純愛エロSSのスレです。
『純愛』をテーマに書かれた作品なら、
オリジナルでもパロディ(*)でもかまいません。
作品の長さも自由です。
読み手の多くが「これは純愛だ」と共感できるようなSS、
「俺にはこれぐらいまでなら純愛って言えるな」っていう限界に挑戦したSS、
「こういう純愛のかたちはどうだろう?」なんて試験的なSS、
泣ける系、切ない系、純愛+お笑いの意欲作、なんでもオッケーです。
(*) 予備知識や専門知識のいるものについては、SSを投稿する前に
補足説明してもらえると、読み手の多くに対して親切かと思われます。
それと、感想・批評、軽い雑談など、SS以外のレスももちろんありですが、
純愛SSのスレであって、純愛について議論するためのスレじゃないつもりでいます。
「純愛とは……」とか、「それは純愛じゃないだろ」的な、
主観を人に押しつたり、他人の価値観を否定するようなレスは、
荒れの元にもなりますので、できるだけご遠慮ください。
また、そういったレスがついても、反応したり議論したりせずに
スルーしてくださると、荒れずに済んでいい感じなんじゃないかと思いますです。
純愛についての主張は、ぜひSSにして表現してくださいませ。
前スレ
純愛SS
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1050075354/l50
,'⌒⌒ヽ
/ λ W λ i ヽ
く ゝ` ‐´ノ,,ゝ
( .)~==~)つ
レノ人__人!
(/(/
御機嫌いかがですか?NOIRのChloeが
>>2ゲットです・・・・・。
>1 スレを立てるのは私だったのに!私のはずだった!!
>3 スレはあなたを必要とはしていない。それだけ言えば充分でしょう。
>4 これがあなたのレスか。・・・・・なるほど、つまらん。
>5 すべては過去スレ過去ログに記されています。
>6 答えは・・・・・答えは自分で見つけるように。スレ住人はいつもそう言っています。
>7 私が全身義体化サイボーグとして復活し「魔法先生ネギま!」に登場しているのは秘密です。
>8 あなたは、コピペを、貼る。なんの躊躇いもなく、貼る。
>9 あなたはノワールのエロ画像を失ってしまった。だからそんな顔をするんですね・・・・・。
>10 どうして・・・・・・・・・・どうしてッ!?
>11 嘘つきぃッ!!
>12 ・・・・・・・・・・ノワール・・・・・。
>13-1000 私、
>>2ゲットできて幸せです。
>1さん乙
>2
またえらく懐かしいもの持ち出してきたな
細い吊り目は確かに素晴らしいが
新しいスレッドが立ったので観てみたら純愛SS『其の2』
とりあえず前スレを読むことに
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
かつてこんな素晴らしいスレがエロパロ板にあっただろうか
いやはや、凄いです職人さん
四条氏の前編まで読ませてもらいましたが、プロなんですか?
ここで皆に改めて問いたい。
『 純 愛 』 は 好 き で す か ?
小泉純愛
9 :
名無しさん@ピンキー:05/01/28 21:43:45 ID:4+K1U3aO
死ぬぞー
やらせはせんぞー
今年中には書きますー
>>4 えーと、ただのSS書きでございます
何かの賞とかにも応募した事がないようなひよっこです
自サイトもないし………
自分としては感性を掘り起こしてるだけの段階だと思ってます
13 :
薬屋:05/01/29 10:47:39 ID:rPn6fbxT
SIDE ????&????
「それでは、ご主人様・・・ご奉仕させていただきます。」
両手を後ろ手に縛られたメイドが、椅子に浅く腰掛けた
彼のズボンのジッパーを咥え、下ろしていく。
むろんジッパーをおろしただけではどうにもならないのだが、
彼はそこまでいじわるな男でもない。
いささか間抜けではあるが、ズボンに手を入れ・・・
既に張り詰めている陰茎を露出させてやった。
「ありがとうございます。」
その動作におかしみを感じたのだろうか。
メイドは薄く微笑みながら、まずは亀頭の先端を舌先で舐る。
「ご主人様の、味が。」
嫌そうな顔ではない。むしろ嬉しそうにメイドは口を開き、
亀頭までを唇に含んだ。
そのまま唇に力を込め、歯を立てないように細心の注意を払いながら
きゅっきゅっと先端部を揉み絞める。
14 :
薬屋:05/01/29 10:49:52 ID:rPn6fbxT
(あー、リップとか大丈夫かな)
普段彼女は口紅をつけず、リップクリームを愛用している。
亀頭についても大丈夫なものだろうかと主人の顔色を伺うと、
一生懸命硬い表情を作ろうとしているものの・・・明らかに
気持ちよさに負けている様子だ。
(へへ、やったね!)
主人はこの奉仕をことのほか気に入ったようだ。気をよくした彼女は、
今度は肉棒をすっぽりと口の中に迎え入れる。
(ふぐぐ・・・これはちょっとしんどいよぅ)
先端が喉奥に当たっている。オーラルセックスをがんばろうと
いうことで咳止めシロップで喉を半麻酔してなかったら、
結構大変なことになってたかもしれない。
「んっ・・・んっう・・・」
喉、唇、舌を満遍なく使い、性器の構造を意識しながら
より複雑な刺激を。
以前読んだハウツー本の知識思い出しながら、メイドは
主人の陰茎に奉仕を続けた。手が使えれば、もっといろいろな
技を繰り出せるのだが・・・。
15 :
薬屋:05/01/29 10:52:09 ID:rPn6fbxT
「もういい。離れたまえ。」
主人の声色は、不機嫌と言うわけではなさそうだ。
むしろ涙目になってる彼女を心配しているように聞こえる。
「でも・・・。」
口を離して目を合わせると、それだけが理由ではないことがわかった。
主人の視線は既に牡のそれに変わり、メイドの身体を欲しているのが
ありありと見て取れたのである。
「ふ、ぁっ!?」
床に押し倒された。
かなりの勢いがあったはずなのに、床に叩きつけられる寸前ふわりと
した感覚に襲われ、緩やかに着地する。
鈍い音を立てたのは主人の肘。メイドを抱きすくめながら、床に組み敷いたのだ。
「陽先輩!だ、だいじょ・・・ひゃぁん!」
無粋な発言封じたのは主人の指である。ブラウスの合わせ目から
入った指先が、恐るべき繊細さでブラジャーの中に忍び入り
メイドの硬くとがった乳首をさすり上げたのだ。
「うぁぅ・・・ふぅっ・・・!!」
いつの間にか、下着越しに陰部も嬲られている。
メイドは、このしまりの無い肉体を持つお世辞にも精悍とは言いがたい
この主人が、意外にもかなりの腕力を持ち、それを上回る器用さを
併せ持つことを思い出していた。
16 :
薬屋:05/01/29 10:54:07 ID:rPn6fbxT
「おや?」
主人がいぶかしげな声を上げた。メイドには原因がもうわかっている。
「その・・・。」
「ははは・・・はしたないメイドだ。咥えるだけで、こんなに?」
ショーツは、もうその用を為していない。グズグズに潤んで、
布の上から押さえただけで糸を引きそうなありさまである。
「も、申し訳ございません。」
「はは、いいさ。どうせなら徹底的に汚させてもらおう。」
「ん・・・ぅぁあああ!」
下着の底布がずらされる。
つい2月ほど前処女を失ったそこに、簒奪者が再び訪れた。
まだ幼さを残す肉の亀裂を押し広げ、主人の逞しい剛直が
不規則に出入りを始める。
「あっ、っ、っ!・・・あっ!?・・・はぁっ・・・。」
メイドの秘所は、特に不満を唱えるつもりは無いらしい。
つい二ヶ月前の貫通とはいえ、その後の濃密な時間で
簒奪者はすっかり秘所のお得意様になっているのである。
「おや、腰が動いているな。」
揶揄するような口調言われて、メイドは気づいた。
自分の腰が、主人のものを深く、より奥に誘おうと我知らず動いている。
「も、申し訳ございません。」
「いいや、許せないな・・・これは、お仕置きだね。」
主人が、新たなロープを持ち出す。
右足の膝裏を通したロープが首の後ろを通過して結ばれ・・・
メイドは片足を上げて秘所をさらけ出し、身体を限界までまるめる
窮屈で、はしたない格好で固定されてしまった。
17 :
薬屋:05/01/29 10:57:02 ID:rPn6fbxT
「ああ・・・お許しください・・・。」
彼女の声には若干の喜悦が混じっている。ロープは首を絞めてはいないものの
頚動脈をゆるく圧迫し、絶頂時にも似た浮遊感を与え続けているのだ。
「さて、あとは心を縛らせてもらおうかな。」
「あっ、ん・・・むぅ・・・んむぅ〜!?」
改めて、下着の脇から主人の肉棒が挿入される。
先ほどの強弱をつけた動きと違い、今度は膣奥・・・子宮口も
裂けよとばかりの強烈な突きの連続だ。
まろび出そうになる嬌声は、唇でふさがれてしまっている。
ひと突きごとに、主人の感情が伝わってくる。
(お前は、俺のものだ。)
全身を縛り、心を縛り、メイドを独占したいという気持ち。
己の外見に自信の無い主人は、メイドに見放されるのが怖いのかもしれない。
(大丈夫・・・私は、センパイのことが大好き!)
気持ちを込めて、割り込んできた舌先に答える。
18 :
薬屋:05/01/29 10:59:02 ID:rPn6fbxT
そうこうするうちにも主人の剛直は硬度と容積を増し、
フィニッシュに向かいそうな気配を漂わせ始めていた。
もとより軽い絶頂を連続で味わっているメイドは、
もう息も絶え絶えである。
「いくぞ。」
短い宣告。メイドはハッと意識を取り戻し、次に来るであろう
深い、強い突きに備えた。
「んっ!?」
・・・浅い。
こんなので終わり?と拍子抜けした瞬間、主人のものが
凄い速度で一旦引き、間髪いれず最奥を抉った。
「あぁぁーーーっ!?」
たまらず、大声を出してしまう。
胎の奥の奥、子宮口入り口からさらに奥の、小袋のようになった
膣の終端部に、どろりとした感触が広がった。
「あっあ・・・出てる・・・出てるっ・・・!」
エロゲなどではあったかい、などという描写がしばしばあるが、
だいたい膣には温度を感じる神経は通っていない。
第一射を勢いよく打ち付けられた感触と、次第に広がって行く
ぬめった感覚がそのすべて。
身体の奥に注がれる精液の感触に酔いながら、小枝は夢見心地でつぶやいた。
「陽センパイ、だいすき・・・。」
19 :
薬屋:05/01/29 11:01:10 ID:rPn6fbxT
===
◆
「ううむ、これはクセになりそうかも。」
「わ、私もだよ〜。」
シャワーを借りて戻ってきた私に、陽センパイが言った。
私も凄く気持ちよかったから、戸惑いながらも同意しておく。
「いやー、コスプレでHしたのははじめてだけどさ、
これ、続けてるとダメにんげんになりそうなんで、しばらく封印。」
「うん、おおむね同じ理由で賛成。」
あ、そういや聞こうと思ってたことがあったんだ。
「で、センパイ。今日はおもいっきり中出し
されたんだけど・・・私が安全日と知っての所業なの?」
「勿論だ。」
うへ!?なんで知ってるの!?
「小枝、重いから学校休むだろう。そのときに姉ちゃんに
「小枝は?」って聞くとまるわかりなんだ。」
あー、そうだったんだ。
20 :
薬屋:05/01/29 11:04:14 ID:rPn6fbxT
「まあ、当っても余裕で責任取るけどなー。」
さらりと嬉しいことを言ってくれる。
陽センパイはすでに稼ぎがあるから、確かに大丈夫なんだよね。
「えへへ!」
ちょっと嬉しくなって、胸に飛び込んでみた。
相変わらずぷにぷにだな〜。
「室長をとりまくアレコレは面白いあんばいになりつつあるが、
我々は当面の目標をどうにかする必要があるな。」
「うん、そうだねえ。」
センパイは私の頭をなでくりながら、私はごろごろと
甘えながら会話を続ける。
「シナリオライターの確保、だよね。」
「うむ。」
「祐子さんって、シナリオ書けたりしないのかな。」
「いや、どーかなー。無理なんじゃないか。」
絵は私が描く。プログラムと音楽は陽センパイ。
「よーし、来年こそ自作エロゲを発表するよ!」
「エロゲ言うなー!美少女ゲームと言えー!!」
がんばろうっと!
21 :
薬屋:05/01/29 11:12:52 ID:rPn6fbxT
<<キャラクター紹介>>
金森 小枝(かなもり こえだ)
両道冠学舎1年生。人文部所属。
実は、霧島洋平の彼女にして隠れ腐女子。
聴覚障害者の姉を陰日向なく支え続ける健気な娘だが、
自室の魔窟には801を中心にえろ同人誌が山と詰まっていたりする。
「役柄」を演じるのが好きで淳を「お兄ちゃん」と呼び、
藤木研の妹分に納まっている。
霧島洋平と付き合うようになった経緯についてはいろいろすったもんだが
あったのだが、その辺は割愛。基本的に趣味仲間からの昇格。
現在、えっち込みの「真面目なお付き合い」を続けて5ヶ月目に突入。
彼のことはペンネームから「陽センパイ」と呼んでいる。
所持スキルはCG。独自性はあまりなく、「ウケる絵柄」を
「小器用に」作り上げる能力がメインである。
22 :
薬屋:05/01/29 11:15:05 ID:rPn6fbxT
<<キャラクター紹介>>
霧島 洋平(きりしま ようへい)
両道冠学舎2年生。人文部所属。
全身から凄まじいオタクオーラを発散する、真性ゲーヲタ。
ちなみに、見た目も小太りで、はっきり言うとぶさいく。
・・・だが、他人に迷惑を欠ける事を嫌い、恥と礼節を
失わず、普通人との調和を望んでいる点で一般的な
デブオタ君とその精神性は明確に異なっている。
不細工なりに身の回りは清潔にし、TPOにあった服装を
ぱりっと着こなし、知識量も豊富なため、クラスでも
アレコレ頼りにされている。
スキルはDTM、ある程度のプログラム構築。
同人ゲームを作りたいと思っており、シナリオライターを熱望している。
また「桐島 陽」というペンネームでサイトを開設し、自作の音楽を配信中。
SOHOで携帯の着メロを作る仕事も手がけており、
仕事の速度と高い品質で好評価を受けている
23 :
薬屋:05/01/29 11:21:26 ID:rPn6fbxT
はて、投下前に推敲したはずなのに
いろいろと妙てこりんな文章があるのは何故だ。
orz
続きはまた、後日・・・。
保守
保守
むずかしげな言い回しが多くて読みにくい
話は面白いと思うけど脳内裏設定に興味はない。
キャラクターはちゃんとssのなかで描写して欲しい。
もしくは保管庫のあぷろだにキャラ設定テキストで上げて
ss更新ごとにそれを編集しなおすとかだめなの?
いや・・・普通につまんなくないか
設定とかもキモいし
つまんないとまでは思わないが、キャラ設定でてきたあたりで鍵や型月の最低二次創作にありがちなオリキャラ万能主人公か?
とは思った。
設定は話の中で騙れに同意。
というかキャラ設定はいままで全部スルーしてるんだが、読まなきゃ理解できないSSなのかな?
31 :
薬屋:05/01/31 12:53:16 ID:hmEyniQp
ご迷惑をおかけしました。
腕磨いて出直させていただきます(´・ω・`)
>鍵や型月の〜
あの系統が大嫌いなだけに、これは効きました・・・orz
嗚呼・・・・・・
職人さんが消えていく・・・・・・
むしろ型月とか鍵とか大好きな俺は、ここに投下する権利はありませんかそうですかorz
なんでもいいんだ!早くしないと干からびてしまうんだ!
干からびた>34はお約束として可愛いあの子の涙で復活するのだろう。
羨ましいやつめ。
薬屋さんのは主人公カップルをもうちょっと何回か見てから
脇の人達に移ってくれたほうが読んでいる方は着いていきやすかったかなあと。
続きも書いてくれると嬉しいのですが。
36 :
27:05/01/31 20:52:50 ID:p9rqMks9
レスが無かったから思ったことをちょこっと書いただけで
こんなことの引き金になるとは思わなかった
俺は、追い出すつもりなんか全然無かったんだ
ごめんなさい、ごめんなさい・・・・・・・・・・・・・
37 :
30:05/01/31 23:28:31 ID:y/IkZbNM
じゃあ俺が追い出してしまった張本人というわけだね。
読まなかったキャラ設定でぶつぶつ言ってしまったのは確実に自分が悪かったんで
キャラ設定を全部読んだよ。
で、完全に読み手のワガママな感想を持った。
キャラ設定についてオリキャラ万能〜と同じか、と思ったのはキャラをエピソードでなく
こういうスキル持ってます、不細工だけど実は隠れてこんな実力があるんです、とスペックで
語ってるから。たぶん薬屋氏の頭の中では各キャラがすごい活躍してて、でも端的に
語れないからこのキャラはこんなにすごいんだよ、とキャラの形になっているすごいところを
抜き出して説明してくれてるんだと思う。
でも、俺、スペックに萌えねーんだよ。
小枝タンがwebデザインのセンスがいいとか、そういうのはどうでもいいんだ。片思いの
切なさに萌えたんだ。
キャラのすごいところはキャラの魅力だと思う。
でも作者の言葉、としてじゃなくてSSのなかで、キャラの行動で、キャラの言葉でその魅力が
知りたいんだよ。魅力的なエピソード全部あんたの頭の中で独り占めかよ。ずるいじゃねーか。
SSで読ませろよ。設定なくても普通に楽しんでるし、設定を文章に起こすとすごい量になるから…
とかいうんだったら書いてくれよ。長文でも読むよ。
面白いところの残りかすみたいなもん押し付けられても、この絞りかすの元はきっと面白い
エピソードだったんだろうなあって想像するしかねーじゃないか。
ずりーよ。
以上、読み手一個人の自己中なわがままでした。
>>31 うpしないとしても、ちゃんと完成させて欲しいとは思う
中途半端なものをいくら書いても何も身につかない気がするんで
蝶ガンガレ薬屋氏
久しぶりにこのスレ来て
>>31読んだ俺の感想
_, ._
( ゚ Д゚)
( つ O
と_)_)
(__()、;.o:。
゚*・:.。
単純に
>>32 まあ、鍵っ子でもあるが・・・・・・
職人さんに否定されるのはツライ・・・・・・
たぶん薬屋氏が嫌ってるのは
>鍵や型月の最低二次創作にありがちなオリキャラ万能主人公
だと思うんだが?
そして、誰もいなくなった?
保守
いや、少なくともここに一人いる
職人さん待ち保守
ここにもいるぞ!
執筆中ほしゅ
執筆中キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
純愛ものっていうと、年上のと年下のとどっちの需要があるのだろーか
やっぱり年下?
男女どちらに対しどちらの話をしているのか明記しないと答えようがないぞ
失礼。圧倒的に男性の方が多数だと思って省いた。
"男から見て"年下年上。
需要数は分からんが、俺は年上を希望したい。
年上にあしらわれてる純愛希望
純愛故に壊れてしまう関係きぼん。
年上(・∀・)イイ!
年上いいね!
高校1年のとき2年生の先輩と付き合ってたんだけど、その人が
「おねえさんは大変なのよ〜」
と言ったとき、僕はすごく胸キュンでした。
大して年も違わないのにしきりに年上ぶりたがる女の子は、すごくいいと思います!
年上の需要の方が高いようで…
やっぱ俺の周りのロリコン率がおかしいのか?!
とりあえず投下
進んで道化になりたかったわけじゃない。
望んでピエロになったわけじゃない。
他人の幸せを100%自分の喜びに転化できる人間でもない。
だけど主役になる勇気を、俺は持ち合わせていなかった。
だから、ピエロ。中心には立てない道化。
やってみるとそれは案外楽しくて、俺に合っていたけれど。
やっぱり光の中心に、こっそり憧れた。
あいつの言う通り、俺は臆病で、天の邪鬼だったんだろう。
このまま静かにカーテンコールを迎えるはずだった。
しかし幕は引かれなかった。
俺は舞台に引っ張り出され、スポットライトの光を浴びる。
微笑みながら手を差し伸べ、王女がダンスの誘いを待っている。
お膳立ては揃った。あとは勇気の剣を手にし、姫君の手を取るだけ。
ここでやらなきゃ男じゃないだろ?
道化の仮面を外し、ピエロの衣装を脱ぎ捨てる。
現れたのはみずぼらしい一人の男。紛れもない主役。俺自身の姿。
そして始まってもいなかった物語は、ようやく動き出す。
これは、そんなお話。
1枚・・・2枚・・・3枚 ・・・。
はぁ、とため息を吐く。野口さんが三枚。寂しい。あまりにも寂しい。
本日最後の授業は終了し、教室は喧噪に包まれている。今日どこかへ寄るだの、欲しかっ
たCDを買うだのといったクラスメイト達の会話が、異国の物語に聞こえた。
「今月出費多かったからなぁ・・・」
呟きながら、二度目のため息。この三千円とも、すぐにおさらばする予定なのだ。
暦は11月終旬。窓の外では冬将軍様が猛威を振るっていらっしゃるご様子だ。そろそろ
とガラス戸を5ミリほど開けると、凍てつく木枯らしが顔面を直撃。息が詰まりそうにな
ったので、慌てて窓を閉める。
「いかん、暖房費をケチれば死ぬ」
篠原直弥、生まれて初めてリアルに凍死の危機を感じました。やったね、これで僕も大人
の仲間入りさっ! と、初体験に迎えられたことに万歳したいところだが、実際出たのは
歓喜の声ではなく涙だった。
本格的にまずいかもしれない。
急いで生き残る術を模索するものの、
『暖房費を食費に回すか、食費を暖房費に回すか』
この二つしか思い浮かばなかった。
凍死か餓死か、究極の二者択一。生と死ではなく、死と死の狭間。
やはりここは最終作戦しかないか・・・。
できれば封印しておきたかった。成功すれば明日への光は得られるが、失敗すれば全てが
失われる諸刃の剣。当然素人にはお勧めできない。だが、残された道はこれしか・・・。
「ねぇ篠原、時間ある? ちょっと話したいことがあるんだけど」
「うるさいぞ女っ! 俺は今生きるか死ぬかの瀬戸際、コンビニから賞味期限切れの弁当
をいかにして手中にするか計画を練っているんだっ!」
「それって犯罪」
「ああそうさ悪いか犯罪さ! 警察は市民を守っても、俺の胃袋は守ってくれないんだっ!」
「落ち着け」
ガン、と頭部に衝撃。一瞬視界がブラックアウトする。
「落ち着いた?」
落ち着かざるを得なくなりました。
痛む頭を振りながら、ゆっくりと顔を上げる。そこには、長い髪を今時珍しいポニーテー
ルにした女生徒が一人、腕を組んで立っていた。
「いきなり殴るか、ふつー」
しかもグーで。更に破壊力を増すために中指の関節を突出させて。
「あんたにはその方が効果的だから。目は覚めたでしょ?」
女はそう言って、フフンと笑う。
この「傲慢ちき」な「暴力女」の名は「葉山由理」。全く持って残念なことにこの俺のク
ラスメートであり、さらには中学時代からの「悪」友である。
「ちょっと、さっきから聞き捨てならないこと言ってるような気がするんだけど。傲慢ち
きとか暴力女とか。ひょっとして私の悪口言ってない?」
「悪口など言ってないぞ。ただ、自分の中にあるお前の評価を、一部、単語にして日本語
という言語で表してみただけだブッ」
また殴られました。
「ふふふ。あんたとはいっぺん真剣に語り合う必要がありそうねぇ」
いえ、あなたもう語ってます。拳で一方的に。
「誰か、誰か助けてっ! 夫に殺されるっ!」
「誰が夫かっ! 人を勝手にドメスティックバイオレンスの加害者にするんじゃない!」
そんなドキュメンタリーなやり取りをしていると、背後からくすくすという笑い声が聞こ
えてきた。振り返ると、そこにいたのは同じくクラスメートの女子、綾咲だった。
「お二人とも、相変わらず仲がいいですね」
そして微笑みながらとんでもないことを言いやがった。
綾咲は整った容姿に高い学力、特技はピアノでおまけに社長令嬢という、何故こんな田舎
の学校に通っているのかわからない、超ハイスペックお嬢である。ウマが合うのか、よく
葉山と一緒に行動しているので、俺ともちょくちょく会話する仲だ。
「優奈、あんたホントにこれを見てそう思うの?」
葉山がそう尋ねると、綾咲は笑みを崩さぬまま、
「だって、とても楽しそうじゃないですか。私も混ぜてもらいたいくらいです」
嫌みではなく、本心から言ってるらしい。ここは一つ忠告をしてやろう。
「綾咲、残念だがお前の目は節穴だ。一度社会の人間関係を勉強仕直してくることをお勧
めする。今のままだと悪い男に騙されるぞ」
「あら、どうしてです? 私、これでも人を見る目は持っているつもりですけど」
綾咲は俺の瞳を覗き込むようにして、そう返してきた。顔と顔が、まつげの本数がわかる
ほどの距離になる。突然の急接近に不意をつかれ、俺は思わずのけぞった。自分の身体の
内圧が高まっていくのがわかる。おい、無防備すぎるぞ。これだからお嬢は。
「? どうかしました?」
綾咲が首を傾げると、腰まである長い黒髪がさらりと揺れた。
俺は極めて自然を装いながら、彼女から一歩離れる。でもいまだ動揺中。心臓がロックを
奏でてる。落ち着くための多少の時間が欲しい。神様助けて。
「優奈、あんた私に用事あったんじゃないの?」
救いの手は意外な人物から差し伸べられた。ナイスだ葉山。
「あ、そうでした。私、中庭の掃除当番なんですけど、由理さんは部活とかあります?」
「休みだけど、今日はちょっとこいつに話があるから、先に帰ってよ」
葉山、人を指さすな。っていうか、お前ら一緒に帰ってるのか。新発見。
「わかりました。では由理さん、篠原君、また明日」
「ん。じゃね」
「アイシャルリターン」
「・・・少しはまともな返事しろ」
綾咲はまたもくすくす笑いながら、教室を後にした。姿が見えなくなる寸前、ふわりと舞
った長い髪に、目を奪われる。だがそれも一瞬だった。
目を戻すと、葉山と視線が合った。何となく気まずさを感じ、ひとつ咳払いをしてから話
しかける。
「で、話って何だ?」
「あ、ようやく真面目に聞く気になった?」
葉山はゆっくりと周囲を見回した。まだ帰らず雑談に興じている生徒がちらほら見受けら
れる。
「ここじゃあまずい話か?」
「ま、そうかな。場所変えるから、ついてきてよ」
葉山はそう告げると、背を向けて歩き出す。俺も薄っぺらい鞄を持ち、後を追った。
途中食堂に寄り、コーヒーを買う。珍しいことに葉山の奢りだった。
カフェオレをちびちび飲みながら校舎を移動する。どうやら葉山は美術室に向かっている
らしい。
「ねぇ篠原、あんた優奈のこと好きでしょ?」
いきなりの言葉に、危うく口の中のものを吹きかける。
「おまっ、いきなり変なこと言うな!」
「あれ? 違うの?」
「違う」
きょとんとして聞き返してくる葉山に、きっぱりと否定してやる。
「だって篠原って、優奈をたまに目で追ってるでしょ? それにさっきも結構焦ってたよ
ね?」
・・・よくわかってやがるなこいつ。
「あれだけ顔を近づけられたら普通焦る。それに綾咲は目立つからな。目がいくこともあ
るかもしれない」
訂正しているだけなのに、口にすると自分でも嘘臭く聞こえる。葉山も明らかに納得して
いない表情だ。
脳裏に綾咲優奈の姿が浮かんだ。
腰まで伸ばした、さらさらとした黒い髪。整った顔立ちに柔らかい物腰。見た目は大人し
いお嬢様然としているのに、芯はしっかりしていて、実は短気。スタイルも良く、出ると
こは出て、引っ込むところは引っ込んでる。
「・・・まぁ、好みのタイプであることは認めるが」
だが、これは恋ではないだろう。街を歩く可愛い女の子や、雑誌やテレビでアイドルを目
にしているときと、同じ感情だ。漠然とした憧れというやつである。
「好きとか嫌いとか、最初に言い出したのは誰なのかしらとか、そういうんじゃないって。
高嶺の花は遠くで見ているのが一番。下手に近づこうと欲を出したらロウの羽が溶かされ
るんでな」
我ながら負け惜しみっぽい俺の言葉に、からかい混じりの口調で葉山が斬り込んでくる。
「単に臆病なだけじゃないの? この天の邪鬼。すっぱいブドウの話、知ってる?」
「うるせー。これ以上続けたら俺は帰る」
「はいはい。目的地にも着いたしもう終わるわよ」
いつの間にか美術室の前まで来ていたらしい。葉山は子供をあやすようにひらひら手を振
って、ポケットから鍵を取り出した。くそっ、何かムカつく。
開錠し、中に入る。室内はまだ暮れない太陽の光が射し込んでおり、電灯をつけなくとも
充分に明るかった。俺は自分の教室と同じ、窓際の前から三番目の席に赴き、椅子ではな
く机の上に座った。葉山は俺の一つ前の机に同じく座って、向かい合わせになる。
「今思ったんだが、これって職権乱用じゃないのか、美術部部長」
似合わないことに、こいつは美術部員である。しかも部長だ。中学の時は演劇部で、やは
り部長。見た目体育系なのに(実際スポーツは得意だ)、部活は何故か文化系を選んでい
る。
「いいじゃん。今日は休みで誰も来てないし、部長特権ってことで」
アバウトな奴め。
「部長様の仰せのままに。で、話って何だ?」
俺は教室での問いを繰り返す。残念ながら、世間話をしながら相手の口をまろやかにする
スキルは持っていない。持っていたとしてもこいつ相手には使わなかったと思うが。
「んーっと、さ」
葉山は足をぶらぶらさせながら、視線を逸らした。自分から相談を持ちかけてきたくせに、
躊躇しているらしい。こいつにしては珍しいな。
辛抱強く待つ。散々迷った末、葉山の口から紡がれたのは、衝撃的な言葉だった。
「篠原、あんた告白されたこと・・・ある?」
あまりに意外な内容に、身体が傾きかける。
放課後。誰もいない教室。今まで単なる友人としてしか見ていなかった勝ち気な女友達。
そして恋愛に関する質問。これはっ! このシュチュエーションはっ!
「告白か? 告白なのかっ? いいぞ葉山、俺の愛は無限だ。貴様の愛もしっかり受け止
めてやろう。さぁ、俺の胸に飛び込んできなさい」
「誰があんたに告白すると言ったっっ!」
弁慶を蹴られた。泣き所なだけにかなり痛い。まぁ、俺への告白など100%ないと考え
たからこそ茶化したのだが。
「じゃあ何だよう。紛らわしい聞き方するなよう」
痛みのあまり幼児化。でも自分でも情けなくなったので、今度は男らしく無駄に胸を張っ
てみる。
「告白はしたこともされたことも一度もないぞ。付き合った経験もない。手を握った経験
すらないぞ」
まさにコンプリート。でも虚しさが心を満たしていくのは何故だろう。
「やっぱり」
葉山は納得したように漏らした。ちょっぴり傷ついた。今夜枕を涙で濡らそう。
「で、それがどうした。まさか俺の恋愛遍歴が聞きたかったわけではあるまい?」
そんなことなら人のいない場所へ移動する必要もないからな。
葉山はまた俺と視線を合わせようとしない。仕方なく、話し出す切っ掛けを引き出してや
るとする。
「告白でもされたか?」
「まぁ、ね」
返ってきたのは肯定。あらま、一発で当たっちゃったよ。
葉山が告白されたという事実は、驚きがなかったと言えば嘘になるが、取り立てて騒ぐよ
うなものでもない。こいつは結構顔がいいし、姉御気質なのか面倒見がいい。さばさばと
した性格も、男としては付き合いやすいだろう。
「受けたのか?」
「ううん」
「じゃあ断った?」
「それも、まだ。ちょっと時間が欲しいって、待ってもらってる」
「何だよ。煮え切らない奴だな」
こいつがここまで優柔不断なのも初めてだ。いつも決断は早いのに。
ふと気になった。葉山に告白した奴って誰だ? 葉山をここまで悩ませる相手。ちょっと
興味が湧いてきた。
「そーいやお前、一体誰に告白されたんだ? うちのクラスの奴か?」
葉山は答えない。口を真一文字に結んだまま、窓の外を見ている。
「教えたくないならそれでも・・・」
「・・・・・・・・ぅな」
「何?」
耳に届いた音は、あまりに小さくはっきりと聞き取れない。俺が聞き返すと、葉山は立ち
上がって顔を真っ赤にしながら怒鳴った。
「綾咲優奈っ! 優奈に告白されたのっ!」
「・・・・・・え?」
窓を閉め切った美術室の中に、冷たい風が吹いたような気がした。
演劇部の発声練習が、遠く離れた美術室まで響いてくる。
綾咲優奈? 綾咲ってあの綾咲? 綾咲って女・・・だよな。その綾咲が葉山に告白?
理解はしているのだが、処理が追いつかない。
「えっと、何と言えばいいかわからんが・・・とりあえずおめでとう?」
何故か祝福の言葉を疑問形で送ってしまった。
「錯乱するなっ!」
錯乱? ああ俺錯乱しているのか。落ち着け俺。動揺を静めるために深呼吸だ。すーはー
すーはー。
「二人はそういう関係だったのか。知らなかったよ」
「違うわっ!」
激怒した葉山にテンプルを強打された。頭がくらくらする。しかし脳は快眠後のようにす
っきりした。なるほど、葉山がいつも俺の頭をボコボコ殴るのはこういうわけか。納得。
痛みを堪えつつ、カフェオレで唇と喉を湿らせ、一呼吸置く。うむ、完璧に平常心を取り
戻した。爽やかナイスガイ、篠原直弥復活。
一方葉山はというと、机に座り直し、いじけた子供みたいに膝を抱えていた。
「困ってんのよ、ホントに。下手な断り方して優奈を傷つけたくないしさ、でも付き合う
なんてもっと出来ないし・・・」
「あー、まー、大変だなぁ。頑張れ」
「うるさい。そんな適当な慰めなんて入らないわよ」
ますます落ち込んでしまった。こりゃ本気で悩んでるな。
「ところでユーリィー」
「何で外人口調なのよっ! それと今は下の名前で呼ぶなっ!」
コンボで突っ込まれた。
「じゃあユリユリ」
「変なあだ名付けるなっていうか 勘弁してお願いだから」
ついには懇願されてしまった。ユリユリは泣く一歩手前である。さすがにかわいそうにな
ってきたので、虐めるのはここまでにしておこう。
「しかし葉山、相談してくれたのはいいが、俺には何も出来んぞ。愚痴ぐらいなら聞いて
やれるが。それとも策でもあるのか?」
「策は・・・まぁ、あると言えばあるかな」
呟いて、葉山が俺を見る。奴の瞳が妖しく光を放った・・・ような気がした。不吉な予感
が背筋を走り抜ける。
彼女は真剣な表情で、俺を見据える。俺も居住まいを正し、耳を傾ける。
「篠原、あんた彼女いないわよね?」
「いかにも」
「優奈は好みのタイプなのよね?」
「確かにそうだ」
「だったら優奈に好きになられてくれない?」
「よし任せとけ。・・・ってちょっと待てぃ!」
テンポのよい応答の中に、さりげなくもの凄いことを頼まれたような気がして、俺は慌て
て会話を続けようとする葉山を遮った。
「お前、今、何かとんでもないことを言わなかったか!? 綾咲を好きになれとか何と
か!」
「違うって。優奈に好きになられろ、つまりあんたに優奈を惚れさせて欲しいってこと」
「更にとんでもないわっ! 何考えてるんだお前は!」
怒鳴ると葉山はばつが悪そうに髪をいじりながら、
「いやぁ、あんた優奈が気になってるみたいだし、私も優奈と付き合う気はないし、優奈
があんたに惚れて二人がくっついたら幸せかなー、と」
「自分が嫌な役目を引き受けたくないから俺に押しつけてしまおうという邪悪な意思を、
ひしひしと感じるのだが」
俺の全身から溢れる怒りの波動をキャッチしたのか、葉山は誤魔化すように、自分のコー
ヒーを口に運びながら視線を逸らせた。
俺は身体中の空気が抜けるほどの深いため息をつく。
「あのなぁ・・・そんなことしなくても、好きな奴がいるとか適当に嘘ついときゃいいだ
ろうが」
「ダメだって。告白する前に聞かれちゃったもん。『由理さんは好きな人とかいます?』
って」
「いないって答えちまったのか」
「しょうがないでしょ。まさか優奈に告白されるなんて夢にも思ってなかったんだから」
そりゃそうだな。
「しかし、それにしたってお前の思惑は無謀だろう。こんなもんは策とは言わねぇぞ。非
現実的だ」
他人に向けられている特別な好意を自分に向けさせる。それはかなりの努力と、時間と、
運が必要なのではないだろうか。人の心は服みたいに着せ替えできない。よくある陳腐な
セリフだが、それゆえ真実でもある。
「うーん、そうかなぁ」
しかし葉山はそうは思っていないようだ。そして、関係ないと思われる話を語り出す。
「優奈って昔からずっと女子校だったのよ。だから同世代の異性と接した経験が私たちに
比べて圧倒的に少ないわけ」
初耳だった。俺も綾咲と多少会話はするものの、昔通っていた学校までは知らなかった。
「で、今年の春に転校してきて、あんなことがあったでしょ?」
「あんな・・・? ああ、『昼休み案内事件』か」
「そう。それで男性不信とまではいかないけど、ある程度拒否感持っちゃったんじゃない
かな。男は下心満載で近づいてくるケダモノばっかりだって」
えらい言われようだが、あの事件に関しては異議を挟めない。そういえば、あれから葉山
が綾咲にあれこれ世話を焼いて、友人になったんだっけか。
「その拒否反応が女に走らせたと?」
「そういうこと。優奈も男に興味がないわけじゃないと思うのよ。だったら男女共学に転
校なんかしてくるはずないし」
葉山は俺の正面に顔を向け、両手を合わせて頭を下げた。
「お願い篠原! 協力してくれない? 本当に無理だと思ったらすぐ止めていいから」
その真摯な態度に、俺の心は揺り動かされる。こいつとは中学からの腐れ縁だが、ここま
でするのは初めてだ。
俺は腕を組み、瞳を閉じて黙考し、考えに考え、そして結論を出す。
「無理」
「早すぎるでしょ!」
「無理なものは無理だ! そんな夢みたいな解決法に期待するな。現実を見て、もう少し
まともな打開策を用意しろ」
優しく諭してやったのだが、葉山は引き下がらない。
「依頼料に手をつけといて、にべもなく断るわけ?」
「依頼料?」
聞き返しながら、怒鳴りすぎて喉が渇いたので、飲み物で潤す。
「そのコーヒー、誰のお金で買った?」
「ブハッ!」
カフェオレ吹いた。
「依頼料!? これ依頼料!?」
「ふっふっふ。引き受けないなら当然、お金は返してくれるわよね?」
罠だ! 騙された! ハメられた!
邪悪な笑みを浮かべながら、葉山が右手をゆっくり俺の前に出す。
「あ、悪魔っ!」
「計画を成功させるためなら鬼にだって悪魔にだってなるわよ。さぁ篠原、どうするの?
お金返す? それとも私に協力する?」
こいつとは中学からの腐れ縁だが、これほどまで恐怖を感じた瞬間はない。膝を折り屈し
そうになるが、気力を振り絞って多少の抵抗を試みる。
「あの、葉山サン? どうしてボクなんでしょうか? もっとハイスペックで適切な人材
が他にいるのではないでしょうか?」
でも丁寧語。たかだか120円程度で情けないとか言うな。今の俺にとっては、10円で
もダイヤモンドと匹敵するほど貴重なのだ。
葉山はそんな俺の様子を意に介さず、至極真面目な表情に戻って、答えた。
「男子では篠原が一番優奈と仲がいいから。知ってる? 下心も何も無しに優奈と普通に
話してる男子、篠原だけだよ。優奈もすごいリラックスして喋るし。じゃなきゃ、教室で
あんなに顔近づけたりしない」
「でもそれは、葉山の友達だからだろ」
「それだけで充分。理由はもう一つ。あんた意外と口固いから。たとえ断っても、今の話
を面白おかしく広めたりしないでしょう?」
これは誉められているのだろうか? 葉山に面と向かって言われると、微妙に照れる。
「納得したなら、引き受けてくれない? 依頼料が不足って言うなら、協力してくれてい
る間は、お昼ご飯の弁当、こっちで用意するからさ」
弁・当。その単語を俺は聞き逃さなかった。弁当弁当弁当! 無意味にリピート。弁当=
昼飯! 無意味に変換。
昼飯さえ何とかなるなら、今月の仕送りまで生きていける。犯罪に手を染める必要もない。
しかし・・・。
いいのだろうか。これは悪魔の取引ではないだろうか。メフィストフェレスと俺は契約し
ようとしているのではないか? 待っているのは破滅の道、みたいな。
しかし昼飯。逆らいがたい蠱惑的な響き。
俺の迷いを見て取ったのか、葉山が再度、頭を下げる。
「篠原、協力して。いつ止めてもらってもいいし、失敗したって恨まない。成功しても、
優奈の気持ちに答えるかどうかは、あんたに任すから」
それでも決断できずに、俺は視線を葉山から外した。窓の外に目をやる。いつの間にか日
は暮れ始め、周囲を紅く染め上げていた。下方を見ると、視界に校門が映り、一人の少女
が学校を出るところだった。髪の長い女生徒。
突然女生徒が振り向いてこちらを見上げる。一瞬だけ目があった。
綾咲だった。
彼女に目の前で見つめられているような、そんな錯覚が起きる。ドクンと一拍だけ、心臓
が強く跳ねた。
「弁当も気合い入れるから、お願い」
葉山からとどめの一言が投げ掛けられる。
俺は窓から身を引き、深々とため息をついた。
「仕方ねーな・・・。あんまり期待するなよ?」
「協力してくれるの?」
葉山がパッと顔を輝かせる。
「弁当、忘れるな」
「もちろん! 明日からよろしく頼むわよ」
「あいよ」
握手を求めて差し出された右手に、俺はやる気無く応じる。
契約はこうして成立した。
とてつもなく深い落とし穴に嵌ってしまったような錯覚と、奇妙な浮遊感を俺は味わって
いた。
この先に待っているのは誰が望む結末か、それはわからない。
チャイムが鳴り響き、下校時間を知らせる。
それが、始まりの合図だった。
(前編、おわり)
いやぁ、リアルで遭遇してしまいました。後編が楽しみです。
リアルで読んでましたよ。
正統派学園ラブコメですな。乙です。
ちょっと気になったんだけど、出てきたキャラがよくありがちな
タイプなのがちょっと…なんだけど、文章も話のテンポもいいんで
けっこう読み進めやすくて、今後の展開が面白くなりそうです。
キタ━━━(ノ゚∀゚)ノ ┫:。・:*:・゚'★,。・:*:♪・゚'☆━━━!!!!
誰もいないと思ってたのに、結構人いたのね。
改行をあまりしていないので40字で区切りましたが、
読みづらくないでしょうか。
他の職人さんは何文字で区切ってるんだろう?
元々遅筆なうえに予定が色々詰まっているので、
後編は遅れそうです。
期待せずにお待ち下さい。
神様、速筆になりたいです・・・
文章力もホスィorz
座禅して待ってます
寝ながら待っています。
いろいろミソがついただけに、これがスレのカンフルになるといいなあ。
>他の職人さんは何文字で区切ってるんだろう?
漏れは特別意識してないです
使ってるブラウザに合わせてるだけなんで、ひょっとしたら表示しきれてない
かもしれないけど、とりあえずは文句を言われた事ないっす
ガンガレ
>>74
今更薬屋氏の続きが読みたい・・・って言うのは無理な話ですか
季節は真冬、まだコートが重い頃。
その日、遅くまで友達に引きずり回されて、解放された頃にはもう1時を回っていた。
終電も逃してしまって、俺のように貧乏学生にはタクシーに乗るような甲斐性もなく、二三駅歩いて帰ることにした。
深夜の道はただ暗く、光源は時折ポツンポツンと立っている心もとない電灯だけ。
いつかテレビで見た遠くの町での物騒な事件を頭にちらつかせながら、早足で自宅へと急いでいた。
ここはそこまで田舎でもないがたいして都会でもなく、それでもなんとか都内に収まっているギリギリの地域で、そう治安もよろしくない。
ちょうど俺が歩いてきた二三駅先では、歓楽街が立ち並び夜ともなればけばけばしいお姉さんが客である男を引っ掛けている。
幸か不幸か、俺は金で女を買うほど悪趣味でもなければ惨めでもなく、そんな金銭の余裕もない。
ただ毎日、真面目に学業に励んでいた。
手持ち無沙汰に一本二本、とぼんやり電柱を数えながら道を歩く。
十本余り数えたところでびゅう、と風が吹き抜ける。
俯いて冷たい風から顔を背ける。
風が通り過ぎるのを待って、顔を上げると、それまで数えてきた電柱の数なんて白い息と共に霧散した。
薄暗い路地から、さらに暗く細い路地裏へ続く角で、建物に寄りかかるように座り込んだ女性だった。
時間が時間だったから、一瞬ギョッとしたけれど、俺は霊感ゼロだ、幽霊であるはずはない、そんな風に自分を納得させる。
女性は目に見えて薄着で、晒された二の腕は痛々しいほど白い。
彼女は震える体をかまいもせず、ぼんやりとタバコを喫んでいた。
………普通じゃないよな、やっぱり。
どう見てもこの寒空に相応しい格好じゃない。
ましてやこんな深夜だ。女性が一人で道端に座り込んで一休みもないだろう。
座り込んでいる彼女との距離が詰まる短い間、少し酒の入った頭で思う。
思えば、自分ではまだまだシラフのつもりだったのだが、やっぱり多少ハイになっていたのかもしれない。
いつもの俺だったら、俯いて早足に脇を通り過ぎていっただろうに。
けれど、その時の俺の頭は少々お節介だった。
「…何さ」
恐る恐る声をかけると、彼女は俯いたままこの上なく不機嫌な声を返してきた。
やっぱりでしゃばったかな、なんて早くも後悔し始めるも、これで引くわけにも行かない。
「その、寒くないっすか?」
近くで見る彼女の身なりは下着同然で、こっちがドギマギするぐらいだ。
「平気だから、放っといて。あんまり五月蝿いと引っ叩くよ」
彼女はタバコの火を見たままで、こっちには目もくれない。
…放っといて、って言われてもなぁ。どうしていいものやら。このまま立ち去るわけにも行かない。
けれど、彼女の声色からすると、グズグズしてたら本当に引っ叩かれるだろう。
ゆらゆらとタバコの煙が、暗い空気に消えてゆく。
んー、このままじゃ俺が怪しい奴みたいだなぁ。
…仕方が無い。
「あの―――よかったらどうぞ。」
言って、自分の着ていたコートをふわり、と彼女の肩にかけた。
それに驚いたのか、初めて顔を挙げる。
今にも泣き出しそうな、捨て猫のような瞳。
「……それじゃ。出来るなら、早めに帰ったほうがいいっすよ。」
そう言い残すと、そそくさと逃げる様にその場を立ち去った。
別にいいじゃないか。
俺だってたまには格好のいいことしたかったんだ。
頼むから後からコートに定期も携帯も入れっぱなしだったことに気付いた俺を間抜けとか言わないでくれ。
泣くぞ!
82 :
80:05/02/10 17:28:43 ID:KxYCNMFh
触りだけ投下しますた。不安で仕方ないんですが。
出だし、とってもいい感じですよ。マイペースでどうぞ〜
84 :
名無しさん@ピンキー:05/02/11 01:48:20 ID:Gm7AwPnF
>>82 さわり【触】
義太夫一曲中で、いちばんの聞かせどころ。また、聞きどころとされている箇所。くどき。
転じて、一般に最も情緒に富み、感動的な部分。さわり文句。「小説(歌)のさわり」
冒頭の意味だと思ってた?SS書きなら使い慣れない言葉は遣わないほうがいいよ。
これはつまり歌でいうところのサビってことか?
87 :
80:05/02/11 08:42:30 ID:/aGsnDQF
………
違うんです、さわりであってるんです。
この話はこれから盛り下がる一方なんd(ry
嘘ですごめんなさい
むしろこれまでの人生の間ずっと勘違いしていた節があります。
勉強になりましたメモメモ
一応辞書片手に微妙な単語はひきまくってるんで、本編にこういう情けない間違いは無いと思うんですが。無いと願いたい。
他にも間違いとか変なところがあったらご指摘願います(´・ω・`)
辞書引きまくってて今まで知らなかったっていうのも相当
>>88 まぁまぁ、そこまで言わなくてもいいだろ。
神は死なない!!!!!
イ`
正しいと思い込んでる単語を辞書を引こうとは思わんわな
たとえ他の単語をどれだけ引きまくろうと関係無いわけで。
つか日本人の半分以上が間違って憶えているのならそれはもう正しいのと同義。<さわり
言葉なんて意味が変わって当然なのだからさりげなく指摘するならともかく苛めるほどのことじゃない。
というわけで続き楽しみに待ってますので
嘆かわしいな
なにがよ?職人が間違った日本語を使ったこと?
しつこい住人が?
ストーリーに本質的にかかわることじゃないのに
ネチネチ女古みたいなこと言うなよ。
よって今回のことは
---------------------終了--------------------------
で何事も無かったかのようにドーゾ ↓
純愛(;´Д`)ハァハァ/lァ/lァ/ヽァ/ヽァ ノ \ア ノ \ア
hosyu
翌日、明日のことは明日考えることにして、とりあえず寝る、なんていう消極的処置を取った俺は、電話のベルでたたき起こされた。
眠たい眼をこすりながら時計を見ると、昼前の11時。大学には完全に遅刻、っていうか定期も無いし行く気ゼロだったんだけど。
呑気に現状を確認している間にも、電話は急かすように鳴り続ける。
「はいはいはい。ったく、誰だよこんな早くに」
と、言っても世間様では全然早くないわけなんだが。
「あい、もしもし?」
「………なんとも締まらない声を出すもんだね。」
「うっさい、寝起きだからだ―――って、誰?」
聞き覚えの無い女性の声は、笑いを含んだ声で言う。
「駅前で待ってるよ。お人よしさん。」
「は?いや、だから誰だって―――」
ブツ。ツーツーツーツー。
「……………」
受話器を持って立ち尽くす。
なんだ。その、新手のオレオレ詐欺かなんかだろうか。
知らない声だと思うんだけど。ん?いや、なんかつい最近聞いた覚えがある気も…?
………あー。
一つだけ、思い当たる節があった、それも最近どころか昨日の話。
唐突な展開に幾分戸惑いながら、あんまり待たせちゃ悪いので支度を急ぐ。
トレーナーを着て、コート…あ、コートないや。
仕方なくトレーナーをもう一枚重ねて、その上からちょっと薄めのジャンバーを羽織る。
ちょっともこもこしているのが気になるが、これで寒いってことはないだろう。
まだ寝ぼけてる頭を冷たい冬の空気で奮い起こして、俺は駅へと向かった。
あー、もこもこするぜこんちくしょう。
駅前の広場は、流石平日の昼間だけあっていまいち人が少なかった。
勿論、待ち合わせしている人なんてほとんどいないわけで、タバコをくわえて男物の地味なコートを来ている女なんてすぐに目に付いた。
ちょうどあっちも俺を見つけたらしく、元気よく俺に向かって手を振った。
彼女は俺の前まで歩いてくるとにんまり笑って、はい、と俺の定期と携帯を差し出した。
「あ。ど、どうも」
「しっかし、キミも馬鹿だねー。かっこつけちゃってさ。定期と携帯入れたままコートあげちゃうなんて。」
十年来の友人に話しかけるような軽い口調。どうも、昨日とのギャップで調子が狂う。
「でも、ま。お陰で助かったよ。ありがと。」
あのままじゃ肺炎で死んでたねー、なんてカラカラと笑ってる。
「どういたしまして。―――うん、もう大丈夫みたいで何より。」
きっと俺の顔も笑顔になってることだろう。
想像もしてなかっただけに、こうも真正面からお礼を言われるとえらく嬉しかった。
「それで今日はコレを返すために?」
「いや、勿論それもあったんだけど。」
訊ねると彼女はばつが悪そうにセミロングの髪をいじる。
何か言いにくいことでもあるのだろうか、と勘ぐってみる。
「コートなら別に返してくれなくてもいいけど。」
もともとあげたつもりで、帰ってくるとは毛頭思ってなかったし。
「うん、それも有難いんだけど、さ」
気まずそうに一度言葉を切って、もじもじする。
やがて意を決したように顔を上げ、俺を真っ直ぐ見て、口を開いた。
「その……今日、行くとこなくてさ。―――泊めてくれない?」
「―――――は?」
トメテクレナイって泊めてくれない?
一瞬頭が真っ白になってしまった俺は、
「えっ、いや、ちょっと待て。だって、こんな軽い調子で会話してるけど、俺たちは赤の他人なわけでっ。
そんな女の子がそんな見ず知らずの男のところに泊まるなんて、そんなの、ダメだっ!」
次の瞬間にはすっかり動転して、不可思議な理論展開を繰り広げている。
「やっぱり……ダメ、かな。」
対して彼女は、言いながら無茶だとわかっていたのだろう、切羽詰った口調だった割りにあっさり引いた。
「―――うん。ごめん、今のは忘れて。」
その顔は、なんとか笑顔を作っていたが、無理してるのがありありと分かった。
それが、―――その、なんだ、まいる。くそっ、女は卑怯だ。
くわえタバコも似合わないような顔をしやがって。
もしかしたらこの顔も演技で、この女は何かたくらんでるのかも知れない。
でも、こんな顔をしてるやつを放っとけるなら、昨晩だって無視して通り過ぎてたさ。
暫くの沈黙の後、不機嫌に舌打ちを一つ。
「オーケー、わかった。俺の負け。」
投げやりに言うと、彼女は不思議そうに俺を見上げた。
「え…?」
「ただしこっちも健全な男児だからな。その辺の間違いがあるかもしれない、ってのは考慮に入れといてくれよ。」
言うだけ言って、彼女の反応も見ないで歩き出す。
歩きながら、弾むような返事と嬉しそうな足音を背中で聞いていた。
「ねーえー、まーだー?」
「あとちょっとだから待てって!」
ドアの外の声に急かされて、超特急で部屋を片付ける。
泊めるどころか部屋に上げるつもりさえなかったんだ、散らかっていて当然だ。
どういう成り行きであれ、女性を部屋に上げるんだ、それなりに片付けなければ。
昨日といい、ほとほとええかっこしいだな俺。
「別にエロ本とかやばいものあっても気にしないってばー!」
ザ・図星。
ちょうど"やヴァいもの"を抱えて硬直する俺。
…まさか覗いてたりしないよな。
「くっ、うっさい!俺が気にするっ!」
やけくそ気味に抱えたものを押入れにねじ込む。
俺に頼んだ時のしおらしさはどこにいきやがった、あの………あの?
そういや、まだ名前も聞いてない。
俺、こんな常識無しの馬鹿な子だったかなぁ。
少し凹みながら片づけを続けた。
「へー、綺麗に片付けたねー。やれば出来るんだから普段から片付けとけばいいのに。」
「ほっとけ。ほれ、ここに座れ。」
座布団をぽんぽんと叩くと、彼女は素直に応じた。
お互い改まって向かい合う。
「訊きたいことは色々あるけど―――、まずは、自己紹介かな。」
一晩しか泊めないとはいえ、それくらいは礼儀だろう。
まあ、家にまで上げといて今更な気もするんだけど。
「俺は平良圭介(タイラケイスケ)。よろしく。」
名前だけの簡単な自己紹介と共に、手を差し出す。
「斑目昌(マダラメアキラ)。こちらこそ、お世話になります。」
タバコをくわえたまま、彼女も名前だけを言ってしっかりと手を握り返してきた。
細く柔らかい手を感じながら、どちらともなく二三回手を振り、離した。
それだけなのに、彼女はどこか嬉しそうに笑っていたりする。
「で、だ。とりあえず部屋の中じゃタバコ禁止、臭いが付く。」
くわえていたタバコを取り上げて流しに放り込む。
「あーっ、私のねんりょーっ」
悲痛な叫びを上げる昌に、軽くため息が出た。
「ったく…、それじゃ、茶でも入れるか。」
タバコを流しに放り込んだついでにヤカンを火にかける。
「あ……べ、別にいいから、お構いなく。」
こっちが気を使うと逆にしおらしくなって、どうもやりにくい。
「そんなの、遠慮するところが間違ってる。他人の家に転がり込んできたやつの台詞じゃないっての。
どーせ何にも食ってないんだろ?昼飯代わりに軽く作ってやるよ。」
冷蔵庫を明けると、いつかの冷や飯。
んー、チャーハンでいいか。
フライパンを取り出して、何も言わずに炒め始める。
「…ごめん、ありがと。」
そんな赤面しそうな台詞は、焼けるフライパンの香ばしい音で聞こえない振りをした。
……さて。どうしたもんか。
フライパン片手に思考を巡らす。
ほとんど初対面の人間に頼るくらいだからよっぽど切羽詰ってるんだろう。
家出?それにしたってあても無くするとは思えない。ましてやあんな格好で道に座り込んでるなんて無計画にもほどがある。
と、なると発作的にか、もしくは追い出されたか、いずれにしてもどうやら穏やかなことではないらしい。
当然事情を訊く権利は俺にあるだろうが、彼女の事情は俺には関係ないことだし、訊いたって何するってわけでもない。
本人から言い出したりしない限り訊かない方がいいだろう。
なんにしても他に行くあてがないのは確からしいし、な。
騙されてる、なんて可能性は考えないことにしていた。
「ほい、急だったんでほとんど残り物で悪いけど。」
卵とハムだけのシンプルなチャーハンを二つの皿に盛り付けて、片方を行儀良く机の前に座ってた昌の前に置く。
「男の手料理だからな、味は保障できないぞ。」
「ん…、ありがと。」
昌はすっかり大人しくなってしまって、もそもそとチャーハンを食べ始めた。
それを見ながら二人分の茶をコップに注ぐと、俺も自分のスプーンを口に運ぶ。
んー、可もなく不可もなく。70点。流石俺、無難だ。
初めのうちは食器の音だけが響いていた部屋も、そのうち取り留めのない会話で賑やかしくなって来る。
一人じゃない、誰かとする食事は楽しいものだったけれど、互いの深い部分を避けようとする会話は余所余所して、むしろ寂しくも感じた。
時間ないので、半端ですが今日はこれだけで。
リアルタイムでした
続きが気になる!
