ときめきトュナイトのエロネタを語るスレ Part7
1 :
名無しさん@ピンキー:
ここは池野恋先生の少女漫画「ときめきトゥナイト」が好きな人が
ストーリーの背景を大切にしながらキャラのエロネタを楽しむ スレッドです。
面白ければエロ無しでもOKですが、
Part5よりせっかくエロパロ板移行なので、できればエロマンセーよろしく!
今までの経緯&関連リンク、お約束詳細、作品掲載についての注意などは
>2-3のあたりにありますので、こちらも是非ご覧ください。
前スレはこちら
ときめきトゥナイトのエロネタを語るスレ Part6
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1032076079/ 君も逝こう!煩悩の世界へ!(・∀・)イイ!
ニ
3 :
698:03/03/08 21:24 ID:BI6XEIeX
4 :
698:03/03/08 21:25 ID:BI6XEIeX
■お約束詳細
・sage推奨→メール欄に半角文字で「sage」を入れる。
・無用な議論を避けるため、萌えないカップリング話であっても
それを批判するなどの妄想意欲に水を差す発言は控えましょう。
また荒らしは徹底無視をお願いします。
・苦手な方もいるので、激しい性的内容を含むものはその旨タイトルに明記を。
あとは常識的マナーの範囲で、萌え話・作品発表・雑談などご自由に。
・カップリングは基本的に原作通りをキボン。
■作品掲載について
・原作者及び出版元とは一切関係ありません。
・連載の場合は巻頭に通しナンバーを書き、「>○○」という形で前作への
リンクを貼ってもらえると助かります。
5 :
698:03/03/08 21:34 ID:BI6XEIeX
6 :
698:03/03/08 21:36 ID:BI6XEIeX
俊の中で、蘭世を愛しむ気持ちが胸いっぱいに広がった。
ちゃぶ台の箱ティッシュから何枚かつかんで、
涙で濡れそぼった蘭世の顔を拭ってやった。
すると、ウサギのように赤みを帯びた愛くるしい瞳、
上気した柔らかい頬、サクランボのように色鮮やかで艶やかな唇。
愛しさのあまり、思わず蘭世の頬を両手で柔らかく包み込んだ。
「・・・・俺を見ろ。」
蘭世は恐る恐る両手を胸元まで下ろして握り合わせ、俊の少し潤んだ瞳を見入った。
俊は静かに、噛み締めるように尋ねた。
「・・・・いいのか?」
コクリと蘭世は頷いた。
俊は少し安心して、引き締めていた頬を緩めて、
「期待するなよ。」
と、いたずらっぽく微笑した。
がらんとした安アパートの8畳間。
ありふれた白いシーツの布団。
お世辞にもお洒落な雰囲気とはいえないが、うらぶれた独特の淫靡な空気。
蘭世はそこに、俊に組み敷かれながら横たわっている。
美しい長い髪は妖しく乱れ、
白いブラウスはみぞおち近くまでボタンが外れて、下着のレースがのぞいている。
バーバリー柄のプリーツスカートは、太腿の付け根辺りまで捲り上げられ、
それを恥らうかのように、両腿をぴったりと寄せている。
7 :
698:03/03/08 21:38 ID:BI6XEIeX
俊はTシャツを脱ぎ、半裸になった。
蘭世は俊の首に両腕を絡ませて抱き寄せる。
それに答えるように俊がしっとりと唇を重ねる。
重なり合った互いの心臓の鼓動が、どくんどくんと呼応する。
それに伴って、重ねられた唇は、貪欲に奥へ奥へと、
より深い感触を求めて蠢いている。
先に舌を入れたのは俊の方だった。
舌と舌が接触したとき、蘭世は身を硬くして一瞬体を遠ざけようとした。
しかし、背中から腰周りをしっかり抱きかかえられて抵抗できず、
いつしか自分から俊の口中に舌を絡ませていった。
舌が絡まり、腕が絡まり、足が絡まり、上になり下になり激しくもつれ合った。
全身を大量の血液が駆け巡り、燃えるように熱い。
密着してる部分には汗が滲んでくる。
俊は、もつれあったまま、足で蹴るようにして自分のスウェットを脱ぎ捨てた。
(江藤の服が邪魔だ・・・・・)
唇を重ねたまま、蘭世の衣服に手をかけた。
抱き締めながら、右手でそっとブラウスのボタンを外していく。
舌と唇の動きに気をとられているのか、蘭世は無抵抗だ。
ほどなく純白のレースをあしらったブラジャーが露わになった。
通常なら清楚・清純の象徴のような純白が、この場で目にしてみると、
どんなに派手で下品な下着より、遥かに淫らで扇情的なのだ。
俊は蘭世に対して、もっと子供っぽいイメージを持っていた。
中学時代に出会った頃のままの印象で止まっているのかもしれない。
良く言えば清純な、悪く言えばセックスアピールの少ないタイプだと思っていた。
ところがどうだ、うっとりした瞳も、上気した頬も、赤く濡れた唇も、
乱れた衣服からのぞく熟した身体も、匂いたつ独特の甘い体臭も、
ぞくぞくするほど妖艶で、まるで別人のようにさえ思えるのだ。
俊は、ゴクリと喉を鳴らした。
8 :
698:03/03/08 21:39 ID:BI6XEIeX
(江藤もいつのまにか”女”だったんだな・・・・)
蘭世の新たな一面を発見した事への驚きと戸惑い、
理性に押さえが効かなくなる事への怖れに、ブラジャーのホックに伸びた手がすくん
だ。
しかし、既に彼のモノは隆々とそそり立っていて、今更後戻りできない状態である。
(ここまできた以上、最後までいくしかねぇ・・・)
ホックには随分苦労させられた。
じっくり形状を見た事もないのに、手探りだけで外そうとしたのだ。
背中を向けてくれるように頼めば良かったのかもしれないが、
なんとなくカッコがつかないような気がした。
なかなか外れないもどかしさに苛立ちながら、
やっとの思いでつまむようにしてホックを外した後から気がついた。
(魔力使えば、一発だったじゃねえか・・!)
そんな事にすら頭が回らないほど、動揺している自分に気づいて、
顔から火の出る程恥ずかしい心持ちになった。
俊はキスをそのままに、ブラジャーをずり上げて、両手で乳房を包み込んだ。
しっとりとして吸い付くような、たとえようのない柔らかさ。
俊は唇を首筋から鎖骨へつたわせた。
そして、蘭世の胸に顔をうずめた。
マシュマロのような柔らかさと、むせ返りそうな甘い体臭。
理性が吹っ飛びそうだ。
形の良い白い乳房に桜色の乳首はイメージ通り。
両手で優しく揉みしだきながら、乳首を唇で吸ったり舌先で転がしたり・・・・。
乳首の先端をざらりとした舌が撫でる度に、
蘭世は喘ぎ声を押し殺して、うっうっとうめいた。
「・・・・真壁くん・・・・恥ずかしい・・・・。」
消え入るような声で蘭世は身を硬くする。
「綺麗だ・・・・・。」
俊はただそう言って、蘭世の表情を確認するかのように、彼女の前髪をかきあげた。
9 :
698:03/03/08 21:39 ID:BI6XEIeX
唇と舌先で桜の蕾のような乳首を弄びながら、スカートのホックとチャックをさりげ
なく外した。
ぴったりとくっつけていた蘭世の両腿の間に、左足をぐいっと割り込ませた。
俊は互いの腿の隙間から右手を滑り込ませ、ショーツの上から秘所に触れた。
「あぁっ・・・・・。」
蘭世は快感とも哀願ともとれるような切ない悲鳴をあげ、
俊の右手から逃れようとするかのように懸命に身をよじった。
両腿にぐっと力を込めて、なんとか閉じようとしているようだ。
しかし、そんな恥じらいからくる抵抗も空しい程、蘭世の身体は正直だった。
秘所周辺はショーツの上からでもはっきりわかるほど、じっとりと湿っている。
もちろん俊は、触れた瞬間にその事を察知した。
そして、それと同時に、そそり立つ一物に激しく血液が流れ込んできた。
(かなり限界だな・・・・)
俊は一計を案じた。
恥らいで表情を見られまいと顔を隠そうとする蘭世の両手を振り払った。
「俺を信じろ・・・・。」
強引に両手で蘭世の顔を自分の向きに固定して、じっと強い瞳で見つめ続けた。
蘭世は俊の視線に捕らえられたかのように固まった。
次の瞬間、全身の力がすーっと抜けて、ぐにゃぐにゃになってしまった。
そのタイミングを俊は逃さなかった。
スカートもろともショーツも一気に引き下ろし、すばやく秘所に右手を押し込んだ。
ショーツに染み出る程なので、秘所周辺は相当に濡れそぼっていた。
指で探りを入れると、蘭世は堪らず甘い吐息を漏らした。
秘所はくちゅくちゅと卑猥な音を出し、指先にはべっとりと粘液が絡み付いた。
「・・・・入れるぞ。」
俊はあくまでいつもの冷静なペースを守ろうとしていた。
しかし、その上気した頬も、熱く血走った瞳もいつもの彼ではない。
蘭世は圧倒されたように、無言でただコクリと頷いた。
10 :
698:03/03/08 21:40 ID:BI6XEIeX
俊はトランクスを脱ぎ捨てた。
蘭世の両股の間に入り、右手で自分のモノをしごき上げながら、
しげしげと蘭世の秘所に見入った。
ぬらぬらとした粘液に覆われているが、綺麗な桃色をしている。
女性器を間近でじっくり見るのは初めてだ。
その異様というか神秘的というかグロテスクというか・・・・
巧く表現できないが不思議な美しさがあった。
「・・・・お願い・・・・あんまり見ないで・・・・お願い・・・・。」
顔を手で覆って懇願する先から、秘所からはドクドクと液が溢れる。
俊は差し込む先を確認すると、
周辺の粘液を塗り付けたペニスの先端をヴァギナにあてがった。
「・・・・なにぶん俺も初めてだからな。調子がわからねぇ・・・・。
痛かったら言うんだぞ。」
「・・・・・う、うん・・・・。」
次の瞬間、蘭世に激痛が走った。
俊が無理にペニスを奥まで一気に押し込もうとしたのだ。
「痛っ!」
全身を強ばらせ、蘭世の顔が苦痛に歪む。
「・・・あ、悪い・・・・。少しずつ入れていくから・・・・。」
今度は、不器用そうにそろそろと膣の中に挿入しようとするが、
先端の亀頭の辺りまでで止まってしまう。
地道な作業だが、多少の痛みに耐えてもらいながら、少しずつ挿入していく他なさそ
うだ。
根気強く少しずつぐいっぐいっと腰を前後させた。
蘭世も痛かったかもしれないが、
すでに一物がてんぱっている俊にとっても、この地道な作業は拷問同然だ。
一刻でも早く奥までぶち抜いてしまいたい本能を、愛情と理性で懸命に押さえ込む。
11 :
698:03/03/08 21:41 ID:BI6XEIeX
15分程頑張って、やっと竿の半分ぐらいまで収まるようになった。
二人とも身体はぐったり、汗びっしょりである。
半挿入のまま蘭世を抱き締めながら、俊は労わるように頬擦りをし唇を重ねた。
少し先は見えてきたが・・・
(この調子じゃ・・・全部収まる頃には、俺のが萎えちまうかもしれないな・・・
・)
俊の脳裏を不安がかすめ、きゅっと眉間にしわが寄った。
すると
「・・・私、ちょっとぐらい痛いの大丈夫だから・・・・だから・・・・
一気に思いっきりいっちゃっていいよ・・・!」
そんな不安を見透かすように、明るさを装って蘭世が言った。
「・・・・いいのか・・・?」
不安気な表情でためらいがちに答える俊。
苦痛に顔を歪め、身をよじるさっきの蘭世の姿がよぎる。
できれば同じ苦痛は味わわせたくない。
「私ね、真壁くんに少しでも近づきたくて、ずっと頑張ってきたの。
だって、真壁くんって傍にいてもなかなか本心を出してくれない人だったから・・
・。」
微笑みながら蘭世は続けた。
「口で言わなくても心でわかる。そんな関係に憧れてた。完全に一心同体になりた
かった。」
蘭世の瞳が潤み、涙声になった。
「・・・・真壁くんと一つになりたい・・・・。」
俊の心は一気に火がついた。
「・・・・俺も・・・・。」
12 :
698:03/03/08 21:43 ID:BI6XEIeX
そう言いかけるが早いか、やにわに態勢を起こし、右手で竿の根元を確認すると、
両腕を蘭世の両足にがっちり絡めて、腰を押し出しながら一気に強く手前に引いた。
激痛。
声を出さないように蘭世は強く唇を噛んで、上半身を反り返らせた。
「・・・入った!」
思わず俊は声を上げた。根元まですっぽり収まっている。
これでやっと動かせる、そう思った矢先。
「・・・・・っ痛。」
腰を動かして出し入れをすると、蘭世が痛がってしまうのだ。
蘭世の瞳はそのまま続けていいよ、と言ってくれている。
(しかし・・・)
このまま続ければ、たぶん俊の方は達する事ができるだろう。
ただその快楽は、蘭世の痛みと引き換えたエゴイスティックなものだ。
(そんな事をしても自分が惨めになるだけだ・・・・)
13 :
698:03/03/08 21:45 ID:BI6XEIeX
俊は根元まで挿入した状態で、横になって蘭世を抱き締めた。
(一体感か・・・・)
素肌で触れ合う感触。
今まで知らなかった不思議な安心感と幸福感。
心臓どうしは呼応しあって拍動する。
ぬるっと絡み付く暖かい膣中に収まった、硬く熱い自分のペニス。
それぞれに、身体中から血液が集まって、結合部周辺は熱を帯びた一塊になった。
結合部を介して、心臓を始め、二人の全臓器、全神経が、
まるで二人が一個体であるかのように躍動している。
それは淫靡なようで、甘美なようで、神聖な・・・不思議な感覚。
俊は満たされていた。
本来なら、最後までいかないと、男としては満足できないものなのだが、
その時の彼は、セックスの快楽が目的ではなく、一体感を得る事が目的だった。
それは十二分に満たされたのだ。
セックスそのものをやり遂げるのは、また別の機会でいい。
今日の続きは自分で始末すればいいだけだ。
14 :
698:03/03/08 21:46 ID:BI6XEIeX
「ごめんね・・・・。」
俊の腕の中で、瞳を潤ませながら蘭世はそう呟いた。
俊の希望(欲望というべきか)を満たせなかったという自責の念だろうか。
俊は優しく微笑んで、蘭世の乱れた髪をかきあげて、零れ落ちる涙の雫をを唇で受け
止めた。
「泣くな・・・・俺は十分満足してる。」
そう言って、蘭世に接吻した。
「あー!!!」
甘美な静寂を破って、蘭世はいきなり俊の腕から飛び起きた。
「もうこんな時間!いっけない!お父さんとお母さんに怒られちゃう!」
凄まじい早さで衣服を身に着けると、乱れた髪にささっと櫛を通した。
そこにはもう、俊をクラクラさせた大人の蘭世はいなかった。
「また来るね。じゃ、明日学校でね!」
バタバタと玄関で靴に足を突っ込んでいる姿を見て、
相変わらず落ち着きがないなあ、と苦笑しながら、俊はほんの少しほっとした。
荷物を抱えてドアから走り出ていく蘭世に向かって、俊は言った。
「今度来るときは、ちゃんとおやじさんたちに許可もらってこい。
泊まりのな。」
15 :
698:03/03/08 21:52 ID:BI6XEIeX
おわりでつ。
ここまで読んで下さった方、どうもありがとうございます。
可哀想に真壁くんは、寸止めくらって発射できなかったので、
そのうち続編で発射させてあげようかな・・・と思っております。
今回は「蘭世処女喪失編」とでもしておきましょうか。
では、では・・・。
16 :
名無しさん@ピンキー:03/03/08 23:16 ID:pIPcoddo
698さん、乙です。真壁くん、ランゼがいなくなったあとに一人で…でしょうなぁ。まぁ、しばらくはランゼの顔を見ただけで思い出してしまうんだろぅなぁ(;^_^A
17 :
名無しさん@ピンキー:03/03/08 23:19 ID:tUsoJfgj
あっ、すんません!sage忘れました
18 :
名無しさん@ピンキー:03/03/08 23:19 ID:LkPHbWTV
sage
sage
698タンイイ!!
ところで、スレタイがひそかにトュナイトでちょっと違ってるところが受けた(藁
でも、このスレもどんどん神降臨してくらさい。楽しみ
21 :
698:03/03/08 23:34 ID:BI6XEIeX
>20
あ・・・今気がつきました。
焦ってたんですね。突っ込めない真壁くんのように(藁
お許し下さい。
22 :
20:03/03/08 23:37 ID:7I1nUSwt
23 :
名無しさん@ピンキー:03/03/08 23:50 ID:xmtM+urV
祝・新スレ、乙です!!
698タン良かったです!
次回楽しみにしてます!
25 :
350:03/03/09 09:35 ID:6qRh/WSv
いつのまにか7が立っててビクーリ
698タン乙です。
激しくもつれあう2人に萌え〜!!!
寸止めで悶々のマキャベくんのために
是非是非発射編をっ!!
26 :
新婚作者:03/03/09 10:28 ID:1Bh34Z+n
698さん
乙です。
いつの間にやら・・・・7ですか・・・。
6ではたくさんのお話が読めたのでうれしかったです
350さんも、がんばって!
さて、私はといえば少々わけがあって先週はうpできなかったです。
今週はとりあえず今日まず夜伽の続きを・・・・
ただ、あんまりにも長くなる(エロはまだ少なめ)感があるので
スレ消費しそうでいいのかな・・・と思うところはあるんですがね。
皆様すみません。
27 :
夜伽話12:03/03/09 10:29 ID:1Bh34Z+n
その後もいつ終わるとも知れぬ交わりは続いた。果ててはまた奮い立たせ、互いが互いを求め続けていた。
翌朝まだ、朝もやのけぶる中、ゆりえはこっそりと起きだすと去りがたい思いをすぐるの腕の中に残しながら、屋敷へと帰っていく。すぐるは寝たふりをしたままゆりえを行かせる。次の約束も出来ぬままに。
「らんぜ?」
「おかあさん?なあに?」
「ちょっとこっちへいらっしゃい。」
「え、でも・・・その・・」
「いいからいらっしゃい!!」
「は、はいいい!!」
・・・・なんだろうな・・・いったい・・?・・・
今日もらんぜは店で忙しく立ち振る舞っていた、まもなくしゅんのくる時間だと思いながらもおとなしくしいらの後をついていった。
そのらんぜが奥に消えるのと入れ違いにしゅんが江藤屋へやってきた。
「いらっしゃい。」
一瞬目がきょろきょろするもすぐにもうりに受け答えする。
「書類用に上質の和紙が欲しいのですが。」
「はいはい、今お出ししますよ。・・・・・らんぜなら今少し用事があって席をはずしているだけですよ。」
にこりとしながらもうりはしゅんに言葉をなげかけるとしゅんは少しあわてたように目をそらした。
28 :
夜伽話13:03/03/09 10:31 ID:1Bh34Z+n
「いえね、今度らんぜにもお城へあがる話がきておりましてね・・・・」
手元に依頼された紙の束を何種類か持ち、しゅんに見せながら話をふる。
「・・・・そうですか・・・」
・・・・本当だったのか・・・・
「・・・で、よろしいんですか?」
「え?今なんて?」
「これでよろしいんですね?本日お買いになられるのはと申し上げたのですが・・・?」
読めない表情のもうりがしゅんに意味ありげに視線を送る。
・・・・いいんですか?らんぜを城にあげても・・・・
そう言いたげでもあり、
・・・・・あなたの正体を私は知っているのですよ・・・
と言っているようにも思える。そしてそのどちらでもないかもしれない。
しゅんがうなずくともうりは手早く丁寧に紙を包みしゅんに手渡した。
「どうも・・・・。」
「ありがとうございました、またお越しください。」
もうりは頭を下げながらしゅんを見送った。らんぜはしゅんのいるうちに戻ってくることは出来なかった。
「らんぜ、そこへお座りなさい。」
「はい。」
ちょこんと床に座るとしいらはらんぜを見据えて強い口調で
「らんぜ、お前にいい話があるのよ。実はねお城からお前に上がるようにというお達しが来たのよ。」
「ええ?」
「世継ぎのあろん皇子には御正室様は決まってらっしゃるけどまだもう一人皇子はいるとのこと、
それにあろん皇子は側室はいらっしゃらないのよ。それでどちらということではないけれど、
お話が内々に以前あったときらんぜのことも推薦していただいたのよ。
そうしたら是非にとのことだったのよ。こんな名誉な事って無いのよ。」
「でもでも・・・私・・」
29 :
夜伽話14:03/03/09 10:32 ID:1Bh34Z+n
「なぁに?皇子様に不満でもあるっていうの?そんなこと言わないでね。
せっかくお城とも取引を始めたところなんだから。」
「・・・・・でも・・・」
「とにかく、あなたは来月早々にもそういうことになるのだから。・・・・いいこと、あのよく会っているらしい、
え〜となんていったかしらあの男とはもう会うことは許しませんよ。
それにこれからお城に上がるまで店に出ることも許しません。習いごとにももう少し身を入れてもらわないと。恥をかくのはあなたなのよ。」
「・・・そんな・・・」
・・・・会えないなんて・・・・そんな・・・・そんなの・・いや・・
らんぜは急に自分の周りだけ冷えたように感じた。
「今日はお琴の稽古でしょう。早く出かけなさい。」
「・・・・・」
「返事は!」
「・・・・はい・・・・」
・・・・どうしよう・・・どうしたらいいの・・・・
らんぜはしいらに追い立てられるように稽古へと出かけた。
「・・・・・・らんぜさん?どうかなさったの?」
「・・え・・・あ・・いいえ・・・」
「いつもと違いますわ、何かありまして?」
「なんでも・・・ないです・・。」
「そうは思えませんですけれど・・・・・」
稽古事でよく一緒になるゆりえがらんぜをいぶかしげに見る。
「なにかあったのなら話してみられませんか?お役に立てるかどうかわかりませんけど。」
ゆりえはまるで以前の自分を見ているように感じ、つい声をかけてしまったのだ。
「・・・ゆりえさん・・・・」
潤んだ瞳は何かを我慢しているように、耐えているように見える。ゆりえは近くの水辺のほとりへと連れて行った。
30 :
夜伽話15:03/03/09 10:33 ID:1Bh34Z+n
「ここなら、誰も聞く人はいないでしょう?」
そういうとただ、黙ってらんぜが話はじめるのを待った。半時も立っただろうか。
「・・・・ゆりえさん・・には・・・・お城へあがる・・といったお話はきておりますか?」
途切れながらもらんぜの問いに
「私のところへ来ているかも知れませんが、私のお話はお聞きお呼びでしょう?
ですからおそらくは父が差し止めていると思いますわ。らんぜさんのところには来ているのですね?」
「ええ、母がとても乗り気で・・・。」
「らんぜさんはお城に上がるには何か気にかかることがおありなのですか?」
「・・・・・・・・」
「たとえば・・・・・好きな方がいらっしゃるとか?」
らんぜの頬が紅を差したようになる。ゆりえは小さく笑うと
「では、その方のところへお行きになられればよろしいのでは?」
「でも、どこに住んでるのか何をしているのか何も知らないのです。」
「ええ?!」
「だから・・・・」
泣きそうな表情をしているらんぜをみてゆりえは
「次はいつお会いになられるの?」
小さく首を横に振りながららんぜは
「いつも、店に来てくださるんです。店の使いで出かけたりするとついてきてくれたり。」
「そ・・・・れは・・・・・でも・・・・」
「・・・どこのどなたかも知らないのです・・・・私・・・・・」
泣き伏すらんぜにゆりえは何も言う言葉が見つからなかった。
・・・・話に行って見よう・・・・
そう、考えたゆりえがらんぜに声をかけようとしたとき、ふとこちらに向ってくる人影に気が付いた。
「らんぜさん、人がいらっしゃるからこちらへ・・・」
木の陰に促そうとしたときその人物がまっすぐ歩み寄ってきた。
「・・・・・・!・・・しゅん・・・様・・・・」
・・・・この方が・・・・で・・・も・・・・・・
ゆりえはしゅんを見るなりどこかで見たことがあるように感じた。だがどこでだったか合致しない。
31 :
夜伽話16:03/03/09 10:34 ID:1Bh34Z+n
「・・・・らんぜさん、今日はお店にいらっしゃらなかったですね。」
「・・・・ええ・・・・」
「らんぜさん、私はここで・・・」
「・・・ゆりえさん、ありがとう・・・」
会釈して早足でその場を立ち去りながら、ゆりえはまだ考えていた。
・・・・・どこで・・だっただろう・・・・
向った先はすぐるの家、歩きながら思いめぐらせているうちに
・・・・そうだ!あのときだ・・・・
偶然、街中ですぐるを見かけたことがあった、そのときになにやら話し込んでいたのが今日の彼―しゅん―。二人とも難しい顔をしていたので声をかけるのをためらった覚えがある。そのことにようやく思いあたった。
「・・・・珍しいな、こんな時間に。」
すぐるの家の小道に入ったときいきなり本人が目の前に現れた。
「・・・・・すぐる、話があるの。」
「おっかねぇ顔してるな?」
おどけたように肩をすくめながらすぐるが答える。
「・・・あなたの仕事って・・・お城の関係よね?」
「・・・・そっちの話かよ・・・・」
すぐるは舌打ちするとあたりを見渡しゆりえを部屋に引きずり込んだ。
「・・・んだよ、開口一番。そんなこたぁおまえがよく知ってんだろ。」
「じゃ・・・じゃぁ・・・・・・しゅんという男の方を知ってる?」
すぐるの眼がきらりと光る。ゆりえを凝視すると
「・・・なんでその・・・名前・・・」
「ああ、やっぱり知っているのね。同じお仕事の方?」
「それは・・・・・・」
・・・言うわけにはいかねぇんだ・・・・
「それともう一つ、お城から何かお達しでも出ているの?」
「なんでまた、そんなこと知りたいんだよ。」
・・・てっきり俺は・・・・・
「江藤屋さんのらんぜさんから・・・」
ここで本当にすぐるは咳き込んでしまった。
32 :
夜伽話17:03/03/09 10:34 ID:1Bh34Z+n
ここで本当にすぐるは咳き込んでしまった。
「だ、大丈夫?」
「・・・・・お・・・前・・・知り合いか?」
「お稽古事で同じお師匠様に通っているから・・」
「へぇそうだったのか?」
「・・・私の質問に答えて。」
「・・・今は・・・まだ言えない。」
「・・今は・・・ってことはいつかは話せるの?」
「・・・そうだな。おまえにならそのうち話せるだろう・・・・。」
・・・・・口の固いおまえのことだ・・・・
そう答えながら、すぐるの手がゆりえの腕をつかむ。
「・・・な・・に・・?」
「このまま帰ってしまうのか?」
まっすぐにゆりえの眼を見ながらすぐるが聞く。ゆりえは弱々しく抵抗しながら
「・・・早く帰らないと家の者が心配するわ・・・・」
「また、出奔したとでも思うだろうよ。」
そういうやいなやすぐるは布団にゆりえを押し倒した。
「聞くためだけに来たのかよ?」
「・・・そうよ。」
「期待もせずに?」
「・・・・・・・・」
・・・・考えていなかったなんていえないだろう?・・・
そういった表情でゆるやかにゆりえに降りてくるすぐる。ゆりえは眼を閉じた。
「いいな・・・それ・・・・その顔・・・」
期待と不安が入り混じったようなそんな表情にすぐるはきた。口付けをしながら胸元から手をすべりこませ、
もう片方で裾をはだけさせるとすぐにゆりえの息があがる。
「・・・・ふ・・・・んくぅ・・んん・・・・」
二人は二人だけの世界に没頭し始めた。明るい部屋で扉を締め切った中で響くのは二人の荒い息使いと
布擦れの音。お互い着物を半ばきたままの姿での交わりにいつに無く興奮が高まっていく。
33 :
夜伽話18:03/03/09 10:35 ID:1Bh34Z+n
「・・あ・・・・・はぁ・・・ん・・・・・・」
「・・入れるぞ・・・・」
ゆりえの足を開かせるとすぐるは中心部に自分の高まりを押し当てる。
「腰浮かせろよ。ほら・・・・・」
先端で擦りあげるとゆりえはそれに付随するように腰を揺らす。
「・・あ・・・・ああ・・ん・・・ふぅ・・ん・・・んん・・・」
すぐるは焦らすようにゆりえの入口あたりでそれ以上深くいれようとしない。身体が熱くのぼりつめたいのに
来てくれないその行為はゆりえをさらに追い詰めていく。
「や・・あ・・ああん・・・ん・・・ふ・・んん・・・んくぅ・・・・お・・ねがい・・・・」
「・・・・どうした?」
「・・・き・・・・・て・・・・す・・ぐるぅ・・・・・・」
ゆりえの言葉に満足したようにすぐるはゆりえの奥まで自分を押しこんだ。
「あ・・・ああん・・・・・・ん・・・・ああああ!!!」
その一突きでゆりえの快感は加速度をつけて跳ね上がり、すぐるに抱きつく。すぐるもまたゆりえの腰に
激しく打ち付ける。
「・・・はぁ・・ん・・・んん・・・くぅ・・・ん・・・ああん・・・・ああ・・・・」
「・・ゆりえ・・・・・・」
「・・・い・・くぅ・・・・・・・・あああああ・・・・!!」
ゆりえのそこがきつくすぐるを締め付ける。
「くぅ・・・・・・」
すぐるはゆりえの胎内へ自分の証を放出した。互いに抱き合い身体の熱が収まるのを待ちながら
つかの間の幸福感に浸っていた。
34 :
夜伽話19:03/03/09 10:35 ID:1Bh34Z+n
一方ゆりえに去られた二人はといえば・・・・・
「・・・ら・・んぜ・・さん?」
泣きはらしたような赤い眼を伏せがちにしてらんぜはしゅんのほうをむいた。
「しゅ・・ん様・・私・・・私・・・・」
言葉にならずまた涙があふれてくるらんぜの肩をしゅんはおもわず抱き寄せた。
胸元の布が冷たく湿ってくる。
「何があった?」
「・・いいえ・・いいえ・・・・・なんにも・・・」
「・・・お城・・に上がられる話が来ているんだろう。」
「なんで!・・・」
「江藤屋の旦那さんが言ってた。」
「・・・・・・・」
らんぜは涙をはらはら流しながらしゅんを見上げた。
「私・・・・・・どうしたら・・・・よいか・・・」
・・・・・俺は・・俺がそのもう一人の皇子なんだ・・・・・
そう言ってしまいたい、だが、言えない。言ったららんぜの態度が変わるのを恐れて。
しゅんはまだ泣きつづけるらんぜの頬を両手で支えると涙で腫れたまぶたにやさしく口付ける。
泣き止むまで何度でも繰り返す。
35 :
夜伽話20:03/03/09 10:36 ID:1Bh34Z+n
「・・あ・・しゅ・・・ん・・さま・・」
「・・泣きやんだか?」
「・・・ええ・・・・」
さっきとは違う赤さがらんぜのほほに残る。しゅんは我にかえり抱き寄せていた手をぱっと離すとそっぽをむきながらかりかりと頭をかいていた。
「・・・その・・・なんだ・・・え〜と・・・・・」
「ありがとう、しゅん様。」
「いや・・・・・」
なんとなく二人とも照れくさいような感じでそのままたたずんでいた。
「送るよ、店まで。」
「・・・いえ・・・・今は・・その・・・」
「・・・!ああ、じゃぁ近くまで。」
「はい・・・」
歩くときの二人の距離が以前より縮まったように感じた。
「ようこや。しっかりやるんだよ。」
「もちろんよ、お父様。朗報を待っていてね。」
今日は神谷堂の娘ようこが城に上がる日だ。ようこのねらいはただ一つ、しゅんを落とすことそれだけ。
豪奢な輿に乗せられてようこは城へと入っていった。
「ようこ殿、こちらがあなたのお部屋になります。夕方にはすべてそろいますのでそれまで
こちらで待機しているように。」
「わかりました。」
使いの者が下がるとようこは早速探索を開始した。かって知ったるなんとやらで昔の記憶がよみがえる。
「・・こっちに確か・・・・」
廊下の角を曲がると、はたしてそこにしゅんが下のものとなにやら話しているところに出くわした。
しゅんが話を終えて動き出したときようこはしゅんに抱きついた。
「ひさしぶりねぇ〜お会いしたかったわ!!!」
「おわっ!!!誰だ!」
「ひどいわねぇ、私を忘れるなんて。」
つっっっっ
続きギボンヌ゛〜〜〜〜〜!!!
>26新婚タンありがとうございまつ
そのうちまた恥をさらしに来まつ。
37 :
さなぎ:03/03/09 15:31 ID:MQsZem0H
新婚タンキタ━━(゚∀゚)━━( ゚∀)━━( ゚)━━( )━ ━(`*)…ア…(Д`*)…アア…ア…(*´Д`*)アアア━…ッ!!!
いよいよ核心に迫ってきましたね!!もー続きが楽しみで楽しみで(;´Д`)…ハァハァ
>新婚タン
とうとう、ようこがしゅんの前に登場でつね〜〜。
続き楽しみでつ!
>698さん
真壁くんの恋愛観というか人生観みたいなのが出てて
深みがあってよかったです。純愛だあ。
続きの発射編(w)楽しみにしてます。
>新婚作者さん
いや〜パラレル面白いっ。
克ゆりがいいですナ(当方最近克ゆりブーム)
ようこの動向がひじょーに気になってます。
密かに力の登場を期待してたり(w
40 :
新婚作者:03/03/09 22:51 ID:1Bh34Z+n
有難う!!!
書いててあんまりエロくないなあなどと考えつつ・・・・。
今回しっかり主役カップル初々しいでしょうか?
りきくんの登場も考えてはいますがどうやって出そうかと
暗中模索中です。
りんぜの出番が無いのはご愛嬌ですな。
出してやりたいのに・・・・・なるみつきで。
すぐるゆりえは素直にすぐるがはっきりエロでかけるので
進め易いですね。
さて、続きを書きに逝ってこよう・・・。
>>698たん
∧ ∧ 素晴しかったでし!
(;´Д`) <実に素晴しい愛の物語だったです!
/ つ
エロパロ?。。。んな軽い響きの作品じゃなかったす!!
一行一行、じっくり読み入ってしまいました。
リアルでも大切にしたいような、気になる言葉が沢山あったでし!
大変な作品を読ませて頂き、ありごとうもざいますた。
何か、がんばろうって思いました。
続きを御投下さるとのこと、、、禿しく嬉しいでし。。。
>>新婚たん
今回もドキドキしながら読ませて頂きますた。
時代物でここまで、、、(゚д゚;)スゲーヨスゲーヨ
つか俊が、何か可愛ええ〜〜!
あと新婚たんの克ゆりSo Nice!
作風にもハマってる気がしますたよ。
あ"ー続き気になるでし〜!
Gタンハケーン
FROM逃亡先からでつか?
>>新婚タン
続きが心の底から楽しみです
りんなる出てくるのかな〜(ワクワク)
きちんとお礼を言ってなかったので、
もう1回だけ書き込みさせてください。
>前スレ872さん
ありがとうございます!
お言葉をいただけてとても嬉しかったです。
本当にありがとうございました!!
>>前スレ871タン
今、前スレ読み返したら、871タンのこと呼び捨てにしてましたぁ〜、
すみません・・(ノД`)。。。
>>もう1回だけ書き込みさせてください。
そんなこと言わずに、またお話書いて下さいね!
楽しみにしてますよぉ〜〜!
>>新婚作者様
相変わらす素晴らしいですね。
りんなる見たいです〜(ノД`)。。。
46 :
山崎渉:03/03/13 17:49 ID:OxWLo+tw
(^^)
>46
山崎渉さん(^^)だー!
なんとなく、お久しぶりです(笑)。
48 :
698:03/03/13 23:54 ID:qakYGATR
ここにくると、神々の様々な作品が読めて楽しいですね。
次は、どなたかな。
どこかの神、降臨しないかな?
お話読みたいYO!
最近、ここ静かですねぇ(w
いま、Gたんのところで久々にイッキ読みしてきて、
最初は、蘭世と真壁くんがエチしてるところなんて、ちょびっとたりとも
想像出来なかったけど、今ではわたしの想像力もずいぶん豊かになったもんだなぁ。
…と、思いました。
これもひとえに、作家さまたちの作品のおかげです。
作家様、ありがとうございます。
静かだなぁ・・・。
作家様がんがってください。
応援しております。
53 :
夜伽話21:03/03/16 11:35 ID:Ij2YTjlj
「・・・おまえ・・・!ああ、え〜と・・なんていったかな・・?」
「ようこよようこ!昔あんなに遊んだじゃない。」
「ああ、そういえば。どうしたんだこんなところで。」
「あらん、決まってるじゃない。あなたに嫁ぎにきたのよ。」
「ああん?」
「将来は私と一緒に神谷堂を盛りたててね。それで・・・・」
しゅんは興奮しているようこを無理やり押さえると
「誰か、この者を部屋に戻してくれ。」
「しゅん・・・皇子!!」
困ったような表情のしゅんは部下にようこを連れて行かせるとため息をついた。
「しゅん皇子、どうかなさったか?」
「いや・・・・」
・・・・ただでさえ、ややこしいのに・・・・ったく・・・
内心頭を抱えながらしゅんは仕事に意識を集中させるようにした。しばらくすると部屋の入口に人影が見えた。
「・・・しゅん?」
「ああ、あろんか。どうしたんだ?」
「父上がお呼びだぞ。僕はもう終ったから。」
心なしかにやけているあろんを不信に思いながらも王のところへと向った。
「お呼びですか?父上。」
「・・・入れ。」
「失礼いたします。」
扉が開かれしゅんが中に進むと王と王妃がそろってしゅんを迎えた。
「ひさしいの、しゅん。おまえはあまりここに顔を出さないからな。」
「そうよ、たまには顔を見せにここへいらっしゃいな。」
「・・はぁ・・そうは思うのですがなかなか・・・・。」
「まぁ、よい。ところで今回の話は聞いておろうな。」
「・・・・・城下の女性達のことでしょうか?」
「そうじゃ、あろんはまぁ、まだ正室が子を成さないのでな、今後のことも考えて側室も持ってもらおうと考えておるのじゃ。」
54 :
夜伽話22:03/03/16 11:36 ID:Ij2YTjlj
「・・・そうですか・・・」
・・・・あのご正室で側室なんて持てるのか・・・・無理だろうな・・・・
そう思ったことはおくびにもださずしゅんは答えを選んでいく。
「それと・・・な・・・・おまえのことだ。」
「・・・俺・・・・いや私のことですか・・・?」
「そうだ。おまえもあろんと同い年だ。そろそろよいではないか?」
「はぁ・・・」
「・・・先だって神谷堂から話があってな、無理強いはせん、会わせるだけは会わせるということで伝えてある。おまえは知らん者ではいやだろうと思ってな。」
「・・・しかし・・・・」
「無理強いはせんと言っただろう?あろんもそうだった。確かに最初から決められていた相手ではあったがそれでも嫌なら言ってくるようには伝えておいたからな。」
「・・・・・・・・・」
「それとも何か?他におるのか?」
「・・・え・・・?」
「そういえばしょっちゅう城を抜け出しては城下へ出ているそうだな?」
「・・・・・・・・・」
「そうよ、しゅん。どこのお嬢さんなの?」
「・・・・・身分違いなど気にはせんぞ。なぁたーな。」
「ええ、あなた・・・・」
「おまえと結婚するときは大変だったからな・・・・」
「・・・あなたが守って下さったから・・・」
子供がいることなど気にかけずうっとり見つめあいはじめる二人にしゅんは慌てて
「・・・で・・では、私はこれで・・・・」
「しゅん、今回の女性達はあろんの側室候補ではある、がしかし気になる女性がいるのならいうのだぞ。」
温和な表情で王はしゅんに言葉を向けた。
「・・・・・失礼します。」
そういうとしゅんは部屋を退出していく。
・・・・・・・はぁ、まいった・・・・・
子供が結婚する年齢になるっていうのに相変わらずの王と王妃に子供であるしゅんとあろんはいつもあてられっぱなしである。
・・・・どうしろって言うんだよ・・・・・
しゅんの悩みはどうにもならないところへきていた。
55 :
夜伽話23:03/03/16 11:37 ID:Ij2YTjlj
「あろん様・・・・」
あろんが自室で一人外を眺めていたところへ訪問者があった。
「ああ、ふぃら来たの?」
「はい・・・あの・・・・」
少し哀しげな表情でふぃらはあろんを見やる。
「聞いたの?」
「・・・・・はい・・・・」
「こればっかりはね。僕の思うとおりになるわけではないから。」
「わかってます。」
「心配しなくていいよ。」
「・・・はい・・・」
とはいえふぃらも女である。
・・・・・この方が他の女性に触れて・・・そして・・・・
自分の様に乱れさせられる。自分の見えないところで、わからないところで。
そう思うだけでふぃらは嫉妬で狂いそうになる。
「どうしたの?」
ふぃらの眼を天真爛漫に覗き込むあろん。その眼に慌てて
「何でもありませんわ、あろん様・・・」
そう言って儚く笑顔を見せる。
「そうかなぁ・・・?」
首をかしげながらあろんは考え込み、そして何か気が付いたようにいたずらっぽい表情をする。
「やきもち?」
「!・・・そんな・・・」
「ふぃら・・・かわいいね。」
56 :
夜伽話24:03/03/16 11:38 ID:Ij2YTjlj
片手であごを持ちあげふぃらの唇をちゅっと吸い上げる。
「あ・・ろん・・様・・・こんな・・ところ・・」
「見られても構わないさ。君は僕の奥さんなんだから。」
わかっていて使う言葉、ふぃらの心に簡単に入ってくるその表情。
・・・・愛されているのだ・・・・まごうことなく・・・・・
信じよう、信じていよう。ふぃらの思いは乱れ、それでも確固たる何かを持つ。
「奥さん、こんな格好じゃ僕は嫌だな?」
そういうあろんの手がふぃらの帯にかかる。
「脱いでよ、僕の目の前で。」
「・・・ええ・・・・・ええ・・あろん様・・・・」
ふぃらはしゅるんと帯を抜く。かたどられた帯が足元にたまっていく。一枚・・・・また一枚と
ふぃらの身体から布がはずされている。
ふぃらが薄桃の襦袢姿一枚になるとあろんは
「それはそのまま、僕のところへおいで。」
一歩一歩あろんのそばへ歩み、そして腕に抱かれる。
「この下は何を着ているの?」
「・・・なにも・・・・」
「本当に?確かめてもいいかな?」
「ええ・・・あろん様になら・・・・なにをされても・・・」
「ふぃら・・・・いいコだね・・・」
あろんは襦袢の胸元、そして裾の合わせ目からそれぞれ手を差し込んだ。
「本当だね・・・僕の言いつけ守ってきたの?」
「あろん・・・様・・・はぁ・・・ん・・」
乳房のふくらみを押しつぶすように強くつかみ、秘部は熱く潤う泉となった中へ指を一気に3本差し入れる。
「こんなに・・・・濡れてるのはなんで?」
「・・は・・ああ・・んん・・ふ・・・・ん・・・」
「やきもちから?」
57 :
夜伽話25:03/03/16 11:38 ID:Ij2YTjlj
「・・・ああ・・いわ・・・ないで・・・ください・・・もう・・・」
両手を抜くと裾を大きくさばかせ後ろの腰紐に差し込む。そうしてふぃらを立たせたまま自身はしゃがみこんだ
「丸見えだよ。ふぃらのあそこ・・・・腿までこんなになってるよ・・・・」
強引に足を開かせると舌先で掬い取るように蜜を舐め取った。
「あああ・・・あああんん・・・・」
両手であろんの頭につかまる。
「今日は離さないよ・・・・ふぃら・・・」
「・・ああ・・・・あろん・・・様・・・・」
・・・・・ずっと・・・ずっと・・・私だけの・・・あろん・・様で・・・いて・・・・・そのためなら・・・なんだってするから・・・・・
「らんぜ!!」
「はい!」
「店に出なくてよいと言ったでしょう?今日はお花のお稽古ではないの?」
「でも・・でも・・・」
「・・いいよ、行ってきなさい。」
「お父さん・・・」
「らんぜ!」
追い出されるように稽古へ出されるらんぜ。しゅんはここのとこ店に来ることは無かった。
「ふぅ、やっと行ってくれたわね。」
「しいらや、あんまりに強引すぎやしないかい?」
「・・・・まぁ、ねぇ。でも今まであの子がサボっていたのが悪いんだし。」
「お城に上がるのはいつだね?」
「来月早々には。もう、神谷堂さんのところは行かれたそうよ。」
「そうか・・・・」
「いいのよ、別に。本気で皇子さまの側室になれるなんて思っていないから。でも、万に一つの可能性があるならかけたいのよ。」
「・・・・わかっているよ。」
親はいつでも子供の幸せだけを望むものだ。
58 :
夜伽話26:03/03/16 11:39 ID:Ij2YTjlj
「おかあさん。」
「なぁにりんぜ。」
「遊びに行ってきてもいい?なるみちゃんと約束してるの。」
「あんまり遠くに行ったらだめよ。」
「はーい。」
裏口から出かけていくりんぜ、少し行った物陰にしゅんが立っていた。
「あれぇおにいちゃん?」
「よう、今日おねえちゃんは?」
「うん、お稽古行くって出かけてるよ。今日はお花だって。」
「そうか、有難う。」
「おにいちゃん、おねえちゃんのこと好きなの?」
「ん?どうしてだ?」
「僕、なるみちゃんのことすっごく好きなのだから毎日会いに行くんだ。おにいちゃんも
よくおねえちゃんに会いに来てるから。」
「そうだな・・・・そうだと思うよ。」
「じゃ、僕のおにいちゃんになるんだね?」
「・・・・・そう・・・だとうれしいか?」
「うん、僕おにいちゃんずっと欲しかったもん。」
「そうか・・・」
りんぜの頭をなでしゅんは優しい瞳を向ける。
「ほら、行ってやれよ待ってるんだろう。」
「うん、そうだった。じゃおにいちゃんばいばーい。」
振り向くことなく一直線に向っていくりんぜをしゅんはただ見送った。
・・・・好きなんだ・・・ろうな・・・たぶん・・・・
愛しいと思った。大切にしたいと、時間をともに過ごしたいと望んだ。だからこそ自分の事はいえなかった。
言えば否応なしに巻き込まれてしまう。
あの世界へは入れたくなかった。それが今裏目に出てしまっている。
「・・・・・俺にはあんな時代は無かったな・・・・」
自嘲ぎみにいうとしゅんはらんぜのいると思われる場所へ向った。むろん、少しでもらんぜに会い、
あの哀しげな瞳を明るくするために。
59 :
新婚作者:03/03/16 11:42 ID:Ij2YTjlj
こんにちわ、新婚です。
今回あんまりエロくないですねぇ・・・。
パラレル書いてるとなかなかシチュエーション表記が
難しいです。
でも書いてて楽しいですよ。
眼いっぱい趣味ですからねぇ・・・・。
いやん、こんなのと思った方はごめんなさい。
まだまだ先がながいなぁ、というのが
書いてる本人からの感想です。
ごめんなさい。
それと時代考証の突っ込みだけはご容赦ください。
書いてる本人一番わかってますから。
着物着てる1部メンバーが書きたかったんです。
着物でHがなんともなまめかしいから。
妄想欲沸くんですよねぇ・・・。
では、続きを書きに逝って来ます。
妄想大爆発〜〜〜〜
新婚タンキタ━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)
王と王妃が仲いいところが、江藤夫妻みたい(萌)
新婚さん、いいッス。小説読んでるのに、絵がリアルに浮かびます(ノ≧∀≦)ノ妄想万歳
新婚タン、イイ!
お話広がってますねー!すごいです!
ときめきキャラ総出演な感じですんごいお得ですな!
蘭世と俊がどうなるのか、すんごい気になります。
新婚タン(・∀・)イイ!
明日にも戦争開始です。少しでもこの戦争はおかしいと思っている人は
直接ブッシュ大統領にメールを送って少しでも抗議の意思を表明し
ましょう。
メールアドレスはこちら (今のところちゃんと送れます。)
↓
[email protected] とりあえず、今日3月19日 午後11時
3月20日 午後11時
に皆さんで、題名 Don't attack Iraq などと書いて送りましょう。
内容については各自自由に。
リンク、コピペ大歓迎。
2ちゃんねらーの力を見せ付けてやりましょう。
田代のときを上回る結果を出しましょう。
「真壁君、お茶でも飲まない?」
部屋のドアを開けた江藤はネグリジェで、
ずかずか俺の部屋に上がり込んできた。
「誰も遊んでくれる人がいないんだもの」
江藤家の人たちは時々思い立ったように姿を消す。
気を利かせてくれるのはわかるが、
俺にどうしろって言うんだよっ
自分達の娘がどうなってもいいのかよ。
信頼されているのか、それとも期待されているのか、、、。
そのうえこいつもわかっているのか、いないのか、、、。
妄想激しいくせにニブイからなぁ、、、。
タガがはずれたらどうなっちまうのか、知らねえぞ。
くるくる表情を変えて一生懸命話す江藤。
実はあまり話を聞いていない俺。
「おまえ、かわいいな」
「え?」
やべっ つい口からぽろりと、、、。
平常心平常心
江藤の真っ赤な顔見ると、こっちはもっと恥ずかしい。けど、
あいつは自分の照れで精いっぱいだから俺のには気が付かない。
ええい
「おいで」
立ち上がって促す。
こんな時間に人がいるとは思いませんが、
もう少し後につづきをうpします。
真壁くんが、微妙かな?
おお!新作ですか。ばっちり見てますよ。
続きを早く〜(・∀・)!!
江藤を軽く腕に抱き、あいた方の手でほほにかかった髪を向こうへ追いやる。
うつむく江藤をのけぞらせるとキスしやすい。
唇が触れるだけの軽いキスから徐々に深く。
江藤はあまり舌を絡ませてはこない。恥ずかしいんだろう。
まだそんなに経験ないしな。
何度目かの唇を離したとき江藤は唇をかすかに開いて俺をさがした。
俺の唇がそこにない事に気が付くと我に返り小さくなった。
「やだっはずかしいっ。見ないでっ」
江藤が次のキスを求めていたってことだ。
反応されると嬉しいに決まってる。
でも、嬉しいよなんて言えるわけがない。
「じゃあ、見えないようにあっち向いとけ」
俺は江藤の向きを変え、後ろから抱く格好になった。
ゆっくりネグリジェのボタンを外す。
江藤は胸の前でグーを作って、なにげにガードしている。
グーの手を包み込み腹の方まで下げると
江藤を包んでいるものも一緒にはだけた。
腰から上には何もつけていない格好だ。
「恥ずかしい、見ないで」
「大丈夫。見えない」
嘘に決まっている。江藤の白い肌はだんだん赤みがかかってくる。
体温が上がってくると同時にきれいな胸がとんがってくるのがわかる。
まだ触れてもいないのに。俺はその変化を目で楽しんだ。
まだ両手はグーのままだ。
こんな夜更けに人がいたんですね。
朝までには全部うぷします。
俺は江藤の耳たぶを軽くかんだ。
江藤は小さく震えた。
そのまま唇と舌を首筋におろしていき、時に強く吸っては痕を残して楽しんだ。
だんだん江藤のグーにも力がなくなってきたのがわかる。
手を離すとネグリジェはすとんと床に落ちた。
江藤の弱いとこ ー耳たぶー をかみながら
左手で胸をすくいあげる。とてもきれいで愛おしいもの。
強くつかむとあごをあげる。
反応する自分の事も恥ずかしいのだろう。乱れた呼吸を整えようと必死だ。
そしてとんがったところを弾くと
「ぁ ・・・」
声をだすのを知っている。ほんとかわいいな。
下腹部を撫でていた右手を下げていく。
江藤にとっては一番恥ずかしいところだろう。
脱がさずにそのまま手を差し込む。
潤い過ぎて簡単に指がたどり着く。
熱をもった女の部分。
ここが江藤の一番感じる場所。
「や・だぁ・・・まかべくぅ・・ん」
泣きそうな声をふさぐ方法。
かわいい口に指を入れてやる事。
どっちにも。
潤った場所に触れてやると熱い息が俺の指に絡んでくる。
あきっぱなしの口からこぼれそうな唾液をのみ込もうとすると、
おのずと俺の指に舌を絡ませ、吸い付く事になる。
その頃になると、だんだん江藤も本能を少しずつ出し始める。
強く弾くと腰を引いて逃げるくせに優しくしてやると
腰をゆらして求めてくる。その繰り返しが楽しい。
やり場がなくておれの腕に巻き付けていた江藤の腕に力が入ってくる。
逆に下半身からは力が抜けてきた。
もうそろそろだな。
江藤は分かりやすい。まだ恐いんだろう。
絶頂がこようとすると本気で逃げようとする。
だけど、逃がさない。
「お・ねが・い・・もう・・や・・ん」
「だめだ」
江藤は後ろから抱き締める俺を振りほどいて
両腕を俺の首に絡ませてくる。
抱き合ったままの姿勢で、ベッドに倒れ込み、
執拗な俺の愛撫にたえかねて江藤はその言葉を俺に伝える。
『あっ・あっ・んっ・・っちゃ・・う・・ん・ん』
言葉と同時に何かが爆発し俺は江藤に突き立てる。
突くたびに大きくのけぞる体を抱き締めようともせず、
あいつの足を担ぎ上げ、強く絡み付くものを感じながら
自分の絶頂まで突っ走る。
江藤を壊しそうになる恐怖よりも快楽への欲望がかつ瞬間。
「ラン・ゼっ」
肩で息をしている江藤を抱き締める。
「悪い。恐かったよな?」
無茶をして。
「ん、ちょっと恐いときもあるけど、真壁くんいつも
最後に言ってくれるでしょ?『蘭世』って/////」
恥ずかしがってる江藤を抱いているときは一段高いところから理性を
もっていられるが、
感情的になると何をやらかすか自分でも想像が付かない。
江藤が絶頂を迎える瞬間いつも江藤の喜びがなだれ込んでくる。
その瞬間俺を押さえ込んでいたのもが全て解き放たれてしまう。
もう抑えがきかない。
愛(いと)しすぎて壊してしまいそうだ。
終わりました。
いちお、蘭世視点も書いたので、
また、神の隙間にうpさせてもらいます。
と、いうわけで、神様達はやくぅ。
夜更けの新作うpおつかれさまです。
堪能させていただきました。
真壁くん視点大スキーなのでうれしいです。
神の隙間に、などと言わず、蘭世視点もよろしくお願いしますー。
フェザー級真壁、初の防衛!!!
わざわざ朝からコンビニまで行って、スポーツ新聞を買い込んだ蘭世は
でかでかと一面を飾る文字に、ちょっとした興奮を味わいながら
リビングで新聞を広げて読み入り、昨夜のことを回想していた。
昨夜の試合も見に行った蘭世だが、真壁俊の妻である彼女の周りにもカメラが向けられる。
それは予想済みだったので、蘭世も気を抜かないように気をつけていた。
試合自体は危なげなく俊が勝利をおさめ、また蘭世にガッツポーズをして見せている。
さすがにマイクパフォーマンスはないが・・・・
終わって席を立つ蘭世に、1人の男が話しかける。
「あのっ・・・真壁俊さんの奥様ですよね?サイン下さい」
「へっ・・・・?」
振り返ると、筒井圭吾だった。
その後ろには小塚楓がいる。
「つっっっ筒井くんにかえでちゃん・・・なんでこんな所に・・・?」
「やぁね〜蘭世。"こんな所"はないじゃない?」
「蘭世ちゃんの結婚式で会った時に、防衛戦は一緒に見に来ようって言ってたんだ」
しばらく3人で盛り上がって話してたら、今度は少し腫れた顔の俊が迎えにきて驚いた。
「なっっ・・・おまえら何でこんな所に・・・」
「ぷっ(同じ事言ってる)。真壁くん、結婚式以来ね〜〜。
防衛おめでとう。お祝いにまた余計な知恵を授けておこうか??」
「・・・・!!・・・・」
俊と蘭世は思い出して顔を真っ赤にする。
「余計な知恵って?」
「フフフ・・・秘密」
筒井とかえでは仲良さそうだ。
「お前らいつの間に・・・・・」
「いいデートの口実につかわせてもらったよ。真壁。防衛おめでとう」
「あ・・・ああ・・・」
「おい真壁!! みんな待ってるぞ」
祝勝会のメンバーがしびれを切らしている。
今日も飲み明かしコースだ。
「お前らもくるか?」
「いや、いいよ。ディナーを予約してあるんだ」
「ウフフ。蘭世、またね。明日電話するわ」
さわやかな香りを残して立ち去る二人を、ボー然と見送る俊と蘭世。
ホント・・・いつの間に・・・あの2人ったら・・・・
蘭世は朝っぱらから1人で笑いをこぼした。
午後、俊が軽いトレーニングをしに出かけた丁度後にかえでから電話があり
せっかくだからと新居に遊びに来た。
「素敵なおうちね〜」
「そっか・・・かえでちゃん、新居に来るの初めてだったっけ?」
「そーよぅ」
「昨日はちゃんと帰ったの〜??」
「ふっふっふ〜〜」
もちろん話題の矛先は筒井くんだ。
ハネムーンのお土産を渡して以来なので、積もった話は終わることなく続き
2人は延々としゃべり続けた。
その話題の中には勿論新妻ミッションの続きもありだ。
真っ赤になりながら、なんだかんだと一生懸命話をきく蘭世がおかしくて
かえではまたついつい内容をエスカレートさせてしまう
その日の夜の蘭世は、相当気合を入れてベッドへ臨む。
俊が帰宅してからは夕食を作ったり話をしたり、いつもと変わらない様子を見せ
心の中は常に違うことを考えるように、ありったけの精神力を振り絞った。
そんな蘭世には全然気づかず、シャワーを浴びた俊はベッドに寄りかかって本を読んでいた。
何気ない風を装って、俊の背後に近づいた蘭世は久し振りに俊に噛みつく。
部屋の中には俊が2人。
意識のない俊の体を、一生懸命な俊が引きずって後ろ手に縛り上げる。
こないだ蘭世が縛られたように、ストッキングでがっちりと・・・。
そして意識のない俊にはタオルをまいて目隠しをする。
俊を運んで息の荒い俊は、縛られた俊の手元を念入りにチェックすると
ティッシュをよりよりねじって自分の鼻をくすぐる。
「はっくしょん」
意識の覚めた俊は、しばらく自分の置かれている状態がわからなかった。
手が動かない・・・
目も開かない・・・
蘭世の気配だけがする。
「おい、何の真似だ」
「何のマネでもないんだけど、大人しくしててね」
「おい・・・・やめとけよ」
それに返事はなく、おもむろに俊のパジャマが柔らかい手によって脱がされていく。
1枚1枚柔らかい果実を剥くような手つきだ。
そして初めて蘭世の考えていることに気づく。
・・・こっっっこいつ・・・・・
全裸にされてしまった俊は、自分に覆い被さってくる蘭世もまた
何も衣類をつけていないことを、熱い肌の感触で知った。
蘭世は俊に熱烈な口付けをし、そのまま首筋を伝って下降する。
この熱い口付けすら自分のペースでできず、もどかしさで気が狂いそうになる俊。
そもそも蘭世が自分からキスしてくることすらあまりない。
ねだっては来るが、あまり自分から積極的にはしてこないのだ。
無駄な肉の一切ない胸に勃つ小さな乳首を含み始めた唇は熱く、そして小さく震えている。
俊は初めてその感触を気持ちいいと感じた。
行き着く高みの快感とはまた違う、甘いもどかしい快楽・・・・
焦らされているのか煽られているのかが、本当にはっきりしないほど微妙な動きだ。
蘭世はしばらく俊の乳首で遊ぶように下で転がし、吸い付き、甘噛みしてくる。
さらりと動く蘭世の髪の感触が心地良くくすぐったい。
触りたいのに手が動かない。
・・・実を言うと、こんな戒めはすぐ取れるんだけどな・・・・
蘭世が何をしてくるのかが気になって、もう少しされるがままを楽しみたい俊なのである。
そんな俊の思惑など気づくはずもない蘭世は、また少しずつ下降を始める。
くびれているといえるほどすっきりとした俊のウエストを、なめらかな舌で滑り降りながら
既にいきりたっている杭をぐっと掴む。
「!!!」
目隠しされているせいか、俊のそれは過敏に反応してしまう。
蘭世の吐息が愚息に近付いてきているのがわかるのだが、触れてこない。
体熱が空気越しにわかるほどスレスレに近いはずなのに・・・・
開いた唇が今にも自分を飲み込んできそうなのに・・・
触れてくるのは吐息だけ・・・
時々唇なのかわからない程度に、熱い肌がかすってくる。
なんてもどかしい・・・・
俊の鼓動はどんどん早くなり、破裂しそうな程自分が昂ぶっているのがわかる。
蘭世はそっっと自分を咥えてくるのだが、その感触はやはり吐息のみで唇も下も触ってこない。
こんなに焦らされたことがない俊は気が狂いそうになってきた。
意識したわけではなかったが、魔力ではなく自力で戒めを取ろうと体をねじる。
・・・もう我慢できない・・・
俊の様子を注意深く見ていた蘭世は、その反応の仕方を見て行動を変えた。
俊の顔に背中を向けてまたがり、また咥える。
今度はもう遠慮がなく舌を這わせてくる感触に、俊は動きを止めた。
蠢く舌の行方に神経がどうしても絞られてしまう。
それはいつもされている事なのに、今日は体にしみわたるような違う快感だった。
そしてさりげなくお腹のあたりに感じる2つの突起・・・・
それはきっと・・・・
・・・・・くそっ・・・・
余裕で静観しているつもりでいたのに蘭世に翻弄されている自分に腹立たしさを覚え
闇雲に頭を振った時、目隠しをしていたタオルがはらりととれてしまう。
まぶしさを感じながら開いた目の前には蘭世の熟れた白いお尻が揺れていた。
急激に頭へ血が上る。
俊は確かにブチッという音をきいた気がする。
もうその後のことは覚えていない。
途中で蘭世の悲鳴が聞こえた気がしたが
気が付いたら蘭世は既に意識がなく、自分の隣で横たわっていた。
そして1回分とは思えないほどおびただしい量の精が、蘭世の足の間から流れている。
シーツにも既に落ち、それは自分の犯してしまった行為の激しさを物語っていた。
・・・なんてこった・・・
俊は両手で頭を抱え、自分のケダモノぶりに恥と恐怖を感じた。
自分がこんな風に暴走してしまうとは思わなかったのだ。
しかもかつてないほど頭に血が上っていたのか、何をしたのかがはっきりしない。
もちろん性行為以外の何もしてはいないのだろうが・・・・・・・
一瞬蘭世がちゃんと息をしているのかすら心配してしまう。
小さな寝息を確認して安心すると、蘭世の頭を撫でて自分の腕に引き込み
「やめとけって言ったのに・・・・」
とつぶやきながら抱きしめた。
申し訳ない気持ちと、あのしびれるような快感をもう一度という気持ちが複雑に絡み合う。
蘭世は次の朝まで目覚めることはなく、俊も結局その眠りにつきあうことになった。
真壁家を包む闇は静かに濃さを増していき
蘭世が落ちていった眠りの深さを示しているかのようだった。
ちなみにその日の夕刊の一面までいきはしなかったが
人気DJ筒井圭吾、深夜のデート!?
が、写真付きですっぱ抜かれている。
もちろん蘭世も俊も、全然知らずに次の日まで眠りを貪っていたのだが・・・。
最近静かだったんですね〜
神々は降臨してこないのかな・・・
という事で、修行から逃げ出して遊んでしまいまつた。
新婚タンの桜吹雪が待ちきれなくて・・・
な〜んて、日本て平和でつね♪(漏れの頭が平和なのか)
83 :
新婚作者:03/03/21 15:56 ID:qoJMbziJ
おお!久しぶりに覗いたら新作・・・
それも片方は350さんではありませんか?
びっくり。
私は・・・といえば
今仕事が追い込みで時間がありません・・・・。
日本が平和なのはいいことだけど。
仕事が忙しいのはつらい・・・。
うわぁ、350たんだ!お帰りなさい!
修行お疲れ様でした!
「おれを感情に走らせるな。なにをするか分からない」の真壁くんですね!
理性の切れた真壁くん、激萌えです〜!
85 :
さなぎ:03/03/22 14:13 ID:kZd45ixt
神は貴女でしょー350タン!
こういうシチュは初めて読んだっす!!昼間っから禿しく興奮(*´Д`)
蘭世に攻められる真壁くん萌え〜
ブチッっで思わず笑ってしまったわたすはいけない子でつか?
350タンの所々に入る笑える表現がすごく好きだったりします(ハァト
>新婚タン
やはりこの時期は仕事忙しいでつね。(me to なのでつ)
お体こわしませぬよう
>84タン
そうなんでつ〜〜♪
わかってくれて嬉ちいでつ〜
アレを読むだけで萌えてた頃は「どうなるんだろう」と妄想広げたもんです。
>さなぎタン
神に神といわれてワーイワーイ
ブチッは最初から入れようと思ってまつた。
どうしても最初から最後まで真面目にエロを突き進めない性格なもんで・・・
笑ってくれてありがと〜です(*^ ^*)
催眠ネタは袋小路に入り込み、なかなか進みません。
いえいえ頑張りまつ・・・・
350タン激萌え〜!!
蘭世からの視点(俊の記憶がない部分)も
ぜひ、ぜひ、見たい〜!!
65~の「夜のつま先」(タイトルに意味はなかった/笑)
書いたものでツ。
今晩うp予定のある人がいなかったら
蘭世バージョンうpしまつけど。
>67、68さん
へんな時間に読んでくれてありがとう。
>75さん
レスありがとう。ひとりでもキボンしてもらえると
書いたかいがありまつ。
「蘭世、しっかり王子様のお世話してあげるのよ」
お母さん達は謎の笑いを残してどこかへ行ってしまった。
最近よく二人きりの夜がくる。
二人きりなんて、はずかし〜〜い////
でもキスくらい、ねえ?
「真壁くん、お茶でも飲まない?」
真壁くんは意外とあっさり部屋に入れてくれた。
というか、突き進んだ(笑)
何か恥ずかしいよねーこんな雰囲気。
広い家に二人っきりの恋人同士(はあと)
二人きりで恥ずかしいから、いっぱい喋った。
真壁くんは時々微笑んであいづちをかえしてくれるだけだったけど。
「おまえ、かわいいな」
「え?」
か、かわいい?真壁くんがかわいいって!
