽ           /
       ヽ、      /    / /l r| l     ハ ハ ノヽ }i   ヽ        ,,/
         ゙ ‐-z,,,,,,/     { ./  { .| ヽ.{゙、   ./ .ノ/ }/  }/ヽ   L___,,,.. -‐''"
              |    / V  ヽ!   ` \/ '" ノ     l   .l
    ←         !   l .                  .l   .l      →
                i   l                     l   |
                |    l  、______人_____,.    l   l
               l    l    `‐‐-------------‐‐''"    l   .l
              l |  l                     l  !.|
                l|.!  .l                     l  }.l
                 l l   〉                    /  //
               ',ヽ {ヽ、                ,.イ  //
                ゙ヽ} ゙ゝ、            ,. ィ" / /

              >>1さん  乙  な  の  で  す  よ  〜
4名無しさん@ピンキー:05/03/08 04:19:18 ID:FIxAi+Ae
>>1さん 乙

保管庫
ttp://www.type90.com/otome/index.html

処女はお姉さまに恋してる 第11話
ttp://idol.bbspink.com/test/read.cgi/hgame2/1110036142/

5名無しさん@ピンキー:05/03/08 04:25:42 ID:+OSWeB1+
>>1
スレ立て乙でございます。

・メーカー公式・
ttp://www.caramel-box.com/
処女はお姉さまに恋してるTOP
ttp://www.caramel-box.com/products/otoboku/index.html

・保管庫・
処女はお姉さまに恋してるSS保管庫(仮)
ttp://www.type90.com/otome/index.html

・関連スレ・
キャラメルBOX Part15 (メーカースレ)
ttp://idol.bbspink.com/test/read.cgi/hgame/1108782112/
処女はお姉さまに恋してる 第11話 (作品別板スレ)
ttp://idol.bbspink.com/test/read.cgi/hgame2/1110036142/
おとぼく風におっしゃると (ネタ板お嬢様言葉スレ)
ttp://pie.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1107183479/
6名無しさん@ピンキー:05/03/08 04:26:40 ID:+OSWeB1+
>>4ごめんかぶった(´Д`;)ヾ
7○○は考える!:05/03/08 07:27:48 ID:p/LIEoUd
1/3 厳島貴子


厳島貴子は、この「厳島家の屋敷」を見る時、いつも思い出す。


小学校教師
『厳島さん、お宅の貴子ちゃんは、友だちをまったく作ろうとしません。 
 そう、嫌われているというより、まったく人とうちとけないのです。
 担任教師としてとても心配です』


『それが…恥ずかしいことですが…親である…わたしにも…なにが原因なのか…
 (そもそもあの子に興味ないし…)』



子供の時から思っていた。 町に住んでいると、それはたくさんの人と出会う。
しかし、普通の人たちは、一生で真に気持ちがかよい合う人が、いったい何人いるのだろうか…?

小学校のクラスの○○ちゃんのアドレス帳は、友人の名前と電話番号でいっぱいだ。
50人ぐらいはいるのだろうか? 100人ぐらいだろうか?

まりやさんにはお姉さまがいる。 お姉さまにはまりやさんがいる。
自分はちがう。 
TVに出ている方とか、アイドルはきっと何万人といらっしゃるのでしょうね。
自分はちがう。
8○○は考える!:05/03/08 07:29:25 ID:p/LIEoUd

「私にはきっと一生、誰ひとりとしてあらわれないでしょう」
「なぜなら、私は汚れた『厳島の血』をひいた人間なのだから…
そして誰もが自分を冷血な女と思っているにちがいありません」

お姉さま、そして君枝さんにその考えが誤りであると教えられるまで、ずっとそう思っていた。
お姉さまのことを考えると、背中に鳥肌が立つのはなぜだろう。
それは、私にとってとても大事な存在だからだ。お姉さまと一緒にすごした学院生活!
まだ数ヶ月しか経ってないが、気持ちが通い合った友人、いやそれ以上の存在となったからだ。



厳島貴子は「厳島家の屋敷」を見て考える!
この屋敷から絶対に出て行ってみせる。
                                       カゴ
そう!厳島という呪縛から逃れ、自由に大空に羽ばたくために、屋敷の外へ飛び出てやろう。

9○○は考える!:05/03/08 07:31:21 ID:p/LIEoUd
2/3 鏑木瑞穂


鏑木瑞穂は、自分のこの「恵泉の制服」を見る時、いつも思い出す。


小学校教師
『鏑木さん、お宅の瑞穂くんは、友だちをまったく作ろうとしません。 
 そう、嫌われているというより、まったく人とうちとけないのです。
 担任教師としてとても心配です。』


『それが恥ずかしながら、親である私にも何が原因なのかさっぱりですわ。ワハハッ!』

小学校教師
『………』



子供の時から思っていた。 町に住んでいると、それはたくさんの人と出会う。
しかし、普通の人たちは、
一生で真に気持ちがかよい合う人が、いったい何人いるのだろうか…?

小学校のクラスの○○くんのアドレス帳は、友人の名前と電話番号でいっぱいだ。
50人ぐらいはいるのだろうか? 100人ぐらいだろうか?

母様には父様がいた。 父様には母様がいた。
自分はちがう。 
TVに出ている人とか、ロックスターはきっと何万人といるんだろうな。
自分はちがう。
10○○は考える!:05/03/08 07:32:41 ID:p/LIEoUd

「自分にはきっと一生、誰ひとりとしてあらわれないだろう。」
「なぜなら、そもそもそれが自分にとって大事なことだとは思っていないのだから…
 他人の事など、自分に直接関わってこなければどうだっていい」

まりやに恵泉に半ば無理矢理連れて来られるまで、ずっとそう思っていた。
まりやや他の恵泉のみんなのことを考えると、背中に鳥肌が立つのはなぜだろう。
それはみんなが、充実した時間を一緒に過ごせる初めての仲間だからだ。恵泉での学院生活!
まだ数ヶ月しか経ってないが、独りでは決して味わえない楽しみを与えてくれる仲間だからだ。



鏑木瑞穂は「恵泉の制服」を見て考える!
こいつを着て、昔まりやにされたように完璧な女装をしてやる。
そう!こんな自分を信頼し敬愛の念を寄せてくれるみんなのためにも、
                                    ミヤノコウジ ミズホ
そして大事なことを教えてくれたまりやのためにも、一生懸命 Elder Sister を演じきってやろう。

11○○は考える!:05/03/08 07:34:04 ID:p/LIEoUd


3/3 御門まりや


御門まりやは「鏑木瑞穂」を見て考える!
こいつを昔のように女装させてからかってやる。
                                 オモチャ
そう!自分の楽しみだけのために、いじり甲斐のある幼馴染を困らせて遊んでやろう。

12名無しさん@ピンキー:05/03/08 07:40:22 ID:p/LIEoUd



(´-`).。oO(言えないな…最後のまりやを書きたかったがために上二つを付けたなんて、言えないよ…)
13269:05/03/08 08:30:07 ID:ibaWakEg
大晦日偏第2部投下します。
エロ予定でしたが、エロは第4部あたりからになると思います。
第3部も書きあがっていますので、こちらも早めに投下します。
14269:05/03/08 08:32:58 ID:ibaWakEg
大晦日偏第2部

「ただいま帰りました」
「お帰りなさいまし、瑞穂様」
玄関を開けると楓さんが出迎えてくれた。僕の後ろにいる二人を目に留めると
「ようこそお越し下さいました」
と云って楓さんが深々と頭を垂れる。頭を下げられて慌てた奏ちゃんは、わたわた
と、紫苑さんは悠然と楓さんと挨拶を交わす。挨拶を終え向き直った楓さんに云う。
「それでは、お二人を応接間に案内して差し上げて、私は一度部屋に戻りますから」
学院に入る為に僕はいま制服を着ている。私服に着替えてこないと…
「かしこまりました」
と云って楓さんがパンパンと手を打ち鳴らす。
「?」
なんでわざわざ他の人を呼ぶんだろう…。
合図に呼応した使用人の一人に、再度、二人を応接間に案内するように告げ、二人を
伴って応接間に向かう姿を確認すると、僕と楓さんは連れ立って歩き出した。
「なんで…」
付いてくるのか、と聞こうとしたその矢先、
「ご指示通り、女の子風の部屋をご用意致しました。…こちらです」
ああ、そうか。出掛けに頼んでいたことを忘れていた。確かに楓さんが居なければ
分からないな。
…しかし、何もそんなに『女の子』の部分を強調して云わなくても……。
楓さんに連れられて屋敷内を移動する。ちなみに屋敷といってもそれほど広いわけ
ではない。お祖父様もお父様も贅沢、というか、無駄に華美なことを嫌悪するとこ
ろがあり、必要最低限の設備を備えてはいるものの、まりやの家…御門家とは比
べものにならない。まあ、学院の寮よりも多少広い位である。
15269:05/03/08 08:33:42 ID:ibaWakEg
二階に上がり、僕の本来の部屋と逆方向に進む。
「…あれ?」
こちらの方向には確か…。
「何しろ急な仰せでしたので、幸穂様のお部屋を…」
…やっぱり
「でも…」
「旦那様にはご了承頂いておりますから…」
「…は、はい」
お父様はお母様が亡くなってから、それまでの寝室から移った。二人の思い出の
部屋を当時の姿のままに残しておきたいからであろう。
……直接聞いたわけではないのだけれど。
それ以来、かつての二人の寝室はお父様の許可なしには出入りできない状態にな
っていたのだ。
「さぁ、着きましたよ」
気が付けば、二階の一番奥まった部屋の前に来ていた。
「どうぞ、お入り下さい」
……き、緊張してきた。
実は僕自身、物心が付いてからただの一度も、この部屋に入ったことがない。
お父様に許可を得る、ということにしり込みしていたのだ。
16269:05/03/08 08:34:23 ID:ibaWakEg
「……。」
がちゃり。
「……え?」
扉を開いた瞬間、僕は固まってしまった。
「?……どうかなさいましたか?」
同じ…だ。
そう、お母様の部屋は寮の部屋と全くといっていいほど、同じだった。
アンティックな家具。鏡台。絨毯や照明器具。机。
唯一違うのは、ベットのサイズが大きめなことぐらいか…。
「…母……様」
それほどまでに気に入ったデザインのものだったのだろうか…。
「…いえ」
そうではない。エルダーとして過ごした最終学年。可愛がっていた妹…一子
ちゃんを失った悲しみを忘れない為、そして一子ちゃん自身を忘れないよう
にする為に、学院時代の部屋を再現していたのだ。…僕には、そう思えた。
「……瑞穂…様?」
開いた扉の前で立ち尽くす、僕の顔を覗き込んだ楓さんが言葉を飲み込むの
が判った。
…泣いていた。視界が滲んでぼやけだして、初めて泣いていることを認識し
た。
一子ちゃんがお母様を忘れずにいたように、お母様もまた、一子ちゃんを忘
れずにいたのだ。忘れられなかったのではなく、忘れたくなかったのだ…。
17269:05/03/08 08:35:31 ID:ibaWakEg
「……あ」
部屋にゆっくりとした足取りで入っていく。何かに魅入られたかのように。
「…お母…様」
今は開け放たれた窓辺に、写真立てが置かれていた。恵泉女学院の制服を身
に着けた女性と、それに寄り添う若い男性。……若い頃のお父様とお母様。
「ふ…ふふっ……」
動かない微笑を浮かべたその顔は、今の僕に良く似ていた。…不思議な位。
「あ、お姉さま!」
着替えを済ませ一階の応接間に行くと、そこにはテーブルに着いた奏ちゃんと
その向かいに座る紫苑さんの姿があった。
「ごめんなさい、お待たせして」
云いつつ、僕も席に着く
「いいえ、…あら?」
返事を返しながらこちらを見やった紫苑さんが口を開く。
勘の良い紫苑さんのことだ。僕が泣いたことに気付いたのだろう。
「気になさらないで下さい…ね?」
微笑みながら微かに頷く紫苑さん。
「?…どうかなさったのですか?お姉さま方…?」
僕たちのやりとりを見ていた奏ちゃんが、遠慮がちに云う。
「ううん、なんでもないのよ」
「そう…なのですか?」
「ええ、瑞穂さんの私服姿を拝見するのは初めてだったものですから、つい反
応してしまいました。ふふふっ」
口に手を当ててころころと笑う紫苑さん。
18269:05/03/08 08:36:13 ID:ibaWakEg
そういえば、私服で会ったことなかったかもしれない。
「紫苑お姉さまは、瑞穂お姉さまの私服姿、見たことがなかったのですか?!」
びっくりして声をだす奏ちゃん。
「そうね、云われてみれば…。いつも制服だった気がするわ」
「ええ。ですから今日は、瑞穂さんの生の瑞穂さんをじっくりと観察させて頂
きますわ」
観察って、僕は珍獣か何かですか……。


orz    女と名乗っても疑われもしない女装変態男


…珍獣かもしんない。
「あら?なにやら落ち込んでしまってますわ」
「お、お姉さま。しっかりして下さいなのです」
……とほほほほ。

19269:05/03/08 08:37:27 ID:ibaWakEg
「おお?これはなかなか華やかだな」
気を取り直して楓さんが入れてくれたコーヒーを飲みながら(奏ちゃんと紫苑
さんは紅茶だけど)三人で話をしていたとき、ようやく仕事納めを迎えたお父
様が来て、開口一番に云った。
…華やか?僕を入れてないよね?父様…。
「お、お邪魔しておりますです」
「お邪魔しております」
立ち上がり挨拶をする二人。
「お疲れ様でした。お父様」
隣室の楓さんにお父様のお茶をお願いする、…と。
「お疲れ様でございました。旦那様」
「おお、ありがとう」
既に用意されていた上に、運び終わっている。
「は、早い…」
なんというか、さすがは楓さん。
「お忙しい中、恐らく久方ぶりのお休みのところ、お邪魔立てするような真
似をしてしまい、申し訳ありません」
紫苑さんがお父様に頭を下げる。
「いや、なになに。気にしないでおくれ。…むしろ、わしは嬉しくて仕方が
無い」
「は、はあ…」
紫苑さんがお父様に呑まれている。…なかなか見られない光景だな、これは。
20269:05/03/08 08:39:33 ID:ibaWakEg
「瑞穂は、親のわしがいうのもなんだが、妙に達観したところ…と、いうか
冷めたところがあってな。今まで友人を家に迎えたことなど記憶にない。
…まぁ、御門の娘は別にして、な」
まあ、まりやはいつも勝手に現れて去っていく感じだしね…。
「そんな瑞穂が初めて招いた友人だ。一目見てみたい、と思っていたのだ。
…だから、気にしないでくれたまえ」
な、っとウインクをするお父様。
……なんかすごく恥ずかしい。
「…ありがとうございます」
「…ありがとうございますなのです」
…ウインクは見事にスルーですか、そうでうか。
「…こほん」
わざとらしく咳払いをするお父様。少し恥ずかしいらしい。
「どうかな、ひとつわしに学院での瑞穂の暮らしを話してはくれんかな…?」
「ええっ!!」
女装しての学院生活なんて恥ずかしいことこの上ないから、お父様には何も
話さないでいたのに……。
不安に駆られて二人を見ると…。
「はい。かしこまりました」
「はいなのです」
笑みを浮かべて返事をする姿が見えた……。
……とほほ。

つづく
21269:05/03/08 08:46:15 ID:ibaWakEg
第2部投下終了です。
伏線…伏線…、頭痛いです。ほんとに
22名無しさん@ピンキー:05/03/08 08:59:59 ID:XDpdcsm0
269さんお疲れ様&ありがとうございます。
自分は幸穂の思い出に触れる瑞穂というシチュが好きだったのでこういったSSは嬉しかったです。

続きも楽しみにしています。
23555:05/03/08 14:22:02 ID:G55paGMU
 前スレ555です。
頑張ってかいているのですが・・一度投下した方がいいのでしょうか?
投下すると、修正が、効かないので・・・見直すたびに、ちょこちょこ修正をする始末ですので
24名無しさん@ピンキー:05/03/08 16:06:02 ID:6lGx9356
>>12
いや、よくやった!w
もっともっときぼーん

296さん乙です
続編も期待しています
25前スレ550:05/03/08 20:50:30 ID:ng7Ft6F+
エロシーンって・・・書いてると照れませんか?(汗
26前スレ45:05/03/08 21:14:59 ID:N+rmIAv3
ぬう・・・見ないうちに大量のSS投下&次スレ移行とは・・・恐るべし。

皆様GJです〜。

>>前スレ550
照れますw
エロパロ板なので一応毎回Hシーンを書いてはいますけれど・・・
ここが一番大変ですw
しかも、毎回シチュエーションが被っちゃうのもな〜と四苦八苦してまして・・・
回を重ねるごとにネタが無くなって行きます・・・orz

というわけで久々に投下させていただきます。
27前スレ45:05/03/08 21:17:44 ID:N+rmIAv3
『DRESS UP!!』

前回のお話(『freezed will』)の続きです。保管庫様のまりやに分類されてます。
っていうか前回のお話のボツネタ・・・というより慶行パパがでしゃばったおかげで消えてしまったお話なんですけど。
再構成して投下。

エロパロ板なんで、ほのらぶえろを目指してみました。
今回は別に重たい話とか全然無しで、彼女らのまったりとした(?)日常の一部を。
っていうか『まりやさんの新妻だ(ry』・・・?まだ結婚前の話ですけど。

全10レス+エピローグを予定。
28前スレ45:05/03/08 21:18:42 ID:N+rmIAv3
『DRESS UP!!』.1

「はぁ。」
近々品評会があるということで、発表する服を決めているところ・・・なんだけど・・・。

「ほぉら、瑞穂ちゃん!そんな暗い顔しないの!笑って笑って!」
「うぅ・・・」
以前品評会のドレス選びのときに女装して以来、僕がこうやって候補の服を着る羽目になってしまっている。
あのときは随分と散々な目にあったのに・・・まりやは懲りてない。っていうかむしろ余計楽しんでるような・・・
・・・まあ散々な目にあったのって、僕なんだけど。

ひととおり着終わって・・・
「まりや、どれにするか、決まった?」
「うーん・・・まあ大体ね。・・・。もう一度写真見て、最終的な決定を下すけど。」
「まりやさん、後でまた写真焼き増しして頂けません?」
「1枚2万円ね。」
「・・・ま、まりやさん・・・値上げとは卑怯ですわ・・・!悩みますわね・・・」
「た、貴子、さん?」
随分と考え込んでいるようで、僕の声が聞こえていないようだ・・・っていうかいつもやっぱり買ってるの・・・?
29前スレ45:05/03/08 21:19:51 ID:N+rmIAv3
『DRESS UP!!』.2

「それじゃ、もういいよね。普段の格好に戻るよ。」
僕は社長室のとなりの僕の個室(っていうか今は着替え用控え室と化している)に行こうとした。

「あ、瑞穂ちゃん、ちょっとまって。」
「何?・・・ま、まさか今日一日この格好で居ろ、とか・・・!?」
「言わないわよ。とりあえず、お仕事としての着せ替えはおしまい。」
なんだろう。妙に不安を感じるんだけど・・・「お仕事としての」ということは・・・それって
「つ、つまり・・・」
「そ。現時刻を持って完全趣味タイムに移行!前から瑞穂ちゃんに着せたかった服があったんだ〜。」
「やっぱり・・・」
まりやの趣味は、僕に女装させること。そしてそれを拒否する権利は僕にはない。
「うう・・・。観念します。最後まで付き合います。」
「ありがと、瑞穂ちゃん。そんな瑞穂ちゃんが大好き。」
と、まりやがキスしてくる。・・・普段会社でキスしようとすると貴子さんが妨害に入るんだけど・・・
・・・まだ考え事をしているらしい。
「あは。女の格好してる瑞穂ちゃんとキスするなんて、卒業式のとき以来だね。なんだか複雑な気分。」
「う、うん・・・」

「じゃ、早速コレ着てきて。」
と、どこから取り出したのか、大きな紙袋を渡される。
30前スレ45:05/03/08 21:20:49 ID:N+rmIAv3
『DRESS UP!!』.3

「まりや・・・何コレ・・・」
着替えて社長室のほうに戻る。
・・・紙袋には、厚手の紅白の布地が入っていた。

「瑞穂ちゃん、似合ってる〜!」
「そうですわね。なにやら神秘的で、ご利益がありそうですわ。」
復帰した貴子さんもそんな感想を漏らす。
「はい、瑞穂ちゃん。コレ持って、振って。」
なにやら紙の付いた棒を渡される。

「まりや、この服って・・・」
「うん。巫女さんの衣装。」

・・・

「なんで、こんなのを・・・」
「こんなのって・・・失礼なこと言わないの。知ってる?瑞穂ちゃん。現在残っているほとんどの巫女は養殖ものなの。
 天然ものは絶滅危惧種なのよ?」
養殖ものっていうのがアルバイトで、天然ものっていうのが生粋の、ということなのかな。
・・・って冷静に解析してる場合じゃなくて・・・
「瑞穂さん、おみくじはありませんの?」
「な、ないですってば・・・」

「っていうか、なんでこの巫女服、肩と腋が露出してるの・・・?それに妙にフリルがついてるし・・・」
「ん?ちょっとしたアレンジ。巫女さんの神秘的なイメージに、色気と幼さをプラスしたの。幻想的でしょ?」
「そ、そういうものなの・・・?っていうか、コレまりやがデザインしたの?」
「うん。瑞穂ちゃんに着せるためだけに、作った!喜んで、ねぇ喜んで?」
・・・なんで僕の女装のためにそこまで気合を入れるんだろう・・・ってコレって愚問? 愚問なんだろうね、やっぱりorz。
31前スレ45:05/03/08 21:21:49 ID:N+rmIAv3
『DRESS UP!!』.4

次に渡されたのは、黒と白の少し地味な服だった
・・・けれど、実家で見覚えがあるような・・・やっぱりコレって・・・

「まりやさん・・・」
「なあに、貴子?」
「・・・素晴らしいですわ。」
「ふふふ・・・当然よ!」
「ああ・・・瑞穂さんにお世話してもらいたいですわ・・・」
貴子さんが半分トリップしている・・・
「瑞穂ちゃん、カチューシャ忘れてる。・・・うん、これで完璧。・・・ホント、完璧だわ。完璧なメイドさんよ・・・」
「やっぱり、メイドだったのね・・・」
「瑞穂ちゃん、ちょっと屈んで・・・。そう。それで、このメモを上目遣いで読んでみて?」
「え・・・えと・・・」

「な・・・『なんなりとお申し付け下さい、ご主人様。』」

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・っ!!」
2人が身悶えている。貴子さんに至っては鼻血を噴出して倒れかけている。
「ちょ・・・大丈夫、2人とも・・・」
「瑞穂っさんっ!反則・・・反則ですわ!!」
貴子さんが何とか耐え切り、そんな言葉を仰る。
「いや、そんなコト言われても・・・」
「ふ・・・ふふふ・・・瑞穂ちゃん・・・。いや、瑞穂!そんなに云うなら、
 それはもう恥ずかしくて死んじゃうような命令をしちゃうわよ・・・!?ふっ・・・くひひ」
「まりやが云えって云ったんじゃないか・・・」
ダメだ、もう二人とも壊れてる・・・

結局その後もいろんな服を着せられてしまった・・・うぅ・・・
32前スレ45:05/03/08 21:22:54 ID:N+rmIAv3
『DRESS UP!!』.5

最後に渡されたのは・・・懐かしい服だった。

「あはは。瑞穂ちゃん、やっぱりよく似合ってるね。」
「そうですわね。ふふっ・・・。私が瑞穂さんと初めてお会いしたときの格好ですから、
 私には感慨深いものがありますわ。」

そう、恵泉の制服だった。
「まりや・・・なんで、これ?」
「あたしにもさ、この制服には思い入れがあるんだ。だって、
 あたしが瑞穂ちゃんにコレ着せて恵泉連れてかなかったら、
 瑞穂ちゃんとこんな関係になれなかったかもしれないし。」
「まりや・・・」
「はいはい。会社で雰囲気出すのはおやめになって。」
「巫女服着せたり、メイドさんの服着せたり、恵泉の制服着せたりしてるのに、今更会社も何もないでしょ?」
「う・・・そうですが・・・。ふふっ。でもまりやさん、瑞穂さんを恵泉に連れてきて下さったことには、
 私も感謝しているのです。もし瑞穂さんとお知り合いになれなかったとしたら、今の私はいませんから。
 冷徹女のまま、籠の鳥のまま・・・。それにまりやさん、貴女ともこう話せるようにはならなかったでしょうね。」
「あらあら。今日は随分と素直ですにゃ〜?」
「まあ、折角の機会ですから。一度だけ云っておきますわ。」
そういう貴子さんの表情は穏やかだ。

恵泉での生活・・・はじまりは確かに不安やらなにやらでいっぱいだったけれど・・・
本当に恵泉に通ってよかったって、振り返ってみると、そう思う。
貴子さんじゃないけど、もし恵泉に通わなかったら、今の僕はいないと思う。

今こうやって社長としてやっていけるのも。
まりやとこう恋人同士になれたのも。
すべてあのときの生活のおかげだと、そう思う。

「まりや、ありがとね。」
33前スレ45:05/03/08 21:24:09 ID:N+rmIAv3
『DRESS UP!!』.6

女装パーティー(orz)も終わり・・・・・・
―――夕食の後。
「ねぇ、瑞穂ちゃん・・・」
「なに?」
「今夜・・・しよ?」
「まりや・・・うん。僕もまりやが欲しい。」
「瑞穂ちゃん・・・ありがと。それじゃ、さ。ひとつお願いがあるんだけど・・・」
と、まりやの瞳が怪しく光る。何か悪い予感がするんだけど・・・
「あのさ、さっき着せた服のどれかを着てきて?」
「・・・はい?」
「にっはは。それじゃ、また後でね〜。」
それだけを云って、まりやが姿を消す。

「・・・さっきの服って・・・やっぱり、女装?」
まりやの意図がよくわからない。けど・・・
「ま、たまには変わったことするのも、いいかな?」
・・・ひょっとして、僕染まってる・・・?まりやにカスタマイズされちゃってる?
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;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;    '´  `ヽ  ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;   . /  j ))ソ    ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;    / / / /ノ      ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
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;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;   ´θ^θン)u        ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;

→A.巫女服で。
 B.メイド服で。
 C.恵泉の制服で。
34前スレ45:05/03/08 21:25:17 ID:N+rmIAv3
『DRESS UP!!』.7

がちゃり。僕とまりやの部屋の扉を開ける。まりやがベッドに腰掛けて待っていた。
「来たね、瑞穂ちゃん。その格好なんだ。その格好気に入ったの?」
「え、いや、まあ、なんというか・・・」
「あはは。それ選んでくれたの、ちょっと嬉しいかも。だって、云ったでしょ?
 それ、あたしが、瑞穂ちゃんのためにデザインしたんだって。」
「そっか。そうだったよね。うん、だから選んだのかも・・・無意識のうちに。」
「なんか取ってつけたように云われても・・・ねぇ。」
「でもまりや・・・次は男物のをデザインして、ね?」
「あはは。男物はあまり作ったコトないんだけど、そうするね。今度、あたしのデザインした服着て、デートしようね?」
「うん。楽しみにしてるよ。」

「ん・・・んぁ・・・」
「む、ん・・・ぁ・・・」
ディープなキスをする。
「はぁっ・・・はぁ・・・」
唇を離すと、ふたりの間に架け橋が輝く。
「あはは。瑞穂ちゃん、いつもと違うから、あたし興奮してきちゃった・・・。」
「うん・・・僕もなんか不思議な気分・・・。」
「・・・瑞穂ちゃん、可愛いっ!」
「うぅ・・・複雑・・・。っていうか、普通こういうのって女のコのほうが着るものじゃないの・・・?」
「ま、気にしない気にしない。じゃ、瑞穂ちゃんのをしてあげるね・・・?」
まりやが僕の服に手をかけて、少し脱がせていく。
「・・・」
「・・・?」
「・・・失敗した・・・。」
「・・・どうしたの?」
「・・・巫女服をベースに作ったもんだから・・・脱がしにくい・・・」
「あは、あはは・・・」
35前スレ45:05/03/08 21:26:06 ID:N+rmIAv3
『DRESS UP!!』.8

結局まりやは、袴を下ろし、白衣をはだけさせて、僕のを露出させた。うぅ・・・なんかすっごく恥ずかしい・・・
「瑞穂ちゃん、もう大きくなってるよ・・・。瑞穂ちゃんも興奮してるんだ・・・」
「あっ・・・まりや・・・」
まりやが僕のを手で優しく包み込み、そしてゆっくりと扱いていく。
「うふふ・・・瑞穂ちゃん、どう?」
「ぁ・・・ふぁ・・・ん・・・」
まりやの顔が、僕に近づいてきて、キスをしてくる。
「ん・・・ぁむ・・・瑞穂ちゃん・・・」
「・・・んむ・・・ん・・・あっ・・・くぁ・・・」
まりやの顔が下がっていき、既にはだけている僕の胸に近づいていく・・・。
「瑞穂ちゃん・・・巫女服にブラは無粋だよ・・・?」
右手で僕のを扱きつつ、左手と口で僕のパッド付きブラを取り外す・・・。そしてそのまま僕の胸を愛撫する・・・
「あぅ・・・んんっ・・・ぁあ・・・」
「にはは。瑞穂ちゃんが恵泉に入った頃にも、こんな風にしてあげたっけ。」
「うぁ・・・くっ・・・んあぁ・・・ま、まりやぁ・・・っ」
「瑞穂ちゃん、可愛い・・・ん・・・んっ!」
気が付くと、まりやは左手を自分の股間に持っていっている・・・その姿は凄く淫靡で、僕は急に高まってしまった・・・
「あぁ・・・っ・・・まりやっ、もう、限界っ!」
僕は耐え切れず、そのまま放出してしまった・・・。
「あはっ・・・。出しちゃったんだ・・・」
勢いよく飛んだ精液は、僕とまりやの服、そして顔にかかってしまった・・・。
「巫女さんの衣装にかかっちゃうなんて、なんか背徳的・・・。あ、瑞穂ちゃんの顔にもかかっちゃってる・・・。」
「あ・・・はっ・・・はぁ・・・」
「ふふふ・・・瑞穂ちゃん、自分のって、やっぱりイヤ、だよね?取ってあげる・・・」
まりやが僕の顔を舐める・・・
「ん・・・ん・・・」
「まりや・・・あ・・・」
「ん・・・取れたよ、瑞穂ちゃん・・・。慣れてきたのかな・・・おいしいよ、瑞穂ちゃんの・・・」
36前スレ45:05/03/08 21:29:49 ID:N+rmIAv3
『DRESS UP!!』.9

まりやがスカートと下着を脱ぎ、下半身だけ裸になる・・・。
「あ、瑞穂ちゃん・・・もう元気になってる・・・。」
「まりや・・・」
「瑞穂ちゃん、動いちゃダメだよ。そんな脱ぎかけじゃ下手に動くとベッドから落ちちゃうよ?」
そういうと、まりやは僕の上にまたがって・・・そして腰を落としてくる・・・
「今日は、あたしが上ね、瑞穂ちゃん・・・。ん・・・ああ・・・っ ああっ!」
「くっ・・・ぁ・・・ま、まりや・・・っ」
「んっ・・・あっ、はっ・・・んあっ・・・んっ・・・うんっ・・・」
まりやがぎこちなく動く。まりやのそんな懸命な姿がとても可愛いくて・・・意地悪したくなった。
「あっ、ふぁっ・・・みずほちゃん・・・どう・・?」
「うん、気持ちいいけど・・・もっと、強くしなきゃ・・・こんな風に・・・。」
と云って・・・
37前スレ45:05/03/08 21:30:44 ID:N+rmIAv3
『DRESS UP!!』.10

僕は下からまりやを突き上げる。
「んあっ!ああんっ、ちょ、ちょっと!ふあぁっ!瑞穂ちゃん、こんな、急にっ!・・激し、すぎるよぅっ!」
「ん・・・激しいほうが、好きでしょ?まりやは・・・。はっ・・・く・・・だってまりやって、いやらしいもんね。」
その刺激からか、まりやの姿勢が前傾になる。僕は腕を伸ばし、まりやの胸を服の上から揉みしだく。
「やぁ・・・あんっ・・・きゃんっ!み、瑞穂ちゃぁん・・・っ、ダメ、ダメだよぅっ」
「でも、気持ちいい、でしょ?まりや・・・はっ・・・ん・・・ほら、もうこんなにお汁が・・・。」
まりやの愛液が僕のモノと下腹部を濡らしていく。
「ふふっ・・・ちょっと苛めただけで、こんなに、なっちゃうだからね・・・
 まりやって、んっ・・・Hのときは、ちょっとMっ気、あるのかもね?」
「あぁっ!いやぁ・・・んっ!そんな・・・コト、云わないでよぅ・・・んぁっ!」
「まりやが、可愛いのが、ぁっ・・・いけないんだよ・・・?僕、苛めたくなっちゃうよ・・・。」
「んあっ・・・ああっ・・・あん! だめ・・・もう!ダメっ! あたし、イっちゃう・・・っ!」
「ん・・・もうちょっと、まって・・・あっく・・・僕も、もうそろそろ、だから・・・っ」
「あっ・・・んっ!んんっ!あんっ・・・やっ・・・もうっ、やぁっ・・・ゃあああ〜〜〜〜〜っ!!!」
「くっ・・・ああっっっ!!!」
まりやの締め付けに耐えられず、まりやの中に放出してしまった・・・。
・・・
38前スレ45:05/03/08 21:31:28 ID:N+rmIAv3
『DRESS UP!!』.11

「・・・は・・・ぁ・・・」
「はっ・・・はぁ・・・ん・・・」
まりやが僕の上に倒れこんでくる。僕はまりやをそのまま抱きしめた。
「ん・・・まりや・・・」
「瑞穂ちゃん・・・。あはは・・・また負けちゃった・・・」
「え・・・?」
「途中までは主導権握ってたのになぁ・・・やっぱりこういうコトだと瑞穂ちゃんに勝てないのかな・・・」
「え・・・いや、っていうか勝ち負けとか、あるの・・・?」
「ん〜。まあ、なんとなく・・・」
「ふふっ・・・負けず嫌いだね、まりやは・・・。
 でも普段は僕が振り回されてるんだから、Hのときくらいは僕に勝たせてよ、ね?」
「瑞穂ちゃん・・・あ・・・」
僕はまりやにキスをする。
「ん・・・」
「んむ・・・」
「瑞穂ちゃん・・・」
「まりや・・・」
・・・
・・・
39前スレ45:05/03/08 21:32:20 ID:N+rmIAv3
『DRESS UP!!』.えぴろーぐ1

・・・
・・・
―――数週間後の休日。
僕とまりやは久しぶりのデートをしていた。今日僕はまりやがデザインしてくれた服を着ている。
・・・念のため云っておくけれど、今日は女装じゃないよ?
「瑞穂ちゃん、誰に云ってるの?」
「え、いや、気にしないで。それにしても、さすがまりやだね。この服お洒落ですごく気に入ったよ。」
「瑞穂ちゃん・・・ありがと。気に入ってくれて嬉しいな。・・・あれ?」
「?どうしたの?」
「あそこに居るのって、貴子だよね?」
「え?あ、ホントだ。」
でも、何か様子がおかしい。なんていうか、すごく嬉しそうなんだけど、人目を避けている、というか。

「あぁ・・・これで瑞穂さんのお姿をいつでも堪能できるのですね・・・」
「た〜か〜こっ!」
「ひゃああああああああああああああっ」
まりやが話しかけると、貴子さんは驚いて持っていた紙袋を落とす。
「わっ・・・何よ貴子、そんなヘンな叫び声出して・・・ん?コレって・・・っ!!!」
「ああっ!み、見てはダメですわっ!」
紙袋から中身が飛び出ている・・・って


『麗しきお姉さま-鏑木瑞穂写真集-完全版』

「「「・・・」」」

・・・

「な、なんじゃこりゃあ!」
「な、何これっ!」
40前スレ45:05/03/08 21:33:32 ID:N+rmIAv3
『DRESS UP!!』.えぴろーぐ2

「貴子さんっ!これは一体何なんですかっ!?」

っていうか前のやつよりもさらにパワーアップしてるしっ!
ぱらぱらとめくると、この間の写真集に加えてメイドさんの衣装とか巫女さんの衣装とかも追加されてるっ!
しかもなんで後ろに値段までついてるの!?

「い、いえ、瑞穂さん、これは違うのですっ!私が総裁にあの日の写真を持っていったとか、そういうことは決してっ!」
「へぇ。」
「はっ・・・」
・・・っていうか1枚2万円で買ったんですか、アレ。

・・・

「ま、とりあえずこの写真集は没収ね。」
「そ、そんな・・・酷い、酷いですわまりやさんっ!」
「酷いも何も・・・あたしから買い取った写真を転売するなんて頂けないわね〜、た・か・こ・さん?」
「うっ・・・」
やっぱり買ったんだ・・・っていうか突っ込むところそこなの?ねぇ、まりや。ねぇ。
41前スレ45:05/03/08 21:34:37 ID:N+rmIAv3
『DRESS UP!!』.えぴろーぐ3

・・・
「父様っ!」
僕とまりやはその足で本部の会長室に踏み込んだ。
「来客中だぞ、ノックぐらいせんか!・・・って瑞穂っ!?」
そこには、父様ともう一人中年のおじさんが居た。そしてそこには例の写真集と原稿らしきものも。
「おお、実際にお会いするとますますお美しい!貴女が鏑木総裁のお嬢様ですか!」
「お、おじょう・・・」「・・・さま?」
「ああ、ご挨拶が遅れましたな。私、角山書店の鈴木、と申します。
 今回、この写真集の生産・販売のほうを担当させていただくことになりました。」
「せ、せいさん・・・?」「は、はんばい・・・?」
「ああ、そちらのお嬢さんはもしかして御門まりや様でございますか。お会いできて光栄です!
 今回は瑞穂お嬢様が着ておられるドレスなどのデザインを手がけておられるとか。
 瑞穂お嬢様のお美しさにご高名な御門様のインターナショナルなデザイン。いい、実にいいですな!
 いやあ、貴女も大変お美しい。次回は是非貴女様もモデルとして参加なさっては?」
「は・・・」「はぁ・・・」
「あらかたのコトは鏑木総裁とお話して決まりましたので、私にお任せ下さい!。」

「って・・・ちょっとまったぁ〜〜!」
「ダ、ダメですっ!絶対っ!ダメっ!いいですか、この話は現時刻を持って無かったという事にしてください!」
「は・・・?いやしかし・・・」
僕とまりやは満面の笑みを浮かべつつ顔に影を作って・・・
「「よ・ろ・し・い・で・す・ね?おふたりとも?」」
「ひっ・・・」
「はっ・・・はいっ・・・わわわかりましたっ!そっそれでは失礼を!鏑木総裁、お嬢さま方っ!」
鈴木さんが慌てふためきながら部屋を出て行った・・・
42前スレ45:05/03/08 21:36:11 ID:N+rmIAv3
『DRESS UP!!』.えぴろーぐ4

「さて、と。」
「な、なんだ瑞穂・・・。大体ノックもせずに会長室に入ってくるは勝手に商談を破談させるは・・・一体何様のつもりだ?」

あきらめの悪い父様に、僕とまりやで総攻撃を仕掛ける。
僕は母様ゆずりの気迫で。まりやは理論武装で。

「・・・父様? 云いたいことはそれだけでしょうか?」
「お義父様。あの写真の中には、私の未発表作品も入っているんです。それを知ってのことですか?」
「・・・父様・・・他に仰いたいことがあるのではありませんか?」
「瑞穂ちゃんを世界のさらし者にするおつもりですか・・・?」

そしてまりやが止めをかける。

「いいですか!瑞穂ちゃんに女装させて楽しんでいいのは、このあたしだけです!」

・・・orz <止めがそれですか・・・いやもう、いいんだけどね・・・


―――
15分後。そこには夢破れ、涙する漢の姿があった・・・(全身の関節がまた外されているけど)。

「・・・結局また写真集のサンプルも原稿も取られてしまった・・・やはり欲張りは身を滅ぼす、ということか・・・」



『DRESS UP!!』改め『慶行の野望-ミズホ女装写真集-』完
43前スレ45:05/03/08 21:37:07 ID:N+rmIAv3
あとがき

・・・・・・あれ?
またパパがでしゃばってる・・・ていうか暴走してる・・・っていうか暴走しすぎ・・・

やっぱりスランプですね・・・なんか微妙・・・

本当は巫女さん衣装のほかにメイドさん、恵泉制服でのHシーン書こうと思ってたんですけど・・・
Hシーンのネタが尽きました(泣
巫女さん衣装の元ネタはわかるひとだけわかってくださいw
メイドさんは・・・すでにネタとしてありましたけど、やっぱり瑞穂ちゃんに着せないと!w


※保管庫管理人様へ。一応、貴子さんSS『恋焦(コイ・コガレ)』は私(45)の作品ですので・・・
 どうでもいいですか、そうですか・・・。
44名無しさん@ピンキー:05/03/08 21:39:29 ID:XFMV+EIl
GJ!
親父おいしすぎるw

巫女服ってやはり某楽園の素敵な巫女ですかな?
45名無しさん@ピンキー:05/03/08 21:40:30 ID:wfBLPUK0
リアルで見ました。
メイドな瑞穂ちゃん無茶苦茶欲しいんですが(笑)。
悶えるまりやと貴子にもワラタっす。
いやーGJ!

現在責任取り中(謎)。もう少し時間下さい。
46名無しさん@ピンキー:05/03/08 21:40:43 ID:lSPItPVC
>>28-43
GJ!!!
やっぱ親父がいい具合に暴走してますな(笑
後、ぜひメイド編と恵泉編も書いてください
47名無しさん@ピンキー:05/03/08 21:40:53 ID:wQI96hqm
巫女さんだけに亀頭はお得意だな
48名無しさん@ピンキー:05/03/08 21:56:41 ID:9S2xM3JV
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄」
―――――――――――――‐┬┘
                        |
       ____.____    |
     |        |        |   |
     |        |       |   | ∧_∧
     |        |       |  ミ|( *´Д`)
     |        |       |   | / ⊃  ノつ  俺もそっちの世界に
        ̄ ̄ ̄ ̄' ̄ ̄ ̄ ̄    |  ノ ノ     参戦させてください
                        |し゛ し゛  
49名無しさん@ピンキー:05/03/08 21:58:24 ID:fWxFI+WH
きっと夢の世界。

傍観者でいいから!
そんな世界があればと思う。
50名無しさん@ピンキー:05/03/08 22:18:05 ID:Yf25nIJE
>>47
GJ!
…と言ってほしいのか?
51名無しさん@ピンキー:05/03/08 22:20:15 ID:25JVftr7
>>14-20
改めて母と一子との絆を瑞穂が確認する場面が感動的でした。
GJ!続きも期待してます。


>>27-43
さすが瑞穂ちゃんだ
頭が春な巫女でも完璧で瀟洒なメイドさんでも
萌えるままだぜ!

相変わらず、本編であんなに萌えさせておきながらエピローグで笑わせるとは・・・!
お見事!
527:05/03/08 22:28:44 ID:25JVftr7
連レス失礼。

>>24
感想ありがとうございます。
情けないことに書き込んでから、SSでないことに気づきました…
一応単純なコピペ改変にならないように、
対比(特に瑞穂とまりや)させたりしてみたのですが。

元ネタを知らない方には(知ってる方にも)つまらないものを
お見せして申し訳ありませんでした。


(´-`).。oO(こういうネタをもっと書き込んでみたいのだけど…SSというよりもパロディだしなぁ…)
53名無しさん@ピンキー:05/03/08 22:30:16 ID:8QqDG1Aa
何か忘れてる・・・魔女服が何故ないのか!?
54名無しさん@ピンキー:05/03/08 22:31:02 ID:Yo2apNlh
妄想ファイル

織倉楓嘘設定その1
性別:女 年齢:29 身長:173cm
特技:特になし(やらせれば何でもこなしてしまう)
織倉家は代々鏑木家に仕え、楓も生まれた時から瑞穂の世話をすることを決められていた。
瑞穂の専属メイド兼ボディガード兼教育係だが、最近瑞穂に護衛は必要ないと言われ、かなり
へこみ気味。真の完璧超人で瑞穂は何をやってもこの人に勝てない。瑞穂が今ひとつ自分に
自信を持てなかったのは全て彼女が原因。
瑞穂の初恋の人。ネプチューンキングと言うと怒る。

織倉楓嘘設定その2
性別:男 年齢:75 身長:187cm
特技:格闘技全般・忍術・諜報活動
瑞穂のボディガード兼格闘技の教官兼鏑木家執事。戦後、鏑木家当主に拾われその恩を
返すために鏑木家に仕える事になった……ってこれじゃセバスチャンじゃないか。
実は忍者。若かりし日は鏑木の諜報活動を一手に引き受け鏑木の躍進に大いに貢献した。
現在は第一線から退き執事の仕事を主としているが、その実力は老いてなお鏑木最強と
言われている。

織倉楓嘘設定その3
性別:女 年齢:42 身長:128cm
特技:暗殺
幼少の頃チャイニーズマフィアに攫われ、そこで凶手として育てられるが、飽きたと言って逃亡。
その後、鏑木に就職。その実力を買われて瑞穂の専属メイド兼ボディガード兼教育係になる。
異様に若作り、と言うかどう見ても小学生にしか見えない。凶手時代に薬で成長を止められたと
いう噂もあるが真相は不明。性格は非常に温厚だが、一度怒ると手が付けられず、瑞穂が宥める
まで絶対に収まらない。もっとも彼女を怒らせることが出来るのは御門まりやくらいのものである。
瑞穂に害をなすものに対して容赦無いが、瑞穂にはダダ甘で教育係としては三流。
55名無しさん@ピンキー:05/03/08 23:16:03 ID:ybLTd12N
だめだ、父様はもうあんな愉快な人としか認識できない…w;
56名無しさん@ピンキー:05/03/08 23:17:47 ID:fWxFI+WH
父様×瑞穂とか違和感ないな…アヒャ
57名無しさん@ピンキー:05/03/08 23:20:56 ID:ybLTd12N
というか、父様の影に隠れがちだけど貴子もいい感じに壊れてるよなぁw
58名無しさん@ピンキー:05/03/08 23:24:34 ID:25JVftr7
だがそれがいい
59名無しさん@ピンキー:05/03/08 23:29:06 ID:ybLTd12N
>「・・・結局また写真集のサンプルも原稿も取られてしまった・・・やはり欲張りは身を滅ぼす、ということか・・・」

だが親父のことだ、自分の分の観賞用と保存用の完成品はしっかり何処かに隠匿しているに違いない。
でなければ、前回没収されたにもかかわらず何故完全版を作れたというのか?
60名無しさん@ピンキー:05/03/08 23:32:23 ID:p094VCj3
親父「瑞穂ある限り萌えもまたある……。わしには見えるのだ。再び何者かが瑞穂写真集を作成しよ
う……。だがその時は御門の娘よ、お前はこの国にはおらんだろうがな。わははは………っ。ぐふっ! 」
61前スレ550:05/03/08 23:42:42 ID:ng7Ft6F+
貴子ED後。日付の指定は特になし。瑞穂視点。特につながりはないが、漏れの書いたSSを読んでからだと消費税分くらいは余分に楽しめるかも
締め切られたカーテンの隙間から、赤い夕日が差し込んでいる。
アルバイトは休みで、父も今夜は帰ってこないとなれば、もう、やる事は一つなわけで・・・
「んっ・・・瑞穂さん・・・」
貴子さんの鼻に掛かった甘い声が聞こえる。貴子さんは僕の手を強く握り、僕はその手を握り返す。
白い乳房に玉のような汗がいくつも浮かんで流れ落ちる。その頂点にある薄桃色の乳首にチュッと軽くキス。
「ヒャッ!」
ピクンと貴子さんの体が軽く跳ね上がる。貴子さんの女性に触れると、そこはすでに滴るほどに濡れて居て・・・
「今日は・・・その・・・だから・・・危ない・・・から・・・」
消え入りそうな声、貴子さんは恥ずかしそうにシーツをつかんで顔の半分を隠してしまう。
その仕草を可愛いなと思いながら、ベッド下に隠してあるスキンの箱に手を伸ばす。
手をつないだままなので、変な格好になってしまったのが悪かったのかな?ぴきん、と腰に違和感が・・・
そのまま固まってしまう僕。
「どうか・・・なさいましたか?」
軽く息を整えながら、貴子さんが不思議そうに顔を覗き込んでくる。羞恥と快感で朱に染まった顔が可愛い・・・けど、僕はそれ所じゃなくて・・・

「ぎっくり腰、ですね・・・」
裸のまま、シーツで胸元を隠している貴子さんがあきれた声を出している。ちなみに僕はベッドの下に手を伸ばした形で固まったまま。
1ミリでも動くと腰に激痛が・・・
「亡くなった父が落とした財布を拾おうとしてなったことがありますわ」
「いや、貴子さんのお父さん、生きてるし・・・思いっきり。」
「そうでしたっけ?最近お会いしてないので、てっきり亡くなったものだと・・・」
惨いです、いくらなんでも・・・貴子さん。
「ところで、いつまでベッド下を覗き込んでるんですか?」
「したくてしてるわけじゃありません」
動けないんです、マジで。
「仕方ないですわね。どっこいしょ・・・」
繋がったままの手を引っ張り上げてくれる。ちょっと乱暴な引っ張り方、腰に激痛が走る。
(1/7)
62前スレ550:05/03/08 23:44:01 ID:ng7Ft6F+
「痛いです、痛いですってば」
本気で涙が出る。心なしか引かれる腕の逆関節が決まってるような・・・
「あら、ごめんなさい。わざとではないんですのよ?」
あまりにもうそ臭いお言葉、ありがとうございます。
何とかベッドの上にまで戻り、貴子さんの横に寝転がる。手はつないだまま。腰は痛いけどちょっと幸せな気分。
「・・・・・・」
貴子さんがジトーという漫画的擬音がぴったりな表情で僕の顔を見下ろす。
「ど・・・どうかしましたか?」
無言で僕の前髪をめくり上げ額を平手打ち。ぺちんぺちんという小気味のいい音がする。
「痛いですよ。貴子さん」
軽い平手打ちだから、あまり痛くはないけど・・・
「・・・・・・・・・」
心なしか力がこもってきてるような・・・
べこっ!油断しきっていたみぞおちにグーがめり込む。
「げほっ!」
くぅ・・・今のは殺意があった!殺意が絶対あったって!
「その幸せそうな笑顔が許せなかっただけです」
恋人が幸せそうだったら、殺意を抱くんですか?!貴女は。
と、言いたい所だが、前と後ろからの激痛に僕は一言も声を出せなくなっていた。
お腹を抱えながら、パクパクとしゃべれない口を動かす。彼女はふてくされたように、赤い顔をして明後日の方向を向いている。
僕は5分ほど、貴子さんの横顔を見ながらもだえ苦しんでいた・・・ふと、彼女が怒っている原因が思いついた、ので、それを口に出してみた。
「あの・・・もしかして、エッチが途」
言い切る前に顔を真っ赤にした彼女の右ストレートがみぞおちに叩き込まれた。

美しい花園のある川が・・・あっ、女装した僕が立ってる。もしかして、あの方は母様?
(2/8)
63前スレ550:05/03/08 23:44:58 ID:ng7Ft6F+
「母様にお会いしてきました」
「不用意な一言が死を招く事を忘れないで頂きたいですわね?」
不用意な一撃で恋人を撲殺し掛けないでください。お願いですから・・・
夕日は完全に沈みきり、窓からは街灯の明かりが差し込んでいる。ベッドに寝転がったまま目覚ましに視線を向けてみると、時間は7時を指そうとしている。
「そろそろ食事にしないといけませんね・・・」
「罰です、おごってください」
貴子さんはにこりと微笑み、僕の額に唇を重ねてきた。それをくすぐったそうに受け止める。機嫌は直ったかな?
「いいですよ。どこにします?」
「そうですわね。近くに新しい中華のお店が出来たそうなので、そこは如何ですか?」
いいですよと、ベッドの上で中腰になって固まる僕・・・やば・・・
貴子さんはそんな僕を冷たい目で見つめて居る・・・
「もしかして、立てない・・・とか?」
ゆっくりと顔を貴子さんの方へ動かし首を上下に動かす。
「仕方ないですわね・・・」
彼女は裸のまま四つんばいで僕の体を越えてベッドを降りる。すでに半分弱が貴子さんの服で占領されているクローゼット、そこを開いて中から下着と若草色のワンピースを取り出す。
「ホカホカ亭のお弁当でいいですか?それとついでにシップも買って来ますから」
「ごめんなさい、お願いします」
「それじゃ、すぐに帰ってきますから」
といって彼女は出かけて行った。・・・電気くらいつけていって欲しかったんですけど・・・暗いなぁ・・・しくしく。

最近では1時間を「すぐ」って言うんですね・・・ホカホカ亭も薬局も歩いて5分くらいなのに・・・
「少しお弁当屋さんが混んでましたから」
「少し・・・ですか?」
「はい、少し、ですわ」
ニコニコニコニコ
「ところで、貴子さんは食べないんですか?」
気のせいだと思いたいんですけど、髪がラーメン臭いですよ?
「ええ、空腹ではありませんから・・・」
ニコニコニコニコ
「・・・新しいお店、美味しかった?」
「はい、塩ラーメンと焼き餃子が非常に・・・はっ!」
(3/8)
64前スレ550:05/03/08 23:45:52 ID:ng7Ft6F+
しまった!という顔をする貴子さん。貴子さんは新しいラーメン屋さんで塩ラーメンと焼き餃子、僕は海苔弁。ふふふ・・・この海苔便、なんだかしょっぱいや。
「涙を流して悔しがる事ですか・・・」
ぎっくり腰で寝込んでるときに、恋人が自分だけでラーメン屋に行った男の気持ちは
ぎっくり腰で寝込んでるときに、恋人が自分だけでラーメン屋に行った男にしかわからないよ。
この海苔弁が美味しいのがまた悔しい。
「成人式前にぎっくり腰になる恋人を持った女の気持ちは、成人式前にぎっくり腰になる恋人を持った女にしか判りませんわよ」
「おじさん臭いです」
「貴子さんだって、さっき、どっこいしょ、とかって言ってたくせに・・・」
「不用意な一言が死を招く・・・と、お教えしたはずですが?」
拳を握って息を吹きかけるなんていう古典的な事はやめてください。
「食事が終わったんなら、うつ伏せになってください。シップを張りますから」
プラスティックの弁当箱をゴミ袋に入れてうつぶせになる。あっ・・・動くと痛いなぁ・・・
ちなみにエッチの最中になったのだから、当然、僕は裸のまま。立ち上がれないんだから、下着も着れない。
貴子さんがシーツをめくると、当然のように背中からお尻まで全部丸見えで・・・
いつまで経っても、シップのひんやりした感触が来ない。どうしたのかな?
「どうかしましたか?」
「相変わらず、いやみなくらい白い肌ですわね・・・キメも細かいですし」
「あの・・・恥ずかしいので早めに張ってくれませんか?」
出来れば早急に張って、シーツをかけて欲しいんですが・・・
しかし、その願いは無視され、さらにお尻を撫で回してくる。
「ちょ!な・・・何するんですかっ!?」
「たまには無抵抗な瑞穂さんの体をたっぷりと可愛がって差し上げようかと・・・」
「余計なサービスはしてくださらなくて結構ですから・・・本当に」
本気で腰が痛いんですから。今されたら死んでしまいます。
「たまにはこういうのも良いのではありませんか?」
頬を赤く染めた貴子さんが僕の顔を覗き込んでくる。貴子さんの栗色の髪(ラーメンの匂いつき)が僕の顔を優しくなでる。
この顔は本気で犯る(やる、と読んでください)気の顔だ。
抵抗の言葉をつむごうとする僕の唇に貴子さんの唇が押し付けられる。
「んっ・・・クチュ・・・チュパ、ぬちゃ・・・」
(4/8)
65前スレ550:05/03/08 23:46:32 ID:ng7Ft6F+
どちらの口から音が漏れているのか判らない唾液の音が響く。ねっとりとした貴子さんの舌が僕の口内で僕の舌と絡まる。
その間も貴子さんの指は僕のお尻を優しく愛撫し、割れ目へと滑り込んでくる・・・
唾液を交換し合うような長い口付け・・・どちらかともなく唇を離すと、二人の間に唾液の橋が架かって落ちる。
「はぁはぁ・・・こういう時・・・は・・・こう言うんですか?」
「えっ?」
「口じゃ嫌がっても、体は反応してますよ。って・・・」
クスクスと笑いながら、貴子さんは僕の唇をぺろっとひと舐めする。
「おじさん臭いですよ、そういうの・・・」
「だから、不用意な一言は命取りなんですのよ?」
するっとお尻の割れ目をなでていた指先が僕の中に滑り込んでくる。
「!!!あっ・・・あぁぁ・・・」
き・・・きもちわるぅ、お腹の中で何か動いてる!
「クス、素敵な表情ですわよ?瑞穂さん。本当の女性みたいです・・・」
うっとりとした表情で微笑みかけてくる。
(5/8)
66前スレ550:05/03/08 23:47:04 ID:ng7Ft6F+
「痛い・・・し、なんか・・・気持ち悪い・・・」
「こういうのは、初めてですわよね?」
初めてじゃなきゃ、ぶっ殺す、と言うような顔は辞めてください。初めてですけど・・・
「答えてください、瑞穂さん」
クニクニと器用に動く指先が、中の何処かに触れた瞬間、僕の腰は僕の意思に反して大きく跳ね上がった。
「ひゃぅ!ひっ・・・」
あわてて、コクンコクンと何度も首を上下に動かす。
「この辺ですか?」
指が中で動いて、先ほどの場所を探し始める。貴子さんも当然初めての経験なので、狙った所に指を運べるはずもなく、指先は感じる部分とそうでない部分を何度も行き来する。
感じる部分を指先がなでるたびに体が跳ね上がり、なんだか情けない声を上げてしまう。
「可愛いお声ですわよ?瑞穂さん」
(6/8)
67前スレ550:05/03/08 23:47:34 ID:ng7Ft6F+
僕の顔をまじまじと見つめていた貴子さんの顔が引かれ、ペタンと僕の右太ももの上に座り込んでしまう。
その脚の間はすでに十分に熱を持っていて、下着の上からでも判るほどに濡れていた。
ゆっくりと腰を動かし、太ももに女性自身をこすり付けてくる。その動きにあわせるように中に入っている指が動いて、僕の感じる部分を探し出そうとしている。
「瑞穂さん、腰、浮かしてくれますか?」
もはや、拒否など出来るはずはなくて、言われるままに腰を浮かしてしてしまう。
貴子さんは太ももの上から、ふくらはぎの方へと体を動かして、僕の中から指を引き抜き、代わりにペニスに絡める。
ゆっくりと貴子さんの唇が、お尻の割れ目に触れ、舌の先が開きかけた部分をナメクジのように舐め上げる。
それはふくらはぎにこすり付けられる薄絹越しの女性自身の感触と、ペニスをしごかれる快感と合わさって、僕の頭を白く染め上げていく。
貴子さんの唇からこぼれた唾液が、ペニスの方にまで滴り、先端からあふれた蜜と貴子さんの手の中で交わり、ネチャネチャという水の音を立てる。
その音は僕の太ももにこすり付けられる貴子さんのあそこから響く音と同じで、自分が犯されていると言う感覚をさらに高めていく。
二人の甘い吐息混じりの嬌声が部屋の中にこだまし、その声はさらに二人の心を高ぶらせていく。
僕のペニスは貴子さんの手の中でビクンビクンと痙攣し始めて、僕のふくらはぎを挟み込む貴子さんの太ももに力がこもる。
「貴子さん・・・出る・・・出ちゃい・・・ます」
「いい・・・ですわよ。瑞穂さん・・・出して・・・ください・・・」
吐息に混じる二人の声で、お互いの絶頂が近い事を知る。貴子さんの手と腰の動きはさらに早くなって・・・
(7/8)
68前スレ550:05/03/08 23:48:04 ID:ng7Ft6F+
二人の悲鳴のようなあえぎ声が響き渡り、僕は貴子さんの手のひらに熱い精を吐き出し、崩れ落ちてしまう。
貴子さんも僕の体の上に崩れ落ちて、荒い吐息を僕の背中に吹きかけている。
「はぁはぁ・・・」
二人の吐息のタイミングが重なる。貴子さんは僕の股間から手を引き抜いて、まじまじと指に付いた精液を見詰めて、ぺろっと一舐め。
「たくさん出ましたね?瑞穂さん・・・」
耳元まで体をずらし上げ、そっと囁いてくる・・・
「・・・・・・腰が痛いです・・・」
「あっ・・・忘れてましたわ」
「シップ張ってください。それと・・・シーツの上に出したのが・・・気持ち悪いんですけど」
はいはい、と苦笑しながら、貴子さんは僕の腰にシップを貼り付ける。そして・・・
「シーツ換えますから、どいてくれますか?」
「へっ?」
「だから、シーツ・・・どいてくれないと換えれませんが・・・」
立てないんだけど・・・だから、さっき、貴子さんに置き去りにされたわけだし・・・
「仕方ありませんね・・・」
そう言うと貴子さんはシーツを抱えて部屋を出て行こうとする
「あの・・・どこに?」
「客間に布団が余ってますから、今夜はそこで寝ます」
スタスタ・・・
帰宅するって言う選択肢はないみたい・・・って言うか、本当に勝手知ったる他人の家ですか?貴子さん

そして、僕はその日一晩、冷たくなったシーツの上で、一人、痛い腰を抱えて寝ました・・・しくしく
(おしまい)
69名無しさん@ピンキー:05/03/08 23:55:15 ID:mt6/UahH
悲惨だ…w
70前スレ550:05/03/08 23:57:42 ID:ng7Ft6F+
なんか、苦労した割にイマイチなできだなぁ・・・orz
エロシーン、恥ずかしかった(爆
71名無しさん@ピンキー:05/03/08 23:58:57 ID:+OSWeB1+
面白かったんだが・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


過去何度も数年ごとにぎっくり腰になり(っていうか正月になったばっかり・・・)
先日MRI撮ったら軽度のヘルニアで手術するほどではないけど手術しないと一生ものといわれた俺が言う

痛い!痛いって!!(TДT)
ひどい!ひどいよ!!貴子さん(TДT)
つうかマジでなったら腰上げたりできませんYO!(TДT)
72前スレ45:05/03/09 00:14:14 ID:6ycqU+ru
>>61-68 (前スレ550)
うわぁ・・・貴子さん非道いw
お預け食らった恨みは重いのですね・・・ガクガクブルブル
貴子さんの意外な一面(?)が見られてGJです!

そして動けない瑞穂ちゃんに好き勝手するのはデフォですか、やっぱりw
ふだん言葉責めにあってる(と仮定)のでその憂さ晴らしですか?w


>>44〜60
皆様、ご感想ありがとうございます。
好評のようで何よりです。今回かなり不安だったんですけど、ほっとしましたです。

巫女さんの元ネタは仰るとおりですw 肩と腋露出&フリル付きだけでわかっちゃうもんなんですねw
ちなみにメイドさんは極ふつーのメイドさんの衣装という設定ですw
もともとは巫女魔女メイド揃ってたんですけど、元ネタわからない人も多いと思ったので・・・。

慶行パパ・・・書いている私が云うのもなんですけど・・・どうしてこんなキャラになってしまったんでしょう?w
ま、いいや(ぉw

アイデアが沸いたらメイド編、恵泉征服・・・じゃなくて制服編も書いてみますね。


>>7
SSでなくパロディでも是非是非書き込んでくださいな。エロパロ板ですし。


>>54
その3が気になりますw
っていうかそんな人怒らせて無事なまりやって、瑞穂ちゃんより戦闘力高いですか?w
そしてそんな彼女も女装した瑞穂ちゃんにハァハァしてそうですw
73名無しさん@ピンキー:05/03/09 00:19:42 ID:aeexccSH
>>61-68
悲惨だ・・・
けど、なぜか笑えてくる。GJ!
瑞穂・・・運動不足?w
74名無しさん@ピンキー:05/03/09 01:11:39 ID:KVntt4dx
>>61-68
GJ!
やっぱりナチュラルでSな瑞穂たんを攻めるには
こういうアクシデントがないと難しいな。
いじめる貴子がとても生き生きしていてGOODですw
75前スレ126:05/03/09 02:11:01 ID:wFnprUaK
遅くなりましたが…>>1スレ立て乙です!!

前スレ>>634-637
見たい…!!このメンバーのバンド、見たい…!!
どんな曲になるのやら…GJなのですよ〜

>>14-20
第二部乙です!!
良い感じに話が展開して、ますます続きがきになるのですよ〜
わくわくして待ってます!!
GJです!!

>>27-43
俺はBでおながいします( ;´Д`)
つか、激しく笑いました!!GJ!!
まりやも、貴子さんも、更には慶行パパも…キャラが立ち過ぎですよw
更なる作品と、瑞穂写真集を希望!!