おいおい、逆に盛り上がってるじゃんかw
なんとなく続きがすごく気になる。続き、期待してるよ。
「ごちそーさま。案外、料理うまいんだねぇ、キミ。」
皿を空にして、昌は満足そうに笑う。
「褒めてももう残ってないからおかわり出ないぞ。」
食器は流しに放置して、心地よい満腹感に身をゆだねて寝転がる。
「まあ、ご要望にお答えしてお構いしないんで適当に。」
「どーも。…ん」
彼女もごろりと横になった。
「牛になるな。」
「そうだねー」
間延びした声を交わす。
遠くの鳥の声を聞きながら、のんびりとした時間が過ぎていく。
そのまま、寝てしまいそうな意識の中、ふと夕食の材料が何もないことに気が付いた。
曲がりなりにも客が居るのに、夕飯抜きってわけにもいかないだろう。
「……おーい。」
寝たまま、声をかける。
「おーい、昌さーん?」
微妙に年上っぽいのでさん付け。
返事がないただの屍のようだ、ってそうじゃなくて。
のっそりと体を起こすと彼女はそれに気付いた風もなく、ただ規則正しく寝息を立てていた。
呆れるほど能天気な寝顔だった。
「一応俺だって男なんだから、なぁ…」
勿論、呟きに返事はない。
俺がその気ならやりたい放題、って状況だ。
あからさまに意識され警戒されてもやりにくいだろうが、こうも無防備だと男として何か釈然としないものがあった。
「…まあ、疲れてたんだろうし。」
うん、リラックスしてくれたみたいなんだから良しとしよう。
わざわざ口に出して気持ちを切り替える。
立ち上がって伸びを一つ。客が寝てるうちに買い物を済ませてしまうとしよう。
コートを羽織って、財布をポケットに確認。
寝てる昌に毛布をかけてやって、起こさないようにそっと部屋を出た。
「おかえりー。」
「―――――」
スーパーの袋を提げて家に帰ると、昌はタオル片手に部屋で湯気を立てていた。
「……何してんだ。」
「ん?あ、ごめんねー、勝手にシャワー借りたよー。」
濡れた髪を乾かしながら、飄々と言う。
少し赤く染まった頬が、なんとなく色っぽい、いや、そうじゃなくて。
「…あ、もしかして怒ってる?このタオル使ったら不味かったとか。」
それ以前の問題があると思うんだけど、俺の方が意識しすぎなんだろうか。
「…いや、なんでもない。気にしないでくれ。」
ツッコむ気力も失せ、袋の中身を冷蔵庫に詰め始める俺。
「それはそうと、キミ。無用心だよ。」
作業をしてるってのに、昌は構わず横から話しかけてきた。
「んー、何がー?」
自然、返事も適当なものになる。
「だってキミ。普通こんな素性も知れない奴を家にひとり残したらまずいかな、とか考えるもんでしょう。
それをほっぽいて買い物行くなんて、無用心にもほどある。」
「…あー、そういうこと。」
手を止め、なんとなく頭を掻く。
別にそういうことを考えなかったわけじゃない。
ただ、赤の他人を泊めてやるとまで言ってるのに、今更そんなことで疑うのも変かな、なんて思っただけだった。
「……じゃあ、なんだ。お前はなんか盗ったのか。」
「へ?そんなわけないでしょ。」
「だろ?だから、俺が正しい。そういうことにしとけ。」
「―――――」
昌は目を丸くしたと思ったら、ぷっとふき出した。
「馬鹿だねぇ、キミは。」
柔らかな言葉に、微かな笑み。
「なんだよ、なんか文句あんのか。」
昌は楽しそうに笑うばっかりで返事をしない。
何となく照れくさい気分のまま、仕方なくまた作業に戻ることにした。
「ごちそーさま。」
「お粗末さまでした。」
いつもよりは豪勢な夕食を終えて、また二人して寝転がる。
昌はぶかぶかのシャツとよれよれのジャージのズボンを着ている。勿論、両方とも俺のである。
シャワー浴びた後も同じ服を着るのもなんだろうと思って貸してやったんだけれど、なんだか変な感じだった。
「そんじゃあ、お楽しみ―――」
冷蔵庫の中からビール缶を取り出して、投げて渡す。
「まさか、呑めないなんて言わないよな。」
煽る様に言うと、
「無論、受けて立ちましょう。」
彼女は、芝居がかった口調で不適に笑った。
「キミさー、普段何してるのー?」
無数の空き缶が足元に転がり、そろそろアルコールの臭いも気にならなくなってきた頃、唐突にそんな質問をされた。
「んー?何って、大学行ったりバイトしたり。」
「へぇ、学生さんなんだぁ。」
「そっちは?やっぱ仕事してんの?」
「私?私はねー、お水。」
「オミズ?」
「そ、水商売。ホラ、こっからちょっと電車乗るとそういう所あるじゃない。あのあたりでさ。」
「ふーん。確かにそういわれればそれっぽいかな。」
会話の合間にくいっと、ビールを呷る。
「あはは、やっぱりそういう風に見えちゃうかなー。見知らぬ男の子の家に泊まらしてもらうほど軽い女だしねー。」
乾いた笑いにちょっと顔をしかめる。
「今更そういうことは言いっこ無しだろ。そーゆー自虐的なノリはあんまり好きじゃないし。」
「そう?うん。まあ、キミなら店に来てくれればサービスするよん。」
笑いながらウィンク。お互い大分酔いが回ってきてるなこりゃ。
「勘弁してくれ。貧乏学生にそんな金は無いって。」
そう軽くあしらうと、
「ちぇっ、残念。」
なんてどこまで本気かわからない言葉が返ってきた。
今日はココマデ
キテタ━━(゚∀゚)━━!!
まったりとしてイイ感じ!期待して待っとります。
110 :
名無しさん@ピンキー:05/02/22 15:37:23 ID:ACwUHVeF
age
111 :
名無しさん@ピンキー:05/02/22 16:22:48 ID:MN1wGOQz
イイ!!
自演?
前回分は、まったりと言うか冗長だった気がしてて反省しきり。
レスがあんまりついてないのはそのあたりのせいだと信じて続き投下しますです。
「あれ?もー空だ…」
気付けば空き缶を逆さにして振る、なんていう絵に描いたような酔っ払いの動作をしていた。
底に溜まっていた残りのビールが僅かに滴って、宙を舞う。
どうやら、今宵の酒盛りはこれでお開きらしい。
時計を見るととうに深夜。アルコールも相まって眠気は絶頂だ。
「んー、じゃあそろそろ………って、おーい?」
机に突っ伏してる昌に反応はない。
そういえば暫く前からずっと突っ伏したまま動いていなかった。どうやら既におねむらしい。
「まったく、ただ酒だからって考え無しに呑みまくりやがって。」
呆れながら抱き上げると、彼女は何の抵抗も無く俺の手の中ですうすう寝息を立てている。
驚くほど軽い体に多少戸惑いながらも、そのままベットに下ろした。
「世話のかかる奴…」
緩んだ寝顔を見みながら、呟く。
布団をかけてやって暖房を調節した後、毛布をもって廊下に出た。
同じ部屋に寝るなんて、俺のモラルが許さない。……………いや。どちらかというと理性が耐えられないのだけれど。
リビングと廊下をつなぐドアをきっちり閉め、壁にもたれかかるように座る。
毛布にくるまってみるものの、やっぱり寒いなこりゃ。
けどまあ、寝れないほどじゃないかな。
―――しかし、よくよく考えてみれば変な状況だ。
一人になると、多少思考も冷静になってきたらしい。
簡単に言うと、飲み会の帰り道にコートをあげた女の子を家に泊めてあげてます、ってことだろ?
……………
ぎゅー
痛い痛い。
やっぱり夢じゃないよなぁ。
お水っていうけど、やっぱりそういう女はこういうとこが適当だったりするんだろうか。
いや、だからといってこの状況は―――まあ、いいか。
泊めるのは今晩だけだし、明日からはまたいつもの日常に戻るだろうさ。
酔っ払った頭で考えたって仕方ない、それよりなにより今は眠くてしょうがない。
そう頭が切り替わると、寝付くのは早かった。
弱々しい声が聞こえた気がして、意識が戻る。
瞼を開けると、まだ廊下は真っ暗だった。
「……ねぇ、起きてる?」
再び声。
やっぱり気のせいじゃない。
声はドアを隔てたすぐ向こうからだった。
「ああ、起きてる。」
こんな時間に何のようだろう、なんて思いながら一応返事をする。
きっとそれでも頭はまだ、半ば眠ったままだったに違いない。
「寒い、の……」
「………?」
―――あれ?俺、ちゃんと空調つけたよな。
眠気で意識が霞んで、俺が中々動き出せずにいると、がちゃ、という音と共にドアが開かれ、リビングの空気が廊下に吹き込んだ。
外気温と対して変わらない廊下にうずくまっていた俺には、その空気は随分暖かく感じられた。
なんだ、そっちのほうが全然暖かいじゃないか。贅沢な―――
瞬間、眠気は消え失せ、思考は完全停止。だっていうのに感覚はむしろ鋭敏になる。
腰に回された手と、背中にあたる柔らかい感触。毛布の中の鼓動が、二つに増えた。
「ちょっ、何を―――」
抵抗する間もなく、振り向くと同時に、唇を塞がれた。
素早く舌が侵入し、口内をを這い回り愛撫する。
微かに、タバコの臭いがした。
「…っ!・・・…む、ぅ…」
細い腕がシャツの中に入り込み、胸板を撫でる。
甘い刺激にぐらつく理性を必死で保ち、力ずくで絡みつく体を引き離した。
「あっ…」
唇が離れるのと一緒に甘い声が漏れる。
彼女の上気した頬は、きっとアルコールのせいだけじゃない。
「……何の、つもりだ。」
一度口を拭って、睨みつける。
いつもより1.5倍ほどの速さで走る心臓や、荒くなりかけた息を必死で隠しながら出す声は、自分でも驚くほど鋭かった。
問いかけに、彼女はトロンとした目のまま首をかしげる。本当に、不思議そうな顔で。
「何のつもりって…、子供じゃないんだからさ。」
なんでもないことのように笑う。
妖艶な笑みはまさしく娼婦のものだと悟って、ぎり、と歯が軋む。
「どうせキミだって、最初からそういうつもりだったんでしょ?」
「――――っ」
吐き気がするような台詞。
もう、堪えられそうに無かった。
「きゃあ!」
不意に彼女を抱きかかえると、甲高い声が耳に障る。
一度戸惑うように体を強張らせたが、俺がベッドに向かっていることに気付くと体の力が抜けるのがわかった。
それは、まるで諦めたようでもある。
「んっ!やぁ…、もっと優しく…」
ベッドに放り投げると、痛かったのか甘ったれた声を出して俺を見上げる。
けれど、俺はそんな彼女に見向きもしない。
「え………ちょ、ちょっと待ってよ。どこいくの?」
「うっさいっ!散歩だよ、夜の散歩!」
最悪な気分がそのまま乱暴な言葉になって、口から溢れ出てくる。
「お前はどうだか知らないけど、少なくとも俺はそんなつもりじゃなかったんだよ!いいから、―――さっさと、寝ろ!」
声の限りに怒鳴り散らして、勢いのまま部屋を飛び出
///
彼は腹を立てて部屋を飛び出していってしまって、深夜、私は暗い他人の部屋に一人残された。
思いもよらない展開にベッドに座ったまま、ぽかんと彼が出て行った玄関を見つめる。
私は彼の部屋に一晩泊めてもらう。
お礼にに私は、彼に一回"ヤラせて"あげる。
そういう単純なギブアンドテイクが暗黙のうちに出来上がってるものだと思っていたのに、彼の中では違ったらしい。
別に、体を重ねることぐらい、大して意味のあることでもない。
少なくとも、とうに貞操も純潔も失われている私には無意味なことだと思う。
―――やっぱり、彼は馬鹿だ。
「この、唐変木……」
呟きは、投げた枕と一緒に誰もいない暗闇に消えた。
頭まで布団をかぶって、もやもやした感情を無理やり寝かしつける。
明日、彼が帰ってくる前にここを出よう。
行く当てはないけれど、これ以上彼に迷惑をかける気にもならない。
『お礼』が出来ていないのが唯一心残りだったけれど、彼自身が拒んだのだから仕方のないことだ。
早く、寝よう。
明日からのことは、明日考えればいい。
///
今日はココマデ
さぁて、こっからペンが進まない。
キタ━━⊂⌒~⊃。Д。)⊃━⊂⌒O。Д。)⊃━O(。Д。)O━⊂(。Д。O⌒⊃━⊂(。Д。⊂~⌒⊃━━!!!
頑張ってペンを進めて下さいな
イイヨイイヨ〜GJ
乙!期待してますよ。
>>22 うへぇ、オレと正反対のキャラだwwwwwww
うぇうぇっぇwwwwwwwwwww
orz オレ、モウダメポ…
そいつに漢を見た。かっけぇーなぁ…漢は。
124 :
名無しさん@ピンキー:05/02/24 21:06:06 ID:wxfHjmrv
そいつって誰
正反対にしてみた。
<<キャラクター紹介>>
122(ひゃくにじゅうに)
純愛SSスレ住人。2ちゃんねるエロパロ板棲息。
オタクの雰囲気を微塵もさせない、生粋の普通人。
ちなみに、見た目はすらっとしていて、はっきり言うとイケメン。
他人に迷惑を欠ける事が大好きで恥知らずであり、
オタクを見たら鼻で笑いにかかる点で一般的な
イケメンとその精神性は全くの同一である。
イケメンなのに身の回りは不潔で、空気の読めない服装を
だらしなくと着崩し、頭も悪いため、スレでも
コトあるごとに馬鹿にされている。
なんだか凄く嫌な奴だな、
>>122は。
(´Д`;)
忙しいのも重なって、モチベーション下降気味(;´ρ`)
よろしければ些細なことでも良いんで感想くらはい
悪いところでも全然構わないんで
cat/garl作者様へ
「・・・・・この唐変木」
この言葉がとってもムズムズします。
これからの展開にも期待してます。
(*´д`*)ハァハァ
129 :
み〜た:05/02/26 02:17:43 ID:P8OYH3b4
書き初めてから一週間というザコキャラです。
お目汚しかもしれませんが 生暖かい目で見てあげてください(つД`)
登場人物は学生なんですが、名前も年もまだ決まってません。
では投下させて頂きます。
130 :
み〜た:05/02/26 02:21:59 ID:P8OYH3b4
「懐かしい面影ってどんな感じかな?」
いきなりの質問ですね。
「昨日テレビで見たんだけどね。長い間離ればなれになってた人が再会した時に言ってたんだ。」
またテレビですか、どうしてそんなにテレビを見ていて成績優秀なのか教えて欲しいものです。それに僕の立場も考えてください。
「ねぇってば。話聞いてた?」
ちゃんと聞いてましたよ。−あなたに見とれながらですが
「ごめん、ごめん。ちょっと考えてた」
「ぇ? 考えてたって何を?」
−あなたの事です。とは言えず
「懐かしい面影ってのを。ん〜、そうだな、おばあちゃんが孫を見ていて思う、とか? 例えば、娘もよくこんな表情してたなぁ、とかさ。」
「おばあちゃんは一緒だけど。」
「けど?」
131 :
み〜た:05/02/26 02:23:18 ID:P8OYH3b4
「田舎の風景画の中のおばあちゃん。懐かしいって思わない?」
「確かに懐かしいって思うかもしれないけど、それは絵でしょ?」
「うん。」
「うん。ってそれだけ?」
「そうだよ。 え? なんで?」
−「そうだよ。」って言った時に、首を傾けるなんて、卑怯です。威力が半端じゃないんですよ?。
「なんでって、面影はどこにいっちゃったの?」
「あ。・・・忘れてた。」
「ぷっ。「忘れてた。」って子供じゃないんだから。」
「べ、別にい〜でしょ!懐かしいって思ったんだから!」
顔真っ赤。でもこういう表情もまた良いんですよ。
すいません。
すっごい中途半端な所で集中力が切れました。
ご指摘宜しくお願いします。
リアルタイムで見た。一応俺も物書きだから俺的に思ったことを。
登場人物が固まっては無いそうだがそれでも会話が続きすぎるの
は状況が掴めないので少々読むのが辛くなる。少し状況描写を入
れてほしいです。ただ言葉の使い方は上手い方だとお見受けした
ので期待してます。
って偉そうに書いてすまなんだ。
>>cat_girl@作者様
いい感じで進んでると思いやすぜ。
これだけのものを今のスピードで書いてるのはかなりのものかと。
それだけじゃ何だから、今までで気になったところを。
>終電も逃してしまって、俺のように貧乏学生にはタクシーに乗るような甲斐性もなく、二三駅歩いて帰ることにした。
「二三駅」は「二、三駅」と書いた方がいいかもしれず。にじゅうさんえきと読みそうになる。
>「平気だから、放っといて。あんまり五月蝿いと引っ叩くよ」
>「うん、それも有難いんだけど、さ」
五月蠅い、有り難い、はひらがなの方がしっくりくるような気がする。
あえて使うとしたら重要な場面か?
以上。いや、あくまで個人的に気になったところだから、無視してくれていいっす。
いい雰囲気で進んでいると思うので、ガンガレ
>>み〜た氏
すごく短く終わらせるつもりなら(400字詰め3枚くらいまで)、このままでもありだと思う。
それ以上長くするつもりなら、
>>132に同意。
こういうふわふわしたイメージは、個人的に好きです。
後、一応言っておくと、「」の中のセリフの最後には、『。』はいらない。
・・・・・・俺、さっきから他人の文章にケチばっかつけてるような。
他人に言う前にもっと自分の文章力上げような、俺。orz
三点リーダーは『・・・』じゃなく、「……」で統一したほうがいいよ。
>>135 確かに基本は……だけど、それは好みの問題だろう
趣味で書いてるだけなんだからそんなにこだわる部分じゃないと思う
「」の中のセリフの最後の『。』は間違いじゃないから
それこそ好みの問題なんだよね。
どこかのスレでも指摘されてたのを見たなあ……。
半角中点は環境によっては文字化けするらしいですよ
半角中点は英数記号じゃなく半角仮名の記号だからな。
つうかそれでなくとも半角仮名使いまくりの掲示板上で何をって感じだが。
あげ
年度末は忙しい・・・
>>128 >>133 レスさんくすです。
五月蝿いとか、有り難いとかは、癖って言うか趣味って言うか
性癖なんで。
もうちょい使いどころを考えて生きたいと思いますはい。
そんなわけで、続きいきます。
目を開けると、見慣れた天井。
気が付けば、自室のベットに寝かされていた。
シーツは几帳面に伸ばされ、頭の上の冷たいタオルが心地よい。
頭痛は酷く、気分は最悪。完全に二日酔いの観を呈していた。
昨晩、勢いで部屋を飛び出してしまって戻るわけにも行かなくなった俺は、深夜の公園に陣を取った。
昼間は幼い子供たちが遊んでいたでだろうの公園も、深々と更けたこの寒夜には人っ子一人見当たらなかった。
すぐそこの自販機で酒を買い込み、寒さも最低な気分も、アルコールで誤魔化そうとした。
ちょうど空が白み始めた頃に金も尽き、朦朧とする意識の中、寝不足・飲みすぎでがんがん痛む頭を抱えながら、それでも帰省本能を頼りに家に辿り着いた。
扉を開けてから、ベッドにもう先客がいることを思い出して、仕方なしに廊下で倒れこむように眠りについたのだった。
………じゃあ、何で俺はベッドの上に寝てるんだ?
「ん……」
体を起こす。
グラグラする頭を抑えながら、一度ぐるりと部屋を見回す。
昨日の酒盛りであれだけ荒れ果てたはずの部屋はきれいに片付けられていた。
他に人影はなく、部屋の中は間違いなく俺一人。いつもと同じように。
「帰ったの、か……」
欠伸をかみ殺して涙目になりながら、呟いた。
立つ鳥跡を濁さず、なんて言葉を思い出す。
跡を濁さず、というよりは、彼女は自分の痕跡を残さず消していったように思える。
遠くの風の音が聞こえるほど、部屋はやけに静かだった。
なんにしても、どうやら俺の日常はまた元の軌道に戻ったようだ。
立ち上がってベッドから降りると、ぶるっと一度からだが震える。
「……寒ぃ」
くそ、暖房はついてるはずだってのに寒すぎじゃあないか。
誰だよ、去年の暮れ辺り今年は暖冬だとか言った奴。
あーもー、頭痛い。
少し鬱が入った気分のまま、時間を確認する。
日はまだ高い。うし、まだ授業に間に合う。
朝飯は―――、途中のコンビニで買っていけばいいか。
そう決めて、コートを羽織ってドアを開ける。
外の空気に触れて、ぞくぞくっと背中を悪寒が走った。
……悪寒?
「―――何やってんだ。」
玄関を出ると、昌がいた。
昨日と同じ格好のまま、まだ長いタバコをくわえている。
「いや、何って。一服してたんだけど……」
最初に俺が言ったこと。部屋の中ではタバコ禁止。
そんなことを律儀に守って、こいつは外でタバコを吸っていたらしい。
昌も面を喰らったのか、呆然とお互いの顔を見つめあう。
俺としてはまだコイツが居ることよりも、それを知ってどこかほっとしている自分に驚いているんだけれど。
「お前―――」
「って、キミ!何やってんの!」
言葉が重なる。
二日酔いで本調子じゃない俺は、声の勢いでも負けていた。
「何って…、学校行くんだよ。理由もなく二日も休むわけにゃいかないだろう。」
当然のことだ。
まだ俺は親に学費を払ってもらってる分際で、無責任にほいほい学校サボるわけにはいかない。
そんな俺の態度に、昌は一つ大げさにため息を吐く。
「理由もなく、ねぇ……まったく、真面目なのはいいことだけど、もうちょっと自分の状況ってもんを把握しようよ。キミってはやつは自己管理も出来ないんだねぇ。」
呆れたような昌の口調は、なんだか少し、むかつく。
「キミ、寒くない?」
「…?ああ、そうだな。今朝はやけに冷え―――」
と、妙なことに気付く。
昌が今着てるのは、昨日着てたシャツとジャージ。
薄着とまでは言わないが、コートまで着込んだ俺に比べれば明らかに軽装だ。
それでも俺は歯の根が合わないくらい寒いっていうのに、昌は平気なんだろうか。
「気付いた?」
「………お前、寒くないか?」
もう一度、今度は目を覆いながらため息を吐かれた。
なんだってんだこの野郎。
「・・・まだわかんないかなぁ、そんな赤い顔して。いい?今日は春一番と間違えるほど暖かいの。キミのは悪寒。風邪引いたんだよ、キミ。」
「……………あー。」
なるほど、そういえば昨晩はやけに寝つきが良かったが、そのせいか。
「じゃあ、この頭痛とか眩暈とかは…」
「二日酔いじゃなくて全部風邪の症状!ほら、さっさと部屋に戻る!」
急き立てる昌に尻を叩かれながら、俺は部屋に押し戻された。
部屋に入る前に踏み消されたタバコ。
まだあんなに長いのに、勿体ない。
「まーったく、今朝起きたら廊下でキミが真っ赤な顔して倒れてるんだもの。何事かと思ったよ。」
ベッドに寝ている俺の隣で、タオルを絞りながら今朝の状況を説明する昌。
ということは、俺がベッドで寝てたのは、昌が運んでくれたらしい。
女の腕で大の男を一人の体をベッドまで運ぶのは、結構な重労働だっただろう。
「悪い、迷惑かけたな。」
そう思うと素直に謝罪の言葉が口から出た。
「いや、いいって。キミを怒らしちゃったのも私なら、廊下で寝かしたのも私だし、帰り道にコート奪ったのも私なんだから、私が風邪引かしたようなもんでしょ。
そんなんで謝られちゃったら私の立場がないよ。」
さっきまでのどこか偉ぶった態度と一転、昌は少し照れたように微笑む。
「ほら、キミには恩があるし、ね。病状が落ち着くまで看ててあげます。いいから大人しく看病されなさい。」
「大人しく看病されろって、なんだそりゃ。」
妙な言い草に思わず苦笑いがこぼれる。
「……了解、大人しく看病されやがります。」
「よろしい、病人は人に甘えるものだからね。」
そうやって、お互いに笑いあったと思う。
「さて、なんか欲しいものある?リンゴでも買ってこようか?
―――あ、そうだ。まずは熱測んないとね。」
と、何を思いついたのかにんまりと笑う。
悪巧みを含んでいるとしか思えない笑顔に嫌な予感を感じる間もなく、
「えいっ」
―――おでこにおでこがぴとっと。
「うわあああああああっ!」
変な声を上げながら昌の両肩を掴み、力ずくで引き離す。
「近い近い近い近い誓い地階っ!何すんだこの野郎!」
力いっぱい叫びたおしても、昌は動じずくすくすと笑って、
「照れるなんて可愛いとこあるもんだねぇ。あーあー、輪をかけて真っ赤になっちゃって、熱上がったんじゃない?」
なんて非常に嫌なことを言っている。
「う、うっさい!熱測るんならそこの救急箱に温度計があるっ!」
「はいはーい。」
まずい、完全にペースを握られてる。
まだ心臓はバクバクいってるし、顔が熱を持っているのは自覚できるほどだ。
顔を間近で見てしまったからだろう、忘れかけていた昨日のあれが嫌でも思い出された。
ええいくそ、思い出すな、意識するなっ!
忘れようと布団を被って目を閉じても、逆により一層生々しく昨日の唇の感触が蘇る。
ダメだ、多分もうまともに顔を見れそうにない。
「救急箱に風邪薬もあったけど飲む―――って、布団被って何やってんのキミ。」
「なんでもないっ、なんでもないからほっといてくれ!」
「………変な人。」
むしろ、なんで俺はこんな状態なのにお前は平気なんだ。
人生経験の差か。
水商売なんてしてるだけあって、そーゆーのには慣れてるのか。
お水、ねぇ……
商売道具ってことになるんだろうし、やっぱり手間かかってんだろうなぁ。
髪も肌も綺麗だったし、お世辞じゃなく美人と呼べる部類だと思う。
スタイルだって…………いかん、色々悪化してきたかも。
しょうがないじゃないか俺だって健康な若い男なんだし。
嗚呼、もう、俺の、バカー。
今日はココマデ。
細切れでごめんなさい。
ていうか、「@作者」消すの忘れた・・・鬱だorz
リアルで見れた!初感想なんですが続き楽しみにしてました。
真面目な主人公に好感を持ってます。彼がどうやって彼女と縁
を続けるのか楽しみにしています!
うむうむ。
萌え。
ご指摘ありがとうございました。
参考にさせて頂きました。
生かせられていれば幸いです。
cat/garl作者様へ
萌へ萌へさせて頂きました。
(*´д`*)
と。
また新しい物を書いてみました。
生暖かい目で見てあげてください。
今回は出だしだけですが、また書きあがったら投下させて頂きます。
では次より投下させて頂きます。
再び、ご指摘宜しくお願いします。
150 :
TAK:05/03/01 04:32:37 ID:crKZKbu0
あれは六年前。僕が小学五年生から六年生へあがる時の事だった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
三学期の終業式も終わり、今日から春休み。
そして、いつもの様に隣りの家へ。
と、お目当ての三人は玄関先で待っていてくれたらしく
「ごめんね。待たせちゃった?」
三人とも元気がなさそうに見えたのもつかの間、謝って下を見たら靴の紐がほどけていた。ちょっと待ってて、と直していると
「しゅうじくん」
いつもと違う、弱々しい冬華お姉ちゃんの声がした。
151 :
TAK:05/03/01 04:37:14 ID:crKZKbu0
「な、なに?」
その声に驚いて前を向き直すと、夏実ちゃんと春菜ちゃんが、冬華お姉ちゃんの後ろで、冬華姉ちゃんの手を握りながら俯いていた。
「・・・わたしたち、また会えるよね?・・・」
僕は最初、冬華お姉ちゃんが聞いてきた意味がわからなかった。だって、六年生になっても、また4人で一緒に登校するものだと思っていたから。
「ぇ? なんで?また一緒に学校に行くんでしょ?また会えるよ。春休みも一緒に遊ぼう?」
冬華お姉ちゃんは首を横にふった。
「ぇ? 違うの?」
今度は縦に。
152 :
TAK:05/03/01 04:40:08 ID:crKZKbu0
「学校行かないの?」
今度は横。
「じゃぁ、一緒に遊ばないの?」
縦。
・・・ん?あれ?良く分からない。学校に行くのに、一緒に遊ばないなんておかしいな。どうしたんだろう。
・・・あっ、そうだ。
「冬華お姉ちゃんは中学校だから?」
・・・あれ? 返事がない? それに、後ろの2人・・・
「ねぇ、夏実ちゃん、春菜ちゃん、なんで泣いてるの? 誰かとケンカしたの?」
僕の声に、反応したかの様に、2人は揃って泣き始めてしまった。
以下、書き上がり次第投下させて頂きますね。
153 :
名無しさん@ピンキー:05/03/01 16:07:48 ID:vwMeVG+F
両作品とも続きが楽しみです。GJ
>153
春一番は間違いじゃないような。春本番だとちょっと変では?
むしろ生本番を希望
文脈的には春本番だと思うぞ。
春一番は強風のことなんだから間違えるってのも変な話。
まあそれはともかく続きщ(゚Д゚щ)
春一番は初春だけど
春本番はまっただ中
春本番だとすると、ニュアンス的に暖か杉でない?
設定は真冬だし
158 :
TAK:05/03/02 22:43:40 ID:5gKyIJkj
少し書けたので投下させて頂きます。
「えっ? なにっ!? 僕なんか悪い事した!?」
「ううん。違うのっ! しゅうじくんが悪いんじゃないのっ!」
冬華お姉ちゃんは、首を横にふるふる。長い髪がふぁさふぁさと揺れた。
良かった、僕が悪くなくて。だっておばさん、怒ると怖いんだもん。
「じゃぁ、誰なの? 誰が悪いの?」
長い髪がさっきの動きでまだ揺れていた。返事はなかった。
僕がどうすれば良いのかわからないまま頭を抱えていると
おばさんが出て来て、事情を説明してくれた。
おばさん達四条家は、実家へ戻って暮らす−−−そのほかにもいろいろと説明してく
れたけど、僕にはわからない事だらけで、よくわからなかった。
159 :
TAK:05/03/02 22:46:23 ID:5gKyIJkj
でも、これだけはわかった。
−冬華お姉ちゃん達と離ればなれになってしまう事−
その事が分かった途端、涙が溢れて止まらなかった。
「なんでっ? なんで行かなくちゃいけないのっ?」
僕は泣きじゃくりながらおばさんに聞いた。
おばさんは何も言わずに僕を抱きしめ「ごめんね」と言いながら、謝った。
おばさんは怒ると怖いけど、とても優しい人だった。だけど、今は優しくなかった。
でも、温かかった。
結局、あのあと僕達は、僕のお父さんが来るまで泣いていた・・・・・
160 :
TAK:05/03/02 22:52:55 ID:5gKyIJkj
・・・数日後。
僕は、空っぽになった四条家の前で、3人とお別れの挨拶をしていた。
「ひぐっ・・・しゅ、しゅぅじおにいちゃん。 これ。」
1つ下の春菜ちゃんが泣きながら、両側の一房だけちょっと長い髪を垂らし、その小さな手を僕の前でひろげた。いつも所々はねている髪も、今日は元気がなかった。
その小さな手の中にあったのは、小さな桜の花びらを幾重にもあしらった指輪だった。
「ぁ、ありがと」
僕は泣きながら、その小さな手からその指輪を受け取った。 泣き顔を見られたく
なくて、僕は下を向き、歯を食いしばって嗚咽をこらえた。
「しゅ〜じくん、 はい」
次は、同い年の夏美ちゃんが、胸のあたりまである髪で顔を隠しながら、手をひろげた。
その手には、ひとつ大きなひまわりをあしらい、まわりを花びらで散りばめられた指輪がちょこんと、のっていた。
161 :
TAK:05/03/02 23:00:53 ID:5gKyIJkj
最後に冬華お姉ちゃんが、腰のあたりまである長い髪を揺らしながら
「しゅうじくん、はい、これ」
全体に柊の花をあしらった、派手ではなく、むしろ、淑やかさのある指輪が、その手にのっていた。
「ねぇ、しゅうじくん。 かお、あげて?」
僕は頷き、ごしごしと涙を拭いて ゆっくりと顔をあげた。
冬華お姉ちゃんは、「わたし、お姉ちゃんちゃんだから」と、一生懸命なみだを流さないように我慢している様だった。
そして、僕も順番にプレゼントを渡した。
春菜ちゃんには、桜の花びらが散りばめられたブレスレット。
夏美ちゃんには、ひまわりの花をあしらった、華やかなネックレス。
冬華お姉ちゃんには、雪の結晶をあしらった透き通ったイヤリング。
全部、おもちゃじゃなくて、お父さんに頼んで、ちゃんとしたものを買った。
162 :
TAK:05/03/02 23:08:01 ID:5gKyIJkj
「ほら、みんな車に乗って」
運転席からおばさんの声。
「いやっ! 行きたくないっ!」
春菜ちゃんが僕の服を掴み、言った。
「わたしもいやっ! やだっ!」
夏美ちゃんも一緒に掴んで言った。
「わたしも嫌だよっ!だけど・・・だけど行かないとお母さん困っちゃう」
2人はしぶしぶ頷き、手を離した。
「しゅぅじおにいちゃん、また遊ぼうね?」
ちゅ。 右の頬に柔らかいものが押しつけられた。
「しゅ〜じくん、元気でね?」
ちゅ。 今度は、左の頬に。
「しゃうじくん、また会おうね?」
ちゅ。 最後は おでこに。
163 :
TAK:05/03/02 23:20:12 ID:5gKyIJkj
僕は大きく頷いた。
あまりの嬉しさと、悲しみのせいで、涙が溢れて止まらなかった。
そんな僕に、3人は笑ってかえしてくれた。
・・・僕は気付いた。 泣いてる顔と、笑っている顔がとても似ていることに。
そして、その表情は、とても可憐で清麗で、とても綺麗だった。
3人は車にのった、そして車が動き始めた。
「しゅぅじおにいちゃんっ! 絶対遊ぼうねぇ〜っ!」
「しゅ〜じくんっ! 絶対戻ってくるからっ!」
「しゅうじくんっ! また会おうねぇ〜っ!」
車窓から顔をだし、手をふってくれた。
「うんっ!絶対っ! 絶対だよ〜っ!」
僕は必死になって追いかけた・・・・・
・・・・・4人は海外へ旅立っていった・・・・・
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
164 :
TAK:05/03/02 23:41:39 ID:5gKyIJkj
だいぶ長くなってしまいました。
すいません。
またご指摘宜しくお願いします。
あと、読んでくださっている方々にアンケート、と言うか、意見を聞きたいのであります。
このあと4人は再会する(予定)んですが、もう一人女の子を登場させて(自分の技量もしれてますが_| ̄|○)も良いですか?
賛成な方は是非、年齢と、名前を書いて頂けるとありがたいのであります。
ハァ?今だって、誰がどのセリフ喋ってんだか分からねえもんを、更に読みにくくする気か、このボケがぁ! と言うかたも正直に申し出て頂けるとありがたいのであります。
宜しくお願いするのであります。
というか一行空けが却って見難い
というか一夫多妻とか一体複数とかハーレムって純愛?
>>166 納得させてくれるなら良しである
ガンガレ>164
一行空けは確かに読みにくい。
登場人物の設定やどういう話を書くかは
ご自身で決めればいいのでは?
力量に自信がないのならリク受け付けても
自らのクビを絞める結果になりかねんし。
169 :
TAK:05/03/03 09:10:18 ID:Hg4OZY6a
>>165 >>168 レスありがとうございます。
1行空けは、読みづらいとの事ですが。すいません。携帯だと、1行空けた方が読みやすかったので。
次回から1行空けをなくして、頑張っていこうと思います。
あと、
自分初心者にも拘わらず、2作目にして長編を目指したヴォケに、内容の方にも何か一言、そこ日本語間違ってる、とかでも結構ですので、宜しくお願いします。
えーっと、書けてないわけじゃないんですが、ちょっと忙しいんで一週間ぐらい投下できそうにありませぬ
期待してる人がいるかどうかわからないですけどね
とりあえずレス
>>153 ご指摘どうも〜
帰省本能はタイプミスです。
春一番は別に間違ってないんだけどなぁ(´・ω・`)
風がある日だったんです。
前回のは駆け足での投下だったので、推敲が足りなかったみたいです。
投下するたびに文章力じゃなくて単語力が付いてく不思議。
>>TAK様
続き楽しみにしてますよ〜
いたっ。
一週間待ちは辛いですが楽しみにしています。
待っている人はたくさんいると思いますよ。
>>169 このスレを携帯で読もうとするのは無謀かもw
だからといってあまり詰め過ぎて書くと、それはそれで逆に読み辛くなるんで
そのあたりの文章構成も考えてみて下さい。
>>171 禿しく同意。
170に期待してるのは二人だけ、っと
>170
いつか化けることを祈る
>>175 今のままじゃダメってこと(・ω・ )?
ほすage
人居ないなぁ
そりゃ、なんか投下されるたびに叩きが活性化するようなスレに
職人が降臨するはずも無いだろう・・・
181 :
名無しさん@ピンキー:05/03/09 10:37:41 ID:VWqbDppX
前スレの雰囲気が懐かしい…
やっと暇になった・・・
長かった・・・orz
と、いってもいつも通りに戻っただけなんですけど
今日から執筆再開します
今週中には投下再開したいなぁ
期待してますよ!
∧_∧
( ´・ω・) お茶飲みながらマターリ待ってますw
( つ旦O
と_)_)
先週から全裸で待ってます
>>186 最近温かくなってきたからって無理しちゃ駄目よ
風邪ひかないようにね
188 :
名無しさん@ピンキー:05/03/12 22:04:42 ID:nzJmurBk
保守って散る
145の続きマダー
結局、ホワイトデーにもこのスレは賑わうことはなかった。
191 :
名無しさん@ピンキー:05/03/15 16:36:49 ID:CIO+ecL3
無念だ………。
おまいらにもう一度問おう。
純愛は好きですか??
大 好 き で す 。
すんません、投下していいですか?前フリが非常に長い上に多分長文に
なると思いますが。
俺は大歓迎だけどね。ただ前フリがあまりにも長すぎると
ウザがられる事もあるから、そのあたりは考慮してもらえたらありがたいな。
とりあえず他の住人さんの意見も少し聞いてみてはいかがかな?
197 :
名無しさん@ピンキー:05/03/15 21:31:04 ID:CIO+ecL3
待っていますぞ!!
198 :
194:05/03/15 22:14:36 ID:4Zh/GSOF
えっと、195の言われるのももっともなんで、もう少し様子見てみます。
良かったら意見聞かせて下さい。とりあえず23時頃にまた来ます。
>198
そんなの、投下されてみないとわからんしなぁ
とりあえず、投下汁
200 :
194:05/03/15 22:58:55 ID:4Zh/GSOF
では一応触りだけ。ちなみに今日思いついて帰宅してから
書いたので変な所あるかもしれませんがご愛嬌で流して
下さい。では、触りを投下。
201 :
女高男低:05/03/15 23:01:10 ID:4Zh/GSOF
青山龍介(あおやまりゅうすけ)と村中真純(むらなかますみ)は某県某市にある某学
校のクラスメート。とは言っても同じクラスになってから半年間、言葉も交わした事も無
くお互いに存在を意識すらしていないと言う関係。この二人がこれからお互いに恋する
ようになるのだが…とりあえず話を進める前にこの二人の特徴を皆様にお教えしよう。
202 :
女高男低:05/03/15 23:02:21 ID:4Zh/GSOF
まずは青山隆介。この男の特徴は目が良いだとか肌の色がやや黒いなどあるが、特に一
つ特徴を挙げるとすればズバリ『小さい』。小さいという言葉からは色々な事が想像できるが、
この男の小さいというのは俗に言う『チビ』。つまり背が低いのである。生まれてから背の順で
並ぶのは必ず最前列。「前へならえ」の号令も両手を腰に当てる動作しかした事の無い男で
ある。成績、運動は共に中間。友人は多くも無く、少なくも無い。チビであるという事以外に市
民権が無いと言っても過言ではない。ただ性格は極めて明瞭で自分の背の低さについては
「まあ、親の遺伝子は操作できないし。背の低い両親からは背の低い子供しか生まれないっ
て事さ。」ととっくの昔に諦めている事をネタにする始末。お陰で彼を悪く言う者は皆無に等し
かった。要するに人畜無害な男という事で理解して頂きたい。
203 :
女高男低:05/03/15 23:03:19 ID:4Zh/GSOF
次に村中真純。この女の特徴は目が少し悪くメガネをかけているだとか肌が白いなどが
あるが特に一つ特徴を挙げるとすれば青山隆介とは逆で『大きい』。大きいという言葉から
も色々な事が想像できるが、この女の大きいというのは俗に言う『ノッポ』。つまり背が高い
のである。生まれてから背の順で並ぶのは必ず最後尾。「前へならえ」の号令も伸ばした
両手の先で一つ前の女子の肩を突付くという悪戯しかした事の無い女である。成績は下の
上、運動は上の下で平均で中間。友人は比較的多い。ノッポである事以外にも市民権があ
ると言っても過言ではない。性格はその背に反してやや控え目で、自分の背の高さについ
ては「文句があるならうちの親に言って…もう少し小さく生まれたかったのよ。」とうんざりと
溜息をつく始末。彼女も多少デコボコであったがそのバランスの良さから悪く言う者は皆無
に等しかった。こちらも人畜無害な女という事で理解して頂きたい。
204 :
女高男低:05/03/15 23:04:13 ID:4Zh/GSOF
以上、この話はこの二人を軸にその他何人かの登場人物で進めていく。
その他「おい!」
長かった夏休みも終わった9月。始業式の後のホームルームでこのクラスの担任である
仲山翔子(なかやましょうこ)がこう切り出した。
「さて、新しい学期も始まった事ですし、席替えでもしましょうか。」
『え〜〜やだ〜〜」
『やった〜〜早くやれやれ〜』
翔子の提案に口々に勝手に感想を言う生徒達。とはいえ、どういう反応があろうと席替え
が実行されるのは間違い無い事はほぼ全員が理解していた。
205 :
女高男低:05/03/15 23:05:13 ID:4Zh/GSOF
「おい、龍介。席替えだってよ。」
「あ〜聞こえてる。」
と龍介は自分に話を振ってくる友人の守口浩太(もりぐちこうた)の嬉しそうな声を面
倒臭そうに返した。龍介にとって今回の席替えは避けたかった事態であった。前回の
席替えの際、この教室の中で最も日が当たらないという夏を過ごすには最高の席にあ
りつけたのだ。夏休み明けの9月はまだ残暑が厳しい為、龍介はテコでもこの席を動き
たくなかったのだ。
「次の席替えの11月になったら譲ってやるから替わりたくねぇな〜」
「アホゥ、その時には誰もそこに行きたがらないだろうが。」
と、約2ヶ月おきに行なわれる席替えについて龍介と浩太は周りとは関係無く軽い言葉
のやり取りをした。
206 :
女高男低:05/03/15 23:08:56 ID:4Zh/GSOF
とりあえずここまで。書いた半分ほどです。ちなみに2レス目で隆介となって
いるのは龍介の間違いです。よろしくお願いします。
…触り?
↑何が言いたい?
とりあえずまだわからんので続きで判断。
前にもあったのだが、「さわり」というのは「最初」という意味ではないぞ、と。
「中心・クライマックス」といった意味に近い。
>>207はそれが言いたかったのでは、と。
いずれにせよ、頑張ってくださいな。
このスレの住人は神を応援します。
210 :
194:05/03/16 20:32:29 ID:r2OGCGOV
帰宅しました。これから続き書いて投下します。
>>207-209 すんません、無知でしたねw
改めて冒頭部分をと言い改めさせて下さい。
では、また後程。
211 :
194:05/03/16 21:54:40 ID:r2OGCGOV
とりあえず投下します。
212 :
女高男低:05/03/16 21:55:21 ID:r2OGCGOV
「こら、青山くんと守口くん!よそ見しないの!」
『あ〜い。』
翔子の注意に右手をダラ〜ンと垂らした状態のまま挙げ、二人は答えた。
「それじゃあ、早速くじ引きしましょうか。右の列の人から順番に前に出てくじを引き
なさい。」
翔子は何時の間にか黒板に書いた6×7のマス目に1から42までの番号を書い
ており(ただ単に龍介と浩太が見てなかっただけ)、教卓の上には紙箱でできた抽
選箱を置いて生徒達に指示した。ガタガタガタ…と右の列の生徒達が思い思いに
立ち上がり前にある抽選箱に次々と手を差し入れていた。ちなみに前回42番のくじ
を引いた龍介は一番左の列の一番後ろの席に座っている為、自動的に一番最後に
くじを引く運命にあった。龍介は動き始めた教室の中でぼんやりと自分の番が来る
のを待っていた。しかし、
「今度は19番のくじを引けよ、龍介。」
「うっせ、お前が19番を引け。」
213 :
女高男低:05/03/16 21:56:10 ID:r2OGCGOV
と、またも二人は教室の動乱に乗じて喋り始めた。19番のくじ、それは中央の列の一番前。
すなわち教卓の真ん前という「死の19番席」とクラスから恐れられているという誰も引きたが
らない番号であった。
「誰か19番引かねぇかな〜」
と、龍介は他人の不幸を心から待ち望んでいた。もっとも全員がそう思っているので誰も龍
介を非難する者はいない。ちなみに19番を引いた者は男女関係無く、頭を抱えるという反応
を示すはずだからすぐに分かるのである。しかし今の所5列目が引き始めた段階でその反
応をした者がいない。すなわちまだ死の19番は抽選箱の中に入っているのである。前回の
19番の前畑香(まえはたかおり)は既に笑顔で他の女友達と騒いでいるから別の番号を引
いたのは間違い無い。というか連続で19番を引くのは今後の人生に支障を与えかねない。
一人、二人と次々とくじを引き龍介達の番が迫ってきていた。
「おいおい、本当に誰も19番引いてないのかよ。」
214 :
女高男低:05/03/16 21:56:59 ID:r2OGCGOV
龍介は胸に一抹の不安を抱えつつ呟いた。
「多分、お前が19番を引く運命なんだ。諦めろ、龍介。」
「うっせ、残り物には福があるというだろ、大丈夫だよ。」
徐々に余裕が無くなってきたのか浩太の言葉にも龍介はつい真面目に返してしまう。
そして最後に一番左の列の番に入った。まだ19番を引いた者がいない様子でまだ引いて
いない龍介達を含む6人はやや顔を青ざめながら抽選箱へ向かう。既にくじを引き終わっ
た36人も残り6人の動向に注目し始めた。残り6人、くじを引く…笑顔。残り5人、くじを引く…
ガッツポーズ。残り4人、くじを引く…パ〜ンと両手を叩く。残り3人、くじを引く…龍介と浩太
の方へ振り返りニヤ〜。ピシッ。龍介と浩太の顔が凍った。
215 :
女高男低:05/03/16 21:57:58 ID:r2OGCGOV
「さぁ、龍介と浩太のどっちかだ〜!!」
「りゅう〜すけ!!りゅう〜すけ!!」
「こうた!!こうた!!」
一気呵成に盛り上がる40人のクラスメート達。その歓喜の冷やかしは龍介と浩太には悪
魔の合唱にしか聞こえなかった。
「さてと、私の前でしっかりとお話を聞いてくれるのはどっちかな〜?」
心なしか翔子の声も弾んでいる。
「りゅう〜すけ!!りゅう〜すけ!!」
「こうた!!こうた!!」
更にテンションが上がる教室。下がる二人。
「それじゃあ、両方同時にくじオープンでいきましょう!!」
『イエ〜!!』
翔子の提案に大合唱で賛成する面々。
216 :
女高男低:05/03/16 21:58:45 ID:r2OGCGOV
「おい、浩太。さっさと引け。もうあとには引けん。」
「こんな時につまらん事言うな。まあ、引くけど。」
龍介が浩太を小突きながらその背中を押す。浩太は渋々と抽選箱に右手を手を入れる。
「こうた!!こうた!!」
浩太コールに押されながら浩太はくじを1枚掴み、右手を引いた。そしてくじを見る事無く
観念したかの様に教卓の横に立つ。これで抽選箱にはあと1枚。生か死か。龍介の運命は
既に決まっている。龍介は浩太と同じ様に右手を抽選箱の中に突っ込む。
「りゅう〜すけ!!りゅう〜すけ!!」
龍介コールの中、龍介は抽選箱をまさぐる。そして隅の方で41人に引かれず小さく丸まっ
ていたくじが龍介によって取り出された。龍介は浩太の横に並ぶ。
「さぁ、みんな〜5からカウントダウン開始!!」
翔子の指示に全員がカウントダウンを開始する。
「5・4・3・2・1…0!!」
全員のカウントダウンと共に両者共に手の中にあるくじを開いた!!固唾を呑む面々!!
その数秒後!!
217 :
女高男低:05/03/16 21:59:17 ID:r2OGCGOV
「だ〜〜〜!!」
頭を抱え崩れ落ちたのは…浩太の方だった。
『浩太が引いたぞ〜!!』
『逝ってらっしゃ〜い!!』
浩太の反応を見てすぐに冷やかしを開始するクラスメート達。所詮他人事である。さぞ
や龍介も喜んでいるかと思いきや、龍介もまた顔が青ざめている。その理由は…
「なんで42から1なんだ〜!!暑いやんけ!!」
そう、龍介と浩太に残されていたのは死の19番とその次に避けられている呪いの1番で
あったのだ。1番は日差しがまともに入ってくる最も暑い席なのである。つまりどのみち二
人に残されていたのは最悪の番号であったのには変わりなかったのだ。それでもやや龍
介の優勢勝ちではあったが。
218 :
女高男低:05/03/16 22:00:04 ID:r2OGCGOV
「はい、じゃあ皆、席を移動して〜」
ガラガラガラ…
翔子の号令で全員が机と椅子を持って引越し先へと向かい始めた。一人だけ全く動かな
い者もいた。そんなクラスメートに龍介と浩太はちょっとだけ嫉妬した。
「じゃあな、龍介。生きていたらまた会おうぜ。」
「おう、お互いに無事にこの戦場を生き残ろうぜ。」
龍介と浩太は既に諦めの境地。戦場に赴く兵士が交わす言葉を吐きながらお互いの健闘
を祈っていた。龍介は対角線の席に移動となったから最も移動距離が長い。他の生徒達も
机を持っていたから大回りをしながら最も燃える場所へと向かっていった。
「よっと、到着…あっつ!!」
1番席に机を置いて開口一番、龍介はその暑さに閉口した。先程までいた42番席とは全く
逆であった。とりあえず、
「浩太は…っと。」
戦友を見ると、翔子と三つ指をついて挨拶を交わしていた。これから彼の激戦が始まるのだ。
『頑張れよ…』
心から龍介は戦友へ届かぬエールを念じた。
219 :
194:05/03/16 22:01:33 ID:r2OGCGOV
今日の投下分終了です。ようやく次の投下分から女の子登場です。
それでは。
お久しぶりです。
まだぎりぎり一週間以内?だめ?
ペースあげようとはしてるんだけどなぁ。
応援してくれてる、期待してくれてる皆様には多大なる感謝を。
というわけで、投下しますです。
38度弱。
今年も予防注射は受けていたので、インフルエンザではなさそうだ。
「思ったよりあるねぇ…、大丈夫かい?」
昌は俺がくわえていた温度計を覗き込みながら、間延びした声で呟く。
「熱が出てる時点で大丈夫じゃないけどな。」
「あー、そういやそうかもね。」
あははー、なんて気楽に笑ってやがる。
俺はというと、なかなか本格的に具合が悪い。
これで気付かずに学校行こうとしてたんだから、やっぱり病は気からってとこか。
「…まあ、そろそろ薬も利いてくるだろうし。辛いならちょっと寝たら?」
「ん…」
言われてみれば、さっき飲んだ薬の効果だろう、少し頭がぼんやりしてきていた。
「そうするかな。」
「うん。じゃあ、お休みー。」
そう微笑む昌に見送られながら、重い瞼を閉じた。
と、目を瞑ったのはいいものの、いつもと違う状況のせいか、どこかそわそわして落ち着かない。
意識が沈んでいったと思ったら、微かな物音で浮き上がってきて寝付けなかった。
仕方なしに、浅い眠りの中昌の一挙一動をうかがっていると、程なくしてピンポーンと妙に明るい音が部屋に響いた。
出ていいものか迷ったのだろう、少しの間を置いた後、昌は玄関に立ち上がり歩き出した。
朦朧とした俺の意識は、それを無言で見送った。
って、
「―――ちょっと待てッ!」
ベッドから飛び起きて、玄関まで飛んでいく。
それは、我ながら病人とは思えないほど迅速な行動だった。
俺は、間違いなく一人暮らしだ。
そのはずなのに、呼び鈴を押してアイツが出たら、倫理的にも社会的にも、色々と、まずい。
これでも身内には真面目で通ってるんだ、俺は!
しかし、やっぱり気が付くのが遅すぎたらしい。
既に扉は開かれ、差し込む太陽の光がまぶしい。
部屋に吹き込む風が、最早清々しいくらいだった。
突然の来訪者は、艶めく黒髪を靡かせて、我が家に侵入を果たしていた。
背中まで伸びた髪と、地味でも整った服装はいつも通り。
呼び鈴を押したのは、最悪の人物だった。
「こんにちは、平良君。お加減はもう大分良いみたいですね。」
にっこり。
ひぃぃ…
目が笑ってないぞ、あれ。
昌は彼女の後ろで、『誰コレ?』というジェスチャーをしている。器用な奴だ。
「立ち話もなんですし、上げてもらって構わないかしら?」
「あ、ああ。勿論構わないデスヨ?」
別にやましいことをしていたわけでもないのにオドオドしてしまう俺。
まずい、実にマズイ。
たまらなく嫌な予感しかしない。
え、何?もしかしてこれが噂の修羅場って奴ですか?
彼女は机の前に礼儀正しく正座していて、つられて思わずこっちまで正座してしまっていた。
昌だけが、だらしなく足を投げ出している。
「あの超がつくほど真面目な平良君が二日連続で休んだんですもの。心配で来ちゃいました。」
彼女は簡潔にここに来た理由を説明する。
失礼にもそんぐらいで来ないで欲しいとか思ってしまう俺。
いや、気持ちは嬉しいんだけれども。
「あー、ちょっと風邪引いてな。生憎まだ現在進行形で病人だけど。」
「ええ、そんなことだと思ってました。看病してくれる人も居ないだろうって思ったんですけど……」
「ていうか、誰よ?コレ。」
順調に進んでいた会話も、昌の不機嫌そうな一言で、一瞬にしてピーンと張り詰める。
「―――――コッ、これ?」
引きつる遠峯の顔。
あ、頭も痛いかも。
「………えーっと。」
こめかみを抑えながらなんとか声を絞り出す。
「こいつは遠峯。遠峯伶理(トオミネレイリ)。同じゼミなんだ。」
「よろしく。」
簡単な自己紹介にあわせ、遠峯は挨拶をしてみせた後、
「―――間に合ってたみたいですね、看病。」
なんて、俺に小さく耳打ちをする。
それだけなのに、喉元に刃を突きつけられてるようなさっきを感じるのは気のせいだろうか。
気のせいだろう。
気のせいであってほしい。
「で、こちらの方は?」
さっきから対面で状況が良く飲み込めてさそうなわりに、なぜか機嫌の悪そうな昌に目配せをする遠峯。
さっきからのこの笑顔は、かなりヤバいと思う。
だって、こんな遠峯の顔、今までに見たことないんだぜ?
昌もこの状況をどう理解したかは知らないが、一転、笑顔で言葉を返す。
「斑目昌。昨晩からケースケ君のところでお世話になってますワ。」
なってますワ、ってコラ。
白々しく下の名前で呼びやがって。
そんなに誤解を招くのが愉しいか、このアマ。
「……………」
「いや、待て。ちょーっと落ち着こうか遠峯。」
一応、フォローに入る。
けれど予想通り、それは遠峯の耳に入ることはなかった。
「平良君は、お昼は済ませましたかっ?!」
がばっと立ち上がって、異様に明るい声で尋ねてきた。
「え………?いや、まだだけど。」
その質問と、遠峯の意図が読めない俺。
「それじゃあ、ちょっと台所借りますねっ!」
言うが否や、遠峯は提げてきたらしいスーパーの袋を片手に、台所に侵入する。
「って、遠峯、ちょっと待てって!俺の話を聞―――」
遠峯を追って慌てて台所に入る。
「病人は大人しく寝ててください。―――あんまり五月蝿いと……」
ゆっくり振り向く遠峯。
その手には既に包丁が握られていた。
今日はココマデ
感想・理由を伴う罵倒・アドバイスなどなど、よろしければ貰えるとうれしいです。
・・・え〜上手くまとめていただけるとうれしいです。ハイ。
中の人と一緒に正座してまってます。ハイ。
>>225 純愛SSとしてどうまとめるのか見物ですね
同じく正座して待ってます
やべえ。
遠峯さん萌え。
王道パターンですな。
これをどう纏めてくれるのか楽しみっす。
やっと書ける時間が出来たので少しづつでも書いていきます
タイトルは仮題ですが『桜』
『桜』
桜は夢を見ていた……
夕焼け時が迫る公園で独りつまらなそうに桜は石ころを蹴っていた。他の子供の姿が無く
なっても彼女はただ一人石ころを蹴っていた。
日はさらに傾き、空の色が茜色から星が輝く濃紺に変わっても桜はまだそこにいた。
周囲の家々から漏れ出る光が彼女の心をよりいっそう惨めなものにさせた。
「パパ……ママ……さびしいよ……」
余計に寂しくなるからと我慢していた涙が頬を伝う、それによって決壊した感情の波は止
まらなかった。
「桜!!いいかげんにしなさい。」
小さな公園を包む静寂を男の声が破る。男は桜の腕をつかみ、公園の入り口へと彼女を
引きずった。
「私行かない!!パパとママが来るのを待っているんだから!!」
……パシン……
涙を流しながら抵抗する桜に男は力を以って抵抗を断ち切った。頬を刺す鋭い痛み、だが
男が発した言葉の方が彼女にとって何倍も痛く胸に突き刺さった。
「桜!!お前の両親はもう居ないんだ、いいかげんそれくらい判りなさい。……たくっ、なん
でお前なんかを預かる羽目になったんだか。勘弁して欲しいよ」
痛い言葉で突き破られた桜の心が流す涙は涙が枯れ果てるまで止まることは無かった。
映画のシーンが変わるように場面は孤児院の門の前に変わった。
そこにはちょっとだけ大きくなった桜がそこに居た。彼女の隣には公園で桜を連れ戻しに
きたあの男、そして彼女らの前には一人の若い男が立っていた。
二人は何かを話していたが桜の耳に彼等の言葉は入らなかった。ただ、桜に時折見せる
若い男の表情は柔らかく、今まで表面だけの善意を見せる孤児院の大人たちしか知らな
かった桜にはそれがたまらなく心に暖かかった。
「それでは萌木さん桜をよろしくお願いします。」
「よろしくね桜ちゃん。今日から僕が君のお父さんだ」
差し出された大きな暖かい手、その手を掴んだ時、桜の恋心はその心の奥底で静かに
……だが確実に目を覚ました。
(大好きだよ……竹生さん……でも……)
自分を救ってくれた手の持ち主――萌木竹生、彼への思いは時と共に大きくなりその心を
締め付けた。
(でも……私たち親子……なんだよね)
締め付けられた心は一筋の涙をその目に流した
けたたましいベルの音が桜を夢の世界から二十歳の現実へと連れ戻した。ぬくもりの残る
布団に未練を残しつつ寝癖に乱れた頭を掻きながら洗面台へと向かう。
寒さに身を縮ませながら鏡を見るとそこには涙に瞳を潤ませた彼女自身の姿があった。
「涙……私また……」
鏡の中で彼女の頬は濡れていた。その跡を消すように顔を洗い、髪を整えメイクをすると
鏡の中の泣き出しそうな寝癖の女はいつのまにか綺麗で、それでいてどこか子供っぽさが
残る魅力的な女性へと変わっていた。
彼女にとって朝のこの時は勝負の時だ、彼女がこの恋に気付いてから5年間、大好きなあ
の人を振り向かせるために続けてきた彼女の戦闘準備だ。クローゼットという名の格納庫
の扉を開き彼女が選んだ今日の戦闘服はお気に入りのジーンズにちょっと胸元が開き気
味のセーター。それらに身を包み鏡の前で最終チェック。
「よし!がんばるぞ私!」
自分自身に言い聞かせるように気合を入れるとダイニングキッチンから朝食のいい香りと
共に彼女の愛しい"敵"から彼女を呼ぶ声が聞こえた。
「おーい、朝飯できたぞ。早く食って学校行け」
桜はもう一度鏡を覗き込み自分自身をチェックすると"敵"の待つダイニングキッチンという
名の戦場へと階段を下った。
とりあえずここまで
眠いけど投下
「なかなか可愛い彼女じゃないか、キミ。」
大人しく寝ている病人の俺に、昌が話しかけてくる。
顔からして、間違いなくコイツはこの状況を愉しんでる。
「なるほど、だから昨晩はつれなかったわけだ。でもダメだよー、彼女がいるならこんなあばずれを部屋に上げちゃ。」
自称あばずれさんは、人が黙ってるのをいいことに好き勝手なことを言ってくれる。
「しかも、誤解されちゃったねぇ。どうするよキミ。」
だから、誤解を誘ったのはどこのどいつだってんだ。
「………なんで返事しないのさ。」
そりゃお前、包丁だぜ?刃物だぜ?
