銀河系の遥か彼方、地球から6万光年の距離に惑星Ziと呼ばれる星がある。
長い戦いの歴史を持つこの星であったが、その戦乱も終わり、
平和な時代が訪れた。しかし、その星に住む人と、巨大なメカ生体ゾイドの
おりなすドラマはまだまだ続く。
平和な時代を記した物語。過去の戦争の時代を記した物語。そして未来の物語。
そこには数々のバトルストーリーが確かに存在した。
歴史の狭間に消えた物語達が本当にあった事なのか、確かめる術はないに等しい。
されど語り部達はただ語るのみ。
故に、真実か否かはこれを読む貴方が決める事である。
過去に埋没した物語達や、ルールは
>>2-5辺りに記される。
ルール
ゾイドに関係する物語なら、アニメや漫画、バトスト等何を題材にしても良いです。
舞台となる場所、時間等は制約無しでバトストと書いて有りますが平和ても問題無いです。
自由で柔軟な発想の作品をお待ちしています。
例外的に18禁描写はご遠慮下さい。
鯖負担の軽減として【450〜470Kb】で次のスレを用意する事。
投稿された物語の感想等も大歓迎です。
ここでも!
>>1さんスレ立て乙です。
>>4さん乙です。そんな所が有ったなんて…知らな過ぎ自分…。
ルール
ゾイドに関係する物語なら、アニメや漫画、バトスト等何を題材にしても良いです。
舞台となる場所、時間等は制約無しでバトストと書いて有りますが平和ても問題無いです。
自由で柔軟な発想の作品をお待ちしています。
例外的に18禁描写はご遠慮下さい。
鯖負担の軽減として【450〜470Kb】で次のスレを用意する事。
投稿された物語の感想等も大歓迎です。
平和”ても”に成っていてもう虎伝説が始まって終わったのでそこら辺を…
>時間等は制約無しでバトストと書いて有りますが平和ても問題無いです。
から”時間軸及び世界情勢に制約は有りません。”差し替えても問題無いと思います?
”ても”は自分のポカデスタイ!!!
コクピットにファインを吹き飛ばし自らもコクピットに戻ったベルウッド。「い…今マイブラザーが跳んで来なかったかい?」
それに「心配無い!全ては計算ずくだ。死にも怪我も無い!唯の…。」「唯?」ミズホが今度は聞く。「潰れた蟇蛙でも出せん悲鳴?を上げておったぞ。」
妙な沈黙が流れる。「やっぱり…自分の人生のフローチャートはバッドエンド分岐しか無いのでありましょうか…がくっ」体を支える力が尽きコクピットに倒れ込むファインだった。
「少々やり過ぎたか…しょうがない。少し休んでおれ!その代わり…寝るなよ?寝たら死ぬぞ?」さもここは冬の高山だと言わんばかりに言うベルウッド。
「どどど如何言う意味でありますか!?」それに「この機体の操作特性の問題だ!お主が寝ると機体がてこでも動かん!そう言う事だ。せめて其奴と遊んでおれ。」
一応気を使ってくれているらしい。道案内をする訳でも無いが変な生き物が一杯居るのでアサガオライガーの顎を撫でながら休憩用らしきもう一つのサブシートに座って居る。
「良いと言うまで休んでおれ!これは命令だ!これ以上の術者の疲労は先に障る可能性が有る!」酷く腹を立てているらしいベルウッド。
「早まったな…妾とした事が感情に走ってアサガオを潰そうとしてしまった結果か。自分の体を何だと思っておる!」知らないだけで在ろうと思う。しかし体力その物は本人の限界より高くは成らない。
それに何時でも万全の状態で居る事も出来ない。時が経てば経つ程体力は勝手に消費され疲労という形で現れる。疲労という状態になれば体は休む事を重視し緊急時に要らぬ行動を強いられる。
無駄な力を抜く効果は絶大だがそれ以外はやはり全てに於いて疲労状態は悪い状況でしかない。今は可能な限り休ませる必要が有る。
状況はそうもいかないがアサガオ以降これといって強力な存在と敵対する事が無かったのが幸いだった。出逢う物は黒山羊の眷属ばかりだったので戦闘自体は避けられる。やがて坂道となり崖となり登り難く成ってくる。
「これ以降はトライフォートレスは無理だね…。」ベルフが脱落する。ここで行き止まりだ。「所で…あの時の合体って出来ないんですか?」ラミューズが言う。「あっその手が在った…。でもパーツがちょっと足りないんだよね〜。」
「機体のチェンジマイズならこっちを使った方が良くない?」ミズホが言う。
「そうそう!こっちの方がお得だよっ!」ラビットホーンとストームラプターの2機は既に準備完了と言わんばかりにチェンジマイズを終了させている。
「振り落とされない様にしないと…。」機体の再構築を始めるベルフ。「そっちはどうだ…って嫌みたらしい狸寝入りはよさんか!って目を開けて寝入って居ったな!」
物の数分ぐらい前からだろうか?良く見れば器用に目を開け手は使い魔を撫でるの止めず寝ている。「ひぃ!?気持ち悪いわ!やめんか〜っ!!!」サブシートを飛び降りる。
そして額にデコピンを10発程連続で決める。勿論クリティカルヒットだった。
「…もうお腹一杯です。ゼリーは要りません…。うん?夢?」目の前にはアップでベルウッドの顔が有る。しかも睨んでいますが?何か?「ほ〜う?確か妾は”寝るな”と言っておったよな?」
「そんな事言ってぐがぁ!?」「言ったな?」「はっはい!」「して…どんな夢を見た?」ここで更に顔が寄って来る。冷や汗をだらだら流し始めるファイン。「どんな夢だ?」何故それに固執するか良く解らない。
「…ただ…フルーツゼリーを食べ続ける夢。ってわぁ!?」「ぬう!うつけ者が!妾が一緒に寝ておれば妾がそれを横取りで来たではないか!無念…夢の欠片は魔の力の源の一つ!物の形骸を作り出す力ぞ!それをお主は…。」
ポカポカ頭を殴られる。「いたたたた!?何故打たれるのでありますかぁ!?」「その手の力は非常に手に入り難いのだ!それを空気に垂れ流しおって!この大馬鹿物がぁ!」その時良く見るとアサガオライガーの蕾から何かがこぼれ落ちる。
アサガオライガーは寝息を立てて気持ち良さそうに眠っている。
「おっおのれぃ!此奴喰らい居ったな!貴重な力を…しかしこれが残るだけましか。」「それは…?」「これが欠片だ!メリクリウスシャードと言ってこれが別の力を産み出す糧になる。」
