エロくない作品はこのスレに4

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397Puzzle 瀬戸→遊戯(ファラオ) 4/4:2005/08/13(土) 02:08:18 ID:vcYED4co


デュエルをしても、
そう思った。


 彼はもう少し明るかった。
 彼はもう少し優しげだった。
 彼はもう少し何か知っていた。
 彼は……少し淋しそうだった。

 

 何故だか、

 今は少し違うと思った。
 だが、俺は知っている。
 彼は居なくなりはしないことを。
 彼は、これから自分の前に姿を見せるのだから。
 それまで…
 俺は彼を待ち続ける。

 彼らが『彼』になるまで…


 きっと、
 彼も私も、
 覚えていることは出来ないのだろうけれど…


 幾年月過ぎ去ろうとも、
 それが永久に近い時間だとしても…
 たとえ私も忘れてしまっても、
 魂の記憶は消せないのだから…




…貴方を 待ち続けます…




…我が君…
398名無しさん@ピンキー:2005/08/13(土) 02:13:00 ID:vcYED4co
>392
エクステは、やっている最中なので、やり終わったら読ませていただきたいと
思います。

では、スレお返しします。
399名無しさん@ピンキー:2005/08/13(土) 02:30:23 ID:dW1xLKFW
801は801板でお願いします
400閉ざされた海:2005/08/13(土) 12:10:49 ID:4z2Ae9e0
これより投下します。想定7レス、即時開始。
なお次の投下時期は未定です。今回投下分の後半(露骨に『闇の奥』を意識している部分)はいささか意味不明
かもしれませんが、お話の筋の上でどうしても必要なので、ご了承ください。





 本当に、こんなことになろうとは、どこの誰に想像できたろうか?
海兵隊時代のさまざまな冒険や、信じがたいほどに入り組んだ私生活を生き抜いてきたその男は、その落ち着く
先がこんなふうになろうとは、本人にも思いもしなかったものを手にしていた。
幸せな日々を。

 その島は亜熱帯に位置していたが、海流の悪戯のおかげで熱帯と言っても差し支えない温醇な気候と海洋生物
に恵まれていた。大洋によって陸地から隔絶され、喧騒には程遠い。
そんな島の中でも、そこは町から丘を挟んで反対側で、両側をこじんまりとした、岬と呼ぶことがはばかられる
ような岩に挟まれているということもあって、プライベート・ビーチと言っても差し支えないほどだった。
体にぴっちりと合った細いビキニの娘を期待してここに来たとしたら、落胆することだけは保証できよう。

 その男は、自分で思っているような「年寄り」などではなかった。
実際、サングラスを掛けて日陰に寝そべる彼の姿は老人には程遠く、そして実態にも程遠かった。
つまり、英雄にも。

 海岸の静寂を破ってエンジンの音が響いてきた。
しかし彼も、隣に寝そべる彼の妻も、そのことに苛立ったりはしなかった。
次の瞬間、大岩を回ってボートが現れた。
彼らの娘が舳先にしゃがみ、東洋人の青年が舵輪を握っていた。青年はいつものように、桟橋に達する前にエン
ジンを切った。惰性で艇が海面を滑り、一回も後進を掛けることなく桟橋に接した。
少女が桟橋に飛び移り、両親に向かって小さく手を振った。
 彼女の名前はニコール。「まさしく火の玉娘、まぎれもないカミカゼ娘というのがぴったり」というのが、
その娘が8歳のときに与えられた評価だった。その後2年が経ち、彼女のエネルギーはどう少なく見積もっても
倍増していたが、思慮深さがそれに伴っているかどうかは――いかにも判断しかねるところであった。
401閉ざされた海:2005/08/13(土) 12:12:13 ID:4z2Ae9e0
 そのようにして、浅網渉――例の東洋人の青年――とスワガー一家は、一夏を共に過ごした。
今でも、浅網はその夏のことをあらゆる部分を鮮やかに思い出すことができる。
しかしそれと同時に彼は、その夏のその出来事が、実際には起きていない、どこか別次元での出来事であったよ
うにも感じるのだった。
 浅網はボブが泊まっている別荘の管理人であり、また申し分ないホストだった。
しかしそれと同時に、しばしば立場が入れ替わったように感じることもあった。つまり、ボブやジュリィ、ニッ
キーによって、浅網が支えられているように思うことがあった。そしてそれはしばしば真実だったろう。
 彼はシャープだった。彼は細かいところまで見逃さなかった。
しかし何よりも彼を特徴づけるのは、その徹底した沈黙だった。
一緒にいる間、初めから終わりまで、ボブは浅網に対して、質問らしい質問は一切しなかった。
夜中、二人だけで座っているときに浅網が不可解な沈黙に落ち込むことがあっても、彼は決して無理にこじあけ
ようとはしなかった。彼は何かを誤魔化したり、否定したりせざるをえない立場に浅網を追い込むことは決して
なかった。
一度だけ、何かを尋ねようとするかのように口が開きかけたことがあった。しかし彼は視線を落として微笑み、
首を振って再び沈黙するのだった。


 そのような次第で、穏やかな時間が流れていった。ボブは本当にリラックスして過ごしているようで、ジュリ
ィはそのことが心から嬉しかった。
 一回だけ、夜中にふと目を覚ますと、隣に夫がいないことがあった。ボブはバルコニーに出て、月明かりのも
とで静かに座り、そこに隠された意味を見出そうとするかのように本を見つめていた。
「それ、なんなの?」
「これ? ああ、『悪魔との握手』という本さ。著者はオリバー大佐となってる」
彼女が近寄ると、彼は表紙を見せた。白髭の男の写真だった――普段なら堂々とした、男前の顔であったろうと
想像できたが、その写真では目は落ち窪み、口は堅く結ばれ、むしろ途方に暮れているというか、焦燥を感じて
いるというか――精魂尽き果て、抜け殻になっていると言うか、そんな顔に見えた。そして彼は、国連のパッチ
がついたベレー帽をかぶっていた。
ボブは本を開き、頁を繰った。
「なぜ、これが『悪魔との握手』という題名だと思うかい?
オリバー大佐は、インテラハムェ(Interahamwe)のリーダーたちと会う機会が二度あった。
そのとき、彼はそのリーダーたちと握手した。その手は冷たかった――ただ体温が低かったというだけでなく、
まるで別の生物であるかのようだった。その目は邪悪なものを宿し――オリバーには、彼らは悪魔だとしか思え
なかった」
ボブは本を閉じた。
「でも彼らは人間だった――我々も、同じさ」
402閉ざされた海:2005/08/13(土) 12:12:50 ID:4z2Ae9e0
 2週間の休暇が過ぎ、明日には出発するという日、渉はささやかなパーティーを企画した。
楽しい夜だった。主賓の希望でアルコールは一切出なかったが、それは決してその楽しさを減退させるものでは
なかった。デジタルカメラで取った水中写真を褒められて、ニッキーは大いに満悦の態であった。
 夜もふけたころ二人の客が帰り、ジュリィがニッキーをベッドに促し、渉とボブはきれいに片付けられたテーブルを
挟んで向かい合っていた。
亜熱帯の夜だった。全き闇がすべてを覆い、その奥からかすかな波の音といささか喧しいほどの虫の声が聞こえ
てくる。
 ボブが机の上に一冊の本を置いた。
「『悪魔との握手』――実に恐るべき、戦慄すべき本だ。
だが実のところ、君はこれとさして変わらないことを、実地に体験していると思う」
ボブは手帳を開き、そこに書き付けてある文句を読んだ。
それは異国の言葉ではあったが、まるで彼自身が考え出したものであるかのように滑らかに発音した。
「――日本語で、『黄色い霧』という意味である、ということだ」
そう言われて、渉の表情に動揺が走ったのが感じ取れた。
「私が照会した人物は、この語からジェームス・ハーバートの『霧』を想起したそうだ。
しかし、君が考えているのは、それとは若干異なる意味であろうと思うが?」
渉は相変わらず一言も喋らない。
ボブは身を乗り出し、机に肘をついて両手を組んだ。
本題に入る時だった。彼ほどの男が2週間もの間、立ち入ることを躊躇いつづけた話題に。