今の遠峯だったら、五月蝿くしたらどころか、物音を立てただけで刺されそうだ。
「………そんなにおっかないの?」
そりゃあ、もう。
遠峯伶理。
父親は大学教授、母親は中学の教師という学者一家に生れ落ちた彼女は、
厳しくも溢れんばかりの愛を受けて育てられ、才色揃った令嬢に成長した。
我は強いが決して我侭ではなく、彼女の行動は常に自信と信念に満ちている。
成績も優秀で、容姿も文句なし。いわゆる完璧超人って奴だ。
男共にはなかなか人気があったが、高嶺の花というイメージが強いらしく、実際に行動を起こすものは少なかった。
そして、勇気を振り絞ったものはことごとく散った、らしい。
と、まあ、そんな風に色々と有名な遠峯がわざわざ見舞いに来てくれるのは、恋人同士なんていう幸せな事情じゃなく、ちょっとした昔のよしみのせいだったりするわけなんだが。
それはそれでややこしい話なので、またの機会っつーことで。
「起きてます?」
呼びかけに目を開けると、覗き込む遠峯の顔があった。
「………寝てた。」
なんか、妙な夢を見てた気がする。
「じゃあ、起きてください。せっかくの手料理が冷めます。」
そう言う遠峯の持つお盆の上には、茶碗と、一人用の小さな土鍋が湯気を立てていた。
「うー、どれくらい寝てた?」
身体を起こしながら尋ねる。
頭が重いのは、まだまだ寝足りない証拠だ。
「二十分くらいですかね。心配しないで下さい、今更既成事実のために襲うなんてことはしませんから。」
かちゃかちゃと食器を並べながら、微妙に恐ろしいことをしらっと言う遠峯。
………今度からコイツの前で寝るのは控えよう。
「ほら、ちゃんと座ってください。」
遠峯に促されるまま、机の前に座らされる。
「お粥、か。」
土鍋の中身を確認する。
多少なりとも寝たのが良かったのか、それとも薬が効いてきたのか、
大分調子も戻ってきていて、これくらいなら食べられそうだった。
「………あれ?俺の分だけ?」
一つしか置かれていない茶碗に、軽い違和感を覚える。
「ええ、私はもう食べてきましたから。」
「あ、いや。でも、昌も―――」
そこでやっと気が付いた。
部屋に昌の姿が無い。
寝る直前まで、あんなに五月蝿かったっていうのに。
「昌さんなら、さっき出て行きましたよ。」
「え?」
キョロキョロと部屋を見回す俺に、遠峯は眉をしかめる。
「もう帰るって。あの人、お礼言ってましたけど……」
大丈夫ですか?と心配そうな顔をする遠峯に、俺は応えられなかった。
帰るって、どこに帰るつもりなんだ。
あんな寒夜に、道端にしゃがみ込んで途方に暮れていた奴が。
あーっもーっ、何考えてんだ。
「悪い、遠峯。留守頼めるか。」
堪らず立ち上がって、コートを羽織る。
あの夜と、同じコート。
「……どうせ、止めたってきいてくれないんでしょう?」
遠峯は口を尖らせて拗ねてみせる。
「勿論、帰ってきてから事情はきっちり説明してもらいますからね。」
諦めたように、ため息混じりに言う。
「……ほんと、悪いな。」
もう一度謝ると、小さく頭を振る
「いってらっしゃい。あまり、無理をしないで下さいね。」
謝ってばかりで、こんなに情けない俺でも、遠峯は優しく背中を押してくれる。
「ありがとな。」
最後にようやくお礼を口に出せて、俺は冬の空気に走り出した。
///
ゆっくりと煙を吸い込んで、吐き出す。
遠くで遊んでる餓鬼どもの金切り声がキャンキャン喧しい。
餓鬼は嫌いだ。
馬鹿で、五月蝿くて、汚くて、ウザったい。
無条件に子供が可愛いと思う母性本能なんてバアさんの代で潰えたのだろう。
出来ることなら、こんなところで餓鬼なんて眺めていたくない。
だけど、行く当てもなかった私には、公園のベンチくらいしか居場所がないのも事実だった。
どっかの馬鹿がヤケ酒でもしたのだろうか、ベンチの下にはやたら酒の空き缶が転がっていた。
加えて、この上から自分が吸殻を積もらせてるもんだから、ベンチの周りは輪をかけて汚らしかった。
なんでか知れないけど、気分は最悪だ。
きっと、図々しくも長居しようとしたから罰が当たったのだろう。
神様はいつだって悪いことばかり見ているものだから。
彼にも、彼女さんにも悪いことをした。
苛立ちは募るばかりで、タバコに頼っても気分は落ち着かない。
短くなったタバコを放り捨てて、ざり、と踏みにじる。
これからどうしようか。
帰るなんて言い残してきたものの、当然帰るところなんてない。
どっかで悪さすれば、留置所に入れてくれるかな、なんて不穏なことを考えながら、新しいタバコに火をつける。
豚箱だって、ここよりは暖かそうに思えた。
ああ、くそ。
タバコもまずい。
///
今日はココマデ
展開遅杉
エロはどこだ
俺自身がまとめられるか正座して書いてます(何
相変わらず感想とかもらえると泣いて喜びます。
,,-' _,,-''" "''- ,,_  ̄"''-,,__ ''--,,__
,,-''" ,, --''"ニ_―- _ ''-,,_ ゞ "-
て / ,,-",-''i|  ̄|i''-、 ヾ {
(" ./ i {;;;;;;;i| .|i;;;;;;) ,ノ ii
,, ( l, `'-i| |i;;-' ,,-'" _,,-"
"'-,, `-,,,,-'--''::: ̄:::::::''ニ;;-==,_____ '" _,,--''"
 ̄"''-- _-'':::::" ̄::::::::::::::::;;;;----;;;;;;;;::::`::"''::---,,_ __,,-''"
._,,-'ニ-''ニ--''" ̄.i| ̄ |i-----,, ̄`"''-;;::''-`-,,
,,-''::::二-''" .--i| .|i "- ;;:::`、
._,-"::::/  ̄"''--- i| |i ヽ::::i
.(:::::{:(i(____ i| .|i _,,-':/:::}
`''-,_ヽ:::::''- ,,__,,,, _______i| .|i--__,,----..--'''":::::ノ,,-'
"--;;;;;;;;;;;;;;;;;""''--;;i| .|i二;;;;;::---;;;;;;;::--''"~
 ̄ ̄"..i| .|i
.i| |i
i| |i
.i| .|i
キタ━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!!!!
.i| |i
.i| ,,-、 、 |i
i| ノ::::i:::トiヽ、_.|i
_,, i|/"ヽ/:iヽ!::::::::ノ:::::Λ::::ヽ|i__n、ト、
,,/^ヽ,-''":::i/::::::::/:::::|i/;;;;;;/::::;;;;ノ⌒ヽノ::::::::::::ヽ,_Λ
;;;;;;:::::;;;;;;;;;;:::::;;;;;;;;:::/;;;;;;:::::::::;;;;;;/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::::::::::;;:;;;;:::ヽ
俺はこの作風が好きなんです
遅くてもエロなくても幸せ
243 :
名無しさん@ピンキー:2005/03/23(水) 20:52:06 ID:q5wFYA1l
記念ぬるぽ
ガッ
別に書き手がいないわけでもないのに、なんでこんなにレスが少ないんだろぅ
>>245 ここは毎日、作品が投下されるわけじゃないんで
ROMってる椰子も頻繁にこないからジャマイカ?
>>241 あんまり展開が早すぎると逆に面白みがないなぁと思う俺ガイル。
話が徐々に盛り上がるのがやっぱり好きだなぁ。
>>241 オモロイ続きがきになる
完結するまで正座して待ってますハア(h
HNとトリップつけてみましたcat girl@作者です。
ちょっとトラブルがあって、しばらく投下できそうにありませんごめんなさいすいません許してください
書いてはいるんですけどねぇ…
あんまり書けてないけど。
>>242 >>247 禿げ上がるほどに(TдT) アリガトウ
さっき書いたとおりしばらく投下できそうに無いので
正座して待ってると足が壊死しますが(ぉ
>>246 どちらかというと展開がトロいわりに盛り上げられるか心配な俺ガイル。
………いや、がんばります。
むしろ、俺なんかより57氏とかTAK氏とか
>>194氏とか
>>230氏とかヽ(`Д´)ノ ボボボボボボッキアゲ
捕手sage
250 :
名無しさん@ピンキー:2005/04/08(金) 13:04:45 ID:zOEyV+IT
保守
ほひゅ
昨晩俺が夜を明かしたのと同じ場所に、昌を見つけた。
空高く昇るタバコの煙に、のろしを思ってしまった俺は、少し、虫が良すぎだろうか。
「よう。」
いたって普通に、ベンチの後ろから声をかけた。
「………ダメじゃない。彼女置いてこんなとこに来ちゃ。」
後ろから話しかけられても昌は驚いた風もなく、それどころか振り返りもしない。
感情を押し殺したような声。
どうも相当機嫌を損ねてしまったらしい。
「お前こそ、こんなとこでなにやってんだよ。帰るんじゃなかったのか?」
俺の言葉にも、背中は応えない。
こりゃあ持久戦になりそうだ、なんて思いながらゆっくりと隣に座る。
「ふぅ………」
何をどう切り出していいか分からず、長い息を吐きながら空を仰ぐ。
……本日は、晴天なり。
雲がわずかに形を変えて、流れていく。
腰を下ろすとなにやらここ数日の疲れがどっと出てきたようで、一気に気が抜けてしまった。
「……なぁー」
空を見上げながらもう一度隣の昌に声をかける。
気力の低下に伴って、すっかり声もだらけていた。
昌は案の定、目線さえくれないけれど。
「タバコ、分けてくれねー?」
だらしなく手を差し出す。
腰を落ち着かせたら、なんとなく口が寂しかった。
このところの疲れも主にこいつの責任だし、タバコくらいは当然の権利だろう。
「――――――――」
昌は、きょとんと差し出された手と俺の顔を変な顔で見くらべた後、
「ぷっ、」
吹き出した。
毒気を抜かれたように、ははっ、と短く笑う。
一気に表情も優しくなる。
「……ほら。」
「センキュー」
馬鹿みたいなお礼を言って、受け取ったタバコに火を貰う。
普段吸わないせいか、口や鼻に抜けるタバコの煙がやけに新鮮だった。
「ったく、緊張感ないねぇ、キミってやつは。」
そういう昌の声も、先ほどの刃物みたいのとは違う、すっかり緩んだ緊張感のないものになっていた。
「なんだ。腫れ物を触るみたいにもっと恐る恐る話しかけたほうが良かったか?」
「まさか。別に怒ってるわけじゃあないんだし。」
嘘を吐け、なんて言葉を飲み込んでただ苦笑する。
今思えば、真昼間から公園のベンチに並んでタバコを吹かしてる二人組は相当怪しいものだったに違いない。
吹きぬけた風に、タバコの先から煙が二本、平行に伸びて、消える。
「さて、と―――」
ひとしきり笑った後、彼女はベンチから立ち上がる。
二、三歩踏み出した後、くるりとこちらを振り返った。
その顔には爽やかな微笑さえ浮かべている。
「この辺でサヨナラってことで、いいかな?」
彼女は、実に彼女らしい口調で別れを告げる。
「ん…………」
「やぁね、そんな顔しないでよ。」
未練がましい声を上げる俺に、彼女は笑いかける。
「元々、一晩だけの約束だったでしょ?看病するって約束ももう間に合ってるみたいだし。」
「一晩だけって、それだけ聞くと、えらくただれた話だよな。」
冗談めかして言うと、昌も確かにと頷く。
そうだよな。
一晩だけ泊めてやる、それだけの話だったんだと思い出す。
そんなことさえも忘れてる自分にも、……今じゃそんな簡単に割り切れない自分にも、ほとほと嫌気がさしてきていた。
「……ひとつ、訊いていいか?」
ベンチに座ったままだと、立った昌を見上げる形になる。
俺は顔を上げて昌を見た。
「いいよ、何?」
煙を吐いて、一息間を置く。
見上げた昌は、空を背負ってるように見えた。
「お前、これからどっか行く当てとかはあるのか?」
疑問、というよりは心配、むしろお節介といった方が近いだろう。
もし昌の抱えていた問題が時間と共に解決するもので、彼女にはもう帰る家があるのなら、それで万事解決だ。
けれど、もし―――
質問に、昌は困ったように曖昧な笑みを浮かべる。
それは、悪戯が見つかった子供のようでも、子供をあやす母親のようでもある。
「……あてなんて、ないけど、さ―――」
昌は一度、ばつが悪そうに言葉を切って、
「なんとか、なるでしょ。」
笑った。
「――――――――っ」
瞬間、流れ込む感情の奔流の正体がつかめずに、言葉を飲む。
その笑顔が本心からのものか、それとも強がっているのか、俺には良くわからない。
良くわからないけれど、ただ、気付けば――――
――――力一杯、昌の体を抱きしめていた。
「ちょちょちょ、ちょっと?!」
慌てる昌の声なんか聞こえない。
強制わいせつで捕まったって知るもんか。
昌の背は頭半個分小さく、抱きしめた体は腕の中にすっぽりと納まった。
「喧しいちょっと黙ってろ、この馬鹿女。」
驚くほど冷えきった体を、ただ、抱き寄せる。
反射的に胸に置かれた手は、抵抗するように、弱々しく突っ張られている。
近すぎて、表情も見えなかった。
「バカが。何とかなるわけねえだろうが。今度こそ肺炎で死ぬぞバカ。」
もうこうなったら照れ隠しにバカバカ言ってやるしかなかった。
柔らかい体はやけに現実的で、ワンテンポ遅れて顔が赤くなっていくのが分かる。
「だって……」
胸に置かれた手が、ぎゅっと服を掴む。
「これ以上キミに甘えるわけにもいかないし……」
震える、衣擦れのような小さな声。
「……だからバカだってんだ。」
見ず知らずのヤツに頼らなきゃいけないくらいだったてのに、意地張りやがって。
「ひとりじゃどうにもならないんだろうが。
先にお節介したのは俺なんだ。―――最後まで責任取らせてくれ。」
しんどいんなら、甘えてしまえばいい。
こんなに、小さな体してるんだから。
「…………いいの、かな。」
昌は自分に尋ねるような呟く。
「まあ、お前が嫌ならしょうがないけどな。」
言いながら、自然と手が柔らかく髪を撫でた。
「ん…………」
それが気持ちよかったのか、昌が僅かに声を漏らす。
抱きしめた小さな体から、力が抜けていくのが分かった。
「……ねえ、」
暫く腕の中で大人しくしていた昌が、ポツリと呟く。
「ん?」
「甘えるついでに、ひとつだけお願い。」
「ああ。」
体を引き合うように、もう一度強く服が掴まれる。
「――もう少し、このままで。 あったかいんだ、キミの体。」
「…………了解。」
「ん、ありが…とっ、」
搾り出すようにお礼を言ったのを最後に、昌は堰を切ったように泣き始めた。
気が緩んだのか……、少し泣かせてやるしかない、よな。
どうしようもないので、腕はそのままに顔を上げると、公園中の注目を集めてるのに気が付いた。
……参ったねこりゃ。
明日にゃ奥様方の間は俺たちの噂で持ちきりだぜ、こんちくしょう。
そんなことを考えて苦笑いを浮かべながら、泣きじゃくる昌の背中をぽんぽんと軽く叩いてた。
さりげなく凄いこと言っちゃった気がするけど、ノーカンだよな、ノーカン。
他意はなかったんだし、うん。
ε=(ノ‥)ノ ただいまっす。
復帰しました。
エロはどこだ俺。
エロはまだか俺。
エロ書けるのか俺。
お目汚しですが感想お待ちしてます。
ていうかタイトル間違えたZE
死のう。
(・∀・)イイヨイイヨー♪
…だが次回は修羅場か?
キター!
もうエロとかなくてもいいので延々と38巻分ぐらいまで続けて下さい。
面 白 く な っ て き ま し た !
よい子にして待ってた甲斐があった…GJ!!
コテだけを見たら新しい書き手さんが現れたと思ったら…
モニターの前で正座して待ってた甲斐があったよママン。
もうこうなったらエロなしでもかまわないっすよw
>>259=
>>263 レスdくすです。
禿げ上がるほどに(ry
しかしながら。
エロ必要ないとか。
諸君はなんのためにここ(エロパロ板)にいるのか!
僕らはなんのために大人になったのか!(少なくともそのためにではないだろう
エロのためではなかったのか!
叫べ!吼えろ!俺のエロス!
……いや、ごめんなさい言ってみたかっただけです。
真に謎テンション、実に意味不明。
なんだかんだ言って、エロ書きます多分きっといつか。
これ書き始めたのが、エロゐ文章のスキルが欲しいってのだったので。
お目汚しになると思いますが、どうぞご了承を <(_ _)>
エロなしでもどっちでもいいから俺の心をきれいにしてくれよ〜・゚・(ノД`)・゚・。
年上との純愛…俺もその内投下しようかな
つ支援
つー○○○-
みたらし団子あげるから、ぜひお願いします
( ´・ω・`)_且~~お茶も一緒に イカガ?
>>266のためにチャーハンつくるね
∧,,∧ シャカシャカシャカシャカ
(;`・ω・) 。・゚・⌒)
/ o━ヽニニフ))
しー-J
アッ! 。・゚・
∧,,∧ て 。・゚・。・゚・
(; ´゚ω゚)て //
/ o━ヽニニフ
しー-J 彡
・ ゚ ・ :。 ・
゚・。 ・゚ ・
//
∧,,∧
( )
/ oニフ
しー-J
。 ・ ☆ ゚ .
☆ 。 。 ゚ . 。
, . . 。 。 , .☆
。 ・ 。 。 ・ . ・
・ ゚ ・ :。 ・
・ ゚
∧,,∧
( ) ジーン
/ oニフ
しー-J
あれ?誰だろう俺。
>>274 オレオレ。俺だよ。
スレに活気がないから職人振り込んでくんね?
277 :
57です:2005/04/14(木) 21:12:45 ID:neWv8KRT
やはり忘れられているのか・・・orz
>>277 後編遅れそうって言ってたので、気長に待ってました。
>>277 『オレオレ』じゃわかんないっすよw
もう足がしびれて仕方がないです。
軽いネタのつもりで書き込んだんだが、とんでもないことになってしまった・・・orz
続きは4月中には投下します・・・。
>>281 それだけ期待されてるってことッスよ
ここは喜ぶところだぜ
orzじゃなくてスマイルプリーズ
うお、変なところでいっちった
>>277 今日まとめて読んだけど(・∀・)イイ!!
これからの展開に期待してまつ。
あっしの事ですかい?
へへっ、名乗るほどの者じゃございあさせんよ
Ο━О
υ
б
職人来ないから聞いてみる。
皆にとっての最も重要な純愛シチュとは何ぞや?
あと、あってほしい萌ポイントとか。
ツンデレ
愛。
ツンデレ
姐さん
ツンデレ
眼鏡
鼻眼鏡
ウワァァァン
鼻ピアス
恥じらい
臆病者の勇気
あるいは相互奉仕
敬語
「流石平良君。女泣かせですね。」
赤く目を腫らした昌の手を引いて家に戻ると、留守番の遠峯が不機嫌そうにそんなことを言ってくる。
ホント、勘弁して欲しい。
俺はどこぞのヒモかっつーの。
「――――って、おい。帰るのか?」
遠峯は俺の横をスタスタと通り過ぎて玄関に向かう。
「ええ、話はまた今度でいいです。私がいたら色々とやりにくいでしょう?」
言葉に合わせて昌を一瞥し、遠峯はドアノブに手をかける。
「色々って……いや、すまん遠峯。いつもお前には謝ってばっかりだ。」
「……なら、謝らなくても済むようにもう少し努力をしてくださいっ!」
遠峯は苛立たしげにそう言い捨て、出て行った。
力任せに閉められたドアが、ビィーンと痺れている。
「いいの?」
端っこでその様子を見ていた昌が、心配そうに俺の顔を覗き込んできた。
「まぁ…………、しょうがないんだし。」
ドアに目をやりながら呟くように応える。
申し訳ないと思ってるし、出来れば笑ってて欲しいとも思う。
でも、あいつにしてやれることなんてもう俺にはあっちゃいけない、なんて気持ちがあった。
「そ・れ・よ・り。今はお前だオマエ、オマエの話。」
気持ちと話を切り替えるため、語気を強めて人差し指を昌の眼前に突きつけてやる。
「ほえ?わ、ワタシ?」
「ほえ? じゃねえよバカ。無一文で彷徨ってるくらいなんだから、なんかどうにもならないことがあるんだろ?」
「あー…………まあ、そうなんだけどさぁ。」
昌の視線が泳ぐ。
言いづらいことらしい、実にわかりやすい奴だった。
「俺は逃避の場を提供するわけじゃないからな。おら、言わないと協力も出来ないだろ?」
「厳しいなぁ……、まったくキミは親切なんだか強引なんだか。」
ため息。
「……わかった、言うわよ。キミが先に折れるとも思えないし。」
大げさに肩を落とす昌。
「でもさ、せめて先にご飯にしない? ほら、朝から何にも食べてないし。」
おなか空いたー、と子供のように手足をばたつかせる。
「色気もなにもあったもんじゃないな、お前は。」
「む、なによう。こんなナイスバデなお姉さん捕まえて。」
「ないすばで、ね…………じゃ、メシにするか。」
妙なことを言ってる昌を華麗に放置しつつ台所に向かう。
「……ん?」
ふと、コンロの上に少し大きめの鍋が目に入る。
蓋を開けると、予想通り中身はお粥だった。
二人分……だよなぁ、これ。
……すまん遠峯。
なんかお前には一生謝りっぱなしのような気がしてきたよ。
「はー、料理上手いんだねぇ、あの子。」
お粥を頬張りながら、感心する昌。
「そりゃあ、完璧超人ですから。」
「悪魔超人?」
「……超人しか合ってないだろそれ。」
昌のボケを受け流しつつ、せっかくだから食べながら色々と遠峯にまつわる逸話をしてやる。
昌はこれまた食べながら、頭よさそうとは思ったけどそこまでとはねー、なんてもう一度感心してみせる。
「にしても、やけに詳しいね〜。やっぱり付き合ってたりするわけ?」
茶碗が空になっても、昌は同じ話題を振ってくる。
興味津々に質問をしてくる顔は、やっぱり意地悪に笑っていた。
「バカ。有名な話だよ。どれだって同じ学校だったら嫌でも聞こえてくる話だろ。」
出来るだけ素っ気なく返事をした。
「ふーん――…、じゃあ一体どんな関係なの?
結構付き合いは長いみたいだし、女の子が一人暮らしの男のところにお見舞いに来るなんて、ただの友達じゃあないでしょ?
―――少なくとも、あっちはそうは思ってないと思うよ?」
「……………………」
疑問符の三連投。
なんでコイツはこんな痛いところばっかりついて来るんだ。
「って、なんで俺が質問攻めにあってるんだよ!飯も食い終わったんしお前の話だろ!」
「チッ、ばれたか。」
確信犯かよ。
「いやいや、あっしも女の子ですから。そういう話は気になるわけでしてー。」
「女の子ぉ?」
鼻で笑ってやろうと思ったら、
「―――そこ、笑うところと違いますよ?」
物凄い笑顔で睨まれた。
「あ、はい。ごめんなさい。じゃあ、そろそろ話してもらってもよろしいでございましょうか。」
情けない俺でした。
今時の若者が抱えてる問題なんて、だいたい男か親か金、もしくはその複合だろう。
そんな俺の予想に違わず、昌の問題ってのはどうも男絡みらしい。
内心金の問題だったらどうしようかとビクビクしてたが、もしかしたらこっちの方がよっぽど面倒かもしれないと気付く。
だって、男って……なぁ。俺にどうしろと。
「――――まあ、とどのつまり、簡単に言うと、同棲してた男に追い出された、と、いうことですな。」
あくまで軽い口調で、昌は話をまとめる。
けれど、その内容は今まで安穏と生きてきた俺にとっては結構ヘビーなものがあった。
「えー……っと。その、すまん。」
「なんで謝るのさ?」
悪いことを聞いた気がしてきて思わず謝ると、不思議そうな顔をされた。
「いや、なんか悪いこと訊いたかなって。」
お節介のつもりが、なんか出しゃばったようで申し訳ない気分だった。
それでも、昌は小さく口元を綻ばす。
「ううん。話を聞いてもらえただけでも随分すっきりしたよ。ありがと。」
あんな男にはもう未練もないしね、とあっけらかんと笑う。
「なら、いいんだけど………それじゃあ、これからどうするんだ?」
若干引っかかる部分もあるものの、話を次に進めることにした。
「そうだねぇ……、財布とか荷物とかあるから、一度はあいつの部屋に戻らなきゃならないとして、」
言って、"あいつ"を思い出してしまったのか憎々しげに眉間にしわを寄せながら、気だるそうにぼりぼりと頭を掻く。
「やっぱり、不動産屋さんのお世話にならないといけないかな。」
「そりゃあ……」
まだまだ賑やかしそうだな、とぼやく。
そう都合のいい部屋が見つかるとも限らないし、しばらくはこの部屋も狭そうだ。
「キミが迷惑なら部屋が見つかるまでホテル、って手もあるけど?」
「…………お前、金持ち。」
ていうか、ブルジョア?ブルジョアジー。ブルジョアヌー。
「へ?」
「いや、よく分からんが、ホテルとかなんかすごく高そうだ。」
今までの人生、旅行なんてほとんどせずに質素に暮らしてきたもんで。
俺みたいな貧乏人にはそんな選択しさえ浮かばなかった。
「いや、ホテルっていってもピンからキリだし。安いとこは安いよ?」
「……そんなもんなのか。」
そんなもん、と昌は頷く。
「ま、いいや。うちを使うなら勝手に使ってくれ、今更迷惑なんて言わないさ。」
だいたい、俺が協力できることっていったらそれくらいしかなさそうだし。
「……でも」
「ただし!」
昌の口から出た逆接に続く言葉をさえぎる。
「俺だって貧乏学生だからな。払うもんは払ってもらわないと。」
「え……」
わざと意地の悪い口ぶりで言ってやると、思惑通り不安そうな表情を見せる。
「ひと月五百円。それ以上はびた一文負けてやらない。
勿論、体なんかで払ってくれるなよ。そんなんで腹は膨れないからな。」
むしろ疲れるばっかりだ。
一瞬驚き、すぐに笑顔。
コロコロと表情を変えるヤツだな、なんて気付く。
「……やっぱ、キミはいい奴だ。」
今までで最大級の満面の笑みに、こっちが恥ずかしくなって目を逸らす。
「色気がないのはお互い様ってこと。ほら、契約成立か?」
横目で昌の顔を確かめて、右手を差し出す。
「うん。――――それじゃあ、もうしばらくだけお世話になります。よろしくっ!」
弾むような返事と共に、二度目の握手を交わした。
握った手はあの時のように柔らかく、今日はじんわりと温かかった。
今日はココマデ。
萌えとかカケネェヨ!
いや、ある意味萌え要素が出来つつある気がするのは俺だけか?
とにかく乙です。続き待ってますんでw
萌え〜
続き待ってますw
(・∀・)イイヨーイイヨー
じわじわ近づいてく二人がいいなぁ。
なんか見守りたくなってしまう。GJ!
ところで遠峯に萌えたのは俺だけでいい。
残念だが俺が付き合ってる
>>314 はて、それでは俺の横で寝ている遠峯は・・・うん、本物だな。
残念ながらそれはダミー人形だ。
いいや、お前のがコピーロボットだ。鼻押してみな?
どれどれ・・・(ぷにっ)
(ぷにっ、ぷにっ)
おお、むずかっている。萌え・・・
318 :
名無しさん@ピンキー:2005/04/21(木) 16:44:51 ID:qqeIVByC
残念、それは私のおいなりさんだ
うほっ、それはそれで・・・
お前いい奴だな
321 :
名無しさん@ピンキー:2005/04/21(木) 22:33:29 ID:7J+5MFT3
>317-320
テラワロスw
322 :
名無しさん@ピンキー:2005/04/24(日) 23:48:07 ID:AOdq0XWI
ワラタ。。ww
まさに、性別の壁さえ越えた純愛だな
ここって幼馴染み純愛でも良いの?
幼馴染みスレに池?
>>1にも書いてあるけど、『これが俺にとっては純愛だ』と
思うなら宜しいのでは?
326 :
名無しさん@ピンキー:2005/04/26(火) 00:09:32 ID:3927OQq1
>>324 なんでもいいんだ!
早くしないと干からびてしまう!早く!
327 :
アッケラカン:2005/04/26(火) 00:31:13 ID:kqPnpa5D
「も〜えちゃ〜〜ん」
恐竜王国
329 :
アッケラカン:2005/04/26(火) 07:52:14 ID:kqPnpa5D
恐竜惑星だよ
330 :
324:2005/04/26(火) 11:44:58 ID:x5LPLREo
頑張って書くがいつになるかは分からないし、期待もしないで下さい。
期待して待ってます
期待sage
捕手age
そろそろcat_girl ◆GkRPJL.Q4U の続きの予感!
335 :
名無しさん@ピンキー:2005/04/30(土) 00:19:41 ID:GSbusIgc
便乗age
純愛なら
アクションあって
怪奇ありで
いろいろ突っ込んでもいいなら、書いてみたいなぁ。
お願いします
純愛で、戦争っぽい奴でもいいなら書いてみたいなぁ…
純愛+戦争=もんぺ
他の書き手さんまだかなー、と思いながら投下。
///
帰り道、電車の中で、昔の夢を見た。
"彼"との間柄が、ほんの少しの間だけ『ただの先輩後輩』から『恋人』だった頃の夢。
幸せだったけれど、それは過ちだった。
忘れることは出来なくても、せめて考えないようにしていたのに。
夢だとしても思い出してしまった自分が酷く半端に思えて、あの時の自己嫌悪が甦った。
覚悟はしていた。
間違ったことなんてない。
それなのに、こんな気持が湧き上がってくるのは仕方のない事なんだろうか。
「――――っ……!」
人目が無かったら声にしてしまっただろう、苛立ちを理性で口の中にとどめる。
駄目だ、結局考え込んでしまってる自分に腹が立つ。
こうなったら一回思いっきり泣くしかないかなぁ、なんて考えていると、
夢と同じ、あの人のなっさけない笑顔が浮かんできて泣く気も失せてしまった。
どうやら彼は、泣かせてもくれないらしい。
しょうがない、と気持ちを切り替えるのと一緒にため息を吐く。
このため息も全部、あの人のせい。
今度、嫌味の一つも言ってやるとしよう。
――――祝福は、その後に。
///
「――――っくしっ!」
くしゃみで目が覚める。
これって結構レアな体験じゃあるまいか。
「ん…………」
やっぱりまだ本調子じゃないかなー、なんて思いながら辺りをうかがう。
カーテンの間から差し込む光はすでになく、どうやらもう日は暮れてしまったらしい。
話をしながら寝てしまうなんて、薬を飲み直したにしても気が抜けすぎじゃないか俺。
体の反応は鈍くて、このまま朝まで寝てたい気分だったがそういうわけにもいかない。
「おーい、昌ー?」
毛布を払いのけながら、どっかにいるであろう居候の名前を呼ぶ。
「えっ!もう起きてきちゃった!?お願いだからもう少し寝ててーっ!」
するとどこかから動揺するような返事がある。
なんだ、なんか家主に見せられないようなことでもやってるのかアイツは。
返事は……、台所から?
「あきらー?」
「あっ!ちょっ、ちょっとタンマ!こっち来ないで!」
慌てふためいて声で俺の侵入を阻もうとするも、時すでに遅し。
昌の声が俺の耳に届いたのは、もう俺が台所を覗きこんだ後だった。
ぷんと、焦げ臭いけど甘ったるい異臭が鼻につく。
「……何やってんだお前。」
「いやー、なんといいますか。感謝の気持ちというか、せめてものお礼というか…………」
ごにょごにょと語尾は段々小さくなっていき、結局照れ笑いで誤魔化す。
握られた包丁。置かれたまな板。火にくべられた鍋。
それだけ見れば、料理をしている、ってくらい一目瞭然だ。
「っていうか、これは……?」
けれど、鍋の中のものは完膚なきまでに正体不明だった。
「えーっと……、肉じゃが(仮)。」
「カッコ仮ってなんだよ!」
思わずツッコミを入れていた。
どうやったらイモと肉でこんな不思議物体が出来るんだ。
醤油色を通り越して、黒光りしてるぞコレ。
「まーまーまーまー、まだまだ仕上げはこれからですからー。」
昌に背中を押されて、台所を退場する。
どうやらまだ足掻くつもりらしい。
「はぁ……、まあここまでやっちゃったんなら気が済むまでやればいいけどさ。――ほら、鍋。煙出てるぞ。」
「え?あ、きゃー!」
「……火事だけは勘弁してくれよな。」
鍋に駆けてく昌の背中にそれだけ言って、俺はテレビでも見てることにした。
…………
……『ガッシャーン! わー!』
……ふぅ…………
…………
…………
……『ボンッ! ぎにゃー!』
…………
……ボンッ?
…………
……えーっと、
出前はどこがいいかなー。
皿や小鉢が数枚割られ、鍋は洗うのに半日はかかるんじゃあないか、ってくらい焦げ付いている。
その分、肉じゃがはなんとか、辛うじて、ぎりぎり形になっていた。
まあ、いくらなんでもさっきのはどうにもならなくて、また最初から作り直したらしいけれど。
出来栄えは決して良いとは言えないが、料理の基礎も知らないで、肉じゃがのイメージだけで作ったにしては十分だろう。
「……ていうか、勘で料理するなよ。」
「あはー」
バカみたいに笑う昌に、ため息が出る。
それでも、差し出された手の無数の切り傷に強く叱ることが出来ずにいた。
「……ちょっとしみるぞ、歯ぁ食いしばれ。」
「あ、ちょま―――、〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」
せめて思いっきり消毒液を傷口にかけてやると、目尻にうっすら涙を滲ませる。
「勘で料理するような奴には、これくらいの罰がちょうどいいんだよ。」
「うわぁ、なんかそれってサディスティックな発言だね。」
……コイツは。
消毒液をふき取ると、液で薄まった血がティッシュを薄いピンク色に染めた。
一瞬包帯か絆創膏か迷ったが、あんまり仰々しいのもなんなのでぺたぺたと絆創膏を張ってやる。
張り終わってみると、手は漫画のように絆創膏だらけ。
これはこれで大げさに見えるかもしれない。
「……台所立ち入り禁止な、オマエ。」
そのうち指切り落としそうだし。
スプラッタ苦手なんだよ俺。
「えぇー、じゃない。」
不満そうな声を上げる昌を一蹴する。
支援
「ったく……、なに張り合ってんだか。」
「――――……」
どうせ遠峯のお粥に触発されたんだろ、なんて気持ちが思わずこぼれた。
それが気に障ったのか、一変、心底機嫌が悪そうな視線をよこす。
昌はそんな表情のまま、無言で一つ肉じゃがをつまんだ。
全部自分で処理するつもりだろうか。
失言だったかもな、そう思った矢先、
「ん――――、」
唇に、なにか柔らかいものが触れた。
タバコの臭いの代わりに、咀嚼されたじゃがいもが舌と一緒に侵入してくる。
「ぅ、ん…………」
くぐもった声を聞きながら、唾液交じりのじゃがいもは舌の上を滑り、ごくり、と飲み込まれた。
「っ――――、ふぁ………………」
しかし舌はそれ以上絡んでくることなく、名残惜しそうに銀色の橋をかけて離れる。
「――――味は、どう?」
挑発的な言葉と妖艶な笑みに、不意を付かれていた俺はハッと我に帰る。
味なんか分かるか、なんて野暮な言葉をぐっと飲み込んで袖で口を拭う。
「…こういうのはなしって言わなかったか?」
二度目だからか、思考を取り戻した頭の中は冷え切っている。
それなのに、自分の声は幾分怒気を含んでいた。
「……手料理って言うのはさ、」
睨みつける視線の先で、昌はこっちが息を荒げるのも馬鹿馬鹿しくなるようなしっかりした口調で言う。
「女の子にとっては特別な意味があって、」
あくまで口調は落ち着いている。
「それは私にとっても――、きっと、あの子にとっても同じことで、」
けれど、訥々と紡がれる言葉の合間、その沈黙は縋りついてくるようだった。
「――――――ねぇ、味はどうだった?」
さっきと同じ質問。
ようやくその中の意味に気が付いて、言葉を詰まらせる。
そんなの、咄嗟に返事が出来る方が、嘘だ。
沈黙はほんの僅か。
体に圧し掛かる重たい一瞬。
その沈黙を破ったのは、本日二回目、能天気な音を響かせるチャイムだった。
多分それは、そば屋の出前持ち。
夕食の到着に逸らした視線を戻すと、昌と目が合った。
絡みつく視線を振り切って無言のまま立ち上がる。
少しの間でもこの場を離れられるのに、内心ほっとしていた。
そして、そんな意気地のない自分が嫌になる。
受け取ったそばは暖かい湯気を立てていて、凄く旨そうなのに、食欲は湧いてこなかった。
今日はココマデ
改行やらの関係で区切り方が変なことに・・・
アクションとか、怪奇ものが書ける人がうらやましい。
キテタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
稲負鳥さんの作風も十分にうらやますぃ……
俺から言わせてもらえば、こういった作品を書ける方が裏山ですよ。
稲負鳥さん、お疲れさまです。Gooooood!です。
353 :
名無しさん@ピンキー:2005/05/02(月) 00:35:31 ID:6WvYzj/T
アージュ
遠峯も昌さんも……どっちも萌えッ! GJ!
へ
356 :
337:2005/05/02(月) 22:01:10 ID:QWECcX9a
え?いいの?初心者でエロヘタレで
書 い て い い ん で す か ?
>356
そうやって人は成長していくのさ…最初から上手い奴なんて滅多にいないよ。
だが、投下する前には推敲を重ねることをお勧めする。少しでもいい作品を投下したいのならばな…
以上、名無しの独り言でした。
反対する理由はない。やりたまえ
(/ー\)
359 :
357:2005/05/02(月) 23:07:28 ID:rXrOYoC3
>356
ってか俺なんて、戦争で年上で純愛な奴を書いてるんだもん。
(・∀・)人(・∀・)
新参者同士、頑張ろうぜ…せめてこのスレの神とは言わず、路傍に咲く可憐な花のような存在でありたい。
360 :
337:2005/05/02(月) 23:16:38 ID:QWECcX9a
賛成多数か……よし民主主義に則って腰据えて頑張ってみますww
皆さんレスdクス
真性月儲だったりするので、
本当はアクションとか怪奇とか書いてみたかったりするのです。
>>337 >>357 エロヘタレっていうか俺なんてエロないしね!
俺もまともなSSはこれが初めてだったりします。
お二人ともファイトォ*:.。..。.:*・゚(n‘∀‘)η゚・*:.。..。.:*!!!☆
ていうか正直このスレ俺一人だとつらい。
因みにエロは必須ではないので
363 :
TAK:2005/05/03(火) 14:22:55 ID:/Zv3zhpj
稲負鳥さんへ
一人にさせてしまい申し訳ないです。毎回GJな作品、読ませて頂いてます。 ありがとうございます。
こちらの執筆は、呆れる程に進んでおりません。毎日書いてはみるのですが、次の日にはまた違う展開を書いてしまって…続き希望の声とかかかってないので、安心なんですが(-ω-`)
このスレの大黒柱の稲負鳥様、これからも体に気をつけ、頑張って下さい。
漏れもTAK5氏に続こうと思うのだが、なかなかエロが書けん
おそらく次スレになるがそれでもいいか?
この板の住人は短気じゃやってられんと思ふ
次スレって、ちょっとまて
前スレ使い切るのにどれくらいかかったっけ?
前スレはだいたい1年9ヶ月くらいでこのスレに移行
>>◆GkRPJL.Q4U氏
あのですね、遠峯がもし振られるようでしたらですね、
私の嫁にくださいハァハァ
>>368 (;´∀`)・・・
なんかヒロインさんより遠峯さんのほうが人気がある様子で。
んーむ。
一応、一段落着いたら遠峯さんの方も補完するつもりですが。
ていうか書いても書いても終わりが見えNEEEEEEEE!
他の書き手さんを期待しながら執筆ちう
なんなら7年ぐらい続けてくれても結構ですよ
371 :
337:2005/05/06(金) 07:46:01 ID:/eJ0Y3A3
書けそうで書けない今日この頃……わりと時間はあるのにな……
ゆっく〜り頑張って下せぇ
神降光な気配がしてきたので
保守の意味をこめて点呼とかしてみよう
ノシ<1
ノシ2
ノシ3
ノ4
ノシ5
ノシ6
新着6件あるやんと思ってスレ開くと>>373-
>>378 なんかへこんだ
ノシ7
ノシ8
381 :
名無しさん@ピンキー:2005/05/09(月) 20:13:45 ID:dM0f3b2H
ノシ9
アンド保守
それはまるで10のような出会い
そして淡雪のごとく儚げな11の願い
384 :
TAK:2005/05/09(月) 22:55:48 ID:P7gh2ExN
新雪のように、ほろ甘い12の想い
ちっさい頃のやつの続きです。
あれからどうなったかの過程も書かずにエチ〜のを書いてしまいました。
初めてエチ〜の書きましたです。再び生暖かい目で見てやってくれるとありがたいです。
では、投下させて頂きます。
385 :
TAK:2005/05/09(月) 22:56:58 ID:P7gh2ExN
午前零時。
雨宮家の二階の一室。
十代半ばの二人。
ベッド脇の淡い灯りと、カーテンの隙間からこぼれた月明かりの中で、それは
繰り広げられていた………。
「…ぁっ、ん……はぁ、んぅ……っ」
大きめのシングルベッドの上で、男は仰向けになり、上に乗った女を、力強
くも気遣いながら突き上げていた。
「…ぅんっ……んあっ…んっ……き、きちゃう……はんっ……んぁぁぁあっ!……」
その力強い動きを受け、一際大きく首を後ろに仰け反らせ、女は気を失ったかのように脱力した。
女は息を弾ませながら、絡ませていた両手をそのままに、肌の温もりを欲す
るように、倒れこむようにして男の元へ寄り添った。
「……はっぁ……はぁ……しゅうじ、くぅん……んちゅ……」
ごく自然に二人の手が離れ、息苦しいくらいに抱きしめあい、互いの熱を求めあっていた。
………と、その部屋のドアが開き、誰かが入ってきていた事など、快楽に悶えていた二人には、知る由もなかった。
「…んぅ…冬華姉ちゃん…俺、まだ……」
冬華姉ちゃんはさっきのあの一突きで達してしまったようだけど、俺はまだ達していなかった。
達したばかりの冬華姉ちゃんには酷かもしれないけど、ごめんなさい、我慢できないんです。
そう心の中で謝りつつ、俺は冬華姉ちゃんの体を起こし、そのまま覆い被さっていった。
386 :
TAK:2005/05/09(月) 23:01:09 ID:P7gh2ExN
「……ぇ…?…や、まって……んあっ、はんっ、ぁあっ…!」
冬華姉ちゃんの両手を掴み、絡ませ、握りしめた。
額から汗が流れ、顎を伝い、冬華姉ちゃんの二つの隆起の真ん中へ落ちた。
さっき達したばかりの冬華姉ちゃんの体は、ますます色っぽく甘美的になっ…
---その刹那、さわさわっと背中がくすぐられ、俺はビシッと背筋を伸ばし、危うくふっとびそうだった理性が瞬時に復活した。
復活して気付いた。
………冬華姉ちゃんの手は俺が両手とも絡ませている。
なら、誰に背中をくすぐられたのか?
……………誰かは分かっていたけど、今の俺に後ろを向く勇気はなかった。
「…はぁ……んふぅ………ぅん?……しゅうじ、くん……やめちゃ…やだぁ……っ」
いきなり止まった俺の動きに、冬華姉ちゃんが抗議の声をあげた。
387 :
TAK:2005/05/09(月) 23:03:13 ID:P7gh2ExN
すると、突然後ろの気配が動いた。俺は両肩をつかまれ、そのまま後ろに倒された。冬華姉ちゃんは俺の手にひかれ、また俺の上になった。
と、思ったら、顔の前に何かが迫ってきた。
それは……
「な、な、夏実っ!?」
………やっぱり夏実だった。
そして………何故か裸だった。
「…んちゅ…はぁ、ぅむ……ぁっ…ん……」
夏実はいきなり俺の咥内に舌を突き入れ、濃厚な唾液を流し込んできた。
俺はそれを飲み干し、夏実のキスを迎えた。
くしゃくしゃになった髪が、少しくすぐったかった。
「ちょ、ちょっと!…だめ、夏実。…………む………夏実。早くやめなさい」
夏実は、冬華姉ちゃんの声色が変わったのを感じ、すぐに離れた。
多分、冬華姉ちゃんは怒ってるけど、あれは本気じゃないことは、俺も夏実
もわかっていた。
388 :
TAK:2005/05/09(月) 23:05:53 ID:P7gh2ExN
「夏実…なんで、んあっ……んぅ、来たの……?」
時節声が甘くなるのは、まだ俺のものが冬華ねえちゃんの中で、ドクドクと波打っているからだった。
「……っ…だって…だって寂しかったんだもん……しゅうじぃ……っ」
夏実が瞳に涙を浮かべ、泣きそうな顔で冬華姉ちゃんに訴えていた。
そんな風に俺の事を想っていてくれる夏実が可愛くて、抱きしめたくなり、手を伸ばそうとし………
「…あっ……しゅうじくん……いやぁ……」
……たけど、俺はまだ冬華姉ちゃんと手を絡ませたままだったから、
俺が手を伸ばそうとした動きを冬華姉ちゃんは感じて、瞳に涙を浮かべそうな勢いで、俺の瞳を見つめてきた。
「…やめちゃ…いやぁ……」
………うわぁ、どっちもすごく可愛い、けど、どっちも抱きしめられないのが凄く悔やまれた。
だけど、抱きしめるよりも、もっと良いかもしれない案が、ひとつ浮かんだ。
389 :
TAK:2005/05/09(月) 23:08:49 ID:P7gh2ExN
「…あの…夏実……?」
おずおずと声を出し、俺は夏実を見つめた。
「…ぐすっ……しゅうじぃ…っ…な、に……?」
夏実は、捨てられそうな仔犬のような目をしていた。
「…ん〜と、俺の顔に跨ってくれる……?」
夏実は最初、言われた意味が分からないという表情をしてたけど、意味がわかると、途端に顔を真っ赤にして、不安そうに俺の目を見つめてきた。
「…大丈夫だから、安心して……」
「……うん………」
夏実は、少し安心してくれたけど、
まだ不安が残る顔で、おずおずと俺の顔に跨ってくれた。
「…んしょ……こ、これでいい……?」 「…ありがと、でも、もうちょっと腰を降ろして……?」
「…ぇ…でも……」
俺は、まだ不安がっている夏実の秘処を、ぺろっと、顔を近づけ、舐めた。
「…んぁぁっ!…し、しゅうじっ……やぁっ!…んあっ!」
そのまま俺は、夏実の秘処を、舌と唇を全部使って、責めあげた。
390 :
TAK:2005/05/09(月) 23:11:02 ID:P7gh2ExN
「…ちょっと…ん…ねぇ…しゅうじ、くん……?」
冬華姉ちゃんの声は聞こえていたけど、夏実の秘処からとめどなく溢れてくるものを飲む事に忙しくて、冬華姉ちゃんに返事をする事ができなかった。
……だって呑み込まないと息ができな…っ!?
「…ぷはっ!、んんっ!?…ち、ちょっと待って!…んはっ!冬華姉ちゃんっ!……いや、お願い…します、冬華お姉さま…っ」
俺の返事がなかった事に、かなり怒ったらしく、冬華姉ちゃんは思いきり、それはもう、思いっきり力強く俺の強張りを締め付けてきた。
「…ごめんなさい。だから、その締め付けを……ぅうっ……」
夏実もどうやら、冬華姉ちゃんがかなり怒っている事に気付いたらしく、腰をあげてくれた。だんだん締め付けが弱くなり
「……ほんと?……もう…むし、しない……?」
消え入りそうな声で、冬華姉ちゃんは聞いてきた。
391 :
TAK:2005/05/09(月) 23:12:40 ID:P7gh2ExN
「…うん、ぁふっ…しない、から……」 これ以上締め付けられたら、本当にヤバかった。いつもなら俺のを優しく包み込み、その無数のヒダヒダで気持ち良くしてくれて、俺の動きも一緒に愛してくれるような感じなのに、
今の冬華姉ちゃんの中は強く激しく、包み込み、そのまま吸い込まれそうな感じで、アレだけが気持ち良くなってしまって、俺の気持ちが伝わらない事が、嫌だった。
「…うん、ゆるしたげる……んぁぁっ!」
冬華姉ちゃんは締め付けをとき、今度は自分から積極的に腰を振ってきた。俺は冬華姉ちゃんの腰に合わせ、再び突きあげ始めた。
「…その、ごめん、夏実……ちょっと待ってて…?」
俺は冬華姉ちゃんを突きながら、夏実にそう言うと、夏実はしぶしぶと、顔から離れた。
「…わたしも、良いの…?」
首をかしげて聞いてくる小動物のような夏実は、とても可愛かった。
「…うん、いっぱいしてあげるから…ね?」
「うんっ!…ちゃーんと待ってるから、いっぱい愛してね?」
俺はたまらなくなり、夏実の頭を撫でた。それはまるで、ご主人様に忠実な仔犬のようにみえた。
392 :
TAK:2005/05/09(月) 23:14:32 ID:P7gh2ExN
「…んぁ…はぁ…んんっ…!」
雪の様に白かった肌を上気させ、長い髪を振り乱しながら、冬華姉ちゃんが俺の上で揺れる。
ツンとした胸の頂きを焦らしながらの愛撫。下から、上から、左右からと、不規則に責めたてる。
「…んぅ……ふぁっ…ぁんっ……!」
もっと奥に、という衝動のままに、冬華姉ちゃんを突き上げる。
長い髪がお腹のあたりをくすぐり、耐え難い快感に、力が抜けそうになるのをこらえ、俺は夢中になって冬華姉ちゃんを貫いた。
「…んふぁっ……ぁ、ん…にやぁっ!……な、夏実!?…やめっ……背中は、だめぇ……っ」
どうやら夏実の我慢も限界だったらしい。
「…ちゅぱっ…しゅうじ、お姉ちゃんになら、いい……?」
夏実は後ろに回って、冬華姉ちゃんの背中を責めていた。
「…う〜ん、色っぽい冬華姉ちゃんが見れるから続けて……でも、夏実にはあとでおしおきだからね?」
「うん…あっ、はい。わかりました。たっぷりおしおきしてね?」
……あ。
もしかして、夏実は確信犯ではないだろうか?
393 :
TAK:2005/05/09(月) 23:16:23 ID:P7gh2ExN
と、それはともかく。
冬華姉ちゃんは背中が弱く、責められると、猫のようになく。
もちろん触られるのもそうだけど、舐められると、軽く意識がとんでしまうほど敏感だったりする。
「…にゃあっ!……な、つみ……もう………っ」
俺もさっきの締め付けであまり長くもちそうになかったけど、どうにか持ち込たえた。
冬華姉ちゃんは…いや、夏実もだけど。快感が高まってくると無意識に、背中を責められる時と、また違って1オクターブ高い声で猫のようになくのだ。
「…しゅ…しゅうじぃ…ぁんっ…わ、たし…もう…んにやっ…い、ちゃ…ぅんぁあっ……!」
「…うん…」
「…んんっ…しゅうじぃ…わたしっ…ん、ぁぁぁぁあっ…!!」
どうにか俺より先に冬華姉ちゃんを頂きに昇らせることができた。
「…俺、も…ぅっ……ふゆかぁっ……!」
冬華姉ちゃんがそのまま後ろに倒れそうになり、俺は慌てて手を握りなおして冬華姉ちゃんを支え、そして俺の胸に抱いた。
どうやら俺の白濁液の感触を感じる間もなく、失神してしまったらしい。
ドクドクと、冬華姉ちゃんの中で震える俺の強張り。いつもより長く、そして多く出ていた。
「………ありがとう、冬華姉ちゃん………」
冬華姉ちゃんを強く、息苦しいほどに抱きしめた。
満たされた幸福感に、眠気がおそってきた。
このまま寝てしまおうか、本気でそう思った………
394 :
TAK:2005/05/09(月) 23:22:11 ID:P7gh2ExN
……………あ。
「…しゅうじぃ、いっぱいおしおきしてくれるんだよね……?」
夏実が妖艶な笑みで待っていた。
……………今日、俺は寝れるのだろうか。
こんな感じで………orz
………うわぁ、いいのか?こんな拙くて……_| ̄|○
とりあえず、感想お待ちしております。
|ω・´)良い!
>TAKさん
いいと思います。
ただ、「続きです」ってあっても分からない人もいるでしょうから、簡単にどんな設定・関係なのかあると分かりやすいと思います。
えっと、メール欄にsageって入れてくださるとありがたいです。
あとトリップって言うのは、早い話が偽者防止、本物のTAKさんと証明する記号です。
名前の後ろに#(半角英数字)をつければ、
>>369さんみたいになります。
いきなりエロシーンから入っちゃったから、このスレ的にはどんなもんかとw
あと長い文章は適当なところで改行してくれると、もっと読み易くなるよ。
でもGJだったんで…
∧∧
(,,゚Д゚) ∬ 山田く〜〜ん、TAKさんに
pく冫y,,く__) 旦 座布団五枚あげてくれ〜〜〜
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
TTTTTTTTTTTTTTTTTTT
グゥゥゥゥゥッ、ジョオオオオオブッ!
前後補完期待age
スレ的に
>>233の続きです
朝日差すダイニングにその敵――竹生が居た。慣れた手つきで朝食を作るその背中を見る
だけで桜の鼓動は早まりその頬を紅く染めた。
(今日こそ……今日こそ……)
心が身体を急かす。だが桜の身体は心が発する命令を実行することは無くその場に立ち尽
くした。
「ん?桜早く食って行かないと遅刻するぞ……って顔が紅いぞ大丈夫か?」
ダイニングの入り口に立ち尽くす桜、そんな彼女を心配して竹生は熱を測ろうと彼女の額に
手を当てた。
吐息が掛かるほどに近づく二人の顔と顔、緊張で桜の額に汗が浮かぶ、ただでさえ動悸が
激しくなっていた桜はもはや……限界だった。
「なっ……なんでもないよ。そ……それじゃ行ってきまーす。」
「おい、桜!朝飯ぐらいちゃんと食ってけ」
竹生の言葉も耳に入らず桜は玄関へと駆け出していた。その耳には竹生の声が届くことも
無く、テーブルの上では行き先を無くした朝食が寂しそうに湯気を立てていた。
3時間半後……桜は学校内の学食にいた。
目の前にはとんこつラーメンがおいしそうに湯気を立てているが桜はため息をつきながら
箸で紅しょうがをつつくばかりで一向に食べようとしなかった。
「ハァ……なにやってんだろ私……」
ため息をつくたびに気持ちが沈んでいく、朝食を食べなかったせいでおなかは空いている
がマイナス思考の泥沼に沈んでいく彼女にとってそれはどうでもいいことだった。
「よぉ!桜、げん……きじゃ無いな」
「あ……松木君」
桜が力なく顔を上げるとそこには桜と同じぐらいの歳の青年が立っていた。彼の名は
『松木貴志』 桜とは高校の頃からの腐れ縁だ。見た目には少し軽そうな印象を受けるが
桜の生い立ちを知ってなお普通に桜と普通に接している数少ない彼女の親友の一人だ。
「その様子じゃまた言えなかったみたいだな……」
「うん……また駄目だったよ」
すがりつくように貴志の顔を見上げる桜、それを見る彼もまたため息をつくしかなかった。
「そっか……まぁ、ともかくラーメン伸びちまうから早く食え。」
「そだね」
貴志は桜の向かいの席に腰を下ろし手に持った昼食のカレーセットをテーブルに置いて
食べ始めた。それを見て食欲が刺激されたのか桜はやっと麺に箸を伸ばし食べ始める
ことが出来た。
「それにしてもお前何年同じ事をしてるんだよ。とっとと言って楽になっちまえ。」
「う〜んでも……一応私たち親子だし……」
満腹になって多少は気が落ち着いたもののまだまだ桜は沈んだままだった。
「じゃあ、他に男見つけろよ。このファザコン」
「うっさい!それが出来れば苦労しないわ」
「だよな……う〜ん、桜の場合前置きが無くいきなり言おうとするから駄目なんだよ、たとえば
……映画なんかに誘って盛り上げてからさり気な〜く言うんだよ」
「そんなもんかな……」
「そんなもんだ。よし決まり、今日の帰り必ずチケットを買って竹生さんを誘え。」
「え〜今日?いきなりすぎだよ心の準備ぐらいさせてよ」
「何年心の準備してるつもりだ、今日俺の前で買えでなければ俺が許さん。」
「…………あ〜い」
貴志の真面目半分のアドバイスに桜は半信半疑なのか空返事を返すのが精一杯だった。
二人が食べ終わる頃、周囲の学生たちの姿も少しづつ減り始めて満席だった食堂内も空席が
目立つようになってきた。多くの学生たちは次の講義の場所に向かうため食器を返却口に返し、
足早に食堂を出て行った。今居る者は研究中心に学生生活を送る者、空き時間がある者、そして
自主的に休講を決めた学生がほとんどだ。
だが未だ二人はそこにいた。食べ終わり冷め切ったラーメンのスープを箸でくるくるとかき回す桜、
そんな彼女の姿をかわいいと思いつつも貴志は焦っていた。なぜならば次の講義は必修科目、
しかも学内一遅刻に厳しいと言われる物理学の梅沢の講義だからだ。いままで何人もの学生を
留年の憂き目に遭わせたとの伝説が残る学生にとっては恐怖の存在だ。
「ほら、物理学の梅沢遅れるとうるさいだからとっとと行くぞ、そして講義が終わったらチケット買い
に行くからな」
「あっ、あっ〜まってよ、まだ食器返してないんだってば」
貴志は桜の手を掴み未だラーメン丼を名残惜しそうに見つめる彼女を引きずるように食堂を後に
し、そして後には寂しそうに佇む丼と食堂のおばちゃんたちの引きつるような笑いだけが残った。
カツカツと黒板をチョークが叩く音が講堂に響く。学生たちは遅れまいと黒板に書かれた
文字をノートに書き写す。だが桜のノートは講義が始まって30分立った今も白いまま、
隣に座る貴志が心配そうに覗き込むが桜の心はここには無かった。
「ハァ……まあしょうがない……か」
貴志は小さなため息をつくといつも以上に丁寧にノートを取りはじめた。
やがて時計の針が講義の終わりを告げ学生たちの顔に安堵の表情が戻る。貴志もノートを
閉じ隣に座る桜の手を掴み立ち上がった。
「ほら、桜行くぞ!」
「えっ……もう行くの?」
「当たり前だ!時間が経ったらお前なんだかんだで行かないだろ。」
「え〜そう?」
「そうだよ!この前だって……まあいい、とにかく行くぞ」
「あっ……ちょっとまってよ」
不満の声をあげる桜だったがその足は確実に貴志のあとについていった。
とりあえずここまで……
早く書き終えようと思っていたら桜の季節おわってもーた
もともと自主映画用に書いたシナリオを膨らまして書いたものです。
まだストーリーが全然動いてませんが指摘などいただけたらありがたいです。
ファザコンとな。
>>TAK氏
エロいのは大変喜ばしい事ではあるんだけど
やっぱ、複数の絡みだと純愛って感じがしないなぁ…
荒れたらスマソ
まぁハァハァできたのでG・J!