黒ずんだ欠片を懐にしまい込むベルウッド。「これからは寝る時にはそう言え!今は偶々立ち止まってのやり取りだったからよいものをもし一触即発の事態だったら…来たぞ!もう疲労は大丈夫か?」「いや…ほんの少しまだ体が固い気が?」
「ふん!仕方がない。どれだけこれが貴重だか思い知らせてやろう!」それを一粒取り出し力を込めた拳で打ち砕く。するとここに居る全ての機体と人員から疲労が取れる。「ふん!見た事か!これを貴重と言わず何とする?」
機体の状態が安定までするこの効果は流石に異常な気がしてベルフはベルウッドに聞いてみる。
「これは利き過ぎじゃないかな?」それに「否これで良い。この場は命の坩堝の状態だ。今の欠片はこの力を妾等に流すバイパスを一時的に創り出した様だ。」
それに付けたし「そもそも体力の回復を狙って使用したが周りの状況に流されるとは思いもしなかったものよ。」うんうんと何か1人で納得して頷いている。
「取り敢えず…全快祝いという事で!」眠っているアサガオライガーをサブシートに残し操縦系をメインに戻すファイン。
目の前の相手に襲い掛かるベルゼンラーヴェ。「しかし何か歪んだメルヘンチックな場所でありますね。」「放っとけ!」憮然とした顔でベルウッドは言う。
「しかし…タンポポの種に襲われるとは。随分ファンキーな場所でありますね。」動物的な物は余り多くなく植物と動物の両方の特性を持つ者が多いようだ。
「まだ生命の形が明確に決まっていなかった頃の者が多いのが妾の森だった。それが忠実に再現されて居る。速く頂上に行かねばなるまい。急げ!」
機体の数が一気に2機減ったがこれで山登りが再開できる。ゆっくりと確実に登って行く筈だったが途中に量産ギガ等が複数配置されており結局高速強襲を余儀無くされた。
「何!敵襲だと?敵機は…アンノウン2!それとベルゼンラーヴェ!」如何やらベルゼンラーヴェのみは知られているらしい。「最優先目標ベルゼンラーヴェ!その他は後で良い!」
ここに配置されている機体は全て有人機らしく素早く迅速に行動を取る。だが最優先目標を見誤ったようだ。戦闘が始まると直にそれに気付かされる部隊だがそれでは遅い。
テールディザスターの黄金砲の前では荷電粒子砲も役には立たない。荷電粒子砲を貫かれ機体に光の条が十数本突き刺さる。それで量産ギガは動かなく成った。
パラブレードと呼ばれていた機体やコアがそれと一緒の物に交換されたレーザーストームも居る。それでも今度は目標を代えてしまった為にトライフォートレスとベルゼンラーヴェに叩かれる。
数分で戦闘は終了。彼等は秘密厳守に徹しコクピット毎自爆。勝っても余り嬉しくない状況だった。「鉄の意志と言う奴でありますね。」
ベンハルトを含む彼等は何故自爆したりこの機体の撃破に拘ったのか?その内理由を知る事になるがそれはまだ少し先の事になる。
頂上は遠い。警戒線が厳重になり動く敵影が遙に多くなる。機体性能で押す事は無理そうだ。
「やれるか!?主よ!」突然ベルウッドがファインに聞く。如何やら術を仕掛けるらしい。「了解。」別に構えなくても良いのだが構える。
「出番だ!アサガオライガー!」その声に起きたアサガオライガーはちょこんとベルウッドの肩に乗る。「餓鬼結晶!アナイアレイドゥーム!」
警戒線の上に巨大な影が降り立つ。それは獣。7つの首持つ聖書に反逆する最悪の簒奪者。良く見ればベルウッドとアサガオライガーが居ない。
「あ…あれがおベルウッド達で?」それに答え巨大な影に一つ少女の上半身が現れ答える。「その通り!これぞ餓鬼結晶呪!今使える最高の攻撃系術。マスターテリオンの影の招喚!」
それぞれの顔から炎やら吹雪やら電撃やら溶解液やら何やら…影という事であるからして本物が存在するならこの星を喰らい尽くし兼ねないキングオブデストロイヤーな存在なのだろう。
シャドウマスターテリオンは全ての戦力を攻撃している。荷電粒子砲やらミサイルやらがはげしく当たっているがその効果は非常に薄い。運良く後ろが見える程の穴を開けた荷電粒子砲の跡。
それもゆっくりと漆黒の影に戻って行く。「どうだ…1/100でこの存在。主等?恐れても良いぞ!それが当たり前だからな!うわっはっはっはっは…。」
怪獣映画でも観ている気分だった。それ程迄に現実離れしている。恐怖の余り味方のファイン達までもが声が出なかった…。
「如何した?主等?魂が抜けた様な顔をし居って?」未だに下半身が超縮小版のそれの姿で戻ってきたベルウッドが怪訝な声で話しかける。「いや…流石にアレはちょっと酷すぎるのでは?」
「何だ?何を恐れておる?これでもお主等が歴史の資料として観ているキングゴジュラスやギルベイダーの方が余っ程強いぞ?あの威力をこの世の力で顕現させて居るからな。」そこで更なる爆弾発言。
「「「「「えええ〜〜〜〜っ!?」」」」」初耳だ。ただギガより強いとかデスザウラーの飛行タイプ的に思っていた2機がそこまでの力が有るとは知りもしなかったのだ。
「まあ知る由も在るまい。しかしそれで良いのだ。現存していない超兵器の事より今は頂上の顔を破壊する事を考えるべきであろう?」凍り付く他の者に言う。
「それだけ過去の戦争は恐ろしかった。と言う事だ。気にするな。」
第11章:凄い親戚
「ミライロさん!!」
「いやいや〜久しぶりだね〜。」
何の脈絡もなく現れ、ミライロと呼ばれた男はマリン、ハガネと知り合いである様子であった。
外見は20代後半位、スラっとしたスマートで長身な体型にイケメンな顔、金髪にインテリそうなメガネ。絵に描いたような“知的ないい男”という感じの男であった。
「それにしても久しぶり!」
「僕もこんな所で会えるとは思わなかったよ。」
マリン、ハガネはミライロと手を取り合って再会を喜び合っていた。それだけでどんな関係なのかが分かる。と、その時、ルナリスがマリンの服の袖を引っ張った。
「どうしたの?」
マリンがルナリスの方を向くと、彼女はやや顔をしたに下げた様子で目が前髪に隠れる形になっており、その顔もやや赤くなっていた。
