「いよっし、終わり!」
作業は30分ほどで終わった。
「結構早く終わりましたねー。」
「今日は、整理だけだからね。」
そういって書類をしまっていく。
「ゴメンね、清夜クン。部活の後でわざわざつき合わせちゃって。」
「別にいいっすよ。そうたいした作業でも無かったですし。」
だいたい作業のペースが違いすぎる。
俺も頑張ったが、到底先輩のペースには及ばなかった。
俺の3倍はやってるんじゃないだろうか、先輩。
「…そうだ、なんか奢ってあげようか?」
「いいですって。なんで女の人に奢らせなきゃいけないんですか。」
そんなことさせたら男が廃るってもんだ。
「んー。」
先輩は不満に唸る。
並んで階段を下りて、校舎を出た。
「なんかお礼したいんだけどな…、お。」
何か見つけたようだった。
駆け出す先輩。
どうも、自販機で何かを買っているようだった。
缶を取り出して、また駆けて戻ってくる。
「はい。コーヒーでよかった?」
そういって温かい缶コーヒーを差し出してくる。
「いいって言ったのに…」
遠慮がちに言う。
「これくらいいいでしょ?手伝わせちゃったものは事実なんだし。
なんかしないと私の気が済みません。」
半ば無理やり缶を握らされる。
かじかんだ指先に、熱い缶の表面が心地よかった。
「…わかりました。じゃあ、ありがたくいただいておきます。」
ため息混じりに言う。
先輩は楽しそうに笑った。
「それじゃ、また明後日、かな。」
「はい。また明後日。」
校門を出て、先輩は俺を反対方向の道を行く。
先輩が角を曲がって消えるまで、俺はずっと校門の前を動けなかった。
「何を鼻の下を伸ばしてる。」
「うおぁっ!」
突然、横から声。
「そんなに驚いたか?」
「そ、宗司…?なんでこんな遅くまで?」
「予算折衝で忙しいのは生徒会も同じだ、たわけめ。」
何か偉そうなこいつは、代々木 宗司。
俺の友人且つクラスメイト。
部活もやらず、生徒会一筋という変態だ。
「それにしても…、なかなかいいムードだったじゃないか?」
意地悪な笑みを浮かべて宗司が言う。
「うっさい、ほっとけ。」
プイと顔を背けて、道を歩き出す。
「なんだ、連れない奴だな。」
言いながら、宗司が後ろから付いてくる。
高校に上がってから、これかいつものスタンスだった。
「お前も、さ。そんなにぞっこんなら、さっさと告白しちまったらどうなんだ。」
道中、宗司が突然そんな話を切り出してくる。
「何の話だよ。」
「いや、お前。あんな幸せそうな顔をしてて惚けるも何も無いと思うんだが。」
チッ、と舌打ちをする。
俺も、なんでこんな奴に打ち明けたんだか。
「実際、綺麗な人だよな。早くしないと誰かに先を越されるぞ、お前。」
宗司はズカズカと人のデリケートな部分に踏み込んでくる。
一発、その顔面にお見舞いしてやろうかと本気で考えた。
「もう、遅いよ…」
風にかき消されそうなほど、小さな声だった。
「ん?何だって?」
「いや、何でもない。」
その後、俺は一言も宗司と言葉を交わせずにいつもの交差点で別れた。
別れる時、申し訳なさそうに手を振った宗司の顔を見て、本当に奴には悪いことをしたと、そう思った。
プシュ!