 渉が舵柄を握り、彼らを水上飛行機のプラットフォームへと送り届けた。
飛行機がプラットフォームに横付けし、ニッキが機内に駆け込んだ。ジュリィがそれを追い、束の間、ボブと
渉だけが乗降口のところに取り残された。
 昨夜、浅網は結局一言も発さずじまいに終わった。一瞬、彼の目の中で何かが動くのを見たように思った――
しかし次の瞬間、彼は再び頑なな殻の中に引きこもってしまったのだった。
 ボブは渉の手を握り、言った。
「いつでも、いつ何時でも、連絡をくれたまえ。私はいつでも待っている」
一瞬、悲しげな表情をした。
「私は早くに正規の教育を離れた――私は生きるためにヴェトナムに学んだ――仕事のために独学をした――
君は違う――君は立派な教育を受けている――」
彼はそこで問題から外れていることに気づいた。
「君には助けが要る――幸いにも、君は独りではない。
私でも、提督でも構わない。躊躇わず、いつでも連絡をくれたまえ」
そしてもう一度強く手を握り、彼は家族のあとを追った。

 ボブは、自分には何もできなかったと思っていた。オルレンブロール提督の狙いは外れたと思っていた。
だが実のところ、提督は正しかった。
ボブは多くを語らなかった。しかしそれでもなお、彼は渉に多くを与えたのだった。
彼の名はボブ・リー・スワガー。
ジュリィの良き夫であり、ニッキの良き父であり、優れた馬の療養師である。
403閉ざされた海:2005/08/13(土) 12:13:30 ID:4z2Ae9e0
 そこから西へとはるか、はるかに離れたところに、なかば叢林に埋没した滑走路があった。
ある早暁、小型のコミューター機がその滑走路に降り立った。埃っぽい路面に飛び降りた男は機上から鞄を
受け取った。鬱蒼と茂る密林の間にぽっかりと空いた空間から黎明の紫色の空を仰ぐことができただろうし、
おそらく彼はそうしただろう。
その滑走路を中心として居留地が作られていた。そこでは人も物も建物もみなごった返していて、そのくせ何を
しているとも見当がつかない。だが、やがてロビンソンにも、そもそも目的など存在しないことが明らかになっ
てきた。彼らはただ「何か」を得ることができるだろうという期待のもとに集まり騒ぎ、熱気に浮かされたよう
にスターリング銃を抱えて当て所もなく歩き回りながらお互いに陰謀を巡らしているのだった。もっとも彼の見
るところ、彼らの報いられるところは病だけであったようだが。
ロビンソンは迎えを待って、この居留地に十日間留まった。そして、その女について彼が初めて詳しく――人名
以上のものを聞かされたのもこの地だった。到着した直後、支配人に挨拶に赴いた彼は、ふとカロツキーについ
て訊ねた。ミス・カロツキー、この女こそ彼が訪ねて来た相手であった。その途端、支配人は顔を歪めて吐き捨
てた。
「全く不愉快な奴ですよ、あの女は、――女のくせにこんなところに来るという時点でいかれてますがね、
自分の仕事のことしか頭にない、物凄く高飛車な奴です。実に厭な奴ですよ。最初は私も助手などつけてやって
世話をしていたんですがね、あるときその助手を送り返してきましてね、こんな男と仕事をするなど耐えられな
い、こんな役立たずはとっととこの大陸から追い出してしまえと抜かすんですよ。おまけに本国のほうも奴をえ
らく高く買ってましてね、まるで天気まで左右しかねないような扱いで――たかが一人の女をですよ、まったく
忌々しい話ですよ。しかし奴さんどうやら熱病にかかったようで、いい気味ですよ。その後九ヶ月も消息があり
ませんからねえ、案外もうくたばってるんじゃないですかねえ」

 ある朝、二台のトラックが停まり、一台目の運転席から青年が顔を突き出した。
「ミスタ・ロビンソンですね? さあどうぞ、乗ってください! 私がご案内します」
 その青年には道化芝居のハーリ・クインを連想させるものがあった。
服は褐色の麻か何かでできているようだったが、それが満身補綴だらけで――青,赤,黄と恐ろしく派手な補綴
布――それが背中といわず前といわず、そこらじゅうに貼り付けられ、おまけに日が当たると、それが突拍子も
無く派手に、また驚くほど洒落て見える。つまりそれほどその補綴は美しく出来ていたのだ。
髭の無いどこか子供っぽい顔、小さくて円らな碧い眼、金髪白皙だが、顔にはこれといって特徴はない。
驚くほど陽気で、ロビンソンがタジタジとなるほどにペラペラとまくしたてるのであった。おまけに秋空のよう
に表情をくるくると変え、今落ち込んでいるかと思うと次の瞬間にはまた陽気に喋りだすという具合であった。
 そして荷台の男たちはスターリング銃を抱え、熱気に眼を爛々と輝かせていた。そのくせ、彼らが知っている
のは、「何か」を得られる「何処か」に行くということだけのようだった。
 そのような次第で、とにかく彼は奥地へと出発した。
だが、その道と来たら! 確かに二車線あるが舗装はされておらず、風が吹くと埃で前が見えないという有様で
あった。その車もまたひどく、前世紀のものといっても不思議ではないほどのものであり、爆音と排煙で
咽び、熱気に噎せつつ一刻も揺られれば体の節々が痛む程。窓を開けても吹き込むのは熱と湿気に冒された風、
ひとたびエンジンを止めれば澱んだような湿気が肌に纏わりつき、死の静寂が包み込み、ちっぽけな人間を押し
潰そうと迫ってくる。
404閉ざされた海:2005/08/13(土) 12:14:00 ID:4z2Ae9e0
 運転席の青年から絶え間なく流れ出る戯言を聞き流しつつ、彼はふとカロツキーについて訊ねた。
だがこれは失策であった。とたんにその青年は饒舌さを増し、ミス・カロツキーへの賛辞を徒に重ねるのであっ
た。ミス・カロツキーが如何に高潔であるか、その言葉が如何に心を打ち「土人」たちの頑迷な魂を蕩かすか、
延々と喋りつづけるのであった。そしてまた、ミス・カロツキーの詩も青年の惜しみない賞賛の的となった。
「是非ともあの人が詩を読むのを一度聞いてみるべきですよ」と青年は熱に浮かされたように言った。
 ミス・カロツキーがああ言った、ミス・カロツキーがこう言った、あまり長く聞かされたためにまだ見ぬ
ミス・カロツキーの声が彼の耳奥で反響するほどであった。
「ミス・カロツキーとは話はしないのかね?」と訊いてみた。
「話をするなんてものじゃありませんよ、――こちらはただ聞くだけですよ、あの人の話をね、」と青年は得意
満面に答えたが、そこで頭を一つ振ったかと思うと、
「でも、それももう…」と呟き、忽ちに悄然とした失望の表情に一変した。