>>404 ファザコンものって初めて見た
(・∀・)イイヨイイヨ-
期待してます
過疎スレ…
408 :
名無しさん@ピンキー:2005/05/14(土) 19:20:43 ID:87PrDAue
にはさせんぞ保守
ちょっと無理して投下。
会話のない部屋にそばをすする音がやけに空々しく響いて、食いながらもっと別のもんにしとけば良かったと後悔した。
食べ終わった昌に何か訊かれるのが怖くて、まだ熱いそばを勢いに任せて流しこむ。
「ごち、そーさまっ!」
最後にお茶を飲み干して、息もつかずに立ち上がる。
声を出すと喉がひりついた。
「……早っ」
驚いてるんだか、呆れてるんだか良く分からない呟きをこぼす昌。
見るとまだ半分も食べ終わってない。
「あー、えっと、」
立ってから、何もすることがないのに気がつく。
かといって、このままこの場に留まるのも間が持ちそうにない。
「――コンビニ…、そう、ちょっとコンビニ行ってくる。」
咄嗟の思い付きを口にすると、昌は箸を止めて俺を見上げる。
「コンビニ?」
「あー…、うん。……ちょっと買いたいものがあるんだよ。」
「……ふーん」
ちょっとつつけばすぐぼろが出る脆い嘘だったが、幸い昌は興味がなさそうな返事を返しただけで、またそばをすする。
「風呂の準備はしとくから、適当に入っててくれ。」
「ん、わかった。」
いってらっしゃい、と軽く手を振る昌。
その動作は、やっぱり今まで通りで、さっきの唇の感触が酷く現実離れしてるように思える。
手早く風呂の支度を済ませて、逃げるように部屋を出た。
結局、肉じゃがには箸をつけることが出来ずに。
「ぐあ……」
道に出ると、吹き付ける風がえらく寒い。
風邪を引いてることを今更思い出して、こんな馬鹿なのによく風邪が引けたな、なんて自嘲的な笑みが沸いてきた。
俺は馬鹿だ。その上臆病者なんだから救いようがない。
コンビニまでの道のり、一歩足を出すたび自己否定の言葉ばっかりが浮かんできて、吐き気がする。
否応無しに昔のことまで思い出してしまって、自分の女々しさまで思い知ることになる。
いやはや。
難しいね、この手の話は。
寒い冬の夜のコンビニは、いつもと同じように無機質な明かりを灯している。
とりあえずビールとつまみをプラスチックのカゴに入れてる自分に、最近飲み過ぎだな、などと苦笑した。
すぐに帰りたくなかったので、重たい気持ちを引きずりながらコンビニの品揃えを眺めて回る。
最近のコンビニっていうのは、スーパー顔負けだなぁ、なんて感心してると、ふと、"あるもの"が目に留まる。
……………………あー、うん。
そりゃあ、何日もそのままだったら気持ち悪いだろうけれど。
こういうので気が利くのも、なんか慣れてるみたいでやだなぁ。
しばらく考え込んだ後、気が付いちゃったんだからしょうがない、と諦めて、
なぜか目が行ってしまった生理用品の隣に並べてあった女性用の下着をカゴに放り込む。
……エロ本買うよりよっぽど恥ずかしいかもしれんぞ、これは。
「ただいまぁ…」
声を潜めて部屋に戻る。
結局、なかなか決心がつかずにレジに持っていくまで結構手間取ってしまったぜ。
自分の家のはずなのに、忍び込んでるみたいで妙な感覚を覚える。
浴室から水音がするのを確認すると、どっと肩の力が抜ける。
まったく、やりにくいったらありゃしないね、なんてごちりながら、
適当に見繕った着替えと一緒に、まだビニールに包まれた下着を中を見ないように浴室前の更衣室に突っ込んでおく。
「……やれやれ。」
缶ビールを袋から取り出して部屋に座ると、ようやく一息つけた。
部屋は静かで、ざあざあと浴室の水音だけが聞こえる。
――――さて、と。
ぐい、と血液にアルコールを供給して、適度に思考を鈍らす。
でないと、血が上っちまってまともに考えられそうにない。
あれは……、やっぱり、そういう意味なんだろうなぁ。
ぼんやり目の前の食卓に残された、すっかり冷めてしまった肉じゃがに目をやる。
俺だって、女性にそういう意味で迫られてるなら悪い気はしない。
そんな風に考えられるのは、少し、彼女に惹かれている証拠だろう。
なのにまだ迷ってるのは、きっと痛い目を見た学習機能のせいだ。
昔しこたま痛めた感覚を、もう一度使うのを拒んでる。――怖れてる。
頭はそんな慎重論ばっかりを唱え、体は体で勝手な答えばかり喚く。
お陰で、一番肝心な声はかき消されてしまっていた。
「……まだまだ青いなぁ、俺も。」
誰ともなく呟く。
だいぶ年食ってきたとは思っていたけれど、まだまだこれかららしい。
もう一口ビールを煽ると、ちょうど浴室のドアの開く音が聞こえてきて、自分でも驚くくらいビクッと体が震えた。
まだ結論は出てないっていうのに、それだけで頭が真っ白になってしまう。
いかん、なにびびってんだ俺。
そのまま固まってると、タオルで髪を拭きながら昌が出てくる。
変に意識しすぎて、俺は自分がどんな顔をしてるのかも分からないくらいだった。
「あ、帰ってたんだ。おかえりー。」
「お、おう。」
うわずりそうな声を抑えて返事をする。
交わされた言葉はそれだけ。
後続の言葉はなく、また沈黙が部屋に充満する。
「……ねぇ、」
そろそろこの間も辛くなってきて、テレビでもつけようかと思った頃、少し離れて座った昌が口を開いた。
「ん?どうしたー?」
心拍数が、もう一段階上がる。
落ち着け俺、ビークール!
「……なんで、女物の下着なんかがあるの?」
言って、訝しげな目で俺を見る。
というか、ほとんど睨みつけられた。
「え?いや、あれは――――」
「やっぱり、ちょくちょく女の子を連れ込んでたりとか……」
「……あー」
そうきたか。
女って生き物は想像力豊かなんだなー。
むしろなんだ、遠峯といい俺はそんなにヒモっぽく見えるのか。
って、そんなこと考えてる場合じゃないぞ俺。
「ねえ、どうなのよ?」
ずい、とさらに顔を近付けてくる。
その目は、怒っているとか軽蔑してるとかそういった風ではなく、ただ、不安そうに揺れていた。
――だから、そんな顔されると、参るっていうのに
「バカ。さっきコンビニで買ってきたんだよ。」
「あ…………」
妙な勘違いをしていたことに気付いて、昌の顔が火をつけたように赤くなる。
「そ、そうだよね!そうに決まってるよね!キミにそんな甲斐性があるわけないし!」
失礼なことを元気一杯に言って、照れ笑いで取り繕う昌。
そこに、先ほどまでの不安の色はなかった。
「……俺って信用ないのな。」
拗ねたように呟いて、大きくため息なんか吐いてみる。
「あ、ごめん!そういう意味じゃなくって……」
そんなわざとらしい動作にも律儀に慌ててみせる昌が、なんだかおかしかった。
「……ほんと、ありがとね。何から何までお世話になっちゃって。」
しみじみと言って、昌は細めた目で見上げてくる。
「ま、落ち着いたらメシでも奢ってもらおうかね。」
「りょーかい。その程度でいいのなら喜んで。」
弾むように言葉を交わして、笑いあう。
さっきまでのぎこちない雰囲気が馬鹿馬鹿しくなってくる。
ああ、良かった。
空気が、溶けていく。
今日はココマデ。
またタイトル入れるの忘れてたあああああああああAAAAAAAAaaaaaaaaaa(ry
ていうか冗長すぎますね、ごめんなさい。
話が動きません。
書きたいことが書けません。
展開力不足。
そして蝶遅筆。
精進します。
>>TAK氏
(*´д`*)ハァハァ
エロ萌ゆる。
>>前スレ695氏
楽しみにしてますヾ(゚ω゚)ノ゛
がんばってください
俺は冬の話だというのにもう夏が見えてきてますよ へっへーん
眠い…、うんこ眠い。
寝ます。
あんまり甘やかさないで、挫けない程度に厳し目な感想をくれるとためになりますです、はい。
(・∀・)キタァ!!!!!
何時もお疲れ様です。嫉妬に燃える晶タンに萌えた…
なんかもう進まなくていいです。だらだらと四半世紀ぐらい続いてサザエさん状態をきぼん
キテター
この二人のぎこちない関係(・∀・)イイ!!
なんか最近、単純にハアハアするより、作品自体を楽しんでます
おもしれぇ……
>だらだらと四半世紀ぐらい続いてサザエさん状態をきぼん
ハゲドーだぜい、GJ!
どうしてもいったんトミーズ雅の顔が浮かぶのは秘密だ
自分には偉大なるラジコンオタでありクワガタオタでもある昌さんの顔が浮かぶ
ごめん、揚げ足をとった俺が悪かった
その辺で勘弁して下さい
キニシナイキニシナイ
ところで、
>>58-70「Can't Stop Fallin' in Love 」の後編を
待っているのは俺だけであろうか?
ノ
ノシ
ノシ
429 :
57:2005/05/19(木) 23:33:34 ID:dpKhNgW6
>>425-428さん、それと今まで待ってくれたスレ住人のみなさんにまず謝罪を。
お待たせして申し訳ないです。
続きは書いています。が、まだ完成していません
終わりが見えん・・・前編のページ数は超えてるのにorz
ひたすら俺の実力不足です。
>>281で四月中には投下すると宣言したのも守れませんでした
ごめんなさい。
これ以上待たせるのも心苦しいので、分割投下を考えています
うp!うp!
431 :
57:2005/05/19(木) 23:38:23 ID:dpKhNgW6
分割投下に当たっては、
続きを3つに分け、
続き(1)を明日か明後日に投下。
続き(2)をその一週間後くらいに投下。
続き(3)はまだ未完成なので、(1)と(2)を投下している間に完成させ、投下。
予定では(2)の一週間後。
と、考えています。
前中後編で投下すればいいと思ふ
ていうかしてください
がんばれー
ノシ
ぬあ、書き込んでる間に
明日か明後日ですか全裸で待ってます
434 :
57:2005/05/19(木) 23:45:26 ID:dpKhNgW6
しかし、俺自身まとめて投下か分割投下か、どちらにしようか迷っています。
そこで、みなさんの意見を聞きたいと思います。
こういうのは本来自分で考えるものなのでしょうが、今だけ背中を押してください。
1 分割投下する
2 予定通りまとめて投下
3 てめーで考えろ
明日の夜には答えを出したいと思います。
ヒント:もう全裸
436 :
425:2005/05/19(木) 23:53:56 ID:K42LLLnB
待ってて良かった・・・・・・。
111111111111111111111111!!!!
はい24票
11111111111111111111
11111111111111111111
11111111111111111111
11111111111111111111
11111111111111111111
11111111111111111111
>>434 焦らすようなレスしてマジスマソ
個人的には細切れ投下は好きじゃないんで
できたら2でお願いします。
>>434 いままでひたすら待ってきたので
もう少しぐらい待つことなどなんてことはない
なので1と2のどちらでも可(これって3か?)
まあ神が2のほうがいいって言うんだったらそっちでもおkでつ
ということで
222222222222222222222222
はい24票
1111(ry
はい3785票wwwwwwwwwぅぇっぅぇwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
言い訳は後ほど
それでは投下。
敵を知り、己を知れば、百戦して危うからず。
というわけで、昔の偉い人の格言に従って両者のスペックを比較してみよう。
まずはターゲットの綾咲から。
綾咲優奈。二年D組出席番号21番。
身長157センチ。体重と詳しいスリーサイズは不明だが、バストサイズはCカップ
(目を合わせるだけで相手の胸の大きさがわかるという特技を持つ、
クラスメートの歩くセクハラ人間・山田からの情報。ちなみに最初、葉山に聞いたらボコられた)。
モデル級とはいかないが、スタイルも良い。
もちろんそれだけではなく、容姿は端麗の一言に尽きる。物静かなお嬢様と言った顔立ちに、
柔らかな物腰を兼ね備えており、腰まで伸ばした癖のない黒髪は清楚な彼女の雰囲気を際だたせている。
成績の方も優秀で、なおかつ運動もそれなりにこなす。特技は幼少の頃から習っているピアノ。
どこから見ても、蝶よ花よと大切に育てられた、完璧な箱入りお嬢である。
しかし外面に反し、実は短気。だがワガママ放題というわけではなく、
礼を失した相手に対する沸点が低い、というだけの話である。
例を挙げよう。その名も『昼休み案内事件』。
春の始業式に合わせて転校してきた綾咲は、一躍男子の注目の的となった。
こんな普通の学校では一生お目にかかれないようなお嬢様タイプの転校生、しかも器量よし。
男子連中が浮かれるのも無理はない。野郎どもは休み時間のたびに席を囲み、あれやこれやと
質問を途切れることなく投げかける。彼女も最初のうちは何とか笑顔で乗り切っていた。
しかし、そんな我慢がいつまでも続くはずがなく……事件は起きた。
昼休み。隣のクラスの男子生徒が、案内にかこつけて綾咲を食堂に連れてきた。
そいつは綾咲が押しに弱いと判断したらしく、いきなり携帯の番号を聞くわデートの誘うわ
おまけにスリーサイズまで聞き出そうと多重攻撃を仕掛けたらしい。
今まで積もるものがあったのだろう。
綾咲は平手打ち一発、「あなたのような人に案内して欲しくありません!」と言い放ち、その場を後にした。
殴られた当人と周囲は、呆然と見送るしかできなかったという。
この出来事が切っ掛けで、彼女は校内に並ぶ者のない有名人となった。その他にも色々事件はあるが、割愛。
このような事件を数々引き起こしたにもかかわらず、綾咲の人気は落ちることはなく、
数々の男達が果敢にも思いを告げ、砕け散っていった。
中にはサッカー部のレギュラーがチームになり、全員で告白したという噂もある。アホか。
撃破記録を打ち立てていく綾咲に、付いたあだ名が『難攻不落』『撃墜王』
『イゼルローン要塞』『鉄壁のファイアウォール』等々。
綾咲は下心ありありで近寄ってくる男どもに嫌気が差したのか、はたまた最初からそっちの素質があったのか、
クラスメートの葉山由理(女)に告白しており、現在返事待ちの状態である。
そんな超ハイスペックお嬢に相対するはこの俺、爽やかナイスガイ篠原直弥。
身長体重スリーサイズ顔面偏差値、面倒くさいので省略。まあ十人並みと考えてもらえればいい。
成績は中の下、得意スポーツはマラソン。校内自転車競争タイムアタック記録保持者にして、
校内エンゲル係数最高値記録保持者という、輝かしい二冠を達成している。
タフネスと打たれ強さを兼ね備えた、日々赤貧と戦うクール・ガイ。それが俺だ。
さぁ、果たして直弥は綾咲優奈を惚れさせることができるのか?
次回へ続くっ!
「駄目だ無理だ帰ろう」
結論は光のごとく早かった。というか、考えるまでもないし。どう見ても不可能だろ、これ。
そうと決まれば善は急げ。俺はそそくさと立ち上がり、爽やかな青空と気まぐれな雲に別れの挨拶を飛ばす。
「アデュー」
「ちょっと待たんかい」
しかし背後から恐ろしい力で肩胛骨が圧迫され、俺は動きを止めざるを得なかった。
「用意した弁当一粒残さず平らげて、一体何処に行くつもり?」
肩をがしっと掴みながら、絶対零度の表情で凄むは葉山由理嬢。
怖いっす、葉山さん。目を合わせられないっす。
「いや、食後の運動にひとっ走りしてこようかと」
「大丈夫よ。5限の体育、あんたの得意なマラソンだから。血ヘド吐くまで思う存分走りなさい。
安心した? 安心したなら、座れ」
葉山さんは、にっこりと笑いながら容赦のない命令を下した。抗う術は我が手にはない。
観念するしかないようだった。
腰を下ろす。と同時にとんでもないことを約束しちゃったなぁと、改めて後悔の念が沸いてきた。
いや、弁当に釣られたから自業自得なんだけどさ。
翌日の昼休み。俺と葉山は誰もいない美術室で昼食を取りつつ、今後の方針と対策を練っていた。
議題はもちろん、『綾咲優奈をいかにして篠原直弥に惚れさせるか』についてである。
嫌々とはいえ引き受けた以上、何もしないのは気が引ける。そんなわけで攻略の第一歩として、
様々な角度から両者を分析してみたのだが、その結果『素手で北極熊に勝つ方がまだ簡単』という、
夢も希望もない予想に終わってしまった。
「いくら対策立てようが、結果は同じような気がするけどなぁ」
すでにお手上げ状態な俺を、葉山が叱咤する。
「一度受けたんだからぐちぐち言わない。それにやる前から諦めてどうすんの。
当たって砕けろって格言もあるでしょ」
「お気楽に励ましてくれますが、粉々になるのは俺なんだぞ?」
「大丈夫よ。骨は拾ってやるから」
血も涙もない素敵な答えが返ってきた。俺の繊細なハートをなんと心得てやがりますか、こいつは。
「で、そこまで言うからには、何か対策は練ってるんだろうな?」
俺の問いに、葉山は自信を持った様子で肯く。
「昨日考えたんだけどさ。いくらあんたが男子の中で一番優奈と仲がいいとはいえ、
いきなり告白なんかしたら当然失敗するじゃない?」
当たり前である。それで成功するならこんな『綾咲優奈攻略特別会議』(たった今命名)など開かない。
今まで思いを告げた数多くの英霊たちもお空の星となっていない。
「その理由の一つとして、お互いのことあんま詳しくないってのがあると思うの。
あんた優奈の好きな食べ物とか、好みの異性のタイプとか、知ってる?」
俺は首を横に振る。
先程思い浮かべたプロフィールは、クラスメートやちょっと綾咲に興味のある人間なら簡単に耳に入るものである。
葉山がパイプになって少しは話をするといっても、あくまで俺と綾咲の関係はクラスメートであり、
それ以上ではない。彼女の住む場所や携帯電話の番号も知らないという間柄なのだ。
「だからさ、もっと会話を増やして、優奈にあんたのことを知ってもらうの。
そうすれば優奈の篠原を見る目が変わってくるかも」
まあ正当派な手段だろう。悪くない手だ。上手くいってもお友達止まりで終わりそうな気もするが、
他に方法を思いつかないのも確か。うむ、葉山もいろいろと考えているようだ。ちょっと感心。
「で、具体的な行動は?」
葉山は待ってましたとばかりに、まるで推理小説の探偵が犯人を告発するかのごとく、
ビシッと俺に指を突きつけ、
「これから毎日、放課後は優奈と帰りなさい!」
「…………………………」
前フリが長かった割には恐ろしく地味な作戦だった。
「……何というか、気の長い話だな」
というか、たかだか20分程度会話が増えたところで、あなたに向けられている恋心を
ねじ曲げるなんてできそうにないんですけど。
「千里だろうが万里だろうが、まずは一歩踏み出さなきゃ何も変わらないでしょ。
塵だって積もれば人の目に付くわよ」
「対策というよりヤケクソだな」
「い・い・か・ら! 早速今日の放課後から始めるわよ。最初は私も一緒に行ってフォローするから。わかった?」
「イエッサー」
あからさまにやる気なく返事したのだが、葉山は満足げに頷いて立ち上がった。
慣れた手付きで空の弁当箱を二つ、元通りに包む。
俺が食った分、洗って返さなくてもいいのか。アフターケアも万全だね。
と、そこで思い出したことがあったので、聞いておく。
「なぁ、お前料理の味付け昔と変わった?」
「どうして? 何かおかしかった?」
「いや、美味かったけどな。けど、味が昔と微妙に違うような気がする」
ちなみに葉山は自分で弁当を作ってきており、今回俺に用意されたものも奴の手作りである。
以前から金がないときに時々おかずを恵んでもらっているため、
葉山の味に慣れた舌は些細な変化も見逃さない。全然自慢にはならないが。
「そっか。うん、うん」
葉山は何か一人で納得していたが、突如意地の悪そうな笑みを浮かべた。何か腹に一物ありそうな、その笑顔。
「その辺は試行錯誤中だから」
毒でも混入してるんじゃないだろうな。注意しろ俺、次からアーモンドの匂いはしないか確認だ。
……待てよ。そういえば俺の好きなおかずばかり入っていたな。
気合いを入れるとは言っていたが、好きでもない男の弁当にここまでするだろうか。
怪しい。怪しすぎる。まさか、もう既に!?
「由理……恐ろしい子……!!」
「また思考が変な方向行ってない?」
冷たい目で突っ込まれるが、俺の心に芽生えた疑心はそんなことでは摘まれない。
「危うく騙されるところだったぜ。まさか俺に毒入りリンゴならぬ毒入り弁当を食わせることが目的だったとは。
だが貴様の企みは全て看破した。そのような手に引っかかる篠原直弥ではない。
自らの愚かしさを胸に刻み込み、とっとと尻尾を巻いて帰るがいい、この魔女め!」
「じゃあ明日から弁当いらないのね? お金がなくて空きっ腹抱えてても、
私はあんたに弁当恵んでやらなくていいのね? 仕方ないか、毒入りだもんね」
「犬とお呼び下さい女王様」
あっさりと屈した。コウモリもびっくりの速度で葉山の前に跪く。
「毒入りだから私の作った物は食べないんじゃなかったの?」
「毒を喰らわば皿まで、という言葉もございます女王様」
葉山が恐ろしく冷ややかな視線でひれ伏した俺を見つめる。
全身を針でつつかれるような錯覚に襲われながらも、俺は服従の姿勢を崩さない。だって餓死したくないんだもん。
やがて葉山はゆっくりと、長い、長いため息をついた。
「何でこんなの選んじゃったかなぁ……」
「苦言を呈すようですが、お決めになられたのはあなた自身です女王様」
「そういやそうだったわね。……気持ち悪いからそのポーズやめなさい。それから言葉遣いも」
「貴様が望むなら、そのようにしてやろう」
女王様のお許しがでたので起立、着席。いきなり態度を横柄モードに変えて、ふんぞり返ってみる。
「じゃ、私先に戻るから」
しかし彼女はノーリアクションだった。疲れた様子で席を立つ。ツッコミ待ちだったので少し寂しい。
いや、ボケすぎだとわかっているが。
葉山は巾着を指に引っかけてからくるりと背を向け、
「放課後、忘れないように」
そう念を押してから去っていった。
一人になると、途端に美術室は静けさに包まれる。耳に届くのは遠くから聞こえる生徒の喧噪のみ。
俺は脇にあった絵の具のチューブを手の中で転がしつつ、行儀悪く椅子に足を置いて、天井を見上げる。
「何でこうなっちまったんだか」
俺と葉山と綾咲。友人で括れる関係のはずなのに、今は各人の思惑が交差して、居心地が悪い。
しかも事の中身は恋愛が関係している。正直、こういうのは苦手だ。憂鬱な気分に浸りつつ、ため息を吐く。
ま、葉山も成果が上がらないとなれば、じきに諦めるだろ。弁当が無くなるのは痛いが仕方ない。
「わかってるさ。やるだけはやるよ」
言い訳のように呟いて、俺は放課後の戦いに備え、目を閉じた。
(中編・つづく)
452 :
57:2005/05/21(土) 19:51:34 ID:zSgpURLT
要望が多かったので1番選択。
>>439と
>>441の人すみません。
というわけで中編の1です。
元々まとめて投下を予定していたのでブツ切りなのは勘弁してください。
・・・・・・しかし盛り上がらない話だなぁorz
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
GJです!!
この淡々とした描写がよいではないか
オイラは直弥と由理の掛け合いが大好きっスよ。
前編の時に名前にふりがな打ち忘れたので書きます
別に難しい読み方しないけど、一応
篠原 直弥 (しのはら なおや)
綾咲 優奈 (あやさき ゆうな)
葉山 由理 (はやま ゆり)
では一週間後にまた。
全裸で待ってます!!
「伊藤君・・・あのね、その・・・。」
人気の無い廊下で声をかけられるのもこれで4度目だ。
「ううん、なんでもないの!それじゃ!」
「まてやコラ」
逃げ去ろうとする彼女の腕をがっしと掴む。
「ええっ!?なに?どうしたの!?」
「それは俺が聞きたいので、こういう手段を取る。」
ふんづかまえた左手を引き寄せ、右手に持った布で
彼女の口元を覆った。
「ふぐ・・・むぅ・・・。」
しばらくもがもが暴れていた彼女は、俺の腕の中でくたっとなる。
「手間かけさせやがって。」
「う・・・ん・・・」
「お、目を覚ましたか。」
「あれ、伊藤君・・・ぅ、頭が痛い・・・。」
薬品の匂いが篭る理科準備室。
「さあて、田中さん。今日と言う今日は俺に
何が言いたいのか聞かせてもらうぞ。」
「な、なに!?私なんで簀巻きにぅぐっ!?」
「よく噛んで、舐めるんだ・・・。」
「ふぁひほえ、ひがいおぉぉ(何これ、にがいよー!)」
「これは、とあるサボテンの一種なのだ。まあ・・・大丈夫だと思う。」
「ふぁーっへはひー!!!(まあ、ってなにー!?)」
暴れる彼女をしばらく押さえ込んでいると、抵抗が弱まってくる。
「ほーら、真理子ちゃん?ボクに何が言いたかったのかなー?」
「イトウ君がぁ〜、好きれすぅ〜〜・・・」
なんと!彼女は俺に好意を持っていたのか!!
「ずっとぉ、いひゃいひゃ(いちゃいちゃ)したいとかぁ〜
きふ(キス)しらいとかぁ〜、おもっれまひたぁ〜。」
学年のマドンナであり、我が憧れの君である田中真理子さんが・・・
俺とキスしたいと!!これは快挙だ!
ブラボー俺!やったぞ俺!なんかした覚えは無いんだけど!
「委細合点承知!では、いただきまーす!!」
むちゅぅ〜〜〜
苦い。とてつもなく苦い。吐きそうだ。
「ってシマッタ、まだサボテンがアーッヒャッヒャッヒャッヒャ(゚∀゚)」
「うふうふむふふふふふアーッヒャッヒャッヒャッヒャ(゚∀゚)」
ファーストキスはメスカリンの味がした。
などと言う妄想でニヤニヤする職場の昼下がり。
皆様いかがお過ごしでしょうか。
仕事休みに何書いてるんだよ!w
でもおもしろいから許す。
460の中の人ルパン飛びとか普通に出来そうだな
翌日。
「伊藤君・・・あのね、その・・・。」
またか。しかし今回はもう口ごもる理由も無いはずだが?
「なにかな?マイスゥイートハニー!」
ことさらに昨日の告白が有効であることを伝えてみる。
「いやそのね、そうじゃなくて・・・。」
なんだなんだ?どうもそわそわして落ち着かないようだが?
田中さんはごくりと唾を飲み込み、潤んだ瞳で俺を見つめている。
これはアレか?俺に何もかも捧げたいという意思表示か!?
「あのね・・・。」
「うんうん(ハァハァ)」
「薬・・・。」
「は?」
「お薬ちょうだいーッ!!ヤク!!!ヤクくれよヤクぅぅぅぅぅ!!!」
「おちつけーーーーーーーッ!!」
すぱぁんっ!!!
「ったく。昏倒したあんたを哲雄が運んできたときは何事かと思ったわよ。」
「うぅっ、ごめん真由子・・・。」
気がつくと私の教室。あのあと、伊藤君が私をここまで抱えて
連れてきてくれたらしい。
「しっかしあんにゃろう、族長からの友好の証をこんなところで使うとはね。」
「友好の証って・・・昨日言った苦いサボテン?」
「そうそう。ウチ一家がネイティブアメリカンの人たちのところに
フィールドワークに行ったときにね。哲雄が族長と意気投合して貰ったんだって。」
伊藤哲雄、真由子の双子の兄妹(姉弟?)は人文学者の家の生まれだそうだ。
伊藤家のリビングにはそういった怪しい代物が満載だと聞いている。
「うー。まさかいきなり上履きで張り倒されるとは思わなかったよー。」
即頭部に靴裏の跡がくっきり残ってる。とほほ・・・落ちないよぉ。
「その前は、クロロフォルム嗅がされて理科準備室に連れ込まれて自白剤だしねえ。」
「・・・。」
「・・・。」
「・・・。」
「あんた、なんでアレが好きなの?」
「・・・あはは・・・自由なところ・・・かな。」
「アタシ、犯罪と自由は違うと思うんだけどなぁ。」
しかし驚いたのはあのおしとやかな才媛であるところの田中真理子嬢が、
ネタで「ヤク中のまねぇ〜」をやったところだ。真由子の仕込みらしいが。
放課後、大宇宙から謎の電波を受信して体操用のマットめがけて
ルパンダイヴの練習を繰り返しながら、俺はいろいろ策を練っていた。
真理子嬢のブレーンに真由子がついていたというのは誤算だった。
というか、俺は奴と彼女が親友であると言うことすら知らなかったのである。
「これはいかん!」
がばっとマットから跳ね起きて帰り支度を整える。
「お?もういいのか?」
ロードワークから帰ってきた体操部の部長だ。
「おう、敵を知り己を知れば百戦危うからずと言うからな!」」
「??・・・よくわからんが、がんばれ。」
「ありがとよぉ〜。」
わるのりして続きを書いた。ちょっと反省している。
要するに仕事が暇なのである。
続きはまだ考えてないや・・・。
一週間後。
「ったく。アタシがなんで真理子を送らないといけないのかな。」
「ごめんねー、真由子ちゃん」
「こういうのは、彼氏の役目だろうに。」
「まだ彼氏と決まったわけじゃないよう。」
「自白剤とはいえ告白して、唾液ちゅぱちゅぱ交換するほど
ディープキスかましといて何を言うかな、このカマトト娘は!」
「うわーん!!そのことは言わないでよう〜。」
ここ一週間ほど、真理子が帰宅中に後をつけられているらしい。
追い詰められてのクソ度胸だけは据わっているものの基本的に
気の小さい真理子は、すっかり怯えきってしまい・・・
こうして私に護衛を頼んできたわけだ。
「しかし、あいつも出来立てのホヤホヤの彼女を
ほったらかしてどこをほっつき歩いているのやら。」
「まだ彼女じゃないってばぁ。・・・修行って言ってたんだよね?」
「己に勝つために出来ることをする!だってさ。口だけは回るよね。」
「・・・。」
傍らを見ると、真理子は手帳に何か書き込みをしている。
ちょっと気に入った言葉を聴くといつもこうだ。
以前見せてもらったところ・・・何気に哲雄の常用する
言い回しが数多く記録されている。
「やれやれ・・・アタシ、馬鹿みたい。」
「??」
今日は、ターゲットはボギー1(真由子)の護衛つきである。
その情報を事前に入手した俺は、今日のところは標的宅の周辺捜査で
身の安全を図ることにした。
>1人で、いつも行く標的宅でを張り込みをしていたら、勝手口から年配風の女性がでて来て、それが標的宅の女中!
>僕がボーと見ていると彼女がゴミを持ったまま収集所へ行きました。
>5分位して帰って来たので、いま捨てたのか?今行けば彼女の
>生活ゴミが見られるかもと思い僕も集積所に行きました。集積所は男女兼用です。
>ゴミ袋を開けると香水の香だけでした。失敗かと思い念のため小さいビニール服を
>開けると、ありました温もりの残るナプ!
>感激して広げると信じられない位の量の生レバーがドッサリと乗っていました、
>思わずその場でガッツポーズその場で全部口に
「やめんかど変態ぃぃぃぃぃぃぃぃぃッ!!!」
すっ飛んできた飛び膝を後ろ手で払い、勢いでくるっと半身を回転しながら
「ちぃっ、帰宅ルートが違うだろ!!寄り道はいかんぞ寄り道は!!」
「黙れ犯罪者ァ!!真理子つけ回してたのもアンタねーーーっ!?」
正中線に沿った急所に的確に叩き込まれる拳を払う払う払う払う払う払う払う払う
「ちょっ、おまっ、やめっ・・・」
「このバカチンがぁ!」
「おふぅンっ!?」
一番ヤバイ急所を脛で打たれながら昏倒する俺の目に映ったのはおろおろする
ターゲット、真理子嬢。
「今日は・・・縞パンかっ・・・・・・!!」
「死ね!!」
俺は、意識を失った。
「引用部分は読者向けのネタだからな。アレはただの生ゴミだぞ。」
意識を取り戻すなり一応釈明してみた。・・・あれ。誰もいねーや。
自分が、以前真理子嬢にやらかしたように簀巻きになっているのはわかる。
ただ、暗くて何も見えないのはいささか不便だ。
「とりあえず元ネタについては汚物入れ 生レバー ガッツポーズあたりでググ・・・」
「うるさい黙れ」「はい」
とりあえず釈明を続けようとしたら、真由子の声でさえぎられた。
「あーんーたーはー!!スレタイくらい見なさいよ!ここ何スレ!?」
「楽屋ネタは読者に引かれると思あだだだだ!?」
どうやら足だけは外部に露出しているらしい。足の甲を思いっきりつねり上げられた。
「じ、純愛スレっす。」
「なら純愛貫けやこのタコ野郎ーッ!!」
「ギブ、ギブ、ギブーーーーーー!!!」
アキレス腱固めはヤバイ、マジヤバイ!
「真由子よ!相手のことをもっと深く知りたいと考えるのも純愛と考えるがいかに!」
「そこでストーカー行為ですよ旦那ァ・・・とでも言うと思ったのかこの阿呆がー!!
そこぉ!真理子もメモ取ってんじゃないわよ!!」
「ギャーーーー!!」
針は、針はやぁめぇてぇ〜〜〜〜〜
「で?」
ひとしきり俺のぷりちーな足を嬲って満足したのか、今のところ俺は
光の下にいる。相変わらず簀巻きにされたままではあるが。
「うむ。マイハニーがおまいと親友であったと言う事実すら知らなかった
俺はいたくショックを受けてだな。」
「それでストーカー行為に頭がすっ飛ぶあたりがあんたよねえ。」
「まあな・・・そこでこの一週間、マイハニーの生活に密着取材を
敢行したわけなのだよ。」
「か、帰り道だけじゃなかったんですね。」
「で、あるからしてこの部屋が純和風のスーパーお屋敷・田中邸の離れに
ある茶室であることくらいもわかるわけなのだ。」
「す、すごいです!」
「そこ、感心するところじゃないよ。」
真由子がげんなりした声を出した。
「だいたい、家の間取りなんか調べてどうする気?」
「うむ。ミソはそこでだな。しがない3流大学教授のわが家と地元に知られた
旧家である田中家の娘・・・と来れば鬼のようなおじい様に結婚を
反対されるのは疑いようも無いわけでだな。」
「結婚!」
真理子さんがぼぼっと紅くなる。うは、かわいいな。
「日本刀を構えて迫り来る爺さんから確実に逃れるための逃走経路は
バッチリと確保済みなんだな!これが!!」
「頭痛い・・・」
そこで茶室の障子ががらすぱーんと音を立てて開き、当のおじい様が現れて
「気に入ったァ!!その若さにして凄まじい行動力!調査技能!
入念な下調べに孫に対する行き過ぎた心遣い!その全てが真の漢!
真理子の婿に相応しい資質じゃァ!!」
「お褒めに預かり恐悦至極!!」
などと言うものだから、さらに真由子の頭痛の種が増えたわけなんだなあ。これが。
退社時刻が来たので帰宅します。
我ながら文章がすっ飛びまくってムチャクチャではありますが、
そこはそれ つまらないライトノベルを読むかのごとく
スラップスティックに怒涛のごとくすぽーんと読んで
(´ω`)モフー
としていただけると助かるかと。
以上、不良シスアドのお目汚しですた。
神の行進に混じって邪神まで登場か
楽しくなりそうだ(・∀・)ニヤニヤの意を込めてGJ
邪神乙 コンゴトモヨロシク
(´ω`)モフー
ミジャグジ様
476 :
458:2005/05/24(火) 08:47:59 ID:M3+785+S
邪神扱いかよっ!!(つД`)
邪神はこの場合駄目なSS書きという意味ではない
ものすごく読みにくいが磨けば光るぞ!!
ガンガレ!
つまり原石ってことだなw
>>477がいいこと言った!
漏れもそう感じたぞ。
でもひとつ問題蟻。これって純愛か?w
480 :
TAK:2005/05/24(火) 20:53:51 ID:d1cDCeeu
皆様、レスが大変遅れてしまいすいませんでした。
改めて自分の作品を見直して、やはりこれは純愛ではなく、ハ〜レム系だなと思いまして………。
稲負鳥様をはじめとしたこのスレの神様へ、これからも作品造り頑張ってください。
今まで自分の稚拙な作品を評価してくださった方々へ、ありがとうございました。
純愛とハーレムは両立しうるのかをここで追求してください
頼みます
つーかTAK5氏の技量ならできる!!
>>TAKさん
別にここでもいいと思うよ。
不意打ち投下
授業終了のチャイムが鳴り、やってきた放課後。
ざわめきに包まれた教室を抜け出し、誰よりも早く自転車置き場へ直行し、愛車に跨る。
ここからは校門が見通せるので、行動を起こさず待機し、ターゲットが出現するのをじっと息を潜めて待ち伏せる。
こうしていると第三者からはストーカーか誘拐犯に見えるかもしれないと思ったが、
悲しいのでそれ以上は考えないことにした。
やがて校舎が帰宅部中心の下校組第一陣を吐き出す。
皆後ろ姿だが、その中には見慣れたしっぽ頭と腰まである長い黒髪もあった。
特徴的な髪型の友人を持つと判別の手間が省けて便利だ。
二人が校門から消えるのを見計らって、作戦開始。
俺は軽快に自転車をこぎ、門を抜け、あっさりと葉山達の横に付けた。二人はブレーキの音に揃って顔を向ける。
「よ、もう帰りか? 早いな」
表情、声色共にこれ以上無いってぐらい自然を装えている。
我ながらほれぼれする完璧な演技だ。自分で自分を誉めてあげたい。
「はい。今日は由理さんの部活がないですし、掃除当番でもないので」
そうにこやかに返したのは綾咲の方である。
葉山はというと綾咲の目が届かないのをいいことに、にやにやと意地悪く笑みを浮かべている。面白がってやがるな、こいつ。
まぁいい、今の俺は自分に課せられた任務をこなす一兵士。いわば現代のターミネーター。
上官がどんな表情をしていようが関係ない。与えられた役割をこなすだけだ。
「そうか。それじゃあまた明日な」
別れの挨拶を告げ、俺は愛車・グローバルスタンダード号(和名・世界標準丸)の ペダルを踏み込む。
行け、グローバルスタンダード号! 輝く未来へ向かって!
「待たんかいコラ」
突如左方向から加えられた運動エネルギーによって、俺と相棒はド派手な音をさせながら、
翼をもがれた鳥のごとく地面に引き落とされた。
全身を揺さぶる激しいシェイクが終わると、景色は一転、晴れやかな午後三時の空に。隣では車輪がからからと空転している。
あぁ、今日も世界は平和だなぁ。
この平和がいつまでも続くといいなぁ(意訳・自転車に乗っている人間を蹴倒すのはやめてください)。
「し・の・は・ら〜〜〜〜」
が、平穏な時は仮りそめのものだった。視界に映ったのは憤怒の色を纏わせた一人の少女。
鬼だ。鬼がおられる。彼女の怒りを鎮められるなら出家してもいい、そう思えるほど恐ろしい顔をしていた。
葉山は俺の襟首をひっ掴むと、
「ひ・る・に・言・っ・た・こ・と・わ・す・れ・た・の?」
言葉の句切りに合わせて前後上下左右に激しく揺さぶった。
ゲームセンターのジョイスティックでもこんなアクロバットな動きはしない。
つーか首が絞まって……やばい……死ぬ……。
必死で葉山の手を叩きギブアップの意を示すと、ようやく俺は解放された。
慌てて息を吸い込み、勢い余って咳き込む。二、三度深呼吸すると、ようやく呼吸が正常に戻った。
しかしまだ終わっちゃいない。今まさにそこにある危機。葉山さんがすごく怖い目をして僕を見ておられます。
「それで、どういうつもりよ?」
尻餅をついた状態の俺に目線を合わせながら、綾咲には聞こえぬよう声量を絞って問いかける葉山。
俺は彼女から目を逸らしつつ、ちょっと顔を赤らめて、同じように小声で答えた。
「一緒に帰って友達に噂とかされると恥ずかしいし……」
「どこの乙女だあんたは」
葉山は更に眼光鋭く俺を見据える。しかし真実は言えない。
勢いでボケてみましたなんて告白したら、死亡診断書が作成されてしまう。
『篠原直也 死因・自業自得』
嫌すぎる。反省してます神様助けて。
「あのう」
一方的に激しい火花が飛び散る空間に、置いてきぼりになっていた綾咲が控えめに割って入ってきた。
いつもの光景と思っているのか、戸惑いの色はなく、無理に俺達を止める様子もない。
しかしそれで充分。葉山は綾咲に感情の矛先を向けるわけにもいかず、毒気を抜かれてしまっている。
ふっ、勝った。ふぬけた葉山相手ならこの状況をうやむやにする事などたやすい。
勝利の女神は俺に微笑んだ。ありがとう、女神綾咲。
「あー、どうしたの、優奈」
葉山が決まり悪そうに頭を掻きながら立ち上がる。しかし綾咲は答えず、ゆっくりと俺達を見比べると、ポンと手を打った。
「わかりました。由理さんは篠原くんと一緒に帰りたいのですね?」
『はぁ?』
とんでもない発言に、俺と葉山がシンクロした。
一体どうしたらそんな珍解答が弾き出されるんだと一瞬思ったが、改めて回想すると葉山の行動は確かにそういう風にも取れる。
あながち的はずれな勘違いでもない。となると、これを利用しない手はない。
「あのね、そんなわけ」
「実はそうなんだ。どうやら葉山は三人で帰りたくて仕方がないらしい」
否定の言葉を遮られ、葉山が殺意のこもった眼差しを向けてくるが、気にしない。
「やっぱり。由理さんも早く仰ってくださればよかったのに。それでは三人一緒に帰りましょうか」
「ああ、そうするか。ところで葉山、さっき何か言いかけたか?」
「……別に何でもないわよ」
明らかに葉山は不服そうだった。その顔が『あんた後で覚えてなさいよ』と語っていたが、勝者の余裕で受け流す。
そして転がったままの自転車を起こし、三人肩を並べて歩き始めた。
冬空の下、三種類の靴音と車輪の奏でる金属音が響く。
自転車通学の定で、俺には友人と共に帰路についた経験は少ない。
毎日通る道に別の移動手段を使うというのは、新鮮でもあり妙な気分でもあった。
入学したての新入生に戻ったような錯覚を感じながらハンドルを押していると、視界の隅に何か引っ掛かった。
チラリと視線をやると、葉山が綾咲の死角から何やらジェスチャーを送ってきている。
なになに、『優奈に話しかけなさい』?
おお、そういえばそうだった。すっかり当初の目的を忘れていた。
よかろう、世が世なら一大ハーレムを築いたと言われるこの俺の話術、しかと拝聴するがいい!
「えーと、今日はいい天気だな」
「そうですね」
会話終了。
「……………………」
葉山がすごい目で俺を睨んでいた。
まずい。この結果では監督はお気に召さないらしい(当たり前だが)。慌てて俺はサインを送る。
『待て、もう一度チャンスをくれ。俺はスロースターターなんだ。次は成功させる』
深呼吸一つして、肚を決める。用意は万全。よし、振り向かない若さと躊躇わない愛を胸に、再度出陣!
「明日も晴れるかな?」
「天気予報では、しばらく雨の予定はないそうですよ」
「そうか。それはよかった」
篠原直弥の楽々1分口説ッキング・完。
「……………………………………」
葉山が般若のような目で俺を見ていた。
えーと、これはまずい事態ではないのですか? だが俺の力量ではこれが精一杯なのだ。
今まで恋愛とは無縁の人生を歩んできた男に、多くを期待してもらっても困る。
人選ミスだ。俺に責任はない。しかしそう主張しても、鬼監督は許してくれない。それどころか、
『今度まともな話をしなかったら命はないと思いなさい』
下される最終告知。あの表情は本気だ、間違いない。奴はやると言ったらやる女だ。
もう失敗は許されない。ゆっくりと息を吐きながら、心臓の鼓動を落ち着ける。
熱をもっていた頭が冬の空気で冷やされ、思考が研ぎすまされていく。
目標、綾咲優奈。成功確率1%未満のミッション。失敗すれば命はない。
へへっ、俺もとことん馬鹿な野郎だぜ。崖っぷちに立ってるっていうのに、笑いがこみ上げてきやがる……。
戦場の兵士を気取りながら、話しかけるタイミングを待つ。
3・2・1・ここだ!
「あの、篠原くん」
思いっきり肩すかしを食って、俺は前へ倒れ込みそうになった。が、踏ん張って耐える。
せっかく向こうから切っ掛けをくれたのだ。これを生かさなければ。
「な、何かなレディー。我輩に聞きたいことでもあるのカイ?」
しかしさっきまでの冷静さは星の彼方へ吹き飛んでいた。駄目だ俺。これじゃあ完璧に動揺しているのがバレバレだ。
「篠原くんっていつも自転車通学なんですか?」
だが綾咲は気にした風もなく続けてくる。これが葉山なら即座にツッコミが入るところだ。なかなか大物なのかもしれない。
俺は自然に自然にと己に言い聞かせながら、
「ああ。中学の頃からずっと。ほとんど毎日これだな」
と言いながら、自転車のサドルを叩く。
十年の月日を歩んできた俺の相棒・グローバルスタンダード号。安物のママチャリだが、そのスペックは侮れない。
なにせ俺の無茶な走行に今なお耐え抜き、時に電信柱に直撃してもフレーム一つ歪まないスーパー自転車だ。
雨の日も風の日も雪の日もこいつと苦楽を共にしてきた。もはや一心同体と言っても差し支えない。
「綾咲は? 歩きってことは家はそんなに遠くないんだな」
「はい。雪ヶ丘の方ですよ」
雪ヶ丘。古くからある高級住宅街である。今にも倒壊しそうな木造ボロアパートに住んでいる俺にはきっと一生縁のない場所だ。
そんな寂しい現実を噛みしめている俺の背中を軽く押す手があった。
「篠原も途中まで一緒でしょ。じゃ、私はこれで」
「ちょぉっと待ったー!」
いきなり別の道へ去りかけた葉山を慌てて引き留める。綾咲と距離を取り、彼女に聞こえぬよう小声で葉山に詰問を始める。
「お前、どういうつもりだ! フォローするんじゃなかったのか!?」
「だって私こっちだし」
と、二又に分かれた道を指さす。確かにこいつの家はここで曲がった方が早く着くが。
「だからといってさっさと帰ることはないだろう。今日くらい最後まで付き合え」
「駄目だって。いつもこの道で別れてるんだから、優奈が怪しむでしょ。それじゃ、頑張って。健闘を祈っておくから」
「こら待……」
「優奈ー、また明日ねー」
「はい、また明日」
制止虚しく葉山は勝手に別れの挨拶を交わすと、軽快なステップで角の向こうへ消えていった。
呆然と立ちつくす俺。南極に置き去りにされた犬の気持ちが分かったような気がした。
やるせない孤独感を胸の内いっぱいに抱えながら、のろのろとした足取りで綾咲の元へ戻る。
「何のお話をされてたんですか?」
「つまんねー話だよ」
にこにこと脳天気に問う綾咲に、俺は全身に漂う疲労感を隠そうともせず答えた。
「気になります」
綾咲がちょっと不満顔になる。
「子供は知らなくてもよろしい」
「私達同級生ですけど」
「いや、隠す必要もないんだけどな。今日英語の時間寝ちまったから、ノートを貸してくれって交渉してただけ」
「そうなんですか」
綾咲はあっさり納得した。ふっ、甘いな。俺がノートを他人に借りてまで勉強する男だと思っているとは。
無意味に勝ち誇りながら、一人減った帰路を歩む。葉山というパイプがいなくなったせいか、互いの口は開かれない。
監視の目が無くなったので無理に親睦を深めなくてもいいのだが、この空気は居心地が悪い。
ある程度親しい友人相手なら無言の空間も気にはならないのだが、俺と綾咲はまだそこまでの関係ではない。
雰囲気を改善するため何か話そうとするものの、女子が喜びそうな話題などストックしていない。
仕方ない、次善の策だ。先程の話を続けよう。
「しかし雪ヶ丘に住んでるのか。でかい家なんだろうな」
「一軒家ですから結構大きいですよ。おばあさまが生まれた育った家で、お母様も嫁ぐまでは住んでいたそうです」
なるほど、綾咲がどうして引っ越し先にこの土地を選んだのか不思議だったが、祖母の生家があったのか。
「でもあまり利点もありませんよ。一人で住んでますから、部屋が多くても使いませんし。逆に広々としすぎて、夜は少し怖いです」
一人暮らしとは初耳だった。
そしてそんなことをあっさり他人に話してしまう綾咲に不安を覚えて、柄にもなく忠告してみる。
「俺が言うのも何だが、女の子が一人で暮らすってのは危なくないか?」
「あ、篠原くんも一人暮らしでしたね。大丈夫ですよ。信頼できる人にしか話してませんし」
俺もその中に入っているらしい。無防備に人を信じすぎてるぞ。まったく、これだからお嬢は。
「そういうことじゃなくてだな。現代日本は物騒だろ。泥棒とかストーカーとか。やっぱり誰か家族に来てもらった方がいい」
「もしかして心配してくれてます?」
綾咲が俺の瞳を覗き込むようにして聞いてくる。俺は身体を引き、あさっての方を向きながら曖昧な返事をした。
「まぁ、ダンディーな英国紳士で男気溢れるジェントルメンな俺としては、クラスメートの身を案じていなくもない」
曖昧というよりわけがわからなかった。
綾咲はしばらく俺から視線を外さなかったが、やがて「そうだ!」と手を打った。何か名案を思いついたらしい。
「じゃあこういうのはどうでしょう。篠原くんが家に来てボディーガードをする、というのは。それなら怖いものなしです」
な、なななな何を仰りやがりますでございますか、この娘は。
ボディーガードということは24時間警備員で必然的に一つ屋根の下。
若い男と! 若い女が! 一つ屋根の下! 心にダムはあるけど決壊寸前だ!
いかん落ち着け俺。動揺を静めるため素数を数えるのだ。駄目だ自分の思考さえコントロールできん。
とりあえず何か言ってやろうと思って綾咲を見てみると、彼女は必死で笑いをこらえている表情をしていた。
頭が冷却液に浸されたように冷えていく。
「お前な……タチの悪い冗談はやめい」
「ばれました?」
ペロリと小さく舌を出しておどける綾咲。俺は一気に体力を消耗して、肺の空気を空にするように大きく息を吐いた。
まさか綾咲にからかわれるとは。不覚。
「俺が真に受けて家まで押し掛けてきたらどうするつもりだったんだ」
「お茶とクッキーをお出しします」
「……………………」
完敗。心にたっぷり敗北感が塗り込められる。こいつがこんな口達者とは知らなかったぞ。
屈辱の二文字を胸に、肩を落として自転車を押す。一方姫はご満悦のご様子。ちくしょう今に見てやがれ。
とりあえず復讐の第一歩として呪いの言葉を吐いていると、先行していた綾咲が急に振り返った。
育ちの良さを伺わせる動作で、丁寧に頭を下げる。
「茶化してごめんなさい。それと、心配してくれてありがとうございます」
満面の笑みで言われると、こちらも毒気を抜かれてしまう。仕返してやろうという気が見事に霧散してしまった。
この卑怯者め。仕方ない、今回は見逃してやろう。
……いや、決して笑顔に騙されたわけじゃないよ? って、誰に言い訳してるんだ、俺。
何だかよくわからないが墓穴を掘りそうだったので、誤魔化すように足を早める。
綾咲はそんな俺を気にした様子もなく、微笑みを崩さぬまま横に並び、告げた。
「安心してください。完全に一人きりって訳じゃありませんから」
投げ掛けられた彼女の言葉に疑問符を浮かべる。
「どういうことだ?」
「やっぱり部屋が多いとお掃除とかは大変なのでお手伝いさんを雇っているんですけど、
時々その方達が泊まっていってくれますので」
お手伝いさん、ときたもんだ。
「おばあさまが屋敷を管理していたときから働いてもらっている人達なので、とてもよくしてくれてるんです。
おばあさまのお茶のみ友達だったらしくて、話を聞いてたら全然退屈しませんよ」
なるほど、年寄りの相手が苦痛でなければ気楽な環境だろう。友人の孫となれば小言や説教もなさそうだし。
しかしお手伝いさんか。そんなもの俺はテレビのミステリードラマでしかお目にかかったことがないぞ。
一体何を見たというのだお手伝いさん。
どうしていつも殺人事件現場に居合わせるのだお手伝いさん。
何故警察にもわからない犯人を言い当てられるのだお手伝いさん。
……思考がちょっとずれてきた。ニュートラルに戻そう。
「そんな人までいるとは。さすがはお嬢、格が違うな」
思わず感嘆の息が漏れる。俺のような貧乏人には一生縁のない話だ。
「卒業してもし俺が職に困ってたら是非とも雇ってくれ。そのときはお嬢様とお呼びしよう。……って、あれ?」
さっきまで横にいた綾咲がいない。はてどこに行ったのやらと首を傾げていると、
「篠原くん」
背後から声が投げ掛けられた。振り向くと、いつの間にか綾咲は数歩後ろの分岐点で立ち止まっている。
そういえば雪ヶ丘組とはここでお別れだったな。
「ああ、俺はこっちだから。それじゃあまたな、綾咲」
手をひらひらと振るものの、彼女は挨拶を返してこない。挑むような視線でこちらを見つめている。
「どうした?」
怪訝に思って声を掛けると、綾咲は表情を笑顔に変え、ゆっくりとした動きで俺の正面にやってきた。
そして。
「えい」
………………………………………………………………。
「あの、綾咲さん?」
「はぁい、何でしょう?」
「もしかして怒ってらっしゃいます?」
「いいえ。私、怒ってなんかいませんよ」
嘘だ。絶対嘘だ。だって顔は笑っているけど、目が全然笑っていない。
それに全身から殺気が放たれている気がするんですけど。
しかし俺の顔面が引きつっている理由はそれだけではない。
一番の問題は、綾咲が舞踏会のダンスに失敗したお姫様のような体勢になっていることである。つまり。
「ではどうして俺の足を思いっきり踏んでいるんですか?」
「さあ、どうしてでしょう? 自分でお考えくださいな」
にこにこと微笑みながら無情なセリフを放ち、綾咲は更につま先に体重を掛けた。
正直に言うと、かなり痛い。が、口答えはできない。
何故なら綾咲さんがとても怖いからです、はい。生物としての本能が今の彼女に逆らうなと告げています。
「俺、何かまずいこと言った?」
「心当たりありません?」
残念だが無かった。額に汗を浮かべながら首を横に振ると、彼女は重心をつま先から踵へと移行。
ひぃ、お慈悲を! という俺の願いも虚しく、
「えい。ぐりぐり」
綾咲の靴が縦横無尽に俺の足の上を蹂躙する。
綾咲が怒りを振りまいているのは転校初期よく目にしたが、感情を露わにするわかりやすい形だった。
だからこんな風に静かに怒る姿は見慣れていない分だけ恐怖が増す。しかも今回の矛先は俺。
身も凍るような恐怖に逃げ出したいのだが、そういうわけにもいかない。
今ここで綾咲の機嫌を直さず放置してしまうと、明日からこの状態の彼女と下校を共にすることになってしまう。
考えただけで寿命が縮まりそうだった。ここは手っ取り早く謝罪して窮地を脱せねば。
しかし何に対して謝ったものやら。肝心の綾咲が怒っている原因が意味不明なのだ。
迂闊に『何故怒っているんだい、子猫ちゃん。俺に理由を話してみなベイビー』とか聞くと、更なる攻撃が待っているだろう。
問えば攻撃、問わなければこの苦痛が継続。
八方塞がりかっ!?
いや挫けるな思考を止めるな俺。ここはヒーローらしく一発逆転のアイデアを浮かべねば。
俺はいつもの倍以上頭を回転させ、打開策を探しに探し、そして導き出されたひとつの選択肢が!
「ごめんなさい」
とりあえず謝ってみた。
何の解決にも至りそうにない、その場しのぎの選択だった。
駄目だ。俺は所詮凡人、ヒーローの器ではない。
「はい。よくできました」
しかし綾咲はあっさりと足をどけた。予想外の行動に呆気にとられてしまう。そんな俺を彼女は不満そうに見上げてくる。
「篠原くん、言うのが遅いです。もう少し早く謝ってくださると思ってました。
いつまで踏んづけていればいいのかちょっと不安になりましたよ」
俺は何と答えていいのかわからず、ただ呆然としていた。こうも簡単に綾咲が矛を収めたことに得心がいかない。
「えっと……そんなんでいいの?」
呆けた口調で尋ねる俺に、綾咲は朗らかに頷いて見せた。
「はい。あれはどちらかというと私の意地みたいなものだったので」
「意地?」
ますます頭がこんがらがってきた。綾咲はいたずらっぽく笑うと、
「篠原くんにはわからないと思いますよ。でも教えてあげません。
だから足を踏まれたのは、犬に噛まれたとでも思っててください」
「は?」
「私にだって譲れないものはありますから」
柔らかなのに強さを感じさせる、そんな意志のこもった声だった。そして一礼。
「それではまた明日、学校で」
「……あ、ああ、また明日」
操り人形のようにカクカクと手を左右に動かす俺に小さく手を振り返すと、綾咲は長い髪を翻した。
その姿が完全に視界から消えるまで見送ってから、俺は大きく嘆息する。
「何だったんだ、一体……」
つーか、わけわかんねぇ。
「まぁあんたじゃわかんないだろうねぇ」
「人を超鈍感の朴念仁みたく言うな」
「違うの?」
「俺はかつてエスパーの疑いが掛けられたほど他人の心の機微に聡い男だぞ。……ってうおっ!」
いつの間にか背後には俺を置き去りにした無情女が居た。
民家のブロック塀にもたれかかりながら、呆れたような瞳でこちらを見やる。
「エスパーのくせに気づくの遅すぎ」
「貴様、一体いつからそこに?」
「割と最初の方から。実は帰らないでこっそり様子を窺ってたし」
いつからストーカーになりやがった、この女。っていうか見てたなら足踏まれてたときに助けろよ。
「何で途中で抜けやがったんだ。こっちは大変だったんだぞ?」
「あんたが一人でちゃんと優奈と会話できるか試してみたのよ。なかなかどうして、上出来じゃない。
でもあんまり優奈を怒らせないでよ。あの娘、へそ曲げると長いんだから」
葉山の言葉に肩をすくめる。俺だってわざと怒らせたわけじゃない。
「わかってるよ。原因もだいたい察しが付いたしな」
渦中では全面から襲いかかるプレッシャーのため思い当たらなかったが、前後の会話を思い出せばすぐに見当は付く。
恐らくお嬢呼ばわりがいけなかったのだ。
確かに綾咲はいいトコのお嬢様なのだが、面と向かって言われると馬鹿にされたように感じるのだろう。
俺だって他人に『貧乏』と呼ばれたらいい気はしない。
「過ちは繰り返さないが今週のキャッチフレーズだ。二度と綾咲を『お嬢』と呼ばないと誓おうっ……て、あれ?」
しかしよくよく記憶を再検証してみると、俺以前から結構お嬢お嬢言ってたな。
なのに綾咲があれ程怒ったことなんか無いぞ?