缶が開く音が自室に響く。
温かかったコーヒーは、すっかりぬるくなっていた。
最初、コーヒーを手渡された時は、密かに凄く嬉しかったので、いっそ飲まないでそのまま保管しようかとまで思ったが、なんだかストーカーチックだから止めた。
そんなことを考えてしまう辺り、いよいよ重症だ。
―――そう。
俺こと国東清夜は、先輩であり部のマネージャーである辰田鈴のことが、好きだ。
そりゃもう、現在進行形で。
きっかけは、些細なことだった。(こんなことのきっかけは些細なことだと相場が決まっている)
高校に入りたての頃、それまで地元の学校に行っていなかった俺は、どうも馴染めずにいた。
そんな中、孤立しかけてた俺を、たまたま、本当にたまたま今の水泳部に誘ってくれた人。
小学校・中学校と男子校に投獄されていて免疫が出来てなかった俺は、それだけでコロリといった。
そして現在、水泳部に入ったはいいものの、未だ何のアクションも出来ていない自分がいた。
というのも、目も前に大きな問題があるからだった。
所詮俺は1年ボーズ、後から入ってきた存在だ。
先輩にはそれまでの学園生活があったわけで。
それなら、先輩に既にそういう相手がいるっていうのも、至極当然な話ってわけだ。
敵は、水泳部部長の鹿浜勇輝。
やる前から勝負を捨てるのは主義じゃないが、到底俺が適うような人じゃないのも事実。
飄々としてるけど、頭は切れるし、水泳のタイムも半端じゃない。
加えて、達の悪いことに俺もあの人のことは好きだった。
そもそも嫌えるような人じゃないのだ。
そんなこんなで、俺の恋路は絶望的。
でも、まあこんなんでもいいかな、なんて思っている自分が居る。
先輩は、今日も楽しそうに笑っていた。
それならそれで十分じゃないか、と思う。
無理してない、と言ったら嘘になる。
きっと逃げてるんだろう。
それでも、恋愛感情ってのは、必ずしも独占欲を伴うものじゃないだろう。
「―――まったく。青春してるな、俺。」
そうこぼして、クイっと最後の一口を飲み干す。
『微糖』のコーヒーは、中途半端に甘かった。
もうすぐ、冬休みがやってくる。
おや、これはオリジナルかな?
続き期待してます。
737 :
名無しさん@ピンキー:05/01/03 20:59:46 ID:1Eht2tXq
あけおめ
ことよろ
スレのび
む、新年一発目に覗いてみると面白そうなのが投下されている。
期待してますぞぅ〜
>国東 清夜
ごめん、どうしても「清夜」が「精液」に見える俺はそこら辺で吊ってくる。
>738
・・・
バカー!
もうそういう風にしか見えないじゃないかー!
今年こそ作品が落とせますように(なむなむ
742 :
薬屋:05/01/11 17:12:20 ID:Z81OlEPR
「先輩・・・ずっと貴方のことを見てました。
私とお付き合いしてくだs」
「ごめん。」
神速。というか言い終わってすらいない。
・・・う、やっぱ呆然としてるな。
「いやそのな、君が悪いわけじゃないんだ。」
実際悪くない。というか、むしろすごくイイ。
つやつやとした鴉の濡れ羽色のセミロングに、黒目がちに潤んだ目。
うお、あの睫にマッチ棒とか乗せてみたい・・・。
全体的な造作も綺麗にまとまってて、大きく特徴はないものの
10人中7人は振り返ると太鼓判の押せる美少女だね。
さらに言えば、俺の好みにジャストフィットだったりするわけだけど。
「どうして、なんですか?」
我に返ったみたいだな。やべ、泣きそうじゃないか。
どうするよ俺!
743 :
薬屋:05/01/11 17:13:58 ID:Z81OlEPR
「あー、その、なんだ。」
「・・・。」
「俺、君のこと全然知らないもん。」
ま、正論だ。というか、実際の理由もそうなんだが。
だいいち、なんで俺に告白したのかさっぱりわからないが
俺と付き合ったって楽しいわけがない。あとで泣くのがオチだよ。
「・・・。」
「・・・。」
なんともいえない沈黙が帳を下ろす。
彼女は俺の次の言葉を待っているようだが・・・
俺、これ以上言うことないんだけどな。
「あー、その、なんだ。」
「・・・。」
「君のことよく知らんのに、『はい是非とも』とか言うのさ、
すごいかっこ悪い。誠実でない。無責任だし。」
これも本心。俺ぁ確かに見てくれパっとしないメガネ君だが、
自分に恥ずかしい、かっこ悪い生き方だけはするなと
親父に言われている。俺も実に同感だ。
残念ながら女の子を泣かせることと天秤にかけるハメにはなってしまったけども。
744 :
薬屋:05/01/11 17:14:30 ID:Z81OlEPR
「んじゃ、そういうことで。ごめんな〜。」
背中を丸めてポケットに手を突っ込み、ひらひらと手を振りながら
よたよたとその場をあとにする。
ま、これで少しでも幻滅してくれりゃ彼女の悲しみも
ある程度癒されるとは思うんだが。
「待ってください!」
「・・・は、はい。なんでしょう。」
げ、なんか怒ってる感じ・・・あ、いや、これは怒ってるのとは違うか?