 密林を切り開いて作られた白い道は、緑の化物の胎内へと落ち込んでいくかのようにうねっていく。蔦と木の
葉が絡み合い、彼らを光から隔絶する。風の狂暴な叫喚が木々の奥へと響いていけば、沈黙し脈動する闇黒の叢
林が頭上に襲い掛かるように思え、豪胆な彼にすら心胆を寒からしめる程。
虚しくよじる道は滅多に陽光を見ず、得体の知れぬ虫が肌を蝕む。道を遡れば遡る程に木々は密度を増し、汁が
涌くような闇のなかで頼ることが出来るのは弱々しい車の灯だけ、時折その灯に白眼がぎらりと光る。
闇黒! これこそがもっとも性悪なものであった――そこには人間の心に恐怖を植え付け、それでいて何故だか
魅惑するような何者かが潜んでいた。文明を以って飼いならされた胸の奥にも、その猥らな闇黒に魅惑される
かすかなものがある、それはもはや原始の闇黒からあまりに遠ざかってしまったためにかすかな不安としてしか
到底理解し得ないものであったかもしれぬ、――それでもそれは確かにそこにあるのだ。

 思ったとおり、やがて車が壊れた。彼らは修理の間野営することにし、車を並べて停めた。
そのうちに霧が出てきた。何か浸蝕性の液体のような、気味の悪い霧だった。
突然何か異様な喚声が、不透明な大気の奥から沸き起こった。まるで霧全体が突然に、そして八方から、いっせ
いにこの騒がしい悲痛な叫びをあげたかのようだった。やがてそれは、急き込んだ、ほとんど絶え入らんばかり
の悲鳴に高まったかと思うと、そのままピタリとやんだ。例の男たちはしばらく茫然と口を開けて立ちすくんで
いたかと思うと、車のなかからスターリング銃を引っ張り出し、やにわにぶっ放した。甲高い銃声が霧のなかで
奇妙に反響し、不可解な化物の叫びのように響いた。そして、撃ちこまれた銃弾は虚空へと飛び去っていった。
やがて車が直り、彼らは再び出発した。

 窓にこつんと木片が当たった。雨が降るような音を立てて、屋根やらフロントガラスやらに落ちてくる。
南無三、矢だ! 森の中から喚声が上がった。停めろと叫ぶや否や、彼はサイドウィンドウを半ば下げて拳銃を
突き出し、続けざまに発砲した。一瞬の閃光に、木々の奥で蠢くおびただしい数の人影が浮かび上がる。
彼が二本目の弾倉を撃ち尽しかけたとき、青年がクラクションを鳴らした。
ひときわ高い叫喚が響いたかと思うと、唐突に静寂が蘇った。
405閉ざされた海:2005/08/13(土) 12:14:31 ID:4z2Ae9e0
 再び走り出してしばらくして、青年が全く動じていないことに驚いた。
「警笛をひとつブーッとやる方が、銃なんかよりよっぽど効き目があるんですからねえ。とにかく単純なんです
よ」
彼は拳銃を懐に滑り込ませた。
「やはり僕等を殺しに来たんだろうかね?」と訊いてみた。だが、
「とんでもない、」と青年は叫んだかと思うと、怒ったような顔になった。
「じゃ、何故僕等を襲ったのだい?」と詰め寄ると、これには青年もちょっと詰まって、オドオドしながら、
「あの人が往っちまうのを、厭だと言ってるんですよ」
「ええ?」と思わず彼は身を乗り出した。青年はなにか神秘と智慧に輝いたような表情を見せて肯いた。
「ええ、本当なんです、あの人は僕の心を広くしてくれました」
青年は大きく両腕を広げたかと思うと、小さく碧い円らな瞳を一杯に見開いて彼を見た。


 道の所々に哨所が見られるようになった。いわばそれらは、巨大な闇黒の端っこに、どうにかやっとしがみつ
いたといった形だった。崩れかかった小屋から、小銃を抱えた白人たちが飛び出してきて、歓喜と驚きと歓迎の
大袈裟な身振りをして迎えてくれるのだが、それがかえってひどく異様に見える、
――何か呪いに縛られた俘囚とでもいったように。
そして彼らは、静かな敵意が漲る沈黙の叢林を遡っていく。

 やがて、哨所に詰める男たちの肌の色が変わった。彼らは「御仕着せ」つまりどこかの放出品の迷彩服と
アーマライト銃を抱え、惨めな小屋の中から車を見る。青年に言わせると、彼らは「ミス・カロツキーに啓蒙
された土人」で、カロツキーは彼らを使って軍隊のようなものまで作っているということであった。
「じゃ、ミス・カロツキーは好かれていたのかい?」
「そんなことはありませんよ、あの人は雷親爺みたいな態度で臨むんですからね、――土人たちとしてもはじめ
ての経験だったでしょう――死の恐怖です。
そうです、一つ違えばとても恐ろしい人でした。
あの人の偉大さはとても言い表せません。
とても普通の人間を見る眼で、あのカロツキーさんを判断しちゃあ駄目ですよ」

 ミス・カロツキーは彼らを率いてしばしばさらに奥地へと踏み込み、様々なものを掠奪した。しかし、たいて
い彼女は一人で闇黒の奥へと踏み込んで行った。
「あの方が何を求めていたのかは誰にも分かりませんがねえ、」と青年は言った。
「ランダ-ランダ(Landa-landa)とかいう噂に興味をお持ちのようでしたよ――
ナニ土人の噂ですよ、大したことじゃないんですがねえ、」
 だが、ミス・カロツキーはようやく求めていたものを手に入れたらしく、数週間前に最後の――一人だけの
遠征から帰ってきたときには意気軒昂たる有様であった。
ところがそのとき、病で倒れた。
「ああ――ひどく悪い、危篤なんです。早くあの人をこんなところから出して差し上げないと…
ここにはまともな病院もないし、衛生兵もいない…薬だってろくにないんです…」
青年は憂慮のあまり身も世も無いという具合であった。ロビンソンはその泣き言を聞き流しながら前を見据えて
いた。
406閉ざされた海:2005/08/13(土) 12:15:08 ID:4z2Ae9e0
 突然、視界が開けた。
車は荒野の中を走っていた。
背の低い叢の所々に枯れ木が立ち、それ以外に朽ちかけた柵の名残と言った具合で杭が何本か並んで突き立って
いた。
ロビンソンは何気なく双眼鏡を取り上げた。
その杭の尖端には装飾と思しき円い球がついていて、辺りの風物が荒涼としているだけに、むしろ異様に感じら
れた。
 だが、丹念に見ていくと、すぐに自分の思い違いに気づくことになる。
つまり、その円い球は装飾ではなく、むしろ重大な象徴なのだった。
 ロビンソンは反射的に頭を反らせ、やがてゆっくりと見直してみた。
干からびて半ば緑色に変じ、瞼は閉じたまま、肉はすっかり落ちつくしている――まるで杭の天辺で静かに眠っ
ているかのようでもあり、萎びた唇からは真白な歯並さえ細く見えている。
 彼は双眼鏡を置いた。
と、今まで物言わぬ微笑を投げていたかのようであった首は、たちまちまるで天空の果てへと飛び退いたかのよ
うに見えた。
 これには、このカロツキー礼賛者も流石に多少しょげたようであった。青年はひどく早口で口篭もりながら、
自分もあの――象徴とでもいうか――あれだけは取り除けるわけにいかなかったのだと説明した。
 つまり、あれはカロツキーの権勢の証なのだった。
この辺りの部族の長たちが伺候しに来るとき、彼らに見せつけるためのものなのだった。
「あなたは当時の事情を知らないからなんですよ」と青年は言った。
「この首は、みんな叛逆者のものなんです」
 叛逆者! ロビンソンは笑い出していた。それはひどく甲高い、我ながら癇に障る笑い声であった。
これには青年もひどく驚いたらしかった。
「あなたにはお分かりにならないんだ、こうした生活が、どんなにカロツキーさんのような人を苦しめるか…」
もう胸が一杯になって口がきけないらしく、プツリと黙ってしまった。
「ああ、僕にはもう何が何やら分からない、」
そう呟いた次の瞬間には言葉を迸らせるのだった。
「ずいぶんひどい見放し方ですよ。あの人、あの素晴らしい思想の持ち主をね!
恥じるがいい!
恥じるがいい!
ボ、ボクは、この十日間というもの、一睡もしていないんですよ…」
青年の声は薄暮の静寂の中に消えていった。
 話している間に車は丘を越え、小さな村落を見下ろしつつあった。
森の蔭が丘の背を這い下り、例の象徴的な柱列の向かう側にまで長く伸びていた。
村落の向こうを流れる河の水面だけが落日を浴びて輝いていたが、もはや辺りは深い薄暮の闇一色に塗り込めら
れていた。村には人影の一つ炊煙の一本とて見えず、叢林も葉ずれの音一つ立てない。
死の夢幻の王国へと丘を下る車内で、風の歌のなかに人声を聞いた。
「夢を長く見続ける者は、己の影に似てくる」