「いや…。この人…誰?」
「あ…。」
いつもクールで強気な彼女らしくないルナリスの口振りにマリンは違和感を感じていたものの、彼女はミライロを紹介することにした。
「この人は私の親戚で、ミライロさんって言うの!」
「親戚…か…。」
やはりルナリスはいつもの彼女らしくない口振りをしており、マリンは違和感を感じていた。と、その時ミライロが笑顔のままルナリスの方へ手をさしのべた。
「君はマリンちゃんのお友達かな?僕はマリンちゃんが言った通りミライロ=スタンティレル。年齢は28。どうかよろしく。」
「ルナリス=バッハードと…言います…。じゅ…17歳で…す…。」
「そうか!ルナリスちゃんと言うんだね!よろしく!」
「ハイ…。」
ルナリスはやや顔を下に向け、顔を赤めらせながら恥ずかしそうにミライロと握手していた。
「(やっぱりいつものルナリスちゃんじゃないよ…。ルナリスちゃんプライド高いからいつもなら
こんな事しないのに…。しかも私やハガネさんの時と違ってちゃん付けされても怒らないし…。)」
マリンはやはりルナリスの変わり様に違和感を感じていた。と、その時ミライロがさらに言った。
「丁度良いから後でウチに来ないかい?」
「別に良いですけど?」
「じゃあ決まりだね!それじゃあ、豚丼の並お願い!」
後でミライロの家に行く事があっさり決まるとさり気なくミライロは豚丼を注文していた。
それから、会計を済ませた皆は一路ミライロの家へと移動した。と、そのミライロの家に到着した時、そこはまるで何かの研究所の様に大きめな建物があった。
「これが僕の家兼研究所だよ!」
「では…科学者をやってるんですか…?」
ルナリスが恐る恐るミライロにそう尋ねた時だった。ミライロは右腕の人差し指を立て、さらにその人差し指を左右に振ったのだ。
「半分あってるけど半分惜しい!確かに僕は科学者のはしくれ。だけどそれだけで終わるつもりは無いよ。僕は"博物学者"を目指しているんだからね!」
「博物学者?」
ミライロの家の中に入った後、家の中を案内しながらミライロは色々な説明を始めた。そして
マリン等は彼の後を付いてきながら研究所にもなっている彼の家の中の設備を感心しながら見回している。
「そもそも昔は科学者と言えば科学だけじゃなく、医学や生物学、物理学など様々な分野に精通した
"博物学者"だったんだよ!レオナルド・ダ・ビンチや平賀源内しかりね…。あ、ちなみにレオナルド・ダ・ビンチと平賀源内って言うのは地球の昔の学者の名前ね!」
「じゃあ、今はあんまり博物学者って言葉を聞かなくなったのはなぜなの?」
「今は色々な学問の分野が多岐に渡って増えたからね。だからこそ学者はそのそれぞれの専門分野に特化して分岐していったんだよ。」
「そんな時代に博物学者を目指すのは大変でしょう…。」
「ハハハ!確かにその通りさ!でも僕はあえてそれを目指しているのさ!」
ミライロの言葉に皆は感心している様子であったが、そうしているウチに様々な設備が置かれた広大なフロアに到着した。
「ここが格納庫兼大研究室さ!」
「へ〜…こりゃゴジュラスクラスのゾイドが10機は入るくらい広いな〜…。」
その大研究室の広さに皆は驚きを隠せない様子であったが、その際にマリンがある物を発見した。
「それにしても何か色々と武器っぽいのが沢山置いてあるんだけど…あれは…?」
確かにマリンが指差した方向には様々なゾイド用の武器が置かれていた。それは大型の砲台やミサイルランチャーから小型のビームガンまで多岐に渡っていた。
「あんな武器はカタログに載っていたかな?」
ハガネも首を傾げるが、ミライロは笑いながら言った。
「あれは僕が研究の片手間で製作し、さらに特許も出願中の新型兵器さ!」
「し…新型兵器って…。」
「だから言っただろ?僕は博物学者を目指してるって!無論その中には兵器開発に関してもしかりさ!」
ミライロはさわやかな笑顔、しかも真っ白な歯を輝かせながらそう言っていたが、皆は唖然とするばかりだった。と、その時ミライロはさらに言った。
「いっそ君らのゾイドも一度ここへ移動させないかい?丁度手伝ってもらいたい事もあるし…。」
「手伝ってもらいたい事…ですか…?」
そうして、マリン達はカンウ、ハーデス、ゼノン、ドラグネスの4機をミライロの大研究室へ移動させ、
外部と通じる大型シャッターから、格納庫にもなるその場所に止めたのであった。
「和尚さんから話には聞いていたけど…。マリンちゃんは本当にゴジュラスギガに乗り換えたん
だね〜…。ルナリスちゃんもデスザウラーに乗ってるのか〜…。チョコちゃんのイグアンもプテラスの
翼を搭載するなんて面白い改造してるし…。っと、ハガネさんのその虎型ゾイドは初めて見る機体だよ!興味あるね!」
カンウ等をこの目で直接見たミライロは子供のように喜び、様々な角度からそれらを見つめていた。
「ところでミライロさ〜ん!手伝ってもらいたい事って何〜?」
マリンがそう問い掛けた時、ミライロは直ぐさま彼女等の方を向いた。
「そ…そうだったね!まあこっちを見ておくれよ!」
ミライロはある方向を指差しながらその方向へ歩き出した。そして皆もその後に付いていく。
と、そこには一つの巨大な砲塔の様な物が置かれていたのだ。
「バスターイーグルの…バスターキャノン…?にしては少し形が違うような…。」
その武装は彼女にとって見た事の無い物であり、思わず首を傾げた。と、ミライロは説明を始めたのである。
「これは僕が最近作った“マグネイズバスターユニット”、略して“MBユニット”さ!」
「MBユニット?」
「そう、これはマグネイズバスターという名の通り、マグネーザーとバスタービームキャノンという二つの特性を併せ持った射撃格闘両用兵器なんだよ!」
「た…確かに砲塔部分がマグネーザーっぽくなってるけど…。」
>>恐怖の亀裂作者さん
平和てもになっていたのは自分も気付きませんでした・・・
アサガオだけでなく、タンポポまでいたとは・・・。
もしかしてアサガオライガーって味方になりました?