「先輩、問題点は先輩が私をよく知らないことだけなんですね?」
「あぁ。」
「では先輩が私をよく知った時点でもう一度告白すれば、
まだ可能性があると考えていいわけですね。」
「そうくるか。」
「え?」
「いや、こっちの話。」
うん、面白くなってきた。実に面白いよこのコ。
「では、まずはお友達からお願いします!」
「OK。」
「は?」
「今日から我らは友だ。せいぜい幻滅してくれ!」
目を白黒させる彼女の右手を取り、にぎにぎと握手をする。
はっはっは、変人度合いでは負けんぞ。
この冬の寒い日の握手が、俺と彼女の出会いである。
・・・あ、まだ名前聞いてなかった。
お、なんか面白そうなのが来てる。
続きщ(゚Д゚щ)カモーン
期待。
747 :
薬屋:05/01/12 08:41:34 ID:Pz9eLLIg
だれが呼んだか変人窟。
ここ文化人類学部室は、俺らの通う両道冠学舎の中でも
屈指のミステリースポットと言われている。
道すがら尋ねたところ、彼女は俺が人文部所属ということも
ちゃんと知っているらしい。
「怖いもの知らずと言うかなんと言うか。」
「はぁ・・・人文部の勇名はいろいろと耳にしてますけど。」
曰く、人文部は生徒会よりも権力がある。
曰く、人文部は満月の晩にはサバトをやっている。
曰く、校内新聞は人文部が作っている。
曰く、人文部にはおやつ常備。
曰く、人文部にはABC兵器も常備。エトセトラ。
まあ・・・普通の人なら近づこうとは思わんだろうな。
文武両道に冠たる人材育成を目標に掲げる両道冠には、
いわゆる一芸入試枠がある。
一芸入試といってもそこらの大学がやっているようないいかげんな
シロモノではなく、3年の春・・・早い者については2年の
2学期頃から専従のスカウトがついてその「一芸」を見極められるのだ。
人文部は、その「一芸」で入学した者たちが基本的に所属する部活なのである。
「先輩は一芸なんですか?」
「いんにゃ、違う。家が近かったからだよ。」
「(ということは、元から変人・・・)」
「なんか言った?」
「いえ何も!」
聞こえてるんだけどな。まあ、変人であることは否定できないんだが。
748 :
薬屋:05/01/12 08:42:49 ID:Pz9eLLIg
両道冠が誇る特殊教室棟の最上4階。
この階ぜんぶが人文部の部室だ。
階段を上ってふたつ目の部屋には「藤木研究室」というフダが下がっている。
ん・・・にぎやかだな。もうみんな居るみたいだな。
「ま、入ってくれ。」
「藤木研・・・すごい、先輩の部屋なんですか?」
「いや、俺の名前がついてるだけだから。」
扉を開いてから思い当たった。この期に及んで俺、まだ彼女の名前を聞いてない!
「お、室長おかえりー。呼び出しってなんだっ・・・」
パイプ椅子でゲームラボを読んでいた霧島洋平が
俺に声をかけようとして固まった。
あー。視線が俺の後ろで固定されてやがる。
749 :
薬屋:05/01/12 08:44:33 ID:Pz9eLLIg
「わぁ、かわいい〜!淳くん、この子誰?」
なんでセンター試験も近いのに部室で遊んでるんですか、藤堂瑛先輩。
「私、推薦だもん。」
「そういうことは早く言えよ!てか心を読むなよ!」
「淳くんがわかりやすいだけだよ。」
「ったく・・・あれ?他の面子は?たった今までなんか賑やかだったけど。」
「啓太郎と紗枝ちゃん、小枝ちゃん、昭江ちゃんがいまPC室に入ったよ。」
「あー。Kと3Eがいるのか。」
「あのぅ・・・。」
おっと、彼女をほうりっぱなしだったぞ。
「てか室長、俺のDB(データベース)によると本年度校内ナンバーワン美少女
1年生の部投票において、3位に輝いた倉敷祐子ちゃんがなぜここに?」
「びっ・・・!?投票!?」
「おまーはその説明口調をどうにかしろよ・・・。」
しかし、この際洋平の説明癖には感謝だ。ふむ、倉敷祐子ね。
750 :
薬屋:05/01/12 10:46:23 ID:Pz9eLLIg
さて。
基本的に藤木研の打ち合わせでは、IRC(インターネット・リレー・チャット)
が用いられる。
部員の一人である霧島紗枝が聴覚障害であるためで、
手話を覚える気のない俺たちが取った代替手段がこれだ。
KEI>>で、淳よ。その娘は?