<第0章・終>
40748:2005/08/13(土) 22:14:32 ID:4z2Ae9e0
 昼間に投下してから多少反省しました。少々、意味不明の度が過ぎたかもしれません。
そこで、若干の注釈を加えたいと思います。
 まず、今度のお話の大まかな流れについて。
今度のお話は4つの人間集団を軸としています。
1つめは民間人で、このカテゴリーには浅網と未登場の女の子、それと少数の人々が入ります。
2つめはミス・カロツキーを中核とする集団。
3つめはゴドウィン軍曹をはじめとする〈サザランド〉の乗員たちで、
4つめは(これも未登場ですが)アマンダ・ギャレット大佐とミサイル駆逐艦〈カニンガム〉の乗員たちです。
第0章は、この中で第4の集団を除く主要人物を導入する目的で設定されました。
そして、今回投下分の後半部は、ミス・カロツキーの心理状態について読者に承知しておいて頂く必要性から不可欠の部分でした。

 さて、今回投下分についての注釈です。
文中で「アーマライト銃」と表記されているのはM-16自動小銃、「スターリング銃」と表記されているのはSAR-80自動小銃で、
いずれも中央アフリカの紛争地域において多数が使用されている(5.56mmNATO弾を使用する)小火器です。
 文中の「ランダ-ランダ」とは、おそらくスワヒリ語(またはそれに類似した中央アフリカ言語の言葉)で、ある種の悪霊を意味します。
「ランダ」とは、「追いかける」と言う意味です。森の中で他人の罠から肉を盗って食べるなどというような悪事をすると、「ランダ-ランダ」
に追いかけられ、当人、そして家族が後を「追って」死んでいきます。キクウィトでのエボラの発生の際にクローズアップされました。
 文中で言及している『悪魔との握手』は、原題を"Shake Hands With The Devil”といい、副題の"The Failure Of Humanity In Rwanda”
から分かるとおり、94年のルワンダ虐殺事件について、当時の国連ルワンダ支援団の指揮官であったロメオ・ダレールが語った本です。
邦訳は出ていないようですが、一読の価値ありです。

 注釈が要るお話なんてのはロクなものじゃないと我ながら思っていますが、ここまで意味不明なのは今回限りの予定です。
次回からは、もっと読みやすくなっていると確信します。
408名無しさん@ピンキー:2005/08/16(火) 11:46:26 ID:1Zxw4s+S
☆様乙!
409弱虫ゴンザレス:2005/08/17(水) 23:08:34 ID:1tUQYBkf
番外続き、投下させていただきます