きゃ〜〜〜〜顔が赤くなるのがわかっちゃうよ。
どうしようどうしよう。
「おいで」
はい。ぽや〜んとなっている蘭世は真壁くんにはあらがえません。
真壁くんのなすがまま。
でも恥ずかしいからうつむいたまま。
真壁くんが背中に手を回してきた。
あ、
仰向けにされると同時に優しい優しいキス。
はじめはそっと触れるだけ、
次はちょっと押し付けるように…
その次は唇を吸われて…
上唇を軽くかまれて…
ちょっとだけ舌が…
次はきっと…
次のキスがこないのに気が付いたのは、自分からキスしようとした時だった。
真壁くんに見つめられていた。
「やだっはずかしいっ。見ないでっ」
ばれてるよね。はしたない蘭世。
「じゃあ、見えないようにあっち向いとけ」
真壁くんは、わたしをくるっと回転させて後ろから包んでくれた。
と思ったら、ボタンはずされてる〜〜っっ
どうしよう、嫌じゃないけど、はずかしいよぉ。
自然に手に力が入ってしまう。
胸の前で握りしめた手を真壁くんは優しく包んで、押し下げた。
あ
ネグリジェがはだけてわたしの…
「恥ずかしい、見ないで」
それだけ言うのがやっと。
「大丈夫。見えない」
真壁くんはそういうけど、絶対嘘だよ〜。腕も離してくれないし。
恥ずかしい、恥ずかしい。
なんだか熱くなってきちゃった。
普通に呼吸が出来ない。苦しいよ真壁くん。
んっ
耳たぶをかまれるとダメ…ぞくぞくするの。やだ、真壁くん。
首筋に真壁くんを感じるよ。
いたっ
時々痛いほど首筋をすわれる。また、赤くなっているのかな。
痛いけど、痕が残るって幸せだよね。
真壁くんはあたしのこと何でも知ってる?どこが…とか。
読まれてるのかな?
やっぱり読まれてるよね、ここ、わたしの力が抜けちゃうところだよ。
みみ。
んふぅ・・・
「ぁ ・・・」
時々激しくされちゃうとびっくりして声が出ちゃう。
んむっ
我慢してるのに。やっぱり、知ってて触れてるの?
胸って、触れられると真壁くんの手の冷たいのがよくわかる。
あっ・・・・
気が付いたらネグリジェは脱がされてて…
真壁くんそこは恥ずかしいよ。だめだめだめ。
やんっ・・
どんなになってるか、わかるから恥ずかしいよ。
どうしようもないくらい濡れてるよね?
「や・だぁ・・・まかべくぅ・・ん」
恥ずかしすぎる。
口のなかに指入れられてもどうしていいのかわからない。
ただ、いやらしいってことはわかるんだけど。
たまに真壁くんの指をかみそうになって困る。
下の手が激しく動いてくると、もうだんだんわからなくなってくる。
真壁くんのいいなりな蘭世の躯。
・・・ぁぁ・・・あっ・・んあっ・ぁ・
小さな波が行ったり来たりして心地よくなってくる。
たまに大きな波もくる。呑まれそうになっちゃう。
でも、一番大きな波は自分がどこかへいっちゃいそうになるから
恐くて嫌。逃げたくなる。
あ、来たっ
いやっ許してっ あーっ
「お・ねが・い・・もう・・や・・ん」
「だめだ」
夢中で真壁くんから逃げるのに逃げられなくて
彼に伝えようとする。
真壁くん好き!大好き!離さないで!
あっ・あっ・んっ・・っちゃ・・う・・ん・ん
躯と頭を突き抜けていったものは一回だけじゃなくって
何度もやってくる。真壁くん真壁くん真壁くん
わたしどうなっちゃうの?
でも、いいよ。真壁くんと一緒なら。連れてって
真壁くんの動きにあわせて
どくどくって
真壁くんの心臓のおとかな?しあわせ。
「ラン・ゼっ」
真壁くんが名前呼んでくれるとおしまいのしるし。
真壁くん、蘭世はいつまでも真壁くんについて行きます。
だいすき。
夜のつま先作者タソ、乙! グッジョブ!
いやあ、萌えますた萌えますた。
95 :
350:03/03/24 23:05 ID:iqPY3Rj4
蘭世がかわいいよぅ〜(T T)感涙
自分が真壁くんだったら食べちゃいますね〜
やっぱ蘭世はカワイイよね( ゚∀)(∀゚ )カワイイよ!!!
つま先タン(なんつ〜略し方・・・失礼・・・)
乙カレ様でつた。
次回作期待すていいでつか?
>>87 禿しく胴衣!!!
このスレ発見してから楽しみの1つにしてます。
97 :
名無しさん@ピンキー:03/03/27 22:10 ID:iaUaI7dd
ほしゅあげ
保守はsageでもできる。
>94さん レスありがとうございました。萌えていただけてうれしいでつ。
>350さん かわいい蘭世でつね?が、がんばりまつ。
己的には神の隙間作家を目指しているので
己と一緒に神を待ちましょう!
お父さん、お母さん、鈴世、ペック、
蘭世は
・・・
になります。
よ〜し
今日こそ言うぞ!
「真壁くん」
「?」
「赤ちゃんが欲しいの!」
あ、あきれてる。
「江藤、自分が何言ってるのかわかってるのか?」
う〜目はそらさないぞ〜。
「どうなってもやめてやらねえからな」
真壁くんがおいでってした。
真壁くんが座ってる横に正座してみた。ソファーなのに。
ほっぺを真壁くんの手が包む。
おっきな手。
そこから熱くなってくるよ。
真壁くんの目の中にわたし。
「目を閉じろ」
あは。
真壁くんのキス。
いつだって、ドキドキしてドキドキしてドキドキして、、、。
こんなの初めてだよ。深くて熱くて、息ができな、、、い。
「…んっ…」
苦しいけど嫌じゃなくて、喉が渇く感じがして、
「…んんっ…」
唇にある何かを奪い合うような、
熱くて、ぼおっとしてくる。
真壁くんのシャツをつかんだ手に力が入らない。
背中にも。
まぶたにも力入らない。
ああ、真壁くんがはっきり見えない。
キラキラしてる。
きれ、、、い
気が付いたとき、わたしは真壁くんの膝枕でいい気持だった。
「江藤、このくらいで、腰抜かしてちゃ、子どもは無理だぞ」
ああ、今度こそっ!
うあ!!蘭世かわいい!!!!
なんだか、いかにも蘭世っぽい感じでいい。
真壁くんの、腰抜かすキス…
さすがだ(藁
久しぶりの新作嬉しいYO!
蘭世が、かっかわいい!
子供が欲しいって…蘭世大胆ですな!
腰抜かしてみたいなw
蘭世がすごく可愛いです!
読んでいて顔がにまにましちゃうよん。
私も真壁くんに腰抜かすキスされたい(w
隙間作家だなんて仰らないで(99さんも神ですっ)
これからもじゃんじゃんお願いします。
106 :
350:03/03/29 11:50 ID:Hge2mOLr
腰が抜けるようなキス・・・(;´Д`)ハァハァ
とろけてみた〜(*´∀`*)〜い
アロンが王位を継承してしばらくの後
蘭世は放課後部活を休んで、魔界へ足を運んだ。
フィラが江藤家に忘れていった私物を届けに行くためだ。
王宮へ行くと、アロンがサリと話している所へ丁度出くわした。
なにやらアロンは真剣そうな顔つきだ。
「こんにちは」
「蘭世ちゃん!」
「まぁ・・・蘭世。久し振りね」
「アロンの顔、今ものすご〜く険しかったわよ」
茶化したつもりで言ったのだが、アロンは真面目に答える。
「うん・・・・実は一緒に寝てるとフィラが寝ぼけて僕を石にしちゃうんで
ナントカならないかと思ってサリに相談してたんだ」
「たっっ・・・・大変ね〜・・・・サリに案はあるの?」
一緒に寝てるのは当然だろうけど、面と向かって言われ赤面してしまう蘭世。
「うん・・・いくつかあるんだけど・・・・
寝ている間に魔力が使えない人間の状態にするのがいいかなーと思って
その催眠暗示の話を今してたのよね」
「そんなことできるの〜??」
「僕らにはできないから、サリにやってもらうんだけどね」
「ではアロン様、それでよろしいんですね」
「うん、頼むよ。今フィラは部屋にいるから一緒に行こう」
そういってアロンは奥の部屋へ歩き出した。
「まぁ・・・蘭世さんまで・・・皆さんそろってどうなさいましたの?」
「私はフィラさんの忘れ物を届けに来たのよ」
蘭世はカバンから袋を取り出した。
「いくつかあったけど、多分これで全部だと思うの」
「あらっありがとう!ないと思ってたら蘭世さん家に置いてきちゃってたのね」
アロンが落ち着きなく話に割って入る。
「それよりさっっフィラ、最近キミ不眠症気味だろ?
サリが治してくれるっていうから、このイスにお掛けよ」
フィラはよく飲み込めないまま素直にイスに腰掛ける。
「フィラ様、リラックスして下さいね。今から気分よく眠れるように催眠誘導します。
痛いことや怖いことはありませんから、安心しててください。
目を閉じて・・・・手足の力を抜いて下さい・・・・何も考えないで・・・・
体がほんのり温かくなってきます・・・・」
最初は語りかけているようだったサリの声は、だんだんささやくような声に変わり
次第に小さく聞き取れないほどになっていった。
フィラは目を閉じたまま動かないが、サリはなおも低く小さく語りかけている。
そして突然普通の大きさの声で話し始めた。
「ハイ。では目を開けて立ち上がってください」
「アレ?もう終わったの?」
アロンは拍子抜けしていた。
蘭世も同感だった。
「今フィラ様は催眠状態です。何か試してみますか?」
「えっ?? 普通に立っているようにしか見えないんだけど・・・」
驚く蘭世に構わず、ちょっと考えたアロンは
「僕に隠し事がないか聞いてみて」
とサリに言う。
「フィラ様はアロン様に隠し事がありますか?」
「いいえ。ありません」
「じゃあ蘭世ちゃんを好きになるようにできる?」
今度は突拍子もないことを言い出すアロン。
「なっっ何言ってるの〜」
あせる蘭世を気にもせず、サリはうなずいてフィラに語りかける。
「フィラ様。今からあなたの想い人は、アロン様ではなく目の前にいる蘭世です。
フィラ様は蘭世が愛しくて愛しくてしょうがない・・・アロン様が好きだった時よりもっと。
ホラ、目の前に蘭世が見えますね?お好きなように愛情表現をしてみて下さい」
慌てふためく蘭世を振り返ったフィラの顔は、既に恋する乙女そのものにとろけきっている。
「蘭世さん・・・・・」
「ひゃぁ〜っ ままま待ってフィラさん・・・」
近寄ってくるフィラに驚いて身を引く蘭世だが、フィラはどんどんにじり寄る。
「なんて可愛い人・・・お願い・・・・逃げないで・・・」
「・・・・・・・」
フィラに熱いまなざしで見つめられ、ちょっとだけ変な気分になる蘭世。
おろそかな足元をイスに引っ掛けてしりもちをつく。
その蘭世にのしかかるようにフィラが覆い被さり、キスを迫ろうとしてくる。
顔が赤い蘭世はなぜか逃げることも抵抗することもできない。
そんな2人の妖しい雰囲気をアロンはおいしそうに眺めていた。
かつての想い人と今の妻が睦みあおうとしているのは、そうなかなか拝める光景ではない。
ここでサリはようやくフィラを止めに入った。
「ちぇっっっ もうちょっと見たかったよ」
「ばかばかっ アロン悪趣味よ!」
「でも蘭世ちゃんもちょっとだけドキドキしてたろ?」
「なっっ・・・・・」
反論できない蘭世は真っ赤になりながら怒った顔をして見せた。
「ごめんごめん。それにしてもすごいな〜・・・感心しちゃったよ」
その後サリは、フィラが眠っている間は人間になると言う事と
今あったことはキレイさっぱり忘れるよう言い聞かせてフィラの目を覚ました。
「あら・・・私眠ってましたの?」
きょとんとしているフィラ。
「気分はどうですか?」
「すごくいいですわ。たっぷり寝たような感じ」
「では大丈夫ですね。アロン様、よろしいでしょうか?」
「うん。ありがとうサリ」
王宮を出るサリを蘭世は追いかけて、並んで歩き出す。
「ねっサリ、ええと・・・催眠暗示って誰にでもかけられるの?」
「う〜ん・・・人によるのよね・・・自制心の強い人とか難しいな。
それに私もまだ覚えたてなのよ。
・・・・もしかして蘭世、俊クンにかけてみたいの?」
「うっ バレバレかぁ・・・できない・・?」
「やってみてもいいけど・・・悪いことに使っちゃダメよ」
「きゃっ ありがとう♪ 明日デートなのっっ」
だらしなく弛む蘭世の顔を見ながらあきれた笑いの出てしまうサリは
次の日、約束どおり蘭世の家で俊が迎えにくるのを一緒に待っていた。
現れた俊には、今魔界で流行ってる集中力を高めるものだとごまかしながら
家に招き入れて、イスを勧める。
俊はサリをしばらく訝しげに見ていたが、蘭世の誘導に素直に従って腰掛けた。
そしてサリの誘導にも素直に従い目を閉じる。
蘭世はドキドキしながらそれを見守っていた。
サリはしばらく小さな声で俊に話し掛けた後、また普通の声に戻って言い出した。
「ハイ・・・では俊クン、あなたは今日一日蘭世の要求に全て従ってください。
今日の12:00を過ぎるまで、あなたの保護者は蘭世で蘭世の言うことは全て聞き入れます」
しばしの沈黙。
俊はうなずく。
「では3つ数えたらあなたは目を覚まします。・・・3・・・2・・・1ハイ起きて」
俊はパチっと目を覚ますと、何事もなかったかのように蘭世を見返した。
「終わったのか?」
ごくッと緊張を飲み込んだ蘭世は目線で(・・・OK?)とサリに聞く。
「ええ・・・・。今アロン様にまた呼ばれちゃったから私はこれで失礼するわね」
それだけ答えるとサリはそそくさと立ち去ってしまった。
部屋に残された蘭世は、俊の顔を伺う。
いつもと変わらないように見える・・・本当にゆ〜こときいてくれるのかしら・・・
「じゃあ真壁くん、行こっか」
「ああ」
本当にいつもと変わりなく見えるので、少々不安を感じた蘭世は
思い切って最初の要求をしてみる。
「あのね、お買い物の予定だったけど、やっぱりあの映画みたいの。いい?」
「ああ」
蘭世のいう映画とは、とびっきり甘甘なラブストーリーだ。
いつもの俊だとこの手の映画は拒否して、一緒に見に行こうとしてくれない。
すんなりと了解してくれる俊に気を良くした蘭世は、更に問い掛ける。
「真壁くん、私の事好き?」
「ああ」
きゃ〜〜〜〜〜
ちょっぴりむなしさも感じるが、やっぱり嬉しくなる蘭世。
・・・真壁くんの声でこんなこと言われたことないし、ちょっと幸せ〜・・・・
俊の握ったこぶしが震えていることに全く気づかない程蘭世は有頂天になった。
そしてこってりと甘い映画を見終わって余韻に浸る蘭世は、俊と一緒に近くの公園を歩く。
日が延びてきたとはいえ、さすがに傾き始めている。
「今日はあの映画主人公みたいにうんと優しくしてね〜」
「ああ」
「あっっ!それから私のこと、"江藤"じゃなくて"蘭世"って呼んでっ」
「わかった。蘭世」
ボッッ
普段あんまり呼ばれない名前を正面きって言われた蘭世は、急に赤面してしまう。
「どうした?熱でもあるのか?」
両手で覆う隙間から見える赤い蘭世のオデコにコツンと自分の額をくっつけてくる俊。
慣れない事をされている蘭世の体温はますます上がる。
「熱いな・・・・。大丈夫か?少し休もう」
「だだっ大丈夫なのっ。それより今日真壁くん家でゴハン作ってもいい?」
「ああ」
「真壁くんたら"ああ"ばっかり。他にも何か言ってよう」
さすがにさっき言ってもらった"ああ"の効果も薄れてきてしまう・・・。
「う〜〜ん・・・・」
さすがにそれは難しい注文だ。
「えっと、じゃあ・・・思ったことは何でも口に出していってね」
「ああ」
「それじゃ〜食材を買って行こっか〜。真壁くん何が食べたい?」
「お前」
「へっ?」
「お前」
ともう一度言う俊は、夕日の逆光で表情が読めない。
「やっっヤダヤダ・・・私は食べ物じゃありません!」
俊の言った意味ぐらいは蘭世にだってわかる。
唐突な俊のセリフに動揺を隠し切れない蘭世は、また体温が急上昇だ。
結局その場はごまかしながら俊のリクエスト:カレーの食材を買いこんで
全部俊に持たせて俊の家にたどり着いた蘭世は
しばらく一緒にTVを見てからゴハンの支度を始める。
調理器具とエプロンは、今や常設してあるのだ。
俊はビデオにとっていたヘビー級世界タイトルマッチを見始めた。
玉ねぎを超超超薄にスライスしながら小気味良い音を立て、蘭世が話し掛ける。
「真壁くんてホントにボクシング好きなのね〜・・・・他にやりたいことってないの?」
「やりたい事って?」
「え〜っと、例えば〜・・・野球とか・・・」
「興味ねえな(きっぱり)」
「んもうっ・・・じゃあ何か他に興味があるのっ?」
「あんまり言いたくない」
「何それっ」
蘭世は手を止めて俊を振り返り、ダッシュで近寄ると
「真壁くんがボクシングの他に何に興味があるのか、蘭世にちゃんと話しましょう」
と、俊の目をじーーーっと見て語りかける。
俊は何かを言いかけたが、あわてたように口を押さえて
一瞬のうちに姿を消してしまった・・・
一人残された蘭世は、状況を理解するのにしばらくかかる・・・
「にっっ・・・逃げたわね〜〜」
1人部屋の中で地団太踏んで悔しがる蘭世は、勢い良く玄関の扉を開けて
エプロンしたまま見えない俊の姿を探し始める。
階段の下には、平穏極まりない光景以外何もなく、俊はどこにもいなかった。
しばらく外を見渡しても俊が戻る気配がないので、仕方なく1人のまま調理に戻り
「も〜〜真壁くんが戻ってきたら絶対吐かせて見せるからねっ」
とじゃがいもをダンダン叩き切って八つ当たりしたり
「・・・でもなんで話したがらないのかな・・・・恥ずかしいことなのかしら・・・・」
と想像を膨らませる。
「恥ずかしい事?興味があることが言いたくないこと?・・・・」
めぐらせる考えをとりとめなく口に出していってみる。
「意外とピアノとか!
幼稚園の先生になりたいとか!
もしかしたら昆虫に興味があるとか〜?
真壁くんのイメージから離れすぎちゃってるのかな〜
あ〜っはっはっはっはっはっは〜〜〜〜」
自分の独り言に大笑いする蘭世の首を、突然ぐいっと絞める腕が現れて
「勝手な想像すんなよ」
とぐいぐいこづいてきた。
「まっっ 真壁くん!・・・も〜〜・・・どこに行ってたの?」
「リンゴ買ってきた」
手渡してくる俊の手にはリンゴが入った袋。
「リンゴ??」
「デザートだ」
「それよりもさっきモガッ」
言いかける蘭世の口を、大きな手でふさぐ俊。
「お前が今朝オレに何をさせたか知ってるぞ。考える声が丸聞こえだったもんな〜」
蘭世は顔を真っ赤にしてムームーうなっている。
蘭世は包丁握ったままで、ちょっと危なっかしい。
「どんなもんかと思ってかけられてやったけど、俺には効いてないぜ」
にやっと笑いながら蘭世を見下ろす俊は、そんなこと言いながら蘭世の口から手を離さない。
「お前には効いたふりしてたんだよ」
実際にどんなもんかかけられてやったまでは合ってるが、実は結構効いてるのだった。
今日何度かボロっと本音と口にしてしまい、その度にあせっていたのだ。
・・・・じゃあなんで逃げたの!さっき何を言いかけたの?
ここで蘭世の心中を普段から当たり前の様に読んでいたツケがまわってくる。
蘭世の口をふさいでも心の声が要求してくることには逆らえず
油断していた俊はまたボロっと口にだしてしまった。
「・・・・!」
言ってしまってから自分で口をふさぐが後の祭りで、みるみるうちに顔は紅潮していく。
それは蘭世も同じ事で、受け取ったリンゴの袋をゴトンと落としてしまっていた。
ゴロゴロと転がっていくリンゴの音だけが部屋に響き
心臓の音すら聞こえてしまいそうなほど静かになる。
気まずいというか、居心地の悪い、照れくさい、ぎこちない・・・・沈黙・・・。
その沈黙を先に破ったのは蘭世だった。
「どうして言いたくなかったの?」
「ばっっ!バカ!そんなこと大きな声で・・・ゴニョゴニョ・・・・」
「私は言って欲しかったよ」
振り返ってまっすぐ俊を見つめる。
俊は、心の底まで飛び込んできそうなまっすぐな瞳を見て、言葉につまる。
「だから言ってもらえて嬉しかったもん」
はにかんだような笑いを浮かべる蘭世は、うっすらと瞳をにじませた。
目をこすりながら
「えへへ・・・・これは嬉し泣きかな・・・・」
と、だんだんと下を向く。
「バカ・・・・」
俊は蘭世の頭をくしゃっと撫でた。
いつも俊は蘭世の気持ちをイヤというほど知っていて
この愛には揺らぐものなど何もないことも知っているが
蘭世には俊を信じるしか術がなく、俊の本音など知りようがない。
もちろんお互いの言動で通じ合っているものはあるのだが・・・・
それでも蘭世はハッキリとその意思を言葉で告げられて、心が打ち震えたのだ。
その言葉は他愛のないセリフのようで、一生忘れられないかもしれない。
何度も何度も繰り返し蘭世の耳に蘇る。
「ボクシングの他って言うより、一番の興味がお前ってだけだ」
Gタン、おいらは簡潔にまとめる能力が存在しないようでつ(TдT)
書きたいこと書いてたら長すぎて
1と2に分けざるを得ませんでつた。(修行の成果なし)
エピソード2はエロ入りにするので許してくだちい
桜の蕾がほころび始めてきまつたね。>新婚タン
ウキウキワクワクでつ。( ̄ー ̄)ニヤリ
「真壁くん、赤ちゃんかわいかったね〜」
「そうだな」
俺たちは、子供が生まれたアロンのところへ、お祝いに行った。
うっとりと遠くを見ている江藤が、何を考えているか、考えを読まなくてもわかる、
が、よっぽど力入れて妄想しているんだろう、読まなくても聞こえてくる。
『蘭世も、きれいなドレスで教会で式挙げて〜お姫さまだっこで運ばれたいの〜
で、新婚旅行はヨーロッパで、ハネムーンベイビーとか。きゃ〜〜ん。
最初の子は男の子がいいかな〜真壁くんに似てかっこいい男の子。』
ヨーロッパはいいとしても、ハネムーンベイビーは、、、
お前絶対、新婚旅行に行けば、子どもが出来ると思ってるだろ。
ち が う ん だ ぞ !
現実知ったらまた泣くんだろうか、、。
『真壁くんはそんな事しない』とか言いそうだよな、、、。
ああ、前途多難。
『かっこいい』ってとこだけもらっとくか。
「きゃあ〜」
江藤のスカートが風にひるがえる。長めのスカートから白い太ももが、、、。
ラッキーと思う間もなく次の風が。俺はすかさず江藤を引き寄せた。
「おい、ぼーっとするな」
「うん」
スカートの前側に風がこないように体を寄せた。
後ろは江藤の手が押さえてる。
小さな風が江藤の髪に絡む。顔にかからないように押さえると、
なんだか、そんな気になって、
風を避けるまつげにキスした。
頬がピンクに染まってくるのが見て取れた。
苺みたいだな。
頬にキスする。
こいつ、いつの間にこんなにかわいくなってたんだろう。
きっと今日より、明日、明日より明後日、どんどん。
目を離すと誰かにさらっていかれるのかもしれない。
どこにも行かせない。
それが俺のエゴだとしても。
「江藤」
耳もとで名前を呼ぶと江藤は体をこわばらせた。
怖がらせたくはないから、ゆっくり。
俺はこういうの、口にするのは苦手だから。
腕を背中にまわして少しずつ距離をつめた。
耳に近い髪に何度も唇を寄せた。
気持ちを込めて。
仕方ない。ヨーロッパも、教会も、お姫さまだっこも
いつかかなえてやるよ。
久しぶりに蝶シリーズかいたら作風が違う(w
ま、いいか(をい
∧ ∧
>>350たん、す、すごいでつ、話の運びが上手いでつ!
( ゚∀゚) <しっかり催眠してるでし。。。
/ つ 催眠のかかり具合(?)も丁度いいし、すごいでつ〜!!
続き楽しみにしてるでしっ、
ムズかしいネタを、おおきに、おおきに!m( _ _ )m
>>118-121 アッ、蝶シリーズ作者たんだ!
>350タソ
あぁ、神降臨!!
ありがたやありがたや…。
続きが楽しみでつ!!
>121タソ
キタ─wwヘ√レvv〜(゚∀゚)─wwヘ√レvv〜─ !!
お待ちしてしてまつた!!
「蝶」は蘭世がかわいくて大好きでつよ!!
>>87 リクにお答えして、また駄文を載せさせて頂きまつね。
ついでに催眠エピソード2も連ちゃんでいっちゃいます。
桜吹雪が待ちきれなくて、先に1人で盛り上がっちゃいまつた。
「素敵なおうちね〜」
「そっか・・・かえでちゃん、新居に来るのはじめてだったっけ?」
「そーよぅ」
「昨日はちゃんと帰ったの〜??」
「ふっふっふ〜〜」
「ああっっ あやし〜〜! 白状しろ〜!」
「蘭世が期待するほどのことはないわよーだ」
昨日防衛戦の会場で、かえでちゃんと筒井くんに会い
今日電話ついでに早速かえでちゃんが遊びに来た。
話は尽きることがなく続き、ハネムーンのミッションの話から
昨日ぽろっと話してた余計な知恵に話題が移っていく。
かえでちゃんは色んな事を知っていて、私はちょっと照れながらも
真面目に聞き逃さないように耳を傾けた。
今度の知恵はちょっとSMちっくな気がするけど、たまにはいいよね・・・
きゃっっ///
な〜んて自分に言い訳しながら、夕食を作ったりいつものように振舞いつつ
頭の中はなるべく今日のお料理の事でいっぱいにしていた。
だから今日の夕食は、出来上がってから気づいたけど結構気合の入ったものだった。
でも、俊は全然気にもしないで口にほおりこんでいく。
んもぅ、美味しいとか嬉しいとかたまには言わないかしら・・・
まぁ・・・いいけどね・・・
夕食を済ませてシャワーからあがると、俊は読書にいそしんでいた。
最近トレーニングの合間に新人のコーチもしているみたいで、その勉強をしている。
私はこれ幸いと、背後から俊に近づいて首筋に牙を立てた。
かじっっ
久し振りに味わう俊の体・・・なんて表現がHかしら・・・いやん
俊の体を一生懸命ベッドに引き上げて、後ろ手にストッキングで縛りあげる。
意外と難しいのね・・・。
ちょっと苦戦。
ついでに手元にあったタオルをまいて目隠しもしておいた。
電気はつけっぱなしでいくのだ!
セッティングは完了!
ティッシュをより、自分の鼻をくすぐる。
「はっくしょん」
自分の体に戻った私は、急いでネグリジェを脱ぎ捨てた。
ちょっと肌寒いけど、きっとすぐあったかくなるわよね・・・
我が愛しい夫は、自分の置かれた状況が理解できてくると
「おい、何の真似だ」
と、低い声で静かに問い掛ける。
うっ・・・怒ったのかしら・・・・
「何のマネでもないんだけど、大人しくしててね」
ちょっと緊張しながら、やさしくパジャマを脱がしていった。
俊の体はいつも私より熱い。
今夜はもっと熱くさせちゃうからね・・・・な〜〜んて!
でも最初からそのつもりなのだ!
たまには蘭世が悦ばせてあげなきゃ〜!
余計な知恵がついちゃったからね〜〜!
俊を全裸に剥いた私は俊の上に乗り、自分ができる限りの熱烈なキスをする。
俊はその口付けを受け止めてくれ、その舌の感触に私がとろけそうになった。
いかんいかん・・・
唇から唇を離して、首筋から胸へと這わせていく。
俊の小さな突起は、小さいながらも硬く自己主張していてカワイイ。
そっと口に収めて舌で転がす。
いつも私がされているようにちょっぴりだけ噛んでみたり
硬くした舌の先でつついてみたり、なめまわしていき
気が済んだ所で、肝心の所へ移動していく。
俊は既に固く昂ぶっていて、いつもよりも大きく見える。
こんなにまじまじと見たことないかも・・・と思いながらぐっと掴んだ。
初めて俊の体が反応を見せる。
といっても、掴んだ感触に体が動いただけかもしれないんだけど・・・
少しずつ唇をつけない程度に近づいて、ここでも自分の気が済むまで焦らしまくった。
いつも焦らしてくるお返しよ〜〜
私の手の中で脈打つ俊は、怒っているかのように蠢く。
・・・動くのね・・・コレって・・・・
我慢が出来なくなってきたのか、俊が縛めを解こうともがき始めたので
私は起き上がって来ないように、俊に背中を向ける形でまたがった。
目隠ししてるからできる体勢だったりするけど・・・。
そして、神経がこっちに集中するよう今度は思い切りよく咥える。
やっぱりいつもより熱くて硬くなってる・・・
私はちょっと心踊り、いっそう念入りに舌を這わせた。
そして、わざと乳首をかすってみせる。
焦らされているかしら・・・・うふふ・・・・
俊が頭をブンブン振っているのがわかった。
興奮しきっている様子・・・・かな?
私もよ・・・・あなた・・・・
あなたが気持ちいいと私も気持ちいいなんて事って本当にあるのね。
そんな感じで酔いしれながら咥えている最中に、耳慣れない音が聞こえた。
ブチッ
・・・・・・?何?・・・今の音は・・・・
振り返って見た俊の顔は、一瞬私の頭をよぎった想像をはるかに越えるような
激しく猛り狂っていて止め様がない獣としか表現できない顔だった。
私は跨いでいた俊から離れてベッドの縁に座りこむ。
こんな俊の顔は初めて見た。
一抹の恐怖さえ感じる。
こんな事いうのはおかしいけど、まるで龍の逆鱗に触れてしまったような気分だった。
「あ・・・あの・・・・顔が怖いよ・・・・」
ちょっと冗談ぽく言ってみたつもりだけど、俊は何の反応も示さずに私を押し倒した。
「きゃあぁっ」
いつもされていることなのに、今日は特別恐怖を感じる。
俊は何も言わずに私に口付けると、そのまま私の足を割ってきた。
「やっっ・・ああっ」
俊の反応を見ながら感じていた私の股間は既に潤いを持ち
いつでも受け入れられる状態だったのを知ってか、俊は一気に私を貫き始める。
「きゃぁっ・・・ああっ・・あっあっぁっ」
私の両手首はがっちりと俊に押さえつけられ、両足は俊の肩に担ぎ上げられ
俊の熱い分身は私の奥をかき回すように、激しく激しくたたきつけて来る。
・・す・・・すご・・・・こんなに激しいのは・・・・
そう、こんなに激しくされたことがなかった私は
痛みすら感じながら、それでもいつもよりも感じ入ってしまう。
今までの俊は、激しいといってもちょっと勢いをつけただけ程度のものだったのだ。
今の俊はきっと動物のように性欲のままに動いていて
自らの快楽を満たすことで頭がいっぱい。
ああ・・・・でも・・・・・
私は早々と登りつめていく。
だがここでも、いつもなら私が登りつめていくのを見守るように動きを止める俊なのに
今日は一切動きが止まらない。
登りつめながら更に追い討ちをかけられる快楽というか
味わったことがない感触に私は気が狂いそうになる。
俊・・・・ああ・・・・気持ちいい・・・・
俊は私に口付けて来ると、私の肩を掴んで奥の奥の奥まで入れてくる。
これ以上は入りませんというところまで突き上げられ
私は内臓がかき回されてるような気分にさえなった。
腰を打ちつける音がパンパンと部屋に響いていく。
俊の口付けは息つく暇もなく舌を絡ませてきて、私は次第に苦しくなってきた。
顔が逃げようとしても回りこまれて、酸素をなかなか得られない。
「やっっやめっ」
俊の口付けにそのまま魂を吸い取られるように、私はまた登りつめてしまう。
もうとろけそうというか、とろけてしまいたかった。
同時に俊も私の痙攣に触発されたのか、私の中に熱い液をほとばしらせるのがわかった。
その感触にさらなる快感を呼び込まれる。
お互いがこんなに勢いよく登りつめるのは初めてかもしれない・・・・
いつもなら俊がコレで離れていくのに、荒い息をしたまましばらく私を抱きしめていた俊は
また腰を打ちつけ始めた。
私にしっかりと打ち込まれている楔は、熱さも硬さも変わらずに私を翻弄する。
「うそでしょ?」
私のセリフなんてどこ吹く風と言わんばかりに、俊はまた私から酸素を奪いながら
激しく腰を打ち付けてきた。
一度きつく登りつめた後だったので、更なる快楽を呼び込むのはたやすい。
再び登りつめてしまう私を、貫いたままうつぶせにひっくり返して
今度は後ろから追い立ててきた。
「やぁぁん・・・俊・・・待って・・・・ちょっと・・・」
さっきのように限界まで自分を押し込んでかき回してくる俊は息が熱くて荒い。
激しい打ち付け方に耐えられずに、私は立て続けに登りつめ
また快楽に見をよじってしまう。
自分がこんなに何回もイクことができるなんて知らなかった。
俊の手が私の快楽を更に煽るように、亀裂をなぞりながら奥まで突いて来るのを
目を閉じて感じていた私は、だんだんと頭がしびれてくる。
何回目かの私の昇天と同時に、また熱い俊の吐き出す精の感触がわかったのだけど
今度は動きを止めることなく、激しさは変わらない。
私は手をついていられなくなり、上半身を俊に押しつぶされてしまう。
膝だけかろうじて立てたままで、俊の打ちつけてくる腰を甘んじて受け入れている状態だ。
だんだんと意識が遠のいていった。
・・・・・ああ・・・・しゅん・・・・・・
私ったら・・・・・・
やっぱり逆鱗に触れてしまったのかしらね・・・
目の前が白くかすんでいく・・・・・・・・
次に目が覚めた時には、外は明るくてスズメの鳴き声が聞こえた。
そして私を心配そうに覗き込む俊の顔。
「おい・・・大丈夫か?」
「あ・・・オハヨ・・・もう朝なのね・・・・」
「昨日・・・オレ・・・・・」
私はそれを聞いてハッとする。
昨日の激しさを思い出せといわんばかりに、トロリと溢れる熱い感触。
「昨日オレ何をした?」
「えっ??」
「目隠しがとれてから、気が付いたらお前が気を失っていたんだ」
「・・・・・・・・・・」
あの俊はきっといつも意識の奥底で眠っている、獣なんだわ・・・・
俊はこれが怖かったのね・・・・・・・・
昨日の激しさを思い出す私の思考を読み取ったのか、俊の顔は真っ赤になる。
「ふふっ・・・読んだわね・・・知らない自分の一面を見ちゃってどんな気持ち?」
私はからかうように俊の顔を覗き込んだ。
くるりと背中を向けた俊の耳だけ真っ赤になっているのがわかる。
「すまなかった・・・」
「別に謝る事じゃないわよ。たきつけたのは私なんだし・・・・・
あんなに激しいとは思わなかったけど・・・・」
俊はますます赤くなる。
私はそんな俊が可愛くて愛しくて、後ろから抱きついた。
背中に自分のほほを押し付けて語りかける。
「あなたがいつも私にどれだけ優しくしてくれていたのかがよくわかったの。
それがわかっただけでも、幸せな気持ちよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
俊は何も言わずに私の手を握り、振り返ってキスをしてくれた。
昨日とはうってかわって、優しい甘い愛情が溢れてしまいそうなキス。
今日は一日静かに過ごしましょう。
たまには一日全てを休息に使ってもいいわよね。
ね・・・アナタ
うpして気づいたけど、蘭世が妙に大人びてる・・・かな・・・
ある日夕食の食材を買い込んで帰ってきた蘭世と
トレーニング帰りの俊は、家の少し手前でバッタリあった。
「あら、あなた・・・早かったのね」
「お前こそ遅いな」
「神谷さんと買い物に出ちゃったから、時間かかっちゃったの」
俊は蘭世が重たそうにぶら下げていた袋を取り上げて先に歩き出す。
家に着いて台所へ袋を置いたはずみに、一番上に乗っていた数個のリンゴが
バラバラと落ちてしまった。
・・・落ちたリンゴ・・・・・
その光景を後ろから見ていた蘭世は、何年か前のことを思い出す・・・・
そう、俊に催眠をかけていくつかの本音を聞き出してしまった事だ。
・・・・・信じてなかったわけじゃないんだけど
やっぱり口に出して言って欲しかったのよね・・・・・
当時の自分を思い出して、思わず顔がほころんでしまう。
そんな蘭世に気づいた俊もまたその回想を垣間見て
・・・・・そういや〜そんなことがあったっけな・・・・
と、ちょっと赤面しつつ思い出した。
それから数日後、俊はアロンに呼ばれて魔界へいく。
蘭世もついでについてきた。
「俊!呼び出してすまなかったね」
蘭世はアロンに挨拶するとフィラと別室へ消えていった。
アロンはそれを見届けると、溜め息をつきながら椅子にかける。
「フィラが何かのことで僕に怒ってるみたいなんだ。
口はきいてくれるし、周りからみたらいつもと変わらないんだけどね・・・
でも近寄って来ないし触らせてもくれない・・・暗に避けられている感じで・・・
なんでなのかわからなくて困ってるんだ・・・」
・・・・こんな話をオレにするなんて相当追い詰められてるな・・・
かつて俊はこのような恋愛を絡めた相談を受けたことがほとんどなく
自分が相談相手として選ばれた事に戸惑いを感じた。
アロンの様子からみて、この相談の為に呼ばれたっぽい・・・・
仕方なく思いつく助言を口にしてみる。
「夢魔を呼んで退行催眠をかけさせたら原因がわかるんじゃないか?」
アロンはそのセリフを聞いて目を輝かせた。
「そうだ!その方法があったか!」
後は簡単だった。
偶然来たように見せてサリを呼び
女性に人気のアロマテラピーとかなんとかこじつけて見せて催眠状態へ誘い込む。
フィラと一緒にいた蘭世にだけやらないわけにいかないので、ついでに蘭世も一緒だ。
催眠状態へ引き入れた後は混乱しないように蘭世だけ別の部屋に寝かせてフィラに的を絞る。
俊は黙って一部始終を見ていた。
結局フィラは全然怒ってなんかおらず
ただアロンを焦らしてみようと思っていただけだったらしい。
アロンが先走って考えすぎだったのだ。
フィラが目を覚ます頃には、蘭世の寝ている部屋に俊とサリが入ってきた。
サリは懐かしそうに目を細めて
そういえばこんなシチュエーションが前にもあったわね・・・とつぶやいた。
俊はその台詞を呼び水に過去を思い出して、ごく事務的な口調で夢魔を問い詰めた。
「お前・・・何年か前こいつに頼まれてオレに催眠暗示をかけただろ」
サリは顔色をさっと変える。
「あの時、さっきの暗示のように最後
目が覚めたらこのことは記憶からきれいに消える
って言い忘れたんだな。
オレは催眠誘導の時も暗示に踊らされた事も、しっかり記憶に残ってるぜ」
・・・そういえば・・・・!!!
サリは過去を思い返して自分のミスに気づいた。
・・・暗示を言い終わる前にアロン様に呼ばれちゃったから、慌てちゃったんだわ・・・
青い顔をしたまま暫し無言の状態だったが、サリは潔く頭を下げる。
「勝手なことをして申し訳ありませんでした」
「いやお前を怒ってるわけじゃない。もともとこいつが頼み込んだ事だろ・・・」
しばしの沈黙・・・
サリは思い切ったように口火を切る。
「じゃあ蘭世にも同じ催眠暗示をかけておあいこにするのはいかがでしょうか?」
俊は心臓が跳ね上がった。
ちょっとだけそうしたいという願望を抱いていたからだ。
心の内を見透かされてしまった様に感じて仕方がなかった。
だが実を言うとサリの目にはむっつりした俊にしか映っていない。
サリがしばらく俊の反応を待っていると重い口をやっと開いたかのように
それもおもしろそうだな・・・・と俊はつぶやく。
サリは我が意を得たとばかりに
「今度は記憶を消した方がいいですよね」と言いながら蘭世に近づいていった。
俊はそれに返事をするとそのまま帰途につくまでほとんど口を開かなかった。
頭の中は広がる妄想で忙しかったからである。
自宅に戻りリビングのソファにかけると
おいでと片手を伸ばし腕をつかんで蘭世をひきよせた。
自分の膝に横座りさせて話し掛ける。
「オレの質問には全部本当のことを言えよ。
お前のファーストキスはいつで相手は誰だ?」
蘭世は俊の膝に座ったまま首に手を回すと
「スーパーマントの撮影中に筒井くんと・・・・
でももしかしたらアロンに惚れ薬使われた時かも・・・
それは記憶がないからわからないの」
と答えた。
やっぱり・・・
蘭世のファーストキスの相手については心の中から排除されているのが
ずっと気になっていたのだ。
よくよく聞いて見ると筒井とは別の人間の体でキスしたらしいが
それを差し引いてもやはり楽しい気分にはなれなかった。
蘭世自身も忘れようと努めているらしい。
「その次は?」
「俊の夢の中で・・・ペンダントもらった後」
・・・・・あれか!
その夢には俊も覚えがあった。
目が覚めてからかなり赤くなったことを思い出し、なぜかまた赤くなってしまう。
こいつ・・・夢に入り込んできていたのか・・・・
しばらく俊は過去のことについて蘭世に問い掛け続けた。
内容は他愛のないことばかりだ。
ただ面と向かって聞く事が出来ない事だっただけで・・・・
そして最後に
「今日は1日昔みたいにオレのこと苗字で呼べよ」
と付け加える。
ちょっとした味付けのつもりで言ってみたのだった。
蘭世はうなずいて言った。
「じゃあ真壁くん、今日は何が食べたい?」
それを聞いた俊はにやっと笑うと
「お前に決まってんだろ」
と言うが早いか、蘭世をソファに組み敷いてしまう。
蘭世は抵抗することなく俊に一枚一枚脱がされていく。
「今日はイクの我慢しろよ」
「えええっ? どうして?」
「どうしてもだ。オレがいいというまで我慢しろ」
「・・・・わかりました・・・」
蘭世はちょっとすねたように口を尖らせた。
蘭世の最後の一枚をとろうとして、俊は手を止める。
「・・・・・・?どうしたの?真壁くん」
「お前・・・・1人Hしたことあるか?」
「ないよ」
「・・・(ちょっとがっかり)・・・じゃあやってみろ」
「えっ・・・やり方わかんないよ〜・・・」
「オレに触られてることを想像しながら自分で気持ちいい所を触ってみるんだ」
俊は言いながら顔を赤くして
"オレは何言ってるんだーーー!!!///"と腹の中で突っ込んでいた。
蘭世は目を閉じてソファに横たわったまま、自分の大事な所へ手を伸ばす。
最後の1枚・・・ショーツの上からさらりと触りだし
だんだんと指を食い込ませていった。
探るような手つき。
「・・・・・っ!」
自分でツボをみつけたのか、一瞬反応を見せる蘭世はだんだんと呼吸を荒げていく。
俊はその一部始終を熱っぽくみつめていた。
「・・・・ああっ・・・真壁くん・・・」
荒い息の合間に漏れてきた声にそそられ、つい手を出したくなるが我慢する。
空いていた蘭世の手はしばらく胸を触っていたが
やがて侵入者を求めて潤う洞窟へと移動していく。
片手は亀裂の先端に潜む蕾を擦り、もう片方の手は亀裂の置くから湧き出る泉に浸かり
細く白い指はしなやかに動き、自らの快楽を助長させていく。
「ああっっ ああ・・・・ん・・・・」
蘭世の口から漏れる荒い吐息と小さく喘ぐ声は、上昇気流に乗り始めたことを知らせる。
心なしか蘭世の手の動きが速くなっていった気がした。
俊はそこで蘭世の両手を取り上げる。
「勝手にイクなよ」
「そんなっっああん」
蘭世にはみなまで言わせず、潤いをたたえた泉に顔をうずめた俊は
酒盃から溢れ出る美酒を味わいながら、くまなく舌を這わせた。
「ああっああんん・・・・ああん・・・あっあっ・・・」
蘭世の体は急に弓なりにしなっていく。
亀裂の先端に実る果実を舌で転がしながら
空いた手で蘭世の潤う泉に指をあてる。
あてるだけで中には侵入しないのが焦らされるらしく
蘭世はどんどん色付いて乱れていく。
愛撫をもっともっとと乞うように腰をくねらせ、半開きの唇はやけに挑発的だ。
俊はそんな蘭世の唇にたまらなく引きつけられて、顔を上げると蘭世に口付けた。
狭いソファの上で入り乱れる蘭世の衣服を下敷きにしながら
自分も脱ぎ捨てた衣類を仲間に入れる。
「お前はどこが一番気持ちいいんだ?」
そんな事自分がよく知っているくせに、わざと問い掛けてみる俊。
普段の蘭世はとても口に出来ないが、今なら・・・と思っての事である。
「そうね・・・うなじから首筋にかけて唇が触ると、腰が抜けそうになるな」
「他には?」
「お腹の横」
・・・・それは知らなかった・・・・と俊は驚いた。
「どんな風にされたい?」
問いながら蘭世のおへその横からくびれへ向かって舌をすーっと移動させる。
「ああんっ・・・・そうやってくすぐられると、すごく変な気持ちになるの」
蘭世の腰のくびれをなんとなく俊はかぷっと噛み付いてみた。
それは親ネコが子ネコを運ぶ時のような、甘い咥え方。
蘭世の体は途端にしなり、嬌声が俊の鼓膜を震わせた。
「はぁぁんっ」
こんな所も感じるんだな・・・
俊は新しい発見に喜びを隠し切れない。
「真壁くん・・・もう許して・・・」
「いや、まだだ」
「やぁ〜ん・・・」
「他に感じる所は?」
「・・・・・・・・・・・・・・・背中・・・・」
言われるまで忘れていたが、蘭世は背中がすごく敏感だ。
思い出した俊は蘭世の背中に回りこんで、気が済むまで舌を這わせた。
蘭世は既に体に力が入らなくなり、されるがままで感じ入っている。
「ああん・・・真壁くん・・・・おっ・・お願い・・・もう・・・」
途切れ途切れに乞う蘭世のセリフでいつもは応じてやる俊だが、今日は違う。
「何をお願いなんだ?」
「何をって・・・そんな・・・・もう許して・・・」
「許したらどうしたい?」
「・・・・・・・・・・・・・下さい・・・・・」
「何を?」
「そんなことまで言わせるの・・・・?」
蘭世はちょっと泣きそうな顔になるが、俊は構わず続けた。
「動詞と名詞を使って具体的に言ってみろよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
蘭世は一瞬絶句した。
だが逆らうことは出来ない。
やがて顔を赤らめながら口を開く。
「・・・真壁くんの●▲■★を蘭世の♥ ♥ ♥ ♥に♀♂♪〒∞Θさい」
言い終わった蘭世は目を瞑って耳まで真っ赤になる。
・・・・やった・・・・
妙に嬉しい俊。
きっと蘭世は一生口にしない単語を連発したのだ。
なんだか勝った気分だ。
同時にちょっと蘭世を汚してしまったような罪悪感も覚える。
「よく言った。ご褒美にかなえてやろう」
と言いながら口付けていた背中にのしかかり、ゆるゆると挿入を始める。
「ああっ・・・ああ・・・」
蘭世の思わずもらした声は、その後途切れることなくヒートアップしていく。
「まだイクなよ」
「ああん・・あん・・・そんな・・んんっ」
「我慢してろ」
言いながら、そして突き上げながら俊は正反対に蘭世の股間に下から手を伸ばす。
亀裂の入り口の果実は熟れて、かなり自己主張している。
触ると蘭世の体が折れそうなほどしなった。
蘭世の黒髪は汗ではりつき、自分を支えている腕は今にも力が抜けてしまいそうだ。
俊は上から蘭世の乳房を揉みしだき、背中を舐めまわしながらもっと突き上げていった。
もっと奥へ奥へと貫き上げる。
蘭世の奥は俊を拒むかのように蠢き、俊はそれに逆らうかのように自分の腰を叩きつける。
「やああああん!ああっ・・あっ・・あっ・・あぁ・・・もう・・・・」
「だめだ。まだだ」
「やあっ・・・ああん・・・でも・・・もう・・・だめ・・・・真壁くん・・・」
蘭世は多分本当に限界が近く、既に俊との結合部からは洪水のように溢れている。
ひくついた蘭世の内部は、これから相当きつく締め付けてくることを予告するように
徐々に俊を締め上げていく。
それにつられて俊も己の限界が到来するのを感じ、このまま流されてしまう。
普段はそんな妥協をしないのだが、今日はなんとなく流されてしまいたかった。
そして蘭世のひときわ甲高い悲鳴を合図に、自らも登りつめていく。
蘭世の締め上げ方はハンパじゃなく、俊は髄まで搾り取られていった。
しばらく荒い息の音と蘭世が咳き込む音が聞こえた後、俊は静かに蘭世から離れる。
蘭世はしばらく余韻を味わっているのか、時々体をピクっと痙攣させていた。
それを見て、最後の質問を投げかける。
「SEXは好きか?」
「真壁くんとするなら大好きよ」
俊はこの言葉に満足して、蘭世を胸に抱き寄せる。
一時の沸騰から急速に下がっていく体温を逃がさないように
羽毛布団をふんわりとかぶった。
蘭世は既に目を閉じて意識を深いところへ沈め始めているようだ。
数分もしないうちに軽い寝息をたて始めたのを見届けて
蘭世の額にキスしてやると、このまま寝てしまうのを少々もったいないと思いながらも
早い時間にも関わらず睡魔に負けて、自分も安眠を貪ることにする。
その頃、サリは自宅で黒い服の男に料理を運びながら
今日あった出来事を話していた。
「・・・・でね、何年か前に蘭世に頼まれて俊クンに催眠暗示をかけたんだけど
かけ終わる前にアロン様に呼ばれちゃったから、うっかり記憶を消すの忘れちゃったの」
「ドジだな〜・・・」
「だって唐突にアロン様に呼ばれちゃって、驚いちゃったんだもの。
それにあの頃はまだ覚えたてだったし・・・・」
「それで俊はなんて?」
「フフフ・・・・最初は怒ってるのかな〜ってビクビクしちゃったんだけど
なんとな〜〜く俊クンの考えてることがわかったから、かなえてあげたのよ」
「どうしてわかったんだ?」
「ムッ。夢魔は人一倍感受性が高いのよ。察しぐらいつくわ」
「そうか・・・で、何をかなえたんだ?」
「仕返し(?)に蘭世にも同じ暗示をかけたの」
「何の暗示だったんだ?」
「相手の命令や要求に全て従う暗示」
男はそこで大きくむせてしまう。
「ゴホッ・・・お前・・・・そんなことしたら・・・」
「何するか大体想像はつくけどね〜〜。まぁ・・・いいじゃない。悪用はしないわよ」
「まぁな〜・・・」
「ジョルジュもかけて欲しい?」
サリはイタズラっぽい視線を投げかける。
「オレはいいよ」
これ以上この話を続けたら、矛先が自分に向きそうな危険を感じ
料理の味を誉めまくって話をそらす。
外から見たら何の変哲もない団欒のひとときであった。
エロスレなのに伏字使ってスマソ
そしていつもの事ながらうpして初めて気づく。
なげぇーーーーー(TдT)
皆様飽きたら遠慮なく言ってください。
350タン、蘭世編と、Hypnosis EpisodeU、堪能しました〜。
蘭世の腰のくびれにかぷっと噛み付く真壁くんに萌え萌えです!
>今日は1日昔みたいにオレのこと苗字で呼べよ
↑プラス、「中学の制服着ろよ」とか言ってたら
真壁くんマニアでしたねえw
蘭世の初ちゅー。リアルの時は「なぜに筒井くんと…」
ってそれはそれはやるせない気持ちになったものでしたw
∧ ∧ すっすっすっすばらしーーーーー!!!!
(;´∀`) <おいらも堪能しまくりますた!
/ つ 350たん天才!!!
目の前で一人エッチさせる。。。まさに催眠セクースの醍醐味!
男性読者の方々も大喜びなのでわ。。。
俊のセリフや挙動の描写が最高に可愛かったでし〜〜。
伏せ字もワロたでしけど、
「動詞と名詞を使って具体的に言ってみろよ」
思わずPCにコーヒー吹いちゃったでしよ〜〜(笑)
催眠セクースだと、ときめきに似合わず
マニアックな雰囲気になりすぎちゃうのかなと思ってたんでしけど、
350たんの持ってるユニークさが
ほんとに上手くそれを回避させてくれてるでしね。。。
今日はコフーンして眠れねーーーうおーーーうれしーーーー
もいっかい読んでくるでしーーーー(ダダダダダダダ)
350タンの新作が2本立てで読めるなんて!今日はなんていい日!
飽きるどころか毎日心待ちにしてますよ〜。
私も伏字にはかなりウケました。妄想万歳。
150 :
350:03/04/01 01:30 ID:XCg4T/hO
満足して頂けてホツ
伏字にワラテもらえてホツ
一気に載せてしまつたので怒られやしないかと
ちょっとドキドキでつた。
喜んでくれた皆タンありがと〜
皆さん色んなお話がどこから沸いてくるのでしょうか?
不思議
大抵のエロパロはツッコミより出るものです。
それだけの余地がときトゥナにはある。
153 :
新婚作者:03/04/03 00:02 ID:pFwtYozU
私は脳内麻薬・・・(G様サイト参照・・・)
いろいろお話がわいてくる。
何でかって?
それは愛ゆえにだと思うの。
新婚タンだ〜。
皆様ほんっとたくさんお話書いて下さって、
読み手としては嬉しい限りですvv
やっぱりときトゥナを愛してるからこそなんですねー。
新婚タン、夜伽の続き待ってまつ!
江藤はピクニックが好きだ。
お弁当を持って自然がある所に行くのが。
俺としてはどうでもいいが、江藤が嬉しそうだし、
かわいく笑うので、それもいい。
いい天気だな。
「今日はおむすび大会だよ〜」
弁当箱の中身はおむすびだらけ。
「おかか、シャケ、昆布、たらこ、、、どれにする?」
「どれでもいい」
江藤が眉間にしわを寄せた。
「なんか、なげやり。ひど〜い」
失敗した。江藤の料理は何でもうまいし、特に嫌いなものもなかったから、
『どれでもいい』だったんだが。
俺は感情表現が苦手だ。江藤と出会ってからはそれほどでもなくなってきたとは言っても。
「罰として、あ〜ん」
上目づかいでおむすびを俺の前にだす。
俺は無表情で、だけど、たぶん他の人から見たらちょっと怒ってるふうで
仕方なく口を開けようとした。
「あ〜ん、だって〜新婚さんみたいだねぇ〜〜〜きゃ〜〜〜/////」
おむすびを握り締めて悶えている。
江藤、、、。
何かが空気を切る音がして振り向くとサッカーボールが俺達めがけて迫っていた。
「あぶなっ…」
モノを殴るのは得意な俺に、ボールをパンチングするくらい朝飯前だが、
江藤を守るために体勢を崩した。
「すみませ〜〜〜〜〜〜ん」
飛んでいったボールを拾いながら持ち主らしい人の声が遠くで聞こえた。
「江藤、大丈夫か?」
「うん。ちょっと頭うっちゃった」
「わりぃ」
俺のせいで、仰向けに寝転んでいる江藤の後ろ頭に手を差し込んだ。
たんこぶとかはなさそうだな。
俺の下に江藤。
細い体から立ち上る香り。
軽く目眩がした。
俺はそのまま香りに引き寄せられるように江藤にキスした。
唇の奥から香る江藤を全部吸い込むように、
奥へ奥へと俺はすすんだ。
「まかべくぅん」
顔を真っ赤にして江藤がその唇を動かす。
「みんなに見られちゃうよ」
その言葉で我に返った。
すぐさま体を離し、元のように江藤の横に腰をおろした。
最近理性が飛びがちな気がする。
さっきも、そうだ。
江藤はニコニコとおむすびをほうばっている。
そんなに無邪気な笑顔で、俺を見るな。
お前はどういう風に俺を信じてるんだ?
聖人君子だと、思うのか?
守ってやりたいのに。
俺は江藤の作ったおむすびに手を伸ばした。
最近蝶の真壁くんはなやんでいるようでツ(w
気の毒に。
158 :
350:03/04/05 01:07 ID:jQhoKo0u
キタ━♥ ♥ (゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚) ♥ ♥
こうやって萌えてる王子が大好きでつ。
蝶シリーズの作者タン神!!
公衆の面前で唇を奪ってしまう王子の理性のか細さにマンセー
うぉ〜(*´Д`)モエー
作者のみなさま、ガンガン書いてください期待していまつ。
私も、そのうち創作してみようかにゃとおもっているところです。
蘭世一人称と真壁君一人称と作者視点どれがいいのか模索中でつ。
個人的にはまきゃべ君語りでやってみようかと… がんがります(・∀・)
160 :
350:03/04/05 01:27 ID:jQhoKo0u
>>159 そのうち創作だなんて・・・・
即行でおながいしまつよ。
王子目線のお話大好きなので超超期待してまつ。
>>160 (゚∀゚)アヒャ〜 ソッコーはムリです〜
原作のキャラを壊さずに(池野先生じゃないからムリなんだけど…)
試行錯誤したいのでお待ちをw
まきゃべくんサイコウ! あ〜ケコーンしたい。
パロマンガ描きたいなぁ…
ある日の放課後。
俊は立ち上がり数少ない男子生徒が教室のすみにかたまっているのをよけて
ボクシング部の部室へと向かった。
既に日野が来ていて手にテーピングを巻きながら、俊に話掛けてくる。
「おい真壁、お前のカワイイ江藤の写真が校内で飛ぶように売られてるらしいぞ」
「何のことだ?」
「やっぱ知らないか・・・。
お前のクラスに写真部の奴が二人ぐらいいるだろ?
名前知らねーけどよ。
そいつら女の写真撮っては隠れファンに売り付けてるんだぜ。暗いよな〜」
「江藤の写真・・・売られてるのか?」
「ああ・・・江藤のは値段を高くして売ってたぜ。
人気あんだな・・・・
・・・・・・・・・あれっ?」
日野がちらっとテーピングに目をやった隙に、俊の姿は部室から消えていた。
あいつ・・・!
くくっ
俊の行き先に検討がついた日野は部室を後にする。
真壁というポーカーフェイスの友人が何をするのか見物しに・・・
・・・まぁ・・・だいだい想像はつくけどな・・・
なかなか見れたもんじゃないぜ
一人で小意地の悪い笑いを口のはしににじませながら、俊の教室へ向かって走り出した
廊下を走って俊のクラスに辿り着くと、既に俊は男子生徒の人だかりに加わっている。
日野が影に隠れてこっそり様子を見ていると
人だかりの中へ入っていった俊はしばらくして出てきた。
売られていた写真をネガごと全て買い占めたらしく、手にしている紙片は厚みがある。
日野は笑いを堪えながら教室を出た俊の後ろから
いきなりヘッドギアをかまして俊の握っていた写真を取り上げた。
「お〜お〜たくさん買ったな〜〜」
冷やかしながら俊の手をよけて、素早く目を通す。
ただの私服姿や、体育の時間に撮ったらしいいで立ちのものやいろいろだ。
「日野っ
てめ〜
返せっ」
俊はムキになって手を伸ばしてくる。
それをかわしながら、写真を見ていた日野は
「なんで〜・・・・エロい写真1つもねーじゃん」
と半ば本気でがっかりした様子を見せる。
俊は日野を捕まえると写真を取り上げ
「あってたまるか」
と息を切らせながら小突いた。
そこへ示し合わせたかのように蘭世が通りかかる。
「あっ・・・真壁くん・・・・♥」
日野は蘭世を見つけるとすかさず言い寄る。
「おい江藤、真壁の持ってる写真わぁぁぁ」
言い終わらないうちに、俊に足をかけられて横転した日野は
なおもしつこく続ける。
「真壁の持ってる写真見てみ」
「えっ?? なになに??」
蘭世は状況がイマイチ理解できていないが、日野の言う写真は気になった。
俊の手元に目をやり、そのまま俊の顔に目線を移動させる。
俊は蘭世の好奇心が音を立てて膨らんでくるのを感じ
あわててその場から離れようと走り出す。
「あっ真壁っ!! 江藤追えっ!」
日野の根拠のない命令に反射的に従ってしまう蘭世は
言われたとおり俊を追いかける。
「待ってっ・・・真壁くぅんっ」
「逃がすなよっ」
言いながら日野も走り出す・・・・
この日の聖ポーリア学園ボクシング部は、約1名のマネージャーを含めて
校内での走りこみで終わってしまうのであった。
ちなみにこの日の夕方、写真部の生徒が1人で階段から落ちる。
本人に怪我はなかったのだが、手にもっていたカメラは大破してしまう。
かなりの大枚をはたいて買ったカメラだっただけに本人のショックは大きく
その後しばらくは学校に顔を出さなかったという。
日野はその事実を知った時まさかと思いつつも俊の顔が浮かび
「まさかな・・・・でもな・・・・いやいや・・・やっぱな・・・」
と1人頭を抱えていたとか・・・・。
なんか変な終わり方になってしまった・・・・
小話のつもりだったんだけど、ナゲェ・・・・
学生時代ホントにこんなことしてる写真部のオトコがいたのを思い出し
この話を思いつきまつた。
ところで、最近このスレ住人少ない気がするんですけど
何人ぐらいいるのかな?
ロム専が多いのかな?
小話やエロネタと一緒に
番号を名乗り出てみて欲しいって言ったら趣旨に反するでしょうか?
(番号だけでもいいんだけど、せっかくなので何か一言とか・・)
腹減ったな・・・・・
防衛戦が近づいてきて、減量も大詰めを迎えてきている。
結婚してから、食事の管理はきっちりしてもらえているので
その点は苦労が少なくてありがたい。
だが、結婚してからの減量期間はある意味オレにとって
生き地獄というか生殺しもいいとこだった。
「ただいま・・・・・・・・・・・・なっ!」
「きゃあっ!」
「お前・・・そんな格好・・・」
もし家に帰った時に、家の中でバスタオル一枚の新妻が立っていたら
普通は男として放って置けるわけないだろう。
それが自分を誘っているわけではないと・・・・・
たまたま風呂上りに出くわしてしまっただけだとわかっていても・・・。
だが減量中は食事制限と共に禁欲も強いられる。
はっきりいって、ボクサーとして一番きついところだ。
食事制限はこの際いいが、禁欲はかなり堪える。
だが、これを破ると次の日の動きにてきめんに表われてしまうのだ。
それはトレーナーにもばれてしまうほどで
一度の性行為が消耗する体力の大きさは、その時にはあまり気にならないが相当なものだ。
特にオレはいけないと思うほど燃えてしまい、次の日にちょっとだけ後悔するパターンが多い。
一応こいつもわかってるはずなんだが、わかってるようでわかってない。
もちろん減量中は別々の部屋で寝ている。
さすがに一緒のベッドで寝ながら何もしないではいられないからだ。
オレはリビングでソファの背もたれを倒して簡易ベッドにして寝る。
これは決めるのに一悶着あり、あいつがこのリビングで寝るという主張と
オレがリビングで寝るという主張が真っ向から対立した。
まぁ・・・それはお互いがお互いを思ってのことだったので
じゃんけんで決めようといいつつオレが主張を通した。
オレはじゃんけんに負けるわけないからな。
オレを挑発しない様、あいつもあまりくっつかないように
意識して離れてはいるが
妙に体のラインがくっきり出る服を着ていたり
今日のように無防備なことをしでかしたり・・・・
そんな気がさらさらないとはいえ
手を出せない時のオレにとっては惨い仕打ちとしかいいようがなかったりする。
「ごっっ ごめんね。もっと帰りが遅いと思ってた」
慌てて走り去るその後姿はタオル越しでありながら滑らかな曲線を描いていて
俺の目をくぎ付けにしてしまう・・・・・
タオルからのぞく白い足は形よく伸び、床を蹴ってオレの視界から消えていく。
いかんいかん・・・・
俺は頭を振って、冷やしついでにシャワーを浴びに行く。
シャワーから出ると、既に食卓には準備がされていた。
動物性たんぱく質を含んだものは卵ぐらいで、あとは低カロリーのものばかりだ。
毎日きっと苦労しながら献立を考えていることだろう。
限られた食材の中で、飽きが来ないよう毎日色々な形で調理されてくる。
オレは愛情をたらふく腹に詰めると、洗い物の音を聞きながらTVを見てくつろいだ。
平和なひととき・・・
家庭の温もり・・・
そして甘い夜・・・
と行きたい所だが、それだけは今日はお預けだ。
だがいつもならそのままうとうとと寝てしまうのだが、今日は目が冴えてしまっていて
妙に洗い物をしている後姿が気になって仕方がない。
洗物に没頭している後姿は鼻歌交じりで、ちょっとだけ腰をくねらせながら
機嫌良さそうに光る黒髪と一緒にリズムよく動いている。
細いウエストを強調させるエプロンの蝶々結び。
ちゃんと衣類は身につけているのに、妙に体のラインが浮かび上がる。
洗い物を終えて拭き始めた食器を
高いところへ置こうと背伸びするしなやかな肢体。
そしてそれを見つめるオレを煽るように主張する2つの膨らみ。
上下する腕に振られて少しだけ弾んでいる。
普段見ている姿なのに、欲情を押さえているこんな時は
それだけでたまらなく触りたくなる。
いかんいかん・・・・
見ているだけでヤバイ・・・
オレはTVに向き直って、動き出しそうな分身を静めるために試合のことを考えた。
対戦相手のこと。
減量のこと。
減量中の食事。
こいつが作ってくれているメニューのカロリー。
今日も良い組み合わせだった。
今は何気なく洗物してるが、努力しているんだろうな・・・。
また気になって振り返る。
白い皿に
「はぁ〜♪」
と息を吹きかけてキュキュッと磨き上げている横顔が見えた。
はぁ〜だとぉ〜
その唇に目が吸い寄せられてしまう。
何も塗ってないはずなのに、熟れた果実のように赤く瑞々しい。
柔らかくて甘そうな唇・・・
いかんいかん・・・・
違うことを考えよう。
またTVに向き直るオレ。
しばらく目を瞑り、煩悩を頭から追い払う。
オレのその努力を嘲け笑うかのように、笑みをたたえた顔で
愛しい子悪魔がオレの隣に座った。
「ねっ。耳掻きしてあげる」
エプロンを外して自分の太ももを示す。
「ああ」
オレはあまり考えずにごろんと横になるが、すぐに後悔する。
今でこそ膝枕なんて当たり前の様にしてもらっているが
今日はこの太ももの感触を味わいながら耳をいじられるのがかなりくる。
一見細い腿は触るとむちむちしていて柔らかく
そこからくる温もりがまたオレの体温を上げていく。
俺をそっと包む柔らかい手。
細い指がオレの髪を梳いている。
オレの欲情は頭をもたげ始めていた。
いかんいかん。
だがまだ片耳の掃除が終わったばかりだ。
TVの方を向いていた体制から、反対側に向き直る。
オレの視界にはめいっぱい妻の股間と、たわわに近寄ってくる膨らみ。
ちょっと頭をあげれば口に含めそうな近さ。
そしてそんなオレをおいでおいでと手招きするように
パラリと覆い被さるつややかな黒髪。
いかんいかん!