>>61-68
た、貴子さんつえぇぇぇ!!w
そして萌え…( ;´Д`)
良作GJなのですよ〜

ううむ、書きたい作品が二つあって、試行錯誤中…
とりあえず、奏ちゃんの続きを仕上げるべきか…(−−;
76前レス555:05/03/09 02:43:34 ID:aeexccSH
 瑞穂視点>>550-552、先にそちらを読むとより楽しめるかもしれません。瑞穂が不幸なのは>>554-558あた
りの方々の責任ということなので、責任とってみます。(爆
なにぶん、2次創作等したことがありませんので、公開されてる皆様ほどのものは
お見せできませんが、お目汚しということで・・・
ええ、もう・・・脳内妄想垂れ流しですから(^^;
552のラストシーンからスタートになります。
女装協奏曲・・・紫苑婚約破棄の調べ 1

「女装して通ってください!!!!!!」
「ぜぇぇぇぇったいいやぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」

何度となく繰り返される絶叫・・・・
「ぜい・・ぜい・・・ぜい・・・」
瑞穂が、肩を大きく上下させて、ソファーにへたり込むと、貴子は真っ赤な顔をして、頬をふくらませ、
両手を握り締めて胸の前に構えている。
「むーーーー」
「・・・・・・・・」
「むーーーー」
「・・・・・・・」
「むーーーー」
「・・・・・・」

 気まずい沈黙の時間だけが過ぎてく・・・
(はあーーー、貴子さんも強情ですからね・・・)
「貴子さん・・・どうしても、私の女装がみたいのですか?」
貴子は、瑞穂の言葉を聞いて、それは綺麗な笑顔になると
「はい。見せていただきたいですわ・・・いえ、みせていただけますわね。ぜひとも、みせてください」
(やはり、私1人では心もとないですわね。・・・まりやさん・・・紫苑お姉さまに・・・紫苑お姉さま
でしたら、瑞穂さんの事もご存知ですし・・・・)
77前レス555:05/03/09 02:46:33 ID:aeexccSH
女装協奏曲・・・紫苑婚約破棄の調べ 2

胸の前で両手を握り締めたまま、ずずっと、瑞穂に詰め寄ると
「紫苑お姉さまに、お電話差し上げてもよろしいですわよね?」
「えっ・・・・紫苑さん・・・・」
瑞穂は、背中に冷や汗が、つぅ・・・・っと流れ落ちる気がして、少しの間、反応ができなくなった。
貴子は、それを無言の肯定と”都合よく”解釈すると、自分のセカンドバックから携帯を取り出して
(紫苑お姉さまの番号は・・・あ、ありましたわ)
何度目かの呼び出し音の後
「もしもし・・・紫苑お姉さまですか?」
「あら・・・貴子さん」
「少し、お時間いただけますでしょうか?」
紫苑の承諾を得ると、貴子は、事のあらましを伝えて、協力を求めた。
「あら・・・面白そうですわね。ええ、そういうことでしたら、やはり、まりやさんも・・・」
「紫苑お姉さま。ご協力していただけるのですか?ええ、衣装とかの事もありますし」
「では、瑞穂さんのお宅にお伺いしますわ」
瑞穂の前で、楽しそうに紫苑と打ち合わせを進める貴子を見て
(また、あの悪夢が・・・・まりやがいないだけましか)
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78前レス555:05/03/09 02:49:11 ID:aeexccSH
女装協奏曲・・・紫苑婚約破棄の調べ 3

数日後。
 貴子の”強い要請”により、父親に”強引に”同行させられて瑞穂が不在のときに二人が選んだ女装用
の衣類と、ともに空の衣装ケースが、御堂家の人の手でいくつも届けられた。
貴子と紫苑で、男物の衣類をすべて空の衣装ケースに移し替えて、一息ついていると、まりやが入ってきた。
「ごめーーん。遅くなった」
「まりやさん、遅いですわ」
「まあ、まあ、まりやさんにも、ご都合というものがおありでしょうし」
紫苑が場を和らげるようにとりなした。
「ま、まあ、お家の方を貸していただきましたし、これからが、まりやさんの出番ですから」
「あ、そう、そう。頼んでおいた家具なんだけど、もうすぐ、届くから」
まりやの言葉を待っていたかのように、頼んでおいた家具が届いた。
 愛想のいい店員のほかに、作業着姿のがっちりした体格に男が数人は入ってきた。
貴子と紫苑の指示で、部屋の家具も、カーテンも寮での瑞穂の部屋に似たものに取り替えられて、すっかり
”女の子”の部屋に作り変えられてしまった。家具屋の人たちが出て行くと
お互いの顔を見ると綺麗な微笑見せて
「これでなくては・・・お姉さまの部屋は・・・そう思いませんこと?貴子さん」
「はい。紫苑お姉さま。で、お姉さまの衣装を収納してしまいませんと」
「うーん。やっぱり、これよね」
「ええ、瑞穂さんが、戻られる前に済ませてしまいましょう」
男物の入った衣装ケースをトランクルームに運んでくれるように鏑木家の人に依頼すると、どちらから
ともなく顔を見合わせて
「これならば・・・」
「ええ、そうですわね。”お姉さま”も、覚悟を決めていただけますわね」
紫苑は、顔を曇らせると心配そうに
「でも、よろしいのですか?」
「ええ、中途半端というのが、一番いけないのですわ。物事を行うときには、徹底的に行わないと・・・」
貴子の言葉に、紫苑は同意して
「そう・・・ですわね。でも・・・・そ、その瑞穂さんの”男性”は、どうなさるのですか?」
79前レス555:05/03/09 02:50:42 ID:aeexccSH
女装協奏曲・・・紫苑婚約破棄の調べ 4

まりやが、意地の悪い笑みを浮かべると
「いい参考書があったのよ」
そういいつつ、まりや、一冊の本をバックから取り出して2人にみせた。
「”女装入門・・・女性らしくなるために”ですか?」
まりやから受け取った本には、図解入りで、”男性の収納のしかた”が詳しくかかれてた。
「これでしたら、お姉さまにおしゃれしていただけますわ」
まりやは、頭の中でシュミレートしてるかのように、虚空に目を向けて
「これなら、おしゃれな下着も・・・ミニスカートも・・・」
紫苑も笑みをみせると
「あのパットですわね・・・また、さわらせていただけますわね」
少し前までの瑞穂の姿を思い出していた。

 夕方・・・ようやく父親から解放された瑞穂は、父親が強引に連れ出した理由を考えていたが、ため息を
1つ漏らすと考えを切り替えて
(紫苑さんと貴子さんに、さんざん着せ替え人形されて・・その後、家具屋を何軒もみてまわったんだよな)
(なんか・・・やな予感が・・・気のせい・・・・であってほしい)
 自分の部屋のドアを開けた瑞穂は・・・自分の目を疑い・・・部屋を間違えたのではないかと、立ち尽く
していると、部屋の中から
「おかえりなさい・・・瑞穂さん」
「お邪魔しています」
「おかえり。瑞穂ちゃん」
反射的に返事を返すと、紫苑さんが
「貴子さんに頼まれまして、お部屋の模様替えをお手伝いしてましたのよ」
「そ、そうなんですか?」
瑞穂の気の抜けた返事に、紫苑は柔らかな笑みを浮かべて
80前レス555:05/03/09 02:53:34 ID:aeexccSH
女装協奏曲・・・紫苑婚約破棄の調べ 5

「はい・・・そうなんです」
「なんで、まりやまで?」
ちしゃ猫笑いを浮かべたまりやは
「なんでって・・・・瑞穂ちゃんの女装の”説得”なんて楽しいことたのまれたのよ」
「もしかして・・・」
瑞穂が、部屋に入り新しい箪笥の扉を開けると、そこには、先日見た洋服が揃えられていた。
(悪夢の日々・・・・再び?)
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 瑞穂の後姿をみながら
「ひさしぶりに、瑞穂さんの落ち込み姿を堪能できましたわ」
紫苑は、うれしそうな声を出して、追い討ちをかけるように
「瑞穂さん・・・男物の衣類でしたら、”すべて”運び出しましたわ。」
「それと、瑞穂ちゃんの服は男物禁止・・・」
「えっと、紫苑さん・・・なぜ?」
貴子が変わりに
「この件に協力していただく見返りとしまして、”兄”との婚約解消を申し出ました。」
「貴子さんの一存では・・・」
「ええ、確かに私の一存では、無理ですわ。でも・・・」
81前レス555:05/03/09 02:54:35 ID:aeexccSH
女装協奏曲・・・紫苑婚約破棄の調べ 6

貴子の話を遮るようにまりやが
「そこで、私の出番というわけ。慶行おじさまにも”お願い”するつもり」
瑞穂が、貴子の顔を見ると柔らかな笑顔を浮かべていた。
「ええ、紫苑お姉さまの今後のことですもの。多少のわがままを控えるだけの分別はありますわよ」
瑞穂は、今日、強引に父親が同行させたは・・・このためかと・・・
(やはり、一度、締めておくべきだな・・あの馬鹿親父)
「というわけで、瑞穂ちゃんが、女子大生してくれないと、紫苑さまは、貴子の馬鹿兄貴の餌食に
なるんだけど?」
 瑞穂も、厳島の総領の乱行ぶりは、耳にしていた・・
「ふうーー、ずるい攻め方ですね。で、詳細を話していただけますわね」
目だけ笑っていない笑顔で、3人を見つめた。
まりやは、ひきつった笑みを浮かべると
「ま、まあ・・・いいじゃない。慶行おじさまに・・・」
「ええ、おとうさまにも、頭の悪い私が、納得できるまで、じっくり何度でも懇切丁寧に説明していただ
きますが?まりやにも、丁寧な説明を求めたいというのは、いけないことなのでしょうか?紫苑さん?」
「え、ええ・・そうですわね。・・・やはりお願いする以上は、詳細を説明されるべきかではないかと思
いますが?・・・そ、そうですわよね貴子さん?」
矛先回避のため、引きつり気味の笑みを浮かべながら貴子に話を振る
「え、ええ・・・瑞穂さんには、申し訳ないかと思いましたが、まりやさんが、”どうしても”内密に事
を進めたいと・・・わ、私は、そ、その、”一応”・・・・」
「あーーー、貴子、紫苑さん。裏切るなんて・・・」
「あら・・・、”瑞穂ちゃんの説得なら、まかして”って言われたのは、まりやさんですわよ」
さらりと、まりやの抗議を受け流す紫苑
「うーーー。じゃあ、瑞穂ちゃん・・・紫苑さんのためにお願い」
これ以上はできないといわんばかりに、頭を下げる。
「瑞穂さん。紫苑お姉さまのために、まげてお願いできませんしょうか?」
貴子も同じように頭を下げる。瑞穂は、ため息を吐くと
「まりや・・・厳島の家と喧嘩する覚悟あるの?婚約解消させるということは、厳島の家に喧嘩を売るこ
とになることも・・・最悪の場合、厳島との全面戦争もありうるんだよ?」
82前レス555:05/03/09 02:56:45 ID:aeexccSH
女装協奏曲・・・紫苑婚約破棄の調べ 7

まりやは、顔面蒼白になると
「あ・・・・ど、どう・・・しよう・・・そこまで、考えてなかった」
貴子は、瑞穂の顔をまっすぐ見つめて
「ええ。それは、覚悟の上ですわ。紫苑お姉さまには、幸せになっていただきませんと申し訳ありません
から・・・私一人幸せになるわけにいきませんもの」
(せめてもの罪滅ぼしですわ)
「そうですね。紫苑さんには、お世話になりましたし・・ご恩返しするのは、やぶさかではないのです
が・・・」
紫苑は、まっすぐ瑞穂の顔を見つめると
「どうして、そこまでしてくださるのですか?御門家にしても、鏑木家にしても、私の婚約には・・」
瑞穂も、姿勢を正して 
「はい。はっきり言って関係ありません。鏑木家としては、厳島家に喧嘩を売っても、ダメージの方が
大きいかと思います。色々な意味で・・ですが、私個人・・・鏑木瑞穂としては、親しい友人に不本意な
進路を選択していただきたくないのです。これではいけませんか?」
貴子も姿勢を正すと
「在学中には、紫苑お姉さまに、なにかとお世話になりましたし、それに紫苑お姉さまの・・・」
「紫苑さんのなに?」
(瑞穂さん・・・鈍いですわね)
(瑞穂ちゃん・・・鈍いよ)
まりやは、意を決すると
「紫苑お姉さまは、瑞穂ちゃんに”好意”をもっていたんだよ。友人としてではなくね。で、貴子は、
紫苑お姉さまの気持ちを知りながら、自分が瑞穂ちゃんの隣に位置することを・・・」
「そうですわ。紫苑お姉さまの気持ちは、薄々気がついていましたが、自分の気持ちに正直なってしまいま
した。やはり、紫苑お姉さまにも、紫苑お姉さまの幸せを探していただきたいですわ」
貴子は、胸の前で両手を握り締めると、瑞穂に詰め寄り
「紫苑お姉さまの幸せのためにも、お姉さまの女装が、どうしても必要なのですわ」
83前レス555:05/03/09 02:59:13 ID:aeexccSH
女装協奏曲・・・紫苑婚約破棄の調べ 8

「瑞穂ちゃん・・・大学の方なら、慶行おじさまにもお願いして、”寄付金”をはずめば、第一、恵泉の
時、ばれなかったんだから、大丈夫だよ・・・・たぶん」
 瑞穂は、二人の話を逸らすかのように
「ところで、紫苑さんの今後なんですけど、今のままでは、十条家が引き伸ばしを行なっても、後4年が
限度ではないのでしょうか?」
それに異を唱えるかのように
「いいえ、4年も引き伸ばせないかと思いますわ。厳島にとって、十条家の家柄が、是非ほしいのですか
ら形式だけということで、強引な工作を続行してるはずですわ。紫苑お姉さまの大学入学と前後して婚約
の内示・・・いえ公表を・・・大学在学中に形式的な結婚まで、話を進めてもおかしくありませんわ。有
形無形の圧力を掛けて、追い込むぐらいあの父なら、雑作もないことですわ」
貴子の吐き捨てるような口調に
「というと、残された時間はあまりないと・・・」
「ええ。物事は常に最悪に事態を想定しておくべきですわ」
厳島家息女と、鏑木家総領の顔になって、対策を考えている2人を見てまりやは、寂しそうに
(私・・・瑞穂ちゃんのこと分かってなかったんだね)
瑞穂は考えをまとめると、紫苑の顔をみて
「紫苑さん・・・厳島家に喧嘩を売る勇気がおありですか?」
「ええ。瑞穂さんが、支えてくださるのでしたら」
紫苑の返答を聞いた瑞穂は、大きく息を吐くと
「では、十条家ご息女の紫苑さんを、我が鏑木家の養女として是非お迎入れたいと思いますが、受けてい
ただけますでしょうか?あくまでも、形式的なものです。ご両親には後日正式にお願いに上がりますが」
「はい。私に異存はございません。謹んでお受けいたします」
話に入れなかったまりやが
「えっと、紫苑さんを瑞穂ちゃんのお義姉さんにしてしまうわけ?じゃあ、十条家は?」
貴子が補足するように
「それでしたら、紫苑お姉さまの将来のお子様を、十条家に養子という形すれば十条家も守れますわ。本
当に将来、紫苑お義姉さまになりますのね。これからも、末永くお願いしますわ」
貴子は、紫苑に軽く頭を下げた。
「まったく・・・どうして・・・」
紫苑の目からは、涙がこぼれていた。
84前レス555:05/03/09 03:01:49 ID:aeexccSH
女装協奏曲・・・紫苑婚約破棄の調べ 9

その夜。
夕食後、父親の部屋に出向いた瑞穂は
「お父様。お尋ねしたいことがあります」
目を通していた書類から顔を上げると、瑞穂に話を続けるように促した。
「はい。十条家ご息女の紫苑さんと、厳島家総領・・・貴子さんの兄との婚約についてです。」
「それが?」
「お父様なら、何かご事情をご存じではないかと思いまして、紫苑さんには、恵泉在学中親しくさせて
いただきましたが、そのようなお話は一言もなさりませんでしたので」
黙って聞いていた慶行は
「そうだな。厳島は、一代で材を築いた・・・いわば成金といってもいい。確かに、商才には優れている
ようだが・・・人間としてはどうかとおもうがな・・・。そういう人間が次に求めるのが、金銭で求めら
れないもの。つまり・・・ここまで言えばわかるな。十条家は、今は、没落したとはいえ、元をたどれば
侯爵家。元華族のお家柄」
瑞穂は、顔を強張らせると
「つまり・・・その家柄ほしさに紫苑さんとの婚約を?」
慶行は、沈黙を守ることで、瑞穂の問いに答えた。
「瑞穂には納得できないだろうが、世の中にこのようなことは・・・」
言葉を遮るように
「私は、納得できませんし、したくもありません。鏑木家総領として、将来鏑木財閥を背負って身として
親しい友人1人の難儀を救えずして、数万・・・の社員・・・その家族を支えられるはずがありません」
「ふむーー。そこまで言うからには、なにか策があるのだろうな?」
瑞穂は、一度目をつぶり大きく息を吐くと
「はい。その前に1つお尋ねしたいことがあります。厳島家に喧嘩を売ってよろしいでしょうか?」
慶行は、目を見開くと
「ははは、おもしろいな。一人の女性の将来のために、厳島に喧嘩を売るか・・で、貴子さんは承知して
いるのだろうな?」
「ええ、貴子さんに頭を下げてお願いされました。ただ、女装して大学に通ってほしいとも、強硬にお願
いされてもいるのですが」
85前レス555:05/03/09 03:03:56 ID:aeexccSH
女装協奏曲・・・紫苑婚約破棄の調べ 10

慶行は、意地悪な笑みを浮かべると
「部屋の模様替えをされていたか?」
「お父さま・・・今日強引に同行させたのは・こ・の・た・め・だったのですね?」
「そういうところは、幸穂そっくりだな。怒ると笑顔になってな・・・っと、思い出はさておき、そうだ
な・・・確かに瑞穂の言うことにも一理ある。で、その策とは?」
「はい。紫苑さんを、まずこの家の形式的な養女に。その後。紫苑さんには、ご自分の幸せを探していた
だきます。よりよき伴侶が見つけられた時には、恥ずかしくないだけ事はさせていただきます。十条家に
つきましても、鏑木家の庇護というと、思い上がっている言い方に見えますが、ご不自由無いように、将
来、紫苑さんが、お子様に恵まれたとき、お一人を十条家の形式的な養子となされば十条家も存続させら
れるかと思いますが?さらに付け加えますれば、紫苑さんご本人には、すでに承諾を得ております。」
「ふむ。形式的とは言え養女に迎え入れるとなると、法律的問題が生じるな・・・瑞穂が、十条家の承諾
を得られるのならば、私が十条家に頭を下げようじゃないか・・・しかし、思い切ったことを、いい、行っ
てこい。厳島に喧嘩を売ってもかまわん」
瑞穂は頭を下げると部屋から出て行った。

 数日後。鏑木系列のある料亭の離れの一室。
正装した慶行と瑞穂は、養子縁組の話を詰めるために、紫苑と紫苑の両親を待っていた。作法に沿って
襖が開けられ、女将が
「十条さまが、お着きになりました」
女将の後から、振り袖姿の紫苑と、品のよい和服に身を包んだ紫苑の両親が入ってきた。
「お話お済みになりましたら、お呼びくださいませ」
各人の前にお茶を置くと、女将は部屋から出て行った。
 慶行は、お茶を口に含むと
「このたびは、ご足労いただきまして、申し訳ありませんでした」
86前レス555:05/03/09 03:05:33 ID:aeexccSH
女装協奏曲・・・紫苑婚約破棄の調べ 11

それに答えるように、紫苑の父親が
「いいえ。突然のお申し出に驚きましたが、厳島の総領の乱行ぶりは常に噂されてる程ですし、家の
為とはいえ、嫁がせるのは親として・・・理由をつけては引き延ばしてきましたが、そろそろ」
紫苑の父親は膝の上に置いた手を握りしめて、何かをこらえるような表情を浮かべていた。
「でも、鏑木家に多大なご迷惑がかかるのではないでしょうか?」
紫苑の母親の問いかけに
「鏑木の総領として改めて申し上げさせていただきます。ご息女の紫苑さんには、在学中にひとかたなら
ぬお世話になりました。つつがなく過ごせたのも紫苑さんのご配慮のたまものではないかと、思っており
ます」
紫苑が何か言いかけるのを、父親は手で押さえて、瑞穂に話を促す。
「私は、父の後を継いで、鏑木財閥の数万の社員・・・その家族の方の生活に対する責任を背負うことに
なると思います。」
瑞穂の言葉を継ぐように
「厳島と喧嘩になっても、ご息女に幸せになっていただきたいと、言われましてな。息子が、そこまで
覚悟を決めているのなら、黙って見守ってやるのも親の勤めの1つではないかと思いまして不作法かと
思いましたが、一席設けさせていただいた次第です。」
紫苑の目が潤み始めていた。瑞穂は
「ご両親に改めてお伺いします。十条家ご息女の紫苑さんを、鏑木家の養女として是非お迎え致したいと
・・・・再度お願いいたします」
「娘の抱えてる問題は、・・・」
「はい。承知しております。その上で私のお義姉さまになっていただきたいと」
しばらくの沈黙の後
「なあ・・・菫。紫苑は幸せ者だな。損得抜き親身になってくださる友人がいる。」
紫苑の両親は、姿勢を正すと
「娘・・・紫苑のこと。どうかお願いいたします」
「では、後日。双方の顧問弁護士を交えて、紫苑さんの権利関係を明確にさせておきたいと思いますが
いかがでしょうか?」
慶行が、話を締めくくるように提案した。
87前レス555:05/03/09 03:06:40 ID:aeexccSH
女装協奏曲・・・紫苑婚約破棄の調べ 12

4月のある日曜日。
鏑木系列の某ホテルのティールーム
振り袖姿の紫苑、カクテルドレスの貴子とまりや・・・そして、振り袖を着ている瑞穂。
時折、思い出し笑いをうかべている貴子
「貴子・・・その不気味な笑い方どうにかならない?」
「し、失礼ですわ。まりやさんの笑顔に比べれば上品ですのに」
そこにおっとりした声が割って入り
「まあ、お二人ともそのくらいになさいませ。他人の目というものがございますわよ」
「紫苑お義姉さま・・・」
無言のまま、何度と無くため息をついてる瑞穂
「どうなさいまして?ため息の分幸せが逃げていくとかもうしますわよ?」
「なんで・・ぼ・・・私まで振り袖を・・・」
「まあ、瑞穂ちゃんのぐちは、今に始まったことじゃないから」
落ち込みかけた瑞穂を見て
「瑞穂ちゃんも主賓の一人だから、正装しないといけないでしょ?まあ、お祖父様の遺言で押し通せばい
いからね。慶行おじさまも、養女縁組披露パーティなんてね。瑞穂ちゃん苦労が絶えないわね」
無言でうなづくと、なぜか涙目になり紫苑の胸に顔を埋める振りをする。
「まあ、紫苑さんが、幸せになってくれるのなら」
紫苑は瑞穂の髪の毛をなでながら
「ええ、私なりの幸せを手に入れてみせます。瑞穂さんたちに羨ましがられるぐらいの幸せを、いつの日
にか、きっと」
「そういえば、紫苑さんの婚約破棄って、なにもなかったの?」
ふと思い出したようなまりやの問いかけに、紫苑の胸から顔を上げた瑞穂は
「んーーないわけじゃないけど・・まあ、事前工作がうまくいったって事かな?厳島への十条家の負債は
利息分も含めて全額完済したから、少なくとも金銭面でつけ込まれることはないはず。それに、十条家と
共同で1事業業を興すことにしたみたいだから・・それが軌道に乗れば、うちからの融資もね」
 目の隅に僕たちを捜しているらしいスタッフを見つけると
「さて、紫苑お義姉さまのお披露目にいきますか」
瑞穂の声に、他の3人も立ち上がるとスタッフが近づいてきた。
88前レス555:05/03/09 03:11:07 ID:aeexccSH
 すっかり、遅くなりましたが、どうにか書き終わりました。

当初予定していた話とは、おもむきが違ってしまいましたが、
紫苑さんの婚約破棄をいれたら、話が勝手に進み始めましたので
そのまま、書いていきました。
脳内妄想垂れ流しの産物ですので、他の方の作品に比べないでくださいませ(^^;
 
89名無しさん@ピンキー:05/03/09 03:20:10 ID:5Ko4WuK2
>>76-87GJ!
90前レス243:05/03/09 03:29:15 ID:YWl4M2KX
リアル読みしました。
GJ!!ですー。
いい話だ・・・。
流石未来の鏑木グループ総裁。
まあ、女装してますが・・・。
ん?感想ぽく無いな・・・。


比べるなんてそんな、良い作品書いてるじゃないですか。
それに比べ私なんか・・・筆遅いし・・・のらないとまったく進まないし・・・
無理なくせして3つも同時進行させるし・・・。
とにかく、GJですよ!自信持ってくださいよ!
91名無しさん@ピンキー:05/03/09 03:34:11 ID:Ruxck7R7
>>76-87
萌えと言うよりもむしろ燃え。GJ!
この辺の義理人情の篤さが、鏑木親子の最大の魅力なんだろうなー。
92前レス555:05/03/09 03:43:12 ID:aeexccSH
>>87・・・ぐあ、ミス発見ということで差し替えてください
女装協奏曲・・・紫苑婚約破棄の調べ 12

4月のある日曜日。
鏑木系列の某ホテルのティールーム
振り袖姿の紫苑、カクテルドレスの貴子とまりや・・・そして、振り袖を着ている瑞穂。
時折、思い出し笑いをうかべている貴子
「貴子・・・その不気味な笑い方どうにかならない?」
「し、失礼ですわ。まりやさんの笑顔に比べれば上品ですのに」
そこにおっとりした声が割って入り
「まあ、お二人ともそのくらいになさいませ。他人の目というものがございますわよ」
「紫苑お義姉さま・・・」
無言のまま、何度と無くため息をついてる瑞穂
「どうなさいまして?ため息の分幸せが逃げていくとかもうしますわよ?」
「なんで・・ぼ・・・私まで振り袖を・・・」
「まあ、瑞穂ちゃんのぐちは、今に始まったことじゃないから」
落ち込みかけた瑞穂を見て
「瑞穂ちゃんも主賓の一人だから、正装しないといけないでしょ?まあ、お祖父様の遺言で押し通せばい
いからね。慶行おじさまも、養女縁組披露パーティなんてね。瑞穂ちゃん苦労が絶えないわね」
無言でうなづくと、なぜか涙目になり紫苑の胸に顔を埋める振りをする。
「まあ、紫苑さんが、幸せになってくれるのなら」
紫苑は瑞穂の髪の毛をなでながら
「ええ、私なりの幸せを手に入れてみせます。瑞穂さんたちに羨ましがられるぐらいの幸せを、いつの日
にか、きっと」
「そういえば、紫苑さんの婚約破棄って、なにもなかったの?」
ふと思い出したようなまりやの問いかけに、紫苑の胸から顔を上げた瑞穂は
「んーーないわけじゃないけど・・まあ、事前工作がうまくいったって事かな?厳島への十条家の負債は
利息分も含めて全額完済したから、少なくとも金銭面でつけ込まれることはないはず。それに、十条家と
共同で事業を興すことにしたみたいだから・・それが軌道に乗れば、うちからの融資もね」
 目の隅に僕たちを捜しているらしいスタッフを見つけると
「さて、紫苑お義姉さまのお披露目にいきますか」
瑞穂の声に、他の3人も立ち上がるとスタッフが近づいてきた。
93269:05/03/09 08:25:06 ID:Xyb3+w0E
時間がなくて昨日の内に投下できませんでした。
大晦日編第3部投下します。
94269:05/03/09 08:25:47 ID:Xyb3+w0E
大晦日編第3部

「ああ、十条さん。ちょっと良いかな…?」
「あ、はい…」
あの後しばらくの間、小父様と瑞穂さんの学院生活についての話をして
いた。時折、瑞穂さんが落ち込んだり、真っ赤になったりするのがとて
も可愛いらしくて、面白くて、あっという間に時間が過ぎていった。
そろそろ場所を変えようか、となって応接間をお暇しようとしたところ、
小父様に呼び止められた。
「…なんでしょう?」
「ここでは、ちょっとな。」
こちらに、と云って歩き出す。
「?」
良くわからないが内密の話があることはわかる。思い当たるのは…瑞
穂さんの正体のこと…?
「どうぞ、お入りなさい」
連れて来られたのは書斎のようだ。中ほどにある対面式のソファーに着席を
促される。
「…失礼します」
私が座るのを見ると、小父様も向かい側に座る。
…楓さんが二人分の紅茶を運んできた。
軽く会釈をすると、楓さんは目礼し部屋を出た。
95269:05/03/09 08:26:55 ID:Xyb3+w0E
…バタン。
「…十条さん」
楓さんが部屋を出てからきっかり二秒後。
「…はい」
先ほどまでの浮かれたような表情とは打って変わって真剣な顔をしているの
を見ると、自然と居住まいを正してしまう。
「ああ、そんなにかしこまらないで欲しい。…話というのはな、…まず瑞穂
のことなのだ」
やはり、と思う。…でも、私が瑞穂さんが男であるとわかっていることは、
既に耳に入っているはず……?
「とはいえ、何から話せば良いものやら…。…ふむ、とりあえず正式に自
己紹介しておこうか…。わしは…鏑木慶行、と申す」
「か…ぶら…ぎ……えっ!!」
…かぶらぎ?…宮小路、では無く?
混乱しかける頭を懸命に動かす。思い当たることは……。
「!!……鏑木って、まさか?!」
「さよう。宮小路はあれの母方の旧姓でな。正式には鏑木瑞穂と云う」
一口紅茶を啜る。
「そして、お察しの通り俗に云うところの鏑木グループを束ねる男と、そ
の跡取りということになる」
「瑞穂さん…が?」
確かに合点がいくことではある。何故、女学院に男性が在籍できたのか。
創立者の血族なら有り得ない事ではない。何故、あれほどまでに完璧な
立ち居振る舞いをこなすのか。幼少の頃より、そうなるべく躾けられた
からに違いない。私は、疑う気にもならなかった。
「……お話はわかりました。が、何故私に…?」
そんなことを話すのか、と続けようとしたが重なる言葉がそれを打ち消
した。
96269:05/03/09 08:27:54 ID:Xyb3+w0E
「厳島、という名はご存知か…?」
顔色が変わったのが自分でもはっきりとわかる。……厳島。
「ことの真偽を確かめてから、と思っておったのだが……。間違いでは
なさそうだな…」
「……どういう意味ですか」
感情のない声。
「厳島の奴が、華族の門地欲しさに悪さをしている。と耳にしてな」
「?!…何故、それを…?」
何故この人がそんなことを知っているの?瑞穂さんにすら打ち明けては
いないのに…。
「厳島とわしらはな、まあ、有り体に云えばライバル関係にあってな。
互いに関する情報はかなりアンテナを伸ばしておるのだ。その中に今の
話があってな、十条家のこともそこで初めて知った。…ところがどうだ、
恵泉女学院に入った瑞穂から来た手紙に十条の名と厳島の名が書かれて
いるではないか。そうなるとどうしても気になってしまってな。さらに
詳しく調べさせていたのだよ」
「…そうですか。それにしても、貴方にとって十条家はなんら意味も持
たない筈。なのに何故…?」
「まあ、確かに鏑木グループ、としてはそうかもしれん。だが…」
「?」
「鏑木瑞穂の父親としては、そうもいかん」
「?…何故……ですか?」
「瑞穂の手紙の中身…だよ。十条紫苑さん、あなたの名前がどれほど書
かれていたか、俄かにはわからないほど書かれていたよ。…紫苑さんが
この時どう云ってくれたか。とか、紫苑さんとこういう話をした。とか
…ね」
「瑞穂さん……」
「瑞穂が貴女のことをどれだけ頼りにしているのか、どれだけ大切に思
っているのか、わからないほど世事に疎くはないのでね」
……瑞穂…さん。
97269:05/03/09 08:28:34 ID:Xyb3+w0E
「そこで、話の本題になるのだが…」
「はい…」
云われなくてもわかる…気がする。いや、思った通りであって欲しい…。
「貴女の厳島への輿入れを断念して貰いたい。いや、妨害させて欲しい。
十条の家はわしが責任を持って守るし、貴女自身も……」
「…ぅ……ぅぅ……」
…最後まで言葉を聴くことが出来なかった。…涙が…溢れて止まらない。
こんな、奇跡みたいなことが起こるなんて……。
「…もう、私には…未…来なん…てな…いもの……と……」
言葉を紡ぐこともできない。口から出るのは嗚咽ばかり。
……どのくらい経ったのだろうか。ようやく落ち着いてきた私は置かれた
まま冷え切った紅茶を一口啜る。
「本当に、宜しいのですか……?」
確かめなければならない。でも……。
怖かった…。無かったことにされるのではないかと、…ただ怖かった。
小父様は優しい笑顔を浮かべて云った。
「任せておきなさい。親御さんの方にも、厳島の方にもしっかりと話をつ
けるから。……辛かっただろうが、もう我慢しなくても良いのだよ」
ああ……!
泣きそうになるのを懸命に堪えながら、立ち上がり、
「……ありがとうございます」
素直な気持ちで何度も何度も頭を下げ続けた。
ありがとうございます、小父様。
そして……。
……ありがとう、瑞穂さん。
目の端に涙が溜まるのを感じた……。
98269:05/03/09 08:29:36 ID:Xyb3+w0E
「瑞穂さま」
部屋に戻り、奏ちゃんと話をしていたら楓さんがやってきた。
「どうぞ」
扉が開き隙間から顔…が?
「やっほ〜!元気してたかな?み・ず・ほ・ちゃん!!」
「わわっ!ま、まりや?!」
「ま、まりやお姉さま?!」
なんでまりやがここに?
「んじゃ、しっつれいしま〜す」
驚いている僕たちを気にしないんだね…まりや。
「おっ!奏ちゃん元気してたかな〜?!」
「は、はい。奏は元気なのです」
いきなりのご登場に呆気に取られているとまりやは部屋を見回しだした。
…いけないっ!
「相変わらず、女の子〜ってへやだよね、瑞穂ちゃんの部屋は」
「えっ、う、うん」
ああ、大体のことは楓さんから聞いているのか…。慌てて損した。
「あれっ?紫苑様は?楓さんに紫苑様も来てるって聞いたんだけど」
「えっと、紫苑お姉さまは、瑞穂お姉さまのお父様とお話してるのですよ〜」
小父様と?と問い掛けながらベットに腰掛けるまりや。
「ええ、お父様がなにか話しがあるとかで…」
事前にお父様から話しは聞いている。貴子さんの実家と紫苑さんの実家での
ことだ。…でも、紫苑さんにとっては誰にも知られたくないことだろう。だ
から僕も知らない振りをすることにした。
「ふ〜ん、ま、いっか。」
…軽いね、まりや。
99269:05/03/09 08:30:16 ID:Xyb3+w0E
「それはともかく、なんでここにいるの?…まりや」
「遊びに来たから、ここにいる。アンダスタン…?」
「うわ、発音悪すぎ…」
カタカナ英語のお手本みたいだ…。
「いちいち細かい!良いじゃない意味がわかれば」
「ま、いいけど…ね」
くすり、と奏ちゃんが笑う
「本当にお二人は仲がお宜しいのですね〜」
奏ちゃんの言葉に思わず顔を見合わせた僕たちはそのまま笑い出してしまった。
「あらあら、随分と賑やかですね」
「紫苑お姉さま、お帰りなさいなのですよ〜」
「紫苑様、お久しぶりです」
部屋に入って来た紫苑さん他の人には気が付かないほど、さり気なく僕に視線
を送ってきた。
どうやら上手くいったみたいだ……。…良かった。
「まあ、まりやさん。どうしてこちらに…?お話ではお正月に遊びに来るとの
ことでしたが…。今日は大晦日ですよ?」
「いや、家にいても面白くいってゆーか、その…」
頭を掻きながらボソボソと言い訳を始めるまりや。
「大人数の方が、楽しいことは間違いないですけれど」
「にゃはは〜。流石は紫苑様。よくわかってらっしゃいますな〜」
わが意を得たりとばかりに勢い付くまりや。
100269:05/03/09 08:31:20 ID:Xyb3+w0E
「あら、でもこのこととまりやさんがフライング為さったこととは全くの別問
題でしてよ……?」
「そんな〜。紫苑様〜」
「ふふふっ、冗談ですわ。まりやさん」
余程嬉しかったんだな、紫苑さん。なんか生き生きしてる。
「やっぱり、まりやお姉さまがいるととても賑やかになるのですよ〜」
「とほほ〜。こんな賑やかさは嬉しくない〜」
まりやの大げさな嘆きっぷりに笑いが起こる。
僕も笑いながら、ふと紫苑さんを見ると、目の端に涙が光っていた……。


つづく
101269:05/03/09 08:35:30 ID:Xyb3+w0E
大晦日編第3部投下終了しました。
次回は微エロを含みます。
ただ、原稿用紙換算で11枚〜12枚位になってしまいました。
出来たら、今日中に投下します。
では。
102名無しさん@ピンキー:05/03/09 10:54:47 ID:GWxnftRn
PCが逝って資料用セーブデータと書きかけSSの大部分がお亡くなりに……
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;      ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;        ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;         ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;     _,.'⌒  ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;    '´  `ヽ  ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;   . /  j ))ソ    ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;    / / / /ノ      ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;   ノノノノj{_)       ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;   ´θ^θン)u        ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;

メインで使ってるISPは公開串登録IP割り当てられるしもう散々ですわ。
103名無しさん@ピンキー:05/03/09 13:41:19 ID:psJem6z9
>>94-100
GJ!そして次回は
  _  ∩
( ゚∀゚)彡 微エロ!微エロ!
 ⊂彡

それにしてもかっこいい親父さんって初めて見たような…?(w


>>102
イ` そしてめげずに書き直して投下するんだ!
がんがれ!

ついでに一度PCを再起動するとIPが変わって登録IPを免れるときもある。
104269:05/03/09 13:53:28 ID:Xyb3+w0E
さて、
大晦日編第4部投下します。

微エロを含みます。好みでない方はスルーして下さい。
105269:05/03/09 13:54:03 ID:Xyb3+w0E
大晦日編第4部


あの後、お父様を交えての夕食を取り、再び僕の…というか、お母様の部屋に
戻ってきた。
お父様も突然まりやが来たのには驚いていたけれど、『…まあ、相手はまりや
だから……』と僕が云った一言で納得してしまった。…それでいいの?父様…。
食後のお茶を楽しみながら、皆で部屋でまったりと過ごしていると、
コン、コン。
「あ、はい」
「瑞穂様。お風呂の準備が整っておりますが……」
「ありがとう、楓さん」
扉越しに用件を済ます。
「お、瑞穂ちゃん家のお風呂かぁ…。ちょうど一年振りだね」
「え?…ああ、そうね。去年も大晦日にいきなり押しかけて来たわよね…?」
「…押しかけてって、なんか人聞き悪くない?それ」
「ふふふっ、今日の様子を見る限りでは、決して間違った表現ではないのでは
ないか…と思えます」
ね、っと奏ちゃんに悪戯めいた視線を送る紫苑さん。
「え、ええっと……」
急に話を振られて奏ちゃんは慌てている。
「ああ〜!!奏ちゃんまで、そんな目であたしを見ていたなんて!」
大げさに天を仰ぎ嘆くまりや。
「あう〜、奏、そんなつもりは……」
奏ちゃんは、まりやの演技を間に受けておろおろしてしまう。
106269:05/03/09 13:54:52 ID:Xyb3+w0E
「ふふっ、その位にしておきなさいよ、まりや。奏ちゃんが困ってしまっている
わよ」
「おっと、調子に乗りすぎたか…?ごめんごめん。冗談よ、冗談」
にはは、と笑って誤魔化すまりや。
「まりやお姉さま、意地悪なのですよ〜」
頬を膨らませて抗議する奏ちゃん。……実に可愛らしい。
「あらあら。いけませんよ、そんな膨れっ面をしていては。……ふふふっ、それ
にしても奏ちゃんはほんとに可愛いですわね」
云ってふらふらと奏ちゃんに歩み寄る紫苑さん。
ムギュ。
「ん〜〜?!」
奏ちゃんは紫苑さんの胸に顔を圧迫され、ジタバタともがいている。
「…あれって、なんていうか…拷問…?」
「……」
まりやの呟きに答えることが出来なかった。
107269:05/03/09 13:55:37 ID:Xyb3+w0E
「さ〜て、それじゃ、お風呂頂きますか!」
やおら立ち上がり声を上げるまりや。
「…なんでそんなに気合入っているの?…まりや」
「でも、元気が良いのはまりやお姉さまらしくて良いと思うのですよ〜」
「そうですわね。元気の無いまりやさんは、まりやさんではありませんわ」
僕の言葉に奏ちゃんが反応、次いで紫苑さんが話を締める。
「にゃはは…。いや、瑞穂ちゃんの家のお風呂ってさ。…楽しいじゃない」
「楽しい…のですか?」
首を傾げて奏ちゃんが口にする。
「ええ、そりゃあもう!」
本当に楽しそうな顔をしてるね…まりや。でも、そんなに楽しいものかな?
贅沢なことが嫌いなお父様が、唯一こだわったのがお風呂に関してだった。
疲れはその日の内に落とさなければならない、とか云って。
「ふわ〜〜。なんだか凄く楽しみになってきたのですよ〜」
奏ちゃんも楽しそうな笑顔を見せている。
「ふふっ…。それでは二人で行ってらっしゃい。三人とか四人では流石に狭
すぎますから」
「ん〜。じゃあお言葉に甘えて。奏ちゃん、一緒に入ろう」
「は、はいなのです…」
まりやに返事を返しながら、こちらにちらりと視線を寄越す。
……ごめんね。僕は一緒には入れないから……。
「ごゆっくりどうぞ」
視線には気付かない振りをして笑顔で二人を送り出した。

108269:05/03/09 13:56:50 ID:Xyb3+w0E
「…瑞穂さん」
二人が部屋を出て行くと紫苑さんが話し掛けてきた。
「はい」
「私、瑞穂さんにお願いがあるのです。…聞いて頂けますか?」
「ええ、私に出来る事でしたら…」
…なんだろう?
「じ、実は…」
「?」
顔を赤く染め、一度視線を落としてから、上目遣いに僕を見ると
「…み、瑞穂さんの……そ、その」
「?」
こ、こんな紫苑さん、初めてかも…。…その、凄く……可愛い。
「み、瑞穂さんの…お部屋を…拝見したい…の……です」
「僕の…部屋ですか?ええ、構いませんが」
「あ、ありがとう…ござい…ます」
ぷしゅ〜〜!
「し、紫苑さん?!」
云い終わると、紫苑さんはそれこそ、爪先から頭のてっぺんまで真っ赤になって
しまった。…あ。……なんか、頭から湯気が出ている……ような?
「どうなさったんですか?!」
「わ、私は大丈夫ですから、その…お気になさらずに」
「?…そうですか?まあ、紫苑さんがそう仰るなら…」
??…どうしたんだろう、紫苑さん。
109269:05/03/09 13:57:46 ID:Xyb3+w0E

「ここが僕の部屋です」
瑞穂さんに連れられて、先ほどの部屋と一番離れたところにある部屋に来た。
「…ここが」
どきどきと胸が高鳴っているのがわかる。
「はい。…どうぞ」
瑞穂さんが先導する形で部屋に入る。部屋に入ると私は後ろ手に扉を閉め、
鍵を掛けた。…気付かれたかしら?
「あはは、自分の部屋を見られるのって、なんだか照れくさいですね」
大丈夫だった。
「あら、思ったよりも…」
もっと武骨な感じの部屋を想像していたのに…。
「殺風景な部屋でしょ?」
ベットの端に腰を下ろしながら瑞穂さんは云う。
壁にもポスターの一枚もなく、必要最低限のものしか置いていない。生活感
があまりしないのは何故だろう。
「ええ、そうですわね。もっとごちゃごちゃと物が置いてあるのかと思って
いました」
「ああ、適当にお掛けになって下さい。あ、今、楓さんにお茶を…」


110269:05/03/09 13:58:23 ID:Xyb3+w0E
瑞穂さんがベットから立ち上がろうとしたその瞬間、
「瑞穂さん!」
思うよりも先に体が動いていた。瑞穂さんに体を投げ出す格好でしな垂れか
かる。
「わ、紫苑さん?!」
ドサッ。
私を支えきれなかった瑞穂さんはそのままベットに崩れ落ち、その上に覆い
かぶさるように私も倒れ込む。
「ど、どうしたんですか?紫苑さ……ん…」
驚きの声を上げる瑞穂さんの唇を、唇で塞ぐ。
「?!」
目を丸く見開く瑞穂さん。
私は両の手で瑞穂さんの頭を抱え込むと、唇を求め続けた。
「…ん………んん……」
…こう、かしら?
瑞穂さんを求めて舌を伸ばす。催促するように唇をノックすると、おずおず
と瑞穂さんが迎えてくれた。
…男性経験の全く無い私は、以前に何かの雑誌に書かれていたことを思い出
しながら瑞穂さんを求めた。
「…ん………ん…ん……ぁ……ぅ…」
「…ん……んん……ぅん……」
互いの舌が絡み合い、吐息が漏れる。
右手を瑞穂さんの頭から離し、そのまま下半身に潜り込ませる。
111269:05/03/09 13:59:09 ID:Xyb3+w0E
「!…ん?!」
ぴくり、と瑞穂さんが腰を浮かす。
「…ん………んん……」
唇を重ねたまま、右手で男性の部分を擦り続ける。
「…んん!…ぁ……」
そこは、服の上からでもはっきりと形が分かるくらいに硬く、熱くなって
いた。唇を押し付ける形で瑞穂さんを押さえ、両手でベルトを外す。
「?!」
困惑しているのだろうか。瑞穂さんは、一瞬ぴくりと体を動かすものの、
抵抗をしない。そのまま、一気にズボンと下着をずり下ろす。
瑞穂さんの屹立が元気良く飛び出してきた。その屹立を右手で握る。
…熱い
ドクン、ドクン。
脈打つ感触が、今が現実であるということを思い起こさせる。
こんな私を…嫌わないで下さい、瑞穂さん……。
「…ぷはっ」
唇を離すと、そのまま握った屹立に顔を寄せる。
「…ちょっ」
瑞穂さんが声を発するよりも早く、チロチロと屹立に舌を這わす。
112269:05/03/09 14:00:11 ID:Xyb3+w0E
「し、紫苑…さん?!」
初めて目にする男性の象徴…少しグロテスクで気持ち悪いけど、これ
が瑞穂さんの一部だと思うと愛しい感じがする。
「…気持ちいいですか?」
先端から根元まで丹念に舌を這わせながら云う。
「う、うん……ぁ…」
戸惑いながらも答える瑞穂さん。
「ふふっ、…良かった」
私が動く度に瑞穂さんが、ぴくっ、と反応してくれる。
「…んぐ……ん…」
「ふあぁあぁぁ!」
先端から屹立を咥えると瑞穂さんが嬌声を上げる。
……女の子みたいな可愛い声を出すのね。……もっと、
「…んぐ…んぐ…んぐ…んぐ…」
「あ!……ぁあ……くぅ………あん!」
咥えたまま顔を上下させる。顔を紅潮させてやはり可愛い声をあげ
る瑞穂さん。
「…んぐ…んぐ…ちゅ…んぐ…じゅぽ……んぐ…」
「……くぅぅ…し…紫…苑……さん」
腰をぴくぴくと引きつかせながら、瑞穂さんが声をあげる。
「?」
咥えたままの状態で瑞穂さんに上目遣いの視線を送る、と。
「あぁぁぁあぁあ!!!」
「?!」
ドクッドクッ。
「ん?…んん〜〜??!!!」
瑞穂さんの屹立から熱いものが私の口に飛び出してきた。
…せい…え…き?
113269:05/03/09 14:00:50 ID:Xyb3+w0E
「…ん…んん…」
コク、コク。
生臭い強烈な匂いが鼻に付く。
…これが、瑞穂さんの本当の匂いなのね。
「ちゅ…んちゅ……」
屹立に付いた精液を全て嘗め尽くすと、世界が暗くなるのを感じた……。


「し、紫苑さん?!」
慌てて下着とズボンを履きなおすと、気絶してしまった紫苑さんに近付
く。
…それにしても、何が起こったのか良く分からなかった。突然紫苑さん
が倒れたと思ったたら、僕に圧し掛かってきて、キスをされて、挙句に
フェ…フェ……フェラチオまでされて…。僕が果ててしまったのとほぼ
同時に、紫苑さんが気を失ってしまった。
「紫苑さん?!しっかりして下さい」
肩を抱き上げ軽く揺すってみる。
「…ん……」
「紫苑さん…」
紫苑さんがゆっくりと目を開く
「…み…瑞穂…さん……?…わた…くし……?………ぁぁ!!」
「し、紫苑さん」
「私、わた…く…し……」
ぷしゅ〜!
紫苑さんは、爪先から頭のてっぺんまで真っ赤になってしまった。
ぷしゅ〜!
そんな紫苑さんを見て、先ほどのことを思い出してしまった僕も全身が
赤くなっていくのを感じた。
「……」
「……」
お互いに顔を赤く染め、無言で見詰め合う。
114269:05/03/09 14:03:48 ID:Xyb3+w0E
「……」
「……」
見詰め合う
「……」
「……」
見詰め……
だぁぁぁ!!
「し、紫苑さん」
声が上擦ってしまった。
「は、はい」
こちらも上擦っている。
「…説明して……下さいませんか?」
「……はい」


「…つまり、趣旨としては…恩返し。ということなのですか…?」
「…はい」
十条家の名跡を守る為に、紫苑さんは厳島家に嫁ぐこととなっていた。それが
お父様の好意によって、十条家も紫苑さん自身も守られることとなった。お父
様が助ける気になった一番の要因が、僕の書いた手紙にあった。だから、その
恩返しを、ということらしい。
「で、でも、恩返しなら別にあんなことを…」
「…瑞穂さんは、その…お嫌……でしたか?」
しゅん、とした紫苑さんが俯いたまま視線だけを上げて云う。
115269:05/03/09 14:04:18 ID:Xyb3+w0E
「いや、…その……」
返す言葉が…ない。
「ふふふっ、他の方法も考えないでもなかったのですが…」
「ですが…?」
少しだけ舌を出してはにかむ紫苑さん。
「私が瑞穂さんと特別な関係になりたかったのも事実ですから」
「紫苑さん…」
…紫苑さん……可愛い。
「私、後悔なんてしていませんわ…だって…」
「?」
小悪魔みたいな笑みを浮かべる紫苑さん。
「瑞穂さんの可愛らしい嬌声を聞けましたし」
「!」
「あ!……ぁあ……くぅ………あん!」
僕の真似…なのだろうか?身をくねらせて嬌声を上げる紫苑さん
かぁぁ!
恥ずかしい…でも、あん!なんて断じて云って……?


116名無しさん@ピンキー:05/03/09 14:04:34 ID:7O8JI4I6
>269氏
Good Job!!このシリーズ、楽しませてもらっております。
次も期待しております。

<<上空のSS職人各氏、構わないから全弾ここに落としてくれ!>>
117269:05/03/09 14:04:49 ID:Xyb3+w0E


orz   「あ!……ぁあ……くぅ………あん!」


…云ってた。男なのに…男として声を出してた筈なのに……。
「あら?落ち込まないで下さい。とても愛らしいお声でしたのに……」

…もう、今度こそ駄目だ。立ち直れない……。

「まあ、それはともかく」
「?」
紫苑さんの声で我に返る。
「今後とも、宜しくお願いしますね?瑞穂さん!」
「…はい。こちらこそ」

…僕が、この時の紫苑さんの言葉の、本当の意味を知るのは大分後ので
ことあった。


つづく


118269:05/03/09 14:06:12 ID:Xyb3+w0E
大晦日第4部投下終了です。
エロは難しい!
の一言です。
紫苑さんの思惑は次回に持ち越しです。
では。
119116:05/03/09 14:15:04 ID:7O8JI4I6
やっちまった・・・正直スマンカッタ・・・吊ってくる
120名無しさん@ピンキー:05/03/09 14:37:31 ID:psJem6z9
>>105-117
うわっ、もう次が来てた!
紫苑さんエロいよGJだよ
続きも期待しております。
121名無しさん@ピンキー:05/03/09 14:40:29 ID:6W2TtjGk
なんかもうここのSS読んでてありもしないCGやらボイスやら脳内で克明に再現されるあたりもうダメポ_| ̄|○
122名無しさん@ピンキー:05/03/09 14:47:15 ID:+RJEJBPF
神スレの予感
123名無しさん@ピンキー:05/03/09 15:03:54 ID:psJem6z9
>>121
むしろ誇れ
124名無しさん@ピンキー:05/03/09 15:17:56 ID:hyrxnZSF
>>121
むしろ羨ましいぞ!
そう考えるようになった漏れの方がダメポ_| ̄|○
125名無しさん@ピンキー:05/03/09 15:23:53 ID:vuwr1emW
>>124
仕事そっちのけでまとめサイト(ローカル版)作って
満足している私が一番ダメな気がする…_| ̄|○
126名無しさん@ピンキー:05/03/09 15:32:16 ID:Z8lMd6CZ
そんな事言ったら脳内再生しながらストーリーエディタに向かってる俺なんて……
127名無しさん@ピンキー:05/03/09 15:46:48 ID:psJem6z9
ここはとても自虐者の集うインターネッツですね。
128名無しさん@ピンキー:05/03/09 16:06:58 ID:KGXSmEKD
ここのSS読んでたらおとボク欲しくなってきた。
体験版はプレイ済なんだけどもう一押しほしかったんだよね。
129269:05/03/09 16:10:17 ID:Xyb3+w0E
私なんか画像、音声、BGM妄想しまくりで書いてますし。
気にしないことにしましょう。

あ〜、いいかげん慣れないと、精神衛生上良くないと思うよ?
Byまりや
130名無しさん@ピンキー:05/03/09 16:27:14 ID:m0557xEj
「親父、いい仕事してます」
131名無しさん@ピンキー:05/03/09 16:36:46 ID:/XU5ZIB9
 121様,僕ももう脳内でBGMと新CGとボイス再生されてますよ.
 さぁ,また最初からプレイしますか.
132名無しさん@ピンキー:05/03/09 16:51:38 ID:UDZ1EcPV
物を書くとは脳内のイメージを文字に変換する作業だから気にしちゃいけない。
むしろ鮮明なイメージを持てないとディティールが曖昧になってリアリティの欠如を招くのさ。
133名無しさん@ピンキー:05/03/09 17:08:13 ID:+RJEJBPF
皆(含、Me)が感動に浸ってる中、それをぶち壊すようで申し訳ないんだけど。
ここってコレ系↓のハードエロ系でも大丈夫?

----
例の男達に秘密を知られた瑞穂は、それをネタに脅される。
「今日の夜、制服姿でXXX公園のトイレまで来い」と。

そこが有名なハッテン場である事など瑞穂は知る由も無い。

こうして瑞穂の、女装精液便器としての地獄の日々が始まった。

両手を縛られて公園のトイレに放置されての輪姦地獄
満員電車内でのアナルセックス&フェラチオ強要
人ごみの中での露出調教

やがて、男が男に犯されるという狂気の中で瑞穂も次第に壊れ始める。

そして卒業式当日。瑞穂は前日にある命令を受けていた。
答辞を述べる為に壇上に上がった瑞穂は、ゆっくりとスカートのすそを
捲り上げながら言うのだった。
「今日は皆様にお伝えしたい事があります・・・」
----

ちなみに、基本的には男と犬しか出てきません。
134名無しさん@ピンキー:05/03/09 17:38:36 ID:f0fEncAk
個人的にはやめて欲しい
135名無しさん@ピンキー:05/03/09 17:55:45 ID:KGXSmEKD
ヤダヤダヤダ〜。ハードはイヤ〜。幸せほのぼのがいいの…。
136名無しさん@ピンキー:05/03/09 17:55:57 ID:vU52oluK
呼んで見たい気はするが
このスレの雰囲気には合わないと思うな

別なところへアップして
読みたい人だけが見るようにすればいいと思うのだが
137名無しさん@ピンキー:05/03/09 17:58:24 ID:xmfsCpvU
>>136
同意、自分は激しく読みたい
138名無しさん@ピンキー:05/03/09 17:58:40 ID:2lDNHxLD
あらかじめNGワード残すのも手
139名無しさん@ピンキー:05/03/09 17:59:02 ID:c0A1i2Mz
見たくない人はスルーすればいいだけじゃないか?
投下は歓迎する
名前やメルランに注意書きがあれば問題ないと思うがな
140前スレ550:05/03/09 18:08:08 ID:lg4JZpjt
貴子ED ほぼ1年後、春直前。貴子家出済み。貴子視点
タイトル:幼馴染
土曜日の昼下がり。事実上自宅になっている鏑木の家に私は一人でお留守番。
瑞穂さんは昼食を食べて、自動車学校へ行ってしまった。本当は私も一緒に行きたかったのに・・・
「はぁ・・・」大きな溜息を一つこぼしてしまう。
ピンポーン、ピポンピポンピンピンピンポーン
せわしない呼び鈴の音・・・寒いし、どうせセールスか勧誘なので無視する事にする。
呼び鈴の音が消えた。諦めて帰ったみたいですわね。
ドタドタドタドタ・・・セールスかと思ったら、強盗だったみたい。
「こらぁ!貴子、いるんなら出てきなさいよ!」
強盗のほうがマシですわね・・・まりやさん。

ラフなパンツルックで仁王立ちになってるまりやさんを、私はコタツに寝転がって下から見上げる。
「何の御用ですか?瑞穂さんならお留守ですわよ・・・」
「なぁに?孝子、瑞穂ちゃんに置いてきぼり食らって、すねてんの?」
体を起こして座りなおす。
「瑞穂さんは自動車学校です」
まりやさんは寒い寒いと言いながら、私の対面に座ってコタツに入る。寒いんならいらっしゃらなくても良いのに・・・
「あんたは?」
うっ・・・嫌な事を聞きやがりますわね?この方は
「わ・・・私は瑞穂さんの助手席と言う指定席がありますから・・・」
その答えを聞いて、まりやさんが、にやぁと嫌な笑顔を浮かべる
「お金がないんでしょ?この家出娘」
うぐっ・・・思わずうつむいてしまう私。
「どうせ、家を出るときに『あなた方に援助してもらう必要はありません!』とかって、啖呵を切って出てきたんでしょ?」
うぐっうぐっ・・・ご丁寧に私の口調まで真似て・・・って言うか、私、そこまで高圧的にはしゃべりません。大体あってますけど・・・
「アルバイトしたお金も、いくらかは瑞穂ちゃんに渡してんでしょ?『生活の面倒を見てもらうために来たわけではございません』とかって、もう、意地っ張り♪」
コタツ越しに手を伸ばして、私のほっぺをぷにぷにとする。
(1/6)
141前スレ550:05/03/09 18:10:14 ID:lg4JZpjt
「瑞穂さんから聞いたんですか?」
「だから、前にも言ったでしょ?あんたの事なんて大体判るって」
楽しそうに笑うまりやさん・・・瑞穂さんが常々「まりやは一番の友人だけど、一番の天敵」と言うのが良く判ります。
「で、自由になるお金の大部分は服とかに消えちゃう・・・と。小父様と瑞穂ちゃん二人じゃ、生理用品もないものねぇ〜」
うっ・・・どうして女物の服って何もかも高いんでしょう?瑞穂さんの下着なんて3枚1000円なのに・・・
「で・・・そんな私を笑いに来たのですか?ずいぶんとお暇なのですね。御門のお嬢様は」
せめてもの反撃・・・じゅうたん爆撃食らった後に豆鉄砲で打ち返すようなものですけど・・・
「パジャマの上からどてらを着て、おコタでふてくされてる厳島のお嬢様ほどじゃないわよ」
豆鉄砲部隊は御門軍のスナイパーに銃殺されてしまった。
「まあ、お互い暇なんだし、ドライブ行かない?私も免許取ったのよん♪」
と言って真新しい運転免許を見せ付けてくる。日付は・・・半年ほど前。
「大丈夫・・・なんでしょうね?」
「大丈夫!まだ、無事故無違反だから」
「でしたら・・・少しだけですよ?」
暇なのは事実ですし、このままおコタでふてくされてても良い事は何一つおきそうにないし・・・
立ち上がって、すでに7割が私の服で占領されているクローゼットを開く。まあ、相手がまりやさんですし、そんなにおしゃれする必要はありませんよね。
「あんたねぇ・・・お金ないんだから、そんなに服を買うの止めなさいよ」
「夏物を片付けてないだけです」
クローゼットを覗き込んできたまりやさんが、ちょっとあきれたような声を出す。
「そうそう、家に袖を通してない服があるんだけど・・・格安で買わない?私より貴子の方が絶対似合うわよ」
そういえば、奏さんがまりやさんからたくさん服を貰ったとか言ってましたわね・・・って、売る気ですか?貴女は。
まりやさんに合わせるようにラフなトレーナーとジーパンを取り出しながら・・・どう言い返してやろうかと考えていると・・・
「私は別にただでもいいんだけど、貴子が嫌がるでしょ?私からのほどこしなんて」
くっ、的確に退路を遮断する御門軍。やっぱり、天敵だ。
「冗談よ、今度持ってきてあげるわ。貴子の悔しそうな顔を堪能できたしね」
「素直にありがとうと言っておきますわ」
(2/6)
142前スレ550:05/03/09 18:10:55 ID:lg4JZpjt

「判ればよろしい」
と言ってまりやさんが微笑むのがクローゼットの鏡越しに見えた。はぁ・・・なんか、意地を張ってるのが馬鹿らしくなる。
どてらと寝巻きを脱いで、代わりにトレーナーとジーパンを履く。髪をブラシで整えて・・・と。クローゼットの鏡にゴミ箱をあさる彼女の姿が・・・そ、そこはっ!?
「おさかんですにゃ〜鏑木夫妻は」
あわわわわ!!!あたふたあたふた・・・全ては遅かった・・・
彼女の指先には昨夜使った避妊具・・・
「うーん、瑞穂ちゃんも大人の階段を上ってるのねぇ」
自分の顔が真っ赤になってくるのがわかる。卒倒しちゃいそう。
「何をしてるんですか!!」
あわててゴム製のそれをまりやさんの手から奪い取り、ゴミ箱に投げ込む。ぜえぜえ・・・
「恥ずかしがる事ないじゃないのぉ〜一緒に住んでるんだし、小父様はほとんど帰ってこないし」
どんどん顔が熱くなってくる。でも、ここで卒倒したら、してる間に何をされるかわかったものじゃない。
「もう、行きますわよ!ほら、早く!!」
本当はお化粧も少しくらいしたかったのですけど・・・今は、一秒でも早く彼女をここから追い出さなくては・・・
「あぁん、もう〜もうちょっと、鏑木夫妻の秘密を暴きたかったのに♪」
暴かれてたまりますかっ!
でも・・・鏑木夫妻・・・あぁ、良い響き。頬が緩んじゃう・・・

鏑木家の前の路上、そこに止まっている一台の車。車種は良く判りませんが、丸っこい形が女性に人気の小型普通車・・・だと思う。
だと思う、としかいえないのは、その丸っこい可愛いボディがところどこひしゃげて、へこんで、地金の色が見えてしまっているから。所々・・・じゃないかも・・・
ちなみに電信柱と車のフロントが強烈なディープキスをして止まっている・・・
ゆかり車・・・そんな言葉が頭の中に浮かび上がってくる・・・もちろん上岡由佳里さんとは関係ない。
「わわわわわわわわ、私、急用を思い出しましたので!」
「まあまあ、逃げなくてもいいじゃない?貴子ちゃぁん」

(3/6)
143前スレ550:05/03/09 18:11:57 ID:lg4JZpjt

がっしりと後頭部がわしづかみにされる。いやぁ〜死ぬのはいやぁ〜
「無事故無違反じゃないのですか!」
「ちょっと壁に擦っただけよ〜警察を呼ぶような事故もしてないし、お巡りさんにつかまった事もないんだから」
「そんなことが言い訳になりますかっ!」
「紫苑さまも由佳里ももう乗ってくれないのよ!」
「そういう車に私を乗せる気ですか!」
ジタバタ。結局乗せられてしまう私・・・瑞穂さん、貴方の貴子はもう帰って来れないかもしれません。
「くれぐれも安全運転でお願いしますね!」
シートベルトを締めながら、まりやさんに強く念を押す。3点式のシートベルトってこんなに頼りないものなんですね。
「判ってるわよ〜。瑞穂ちゃんを未亡人にする気はないから」
男性のことを未亡人とは言いません。まりやさんは終始笑顔。その笑顔が信用できない。
「貴子と二人っきりでお出かけって始めてよね?付き合い長いのに」
「そうですわね・・・恵泉の幼等部の頃から、でしたわね」
懐かしい思い出・・・思い出すと・・・
「思い出すと腹が立ちますわ」
「そぉ?私は楽しい思い出だけど。何かにつけて先生よりも口うるさかったものねぇ・・・」
「恵泉の教師が言わなさ過ぎるのですよ」
車がゆっくりと走り始める。案外穏やかな運転・・・って!
「信号赤!!」
「あれ、そうだった?」
横の方でキキッキッキー!!と言う音が聞こえたような気がする。見るのが怖い。
「黄色だったわよ、貴子、目が悪くなったんじゃない?」
と、こちらを向いて笑っているまりやさん。前を向いてください。
「あっ、こんな所に新しいブティック。今度見てみなきゃ・・・」
「通り過ぎた建物を振り返ってみないで!!」
「本当に貴子ってうるさいわね・・・」
「そうそう、覚えてる?高等部2年の運動会。あの時の貴子の顔、凄かったわよねぇ〜」
と、こちらにむいて楽しそうに話しかけてくる。お願いだから、前を向いて・・・ね?

(4/6)
144前スレ550:05/03/09 18:12:35 ID:lg4JZpjt
そのまま車は1時間ほど走って、郊外の小さな山の天辺に到着した。
「い・・・生きてるって素晴らしい事だわ・・・」
「全く、おおげさねぇ〜」
「どこがですか・・・1時間が1年に感じましたわよ。私は・・・」
「んっ〜良い天気・・・肌寒いかとも思ったけど」
人の話を聞けよ、おい
山の上は小さな広場になっていて、心地よさそうな芝生が敷かれている。
まりやさんはその上に寝転がってしまった。
「芝生に上がってもよろしいのですか?」
「ホント、貴子って堅物よね・・・気持ちいいわよ?」
確かに・・・気持ちよさそう。
「それじゃ・・・少しだけ・・・」
まりやさんの隣に寝転がる。若草とお日様の香に包まれて・・・確かに気持ち良い。
空にはぽっかりと大きな雲が2つ3つ・・・春間際の太陽は柔らかな光を二人の上に降り注いでいる。
風がまだ少し冷たいのがマイナス点だけど・・・
「ねえ、貴子・・・瑞穂ちゃんとはうまくいってる?」
「もちろんですわよ」
「そっかぁ・・・私ね、昔っから瑞穂ちゃんの事、好きだったんだ」
「・・・」
145前スレ550:05/03/09 18:13:07 ID:lg4JZpjt
多分・・・そうだろうと思ってたから・・・何も言えなくて・・・ただ、浮かぶ雲だけを見ていた。
「気が付いてたんだ?」
「大体は・・・」
静かな沈黙、風だけが二人の髪と頬をなでていく・・・かすかに春の香がしたような気がした・・・
「人の幼馴染、取ったんだから、幸せにならなきゃ駄目だよ?貴子」
「はい」
まりやさんの目に涙が光ったように見えた。私の目にも涙がたまっているような気がしたから、何も言わない事にする。
「でも、幼馴染と言えば、私とまりやさんも幼馴染ですわね」
「そういえばそうよね、幼等部からもう15年の付き合いかぁ・・・」
芝生の上で二人見詰め合って笑いあう。口々に早く縁を切りたいとか、腐れ縁だと言い合う。
こういう関係も心地良いなと思ったけど、それを言うのは悔しいから言ってあげません。
「さて・・・帰ろうか?」
「ええ、では、私はタクシーを使いますから」
「逃げるな」
いやぁぁ、死ぬのはいやぁぁぁ!

夜の運転は昼間以上に危険が一杯でした・・・
「あっ、ライト、点けてなかった」

(おしまい)
146名無しさん@ピンキー:05/03/09 18:17:51 ID:MU/4Vhqs
ありといえばありなんだろうけど・・・・
個人的にはちょっと勘弁かな
しかし否定はしたくないので、「鬼畜陵辱専用スレ」あたりに
投下してこちらには「その手の趣味の人専用」とリンクだけ
張るのがよろしいかと思われますがどうでしょう?
147146:05/03/09 18:19:03 ID:MU/4Vhqs
うわぁ550の人まじごめんなさい

>>133の人宛ね
148前スレ550:05/03/09 18:20:00 ID:lg4JZpjt
>>146-147
いえいえ、そうだろうとは思ってましたから(w
149名無しさん@ピンキー:05/03/09 18:26:55 ID:MU/4Vhqs
>>148
そう言ってもらえると

面白かったです
ゆかり車ならぬまりや車ですかw
やぱしあの二人の関係はこんな感じw

ということは
「あ!貴子さんがもう瑞穂ちゃんの車に!」
なイベントも期待できるんですね
150名無しさん@ピンキー:05/03/09 18:42:43 ID:UmPWANww
>>133さん
 こっちのスレあたりに投下した方が、無難と思われるが。こちらには誘導だけですませたら?

女装空想小説 2
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1082387733/l50

強制女装少年エネマ調教 ネオネオ
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1075445118/l50
151名無しさん@ピンキー:05/03/09 18:48:04 ID:F201i84t
>>140-145
GJ
貴子とまりや 仲がいいのか悪いのか
わからん所が面白い。

>>140で 変換ミスあったよ(重箱の隅 つつくようでスマソ)
152前レス555:05/03/09 19:10:07 ID:aeexccSH
>>89
>GJ!
どうもです。

>>90
>流石未来の鏑木グループ総裁。
>まあ、女装してますが・・・。

ええ、瑞穂ちゃんも決めるときは決めます。
女装は・・・紫苑さんの幸せの代償?

>>91

>この辺の義理人情の篤さが、鏑木親子の最大の魅力なんだろうなー。

諸刃の剣になりかねないのですが・・・

感想がつきましたので、調子に乗って新作を書いています(^^;
153前スレ550:05/03/09 19:26:19 ID:lg4JZpjt
>>151
あっ・・・本当だ、ありがとう〜
×「なぁに?孝子、瑞穂ちゃんに置いてきぼり食らって、すねてんの?」
○「なぁに?貴子、瑞穂ちゃんに置いてきぼり食らって、すねてんの?」
ちょっと気が付かなかったよ
154名無しさん@ピンキー:05/03/09 20:10:01 ID:wzGwTlWZ
>>140-145
GJです。
前半のドタバタコメディーっぷりと後半のちょっとしんみりの対比がいいね。


最近読みながら脳内でCG、音楽、声が再生されつつある。
140-145氏の作品で貴子さんのorz画GETだぜ!
155名無しさん@ピンキー:05/03/09 21:18:20 ID:WZb/93HM
>>133
投下マダー?
ここに投下が難しかったらどっか他所でもいいからぜひ。

男達に脅迫されるのもいいが、瑞穂に惚れてるが他の娘エンドで結ばれなかったため思慕の余り壊れてしまった紫苑様に脅迫されるのもいいな…
156名無しさん@ピンキー:05/03/09 21:26:19 ID:H+oymgmI
OK、気持ちは分かるが空気読もうぜ。
このスレじゃ拒絶反応起こす人の方が多そうだし、>150のスレに投下してリンクだけってのが無難だろ。
うまく共存しないとな。
157名無しさん@ピンキー:05/03/09 21:33:09 ID:H+oymgmI
それで雰囲気が悪くなったり、スルーできない奴らが暴れてスレが荒れたりするのは本意じゃないだろ?
警告つきなのにわざわざ読みに言って文句つけるような香具師は阿呆だからどうでもいいとして。

それに、読みたくなければ2chブラウザのあぼーん機能使えばいいとはいえ、
会社や学校、ネットカフェとかで使えない奴もいるしな。
ついでに保管庫の中の人も扱いに困るんじゃないか?(w
158名無しさん@ピンキー:05/03/09 22:04:00 ID:Z8lMd6CZ
流れぶったぎって投下してもよかですか?

Another pair 第二話です。
一話から大分経ってしまったので、よければ一話の方も読んで頂くと、
ちょっと得した気分に……なれるかも?

