1 :
名無し物書き@推敲中?:
ハンコ、押す、ハンコ、押す、ハンコ、押す。
ハンコ押しは昼の仕事だ。 夜暗いランプの明かりでやる分には目が悪くなるし気分が滅入る。
煙草分が切れたので補給したい所をぐっと我慢。 捌く書類もあと少しだ。退屈極まりない仕事を片付けて、親の仇でもとったようなスカッとした気分で一服吸おう。
「これで終了……と」
最後の一枚、例えて言えば休日の一日前のような愛しい君に、熱いベーゼで別れを告げて、椅子の背もたれに我が身を投げ出す。 さて煙草煙草と、机の上に伸ばすその手はいささか震えていた。 何かの禁断症状みたく見えてあんまりよろしくない。
至福の一時。 誰にも邪魔されたくないね、本当。 もし今我が子とその愛犬が、ほたえまわっていつものように部屋に乱入してきても、流石にこのおとーさんいつものように愛情深く迎えてやれる自信は無いね。
煙草の灰がボロッと落ちる。 どうやら楽しかった時間ともおさらばの様子。仕方ないねと愛しい君に、名残惜しく灰皿にギュッと迎えてもらって別れを告げる。
さてもう一仕事、と伸びをする。 気分はまた親の仇に出会ったかのようでよろしくない。 よろしくはないが、やれる時にやっておかんと後で死ぬほど忙しくなるからしょうがない。
そうしてハンコに手を伸ばしかけた時、部屋のドアにノックがされる音がした。 入っていいよ、と、机から顔を上げて来訪を迎える。 ドアを開けたのはいつも頼りになり過ぎている我が副官だった。
「もうそろそろお仕事が一段落する頃かと思ったのですが……」
「ああ、大体したよ」
「それは丁度よろしかったです。 お茶の時間が準備出来たのですが、もしよろしければ一息入れられてはいかがでしょう」
視線を上に。 あーなってこうなって、と、まあ何とか時間は作れるかな。 「いいよ」、と返事をして、嬉しそうに笑顔を浮かべる副官のお帰りを見送る。
喜んでいたのは、気遣いを無駄にしたら悪い、という自分の配慮もバレていたからだろう。 出来過ぎるあやつのこと、その位はお茶の子さいさい、
ここをノックしたタイミングが、自分がタバコを一本吸い終ったタイミング丁度だったのも決して偶然ではあるまい。 時たま全て見透かされているような気がする。 面白くない。
面白くないので新たに箱からタバコを一本取り出す。 くわえて火を点け、何をするでも無しにただボーっと呆けてみる。 飲むお茶はやや冷めてしまうだろうがしょうがない。
たまにはあの全て計算どおりといった澄ました顔を困らせておかないと、しまいには女嫌いになってでもしまいかねない。
やれやれと、デスクワークに曲がった腰を叩きつつ、リビングに向かったのはたっぷりタバコを一本分吸い終ってからだ。 リビングのドアを開けると、我が子は既に戦闘配置を完了している。 ただし戦争相手か、あるいは戦闘装備とも言うべきお茶のほうはまだだった。
「おとーさん、おそーい!」
「副官は?」キョロキョロ周りを見渡す。
「あ、お出でになられましたか。 丁度今、準備が整ったところです」まさにその時に、丁度隣のキッチンからティーセットやパイやらを運んでくる副官とメイド達。 たちまちテキパキと準備は整えられてゆく。
ブービートラップ、と苦虫を噛み潰す。 どうやら自分が煙草をもう一本吸い潰すことも、きっかり予想していたらしい。 仏頂面で意気揚々と、美味しそうな匂いが立ち昇るテーブルへと付いてやる。
副官の顔を見ると、彼女はいつも通り染み透るような、心からのものらしい微笑を浮かべていた。 面白くない。 あとでたっぷりとお仕置きしてやれと、目の前で食べられるのを待っている木苺のパイを眺めながら心に決めた。