こぶしをぐっと握って目線を移動させることにした。
ちらっと視界の端で顔を窺うと、真剣なまなざしで一点を見つめている。
その張り詰めた黒い瞳はオレの視線に気づいて、ふっと弛んだ。
「眠くなっちゃったかな?」
甘い声でささやきながらオレの頭を撫でる。
オレの忍耐力をサラサラと払い落とすようなその感触。
オレの目には愛しい妻の顔とその手前でオレを招く2つの膨らみ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜くそっ
そしてオレは我慢できずにまた妻を押し倒してしまうのだった・・・
次の日もちろんトレーナーにばれて、その日から帰宅を禁止される。
というか妻との面会を禁止され、試合までぎっちりと搾られるハメになる。
時々記者からコメントをねだれた時に
「ボクサーをやってて一番きついと感じる時は?」
と聞かれると
「減量」
と答えるが、裏の意味は禁欲ってこった。
それを知っている唯一の人物・・・・トレーナーはそれを聞いて後ろで1人笑いころげている。
ちっ
笑いすぎだぜ。
173 :
350:03/04/06 18:50 ID:s+GdcrVx
大して面白くもない話をこんなにひっぱってしまった(゚Д゚;)ビクビク
某ボクサーの実生活の話を基にしてみまつた。
それを聞いた時はなんとも思わなかったけど
急に
王子もきっとそうだろな・・・・
と思い、書いてみたのでつが・・・
>165
自分の行ってた学校にもそ〜ゆ〜ヤシいたよ〜
>166
そういえば少なくなってきた気がするね・・・。
春という発情期を迎えてココが静かなのは寂しい限り・・・
ってことで住人2人目に挙手(`o´)/
他に住人が全然いなかったら萎えちゃいそうでコワイケド・・・
ROM専ですが、住人です。
皆さんのSS,楽しく萌えさせて頂いてます。
これからも頑張ってください。
という訳で、3人目に挙手!
私もロム専ですが4人目!!
っていうか初代スレの1という噂あり…(秘
よくここまでこのスレ育ったヨナー皆さんありがと。
もうカキコしないでゆっくりタマーに見守らせていただきますので。
スレ汚しスマソ
新参者のロム専っす。
ここ本当に楽しいですが、覗いてる所を家族にばれないかとひやひやします。
ってことで5人目に挙手。
は〜い、6人目!(´∀`)ノ
同じく、ROM専門です。
ここ読み始めたのはエロパロ板に移ってくる直前くらいかな?
単行本処分してしまっていたので、文庫で買いなおしてしまいましたよ。
七人目。基本的にROM専でつ。初めてこの板に来たときpart4か5くらいで
続いているなら内容も(゚∀゚)だと思って覘いたら当たりだったので
それ以来常駐してるちょっぴりベテラン。
8人目!
初期スレからですが、作家引退しまつたw
はーい!9人目っス!
ここに着たのはほんとに最近。前スレ後半くらい?
ままままま、まさかときトュナのこんなスレがあるなんて(゚∀゚)
世の中(つーか2チャンw)って、何でもあるんだなーと
感動しています。
当方、完璧なロム専。作家さんがた!がんがって萌えさせて下さい!!
わ〜い、キリよく10人目!!
でもROM専でごめんなさい…。
一度書いてしまいましたが、神々の素晴らしいSSに
萌えてる方が幸せなので…。
これからもがんがってくださいー!!
>350タソ
笑い転げてビール噴出しました…。
漏れもその話、聞いたことあって、
「真壁くんならどうなるだろーなー」と思ってましたが、
やはりの展開w
さすが王子ですな!!
ROM専ですが、11人目の名乗りをあげてもよいですか?
最近見つけて、楽しみに寄らせてもらっていまつ。
同じくロム専ですが12人目でつ。
最近発見したばかりなので過去ログ毎日こつこつ読んでまつ。
単行本処分しちゃったんでつがここで更に萌える為に文庫を一気に購入のヨカーン(ワラ
最近ROM専13人目
以前にすこーしだけ作品ウPの経験ありっす。
(でもそんなにエロじゃないでつ・・・)
185 :
350:03/04/07 01:11 ID:YHRxoU14
(゚Д゚;)スゲー
イパーイいたんだねぇ
そんなに見ている人がいるとは知らずに
無駄スレ使いしていた自分がコワイ(゚Д゚;)ビクビク
>175タン
あわわ・・・(゚Д゚;)ご先祖様(ワラ
でつか??
>181タン
ビール噴出ありがトン
反応してくれる人がいてちょっとホッッ
たまに感想書き込む専らロム専14人目です。
かなり楽しんで読んでまつ。
初代1さんが登場してびっくりですYO!
自分もパート1から離れられないでおります。
>350タン
面白かったでつ〜〜。
某ボクサーって畑○でしょうか?
自分もTV見て真壁くんを思い浮かべてしまいますた。
187 :
sage:03/04/07 09:50 ID:jCavrsBF
スレ無駄使いでは?<点呼
188 :
名無しさん@ピンキー:03/04/07 09:51 ID:yp2qYP9Z
189 :
187:03/04/07 09:52 ID:jCavrsBF
しかも下げ忘れ・・・。
スマソ
190 :
vv:03/04/07 16:27 ID:dbHIGG1y
別にいいんじゃない点呼ぐらいのスレ消費
自分もここの住人ってどのくらいだろうって思ってたし・・・
多ければ作家タンの励みにもなるだろう。
それよりアゲられての広告のほうがウザい
今日初めて来ますた。15人目〜♪
プロボクサーの独り言、(・∀・)イイ! オチがまた・・・
そういえば思考を読まれないように遮断できるくらいなのだから
性欲も意識して抑えられるのでは? なんて思ってしまった。
そうしたらこのスレの意味がなくなってしまうが(w
16人目に名乗り出ます♪ (´∇` )
10年以上ぶりにときめきファン復活しました。
いつまでもこのスレ存続させていきたいっす〜
点呼うぜーよ。
感想はあった方が良いと思うけどさ。
17人目でつ(・∀・)350タンは私にとって
かなり萌え〜な作品を書いてくれるので
これからもついて行きます!!
17人目、は〜い。
前スレ立ったあたりからのROM専です。
・・・・リロードすればよかった。
神の皆様には、いつも(*´д`*)ハァハァさせていただいております。
ROM専の18人目です。これだけすごい作品を作られる
作者様方に感謝!!です。これからも応援し続けます。
↑ハレ? 17人目がダブってるから
19人目じゃないでつか?(細かい?)
ROM専20人目でーす!
21人目。神の隙間を埋めております。一応隙間作家(w
どこか一文だけでも「それっぽい」「やりそう」と
同意してもらえるものを書こうと思ってます。
よそでは抜き差しできるんですが、俊蘭だと、濃いのがかけません。
自分の中に境界線があるので。
濃いのは他の方にお願いして、わたしはかわいい感じでやっていきます。
新参ROM専22人目です。
ここ発見してから一気に過去ログ読み漁り、
古本屋にダッシュして蘭世編買いなおしました。
確かにエロ的突っ込みどころ満載ですね。
真壁君がむっつりスケベで超能力使えるってだけで、
かなり妄想が膨らみます(w
ときめきが真壁君を主人公にした少年漫画だったら、
かなりエロ展開ありのギャグ(後半ドラゴンボール化)なんだろうなぁ。
東○大学物語みたいに、表面クールに、頭の中は妄想フル回転とか(*´Д`)ハアハア
俺を感情に走らせるな、何をやらかすかわからねえ
散々ガイシュツと思いますが、このセリフだけでもう充分でつ。先生有り難う。・゚・(ノД`)・゚・。
205 :
名無しさん@ピンキー:03/04/08 07:04 ID:BGa0VFiz
点呼キモイ
晒しage
206 :
ゴン太:03/04/08 07:36 ID:E8afDc7c
この頃の出会い系サイトって、何か桜とか多くない?
「ご近所・・・」も「一億のメルフレ」も全然ひっかからないよ。
色々探してみたら、ちょっと気になるサイト見つけたよ。
まだ会員少ないから、今がチャンスかも?
有名サイトはライバル多いしね。
ちなみに来週22歳のOLと会う約束して、
32歳の人妻からは携帯番号教えてもらったよ。
ご参考までに見てみるといいよ!
でもこの管理人の読んでるけど、
私生活過ごすぎじゃない?
http://www.anybody.jp/~momohiro/nikki/index.htm
207 :
名無しさん@ピンキー:03/04/08 07:59 ID:9o8lvv52
>205
ageんな ヴァカ。
逝ってこい。
…というわけで、ROM専23人目。
209 :
698:03/04/08 15:19 ID:jLTzw0od
なんか最近ときトゥナ系のスレ荒れてますね。
春休みだったからでしょうか・・・。
衣替え。
ブレザーを脱ぎ捨て、長袖のシャツを半袖に着替える。
6月になったばかり、まだ肌寒い。江藤も少し寒そうだ。
「わ〜ん、鳥肌〜」
腕にぷつぷつが出ている。
二の腕をさすってやる。摩擦で暖かくなるかもな。
「や〜ん、俊が蘭世の腕さわってるぅ。やらしいやらしいっ」
神谷に引き剥がされた江藤はそのまま神谷に抱きつく。
「神谷さんの事はわたしがあたためてあげるね〜」
「おえ〜」
そういえば、ジャージの上なら持ってたな。
「江藤、これ羽織っとけ」
「俊〜わたしにも〜」
「神谷は毛皮持ってるだろ」
神谷は???な顔で。ま、犬になったらの話だけど。
江藤はジャージの前をあけて袖から手を出せずに上下にぶらぶらふっていた。
「おっきいね〜」
真壁くんの匂い〜〜とかいいながら神谷と追いかけっこをしている。
手のひらに残る江藤の腕の感触。
うすい脂肪の下に骨があって、、、。つまり細い。
つるつるの白い肌。
そんな事を考えてるうちに江藤のうちまでたどり着いた。
「真壁くん寒くない? コーヒー入れるよ」
江藤に促されて江藤家に足を踏み入れる。
あれ?
いつも入れ代わり立ち代わりやってくる家族の姿が、ない。
「部屋いってて?」
ふたり、きり、か。
江藤の部屋にコーヒーの湯気が立ち上る。
机をはさんで隣あわせに座る。
江藤はこんなときでも無防備だ。きっと相手が誰でもすぐ信用する。
なんだかイライラしてコーヒーを勢い良く飲む。
「あのね、真壁くん」
「なんだ」
ちょっとケンのある言い方だったかもしれない。
「前は不安な事いっぱいあったの。戦わなきゃいけないとか、真壁くんの気持ちとか、
でもね、最近は大変なこととかもないし、真壁くん優しいし、
蘭世の心配事って、テストの点数ぐらいなの。」
江藤がマグカップをおいてこっちを見た。
「真壁くん、ありがとう」
目をつぶって?と言われ素直に従う。
「こんな事、女の子からなんて嫌いにならないでね」
俺の肩に江藤の手がのる。
江藤の暖かい唇がゆっくり俺のに重なった。
江藤からのキス。
今まで何度もしてきたものとは違う気がして、嬉しくて、
離したくなくて江藤の腰に腕をまわした。
唇が離れた瞬間目をあけて、江藤を引き寄せた。
言葉に出来なくて、どうしても体が動いてしまう俺は、
不器用なのか、器用なのか。
もう一度唇を求め、重ねる。今度はいつものように俺から。
頬を赤くする江藤。俺は、もっと違う所へ行こうとした。
唇から瞼。そして耳。
「きゃ・っ」
噛んで、首筋に移動する。
江藤の体が熱くなってくる。
俺は江藤のシャツの襟元をつかむ。
ヤバい、とめられなくなる。
わかっていてももうどうにもならない。だれか、だれか、
誰か俺をとめてくれっ
「まかべくぅん」
江藤は俺から逃げて俺の肩に顔を埋めた。
そのまま首にまわした腕を狭くする。
「わるい…」
俺を煽って暴走させるのも、それを止めるのも、
江藤か、、、。
「嬉しいけど、嬉しいけど」
やっぱり恐いか。
俺は江藤の髪を撫でて、腰をあげた。
「また明日な。」
早く帰らないと、狼になっちまうからな。
泣きそうな江藤。
「気にするな、そんな顔してると、襲うぞ」
笑って家を出る事ができた。
荒れていてもうpしてしまうあたしって、、、。
ああ、真壁くんにチュー以外をさせたいのに、
してくれない、、。
真壁くんはなぜそんなに我慢が出来るんだろう。
頑張れ真壁くん(w
頑張れ真壁くん
>213
オツ!
寸止めで素敵でした。
次もぜひ…
>>213 >「気にするな、そんな顔してると、襲うぞ」
このセリフに萌えてしまいました。
チュー以外もガンガレ真壁くん!
続きが読みたいです。
さりげなくROM専24人目sage
216 :
名無しさん@ピンキー:03/04/09 20:18 ID:Wpy52adJ
点呼馬鹿がまだ居るな。
晒しage。
>216
ウザイ。
作家さん方がうpしづらくなるだろ!
219 :
名無しさん@ピンキー:03/04/09 23:38 ID:Wpy52adJ
点呼厨がいなくなればsageますが何か?
って事でもう一度晒しage。
人の事をウザイと言う前に、自分らのウザさを認識したら?(ニヤニヤ
マターリいきましょうよ〜
せっかくいいスレなのにもったいないです。
神が離れてしまいます。
>219さん
一応ここはsage進行でお願いしているのでご協力お願いします。
>4参照
>213
乙カレ〜様です。
蝶の蘭世ちゃんは本当に可愛いですね〜。
続き楽しみにしています!
>219
不満があっても、とりあえずsageましょうや。
これで神が離れてしまわれたら、
真壁君はずっと寸止めのままですよ。
>>213 乙です!
真壁くんの、脱・寸止め!楽しみにしてます!
原作の続き読んでるみたいでイイです!
またーり
何だコリャ。
久し振りに覗いたら…ここはリア厨のBBSか?
もまいら幾つだよ(ニガワラ
ま、過ぎた事を言っても仕方ないよね。
再び神の降臨をお待ちしております(`・ω・´) シャキーン
蘭世萌え。
では建設的にいきましょう。
直接エロ表現はないです。あなたの想像力に頼ります。
克×ゆりえ
卒業して数年後のはなし。
「克、久しぶりね」
高校を卒業してから5年ほどたった学校同窓会で、二人は2年ぶりに再会した。
やりたい事が見つかったからと町を出ていった克。
距離を置く事を承諾したゆりえ。
各々の事情により自然消滅の形をとってしまった恋。
「わたしに会いには来てくれなかったのに同窓会なら来るのね。」
ゆりえは皮肉めいた言葉をかける。
言葉を詰まらせる克の事を察して微笑んだ。
「会いたかった」
「俺も、…」
「前みたいになれるのかしら。」
「そうだな」
克は自分に自信が持てていたあの頃に戻りたくてそう答えた。
「なら、飲み直しましょう。生徒会長の命令です。」
最後はちゃかすようにしてゆりえは克の腕をとり、
いつも仕事で使っている高級感が心地よいホテルへ。
ゆりえはシャワーを浴びながら考えていた。
克がどんな生活をしてきたのか。
話したがらないところを見ると、うまくいっていないのだろう。
離れずに、自分に無理やり縛り付けておけばよかったのかもしれない。
『わたしがよかれと思ってしたことは、克にはそうではなくなってしまう』
昔もそうだった。学費の援助。心はすれ違うどころか、歪んで届いた。
先にシャワーをすませてた克はベッドに横になっていた。
「やっぱり、彼女に悪いからなんて言うのはなしよ」
「今は、いない」
克は本当の事を答えてゆりえとの障害を取り除いたつもりだった。
『今は、』その言葉で、克には今つきあっている人はいない事と
誰かと別れた事がゆりえには読んで取れた。
ゆりえはベッドに潜り込み、克の胸に頭をもたれた。
ゆりえのあごは克の手ですくいあげられ、覆いかぶさる唇が
お互いの吐息をかくした。
克が飲んでいたビールのグラスの水滴が大きくなり、流れ落ちた。
覚えていたはずの感覚が昔と違う事に時間の長さを感じた。
会わない間に何があったかなんて、今はどうでもいい。
ゆりえの滑らかな肌をすべる克の指。それはゆりえを弄び、快楽へ誘う。
ゆりえの甘く響く声が克を追い詰める。
克が大きく息をすって深く動き始めた。
「克、大丈夫だから。最後までお願い」
克はどこか安心する思いで、ゆりえにそそいだ。
「会社を継いでくれる人と結婚する事が決まってるの。」
克の返答を聞く前に部屋を出た。
「さらってはくれないわよね」
自分の家を捨てる事は出来ない。
だけど、期待し、ゆりえは自分でその道を絶った。
ゆりえは30歳になり、会長である父親と手をとってという形で、全事業を継いだ。
克と最後に愛し合ってから6年ほどをゆりえは波瀾万丈に幸せに過ごした。
どこにいるかわからない克の事を思い続けながら。
スカートにまとわりつく子供の顔に重なる面影はいつでもゆりえを支えてきた。
大学を出ると自分が事業を継ぐと言い出し、お見合いをさせる度に結婚はしないと言い張る娘は
突然子供を産み、屋敷の中をパニックに陥れた。
子供の父親の名前を言わない娘を勘当しかけたこの家の主もゆりえの思いに折れた。
会社や、子供のために未婚の母である事は代がかわるまでは伏せられる事になってしまったが、克に知られたくなかったゆりえはその事に問題を感じなかった。
ゆりえは育ったこの地で愛する人の子供と生きていく道を最初から選んでいた。
6歳になる息子の克之はセントポーリアへいく事が決まっている。
「お嬢様、お客さまがいらっしゃってますが、如何致しましょう? どうしてもとおっしゃって。
セントポーリアの後輩だったとか言う方なのですが」
会社を継いだらお祝いの客や、あまり嬉しくない客までも押し掛けるようになっていた。
「同窓生なら、仕事をくれとか、お金をかしてなんて言う人はいないでしょう。会います。」
客間に行くと、既に客は席に着いていた。
立ち上がった褐色の青年にゆりえは言葉を失った。
焼けた肌に、痛んだような髪。体つきはかわっていたけれど、間違いなく、
「ゆりえ」
それは克の声だった。
「呼び捨てはまずいか。社長になったんだってな」
頷くしか出来ないゆりえ。
克は自分の話をはじめた。あの後、一から始めて、紆余曲折の末に認められた事を。
自分が企画した仕事を出来るようになって、最近までアフリカに行っていた事。カメラマンとして。
「ただのアシスタントじゃなくて、俺が撮りたいものを撮らせてもらえるくらいにはなったんだ。
で、日本に戻ってきたから幸せな家族をとりたいと思って真壁のうちによってきた。
…お前、結婚してないってどういう事?」
独身の30歳の若い女社長の誕生は一部では有名な話だ。
ゆりえの住んでいる町の人ならなおさら。
「お前の家族が幸せなら、写真、とってやりたいって思ってたのに、、、」
「しあわせよ。とても」
「お前の父親と、母親と、おまえと、お前の、、、だんなと、こどもの写真を、とりたかったんだ」
「そうね、ダンナ様は、いないわね。最初から。
克の腕を見せてもらおうかしら。とってくれる?家族の写真も。」
「ああ。」
ゆりえは使用人に人を呼んでくるように指示した。
ドアの隙間から恥ずかしそうに顔を覗かせた子供。
「家族よ。
克之、ご挨拶して、お母さまのお友達なの」
「こんにちは」
「お前が産んだ子、か?」
「そうよ」
克の目の前にいる子供は、どこかでみた事があると、克は思った。
あと3レス分くらいありまつ
今日中にはうpしまつ。
実は以前、「克の職業はなんだろ?」と話をふってから
すぐ書いたのでつが、なぜか、寝かせていました。
では、また。
「お嬢様、お電話が入っておりますが」
「すぐいきます」
ゆりえに電話が入っている間、克はその間の時間を克之と過ごした。
「おまえ、おやじは?」
「どこにいるかわからないって。でもね、お母様、
お父様の話をするときとても嬉しそうなの。なんでかな?」
克之も少し嬉しそうに話す。母の顔を思い出すとそうなるようだ。
「まだ、好きだから、と思う」
「だれが?」
「俺が」
克之は意味が分からないと言う顔をした。
『俺が、ゆりえを好きだから』
ゆりえの両親の帰りを待って写真を撮ることにした。
「俺がちゃんとやってる事を見せたくて、お前が、幸せな事を見届けたくてここへきたんだ。
お前は幸せそうだ。安心した。」
「ええ、とてもしあわせよ」
克は克之が、自分の子供だと確信していた。
顔も、年も、そして、名前。
結婚すると言っていたのは嘘だったのか、それとも子供の事で破談にでもなったのか?
ゆりえの父親は克の名前を聞いてその存在を思い出したようだった。
「おかげで、高校にも行けましたし、感謝しています」
「ゆりえがうるさかったからな。『河合家に尽くしてくれた人の家族はうちの家族よ』なんて。
意志が強いというか、強情で、」
父親は笑いながら言う。
「克之を産むときも「ずっと好きだった人の、これからもずっと愛し続けていく人の、子供です。」
だから絶対うんで育てるって聞かなくてね」
母親もわらっていた。
この家は昔、こんなにも笑顔があっただろうか。
克に克之がなついてしまい、時間があるなら泊まっていくようにすすめられて、
克之がかわいい克はそうする事にした。
「ごめんなさいね、克、この子遊ぶ相手がいなくて。もういいからゲストルームで寝て」
「ああ、コーヒー入れてくれるか?すこし話そう」
二人はコーヒーをはさんですわり、ゆりえはうつむいていた。
「ゆりえ、おまえしあわせか?」
「ええ」
「もっとしあわせになる気ないか?」
ゆりえは顔をあげた。克の言っている事がよく分からない。
克は両親と、子供から聞いた話をした。
「なんでご両親がそんな話したのかわかるか?克之が俺の子供だってわかってるんだろう」
ほんの一瞬目を見開くゆりえ。
「あたりだろ。顔、俺にそっくりだもんな」
頷くかわりにゆっくりとまばたきをした。
「住む世界が違っても、一緒に生きていけると思わないか?」
「克」
ゆりえは何がおこったのか、わかるようなわからないような混乱で涙を流した。
ゆりえにとって唯一の男の肌。以前よりずっと力強い腕で組敷かれる。
「子どもも産んだのに、恥ずかしいわ」
「関係ないさ」
克は愛おしい女に唇を寄せた。最初は優しく、次第に奪うように。
ゆりえは腕を伸ばして男を捕まえた。二度と離したくない思いで、引き寄せた。
洋服のしたから感じる温かさ。それが本当にそこにあるのを確かめるために
手のひらを動かし、そして剥がした。
心がやけどしそうな熱さ。だけど、欲しい。そして、離さない。
愛情の痕と律動。どちらのものかわからない汗。
嗚咽と激しい水音。艶かしい味。
音をたてて溶け合う心。
ゆりえは克への気持ちに寄り添って生きて来た今までに後悔をした事がない。
そしてこれからも。
克は男としての生き方に翻弄されながら、それでもゆりえへの想いと、ゆりえの愛情に
繋がれてここまで来た。
この二人もやはり
「離れられない」二人なのだと。
どこかで誰もが思う。
超感動しますた!!!ありがとう!!
俊蘭派の私ですが、今までで一番感動です!!
エロくもないのに長かった。スマソ
(*´∀`)マンセー
つらい恋を思い出した。225タンまんせー。
エロちょびっとあるしいいのでは?
>214さん 寸止めでもレス頂けてほっとしますた
>215さん 真壁くんって、原作でも時々際どい台詞はきますよね〜
>221さん レスありが? 続きは真壁くんにがんがってもらいまつ。
>222さん 真壁くんもきっといつかハードルを越えたいと思ってるはずでつよね
>224さん 蘭世のどんな所に萌えですか?
ハネムーンを中断されて帰国した翌週、日野から電話がかかってきた。
江藤(まだ時々これで呼んでしまう)にお土産をもらった河合ゆりえから帰国したことを聞いたらしい。
初めてとる新居での電話の相手が日野で、しかも第一声は
「よぉ真壁。途中で帰ってくるなんざーウワサの成田離婚ってやつかー?
江藤はゆりえに土産くれたのにお前はオレにくんないのかよぉ・・・」
溜め息をつく。
そんなガラかよ。
「バカヤロー!てめーらセットなんだよ。代表で河合にやったんだ」
適当なウソ。
「何ぃ?
そうだったのか!
なぁんだ・・・そっか
じゃ、おフランス製シルクのキャミソールはオレにも着る権利があるって事なのかしら?ウフン」
「ぐっ」
あいつそんなもんやったのか・・・
「用件は何だ」
話題をそらす。
「おいおい。つれないな〜・・・・・せっかくデートに誘おうとしてんのによ〜」
「デートだぁ?」
「タイトルとったお祝いに奢るよチャンピオン。サシで飲もーぜ。」
オレは日野の強引な誘いに応じて、その日の夕方から単身繁華街へ出向いた。
日野とは何度か飲んだことがあるが、いつも日野から誘ってきては日野のいきつけで飲むというパターンだ。
「おうオヤジ。連れてきたぜ」
「おっ!来たねぇチャンピオン。やっぱアンタだったんだねぇ・・・・」
日野はオレに向き直る。
「このオヤジお前が勝ったとき何度か連れてきてる奴だって言っても信用しなくてよ〜・・・」
だから誘ってきたのか・・・納得がいく。
店の親父は嬉しそうに
「チャンピオンにゃ変なもの食わせられねーな。うまいもん用意すっからとりあえず冷えたビールで乾杯といこうや」
とジョッキを3つ用意する。
もしや・・・
「おい、親父も飲むのか?」
日野は少々心配そうに聞くと
「ったりめーよー!フェザー級の新チャンピオンが来てんのに仕事なんてやってられっか!
今日はオレのおごりだから好きなだけ飲んでけよ〜」
と機嫌良さそうにのれんをしまいに行く。
日野はあきれた顔でそれを見送ると、こそっとオレに耳打ちしてきた。
「あのオヤジもボクシングしてたんだってよ。お前の事TVで見て、いたく気に入ったらしいぜ」
・・・・なるほど・・・・・
それからオレ達3人は相当な量の酒をこなす。
酒の肴はボクシングの話オンリーだったが、オレ達には充分だった。
オヤジの酒の勧め方は日野より強引で、断りきれないオレはだいぶ飲まされれしまう。
日野もへべれけで、もはや何を言ってるのかよくわからない。
多分オレも似たようなもんだったろうが・・・・・
最後にオヤジがとっておきという泡盛を出してきて
飲みながらヤバイかなとは思っていたが
泡盛は飲んでしばらくしてからすごい勢いで効いてきた。
初めて視界のゆらぎを体験する。
日野もそうだったらしく、示し合わせたように話を切り上げて
ダウン寸前のオヤジにいとまごいを告げる・・・・
途中オレと日野は二人で足も舌も少々もつれながら帰ったと思うのだが
ここらへんから記憶がない。
歩いて心拍数が上がり、酒がいっきに回ったらしい。
確か日野はうちに泊まる事になってたような気がしたが・・・
だが目が覚めると日野は家にいなかった。
目が覚めたオレのほほには、人肌の温もりとやわらかい感触・・・
息苦しくなって起き上がろうとして、自分が布団の中にいることに気づく。
そして自分がどんな体勢なのかも・・・・・・
多分オレの下にいるのは・・・・
まだ少々酒の残る頭のぼんやりがアルコールと抜けていくのを待つように
オレはしばらくじっとしていた。
・・・・昨日・・・・・どうやって帰ってきたっけ・・・・
「オハヨウ。気分はどう?」
「!。起きていたのか・・・」
「だってアナタがきつく抱きついてくるから、苦しくてなかなか寝れなかったのよ」
「抱きついた?」
「やっぱり覚えてないの?」
おぼろげに記憶が蘇る。
・・・・そういえば・・・・
帰る道すがら多少の破壊行動をしながら日野と家まで来て・・・・
「日野は?」
「アナタが追い返しちゃったじゃないの」
「?」
回想するイメージがそのままオレに流れてくる。
・・・・そうだ・・・
帰ってから、日野を客間に通そうとしたコイツに日野が抱きついたんだ。
イヤ・・・正確に言うと「ゆりえ〜」とか言いながらもたれかかったんだ。
それにキレたオレは日野を殴り飛ばして、想いケ池の水をぶっかけた。
「アナタ相当酔っぱらってたわよ」
「ああ・・・だいぶ飲まされたよ・・・」
「日野くん大丈夫かしら・・・」
「アイツだってボクシング部にいたんだ、一発殴られたぐらいじゃ死にゃしないさ」
「「そうだけどね・・・・・何か飲む?」
「ああ、トマトジュースをくれ」
「ちょっと待っててね」
布団から出ようとする白い体は何もまとっておらず
オレの目を盗むようにさっと落ちていたネグリジェをまとってドアへと消えていく。
・・・・なんで裸なんだ・・・・??
・・・オレがやったのかな・・・・・?? やっぱり・・・・
起き上がると少々ふらつく頭を抱えてオレは考え込む。
自分も全裸だった。
よく見ると傍らに全部脱ぎ捨ててある。
必死で記憶を手繰ってみるが、どうしても思い出せない・・・・
トマトジュースのはいったグラスを持って入って来る前に
ひとまず最低限の衣類を身につける(パンツ穿いただけだけど)
現れた妻は、赤い唇をほころばせながらグラスをオレに渡してくる。
「なんで笑う?」
「フフフッ・・・だって・・・アナタ・・・子猫みたいに可愛かったのよ♥」
「可愛かった?」
「日野くんを帰した後ベッドにばったり倒れこんで寝ちゃったんだけど・・・・フフフッ・・・」
それ以上言おうとしないので、また考えを読まされる。
オレは一緒に寝ようとするコイツのネグリジェを剥ぎ、自分も脱いで
きつく抱きついて顔をうずめたまま、しばらくじっと動かないでいたが
・・・・やがて・・・・小さく一言つぶやくように・・・・
"子守唄・・・・また歌ってくれよ・・・"
あやうくトマトジュースを吐血する所だった。
咳き込んでしまう。
・・・・なんでそんな事・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・!!!
赤面する自分がわかる。
「あはっ 赤くなった!」
オレを指差し屈託なく笑う顔もまた少し赤い。
コイツはちゃんと歌ってくれたらしい。
頭を撫でながら・・・・
そういえばなんだかとても懐かしい安らぎのようなものを感じたのは覚えている・・・・
・・・子守唄か・・・
とても不思議な気持ちになった。
覚えていたのだろうか・・・・ガキの頃聞いただけの歌を・・・・
そして今の自分はその歌を思い出そうとしても出てこない・・・・
「・・・もう一度歌ってくれないか?」
「えっっっ///」
「思い出せないんだ・・・・」
「そりゃ・・・そうでしょ。赤ちゃんだったのよ」
「聴きたい・・・・」
しばらくためらった後赤い顔の妻は目を伏せて、僅かに震える声で子守唄を歌い始める。
初めて聴くようで懐かしいような・・・
遠い昔を連想させるような・・・・
歌うコイツから遠い昔の記憶が流れてくる。
甘ったるい、乳臭い、鼓膜をサラリとくすぐる雲のような感覚・・・・
いつのまにか目を閉じていたオレは、瞼を起こして妻の顔を捉える。
差し込む朝日に照らされたその姿は、聖母マリアを彷彿とさせる。
日にすけて尚黒く輝くつややかな髪に隠れるように
唇は眠りを促す調を奏でながらも動きは誘いをかけているかのように
オレの目をしっかり捕らえて放さない。
子守唄が終わって
「エヘ。なんだか照れちゃうわ」
と笑い横に伸びる唇。
オレは我慢が出来なくなって、その唇を奪う。
さっき感じた甘ったるい乳臭さが蘇る。
その香りに誘われるように、そのまま押し倒して貪りながら
絡み合うようにベッドを転げる。
「んっ・・・」
少し苦しそうに喘ぐ声がもっと聞きたくなって、もっと激しく貪る。
さっきまで子守唄を歌っていた声とは違う艶・・・
乳臭さのない、さっきとは違う甘み・・・
舌を絡ませると遠慮がちに応じ、切なそうに美しい眉をひそめる。
さっき見せた聖母のような顔ではなく、オレを狂わせてやまない女の顔。
オレの中の官能を煽り立てるように熱い吐息は、だんだんと荒くなっていく。
手を伸ばしてネグリジェを払い落とすように脱がせた。
オレの腕の下で恥ずかしそうに隠そうとする肌はぬけるように白く
そのキャンバスに自分の色をつけたくて、きつく抱きしめながらそっと唇を押し付ける。
「あんっ」
唇の感触に思わず甘い声を上げ、身をよじるのがわかった。
跳ねる体を逃がさないよう腕に力をこめて、もっと強く沢山ちりばめる。
桜の花びらが舞い散ったように広がる跡を指でなぞりながら・・・。
悶えるたびに揺れる乳にしゃぶりつき、気が済むまで吸い尽くす。
生まれ落ちた時から知っているこの行為は、いつまでもオレを満たしてくれるのはなぜだろう。
揉みあげると柔らかくオレを弾き返す感触・・・・
手に収まっているのに、何か受け止めきれなくて取りこぼしてしまった気持ちにさせる。
それがオレを追い立てるように駆り立てるように、どんどん熱くしていく。
やんわりと甘噛みすると、その甘さを吐き出すように鳴く声がオレを更に奮い立たせる。
たまらなくなって
確認しないでも充分わかるほどの潤みへ突き進んだ。
ひときわ高い嬌声。
つるりと飲み込みながら、その指の侵入を拒むように熱く締め付けてくる力。
いや、逃がさないように捕らえようとしているのかもしれない。
それに応えるように指を突き立てると、肢体は狂ったように跳ね上がる。
「あああっ・・ああん・・・あぁ・・・」
オレの指に反応して桃色に漏れてくる音色は、奏でているオレを誘い熱く硬く高ぶらせてくる。
そして懇願するように潤んだ真っ黒な瞳は、オレをじっとみつめて瞬きすら忘れさせる。
・・・・・・美しい・・・・
誘われるままに、ゆっくりと足を割って埋め込んでいった。
やわらかいバターにナイフを入れるようにそっと・・・・・・・。
溜息ともつかない音色は、侵入を許すことにまだ慣れていないながらも
待ち望んでいたと言わんばかりに悩ましげな響きでオレの鼓膜を叩く。
奥までたどり着いてから大きく一息ついて、ゆっくりと前後に腰を動かせる。
その動きに伴い、しびれるように響いて来る旋律に呼応するように、甘い調は続く。
助長させるように首筋を舐めあげながら、深く深く自分を押し込んだ。
熱い潤みは終わることなくオレに絡みつき、光る肌の表面にもうっすらと滲んでいる。
吸い付いてくるような肌に舌を這わせ、どんどん激しく突いていく。
走り出したら止まらないオレはどんどんこの体にのめりこんで行く自分を知りながら
あえて止める気もなく、崖から転げ落ちるように快楽へ溺れていった。
人類が太古から営むこの愛の儀式は、例外なくオレを引き込んで放さない。
息をつく間もないほど激しく叩き上げ続ける。
「やぁぁん!ああっ・・あん・・・・はぁん・・・・あっあっぁっ・・」
既に快楽の頂点への近道を知った体は、黒い髪を振り乱しながら一直線に駆け上がる。
それを見つめるオレもまた這い上がってくるものを堪えきれず、クライマックスへと走り出した。
ひときわきつく締め付けてくる動きに任せて自分を解放する。
奥へ奥へと熱くほとばしらせ、荒い息を飲み込みながら唇を貪る。
聖母はすっかり髪を乱して、喘ぐように息をつきながら目を閉じた。
その恍惚とした表情に一瞬見惚れてしまう。
桜吹雪を浴びたように色付く肢体は、水しぶきを浴びたように雫を乗せている。
抱き上げてバスルームへ直行した。
お目覚めと運動後のシャワーは格別だ。
洗ってやるだけじゃないのは言うまでもない・・・。
ちなみに日野は次の日、俺に殴られたことを覚えてなかったそうだ。
何日か後、頬にまだうっすらとあざを貼り付けたまま
「よぉ真壁・・・・オレ飲んだ次の日ゆりえの家で目が覚めたんだけど、どうやって帰ったか覚えてないんだよ。
オヤジの店を出てからどうしたんだっけ?? お前ん家に言った気がするんだけどな〜〜〜・・・・・・・」
としきりに不思議がる。
酔っ払いとはそうしたものか・・・。
オレは自分のことを棚に上げて
「お前飲みすぎだ」
と言ってやった。
日野は言い返すように笑いを含んだ顔で言う。
「オヤジが防衛戦も期待して待ってるってよ」
げっ・・・!!
それは勘弁してくれよ・・・
249 :
350:03/04/12 15:23 ID:wwg7r00r
ヤベー(゚Д゚;)
ちょこっと書いただけのつもりだったけど、思ってたより超長い・・・
さかのぼりまつが
>186タン 当たり〜! 某TVで見まつた。
>213蝶タン 神!
チュー以外をさせたいなんて(*´Д`)ハァハァ
でも王子には寸止めがスゴク似あう・・・(なんて言ったら殺されそー)
>235タン
イイ(゜∀゜)
すごくイイ!!!!
克ゆりせつね〜・・・・
でも芯の強いところが、すごくゆりえらしくて萌えまつた。
離れなくてヨカタよ〜
>新婚タン
そろそろ4月中旬に差しかかってきまつたね( ̄ー ̄)ニヤリ
ドキドキワクワクしているのでつ。
いや350さん、よいです。でも、真壁くんはお酒強そうなイメージがあったりしますね(^O^)
馴れ合いUzeeeeee!!!
ボクは江藤鈴世。
実はこないだなるみちゃんに初めてキスしました。
キスに臨む意気込みとして、髪をざっくり切りました。
なるみちゃんが一番驚いてたけど、一番ほめてくれたのもなるみちゃん。
誉めてくれるなるみちゃんは、ちょっとだけ赤くなってはにかんだような笑顔を見せる。
やっぱりかわいいな・・・・。
でも、どうして髪を切ったのかは教えてません。
どうして切ったのかって?
なるみちゃんにある日
「鈴世くんの髪の毛、長くてサラサラしててキラキラ光ってお人形さんみたい・・・」
と言われたからです。
長くてサラサラお人形さん→女の子みたいって事?→なるみちゃんはボクを男として見ていない?
という結論に達し、テニスも始めたことだし、思いきって切っちゃいました。
キスをしたのは海を見に行った時。
ボクなりに精一杯セッティングしてムードを盛り上げたつもりだったんだけど
なるみちゃんはキスしようと近づいたときに目を閉じてくれませんでした。
顔が近づいてもボクの顔をキョトンと見ているので、仕方なくほっぺにしました。
ボクはすっごくドキドキして手がふるえるほど緊張してたのに
なるみちゃん・・・キスしようとしたことわかんなかったのかな・・・・
ボクは男としてちょっと自信喪失しましたが
自分の勉強が足りないんだと考え方をかえることにしました。
お手本はお姉ちゃんと俊お兄ちゃんです。
時々キスしてるの知ってるんだ。
お父さんとお母さんはしょっちゅうだけどね。
次は絶対なるみちゃんのくちびるをうばってみせるぞ!
>252
かわいいお話乙です!
なるみ視点も見てみたい気が…。
王子はお手本になるかねぇ?(ニガワラ
鈴世キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!!!
個人的には二人の出来ちゃったケコーンの顛末も激しく見てみたいでつ。
>>252 鈴世×なるみが中学生になったばかりのころのお話ですか?
鈴世かわいい〜!!
>>254 かなり禿同!!
鈴世萌えな私としては作家様方に禿しく期待
個人的には内容はいまいちだけど、組み合わせは好きなので今後に期待。
頑張れ。
>>251 どうしたの? リアルで友達いないでしょ?w
(´-`).。o0(放置できないヤシが多いのはこのスレが女ばかりだからなんだろうか……)
またーりと林檎タソのカムバックを待ってみる
林檎タンまだかなぁ〜。
いつまででもお待ちしてまつ。
林檎様・・・戻ってこないかしら?
G様も・・・。
264 :
山崎渉:03/04/17 12:18 ID:Ac1CXwMS
(^^)
神々たちの降臨を待ってます!
新作、希望〜〜〜!
克ゆりえで生徒会室プレイってのはどうだろう。
267 :
名無しさん@ピンキー:03/04/18 11:34 ID:oNTdkf64
age
「俊、もうそろそろ、お風呂に、、」
母さんに言われて俊は風呂場へ向かった。
「あ、蘭世さんがまだ入ってるかも、、って、ま、いいわよね、12歳だし、あの子」
俊が脱衣場の扉を開けたときと、
蘭世がちょうどバスタオルをとろうと、体を伸ばしたときは同時だった。
「「!」」
慌てて俊は扉を締めたが、蘭世の白い肌は既に脳裏に焼きつけられていた。
長い髪はまとめて、濡れないようにアップにしていて、
うなじに残った毛に水滴がついて、キラキラしていた。
その水滴が滑り落ちていく背中。その下の二つの丸み。
伸ばした腕の手前に少し覗く胸。
パジャマを着た蘭世が気まずそうに扉を開けた。
俊は目を合わせられずに、それでも、これだけはと言う思いで口をひらいた。
「ご、ごめん」
「ううん、大丈夫よ」
蘭世は少し恥ずかしいとは思ったが、相手は子どもだと思う事で、気にしないようにできた。
「俺、風呂に入るから」
「はい。お先にいただきました」
二人はすれ違い、蘭世はその場を離れようとした。
「うわぁぁ!」
「大丈夫?!真壁くん!」
俊の叫び声に驚いた蘭世は、夢中で扉を開けた。
ただ裸の俊がいただけだった。
「きゃっ」
「なんだよ〜これは!」
俊の下半身に、蘭世の裸を見た影響がでていた。
顔を真っ赤にして苦しそうにそれを見ている俊。
それを目をそらせないで凝視する蘭世。
「お、大人になったんだと思うの、、、。」
「どうやったらなおるんだよ?」
わ、わたしに聞くの?と口をぱくぱくさせている蘭世。
「お姉ちゃんは大人なんだろ? 15の俺と恋人同士だったって、鈴世言ってた」
苦しそうな顔をして、俊はすこし睨んだ。
蘭世は、真壁くんのはまだ見た事ない、、、とは言えず、俊を風呂場に導いた。
「手で、触ったら、気持ち良くなると思う」
「俺、今、痛い、、、お姉ちゃん、して?」
俊は初めて張り詰めたものが勢い良すぎてはち切れそうで、痛かったのだ。
蘭世は直視しないように顔をそらしながら、そっと、手をのばした。
撫でるようにこわごわ、触れた。
「うぅっ!」
俊に電気が走った。
「ごめんなさい、大丈夫?」
「早く楽にして、、、」
絞り出すように声を出す俊。
蘭世はかわいそうになって、両手でそっと包んだ。
加減がわからないし、痛がるので、そっとそっと撫でた。
15の俊に重ねあわせてみた蘭世は、自分の体に変化が訪れた事に気が付いた。
その恥じらいが、手の動きを速くした。
「お姉ちゃん、何か来るよっ」
蘭世が返事をする前に、俊は来るものを吐き出した。
それはうすく色のついていない液体で、蘭世の手を濡れたように汚した。
俊はそのまま小さくなっていくものを見つめていた。
「なおった、、、」
俊は蘭世の手を洗ってやり、小さな声でお礼を言った。
15の俺は大人だからこんなの平気なんだろうな、と思いながら。
蘭世は、自分の処置に困惑していた。
「わたしも大人になっちゃったのかな、、、」
12歳の俊と15歳の蘭世。
ちょっと難しかったけど、元に戻った方が喋らないから、
違う意味で、こっちの俊くんの方が動きやすいんですよね〜
今年にはいってから作家さんの絶対数は少なくなったように思うので、
書ける人は書いてほしいと思いまつ。
>>272様
凄い!!最高デスvvv
無邪気なのをいいことに、攻める俊くん萌えv
この設定が好きになりました。
神、ありがとうございます!
>273たん
レスありが?
またこの設定で、何か考えまつ〜v
でも本番は同い年でやってもらいたいので、
そればっかりはやらないかも。
バイトが終わる頃、雨が降り出した。
最初から雨粒が大きな今夜の雨は、ひどくなりそうだった。
傘を持っていなかった俺は走って家を目指した。
走るのは嫌いじゃない、雨の中でも。軽い雨なら走れば体の熱で湿り気が飛ぶが、
さすがにこの雨だと、体温を奪っていくだけだ。
悠長な事は言っていられない。
ズボンが足に張り付いてきた。こりゃ、家についたらすぐ風呂だな。
「江藤?」
部屋の前に江藤が立っていた。弁当を抱いて。
雨で帰れなくなったんだろう、傘でもかしてやろうと、思った。
近付くと、江藤は俺と同じくらいずぶぬれで、細い肩を震わせていた。
その濡れた肩には下着がはっきりとわかり、ひじやスカート、そして、
髪から落ちたと思われる雫が水たまりを作っていた。
「ちょっと、ぬれちゃった」
紫色の唇の動きがぎこちない。
俺は有無を言わさず、江藤を部屋に押し込んだ。
タオルタオルでかいタオルバスタオル
こんなもんで乾くかっ
こうしている間に江藤の体温はきっとどんどん下がっているに違いない。
あ、あったかいところ。
「江藤、風呂はいれ」
「え?!い、いいよぉ、タオルだけで」
「行け」
睨むと江藤はためらいながらもふろ場へ行った。
しばらくするとシャワーの水音が聞こえてきた。
ほっとしたのもつかの間、今頃気が付いた。
江藤は風呂に入っている。つまり、裸、だ。
江藤が、壁いちまい向こうで、裸になっている。
そんな事が今までにあっただろうか、
いや、ない。
江藤の家に世話になっていた頃は
江藤がダークカルロにもらった洋服を俺に投げ付けて、
なんてこともあったが、
さっきブラウスの下に見えていたのはあの頃のような下着とは違うだろう。
もう、19になろうと言うんだ、当然か。
そんな事を言ってる場合じゃなくて、
裸だ、裸。今、江藤は裸なんだぞ。どうする、俺。
背中に寒気が走った。
これは、武者震いなのか、ただの悪寒か。
そういえば俺もけっこう濡れてて。
江藤に着せるためのトレーナーの上下を出して、風呂場に持っていく。
濡れた洋服がかごに入っていて、隙間から下着だと思えるレースが見えた。
ガラスの向こうには歪んだ江藤のシルエット。
ほとんど髪の毛の黒色だったけど。
俺を煽るのには充分で、やっぱりイライラしてくるのを感じた。
277 :
273:03/04/19 21:35 ID:f4Aim+4m
>>274様
楽しみにしていますv
「本番はオトナ?までお預け」に禿同!!!
微妙にエッチな雰囲気が萌えなのですよね〜。
↑のお話。
同じ年に戻った俊くんが、悶々とするシーンなどを想像して悦に入りました。>w
ほどなくしてドライヤーの音がし始めた。
だけど、あらわれた江藤の髪にはまだタオルが巻かれていて
「真壁くんも早く入って」
「あ、ああ」
髪、乾かしたんじゃないのか?
俺も寒いからとにかく風呂へ入った。
風呂から出ると、俺のトレーナーを着てサイズがあわずに
変な感じでおかしかった。
袖や裾を折って。
ちゃぶ台の上に作ってきてくれた弁当と、お茶を用意してくれて、
いつものように笑っていた。
「早く帰らないと心配するから」
そう言って、買い物袋に濡れた洋服を入れて、帰っていった。
昔そうしたように俺のバッシュを履いて。
江藤にはいつもしてもらうばかりで、気が付けば守られてる。
俺が守ってやるべきなのに。
少し悔しい思いで、弁当を食べた。冷たかったのに
江藤の暖かい気持ちがなだれ込んできて、
むせた。
意識が遠くなるのを感じた。
次の蝶と話が繋がってるっぽくなってます。
お休みの間に誰もうpがなければうpするかもです。
280 :
350:03/04/19 21:51 ID:P4hoFQK1
久々に来て偶然オンタイムで読めたった〜嬉し〜
蝶タン今日はコレで終りでつか・・・?(ショボーン
蝶タンの王子大好きだなぁ・・・(´∇`)〜萌
頑張れ少年が以外に反響多くてビクリしまつた。(時間なくて名乗り忘れ)
>253-256
>268
ありがと〜です。
今度鈴なるゆっくり書いてみまつね。
そして漏れも林檎神降臨を禿しく待ってる1人でつ。
時々話の端々にリンゴリンゴ入れてみてたりして(w
>大人の儀式作者タン
(≧∇≦)ノ彡 サイコ〜!!!禿しく萌え〜!!!
>「わたしも大人になっちゃったのかな、、、」
思わずワラテしまいまつた。
次回作期待していいでつか??
うわぁ〜い、蝶タンだぁ〜♪
今回もいいですね〜〜。
早く続き読みたいです!お待ちしてます!
282 :
山崎 渉:03/04/20 04:16 ID:IxIHzNin
∧_∧
( ^^ )< ぬるぽ(^^)
283 :
新婚作者:03/04/20 13:44 ID:YytjPZB9
いつのまにかいろんな作品がいっぱい・・・・
とってもうれしい。
もっともっと読みたいですね。
楽しみにしています。
では続きを少しだけ・・・。
遠くに見覚えのある歩き姿を捕らえたしゅんはすこし急ぎ足になった。
すぐそばまで来るとおそるおそる声をかけた。
「らんぜ・・・・さん?」
「・・・あ、しゅん様。どうなさったのですか?」
元気が無いところを悟られないように微笑むらんぜをみるとしゅんも同じ痛みを感じたように
胸がきりきりと痛む。
「今日はどこへ?」
「ええ、今日はお花でしたの。」
会話が続かない。言葉を選びながらしゅんはらんぜに話しかける。
ゆっくりとことさらに歩みを緩めながら二人は一定の空間をあけて歩く。
「座らないか?」
しゅんは橋の袂にある茶店を示すがらんぜはふるふると首を振る。
「もう・・・・帰らないと。母にしかられてしまいますわ。」
眼を伏せたまま、あわせようとしないらんぜ。しゅんはどうしてよいかわからず途方にくれていた。
「らんぜさん。」
しゅんはただ、らんぜの名前を呼んだ。
「顔を上げて。」
おそるおそるらんぜは顔をしゅんの方へ向ける。その眼にやわらかく微笑むしゅんの瞳が飛び込んでくる。
「哀しげな顔をしないで。俺が来ることが迷惑なら、そう言ってくれればいいんですよ。」
「・・!そんな・・・そんなことはないです・・・・お会いできるのは嬉し・・・・!」
そこまで言ってらんぜはハッとして顔を赤らめる。
「・・・俺が勝手に来てるだけで、らんぜ・・・さんには何の落ち度も無いんだ。」
「でも・・・・・」
はらはらと両の目から真珠が零れ落ちる。
「・・・泣くなよ・・・」
・・・・・どうして俺は泣かせるだけなんだろう・・・・
笑顔が見たい、明るくまぶしい、その瞳。俺をまっすぐに、皇子としての俺ではなくただのしゅんを見る
その瞳で。
望んだものはその笑顔。求めるものは光にも似て俺の心に突き刺さり、甘い痛みと際限の無い
心のざわめきをわきあがらせる。
なのに、現実に目の前にいる誰にも換え難いかの女性は涙を流すばかり。
以前の二人にはまだ、戻れない。
それならば、いっそ・・・・・。
「・・・ご・・ごめんなさいしゅん様。私つい・・・・」
「・・いや・・・・・」
連れ去ってこのままどこか遠くへ行ってしまおうか?
「・・・もう、帰りますわ。家で心配されてしまいますから。」
「・・・・・そう・・・そうだな・・・・・」
そういいながら二人とも動くことが出来ない。いや、目を上げることすら二人とも出来ない。
手を伸ばせばそこにいるのに。
沈黙に耐え切れず、らんぜは小さな声で搾り出すように言葉を発する。
「・・・では・・・・しゅん様・・・・私は・・・・」
きびすを返し、歩き出そうとするその刹那しゅんの手がらんぜの手をつかみ、自身の両腕で抱き寄せた。
「・・あ・・・・・」
一瞬で頬を赤らめ、それでも抗うことなくすっぽりと抱きしめられる。
「・・・しゅ・・ん・・・様・・・?・・・」
「・・・黙って・・・・」
周りから音が消えたような気がした。
ただ二人の鼓動だけが互いの耳に痛いほど大きく聞こえてくる。
どれくらいそうしていただろうか?
二人の姿が夕日色に染まった。長く伸びた二つの影。そっとそっと距離を縮め、
一つに重なったのを知っているのは夕焼けばかり。
「らんぜ!遅かったのね。終ったらすぐに帰りなさいと言っておいたでしょう?」
「ごめんなさい・・・・」
殊勝にしているらんぜを見てそれ以上小言をあきらめたのか、しいらはらんぜを解放し
食事の席につくように言った。
荷物を置きに部屋へ戻るときりんぜがついて来て
「おねえちゃん、おにいちゃんに会った?」
「・・どうして?」
「だって、おにいちゃん、今日見たの。僕がなるみちゃんのところ行くときに。だからおねえちゃんは
お稽古って教えてあげたの。」
「ありがとうりんぜ。」
「おねぇちゃん、おにいちゃんのこと好き?」
「え?どうして?」
「僕なるみちゃんのこと好きだから一緒に遊ぶの。おにいちゃんもきっとお姉ちゃんのこと好きだから
会いにきたんだと思うから」
「りんぜはなるみちゃんと会ってうれしいの?」
「うん。おねぇちゃんもでしょう?」
「そうね・・・」
・・・・・私は・・・あのお方を・・・・好き・・・・だわ・・・
らんぜは部屋に荷物を置くと足早に夕餉へと急いだ。
「皇子様よぅ。」
「なんだ?すぐる。」
「どうしていってやらないんですかい?身分のこと。」
「言ってどうなる?俺は実は皇子でした。ってか。」
「そうすりゃ、彼女もお城に上がるの嫌がらないでしょうに。分かってんですかい?彼女が嫌がってんのは、
皇子に惹かれ始めてるからじゃないですか?」
・・・・・分かってるさ・・・俺だって・・・・俺だってそうだ・・・
「あのな、すぐる。これがおふれが出る前だったらそうしたよ。時期を見て言うつもりだったんだ。
ところが城下にあのおふれが出ただろう。どこの親からも娘を城に上げあわよくば・・・てのは分かってんだ。
それでも筋は通さなくてはならんだろうが。もしここで俺には実は正室候補がいまして・・・なんて言って見ろよ、どうなるか・・・。
それになあのあろんには側室は無理だろうよ。」
「なんで?」
「あろんはなぁ、いろいろうわさはあるが最後には今の正室だけで足りているんだ。
飽きもせず夜毎日毎いっしょにいるんだぜ?」
「ああ、幼いころから決まっていたんだったな。あちらの方は。」
「だから、一応はすべてが終るまでは言えないんだよ。」
「それでも・・だ。あのお嬢さんには言っておくべきだろうよ。」
「・・・・・・・」
しゅんはそれ以上は聞かないぞという意志表示で無視を決め込んだ。
あーあといった感じですぐるは肩をすくめた。
「んじゃ、俺はこれで。」
「・・ばれないようにしとけよ。ほどほどにな。」
「忠告、ですか?」
「心配してんだよ。仮にも相手は家老の一人娘だろう。」
「肝に銘じておきますよ。」
すぐるはそういうと長屋とは反対側の道へと消えていった。
「さて・・・と俺もそろそろ帰るかな。」
隠し扉から城へと戻り、服を隠すと俊は自室へと戻る。あろんの部屋のそばを通るとそこから
ぼそぼそと話し声がもれてくる。相手の声からするとふぃらが今夜もお渡りらしい。
・・・仲のいいこって・・・
小さくため息をつきながら自室へと急ぐ。扉を開けようとしたとき灯りがもれているのに気がつく。
しゅんは訝しがり、守役のいる部屋へと行き何人かを連れてきた。そうして一気に扉を開けた。
「誰だ!!!」
「きゃぁ!!!」
そこにはようこが艶かしい姿で待っていた。
「・・・・・何してるんだ?お前。」
「・・・しゅん様ってば、わかってるくせにぃ・・・」
288 :
新婚作者:03/04/20 13:48 ID:YytjPZB9
ようやく主役カップルキスできました。ぜいはぁ・・・・
通常はエロ王子書いてる身としては
もどかしくってなりませね。
今回はエロ無しでご勘弁を。
では。書き逃げします。
新婚タンキター!!!
(*´д`*)アハァ
奥手な2人の行方が気になつてしょ〜がないでつ
そしてちゅーの描写がステキ・・・・・
⊂´⌒つ*´∀`)つ新婚たんだー!
>>289さんに禿同。
キスの表現ステキすぎます!きれい〜!
新婚タンステキですー!
エロ無しでも全然良いです。
同じく
>>289,290さんに禿同です。
奥手な2人もいいですねぇ〜!
蝶タン続きが読みたいよー!
PCの前で待ってます。
>350タン わりと、カルロ様といた頃の真壁くんが芯になって書いてます。
うちの真壁くんは、蘭世を押し倒せなくて、
わたしが、行き詰まってきています(w
>281タン、291タン
お待たせしました。(書いてはいたんですが)
さて、いきまつ。
ある雨の次の日。
目を覚ました俺は、重い頭で、部屋の外が薄暗いのに気付いた。
朝焼け?
「真壁くん起きたの?」
江藤。
「今日学校きてなかったから。昨日の雨で、風邪でもひいたのね」
さっきのは、夕焼けか。
ぼーっとする頭に江藤の手のひらがのる。
「まだ、熱があるね」
吸い付くような手が気持ちいい。
だけど、思考はまとまらない。
瞼が重い。喉が渇く。
水…
それすらも声になっているかわからない。
「真壁くん、お薬のんで、、、」
江藤の声も遠い。
「真壁くん?!」
江藤の声が意識を呼ぶ。
唇が押し開かれて水が流れ込んでくる。
口を閉じられて、なんとか飲み込めた。
「げほっ」
「ゆっくり眠って」
子どもの頃、まくらもとで江藤が絵本を読んでくれた。
おふくろとは違うけれど、もうひとりの母親のようだった江藤。
子どもの俺が江藤と一緒に寝ている、
目が覚めたとき、夢だと気付いた。
そういえば、具合が悪くて、、、。
体を起こそうとしたが、右腕が重い。まだだるいのか。
その方向を見ると、その腕に髪の毛が見えた。黒くて綺麗な、長い、髪。
「え、とう?」
江藤が俺の腕枕で寝てる。
「ふわぁ…、まかべくぅん」
目が完全に開いていない。わかってるのか?この状況。
「おはよぅ…」
そういって、俺の胸に顔を押し付けて、また、眠ったらしい。
俺は左腕を江藤にかぶせてそっと抱き締めた。
どうしてこんな事になっているかはわからないけど、
夜通し看病してくれたんだろう。
「さんきゅっ」
つむじにキスした。
「だからっ、濡れタオル換えようとしたときに、真壁くんが」
「お前の腕をつかんで、ふとんに引きずり込んだって言うのか」
「うそじゃないもんっ」
ほっぺを膨らませて、顔を赤くして。
それは、怒っているからか、照れているからか、どっちなんだ?
嘘をついているとは思わないが、江藤が服きてて良かった。
そうじゃなくて、意識がなくてもそんないやらしい事をしたなんて、
あってはまずい。
口をふさいどけ。尖らせた唇にふたをした。これでなにも言えまい。
>>蝶タン
乙です!
真壁くん意識がない時こそ、内なる願望が現われたのね(w
是非とも、真壁くん頑張って蘭世を押し倒して欲しいです!
でも、押し倒せない真壁くんも好きです。
297 :
350:03/04/21 22:21 ID:b9mzH89G
ブラボ━━━ヽ(゚∀゚)ノ━ヽ(゚∀゚)ノ━━━!!!!
新婚タンキタ〜
「・・・黙って・・・・」にぐぐっとキてしまいまつた。
このセリフの顔が目に浮かびまつ・・・
>292蝶タン うんうん、自分もこの頃の王子がカルロ様と比較するせいか
ちょっと少年ぽい所が残っててたまらなく萌えてまつた。
>これでなにも言えまい
王子言いそ〜〜(*´∀`)/アハァ♥
この理性の危うそうな所がたまらなく好きだぁ
298 :
名無しさん@ピンキー:03/04/25 14:03 ID:mJlGgIRq
神がいる隙にうpしてみます
お手柔らかに・・・
長いです。お許しを・・・。(汗
「やめてぇえ…!吉岡さん!」
目を覚ました。
変わらぬ当たり前のいつもの私の部屋。
大きな溜め息が出た。「…夢か…。」
夢の内容は…よく覚えていない。
随分前の夢。サリが真壁くんを操ったころの。
はあ…。
どうして今さら…。
高校3年生の春。
世界は平和を取り戻し、私たちも平穏な学園生活を送っている。
真壁くんは単位を取るだけの為登校し、プロボクサーの道を着実に進んでいる。
彼にとっては刺激的で充実した毎日。
そんな真壁くんを見てる私も幸せ。
でも…、夜差し入れのお弁当をポストに運ぶだけ。会えない日々が続いた。
私が不安になるのは、私の中の女の部分。そう、私たちはキスより先に進んでなかった。
まわりの子たちは幸せそうにうれしそうにそんな会話を交わす。
関心のないわけじゃないわ。
私だってそう望んでいるもの。
真壁くんにこんな私を気付かれたら、恥ずかしい。
今のところは大丈夫。…その前に真壁くんにあえないもん。
「よっ」
「あ!おっおはよ!真壁くん!」
朝から会えるなんて久し振り。つい声が上ずっている。
バカだな、私って。
そんな私を見て真壁くんは軟らかく微笑んだ。かっこいい!真壁くん。…大好き。
真壁くんは私のこめかみを指で突付く。
「…今度の土曜、空いてるか?」
「うん!」真壁くんが誘ってくれた!土曜日って…真壁くんの誕生日!その日は特別。会いに行こうと思ってたの!
その後は神谷さんに邪魔された。
その日。
むちゃくちゃ力が入りすぎ、約束の時間にやっぱり遅れた。
だって決めていた服がなんだか地味かなーって思ったらまた総動員して選びなおし。
結局最初の服に元通り。
桜色のワンピースと白いジャケット。髪は解く時間しかなかった。軽くリップを引いて出来上がり。
「ごめーん!真壁くーん!」
約束の公園の時計塔の下、腕組みをしてる真壁くんが見えた。
ジーンズに、白いシャツ、ブルーのトレーナーをざっくり着ている。そんな彼を見ただけで胸がドキドキ高鳴る。
だめだ、私。また力入っちゃう!ううん、抜けちゃう〜。足がもつれる〜。
「江藤!ばかっ…走んな!」
真壁くんが私に気付き駆け寄る。私に呆れてない?あ〜っどこっ!いった〜!!…え?痛くない。
真壁くんの腕を掴み立ち上がった。擦れた膝は大丈夫だった。痛くなかった。
「真壁くん?もしかして、何かしたの?」
「ちゃんとよくみて歩け!…転ぶ時宙に浮かせてやったんだ。」
真壁くんが乱暴に言った。怒られた私はしゅーん。
「ったく、しゃーねーなっ」
俯いている私の手を取り歩き出した。
真壁くん…。暖かい手。…久し振りだね。私、泣きそうになった。
頭を傾け彼の方に少し預けた。
「…今日だけは、…いいよね…」
真壁くんは何も言わない。沈黙が私を許す。彼らしい。
久し振りのデートはデートらしいものだった。
真壁くんの選択には珍しい映画だった。娯楽性の強いもので真壁くんも寝ることなく見ている。
私は笑ったり、泣いたり、忙しかった。真壁くんは私を面白おかしくからかいながら映画を楽しむ。
ロマンチックに浸る場面は少なかったが、それはあった。
ラブシーンは私も夢中にはなれなかった。それを夢見るにはもう大人になってしまった。
私は苦しくなって気を反らそうと違うことを思考してみる。
と、突然、前に見たあの夢を思い出した。
サリのシナリオ通りに真壁くんに見せたあの夢。
私は現実にその記憶を追い始めた。
公園のベンチに座っていたサリと真壁くん。
『帰りたくないわ』サリが言うと真壁くんは『帰さない』と言った。
全ては、彼女のシナリオ。彼の意思はひとつもない。
…なのに、なぜこんなに苦しいの。
その光景を自分の目で見たからだわ。
映画の大音響が私を我に帰らせる。
「どうした?江藤」真壁くんが私に気付く。その前に何事もなかったふりをする。簡単よ。
「ちょっと、感動しちゃって…」ハンカチを目元に持っていく。
「へえ…、変わってんなお前って。」真壁くんはスクリーンを見ながらつぶやいた。
私もスクリーンに目を戻すと、デブの大男がいびきをかいて寝てるシーンだった。
街に出るとあたりはもう薄暗かった。
駅前の広い公園は思ったより人がいない。
「今日は暖かいね」
いつもは、これで送ってもらってさよなら。名残惜しかった。…帰りたくなかった。
暖かさを感じる風ではない。知っていたけど、彼を引き止めたかった。
真壁くんは近くのベンチに腰掛けた。
「…座れよ。」
座って見上げれば灰色の空にまだ何処かの桜が散って舞っていた。
「…真壁くん、誕生日おめでとう。」
「あ…、ああ。」
真壁くんは自分の誕生日に関心がない様で適当に言葉を返す。
「これ…、受け取ってくれたら…うれしいな…。」
私の差し出した包みを、少し笑って受け取った。
その場で封を開ける。中身はスポーツウォッチ。驚いた顔で私の顔を覗く。
「ふふっそんな高価なものじゃないんだけど、バイトしてたの。知らなかったでしょ?」
「お前が…バイト?」
「タイムとかも計れるんだって。…ジョギングするときとかにも使えるでしょ?」
真壁くんは時計を見つめたまま「ありがとう、江藤」と言った。
私はこれだけで達成感でいっぱい。満足した。
のはずが、沈黙の後。無意識につぶやいていた。
「今日は、…帰りたくない…」
言っちゃった!望んでたけど、言うつもりなんてなかった!