前回までのお話。保管庫より失礼します。
ttp://www.type90.com/otome/ss/takako005.htm
159Another pair 第二話:05/03/09 22:05:07 ID:Z8lMd6CZ

二人並んで並木道を歩く。こんな事は初めてかもしれない。
交通手段の異なる私と紫苑さまは、すぐに別々の道を帰る事になる。
この並木道がもっと長ければいいのに。そんな思いが木霊する。
いけない、優しくされた後だからって、甘えてる。
かぶりを振って、気を取り直す。
それにしても、紫苑さまとこんなにお話をしたのは何年ぶりだろう。
今日はとても思い出に残る日になる気がした。
「ねえ、貴子さん」
「は、はい。何でしょうか、紫苑さま」
声が上ずってしまった。恥ずかしい。
「私、貴子さんのお話をただ聞く事しかできませんでしたけど、
 少しはお役に立てたでしょうか……?」
「勿論です。本当にありがとうございました。
 凄く……救われました」
飾りっ気のない本心。
私は、ちゃんと前に進める。
紫苑さまには、いくら感謝しても微塵も足りないような思いでいっぱいだ。
「そう、よかったわ。私でも貴子さんの力になれるのですね……」
「そんな……紫苑さまは、本当に凄い方です。本当に…本当に…」
気の利いた言葉なんて一つも出てこなかった。
それでも、紫苑さまは「ありがとう」と微笑んでくれた。
そこから先は、特に交わす言葉もなく、並んで歩を進めた。
何も言わなくても通じ合えるような関係では勿論ないけど、
無言の中に気まずさはあまり感じなかった。
でも、思い過ごしかもしれないけど、
紫苑さまは何か考え事をしているような、そんな表情にも見て取れた。
160アナペ第二話:05/03/09 22:06:27 ID:Z8lMd6CZ
明日以降、こんな風に紫苑さまと一緒にいられる事は、多分もうない。
今日だけ特別。私があんなだったから、特別。
だって、紫苑さまは……本当は私の顔なんて見たくないはず、
厳島の娘の顔など。
だからこそ、紫苑さまの優しさに、それに甘えてしまった自分に心が痛んだ。
本当、よくできたお方だ。こんな私でも放っておけないのだろうから。
「貴子さん、さっきの話ですけど……まだ、あなたには、何かあるのではないでしょうか?」
視線も変えず、歩調も変わらない、ただ前を見つめて歩き続けている紫苑さまが、唐突に口を開いた。
「何か…ですか」
「そうです、あなたの表情に見て取れた、羨望。
 それは瑞穂さんへの想いを語った時の激しさとはまた違う。静かに、深い思い」
まるで、私の心を代弁するかのように語る。
自分でもそれが当たっているのか、紫苑さまにその気にさせられているのか判らなくなってきた。
「まったく……、適いませんわ。あなたの洞察力でお節介をやかれては、
 全て丸裸にされてしまうようです」
161名無しさん@ピンキー:05/03/09 22:07:54 ID:Z8lMd6CZ
だからこそ、私は心に蓋をする。
気がつけば、分かれ道に差し掛かっていた。
「でも、ごめんなさい紫苑さま。これだけは言えないんです」
「どうしても……ですか?」
紫苑さまの顔が曇って見える。
私の事を心配して下さっている。本当にお優しい方。
でも、だからこそ、見抜かれるわけにはいかない。
「申し訳ありません、では失礼します。今日は本当にありがとうございました」
「あ……」
知らず、紫苑さまの手が伸びる。
「っ、失礼します!」
その手をかわすように深々と頭を下げる。結果、手を振り払うかのようになってしまった。
たまらず踵を返すと、早足で歩き始める。
結局、一度も振り返る事ができなかった。


だから、紫苑さまがその後どれくらいその場に立ち尽くしていたかなど、私には知りえなかった。
162アナペ第二話:05/03/09 22:10:32 ID:Z8lMd6CZ
実は1話を投下した時点でここまで書き上げていたんですが……
ハッピーエンドにしたくて、あそこで切ってしまいました。


ともあれ、第二話はもうちょっと続きます
163アナペ第二話:05/03/09 22:11:18 ID:Z8lMd6CZ



あくる日、屋上。

いつもの場所に紫苑さんは佇んでいた。
「どうしたんですか? なんだか今日は元気がありませんね」
そっと声をかける。
多分僕が後ろに居る事に既に気付いていただろう紫苑さんは、
振り返ることもなく、言葉だけを返してきた。
「そうですね。私、少々沈んでおりますの。でも……仕方ないんです。
 悪いのは私ですから」
何もかも諦めてしまった後のような口調。
遅かったかな。いや、きっとまだ間に合うはず。
「聞いても……よろしいでしょうか?」
「……瑞穂さん」
意外な事に紫苑さんは、何年も前の話をし始めた。
「私、ずっと昔から気にかけていた人がいるんです――」
(間に合ってくれよ……)
それは先程の『遅かったかな』とはまた別の心配。
164アナペ第二話:05/03/09 22:13:06 ID:Z8lMd6CZ

同時刻、廊下
喧嘩のように響く声。
だがそれは恵泉女学院高等部の生徒には割りと聞きなれたものだった。

「ちょ、引っ張らないで下さい。何なのですかっ、あなたと言う人は本当にっ」
「いいから、来なさいってば! 話があるんだって」
「ですからっ、話なら、ここでなさればいいではないですかっ!どうしてわざわざ屋上になど」
ひょっとしたら、屋上には紫苑さまがいるかも知れない。
昨日の今日で顔を会わせるのは躊躇われた。
「――って、きゃっ! とと、危ないじゃないですか、まりやさん」
急に引っ張る力が弱まったので、すんでのところで転びそうになるのをなんとか堪える。
見上げたまりやさんの顔は、驚いた事に憂いで歪んでいた。
「ごめんなさい。私……私……、貴子に相談したい事があって……でも、人前でなんて、言える事じゃないし、
 貴子とは仲直りしたし、私の事をよく知っている友達だと思ったから……」
両手で顔を覆う。
心の底から意外ではあったが、悪い気はしなかった。
この人は本気で私の事を友と思ってくれていたらしい。
「仕方のない人ですね……分かりましたわ。
 行きましょうまりやさん。お話、聞いて差し上げますわ。
 さぁ、これで涙をお拭きになって……あなたに涙は似合いませんわよ」
「ありがとう……」
二人並んで歩き出す。
周りに居た生徒は皆一様にぽかんと口を開け放っていた。
恵泉の生徒として有るまじきはしたなさではあるが、心情的にはよく判るので放っておいた。
「単純」
「? 何かいいまして?」
「ううん、何でもない。本当にごめんね、貴子」
こうして、私とまりやさんは屋上へと向かった。
165アナペ第二話:05/03/09 22:15:53 ID:Z8lMd6CZ



その声が聞こえてきたのは、屋上へ出るドアに手をかけたときだった。
……先客がいる……?
『……で…業後に結婚が決まっているのです。
 それは、避ける事の許されない、私の道………』
ドアノブに伸ばした手が固まる。
とんでもない物を聞いてしまった気がする。
この声は、この話は、私が一番恐れているもの。
『もちろん、私も十条の家を大事に思っています。
 両親を恨む気はありませんし、私に十条家を救えるというのなら、それは名誉な事だと思います』
……忌々しい兄の顔が浮かぶ。
「っ!」
跳ねるようにドアから身を引き、踵を返した。聞きたくない。聞きたくない!
 ドンッ!!
目の前の壁をまりやさんが蹴りつける。
その脚が、そのままいく手を阻む形になる。
「聞きなさい。あなたには聞く義務があるわ」
何よ……騙したのね。あなたやっぱり私の事友達だなんて思ってなかったのね。
何なのよ、皆で私を陥れて何がしたいって云うの……。
ずるずると腰が落ちていく。
そのままぺたりと座りこんでしまうと、ドアに寄りかかった。
166アナペ第二話:05/03/09 22:18:07 ID:Z8lMd6CZ
その間も紫苑さまの独白は淡々と続いていく。
『ですが……私だって……本当は……自分の好きなように生きてみたかった。
 好意の持てない方に嫁ぎたくなどありませんでした。でも……何より一番辛かったのは貴子さんの事』
ついに出てきてしまった自分の名前。こんなにも自分の名前が忌々しく聞こえた事があっただろうか。
体が震える、全身が聞きたくないと、聞いてはいけないと悲鳴をあげている。
助けて、誰か……。
「……」
まりやさんが無言で肩に手を置く。
優しさは微塵も感じられない。ただ、強く、強く、両手には力がこもっていた。 
『自惚れではなく、当時貴子さんは私の事を慕って下さっていました。
 私も気高く可憐でいて……そして思わず守ってしまいたくなるような、
 そんな儚さをどこかに秘めた彼女の事をずっと気にかけていました』
紫苑さまが……私を……?
だが、予期せぬ喜びは一瞬たりとて許されない。
『……ですから、婚約のご挨拶に同席なさっていた貴子さんの、氷のような目を見たとき、本当に……ショックでした』
私の目が氷……? 違う。それは私の絶望。心が死んでしまいそうだった、私のあらわれ。
『それを見て……私は、一体何を信じればいいのか、判らなくなりました。
 いつも私が見てきた貴子さんは、あれは本当に存在するのかって、そんな事まで頭に浮かんで……。
 そして、そんな不安は……次の日には現実のものとなりました。
 待っていたのは上辺だけのあいさつと、お互い避けて通るような、そんな学校生活』
違う……私は……本当はそんな事したくなかった……。
『……悪いのは、私なんです。
 偶然、廊下ですれ違った時、私は怖くなってしまったのです。
 ここで、この恵泉の中で、あの目をした貴子さんを見たら、私は何も信じる事ができなくなる。
 そう考えたら無性に怖くなって、貴子さんの目を見れなかった……思わず、目を……逸らしてしまったのです』
『その後、仲直りをしようとは思わなかったのですか…?』
瑞穂さんの問いかけが聞こえてきた。
どうやら紫苑さまは、瑞穂さんにこの事を打ち明けていたらしい。
167アナペ第二話:05/03/09 22:20:34 ID:Z8lMd6CZ
『駄目でしたわ。その後はもう、貴子さんも私を避けるようになっていました。
 私、嫌われてしまったんです』
『そんな……ただのすれ違いかもしれないじゃないですか』
『…………そうかもしれませんね。でも、何もできませんでした。そしてそのまま、月日は流れていったのです。
 そして、最近になって……瑞穂さん達のおかげでようやく、私も貴子さんも、何かが変わってきた気がしました』
『それなら……それなら、また昔みたいに――あ……』
瑞穂さんが口淀む。この人も、何か知っている……?
『そうですわね。私も……勇気を出して不要な物を全て取り払うには、今しかない。そう考えていました。
 でも……駄目でした。昨日、ある事があって……少しだけ心を許して貰えた気がしたのですが……。
 気をよくした私は、無理に貴子さんに迫ってしまったのです』
紫苑さまの声は酷く儚い。だが、変われるかも、変わりたい、その思いは一緒だったらしい。
『恐らく……傷つけてしまいました。……私の、我侭のために、貴子さんを傷つけてしまいました』
ここで限界のようだ。もう一瞬たりとも、ここでこの話を聞いている事はできそうにない。
まりやさんの力がいくら強かろうと、何が何でも振り払うだけの決意があった。
けれど、両肩にかかっていた痛いくらいの力はいつのまにか消えていた。
――ありがとう。
私は駆け抜ける。すれ違いの年月を、遠く離れてしまった二人の距離を、懸命に駆け抜ける。
「紫苑さまっ!」
ただただ勢いに任せて飛び込む。
私が何年もの間ひそかに想いをよせてきた人に。
何年間もごまかし続け、抑圧しつづけた気持ちもろとも全てぶつける。
168アナペ第二話:05/03/09 22:22:54 ID:Z8lMd6CZ
紫苑さまは面食らっていた様子だったが、それでも、驚いたままであろうとも、
しっかりと私を受け止めてくれた。
やはり紫苑さまだ。この大きさこそが紫苑さまなんだ。
「貴子さん、どうして……」
どうして? そう、どうしてか。今度は、勝手に立ち聞きしてしまった私が、紫苑さまに気持ちをお伝えする番。
準備は何もない。言葉も気持ちもまとまってない。
ごめんなさい、紫苑さま。不調法な貴子は……生の感情をそのままぶつけさせて頂きます。
「紫苑さま、私……は、厳島貴子は、ずっと昔から、
 もう何年も前からあなたの事をお慕いしておりました」
まるで男の方に告白するような物言いになってしまった。
でも、しょうがない。言葉を選ぶ余裕なんてありはしないのだから。
「貴子さん……そんな、嘘……だって、私……
 あなたに酷い事をしました。あの日の事、あなたは――」
「違います! 違うんです! 私だって、本当は昨日、紫苑さまに全て打ち明けてしまいたかった。
 でも、怖くて、できませんでした……。嫌われていると思っていたし、
 厳島家と紫苑さまの関係を考えたら……口が裂けても言えるはずのない事でしたものっ!」
なのに私は今、その言葉を言おうとしている。
「でも、もう駄目みたいです。言ってしまいそうです……」
それは私のエゴなのかもしれない。でも、今なら言っても許される気がした。
いや、むしろ今言わない訳には行かないと感じていた。
「私は――、羨ましかったのです。宮小路瑞穂という最愛の姉と結ばれた奏さんが、羨ましくて、眩しかった……。
 恋心でさえ到底太刀打ちできそうにない、信頼と絆で結ばれた姉妹……。
 私は、憧れの人と自分との運命を呪いました……」
「貴子、さん……」
169アナペ第二話:05/03/09 22:24:53 ID:Z8lMd6CZ
さぁもう一歩。私は紫苑さまの気持ちを聞いてしまったんだ。
知っているのだから、今なら踏み込める。
ずるいかもしれないけど、きっとこうでもならない限り、
私たちにきっかけなど来なかっただろう。
運命が邪魔をし、お互いがお互いを嫌っていると思いこんでいたような私達だもの。
今を逃したら、もう次はない。
「私、私は……十条紫苑さま、あなたの……妹になりたかった。
 ……それが私の願い。そして……悩みです」
「貴子さん……、どうして……あなたは、私の事を許していないのではなかったの?」
「違います。それは誤解ですわ」
「どうしましょう、私……まだ信じられません。いえ、決してあなたの言葉が信じられないわけでないのです。
 でも、気がついたら、病院のベッドで一人で寝ているのではないかって。
 この幸せを信じるのが、怖いんです……」
「紫苑さま。もしこれが夢で、
 あなたが目を覚ましたら病院のベッドの上であったというのなら、
 私は必ずベッドの傍らであなたと一緒にいます」
私にも、妹にだって姉を支える事はできる。
「……ありがとう。それなら私も安心できます。あなたがそうしてくれると言うのなら、信じる事ができます。
 現実でも夢でも、貴子さんさえいてくれるのならば……
 また、昔のように私を慕ってくださると仰るのであれば、私に怖いものなどありません」
170アナペ第二話:05/03/09 22:26:50 ID:Z8lMd6CZ


暖かな抱擁は長く静かに続く。
私はとどまる事を放棄してしまった涙を流し続け、紫苑さまの胸に顔を寄せていた。
紫苑さまは私の頭を抱えるように抱きしめ、その目尻にもうっすらと涙。
「もう、本当にお莫迦さんなんですから。あなたも、私も……。望む事も同じならば、勘違いまで同じ。
 本当に、似たもの姉妹ですね、私たちは……」
「紫苑さま……ごめんなさい。今までの事も、そして昨日の事も、本当にごめんなさい」
「いいんです、昨日のことは。……それよりも、今日から私とあなたは姉と妹です。
 よろしいですね? あ、駄目ですからね、今から取り消しだなんて認めませんよ」
意地悪そうな笑みをたたえる。早くもいつもの調子が戻ってきているらしい。
つくづく、大物ですわ。
「……あ、それとも同じ学年なんですし、いっそ貴子さんがお姉さまでもいいのですよ?」
にっこりと微笑む紫苑さま、なんだかとんでもないことを言っている。
「駄目ですっ、私が妹ですわ。これだけは譲れません。いくら紫苑さまと言えども、ここだけは妥協できませんわ」
紫苑さまの意地悪、とその腕を引っ張る。
「そうね……せっかくだから、何か儀式のようなものをしたいですね、
 私の可愛い妹を絶対に逃がさないための、儀式……」
ん〜〜、と頬に人差し指を当てて考え込む紫苑さま。なんだか少し不安になってきた。
意外とお茶目な方なのは知ってますが……何か、こう……明らかに楽しみ始めているような気がしてならない。
知らず、見上げる目が不安そうになっていたらしい。
紫苑さまは私の視線に気付くと、
「大丈夫よ、心配しなくても」と、さも楽しそうに語るのだった。
そして、
「そうね、奏ちゃんから聞いたのですが、私のよく知る、とあるお姉さまは、
 ご自分の妹に、ある事をよくなさるそうなのです。私たちも、そこから始めるとしましょう」
171アナペ第二話:05/03/09 22:29:34 ID:Z8lMd6CZ
そういうと紫苑さまは私の腰に左手を回し、密着するまで引き寄せ、右手をそっと顎にそえ、私の顔を持ち上げた。
まさか、これって……そんな、姉妹だからっていくらなんでも、あ、でも、どうしましょう、ダメ、待って、でもでも、嫌ってわけでは、あう
緊張で、体がギシギシいうくらい固くなったけど、私は決意を固め深く目を瞑る。
――ちゅっ……
おでこに刹那の感触。
「はわ、はわわわ、紫苑さまっ」
ブシューッ!
真っ赤に染まった顔から、全身の熱が抜けていく音が聞こえた気がした。
恥ずかしいですわ……きゅう……。
力が抜けてしまった私は、よろよろと紫苑さまにしなだれかかる。
「あらあらっ。 ごめんなさい、少しやりすぎてしまったかしら」
「ふや……、とんでもございません。私、今とっても幸せですわ」
とろんとした目で訴える私の何かが琴線に触れたらしく、紫苑さまにスイッチが入ってしまった。
「あぁ、可愛いですわ〜貴子さん。やはり私の見込んだとおりのようです。
 明日からが楽しみで仕方ありません」
むぎゅ、す〜りす〜り。
「ひゃん、紫苑さま、くすぐったいですわ。あう、はう……」
抱っこ状態のまま頬擦り頬擦り。なんだか私、早くも愛玩動物のような扱いの気がしてきました。
ぴたっ
急に頬擦りがやんだかと思うと、こほんと咳払い。
「ごめんなさい。貴子さんがあんまり可愛いものでつい……」
つい……ですか……。
「それでは、少し脇道にそれてしまいましたが、早く、儀式を終えてしまいましょうか」
まだ終わってなかったらしい。私はてっきり先程のキ……おでこへのちゅっで終わったものかと……。
「う〜ん、……学院際の時に買ったロザリオを首にかけてあげる……のは色々と問題がありそうですし……」
…………。
172アナペ第二話:05/03/09 22:32:14 ID:Z8lMd6CZ
「そうね、これは私からのお願いになりますが……その、これを……頂けませんかしら?」
しゅる……しゅるり……。
左側に付けていたリボンが外される。
紫苑さまはそれをご自分の髪に結えると子供のように笑った。
「ふふっ、こういうの、昔から夢だったんです。誓いのリングみたいで、憧れませんか?
 でも……私みたいな大女には少し小さすぎて似合わないかしら」
「「かっ……」」
後方で慌てて言葉を飲み込んだらしい二人組を尻目に、
私は素直な感想を口にする。
「とても可愛らしいですわ、紫苑さま」
「本当? 変ではないかしら?」
自身を持ってしっかりと頷く。
「そう言ってもらえると、本当に嬉しいです。さ、これで儀式は終了よ、貴子」
………。
紫苑さま、今……その……私の事を……貴子、と……。
貴子……貴子……貴子……。
頭の中で紫苑さまの言葉が何度も何度も再生される。
ふにゃ〜、っと音がしそうなくらい顔がほころんでしまう。
聞きなれた自分の名前のはずなのに……こうまで印象が変わるだなんて、まるで魔法のよう。
今日は本当に人生最良の日。




173アナペ第二話:05/03/09 22:34:20 ID:Z8lMd6CZ



「しっかし、一体いつまでああしてるつもりかね、あの二人。
 っていうかさ、一体何回目? 抱き合って離れて抱き合って離れて」
「あはははっ、一応計画は成功でいいのかな? それにしてもこんな事になるだなんて、本当にここまで計算してたの?」
「まさか。この光景はさすがに予想外よ。一応、昔っから二人を見てきた身としては、
 お互い無理してたのは分かってたけどさ、ここまでとはねぇ……」
今だ抱き合っている二人を少し離れたところから眺める。驚きと満足が半々くらい。
「ま、昨日のアレを見かけた時は何事かと思ったけど、一肌脱いだかいがあったってものね」
「そうだね、本当、よかった……」
「さて、そろそろ見飽きたし、お邪魔だろうから、さっさと寮に引き上げましょうか、瑞穂ちゃん。
 御門まりやはクールに去るぜっ、と」
「もうっ、まりやってば、最後ので全部台無しだよ」
影の功労者二人は静かに屋上を後にしようとして、
「あぁ、お待ちなさい、そこの二人」
――しっかりと、止められてしまった。
おそるおそる振り返ると、貴子さんを抱っこした紫苑さんが仁王立ちのような迫力でこちらを見据えていた。
紫苑さんの胸にうずまりながらおろおろと視線を彷徨わせる貴子さん……いい……可愛い……って、いたあっ!
うぅう、一人だけ現実逃避してたらまりやに足踏まれた……。
「言いたい事は沢山あるのですが、今日のところは一言とさせてもらいます。
 ありがとう、二人とも」
「いえ、そんな……」
「あたし達は別に、ねえ……?」
紫苑さんがくすっと一瞬、微笑する。
あ、貴子さんが少しだけむすっとした。きっと貴子さんも言いたい事が山ほどあるんだろうなぁ。
「あとの事は明日ゆっくりとお聞かせしてもらいます。充分にお覚悟をしておいてください」

紫苑さんの笑顔は般若も目じゃないくらい恐ろしく感じた。

174名無しさん@ピンキー:05/03/09 22:37:34 ID:Z8lMd6CZ
長い……以上アナペ第二話でした。

なんというか、超絶に難産でした。
難しくて難しくて……こういう話は技量がないと駄目ですね、やっぱり。


……実は3話がもうできてますので、ご飯食べた後にまた来ますです。
175名無しさん@ピンキー:05/03/09 22:40:09 ID:7O8JI4I6
>>158-174
リアルタイムで楽しませて頂きました。微笑ましくてとても素敵でありんす。

続きもガンガレ
176名無しさん@ピンキー:05/03/09 22:44:10 ID:Srxy+y14
>>133氏の話は俺個人的にスルーしちゃうだろうなぁ
正直合わん。


アナペ第二話乙〜。
もう第三話楽しみっすよ。
177133:05/03/09 22:55:22 ID:+RJEJBPF
幾つかのご意見を拝見しましたが、スレの雰囲気に合わないという意見は

 私 も 全 く 同 感 で す (;´∀`)

ていうか、あの粗筋で(*´д`*)ハァハァ しちゃう方は素質ありというか、うほっ(ry
まあ、ぽちぽち書き始めたばかりなんで、形になったらここへリンクだけ載せる
見たいな感じにしようかな、と。

>155
私も紫苑様は完全に「壊れ役」か「壊し役」のどちらか端がお似合いかと。

貴子兄に壊される(超ありがち
貴子を壊す・・・・(゚∀゚ )!

好きなものほど、愛してるものほど壊したくなりませんか?
ならないですか。そうですか orz



Another pair 読んで癒されよう・・・
大晦日編の続編も心待ちにしておりますです・・・・
178前スレ45:05/03/09 23:09:36 ID:6ycqU+ru
皆さん書くスピードが早い・・・なおかつハイクオリティ・・・すごすぎです。
皆さんGJです!


※保管庫管理人様、訂正ありがとうございますです。
179前471:05/03/09 23:29:38 ID:UiMka/Kc
緋紗子ルート作りました、勝手に。
タイトルは奇跡の夜。
やっつけなんで適当に読んでください。
先生が嫌いな人は飛ばしてください。
全6レス。どぞ。
180奇跡の夜 1/6:05/03/09 23:30:24 ID:UiMka/Kc
「本年はこれで終了です……そうそう、夕方四時三十分から自由参加の降誕祭礼拝と、そのあと
みんなお待ちかねの降誕祭ダンスパーティーを体育館で行いますからね」
 終業式が終わり、緋紗子先生はホームルームで今日の今後の予定を説明している。
 明日から冬休みという開放感と、今夜のダンスパーティーに向けた期待から、教室全体が昂奮
していた。そんな中で僕は一人、緋紗子先生を見つめながら今までの事を思い返していた。
 図書室での出来事。今考えてみれば、詩織さんとの思い出が緋紗子先生の心に翳を落としていた
という事は間違いないし、その為あのような行為に及んだという事も想像に難くないけど、その時の
僕にそんな事がわかるはずも無いし、それにそんな事を考える余裕もなかった。
 そして、第二音楽室で見ることになった緋紗子先生と詩織さんの思い出。詩織さんには悪いけど、
昔、先生と詩織さんの間に何があったかなんて僕にはどうでもいいことだった。ただ、あの時全てが
終わった後に見せた先生の、何かを吹っ切ったような清々しく、とても優しい、それでいて酷く寂し
そうな笑顔は脳裏に焼きついてしまい、僕の心は囚われてしまった。
181奇跡の夜 2/6:05/03/09 23:32:44 ID:UiMka/Kc
「それでは皆さん、ごきげんよう。良いお年を」
 そんな事を考えているうちに、緋紗子先生の話は終わり、最後の一言で教室は俄に活気を取り戻す。
「瑞穂さんも、良いお年を……っと」
 ホームルームを終えた緋紗子先生は僕のところにやってきた。
「はい。先生も……あれ、先生はダンスパーティーには出席なさらないのですか?」
「ふふっ、ダンスするわけでもないんですから、出ませんよ……それに、私の本職は今のところシスター
なんですから、降誕祭礼拝の方に出ますよ」
「……そうでした」
 あわよくば先生とラストダンスを、なんて事を勝手に期待して一人で落ち込んでいた僕に先生は囁き
かけてきた。
「……でも、瑞穂くんがいい子にしていたら何かプレゼントがあるかも」
 急に耳元で囁かれ、ぞくぞくしている僕を尻目に先生は笑いながら教室を出て行ってしまった。
「……帰ろ」
 緋紗子先生が居なくなった今、このままここに居ても仕方がない。ダンスパーティーまではまだ時間が
あるのでいったん寮の方に戻る事にした。
182奇跡の夜 3/6:05/03/09 23:33:23 ID:UiMka/Kc
 時間になるとダンスパーティーの会場である体育館に赴いた。僕は男性役として参加することになって
いるので、生徒たちを会場内にエスコートしていく。見知った顔も次々とやって来た。ゆったりと30分ほど
時間をかけた参加者の入場が終わると、学院長と生徒会長の挨拶を交えて、いよいよダンスパーティー
の開幕となった。
 生徒たちが僕の下に集まり。口々に誘いの言葉をくれる。大げさでもなんでもなく、みんな決死の覚悟
といった様子で僕を誘いに来ているようだった。僕はそんなみんなの期待に応えるべく、一人でも多くの
子と踊れるように努力しようと思った。
 この中に緋紗子先生がいたらどんなに嬉しいんだろう……なんて事を一瞬考えて会場内を見渡して
みたけど、やはりというか緋紗子先生の姿を見つけることは出来なかった。それに目の前にいる女の子
たちに失礼なのでその考えをすぐに打ち消し、踊る相手を選ぶとそのこの手をとってダンスフロアに歩き
始めた。

 どれくらい経っただろう……。二十人くらいまでは数えていたけど、後はもう覚えていない。さすがに
休憩を挟まないと倒れてしまいそうだったので、何か飲み物を飲むことにした。
 一息ついて時計を見ると、もう結構な時間が過ぎていて、そんなに時間は残されていなかった。まだ
寮のみんなや仲のいい人たちとは踊っていなかったので、これからは彼女たちのために時間を費やす
ことにした。
 そうしているうちにラストダンスの時間がやってきた。みんな最初に同伴してきたパートナーのところに
戻っていく。そこでふと、ホームルームの後に緋紗子先生が『プレゼント』と云っていたのを思い出して、
もう一度緋紗子先生の姿を探してみたけど、結局、見つけることは叶わなかった。
 少し気を落とした僕は疲れ果てていたと言うこともあって、踊るのはやめて休憩することにした。
 そうして僕の恵泉での最初で最後のダンスパーティーは幕を閉じた。
183奇跡の夜 4/6:05/03/09 23:34:30 ID:UiMka/Kc
 会場に居た教師、生徒会役員、エスコート役が参加者たちを送り出すと、会場の後片付けが始まった。
僕も手伝おうとしたが、かなりの大人数の相手をしていたことはみんなわかっていたので、やんわりと、
その必要は無い、と断られてしまった。尤も、僕の方ももうへとへとだったので、その言葉に甘えることに
して、会場を後にした。

「結局、緋紗子先生、来なかったな……」
 少し重い足取りで寮に向かって歩き始めると、後ろから音楽が聞こえてきた。片付けの時にあまり静か
なのも寂しいから音楽をかけると云っていた。多分それだろう。
 雪の降る中、その曲に聞きながら歩き始めた。案外遠くまで聞こえるものだな……と思いながら礼拝堂の
前を通りかかった時、後ろから声を掛けられた。
184奇跡の夜 5/6:05/03/09 23:35:19 ID:UiMka/Kc
「こんばんは、瑞穂くん」
 振り返ると、修道服を着た見覚えの無い人が立っていた。修道服を着ているということは、学院の関係
者で間違いないと思うけど……。その人はちょっと悪戯っぽい笑みを浮かべながら話しかけてきた。
「今、ダンスパーティーの帰り?」
「は、はい」
「ふぅん……ね、楽しかった?」
「はぁ……ところで、失礼ですがどちら様でしょう?」
「あー、ひどいなぁ瑞穂くんは。私のこと、わからないんだ」
 相変わらず悪戯っぽい笑みは浮かべたまま、ちょっとすねた声で云われた。そこまで云われて気が
付いた。この学院で僕のことを『瑞穂くん』と呼ぶ人は一人しか居ない。
「緋紗子先生?!」
「はい、正解♪……そんなに違って見えました?」
「は……はい」
 ウィンプルは着用していないものの、それ以外は完全な修道女姿で、髪は下ろしていて、眼鏡もかけて
いない。普段のイメージと全く違う。
「さ、踊りましょ?」
 この人は突然何を言い出すのかと思った。でも考えてみれば緋紗子先生はいつもこうだった。僕が
本当に望んでいることに対しては何も言わずにその意を汲み取ってくれる。
「プレゼント。ちょうど音楽も掛かっていることですし。ね?」
「はい……」

185奇跡の夜 6/6:05/03/09 23:36:08 ID:UiMka/Kc
 そうして僕たちは踊り始めた。最初はお互いに無言だったものの、しばらく踊り続けていると先生の方
から話しかけてきた。
「私、瑞穂くんに会うことが出来て、本当に良かったと思ってます」
「……急にどうしたんですか?」
 いつの間にか流れていた曲が止まっていた。どちらからともなく踊るのをやめ、二人は向かい合っていた。
「私、シスターも先生もやめようと思っているんです」
「何故……と聞いてもいいですか」
 そのことについては以前学院長から聞かされていたので特に驚くことは無かったけど、先生のその決断に
僕が深く関わっている以上、その理由はちゃんと知っておきたかった。尤も、先生のことは何でも知りたい、
と言う気持ちの方が大きな理由ではあったけど。
「瑞穂くんに会えたから、前に進むことが出来ました。詩織のこともそれ以外のことも……。もし瑞穂くんが
居なかったら、私はずっと立ち止まったまま、どこにも行けなかった……。前に話したことがあるかも知れま
せけど、私ね、本当は小説家になるのが夢だったんです。その夢を本気で追いかけてみたいと思えるように
なったんですよ」
 緋紗子先生は穏やかに微笑みながらそう云った。僕が前に見た、あの酷く寂しそうな顔はもうどこにも
無い。それで緋紗子先生の心の傷が完全に癒されたことを知った。先生にそれを僕がやったんだと云わ
れると、とても誇り高い気持ちになった。
「それで、ね。瑞穂くんに云っておきたい事があるんです。まだお礼も何もしていませんでしたから」
「そんな、僕は別に……」
 その気持ちだけで十分だった。しかし、緋紗子先生は僕の言葉を遮って続けた。
「いえ、言わせてください。本当にありがとう、そして」
緋紗子先生は僕の眼を見つめて、云った。

「大好きです、瑞穂くん──」


 投了
186名無しさん@ピンキー:05/03/09 23:55:12 ID:eH8VfWNG
前471さんGJです。
正直先生好きではなかったのですが
補完された気分です。
最後萌えました。
187前スレ45:05/03/10 00:18:14 ID:xGEtDDQN
>>180-185
先生のお話GJです!
センセ人気ないんでSS見られないと思ってたんですけど・・・
本編を補完するようなお話で実によかったです。
188名無しさん@ピンキー:05/03/10 00:23:56 ID:g6t/zYeH
GJです。

先生が嫌いなのは、すべからくあの9月の話が駄目駄目すぎるせいですね・・・
あと、薄荷のキャンディーって、何年前の人だ?お前は。

それを除けば、(紫苑+まりや+由佳里)÷3ってとこで大好きなんですが。

かなり補完されました!
ほんとうにGJです。
189前スレ126:05/03/10 00:26:05 ID:EvbzGDrc
>>76-87
GJ!!にしても慶行パパは何処で出てきても(色んな意味で)男前だなぁ…
もっと自分に自信を持ってくださいなのですよ〜

>>94-100 >>105-117
続き乙です!!こちらでも慶行パパ大活躍で…w
そして紫苑様分大補給…
まさかこんな形で瑞穂受けを見られるとは…!!( ;´Д`)
続き、楽しみにしてます。GJなのですよ〜

>>133
すまぬ、俺もおとぼくに幻想抱いてる負け組みなんで…orz

>>140-145
_| ̄|○は、腹が苦しい…!!
笑わせてもらいました!!ゆかり車、懐かしい響きですなぁw
つか、どてら姿の貴子さんを妄想してのた打ち回ってました…w
そして、後半のしんみりさが、すごく良い感じでした…GJなのですよ〜

>>159-173
…なんか…すごくしんみりして、ちょっと泣けました…・゚・(ノД`)・゚・とても綺麗な話で…
紫苑様ルートでいろいろ妄想しましたが、
貴子さんと紫苑様、この二人の組み合わせって、良いですね…GJなのですよ〜

>>180-185
…ごめん、俺もアンチ先生だったんだけど…
おとぼくでの調理法が悪かっただけ何だなぁ、と思いますた…orz
最後の科白で、かなり先生の株急上昇でしたw GJです!!

…ううん、こんなクオリティ高い作品がいっぱい投下されてるのに…
自分の作品はどうも仕事が忙しくて書きあがらなく、レスやチェックに追われてるなぁ…( ;´Д`)
190前471:05/03/10 00:35:37 ID:fcP1HHBw
コトある毎に先生に相談しに行ってアドバイスを貰ってたら……
と言う仮定で話を組み立ててみました。
頼れる先生がふと見せた弱い顔に瑞穂ちゃんは絡めとられて
しまいましたとさ。
と言うわけでこの話、瑞穂ちゃんは開始時点で既に先生に惚れてます。

訂正
>>185
13行目頭
×せけど、私ね、
○せんけど、私ね、

22行目の先頭もスペースが抜けとったorz
191前レス555:05/03/10 01:01:37 ID:AULCcquB
 現在新作書いておりますが、シリアス風味の重苦しい話になりそうです。
まず、救いは入る余地がなさそう。
>>140-145
どてら姿の貴子さん(爆
GJ!
192前スレ52:05/03/10 01:22:08 ID:CVU0KyX6
やっとスレを覗く時間が… って、今更2スレ目初カキコですね orz

>>180-185
あれ、おかしいな、先生なのに…これは…萌えなのか!?
ともあれGJです!!
…夏休みが回避とかできれば、先生の印象違ってたかもしれませんね、自分も。


そして、>>142から妄想したネタを…
193前スレ52:05/03/10 01:23:46 ID:CVU0KyX6
よだまんが女王

「奏ちゃんは、なんでとぶんー」
「奨学生ですけどー」
「由佳里ちゃんも飛ぶのですか? 貸してあげるのですよ、タダで」
「このリボンがあればタダでとべるんかー」
『どこまでモナー』
「…え…あの……」
『なんだゴルァ( ゚Д゚)』
(そうじゃけん、奏ちゃんはアレに操られて…)
「奏ちゃん、助けちゃる!」
…とすっ
「ああっ!」

―――

「ラーメン分が不足してまいりましたわ…」
「それは…糖分とか塩分みたいなものなの?」
「その通り、書類と格闘していると減ってくるのですわ」
「ラーメン分は…ラーメンに含まれてるのか?」
「ほほほ、当たり前でしょう?」
「大変だ!貴子が、貴子がっ!」

―――

構想3分、あずまんが引っ張り出して10分。
ついカッとなってやった、今は反省している。

前半のは、由佳里じゃなく、紫苑の方が良かったでしょうか…
でも、紫苑様は榊さん互換だと脳内電波が(;´Д`)

微妙にスレ違い&スレ汚しスマソです。ああ、現実に戻らねば...
194名無しさん@ピンキー:05/03/10 01:49:04 ID:tRbzaT3D
>>193
ワロタ
195名無しさん@ピンキー:05/03/10 02:40:23 ID:yVXREIxC
>>193
ワロタ。
きっと連載誌は「暗黒女王」に違いない。
196前スレ126:05/03/10 02:53:39 ID:IZFmsmkF
>>193
激しくワロタですw
そこは由佳里ちゃんで間違ってないと思うのですよ、はいw
こういうネタもいいですなぁ…

…やっぱまりやがゆかり先生?(いや、正しくは神楽なんだろうけど…)
197前スレ243:05/03/10 03:47:38 ID:yO8XllB3
>>193
パソがある場所の関係から烈しくではないけど
ワロタ!
つうか、にやにやしてしまった。

>>196
榊さんは・・・うーん誰だろう
198前レス555:05/03/10 03:49:47 ID:AULCcquB
特定のEDなし?瑞穂が男とばれた後日談?

 渡されなかった卒業証書 1

  ある年ある日の午後の生徒会室。
「会長・・・平成17年度の書類はどこにあるのですか?」
見ていた書類から、顔を上げて
「17年度ですか・・・」
表情を曇らせた会長を見て
「なにか・・・・あったのですか?」
好奇心半分で問いかけた役員に
「い・・いいえ・・・なんでもありませんわ。17年度の書類なら、奥の書棚ですよ」
役員の1人が指示された書棚から書類のバインダーを取り出した時、奥から1冊の封印されたファイルが
出てきた。
(あら・・・なにかしら?)
取り出すのに邪魔なバインダーをすべて取り出すと、そのファイルを取り出した。
(会長なら、何かご存じかもしれませんわね)
必要なバインダーとそのファイルを手にすると席に戻ったが
(やはり、気になります)
ファイルを手に会長の前に立つと
「会長・・・このファイルなのですが・・・なぜ?」
二人のやりとりに、他の役員も聞き耳を立てているようなので、ため息を1つ吐くと
「17年度生徒会会長だった。厳島貴子さまが、封じられたと聞き及んでいます。詳しい事情は、私も存じませ
んが、中身は卒業証書だそうです」
「ええーーー」
「なんで」
騒ぎを封じるように
199前レス555:05/03/10 03:52:39 ID:AULCcquB
渡されなかった卒業証書 2

「貴子さま以降・・・代々の生徒会長には、この証書の方が再び姿を見せられるまで、生徒会で責任を持って
お預するようにと、申し送りされてます」
ここで、言葉を句切ると
「私の知っていることは、これですべてです。人様の過去を暴き立てるのは、恵泉の生徒としてどうかと思い
ますわよ・・とはいえ気になっているのは確かですが」
両手で執務机を叩くと
「貴子さまにご連絡して、詳細をお聞きするべきしょうね。話していただけるかどうかは分かりませんが」
卒業生名簿を取り寄せると、貴子に連絡を取るために部屋から出て行った。

 数日後。午後の生徒会室
生徒会長は、丁寧な一礼をすると
「ご無理なことお願いして申し訳ありません。」
ファイルを一瞥して
「あの方は、恵泉には生涯近づかないおつもりなのでしょうか?」
後悔、懺悔、深い悲しみ、それらの入り交じったような表情を浮かべると、当時変わらない窓の外に目を
向けて
「私・・・いいえ、私たちの愚かさが、あの方に取り返しのつかない心の傷を負わせてしまったのです」
重苦しい沈黙の後
「17年度エルダーシスター”宮小路瑞穂さま”・・・その卒業証書を受け取る権利のある方の名前ですわ」
そうつぶやいた。
生徒会役員たちは、驚きを隠せないでいた。恵泉の生徒にとって、その名前は尊敬に値するからだから
「お・・・おねえさまが・・・・なぜ」
貴子は
「聞いてどうなさるおつもり?」
言外に興味半分ならお断りという意味を込めた問いかけをした。
会長は、自分に気合いを入れると
「生徒会業務に必要だと判断いたしますので、理由は貴子さまの後悔を繰り返したくないからです」
「聞いても、気分のいい話ではなくてよ?」
200前レス555:05/03/10 03:54:52 ID:AULCcquB
渡されなかった卒業証書 3

「それでもです。耳の痛い話は聞きたくないのですが、それでも、聞かなければ判断を間違える要因になる可
能性があります。会長職を務めるものとして誤った判断を下す要素はできるだけ減らしたいのです。」
 貴子は苦い笑みを浮かべると
「そこまで言われるのなら、私の・・・いいえ私たちのミスをお話しますわ。少し、時間をいただけるかしら
出来るだけ詳しく思い出したいので」
貴子が空いている席に座ると、役員の1人が飲み物を買いに部屋から出て行った。

 全員の前に飲み物が置かれると、貴子は1枚の写真を取り出して、テーブルに置いた。
「この方が、宮小路瑞穂さん。・・・・・・得票率82%を得たおねえさま。得票の譲り合いではなくね」
息をのむ音が、いくつも聞こえてきた。写真には、柔らかな笑みを浮かべる瑞穂の姿が写されていた。
「容姿端麗、文武両道、礼儀作法はもとより、護身術までたしなまれた方ですわ」
現役役員が見終わった後
「この方が、男性と言ってたら、信じていただけるかしら?」
全員が驚きの表情を浮かべたまま、首を横に振った。
「ですわね・・私も信じられませんでしたから・・・瑞穂さんは、お祖父様のご遺言で本学に開成から、転
入されました。当時、この事実を知っていたのは、学園長、教頭先生、担任の先生、後は、御門まりやさん、
十条紫苑さん・・・ぐらいでしたかしら?」
 一度言葉を区切ると
「私が、生徒会のお手伝いをお願いしなければ・・・あのようなことにならなかったのかも知れませんね。
あの日・・・私が代わりに買い物に出かけていれば、あのようなことにならなかったのかもしれません」
貴子の口からは、後悔の言葉が留まるこなく出てきた。誰も口を挟むことが出来ずに貴子の言葉を黙って
聞いていた。
「あの日。いつものように瑞穂さんがお手伝いにきてくださったのだけど、その日は、手伝っていただくよう
な事なく・・・会計監査役の君枝さんのお手伝いと言うことで、買い物をお願いしたのですわ。それが、あの
忌まわしい事の発端になろうとは・・・想像すらしていませんでした。」
苦々しげに言い切る貴子をみて、現役の役員たちは、顔を見合わせていた。
「あの・・・そんなに忌まわしい事が?」
201前レス555:05/03/10 03:57:37 ID:AULCcquB
渡されなかった卒業証書 4

「ええ、この恵泉の生徒にあるまじき暴挙です。学内の備品を汚損するなど・・・集団心理の醜さ、恐ろしさ
を、まざまざと見せていただきました。」
 気を静めるため、用意された飲み物に口を付けると
「事の起こりは以前に君枝さんが、たちのよくない男に付きまとわれた事ですわ。瑞穂さんが追い払ってくだ
さったそうなのですが、それを根に持ったのか・・・買い物中の二人を見つけて」
「探していたのでしょうか?それとも偶然に?」
突然の問いかけに貴子は
「探していたのかも知れませんね。君枝さんの話では、仲間らしい男が後から現れた言ってましたから・・・
その男たちが立ち去った時、秘密がばれたのです。立ち回りのせいで、ブラジャーの中の詰め物が外れたので
す。君枝さん1人なら、まだ手の打ちようが有ったかと思いますが、事情を知らない生徒も多数目撃していた
というのです。いうまでもないことですが恵泉は女子校です。しかも、瑞穂さんは”エルダー”でした。エル
ダーが女装の男だった」
「最悪」
「しかも、正体が分かる前の瑞穂さんは、絶大な人気を誇っていました。細やかな気遣い、気さくな態度、い
ろいろな相談にも親身になって対応していました。まさに、エルダーに相応しい人でした。押しつけられたに
も拘わらず・・・それなのに、私は・・・・私は・・・瑞穂さんの窮地にただ立ちすくんでいるしかなかった
のです。なに1つ有効な対策も立てられず、私のミスをミスと分からないようにフォローして頂いたにもで
す。」
テーブルに両手を叩きつけて絶句する貴子。激情を隠そうともしない貴子の姿に現役の生徒会役員は呆然とす
るしかなかった。
「その人気の高さが仇となりました。空気の乾燥した強風の日に火事が起きたようなものです。話は一気に広
がり翌朝には、ほぼ全クラスに知れ渡っていたようです。気丈にも、登校された瑞穂さんを待っていたのは、
冷ややかというより、拒絶の視線と感情というものを削り落とした言葉、誹謗する落書き・・・・自分たちと
異質なものを排除しようとする有形無形の圧力でした。」
202前レス555:05/03/10 03:58:45 ID:AULCcquB
渡されなかった卒業証書 5

顔面蒼白になりながらも、気力を奮い起こして、もつれる舌を操り
「た・・・貴子さま・・・。瑞穂さまにお味方は?」
問いかけた役員の顔を見て
「紫苑さんとまりやさん。このお二人は、おそらく・・でも、あの方は、ご自分が悪者になることで、他の方
への誹謗を防いだのです。ご自分がいたのでは、授業にならないだろう判断されたのか、終日屋上で過ごされ
たそうです。おそらく・・・その時に”自主退学”を選択肢にいれられたのではないかと」
「そういう状況では、生徒会への抗議が殺到したのでは?」
役員の1人からの問いかけに
「ええ、判で押したような抗議文が時間を逐うに従って積み上げられていきました。確かに生徒会には絶大な
権限が与えられてますが、それも限度というものがあります。その限度以上の要求をされましても応えること
は出来ません。かといって生徒の要求を無視するわけにいきませんし、放課後には、投石で寮のガラスが破損
する事態にまで発展しました。そこまで、事態が進展したのにもかかわらず生徒会として有効な方策を打ち出
すことすら出来ずに、ただ時間だけが無情にもすぎていきました。」
 現役役員たちは、顔を見合わせると
(そ・・・そんな事態どうやって対策たてればいいんですか?)
「寮に投石ということは。瑞穂さまは、寮にお住みでしたのでしょうか?」
「ええ、当時寮に住んでいたは、瑞穂さん、まりやさん、由佳里さん、奏さんの4人でした。これも後から
まりやさんに伺ったのですが、自分のせいで他の人にけがをさせてはいけないとその日のうちに、寮を出て
ホテルに宿泊されたと・・・おそらくは、その夜自主退学を決意されたのでしょう。学内を騒がせた責任を
とるために・・・だれが、そんな責任の取り方をしてくださいっていいましたか。学内を騒がせた責任なら、
有効な方策を打ち出せなかった生徒会にもあります。一夜が過ぎ冷静さを取り戻した人たちもいましたが
全体の雰囲気は、瑞穂さんの排斥でした。」
あまりに重苦しい話題を変えようとして
「あの・・・瑞穂さまはどうなさったのですか?」
203前レス555:05/03/10 04:00:22 ID:AULCcquB
渡されなかった卒業証書 6

のどを潤すと貴子は
「翌日・・・つまり騒ぎが起きて2日目の朝。学園長に”自主退学届”を提出して、この恵泉を去っていかれ
たそうです。その時点では、私たち生徒会はもちろん、親しいまりやさん、紫苑さん、可愛がっていた奏さん
誰も、その事実を知りませんでした。」
打ちのめされた雰囲気に耐えきれなくなった役員の1人は
「わ・・・私・・・飲み物を買って参ります。貴子さまのカップも空のようですので、貴子さまの分も一緒に」
呪縛から解かれたように他の役員は、次々と部屋から出て行き貴子一人が残された。
(おねえさま・・・私を憎まれてかまいません。せめてお元気でお過ごしかどうかだけでも、知らせていただけ
ないものでしょうか?)

 澱んだ空気も入れ換え、新しい飲み物に入れ替えたところで
「まだ、続きをお望み?」
貴子の問いかけに会長が代表して
「はい。ここまでお聞きした以上最後までお願いします。貴子さまの古傷を抉るような不作法は、幾重にもお
詫びさせていただきます」
貴子は、軽く目を閉じると気力を蓄えるかのようにしばらく沈黙した後、
「私たちにも、遅ればせながら”自主退学”するかも知れないとの噂が流れてきました。その噂は広まるに
従い”するかも知れない”から”する”に変わってきました。一気に熱が冷めていくと同時に、本人の事情も
聞かずに退学に追い込んでしまっていいのかという疑問が口々に語られ始めました。誰にでも隠しておきたい
事があるはずなのに・・・と、まるでオセロの駒を裏返すように、排斥から退学阻止へ動きが変わり始めまし
た。すでに時を逸してるのにも気がつかずに・・・教室で、廊下で、食堂で、瑞穂さんの人柄を偲ばせる事柄
が、語られ始めました。ですが、私たちに突きつけられたのは、自主退学届を提出されたという事実。その事
実が公表された時、全身の力が抜けていくのを感じました。それでも、私は会長としての責務があります。学
園長さまに書類を見せて頂いたところ”まだ”決済印が押されていませんでした。提出はされたが、受理はさ
れてない以上撤回して頂ける可能性が見えてきたのです。集められた600名を越える退学を思いとどまって
204前レス555:05/03/10 04:01:30 ID:AULCcquB
渡されなかった卒業証書 7

頂く嘆願書。書類箱一杯の謝罪文それらを携えて、私とまりやさん、紫苑さん、奏さん、由佳里さんは、ご自
宅に急ぎました。でも、すべて遅かったのです。そう、遅すぎたのです。私たちが無為な時間を過ごしていた
ために・・・退学だけは思いとどまって頂けるよう御願いするべきでした」
貴子は、肩を上下させて息を整えると、口を湿らせて
「ご自宅に着くと、瑞穂さんへの面会を御願いしました。ですが、返ってきた答えは、すでにこの土地を離れ
たと・・・退学届を出された後、ご自宅をも離れられたのです。恵泉の関係者には連絡先を教えないように
と言われたそうです。打ちのめされました。せめて嘆願書と謝罪文だけでも届けて頂けないかと御願いしまし
たが、丁重に断られてしまいました。考えてみれば、虫のいい話です。あれだけの事をしたのですから」
目の周りを朱く染め小刻みに肩をふるわせながら
「でも、私は生徒会長です。責務を投げ出して泣くことは許されなかったのです。幸い恵泉には、恵まれた
家庭の子女が多く通学しております。瑞穂さんの消息を求めて、恥も外聞もなく御願いして回りました。
卒業式の前になって、瑞穂さんの消息らしいものが伝わってきました。海外のとある全寮制の学校に編入され
たらしいと・・・真偽を確かめるすべはありませんでした。それが、宮小路瑞穂という方の最後の消息でした。
女々しいとは思いますが、今でも季節ごとのお便りをご自宅に差し上げております。幸い返送されておりませ
んので、もしかしたら読んで頂いてるのではないかと、淡い希望を抱いております。」
手を一つ叩くと
「これで、私の話は終わりました。この事を生かすも殺すもあなた方だということ、強く認識してください。
取るに足りない噂の1つが、人の人生を変える可能性が有ると言うことをくれぐれも忘れないでください」
そう話を締めくくった。


そのころ、貴子の住んでいる部屋の郵便受けに1通の手紙が配達されていた。
                                                     END
205前レス555:05/03/10 04:05:38 ID:AULCcquB
というわけで、新作です。

瑞穂の正体がばれた・・・いわばBADENDものでしょうか?
特定のENDとかありませんし、ほとんど貴子の一人語りになってしまいました。

さて、SSといえるのかどうか分かりませんが、受け入れて頂けるのでしたら幸いです。

はあ、精神的につかれてしまいました。
206前スレ243:05/03/10 04:22:14 ID:yO8XllB3
悲しくなったよ・゚・(ノД`)・゚・。ウエーン
でもGJ!!だよ。
瑞穂ちゃんが恵泉の卒業証書を受け取ることが貴子さんの生徒会長として最後の仕事、か。
贖罪って言葉が正しいか分からんけど、瑞穂ちゃんの優しさが感じ取れるよ
207名無しさん@ピンキー:05/03/10 04:29:57 ID:7BQruc6K
切ない話で…GJ!!です。
最後の貴子への手紙の内容が気になります。出来たら続きをお願いしたいです。
208前209:05/03/10 04:34:54 ID:tuCQ/9+w
>>180-185
ごめんなさいっ。ずっと隠してたけど僕、本当は先生の事が大好きです!……主に声が
ラブラブ甘々な先生のボイスが脳内で再生されました。GJ!!です。

>>205
orz
とても……キました。
BADENDですね、本当に。こういうのは追加で妄想を呼びますね。
いつかは救われる日がくると思いたいです。


やはり他の方々のSSは勉強になるし、何よりインスピレーションが刺激されます。
209前209:05/03/10 04:38:53 ID:tuCQ/9+w
待っていた人、もしいましたら、本当にごめんなさい。
ご飯食べたら投下と言っていたのに、寝てしまいまして、気がついたら4時でした。
これより、遅ればせながらAnother pair 第三話を投下します。
少しずつ、舞台が整ってきます。
210Another pair 第3話:05/03/10 04:41:31 ID:tuCQ/9+w
翌日、恵泉女学院に激震が走った。
目撃情報は憶測をよび、恐ろしい勢いで噂が広がっていく。

曰く、普段使わないはずのバス停の前に佇む生徒会長こと貴子さん、
しかも、バスから降りてきたのは紫苑さんで、二人揃って登校をし、
おまけに、その二人の頭に燦然と輝くは……

ヒソヒソ……ヒソヒソヒソ……
3年A組の教室も浮き足立っているように感じられる。いや、確実に浮き足立っている。
(え〜、いくらなんでもそれはないでしょう〜?)
(だって、実際紫苑さまのつけてるアレ…厳島さんが前につけてたの、私見たもの)
(きゃ〜、じゃあ本当なんだ。あの噂〜)
同じクラスの人でさえこれだもんなぁ。
「………」
ちろり、と横に目をやる。
いつも通りすました顔をして席に座る紫苑さん。
そして、いつも通りの綺麗な黒髪。
で……そこに凛然と輝く薄赤色のリボン。
これがまたアンバランスなようで似合っているんだよね……。
そりゃあ紫苑さんだもん、何でも似合っちゃうのは分かるけど。
実際、僕も可愛いと思うし。
でも、問題はそこではないわけでありまして。
これだけ皆の関心を集めるようなイベントを朝から起こしておいて、
紫苑さんの、このどうどうたる態度。そして、このオーラ。
ヒソ……ヒソヒソ……
誰も下手な質問なんてできないんだろうなぁ。
211Another pair 第3話:05/03/10 04:45:40 ID:tuCQ/9+w
それに引き換え……
「ねえ、宮小路さん。ちょっとよろしいかしら?」
ほら、また来た……。
クラスメイトに連れられて廊下までついていく、これで今日五回目。
「ごめんなさいね、私は何も知らないの」
そりゃあ、紫苑さんにこういう質問するのは憚れるのは分かるし、
貴子さんだって難攻不落っぽい雰囲気なのは分かるけど、
(それでも結構質問攻めにあっているようだが)
だからって、共通の友人だからって僕に聞かれても困る。
「はぁ……威厳がないのでしょうか、私」
トボトボと教室に戻る。
「あら、親しみやすいエルダーというのも瑞穂さんのよいところだと私は思いますわよ」
「うぅ、ありがとう美智子さん……」
美智子さんと圭さんが教室のドアの前で待ち構えていた。まさかとは思うけど、この二人も……。
「言っておきますが、私は何も知りませんよ?」
「あら、私はまだ何も言ってません。それに私は第三者から聞き出そうだなんて思いませんわ」
相変わらず美智子さんは怖いものしらずだ。何の気後れもせず紫苑さまの前まで歩いていくと、
普通に会話を始めた。あれ…世間話のように見えても確実に今回の件について聞いてるんだろうなぁ。
「ねえ、圭さん。美智子さん、何だか生き生きして見えませんか?
 こういう噂話、結構好きなのでしょうか」
「…………知らない」
あれれ、なんだか圭さんはご機嫌斜めっぽいご様子。
何か面白くない事でもあるのかな?
「……棚から牡丹餅瓢箪から駒……そうね、激戦地で友軍を見つけた下士官の気分?
 冗談じゃないわ」
「はぁ……」
212Another pair 第3話:05/03/10 04:47:39 ID:tuCQ/9+w
何を言っているのか全くもって理解できそうにないなぁ。
おお、にこにこ顔の美智子さんに紫苑さんが押され気味だ。
これは珍しい光景かもしれない。
「……別に、ね……分かってはいるの、深い意味はないって……」
「え? すみません、何か言いましたか、圭さん」
「…何でもない。独り言よ」
そう言うと圭さんは美智子さんと紫苑さんの元へずんずんと歩み寄り、
美智子さんを無理やりどこかへと連れ去っていってしまった。
これまた、珍しい光景だ。圭さんは多少強引なところがあるのは確かだが、
いつもは主導権を握られっぱなしの美智子さん相手にあそこまで強硬手段に出るとは……。
「は〜い、みんないつまでやってるの? 授業を始めますよ」
呆れ顔の先生の登場により、とりあえず朝の戦いは終了を迎えた。

短い休み時間でさえ、このクラスを見に来る生徒はいたけど。
……
「きゃ〜、本当にお揃いでしてよ〜!」
……
取り合えず、何とかお昼休みを迎えたわけです。
213Another pair 第3話:05/03/10 04:50:12 ID:tuCQ/9+w


「すみません、お取次ぎをお願いしたいのですが」
「あら、貴子さん。紫苑さまですね、少々お待ちください」
「え、ええ。はい……お願いしますわ」
飛ばしてるなぁ、美智子さん。まだ誰とも言ってなかったのに。
呼ばれた紫苑さんが貴子さんのもとに向かう。
教室の空気が揺れ動いてる。皆が注目してる。
確かに組み合わせとしては文句なく話題性最大だもんなぁ、本当。
でも、さすがは二人とも大物、全く意に介してない感じ。
どちらかと言うと、貴子さんは周りが見えてないだけのような気もするけど。
話を終えたのか紫苑さんが戻ってくる。てっきりそのままご飯を食べにいくと思ったんだけど、少し意外。
「これから食堂に行くのですが、よろしければ瑞穂さんもご一緒しませんか?」
「へ? 私も、ですか」
いいのかな? いや、駄目でしょ。
とは言え……別に僕と奏ちゃんだって二人に拘ったりしないし、お邪魔してもいいのかな。
でも、僕一人で居心地が悪そう……。
「あら、奏さん。瑞穂さんにお昼のお誘いですか?」
「そうなのです〜。お姉さまをお誘いに来たのです。
 あ、会長さんもご一緒にどうですか?」
廊下から二人の談笑が聞こえてきた。
やった。さすが奏ちゃん、いいところで来てくれた。これなら乗り切れそうだ。
「ふふっ、奏ちゃんもいらしたようですよ、瑞穂さん」
「そうですね、折角ですので4人で食べましょうか」
こうして、二組の姉妹による合同昼食会が開かれたわけなんだけど……。
214Another pair 第3話:05/03/10 04:53:47 ID:tuCQ/9+w
「…………」
(ひそひそひそひそひそ……)
「えっと、……」
「はい、お醤油ですわ紫苑さま」
(ざわざわざわざわざわざわ……!!)
目立つ。この組み合わせは限りなく目立つ。
渦中の前エルダーと生徒会長に加え、現エルダーの僕と劇の件以来人気沸騰中の奏ちゃん。
「はややや、お姉さま、何だか皆さんが見ていらっしゃるのですよ」
「そうね、これはご飯が喉を通りにくそうね」
たじたじの僕たちをよそにあちらの新生姉妹はどこ吹く風。
ていうか貴子さん、いつもはサイドに2つ付けてるリボン、今日は真ん中に一つなわけで。
他のリボンをつけてくる選択肢は初めからないんだろうなぁ。
でも、あれも可愛いなぁ。
後ろでしばってる紫苑さんも可愛いなぁ。
いいなぁ……。
「奏のリボンは分けられないのですよ、お姉さま」
「うっ……奏ちゃんにまで心を読まれるようになるなんて……」
「奏はお姉さまの事なら何でも分かるようになりたいのですよ〜」
奏ちゃんの無垢な笑顔に心が痛んだ。
ごめんね奏ちゃん。
いつまで、こんな嘘をつき続けるのだろう、僕は。
215Another pair 第3話:05/03/10 04:55:45 ID:tuCQ/9+w
「ねえ、貴子さん。このハンバーグ、とってもおいしいの、
 一口いかが?」
「い、いえ……とんでもございません、紫苑さま。
 私の事はお気になさらず、どうぞご自分で……」
「……そう。……じゃあ奏ちゃん、一口どうですか?」
「ふえっ、奏ですか? そ、それじゃあ、頂くのですよ〜」
紫苑さんが差し出したフォークをおずおずと咥える奏ちゃん。
可愛いんだけど、少しだけ悔しいような……。紫苑さんってば、まったく。
「はや〜、とっても美味しいのです。ありがとうございます」
「あらっ、そんなに喜んでもらえて嬉しいわ。奏ちゃんは本当可愛いわね」
「…………」
「…………」
無言で煮付けを口に運ぶ貴子さん。
そして無言で味噌汁をすする僕。
二人とも感じている事は同じのようだ。
でも、貴子さん、昨日はあんなだったけど、紫苑さんの前でもいつも通り凛としてるんだなぁ。
少しだけ意外な気もするけど、あの貴子さんなんだし、これで普通なのかな?
お昼ごはんはちょっとだけ微妙な空気を持って終了した。

216Another pair 第3話:05/03/10 04:58:23 ID:tuCQ/9+w


――放課後。
貴子さんが紫苑さんを迎えに来て、一緒に帰っていった。
帰っていったというか……まぁ、僕と奏ちゃんの前方十数メートルを二人が歩いてるわけだけど。
まるで一昨日の放課後のようなシチュエーション。
でも、微妙な違和感。
あの時は僕の隣にいるのは奏ちゃんじゃなくて、まりやだったし、前を行く二人も――
待てよ……そっか、あの時との違いはこれか。
貴子さんは、紫苑さんの横に並んでるんじゃなくて、一歩を後ろを歩いているんだ。
……ん〜、どうなんだろう。まぁ、姉妹の形も人それぞれって事なのかなぁ。
「お姉さま。あのお二方、なんだか様子がおかしくありませんか?」
「え? そうかな、別にそこまでは――」
急に前の二人が立ち止まった。
何事かと、つられて僕らも数メートル後ろで止まってしまった。
「奏ちゃん、こっち」
「はやややや」
がさがさ
「どうして奏達が隠れる必要があるのですか?」
「う、言われてみれば……でもなんだか、追い越すのも気まずいし……」
物陰からそっと伺う。…僕、一体何をしてるんだろう、という気持ちは取り合えず横に置いておく。
雰囲気からして別に言い争ってたりするわけではなさそうだけど……




217Another pair 第3話:05/03/10 05:02:36 ID:tuCQ/9+w





この違和感は実は朝から微妙に感じ取っていた。
確信したのはお昼ご飯を食べていたとき、そして、爆発したのが今。
「どういう事でしょうか、紫苑さま……」
「ですから、どうして私の隣に並んで下さらないのか、と問うているのです」
そう、これが私の感じている不満の正体。
「それは……」
「これが、あなたの望む姉妹の形なんですか?」
「……私は紫苑さまを尊敬しています。
 それに、目上たる自分のお姉さまに対して無礼な態度は取れません」
頭に来てしまう。これは私の望んだ姉妹ではない。
私が望んだ貴子ではない。
確かにこの凛としていて、礼節を重んじる姿も厳島貴子そのものかもしれないけど、
私が彼女に見出したのは、この姿ではない。
「最低限の礼節を弁えるのは確かに必要です。ですが、私達は姉妹となったのです、
 もう少し、砕けてみてもいいのではなくて?」
「ですが……私は……」
まずい、このままでは喧嘩になってしまう。
初日だというのに……姉妹というのも難しいものなのかもしれない。
でも、私もこの関係だけは妥協するわけには行きません。
218Another pair 第3話:05/03/10 05:07:16 ID:tuCQ/9+w
「分かりました……貴子。折角姉妹となったのです。
 お互い隠し事は無しとしましょう。またあのようなすれ違いになるのは耐えられませんからね」
「はい……それは全く同感ですわ」
「それでは、お互いにお腹の中のものを全て吐き出すとしましょう」
まずは、姉である私が、恥ずかしいけど、本心を語りましょう。
「いいですか、貴子。私はあなたとの間に無用な距離や壁を置きたくありません、
 もっと砕けた、……そう、もっと打ち解けた…本当の家族のような関係になりたいのです。
 私は、貴子もそれを望んでいると、そう思っていたのですが……それは私の一方的な押し付けだったのでしょうか?
 私がエルダーをしていた時だって、私は皆のお姉さまじゃなくて、皆のお姉さんになりたかったのに、
 あなたも……あなたまで、私にそんな態度をとるのですか?」
もう、あんなすれ違いには絶対にならないよう、私は全て包み隠さず貴子に打ち明ける。
次は、貴子がそれに応えてくれる番。
「そうでしたか、私は紫苑さまの事を傷つけてしまっていたのですね……本当に、駄目な女ですね、私は。
 …………私、怖かったのです。
 紫苑さまの傍にいるとすぐに甘えてしまいたくなる、少しの事で心が揺れ動いてしまう。
 私、自分がどんどん弱くなっていく気がして……そんな自分をどうしていいか分からなくて……
 今だって、二人きりになった途端、紫苑さまが私の事を貴子と呼んでくださって、
 嬉しくて……恥ずかしくて……どうにかなってしまいそうなんですわ。
 このままじゃ、弱い自分をすぐに抑えられなくなって、紫苑さまに嫌われてしまうと思って…………うっ……ふぇ……」
219Another pair 第3話:05/03/10 05:10:08 ID:tuCQ/9+w
ちゅっ
愛しさのあまり、私は貴子のおでこにキスをする。
「あ……紫苑……さまぁ、ふぁ……」
力の抜けてしまった貴子をそっと支えるように受け止める。
「話してくれてありがとう。あなたの気持ちはよく分かりましたわ。
 大丈夫、嫌ったりなんて絶対にしないから、だから、無防備なあなたをもっと私に見せてください」
抱きしめた貴子の頭を撫でてあげる。ふわふわした貴子の髪はとても気持ちがいい。
「ふぁ……ぁあ……ああっ………紫苑さまっ……紫苑さまぁ……よかった……よかったよぉ……」
胸に顔を埋めて泣きじゃくる貴子。子供のような言葉使いになっている。
なんて可愛らしくて、なんて愛しいのでしょう。
……不謹慎かもしれないけど、それは至福の瞬間のように感じられた。
「落ち着いたかしら?」
「はい……ありがとうございました」
「いいのですよ。さ、それでは改めまして……帰りましょうか、貴子」
「はいっ」
今度はちゃんと、二人並んで帰る。やっぱりこの方がずっといい。
「……あの、紫苑さま」
「何かしら?」
「……えと、その……て、てて、手をっ繋いで……頂けませんでしょうか…」
くすっ、本当に甘えん坊。
でもこれ、これですわ。
ぎゅっと貴子の手を握る。緊張のためか少し汗ばんでるような気がする。
本当、手まで可愛らしいのね、貴子は。
「ねえ貴子」
「……はい」
消え入りそうな返事。照れ屋さん。
220Another pair 第3話:05/03/10 05:11:39 ID:tuCQ/9+w
「今更なんですが、私、人を見る目はあるんですよ」
「……は、はぁ」
要領を得ないのだろう、そんな返事。
「ですから、本当は貴子が凄く照れ屋さんで、凄く甘えん坊だなんて、私はとっくに知っていましたよ?
 むしろ、だからこそ貴子が大好きなのですわ。だって私、可愛いものには目がないですもの」
勿論、普段のシャンとした貴子も素敵ですけどね。と最後に付け加える。
繋いだ手がますます熱くなるのを感じて、私は小躍りしそうになるのをやっとの思いで堪えた。






「……またまた凄いものを見てしまった……」
「ふえぇええ、よかったのです〜、二人ともよかったのですよ〜〜」

221前209:05/03/10 05:19:20 ID:tuCQ/9+w
以上、アナペ第三話でありました。
難産なシリアスさんさようなら。いらっしゃい、安産なほのぼのさん。

やっと、舞台が整ってきました。
これでずっと書きたかったデレデレ貴子が書けます。

思い起こせば、前スレから貴子貴子で来た私ですが、
完全デレデレ貴子さんは初めてです。

それでも、まだ瑞穂キュンにはデレデレさせてあげないのですけどね。
プロットは最終回までできているのですが、書きたい子ネタもあるので、
そっちが先かも……
222前スレ243:05/03/10 05:30:23 ID:yO8XllB3
GJ!!
お疲れでごんす
デレデレ貴子さん、かわ・・・・。
紫苑さまも良い味出してます。
ああ、さっさと貴子さんルートに行かないと・・・。

私なんて書こうと思ったら寝てることなんてしょっちゅうですから・・・。
とりあえず、アナペ第3話読めたので寝ます。
16時から大型の教習がありますので・・・。

投下待ちしてる間に大学ノートにネタを書いておりました。
終わりはまだ先、投下も、まだ先・・・・・・。

だらだら書いてゴメナサイ
223前レス555:05/03/10 05:39:45 ID:AULCcquB
>>210-220

ふうーーでれでれ貴子さん読ませて頂きました。
自分を律しすぎるのしょうね。あるいは、甘える方をわからないとか
だから、こころを許すと・・・際限なくあまえてしまうのではないかと。。。

また、”何か”が降りてきたら・・新作を・・・投下したいなと(^^;
224名無しさん@ピンキー:05/03/10 07:36:51 ID:LX5bAowz
>>205
・゚・(ノД`)・゚・
225名無しさん@ピンキー:05/03/10 07:42:37 ID:LFEesCSQ
ぐあ、一夜あけたらもうこんなに。
どれも素晴らしい作品で、今私が書いてる
テキスト捨てたくなるよホントorz
226269:05/03/10 08:56:31 ID:Qw9Ubnsi
スレ進行早いですね。
それでは、大晦日編第5部、投下します。
227269:05/03/10 08:57:27 ID:Qw9Ubnsi
大晦日編第5部


「あ〜!いい湯だったわぁ〜〜」
僕の部屋からお母様の部屋に戻る途中、階下からご機嫌そうなまりやの声が
聞こえてきた。
「ふぁぁ〜、ぽっかぽかなのです〜〜」
ふにゃふにゃした感じの奏ちゃんの声も聞こえてくる。
「あら…。ふふっ、危ないところでしたわね…瑞穂さん」
顔を赤らめた紫苑さんが囁くように云う。
「え…ええ」
先程のことを思い出し、僕も赤くなってしまう。
「それでは、私、お風呂頂いてきますね…?」
「はい。ごゆっくり」
紫苑さんが悪戯な微笑を浮かべて云う。
「あら?ご一緒して下さらないのですか…?」
「ええ?!…いや、その……あわわ」
かぁぁ!
そ、そんなこと云われるとまた、思い出してしまうじゃないですか…!
「ふふふっ、冗談ですわ。…出来ればご一緒したいところですけれど…」
上目遣いに呟く紫苑さん
「あは…あはは……」
今の僕に出来ることは、照れ隠しに笑うことしかない……。
「もう、瑞穂さんのいけず」
軽く頬を膨らませて云う。
…目が笑ってますよ、楽しんでますね…紫苑さん…。
228269:05/03/10 08:58:11 ID:Qw9Ubnsi
「そ…それはともかく、僕は少しお父様と話したいことがありますので」
お父様にはちゃんとお礼を云わなくちゃ…。
「そうですか…。ふふっ、…では、行って参ります」
「はい」
云うと紫苑さんは階段を下りていく。その途中、上がってきた二人と一言、
二言、言葉を交わすとお風呂場に向かっていった。
「あ、瑞穂ちゃん。おっ先〜」
「お姉さま、お先失礼しましたのですよ〜」
階段を上がり廊下にいる僕を見つけると二人は口々に云った。
「あら、いかがでしたか?我が家のお風呂は…?」
「いや〜、極楽極楽。やっぱ瑞穂ちゃんの家のお風呂は格別だわ〜」
「とってもいいお湯でした〜。奏、もう全身ぽかぽかなのです〜」
二人とも言葉に偽りはなし。ってくらいに顔を上気させている。
「まあ、お気に召して頂いて光栄でございます」
右手を胸に当てて、慇懃にお辞儀をする。
「お…!!瑞穂ちゃん、気障だね〜」
「か、格好いいのですよ〜」
「あはは…」
…やんなきゃ良かった。
229269:05/03/10 08:59:01 ID:Qw9Ubnsi
「あ、もしかして瑞穂ちゃんもお風呂行くところだった?」
思い出したようにまりやが云う。
「いえ、お父様にお話があって…」
「じゃあ、奏たちはお部屋で待っているのですよ」
「ん、そうだね。行っといでよ、瑞穂ちゃん」
「ええ、そうするわ」
仲良く部屋に戻る二人の後姿を見送ると、僕はお父様の書斎に向かった。