長くてすいませんです。 次は「ズボン」「外灯」「喧騒」でお願いします
以上。
では、みなさんはりきってどうぞ〜
7 :
前スレ477:2012/04/16(月) 15:23:20.66
前スレ容量オーバーさせてしまって申し訳ない。
>>1乙。
代わりに立てて頂き、そして自分の文章も含めて貼って頂き、有難うございますー。
新スレ乙
新宿の雨は1週間続いた。
俺はズボンのポケットからケータイを取り出した。画面は一時間前と同じ表示を目に写す。
かわらない。
「もう1週間かよ」
俺は呟いた。小さな声は傘に当たる雨音に溶けてなくなった。
俺が彼女を呼び出したのは先週の金曜日。けれど彼女は来なかった。
まあ、それ以前に俺と彼女の関係が冷めきっていたこととか、いろいろあったんだけど割愛。
つまり、今の俺は来たらない待ち人をずっと待ち続けてるわけだ。なんともバカらしい。
でも、こうやって待ち続けてる間だけはなんとなく彼女と繋がっていられる気がした。
だから待ち続けたんだろうか。そんなに俺にとって彼女は大事だったんだろうか。
とにかく、もう限界だった。俺はケータイをズボンのポケットに戻す。
雨水の水彩で滲んだ外灯の帰路につく。週末の駅前は人でごったがえしている。そいつらは1人残らず顔がない。
「あー、こいつら全員不幸にならないかな」
と曖昧な頭で考えた。
そんな中、1人だけ顔がある人を見つけた。
彼女は週末の夜の喧騒の中、顔の知らない誰かと話していた。
「なんだよ、ふざけんなよ」
俺が呟やく小さな声も喧騒に紛れて消えてしまう。
終わったと思った、思い込んでいた、彼女の幻に、俺は頭を垂れて、後悔とも悲嘆ともつかない感情を、言葉にぶつけるしかなかった。
次、「ビデオテープ」「自販機」「ビル街」
10 :
ビデオテープ、自販機、ビル街、ズボン、外灯、喧騒:2012/04/22(日) 16:27:05.04
冬である。夕暮れである。雪が降り始めている。
人々は足早に帰路をゆく。
五時前からあたりが薄暗くなり、街の外灯が点灯した。
「お願いです。買って下さい。買っていただけませんか」
とある外灯の下で、一人の少女が手にした籠の中の品物を売ろうとしていた。
「何を売っているんだい」
山高帽の男性が、少女の売っている物に興味を示した。
「これです」
それは『マッチ売りの処女』と題された怪しげなビデオテープだった。
「これは?」
「ちょっと人に言えない内容の自画撮りビデオテープなんです。お安くしておきますからお一ついかがですか」
「残念だね。私はもうこのテープを再生する機器を持っていないんだ。悪いね」
男性は去っていった。
ビル街の人々はクールだ。他に誰も少女の相手をする者はおらず、ビデオは一本も売れなかった。
翌朝、人々の喧騒が何かを取り囲んでいた。
あの少女だ。少女が凍えて死んでいる。付近に数十本のビデオテープをばらまいて。
そこに一人のおばさんがやってきた。
「おやまあ電池切れかい」
おばさんは少女の背中をパカッと開けると、電池を取り替えた。
「店長、おはようございます」
少女は生き返った。
そばでそれを見ていた、染みだらけのズボンを穿いた浮浪者が訊ねた。
「あの、この子はいったい何ですか」
するとおばさんは彼を睨んで、
「見りゃわかるだろ。ロボットだよ。最新型の自販機だ。ヒューマンタイプの自動販売機。
まああまりに人間そっくりすぎて、逆にうけなかったみたいだけどね」
次は「裸体」「日本刀」「聖書」
人類が滅んで数億年。次はどんな知的生命体を創造しようかと考えあぐねていました。