あれ? 解決どころかますます謎が深まってしまったぞ。
「やっぱりわかってないじゃない。ま、篠原だし。仕方ないか」
諦観気味に葉山が漏らす。馬鹿にされてるようにしか聞こえないのは俺の被害妄想だろうか。
「お前にはわかるってのか?」
訝しげに問うた俺に、葉山は得意げに胸を張る。
「女の子ですから」
衝撃発言だった。まさか葉山の口からこんな乙女チックワードが飛び出すとは。
俺はふらつきそうになる身体をどうにか二本の足で支え、額の汗を拭う。
「ついに悪魔が覚醒してしまったか……」
「ふふふ。すごく馬鹿にされてるようにしか聞こえないんだけど。殴っていい?」
「全身全霊で気のせいだ。だからその振り上げた拳を下ろしなさい」
誠意のこもった説得の甲斐あって、両者の間に武力抗争は起こらなかった。よかった、人類の平和は保たれた。
一触即発の空気から解放されて、安堵の息を吐く。
「それで、綾咲が怒った理由って何なんだ?」
冷や汗が引いたところで、改めて葉山に尋ねる。
原因がわからなければ再び地雷を踏んでしまう可能性がある。是非とも起爆スイッチの在処は知っておきたい。
しかし葉山はにやにや笑みを浮かべるだけだった。
「……おい」
「さあ、どうしてでしょう? 自分でお考えくださいな」
果てしなく似合わなかった。
同じセリフなのに口にする人間が違うだけで、こうも受ける印象が変わるとは。ちょっと殺意まで湧いてきたぞ。
「お前な……、人が真面目に聞いてるというのに」
手をわなわなと震えさせる俺。だが葉山は平然と俺の怒りを受け流し、あまつさえ涼しい顔して髪留めの位置を直している。
「うーん、こういうのって第三者が喋っていいものじゃないと思うし」
「誰が第三者だ! 面倒に巻き込んだのはお前だろうが!」
「うわ。責任転嫁は格好悪いよ、篠原」
駄目だこいつ。もう完全に他人事にしてやがる。
俺はがっくりと膝をつき、こんな星の元に生まれた運命を呪った。
おお神よ、私が一体何をしたというのです。
悪事なんて今まで一度も…………えっと……たまにしか…………時々………………よく……………………。
神様、この話はなかったことに。
「どうしたのー? おなかでも痛い?」
因果応報の実在を真剣に検討していると、脳天気な声と共に葉山が傍にしゃがみ、こちらを伺ってくる。
態度こそ友の身を案じる心優しい女学生だが、その口調は恐ろしく適当だ。
「うるせー。教えるつもりが無いならとっとと帰りやがれ、この75点」
「その75点って何?」
不思議そうな表情の葉山に、丁寧に説明してやる。
「今日の弁当の評価だ。マイナスポイントは卵焼きが少し焦げてたのと、全体的に味付けが甘い。
もうちょっとがんばりましょう。いちじゅうまる」
食を極めし者の解説に葉山は感心したらしく、ぱちぱちと拍手を送ってきた。
「あんたって普段貧しい食生活の割に味には鋭いわね」
「ふはは。誉めよ称えよ。崇めよ祀れよ。ついでに同情したなら金をくれ」
「それじゃ、言われたとおり退散することにするわ」
葉山が立ち上がる。慎ましやかなボーナス要求は綺麗にスルーされた。
「お弁当はこれからどんどん美味しくなっていくと思うから、長い目で見ててよ。期待して待つように」
「試行錯誤中、だったか?」
俺は昼休みの葉山の言葉を繰り返す。葉山は小さく頬をほころばせて、
「そういうこと。んじゃね」
長いしっぽを揺らしながら、来た道を戻り始めた。その後ろ姿が豆粒になってから、俺も自転車のスタンドを跳ね上げる。
「何しに来たんだ、あいつは」
ぼやかずにはいられない。忠告しに来たのかからかいに来たのかどっちだ。しかも肝心な質問ははぐらかしやがって。
心の中で悪態を吐きながら、サドルに跨りペダルに体重を乗せる。
が、まだ綾咲に踏まれた足は本来の機能を取り戻してはいなかったらしい。
脳が指令したとおりの力が出せず、著しく片方に重心が偏り、
「だぁ!」
走る転ぶ地面を滑る。そりゃもう無様に。
本日二度目の地面との密着は、やはり優しく終わらなかった。肩口から激しく着地し、大の字になる。
うん、やはりアスファルトは寝心地が悪い。
憎らしいほど晴れ晴れとした冬の空が視界に映る。相棒の空回る音が虚しく耳に届いた。
「あー、ちくしょう」
全然いつものペースじゃない。脳裏に浮かんだのは二人のクラスメートの顔。
だんだん腹が立ってきた。くそっ、お前らのせいだぞ。
わけわかんないことで怒ったり、わけわかんないことを隠したり。
「女ってわかんねー」
古今東西全ての男が一度は思ったであろうセリフを口にする。もちろん答えをくれる者は居なかった。
(中編・つづく)
乙!!!!!!!!!!!!
501 :
57:2005/05/27(金) 00:03:42 ID:UCj6n1NO
ちょっと早めに投下しました。
次回投下分で中編は終わりです。
今回も全然盛り上がってませんが、
次はちょこっと何かが変わる予定。
ではまた一週間後に・・・・・・・・投下できるといいなぁorz
>>501 毎度ながら、GJ!
今回も要所要所にパンチが効いてますなぁ…w
なんとなく邪神の影響が見え隠れするような
中編でこれって、後編でちゃんと濡れ場に移行できるのか!
待て次号!
いや、まいったな
このノリがどうしてかたまらなく好きだ
保守
ほす
507 :
名無しさん@ピンキー:2005/06/02(木) 10:11:46 ID:d3B8PGny
保守age
最近は毎日喧嘩してる。泣くのはあたしだけ。あいつは次の日になると普通の顔して、普通に抱っこしてきて…
そんなこんなで堪えてた怒りが、昨日、あいつの行動で押さえられなくなっちゃった。
もう嫌だ、もう別れる。
今日はそんな話をした。…っていっても、目の前にして言える自信はないから…
あいつがシャワーを浴びてる間に、何も言わないで家を出た。実家に帰って、メールで。
もうこれ以上傷つけられるのは嫌、こんなんじゃ続かないよ…
結構キツいセリフも吐いた。だけど…あいつは全然引かなかった。
そんな熱意に押されて、もう一回会って話そうっていうのにも承諾してあげた。
あたしが会いに行くのはただの情だよ、そう自分に言い聞かせながら待ち合わせの場所に行った。
あいつは時間通りに来てた。いつものように、コーヒーとタバコを手にして。…いつもの事だ、いつもあたしが遅れて行ってもあいつは何も言わないで…
「おう」
いつものように笑いかける。そんな事、いつもなのに…
別れよう、と思ってた心がちくっと痛んだ。
「どこで話す?」
「…どこでもいい」
わざとそっけなく答えた。あいつの微笑みにこの気持ちが揺らがないように。
ふらふら二人で歩いていたら、公園があったので、そこで話そう、と促された。
ふぅ、とベンチに座る。
「飲む?」
飲みかけのコーヒーを差し出し、あいつは言った。
「いい」
関節キス。そんなのは嫌だ。もうあたしの決意を揺らがせないで…
「もうあたし、あんたの事、好きじゃない」
自分の意思が揺らぐ前に、あたしは切り出した。
「俺は好きだよ」
さらりと言い返す、本当にそう思ってんの?
「あたしはもう限界。傷つけられてばっかりで…もう嫌だ…」
わざと言われたら嫌な言葉を口にした。もうほっといて、そう言った後に、しばしの沈黙。
次に来る言葉に、私は構えた。
「じゃあ、俺頑張るから。」
意表を突いた言葉に、あたしはちょっとの間絶句した。
「頑張るって…何を?」
「サナを愛する事」
言ってて恥ずかしくないのかな…でもこいつ、顔が真剣だ…本気で言ってるのが伝わってくる。
「愛する事って…頑張る事なの?」
そう聞くあたしに、こいつは、いや、と首を振り、
「サナを愛してるから…もっと優しくできるように、頑張る」
と、優しく言った。
「で、でも、そしたらあたしは?あたしはあんたを好きじゃないよ…」
慌てた。そんな事、いうと思ってなかったから…実際、いつもいつも、こいつはあたしに優しくしてくれてたから…でも口を割って出た言葉は、こんな言葉だった。
好きじゃない…どうして言っちゃったをだろう。あたしはこいつがいなきゃ…
「俺を、愛してくれ」
あたしと目を合わせてから、こいつは言った。目は、本当に真剣そのもので、あたしは…
「だって、あたし、すぐ不安になっちゃうし…あんたの事大好きなのに…大好きだから、一言一言ですぐ傷ついたりしちゃうし…嫌だぁ…」
もう想いを全部言ってしまった。
あたしが何するにも、こいつが側にいてくれて、笑っててくれて、大切にしてくれて…分かってるのに…
別れたいって言ったのも、こいつなら、あたしを追ってくれるっていう自信があったからだった…
もう涙が溢れた。
結局、あたしはこいつがいなきゃダメなんだ…それを思い知った。別れようなんて言った自分が馬鹿だと思った。
そんなあたしに、こいつは…ジンはキスをした。
不意打ち、もう涙で顔もぼろぼろなのに…恥ずかしくなり、ジンを押し退けると、ジンはいつもみたいに笑って
「じゃあ、帰ろっか」
と言い、手を握った。
あたしは泣きながら手を握りかえした。そのまま手を引かれ、家まで歩く。
「おいおい〜、俺が泣かせたみたいじゃんかぁ〜」
ジンが、冗談口調で言う。
分かってる、あたしを笑わせようとして言ってくれてるって事。
「ジンが泣かせたんでしょ」
いつものように強気で言い返すと、ジンは小さく笑った。
家に入って、ベッドに腰をおろすと、いきなりジンがあたしを抱き寄せた。
「どこにも行くな」
そう言ったジンの表情は、きつく抱かれてるあたしに見えなかったけど、その腕の強さがあたしを本当に好きでいてくれてるんだ、と実感させてくれた。
強くてあったかい腕。やっぱりあたし、ジンがすごい好きだ。
「サナ」
名前を呼ばれ、顔を上げたあたしに、ジンは、
「してもいい?」
と聞いた。
あたしは微笑んで、頷いた。
ジンはあたしに強いキスをする。唇を重ねるだけのキスから、あたしの口内を舌でまさぐるキスまで。あたしがジンの舌に舌を重ねると、ジンはより激しくあたしの頭を引き寄せた。
唇を放すと服をゆっくり脱がしていく。ブラを脱がそうと、ホックに手をかけた所で、あたしは待ったをかけた。
「電気、消して」
いつも電気を消してもらってる。だから気になった。それに…全部見られたら恥ずかしい。
「今日はつけてていいじゃん、サナを全部見たい。」
ジンの手は止まらず、ブラを外してしまった。抵抗しようかとも思ったけど、やめた。
ジンには全部みてもらいたかったから、あたしの全部を見て、全部を好きになってもらいたい。
ジンはあっという間にあたしを全裸にした。
そしてまた激しいキス。もう既に頭がぽーっとしてくる。
右の乳首を優しくつねられて、あたしは思わず声を出した。
「もう俺から離れるな。」
そう言い、ジンはもう片方の乳首を舐めた。
「あ…あん…ジンもぅ…好きでいて…ふぅ…放さないでぇ…」
喘ぎながらあたしは言った。
ジンは答える代わりにキスをした。
ジンの左手が下半身に移動していくのが分かった。
早くしてほしい、その気持ちを分かってるかのように。
女性器に触れられ指を軽く差し込まれ、あたしは気持ち良さでのけ反った。
ジンは、わざと愛液の音をたてる。
「聞こえる?この音。サナのアソコ、もう凄い濡れてる。」
意地悪に言うジン。あたしは首を振り否定する。
ジンはその濡れた指で、あたしの敏感な所を触る。
「んっ…はぁぁっ」
あたしは気持ち良さに声をあげた。
その指を徐々に早くする。
「あっあぁぁっダメっいやあぁっ」
あたしが、あまりの気持ち良さに叫ぶと、ジンは、
「ん?嫌なの?やめる?」
と聞いた。
分かってるくせに。あたしがいやって言う時は気持ち良い時だって事。いつもそう意地悪する、あたしが言葉に弱いの知ってるから。でも今のあたしにはそんなの考える余裕はない。
「あぁぁっ…やぁぁっダメっやめないでぇぇっ…あぁぁっ」
それを聞いたジンの指が早くなる。クリトリスを思いきり擦り、乳首を抓る。
「あぁぁぁんっ…あぁっ…いやっ!ダメぇぇっ!はぁんっ」
もうイキそうだった。あたしがそんな状態だって知ってるのか、ジンは
「もうサナ、イクね。イッていいよ、サナのイク顔みてるから。」
と言い、あたしの乳首を思いきり摘みながらコリコリと擦り、クリトリスを擦っていた指を早めた。
「はぁぁっ!ふぁぁっああぁっん!いやっもうダメぇっイクっイッちゃうぅぅぅぅぅっ!!」
ジンに顔を見られたまま、あたしはイッてしまった。
息を荒くしてるあたしに、ジンは小さく笑い、抱きしめながら頭を撫でると、
「可愛いな」
と漏らした。
そんな一言があたしを嬉しくさせる。
息を整えると、ジンがあたしの顔を下半身へと促した。何をしてほしいのかは分かってる。
パンツからジン自身を出すと、もうそれは大きくそそり立っていた。
あたしは躊躇しながらも、手で擦った。いつ見てもペニスには慣れない。
恐る恐る唇をつけ、口内に入れる。やっぱりおっきい。口だけではペニス全てを含む事は出来なかったので、根元に手をそえ、顔と同じペースで上下に動かした。
「気持ちいよ。」
余裕たっぷりの声でジンが言う。本当に気持ち良いのかなぁ…
舌で裏筋を舐めながらフェラをしたら、ジンが声を漏らした。舌を絡め、そのままスピードをあげていくと、
「もういいよ」
とジンが言った。
「そんなに激しくされたら出ちゃうし」
ジンはコンドームを取り出しながら言った。なんか微笑ましくなっちゃうあたし。ちゃんとゴムつけてくれる所にまたジンの優しさを感じた。
「サナ、おいで」
言われた通り、あたしはジンにまたがった。騎乗位、苦手だったんだけど…腰の動かし方とか分からなくて…でも今はジンがあたしの腰を動かしてくれるから、気持ちいいのを感じられる。
体をゆっくり沈めると、ジンのペニスがどんどん入って…
「ふぁ…んん…」
と声を漏らしてしまう。
全部入ったと同時に、ジンが下から突き上げてきた。
515 :
名無しさん@ピンキー:2005/06/05(日) 21:16:06 ID:qVjXWPpq
何???
このイキナリ現れた神は?(*´Д`)ハァハァ
正座しながら、続き待っています。
516 :
名無しさん@ピンキー:2005/06/05(日) 21:45:09 ID:mGeFNopW
いいよいいよ
期待
いきなりすいません。純愛書いてみたくて…
続きです。
「ふぁっああぁんっ!」
いきなり激しい突き上げにおかしくなってしまう。
「あぁっ!やだっいやぁぁっ!ゆっくりぃっ…してぇぇっ」
あたしは必死に訴えた。おかしくなって、飛んでしまいそうな理性を保つために。
ジンは動きをとめた。視線が交わった。
いつもは真っ暗で、何も見えないから、セックス中のジンの顔を見た事なかったから…
初めて見る表情はすごい色っぽくて…女のあたしがこんな風に思うのは、ちょっと言葉が違うのかも知れないけど、そうとしか言い様がない。
そしてとっても優しい表情。
「…大好き…」
思わず言葉が出た。
あたしからこんな事言うのはほとんどなかったから、ジンはちょっと驚いた顔をした。
しょうがないじゃん、大好きなんだから…
「俺もだ」
一言言うと、ジンはあたしを抱きよせた。背中を包む腕があったかい。ジンの胸があったかい。
あたしがジンの頭に腕を回すと、再び突き上げを始める。
ゆっくり、あたしの中に入ってるのを確かめるように。
「あんっ…ジンがぁっふぅあぁ…」
声を漏らすあたしの唇を塞ぎ、ジンはいきなり激しく突き出した。
「あぁっやっああぁぁぁっ!」
ジンと唇を合わせたまま、口内に声をぶつけるように喘いでしまうあたし。
ジンの激しい突きにおかしくなっちゃう。
と、いきなりジンの指が、あたしのアナルに触れる。
「やっ?!あっそこはぁっ…ダメぇっ…汚いよぉっ」
触れられたのは初めてだった。
逃げようとするあたしのお尻をがっちり掴み、ジンはあたしの愛液を中指に付け、アナルに入れた。
「いやぁっ!やぁだぁぁっ」
ぬぷっと侵入してきた指に、そう言いながらも、よがってしまうあたし…
あたしがMなの知ってるな、こいつ…
「やだっやだぁぁっ」
ジンが指を入れたまま、激しく突く。
「いやっダメだってばぁぁっ!いやっはぁぁっ…あうっんんっはぁぁっあぁっあっいやぁぁぁぁぁ!!」
ピン、と背中がのけ反った。ジンがゆっくり動きをとめ、アナルに入ってた指を抜くと、あたしはジンに倒れかかった。力が抜けた。
「サナのアソコ、ピクピクしてる…イッちゃった?」
分かってるくせになんで聞くかな〜っ!
強がって首を振ると、ジンがなでなでしてくる。
気持ちい…
見透かしてる…
なんかちょっと悔しい。あたし、あんまイク事なんてなかったのに…
「ジンのせいだよっ!こんな、イクようになっちゃったのはぁ…」
力なく怒鳴ると、
「いいじゃん、気持ち良いでしょ?」
と言い返され、反論できなくなる。
確かに物凄く気持ち良いんだけど、こんなえっちになっちゃったのは嫌。というか恥ずかしい…
「俺しかいないんだし、俺には見せてよ。いっぱいイカせてやるから」
そう言うと、あたしの身体を持ち上げ、ペニスを入れたまま上下を反転させた。
あたしが正常位一番好きだからって、いつもこの格好にしてくれる。ジンが一番好きなのは騎乗位なのに、あたしを気持ち良くしてくれようってしてくれる。優しいな…
ジンがあたしの足を開いた。そして激しく突く。
「いやっ!あぁっ!あんっ!あぁっあっああぁっ!」
奥まで突く。激しくジン自身が前後して、気持ち良過ぎてあたしの腰も勝手に動いちゃう。
「あっ…いやぁ…そんなっ激しくしたら…おかしくなっちゃうよぉぉっ!」
あたしの訴えなんて聞かずに、ジンは激しく突く事をやめない。
あたしが乳首弱いの分かってるから、乳首を摘みながら、激しく突く。
子宮にペニスがあたってるような感覚。
その気持ち良さがあたしをどんどんおかしくしてく。
520 :
名無しさん@ピンキー:2005/06/06(月) 19:41:33 ID:JujY9SlC
リアルタイム支援
「もうっ気持ちいよぉっあぁっもうダメっはぁんっくふぁぁ」
もうダメだ、何も考えらんない。ただ物凄く気持ち良くって、気持ち良さに支配されてしまいそうになる。
「すごい、サナから液いっぱい出てきてるよ」
ジンが言う。
あたしの愛液が潤滑油になって、滑るように優しく、激しく、緩急をつけてジンが動く。乳首を摘んでクリクリと捏ね回す。
もう、限界…
「サナ…俺もうイッて良い?」
ジンが聞く。
「うんっはぁっああぁぁあっあたしもぉぉっあああぁっ」
あたしの言葉を聞くと、ジンは今までより一番激しく、奥まで突いた。乳首も伸ばすよう引っ張りながら思い切りつねる。
「ああぁぁぁあっ奥はいやぁぁっダメ、もうダメぇえぇっイッちゃう、イッちゃううぅぅぅううぅぅ!!!」
大きな声を出し、手足をピンと伸ばし、身体をのけ反らせ、あたしは今日一番激しくイッてしまった。
同時にジンが子宮まで突くように奥で果てた。
お互いの性器が波打つ。
あたしの胸に顔を沈めているジンの頭を抱き締め、お互いの余韻を感じていると、なんかおかしくなってきちゃって、あたしはへろへろになりながら力なく笑った。
そんなあたしの顔をみて、ジンは優しくキスをした。
「いっぱいイッてたね」
…終わって第一声がそれですか、と怒りを込めた溜め息をつくと、
「イッてる顔も、可愛かった」
って言ってくれたから嬉しくなる。
もう、ジンの一言一言があたしの感情をつくってるみたいだ…
あたしからキスをしたら、ぎゅっとして、
「愛してる…から、どこにも行くな」
って言ってくれた…
絶対離れられないよ。あたしもジンが大好きだもん。
そうして、抱き合いながら、いつもみたいにジンに腕枕をしてもらいながら、二人で眠った。
終了です。なんかあんまエロくなくてすいません…読んでくれた方、ありがとうございました。
GJ
話はいい。んだけど
こーゆー女、実際は疲れる。
524 :
194:2005/06/06(月) 22:28:04 ID:ORkxW+Qo
投下。エロくもなんともなく申し訳ねぇ…
525 :
女高男低:2005/06/06(月) 22:30:03 ID:ORkxW+Qo
>>218の続き
「えっと、青山くん…?」
「何!」
「ひっ!」
周りの状況を見ていた龍介は背後から自分を呼び掛ける声に即座に梟かの如く首を後ろ
へ向いて反応した。その素早さに声を掛けた女性との身体が一瞬後ろへ引いた。
「あ、ああ、村中か。驚かせてすまんかった。」
龍介の視線の先には眼鏡のレンズの奥の目を丸くした女生徒がいた。どうやら相当に女
生徒の許容範囲を超えた反応を見せてしまったらしい。龍介はそんな反応を見せた女生
徒…村中真純に素直に謝った。ちなみに龍介は真純のことは名前とクラスメートであると
いう事くらいしか知らない。もっとも真純にとっての龍介もその程度の知識しか無いのだが。
おそらく意識して話をしたのは同じクラスになって初めてではないだろうか。
「あ、私が勝手に驚いただけ。ごめんね。」
何故か謝罪に謝罪を重ねた真純。
「何か用?」
既に調子を取り戻した龍介は真純の謝罪を軽く受け流すと、すぐに真純が自分を呼んだ
用件について聞いた。
「あ、いえ、大した事無いんだけどお隣同士だから…よろしく…」
語尾が段々と小さくなっていったのは気になったが、律儀に言ってくれた事に対して龍介
は心の中で本人にも表現できない漠然とした安堵感が生まれた。改めて見てみると確か
に隣人は真純だけなのだ。仲良くしておかなければなるまい。そう思い、
「ああ…よろしく。」
と、満面の笑みで龍介は声を掛けるのだった。
526 :
女高男低:2005/06/06(月) 22:31:50 ID:ORkxW+Qo
学期明けの行事が全て終了した次の日、学校はもう通常の生活へと戻っていった。
「はい、新学期最初の授業を行ないます。」
教卓には担任である翔子が引き続き居座っていた。何故なら今日の1時間目の授業は翔
子が担当している数学であったからだ。朝礼に来た時には既に教材を教室に持ち込んでい
たので1時間目開始を告げるチャイムと同時にロスタイムも無く授業は始まった。
「あ…教科書忘れた…」
龍介は自分の鞄の中に数学の教科書を入れ忘れていた事に授業が始まってから気付い
た。普段であれば宿題などの事情が無い限り龍介は教科書を学校に置きっぱなしにしてい
るのだが、夏休みを挟むので全ての教科の教材を家に持ち帰っていたため新学期明けに
持ってこなくてはならなかった。今日行なわれる授業の教材を全て持ってきていたつもりだっ
たが、普段よりも多い教材の数にチェックが行き届かなかったのだ。しかもよりによって1時
間目の、担任が担当している数学の教科書だけ忘れてしまったのだから運が悪いとしか言
いようが無い。
『ちっ、昨日から運がねぇな…』
龍介は心の中で愚痴りながら、
「先生、教科書忘れました。」
と、素直に申告した。どうせ隠していてもすぐにバレるのだから、傷口を広げない為の自衛
手段として用いただけだった。
「…仕方無いわね。隣の人に見せてもらいなさい。」
そんな龍介の魂胆をとっくに知っていた翔子は本当に仕方が無いといった表情で龍介に
告げた。
「はいはい。」
「返事は一回でよろしい。」
翔子の注意を華麗にスルーした龍介は隣の席に座っている女子に声を掛けた。
527 :
女高男低:2005/06/06(月) 22:32:48 ID:ORkxW+Qo
「なぁ、すまんけど教科書見せてくれる?」
本来なら男に頼むのだが、一番右の席に座っている龍介にとって隣の席に座っているの
が女子なのでどうしようもない。
「あ…はい。」
龍介に声を掛けられた女生徒、真純は特に抑揚も無い声を発しながら自分の方へ寄っ
てきた龍介の机に教科書を右半分を置いた。
「サンキュ。」
龍介もまた特に何も思うところ無く感謝の言葉を掛けた。
そして授業は何事も無かったかの様に淡々と進められていった。隆介もまた横に置か
れた教科書をただただ眺めているだけにすぎなかった。しかし、
「じゃあ、ここはちょっと重要だからチェックしておいて。」
と、授業の途中、翔子がチョークで黒板を軽く叩きながら言った。それに合わせて全体は
その指示に従って各自が教科書に印を付け始める。
528 :
女高男低:2005/06/06(月) 22:34:00 ID:ORkxW+Qo
「あ、青山くん、ちょっと…ごめんね。」
龍介の横から真純の声が聞こえた。
「え?何?」
あまりに突如の事だったので龍介は思わず顔を上げて左を見る。そこにはまたも驚いて表情の真純の顔があった。それに龍介も少し驚く。
「あ…いえ…右のページにマーカー付けたいからちょっと貸して。」
要するに翔子の言っている要チェックの場所が龍介の机に掛かっていたのだ。
「あ〜ごめんごめん。ほら。」
「ごめんね。」
真純は本当に申し訳ないと言った感じで教科書を静かに引き寄せた。そしてすぐに青の
蛍光ペンで教科書をなぞり始めた。そんな様子を何となく眺める龍介。
『貸して…ねぇ…』
元々教科書は真純の物だから貸してという言葉は間違っている。でも相手を思いやる様
な言葉でもあり、普段なら笑ってしまう龍介も妙に神妙になる。と、そこで少し目線を上げ
てみる。すると、一生懸命にマーカーを引いている真純の横顔が見えた。
『ふ〜ん…村中って…結構…』
クラスメートとは言ってもほぼ半年間、言葉も意識して交わした事の無い顔に龍介は少
しだけ新鮮な気持ちがした。もっとも、それは好感を持つとかのレベルにはほど遠く、少し
興味を持ったという程度のものだった。その時だった。
「青山くん…?」
龍介が少し気持ちを遠くにやっている間にマーカーを引き終わった真純が教科書を元の
場所に戻そうとした顔を上げた途端に目の前にいたのがアホっぽい顔をした(あくまで真純
の見た目で)龍介だったので恐る恐る声を掛けた。そこには龍介のとんでもないリアクショ
ンが待っていた。
「わぁ〜!!」
龍介にとってみれば突如声を掛けられたものだったから、場所をわきまえずに驚き、思わ
ず立ち上がってしまった。
「………。」
凍る教室と真純。そして怒る翔子。
「…龍介…そのまま立ってろ。」
「…あい…」
529 :
女高男低:2005/06/06(月) 22:35:38 ID:ORkxW+Qo
投下終了。普通すぎて一応謝っておく。いつかはエロになるのでしばらく待ってくれ。んでは。
>>529 なにやら楽しそうなんでがんばってくだせぇ(´ω`)
>>530 私のおいなりさんで癒せるだろうか?
532 :
名無しさん@ピンキー:2005/06/08(水) 10:42:51 ID:KojDHMct
ノシ〜ω←531のおいなり(以下ry)
533 :
名無しさん@ピンキー:2005/06/09(木) 11:03:06 ID:wD0kDkTL
終電だった。
「…これ、乗れるの?」
電車の中は人で溢れ、とてもじゃないがこれ以上、しかも2人も乗れるとは思えない。
「乗らないと帰れないだろ…」
仕方なさそうに呟くと、岩崎真と石川鞠緒は満員の最終電車に乗り込んだ。
懐かしい日本の電車。
といってもたかが1年の留学では、そこまで日本を懐かしむことはなかった。
ただ、慣れない海外生活に苦労を感じる度に鞠緒を思い出した。
岩崎は、鞠緒が好だった。
柔らかそうな肩までの髪も、黒目がちなきらきらとした瞳も、
ぷっくりとした口唇ももちろん好きだったが、それだけじゃない。
鞠緒の根っこの部分に惹かれていたのだ。
高校生時代、鞠緒はいつも笑顔だった。
晴れの日も曇りの日も雨の日も、テスト前でも昼休み中でも帰り道でも、
些細な事で喜んで笑っていた。
人によっては年中ヘラヘラしやがってと思う者もいるだろう。
しかし岩崎にとってはそのヘラヘラした笑顔が救いであり、癒されていた。
そんな自分が恥ずかしくて、口をつくのは軽口ばかりだった。
思いは伝えないまま卒業した。今更、何と言えばいいのかわからなかったし、
この関係を壊したくなかった。
日本に帰って来たのは、一昨日。
同窓会も兼ねてみんなで集まり、騒ぎ、騒ぎすぎ、こんな時間になってしまった。
二人きりの帰路となったのは、偶然か神の采配か。
鞠緒は「こんな超ラッシュ、乗るのはじめて〜」などと言いながら、
相変わらず笑っている。
何とか列車に入り込むと、2人は向き合う格好になった。
学生時代、毎日のように顔を合わせてはいたが、こんなに近付くのは初めてだ。
一駅が過ぎ、また人が乗り込んでくる。
ますます圧縮される車内で、鞠緒が押し潰されそうになっている。
「大丈夫か?」
思わず鞠緒の腰に手を回して、自分の体へ引き寄せた。
(…って、何やってんだ俺!)
勢いで抱いてみたものの、嫌がっていたらどうしようと、今更体が強張った。
そのとき、背中に軽いものが触れた。
鞠緒の指だった。
おずおずと背に添えられた指は、少しの躊躇のあと、確かな力が込められて、
細い腕が岩崎を抱き締めた。
鼓動が速まる。
そのまま強く抱きすくめる。
愛しい相手が、今、この腕の中にいるのだ。
心が、そして体が反応してしまった。酒も入っているのだ。
もう止まらない。
鞠緒は岩崎が好きだった。
学生時代は何かとからかわれていた。
「バカ」「頭弱い」「脳に皺がない」等々、その悪口のバリエーションには関心してしまう。
でも嫌いにならなかったのは、それが口先だけと分かっていたから。
みんなと歩いていても、トロいと嘆きながら自分の歩調にあわせてくれる。
お前には任せられんと怒りながらさりげなくフォローが入る。
岩崎の前ではいつも笑顔でいられた。
場を繕うための作り笑いじゃない、自然に笑っていられた。
告白はしなかった。
距離を縮めたときに起こる変化が怖かったし、自信もなかった。
ただ思っているだけで幸せだった。
卒業して会わなくなっても、岩崎への思いは変わらずに心の中にしまわれていた。
「濡れてるの…?」
鞠緒の耳元で岩崎が囁いた。
指が下着の中に入り込み、ぬめる秘部へと到達し、蜜をすくう。
入り口を浅く、焦らすように擦りつけた。
「っ!!」
指が一番敏感な箇所を弾いた。全身が痺れる。
円を描くようにくにくにといたぶられて、それだけで達しそうになった。
しかし、指はそこまでで留まり、決してその奥へ進もうとはしない。
気が狂いそうだ。
(お願い、もっと!)
鞠緒は懇願するように、岩崎の背中をきゅっと掴んだ。
岩崎がまた囁く。
「…何?」
言えというのか、この状態で。
期待と絶望と羞恥と快感が混ざり合って、眩暈がする。もう限界だった。
岩崎の耳元へ口を寄せ、決して他人に聞こえないように、小さく叫んだ。
「中に、入れて…!」
ゆっくりと、指が沈んだ。
肉壁が縮み、ひだの一枚一枚が岩崎の指に絡みつく。
指を出し入れすると、温かい腟内はぬるぬると滑った。
(岩崎君の指が、入ってる…)
ぐちゅぐちゅになった鞠緒を、指は前後左右にかき回す。
(ひゃ…はぅんっ)
頭がくらくらする。理性など飛ばしてしまいたい。
(だめぇっ…こんな、ところでっ)
しかし、中で蠢く指に思考はおぼつかなくなっていく。
わかるのは、岩崎への思いと、この快感だけ。鞠緒は、自分の絶頂が近いことを
悟る。
(好き、好き、好き、岩崎君、大好きっ)
鞠緒の内が大きくひくつき、きゅうぅっと締まった。
「ぃくぅッ…!」
電車がホームに滑り込み、岩崎はぐったりと力の抜けた鞠緒を支えて降りた。
自分の降りる駅はにまだ数駅あるが、鞠緒を一人では降ろせなかった。
上気した頬と熱い吐息、潤んだ瞳に、また煩悩が頭をもたげた。
岩崎自身にはまだ何も起こっていないのだ。
そんな自分に自己嫌悪。
「その…ごめんな、ホント。なんか、つい…」
とにかく謝るしかない。謝るしかないが、我ながらどういう文句だと思う。
ヘコみきって俯いた岩崎の手に、鞠緒の熱い手が重なった。
「あのね…わたし、今、ここの近くで一人暮らししてるの」
それって…。
「…この淫乱女!」
「ええ〜っ岩崎君なんて変態痴漢男じゃない!」
「うるせーインランオブジョイトイめ」
「そのダジャレは精神的レイプだよ〜」
要するに、2人は両想いなのだった。
―おわり―
痴漢スレと迷ったけどこっちのが門戸が広そうだったので投下。
しかも上げてるし。死にたい。
明らかに何か抜けてる気がしなくもない。
あーっ!
>>534と535の間に挿れてぇーっ!↓
その岩崎に抱きしめられている。鞠緒の体が熱くなる。心臓が、他人にまで聞こ
えてしまいそうなくらい強く打っている。
そのとき、岩崎の大きな手が、腰の線に沿ってゆっくりと下り、柔らかな双丘に
添えられた。
(い、岩崎君!?)
痴漢の経験はなくはない。が、知り合いにされるのは初めてだ。しかも好きな相
手にだ。喜ぶべきなのか、怒るべきなのか。
戸惑う鞠緒に構わず、手は縦横無尽に這いまわり、スカートの中にまで忍び込ん
だ。
腰は片手で押さえられている。逃げようにも逃げられない。逃げていいのかもわ
からない。
そのうち指が双丘の割れ目に沿い、下着の上からゆっくりと奥へ進んだ。
心臓がギュッと縮まったような気がした。体の芯から熱いものが滲み出すのがわ
かった。
(やだ、濡れてる…)
自覚することで気が付いた。
鞠緒はその指を望んでいる。
ようやく一番下まで辿りついた指は、押しつけるように擦りつけてくる。
(あ、あ、あ、)
ともすればもれてしまいそうな声を、ぎゅっと目をつむって鞠緒は堪えた。
ドロドロと熱い液が溢れる。
すいませんでしたすいませんでしたすいませんでした
>>538 改行直すの忘れて投下しちゃった。何かもうどうでもいいや。
みなさんさようなら。
ワロス
なかなか勢いがあっておもしろかったよ。保管される際には順番も直ってるだろうし
挿入てぇハゲワロス
なかなかGJなのでがんばってくだちぃ。
くそ! まんまと
>>539の術中にはまっちまった!
大佐、こいつは俺よりも数段上手だ・・・
まあ要約するとGJってこと
>>539 Gj!絶対周りの乗客に気付かれてるだろうけどなw
挿れてーギガワロスwww
「未郷、みーさーとーっ」
地獄からの呼び声が聞こえる。俺は無視を決め込んだ。
「未郷ってば!いないのー?」
いません。未郷君などいません。
声はそれ以上続くことなく、勉強は再開される。が、すぐさま諦めた。
呼び鈴のかわりに「おじゃましまーす」と元気のいい声が聞こえ、階段を上る足音が聞こえたからだ。
声の主はノックもなしに部屋のドアを勢いよく開け、ずかずかと入り込んで開口一番、
「いるんなら返事くらいしなさいよ、バカ」
俺=山田未郷と、声の主=牧野真紀は、いわゆる幼ななじみである。
真紀が誕生した3年と3か月後に俺がおぎゃあと生まれ落ち、
その瞬間から「真紀様の玩具」という道を歩み始めたのだった。
いや、幼い頃から玩具としての自覚があったわけではない。
少なくとも俺が小学校に上がるまでは、働いている母親に代わって遊んでくれる
「おとなりのまきちゃん」だったはずだ。
初めから乱暴されていたら、さすがに母親だってお隣りに俺を預けて働いたりしなかっただろう。
いつの間に「恐怖の真紀様」になってしまわれたのか。
思わず遠い目をして考えてしまった。
元・まきちゃんは「ほい、差し入れ」と缶ジュースを差し出しすと、
ベッドの上にあぐらをかいた。
「めずらしいな、真紀さんがまともな物くれるなんて」
と言いつつ、穴を開けた形跡がないか確認する。
「何疑ってんのよ。毒なんて入ってないっつーの」
毒は入ってなくても、飲用に適さないものが混入している恐れがある。
しかし改造された形跡は見当たらなかった。
「じゃあ、いただきます」
プルトップを開ける。
飲む。
沈黙。
「…あの、何しに来たの?」
「んー暇だからマンガでも読もうかと思って」
俺んちはマンガ喫茶か?貸してやるからせめて自分の部屋で読め。
という言葉は飲み込んで、「いいよ、好きなの読んでて」とやさしく言い、
俺はまたノートへと向かった。
どうせすぐ中断させられるのだ。そんなの想定の範囲内だ。
案の定、5分もしないうちに「ねーねー」と邪魔が入った。
「なんか面白い話ないの?」
腹立たしい話なら今ここで展開されてるよ、なんて言えない。
こっそりとため息をつく俺に、真紀さんはにやにやと笑って言う。
「カノジョの話とかさ」
半年前に星野かおりに告白されて、付き合うことになった。
何だか白くて小さくてふわふわしている子で、
「星野かおり」という名前をもとに創造されたような子だった。
それなりにそれなりなお付き合いをしてきた。
遊園地行ったり、映画見に行ったり。
金も気もふんだんにつかったつもりでいた。
しかし彼女の方はそうは思えなかったらしい。
一週間ほど前、他の男と腕を組んで歩いている彼女の目の前に俺が出現して、
その翌日、逆ギレ気味にフラれた。
わけがわからん。もう女なんか知るか。勉強しよう、明日からテストだし。
というのが今の俺の状況なわけだ。
俺は不機嫌な声で言う。
「…別れたよ」
知ってるくせに。
真紀さんは満面の笑みで「あらぁそうなの!んまー」とか言っている。
無性に腹が立った。
俺はいつまでこいつのご機嫌を伺ってなきゃいけないんだ。
「真紀さん、俺さ、明日から試験で勉強しなきいけないんだよ。
悪いけど暇つぶしは他当たってくれないかな」
真紀さんは玩具の初めての反抗にも怯まず、
「未郷く〜ん、言うようになったじゃない」と言い返す。
むかつく。
「真紀さんもちゃんとした彼氏作って、そっちで遊んだら?」
真紀さんの恋愛は大体1週間から2ヶ月で終わる。
そりゃあこの性格じゃな。愚痴を聞く度に当然だと思っていた。
真紀さんをちゃんとあしらえるのは俺くらいのもんだ。年季が違う。
幼い頃からの修行により、俺の心は海よりも深い。
しかしなぜか今はアスファルトの水溜まり並に浅くなってしまっていた。
真紀さんは俺の言葉に相当頭にきたらしく、本気で怒り出した。
「あんた何様のつもり?」
「何様も何もないだろ。学生が勉強しちゃいけないのかよ」
「今更シコシコやっても無駄よ無駄」
「やらないよりいいだろ。いいから出てけよ。迷惑だ」
完全なる否定の言葉。
しまった言い過ぎたと思って、いやいやこれでいいんだ、
もう遊ばれるのはうんざりなんだと思い直す。
真紀さんは無言で立ち上がって、あろうことかこう言い放った。
「童貞のくせに!」
「なっ…」
無茶苦茶だ。何だよそれ。
「真紀さんだってニートじゃねぇか!」
真紀さんの顔色がさっと変わって、拳がふりあげられた。
殴られる!考えるより先に体が動いて、俺は真紀さんの手首を掴んでいた。
あっと思ったときにはバランスを崩し、そのままベッドに倒れこんだ。
「な、何すんのよ!」
真紀さんが俺の体の下でもがくのを見て、そうだ、と気付く。
俺、もう高校生なんだ。
小さい頃からビシビシ殴られていて、何となく真紀さんには敵わないと
思いこんでいたけど、3つ上の女の子ぐらい簡単にねじ伏せられちゃうんだ。
「バカ未郷、早くどけっ!」
容赦なく蹴りつけてくる足の間に自分の足を潜り込ませた。
「…ド変態!」
俺は興奮していた。
本気で暴れる真紀さんに。
それをたやすく押さえこむ自分に。
細い両手首を片手で拘束して、空いた手をTシャツの裾から差し入れる。
フロントホックのブラジャーと格闘してようやく前留めを外すと、
真紀さんの態度とは真逆の小ぶりな乳房が現れた。
掴む、というほどの分量はないそれをゆるく揉みながら、
「前から思ってたんだけどさ、真紀さんのおっぱいってかわいいよね」
と言うと、真紀さんは「もう死ね」と呟いて、おとなしくなった。
薄い胸の上で、桃色の小さな突起がきりりと立ち上がっていた。
小さな丘のてっぺんで一人がんばっているような乳首が可愛くて、
やさしく舐めてやった。
「っ!」
真紀さんがぎゅっと目を閉じる。声は出さない。
それに構わず舌先でコロコロとくすぐる。
乳輪をなぞるように辿る。
ちゅっと吸って、そっと噛んでみた。
「っ…」
もう片方の乳房は押しつけるように揉みしだき、たまに乳首をつねってみる。
真紀さんの呼吸ははぁはぁと荒く、体からは力が完全に抜けているようだった。
押さえていた手を放して、スカートの中に手を入れる。
いきなり目的地にいくのはためらわれて、太股をさわさわとなでた。
真紀さんは無抵抗で顔を背けている。
瞳が潤んで、妙にかわいく思えた。こんなこと思うのは初めてだ。
頃合を見て下着の上から触ってみると湿っていた。
少し力を入れて擦ってみるとますます濡れてきた。
下着を取って直に触れると、ぬるぬるした蜜が指にまとわりついた。
ぬるぬるを広めるようにいじると、クチュクチュという音が部屋中に響いた。
「真紀さん、感じてるの?」
真紀さんは首を横に振る。
「嘘だぁ、これ何?」
と勃起したクリトリスを弾くと、初めて「ふぁっ」と声を上げた。
そのままクリトリスをぐりぐりしていると、真紀さんの腰がだんだん浮いてきた。
「ちゃんと言ってみなよ、気持ちいいって」
「よ…よくない…っ」
ホント強情だな。思わず苦笑いが洩れた。
「真紀さん、かわいいよ」
こういうのが屈辱なのかなと思いつつ甘く囁く。
ぬるりと奥に入ってしまった指を出し入れする度に、液があとからあとから溢れてくる。
もうそこらじゅうがべとべとだ。
指で中をかき混ぜるとぐちゅぐちゅと音を立てた。
「聞こえる?エロい音」
そのとき真紀さんの体が一回びくんと跳ね、中がきゅっと締まって、
そのあとびくんびくんと波打った。
「もしかして、イっちゃった?」
目を閉じて、ぎゅっとシーツを握りしめている真紀さんを見ていたら、
何だか愛しくなってきてしまった。
俺自身はすでに破裂しそうになっている。
「挿れていい?」
返事はなし。しかしだめとも言われない。
俺は体を起こして真紀さんの腟を確認してから、ゆっくりと自分を沈めた。
何せ初めてなもので、どこに何があるのかよく判らないのだ。
真紀さんの中は温かく湿っていて、ひだの一枚一枚がゆるゆると絡みついた。
たまらなくなって腰を打ち付ける。真紀さんは相変わらず声を出さない。
指を噛んで耐えているみたいだ。たまにちゅぅと音を立てて吸っている。
俺は真紀さんの上に覆い被さり、吸われている指に舌を這わせた。
すると指がいなくなって、そこには真紀さんの舌だけがあった。
腕が背中に回された。
真紀さんのてのひらが俺の頭を引き寄せた。
俺たちは舌を絡ませあった。
「真紀…、真紀さ…、ま…」
名前を呼びたいのに、真紀さんが吸い付いてくるのできちんと呼べない。
やっと気付いたこの思いを伝えたいのに。
「真紀さん」ようやく舌が離れた隙に、耳元で囁く。
「好きだよ」
今度は軽く唇を触れ合わせ、「好きだ」
もう一度舌を絡ませてから、「好きなんだ」
真紀さんは何も言わないけど、俺にしがみつくこの腕が答えだと思っていいんだろ?
真紀さんの中がびくんとうねった。
「真紀さん、もう出そうだ」
頭の芯がじんじんする。
「真紀さんと一緒にいきたい」
真紀さんが痛いくらいにしがみついてくる。
「みさ…あ、あ」
今まで柔らかく蠢いていた中がきゅううと締まって、世界が真っ白になって、弾けた。
星野かおりは気付いていたのかもしれない。自分でも気付いていなかった俺の本心に。あいつも本当に自分を想ってくれる奴と幸せになれればいいよな。
などと俺はうとうと考えていたが、思考は重たい眠気に絡まれて、すぐに散っていった。
この翌日、テストは散々な結果に終わるのだが、そんなこと未だ知る由のない俺は、
真紀さんの腕の中で、泥のような眠りに引き込まれていった。
―おわり―
今回は抜けることなく投下できたはずだ!楽勝楽勝!
痴漢のにGJくれた方々ありがとうございます。調子に乗ってまたやってみました。
>>543 最後に「ちなみに乗客は全員寝ていたので、
二人の情事にはまったく気づかなかった」と補完願います。
>>544〜の作者でありますが、読み返したらエロシーンが前作とほぼ同じ流れで我ながらワロス
精進しますorz
GJだ!
後日談なんかあると、嬉しくて転げまわるぜ!
稲負鳥氏、最近見ないな……
そして誰もいなくなった。
甘いな
誰だ!
おれだ! このスレから てをひけ!
手は引くが片足と男根はのせたままさ
このスレにしか居場所のない漏れらからここを取ったら何が残る
ところで、某スレで稲負鳥氏と同トリップのコテを発見したんだが
もしかして、ここは見捨てられた?
そんなこと言ったら、失礼だゾ
構想を練っているのかもしれん
んで、某スレってドコ?
んー、トリップが同じだけで、全く同じコテってわけじゃないからなぁ
ここで言ってしまって良いものか
スマソ
携帯からなんでID変わってた
563=561=漏れです
複数のスレに投下してる人は結構多い希ガス
漏れもそうなので
「私、愛とか恋とか、そういうものって信じてないの」
はぁ、そうですか。
「だから、今あなたの気持ちにこたえることは出来ないわ」
そう。そりゃ残念。ところで、ひとつ質問があるんだけど、いいかな?
「? ええ、かまわないけど」
どうして隣のベンチで本を読んでいた君が、突然僕から愛の告白を受けたように振る舞っているんだい?
あまりに急展開すぎて、さっぱり理解できない。
「・・・あなたが言ったんじゃない」
何を?
「私に向かって、『好きにしてもオーケー』って。あれは告白というものでしょ?」
・・・・・・・・・・・・・・・。
あー、言ったねー。さっきまで友人と話してたときに。読んでる本のタイトルを聞かれて。
右隣に座ってたそいつに首を向けると、ちょうど君が居た方向を向くことになったね。
「ほら、やっぱり言ったじゃない」
ちなみに僕が読んでる本のタイトルは、数奇にしてもけ・・・・・・・・まぁいいかそんなことは。
とにかく、君の聞き違いだよ。
「男らしくないのね。自分の言ったことを認めないなんて」
・・・まぁいいか。いいよそれで。オーケイ、僕は君に告白して、フラれた。これでいいかい?
「投げやりなのが気に入らないわ」
贅沢だね君も。それで、フラれ男にまだ何か用かい?
「・・・私、愛とか恋とか、そういうものって信じてないの」
らしいね。さっき聞いたよ。
「だから、愛とか恋、そんなものを私に信じさせてくれたら、あなたと付き合ってあげてもいいわ」
・・・えーと、君は僕の気持ちにこたえられないとか何とか、言ってなかったかな?
「今は、って言葉が入っていたはずよ」
そうだったっけ? じゃあそれはいいとしても、何で僕なんだ?
君なら僕よりもっと積極的に協力してくれる男性が引く手あまた居るはずだよ?
「・・・話す必要はないわ。とにかく、あなたは私に恋愛を信じさせて。素晴らしいものだって信じさせて。
それが出来たら、あなたの恋人になってあげるわ」
それが、僕と彼女との出会い。おかしな恋のスタートだった。
>>566 おお!GJ!だが残念ながら俺は今、『メール欄が読めない病』に侵されているんだ。まぁ、ここでは全く関係ない事だがな…
うむ。俺もなぜかメール欄が読めないな。
続きを死ぬほど激しく希望しておく!
(いそいそと全裸待機)
「ええっと…、それで、僕は一体何をすればいいのかな?」
彼女の言葉には妙な迫力があった。
弱ったことにその内容は僕の思考の斜め上を行っていて、実行しようにもどうしていいのかわからない。
困り果てて言葉の主である彼女に助けを求めた。
「それは私が考えるべきことじゃないわ」
彼女はさも当然のことのように即答する。
ほぼ予想通りの答え。
ため息は彼女の機嫌を損ねてしまいそうだったので、慌てて飲み込んだ。
返す言葉を見失ってしまって必死にボキャブラリーの泉を掻き分けている隙に、彼女は再び手元の本に視線を落としていた。
結局、その場を濁すように僕も彼女にならって文字列を目で追ってみる。
気まずい沈黙を、僅かだけれどのどかな公園のざわめきが和らげている。
時折、彼女が僕をちらちらと横目で見るものだから、全然本の内容が頭に入ってこない。
しかたなしに何とか現在の状況を理解してみようと試みる。
つまり、随分と捻くれた口ぶりだったが、僕はひどく面倒な使命を課せられてしまったらしい。
あまりに突然のことだし、彼女の本心は見当もつかなかったが、多分、そういうことだ。
どうしたもんか、と本を読む振りをして思考を巡らしていたところ、すくっと隣の彼女が立ち上がった。
反射的に体を強張らせるけれど、彼女は気にした風もなく僕の前に立つ。
「あなた、名前は?」
はっきりとした声が、公園中に響いた気がした。
押し付けがましく聞こえそうだけれど、きっとこれが彼女の友好の表れなのだろう。
そう思うと、彼女の口調も大して不快じゃなかった。
僕はあまり得意じゃない微笑と一緒に名乗ると、彼女はにこりともしないでで名乗る。
最後に、自分は昼休みにはいつもここにいるから、とだけ残して去っていった彼女の影を追いながら、いい名前だね、と誰ともなく呟いた。
誰もいない…今なら駄文長文を投下するチャンスだ。
ということで新にこのスレに妄想を投下させて頂く事に
対して名乗りを上げさせて貰いますよ。見たくないという人は
スルーして下さい。それと、全然エロ関係なくてすまそ…orz
いるんだなこれがニヤニヤ
今時の若者にしては、自分はかなりの変わり者であろう。
自分は今年で23歳になるわけであるが、世間で言えばこの
年齢は大学を卒業したばかりの、社会人成り立ての若者に
相当する。彼ら『娑婆』の23歳の若者たちは未だに学生気分が
抜け切らぬ、といったところであろう。まだまだ遊び足らない年頃である筈だ。
学生気分が抜け切らない未熟な若人である彼らの一部は、
社会人一年目で社会とは肌が合わないことを知り、社会人で
いることに耐え切れなくなって今の自分を投げ出してしまう。
そしてその結果が『ニート』と呼ばれる無気力な人間の誕生である。
一応前もって言及しておくが、自分は少なくとも『ニート』と呼ば
れる無気力無生産階級の人間ではない。むしろ、命を文字通り
張っている職業に就いている、それなりの誇りを持ってもいい人間である筈だ。
命を文字通り張っていると言ったが、その通りの職業内容である。
命を張っているという点に於いては、命を張って仕事をしているという、
仕事に対して情熱と熱意を以っている一部の『娑婆』の人間に
も当てはまることかもしれないが…だが、自分の場合は直接的な
命の危険に直面する可能性が遥かに高いという意味での『命を張る』ということである。
先程から『娑婆』だの『命を張る』などと言ってはいるが、自分は
極道とかそういった危ない職業柄の人間ではない。彼ら極道も
いざとなれば『命を張る』ことになると思うが、自分の場合は彼ら
極道が自分達の組の為に『命を張る』よりも崇高で気高く、且つ規模が大きい。
自分が『命を張る』対象は、この『日本』という独立主権国家である。
つまり、自分は国家公務員という『日本』の公僕である。公僕は
税金によって其の身を養われ、『日本』そのものである『日本国国民』の
生命と財産をどのような形であれ、守っている。
更に言及しておくが、自分は警官ではない。警官は犯罪者の
手から『日本国国民』の生命と財産を守るが、自分が所属する
組織は警察組織よりもあらゆる面で秀でているのを相手にしな
ければならない。警察など、その相手を前にすれば遥かに矮小
でみすぼらしい存在に成り果ててしまう。自分が所属する組織が
彼らの相手をするとしたら、この亜細亜全体、否、世界を巻き込
む事態に発展するかもしれない。やや大袈裟すぎる気がしない
わけでもないが、恐らく事実だろう。自分が所蔵している組織は
犯罪者ではなく、外国からの『軍隊』かもしくはそれに準ずる敵対する
武装勢力、又は警察で対処できない武装勢力を相手にする組織である。
自分が所属する組織の行動範囲は広い。この『日本』全土を
行動範囲として定めており、陸海空に常に展開し、周辺諸外国から
想定される侵攻に対しての防御行動を行っている。此処まで
言ってしまえば、自分、というよりも自分が所属している組織の
正体に気付く人間はこの時点で多数いることであろう。
前置きが長くなってしまったが、自分が所属している組織の
名称は『自衛隊』である。英名で『Japan Self-Defense Force』と呼ばれる、
『軍隊』ではない『軍隊』的な戦力である。更に細かく言えば、自分は
『陸上自衛隊』に所属している一人の『陸上自衛官』である。
『自衛隊』なる『軍隊』のように攻撃性が強いのだが弱いのだか
よく分からない組織は、既に創立されてから半世紀以上の時間が
経過してしまった。長い間、『自衛隊』はかの有名な平和憲法である
『日本国憲法第九条』に違反するのではないのかと偉い政治家の先生方の
間で議論が交わされてきた。確かに、『戦争』を憲法で否定した国家が、
『戦争』の根本的問題の発起とも言える『軍隊』を保有するのは矛盾していることだろう。
それに、『軍隊』を持ちさえしなければ、確かに、戦う者がいないから『戦争』は
起こらないかもしれない。だが、引き起こされるのは一方的な蹂躙だ。
『自衛隊』は輪郭が曖昧な存在である。『日本国』の為に尽くしている筈なのに、
その存在を否定され続けてきている。だが、完全に否定されているわけでもない。
が、その存在を完全に容認されているわけでもない。
全く以ってあやふやな存在である。世界の何処の国を見ても、
『自衛隊』以上に変な組織は存在しないと思われる。
自分は別に『自衛隊』問題について話し合いたいわけではない。
ただ、『自衛隊』という組織が曖昧という点に於いては、自分との
共通項であると言っておきたい。
話は最初の方に戻るが、自分は変わり者であろう。23歳で『自衛隊』に
身を置いているなど、青春を無駄にしているとしか言い様が無いと思われる。
だが、何も23歳で『自衛官』なのは自分ひとりではない。
…まぁ、自分は昔の軍隊で言えば軍の幼年学校に相当する少年工科学校から
『自衛官』をやっているのだから、自分以上に若くして自衛官になった人間がいるとは思えないが…
少し前の方で、自分は『自衛隊』という存在の曖昧さという点に於いては
自分との共通項であると言った。自分の何が曖昧なのか。
この職業に誇りを持っているし、何より『自衛隊』という組織に
魅力を感じて、普通の高校生として過ごす道を拒否した。自分は『自衛官』としては
当たり前の自覚を持ってはいる。だが、ただ漠然とした何かが曖昧なのである。
曖昧なままの自分が、確かな決断力を必要とする組織でよくも遣ってこれたと
我ながら感心してしまうが、そこのところは生来の要領の良さで乗り切ってきたとでも言っておこうか。
だが、いい加減そんな自分に嫌気が差してきた。曖昧なまま、
宙ぶらりんのままでこの職業に留まり続けるのは決して良い事ではない筈だ。
曖昧なまま自分は自衛官として過ごしている。最近では、その曖昧さの
正体を突き止めようとする焦りが表面化してきたのか、妙な焦燥感に
駆られる事が多くなってきた。それは自然と態度に表れ始め、同僚に
「何を焦っているんだ?」と言われる事などしばしばである。
『自衛官』の全てが曖昧さを持たずにこの職業に就いているわけでは
ないと思うが、妙に焦りを感じているのは自分ぐらいだろう。
これは、漠然とした曖昧さを抱える自衛官である自分こと『雑賀誠一郎』
とその周辺人物達の物語である。因みに、彼らの青春は灰色である。
嗚呼…やっちまった。とうとう投下しちまった。
主要のストーリーの方は大体出来ているのですが、
冒頭がなかったのでそれらしいものを大して推敲もせずに
投下してしまいました。お目を汚してすみません…orz
文章に変なところが多々あると思われますが、次回の投下は
そのような事が無いようにに推敲に推敲を重ね、少しは読むのに
耐えうるものに仕上げたいと思います。では、私の文章について
何か御指摘があれば、どうぞ遠慮なく仰ってください。
読み難いYO!
独白調の文体でも一行空けるだけで読みやすくなるしメリハリも出ると思うよ
なんとなく野坂さんの文体を連想してしまったw
ところでこのプロローグって、今後の展開に関係あるの?
文章は堅いし、長杉。必要ならばせめて1/3程度に納めて欲しい。
でも文章構成とかは悪くないし、しっかりした文を書ける人だと思うんで今後に期待。
ここでオリジナルで書いてる人はいつも似たようなことやってないか?
他のパロ物と違ってオリキャラだからどういうキャラか説明するためのものだと思。
俺は読み手の趣向を書き手に押し付けるのはいかがなものかと思うけど・・・
581 :
570:2005/06/19(日) 22:24:41 ID:bm5s1tWc
色々と私の駄文に対してレスをして頂き、言いようの無い気分に駆られています。
>578
あんまり関係ありません。この話の主人公である雑賀誠一郎(さいが せいいちろう)の身分を明らかにしたいだけだったので…
それと、文章が硬過ぎ&長過ぎましたね。次からはもっと柔らかくて読みやすい文章に仕上げるよう心がけます。
>579
自分の場合は、ストーリーの中でキャラを明らかにしていく方針でしたが…駄目でしょうか?