…コン、コン。
「お父様…?瑞穂です」
「開いている、入りなさい」
「失礼します」
かちゃ、
…バタン。
扉を開け、中に入ると後ろ手に扉を閉める。
「…掛けなさい」
ソファに座っていたお父様は、向かいの席を指し示すとそう云った。
「…はい」
云われるままに、ソファに座る。
「十条さんのことか?」
「はい、お父様にお礼を云いたくて……」
言葉を遮るように手をひらひらと振るお父様。
230269:05/03/10 08:59:38 ID:Qw9Ubnsi
「なに、礼を云われるほどのことでもないさ」
「…お父様」
お父様は、僕を…というよりさらにその後ろを見るかのような遠い目をして
続ける。
「…しかし、わしも父様と同じような事をすることになるとはな。この年に
なるまで思ってもいなかった」
「…お祖父様と?」
「ああ、お前には話したことがなかったのだな。…父様、いや先代もな、今
回のことと同じような選択をしたことがあったのだ。」
「…」
「同じと云ってもその時の場合は、有体にいえば借金の肩代わりだったがな。
まあ、一人の人間の未来を変えた、という意味ででは同じだな」
確かに、紫苑さんの未来は変わった、と云えるだろう。他人に敷かれたレー
ルを走らされるだけの人生から、自分で道を選び、走り出せるようになった
のだから。
……でもそんなに、同じような例ってあるものなのだろうか。

231269:05/03/10 09:00:09 ID:Qw9Ubnsi
ちゃぷん…。
「ふぅ……。まりやさんではありませんが、本当にいい湯、ですわね…」
少し大きめの浴槽は、やや大柄な私でも、ゆったりと足を伸ばして入れる。
「…瑞穂さんはいつもここに入っていらしたのですね…」
瑞穂さんの名前を口にした瞬間、つい先ほどまでの痴態を思い出し、体が
火照りだす。
「…良かった」
嫌われるのではないか、軽蔑の眼差しを向けられるのではないかと不安だ
った。
「…でも」
瑞穂さんは苦笑しながらではあるけれど、許してくれた。
私の心に絡み付いていた苦痛、虚無感。その他諸々の負の感情を察して、
共感してくれたのかもしれない。…同情ではなく、……共感。
「……本当にお優しい方」
私は今日と云う日を一生涯、忘れないだろう…。決して逃れられないと
諦めていた、望まぬ運命から解き放たれた、この日を。そして、愛と云
う名の見えない鎖に繋がれてしまった、この日を。
ガラッ。
「!」
ぱしゃ。
不意に浴室の戸が開いた。反射的に身を屈めてしまう。
まさか?!…瑞穂さん?
232269:05/03/10 09:00:54 ID:Qw9Ubnsi
「あら?……ごめんなさい。まだ、お客様が入ってらっしゃったのね…」
入ってきたのは楓さんだった。
…何を期待していたのだろう。私は……。
「ご一緒させて下さいね」
微笑を浮かべて楓さんが云う。
「はい、…どうぞ」
湯気に見え隠れする楓さんは、同性である私から見ても綺麗だった。
年齢は四十歳前後であろうが、なんというか年齢を超越した美しさ
を感じた。
ばしゃ。
手桶を使い、身を清めた楓さんが浴槽に入る。
「ふふっ、失礼致しますね」
「はい」
私は少し体をずらし、楓さんを迎え入れた。
仕事中は結い上げていたのでわからなかったが、楓さんの黒髪は
肩より少し長いくらい。透き通るような白い肌と相まって、大人
の魅力、というか、色香を感じさせる。
「十条さん…でしたねよ?」
「は、はい」
流し目で云う楓さん。思わず見とれていた私は、少し慌ててしま
う。
233269:05/03/10 09:01:28 ID:Qw9Ubnsi
「良かったわね」
「?」
言葉の真意を掴み損ねていると、
「…お家のことですよ」
「?!…ご存知なのですか」
「ええ」
にっこりと微笑む楓さん。
「思い出すわね、貴女を見てると」
「?」
「私もね、先代の光久様のお陰でしたくもない結婚をしないで済ん
だのですよ…」
「えっ!」
楓さんの言葉に驚いてしまう。
…私と…同じ……?
ふふっ、と微笑む楓さん。
「私はね、慶行さんや…亡くなった幸穂さんとは幼馴染なのよ。も
っとも、小学校を卒業するのと同時に、親の都合で引っ越すことに
なってしまったけど…」
「…」
「慶行さんと幸穂さんは中学校までは同じ学校で、高校からは違う
学校。それでも時々、休みになると会ったりしていたらしく、高校
在籍中に婚約した」
「…」
「私がこっちに戻ってきたのは、婚約が決まった後だった。ふふっ、
馬鹿よね。その時になって初めて自分の気持ちに気付くなんて…。
私はあの人のことが好きだった、ああ、今でも変わらないわね、これ
は」
234269:05/03/10 09:20:38 ID:Qw9Ubnsi
「……楓さん」
「確かに、私はあの人が好き。でも同じくらい幸穂さんも好きだった。
…過去形で云わなきゃいけないのが辛いけど」
一瞬苦しそうに顔を歪める。
「……当時ね、私の家、織倉家はお父様の事業失敗によって、莫大な借
金を抱えていたの。金策に困ったお父様は、ある資産家に頼った。その
資産家は借金の肩代わりをしてくれたわ。…でも、その見返りにあるこ
とを要求してきた…」
「……縁組…ですか……」
「…そう、その通りよ。一応、私の家は名家と云われる流れを汲む家だ
ったから。…箔を付けたかったのでしょうね」
…同じだ。私と……。
「お父様とお母様はなんとか阻止しようと手を尽くした…。そんな中
お父様は、…無理が祟ったのでしょうね、倒れて…他界してしまった。
…そして、失意に陥ったお母様も……」
「?!」
…なんて……。
「…でもね、駆けつけた光久様が、救いの手を差し伸べてくれたの。
……嬉しかったわ。本当に…」
私にはわかる……わかりすぎるほどに…。
「…慶行さんが光久様を説得してくれてたの。お父様は…死ぬには若
すぎる年齢だったから……過労の原因を調べて…ね」
「小父様が…」
「…私は、その時に決めたの。どんな形でもいいから、この人の傍に
居よう。少しでも助けになろう…って」
「それで…執事に?」
235269:05/03/10 09:21:56 ID:Qw9Ubnsi
照れ笑いを浮かべながら頷く楓さん。
「困った顔はされたけど…ね。でも、他の方法は思いつかなかったか
ら。まぁ、無理矢理よ。ん〜、一言で云えば…押し掛け執事?」
「……は、はぁ」
押し掛け執事?初めて聞きました、そんなもの…。
「で、鏑木家で働き出してから何年かして、瑞穂様がお生まれになっ
て、…幸穂さんが逝ってしまった。悲しむ慶行さんの為に私が出来る
ことは、幸穂さんの代わりに傍にいること、そして瑞穂様を立派な跡
継ぎに育てること。そう思った」
「…」
「まあ、瑞穂様のことはもう役目を果たしたかな…?恵泉に行くっ
て聞いたときはどうなるものかと思っていたけど」
「…そうですね。瑞穂さんなら、きっと平気だと思います」
瑞穂さん…優しさと強さを併せ持つ人……あの人なら、きっと。
「ねえ、女の幸せって、何だと思う?」
「え?」
女の…幸せ?
「私はね、好きな人の傍にいられることだと思ってるの。だって
今、私は幸せだと感じてる。そして私は女…なんですもの」
楓さんが本当に幸せそうな笑顔を浮かべる。
好きな人の傍にいられる幸せ…か。
「…そうですね。素敵なことだと思います」
「でしょ?」
ふふふっ。
お互いに顔を見合わせて、笑い合う。
…自分でもはっきりしなかった答えが見つかった気がした。
……楓さん。…ありがとうございます。
「ところで、聞きたいことがあるんだけど…?」
「?…なんでしょう?」
「瑞穂様の……」
その後は、瑞穂さんの学院生活の話で盛り上がった。
236269:05/03/10 09:22:52 ID:Qw9Ubnsi
「おやすみなさい。お父様」
「おやすみ、瑞穂」
お父様の部屋を辞し、部屋に戻る。
…楓さんにそんな過去があったとは知らなかった。
「…それにしても」
『今後とも、宜しくお願いしますね?瑞穂さん!』
…何故か、紫苑さんの言葉が気になる。
「瑞穂さん!」
「え…?…あ、紫苑さん」
考え事をしながら歩いていたら、不意に紫苑さんに会った。
「とても素敵なお風呂でしたわ」
「?…気に入って頂けてなによりです」
…気にし過ぎなだけだよね?
紫苑さんは、随分とすっきりした顔をしていた。


つづく


237269:05/03/10 09:26:45 ID:Qw9Ubnsi
ふぅ。
やっとこれで紫苑さんの不幸ルート回避決定となりました。
個別ルート以外では「厳島に束縛」が濃厚な感じでしたので
反発してこんなストーリー展開になってしまいました。
次で大晦日編は終わります。我ながら長いとは思いますが、
お付き合い下さい。
では。
238名無しさん@ピンキー:05/03/10 10:11:06 ID:t3xTcHZA
>>269
お疲れ様〜
パロでオリキャラ展開てことで見守ってたけど(偉そう)、いけてますな〜
これだけ長いと、風呂敷畳むのもたいへんそうやなぁと思ったり…期待してるじょ。


って、仕事で見れない書けないうちに、つくったネタ全部やられてるorz
学園祭もメイドもウェイトレスも…
仕事のばか!ばか!ま(r
239前209:05/03/10 10:26:19 ID:tuCQ/9+w
あ、えと……気分転換に変なものをこさえてしまいました……。
短いですが投下します。

↑にあるアナペ3話の挿話です。読んでない方は意味不明ですので、ご留意を。
ここは、恵泉女学院――。
明治十九年に創設された由緒ある女学院。
日本の近代化にあわせ、女性にもふさわしい教養を学ぶ場が必要だ、
という理念に基づいて創設される。
モットーは慈悲と寛容。
年間行事には奉仕活動や基督教礼拝など、宗教色も色濃い。
それに加えて日本的な礼節・情緒教育も行われているため、
普通の義務教育期間とはいささか趣が異なる点が多い。
若干世間から隔絶された環境にある所為か、
そこで育まれる友愛には普通と少し異なる世界が存在した……。


「いたたたたっ、もう……酷いですわ、圭さん」
痛がる少女―美智子は、訴えかけながらも、その優しい視線を傍らの少女に投げかける。
「ん……ごめん……」
応えた少女――圭は、美智子に曖昧な答えを返しながら、けれど相変わらず美智子の腕をしっかりと掴んだままだ。
241前209:05/03/10 10:29:08 ID:tuCQ/9+w

朝、最初の授業開始の時刻まで、もう5分を切っている、
そんな中、二人は演劇部の部室の奥の一角にある、準備室にいた。
――正確には圭が美智子を無理やり引きずって来たのだが。
ここは圭が学校で脚本を書くときの巣だ。
「もう、一体どうしたのですか。いきなりこんな事をして……まだお話の途中でしたのに」
「……とぼけないで。
 いい、あの二人は美智子の思っているような関係ではないわ。変な考えは止めなさい」
「あら、何の話でしょうか」
意地の悪い笑み。
「私がこちら側の人間を増やそうとする事に、何か不都合でもあるのですか?」
あなたに何が分かるの?つい最近までノーマルだった、あなたに……。
そう言われているような気がして、圭はカッとなった。
「……莫迦にしてっ……」
無理やりに壁に押し付けて、唇を塞ぐ。
「ん……むっ………ふっ……ん……んっ、んっ……」
「ふぅ……んむ……んぁ………」
静かな部屋の中で、ぴちゃぴちゃと少女達の舌先の絡み合う音だけが鮮明に刻み込まれる。
「ふ……ぁ……圭さん……?」
離れていく、圭の唇。
「私だけ、見てはくれないの……? 美智子」
「……んっ、……はむっ……んっ……ぁあっ」
激しさを増していく二人のキスに、美智子は既に心あらずといった風に見えた。
カシャン――
だが、美智子の後ろから聞こえた、その小さな音に圭は気付いていない。
「……ちゅ……あむっ……ふっ……ん、……ふぁ」
二人のキスは長く続く。他に愛撫はしない。……ただキスだけを続ける。
242アナペ(3)挿入話 「本物さんは」:05/03/10 10:31:08 ID:tuCQ/9+w
やがて静かに離れていく、二人の横顔。
少し震えているのは圭の唇、名残惜しそうに糸を引かせたのは美智子の唇だった。
やや遠く、校舎の方から授業開始を告げるチャイムが聞こえてきた。
「……戻らなきゃ」
視線を合わせず、圭がそそくさと部屋を出て行こうとする。
ガチャッ――。
ドアが開かない。おかしいな、鍵は掛けた覚えがなかったのだけど、疑問に思いつつ手を伸ばす
「あぁ、そのままにしておいてくださいな」
「ふぁああんっ」
後ろから、耳元で美智子が囁く。
その手は優しく圭の体をまさぐる。
「誰か来るとまずいので、先程私が掛けておきました。
 無用心ですわね、圭さん……」
そのまま圭の耳朶を甘噛みする。
「ちょっ……美智子……授業が……ぁあん」
簡単に組み敷かれる。床に倒れこんだ圭に馬乗りになった美智子が不敵に笑う。
「……ヤキモチだなんて、初めてかもしれませんね。
 いつもは私のお仕事ですのに」
「……何よ、あたしだって妬くわよ」
243アナペ(3)挿入話 「本物さんは」:05/03/10 10:32:25 ID:tuCQ/9+w
不貞腐れたような圭の視線に、美智子は満足そうに笑う。
「圭さんの方から、あんな熱烈なキスを奪いに来るだなんて初めてですね。
 びっくりしたけど、とても嬉しかったですよ」
「だって……」
「でも、その後が行けませんね、あそこで止めるだなんて言語道断です」
美智子に灯を点けてしまったらしい。ならこれは、身から出た錆なのだろうか。
「まだまだ、私を受けにするには修行が足りませんわね、圭さんは」
観念したのか、好きにしてと身を任せる圭。元より、抵抗する気などなかったのだが。
「あ、でも……今日は……優しくして欲しい……」
「心配させてしまった後ですから、私も圭さんの要望は聞き入れたいと思います。
 ですが、困りましたねー。これから始まるのはお仕置きの予定でしたのに」
「やだぁ……おしおき、やだぁ……」
「だって、圭さん。私は圭さんだから好きだと以前から言っていたのに、
 ちゃんと信じていて下さらなかったんですもの、お仕置きが必要です」
なんて理不尽な……わざと嫉妬を煽るような事をしておいて、ぬけぬけと。
圭の中に密かな対抗心が宿った。
「今、優しくしてくれないなら……もうアレ、してあげない……」
「……う、ずるいです、圭さん」
「……してあげない……」
折れたのは、美智子の方だった。
「しょうがないですね……我侭な圭さんのために、とびっきり優しくイかせてあげますわ」
「……ん。それじゃあ、まずはキスして……」


244アナペ(3)挿入話 「本物さんは」:05/03/10 10:34:13 ID:tuCQ/9+w







「……ねぇ美智子」
「……なぁに?」
二人で裸のままソファーに寝転んで、シーツに包まっている。
どちらも、圭が持ち込んだ私物だ。
「今日、あたしよりも一回多くイッた……」
「…………今回は特別です。次からは、こうはいきませんわ」
「そっか……」
「……でも、今日の美智子、可愛かった……」

「…………」
「…………」

二人してシーツの中で抱き合う。
軽くついばむように口付ける。
遠くからチャイムの音が聞こえる。
「授業、終わっちゃった……何て言うつもり?」
「そうですね……梶浦先生にお願いして、体調不良で休んでいた事にしてもらいましょうかー」
何か、密約でもあるような、物言い
「……悪党」

245前209:05/03/10 10:39:55 ID:tuCQ/9+w
いつになく、落ちがない気がしますが。ここまでです。

執筆に詰まると、いつもこうして妄想モードに入ってしまいます。
その副産物が、陵辱作品初挑戦(仮)や特盛ラーメンなわけですが……
なんか捻くれた物ばかりだなぁ……。

正直この二人、大好きなんですよね、自分。
先生としおも密かに好きだったし、百合に目覚めたのかなぁ、自覚ないんだけどなぁ。

では、また
246名無しさん@ピンキー:05/03/10 10:44:17 ID:4XzKocYO
圭さん美智子さんコンビキター(´∀`)

このスレ見てるだけで、全キャラの株があがってくよ
247名無しさん@ピンキー:05/03/10 10:47:48 ID:VOV9qEMI
>246
由香里以外はね orz
248名無しさん@ピンキー:05/03/10 11:00:44 ID:fnTHcDeO
美智子さんを引っ張って行った後に密かにこんな事が起きてたのですか。
圭さんがとても可愛かったです。

>>245
アナペの展開自体が百合になりそうだと期待する俺は一体w


>>247
お前の感じている感情は精神的疾患の一部だ。
直す方法は俺が知っている。 俺 に 任 せ ろ ! !
249名無しさん@ピンキー:05/03/10 11:12:30 ID:VOV9qEMI
>248
頼もしいお言葉。
それはゆかりんの株が上がるようなブツ投入と捉えていいんだよな?
マッテル!
250名無しさん@ピンキー:05/03/10 11:15:32 ID:xP0ALjjw
>>248
  ∧_∧
  (  ・∀・) ゆかりんの事は喪前さんに任せた
oノ∧つ旦O
( (  ・∀・)  漏れは脳内でメイド服を着た
oノ∧つ旦O
( (  ・∀・)   瑞穂キュンでも妄想してるぜ
∪( つ旦O
  と__)__)
251269:05/03/10 11:19:40 ID:Qw9Ubnsi
第6部校了っと。
見直し終わったら投下します。
次はインターバルで単発ものを書こうかな?
>ALL
何かいいネタ、ありますかね?
252前209:05/03/10 11:35:45 ID:tuCQ/9+w
>>251
俺の暖めてるネタ
・髪を切った瑞穂が勘違いした圭さんに一瞬迫られる話。
・幸穂ママと慶行パパンの馴れ初め。
・幸穂ママンと緋紗子先生が、知らずに少し絡んでいたという話。
・天に昇っていく一子さんが幸穂ママンの胸に包まれるお話。
・嫁いだ家で、幸穂ママンと慶行パパンのエロビデオを見つけてしまい
 ……ついついオナニーしてしまう……エロの君の話。

おぉ!?並べて初めて気付いたが、俺のマイブームは(ry
253名無しさん@ピンキー:05/03/10 11:56:22 ID:VOV9qEMI
>251
変化球きぼんぬ
・奏×ゆかりん
・君江妄想大爆発
ハァハァ・・・・
254名無しさん@ピンキー:05/03/10 12:06:18 ID:hFhZETUV
>>251
凸×貴子
とか
瑞穂に執着する暗黒紫苑様×にぶちん純粋瑞穂たん
とか
255前209:05/03/10 12:07:13 ID:tuCQ/9+w
>>251
ちなみに、暖めてないネタ
・白菊の君と琥珀の君の学院祭の話
・由佳里と瑞穂の娘、一美(ひとみ)が……なんだかマシンガントークし始める話(没)

>>252ともども、
何かインスピレーションを刺激するものがあれば幸いです。

由佳里ネタが没率高し……
アナペがあと二話で終わるのですが、どれから消化すればいいやら、さっぱりな状態。

アナペ4話は本編、本物、そしてもう一組が交錯しあう2/14の話の予定っす。
Another pair 第四話 バレンタイン連弾(フィアヘンディヒ)
全く進んでません、はい。
256名無しさん@ピンキー:05/03/10 12:13:13 ID:xP0ALjjw
>>251
紫苑様に襲われる瑞穂キュン
とか
ゲーム優勝者の景品になっている瑞穂キュンを目的に
ヒロイン達がゲームに熱中する話
とか…
257名無しさん@ピンキー:05/03/10 12:20:58 ID:xVyvZxnE
>>249,250
          ∧_∧
         < `ш´> <よせやい
       _φ___⊂)_
      /旦/三/ /|
    | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|  |
    |オトボク万歳 |/
258名無しさん@ピンキー:05/03/10 12:36:45 ID:Il6H+/ii
>>251
奏を鏑木の養子にして、一子と貴子さんも鏑木家に住む
259269:05/03/10 13:06:59 ID:Qw9Ubnsi
うわっ、すご…。
と、とりあえず大晦日編第6部投下します
260269:05/03/10 13:07:51 ID:Qw9Ubnsi
大晦日第6部


「んじゃ、全員揃ったところで…乾杯!」
「乾杯!」
僕がお風呂から出てくると、まりやの音頭の元、宴会となった。
まりやが来た時点で、こうなることはわかっていたけど。
「ごく、ごく…ぷはぁ〜!!!」
缶ビールを一気に飲み干すまりや。なんか親父臭い…。
「く〜〜、キターー!!って感じ!」
なにが来たんだ、なにが。
「あれ?皆飲まないの?ぐいっと行こうよ、ぐいっと」
「奏、お酒なんて飲んだこと…」
「私もビールはあまり…」
困った様子の奏ちゃんと紫苑さん。
「ああん、もう、じゃあ、瑞穂ちゃん!」
「わ、わかったわよ」
ごく、ごく。
「…ふぅ」
…苦い。
「わぁ、瑞穂お姉さま。お酒、強いのです?」
「なかなかの飲みっぷりですわね…」
「強くなんかないですよ。…飲めないこともないってだけで」
思わず苦笑する。
「それにしても紫苑様、お酒、駄目なんですか?」
「ええ、ビールは少々…」
「なら、ワインとかもありますよ」
云ってボトルを見せるまりや。
261269:05/03/10 13:08:29 ID:Qw9Ubnsi
「あら、でしたら白を…」
「りょ〜かいしました〜☆」
「まりやお姉さま、楽しそうなのですよ〜」
「楽しいわよ?あ、奏ちゃんも飲んでみる?白ワイン」
「えっ?!でも、奏、未成年なのですよ…」
「にひひ。もう、私も瑞穂ちゃんも飲んじゃってるんだけどな〜?」
「そ、それはそうなのですけど」
「まりや、奏ちゃんを困らせないでくれる?」
確か、ジュースがあったよね……。
手近の缶ジュースを取り
「はい、奏ちゃん」
奏ちゃんに手渡す。
「ありがとうございますなのです」
「ちぇ〜、つまんないの」
頬を膨らませながら、グラスに注いだ白ワインを紫苑さんに手渡す
「ありがとう」
紫苑さんが受け取ると
「じゃあ、改めて…」
ぷしゅ!
云いながら二本目を開けるまりや。
「かんっぱぁぁい!」
「乾杯」
ごく、ごく。
262269:05/03/10 13:09:08 ID:Qw9Ubnsi
今度は全員が手にした飲み物を飲む。
「ぷはぁ!」
「…ふぅ」
「……ふぅ」
「ふにゃあ」
…ふにゃあ?
「あらら?ちょっと、奏ちゃん?」
まりやの声を聞いて奏ちゃんを見ると
「わわっ、か、奏ちゃん」
「…まぁ」
茹蛸のように真っ赤に染まった奏ちゃんが……。
「ちょ、ちょっと、瑞穂ちゃん。奏ちゃんになに飲ませたの?!」
「え?なにって、そこにあったジュースを…」
云ってまだ開けてない缶を指差す。
「……カクテル、ですね。中身は…」
「ええ!!……嘘?」
「…アルコール度数8%って書いてあるよ?瑞穂ちゃん」
ま、間違って、奏ちゃんにお酒飲ませちゃった?!
「はにゃあ…世界が…回るのれす〜〜」
「ど、どうしよう…?」
「どうしましょう?」
顔を見合わせる僕と紫苑さん
263269:05/03/10 13:09:40 ID:Qw9Ubnsi
「ん〜」
ぐびっ。
唸りながらビールを呷るまりや。
「ま、済んだことはしょうがない。とりあえず、ベットに寝かせとこ」
「…そう…ですわね」
「それしか…ない…か」
三人で慎重にベットまで運ぶ。
「ふわふわするのれす〜〜」
…ごめんね、奏ちゃん。
ベットに寝かせると前髪を掻き揚げ、
「おやすみ、奏ちゃん」
額にキスをする。
「…ほほう」
はっ?!
「おやおや、見ましたか?紫苑様」
「ええ。もう、この目ではっきりと」
ぎぎぎ……。
錆びたロボットのようにぎこちなく首を回す。
「おやすみ、奏ちゃん……ちゅ」
「どこに出しても恥ずかしくない、立派なお姉さま振りでしたわ」
「い、いや、その、これは…」
しまったーーー!!!つい、いつもの癖で……。
264269:05/03/10 13:10:19 ID:Qw9Ubnsi
「?……いつもの…!!」


orz 「いつもこんなことやってたのか、僕は?!」


「なんか最近、瑞穂ちゃんの凹むのってネタに見えてきた」
「あら?そうなのですか…?私は瑞穂さんが苦悩する姿、好きですが」

ネタじゃないんです…真剣なんです…。……うぅぅ。


265269:05/03/10 13:10:58 ID:Qw9Ubnsi
「しかし…」
ちらっ、と奏ちゃんが寝ていることを確認すると
「良くもまぁ、ばれずにきたよね」
まりやが云う。
「…うん、いつも冷や冷やもんだけどね」
「あら?でも転校初日に比べたら、雲泥の差、ですわよ…?」
そう云えば、初日にいきなり紫苑さんにばれたんだっけ…。
「あ、そうそう。紫苑様にお聞きしたかったんです。なんでわ
かったんですか?」
「ああ、…瑞穂さんにもお話しましたが、私、その人の雰囲気
でなんとなくわかってしまうんです。悩み事とか、隠し事とか」
そういえば、確かに、そう云っていた。
「ふ〜ん、雰囲気ですか」
「ええ。あ、でも、もう瑞穂さんは雰囲気からでは判断つきま
せんわ。ふふっ、私でも時折、男の方っていうのを忘れてしま
いますもの」
そんな…ひどい……。
266269:05/03/10 13:12:24 ID:Qw9Ubnsi
「にゃはははは。ま、確かに女の子にしか見えないもんね。あ
あ、そうそう、プールの見学を先生にお願いしに行ったときの
瑞穂ちゃん。可愛かったなぁ〜〜」
「ええ、あれは、ぐっ、とくるものがありましたね。ぎゅ〜と
抱きしめたくなりましたもの」
「お願いだから、それは忘れて…」
あれはほんとに恥ずかしかったんだから…。

それにしても、と紫苑さん、
「学院生活も残すところ、後二ヶ月、早いものですわね…」
「…そうですね」
あと二ヶ月か…。なんだかしんみりしちゃうな……。
ゴーン……ゴーン……。
「あ、除夜の鐘」
ゴーン……ゴーン……。
「また、一年が終わりましたね」
「…そうですね。あ、明けましておめでとうございます」
「おめでとう」
「おめでとうございます」
「今年も宜しくお願いします」
「こちらこそ」
「これからも宜しくお願いしますね」

恵泉女学院に転入して六ヶ月。色々あって大変だったけど、今までで
一番楽しい時間だった気がする。
残りの二ヶ月、大きな問題もなく過ごせたら…いいなぁ……。


大晦日編  完
267269:05/03/10 13:15:49 ID:Qw9Ubnsi
ということで、やっと大晦日、終わりました!!
こんなに長く続くとは思わなかったですよ。
紫苑さんは一応の決着を見たので、続きを書くと
すると、奏ちゃんand瑞穂ちゃんメインになりそうです。
268269:05/03/10 13:18:59 ID:Qw9Ubnsi
今のうちに
269名無しさん@ピンキー:05/03/10 13:19:34 ID:LX5bAowz
|・) ジー
270269:05/03/10 13:19:50 ID:Qw9Ubnsi
269ゲトー!
これで名前変えなくてOK

連投すみません
271元269:05/03/10 13:20:34 ID:Qw9Ubnsi
>269

そんなorz
272名無しさん@ピンキー:05/03/10 13:21:24 ID:/dnuIY2o
|∀・)・・・・・
273名無しさん@ピンキー:05/03/10 13:21:56 ID:tuCQ/9+w
>>270
……生きて……
274元269:05/03/10 13:30:15 ID:Qw9Ubnsi
>273
え〜となんというか、起きていてもつまらないっていうか
生きている価値も無いっていうか、そもそも生きていない
って云うか〜

orz

275名無しさん@ピンキー:05/03/10 13:47:07 ID:GdpDN4qw
絶妙なタイミング…
>>270
生きて…
276名無しさん@ピンキー:05/03/10 13:55:26 ID:tuCQ/9+w
凸の……SSなんて書いちゃったのですが……投下しても、いいですか?
なにせ、凸なもので……おまけに貴子スキーには刺されかねない内容かもしれない……。

ま、まあ、たまにはこういうのもありかなぁ、って……ほんの軽い気持ちで、流し読んでください。
277名無しさん@ピンキー:05/03/10 13:56:18 ID:tuCQ/9+w
生徒会のお手伝いをなさって下さるようになって以来、
お姉さまと会長の仲は日に日に深いものへとなっているように感じられます。
最近では、生徒会の役員はおろか、一般の生徒まで微笑ましい噂話のネタにしているほどです。
微笑ましい……とはとても言えない噂も多々ありますけど。
ただ、生徒会室には私をはじめ、お二方以外にも仕事をしている人がいるという事実を、
お忘してるのではないでしょうか。
今日だって……二人でお手を繋いだまま入ってきて……私の視線に気付いて、
半ば悲鳴に近い声をあげて離れるような始末。
まるでお付き合いを始めたばかりの男女のような反応です。
まぁ、女性同士でも、その、この学院ではさほど珍しい事ではないらしいですが……。
ですが、あのご様子では噂ほどは進んでいないようですね。
せいぜいキス、までといったところでしょうか。会長はああ見えて奥手で乙女なお方ですしね。
それでも面白くないという事には変わりはありませんが。
現在、会長は各部活動の引継ぎの件で旧・部長の集まりに出席していらっしゃいます。
この部屋には、定例報告の校正をしているお姉さまと新会長の所信表明演説の原稿に向かう私だけ。
……確かに、お姉さまは素敵な方だとは思いますけど、会長と付き合うというのは正直面白くありません。
会長は……こう……誰のものにもならない。誰にも庇護される事のない、崇高で尊い存在であるべきなのです。
勿論、私などが個人的にお近づきになる、などと云うのもとんでもない話です。
そりゃあ……私だって……夢見ちゃう事はありますよ、
……素敵な方に組み敷かれたい、なんて思う事もありますけど。
278名無しさん@ピンキー:05/03/10 13:57:34 ID:tuCQ/9+w

その時私の中に何かが舞い降りた。
そう、閃いてしまいました。どうしてこんな簡単な事が思い浮かばなかったのでしょう。
時間を見計らう。
……そろそろ、でしょうか。
「すみませんお姉さま、少々よろしいでしょうか?」
「はい、何ですか? 君枝さん」
演説の原稿で見て欲しい部分があると、お姉さまをお呼びする。
お姉さまは、勿論何の疑いを持つ事もなく近づいてきます。
これから起こる事を、微塵も予想できてはいないのでしょう。
私の席のすぐ横に立ち、原稿を覗き込もうとするお姉さまの手を急に引き寄せる。
急な事で訳が分からないお姉さまが、私に覆いかぶさるように倒れこんできたところで、
その唇を奪ってしまう。
タイミングもばっちり。
「み、みみみみみっ、瑞穂さん!! 君枝さん!? い、一体……何を……」
仕事を終えて帰って来たらしい会長が、ドアのところで立ち尽くしていらしゃる。
「こんな……酷い…………」
抱えていた資料がバサバサと床に散らばっていく。
「い、いきなり何をするんですか!」
「いえ、何……と言われましても」
そうですよ。お姉さまを奪ってしまえば、私の夢も適うし、
会長もフリーのままですし、こんなに素晴らしい解決法があっただなんて!
どうして今まで気がつかなかったのでしょう。
「ま、待ってください! 誤解、誤解なんですってばーーー!!」
「知りませんっ! 知りません知りません!! ふぁあああ〜〜んっ、紫苑さまぁ〜〜!」
「ど、どうしたのですか? 貴子さん」
「だから、誤解、誤解なんですってば〜〜〜〜〜!!」
脱兎の如く逃げ出した会長を慌てて追いかけていくお姉さま。
間の悪い事に紫苑さままで居合わせたようだ。
私は一人、ほくそえむ。
279名無しさん@ピンキー:05/03/10 14:01:27 ID:tuCQ/9+w
終わりです。

色々問題作ですが、軽い気持ちでどうか……
280名無しさん@ピンキー:05/03/10 14:22:33 ID:Qg7zf3ac
>>260-266
GJ!大晦日編、とても楽しませてもらいました。
お客様がいるのに執事が入浴してくるかなとは思いましたが
きっと紫苑と二人きりでお話をして彼女が選ぶ道を示してあげたかったからだと解釈しました。
続きも期待しております。

ところで紫苑さま。
> 「あら?そうなのですか…?私は瑞穂さんが苦悩する姿、好きですが」
貴方は私ですか?(w


>>269
ひでぇー
ワラタw


>>277-278
OK.何ら問題なし。むしろGJ!
281名無しさん@ピンキー:05/03/10 14:27:27 ID:/f1tAwR6
>>277-278
君枝さん、ナイスw
282元269:05/03/10 14:36:11 ID:Qw9Ubnsi
>280
裏事情まで読み取って頂けるとは…嬉しいです。
一人称で書いているのでそこら辺を上手く表現できない
のです。
私は貴方です。きっとw
次の題材が決まりました。一番書かれていない由佳里ちゃん
視点のものになります。あ、あと初めて貴子さんも書くこと
になります。
では、明日にでも。
283名無しさん@ピンキー:05/03/10 14:37:22 ID:xXcU6a3+
つか、紫苑様なら君枝さんの企みに気付きそうだがw
284名無しさん@ピンキー:05/03/10 14:45:04 ID:LUjJxCIB
気付かないふりして漁夫の利を狙うのが真の紫苑様
285名無しさん@ピンキー:05/03/10 14:54:54 ID:VOV9qEMI
君枝さんのこの行動自体がすでに紫苑様の思惑という罠
286名無しさん@ピンキー:05/03/10 15:01:12 ID:xTN/pYLu
>>260-266
大晦日編、乙でありました。大変楽しませて頂いたであります。

正直、楓さんに萌えてしまたのは内緒だ・・・
287名無しさん@ピンキー:05/03/10 15:10:52 ID:h+SPHJQd
>>260-266
元269氏の書く紫苑さまが好きだったので
続編も紫苑さま希望だったのですが奏ちゃんですか
それはそれでまた楽しいものが読めそう
とにもかくにも大晦日編GJ&乙でした
288名無しさん@ピンキー:05/03/10 15:11:57 ID:h+SPHJQd
すみませんageてしまったorz
289前レス555:05/03/10 15:44:07 ID:AULCcquB
269さん
大晦日編お疲れ様でした。
紫苑さん。鏑木家のお輿入れ決定でしょうか?それとも、2代目楓さんになるのでしょうか?
まずは、お疲れ様です。続編も期待させて頂きます。
290元269:05/03/10 16:04:17 ID:Qw9Ubnsi
>289
二代目楓さんの予定です。そこまでは書かないでしょうけど、流石に。

由佳里〜ファイト! 投下します
291元269:05/03/10 16:05:00 ID:Qw9Ubnsi
「え、ええぇ……と、そ、その本当なんですか……?」
瑞穂お姉さまから信じられない言葉を聞いた。
「あ〜、え〜と…信じられない気持ちはわかるんだけど……」
頬をぽりぽりと掻きながら云い難そうにまりやお姉さまが云う。
「…だって、そんな……信じられるわけないですよ〜」
よりにもよって瑞穂お姉さまが『男』だなんて……。
「まぁ、一目でわかる証拠ってのもあることはあるんだ…けどね……」
「それは勘弁してよ、まりや…」
一目でわかる証拠……?
「?!」
思い当たることはひとつだけ…男の人の……。
思わず想像してしまった…。瑞穂お姉さまの…その…あれ……を…。
ぷしゅ〜!
「あわわっ…」
体が火照り、全身が赤くなっていくのがわかる。
「ゆ、由佳里ちゃん?!」
私の変化に驚いた声を出す瑞穂お姉さま。
「ありゃりゃ…。う〜ん、やっぱ…ちょっと刺激が強すぎるよね。あれは」
うんうんと一人頷くまりやお姉さま。
「ととと、とにかく、その…瑞穂……さんは、男の方ってことなんですね?」
「…うん」
俯いて返事をする瑞穂お姉…じゃない、瑞穂さん。
…きっと、私を騙していた……と思って罪悪感に駆られているんだと思う。
エルダーのお姉様、としての生活を間近に見てきたのだから、容易にわかる。
騙されていたという事よりも、打ち明けてくれなかったという悲しみの方が強い。
「わ…かりました。でも…」
なんでこの時期に……?
今はもう、二月の半ばを過ぎ、あと半月もすれば卒業という時期になっている。
「実は……」
瑞穂さんは、いつもの瑞穂さんらしくない様子で語り始めた。
292元269:05/03/10 16:06:03 ID:Qw9Ubnsi
「そう…なんですか。奏ちゃんと…」
瑞穂さんは、私の知らない内に、奏ちゃんと恋仲になっていた……。
「…由佳里……?」
「由佳里ちゃん…?」
まりやお姉様と瑞穂さんが驚いた、と云うか困惑した表情で私を見る。
「……え?」
なんで?と思った瞬間、
二人の姿がぼやけ出した。
……私、泣いてる……?
「…由佳里」
まりやお姉さまが、優しく抱きしめる。
「…由佳里、私も同じ気持ちなんだよ」
私だけに聞こえる小さな声で呟く。まりやお姉様らしくない憂いを帯びた声…。
お…なじ……?
「……っ」
そこで初めて自分の気持ちに気が付く。『皆のお姉様』だった瑞穂さんが、一人だけ
のものになってしまう……。…ううん、私の大好きな瑞穂さんが、奏ちゃんだけのも
のになってしまう……。私にはもう届かない存在に…なってしまう……。
「……ぅ……ぅぅ…ひっく……」
気持ちに気付いた時点で、既に終わっていた…。……私の…初恋……。
「…ゆ……か…り……っ」
私を抱きしめていた、まりやお姉さまも嗚咽を漏らす。
「え…ぇ……?」
泣き出した私とまりやお姉さまに、掛ける声を失った瑞穂さんが、困惑の表情で
あたふたと慌てふためいている。
「…まりや…お……ねぇ……さ…ま…」
「…ゆ…か……り……」
私達はそのまま泣き続けた……。
293元269:05/03/10 16:07:08 ID:Qw9Ubnsi
翌日、私は生徒会室の前にいた。
コン、コン。
「失礼します」
「えっと、生徒会室に何か御用ですか?」
扉を潜ると眼鏡を掛けた先輩が反応した。
…確か、会計役の君枝お姉さま。
「わ、私、新入生の上岡由佳里と申します。せ、生徒会長さんはいらっしゃいますか?」
「会長…ですか?」
お待ちになってというと、君枝さんは窓際の机に向かって云った。
そこには、日の光に照らされた、美しくウェーブを描いた長髪をした生徒会長…厳島貴子
さんの姿があった。
君枝さんが、一言二言告げると、貴子お姉さまは見ていた書類から顔を上げ、こちらに視
線を送った。
「……っ」
目が合った瞬間、慌てて頭を下げる。しばらく下げたままでいると、
「…頭をお上げなさいな」
すぐ近くから優しい声がした。
「は、はい」
ゆっくりと頭を上げる。貴子お姉さまは、いつの間にか私の目の前まで来ていた。
「あら?あなたは……?」
「あ、わ、私。新入生の上岡由佳里と申します」
慌てて自己紹介をする。
「ああ、確か…お姉さまと同じ寮に住んでいるのでしたね?…生徒会長を務めています、厳
島貴子です。宜しくね…上岡さん」
「ぁ…いいえ、あの…こちらこそ」
貴子お姉さまは、とても物腰が柔らかで、優しい感じのする人だった…。
…まりやお姉さまから聞いていたのと、随分違う…。
「それで…どのようなご用件なのでしょう…?」
「え、えっと、実は……」
294元269:05/03/10 16:08:03 ID:Qw9Ubnsi
「…そうですか、生徒会の仕事を……」
「はい…」
事情を説明すると、貴子お姉さまは髪を手で弄びながら云った。
「お話はわかりました。……ですが、よくわかりませんね…」
「?」
「あなたは、寮でまりやさんから私の話を聞いているのでしょう?…どのようなお話を
伺っているのかは存じませんが、少なくとも、良い話は聞いていないのでは、と思うの
ですが…」
やや厳しい視線を送ってくる。
「……そう…ですね。…まりやお姉さまからは、特に…」
「でしたら、何故…?」
「…奏ちゃんに……聞いたんです」
「奏さんから…?」
「はい…。その、貴子お姉さまがとてもお優しい方でいらっしゃることとか……」
「……そうですか、奏さんがそんなことを……」
厳しい視線が消え、後には優しい柔和な微笑みが残った。
「…わかりました。私としても、後に続いて下さる方々を自分で鍛えておきたいと
思っていましたし…」
「貴子お姉さま…」
ふふふっ、と優雅に笑う、貴子お姉さま。
「覚悟なさって下さいね?私の指導は厳しいらしいですから」
「は、はい!よ、宜しくお願いします」
295元269:05/03/10 16:09:02 ID:Qw9Ubnsi
『奏ちゃんには負けない!』
…これが私の出した結論。
奏ちゃんには演劇がある。でも、私にだって陸上がある。勉強…は苦手だけど、少
しでもできるように頑張ると誓った。
…あとは、生徒会役員として皆の為に働く、そして…いつか……。

……後悔させてあげますから、私を選ばなかったことを。
覚悟してて下さいね……瑞穂さん。


fin

296元269:05/03/10 16:12:01 ID:Qw9Ubnsi
このくらいの長さのだと時間掛からなくていいですね。
一時間掛からなかったような…?
由佳里ちゃんが生徒会に目覚めた動機を捏造してみました。
次回は「お正月休み」の元日編になります。
では。
297名無しさん@ピンキー:05/03/10 16:14:20 ID:fpgZd7mK
GJ
298名無しさん@ピンキー:05/03/10 16:23:21 ID:EQVwLjoD
299名無しさん@ピンキー:05/03/10 16:26:45 ID:EQVwLjoD
しまった・・・上げてしまった
祭り参加直後だったもんで
300前レス555:05/03/10 17:01:16 ID:AULCcquB
恵泉の最後の日・・・渡されなかった卒業証書外伝

 某日の午後の某国際線の機内
”ポン”という電子音とともに、ベルト着用のランプが消えた。少しだけ座席の背もたれを倒すと
瑞穂は、深いため息を吐いた。
(出来れば恵泉を卒業したかったな)
ぼんやりそんなことを思いながら、窓の外をぼんやり眺めていた。

 恵泉での学生生活は、毎日が新鮮な驚きで一杯だった。

転入してすぐの紫苑さんとの出会い・・・ぼくが、男と分かっても態度を変えないでくれたのは、
うれしかった。

一子ちゃん。 おかあさまの学校の妹・・・幽霊とは思えない女の子。マシンガントークとでもいう
のだろか、一気にしゃべりまくる・・・ぼくの初めて?の女性

貴子さん。  ぼくとは、何度と無く意見の対立をしたが、本当はかわいらしい女の子だった。会長
だから、必要以上に自分を律していた・・・ような気がしていた。

由佳里ちゃん。まりやのミニサイズ?になるかもしれない女の子。

まりや    諸悪の根源。ぼくをおもちゃ扱いにて、騒動を巻き起こしてくれるある意味迷惑な
幼なじみ。ただ・・・恵泉最後の騒動だけは違ったようだが・・・
301前レス555:05/03/10 17:02:40 ID:AULCcquB
恵泉最後の日 2



 ぼくの意識は、騒動の発端に戻っていった。
 絡んできた男たちを叩きのめした後
「君枝さん・・・・大丈夫」
この時。自分の姿に気がついていれば”最悪の事態”を回避できたかもしれないが、君枝さんのこ
とが気がかりだった。
「う・・・・あ・・・おねえ・・・さま」
無意識だったのだろうか?胸に押し当てられた君枝さんの手の感触が違っていた。一気に覚醒した
君枝さん口から
「胸・・・・」
我に返り自分の姿を見るとブラジャーのホックを緩くかけていたせいでパットが抜け落ちていた。
(終わったな・・・)
と、いう想いと、これで嘘で塗り固めた生活をしなくても済むいう思いが、交叉していた。

 駅前の繁華街・・・下校時間帯ということもあって、事情を知らない恵泉の生徒も多数いたのだ
ろう。翌朝には、ぼくの正体が知れ渡っていたようだ。
(よく平気な顔をして登校できるわね)
(女装変態男・・・)
(どんな神経をしてるのかしら)
そんな言葉が聞こえてくるようだった。足下にいくつもの小石が飛んできたのを見て、どうやら
石を投げつけられたようだと、ぼんやり考えていた。すべてを受け止めて、一歩一歩教室を目指し
て足を進めていった。
 頭に有ったのは、紫苑さんのこと。日頃ぼくと親しくしてくれていた紫苑さんまで誹謗されるの
は防がなければいけなかった。ぼくはいい。自業自得だから、お祖父様の遺言に無理があったのだ
ろう。それとも、遺言の隠された意味を読み取れなかったぼくの失策なのかも知れない。
 気がつけば教室の入り口が見えていた。
302前レス555:05/03/10 17:03:54 ID:AULCcquB
恵泉最後の日 3

(よし)
無言の気合いを自分に入れると、いつもと変わらない声を出して
「おはようございます」
声をかけて教室に入る。予想通りというべきだろう。拒絶するかのような視線が返事の代わりに
戻ってきた。
「おはようございます」
感情というものをそぎ落としたかのような美智子さんの挨拶。あなたの居場所はここにないと、
言外にこめてあるようだった。さりげなく出された足を注意深くよけながら、自分の席に着く。
いすの上には画鋲がいくつも置かれていた。
(なつかしい悪戯だな)
そんなことを思いながら置かれた画鋲を取り除きながら、紫苑さん机をさりげなく見ると鞄だけ
が置いてあった。頭の中で、紫苑さんに突きつける言葉を何回も練習してみる。
「あら・・・」
噂をすれば・・・だろうか?紫苑さんの声が聞こえた。紫苑さんへの誹謗を防がなければ、その
考えだけが頭を支配していた。
「おはようございます」
そうしてぼくの姿を見つけると柔らかな笑みを浮かべて
「瑞穂さん。今日も寒いですわね」
お姫さま育ちのせいだろうか?教室の雰囲気をを飲み込めていないようだ。いつものように挨拶を
返すことが出来れば、どんなに気が休まるだろう・・・紫苑さんのぼくへの挨拶の後、視線がさら
に厳しいものとなった。紫苑さんをこの視線にさらしてはいけない。少し前に練習したように
「何かご用でしょうか?紫苑さま」
出来うる限り冷酷な言い方をしてみた。
「えっ。瑞穂・・・・さん」
(よし・・・うまくいったようだ。もう一息)
「ご用がないのでしたら、話しかけないでいただけます?」
303前レス555:05/03/10 17:05:26 ID:AULCcquB
恵泉最後の日 4

呆然と立ちすくむ紫苑さんを見て、これで紫苑さんを巻き込まずに済むだろうと・・・
(みてください。あの態度。本性をあらわしましたわよ)
(紫苑さま・・・おかわいそう)
予想どおり・・・いや、予想以上の反応が返ってきた。これなら、紫苑さんがいままで築き上げて
きたものを壊さなくてすむだろうと・・・ただ、ぼくに見せた哀しいような表情に胸が痛んだ。
わざと乱暴に教室を出て
「屋上に行こう」
力無く・・・つぶやいた。その日のことはほとんど覚えない。

 放課後。紫苑さんが、ぼくに声をかけようか迷っているうちに教室からでていった。
「あっ・・・」
紫苑さんの哀しそうな声が聞こえたようだったが、それを無視するように足を進めた。
下駄箱には”女装変態男”と一杯に書かれていた。事実なので否定はしないが、備品に悪戯される
のには困った。対策は後から考えるとして、今は休みたかった。

 寮の玄関で奏ちゃんと寮母さんがが、何かを片づけているような動きをしていた。少し近づくと
玄関のガラスが外から割られたようだった。
(そっか、ここまで・・・予想しておくべきだったな)
忙しく働いている二人の邪魔にならないように中に入ると
「ごめんなさい」
すれ違い際に聞こえる程度の声をかけた。奥から出てきた由佳里ちゃんにも聞こえたらしく
「なにを謝ってるのですか?」
冷たい声・・・でも、少しだけ感情が残ってる。
「ぼくのせいで、醜いものを見せてしまったから、それだけぼくは”異質”な存在なんだ。」
無理して笑顔を作ると
「直ぐ、このようなことはなくなると・・・思うから」
由佳里ちゃんに頭を下げると、急ぎ足で自室に向かった。
304前レス555:05/03/10 17:06:37 ID:AULCcquB
恵泉最後の日 5

自室のドアを開けると,ベットに倒れ込んだ。残っていた気力をかき集めると
(急がなければ・・・・奏ちゃん、由佳里ちゃんをも巻き込むわけにはいかない)
幸いとって言うべきだろう。鞄1つできたから、増えた私物を含めても、一人で持って帰れる
程度で済みそうだ。
(出来れば・・・卒業までここで暮らしたかったな)
そんな想いを振り切るように荷造りを始めた。ガタガタという音が聞こえたのだろう。
「瑞穂ちゃん。その荷物・・・」
「うん。今日でここを出て行く。玄関みただろ?これ以上の被害を出すわけにはいかない」
「・・・・どうするの?」
「今日は、駅前のビジネスホテルに泊まる」
「ごめん・・・」
それ以上、まりやが言いそうになるのを手で制すると
「まりやが気にすることないよ。幸い”鏑木”の名前は出してないから、”家”には影響はない
はず」
強引に話を打ち切ると
「まりや・・・いままで寮生活楽しかった」
部屋を見渡すと、一子の眠っていたタンスをそっと撫でると部屋から出て行った。

 駅前のビジネスホテルの一室。
バックを投げ出すとベットに倒れ込んだ。
(どうするかな?)
そのままの姿で考えていたが
(やはり、異物は消えるべきだろう)
 緋沙子先生からもらっておいた”退学届”の用紙を手荷物の中から取り出すと、途中で買った
認め印を押して必要事項を埋めていった。
(これを明日の朝。学園長に提出すれば・・・すべて終わる)
書き終えると、記入漏れが無いか確認して封筒にしまった。
(あっ、おとうさまに電話しないと・・・しばらく海外に。知っている人のいないところで暮らし
てみるのもいいかな?)
305前レス555:05/03/10 17:08:01 ID:AULCcquB
恵泉最後の日 6


「ピピ・・・ピピ・・・ピピ・・・」
繰り返される電子音で眠りから目覚めた。いつのまにか眠ってしまったらしい。
(あ・・・そうか。ホテルに泊まったのだった)
冷たい水で顔を洗って目を覚まさせると、簡単な食事を取ったというより、詰め込んだというべき
だろう。駅の大型のコインロッカーに荷物を入れると、退学届の入った封筒だけを持って機械的に
恵泉へ足を進めた。登校の時間帯を過ぎているのだろう人影はほとんど見かけなかったのは幸いだった。
 まっすぐ学園長室に向かうと、退学届を提出した。目だけで理由を求める学園長に
「昨日から騒動は、私の責任です。お祖父様の遺言とはいえ、やはり無理があったのではないか
と・・幸い”鏑木”の名前を出していませんので、”家”には迷惑がかからないと思います。」
学園長、封筒を手にすると
「瑞穂さん・・・逃げるのですか?」
穏やかな声で問いかけきた。
「そうでね。逃げると言われれば、反論できませんね。言い訳なら・・・出来るかもしれませんが、
心残りなのは、お祖父様の遺言に隠された意味を見つけられなかったことですね。ただ、お母さまの思い出に少しでも浸れたのは望外の幸せでした。」
「瑞穂さん・・・」
学園長の言外の意味を想像すると
「出来うることなら、卒業までこの学校に在籍していたかった。でも、ぼくという”異物”がいて
は・・・、ぼく一人ならともかく、奏ちゃん、由佳里ちゃん、紫苑さん、まりや・・・・そして
おそらく騒動に頭を抱えているだろう貴子さん。この方々を巻き込むわけにはいきません」
「分かりました。では、この書類は確かに”預かります”・・・いいですね。手続きが済むまでは
瑞穂さんも恵泉の生徒ですよ」
学園長が穏やかな声そう告げた。僕は、学園長に敬意を込めて一礼すると、恵泉を後にした。
306前レス555:05/03/10 17:08:58 ID:AULCcquB
恵泉最後の日 7

「お客様・・・・」
ふいに声をかけられて我に戻った。
「なにか?」
「お飲み物は?」
少し考えて
「そうですね。もしあるのでしたら、”ハーブティー”を、無ければ、レモンティーを御願いしま
す。」
(おねえさま・・・お茶ですの)
差し出された紅茶の湯気の向こうに奏ちゃんの笑顔が見えたような気がした。


 それから、現地の全寮制の学校に入り直して・・・そのまま現地の会社に就職した。
日本に帰るのは、必要な手続きをするときだけにして、滞在時間も必要最小限にとどめた。
お父さまには申し訳かったが、実家には立ち寄らず必要なものは、宿泊先のホテルに届けてもら
うようにしてもらった。


 ある日1通の手紙を書き、”厳島貴子様”と書き終わると、空港のポストに投函した。
 
307前レス555:05/03/10 17:13:17 ID:AULCcquB
また、”何か”が降りてきましたので
渡されなかった卒業証書・・・瑞穂視点?で書いてみました。
一気に書き上げましたので。。。どうなんだろう(^^;

うまく対比になっていればいいのですが(^^;
重いよ・・・ほのぼのとかでれでれがおりてきてくれない。

まあ、お目汚しということで
308名無しさん@ピンキー:05/03/10 17:15:45 ID:EQVwLjoD
しかし、スレが進むのが早いなぁ。
309名無しさん@ピンキー:05/03/10 17:21:20 ID:BdD0hOba
>306
手紙が気になりまふ〜。それにしても人間とは本当に残酷ですのぉ。
でもたまにはこういうのもいいですね。やっぱり自分はMなのか…。
310名無しさん@ピンキー:05/03/10 17:27:14 ID:xTN/pYLu
>>300-307
乙カレー。仕事中だけど暇だからリアルタイムで読んでますた。