 少女を入れるために用意した風呂は、よく眠れるようにとシリクが浮かべたハーブが大量に踊っていた。
 土を掘り下げて板を敷き、五方を角材で囲った湯船は円形に近く無駄に広い。シリクが洒落で
浮かべたのだろう、水面を彩っている赤い花びらがあまりにも少女趣味で、トレスは湯船の中で
目を覚ました時思わず唇に苦笑を乗せた。
 湯の温度は大分低い。おおかた、間抜けなシリクが風呂でそのまま眠り込み、次に目を覚まし
たのがトレスだったという状況だろう。
 湯が完全な水になっていなかっただけでもましかもしれないと思いながら、トレスはすっかり
ふやけた体を重たそうに湯船から引き上げた。
 砕けた姿見を素通りし、薄汚れた布の間仕切りをくぐって湯殿を出ると、脱衣所には着替えと
布がたたみもせずに放ってあり、トレスは脱ぎ捨てられてあちこちに散乱している服を見つめて
嘆息した。
「これだから、細かい調合がいつまでも上手くいかんのだ」
 だらしのない、と呟いて、脱ぎ捨てられた服をまとめてかごに放り込む。几帳面に体を拭いて
からその布を腰に巻き、トレスはズボンと包帯を片手に二枚目の間仕切りをくぐって居間へ出た。
 上を見上げ、天窓から月の位置を見る。深夜を大分過ぎた時刻らしく、外の森では相変わらず、
獣の咆哮や化物の奇声が喧しく響いていた。
 眠っている時もほのかに光を放つインクルタが、天井にあつらえた寝床から室内を照らしている。
 視線を落として前を見れば、ソファの上には毛布がきちんと丸めておいてあった。丸めずに畳
め、と思うのは、今更過ぎて馬鹿馬鹿しい。床の上にだらしなく広がっていないのがむしろ意外
で、トレスはそんな事を意外に思ってしまった自分にもう一度嘆息した。
 ソファに座って、包帯で素顔を隠す。髪がまた伸びてきたな、などと思いながら、トレスは鏡
も見ずにもくもくと包帯を巻きつけた。巻き終わってからやっと、そのほかの作業に取り掛かる。
作業と言っても、あとはズボンをはくだけなのだが……
「……退屈だ。……シリク、起きろ。話せ」
 ズボンに足を通しながら、無駄だろうとは思いながら呼んでみる。当然返事は返ってこず、
トレスは完全に冴えてしまった頭をどうしたものかとソファに背を預けて目を閉じた。
 寝られるかと思ったが、どうやらどう頑張っても無理らしい。睡眠薬を使うのも馬鹿らしく、
トレスはのろのろと立ち上がると、暖炉の小さな炎に薪を一本投げ入れた。
 インクルタの明かりもあって、暖炉の炎が強くなると部屋は辛うじて端まで見渡せるほどに明
るくなる。一層、眠る気がしなくなって、トレスは軽く頭を振ると、ちらと寝室へ続くドアに視
線を投げた。
 ワインを取りにいこうにも、あのいけ好かない人間の小娘が眠る部屋を通らなければワイン貯
蔵庫には入れない。例え女未満の未熟な生物だとしても、一応は女性に分類される生物の眠る部
屋に無断で入り込むことは良識的に考えて無理だった。
410弱虫ゴンザレス:2005/08/17(水) 23:09:31 ID:1tUQYBkf
「全く……」
 シリクの悪癖には、いつも難儀させられる。そう悪態をつこうとした時、不意に違和感を覚え
てトレスはもう一度寝室へと視線を投げた。
 木製の扉と、金属の取手。その、いつもとなんら変わらない飾り気の無い戸の隙間から、寝室
の闇がほんの少しうかがえた。
 そうか、戸が――。
 風で開いたか、この家も建ってから随分たつ。
 しかし、毎日使う寝室の戸がしっかりと閉まらなければ、少なくとも今日の朝に気付いたはず
だ。かんしゃくを起こして乱暴にたたきつけた記憶も無い。
「……まさか、な」
 この家は決して大きくない。もし、リョウが寝室から出ていたとしても、家の中にいれば気配
くらいは分かるはずだ。仮に寝室にいなかったとして、それ以外の部屋にもいないのだとしたら、
それは彼女が外にいるという事になる。
 ありえない。脆弱な人間が、何を好き好んで夜の森に出るというのだ。
 だがどうにも気になってしまって落ち着かず、トレスはしばらくの間寝室の戸を睨み、とうと
う舌打ちとともに立ち上がった。
 放っておけ、と、耳元で声がする。
 放っておいた所で、特に不都合はないだろう。そうだ、シリクが勝手に連れ込んで、明日には
追い払う小娘に、一体何をしてやらねばならないというのか。勝手に部屋を出て森に入り、飢え
た化物の腹に収まっていようとこちらの知った事ではない。
 だがそれは――それはシリクが許さない。そうだ、そんな些細な事であのおせっかいに怒鳴ら
れても迷惑だ。
 止まりかけた足を再び進め、トレスは僅かに開いた寝室の戸をゆっくりと引き開けた。
 インクルタもおらず、ロウソク一本ともっていない寝室は、覗いただけでは暗くて何も分から
ない。仕方なしに一歩足を踏み込んで、足に何かが引っかかった。
「……布? ……毛布か」
 持ち上げて視線の先にかざしてみると、一部分だけ僅かに濡れている。何故、こんなところに
毛布が落ちているのだろう? そう思った瞬間、トレスは毛布を投げ捨てて走り出した。
「馬鹿な! 本気で森に入ったのか!」
 ぶちまけられた血の臭いも、腐敗し、悪臭を放つ化物どもの“食べ残し”も、思い出しただけ
で吐き気がする。ばらばらになった死体を集めて土に埋めるのはたくさんだ。
 臭いは追える。あの人間の臭いはわかりやすい。
 ローブを掴んで家の外に飛び出して、直後に視界に飛び込んで来た光景に、トレスはそのまま
しばし唖然と立ち尽くした。
 夜幻鏡の前に、探し人が立っていた。少女は淡い、青白い光に肌を染め、ぼんやりと、半ば眠
るようにその花を眺めている。
 例え外でも、この家の付近ならば安全だ。慌てて飛び出してきた自分がなんとなく滑稽で、
トレスはため息と共に肌寒さを感じて掴んできたローブを巻きつけた。
――無駄な心配を……
 思いかけて、慌てて激しく頭を振る。
 心配などしていない。していたとしてもそれは少女のみを案じるものではなく、全ては自分の
ためである。そうだ、あの人間に森で死なれると色々と厄介だから、少し慌てただけである。
 トレスは頷き、そうしてやっとまともにリョウを見た。
411弱虫ゴンザレス:2005/08/17(水) 23:10:47 ID:1tUQYBkf
 背後で凄まじい勢いで戸が開いたというのに、リョウはそれにも気付がついていないよう
だった。身じろぎもせず、ただ呆然とその花に見入っている。
 夜に咲く夜幻鏡を見れば、誰だってそうなるだろう。昼間、太陽の出ているうちは輝きもせず、
花びらは色あせてつぼみ、全て葉に隠れてしまう。枝の白さもくすみ、他の木々と同化してしま
うため、夜幻鏡の花を昼間、森で見つけることは非常に困難だった。
 そしてその花びらは、触れると幻覚を見せる毒の棘を無数に持つ。それは細く、あまりにも小
さいために痛みは一切感じないが、刺された瞬間に全身に毒が回り、腰から砕けて一昼夜は夢の
中から戻れない。
 それ故に言うのだ。夜に咲く幻を見せる花。昼には鏡のように周囲を写し、その姿を隠すため
に鏡を付けて、夜幻鏡と。
 ほうっておいても直に中に入るだろうと、トレスが踵を返しかけたその時だった。リョウの手
がふい、と上がり、花びらに伸ばされた。
 姿を現してはならない。存在さえ知られてはならない。シリクはそう念を押し、頼むから、と
約束させた。その約束を軽視しているわけでは決して無い。トレスとて、好き好んで人間と関わ
りたいとは思ってはいなかった。
 だが、それでも――。
 無意識に声が上がって、少女の腕に手が延びる。
「触るなぁッ!」
 怒鳴って、少女がこちらに気付いた瞬間、トレスの手がリョウの手首をつかんだ。乱暴に引き
寄せた体はあっけなく腕の中に倒れ込んで、リョウが驚いて目を見開く。
「なん……」
「触ったか?」
「ぇあ?」
「花に触れたのかと聞いている!」
「さ、さわって無い……と、思う……」
 何がなんだか分からない、という表情で、ただ聞かれるまま質問に答えたリョウの言葉に、ト
レスは掴んだ手を引き寄せて自らの手を翳し、夜よりも暗い影を作るとその中にじっと目を凝ら
した。
 棘が刺さっていれば、夜よりもなお暗い闇で僅かに光る。だが、どれだけ目を凝らしても、
リョウの指に光るものを確認することは出来なかった。
 思わず、安堵の息が漏れる。
「い、痛い……よ」
 遠慮がち、と言うよりは恐る恐るといった感じの声を拾って、トレスははっとしてリョウの手
を開放した。
 ぱっと体温が離れていって、痛そうに手首をさする姿が見える。
 そこまで至ってやっと、トレスは自分が何をしでかしたか気付いて愕然とした。存在を知られ
てはいけないし、名前を名乗ってもいけない。それどころか、姿も現してはいけないというのに、
この状況をどう切り抜ければいいのだろう。
 声も、態度も、言動も違うのだ。さすがに何か妙だと気付かれてしまうだろう。
 それでも自分はシリクだ、と偽われば、なんとか騙しとおせるだろうか? 特異な存在に怯え
て泣き叫ぶ子供の声など、神経を逆なでする騒音以外の何物でもない。それを回避できるならば、
大概の事はやってやる。
412弱虫ゴンザレス:2005/08/17(水) 23:11:49 ID:1tUQYBkf
「……赤くなった」
「……何?」
「君につかまれた所。すっごい力で掴むんだもん。ほら、真っ赤だよ」
 助けてもらっておいて何をいう、と言う言葉が喉まで出かけたのを必死になって飲み込んで、
トレスは無言でリョウの腕を取ると憮然としてその皮膚に指を這わせた。
 するとなるほど、確かに赤くなっていて、少し強く掴みすぎたかとも思う。痣になるかも知れ
ないが、生憎手元に薬草が無い。
「……トレス?」
「なんだ?」
 顔を上げて、リョウを見る。瞬間、トレスは全身から血の気が引いていくのを意識した。
 かち合ったままの視線の先で、片方しかない鳶色の瞳が意外そうに見開かれる。
 自分では名乗っていない。それは確かだ。シリクが名前をこぼした事も一度もないし、存在を
ほのめかした事も無いはずだ。眠っていた間の事は分からないが、約束を持ち出した本人がそれ
を破ることはまずありえない。
 ならば、一体――。
「貴様……!」
 自然と、腕を掴んだ手に力が入った。か細い、軽く力を入れれば折れそうなその腕が緊張する
のが伝わってくる。
「ご、ごめん……ごめんなさい。怒らないで、そんなつもりじゃ……」
「どこでその名を知った……何故私が私だと分かった。この『体』は『シリク』と名乗ったはず
だ。何故同じ『体』の私が『トレス』だとわかった……?」
「やだ、痛い! やめてよ、痛いってば! 放して!」
「答えろ人間。貴様の腕一本圧し折るなど造作も無い事。ためしに一本、砕いてやろうか」
「いっ……ぁ……! シリ、ク……シリクぅ!!」
 後僅か、手に力を込めれば圧し折れる。しかしリョウが泣き声混じりに叫んだ刹那、トレスは
引き剥がされるように手を放して後方へ飛びずさった。
 ローブがはためき、大げさな音を立てる。
「シリク……おのれ――邪魔をするなぁ!」
 叫んだ声はトレス。だがその体は声に反し、きつく握り締めた拳で自らの顔面を殴り飛ばした。
鈍い音が耳の奥に響き、二、三歩よろけて踏みとどまる。
「頭を冷やせ! 何を考えてるんだ! 腕を圧し折る所だったんだぞ!」
 シリクの声が怒鳴りつけ、もう一度拳を振り上げた。しかしその腕をもう片方の腕が押えつけ、
トレスの声が虚空に吼える。
「圧し折ってやるつもりだったのだ! 貴様が邪魔さえしなければな! あの人間は私の名を
呼んだ……私の名を呼んだんだぞ! 何年、私が名乗っていないと思っている! どのような人
間に接触しても、どのような種族に接触しても、相対するのはいつも貴様だ! 知られるのは貴
様の名だ! 何故昨日今日この森に訪れた人間が私の名を呼べるというのだ! 疑念を持って
何が悪い!」
「君の思考に異論は無いさ! だけど行動が飛躍しすぎてるんだよ! 何の力もない人間の女
の子の腕を圧し折ろうとするなんて……! ただ一言、聞いてみる事くらい出来ただろう! 脅
すんじゃ無くて、穏やかに!」
 勢いよくトレスの腕を振り払ったシリクの拳が、木の幹を半ばまで粉砕して血液を飛び散らせた。
413弱虫ゴンザレス:2005/08/17(水) 23:12:34 ID:1tUQYBkf
 鋭くとがった破壊箇所がローブを破いて腕を裂き、拳に深々と突き刺さっている。
 砕けた木の破片が落ちる音に混じって、溢れ、流れ出る血液の音が聞こえてくるようだった。
「……盗み聞き……してた、んだ」
 沈黙を破ったのは、地面に力なくへたり込んでいるリョウだった。
 トレスとシリクが、ほぼ同時に視線を上げてリョウを見る。今体を動かしているのがトレスな
のか、シリクなのか、それは当人達にも定かではなかった。
「そうか、あの時……」
 シリクの声を耳が拾って、トレスもはっと思い当たった。
 勢いよく開けた戸が、その向こう側にいたリョウに直撃した時である。
 シリクはどうしてそんな所に居たのかと問うたが、リョウはそれには答えずに全く違う質問を
返してやり過ごした。やはり、あの時に聞かれていたのだ。
 シリクは頷き、しかしトレスは包帯の奥で唇を歪めただけだった。なるほど、あの会話を聞い
ていたなら“トレス”という名を知っていてもおかしくは無いだろう。だが、それでは――それ
だけでは――。
「下らん……それならば何故――」
 シリクであるはずの私に、トレスと呼びかける事が出来たのだ。
 そう追求しようとしたトレスの声は、突如轟いた怖気を震うような絶叫で遮られた。