と、言うより、これだけやっても昔のギルベイダーやキングゴジュラスの方が
凄いと言うフォローがさり気なく行われていて感心しました。
>>4 自分もそう言うのがあるとは思いもよりませんでした・・・。
何か懐かしいな〜とかしみじみ思ってみたり・・・。
惑星Zi全てを巻き込んだ世界大戦。そして、大戦末期に起きた謎の事件「Ignorance catastroph」
によってこの星の社会は崩壊した。
人々が年号の概念すら忘れ去った今、ZAC歴で数えるなら時はZAC5011年。
戦後の混乱の中、特定の地域に生まれた新生児の2%に特異な能力が備わると言う事態が発生し、
それらの者は「能力者」と呼ばれた。
彼らの力はゾイドのコアと融合し、それぞれ違う強力な特殊能力を得ること。
ゾイドの機動性が上昇したり、射線を曲げたりと多種多様な能力があった。
そんな能力者を使った私設軍隊で一儲けし、莫大な資金力で国家の枠さえ超えた権力を持つ会社が存在した。
正式な社名は多くの者が知らない。ただ人々からはこう呼ばれた――“ギルド”と…
戦後、大戦で乗り捨てられた膨大な数のゾイドが野良ゾイド化、更に混乱する社会にはテロリストや革命家が暗躍。
国家の軍隊も無きに等しい今、唯一人々の安全を守れる“ギルド”が巨大企業へと成長するのはごく当然の成り行きだった。
大戦を生き延びた凄腕パイロットにして伝説の便利屋・“師匠(マエストロ)”ルガールは仕事の減少から
“ギルド”へ入社。入社試験も難なくクリアし、その夜記憶障害を持つ少女リニアを暴漢の手から救出。
初出動の任務では反“ギルド”組織「リバース・ガーディアンズ」の首領である能力者オレーグ・カーティスに敗れた。
その後、彼を助けた能力者エメットにゾイド戦の心得を伝授したり戦友でジャンク屋のマサシに愛機の強化をしてもらったりと
療養休暇を送る。一方で、“ギルド”は「セフィロト」と呼ばれる特別なゾイドの捕獲作戦を各地で展開。
ルガールにも召集が掛かり、初戦の失敗を挽回すべくルガールは「ガブリエル」の捕獲に向かった。
作戦は彼の活躍により成功し、その後彼はマサシ、リニアと共に人跡未踏の遺跡「月読みの塔」へ向かう
塔の中では遺跡を守る変異サラマンダー「ザン・ビエ」と戦い、打ち破って塔を上った彼らは“ギルド”の極秘プロジェクトに
関わる謎のプレートを入手した。
塔で宝探しを続けるマサシを置いて、ルガールはリニアと共に北へ発った。目指す先は永久凍土ザンジバーランドの
高山、アララテ山である。そこでは“ギルド”が謎のオーパーツ「方舟」を発掘しており、ルガールの持つプレートは
方舟の入り口を開く為の鍵だった。
山に潜入した彼だが、セフィロトの守護天使を一度に3体も屠った“ギルド”最強の能力者
セディール・レインフォードと交戦。実力を認められ、セディールと共に方舟内部へと入るが
そこで明かされたのは“ギルド”の実験で作られたと言うセディールの出生と、リニアがセディールの妹であると言う事実。
そして、セディールの「能力者だけの新世界を創る」と言う野望だった。
止めようとルガールが飛び掛るもセディールの能力の前には無力であり、叩き伏せられて昏倒してしまう。
その間にセディールは方舟を南に向かわせ、自分はリニアを連れて(攫って)脱出した。
セフィロトの一体ラファエルを倒し、愛機を失いながらセディールを追ったルガールが見たのは、
セディールの圧倒的な戦闘力の前に敗れ、今にも息絶えそうなマサシの姿だった。
まもなく息を引き取ったマサシの依頼「セディールを倒せ」を受け、市街へ戻ったルガールはアレックスの依頼で
マッドサンダーを受け取り、市街南部の巨大な亀裂「星の傷」へ向かい衛星兵器“シギュン”を使用して
市街を包囲している野良ゾイドを機能停止させる事になる。
星の傷深部でオレーグとその部下と戦い、戦いの意味を彼らに教えたルガールは“シギュン”を起動し
地上へ戻った。が、地上ではアレックスがセディールに敗れ、史上最凶のゾイド「デス・メテオ」が復活していた。
10体のセフィロトが融合した「ゾーハル」を交え、ルガールはセディールとの決戦に挑む。
あらすじ…滅茶苦茶短く纏めたがこれで解るのだろうか?
>>1(鉄獣28号氏?)
スレ立て乙インバスターライフル!
デス・メテオの荷電粒子砲は、当初200%増しの予定でしたがここだけは公式設定に忠実で…
これだけぶっ飛んだ機体なので500%増しでも良いかとは思いましたが、8000m級の山を変形させる
粒子砲の20%増しでも結構怖いですよ。しかも際限なく連射可能w
往年の名パーツMBユニット登場! カンウが真の姿になりつつあるのか…主人公も進化?
>>恐怖の亀裂作者氏
キングオブデストロイヤー(゚∀゚)アハ、アハハアハアh
解っちゃいても…その名を冠する事を許されたゾイドは限られている気も。
鉄獣28号さんへ
短すぎたのでしょうか?明言が足りなかったのでしょうか?_| ̄|○
前の最後辺りでそこら辺を書いていましたが…。
何か格好良い方が登場したみたいですね。ルナリスさんメロメロ!?