重い話ですな。でもこういうのは有りだと思いまつ。「何か」が
降りてきてるのなら、その間に決めるもんですよ。
今後も期待さしてもらいますね。
311名無しさん@ピンキー:05/03/10 17:32:33 ID:C3wa5R/c
             ,.;ヘニニニヘ
             , 'くggggggく
   _____/ /  ̄ ̄/  ∧_∧
  /圭圭圭/司_/〒〒 /   (# ´∀`) <とりあえず、瑞穂タンを陰湿に虐めてる
  liョニニiョl:___::_ヒニニニニコ    (    )   美智子にミサイル撃っていい?
  j三三三l7~~@~~@~(0j    | | |
  モヒl++モヒ9(0(0(0(0(0フ    (__)_)
~~~ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~~~
312名無しさん@ピンキー:05/03/10 17:46:48 ID:EQVwLjoD
>>311
無礼者ッッッ・・・そのミサイルを離さんかぁッッッ!!
・・・一番悲しんどるのは・・・ッッッ美智子さんのファンッッッ・・・ワシが一番悲しんどるんじゃ〜〜ッッッ!!


誰か美智子ファンに癒しの手をつД`)・゚・モウヤダナキソ
313名無しさん@ピンキー:05/03/10 17:50:50 ID:bvBRKIQL
>>311
今なら許可する。
314名無しさん@ピンキー:05/03/10 17:51:52 ID:GdpDN4qw
315名無しさん@ピンキー:05/03/10 17:51:54 ID:MzjZ9oBb
>>300-307
読んでて某鬱ゲーより鬱った('A`)
虐められる瑞穂きゅん・・・orz
だがGJ

>>312
( TДT)ノシ

>>311
そのミサイルを俺に撃ち込んでくれまいか
316名無しさん@ピンキー:05/03/10 17:59:36 ID:xTN/pYLu
>>312殿、拙者も美智子さんファン故に助太刀致すぞ!

とはいえ、あの反応は当然といえば当然とも思えるだけになんとも複雑な気分であります。

317名無しさん@ピンキー:05/03/10 18:08:02 ID:bvBRKIQL
>>316
まぁ確かにそうだが
もしも美智子が>>300-307みたいな態度をしたら
圭さんが怒りそうな気がするんだけどねぇ…

瑞穂が教室を出た後に
無言で圭が美智子に平手打ち……
そしてボーゼンとする美智子…
318名無しさん@ピンキー:05/03/10 18:10:51 ID:EQVwLjoD
>>314
………え?

>>316
俺は、な、美智子さんほど普段から性別というものに理不尽さを感じ、悩み、苛まれてきた人はいないと思う。
彼女はある意味、一番理解しやすい位置にいるんだ、皮肉な事に。
そして何より、美智子さんには圭さんがいる。
二人揃えば炎となるのだー!無敵だー!
319名無しさん@ピンキー:05/03/10 18:12:10 ID:BdD0hOba
317さんの圭を見ただけで救われた気がするよ。確かに圭さんなら瑞穂の心を見透かしてそうだ。
320316:05/03/10 18:14:13 ID:xTN/pYLu
>>317-318
フォローサンクス。わかってるようなこと言ってスマンカッタ。

>>311
構わないから美智子さんじゃなくて俺に全弾撃ち込んでください。
321名無しさん@ピンキー:05/03/10 18:15:10 ID:MzjZ9oBb
>>317
俺も同じ事オモタ
そして後半GJ
それはそれで萌える。
322名無しさん@ピンキー:05/03/10 18:15:18 ID:Qg7zf3ac
>>291-295
GJ!ゆかりん健気だよゆかりん
元旦編マダー(チンチンw


>>300-307
読んでいて心が揺さぶられました。(こういうのも感動というのでしょうか)
本編がご都合主義なだけに、より一層心に来るものがありました。
このような少しだけ現実的なお話も面白いと思います。超GJです。
323名無しさん@ピンキー:05/03/10 18:19:15 ID:LX5bAowz
>>314
おや?
324前っていうか、今スレも209だったw:05/03/10 18:21:08 ID:VpXR5DJl
むむむ、なんかみなぎってきた。
バレネタ、熱いですね。
こういうのは色々と刺激されます、自分なりの物を書きたくなるというか…
>>300氏の許可さえ降りれば、そのうち私も似たようなネタを投下したいですな。


>>318
お前は絶対に俺本人。間違いない。


325名無しさん@ピンキー:05/03/10 18:54:37 ID:UjcTkXxS
>>314
          ∧_∧
         < `ш´> <………誰か結論を
       _φ___⊂)_
      /旦/三/ /|
    | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|  |
    |オトボク万歳 |/
326名無しさん@ピンキー:05/03/10 20:21:34 ID:dIM8ufko
ま、三次創作っつー事でいいんじゃない?
もしかしたら本人様自らAnotherVerを書いたのかも
知れませんが。

男バレシナリオはゲーム中に欲しかった気はする。
327名無しさん@ピンキー:05/03/10 20:38:32 ID:hFhZETUV
むしろ男バレしてもほとんどの生徒に『それがどうかしまして?お姉さまはお姉さまですわ』とか『お姉さまもへー』とか
男であることを気にされないorさらにモテモテで瑞穂がへこむシナリオきぼん。
328前スレ126:05/03/10 20:50:13 ID:VBCqYKmj
>>198-204 >>300-306
切なく、悲しい話ですね…
おとぼくにBAD ENDが無くてホント良かったなぁ、なんて思いました…w
GJなのですよ〜

>>210-220
……………
あ、いかん。あまりに萌えて言葉を失ってしまった…( ;´Д`)
GJでした!!胸キュン指数急上昇してしまいました!!…我ながら気持ち悪い感想ではありますが…orz

>>227-236 >>260-266
GJでした!!
楓さんの過去話や、慶行父と幸穂母の話…更にお酒にやられる奏ちゃんとかw
どれも良かったです。大作乙なのですよ〜
…そして、強くイ`…w

>>240-244
ついに圭さんと美智子さんの話が…!!( ;´Д`)
この二人の関係って、ある種百合の究極系なのかもしれませんなぁ…

>>277-278
うお、君枝策士だ…w中々に腹黒いですな。GJなのですよ〜

>>291-295
おお、琥珀の君誕生秘話ですなw由佳里ちゃん分補給させていただきました…( ;´Д`)
GJなのですよ〜

…にしても、流れるのが早すぎて…付いて行くのが、すんごく大変だ…
いや、凄くいいことなんだけど。
329前スレ126:05/03/10 20:53:56 ID:VBCqYKmj
そして連投スマソ。
スマソついでに、作品投下するのですよ〜

以前書いた、「奏でられぬ気持ち、奏でられた思い」の続きであります。

参照。保管庫より
ttp://www.type90.com/otome/ss/kana002.htm

完全なシリアス話になってしまいました。そして、結局続き物になってしまいました…w
330前スレ126:05/03/10 20:55:22 ID:VBCqYKmj
良く、同じ夢を見ます。
その夢の中で、私は暗闇の中、ただ一人立ち尽くしていました。
どうしたらいいか判らず、寂しくて…私は、泣いてしまいます。
でも…ある日、その夢の中に、私は光を見つけました。
その光はとても眩しくて、暖かくて…それ故に、すぐ側まで近づけません。
けれど、私はその光を見つけられた事が嬉しくて、
たとえすぐ側に居られなくても。触れる事が出来なくても…
私は、それで十分でした。そう、思っていました…

APPENDIX α 奏でられぬき持ち、奏でられた思い ―第二楽章―

「お姉さま…」
ベッドの上で、今日の出来事を振り返る。
今日は、大変な出来事があったのです…そう、とても、とても大変な…
「奏は、またお姉さまに迷惑をおかけしているのですね…」
それが、とても悲しくて。
事の起こりは、生徒会長さんに奏のリボンを見咎められた事からでした。
でも、奏はリボンを外したくなくて…お姉さまに、迷惑をおかけしてしまったのです…
「奏は、奏は…イヤな子なのですよ…」
お姉さまは笑顔だった。笑顔で、私を包んでくれて…それが、苦しかった。
また、こうして甘えてしまって…けれど、自分には何も出来なくて…
…よく眠れなくて、翌朝寝坊してしまったのです。
由佳里ちゃんがお姉さま達に……瑞穂姉さまに、お茶をお入れしているのを見て、
奏は…普通に勤めながら、由佳里ちゃんに少しだけやきもちを妬いて。
…また、自分の事が嫌いになるのですよ…
331前スレ126:05/03/10 20:56:20 ID:VBCqYKmj
奏でられぬき持ち、奏でられた思い ―第二楽章―(2)

異議申し立て書が張り出され、校内はこの話題一色になっていました。
中心人物である奏は、クラスメートの皆に「大変だったね」「頑張ってね」って励まされて。
それに笑顔で応えて。けれどそんな中で、暗い陰が降りてきている事に、
未だ気付いては居なかったのです…
最初に気付いたのは、お姉さまと由佳里ちゃんと。三人で食堂に行ったときでした。
そこで、奏にぶつかった人が居て…二人とも気付かなかったようなのですが、
ちらりと奏を見た視線が、すごく冷たくて…でも、それを言えずに居たのです。
けれど、それからも、廊下で感じる視線…振り向くと、ふい、と視線を外し、
歩き去る人が居て。
そして、その日の放課後に…
「痛っ!!」
奏は靴を履こうとして…鋭い痛みに襲われたのです。
「これ、は…」
靴の中にはガラス片が入っていて…当然自然に入ったものではないのです。
血の気が引くのが、自分でもわかって…すごく怖くなって…
「…あれ?奏ちゃん?どうかしたの…?」
由佳里ちゃんが声をかけてくれなかったら、泣いていたかもしれないのです…
「う、ううん。何でもないのですよ〜。ちょっと忘れ物をしたから、取りに戻ろうかと
悩んでたところなのですよ〜」
「?そう?…それじゃあ、私先に帰るね…?」
「はいなのですよ〜。すぐに、奏も帰るのですよ〜」
由佳里ちゃんが帰った後、奏は保健室に行って、手当てをしてもらって…
それから、寮に帰ったのです…
332前スレ126:05/03/10 20:57:02 ID:VBCqYKmj
奏でられぬき持ち、奏でられた思い ―第二楽章―(3)

「お姉さま、お茶をお淹れしましたのですよ〜」
「ありがとう、奏ちゃん」
「はい、どうぞ……痛っ」
つい、奏はお姉さまの前で声を上げてしまったのです。
「でも大丈夫?足を動かして痛みを感じるなんて、ちょっとっていうレベルじゃ……」
怪我をしていると知ったお姉さまが、心配そうな顔をなさっていて…
「だっ、大丈夫なのですよ〜ほんとなのですっ!」
そう云ってぴょんぴょん跳ねて見せたのです。
…もちろん、その度に足に激痛が走ります。けれども、それよりも…
お姉さまに心配をかけてしまう方が辛くて…心が痛いのです。
「それでは、失礼いたしますのですよ〜」
お姉さまの部屋を後にして…そこで、痛みで蹲ってしまいました。
「お姉さま…奏、奏…」
どうしたらいいのでしょうか…?
奏は、これ以上お姉さまに迷惑をおかけしたく無いのですよ…

翌日…一時間目が終わった後。奏が次の授業の準備をしていると…
「奏ちゃん。お客様よ?」
「あ、はいなのですよ〜。…あ…」
呼ばれて視線を向けた先には…以前、奏にぶつかってきた人が居たのです。
「周防院さん。ちょっといいかしら…?」
「…はいなのです…」
これ以上、お姉さまに迷惑はかけられない。
だから、奏はその人の後に付いて行ったのです…
333前スレ126:05/03/10 20:57:59 ID:VBCqYKmj
奏でられぬき持ち、奏でられた思い ―第二楽章―(4)

「いい加減にしてください!」
とても…とても怖かった。けれど、それでもお姉さまに迷惑をかけないために。
奏は必死で叫んでいました。けれど。
「あこがれのお姉さまにいっつもべたべたして、あまつさえ校則違反まで
助けて貰おうなんて、虫がよすぎると思わないの?!」
「そんな……奏はただ……」
そうなのです。奏は、いつもいつもお姉さまに甘えさせてもらっているのに…
その上、お姉さまに頼りきりになっている。
…それは確かな事実で…奏は、それ以上言い返すことが出来ませんでした。
やはり、全て奏が悪いのでしょうか…?
「ふん……知ってるんですからね。あなたみたいな孤児、本来なら
お姉さまの側にいることすら烏滸がましいのにっ!」
「…………っ」
……後の声は、聞こえていませんでした。
奏は、孤児……その事実が、重くのしかかっていて。
確かに、奏は孤児で、本来ならお姉さまの側に居る資格なんか無いのに。
奏は、声が出なくて…出せなくて…そのとき。
「………おやめなさいっ!」
「お……お姉さま………っ?!」
何故、お姉さまがここに?!いいえ、それよりも、全部、聞いて…?
足が震えて、倒れそうになったとき…お姉さまの手が、奏の両肩に置かれて。
「お…ねえ……さま……」
「奏は、私の大事な妹です!」
その言葉を聞いた瞬間、奏は…頭の中が真っ白になっていました。
お姉さまが…怒っている。それも、奏のために…本気で…
取り囲んでいた人たちが立ち去った後も、奏はただじっとお姉さまの顔を、
見上げる事しか出来なくて…
「ごめん……ごめんなさい………奏ちゃん……………!」
お姉さまが力なく抱きしめてくださったのを感じて、奏は…
全てを、話しました…
334前スレ126:05/03/10 20:59:07 ID:VBCqYKmj
奏でられぬき持ち、奏でられた思い ―第二楽章―(5)

全てを話して…けれど、お姉さまは赦してくださったのでした。
奏の事を、妹だと、仰ってくださったのでした。
奏は…奏は、どうしようもなくそれが嬉しくて。
お姉さまにしがみついて、泣く事しか出来ませんでした…
「あらあら……泣き鼠さんがお揃いね」
紫苑、お姉さま…
紫苑お姉さまも…奏のことを、笑って赦してくださいました。
奏は、自分がこんなにも幸せな境遇に居た事を、改めて知りました。
お姉さま達と出会えて、お近づきになれて。それだけでも幸せだったのに…
それでは足りないくらいに、もっともっと幸せな立場に居るのだと。
そのとき、初めて知りました。
奏は、泣きながらそんな事を考え…いつしか、眠ってしまったのでした…

夜。部屋で、奏はずっと考え事をしていたのです。
瑞穂お姉さまも、紫苑お姉さまも、奏の家族になってくださると…
そう云ってくださったのです。
奏は、ずっと自分の事が嫌いでした。
優しくされたいから、優しくして…そんなずるい自分が、嫌いでした。
けれど、瑞穂お姉さまに云われて、気付いたのです。
奏は、確かに優しくされたくて、お姉さまのお世話をしていました。
けれど、それを差し引いても…それは、自分がそうしたいからなんだと。
お茶を淹れる事もそうなのです。
奏が、お姉さまにお茶を淹れたいと思うから、淹れて差し上げているのです…
そして気付きました。
お姉さまが、奏の事を大事に思ってくれているのに、自分を嫌っていてはいけないんだ、と…
すぐには変えられないのかも知れません。けれど…
それでも、少しづつ、歩んでいこうと思います。
いつか、お姉さまのような人になるために…
335前スレ126:05/03/10 20:59:53 ID:VBCqYKmj
奏でられぬき持ち、奏でられた思い ―第二楽章―(6)

そして、10月革命は起こりました。
異議申し立てが認められ、奏はこれからもリボンをつけていられるようになったのです。
けれど、それよりずっと大きな革命が、起こっていました。
それは、奏だけが知る、奏の中の10月革命でした…

いつもの、夢を見ていました。
夢の中で、私は相変わらず、光に近づけないでいました。
けれど、ある日私は気付きました…
そうして、じっと光を見詰めます。
すると…あんなに眩しかったはずの光を見つめられるようになったのです。
私は、光の輝きが眩しすぎると思い込んで、ちゃんと見ようとしていなかったのです。
光を見つめると、その光は私を呼んでいるように見えました。
私は喜んでその光に寄り添うと…その光の中で、穏やかな…
とても優しい笑顔が、見えた気がしました…

                                       fin
336名無しさん@ピンキー:05/03/10 21:01:06 ID:5c8y29kU
>>327
よくも今まで私達を欺いてきましたわね!
今日からお姉さまは逆エルダーとして、全校生徒の奴隷として
暮らしていただきます!一切の口答えは許しません、よいです
ね?お姉さまっ!!

そして裏verに突入・・・・
337前スレ126:05/03/10 21:01:46 ID:VBCqYKmj
…こうして改めてみると、作中の科白の引用が多いですな…( ;´Д`)
ちと控えるべきだったかも。

しかも、この調子だとこのシリーズはシリアス一辺倒になりそうで…
今暖めてるネタは、極端に弾けてますがw

次は、瑞穂卒業頃の話になると思うのですよ〜
338名無しさん@ピンキー:05/03/10 21:03:10 ID:MzjZ9oBb
>>327,336
(*´ρ`*)・・・
339前スレ126:05/03/10 21:03:52 ID:VBCqYKmj
>>336
…は、激しく、見てみたいかも知れぬ…( ;´Д`)
340名無しさん@ピンキー:05/03/10 21:05:41 ID:OkuChKcv
お疲れ様です皆様、出張中の前スレ556辺りの、「5時起き」です。
こっちでもちょくちょく女々しいレス返してましたが、ようやく
投書出来そうな作品が少し書けましたので、次からアップさせて
頂きたいと思います。

なお、ネタは>256さまのを頂きました。
341名無しさん@ピンキー:05/03/10 21:07:23 ID:OkuChKcv
  『瑞穂争奪祭 第一話』

 クリスマスまで後一週間と迫った日の事。恵泉女子寮の食堂に、
五人の姿があった。
 テーブルの上には様々な食事にケーキに飲み物等。どうやら、
これからパーティーが行われるらしい。


「え〜、皆様、本日はお忙しい中を恵泉女子寮にお集まり頂き、
ありがとうございます」
 まりやが芝居がかった挨拶をすると、ぱちぱちとややまばらな
拍手が沸き起こった。
「……まったく、何で貴方って人は、この忙しい時に……ぶつぶつ」
「そう云いながら結局来て居るのはどこのどなたかしら、た・か・こ・さ・ん?」
「なっ! わ、私だって来週の降誕祭記念ダンスパーティーの準備
で忙しいですのよ?! で、でも……」
「でも、何さ?」
342名無しさん@ピンキー:05/03/10 21:09:41 ID:OkuChKcv
  『瑞穂争奪祭 第一話・2』

 まりやが笑みを浮かべながら聞き返す。
「で、でも…お、お姉さまがどうしても来て欲しいとおっしゃるものです
から……にべに断る訳にも行かないじゃありませんか」
「まーたまた、そんなこと云っちゃってぇ! 素直に『憧れのお姉さま
に誘われたから断れませんでしたの、あん♪』って言った方がいい
んじゃない〜?」
「そ、そそそそそんな事云いません!」
 貴子が顔を真っ赤にしてまりやに云い返す。
「……何か、普段の会長さんからは想像出来ないお姿ですね……」
「奏もちょっとビックリなのですよ〜」
 そんなまりやと貴子の様子を、ちょいとあっけに取られて居る二人。
「それで、まりやさん? その…肝心の瑞穂さんは如何なされまして?」
 その横に座って居た紫苑が、そんな質問をしたので、まりやと貴子
の云い合いがそこで止まった。
「紫苑さま、よくぞ聞いて下さいました! では、本日のパーティー
の趣旨を説明したいと思います」
 そこで、まりやは一旦言葉を切ると、一同を見廻した。
「こほん。本日のパーティーは、『ただの』クリスマスパーティーとは
訳が違います。この後、こちらで用意致しましたゲームで皆様に
遊んで頂きます」
 そう言うとまりやは部屋の一角を指差した。
 確かにそこにはまりやが仕入れてきたあの人生ゲームを始めとして、
様々な遊び道具が積んであった。
343名無しさん@ピンキー:05/03/10 21:11:41 ID:OkuChKcv
「そして、ゲームで勝利した暁には! はいっ、瑞穂ちゃん入って
おいで〜」
 まりやがそう言うと、扉が恐る恐ると言う感じで開き、そこから
出てきたのは……。
「はわわっ、お、お姉さまメイドさんの格好なのですよ〜!」
 そう、そこには、黒と白を基調としたメイド服を着て、ご丁寧に
カチューシャを付けた瑞穂が立って居た。
「まあ……瑞穂さん、メイドさんの格好もとても似合ってらしてよ?」
「あの、えっと……」
 少し頬を染めて、わずかに上目づかいに部屋の一同を見渡す瑞穂。
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
「た、貴子お姉さまっ! 鼻血、鼻血がっ!」
 慌てて貴子にハンカチを差し出す由佳里。
「う〜ん、ここまでの破壊力とは……やっぱり凄いね瑞穂ちゃんは。
にゃはは」
「まりやぁ…凄く恥ずかしいんだけど……」
「と、言う事で!」
 まりやは瑞穂の訴えを聞き流すと、話を続けた。
「ゲームに勝った人には、『瑞穂ちゃんを好きにしていい権利』が
与えられま〜す!!」

「「「「ええええ〜〜〜っ?!」」」」
344名無しさん@ピンキー:05/03/10 21:13:13 ID:OkuChKcv
  『瑞穂争奪祭 第一話・4』

「そ、そそそそれって、つつつつまり……?」
「あんたの考えて居る通りよ、貴子☆ にゃはは〜」
「そ、そんな、ああ……お姉さまを好きにしていい……」
(それって、もしかして、あんな事やこんな事や、あまつさえ、あ、
あんな事まで……!)
 ぷしゅー!
「ふにゅううぅぅ……」
 顔を真っ赤にして、力が抜けたようにへなへなと椅子に座り込む
貴子。
「ああ、云っとくけど、エッチなお願いは無しだからね」
「だ、だだだだ誰がそそそそそそんな事を云いますか!」
「あら、それは残念ですわね」
「し、紫苑さん……本当に残念そうに云わないで下さい」
 顔を赤らめながら瑞穂は紫苑にそう云った。
「ふふっ、冗談ですわ。でも、それにしても、とても魅力的な景品
ですわね。ね、奏ちゃん、由佳里ちゃん?」
「はいなのですよ〜! 奏、お姉さまにやって欲しい事があるの
ですよ〜」
「わ、私もお姉さまにやって欲しい事が……!」
「ふふっ、これはもう、ゲームもかなり白熱致しますわね?」
「……ううっ」
(僕の意志は……やっぱり無関係ですか……)


  続く
3455時起き:05/03/10 21:14:37 ID:OkuChKcv
以上です。
取り敢えず仕事終わって眺めて見たら>256さまのレスが目につき、
そっから勢いだけで取り敢えず書きました。

さて、この先どう展開しようかな(;´Д`)
346名無しさん@ピンキー:05/03/10 21:22:11 ID:MzjZ9oBb
>>345
乙なのですよ〜
そして紫苑様が勝つ方向で続きキボン(;´Д`)ハァハァ
347前スレ45:05/03/10 21:28:17 ID:xGEtDDQN
ぬおっ!半日見ないだけですさまじい作品の数だっ・・・

皆さんすごいです・・・


うーむ・・・
>>28-43 『DRESS UP!!』
の続き・・・というかBルート・メイドさんの衣装着た瑞穂ちゃんと・・・
を書いてたんですけど・・・

どうしよう。今日の夜に投下できそうかな〜と思ってたんですが・・・ネタがかぶってしまいますね・・・
3485時起き:05/03/10 21:31:36 ID:OkuChKcv
>347さま

あ〜、こちらはエッチ無しと縛りを入れたので、どうぞ
ご慈悲(投入)を(*´Д`)'`ァ'`ァ

んで続き練り始めてる私。楽しいのは気のせいだろうか?(笑)
349名無しさん@ピンキー:05/03/10 21:40:17 ID:GYwvUDvJ
まりやの企みも一子ちゃん乱入によるアクシデントで狂い、紫苑様の前に敗れ去る展開がいいなぁ…なんて妄想しちゃいました。
350256:05/03/10 22:25:40 ID:ZB24Wygu
>>345
  ∧_∧
  ( ; ゚Д゚ ) 漏れの投下したねたが拾われた!
oノ∧つ旦O
( (  ・∀・) 5時起き様、この後の展開を期待して待ってます
oノ∧つ旦O
( ( ; ・∀・) 漏れにも、うまく文章にまとめられる力があればな…
∪( つ旦O
  と__)__)
351209:05/03/10 22:27:28 ID:dTJz6ka7
長編怖い……バレンタイン怖い……

というわけで、逃避に書いたのを一本。
352209:05/03/10 22:28:44 ID:dTJz6ka7
「貴子さんっ!!」
咄嗟の事に状況を把握できない。
だが僕の体は、判断する事よりも、対処する事を自動的に選択していた。
「いやっ……うっ……っうう……」
貴子さんは羽交い絞めにされ、悲鳴を上げないように口を塞がれている。
敵の戦力は4人1チーム……恐らく、一人一人が何らかの戦闘訓練を受けているはずだ。
どうあってもこちらが不利。冷静に考えれば捕まりに行くような物だ。
でも、例え死んだとしても、退くわけには行かない。


――男として。




アナザーエピソード:処女は僕に恋してる 




353209:05/03/10 22:30:13 ID:dTJz6ka7

せめて相手が素人だったら……。
丁度、四人までなら同時に対処できる自信があったのだが。
まぁ、ない物を強請ってもしかたがない。
勝算がなくとも戦意は捨てるわけに行かない。
僕は貴子さんの元に奔る。
こちらに気付いた二人が振り返ろうとする――が、
「遅いっ……」
一人目、貴子さんを抱えた男の無防備な背中に拳を突き立てる。狙いは急所、
ずばり脊髄――ガキュッ!
訓練では日常化されていたものの、実際にこんな不快な音を聞くのは初めてだった。
男が崩れ落ちる、申し訳ないが、恐らく一生物だ。
あわてて二人が身構える。
せめて時間を稼ぐだけでも、そうすれば助けがくるかもしれない……。
ここで、思いがけない幸運。僕の姿を確認した男達は、構えを緩めた。
僕を女だと思って油断した?
莫迦な、見た目の偽装に惑わされるなど――いや、それ以前に、目の前で仲間が一人倒れていると言うのに、
なんという能天気な奴ら。
勝機が見えてきた。
わざわざリスクの大きい敷地内へ進入、
待機してるであろう車から拉致現場への距離、組織性の低さが垣間見える。
そして、この連中の対応。
こいつら、ひょっとして素人か。
354209:05/03/10 22:31:58 ID:dTJz6ka7
「ダメぇえええ! お姉さまっ逃げてーーーー!」
貴子さんが悲鳴じみた叫び声を上げる。
ありがたい、誰かが聞きつけて警備員を呼んでくれるかも――莫迦っ!
自分を目の前にしながら、貴子さんの声に一瞬気を逸らされた莫迦な男の懐に潜り込む。
「……ふッ」
一瞬でも男の反応を遅らせるため、掛け声の類は一切出さない。
ゴリッ!
そのまま体重をかけて、肘を喉に撃ち込む。
ガッ――。
「ゲッ――ハッ――」
男が血の混じった堰をするが、
微量の返り血なんて気にする余裕はない。
そのまま一緒に倒れこみ、マウント状態から頭部への下段突きを一閃。
ゴシャ――。
これまた初めて耳にする不快な音だが、これで二人目。
残りは二人
「!?」
グラウンド状態から立ち上がる前に中断の蹴りがとんでくる。
「ちっ――!!」
軌道上、頭部をガードするが、体重差はいかんともしがたかったらしい。
後ろに突き飛ばされるように転がる。
まずった。隙が大きすぎた。
355209:05/03/10 22:35:02 ID:dTJz6ka7
とにかく体勢を――
起き上がろうとしたところに前蹴りっ! 鼻先を掠める。
「しッ」
好機。
かわした蹴り脚を逆に跳ね上げ、軸足を払う。
「あぁああああああああ!!」
バランスを失った男の顔面に手を当て
ゴシャッッ!!
力任せに地面に叩きつけた。
「先生みたいに華麗にはいかないか」
コンクリートではないので死んではいない、と思う。
「――!?」
反射神経だけですんでのところで切っ先をかわす。
今のは危なかった。
「いやぁぁああああ! お姉さまっ!」
ナイフか――
「ちぃっ! すばしっこい……野郎だ」
切られたのは服だけか?
右肩に鋭い痛み。少し触れてたか……。
いや、左腕の感覚もないぞ?
……ちっ、ナイフは二本持あったってか。
しかしまずったな、腕に力が入らない。
356209:05/03/10 22:36:06 ID:dTJz6ka7
「こんの、やらぁ!」
男が僕の襟首を両手で掴み揚げる。
予想通りの素人さん。
何のために刃を蹴ったと思ったんだか。
手首を壊したら僕を掴めないでしょう?
「捕まえた」
腕がいかれてて掴めないなら、掴んでもらうまでのこと――
トンッ――
相手の膝が抜ける。
そこに少しだけ方向を加える。
ふわっ
空中なら力はいらない。
後はさっきの男と同じ。頭から地面に叩きつけた。
ドンッ!
「ぐ……ぁ……」
浅かったか、僕が未熟なばかりに、気の毒な思いをしてもらう。
ゴズッ!
止めに踵での最下段の蹴り。
最後の男も動かなくなった。
「ふ〜」
どっと汗が出てきた。怖かった……。
先生は僕は戦いになると人が変わるとか云ってらしたけど、
そんな事はないです、やっぱり。
「あ、の……瑞穂さん。それ……」
「……あぁ、はい。そうですよね、全て……話さないといけませんね」
357209:05/03/10 22:37:24 ID:dTJz6ka7
男が重心を低くして構える。
場慣れしている……やっかいだな。
「調子くれやがてらぁあああああ!!」
だがそれも、所詮は素人での話、だったか――
半身でナイフをかわす。0距離、マイナス
つんのめった男の手にあるナイフ、
すれ違いざまに靴先でその刃を蹴り上げる。
キィンッ!カィンッ!
金属質な音が後方でする。
「きゃっ」
あちゃ、ごめんね貴子さん。

358209:05/03/10 22:39:54 ID:dTJz6ka7

僕と貴子さんは寮へと向かう。
この時二人とも気付いてはいなかった。
貴子さんの悲鳴を聞いて駆けつけた数人の生徒たちが、一部始終を目撃していた事に――

続くと

359209:05/03/10 22:42:06 ID:dTJz6ka7
あぁああああ、やってしまったorz


続きはこれから考えます。
むしろ始まるのはこれからで、今のはただの前振りというか、趣味というか、
瑞穂キュンの男をアピールしたかっただけだったり。
後々大事になってくるかも分かりません。
本編との違いは瑞穂キュンが怪我もして、貴子は叫んだせいで、女子生徒に見られたとそれだけだったり。
ここまでやる必要はありません。趣味です。



そして、>>357>>356順番逆です。コピペミスです。なんてこった
360名無しさん@ピンキー:05/03/10 22:57:58 ID:tRbzaT3D
>>209
乙です。瑞穂お姉様強すぎ。でも素敵であります。
やっぱり人変わってるっすよ。冷静になりきってるあたり。
冷静なバーサーカーっつー感じで。

続きがんばってくらさい。

>コピペミス
Don't mind!
361名無しさん@ピンキー:05/03/10 23:06:25 ID:e4pLApxN
バイオレンス瑞穂ちゃん
(((( ;゜Д゜)))ガクガクブルブル
362前スレ550:05/03/10 23:18:20 ID:4Urpp52M
卒業した年の大晦日。貴子視点。過去にうpしたSSとは全く関係ありません(特に「ミスキャンバス?」とは全然関係がありません(ぉ)))

大晦日の夜、数ヶ月ぶりに家族そろっての食事の後。使用人が淹れた暖かな紅茶の湯気が揺れている。
明日、厳島グループの幹部たちが新年の挨拶に来るから、それだけの理由で父と兄は帰ってきたのだ。
父にとっては、自分が企業人としてだけではなく、「家族人」としても成功している事を見せるため。
母にとっては、自分が間違いなく厳島の正妻である事を示すため。
兄にとっては、自分が父の後継者である事を、父の部下に示すため。
私以外の家族はそれぞれの思惑を持って、久しぶりに家に帰ってきたのだ。では、私はどうしてここに居るのだろう?理由なんてないのに・・・
誰も特にしゃべらない。しゃべるような事もないんだから当たり前。
こんな雰囲気で飲めば、どんなお茶とて美味しいとは思えない。周防院さんの淹れた紅茶が飲みたいなぁ・・・
私は瑞穂さんと一緒に寮の部屋で飲んだ紅茶の味を思い出した。
私はいたたまれなくなり、ティーカップを置いて、席を立とうとした。
「ご馳走様・・・」
早く部屋に帰ろう・・・そうだ、瑞穂さんに電話をしましょう。年が明けるまで長電話してたら、ご迷惑かしら?
年明け最初の言葉を聞いてもらおう。そして、最初の声を聞かせてもらおう。
「貴子・・・・・・・を・・・・・・する・・・お前も・・・・・・しなさい」
えっ!?その父の声は、幸せな空想に逃避していた私を、乱暴に現実へと引き戻した
「聞いてなかったのか?明日、兄さんと十条の娘さんとの結婚を正式に発表する。お前も新年の挨拶に参加しなさい」
「どうして!?結婚は紫苑さまの大学卒業を待って、ではなかったのですか?!」
「先日、彼女が倒れた。結婚するまでに死なれれば、あの家への投資が無駄になる。春には挙式だ。」
ははは・・・仮にも義理の娘になる人間が倒れたのに、命の心配の前にお金の心配ですか?お父様。
きっと、私が倒れても、同じようにしか思わないのでしょうね・・・
(1/6)
363前スレ550:05/03/10 23:19:11 ID:4Urpp52M
私は何もいわず、静かに自室へと帰った。そして、何枚かの下着と服、そして、大事に隠してあった茶封筒を恵泉時代に使っていたボストンバッグに押し込んだ。
怒りと言うのは、限度を超えると麻痺するのだろうか?それとも、本当に怒ると激情は浮かばないものなのか?
また、瑞穂さんにご迷惑をかけてしまう・・・ただ、それだけが心を痛めていた。
荷造りを終えると、私は再びリビングに降りた。最後の挨拶をあの人たちにしなければ・・・

「長らくお世話になりました」まだリビングでテレビを見ていた家族に私は深々と頭を下げた。
「19年にわたって、飢えない程度の餌と、雨露をしのげる鳥篭を提供していただき、非常に感謝しています。
そして、醜悪な家族像は、将来、私が家族を作ったときにきっと良き反面教師になることでしょう。」
私は冷たい声で別れの口上を述べ続ける。
「言いたい事は山のようにありますが、これ以上、あなた方の吐いた空気を吸い続ける気にもなりませんので、ここまでにしておきます。
では、失礼いたします。」
兄と母はポカンとしていたし、父の顔は見る見るうちに怒りで赤くなっていた。
その3人の表情がおかしかったので、つい笑みがこぼれてしまった。多分、小馬鹿にしたような笑みだったと思う。
父の我慢の限界はここまでだったようだ。私が背を向けるよりも前に、私の頬が父の平手ではじけた。
「出て行け」
父に叩かれたのは初めてだ。いや・・・これは父親としてではなく、小娘に馬鹿にされた大人の男としての平手打ちだ。

駅までの道は薄暗かったが大通りに出てしまえば、大晦日の夜という事もあり、車も人も多く、一人で歩いてても怖くはない。
誰も追いかけてこない。あの家で、私は要らない子供だとは思っていたが、ここまで態度で表されると辛いというよりも呆れてしまう。まあ・・・あそこまで言われれば、追いかける気もなくして当然か・・・
グレて家名を傷つけるような事をやる・・・とは思わないのだろうか?それとも、2−3日すれば帰ってくるような、いわゆるプチ家出だと思われているのか?
(2/6)
364前スレ550:05/03/10 23:19:45 ID:4Urpp52M

終電にまでいくらかの時間のある駅には、酔客待ちのタクシーが鈴なりになっていた。
電車で、とも考えたが、瑞穂さんの家から最寄り駅までは多少の距離があることを思い出せば、電車で行く事はためらわれた。
ポケットにねじ込んだ財布には、1万円札が2枚と千円札が4枚ほど入って・・・いる。財布の中身を確認すると、1台のタクシーの窓を軽く叩き、中で仮眠をとっていた運転手に声をかけた。
手短に瑞穂さんのお宅の場所を告げ、タクシーに乗ると、途端に心細くなる。
面倒な女だと・・・面倒ごとに巻き込まれた、とは思わないだろうか?非常識ではないのか?嫌われないだろうか?
不安は一度浮かび上がれば、消えることなく、心の中で揺れ続け、それが心そのものを揺らし始める。
(紫苑さまを見捨てて家に帰れば、明日からまた普通に瑞穂さんに会える)
嫌な女!最低!最低!!最低!!!
頭を振って、その考えだけは心から追い出そうとする。しかし、そうすればするだけ、その嫌な考えは心を満たし、黒く染め上げていく。
タクシーは家々から明かりの漏れる住宅地を抜け、私が説明したとおりの道を走って、瑞穂さんの家の前についてしまった。
もし、瑞穂さんの家が後10キロも遠ければ、私はタクシーの運転手に、引き返すように言ってしまったかも知れない。
料金を支払い終わると、タクシーは私をおいてさっさと行ってしまった・・・当たり前ですけど。
何度も利用した事があるインターホンをいつものように押す。初めてこれを使ったときは、無駄に緊張したように思う。もう、すっかりなれたつもりなのに、今日はやけに鼓動が早い。
数秒の沈黙の後、優しい暖かい声が聞こえた。
「どちら様ですか?」
「貴子です、厳島貴子です・・・」
「えっ?貴子さん?こんな時間に・・・今すぐ行きます!」
通話状態になったままのインターフォンから、パタパタというスリッパの音が響く。
瑞穂さんが門に来るまでの数分が数時間に感じたことは言うまでもない。
瑞穂さんの顔を見ると、安堵したのか、私の全身から力が抜け、瑞穂さんの胸に倒れこんでしまった・・・
(3/6)
365前スレ550:05/03/10 23:20:18 ID:4Urpp52M

「まあ・・・その格好でこの時間に出歩いてれば、倒れて当然ですよね」
あう・・・瑞穂さん、少しあきれてる。私は改めて自分の格好を見下ろした。部屋着にしている薄手のトレーナー。足元は素足にスリッパ。冷静なつもりでしたのに・・・
倒れてしまった私は、瑞穂さんに抱きかかえられ、瑞穂さんのベッドの上に連れて行かれていた。
瑞穂さんは目を覚ました私に温かな紅茶を手渡し、おそらくは、私が寝ている間中ずっと気になっていた質問を口に乗せた。
「何が・・・あったのですか?」
静かな優しい声。でも、今の私にとっては、裁判官の詰問ように聞こえる。
手が震え、手渡された紅茶のカップとソーサーがカチカチと澄んだ音を立てる・・・言わなきゃ・・・言いたくない・・・
そんな私の震える肩にふわりと暖かい上着がかけられる。
「僕のどてらですけど」
少し照れたような、心配するような表情。
ふふ・・・瑞穂さんって、良い所の御曹司なのに、何でこんなに庶民的なんでしょうね。暖かい・・・その暖かさが私に少しだけ勇気をくれたような気がした。
いつの間にか震えは止まっていた。私は大きく息を吸い込み。
「紫苑さまを助けてください」
最初の一言を言えば、後は決壊した池のごとく、言葉はいくらでも流れ出した。父が門地の為だけに紫苑さまと兄との結婚を進めている事。そのために金で紫苑さまを買おうとしていること。紫苑さまが倒れられた事、その所為で式が早められた事。
気が付けば、それを洗いざらい全て瑞穂さんにぶちまけていた。
そして最後に・・・
「他に・・・ほかに相談できる方も居なくて・・・ご迷惑なのは十分わかっています。私が迷惑なら、もう、お会いもしません。
ですが・・・紫苑さまだけは。紫苑さまだけは・・・父の・・・あの家の・・・厳島の・・・」
涙がこぼれた。瑞穂さんの上着に頂いた勇気はもう売り切れ。
そんな私の体が優しく抱きしめられる。
私は手にティカップを持っていたことも忘れ、瑞穂さんの体に抱きついた。手から落ちたティカップが布団の上ではね、そのまま床に落ち、紅茶をじゅうたんに大きなしみを作った。
「ありがとうございます・・・教えてくださって」
その言葉を聞いたとき、私は子供のように大声を出して泣いてしまった。最後の一滴まで涙は流れきったと思う。
(4/6)
366前スレ550:05/03/10 23:21:16 ID:4Urpp52M

その日の私はそのまま、泣き疲れて眠ってしまった。翌日起きると、瑞穂さんがソファで寝ていた。いまさら・・・と思うけど、凄く瑞穂さんらしいと思って、なんだか笑ってしまいました。
「瑞穂さん・・・起きてください」
昨日たっぷり泣いた所為で、まぶたがはれぼったい。本当は顔を洗ってから瑞穂さんを起こしたかったけど、この家の洗面所の場所を私は知らない。
「あっ・・・おはようございます、貴子さん」
少し眠そうな顔。昨日、アレだけ泣いてしまったことを思い出して、瑞穂さんの顔をまっすぐに見れない。
「昨夜は取り乱してしまって・・・」
赤くなって下を向いてしまう。うつむいた視線の先には自分が持ってきたボストンバッグがある。
「いいえ、紫苑さんは僕の友達でもありますから。助けたいのは貴子さんと同じです」
少しだけ、少しだけだけど、紫苑さまに嫉妬してしまう。あぁ、また、自己嫌悪・・・
そんな私の気持ちを気が付かないような瑞穂さんは、ソファに座りなおして、少し考え込む。
「でも・・・助けるって言っても・・・どうしたら・・・」
あっ!その言葉を聞いて、私は自分のボストンバッグに飛びつく。
バッグを開けると・・・一番上にはなぜか目覚まし時計が入っていた・・・確かにお気に入りだけど、これはあまりいらないような・・・落ち着いてるつもりだったんだけどなぁ
瑞穂さんに背中を向けたまま、ボストンバッグをあさる。確かに入れたはずなんだけど・・・目当ての茶封筒を見つけ出して・・・
「あの!これ・・・」
「これは?」
「内部告発・・・と言うものです・・・大学に入ってから、自分の手で集めました」
厳島グループも一枚板ではない。むしろ、父の強権で無理矢理押さえつけているようなもの。少し調べれば不満を持っているものは何人でも探せました。そういう方から得た不正の記録と兄の女性遍歴・・・と言っても、大部分が現在進行形なんですけど・・・
「これを・・・鏑木の、父のツテで公表して欲しい・・・と言う事ですか?」
「公表するかしないかは、瑞穂さんのお父様が決めてくだされば結構です・・・」
紫苑さまがあの家に嫁がせなければ・・・厳島の家が栄えようと、潰れようと、もう、私には関係ありませんから。
(5/6)
367前スレ550:05/03/10 23:22:07 ID:4Urpp52M
「わかりました。父に相談してみます。それより・・・紫苑さんのお見舞いに行きませんか?」
「えっ・・・駄目です!私は紫苑さまに嫌われてますし・・・どの顔で行けば良いのか・・・それに、どこに入院されてるか知りませんし」
「確かに僕も知りませんね」
そもそも、いつ倒れたのか、どう倒れたのかも教えてもらってない。今も入院中なのだろうか?
「じゃぁ、全部終わったら、紫苑さんのお宅に行って見ましょう」
全部が終わったら・・・終わったら会いにいけるのだろうか?
「あっ、それと・・・あけましておめでとうございます」
瑞穂さんが深々と頭を下げる。そういえば、今日は元旦でしたね・・・綺麗に忘れてました。

それから半月が瞬く間に過ぎ去った。私は結局、鏑木の家に厄介になっている。本当は何処か部屋でも借りるまで、と思ってたけど、10日ほど前にお会いした瑞穂さんのお父様に押し切られる形でこの家に住む事になった。
瑞穂さんと瑞穂さんのお父様との間にどういうやり取りがあったのかは、詳しくは聞いていない。電話とメールで連絡を取り合ってたと思うけど・・・
「僕は父にあの資料を渡して、十条の家を助けてくれ、って頼んだだけです」
いくら聞いても、瑞穂さんはそれ以上のことは教えてくれない。ただ、あれから3日後には全国紙のトップに厳島グループの不正が暴かれた記事が載り、その翌日出版された週刊誌には兄の華麗な女性遍歴が暴露されていた。
瑞穂さんのお父さんにはこの半月で3回ほどしかお会いしてない。瑞穂さんと楽しそうに話、男同士の話しと言う奴でしょうか?、をしていたのが印象的。
でも、亡くなったお母様のお話はちょっと美化しすぎだと思う。瑞穂さんも同意見みたい。いくらなんでも、野良犬と人間は会話できません。うふふ・・・でも、そこまで思われるのは正直にうらやましい。
昨日、十条の家を縛っていた何枚かの証書が家に届けられた。
薄っぺらな紙切れ。火をつければ数秒で燃えてしまうような紙切れ。こんなものでも人が縛れるのかと思うと無性に悲しいものですね。
そして、今日、私が一人で鏑木の家にいる所へ、思わぬ来客が来た。

(また計算間違い、7まで行きました(涙))
368前スレ550:05/03/10 23:22:38 ID:4Urpp52M

「紫苑・・・さま・・・」
「お久しぶりです。貴子さん」
まっすぐに彼女の顔を見ることが出来ない。彼女を何年も苦しめてきたのは、間違いなく私の家なのだから・・・
「瑞穂さんに聞きました。二人だけでお話がしたかったので・・・今日、瑞穂さんに出かけていただきました」
私は何も言えなくなって、ただ、黙ってうつむいていた・・・
「先日、鏑木の家から婚約破談のご連絡がございました。その前には挙式を早めると言う連絡がありましたのに」
えっ!思わず顔を上げる。良かった・・・本当に良かった。
「やっぱり、貴方でしたのね。ふふふ・・・すぐに顔に出ますもの」
「出すぎた真似・・・だと思います」
「理由だけ、教えてもらえますか?」
静かな口調、でも、有無を言わせない。
「二つ・・・あります。一つは・・・父と兄を・・・大嫌いなあの二人を、それでも憎みたくはなかったから・・・」
「もう一つは・・・エルダーは全校生徒の姉です。姉の幸せを願わない妹がいるでしょうか?」
その答えで紫苑さまが満足してくれたのかどうなのかは判らない。ただ、優しく抱きしめて・・・
「こんなしっかり者の妹がいると、姉は大変ですわね・・・」
とだけ、静かに言ってくださった。
自分の中にまだ涙が残っていた事に驚いた。

(おしまい)
369名無しさん@ピンキー:05/03/10 23:37:01 ID:AULCcquB
>>368
>
> 「先日、鏑木の家から婚約破談のご連絡がございました。その前には挙式を早めると言う連絡がありましたのに」
      ^^^^^^^^^
ここなのですが、厳島の家からの間違いではないのでしょうか?私の詠み間違いでしたら、ご容赦くださいませ

で、お話の方なのですが、厳島の崩壊した家庭像が頭浮かんできました。
確かに、あんな家居たくはないでしょうね。
感想になってないようですが・・・今後の活躍も期待しております。
370前スレ550:05/03/10 23:37:45 ID:4Urpp52M
>>369
あっ・・・本当です(汗
疲れてるなぁ・・・
371名無しさん@ピンキー:05/03/11 00:40:21 ID:XHxqLevN
まとめサイトはキャラ別じゃなくて作者別の方が続いてる話とか読みやすいかもしれない。
って友人が言ってた。
372名無しさん@ピンキー:05/03/11 00:45:55 ID:WoAlXeGW
>371
でもそれだと最終的にはごちゃごちゃしてかえって見にくくなると思う。
作者不詳のものも多いし。
というか、まず好きなキャラのSSから探す人が多いんじゃ?

作者別とかシリーズ別索引ってページを改めて作るんなら別にいいけど、まとめサイト中の人の負担がなぁ。
373前スレ126:05/03/11 00:51:50 ID:F1D1cG/9
>>341-344
お、俺が欲しい…( ;´Д`)
これで貴子さん勝ったらどうなるんだろうか?w
GJなのですよ〜

>>352-358
GJでした!!
強くてワイルドな瑞穂に燃え!!w
続きがどんな形になるのか、楽しみにしてます〜

>>362-368
いい話だ…・゚・(ノД`)・゚・それに貴子さん可愛い…w
にしても、厳島家の描かれ方が実に「ダメ一家」しててとても良かったっす!!w
GJでした!!

>>371
まとめサイトの中の人が作りやすく負担にならないように、っていうのが良いかと。
ま、要するに、まとめサイトの中の人の自由に作って頂いてOKだとw
そもそも、こうして保管庫作って頂いてるだけでありがたい事なんで…( ;´Д`)
374名無しさん@ピンキー:05/03/11 00:57:38 ID:ATBTPvNM
このスレ展開速いな〜

ともかくGJ!!
375名無しさん@ピンキー:05/03/11 01:14:03 ID:czegKfhF
>>371
まとめサイトの中の人の負担にならない形続けてもらうのが
一番かと(個人的意見ですが)
376前スレ45:05/03/11 01:29:10 ID:mH989J+i
>>345
それではお言葉に甘えまして、投下させていただきます。

>>209
瑞穂ちゃん強いっ!GJ! さて、次の展開が気になります。

>>550
貴子さんのケツイと優しさが見れて実にGJです。



では、前の分岐ストーリーを投下させていただきます。
377前スレ45:05/03/11 01:30:41 ID:mH989J+i
『DRESS UP!! route B』
以前投稿した『DRESS UP!!』.6からの分岐です。
>>28-43 or保管庫様のほう(瑞穂ちゃんに分類・・・)をご覧になってから読んだほうがよろしいかもです。

Aルートでは格好のわりにはほのぼの純愛でしたが、今回はふたりのこすぷれなりきりHみたいなノリで。
(まあコスプレしてるのは瑞穂ちゃんのほうですが)

ここのところ、シリアス系のSSが多いようですので、これで癒されていただければ幸いです。
というか私にはシリアスは無理ですw(以前の貴子さんのが限界・・・)

 A.巫女服で。
→B.メイド服で。
 C.恵泉の制服で。
378前スレ45:05/03/11 01:31:35 ID:mH989J+i
『DRESS UP!!』.7B

がちゃり。部屋の扉を開ける。まりやがベッドに腰掛けて待っていた。
「来たね、瑞穂ちゃん。その格好なんだ・・・ふ・・・ふふふふふ・・・っ!」
「ま、まりや・・・?」
まりやがイキナリ不気味な笑い声を上げる。なんか、こう、背筋が凍るような・・・
「そっか〜。瑞穂ちゃん、今日はあたしにめちゃくちゃにされたいんだ〜?」
「え、えぇ!?」
「だって、さっき・・・」

『ふ・・・ふふふ・・・瑞穂ちゃん・・・。いや、瑞穂!そんなに云うなら、
 それはもう恥ずかしくて死んじゃうような命令をしちゃうわよ・・・!?ふっ・・・くひひ』

「ってあたしが云ったのに、それ着てきたんだもんね〜?それはもう期待して、着てきたんでしょ〜?」
「き、着替えてくるっ!」
「今更遅いわよ? ひひっ・・・瑞穂ちゃん、今日はあたしに絶対服従だからね?」
「う・・・うぅ・・・」
どうやら、今日のまりやには逆らえないみたいだ・・・。覚悟を決めるしかないみたい・・・。

・・・
・・・
「さて、瑞穂?」
「は、はい・・・」
「それじゃ・・・ショーツを脱いで。スカートは脱いじゃだめだよ?」
言われたままにする。うぅ・・・なんか股がスースーする・・・。
「んで、今度はスカートの裾を持って、めくりあげる!」
いくら普段まりやとHしているからといって、やっぱり見られるのは恥ずかしいわけで・・・僕は遠慮がちにスカートをたくし上げた。
「ん〜、瑞穂〜?その『みえそでみえないちらりずむ』ってのもいいけど、ちゃんと最後まであげないと、にゃ〜?」
「うぅ〜・・・」
や・・・やっぱり、恥ずかしい・・・
「はい、そこでさっき教えたセリフ!」
379前スレ45:05/03/11 01:32:31 ID:mH989J+i
『DRESS UP!!』.8B

「ど・・・『どうぞ、心ゆくまでご覧になってください、まりや様・・・』」

は、恥ずかしすぎるよ、まりや・・・ってなんでそんなプルプル震えてるの・・・?
「や、やばいっ!ヤバすぎっ!あたしの瑞穂ちゃんは激ヤバだっ!」」
「あ、あの・・・まりや?」
「『ど・・・どうぞ、心ゆくまでご覧になってください、まりや様・・・あん♪』」
「云ってない、断じてあん♪なんて云ってないよ、まりや・・・。っていうか恒例だねもう、このセリフ・・・」
「あぁん、もうっ!なんでそんなのついてるのに、そんなに色気があって可愛いのよ、瑞穂ちゃんっ!じゃなくて瑞穂っ!
 ついでにまりや、じゃなくてまりや様かご主人様よっ!」
・・・まりや、もう壊れてる・・・壊れすぎだよ・・・それになりきってるんだかなりきってないんだか・・・
「あー・・・。さっき着せ替えパーティーのときにやらせようとしたんだけど・・・やんなくて正解だったね、コレ。
 瑞穂ちゃん・・・じゃなかった瑞穂、殺人罪で逮捕されちゃうよ?貴子が出血多量死して。」
うぅ・・・まりやのこの反応見ると・・・否定できないかも・・・ていうかこんなこと貴子さんの前でやらせようとか考えないでよ・・・

「さぁて、次の命令は・・・」
「うぅ・・・まだ何かするの・・・?」
「ちょっと・・・雨に打たれた子犬みたいな目をするのやめてよね。もっと苛めたくなっちゃう・・・うひひ・・・」
うぅ・・・ますます泥沼に入っていっているみたい・・・
「じゃ、今度は・・・・・・あたしの前で一人エッチしてみて?」

「・・・へ・・・?」
「昔からちょっと興味あったんだ〜。オトコのコがどんな風におなにーするのかな〜って。
 当たり前だけど、実物は見たことないし。」
「ちょっ・・・そ、それは勘弁して・・・恥ずかしすぎだって・・・。それにオトコのって・・・たぶん見た目情けないし・・・」
「え〜。いいじゃない。お互いもう身体の隅々まで知ってるんだし〜。瑞穂のだったら、きっと可愛いよ?」
オナニーしてるのが可愛いとか言われても・・・
「うぅ・・・ホントにやらなくちゃ、ダメ・・・?」
「・・・瑞穂・・・そんな風に半脱ぎのメイド服で上目遣いで懇願されたら・・・やんなきゃダメ。」
380前スレ45:05/03/11 01:33:25 ID:mH989J+i
『DRESS UP!!』.9B

「う・・・んっ・・・あぁ・・・」
僕はスカートをお腹までたくしあげて、まりやの前で自分のをしごく。・・・ううう・・・ものすごく恥ずかしい・・・っ
「へぇ・・・。あたしが手でしてあげたのと同じ感じなんだ。ねぇ、他のところはいじくったりしないの?」
「う、うん・・・ん・・・」
「瑞穂、言葉遣いが違うでしょう?」
「ぁっ・・・は、はい・・・っ」
「にははっ。ねぇ瑞穂?・・・あたしが居ない間、あたしを想像してこんなことしてた?」
「う・・・そ、それは・・・」
「いいんだよ、瑞穂。正直に云いなさい・・・?」
「は、はい・・・してました・・・。まりや様のコトを想って・・・」
「他の女のコトなんて考えてなかったでしょうねぇ?」
「んぁ・・・ま、まりやのコトだけだよ・・・っ!・・・んっ」
「瑞穂〜?「様」は?」
「あっ・・・まりや様・・・んぁっ・・・」
「にっはっは〜。瑞穂、いいよ〜その羞恥に染まったその表情っ!
 ふふっ・・・でも嬉しいな。あたしのコト、ちゃんと想ってくれてたんだ・・・」
そんなコトをまりやが云うから・・・僕は高まってしまった・・・
「あ・・・ま、まりや様ぁ・・・もう・・・」
「ふふふ・・・へぇ、瑞穂イっちゃうんだ?あたしにジロジロ見られながらひとりでイっちゃうんだ・・・?」
「あぁっ・・・まりや・・・、様っ・・・そ、そんなぁっ・・・あっ・・・」
「くふふっ・・・瑞穂ったら、いやらしいメイドさんねぇ・・・?ご主人様に見られるのがすごく気持ちいいんだ・・・?」
「あ・・・ぁあ・・・っ!んああぁっ!」
そんな風に云われながら・・・僕は盛大にぶちまけてしまった・・・
「・・・ぁ・・・んっ・・・あ・・・はっ・・・」
は、恥ずかしすぎるよ・・・っ
「瑞穂、可愛い・・・。ふふっ、色っぽい顔してる・・・」
381前スレ45:05/03/11 01:34:31 ID:mH989J+i
『DRESS UP!!』.10B

・・・
「さ、今度はあたしに奉仕して?」
「・・・ん・・・」
まりやがベッドに腰掛けながら、僕を迎えるように手を広げる・・・僕はまりやに近づいていき・・・
そして・・・まりやの服を脱がせていく。
「ふふっ・・・そうそう。優しく、ね。なんかホントにご主人様になった気分。」

「んっ・・・そう、瑞穂・・・あん・・・」
僕はまりやのあそこを丹念に舐めていく。
「まりや様・・・どんどんお汁が出てまいりますよ・・・気持ちいいのですか・・・?」
僕はちょっとなりきりながら、そんなコトをたずねてみる。
「うんっ・・・あっ・・・気持ちいいよ?瑞穂・・・っ・・・にははっ、乗ってきたね?」
さて、そろそろ反撃開始。あれだけ恥ずかしい思いをさせてくれちゃったんだから、
それはもうたっぷりとお礼しないとね、まりや?
僕はあそこを舐めながら、まりやのお尻の穴に攻撃を仕掛けた。
「あうっ!ちょっと、瑞穂!あぁっ!そんな急にっ、ダメっ!」
「ふふっ・・・そんなコト仰って・・・ぺろっ・・・んちゅっ・・・
 もっとご奉仕してまりや様に気持ちよくなっていただくのが私の役目ですから・・・」
「あんっ!ふぁっ・・・あっ・・・あぁっ!」
僕はさらにまりやのお豆にも攻撃を開始する。
「きゃあんっ!だめぇ・・・っ、瑞穂ちゃん!そ、そんないっぺんにされちゃったら・・・あたしどうかしちゃうよぅっ!」
「あら、いけませんね、まりや様?私のようなメイドにちゃん付けしてしまうなんて・・・」
「ふあぁっ!だ、だってぇっ!んぁっ、きゃんっ!だ、だめっ!イっちゃうっ!」
「ふふっ・・・よろしいのですよ、ま・り・や様。ご遠慮なく、イってください?」
「あぁっ、ふあああ〜〜〜っ!!」
まりやのあそこから愛液が噴き出し、僕の顔を濡らしていく。
382前スレ45:05/03/11 01:35:33 ID:mH989J+i
『DRESS UP!!』.11B

「まりや様・・・イってしまったのですね・・・?ふふっ、可愛いですね、まりや様は。」
「ふぁ・・・ん・・・瑞穂ちゃん・・・」
「おや?ですから、一介のメイド風情に「ちゃん」などと付けてはいけませんよ?
 ・・・さあ、それでは一緒に気持ちよくなりましょう?よろしいですか、まりや様?」
「う・・・うん・・・。きゃあっ!」
僕は仰向けになっているまりやの腰に手をかけて、くるっと半回転させる。ちょうどうつ伏せになった形だ。
「さ、まりや様。お尻を上げてください。」
「・・・ん・・・」
と、ここで僕はこんなこともあろうかと用意しておいたローションをポケットから取り出し、まりやのお尻に注いでいく。
「っ!冷たいよっ!って、瑞穂ちゃん、そっちなの・・・?」
「ふふっ、私のモノなどをご主人様の中にあそこに入れるわけにも参りませんから。それでは、いきますよ?」
再び指をお尻に入れ、ローションを内部に塗りたくっていく。
さっきの愛撫で既にまりやのお尻がほぐれている。
僕は既に復活している僕のモノをまりやのお尻に挿れていく。
383前スレ45:05/03/11 01:36:44 ID:mH989J+i
『DRESS UP!!』.12B

「んああ・・・っ・・・ふぁ・・・く、苦しいよ、瑞穂ちゃん・・・っ」
「ですから、「ちゃん」付けはダメですよ、まりや様・・・。大丈夫です、動いていればそのうち苦しくなくなりますから・・・」
といって、僕はゆっくりと運動を開始した。
「んんっ・・・!あぅぅ・・・ひ、非道いよぅ、瑞穂ちゃ・・・瑞穂っ!」
ちゃん付けしてると非道いことされると思ったのか、まりやが云い直す。まあ、止めてあげないけどね?
「あ・・・ぁ・・・んぁっ!、んっく・・・あぁっ!」
「んっ、段々、よくなって、きたんですね?まりや様?はぁ・・・んっ、ほら、あそこから愛液が溢れてきていますよ・・・?」
僕も気持ちよくて、知らず知らずのうちにペースが上がっていく。
「あんっ!やぁんっ!ふぁ・・・んっ、んぁあっ!瑞穂っ、やぁっ」
「あっ・・・ぁあっ・・・ぁん・・・まりや様っ・・・」
「ふぁぁっ!み、瑞穂ちゃん、イっちゃう・・・ダメ、もう、ダメぇ・・・っ」
まりやが蕩けるような声を上げる。既に高まっていた僕も、その声を聞いて限界を感じた。
「ダ・・・ダメ、もう、あたしっ!ぁ・・・あああ〜〜〜〜〜!!」
「ぁっ・・・まりや様っ・・・くっああっ!!・・・」
僕はまりやの直腸の中に放出した・・・
「ぁ・・・瑞穂ちゃんの・・・あたしのお尻に・・・出てる・・・」
「・・・ん・・・ぁ・・・まりや・・・」

・・・
僕はそのままの体勢で、まりやを後ろから抱きしめた・・・
「・・・ん・・・まりや様・・・」
「瑞穂・・・ねぇ、今度は、あそこに、入れて・・・?」
まりやが僕のほうを向いて、そんな風に懇願する。イったばかりだからか、その顔は赤く染まり蕩けている。
・・・決めた。今日はもう徹底的に苛めます。
「ふふ、ダメですよ?先程も申し上げましたが、私ごときのモノをまりや様のあそこに入れるわけには参りません。」
といって、僕はまた元気になってしまった僕のモノをまりやのお尻に挿れていく。
「ああっ!やっ、瑞穂ちゃんっ!ひっ、ヒドイよっ・・・!」
384前スレ45:05/03/11 01:37:40 ID:mH989J+i
『DRESS UP!!』.13B

・・・
・・・
結局お尻で計3ラウンドもやってしまいました。

「うー・・・」
まりやはベッドの上にしゃがみこみ、まくらを抱えて僕のほうをじーっとにらみつけてくる。
なんていうか・・・まりやにはあまり似合わないポーズだけど、そのアンバランスさがなんか可愛い・・・。
「瑞穂ちゃん・・・いろいろ非道い・・・。」
「あ、はは・・・。けど、元はといえば僕にあんな命令出したまりやが悪いんだし・・・。」
「だって・・・メイド服着てきたし、絶対服従だって約束したのに・・・これじゃメイドさん失格だよ〜。」
「そう?主人のために臨機応変に対応して喜んでもらうなんてメイドさんの鏡じゃない?まりや何度もイってくれたし。」
「うぅ〜。・・・ホント、ヒドい・・・今日くらいは瑞穂ちゃんをHで苛められると思ったのに、
 いつもどおり苛められちゃった・・・。それに・・・」
「・・・それに?」
「・・・前に挿れてくれなかったし・・・」
それで、拗ねてるの?まりやは・・・。そんなまりやが可愛くて、すごく嬉しくて。
「それじゃ、もう一回しよっか。こんどはお望みどおりの場所で。大丈夫?」
「瑞穂ちゃん・・・うん・・・」
まりやがまくらを放り投げ、僕に抱きついてくる。
「わわ。」
「あはは。やっぱり抱きつくなら、まくらなんかより瑞穂ちゃんがいいや。」

夜は、まだ長い・・・
385前スレ45:05/03/11 01:38:41 ID:mH989J+i
『DRESS UP!!』.えぴろーぐroute B1

―――一週間後。
僕とまりやは事業のコトで相談するため、実家に赴いた。
「あれ・・・?」
いつもは楓さんが出迎えてくれるんだけど、今日は何故か居ない・・・。

仕方がないので、そのまま上がり、父様の部屋に向かった。

父様の部屋の前に、楓さんが居た。
「慶行様!慶行様!」
と叫びながら、扉を叩いている。・・・何か尋常じゃない・・・!
「楓さん、どうしたんですか!?」
「あ、瑞穂様・・・お帰りになっていたのですか!まりや様も!
 そ、それが・・・数時間前、貴子様が来られまして、お話があるということでお部屋にお二人で篭られたのです。
 ところがその後全く出てこられる気配が感じられないので、おかしいと思いこのように外から呼びかけているのですが・・・」
「中から反応が全くない、と。」
「は、はい・・・」
「何かあったのかしら・・・イヤな予感がするわね・・・。」
「楓さん、キーは!?」
「そ、それが、慶行様がスペアキーも持っておられて・・・」
「く・・・仕方がない、扉をこじ開けます!二人とも、下がって!」
「瑞穂ちゃん、平気・・・?」
「大丈夫だよ、これでも格闘技習ってたんだし。・・・すぅ・・・」

「はぁっ!!!」
扉に向かって肩から体当たりをする。バカンッという音が響いて見事に扉が開いた。

「すごい、瑞穂ちゃん・・・。この分厚い扉を一撃で・・・。見事な蒙古覇極道!」
「・・・いや、それ違うから・・・指6本で受け止められないし、トゲつきでもないから・・・」
386前スレ45:05/03/11 01:39:37 ID:mH989J+i
『DRESS UP!!』.えぴろーぐroute B2

そして、僕たちは父様の部屋へと踏み入れた。

「こ・・・これは・・・」
酷い有様だった・・・。

大量の紙幣と葉書程度の大きさの紙があたりに散らばり・・・
なおかつ、赤い染みも方々に見られ・・・そして
二人が・・・吐血してうつ伏せに倒れていた・・・!!!!

「な、なによ・・・コレ・・・っ!」
「よ・・・慶行様っ!慶行様っ!」
楓さんが父様の元へ半狂乱になりながら駆け出していく。
僕とまりやも貴子さんのところへ駆け寄る。
「貴子さん、し、しっかりしてください!」
倒れている理由も判らない以上、下手に動かしてはいけないのかもしれない。
そんなことが脳裏によぎったが、構わず僕は貴子さんを抱き起こした。

「「・・・」」

・・・なんで、そんなに幸せそうな顔をなさってるんですか・・・?
「・・・きゅぅ〜・・・」

父様のほうを見ると、やはり同じく幸せそうな顔をして気を失っている。
よく見ると、二人とも吐血ではなく、鼻血だ。

「・・・あはは・・・。ごめん、瑞穂ちゃん。原因、たぶんあたしだ・・・たはは・・・」
「・・・え?」
「貴子の手。」
そう云われて、僕は貴子さんが握り締めているモノを見る。それは・・・
387前スレ45:05/03/11 01:40:35 ID:mH989J+i
『DRESS UP!!』.えぴろーぐroute B3

「な・・・なにこれーーーーーーー!」
写真だった。し、しかも・・・僕がメイド服着て裾をたくしあげているのが写っているっ!
・・・その、まりやの云う『みえそでみえないちらりずむ』状態だからまだいいけど・・・
「ま、まりやっ!なにこれ!なんでこんなのを貴子さんが持ってるのっ!っていうかいつのまにこんなの撮ったの!?」
「いやぁ・・・その、いわゆる隠し撮りってやつで・・・それで・・・」

―――3日前
「・・・まりやさん・・・。やはり1枚2万円はちょっとつらいですわ・・・」
「もう・・・仕方ないなあ・・・じゃあ、15枚セットで10万円でどう?」
「あぁ・・・今日ばかりはまりやさんがマリア様に見えますわ・・・」
「なんだかなぁ・・・。そうだ。ところで貴子。実はその写真のほかに、とっておきのがあるんだけど・・・。」
「とっておき、ですか・・・?」
「そ。普通の女装写真の30倍は強力ね。どう?5万円で。」
「う・・・あの、内容は?」
「それは見てからのお楽しみ。ケド、この値以上の価値はあるよ〜。」
「嘘ではないでしょうね・・・?」
「これからもずっと顔会わせるのに、詐欺まがいのことはしないわよ。」
「・・・わかりました。頂きますわ・・・」
「はい。ああ、けど。見るときは覚悟してから見たほうがいいわよ?すっごい強力だから。」
「そ、そんなに・・・ですか・・・?」
―――

「ってなことがあったわけで。で、覚悟して、見たわけね。お義父様と。」
「なんで父様と・・・」
「そりゃあ、お義父様と貴子は女装瑞穂ちゃんの愛好家仲間だもんねぇ。」
「あ、愛好家って・・・」
「だって、ほら。」
まりやが床を指差す。
388前スレ45:05/03/11 01:42:05 ID:mH989J+i
『DRESS UP!!』.えぴろーぐroute B4

よく見ると、床に散らばっている『葉書程度の大きさの紙』っていうのは僕の女装写真だった・・・。
ついでに、前(『freezed will』参照)に没収したハズの写真集のサンプルも転がっていた。
「写真集のサンプル、女装写真、そして大量に散らばった紙幣。
 つまり、お義父様と貴子は取引しようとしてたのね、きっと。そりゃあ扉にカギもかけるよねぇ。」
「・・・」
「大方、パワーアップさせた写真集でも作るつもりだったのかもね。」
「・・・orz」
「で、とっておきがある、ってことでこのメイドさん写真を見て、こんなんなったと。あの時云ってた冗談がホントになるとはねぇ。」
「っていうか・・・貴子さんはまだしも、父様まで・・・」
お願いです、息子に欲情しないでください・・・orz

「というわけで、転売しようとした貴子への罰として、写真はすべて没収〜」
「・・・そうして。ついでにその写真集も・・・」
僕はそう云いながら、貴子さんが握り締めている写真を取り上げた。

・・・うわ・・・僕すごい赤面してる・・・それにこの微妙な『みえそでみえないちらりずむ』・・・なんか可愛いかも・・・
・・・はっ・・・僕は今何を考えた!?

;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;      ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;ナルシスト;;;;;;        ;;;;;;変態女装男;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;         ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;     _,.'⌒  ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;    '´  `ヽ  ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;   . /  j ))ソ    ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;    / / / /ノ      ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;   ノノノノj{_)       ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;   ´θ^θン)u        ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
「うぅ・・・自分の写真みて可愛い、だなんて・・・。立ち直れないよぉ・・・」
389前スレ45:05/03/11 01:42:51 ID:mH989J+i
『DRESS UP!!』.えぴろーぐroute B5

・・・
・・・
結局、父様と貴子さんは救急車で運ばれた。
楓さんは父様が倒れていたショックで僕の女装写真とかは目に入らなかった模様。よかった・・・

「はぁ・・・。」
「あー、瑞穂ちゃん、ごめんね。もう貴子にああいう写真渡さないから・・・」
いや、別にまりやに怒ってたりしてないんだけど。
トラブルメーカーなのはいつものことだし、そんな彼女が好きだし。・・・バカップルとか云われそうな発言?コレ。
けどまあ・・・責任を感じてるなら、責任取って貰う方がいいのかな・・・?
「まりや・・・反省してる?」
「う、うん。してます・・・」
「それじゃ・・・今日、メイド服着て僕の部屋に来てね。」
「・・・ぇ・・・」
「明日は休日だし。今晩はたっぷりと可愛がってあげるね、ま・り・や?」
「あ・・・はは・・・。瑞穂さま、優しくして、ね?」


終わり。
390前スレ45:05/03/11 01:44:27 ID:mH989J+i
あとがき。

いかがだったでしょうか・・・?ふたりのらぶらぶこすぷれH。若いっていいですね(ぉ
結局ふたりともなりきってないですけどw

何かマルチシナリオ・マルチエンディングになってますが・・・
このルートだと写真集完全版を作る前に阻止されてしまいました・・・無念、慶行パパ。

結局瑞穂ちゃんはメイドさんになっても、Sですw
こういうのが続いて、昔投下した『ヴァレンタイン狂想曲・第二楽章』みたいになってしまうわけですw
391名無しさん@ピンキー:05/03/11 01:46:09 ID:czegKfhF
>>389
あははは・・・GJ!!

ええ、シリアス系ですり減った分。補給させていただいました。

バカップル全壊ってもいいですな。w
392名無しさん@ピンキー:05/03/11 01:47:15 ID:tLi9zmsP
リアルタイム初遭遇キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!
GJですた。メイド服な瑞穂きゅん…(;´Д`)ハァハァ
393名無しさん@ピンキー:05/03/11 01:50:47 ID:8ENXnLBz
       ,.-ー,,、
      /@'ノ_.ヾ)      親父グッジョブ!
      /C’" _ゞ))
     ノ_(( `ー, (;(    n
     ;/ )) ., ヽ:)  /ミ)
    / ((  ヽ_ ))//
    / -、.)⌒' ソ./
 ~~~~~~~`jii〉  ~ 〈 ~~~~~~~~~~
394名無しさん@ピンキー:05/03/11 01:50:54 ID:ATBTPvNM
あーもー!!
スゲェーよ、リアルタイムでワラタよ!! 45さんGJ!!

(;・∀・)やっぱ慶行パパは楽しいな 
395名無しさん@ピンキー:05/03/11 01:54:03 ID:dTK/ircx
神よ、SSが思いつかないので小ネタに走る私をお許しください。アーメン。

恵泉女学院で鳴らした私達異議申し立て部隊は、濡れ衣を着せられた奏ちゃんのために一致団結、
生徒会室に突入し、異議申し立てをしました。
しかし、それだけで良しとする私たちじゃありません。
筋さえ通れば弁論次第でなんでもやってのける命知らず、不可能を可能にし会長指導を
論破する、私たち、異議申し立てAチーム!

私は、リーダー宮小路瑞穂。通称エルダーシスター。
文武両道と女装の名人。
私のような天才お姉さまでなければ、百戦錬磨のつわものどものリーダーは務まりません。

私は十条紫苑。通称紫苑さま。
先代エルダーの威光に、後輩たちはみんなイチコロです。
演説のお手伝いで、一年生から三年生まで、みんな賛同させてみせます。

はやや、お待たせしました。わたしが周防院奏。通称白菊の君なのですよ〜。
妹としての存在感は天下一品らしいのですよ〜
リボンが大きい? 孤児? それは言わないで欲しいのですよ〜。

御門まりや。通称幼馴染み。
策略の天才よ。貴子でもブン殴ってみせるわ。
でも由佳里の涙だけは勘弁ね。

私たちは、道理の通らぬ会長指導にあえて挑戦する。
頼りになる神出鬼没の、異議申し立てAチーム!
助けを借りたいときは、いつでも言ってください。
396名無しさん@ピンキー:05/03/11 02:04:40 ID:AmRqz3OZ
>>395
まほらば?多重人格者は誰に相当するかな?
397名無しさん@ピンキー:05/03/11 02:14:49 ID:ATBTPvNM
水をかぶると女性になる瑞穂。
水をかぶるとパンダになる貴子。
水を(ry 猫になる奏。
み(ry こぶたになるまりや。

こんなの思いついてみた。いや、思いついただけだがな
398名無しさん@ピンキー:05/03/11 03:37:32 ID:/hoSl3wt
文章能力ない上に体験版しかしていないので
思いつきのネタ程度でごめんなさい

瑞穂のハーレムネタ

ベットの上の瑞穂に奉仕する。
まりや、紫苑、貴子、奏、由佳里

奏、由佳里は、それぞれ、瑞穂の足にまたがり
瑞穂のオトコのコの象徴を・・・
紫苑、貴子は、瑞穂の腕、手、指を・・・
まりやは、瑞穂との、濃厚なキスを・・・


ごめんなさい、ここまでしか書けないです

我ながら文章力ないな・・とほほ
頭の中にはいろいろ思いつくんですけど
文章に起こせないな・・・

長文駄文にてすいませんでした
399前スレ126:05/03/11 03:43:53 ID:F1D1cG/9
>>378-389
=□○_
あ、あかん。俺も鼻血吹いて倒れそう…( ;´Д`)
瑞穂ちゃんが可愛すぎるっ!!アブナイ趣味に走りそうです…orz
GJでした!!

>>395
GJっす!!ワラタですよw
まさかコングパートを奏ちゃんがやるとは…しかも可愛いし…( ;´Д`)

>>397
それだと、瑞穂と貴子さんが親子に!?w

>>398
ハーレムネタ…同時に二人以上と関係を結ぶってシチュエーションが…
私もどうも、書けそうに無いです…(試した事はあるらしい)
でも、読んでみたいし書いてみたい…( ;´Д`)
400前スレ243:05/03/11 04:02:42 ID:X8LXtIw+
>>378-389
GJ!!!
おもろい!
通過、瑞穂ちゃんのメイド姿・・・(イメージング中)・・・。
やばい、すごい見たい。
どうしよう・・・・・・。

>>395
小ネタGJ!
元ネタ?は知らんがいい!おもろい!

