ソースはFuji Sankei Business i. 【政権交代 どうなる経済】
http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200909080010a.nwc [1/2]
民主党がマニフェスト(政権公約)に掲げた高速道路無料化について、国土交通省が昨年、
2兆7000億円の経済効果があると試算していたことがクローズアップされている。
無料化実現へ向け強力な後押しとなる試算だが、一方で影響を受ける関連業界の動揺は
一層大きくなりそうだ。
≪経済効果2.7兆円≫
「料金収受に当たる社員、パートらの雇用問題に直結する。雇用の斡旋(あっせん)をしてほしい」
そう嘆くのは東日本高速道路の八木重二郎会長。無料化により収入の大部分を失う高速道路会社は、
反対の大合唱だ。
西日本高速道路の石田孝会長CEO(最高経営責任者)は「米国はフリーウエーといいながら、
有料の部分が広がりつつある。世界では道路からお金を取ろうというのが趨勢(すうせい)だ」
と指摘する。
高速道無料化という“劇薬”に、鉄道業界やフェリー業界も、日ごろは競合関係にある道路会社と
歩調を合わせる。
「無料化になればフェリー業界は壊滅状態になる」というのはある自民党の議員。
土日1000円乗り放題という割引制度の適用で、瀬戸内海などのフェリー業界では、航路を
廃止せざるを得ないケースも出てきたという。無料化による打撃は計り知れない。
また、1000円乗り放題となった今年のお盆時期、JR6社の輸送実績は、前年比8%減と
過去最大の減少となった。
国土交通省の試算によると、首都高速と阪神高速を除く無料化による経済効果は、一般道の
渋滞解消など年4兆8000億円。これに対して高速道路の渋滞発生などによるマイナス効果は
2兆1000億円で、差し引き後の経済効果は2兆7000億円にのぼる。
同3割引きの5000億円、5割引きの1兆円よりも大きい。同省はこの試算を3月に民主党に
提出していた。民主党としては関連業界への影響より、経済効果を優先させたい考えだ。
しかし、無料化に異論を唱えるのは関連業界だけではない。
医師によって構成される全国保険医団体連合会は「大気汚染を激化させ、ぜんそくなどの公害疾患の
増大を招くことが危惧(きぐ)される」という理由から、鳩山由紀夫代表に無料化の撤回を要請した。
-続きます-