そして100年の時を経て蘇るマグネイズバスターユニット。またドタバタの臭いが…。
Inocent Worldの作者さんへ
キンゴジュやらギルやらがそこまでの力を持っていると言うのは完全な自論です。
でもギルはたった1機でヘリックシティに天災級の被害を与えた事は確かなのであの様な表記になりました。
こう見えても何の由縁か大陸間戦争期に目を覚ましてしてしまった為にベルウッドは人の創り出した最悪の兵器を目の当りにした。
それ以来”彼女”は眠ったままだ。今の姿はその時偶々出逢った少女のそれ。その戦禍からその場に只一人残された命。結局助ける事は叶わなかった命。
戒めと言えば出来の良い枷だがそれを為て初めてその少女に命が有った事を知る。「それから妾は2人に成った…。」聞こえる筈の無い音量で呪詛の様に吐き出した言葉。
「「それで?」」「何ぃ!?」今度はその言葉がファインとミズホから発せられる。「聞き取れた…ちっ!読唇術か。未だにその様な芸当が出来る者が居るとはな。」
「?自分は素で聞こえていたでありますよ。」何者だ!?と言う疑問が残るが気にしないベルウッド。ミズホの方は読唇術だった事は確実だ。
下半身も元の状態に戻りアサガオライガー1/72が定位置と言わんばかりに開いているサブシートで寝そべって居る。
「それは兎も角登りましょう。これ以上これを伸ばしっぱなしでは良くないのでは無いのでありませんか?」「うむ。それが良かろう!」
大半の戦力は先の戦闘で始末が付いた筈なので一気に頂上に登る。そこは呆れる程の顔が有る。
木竜…しかも冗談と言う言葉すら当て嵌まらない無駄すぎる大きさの顔。巨大な目?が此方を睨むがそれ以上の事は出来ない。「と言う事は…。」ベルフはその場を素早く離れる。
そこを強力な熱源が通過。それは有り得ない角度に空間を蹴り彼等の目の前の地に降り立つ。「量産ギガで駄目。数で押しても無駄。と言う事で俺の出番って事だ!」
木竜の頂点に立つ…あの機体。「馬鹿な!?それはついぞ姿を現した神性変異体!この短期間で簡易量産配備だとっ!?」ベルウッドは驚く。
「ふぇへっへ…俺達に”時間”何て物は存在しないんだよぉ!俺はレイカー!切り裂きレイカーったぁぅぅう俺の事よ〜〜〜っ!」力説どうもと言いたい所ではあるが…。
「「それは…ひょっとして…?ギャグで言っているのかぁ!?」」速攻でベルフとファインに突っ込まれる。「うぉっほぉ!?ここは過去だったよ〜ん!」ふざけたセリフを吐くが相当失敗を気にしているらしい。
まあ過去の人間に未来の人間が自分の通り名を叫んだ所で意味が通じない。しかも解りやすい通り名は彼の嗜好や戦闘術を露見させてしまっている。大失敗だった。
「まあ良いや!貴様等それってここでサイザレードに切り刻まれちまいなぁ!」良く観れば芯の細い機体。
手の有る位置にはデスエイリアン面に2本のエクスブレードを角の様に付けた物が2機装備されている。
「「そこっ!そこは”貴様等揃って”だ!」」「むきぃ〜!!!添削するなぁ!!!」サイザレードが空を駆ける。
疾風が奔る。斬撃は澄んだ音では無く金切り声を上げて迫ってくる。「とりゃ!」今度は一番間合いに近いベルゼンラーヴェに仕掛けて来るが槍杖で弾かれる。
「ひょおぉぉぉ〜!し〜びれるねぇ!やっぱり”烈災の魔竜”は伊達じゃね〜なぁ!?」右手を弾かれた事で今度は左手が迫る。それも明後日の方向に流れる。
マグネッサーで反発磁力を発生させたのだ。それによりサイザレードは万歳状態になる。「うひょお!?ハグハグッ!?」それに「いえ…ベアハッグですよ。」金属音が響きその後締め上げられ悲鳴を上げる金属の音。
「あひゃ!?ひぃ〜掛かったぁ〜。」何かが高速で迫り出す音が聞こえベルゼンラーヴェは胸部等を鋭い刃に貫かれ墜落して行く。
「どぉっ!?目の前!?」コクピットを突き破り目の前で止まった刃。一時的にコントロールを失い落下する機体。「腐っても鯛か!おのれ味な真似をし居る!悪鬼呪法機関発動!」
刃が取れコクピットに隙間風が舞い出す。気圧の関係で空気が抜けているのだ。目の前を風が舞い視界が奪われる。「きぃ〜〜〜りぃさぁ〜〜〜き!キ〜〜〜ック!!!」更に下に蹴り落とされる。
コクピットでは切り裂かれた切り傷にアサガオライガーが掴まって必死に外に放り出されそうな状態で耐えている。もう一撃と蹴り掛かるサイザレードに対し「ESBストライク!!!」タイミングを合わせて使用する。
あの挙動なら相手もアレを持って居る筈なので距離を取る筈と践んだが実際は「アァ〜ロオオオォ〜トライアングゥウゥゥ〜ルっ!!!」弦状空間跳躍機構で三角跳びを披露。その後背よりベルゼンラーヴェを蹴り上げる。
戦闘から忘れ去られた4人はその木竜の顔をチクチク攻撃してみる。それを喰らい嫌々する巨大な顔。その状況に直ぐ悪戯心が爆発する。「踊る馬鹿と観る馬鹿!」とベルフ。
それに続き「同じ馬鹿なら!」ミズホが続きを言う。「踊らにゃ!」ラミューズもそれに続き「損!そ〜ん!」サーラが締める。それを合図にその反応を愉しむ様に攻撃が開始された。
「ぬああああ〜っ!危なっ!」コクピットから完全に放り出されたアサガオライガーを何とか捕まえそのまま上昇に任せる。
「良し!コクピットの機密確保!反撃するぞ!」ベルウッドがコクピットを優先した為何とか戦闘を続行できる状態に落ち着いた。