JUN>>あー。なんと言えばいいか。
まさか告白されたともいえないし、さりとて一般人が人文部に来る理由もない。
YUKO(guest)>>私が、藤木先輩に告白したんです。
「なにぃ!?」
「うっそ!?」
「・・・うぁぅ!?」
「言っちゃうのかよ・・・。しかもおまいら、その驚きようはなんだ。」
喋りも不自由な紗枝が声を上げるほど、俺ってモテないと思われてるんかいな。
751 :
薬屋:05/01/12 10:47:19 ID:Pz9eLLIg
YOUHEI>>ほんで室長、OKしたん?
YUKO(guest)>>いえ、それはお断りされてしまったんですが。
「ざけんな!」
「身の程を知れ!」
「かわいそう!」
「女の敵!」
「・・・ぅ。」
JUN>>ひでぇ言われようだな・・・つか、おまいらならわかるだろうが。
JUN>>俺がよく知らん女の子に言われて、ほい付き合おうと言うような奴か?
KEI>>ま、そりゃそうだがな。
AKIE>>しかし、祐子ちゃん物好きだねー。
KOEDA>>ほんと!お兄ちゃんなんかPC以外にいいとこないのにね!
JUN>>(#゚Д゚)・・・
KOEDA>>(・ε・)〜♪ピーロリロリーロリロリーロリーロ リロリー
752 :
薬屋:05/01/12 10:48:08 ID:Pz9eLLIg
しかし、確かにそれは疑問だ。
自分でも確かに自覚はあるが、俺は運動駄目で見た目もパッとしない。
まあ、成績はトップを争えるレベルだが・・・
某恋愛シミュレーションじゃあるまいし、テストの点に女が惚れるとも思えない。
YOUHEI>>某恋愛シュミレーションじゃあるまいし、
YOUHEI>>テストの点に女が惚れるとも思えないけど。
JUN>>お前は俺か。しかもまちがっとる。ゲーマーのくせに。
YOUHEI>>ゲーマーだからだよ。あんなのはシュミで充分だ。
JUN>>まー一理あるな。
ま、とりあえずその日は俺が倉敷さんを友として迎えたことを説明し、
皆もそれで納得したようだった。理由についてはうやむや・・・か。
さて、いったい何がどうなっているのやら。
わくわく。おもろい!
いきなり風呂敷が大きくなって不安・・・
頑張って続けてください!
755 :
薬屋:05/01/12 14:37:04 ID:Pz9eLLIg
SIDE 金森紗枝
(コンコン)
モバイル「こえだ、おふろ、あがったよ。」
返事が聞こえないのは当たり前。部屋から顔を覗かせた小枝が
見せる手まねを見て頷き、キッチンに向かう。
モバイル「おかあさん、こえだが、おふろ、はいるって。」
母さんも頷いて、優しく微笑みながら手まねを見せてくれる。
モバイル「だいじょうぶ、もうふ、だしたから。」
モバイル「おやすみなさい。」
・・・耳が聞こえなくても、みんなと繋がれる。
コンピュータ技術の発達は、私たち聾の障害を持つ者にも
等しく恩恵を与えてくれた。
このモバイルパソコンは、藤堂姉弟の特製。消費電力を極限まで
切り詰めながら高パフォーマンス、超軽量を実現した逸品。
テキスト・トゥ・スピーチのソフトウェアは、藤木君のお手製。
私には聞こえないけど、私の声をサンプリングして作ったとか。
ほかにもいろんなところに藤木研のみんなの手の入った、
誕生日プレゼント・・・私の宝物だ。
756 :
薬屋:05/01/12 14:37:44 ID:Pz9eLLIg
ポチポチ、ポチ・・・
小枝に「明日のお昼は学食で食べよ」という旨のメールを
書きながら、昼間の出来事に思いを馳せる。
───綺麗な娘だったな。
いつの間にか手が止まっていたらしく、スタンバイモードに入った
真っ暗な液晶に映った自分の顔を見る。
自分の作る表情はおかしい・・・ように思う。
どこか、自然ではない。作り物めいている。
髪をかきあげ首をめぐらせると、耳の下からうなじに走る傷跡。
反対側にもある。あの事故の後遺症を何とかしようと、手術をした痕。
───醜い。
目をそらすようにモバイルをスタンバイから復帰させ、
ずっと言いたかった言葉をあのソフトに入力する。
───藤木君、好きです。
再生ボタンを押すことが出来ない。周りには誰もいないのに。