>>398
ハーレムか・・・。
うーん、いまいち想像できないような、でも瑞穂ちゃんだから皆を等しく愛するみたいな・・・。
僕には無理かも。
思いついたら断片的にでも書き留めておけば?
それから必要なのを選んで文章化する、なんてえらそうなことを・・・(汗。


今前スレの90のリクネタ書いてる途中なんだけど、落としどころが見つからない・・・。
ある程度は決まってるんだけど・・・。

ナガクナタスマン
401名無しさん@ピンキー:05/03/11 04:24:23 ID:czegKfhF

> >>198-204 >>300-306
の手紙が読みたいという書き込みがあったようなので、書いてみる

>>277-278
腹黒い君枝さんですが、紫苑さんあたりに獲物(瑞穂ちゃん)を横取りされそうな気が
するのは、わたしだけだろうかw
>>345
まりやと貴子さんの一騎打ちの間に、ちゃっかり紫苑さんが、瑞穂ちゃんGET
したりしてw
402名無しさん@ピンキー:05/03/11 05:07:38 ID:czegKfhF
届けられた手紙 渡されなかった卒業証書外伝2

 カツン、カツン
打ち付けるような音がコンクリートに響いている
(恵泉の妹たちに頼まれて”おねえさま”の話をしてあげたけど、あの子たち大丈夫かしらね。
まあ、自分たちから頼んできたのだから、覚悟はしてたはずよね。)
 私は、顔に掛かった髪の毛を指先で戻しながら、マンションの入り口にある集合郵便受けから、数
通の手紙を取り出した。
(また。愚にもつかないダイレクトメールですわね)
その中に1通だけ手書きの封筒があった。差出人の名前を見ると”宮小路瑞穂”
(えっ。お、おねえさま?・・・いいえ、おねえさまの名前を騙る詐欺師かもしれませんわ。冷静に
冷静になりなさい。貴子)

 私は、恵泉を卒業するとあの家から、大学の学費付きで追い出されてしまった。紫苑さんと兄との
婚約破棄の手引きをしたのが、私ではないかと疑われたのだ。
 あの家に未練などなかったので、身の回りのお気に入りの品物だけ持って、おねえさまのお父さま
の紹介で今の部屋に移り住んだ。あの家が私に用などほとんどなく、年に1回”も”呼び出しが、あ
れば多い方だった。恵泉の時より”友好的”なったまりやの紹介で”アルバイト”も始めた。家には
ばれたときには社会勉強で強引に押し通した。アルバイトから、大学卒業後には正社員になった。恵
泉の生徒会、大学の自治会業務経験も多少プラスになったのだろうと勝手に思っている。
 
 自室に入りソファーに腰を下ろすと、おねえさまからかも知れない手紙の封を丁寧に切った。
中から1枚写真と共に、近況を知らせる手紙が出てきた。
403名無しさん@ピンキー:05/03/11 05:19:02 ID:czegKfhF
届けられた手紙 2

”拝啓 秋冷の候、皆様には益々ご健勝のことと存じ上げます。                    ”
” 私たちが、あの緑に囲まれました学舎で過ごしてから、10年余りの月日が過ぎようとしてい ”
”ますが、いかがお過ごしでしょうか。私は現在、ヨーロッパの某所にある小さな会社に勤務して ”
”います。最近になって、やっと1地域を任させてもらえるようになりました。              ”
” 誠に情けない話ではありますが、最近になって漸く恵泉時代を振り返るだけの心の余裕が出て”
”きましたので、ペンを取った次第です。                                    ”
” 恵泉時代には、厳島様にもひとかたならぬご厚情をいただきましたが、私の個人的事情のため”
”お別れのご挨拶も出来なかったことを、心苦しく思っておりました。また、季節ごとに頂いた    ”
”厳島様からのお便りも拝見させていただきました。いつかは、お返事をと思いながらも、ペンを  ”
”持つ勇気がありませんでした。不甲斐ない私をお叱りください。                     ”
” 退学届を提出した日。学園長様から”逃げるのですか”と言われてしまいました。あの時は、  ”
”厳島様を初め、皆様方の学生生活の障害になってはいけないと思い恵泉を去る決意をしました。”
”その後。スイスの某所にある全寮制の学校に”男”して再入学しまして、有意義な学生生活を、 ”
”過ごすことができました。学生生活の事につきましては、いつの日か機会があれば、お話出来る ”
”のはないかと思います。                                 ”
404名無しさん@ピンキー:05/03/11 05:23:41 ID:czegKfhF
届けられた手紙 3

” いくつかあるエピソードの1つですが、”ノエル”などのパーティーの時に学友たちに女装を ”
”強要されたのは、今となっては懐かしくも、恥ずかしい思いでではあります。女性としての立ち ”
”居振る舞いにつきましては、恵泉時代に培った経験が役に立ちまして無言のままなら、女性より ”
”女性らしいと言わたことも有ります。私としては、素直に喜べないものがありましたが、それも ”
”一つの個性と割り切って楽しむ事を覚えました。私の祖父の遺言に隠された意味が分かったよう”
”な気もします。                                     ”
” 当地は、ヨーロッパでも片田舎ですので特に観光になるようなところは有りませんが、山の頂 ”
”からの朝夕の景色だけは、何度見ても飽きないものがあります。               ”
”                                            
” ここ数日。日本でも寒さが厳しくなっておりますので、お体に十分お気をつけくださいませ ”

”          ”
”                                     敬具     ”
” 平成2*年10月某日                                 ”
”                                 宮小路瑞穂      ”

”厳島貴子様                                       ”

 読み終えた私は、いままでお便りを差し上げてたのが、無駄では無かった。おねえさまに許された
ことが嬉しくて、何度も、何度も、手紙を読み返していた。添えられた写真には、女装させられたら
しい瑞穂の姿が写されていた。
(まあ。おねえさまは、あいかわらずですわね。)
405名無しさん@ピンキー:05/03/11 05:26:04 ID:czegKfhF
届けられた手紙 4

人には見せないような柔らかな笑みを浮かべると封筒を手に取って、写真を仕舞おうとすると、
なにかにあたっているような感触が伝わってきた。
(あら?なにかしら)
逆さにした封筒からは、名刺が1枚出てきた。裏を見ると、”まりやには内密に”と但し書きが
かかれていた。
(ええ、私以外の誰にも”名刺は”見せませんわ)
たとえ、紫苑さまでもです。


 翌年の春。ヨーロッパの某所。
 瑞穂が得意先から戻ってくると
{瑞穂。君にお客さんだ。}
同僚の一人が呼び止めた。
(誰だろう?)
{どこにいるんだい?}
{あ、ああ、街のホテルだ。瑞穂の帰りが、いつになるか分からないと言ったら、ホテルのティー
ルームで待つと}
瑞穂は、感謝の意を述べると、その日提出する書類を作り上げて
{じゃあ、ホテルに行ってくる。なにかあればホテルまで}
{いいとも。楽しんでこい}
言外に相手が女性で有ることを匂わせると、器用にウインクをした。
406名無しさん@ピンキー:05/03/11 05:26:53 ID:czegKfhF
届けられた手紙 5


 ホテルのティールームにて
「ぼくにお客って、貴子さんか」
「ええ、瑞穂さんの言われた。山の頂からの景色が見たくなって、きてしまいましたわ」
恵泉時代と同じように顔を朱く染めるとそうつぶやいた。
「ふう。見たら帰りたくなくなるかもしれませんよ?」
少し考えるそぶりをみせて
「そうですわね。瑞穂さんと一緒の景色を見て暮らすのもいいものですわ」
瑞穂は、お手上げだといわんばかりに、大げさに肩をすくめると
「そうですね。まずは、明日の朝。景色を見てから決めませんか?」
言外に一緒の夜を過ごそうとの誘いを込めて告げた。
407名無しさん@ピンキー:05/03/11 05:30:55 ID:czegKfhF
手紙ついて書いてみました。

”で便せんの枠を表示しようかと思ったのでが、うまくいきませんでした。(汗

まあ、最後は、こんな終わり方も、ありでは無いかと
貴子さん”押しかけ女房”になるのかもしれません。
408名無しさん@ピンキー:05/03/11 05:33:01 ID:8ENXnLBz
( ´ー`)
409名無しさん@ピンキー:05/03/11 07:03:54 ID:Nxm2Jin/
('д')
410元269:05/03/11 09:06:17 ID:8Ovnb3ka
このスレの早さは凄いですね。一日で150超えるとは…。

え〜と、お正月休みの続編投下します。
411元269:05/03/11 09:07:09 ID:8Ovnb3ka
お正月休み 元日編第1部

「う……ぅん…」
窓から差し込んでくる朝日を浴びて、目が覚める。
「ふふふっ、おはようございます。瑞穂さん…」
「おはようございますなのですよ〜。お姉さま」
「ふふん、…おはよう。…み・ず・ほ・ちゃん」
目を開けた瞬間に声が掛かる。
「え…?」
あぁ…そうか、結局四人とも同じ部屋で雑魚寝してしまったのだった。
「おはようございます…みなさ…ん……?」
三人は揃って、クスクスと笑っている。
「?…どうしたの?」
僕が云った瞬間、
「あっはっはっはっは!!!」
まりやの笑い声が爆発した。
「な…なに?」
驚いて紫苑さんを見る
……笑っている。…しかも声を出さずに。
奏ちゃんは……
…お腹抱えて涙を流しながら笑ってる。
「???」
…なんで?
とりあえず、鏡台に向かう…。
「な!!」
なんじゃあこりゃあ!!!
僕の顔は、白粉をベースに真っ赤な唇、目の周りに黒いアイシャドウ
がたっぷりと塗ってあった。

……ば○殿?
412元269:05/03/11 09:07:51 ID:8Ovnb3ka
「いや〜、ごめんごめん。瑞穂ちゃんの寝顔見てたら、な〜んか悪戯
したくなっちゃって……」
今、僕たちは朝食を採るために食堂にいる。
「ごめんって云われても…許せない」
あの後、白粉やら口紅やらを落とすのに大慌てだった。完全に落とす
のに一時間は掛かってしまった。
「ごめんなさいね…瑞穂さん。ふふっ」
「あぅ〜、ごめんなさいなのです〜」
ツボに入ってしまったのか、未だに笑いが止り切らない紫苑さん
と、しゅん、と落ち込んだ奏ちゃんが同時に謝る。
「まぁ、二人は見ていただけでしょうから、許しますけど…」
「ええ〜!!ずるい!瑞穂ちゃん、横暴〜」
意義を唱えるまりや。
「横暴なものですか、当然でしょう」
まったく…。
「おお、朝から随分と賑やかだな」
「小父様、おめでとうございます」
「おめでとうございますなのです」
食堂に入ってきたお父様に、紫苑さんと奏ちゃんがいち早く反応する。
「おめでとうございます。お父様」
「小父様、おめでとうございます」
僕とまりやも挨拶をする。
「これはこれは…おめでとう」
云ってテーブルに着くお父様。
413元269:05/03/11 09:08:33 ID:8Ovnb3ka
「おお、そうだ」
云って奏ちゃんを呼び寄せるお父様。
「?」
席を立ち、お父様に駆け寄る奏ちゃん。
「これを…」
お父様は懐から小さい封筒を取り出すと、奏ちゃんに手渡す。
「え…?」
受け取りつつ不思議そうな顔をする奏ちゃん。
「…お年玉、でしょうか……?」
「お、奏ちゃんいいなぁ〜」
多分そうだろうけど……?
「?…どうしたのかね?」
奏ちゃんは、小さな封筒を大事そうに胸元で抱え、
「……ぅ…ぅぅ……」
ぽろぽろと涙を流し始めた。
「どどどうしたのかね……?」
突然泣き出した奏ちゃんを見て、おろおろと動揺してしまうお父様。
ああ、そうか……。
奏ちゃんは孤児だった。きっと今までこういったものを人から貰った
ことが無かったのだろう…。それで、感動して泣いてしまった…。
「いえ、なんでも…ないの…です。…ありがとう…ござい…ます」
ぐすん、と鼻を啜ると奏ちゃんは満面の笑顔でお礼を云った……。
414元269:05/03/11 09:09:44 ID:8Ovnb3ka
奏ちゃんの笑顔を見て、顔を綻ばせたお父様が、
「いや、喜んで貰えたなら、わしも嬉しい。…実は、もうひとつ
送りたいものがあるのだが……」
と云って、部屋の入り口に待機していた楓さんに視線を送る。
視線を受けた楓さんは、頷くと奏ちゃんに歩み寄る。
「ああ、そうだ。まりや君」
「え?あ、はい」
突然呼ばれて驚くまりや。
「君も一緒に付いていってくれんか」
「?…わかりました」
困惑顔の奏ちゃんを連れて、楓さんとまりやが部屋を出る。
「なんでしょう…?」
「さあ?」
僕には紫苑さんの疑問に答えることが出来なかった……。

415元269:05/03/11 09:12:21 ID:8Ovnb3ka
「さて、瑞穂」
「はい…」
三人が部屋を出るのを見届けると、お父様が口を開いた。
「わしと十条さんは、今日、十条家に向かう」
「?!」
お父様の言葉に驚いて、紫苑さんを見る。紫苑さんも一瞬、驚いた
顔を見せたが、すぐにいつもの顔に戻った。
「善は急げ、というだろう?それに年賀の挨拶として行くならば、
別段、おかしいことでもなかろう」
「…はい」
「それで良いかな?」
「はい」
紫苑さんの回答に満足気な顔をするお父様。
「おお、そうだ忘れていた。…瑞穂」
「はい」
今度はなんだろう…?
「実はお前にも贈り物があるのだ」
楽しそうな顔で云うお父様。
「僕に…ですか?」
なんだろう、すごく嫌な予感がする。
お父様が僕に楽しそうに何かを云うとき、殆んど毎回、嫌な目に合
っている。まさか今回も……。
パンパン。
お父様が手を打ち鳴らす。すると、使用人たちがわらわらと集まっ
てくる。
「な……?!」
なんだ?!
「……連れて行け。…ああ、十条さんも良かったら一緒に行くと良
い。面白いかもしれんぞ」
「はい…」
ちょ…!制止の声を上げる間も無く、使用人たちに連行されてしまう…。
416元269:05/03/11 09:13:12 ID:8Ovnb3ka
「これ?!」
贈り物とやらを見た瞬間、思わず叫んでしまった。
「まぁ、なんて素敵な振袖…。桔梗かしら?」
対照的にうっとりとした感想を漏らす紫苑さん。
「ええ、こちらを着て頂きます」
着付けの先生から宣告が下された。小さい頃からお作法やらを教え
て頂いた先生で、この人には頭が上がらない。
…とほほ。観念するしかないか……。
「瑞穂さんは、着付けもできますの?」
目を輝かせて紫苑さんが云う。
…完全に楽しんでますね。…紫苑さん。
「いえ、羽織袴ならともかく、振袖は…。紫苑さんは如何です?」
「私は一通り」
話している間に先生の手により、振袖を身に着けていく。
「…まぁ、丈の長さもぴったり」
先生が独り言のように云う。
「?…これは、瑞穂さんに合わせて誂えたもの、ではないのですか?」
紫苑さんが先生に問う。
「いえ、…これは奥方様……幸穂様がお召しになっていたものなの
です」
「お母様の…?」
云われてみると、決して痛んではいないものの、慣れた感じの肌触り
がする。
「そうなのですか…」
感慨深げに振袖を見つめる紫苑さん。
「さ、帯を締めてと」
「ぐえっ」
先生が遠慮なく帯をきつく締める。
…く、苦しい。
「はい、出来ましたよ。あとは髪結いですね」
じょ、女性の着物って、こんなに苦しいものなんだ……。
417元269:05/03/11 09:14:05 ID:8Ovnb3ka
「はい、髪結いも終わりましたよ」
云って手鏡を渡す先生。
「……まぁ。素敵ですわ」
髪を後ろで結い上げたシンプルな髪型。やや大きめの蝶をあつらっ
た髪留めが特徴的…かな?
「…ぅぅん……」
「?…どうかなさいました?瑞穂さん」
「いえ、別に…」
…今更かもしれないけど、少しくらい違和感とかあってもいいじゃ
ないか…。でも、…女の子……にしか見えない…な…。
「……」
落ち込んでも意味がない。
「お待たせしました。…それじゃ、戻りましょうか」
「はい、参りましょう」
先生にお礼を云うと、二人して食堂に向かう。
「?」
何故か、紫苑さんが隣ではなく、やや後ろについてくる。
「どうしました…?」
気になったので話しかける。
「…え?ああ、ごめんなさい」
「?」
「つい、見惚れてしまいました…」
「?」
後姿に…?
「瑞穂さんのうなじが、色っぽくて…つい」
「い…色っぽい…ですか?」
「ええ、それはもう!」
断言しないで下さい。それは本格的に嬉しくないです、紫苑さん……。
418元269:05/03/11 09:14:42 ID:8Ovnb3ka
「あ、お姉さま!」
食堂に戻ると奏ちゃんの声が…
「まぁ…可愛い」
…したと思った途端、紫苑さんが捕捉して抱きついた
「ぐ…ぐむむむむ〜」
じたばたと暴れる奏ちゃん。
「ちょっと、紫苑様。そのくらいにしとかないと…」
慌ててまりやが止めに入る。
じたばたともがいていた、奏ちゃんの動きが……止まった?!
「か、奏ちゃん?!」
僕は慌てて紫苑さんから奏ちゃんを引き剥がした。
「ああん…」
名残惜しそうな声を上げる紫苑さん。
「大丈夫?奏ちゃん…」
「は、はいなのです〜。奏、死ぬかと思ったのです〜」
良かった…。大丈夫みたいだ。
「あ!」
急に元気になり立ち上がると、
「えへへ、お姉さま〜」
甘えた声を出す奏ちゃん。
見ると奏ちゃんも振袖を着ていた。明るい色調の可愛らしい振袖。
「あら…良く似合ってるわよ?奏ちゃん」
「えへへ」
照れ笑いを浮かべる奏ちゃん。
419元269:05/03/11 09:15:27 ID:8Ovnb3ka
「これじゃあ、紫苑さんでなくとも思わず抱きしめたくなっちゃ
うわね」
「おやおや、瑞穂ちゃんも負けてないと思うよ〜?」
にやにや笑いを浮かべるまりや。
……あれ?まりやも振袖を着てる。
「あ、これ?ふふ〜ん、実は昨日持ってきてたんだよね、これが」
「そうだったんだ…」
まりやの振袖も明るい色合いのものだけど…。元気そうな感じって
云えばいいのかな?まりやに良く合ってる気がする。
「似合うわよ、まりや」
「そう?」
にひひっ、と笑うまりや。
「皆さん、良くお似合いですわ」
と紫苑さん。
「あれ?紫苑お姉さまは振袖は…?」
「私は、今日は実家に帰りますので」
「そうなのですか〜」
がっくりと肩を落とす奏ちゃん。
「あら…?ふふっ。でも用事が済みましたら、また伺いますから」
「ほ、本当なのですか〜」
「ええ」
優しい笑顔を浮かべて云う。
420元269:05/03/11 09:16:23 ID:8Ovnb3ka
「あれ?そういえば小父様は?」
まりやが云ったその瞬間!
「幸穂〜〜〜!!!!!」
物凄い勢いでお父様が、文字通り飛んできた!
「うわっ!ちょ…お父様?!」
飛んできたお父様が、僕にしがみ付く。
「幸穂!幸穂!幸穂!」
やめろ〜!!頬擦りするな〜〜!!
「幸穂!幸穂!幸穂!さち…」
ゴスっ。
「いい加減になさい!」
突如現れた楓さんの、スリッパによる一撃により地に伏せるお父様。
…って、スリッパ?!
なんでスリッパであんな音が……?
「…………」
一連の出来事に思考が付いていかず、ただ呆然と立ち尽くす僕たち
であった。


つづく



つづけるのか?……これ…?
421元269:05/03/11 09:18:02 ID:8Ovnb3ka
…投下終了です。
420の最後の行そのままの気分だったりします。

パパが壊れていく……
422名無しさん@ピンキー:05/03/11 09:19:32 ID:4dMcTA2h
>>421
GJ!!

パパさんの壊れ具合がまたなんとも味わい深いw

ぜひ続けてください
423名無しさん@ピンキー:05/03/11 10:03:46 ID:jMTMEzMC
人格交換ネタってダメ?
例えば、瑞穂⇔まりやとかで
まりやと入れ替わった瑞穂は
動揺しつつも、何とか学園生活をしていたが
貴子との接し方が180度逆になってしまい、
貴子が大混乱…とかの。
424名無しさん@ピンキー:05/03/11 10:17:15 ID:/NsboqTG
ご都合主義なら有り得なさそうなネタではないな
425名無しさん@ピンキー:05/03/11 10:24:03 ID:ReGQ+Ucr
そーいや、ふと思ったが誕生日ネタってあったっけ?

恵泉時代の瑞穂誕生日なんつったらすごいことになってそうだがw
426名無しさん@ピンキー:05/03/11 10:34:51 ID:6KNf1anG
>>423
一子の乗り移りとか、公式でやってるくらいだし、ありではないでしょうか
427元269:05/03/11 10:41:13 ID:8Ovnb3ka
>422
今、一応続編を書いているのですが……。どんどん壊れていきますw
つーか、第2部のところから奏ちゃんメインに進むはずだったのに、
パパの回想シーンに突入してしまった。

…どうしようorz
428名無しさん@ピンキー:05/03/11 11:38:56 ID:ck8I+Kqp
瑞穂ちゃんのコスプレシリーズいいですねぇ
まだまだいろいろ見てみたい・・・
429397:05/03/11 12:00:29 ID:ATBTPvNM
訂正
水をかぶると女性に→瑞穂
水をかぶるとパンダに→慶行

女子の髪型を全員『おかっぱ』にしようと企む学園長とかw

書いてみたいけど文才ねーや漏れ orz
430422:05/03/11 12:01:22 ID:4dMcTA2h
>>427
GJ!
としか言えない…w

俺も何か書こうかな……
美智子×瑞穂とか…
431名無しさん@ピンキー:05/03/11 12:18:37 ID:/NsboqTG
>>430
難しそうな組み合わせだなw
432422:05/03/11 12:20:53 ID:4dMcTA2h
ただ自分が読みたい組み合わせだからなw

かなりヘタレること必死だしな
433名無しさん@ピンキー:05/03/11 12:32:18 ID:czegKfhF
>>421
振り袖姿の瑞穂ちゃん・・・
紫苑さまは、小悪魔モード全開のようですしw

ぱぱさんが、いかにこわれていくのか、趣深いものが、有ります。
434209:05/03/11 12:50:17 ID:6KNf1anG
昼時を見計らって、昨日の続き投下しまー

処女は僕に恋してる です。


俺なりの全バレエンドを読んでみてください。
435209:05/03/11 12:51:38 ID:6KNf1anG
あ、上にもありますが、一応前回までのお話
ttp://www.type90.com/otome/ss/mizuho017.htm

  まとめサイト様、迅速なお仕事、いつもありがとうございます。
436209:05/03/11 12:52:46 ID:6KNf1anG



その後――
寮に戻って、なぜ僕が女装をして恵泉に通っているのかを貴子さんに説明した。
そして、
「あれ?おかしいなぁ……なんだか暗いや」
「きゃ〜〜〜! ちょっと瑞穂ちゃん、何なのよ、その血は〜〜〜〜!」
「は、はやや〜」バタン、きゅ〜。
「お姉さまお姉さまお姉さま!死んではいけません死んじゃ嫌です。成仏してください〜〜!!
 一子を置いて先に死んでしまわれるだなんて許しません許可しません天下御免の免罪符です〜!!」
「あ〜、あの……取り合えず救急車呼びますね」

と、言うわけで僕はここ鏑木総合病院に入院しているわけです。
ありがたい事に一人部屋を取ってもらった。
両腕が使えないのは不便だけど、結構快適な空間かな。
でも、早くみんなの顔が見たいなぁ。

437209:05/03/11 12:53:18 ID:6KNf1anG


コンコンッ
「は〜い、どうぞ」
誰かがお見舞いに来てくれたようだ。
記念すべき一人目。早いなぁ、誰だろう。
「いよう、息子よ。元気にしているか」
「父様……」
最初にお見舞いに来たのは意外な事に父様だった。
「まったく、お前という奴も、つくづくお人好しだな」
がさがさがさ。お見舞いの品であるらしいリンゴを、袋から出すなり丸齧りし始める。
まぁ、持ってきたのも父様だから特に文句はないけど。
「よりにもよって厳島の娘を助けて怪我をするとは……。
 しかもお前、その子にバレちまったそうじゃないか」
「まぁ、そうですけど……お言葉を返すようですが、
 何を言われようと後悔する事はありませんよ」
もしゃ、もしゃ、もしゃ……
全部食べる気らしい。
「あぁ、構わんぞ。誇りに思え。私もお前のような息子を持った事を誇りに思う」
「父様……」
「女装して生活してきた割には随分と男らしくなって帰って来たな、お前も」
「どんな皮肉ですか、それは……
 それに、まだ帰ってきたわけでは――」
怪訝な顔をなさる。
「何だ、まだ知らなかったのか、お前。
 もう男だって学校中に知れ渡ってるらしいぞ、がっはっははははは!!」
頭の中が真っ白になっていくのを感じた。

ああそうか、もうあの学校に僕の帰る場所なんてないんだ。

438209:05/03/11 12:54:45 ID:6KNf1anG



次の日も僕は病室のベッドの上にいた。
入院といってもただの怪我なので、すぐに退院できるらしい。
でも、退院したとして、僕はその後どうすればいいのだろう。
何もかも失ってしまった。
あんなに異質だったはずの生活が、
僕にとって、どれだけ浸透した日常となっていたのか思い知らされた。
ベッドの上に座り込み、僕は一人涙を流す。
病室には一人の訪問者もなかった。

入院生活二日目。
今日もベッドの上で一人、
膝を抱えて過ごす。
両腕を怪我しているので、本当に抱える事はできないけど。
昨日、一日中流し続けた涙は、やっと枯れてくれた。
看護婦さんは、怪我より重症なものを抱えてるみたいですね、と心配してくれたが、
人に相談できるような事でもなかった。
せめて誰かの顔がみたいな。
奏ちゃんや由佳里ちゃんは、もう僕の顔なんて見たくないかもしれないけど、
まりやくらい顔を出してくれたっていいのに。
今、学校がどんな状況なのか、とても気になった。


439209:05/03/11 12:57:16 ID:6KNf1anG

入院生活三日目。退院の日取りが決まった。
ずっと、ここに篭っていたかったけど、
そういうわけにもいかないか。
一度学園に行って、そのまま退学届けを出して来よう。
……その時は、どんな格好で行けばいいのかな。
もう、男の格好でいいのだろうか。
コンコンッ
病室のドアがノックされる。
あれ?回診かな?
「どうぞ」
「……失礼、いたします」
訪問者は全く予想だにできなかった人だった。
「お久しぶりです。瑞穂さん」
「……はい。こんにちは、美智子……さん」
初めての恵泉からのお見舞いは紫苑さんやまりやではなく、
美智子さんだった。
でも、どうして美智子さんが……
「……椅子、借りてもいいかしら」
「あ、ごめんなさい。どうぞ」
美智子さんの表情は固い。
いつも周囲に向けられている聖母のような慈愛に満ちた笑顔は、
そのなりを潜めていた。
当然、美智子さんも知っているという事だろう。
「瑞穂さん、男なんですってね」
いきなりの核心を突く発言に息がつまる。
あぁ、この人はきっと、人の心の扱いを良く知った、怖い人だ。
「……騙していて、ごめんなさい……」
「…………顔を上げてください」
440209:05/03/11 12:59:26 ID:6KNf1anG
言われたままに、そうする。
僕の知らない美智子さんが、ここにいた。
美智子さんの右手がかざされる。
瞬間、何をされるか悟った。
当然の仕打ちだ。できるだけ、深く刻み込んで欲しいと願った。
「酷い顔」
頬に冷たい手の感触。
「あんなにお美しかった瑞穂さんの顔が、こんなになってしまって……
 昨日、一睡もしてませんね、それと随分泣いてらしたみたい」
ふうっと嘆息すると、その手を離し椅子に座りなおす。
「あなたのせいで、学校はもう無茶苦茶です。……私も含めて、ね」
「……ごめんなさい」
僕の事で美智子さんにどんな害がったのか及びもつかないけど、
申し訳なくて、また涙があふれてきた。
「…………本当に、もっと悪者面をして踏ん反り返ってた方が、
 まだ分かりやすくて良かったのに」
「え?」
441209:05/03/11 13:00:19 ID:6KNf1anG
ガタンッ!
勢いよく、美智子さんが立ち上がる。
「私、今日はもう帰らせて頂きます」
簡潔に告げる。
「はい……」
「あなたのせいで、大事な用事ができてしまいました。
 しかも、私の人生で一番大切な事です」
律儀に椅子をしまい、カバンを手に取り、軽く礼をして、
「色々お話したい事はありますが、悪いけどこれより優先できる事なんてないの。
 だから、全て終わったら話してあげます」
最後に初めて微かな笑顔を作ると、背中を向けてドアへと向かい――
「それでは、また」
そういい残して病室を後にした。

僕には首を捻る事しかできない。
でも、最後に「また来る」と言ってくれた事だけは理解できた。
442209:05/03/11 13:02:20 ID:6KNf1anG



コンコン
「はいっ、どうぞ」
「ごきげんよう、瑞穂さん」
次の日、本当に美智子さんはまた来てくれた。
「すみません、椅子はご自分で出してもらえますか?
 僕、両手が使えないもので……」
きょとん、くすくす。
分かりやすい反応なんだけど、どうしてそうなるのかが分からない。
「ありがとうございます。では失礼しますね」
「あの、今の……気になるんですけど」
一体何が可笑しかったんだろう。
「ごめんなさいっ。だって瑞穂さん、ご自分の事を僕だなんておっしゃるから、
 おかしくって」
……そんなぁ。
でも、今日の美智子さんは僕のよく知ったいつもの美智子さんのように見える。
「う、そりゃあ今更女性の言葉使いをするのは、少々気恥ずかしいですから」
「そうですか、私はそちらの方が違和感がありますけどね、
 あ、このリンゴ剥きましょうか?」
棚の上に置かれたリンゴに美智子さんが気付く。
最初の日に、父様が持ってきてくれたものだ。
「そんな、悪いですよ」
「でも、ご自分では剥けないのでしょう?
 いつまでも放って置いたら悪くなってしまいます。この果物ナイフ、勝手に使わせてもらいますわね」
有無を言わさずな押しの強さで、さっさとリンゴを剥き始めてしまう。
あぁ、この押しの強さに圭さんも翻弄されているのだろうなぁ。
443209:05/03/11 13:07:09 ID:6KNf1anG
「そういえば、圭さんは一緒じゃないんですね」
言った後に、自分の浅はかさを呪った。
そんなの、圭さんが僕の事を嫌っているからに決まっているじゃないか。
「……ええ。昨日はともかく、今日は置いてきました」
「……はぁ」
帰ってきた返事も要領を得ない。
しゃり、しゃり、しゃり……
えぇと、何か、何か言わなきゃ、間が持たない。
「あ、そうだ……。ねえ、美智子さん、昨日言っていた大事な用事
 ちゃんと、済ませられましたか?」
しゃり……
「もう、他に色々と聞く事があるのではないですか?
 さっきから人の事ばかり……。でも、そうですね……これも、瑞穂さんの人柄なんでしょうね……」
しゃり、しゃり、しゃり……
「仕方がありませんね、もう少し意地悪をするつもりでしたが……今起こっている事を、全部お話しますわ」
美智子さんの視線は相変わらず回るリンゴを追っている。
444209:05/03/11 13:09:11 ID:6KNf1anG


「昨日もお話しましたが、今、恵泉女学院は揺れています。
 瑞穂さんが男性だと言う話は、あなたがここに運ばれてきた日には、学校中に広まっていました。
 そして現在、生徒は二つの派閥に分裂して、恵泉は内戦状態に陥ってます」
自分のせいで学校が大変な事になっている。
やっぱり、女子高になんて来るべきでなかったと、今更な後悔が蘇ってくる。
「擁護派と懐疑派。言うまでもなく瑞穂さんの事ですが、この二つの派閥に恵泉は分裂してしまっています。
 ……正直に申しますと、私は懐疑派でしたわ」
「………美智子さんにも不快な思いをさせたのは事実です。
 それはいくら謝っても、どうにもならない事だと云うのも、分かっています」
しゃり、しゃり、しゃり……
「それで私たち、昨日大喧嘩したんです」
「……圭さんと、ですか?」
「ええ。圭さんは今回の件には何も触れていなかったのですが、あなたの事、気にかけていたようです。
 私があなたに批判的だと知ったら、烈火の如く怒り出しました」
圭さんが……それは少し想像しにくいかもしれない。
「いーっぱい、お説教されてしまいました。あんなに怒られたのは初めて。
 失望したとまで言われて、最後は愛想を尽かされてしまいました」
「だから本当は、腹いせにあなたをなじり倒すために来たんですよ、昨日は」
それは……怖いなぁ。
「あなたがいたから、私は圭さんに見放されてしまったんだ。と…逆恨みですね。
 嫌ですわね、そういうのって怖いです」
「あは、ははは…」
人事みたいに言わないでほしいなぁ、できれば。
445209:05/03/11 13:10:59 ID:6KNf1anG
「でも、気が変わっちゃいました……あなたの顔を見てたら、気付いてしまったのです。
 圭さんが何を言いたかったのか」
「僕の顔、ですか」
確か昨日、酷い顔って言われた気が……。
「ここに来たら、圭さんの言っていた事の意味、よく判ったんです。
 瑞穂さん、まるで私のようだったから」
「僕が、美智子さんのよう……?」
「私、昔からずっと悩んでいました。どうして性別なんてあるのだろう、
 どうしてそんなものに屈しなくてはいけないのだろう、って……
 もっとも、私の場合は瑞穂さんとは逆の悩みなんですけどね」
「……深くは聞かないでおきます」
りんごの皮は全て剥き終わっていた。
顔を上げた美智子さんは「ありがとう」と、小さく笑う。
「りんご、八等分にしましょうか? それとも、男の方なら四等分でも大丈夫でしょうか?」
「……美智子さんも食べるので、八等分でお願いします」
「はい。お任せくださいな」
さく、さく、さく……
「それじゃあ、昨日の用事というのは――」
「はい。瑞穂さんには悪いと思いましたが、早速仲直りのお願いに……
 私にとっては、圭さんよりも大事な事なんてありませんもの」
「本当、羨ましいくらい仲がいいですよね……それで、仲直りの方はどうでしたか」
「はいっ、それはもう……お仕置き覚悟で臨んだのですが、
 何回も仲良くして頂きましたわ」
なんだか、引っかかる言い方だ。
でも、よく判らないけど、これも深く聞かないほうが身のためな気がした。
446209:05/03/11 13:12:54 ID:6KNf1anG
「そうですか、それは良かったですね。
 あれ、じゃあ今日は圭さんは?」
「お留守番です。というか、私の代わりに集会に出てもらっています。
 署名の方もお渡ししておきました」
集会……?
さく、さく……
「お皿、ありますか?」
「あぁ、そっちの引き出しの中です」
「……話を学院の事に戻します。言いましたように、恵泉の生徒は2つに分裂しています。
 ですが、本当の問題は懐疑派の生徒ではありません」
お皿にりんごを乗せた美智子さんが戻ってくる。
「一番の障害は、一部の教師で出来た、強硬派の連中ですわ」
「……強硬派、ですか。なんだか物騒な響きですね」
「実際、その通りです。強硬派の人達は、瑞穂さんの退学と学院長の辞任を求めています」
「なっ……学院長のっ!?」
「あなたの事を、終始擁護する立場を明らかにしていましたから。
 何より、あなたの本当の性別を知っていたようですし」
そんな、そんな……僕だけならまだしも、学院長にまで迷惑をかけてしまうだなんて……。
どうすれば……。
「自分より、学院長の事が心配。そんな顔をしてますわね」
「だって、巻き込んでしまったのは、僕です」
「…………ふぅ……子供が責任ある立場の大人にむける言葉でしょうか、それ。
 ……それでこそ、瑞穂さんなのでしょうけど……」
447209:05/03/11 13:14:59 ID:6KNf1anG
切りそろえたリンゴの乗ったお皿が差し出される。
「どうぞ」
「…………」
どうぞ、と言われても……。
「あらっ、ごめんなさい。私ったら気がつきませんで。
 はいっ、あ〜ん」
ううっ、絶対にわざとやってるよ。
そもそも、フォークを1つしか持ってきてなかったじゃないか。
「私も頂きますね」
しゃく、しゃく、しゃく……
「……今日の集会とは、強硬派に対抗するための、決起集会ですわ」
「……決起集会、ですか」
「そう、生徒会主催の、全校生徒を講堂に集めての臨時集会です。擁護派、懐疑派を問わず集まっているはずです。
 まりやさんが、貴子さんと組んで、随分根回ししてくださってるみたいです。
 はい、どうぞ。瑞穂さん、あ〜んっ」
「あ、あ〜ん」
しゃく、しゃく、しゃく…
「そういえば、間接キスですね、男の方とするのは初めてです。
 ……なんだかドキドキしますね」
しゃく、しゃブフッ――
あぁ、絶対わざとからかってる、美智子さん。
「まあっ、汚いですよ、瑞穂さんったら」
僕のベッドに散らばったリンゴのカスを拾う、美智子さん。
うぅ、ごめんなさい。そんな物触らせて。
448209:05/03/11 13:16:09 ID:6KNf1anG
「皆さん、大変なんです」
そっと僕の口の周りも拭ってくれた。
「だから、お見舞いに来てくれないからって、嫌われただなんて思ってはいけませんよ、
 みんな寝る間も惜しんで、瑞穂さんのために奔走してるんです」
「……みんなっ……」
「……うん、染みにはならなそうですね。それにしても、両手が使えないのは不便そうですね。
 なんにもできないんですのもの」
お皿を片付けながら言われると、本当に面目ないです。
「……ねぇ、瑞穂さん、その……そっちはどうしてるのでしょうか?」
「ふぇ?」
頬を紅潮させた美智子さんの問いかけの意味に気付くのに、
僕は随分と時間を要してしまった。




449209:05/03/11 13:18:53 ID:6KNf1anG




「ちょ、駄目ですよ! 美智子さん、待ってくださいって」
抵抗しようにも、両手が使えないのでどうにもならない。
「あらっ、やっぱり溜まってらしたんですね、もうこんなになってますわ」
確かに図星だったとはいえ、その、あれが…これから起こる事を期待し、
ズボンを持ち上げている。
自制心のなさに凹んでしまう。
「大丈夫です。怖くありません、じっとしてて下さい」
あっという間にズボンとパンツを脱がされてしまった。
妙に手際がいい。何と言うか、心理戦に長けている気がする。
「これが……実際に見るのは、初めてです」
「そ、そうですか。……あのぉ……それじゃ、そろそろ……」
「あっ、ごめんなさい。それでは失礼しますね」
「うあっ、ちがっ……」
そろそろ、しまって欲しかったんだけどなぁ。
美智子さんの手が優しく上下する。
初めてと言っていたけど、何となく筋がいい気がした。
「凄い……男の子のも……こんなに熱いんだ……」
美智子さんの言葉に興奮が増す。
オナニーとか……結構する方なのかな?
「うん、よかった……ちゃんと気持ちよさそう……」
優しかった美智子さんの手に徐々に変化が齎される。
僕はその度に情けない声をあげてしまう。
450209:05/03/11 13:22:25 ID:6KNf1anG
「うぁ……」
「思っていたより、可愛いものなんですね、男の方も」
「そ、そんな……んあっ……あぁ」
男として少しばかり傷つく事を言われた気がしたが、もうそれどころではなかった。
美智子さんの舌が、僕のに迫ってくる。
「浮気、だよね……ごめんね……」
「な、なに……? ひゃあんっ……!」
「んむ……あはっ、しょっぱいんだ……ここも……。
 不思議……今日は新発見ばかり……」
気持ちいい。
初めてと言ったはずの美智子さんの舌は、緋紗子先生のそれよりもずっと刺激的だった。
ただ、本当に初めてのようだ。その舌先は探るように僕のを舐めてまわる。
そして……そこからが、凄い。
僕の反応を確実に読み取っては、感じやすい箇所、その攻め方を覚えていく。
ものの数分もしないうちに、僕の全ては美智子さんに握られてしまっていた。
「だめっ……だめぇ……美智子さん! そんなっ、そこばかり……んぁあんっ……声…出ちゃうよう……」
「瑞穂さん……やっぱり、可愛いですわ。本当に……私、あなたを…いつか壊してみたくなっちゃう……」
背筋がぞくぞくとするような目をする美智子さん。
僕には、もう何も考える事もできない。
451209:05/03/11 13:23:39 ID:6KNf1anG
「……そろそろ、イキそうなんでしょう……分かりますよ、顔を見れば……
 大丈夫、虐めたりしません……ほら……」
「あっ……あぁああ……ぅぁああっ……そ、そんなぁ……なんで……」
美智子さんが僕のを初めて咥えた。それも、一番奥まで。
そして、顔を上下に揺すりながらも、口の中では……
その舌は、さっきまで舐めていた時と寸分違わぬ精密さで、
僕の感じるところを責め立てて回っていた。
「イキそうなら、ちゃんと……教えてくれなきゃ、めっでしょ……?瑞穂さん……」
「はぁあ……出ちゃう……出ちゃうよ……いっちゃうぅ……」
満足そうに微笑むと、また僕のを奥まで咥える。
そして、美智子さんの左手が信じられない事をしでかした。
「……んぁあぁああ! だめぇ……いれちゃぁあ……らめぇ……なのぉ
 ……ぁっ、あ……でるぅ……でるぅのぉお! ………あぁああああああ……!!」
高ぶったところで、不意打ちでお尻を責められた僕は、
まるで女の子のように泣き叫んだ。
限界に達したそれが、美智子さんの口の中で、一瞬暴発するように大きくなった。
その瞬間、口を僕のから離すと、
「あはっ、……ほら、いっちゃえ……」
お尻に入った指を一番奥まで押し込んだ。






452209:05/03/11 13:25:11 ID:6KNf1anG
ぐは、ちょっと休憩です。

続きは一応、もう書き上げているので、すぐにでも……
では
453名無しさん@ピンキー:05/03/11 13:28:22 ID:6wmq7Em1
リアルタイムで見てました。
グッジョブです!続き待ってます。
454209:05/03/11 13:34:02 ID:6KNf1anG
区切ってすいませんでした。
続き投下開始します
455209:05/03/11 13:37:21 ID:6KNf1anG



瑞穂が病院で色々な物を奪われていたのと同時刻。
恵泉女学院の講堂に全校の生徒が集まっていた。
その中には、勿論、擁護派の生徒と懐疑派の生徒、どちらも含まれている。
――壇上では、貴子が沈痛な面持ちで瑞穂の事を語っていた。
「――怖かった。本当に怖かった……このまま浚われたら何をされるんだろう、どうなってしまうのだろうって、
 恐ろしくて考える事すらできなませんでした。そこに、駆けつけてくれたのが、瑞穂さん……でした。
 四人の屈強な賊を前にして、危険を顧みず立ち向かって行きました……。
 お姉さまがいてくれたから……今、私はこうしてここに立っていられるのです。
 もし、お姉さまがいなかったら――今頃。
 なのに、私を助けたばかりに、ナイフで刺されてしまい、入院してしまったばかりか……
 私の……せいで……この学校にいられなくなってしまうだなんて……
 ……私、私なんて……最初から、存在しなければよかったのよ……うっ……うぅ……ぁ……ぁあ……」
壇上で貴子が泣き崩れる。
袖から紫苑が駆け寄ってきて、貴子を支える。
それでも、貴子は語り続ける。
「……みなさん、お願いです。
 お姉さまを……助けて……私の命の恩人を助けてください……
 お願いしますっ……お願いします……お願いしますっ……」
悲痛な叫びが講堂に響く。
貴子を抱きしめ、支えていた紫苑がマイクを手に取る。
「皆さん……皆さんも考えてみて下さい。
 宮小路瑞穂という人物が、皆さんにとって何か不都合な事をもたらした事が、あったでようか。
 あの方の性別が男だったせいで、何か問題が起こった事が、一度でもあったでしょうか。
 皆さんも……多かれ少なかれ、この貴子さんのように、あの方に救われた方ばかりじゃないのでしょうか。
 私も勿論、その一人です。あの方は、私の希望の光なんです。
 どうか、恵泉の生徒として、考えてください。私たちが何をすべきなのかを……」
456209:05/03/11 13:38:17 ID:6KNf1anG



その後も壇上で瑞穂の人格について、入れ替わりに皆が語っていく。
孤児の自分を家族のように慕ってくれた。
部活の事で悩んでいるとき、力を貸してくれた。
自分の夢を追うための、後押しをしてくれた。
体調を崩しそうになるまで、生徒会の手伝いをしてくださった。
次々と語られていく瑞穂の人物像。
皆、瑞穂に助けられた者ばかりだった。

それに呼応するように、講堂のあちこちから声があがる。
落ち込んだ時に声をかけてもらった――
相談にのってもらった――
困っているのを助けてもらった――
その笑顔に、いつも力をもらっていた―――
口々に瑞穂の人柄を語る。その中には懐疑派だった生徒の姿もある。
瑞穂の悪評を言える者は誰もいなかった。
瑞穂が男であるという以外に何も言えなかった。


457209:05/03/11 13:39:45 ID:6KNf1anG



バタンッ!
講堂の入り口が大きな音とともに開け放たれる。
「何をしているの!? あなた達」
「小笠原っ、先生……」
まずい……。まりやは壇を降りて駆け出す、ここまで来て邪魔されてたまるか。
金切り声をあげて入ってきたのは若い教師。
瑞穂を排斥するように働きかけている連中の、中心となっている教師だ。
「勝手に放課後に講堂に集まって、何をしていると言っているの!!」
まりやがそれを真正面から迎え撃った。
「お言葉ですが、使用許可は生徒会の方で取っておりますが」
「男の話をするための集会だなんて、聞いてませんわよ!」
なんて下劣な物言いをする。
まりやの拳に自然と力が篭る。
いっそ、こいつをぶん殴って、あたしも退学になってやろうか?
「大体、男だという理由だけで、十分すぎるのよ!
 人柄なんて、やってきた事なんて関係ないでしょう!
  この伝統ある恵泉女学院に、男の生徒なんて存在していい訳ないのよっ!」
やめろっ……それ以上……あたしの瑞穂ちゃんを侮辱してみろ……。
あんた、殺すわよ……!
まりやの拳が振り上げられようとした時――
458209:05/03/11 13:42:21 ID:6KNf1anG
「お黙りなさいっ!」
キィーン……
講堂のスピーカーから最大音量で音声が響く。
いつの間にか、講堂の入り口に緋紗子先生が立っていた。
そしてその手には、やはりいつの間にか、マイク。
「あなたも恵泉女学院のOGでしょう……どうしてそのような事が言えるのですか。
 同じく神に仕える身として……なぜそのような事が言えるのですか。
 何の悪行も犯していない人を、そのような言われで不当に差別するなどっ、恥を知りなさいっ!!」
「お姉、さま……だって、私……」
小笠原先生は両手で顔を覆うと、走って講堂から出ていってしまった。
「梶浦先生……」
「悪い子じゃないのよ。ただ、昔から潔癖なところがあってね……」
静まり帰る会場。



微かに響く声は、いつしか嗚咽混じりになっていた。
今、恵泉の全ての妹達は、再び1つになろうとしている。
得られた結束はより強固なものに。
目的はただ1つ――私達のお姉さまを、守る。



459209:05/03/11 13:44:36 ID:6KNf1anG





数日後。
やっと退院の日を迎えた僕を、病院の入り口でまりやが待ち構えていた。
「ごめんね〜、瑞穂ちゃん。結局一度もお見舞いいけなくて」
「気にしないで、まりや。
 ……ねぇ、それより本当に今から学校に行くの?」
そう、何とまりやは、これから学校に行くと言ってきかないのだ。
「何? 逃げる気? 駄目よ、ちゃんと責任は取らなくちゃ。
 ほら、あたしも一緒に行ってあげるから」
そう言われてしまっては退くわけには行かない。
僕は重い足を引きずるようにして、恵泉女学院に向かった。

真冬の並木道に差し掛かる。
結局、桜が咲いているところは見れなかったな。
……足が重くなる。
もう、この景色を見るのも、今日で最後なのかな。
「ほら、行くよ。瑞穂ちゃん」
「……うん」
覚悟を決めて歩きだす。これはケジメなんだ。
今が授業中なのがせめてもの救いか、誰とも会わなくてすむ。
だんだんと、校舎が近づいてきた。
460209:05/03/11 13:46:16 ID:6KNf1anG
「え……?」
『きゃぁぁあああああああ!!』
物凄い声が地鳴りのように鳴り響く。
「お姉さま〜!」
「瑞穂さま〜!」
校舎の屋上に人、人、人……
700人近い生徒が、屋上から手をふっている。
「…………え?」
『おかえりなさい、お姉さま』
校舎いっぱいに、巨大な横断幕が貼られている。
「ほら、ちゃんと応えてあげなさいよ、お姉さま」
呆然としている僕を横からまりやが小突く。
知ってて黙ってたな……。

いけない、せっかくの妹達の好意、笑顔で応えなきゃ――
嬉しくて、嬉しくて、僕は顔をくしゃくしゃにして笑った。
溢れ出る涙を拭こうともせず、笑って手を振った。
「ただいま、みんな」




461209:05/03/11 13:50:30 ID:6KNf1anG
終わりであります。

勢いだけで書くつもりが随分と長くなってしまいました。

全校生徒にバレる。これはおとぼくをプレイしてるときから常に気にしていたシチュではありますね。
私の場合はビクビクしていたわけですが……。

とにかく、300氏の作品に触発されて、私も私なりの全バレ話を書いてみました。

私も瑞穂ちゃんの笑顔、大好きです。
462名無しさん@ピンキー:05/03/11 13:57:41 ID:4dMcTA2h
>>461
GJです!

全校生徒にバレたという修羅場からエルダーシスターとしての経歴を元に、強行派や性別の壁を乗り越え、笑顔で学校に……
これぞ、王道!
と思うのは俺だけじゃないよね…?

それから、病院での美智子×瑞穂がツボだったのも俺だk(ry
463名無しさん@ピンキー:05/03/11 14:04:05 ID:5b4D2OTH
中の人が同じなので色々と興奮している漏れがいる…
464名無しさん@ピンキー:05/03/11 14:12:25 ID:lccUk2oq
>>461
Great Work!!ハラハラしながら読んでおりました。
やはり瑞穂お姉様は皆のお姉様なのであります。

「Semper fies! Do or die! Mizuho! Mizuho! Mizuho!」
465名無しさん@ピンキー:05/03/11 14:23:10 ID:AmRqz3OZ
美智子さんが割烹着の悪魔に((;゚Д゚)ガクガクブルブル
466×補足 ○蛇足:05/03/11 14:42:40 ID:6KNf1anG
基本的に今回はオールスター戦ですね。
あれだけの戦力で瑞穂を擁護したら、なーんも、勝てんわ。
勝てる道理がない。

俺脳内設定補足
バイオレンス瑞穂ちゃんの武術は合気系柔術。
先生(師匠)はちょっと陽気で危ないお爺さん。あと20年は現役とか。今ボクサーと戦ってます。負けんな!!

屈強な男×4<<<バイオレンス瑞穂ちゃん<<<<パーフェクト美智子さん
((;゚Д゚)アワワワワワワ
といっても、本編の瑞穂ちゃんは無傷なわけで、実はあんまり強くないのかも

小笠原先生→損する役
緋紗子先生→小笠原先生の先輩だった。勝手に元エルダーに推薦。
親父→イメージは姉しよの翔。あれも一応社長らしいのう。あんなに女好きではない。

割烹着の悪魔→しまった……
受け瑞穂ちゃん→みさくらっぽいかも…と思いつつ書き書き
あと、物語的にはエロは蛇足。趣味。
というか美智子さん自体出てくる必要があったのか疑問ではありますが……
>>312>>317>>318
が素敵すぎたもので……美智子スキーとしては是非書かなければと、はい。
467名無しさん@ピンキー:05/03/11 15:07:09 ID:ZFkS/pxN
>「浮気、だよね……ごめんね……」
こらこらこらこらこら。圭さんが泣くぞー(TдT)

眼鏡先生とまりや素敵すぎ
最近先生の高感度が上がってきた。

1つになった妹たちと瑞穂お姉様の笑顔でジーンと来ました。
468前471:05/03/11 15:08:18 ID:cohqdX/H
第一回チキチキ劇団恵泉生徒会特別公演『エルダー』
苦情は一切受け付けません。
全8レス、どぞ。
469仮面エルダー 1/8:05/03/11 15:09:16 ID:cohqdX/H
 どうしてこんな事になるんだろう──
 貴子は生徒会室の自分の椅子に座ると溜息をついた。
 事の発端は三十分前。貴子は校内放送で学院長室に呼び出された。一体何事かと思って
学院長室に駆けつけた貴子を待っていたのは「とある孤児院で慰問のために生徒会主催の
演劇を行って欲しい」という学院長の言葉だった。
 何でもその孤児院の院長は学院祭の時に行われた、生徒会主催の劇をいたく気に入って
しまったらしい。また、その院長と学院長は知己の間柄であり、どうしてもその願いを断る事が
できなかったと言う。貴子にとっては迷惑以外の何者でもなかったわけだが。
 ともかく、学院長から直々にお願いされたとあっては無下に断る事も出来ず、渋々ながらも
引き受けることになったのであった。

「会長、演劇部部長の小鳥遊先輩がいらっしゃいましたが」
 どうしていいものかと考えているつもりで、実は思考停止していた貴子に君枝の声が掛かる。
貴子は失いかけていた意識を何とか掻き集め、圭を招きいれた。
「ふふふ……助っ人はいらんかね?」
「助っ人?」
 聞いてみれば、どこから嗅ぎ付けたのか、圭は既に孤児院慰問公演の事を知っていた。
 恐るべし、圭の情報網。
 それはともかく、頭を悩ませていた貴子にとって圭はまさに救世主。一も二もなくその申し出
に飛びついたのである。
 ちなみに学院祭のときに圭に任せたがために四苦八苦した記憶は、全てお姉さまとの甘い
キスの思い出に塗り替えられて綺麗さっぱり無くなっていた。


470仮面エルダー 2/8:05/03/11 15:10:13 ID:cohqdX/H
 二日後──。
 生徒会室で貴子は圭から完成した台本を受け取った。表紙には『仮面エルダー』と書かれて
ある。それを見た瞬間えもいわれぬ不安感に包まれて、受け取った台本を突き返してやりたい
気分になったが、全てを圭に丸投げしてしまった手前、あまりきつい行動が出来ない貴子なの
であった。
「それでは、出演者の皆さんは被服室に集合してください。衣装合わせをしたらすぐに読み合
わせを行います。私は瑞穂さんたちを連れて行きますので」
 そう言って圭は生徒会室からさっさと出て行ってしまった。


「それではこれより孤児院慰問公演『仮面エルダー』の練習を始めます。今回の作品は少々
特殊な衣装を着てアクションシーンを行いますので、皆さんには慣れて貰う為に実際に舞台
衣装を着て練習をしていただきます。衣装は事前に私の方から発注を掛けておきましたので、
後は微調整するだけです。まずは衣装合わせから始めますので、手芸部の皆さん、お願い
します」
 妙に気合の入った声で圭がそう言うと、手芸部の面々はそれぞれの担当女優に取り付い
て衣装合わせが始まった。

471仮面エルダー 3/8:05/03/11 15:11:02 ID:cohqdX/H
「な、なんですかこれは!」
 部屋中のあちらこちらから不満の声が上がった。ちなみに割り当てられた衣装は貴子はニ
ワトリの着ぐるみ、三人娘は全身タイツ、奏が園児服である。
 文句を言っているのは生徒会組で、奏はとっくの昔に諦めたような、達観したような、遠い目
をしていた。
「あっちはほっといて、と」
 圭は瑞穂と紫苑のところにやってきた。
「お二人には制服で出演していただきます。瑞穂さんは夏服を、紫苑さまは冬服を用意してお
いてください。それと」
 そう言って鞄から面を二面取り出すと、瑞穂と紫苑に一面ずつ手渡す。
「こ、これは……」
 面を受け取った瑞穂と紫苑は絶句した。差し出されたのは能面だった。
「瑞穂さんのが橋姫、紫苑さまのが生成です」
「いやそういうことではなくて」
「……?」
「これ……かぶるんですか……?」
「勿論。『仮面』エルダーですから。それをかぶると視界がかなり狭まってしまうので、慣れるた
めに練習の時は必ずかぶるようにしてください。では、私も着替えますのでこれで」
 有無を言わせぬ迫力でそう言い放つと、圭も自分の着替えのためにその場を立ち去った。
 瑞穂と紫苑はしばらくの間、受け取った能面を眺めていたが、やがて覚悟を決めて装着した。
「…………」
「…………」
472仮面エルダー 4/8:05/03/11 15:11:45 ID:cohqdX/H
 何とも言えぬ気持ちになった二人はお互いの顔を見合わせていた。お互いに相手の姿を見
て「似合いすぎだ」なんて事を考えたりもしたが、とても口に出して言えなかった。
 そこに衣装合わせを終えた貴子がニワトリの格好で愚痴をこぼしながらやってきた。
「全くなんで私がこのような格好をしなければならないんですか……それは、確かに全てを圭
さんに任せた私にも非が無いとは言えませんが、だからといってこれはあまりにも酷いではな
いですか……。大体、私の役が怪人・凄斗怪鳥というなんて、莫迦にしているとしか思えません。
三歩歩いたら覚えたことを忘れてしまうなんて全くニワトリじゃあるまいし……いえニワトリには
違いないのですが……ってそういうことではなくて。それに全て任せたとは言っても、元はと言
えば圭さんの方から協力を申し出てきたわけですから、色々と決定する前に私に確認してくる
のが筋と言う物ではありませんか。それを何の確認も無しに何でも勝手に決めてしまって……
私だけならともかく、君江さんたちや周防院さんにまであのような服を着せて……これでは私が
あの子たちにあのような衣装を着させたのと変わらないではないですか。まあ、今回は時間に
余裕が無いので仕方ありませんけれど、本来ならばこんな勝手がまかり通るなど許される事で
は無いという事を圭さんはちゃんとわかって……ちょっと、ちゃんと私の話を聞いていらっしゃる
のですか? お姉さまも紫苑さまも!」
 苛ついていた貴子は少々乱暴に瑞穂と紫苑の肩を掴むとグイッと引っ張って自分の方に振り
向かせた。
 ──鬼がいた。
「きゅぅ」
 バタン。
「ちょっ……貴子さん、大丈夫ですか?!」
 気絶したニワトリを介抱する瑞穂と紫苑。介抱するのはいいのだが二人とも面を付けたまま
で、意識を取り戻した貴子は再び夢の中に旅立っていくのであった。

473仮面エルダー 5/8:05/03/11 15:13:25 ID:cohqdX/H
「会長さん、大丈夫なのですか〜?」
 着替え終わった奏がやってきた。何と言うか園児服を着ても全く違和感がないのはいわゆる
一つの才能だ。
 そんな愛らしい奏の姿を見て、いつもに増して我慢できなかった紫苑は、ふらふらと奏に近づ
いていき、抱きしめた。生成の面をかぶっている今、その姿は幽鬼さながらだった。
 そしていつものようにひとしきり抱きしめられた後、解放された奏が見たものはというと。
 ──やっぱり鬼だった。
 その姿が異様に似合っているなどと、口が裂けてもいえない奏であった。


474仮面エルダー 6/8:05/03/11 15:14:02 ID:cohqdX/H
「なにやってんだか……」
 着替え終わった圭が呆れながらやってきた。
「みなさん着替え終わったようですので、読み合わせに入りたいと思います。学院祭の時のよう
に、その都度私の方から演技指導を入れていきますので、とりあえずは皆さんの思うままに演
じてみてください」
「ちょっと待ってください」
 全身タイツが不満そうに声を上げた。
「私たちにはこのような恥ずかしい格好をさせておきながら、圭お姉さまだけそんな普通の格好、
狡いです」
 圭の服装はといえば、マントに包まれているだけである。それを見て口々に不満を漏らすタイ
ツ組。
 しかし圭はそんな苦情などどこ吹く風で、にやりと口の端を吊り上げた。
「ふ、どうしてもというなら代わってあげてもいいけど」
 そう言うと、圭はばさり、とマントを脱ぎ捨てた。
 ──女王様だった。
 と言ってもお城にいる方ではなく、あやしいお店で働いている方の女王様だった。
「な、ななな何ですかその破廉恥な格好は!」
 顔を真っ赤に染めながら貴子がまくし立てる。
「子供向けの舞台でそのような破廉恥な格好、認められるとでも思っているのですか!」
「子供向けだからこそ、世のお父さんたちにアピールしないと数字が……」
 何の数字だ、圭。


475仮面エルダー 7/8:05/03/11 15:14:37 ID:cohqdX/H
「次、エルダーの登場シーン行きます……とその前に。会長はこれを首に巻いてください」
 そう言って圭は鞭打ちになった時に付けるギプスの様な物を貴子に手渡した。
「わかりました……随分と窮屈ですね。どうしても着けなければいけませんか?」
「別に付けたくなければ外しても構いませんが……」
 その答えを聞いて貴子はギプスを外してしまった。
「では改めて。瑞穂さんは上手、紫苑さまは下手から登場、会長と奏は中央上手寄りでスタンバイ
……はい、スタート」

「ひとつ人の世の生き血を啜り」
「ふたつ不埒な悪行三昧」
「みっつ醜い浮世の鬼を」
「退治てくれよう」
「「桃……仮面エルダー!」」
「はいそこでエルダーWキック」
 ドカッ
「ぐえっ」

「これ桃○郎侍じゃないですか、圭さん」
「桃太○侍は般若の面よ。これは橋姫と生成だから違う。問題ない」
「いや、そうじゃなくてセリフが……」
「いいのよ。どうせ桃○郎侍なんて知ってる子供いないんだから」
 圭の発言が一番問題だ。

「ゲホッ、ゲホッ……少しはこちらの心配もしてください……」
 瑞穂と紫苑の二人からケンカキックを喰らって吹っ飛ばされた貴子が喉元を押さえながら呻く。
「だからギプスを付けろと言ったのに……」

 こうして練習の日々は過ぎていった。


476仮面エルダー 8/8:05/03/11 15:15:09 ID:cohqdX/H
 そしていよいよ本番の日。
 孤児院に恐怖の大王が舞い降りた──。

 この公演が何を残したかと言うと。
 まず恵泉女学院生徒会と演劇部はこの孤児院に出入り禁止になった。まあ子供達を大パニック
に陥れのだから無理もない。が、一部の者には大好評で、それ以来、仮面エルダーには熱狂的な
ファンが付いたと言う事だった。
 その噂を聞きつけた恵泉生達は、恵泉でも同じ舞台をセッティングして欲しいと要望を出し続けて
いるが、出演者の面々は演劇部の部長を除いて二度とゴメンだと言っている。
 そして。
 貴子の夢の中には橋姫の面をかぶった瑞穂と生成の面をかぶった紫苑が夜な夜な現れ、貴子を
苦しめるのであった。

おしまい

477仮面エルダー 9/8:05/03/11 15:15:44 ID:cohqdX/H
『仮面エルダー』

出演

 宮小路瑞穂/仮面エルダー一号 宮小路瑞穂
 十条紫苑/仮面エルダー二号   十条紫苑

 悪の女総統              小鳥遊圭
 怪人・凄斗怪鳥             厳島貴子
 戦闘員A                菅原君枝
 戦闘員B                烏橘可奈子
 戦闘員C                門倉葉子

 幼稚園児                周防院奏

 脚本・監督               小鳥遊圭

 製作 恵泉女学院仮面エルダー製作委員会

478名無しさん@ピンキー:05/03/11 15:17:18 ID:ZWcG6IBS
>>461
GJです。
本編にも全バレが欲しいと想っているのは俺だけでしょうか?

つーか、一子ENDをきっちり作って欲しかったよー

>>462
美智子×瑞穂は良かったですよね。
479名無しさん@ピンキー:05/03/11 15:18:48 ID:ZWcG6IBS
>>468-477
GJです。
リアルで読んでました。

Niceです。
480元269:05/03/11 15:21:32 ID:8Ovnb3ka
…元日編第2部投下します。
481元269:05/03/11 15:22:03 ID:8Ovnb3ka
「…あ〜……こ、こほん」
楓さんの放った一撃によるショックで、正気に戻ったお父様は、赤面
しながら立ち上がると、一つ咳払いをした。
ちなみにその間、僕達は一言話さず、無言でお父様を見詰めていた事
を付け加えておく。
「す…すまん……少々取り乱してしまった」
…あれが『少々』ねぇ……?
他の皆(除く奏ちゃん)も同じ感想を持ったらしく、ジト目でお父様
を見ている。
奏ちゃんは、というと……。
「ガクガク……」
涙目になってブルブルと小刻みに揺れていた。
…お父様、『良い人』から『変な人』に格下げされましたね……。
「わ、わしをそんな目で見ないでくれ〜〜!!!」
顔を手で覆いながら、脱兎の如く駆け出すお父様。
「…………」
「…………」
「…………」
「………はぁ」
声の無い三人と深い溜息を吐く楓さん。
…なんだかなぁ。
482元269:05/03/11 15:22:59 ID:8Ovnb3ka
わしは、走り続けた。ただ心の赴くままに…。
別にあんな姿を見られて、恥ずかしくなって逃げ出したわけではない。
…ただ、幸穂(注…中身は瑞穂です)にあんな……哀れむような顔を
させてしまったことが耐えられなかったのだ。
そこで、はた、と足を止める。気が付くとそこはわしの寝室だった。
「……幸穂」

ああ…そうだ。幸穂のあの姿を見たのは、わしらがまだ高校に通って
いた時、17歳の頃だったな……。
幸穂とわし、そして楓は幼馴染だった。小さい頃から何をするにも三
人で行動していた。
二人ともとにかく元気で、活発で……。お転婆もいいところだった。
どちらかと云うと気の弱かったわしは、二人に引っ張りまわされて
いたな……。

「よし君、遅いよ〜!」
「少しは急げよ、慶行!」
「ご、ごめん」
近所の公園で三人で遊んだ帰り道、いつものように二人に尻を叩かれ
て慌てて付いて行った。その日はその後、楓の家に寄って行くことに
なっていた。遊ぶ家は、三人で持ち回り制、と決めていた。
……ところが、家に着いた時に待ち受けていたのは、突然の別れを告
げる無情な言葉だった……。
483元269:05/03/11 15:23:34 ID:8Ovnb3ka
「……ひ…っ…こし……?」
わしも幸穂も、いや…楓さえもが言葉を失った…。
「ど、どうして?」
二人よりも早く、我に返ったわしが、楓の母様に云う。
「…ごめんなさいね」
母様は、わしの頭を撫でながら云った…。
「……」
幸穂はただ黙ってその様子を見ていた。…哀しみを湛えた瞳で……。


「…私、探してきますね」
お父様が部屋を飛び出してから、しばらく経った後、僕はお父様を探
しに行くことにした。
「かしこまりました…宜しくお願いします」
楓さんが応える。
「じゃあ、皆は先に御飯を食べていて頂戴、楓さん?宜しくね」
「はい」
僕は、四人を残し、部屋を出た。
「多分、あそこだろうな…」
お父様が飛び出して行った後、階段を駆け上がる音が響いていたこと
を思い出す。…二階でお父様が行きそうなところは二つしかない。ひ
とつは寝室。もう一つはお母様の部屋…。
「とりあえず、行きますか……」
階段を上がり、二階へと向かう。ここから近いのは、お父様の寝室。
…とりあえず、近いほうから行ってみるか……。
484名無しさん@ピンキー:05/03/11 15:24:05 ID:ZWcG6IBS
ごめんなさい。
変なとこで送信しちゃった。
PC落ちたし・・・。

それはいいとして
>>468-477
メッチャ笑いました。
脚本下さい。
つーか、なんで女王様が必要なんだろ。
485元269:05/03/11 15:24:11 ID:8Ovnb3ka
カタッ。
物思いに耽っていた時、背後から小さな物音が聞こえた。
「…幸穂」
振り返ると振袖を身に纏った幸穂がいた……。

「じゃあ…行ってくる」
まだ卸したての恵泉女学院の制服を着た幸穂が、父親の車の中から笑
顔を向ける。…学院の寮に入るのだ。
「うん…またね」
…中学校までは一緒だった。隣にいるのが当たり前だと思っていた。
でも、そんな当たり前は突然壊れてしまう。…楓が引っ越してしまっ
たときのように……。
そしてまた、もう一つの当たり前、が壊れていった…。
学院の寮に入ると長期の休みにならない限り、帰省することは殆ど無
いらしいと聞いていた。
…次に逢うのは、夏休み……か。
そう思っていた……だが…。
幸穂は帰ってこなかった。理由はわからない。ただ帰ってこなかった
のだ……。
「…あは…は……」
乾いた笑いが込み上げてきた。逢えるのを楽しみにしていたのは、自
分だけだったのだろうか……。
それが、自分の思い過ごしであったことがわかったのは、1月1日。
翌年のことだった。
486元269:05/03/11 15:24:59 ID:8Ovnb3ka
その年の正月。次から次へと現れる、年賀の挨拶参りを受けていた
いた時のことだ。
「慶行さん…」
思考が停止した。周りの音も聞こえない。
目に映るのは……一人の女神…。
「さ…ちほ?」
そこに居るのは間違いなく幸穂だった。
振袖を見事に着こなし、楚々とした美しさ、優雅な立ち居振舞い、絵
に書いた良家のお嬢様…を体現した、幸穂だった。
「慶行さん…?どうかなさいましたか……?」
小首をカクンと傾げる。
ズキューン!
やられた…。…一発で。
自分の知っている幸穂ではなかった。あの、お転婆で…。いつも迷惑
を掛けてきた幸穂ではなく、淑女になった幸穂だった……。
この時初めて、幸穂を『女性』である、と感じた……。
487元269:05/03/11 15:25:44 ID:8Ovnb3ka
「おやおや、すっかり魅入ってしまったようだな。…慶行」
「お父様…」
お父様の言葉に赤面する。
「まぁ、本当ですの?慶行さん…?」
顔を輝かせて云う幸穂。
「あ…いや…その……」
駄目だ!言葉が上手く出てこない。
「ふふふっ」
そんな様子を見て、幸穂は嬉しそうに笑った……。
「…ふむ。この様子なら問題ないな」
お父様は小声で呟くと、幸穂の両親の方に行ってしまった。
「?」
なんだか良くわからずに、去っていくお父様の背中を見詰めていると、
「…良かった」
幸穂が小さく呟くのが、聞こえた。
488元269:05/03/11 15:26:21 ID:8Ovnb3ka
「?」
…どうしたんだろう?
部屋に入った僕を見ると、お父様は視線を落とし、固まってしまった。
「…お父様?」
ゆっくりと近付きながら声を掛ける。
「……瑞…穂…か」
はっ、と顔を上げたお父様が云う。
「…大丈夫…ですか?」
「ん?ああ、平気だ。心配させてしまったな」
立ち上がると、お父様は僕の頭に手を乗せ、ポンっと軽く叩いた。
「……ありがとう」
「?」
何かを呟いたお父様だったが、僕には聞き取れなかった。
「さ、朝飯を食べに行くか、すっかり遅くなってしまったな」
云うや否や、さっさと歩き出すお父様。

489元269:05/03/11 15:27:24 ID:8Ovnb3ka
あの日、わしと幸穂の婚約が決まった。前々からその話は出ていたそ
うなのだが、お父様は反対していたらしい。……原因は、幸穂の素行
というか、元気過ぎるあの性格…。
それを押して、と頼み込む宮小路側に根気負けしたお父様は一つの条
件を突きつけた。
曰く、恵泉女学院にて修行し、淑女として慶行を堕としてみろ…と。
夏休みに帰省しなかったのは、中途半端な状態で逢うと、元の幸穂に
戻ってしまうから……だったらしい。
「ちょっと、待って下さい。お父様…」
後ろを見ると、慣れない着物でわたわたと歩いている瑞穂の姿…。
天井を見上げ呟く。

「お前の血はしっかりと受け継がれているぞ……幸穂」
……目端に涙の粒が出来ていた。


つづく
490元269:05/03/11 15:28:57 ID:8Ovnb3ka
投下終了です。
私の厳格な優しいパパは居なくなってしまった

orz

…週明けにまた来ます。
では。
491484:05/03/11 15:29:52 ID:ZWcG6IBS
>>490
GJです。

すみません、投下中に邪魔してしまいまして・・・。
死んでおわびいたします。
492元269:05/03/11 15:31:39 ID:8Ovnb3ka
>491
気にしないで生きて下さいまし。
493名無しさん@ピンキー:05/03/11 15:32:51 ID:4dMcTA2h
>>477
激しくワロス
恵泉で講演したらどうなることやら……

>>490
ま、真面目なパパさんだ……
どこからパパさんの歯車が軋みだしたんだろうか……


あと、美智子×瑞穂にチャレンジしてますが、紫苑さまと圭さんが混ざったり、セリフ続きという困難が……orz
場面描写苦手なの……(つД`)゜*。・
494名無しさん@ピンキー:05/03/11 15:34:46 ID:czegKfhF
話を切るようで申し訳ないけど・・・
貴子さんねた?を投下してもいいのだろうか?
495名無しさん@ピンキー:05/03/11 15:36:13 ID:IcLeShEi
やっぱ暴走した方がいいと思うのはオレだけ?w
496名無しさん@ピンキー:05/03/11 15:40:48 ID:u87puB5A
暴走は好き。
諸刃だという自覚さえあれば、強力な武器なのは確かだと思う。
497名無しさん@ピンキー:05/03/11 15:43:47 ID:FNJbML5r
>>494してくれ
498名無しさん@ピンキー:05/03/11 15:46:46 ID:/NsboqTG
>>494
どうぞ惜しみなく
499名無しさん@ピンキー:05/03/11 15:49:00 ID:6KNf1anG
>>494
 _   ∩
( ゚∀゚)彡 たかこ!たかこ!
 ⊂彡
500名無しさん@ピンキー:05/03/11 16:32:22 ID:wzO7pN6b
ネタに詰まった。
501名無しさん@ピンキー:05/03/11 17:26:37 ID:Bjgur/mG
>>469-477
思わずPCの前でコーヒー吹いてしまうとこですた。
しかし、橋姫に生成の能面ですか・・・紫苑さまの生成はたしかに
ハマりすぎですなPAMPAM!
502名無しさん@ピンキー:05/03/11 18:16:48 ID:LveVLGKM
仕事行ってる間に。。。。
皆様GJ!
最近は家にいる半分はココを見ている自分が居る。
503前スレ550:05/03/11 18:39:32 ID:CzaEuBK4
別のSSを書いてる時にふと思いついた1発ネタ

「貴子さんも外部受験なんですよね?」
「ええ、瑞穂さんもですわよね?」
少し早い朝の通学路・・・といっても寮から校舎までだから、ほんの数分の距離でしかない。
それでも毎朝の楽しいひと時。
もうすぐセンター試験ということもあって、外部受験組の私たちの会話がそこに集まるのも当たり前。
「瑞穂さんはどちらを受験なさるおつもりなんですの?あの・・・よろしければ私も同じ学校を受けようかと・・・」
最後の方がかなり小さな声になってしまった。顔が赤くなっていくのが自分でもわかる
「ええ、○○大学の経済学部、滑り止めは××大の商学部と思ってるんですが・・・」
「○○大学ですか、流石ですわね・・・○○大!」
いえない・・・まさかそこは「記念受験しようと思ってた大学だなんてとてもいえない!!」
「貴子さん、取り乱すのは判りますが、後半、思いっきり言ってます」
504名無しさん@ピンキー:05/03/11 18:59:08 ID:czegKfhF
494なんですけど
ねたに詰まった・・・”何か”かがおりてきてくれない
505名無しさん@ピンキー:05/03/11 19:01:22 ID:ItgnOfhg
>>423
出会い頭に頭ぶつけて…とか、階段を転がり落ちて、そして…ってわけだな?
王道…というか、ありきたりかもしれんけど。






……邪道ネタとしては、誰かのお手製カレー食べたショックで…って手もあるけどな(w
506名無しさん@ピンキー:05/03/11 19:02:00 ID:mT3vrWl9
>>504
…ささやき…いのり…えいしょう…ねんじろ!
ネタは灰になりますた…

ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい…
507名無しさん@ピンキー:05/03/11 19:37:18 ID:czegKfhF
>>423
人格交換・・・じゃなくて変換ねたなら・・・
きのこを食べたせいで・・

ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい…

>>469-477
恵泉の学園長があとでどんな顔をしたのか?


>>506
>…ささやき…いのり…えいしょう…ねんじろ!
>ネタは灰になりますた…
ウィズねたですか?
508名無しさん@ピンキー:05/03/11 19:58:52 ID:mT3vrWl9
>>507
その通りです
494さんのコメントを見たときに以下の流れが頭の中に…

ネタに詰まった → ネタがダメになった → あぼーん
→ ついでだからWizネタで応援してみるか → いのり(以下省略
509名無しさん@ピンキー:05/03/11 20:13:04 ID:mn6vm07M
>>508
新作で女子校という妄想設定でやってないだろうな

俺はやりそうになった
510名無しさん@ピンキー:05/03/11 20:58:26 ID:czegKfhF
ネタに詰まったので、こんな物でお茶濁し

”ミス貴子”
”デートのお誘いでしたらお断りですわ”
口笛を吹くと大げさに肩をすくめた。
”おい。今日も振られたな”
”彼女は、瑞穂一筋だってわかってるだろう?”
貴子は、口元に笑みを浮かべると
”いいえ。山の頂からの見える景色にひかれたのですわ”
”おいおい。肝心な一言が抜けてないか?’瑞穂と2人で’という”
”た、確かに、否定はしませんわ。瑞穂と見る景色は格別ですもの”
顔を朱くすると横を向いた。
511前スレ45:05/03/11 22:14:02 ID:mH989J+i
ホント、一日に力作がガンガン投下されますね。
皆さんGJです。
常連さんもすさまじいハイペースなのにハイクオリティを維持しているという・・・すごいです。

慶行パパ・・・なんでこんなんなっちゃったんでしょ・・・?w
・・・ひょっとして私のせい・・・?orz

私はネタが尽きてまいりました・・・orz
何かいいネタないかなぁ・・・
512前スレ550:05/03/11 22:16:10 ID:CzaEuBK4
俺も全然駄目だ・・・書き掛ばっかりがたまってるorz
513名無しさん@ピンキー:05/03/11 22:28:38 ID:YDC4rvWd
ageなのですよ〜
514471:05/03/11 22:35:48 ID:cohqdX/H
あほなネタしか思い浮かばなくなってまいりました!