因みに、前半部分は全然女性キャラとか出ません。ミリタリー&アクションです。野朗しか出ません。
女が出る前に飽きられる予感。
話聞く限りではこのスレに投下するよりはサイトもって一気にドカンと出すのに向いてる作品のような
>>580 俺の書き方が悪かったみたいだね。
そういった意図はまったくないんであしからず。
>>581=570さん
かなりキツいカキコしてしまってすいませんでした。
指摘ということでつい調子に乗ってしまった事をお詫びします。
訳すとうざいから出てけだな。
なんでかしらんがこのスレは職人が多いわけでもないのに
職人志望者に厳しいというか傲岸不遜と言うか、そういうところだから。
他所に行った方が歓迎されると思うな。
>>403の続きです
桜散るなか二人並んで歩く、決して都会といえないこの街では郊外の大学から街中に出る
には本数の少ないバスに乗るか、歩くしかなかった。
「おまえがもたもたしてるからバスに乗り遅れただろ」
「ごめん……でも……気持ちの整理がまだ……」
「…………そうだよな、ずっと親子やってるんだよな。すまん。」
それからしばらく無言のまま二人は歩いた。別に嫌な空気になったわけではないがなぜだ
か二人の口は言葉を発することは無かった。
桜並木が終わるころ、先に沈黙を破ったのは桜だった。
「ありがとね、背中を押してくれて」
立ち止まった桜の発した言葉はあまりに小さく貴志の耳には入らなかった。だが振り向き
彼女の表情を読み取った彼の胸中はなぜか複雑な感情が渦巻いていた。
程なくして二人はプレイガイドに着いた。窓口でチケットを選ぶ彼女の背中を見ながら貴志
は胸の奥に先ほどと同じような感情を燻らせていた。
5年近く友人として接してきた彼女、今更今のような感情をぶつけられる筈も無い。まして
出会った頃から彼女の目は自分には向いていなかった。今こうして自分に向いていない
想いの手助けをすることは彼自身の想いを痛く締め付けた。
「すいません、これを大人2枚ください。」
彼女の声で貴志は自分の手が固く握られているのに気付いた。プレイガイドに着いてから
3分も経ってないはずなのに広げたその手はひどく汗ばんでいた。
「……で何を買ったんだよ。」
「邪馬台自衛隊」
「はぁ?2人で観るならもっとましなのがあるだろ」
「え〜これ観たかったのに」
我に戻った貴志は軽口で自分の本当の言葉を包み隠し良き友人を演じる自分に戻った。
桜の為に自分でない誰かとの間を取り繕うために一生懸命な自分が微笑ましくもなんだか
悲しかった。
「絶対に言えよ、俺の努力を無駄にするなよ」
「分かったってば」
他愛のない会話をしながら2人で家路につくそれぞれの家が近づくたびに別れの時間が
近づく。
今日別れたからといっても恐らく明日学校で顔をあわせるに違いない。だが、高志にとって
今日の別れは特別な意味を持っていた。
今日ここで別れ明日彼女に同じ顔を見せることが出来るか自信がなかった。それでもなお
彼女の想いを応援してあげたかった。
「じゃあ、がんばれよ」
「……うん」
彼女の家の前で別れる。最後の最後まで彼女の背中を押している高志がいた。
桜がドアの奥に消えてゆく、その姿を見送ると彼は身体の向きを変え道端の空き缶を蹴り
上げた。
桜がドアノブに手をかけるとまだ鍵は開いてなかった。桜はバッグから鍵を取り出し、鍵を開け
家の中へと入っていった。
竹生と暮らすこの空間に入るだけで桜の鼓動は高鳴った。10年近く一緒に暮らしている男
(ひと)、仮の父親、そして一番大好きな男性。桜はごろんとソファーに寝転ぶとそんな竹生
への想いをかみ締めながら今までの二人の思い出を思い出していた。
(小学校の授業参観、仕事を休んでまで来てくれたね。でも他のお母さんたちに混じって照れ
くさそうだったよ……ありがとう……中学の時けんかして雨のなか飛び出した私に傘を持って
きてくれてありがとう……今までいい父親でいてくれてありがとう……ありがとうありがとうあり
がとう……)
父と娘――今の竹生と自分の関係を整理するように今までの思い出が記憶のなかに折り畳ま
れていく、そしていつしか桜は眠りの世界の住人となった。
……To be continued
廃れ杉age
>>589 ちゃんと俺は読んでるよ
がんがってくれ
そろそろ 稲負鳥 ◆GkRPJL.Q4U氏の降臨キボン
>>589 俺も読んでるぞ
もう少し推敲の余地があるようにも感じられるけど、全体的にはいい感じ
レスがつかないのは、まだ状況説明ばかりで話が展開してないからだと思う
よくあるよくある
ガンガレ、このスレには君も必要だ
偉そうでスマソ
>>589 亀だけど今、読んだよ。
なんか読んでたら『揺れる想い』って歌ってる曲を思い出したよ。
(誰の、何て曲だか忘れたけど…OTZ)
続き、待ってるよ。
>>591-593 サンクスがんばるわ
>なんか読んでたら『揺れる想い』って歌ってる曲を思い出したよ。
ZARDですね
「ふぅー…………、」
三十分ぐらいで風呂を済ませる。
真冬の外の空気は、たかだかコンビにまでの往復だけで体の熱を奪ったらしく、湯船の温かさがえらく身にしみた。
明日は学校行きたいし、飲むのもほどほどにして寝ないとな、とわしわし頭を拭きながら考える。
で、タオルを首にぶら下げて部屋に戻ると、昌はビール缶片手ですでにグースカ寝ているわけだ。
「…………えー。」
そりゃないだろう、なんて意味の声がこぼれる。
ただ単に酒に弱いだけなのか、それともタダ酒は倒れるまで飲むなんて言うつもりだろうか。
なんにせよこれで二日連続、即ち家に上げてから毎日だ。
何か一言言ってやりたい気分ではあるが、寝顔に言っても仕方があるまい。
やれやれと大げさにため息を吐きながら、ベットに運ぶために昨晩と同じように抱きかかえる。
やはり、軽い。
「――――っと、」
途端、予想していなかった力が加わり、ベッドに倒れこむ。
俺が反射的に起き上がろうとするより速く、マウントポジションになった昌に組み敷かれた。
「…………寝た振りしてやがったな。」
憎々しげにに呟いても、昌は対照的に笑っていたりする。
「この私がビールなんかで酔いつぶれるわけがないでしょ。」
言って、胸を張る。
ということは、恐らく昨日のも狸寝入りだったのだろう。
「……ね、一緒に寝よ?」
「バカ言え、なんでお前と一緒に寝なきゃ行けないんだ。」
動揺を隠すため、自然、声が鋭くなっていた。
「でもベッドも一個しかないし、また廊下で寝たりしたら風邪がぶり返しちゃうかもしれないし……」
「そんなの――――」
理由になってない、と叫びだしそうになる。
「私は、キミのこと好きだよ?」
言葉を、唐突に奪われる
声は息がかかるほど近い。
「……それでも、ダメ?」
予感から確信に変わったそれは、途端に質量を増し、さらに強く、俺をベッドに押し付ける。
「――――――……」
重くて、自由にならない体の代わりに、目線を逸らす。
勿論、そんなことでこの状態から逃げられないのは分かってる。
イエスかノーか。
二つしかないはずの選択肢の中で、ただ、口をつぐんでいた。
「別に、キミにも好きになってほしいなんて思ってないから、さ。
ただ私がキミにしてあげたいだけだから……
体は、心なんか関係なしで気持ち良くなれるでしょ?」
昌の目が潤んでる理由が、俺にはわからない。
せめて体だけでも――彼女が言っているのは、そういうことなんだろうか。
……なんて、勝手な想いだろう。いっそ、腹が立つ。
そりゃあ、誰かに『好きだ』って言われて、それを純に受け止められるなら、これほど嬉しいことはない。
幸せなことだとも、思う。
だけど…、だからって、体だけなんて間違ってる。正しいはずが、無い。
それに何より、コイツは今までそんなことさえ誰にも教えてもらえなかったんだと思って、――悔しかった。
ちくしょうめ。
つくづく俺は、ケツが青い。
ああ、別に構わない。むしろ清々しいくらいだ。
若僧は若僧なりに、信じる道を行けばいい。
「…………ぁ、」
抱擁は、これで二度目になる。
馬乗りになっている昌の体に手を伸ばして、引き寄せた。
身動きが取れないほど、言葉も出ないくらいに、きつく、抱き締めた。
その意味をどう受け取ったのか、すっぽりと腕に収まった体の力が抜けるのを感じる。
どくん、と、一際大きく耳に届く、誰かの心音。
「……今は、寝よう。」
時間が欲しかった。
ほんの気まぐれで2日前に焼いたお節介が、今、こんな形で自分をまいらせるだなんて、現実感が希薄すぎる。
逃げてるだとか、臆病者だとか、罵られたっていい。
とにかく、時間が欲しい。
こんな状況で、正常な判断が出来るわけがない。
「ん……わかった。」
そんな俺の胸のうちを察したのか、昌は素直に頷いてくれた。
「ごめんな……」
「謝んないでってば。なんかもう振られたみたいじゃない。」
言って、茶化すように笑う。
どうして、笑えるんだろうか。
やっぱりからかわれているのか、なんて思わず考えてしまう。
じゃなきゃ、きっとこいつは百戦錬磨の兵で、俺には勝ち目なんてないのかもしれない。
「えへへ……お休みっ」
何がそんなに楽しいのか、昌は顔を綻ばす。
返事の代わりにゆっくりと髪をなでてやると、気持ちよさそうに目を細めた。
その表情は、眠たそうにも見える。
恋人と呼べる仲なら、額にキスでもしたんだろうか。
そんなことを考えて、少し、気が滅入った。
キョウハココマデ
お久しぶりでした。
この1ヶ月ぐらい、本読んだり他のスレで書いてみたり、修行してました。
はい近況報告ウザイですね、ごーめーんーなーさーいー(何
>>前スレ695 ◆PETORIs7YU 氏
盛り上がるところまで、ゆっくりがんばってくだちい
応援してまう
なんか久しぶりで気恥ずかしくて、まじめなレスが書けないZE!
お久しぶりです。乙です。
やっぱ面白いです。次回はいつごろですか?
∧∧ ∧∧
キタ━━━━ (*゚∀゚) (∀゚*)━━━━━━!!!!!!!!!!!!
彡 ⊂ つ⊂ つ ミ
(( ⊂、 / \ 〜つ ))
ミ ∪ ≡ U′ 彡
今まで長かったぜ……
軽く感動している俺がいる
キタ━━(━(━(-( ( (゚∀゚) ) )-)━)━) ━━ !!!!!
面白いです。ニヤニヤしてしまいます。ニヤニヤってちと違うかも・・
ま、でも続き期待sage
いやぁ待ってたYO!
続きに期待
自分で書いててどこがウケてるのか全く分からない俺が来ましたよ。
さては皆して俺のことを担いでるだろぅ!
じゃなくて。
えと、なんか褒められてばっかりいるとフラストレーションがたまるMっ子です。
読みにくいとか長いとかつまんないとかないでしょうか。基本不安で仕方ないんですが。
いや、つまんないとか言われてもごめんなさいとしか言いようがないんですが。
未熟な自分にご意見ください。
誘いうけスマソ
ォラォラ、GJな作品ばっか書きやがって、羨ましいじゃねぇかコノヤロウ。
テメェこれだけワシのこと悶えさしといて、ほっとくなんてしねぇよな?
すいません、半熟以下の自分には、誉める以外に他ないです。
>>604 もっと早く書いて
遠峯伶理もいっぱい出して
遠峯は俺の嫁だと何回言えばわかるんだお前ら。
物書きの端くれとして書かせてもらいます。ロクに感想も書かずに続きだけを急が
せる書き込みは正直嫌な物です。稲負鳥さんがどう思われるかはわかりませんが、
私は投下したはいいがこういう書き込みばかりであったため、あるスレから撤退し
ました。お金が欲しい訳ではありません。感想を頂いて自分の文章力を伸ばしたい
という気持ちがあります。褒めるだけでなく、ちょっとした苦言もありがたいもの
ですので、少し感想を添えて続きを要求してもらえるのが良いのではないでしょう
か?長レスになり申し訳ありません。
稲負鳥さん、いつもお疲れ様です。主人公の葛藤表現が非常に良いです。続きが気
になりますがご自分のペースで投下して頂ければと思います。頑張って下さい。
>>609 言わんとすることはわかるし正しいと思うんだが、んなこたぁ
言っても全く完全に無駄だから・・・
腹の中にしまって、無視しといた方がいいぞ。
いらんこと指摘すると荒れることもままある。
それとも、もしかすると君はこのスレを荒れる方向に誘導する気かね。
>>604 >自分で書いててどこがウケてるのか全く分からない
間違った方向ではないと思われ
>基本不安で仕方ないんですが
手を加えた分だけ不安になるのは仕方ないよ
それでもこれだけレスがつくという事はちゃんとやれてるのだと思い込もう
>>609 >ロクに感想も書かずに続きだけを急がせる書き込みは正直嫌な物です。
スレの最初の辺りで連載中に感想書いてみたら気にしすぎて消えてしまった、というのがあるんで
誰も感想を書かないのかも知れぬ
せっかちなのは書き手より読み手が大杉な状態だからかなぁ……
>感想を頂いて自分の文章力を伸ばしたい
感想で文章力が伸びるとも思えんのだが(漏れ自身が納得して貰える文よりも納得させる文を書きたい人だから、かもな
まぁ意欲はあがるけどね
私事だが800x600は読みにくくてしょうがないな
612 :
609:2005/06/30(木) 16:08:44 ID:glO6N+FH
>>610 いや荒らすつもりは毛頭無い。単純にそう思ったから書いただけ。無視するのが一
番なのは分かっているが少し我慢できんかった。スマソ。
>>611 いくつかのスレで書いた時に感想に合わせて指摘もらった事で自分の引き出しが多
くなった事があったからそういう風に考える様になった。ただかき混ぜた事は正直
にすまんかった。
(・∀・)マターリ
自慢じゃないけど(自爆?)この板は結構長くいるけど、catgirlは、まあ最高とは
言わないけどかなりの良作の部類に入ると思うよ。自分的には。
特に叩く要素も無いし、Mっ子には物足りない感想かもしれないけど
マターリ頑張って下され。>稲負鳥氏
読み手大杉なのは潜在的な書き手が多いってことには・・ならないか。
色んな作品読みたいから書き手は多いにこしたことはないんだけどなぁ。
と、書けない読み手が呟いてみる。
結果的にも完璧誘い受けになりましたごめんなさい
みんなありがとぅ 。・゚・(ノ∀`)・゚・。
遅筆に関しては自分でも思っていることだったので、胸がえぐられました
でも相当推敲しないとまともな文章にならないんですよ自分…
週1くらいで投下したいとは思うんですけどー
とかいいながらまた2週間ぐらい書けそうにないんですけどごめんなさい
遠峯に関しては今のを終わらしたあと番外編でメインにすえて書きます
来年になりそうだけどな!
遠峯予告キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
ただ一年後かよーー
ば、番外編を先にクレはぁはぁ
雨宮さん現象が起きてる。
それだけ魅力的なキャラが書けている、ということなのでは?
自信を持ってもいいと思う。
ちなみに個人的には、現状で十分に満足。
無理をせずに、自分のペースで頑張っておくれ。
上からものを言ってるみたいで悪いんだけど。
カッチコッチと耳障りな時計の音と、それと同じくらい規則正しい寝息だけが聞こえる。
どれくらい経っただろう。
時計のリズムに比べて、時間の流れが随分ゆっくりのような気がする。
腕に乗った腰周りの感触はやたら柔らかいし、
半端に夜目が利くせいで薄ぼんやりと見えてしまう艶かしい唇や体のラインは目に毒だ。
…こんな状態で、寝れるわけがない。
――いっそ襲ちまったほうが楽なんじゃないか――
悪魔の囁きがさっきからチラチラと耳元で聞こえている。
というか、このまま耐え切ってしまえたらしまえたで、インポテンツになっちまうんジャマイカ。
いやいかん、ガンガレマイ理性。ここで流されちゃ、駄目だ。
いや、なんかむしろ駄目なのは俺の頭のほうだ。
なんかもうまともな思考さえ失われつつあるらしい。
こっちの葛藤を知ってか知らずか、昌は気持よさそうに眠っている。
出来るだけ静かにベッドから体を離すと、一度寝返りをうっただけで起きる様子もない。
丸まって眠る様子は、どこか愛嬌のある動物を思わせる。
差し詰め、猫か。
…うん猫っぽい。
一人納得する。
なんとなく和んで気が抜けたのか、急に眠気が襲ってくる。
けれどこの部屋にはソファーなんて上等なものもなく、ベッド以外に寝る場所はない。
ええい、めんどうだ。
昌に毛布をかけなおしてやると、もう一枚の毛布を掴み、そのまま床に転がった。
いい環境とは言いがたかったが、思っていたより疲れていたのだろう、
――すとん、と音を立てるように意識は落ちた。
///
朝起きて、最初に驚いたのは自分が寝てしまっていたこと。
次に、自分の着衣に乱れがないことに驚いて、……呆れ果てた。
誘えばどんな男でも飛びついてくるとまでは自惚れていなかったけれど、
いくらなんでもあの状況を黙殺されるとは思っていなかった。
少しばかり期待してしまっていた自分が恥ずかしい。
見ると、当の彼……、圭介は床に転がっている。
うつ伏せ気味なので寝顔は見えない。思わず呼吸を確認したくなるような寝姿である。
薄めの毛布が少し寒そうだったので、今まで自分が被っていたほうをその上からかけてあげる。
まだ早いし、よく寝ているようだったのでそのまま放置プレイだ。
流石にこれじゃ寒いから、何か上から引っ掛けるもの…と、
あの夜のコートを見つけて、自分の顔がにやけてるのに気がついた。
コートに包まって顔を押し付けて、思いっきり吸ってみると、
匂いともいえない微かな芳香が、鼻腔からじんわりと体中に染み渡る。
ふわふわと、胸になんともいえない感覚が。
ううむ。
恋する乙女とはかくも幸せなものか。
始終にやにやしながら大体の身支度を整えて、寝ている圭介に目をやる。
昨日彼がしてくれたように頭をなでながら、寝顔を覗き込むと、すっかり緩んだ無防備な寝顔が可愛らしい。
恋人気取りでおでこに小さくチューをした。
いやはや。
まいったね。
この精神疾患はなかなかに重症だ。
えへへへへ。
///
起きたら、誰もいなかった。
昌はいつも勝手に出て行くので、朝の挨拶を交わしたことがないような気がする。
まあ、額に貼ってあった書置きのお陰で、今日はそこら辺を駆けずり回らないですんだんだが。
書置き曰く、例の"あいつ"の所へ荷物を取りに行ったらしい。
なにもこんな朝早くに…、とも思ったが一刻も早く清算したいことなんだろう。
俺も昨日の今日で顔も合わせ辛かったから、正直助かった。
ぐしゃぐしゃとメモ紙を丸めて、部屋の隅のゴミ箱に投げる。
外れた。
拾いせず、そのまま拗ねたようにベッドの上を転がる。
学校行く気にもなれない。今日は自主休学に決めた。
おとーさんおかーさん、ごめんなさい。
枕を抱えて、ぼんやりと昨晩のことを考える。
真っ直ぐな目で、真摯な気持ちをぶつけてくる昌の姿が、いつかの遠峯の姿と重なった。
二人は違う人間なんだと言い聞かせても、色んなところが似ているせいでちらちらとイメージが交差してしまう。
本人たちに言ったら、きっと憤慨するんだろう。
一度しか顔を合わせていないけれど、あの二人は絶望的に相性が悪そうだ。
そんなことを考えれば、塞ぎこんだ気持ちでも自然と笑いが漏れた。
……んー、どうしたもんか。
流されて前と同じことを繰り返してしまったんじゃ、昌には勿論、遠峯にも申し訳が立たない。
刹那的なものじゃなく、きちんと形ある想いがあるだろうか。
想いに応える気持ちだけじゃなく、自分自身の想いはちゃんとあるだろうか。
自問に、答えは聞こえない。
さっきまで寝てたっていうのに、まだどこか疲れている。
寝れば全てが好転してるかもしれない。
そんな現実逃避ともいえる希望に賭けて、もう一度布団をかぶった。
///
休講が重なって午前中に学校が終わってしまった。
出来るだけ何にも考えたくなかっていうのに、つくづくついてない。
纏わりついてくるお友達(男)を適当にあしらって学校を出ると、気分に反して良く晴れていた。
今日も平良君は休みだった。
避けられているのだろうか――、そんな考えを首を振って打ち消す。
彼はそんなことで学校を休む人間ではないし、目の前の問題から逃避するようなこともしない。
と、いうか、できない。
そういう性分なのだ、彼は。
じゃあ、どうしてだろう。
決まっている、彼の部屋に一緒にいた女性――斑目 昌、といったっけ――のせいに違いない。
陰鬱とわきあがる感情は、嫉妬というより怒りに近かった。
誰に対するものなのか、なんてどうでもいい、兎に角腹立たしい。
気持ちを切り替えようとしたら、盛大にため息が出た。
らしくないと自分をたしなめても、ますます気持ちが沈むばかりだ。
こうなったらもう一度突入しようか、なんて考えるも、
もしも、その…そういう現場を目撃してしまったら、立ち直れる自信が、ない。
八方塞。
途方に暮れて顔を上げると、能天気にトランクをぶら下げて真昼の商店街を歩く、斑目 昌嬢の姿があった。
///
キョウハココマデ
つーか視点変わりすぎですね、読みにくそうでごめんなさい。
いつか2週間ぐらい書けなさそう、とか言ってましたけどなんとか上げました。
今度こそ1週間くらい書けなさそうなので、次の投下は2週間後あたりになりそうです。
投下後のコメントが2レスになったのは仕様じゃなくてミスですごーめーんーなーさーいー
続きキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
早めにキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
おそらく、修羅場キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
ふぅ……、キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!のやりすぎで疲れた……
遠峯視点ハァハァ
のほー!
降臨したー!
もしかしなくても修羅場…?
どっちかなんてとても、俺には選べねぇ。
誤字?
「襲ちまった」→「襲っちまった」
「拾いせず」→「拾いもせず」
兎に角、言いたい事は GJ!
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
GJ!
視点切り替えとかの時は名前欄とかどっかに誰か書いてもらえるとうれしいかも
>>628 だから遠峯は俺の嫁だと何度言えば
久しぶりの出番にハァハァが止まりません(´Д`)
この作品、読者が固定されてる気がする
細かくあげられてるから読めるけど、後からスレに来て一気に読むにはつらいしな
いっそ自サイト作ったほうがいいんジャマイカ?
まとめて欲しいってのもあるし
まあ、サイト立ち上げるほど人気があるのかは知らんが
ROMのヤシらがたくさんいるが、表に出てこないだけな希ガス。
サイトはエロパロ保管庫だけで事足りる。
そんなに読んでる人いるのかなあ・・・ ( ´・ω・`)
読んでるよ(´・ω・)
636 :
薬屋:2005/07/05(火) 15:39:28 ID:akdBPH8U
最初の方でスレの方向性にミソつけちゃった
俺漏れも読んでるよ(´・ω・)
俺も読んでるよ(´・ω・)
638 :
57:2005/07/05(火) 20:31:39 ID:EzfiH8wT
俺も読んでるよ(´・ω・)
たぶん俺が書いたやつよりは読者選んでないと思うよ(´・ω・)
基本ROMですが読んでますよ(´・ω・)
いや、何人読んでるって話じゃなくて今から読み始める人間が何人いるのかって意味で読者が固定されてると言ってるんだ
最初から投下された分だけ読んでる人は細切れだから苦にならないだろうけど一気に読むのは結構骨だぞこれ
そんなこというなよ(´・ω・)
これだけ絶賛してる式になったら読むだろ。
ただでさえ過疎ってるんだからいいじゃないか!
いや、俺にはよく理論が分からないんだが・・・
>>640=
>>632でしょ?
>>632でのまとめてほしいってのは保管庫に不満があるの?
自サイト作る事を提案しておきながら最後で前述のその意見を矛盾させる様なこと書いてるし
どうもいまいちはっきりした意図が見えてこないよ
新たに読者が増えそうにないから余所でやったら?ていうこと
ちょっwwwwwwwおまっwwwwwwwwww
なんか適当に思ったこと書いてたらまるっきし荒らしみたいだ
あんまり深い意味はなかった気にしないでおくれ、俺は去る
一気に読まなきゃイイだけのこと。
それに、読み手がどうのこうのは、職人さんが聞きたいと書き込んだら、書けば良いだけのこと。
そんなこと書き込まないで、ネタでも持ってくれば良いのに。
スレのびてると思ったら、なんすかこの流れ
職人さんが二人混じってるしw
それはあれですね、現在執筆中ということで間違いないんですねそうなんですね
期待しておきます
サイトとかいつか作ってみたいよねー
Web拍手とか楽しそうだよね、よね?
いや、まだまだ未熟者なんで作る気はないですが
保守も兼ねて、暫くはここに投下させていただきますです
コテで雑談ってウザいよね、ごーめー(ry
でもほら、コテのほうが某職人様2名にわがままが効くと思って
期待してます(・∀・)
確かに続きは難しそうだなぁ。
最終更新は
>>485-498かな。軽快なテンポで進むこのSSは結構面白かったんだが。
649 :
七夕ですよ:2005/07/07(木) 05:25:02 ID:jsBDa8a5
「そーいや、今日は七夕だってね」
そんなことを思い出して、テレビを見ていた目を、顔ごと傍らに向ける。
「……それがどうかしました?」
テレビにも話題にも興味がないのか、律は文庫から視線をそらさない。
素っ気ないそぶりがあまりにらしくて、苦笑いと一緒にため息が出る。
期末試験も終わって、せっかく二人きりだというのに、ムードもなにもあったもんじゃない。
外は生憎の雨模様。
二十光年向こうの恋人たちは残念ながら一年に一度のチャンスを逃してしまったらしい。
「雨だなぁ……」
「雨なんて、関係ないですよ」
なんでもない呟きからこちらの胸の内を読み取ったのか、律は僅かに文庫本から視線をあげてこちらを見た。
「年に一度しか会えないってだけでも理不尽なのに、あんな薄っぺらな雲のせいで邪魔していいわけないんです。
雨が降ろうが、槍が降ろうが、天の川が氾濫したって、必ず――――会いにいきます」
言いながら彼等と自分を重ねているんだろうか。
彼女の口調は珍しく情熱的だった。
「しんどそうだな……、幸せなのかね、それで」
「愛し合ってるのなら、勿論です」
間を置かず、言い切った。
なるほど、律もれっきとした女の子だった。
気付けば完全に本から顔を上げていて、心なしか無い胸を張っている。
「なるほど、それじゃあ――――」
「ええ、一年中、いつでも会える私たちは、誰よりも幸せです」
言おうとしたとっておきのセリフを奪われた。
それも、微かに照れで頬を朱にして、言葉通り本当に幸せそうな笑みを添えて。
――ああ、もうっ!
可愛いなこいつはっ!
え? それからどうしたって?
そら、もう辛抱たまらんって抱きしめて……
いや、野暮ったいことは言いっこなしだぜお前。
652 :
sage:2005/07/07(木) 07:35:19 ID:bUN33jjf
GJ!
萌え転がりますた。
国立天文台からのお知らせ……
今年,2005年の七夕は8月11日で御座います。
どなた様もお間違えの無いよう,ご注意してください。
国立天文台からでした……
654 :
名無しさん@ピンキー:2005/07/08(金) 00:08:01 ID:LCk8ipFf
な、なんだってーーー?!(AA略
七夕と伝統的七夕
もともと七夕の行事は、7月7日といっても江戸時代までに使われていた、いわゆる旧暦(太陰太陽暦、天保暦)に
よる7月7日に行われていました。これは、月齢およそ7の月が南西の空に輝く夏の夜になります。現在の暦(こよみ)
の7月7日は、たいてい梅雨のさなかで、なかなか星も見られません。そこで国立天文台では2001年から「伝統的七夕」
の日を広く報じていくことにしました。
旧暦(太陰太陽暦、天保暦)は、明治6年に現在の暦(太陽暦、グレゴリオ暦)が採用されるよりも前のもので、
現在は公には使われていません。このため、伝統的七夕の日は旧暦(太陰太陽暦、天保暦)による7月7日に
近い日として、以下のように定義します。
24節気の処暑(しょしょ=太陽黄経が150度になる瞬間を含む日)よりも前で、処暑に
最も近い朔(さく=新月)の時刻を含む日から数えて7日目が「伝統的七夕」の日です。
……よく解らん
旧暦は,基本的に月の満ち欠け(約29.5日周期)で1ヶ月が決まる.
だから旧暦の1ヶ月は29日か30日のどちらかしかない.旧暦では
12ヶ月で約354日にしかならない.
でも,四季は地球の公転で決まってるから,これは約365日周期.
1年が354日では,11日ほど足りないから,どんどんずれてしまう.
だから旧暦では3年に1度ほど1年が13ヶ月なることで,このずれを
無理矢理合わせる.
ただこれだと,日付と季節が最大30日ほどずれるわけだ.
つまり,旧暦は,空の月の形を見ればおよそ何日かわかるけど,
10月になったから衣替えとか日付で季節を表すには向かない.
そこで,季節をあらわすため旧暦と併用されていたのが24節気.
今でも使う立春とか夏至とかそういうやつだな.これは地球の公転
から定義されていて,今の新暦(太陽暦)を15日ごとに拾ってきた
ようなもの.
太陽暦を使ってる今は,夏至は6月21日から前後1日くらいしか
ずれない.
旧暦では「夏至のある月が5月」と定義されていて,極端な話,
夏至が5月1日になる年もあれば,5月30日になる年もあるという
可能性があるわけ.
24節気には,立春,立夏といった"節気"と,春分,夏至といった
"中気"とが交互にあった.例えば,
立秋(節気)>処暑(中気)>白露(節気)>秋分(中気)
とかいった感じ.
あと,1年が13ヶ月になる年には閏月が加えられるわけだけど,
中気を含まない月と決められていた.
ここで,旧暦を使わずに,旧暦の7月7日に近い日を定義しようと
チャレンジしてみるわけだな.条件は以下の4つだ.
・月初めは朔の日
・24節気は 立秋(節気)>処暑(中気)>白露(節気)>秋分(中気)
節気の間は約15日
・秋分を含む月が8月
・閏月は中気を含まない
秋分より前で,秋分に一番近い朔の日が,旧暦の8月1日になる.
するともう一つ前の朔の日が7月1日になる…と思いたくなるが,
そうはいかない.閏月が入ると7月はさらにその前になる.
ただし,閏月には中気を含まない.ということは秋分のおよそ
30日前の処暑なら,確実に7月に含まれると分かる.
よって,処暑以前で処暑に一番近い朔の日が,旧暦の7月1日.
ここから7日数えれば,旧暦の7月7日になるはずなんだな.
これで,
>>656の伝統的七夕の定義が生まれるわけだ.
それがどうかしたか?
宇宙最強の言葉を言うのは反則です
スレ違いなトリビア乙
そんなことより!
おっぱいもみたい!!
保守
トリビアでスルーされた649-651乙
保守
668 :
名無しさん@ピンキー:2005/07/17(日) 19:47:46 ID:9XqSbcPt
ほす
「ねぇ……海の日ってさ、なんなのかな?」
穏やかというには暑すぎる昼下がり。先日購入した文庫を開いている俺に、彼女はそう尋ねてきた。
「昭和16年以来『海の日記念日』として海運、造船、港湾などの海事産業や……」
「うー、そういうことじゃなくってさぁ〜」
扇風機の前に寝そべっていた彼女は上半身だけ起こし、不満げな声を上げる。
こら、膝を立てるな。パンツ見えてる。
「必要なのかな〜って。だってその7月の第3月曜でしょ? もう夏休みだし〜。
今まで一度も恩恵受けたこと無いよ〜」
前々からユルいユルいと思っていたが……。
俺はやれやれとため息を吐いて、文庫本を閉じる。
目の前にあるこの可愛らしい頭に少しは将来のことを叩き込んでやらねばなるまい。
「お前な、それは俺達が学生だからだろ。社会人にとっては休日は貴重なんだぞ。
休日が増えるっていうことは、体を休めたり家族とのふれあいの時間が」
そこまで言って何だか馬鹿馬鹿しくなってきたので、ベッドにもたれかかり、説明を打ち切る。
こいつに将来のことを考えさせるのはまた今度にしよう。
「ま、そのうちわかるさ」
そう締めくくって、俺は再び本の世界の住人となる。
横から「う〜ん」とか「む〜」とか唸り声が聞こえてきたが、いつものことなので気にしない。
そうして、4ページほど読み進めたとき、
「やっぱ私には関係ないや〜」
彼女はまことに簡潔な答えを出した。ここで無視すると彼女は拗ねて、
後で俺の蔵書がひどいことになるという因果関係は立証されているので、仕方なく相手してやる。
「何でだよ?」
すると彼女は俺に身を寄せて、笑顔で言い切った。
「だって私、卒業したら専業主婦になるんでしょ〜?」
「ばっ!」
危うく文庫を落としそうになった。
「あ、照れてる〜」
「うるせえっ」
こんなことだから。
こいつが図に乗っても困るので。
プレゼントしてやろうと思って買っていた指輪を渡したのは、1ヶ月以上も後になった。
>海の日
いやいや、ごはん3杯はイケた。
//////////////////////////
「働かざるもの喰うべからずだ。というわけで、お前も働け」
「それってプロポーズ〜?」
(おわり)
しまった。
誤字、というか消し忘れ発見。
やっぱ推敲はちゃんとしないと駄目ですね。
割り込んじゃったorz
この過疎スレに新しい風が…
もしかしてこれからもこういうイベントの日は短編で書いてくれる人が来るかも!
「海の日〜」
「……………………ああ、そうだな」
いつものごとく太陽が照る午前10時。
何故か左右に揺れながらテレビを見ていた彼女が、唐突に俺に笑顔を向けた。
つい15秒前まで「プリンが食べたい〜」とか言っていたはずなのだが。
プリンと海の日。この二つに関連性はあるのか? 俺は無いと思う。というか未来永劫無いと思う。
しかし彼女の脈絡のなさはいつものことなので、それについては気にしないでいい。
が。
「それが、どうかしたか?」
発言の内容に嫌な予感を覚えた。認めたくはないが、こいいうとき俺の勘は良く当たる。
彼女は俺の正面に移動し、ちょこんと正座する。そして、
「今日って海の日だよね〜?」
「まぁ、そうだな」
俺の両手を取り、何故かブンブンと振りながら、
「だから〜……海に行こう!」
満面の笑顔で提案した。
「……………………」
「わくわくどきどき」
擬音を口に出すな。
「お前、海の日なんて自分には関係ないとか言ってなかったか?」
「そう思ってたけど、せっかくそういう日があるのなら、それにちなんで遊ぶのもいいかな〜って」
「じゃあお前はバナナ記念日とかいう日があったらバナナを食いまくるんだな?」
いかん、暑さでネジがとんでいるのか、小学生レベルの反撃になってしまった。
しかし、
「私、バナナ好き〜」
ユル頭にはそれすら通用しない。
敗北感と疲労感が一気にのしかかってきて、俺は盛大なため息を吐いた。
というわけで。
電車に揺られて一時間半。俺達は海に来ていた。
こんな時こそ夏休みという学生のみに与えられた特権をフルに活用だ、
とばかりに平日に来ているので、この気温にも関わらずそれほど混雑していない。
ここまでは順風満帆。……でもなかったりする。
お姫様の機嫌が悪い。恐ろしく悪い。
海に来た直後はご機嫌だった。下手くそな自作の鼻歌まで歌っていたくらいだ。
だが水着に着替えしばらくすると、急にむくれだした。
一泳ぎした後、こうしてビーチパラソルの下でかき氷を食っていてもそれは変わらない。
原因は……わかってはいるんだが。
「仕方ねーなぁ……」
俺は呟くと、前方を向いたまま、出来るだけさりげない口調で告げた。
「あー、水着、似合ってるぞ」
彼女が電気信号を送られたように、瞬時にこちらを向く。
怒りの表情を維持しようとしているようだが、口元がほころびかけているのがわかった。
「本当〜?」
「お前にお世辞は必要ない」
分かり切ったこと言わせるな、阿呆。
「えへへ〜」
彼女の表情がだらしなくゆるむ。水着を誉めたくらいでそんな嬉しそうな顔するな。
「来て良かった〜」
「……新しい水着を俺に見せることが目的だったのか、お前は?」
「そうだよ〜」
もしかしたらと思って尋ねてみたら、躊躇のない肯定が返ってきた。
「えへへ〜。海の日だもんね〜」
その満面の笑みを見ていると、何となくからだが火照ってきたので、かき氷を口に運ぶペースを上げる。
そうして口内の感覚が麻痺してきた頃、
「ねー、そっちはどんな味〜?」
相変わらず呑気に自分のかき氷を食べていた彼女が、俺の顔をのぞき込んできた。
「別に。市販のイチゴ味。特に変わったところはないぞ」
「味見してもいい〜?」
俺は既にすくってあったひとさじを口に入れると、無言で器を差し出す。
しかしそれより早く――
「んっ」
彼女が唇を重ねてきた。
「んん……んむ……んんんんっ」
更には舌も入れてくる。意表を突かれた俺は固まってしまい、なすがまま。
「んんっ…………こくっ…………ぷはっ」
ようやくキスを終え、唇を離した彼女は。
「ホントだ。いちごあじ〜♪」
少し顔を赤くしながら、照れ笑いを浮かべた。
「…………………………」
とりあえずやられっぱなしはムカつくので、
「お返しだ」
「んんんんっ? んむん〜〜〜〜。んんっ」
思いっきり報復してやった。
////////////////////////////////
ちなみに夕方、人気のない岩場の陰で。
「えっちのあっとのうっでまっくらっうっでまっくっらっ〜♪」
「恥ずかしい歌作るなっ」
何をしたのかは、内緒だ。
(おわり)
ヤバスwww
おれのストライクゾーンに入った。
なんつーか、、、GJ!
682 :
669:2005/07/21(木) 01:02:12 ID:O1gvlUML
うわしまった。
677と678の間の行間入れるの忘れた。
やっぱ推敲は(ry orz
あっさりしてる分だけ妄想が膨らむ膨らむw
なかなかのやり手ですね
クソォなんか久しぶりに来たらすごい夏SSがぁぁぁぁ!!!!!!!!
ほど良いいちゃつきぶりが、この暑い最中に合っていて楽しかったです。
ちなみにバナナの日は8月7日。
おぉ!?
ってことは次回は8月ころにまたくるのか楽しみだ
>>685 ってことは俺はバナナ記念日に産まれたのか
どうりで友達が誕生日プレゼントにバナナを大量に持って来るわけだ
688 :
669:2005/07/21(木) 17:26:32 ID:Gu6lb4LA
しまったぁぁぁぁ!
海の日のはずなのに「平日に来てる」
とか書いちまったぁぁぁ!
・・・・すいません。各自で
『休日なのに混雑していない』に脳内変換してください。
やっぱ推(ry orz
>>688 本来なら「海の日7/20」ってことでw
まー海の日が休日になる前って事で。
「うみっはひろくてっおおきなおっふろっ〜おおきなっおっふろはっうみのひっ〜♪」
風呂場から筆舌に尽くしがたい歌が流れてくる。どうやら彼女の上機嫌はいまだ続いているらしい。
俺は文庫に栞を挟んで脇に置き、缶コーヒーを一口あおった。
「まぁ海なんて久しぶりだったからな」
呟いて、もう一口。冷たくて心地いい感触が喉を通った。
結局太陽が沈むまで海水浴を満喫し、心地よい疲れを伴って家に帰ってきた。
夕食は駅前のファミリーレストランで済ませたので、後はもう寝るだけである。
いつの間にか歌と水音が聞こえなくなっていて、やがて扉の開く音。
そして一分もしないうちに、彼女が小走りで俺の元へ来た。
裸にバスタオルを巻いただけの格好で。
「ね、いつもの〜」
「お前な……。せめて下着を付けてからにしろ」
俺は呆れながらも自分のTシャツを脱ぎ、渡す。
ちなみに俺はこいつよりも先に風呂に入っているので、当然このシャツは洗濯したての清潔なものだ。
「えへへ〜」
彼女は嬉しそうにそれを抱えると、
「じゃ、着てくるね〜」
再び脱衣所へ消える。
俺はため息を吐いて、傍に用意してあったもう一着のTシャツを着込んだ。
彼女は何故か俺の着ている服を寝間着にする。『俺の』ではなく『俺が着ている』服を、だ。
たとえ10分しか着ていないものだろうがお構いなしである。
わざわざ剥ぎ取らないでもそこらにあるのを着ればいいと思うのだが、何やら彼女なりのこだわりがあるらしい。
「お風呂あがったよ〜」
いつもの呑気な声と共に、彼女が姿を見せる。
着ている服は当然、俺から強奪したTシャツ。ちなみに下着はピンク。
何故そんなことがわかるのかというと……。
「……スカートくらい履け」
「やだ〜。暑い〜」
そう言って彼女は俺の隣に腰を下ろす。
またしても俺の缶コーヒーを強奪し、にへら〜と締まりのない笑顔を浮かべた。
「……何だ?」
「楽しかったね〜海の日〜」
「まぁな」
楽しかったのは海の日ではなく海水浴だと思うのだが、突っ込むのも野暮だろう。
それに、楽しかったことに変わりはない。
「ひっつくな。暑い」
「やだ〜寒い〜」
さっきまでは暑いとか言ってただろうが。
そんな会話を時折混ぜながら、俺は読書をし、彼女はコーヒーを口に運ぶ。
そんないつもの時間。
だがやがて、それも終わる。肩に重みを感じたので隣を見ると、
「ふにゃ〜」
姫のおねむの時間らしい。俺は仕方なく、
「うら」
「ひゃうっ」
デコピンをくれてやった。
「寝るならベッドで寝ろ。風邪ひくぞ」
「わかった〜」
ふらふらと彼女はベッドへ向かい、ころんと横になる。
残された俺は本を閉じ、ベランダへ出た。扉は閉めない。
こうすればあいつにも涼しい風が行って、眠りやすいだろう。
あの様子からすると5分くらいで……
「つんつん」
「うぉ!」
いきなり脇腹をつつかれ、驚き振り返った俺の視界に入ってきたのは、ベッドにいるはずの彼女の顔だった。
「忘れ物〜」
彼女は内緒話をするように、口元で手招きする。何の話だ、と訝しみながら耳を寄せ――
「んっ」
ようとしたら、唇を奪われた。
「えへへ〜。おやすみのキス〜」
呆気に取られた俺を残して彼女は。
「おやすみ〜」
いつもからは考えられない俊敏さで部屋の中へ消える。ちなみに普段、おやすみのキスなどしない。
「まったく、あいつは……」
とっくに乾いた頭をガシガシと掻く。
それから30分、火照った身体を冷ますために、部屋へは戻れなかった。
暗がりの中、足音をたてないように慎重に歩く。
キッチンで一杯麦茶を飲み、ベッドへ向かおうとすると、壁に掛けてあったカレンダーが目に付いた。
何も予定が書いてなかった日に、ぐるぐると赤丸が付いてある。
その日はもうすぐ過ぎようとしている今日。つまり海の日。
近づいてよく見ると、丸っこい字で、
『また行こうね〜』
そうメッセージがあった。
「いつの間に書いたんだか」
えへへ〜という彼女の笑い声が聞こえてきそうだった。
俺は小さく笑うと、犯人が寝ているベッドへ向かう。
久々にはしゃぎ過ぎたのか、彼女は起きる様子もなく、すやすやと熟睡していた。
ベッドは決して小さくないが、二人で眠るには十分とは言い難い。
それでも一緒に眠ることは多いが……。
まぁ、今日は気持ちよく寝かしてやろう。
俺は彼女の髪をそっと撫でて、一応念のため本当に眠っているか確認した後、
「そうだな。また行くか」
メッセージの返事をそっと呟いて、彼女の額に口づけた。
そして夏用の毛布だけ腹に掛け、床に寝そべる。
「おやすみ」
こんな日も、なかなか悪くない。
///////////////////
朝。目が覚めると。
「…………おい」
「く〜」
彼女の顔が目の前にあった。
どうやら夜中に一度目を覚まし、ベッドに戻らず俺の隣に来たらしい。
しかもちゃっかり俺の右腕を枕にしている。それどころか足や腕も巻き付けている。
抱き枕か、俺は。
思わずため息が出る。
「しょうがない奴……」
さてと。
楽しくて、退屈で、
嬉しくて、悲しくて、
平凡で、とんでもなくて、
そしていつも彼女が隣にいる、
そんな『今日』を始めよう。
(おわり)
696 :
669:2005/07/23(土) 01:47:00 ID:j3xZZIMJ
何か色々レスしようとおもったのですが、
眠いのでまた明日。
>もう開き直って海の日について全然考えてません
全然かまわないっす。
ってか萌えだし(ハァハァ
ぶっちゃけエロがないわけだが……。
>>698 確かにその通りだが、全く気にせず萌えてる奴が多数いたりするわけで。
実際エロシーンとかは表現に限界があって萌えならいくらでもいけるだろ
702 :
669:2005/07/23(土) 21:53:16 ID:p6uYPJaW
みなさん、レスありがとうございました。
まず最初に懺悔を。
>>649氏、すみません。
名前欄に色々書く手法、面白そうだったので使ってしまいました。
>>稲負鳥 氏、すみません。
//////////////////
この区切り方法、便利そうだったので使ってしまいました。
無茶苦茶使いやすかったです。
お二方、申し訳ないっすorz
703 :
669:2005/07/23(土) 22:00:16 ID:p6uYPJaW
海の日の話はこれで終わりです。
元々、他の職人さん達が投下するまでの時間稼ぎのつもりだったので、
3回も続けるつもりはありませんでした。
レスくれた人、ホントにありがとうございました。
704 :
669:2005/07/23(土) 22:12:30 ID:p6uYPJaW
あと、個別レス。
>>685 >ほど良いいちゃつきぶりが、この暑い最中に合っていて楽しかったです。
えーと、私自身こいつらはバカップルだと思っていたんですが・・・・
そうか、これでほど良いのか・・・・
>>698 そうっすよね。エロパロ板ですもんね・・・・
小ネタのつもりだったので、それを書くと長くなるなぁと思ってやめました。
短くエロくはできませんでした。私の実力不足です。すいません。
>>バナナ記念日
書きません。つーか書けません。
バナナでどうやって純愛しろとw
705 :
669:2005/07/23(土) 22:28:14 ID:p6uYPJaW
小ネタはまた書くかもしれませんが、
海の日の二人になるかは未定です。
この二人の話になれば、二人に名前を付けようかと思っています。
そろそろ名無しのままじゃ辛くなってきたので。
『彼女』って表現多いし。名前呼びかけが使えないし。
よって次、いきなり『ジミー』とか『キャサリン』とか呼び合ってるかもしれません。
あと、タイトルも付いてるかもしれません。
でも小ネタSSであることは変わりないと思います。
長々とすいませんでした。
ではバナナ記念日にw
・・・・バナナで純愛なんて書けねぇよ、やっぱりorz
うー、とりあえず短いけど投下します。
部屋に、アイツはいなかった。
こんな時間から真面目に働いてるとも思えないし、きっとどっかで遊び呆けてるのだろう。
もしかしたら女ところに泊まりかもしれない。
…どうでもいいや。
顔合わせなくてすんだのはラッキーってことだ。
当面必要な着替えとか下着とかをトランクに詰めて、その他色々はダンボールに詰めて宅配便で送ってしまって、部屋には『またのご来店をお待ちしています』なんて皮肉たっぷりのメモを残してきた。
こういうことしてるとまたお客が減っちゃんだろうけど……、それも、まあ、今じゃどうでもいい。
駅まで続く商店街のタイルの上で、トランクの車輪がガタガタぬかす。
結構な騒音であるはずなのだが、昼時の喧騒の中じゃもち手から腕を伝って聞こえるだけだ。
ぐぅ、とコートの下、へそ辺りから鳴き声が一つ。
そういえば朝食も食べてない。
財布も返ってきたことだし、なんかあったかいものでも食べようかな、と脇の店に目をやった時、
「――斑目さん、」
聞き慣れない声に、背後から名前を呼ばれた。
「こんにちは。」
振り返ると、にっこりと笑顔を浮かべた、昨日のコが。
確か、遠峯――
「……伶理ちゃん。だっけ?」
「ええ。覚えてもらっていてみたいで、嬉しいです。」
ちゃん付けは嫌がりそうだと踏んでいたのだが、動じた風もなく笑い返された。
「良かったら、少し話しませんか? 美味しい紅茶のお店知ってるんです。」
悠然とした笑顔は、こちらに隙を見せまいとしているようでもある。
…そういうことか。
それならそうで望むところ。こっちにだって訊きたいことはあるんだ。
よそ行きの微笑みを目一杯に取り繕って、彼女の提案に頷いた。
店に入るなり、眠くなるようなクラシックが耳に障る。
よく言えば落ち着いているんだろうけど、どうもこういう気取った店は苦手だった。
"美味しい紅茶のお店"とのことだったので、わざわざコーヒーを注文する。
今度は露骨に眉をひそめてみせるあたり、よっぽどここの紅茶をひいきにしてるらしい。
「斑目さんは、今、平良君の部屋に寝泊りしてるんですよね?」
出てきたコーヒーの薄さにちょっぴり後悔していると、向かいに座った伶理ちゃんが口火を切った。
声は、少しばかり鋭さを持ち始めている。
「ん、そうだけど?」
出来るだけなんでもないことのように言う。
かちゃりと、向かいの席に置かれたカップが音を立てる。
「……一体、どういう経緯なんです?」
ところが、彼女は思っていたより慎重に間合いを詰めてきた。
――まさかとは思ったけれど、案外本当に付き合ってないのかもしれない。
言ってみれば私は横からちょっかい出してきた泥棒猫なんだし、
ちゃんとしたお付き合いをしてるっていうならもっと強く当たったっていいはずだ。
それが、彼女みたいな気の強そうなタイプならなおさらに。
「……そういうキミは一体何さ?」
形勢有利と見て、質問に質問を重ねる。
向かい合った彼女は怯むように私を見ると、一拍置いた後、大仰なため息をこぼした。
「……分かりました。変な誤解は早めに解いておいたほうが良いですもんね。」
どこか諦めたような口調は、颯爽とした雰囲気の彼女にあまり似合ってない。
紅茶を一口。
「平良君とは、以前、お付き合いをしていたんです。 ……私が高校二年の時に、一年ちょっとの間だけ。」
伶理ちゃんの目は、前を向かずに置いたティーカップを映している。
「でも、それももう、一年経った話で、今じゃただの友達です。」
語調はたどたどしくても、彼女の声は凛と空気を振るわせる。
…なるほど。
元、か。
それは考えてなかった。
だけどそれなら、あの微妙な距離にも妙に納得がいく。
「でも――――、まだ、好きなんだ?」
気付かない方が鈍いってもんだ。
つっつかれた彼女は、驚くわけでもなく、慌てて否定するでもなく、ただ照れくさそうに笑ってみせた。
一見幸せそうな笑顔が、少し、悲しいものに見えた。
よっぽどいい別れ方が出来たんだろうな、なんて羨ましくも思う。
キョウハココマデ
3週間経ってました
どうしようもなく筆が進みません
次は1ヶ月ぐらい消えそうです
>>669氏
いや、そんなことで謝ってくれなくても良いッスよ
むしろGJです
甘いのっていいよねッ!
愛って素晴らしいよねッ!
あと遠峯は予約済みです
おーーーーい寸止めかいw
まぁなんというか、 修 羅 場 GJ!
修羅場キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
>>709 俺のために遠峯を予約してまでとっといてくれるなんて感激。・゚・(ノД`)・゚・。
はぁ。
>>713 何を言う
み ん な の た め だ!!
俺の、俺だけの遠峯
じゃあ、お前を亡きものにすれば……
○
く|)へ
〉 ヾ○シ
 ̄ ̄7 ヘ/ ←
>>715 / ノ
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とりあえず、きりのいいところまで投下
「……じゃあ、今度は私の番。」
私がそう返すと、彼女は少し意外そうな表情をする。
そりゃあ、私だって礼ぐらい知っているさ。
嘘をついてる様子には見えなかったし、誠意に誠意で応えられないような人間でありたくない。
「と、いっても、私のほうはつい三日前の話なんだけどね。」
頭にそう付け加えて、成り行きをかいつまんで説明する。
もちろん、嘘は吐いてない。
少しばかり省略した部分はあるのは…………、致し方ないってことで。
「――――そうですか。」
説明し終えると、伶理ちゃんは本日何度目かのため息と一緒に頷いた。
話しながら思ったのだが、今私が置かれている状況、いや、彼の行動は色々と普通の感覚から外れている。
延いては私の説明までもが下手糞な作り話のようだ。
「あ、やっぱ信じてない?」
「いえ、彼ならやりかねません……。」
不安になって訊ねると、顔を手で覆いながら伶理ちゃんは答えた。
やっぱり、彼は万事そういう調子なんだと、つい苦笑いがこぼれる。
「それに貴女ならもっと真実味がある嘘がつけるでしょう? だから、信じます。」
「……そりゃ、どーも。」
ついでに小憎たらしい笑顔でそんな皮肉を言ってくる。
「…………まあ、そういうことだから――」
「ええ、平良君をよろしくお願いしますね。」
「―――――――― へ?」
そろそろ話を切り上げようとした矢先、予想もしてなかった言葉が聞こえて、思わず間抜けな声が出てしまう。
「ちょっ…………、どういうこと?」
「そのままの意味です。 平良君を、よろしくお願いします。
……私のほうは、もう、玉砕でしたから。」
ちょっとだけ茶化して、笑う。
自分は身を引く、ということなんだろうか。
そうとしか思えないはずだったのに、俄かには信じられなかった。
その笑顔と、隠れるように震える手には、どれくらいの想いが――覚悟が、秘められているんだろう。
美人で、賢くて、凛々しくて、
きっと、並の男じゃ気後れしてしまうほど、彼女は強んだ。
そりゃあもう、私なんか目じゃないくらい。
まったく、彼も見る目が有るんだか無いんだか。
「――そろそろ、出ましょうか。」
気付けば店内は込み合いはじめている。
カップ二つで席を居座るのはなかなかに顰蹙だ。
少し冷めたコーヒーを飲み干して、立ち上がる。
「あっ、」
「いーからいーから。社会人のおねーさんに任せなさい。」
有無を言わせずレシートをもぎ取る。
幸い、財布は返ってきたばっかりで、中身は十分にある。
伶理ちゃんは少しだけ不満そうな顔をしてみたが、それ以上抵抗することもなかったので、よくある不毛な争いはしないで済んだ。
半歩後ろの伶理ちゃんを尻目に、レシートをレジに出す。
………………え。
そんなにするの?
コーヒーと紅茶だけだよ?!
「今日は、ごちそうになっちゃってすいませんでした。
今度は斑目さんお奨めのお店で、私にご馳走させてくださいね。」
店を出て、レシートを眺めている私に、どうにもおばさんくさい挨拶がかけられる。
社交辞令だろうってのに、その笑顔はずるいくらい綺麗だった。
生憎、私にこんな洒落た喫茶店に入り浸るような趣味はない。
「…………ねえ。」
「はい?」
声帯が、脳からの無機質な電気信号とは違うものを、受信した気がした。
やめろって。
相手が無条件に試合放棄してるんだ。
それをわざわざけしかけるようなこと――――
「――――本当に、いいの?」
息を飲む音が、聞こえた。
「……私じゃ、駄目だったんです。 今さら私じゃどうにもならないじゃないんです。
私に出来ることっていったら、せめて、あの人の幸せの後押しをするくらいしかないんです。」
辛そうな、聴いてられないような口調でも、彼女の声は凛と空気を振るわせる。
「だから、彼を泣かせたら、ひどいですよ。」
冗談みたいだけど、彼女は本気で言っているのが分かった。
「…………過保護。」
「何とでも言ってください。」
開き直られた。
可笑しくて、二人で笑いあう。
「……わかった、頑張ってみるよ。」
軽く手を上げて、別れを告げる。
「はい――――、それじゃあ、また。」
「ん…………じゃ、ね。」
店の前で、分かれる。
背中に深いおじぎを貰って、歩き出した。
あーあ。
凄いプレッシャーだね、こりゃ。
キョウハココマデ
明後日から修行の旅に出るので、もう全然書けません
俺のことを忘れないでください(何
この夏には終わらせたい、なぁ……
乙!
>明後日から修行の旅に出るので、もう全然書けません
全世界が泣いた。
>明後日から修行の旅に出るので、もう全然書けません
全生物が鳴いた。
725 :
名無しさん@ピンキー:2005/08/02(火) 21:28:43 ID:QeFaNZpN
保守だ
続き、ワクワクテカテカしながら待っております。
726 :
名無しさん@ピンキー:2005/08/10(水) 11:26:05 ID:uLFJy094
保守
早く続きが投下されないと、また
>>716のようなひどい事件が…
ほす
女性上位スレに稲負鳥氏発見
リンクを貼ってくれ
他スレの話題を出すなよ。荒れる元になる
自演宣伝?
・・・
・・・
737 :
名無しさん@ピンキー:2005/08/19(金) 00:25:32 ID:2iFpGCES
自演乙
「えいっ」
掛け声と共に、ドサドサドサッと俺の前に落下する物体。
俺はそれをしばらく眺めた後、にこにこと笑顔を浮かべている彼女に至極当然な疑問を投げ掛ける。
「……おい、これは何だ?」
「バナナ〜」
それは見ればわかる。
「じゃなくて、バナナばかりこんなに買い込んだ理由を聞いているわけだが」
「あ、それはね〜」
彼女はマジックの種を披露するマジシャンのように得意げな表情で、
「バナナの日だから〜」
「…………は?」
「バナナの日だから〜」
いや、言い直さなくても聞こえている。俺は壁に掛けてあるカレンダーに目をやり、日付を確認した。
今日は8月7日。彼女曰くバナナの日、らしい。
まぁ、アイスクリームの日だのかき氷の日だのがあるくらいだから、バナナの日があってもおかしくはないのかもしれないが。
「だからといって今日食べなくてもいいだろう。別に珍しいものじゃないし」
「あ〜、自分で言ったこと忘れてる〜」
しかし俺の意見に、彼女は不満げに頬を膨らます。ガキかお前は。
「俺が? いつ、何を言ったんだ?」
「海の日。海水浴に行く前。『バナナの日には、一緒にバナナを食べよう』って。ちゃ〜んと聞いたもん」
「確かにあの日、バナナうんぬんを口走ったような覚えがあるが……」
微妙に歴史が改竄されているような気がするのは俺の錯覚だろうか?
しかし今そんなことはどうでもいい。問題はこの大量のバナナをどうするか、だ。
返品も効かないだろうし、数を減らす方法で、一番無難で手っ取り早いのは……。
「仕方ない。食うか」
「うんっ」
彼女は嬉しそうに微笑んで、俺の隣に腰を下ろした。
その笑顔を見ていると、何となく怒る気も失せる。
まったく、こいつは。
徐々に涼しくなりかけていく夕方の5時過ぎ。
時折部屋に差し込む風に、風鈴が音を鳴らすその部屋の中で。
二人でバナナを食べる。ひたすら食べる。
ちなみにバナナの総数は計1ダース。もちろん単位は『本』ではなく『房』である。
扇風機が回る部屋の中で、二人身を寄せ合ってバナナを次から次へと口に運ぶ姿は
他人の目にはどう映るのだろうか。あまり想像したくない。
益体もない思考を打ち切り、足下に転がっている成果を確認する。
一房と一本。さすがにペースが落ちてきた。
傍らの彼女はまだ一房目である。初期と変わらずのマイペースに食べているように見えているが、
やはり微妙にスピードは緩んでいる。まぁ、こいつは元々食べるのが遅いのだが。
そろそろ潮時かな、とそんな考えが頭に浮かんだとき、
「何か飲み物もらうね〜?」
そう告げて彼女はキッチンへ向かった。水分補給なしでは辛いと判断したらしい。
まぁ、バナナって水分が滲み出る果物じゃないしな。
「冷蔵庫に麦茶とオレンジジュースあるから、好きな方飲んでいいぞ。ついでに俺の分も取ってきてくれ」
「うん〜」
彼女が冷蔵庫を開け、アルミ缶を二本取り出す。どうやらオレンジジュースを選択したらしい。
そしてその場で蓋を開け、喉を潤してから部屋に戻ってきた。
「はい〜」
「サンキュ」
彼女が手渡したジュースを脇に置き、俺は再びバナナの攻略を開始した。
彼女は今度は俺の正面に座って、だらしなく笑いながら俺に習う。
食事という人類にとって至福の行為も、ここまでくるともはや苦行と化していた。
始めからたいして空腹を感じていなかったので、胃袋もそろそろギブアップを申告し始めている。
彼女はというと、もう既に喉を潤す回数の方が多くなっていた。
仕入れ担当である諸悪の根元に反省を促す意味を込めてギロリと睨んでやったが、
「えへへ〜」
どうやら誤った解釈をしたようで、俺の手をぎゅっと握ってきた。このお気楽ユル頭め。
……しかし彼女の顔が先程より赤いような気がするが、気のせいか? 何故か機嫌も良さそうだ。
俺は怪訝に思いながら、表面に水滴の浮かびだしたジュースの蓋を開け、口に流し込み――
「ぶほっ!」
吐き出した。
「あははは〜。慌てて飲むからだよ〜」
左右に揺れながら彼女が笑うが、そんなものは無視。急いで缶に記載してある商品名を確認する。
「…………おい」
「んふふふふ〜。なに〜?」
「これはオレンジジュースじゃなくてカシスオレンジだろうがっ!」
どうやらこいつはオレンジジュースと間違えて、カシスオレンジを飲んでしまったらしい。
わざわざわかりやすいところに置いてあったジュースを避けてこっちを手に取るか、こいつは。
「おいしいよね〜。オレンジジュース〜」
頭を抱えたくなった。
彼女はアルコールに弱い。恐ろしく弱い。
どれくらい弱いかというと、ビールをコップ半分飲むと今と同じ状態になれる。
しかもすぐに酔うくせに、つぶれるまで長い。まったくはた迷惑な奴なのである。
更には。
「えへへへへへ〜」
「無駄に人の手を振り回すな」
やたらと俺に甘えてくる。
アルコールが抜けるまではこいつの相手をしなければならないのかと思うと、ため息が出た。
バナナが胃にもたれてきそうだ。
「あはは〜。オレンジジュース〜、飲まないの〜?」
脳天気に彼女が聞いてくる。答える気力も萎えてきた。
「ああ。そのうちな」
適当に手を振って、バナナを頬張る。もはや惰性と化してるな、この行為。
すると彼女は何か名案を思いついたというように、にっこり微笑んで、
「じゃあ、ミックスジュースなら飲む〜?」
カシスオレンジを口に含み、
「そんなもの買ってきてなんっ」
「んっ」
いきなり俺を押し倒し、キスしてきた。
「んっ……んっ……んんん」
それだけじゃない。彼女の舌が俺の口内に入り込み、動き回る。
重力に従って、彼女の舌や唇から流れ出したカクテルが、俺の口へと移り、
「くっ…………こくっ……」
バナナと混ざって喉を灼きながら、胃へ落ちる。
「んっ……ちゅっ………ちゅうっ…………」
彼女は流れた液体の代わりと言わんばかりに、残っていた俺の唾液を吸いだして、
「んんんっ…………ぷはっ」
ようやく、唇を離した。
「えへへ〜、みっくすじゅ〜す〜」
いつもより少しだけ色っぽく、笑う。まだ俺達の唇は、細い唾液で繋がったまま。
彼女の顔が赤いのは酔っているせいか、はたまた別の理由があるのか。
俺は呆然として、何の反応も出来ない。いつも酒が入っていてもべたべた甘えてくるだけ、
せいぜいキスをねだるくらいで、自分からこんな積極的な行為をしてくることはなかったのに。
「もう一回、しよっか」
囁くように言って、彼女が缶を傾ける。
そして切れた唾液の橋を追いかけるように、勢いよく俺に覆い被さり、
「ん……んん……」
また舌と舌を絡め合わせる。
「んん……んむっ……んんんん…………ちゅ、ちゅ……ちゅうっ」
今度は口内をねぶるように。流し込まれた液体を飲み干しても、離さずに。
舌と舌で抱擁して、カシスオレンジなんかとは比べものにならない美酒を、お互い啜り合う。
いつの間にか俺の手は彼女の身体と頭に回っていて。
いつの間にか彼女の手は俺の首にしっかり巻き付いていた。
お互いがお互いを強く抱き寄せて、キスを味わう。
「ちゅ、ちゅ、ちゅうっ……ん……んんん……んむ……んんんっ」
しかしそれも。
「んんむっ……んんん、ちゅ……ちゅうっ…………こくっ…………ぷはっ」
息切れという現実の前に、終わりを迎える。
「はぁ……はぁ……」
「はぁ、はぁ、は、ぁ」
吐息の重なる距離で、荒い息を吐く。もうどちらのものなのか、音だけではわからない。
やがて少しだけ呼吸が静まる。でも二人とも離れず、目を逸らさない。
「すごい、ね、はぁ……」
まだ肩を上下させながら、短く彼女が呟く。マウントポジションの体勢で、俺の胸に手を突いて、少し大人びた微笑みで。
その瞳には、まだ妖艶な色が漂っている。考えてみたら、いつもと立場が反対になっている。
「また、するね」
彼女もそれは充分自覚しているのだろう。
悪戯っぽい笑みをたたえながら、傍に置いてあったカクテルに手を伸ばし――
「調子に乗るな」
「ひゃんっ」
俺はそれを許さず、両腕と腹筋を使って思い切り起きあがった。
彼女はあっさり床に転ばされ、代わって俺が上になる。マウントポジション返し、成功。
「え? ええ〜?」
彼女は一瞬何が起こったのかわからずきょとんとしていたが、やがて事態を理解すると驚きの声を上げ始めた。
「よくも散々弄んでくれたな……」
俺はなるべく迫力が出るよう低いトーンで囁きながら、彼女の腕をがっちりホールドする。
先程はいきなりで不覚をとり、更には予想外の口撃(誤字ではない)に呆然としてしまったが、
我に返ればこのくらい容易い。
さて、この後どうするか。
このままアルコールが抜けるのを待つか。それともお仕置きしてやるか。
「だって〜キスしてるときの顔、すごく可愛かったんだもん〜」
「お仕置き決定」
「なんで〜」
抗議は黙殺し、まず手始めに俺は彼女が飲んでいたカクテルに手を伸ばす。間接キスだが、まぁ今さらだ。
もう残り少ない中身を全部口に含んで、後頭部を抱き寄せながらキスをする。
「んんんんんん〜」
彼女はしっかりと口を閉じて抵抗の姿勢。だがそんなもの俺にとってはさしたる障害ではない。
生意気な唇を徐々にほぐし、舌を進入させる。ゆっくりと、だが確実に液体を口内に流し込みながら、相手の舌を弄ぶ。
唇はまだ少し固く抵抗を続けているのに、舌は一生懸命絡めてきている彼女の矛盾が、何だか可笑しい。
彼女が完全に主導権を明け渡すのに一分もかからなかったが、流し込まれたカクテルをすぐに飲み込もうとはしなかった。
催促するつもりで絡めた舌をカシスオレンジの海で泳がせてやると、やがて諦めたように喉がこくこく鳴る。
「んんっ……ふっ……んんん」
そして彼女がやったように口内の唾液を思いっきり啜ってから、キスを終えた。
「はぁ……はぁ……」
前回とは違い、肩で息をしているのは彼女だけだ。下手に力を入れるから、よけいに体力を消耗するというのに。
「お前さ、何で嫌がってるんだ? 自分のときは嬉々としてやってただろ?」
「だって〜」
彼女は拗ねたようにそっぽを向き、小さく言った。
「恥ずかしいもん」
「は?」
「嫌がってるわけじゃないけど、恥ずかしいよ……」
自分でやるのはいいが、相手にされると恥ずかしい、のか? 相変わらずこいつの基準はよくわからん。
「ま、そういうことなら仕方ないな」
俺はひとつ息を吐き、もう一方のカクテル――俺が最初に口を付けた分――を引き寄せる。
「恥ずかしくなくなるまでやるか」
「いじわる〜」
彼女が悲鳴を上げるが、俺に慈悲の心は芽生えない。
手始めのつもりだったが、こうなったら好都合。反省を促すため、とことんお仕置きしてやる。
それにこいつをいじめてると、ちょっと楽しいしな。
何だかそそられてくるものも…………酔ってるな、俺。カシスオレンジ飲まされて酔ってるんだよな、俺!