しかしダメージ自体は全く回復していない。この一連の攻防と言うには短い物だがそれの余波は地面が木であるこの場所に巨大な木片をまき散らす。
「ひゃはぁ!こいつ等が落〜ちるまでぇ〜!5分きょぉおぉう!その間にし〜とめるじぇい!」レイカーは宣言し足元の木片を蹴り襲い掛かって来る。
「上等!先に沈める!」「応よ!」今まで調子のいまいち掴めなかった機体だったがベルウッドの存在で操縦のみに集中できるからかモードが切り替わったファイン。
それに釣られる様にベルゼンラーヴェの挙動も一気に素早くなる。同じく落下して行く巨大木片を蹴りサイザレードを迎撃する。「ベノムザァァァッパアァァァ〜!!!」サイザレードの手よりビームセイバーが撃たれる。
「なんの!カラミティシャドウ!」ビームの飛刃と極炎の弾丸が激突し閃光が辺りを包む。それをバックに2機の機体は木片を蹴りながら金属音を響かせ交差を繰り返す。
サイザレードの右腕のギガバイトファングが閃けばそれを左手の槍杖が払う。ベルゼンラーヴェの右手がカラミティシャドウの銃口を向けるとそれをエクスブレードで受けてそれをさせない。
背よりサイザレードの4つ目の顔が尾と共に迫ればその状態からベルゼンラーヴェは倒立の要領でそれを躱し逆に自らの尾で相手の尾を絡め取ろうとする。
そこでサイザレードが矢の如き速さで引き距離が離れる。「たぁ〜のしぃ〜なぁ?兄弟〜!其奴に乗ってなきゃあ〜生かして置いたのによっ!!!」何時の間に”兄弟”呼ばわりされる程親密になったかは永遠の謎である。
「ひゃはぁ!兄弟!俺のたぁぁ〜めにぃ!死んでくれぇぇまぁせぇぇぇい!」視界からサイザレードが消える。弦状空間跳躍機構で一気に視界の外に移動した様だ。そして「ナイィィィン!ブレイカァァァァ!」
その声と共に9体のサイザレードが出現しそれぞれの攻撃を放つ。「がぁぁぁ!?」数発を捌くがそれ以外が一気にベルゼンラーヴェを刻み込む。装甲が一部脱落。フレームの一部が起動不全。
頼みの綱のコアサイクルも損傷し機械科魔学の術式発動状況も悪くなる。
「ぬぅぅぅ!このままでは切り刻まれるぞ!何とかせいっ!」突然無茶な事を言うベルウッド。「だぁあぁあ!いきなり無茶を!」
「無茶ではない!今お主の集中力が上がっておる!今こそ何かをして見せろ!」更なる無茶を言ってくるがそう言うのだから何か出来るのだろう。
そこで思いだし目を閉じる。「陰極呼!百目き!」その瞬間今までとは違う感覚が起こる。それは時間が間延びする様な感覚。
それに続き目蓋の裏に幾つかの予測し得る状況が見えたかと思うとそれが一つづつ消えて行く。
何かの実感が湧く。今自分の目蓋が”ラプラスの悪魔”になっている事を知る。「ほう?それが有ったか…。下手な術式を使うよりは余っ程頼りになる。実の次は虚。何を仕出かすか?」
その声は酷くゆっくりに聞こえる。「死〜ね死ね死ね死ね死ね死ぃぃぃぃぃぃ〜〜〜〜ねぇぇぇぇぇぃぃぃぃい!」「五月蠅い!」声が酷くゆっくり聞こえる為レイカーの声は超重低音の不快な風にすら聞こえる。
それが裂ける音が聞こえる。その時点から機体が分裂し9つの存在に分かれる。それにディスプレイサーが掛けられ分身終了。高速でこんな事をしていればそうそう見破られる訳が無い。
しかし種がばれた手品程興醒めな事はない。手品を教える訳では無いのだから。今度はこっちから謎掛けを仕掛ける番だ。
「炎木降雨ファランクスレイン!」周辺の木片に一気に火が付く。そしてそれはスコールの如くサイザレードに降り注ぐ。「ああぁぁぁぁひゃぁぁぁぁぁ!?火〜のあ〜めぇ〜!?」だから五月蠅いって。とファインは思う。
更に槍杖を燃える木片に使用し槍杖に仮定存在の世界樹を降ろす。現存する金属よりも硬い物質配列の樹皮が槍杖を包む。それはコクピットの有る部分に狙いを定めて振り抜かれる。
「跳べぇ〜!我流超必殺!〇〇打法!バックスクリーン貫通ホームラン!」目を開き時間が現行の流れに戻った瞬間しなりが最高潮の超樹皮コーティングの金属バットと成った槍杖が唸り声を上げる。
必殺の間合い。回避不能の飛距離を稼ぐ会心のスイング。振り抜いた感触。その時既にそのブロックは空に消えていた。
「兄〜弟〜!何時か!いぃぃ〜つかっ!雪辱を晴らすぜぇぇぇい!!!」その鋼材と構造のお陰かコクピットブロックを含むサイザレードの頭部は丁度西方大陸のレッドラストの端に派手に沈んだ。自爆装置は破損していたそうだ。
大戦終了から100年の月日が流れた平和な時代。
大戦時代、“緑の悪魔”の異名(もちろん敵が勝手に付けた物)で帝国軍からキャーキャー(絶叫)
言われていたマオ=スタンティレルの曾孫であるマリン=バイスはエヴォフライヤーを駆ってZiファイター兼賞金稼ぎをしていた。
そんな毎日の中、大戦終了時に行方不明となったマオの愛機であったゴジュラスギガ“カンウ”が
何処かの研究所跡でコールドフリーズ状態で発見され、それを発見したマフィアの者達によって
現代に蘇るが、カンウは彼等を拒絶。マオが5年前に亡くなっていた事も知らずに彼女を捜してさまよい始めたが、マリンを新たなパイロットとして落ち着く事になる。
マフィアはカンウを奪還する為に殺し屋を雇ってマリンを殺させようとするが失敗する。
その後、マリンはカンウと共にゾイドバトル大会に出場するが、そこで大戦時代、マオの宿敵(?)