調子のいい戯言と冗談ばかりつむぎだす口だけど、
真剣に悩んでる人には優しく、時に厳しく、相談に乗ってくれる。
彼の声が聞きたい・・・優しい声で、好きだよと言って欲しい。
757 :
薬屋:05/01/12 14:38:19 ID:Pz9eLLIg
可笑しくて、涙が出た。
そんなことを言ってもらえるわけがない。
だいいち、どんな言葉も自分には聞こえないではないか。
無意識に、指が股間に伸びていた。下着の上から、その場所を擦る。
喉の奥から空気が漏れる感触がした・・・
私は今、どんな声を出しているのだろう。
脳裏に浮かぶのは、昼間の娘・・・倉敷さんと自分の想い人が
寝台で睦みあう様子。
おかしくて、悲しかった。
なんという、いやらしくて汚い娘なのだろう。
出逢ったばかりのあの二人がまだ付き合うと決まったわけでもないのに、
その秘め事を思い描き・・・もしそれが自分だったらと妄想し・・・
浅ましいにもほどがある。
「・・・っ!」
じきに、指先が敏感な部分を探り当てた。
下着越しの緩やかな刺激では物足りず、脇から指を差し込んで、
そこをこねくり回す。
喉が震えた。声が出ている。
小枝に聞こえてしまうかもしれない・・・いや、妹はいま風呂のはずだ。
パジャマの胸元のボタンも外し、湯上りでブラをしていない裸の胸の
先端に触れた。股間と胸の先から響く刺激に身を任せる。
758 :
薬屋:05/01/12 14:39:05 ID:Pz9eLLIg
「・・・ぁっ!」
暗い水の底に引きずり込まれそうになった。
インターネットで読めるエッチな小説とかでは、女の人は「イク」らしい。
しかし、自分の感覚では、このようにしか表現できなかった。
ゆっくりと、自分が自分でない場所に連れて行かれてしまう不安感。
じっとりと重く水分を吸った下着に指を差し入れたまま、机に伏せた。
肩がマウスに触れる。
モバイル「ふじきくん、すきです」
再生中を示すLEDが、鮮やかに点滅した。
───しばらく、涙は止まりそうにない。
759 :
薬屋:05/01/12 14:40:17 ID:Pz9eLLIg
キャラクター紹介 金森 紗枝(かなもり さえ)
両道冠学舎1年生。人文部所属。金森小枝の姉。
藤木淳が小学校5年生の時に、聾学校から一般校である
藤木の小学校、同じクラスに転校してきた。
幼少時の事故により聴力に障害があり、言語も不自由。
日常生活では小枝のサポートを受けている。
中学校に上がる際に1年休学し、小枝とともに入学したため、
年齢的には淳、藤堂啓太郎と同い年であるものの1学年下となっている。
彼女の持つモバイル端末とテキスト・トゥ・スピーチのソフトは、
啓太郎と淳の謹製。
所持しているスキルはWEBデザイン関連。非常にセンスがいい。
一般的に聴覚障害者の学習進捗は遅れがちになると言われるが、
元より知能が高かったのと障害が後天的である程度言語基礎を
固めてからのものだったことから、学業成績はきわめて優秀である。
760 :
薬屋:05/01/12 14:47:26 ID:Pz9eLLIg
>>754 広げすぎの自覚はありますので、がんばりたいと思っています。
つかスレ容量がやばくね?
せっかく神が来たのに。
連載中の書き手さんが二人もいるんだし、次スレは立てても大丈夫だよね。
投下の準備ができたら立てますので、それまでは週一ペースで保守します。
(最終レスから一週間レス無しでdat落ち)
763 :
薬屋:05/01/13 09:19:21 ID:tWR6hENs
SIDE 藤堂啓太郎 with 藤堂瑛
「しっかし、ようやく淳の魅力に気づくオナゴが現れたか。」
「そうねえ・・・いままで手付かずなのが不思議だったけど。」
「まあ、奴は意図的にヘボく振舞ってる感はあったからな。」
実際のところ、淳はサッパリ運動が出来ない以外については
上物の男の部類に入るだろうな。
成績は他の追随を許さないしあの開発スキルはきわめて将来有望で、
実は容姿的にも・・・髪をいじって眼鏡をもっとシャレたのに
取り替えればヨン様と充分以上に張れるんじゃないか、と俺は思う。
そういや・・・姉ちゃんはどうなんだろ?