何か言って!真壁くん!冗談で言いから!怒ってもいいから…!お願い!何か言ってよ!
真壁くんは何も言ってくれなかった。
「ごっごめんなさい!私っどうかしてる、ねっ。あの…一人で帰れるから…ここでっ、じゃっ」
立ち上がり早口でまくしたて踵を返し駅に向かって走った。
走る私のほおに後悔の涙が流れる。
後ろを振り返らずそのままどこ行きかかも確かめず電車に飛び乗った。
言うんじゃなかった。そのつもりもなかったけど、何で言ってしまったの?
…真壁くんとサリのラブシーンが消そうにも消せず頭の中にある。こびりついてる。
『帰さない』て言ってくれると思っていたの?!
そんな人じゃないのに!わかっているのに!何を求めていたの?
気が付けば、いつの間にか電車から降り朝待ち合わせした公園にきていた。
しばらく時間がたって、私の横に腰掛ける人の気配。
「おい!江藤!」
「え!」聞きなれた声に顔を上げるとやっぱり真壁くんだった。
「・・・あ・・・。」
力が抜け安心すると同時に、自分の立場を思い出した。
私は俯くしかなかった。
私のとなりで真壁くんが囁く。
「・・・悪かった。」
何で真壁くんが謝るの?
「・・・女に・・・んなセリフ言わせて・・・。」
私は自分の耳まで赤くなるのがわかった。恥ずかしい!この場から消えてしまいたい!
「違う・・・、江藤。」
「違うくないよ!・・・私もう真壁くんにあえないよっ!」
真壁くんから逃げられるわけない。知っているけどそうせずにいられない。
私は勢いよく立ち上がる。
「江藤!」名を呼ばれたら、立ち止まる。変な癖。
「・・・江藤。・・・逃げるなよ・・・。」
木立の中の闇に立つ私の背中にゆっくり近付いてくる大好きな人の声。
「・・・ずっと怖くて言えなかった・・・。」
「嘘よ・・・。私に気を使ってるんでしょ?」寒い風が私の火照った頬をかすめていく。
「・・・・・・帰したくない。」
「え?」何て言ったの、今?・・・嘘・・・だ・・・。
「帰さない。」
嘘よ。私を慰めてるだけよ。だけど・・・。
「俺の目、見ろよ。」
真壁くんは私の正面まで回ってまっすぐに視線をぶつけた。
闇の中でもうっすら彼の瞳が見える。
あんなセリフを言った後なのに、真壁くんの顔は照れがない。感情がこもってないからなの?
彼の目に吸い込まれるように、私はいつの間にか瞳を閉じていた。
「・・・今日は俺の誕生日だ。・・・おまえが・・・。」
私が・・・。私が・・・?言ってほしい。聞かせてほしい。・・・目を閉じてるから。言って、真壁くん。
深く息を吸い込んだ後、真壁くんは言った。「一番ほしいよ・・・。おまえが。」
「目ェ、開けろ。・・・俺を見ろ。」
変わらない真壁くんの真剣な瞳。さっきには感じられなかった情熱が伝わってくる。
「帰さない。・・・帰せるわきゃねえぜ。」
真壁くんは歯を食いしばったように言い捨て、そのまま唇を合わせてきた。
私は涙を一筋落し、強く抱かれた。
息も出来ないほど激しいキスは生まれて初めて。
角度を変え、下から横から私の唇を奪う真壁くん。
息が荒くなる。つい逃げ腰になる私を強く引き寄せる真壁くんの男の腕。
体が密着したまま、真壁くんの勢いに押され、近くの大木に背中を預けた。
「まか・・・!」
あまりの急展開に私は軽く抗議する。
「とまんねえよ。俺だってどれだけ我慢してたか・・・。」
真壁くんが、私以上に私を求めていたってこと・・・?
私は急に怖さを感じた。真壁くんの男に・・・。
真壁くんはキスをやめくすっと笑った。
「わりぃ・・・。ムードもかけらもなくて。・・・怖いならやめる。」
真壁くんはあっさり抱擁を止め、振り返り背中を見せた。草むらに落ちている私のバックを拾う。
「違う。怖くないよ!・・・真壁くんが好きだから・・・。」
真壁くんの背中が怒ってるようで私は泣きそうになった。
「いいんだ!無理しなくて。・・・今はいいんだ。そのままで。」
真壁くんは怒っていなかった。優しい調子で続けた。
「お前が・・・俺とそう望んでたって・・・わかっただけでいい。だから・・・ゆっくりでいい。」
振り返り私を見て真壁くんは照れくさそうに笑った。
「俺たち・・・これからだ・・・。」
真壁くんの情熱、優しさを知って、涙もろい私が涙を我慢できるはずがなかった。
「・・・っ真壁くんっ・・・!」
私は真壁くんの胸の中で思い切り泣きじゃくった。
・・・大好き!・・・大好き!
言葉では伝えられないくらい真壁くんへの想いが自分の中で膨れ上がってきた。
この想いを伝えたい。知ってほしい。
私を抱きしめる真壁くんの腕が強張る。
「真壁くんっ・・・私・・・」その先は唇で塞がれた。
「・・・わかってる。」
真壁くんの腕にしっかり抱かれ、彼の部屋にテレポートした。
真っ暗な真壁くんの部屋。
私たちはどちらも電気を探さなかった。
「・・・嫌なことは忘れろ。」
それが私の中でいつまでも消えてくれなかったサリとの事だと一拍おいてから気付いた。
「うん・・・。」
「それは本当の俺じゃねえ。」
声のする闇に衣擦れの音がする。暗闇に慣れた私が見たのは、愛する人の逞しい裸体だった。
「・・・・・・。」言葉を失う私。
真壁くんはゆっくり私に近付き肩に手を置いた。
「・・・怖いか?」
・・・少し。ほんの少し。そんな私に真壁くんも緊張が解けたのか優しく息をつく。
私の服を手をかけたのは、僅かな恐怖を消す深い愛を確信しているから。
真壁くんにされるがまま、私は生まれたままの姿になった。
一瞬、真壁くんは震えた。
「・・・真壁くん・・・?」私の癖。すぐ不安になる。
「江藤・・・。」真壁くんの瞳には私がそんな気持ちになるものはひとつもなかった。
自信を持っていいのね?愛されている・・・。
体温を奪う早春の空気から私を守るように真壁くんは私の肩を抱いた。
初めて素肌に触れられる。
やだ・・・。私、・・・震えている・・・。
「・・・あ、の・・・!」
おたおたしてる私。歯医者に来た子供みたい。
「・・・何も言わなくていい。」低い声が私の真上から聞こえた。
私は自然に落ち着いてくる。
好きな人が、あんなに憧れた人が、私を見つめている。私を求めている。
「ああ・・・。」
私を肯定する真壁くん。
抱きしめられる。私全部で真壁くんを感じる。
私の瞳を一旦見つめ、そして口づけした。
不思議・・・。キスって。・・・私の中に何か湧き上がってくるの。
怖さもまだ少しあるのに、真壁くんを知りたい気持ちが強くって。
自然に唇が開いてくる。
その隙から真壁くんの熱い息と舌が入ってくる。
「・・・んんっん・・・っ」
これも自然なことなのかしら。私はほどなく彼の舌と絡み合わせた。
遠くに聞こえる車のクラクション。
部屋を占領する私たちのキスの音。気が遠くなりそうだった。
キスしたまま誘導される。寝かされたのはその感触から真壁くんのお布団。
「・・・お前、幻滅するかも・・・。」
キスをやめた真壁くんがポツリ言う。
「え?」何のことだかさっぱりわからない。
「・・・俺も・・・初めてだから。」
私はどう答えればいいかわからない。・・・でも彼の正直な弱音を聞いたみたいでうれしかった。
「幻滅なんてしない。どんなことがあっても、永遠に・・・。」
・・・愛しているわ。だからもっと確かめ合いたい。
「・・・優しくするよ・・・。」
真壁くんの照れた顔。
もう何も怖くないよ。
キスが深まれば、自然と熱が高まる。
今まで感じたことない部所が熱くなる。体の奥底。私の体にそんな感情を抱く何かがあるとはじめて知った。
きっと人間の、女としての本能。愛する人を求めている。
私にそんな用意が出来たんだ。・・・濡れているのがわかった。
真壁くんは優しく私に覆い被さってキスを続ける。
私の頭の横に置いた真壁くんの手が、ぎこちなく動く。肩から、鎖骨。・・・私の胸に・・・。
私の反応を見るように慎重な手の動き。
・・・いいのよ。真壁くん・・・。好きなように、・・・愛して・・・。
「・・・俺を止めてくれよ。・・・俺はっ・・・」悔しそうに真壁くんがはき捨てる。
私は心を読めないから、真壁くんの内に渦巻く感情なんてわからない。
いちいちそれを伝える人ではないことは知っている。
でも不安はない。私と同じ気持ちなのかと思う。
僅かに微笑みあった後、真壁くんは直接私の胸にうずまった。
軽く触れるような乳房へのキス、ためらいを捨てた真壁くんに激しく据われる。
片手でもうひとつの乳房も揉みしだかれる。
「ふ・・・っ、あぁ・・・」
声が漏れちゃうよ。自分のみだらな声が恥ずかしいとは不思議に思わなかった。
真壁くんの荒い息遣いも布団に擦れる肌の音も何もかも幸せを導いている。
涙が頬を伝った。
真壁くんの頭を抱く。そんなに触ったこともない黒髪に指を通す。
真壁くんが私の肌に印をつけるたび、頭を掻き抱く手にも力が入る。
自分の髪を乱れさせた私の手を取り、強く握り締める。
「・・・入れるぞ」
「・・・っ」
愛が覚悟に変わる。
うれしいよ!痛くても・・・痛くても。うれしいよ!
私、真壁くんのものになる。
何回も痛みを分け与え、真壁くんは私の中に入ってくる。
下腹部に真壁くんのそれの体温を感じる。完全に繋がった。
汗が滲んだ額に、鼻の頭に、瞼に真壁くんは優しいキスをしてくれた。
「・・・ありがとう・・・。」
「え?」真壁くん?何がありがとうなの?
「・・・言わせんな」真壁くんは苦笑いした。
余計なことはもう考えられなかった。
「動くぞ」て短く言ってから私の唇を唇で塞いだ。
熱い舌で痛みを吸い取る。
「あぁ・・・あぁ!」
「ぅ・・・う!」
激しい息でよく聞こえないけど、確かに聞こえる真壁くんの低く唸る声。
痛さが引いてくると湧き上がってくる快感。
感じている・・・ってこと。気持ちがいい。
真壁くんが腰を押すたび、その感度が上がる。
彼が感じていることが一番私を狂わせる。私がその相手だと今さらこの上ない幸せを感じる。
「愛・・・してる・・・!」
唇の隙から必死に囁く。口に出して言いたい。
真壁くんの動きが荒くなる。汗が落ちて私のそれと交わる。
「も・・・、っくぞ!」
「・・・う・・・んっ」
その瞬間、真壁くんは震えた。私の中で。
唇から長い息が漏れた。
握り合った手にも力がこめられた。その手が解かれる。そしてそのまま抱きしめられた。
息が整ってきて真壁くんは顔を見られないように私から離れた。
私も何となく視線を逸らす。
愛し合った証拠が私を汚していた。
彼はティッシュを乱暴に取り、優しくその部分を吹いてくれる。
その彼が、何を考えているか不安になった。
「あ、ありがとう。あのっ・・・大丈夫。」
私も起き上がってティッシュを数枚取る。
薄暗い中でも、布団が汚れているのがわかった。破瓜の証、鮮血だった。
「あ!ああ!・・・こ、これって!わああ、ごめんなさいっ」
慌てて手にあるティッシュで布団を擦る。
その手を真壁くんが掴んだ。「・・・・・・」
俯いてる真壁くんを覗き込んだ。「で、でも・・・」
表情が読めない。拭き続けようとする私を強引に抱きしめた。
「・・・・・・。」
ひとつひとつ言葉を選び紡いでいく。
「・・・大切に、する・・・。・・・こんな俺だけど、・・・その日まで、待っててくれ・・・。」
真壁くんの胸の中でその言葉を噛み締めた。
その日までって・・・結婚・・・よね。
「・・・うん。」
暗い中で身支度を終え、真壁くんが電気をつけた。闇が一瞬にして消えた。
お互いすっごく照れくさい。
「・・・送ってく。」
真壁くんは今つけた電気の紐に手をかける。
「・・・ありがとう。」味気ないようで、彼らしくて、さみしいよう。でも私も後に続き立ち上がる。
今まであんなに燃え上がったのが夢のよう。
真壁くん、こっち向いて。・・・嘘じゃないって。
真壁くんは電機の紐から手を離して、私を直視した。
鋭い目。
「わかってくれ。・・・お前を帰したくない俺の気持ちも。」
そう言ったなり彼は真っ赤になった。
「・・・行くぞ。」電気を消す前に私に誠実なキスをした。
真壁くんはあまりに優しかった。
慌てないで、急がないでその日まで待ってる。
こんな私だから、泣いたり落ち込んだり真壁くんを困らせたりするかもしれない。
けど、なんか大丈夫。
真壁くんに身も心も愛されたから。きっと大丈夫。
おわり
一気に書き逃げします。誤字多すぎでし。ハイ。
ダメな方はスルーしてください。
>彼の誕生日
凄く良かったですよ〜!
読み終わった後幸せな気持ちになりました。
また書いてくださいね!
>彼の誕生日
(・∀・)シュバラシイ!
あくまで少女漫画テイストなので、
自分の中の原作の二人のイメージにかなり近かったです。
またぜひ書いて下さい!
今度は俊視点も読んでミタヒ・・・
彼の誕生日を書いた者です。今回が2回目です。コテハンはようようです。
少し某サイトで書かせてもらってます。Gたんに前にナンパされました。
よろしくです。
>>315さま
ありがとうございます。稚拙な書き方しかできないのでまだまだですが読んでいただけてウレシイです。
>>316さま
スッゴイうれしーです。書きながら俊視点も書いてみたいな―と思ってました。
調子に乗ってやってしまうカモ・・・
318 :
名無しさん:03/04/26 02:44 ID:IOCfSNN+
↑
エクセレーント!
長さなんてまったく気にならん。一気に読んでしまった。
またの降臨をお待ちしております。
ようようタンだ。
久々原作風味の話が読めて満足。
>彼の誕生日
すっごくしゅっごく良かったですぅ〜〜〜
また違うのも読んでみた〜い!
一気に読んじゃったんで長いなんて思わなかったよ〜
また書いて欲しいなぁ〜〜〜〜
言葉の使い方とか、勉強になった気がします。でも、うちの真壁くんは
頭悪いから難しい言葉使わないんで(w
***
「まっかべくぅ〜ん」
白いワンピースの裾をひるがえして江藤が振り向く。
「きもちいいよぉ」
江藤の足元を波がさらう。
初夏の太陽と江藤の黒い髪のコントラストが、夏をより眩しく感じさせる。
髪の毛結んでくればよかった。なんて言いながら海へすすんでいく。
裾のレースの部分が濡れて、もうスカートはヒラヒラしない。
「あ、お魚〜」
はしゃいで、膝のあたりまで濡れている。
江藤、危ないぞ。
そう言ったつもりだった。
だけど、江藤には届かなくて。
どんどん海へすすんでいく江藤のスカートは濡れた所から溶けていって、、、。
俺の見ている目の前で、江藤をまとう布は消えていった。
江藤の長い髪と滑らかな背中。うつむいて背中越しに俺の方を見ると
胸が覗いた。
俺はその場を動けなくて。
「真壁くん、わたし本当は人間じゃないの」
そんな事は知っている。俺と同じ魔界人だろ?!
「人魚なんだ」
そういうと江藤は海を泳いですすんだ。
「人魚姫は人間の王子様に恋をしました。」
振り返った江藤の胸を波が弄ぶ。
「くだらない事言ってると置いて帰るぞ」
俺は冷静になろうとする。
「くだらなくなんかないよ?」
江藤は波が腰のあたりにくるまで浅い方へきていた。
「わたしは真壁くんが王子様じゃなくても、人間じゃなくても、いいの。
あなた以外の人を好きになったりしない」
俺は江藤の目に吸い寄せられて、江藤の方へすすんだ。
ジーンズが濡れて歩きにくい。
やっとの事で、江藤を抱き締めようと伸ばした手が触れた瞬間。
江藤は泡のように消えた。
「真壁くん大丈夫?」
夏風邪はつらいよね〜と江藤がいいながら水をくれた。
情けないことに梅雨時期からずっと体がだるい。この時期は雨が多くて、
工事のバイトはないからまだいいが。
風邪で、能力が封印されるのも、普段使っていないからたいして問題でもない。
なのに、俺はなにに不安になっているんだ。
***
なんだか、私の行き詰まりっぷりがでている(w
蝶でしなくても良かったかなーと思ったけど、後日の作品の
伏線に自然となってました(何日寝かしてるんだ
324 :
ようよう:03/04/27 09:46 ID:BdK1v0pf
>>318さま、319さま、320さま(まとめてスイマセン
ありがとうございます。感想がある限り書く威力がわいてきます。
遅い仕事ですがまたよっしくです
>>蝶さま
蝶さまの真壁氏大好きです。伏線にしかっりはまって続きを待ってま〜す。
325 :
ようよう:03/04/27 09:48 ID:BdK1v0pf
↑ 威力-->意力 無駄使いスマソ
蝶たん
行き詰まりだなんて・・・
王子の弱い面を垣間見るようで何気に萌えまつた
蝶たんの王子は蘭世が好きで好きでたまらないのがよくわかるので大好きでつ
>蝶たんの王子は蘭世が好きで好きでたまらないのがよくわかるので大好きでつ
そうそう〜。ハゲシク同意!!もうメロンメロンになってるところが堪らんです。
うんうん
少年から大人になりきれてない葛藤みたいなものが
たまらなく萌えるねぇ・・・(ババァだ
やっぱおいらの青春を語るに欠かせない存在だよ。
だれかジャンとランジェをかいてくり〜
ジャン×ランジェはキャラが掴みきれていないので、
ただのエロになりそうなので、かけません。
だれかモーリとシーラを(以下略
331 :
ようよう:03/04/28 14:06 ID:t8bc8hOe
彼の誕生日
>>299の俊視点です。ベタです。もうおなかいっぱいかもしれませんが。
俺だってさみしさを感じないわけではない。
江藤に会えない日が続くといらつく。
その原因は俺自身のボクシングにあることに余計いらつく。
「よっ」
「あ!おっおはよ!真壁くん!」
久し振りに会ったあいつはやけに眩しい。
こんな表情を一体どれくらいの男が見てるのだろうか。
舞い上がっている江藤はまさか俺がこんな女々しい思考をしてるとは思いもつかないだろう。
「…今度の土曜、空いてるか?」ずっと狙っていた約束をさりげなくする。
即OKだろう。俺の誕生日だから。そうでもなくても江藤はいつでも俺を受け入れるだろうな。
バカなくらい単純で純粋な女。こいつ、一体こんな俺のどこが好きなんだろうな・・・。
いつもそう思う。
そう思うと焦る。何もかも奪ってしまいたいと。
そう、俺はその機会をずっと窺っている。
その日はやってくる。
俺自身、何の感慨も持たない誕生日にこじつけて一大決心をしていた。
「・・・今夜はいっしょにいてくれ・・・か?」
言えねえ〜!まして「お前が一番のプレゼントだぜ」なんて死んでも言えねえ。
でも、言わなきゃ始まらない。
いつかくるその日を女のあいつは少女漫画のようにロマンチックに思っているだろう。
俺はその期待になるべく応えたい。失望させたくない。
約束の時間に遅れ走って俺に近付く江藤。
彼女らしい装い。
予想以上に・・・。平たく言えば・・・、形容するならひとつの言葉しか思いつかない。
かわいい!・・・なんて顔にも出さねえ!
「江藤!ばかっ・・・走んな!」あいつは目の前で転ぶ。
とっさに能力を使う。江藤はしゅんと落ち込んでる。ほんとバカで・・・かわいい女。
成り行きで助け起こした江藤の手を取る。
小さい手。少し冷たい。・・・暖めてやるよ。もっと近くに寄れ。
恐る恐る俺の肩に頭を預ける。
誇らしげな俺。
電車に乗り映画館を目指す道中も、しっかり横においた。
おい、そこらへんの男!俺の女だ!誰にも聞こえねえ俺の自慢。
俺もバカだなー。
デートらしいデートって映画しか思いつかなかった。貧困な俺。
全ては俺の決意のお膳立てだから、何でもよかった。
暗くなるまで時間を潰せれば。
ところが、その映画は面白かった。
横で変な思考に思いふける江藤に気付いたのは結構後だった。
何だそりゃ?はは〜、そういやサリとか言う夢魔から聞いたことがある。
夢で記憶を操られた。
江藤はその夢を覗いたのか!俺がその女を口説いてるシーンを。
俺が、『帰さない』ってか?ありえねえ〜!
でも思った以上真剣に江藤はその思い出にまだショックを受けている様子だった。
ごまかそうとしても俺相手じゃ無理な話だぜ。
映画が終わると俺の勝負の時間。
来た道戻って送っていってハイさよならなんて気はさらさらねえ。
今まで味わったことのない緊張感。強敵のパンチより、ある種ビビルぜ。
江藤・・・。お前のことばかり考えてるのに、お前を気遣う余裕なんてないよ。
駅前の公園のベンチに腰掛ける。
「真壁くん、誕生日おめでとう。」
・・・そうか、そう言えばそうだったな。あいまいに返事をする。
江藤から渡された包みには高そうな時計が入っていた。
バイトまでしてたとは驚きだ。
「ありがとう、江藤。」
うれしそうに微笑む江藤。時計もそりゃうれしいが、俺はおまえ自身がほしい。
わかってくれ!いや、こんな俺に気付くな。
ふと真顔になった江藤。・・・キスしてしまいたい。そしてそのまま・・・。
「今日は、・・・帰りたくない・・・」
キスしようとした唇から漏れた言葉。
俺は頭が真っ白になった。う、嘘だろ?!
ろれつの回らなくなった口で懸命に取り消そうとする江藤。
まずい!俺の沈黙の意味なんか知ることのないあいつが早合点をした。
徒競走だけは速いあいつは、もう姿を消していた。
俺はしばらく呆然と立ちすくんでいた。
思考回路を繋ぐにはもう少し時間が要る。
なんせ俺の望んでいたことをその対象の口から言われてしまったのだ。
江藤・・・。
湧き上がってくる想いは愛しさとすまなさ。
俺を誘った短い言葉とは裏腹な江藤の純情。俺はわかってるさ。
こんな俺を自分を追い詰めてまで愛してくれるなんて、・・・全くお前は。
あいつを追いかけるべく、能力を使う。
俺を後押しするのは男としての欲望ではなく、純粋な愛情だった。と思った。
朝待ち合わせした公園の奥まったところのベンチにに江藤は座り込んでいた。
迷子の子供のようにはかなげだった。
声をかけたら安心と後悔が入り混じった顔。また俯く。
「・・・悪かった。・・・女に・・・んなセリフ言わせて・・・。」
こんな時にもっと気の利いたこと言えねえのかよっ。
案の定江藤はさらに自分の恥を感じて逃げ出す。
「江藤!」
自分に正直になると腹をくくれ!
「・・・・・・帰したくない。」
夢で操られた自分のセリフを言うのか!アホッ!
・・・でもそうなんだ。それが一番的確なんだ。
「帰さない。」
信じれないか?俺が。
確かに江藤に便乗して俺はずるいけど、本気なんだ。
「俺の目、見ろよ。」
わかってくれー!!たのむ!俺は必死に祈る。
俺の股間を見れば一発でわかるぜ。って頬に平手がとぶだろうなー。余裕ないのに変なことも考えてた。
「帰さない。・・・帰せるわきゃねえぜ。」
言葉を出せない唇は、勝手だとわかっていながら、簡単に相手を確かめ合う方法を選ぶ。
リアルな江藤は唇しか知らない。その唇を貪る。
もう、我慢できないんだ!それだけじゃ!何もかも知りたい!
そのピンクの布のすぐ下は一体どうなってるんだ?どんな暖かいんだろう?
どんな下着で自分を守ってるんだ?俺に触れられるとどうなるんだ?
思いのたけ俺は体を熱くする。
すっかり暴走モード。口付けが荒くなる。
江藤の肩が小さく震えていた。まだ残っていたのが不思議なくらいの理性が総動員して俺にブレーキをかける。
俺は我にかえった。
「わりぃ・・・。ムードもかけらもなくて。・・・怖いならやめる。」
俺の本能が集中する部分を隠さなければいけない。江藤に背中を向ける。
われながらよく我慢したぜ。でも焦る気持ちはもう消えていた。
江藤としたいんだ。
他の誰でもなく。だから江藤を大切にしたい。
言葉が足りない俺なら態度で示すしかないだろう?
江藤はどれだけ俺に想われてるかなんてわからないまま俺の背中に不安を感じている。
本心を言うから、信じろ。
「お前が・・・俺とそう望んでたって・・・わかっただけでいい。だから・・・ゆっくりでいい。俺たち・・・これからだ・・・。」
江藤はわかってくれた。
奪いたい気持ちと大切にしたい気持ち。
両方の想いを理解して、江藤の心は開かれたんだ。だから俺は待つよ。
思いもかけずその時は目の前にあった。
あきらめた今だった。
江藤が俺を見てる。
心を読まなくても自信があった。俺を求めている。
言葉だけじゃ、キスだけじゃ、俺たちもう愛し合えないんだ。
「真壁くんっ・・・私・・・」その続きは言わせない。唇で吸い込む。
いいんだな?
「・・・わかってる。」
俺は江藤をしっかり抱いて自分の部屋にテレポートした。
暗い部屋。
今さらだが、言っておきたかった。
「・・・嫌なことは忘れろ。」
夢魔に操られた俺は、偽物だ。本物はここにいる。
お前しか口説かない。愛せない。・・・お前がそうであるように。まったく似合いだな、俺たち。
俺は薄闇の中、衣服を脱いだ。
躊躇はないわけではなかったが、このチャンスを逃したくない。
言葉を忘れたかのような江藤。
「・・・怖いか?」
正直に江藤は少し怖がる。
俺は彼女らしさに微笑んだ。うまく笑えているだろうか?
女の着る服って小せえな。
ファスナーを下げれば簡単にずり落ちる。
薄いピンクの下着。背中で解く。難しそうな関門は不器用な俺でもクリアできた。
下の下着は・・・。もう卒倒しそうだった。
江藤が俺に近付き、屈んですばやく脱いだ。
・・・かわいいだけの江藤が、・・・美しくなる・・・。
俺の前で、・・・いつからそうだったのか、今そうなったのか。初めて見る江藤だった。
俺の目が闇に慣れる。潤んだ瞳から視線を降ろす。
髪がさらり肩から滑った。白くて細い肩が浮かび上がる。
なだらかに隆起した二つの丘。ピンク色の頂点。
俺は震えた。・・・泣き出したいような、大声で叫びだしたいような、情けないような。
男であるとことを実感した。江藤が女であることを実感した。
「・・・真壁くん・・・?」
不安になんかならなくていい。
江藤を抱きしめた。小刻みに震えていた。
「・・・何も言わなくていい。」
いいんだ。震えてても。そのままのお前で。・・・そのまま愛していくから。
口付けで何かが伝わる。・・・わかるか?俺の想いが少しでも。
江藤の唇が俺を求め、開かれた。
舌を挿入する。こんなこと知らなかっただろう?・・・感じるだろう?
朝、俺の決意を含ませた布団に江藤を誘導した。
キスをやめて不意に言った。
「・・・お前、幻滅するかも・・・。」
俺は、みっともないんだ。うろたえてるんだ。・・・怖いのは俺も一緒だ。
この時をずっと待ってたのに。狙ってたのに。妄想ばかりしてたのに。
気負いすぎて、幻滅させるかも。
「幻滅なんてしない。どんなことがあっても、永遠に・・・。」
江藤に慰められた。
愛されている。・・・お前に愛されるなら俺は俺でいられる。
「・・・優しくするよ・・・。」
お決まりの文句を自分が言うことに、強烈な幸せを感じた。
深まるキスはその次を教えてくれる。
自分の指でないような動きで江藤の肌に触れ始める。
江藤の心の声が聞こえる。(・・・いいのよ。真壁くん・・・。好きなように、・・・愛して・・・。)
「・・・俺を止めてくれよ。・・・俺はっ・・・」
途端に俺は悔しくなった。
真っ白な江藤が変わっていく。・・・誰でもない自分の手によって。・・・いいのか?
俺を止めてくれ!・・・止めてくれよ!
いや、止めないでくれ!本能は求めている。
俺の葛藤を知る由もなく、彼女は俺を優しく見つめる。
俺は少し笑った。
そしてもう遠慮しなかった。ただただ白い肌に俺の印がつけられる。
軟らかい、白い、暖かい、彼女の肌。
俺は幼子のように夢中になった。
俺の髪を掻き乱す江藤の指。
江藤の小さな、溜め息が聞こえた。喘ぎ声だった。
もっと聞かせてくれ・・・。感動が快感になっていく。
貪欲になっていく。その先を求める。
「・・・入れるぞ」短く宣告する。
俺の下で俺を受けようとする江藤は、髪を乱れさせ苦痛に耐える。
ごめん。でも、見たいよ。その顔。
俺が与える苦痛。
江藤にとっては長い時間だったに違いない。そして繋がった。
「ありがとう・・・。」何ても変かな。江藤は聞き返す。
本当は愛してると言いたかった。でもありがとうなのかもしれない。俺を愛してくれて。俺のものになってくれて。
マジ、だめだ!
動いてもないのに、破って間もない江藤のそこは、同じく破ったばかりの俺には未経験で快感は恐ろしいくらいだ。
せめて、俺と交わった証拠に痛さだけでなく快感も与えたい。
腰を押すごとに江藤の痛みはそれにかわっていくようで、江藤の汗も冷や汗ではなくなる。
なおさら俺を締め付ける。
「・・・ぅう!」我慢なんか出来ねえ!
・・・すげえ・・・。江藤・・・。俺、お前から離れられねえぜ。
「愛・・・してる・・・!」声も絶え絶えにわざわざ江藤が伝える。
わかってるよ!
そして俺は果てた。最期は自我の中で絶頂を迎えた。
抱き合ったのは江藤に対する懺悔なのか、愛情なのかどちらともいえなかった。
しばらくして後始末をするべく離れた。
江藤の不安は聞こえてくる。
江藤のそこを拭いてると起き上がり俺を気遣う。
違う。お前は何も悪くねえ。
おまけに布団についた破瓜の血を見つけてあわてふためく。
江藤を抱き寄せ、再度裸のまま抱きしめた。
何て言えばいいんだろう。
俺は、想ってることの1割も言葉にかえてない。・・・俺自身の性格のせいにして。
江藤にはその1割の半分もわかってないだろう。
「・・・大切に、する・・・。・・・こんな俺だけど、・・・その日まで、待っててくれ・・・。」
違う。結婚を匂わせて江藤を安心させる卑怯なことを伝えたいわけでない。
所詮伝えらない、彼女への想い。
ただ強く抱きしめるしかなかった。
帰り支度をして、電気をつけると江藤の不安がまた顔を出す。
あまりに素っ気無い俺のせいだ。照れているだけなんだ。もどかしいだけなんだ。
お前を愛してる気持ちは減るどころか怖いくらい膨らみ続ける。
もう、このまま永遠に帰したくないんだ。
「わかってくれ。・・・お前を帰したくない俺の気持ちも。」
能力を使い、想いを託したキスをした。
「行くぞ・・・。」
江藤に伝わったかはわからない。
でも俺たちはなるようになっていくだろう。本当に愛することを知ったんだから。
おわり
ようようタン(・∀・)素晴らしい!!
蘭世視点と真壁くん視点を合わせて読むと
お互いがすごく相手を想い合っているのが伝わってきます。
ようようタンの作品がここでも読めるなんて幸せ〜〜vv
344 :
350:03/04/28 22:55 ID:kAMxiK7P
キキキキキタ!━━━━━(゚(゚(゚(゚∀゚)゚)゚)゚)━━━━━━━━━━!!!
ようようタン様様
堪能してしまいまつたぁ〜
王子の独り言の笑えること笑えること。
>おい、そこらへんの男!俺の女だ!誰にも聞こえねえ俺の自慢。
>わかってくれー!!たのむ!俺は必死に祈る。
ツボでつた。
はぁ〜
ありがとうございまつた。
読み終わってすごく幸せな気分です。
ようようさま。
俊視点の「プレゼントになった日」素晴らしい!!
ど感動でした!!
俊の葛藤がリアルに伝わってきました。
初めての話万歳!!
某サイトでもようようさまのお話読ませていただいてます!!
素晴らしい!!
是非是非また書いて下さいね。
346 :
350:03/04/29 10:46 ID:vPq5ToFJ
鈴なるできたのでうpします。
なるみ視点にしてみまつた。
あたしっていう言葉を使うのにすごく抵抗が・・・(汗
長いのはおいらの性分なのでお許しを
そしてこのまままた350をゲトしそうだ(確信犯)
「鈴世くん・・・・まだ・・・・?」
「・・・・・なるみ・・・もうちょっとだけ待って・・・」
数日前に生徒達とキャンプに行った鈴世くんは「お土産をあげたいから」
といって、わざわざ夜中に車を飛ばしてどこかへ向かい
途中からは目隠しするほどの念の入れよう・・・
なんで夜なのに目隠しなのかな・・・
一体どこへ連れて行かれるのかしら・・・・
さっぱり見当のつかないあたしは、焦らされて落ち着かないんだけど・・・・
でも退院してから初めての、随分と久し振りなデートだし・・・いっか・・・
「着いたよ。なるみ」
鈴世くんが車から降りる音がして、助手席のドアを開け外へ連れ出してくれる。
「お待たせ」
シュルっと目を覆っていたスカーフを取り、首に戻してくれる鈴世くんにお礼も言わず
眼前のまぶしいくらい目いっぱいの星をたたえた夜空に吸い込まれそうになる。
「うっ・・・・・わぁ・・・・・・」
キレイなんて言葉では表現するのが恥ずかしいほど
漆黒の闇に振りまかれた宝石のように輝く星たちは、煌々と光る満月の光を浴びて
その1つ1つがあたしに向かって笑いかけるように瞬いている。
・・・・星って本当に瞬くのね・・・・
「コレがお土産って事さ。なかなかだろ?
ホントは月がない方が星がよく見えるんだけど、ゴメン、すぐ見せたくてさ」
ウィンクしてみせる鈴世くん。
「ありがと・・・」
「お気に召したかな・・・?」
「もちろんよ」
「それは何よりだ。なるみ、ここに座っちゃおう。洗車したばっかりだからキレイだよ」
あはっ・・・
鈴世くんたら子供みたい。
いっつも子供達といるからかな。
鈴世くんに手を取られてボンネットによじ登り、2人でルーフの上に寝そべる。
一応靴は脱いでおこう。
鈴世くんの腕枕に頭を預けて夜空を見上げてるあたしは
彼の腕が伝えてくる体熱を感じてドキドキしてしまう。
もう数え切れないほど鈴世くんとこうやって2人きりの時間を過ごしてきたのにね・・・。
これから一緒に住むようになったら毎晩こんな感じかな〜
きゃぁ〜♥
なんて1人で妄想つっぱしってしまった・・・
いかんいかん。
お土産に集中しよう。
人の気配なんか微塵も感じさせない静寂は、山奥ならでは。
暗闇と虫の音に包まれて、しばらくの間瞬く星と無言の会話を楽しむ。
・・・・亡くなったお母さん・・・あの中のどれかしら・・・・なんて・・・
あたしもうすぐ鈴世くんの奥さんになって・・・・お母さんになるの・・・かな・・・
もう市橋じゃなくなっちゃうね・・・・
産んでくれてありがとう。
あたし・・・・生まれてきてよかった。
だって鈴世くんに出会えたから。
こうやって鈴世くんの隣にいられることが、何よりも嬉しい。
何度も何度も命を落としそうになったけど、こうやって鈴世くんの隣で生きている。
鈴世くんのおかげだよね。
あなたがいるから生きたいって思える。
これからも・・・・2人で・・・・ずっと・・・・最・・・期まで・・・・
なんだか切なくなっちゃって、助けを求めるように鈴世くんをちらっと見やると、
満月の光を受けた髪の毛が妖しく光って、鈴世くんが魔界人だった頃を思い出した。
鈴世くん・・・よく満月の夜に・・・・
なんてこと・・・・///
いつもはクールというか冷静にしているけど、満月の夜だけはそうもいかないらしくて
熱に浮かされたようにあたしを求めてくる鈴世くんがちょっと嬉しかったんだ・・・・
今はもうないけどね・・・・
ないけど・・・・
鈴世くんからもらったあたしの命には・・・・
やっぱりアナタが入っているのかなぁ・・・・
鈴世くん・・・・
満月を見て湧き上がる衝動をあたしも味わっている気分になっちゃうよ・・・・
今はもう2人とも人間なのに・・・・
ありえないけど・・・・
でも・・・でも・・・体が熱いよ・・・
あたしの疼く何かを感じ取ったかのように、鈴世くんが枕にしていた腕を引き寄せてキスしてくれる。
それはいつもしてくれる優しいキスよりもちょっとだけ情熱的で・・・
ああ・・・でもダメよ・・・
今日は何の準備もしてない・・・・
ダメダメ・・・
でも鈴世くんの唇にあたしの考えがやわらかく吸い取られちゃう。
そしてあたしの血が鈴世くんを求めて騒ぎたてる。
どうしちゃったの・・・?
あたし・・・
堪えきれなくなってあたしから舌を絡ませてしまった。
止められないよ・・・・
鈴世くんも・・・何か感じる・・・・・?
そっと目を開けると、鈴世くんと目があう。
「なるみ・・・・」
「鈴世く・・・・」
あたしたちは堰を切って溢れてくる何かに流されるように、更に熱い口付けを何度も交わした。
何度もついばむように唇の感触を確かめ、お互いの舌を求めあう。
もう幾度となく肌を重ねているはずなのに、あたしはこれだけで全身の力が抜けていく気分。
鈴世くんの感触に頭の奥までしびれてしまうほどたまらなく感じちゃう。
ワンピースのボタンは鈴世くんの手によって1つ1つ解放されていき
サラサラと流れる金色の髪の毛が、あたしの首をくすぐり
唇が首筋を滑る感触にうっとりしてしまう。
その間にあたしはどんどん剥かれていき、ブラをずりあげられて胸を露わにされてしまった。
「・・・・恥ずかしい・・」
思わず手で覆ってみる。
だってここは・・・・車の上よ?
ちょっと動いたら落っこちちゃうかも。
それにまぶしい月明かりに自分が照らされてるなんて・・・
「なるみ・・・・隠さないで・・・・」
やんわりとあたしの手をどけて、鈴世くんの舌があたしの肌を滑る。
そしてあたしを優しく含んでくれる唇。
「あっっ」
思わず声が出ちゃった・・・ヤダ・・・・・
誰もいないだろうケド・・・ここは外なのに・・・
「いいじゃない・・・我慢しないで・・・聞かせて・・・ぼくしかいないから・・・・」
あたしの頭の中を覗いたかのように、鈴世くんが言葉と共に促してくる。
片方を舌で転がしながら片方は優しく揉んで・・・
「やわらかいよ、なるみ・・・・」
鈴世くんの手・・・あったかいね・・・
ああ・・・とろけそう・・・
スカートの裾をたくし上げて、もうとろけているあたしの大事な所に手が入ってきた。
「!!鈴世くん」
「なるみ・・・・もうこんなに・・・?」
かぁぁぁっ
顔が熱くなるのを手で覆う。
そうなの・・・・・もう下着が意味をなさないほど濡れてるあたし。
いやらしいよね・・・・
でも止められないの・・・・
鈴世くんに抱かれるのはすごく久し振りだし
今日は特に・・・・
あたし、どうしちゃったのかな・・・
鈴世くんは顔を覆うあたしの手をよけて、またキスをしてくれる。
さっきほど激しくはないけど、ねっとりと舌を絡ませてきて濃厚なキス。
手はあたしの下着に入り込んで、熱くぬめった所を指先でなぞり始める。
「んんっ」
足を閉じたいのに、既に鈴世くんが下着を取って割り込んできている。
鈴世くんの指は魔法をかけているように、触るところをどんどん熱くしていき
あたしは声を押し殺せなくて、少しずつ喘ぎ声を漏らしてしまう。
「あっっ・・・は・・・ああん・・・。ああっ・・・」
呼応するように、指は敏感な所をゆっくり焦らすように擦りまわし
あたしの溢れるぬるみを絡めてその感触を楽しむように亀裂に少しずつ指を沈めていく。
「いい声だね・・・なるみ。もっと鳴いてみせて」
いつもの鈴世くんじゃないようなセリフ・・・
鈴世くんの顔は月光の陰になって表情がわからない。
「やぁ・・・・」
「イヤじゃないだろ?」
鈴世くんの指があたしの中に入って来る。
「ああんっ。あぁ・・・」
「気持ちいい?」
指がぬるぬるとあたしを刺激してくるのがたまらなく気持ちいいけど、そんなこと言えないよ。
「やぁ・・・・・あぁん・・」
「ホラ・・・なるみ。気持ちいいって言ってごらん」
「や・・・・・は・・・・恥ずかしいよ・・・」
「なるみの口から聞きたいんだ・・・・・なるみ、気持ちいい?」
「あ・・・・きっ・・・・・・・気持ち・・・いい・・・」
鈴世くんは表情が見えないけど、きっとにっこり笑っている。
「なるみぬれぬれだよ・・・・・・・・・・・・・・・・・欲しい?」
「!・・・・・・・・・」
鈴世くん・・・・そんな事言わないで・・・・言わせないで・・・・・
「こんなに濡れてるのに・・・・ホラ」
あたしの愛液を絡ませた指があたしの口に入ってきて
その上から鈴世くんが舌を絡ませてきて
あたしの味と鈴世くんの指と舌と・・・・・
鈴世くん・・・・・熱い・・・・・
おかしくなりそうよ・・・・・
「欲しいって言ってみせて。なるみ」
本当は欲しくて欲しくて体中が燃えそうに熱くて、もうこれ以上我慢できなくて
顔から火が出そうな思いで口にする。
「・・・・・・ほしい・・・・・・・」
火が出ちゃったかも。
「よくできました」
と軽くキスをしてくれた鈴世くんは
ジ・・・とチャックを下ろす音だけさせて、あたしにのしかかってくる。
・・・わぁ・・・・このまま・・・?
「いいかな・・・?今日は何も用意がなくて直に触れ合っちゃうけど・・・」
・・・あ・・・そっちの意味じゃなかったんだけど・・・
「いいの!!鈴世くんを直に感じていたいから・・・・このまま・・・・」
そんなことを行ってしまう自分が恥ずかしくて、両手で顔を覆う。
鈴世くんはその手をつかんでぎゅっと握ってくれた。
熱い・・・・・
熱いものが入ってくるのがわかる。
あたしを押し分けてゆっくりと。
「はぁぁぁ・・・・・」
動き出す鈴世くんのリズムにあわせて、あたしの元気になった心臓もどんどん早くなる。
「あぁ・・・ん・・・あっ・・。あっ・・・。ああっ」
鈴世くん・・・
気持ちいい・・・・
鈴世くんの肩越しに月が見ている。
その周りの星も、あたしにもっともっとと言っているみたい。
そう・・・
もっと・・・
あなたを感じていたいの。鈴世くん。
あたしがこの世で一番愛する鈴世くん。
出会ってから色んなことがあったけど、あたしのこの気持ちだけは常に変わらない。
これだけは誇っていいよね・・・
この世で一番あなたを愛しているのはあたしよ。
鈴世くん
鈴世くん
鈴世くん
何度口にしても足りないよ。
あたしの身体の細胞全てがあなたを求めているの。
もっともっと
鈴世くん・・・・・
「・・なるみ・・・・いい?・・・・・・中に・・・・」
苦しそうな息の間から鈴世くんの声がする。
「なるみの体が呼んでるんだ・・・・・ほしいって・・・・・」
ああ・・・・・鈴世くんにも伝わったのね・・・・
「うん・・・鈴世くん・・・ああ・・・は・・早く・・・」
鈴世くんは何かに憑かれたように激しい動きに変わり
あたしは否応なくその勢いに押されて高みへと登りつめていく。
「はあぁ・・・・・鈴世くん・・・!!!」
全身が半分に縮んでしまうような勢いで感じる絶頂感。
あたしがビクビクと体を震わせてしまうのを感じ取った鈴世くんも
小さくうめいてあたしの中へ熱くほとばしらせてくる。
温かい・・・・
鈴世くん・・・・
「なるみ・・・・・なるみ・・・・」
うわ言のようにあたしの名前を呼ぶ声。
しばらくは2人ともつながったまま息を弾ませていた。
温かいものが満たされるのを感じながら。
あたしはボンヤリと月をみつめる。
・・・あなたがあたしたちを焚きつけたのかしら?
煌々と輝く満月の周りの星の瞬きが、あたしにはクスクス笑っているように見えた。
・・・・もしかして・・・・
もしかしての予感的中がわかったのは、結婚式が終わってすぐのこと。
みんなに知らせたいのに、言うのが恥ずかしくて恥ずかしくて・・・・
満月のせいなんていったところで誰もわかんないしね〜
蘭世お姉ちゃんは「あなた達らしいわよ」って笑ってくれたけど・・・・
356 :
350:03/04/29 11:08 ID:vPq5ToFJ
思いっきり少女漫画風にしてしまい、書いててかゆくなりまつた。
さかのぼって>330タンに禿しく同意
モーリとシーラおいらも読みたいのでつ。
でも自分でもファンタジー膨らませてみようかと・・・
過去に超大作があるので妙にプレッシャーがありまつが・・・。
(゚∀゚)イイ!!
>350タン
すごいよかったです。
今まで鈴なるってあまり読む気がなかったが(苦笑)
これはとてもよかった!
359 :
ようよう:03/04/30 09:19 ID:GxoT+ZuA
遅レスですいません。
>>343さま、345さま 読んでくださってありがとうです。
わしのはエロ度が低いので、フラストレーション溜まると思います。修行して戻ってきます。
>>350さま
リクにすぐ応じられる凄さ。またなるみらしくてイイ!仕込んだお話がよかったです!!
キャラがはっきりしててやはり神は何処か違う。そして待ってます。ファンタジー。ワクワク
>>350 鈴なるキタ━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!!!
鈴なるマンセーな自分にはたまらなかったです。
いや、まじでありがとうございます!!
モーリ×シーラ、期待してます。
361 :
350:03/05/02 00:45 ID:Oe6WVprf
>357-360
温かいお言葉ありがとうございます〜
うれし〜
頑張る〜
ようようタン様のお早いCOMEBACKもお待ちしてまつ(大好きなもんで)
モ×シ
は今ちょっとつまっているのでお待ちください。
何気に難しいでし。
362 :
新婚作者:03/05/03 18:46 ID:nulomOP0
またまたしばらく留守しているうちに
いっぱい新作が〜〜〜〜
GWの楽しみになります。
うれしいなぁ・・・。
ようよう様
とっても原作に近い二人でいいなぁ。
私が書くとおっそろしいエロ王子となってしまうので。
今はパラレルの中でちょっと初々しい。
350様
やった〜〜きた〜〜〜〜
鈴なるは久しぶりですね。ふう。
きゃ二人らしいってところですか。
うれしいなぁ。
蝶様
いつもいつも美しいお話ですね。
なんだかしんみりすることもあったり。
こういう視点もあるのかぁ。と脱帽。
ではではもう一度ゆっくりと読んできます。
かしこ
363 :
新婚作者:03/05/04 15:05 ID:4+JzMDmS
ちょっとだけ続きです。
なかなか進展しない二人になんとも作者の
ジレンマ満載です。
次には進展させたいなぁ。
>>287
甘えた声でしゅんに擦寄ってこようとするようこをかわすと、
「この者を部屋へ送っておいてくれ。」
そういいつけて部屋から追い出すとしゅんは固く扉を閉めた。
「ちょっとぉ・・・しゅん様ってば〜照れなくても・・・」
「・・・ようこ殿、とりあえず今日のところはお引取りを・・・」
「・・・・分かったわよ。もう。」
そんなやりとりののち、ようこが連れていかれたようだった。しゅんは人気がなくなったことを確認して
ようやく床につくことが出来た。
・・・・まいったな・・・・・
しゅんは両手を伸ばし、そうして自身に巻きつける。夕刻、抱きしめたらんぜのぬくもりが
まだ残っているような熱さを感じながら眠りについた。
翌朝しゅんが目覚めると王からの使いが来ていた。
「王の間までいらして欲しいとのことです。」
「承知いたしました。」
身支度を整えると、儀礼にのっとりしゅんは王のもとへといそいだ。
扉の前で一息入れると
「まいりました。」
開け放たれた扉の向こうに王と王妃がにこやかに手招きしている。
「来たか、まあこっちへ。」
「はい。」
しゅんは傍まで歩いていくと王の前にひざまずいた。
「なにか御用ですか?父上。」
「いや、なに。」
言いよどむ王に王妃が続ける。
「昨夜のことを聞きましたよ。しゅん。」
「・・・あ・・・はぁ・・・。」
しゅんは一瞬考えたのち顔を上げる。
「どうするんだね?このあとは。」
「え?」
意味がわからないといった表情でしゅんは答えた。
「何のことをですか?」
「決まっているじゃないか。ようこ殿とのことだ。」
夫婦は微笑を絶やさず重ねた。
「昨夜はしゅんの元にいたとようこ殿の侍女から聞いたのだ。それでは早速・・・」
しゅんは慌てて
「ちょ・・ちょ・・ちょっと待ってください。」
「ん?何か不都合でもあるのか?」
むせたあと、しゅんは深呼吸すると
「確かに、昨夜私が部屋に戻るとようこ殿はいらっしゃいましたが、すぐにお帰りいただきました。」
そうきっぱりと言い放った。そのとたん横のふすまがバターンと開いた。
「嘘ですわ!昨夜はずっといっしょだったじゃございませんか!!!ひどい、ひどいわ。」
ようこが叫びながら飛び出してくるとしゅんに抱きつこうとした。しゅんはすんでのところでそれをよけると
「父上、そのことでお話があるということでしたらまったくの誤解です。」
「しゅん様・・・・照れていらっしゃるのね。」
「しゅんや、本当に?」
ようこと王妃の声が重なった。しゅんのまっすぐ自分を見る眼を見つめ返し、視線を王に戻すと一つ頷いた。
「ようこ殿は夢を見られたようですね。ねぇ、あなた。」
やはり柔和な微笑をしゅんとようこに向けながら王妃は言った。王も
「そのようだな。朝早くからすまなかったなしゅんよ。」
「・・・・いえ・・・・」
親子三人納得の笑みを浮かべていると
「ひどいわ、しゅん様!!私・・・・私・・・・」
ようこは再度訴えるが、三人は聞く耳を持たなかった。しゅんはようこへ向き直ると
「ようこ殿、昨夜は確かに私の部屋にいたが、それは私のいないときにきていたのですよ。
側近が貴女を部屋につれて帰ったと聞いているのだが違うのか?」
「・・・・・・・・・・」
黙り込むようこを侍女が慌てて部屋から連れ出して行った。
王の間に親子三人になると王は真剣な面持ちでしゅんに告げた。
「・・・・まぁ、それもこれもお前が決めた女(ヒト)を持たないのも原因なんだから。そろそろどうだ?うん?」
「・・・・・・」
「そうよ、しゅん。前にも言ったけど早くいい人を見つけて頂戴。そうでないと安心していられないでしょう?」
「まだ、私には早いですよ。」
そう言ってしゅんはその部屋を辞した。
・・・・・まいった・・・・
まさか、ようこからあんな風に攻撃されるとは思ってもいなかったしゅんである。
ほとほと疲れ果て、元気づけに城外へでてこようと準備に向った。
・・・・しかしなぁ・・・・・
ようこのなりふり構わない姿には見習うべきところもあるのだが・・・・。
隠し扉からこっそり出かけるとしゅんはいそいそと今日もらんぜのところへ向った。
「らんぜさん。」
「あ、しゅん様。・・・・・今日は何かありましたか?ひどくお疲れの様子で・・・」
「・・ああ、いや・・・・らんぜさんこそ、どうかしたのか?」
一歩一歩出来るだけゆっくりと歩く、そのらんぜの表情が暗い。
「・・・・ええ、城に上がる日が決まりましたの。来月早々にはとお城から伝達が来ました。」
「・・・そう・・・ですか・・・・」
らんぜは笑顔を作ると
「もう、母ってば喜んじゃって。準備に大忙しなんですよ。」
「らんぜ・・・さんはいいのかい?」
「・・・・・・・・決まったことですから・・・」
そういう顔に翳りが混じる。
「それに、行かないと父が困ってしまいますわ。せっかくお城に納めることが今出来ているんですもの。」
「・・・・・・・・・・・・」
しゅんは最初に身分を明かさなかったことを悔やんだ。
・・・・俺なんだ・・・・・
・・・・・それもこれも全部・・・・・・
よかれと思ってしたことが裏目に出てしまっている。
「来月って言ってももうすぐなんですよね。」
ふふと儚げに笑うらんぜを抱きすくめる。
「らんぜさん!!!・・・俺・・・俺は・・・・」
「・・・・しゅん様?・・・・・」
・・・・言ってしまおうか?・・・・・
・・・・いや、今言ったら混乱させるか・・・・
・・・でも・・・・
しゅんは自問自答を繰り返す。
「・・・しゅん様・・・いたっ・・・・」
「あ、ああ、すまない。」
「どうかなさいまして?」
「いや・・・・」
澄んだ瞳で見上げるらんぜにしゅんは心が揺れていた。
368 :
新婚作者:03/05/04 15:10 ID:4+JzMDmS
じれったいですよねぇ。
かなり。
なぜ言わないか。
それが皇子ゆえ、ということで。
では明日もおこもりなので続きがうpできますように・・・。
>新婚タン
じれったいのが(・∀・)タマラナイ!
続き楽しみにしてます!
> しゅんは両手を伸ばし、そうして自身に巻きつける
ここの描写がすーごく素敵です!
じれじれの展開私も好きです〜
新婚タン(・∀・)イイ!
続きを今か今かと待ってました。
続き待ってますv
372 :
350:03/05/05 17:51 ID:22pHnGsS
おおう!
夜伽の続きがキテル━━━━━(゜∀゜)━━━━!!!
>新婚タン乙カレ様でつ
ホントこの2人にはこのじれったさがスゴク合う!!!
夜伽の続きを待ちながら
りぼんの発売日を心待ちにしていた頃を思い出してしまいまつた(w
>>350様
遅くなりましたが、私も感想を…!
漏れも鈴なる大好きなので、大感激しますた!
月夜のお話できれいでした。ときめきトュナイトですた。
とにかく可愛くて(・∀・)イイ!!ママママンセー!!
神のうpを待つ間に、コソーリ…
窓から吹きぬける、春の風が心地いい。
土と、太陽と、埃の匂いを孕んだ、暖かい匂い。
これと、同じ匂いをさせる、陽だまりのような少女を、俊は知っている。
冷たく凍てついた自分の心を、太陽のように溶かしていった、春の少女。
その匂いに包まれて、俊はうとうとしている。
聖ポーリア学園の高等部保健室。
実は、俊の昼寝の、格好の穴場になっている。
校医がいない時間帯を見計らっては、ベッドに潜り込むからだ。
具合が悪い生徒への配慮からか、ここにある4つのベッドは、それぞれカーテンとスク
リーンに隠され、その向こうはスチールの本棚で衝立が為されている。反対側は、落ち着
いた木立の見える窓。一番端のベッドは、二面が窓にさらされている。サボリを好む生徒
にとっては、他人から見えない格好の配置だが、それでも、校医がそれを替えようとしな
かったのは、単に、そんな不埒な行為を行うものが、これまでこの学園にはいなかったか
らで。
息苦しい元女子校と規則に乗っ取られた学園で過ごす俊にとっては、その一点だけは、
大変ありがたい環境と言えた。
固いベッドと、きしむスプリングは安物だが、寝るだけならそれで十分だ。
勿論、戻ってきた校医に見つかれば大目玉だが、大抵はそれもクリアできる。つまらな
い授業や、バイトで疲労した体を休めるために、俊はよくここを利用していた。
そして、今日もまた。
吹きぬける、暖かい午後の風が、昨日のバイトの疲れを癒してくれるようで。
一番端のベッドでまどろんでいた俊の耳に、ガラリ、とドアを開ける音が聞こえた。
(やべ、もう校医が戻ってきたか?)
確か今日は、午後から出張とか聞いていたのだが。見つからないよう、気配と息を殺し
ていると、ぼそぼそと、か細い会話が聞こえた。
「…大丈夫?顔色、悪いわよ?」
「…すいません、先生、これから出張なのに……」
答えた生徒の声を、俊はよく知っていた。
(江藤?)
「あとは一人でも平気ですから…」
弱々しく、それでも明るい声を出す蘭世に、校医は心配そうにしながらも、
「ごめんなさいね。今日はどうしても遅刻できない会議なのよ…」
担任の先生にお話はしておくから、ゆっくり休んでなさいね、と残して、校医は足早に
保健室を出て行く。ドアを閉めたとき、カチャリと音がしたのは、蘭世に配慮して鍵を掛
けたのと、『校医不在』の看板を掲げた音だろう。鍵は、内側からでも開けられるタイプ
だから、具合がよくなって出て行くのにも、なんら問題はない。
「…ふぅ」
と大きく吐く溜め息が聞こえて。
蘭世の気配が、ゆっくり近づいてくる。
トサリ、と俊の寝ていたベッドの隣から、音が漏れた。白いカーテンに阻まれてよくは
見えないが、どうやら、そのまま寝込んだらしい。
声を掛けるか掛けまいが迷ったが。
一瞬の躊躇いのあと、小さく名前を呼んだ。
「……江藤?」
カーテンの向こうで、ガバリ!と勢いよく起き上がる気配。続いて、クタリと崩れ落ち
る音。
その行動の間に、蚊の鳴くような声で聞こえた「真壁くん?」の声。
(あのバカ…)
名前を呼んで起き上がらせたのは自分であるくせに、そんな蘭世の行動に焦って、カー
テンを全開にしてしまう。
ベッドに横になる蘭世は、案の定、制服が乱れるのも構わず、グッタリとうつ伏せになっ
ていた。
「あ…真壁くん……」
「…何やってるんだ、おまえ」
首と腰の位置に腕を伸ばし、ゆっくりと半回転させ、仰向けにした。下ろしたままの、
長い黒髪が白いシーツに散らばる。顔を天井に向けた蘭世の顔色は、その髪と対照的に、
いつもの白さを更に蒼白にし、唇の色も無くしていた。
「あ、えっと…」
話すのもつらそうな蘭世の、冷たい額に手を置きながら、その思考を読み取ってみる。
(音楽の授業中…急にめまい起こしちゃって……。途中までは一人で歩いてこれたんだけ
ど、立てなくなっちゃって、保健の先生にここまでつれてきてもらったの……)
(貧血か…)
ホッとしながらふと。眉間に皺を寄せて聞いてみる。
「…江藤、おまえ、今日昼飯食ったのか?」
「え…」
俊の問いに、口篭もる蘭世。
『今日、お昼休みちょっと忙しいの』
今朝の登校途中、そんなことを言っていた気がする。その忙しい理由は、多分部活のこと
やらだろう。適当に流せばいい仕事や、他人に任せればいい仕事も、ついつい引き受けて墓
穴を掘る。お人よしの蘭世だ。今回も、何か任された仕事が大きくて、昼食を取る余裕さえ
なかったに違いない。
「まったく、おまえってやつは…」
呆れたように溜め息をつく俊は、蘭世を見てギョッとする。
大きな黒い瞳から零れる、涙。
「な、なんだよ、急に!」
「あ、ご、ごめんなさい…」
謝る蘭世だが、大粒の涙は後から後から溢れて止まりそうにない。それでも、嗚咽を耐え
るように、両手で口元を塞いでいる。冷たいままの額に当てた手の平から、蘭世の思考が流
れてきた。
(具合がわるかったから心細くて…そしたら真壁くんがいてくれたから……嬉しくて……
でも、心配かけちゃって……ごめんなさい……)
泣きながら、それでも謝る彼女に、再び溜め息をついて。俊は、小さく微笑んだ。
「ばーか、謝んな。ここにいてやるから」
本当は、なんだかんだと細かい仕事を、つい彼女に押し付けて忙しくさせてしまっている
自分の方が悪いのに。
素直に謝れなくて、俊は額に当てていた手の平で、蘭世の髪をゆっくりと撫でた。彼女が
泣き止むように、優しく、優しく。蘭世も、だいぶ落ち着いてきたのか、その俊の手の動き
に合わせるように、嗚咽を堪えて動いていた肩の震えが収まっていく。
なんだか、その沈黙と。
窓から入り込む、暖かな風と。
俊の手の温もりが心地よくて。
蘭世もそのまま、まどろみそうになってしまう。
それは、俊も同じだったようで。
蘭世の髪を梳いたまま、大きく欠伸をした彼に、彼女がクスリと笑った。
「真壁くん、ここでずっと寝てたの?」
「…まあな」
「ここ、あったかくて気持ちいいね…」
クスクスと笑う彼女が、春の風のように穏やかで。
「…なんだか、おれも眠みーや」
「真壁くん?」
おまえ、もう少しそっち行け、と言われ、素直に蘭世はそれに従う。
「ままままま、真壁くんっ!?」
蘭世の声が上ずったのは、同じベッドに、俊が入り込んできたからで。
「しーっ、声でけーよ」
大きな手の平で口を塞がれ。反対の腕で、腕枕をされる。
そのままコロンと、俊の胸に収められた。
「…こうすりゃ、もっとあったけーだろ?」
ウィンクして、そのまま目を閉じる俊からすぐに聞こえる、規則正しい呼吸と鼓動。
顔を真っ赤にしながら、蘭世も。
彼の匂いに包まれながら、目を閉じる。
土と、太陽と、埃の匂いを孕んだ、暖かい匂い。
(春の匂いって、真壁くんに似てる…)
心を暖かくしてくれる、彼の優しい笑顔。
安心する、優しい腕。
この匂いに包まれて。
今日は、眠ってしまおう。
蘭世は、ゆっくり、目を閉じた。
穏やかな、春の風が吹く、午後の日の出来事。
……蘭世を心配してやってきた担任とクラスメートの声に、二人が大慌てするのは、
もう少し後のこと。
以上でつた。
お目汚しにスレむだづかいスマソ…。
ついでにオマケも。
少し冷たくなった風に目を覚まして、その前にある寝顔に微笑む。
安心して、自分の腕の中に収まっている、蘭世。
貧血も、だいぶよくなってきたらしい。
色の無かった唇も、いつもの薄いピンクを取り戻している。
それに気がついて、ドクン、と俊の鼓動が跳ね上がった。
(…落ち着け、おれ!)
そう言い聞かせてみても、早まる鼓動と欲望が押さえきれない。
寝顔を見るのなんて、初めてのことじゃないし、その唇にだって、何度も触れた。
けれど、俊自身の欲望が、もっと先へと、自分を追い立てる。
肌に、触れてみたい。
そおっと、頬に手を伸ばした。
「ん…」
驚いて、慌てて腕を引っ込める。
蘭世は、何事も無かったように眠っている。
(だから、落ち着けおれ!江藤は寝てるんだぞ!)
どきまぎしながらそれでも。視線は蘭世から離れない。
自分の胸にすっぽりとおさまってしまう、華奢な体。細い首筋。そこから覗く、奥へ
と続く白い肌。
…ゴクリ。
飲み込んだ音の大きさに、自分が慌てる。
彼女は気付かなかったようだ。
ほっとしながら、その唇に自分の親指を這わせてみる。
柔らかい唇。
(やべー…おれ……)
その瞬間だった。
パチリ。
「わ!アップ!!」
驚いたのは俊も一緒。
「わ、私、あのまま寝ちゃったの…?」
さっきまでの自分の動揺を押し隠しつつ、ポーカーフェイスで答える。
「よだれたらしながら寝てたぞ」
「えぇっ!?嘘っ!?」
慌てて口元を拭う蘭世におかしくなって、腹を抱えて笑い出す。それで俊の嘘だった
と知って、蘭世は頬を膨らませながら俊をポカポカ殴った。
「もう!先に起きてたんなら、起こしてくれてもよかったのに〜〜!!」
「悪かった悪かった」
その腕を無理矢理つかんで、ふと。
先ほどの動揺を思い出す。
「…真壁くん?」
急に真摯になった俊の瞳から、逃れられない。
ゆっくりと近づいてくる、その唇からも。
あと少しで重なる、吐息。
「蘭世ぇ〜〜?大丈夫〜〜〜〜!?」
いきなりガラリと開けられた、保健室のドアからの声は、蘭世のクラスメート。
あたふたしながら、俊はテレポートで、その場を逃げ切りましたとさ。
更なるお目汚しムダヅカイスマソでした…。
死の洞窟の蛇に巻かれて逝ってくる…
そうそう、蘭世はよだれを垂らすのよ(w
リアルで読んでました。
さいきん動きがなくて寂しかったの。
書きためたのはあるんでつが、なんとなく。
384タンありがとお
エロないけど…イイ…イイ!!
原作の雰囲気をばっちり残してて最高!!
また書いてくださいませ。
387 :
350:03/05/07 23:33 ID:VKJo+5fa
うん!!イイ!!イイ!!
やっぱこ〜ゆ〜2人が好きだぁ
読んでて疲れがとれたというか、癒されまつた。来てヨカタ。
>384タン
逝かないで〜戻ってきて〜プリーズカムバーック!!!!
ああーん。真壁くんの添い寝(腕枕付き)in 保健室ぅううう!
ぼたぼたぼた…←はなぢ出まくりです
はなぢ噴出でしたが、とーっても癒されましたYO!
次もこの勢いで癒して下さいませ。
389 :
384:03/05/08 00:42 ID:65v9movX
いろいろおっしゃっていただいて、ありがたくて涙がでそうでつ…
死の洞窟からコソーリ抜け出てきました。
>385タソ
蘭世は寝てたらよだれですよね!
これだけはゆずれないと…
>386タソ
ありがとうございます。
原作の雰囲気って、やはり独特でつね…
もっと精進したいです。
>350タソ
神にそんなこと言われるとこそばゆいでつ…
350タソの次のうpを楽しみに、ROMにもどりまつ!
