リレー小説!!北朝鮮vs日韓米連合軍

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512453
>>483
岩手県・三陸海岸沖
「ついたぜ、ここだ」
シマダが車をとめたのは、種市町のはずれにある漁港の駐車場だった。
リアシートに放り出されたスポーツバッグからあらたに取り出した携帯電話で、
二言三言いかにも年季の入った営業マンのようなやり取りをする。
ほどなくして、数人の若い男達がステーションワゴンの周りに集まった。
「出よう」
シマダはボウイにいい、車を降りる。
「お疲れさんです!」
シマダが右足を地面に下ろすかどうかというタイミングで、男達がいっせいに唱和して
太ももに手を当て、腰を折った。
「ご苦労さん。準備のほうはどうなってる?」
鷹揚な口調でシマダが尋ねると、その中でも比較的年のいった男がきびきびとこたえた。
「すべて済ませました。支社の方で船の手配もすんでます。ケースの積み込みは、さきほど」
「わかった。後は俺達が乗るだけだな」
男-おそらく、彼が現地の責任者だろうが、幾ばくか湿った口調になった。
「はい・・・ところで、本社のほうは、その・・・・・」
「うん。かなりやられた。だから、今回の商談は確実に物にする。
本当なら、俺はここでみんなの様子を見るだけのつもりだったが、
そうもいってられないしな」
「わかりました。こちらも体張りますんで」
「頼むよ」
>>512
男の言葉に嘘はなかった。
シマダとボウイが、案内された薄汚い中型の烏賊釣り漁船に乗り込んだ数分後、
漁船は外見にまったく似合わない滑らかさで出航した。
ボウイたちは、おそらく船長室と思しき個室に通され、旅装を解いた。
とはいっても、各自の手荷物を棚に放り込んだだけだが。

さっそくハイライトに火をつけたボウイが、シマダの持っていたスポーツバッグを
指差した。
「シマダさん」
船長から差し入れられたラークのパッケージを破いていたシマダが顔をあげた。
「なんだ?」
「この時期に、船で北海道入りするってのは、かなり無茶じゃないのか?」
シマダはかぶりを振った。
「俺も、最初はそう思った。だが、話を聞くとちょっと違うんだな、これが」
514245:2001/07/04(水) 23:31
>>513
「どういうことだ」
ボウイは、下がり気味の語尾で尋ねた。
「まあ、戦争ともなりゃあ、危険地域にいる民間船舶はたいてい足止め喰らうか
避難させられるわな。
だが、今回の戦争はあまりにも突然はじまっちまったんで、その辺の対処が
まったくなっちゃいなかったんだと。
行政にできることといえば、あまり効果のない命令くらいなもんだ。
それだって、実際に取り締まる力がなければ何の意味もない」
そこで一息ついたシマダの顔を見ながら、ボウイが言った。
「海上保安庁も、海上自衛隊も実際には朝鮮やロシア相手で手一杯で、
民間の船舶に対しては事実上何もできないに等しい、ってことかな」
「そんなとこだな」
シマダはうなずき、ラークに火をつけた。
「でだ、朝鮮やロシアも、こっちの鉄砲持った船相手にドンパチやるのが精一杯で、
えーと、なんてったかな、海上交通の遮断なんかできっこないんだそうだ。
だから、度胸があって金がほしい船主にとっては、結構見入りのいいビジネス
チャンスってわけさ」