であった帝国少将であり、終戦後はバッハードコンツェルンなる大財閥を築き上げたルーガス=
バッハードの孫で、金持ちであるが故に縛られ過ぎた生活に嫌気がさして街の不良グループの
リーダーをしていたルナリス=バッハードで出会う。ちなみに彼女の愛機はデスザウラー“ハーデス”
出会った時は啀み合っていた2人であったが、ゾイドバトルを通じて友情が芽生える。
その一方で、ゾイドバトル大会にはワイツウルフ“トランサー”を駆るタイガス=ハンシーンと
言う強力なライバルの存在もあり、彼の圧倒的な強さの前にカンウも破壊寸前にまで追いつめられるがどうにか引き分けに持ち込むことが出来た。
大会終了後、付いていくと言いだしたルナリスと共にマリンは旅立つのであるが、そんな矢先に
伝説の古代虎に関する事柄を描いた壁画を発見し、また、それについて調査をしていたキレヌと言う
名の考古学者と出会い、古代虎に付いての話を聞いたりするのであるが、同じく古代虎の関しての
データを狙うズィーアームズ社の刺客に襲われる事となる。その時、デスレイザーを駆るドラゴス=
チュウニッチと交戦、マリンとルナリスの2人はデスレイザーの性能に苦戦するが、どうにか追い返し、キレヌを守ることが出来た。
その後、謎の怪人、覆面Xの依頼により、巨大暴走族連合ヘルレーサーズとの戦いをこなし、
さらに大手犯罪結社コロンズ団討伐作戦の為に治安維持部隊に傭兵として参加する事になるが、
セイスモサウルスを多数擁する彼等の前に敗北、どうにか生還できた2人はセイスモ対策を練る事になる。
そんな時、遺跡から発見したと言う謎の古代ゾイド、サイクロプスを所有するジャンク屋と出会い、
さらにそのサイクロプスを欲していたズィーアームズの支援を受けた野盗団と戦うことになるが、
その戦いの中でマリンはカンウに凱龍輝の集光パネル付き装甲とディメトロプテラのレーダーを装備
させたギガスアーマードを完成させ、ルナリスはハーデスにテラティックレールライフルなる超高性能ライフルを手に入れる。
そうしてセイスモサウルス対策を練った2人はコロンズ団第2回討伐戦に参加し、激闘の末に
コロンズ団を撃破する事に成功するが、その矢先に今度はライオン型ゾイド以外皆殺しを企む
獣王教団との戦いに突入する事になる。獣王教の使徒である宣教師ザビエルの駆るマーライガーは
強力な物であり、それはたまたま居合わせたタイガス、ドラゴスの協力を得た上でも苦戦を
強いられる程であったが、ワイツタイガーの覚醒と、デスレイザーがパラブレードと合体し、
デカルトドラゴンとなる事により戦況は覆り、どうにか勝利することが出来た。
ザビエルを倒した後も獣王教の攻撃は続き、マリンとルナリスは新たな使徒、ミカエルの襲撃を
受けることになるが、大戦時代、マオのライバルであった人物(と言うかロボット)であり、現在は
レイズタイガー“ゼノン”を駆るSBHI−03ハガネと、彼女と共に行動している謎の少女であり、
プテラスの翼を装備したイグアン“ドラグネス”を駆るチョコ=レートの助っ人により難を逃れる。
その後、2人はハガネがなぜレイズタイガーに乗っているのかと言う話を聞いた後で、さらに今度はマリンの親戚であるミライロと言う男と出会う事になる。
マリンが腕を組み、やや首を傾げた状態でそう呟いた。と、その時だった。
「ああ!!思い出した!!私これに似た兵器を昔の大戦時代に見たことあるよ!これはいわゆるその発展型ってワケね!」
ハガネは思わず皆が呆れてしまうほどの大声を張り上げながらその様に言っていた。
「た…確かに…昔の大戦にも“マグネイズキャノン”って言う兵器が考案されていたそうだけど、
実際には正式採用される事は無かったからね…。だからこうして僕が今この手でそれを復活させようとしたのさ!ただ…。」
「ただ?」
ミライロが急にやや落ち込みだした為、マリンは心配そうに問い掛けた。
「いざ作ってみたMBユニットだけど、あんまり強力すぎて並のゾイドじゃロクに扱えないっていうピーキーな武装になっちゃったんだよね…。」
と、その時ミライロは先程の落ち込みようがウソのように喜んだ顔になった。
「でも!!マリンちゃんがゴジュラスギガに乗ってるって言うからその問題も解決されちゃったよ!!
昔の大戦でもマグネイズキャノンはゴジュラスギガ用に開発されていたって言うし!!というワケで、早速マリンちゃん!!手伝ってくれるかな!!?」
「えええええ!!!?」
いきなり驚いたマリンにミライロは困った顔をした。
「そんなに嫌なのかい?」
「いや…別にそんなワケじゃないんだけど…。」
「じゃあ良いじゃないか!ねえ!」
ミライロはさわやかな笑顔のままマリンの肩をポンと叩いた。と、こうして結局マリンとカンウはMBユニットのテストを引き受けることになるのであった。
「あ〜あ〜…何か微妙な気分だよ…。ねえルナリスちゃん?」
嬉しそうにMBユニットの調整を始めたミライロを見ながらため息を付いたマリンはルナリスにそう
話しかけた。が、返事が無い。いつもならばここでちゃん付けするなと言って殴りかかって来るはずなのであるが…。
「ルナリス…ちゃん?う!」
マリンがルナリスの方を向いた時、マリンは思わず眉を細めた。ルナリスはミライロの方をやや赤めらせた顔で見つめたままボーっとしていたのだ。
「ルナリスちゃん!!」
「わあ!!何だいきなり!!というかちゃん付けするな!!」
耳元で怒鳴られたルナリスは我を取り戻した様子でマリンの頭を殴りつけた。
「イタタタタ…。ったくそれにしても今日のルナリスちゃん何か変だよ?急にボーっとしたりして…。」
「そ…そんな事は無い!!私はいつも通りだ!!というかちゃん付けするなと何度言ったら分かるんだお前は!!」
「いい痛い!!」
マリンはまたも殴られた。しかも殴られた場所が先程と同じポイントであり、かなりの痛みが伴った
様子でマリンは頭を押さえて痛がっていた。そんな彼女が涙目のまま再びルナリスの方を見た時、またもルナリスはミライロの方を見つめてボーっとしていた。
「またかい…。それにしてもコイツは…。」
マリンは腕を組みながら首を傾げ、その背筋にはやや悪寒が走った。
そうこうしているウチに日も暮れてしまい、結局その日は、皆でミライロの家に泊まる事になった。
そして4人はパジャマに着替え、ミライロが用意してくれた部屋で寝ることになった。
「ねえルナリスちゃん?」
「何だマリン。あとちゃん付けするな。」
消灯し、寝ようとした時、マリンは自分が寝ている布団と隣り合った布団に寝ているルナリスに話し
かけていた。もちろん例のツッコミがくるのであるが…。しかし、マリンがそれを無視するのはいつもの事なので、彼女はさらに話を続ける。
「やっぱり思ったんだけど…やっぱり今日の貴女変だよ…。いや、もう12時過ぎてるから昨日と言うべきかもしれないけどさ…。」
「そ…そんな事無い!!私はいつも通りだぞ!!」
「それさっきも聞いた!第一本当に貴女はおかしい。食事中とかもずっと横目でちょろちょろとミライロさんの顔見ていたし…。」
「何度も言わせるな!!私はいつも…。」
ゴンッ
その時、重金属がぶつかり合うような鈍い音が響き渡り、マリンとルナリスはバッタリと死ぬように眠りについた。
「お前らいい加減に寝ろ!!うるさい!!」
二人の枕元にはもの凄い形相のハガネが立っていた。しかもその両手はトゲ付き鉄球と化している。
「ったく…。これだから最近の若い奴らは…。」
Inocent World作者さんに便乗してあらすじまで書いてしまいましたけど良かったでしょうか?