切らせていただきます
414名無しさん@ピンキー:2005/08/27(土) 02:28:52 ID:eP61lyEK
人居なさ杉にも程があるだろ
お前らちょっと点呼取りますよ
415名無しさん@ピンキー:2005/08/27(土) 12:49:15 ID:cX2opjMx
ノシ
416名無しさん@ピンキー:2005/08/27(土) 17:57:30 ID:1dYzcBMf
点呼、2
417名無しさん@ピンキー:2005/08/28(日) 22:16:01 ID:cXpD5bOv
3ゲット!
418名無しさん@ピンキー:2005/08/28(日) 22:37:10 ID:vc4wmd3z
ノシ 3
419名無しさん@ピンキー:2005/08/28(日) 22:38:09 ID:vc4wmd3z
スマソ>417 orz
420414:2005/08/28(日) 23:38:46 ID:puhtLHG7
それにしても少ないな……orz
421名無しさん@ピンキー:2005/08/29(月) 00:08:13 ID:5wtoqR2j
まて、ここに五人目がいるぞ!



まだ少ないか…
422名無しさん@ピンキー:2005/08/29(月) 09:52:56 ID:metHou86
ノシ
423名無しさん@ピンキー:2005/09/01(木) 23:04:00 ID:BrDM6idp
せめて雑談でもしないか……そうだな、例えば何か燃えトークとか萌えトークとか、
今まで投下された作品で燃えトークとか萌えトークとか……
424名無しさん@ピンキー:2005/09/03(土) 00:01:14 ID:C5ltf8gb
じゃあとりあえず、生意気系な女の子にハァハァしときますね
425名無しさん@ピンキー:2005/09/03(土) 01:24:38 ID:qyji4J2R
ノシ 6人目…かな?
426名無しさん@ピンキー:2005/09/03(土) 06:55:19 ID:ANLp2ZQw
とりあえず人外ロリと殺愛しときますね
427名無しさん@ピンキー:2005/09/03(土) 23:36:59 ID:YxOFKtz4
巨乳でおとなしい系の女子高生がひたすら岡されるようなゲームはありませんか
最近好みな子がスクナスorz
428名無しさん@ピンキー:2005/09/04(日) 02:12:08 ID:Jwlh0cvE
>427
何故よりによってこのスレに…? 普通にエロゲ板行った方が早いと思う
まあとりあえずロボが感情に目覚めて戸惑う過程に萌えときますね
429427:2005/09/04(日) 10:16:27 ID:1qvWB39j
みっけた…ここに誤爆してたのかorzゴメンヨー
430名無しさん@ピンキー:2005/09/13(火) 12:55:43 ID:lrPPqtgw
殺愛しながら保守
431名無しさん@ピンキー:2005/09/17(土) 17:13:20 ID:iWGte43Z
殺愛で死にかけているところで手当てされている保守

まてまて〜
(血まみれで刀振り回しながら)
つかまえてごらんなさ〜い
(男を切り刻みつつ)

こんなかんじ
432名無しさん@ピンキー:2005/09/27(火) 11:13:51 ID:bzACIWkP
殺愛で知り合いの女を殺された保守

もー私以外見ちゃだめ
(惨殺しつつ)
わがままだなあ
(血の涙を流しつつ)

こんなかんじ
43348:2005/10/02(日) 23:09:55 ID:1ld8Wxjv


「残照」


 心ならずもスーザン・パーカー空軍大尉がロシア人たちの客人となってから、およそ一週間が経った。
当初、彼らは友好的には程遠かった。スーザンはこの交戦で3人の部下を全て失い、一方でクレトフ少佐の部隊
は彼女に機銃掃射された。ちなみに彼らはのちに結婚することになるが、20ミリバルカン砲というのは配偶者間
暴力で使用された最大級の火器であろう。
その一方で、両者は戦争というものについておよそ古風で時代遅れな考え方を持っており、戦闘機パイロットも
空挺隊員も、それぞれがそれなりに自らをエリートだと見なしていた。このソヴィエト兵を相手にして、侵略者
に対して持つべき敵意を保っているのは難しかったし、ソヴィエト兵の側から見ればアンダヤは天国そのものに
思えた。例えば大隊長のクレトフ少佐の場合は7年前のアフガニスタン派遣が初実戦であり、その他の空挺隊員
もその種の経験を持っていた。そんな連中にとっては、ヨーロッパというだけで天にも昇るような気持ちになる
らしい。
ノルウェー人に戦士の伝統がないというわけではない――彼らがヴァイキングの末裔であることを想起されたい
――しかし少なくとも、ここにはムジャヒディンはいない。彼らがそう戦うことを余儀なくされたのは仕方ない
とは言え、戦場にそれなりのルールが存在するというか、そう期待できるというのは有難いことではある。