自分に言い聞かせ、缶の中身をあおると、彼女に口づける。
やはり彼女は口と目をしっかり閉じて控えめな抵抗をしてきて、そんな姿に苦笑する。
俺を押しのけたり顔を背けたりといった選択肢は頭にないらしい。
恥ずかしいけど、嫌がってるわけじゃない、か。
「ふむ……んんん……んんんんっ」
前回より早い時間で、俺は扉をこじ開けた。液体が舌を伝って、繋がりあった口内に移る。
彼女の唇は敗北を認めたようにもう力は入っていないのに、それでも強情にカクテルだけは飲み込もうとしない。
オレンジのプールを口内に溜めながら、舌を絡ませ続けている。
いつもは不器用なくせに、変なところだけ器用なやつめ。
「んふ……んん……んむ」
このまま消耗戦にもつれ込んでも時間がもったいないので、俺はとある策を実行することにした。
彼女がキスに夢中になっている間に、そろそろと右手を伸ばし、柔らかなふくらみをキャミソール越しに揉む。
「ひゃむっ……こく……こく……」
さすがにこの不意打ちには驚いたようで、彼女は一瞬身体をピクリと震わせた。
その隙にオレンジ色の液体は喉へと流れていく。驚いた拍子に口を閉じかけたようだが、何とか堪えたようだ。
よし、全て思惑通り。成功に気をよくした俺は、なすがままになっている彼女の口内を思う存分堪能し、唇を離す。
「ぷはっ……はぁ……はぁ……それ……反、則ぅ〜」
「先攻を取らしてやったんだ。これくらいは認めろ。ちなみに拒否権は無いから」
「横暴〜んっ」
今日何度目になるかわからないキス。もうすっかり素直になっている彼女に『ミックスジュース』を口移し、飲ませる。
もちろんそれだけでは終わるつもりもないし、終わらせてくれない。
「んん……んんん……ちゅっ……」
彼女は俺の首にしっかり抱きついて、
「ちゅ、ちゅうっ……はむっ……んっ」
陶酔したように潤んだ瞳で、
「んくっ……んっ……」
そしてそれは俺も同じで、
「んんんん……こくっ……こくっ…………んはっ、あむっ」
舌を絡ませ、唾液を交換して、吐息を溶かし合い、それでも唇は離さずに、
「ちゅうっ、ちゅ、んっ……んんっ……」
限りなく終わり無く、互いを欲する。
夕方の、まだ暑さの残る部屋の中で、愛しい恋人を組み敷いて、キスを求め、また求められている。
それがこんなに蠱惑的で、官能的で、心地よくて、彼女への愛しさが溢れるものだなんて知らなかった。
「はぁ、ん……ぴちゃ……こくっ……んんんっ」
水音混じりの彼女の声が漏れるごとに、俺の理性の皮が一枚づつ剥がれていく。
当たり前だ。普段でも我慢できそうにないのに、今は酔ってるんだぞ。とっくに歯止めなんか効かなくなってる。
欲望に、彼女を求める自らの内なる声に素直になっている。
俺は左手で彼女の頭を支えたまま、素早く右手を彼女の服へ潜り込ませ、
邪魔なブラを押し上げ、今度は直に乳首をつまむ。
「ひゃうんっ! はっ、んんんんっ……ちゅ、あふっ……んんっ」
先程よりも大きく体を震わせる彼女。一度大きく目を見開いて、それからまた陶然とした表情へ戻る。
彼女は舌で反撃しようと努力するものの、俺が胸を軽く揉むだけであっさりと腕から力が抜ける。
後は俺の独擅場だった。
もう快楽を受け止めるだけしかない彼女の舌を散々ねぶり、少しだけ悪戯をして、本日一番長かったキスを終える。
解放された彼女は全力疾走した直後のように顔を上気させ荒い呼吸をしながら、羞恥を混じらせた声を途切れ途切れに紡ぐ。
「胸、あんまり、弄らないで、んっ」
「どうして?」
意地悪く問いかけながら、胸の突起を刺激する。指ではじき、挟み込み、押しつぶし、転がす。
指を動かすたびに彼女は切なそうに身をよじらせ、その姿がまた俺の頭に火を付けていく。
「だって、そんなにされたら、あっ、濡れ……汗、かいちゃう」
「今更だろ」
彼女の言い訳に苦笑する。もうとっくに服が肌に張り付いているっていうのに。そして誤魔化そうとした本音の部分に。
終わった後は平気なくせに、する前は恥ずかしがるんだよな、こいつ。
もう何度も肌を重ねているのに、いつまでたっても変わらない。
そんな彼女が愛しくてたまらない。
頬に手を添え、ゆっくりと顔に近づけていく。ここから先は、キスだけじゃ済まない。
熱に浮かされたような潤んだ瞳が、俺を見つめていた。
「今なら嫌って言ったらやめるけど?」
唇が触れる直前、彼女が小さく呟くのが聞こえた。
「いじわる……」
目が覚めると、黄色い物体があった。
「あー、すっかり忘れてたな」
一本もぎ取って、眺める。本日、こんな状態になった元凶。
見渡せばまだまだそこらに転がっている。どう処分するか頭の痛い話ではあった。
「みんなにお裾分けするか……」
同じアパートに住んでいる苦学生やら友人やら何人かをピックアップする。
全員に聞かれるだろうな。『どうしてお中元がバナナ?』って。
何とも説明しづらい。普通バナナの日なんか存在することさえ知らんぞ。
「まったくお前は……」
ため息を吐きつつ隣に目をやるも、お姫様は熟睡中。
いつものように俺の腕にしっかりしがみつき、安らかな寝顔を見せている。
「ん……」
身じろぎした拍子にキャミソールがずれて、胸が露わになる。
彼女の身体に沿って視線をずらしていくと、下着が足首に引っ掛かったままだった。
「………………」
再びイケナイ気持ちが盛り上がってきそうだったので、あさっての方向に目を逸らす。
視界に入った時計で時刻を確認すると、もう陽が落ちる時間になっていた。
そろそろ起こさないとこんな格好じゃ風邪をひくかもしれない。俺も上は裸だしな。
揺り起こそうとして手を伸ばすと、触ってもいないのに彼女の身体がピクリと震えた。
怪訝に感じて顔をのぞき込むと、わずかに睫が揺れている。
狸寝入りか? つくづく嘘が下手な奴。
デコピンでもしてやろうとして、思いとどまる。
今日は少しいじめすぎたし、優しくお姫様を起こしてやるのもいいだろう。
俺は王子様って柄じゃないが。
少し窮屈な体勢のまま、柔らかな唇に触れる。
抱えられた腕に、きゅっと力が入った。
///////////////////
その日の夜、ベッドの中で。
「えっち〜」
「…………」
「えっち、えっち、えっち〜♪」
「ああっ、うるさいな、もう! そうだよ、俺はエッチだよ! 夕方やったくせに我慢できなかったよ!」
「認めた〜」
「言っておくが、二回目することになったのはお前のせいだからな」
「私、『エッチしよう』なんて言ってないもん〜」
「シャワー浴びた後、べったりくっついてキスねだってきたくせに」
「えへへ〜。だから〜」
「ん?」
「えっちなのは、二人ともっ」
(おわり)
745 :
669:2005/08/20(土) 03:19:26 ID:Tgv+FWLK
ものすごく遅まきながら、
>>687氏、お誕生日おめでとうございます。
このSSを捧げます。半分くらい(えっ?
・・・・・・バナナで純愛は難しいっす。
名前とタイトルは、今回は保留です。
たぶん次回から付くと思います。
エロくなくてごめんなさいorz
乙!
今回はエロあり萌えありでよかったです。
またなんかの記念日のときによろしくお願いしますw
個人的にエロくなくても萌えたからよし!
このスレは記念日SSスレにもなったな
稲負鳥氏はいずこにー!
まったり待とうや
751 :
名無しさん@ピンキー:2005/08/26(金) 01:14:49 ID:6nU7Njrb
貴方が来ないと夏が終らない……いつまでも待ってます
稲負鳥氏って男性なんかなぁ
どうでもいいでしょ
>>746 >「恥ずかしくなくなるまでやるか」
この辺がバカップルの醍醐味だと言って憚りません。
ご馳走様でした。
ああ、稲負鳥氏がこない内に夏が終わってしもうた・・・。
ずっと思ってたがそれ何て読むの
757 :
名無しさん@ピンキー:2005/09/01(木) 00:58:28 ID:4nD1xarz
まだ暑いから夏で良いのでは? だから待つ。
>>756 いなおおせどりだってさ
よくわかんないけど
いっそここに投下してくれなくていいから完結してから本とかにまとめてくれないかなぁ>稲負鳥氏
商業じゃなくても同人でいいから
待つのがツライヨ・・・
保守点呼ー
1ノシ
2ノシ
3ノシ
4ノシ
むなしいな……
5ノシ
6ノシ
7ノシ
半端ながらとーか
属性は特になし。いや、(多分きっと)純愛だけど
その日は雨で、慧美は十六歳だった。
小降りと言うには強過ぎたし、大降りと言うには中途半端な雨模様だったと思う。
“思う”と言うのも、その日は色々と複雑な事情があって、いまいち詳細が不明瞭なのだ。
それでも慧美は事あるごとにその日を思い出す。
公園には他に誰も居らず、遊具や地面を跳ねる雨音だけが辺りに響いていた。
そんな心寂しい場所で、遥か彼方の喧騒を聞いている様な空虚感と疎外感を覚えながら、
慧美は濡れ鼠になってベンチに座っていた。
いま思えば、馬鹿な事をしたものだと情けなくなる。
慧美はほんの些細な事(あまりにも下らなすぎて実はもう覚えていない)で母親と喧嘩をして、
傘も持たずに家を飛び出したのだった。
まあ、世間的には、十六歳という年齢なら別に珍しい行動でもない。
そういう時期は誰にだってある。大体の少年少女はそういう事をするものだろう。
そういう意味では、慧美は実に平凡な高校生であると言えた。
ただ、慧美の場合はそれが十六歳の梅雨のとある一日だった。
桜の舞う春や、蝉の鳴く夏や、風が冷たい秋や、空の重たい冬だったら、
或いはきっと平凡なままだったのかもしれない。
生温い雨が降りしきる梅雨だった故に、運命は慧美にその出逢いをもたらしてくれた。
「どうしたの、キミ」
それが第一声だった。
顔を上げると、すぐ目の前にやや年上と思しき男の人が立っていた。
自分が濡れる事など気にもならないと言った風に、透明なビニール傘を慧美の方に差し出しながら。
「別に、どうもしません」
その時はろくに相手の顔も見ずに俯いてしまった。
「私に構わないでください」
はっきり言えば、慧美は苛立っていた。
やはり十六歳前後の少年少女は大して意味もなく漠然と苛々する時期がある。慧美もそうだった。
七歳の頃に事故で死んでしまった父に苛々していたし、
それからずっと女手一つで育ててくれた母に苛々していたし、
馬鹿馬鹿しい事で大騒ぎする子供っぽい友人達に苛々していたし、
苛々する事しか出来ない自分に苛々していた。
そして、見ず知らずの自分に声をかけてきたその男の人にも苛々していた。
「風邪引くよ、そんなんじゃ」
慧美の胸中を知ってか知らずか、彼はのんびりとした口調で言った。
慧美は小さく溜息をついた。
どうでもいいからさっさと何処かへ行ってくれ。そう言おうともう一度顔を上げて――
思わず言葉を失ってしまった。
言い繕ったところで仕方が無い。それは一目惚れだった。
実は彼は人気俳優も真っ青の美形だったのだ……というわけではない。
ひょろりと背が高くてやや童顔であること以外は、何処にでも歩いていそうな風貌の持ち主だった。
それなのに、慧美は激しい衝撃を受けた。
雷に打たれた様な――という表現が正しいのかは分からないが――そんな心地だった。
心ではなく身体を射抜かれてしまったみたいに、慧美はがくんとよろめいたきり動けなくなった。
もっとも、当時はそれが一目惚れだとは分からなかった。
初めて味わう胸のざわめきに戸惑い、混乱していただけだった。
彼の方は、何処か眠たげな茫洋とした瞳をしばらく慧美に向け、
それから何も言わずにベンチに傘を立てかけた。
「早く家に帰った方がいいよ。こんな場所で一人で雨に打たれてるっていうのも……
つまり、あんまり感心できる事じゃない」
とだけ言って、彼は踵を返した。
慧美は、ただ未知の感情に頭の中を掻き乱されたまま、その背中を見送った。
彼の残してくれた傘だけが、慧美から雨を凌いでいた。
それからふらふらとした足取りで家に戻り、母親にごめんなさいと頭を下げて、シャワーを浴びた。
お湯が顔を打った瞬間、慧美は言い様の無い後悔と絶望を感じた。
その時になってようやく気付いたのだ。あれは一目惚れだったのだ、と。
しかしもう手遅れだった。文字盤の針を戻す事は出来ても、時間まで戻る事はない。
もう二度とあの瞬間には戻れない。
前触れさえなく突然訪れて、風の様に吹き抜けて手の届かない場所へ去っていったのだ。
そのどうしようもない事実に慧美はただただ泣いた。
新しい涙が零れるたびに恋心は膨れ上がり、
同時にもっと早くその感情を理解できなかった自分を呪った。
理屈ではない。正に本能的な恋だった。
それは一種の飢えや渇きに似て、狂おしい程に慧美を責め立てた。
どうして分かってくれなかったんだ。
そのせいで、お前はもう満たされる事はなくなってしまったんだぞ――と。
しかし、どれだけ罵られようと、慧美にはもう泣く事しかできなかった。そうするしかなかった。
結局、夜には泣きつかれてさっさと眠ってしまった。
翌日はその日が嘘だったかの様な快晴だった。
実際、思い出そうとしても頭の中が霞がかったみたいに記憶は不鮮明だった。
でも玄関の傘立てには彼が残してくれたビニール傘があったし、
何よりも胸の奥でちくちくと疼く感情が雄弁に現実を物語っていた。
傍目にも慧美の落ち込み振りは酷いものだったらしい。
母親は慧美の具合を心配し、学校を休んだ方がいいんじゃないかと言ってくれた程だ。
慧美は「大丈夫だから」と笑顔を作ってみせた。
何でもいいから何かしたかったのだ。
友達と下らない冗談を言い合ったり、面白くも無い授業を聞いたり、
とにかく何かして気を紛らわせてしまいたかった。
結論から言えば、それは全く無意味な事だった。
友達からはやはり具合でも悪いんじゃないかと言われ、
授業中はぼーっとしているんじゃないと先生に叱られた。
何をしても飢渇が鎮まる事はなく、むしろ時と共により深くより大きく慧美を蝕んだ。
まるで大切な心の一欠片をあの瞬間に落としてきてしまったみたいだった。
周囲の何もかもが慧美の中に留まる事はなく、通過駅を走り抜ける新幹線の様に過ぎ去っていった。
慧美自身も無感動にそれを見送るだけだった。
気の遠くなる様な人生のほんのひと時をしくじるだけで、
こんなにも色々と変わってしまうものなんだ――ぼんやりとそんな事を思った。
学校が終わると慧美は友達の誘いを断って一人で帰途に就いた。
考える事は幾らでもあった。でも何も考えられなかった。
ただ、気がつけばあの公園に足を向けていた。
もしかたらという希望を持っていたわけではない。
記憶の残滓にしがみ付きたかったわけでもない。
ふと気がついた時にはそこに向かっていたのだ。
心が動いていない間に体が動いていた、とでも言えば表現的にはしっくりするだろうか。
そして、そこで慧美は彼と再会した。
あの日慧美が座っていたベンチに腰を下ろしていた彼は、目が合うと小さく会釈してきた。
「やあ。偶然、だね」
慧美は殆ど愕然としていたけど、彼の方も少なからず驚いていたらしい。
その口調は何処と無くぎこちなかった。
「昨日は……風邪とか、大丈夫だった?」
慧美は操り人形の様にかくんと頷いた。
まだ現実味が感じられないでいたのだ。
どうしたら良いのか分からず突っ立っていると、彼が思い出した様に言った。
「とりあえず、座ったら? いや……つまり、何か急いでないなら」
再びかくんと頷いて、慧美は彼の隣に座った。
お互い視線を合わせようともせず、前を向いたままで。
前日に降っていた雨のせいだろう。二人の間には濃い土の匂いが漂っていた。
「どうして、またここに?」
僅かな沈黙の後、彼はぽつりと訊いた。
むしろそう尋ねたいのは慧美の方だったし、
それに自分自身でさえその問いの答えを見つけられなかった。
黙りこくっていると、彼は小さく溜息をついた。
「俺は、ここに来ればまた君に逢えそうな気がした」
「……え?」
慧美は思わず彼の横顔を見つめてしまった。
彼は心無し眉をひそめ気味にして、地面の一点を凝視していた。
「いや。違う……そうじゃない、かな」
彼は何度か頭を振り、そして言った。
「君に逢いたくて、またここに来ていたんだ。
昨日ほんのちょっと顔を見ただけの女の子が気になって仕方が無かった。
何をしても君の面影が瞼の裏にちらついて。我ながら馬鹿みたいだと思ったよ。
二十歳にもなって高校生に一目惚れしちゃうなんてさ」
「嘘……」
「嘘や冗談ならまだ幾分かマシだったんだろうけど」
彼はもう一度嘆息すると、慧美の方を振り向いた。
「どうやら、本気みたいだ」
「やだ……うそ……」
「いや、だから――って。な、泣いてるの?」
狼狽した様に表情を引きつらせた彼に言われて、慧美はようやく気づいた。
目尻に溜まった涙が頬を伝ってぽろぽろと零れ落ちている事に。
自覚すると後はもう止め処なかった。
安堵。驚愕。喜悦。羞恥。不安。
そういった様々な感情が全部涙になって流れ出てしまった。
「ご、ごめん。急にこんなこと言われたら誰だって驚くだろうって分かってはいたんだけど……
迷惑なら迷惑でもいいんだ。こんなの普通じゃないって思うし。
それに、俺が勝手に言っただけなんだから……」
「う、ううんっ……そんな、こと……」
慧美はぶんぶんと勢いよく首を振った。
「私も、昨日、一目見てから……忘れられなくて……
もう二度と逢えないんだって思うと、凄く悲しくなって……
でも、今日また逢えて……好き、って……言って、もらえて……」
「じゃあ、君も?」
「うん……」
彼はぽかんと呆けたかと思うと、突然、口元を緩めてくすくすと笑い出した。
何だか可愛い笑い方だなあ――などと胸中の能天気な慧美が場違いに呟いていた。
「なんだ、君も割かし変わり者だったんだな」
「あ、それは酷いよ。貴方だってそうでしょ」
「だから君“も”って言ったろ?」
彼は肩を揺する様にして竦めてみせた。
「まあ、きっと変人同士上手くやっていけるんじゃないかな。俺にはそんな気がするけど」
「うん。私も、そんな気がする」
慧美は赤い目をしたまま、真面目っぽい顔を作って頷いた。
長続きはしなかったけど。
お互いの視線が出会うと、途端に表情が崩れて、笑みが溢れ出てきた。
「俺は佐伯靖彦。君は?」
一頻り笑い合った後に、ふと気づいた様に彼――靖彦が尋ねた。
「萩村慧美」
「慧美、か。じゃあ、これからよろしく……でいいのかな?
こんな形で付き合い始めるって経験、流石に無いからなあ……」
「確かに滅多に無いだろうけど。でも、始まりなんだから『よろしく』でいいと思うよ。
と言うわけで、こちらこそよろしくね、靖彦さん」
そうして、慧美は日が暮れるまで靖彦と一緒に過ごした。
高校の事や家族の事、食べ物の好みから嫌いなものまで、それはもうありとあらゆる事を話したし、
大学の事や恋愛経験、趣味から休日の過ごし方まで、それはもうありとあらゆる事を訊いた。
たった一日で佐伯靖彦という人の多くを知った。
その中に慧美を失望させるものは何一つとして無かった。
彼を知れば知るほど想いは深まるばかりだった。
斜陽が遠くの影に隠れてしまうと、靖彦は慧美を家まで送ってくれた。
「また明日ね」
玄関先で慧美は軽く手を振って靖彦が背中を向けるのを待った。
だが彼はじっと慧美の方を見つめたまま、
何かを言いかけては逡巡する様にして、何度か口を半端に開いては閉じていた。
「……?」
慧美が首を傾げると、靖彦は小さく頭を振った。
その時にはもう気づいていたのだが、
何か考える時に頭を振るのは彼自身さえあまり自覚していない癖らしかった。
まあ、それはともかく。
靖彦は無言のまま慧美に近づき、両手で頬に触れ、そっと顔を持ち上げた。
彼は海の底を覗き込む様な瞳で、じっと慧美の眼を見つめた。
唇が重なったのは、次の瞬間。
初めてのキスだったが、慧美はそれを当然の事として受け止められた。
何故なら、慧美もまた、靖彦と同じ気持ちだったからだ。
この日に芽生えた二人の関係を確かな形として残しておきたい。
慧美は勿論、きっと彼もそう考えていたのだろう。
この出逢いが、この恋が、夢でも幻でもない事の証拠として。
実際、そのキスがあったからこそ、慧美は靖彦と始めて逢った日を不鮮明ながら覚えていられたし、
この日の事はずっと克明に覚えていられた。
言うなれば、その唇を合わせただけの儀式めいた行為が、慧美と靖彦の始まりだったのだ。
―――――――――――――――――
ごめんなさい。名前欄に題名いれるの忘れてたorz
『アネモネ』ね。次から入れます
マターリとやってこうと思います
大変マターリとなんで、書き手さんは俺に遠慮せずに投下したいのがあればしちゃってください
グググググググGJ!!
なんつーか
変人同士というより(・∀・)デムパ?
もうちょっと改行してくれると読みやすいかもしれない
これからの展開に期待
稲負鳥さん帰って来てくださ〜い(;´Д`)ハァハァ
777 :
名無しさん@ピンキー:2005/09/15(木) 23:15:17 ID:FWNdGavz
あげてみる
778 :
名無しさん@ピンキー:2005/09/18(日) 20:56:29 ID:tWBu9ktw
age
779 :
名無しさん@ピンキー:2005/09/22(木) 23:24:13 ID:FEvWiKHt
age
780 :
名無しさん@ピンキー:2005/09/24(土) 18:39:00 ID:hjHvkyMC
age
一気に投下少なくなったな
サマロの呪いか?
サマロの呪いってなんだ?
サマラだろ…と訂正するのは野暮か?○| ̄|_
そうだサマラだorz
呪い殺されてくる
すぐ死ぬ緑色の王子かと
伸びてると思ったら、、投下じゃないのかorz
出資者は無理難題をおっしゃる
792 :
789:2005/09/28(水) 19:37:53 ID:/gM2vNMK
うーん、ここは「純愛」だからなぁ...漏れが書くとエロエロに
なっちまうんだ...スマソorg
>>792 純愛はその書く人の中で定義してくれればいいみたいなこと書いてあったから頼む!
エロエロな純愛を書けば問題無し!
俺はエロエロな純愛が大好きだ!
とりあえずためしに序盤だけ
「行ってきます!!」
バン、という大きな音を立てて俺は玄関のドアを開け、勢いよくとび出した。このままだと遅刻決定だな…、駅までは走らないとヤバい。
「ちょ、ちょっと弁当持ってないでしょ あんた!」
などと母さんが叫んでいたらしいが、まったく耳に入ってこなかった。
「あの…おはようございます」
「?あっ、冴南ちゃん、おはよう」
「あたし弁当持ってってあげますよ。どうせまた学校同じだし」
「も〜、いつも悪いわねぇ、じゃあ宜しく」
…んっ?なんか身に覚えのある気配が背後で…。
「波原――っ!弁当忘れてるぞ このバカっ!」
こっ、この声は永城!相変わらずでけぇ声だな。振り向くと…やっぱり永城が。
「ねー、冴皐くんったら また数学の補習?この前自信満々な顔して「今度こそ赤点脱出だ!」とか言ってたくせに〜、ダメじゃない」
勝ち誇ったような顔で、わざと俺の顔をのぞきこむようにして言う。…腹が立つな。
「うるせー、わざわざそんなこと言うために追いかけてきたんじゃないだろ。さっさと用件を言え。」
「弁当に決まってるでしょ。あんたのお母さんが呆れたような言い方してたよ。まったく…、数学の補習があるのすっかり忘れて寝坊してるんだから。」
だーっ、さっきから数学の補習ってうるせーな!苦手で何が悪いんだよ理系女!
「…そういう永城はこの前英語の補習受けただろ」
どうやら言葉に詰まったらしい。すごく悔しそうな目でこっちを見ている。はん、そんなことしたって何にもしてやんねーし変わんねーよ。大人気ないとでも何とでも言え。
「はい、弁当」
そう言って永城は弁当を差し出した。ヤケに素直なので少し疑ったが、特に弁当箱には変化がない。唯一変わったところは…、多分 永城のものだろう、小さいメモ用紙がついている。…どうせ紙に「バカ」とでも書いてあるんだろう。いつものことだ。
797 :
789:2005/09/29(木) 20:06:43 ID:56EPpAVr
↑数字入れ忘れたw
798 :
789:2005/09/29(木) 20:08:32 ID:56EPpAVr
…なっ、何だこれ!
[ゴメン、いつもからかってばっかりで。だって素直になれないんだもん。…ほんとにゴメン。]…だとぉ!?何かの間違いだろう。と解かっていながらも思わず赤面してしまう俺。
…一瞬、永城が「ふっ」っと言った。目は髪で隠れて見えないものの、口がニヤけている。
まさか!裏には始めの予想通り、「バカ。早く学校行けよ 文系男。」の文字が。
「永城っ!なんだよコレ!」
「あ〜れ〜?あたしなんか相手にしてると補習に遅れちゃうんじゃないの?」
確かに。毎回同じことで口ゲンカするのも馬鹿らしいというのもあり、再び駅に向かって走り出した。いつになってもアイツ成長してないな…。いや、もしかして俺も?
「すみません!遅刻しましたっ!!」
先に補習を受けていた奴らの視線が、一気にこっちに向く。精神的に痛い。なにより、先生の説教が痛いのだが…。
「波原……、また遅刻か?理由言ってみろ」
「え、家に弁当忘れてきて(それから永城と色々あって)、電車が
「言い訳はやめろ。」
なんだよこの人!「理由言え」って言うから理由言ってんのに!人の話は最後まで聞こうよ。
「だから言い訳とかじゃなくて本
「言い訳も何も同じだろ。分かったから席に着け。」
「…ハイ。」
空いてるのが俺の席だろうな…。椅子を引いて座った。
「波原、波原…」
すぐ後ろの奴に肩をたたかれて小声で名前を呼ばれた。また怒られるのも面倒だと思い、無視していた。勿論、むこうもしつこく俺を振り向かせようとする。
エロエロといったからにはエロエロになるまで書くように
800 :
名無しさん@ピンキー:2005/10/07(金) 00:08:46 ID:6/9QbxiH
あげ
夏から、一人の神の降臨を心待ちにしているのだが。
稲負鳥さん…………。
|´・ω・)ヨンダ?
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
だけ?
あ
ごめん
ごめんなさい
それだけです
いま
むりです
まじ
むり
ねむい
しにそう
てか
しぬ
ほんと
ごめんなさい
もうだめぽ
いきろ
いきしてな
ゾンビ化する直前の日記みたいだな
かゆい
うま
あたしはこの町が好きだ。海と山に囲われたこのちいさな町が。
この町の外れに小さな硝子細工の店がある。ここって滅多に開いてないんだけど‥‥‥。
(やった!今日は開いてる!)
今日は土曜で半ドンだし、このまま帰るのも‥‥と思って来てみたけど正解だった。
扉を開けて中に入るとヒンヤリとして涼しい。
「いらっしゃいませ」
そういって店の奥から出てきたのは、あたしとあまり歳のかわらない優しそうな男の子だった。
「ゆっくり御覧になって下さい。奥にいますから何かあれば呼んでください」
店の中を見回すと、グラスや小さな置物なんかがゆったりと置いてあった。
「何か気に入る物はありましたか?」
「えっ?」
気が付くとさっきの店員の男の子がたっていた。
神キタキタキタキタ━━━(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)━━━━!!
支援
気が付けば結構な時間が経っていたらしい。外を見ると空は茜色に染まりつつある。
「ご、ごめんなさい!こんな時間までただ見てるだけで‥‥‥」
「ああ、いや、構わないですよ。あまり店を開けることもないし、開けてもあまりお客さんこないですから」
「あの、もう閉めちゃうんですか?ていうか、他の店員さんはいないんですか?」
「えっ?ああ、ここは僕一人でやってるんです。ここ、一応僕の家なんで」
「そうなんだ。じゃあ、ここがあまり開いてないのって‥‥‥」
「僕も学校があるから、ゆっくり時間があるときしかあけられないんです。今日みたいに」
「ふーん‥‥。ねぇ、明日も来ていいですか?気にいっちゃった!だから、今日はこれ、買っていきます」
あたしはイルカの小さな置物を手に取った。彼は薄く微笑んで、
「ありがとうございます」
と、言った。
「あたし、朝比奈彩夏っていいます。また、明日来ますね!」
「緋咲凛です。はい、じゃあ明日、朝比奈さんのために店を開けて待ってますね」
帰り道、あたしは買った硝子細工を子供みたいに夕日に反射させながら家に帰った。
811 :
810:2005/10/08(土) 22:22:58 ID:ARZFlteg
初めてこんなの書くんでま感想、指摘あると有り難いです。だまだ稚拙ですけど頑張ります。リアルタイムで書いてるんですけど、もしかしたらエロなしになるかも(´・ω・`)
リアルタイムは止めとき
難しいすぎるし時間に追われる
あと、俺も2回ほど投下したことあるけど
「展開が早い」というのがコンプレックスだった
同じ臭いを感じる
あと、エロはありでw
俺もリアルタイムはお勧めしません。
あとで『ここはこうすれば良かった』って事も出てくるだろうから
思いついたときに一気に書いて、後で見直せばもっといいものになると思いますよ。
あと個人的に気になったのが男の名前。
なんかゲームにでも出て来そうな名前でちょっと萎えたな。
話が面白そうなんでチョット気になったかな。
>>812-813に同意かな。リアルタイムはやめた方がいいかと。
誤字脱字があるとすごく後悔するし。
遅くなっても大丈夫だ。
俺達はいつまでも待とう。
あと、感想。
ジュブナイルのような綺麗なイメージを受けた。
あまりなかったタイプなので期待。
頑張れ。
トリップつけてみた
>>812-814 指摘&感想dクス。リアルタイムはやめるよ。男の名前はスマソ。これで我慢してくれ。
>>815 トリップって半角英数字の#の後に任意の文字列を入れるんだよ。
例えば #asQUAUir だと名前欄のようなトリップになる。
あう。#入れ忘れてた_| ̄|〇
>>816 指摘dクス
チョット待て
そのままこのトリップ使ったら意味ないでしょw
ID変わる前に変更して下さいね。
「あ、そういえば今日って京子と裕貴君と一緒に映画見に行く約束してたっけ」
沢渡京子と設楽裕貴、私の幼なじみで親友で大切な二人だ。
「でも、まだ約束の時間までは結構あるし‥‥」
それに今日も行くって言っちゃったし。‥‥よし、行こう。あたしのために開けてくれるって言ってたしね。
一歩外に出て空を見上げればほんのり白く霞んで見える青空と入道雲があった。「もう夏かな‥‥」
今年初めて聞く蝉の声と空を見てそんなことを思った。
「いらっしゃいませ」
「こんにちは、緋咲さん。今日も来ちゃいました」
「あぁ、朝比奈さん。いらっしゃいませ。ごゆっくりどうぞ」
「はい、いろいろ見させてもらいますね」
棚に並べてある一つ一つを手にとったりしながらゆっくり見ていく。
ここにあるものは触っても冷たいだけなのに、じっと眺めるとなんだか心が温かくなってくる、そういう風に感じるものばかりだった。
あうあう_| ̄|〇俺はアホか・・・。
>>818 dクス
今日はとりあえずここまでで。・・・長くなりそうだな。
ボーン、ボーン。
不意に時を告げる音が鳴る。
「え?あーっ!?‥‥‥ちゃー」
どうやらまた見入ってしまっていたみたいだ。
「どうかされたんですか?」
「あー、友達と約束してたんだけど‥‥‥」
「してたんだけど?」
「その時間が今なんです‥‥」
「じゃあ早く行かないと」
「うー、すみません。見るだけ見て結局何も買わないなんて」
「構いませんよ。来てもらえるだけでもありがたいですから」
「すみません‥‥」
(やばいなぁ、とりあえず電話しとかないと!あ‥‥)
「あの、次はいつ開いてますか?」
「そうですね、また週末かな。」
「じゃあ、また来ます!今日はごめんなさい!」
「はい、いってらっしゃい。」
見送られながら、あたしは駆け足で店をあとにした。
「おっそーい!20分遅刻!」
「はぁ、はぁ‥‥ゴ、ゴメ‥‥はぁ、はぁ」
「でもまぁ、頑張ったみたいだし、私と裕貴にジュース一本ずつで許してやろう」
「はぁ、はぁ‥‥はぁーい」
「ん?俺はいらないぞ?」
「何言ってんのよ。わざわざ私たちのデートに割り込んできてまで一緒に行きたいなんて言っといてこれだもん」
「あぅ、返す言葉もありません」
ここから街までは電車で約30分ぐらい掛かる。
窓から見えるこの景色があたしは好きだ。海辺を走り、かと思えば山の中を突っ切る。そしてまた海辺を‥‥。
「で?何で遅れたのよ。遅刻は常習だとしてもいつも2、3分ぐらいじゃない」
「ああ、そうだな。珍し‥てか初めてじゃないか?待ち合わせにここまで遅れたの」
「あー、そのー、硝子細工を見ておりましたー」
「「硝子細工?」」
二人の声が重なる。
「硝子細工って‥‥町外れにある、『あの』?」
「うん、そうだよ」
「へぇ、またやりはじめたんだ」
「「また?」」
今度はあたしと京子の声が重なる。
「昔は結構評判だったらしいよ。家に置いてあるガラスの置物見ながら父さんたちがそんな話してたのを聞いたことがある」
「あ、そういえば私の家にも幾つかあったわ。でもなんでやめちゃったのかしら?」
「なんでも店やってた爺さんが死んじまったかららしい」
(そっか。だから今は緋咲さんが‥‥。あれ?でも緋咲さんのお父さんがやっててもおかしくないのに、なんで緋咲さんがやってんだろ?ま、今度聞けばいっか)
「ふーん‥‥。結構詳しく聞いてんのね」
「いや、俺もああいうのはあんま興味ないんだけど、なーんかあれは見てて飽きないんだよな、不思議とさ」
「だよね!?だからあたしもつい見入ちゃって‥‥」
「はいはい、言い訳はいいから。ほら、着くよ」
そんな話をしながら、あたしたちは昼下がり、活気の満ちた街を歩いていった。
区切りがいいところまで書いてから投下したほうが
いいと思うYO!
>>823 指摘有賀d
携帯からだからいまいちどんくらい書いたかわかんなくて。でも気おつけてみるよ。
「おもしろかったー!」
映画を観終わってちょっとお腹も減ってきたし、あたしたちは近くのファーストフード店に入った。
「まぁまぁだったかな」
「そか?俺は結構面白かったけどな」
あたしたちは空いてる席へと着く。
「ところでさ、昼間の話なんだけど」
映画の話もそこそこに京子はあたしに話し掛けてきた。
「アヤがそうやって何かに興味持つのって珍しいね」
「え?うーん、そうかもしんない」
そうなのだ。あたしは自分の好きなもの以外にはほとんど興味を示さない。学校でも話し掛けてくる人はいても用がなければあたしから話し掛けることはほとんどない。それでも話し掛けられるのは、この二人のおかげだろう
端からみればあたしは『明るくて話しやすい人』なのだそうだ。ただ、京子にいわせれば「上っ面」もいいとこらしいけど。そんなことないと思うんだけどなぁ‥‥。
‥‥そして京子曰く、あたしは「病的なまでに一部を除き無関心」なんだって。‥‥それは否定できないんだけどさ。
「でもいいことじゃないか、そうやって新しいことに興味を持つのはさ。アヤは興味を持つのが苦手だからな」
「どういう意味よ、興味を持つのが苦手って‥‥。まぁ、アヤの心をたとえ一時的なものだとしても奪った硝子細工は気になるわね」
「だな」
「い、一時的って‥‥。そんなんじゃないもん!」
「だったらなおさらね。で?いつ開いてんの?」
「‥‥来週末だそうです」
「ちょうど部活休みね。‥‥この話はまた今度でもいっか。じゃあ、そろそろ帰ろう?」
「じゃあ、また明日だね」
「ええ」「おう」
「お休み。今日はありがと」
「また、誘いなさいよ。いつもこっちが誘ってばっかりなんだから」
「まったくだ。ガキの頃からのダチなんだから、遠慮なんかしなくていいからな」
「うん、今度からはそうするよ」
「じゃあね」「またな」
「ばいばい」
あたしは二人を玄関先で見送った。これからなんとなく、なんとなくだけど楽しくなりそうな、そんな気がする夜だった。
とりあえず一段落ってことで‥‥ほとんど絡んでないじゃん_| ̄|〇
てか読んでる人いるのか?
ノシ
ノ
……その日はとても寒かった。
雨が止む気配は無く空は分厚い暗雲に覆われ、窓を打つ雫と風が煩いほどだった。
「………ねぇ」
声を掛けられた。伏せていた顔を上げ、向き合う。
自分を呼ぶ少女へ。
「海とか、行ってみたい」
白一色の部屋に窓の音を無視して、幼さの残る声はただ小さく確かに響いた。
「行けるよ。きっと」
本心では何も考えず出任せのくせに。
少女に答える声は何故か落ち着いていて。
「皆で行こう。妹も誘って、友達と一緒に」
勢いの名案を思い付き、浅はかにも自分に満足する。
それを聞いた少女は白いベットの上、可愛らしく微笑んでくれた。
「約束だね。忘れないでね?」
……
……
………少女の問いに自分は何て答えただろう。
自分の本当の思いに気付いたのは、少女がいなくなった後だった。
………暑い。
真夏の正午十二分過ぎ。俺は自転車に乗って町中を走っている。
格好はTシャツに半パン。ペダルを踏んで風を受け体を冷却しようと試みる。
だが頭上の青空に浮かぶ太陽はそれを許さず、日光が体に突き刺さり皮膚を焼いていく。
当然汗腺は開きっぱなしで全身余すところなく汗だくだ。
まったくなんでこんな日に外に出て有害光線浴びながら肌に発癌する可能性無視してまで………
「おーい聞いてんのか?」
気が付くと深い思考の渦中に巻き込まれていた俺を呼び覚ましたのは、隣を自転車で並走する健治だった。
はっとなり頭を軽く振ると意識が覚醒する。
そしてまず考えるべきは普段から礼儀正しく謙虚をモットーに生きる俺にとって、救ってくれた友に礼を述べることだろう。
「健治。お前って本当に憎たらしくてくそ素晴らしい友達だ」
「今日は連続三日目の真夏日で隣の頭がおかしい哀れな人には同情の余地がある耐えるんだ頑張れ俺っち……」
「はははは照れてるのか馬鹿」
「ふはははこっち寄んな変態」
俺たちは睨み合いながらアスファルトの歩道を進んでいった。
「まあ話を戻すんだけどな、ハルにも手伝ってほしいんよ」
しばらくしたあと健治が切り出した。
全身が赤黒く日焼けしているこの友人は一つの悩みを抱えている。それは、
「手伝ってくれるだろ?親友の告白をさ」
「……別にいいけどさ……」
健治はこの夏に真剣に告白を考えていた。
「これ以上うまいのはさ、俺っちには思い付かないんだよ」
困った顔をしながら、癖で自分の短髪の襟足辺りを掻き始めた。
「だけど、ダブルデートがそれほど名案か?」
「ハルと香澄ちゃんは途中まででいいからさ、頼む」
「でも妹とデートしてもな……」
俺は少し気だるそうに答え、何となく前方に視線を向けた。
健治の話によるとプランはこうだ。
明日の晩、この地域一帯をまとめた大掛りな夏祭りが催される。
簡単に説明すると、一部の道路を封鎖して屋台を連ねその真ん中を御輿が行く。
この祭りに俺と妹の香澄をつれて、相手を誘おうとしているらしい。
―――二、三年前から夕輝ってさ、祭りには仲の良い友達と行くようになってるだろ?でもそれじゃ告白しづらいじゃんか―――
誘う時二人でなどと言ったら魂胆が見え見えだ。そこで俺と香澄にも着いてきてほしいらしい。
―――それにハルも一緒ならきっと来てくれんだろ―――
健治の意中の人は俺のよく知るやつで、小さい頃は一緒に遊んだこともある。
今でも時々話しているから俺から誘えば恐らく来るだろう、と踏んだらしい。
そして祭りの良い雰囲気の中ドラマティックに告白して―――
「大体、そんなに上手くいくか?」
健治に向き直るとにやりと笑いながら、
「そこはハルがお膳立てしてくれや。例えば俺っちが金魚を素晴らしい美技で掬っている間後ろで風船膨らまして犬作っていたりとか」
「ああそれ駄目だ俺ゴムの擦れる音聞くと狼になるから」
「捻り過ぎだし冗談も度が過ぎると笑えねぇもんだな………」
お前のことだろう、と内心で即決した。
ふと気付けばただでさえ暑いのに無駄な会話を続けていた性で、喉に渇きを感じ始めた。
都合良く目の前にはコンビニが見えて―――
「ドロボーーー!!」
突然の怒号。
思わず健治と同時に振り向いた。
コンビニから鞄を持ったサラリーマン風の男が飛び出していた。
駐車場に何台か停まっている車のうち一番端の車に向かい男は急いで走る。
状況がわかった瞬間咄嗟に自転車を車へ。
車への距離はこちらは十メートルほど。男のほうが近いが自転車なら先に行って捕まえられる。
その時。
ヘルメットを被った小柄な人が男の前に飛び出した。
男は喚きながらなりふり構わず、ヘルメットの人を突き飛ばそうと鞄を持った右腕を振り上げる。
ヤバいと思った直後。
顔面から地面へ男がすっ転んだ。
原因は、しゃがんで男をやり過ごしたヘルメットの人の瞬時の足払い。
男は仰向けに倒れたまま動かず、それを振り返らずヘルメットの人が立ち上がる。
………あまりのことに急ブレーキをかけ呆然としている俺の目の前で、その人は埃を払うとゆっくりとヘルメットを外す。
そこに現われたのは茶掛かったセミショートの髪。
少し鼻の高い黒瞳、活発そうな少女の顔だった―――
突然勢いに任せ投下してやったぜ( ´∀`)フハ-ハ-
このあとのことなんて何も考えてないぜ(;´∀`)フハ-ハ-
………思い付きで本当にスマソ……orz
ガムガレ!
いや結構ワクワクきますよ
頑張ってくださ〜い(^O^)/
ピピピピピッ‥‥。
「んっ‥‥、朝か‥‥」
休み明けの週の始まり。トーストを食べながら支度を済ませる。
外に出るとどんよりとした雲が空を覆っていた。
(降りそうだなぁ。でも夕方には晴れるって天気予報も言ってたし、今は降ってないしね)
ここから学校までは10分もかからない。
(降りだしても走ればいっか)
「いってきまーす!」
あたしは傘を持たずに家を出た
「おはよー!」
「‥おはよう」「‥はよ」
「二人とも眠そうだねー」
「いつものことよ。週始めは誰だって眠いし面倒臭いわよ」
「そうかなー?」
「普通はそうなの」
カラーン、カラーン。
そのとき、始業の鐘が鳴ると同時に担任が教室に入って来る。
「ホームルーム始めっぞー」
「じゃ、またあとでね」
「ええ」
こうして、今日もいつもと変わらない退屈な一日が始まった。
カラーン、カラーン。
鐘の音とともに今日最後の授業が終わった。
「今日は特に連絡事項もないからな。このまま解散。気ぃ付けて帰れよ、おまえら」
‥‥こういうとき、うちの担任は楽でいいな‥‥。
「じゃあ、私たち部活行くから。またね」
「あ、うん、また明日」
あたしは京子たちと別れて昇降口へと向かう。
「‥‥はぁ、いや、わかっちゃいたんだけどさ‥‥」
などと誰にするでもない言い訳を言ってみる。
「天気予報の嘘つき。今頃あたしみたいに騙された大勢の人が怒ってるぞ」
と言ってみたところで事態は好転するはずもなく、あたしはため息をついた。今更ながら傘を持って来なかったことが悔やまれる。
外は雨。それも土砂降り。
「はぁ、愚痴っても仕方ないか」
今が寒い季節じゃなくてよかった。そんなことを思いながら意を決して走りだそうとしたとき、
「朝比奈さん?」
後ろからあたしを呼ぶ声がした。
「はい?あっ‥‥」
振り向くとそこには、
「緋咲さん!?」
「はい、緋咲凛です。あ、でも学校の中‥‥というよりあそこ以外じゃ‥‥」
「じゃあな、藤野」
「あ、うん、ばいばい」
「藤野?」
「はい、本名は藤野由貴っていいます」
みんなはユキって呼ぶんですけど。苦笑いをうかべながら彼はあとにそうつけくわえた。
「えっ、けど、どうしてあそこじゃ名前を?」
「‥‥‥さっ、そんなことより帰りましょう。傘、持ってきてないんですか?」
「え、ええ。天気予報じゃ夕方から晴れるって言ってたから‥‥」
「備えあれば憂い無し、ですよ。朝比奈さん」
‥‥‥あまり聞かれたくない話、なんだろうな。
「どうしたんですか?ぼーっとして。帰らないんですか?」
「え?ああ、だから傘が‥‥‥」
「ですから、一緒に帰りましょう。けど狭いのは勘弁してくださいね」
「あ‥‥うん、ありがとう、藤野さん」
「朝比奈さんの方が先輩なんですから、『さん』なんてつけなくていいですよ」
「‥藤野君」
「はい、どういたしまして。それじゃ、帰りましょう」
あたしたちは帰途についた。
「そういえば‥‥」
「はい?」
学校からの帰り道。
「同じ学校だったんだね」
「僕も昇降口で朝比奈さんを見たとき驚きました」
「でもこの時間に帰るってことは‥‥部活とかやってないの?」
「やってますよ。美術部です。今日は休みなんです」
「へー、美術部。‥‥なんとなく、そんな感じがするよ」
「そうですか?よくわかんないですけど」
「あたしも、なんとなく、だし。よくわかんないや」
そんなことを話してるうちに別れ道についた。
「ここまででいいよ。ありがとう、助かったよ」
「いえ、お役に立てたならよかったです。ここから近いんですか?」
「うん、もうすぐそこだから。じゃあ、また明日だね」
「はい。じゃあ、また明日」
そうしてあたしたちは別れた。ちょっとだけ、気分が高揚していたけれど、その理由はあたしには分からなかった。
(´・ω・`)
雨の中を一緒に帰ったあの日から、どちらからというわけでもないけれど、この一週間なんとなく一緒にいることが多かった。
そしてこの一週間で分かった彼の事。
まず、名前の事。なんでもあそこにいる間はそう名乗る決まりらしい。詳しくは自分も分からないと言っていた。ただ決まり事だからそうしているらしい。
何かあるのかと思ったのはあたしの杞憂だったようだ。
次に美術の事。彼はこの学校では結構有名人だった
。‥‥あたしは知らなかったけど。
職員室の横に掛かってる一枚の油絵。
あたしは素人だから、絵の事なんてよくわかんないけど、あの硝子細工と一緒で、なんだか見てるうちにその世界に引き込まれる、そう錯覚してしまうような絵だった。
そういうと彼は少し照れながら、微笑って「ありがとうございます」と言った。
あと、どうして彼があの店を継いでるのかということ。
彼の親は公私ともにパートナーらしい。それで結局自分が継いだんだって。
本当はそっちももうちょっと時間があれば、なんて言ってた。
行き帰りや、休み時間の度ってほどじゃないけど、そんな風に一緒にいて、学校に行くのがちょっぴり楽しみな一週間だった。
窓から陽が差し込んでる。
「‥‥ふぁ、ふぅ」
朝、起きてそのままリビングへ向かうとそこには、
「おはよ、あんたもうちょっと早く起きなさいよね。あ、おかわりもらってもいいですか?」
‥‥‥京子と裕貴君がいた。
「‥‥何、してんの?」
「言わなきゃ分からないならあんたの目は相当に腐ってるわね。あ、すみません。ありがとうございます」
「‥‥朝ご飯、食べてる」
「なによ、わかってんじゃない」
「あ、いや、そうじゃなくって‥‥」
「ほら、今日一緒に行くって言ってただろ?」
「え?」
「「硝子細工」」
二人の声がハモる。
「‥‥‥あぁーーー!ちょ、今何時!?」
「そんな焦んなくても大丈夫よ。けどあんまゆっくりもできないわよ」
「ごめん、急いで用意してくるよ」
「いいわよ、急がなくて。あんた、急ぐと余計に時間掛かっちゃうから」
「うん、ごめん」
あたしは階段を登り部屋へと向かう。
「ごめんなさいね。わざわざ迎えに来てもらっちゃって」
「いつものことですから」
「ごめん、おまたせ」
「じゃ、いきましょっか」
「うん。じゃ、いってきます。そんなに遅くはならないと思うから」
「ええ、いってらっしゃい」
あたしたちは外へ出た。外は霞むほどの青空と蝉たちの声が鳴り響いていた。
843 :
名無しさん@ピンキー:2005/10/18(火) 10:18:24 ID:lzka332H
続き、wktkしながら待ってますよ。
全裸で。
844 :
名無しさん@ピンキー:2005/10/20(木) 06:11:09 ID:xB+Yn1KX
稲負鳥 ◆GkRPJL.Q4U 様の降臨期待age
845 :
名無しさん@ピンキー:2005/10/21(金) 11:08:09 ID:N/yFQ8Gy
Can't Stop Fallin'in Loveの続きも気になる
おまかせあれ
◆.tF/XA505U 氏、すみません。割り込む形になっちゃいます。
謝るなら最初からやるんじゃねぇよ。何よ、心配してあげてるのに!余計なお世話だ、馬鹿。
そ、そんな言い方・・・ないじゃない。な、何だよ、泣くなよ。な、泣いてないわよ馬鹿。
・・・悪かったよ。馬鹿、あんたってホントにバカ。馬鹿、バカ、ばかぁ。・・・ごめんな。許してくれよ。
やだ。・・・俺が悪かったです。許してください。・・・3つ、お願いきいてくれたら。わかった、何でもする。
まず一つ目、ひとの言うことは素直に聞くこと。うん。二つ目、周りの人にもっと優しくなること。
オーケイ。で、三つ目は? ・・・キス、して。
などと我ながら正気を疑うような妄想をしながら投下。
幸福とは何だろう。
幸福の定義、それに対して答えを求めるのはナンセンスである。
ある者は積み重なっていく地位や名誉に。
ある者は家族の微笑みに。
またある者は労働後の一杯のビールに。それぞれ己の幸福を見いだしている。
唯一絶対の解答は不可能。
しかしながら、ある程度の現象を『幸福』として捉えることは可能なのではないか。
例えば、お金はないよりあった方がいい。
例えば、友人は多い方がいい。
例えば、怪我無く健康であった方がいい。
もちろんこれらは極端な例だ。
付属するマイナス面をまったく考慮していないし、当人の置かれた状況や対象の状況によって反転するだろう。
だが、今回はそれを考慮に入れずに考えてみよう。
女性と行動を共にできるのは幸福なはずだ。
更に若くて美人となれば、文句があろうはずもない。
とどめに両手に花とくれば、跪いて神に感謝してもいいくらいだ。
なのに、何故――
「俺はこんなに疲れているんでしょうか……」
ショーケースの向こうに佇む愛くるしい瞳のやぎべえ(ヤギのぬいぐるみ。たった今命名)は何も返してはくれなかった。
当たり前だ。無機物が喋ったら怖い。
「篠原ー、んなところで何遊んでるのよー」
「篠原くーん、置いて行っちゃいますよー」
二種類の声に呼ばれる。誰と誰かは説明するまでもないだろう。
くそっ、大声出しやがって。ほら、注目されてるじゃないか。そして何となく周りの男から殺意を感じるじゃないか。
二人とも少しは自分達が目立っていることを自覚してほしい。
特に綾咲。貴様の佇まいはその標準以上の容姿と合わさって人を惹きつけすぎるのだ。
「いいか、今回の作戦は隠密行動が基本だ。足音を忍ばせ、呼吸を自然と一体化させ、猛獣潜むジャングルを駆け抜けろ!」
「由理さん、篠原くんがまたどこかいっちゃいましたけど」
「あー、殴ったら元に戻るんじゃない?」
聞こえてるぞお前ら。他人を壊れたテレビ扱いするんじゃない。
この失礼な輩どもに文句を言ってやろうと息を吸い込むと、「あっ」と何かに気付いたような声を上げて綾咲が近づいてきた。
まさか、葉山の言葉を真に受けて本気で俺を殴るつもりか!?
暴力では何も解決しないというのに! 愛と慈悲こそが世界を救う鍵となるんだぞ!
いくら心の中で叫んでも眼前の危機は回避できないので、覚悟を決めて戦闘スタイルへ移行する。
歯を食いしばり、腰を心持ち落として、やや半身の体勢へ。でも拳は握らない。
これが数年間葉山に殴られ続けた俺が考案した、最も打撃を受け流せるスタイルだ!
……こんなスキル持ちたくなかったがな。
綾咲はゆっくりと俺の顔へと手を伸ばし、お嬢には似つかわしくない殺人パンチを
「おひげ、剃り残しありますよ」
綾咲の人差し指が顎を撫でる。一旦そこで思考停止。完全フリーズ。
……………………………………なっ、ななななナナナナ7777奈々奈々奈々奈々っ!
なんばしよっとですかこの娘っ子は! いきなり何するざます! せめて一言断ってからにしてしてくだサーイ!
何とか自我を取り戻したものの言語中枢に重大な障害が発生していた。
しかし構っている暇はない。まずはこの破裂しそうなピュアハートをペースダウンさせることが先決。
まずは一秒間に十回呼吸して太陽のエネルギーを練った後、守護霊で自分の心臓を止めて何か変な思考になってないか俺?