ネタねーよ……orz
515名無しさん@ピンキー:05/03/11 22:41:25 ID:6BBrX8HZ
>>514
アホなネタ
それこそ私の望むところよ・・・
516名無しさん@ピンキー:05/03/11 22:49:07 ID:+444Uqx6
ファミリー
設定:紫苑ルート卒業後

卒業後、僕と紫苑は婚約した。

今日は奏ちゃんを家に呼んだ。まだ果たすべき約束がある。
「お姉さま、紫苑お姉さま。おはようがおざいますですよ。」
「「おはよう。奏ちゃん。」」
「上がって奏ちゃん。」
「お邪魔します。」
客間に奏ちゃんを通した。

「失礼します。お茶をお持ちしました。」
襖を開け楓さんがお茶を運んできてくれた。
「ありがとうござます。」
「楓さんありがとう。」
「では、失礼します。」

「今日来てもらったのは....」
緊張で口が渇く
「驚かないで聞いてね。」
「実は私、いや僕は男なの」

「えーーー」
「本当なのですか?」
「信じられないのですよー」
517名無しさん@ピンキー:05/03/11 22:50:25 ID:+444Uqx6
「奏ちゃん本当よ。瑞穂さんは男なの」
僕は胸パットと外した。

「びっくりなのですよ。」
「でも、どうして奏に?」

「実は僕と紫苑と婚約したんだ。奏ちゃんにどうしても知らせたくて。」
紫苑は顔を赤くしながら胸パットをもみもみしていた。
か・かわいい。

奏ちゃんはさらに驚いた様子で。
「おめでとうなのですよー。」
「奏に教えて貰えて嬉しいのですよ。」
奏ちゃんは涙を浮かべながら祝福してくれた。

「奏ちゃんは私達の妹ですものあたりまえです。」
「それでね。奏ちゃん。」
「紫苑と話あったんだけど、本当の家族にならない?」

518名無しさん@ピンキー:05/03/11 22:51:23 ID:+444Uqx6
「え、どう言うことなのですか?」
「奏ちゃんを家の養子に迎えたいの。」
「私達は本当の家族になるのよ。」

「奏うれしいのですよ。」
「でも、お姉さま達の邪魔したくないのですよ。」

「そんなことないのよ。私達、奏ちゃんに一緒にいてほしいの。」

「でも、奏・・・すぐには答えられないのですよ。」
奏ちゃんが泣きながら答えた。

「うえーーん。紫苑お姉さまーー、お姉さまーー」
紫苑は涙を浮かべながら奏ちゃんを抱きしめ、奏ちゃんは嗚咽を繰り返している。

つづく
519名無しさん@ピンキー:05/03/11 22:58:01 ID:zgXpvCoS
>>516
GJです。これからどう展開するのか楽しみ。

自分は文才無いので読ませて頂いてるだけなのですが、
由佳里ルートの和解後、瑞穂卒業までの話があったらいいなぁ。
まりや、奏がからむと面白そうな気がするのですが
神様お願いします。
520名無しさん@ピンキー:05/03/11 23:03:36 ID:O0fcbZ7t
>>516-518
GJ。エエ話しです(つД`)。続きに期待しますよ。
521名無しさん@ピンキー:05/03/11 23:07:30 ID:czegKfhF
>>516
今後、どう展開していくのか楽しみにしております
522前スレ126:05/03/11 23:51:54 ID:gCrTFnau
て、展開が早すぎて…すみません、一括レスさせていただきます( ;´Д`)
みなさんGJです!!本気で…皆さん揃ってクオリティ高くて…
自分の投入するのがちと気後れますですよ…

で。一応、「奏でられぬ気持ち、奏でられた思い」の続きをある程度練ったので
書き上げようと思ったんですが…
自分の作品、需要あるんでしょうかね…?( ;´Д`)
いや、なんか「良い」とも「悪い」とも反応が返って来ないので…
忌憚の無い意見をお聞かせ願えればなぁ、なんて。
それによってはこれからの作品傾向とかも考えますし…
523名無しさん@ピンキー:05/03/11 23:56:23 ID:zgXpvCoS
>>522
かなり良かったですよ。
続き楽しみに待ってますけど。
524名無しさん@ピンキー:05/03/11 23:57:25 ID:mLp+RHg4
>522
終わるまで感想控える主義なんで反応してないけど読んでるよ
できれば続きplz
525名無しさん@ピンキー:05/03/12 00:10:09 ID:urKWU18l
>>522
読ませていただいてます。
書き手にとって、反応が無いというのは、凹みますから

そういえば・・・手紙の話(402-406)・・どうだったのだろ?
反応に値しなかったのかな?凹んでます。
526名無しさん@ピンキー:05/03/12 00:11:33 ID:/cKB7TFQ
スレ汚しゴメン
スレッガー中尉編はどっかで読んだ気がするので続き(ウソ


第36話 恐怖!厳島貴子

た、たかが入学2週間の馬の骨に・・・この貴子がやられるのかッ?!
やられはせんぞ!
やられはせんぞォォ、貴様ごときにッ!!
やられはせんッッ!!!

学園の伝統ッ!このわたくしのプライドッ!
やらせはせんッ!!やらせはせんぞォォォォ!!!


ツンツンしてた時の貴子タンのほうが好きな漏れはきっとマイノリティ orz
527名無しさん@ピンキー:05/03/12 01:15:06 ID:86DJaV2s
>>525
ちゃんと読みましたよ〜。
ちょっち鬱かなー、とか思いつつもシリーズ読んでおりましたが、
うん、救われました。これはこれでいいな、と思います。
でも「”」は無理に入れなくても良かったかも。「----」とやって最初と
最後を区切るだけの方がスッキリしたのではないかと。

>書き手にとって、反応が無いというのは、凹みますから
大昔に別んとこで書き手やってた者としてはわかります。
職人の皆様が、名作による焦土化作戦を繰り広げているのでみんな
感想がおっつかないのだと思います。

>>526
ほんと、生徒会長は地獄だぜ。フゥハハハハァー
528前スレ126:05/03/12 01:17:43 ID:bR6nGBAf
>>523-525
あ、ありがとうございます…( ;´Д`)
そうおっしゃって下さる方がいる以上、未熟ながら頑張って書き上げますです…

>>525
いやいや、非常に良かったですよ〜
貴子さん、そのまま押しかけ女房になって…ちゃっかりしてるな、なんてw
GJなのですよ〜

>>526
そ、そんなネタもありなのか!?w
あかん…貴子さんと中将が重なってしまう…orz


とりあえず、更に練りこむために今奏ちゃんルートを復習中。
明日…じゃないか。今日の夜か、明日の夜には書きあがると思います〜
529名無しさん@ピンキー:05/03/12 01:35:03 ID:XbbmcTqc
ああ、もう、どこに GJ ってつければいいんですの?
みなさん素晴らしすぎます
530名無しさん@ピンキー:05/03/12 01:46:02 ID:urKWU18l
>>527
感想どうもです。

>でも「”」は無理に入れなくても良かったかも。「----」とやって最初と
>最後を区切るだけの方がスッキリしたのではないかと。
そうですね。そちらの方法がよかったかも、書いていたエディタではきれいにそろったのですが(^^;

>>528
>貴子さん、そのまま押しかけ女房になって…ちゃっかりしてるな、なんてw
さあ、意地っ張りの貴子さんですから、素直には言わないかもw
531名無しさん@ピンキー:05/03/12 06:47:40 ID:A4byLUTw
>>524
なるほどー、そういう人もいるのですか。

やる気が湧いてきました。
いえ、私は126氏ではありませんが。
5327:05/03/12 09:01:35 ID:4KrzpQG+

|ω・`) < コソーリ・・・


|ω・`) < 作品ラッシュが止まっている・・・
        ネタを出すなら今のうち・・・
533名無しさん@ピンキー:05/03/12 09:04:48 ID:A4byLUTw


   |∀゚)<……
5347:05/03/12 09:10:23 ID:4KrzpQG+
『魔王』

 こんな夜更けに、薄暗い部屋の中で会話してるのは誰だろう。
 それは瑞穂と奏だ。瑞穂はおびえる奏を抱きかかえている。

瑞穂 「奏ちゃん、どうして顔を隠すの?」
奏   「お姉さまには魔王が見えないのですか?
     獲物を捕らえんと、あまたの触手を伸ばしているのです・・・」
瑞穂 「あれは紫苑さんよ・・・」
紫苑 「かわいい奏ちゃん、こっちにいらっしゃい。ハアハア
     一緒にお茶にしましょう。おいしいケーキもたくさん用意してありますわ。ハアハア」
奏   「お姉さま、お姉さま!聞こえないのですか!?紫苑お姉さまが奏になにか言うのですよ〜っ」
瑞穂 「落ち着きなさい、奏ちゃん。ちょっと我を失ってるだけよ」
紫苑 「いい子ね、私と一緒に行きましょう。私の妹がもてなします。
    貴方を心地よく揺さぶり、抱きしめるのです」
奏   「お姉さま、お姉さま!見えないのですか、あの暗いところに魔王の妹が!」
瑞穂 「見えているわ。けど、あれは嫉妬のあまり鼻血を出している貴子さんよ」
紫苑 「愛しているわぁァァァ、私の奏ちゃぁァアァァん!
     貴方の可愛らしい姿がたまらない。力づくでも連れて行くわぁァーーッ!!」
奏   「お姉さま、お姉さま!紫苑お姉さまが奏をお持ち帰りするのです!
     紫苑お姉さまが奏を抱いて絞め上げるのですよ〜っ!!」

 瑞穂はぎょっとして、ようやく紫苑を諌めようとした。
 だが、全ては 遅 か っ た ・・・
5357:05/03/12 09:11:30 ID:4KrzpQG+

後書け
思いついて勢いだけで書いた。やっぱり改変ネタだった。今も反省していない。
536名無しさん@ピンキー:05/03/12 09:15:46 ID:A4byLUTw
シューベルトですか?
学がないので元ネタがよく分からないです。ごめん。
でも、紫苑と貴子にワロス
537名無しさん@ピンキー:05/03/12 09:21:02 ID:4KrzpQG+
>>536
|ω・`) < 見られてたー!(ガーン

そうです、ゲーテ作詞シューベルト作曲のやつです。
ヨダ絵で想像していただければ幸いです。
538名無しさん@ピンキー:05/03/12 09:24:49 ID:A4byLUTw
やはり自分の事をボウヤとのたまう、素敵翻訳なアレですか。

むしろ、荒木絵の紫苑が頭に浮かんで噴出した俺は一体……。
いや、マジでGJ。こういうの大好きす。
539名無しさん@ピンキー:05/03/12 09:46:35 ID:m6+jJZtS
>>534
元ネタは判らないけど、無性に笑えた
540名無しさん@ピンキー:05/03/12 10:05:05 ID:03twebkc
>534
>瑞穂 「見えているわ。けど、あれは嫉妬のあまり鼻血を出している貴子さんよ」

いや、あんたそんな冷静にw
541名無しさん@ピンキー:05/03/12 10:21:02 ID:eFDyR9f1
   SSよりも
  ( `Д´)( `Д´)
 (( (\ノ) (\ノ)
   ノ ̄ノ ノ ̄ノ
    ネタの方が
  (`Д´ )(`Д´ )
   (ヘ ノ)  (ヘ ノ) ))
   ( ̄(  ( ̄(
    レス多い
  ( `Д´)( `Д´)
 (( (\ノ) (\ノ)
   ノ ̄ノ ノ ̄ノ
   ハイ! ハイ! ハイ
  (. `Д)_(Д´ )
  ノ ノヽ |  |>
  ノ >  < ヽ

     ワォ!
 あるある探検隊!
ヽ(`Д´) ヽ(`Д´)
  | ヘ|ヽ  | ヘ|ヽ
  | ̄     | ̄
 あるある探検隊!
  (`Д´)ノ  (`Д´)ノ
  ノ|∧ |   ノ|∧ |
    ̄|     ̄|
542名無しさん@ピンキー:05/03/12 10:26:15 ID:03twebkc
だって続き物だと完結するまで評価できないし
変な先読みレス入れて興ざめさせるのもあれだろ?
543名無しさん@ピンキー:05/03/12 10:50:13 ID:urKWU18l
>>534
|゚Д゚)))コソーリ!!!!

元ネタは、父親が、吹雪の(?)の中を子供を抱えて、馬を走らせる
と言うものだったような。

>「落ち着きなさい、奏ちゃん。ちょっと我を失ってるだけよ」
>「見えているわ。けど、あれは嫉妬のあまり鼻血を出している貴子さんよ」
冷静やねw

>>542

>変な先読みレス入れて興ざめさせるのもあれだろ?
書き手の端くれから言わせてもらうと
感想はもらいたい。けど、先読み(ネタバレ?)はさけてほしいということろでしょうか?
544名無しさん@ピンキー:05/03/12 10:55:06 ID:A4byLUTw
まとめて投下する、というのも手ですな
545名無しさん@ピンキー:05/03/12 10:56:02 ID:03twebkc
>543
そうそう
自分が書くつもりだった筋をバラされたら書きにくいっしょ?
自分が苦手な筋キボンとか言われても困るし
546名無しさん@ピンキー:05/03/12 11:01:59 ID:86DJaV2s
>>534
朝(というよりもう昼前だが)から笑わせんな(笑)。
<<ネタ師め!焦土作戦か!>>

シューベルトの「魔王」とは目の付け所が宜しくあります。てかまんま曲中通りの
配役だし。
奏ちゃんのかわいさの前を完全に度を喪ってる紫苑さん素敵。
でも夢に出てきそうだ・・・
547名無しさん@ピンキー:05/03/12 11:04:56 ID:03twebkc
習ったの15年位前だからうろ覚えだけどこんな歌詞だったっけ?

風のように馬を駆り 駆けり行く者あり
腕に童帯びゆるを しっかとばかり抱きけり

父:坊や なぜ顔を隠すか

子:お父さんそこに見えないの 魔王が居る 怖いよ

父:坊や それは狭霧じゃ

魔:可愛い坊やおいでよ 面白い遊びをしよう
  川岸に花咲き 綺麗なおべべがたんとある

子:お父さん お父さん 聞こえないの 魔王が何か言うよ

父:なあに あれは 枯れ葉のざわめきじゃ

魔:坊や一緒においでよ 用意はとうに出来てる
  娘と踊って遊ぼうよ 歌っておねんねもさせたげる
  いいところじゃよ さあおいで

子:お父さん お父さん それそこに 魔王の娘が

父:坊や 坊や ああそれは 枯れた柳の幹じゃ

魔:可愛や いい子じゃのう坊や じたばたしても攫ってくぞ

子:お父さん お父さん 魔王が今 坊やをつかんで連れてゆく

父も心慄きつ 喘ぐ我が子を抱きしめ
辛くも宿に着きしが 子は既に息絶えぬ
548402:05/03/12 12:34:49 ID:urKWU18l
貴子の場合          渡されなかった卒業証書外伝4ー1

 翌日朝。勤務先でドアの開いた気配に気がついた貴子は、スケジュール表に自分の予定を書き込み
ながら
「おはようございます」
(今日は、声の響きまで違いますわ)
「おはよう。厳島さん。何かいいことがあったの?声が、弾んでるわね」
貴子は自分スケジュールを書き終わると
「ええ、10年あまり音信不通でした同級生の方から近況を知らせる手紙がきましたの」
「と、いうと、高校時代の?」
貴子は、無言でうなづくと、予定の再確認を始めた。
(厳島さん。どうしたのかしら?ずいぶん機嫌がいいようだけど)
(彼?)
瑞穂から手紙が来たことで貴子は、無意識のうちに微笑を浮かべながら
(あ、いけない。いけない。浮かれてミスを出してはだめですわ)
 昼休み。浮かれた表情のまま食事を口に運ぶ貴子は
「あら?私の顔に何かついてますの?」
「いいえ。何かいいことでも?」
手を止めると
「そうね。いいことといえば、いいことですわ」
「もしかして、彼?」
興味しんしんの問いかけに
「10年余り音信不通だった同級生から手紙がきましたの。やっと、重荷を下ろせたような気分です
わ。やっとね。やっと・・・・」
貴子の目から涙が、1つ、2つ、とこぼれ落ち始めた。ハンカチをほほに当てられて、やっと自分が
泣いていたことに気がついた。
「あ、あの、もしよければなんだけど・・・話してもらえないかな?」
遠慮がちの問いかけに、少し間をおいて
549402:05/03/12 12:35:51 ID:urKWU18l
貴子の場合2

「いいですわ。その方は、お祖父さまの遺言で開成から恵泉に編入してきたのです。」
昔を懐かしむような目をすると
「それは、騒がしくも楽しい日々でした。あの事が起こるまでは・・・ね。本当に些細なことなん
ですよ。集団心理の一時的な暴走。ただそれだけのことのはずでした。ぼたんの掛け違いと言えば
わかっていただけるかしら?」
「その結果が、10年余りの音信不通?」
「ええ、あの方の心に傷を負わせた代償ですわ。ようやく、癒えたようなので近況報告の手紙をくだ
さいましたの」
これで、話は終わりといわんばかりに、貴子は食事を再開した。
550402:05/03/12 12:38:44 ID:urKWU18l

というわけで、貴子さんねたです。
ちまちまと、書いていましたが、どうにかまとまりましたので、投下します。
551名無しさん@ピンキー:05/03/12 13:00:17 ID:/IFATyx6
スレの雰囲気を悪くするのを覚悟であえて書こう。
SSを書くのが初だからなのか知らないが、感想にガツガツしすぎ。
良作ならばそれ相応のレスがつくし、駄作ならばつかないのは当たり前。
譲り合いのマンセーしあいは、スレの雰囲気を守るには適しているかもしれないが、
それは勘違いを産んで作品のレベルをさげた挙句にスレが廃れる原因になりがち。
SS書いてる人達は感想欲しいっていうのもわかるが、
自分が面白いないし感動すると思って投下してる以上黙って待ってはいかがか?
もしそれで反応が無いようなら、それを糧にして次頑張るとかさ。
552名無しさん@ピンキー:05/03/12 13:02:55 ID:m6+jJZtS
貴子ED。卒業の翌年の夏(大学2年)。貴子視点。過去のSSとはつながりがあったりなかったり。
ギャグなので深く考えないように。前スレ550のSSを読むときの約束だ!
海に行こう!
:思いつき編
「海に行こう!」
夏休みが始まった日。完全に我が家と化している鏑木家にやってきたまりやさんが言い出した。
「また、唐突だね。まりや」
ちょっと呆れ顔の瑞穂さんがアイスティのグラスに手を伸ばしながら言った。
彼女に脈絡とか前後の話のつながりとかって言うのを期待する方が間違っているような気がしないでもない。
「でも、いいアイデアではありますわね」
7月なのに連日30度越えの猛暑、アスファルトも溶け出すような都内から脱出して海水浴、と言うのはナイスなアイデア。
「紫苑さまや奏ちゃんや由佳里も呼んじゃってさ。うちの別荘で1週間くらい」
別荘かぁ・・・厳島の家でもありましたわね・・・ろくな思い出はありませんが。
「ちょっと待ってよ。紫苑さんは良いけど、奏ちゃんや由佳里ちゃんを呼んだら、僕が女装して恵泉に通ってたのがばれるんじゃない?」
少し慌てた様に瑞穂さんが言う・・・そういえば、瑞穂さん1回、プールで泳いでたはずなんだけど・・・あれ?
「あぁ、それ、奏ちゃんと由佳里にはばれてるわよ」
「ぶーーーーーーー」
さらっと言い切るまりやさんの言葉に、瑞穂さんが盛大にアイスティを噴出す。私の顔にもちょっと掛かったが、正面に座っていたまりやさんは凄い事になってる。
「瑞穂ちゃん汚いなぁ・・・」
「何で!?」
「そりゃ、貴子と瑞穂ちゃんの愛の交わりを一部始終余すことなく全て聞いちゃったんだから、気が付いて当たり前じゃない」
「ぶーーーーーーー」
今度は私がアイスティを吹いてしまった。テーブルの1つの側に私と瑞穂さんが座ってて、その対面にまりやさんが座っているので、まりやさんは再びアイスティで顔を洗う事になった。
聞かれてたのは知ってたけど、余すことなく一部始終ですって!?
「貴子!あんた、私に恨みがあるわけ?」
「色々ありますわよ!!」
(編注:幼馴染同士がお互いの黒歴史をえぐりあう醜い争いが20分ほど続いたと思ってください)
(1/2)
553名無しさん@ピンキー:05/03/12 13:03:26 ID:m6+jJZtS

<回想シーン>
瑞穂の部屋の前、耳をドアに押し付ける不審者三名。とてもお嬢様学校の女学生とは思えない。
「これ以上続けたると・・・貴子さんにひどい事、してしまいそう」
「・・・してください・・・ひどいこと・・・」
不審者の一人、御門まりやが聞こえにくい・・・と思うと、もう一人の不審者、上岡由佳里がこそっりと紙コップを自室から持ってきた。親指を立てて彼女の行為を称える他の不審者二名。
聞かれてるとも知らない馬鹿ップル二人の行為はエスカレートし、ついに聞かれてはいけない一言を言ってしまう。
「これが・・・男の方の・・・なのですね」
「やばっ!」と叫びそうになるまりや。そのまりやの口を二人が絶妙のコンビネーションでふさぐ。
演劇部在籍の不審者、周防院奏がパントマイムで「それはおいて、今は黙って聞きましょう」を的確に表現する。それに由佳里も盛大に頷く。
</回想シーン>

「と、いうわけでばれちゃったものは仕方ないから、全部説明して、二人にも瑞穂ちゃんの秘密を共有してもらった、ってわけよ」
真っ白に燃え尽きている瑞穂さんを横目に、まりやさんが楽しげに説明している。
「あはは・・・あはは・・・あの二人にまで変態女装男だった事がばれちゃってたんだ・・・」
瑞穂さんは今にも蝶々を追いかけて、明後日の方向に走り出しそう。流石にかける言葉がありませんわね・・・
「そう言う訳だから、奏ちゃんや由佳里を呼んでも問題はないってわけよ」
「じゃぁ、それは良いとして、まりやさんのお宅の別荘ってどこにあるんですの?」
「瀬戸内海の小さな島よ。岡山まで車で行って・・・」
「まりやさん以外の運転ですわよね?」
まりや車(命名私)は嫌。死んでも嫌・・・って言うか、死ぬから嫌。
「あっ、だったら、僕が運転するよ。どうせ、6人にもなったらまりやの車じゃ無理だし。車は父さんに借りれると思うよ」
あら、復活なさいましたわね。まだ、顔に縦線が入ってるような気がしますけど。
「何でそこまで私の運転を嫌がるかな・・・」
自覚がないのが一番怖いんです。
(2/2、おしまい)
554名無しさん@ピンキー:05/03/12 13:04:16 ID:m6+jJZtS
二日係でこれだけ・・・調子悪いなぁ(仕事しろよ、俺)
神が降りてこないorz
555名無しさん@ピンキー:05/03/12 13:10:13 ID:wjaLfP93
GJ!
556前スレ550:05/03/12 13:12:14 ID:m6+jJZtS
あっ、ハンドル入れ忘れてた
557名無しさん@ピンキー:05/03/12 13:17:21 ID:56s4drCd
>>552-553
先が楽しみ。
続きを待つ。

同じ紅茶噴射でも、加害者が瑞穂ちゃんと貴子で全然反応が違うのがワロタ。
後、冷静な奏も。
…しかし、瑞穂ちゃんは運転大丈夫なんだろうか。
558名無しさん@ピンキー:05/03/12 13:21:56 ID:Fb2iXE64
SS系のスレにありがちな王道的な流れになってきたな。
投下前の言い訳とか卑下程度ならなんとも思わないが、
正直このスレに入って、自分から感想を要求し始めたのはどうかと思った。
レスつかないのはそれが感想って事でいいじゃん。次頑張れよ。
付く奴には付いてるってのが答えだよ。
つまんねーなんてわざわざ誰も書かんって。
それと、疑惑がかかりゃ、感想も減るさ。

雰囲気悪いのに拍車をかけてすまん。
でも、こうして皆職人になっていくんだと思う。
基本的にスレのレベルは高いんだから自信もって投下すれ。
559名無しさん@ピンキー:05/03/12 13:30:20 ID:5YRmv6su
『ご褒美』
-----------------------------------------------------------------------
とある放課後。

「やはり各学年とも平均的に落ちているようですね‥」
「まぁ、我が校の生徒はどうしてもおっとりというか、覇気がないというか‥」
「しかし学園長、我が校へのご父兄の期待を考えると学力が低下しすぎるのも‥」
「それはそうですけれど。なかなか困りましたねぇ‥。」

廊下で立ち話をしている学園長と梶浦先生の声が微かに聞こえた私は。

「あの学園長、すこしよろしいでしょうか‥。」
「あら、御門さん。どうかしましたか?」


その夜。

「瑞穂ちゃーん。明後日の日曜日、ちょっと買い物につきあってくれない?」
「え? う、うん、別にいいけど‥急にどうしたの?」
「まぁまぁ。たまにはいいじゃないのー。じゃあ、13時ぐらいに出発ってことで。」
「うん、わかったよ。」


その夜更け。

(トゥルルル‥)
「あ、慶行おじさまですか?ご無沙汰しております、御門まりやです。
 (中略)
 ところで、少しお願いがありまして‥‥」

***
560名無しさん@ピンキー:05/03/12 13:31:50 ID:5YRmv6su
そんなこんなで日曜日。
僕はまりやとブティック巡りをしていた。

「次の店はぷりちー系なので、あんまり私の好みじゃないんだけどねー」
「ここは小物系のセンスがなかなか。あ、これなんかどう?」
「うわー。ふりふりひらひらもなかなかぐっとくるものがあるわね」
「やっぱりモノトーンでシックに攻めるってのも悪くないわねぇ。
 ん〜。こっちのブラウスのほうがシルエットが映えるかしら」

というか‥。

「あ、あの、まりや‥。ちょっと疑問があるんだけど‥。」
「ん?なになに? あぁ、そっちのスカーフ見せていただけます?」
「買い物にいこうっていってたよね‥。な、なんで、ぼ‥私が試着してるわけ?」
「まぁまぁ、たまには瑞穂ちゃんもこういう服を着てみるってのもいいじゃない」

そういいつつ、次の服を探しているまりや。

「こちらなんかいかがでしょう?」
「あぁ、こんなのもいいわねぇ。ありがとう。瑞穂ちゃん、次これねー」

一式を渡されて、試着室のカーテンが閉められる。
とりあえず着てみて‥首だけをカーテンの隙間から‥。

「もう1つ質問なんだけど‥」
「あ、着替え終わった? どれどれ?
 うん。やっぱり身長あるせいか、見栄えがいいわねぇ‥。」
(パシャパシャ)
「えーっと、なんで試着するたびに写真撮られているわけ?
 しかもそれぞれの店の店員さんに‥」
「まー。お得意さま特権ってやつ?(にやにや)」
561名無しさん@ピンキー:05/03/12 13:32:34 ID:5YRmv6su
連れ回されたすべての店で、試着をするたびに
店員さんが僕に向かってシャッターを切っている。

「ほら、にっこり笑って。次はくるりと回ってみる。」
(にっこり)(パシャパシャ)(くるり)(パシャパシャ)
「御門様、次はこちらなんていかがでしょう?」
「あら店長、これはまたなかなかGJですわね‥。瑞穂ちゃん、はい。」
「‥‥はい。」

十数店を巡り、結局買ったのはシンプルなブラウス1枚だけ。
あれだけ試着したのに‥と思わなくもないけれど。

「わかってないわねぇ。(やれやれ)
 いろいろ試して一番似合うものを厳選するのが楽しいんじゃない」
「でも、結局買ったのこれだけだし‥。」
「あら?瑞穂ちゃん、あのフリル付きのワンピースとか買いたかった?(にやにや)」
「そ、そんなわけないじゃん! でも、まりやはなにも買わなくてよかったの?」
「いやー。私はもう、瑞穂ちゃんの着せ替えを十分堪能しましたしー。おほほほほ」
「やっぱりそれか‥。orz」

まー。いろんな意味で激しく疲れはしたけど
ある意味楽しい休日だったとは思う。うん。ありがとう、まりや。


その夜更け。

(トゥルルル‥)
「あ、慶行おじさまですか?御門まりやです。 はい。 えぇ、それはもう‥。
 (中略)
 それで、ネガの方の取り扱いはお任せしますので‥。」
562名無しさん@ピンキー:05/03/12 13:33:19 ID:5YRmv6su
それから数日後。
恵泉の学生の間にとある噂が流れた‥‥。

(えぇ!? それ本当ですの?)
(‥‥らしいですわよ。それに、まりやお姉さまが関係しているとか‥)
(信頼できる情報筋によるとですね‥)(ひそひそ‥)(ひそひそ‥)

***

「御門さん、ちょっとお時間よろしいかしら?」
「(予想より遅かったわね‥)えぇ。よろしくてよ?」

多少きつい眼差しの貴子が話しかけてきたのはその十数日後。
まぁ、これも計画通りだし、ちょっくら頑張りますかねー。

緊迫した雰囲気の生徒会室にて貴子と向かい合う。

「さて‥どこから話を始めましょうか‥‥」
「まどろっこしいわねぇ。例の瑞穂ちゃんの写真の件でしょ?」
「‥っ!! や、やはり噂通り、あなたが首謀者なのねっ!」
「ん〜、まぁちょっとちがうんだけどねー。にっはは。」

あーもぅ。そんなにすぐ怒らないの。
貴子ってばほんとに扱いやすいんだから。

「で、どういう陰謀を企んであんな噂を‥」
「陰謀ってあんた、人聞き悪いわねぇ‥‥。まぁ、それはさておき。
 生徒会長としては、仮にあの噂が真実だったとしてこの件についてどうしたいわけ?」
「そ、それは‥校内の風紀を預かる身としましては、あのような話がもし真実なら‥」
「でもさー。まだ現段階ではただの噂にしかすぎないわけですし、
 風聞だけで活動するのはちょっとまずい前例があったような記憶が‥」
「くっ! そ、それはそれとして、でもやはりっ‥!!」
563名無しさん@ピンキー:05/03/12 13:34:52 ID:5YRmv6su
はぁ。やれやれ。やっぱり普通に攻めたんじゃ貴子は無理か。
しょうがない、切り札を使うとしますかねぇ。

「じゃあ。いうわよ。」

真面目モードになった私の視線に一瞬たじろぐ貴子。

「ことのはじまりは‥‥」
「えっ、学園長の黙認まで‥‥!!」
「それにいいじゃない。誰に迷惑がかかるわけでもなし、みんなが精一杯頑張るだけよ?」
「そ、それはそうかもしれませんが‥」
「さらにー。生徒会長がこれを黙認してくれた場合には特典として‥」
「そ、そんなので私が買収されるとでも‥!」
「えー。まったく貴子ったら欲張りなんだから‥。
 じゃあ、万事成功した場合にはとっておきのこんなのも‥」
「‥‥っ!!」


数分後。
顔を真っ赤にしてそっぽを向く貴子の方を軽く叩き。

「じゃあまぁ、そういうことで。君枝さんのフォローはよろしくねー。」
「‥‥ぜ、善処しますわ‥。」

貴子なんてちょろいものね。ふっふっふ。
さーて。あとは結果が楽しみ楽しみ。

***
564名無しさん@ピンキー:05/03/12 13:35:55 ID:5YRmv6su
それから数週間後。
学園長室。

「いやぁ‥‥すごいものですねぇ、ほんとに。」
「まさかここまでとは‥。恐るべしエルダーという感じですね」
「ほんと、瑞穂ちゃんってすごいですねぇ」

全国統一模試の結果や運動部活動成績、
ボランティア活動等のお礼状の山をみて唖然とする3人。

「じゃあ、これが今回対象となる30人とその理由のリストです」
「了解しました。あとは私が。では失礼します。」


1年B組。
「すいません。こちらに出席番号24番の宮島さんは‥?」
(きゃー。まりやお姉さまよ。これってもしかして‥!?)
(みやりん、すごーい! あとで見せてね)
「は、はいっ。私ですがっ。」
緊張して近づいてくる後輩ににっこり微笑み。
「おめでとう、宮島さん。先月の模試で頑張ったそうなのでこれを。
 これからも頑張ってくださいね」
といって宛名だけ書かれた封筒をそっと渡す。
「はっ、はいっ!!」
最後ににっこり微笑み、教室をあとにする。
そのとたんに沸き上がる黄色い歓声。
565名無しさん@ピンキー:05/03/12 13:36:41 ID:5YRmv6su
2年D組。
「すいません。こちらに出席番号4番の内久根さんは‥?」
「えっ、わ、私ですが‥‥、え?」
「おめでとう、内久根さん。ボランティア活動を頑張っているそうなのでこれを。」
「えっ? えっ?」
「うっちー、すごーい!!」
「つまらないものですけどご笑納くださいな(にっこり)」
「え? え? あ、ありがとうございます。」
そして沸き上がる歓声と‥微かに響くのはうれし泣きかな?
まったく瑞穂ちゃんってば女泣かせなんだから。


生徒会室。
「貴子、いるー? あぁ、いたいた。これ、約束のブツ。」
手渡されるのは一冊の本(?)。
「あ、ありがとう。」
「見るのは帰宅してからにしなさいよ?」
「っ!? わ、わかってます!」
「まぁ楽しんでーな。にっひひ。 んじゃ協力ありがとねー。」
566名無しさん@ピンキー:05/03/12 13:37:27 ID:5YRmv6su
3年A組。
「やほー。」
「あ、まりや。どうしたの?」
「今日は瑞穂ちゃんじゃなくて。あ、圭さん。これこれ。」

瑞穂ちゃんを軽くいなして封筒をひらひらさせてみる。
とてとてと嬉しそうに近づいてくる美智子さん。

「あら、まりやさん。もしや噂のあれですか?」
「えぇ、それです。ちょっと遅いですけど先月の演劇コンクールの入賞記念だって」
「(ぴーす)」
「で、で、中にはどんな写真がはいってるんですか? どれどれ?」
「美智子、それ私がもらった封筒。」
「わー。これはかわいいですねー。なんですかこのまぶしい微笑みは。」
「ふふーん。いいでしょ、それー。」
「ふむ‥。圭さんにはもったいないので、これは私が預かっておきます。」
「美智子、それ私がもらった写真。」
「いいですよね?圭さん?」
「‥‥はい。」
「あんたらもいろいろ大変そうね‥。」
「しかし、こんな写真のために後輩どもは‥‥。」
「いいじゃないですか、どんな理由であれやる気になるってことは‥。」


「なんですかねぇ、あれ。まりやと圭さん、美智子さんって珍しい組み合わせな気が‥。」
「きっと世界征服とかの陰謀を企んでいるんですよ。」
「ふふふ。紫苑さんったら。
 あ、そうそう、聞きました? 新体操部がインターハイにでるとか。
 恵泉ってあまりスポーツとか盛んじゃない印象を受けていたんですけど‥」
「きっと、みなさんが頑張ろうと思って努力した、その成果ですよ。」
「そうですねぇ。私も見習っていろいろ頑張らないと‥。」
「うふふ。」
567名無しさん@ピンキー:05/03/12 13:38:42 ID:5YRmv6su
「あそこの脳天気エルダーに、是非事実を教えたい。うずうず。」
「圭さん、だめですよ。まだ瑞穂さんには内緒にしないと」
「でも、真実を知ったら、瑞穂ちゃん盛大に落ち込んでくれるんだろうなー」
「あー、それは楽しみですねー。その時は是非呼んでくださいねー」
「うずうず」










その夜。
生徒会長は、瑞穂の幼少時のアルバムを眺めて悶絶していた。

----------------------------------------------------------------------
長すぎた。すまん。
568名無しさん@ピンキー:05/03/12 14:03:27 ID:4KrzpQG+
>>548-549
これは以前の手紙をもらってヨーロッパへ会いに行くまでの補完ですね。
抱えている仕事が年度末で終わってから会いに行ったのかな?

>>552-553
GJ!冷静な奏にワラタw

>>559-567
さすがだよ瑞穂ちゃんさすがだよ
何気に貰って喜んでる圭と、それを没収した美智子さんに(*´Д`)ハアハア
569前52:05/03/12 14:53:35 ID:XgQwfL35
流れをぶった切って…

そんな事より皆様、ちょいと聞いてくれよ。
数日ぶりに、おとボクのSSスレに来たんです。エロパロ板の。
そしたらなんかレスがめちゃくちゃいっぱいで読みきれないんです。
で、よく見たらなんか良作が大量に投下されまくってるんです。
もうね、GJかと。最高かと。
お前らな、どの時間でもまんべんなく投下してんじゃねーよ。
明け方とか、午前中もだよ。
なんか親父とかも出てくるし。実家で女装か。おめでてーな。
よーしパパ写真集出しちゃうぞー、とか言ってるの。もう堪んない。
お前らな、2万までなら出すからさっさと出版しろと。
女装ってのはな、もっとビクビクとしてるべきなんだよ。
由佳里にいつ「これって…男の人の…?」と言われてもおかしくない、
バレるかバレないか、そんな雰囲気がいいんじゃねーか。エロ教師は、すっこんでろ。
で、やっと読みきれたと思ったら、隣の奴が「アン♪」とか言ってるんです。
そこでまたorzですよ。
あのな、「アン♪」なんて断じて言ってねーんだよ。ボケが。
羞恥に顔を染め何が「アン♪」だ。
本当は楽しんでいるんだろと問いたい。問い詰めたい。小1時間問い詰めたい。
お前、「アン♪」って言わせたいだけちゃうんかと。
ネタ切れの俺から言わせてもらえば今、自分の中での苦肉の策はやっぱり、
コピペ改変、これだね。
ヨダ風味の改変。これが苦し紛れ。
コピペってのはネタが多めに入ってる。そん代わり意味が薄め。これ。
で、それにヨダ風味。これ最低。
しかしこれをやると次から住人にマークされるという危険も伴う、諸刃の剣。
玄人にはお薦め出来ない。
まあ皆様は、今後とも萌える・笑える・心に染みる作品を投下して下さいオナガイシマス…

こんなのばっかで申し訳ありません。悪意は無いです、念の為…
570名無しさん@ピンキー:05/03/12 15:00:08 ID:A4byLUTw
>お前、「アン♪」って言わせたいだけちゃうんかと

耳がITEEEEEEE!!
571名無しさん@ピンキー:05/03/12 15:01:30 ID:rv6wusMg
>>569
ワラタ

>お前らな、2万までなら出すからさっさと出版しろと。
喪前さんの本音はこれだろ( ´∀`)σ)∀`) 
572名無しさん@ピンキー:05/03/12 15:06:45 ID:4KrzpQG+
>>569
>お前らな、2万までなら出すからさっさと出版しろと。

おまいはこの一行を言いたかっただけちゃうんかと(ry
573名無しさん@ピンキー:05/03/12 15:51:27 ID:eTKrmoBg
ファミリー 2話
あれから、奏ちゃんは鏑木家の養子になった。
僕がお父様に話し始めた時には渋い顔をしていたが、紫苑と詳しく説明すると承諾してく
れた。お父様は紫苑にかなり弱いらしい。

まりあの提案で、奏ちゃんには鏑木家であることを直前まで伏せておいた。
鏑木奏になった事を知った時、奏ちゃんは石の様に固まってしまった。
「奏、あの鏑木家の養子になってしまったのですよ・・・・・」
「お姉さま酷いのですよ。」
「何で教えて下さらなかったのですか。」
orz

「あははは」
「今後とも宜しくね奏ちゃん」
まりあは楽しそうに大笑いしている。
「でも、奏ちゃん御門家に来て欲しかったなー」
「いいなー」

「駄目ですよ、まりあさん。」
「奏ちゃんは私達の妹なのですから。」
紫苑さんが楽しそうに言った。

「ご免なさい。奏ちゃん。まりあがどうしてもって言うものだから」
「あ、それからこれからはお兄さんって呼んでね」
574名無しさん@ピンキー:05/03/12 15:53:06 ID:eTKrmoBg
「お、お兄様。これからも宜しくなのですよ。」
少し顔を赤らめて奏ちゃんが言った。

後に、由香里ちゃんにも、皆で説明した。
奏ちゃんは今後2年から鏑木家から通う事になる。
寮の生徒が一気に少なくなり寂しそうだったが、今年は新入生も寮に入ってくるようだ。

奏ちゃんの事を学園長に話し、今後を相談した。学園長は大変喜んだが、今後も奏ちゃん
は学園では、周防院で通した方が良いと言う事になった。

数日後、
紫苑、まりあ、奏ちゃん、由佳里ちゃんと一緒でかけた。楓さんに一子ちゃんのお墓の
場所を探し出してもらったのだ。

一子ちゃんのことを紫苑に話した時、だいぶ拗ねてしまった。
「瑞穂さん。どうして私にも紹介して下さらなかったのですか。」
「私も一子さんに会いたかったですわ。」
何とか夜の生活で機嫌を直してもらった。

「ここが一子ちゃんのお墓ですか。」
洋風墓地には確かに一子ちゃんの名前があった。別れてまだそれほど経っていないいないの
にそのお墓はもうかなりの年月が過ぎた様に古びていた。考えてみたら当たり前の事だった。

 そうか、私達には数ヶ月前の事でも、ここにはもう20年近くの歳月が流れていたのか。

皆、神妙な顔をしてる。このお墓に何か思うことがあるのだろう。
「持ってきたイチゴ大福と、お花を供えましょう。」
違和感を振り払う様に言った。

 一子ちゃんと時間の隔たりがあろうと、数ヶ月前まで一緒に暮らしてきた仲間には代わりな
 いのだ。
575名無しさん@ピンキー:05/03/12 15:56:28 ID:eTKrmoBg
「祈りましょう。」
「奏、必ず一子ちゃんが何処かで生まれ変わるって信じてます。」
「そうね。」
「もしかしたら、紫苑さんと瑞穂ちゃんの子供として生まれ変わるかもしれないわね。」
「一度瑞穂ちゃんにも乗り移った事があるし、案外近い人の下にくるかもしれないでしょ。」
「それは楽しみですわね。あなた。」
「私も一子ちゃんに会ってみたいですわ。」

「それはそうと、一子ちゃんと一緒に寝てた事紫苑さんに言ってあるの?」
まりあが小声で聞いてきた。
「そ、それはまだ。お願い秘密にしておいてまりあ。」
「ふふふ。そうしようかなー」
まりあは不敵な笑みを浮かべている。

「あなた。まりあさんと何の話ですか?」
「な、何でもないよ。紫苑」

それから僕は紫苑と婚約した事、奏ちゃんが家族になった事を伝えた。
皆何かを伝えている。奏ちゃん、由佳里ちゃんは泣き出し、まりあも涙を浮かべている。

「私、やっとお別れの挨拶ができました。」
「瑞穂さん。誘って頂いてありがとうございます。」
一子ちゃんと特に仲の良かった由香里ちゃんは涙を流しながら言った。

つづく

初めて書いたSSなので、文章下手です。勘弁してください。

紫苑さん好きなので、もっと紫苑さんSSお願い。
576名無しさん@ピンキー:05/03/12 15:58:52 ID:Kh8T7uXg
とりあえずキャラの名前を覚える事から始めてみましょう。
577名無しさん@ピンキー:05/03/12 16:14:04 ID:eTKrmoBg
名前間違えた
まりあ->まりや
由香里->由佳里

orz
578名無しさん@ピンキー:05/03/12 16:56:53 ID:EmuRMwKj
瑞穂がかなり酷い事になる→周りの悲痛な反応
のコンボが俺のピンポイント


歪んでるよなぁ
579名無しさん@ピンキー:05/03/12 17:37:59 ID:wjaLfP93
>>578
心配するな、俺もだ。
580209:05/03/12 17:49:43 ID:A4byLUTw
Another pair 第4話、投下します。
結構長くなってしまったです。
581名無しさん@ピンキー:05/03/12 17:50:17 ID:A4byLUTw
Another pair 第四話 『バレンタイン連弾(フィアヘンディヒ)』

見上げた空は粉雪が舞っていた。
普段なら寒いとしか思えないような冬の朝なのに、
私は、その景色に見とれていたりするのであった。

プシーッ
バスが停車する。
紫苑さまはいつもこの時間のバスに乗って登校してくる。
次々と降車してくる恵泉の生徒達。見知った顔もちらほら。
なんだか、皆私を見ている気がする。
物珍しい気持ちは判ったから、少し控えて欲しい。
ジロジロ見るのは失礼だと思う。
おかしいな、紫苑さまの身長なら(本人の前では言えないけど)
この列の中でも、上からひょこっと頭が出るはずなのに、
見当たらない。
……ひょっとして、気付かずに行ってしまわれたのだろうか。
……それとも、別のバスに乗っていたとか、……まさか、お風邪を……
どうしましょう、どうしましょう。お見舞いに行かなくては――
「おはよう、貴子さん。……どうなさったの?」
「はえ、紫苑さま……」
おかしいな。どうして気付かなかったんだろう。
ひょっとして紫苑さま。私を驚かせようとして隠れていたとか。
「ありえませんわ」
私は莫迦な考えを一蹴すると、紫苑さまの手をとる。
「さ、行きましょう」
今日も一日、頑張りましょう。
張り切って歩き出す。
582名無しさん@ピンキー:05/03/12 17:51:22 ID:A4byLUTw
ぐいっ――
「あぅっ!」
もとい、歩き出そうとしたところで手を引かれた。
「いたたたたた、……紫苑さま?」
どうしたのでしょう、紫苑さまの表情が固い。
「貴子さん、あなた何時からここで待ってらしたの?」
「ふぇ? そ、それは……私も今来たばかりですわ、紫苑さま」
「嘘おっしゃい。こんなに冷たくなってる……」
むぎゅう――
「もう……莫迦な子。寒かったでしょう。
 ……いい、貴子? あなたが風邪を引いたら、私が悲しむのですよ?」
抱きしめたまま、耳元で囁かれる。
「紫苑さま……暖かい」
もう二度と1時間も前からバス停で待つような真似はしないと誓わされた後、
私たちは再び手を取り合って学校に向かう。
紫苑さまって、何かある度に格好いいことをなさる気がします。
「ところで、紫苑さま。さっき降りてくる時……」
紫苑さまが見つけられなかったという事を、何とか、紫苑さまが、その、
長身であるというのをごまかしごまかし伝える。
「あぁ、そうだ。…貴子さん、いいものがありましたわ」
鞄からマフラーを取り出すと、私の首に手際よく巻いて下さった。
はぁうっ、紫苑さまの香りでいっぱいです……。
「あ、ああ、ありがとうございましゅ……。
 って、紫苑さま! そうではなくて……もう、私の話、ちゃんと聞いていらしたのですか?」
暖簾に梅干状態。どこ吹く風の紫苑さま。
「ひ・み・つ。……さ、行きましょう、貴子さん」

【暖簾に梅干】__________________
|暖簾に梅干を投げてもどうにもならない。         |
|転じて、手応えのない事、どうにもならない事。      |
|……らしいのだが、勿論そんな日本語は存在しない。 |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
583名無しさん@ピンキー:05/03/12 17:51:56 ID:A4byLUTw





   「おはようございます、紫苑さま」
   「おはようございます」
   「何か、盛り上がってるようですが、何のお話?」
   「えぇ……バレンタインデーのお話を」
   「ああ、もう二月ですものね、皆さんに贈り物をできるなんて、楽しみな日ですわね」
   「紫苑さんの場合はどちらかというと貰う側のような気が……」
   「あら、そうなんですか……贈れないというのは楽しくありませんわ……」
    た、たまに紫苑さんは受け答えがへんてこりんな時があるなぁ……。
   「……………」
   「げ、下駄箱とかチョコレートでいっぱいになるのでは……」 
   「食べ物を下駄箱に入れるのは如何なものなのでしょうか……」
   「それは直接渡す事のできない、愚か者のする事ですわね……」
    愚か者って、圭さんは相変わらず手厳しいというか何と言うか。



………
……





584名無しさん@ピンキー:05/03/12 17:53:00 ID:A4byLUTw






「……で、わざわざ皆さん、そんな事のためにいらっしゃったのですね?」
呆れ……まではいかないが、困ってしまった。
そうそうたるメンバーでの来訪に、また革命紛いの事でも起こしに来たのかと、
一瞬肝を冷やしただけに、拍子抜けというか、なんと言うか。
要求は、ずばりバレンタイン。
「分かりました。ようは下駄箱がチョコレートで溢れると言った事態を避けたいのですね、
 主にお二人が」
黙認状態のバレンタインデーのお菓子類の持ち込みに、公式に見解を示すわけにはいかない。
裏で生徒側にだけ通達する必要がありそうだ。
中々手間がかかりそうな事だが……。
「分かりました。折角のバレンタインですものね、各クラスの委員に口頭で伝達するように伝えましょう。
 その代わり、人手が足りないので皆さんにもお手伝いしてもらいますわ」
勿論、私は紫苑さまと一緒に回るつもりだ。
「へえ……会長、話が分かるわね」
「あらっ、……バレンタインデーを待ち望んでるのは、
 何もあなただけではなくってよ?」
「……何さ」
鎌をかけただけのつもりだったのだが、中々に効果があったようだ。
「まあっ、圭さん赤くなってますよ」
「美智子煩い。……やはり……宝瓶宮が……」
「それでは、今年のバレンタインは手渡しを推奨という事で、通告を出しておきます」
ホッとしたような紫苑さまの表情が、印象に残った。
585名無しさん@ピンキー:05/03/12 17:54:31 ID:A4byLUTw



全クラスの委員への通達を終えると、お昼休みは半分以上過ぎてしまっていた。
「こまりましたね……学食のメニューも、ほとんど売り切れてしまったでしょうね」
「……紫苑さまの口から学食という言葉を聞くと、何だか違和感がありますわ」
「あら? そうかしら」
そうです。
さて、切り出すための最大のチャンスを自分から反故にしてしまった。
かといって、このままでは食堂の残り物を頂く事になってしまう。
……ええいっ、ままよ。
「しっ、紫苑さま」
「はい。なぁに?」
待ってましたとばかりの紫苑さま。
う〜、私が何か切り出そうとしてるのに気付いていたに違いない。
「そっ、その……お弁当…を……作ってきたので、……ご一緒してもらえませんでしょうか」
はっ、ははは、恥ずかしいっ。顔、顔、顔から火が吹き出ていますわっ!
「まあ……素敵。その、さっきから手にしている袋。それはお弁当だったのですね。
 私、全く気付きませんでした」
「…………はい」
遊ばれてる。絶対に遊ばれてますわ、私。
「どこか、静かなところで頂きたいですわね。……屋上は寒いでしょうし」
「……あの、生徒会室…なんてどうでしょうか」
「よろしいんですの?」
こくん。
「それでは、お言葉に甘えさせて頂きます」


586名無しさん@ピンキー:05/03/12 17:55:11 ID:A4byLUTw


「紫苑さま、紅茶でよろしいでしょうか?」
「えぇ……作った貴子が、お弁当に合うと思う飲み物なら、何でも」
「……それでは、緑茶で」
「ええ、お願いするわ」

備え付けのミニコンロでお湯を沸かす。
お茶は……みんなで持ち寄った物で、決して高級な物ではないけど、
お口に合うだろうか。
「……どうぞ」
「ありがとう……お弁当、開けてもよろしいですね?」
お茶をお出しすると、いそいそとお弁当の包みを開ける。
「……まぁ、まぁまぁまぁっ……」
お箸を持ったまま、両手を前で合わせてはしゃぐ紫苑さま。
意外な一面を見た気分……でも、喜んでもらえて凄く嬉しい。
中身はご飯とおかずを半分ずつ、
おかずはオーソドックスな物が中心になっている。
私のレパートリーの問題でもあるのだが、使用人の川蝉さんにアドバイスをお願いしたら、
「初めてお作りになる相手でしたら、まずこういう物から攻めるものです」
と断言されてしまった。途中、もう一人の使用人さんが、
「これでイチコロですよ〜、貴子さま〜」
と、変な薬を持って乱入して来たので追い払った。
ちなみに、ご飯に桜でんぶでハートマークを描いたりは、決してしていない。
587名無しさん@ピンキー:05/03/12 17:55:49 ID:A4byLUTw
「それでは頂きますね」
紫苑さまの上品なお口に合うか少し心配だ。
最初に、卵焼きを選んだようだ。
「おいしい……私、甘い玉子焼きが大好きなんです」
勿論知っている。いつだったろう、小学生の時かな?
塩辛い玉子焼きは玉子焼きではないと力説していたのを偶然耳にして、えらくショックを受けたものだ。
以来、私も甘い派で通っている。
……明日から玉子焼きを甘くして欲しいと頼んだ時の、川蝉さんの顔を思い出すと、
今でも胸が痛むのではあるが……ごめんね、川蝉さん。
「ん〜、どれもこれも、とても美味しいです」
食べてる……食べてる……噛んでる……咀嚼してる……
ごくりっ
これは紫苑さまではなく、私が唾を飲み込んだ音。
「…………ねぇ、貴子。そんなに見られては食べにくいのですが……
 大丈夫、ちゃんとおいしいですよ」
「はっ、す、すみまっ、……すみません、つい……」
またやってしまった。
「……ところで、貴子は食べないの?貴子の分もあるんでしょう、お弁当」
ぎくりっ、
背中に冷たい物を感じる。
「わ、私は……後で、一人で頂きます」
だって、意地悪な紫苑さまの事です。これを見せたら、きっと……
『あらっ、いいところだけ見せようとしても駄目よ。
 さ、お出しなさい。……聞いてるの? た〜か〜こ〜?』
※一部誇大妄想です。
となるのは火を見るよりも明らかです。
そう、ここは何としても乗り切らなくてはなりませんっ!
588名無しさん@ピンキー:05/03/12 17:56:21 ID:A4byLUTw
「お腹、空いてないのですか?」
「え? あっはい! そうなんですよ……何だか、私、食欲が……な……」
ぱたんっ、
紫苑さまはこの世の終わりのような顔をして、お弁当の蓋を閉めた。
「ごめんなさい。……私一人で、食欲がない貴子の目の前でバクバクと……
 私、お姉さん失格です……」
よよよよ、と崩れ落ちる。
「あ、あぁあぁあ、違うんですっ、紫苑さま! あれ、どうしたのでしょう?
 急に食欲が湧いてきましたわ!」
「まあっ、それは良かった。それでは一緒に頂きましょうか」
にっこり
……やられた……なんて単純なんだ、私は。
観念して失敗作のお弁当の包みを開ける。
その中身も、紫苑さまの前に晒される。
あぁ、恥ずかしい。
ふらふらふら〜、むぎゅ。
いきなり紫苑さまにかぁいがられてしまった。
なでりなでり。
589名無しさん@ピンキー:05/03/12 17:58:58 ID:A4byLUTw
「こんな事だろうと思いました。いい、貴子……こういうのはね、気持ちが一番大事なんですよ。
 だから、変な事を気にしてはいけないの」
「……はい」
「じゃあ、早速そちらの玉子焼きを頂きましょうか」
あう……、やっぱり……。
ギィ――
「……それでぇ、その豚骨が〜〜」
「ふぅん、そういうものかね――」
「……………」
「……………」
「……………」
「……あ〜ん」
約一名を残して場が凍りつく。
無論、私も紫苑さまに箸を伸ばしたままの体勢で凍りついている。
「……なるほど、少し火加減を誤ったようですね……でも、こちらも美味しいです」
なでりなでり、す〜りす〜り。
――バタンッ

最近は噂というよりも、逸話というか伝説となり始めているらしい。




590名無しさん@ピンキー:05/03/12 18:00:01 ID:A4byLUTw



放課後。
針の筵状態の生徒会を終わらせた私は一人、校内を歩く。
紫苑さまは先にお帰りになられた。
さすがにこんな時間まで待っていて欲しいとは思わないが、
やはり少し寂しい。
「はぅ…なのです……」
「あら……? 周防院さんではなくて?」
何だか途方にくれた様子の奏さんが、並木道に立ち尽くしている。
「えっ…あ……会長さん! こんばんはなのですよ〜」
律儀にお辞儀をする姿に、ほんわかした気分になる。
可愛い子……。
「どうかしたのですか? 浮かない顔をしているわ」
「あ、いえ……その、ちょっとだけ」
「ちょっと?」
ちょっと……どうしたのだろう。私に、何かできる事はないかな。
「お役に立てるかどうか分からないけど、良かったら聞かせて頂戴?」
「……そんなに大した事ではないのですが、バレンタインのチョコを作りたいのですけど、
 奏は、チョコを作った事がないのです。それで困っているのですよ〜」
なるほど。悩む気持ちはよく分かる。私も今日、お弁当で大変な思いをしたばかりだ。
「……そうですか」
こんなところで同志を見つけられるだなんて。
「……そうね、私でよければ、教えて差し上げましょうか」
こうして、奏さんと二人でチョコレート作りをする事になった。
家に帰った私は、折角なので寝る前に一仕事しておく事にした。


591名無しさん@ピンキー:05/03/12 18:01:01 ID:A4byLUTw



次の日、廊下を歩いていると、談笑している瑞穂さんと奏さんを見かけた。
「奏さん……お姉さま……ああ、丁度良かったわ」
「あ! 会長さん、おはようございますなのです」
「おはようございます、貴子さん」
朝から元気いっぱいな奏さん。紫苑さまのお気持ちが少しだけ分かる気がします。
「おはようございます……そうそう奏さん、先生にお伺いしたのですけど、
 今日の放課後は空いているそうよ? それでいいかしら」
「は、はいなのです!」
贈る相手がすぐ横にいるので、何の話をしてるのか故意に分からないように話す。
ふふ、瑞穂さんが気にしているのが分かる。
そっと奏さんに耳打ちする。
「では……今日の放課後……そうね、生徒会室に顔を出して頂戴」
「わかりましたのですよ〜」
瑞穂さん、気になっている様子。
「ふふっ、ではごきげんよう……お姉さまも」
少しだけ、瑞穂さんから奏さんを盗ってしまったような気分。


592名無しさん@ピンキー:05/03/12 18:01:43 ID:A4byLUTw


「しっ、失礼しますのですよ〜、会長さんはいらっしゃいますでしょうか〜」
放課後、生徒会室で雑務をこなしていると、奏さんがやってきた。
「ああ、奏さんいらっしゃい……申し訳ないけれど少しだけ待っていて下さいね」
「はっ、はいなのですよ!」
大した仕事も残っていないし、いい機会だから、この子達に任せてしまおう。
「え…っと、君枝さん、ではこの書類は小笠原先生にお渡しして確認をいただいてください」
「はい、承知致しました」
「では、申し訳ないですけど、私がいない間の業務、よろしくお願いしますね葉子さん」
「はい、会長」
みんな、いい返事。これなら安心ね。
「お待たせしましたね、じゃ、行きましょうか、奏さん」
「はっ、はいなのですっ!」
(浮気だ……)
(浮気です……)
私たちは生徒会室を後にし、家政科室へと向かった。


593名無しさん@ピンキー:05/03/12 18:02:30 ID:A4byLUTw



「さあ、始めましょうか」
「はいっ、よろしくおねがいしますのですよ〜」
取り合えず、どんなチョコを作るか選んでもらうために、
昨日のうちに試作してきたチョコを奏さんに食べてもらう事にした。
「ええ、これ……全部会長さんが作って下さったのですか?」
「え、えぇ。実際に口にしてみないと分からないでしょう?
 さ、召し上がってみて……」
本当は、紫苑さまへの練習も兼ねていたのだが、そこは乙女の秘密だ。
「はい……頂きますのですよ……はむ」
おいしいかな? 習作なのに少し緊張してしまう。
「お、おいしいのですよ〜」
………思わず見とれてしまった。
よし、決まった。当日は必ず奏さんにも作ろう。
この笑顔は可愛すぎる。
奏さんは、やはり甘〜いのが好きなようだ。
これも、収穫という事にしておこう。
結局、瑞穂さんにはビターチョコを使ったトリュフを作る事で結論に達した。
精一杯頑張ってますっといった調子でチョコを前に苦闘する奏さんを見ていると、
この子を応援すると決めて本当によかったと、そう思えた。


594名無しさん@ピンキー:05/03/12 18:02:59 ID:A4byLUTw


チョコレートを冷やしている間、
香り付けに用いたアールグレイでちょっとしたお茶会を開く。
奏ちゃんは、ホイップクリームとラム酒で手を加えたお茶を見て、
私の事を、まるで魔法使いみたいです、と云った。
魔女……なら、まだしも、魔法使いと言われたのは初めてで、
なんだかこそばゆかった。
「えぇっ!? じゃあさっきの間に、会長さんもご自分のチョコを作っていらしたのですか〜?」
「ええ、そうよ……。だって、昨日家でチョコを作っていたら、散々使用人達に冷やかされたんですもの。
 今日も同じ思いをするのは、いささか気が引けますわ」
「はや〜、やっぱり会長さんは凄いのですよ〜。
 奏に教えてくださりながら、いつの間にかご自分のチョコまで作ってしまうだなんて」
「あんまり、褒められると、少し恥ずかしいですわ」
ゆったりとした時間が流れる。
チョコが冷えるまで、あと30分程度と言ったところだろうか。
「……チョコレート、きっとお姉さまも喜びますわ」
「そ、そうだと嬉しいのですよ〜。紫苑お姉さまや会長さんも、喜んでくれると嬉しいのですよ〜」
「……私、ですか?」
「は、はややゃ〜、奏……つい口が滑ってしまいましたのです」
なるほど、道理でたくさん作っていたわけだ。
そうか、あの中には、私の分もはいっていたのか。
「ありがとう、奏さん。楽しみにしていますね」
「贈る本人に教えてもらいながら作った物で、ごめんなさいなのですよ〜」
「ううん、嬉しいわ。だって今からもう嬉しいもの、私」
「はややぁ〜」
595名無しさん@ピンキー:05/03/12 18:03:37 ID:A4byLUTw
奏さんが真っ赤に染まっていく。
なるほど……紫苑さまが思わず手を伸ばしてしまうのも分かる。
なにせ、こちらも理性を総動員して押さえ込んでいるのだ。
「……あ、でも……奏、ちょっと気になるお話を聞いたのです」
「あら、どんな噂かしら」
「……奏のクラスメイトなのですが…今日、一日早く……チョコを持っていかれた方がいるんです。
 ……紫苑お姉さまに……」
出てきた紫苑という言葉に思いがけず反応する。
「そ、それで……?」
紫苑さまも人気のある方だ。チョコを貰う事なんて普通だろう。
……少しだけ妬けるけど。
「はい……、ですが紫苑お姉さまは、その方のチョコを受け取っては下さらなかったのだそうです。
 とても、すまなそうな顔で謝られるので、その方も強くはお願いできなかったそうですが……」
「……紫苑さまが、受け取るのを断った……?」
「はい……なんでも、今年はチョコを受け取れないんだそうです。
 噂では、去年大量に貰ったチョコを無理に食べようとして、お体を壊したからだという話なのですよ〜」
にわかには信じがたい話だった。
でも、有り得ない話でもない。実際、去年紫苑さまはこの時期に再入院している。
貰ったチョコも、それは物凄い事になっていたはず。
「……奏のチョコレート、どうしましょう」
「………そう、ね……」
冷蔵庫から取り出したチョコレートは、つやつやと綺麗に輝いていて、
とても素晴らしい出来だった。



596名無しさん@ピンキー:05/03/12 18:04:08 ID:A4byLUTw



バレンタイン当日。
紫苑さまと並んでの登校。
私の手には既にいくつかのチョコレート。
紫苑さまには、まだ誰も渡しに来ていない。
昨日の噂のせいだろうか、みんな自粛状態にあるようだ。
と、並木道の影から一人の少女が飛び出してきた。
「あっ、あの、紫苑さまっ! これ……受け取って下さい!!」
噂を知った上での事だろう。
勇気を振り絞ったに違いない。
「……ごめんなさい。私、今年のバレンタインはチョコレートを受け取れませんの。
 折角のご好意なのに、……本当に…ごめんなさい……」
「えっ、あ、いえ……私こそ、そんな……あぁっ、紫苑さま!
 お顔を上げて下さい。そんな……私なんかに頭をお下げにならないでくださいっ!!」
「でも……本当に、申し訳ありません……」
「いえ……それでは……失礼…します」
可哀想に、恐縮しきった様子でその子は駆けていった。
どうやら、噂は本当ののうだ。
…………どうしよう。


597名無しさん@ピンキー:05/03/12 18:04:48 ID:A4byLUTw


「なっ……なんですの!?これ……」
教室につくと、机の上にチョコレートが山のように積まれていた。
去年までの数を遥かに上回っているのは明白だ。
「なんかね〜、下級生の子が多いみたいだよ、持ってくるの」
「……沙耶子さん」
クラスメイトが近寄ってきて嬉しそうに笑う。
「厳島さん、なんだか雰囲気が優しくなったって評判だよ、
 特に、新入生からの評価は鰻登りらしいし」
そうだったのか。
勿論悪い気はいないけど、この量はちょっと大変だ。
「ね、ね、A組みたいにさ、みんなにも分けてよ、厳島さん」
「……ですが、あれはエルダーを選出したクラスの特権です……。
 私などが真似をするのはおこがましいかと……」
「何言ってるの、大人気な生徒会長だって、りっぱなクラスの誇りよ、
 ね? みんな〜」
クラスから歓声が上がる。
「……ありがとう、みなさん」
三年間頑張ってきて、本当に良かった。


598名無しさん@ピンキー:05/03/12 18:05:32 ID:A4byLUTw


……やはり本家エルダーは凄かったようだ。
扉越しに見える瑞穂さんの机の周りには、
紙袋に入れられた、チョコ、チョコ、チョコ……
軽く私の1.5倍はあるように見える。
「あら、貴子さん。紫苑さまに何か用事ですか?」
いつも取次ぎをしてくれる美智子さんの顔も浮かれ気味だ。
というか、本人に聞こえてしまうのでもう少し小さな声でお願いしたい。
そういえばこの人、別に席がドアに近いわけではないらしい。
「いえ、その……瑞穂さんを……お願いしますわ」
「…承知しました。今、呼んで来ますわね」
何ですか、今のタメは。
すぐに、瑞穂さんがやってくる。
後ろの紫苑さまと目が合ったので、軽く会釈をした。


599名無しさん@ピンキー:05/03/12 18:06:09 ID:A4byLUTw


「……何でしょうか、貴子さん」
「その、少々質問したい事が……紫苑さまの事なんですが」
廊下で二人、話をする。
聞きたいのは勿論、噂の真相。
「ああ、確かに……私も、紫苑さまがチョコを受け取らないところを見ました」
「……何か、理由などはお聞きしていませんか?」
「ごめんなさい。私も、何も知らないんです」
瑞穂さんなら、あるいは……とも思ったのだが、致し方あるまい。
「で、……瑞穂さんは、何があったのですか?」
「…………これでも、態度に表さないようにしてたつもりなんですけど」
「バレバレですわ。少なくとも私には」
悩んでるのは自分だけではない、という事か。
「……何かお力になれる事はありまして?」
「いえ……。私の事はいいんです。ただ……」
なるほど。
奏さんと何かあった、という事のようですね。
とすれば、思い当たる事は1つ。
「そうですか……それでは、失礼しますわね。
 そうだ、瑞穂さん。折角ですので、これ……受け取って下さい」
意識してそっけない態度で渡してしまった。
まだ、少し意識してしまうのは……しょうがないか。
ごめんね、奏さん。
「あ、ありがとう。貴子さん」
「いえ、いつもお世話になっていますから。……それではこの辺で」


600名無しさん@ピンキー:05/03/12 18:07:47 ID:A4byLUTw


放課後、私には最初に向かうべき場所があった。
どうしても、気にかかる事がある。
最後の授業が終わると、一目散に駆けていく。
「かっ、会長! ええと、私達のクラスに、何か……」
「ごきげんよう。すみませんが、周防院奏さんにお取次ぎをお願い致します」
「し、承知いたしましたっ!
  奏ちゃん! 奏ちゃ〜〜〜〜ん!」
すぐに、奏さんがトコトコとやってきた。
「どうしたのでしょうか? 会長さん」
取り合えず、その目を見て一安心する。
この人は、もう前に向かって歩き出す覚悟をしている。
「色々と心配で、つい来ちゃったのですけど……
 うん、何の心配もなさそうね」
「……会長さん。……はいっ。奏、頑張って来るのですよ!
 だから、会長さんも、ちゃんとお渡ししてくるのです。
 じゃないと、会長さん……後悔しちゃうのですよ」
601名無しさん@ピンキー:05/03/12 18:08:29 ID:A4byLUTw
「……奏、ちゃん……」
「はやゃ、生意気なことを言ってごめんなさいなのです。
 本当は…奏も、怖いのです。でも、お姉さまの事が大好きだから……
 お姉さまの事を……信じているから、大丈夫なのですよっ」
初めて、理性が負ける。
「……会長さん?」
いつも自分が紫苑さまにされるように、奏さんを抱きしめる。
「……頑張れ、奏ちゃん。……私も頑張りますわ」
同志との壮行会はこれで終わり。
「あ、会長さん。これ、奏からなのです」
「ありがとう。こっちは、私からよ……」
二人で作ったチョコレートを交換し、笑顔も交換する。
後は互いに目的地に赴くだけ――
ここからは、一人だが、もう何も怖くない。
後押しは、お互い十分にしてもらった。
後方、奏さんの教室からは、黄色い声が上がっていたが、
二人ともそんなものは気に留めなかった。



602名無しさん@ピンキー:05/03/12 18:09:36 ID:A4byLUTw



紫苑さまを捜して校内を回る。
最初に下駄箱に回って、まだ帰っていないことを確認している。
教室にはいなかった。とすると……
「あっ、会長」
廊下で君枝さんに呼び止められる。
「ごめんなさい、君枝さん。今、急いでるの」
悪いけど、時間がないの。ごめんなさい、君枝さん。
「先ほど紫苑さまが会長を訪ねて生徒会室に来ました。
 ……他の用件は、明日以降とさせて頂きます」
「ありがとう、君枝さん。……ごめんね」
「……いえ、それでは」
紫苑さまが私を訪ねて来て下さった。
いい知らせを聞いた。
君枝さんに感謝。
そして、私は、校内を奔る――。
大切なお姉さまを求めて。


603名無しさん@ピンキー:05/03/12 18:10:03 ID:EmuRMwKj
>>579
良かった俺は一人じゃないんだな
貴子が暴漢に襲われている所をかばって大怪我したりする(骨折とか)シチュエーションなんぞとてもたまらない
604名無しさん@ピンキー:05/03/12 18:10:06 ID:A4byLUTw


「貴子……」
「やっと、見つけましたわ。紫苑さま」
最初に確認しておくべきだった。
かくして紫苑さまは屋上で見つかった。
「待っていましたわ、最初は……歩き回っていたのですが……
 ここで待っていれば、来てくれると思っていました」
勇気を出して……、奏ちゃんに、分けてもらった勇気を……。
「これ、わたくしか――」
「紫苑さまっ! このチョコレート、受け取って下さいっ!」
思い切って、チョコレートの入った包みを紫苑さまの前に突き出す。
…………。
静寂、まるで時間が止められてしまったかのような感覚。
そんな中、心臓の音だけがやかましく響いている。
耐えられなくなった私は、顔を上げる。
紫苑さまは、固まっていた。
「……どうしましょう」
漏れて来た言葉は……困惑。
やはり……迷惑、だったのかな。
「……どうしましょう。……このチョコレートだけは……
 貴子のチョコだけは、絶対に…断れない……」
困らせてしまっている。
でも、紫苑さまが自分の事を想ってくれている事は分かったのだ、
それで……充分、か……。
差し出した手を下げようとする。そこで目に入ったのは、紫苑さまの抱える包み。
605名無しさん@ピンキー:05/03/12 18:10:39 ID:A4byLUTw
「私……今年は贈る側だと決めていましたのに……。
 このチョコを、貴子に贈るって決めたのに……、
 でも……貴子からのチョコは、どうしても、欲しい……」
…………。
どういうことだろう。
紫苑さまって、天然?
「あの、紫苑さま……贈る側が、貰っては行けないという事は、ないと思うのですが……」
「……そ、そうなのですか?」
……。     
……。
紫苑さまって……時々わからない。
「で、ではこの貴子のチョコレート、貰ってもいいのですか?」
「はい。私からの気持ちです、受け取って下さい」
「そ、それで、貴子は私からのチョコレートも……」
「勿論。喜んでお受け取りさせて頂きます」

606名無しさん@ピンキー:05/03/12 18:11:36 ID:A4byLUTw

むぎゅ〜〜〜〜〜。
「ふわわわわわっ、紫苑ふぁま、くる、苦ひいです〜〜」
「駄目です。今日は離しません」
一頻り抱きしめられた後、チョコレートを渡そうとすると――
「そうだ、いい事を思いつきましたわ」
嬉しそうに笑う紫苑さまは、自分のチョコを引っ込めてしまった。
「あれ? ……紫苑、さま?」
嬉しそ〜〜に笑う紫苑さま。この顔は、最近覚えた。
大概こういう顔された後の紫苑さまは、とんでもない事を言う。
「お互いに、あ〜んで食べさせあいましょう」
ほら、やっぱり。
……でも、誰かが見てる訳じゃないし、その素敵な提案は望むところだ。
私からは絶対に提案できそうにないことだし……。
それから、寒い真冬の屋上で、身を寄せ合って。
一口ずつチョコレートを交換する。
幸せな、甘い時間。
紫苑さまの作って来て下さったチョコレートは、これでもかってくらい甘い物だった。



607名無しさん@ピンキー:05/03/12 18:12:39 ID:A4byLUTw




すっかり遅くなってしまった。
暗くなりつつある廊下には、他の生徒の姿は見られない。
「それにしても、チョコレートを渡しに来てくれた子には、悪い事をしてしまいました」
まぁ、紫苑さまにチョコを渡せたのが私だけというのは、悪い気はしませんが……。
「確かに……あんな勘違いのために全て断ったというのは、気の毒な気がします」
「でも、去年チョコレートを食べ過ぎて、体調を崩したというのは本当なのですよ」
あの噂、本当だったのか……。
「それなら、……まぁ、しょうがない気もしますけど」
「うんっ、決めた。今日断ってしまった人には、お気持ちへのお礼、ということで、
 ホワイトデーにお返しをしますわ、お詫びもかねて」
「私の分も忘れては嫌ですよ」
「あらっ、貴子こそ……期待してますよ」
穏やかな時間が心地よい。
勇気を出してよかった。
……奏さん、奏さんは……うまく、いきましたか?
『――ほ、さまぁ』
今…何か……聞こえたような気が。
『奏……すごいよ…あつい……奏の中…………っ!』
『きてっ……きてぇっ……みずほさまぁっ……!』
すぐ脇の教室の中から、なんとも……な声が響いてきた。
「…………はぅあぅ」
「………い、行きましょうか」
どうやら、奏さんも……うまくイッたようで……一安心、かな?