 そして偶然にも、捕虜になった唯ひとりの空軍士官が女性であったということが、この問題に興味深い側面を
与えていた。戦場だと女でありさえすれば絶世の美女に見えるものだが、もともとスーザンは人目を引く顔立ち
だったし、しかも島にいる三千人あまりの若者に対して女性はスーザンとプーカン軍医中尉の2人だけだった。
これが錬度の低い徴集兵であればまた別の状況が生じたろうが、双方にとって幸いなことに、島にいるソヴィエ
ト兵の大部分は老練な空挺隊員だった。彼らは環境のおかげでたいへんに大らかな気分で過ごしていたし、
スーザンは気性として男っぽい部分も多分に持っていて、おまけにロシア人たちはなべて西側の女性に幻想混じ
りの憧憬を抱いていた。

 そのような次第で、地上戦によって捕虜になった少数のノルウェー兵がソ連本国の収容所に送られた後も、
彼女だけはなんやかやと理由をつけて留められていた。彼女はそれをそれなりに楽しんでいたし、ロシア人たち
も、彼女が自分たちを機銃掃射したということは都合よく忘れ去っておおいに楽しんでいた。
 しかしそんな良好な関係に、ちょっとした暗雲が垂れ込めつつあった。
全ては彼女の軽率な発言が招いたことである。
夕食後、彼女が自室に引っ込んだころを見はからって支隊の幹部たちが集まった。
「医学上は問題ありません」プーカン中尉が言った。
「彼女の腰は完治しています。多少の運動は、むしろ良い方向に働くでしょう」
「大佐、彼女はファシストです。信用してはいけません」ロマノフ中尉が指摘した。
「そのような者を自由に出歩かせるなど正気の沙汰とは思えません。KGBは反対します」
「中尉、君が職務を果たしていることが分かって大変に喜ばしい」
シマコフ大佐が辛辣な口調で言った。貴様の義務など知ったことではない、と言外に言っていたが、もちろん
正面切ってそのようなことを言うわけにはいかない。
「しかし、これは軍の名誉の問題だ。
彼女は空挺部隊を侮辱した。我ら伝統ある第106親衛空挺師団を、だ。
とうてい看過しがたい罪である。このような罪には然るべき懲罰を与えねばならん」
集まった男たちが密かな笑いを漏らした。
434残照:2005/10/02(日) 23:10:31 ID:1ld8Wxjv
「それで、どれだけいくと思います?」とニチーキン大尉が聞いた。
「1.2に5」
「乗った」
「2に――」
「少佐は審判だから駄目ですよ」

 そして、翌朝。
 彼女が自分の愚かさを後悔するのは今にはじまったことでもないが、この朝、彼女はそれを数え切れないほど
反芻していた。
 そもそも、機会はいくらでもあったはずなのだ。
かつて飛行隊長が毎朝のジョギングを提案したとき、『血管が拡張し、高G機動中に失神しやすくなる危険があ
る』などと理屈をこねて猛烈に反対した連中の筆頭格が彼女だった。
その後、ジョギングを決意したことも何度かあった。しかし、そういうときに限って何かしらの口実が、彼女に
見つけてもらおうと向こうからやってくるのであった。

 その挙句にこのざまだった。喉がひりつき、心臓が口から飛び出しそうになっている。すっかり息を乱し、
清澄な朝の素晴らしい空気を少しでもたくさん体に取り込もうと、獣のように喘いでいる。
最悪なのは、音を上げることができないことだった。弱音を吐けば、3フィートほど後をついて来ている男――
糞忌々しい露助の空挺隊員――がさぞかし喜ぶことだろう。それだけは許せなかった。
 たいていにおいて彼女は生き生きとしている――獰猛なまでに、とみんなが思っていた。Xで終わる「スー」
というあだ名は、決して彼女のおとなしさに由来するわけではない。
しかし今の彼女は歩く死体とさほど変わらず、多少早く走っている――むしろよろめいている――ことだけが
ゾンビーとの違いだった。これはちょっとした皮肉だった。普段の彼女はゾンビーを追いまわす側なのである。
 第1中隊本部までだ、とスーザンは自分に言い聞かせた。そこまでは絶対に足を止めず、走りきろう。
その後は歩いていくんだ。絶対に止まらない。止まらないで行ける…はずだ。
 目標まであと100メートルそこそこだと分かっていた。音速で飛ぶことに馴れた女にとってはたいした距離で
はないはずだった。
『空軍士官学校のマラソン選手』と自慢した昨晩の声が頭の中で響き、自分を嘲っているようだった。

 これが10代後半とか20代前半だったら、しこたま飲んだ翌朝に飛び起きて、5マイルほど走りこんでから
平然と微笑を浮かべて朝食に出かけたものだった(と彼女は思った)。
それが今や、2キロも走っていないのに死んだほうがマシに思えてくる。本当にこれでも軍人か、と自嘲したく
もなる。いっそばったりといってしまえば、後の男も嘲る余裕は無くなるだろう。
 軍曹に率いられた兵士の一隊が、歩調を揃えて彼女らの脇を駆け抜けた。通り過ぎる数人が好色な視線で彼女
の尻や胸を撫でまわし、後にぴったりとついてくるクレトフ少佐がきつい一瞥を与えたが、当の彼女にはそんな
ことを気にしている余裕はまったくなかった。
彼女は今や蛇行しはじめており、いっそう悪いことに彼女自身それに気づいていなかった。
背の低い建物が見えてきた。あと50メートル…
435残照:2005/10/02(日) 23:11:35 ID:1ld8Wxjv
 彼女はスピードをゆるめ、歩きはじめた。止まってはだめだ、と思った。止まればもっと辛くなる…
彼女は足を止めて煉瓦造りの壁に手をつき、何度も咳き込んだ。
吐くぞ、と思ったが、幸いそうはならなかったし、そもそも吐くものがなかった。
しかし心臓が口からこぼれおちそうで、脇腹が燃えるように痛く、萎えた膝ががくがくと震えていた。
顔を上げると、壁に寄りかかった男の笑いが目に入った。何も言わないのがなおさらこたえて、また俯いた。
「降参するかね、大尉?」
「ふん! これくらい…」
「尻を叩いて走らせても構わないんだぞ、こっちとしては」彼はにやにやと笑った。
「分かった、分かったわよ――あたしの負けよ!」
ありったけの息をかき集めて自尊心と一緒に吐き出すと、やわらかな草に腰を下ろして酷使された膝を伸ばした。
「無謀な挑戦だったわ…」
「挑戦するのは構わんよ。身の程をわきまえてりゃあな」
「畜生ッ!」と吐き捨てた。
「それだけ元気があれば、心臓発作を起こす心配はなさそうだな。ちょっと前には道端でぶっ倒れるんじゃない
かと思ったんだが」
彼女はそれには答えず膝を抱えた。その首筋に張り付いた濡れた髪に、彼はなぜかひどく狼狽して目を逸らせた。
「我々は全員が心肺蘇生法の訓練を受けている――こう聞けば少しは安心だろう?
まあ、明日からは衛生兵と救急車も連れて行くことにしようか」
「信じてよ。昔だったら、本当にこれくらいどうってことなかったんだから」
「まあ、よくもったほうだと思うよ――ずっとホテルから一歩も出ないで怠けてたわりにはね。
みんなだいたい1.5キロから1キロに賭けてたしね」
「あなたは?」彼女はさりげなく聞いた。
「俺は2キロで、一番近かったかな」
「ねえ、それなら帰ったら何か奢ってよ。私のおかげで賭けに勝てたようなものでしょう?」
上目遣いで見上げる彼女に、彼は吹きだした。
「ほら! それがいけないのさ。もっと健康的な食事をして、ちゃんと走る!」
「そうすれば、あなたたちについていけると思う?」
「2週間もすればじゅうぶんに我々に伍していけるさ――1キロくらいはね」
彼女の膨れっ面を見て、セルゲイは笑った。
「そう怒りなさんな、同志。継続は力なりさ。自分の不摂生を忘れて無理をするからいけないんだ」
スーザンは身を震わせた。摂氏で15度にも達しない涼しさだというのに、彼女は水でも浴びたようにすっかり
濡れてしまっていた。彼が笑って手を差し伸べ、彼女は少し躊躇ってからその手を握った。彼女の手が意外に
華奢なことに気づき、彼は新鮮な驚きを味わった。
彼女は彼にぶつかりそうになって体を引き戻し、膝がそれを支えきれないで少しよろめいた。
黄金色の残照が残る白い頬に赤みが差し上り、彼はそれをとても美しいと思った。
436残照:2005/10/02(日) 23:12:15 ID:1ld8Wxjv
 そして、彼らは今でも走っている。スーザンの拳がセルゲイのそれと軽く打ち合わされ、挑戦がなされる。
そして、彼らは復興の槌音が響く街を走っていく。
周囲の人々は、この毎朝の儀式を若い夫婦の仲の良さの表れのひとつだと思っていた。
しかし、これには彼らの知らない側面もあるのだった。
 前の2つの大戦に比べ、今次大戦は結果としてわりあいに「すっきりと」終わったと言える。
第1次大戦はその終結によって第2次大戦を導いたし、第2次大戦は最終的に第3次大戦に発展した冷戦、
そして世界各地の数多の紛争の引き金を引いた。
それに比べ、当初の懸念にもかかわらず、第3次大戦が後に残した禍根は比較的に――比較的に、である――
少なかったと言えよう。
しかし、その第3次大戦の対立構造が唯一継続しているのが、この朝の競走なのかもしれなかった。
彼らの夫婦喧嘩はすなわち、箱庭の第4次大戦なのである――東西の両陣営で最高レベルの訓練を受けた2人が
素手でやりあうことになり、つまるところアインシュタインの予言はおおよそ正しかったという次第。