俺は筑前煮のレンコンに箸を伸ばしながら、探りを入れてみることにした。
「姉ちゃんは、淳とかどうなんよ。」
直球じゃんよ。俺。
「んー。淳くんはいいコだと思うけど、なんでか牝の本能が
疼くって感じじゃないのよネ。」
「・・・エロ姉め。」
「あっはっは、いつものことじゃない。」
「しかし、長年姉弟やってるが・・・姉ちゃんの男のシュミってのは
いまだによくわからん。」
「私自身さえわかんないし。」
たしか、いかりや長介に抱かれたいとか言ってたな。
んあー。思い出したら混乱してきた
764 :
薬屋:05/01/13 09:19:51 ID:tWR6hENs
「まあ、あれだ。あのコ・・・倉敷さん?・・・が口火になって
我も我もと淳に告白したりするようになったりしてな?」
「そりゃないでショ。淳くんのよさって、外から見えないところに
主に集中してるんだしサ。」
俺が淳のマブダチを続けてるのも、そこだ。
奴はちゃらんぽらんに見えるものの、義理人情に関わることに関しては
きわめて真剣だしな。性格的に、男でも漢でもなく、侠と書いて「をとこ」と
読むとぴったり来るところだ。
「ま、その辺は今後の展開に乞うご期待ってとこだな。」
「啓にも彼女が出来るといいのにネ。」
「るせーや。」
仕込みはちゃんとやってんだよっ。
ここまで来るのに時間はかかったが・・・来年はキメるっ!
八宝菜をかっ込みながら、あいつのことを思い浮かべた。
こちとら3年越しなんだ。ここで諦めるわけにはいかない。
ふと見ると、姉ちゃんがニコニコしながらこっちを見ていた。
「がんばってネ。」
「ああ。・・・それと姉ちゃん、八宝菜にはウズラの卵をちゃんと入れてくれな。」
765 :
薬屋:05/01/13 09:20:47 ID:tWR6hENs
キャラクター紹介 藤堂瑛 & 藤堂啓太郎
人呼んで藤堂姉弟。揃ってコンピューター・ハードウェアに
深い造詣を持ち、簡単な部品なら自作してしまうほどである。
啓太郎は藤木淳の幼馴染で親友だが、基本的に淳と瑛の間には
ほとんど接点はなかった。(たまに顔をあわせる程度)
なお、淳の先代の室長が瑛で、当時の藤木研は「藤堂研」であった。
基本的に今作で活躍するのは啓太郎であるが、彼の性格としては
温和で面倒見とノリがよく、自然と回りに人が集まるタイプ。
藤木研、ひいては人文部の中でも数少ない「普通人」のカテゴリに
分類される人間である。
現在、誰かさんに片思い中らしい。
766 :
薬屋:05/01/13 09:24:02 ID:tWR6hENs
思いつくままにてれてれと書いてだらだらと投下してるんで、
次がいつになるかはわからないのです(´・ω・`)
登場人物の名前は書く前にきちっと決めた方がいいぞ。
768 :
薬屋:05/01/13 10:06:08 ID:tWR6hENs
あ、一応それは決まっております。
これまでで何か、齟齬がありましたら、
恐縮ですがお知らせください。
次スレ立てようか?
いくらなんでも早すぎる希ガス
残り7KBでガス
>>770 書き込み数は800弱だが、容量制限の方に引っかかりそうなのさー
773 :
770:05/01/17 14:46:18 ID:SvQYHf93
そうかそっちのほうか
皆、正直スマンかった
設定厨ウザいとか言っちゃっていいのかな。
ああ、その設定全部使いきるのか、ならいいのか。OKOK.
>>775 それ以前に次スレが立たんことにはなんとも
あとお前はもう来んな
778 :
名無しさん@ピンキー:05/01/27 10:11:08 ID:b3ektZFe
(・∀・ )っ/凵⌒☆
779 :
名無しさん@ピンキー:05/01/27 13:46:44 ID:O4A6mH9I
福岡最高級デリヘル ヴィーナス誕生
福岡 デリヘル ヴィーナス
Yahoo!で検索OK!