>388タソ
真壁くんの腕枕、書いて見たかったんでつよ…。
ホントはベッドを挟んで手と手を繋ぐと言う話を考えてたのでつが、
それじゃエロにならなくて(これもエロじゃなくてすみません。
今度こそ、死の洞窟の氷の壁に埋もれて逝ってきまつ。
390 :
新婚作者:03/05/08 22:02 ID:4s6ZzjNQ
連休明けにこっそりうp。
では。
「・・・・・そこで言っちまえば丸く収まるんじゃねぇかよ。」
と少し離れたところで悪態をつくのはすぐる。ちょうど見かけたのでついて来て見たら・・・・というわけだ。
「なにが?」
「うわ!!!な・・・誰だ?」
振り向くとそこにはゆりえが立っている。
「なんだ、お前か。なんでこんなとこにいるんだよ?」
「それはこっちのせりふだと思うのだけれど?らんぜさんがさきほど忘れ物をしたから
届けようと思って歩いてきたのよ。」
「今はお取り込み中みたいだぜ、やめとけよ。」
「・・・そうね。」
ゆりえは意味ありげにじっとすぐるを見つめた。
「何だよ・・・・?」
「・・・間違っていたら申し訳ないけどね・・・・・」
ゆりえは声をひそめながらすぐるに問いかけた。
「彼・・・・しゅん様って言ってたわよね。あんまりにも突拍子もなかったので最初は気がつかなかったけど・・・・・・」
すぐるは一瞬顔を青ざめ、ゆりえの次の言葉を待つ。
「しゅん皇子よね、あのお方。」
ゆりえの言葉に頭をかきながらあきらめたように頷いた。
「・・・だよ。・・・・・!そうか、お前小さいときお城によく連れて行かれてたな。」
「ええ、ずっとお目通りはしていないからあれだけど、幼いころの面影を探したのよ。
なきにしもあらずといったところかしら?目の辺りとか。」
「・・・・そういやお前、記憶力いいんだな。」
「でも、何で皇子様がこんな城下町に出歩いているの?」
ゆりえはすぐるに問いかけると、
「・・・ここじゃなんだから、俺んちくるか?」
「でも・・・・。」
ためらいを示すゆりえの腕を強引に掴むと
「目立ったらまずいんだよ、俺の立場は。」
そういって長屋の方へと消えていった。
「・・・・じゃぁ、しゅん様。ありがとうございました。私はここで・・・・」
「・・・・・らんぜさん。」
「はい?」
「今度の休日にお約束は出来ないかな?」
「え?・・・・夕刻なら多分大丈夫かと。」
「では、あの橋のたもとで待ってるから。」
「分かりました。」
小さく頭を下げながら小道に消えていくらんぜをただ、黙って見送るしかないしゅんの心境は複雑だった。
・・・・言ってしまった・・・・・
・・・・誘い出してどうしようっていうんだ、俺は・・・・・
・・・・打ち明けてしまおうか・・・・
・・・・・いや・・・でも・・・・・
葛藤の中、ゆっくりと江藤屋に背を向けて歩き出そうとしたとき、ぽんと肩を叩かれた。
振り向くとにこやかにたたずむ江藤屋の主人もうりがいた。
「ちょっと、いいかね。」
「はい。」
もうりはちょいと指をひねると、人気のないところまで歩いていった。
「・・・さて、と。」
二人は立ち止まると、もうりは笑顔を絶やさずにしゅんに向き直った。
「なんの話か、分かるかね?」
「・・・・・」
しゅんは一瞬答えを言いよどんだ。
「貴方が何者かなんてこと、知らなくてもよいのです。」
もうりは続けた。
「わが娘、らんぜは何も知らないでしょう。そしていつかは知るときが必ず来るのですよね?
そのときどうなさるか、心を決めておいてはいただけないでしょうか?
親ばかとお笑いになられるかも知れませんが。」
「ご主人・・・・・」
「・・・・・たわむれなら、すておいてください。そのほうがあの娘のためです。」
もうりの目の奥から発せられる強い何かにしゅんは言葉がなかった。
・・・・そんなんじゃ・・・・・
・・・・だが、確かに、そう思われても仕方がないのかもしれない・・・・
「お話はそれだけでございます。お手間を取らせてしまい、申し訳ございません。」
会釈をすると、もうりは来た道を戻っていった。しゅんはただ、立ち尽くすことしか出来なかった。
夕刻を過ぎ、闇が迫りつつある、その場所で。
「すぐるが言いよどんだ理由は分かったわ、でも何故彼はらんぜさんに身分を明かさないの?
らんぜさんだってお城に上がれば分かってしまうことなのに。」
「皇子が言うには『筋が通らない』ってことらしいけどな。俺にしてみりゃ最初っから言っとけば
こじれなかったのにとは思うぜ。」
「そうなの・・・・」
ゆりえがふに落ちないといった表情で考え込んでいる。そんな表情を横目で眺めながら
すぐるは舌打ちをした。
「・・・にいらねぇ。」
「なぁに?」
ゆりえは顔を上げずに言葉を発する。そんなゆりえに郷を煮やしたようにあごを持ちあげる。
「ここは、俺の家だ。その俺の家で他の男のことなんか考えんなよ。」
眼を丸くして、ゆりえは吹き出した。
「ふふ、やぁね。私はらんぜさんのことを考えていたのよ?」
「・・・・それでもだ。ここでは俺のことだけ考えろよ。」
「貴方が連れてきたのに?」
「へらず口をまだ叩くのか?」
すぐるはまだ半分笑っているゆりえの唇を自身の唇でふさぐ。舌を絡ませ、胸元から手を滑り込ませた。
「・・ん、ふぅ・・ん・・・くぅ・・・」
「・・・・今日は・・・・どれくらい余裕あるんだ?」
吐息の隙間にすぐるが問い掛ける。
「・・・・そんな・・・の・・・・」
「・・・泊まるか?」
「・・・・・・」
・・・・・ずるい、すぐるはずるい、私が拒めないのを知って聞いてくる・・・・
すぐるは慣れた手つきでゆりえから布を剥ぎ取っていく。
少しずつあらわになる滑らかな白い肌。その肌に点々と赤い刻印を印す。
・・・・・俺のものだ・・・・・誰にも触らせない・・・・
刹那な時間をどれだけでも分かち合いたい。
ゆりえを素肌に戻すともどかしげに自分を衣服を脱ぎ捨て、ゆりえに覆い被さる。
「・・・すぐ・・・る・・・・・」
切なげに自分を呼ぶその声にすぐるはいつも我を忘れて、激しくゆりえを攻め立てる。
395 :
新婚作者:03/05/08 22:08 ID:4s6ZzjNQ
たまにはちょっとエロ交えながら・・・・。
>おだやかな5月の作者様
いいですねぇ。ちょうど季節的にも
内容はもう、いい!!!
そうそう、こんな感じよぅ。俊ってばかわいい。
・・・・こんな俊書いてみてぇ・・・。
で、夜伽ですが、
すぐるとゆりえってなんとなくいつもハードなHしてそうな感じ。
実は
女王様と下僕を目指していたんですが
やはり逆のほうがゆりえらしかったんで。
下克上ってやつです。
さて、今日はこの辺で。
みなさまご無沙汰です、ここのまとめサイト作ってるGです。
大変おまたへしてしまいますた。。。
ひさしぶりに、ここまでUpしましたので、御報告〜〜。
ttp://garuru07.hp.infoseek.co.jp/ 新婚たんの夜伽話は、Part6にコソコソ(笑)Upし続けてますのでヨロシくです〜〜。
>>ようようたん
鳥肌立ってます、
397 :
350:03/05/10 20:09 ID:ZMChfTHG
ファンタジーというよりベタなメルヘン話になってしまいまつたが
脳内から花が溢れそうなので、モ×シを一度うpさせて頂きまつ。
エロぜーんぜんナシなので興味ない方はスルーしてくだちい。
(続きでエロ書こうと言う気はあるのでつが)
レドルフ=エンバレンの王位継承式。
その日は魔界中がお祭りだった。
魔界人の各村から代表者達を集めた披露パーティー。
もちろん出席しない者達も、各地でそれぞれが美酒をくみあい、祝いあっていた。
皆で口々に大王となった若い王子に、祝福の言葉を投げかけ
パーティーはかつてないほどの盛り上がりと賑やかさを見せた。
その片隅で壁にもたれて溜息をつく深紅のイブニングドレス。
憂いを含んだ青い瞳、白い剥きだしの肩に垂れるブロンド。
狼人間村の有力者の1人娘は、今日はじめてお城に足を踏み入れ
見るもの聞くもの新しいことばかりで、密かな興奮を抑えきれない。
・・・向こうの方にいるのは・・・・きっと魔女の集団だわ・・・・
近寄ってみたいのだけど、父から絶対に離れないように言われている。
・・・私も色んな人に乾杯して回りたい・・・
箱入りで育ったせいか、あまり自由に歩き回れないのは慣れているが
さすがに浮き足立ったこの雰囲気の中に混じってまでは我慢できなかった。
なんとなく家族と歩き回ることしかできない自分にむしゃくしゃして
ドレスと同じ色の赤ワインをぐっとあおる。
いっきに飲みきれず、のどにわき上がるアルコールに咽そうになりながら
それをこらえてフト見ると、少し離れた所でまっ黒なマントに長身を包む男と目があった。
周りにいる男達も皆真っ黒なマントに身を包んでいる。
・・・・あれは・・・吸血鬼・・・?
その男は微笑をたたえて、同じ赤ワインが入ったグラスを小さく掲げてみせる。
・・・今飲んだワインのせいかしら・・・・・
シーラは沸騰しそうな熱い顔と、飛び上がるほど高鳴っている心臓に戸惑いながら
それでも照れた笑いを浮かべて、自分もそっと乾杯のグラスを掲げる。
両親が大臣と話し始めたのをきっかけに、水を片手にバルコニーへ出て
夜風にあたりながら酔いを覚ますことにした。
バルコニーから見おろす外は真っ黒な森・・・
・・・さっきのハンサムさんも真っ黒だったわ・・・
手すりにひじをつきながら、目を閉じると胸がドキドキする。
なぜかさっきの顔がまぶたの裏から離れない。
黒い瞳、黒い髪、黒いマント・・・・初めてみる吸血鬼・・・・
手にしていた赤ワインが血のように見え、あまりにも美しく映えた。
暫く涼みながら夜風にあたっていたが
どうしても頭から離れないあの顔にもう一度会いたくて
ドレスの裾を翻し人ごみへと戻ろうとする。
だがそこへ、両親と許婚が連れ立って近づいてきた。
「シーラ、帰ろう」
「えっ・・・もう・・・?まだいたいわ・・・」
「お前赤い顔をして・・・飲み過ぎだ。帰るぞ」
シーラは逆らえず渋々ついて行く。
一度振り返るが目指す人影は視界に入っては来なかった。
城中の喧騒のどこかにいるであろう姿を背中で感じながら城を後にした。
次の日の昼下がり
「図書館に行ってくるわ」
相当量の勉強をこなしてきた勤勉家のシーラが、図書館へ行くのはめずらしくない。
いつもの席より奥に座り、こっそり抱えた吸血鬼百科を広げて読み入る。
吸血鬼の歴史、吸血鬼の種類、吸血鬼の分布図、人間界における吸血鬼の活動・・・・
専攻分野が違い、異種族のことはあまり関心を持たなかったため
同じ魔界人ながら初めて知ることばかりだった。
・・・私ったら100年以上生きているのに、こんなことも知らなかったなんて・・・
時間がたっていることすら忘れて、夢中で読みふけってしまう。
「吸血鬼の何を調べているのかな?」
突然頭上から響く聞きなれないバリトンの声にギクっとして、本をバタッと閉じた。
見上げて息を呑む。
「あなたは・・・・」
思わず大きな声を出し、ガタっと立ち上がるシーラは
静かな図書館で楽しんでる読書を中断された非難の目が一斉に向けられて縮こまる。
小さく囁く声。
"外へ出ないか?お茶をご馳走させてくれたら何でも答えるよ"
シーラはそのセリフにカッとなった。
荒々しく百科事典を本棚に戻して、ツカツカと歩き出す。
「結構よ」
「おいおい。どうしたんだ?」
「ついて来ないで。そんな軽薄な誘い方されてついて行くと思うの?」
もう暗くなっている外へ早歩きで出るシーラに軽々と追いついて横に並んだ男は声を抑えて笑う。
「くっ・・・お嬢さんには軽薄だったかい?」
シーラはまたカッっときて言い返した。
「お嬢さんなんて言わないで。これでも168歳なのよ」
「はっはっは。でも300近い私からすれば、やっぱりお嬢さんだよ」
「〜〜〜人を小ばかにして笑わないで!」
「ごめんごめん。気の強いお嬢さんだな」
「大きなお世話ですっ」
シーラはぷいと顔をそむけて歩みを速めた。
そこからついてくるのをやめた男は後ろから呼びかけてくる。
「吸血鬼村の入り口に住んでるからいつでも質問においで〜」
〜〜〜〜なんて失礼な人!!
返事もしないで歩みを速める。
家人は怒って帰ってきたシーラを気にもせずに、夕食に加えてくれたが
シーラは寝るまでずっとプンプンしていた。
ベッドに入っても頭に上った血が下がってこなかった。
怒っているのに・・・・落ち着かない・・・・・
枕にほてる顔をうずめると、少しだけひんやりして醒める・・・・
・・・本当は聞いてみたいことがたくさんあったのに
・・・私ったらどうして申し出をはねつけちゃったのかしら。
・・・それに名前も聞いてないわ・・・・
後悔が心を重たくする。
同時にまぶたも重くなり、気になって仕方のない顔を想いながら眠りに落ちた。
翌朝なかなか起きないシーラの部屋のドアを母親がノックして入ってきた。
「シーラ起きなさい。今日は午後から村長さんのところにいくんだから」
・・・ああ・・・そうだった・・・
朝からまた重たい気分になる。
シーラがとびぬけた美貌を見初められて、村長の息子と婚約させられたのはつい先月である。
結婚自体はまだ先の話だからという両親の言葉に押されて渋々承諾したが
100以上年下の相手はやっぱり気乗りしないのだった。
だが父はこの結婚に政治生命をかけているといっても過言ではないかもしれない。
事実昨晩招かれたパーティーだって、村長の息子のフィアンセだったから出れたのだ。
シーラは午後のうんざりする時間を何とか乗り切って、また図書館に出かけた。
・・・・もうほんっとにおしゃべりな男・・・
思い返すも腹立たしいほどよくしゃべる村長の息子は
シーラを相手に口角泡を飛ばしながら
今の村長である父はこれがよくないとか、自分が次の村長になったら何をするとか
息する間もなく陳腐な持論をまくし立てた。
それは大人の前で背伸びをする子供のようにしか見えなくて
シーラにとっては目障り以外の何ものでもなかった。
淡い期待を胸に抱いて図書館を覗いたが、今日は目指す人影が見当たらなかった。
閉館までねばっても現れず、がっかりと暗い帰途をたどる。
その日の夜、全員が寝静まっていたと思われる家の窓から
音も立てずに白いローブが出て行ったのを見ていたのは月だけだった。
時々不安げに立ち止まりながら村を抜けて森へ入る人影・・・・
・・・吸血鬼村って確かこの辺なはずなんだけど・・・・
うら寂しい森の中をうろうろと歩き回りながら、シーラは恐怖に歯を食いしばっていた。
どうしてももう一度会いたくて、衝動のままに家を抜け出してきてしまったけれど
夜村から出たことはないし、こんなに暗くて淋しい所を1人出歩くのは正直いって後悔の嵐だった。
バサバサと何かが飛び交う音。
キーキーと耳障りな鳴き声。
時折乾いた小枝の音がパキッと響き、何か後ろにいるのかとつい振り返ってしまう。
・・・いきなり別の吸血鬼に会っても、血を吸われたりしないかしら・・・・
急に胸をよぎった不安は、余計なことを絡めてどんどん膨らんでいく。
・・・吸血鬼百科ちゃんと読んでからくればよかった・・・
・・・処女の血を好むってのはホントかしら・・・・
・・・血を吸われたら吸血鬼になっちゃうのかしら・・・・
1人で歩く心細さも寒さを増長させて、だんだんと歩みを遅くさせていった。
後ろを振り返るのが怖いのに、何かが後ろにいるような気がして振り返りたい。
でも怖い。
何かいそうで気になるけど、振り返ると何もいない。
そんなことを繰り返しながら、家に戻りたくなってくる。
・・・やっぱり今日はやめとこう・・・
ざわめく森の薄気味悪さに耐えられなくなり、もときた道を帰ろうと振り返った瞬間
急に1羽の黒コウモリがシーラの顔にぶつかった。
「ぎゃぁ〜〜〜〜〜」
コウモリが小さい子供だったことにも気づかず騒ぎ立てるシーラの声に
何事かと寄ってくるコウモリがだんだんと増えていく。
シーラは気が狂いそうだった。
どこへいってもコウモリコウモリコウモリコウモリ。
普段の自分なら何ともないはずのコウモリが、今日は死ぬほど怖い。
「いや〜〜〜っ。来ないで〜〜〜」
シーラの恐怖が嵐を呼び、バケツをひっくり返したような豪雨が森を叩く。
森の木々がぶつかり合って立てる音はヒステリックに怒っているかのようで
力のないコウモリは次々と吹き飛ばされていった。
丁度その頃
コウモリがやけに騒ぐので様子を見に来る道すがら、突然の激しい嵐に見舞われ
その風の音の合間に、女の悲鳴を聞いた気がしたので駆け寄ってみると
白いローブがコウモリに囲まれている。
襲われているわけではないようだったが、白いローブの主はそのつもりではないようだ。
「いや〜〜〜っ。来ないで〜〜〜」
泣き叫ぶ女の声。
もしや・・・
「大丈夫か?」
声をかけて近寄る。
振り返った顔は雨と涙でぐちゃぐちゃで、ローブも裾がドロドロになっていたが
それでも飛びついてくるのを抱きとめる価値が充分あるほど美しかった。
「こっ・・・・怖かった・・・」
子供のようにしがみついて泣きじゃくる小さな震える肩を抱きしめながら
濡れて光る金髪を撫でてやる。
・・・本当に来たんだな・・・・
「もう大丈夫だよ」
驚きと喜びに胸がいっぱいになり、何を言っていいのかわからない。
興奮が収まるまでしばらくの間ずっと撫でてやった。
コウモリたちには大人しく帰るように目配せする。
一時の恐怖と混乱が、暖かい手にゆっくりと溶かされていくのを感じながら
しばらく体を預けていたシーラは、おとがいを持ち上げられて顔を上げた。
「怒った顔は美しかったが、泣いた顔はかわいいね」
そういってにっこり微笑む笑顔にドギマギする。
自分のうろたえ様と大泣きした顔をしっかりと見られて
あまつさえ子供のようにあやされてるのに不思議と嫌な気がしない。
それどころかこんな風に抱きしめられて安心すら覚える。
そこで初めて自分ががっちりと彼に抱きついているのに気づき、慌てて離れた。
「あのっ・・・・えっと・・・ごめんなさい・・・服を汚してしまったわ」
泥だらけのローブのまま抱きついたのでマントの裾に泥が移ってしまっている。
「これぐらい構わないさ。ところで私にご用だったのかな?」
「・・!・・」
「それとも私に会いにきてくれたのかい?」
「違うわっ!!!」
シーラは遮るように叫んでからハッっと口を噤むと
赤い顔をしてうつむきながら途切れ途切れにつぶやく。
「いえ・・・あなたには言いたいことも聞きたいこともたくさんあって・・・
昨日は軽薄だなんて言ってごめんなさい。それが一番気になってて・・・
ああ・・・それと私はシーラ。
狼人間村のシーラ=クレリーと申します。
順番が入れ違っちゃったけど、あなたのお名前もまだ伺っておりませんでした。
えっと・・・
要するに・・・
結局は・・・
もう一度お会いしたくて・・・
あのパーティーの夜にお見かけしてから、あなたが気になってしかたがなくて・・・
図書館でお会いした時には・・・それが一目惚れだったんだということに気付いて・・・なのに私ったら・・・」
真っ赤になりながら俯いて取り留めなく話すシーラを遮るように
モーリは長い人差し指を唇に立てた。
「こんな美人に気にかけてもらえて光栄だよ」
「・・・あの・・・・」
「モーリ=エトゥールだ。私の方こそすっかりキミの美しさの虜になってしまった」
シーラは頬を染めて俯いた。
「今日は白ワインで乾杯したい所だね。よく似合っている」
白いローブのことを言っているのだとわかった。
そしておとがいに添えられる指に力が入るのを感じる。
ハッと息を呑んだシーラは、きれいに生え揃う黒い睫毛の奥へ青い瞳を躍らせ
周りの景色を真っ黒な宝石に吸い取られるように、ゆっくりと視界を閉じた。
時間も風も木のざわめきも、全て全て止まってしまったかのような長い一瞬。
離れた唇はその場の照れをごまかすように、空を見上げた。
「送るよ。もう夜もだいぶ更けてきている」
「いいの?」
「もちろん。レディを1人夜道に残していけるわけないだろう」
「ありがとう・・・」
「キミのような美しいレディに似合うような服はないかもしれないが、着替えを貸そうか?」
「あっ・・・いえっ・・・結構ですわ」
あわてて断るシーラにニッコリ笑うと、モーリはマントを翻した。
「さ・・・行こう」
シーラは返事の代わりに、歩き出そうとするモーリの手をとり
「吸血鬼も暖かいのね」
とポツリつぶやいた。
半分あきれたように笑いかけるモーリは
「キミは本当に吸血鬼の事を全然知らないんだなぁ・・・狼人間は勤勉だと聞いてるんだが・・・・」
「私は専攻分野が違うものですから」
「じゃあ吸血鬼は冷酷無比で凍るような冷たい体を持ち、処女の生き血を啜りながら生きているとか思ってる?」
「どこからどこまでが本当かは全然わからないわ」
「はっはっは。随分と勘違いされてたんだな。私達吸血鬼だってパンをかじるし
花の香りを芳しいと思うし、怒った顔より笑った顔の方が大好きだ。キミ達と何も変わらない魔界人だよ」
その言葉がやけに心に刺さったシーラは、歩きながら自分の偏見と知識不足を恥じた。
それを知ってかモーリは、手を伸ばして木の葉から覗く白い花を1輪失敬して香りを確かめ
「私の一番オススメの香りだ」
甘い香りを漂わせながらシーラの白いローブの衿元へすっと1輪挿す。
シーラはお礼を言うのも忘れて、流れるような動作に目を奪われた。
片方の手に伝わる温もりをギュッと握る。
「人間界の言葉を借りるなら、このクチナシの花言葉は"夢中・とても嬉しい・喜びを運ぶ"というそうだ」
「花言葉・・・?」
「そう。花の一つ一つに意味があるんだ。この花は今の私の心中そのものだ」
それから2人はお互いの事を話しながら歩き続け、気がつくと狼人間村のそばの森で立ち止まっていた。
名残惜しそうにシーラが手を離す。
「また会って下さる?」
「いつでも」
モーリは口の端に笑いを浮かべた。
「明日でも?」
「もちろんだ。明日月が落ちたらここで待ってる」
一度は離れようとしたが、シーラは又戻ってモーリに口付ける。
「約束よ」
そしてそのまま走り去っていた。
モーリは白いローブが視界から消えるまで見送ると、あたりを見回してつぶやいた
「キミ達のおかげ・・・かな・・・」
さわさわとほほをくすぐる風になびくクローバーが、白い花を重たそうに揺らせて頷くのを見て
黒いマントはもと来た道を戻り始めた。
昼・・・
シーラが眠い目をこすって白いローブを洗っていると、祖母がやってきて小声で尋ねた。
「シーラ、お前昨日はどこへ行ってたんだい?」
「・・・・・・・・・・・・」
祖母は抜け出したのを知っていたようだ。
「自分には婚約者がいるのをわかってるんだろうね?」
シーラは振り返るも、返す言葉がなくて下を向く。
「・・・・・お婆様・・・どうしてもあの人と結婚しないとダメなのかしら・・・・」
そのセリフに察しがついた祖母は溜息をつく。
「一番乗り気のお父様がね・・・・・」
シーラも溜息をついた。
「私・・・好きな人が・・・・できたの・・・」
「どこの人だい?」
「・・・・・・吸血鬼・・・・モーリというの」
「!!!!!!!!!」
祖母は絶句した。
あろうことか前例のない異種族を相手に恋をするとは・・・・!!
しばしセリフに詰まった祖母は、意を決して孫娘に言う。
「いいこと?このことはお父様にもお母様にも絶対ばれないようにね」
「・・・おばあちゃま・・・・」
「そんな顔しないで!婆はいつだって孫の味方さ」
こぶしをぐっと握ってみせる祖母が、潤んだ視界にぼやけていく。
「お婆様。ありがとぅ・・・・」
「おやおや・・・シーラったら」
そっと抱きしめてくれる祖母の温もりはとても久し振りで、シーラは涙が流れるのを止められなかった。
祖母にだけは本当のことを話して、すこしだけすっきりしたシーラは
それから毎晩森へ出かけるようになる。
森のはずれにある想いケ池のほとりでモーリと語り合い、笑いあい、ひっそりと愛を育んだ。
シーラには許婚がいることは承知の上での逢引は、後ろめたい反面2人の愛を激しく燃え上がらせる。
ひと月程そんな生活を続けていたシーラの様子に、さすがに両親も気づき始めた。
「シーラ、夜中にどこへ出かけている?」
突然食事の席でシーラを問い質す。
母も厳しい目でシーラを見ていた。
その場にいた祖母もシーラも凍りつき、ついに来るべき時が来てしまったと思った。
「お父様に言わないといけませんか?」
「お前が何をしているのかは知っているぞ」
「だからなんなんです?」
この際と開き直るシーラに、かっとなった父は怒鳴った。
「村長のご子息に嫁ぐ身でありながら、夜中にふらふらと出かけることは許さん」
そして暴れるシーラを押さえつけ、切れない皮で首に十字架を架ける。
「お父様!何を!!」
「うるさい!吸血鬼なんぞにお前を汚されてたまるか!!」
「やめて!!!ひどいわ!!!」
シーラはわめいて暴れた。
「やめておくれ!こんなに嫌がっているじゃないか!!」
「邪魔しないでくれ」
すがる祖母を突き飛ばす父。
父は鎖の留め金をカチリとはめて、絶対外れないように呪文をかけると息を弾ませながら言った。
「結婚式を早める事にする。先方もそれを望んでおられるからな」
両親は部屋を出て行く。
何処へ行くのかは見当がついた。
きっと村長の家だろう・・・・
今までは私の気持ちを汲んで伸ばし伸ばしにしてくれていた父だったのに・・・
シーラは絶望的な気持ちに打ちひしがれて、床に手をついた。
「シーラ・・・」
祖母が寄り添う。
涙が溢れて仕方がなかった。
許してくれるとは思っていなかったが、ここまで強烈に拒否される事への憤り。
身体に十字架を架けられて、モーリに会うことも許されない悲しさ。
はらはらと流れる涙がアゴを伝い、床へ広がる悲しみのように水玉を作っていく。
その夜からシーラは一切外出が出来ないように、窓を少ししか開かないように封じられた。
身体のいたるところはおろか、家の門にまで十字架を架けられる。
ほんの少ししか開かない窓から落ちてゆく月を見つめ、1人涙を流すシーラは
モーリが今ごろ想いケ池のほとりで自分を待っていると思うと、いてもたってもいられなかった。
・・・・会いに行きたい・・・
だが会いに行っても十字架だらけのいまいましいこの身体では、愛しいモーリに苦痛しか与えられない。
もはや自分の力ではどうにもできなかった。
自分の無力さを呪った。
そのまま眠れない夜を赤い目で過ごし、翌日は朝食を断って本を読み漁った。
手持ちの本に十字架を解く呪文が載っているかもしれないという、淡い期待を抱いて・・・
昼間母親が結婚式の日取りが決まったと言いに来るが、耳には入らなかった。
何十冊という本に目を通しているうちに、また月が沈んで夜の帳が下りようとしている。
それを狭い窓の隙間から眺め、モーリを想った。
知性を湛えた真っ黒な瞳、暖かくて大きな手、笑うとこの上なく人懐こい表情。
池のほとりで語り合った頃に戻りたかった。
早くあの暖かい手に包まれたかった。
全てが夢だったかのように儚くて、またシーラは涙をこぼした。
「モーリ・・・・」
本を投げてベッドに突っ伏し、鳴き声をもらすまいと堪える。
そこへ1羽の白いフクロウがバサバサと飛んできて、狭い窓の隙間から何かを投げ入れていった。
床に落ちたそれは、よく見ると白い花をつけたシロツメクサだった。
四葉と一緒に紙で結んである。
紙を広げてみると、見慣れない文字。
*****************************
私の愛しいシーラへ
キミのお婆さんが私に手紙を遣して知らせてくれた。
今夜キミに会いに行くよ。
少しでいいから窓を開けといてくれ。
クローバーの花言葉は「約束」だ。
どんなに離れていても、いつでも君を想っている。
モーリ
*****************************
モーリは自分の身体に架けられた十字架の存在を知っててくるのだろうか。
喜びの反面あせりが襲ってくる。
暫く答えの出ない疑問とあせりが交互にシーラの頭を支配した。
慌てて本の続きをめくるが、もう集中できない。
本を投げ出して十字架を引っ張った。
手も足も首も十字架は外れない。
皮ははさみでも切れなくて、シーラは空しい抵抗をずっと試みながら
モーリになんと言おうか、その前に会えるのかと止め処なく涙が溢れた。
そして考えのまとまらないうちに、真っ黒なコウモリが飛んでくる。
開けっ放しの小さな窓の隙間から、滑り込むように入って来る。
だが入って来る瞬間に、モーリの姿へと変わって床へ倒れこんだ。
窓にも十字架をつけられているのだ。
「モーリ!!!」
モーリを抱き起こそうと手を触れた瞬間、モーリの身体はジュッと音を立てた。
「ぐっ」
苦痛に顔をゆがめるモーリを見て手を離したシーラは、自分の身体に架けられた十字架の存在を思い出す。
触れることすら出来ないなんて・・・
また涙が湧き上がる。
手を貸すことも出来ずに、オロオロとするシーラへ向きなおったモーリは
部屋中にかけられた十字架に反応して、苦しそうに喘ぎながら手を伸ばす。
「シーラ・・・・手を・・・・」
「でっ・・・・でも・・・・触ったらあなたが・・・・」
シーラは目に涙をいっぱいためて首を振る。
「いいんだ・・・手を貸して・・・」
無理やりシーラの手を握る瞬間の、何かが溶けるような音を無視して
モーリはシーラをマントに包んで抱きかかえ、窓を突き破った。
けたたましい音が静かな闇を裂く。
草叢に転がった二人は素早く起きて、近くに留めてあった馬に飛び乗った。
家人が騒ぎ出すのを背中に感じながら、馬の蹄の音だけ立てて森の闇に紛れて行く・・・・・
暫く馬を走らせて想いケ池のほとりで止めたモーリは、崩れるように馬から降りた。
「モーリ・・・」
「これくらい大丈夫だシーラ・・・手を・・・・」
そういいながらも、冷や汗をいっぱい額に浮かべるモーリは苦悶の表情を浮かべる。
「ウソ!そんなにつらそうな顔をしてるじゃない・・・触れないわ・・・・」
泣くまいと声を震わせて、シーラは馬上から自力でヒラリと降りた。
モーリは苦しそうに息を弾ませてシーラに優しく口付けると
シーラの手を取り、その白くて柔らかい手のひらを自分の唇に押し当てて大きく深呼吸する。
そして
「シーラ、キミをさらって行っていいかい?」
と囁いた。
大きな青い瞳を瞬かせたシーラは、返事も出来ずに驚いた表情のまま止まった。
「モーリ・・・・」
暫く佇む2人の間を、さざなみのように優しく風がそよぐ。
「シーラ・・・愛している・・・・キミと離れるくらいなら胸に杭を打たれて死んだ方がましだ」
額に玉汗を浮かべたモーリは目を閉じる。
「そんな事言わないで・・・・何処へでも連れて行って・・・一緒に生きてくれなきゃ嫌よ・・・」
本当は抱きつきたいのにそれもできず、部屋着の裾を握り締めてシーラは言った。
フワリと黒いマントがシーラを包む。
モーリに抱きしめられて、それまで堪えていた涙が溢れ出した。
しゃっくりあげるシーラをやんわりとなでるモーリは、優しく口付けた。
「そろそろ追っ手が来る頃だよ」
突然2人の背後から声がした。
驚いて振り返ると、僅かなランプの灯りでシーラの祖母が立っているのが判った。
「お婆様・・・・」
「派手に飛び出すからみんな大騒ぎだよ。時間を止めてやっとあんたたちを探したんだよ」
そういえば遠くのほうで何かが騒がしい。
「初めましてだね。ハンサムな吸血鬼さん。あたしはシーラの祖母のララと言います。うちの倅がすまないことをしたね・・・。
シーラの十字架をとることぐらいしかしてあげられないけど、それだけでもやらせておくれね」
「お婆様・・・・・」
祖母はシーラに近寄ると、ボソボソと呪文を唱えた。
全身の金属がはじける音がして、十字架が足元にバラバラと落ちる。
「こんなにつけられてたのかい・・・・。あんたよく耐えたねぇ・・・」
祖母は十字架を拾い集めて小さな袋にしまいながら、まぶしそうにモーリを見た。
そして傍らにおいてあった大きな袋をシーラに渡す。
「・・・・これは・・・?」
「旅の荷物だよ」
シーラは目を見開いた。
モーリは目を閉じた。
シーラが何かを言おうとするのを遮って、祖母は続ける。
「あんたたちは人間界へお逃げ。ここにいてはいつまでたっても仲を裂かれるだけだよ」
「そんな・・・お婆様・・・・」
「シーラ・・・・あんたはお前のお母さんの若い頃にそっくりだよ。一途で気が強くて火がついたら止まらない・・・
お前のお父さんがお母さんを見初めた時に、あたしは最初猛反対してね・・・・身分の低い家の娘なんか認めないって大喧嘩したのさ。
・・・だがその反対を押し切って結婚してしまった・・・激しい狼の血が混ざっているんだねぇ・・・・血は争えないよ。
今は両親に認めてもらえなくてもきっといつかわかってくれるはずだ。あんた達はそれまで魔界を離れていなさい」
「お婆様・・・・」
「後のことはこのララにお任せ。ホラ、彼は既に準備が出来ているようだよ」
いつの間にか棺桶がモーリの傍らにあった。
「ご迷惑をお掛けします」
沈痛な面持ちでモーリが頭を下げた。
「シーラをよろしく頼んだよ」
「お婆様!」
シーラは祖母へとび付いた。
「シーラ・・・・幸せにね・・・」
言葉が胸につかえて、涙を流すことしか出来なかった。
堅く堅く抱き合う。
熱い涙が止まらなかった。
これでお別れだなんて信じたくなかった。
言いたいことがたくさんあるのに言葉が出てこなくて
口をあけても嗚咽が洩れるだけだった。
感謝の気持ちすら伝えられない自分がもどかしかった。
「モーリ・・・と言ったね・・・こんな形でしか祝福してやれない無力な私を許しておくれね・・・・」
シーラを抱きしめる祖母は、目に涙をためてモーリを見つめる。
「シーラは必ず幸せにします」
モーリは低い声を震わせて言った。
黒い瞳は、池の水面をキラキラと反射して光る。
その時不意に森の中から数人の声がした。
追っ手だ。
一気に背筋が寒くなる。
「さ・・・早くお行き」
祖母が急かす。
シーラは池の縁に立ち、モーリのマントに半分隠れながら振り返る。
「お婆様、ありがとう」
想いケ池に身を投げながら叫ぶ声。
そして激しい水音。
波立った水面はすぐにララの手によって凍らされた。
老婆は溢れそうな涙をこらえて、波立った形の氷を見つめポツリとつぶやいた。
「幸せにね・・・」
近づいてくる息子夫婦の声を聞きながら涙を拭って振り返った後姿は勇ましく、歩みをしっかりと進めていった。
そして想いケ池のほとりは、何事もなかったかのように静けさを取り戻した。
418 :
新婚作者:03/05/10 20:37 ID:Y0ZzhgPc
350様へ
・・・・リアルタイムで読みふけってしまった・・・・。
続きをぜひ!!!!
419 :
350:03/05/10 20:39 ID:ZMChfTHG
めっさナゲ-----(TдT)
ちょっと長いとは思っていたけどこんなに長くなってたなんて・・・(鬱
(13ぐらいからヤベ〜と思いながらうpてまつたが・・・)
スレ食いすぎだ・・・ スマソ〜
申し訳ないので続きはやめといた方がよいかな〜・・・・
あと「人間界の花がどうすて魔界に咲いてるの?」という突っ込みはご勘弁くらさい。
ロマンチストモーリにどうしても使わせたかったもんで・・・・
しばらく逝ってきまつ・・・・
ぎゃ〜!
新婚タンがいたのね〜
自分のことはさておき
新婚タンも執筆中でつか?(ワクワクドキドキ
>350タン
モー&シー、素敵なお話しですね〜。
お話しの中に引き込まれてしまいました。
続き読みたいです〜!
シーラの悲鳴が
きゃ〜
じゃなくて
ぎゃぁ〜
ってところちょっと藁w
>>プロ市民350たん
「モーリ、何てキザなんだ!!」とクラクラしながら読ませて頂きました。
シーラの素直さがめっちゃ可愛いく、それでいて凛としている、そのコントラストが素敵でした。
>「はっはっは。随分と勘違いされてたんだな。私達吸血鬼だってパンをかじるし
>花の香りを芳しいと思うし、怒った顔より笑った顔の方が大好きだ。キミ達と何も変わらない魔界人だよ」
これはすばらしい読みだと思いますた!
マーティン・ルーサー・キング賞かも。。。
そして、、、初登場にして最大の神、ララお婆ちゃん!!!(笑)
続き書かれているでしょうか、是非よろしくお願いします!
お初にお邪魔しましゅ。2ちゃん初心者でしゅ。
むか〜しここで書いておられた作家様のHPからG様のサイトにお邪魔しまして、
過去ログ3回づつくらい読み返してから来ましたでしゅ。
ここのお話はマジいいっしゅね!!作家様の愛を禿げしく感じるでしゅ。
今失業中で毎日ここに来てましゅが、仕事さがすのウザいくらい
楽しんでましゅんで、皆しゃま頑張っておくんなしぇぇぇぇ〜!!
425 :
名無しさん@ピンキー:03/05/14 22:55 ID:j0IcRkcD
真壁くん激ラヴv
426 :
名無しさん@ピンキー:03/05/14 23:06 ID:zcWZgGjx
427 :
名無しさん@ピンキー:03/05/15 07:01 ID:/bTjMwBL
お初です文庫全巻を見てて偶然このスレにきて感動しました!ぜひ今後もヨロシク応援してますぅ
>>424,427
私はパート1から抜けられなくなってるだむ人間です。ヨロシクv
お初の書きこみ、なんか嬉しいです。
(;´-`).。oO(自分は何度読み返したか、もぉ分からなくなってる…)
今日初めてよその板に行ってきたけど、ひどかった…
ここのマターリ感にマンセー!!
>384様
いいっす!!あなたの蘭世に激萌え〜!
そして真壁くんのドキドキ感がまたグー!
>350様
モーリ×シーラ最高!!
パート6の大作を読んでからかなりモ×シにはまっておりましたが、
こりゃまた素敵な作品ですわ〜。すっかりとりこです!!
これからも頑張って下され〜!
>新婚作者様
夜伽話、楽しんで見てます。
早く主役の二人にイチャイチャしてほすぃ〜!!
430 :
イエローキャブランキング!!:03/05/15 19:26 ID:OT5NjKGd
招待状を貰ったときはさすが、江藤家だなと思った。
江藤の誕生日会を、19になってもやるらしい。
思い出せば、誕生日だの、クリスマスだの、
けっこうマメに、イベントにつきあわされてきたような気がする。
全く女ってのは、そういうの好きだよな。
自分の誕生日だって言うのに江藤はまた自分でケーキを焼くのだろうか。
おふくろさんが料理を作って、おやじさんが味見して、
弟とその彼女が飾り付けなんてして、
いい家族だよな。
俺はそのイベントにつきもののプレゼントを買いにでかけた。
プレゼント自体は以前にもした事がある。
ペンダントだったり、ブローチだったり。
やっぱりアクセサリーがいいんだろうか。
どこの店にも入る事が出来ずに街をうろついた。
江藤にぴったりのものがみつからない。
花屋…花なんて軟派なもの贈れっかよ。
あの、白い花、江藤に似合いそうだな。
洋服屋…かなり恥ずかしい。だいたいサイズが。
ええと、抱き締めた感じがこのくらいだから…。
おい、大丈夫か、俺。
本屋…絵本なんてどうだろうか。
19歳でも、江藤なら喜ぶかもな。
ケーキは自分で焼くだろうし。
化粧品なんて俺にわかるかよ。
その髪留めに俺は目を止めた。
江藤みたいにキラキラ光る透明の中に
白い花が咲いている。花の名前はわからないけど、
江藤が好きなワンピースに似合いそうだ。
江藤の長い髪に触れたときの事を思い出す。
頬にかかった髪を払うとき、つややかな黒が流れていって、
優しい香りがする。俺の指にまとわりつく江藤の髪。
照れながら前髪を摘む江藤。
髪留めをつけて微笑む江藤。
俺は髪留めをつかんでレジへいく。
「お客さま、こちらのバレッタは贈り物ですか?」
「ああ」
店員は器用に包んで、リボンをかけた。
江藤は喜んでくれるだろうか。
「わあ、かわいい」
さっそくつけちゃお、と江藤は髪を触りだした。
上の方の髪だけを留めたり、全部を束ねて留めたり、
鏡を見て、夢中になっていた。
「あ、これ涼しくていいかも」
江藤は全部の髪をまとめて頭のてっぺんで留めた。
首筋があらわになって確かに涼しそうだ。
白くて、細い、うなじ。
どうどう?と意見を求める江藤をゆっくり引き寄せた。
「いいんじゃないか?」
うなじの生え際からワンピースの襟までを唇でなぞった。
「ぁっ真壁くんっ」
そのままワンピースのファスナーに触れそうになって、なんとか
理性で止まった。
耳の下から肌のでている部分を何度も唇で触れる。
江藤の体温が上がってくるのがわかる。
俺に寄り掛かってくる体重が重くなって、江藤から力が抜けていくのがわかった。
江藤はけっこうこういう事に敏感らしい。感じやすいと言うのか。
「ふぅぅん…」
吐く息にも温度を感じる。
腕をまわして逃げられないようにする。
そのまま、俺達は体を離さずに体温をあげていった。
中途半端止め。(寸止めの一種か?)
つづきはないのでつ。
おし、お休み中になんかかくぞ〜〜!!
久しぶりの蝶タンの新作ですな〜!
イケイケ真壁くん〜!と思っていたらなんと終わりでつか〜〜。ションボリ。
でも、お休み中なんか書いてくれるみたいで、楽しみに待ってまつ。
436 :
名無しさん@ピンキー:03/05/16 02:10 ID:ZtKybd77
ぎゃー、蝶タンの寸止めは真壁君に対してじゃなくてわしら蝶ファンに対して
です〜。むごすぎる〜。でも好き〜。
437 :
_:03/05/16 02:14 ID:XpitJ6wb
蝶シリーズ
やっぱり尻切れじゃまずいよね。
オチ付けに逝ってきまつ。
24時間以内にはきっと〜〜
最近ageてる香具師はわざとやってるのか?広告ウザイ。
>>438 蝶タン
24時間以内・・・(*´д`*)マッテマツヨ
スレがアガるとやっぱ広告が入ってしまう・・・。
ピリピリする事はないと思うけど、みんななるべくsageていこう。
>>4参照ね。
441 :
蘭:03/05/16 22:51 ID:/qRaLsEN
蘭世のシッポで叩かれたい
>蝶シリーズ作者様
続きうpを禿しくキボーン!!
そういや寸止めってゆーかチューもまだじゃん!!
ら、蘭世のうなじ…ハァハァ(´д`;)
俺の腕にまとわりつく江藤の腕が熱い。
きっと、江藤には江藤らしい夢とかあって、しかもそれは男の俺が考える現実とは
かなり違うのだろうと思う。だって、相手は江藤だぞ。
傷つけたくない。暴走したらとめられない。だから必死に留まってきた。
俺の限界も近い。
せめて、江藤が怖がらない程度でゆっくりすすんでいけたらと思う。
それも、理性的でいられる間だ。
俺にもたれ掛かる江藤の体を抱き締めて、ただ、このまま終われるとでも思うのか?
もうそろそろいいんじゃないか?
俺はゆっくり手のひらを移動させた。江藤の胸の上に。
耳もとで名前を呼んで、耳の形をなぞった。舌で。
江藤は、ほんの小さく体を震わせて体をかたくした。
怖がらせないように、暴走しないように、自分を落ち着ける。
ピアスの穴すら開いていない耳たぶ。軽く噛むと
「ふっ…」
声を洩らして肩をすくめた。
江藤の声に煽られて俺は音をたてて耳を愛撫する。
「…っ…」
江藤の喉が鳴る。逃がさないようにあごをつかむ。
不規則に体を震わせる江藤。手のひらに力を入れそうになる。
無理な体勢で江藤の唇にキスをする。
唇を濡らして中に侵入する。申し訳なさそうに反応する江藤。
歯列も、上顎も舌も、その裏側も。触れられる所には全部。
時々喉を鳴らして唾液をつらそうに飲み込む。
舌を絡ませることに慣れたのか、最初よりは積極的に舌に触れてくる。
俺の口の方に入ってこようとしたから、軽く噛んだ。
驚いて逃げようとしたけど、俺は逃がさない。まだ離さない。
もっと体を傾けて深く口付ける。どんどん奥へ。
江藤の舌を呼び込んで吸う。噛みながら。
呼吸をしようとなのか、江藤が口を大きく開けた隙に下唇を噛む。
「んっ…」
小さくて柔らかい江藤の唇。舌でくすぐる。
もう一度隅々まで舌を送り込んで、離した。
長いキスで濃くなった唾液が、糸をひいてまだ俺達をつなげている。
光っている所から糸は二つにわかれた。
その糸を追い掛けて江藤の唇をまた舐めた。
その後目の前の首筋に唇を移動したのは俺の本能だろうか。
耳の下の柔らかそうな所、唇で捕まえて、吸った場所を舌で擦る。
強く吸うと体をこわばらせ、時間とともに力が抜けていく。
それを繰り返す。肌が見えている場所は残らずだ。
江藤の首筋にいくつもの赤い痕が残った。
俺のものだという印。俺だけが触れていい印。
俺が守るべき印。
そこまでして、俺はなんとか暴走せずに押し留まり、江藤を柔らかく抱き締めた。
目の前には俺がつけた印。
「え、江藤、髪はあげるな。おろしとけ」
あわてて髪留めをはずそうとするが、慌てているからではなくて、はずし方がわからなかった。
「…な、んで?」
寝ぼけたような声で江藤は聞いた。
「いいから、はずせ」
だるそうな腕を持ち上げて江藤は髪留めをとった。
流れ落ちる黒髪に首筋は覆われて、印はかろうじて姿をかくした。
願わくば、家族にはみつからないように。
江藤、当分その髪飾りは使うな。
435さんをしょんぼりさせ、
436さんに惨い仕打ちをし、
440さんをお待たせし、
442さんのおかげで、ちゅーもしていないことに気がつき
(もうちょっとでちゅーしないところでしたよ、全く)
なんとかかけました。
ほっとしておりまつ。
一番困ったのは書き込みエラーの連続でした。
>蝶シリーズ作者様
どうも>442でざいます。
キタ━━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━━ !!!!!
ちゅーが糸引いてるよぉぉぉぉぉぉ(´д`;)
でもエチーまで行かないのね…o(>д<)o
乙枯れ様でした!いや〜えがったえがった。
朝方パソの電源いれっぱなしで寝てしまったのですが
早起きした甲斐があったわぁ〜。
蝶タソキタ─wwヘ√レvv〜(゚∀゚)─wwヘ√レvv〜─ !!
危うい真壁くん(・∀・)イイ!!
危うい蘭世ちゃんもかわ(・∀・)イイ!!
次も期待してます!!
蝶タンキタ━━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━━!!!!
真壁くん、かわいいよー。6のところ、大好きですYO!
450 :
新婚作者:03/05/18 14:03 ID:U5bSXch0
いいなぁ・・・・かわいくって。よい話は読んでてうれしい。
さて、夜伽でとっても停滞中。
まとめサイトぶっちゃけ部門で甘甘ラブラブ大会中。
で、ちょっと暗い、ダークなお話を一回。
原作のイメージぶち壊しそうなんで
だめな方はスルーしてください。
・・・・・どうして・・・どうして・・・・
ぽろぽろと零れ落ちる真珠のしずくをぬぐう術を知らないように
・・・・・わからない・・・・どうして・・・・
何度となく繰り返される自問自答
―答えは出ない―
ただ、一つの事実。身体に残る鈍い痛み。いつ果てるとも分からない行為。
昨日までの自分は、今日となにが違ったのだろう。
なぜ、彼はあんなことをしたのだろうか?
いつもどおりの時間を過ごし、いつもどおりだったのに。
「そろそろ、帰るね。」
いつもなら
「そうだな、親父さんたちも心配するだろうからな。送っていくよ。」
「うん、ありがとう。」
そう言って、家まで送ってくれる彼。彼のアパートを出る前のお休みのキスも。
なのに・・・・。
「帰したくねぇ・・・」
「え?」
すでにかばんも玄関先においてあり、あとは二人で出るだけの状態。彼の意図することがわからず、
戸惑い、反応が一瞬遅れた。
「・・いや!」
畳の上に押し倒され、足を押さえつけられる。精一杯の力で抵抗を試みるも、相手は男だ、
非力な女の力でかなうはずも無い。
「やだぁ!・・・いやぁ!・・・やめてぇ・・・ま・・かべ・・・・君・・・」
彼―俊―の手が彼女―蘭世―のネクタイにかかる。するりとほどき、無言でボタンを上から外していく。
「・・や・・やだ・・・いや・・・やぁ・・・」
蘭世の抵抗の声が少しずつ、小さく、弱くなっていく。
学生らしい、純白のブラがあらわになる。俊はそれを上にずり上げると可憐な乳房にむしゃぶりつく。
「・・ひ・・あ・・・・」
外気の寒さから頂点が緊張する。その部分を口に含むと舌で転がす。
「・・・や・・だぁ・・・・いやぁ・・・やめて・・・・」
俊は蘭世のスカートの中へと手を伸ばして行く。
「やっ・・いや・・・や・・やめて・・・・」
下腹部を覆う布に手が届くと俊はそれを引き降ろした。
「やぁ!!!!・・・・」
蘭世のその声を押さえるように唇をふさぐ。
「・・ん・・・んん・・・ふくう・・・ん・・・んん・・・・」
行為とは裏腹のやさしい、口付けがますます蘭世を混乱させていく。そのキスは紛れも無く自分が
愛する彼そのものなのだから。
抵抗が弱まったところを見はからい、俊は蘭世の下腹部の布をとりさる。
「・・・!!!」
蘭世の半裸の上で俊はトレーナーを脱ぐ。それを眼のはじでぼんやりと眺める蘭世。
・・・・きれいだな・・・
鍛えぬかれた、身体。そしていつでも自分を守ってくれる彼。
その身体が今自分に課する矛盾した行為。
スカートがたくし上げられる感触が蘭世を襲い、その後驚愕する。
「・・や・・・やだ・・・・・いや・・・・」
ぬめった温かい舌が蘭世のまだ、誰にもそう本人ですら見たことが無いそこに埋められる。
「や・・・やぁ・・あ・・・いや・・・いや・・・」
俊のそういった行為が分からない。
どうして、今そんなことをされているのかすら。
ぴちゃり・・・ぴちゃり・・・・くちゅ・・・・
俊の唾液だけではなく、少しづつ蘭世のそこからも愛液があふれ始めている。
混ざり合い、いやらしい水音となって狭いアパートに響く。少なくとも蘭世にはそう感じられる。
「・・・いやぁ・・・あ・・・や・・・・・」
・・・どうして・・・なんでぇ・・・・
蘭世の心の叫びは俊に届いているのかいないのか・・・
「・・あ・・・いやぁ・・はぁ・・・あ・・・ん・・・・や・・・」
俊は飽くことなく蘭世のそこを舌先で愛しつづけている。とめどなく溢れ続ける蜜を余すことなく
味わおうとすすり上げる。
経験が無い蘭世でも、身体は女で正直である。執拗に攻め立てられ、感じずにはいられない。
ましてやその行為を行っているのは紛れも無く自分が最も愛する男なのだから。
それでも、理不尽なこの行為を納得できないという一点の理性がかろうじて正気を保っているのだ。
「・・やめてぇ・・・おねがい・・・・ねぇ・・・いや・・・」
・・・・怖い・・・・怖いの・・・・まだ・・・・
いつかはとそれは思っていたことは間違いは無い。でもそれはこんな風に迎えるものではなかったはず。
下腹部への愛撫に指先が加わる。
「・・くぅ・・!・・・」
人差し指一本入れるのもきついぐらい締め付ける蘭世のそこへ少しづつ時間をかけて
緊張をほぐすように攻め続ける。
「・・い・・た・・い・・・・・」
蘭世の閉じられた瞼から流れ落ちる一筋の涙。その涙を指で掬い取る俊。
・・・・酷いことをしている・・・・
そのことは自覚しているのだ、それでももう、押さえが効かなかった。
どうしても蘭世を腕に抱きしめたかった。
どうしてと哀しげに眺める蘭世の瞳がつらかった。でも後戻りは出来ない。
・・・・・・どうしてもお前を抱きたかった・・・・
誰にも邪魔なんてされない、つながりが欲しかった。
大切にされていることは十分承知だった。
それでも、他の誰でもない、自分とだけのつながりを持ちたかったのだ。
俊は蘭世のそこに十分な潤いを見ると、ジーンズのファスナーを下ろした。
ポケットに隠し持っていたゴムを装着するとジーパンを脱ぎ捨て蘭世を再度組み敷いた。
びくりと蘭世の体が跳ねる。
「・・い・・・いや・・やだぁ・・・・や・・・」
俊は先端を蘭世の中心部の亀裂に押し当てると、一瞬ためらったのち一気に腰を進めた。
「・・やぁぁぁぁぁ!!!!」
熱い固まりが自分の中に打ち込まれる、灼熱の嵐がそこから全身をかけめぐる。
痛みと熱さで眼がくらみ、意識が遠のきそうになるのを必死でつなぎとめる。
すべてを納めきるとそのままの状態で蘭世をみやる。
後悔の入り混じったような表情をしているのを蘭世は見ることが出来ない。
あまりのことに眼を開けることが出来ないから。
蘭世の息が治まるのを見て取り俊は腰を使い始めた。
「・・く・・・いや・・・いた・・・・」
潤いを湛えていても、破瓜の痛みに耐えるほど蘭世は強くは無い。
必死で手近の布を手繰り寄せつかむだけ。閉じられた両の瞼からこぼれるのは涙だけ。
いつしか痛みを訴える声も、嗚咽に変わっている。
俊の息が荒くなり、汗がぽたりと蘭世の身体に落ちる。
「・・・くっ・・・・」
一声うめくと、蘭世の胎内で発射した・・・・・・・・
落ち着くと、俊は蘭世から身体を離し、後始末をする。そして流しから温かい濡れタオルを
持ってくると蘭世の下腹部に手を伸ばした。
「じっとしてろよ・・・」
そこには残渣と流れ落ちる鮮血・・破瓜のあと・・。
蘭世はなすがままにされている。眼を開けることもしない。
「・・・・・・・すまん・・・」
ただ一言蘭世を送っていったときに俊が発した言葉。
蘭世は何も言わない。
家の傍まで送り、蘭世が家に消えるのを見届けて俊は帰っていった。
二人の関係は変わってしまった。取り返しのつかないことをしてしまった。
後悔に苛まれる俊。どうしたらよいか分からない蘭世。
二人は答えの出ない迷路に迷い込んでしまった。
1ヶ月ほどしたある日、その日俊は練習試合でぼろぼろになりながらもかろうじて
勝ちをおさめて帰ってきた。
家に灯りがついていた。
・・・・消し忘れたかな・・・
あれ以来、蘭世は来ない。来るはずも無い。二人の関係は自分自身で壊してしまったのだから。
俊は鍵をあけて部屋に入って驚いた。
俊の好物がならんだテーブル。勝利おめでとうのケーキ。そして、微笑む蘭世があった。
「・・・どうして・・・・」
「・・・勝ったのね。おめでとう、ささやかだけど。」
「そうじゃない!!!」
俊はかぶりをふって蘭世から眼をそむける。
「あんな・・・・ことをしてしまった俺・・・だぞ・・・・」
「・・・うん・・」
「お前に非道いことをして、お前を泣かせた・・・」
「・・・うん・・・・」
「それなのに・・・・」
「・・・・・うん・・・でも・・・・」
蘭世は立ち上がると俊の前に立って、俊の顔に手を当て視線をあわせる。
「・・・真壁・・くん・・・だもの・・・・」
蘭世はぎこちないながらも、やわらかい笑顔を見せる。
「・・お・・・俺・・・・・は・・・・」
きつく閉じた俊の目じりから細く涙が流れ落ち、蘭世の手に滴る。そっと蘭世は俊を抱きしめる。
「・・・・ね・・・・冷めちゃうよ。ご飯食べよ・・・・がんばって作ったんだよ。」
「・・・・・・俺を許してくれるのか・・・・」
・・・・こんなに自分勝手で・・・・あんなこと・・・・してしまった俺を・・・・許せるのか・・・・お前は・・・・
蘭世は俊の腕をとり自分の背中に回させる。温かい、二度と触れられないと思った愛しくてたまらない
ぬくもりを両の手のひらに感じて俊は強く抱きしめた。
「・・・愛しているわ、真壁くん・・・」
俊の胸に蘭世の涙が染みてくる。悩まないはずは無かったはずだ。それでもすべてを包み込み、
自分を受け入れてくれる蘭世。
・・・・もう、二度とお前を悲しませたくない・・・・
俊はそう心に誓った。
「ね、食べて。せっかくのお祝いだから。」
「・・・・・ああ・・・・」
小さな晩餐が二人の新しい時間への門出となった。
終わり
458 :
新婚作者:03/05/18 14:11 ID:U5bSXch0
書いててきっつーとはおもったものの
書き上げて。
やはりそんなとこで。
蘭世は俊のすべてを包み込みそうだなぁって思いまして。
ちょっとダークなふたりを(俊)を書いて見ました。
はぁ・・・。
実はリアルでこっそり読んでた〜〜〜〜!!!
新婚タン・・・・
なっっっ
なんてダークな・・・・
でも王子はちょっと踏み外したらこんなことやらかしそう(w
蘭世に涙を見せるほど後悔もしてた王子にきゅぅっとなりまつた。
・・・そう・・・でも蘭世は絶対に許すのでつ。
だって真壁くんだもの・・・
新婚タンがダークに書くなんて珍しいでつね。
でもおいらも最近ダークに目覚めつつありまして・・・(書くまでは至りませんが)
甘いおやつと一緒に頂くコーヒーのようにほろ苦くて、でもすんごくよかったでつ。
>蝶タン
蝶タンの王子の脳内では白王子と黒王子がまだ戦ってるのでつね。
頑張れ黒王子!(←なんじゃそら
でもチューだけでも充分萌えてしまいまつた。
460 :
新婚作者:03/05/18 15:09 ID:U5bSXch0
ただいま風邪ひきさん・・・
こんなときにはダークな話がよく浮かぶ。
本当はカルロ様にしようかなと半分思ったけど、なんかそっちにすると
許しがないからなぁ・・・。蘭世は真壁くん、は許すけどカルロ様は
無理っぽく感じるのです。根本的にダークなダークカルロ様だから?
どっちも一本気なんだけどねぇ・・・。
甘いおやつはあっちでGOGO!!
出来れば感想は名無しでやって欲しい。
「素晴らしいSSを沢山有難う」とは思うけど…
作者同士の馴れ合いはちょっと(ry
462 :
新婚作者:03/05/18 16:12 ID:U5bSXch0
>>461さんへ
失礼しました。
以後気をつけます。
馴れ合っているつもりは無かったんだけど・・・・・。
不快に感じられたらすいません。
>461
そうかなぁ
自分はそんな風には思わないんだけど。
じゃあ作家さん同士のトークはすんなってこと?
それもどうかと思う。
せっかく書いてくれてるんだし別にいいじゃん・・・・・・だめ?
ところで新婚たん
最後の晩餐読んでびっくりしました。
でもホント真壁クンやりそー
だけど蘭世の愛の大きさの勝ちって感じですね。
カルロ様バージョンもちょっと気になってみたりして(w
>461さん
受け取り方は人それぞれだと思うけど
私は作家タン同士のトーク好きで楽しませてもらってます。
だから、みんな名無しになったら寂しいよ〜!
新婚タン、
最後の晩餐463タンと同じ感想ですが
ほんとうに真壁くんやりそうですね〜
蘭世ちゃんの愛の大きさはさすがですね。
私もカルロ様バージョン一ちょっと気になる・・。
そだねー
コテハンある人がわざわざ名無しで感想書くのも変な気がするな
私も作家さん同士の会話を結構楽しんでる1人なので、コテハン明かし推奨だねえ
でも461さんみたいに思う人もいるんだね
そして新婚タンの最後の晩餐は、読んでて「ほんとに新婚タンなの〜?」
と驚きました。
でも蘭世の行動にホッ。
ってか蘭世ならきっとそうするか・・・
よくみたら上の2つ(463/464)と文の構成がおんなじだ・・・(汗
>>461 > 出来れば感想は名無しでやって欲しい。
コテハンばっかりになるときついとは思います。
名無しの人はたとえば3回意見を書いても3人にとられることもあるけど、
コテの人なら3回書けば意見が濃くなっていくでしょう。
コテの人のすることにファンが同調して
ほかの人にレスがつけにくくなったり
作品へのコテはどっちでもいいけど、
感想は微妙かも。
今程度ならまだいいと思います。
でもね、今、作家凄く少ないんだよ。このスレ。
わたしが書いているほかのスレでは
コテマンセーによりほかの作家が書きにくくなるのを
おそれて全面的にコテ禁止です。
確かにコテマンセーは多かれ少なかれ
スレを排他的なものにしてしまいがちですね。
まとめサイト様のところとか、作家さん同士が交流できる場も
他にあると思うので、ここでは控えた方が良いかも・・・
でも個人的には、今くらいならOKかとも思うのですが。
468 :
sage:03/05/19 00:27 ID:9nv/rtkx
でも、私はここのコテ、好きだなぁ。
私は、作家さんたちの意見を楽しんでいるので。
ここのスレは、sage推奨だし、身内でまったりしているのがいいところ。
他のスレと比べること自体、違っている気がしますが・・・。
それに、「ときめきトュナイト」を愛してさえいれば、
ここのスレの作家になる資格アリ!!
ですよね?????
469 :
468:03/05/19 00:28 ID:9nv/rtkx
間違えた。逝ってきます。
作家さんが増えてほしいと真剣に思います。
では今回はいつもと同じでエロくないやつを(おい)
***
「焼けるの嫌でカーディガン着てきたんだけど、やっぱり暑いね」
コットンのワンピースに、うすい同じ色のカーディガン。そして日傘。
俺は日焼けなんて気にするタイプでもないし、ましてや男だ。
くるくる傘をまわす江藤に思わず、酒鱒を投げたくなったのは言わない。
「真壁くんちょっと傘持っててくれる?」
江藤の日傘をくるくるまわす。初めてだが、いつもよりよけいにまわしてみた。
毎日が平和すぎてこんなくだらないギャグを考えてしまう。
江藤はカーディガンを腰に巻いてまた傘を振り回す。
「おい江藤危ないから…」
俺はぎょっとした。江藤の脇の下からチラチラ見えるそのブルーの布は…
ブ、ラ、だよな?
「傘振り回すのやめろ」
「もう、なんで〜」
本当の理由なんて言えるか
「迷惑だろ」
ぷうっとほっぺたを膨らませて江藤は傘を肩にかけた。
夏は薄着の季節。布は小さくなり、うすくなり、露出が…
江藤に限って激しくそうなる事はないのだが、それにしても、無防備なこいつの事、
俺がそばにいてやらないと、どこで、誰に何を見られるかわかったもんじゃない。
うすいブルー。綿、かな。はっきりした花の模様がくり抜かれたレース。
まん中には小さなリボンが付いていて…
! 無意識に透視してんじゃねぇよ!
目をそらすが、頭の中には浮かんでくる。
俺がなにやってるかなんて江藤が気付くはずもないが、
ものすごい罪悪感だ。江藤を守るために使ってこそ、使ってもいいパワーなのに、
俺の欲のために使うなんて。重症だな。
「江藤」
「ん?」
「離れて歩くな」
さっきまで膨らませてたほっぺたを赤くして江藤は俺のそばにきた。
俺の上着のすそをつかんでならんで歩く。
「真壁くん、なんか暑いね」
「夏、だからな」
本当は違う理由で熱いんだが。
だいたい、作品かくまえに文庫を読みなおしてます。
今日は読んでいて、昔にうpしたものでちょっと間違いが
あったことに気がついて鬱だし脳。
もし激しくおかしいところがあったら優しく教えてくれると嬉しいです。
もっといいもの書きたいので。
と言っておいて、名無しで書いてますね、わたし。
蝶シリーズは突っ込みオッケーです。
ほかの作品は名無しなのでやりようがないですが。
週末離れていたらコテ論争があったのね。
>>461タンのいうことも判るし、
>>463や
>>464タンのいうことも判る。
でもコテが馴れ合うと新人が入り難くなるのは確かだと。
ここの作家さんって上手いし長編が多いし。
これってプラスにもマイナスにもなっちゃうと思うんだよね、
スレにとっては。
もっと作家さん増えて新しい視点の作品も読みたいでつ。
新人さん入りづらいんだろうか?ネガティヴなこと言っちゃうと、
この先スレが作家さんで溢れるなんてことは、
おそらくないんじゃないかな。夢見てはいるけど(;´Д`)
ときめき自体が結構ななつかし漫画だし。
パート4読み返してて思ったんだけど、ハードなエロはちょっと、って言う
人も、ときめきトゥナイトだけに、やっぱりいるんじゃないかな。
かといって馴れ合いがいいって訳じゃ全然なくて。
(もちろん今程度だったら許容範囲だと思うけども)
のんびりでいい、たくましく育って欲しいと、自分なんかは思ってたよ。
定期的に新人さんの登場きぼん〜という書き込みをするとか、
そういうのはしてもいいかも。
難しい問題だよねぇ・・・。
コテハンもよしあしなのは百も承知だけど
作家さんに感想書いた後の返事なんかは
やはりコテハンで返してもらえればうれしいなぁ、
っておもうのは思い上がりだろうか・・・。
適度に名無しとコテハン混じる今の状態で
いいんじゃないのあなぁ・・。
時々来ては楽しんでいます。すごくこのスレ好きなので。
コテハンにはコテハンの、名無しには名無しの役割もありますし、
新しいコテさんが来たら来たでよいかと。
この質を維持してくださいまし
あわわ・・・(゚д゚;)乗り遅れた
なにやら意見が飛び交っていて、どうしたらよいか・・・ちょっとオロオロ
でもとりあえず>461タン、了解しまつた!