 敗北の印として彼女が淹れたコーヒーを受け取り、ソファに沈んだセルゲイは満足そうな微笑を浮かべた。
一度は足を奪われた彼だが、新しい友人たちのおかげで西ドイツ製の実に良くできた足を得ることができた。
最初は歩くだけで我慢しなければならなかったが、やがて早足に慣れ、今では走ることすらできる。
そして、三度に一度は彼女よりも早く家に着くことができるまでになった。
キッチンに立ったスーザンはそんな彼を見ながら、彼の背中を見ながら走るのもそんなに悪くない、と思うの
だった。



(補遺)
「だけど、健康的な食事なんてどうすればいいのよ?」
セルゲイは考え込むふりをした。
「とりあえず、毎晩誰かを飲み潰さないと気がすまない、なんて癖はどうにかしてくれるとうれしいな。
毎朝毎朝誰かが使い物にならなくなってるのは困るんでね」
それに応じる訳にはいかなかった。こっそりドアの裏に何列も撃墜マークを刻んで喜んでいたからである。
「それから、毎晩厨房から何かちょろまかすのはやめることだな」
「あら、そんなはしたないことしないわよ」
「じゃあ昨日の晩、アップルパイまるごと1個とキットカットひと袋とシナモンドーナツひと箱とパンケーキ
ひと皿と、それと俺が楽しみにしていたリッチミルクのハーゲンダッツを掠めていったのは誰だろうな?」
彼女は赤面した!

<残照・了>
43748:2005/10/02(日) 23:34:37 ID:1ld8Wxjv
 以上、「北の鷹匠たちの死」より派生した短編を落とさせていただきました。本当はハロウィン絡みにしたかったのですが、
姪っ子に運動会に引っ張っていかれて、パパさん綱引きだの何だのをやっているうちにこんなお話になってしまいました。
まあ、何だかんだ言ってなかなか楽しかったのですが、腰痛には参りました。年ですな!
 前にも書いたように思いますし、賢明な読者諸賢には不要とも思いますが、念のため。
これら一連のお話はファンタジーとして読んで下さい。
ロシア空挺軍の第106親衛空挺師団もノルウェー空軍の第332飛行隊も実在する部隊ですけどね。
 ところで長編についてですが、前回の反応から、大幅な自由裁量権を頂いたものと解釈しております。
よって少々間が空くかと思いますが、ご寛恕願いたく。
438名無しさん@ピンキー:2005/10/03(月) 23:10:32 ID:EefS4Crg
毎回楽しませてもらっています、GJ!
ところでスーザンさんのちょろまかしは、二三日分まとめてですよね…一遍に
食べたりはしませんよ…ね?
439名無しさん@ピンキー:2005/10/05(水) 00:42:08 ID:jueJpAKC
>48氏
投下乙であります。こういうほのぼのした話もいいですな。

スレ容量が480kbを越えたので、そろそろ次スレの時期ですかね。
440名無しさん@ピンキー:2005/10/05(水) 23:16:47 ID:fgbjZe3X
質問スレで誘導されました。
以下のような内容のSSの第一回(長編になると思います)を投下したいのですが、
新スレを待ったほうがよろしいでしょうか。


> オリジナルで、舞台は中世イタリア、ある小国の姫と、騎士の恋愛物です。
> 姫と騎士はいとこ同士で、幼馴染み。
> 小国は大国同士の戦争に巻き込まれ、その中で二人が愛に目覚めていく話(のつもり)です。
> エロパロでなくてもいいやん、ということになるかもしれませんが、
> 戦争ですんで陵辱とかレイプとかも出てくるので、21禁の方がいいと思いまして
> (あと、元々エロパロ板に愛着があるというのもありますが)
> なお、ドラゴンとか魔法使いとか、そういうファンタジー要素はありません。
441名無しさん@ピンキー:2005/10/06(木) 00:11:06 ID:0OKeJ4aG
残り12kか……微妙な所だ。
新スレたてて、景気づけにパーンと投下してもらったほうがいいかも
442名無しさん@ピンキー:2005/10/06(木) 14:00:34 ID:BqlN7k/2
では、新スレを待つ事にします。
443テンプレ案:2005/10/06(木) 19:22:16 ID:aO48TW22
・萌え主体でエロシーンが無い
・エロシーンはあるけどそれは本題じゃ無い
こんな作品はここによろしく。

過去スレはこちら
エロくない作品はこのスレに
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444テンプレ案(改):2005/10/06(木) 20:58:05 ID:aO48TW22
・萌え主体でエロシーンが無い
・エロシーンはあるけどそれは本題じゃ無い
こんな作品はここによろしく。

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445名無しさん@ピンキー:2005/10/06(木) 21:05:56 ID:aO48TW22
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次スレ立てました。移行願います。
44648
どうやら無事移行したようで、何よりです。
さて、ご質問があったスーザンの掠奪についてですが、まずはこの一週間前の彼女の状況を思い起こす必要があります。
祖国存亡の危機という重圧のもと、新鋭のAMRAAMを少しでも早く前線配備すべく昼夜ぶっ通しで激務をこなしていたのです。
「夜は寝るためにあるものと思うな。メシは食うためにあるものと思うな」という状況からいきなり強制的休息状態に放り込まれたわけで、
その激変を彼女の胃袋が認識していないという可能性は大いにあるといえましょう。
しかしここでは、結局(アイスクリーム以外は)ふたりで仲良く食べてしまった、という可能性を指摘するに留めておきましょうか。