天使「神様、前の人類は性に目覚めてしまったために、ろくでもない滅び方をしました。次の人類には、リンゴではなく、ミカンを食べさせてみてはいかがでしょうか?」
神様「ミカン?」
天使「ミカン性(未完成)。なんちゃって」
神様「お前、地上行って修行してこい」
そう言った瞬間、天使が立っていた床が抜け、天使は地上へと真っ逆さまに堕ちて行きました。
天使「イタタ……。」
地面に叩きつけられた天使は、腰をさすりながらも羽ばたこうとしました。しかし、飛べません。
天使「あれっ?」
と背中に手をやると、羽がありません。しかも、体が大きくなっています。ゴツゴツした腕、毛むくじゃらの足、二つに割れた顎。
天使は、そばにあった池の水面に自らの裸体を映してみました。
天使「なんじゃ、こりゃあ!」
自らの変わり果てた姿を嘆いていると、ふと、人間の女がこちらを見ていることに気づきました。
天使「これは、私に新たな人類を創造せよとの導きか
……」
元天使は人間の女に近づいていきました。
天使「俺の日本刀が火を吹くぜ!」
何千年か後、聖書という書物がしたためられました。
「光、あれっ?」
天地創造の際、神は何かミスをしたのか、予想外のものを目にしたのか、様々な解釈が伝承されています。
次は「天子」「宿命」「交渉」
それはない
13 :
天子、宿命、交渉:
天子とは天皇の子のことである。決して「天沢勇子」の略称ではない。
その朝、天子の愛侖は湯浴みをしていた。体は勿論侍従に洗わせている。
侍従は愛侖と同年齢の少年たちである。彼らは愛侖の警護もかねており、常に愛侖の身の回りにいる。彼らは何らかの方法で欲望を抑えており、愛侖に劣情を覚えることはなかった。
愛侖のほうも小さい頃から侍従の少年たちには慣れており、平然と裸身をさらす。
愛侖は小太郎という侍従に体を洗わせていた。
「小太郎、もっとエロい洗い方をしてくれぬか」愛侖は思い切ってリクエストしてみた。
「それはできませぬ。どうかご勘弁を」
「残念じゃな。私は一度でいいからおぬしに弄ばれてみたいと思うておる」
「私はそのような身分ではござらぬゆえ、ご勘弁なされ」
「おぬしは私を抱きたいとは思わぬのか?」愛侖は小太郎の股間をちらりと覗いた。小太郎は白いふんどしを締めており、勃起しているかどうかは判別できない。
「愛侖さまは私どもには眩しすぎまする。抱く以前に死んでしまうでしょう」
「はぐらかしおって。もしおぬしがそのふんどしを解くのなら、私はいつでも用意はできておるよ」
「愛侖さま、今日は大事な日でございます。心の準備をしてはいかがと存じますが」
「ああ、そうじゃったな。憂鬱じゃ。私はあそこへは行きとうない」
「人それぞれには宿命というものがございます。ワの国の天迅どのの元へ出向くのが愛侖さまのさだめ」
「単なる政略結婚の道具だよ。私は、天迅に与えられるオナホールのようなものじゃ。三十も年の離れたオヤジに嫁がねばならぬとは哀れよのう」
愛侖は小太郎に体を拭かせると、ローブをまとって私室に戻っていった。その後ろ姿を小太郎はなぜか茫然と見守っていた。
(愛侖さま……私はずっとあなたの)
その夜、ヲの国の天子、愛侖の姿が消えた。
侍従の小太郎も行方不明になっており、 彼の白いふんどしは洗濯されて残されていた。
状況から二人は駆け落ちしたものと思われた。
(愛侖さまの身をあざとい政治交渉の道具にさせるのは、私の本意ではございません。苦労はかけますが共に行きましょう!)
愛侖を抱きかかえた小太郎は黒いフードを纏い、今まで見せなかった野性的な貌で彼女の唇を塞ぐのであった。
次、2ちゃんねる、六億円、接近中