新しい作家さんが書こうとしてくれている気に水を差すのは自分としても避けたいので・・・
別に用意してもらってるサイトもあるわけですしね〜。
ごめんなさいでつ。気をつけることにしまつ。 No350より
何かさ。こういう家族会議みたいなの、たまにやってもいいかもね。
些細な事でも引っかかる事があればガマンしないで出してもらって、
それについてみんなで考えてみる。
どんな考えをもった住人がいるのか分かるし。
漏れが思うに、こうやってぐらぐだ言ってると、
余計に新しい人が入りにくい。
よって
----------終了----------
それも言えてるかも。
作家さんたちもきっとうpしづらくなってるような気が・・・
>江藤の日傘をくるくるまわす。初めてだが、いつもよりよけいにまわしてみた。
禿藁
大好きだこんな真壁くん。
>新婚作者様
ダ、ダークな真壁くん…キタ――――――――!!!
>蝶シリーズ作者様
蘭世のブラを透視して自己嫌悪に陥る真壁くんに禿藁!!
うすいブルー…までならともかく、「綿、かな。」とか、
芸が細かくてサイコー!!
オイラはいつもROMってばっかりで、SS書く勇気も才能もないので、
ここの作家様達はマジに尊敬しちゃうなぁ。
新しい作家様キボーン!って言ったら正直、他人事みたいで申し訳ない気も
するけど、どうしてもエロが書けなひ…ごめんなさいm(__)m
☆ゅ。☆ゅ。
>>482-483 エロ度が低い(ない)ので笑いを狙っています。
笑っていただけて嬉しい!!
では、また短いのを。
***
「たまや〜、かぎや〜」
花火大会、江藤はかなり嬉しそうに叫んでいた。
色とりどりの花火は江藤の顔を照らして、江藤をいつもより大人っぽく見せていた。
花火の光だけではなくて、着ている浴衣と、アップにした髪。
無邪気さは年相応とは思えないが。
「あ」
かくっと江藤の体が前につんのめった。
「なにやってんだ」
慣れない下駄にまたこけそうになった江藤を抱きかかえた。
「ふえ〜ん」
鼻緒で擦れて指が赤くなってる。痛そうだ。
「のれ」
江藤に背中を出す。おぶって帰ろう。
「で、もぉ」
俺は目尻で威嚇する。言う事を聞け、と。
ゆっくりと俺の肩に手をのせて、体重をかけてきた。
浴衣のせいか、体がかたい。
俺は後悔した。
浴衣、だった。おぶる時膝の裏側を抱えて支えるのに、
浴衣だと全部はだけて、俺の前には、
ひざ小僧。かわいい。ってそういう場合じゃねえだろ!
なるべく人通りのない所を通って帰らなければ、江藤の生足を晒すわけには。
「真壁くん、重くない?」
「重い」
「も〜」
まるで肩たたきのように俺の肩を連打する。
江藤が喋る度に息がかかる。江藤の香りとともに俺の鼻に届く温度。
俺の前にあるのは江藤のひじから先と、膝から先、どちらも白い肌。
爪にだけ、淡い色がついていてゆらゆらしている。
そんなのにドキドキしているのをごまかそうと、ときどき江藤を落とそうとした。
「きゃっ」
その度にしがみつかれてよけい心臓がうるさくなってくる。墓穴ほってんな、俺。
家の近くでおろすと、江藤は浴衣の乱れをなおした。
恥ずかしそうに意味もなく、頷いている。
江藤が顔を上げるのを待って、キスした。
最初は舌を入れても動揺してたのに、最近は控えめながらも答えてくれる。
その控えめさかげんがかわいい。
俺はゆっくりと、江藤の中を撫でる。時々江藤の舌とぶつかって、それを追い掛けたり、
なでたりする。
江藤の俺の服をつかむ手に力が入ってくる。腰を引き寄せると帯が邪魔だった。
密着して、おでこにキスした。このまま、体がひとつになってしまうほど力を入れて抱き締めた。
おやすみ。
***
わたしも、おやすみなさい(w
キタキタキタキタ━━━(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)━━━━!!
蝶タソキタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!
リアルで読んでましたYO!!
蝶タソのお話を読んでると、
本当に顔がにやけてきます。
私も、こんなお話が書けるといいな…。
それでは私もおやすみなさい。
蝶タンイイ!!!禿しくイイッス!!!
墓穴ホリホリ〜な真壁くんにマン(・∀・)セー!!
さっき保守ってしまった自分>484 にヴォケ!!!
ところで、教えてちゃんで申し訳ないのですが、書き込む前に
自分のIDってどうやったらわかるの?
490 :
山崎 渉:03/05/22 02:26 ID:kEHAV9zG
━―━―━―━―━―━―━―━―━[JR山崎駅(^^)]━―━―━―━―━―━―━―━―━―
蝶タソキタ━━━━━(*゚∀゚*)━━━━━!!!!
内心情けなさ爆発な王子に萌えたでつ
エロでなくても十分ドキドキ出来ますた(*´∀`*)
グッジョブ!蝶タン!
サブタイトルの「後ろの蝶」でなぜだか
「一つ人よりハゲがある〜」を思い出しちゃった私はどうかしてると思う。
☆ チン マチクタビレタ〜
マチクタビレタ〜
☆ チン 〃 ∧_∧ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ヽ ___\(\・∀・) < つづきまだ〜?
\_/⊂ ⊂_ ) \_____________
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ /|
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| |
| 愛媛みかん |/
>>488 > 私も、こんなお話が書けるといいな…。
禿しく嬉しいお言葉です(涙
またがんがります。
>>489 ときどき真壁くんのキャラがコントになっていますが
そんな彼がすき(w
>>492 ときめけるような話がかけたら(もしくは笑えれば)
と思っているので、ドキドキしてもらえて嬉しいです。
>>493 歌っちゃったわたしはどうしたら…
下階の広間から、朝の三時を告げる柱時計の鐘の音がかすかにきこえ
望里は使いなれた万年筆を置き、片手で凝った目をおさえた。
(もうそんな時間か…)
椅子の背もたれに体を預け、ここちよい疲れに身をゆだねる
今夜は思いのほかに筆が進んだのだ。
立ちあがり、床に散らばる書き損じの原稿用紙をあつめながら
ふと、執筆に夢中で、ひとつすっかり失念していたことに気がついた。
(あいつを出してやりゃなアならんナ)
紙がらをくずかごにいれ、筆記具を所定の位置にきれいにならべ
「ほいッ」
気合を入れなおし書斎を出る。
これから、まだ、もうひと踏ん張りしなければならない。
広間は柱時計の規則正しい振り子の音のほか、物音らしい音ひとつせず
秋の夜長のまもりのもと、大きなゴシック窓にかかり
ゆれるカーテンの隙間から、ひとすじ満月の光がさしこんでいた。
江藤家の広間は階段のある吹き抜けとなっており
きれいに飾り付けられた、居間兼用の一家だんらんの場である。
しかしよくよく見れば、今夜の広間はふだん通りの状態ではないことがわかる。
ソファや机などの大道具はいつもの位置にきちんと据えられているが
部屋の片すみには、やぶれたクッションや、傘たて代わりの大花瓶の哀れな末路
ガラスをまとめたチリ取りとほうきがひとまとめにしてある。
望里は花瓶を見て、ひと欠けらとりあげ、小さくため息を漏らした。
(これはなかなか気にいっていたんだがな…)
視線をはずし、大窓の前に置かれた黒塗りの年代物の棺桶にむかう。
広間を、とりわけ気に入りの花瓶を、そんな状態にしてしまった元凶を開放してやる為に。
処女の血を塗りこめたというその側面の漆黒は、新月の闇然と光を吸い込み
先祖代代伝わる棺桶は、風とともに時折さしこむ月光に照らされて、動きもせずにじっとしている。
(疲れて寝ちまってるのかな)
暴風のようなときを思い起こして考え、その前にとまる。
油断は出来ない、眠ったふりをしているだけかもしれない。
躊躇しながら棺桶の上蓋にかけた手に、なにか書かれた一枚の紙切れがふれ
それを読み上げるとうれしさが満ちた。
「お父さんがんばれ! 蘭世 鈴世」
本当にいい子達に育ってくれている。
暖かい心に包まれ、望里は、意を決し呪を解いて、重い棺桶をゆっくりと開けた。
なかで椎羅はぐっすりと眠っていた。
安らかな呼気が、そっと望里の顔にあたる。
取り越し苦労だったようだ、やはり暴れ疲れて、結局寝てしまったのだろう。
しかし、どうやらそれも、ほんの数刻前のことらしい、額にはまだ乾ききらない汗が光り
乱れた金髪は頬に幾つもの川筋を描いてはりついている。
(こうして静かにしていれば綺麗なんだが…)
闇の中で光る、切り取られたように白い横顔をながめ思う。
その顔のそばにまとめられ、無造作に投げ出された両手に視線をうつし、望里は苦笑した。
白い指がうす紫のあざだらけになっている。
よく見れば、体のそのほかの部分にもいくつものあざが出来ている。
あざはそのひどさによって色が違う、赤いもの、紫のもの
とくにひどいのは、濃紺の、ぼろぼろのロングスカートから露になってのぞく膝の部分だ。
呪が効いている間は、内側からどんなに大きな力をかけようと、棺桶は決して開きはしない。
それを充分にわかっているくせに、力いっぱい抵抗する。
椎羅のそんな性格をあらわす、痕跡をのこした体の状態をみてとって、望里はせつなくなった。
大きな風のひと吹きがカーテンを翻した。
強い既視感。
満月の光に照らされ映し出される、椎羅の力を出しきって疲労し眠り込む姿は
力を蓄えんと、長々とその身を横たえる獣にも似た、野生に満ちた美しさをたたえていた。
吸血鬼一族の蒼ざめた、どこか死の匂いがするそれとちがい
狼一族特有の、精気に満ちあふれ獣臭い艶気。
望里はその魅力に抗えず、ひとめで恋に落ちたのだ。
今宵は満月、狼の眷属が最も強く、美しくなる時
そう、あの時、ふたりがはじめて遭った夜もそうだった。
その夜、望里は渇いていた。
人間界への扉をくぐり、乙女を物色し獲物として味わう。
赤い快楽は青年期に達した吸血鬼にとって摂生しようとしてなかなかできることではない。
しかし扉の使用回数は制限され、管理されていた。
体の奥底からわきおこる飢餓感
血の古びた甲経た吸血鬼なら我慢も出来ようが
望里は若く、牙を濡らし咽喉を潤すことに酔っていた。
他の魔界人を餌食にすること、それは吸血鬼一族にとって、最大の禁忌である。
長の息子たる立場を忘れ、欲望に満ちた望里は、境界を踏み外すことに決めたのだった
(はは、狩だ!狩)
魔界特有の、永遠に欠けない月の冷たい銀に見つめられながら
望里は動きさざめく霧へと姿を変え、村の境界である森へと向かった
こうもりでなく霧に姿を変えたのは、体力の消耗をおさえるためだった。
村といえども、魔界は広い、各一族の集落は広大な森や崖などの無人地帯によってへだてられ
めったに他部族と遭う事はないのだ。
目指す境界は最も近い森をわたる狼一族とのもの。
まだ見ぬ獲物の熱い血を想い、望里は牙をギチギチと噛みしめた。
一陣の風とともに吹きすぎた黒い霧に驚いて、ふくろうがホウと鳴いた。
走り疲れ、ほてった体を、湖の心地よい冷たさに浸しながら
椎羅は今夜おこなった、成人の儀を思い起こしていた。
自分より速く疾走れた者は誰もいなかった。
男であれ女であれ、同じく今宵成人を許された者達は
彼女ほど、その身を風そのもののようにできなかったのだ。
一族の長の娘として、体に宿す誇り高き狼の血の濃さを確認できたことへの満足とともに
ほんの少しの、物足りなさと、寂しさがあることは否めなかった。
それは決して、少し心引かれていた幼馴染の青年を
半分の力も出さずに負かしてしまったからであるという
自覚をともなうまでのものでは、なかったのだが。
賞賛の声が満ちるなかをそのまま、椎羅はまっすぐに、この湖をめざして飛び出してきた。
成人したら、子供のあいだは立ち入ることができない
この森にあるという湖に、一緒に来ようというのが、ふたりでした約束だったからだ。
彼の気配はここにくるまで一度も感じなかった
結局ひとりで来てしまったのだ
おっもしろいぞー。
椎羅さんモエーの続きが気になるぅ・・。
おーい早く―
あ、間違えた・・・。
初めて書き込みします。
作家さんたちいつもありがとうございます。
椎羅さんモエーさんの書き込みの時間を見ると
もしかして書きながら投稿しているのでしょうか?
すごいですね!
今後もいろんな方の作品を読んでみたいです。
楽しみにしています。
508 :
新婚作者:03/05/24 20:08 ID:+8lFEG7r
すみません、お邪魔します。
休みなので少しうp
いつも冷静なその男がベッドに横たわる女を見つめていた。
真っ白いリネンに広がる、艶やかな黒髪、閉じられた瞳。
その瞳が見つめているのは自分ではない男。
その心が向っているのは自分ではない男。
男の指先が、大事そうに黒髪を一束、そしていとおしく唇を近づける。
「・・・・ゼ・・・・・」
小さく呟くと、男は女に覆い被さった。
女が次に目覚めたとき、どこにいるか分からなかった。
一糸まとわぬ素肌でいることに気付き驚愕すると、
きょろきょろとあたりを見渡したが、衣服が無いので
ブランケットを引きずりあげ身体を隠す以外方法が無かった。
広い自分の部屋ではないどこかにいることだけは理解できた。
しかし、自分がそこにいる理由が分からない。
「・・・・ランゼ・・・・」
(気がついたのか?大丈夫か?)
心に直接語りかけてくる―思念―。
彼女―蘭世―は慌ててさらにブランケットを巻きつけると身体を隠した。
「・・・・カルロ様・・・・・」
戸惑う瞳がカルロを射抜く。聞きたいことはたくさんあった。どこから
訊ねるか考えあぐねているとカルロが温かいミルクティーを差し出した。
素直にそれを受け取るとこくりと飲んだ。
甘めに作られたそれをゆっくりと飲み干した。
「・・・・ど・・うして・・・」
ここに貴方がいるのか?
ここに私がいるのか?
そう言おうとして頭の芯がしびれ始めているのに気が付く。
両の手に力が入らない。
がくがくと身体を自分で支えていられない。
身体にきつく巻きつけているブランケットにカルロの手がかかる。
「・・い・・や・・・・」
ろれつが回らない、抵抗が出来ない。カルロは欲望に燃えた眼でブランケットと
をはがし、蘭世を組み敷いた。
「ランゼ・・・・・・」
カルロは蘭世の額に、瞼に、頬に、口付ける。何度も、何度でも。
蘭世はまだ状況が理解できていない。
何故?という疑問符だけが朦朧とした頭の中を駆け巡る。
快適な空調のため、裸体は寒さも熱さも感じられないが口付けられた部分に
感情の熱さを感じ取れる。
「・・・や・・・めて・・・・」
・・・・私には・・・真壁くんが・・・・・
まだ、俊にもキスしか許していない蘭世である。ただ、カルロの意図することが
分かってきて、徐々に恐れが生まれてきていた。
そんな蘭世を知りながらカルロは蘭世を愛撫することをやめようとはしない。
蘭世の唇に唇を合わせ、舌先を唇の隙間に滑り込ませる、舌を絡め唾液を
絡ませるが、蘭世からの反応をみて、止めた。
その代わり、唇を緩やかに首筋へと落としていく。
「・・・ん・・・くぅ・・・・」
ぴくんと過剰なほど全身が震える、触れられた場所から熱を帯びてくる。
知らないはずの感覚を呼び覚まされ、掘り起こされる。
・・・・やだ・・・いやだ・・・・・
自分じゃない自分が、カルロの一挙手一投足に過敏に反応する。
やわらかい、ぬめった舌が耳元を嬲る。
「・・ふ・・・んん・・・ん・・・・やぁ・・・・」
言葉の拒絶は、カルロには通じない。
精神の拒絶は痛いほどにカルロに伝わっている。
身体は拒絶できる状況に無い。
混乱が思考能力を狂わせる。
反応する体が判断力を鈍らせる。
一つ一つ反応を確かめるよう、迷いを振り切るようにカルロは蘭世の両腕を
ベッドヘッドに縛り付けた。
蘭世は疑うことを知らないから、先ほど飲まされたミルクティーの中に入っていた
催淫剤を気付くことは無い。
もちろん、特殊な―そう、カルロだから手に入れることが出来る―薬。
意識は残ったまま、身体だけが高ぶり、かといって自由が利かなくなる。
卑怯な方法だとわかっていた、それでも、そこまでしてもカルロは蘭世が欲しかった。
一生自分を俊を見るような眼で見てくれることはありえないのなら。
一生自分を俊のように愛してくれることが無いのなら。
せめて、刻印を蘭世に残したい。
ゆがんだ欲望がカルロに巣食ったのはいつのことだっただろう。
この幼い少女の中に見た、俊への愛情の深さだっただろうか?
このあどけない表情の中にある俊への女としての強さだっただろうか?
そんなことすらもう、考えられない。
ただ、カルロの精神の奥底にあるたった一つの想い
―ランゼがほしい―
それだけがカルロを突き動かした。
512 :
新婚作者:03/05/24 20:24 ID:+8lFEG7r
続きは明日。
先週書いたダーク俊のカルロ様バージョン。
さらにダーク・・・・・・。
体調がまだ回復していない証拠かしら?
湖の眺めはすばらしく、天に輝く月の姿を、ゆれる水面に映しこむその美しさは
身も心も疲労した、椎羅の胸をうった。
(すいこまれるよう)
気づいたときには、おもわず、着衣のまま、その身を湖にまかせていた。
はるか彼方にそびえる峰々からの湧水であるというその噂は
衣服をしみて通るほどよい冷感と、底までも見えそうな透明度から
真実ではないのかと思われた。
数刻ほどして、椎羅は湖水に濡れ、疲れた体をゆるゆる岸にひきあげ
乾かす為に、水をすってまといつく服を大胆に脱ぎ捨てた。
濡れた毛皮をふる狼のように、水を含みおもく感じる、金に輝くその長髪を
無造作に強く振りはらった。
きらめく水滴を巻き上げつつ、ゆたかな彼女の髪は
魔界の月の穏やかな白い光りに照らされ、金色に輝く炎のように、激しく燃え上がった。
力を出し切り、弛緩しているとはいえ、これ以上望むべくもないほど、よく発達した肢体を
脱いだ衣服できれいにふき、水際に腰を据え、椎羅はようやくひと息ついた。
(透きとおって、ほんとに綺麗ね)
水を飲もうと、何気なく、両手にすくい取った先をのぞいて
椎羅は自らの掌に縁どられた小さな満月の輝きを見つけた。
(お月様をつかまえちゃった…)
映りこむ月ごと水を飲み干すと同時に、涙があふれた
(つかまえてほしいとまでは思わない…)
(…せめて追ってきて欲しかった)
心の中でわだかまっていたものを自覚とともに受け止めて、
椎羅は泣いた。
一気に2作品も読めるなんて〜
続き楽しみです。
若い椎羅さんも、ダークなカルロ様も。
良い週末になりそう…
カルロの大きな手が蘭世の小ぶりの乳房を掴む。
「・・んっ・・・んん・・・・・」
必死で眼を閉じ、蘭世の心が拒む。
身体だけが高ぶっていくことに恐怖と戸惑いを覚えながら。
そのことに気が付かないカルロではないはずなのに理性にふたをして
リズミカルに揉みしだきながら、唇で蘭世の性感帯を攻めて行く。
初めて経験するその行為は蘭世を混乱させるのには十分過ぎるほど。
俊以外の男にふれられて、心は拒否するのに、身体だけが応えてしまう。
徐々に輪郭をあらわにしていく頂点をカルロは口に含み甘噛みすると
蘭世の背筋にぞくりと電流が走る。それが快楽だとは知らぬままに。
「・・・ふ・・・あ・・・・」
我知らずあがる声に、羞恥心を隠し切れず顔を覆いたいのに
それすら自分の意のままにならず頬を染めるだけ。
その仕草すらカルロを煽ることにほかならないのに。
ぴんと固くしこった頂点を咥えたままカルロの舌が円を描くように輪郭をなぞる。
「・・・・あぁ・・・ああ・・」
女の身体を知り尽くしたカルロは蘭世の反応を見ながら感じる部分を探り当てていく。
時に強く、時に弱く。
羽で撫でるように。
全身すべてを使って蘭世を追い詰めていく。
・・・や・・・・いやぁ・・・・あ・・・いや・・・・・
蘭世の精神(ココロ)はどこまでも拒絶していく。
それが強くなればなるほどカルロは躍起になってさらに執拗に攻め立てる。
「・・う・・あ・・・ああ・・・・」
ココロを裏切る身体に蘭世はどうすることも出来ない。
両の目から抵抗の証の雫をこぼすことしか出来ない。
それほどまでに初めて身体に染み込んだ薬とカルロの愛撫は巧みだった。
少しずつ、少しずつカルロの愛撫が下へと動いていく。
その先になにがあるか知らないわけではない。
「・・・ね・・・・が・・・い・・よ・・・」
蘭世は必死になって抵抗の言葉を紡いだ。
言葉で、心で。
カルロの両手が蘭世の膝を掴む。
・・・・ああ!・・・・いやよ・・・・
立てひざにさせると左右に割り開き、身体を入れた。
・・・・いや・・・・見ないで・・・・
誰にも、そう自分ですら見たことが無い部分を今初めて男の不躾な視線に射ぬかれている。
愛している誰よりも大事な人ではない男に。
友人として、同士として過ごしてきた男に。
荒らされていない花園はまだ、閉じられたまま。
カルロは蘭世の膝に口付けるとそのまま舌を這わせながら中心部へと降りていく。
「・・・・あ・・・ひぃ・・・あ・・・・」
これから起こることを予感させる動きに蘭世は怯え、身体は高ぶる。
一歩手前で動きを止めると両手の指先を中心部に添える。
・・・やぁ!・・・いやぁ・・・
その指先で中心部を広げた。とろりと甘露な蜜があふれ出た。
「・・・ランゼ・・・・」
一言呟き、カルロはそこへ唇をつける。
「・・あ・・・ああ・・・・あああああああ・・・・・・・」
蘭世の中に快楽と絶望感が同時に浮かび上がる。
むせ返るような香りの中、カルロはその蜜をすする。
その上の敏感な芽の部分に舌先が触れるとビクリと蘭世の体が震え、快楽の
蜜を滴らせる。
「・・くぅ・・あ・・・ああ・・んん・・・・・」
自分でコントロールできない蘭世の体はただ、甘受した快楽に翻弄されるがまま。
巧みな愛撫は蘭世の体温を上げていく。
快適な空調の中で全身から汗を吹き出させる。
「・・・・あ・・・ああ・・・いや・・・あ・・・・・うっ・・・」
カルロの指先が蘭世の入口に達する。あふれ出る潤滑油に助けられするりと胎内へ飲み込まれる。
それでいて異物を排除しようときつく指を締め付ける。
その不自由な中でカルロは蠢いている。
「・・いやぁ・・・・あ・・ああん・・・・」
ひときわ反応がよい部分を見つけ出すとそこを重点的に愛撫していく。
「・・や・・・・や・・・・いや・・・・・・やぁ・・・・ぁぁああああ!!!」
蘭世の快楽の曲線が急カーブを描き高まり、簡単に達せられた。
否応無く上げられいくそれに蘭世の意識が真っ白くなっていく。
半ば失神した蘭世の胎内から指を抜き取ると、いとおしそうにぺろりと舐めた。
そして身に付けていたスーツのネクタイを乱暴に抜き取る。
スーツを脱ぎ捨てるとたくましい―そう俊とは異なってはいるが―鍛えぬかれた
身体になった。
(ランゼ・・・・・私は・・・・・・私は・・・・・)
間違っている、それは先刻承知の上。
今ならまだ間に合う、それはいやだ。
自分が望んで、手に入らなかったものなど何もない。物でも、組織でも・・・・女でも。
寄ってくるのをうるさく追い払っていたくらいだ。
だが、唯一自分が望んだただ一人の女―蘭世―だけが手に入らない。
どんなことを言っても。
望むものはすべてかなえるといっても。
彼女が望むのは愛する男―俊―といっしょに歩んでいく未来。
私が望むものは彼女との未来。
彼女がいればもう何も要らない。
だが彼女の隣に立つのは私ではないのか?
彼女を手に入れたい。
それが望めないのなら・・・・・・・。
カルロは傍らに置いてあったブランデーを飲み干すと一口だけを蘭世に口移しに
流し込んだ。
「・・う・・・げほっ・・・・ごほっ・・・・」
高濃度のアルコールを注ぎ込まれた身体はわずかに戻り始めていた抵抗を奪われる。
「・・・・ランゼ・・・・」
カルロはもはやそれしか言葉を知らないかのように蘭世の耳元で囁く。
・・・・・カルロ様・・・・お願いです・・・止めてください・・・・・
蘭世の心も瞳も涙を流している。カルロは目じりのそれを舌でやさしく舐め取ると
そのまま口付けた。
やさしい、いとおしい、大事な極上の口付け。
アルコールに混じった薬。
理性の最後を閉じさせる薬がカルロの全身を駆け巡った。
蘭世の足を開かせ、高ぶった分身にゴムをかぶせ入口に据えた。
「・・・・い・・・や・・・・・・あ・・・・」
まだ、残る快感の名残の蜜が先端に触れる。熱さが伝わってくる。
・・・・やめて・・・・やめて・・・やめて・・・やめて・・・・・
最後の拒絶がカルロの胸を突き刺す。
519 :
新婚作者:03/05/25 13:29 ID:yhDTGSoG
続きはのちほど。
えらく長くなってます。
スレ消費しすぎかなぁ・・・・。
ダークなカルロ様(・∀・)イイ!!
でもこんな状況でさえゴムを付けるカルロ様って、ある意味誠実?
それとも過去に生でやって痛い目に・・・ゲフンゲフン
+ +
∧_∧ +
(0゚・∀・) <続キガ楽シミダヨー・・・・ドキドキテカテカ
(0゚∪ ∪ +
と__)__) +
521 :
新婚作者:03/05/25 20:09 ID:yhDTGSoG
続きですが・・・・
すみません、今日で終らないかも・・・。
・・・・いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!・・・・・
カルロは少しづつ蘭世の胎内へとそれを挿入していく。
初めて受け入れるそこはカルロの愛撫と薬とでしとどに濡れそぼってはいたが
きつく抵抗を示す。それでも時間をかけてではあるが徐々に飲み込んでいく。
大きく見開いた目が哀しげに翳る。
体内でなにかがきしんだ。
根本まで埋め込まれるとカルロはしばし、動かずにそのまま余韻を味わう。
全身に灼熱の棒が打ち込まれたような痛みが蘭世を襲っていた。
「・・・いあ・・た・・・い・・・」
ただ、泣くしかなかった。
「ランゼ・・・・」
「・・・・・・」
答えは無い。
カルロはゆっくりと腰を動かし始める。杭が抜かれるたび胎内が擦られ痛みと
快感を交互に与えてくる。
「・・・う・・・あ・・・あ・・・ああ・・・・」
どれくらいの時間そうしていたのだろう。
拒絶する心、受け入れる身体。
「・・・くぅ・・・・」
カルロは小さくうめくと蘭世の胎内で一気に放出した。そうして抜き取ったそれに
絡みつく透明な蜜と破瓜の証。
すでに蘭世の瞳は閉じられていた。全身に残る蹂躙の跡が痛々しい。
カルロは蘭世に口付ける。反応は―無い―
ベッドサイドに投げ捨てたシャツを羽織るとカルロは窓際のソファに腰掛ける。
そうしてただ、黙って蘭世を見ていた。
部屋に差し込んでいた光が夕焼けに変わるまで、ただ、そうして見つめていた。
そして、カルロは更なる暴挙に出た。
眼を閉じたまま、反応を示さない蘭世。
その暗闇で彼女は俊を見つめているのか?
そんなことは、我慢ならない。今ここにいる私を見てほしい。
そうして、カルロは蘭世を再度組み伏せた。
「・・・!!!!」
(ランゼ・・・・・・私のものだ・・・・・シュンのもとへは・・・帰さない・・・)
・・・・その身に、その心をすべて。私に屈服するまで、逃がさない。
離さない。そのためになら、お前を・・・・・・。
心より先に身体を。
気持ちよりもその身に。
私のすべてを注ぎ込もう。
カルロはすでに狂気の一歩手前に来ていた。
「いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!!まかべ・・・く・・・ん!!!!」
蘭世はそのカルロの意識に触れ、絶叫する。そして最も恋しい彼の名を叫ぶ。
その口をカルロは塞いだ。
(・・・・シュンの・・・・名など・・・・呼ぶな・・・・私以外を・・・・)
カルロはサイドテーブルに置いてあった自分のアルコールを口に含むと
無理やりに蘭世に飲ませる。
卑劣な、最も間違えている方法を取っているのは分かっている。
・・・・お前を抱いているのはこの私・・・・カルロだ・・・・
(・・・・シュンは・・・来ない・・・・来ないんだ・・・私の名を呼べ・・・)
カルロは性急に蘭世の身体を開いた。
「いやぁ!!やめてぇ!!いやぁ!!!」
狂ったように拒絶し、内部から湧き上がるアルコールと薬に抵抗する。
男の力にかなうはずも無い。それでも慣れないものに蘭世の抵抗は儚く脆く散る。
そうして、先ほど痛みを生じた部分に潤いを満たしていく。
その潤みを確認するとカルロは今度はそのまま躊躇うことなく今度は一気に貫く。
「ぁぁああああああ!!!!!!」
全身がざわめく、危険を察知する。
部屋の空気が変わる。
空間が歪んだと感じた瞬間、部屋の窓際に俊が姿をあらわした。
そして、俊は眼前の風景に愕然とした。
愛しい女、誰よりも大事にしていたただ一人の女が自分ではない、
自分の知っている男に身体を奪われている、
「いやぁ・・・いやぁ・・・やぁ・・・・・」
悲しみに彩られた声が俊の耳に届く。飛び掛ろうと身構えると
思念に撥ね付けられる。
(・・・・シュン・・・か・・・・邪魔を・・・するな・・・)
カルロの力は俊には遠く及ばないはずなのに、今俊が蘭世に近づこうとするのを阻む。
・・・なんでだ・・・なんで・・・・
そう、あまりの狂気に力が通常を上回っているのだ。
(・・・・・黙って・・・・見ているんだな・・・・お前の・・・・女は・・・私の
腕の中だ・・・・・)
・・・・ちくしょう・・・・
俊はそれでも何度でも蘭世を助けに動くが、先に進めない。
カルロはそんな俊をあざ笑うかのように蘭世を抱えあげ、腰を打ちつける。
「・・・ま・・かべ・・・君・・・助けて・・・・・」
蘭世の力が使えない状態に陥っていることは見てすぐに分かった。
助けたい・・・・。
・・・・・俺は・・・こんなに・・無力なのか・・・・
それでも俊はカルロに向っていく。
(・・・・ラ・・・・ンゼ・・・・私の・・・・)
「いやぁぁぁぁ!!!!やめてぇ!!!」
「やめてくれぇ!!!!」
蘭世と俊、二人の声が重なった。
カルロは白濁したその樹液を今度は蘭世の胎内奥深くめがけて放出した。
525 :
新婚作者:03/05/25 20:13 ID:yhDTGSoG
すみません、すみません。
カルロ様壊れました。
私自身かいてて正気のさたじゃねぇ・・・と思います。
ついでに俊、もっと早くこれないのか?ってつっこみは
薬とアルコールで蘭世の力が使えなかったので。
どうすんだ、これ。
収拾つくのか?
>新婚作者様
初めてリアルで読んでしまいました!!
いやぁぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜ん!!
カルロ様も真壁くんも切な過ぎですぅ〜(号泣)
こ、これって続きあるんですよね??ハァハァ(;´Д`)
椎羅さんモエー!の方もドキドキワクワクしてお待ちしております。
がむばって下さいまし。
新婚作者さま。
心と身体が別物になってしまった蘭世…ううっ。
今回ラストの、真壁くんの前での放出(藁)にトドメをさされますた。
手に汗握りつつ続き(ありますよね?)お待ちしております!!
「カルロ・・・・てめぇ・・・・・」
俊の怒りはすでに沸騰している、力も加減を知らない。それでもカルロに
飛び掛ることが出来ない。周りに張り巡らされた思念のバリアに拒まれて。
カルロは蘭世を突き刺したまま、離そうとしない。それどころか自身の分泌液によって
さらにすべりがよくなったそこでリズミカルに律動させる。
そう、まるで俊に見せ付けるかのように。
「・・は・・・ははは・・・・はは・・・」
カルロの口から笑いがこぼれる。俊は唇を噛んだ。
蘭世はもはや叫ぶ気力さえ失っていた。
・・・・真壁・・・くん・・・真壁・・・くん・・・・・助けて・・・・助けて・・・
心の叫びだけが俊を貫く。
・・・・江藤・・・・大丈夫だ・・・・俺が・・・助けてやる・・・・
無力な自分を奮い立たせるように、蘭世に思念を送るしかない。
・・・どうやったら・・・いいんだ・・・・
こうしている間にも、蘭世の白い素肌に次々とカルロの刻印が印されていく。
蘭世の悲しみに満ちた視線が俊に向おうとするとカルロはその顎を掴み強引に口付ける。
狂気と悲しみと、慟哭が部屋に満ちる。
いつ果てるともなく、突き上げられる痛み。
・・・・どうして・・・・カルロ様・・・・どうして・・・・
どれだけ繰り返されたか分からない問いかけ。答えの出ない螺旋階段。
そのせつなさと哀しみがカルロに向う。
一瞬カルロの意識が緩んだ、その間隙を縫って俊はカルロに殴りかかった。
「・・・ぐふぅ・・・」
無理やり蘭世から身体をはがすと愛する女の身体を抱き寄せた。
あちこちに残る痛々しい痕跡。俊は羽織っていたジャケットを蘭世にかけると
カルロに向き直った。
「立ちやがれ・・・・・こんなんじゃたりねぇ・・・・・」
俊のオーラが怒りで真っ赤に染まる。炎よりも熱く、氷よりも冷たいそのオーラ。
部屋中のガラスにひびが入り、大きな音を立てて割れた。
その破片すべてが意志をもって浮き上がる。
「・・・・ランゼ・・・・・」
カルロの視線はそれでも蘭世にだけ注がれた。
まるで俊が目の前にいないかのように。
蘭世はその視線から眼をそむける、見たくない、と。
「カルロ!!!!!」
俊のその恫喝に破片がいっせいにカルロへ刺さらんと動いた。
カルロの周りに円を描くようにその破片は力を失う。
「いやぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
蘭世が叫び、俊にしがみつく。
「もぉ・・・いやぁ・・・・ここは・・・・いやぁ・・・・・」
幼子のように泣きじゃくる蘭世を俊は強く抱きしめるとカルロを見る。
(・・・・お前のやったことは・・・・こういうことだ・・・カルロ・・・)
(・・・私・・・は・・・・・)
(・・・・・お前は・・・・・こいつを傷つけた・・・こいつの心を・・・・許せねぇ・・)
(・・私は・・・ただ・・・・)
(・・・・・二度とこいつの前に顔を出すんじゃねぇ・・・)
「ランゼ・・・・・・・」
蘭世はカルロの声に反応しない、俊にしがみついて泣くばかり。
「ランゼ・・・・・ランゼ・・・・・」
・・・・私は何をしたんだ・・・・・私は・・・ただ・・・・・
「・・ま・・かべ・・・くん・・・・ここは・・・いやぁ・・・こわい・・・・」
「・・・帰ろう・・・・・江藤・・・・」
「真壁・・くん・・・・・」
・・・・私は・・・・ランゼに・・・
二人は抱き合ったまま、その場所から消えた。
・・・・・私は・・・・
座り込んでいたカルロは朦朧と立ち上がった。おぼつかない足取りでクローゼットへ向う。
足にガラスが突き刺さるのも感じないほど。
歩みを進めるたび赤い足型が大理石の上に残る。
大きな扉をあけると、そこに大事そうに畳まれたワンピース。
蘭世をここに連れてきたとき着ていたそれは真っ白く蘭世の心そのものを象徴するもの。
俊だけを思う蘭世の心そのままに。
カルロはそれを広げるとまるで蘭世がそこにいるかのように抱きしめた。
「・・・・ランゼ・・・・ランゼ・・・・・」
ただ、そこにいて、私のためだけに笑い、私を愛し、私に守らせてほしい・・・。
ただそれだけだった。
それだけだったはずなのに・・・・・・。
彼女は見ない、私のことを。
愛しい、狂おしいほど焦がれた彼女の視線を独り占めしているのは私に似ていて
それでいて違う彼。
私は彼になりたかった。
私は彼でありたかった。
それが望めないのなら。通り過ぎていくだけならば。
私は彼女を愛し、抱きしめたかった。
叶うはずのないその想いを、彼女にぶつけ、そうして今、永遠に失ったことを悟る。
「・・・ランゼ・・・・・・」
忘れてしまえ、忘れてしまえ・・・こんな想いなど。
忘れられるわけが無い、あの熱い肌を。あの狂おしいほどの私だけの時間を。
私を見なかったその瞳―。
俊は自分のアパートへテレポートすると蘭世を布団に寝かせた。
蘭世の体内に入ったカルロの異物を持てる限りのすべての力を使って排除する。
「・・・今風呂沸かしてやるから。」
痛々しい蘭世の姿を見ないように視線を外すと風呂場へ行き湯を溜める。
帰り際に台所から冷たい水を蘭世にと持っていく。
―私は変わってしまった―
―俺は守ってやれなかった―
蘭世が連れ去られたのは俊がバイト中。お弁当をアパートに届けにきた帰りだった。
カルロが仕事で日本に来たので蘭世にも挨拶をと声をかけた。
薬を飲ませ、ルーマニアまで連れ帰った。沈黙の時間だけが流れていく。
「江藤・・・・・」
蘭世は何も言わない。俊も何も聞かない。
俊が立ち上がり、風呂場へ行き、湯を止めてくる。
「・・・・入って・・・・」
それ以上何もいえない。蘭世は小さく頷く。俊は小さ目のTシャツとジーパンを出すと
蘭世に差し出した。
「俺、散歩してくるから。」
そう言って部屋を出ようとする俊のシャツの裾をぎゅっと掴んだ。
「・・・行かないで・・・・」
・・・そばにいて・・・・でも・・・・
切ない、切ない気持ちが伝わる。
「・・・・・・俺が後ろ向いているうちに風呂場へ行けよ?」
そういってそっぽをむく。衣擦れの音がして、そして扉の音、水音が続く。
・・・・長いな・・・・・
シャワーの音がずっと続いていた、・・・おかしい・・・・
俊は慌てて風呂場へ行くとノックする。
泣き声だけが聞こえる。
「・・・・・おい・・・・大丈夫か?・・・」
しゃくりあげる声、激しくなる水音。
「・・!!悪いあけるぞ。」
そこで俊が見たものは赤くすりむけるまで擦った肌。
「やめろ、おい!」
「・・私・・・・私・・・落ちないの・・汚れが・・・・どこも・・・かしこも・・・」
そう言ってなおも擦ろうとする蘭世を抱きしめた。
「やめてくれ、頼むから。俺のためにやめてくれ・・・・・!!!」
・・・一番大事な・・・命よりも大事なものを守ってやれなかった・・・・・
その後悔が俊を苛む。
・・・カルロ・・・・あんたは・・・・・
俊は怒ってもいたが心の奥底でそのカルロを否定できないでいた。
間違いなくカルロは江藤を愛していた、ただ、間違っただけ。
あいつは俺だったかも知れないのだ。
愛する心がカルロを狂気に走らせた。
誰しも持っている、欲望。
すべてを自分の物にしたいという。
しかし・・・・・。
「江藤・・・・とにかく入れ。」
「だって・・・まだ・・・・・」
「冷えてしまうだろう?」
「・・・・・・」
強く言われ、蘭世は湯船に浸かる。
「ゆっくり温まってから出てこいよ。」
扉を閉めると俊はそれほど音が台所の椅子に腰掛け、蘭世の様子を探った。
しばらくするとあがってくる音がした。
「温まったか?」
こくんと頷くだけ。
「とりあえず一眠りしろ。いいな?親父さんたちには連絡しておくから」
俊は強引に蘭世を横たえた。その俊の腕を蘭世が掴んだ。
「・・・お願い・・・そばにいて・・・」
「ああ、いるよ。」
「どこにも行かない?」
「ああ。」
「真壁くん・・・・私・・・」
蘭世は眼を閉じた。
「・・・・・ごめんなさい・・・・」
「・・?・・・なにを・・・」
「・・・・私・・・・」
「もう、何も考えるな。寝ろ。」
俊はそう言って蘭世の手を握る。
「・・・真壁くん・・・お願い・・・・・」
「どうした?」
「・・・抱いて・・・・」
震える唇が言葉を発する、俊は一瞬驚く。
「・・・・・・・」
「・・・・嘘・・いいの・・・私・・・・もう・・・・」
・・・・・汚れた私は、真壁くんといる資格がない・・・
切ない哀しい思いが俊の心に届く。
「・・・・江藤・・・・・・」
俊は眼を閉じたままの蘭世にやさしく口付けた。
「大丈夫だ。」
力強いそして、やさしい言葉で蘭世を包む。
「・・・・・俺だって・・・・そりゃ・・・してぇよ。男だぜ。
でもな、今じゃない。」
ついばむような口付けを何度も繰り返し、吐息の隙間に続けた。
「・・・今抱いちまったら、弱みに付け込んだみてえじゃないか。」
「・・・・・」
「眼、あけて俺を見な。」
恐る恐る眼を開けた蘭世の瞳に飛び込んできたのはやさしいやさしい
俊の表情。
「江藤・・・・・俺は・・・お前が・・・大事だ・・・・・」
眼を見張る蘭世。
「だから、お前が本当にそうなりたいと思うときまで待つ。今は抱かない。
お前はお前であることは変わりが無い。」
深く甘い口付けをすると俊は唇を離す。
「お前は汚されてなんかいない。俺の知ってるお前だ。」
「だって・・・・私・・・・」
「・・・・・・俺は、お前がここにいるだけで、いい。」
・・・・忘れられないだろう・・・・あのことを・・・・だったら・・・・
刺さった棘が抜けないなら、そのまま覆ってしまうまで待とう。
引け目を感じさせないほど愛していこう。
これから過ごすすべてが煌く時間になるように。
あまねく何より大事に過ごそう。
二人で重ねた時間が宝物になるまで。
そしていつか二人のための鐘が鳴るその日まで。
「・・・・・真壁・・くん・・・・」
「・・・いつか、一緒に眠ろうな?」
「・・・・・・・うん・・・・・・」
俊の手を握り締めたまま蘭世は眠りについた。
・・・愛しているよ・・・・・・
聞こえない言葉を思いにこめて届けよう。
次に眼が覚めた時に笑顔を見せてくれるように。
とびっきりの明るさで。
終わり
535 :
新婚作者:03/05/25 23:54 ID:yhDTGSoG
やっとこさ、エンディングです。
暗い暗い、哀しい話。
愛しすぎたゆえの悲劇と救いを書きたかったので。
ちなみにうちはあの事件の後カルロ様は
生きているという設定で書いてみました。
本編との不適合は今回無視してください。
はは・・・・。
では体調も戻りつつあるので
夜伽に戻ろう。
>新婚作者様
凄いよ!新婚作者様!!
最後の最後でカルロを悪人にせず、俊とランゼが愛を確認しあう。
泣いちゃいました。
俊、ランゼを大切にしてあげてね。>涙涙涙
私も泣いてしまいました。
もう最初はカルロの行為が許せなかったのですが(ごめんなさい)
読み進めて、カルロが蘭世のワンピースを抱きしめるシーンで
カルロの悲哀がひしひしと感じられて、切なくてキューっと
なりました。
真壁くんもとても男らしい真壁くんでよかったです。
切ないっす。悲しいっす。
マジ泣きしそうになりました。
尊敬します。新婚作者たま。
539 :
新婚作者:03/05/27 22:25 ID:Npm0LNbl
・・・・よかった。
反論きそうで実はとても怖かったんですよ。
いや、その、あの・・・・。
でもでもここだし、書いて見たいテーマだったし。
ある程度までプロットできあがってて(いや俊バージョンのとき)
書いてしまいたかったんです。
読んでくださった皆さん(途中の表記がこれまたえぐいなぁと思っていたので・・・)
ありがとうです。
うう・・・。感涙にむせぶ新婚よりの魂の叫びでした。
540 :
名無しさん@ピンキー:03/05/28 00:44 ID:rJsaY8A2
あげ
>540
いやん
542 :
山崎 渉:03/05/28 13:12 ID:3MGJJ1xD
∧_∧
ピュ.ー ( ^^ ) <これからも僕を応援して下さいね(^^)。
=〔~∪ ̄ ̄〕
= ◎――◎ 山崎渉
山崎絨毯爆撃中。
保守のためageます。
別にageなくても保守はできるんじゃんかったっけ??
とりあえずsageとくよ〜。ウザい広告とか嫌だしね。
慣れた道を歩きながら俊は思う。
こうして江藤家を足繁く訪れるようになってどれくらい経つだろうか?
以前からは想像もできないくらい、平穏で安定した生活。紛れもなく、蘭世と共
にいたから、蘭世の自分への愛があったから得ることの出来た平和。
もはや俊に、蘭世なしの人生など有り得ない。離れても、離れても、どうしても
断ち切ることの出来なかった強い想い。
そして遮る物のなくなった今、俊はその想いを持て余している。
あの時は雪が降っていたっけ……。
見上げると、美しい満月が、夜空にぽっかり浮かんでいた。
いつかのクリスマス、俊は言った。お前を貰いにいく、と。
まだそれには早い。今はボクサーとしての足固めをする時期だ。
しかし、蘭世を目の前にすると、決心は辛くも崩れ去りそうになる。自分がそん
なに自制のない人間だったとは知らなかった。
くちづけたい。この腕に抱きたい。蘭世をもっと近く感じたい。
蘭世の全てが欲しくて堪らない……。
「まいったな……」
小さくひとりごちて、辿り着いてしまった江藤家の庭を囲む柵にもたれかかる。
一人暮らしを始めてからというものの、ここで夕食をご馳走になるのは毎週末の
恒例になっていた。蘭世は当初はりきって、毎日のように俊のアパートに食事を
作りに来ていた。
初めの頃はただ単純にそれが嬉しかった俊だが、食事を終えてくつろぐ二人きり
の時間、これがどうにも耐えられなくなってきていた。ただ無邪気に寄り添い、
幸せを噛みしめている蘭世。軽いくちづけに甘く酔っている蘭世。その先をうっ
すらと期待しつつも、男女の本当の交わりの意味など思い描きもしない蘭世。
知られたくない。蘭世を抱きよせながら、獣のように欲情してしまう自分を。
その全てを独占したいと、雄の本能が叫んでいることを。
理性が負けてしまうことを恐れ、食事を作りに来ることを止めさせた。蘭世に対
しては、親父さんたちが心配するだろうという理由を付けて。すると今度は逆に、
せっかくなら一緒に、真壁くんは家族みたいなものだからと、望里自らに誘われ
ることになった。その好意が有り難く、断ることは出来なかった。
そんな日々がもうどれくらいだろうか?今日も、いつもの週末と同じく、ジムで
のトレーニングを終えた後、江藤家を訪ねようとしている。
蘭世と夜二人きりになることはない。これにはかなり助けられたと俊は思っている。
だが、一度芽生え始めた蘭世に対する激しい愛情は、それで摘み取られたわけで
はなかった。きっかけさえあれば、すぐにでも……。
「くそ……」
俊は戸惑う。自分の中の、純粋な愛情と、男の欲望に。
ジーンズのポケットに、万が一に備えて隠し持っている、蘭世を守るための物。
そんな物を用意して、何くわぬ顔を装って蘭世に向かい合っている自分も腹ただしい。
誰にも負けないくらい蘭世を愛している。いつか必ず幸せにする自信はある。
でも、それはまだ先のことなのだ。少なくとも今ではないのだ。
蘭世を大切にしたい。そう思うなら、この激情は押さえなければならない。
そうしなければ、蘭世を汚してしまいそうな気がする。今はまだ……。
「あ、お兄ちゃん!」
「鈴世?」
ペックと共に走り寄ってくる鈴世。こんな所に佇んでいるところを見られて、
気まずさに俊は慌てる。
「どうした?もう夕食だろ?」
「あのね、今日は僕なるみちゃんトコ行くんだ。お父さんもお母さんも、
魔界のお友達の所におよばれに行っちゃったから。」
「……なんだって?」
顔色の変わった俊の手を引き寄せ、かがんだ耳元に鈴世はそっと囁く。
「だからね、今日はお姉ちゃんとふたりっきりなんだよ。がんばってね」
「おっおい!!」
「僕もお父さんたちも今日は帰らないから!じゃーねーっ!」
あっという間に走り去っていく鈴世の背中を、俊は呆然と見送る。
「…………待ってくれよ……」
世にも情けない声が出た。
二人きり?二人きりだって?どうすればいいんだよ!
「いらっしゃい真壁くん!もうご飯出来てるの!」
「あ、ああ…」
なんだろう、真壁くん少し元気がないみたい。せっかく今日は久しぶりにふたり
っきりなのにな。トレーニングがハードで疲れているのかしら?
いつものように俊を食卓に招き入れるが、普段なら揃うはずの家族の顔はない。
それだけで蘭世の心は浮き立っている。
「お父さんたちも、鈴世も今日はおでかけしちゃったんだ。
だからね、今日はわたしだけで作ったの!じゃーん、ロールキャベツでーす」
二人きりのダイニング。テーブルに座っているのは俊だけ。アパートに行ってい
た頃味わった、新婚気分が蘇る。しかし、浮き立つ気持ちの一方で、俊にばらし
たいような、ばらしたくないような淡い期待。
もしかしてもしかしたら。今夜、二人は……なんて!きゃーーーー!!!
「江藤……。ないから……それは……」
「…!?読んだのお!?」
「そんな大声で考えてたら聞こえてくるんだよ」
「やだ!いくら大声でもルール違反でしょ……」
相変わらずクールな真壁くん。こんな風に一緒にいても、何も感じないの?
食卓の準備が整い、二人で頂きますを言ってフォークを取る。
「どうですか……?」
「旨いよ」
「よかったあ」
口だけでなく本当に美味しそうに食べてくれる俊を見て、蘭世は蕩ろけたように
微笑む。
聞かないと答えてくれなくても、嬉しいな、こういうのってやっぱり幸せ。
でも……。
目の前でロールキャベツを頬張る俊を、蘭世は上目使いでちらっと見上げる。
ねえねえ真壁くん。蘭世のことどう思っているんですか?
そりゃあ、あの時、真壁くんは言ってくれたけど、あれってほとんどプロポーズ
予告だけど、でもね、でもね、女の子はやっぱり、はっきり言って欲しいのよ?
俊は黙々と食べ続けている。蘭世は目も合わそうとしない俊を見て、きっとこの
呟きはみんな聞こえているはずだと、更に俊に聞かせるべく言葉を紡ぐ。
だって一回も言ってくれたことないじゃない?好きとか、愛してるとか。
ええ、わかってます。軽々しく口に出すような言葉じゃないってことは。
でも聞きたいの。確かめたいの。わたしは好きだから。真壁くんのことが本当に
好きだから……。
そしていつしか、蘭世は当初の目的を忘れ、次から次へ沸き出てくる俊への想い
を巡らすことに没頭していく。
真壁くんが口べたで照れ屋なのもわかってる。そんな直接的な言葉、わたしに言
うなんて出来ないって思ってることも。それなら、何か別の方法でもいい……。
そう、確かめられれば、それで満足なんだ。ただぎゅっと抱き締められるだけで
も幸せ。キスも嬉しい…。そうされると、実感できる…。わたしのこと、真壁く
んが必要としてくれているって。でも近頃変なの。それだけじゃ物足りない……。
もっと……もっと……大きな実感が……欲しい……。
ガチャン!
はっと我に返って顔を上げると、俊が目を見開いて蘭世を見つめていた。手は宙
に浮いたまま、皿にフォークが落下した形跡。聞かれていたことは明らかだった。
「……いっ今のなし!なしよ真壁くん!!」
蘭世は今思い浮かべた言葉を掻き消したいかのように、真っ赤に紅潮した顔の前
で両手をバタバタ振る。
「……あ、ああ……」
気を取り直して食事を続けるも、気まずいような、恥ずかしいような、微妙な沈
黙は流れたままだった。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
綺麗に食べ終わった皿を片付ける蘭世に手伝おうかと声を掛けると、座っていて
下さいと笑顔で制された。リビングのソファに移動し、手持ちぶさたで着けたTVの
画面をぼんやりと眺める。
さっきは死ぬほどびっくりした……。
まさかあのうぶな江藤の口から(正確には頭からだが)あんな言葉が飛び出すと
は思いもしなかった。あの一言だけで、躰のある一点に血液が集中してしまった。
やばい。このままここに居続けたら本当に……。
「片付け、終わったよ」
ぴょこん、とドアから顔を出して、部屋に入ってくる蘭世。さっきのセリフなど
まるでなかったような、屈託のない笑顔に俊は戸惑う。
「えへへ、失礼します…」
遠慮がちにソファに並んで腰掛け、テーブルの上の新聞を手にとって見始める。
見たい番組でも探す気なのだろう。
蘭世は心から、こうして俊と二人で居られることを嬉しがっているようだった。
きっと自分では気付いていないだろうストレートな感情表現に、俊は一瞬感じた
戸惑いが消えていくのを感じる。
洗い物をした時まくって、下ろすのを忘れているのだろうブラウスの袖。そこから
すんなりと伸びている白い腕に、俊の目は惹きつけられる。
華奢な手首。瑞々しい、細い指。その先の桜色の小さな爪……。
「まっ真壁くん……?」
思わず、その手を取り口元に引き寄せてしまっていた。新聞は音を立ててカーペ
ットの上に滑り落ちる。
俊は取ったままの手に、唇をつける。蘭世が俊の突然の行動を、大きな目をより
まん丸にさせて見つめている。指にくちづけながら、俊はその瞳を見つめ返した。
愛しい……。
ただ、ただ、愛しかった。
鬩ぎ合っていた二つの感情が、蘭世の想いと笑顔で溶け合っていった気がした。
求めているのは、お互い同じものだ。愛情が高まり、行き着く先のもの。
確かめたい。確固たる愛があることを。重ね合いたい。心も体も。
それだけだ。単純なことなんだ……。
男の生理に俊自身辟易していたせいもあるだろう。妙に小難しく考えてしまって
いた自分に気付き、思わず自嘲気味な笑いが漏れそうになった。
素直になればいいんだ。こいつは頭で考えなくてもそのことをわかっている。
かなわねぇな。俺はこいつに色んなことを教えられてばっかりだ……。
俊は蘭世の頭を抱きかかえ、自らの胸に埋める。
高鳴っている鼓動が伝わるだろうか?が、不思議と気持ちは落ち着いている。い
つものように猛る欲望は渦巻かず、穏やかな海のように心は凪いでいた。
俊の落ち着きとは反対に、蘭世の頭の中はパニック寸前だった。
大抵、蘭世の方からすり寄ってみたり、手を握ってみたり、行動で意思表示をし
た後でないと俊はこんな風にはしてこない。何も言わないのはいつものことだが、
手を取ってキスをするなんてことは有り得なかった。
抱き締められながら、俊の体温と、心臓の音を感じる。
いつもの抱擁と違う。
俊が何かを求めている。
その予感に、蘭世は息をすることも忘れて俊の次の行動を待った。
「江藤」
「ははは、はい!」
「お前の部屋に行ってもいいか……?」
「…は……はい……」
次の瞬間、抱き合ったままで二人は蘭世の部屋に移動した。腰掛けているのが
自分のベッドの上だと、蘭世は気付く。俊は動かない。そのままきつく蘭世を抱き
締めている。暫くなすがままに、胸に頭を預けていた。どのくらいの時間が経った
だろうか。ふっとその腕の力が緩む。俊は優しく肩を掴み、蘭世の体を離す。
そうして蘭世の瞳をじっと覗き込んだ。
「一度しか聞かない……」
真剣な俊の目に、蘭世は息を飲む。
「江藤が欲しい。…………いいか……?」
声を出すことを忘れてしまった喉。今起きていることが夢か現実かわからず、蘭
世はただ、目をしばたかせる。目の前の俊の顔が滲み出す。知らぬ間に瞼が熱く
潤んできていた。言葉にならない想いが、胸の内に込み上げる。あまりにたくさん
の想い。しかし、それを表すのには、たった一言の返事しかない気がした。
「はい……」
俊に再び肩を引き寄せられ、唇が重なり合う。徐々に深さを増していくくちづけ
に、引き合っていく躰。俊の腕が、蘭世の背中をすっぽりと覆い、絡み付く。
その動きに、限りない愛しみが込められているのを、蘭世は強く実感する。
言葉ではない、躰で感じる深い愛情。幸福で蕩ろけきってしまいそうだった。
くちづけながら、二人はゆっくりとベッドへ沈む。俊の唇が首筋を這う。躰の奥
からじわりと溢れ出す、初めての感覚。俊の重さを感じながら、求められること
に気持ちがどんどん高揚していく。
てのひらが、ブラウスをまさぐる。襟元からひとつひとつ外されていくボタン。
能力を使えばそんな手間なことをしなくても済むのに、その過程も大切にしてく
れる俊の気持ちがまた蘭世を満たしていく。
「……っ」
首筋を吸ったまま、俊は蘭世の露わになった胸元に手を這わす。初めて触れら
れる、小さな胸の膨らみ…。大きな手ですっぽりと隠れてしまう丘を、俊の手のひ
らが滑る。
半端に脱がしたブラウスを、俊は蘭世から丁寧に抜き去る。そして両手を背中に
差し入れ、苦戦しながらブラのホックを外した。
腕からするりと外されるレース。恥ずかしさに、蘭世は思わず手で顔を覆う。俊
が着ているTシャツを脱ぎ捨てる音がする。指の間から恐る恐る覗くと、俊は覆
う物を失くした双丘をみつめていた。
「真壁くん……お願い電気を……」
「ああ」
ベッドから立ち上がり、ドアの横のスイッチへ俊が向かう。パチン、という小さ
な音と共に、部屋は暗やみに包まれた。レース越しのカーテンから、満月の
ほのかな灯りだけがベッドを照らしている。俊が立ち上がってすぐ、蘭世は顔
を覆っていた手で、胸を隠した。
恥ずかしい……。
でも、真壁くんになら……わたしの全てを……。
キシッと、ベッドがきしむ。俊は蘭世の体を抱き起こし、ベッドの中心に横たえる。
「隠すな……」
胸に巻き付けた腕を俊は開き、指を絡ませてベッドに押しつける。蘭世の白い丘
が月光にほんのりと浮かび上がる。そのまま俊は蘭世に覆い被さり、再び唇を重
ね合わせた。裸の胸と胸が、僅かに擦れあう。それだけで蘭世の先端は、固く尖
っていく。
幸せ……蘭世は幸せです……。
真壁くんが好き。大好き。
伝わっていますか?この想い。
きっと、ずっと待っていたの。
こうやって真壁くんがわたしを求めてくれるのを……。
差し入れられる俊の舌を、蘭世は夢中で受け止める。決して荒々しくはない、深
い、優しいキス。指が解かれ、くちづけたまま強く抱き締められる。
唇が離れ、首筋を辿って鎖骨に到達する。更にそこから、胸の頂へと……。
「んっ……」
先端が、俊の唇の中に消えた。蘭世の躰は、ピクンと小さくしなる。火照った手
のひらでじんわりと揉みしだかれ、熱い舌が絡み付いてきた。電気が走ったよう
な痺れが、立て続けに蘭世を襲う。そして躰の中心に、蘭世自身何かわからない
潤みが、じわりと溢れ出す。
次第に弾んでいく吐息。熱くなっていく躰。それにどこかで驚きながら、どこか
で当たり前のようなことに思う。蘭世の中の、揺るぎない俊への信頼感が、戸惑
うことなくその行為を受け止めさせていた。
真壁くんを信じているから……。
真壁くんになら、どんな風にわたしを変えられてもいいから……。
俊は唇を離さぬまま、スカートの裾をたくし上げ、月光の下にそのしなやかな脚
を露出させていった。片脚を、閉じた膝の間に割り入れる。太腿の内側に手を伸
ばす。なすがままの蘭世に抱いていた一抹の不安は、俊の頭から完全に消え去っ
ていた。
いつかも思った。蘭世の自分に対する愛情の深さ。
こいつは本当に俺になら何をされてもいいと思っている。
こんな男の一体どこがそんなにいいのか、それは今でも疑問でならない。
俊の動きが一瞬止まり、蘭世は閉じていた瞼を開け、暗闇に目を凝らす。
うっすらと頬に光る、涙の跡。俊はそこへ唇を寄せる。
でも、だからこそ、
こいつにふさわしい男であり続けるように、俺は努力していこう。
江藤が与えてくれる愛に負けないくらい、俺も返していこう。
約束する。必ず、必ず、幸せにすると……。
ショーツの上から、秘裂をなぞる。布の下に、確かな潤みの感触があった。
スカートのホックを外し、するすると脚から奪い去った。そして最後に残された
ショーツも静かに引き抜いた。
俊はほの明るい月光に照らされる蘭世の生まれたままの姿を、初めて見るそ
の姿を、震えるほどの感動を持ってみつめた。
唇が今にも、見ないでと動き出しそうだ。蘭世がその言葉を耐えているのがわかった。
恥ずかしいのを必死で耐えているのだろう。ただ、俊の為だけに。
そう気付いてしまい、反射的にその体を抱き起こした。力の限り抱き締めていた。
艶やかな長い黒髪が、ふわりと宙を舞った。
「蘭世……」
あの時以来、呼んだことの無かった名前。
俺の想いは伝わっているか?今少しでも、不安を感じていないか?
だけどそれを問いかけることが出来ない。
お前の名を呼ぶ声に、お前を抱く腕に、
全ての気持ちを込めることしか俺には出来ない。
こんな男ですまない。でも愛している……愛しているから…………。
「……ッあ…」
指を、蘭世の合わせ目に滑り入れる。
こんな感触なのか……。温かくて、溶けそうな程柔らかい……。
ここに、本当に入れてしまうなんて、大丈夫なのだろうか?
指先をスリットに沿って動かす度、驚くほどそこは溢れかえり、蘭世の背がビク
ビクと反り返る。俊の背中にまわされた腕が小刻みに震えている。
俊はもう一度蘭世を横たえると、太腿を持ち上げ、脚を広げた。
「…………ゃ……」
堪らなくなって唇から漏れ出た拒絶の言葉。
俊はそれを聞きながらも、蘭世の中心へ唇を近付ける。
「あっ…!あぁ…っ」
蘭世が、ギュッと手元のシーツを掴む。俊は蕩ろけきっているそこを更に蕩かす
べく、熱い舌で舐め上げる。今まで声を耐えていた蘭世が、堰を切ったように鋭
い声を上げる。俊はひっそりと隠れている突起を舌で起こし、唇の中で転がす。
蜜は止めどなく溢れ、甘い香りが鼻孔を擽った。舌を、少しずつずらし、求めて
いる場所を探していった。それは比較的容易に見つかった。思ったよりもずっと
小さな、二人が繋がるべき場所。俊はそこにも舌を差し入れる。
自分自身の我慢の限界はとうに越えているように思えた。欲にだけ走るなら、す
ぐさま蘭世をものに出来るほどに。しかしそれはしたくなかった。性急に事を運
びたくはない。蘭世の初めての体験が、辛いだけのものにならないように。言葉
をうまく掛けてやれないなら、それが行為で伝わるように。
そして今、もうそれは充分のように思えた。
俊はジーンズもトランスも脱ぎ捨て、先ほどまで憂鬱の原因でしかなかった物を
ポケットから取り出す。
蘭世は俊の唇が離れ、弾む息を押さえることに精一杯になっていた。
太腿を支える手もなくなり、恐る恐る脚を下ろす。
なかなか整わない呼吸に、じんと頭が痺れてくる。その痺れは、甘く心地よく、
全身に震えが来るほどだった。
いなくなっていた俊が、戻ってきて蘭世を組み伏す。ジムで見慣れているはずの
俊の上半身なのに、今はなんだか恥ずかしくてまともに見ることが出来ない。
「ぁ……」
俊が、両脚を割って広げる。蘭世の中心に、俊の腰が押し当てられる。そこに
ある、一際熱いもの……。
ついに来たこの瞬間に、蘭世は恐れを隠しきれず狼狽する。
だけど、ひとつになりたいから。
真壁くんに、知って欲しいから。
わたしがどんなに……真壁くんのことを……。
「んんっ……!!」
進入しはじめると同時に、蘭世の顔が苦痛に歪む。
「……やめるか?」
蘭世のあまりに痛々しげな様子に、俊は思わず腰を引く。
「いいの…っいいの……痛くても……!」
必死でかぶりを振る蘭世の頬に手を添える。蘭世の気持ちはわかっている。だが、
あまりにも苦痛が大きいなら、無理はしたくない……。
もう一度、俊は腰に力を込める。蘭世の爪が、掴まれた腕に食い込む。痛みに声
を上げるのを懸命に堪えているようだった。
「江藤、やっぱり……」
「やめないで……。私も真壁くんが……」
欲しいの、という小さな声が、聞こえたような、気がした。蘭世の汗に濡れて光る
肢体を思わずかき寄せ、唇を重ねる。
「…………」
蘭世にも聞こえただろうか?囁き声よりも小さく呟いた俊の言葉。
…………愛してる……
「うっ!んんんっ……!」
くちづけで痛みは少しでもかき消せるだろうか。
早く全てを埋めきってしまいたい衝動を抑えつつ、俊は先へ進む。きつく閉じ合わ
さった蘭世の中。道標もないままに、その終着点を目指していく。
静寂に包まれた部屋の中、二人の淡いシルエットが少しずつ近ずいていく。
やがてそれはひとつになり、ぴったりと重なり合って留まった。
俊の額からも汗が滲んでいた。重ねていた唇を、そっと離す。目を開けると、
大粒の涙を湛えている蘭世の瞳がすぐそこにあった。
「嬉しい……真壁くんと……ひとつになれた……」
零れるような笑顔。暗闇の中でそこだけが光を放っているような、今まで見たど
の笑顔よりも眩しい笑顔。俊は夢中で蘭世にくちづけを降らせる。愛しさに、高
まった気持ちが爆発しそうだった。
かけがえのない宝と、繋がりあえた実感。
それだけで、もう充分だ。
俊がいっそうきつく蘭世を抱き締める。蘭世もそれに答えるかのように腕に力を
込める。気が遠くなるほどの幸福に身を浸しながら、二人はそのまま離れずに抱
き締め合っていた。ひとつになった二人を邪魔だてはしまいとでも言いたげに、
窓の外に輝やいていた満月は、雲の中にその姿を隠した――――。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「ただいま蘭世、変わったことなかった?」
「えー?別にないわよう。お茶でもお入れしましょうか?お父様、お母様?」
わかりやすい子……。
キッチンでいそいそと湯を沸かそうとする浮き足だった蘭世の姿を見ながら、
望里と椎羅は苦笑する。
でもね……?