608名無しさん@ピンキー:05/03/12 18:13:50 ID:A4byLUTw


早足で学校を後にする。
身を刺すような寒さだが、顔は火照っていた。
「奏ちゃん……、よかったわね」
「え、えぇ……」
なんだか、気まずい雰囲気になってしまった。
だって、一緒に頑張ろうって言って飛び出した仲間が、ああなっているとは……。
……気が付くと、紫苑さまがいつも利用しているバス停の前まで来ていた。
「紫苑さま、お気をつけてお帰りください」
「ねえ、貴子……それなんだけど」
「……はぁ」
それ? それとは何だろう。
「いつになったら、私の事をお姉さまと呼んでくださるのかしら?
 私、ずっと待っているのに」
ぐあ……。
「だって……その、恥ずかしいですし、その……」
「いいなぁ、瑞穂さんは……」
ぬぐ……。
「でも……」
煮え切らない私に、紫苑さまは溜息で応えた。
「……分かりました。貴子がそのつもりなら、私にも考えがあります」
「考え…ですか」
何を思いついたのか知らないが、これだけは言える。
絶対にろくな事ではない。
609名無しさん@ピンキー:05/03/12 18:14:47 ID:A4byLUTw
「貴子が私の事をお姉さまと呼んでくれるまで、いつものバイバイは、してあげません」
「えぇ!?」
な、なんて、極悪非道……。
「それではまた明日ね、貴子」
「紫苑さま〜」
「〜♪」
すったすったと歩いて行ってしまう。
しかも、あれは……絶対に私が折れると確信してる。
でも、確かに……私が折れるしかないのは、自明だ。
「……ぇさま」
「まあっ、見て、貴子。雪よ……」
……いじわるぅ。
紫苑さまを追いかけて、コートの袖を引っ張る。
「待ってください、お姉さま! いつもみたいに貴子に、チュってして下さいっ!」
「はぁい」
むぎゅ〜〜。
「お姉さまぁ……」
やっと、言えた。
……けど、結局…後押しして貰わなきゃ、言えなかったか、私。
本当、弱い女。
――――ちゅうっ
「それでは、また明日。ごきげんよう、私の可愛い貴子」
狙い済ましたかのようなタイミングで停車したバスに乗り込んでいくお姉さま。
いつものって仰ったのに……。
「……嘘つき」
いつもの場所――おでことは違うソコを手で触れたまま、私はずっと立ち尽くしていた。

610209:05/03/12 18:17:09 ID:A4byLUTw
以上、久々のアナペでした。
奏ルートとのザッピングを楽しんで頂ければ幸いです。


次回でアナペは最終回です。
もう少しだけ、よろしかったらお付き合いを。
611名無しさん@ピンキー:05/03/12 18:19:12 ID:EmuRMwKj
割り込み本当にすまなかったorz
612名無しさん@ピンキー:05/03/12 18:21:37 ID:RMTT93Nu
携帯でリアルに見てしまった(笑
GJですよー。
よーし、漏れも家に帰り着いたら書くぞー
(現在大雪で渋滞に巻き込まれ中
613名無しさん@ピンキー:05/03/12 18:26:39 ID:iccdf16x
    ,ィィr--  ..__、j
   ル! {       `ヽ,       ∧
  N { l `    ,、   i _|\/ ∨ ∨
  ゝヽ   _,,ィjjハ、   | \
  `ニr‐tミ-rr‐tュ<≧rヘ   >川蝉さん→IMEで再変換 
     {___,リ ヽ二´ノ  }ソ ∠ 
    '、 `,-_-ュ  u /|   ∠
      ヽ`┴ ' //l\  |/\∧  /
--─‐ァ'| `ニ--‐'´ /  |`ー ..__   `´
    く__レ1;';';';>、  / __ |  ,=、 ___
   「 ∧ 7;';';'| ヽ/ _,|‐、|」 |L..! {L..l ))
   |  |::.V;';';';'| /.:.|トl`´.! l _,,,l | _,,|  , -,
    ! |:.:.:l;;';';';'|/.:.:.:||=|=; | |   | | .l / 〃 ))
    l |:.:.:.:l;';';'/.:.:.:.:| ! ヽ \!‐=:l/ `:lj  7
    | |:.:.:.:.l;'/.:.:.:.:.:.! ヽ:::\::  ::::|  ::l /
614名無しさん@ピンキー:05/03/12 18:40:19 ID:juZ54haW
すげぇ、翡翠だ。
615名無しさん@ピンキー:05/03/12 18:56:14 ID:86DJaV2s
>>581-610
乙でした。今回もいい仕事されましたな。
この二人の向かえる結末や如何に?!ってことで待ちきれないのですよ〜。

>>612
とりあえずは生きて帰り着いてくれ。ちゃんと待ってるからな。
616名無しさん@ピンキー:05/03/12 19:00:13 ID:EmuRMwKj
君枝さんが男に絡まれるってどのルートでしたっけ?
617名無しさん@ピンキー:05/03/12 19:07:45 ID:f+XVqSkd
そしてもうすぐ500KBの壁が。
618名無しさん@ピンキー:05/03/12 19:10:01 ID:A0HIpb6i
あれはおまけシナリオだろ
619名無しさん@ピンキー:05/03/12 19:32:34 ID:+Pd4SDS3
>>610
相変わらずGJでした。
次回で最終回ですか、楽しみに待っています。
アナペが終わったら>>252>>255のネタのどれを書くのでしょうか。
個人的にはママンとパパンの馴れ初め読みたいです。

あと、個人的には209氏の書く美智子さんが好きなので、美智子さんの話キボソ
620トリップしたい ◆EhRnJIldaw :05/03/12 19:35:00 ID:XK6YKu1z
「これ、どう?」
圭が生徒会室にやってくる時はいつもこれだ。
「なにって、私はもう演劇なんてする気はありませんわよ」
「でも、みんな望んでるし、ダンスパーティーに生徒を集めるチャンスなのに」
「でも・・。」
「貴子さん、とりあえず、見るだけ見ていただけませんか?」
「瑞穂さんが言うなら。あらすじだけでも」
「ありがとうございます。私が書いたので、自信が無かったのですよ。」
「み、瑞穂さんがお書きになったのですか!」

・・・・で、その内容とは。
--------------------------------------------------------------------------
一子誕生秘話

ある日一子が浜へ行くと、グロテスクなまでに大きくなった瑞穂のあれが、
小さな奏に噛みつかれ、苛まれていた。
そこで一子がこの生物に残忍な蹴りをくわえて深淵に落とすと、
瑞穂の亀頭は感謝して、一子を十条の館へ招待した。
こうして一子は瑞穂のあれにまたがって海に入ると、いつ終わるとも知れぬ旅に出たのである。
暗くて低い声を出す目が光る化け物、実はアブノーマルな清楚そうなお嬢様
めがね外せば美人の金庫番など、 異界的な眺めに心を躍らせつつ潜ってゆくと、
ついに十条の館に到着した。
それは今までに見たこともない建築様式の、
壮麗でありながら異様な角度の壁面と擬似六角形の柱を擁する巨大な館であった。
館に入ると、紫苑と名乗る醜い白化症の女が出迎え、
たずさえていた鉄筆と蝋板で古式ゆかしい歓迎の言葉を記した。
一子は数日をそこで過ごした。
鯛や平目を思わせる相貌の従者たち(由佳里といった)が宴席に現れると
か細く単調な笛の音、くぐもった狂おしい太鼓の連打、ゆるやかなぎこちない踊りを披露し、
一子は心ゆくまで楽しんだ。
621トリップしたい ◆EhRnJIldaw :05/03/12 19:36:44 ID:XK6YKu1z
別れ際、紫苑は一子に妙にゆがんだ形の、おぞましい彫刻を施された玉手箱を渡し、
どんなことがあっても開けてはならぬと警告した。
そのおぞましい彫刻はMariyaMikadoが作った最高傑作であった。
さて一子がもとの浜にあがると、村長の貴子や漁師たちの姿はなく、
メガネをかけたつまらない過去しかもっていない淫乱な生物が闊歩していた。
恐慌に駆られた一子が玉手箱を開けると、菫色の気体が彼女の体を包んだ。
声も出せず、一子はただ、両腕を苦しげにふりまわすばかりだったが、
いつかその腕もねじまがっていった。
生ぬるく腐臭をおびた風が菫色の気体を吹き払うと、
一子は、波に漂う灰青色の塵と変わっていた。

出演
一子、瑞穂、奏、圭、美智子、君枝、紫苑、由佳里、まりや、貴子、淫乱教師
------------------------------------------------------------------------------
私は、言葉が出なかった
といいますか、一子ってだれ?

おしまい。
622トリップしたい ◆EhRnJIldaw :05/03/12 19:38:41 ID:XK6YKu1z
某所からのコピペです。
一応元ネタはおとぼくに関連していますが・・・・。

あと、トリップを一回2chで使ってみたかったのでやってみました。
すみません。
623名無しさん@ピンキー:05/03/12 21:22:27 ID:rL9mREwv
>>610
GJ!!
アナペも次で終わりですか…。期待してます!
違ってたら申し訳ないんですが、「いつになったらお姉さまって呼んでくれるの?」っていう一連の流れはマリみて?
624名無しさん@ピンキー:05/03/12 21:35:50 ID:86DJaV2s
>>620-622
うう、なんといっていいのかわからんなり。
浦島太郎ライクな話しであるのはわかったのだが・・・スマソ
625名無しさん@ピンキー:05/03/12 21:43:48 ID:79laaY//
>>623
随所に影響は見られると思う。
二話だかの、ロザリオはまずいでしょ云々とかワラタし。

あの狸がなんで中々呼べなかったかは詳しくは知らんし、スレ違いだけど、
貴子の場合、紫苑はお姉さまであると同時にお義姉さまなわけで、
それは割りと二人にとってタブーだって事かと。
そんで、紫苑の気持ちは二話で語られた通りなんだろうから、
後は貴子がそれを乗り越えてくれるのを待ってるつもりだったんだと思う。
4話で堰かされて貴子へこんでた描写があったし。
欲を言えば俺は貴子に自分から前に進んで欲しかった。
でも、それは最終回にとっておくって事かと。

いや、>>209の意図は>>209にしか分からんけど
川蝉さんとか、いちころですよ〜なもう一人の使用人さんとか、結構パロネタも多いみたいだし。
多分マリみてネタであってるかと、ってのが結論。
626471:05/03/12 21:48:14 ID:pck+UuTt
エルダーマスク 〜姉だ!お前は姉になるのだ!〜
苦情は一切受け付けません。
全9レス、どぞ。
627エルダーマスク 1/9:05/03/12 21:49:14 ID:pck+UuTt
「……思ったよりも時間をとられてしまいましたね」
 そうこぼしながら見た時計の短針は既に文字盤の「V」の上を通り過ぎていた。
 今日は三学期の始業式。普通の生徒ならもっと早く帰ることが出来たはずなのだが、貴子
は生徒会長。年明け初日で時間が十分にとれることもあり、三学期の行事についての会議
の後、新年会を兼ねたお茶会を開いていたのでこんな時間になってしまっていた。
 他の役員達は会室の掃除をすると言ってまだ残っている。貴子も手伝いを申し出たのだが、
先に帰ってくれと追い出されてしまった。
 ひょっとして邪魔者と思われているのではないか──。
 そんな考えが脳裏をよぎる。もちろん、役員達は厚意でそう言ったのだし、貴子もそのことは
十分に理解しているが、本当は自分に自信の持てない貴子にはどうしてもそんな考えが浮かび
上がってしまう。そしてその度に自己嫌悪に陥るのである。
 そんな状態の貴子はいつもなら気付くはずの異常に気付く事が出来なかった。そして顔を上
げた貴子の前にはここにいるはずのない、そして彼女の最も苦手とする、粗野な雰囲気を漂わ
せた男が立っていたのである。
 そして軽いパニックに陥りどうしていいかわからなくなっていた貴子を、別の男が背後から羽
交い絞めにした上、ハンカチの様なもので口を押さえてきた。
 ──誘拐。
 貴子の脳裏に朝礼で言い渡された言葉が蘇ってくる。だが、羽交い絞めにされ、言葉も封じら
れた貴子にはもうどうすることも出来なかった──その時。

628エルダーマスク 2/9:05/03/12 21:49:54 ID:pck+UuTt
「あなたたち、ちょっとお待ちなさい」

 突如、額に『姉』と書かれた白いレスラーマスクを着けた謎の女生徒が優雅に、そして華麗に
登場した。
「そこのあなた。貴子さんをお離しなさい」
 そう言い放ったマスク少女に対して男たちの一人がへらへらと笑いながら近づいてくる。制服
にレスラーマスク、そして額に『姉』の文字。そんなふざけた格好をしている少女に男は油断し
きっているようだった。
「お嬢ちゃん、そんな事を言われてはいそうですかと答えるとでも思ってるの、かい」
 そう言ってその男はマスク少女のボディ目掛けて右の拳を放つ。本人は不意打ちのつもりだっ
たのだろうが、彼女にとっては予測済みの上にハエの止まるようなパンチだった。
 マスク少女は左足を半歩踏み出し、それを軸に身体を開く。それと同時に左手で相手のパン
チを捌いた。その瞬間、彼女は横から男の懐に潜り、そして男の右腕を肩に掛け、途轍もない
スピードで身体を捻り──後ろに投げた。馳○を彷彿とさせる見事な裏投げだ。
「ぐはっ……」
 地面に叩きつけられた男は悶絶し、そのまま動かなくなった。

629エルダーマスク 3/9:05/03/12 21:50:30 ID:pck+UuTt
 刹那の出来事に一同は唖然とし、貴子の口を塞いでいる男の腕が緩んだ。マスク少女は
その隙を見逃さなかった。男の右腕を取るとそのまま前進し、そして男と貴子の間に割り込む。
 一瞬何が起きたのかわからず呆然とする男を尻目にマスク少女は左腕を男の首に絡める。
更に困惑する男をよそに右腕を股間に滑り込ませ、そのまま持ち上げてしまった。
 ボディスラム──そんな言葉が男の脳裏をよぎった。俄かには信じがたいが、自分よりも
遥かに華奢な少女に担ぎ上げられている。このままただ投げられたのではダメージは計り
知れない──そう考えた男は受身を取るべく身構えた。
 が、男のその判断は間違っていた。なんとしてでも技を途中で崩す努力をするべきだった
のだ。マスク少女は持ち上げた男をそのまま真逆になるように持ち直すと、両膝の間に男の
頭を挟み込み──跳躍した。
 ──ジャンピングツームストンパイルドライバー。
 男は受身も取れないまま頭から地面に落ちる。マスク少女が拘束を解くと、そのまま悶絶
して動かなくなった。

630エルダーマスク 4/9:05/03/12 21:51:08 ID:pck+UuTt
「な……何者だ、貴様……」
 残った二人のうち下っ端っぽい方が驚愕に目を見開きながら呟いた。
「エルダーマスク」
「……は?」
 男は間の抜けた声を上げる。
「だから、エルダーマスク。私の名前ですわ。あなたの方からお聞きになったのではなくて?」
 
 そんなやり取りを貴子はぼんやりと眺めていた。私は確か誘拐されようとしていたはず。そ
れが何故こんな事に──。視界にあるのは倒れた男が二人と、まだ立っている男が二人。
そしてそれに対峙する謎のマスクマン。
 彼女はエルダーマスクと名乗った。……エルダー……お姉さま?そんなばかげた考えが脳
裏をよぎる。しかし、貴子が聞いた声は確かに聞き覚えのある、そして一番聞きたかった声
だった。
「お……姉さま……? お姉さまなのでしょう?」
「…………」
 返事はない。もしやと思い、貴子は言い直した。
「エ、エルダーマスクさん?」
「はい、なんですか?」
「……お姉さま?」
「…………」
 お姉さまと呼ぶと返事をしてもらえないようだ。貴子から見ればその姉マスク以外、服装も
体付きも声も髪の毛もすべて宮小路瑞穂のものとわかっていたのだが。
「マスクド宮小路?」
「違います!!」
 怒られた。

631エルダーマスク 5/9:05/03/12 21:51:45 ID:pck+UuTt
 それはともかく。

 男の一人がスーツの中から二の腕ほども長さのない、黒い棒状のものを持ち出してきた。
棒の先端には電極が据え付けられている。スタンロッドだ。
 得物を持ち出した男は口の端を歪めると、腰を低くして腕をぴったり両脇に付けた姿勢で、
腹を押さえるように得物を構えた。
 腕を取らせないつもりか──エルダーマスクがそう考えた時、男の突撃が繰り出された。
 男はエルダーマスクには打撃技が無いと思っていた。前の二人を沈めたのがどちらも投
げ技だったからだ。プロとしてあるまじき判断ミスだったとしか言いようが無い。
 突進してくる男に対してエルダーマスクは左腕を高々と、力強く天に掲げていた。
 男が気が付いた時にはもう既に手遅れだった。エルダーマスクの左腕は男の喉元に吸い
込まれていき、そこを支点に男は半回転し、地面に叩きつけられ悶絶した。
 ウエスタンラリアット──完璧だった。これこそが必殺の名に相応しい一撃──。
632エルダーマスク 6/9:05/03/12 21:52:21 ID:pck+UuTt
 その時。
「おね……エルダーマスク!」
 貴子の叫び声が上がった。エルダーマスクがその声に反応して振り向くと、後ろから最後
の一人がナイフで斬りかかって来ていた。
 しかし、エルダーマスクはまるでそれを見透かしていたかのように、落ち着いた表情で一
歩退がって身をかわす。
 ナイフ男は「チッ」と舌打ちするとエルダーマスクと距離を取り直した。
 一方、貴子の方はと言うと、地面にへたり込んでガクガクと震えていた。恐らく、刃物が出
てきた事でその恐怖が増幅されてしまったのだろう。
 出来れば走って逃げて欲しかったんだけど──。エルダーマスクは貴子を見て心の中で
苦笑した。
 先ほどの立ち合いから、相手は両手でナイフを二本使う、と言うことはわかっている。とな
ると、一方を陽動で投げると言う可能性も考えられるのだ。自分に対して投げられるのなら
ばどうにでもなるが、貴子相手だとそうもいかない。
 そう考えると、エルダーマスクは貴子の側から離れる事が出来なかった。
 それはつまりナイフ男の出方を待つことしか出来ない、と言う事でもある。しかし余り時間
をかけていては男が目的を果たす前に警備員が駆けつけて来てしまうだろう。それはナイフ
男にとって本意ではない。
 必ず向こうから仕掛けてくるはずだ。それなら──。
633エルダーマスク 7/9:05/03/12 21:53:40 ID:pck+UuTt
 エルダーマスクは意図的に貴子の方に意識を向けた。その瞬間、ナイフ男が猛然と駆け
出す。どう攻めて来るか──そんな事はどうでも良かった。ただ相手の攻撃に合わせて対
応すれば良いだけの事だ。
 ナイフ男は右から攻撃を仕掛けてきた。それに対してエルダーマスクは右足を半歩外に
踏み出すとそれを軸に身体を開き、左手でナイフ捌くと、そのまま相手の左手を取り、ハン
マーロックに持ち込んだ。
 男は左手のナイフを取り落としはしたものの、すぐさま右手のナイフを逆手に持ち替え、
背後にいるエルダーマスクの脇腹目掛けて突き出す。
 危ない──。
 既の所で男の左腕を解放すると、男を前方に押し出し、強引に間合いを取る。
 予想以上に冷静な反応をする──。
 エルダーマスクは地面に落ちたナイフを拾い上げると、男と反対方向に投げ捨て、改め
て男と対峙する。
 ナイフ男の顔から余裕の色がなくなっていた。が、同時に油断の色もなくなっていた。
 そして、お互いが次のアクションを起こそうとした、その時。

634エルダーマスク 8/9:05/03/12 21:54:40 ID:pck+UuTt
「そこの男っ……!」
 正門の方から警備員が三人駆けつけてきた。
「チッ……」
 ナイフ男は他の気絶している男たちを尻目に、正門に向かって駆けていく。だが甘過ぎた。
エルダーマスクに背中を向ける時、それ即ちこの世に別れを告げる時。男は一番犯しては
ならない過ちを犯してしまったのだ。
 エルダーマスクは男に向かって猛然とダッシュする。一方、男の方は前方の警備員に気を
取られて後方が疎かになっていた。そして、男が自分の背後に気配を感じ、そのため、一瞬
走るスピードを緩んだのが命取りになった。
 そのほんの一瞬の間にエルダーマスクは男の両腕をダブルチキンウイングの形にクラッチ
していた。そして、男が極められた腕を外そうともがいた瞬間、裂帛の気合と共に男の身体
は宙に浮いた。
 ──エルダースープレックス!!(嘘)
 エルダーマスクの芸術的なまでに美しい爪先立ちブリッジと共に必殺技が炸裂する!
 そして最後の男も悶絶した。

635エルダーマスク 9/9:05/03/12 21:55:24 ID:pck+UuTt
「お姉さま、お怪我はありませんか?!」
 悶絶した男を放置して戻ってきたエルダーマスクに労いの言葉をかける貴子。
「…………」
「お……お姉さま?」
「…………」
「エ、エルダーマスクさん?」
「はい、なんですか?」
「マスクド宮小路?」
「だから違います!!」
 やっぱり怒られた。

 結局、エルダーマスクは恥ずかしくて正体を明かすわけにはいかなかったようで、警備員
が集まってくる前に逃げてしまった。
 貴子は駆けつけてきた警備員たちに事情を説明すると、そのまま警察の事情聴取に赴い
たようだ。
 この一連の戦いを物陰から目撃していた生徒がいたらしく、翌日には学院はエルダーマス
クの噂でもちきりになった。
 それから、エルダーマスクは実はエルダーシスターの宮小路瑞穂では無いかとの噂がまこ
としやかに飛び交っているが、宮小路瑞穂はあくまで否定している。



 私の名前はエルダーマスク。謎の地下組織『姉の穴』……何だかとっても卑猥ね。……と
にかく、そこに選ばれたエルダーですわ。今日もまた学院の平和を守る為、パトロールにい
そしんでますの。さあ悪党の皆様方、どこからでもかかっていらっしゃい。いつ何時、誰の挑
戦でも受けてさしあげてよ!

 おしまい
636名無しさん@ピンキー:05/03/12 22:00:42 ID:vyFsjs0W
笑いコロス気か!wwwwwwwww
637名無しさん@ピンキー:05/03/12 22:01:22 ID:eesNABoF
>>471
GJ!
リアルタイムで読ませてもらいました。
瑞穂ちゃんもといエルダーマスク強すぎw
やっぱり『姉の穴』では熾烈な生き残りがあったのだろうかなどと考えてしまいます。
638名無しさん@ピンキー:05/03/12 22:02:16 ID:rv6wusMg
>>627-635
GJ
いやはや、思いっきり笑わせて貰いましたよ
639名無しさん@ピンキー:05/03/12 22:03:26 ID:86DJaV2s
>>626-635
ワロタ。ていうか笑い疲れた。
Good Kill!!
640名無しさん@ピンキー:05/03/12 22:11:21 ID:DVXHmMaP
>>626-635
笑いました。
GJです。
641名無しさん@ピンキー:05/03/12 22:12:54 ID:DVXHmMaP
圭と美智子の話を考えたのですが
この方向で良いか、この続きを読みたいかをお聞きしたいのですが。
投下しますね。(確認かよ
642新興宗教(仮:05/03/12 22:14:51 ID:DVXHmMaP
早朝の教室。
僕は勉強をしようといつも早めに教室に行く事にしてるんだけど
今日はいつもと違って声が聞こえてた。

「いあ いあ はすたあ」
「くふあやく ぶるぐとむ」
「ぶぐとらぐるん ぶるぐとむ」
「あい あい はすたあ ビヤーキー!!!!」

・・・・何やってるんですか?この二人は。orz
もちろん、圭さんと美智子さんの二人の事だ。
両手を上げ下げしながら黒板に円状に描かれた
怪しげな文字に向かって祈りをささげていた。

「いあ いあ はすたあ」
「くふあやく ぶるぐとむ」
「ぶぐとらぐるん ぶるぐとむ」
「あい あい はすたあ ビヤーキー!!!!」

ううっ、なんかいもくりかえさないでも・・・。
教室に入れないじゃないか・・・。orz

ってか、止められないくらい弱気なのか僕。
643402:05/03/12 22:15:07 ID:urKWU18l
>>627-635

思わずキーボードを水洗いするところでした。

いきなり、正体ばれてるし(^^;
力一杯否定している瑞穂ちゃん・・哀れ?
644新興宗教(仮:05/03/12 22:16:05 ID:DVXHmMaP
「ああ、はじまったね。」
「! まりや〜 助かったよ。ところで何してるの?」
気がつくと、まりやが僕の後ろに立っていた。
かなり時間がたっていたらしい。
「う〜ん、なんか二人とも新興宗教にはまっちゃったみたいよ。」
「しんこう・・・出版社?」
「いやいや、兵庫県は姫路にあるとってもちいさな出版社の話じゃないって。
 ってか、なんで瑞穂ちゃんそんなこと知ってるの?
 このスレ見てる人の99%は知らないって。」
「いや、いっときあそこにお世話になって・・・って違う。新興宗教?」


     新興宗教にそまる女学院
645新興宗教(仮:05/03/12 22:16:51 ID:DVXHmMaP
それは、1月の始まり。
圭さんがホロスコープにはまりだした事のおはなしですわ。
私に無断でお星様に夢中な圭さん。
嫉妬してしまいます。

そんなときでした。
私は、あのお方にであったのです。

「! あの、君は・・・恵泉の子だね。」
「ええ、そうですけれど。」
「この写真見てくれないか?」

それは、お姉さまそっくりの男の方のお写真でした。
スーツを着たそのお姿は大変凛々しく私には見えました。
いいえ、誰が見てもきっとそう思うでしょう。

「・・・美しい。」
つい、つぶやいてしまいました。
いけませんわ。私には圭さんがいますのに。
しかも、この人は男の方なのに。
「カッコイイだろ?」
「ええ。」
「こいつが今年のエルダーだとしたらどうする?」
「まさか、そのようなことはございません。男の方ですよ。」
「それが、あるんだな〜。ねえ。
 あんたなら大丈夫だと思ったんだよ。ばらしてもさ。」
「どういうことです?」
わたしは、少しムキになっていっていました。
何が言いたいのでしょう?
「あんた、レズだろ。」
646新興宗教(仮:05/03/12 22:24:11 ID:Geu7RkJd
今のところ以上になります。
続き読みたいですか?
647名無しさん@ピンキー:05/03/12 22:27:48 ID:/cKB7TFQ
>続き読みたいですか?

分りきった事を聞(ry
648名無しさん@ピンキー:05/03/12 22:28:43 ID:4hwicrrS
読みたいです〜
649名無しさん@ピンキー:05/03/12 22:29:43 ID:rv6wusMg
>>646
こんな生殺しは卑怯だぞ(笑
ぜひとも読ませてください。
650名無しさん@ピンキー:05/03/12 22:31:54 ID:A0HIpb6i
>>646
もうアソコがヌルヌルです。早く続きをw
651名無しさん@ピンキー:05/03/12 22:51:21 ID:eesNABoF
>>646
どうぞ続きを
ハスターを召還する圭さんハァハァ
652名無しさん@ピンキー:05/03/12 22:57:12 ID:f+XVqSkd
>>626-635
こっちは思いっきりシリアスなのを書いているというに……、
調子狂いまくりだよ、どうしてくれるっ!!!!

GJ! もう最高!! 姉の穴に乾杯っ!
653名無しさん@ピンキー:05/03/12 23:06:02 ID:57wu1wX2
執筆中の紫苑×瑞穂の完成が遠のいた(仕事に差し障りが出てしまった)ので、
小ネタを一つ投下。
タイトル「楓さんは見ていた」
※楓さんは女優の市原悦子とは、今のところなんの関係もありません。

「抱き枕上等」
慶行「念願の宮小路瑞穂の抱き枕を手に入れたぞ !!」
等身大、パジャマ姿でほんのり頬を赤らめる瑞穂の抱き枕。
慶行「見れば見るほど幸穂に似ているなぁ、瑞穂は……」
慶行「幸穂〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!」
抱き枕を抱いて、執務室の床を右へ左へ転げ回る慶行。
楓「失礼します。慶行様、コーヒーを……」
ノックの後、扉を開けて室内に入った楓は、奇声をあげて床を転がる慶行に気づいて言葉を失う。
慶行「幸穂〜〜〜〜〜〜〜〜っ……」
入ってきた楓に気づく慶行。
楓「……」
慶行「ありがとう、楓」
何事もなかったかのようにふるまう慶行。
654名無しさん@ピンキー:05/03/12 23:07:15 ID:57wu1wX2
2/3
「ちらり、ひとひら」
慶行の執務室。机の後ろの壁に貼られた一枚のポスター。
慶行「等身大、宮小路瑞穂の恵泉女学院制服(夏Ver)だ。いいだろう、楓」
学院の夏服を着た瑞穂が、にっこりと笑って風になびく髪に手をそえている。
楓「ポスターは可愛らしいのですが、執務室の壁に貼るのはどうでしょうか……」
控えめではあるが、慶行の行為をたしなめる楓。
慶行「そういえば、幸穂の制服姿をほとんど直に見たことなかったんだよな……」
楓の声が耳に届いていない様子の慶行。頭の先から爪先まで降りていった視線が、さらに下がっていく。
楓「?」
慶行「……」
床に這いつくばって、風になびくスカートを下から覗きこもうとする慶行。
楓「おい、そこのエロ親父! いい加減にしとけ」
655名無しさん@ピンキー:05/03/12 23:08:11 ID:57wu1wX2
3/3

「風呂上がりの夜空に」
風呂上がり、腰にバスタオル一枚巻いた姿の瑞穂。
瑞穂「ふ〜。やっぱりお風呂上がりに飲むコーヒー牛乳は格別だなぁ」
その手には飲みかけのコーヒー牛乳の瓶。
楓「まあ,瑞穂さん。なんて格好をしてるんですか」
瑞穂「あ、楓さん。――!!」
楓に驚く瑞穂。その拍子に、腰に巻いていたバスタオルがはらりとほどける。
楓「……」
瑞穂「……あ、あの、楓さん!?」
あわててバスタオルを押さえる瑞穂。おそるおそる楓の様子をうかがう。
楓「……そういうところは本当に慶行様そっくりですね、瑞穂さんは」
ため息一つついて、立ち去る楓。
瑞穂「え? そういうところって、どこ? 風呂上がりにコーヒー牛乳を飲むところ?
それともバスタオルを落とすところかな……」


番外編

瑞穂「あの宮小路瑞穂写真集が最後とは思えない。きっと第二第三の写真集がまた出てく
るに違いない。そのときには僕はどうすればいいのだろうか……」
656名無しさん@ピンキー:05/03/12 23:11:45 ID:A0HIpb6i
>>653-655
GJ ハゲワロスww
657名無しさん@ピンキー:05/03/12 23:12:05 ID:UqOMid7g
>>653
親父……アンタって人はよぉ……
658名無しさん@ピンキー:05/03/12 23:13:28 ID:rv6wusMg
>>653-655
GJ
どんどん親父が壊れていくな(笑
659名無しさん@ピンキー:05/03/12 23:16:06 ID:w8NfZ9kN
>>慶行「念願の宮小路瑞穂の抱き枕を手に入れたぞ !!」
いきなりこれかよ!w
660名無しさん@ピンキー:05/03/12 23:17:57 ID:5MTC9Kfc
ちょっとネタ投下していい?
(注、 俺はTGの体験版しかやったことありません)
661名無しさん@ピンキー:05/03/12 23:22:12 ID:rv6wusMg
>>660
щ(゚Д゚щ)カモォォォン
662あのテーマですw:05/03/12 23:26:43 ID:5MTC9Kfc

エキセントリック♪ エキセントリック♪  エキセントリック少年瑞穂〜♪

今日も恵泉が平和なのは エキセントリック(少年!!)瑞穂がいるからさ〜
速いぜ 速すぎるぜ エルダー認定〜

(女装の)装備も充実うれしいな〜
最後の手段さ 『アンビリーバブルテープ(前張り)!!』

呼べーば応える同居人 ただれた関係さ 人畜無害の人材〜

犬ゆかりん!! 『ワンワン! お姉さま〜?』

奏バード!! 『ああ!! 奏、飛んじゃいます〜?』

まりヤンキー!! 『・・・・・・ナメとんのかコラー!!』 キシャー!

さあ、みんな(ハーレムルートへ)行くぞ!! (!?
663あのテーマですw:05/03/12 23:27:15 ID:5MTC9Kfc

同衾相手は母様の妹(スール) 今は幽霊のわけあり 一子〜 『お姉さま〜?』

レズかノーマルか? 厳島貴子〜 『紫苑さま…、ああでも瑞穂さんも…』

だけど 悲しいときもある〜
orz『もう、おムコにいけない・・・』

速いぞスレ進行! 速いぞスレ進行! そんなにネタ出ない〜
喰らわせろ! 喰らわせろ!
俺も見たいぞ 瑞穂のコスプレ写真集完全版〜

エキセントリック♪ エキセントリック♪ エキセントリック少年瑞穂〜♪


お目汚しスマソ
664名無しさん@ピンキー:05/03/12 23:28:55 ID:Xmh3U+SD
乗り遅れたがこれだけは言わせてくれ、エルダーマスク爆笑した!
665660:05/03/12 23:29:35 ID:5MTC9Kfc
「?」が「?」に文字化けした…orz

セリフのあとの「?」は「?」に脳内変換してくだされ
666660:05/03/12 23:31:24 ID:5MTC9Kfc
OTZ
あーもうわけわからん!!
「?」じゃねーよ「ハート」だよ!
667名無しさん@ピンキー:05/03/12 23:40:28 ID:vKwtFL1B
>666
わかった、「ひでぶ」だな?
668名無しさん@ピンキー:05/03/12 23:43:53 ID:A0HIpb6i
>>660
GJ 懐かしいなw
最近小ネタばかりなのは、長文読むのがしんどい俺にとっては楽だw
669660:05/03/12 23:46:19 ID:5MTC9Kfc
>>667
ヽ(`Д´)ノウワァァァァン 「はてな」じゃないんだ!「ハート」を入れたかったんだ!!

テスト→ハート「?」
670660:05/03/12 23:47:15 ID:5MTC9Kfc
オーケイ、ちょっと吊ってくる…
671名無しさん@ピンキー:05/03/12 23:49:02 ID:86DJaV2s
>>662-663
懐かしいネタ乙です。

しかしながら、紫苑さんがこの場合どうなってるのかと(ry
672名無しさん@ピンキー:05/03/12 23:49:34 ID:vKwtFL1B
>670
「いてえよ〜!」と叫ぶのを忘れるなよw
673名無しさん@ピンキー:05/03/12 23:57:14 ID:vyFsjs0W
674訂正テスト:05/03/13 00:04:19 ID:5MTC9Kfc
エキセントリック♪ エキセントリック♪  エキセントリック少年瑞穂〜♪

今日も恵泉が平和なのは エキセントリック(少年!!)瑞穂がいるからさ〜
速いぜ 速すぎるぜ エルダー認定〜

(女装の)装備も充実うれしいな〜
最後の手段さ 『アンビリーバブルテープ(前張り)!!』

呼べーば応える同居人 ただれた関係さ 人畜無害の人材〜

犬ゆかりん!! 『ワンワン! お姉さま〜?』

奏バード!! 『ああ!! 奏、飛んじゃいます〜?』

まりヤンキー!! 『・・・・・・ナメとんのかコラー!!』 キシャー!

さあ、みんな(ハーレムルートへ)行くぞ!! (!?

同衾相手は母様の妹(スール) 今は幽霊のわけあり 一子〜 『お姉さま〜?』

レズかノーマルか? 厳島貴子〜 『紫苑さま…、ああでも瑞穂さんも…ハアハア』

だけど 悲しいときもある〜
orz『…もう、おムコにいけない・・・』

速いぞスレ進行! 速いぞスレ進行! そんなにネタ出ない〜
喰らわせろ! 喰らわせろ!
俺も見たいぞ 瑞穂のコスプレ写真集完全版〜

エキセントリック♪ エキセントリック♪ エキセントリック少年瑞穂〜♪
675660:05/03/13 00:06:34 ID:EhYo9ZSz
ダメだった… orz
>>673氏がせっかくくれたのに…

いてえよ〜! (泣
676名無しさん@ピンキー:05/03/13 00:09:24 ID:XO3zwuj2
がんばです〜
677名無しさん@ピンキー:05/03/13 00:12:44 ID:mxLiRLBC
♥ = &heart;を半角文字でな

後ここでテストしないように(・ω・)
678660:05/03/13 00:17:55 ID:EhYo9ZSz
以前、普通に「ハート」を変換して、
ちゃんと白いタイプの&heart;が出たんだが。
どうなの?
679660:05/03/13 00:20:52 ID:EhYo9ZSz
もう、いいや… orz 
ひでぶ
680名無しさん@ピンキー:05/03/13 00:22:53 ID:mxLiRLBC
あゴメンsぬけてた

&hearts; を半角文字よ

すまん(´・ω・`)
681名無しさん@ピンキー:05/03/13 00:25:35 ID:NgvV9jhM
>>660
GJ!!&ナム〜
リアルタイムで見てたら、脳内でムビーがガガガ・・・・
この週末はずっと頭の中で流れつづけてそうです 
本編で萌死、SSスレでも萌死挙句にSSスレで爆笑死。。。
3月中は毎日〜死するのか。。orz
682前スレ126:05/03/13 01:09:19 ID:H2Q71lig
>>551
>>558
ホント、スレの空気悪くしてスマヌ…orz
自分としては、受けもしないのに自分の作品を垂れ流して自己満足に終わりたくなかったんで
ちと聞いてみただけなんだけれど…以後気をつけるです。

他の諸兄も、ホント申し訳ない。これからも作品投下するとは思いますが、
これまで以上にマターリやりますんで宜しくお願いします…

以上、スレの空気断ち切ってスマン!!

>>職人の諸兄
仕事行ってる間にネタ系、ほのぼの系、良作が揃っててホントGJ!!です。
自分もこのくらいの才能欲しいですよ…orz
特に、ネタ系の…
683402:05/03/13 01:28:11 ID:UnRRGIju
>>551
>>558

スレの空気を悪くしてたらごめん
>>682と同じように自己満足の垂れ流しはさけたいので

確かに、反応がなければ、練り直して捲土重来をはかれば
いいのだろうが、それでも、”飴”が欲しいと思ってしまう。

まだ、しばらくは、作品投下するとは、思いますが
よろしく御願いします。
684名無しさん@ピンキー:05/03/13 01:41:03 ID:4J1oplqx
諸君 私は瑞穂ちゃんが好きだ
諸君 私は瑞穂ちゃんが好きだ
諸君 私は瑞穂ちゃんが大好きだ

夏服が好きだ 冬服が好きだ 体操服が好きだ エルダー選挙が好きだ
プールの授業が好きだ 生徒総会が好きだ ジュリエットが好きだ ダンスパーティーが好きだ 男の服装も好きだ
校門で 並木道で 廊下で 教室で 屋上で 講堂で グランドで プールで 体育館で 女子寮で
この学校で行われる ありとあらゆる瑞穂ちゃんの女装行為が大好きだ

一番最初の本格的女装で顔を整えていくのが好きだ
鏡を前にした瑞穂ちゃんが 自分の顔に見惚れている時など 心がおどる
転校初日に自己紹介をするのが好きだ
「同性の私でさえ見惚れてしまう」と言わせたときなど 胸がすくような気持ちだった
エルダー選挙の結果発表で 瑞穂ちゃんが 紫苑さまを 介抱するのが好きだ
帰ってきた瑞穂ちゃんを 大歓声で迎えたときなど 感動すら覚える
敗北主義の 生徒会長を異議申し立てで 吊るし上げていく様などはもうたまらない
貴子の戒告が 私の振り下ろした手の平とともに 理路整然とした反論に ばたばたと薙ぎ倒されるのも最高だ
哀れな抵抗者達が プールの見学で 授業のボイコットのうわさを 幽霊三等兵が
性転換で木端微塵に粉砕した時など 絶頂すら覚える
瑞穂ちゃんのジェンダーが 滅茶苦茶にされるのが好きだ
必死に守るはずだった男性が蹂躙され 立ち居振る舞いが侵され殺されていく様は とてもとても悲しいものだ
どんどん能動的になる瑞穂ちゃんに 圧倒されるのが好きだ
自分の恋心に気づかされるのは 屈辱の極みだ
685名無しさん@ピンキー:05/03/13 01:41:16 ID:4J1oplqx
諸君 私は瑞穂ちゃんを 美少女の様な瑞穂ちゃんを望んでいる
諸君 私に付き従う恵泉女学院生諸君 君達は一体 何を望んでいる?
更なる瑞穂ちゃんを望むか? 最多得票数の第72代エルダーの瑞穂ちゃんを望むか?
己が欲望の限りを尽くし 三千世界の鴉を殺す 国民的美少女のような瑞穂ちゃんを望むか?

おねえさま〜
お姉さまなのですよ〜
お姉さま〜

よろしい ならば瑞穂ちゃんだ
我々は満身の力をこめて 今まさに剃り下ろさんとする女性用かみそりだ
だが この女ばかりの学校で 15年もの間 堪え続けて来た我々に ただの瑞穂ちゃんではもはや足りない!!

瑞穂ちゃんを!! 完全無欠の瑞穂ちゃんを!!

我らはわずかに一個大隊 3人に満たぬ女子寮生に過ぎない
だが諸君は 一騎当千の大和撫子だと 私は信仰している
ならば我らは諸君と私で 総兵力2千と1人のお嬢様集団となる
我々を忘却の彼方へと追いやり 眠りこけている連中を叩き起こそう
髪の毛をつかんで 引きずり下ろし 眼を開けさせ 思い出させよう
連中に女装願望を 思い出させてやる
連中にお嬢様学校特有の 二つ名の風習を思い出させてやる
天と地とのはざまには 奴らの道徳では思いもよらぬ事がある事を思い出させてやる
宮小路瑞穂の完全写真集で 世界を萌やし尽くしてやる

全フラッペン発動開始 旗艦キクノスケ・ザ・オヤマ始動
下校!! 全コスメチック 全美容道具 解除
「最終学年 陸上部長より 全寮生へ」
目標 恵泉女学園 女子寮玄関!!
「お祖父様の遺言は絶対よ」作戦 状況を開始せよ

征くぞ 諸君
686名無しさん@ピンキー:05/03/13 01:48:25 ID:qA0VzzWm
乙。
>旗艦キクノスケ・ザ・オヤマ始動
禿ワラ
687名無しさん@ピンキー:05/03/13 01:59:33 ID:VYzp/+us
>>685
ワラタ。誰かやるんじゃないか、と薄々思ってたのだが。
ちょいとだけ要らぬツッコミかましてみる

>幽霊三等兵
二等兵だった希ガス。

>宮小路瑞穂の完全写真集で 世界を萌やし尽くしてやる
シャレになんねぇっす。本当に萌え尽きてしまいそうだ。恵泉なんか灰も
残らなさそうな悪寒。
688名無しさん@ピンキー:05/03/13 02:11:12 ID:i72mRK7g
>>653-655
>床に這いつくばって、風になびくスカートを下から覗きこもうとする慶行。

あるあるwwwwwwwww
689名無しさん@ピンキー:05/03/13 02:33:58 ID:+UFzvM8E
>>627-635
GJ
爆笑しましたw

690ジ○リ:05/03/13 03:08:12 ID:EhYo9ZSz
「ここに転校させてください!」
「まだそれを言うのかい!!」
「ここで学校生活を送りたいんです!!」
「 だ ー ま ー れ 〜 !!!!!」

「その者、女装の衣をまといて恵泉の野に降り立つべし…ぉぉぉ。」
「学園長!?」

「奏ちゃん、これドロップやない。おはじきや」

「お前の寮、おっばけ屋敷〜」

「あの子を解き放て! あの子は男性だぞ!」
「黙れ小娘! おまえにお姉さまが救えるか!」

「彼女はとんでもないものを盗んでいきました…。全校生徒の、心です」


これで我がスレはあと十年は戦えます(おおげさ)
691名無しさん@ピンキー:05/03/13 03:14:25 ID:ANBi2MM6
まりや「女装だよ。考えてもみたまえ、君。きっと(鼻血で)血みどろの女装になるに違いない。素敵だろう? 女装、女装だよ」
瑞穂「…(泣)」
まりや「なんとも素敵なエルダー選出。うれしいね。女装だ。これでまた女装ができるぞ」
692図書委員:05/03/13 03:16:26 ID:m0FXVMO/
検索フォームを付けました

しかし、回転が速い・・・
693660・690:05/03/13 03:22:41 ID:EhYo9ZSz
「はっはっは、自分のネタがまるでゴミのようだ」

orz
694名無しさん@ピンキー:05/03/13 03:30:38 ID:ANBi2MM6
まりや「10年前にもう決めていた」
HAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHA
まりや「瑞穂ちゃんには恵泉の制服がふさわしい」
695名無しさん@ピンキー:05/03/13 03:39:48 ID:i72mRK7g
>>692
GJ!「ご苦労様です」
696名無しさん@ピンキー:05/03/13 03:50:00 ID:DfYpJgDp
ファミリー 3話

慶行は機上の人になっていた。
「社長、楽しそうですね。」
「ああ、そうかもしれないな。」

実際には、紫苑を奪った事によって、厳島家との確執が続いていた。
だが、原因を作った瑞穂の事を考えると笑みが浮かんでくる。

恵泉に入学させた時は流石にどうかと思ったのだが、瑞穂は女らしく
・・・・もあり、男らしくもなって帰ってきた。
しかも婚約者まで連れて。

紫苑に続き奏を養子にして欲しいと言われた時には困惑したが、結局
ファミリー 3話
瑞穂と紫苑の説得されてしまった。

奏も最初は頼りなく思っていたが、洞察力と知識の吸収が素晴らしい。
ダイヤの原石にも思える。
 まったく、面白い子達を連れてきたものだ。

「社長はこの後自宅へ?」
「ああ、そうだ」
「以前でしたら、このまま会社に行く事が多かった様に思いますが、何
か良いことでもあったのですか?」
「息子に婚約者を連れてきてな。」
「後、娘もできたな。養子だが」
697名無しさん@ピンキー:05/03/13 03:54:14 ID:DfYpJgDp
部下は驚いた顔をしたが、すかさず言った。
「おめでとう御座います。」
「でも、確か社長のお子様は、今年高校を卒業したばかりだと伺いまし
たが。」
厳島も婚約者を奪われた事は世間体もあり、公にしてはいない為まだこ
の事を知る人々は多くは無い。

「まあ、そうだが。」
「家族も増えたことだしな。色々面倒なのだよ。」

言葉ではこう言ったが、自宅に帰ることが楽しみな自分がいる。

今まで、仕事を理由に自宅にはあまり顔を出さない事が多かった。
瑞穂が幸穂にあまりに似すぎている為かもしれない。幸穂を思い出さな
い為仕事に熱中してきた様に思う。

それが今回の事で、瑞穂は私の求めていた物を示してくれた。幸穂との
思い出を消化させてくれた。
 大した奴だ。
恵泉には私が得られ無かった何かがあるのかも知れない。

慶行はある企みを思いつきほくそ笑んだ。
それが何時になるか分からないが、それまで頑張るか。

つづく
698名無しさん@ピンキー:05/03/13 04:01:12 ID:DfYpJgDp
時間が全然進んでない。
orz

このまま進めるとだいぶ長くなってしまいそう。貴子さんにもまだ会えてないですよ。


699名無しさん@ピンキー:05/03/13 04:10:26 ID:BfKAAwBq
乙でした〜

親父の企み>>まさか宮小路瑞穂写真集!!
700402:05/03/13 05:09:17 ID:UnRRGIju
”紫苑さんねた”降臨したっっぽい
次にスレで投下してみる予定。
書き上がる頃には、このスレ埋まってるだろうから(^^;

>>697
乙です。
701前スレ243:05/03/13 05:11:19 ID:4E2WMO9j
皆様GJ!!ですなー
いやほんと、それだけ書ける頭持ってるのうらやましいわ。

次スレたててきます。
たぶんここ、きょうの午後にはなくなるでしょ
702名無しさん@ピンキー:05/03/13 05:27:51 ID:i72mRK7g
>>696-697
パパさんがいいね。続きが楽しみです。


>>701さん、ご苦労様ですわ。
703前スレ243:05/03/13 05:36:56 ID:4E2WMO9j
たてましたわ。
【女装】処女はお姉さまに恋してる 第3話【百合】
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1110659167/

ちょっと早かったかしら・・・。
500いったらどうぞ。
704名無しさん@ピンキー:05/03/13 08:19:56 ID:KH8Xt+Cd
短いの投下ー
705信頼:05/03/13 08:21:20 ID:KH8Xt+Cd
「ですから、父が大変室長を気に入ったらしくてですね」
「……はぁ」
瑞穂さんの父、とは言うまでもなく鏑木グループの総帥に立つ人物だ。
紳士的な物腰と鋭敏な勘を併せ持つキレ者として、以前から財政会では評判だった人物で、
今は亡き前会長――瑞穂さんのお祖父さまだ――の跡を継いで以来、
元より日本の資本経済のトップに君臨してきた鏑木グループを磐石にしている人物。
厳島との均衡も、もはや崩れようとしている。
持っている信頼という財産の違い。
そのまま後継者の質の差といっても語弊はない。
……実際お会いしてみると、とても信じられないくらい陽気で豪胆な方だが。
「それで、――会長は、私になんと?」
「だから、貴子さんに関連会社の1つを任せたいと言ってるのです」
自分の事のように語る瑞穂さん。
「わ、私がっ……ですか?」
「そうです、凄いじゃないですか、社長ですよ社長。
 僕と同じですよっ」
だから、どうして瑞穂さんがそんなにはしゃぐのですかっ!
「――だが、いい話だけという訳ではないぞ。
 君に任せようとしている会社は、未だ厳島に押されている部門でもある」
威厳。その一言でしか言い表せないような響き。
いつの間にいらしたのだ、この方は。
706信頼:05/03/13 08:22:39 ID:KH8Xt+Cd
「とっ、父さまっ!?」
「状況は決して芳しくないぞ。甘い話ではない。
 それを理解してほしい」
射抜かれるような視線に、萎縮してしまうのが、分かる。
これが……鏑木グループ総帥の眼力、なのか。
「……だがな、だからこそ貴子ちゃんに任せたいと思うのだよ。
 君にならきっとできる。その能力がある、とワシは思っている」
一転、私の良く知る小父さまのお顔に戻る。
へなへなと体中の力が抜けていくのが分かる。
正直、のまれていた。怖かった。
「なぁに、大丈夫さ。貴子ちゃんなら心配いらない。
 小父さんも、ちゃんと助けてあげるから……どうだい、やってみる気はないかい?」
「…………すみません。少し、考えさせて下さい」
一言だけ残して瑞穂さんの社長室を後にする。
どうしよう……私……どうすればいいんだろう。



「……即答、すると思ってたんだけどな」
「数少なくなってきた均衡部門を自分で動かし、厳島を押さえるという意味を考えろ。
 云わば、厳島の生命線を絶ちにいく仕事だ。……だからこそ、貴子ちゃんに任せたいのだが」
「貴子さんは……強い人です」
「かも、しれんな。だが、あれくらいで丁度いい。
 顔色ひとつ変えずに自分の実家を潰すような右腕は、ワシにはいらん」
「……貴子さんは、僕のパートナーです」
「なら、ワシを止めてみろ。貴子ちゃんが悩んでるのは、何も実家の事だけではない。
 ……それとお前、やっぱり鈍いのが玉に瑕だぞ。まりやちゃんにもっとよく鍛えてもらえ」
707名無しさん@ピンキー:05/03/13 08:26:09 ID:KH8Xt+Cd
おわーり。
朝っぱらから何か降りてきた。

パパンは書く人によってキャラが全然違うのが持ち味かと。
あと、某SS「最良相方」とは多分繋がっておりません。
多大に影響は受けてますが
708名無しさん@ピンキー:05/03/13 08:38:40 ID:0SqiwQCY
慶行さま、つえぇ
709名無しさん@ピンキー:05/03/13 09:02:07 ID:YY9zkYYg
GJ!
最初の”室長”の一言で舞台設定を知らしめているのに感心
710名無しさん@ピンキー:05/03/13 09:23:07 ID:eoq93oE6
>>687
幽霊二等兵だけでなく、三等兵の記述もありまっせ。
711名無しさん@ピンキー:05/03/13 10:16:29 ID:g+AeJq0a
>688
ねーよwwww











やっぱあるあるwwww
712新興宗教(仮:05/03/13 12:37:33 ID:XVJYvOOj
私は凍りつきました。
何故その事を見知らぬ、しかも、男の方がしっているのでしょう。
学院には一人たりとも男の方はいらっしゃらないはずです。
「なんでしってるかって顔だな?」
「ま・・・まあ。」
「それはな。俺が神の一族だからだよ。」
なにを愚かしいことを言っているのでしょうか。
「信じてない顔だな・・?」
「ええ、それは。」
「俺は何でも知ってるんだぜ」
「何でも・・・ですか?」
「例えば、あんたの彼女さんのこととかな」
へえ、なんでも。じゃあ、聞いてあげましょうか。
「ちょっと話していただけませんか?」

それからは驚きの連続でした。
私と圭さんしか知らないはずのあんなことや
そんなことが彼の口からぽろぽろ出てくるのです。

713新興宗教(仮:05/03/13 12:38:28 ID:XVJYvOOj
「なんで・・・・。」
「俺は神様の一族だからな。天界に飽きてこっちにきたんだけど
 とっても面白い事を見つけたからさ。」
「・・・」
「ん〜?だから言ったじゃないか。エルダーシスター様が男なんだよ。
 人間界でも珍しいだろ。こんなことはさ。」
「本当でしたらね。」
例えこの人が神でも瑞穂さんが男の方なんていうことは信じられません。
けれど・・・。
「ふーん。信じられないみたいだな・・・。
 俺は何でも知ってんだぜ。小鳥遊圭以外にも、御門まりやとか
 十条紫苑とかのことも完璧にな」

男は本当になんでも知っていました。
彼は本当に神なのでしょうか。

「そこまで信じてもらえないなら、お暇するよ」
「ちょ・・・ちょっと待ってください。」
「おっ。信じる気になったのか?」
「ホントに瑞穂さんは・・・その、男なのですか?」
「だからいってんじゃない。」
「神様は瑞穂さんを女の方に出来ますか?
 おねがいです。仮にそれがばれてしまったら・・・・。」

書き忘れましたが、>>645の続きです。
以上で一話になります。
714名無しさん@ピンキー:05/03/13 12:48:10 ID:eZy9iXjc
>>712-713
今後の展開が楽しみですな

>神様は瑞穂さんを女の方に出来ますか?
つまり瑞穂を本物の女性にして美智子さんに食わr(ry
715名無しさん@ピンキー:05/03/13 12:52:41 ID:XVJYvOOj
>>714
ま、美智子はそれが目的ですね。(笑)
716新興宗教第2話:05/03/13 12:55:29 ID:XVJYvOOj
第2話

夕日に染まる教室をせっせと掃除する少女達。
ときおり談笑が教室から漏れ聞こえてくる。
そんな掃除の最終だった。
美智子が私にこんな宗教を持ちかけてきたのは。

「圭さん」
笑顔で話しかけてくる美智子。
こういうときは何かあるに決まってる。
「なに?」
なるべく興味を持っていない雰囲気を装ってみる。
「神の啓示を受けませんか?」
「は・・?」
それから、彼女の話が続いた。

「ああっ・・・ん。だめ・・そこはぁぁぁっ!」
「な〜に?だめっていうならやめちゃいますけど?」
「うっんぁぁ・・・ だめやめないで・・。」
「駄目です。やめます。だって、圭さんそんな苦しそうなんですもの。」
「そうじゃないの。その・・・圭の・・・割れ目をいじってください。」
「はい、よく覚えましたね。えらいえらい。
 そう?じゃあ、お願いされたら仕方ないわね。」
「ああっ・・・いいっっ・・・!!」
717新興宗教第2話:05/03/13 13:06:16 ID:XVJYvOOj
「↑みたいなことも知ってましたのよ」
「・・・・(赤面)」
「昨日圭さんが何回イって、私が何回イったのかも知っていましたし。」
「美智子、もういい。」
そこまで知っているとは・・・。
「なんで・・?」
「それは、彼が神の一族だからですわ。」
「本当に信じてるの?」
「ええ。一点の曇りも無く。」
愚かしい・・なんて口に出来ない。
言ったが最後だ。ココは従うしかないと言うことを
この数年間で思い知らされてきた。
「わかった。とりあえずその男のところに連れてってよ。話はそれから・・・。」
718新興宗教第2話:05/03/13 13:07:08 ID:XVJYvOOj
とりあえずココまで。
719名無しさん@ピンキー:05/03/13 13:15:30 ID:EyqMQYtK
>>707
乙。親父何気に腹黒い気がします。
720白菊伝説:05/03/13 13:21:46 ID:Omox73KP
奏お姉さま おはようございます」
「おはようございますなのですよ みなさま」
「あぁ〜 今日も奏お姉さまにご挨拶していただけましたわ」
「奏お姉さまは、いつも可愛らしくて、いいですわねぇ〜」
「それに、たまに見せる大人びた雰囲気がたまりませんわ〜」

黄色い歓声と本人にも十分聞こえる大きさで噂話をしているので
泰は、照れた表情を表に出るのを抑える為に、演劇で鍛えた笑顔を
結局振り撒くことになり、余計黄色い歓声と挨拶を受けていた
去年の学園祭で演劇部のヒロイン役を演じた影響か、その後奏は
挨拶する側からされる側に移っていた
去年のダンスパーティでは、男役の生徒の公募があっと言う間に終了し
さらに奏と踊りたい生徒が、冬服を着用して来た為、夏服と冬服の
バランスが崩壊してしまい真っ黒な中夏服の奏一人となった
ダンスパーティは、去年の卒業生 2年生の間では伝説とかしていた(誇張有)

伝説のエルダーが、学園を去りすでに2年、最上級生になった奏は
桜の花も散り、桜の若葉芽吹く6月の校庭を通学していた。
721白菊伝説:05/03/13 13:23:13 ID:Omox73KP
「おはよう 奏ちゃん」
「おはようなのですよ 由佳里ちゃん」

部活の由佳里が、奏に向かって軽く走りながら挨拶をしてきた

「奏ちゃ・・・奏さん 最上級生になったのだから「ちゃん」付けはお上品ではないわねぇ」
「ふふふ 由佳里さんも「ちゃん」付けしていらっしゃいましわ」

由佳里も表情に「あっいけない」という感じの表情をしながら苦笑していた

「奏さん、とうとう6月になってしまいましたわね」
「そうですね、とうとう6月になってしまったのですよぉ」

そう、二人にとって6月はエルダー選挙もあるが、それ以上に
この季節に転向してきた。あのお方のことが鮮明に思い出される
過去最多得票で圧倒的な支持を得てエルダーになった奏の婚約者のことを

「この季節は去年もそうだったけど、瑞穂様のことをどうしても思い出してしまいますわ」
「はいなのですよぉ あのお優しい姿をどうしても想い出してしまうのですよぉ」
「って、奏さんは、先日もお会いしているでしょうに、はぁ〜アツイアツイ」

由佳里は、ニヤリと笑いながら手をパタパタ振り顔にそよ風送りながらを奏を見つめる
722白菊伝説:05/03/13 13:24:35 ID:Omox73KP
「はわわわぁ、由佳里ちゃんずるいのですよぉ その話はここではしない約束なのですよぉ」
「奏ちゃん 動揺なさっていますわねぇ、「ちゃん」付けに戻っておいですわ」

「うぅうぅうう 由佳里ちゃ・・・さん、まりやお姉さまに ほんと、似ていぢわる
なのですよぉ」
「あら、ありとう奏さん、私には嬉しい最高の褒め言葉ですわ」

由佳里は晴れやかに笑い、奏も釣られて満面の笑みを浮かべた

由佳里は、まりや達が恵泉を去り生徒会活動に参加しはじめた。理由はまりやお姉さまや
瑞穂お姉さま、たまに遊びにいらして、まりやお姉さまと激しいバトルを繰り広げる
貴子お姉さま達、そんな輝かしい人達を見ていて自分もなにか誇れる活動を
恵泉の為に尽くしたお姉さま方の卒業式答辞を思い出し、私もこの学校を愛する一人と
して、恵泉を少しでも良くしたいという想いで生徒会活動に参加していた
その活動ぶりを認められてか、今年の生徒会会長にも就任してしまった

さらに由佳里は、今年から陸上部の部長をしている。
3月の県大会では見事な成績を収め全国大会出場の切符を手にしていた
その影響か、今年の陸上部は過去最多人数を記録していたりする
723名無しさん@ピンキー:05/03/13 13:25:45 ID:Omox73KP
以上広告の裏

こんなんでいいなら続きかくぽ
724名無しさん@ピンキー:05/03/13 13:32:59 ID:XVJYvOOj
>>723
書いて書いて!
というか、当然ですよ。
725名無しさん@ピンキー:05/03/13 13:33:14 ID:hM5xJaZ6
是非とも続きをきぼんぬ。
726名無しさん@ピンキー:05/03/13 13:35:13 ID:dM7+Gr/3
>>723
書くなら黙って書こうぜ。
そういってレスねだってるように見えるから。



・・・・面白いです。テーマも熱いんで是非続きを希望します。
727402:05/03/13 13:40:34 ID:UnRRGIju
>>723
>こんなんでいいなら続きかくぽ
そういう言い方は、あらぬ波風を立てる原因にもなりますから
慎まれた方が、よろしくてよ
728名無しさん@ピンキー:05/03/13 13:50:42 ID:XFXGAibk
>>727
職人コテでそういう触り方をするのも身の破滅を招きかねないのですよ〜。
お気をつけ下さいなのですよ〜。


ところで何人くらい職人がいるんだろうか。
729名無しさん@ピンキー:05/03/13 14:00:32 ID:sNvU2pPM
>>723
続きよろしく。

奏ちゃんは最上級生になってもあのちんまりとしたキャラなのであらうか・・・
730402:05/03/13 14:08:47 ID:UnRRGIju
>>728
職人コテでそういう触り方をするのも身の破滅を招きかねないのですよ〜。

以後慎ませて頂きますですの〜
731402:05/03/13 14:13:03 ID:UnRRGIju
>>730
は、引用符をつけ忘れてしまいましたの
>職人コテでそういう触り方をするのも身の破滅を招きかねないのですよ〜。

以後、慎ませて頂きますですの〜

に訂正させていただきますです。
732名無しさん@ピンキー:05/03/13 14:50:22 ID:KH8Xt+Cd
美智子さんと圭さんのバレンタインを……二回で投下します。
733バレンタインろっくんろーる:05/03/13 14:51:16 ID:KH8Xt+Cd
「今日はバレンタインですね」
「…そうね」
「バレンタインといえばチョコレートですよねー」
「…俗な話だけどね」
「というわけで、今日は圭さんのおうち、寄らせていただきますね」
「…どういうわけよ」

さて、前回は5分もしないうちに押し倒されていた訳だが、今日はバレンタイン。
二人とも、まずはチョコレートの交換をする事にしたらしい。
ちなみに、既に全裸なのはいつもの事らしい。
「…はい。これ、あたしから」
「わぁー、嬉しいです。開けてもいいですか?」
「…もち」
仰々しい包装を解き、中からチョコレートを取り出す。
「わぁ〜、素敵〜。それでは、早速一口」
ポリポリ
「あぁ…とろけるような口当たり……そして、このカカオの香り、
 それに……凄く……甘くて……熱いです……はれ?」
キュピィーーン!
圭の目が怪しく光る。
「圭さん……何を……」
「…あたしの手作りチョコは凄いのさ」
「ぁあ……体に…力が……」
「…今日はたっぷり可愛がってあげる。それがあたしのプレゼント…」
734バレンタインろっくんろーる:05/03/13 14:51:49 ID:KH8Xt+Cd
「ゃあん……そんなぁ
 ……………あっ、その前に……私もチョコレートを用意していたのでした。取って来ますねー」
急にぴょこっと立ち上がった美智子はしっかりとした足取りで鞄を持ってくる。
「…なんで動けるわけ……」
「じゃーん。はい、どうぞ、圭さん」
「…理不尽だわ」
出てきたのは、ゴツゴツした円柱形の塊。
「これ……チョコ? や、確かに茶色いけど」
「これはぁ、こうやって使うんですよー」
どこから取り出したのか、ライターでチョコの先に火を点ける。
「…ちょっ……それ、どう見ても蝋燭」
「これを……こうやって垂らせば……」
「やぁっ……熱っ……ぃょお……」
「ほ〜ら、まるでチョコでトッピングされたみたい。圭さんチョコの出来上がり〜。
 茶色の蝋燭なんて、探すのに苦労しましたわ」
「やだ、……嘘、やめて美智子」
その目はどうみても本気のようだ。
「許しませんよ〜、圭さんのチョコ…凄く楽しみにしてたのに……
 あんな混ぜ物をするだなんて……乙女の純情を踏みにじった圭さんいは罰が必要です……」
自分もそんな物を用意していたくせに。
圭の叫びは苦痛と快楽の底へと沈んでいった。


735名無しさん@ピンキー:05/03/13 14:53:42 ID:KH8Xt+Cd
以上で、

二人のファンの人、並びに、まともな甘々バレンタインを期待した人、
ごめん。そういうのは他の人にお願いしてくだされ。
736名無しさん@ピンキー:05/03/13 15:03:35 ID:mxLiRLBC
>>735
2つの意味でGJ!(゚Д゚)b
もう500KB超えるので職人様方は次スレへ〜
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1110659167/

>出てきたのは、ゴツゴツした円柱形の塊。
・・・・・・違うもの想像しちゃった(´Д`;)
737名無しさん@ピンキー:05/03/13 15:40:07 ID:ziLwd4Ae
            〃´⌒ヽ
.     , -――  メ/_´⌒ヽ
   /   / ̄  ´ヽ ヽ
.  /  ,  /// ト. !  、 丶ヽ
  l  / /(((リ从  リノ)) '
  |  i  l   . ヽノ .V l
  l ,=!  l  ///    ///l l  【女装】処女はお姉さまに恋してる 第3話【百合】
  l ヾ! ', l    ヽ_フ   l l  http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1110659167/l50
  |  ヽヽヽ        //
  l    ヾ≧ , __ , イ〃
  li   (´`)l {ニ0ニ}、 |_"____
  li   /l, l└ タl」/l´ つづく. `l
  リヽ/ l l__ ./  |_________|
   ,/  L__[]っ /      /
738名無しさん@ピンキー:05/03/13 15:47:27 ID:cpjyKztF
処女はお姉さまに恋してる第2話は今回で終了です。
次スレでのお姉さま方の次回作にご期待ください
739名無しさん@ピンキー
ところがどっこい
−−−−−−−−−− 再開 −−−−−−−−−−
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そして
−−−−−−−−−− 終了 −−−−−−−−−−−