いいか落ち着け篠原直弥。本来の君はクールでニヒルなハードボイルドダンディーのはずだ。
さあ己に言い聞かせよう。アイムクール。アイムドライ。暖かい感情を氷原の彼方へ追いやった孤高の戦士。
よし完璧だ。心の芯まで冷静だ。痛みに耐えてよく頑張った。感動した。さぁ、いつものように軽快なトークをお披露目しよう。
「そいつはおかしいねっ! 今朝剃ってきたはずなのにねっ! そろそろシェーバーの買い替え時かなっ!」
言葉遣いはいまだおかしいが、何とか返答に成功。これで未来は安心だ。
と思ったのも束の間、綾咲が踵を浮かして俺の顎を覗き込んできた。
髪の香りが一瞬鼻腔をくすぐる。一気に思考が乱れ、再び心臓が踊り出す。
頼む動揺よ顔にでるな。血流よ一度でいいから止まってくれ。お願い離れて綾咲さん。
「うーん、でも目立たないところですから、あまり気にすることないかもしれませんよ」
祈りが通じたのか、やっと綾咲が身体を離す。
息苦しさを覚えて、俺は肺から息を吐き出した。自分が呼吸を止めていたことすら忘れていた。
「優奈ー、そろそろ行かないと選ぶ時間無くなるから」
遠くで俺達のやりとりを呑気に見物していた葉山がようやく催促してくる。
しかし言葉の内容とは裏腹に時間に追われる焦りはまるでない。というかもっと早く呼べ。
「あ、はい。篠原くん、そろそろ行きましょう」
綾咲が葉山の元へ向かい、俺もその後に続く。談笑を始めた二人を見ながら、俺は我知らずため息を吐いていた。
「まったく、綾咲の奴」
不覚だった。あれ程の接近を許してしまうとは。生物の心臓は鼓動できる回数が決まっており、
上限を越えてしまうと死に至るという話をどこかで聞いたことがあるが、それが本当なら俺の寿命は三日は縮んだだろう。
そっと顎を撫でる。綾咲の言ったとおり、わずかだが剃り残した髭の感触が手に残る。
「天然……だよなぁ」
もしや俺がシャイな純情ボーイであることに気付いて、悪戯心を起こしてからかったのかと一度は考えた。
だがそれならもっと上手な方法があるだろうし、こんな人目のある場所でやらなくても構わない。
更には顔も声も笑うどころか、大真面目だった。終わっても種明かしのひとつもしない。
やはりさっきのは天然のなせる技だろう。だとすると、
「無防備すぎるぞ……」
頭を抱えたくなった。
最近、綾咲の突然の行動に焦らされることが増えている。
さすがに顔に触れられたのは初めてだが、それを除いても以前より距離が近くなってきている。
俺だって学習していないわけじゃない。彼女と話すたびに取り乱すのも癪だし、何より情けないので、いろいろ対策は考案した。
しかし俺がいくら警戒して線引きしようと、綾咲は自然に懐に飛び込んでくる。
そんな無防備に他人に信頼された経験はない。だから、戸惑う。
『男子では篠原が一番優奈と仲がいいから。知ってる? 下心も何も無しに優奈と普通に話してる男子、篠原だけだよ。
優奈もすごいリラックスして喋るし。じゃなきゃ、教室であんなに顔近づけたりしない』
葉山の言葉が甦る。
あの時は半信半疑だったが、今となっては納得できる。
綾咲にとって俺は数少ない(もしかしたら唯一かもしれない)男友達なのだろう。
あれ? でも確か綾咲って男嫌い……だったよな? 惚れてる相手は超極悪ポニーテール女だし。
俺を安パイ、というか男として見てないだけじゃないのか?
謎は全て解けた!
いや、
知らない方がよかったかもしれない悲しい事実に気付いてしまった!
の方が正しいか。
いやーはっはっは。そうだったのかー。あー、深く考えただけ損した。
急激に疲労を覚えて、俺は肩を落とした。時間の無駄遣いだった。脳を働かせるために使用した糖分を返してほしいくらいだ。
それもこれもみんなあの女のせいだ。大体これは時間外労働じゃないのか? 残業費を要求するぞ。
天を仰いで太陽の位置を確認する。時刻は2時半過ぎ、冬の日差しが張り切っている。
本来なら授業を受けている時間だが、今日は職員会議とやらで5限で終了。
そんなわけでいつもより早く解放された俺達は、駅前にあるショッピング・モールを闊歩していた。
放課後、何故まっすぐ帰宅せずこんな所に来ているのかというと――やっぱり葉山の思惑が絡んでるわけだが。
時は溯り、本日の昼休み、教室にて。
「篠原、ちょっと今日付き合ってよ」
変化も一週間続けば日常になる。
というわけで、俺はいつものように葉山の弁当を平らげ、食後のコーヒー(紙パック80円)を啜っていた。
そんなとき葉山が発したのが、先程の言葉だった。
俺は紙パックを握りつぶして脇に置き、十分に間を取ってから、口を開く。
「それは突然の愛の告白だった」
「んなわけあるかっ!」
鋭い拳が振り抜かれ、衝撃が腹を打ち抜く。俺は思わず地面に膝をつき、無様な土下座の状態に。
胃に物を入れた直後の腹部への攻撃は反則ですぞ、ミス・葉山。せっかくのまともな栄養源をリバースするところでしたぞ。
「葉山さん……少しは手加減というものを覚えてください」
テンカウント寸前で何とか立ち上がった俺に、しかし葉山は平然と返す。
「あんた相手にいらないでしょ。あの程度じゃ死ぬわけないし」
死を基準に攻撃力を決定しないでお願いだから。
ふらつく足を叱咤して、椅子に座り直す。
それにしても中学時代と比べて確実にツッコミの威力が増しているな。もはや一流と言っても過言ではない。
過去の未熟だった頃を思い返すと、なかなか感慨深いものがある。
俺は親指をぐっと立て、葉山に賞賛を送ってやった。
「レベルアップですぜ あんたもせいちょうしたもんだ」
「……なんか言いたいことは色々あるけど、取りあえず大人しく話を聞くように、もう二、三発殴ろうと思うの」
「さぁ話せ。どしどし話せ。舌がちぎれるその日まで」
葉山が何故か冷たい目で俺を見ていたが、やがて呆れたようなため息を吐いた。呆れた、ではなく諦めた、かもしれんが。
「放課後、駅前のショッピングモールに付き合って欲しいのよ。
父親の誕生日プレゼント買おうと思ってるんだけど、男の意見も聞きたくて、ね」
それで俺か。なるほど事情はわかったが、問題がひとつある。
「綾咲はどうするんだ?」
「ん? 優奈が気になる? 来て欲しかったりする?」
「茶化すな。放課後の義務はボイコットしてもいいのか?」
葉山が弁当を用意するようになってから一週間。それはつまり、俺と綾咲が共に帰宅するようになってから一週間が経過した、ということだ。
最初のうちこそお互い口数も少なかったが、元々仲が悪いというわけでもないので、打ち解けるのも早かった。今ではいいお友達な関係を築きつつある。
悪い気はしないのだが、葉山の手の上で踊らされているようで少々不愉快な面もあった。
まぁ、綾咲とは約束してるわけじゃないし、たまにはいいだろう。あいつといるとこっちのペースが乱されることも多いし。
それに誰にだって一人になりたいときはある。
「大丈夫よ。優奈も誘っておいたから。篠原も来るってこと伝えてあるし」
「……さいですか」
が、願いが叶う日はまだまだ遠そうだった。
「篠原、次はこれ試してみてよ。……って、何で後ずさってんの?」
「だ、騙されないぞっ! 貴様、試着と称してまた俺の首を絞めるつもりだろう!」
「やーね、あれは加減がわかんなかっただけだってば。ほら、ちゃっちゃと締める」
「……聞きたいのだが、お前本当に蛍光グリーンのネクタイをプレゼントするつもりか?」
「うちの父親、こういう色が好きなのよねー。いつも着てる背広はショッキングピンクだし」
「……お前の親父に心底会ってみたくなったぞ」
「篠原くん、これなんていかがです? あなたにすごく似合うと思うんですけど」
「俺に似合ってどうする。プレゼントを贈るのは葉山で、受け取るのは葉山の親父だぞ。
……おおおおおおおおっ! 何ですかこの価格はぁっ!」
「ほら、お値段も手頃ですし」
「んなわけあるかっ! これだからお嬢はっ!」
そんなこんなでようやく買い物を終え。
「つ、疲れた……」
店を出たときには、俺は疲労困憊だった。肉体的にはそれほどでもないが、精神的疲労が著しい。
女の買い物に付き合うには相応の覚悟が必要だと骨の髄まで教えられた一時間半だった。
「だらしないわねー男のくせに」
気を抜けば地面に倒れ込みそうな俺とは対照的に、女性陣はピンピンしている。
男性の方が体力的に優れているという固定観念は、木っ端微塵に打ち砕かれた。
「あのな。ネクタイひとつ選ぶのにあれだけ時間掛けられたら誰だって疲れるわ。しかも全部試着させやがるし」
恨みがましくぼやく俺に、葉山はチッチッと指を振る。
「わかってないわね。それがショッピングの醍醐味なんじゃない」
「馬鹿言え。主婦を出し抜いて特売品をゲットすることこそ買い物の醍醐味だろうが」
力強く宣言した俺に、何故か葉山は憐憫の表情を向けてくる。
「あー、否定はしないけど。……あんたってホント貧しい食生活送ってんのねぇ」
しみじみ言うな。悲しくなるから。
「で、これからどうする? まだ他に回るというなら俺は帰るぞ。これ以上付き合ったら体力が持たん」
「そうするつもりならあの店であれだけ粘らないって。ま、私も少し疲れたかな。喫茶店でも寄ってく?」
「はい。私は構いませんよ」
葉山の提案に綾咲が即座に賛成し、
「うーむ………………よかろう。仕送りが入ったばっかりだしな」
逡巡の後、俺も続く。
「よし、決まり。『BLUE LIGHT』でいいよね?」
葉山が駅前の喫茶店名を出す。お値段そこそこ、味はなかなかの良心的な店だ。もちろん異存はない。綾咲と揃って頷く。
「私、喫茶店なんて久しぶりです」
「俺もそうだ。よし、今日は店中の砂糖をコーヒーにぶち込んでカロリーを補充するぞぅ!」
「えっと……お店の人も困るでしょうから、程々にしてあげてくださいね?」
綾咲さん、何を本気に受け取ってますか。俺はそんなに貧しそうに見えますか?
…………見えるんだろうなぁ。
素直に認めよう。だが綾咲、見ているがいい。俺はこのまま貧乏人で生涯を終えるつもりはない。今に吠え面をかかせてやる。
「丘の上に白い家を建て、縁側で茶を啜るという俺の夢が実現した瞬間、それが貴様の敗北の時だっ!」
ビシッと指を突きつけてやる。ふっ、決まった。
綾咲は俺の指をきょとんと見つめながら、
「あの、また思考がどっかいっちゃいました?」
はい、旅立ちました。話が早くて助かります。
すごすごと指を下ろす。思いっきりカッコつけた分だけ、恐ろしく決まりが悪かった。
綾咲はくすっと声を出して笑ってから、
「でも、いいと思いますよ。そういう夢」
そう言って、微笑んだ。
「素敵だと思います」
そこに浮かんでいたのは、憧れだった。
嫌みや妬みや嘲笑など何一つ含んでいない、純粋な憧憬の笑み。
思わず引き込まれそうになって、慌てて視線を逸らす。
錯覚だぞ、錯覚。どうしてお嬢の綾咲が俺の夢に憧れるよ?
自分によくわからないことを言い聞かせながら、俺は一歩、綾咲から離れる。
「優奈ー、そんな馬鹿ほっといて、さっそと行こうー」
声の方向に目を向けると、少し先で立ち止まっている葉山の姿。
馬鹿とは何だ馬鹿とは。でもちょっと感謝。
「まったく、せっかちな奴め」
「まぁまぁそう言わずに。話し込んでいた私達が悪いんですから」
連れだって葉山の元に向かう。少々待たせただけなので幸いにも彼女のまなじりは吊り上がっていない。
「付いてきてないと思ったら。あんたら道の真ん中で、何話してたのよ?」
「摂取カロリーと外見によって推測できる経済状況について個人の野望を交えつつ多角的に意見交換していました」
「合っているような間違えているような……」
「優奈、こいつの言うことをあまり真面目に考えない方がいいよ。馬鹿らしくなってくるから」
失敬な。名誉毀損だ! 訴えてやる!
と叫ぼうと思ったが、拳を握ってこちらを牽制している葉山が視覚に入ったため、今回はお預けにして置いた。
「んじゃ、行くよ。今度は遅れないようにね。わかった?」
「お前は引率の先生か」
「バナナはおやつに入れてもいいわよ。その代わりさっさと歩くっ。今日は金曜だから、早めに行かないと混んでくるわよ」
急き立てられるままにだらだらと歩き出した俺達を、
「えっ!」
背後から大きな声が縫い止める。振り向けば、口に手を当てて固まっている綾咲の姿。
「どうしたの、優奈?」
「今日って金曜日……でした?」
恐る恐る確認してくる。
「そうだが。再放送のドラマの録画予約を忘れたか?」
綾咲はゆっくり首を振ると、困ったような笑みを浮かべて、答えた。
「4時からピアノの先生が家に来られる予定だったんですけど……」
「……………………」
三人で一斉に時計を見る。
チクタクチクタクポーン、午後3時53分40秒になりました。
「葉山、今こそ貴様の隠された能力、テレポーテーションを使うときだ」
「んないかがわしい特技持ってるかっ!」
「諦めるな! やれば出来るは魔法の合い言葉っ!」
「ならあんたがやりなさい。頭を強く打てば今まで眠っていた何かが目覚めるんじゃない?」
「これ以上あなたの拳を喰らえばパンチドランカーになることは確定なので、勘弁してください」
などと意味のないやり取りをしても、時間は戻らない。あの青春の日々は帰ってこない。
「お手伝いさんに待っててもらうよう伝えるとか」
「今の時間は誰もいないんです……」
遠きあの頃に思いを馳せている俺を余所に、二人は対策を練っている。ちょっと置いてきぼりな気分。
「そうだ。その先生の携帯に電話すればいいじゃない」
自分の携帯を取り出しつつ葉山が提案する。おお、なるほど。その手があったか。
携帯電話などという文明の利器を持っていない俺には思いつかないアイデアだ。
「いつもの先生が都合が悪いらしくて、今日来てくださる方は臨時なんです。だから携帯の番号までは……」
「あちゃー」
葉山が天を仰ぐ。いくら良い考えでも、活かせなければ意味はない。
よし、ここは俺が友人の危機を救うために知恵を捻り出してやろうではないか!
「確か綾咲って雪ヶ丘だよな? だったらタクシーを飛ばせば10分くらいで着くだろ。
5分くらいなら臨時講師も待っててくれるんじゃないか?」
うむ、見事な起死回生プラン。遅れることを前提に組み立てているところが実に俺らしいと言えよう。
どうだ葉山、この篠原直弥の頭脳の冴えは!
しかし葉山は感心した様子など微塵も見せず、ため息を吐いて指で駅の方向を指した。
「よく見なさいよ。客待ちが全然ないでしょうが」
「あ」
言われて目を向けてみれば、タクシー乗り場は空だった。
この時間だったらいつも数台は客待ちのタクシーがあるというのに、今日に限って一台もいない。
「ちっ、肝心なときに役に立たないな」
「仕方ないですよ。元々、レッスンの日を忘れていた私が悪いんですから。臨時の先生には後日、謝罪の電話をしておきます」
綾咲のなだめるような笑みに、俺も肩の力を抜いた。
ま、それしかねーわな。人間、諦めが肝心。
「んじゃ、こんなところで突っ立てても意味ないし、予定通りサ店にでも行く……」
「ねぇ篠原、あんた昔、自転車で送迎の真似事やってなかった?」
鞄を背負い、歩きかけた俺を遮ったのは葉山の声だった。何か不穏な予感を覚えつつも、正直に答える。
「やってたぞ。一律300円で。田淵の奴に旅行先の札幌まで迎えにこいとか言われてその場で廃業して以来それっきりだが」
「ふーん」
葉山が何度か頷く。何とはなしにこいつの言わんとしていることが読めてきたような。
「あんたなら雪ヶ丘まで15分で着くんじゃない?」
「二人乗りでか?」
「そういうこと。遅れたのが10分ならギリギリ間に合うかも」
葉山がニヤリと笑う。おいおい、無茶言って下さる、この方は。
「俺一人なら楽勝だけど、二人で15分となるとなぁ……」
難しい。そう言いかけた俺の言葉を止めたのは、またしても葉山の発言だった。
「時間内に着いたら、優奈が今度何か奢ってくれるらしいわよ」
弾かれたように綾咲を見る。急に名前を出された綾咲は戸惑い気味に「え?」と声を漏らしたが、
「ね、優奈?」
「あ、はい。今度、喫茶店で何かご馳走しますけど」
葉山に促され、条件を承諾した。瞬間、俺の中で何かが変わった。
「……少々お待ち下さい」
恭しく頭を下げてからその場を離れ、自転車置き場へ直行。愛車の鍵を外し、勢いよく跨ると、全速力で綾咲の元へ舞い戻る。
驚きで目を見開いている彼女の前で華麗にスピンターンをを決め、親指を立てて決め台詞。
「お待たせいたしましたお嬢様。どうぞお乗り下さい」
「ゴールドカード見せられたホテルのフロントみたいな態度の変わり様ね」
うるせぇ外野は黙ってろ。
「さぁ乗れ綾咲! 俺は不可能を可能にはしないが一見不可能っぽいけど実は可能なことをそつなくこなす男!」
「篠原くんって喫茶店で奢ってもらうだけでこんなにやる気になるんですか?」
「最近甘いもの食べてないらしいから。張り切ってるんでしょ」
うるせぇ外野。他人の食生活ばらすな。
「あー、そろそろ乗っかれ。本音を暴露すると時間的にかなりギリギリなんだ」
「はい。お願いします」
綾咲が荷台に女の子座りする。今まで乗せた連中はほとんどが野郎だったので、ちょっと新鮮。
俺は彼女から鞄を受け取ると、自分の分と一緒に前面に設置されているカゴに放り込んだ。それからぐっとハンドルを握り力を溜める。
「しっかり掴まってないと振り落とされるぞ」
俺の言葉を受けて、綾咲の腕が腰に回される。
きゅっと巻き付いてくる両の腕。風に乗って届く髪の香り。そして背中には柔らかい感触。
押しつけられた二つの固まりは、少し弾力があって心地いい。
……………………………………………………。
えーと。これはあれですか? 二次性徴を迎えた女子が所有するというこの世の男性が愛してやまない嬉し恥ずかしの双丘ですか?
つまり胸? 医学的に言うなら乳房? もっとわかりやすく言うならおっぱい?
おっぱい! おっぱい!
無意識に全神経が集中した背に強く自己主張してくる、ふにふにした二つの膨らみ。
なるほど。噂通りなかなか大きいおっぱい! おっぱい! …………じゃなくて!
……落ち着け俺。そんなことに気を取られてる場合じゃないだろ。よし、気を取り直しておっぱい! おっぱい!
…………冷静になれ俺。精神を統一し邪念を捨てておっぱい! おっぱい!
駄目だ。思考が使い物にならなくなっている。このままだと冗談抜きで交通事故必至だ。
そのまま昇天しようものなら、死亡診断書にはこう書かれるに違いない。
『篠原直也 死因・おっぱい! おっぱい!』
それだけは避けねば。
「……あの、綾咲さん? もう少し離れてはいただけませんでしょうか?」
気力を振り絞り、何とか要望を伝える。たったそれだけのことに恐ろしいほどの精神力が必要だった。
もちろん視線は前方に向けたままだ。今こいつと目を合わせたら死ぬ。いやマジで。
「あ、ごめんなさい。力入れ過ぎちゃいました」
巻き付いていた腕は腰を掴むだけに変わり、背中から暖かな感触が消える。
ちょっと惜しかったかなという思いが頭に浮かんだが、慌てて振り払った。
一度肺を冷たい空気で満たし、ゆっくり吐き出す。徐々に思考がクリアになっていき、本来の姿を取り戻す。
残り時間、ロスタイムを含めて13分20秒。
「よし、行くぞ綾咲!」
「はいっ。では由理さん、ごきげんよう」
「ん、じゃね。篠原、死ぬ気で走りなさいよ」
言われるまでもない。
「グローバルスタンダード号、発進!」
そして俺はペダルを踏み込んだ。
ゆっくりと車輪が回り始めたのも束の間、与えられた推進力を素直に受け取って、自転車が加速し始める。
また混雑していない車道を駆け抜けていく、俺と相棒と高級積載物(取り扱い注意)。
チラリと後ろに目をやると、小さく手を振っている葉山の姿が見えた。
「篠原くん、ちょっとスピードを出しすぎなのでは?」
投げ掛けられた言葉に吹き出しそうになる。確かに現在の速度は並の人間の全速力に近い。
しかし俺は、
「何を言っている。こんなもん序の口だぞ。車で言うならセカンドギアだ」
そう返しながらニヤリと口の端を吊り上げる。お楽しみはこれからだ。
駅前から離れたことを確認すると、俺は更にスピードを上げる。唸れ! グローバルスタンダード号!
俺の意志に答え、更に加速する相棒。風を切る音が聞こえ、景色が早送りされていく。
二人分の体重などものともせず、俺達を乗せた自転車は爆走する。
「む?」
だが、そういつまでも気持ちよく走らせてくれないのが日本の交通事情。白いセダンの不法駐車が我々の行く手を阻む。
回避しようにも、対向車線にも車の影があり、歩道には人の姿が。このままではスピードを落とさなければならない。
だがこんなところで時間をロスするわけにはいかない。
「綾咲、手を離すなよっ!」
一方的に告げると、更にペダルに力を送り込む。ここからが俺の腕の見せ所だ。
校内自転車競争タイムアタック記録保持者は伊達じゃない!
ガードレールの切れ目を見計らって、進路を歩道と変更する。乗り上げた際に衝撃が身体を揺さぶったが、構わず爆進。
俺は知覚能力を全開にして、歩行者との距離を測る。
後方に自転車が近づいていることも知らず歩いている女子高生が二人。
左右に広がっているため、一見、自転車の通り抜ける隙間などありそうにない。
しかし、二人はぴったり並んでいるわけではなく、微妙に前後に開いている。これならいける!
俺はまず右に寄って一人目を回避し、巧みなハンドル操作とガードレールを蹴ることによって急激な進路変更を試みる。
狙いは二人目の女子高生の左側と民家の塀の隙間!
「ひゃあ! な、何!?」
誤差1センチ。ほぼ頭に描いた理想の軌道で、俺は女子高生の脇をすり抜けた。
ごめんよ、びびらして。苦情は24時間いつでも受け付けます。連絡は路上駐車の白いセダンまで。
再び車道に戻り、障害物のないだだっ広い道を走りながら、先程の技の出来を反芻する。
久々のアクロバット走行だったが、腕は鈍っていなかったようだ。
ま、あの程度はクリアして当然なのだが。でなければ今年の校内自転車競争でトップを取ることなど出来ない。
1−F前のジグザグ30コーン階段落下付きはマジで死を覚悟したからな。
……改めて考えてみると、校舎内で自転車競争を許可するあたり、ものすごく変わっているんじゃないだろうか、ウチの学校。
と、そこでやけに後ろが静かなことに気付く。前方の安全をしっかり確認してから恐る恐る綾咲の顔を伺うが、その表情はわからない。
しかし制服を掴んでいた腕はいつの間にかしっかりと腰に回され、俺にしがみつくような形になっていた。
うーむ、怯えさせちゃったか? 初めて俺の後ろに乗ったんだから仕方ないけど。
背中に意識を向けないようにしながら(今錯乱したら事故確定)そんなことを思っていると、急に綾咲が顔を上げた。
「篠原くんっ!」
近づいた視線に身を引きそうになるが、自転車に乗っているのでそれは不可能だった。
戸惑う俺を気にした風もなく、綾咲は勢いそのまま――
「自転車って楽しいですねっ」
「は?」
満面の笑みで答えた。
「まるでジェットコースターみたいです」
「……そうか?」
「はいっ!」
頷いた綾咲の顔は、興奮のためか上気している。
しかし言うに事欠いてジェットコースターとは。初心者のくせに生意気な。
なるほど、お嬢はこの程度のスピードじゃ満足できないと申されるか。よかろう、その挑戦受けて立つ!
周囲を見回すと、覚えのある風景がちらほらしている。そろそろ雪ヶ丘だ。ゴールも近い。
最後に全力を振り絞って、こいつに敗北を味わわせてやる。ぴーぴー泣きわめいても止まってやるほど優しくないぞ、俺は。
「さっきの発言、後悔するなよ」
「え? 何がです?」
俺は綾咲の疑問には答えず、更にペダルを深く踏み込んだ。
「うおりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
気合い一番全力全開。推力、慣性、搭乗者の技術。それらが三位一体となって、俺達を最速の世界へと導く。
町並みはビデオの早送りのように流れ、風を切る音と車輪の回転する音、それだけしか耳に届かなくなる。
鋭敏になった五感は周囲の危険をいち早くキャッチし、脳が最速のルートやライン取りを叩き出す。
相棒は俺の無茶な運転に忠実に応え、また俺も魂が燃え尽きるほどの力を相棒に注ぎ込んだ。
もっとだ、もっと早く!
走れグローバルスタンダード号! あの光を目指して!
「あの、篠原くん」
「越えろ音速! 突き抜けろ亜光速! 相対性理論をぶっちぎれ!!」
「もしもーし? 聞こえてないのかしら?」
「何人たりとも俺の前は走らせねぇぇっっ!」
「もう。耳元で思いっきり叫んで差し上げようかしら。…………篠原くんっっ!!」
「うぉっ!」
突然の大音量に、俺は反射的にブレーキを掛けた。キィーという耳障りな音と共に、自転車がゆっくりと減速する。
チッ、もう少しで未知の世界が見えてきそうだったのに。誰だ水を差した奴は。
振り返ればそこには綾咲の姿。当たり前か、俺の後ろに乗ってたんだから。すっかり忘れてたけど。
「どうした? 乗り物酔いか? それとも二日酔いか?」
「いえ、そうではなくて」
綾咲はゆっくりと俺の身体から腕を放すと、今まで辿ってきた道の向こうに目を送った。
「私の家、もう過ぎちゃったんですけど」
…………………………………………………………はい?
彼女の言葉が頭脳の奥に浸透するまで、しばらくの時間が必要だった。
一陣の冷たい風が高級住宅街を通り抜けていく。
「………………あー、それっていつのこと?」
小さな唇から、残酷な事実がもたらされる。
「ずいぶん前になります」
この時、腕時計は午後4時14分を指していましたとさ。
「…………………………………………」
しばしの思考停止。そして。
しまったぁっ! この俺としたことが、何たるミスを!!
もっと早く教えてくれよ、などという情けないセリフは絶対に口に出せない。
綾咲を送り届けるという任務をすっかり忘れてしまっていたのは俺自身なのだ。
その原因はアクロバット走行を体験しても平然としていた綾咲への対抗心だし。
仕舞いにはそれすらスピードへの欲求にすり替わってたし。
今だけは素直に認めよう。俺は阿呆だ。
「スマンごめん悪かった! すぐ引き返します後でひたすら謝ります」
臨時の先生とやらが気の長い人物ならまだ待っていてくれるかもしれない。一縷の希望を持って、ハンドルを切り替える。
「篠原くん、少しお待ちくださいな」
「はいっ!」
しかし綾咲の制止の声が掛かり、俺は発進体勢のまま硬直する。
やはり無理ですか? 許してはくれませんか? もしかしてヤキ入れですか?
不安を胸一杯に抱きながらチラリと横目で伺うと、綾咲は何やら物思いに沈んでいるようだった。
俺を撲殺する一番効率のいい手段を検討中なのかっ!?
いや、彼女はそんな娘じゃない。そこまで葉山に毒されていない…………たぶん。
安全を確信するために勇気を出して正面から見つめると、綾咲は何やら迷っているようだった。
いや、迷っているというより、決心を固めているような、そんな雰囲気。予想していたどれとも違う様子に戸惑ってしまう。
するとそんな俺を面白がっているかのような、いたずらっぽい表情で綾咲が笑った。
「ね、このままサボっちゃいましょうか?」
俺を仰天させる言葉と共に。
(中編・つづく)
858 :
57:2005/10/22(土) 02:30:52 ID:kndnuB35
憶えていた方、お待たせしました。
思い出した方、お久しぶりです。
そんなこんなでようやく投下できました。
一週間とか言っていましたが、いつの間にか季節が変わり、過ぎていきました。
やっぱり敵の時間を吹っ飛ばす能力は強力ごめんなさい実力不足で遅れましたorz
ちなみに中編、今回で終わりの予定でしたが、まだ続きます。しつこく続きます。
一応、あと一回で中編は終わりの予定。
しかしおかしいなぁ。前回より量は多いのに、何故終わらないんだ。
いや、原因は分かってるんですけどねorz
次の投下はこれほど期間は空かない・・・ハズorz
>>稲負鳥 ◆GkRPJL.Q4U 氏
死ぬな、完結させるまで。(合い言葉風味)
861 :
名無しさん@ピンキー:2005/10/23(日) 00:16:31 ID:+gULEPYW
GJ!
次もお待ちしています。
忘れるわけないじゃないですか
GJ!続きを待っております
>>858 いやいやいや、無論待ってました。
と言うか、続きは無理かなと思っていたのでメチャ嬉しいですー
相変わらずまともなのかぶっ飛んでいるのか微妙な主人公が面白い。
あと、なんか策士っぽいお嬢様が個人的にツボ。続きを楽しみにしてます〜
俺は葉山萌え。
どちらが正ヒロインなのだろう……?
遅ればせながらGJ!
待ってましたよ。
俺は書く時間がなにより欲しい。
時間がなくて‥‥
初めて読んだけど、面白いなあ。すげえセンスいい。GJ!
867 :
名無しさん@ピンキー:2005/10/24(月) 18:24:04 ID:BhsAqWlc
>>稲負鳥
オレはあなたのことも待っている…
えー、初見参の者です……
とてもとてもオーソドックス(それもベタベタな)ヤツを書いてるんですが、投下してもよろしいでしょうか?
>>868 バッチこーい
受け入れ体制は万端だぜい
どんどん希望。
ただ、長編だったらある程度は纏めての方が嬉しい。
細切れ過ぎると雰囲気が掴みにくくなるから。
待ってました!GJです!!
873 :
868:2005/10/27(木) 01:29:58 ID:GG4CzuyB
やっとこさ区切りができる程度まで書けたので投下させて頂きます。
窓の外の景色はもう如何にも秋、という景色だった。校庭の隅に植えられた銀杏の木がすっかり黄色にそまっている
のが見て取れた。
毎年展開される風景。
黒板の前に立っている担任教師の抑揚のない出欠を取る声が、我が2−Bの教室に響く。
「坂井、坂井達也」
「はい」
この返事もいつも通り、変わることがない。と同時に何と無く、くだらなさを感じた。
教室を眺めながら思う。
何か変わったことでもないもんかねぇ。
いつも通りの自分、いつも通りの季節、いつも通りの学校、いつも通りの教室、いつも通りのクラスメイト――日々
が楽しくないと言えば嘘になる。だけれど、この代わり映えのしない日々に少々退屈さを感じているのは事実だ。
いつの間にか担任の出欠を取る声が止まっていた。出席簿に向かって何か書き込んでいる。あとは日直の「起立、
礼!」の言葉と共にいつも通りの日が始まるのである。
しかし、担任は日直に号令をかけさせることを促さなかった。
…どうしたのだろうか。誰か何かまずいことでもやらかしたか。
「あー、えー、実はだな、今日は転校生を紹介する」
おおっ!とざわめく教室。誰もがその情報を察知していなかったらしい。
「先生!男子ですか?女子ですか?」
「女子だ」
「おおぉぉぉぉぉぉおおぉぉぉ」
教室中の男子が歓声を上げた。
女子の転校生!転校生!ものすげぇ美貌を持っててボンキュボーンの凄い転校生だったりして!もしかしたら、これが
運命の出会いだったりして、彼女ができちゃったりして俺の学生生活イヤッホウゥゥゥゥゥッゥゥゥゥゥゥの幕開けかも!
「では、入ってきなさい」
皆声を潜める。担任の声と共に扉が開いた。わくわくしながら視線を扉の方にやる。
入ってきた生徒を見た。
……だめだこりゃ
……………………何というか…………ちんまい
当の眼鏡をかけた女生徒は教壇のとこまで歩き、おもむろに黒板に名前を書いた。『佐藤美香』という漢字が黒板に記
された。セミロングの髪を軽く揺らして振り返り、微笑みを浮かべた。
「佐藤美香です、よろしくお願いします」
さっきまでの心の中の興奮は嘘のように鎮まっている。
見た感じ、前に立っている転校生の彼女は身長がちっこい。もしかしたら、150cmもないかもしれない… あと、つるぺた。
教室を見回した。大部分の男子生徒の興奮は収まっている。……少数派の男子からは「むしろ小さい方が全然オッケー
!」という呟きが聞こえたような気もするが、聞こえなかったことにしておこう。
あー、だめだ。興味ゼロ宣言。俺はロリっぽいのは好みじゃないんだ。
机に頭を押し付けてぐったりする。
寝よ。
「で佐藤の――だが……そうだな。うーん、……の横で良いか。おーい、坂井ー。ってこら、寝てやがる」
寝モードに入った耳におぼろげに何か聞こえる
「起きろこんにゃろ」
べしっ、という衝撃と共に強制的に覚醒状態に移行させられる。顔をむくりと上げると目の前にひげもじゃの担任殿の顔が。
「……グッモーニン?」
「グッモーニン?じゃない。佐藤の席はお前の横とたった今決まった。とっとと椅子と机を隣の空き教室からとってきてやれ」
………………俺の隣?…あのちんまい女が?
「えー…どうせならボンキュボーンの女の方が嬉し」
「何が言いたいのかよくわからんが、担任の権利で決定。佐藤の席は坂井の隣。佐藤、あの窓際に座ってる覇気のない
男子の隣な、席」
「はい」
…覇気の無い男子で誰かわかるのかよ。
「よし。じゃ、長くなったがホームルームは終わり。日直、号令」
「きりーつ、れーい」
担任が教室から出て行った瞬間、女生徒――佐藤が主に女子生徒によって周りを囲まれたのが見えた。
ま、転校生恒例の質問攻めか。
……さて、今の内に机と椅子取ってきといてやるかな。
とりあえず、手頃な机と椅子を発掘して俺の隣に配置した。始業のチャイムが鳴り響いた。
「えっと…坂井くん?」
「ん?」
声をかけてきたのは勿論(俺の席は窓際なので自動的に横の席は1つしかないということになる)隣の席の佐藤である。
「私、教科書まだ買ってないからまだ持ってないんだ、見せてくれない?」
「ああ、いいよ」
黒板の上にある小さいスペースに張ってある時間割表を見る。
1時間目は国語か。魔窟状態の机の中から教科書を探す。……お、あったあった。
佐藤の机に教科書を置く。任務完了。我、コレヨリ睡眠学習に突入セントス。
「あれ・・・?坂井くんは教科書見ないの?」
「俺は良いんだよ、寝るから」
「え!?ちょ、寝るって!?」
「大丈夫、俺は国語のテストは勉強しなくても満点を取れるから勉強なんてしなくて良いんだ」
勿論ウソだ。心の中で舌を出す。
「ま、とにかく良いから。ふわあぁぁ…」
寝る。おやすみなさいませ。
とゆうわけでさくっと今日も授業が終わった。転校生が来たという割には特筆すべきイベントが発生しなかった。昼休み
以外、全部寝てたので眠気もさっぱりだ。
「ホームルームはじめるぞー、席に着けー」
担任が教室に入ってきた。簡単な連絡事項。日直の号令。空気が弛緩。本日の業務は終了――と思ったが、生憎今週
は掃除当番だった。
面倒だが仕方がない。とっとと終わらせて帰ってゲームだ。
黒板の掃除をしていると、教室の入り口の方で担任と佐藤が交わしている会話が耳に入ってきた。
「佐藤、今日の授業はどうだった?ちゃんと付いていけそうか?」
「はい、大丈夫です。前の学校と勉強の進行速度もあんまり変わりません」
「そうかそうか。それは良かった」
あとは前の学校ではこうだった――という感じの他愛のない世間話だった。
「と、そうだ。もう誰かに学校内の案内とかしてもらったか?」
「食堂とかは案内してもらいましたけど、詳しくは」
「そうか、じゃあ誰か暇そうで手頃なヤツに案内でもさせて――」
まずい。この近辺に下手にいたら間違いなく矢玉に上げられる。緊急離脱を――
「お、坂井。丁度良い所に」
……間に合わなかった。
「とゆうわけだ。佐藤に学校内を案内してやってくれ。以上」
「いや、先生。以上ではなく…」
「何だ、何か用事でもあるのか」
「いえ、別にないですけど……」
つるぺたのちんまい女じゃやる気がおきません、と言うわけにもいかねーしなぁ。
「無いなら別に良いだろ。頼んだ」
担任はそう言うなりさっさと去っていった。
あーあ、早く終わらせるか。こうなったら。
「じゃあ坂井くん、案内お願いね?」
「了解仕った」
しかし、案内するといっても何の変哲も無い普通の学園のことである。これといった売りになるような場所があるわけで
もなく、中庭、音楽室、工作室、体育館等普通に見て回るだけだ。
いや、1つだけ(多分)他とは違う所があった。
「あとは…そうだな、屋上かな」
「屋上?」
「ああ、ここの学園は珍しいことに屋上が開放されてるんだ、植木とかもしてあるし、ベンチとかも置いてあるから昼休み
に昼飯とか食いに出る奴も多いぞ」
「へぇー、どこ?」
「こっち」
階段を上り、一番上にある扉のノブを回した。キィという金属の摺れた音を発して扉が開く。丁度夕陽が沈むところで、
屋上全体がオレンジ色に染まっていた。ついでに言えば、ここの学園は少し丘になっている所に建っているので、妙に見
晴らしが良い。
「わぁ…」
背後から佐藤の感嘆の声が聞こえてくる
「どうだ、結構良いとこだろう?」
「うん、いいね。ここ」
佐藤の短めの黒髪が風で流れた。佐藤は端に張られている頑丈な背の高いフェンスのまで小走りに駆けていって、景
色を見ている。
何か小さい子供が目を輝かせて興味津々で眺めているように見えるな…
屋上のところどころに配置されているベンチに腰を下ろす。
「坂井くん」
「ん?」
「今日は有難うね、色々と」
「別に良いさ。隣の席のよしみだ」
「まぁ、隣の席のよしみでこれからもよろしくね」
「いえいえ、こちらこそ」
佐藤がぺこりと頭を下げた。俺も何となく頭を下げた。
その後、何だかおかしくなって二人して顔を見合わせて笑い、帰った。
「佐藤、家はどっちの方角?」
「こっちかな」
そう言って彼女が指し示した方角は俺が帰る方向と同じではないか。
「これは偶然。俺の方向と同じだ」
「じゃあ、途中まで一緒に帰ろ」
「うむ」
特に否定する理由も無いので二つ返事で了承した。
「そういや、坂井くん。今日の授業ほとんど寝てたけど……成績大丈夫なの?」
「大丈夫だ。留年しない程度に点数は取れてる」
「それって全然大丈夫じゃ…」
「はっは。佐藤は心配性だなぁ、最低限で良いのだよ。こういうことは」
佐藤は呆れたような表情を見せた。
何か、眼鏡をかけてるのと背が低いというのと仕草も相まって……何か委員長って感じに見えるな(意味不明)
前に済んでたところとかの話をしながら大分歩いた。いつの間にか俺の家近くまで来た。話していると時間の経過は早い。
あれ、そういや。佐藤の家ってまだ着かないのか?
「佐藤、もう結構歩いてきたけど、家どこらへんだ?」
「あ、もう近くだよー。すぐそこ」
「そか、俺の家はあそこの角の家だから。この辺で」
「え」
佐藤は奇妙な声を上げて突然固まった。
「…どうした?」
「私の家、あそこなんだけど」
そう言って佐藤は指を指し示した。その先を見据える。
……おいおいおいおい。ちょっと待てよ。そんな……まさか…
「隣…同士?」
これまた、随分と楽しいことになってきたなぁ、おい…
882 :
868:2005/10/27(木) 01:47:52 ID:GG4CzuyB
結構長い割に全然要素が消化できてない…orz
えー、レスが多いほど創作意欲が燃焼するタイプですので、批判、評価、罵倒などなどございましたら
どんどんお願いします。
では失礼します。
>>882 今のところ何も言えないけど続きは期待してます
うーん、これエロあるんだよね?
つるぺたロリは守備範囲外だなあ…
>>882 >レスが多いほど創作意欲が燃焼するタイプですので
この一言で一気に萎えた。
初心者だそうだが、そんなことは思っても言わないのがいいぞ。
ロリも射程範囲だがここまでご都合主義だと逆に萎える
まぁ今後に期待
え、そう?
なんか楽しそうだなと俺は思った。
つい最近、このスレを発見し狂喜乱舞してる者です。
保管庫にも即突撃し、職人の皆様の作品を楽しくかつ (*´Д`)ハァハァ しつつ読んでいます。
・・・ところで、保管庫の作品の中で気になるものを見つけました。
isosceles triangle(二等辺三角形)
↑この作品なのですが、これって「裏ページ」というサイトに存在するものと
全く(?)同じですよね?
私は過去ログを所持していないもので、投稿なされたのがサイトの本人様なのか
また、投稿された経緯等が、気になっています。
まぁ、2chにおいて盗作等の作品が放置されているなどということは無いと思うんですが
どうして、ココのスレッドにも存在したのかな?と気にし始めたら止まらなくなってしまって・・・
どなたか、お教え願えませんか?長文かつ駄文、申し訳ありません。
気にせず書いてください
私も気にせずカきますから
>>882 むしろベタベタなのが読みたいところだったから、俺としては歓迎。
892 :
名無しさん@ピンキー:2005/10/29(土) 01:39:56 ID:yXK6t75H
硝子細工屋の話を待ってるのは、俺だけ?
Can't Stop Fallin'in Loveの続きが気になって仕方ない
早く続きよまして〜
>>882 ヒロインがツボにきた。これからどう純愛に発展するか楽しみです。
なんか待ってくださってる方も
いらっしゃるようで。
遅筆でごめんなさい。
近い内には投下‥‥できるといいな
つるぺたのちんまい女はツボだよ!
ヽ(`Д´)ノ
>888
スレ投下後、しばらくしてサイトに収録された……ように記憶。
>投稿なされたのがサイトの本人様なのか
多分そうだと思われ。
>>898 サイト本人様による投稿だったのですか・・・
教えてくださってありがとうございます。
モヤモヤしてたものが晴れて良かったです
900 :
名無しさん@ピンキー:2005/11/03(木) 07:31:56 ID:uc4ZKoiQ
900!!!!
901 :
名無しさん@ピンキー:2005/11/03(木) 15:35:13 ID:EgM1kkTl
というか、稲負鳥様はどうなったのでしょうか?
こんなスレあったのかぁ
誰かこないかな
参考までに聞きたいのですが…バカップルは好きですか?
俺は、見るのも嫌だし自分でやるのも嫌だなあ。
好きなバカップルもいればあきれるバカップルもいるなぁ。
嫌いなバカップル…、記憶にないや。
実際見るのはいやだが文章で想像するのはかまわないです
>>904 私に言っているんですねそうですねハァハァ
バカエロであれば問題無しです
とりあえずちょっとだけ
「あっついねー」
「とくに暑くもなさそうに言わないでよ‥‥」
「そんなことないよー」
あたしたちは川辺をゆっくりと歩いてる。さらさらと流れる水の音が気持ちいい。
「でもさ、今更だけど私たちもいって大丈夫なの?」
「え?そんなこと気にすることないよ。そんなの気にする人じゃないよ。藤野くんは」
「本当かしら?あんたの言うことじゃね〜」
「ぶう!」
「まぁまぁ。ほら、あれだろ?」
「え、あ、うん。あれだよ」
「‥‥開いてる?」
「‥‥そのはずだけど」
あたしたちは扉に手をかける。
ガチャッ
「ほら、開いてた。こんにちは」
「あ、いらっしゃいませ、朝比奈さん。‥‥と、えっと‥‥」
「あ、この二人はあたしの幼馴染みなの。どうしてもってついてきちゃって」
「全然構いませんよ。えっと、藤野由貴です。ここでは緋咲凛ですけど」
「うん、聞いてるよ。私は沢渡京子。で、こいつが‥‥」
「設楽裕貴だ。よろしくな」
「はい、よろしくお願いします」
「じゃあ、早速だけど見せてもらうね」
「はい、ごゆっくりどうぞ」
>>842 「あっついねー」
「とくに暑くもなさそうに言わないでよ‥‥」
「そんなことないよー」
あたしたちは川辺をゆっくりと歩いてる。さらさらと流れる水の音が気持ちいい。
「でもさ、今更だけど私たちもいって大丈夫なの?」
「え?そんなこと気にすることないよ。そんなの気にする人じゃないよ。藤野くんは」
「本当かしら?あんたの言うことじゃね〜」
「ぶう!」
「まぁまぁ。ほら、あれだろ?」
「え、あ、うん。あれだよ」
「‥‥開いてる?」
「‥‥そのはずだけど」
あたしたちは扉に手をかける。
ガチャッ
「ほら、開いてた。こんにちは」
「あ、いらっしゃいませ、朝比奈さん。‥‥と、えっと‥‥」
「あ、この二人はあたしの幼馴染みなの。どうしてもってついてきちゃって」
「全然構いませんよ。えっと、藤野由貴です。ここでは緋咲凛ですけど」
「うん、聞いてるよ。私は沢渡京子。で、こいつが‥‥」
「設楽裕貴だ。よろしくな」
「はい、よろしくお願いします」
「じゃあ、早速だけど見せてもらうね」
「はい、ごゆっくりどうぞ」
二回書き込んじまったよ‥‥_| ̄|〇
さすがにこれだけだと評価も感想もつけられないけど、セリフが誰のだとか少しわかりづらかった。
続きを待ってます
いくらなんでも、もっと地の文を入れることをお勧めします。
なにかの効果を狙ってるのかもしれませんが、状況がわかりにくい上に、会話文だけじゃ文章に厚みをつけるのがすごく難しいですし。
あと、もう少しまとめて投下してもらえると、住人としても読みやすいです。
上からものを言ってるように聞こえたらごめんなさい。
がんばってください。応援してます。
次スレが建てば
>>100ぐらいから投下しようと思う
Can't stop〜の続きまだかな〜
この作品大好きやからよみたいっす〜
これから投下しようと思ってる人へ
登場人物に作品に関わるとかに関係なく色々な設定をつけると読者も親しみ易くなるらしいですよ
例えば血液型とか好きな食べ物、嫌いな食べ物とか
918 :
名無しさん@ピンキー:2005/11/10(木) 21:32:33 ID:YKx3CDZJ
とりあえず揚げ
180゚回頭急速浮上age
から揚げ
誰かいないの〜
iruyo
923 :
名無しさん@ピンキー:2005/11/15(火) 23:10:44 ID:M1yzxjvg
924 :
名無しさん@ピンキー:2005/11/17(木) 14:00:36 ID:HRo/gO4A
あげ
保全
>>917 リクエストならともかく、ああだこうだ注文してて結果こんなに廃れてるんじゃないのか
黙って読みたくないのとかスルーしたらいいんじゃね?
大人なんだから
前からこんなもんだろ
>>917はよく言われること
設定付けると書き手も書きやすくなるし
読み手もキャラの人間性がわかるから感情移入しやすくなる
プロも使うやり方だよ
ここは小説訓練所じゃないんだから、スレに合うような書けば普通にGJされるよ。
あんまり色々と気にするな。
ダレカ〜
はぁ…
Can't〜の人まだかな…
すっげえ好きなんだけどなぁ
俺はcatの方
俺は両方。
萌え欠乏症になってしまった
手の震えが止まらない、誰か助けてくれ
935 :
名無しさん@ピンキー:2005/11/21(月) 22:06:58 ID:wgRghmtu
過疎age
ダレカ頼むよ〜
国語がずっと2だった俺が書いてやろうか?
最近書いたのですが投下してもいいですか?
カモーン
940 :
タロー:2005/11/23(水) 13:58:04 ID:rEPBFPsn
一応名前を…。
941 :
タロー:2005/11/23(水) 14:00:54 ID:rEPBFPsn
学校から帰る途中に幼なじみのミサと会った。
『よう、ミサ!こんなとこで会うなんて奇遇だな〜』『そうだね〜、今日は学校でやることがなかったから早く帰ってきたんだよ』
『こんなとこで立ち話もなんだからうちに来るか?』『いいの?じゃあ寄って行こうかな〜』
そう言ってミサはヒデのうちに行った。
『ただいま〜』
『おじゃましま〜す』
と、二人は言ったが返事は返ってこなかった。
『そういえば、うちの親はどっかに行くって言ってたような…』
どうだったっけという顔で考えるヒデ。
942 :
タロー:2005/11/23(水) 14:02:33 ID:rEPBFPsn
『まぁいいや、上がっていいよ』
『は〜い』
そして、ヒデの部屋に行った。
『じゃあ、ちょっと待っててな〜、なんか持ってくっから』
『ありがと〜』
そしてヒデが部屋を出てった。
『この前と全然変わってないな〜』
ミサが懐かしいそうに言う。
ミサとヒデは幼なじみだけど最近はあまり話してなかった。
『ふふ、久しぶりだな〜、ヒデと喋るなんて…』
そういいながら、周りを見ているとなにかの本が隙間から見えていた。
ミサはその本を手に取った。
943 :
タロー:2005/11/23(水) 14:04:32 ID:rEPBFPsn
『この本は…エッチな本!?ヒデはこんなの読むんだ〜』
そう言いながらページをパラパラとめくる。
『お待たせ〜……!!?』ガチャっとドアが開いたのと同じくらいの速さで隠したが遅かった。
『ミサ…お前見ちゃった?』
『え?え?なんのこと?』すごい不自然そうにミサは言う。
『はぁ〜、見ちゃったか…まぁ…あんまり人に言わないでくれよ』
『…ヒデはああいうことしたいの?』
『………えっ!?』
『私はいいよ、ヒデのこと好きだし。それともヒデは私のこと嫌い?』
944 :
タロー:2005/11/23(水) 14:06:29 ID:rEPBFPsn
『いや、全然そんなことない。本当はミサのことがすきだったんだ』
それは本心から思ったことだった。
『ありがとう』
そしてミサはヒデのくちびるにチュっとキスをした。そして着ている物を脱がせていく。
ミサ下着姿になりヒデも下着姿になった。
ヒデはブラに手をかけ『いい?』と聞く。
コクッとミサが頷くとヒデは優しく取った。
キレイな乳房にピンク色の乳首、ミサがとても魅力的だった。
『触ってもいい?』
『優しくしてね…』
ヒデは乳首にキスをして胸に刺激を与え始めた。
『………っん!』
ミサは色っぽい声を出した。
945 :
タロー:2005/11/23(水) 14:08:35 ID:rEPBFPsn
その声を聞いてヒデの行為が少し激しさを増した。
少し愛撫を続け、すっと下着に手が伸びる。
『……んっ…』
ミサが少し感じたようにしていた。
自分も下着を脱ぎ、はちきれんばかりの自分のモノを出した。
『すごいね…。私が楽にしてあげるよ。』
そう言ってミサはヒデのを舐めはじめた。
初めての経験に戸惑いながらも感じていくヒデ。
『…………出そうだ』
『いいよ、私の口の中に出して』
そしてヒデの精液はミサの口の中にでた。
『うわ〜、ドロドロだぁ〜、苦い〜』
そう言いながらもヒデの精液を美味しそうに飲むミサ。
946 :
タロー:2005/11/23(水) 14:10:34 ID:rEPBFPsn
『ミサってもしかして経験あるのか?』
恐る恐るヒデが聞く。
『私はまだバージンだよ。初めてはヒデに………』
ヒデは少し嬉しそうにミサを見る、また下着の中に手を入れて愛撫を続けた。
そして下着を脱がせた。
下着がかなり湿っていてミサが赤面しながらうつむいていた。
『可愛いな』と思いながらもまた彼女のところに手が伸びる。
かなり濡れていて、触っていた指がスルッと入っていった。
中は狭くて指が締め付けられていた。
947 :
タロー:2005/11/23(水) 14:12:34 ID:rEPBFPsn
『あっ………んっ…』
彼女は喘ぎ、下の方からはクチュクチュと卑猥な音が漏れる。
もういいかなと思い、指を抜いた。
さっき出したばかりだというのに自分のはすでに回復していてまた天井を向いていた。
『もう…入れても……いいよ』
少し息を荒くしながらミサ言った。わかったとヒデは言いミサに近づく。
ヒデのモノがミサの大切なところにあたりヌルっと入口に入っていった。
『はっ………うっ……ぅん…入ってるよ……ヒデのが……………』
ヒデのモノがミサの大切なところに入って少しすると処女膜にあたった。
948 :
タロー:2005/11/23(水) 14:14:45 ID:rEPBFPsn
『いいよ…私……痛いのは我慢するから……』
『本当にいいのか?』
『いいよ、私…ヒデの初めてになれて嬉しいから…』少し目を潤ませながら言うミサにヒデは改めて『可愛い』と思った。
『じゃあ…いくぞ……』
コクっとミサはうなずきミサの処女膜を破った。
『………っ!!』
『大丈夫か!?どうする?やめる?』
『いいよ…続けて……ヒデの満足するまで………』
『わかった、続けるよ』
ヒデがゆっくりと腰を動かす。
初めての女の人の感じにヒデはもうすぐ絶頂を迎えようとしていた。
『もう…でる……』
『いいよ、中に出して。今日は安全だから…。
その言葉が終わり返事を返せないままヒデは絶頂を迎えた。
行為を終えた二人はしばらく休んでいた。
『ゴメンな、満足させてやれなくて』
『いいよ、今日は嬉しかったし』
そう、嬉しそうに言うとヒデにチュとキスをしてえへへと笑った。
『また、しようね』
そしてまた、濃厚なキスをしてニコッと微笑んだ。
〜おしまい〜
950 :
タロー:2005/11/23(水) 14:20:20 ID:rEPBFPsn
最後はHNを入れ忘れました…(汗)
初めて書いたので変かもしれませんが読んでやってください。
感想とか貰えると嬉しいです。
前半に二人の関係をもっと練ったほうがいいと思います
ちょっと急展開に感じたので
生意気いってすいません
次回作期待してます
そろそろ次スレの季節
970くらいを目安でいいかね?
そうですね
といっても最近投下してくれる人少ないから寂しいね
よっしゃ、この悪いふいんきを断ち切るために俺が投下してやろう!!
いつか…orz
ダレカ〜
956 :
名無しさん@ピンキー:2005/11/28(月) 03:40:34 ID:T47wCVRm
純愛SSというにはどうにも微妙なモンですが…投下させていただきます。
以下↓
私鉄の駅の前の大きな広場には沢山の人がいた。
それもそのはずで、その広場は格好の待ち合わせ場所として、私も友達との待ち合わせに良く使ったりする場所だ。
しかし、今日は更に人が多い。何故なら、今日は十二月二十四日――クリスマス・イヴだ。
別にキリスト教徒でもないくせに、なんとなくおめでたい日としてある種、世界でも類を見ないほどに能天気な日本人が
その日をどんな日であるのかということを大して理解もせずに、色々と騒ぐお祭りのような日。私はそのことを少し前まで
はかなりの部分でばかばかしく感じられていた。でも、今では少し感謝してもいる。
周囲の人は見ていて面白い。既に待ち合わせをしていた人物と合流して楽しそうに話をしている人。時計をしきりにちらちら
と眺めている人。周りを不安そうな表情を浮かべてしきりに見回している人。実に三者三様な人間模様が展開されていた。
もちろん、それを楽しげに眺めている私も待ち合わせている人がいる。
左手に付けている彼から誕生日に贈られた、質素だけどどことなく可愛さに満ちた時計を眺める。どうみても約束の時間
より三十分ばかり早く着いてしまったようだ。
両手を合わせてほう、とそこに息をを吹きかける。しきりに吹き付けてくる風の所為で指先が既にひどく冷えてしまっている。
まぁ、早く着きすぎてしまった私が悪いのだけれど。私は思った。恋人的な直感とかを使って、奇跡的な出会いを展開したり
できないものかな。
そのようなことを思いつつも私はそのようなことを頭から信じていない。彼がそのようなことをしない――否、できない人物で
あろうことは私が知らないわけが無い。
彼――少し頭が良くて、本を読むのが得意で、眼鏡をかけているということにさしたる特徴が無い私の彼氏とはそういう、ど
この場所にでもいるようなとてもとてもありふれた人間だった。
ただ1つ、私にだけ誰にも絶対に真似できない、私と彼だけに共通する特筆部分がある。私と彼は幼馴染なのだ――
と、そのことを特別に思ったのはつい最近のことである。
本当に、私はそれほどまでに彼のことを何とも思っていなかった。…いや、今から考えたら、思ってはいたけれども、極め
て近かったためにある意味で限りなく遠いその感情に結びつかなかったのかもしれない。
だけど、彼のことを何とも思っていなかった昔の私は本当に過去になってしまっている。
今年になってから起こった、文化祭、体育祭、期末テスト。それに伴う騒動によって私の中の彼に対する価値観は永遠
に変化を強要されてしまった。
私は彼を空気のような存在と思っていた。もちろん、その意味はただ何となくそこにある、というそのような意味合いだった。
彼への価値観が変化した現在、私は今でも彼のことを空気のような存在と思っている。だけど、その為している意味は根底
から全てが違うようになっている。人は空気が無くては一秒たりとも生きていけないということに気付いたから。
そこまで考えを波及させて、思わず苦笑する。
ただ、待ち合わせまでの暇な時間に彼のことを少し考えただけで、ここまで考えてしまうなんて。これじゃまるで――
自分の頬が少し赤くなるのを感じた。
これじゃまるで、どこにでもいる仲の良い恋人みたいじゃない。
顔に笑みが浮かぶことを感じる。今、私はきっと幸せそうに見える表情をしているであろうことを完全に自覚する。
もう一度、さっきもしたように、左手に付けている彼に贈られた時計を見た。まだ約束した待ち合わせの時間には少し
早かった。もう少しかな、と思い、新たな考えにふけろうとしたその時、私の名前を呼ぶ声が聞こえた。まちがえようの
はずがない。
彼だった。
彼は慌てたように時計を見た後、言った
「あれ?まだ待ち合わせの時間より早いよね。…もしかして、僕、待ち合わせの時間、聞き間違えた?」
少し、笑いがこみ上げた。まず、私を疑うより、自分を疑うという、何とも彼らしさにおかしみを感じたのだった。
「別に、間違ってないよ」私は彼の目を見ながら、手を後ろで組んで言った「私がちょっと早く着いちゃっただけだから」
「そう、なら良いけど…」
彼は少し思案気な顔を見せた。彼が良く作る表情だ。その顔が何かを思い付いた、と言うように表情を明るくし、口を
開いた。
「そうだ、ちょっと左手を出してみてよ」
「左手?」
少々訝しげな表情を浮かべつつも、言葉に従って左手を差し出すように示して見せると、彼はそこに自分の右手を重ねた。
「じゃ、行こうよ」
彼はその事に関して、何も触れないまま、私の左手を彼の右手で引っ張りながら歩き出した。
私は一瞬、状況が良く解らなくなったけど、すぐに状況を把握して、その存在を確認するように、左手に少しばかりの力を
込めて彼の右手を握り返した。
独特のあたたかさが伝わってきた。
嬉しさがこみあげてくる。愛しさがこみあげてくる。幸せがこみあげてくる。
自然に笑顔が出た。猫がじゃれつくように、体を彼に寄せてくっつけた。顔を腕に擦り付ける。
私はクリスマスという日に産まれたと一般には言われている、さして存在を自覚したことも無い神に、なんとも日本人的な
考えで祈った。
どうか、この幸せが永く続いてくれますように、と…
…以上、たったこれだけですが終了です。
思い付きとノリだけで書き上げた代物なんで文体は堅いわ
展開は唐突だわ、純愛というには台詞がなさぎだわで厳しめですorz
少しばかりの暇つぶしにでもなれたら幸いです。ありがとうございました。
お〜(゜Д゜;)
GJっす
GJ!
女の子視点のSSですな
日常の風景も(・∀・)イイ!!
悪くはないんだけど、ここってエロパロだしなぁ……。
次に書くことがあったら、エロ入れてくれ。
まぁまぁ
最近過疎りぎみのここに潤いの一滴を落としてくれたんだからいいじゃないか
またH有りのSSも投稿してくれるかもしれないしね
純愛にエロを求めたらいかんぜよ
こういうシチュスレが過疎るのはある程度しかたがないことなのかな捕手
だからこそ読者がスレを守らなければならないんだよ捕手
谷繁
(・ェ・)
誰か来ないかな〜( ̄ω ̄;)
ひたすら耐え堪え忍ぶの〜 待っt tt e
Can't〜の人…
俺は待ってるぜ〜
━━(´∀`)´・ω・`);゜Д゜)^д^)m9 ̄ー ̄)゚∀゚)´_ゝ`)▼皿▼)
(`・ω・´)゚д゚)・∀・)'A`)´∀`*)ノ´Д`);^ω^)二⊃━━!!!!!!
次スレたてたら落ちそうかね?
おれが死守してやるよ
>>976 反応早っw
おk立ててくる
たまにレスが早いあたり、このスレって実は結構人が居るんだろうか・・・
h
埋め?
梅?
ume