そうだな。彼なら……。
同じ思いを目で交わす両親には気付かず、蘭世は満面の笑みで声を掛ける。
「お茶が入りましたよー♪」
byさなぎ
ヤッホウ!さなぎターーーーーーーン!
うををををををををををっっっ!!!!
キタキタキタキタ━━━(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)━━━━!!
しゅ、しゅ、しゅばらしい作品ゴチになりましたぁ〜!!!!
もぉほんとに神様仏様さなぎ様って感じです。
こないだのダークなお話by新婚作者様もよいけれど、
やっぱ主役の二人が幸せなのがオイラ的には一番っすね!
ほんでまた最後の望里さんと椎羅さんがええ感じやないの〜(なぜか関西弁)
おばちゃんもうホンマに毎日ハァハァさしてもろてるわぁ(;´Д`)
職人の皆様、本当にいつもありがとうございます。
これからも楽しみにしておりますね(w
>さなぎタソ
キタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!
パソの前で転がりまくってます…。
真壁くんの葛藤が手にとるようです(w
初々しくてイイ!!
そして、椎羅ママの>わかりやすい子…
この一文に禿藁。
確かに一発でわかりそうなタイプですな。
真壁くんも、夫妻に会ったら顔を真っ赤にしてしまいそう。
わかりやすい二人v
やた-----やぁもう
さなぎ様ったらもうH。
もちろん二度目もあるわよね?
Full Moon読みました、さなぎさま!
んもおおお、とってもツボですこの作品!
この二人の行方が非常に気になります〜〜〜。
続きがありましたらぜひ読ませて頂きたいくらいです。
今この作品を読んで、すっごく幸せな気持ちです。
ありがとうございます〜〜〜(多謝)
>さなぎタン
最高ー!感動ー!
それしか言えないぃぃぃぃ!
568 :
さなぎ:03/05/30 01:06 ID:1bQNXdm9
>562タソ〜>567タソ
早速感想下さいまして有り難うごないまつ〜〜!うれすぃでつ……(涙
書き尽くされてきた感のある黄金シチュでつが神の皆様に
触発されてどうしても書きたくなってしまいますた。
続き…全く考えてないのでつが、
もし思いつくようなことがあったらまた投下させて下さいませ。
>さなぎタン
またの投下お待ちしておりますよ〜(´∀`)
聖ポーリア学園高等部・・・金曜の放課後・・・
物理の抜き打ちテストで痛い点を取ってしまった蘭世は週明けの追試を言い渡され
学年が上にあたるゆりえに、なじもうとしてこない公式を一生懸命教わっていた。
「ここでこの左辺のカッコを展開して、偏微分に関係ない変数を偏微分記号より前に出して・・・」
シャープペンシルのカリカリという音が小気味よく響き、蘭世の頭の中は記号でいっぱいになる。
進学校の勉強についていくのはなかなか大変だ。
数学大嫌いな蘭世が物理を好きなわけはなく、とても苦労している。
ゆりえの教え方はとても上手で、蘭世はこの日公式の意味を確実に理解できた。
「続きは明日にしましょうか・・・土曜だから3限目が終わったらクラスに来てね」
キリのいいところで生徒会役員の生徒に呼ばれて立ち上がるゆりえ。
「ありがとう、ゆりえさん。すっごく判り易かった〜・・・」
感嘆まじりに蘭世が言うのを微笑で返すゆりえは、さらりと立ち去っていく。
蘭世は覚えた公式をぶつぶつと口の中で反芻しながらボクシング部の部室へ向かった。
「あれ・・・・?」
ロードワーク中なのか、部室の中は空っぽだった。
そこへ一番乗りの俊が息を弾ませて戻ってくる。
「あっ! 真壁くん」
「お前・・・何してたんだ?」
「えへへ・・・ゆりえさんに物理を教わってたの」
「もしかしておまえんトコも抜き打ちテストあったのか?」
「真壁くんのクラスもあったの〜?」
つまらない共通点だったが、やたら喜ぶ蘭世。
「オレもアレは合格点ギリギリだった」
「私は合格点ギリギリいかなかったの。追試よ〜。それでゆりえさんに教えてもらってたんだ。すっごく教え方が上手なの〜」
「ふ〜ん・・・・・・明日もやるのか?」
さり気無さを装いながら、密かに目をキラリと光らせて問う俊。
「うん! 明日は土曜だし部活もないからじっくり教わってくるんだ!」
蘭世は全然そんな事には気づかないで、今日覚えた公式の意味を話し出した。
俊は内心、明日の土曜はどこかへ2人で出かけようかと思っていたのだが
無邪気に公式の話をする蘭世にはとてもそんな誘いを切り出すことは出来なかった・・・。
心の中で
ちぇっ・・・とすねてみる。
そこへ日野とアロンが競うように部室へ戻り、その後はいつもの練習をこなして一日が終わった。
次の日・・・
あいた土曜の午後をスポーツジムで過ごすことにした俊は、日野にも声をかけた。
すると日野は
「わり〜・・・今日は江藤っつ〜先約があるんだ・・・」
と、にやついて見せる。
・・・なにぃ〜〜・・・
俊が心の中を読む間もなく、日野は背中を向けて立ち去っていく。
それは俊が何を想像したのかわかってて笑っているような背中だった。
俊はそれを呼び止められずにこぶしを握って見送る・・・・。
蘭世がゆりえのクラスを覗くと、ゆりえが神妙そうに近寄ってきた。
「蘭世さん・・・申し訳ないんだけど、理事長に呼ばれてしまったので今日は教えてあげられなくなったの」
本当に申し訳なさそうにするゆりえ。
「大丈夫よ〜・・・そんな・・こっちからお願いしたことなんだし謝らないで」
蘭世はあわてて手を振る。
「代わりに克を置いていくわ」
「へっ??」
「大丈夫!克、物理だけは得意なのよ。私がいつもじっくり教えているから」
「だけは余計だぜ・・・」
蘭世の後ろから声がして、振り返ると真後ろに日野が立っていた。
「じゃあ頼んだわね、克」
責任感の強いゆりえらしい処置だった。
「おおよ。オレ様のミラクルティーチングを見せてやるぜ」
「ゆりえさん、ありがとう」
教室を出て行くゆりえにお礼を言うと
「おいおい江藤、オレにもだろ〜?」
と日野が頭をポクポク叩く。
「あはっ。日野くんもありがと〜」
ゆりえのクラスの教室だったが、もう生徒もまばらだったしということで
2人はそのまま近くのイスに腰をおろして、早速ノートを開いた。
「えっと・・・どこまでやったんだ・・・?」
ゆりえの推薦だけあって、日野の教え方も淀みが無く
物理が得意というのはまんざらウソでもなかった。
蘭世は前日より更に公式が氷解していく。
それが面白くて、楽しくて、物理がキライじゃなくなっていった。
日野も教え出すととことん理解するまでつっこんでくるので、2人は信じられないほど没頭していた。
知らないうちに教室には日野と蘭世の二人だけになっていて、とても静かになっていく。
2人は全然気づかないまま。
高かった日は少しずつ落ちてきていて、夕焼けに変わろうとしてきていた。
突然教室の外からゆりえの声がした。
「あら・・・」
蘭世が顔を上げると、ゆりえが入ってきた。
「どう?進んでる?」
「ったりめ〜よ。これで追試の合格点取れなかったら人間じゃないぜ」
・・・・ギク・・・
蘭世は冷や汗・・・
「もう終わったのかしら?」
「ああ・・・充分だろ」
日野はやれやれといったカンジで立ち上がった。
「うん。日野くんありがとう」
「いいって事よ」
ゆりえはクスクスと笑い出した。
「・・・?・・・・」
「なんだよ、ゆりえ」
ゆりえは小声で2人に囁く。
「今、真壁くんが見に来てたのよ」
蘭世の顔は、ぱぁぁぁ〜っと輝き
克はその横ではじけたように笑い出した。
「あっはっは・・・あいつ・・・真に受けたのか・・・」
「克ったら・・・何を言ったの?」
ゆりえは眉をひそめてみせる。
「なんでもねぇよ。大したことは言ってない」
「どうだか・・・」
日野は呆れ顔をしてみせるゆりえから、蘭世に視線を移した。
「江藤・・・もう帰っていいぞ」
蘭世が外を気にしてうずうずしているのを察知して言ってやる。
「あっ・・・・うん!!日野くんもゆりえさんもありがとう!!」
「ええ・・・またね」
「気をつけて帰れよ」
「うん。バイバイ」
蘭世は子犬のように元気いっぱい走っていった。
それを見送る4つの目はとても暖かい。
蘭世の目が俊の姿を捉えたのは、校門を出てからだった。
後ろから急にぐいっと長い腕が首に巻きついてきて
「よぉ。お勉強は終わったのか?」
と俊の声がする。
見上げると俊の顔。
「真壁くん!・・・練習してたの?」
「あ・・・・ん・・まぁな」
ウソが苦手な俊のそんないい訳は、蘭世にしか通用しない。
2人はそこから並んで歩いた。
それを教室から見下ろす4つの目は、2つの影が見えなくなるまで見守る。
「克・・・あなた真壁くんに何を言ったの?」
「あ・・・?・・・ああ・・・今日の午後ジムに誘われたのを"江藤と先約がある"って思わせぶりに断ったんだ」
「ぷっ・・・だから気にして様子を見に来ていたのね・・・・」
「カワイイよな・・・ははっ」
「克ったらイジワルね」
「からかっただけだよ」
2人は小さく笑いあって教室を出て行った。
燃えるような太陽がそれぞれの影を長く引き伸ばして、空を赤く染め上げる夕刻。
明日も晴れると思わせるような美しい夕焼けだった。
おわり
リアルで読んだ〜〜〜〜〜〜
いいぞぉ〜〜〜〜
こんな日常本当にありそうでイイ!!
続きよろ。
いましたか、続きはわかんないけど
アホな話をも〜1つどうぞ。
神谷一家と真壁一家で海にきた。
「ねーねーお母さーん」
「どうしたの?卓」
「あのね、あのね、来て来てっ」
小さな手に人差し指だけ握られて、少しだけお腹の大きな蘭世はぐいぐいと連れて行かれる。
「なになに?」
それを横で見ていたやはり少しだけお腹の大きくなってる曜子もついていった。
3人はすぐソバの岸壁を見上げた。
岩の凹凸に引っかかっているピンク色はゴム。
・・・あれって・・・使用済みのコンドーム?
曜子はちょっとだけ体温が下がった。
「あれあれー!あれ何かなー・・・」
卓の指差す岩を見て、蘭世も首をかしげる。
「何かしらねぇ・・・風船かな??何か入ってるねー」
「お母さんもわかんない?」
「う〜ん・・・初めて見るね〜・・・わかんないな〜」
・・・・なっっっ
曜子は驚きのあまりマッハで振り返った。
「お父さんなら知ってるかな?」
「そうね〜。呼んでみたら?」
「うん!」
曜子はそこで走り出そうとする卓を制する。
「卓っっ!!!ルン達にエサあげよっか?」
「わぁーい!行く行くー!」
頭の中から見知らぬ異物は消し飛んではしゃぐ卓を間に挟み
3人は元のビーチへ戻った。
ホッとして歩いているのは曜子だけ。
何も考えてない蘭世。
卓は犬のことで頭がいっぱい。
犬と戯れる卓と蘭世を見ながら、夫:力の横に座った曜子は
すぐ前で砂地に寝そべっていた俊の頭をこづいた。
「・・・・なんだ?」
不機嫌そうに起きあがる俊に、曜子はグッサリと言ってやる。
「俊・・・あんた蘭世に避妊ぐらい教えなさいよ」
上半身を起そうと砂地に手をついた俊は、砂に手が埋もれて体勢を崩した。
カキ氷を食べようとしていた力は、ミルクが一番かかってる所を落とした。
2人ともその姿勢から動けないまま曜子をまじまじと見つめた
俊はその間に何があったのかを曜子の思考から読み取る。
瞬時に顔色が沸騰し、そのまま海に向かって走り飛び込んでしまった。
「逃げたわ」
少しだけいまいましそうにも見える曜子に力は
「何の事だ?」
と問いかけた。
なんだかちょっとジェラシーもあったりして。
「その岩陰にひっかかってた使用済みゴムを見たことがなかったのよ」
「はっ?」
「卓がゴムを見つけて何かって聞いたんだけど、蘭世は初めて見るから知らないって!」
「ウソついたんじゃないのか?」
「ウソついた顔じゃなかったわ!」
海を見ながら沖へ沖へと進む俊の後ろ頭を見た。
「・・・・・・・・・・・・・・」
「ま、そんなこともあるだろ。大したことじゃない」
神谷組の若い組長はあまり気にしない。
「まぁ・・・それもそうね」
妻もそれにつられる。
後ろで楽しそうに卓と蘭世は犬と戯れていた。
少し日差しの強くなってきた季節。
夏はすぐそこまで来ている。
早くこい。
IDが変わってた・・・
放課後もゴムもバカな話ですみません。
でも(ゴムは)ありえない話でもないんじゃないかと思って・・・
画面にお茶吹出しちゃうくらいワラタ
こーいうのも(・∀・)イイ!
ぎゃぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜
本日放浪中につき、はってたかいがあったわぁぁぁ〜〜〜
ありえる・・・てか俊そんなの使わないだろうよ・・・・。
曜子ならきっと言う!!!
いいぞもっと続きをプリーズ!!!!
おもしろかったっす!
個人的にはあまり長くなくて、エロが濃すぎず
笑いもあるととても好き。
また書いて下さい。
>見た事ないの?
すごーい面白かったです。曜子が特にいい味出してて。
こういう夫婦もの、ほのぼのしてていいですね〜!
この設定でシリーズにして欲しいです。
それにしてもこのころの卓ちゃん可愛くって好きです。
さなぎタソサイコー
ときめきイイ
さっきGタンのまとめサイト行こうと思ったら行方不明になっている…
どういうこった??また工事中か?
ウワーン・゚・(ノД`)・゚・Gタンカムバァ〜ック!!
トップは変わってないよ。
URLを削って(上の階層に)アクセスするといけるYO!
(〜.hp.infoseek.co.jp/)
∧ ∧
>>589たんと、
( ゚∀゚) <こんな深夜にケコーンしますた。。。(笑)
/ つ
ケコーンおめ(・∀・)人(・∀・)
しっかし、お昼ご飯食べ終わったあとで良かった。
飲んでたお茶吹いちゃったよw
面白いものをありがとうです。
>589タソ >Gタソ
あんたたち、絶対許さない!!
…不幸になんか、なったら!!
曜子さんのまねっこしてみました(w
ケコーンオメv
そして、誰も見ていないと思ってコソーリうpしてみたり。
母親と暮らしていた頃は一人で何かすることもあったから、周りの男に比べれば家事一
般には事欠かない。だが、生活にマメな方ではないから、自然、洗濯は1週間分くらい溜
め込んでしまうこともある。
男の一人暮らしなんざ、そんなモンである。
実際、制服のワイシャツも、だいぶ汚れていた。
「…洗濯するか」
目の前のそれとにらめっこしていた俊だったが、諦めたように重い腰を上げる。
バイトとジムが終り、疲労が残っている夜である。しかし、元々多くの服を持っていな
い分、洗濯しなければそろそろマズい。梅雨も近づく6月、夜に洗濯しても乾きは遅いの
はわかっているが。
どうせなら今着てるものも、と汗臭いTシャツを脱ぎ捨て、一緒に洗濯機に入れる。回
しながら明日、学校に着ていくワイシャツの替えを、どこにしまったか探し出す。
たいして入っていないタンスの引出しを開けたとき。
ふわり、と匂いが漂った。
自分のものではない、それでも、慣れた匂い。
一瞬、蘭世の顔が頭を過ぎる。
「……?」
不思議に思いながら、タンスの中の片隅に、キレイにアイロンされたそれを見つけた。
そして、またあの匂い。
「……?」
少し考えて、あぁ、と思い出した。
(江藤に、これ貸してやったやったんだっけ……)
それは、1週間ほど前の出来事。
「や〜ん、濡れちゃったよ〜〜」
突然振り出した6月の雨は、梅雨前のせいかまだ少し冷たかった。下校途中、傘も持た
ずに歩いていた二人は簡単に濡れてしまい、より学校に近い俊のアパートに逃げ込む。
パタン、と玄関のドアが閉じられると、雨の音が遠くなったように聞こえた。
「今朝の天気予報では、雨は降らないって言ってたのにね」
白い肌に濡れた黒髪を張り付かせ、蘭世は寒そうに笑った。
ずぶ濡れ、というほどではなかったが、簡単に乾くほどでもない。水を吸った制服は以
外に重く、じんわりと体温を奪っていく。
どうしたものか、と珍しく俊はうろたえた。
自分は着替えるからいいとして。
蘭世をこのまま放っておくわけにもいかない。かといって、女物の着替えなんか、自分
の部屋にあるはずもない。この雨では、バイトも休止になることだろうから、力を使って
彼女を家まで送り届けようかとも思ったが、その前に、この寒そうな顔をなんとかしてや
りたい。
「…真壁くん?」
不思議そうに顔を覗き込む蘭世にハッとして、とりあえず部屋に上がるように促す。
「…お邪魔しまーす……」
そのまま上がろうとした蘭世は、ふと靴下を脱ぎだした。
「江藤?」
「えへへ…靴下も濡れちゃってるから。床を汚しちゃいけないし…」
蘭世の白いつま先が、濡れた靴下からゆっくりと現れる。細い足首、ピンク色をした小
さな爪。仕草にドキリ、としながらそちらの方はなるべく見ないようにして。俊はタンス
からバスタオルとワイシャツを取り出した。
「…とりあえず、体拭いて、これ着てろ」
「あ…ごめんなさい、ありがとう」
奥の部屋に蘭世を通して、自分は狭い台所で制服を着替える。濡れたワイシャツはその
まま洗濯籠に放り込み、Tシャツとジーンズに着替えた。頭を軽くタオルで拭きながら、
コーヒーでも入れようかと、コンロで湯を沸かす。
「えっと、あの…真壁くん……」
か細い、困ったような声で俊を呼ぶ蘭世に、
「あぁ、着替えたか…。……!?」
部屋と台所を仕切る擦りガラス越しに、顔を出した蘭世の姿を見て驚いた。
身に付けているものは、自分のやったワイシャツ1枚、ただそれだけ。
上のボタンは最後まできっちり留めているが、それでも襟刳りからは浮いた鎖骨が見え、
反対に、白い艶かしい足が、大腿の半分から下、シャツの裾からはみ出している。
「おまっ…スカートはどーした!?」
「えっと…スカートも濡れちゃってて…。もし、何か下にはくものあったら……」
申し訳無さそうに、蘭世は俊に頼んだ。
靴下まで濡れているのだから、スカートだって相応に濡れているだろうことを、俊は失
念していた。おまけに、ジャンパースカートなのだから、上を脱いだら下も、ということ
になるのは、わかっているはずだったのに。それだけ動揺していたということか。
けれど、パジャマは洗濯して干してある最中だし、ジーンズなんてサイズが違いすぎる。
「あ、あの…短パンとかでもいいんだけど…」
「あ、あぁ、それならそっちのタンスに入ってるから、勝手に取り出して着てろ」
「でも…」
「いいから!勝手に合うようなもの探せ!」
これ以上、そんな蘭世の格好を見ていたら、自分の方がどうにかなってしまいそうだっ
た。辛うじて本能を理性でねじ伏せ、彼女に背中を向ける。
ガタガタと音がして、蘭世は目当てのものを見つけたようだった。ゴソゴソと言う音が
止むのを見計らって、俊はコーヒーカップにコーヒーを入れた。蘭世用には、砂糖とミル
クをたっぷり入れ、部屋に向かう。
また、心臓が鳴った。
テーブルの端に、申し訳無さそうにちょこん、と正座する蘭世。
短パンをはいたとは言え、自分の大きめのワイシャツからはその裾すら見えることはな
く。相変わらず、ワイシャツ1枚だけのままに見える。多分、彼女自身は意識していない
だろう白く伸びる大腿が、俊の本能を激しく揺さぶる。
「真壁くん?」
不思議そうな顔をする蘭世の頭から、取り出したそれを被せる。
「きゃ……」
突然視界が真っ暗になり、あたふたと慌てる蘭世にクスっと笑い、ようやく自身の理性
を取り戻す。
「それでも被っとけ。暖かいだろ?」
「あ、ありがとう……」
自分に纏わりつく柔らかい毛布からようやく顔を出した蘭世は、ニコリと笑うと、自ら
の体に暖かい布を巻きつけた。
「ほんと、あったかいねー!」
まるで、毛布に包まれることが初めてでもあるかのように、蘭世ははしゃぎだす。
「毛布って、なんだか暖かくて、気持ちいいよね!」
「そうかぁ?」
温もりの海に埋もれながら、まるで子供のような表情で笑う蘭世に、さすがにもう呆れ
るしかなくて。さっきまで感じていた自分の感情はなんだったのかと、自問自答したくな
る。
「私、小さい頃から雷が怖くて、いつも雷がなると、毛布の中に潜り込んでたんだー」
「ふーん」
確かに。江藤家に居候していた頃、そんなこともあった気がする。そんな蘭世をから
かって、『なんなら今夜、俺のところにくるか?』なんて言ってみたこともあるけれど。
今の自分には、それは冗談では済まない。
「毛布に包まったって、雷は雷だろ?」
「それはそうんなんだけどねー」
クスクス笑いながら、蘭世は俊が自分の為に淹れてくれたコーヒーに口をつける。
「なんだか、この暖かさが、私を守ってくれるような気がするの」
…いや、いくら雷から守ってくれそうとは言え、毛布もきっと毛布のままだぞ?と俊が
言おうとした途端。
カッと光が窓から射し込み、すぐさま鳴り渡った大音響。
ガラガラガッシャーン!!!
「きゃあぁぁぁぁぁぁ!!!!」
突然鳴った雷と、ふと消えた電気。
遠くで、ゴロゴロと雷鳴が続いている。
「…送電線にでも落ちたのか?」
曇り空の薄暗い闇の中、冷静に分析する俊と、毛布に頭まですっぽりと埋もり、ガタガ
タと震えている蘭世。
「江藤?大丈夫か?」
あまりに顕著な反応に、つい口元を歪めながら。
「う、うん。だいじょう…」
ぶ、の言葉がつく前に、再び鳴った大音響。
「ひゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
悲鳴が、その大音響に負けないくらい、俊の部屋に響き渡る。
「全然、大丈夫じゃねーじゃねぇか……」
呆れたような俊の声に、
「ふぇ〜ん、だってぇ……」
毛布の中で半分涙声になってる蘭世の肩を、ふわり、と重い感触が包む。
自分の体を優しく包んでくれる、毛布とは違う暖かい温もり。
「…これなら、いいか?」
勿論、闇に光を、毛布に視界は遮られていて、俊の顔など見えるはずもない。
だいたい、こんな赤くなってる顔を、彼女に見られるのは気恥ずかしい。
「…うふふ」
毛布の中からの小さな笑い声に、俊は?となる。
「雷は怖いけど…真壁くんの腕の中なら、安心する」
毛布より、何倍も、何十倍も、暖かい腕。
腕の中の蘭世は、目を閉じる。
「…真壁くんの、匂いがする」
身に纏っているワイシャツから。
柔らかい毛布から。
蘭世を暖かく包む、俊自身から。
優しい優しい、俊の温もり。
「ばーか」
そう言って、蘭世を抱きしめる俊の腕も強くなる。
埋めた蘭世の髪から感じる、優しい匂い。
自分の本能を刺激する、甘くて優しい香り。
雷鳴はいつの間にか遠ざかり、雨の中、二人だけがそこにいるような感覚。
「……江藤?」
静かになった腕の中を覗き込むと、そこには。
自分を守ってくれる温もりに安心して、眠ってしまった蘭世の無防備な顔。
「…寝てると、襲うぞコラ」
蘭世が眠っているからこそ言える、軽口。
優しく微笑むと、俊はその桜色の唇に、小さく口付けた。
思い出して、一人顔を赤くしながら、頭をガリガリ掻き毟る。
匂いは本能に直結する、なんてことを誰かが言ってた気がするが、事実のような気がす
る。蘭世の香りに反応してしまった、自分の雄の部分。
「…どーぶつかよ、俺は」
誰にともなく、独りごちた。
結局あの後、眠ってしまった蘭世に手出しできるはずもなく、一眠りした蘭世を力を
使って送り届けた。制服は濡れたままだったので、そのまま自分の服を貸してやったのだ
が、その白い足がちらちら俊の視界に入ってきて。目のやり場に困っている俊の一方で、
蘭世はにっこりと笑いながら、
「借りたもの、洗濯して返すね!」
事実、その翌々日には、ワイシャツはキレイに洗濯され、アイロンまでかけられて返っ
てきて、俊は深く考えずに自分のタンスの中に突っ込んでいたのだが。
(考えてみりゃ、自分ちで洗濯するんだよな…)
自分とは違う、洗濯洗剤の匂い。抱きしめた時に感じるその香りに、何度欲情したこと
か。その度に、自分の本能を押し込めることに必死になって。
しかし、自分の感覚はその匂いを覚えていて、こんなところで再び本能が鎌を擡げて
きている。
(…こんなこと、絶対あいつには言えないよなぁ……)
よくも悪くも、自分を刺激して止まない愛しい少女。
いつか、彼女の全てを手に入れたい。
彼女の温もりに、匂いに、優しさに包まれて眠りたい。
それまでは。
「…大事に、するから」
独りごちて、その台詞に赤面し。慌てて洗濯物を干しに行く。
蘭世の匂いのする優しいワイシャツを着込んでから。
その後1週間、蘭世の匂いに包まれた俊が、一人モンモンと本能と戦うハメになるのだが、
それはまた後日談。
おしまい。
エロくなくてすいません。
さて、冥界に飛び込んでサクッと逝ってきまつ…。
あ、その前に
Gタソのサイトで、もっとときエロの勉強をしてきまつ…。
いやぁぁぁん。
も、も、もちろん、その
悶々と本能と戦う俊くんを書いてもらえるんですよねぇ?
ねぇねぇねぇ?
いいなぁ・・・・自分が高校生のころを思い出してしまった・・・。
いいねぇ・・・
この初々しさがホント好きだよ。
匂いかいでほんわかしてるまきゃべくん萌え〜!
やさしい6月を書いた者でつ…。
すいません、うpミスありました…。
「真壁くん?」
の台詞の前に
このままでは、彼女を壊してしまいそうな気がして。
小さなテーブルにコーヒーカップを無造作に置くと、押入れから毛布を引っ張り出した。
を入れてくだちい…。
あぁ、いくら書きたくなったからと言って、こんな文章を垂れ流しするのは
やめておけばよかった…。だからこんなミスするんだ…。
>603タソ
ありがとうございます。
悶々と本能と戦う真壁くんも書いてみたいのですが、今の自分の文章力
じゃムリだと言うことが判明しております…。
でも、頑張って書いてみたいです…。
>604タソ
匂い嗅ぎついでに、つい一人Hをしてしまう真壁くん、というのもいれたかっ
たのでつが、本文の内容ではそこまで書いてしまうのはどうか、と判断して
やめました。後日談ででも書きたい…。
蘭世の匂いで一人エチー、そのうち書いてみたいでつ。
もう、もう、もう、神の登場を心から望んで、冥界に帰ります。
恥ずかしくて冥界の片隅で(((((゚д゚)))))ガクガクブルブルしてます…。
おまけに長文スマソ。
>>605やさしい6月作者たん
まとめサイトのほう、うpミス訂正しますた☆
『凶角だった冥王の指輪 そして冥界はその意味を失った
冥界は以前とは別のものになるであろう』
。。。ということで、冥界はないでつよヽ(´∀`)ノ
後日談=蘭世の匂いで一人エチー(?)禿しく期待してまつ!!!
陶然ひとりエチに逝くもんだとばかり思っていた漏れって、、、。
ごごごごごめん、漏れもだよ。。 一緒に逝こうか、607タン(w
>607>608
一人にしないで…(´・ω・`)ショボーン
いや・・是非私も・・・・。
そいじゃ漏れもぉ〜
>607->612
皆かよ!(w
漏れも連れてってくだちぃ。
614 :
605:03/06/03 00:35 ID:espj5y7C
なんだかレスが凄いことになってる気がしますが、
これって、真壁くんの一人エチーを書け!てことでは
ないでつよね…?皆さんネタですよね…?(((((゚д゚)))))ガクリキペルシャ
>Gタソ
訂正ありがとうございました。
ご迷惑をおかけしました…。
でも、うpされた自作の下の方に「NEXT」の文字を見た瞬間、
「やはり書けと…?」とか思ってしまったり(藁
そして、エロの書けない自分でつが、なけなしのエロ妄想を駆使して、
ガンガって書かせていただきたいと思います。
ただ、時間の都合上、今週末か来週末に仕上がる予定でつので、
記憶の片隅にだけ置いておいてもらえたら…。
スイマセンスイマセンスイマセンスイマセンコンナジブンデスイマセン.゚・(つД`゜)・゜.
冥界はもうないので、無の世界に行って修行しなおしてきます…。
スレの雰囲気嫁なくてスイマセン….゚・(つД`゜)・゜.
>でも、うpされた自作の下の方に「NEXT」の文字を見た瞬間、
>「やはり書けと…?」とか思ってしまったり(藁
|:::::::::: -==・- -==・- |
.|::::::::::::::::: \___/ | あ れ は ち ょ っ と し た
ヽ::::::::::::::::::: \/ 丿< お ま じ な い で つ よ 。 。 。
禿藁↑しまつた
617 :
608:03/06/03 19:15 ID:WLN8gywF
|| || || || || || ||
|| || || || || || ||
>607 >609 >610 >612 >613 >614 >608(漏れ)
∧||∧ ∧||∧ ∧||∧ ∧||∧ ∧||∧ ∧||∧ ∧||∧
>>614 嫌だなあ、ネタですよう。
( ⌒ ヽ ( ⌒ ヽ ( ⌒ ヽ ( ⌒ ヽ ( ⌒ ヽ ( ⌒ ヽ ( ^Д^) 言い出しっぺが責任持って皆さんと無理心中しました
∪ ノ ∪ ノ ∪ ノ ∪ ノ ∪ ノ ∪ ノ ( U U から、どうぞご安心を。……え? オナーニですか?
∪∪ ∪∪ ∪∪ ∪∪ ∪∪ ∪∪ . U U そりゃあれば大歓迎ですし、むしr
|| || || || || || ||
セイサイガ…… .|| || || || . ||
|| || || エロパロノ カミノ セイサイガ…… 《 ブチッ
∧||∧ ∧||∧ ∧||∧ ∧||∧ ∧||∧ ∧||∧ ゞ
( ⌒ ヽ ( ⌒ ヽ ( ⌒ ヽ ( ⌒ ヽ ( ⌒ ヽ ( ⌒ ヽ ||| | |
∪ ノ ∪ ノ ∪ ノ ∪ ノ ∪ ノ ∪ ノ ||| | | |
∪∪ ∪∪ ∪∪ ∪∪ ∪∪ ∪∪. ||| | | |
,.__∩》___
.| ,.:. '.;§, |; グチャ
.|_@δ,_|,..':. ;..
'∽." ☆.
618 :
608:03/06/03 19:20 ID:WLN8gywF
コピペミース。。
12行目の改行を脳内あぼーんおながいします
619 :
608:03/06/03 19:29 ID:WLN8gywF
よく見たら605タソまで吊らせてるじゃねえかよ。何やってんだ漏れ。
全力でりぼんに頭をぶつけて逝きます。失礼しました。
こんな昼間から訪問でつ。
一時期の閑散振りがウソのように盛り上がってるぅ。ウレスイ〜♪
モー×シーの続きがヨミタイ!!!
「花の伝える言葉」と「椎羅さんモエー!」でつ。
両方とも終わってない・・・(´・ω・`)ショボーン
うんうん
続き読みたいね
椎羅さんモエーの流れをブッたぎってすいません。
いい加減、厭きられるだろうなぁと思いつつ、後日談うpします。
曇天の空から零れた滴が、乾いたアスファルトを潤していく。
誰かが流した涙のように、始めはポツン、ポツンと地を濡らしていた雨が、すぐに本格
的になるまで時間は掛からなかった。
「マジかよ…」
不機嫌そうに呟くと、俊は制服が濡れるのを避けて急いで走り出した。健脚には自信が
あったが、梅雨の雨脚に適う訳もなく。アパートに戻る頃には、ワイシャツはすっかり湿
り気を帯びていた。
後ろ手でドアを閉め、ふぅと一息。
瞬間の香りに気付いたのと、心臓が鳴ったのは同時だった。
(またか……)
少し赤くなった顔と、少し緩む頬を片手で押さえる。
誰もいない部屋の中、そんな表情を見るものはいないのだと知りながら、それでも気恥
ずかしさでいっぱいになった。
この1週間で慣れたような、慣れないようなもどかしい匂い。
自分の着ているワイシャツからその香りがするのだと気付いたのは、ちょうど1週間前、
洗濯で替えを探していたときだった。
蘭世に貸してやった、自分のワイシャツ。返ってきたとき、それはもう、彼の愛しい想
い人の香りを染みつけていた。
優しくて甘い、それでいて、今の自分には切なくもどかしい香り。
最初は、彼女に包まれている感覚を味わい、奇妙な照れと幸せな気分に襲われた。
だが、その意識を徐々に侵食してきたのは、俊の雄の本能。
蘭世の肩に触れた時。その華奢な体を抱きしめた時。薄いピンクの唇に口付けた時。
優しい香りは、いつもそこにあった。
俊を包み、守ると同時に、その本能を刺激し、彼女の全てを欲しいと思わせる、匂い。
何気ない行動によって、自分の服にたゆたっている香りを感じるたび、それはすぐに
本能に直結した。
「大事にしたい」
その言葉に嘘偽りはない。だからこそ、その本能は来るべき時まで押さえつけておかな
くてはならない。だが、幾多の戦いや翻弄された運命に抗ってきた俊とて、(年はくって
いるが)立派な男子高校生。愛しい彼女を目の前に、そして、その香りに自らが包まれて
いる状態では、その強固な理性がいつまで持つかもわからなかった。
この1週間、
「一緒に帰ろう?」
と、無邪気な眼差しで自分を見つめる蘭世に、
「今日はバイトが早いから」とか
「ジムに呼ばれている」とか、
ヘタな言い訳を何度繰り返しただろう。
その度に
「そう……」
と寂しそうな顔をする彼女に、自分の不甲斐なさを呪ったが。
今は、蘭世を避けるより他、方法が見つからなかったのだ。
幸い、ワイシャツは着続けていることによって、元の自分の汗臭さを取り戻しかけてい
たが、水に濡れてしまった時などは、まるで「自分はここだ」と言わんばかりに、彼女の匂
いを主張し続けた。
今日など、授業中に居眠りした俊の夢についに現れたのは、あの日の白いワイシャツの
みを身に纏った姿の蘭世で。差し出されたその細い腕と、裾から伸びる白い大腿に夢うつ
つのまま欲情し、つい大声を上げて飛び起きた途端、クラスメートに驚きの視線をもって
迎えられたという、羞恥の気持ちも蘇ってくる。
(…くそ、俺ってやつぁ……)
ホンモノの、夢ではない現実の蘭世と会ってしまったら、自らの誓いも虚しく彼女を夢
のままに汚してしまいそうで。授業が終ると同時に、こっそりと学校を抜け出してきたが、
結局は、更に彼女に欲情してしまっている自分がいた。こんなに、自分は欲望の強い人間
だったのかと正直頭を抱えたくなるが、とりあえず、今目の前にある、自らの熱を吐き出
さないことには落ち着かない。
俊は、ゆっくりと制服のジッパーを下げた。
白いシーツの上に、白いワイシャツ1枚のまま横たわる蘭世と、彼女の匂い。
長くて黒い艶やかな髪の色と、それに対比するかのような彼女の肌。
見上げる彼女の頬はピンクのバラのように羞恥に染まり、大きな瞳からは今にも涙が
零れてきそうだ。ワイシャツの上からでもわかる、膨らみの上の立ち上がった突起に
指をかけると、彼女は小さく「あっ…」と呟いた。
…想像の中の声でしかないのに、右手の中にある俊のそれは、ドクンと音を立てて更に
硬度と質量を増す。脈打つその律動に合わせて、握った手でリズムを取りながら動かして
いく。その動きにシンクロする自分の肩辺りから、蘭世の匂いがした。
「真壁くぅん…」
か細く、助けを呼ぶような、懇願するような声を遮るように唇を重ねる。舌先で薄
い唇をこじ開け、先を侵入させた。自分の熱い舌で、彼女のやはり熱い口中を舐る。
蘭世の細い腕が自分の背中に回り、力強く抱きしめられた。
何もつけていない胸の膨らみが、俊の胸板に柔らかい感触を与える。その感覚に酔
いながら、彼女の舌を軽く噛んだ。熱に浮かされたような口付けに、飲み込めない唾
液が、蘭世の唇から零れ落ちる。
口付けを与えたまま、俊の左手は、相対する蘭世の乳房を服の上から弄る。爪で突
起を引っ掛けるたび、くぐもった蘭世の声と吐息が、塞がれた唇の隙間から漏れた。
肉を擦る熱い手のひら。先走りの液で粘着する水音。想像の中とは言え、無垢な彼女を
汚す罪悪感がないと言えば嘘になる。だが、現実の彼女を、自らの欲望から守るための一
番いい方法を、これしか知らないのだ。
そして、彼女を汚さないために、自分をコントロールする術も。
「う…」
親指で自分の先端を擦ると、知らず自分の声が漏れた。
柔らかい耳たぶに唇を這わすと、蘭世の背中がヒクンと反り返り、細い肩が震えた。
「ふ…ぅ…ん……あ…ふ………」
そのまま、唇は耳を十分に濡らし、片方の腕で丁寧にボタンを外していく。
目の前に露になっていく、穢れを知らない純な白い肌。
膨らみの頂点を飾る、二つのピンク色をした突起はキスだけで十分に隆起し、その
果実を摘み取ってくれる相手を求めて震えている。濡れた舌先を固く窄め、その先端
に触れると、吐息とも嬌声とも取れる声で蘭世は更に仰け反った。
正直、蘭世の肌の中は全て自分の妄想の産物で。彼女の裸体が、実際どんなものなのか、
俊は知るよしがない。だが、想像の中の彼女は淫らなまでに美しく、自分を魅了していく。
それに合わせるかのように、俊の右手も動きを早めていく。湿り気を帯びた制服のワイ
シャツから香る彼女の匂いも、本能を刺激する。高められていく。
吐く息が荒くなってくる。
空いている方の自分の腕を鼻に押し当てると、彼女の、花のような匂いがした。
「あっ、あぁっ…!!」
自分に組み敷かれ、貫かれ。頬を染めながら、蘭世は細い指を噛む。動くたびに上
がる嬌声。
赤く色づいていく、白い肌。
強くなる、甘い香り。
限界は、近い。
「くっ……!!」
側に置いてあったティッシュの箱から無造作に何枚かをを取り出し、先端に宛がう。ブ
ルッと体が震え、頭が真っ白になると、その欲望と同じ色をした液体が吐き出された。右
手で何度も扱き上げ、余すことなく本能の残滓を押し流す。ここ1週間、必死に耐えてい
たものを十分に吐き出し処理を終えると、俊は脱力した。後に残るのは、気だるさと、彼
女を汚してしまったような罪悪感。
そして、自分の汗に煽られた、彼女の匂い。
さすがにもう、弱々しく、儚げな香りしか残していなかったが。
それでも、彼女に包まれているような安心感を、俊に抱かせる。
彼女に育ててもらっていた幼い頃、寝る前に優しく頭を撫でてくれた時のような。思い
出しながら、そんな彼女に欲情する自分は、彼女に相応しくない人間なのかも知れないと
思う。
己の全てを投げ出して自分を守り、支えてくれた彼女に相応しい男に本当になれるのか。
保障は、どこにも無い。
けれど、いつか。
彼女の匂いに包まれて、眠ってもいいだろうか。
眠ることは許されるだろうか。
『おやすみなさい』
あの頃、優しく自分に囁いた彼女の声が聞こえたような気がして、俊は目を閉じる。
彼女の匂いと。
優しい笑顔を思い出しながら。
外は既に真っ暗で、シトシトという雨の音だけが聞こえる。
街灯からのあかりが、ぼんやりと部屋の中を照らしている。
目を覚ました俊は、むくりと起き上がり頭を掻いた。下半身に蟠る気だるさを能力で消
し、散らかっていた名残を、新しいティッシュで何重にも包んで捨てる。
「…洗濯するか」
未だ仄かに残る彼女の匂いが消えてしまうのは名残惜しい気もしたが、だからと言って
日増しに強くなる汗臭いそれを洗わない訳にもいかない。
脱いだワイシャツや下着を洗濯機にいれ、狭い風呂場でシャワーを浴びる。今まで自分
を包んでいた彼女の匂いがなくなり、少しだけ切ない気持ちになったが。そんなものに捕
らわれなくても、彼女は、いつも側にいてくれるのだ。
あの、自分を優しく、切なく、もどかしくさせる甘い匂いと共に。
少しさっぱりした気分になると、腹も減ってくる。
「…なんかあったっけ……」
なけりゃ、買出しに行くか。そう思いながら風呂から出て頭を拭いていると、カンカン
カンという聞き慣れた金属音が聞こえた。安アパートの階段を上る音。
その足音から察するに。
コンコン。
控えめに、ドアを叩く音。
(…やっぱり、そうか…)
「…真壁くん、いる?」
小声で、囁く音。
ドアを開けようとして、先ほどまでの自分の醜態を思い出す。
開けづらくなって、居留守を使おうかと思ったが、きっと窓の外から漏れる明かりを見
て在宅に気付いているだろう。ここ1週間の自分の蘭世に対する態度は、お世辞にもいい
とは言えなかった。自らの欲望から蘭世を守るためとは言え、そんなこと、口に出して言
えるはずもない。
ここで居留守を使ったら、蘭世はまた勝手に誤解して、泣き出してしまうだろう。
俊は、幾分緊張しながら、ドアを開けた。ひょこ、と顔を出す愛くるしい表情。
「あ…ごめんなさい、もしかして寝てた?」
「いや別に…風呂入ってた」
何気なさを装うとするが、一瞬だけドキリとした。部屋に漂う自分の欲望の欠片を、見
抜かれたかと思って。
「そう…。最近、疲れてたみたいだったから、大丈夫かなぁと思ったんだけど、思った
より元気みたい」
「別に…疲れてなんかないさ」
そう、別の意味で疲れてはいたが、本能を吐き出した今では、割りとすっきりしている。
「ならいいんだけど……」
心配そうな顔をする蘭世の頬に軽く拳を当てる。
「心配ねぇってば。そんな顔するな」
「うん…」
「それより、なんだ?こんな遅くに」
「あ!そうだった!!」
言われて持ってきた紙袋を差し出す。
「お弁当と…あとね、今日ケーキを焼いたの。あんまり甘くないように作ったから、真
壁くんも食べられるかなぁと思って…」
無邪気な笑顔で、紙袋を目の前に差し出す。
漂ってくるケーキのいい香りと、蘭世の優しい匂い。
「…真壁くん?」
「…いや」
思い出して赤くなる俊の顔を不思議そうな顔で見上げる蘭世。
「…サンキューな」
玄関先にも拘わらず、思わず抱きしめてしまった。
「まままま、真壁くんっ!?」
突然の事態に顔を真っ赤にしながら、それでも蘭世も、俊の背中に腕を回す。
頬に触れる、長い黒髪。自分の腕の中にすっぽりと収まってしまう華奢な肩。自分の惑
わせる甘い匂い。
その全てがいとおしい。
大切な、自分一人だけの大切なもの。
その瞬間だけは、欲望も本能も必要なかった。
ただ、愛しい彼女を抱きしめていられる幸せ。
この温もりを永遠に自分の物にするには、まだまだ時間がかかりそうだけれど。
彼女にも、自分にも誓った「いつか」を現実のものにするために、歩いていける。
彼女が、側にいてくれるなら。
6月の雨の音だけが、優しく降り続いていた。
以上でつた。
お叱りを受けること覚悟の上…。
引っ張ったワリにはつまらない話でスイマセン…。
回線切って(ry…
よかったっす…
これだけ大事に守ってきたんだから、ケコーン式の後は、さぞかし激し(殴
キ…(-_-)キ(_- )キ!(- )キッ!( )キタ(. ゚)キタ!(*゚∀)続きキタ━━━━━(*゚∀゚*)━━━━━!!!!
すばらすぃお話有難うございまつ
アァン萌え萌えだわ! ムッハ-!(*゚∀゚*)=з
635 :
名無しさん@ピンキー:03/06/08 02:31 ID:NlZli1cq
ま…真壁くんの一人エッチ!
鼻血ブ〜ですぅ〜。
真壁くんの一人エッチにとどまらず
蘭世との会話もあったのがすごく良かったですv
一人エッチの直後に、その本人と会うなんて…いや〜ん!
もしかして624〜632さまは男性ですか?
いえ、何となくそんな気がしたもので…。
シーラは上も下もわからないような空間を歩いていた。
踏み出す足はずぶずぶと沈んでいくようで、足元がひどく頼り無い。
もやもやと視界を遮る霧のような空気を切り分けて進むと、急に想いケ池の淵にたどり着いた。
池のほとりには、敷かれた黒いマントに横たわる2つの影。
それは衣類をまとわない愛しい人モーリと・・・・金髪の女は・・・自分に見えた。
「やだっ!!」
思わず叫んでしまう。
睦みあっていた2人はその声に気づき、こちらを振り返った。
その途端だんだんとまわりの景色が霞んでいく。
・・・いけない!!
シーラは身を翻して走り出し、空間の裂け目に向かって飛び降りた。
・・・が、着地に失敗して足をくじく。
ドターッ
「あいたぁ・・・・」
「シーラ・・・?」
振り返ると、棺桶で寝ていたはずのモーリが起き上がっていた。
「シーラ・・・今・・・・もしかして・・・・」
「えっ・・・と・・・・・」
「私の夢の中に入ったのか・・・?」
ズバリと言われてシーラは目をつぶった。
「ごめんなさい!!だって・・・あなたがなかなか目を覚まさないし、寝ながら私の名前を呼ぶから・・・・どんな夢見てるのかなって思って・・・それに起こせるものなら起したかったので・・・」
真っ赤になりながらしどろもどろに言い訳をする。
不純な夢を見られてしまったモーリのほうこそ赤くなってしまったが、もうじたばたしてもしょうがない。
「私は何日ぐらい寝ていたんだ?」
「2日です」
人間界へきてから今日で3回目の夜だった。
想いケ池に飛び込む時にモーリが想ったのは何度か訪れた人間界の中でモーリが一番気に入ったところだ。
シーラはひたすらモーリを想った。
2人が目を開けたときに目の前には暗い海と漁火が広がっていた。
見晴らしのいいところにある家を選び落ち着いてから、力を使い果たしたかのように倒れたモーリは
丸2日間昏々と眠りつづけた。
十字架の洗礼は想像以上にモーリの身体に堪えていたようだ。
シーラはその間献身的に介護に努め
モーリが目を覚ますのを不安を抱えながら今か今かと待っていた。
そんな時にモーリが自分の名前をうわ言で呼んだのだ。
「あなたが目を覚まさないんじゃないかと思いました」
瞳を潤ませてシーラはつぶやく。
伏せた睫毛からこぼれるしずくはすぅっと白い頬をつたい、モーリはそれを長い指で拭った。
「心配かけたね。もう大丈夫だ」
「本当?」
「ああ。頭が少しぼうっとするからシャワーでも浴びてくるよ」
「じゃあその間に軽く食事の用意をしますね」
「ありがとう。頼むよ」
しっかりした足取りでバスルームへ向かうモーリの背中を見送り、シーラは夕食の準備に取り掛かった。
軽い食事をすませたモーリはやっと落ち着いて、食後のコーヒーの香りを楽しみながら窓辺に広がる漁火を眺めていた。
洗い物を済ませたシーラが少しだけ足を引きずって寄り添うように隣へ立つ。
まだ水分が抜けきらない瑞々しい手を握り、モーリは噛み締めるように言った。
「本当に人間界へ来てしまったんだな」
「ええ」
「これから君には色々と苦労をかけると思うが、私の愛は永遠に変わらない」
「モーリ・・・」
「永い眠りにつくまでずっと私の妻でいて欲しい」
シーラはほんのりと頬を染め、目を閉じて頷いた。
「はい・・・」
「・・・・・・でも、もう夢の中は覗かないでくれよ?」
俯いていた頬はほんのりから真っ赤になった。
「すみません・・・・」
それから2人は顔を見合わせて笑い出す。
「それにしても・・・モーリ・・・あれは泳いだ後だったのかしら?」
ひとしきり笑ったシーラが目尻の涙を拭いながら言う。
「・・・・・・?・・・・・・」
「夢の中で何も着てなかったけど、何をしてらしたの?」
「・・・・・・!・・・・・・」
「何の夢だったの?」
モーリはもしかしてもしかしてもしかしてと、心の中がざわめいた。
シーラは多少悪びれた様子があるものの、何か大事な所が欠落したリアクションだ。
「シーラ・・・・君は吸血鬼の事を知らなかったね・・・?」
「え?・・・・ええ・・・」
「君の専攻分野は?」
「ええと、魔界史と魔界地理・哲学・政治、それから人間界のも含めて言語20種類ぐらい」
「つまり地理と歴史と政治・哲学?」
「ええ」
「生物学や異種族についてはなにも?」
「ほとんどなにも」
「子供はコウノトリが運んでくると思ってる?」
「そこまで子供じゃありません!母親のお腹が大きくなって産むんでしょ!」
「どうやったらお腹が大きくなるかは知ってる?」
「・・・・・・・・・・」
話しながらモーリの懸念は少しずつ確信へ変わっていく。
ごくまれに婚前交渉を嫌うがために一切の知識を与えない家庭があるとは聞いていたが、まさかシーラがそうだったとは・・・。
100年以上そんな封建的な教育が出来たことも奇跡だ。
シーラの両親はこの状態で嫁がせようとしていたのだろうか・・・・。
モーリは下らない事まで心配した。
「シーラは子供が欲しい?」
「ええ。すぐにでも」
「どうするつもりだった?」
「お腹が大きくなるのを待つ・・・かしら・・・」
「風船みたいに?」
「そう、プクーって・・・」
真面目な顔をして堪えるシーラがおかしくて、モーリはとうとう笑ってしまった。
「あっはっはっは。シーラ・・・・本気で言ってるんだね?」
「モーリ?何がおかしいの?」
シーラは少しムッとしている。
「ごめんごめん。シーラがあまりにも可愛いんで堪えられなかったよ」
「ちゃんと説明して下さい!」
怒ってみせるシーラの頭から、耳がぴょんと現れた。
モーリはそこから何も言わずに、シーラを抱き上げる。
「きゃっっ モーリ?何処へ行くの?」
「ベッドさ」
「下ろしてちょうだい!まだ話は終わってないわ」
怒った様子はまだ窺える。
「ちゃんと説明するよ。ベッドの上でね。」
モーリはにっこり笑うと歩みを速め、ベッドへたどりつく。
枕もとには一輪挿しに真っ赤なチューリップが挿してあった。
シーラを寝かせるようにベッドへ下ろし、その上にのしかかった。
「どうしてベッドの上なの?」
耳の引っ込んだシーラは、覆い被さってくるモーリに少しだけ戸惑う。
「すぐにわかるよ」
低い声でそう囁くと、モーリはシーラへくちびるを重ねた。
「んっ」
いつもの優しいキスとは違って、濃厚な感触にシーラは思わず声が漏れてしまう。
口内を優しくくすぐる舌と、モーリの熱い吐息に目眩がした。
いつも池のほとりで交わすキスはこんな風ではなかったのに・・・。
一瞬だけそんなことが脳裏をよぎりながら、だんだんとこのキスに没頭していった。
愛しいモーリと何の気兼ねもなく交わせるキスが嬉しかった。
そして腰が抜けそうな心地よさにうっとりした。
「シーラ・・・・愛してるよ」
唇を離したモーリは耳元で囁き、唇を首筋に押し付けた。
戦慄にも似た這い上がるような快感に、シーラは思わずまた声をあげてしまう。
「ああっ」
そしてそんな自分が恥ずかしかった。
戸惑うシーラを構わずに、モーリは首筋から耳へ丹念に舌を這わせた。
手は顔が逃げないように後ろから首を掴み、もう片方の手は胸の上に移動する。
シーラの身体が小刻みに反応を見せる。
今、一番愛しい人シーラが自分の腕の中で愛撫に反応していることがたまらなく嬉しかった。
モーリは嬉しくてつい吸い上げる唇に力が入ってしまう。
白いシーラのうなじには愛の印が点々と残されていった。
思わず牙を立ててしまいたくなるような美しい肌。
服越しでも胸の頂点が起き上がってきているのがわかる。
だんだんと頭に血が上ってきたモーリは、また熱い口付けを交わしながら
リボンとボタンを次々と外していき、シーラのまとっている衣類を次々と取っ払っていった。
「モ・・・モーリ・・・恥ずかしいわ」
途中まではされるがままだったが、やはり恥ずかしがったシーラは遮ってきた。
「明かりがなければいいかな?」
モーリは言いながらベッドから降り立ち、電気を全部消した。
窓の外に一列に並ぶ漁火が浮かび上がり、月光を浴びた赤いチューリップが紫に見えた。
真っ暗なベッドに手探りで戻ったモーリは、おびただしい熱を発する源へ手を伸ばした。
「シーラ、おいで」
「・・・・モーリ・・・怖いわ・・・何をする気?」
「ほらご覧。チューリップが紫色に見える」
「これは今朝お庭に咲いていた赤いチューリップよ。この色は月の光のせいね」
「紫のチューリップは"永遠の愛情"だ。プロポーズの意味もある」
「そうなの?赤は?」
「美しい瞳・愛の宣告・・・」
モーリは言いながらシーラの手を捕らえて引き寄せる。
「きゃっ」
「捕まえた」
「モーリ「しっ・・・・黙って・・・」
抵抗を見せようとするシーラの言葉を遮り、モーリはゆっくりと口付けた。
シーラは愛しいモーリにベッドへ押さえつけられ、衣類を1枚ずつ剥がされていくのをうっとりと感じていた。
夜気にさらされて下がるはずの体温が、どんどん上がっていく。
最後の一枚をするりと剥がされて、シーラは全裸になった。
月明かりがうっすらとその美しい裸体を映している。
モーリも手早く自分の衣服を脱ぎ捨て、シーラの上に重なった。
シーラの形のいい眉を長い指でなぞりながら愛の宣告を囁く。
「シーラ・・・愛している。このまま私に全てを委ねてくれるね?」
「ええモーリ、私も愛してるわ。あなたの好きにして下さい」
2人はまた深々と口付け合うと、今度こそ官能の渦に巻き込まれていった。
チューリップは漁火の手前でシルエットを浮かび上がらせ、二人を静かに見守る。
2人は途中で何度も何度もお互いの名前を呼び合い、堅く手を握り合う。
モーリの唇は魔法のように自分を熱くしていくのがわかり、胸の頂きを啄ばまれてしびれるような快楽を知り、同時に自分の中心から溢れてくる何かを感じた。
モーリの大きな手はだんだんそこへ近づいていく。
温かい指が茂みを越えて、浅い谷間の入り口にたどり着く。
モーリは入り口には立ちはだかる小さな岩を、手始めに指先で転がした。
「んっ」
途端にシーラの身体が跳ね上がる。
長い指はその反応を逃がさないように、何度も何度も嬲った。
優しくくすぐるように愛情を込めて何度も何度も・・・
それに堪えるかのようにシーラは小刻みに身体を震わせて反応を見せる。
「シーラ・・・声を我慢しないで聞かせて」
モーリは低い声で囁く。
それを合図にシーラは自分の中で耐えていたものを解放し
モーリの勢いを増す指戯に我を忘れ、少しずつはしたない声を上げ始めた。
「ああっ・・・・あっ・・・・ん」
その声に後押しされるように長い指は少しずつ亀裂に沈み始め、モーリは潤う泉の深さに驚いた。
「シーラ・・・すごく濡れている」
「やだ・・・恥ずかしいわ。私どうしちゃったの・・・」
ああ・・・そうだ・・・
シーラはまだ自分の身体がどうなっているのかわかっていない。
・・・そう・・・私達はこれからなんだ。
そう思うと更にシーラが愛おしくなった。
まだ何色にも染まっていない真っ白な身体。
自分が初めてつける印だという事実を、これほど嬉しく思った事はない。
「シーラの身体が私を受け入れてもいいって」
「受け入れる?」
「うん。多少痛いかもしれない」
多少ではないかもしれないが・・・
「痛いの?」
シーラは少し引く。
「多分最初は。でも子供はこうしないと出来ない」
「ええっ??」
甘いムードをぶち壊すような素っ頓狂な声をあげるシーラ。
「本当だよ」
シーラはしばしためらうように俯いた後、きっと顔を上げる。
「わかりました、モーリ。覚悟は出来たわ」
勇ましげに引き締める口元とは裏腹に、シーラの身体は小刻みに震えている。
・・・おどしてしまったかな・・・
「シーラ、体の力を抜いてて。いいね?」
「はい」
モーリはお互いの指を絡めながらゆっくりと口付け、そのままシーラをベッドへ倒した。
そしてシーラの足をゆっくりと割り、少しずつ自分を押し出していく。
「モーリっ」
おびえた声。
「大丈夫だシーラ」
シーラの手を力強く握りながら優しく唇を重ね、モーリは大きく息を吐きながらゆっくりと泉への侵入を始めた。
645 :
350:03/06/08 21:27 ID:HzZbZh+f
久し振りに来てまたこんな長いの書いてスマソ。
うpしてて「また長くなりそうだ・・・」と思いまつた。
練り直してくるので今日はこれで終りまつ。
続きキタ━*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(゚∀゚)゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*━!!!!!
お腹がプクー!!な椎羅さんに激藁!!も〜かわいすぎぃ〜(*´д`)アハン
さらに続きをおながいしまつ。
首を洗って…もとい、なが〜くしてお待ちしておりまつ。
>「風船みたいに?」
>「そう、プクーって・・・」
思わずお茶吹きだして激藁しますた。
続きをお待ちしております!!
あぁ!!椎羅さんかわいいー!!
過去の扉に入ったとき、
「あら?お客様?」と帰ってきた椎羅ママを思い出しながら
萌えました…。続き楽しみにしてます!!
>633-636さま
ありがとうございます。喜んでいただけて幸いです…。
ケコーン式の後より、プロポーズしたあとから激s(#゚Д゚)=○)゚Д)、;'.・
ところで>636さま。
当方、正真正銘の♀でございます…
ど、どこか男臭かったですかー!?
乙女道精進のため、魔界の家でヒッキーになってきます…
あ、でもあの家は女人禁制なのか。
624〜632さま
そ・そうでしたか…<女性
ごめんなさいっ!
とてもしっかりした文章でしたし、一人エッチの描写も詳細だったので、
そう感じたのかもしれません…。
逝ってきます…(>_<)
650 :
名無しさん@ピンキー:03/06/10 02:37 ID:v32Mw9vZ
ときめきトゥナイト大好きだったから…
キャラのイメージを損なわないで書いてくれるのうれしーっす☆
早くモーリさんとシーラさんの続きを…。
っていうか、あげないで
神降臨マンセー
WELCOME BACK !
林檎タンはもう戻って来ないのかしら…。
林檎タン戻ってきてほしいぃな・・・。
林檎さんの続きが
気になっているの・・・。
林檎タンも気になるけど、
新婚タンの夜伽話とか、
蝶タンの続きも気になるの…。
ネ申々の降臨もきぼんぬ。
神々の降臨を切に願ってます。
神よ降りてこ〜〜い!!
\\ 降臨キボンヌ! //
∩_
[|__] )、
( | ´∀`)_ (( ), ボオオー
| ̄|つ ̄| |つ♀`
| ノ | |_ノ. 人
|ー――|
/___|
(__)_)
ある夏の暑い日・・・
公園を並んで歩いていた蘭世と俊の眼前に露店があった。
「あっっ!!真壁くん!アイス売ってる!」
というが早いか、黒い髪をなびかせて蘭世は走っていく。
そして両手に1本ずつアイスキャンディーと呼ぶにふさわしい
シンプルな棒アイスを持ってニコニコと戻ってきた。
「ハイ。一本あげる」
「サンキュ」
うだるような暑さから少しだけ解放される気分を味わいながらアイスをかじり
フト傍らの蘭世を見やると、短い舌を伸ばして一生懸命舐めている。
咥えたり舐めあげたりして、かじろうとしない。
その口の動きに目をやり、思わずアイスを落としそうになった。
・・・やべー・・・
違う角度の目で見てはいけないとわかりつつも、目が離れない。
蘭世はアイスが溶けてくるのを一生懸命舐めていて、俊の視線に気づかない。
歩く二人とすれ違った子供が不思議そうに俊の股間を眺めていた。
俊はその視線に気づかない。
暑くて脳みそがとろけそうな夏到来。
660 :
350:03/06/12 23:31 ID:jN/P7m7b
神が降りてこないし、自分は忙しいし
ついベタでアホな王子を書いてしまった・・
ごめんなすい
オモロイ!!
蘭世と俊の目線が同じ?と思いながら
読んで、噴出しました!!
お忙しい中、ありがd
爆笑しました!
真壁くんの頭の中、もう一年中エロいことで一杯って感じがする(w
やっぱり350タン最高vv
盛り上がってるとこスマソ・・・。
股間を子供に不思議そうに眺められる真壁くんは
ちょっと萎え・・・(´・ω・`)。
350タソのお話はどれも好きなのですが下品なのはつらい。
水差してほんとスマソ・・・!!
こんなこと言ってるけど次回も楽しみにして松・・・。
私は真壁くんよりも蘭世に(;´Д`)ハァハァしまつた。
なんだか、ホワンと想像したら、あまりにもかわいすぎ。
350タソの書く女の子群は一様に萌えまつ。
…こんなかわいい女の子が書けるようになりたいなー。
いや〜〜〜いい。
なんか間抜けで。
年頃の男の子って感じ。
では、続編をソフトクリームかソーセージでぜひ。
666 :
名無しさん@ピンキー:03/06/14 22:43 ID:iYjQ5VKx
「うみ〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ」
浮かれてるな、江藤。
江藤の家族に巻き込まれて海へきた。夏の家族旅行。
「なぁに、江藤さん、その、み、ず、ぎ、おこちゃまね」
神谷まで、なぜいる…。
「真壁くんはこれがいいって言ったんだもんっ」
言ってない、言ってない。無理矢理連れていかれて意見を聞かれたから
『勝手にしろ』と言っただけだ。
ま、ひとめに晒されるビキニよりはいい。
神谷のまわりには組のものがパラソルをたて、お嬢様のくつろぎスペースを作っていた。
「うんしょ。うんしょ」
江藤も自分の敷地を決め、パラソルをたてようとしている。
江藤の最初から男に頼ろうとしない所が、いいとおもう。
「かしてみろ」
力一杯砂にブッ刺した。
江藤の家族が横1列にならんでこっちを見ている。
「さすが俊くん」
「おにいちゃんすごいや〜」
「ぱちぱちぱち」
見ているなら、手伝って下さい…。本当にここの一家は…。
江藤は波うち際で波と遊んでいた。
不安な気持ちが俺を支配して江藤の所まで走る。
「江藤、遠くへ行くな」
「ん。あんまり得意じゃないしね、泳ぐの」
江藤が海のあわと消える夢、見たのはそんなに前じゃない。
いやな気分で、まだ覚えている。あり得ない事に不安になっている俺。
何度やっても波にじゃまされるのに、ムキになって穴をほる江藤。何をやっているんだか…。
その手をつかんだ。
「ま、真壁くんっ」
すぐ赤くなるんだな。それとも日焼けか?
「わたし、どこにも行かないよ? ずっと、真壁くんのそばにいる。真壁くんがヤだって言っても」
こいつは時々、とても鋭い。いつもは鈍くてとろくて守ってやりたい感じなのに。
「じゃあ、テレポートで逃げるかな」
「え? やだよ」
あっと言う間に江藤の目に涙が溢れて、海に消えた。
やだと言いながら涙を拭いた。
「あ〜痛い〜」
塩水で濡れた手で擦ったから。バカだな、冗談だろ。
「そんな手で擦るな」
俺はその目にキスした。まだ痛いか?
「ちょっと〜蘭世、俊から離れろ〜〜」
神谷、うるせーぞ。
以前、同じタイトル(似たタイトル?)で書いたものがあるはずで(汗)
まっきゃべくんの妄想っつーか、そう言うやつでした。
蝶は通し番号で保存しているので(タイトルかけや)
ちょっと失敗しちゃったな、な感じ。スマソ。
蝶タソキタ Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒(。A。)!!!
>「じゃあ、テレポートで逃げるかな」
この台詞がいいでつ!
何気なく、神谷さんに突っ込み入れるところもv
てか、江藤家=ボケ、真壁くん=突っ込みが禿藁。
滑らかな曲線を描く身体を余すことなく、口付け、味わい、見えないところにねらいを定めて、あとを残していく。
消える前には会おうというかなわない約束のように。
「・・ふ・・・・ん・・・・く・・あ・・・ああ・・・」
「・・・・ゆりえ・・・・・・・」
「・・・・・す・・・ぐるぅ・・・・ああ・・・わたし・・・・も・・・」
「・・・お・・・れも・・・・・」
一つに交わったまま、激しく互いを貪りあう。少しでも近くに、次に会うこともままならない。すぐるはいつかこの関係が終るのを恐れているのをゆりえは気がついていた。
―身分違い―
その唯一にして最大の関門。
二人を快感の大きな波が襲う。何度か翻弄され、最後に二人とも果てた。
・・・もう、時間がない・・・・・
らんぜが城に上がる日が近づいてきていた。そうなってしまえば自分の身分が完全に彼女にわかってしまう。そこで会ったら彼女はどう思うだろうか?
だましていたとののしられるだろうか?
立場違いと引いてしまうだろうか?
今、ようやく互いが少しずつ近寄ってきていたというのに。
しゅんはもう一歩進めたいと思っていたのだが。
約束は明日の夕刻。しゅんは揺れていた。もうりの言葉にも、自分自身の想いにも。
「失礼します。あろん皇子がお見えです。」
「ああ、どうぞ。」
扉が開けられ、あろんが入ってくる。
「どうした?」
「しゅん、来月の話どうなっている?」
「・・・あれ・・か、あれなぁ・・・・」
「父上と母上が心配しているよ。どうする気かって。」
「探りに来たのか?」
「心配してんだよ。これでも。お前は自分の中におしこめてしまうから。」
「・・・さんきゅ、だが・・・・」
・・・・これは俺の問題だな・・・・・・
「おまえこそ、どうなんだよ?奥さんにどう言ったんだ?」
「まぁ、それは内緒だよ。」
兄弟は互いに笑った。
翌日、しゅんは午後遅くに俊は城を抜け出そうと準備していた。らんぜとの約束があるからだ。
「俊さま――――――!!!!!!」
絶叫とともにようこがしゅんの部屋に飛び込んできた。
「な・・な・・・な・・・・」
驚きのあまり言葉も出ないしゅん。そのしゅんに抱きつこうとするようこをかろうじてよけるとしゅんは
「なんの用ですか?!!」
「あらん、今夜は食事会だってお聞きして、ぜひ私を一緒に連れて行ってくださいましとおよびにまいった次第ですのよ。」
「しょ・・・・くじ・・・かい?」
「そうですわ。だって皆様女性を伴っていかれると聞きましたわ。ですから、しゅん様?ぜひ私をお連れくださいませ。一人で出られてはいけないでしょう?」
そういいながらじりじりとしゅんににじり寄ってくるようこに
「・・・私は招かれていないので・・・誰か!ようこ殿をお連れしてくれ。」
「しゅん様〜〜〜〜〜」
叫びながら連れて行かれるようこにため息をつきながらしゅんは慌てて城を抜けだした。
らんぜとの約束まであと少しである。
らんぜはひさしぶりの休みを緊張とともに迎えていた。来週にはお城に上がらなくてはならない。城下で過ごせるのは後わずかである。それに今日は夕刻しゅんと会うことになっているのだ。
・・・・でも、しゅん様・・・どうしたんだろう・・・・
ここのところ瞳が翳りがちなのが気にかかる。
「らんぜ―!!ちょっといらっしゃい。」
しいらの声がかかる。あの声の調子ではあんまりいい話ではない、が遅れればそれだけうるさいのでらんぜは慌てて居間に行く。
「なぁに?」
「さ、今日は貴女の道具を用意しに出かけるわよ。支度してらっしゃい。」
「どこまで?」
「着るものも持っていくものもいるでしょう?ほら早く。」
「ええ〜今日は予定が・・・」
「何言っているの。もうすぐお城に上がるのよ。準備が足りないくらいだわ。」
「でもぉ・・・。」
「ら・ん・ぜ!」
「は・・は〜い・・・・」
・・・どうしよう・・・・・
らんぜは戸惑いながら仕方なく、しいらに連れられていった。
―半日後
ようやくしいらに開放されたのは夕刻間近であった。しいらが荷解きをしている間にそっと家を抜け出し、らんぜは約束の場所へといそいだ。
・・・・しゅん様もう、いらしているかしら?・・・・
思わず小走りになる、鼓動が高鳴る。
・・・私・・・どうして・・・・・
あと少しというところ、らんぜはとすんと人の背中にぶつかる。
「きゃ、すいません・・・」
「い・・や・・・こちら・・・らんぜさん・・・」
「しゅん様・・・・・」
互いに顔を見合わせ真っ赤になる。言葉もなく、ただ、うつむくばかり。
「・・・い・・・いきますか?そこの茶屋まで。」
「ええ・・・・・」
・・・・なんだってんだ、これは・・・・
・・・・・・どうしよう・・・・どうしよう・・・・
二人とも、こういったことには慣れていないようで、微妙な距離を保ちながら歩いていた。「あら、らんぜさん?」
茶屋でゆりえが買い物をしていた。
「父に頼まれましたの。ここの重菓子はおもてなしによいからって。ってあら、そちらは・・・・・」
「・・・・・・」
・・・・ああ・・・すぐるの・・・・
・・・しゅん皇子ね・・・・・
互いの思惑など知る由もなく、二人は会釈だけ交わす。
「今日はねお客人が来るって私に来させたのよ。お客人ってたぶん私のお見合いのお相手だとは思うのだけどね。まったくねぇ、何度言われても婚儀なんかしないって言っているのに、父もあきらめが悪くて。」
「ゆりえさん・・・・・」
「そんな顔しないで。それは私が決めたことなんだから。じゃ、あんまり遅くなると父が心配するから。」
ゆりえはそういうとしゅん皇子に意味ありげな視線を送り、帰っていった。
「しゅん様?ゆりえさんとお知りあいなの?」
「・・・いや・・・」
・・・・すぐるのやろうは、しってんのかな?・・・・
ゆりえが家老の娘で、昔は城に来ていたのを覚えている。さほど会ったわけではなかったが他のものとは違う目でいた事だけはおぼろげに記憶にあった。
そして、隠密の話からすぐるとの事を聞いていた。彼女の芯の強さを見た気がした。
・・・まぁ、いいさ。あの二人なら大丈夫だろう・・・・
すぐるは見守っていくつもりらしいことはなんとなく分かっていた。そしてゆりえもそれを受け入れているようだった。本来ならば公にも認められたいだろうが。
675 :
新婚作者:03/06/15 14:59 ID:diOp53of
あとすこしはのちほどに・・・・。
どうも負荷がかかってこれ以上書き込めないです。
すいません〜〜ん。
>>新婚作者さま
ぐはぁっ!!キキキキキタ━━━━━(*゚∀゚*)━━━━━!!!!
ご無沙汰しておりまつた。久々克×ゆりえでハァハァ(´Д`;)
しかし、やはり早く主役二人のニャンニャン(w が見たいでつ…
>>676 メール欄にワロタ(w
「しゅん様?」
「あ、ああ、座らないか?どれにする?」
「え、あ・・あの・・・・それに・・・」
しゅんは注文を済ますとらんぜの横に腰掛ける。
「らんぜさん、もう・・・まもなくですね。」
「・・・ええ・・・・母がもう大変ですわ、今日もいろいろと見に連れて行かれたんですよ。でも、私なんか・・・」
・・・・あがっても仕方がないのに・・・・・
「イイのはあった?」
「・・・そうですね・・・」
伏目がちにらんぜが答える。茶が運ばれてくる。
「どうぞ。」
「ええ・・・おいしいですわね、ここの。ゆりえさんが買いに来るのわかるわ。」
「そう?」
らんぜは言葉を探し、そして選びながら話をした。
「そういえば、神谷さんのお嬢さん、もうお城に上がられているそうで、あちらのお話だと神谷堂は今後安泰だ。とか・・・」
「そんなことはない!」
少しだけ強い口調でしゅんは否定する。
・・・そんな・・・こと・・・言われてんのか・・・まったく・・・・
「しゅん様?」
「いや、うわさ話だけだろう、その話。」
「父が聞いたところによると神谷堂さんがお話されているそうですよ。娘は昔から皇子様方を知っているから、すぐに声がかかったとか・・・」
しゅんは心の中で頭を抱えた。
・・・・あれは声がかかったとは言わない・・・・
このままではどんなように風潮されるかわかったものではない。
「らんぜ・・・さんはそのお話信じているので?」
小さく笑うとらんぜは
「私には・・・わかりません。第一、皇子様とお会いしたこともないんですもの。でも、そのほうが私は・・・・」
ふっとしゅんの方へ目を向ける。俊の眼と合うと真っ赤になって目を伏せてしまう。
・・・・・すぐにお城から戻って来れて・・・しゅん様とまた・・・・・
「私は?」
しゅんはその先を促す。
「・・・・・言わせないでください・・・・」
消え入りそうな声でそう言い、俊の袂を掴む。一瞬考え、しゅんも真っ赤になってそっぽをむく。
「・・・で・・・出ましょうか?」
「はい・・・」
お茶もそこそこに二人は連れ立って川べりを散歩する。
・・・・・言ってしまおうか?・・・・
・・・・やめておこうか・・・・・
俊は少しだけ考え込んだ顔をしていた。
「しゅん様?」
らんぜが下から覗き込む。その瞳、しゅんを信頼しきった、一寸の曇りもない瞳。
「らんぜ・・・さん・・・」
しゅんはらんぜの肩を抱く。人目がないのを確認すると抱き寄せた。
「・・あ・・・あの・・・しゅん・・・様・・・」
「俺を・・・信じて・・・くれ・・・・」
そういうのが精一杯、腕の中のらんぜをいとおしく、抱きしめるだけ。
頷いたのが分かるとしゅんはさらに力をこめる。
しばし、そうして二人は互いのぬくもりを伝え合った。心臓の鼓動が互いの耳に心地よく響く、とくん、とくんと。それが思いを伝える言葉。二人だけが分かる秘密の合図。
「もう、来週だったか?」
「そうです。」
夕日はあっという間に山に隠れ、夜のさきがけが見られるころ、らんぜを送りながらしゅんは話し掛ける。
「でも、きっとすぐに家に戻りますわ。私・・・・・」
・・・・私はあなたが・・・・・
「らんぜさん、また、来ますから。」
「・・ええ・・・・・」
頬を染め、しゅんのその言葉をうれしそうに受け取るらんぜ。
「約束です。」
しゅんはらんぜの手の中に何かを握らせると、照れくさそうに
「家で・・・見てくれ。」
そう言って、丁度江藤屋の角で走って去っていった。らんぜからはその顔は見えなかったが実は真っ赤になっていたことは知らない。
らんぜはその包みを握り締め、しゅんを見送った。
「らんぜや。」
「お・・お父さん、なぁに?」
「しいらがおかんむりだ。私と一緒に来るがいい。」
「え・・あ・・・うん。」
さっきまでの気持ちが嘘のように、らんぜは父の後をついて行く。案の定、母しいらの怒りにより小一時間ほどお説教をもらうと、部屋に逃げ込んだ。
・・・そういえば・・・・
らんぜは先ほどしゅんにもらった包みを開けてみる。
「わぁ・・・・」
そこにはきれいな飾りのついた髪飾りと、お守りが入っていた。
「きれ・・い・・・・」
らんぜは知らなかった。それがどういうものかを。
「これ、お城に行くとき持っていってもいいわよね。きっと。」
らんぜはそれを大事なものの入っている袋に入れた。そしてお守りを自分の胸にかける。
・・・肌身離さず持ってよう・・・・
らんぜはそのまま眠りについた。
681 :
新婚作者:03/06/15 19:48 ID:diOp53of
よかった書き込めた。
では今日はここまでにしておきます。
上手く進めないよぅ。どうしよう本気で長すぎる。
キッッキタ━━━(゚∀゚)━━━キタ━━(゚∀゚)━━━キタ━━(゚∀゚)━━━キタ━━(゚∀゚)━━━キタ━━(゚∀゚)
長いなんて気にしないで下さい。
連載のように続いてくれてホント嬉しいです。
そしてお守り・・・どういうものなんでしょう・・・ワクワク
わーい、夜伽の続きキタ────────(゚∀゚)────────ッ!!!!
毎回続きが楽しみですよぅ!!
ダークな話ともまた違った内容…。
良い子にして続き待って松。
684 :
名無しさん@ピンキー:03/06/16 10:02 ID:zJhoNgNg
昨日この前スレ発見したんだ〜
まだ続いてたんだね〜このスレ。
うれしい〜っ!!しかも7まで。
>684
おかえり。ガンガン続いてるよ!
686 :
名無しさん:03/06/16 23:24 ID:Sh9KmHs4
夜伽話ウゼェ
age荒らしは放置ってことで。
んじゃ短いSS1発。
俺の住む、安普請のアパート。
それに似合わない、目の前に山盛りにある、さくらんぼの山。
「どうしたの?これ?」
ただでさえ大きい目を更に丸くする江藤に、俺は答える。
「あぁ…………神谷から貰った」
江藤の眉がピク、と動いた気がするが。それでも、その魅惑的な赤い色からは逃れられ
なかったらしい。
「…食べて、いい?」
「あぁ」
途端に、江藤の顔がパァッとなる。
わかりやすいヤツだ。
「凄いねー、こんなにたくさん」
「親父さんと、さくらんぼ狩りにいったらしいな」
今日のジムのことを思い出す。
両手にさくらんぼの山を抱えた神谷は、妙に機嫌がよかった。
「あ!しゅ〜ん〜〜v昨日さくらんぼ狩りに遠出したのよ〜〜v」
俺の前に差し出される、小さくて赤い果実。
「俊の為にたくさんとってきたの〜〜v食べて〜〜」
「あ、あぁ…」
言われて仕方なく、二つぶ三つぶ食ってみる。赤い果実は、俺の口の中で甘く酸っぱく
弾けた。後には、茎と種が残る。
「サンキュー、神谷」
「いやん、いいのよー、そんなこと!俊の為にとってきたんだからー!」
奇妙に体をくねらす。お前は水族館のアシカか?
「あ、お土産の分もあるの。持って帰ってねぇ」
「うん…」
甘いものなら、江藤も好きそうだしな。俺の代わりに喜んで食いそうだ。
ありがたく受け取った俺に、神谷が耳打ちする。
「ねぇ、俊。知ってる…?」
「真壁くん?」
江藤の声にハッとする。
不思議そうな顔で、俺を覗き込む。その手にあるのは、赤く熟れたさくらんぼ。
「…おまえ、口の中で茎を結べるか?」
「え?何それ!!」
江藤は途端に乗ってくる。
俺は食ったばかりのさくらんぼの茎を、自分の口の中に放り込んだ。
しばらくもごもごさせたあと、舌の上に、結んである枝を出す。
「できるか?」
負けず嫌いの江藤は、なんだか興味を持ってきたらしい。
食い終えたさくらんぼの茎を自分の口の中に入れ、しばらくもぐもぐやっていた。
そのまま、あっちを見たりこっちをみたり。
大きい瞳がくるくる回る顔をみながら、俺は内心、にやにや笑っている。
「……できた!!」
得意満面の笑顔で、江藤は小さな下の上にさくらんぼの茎を差した。
確かにそれは、綺麗に結ばれている。
「できたよー!!…でも、これがどうかしたの?」
江藤が不思議そうな顔をする。
俺はニヤニヤ笑いながら、江藤に言った。
「…これができるヤツは、キスがうまいんだってよ」
…江藤の頭の中がボン、と破裂したのがすぐわかる。
「わわわわわわたし、そんなのうまくないモン!!」
江藤の顔が、さくらんぼより真っ赤に染まる。
まぁ、俺の顔も真っ赤なんだけどな。
真実を確かめるべく、俺は江藤の唇に自分のそれを寄せた。
そんな季節ってことで。
夜伽を待ってる人はたくさんいますよーv
ゆっくりでもいいでつので、
お待ちしてます!!
>さくらんぼの季節
カワイイ!なんか微笑んでしまいましたよ。
さくらんぼの茎を結べる人はキスがうまいんだー、知らなかったー!
>夜伽
オイラも楽しみにしてる一人です。新婚タン、続き待ってますよ〜〜!
そうそう、いやなら無理して読まないでいいんだよ。
私も夜伽は苦手だから読んでないもん。
でも新婚タンの話はエロくて(・∀・)イイ!!好き♥
表現が古くさい350タンの話は、ツッコミどころあるから好き♥
蝶タン、甘くって(・∀・)イイ!!好き♥
>693
ここの職人さん達は、それぞれ違った味があるよね。
1スレで沢山美味しい。
私も苦手なシリーズは、NGワード設定とかで消してるよ。
「自分には合わない」と思ったらローカルで対処。これ最強。
前レス失敗。
書くほうも読むほうも好き好きで取捨択一していけばいいのではないかと思う。
どのみち書く方は基本的には書きたいのという欲望だし、
読むほうはただ、楽しんでもらえばいいと思う。
好みの問題よね。
作者が十人十色なら読者の好みも十人十色。
でもだからといって、わざわざ特定の作品を名指しして
嫌いとか苦手とか読んでないとか書く必要はないと思う。
好みに合わないものは黙ってスルー。
苦手と言うときはせめて
作品が特定できないようにする配慮は必要じゃないか?
「萌 え に 貴 賤 な し」
不特定多数の人間が集まる場所なんだから
お互いに気持ちよく過ごしたいよね。
作家さんってマンセー意見だけじゃなくて
そういう意見も聞きたくない?
漏れだったら聞きたいけど・・・
時々マンセー感想ばかりだと「これでいいのか?」と
自問自答になるときあるよ。
で、辛口感想に落ち込むぐらいなら2chに向いてないと。
>697 じゃわからんようにいおう
漏れも読んでいない作品がある。せっかく投下してくれてるのに・・・
その作家さん、スマソ。
わたしはいろんな意見が聞きたい方です。
あんまりにも「去れ」だけな意見だとさすがに凹みますが。
こんな感じのが読みたいとか、
そう言うのは名無しでの作品に投影できるとおもいます。
実際リクエストで書いたものがありますし、
蝶シリーズに関しては同じ色で通して最後まで1話完結続き物として
呼んでもらいたいのでそれがわかるようにコテみたいになってます。
作品の質をあげていきたいとは
どの作家さんもおもっているんではないでしょうか。
イメージを固定されたくないので名無しで書いているので、
(蝶より名無しの方が多いはず)
意見をくれって言っても難しいとはおもいますが。
辛口意見が必要というのも分かるけど、
「ウザい」の一言で済ますような意見は、
なんの肥やしにもならないと思う。
批判する側にも節度が必要。
それに作家さん方がいなくなったら、
このスレの存在意義は全くないわけで、
ある程度差作家さんが書き込みやすい環境作ろうとするのは
別に悪くないんじゃないかな。
自分はロム専でたまに感想を付けているのですが…。
このスレだから小説読んでるけど、
普段は小説をあまり読まないのもあるのか、
こうした方がいいああした方がいいってのは、
正直言ってよく分からないんです。
どうしても、いいなと思った時に「良かったです」って付けるしかできず…。
へたれで申し訳ないな、といつも思っています。
うーん、じゃぁこの機会に率直な意見を書きます。
夜伽はときめきのパラレルストーリーだけど
あまりにも”ときめき”とはかけ離れてしまった感が
しています。新婚タンの話が好きなだけに残念。
蝶タンのは、逆に短い中にギュッとその世界が凝縮
されていて好きです。
また会議みたいな雰囲気になっちゃいましたね・・・
最近「マンセー」「マンセー」な感想ばっかで
ちょっと気持ち悪い気がしてひいてたんだけど、
みなしゃんオトナ…(*´∀`*)
なんか嬉しいです。
確かに批判はあってもいいけど、「ウザ」とかの中傷は別ですよね。
ましてやage荒しなんぞは(ry
>>700>>703 あのage厨は、たまたま上がってたスレに外野が書いたんだと思うよ。
あんなの気にしてたらもの書きはつとまらん。キニスルナ。
殆どROMで、ここにも久々に来たが、どの話も楽しんでまつ。
夜伽は自分は読んでないでつ。
原作のイメージとどんどんかけ離れていってしまったし、あまりにも長過ぎて途中でリタイア。
いつか完結したら読むかもだけどね。
大長編はなかなか先が見えなくてテンション下がっちゃうんだよね、
長くても2〜3晩くらいでアップし終わるくらいの方が自分的に嬉しい。
短くても原作の雰囲気がいっぱい詰めこまれた話が私は大好きでつ。
706 :
新婚作者:03/06/18 20:34 ID:i5p3xy4j
なんだか・・・・・会議室みたいになってしまってすみません。
夜伽ですが自分の中でも葛藤があるのはたしかなんですよねぇ・・・。
書いてみたいとはじめて最後は出来ているけどそこまでの
過程に苦しんでいるというか・・・・。
マンセーだけがいいと思っているわけではないので
辛口でも意見いただけるのはありがたいと思っている次第です。
確かに一言で片付けられてしまうのは哀しいですが。
ちょっと考えてみます。
短編の方はいくつかストックしてるのでそのうち
出てくると思います。
では・・・・。
私も夜伽は"私の持ってる"イメージと違うから読み飛ばしてるけど
読み飛ばすのもイヤだ、って人が多いなら(ないとは思うけどさ)
Gたんとこにいきなり載せてもらえば?
プレゼントっぽくもなるじゃんw
長いから読み飛ばしてるってわけじゃないので誤解しないでね。
やっぱり、名前を挙げて批判するのはどうかと…。
人数が多い分ほんと好みだって色々だろうし
その話が好きでない人もいれば好きな人もいるのは当然だよー。
きつい意見が続いたら、もう続き書かなくなる人とかも出ると思うし
そうなると読みたい人にとっては悲しいよね。
苦手な話はスルーすればいいだけのことだと思う。
全員が正直にあれは嫌これは嫌と書き込みはじめたら
そのうち誰もいなくなってしまった…なんてことにならんかと
心配してしまう。
漏れはどの人も味があって好きだな〜
その中でも一番は新婚タンだけどw
皆が皆同じ色だったら、その方がやだなぁ
作家さん一人一人に個性っていうものはあるもん。
やはり、苦手な作品はスルーするのが一番だよ。
漫画雑誌買って読まないのを飛ばすのと一緒。
漏れは夜伽たんの続きはすごく気になる…
ここまで読んでその後が読めなくなる方が悲しい。
そういう人もいるってことわかってよ。
>710
上の批判は「読みたくない」という意思表示のためにされたんじゃない事、
書き手が意見を望んでいる事は分かってる?
苦手な作品はスルー
ツボ作品にはマンセー意見
そしてレスはマンセー意見のみのパレード・・・
またこうやって討論してると、作家さんが書き込みづらいので
終了ということでよろしいでつか?
うぉ、IDの最後が8P(´Д`;)
おいらはこういう話も大事だと思うですが、
もし、これ以上書き込むのはためらってしまう、、、
でももうちょっと話したいという方がいれば、
まとめサイトのBBS利用してもらって構わないですよ。
まじめデザインじゃないのが、かなり申し訳ないのですが。。。
意味のある討論なら自分もいいと思うけど、やっぱり萌えだけを
楽しみたい人もいるわけだし、
>>712みたいのも沸いてきちゃうから、
別のところに移動できるのなら、その方がいいと思いまつ…
718 :
350:03/06/19 23:19 ID:xUQgkJya
話の流れが読めない350は>663タンを始め
アホ王子に幻滅してしまった人たちにお詫びがてらいきなり投下させて頂きまつ。
ちょっとエロ付
家の中にミッキーマウスマーチが流れる。
・・・電話だ。
・・・なんでこんなメロディなんだ。
食事を終えたばかりの俊は小さく舌打ちをしてかったるそうに立ち上がり
大股で近づいて受話器を取った。
「はい」
「もしもし?真壁くん?○○です。ごめんね夜分に。実は・・・・」
かくかくしかじか。
俊はだまって最後まで聞くと
「どこにいる?」
と聞く。
場所を告げる言葉だけ聞くと、受話器を置いてジャケットを羽織り外へ出た。
・・・・・しょうがねぇな・・・・
チラリと蘭世の顔が脳裏をよぎる。
今日は高校3年生の時のクラス会に行っている。
俊とはクラスが違うので、1人で・・・・
息を弾ませてたどり着いた所は、赤提灯をぶらさげた小さな居酒屋だった。
引き戸を開けると、一番手前の座敷に蘭世が赤い顔でテーブルにうつ伏していた。
借り切ったようで、店内は見知った顔がたくさんいた。
女ばかりだ。
「あっ。真壁くん・・・・」
「こいつどれぐらい飲んだんだ?」
「実は・・・・・」
蘭世の隣で指を差されるいくかの空きビン・・・
・・・ウィスキーか・・・
「まさかこれこいつ1人で飲んだのか?」
「ううん・・・・でも結構のみっぷりがよくて、どんどん飲ませちゃったらこうなったの」
当たり前だろ・・・・こいつは酒強くないんだ・・・
言っても仕方のない言葉を飲み込みながら、俊は蘭世に近づいてゆすってみる。
「おい、帰るぞ」
ぐんにゃりと揺られるままの蘭世は
「んん〜〜」
と目をこすりながら起き上がる。
が座っているのに上半身が安定していない。
「ごめんね・・・とても連れて帰れそうになくて・・・」
何人かの見たことある顔がすまなそうに言う。
「いいさ。飲んだこいつがいけないんだ。じゃあお先」
密かな羨望を背中に浴びながら蘭世を抱えるようにして出る。
結婚したとはいえ、俊の密かな人気は衰えていないらしい。
勿論俊はそんな事知っていながら全くと言っていい程興味を示さない。
蘭世の足が足の機能を果たしていなく、まっすぐ歩いていないのを見て
仕方なく人通りの少ない道に差し掛かってからおんぶする。
家について蘭世をソファに横たわらせ、水を飲ませてやると
蘭世は息もつかずに飲み干した。
しばらく大量の水を飲ませて、体内のアルコールを薄めさせる。
俊はなかなかに面倒見がいい。
真っ赤だった蘭世の顔は、桜色にまで落ち着きを見せてきた。
眠そうに目をこする蘭世を見て言う。
「お前・・・1人でシャワー浴びれるか?」
「・・・・うん・・・・」
蘭世はよろっと立ち上がってバスルームへ向かうが、その歩き方は放っておけない頼り無さ。
普段多量のアルコールはあまり自発的に摂らない蘭世がこんな風に酔った顔を見せるのは久し振りだ。
・・・・・なんでこんなに飲んだんだ・・・・・?
なんとなく勘ぐってしまうが、あまり深く考えずに蘭世を追いかけた。
俊が後ろからついて来ている事に気づかないのか気にもしないのか
蘭世は気だるそうに服を脱ぎ捨てていった。
その危なっかしい動作に、なぜか目を奪われてしまう。
倒れないか様子を見ているつもりだったのだが、気づかぬうちに目的の方向が変わりつつあった。
髪を結い上げてバスルームにさっさと入ってしまった蘭世の後を追い、俊も衣類を脱ぎ捨てて入った。
心配半分欲情半分だ。
「熱いシャワーはダメだぞ」
後ろからいきなり話し掛けても、いつものように驚いた様子は見せず
トロンとした目で振り替える蘭世。
手にしていたシャワーを取り上げ、体を洗ってやる。
黙々と体に泡を滑らせる俊にされるがままだった蘭世は、小さな声でつぶやく様に言った。
「ねぇ・・・・・」
「なんだ?」
「・・・・・・・・・・・・私って色気ない?」
「・・・・・?・・・・・・・・・どういう意味だ?」
「フェロモンぷんぷんとかじゃ・・・ないよね」
・・・・・・何を言ってるんだ?コイツは・・・・・
考えを読もうにも背中を向けた蘭世の思考はアルコールにかき乱されて
取り留めなく内容が変わり、読んでも意味が判らない。
「充分だろ」
泡を洗い流してやりながらぶっきらぼうに答える。
それから洗い終わるまで無言を貫き通した蘭世は先に上がり
俊は自分を手早く洗い流すと、蘭世を追ってベッドへ向かった。
蘭世は既に羽毛布団からうねった黒髪だけ覗かせて横になっていた。
・・・・・・寝ちまったか・・・
ちょっとがっかりしながら電気を消してベッドへ滑り込むと、蘭世の細い腕が巻き付いてきた。
「起きてたのか?」
返事の代わりに唇が重なってくる。
熱い唇から漏れる吐息は僅かにアルコールの香りを漂わせ、俊の理性をも酔わせようとしてくる。
積極的に舌を絡ませてくる蘭世をきつく抱き締めて初めて気づいたが、蘭世は何も身にまとっていなかった。
さっきまでバスルームで裸体を目にしていたはずなのに、急にそそり立つ。
剥き出しの白いすべすべな背中に手を這わせ、息をつく間もない程長々とお互いを味わい、つつき合い、絡み合うが
いつもより貪欲に求めてくる蘭世に少々押され気味な俊・・・・・・
何かに駆り立てられるように求めてくる蘭世は、うっすらと目を開け視線を絡ませる。
普段キスをする時には目を開けないのに・・・
キスしているときに目を開けられると、妙に緊張してしまう。
それに今日のコイツは何を考えているのかわからない上に、妙にあせっている。
何がコイツをこんなに駆り立てているのだろう・・・・
キスはどんどん激しさを増していき、オレを映す黒い瞳は妖艶な光を放っている。
ほんの少し脳裏をよぎった疑問は消し飛んで、コイツの勢いに触発されてオレも熱くなってきた。
オレに乗っかるようにキスをねだり、何度も何度も啄ばみ舌を絡ませながら
意図的に股間へ押し付けてくる足。
オレを挑発してきている。
コイツがこんな風に挑発してきたことは今までない。
いつもいつも受動的で、オレの色に大人しく染まっていったのに・・・・
唇を重ねたまま、オレの手が胸をまさぐろうとするのを遮って手首を掴んでベッドに押し付けてくる。
こんな細い手に押さえつけられたところで何の枷にもなりゃしないが
あまりにも一生懸命体重をかけて手を封じてくるので、望むままに押さえつけられてやった。
すると、気を良くしたのか唇が離れてオレの首筋を舐めてきた。
ぞわ〜〜
これを気持ちいいと思うかどうかは、シチュエーションによって違いそうな感触だったが
今の状況なら充分快楽の範疇にあった。
こいつはこれでメロメロになるのにな・・・
感度の度合いと男と女の身体の違いだろうか・・・・
それでもいつもしていることを自分がされて、少しだけ変な気分になる。
黒い髪がパラリと胸を隠すのがなんともいい眺めだった。
唇はオレの耳を嬲り、首筋を舐めあげながら少しずつ下がっていった。
小さく自己主張するオレの乳首を啄ばむ唇は、ものすごい熱さだ。
抑えてくる手の力が弛んだのをきっかけに、オレは細い身体を引き込んで体勢を交代し馬乗りになる。
これ以上主導権を渡しておくことは我慢できない。
上から見下ろして初めて自分の気がおさまる。小さな満足。
思いっきり首筋に吸い付いて痕をつけ、胸を両手で揉みあげた。
「はぁん・・・」
切なそうな声をあげながらそらした首には、赤い印がはっきりとついた。また小さな満足。
それでも反撃を試みてくる細い手はオレの股間でいきり立つものをぐっと握ってくる。
どうしたんだ・・・コイツは・・・
なんでこんなに積極的なんだ・・・
細い指を動かしながら、オレはリズミカルにしごきあげられる。
くっ・・・・・
負けてらんねぇ
勝ち負けの問題ではないが、おされ気味なのは確かだ。
オレは負けじと向きを反転させて、ひっそりと頼り無い下半身に顔をうずめた。
膝を閉じようとするのを無理やり開いて、いきなり亀裂の先端に実る小さな蕾に舌を伸ばした。
途端に細いからだが跳ね上がる。
「ああっ」
じわじわと舌を押し付けてじれったく動かすと、それにあわせているかのように身体は反応してくる。
この反応のよさにいつもの事ながらついついエスカレートしてしまう。
だんだんと舌の動きを早くしながら指をゆっくりと泉に埋めようとすると
「だっっだめぇっっ!!」
と突然拒否される。
なんだなんだ。
そんな可愛く拒否されたらもっとしたくなるだろーが。
オレは指を止めない。
「やぁぁぁぁん!だめだめだめぇ〜!」
何がダメなんだか。
指2本を立てて猛烈に突きまわし、悲鳴を聞きながら太ももにかじりついた。
この感触がたまらなくて最近ついついかじりついてしまう。また小さな満足。
そうこうしている間に、細い身体はみるみるうちに昇り詰めていき
ぐいぐいと指を締め付けて、絶頂まで行き着いたことを知らせてくれる。
女ってのは一回イクだけでは終わらないから得だよな。
しばらく余韻を味わっているかのような痙攣を見守り
汗だくの細い身体にはりつく黒い髪をとってやってると、突然思い出したようにオレは押し倒された。
なんだなんだ。
オレはまたがって自分から挿入を誘導してくる自分の妻の行動を見ている自分の眼が信じられなかった。
マジかよ。
オレの楔は熱い膣内へと誘われ、伝わる熱に触発されてイッキに熱くなる。
そして動き出す腰。
「あ・・・んっ」
自分から動いているくせに感じているのか・・・
自慰行為を見ているかのような背徳感を少しだけ味わいつつ、
長い髪を振り乱したわわに揺れる白い胸の動きに見惚れた。
オレはこの一連の行動を訝ってみたものの、その思考は本能に全部吸い取られてしまう。
自分から動き出す細い腰を掴み、下から猛烈に突き上げた。
余計なことをあれこれ考えるのはやめだ。
この素晴らしく熟れた果実を味わらずしてどうする。
体位を変え、勢いを変え、嬲って噛んで突き上げまくった。
オレが昇りつめる頃にはもう意識がなくなってぐったりしていた身体だったが
それでも結合部は締め付けてきていた。
そして熱い白濁を吐き出す。
荒い息が収まるのを待っている間につい、うとうとと睡魔に引きずり込まれてしまい・・・・・
目が覚めたら朝だった。
一瞬寝ただけのような気分だったが・・・。
隣では朝日を浴びて白く光る妻の裸体。
昨日の直後そのままの体勢だ。
おい・・
「蘭世・・・」
おそるおそる頬を少し叩いてみる。
「あ・・・・」
眩しそうに目を開け、黒い瞳が朦朧とオレを捕らえた。
「酔いは?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・きゃーーーーーー!!」
問いかけの意味が頭に浸透するまでのしばしの間をおいてから
白い顔は茹でたエビのように真っ赤になり、悲鳴をあげて枕に顔を突っ込んだ。
自分が何をしたのか一応覚えているようだな。
オレは昨日の疑問を思い出して口にする。
「お前昨日何があったんだ?」
「・・・・・・・・・・・・」
枕に顔を埋めたまま首を振って答えないが、はっきりとした思考から全てわかってしまう。
同窓会で旧友達に冷やかされついでに言われたセリフ。
「いいよねー蘭世は。かっこいい旦那がいてサー」
「ねー。真壁くんて子供っぽいのが好きなのかなー」
「だねー。蘭世って可愛いけど色気とか皆無だよね」
「蘭世、ちゃんと真壁くん満足させてるー?」
「マグロっぽいよねー」
「あはは!言えてるー!」
「蘭世、マグロの意味わかってるー?」
酒が入ると女同士でもそんなエゲツねー話すんのか・・・
回想にビックリしながらも、何であんなに積極的だったのかが理解できる。
マグロの意味を聞かされて酒をあおりだし、オレに迎えに来てもらったって訳か。
そんなこと気にしてたのか。
バカ。
枕を取り上げると、思ったとおり泣いていた。
「お前そんなこと気にすんだな」
(そんなことないもん)
しばらく枕を取りあってじゃれあう。
そして本気で枕を取り返そうと伸ばしてきた細い手をいきなり捕まえた。
「気にするこたーねーんだよ」
一言いって押し倒した。
これでいいんだよ。
わかってねーな。
朝から元気なオレ発動。
容量が470kbぐらいなので、
大きいモノうぷする人は気をつけてやって下さい。
業務連絡スマソ
729 :
誘導:03/06/20 09:27 ID:lQ+lqo9c
【>3の本文】
■お約束詳細
・sage推奨→メール欄に半角文字で「sage」を入れる。
・無用な議論を避けるため、萌えないカップリング話であっても
それを批判するなどの妄想意欲に水を差す発言は控えましょう。
また荒らしは徹底無視をお願いします。
・苦手な方もいるので、激しい性的内容を含むものはその旨タイトルに明記を。
あとは常識的マナーの範囲で、萌え話・作品発表・雑談などご自由に。
・カップリングは基本的に原作通りをキボン。
■作品掲載について
・原作者及び出版元とは一切関係ありません。
・連載の場合は巻頭に通しナンバーを書き、「?○○」という形で前作への
リンクを貼ってもらえると助かります。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
以上です。改変や追加等のご指摘をおながいします。
350タンありがとうー!!ビバー!!(錯乱)
やな感想つけてほんとごめんなさいでしたよぅ…(⊃AT)。
イイトシして結婚もしてるのに、いまだに初恋のまきゃべくんに夢抱いてる
おばはんを許して…。
朝っぱらから会社でプリントアウトして、書類読んでる振りして
たんのーしますた。
〉体位を変え、勢いを変え、嬲って噛んで突き上げまくった。
に激萌え。ハゲシソウデイイ!!
〉朝から元気なオレ発動。
に禿笑。
さらに朝起きて照れまくるかわいい蘭世に勃ちそうですた。
タツモノツイテナイケドネ!!(`A´)/
734 :
663:03/06/20 09:58 ID:76zd/VBl
上のID:76zd/VBlは663でつ。
すんまそ…。
話ぶったぎってすいません。
>732の下から2行目に訂正です。
○・連載の場合は巻頭に通しナンバーを書き、「?○○」という形で前作への
×・連載の場合は巻頭に通しナンバーを書き、「>○○」という形で前作への
>>735 訂正なのに×なんですか?
ってどーでも良いですね。スマソ
避難所でテンプレを書き直し中です。
次スレを立ててみようかとお考えの方がいらっしゃいましたら、しばしお待ち下さい。
おお、何やらバタバタしているみたいでつね。
こんな時こそ流れを無視してマイペースで感想を書かせて頂きまつ。
頑張る新妻/頑張る新妻の夫、良かったでつ。
読み終わるまで、脳内でミッキーマウスマーチが流れっぱなしでした。
> 気づかぬうちに目的の方向が変わりつつあった。
> 髪を結い上げてバスルームにさっさと入ってしまった蘭世の後を追い、俊も衣類を脱ぎ捨てて入った。
>・・・・・・寝ちまったか・・・
自分350タンの、こういうちょっと情けない俊の大ファンであります。
> さっきまでバスルームで裸体を目にしていたはずなのに、急にそそり立つ。
「はずなのに」の後すぐに「急にそそり立つ」がくるのは、ちょっと急な気もしますたが、
> これ以上主導権を渡しておくことは我慢できない。
> 上から見下ろして初めて自分の気がおさまる。
この転換の早さは上手すぎ!と思いますた。
> ぞわ〜〜
350タンがよく使うこういう擬音も好きでつ。
> オレはまたがって自分から挿入を誘導してくる自分の妻の行動を見ている自分の眼が信じられなかった。
この一文、「自分」という言葉が多すぎる気がしまつた。
素人がエラそうにすみません。次回作も楽しみに待ってます。
神々の合間にコソーリ投下させていただきます。|∀・;)
「さよなら」
いつもの優しい微笑みに、ほんの少し悲しみを混ぜて江藤が言った。
やわらかい風に髪をなぶらせて背を向ける。
おれは何の言葉も出せず、ただ彼女を見送った…。
胸が苦しくて苦しくて苦しくて、目が覚めた。
「なんつー夢…」それでも独り暮しのアパートの布団の中、体が強張って動けなかった。
そのとき
『キキーッ!!』『ドンッ!!』
外で大きな音がした。明らかに自動車事故の音だ。
「さよなら」
さっきの夢が瞬時に甦り、ぎくりとして飛び起きる。虫の知らせだとでも?まさか。
頭の片隅で、自分がガラにも無く冷静さを欠いていることと、その原因が先程の夢だということが判っていながらも、ばくばくと心臓が早鐘を打ち出す。
寝間着のまま上着だけをひっかけ、外に出た。
事故現場はやはりアパートのすぐ外のようだが、通勤、通学時間だけあって、すでに事故現場の中心が見えないほど人だかりが出来ていた。
「女の子みたいよ。長い髪がちょっと見えるじゃない?」
「意識無いの?早く救急車来ないとねぇ…」
人ごみの一番外側で、ゴミ出しに出てきた主婦らが話している。
頭に血が上った。
江藤江藤江藤江藤江藤江藤…。
「さよなら」
…うそだろ?
野次馬を殴り飛ばしてでもその中心へ駆けつけようと一歩踏み出したときだった。
「俊!!」
腕をつかんできた人物がいた。
「神谷…」
「ばかっ!そんなカオしてっ!何考えてんの、いるわよここに!」
あえて誰が、とも言わず神谷が体をずらす。彼女の後ろに江藤がいた。
長い髪がふわりと風に舞う。
「おはよう真壁くん。私たちと同じぐらいの年のコみたいよ。大丈夫かしらね…」
おれの真っ青な顔色の原因に気付かない江藤は被害者の心配をしている。
気付いてしまっている神谷は、安心したおれが江藤に抱きついてしまわないようにか?
さっきつかんだおれの腕をそのまま離そうとしなかった。
「パジャマのまま野次馬に出てくるなんて、珍しい…」
おまえかと思って心配したんだ、なんて口が裂けても言えるもんか。
ただ顔に血を昇らせるおれを見て、神谷はようやく手を離した。
「どーせ布団も敷きっぱなしで出てきてるんでしょう。別の目的に使わないように
さっさと畳んで着替えて来なさいよ」
神谷が小声で言った。大部分あきらめ、でもほんの少し嫉妬をにじませた声色。
なんだかんだ言っても、幼馴染だけあって面倒見いいよなコイツ…。
苦笑して神谷の頭にぽんぽんと手を置く。
「内緒話…?」
江藤がうらやましそうにおれを見上げる。
「うらやましいでしょ蘭世。ふん、気が済んだわ。じゃっまた後でね俊!」
江藤は、学校に行く仕度をするためにアパートへ戻るおれのあとからついて、
部屋へあがった。
その日はそのまま、結局学校へは行かなかった。
悪い夢を忘れるため、別の良い夢を見たのだ。
もちろん二人で。
すんまそん…「1」のほう改行設定失敗でした…。
Σ(´A`;≡;´A`)アワワ
ゴメンナサイゴメンナサイ…
曜子のセリフが良い〜!!
この理解ある曜子と真壁くんの会話オトナで萌えた〜
土曜の昼から来てヨカッタ・・・
初投稿です…
お目汚しかもしれませんが、SSを一つ。
746 :
かおり:03/06/21 13:54 ID:umEiBbKW
はしゃぎながら前を歩く蘭世から、ふんわりと優しい風が届いた。
いつもの洗髪剤の香りではない。
ほのかに甘く、穏やかで、江藤蘭世という人間にとても合っている。
俺がその香りを誉めると、蘭世は小さな小瓶を出して言った。
「神谷さんから旅行のお土産でもらったの」
そういえばこの前海外旅行に行ったとかで、俺ももらったっけ。
神谷は蘭世にも土産を買ってきていたのか…何だかんだ言って、結構仲いいんだな。
「どうしたの、真壁君。一人でにやついちゃって…何か面白いことでもあったの?」
俺が笑っている顛末を話してやると、彼女も破顔した。
彼女には本当に笑顔が良く似合う。
「神谷さんって何だかんだ言って、いっつも私を助けてくれるの。
たーくさん感謝してる。この香水の付けかただって教えてもらったのよ」
そう言って蘭世は無造作に髪を掻き揚げた。
普段は隠れている部分がさらけ出されると、妙に艶かしい。
「耳たぶの後ろから、うなじに掛けてをこうやって──きゃっ!」
空いている手で実演してくれる蘭世の指後を、気付いたときには唇で追っていた。
淡い産毛と肌の滑らかさを感じ、香水をつけた部分だけを乾いたそれで何度も辿る。
「ま…かべ…くぅん…」
震えを帯びた声を蘭世が漏らす。我慢が出来なかった。
人気のないのを確認し、自分の部屋へ飛ぶ。
「あ…んはぁっ……もっ、だ…め……!」
激しい痙攣の後、蘭世は意識を飛ばした。
内壁の伸縮に俺も耐え切れなかった。
荒波のような鼓動を落ち着かせながら、
うっすらと開いた唇に俺はまじないを一つ掛けた。
蘭世。
この香りに包まれたお前は…とても淫らになる…。
曜子の2度目の結婚の、もう何度目かになるパーティー(単に騒ぎたいだけ?)に
筒井が仕事の合間を縫って顔を出した。
彼は祝いの言葉を曜子へかけるとすぐまた仕事へ戻ってしまった。
その場にいたゆりえが蘭世に話しかけた。
「ね、筒井圭吾さんって芸能人だけどとても話しやすい方なのね」
「あ、うん。筒井くんはとてもいいひとよ。親切にしてくれて…」
数々の思い出が蘭世の頭をよぎる。ゆりえに話すわけにはいかないが…。
「誰かさんに気があるからじゃねえの?」
「日野くん、ゆりえさんが他の人を誉めたからって妬かないで?」
蘭世は話しに割って入った日野にさらりと言い返す。
蘭世も人妻になり、多少は強くなったようである。
「でも彼が蘭世に惚れてたのは確かよん。ねえ俊?」
今日の主役の花嫁がそこへ口を出した。いつの間にか俊も蘭世のそばに来ていた。
「せっかくのゲーノージンのアプローチをあっさり断ったのよ。このコ」
「いいひとそうなのに…あ、だからかしら?」
「あはは。でもそうねぇ。『いいひと』と『いいおとこ』は別だからねぇ」
「そうそう。たまに『いいおとこ』と『わるいおとこ』は同じになるけどね」
「いえてるっ。あははははっ」
「…女ってこえぇ…」
盛り上がる曜子とゆりえを、日野と俊はおそろしげに見た。
俊は、少し困ったように微笑んで曜子とゆりえの会話をきいていた蘭世を見た。
(まるでおれが『いいひと』じゃないみたいじゃねぇか)
優等生では決して無かったが、蘭世に対してはできるだけ誠意を尽くしてきた
つもりの俊は胸のうちで不満をもらす。
不満そうな俊に気付いた日野は蘭世を振り返った。
「で、あんたの旦那は?」
「…わるいひと、よ」
蘭世が上目遣いで言う。ちょっと色っぽかった。
(それも悪くねぇ、か…)
単純な俊であった。
本日連投。オジャマシマシタ…。
|∀・;)コソーリ
|彡サッ
749 :
746:03/06/21 15:49 ID:umEiBbKW
…真壁君は蘭世を江藤って言うんだっけ…
忘れてた…
スルーしちくり!!・゜・(つД`)・゜・
>>749 Hの時や甘々な二人っきりの時はきっと『蘭世』って呼んでるよ。
気にするな!
751 :
749:03/06/21 21:56 ID:DasTeQEq
漏れもコミクス読み直して何か書くぞ〜!!
がんがるよママン
754 :
350:03/06/22 16:14 ID:pqMNHBXK
>739タン
>この一文、「自分」という言葉が多すぎる気がしまつた。
ホホホホントだぁ(゚д゚;)
TV見ながらやるもんでねぇっす←不真面目な奴だ
気おつけます!(てゆか、ちゃんとうpする前に読み直そう)
具体的な感想ありがとうです。
そしてそして
モ×シやっと書いたのでうPさしてくだせい(俊蘭のように気軽に浮いてこなくて難でつた)
間あいてしまいスマソ。
>637-644の続きエロでつ。
シーラは小さな入り口から堅くモーリを拒み、なかなか侵入を赦してくれない。
「はぁっ・・・・う・・・・」
モーリを握り返してくる手の強さは、相当な痛みを訴えてくる。
無理もない。
100年以上侵入者のなかった女性器だ。
魔界人としてはそれほど珍しいことでもないが、モーリの逞しさを受け入れるには少々難かもしれない。
「シーラ・・・やっぱりやめる?」
本当は全然そんな気はないのに、あまりに痛そうなシーラを思ってつい言ってしまう。
「いいえ。絶対にやめないで」
暗闇でシーラの目が一瞬だけキラリと光った。
魔界人の治癒力なら一度奥に到達してしまえばすぐになじむ。
そこへ行き着くまでの辛抱だ。
モーリは自分に言い聞かせて奮い立ち、続ける
シーラの息が止まるたびに進行を忍耐強く待ち、ゆっくりと突き進んだ。
気の遠くなるような長い時間をかけて膜を突き破り、全身に汗を浮かべながら一番奥へ到達する。
「シーラ・・・大丈夫?」
声をかけると、暫く間をおいて深呼吸し
「大丈夫よ」
と力強い返事が返って来た。
それをあまり信じないで暫く動かないでいるモーリは
シーラのうねる金髪に指を通して梳いた。
目を瞑って心地良さそうにしているシーラを見つめながら
痛みを梳き落とすような気持ちで指を何度も差し込んだ。
いつもは誇り、賞賛される自分の逞しさを今日は心底呪った。
愛しい人に苦痛を与えるようでは、自分にとって何の価値もない。
申し訳ない気持ちで胸がいっぱいになり、また唇を重ねた。
余裕が出てきたのかシーラから舌を絡ませてくるのをみて、モーリの手は働き始める。
あどけない顔に似合わず豊満な胸を揉み上げ、そのやわやわとしながらも弾力性のある感触を楽しみながら頂をいじることも忘れない。
舌で転がし軽く歯を立てると、つながっているところがきゅっっとモーリを締め上げた。
脇をくすぐるように指を滑らせると、また少しずつ締まってくる。
モーリは全身で反応してくれるこの愛しい女体に溺れていく自分を止め様がなく、少しずつ腰を動かし始める。
まだだめだと理性が叫んでいるのに身体は本能の言うことを聞いてしまう。
頭と身体は分裂して別のものになってしまったようだ。
いけないいけないという気持ちはだんだんと薄れていき、久々に味わう青い果実に没頭していく。
多少なじんできたのか、シーラの反応が少しずつ変わってくる。
心底痛そうに眉をひそめるのではなく、切なそうに眉を寄せ始め
食いしばっていた口元は艶やかな吐息を漏らしだす。
結合部も阻むようなきつさではなく、締め上げてくるという表現にふさわしくなってきた。
その反応の変化に気付いたモーリは、だんだんと勢いも深さも増していき
知らず知らずのうちにシーラの喘ぎ声をBGMにして激しく打ち付けていた。
これほど愛の営みに没頭したことはなかった。
「ああっ!あん・・・モーリっ・・・何か来る・・・」
うわ言のように口走るシーラのそのセリフに、モーリの脳内はスパークした。
・・・これは逃せない!!
今までの動きはただの小手調べだったといわんばかりに更に激しさを増し
驚いて上に逃げようとするシーラを逃がさないように肩へ左手をかけ
熱い唇で喘ぎ声を塞ぎ、右手は下腹部へ降りていった。
そして親指で結合部の少し上で頑張っている芽を撫でる。
「やぁぁぁっ!!ちょっっ!!」
唇を振りほどいてシーラが悲鳴をあげる。
ぬめりはその一体に広がっており、そのぬるぬるという感触を楽しむように転がした。
もちろん腰は激しく打ち付けることを忘れていない。
「やめて!モーリ!ああっ。おかしくなりそう」
シーラが本当に嫌がっていないのは締め付け方でわかった。
もう近い。
「シーラ・・・怖くないから・・・身を任せてごらん」
耳元で囁いて、芽を転がす指と打ち付ける腰に力を入れる。
喘ぎ声は頂点へと走り出している。
「あっあっあっあっあっヤダ!あああぁぁぁぁぁっ!」
モーリは背中に鋭い痛みを感じながら、合わせて自分も解放した。
余韻を味わうシーラの痙攣にぐいぐいとしごかれて、髄まで搾り出す。
モーリは荒い息が少しずつ静まってきて、初めてシーラの顔をゆっくりと見る。
シーラは目じりから涙を一筋流し、汗びっしょりになって息を切らしていた。
そして自分を見つめてくる。
何か言いたそうに口を少し開くが、何も言わない。
「何?シーラ」
限りなく優しい声で尋ねた。
フッと微笑んだシーラは小さな声で
「愛しているわ、モーリ」
と愛を囁いた。
その目は夜目にもわかるほどきらきらと光っている。
傍らのチューリップが目に入った。
こんなに満たされた瞬間が今までにあっただろうか。
言葉が出なくて、返事の代わりにシーラをきつく抱きしめた。
そしていつまでもこの幸せが続くよう祈らずにはいられなかった。
手に入れた幸せ。
そのかけがえのなさに涙が出そうになった。
小さく額に口付けると、シーラは既に寝息を立てている。
モーリは朝日が顔を出す直前まですやすやと眠るシーラの傍らに横たわり
その美しい顔を飽くことなく見つめ、うねるブロンドを撫でながら夜を過ごし
窓際のチューリップはずっとそれを見守っていた。
おわり
う、美しい。
ウットリしてしまいまちた。。。
>モーリっ・・・何か来る・・・」
>・・・これは逃せない!!
これがなんかすげぇリアルでやらすぃかんじですた・・・。
ジタバタ
王子と寝室を共にする、ということは、すなわち奉仕するということである。
女は悦んではいけない。ただ王子を悦ばせ、寵愛を得なければならない・・・。
フィラの周囲の年配の女たちは、アロンとの婚約が決まったフィラにそう説き、
男性への奉仕の方法のみ教えた。
フィラは、アロン様の悦びのためならどんな風にでもご奉仕しよう、と心に決め
城へあがったのだった。
しかし。
(今夜も悦んでしまった・・・)
アロンとのいつも通りの激しい情交の後、フィラは眠ってしまった彼の横で罪悪感に
沈んでいた。
『王子様の前で乱れるなんてはしたないことです。
王子様にはおくつろぎのまま満足していただくのですよ。』
教育係や侍女たちの言葉が蘇る。
(なのに・・・わたくしったらまた・・・!)
「どうしたの?フィラ」
アロンが浅い眠りから目を覚ます。
「わたくし・・・ご奉仕の方法を勉強してまいりましたのに、結局先に我を忘れて
乱れてしまうなんていけないこと・・・、アロン様にふさわしくありません。
王子様にご奉仕しなければならない立場ですのに・・・」
「ああ・・・そのこと・・・」
アロンも王子たるもの、性交渉は自分から動くものではないと教えられてきた。
また奉仕できない女など、妃にするべきではないという極端な考えを持つ臣下もいた。
しかしフィラにあれやこれやをすることが楽しくて仕方がない。
彼はすでに開き直っていた。
しかしふと、いたずらっぽい瞳でアロンが言う。
「じゃあ、王子らしく奉仕してもらっちゃおうかな。勉強の成果を、見せて・・・?」
「は、はいっ・・・」
フィラの可憐な唇が男性器に近づく。小さな舌がおそるおそるそこに触れた。
「・・・っ!」
アロンが思わず息をのむ。
教えられたことを実際に行動するのは初めてだったが、思わぬ彼の反応のよさに
勇気付けられたフィラは、さらに大胆に舌を絡める。
純真な彼女が恥ずかしげもなく己の下半身に美しい顔を寄せている様は、それだけで
十分にアロンを煽った。
フィラにしてみれば、教えられてきたことにようやく従えるのだから恥ずかしいわけが
ない。その行為に熱中していった。
つややかな彼女の金髪が、その唇が上下するたび腹に、腰に、内腿に落ちる。
「あっ・・・ああ・・・フィラ・・・っ」
たまらず、無防備に揺れているやわらかい果実を手に包む。
「・・・っふ・・・」
フィラは咥えたまま、胸をまさぐられ思わず喘いだ。
「もう・・・いいよ・・・。こっちへおいで」
導かれ、アロンの上へ腰を落とした。熱い剣に貫かれる。
「ア・・・アロンさ・・・ま・・・っ」
きつくきつく締め上げてくる。彼女はごまかしようもなく感じていた。
「やっぱり感じちゃってるねフィラ・・・悪いコだな・・・でもすごくイイ・・・っ」
『悪いコ』だと言われ、抱かれながらフィラのなかでまた罪悪感が芽生える。
しかし先ほどまで苦いだけだった罪悪感が、何故か今度は淫靡な悦びに変わっていた。
擦っているのだか擦られているのだか、いいことなんだかいけないことなんだか・・・
お互いもはやその区別もつかないまま没入し、激しく腰を蠢かし続けていった。
翌朝、公務の合間に顔をあわせたアロンが小声でフィラに囁いた。
「また、しようね。わるいこと」
「チューリップ」
江藤夫妻はいつも喧嘩してるから書くの難しいんですよねえ。
真壁母子と魔界へ対決にいく当たりのいちゃいちゃを参考にして
いつか漏れも書いてみようと思いました(チャレンジャーだな)
お疲れ様でした。
「わるいゆめ」のヨーコさんへ
あんたは実の所をもう知ってるんだね?ううう胸が痛いよ。
大人の女だねあんた。でも、高校生だよね?
「かおり」の真壁くんへ
香水つけた所は苦くなかったですか?(そんな質問スンナ)
「わるいひと」
あなたの書く作品はキャラが大人っぽいですね。
蘭世は時々そういうとこかいま見せるんですよね〜。
蘭世の独白で真壁くんを思う作品を書いたらすごく壷りそうな気がします。
最後に
誰かネタでもいいんで脇キャラ(ジョルジュとか)で
なんか短編を書いてくれませんかね。
一人暮らしの俊の部屋で、長いキスを終えた。
もう日はだいぶ前に沈んでいる。
「もう…帰らなくちゃ…」
「ああ」
そう言いながらも互いの背中に回した腕を解けなかった。
もう十分に互いの気持ちを確かめ合っていた二人だが、高校生という身の上を考え、
キス以上を自制していた。
(帰りたくない…)
「言うなよ」
(抑えられなくなっちまう…)
「うん…」
切ないぐらいにその先を求め合う気持ちを、もう互いに分かっていた。
夏はまだ先だというのに、体は熱く、汗ばんでいた。知らず、呼吸が荒くなる。
これ以上触れ合っていては危険だ。
いつもだったら、ここで俊が蘭世を強引にでも引き離していた。
もしくは白々しいほどの明るい口調で、蘭世がその空気を断ち切っていた。
しかし何故かこの日は互いにそれができなかった。
どちらからともなく、無言のままゆっくりと倒れこみ、再び唇を合わせる。
もしかしたら体をあわせるより…深い深いキス。
「江藤…ヤバイ…」
「うん…いけない…ん…」
荒い息の継ぎ目で言葉だけの制止。けれどやめられない。
興奮して、俊の息遣いが荒くなり、蘭世の瞳が潤む。
服が乱れるのもかまわずに体を強く押し付け合い、こすりつけ合う。
スカートがまくれあがった蘭世の太腿に俊のズボン越しの熱い塊が押し当てられた。
「真壁くん…ダメ…どうしよう…」
「…っかやろ…とめろよおれを…っ」
とめられるわけがない。
すこしずつ溜められた水が溢れ出す。ダムは決壊してしまった。
夢中で服を脱ぎ捨て、睨み合うように視線を絡ませ、袖から腕を抜く間も惜しんで
抱き合い、見つめあいながら挿入し、涙をにじませながら口付け、荒々しいぐらいに
繰り返し潜り込ませて、擦り上げて突き上げ打ち付ける。
蘭世は痛いというかわりに好きと言った。何度も。
俊は腰が蠢くのをとめられないまま、自制できなかった自分を胸のうちで責めていた。
「ごめんね、ごめんね真壁くん…。わ…たしのせい…にして…ね…っ」
(だから、いいの。お願い後悔しないで…)
熱が冷めても抱き合った腕を解けずにいた。
守らなければならなかった。大切にするつもりだったのに。
「嫌に…ならないか…?」
「わたしが、わるいの」
「なに言って…」
「真壁くんのこと、大好きだから」
「…なら、おれもわるい」
抱き合ったまま、顔を見ないように。
でも二人の心は不思議なほど静かだった。
アロン×ランゼとかはだめ・・・?
筒井とか・・・
連投に継ぐ連投でした。オジャマシマシタ。
なんか、一回ヤッたら止まらなくなっちゃったまきゃべくんの
ようでオハズカシイ…。
|∀・;)エヘ?
あーっ!!
762様と765様の会話ぶったぎって申し訳なし!!
クウキヨメジブン!!ヽ(`A´)/ウワーン!!
>767
スレは一つしかないわけだし、
空気読み過ぎて空気吸えなくなるのも本末転倒かと。
作品はどれも、多少中途半端に終わってる気がするけど、
可能性を感じる文章だと思いました。
これからもがんばってください(w
>767
どっちもよかったよ〜。アロフィラは着目点(フィラのご奉仕)が新鮮だし、
まきゃべくんのお初もお互いが止められないってのが萌えましたぞ。
…エチー部分を、出来れば、もっと詳しく読みたい(w
何か書きたいが、ネタがない…
ときめきでも買ってくるかなぁw
771 :
767:03/06/23 21:31 ID:a3zTWRzr
>768、769
ありがとうございます。こ、光栄…ぐほっ〈吐血)。
ご指摘のとおり、締めは、突っ走りまくった妄想に収拾がつかなくなってます。
エロサイトに夢中になってて「あ!!もうこんな時間!?」ってあわてて
ログオフしてるかんじです。ナンジャソリャ…(;´Д`)
精進します。エチー部分もそ、そのうち…((;゜Д゜)アワアワ
ところで、突然ですがポエム(小声)投下していいですか?
「さぶいんじゃゴルア!!」だったらスルーしてください…。
772 :
放課後:03/06/23 21:31 ID:a3zTWRzr
二人きりの部室。
帰る仕度。
指に絡ませた長い黒髪。
軽いキス。
突然の雨。
帰れない二人。
寒さに寄せられた肩。
軽くないキス。
やまない雨の水の音。
二人のからだの水の音。
長い前髪を伝う汗。
深い深いキス。
弱まった雨足。
忘れていた振りの傘。
照れたような微笑。
再び軽いキス。
ポエムはご勘弁
>772
ポエムといわれてそれはどうかと思ったけど
これはやさしい情景が伝わってきて私は好きだな?。
それにしても神々が降りてきませんでつね…
他人任せにしてるのもアレなんだけども。
スレの残量は495KB。
次スレ立てた方がいいのかな?
あ、残量じゃなかったよ…
スマソ。
残量は30KBでつた。
777 :
772:03/06/26 00:33 ID:vOvHk7Du
>773
や、やっぱり!?ゴムンゴムン…モウシマセン…。
>774
フォローありがとうー。(つAT)しみる…。
ネタを練り練りしに逝ってきます。
ほしゅ…。
次スレも楽しみ。
500KB超えれー。
みんなじすれまってるのかな?
季節はジメジメした梅雨。
なんとなく、暑いような、息苦しいような。
気分転換してみたくて、服を変えてみた。
楓ちゃんと出かけたときに買った、新しい服。
少しだけ、背中の開いたノースリーブのワンピース。
なんだか恥ずかしいけど…。
今度のデートに着ていったら、真壁くん、どう思うかな?
雨にも降られなかった週末。
ようやく太陽が沈みかけた日の夕暮れ、デートの帰り道。
二人で、長い道を歩く。
彼は遠い方を見たまま、相変わらずのポーカーフェイス。
迎えにきてくれた時は、滅多にない私の服のセレクトに驚いたようだったけれど、
あとはいつもと変わらない。
わかってるけど、少しは「似合うぜ」とか、「かわいいよ」とか言ってくれればいいのに。
ちょっと寂しくなった、赤い太陽と後ろに伸びる黒い影。
手も繋がず腕も組まず、つかず離れず、彼の隣を歩いていく。
私の家まで、もう少し。
その時だった。
「うひゃあぁぁぁ!?」
いきなり触れられた、無防備な背中。
ヘンな声を上げてしまった私に、真壁くんの方が驚いている。
「…へぇ……」
なによぅ、そんな面白そうな顔で見ないでよ!
両腕で、自分の体を抱きしめたけれど、背中の方が空いているのは変わらず。
私が抗議するより先に、彼のしなやかな指が、また私の素の背中を撫でる。
背筋を辿るように、ゆっくりと。
「ひゃん!」
背中を走るゾクゾクした感覚に、腕に鳥肌が立った。思わず、肩を竦めてしまう。
「もう!くすぐったいからやめてよぅ!!」
彼の腕を掴みながら、顔を真っ赤にしてポカポカと叩く。
「悪かった悪かった」
笑いながら、真壁くん。そっと私を抱き寄せて、目元にキスをくれた。
…気付いてないよね?
ゾクゾクした背中の先。
女の子の大切な部分まで、熱くなってしまったこと。
心臓もドキドキしたけれど、そこの方がきっと心臓よりドキドキしてる。
気付いて欲しいのかな。気付いて欲しくないのかな、私。
きっとその答えは、これから迎える夏が知ってるのかも知れない。
次スレ待ちの方すんません。
ついうpしてしまいました…。
こんなのが500KB越しに少しでも役立てばいいのですが。
>782
まきゃべくんよ、2回目のお触りは、
絶対わかっててやってるな…。
「俊って口にはださないけどああみえて…」だし。
活用されちゃうんでしょうねぇ。
昨夜のうちに止んだ雨の名残が、あじさいの葉の上に零れている。
江藤の家の庭は、植物が多いよな。
おふくろさんがマメなのか、江藤が世話しているのかは知らないが。
そんなことをつらつら考えながら、約束の時間10分遅れの江藤を待っていた。
「お待たせー!」
家から出てきた江藤に振り返り、俺はギョッとする。
背中が大きく開けた、袖なしのワンピース。
白くて綺麗な肌が、そこから見えている。
おいおい、少し露出が激しくないか?
途端に俺は、江藤の方を向けなくなる。
明後日の方を見ながら、歩き出した。
江藤が選んだ映画は、俺も退屈しなくて済むよう娯楽色の強いものだった。まぁ、
江藤の好きそうな恋愛的要素もあったりしたが。この辺は、気を使ってくれてるん
だろう。
「面白かったねー、真壁くん!」
そう言って笑う江藤。
と、その背中。
「あ、あぁ…」
やっぱり見れなくて、返事もそこそこに俺はそっぽを向いた。
「もう遅いからな。送ってくよ」
「え?もう?」
残念そうに俺を見上げる江藤。
「空が明るくても、時間が時間だぜ」
「あ!ホントだ!」
夏至の頃は、時間の感覚が狂っちゃうねーとコロコロ笑う。
ほんとは、俺の方が別の意味で感覚がなくなりそうだから、なんだけどな。
「まぁ、ガキは寝る時間だし」
「また子供扱いするー!!」
ぷーっと膨れて、怒ってしまう江藤。
本当はガキ扱いでもしなきゃ、俺の方が困るということを知らないんだろう。
てか、きっとお前も困るんだぞ。
てくてく歩く彼女の言葉に、そこそこの相槌を打ちながら、俺はこっそり辺りを
見回した。彼女に視線をくれている不届な輩がいないように。はたから見たら、凶
悪な目つきしてるんだろうな、俺。それくらいの自覚はある。
最近、富に江藤のヤツは綺麗になったと思う。
どこがどうとはうまく言えないんだが。
大人っぽくなったというか、なんと言うか。
いつも見ていたはずなのに、いつの間にか変わっていく。
不思議な彼女の変化に戸惑うのは、俺自身の本能。
彼女に触れたい、抱きしめたい。ずっと、側に置いておきたい。
それは、最近になって更に強くなっていく。
大切にしたい、その最後の理性が、今の俺を支える最後の砦。
けれど、そんな無防備に肌をさらされたりしたら…。
彼女の隣、ほんの僅か後ろを歩く俺の視線が、白い背中に釘付けになる。
抱きしめたい。
「うひゃあぁぁぁ!?」
江藤の悲鳴に、俺の方が驚く。それから、俺の行動にも。
どうやら無意識のうちに、江藤の背中に触れていたらしい。
真っ赤な顔をして、俺を睨む江藤の目は涙目だ。
「…へぇ……」
もしかして、ココ、弱いのか?
面白くなって、更にいたずらしてみた。