>>恐怖の亀裂作者さん
なるほど。ベルウッドが少女の形をしていたのはそう言う理由ですか。
何か神様(?)が量産されてる見たいだし・・・
あと、野球必殺技(?)は笑いました。
>>Inocent World作者さん
それまでのあらすじ。結構分かりやすくて良かったと思いますよ。
思わず自分も便乗してしまったほどです。
鉄獣28号さんへ
良いな〜あらすじ…。自分が書くとレスを10個は消費しそうで_| ̄|○
実験を開始するみたいですが…憧れって中々冷めないものですよね。波乱の予感!?
神様の秘密は近日?後悔(公開)予定…。もう一捻りないと筋が通らないので。
全ての木片を燃やした事で破片に押し潰される事が無くなり何とか着陸に成功するベルゼンラーヴェ。
「さあてと…この余りパーツ如何したら良いのでありましょうね?」サイザレードの8分割パーツを見て言う。
「如何してくれようか?喰ってしまうか?こんがりと焼いて?」これまた無茶な事をサブシートに座って機体の修理状況を睨みながらベルウッドは言う。
「いや…まあ…それだけどねぇ?」「ねぇ?如何言う意味だ…なる程!」ぽんと手を叩いてベルウッドは言う「逃げるぞ!」
それは残りのパーツがその状態で合体している。腕が双頭の首となり尾をバタバタさせて走ってくる。しかも異常に速い。「ひえぇぇぇぇ〜〜!?」
二首のダチョウの様な姿でサイザレードは追ってくる。「コッコココッコ!コアが無いのにど〜してでありますかぁ!?」「知るか!妾にも解らない事はある!全てを知る者等存在するものかぁ!」
「「うわっは〜〜い!にっげろぉ〜!!!」」因みに今は絶壁に近い傾斜を走り抜けている最中だ。しかもサイザレードも当然の様に同じく走っている。
鬼ごっこはしばらくの間続く…。
山頂部。攻撃を受ける度に悶える巨大な木竜の顔。しかし回復する方が速い所か少しづつ首が伸びている。何か余り宜しくない予感がする一同。
そして下を見やれば口に千切れた装甲を噛み締め垂直な断崖を全力疾走するベルゼンラーヴェと姿の変わったサイザレード。「来たよ…やっぱり。」ベルフは肩を落とす。
最悪の状況が詰め合わせとして一斉に襲ってくる明らかな危機。そこで「状況は最悪。ならばやる事は一つ!」ベルフはベルゼンラーヴェに通信を入れて走っている足元を攻撃する。
それに合せてアスピトルテの外套を広げ後方宙返りをするベルゼンラーヴェ。それに付いて行こうとするサイザレード。だが飛行能力の無いサイザレードは宙返りを続けながら落下して行く。
「「「グッバイアディオスまた明日〜〜〜っ!!!」」」ベルフ、ファイン、ベルウッドは同時に言う。「でもさあ?確かあいつってマイブラザーの機体と同じ機構を持ってなかったかい?」「「!」」
恐る恐る下を見ると…回転中にそれを使い派手に飛び回っているサイザレードらしき光点が或る。「「急いだ方が良いみたいでありますね。」」何故かベルフも同じ口調で言う。気が動転している様だ。
「さっさと始めるぞ!」ベルウッドの声が響く。
「ぬぬぬ…首が生え居ったか!良く聞け!今からあの口より幹に侵入する!」「「「「「えええ〜っ!?」」」」」何か嫌だと言う顔が揃う。
「黙れいぃ!アレを放って置くとどんどん大地を吸い上げここに暗き森を現臨させてしまうぞ!そうなれば縮小進化傾向の今の状態ではこの森の輩を排除する事なぞできん!」
その通りだ。何とか排除し止めを刺すよりも残った巨体に退路塞がれるのを同時に防ぐ為アサガオをアサガオライガーとして使い魔にしたりとしてやっとここまで来たのだ。
下には軌道が固定されてはいないがサイザレードがブンブン跳んでいる。「あ…諦めるしか無い様でありますね…はぁ。」
と言う事で口にやって来た”探検!緑の地獄ツアー”の御一行。相手は知ってか知らぬか木竜は口を開けてくれる。「行くぞ!」
「「「「「おー…」」」」」はっきり言ってやる気無し。「気合いを入れぬか!」ベルウッドが怒り目前のファインに肘鉄を喰らわす。「ま…た自…分…だ…けっ。」事切れたと言う。
そしてベルゼンラーヴェはガクッと倒れる。「しまった!?遂…やってしまったわ…。」口が閉じる。しかしまた数分程足止めを喰らってしまった一行だった。
「…だから…もうお腹一杯…ぐはぁ!?」「どんぶりをするなぁ!」かなり大きめのメリクリウスシャードを握った手でファインの頭を叩きファインを起すベルウッド。
「おお…大粒の涙が…。」その他にもアサガオライガーの蕾からもまた小さなそれが出て来る。「良し良し!お主筋が良いな。気に入らなかったが見直したぞ!流石妾の下僕!」
「え〜っと使い魔の契約は確か…?」それを聞き「お主の使い魔は妾の使い魔!妾の使い魔は妾の使い魔よっ!」何か何処かで聞いた様な台詞を宣っているベルウッド。
「〇ャイアニ〇ズ〇はそこまでにしてそろそろ出発しない?」ベルフが締め括り行動を再開する。その最中「何故にそう言う所が俗っぽいのでありますか…ぶつぶつ…。」
納得できずに独り言と恨み言を言うファインの姿があった。
「目的地は生長点だ!そこ叩けばもう此奴は成長や回復を行う事ができなくなる!その後切り倒してしまえば良い!」迷路の様な幹の中を進む一行。
行く手を阻むはサイズ相応の葉緑素の変異体。数が非常に多いが1個のサイズが彼らの機体より大きくとも存在その物が雑魚以下。彼等を阻める程の力は持ち合わせていない。
「萎んでる萎んでる〜。変なの〜。」サーラが笑う。本当に有象無象の衆と言った所だった。しかし数は多い。「敵は2億4千万。立ち向かうは6匹の…。」
「パクリは良くないぞ!主!それより槍杖にフレイムトーチを呼んだら如何だ?」そう言ってベルウッドは指を鳴らす。すると樹皮が燃え槍杖の先端に松明のように火が灯る。
「妾を誰だと知る!動く命無き我が森に火の光を当て命を産んだ者なるぞ。この程度呼ぶには主の力も要らんわ。」それに「誰も聞いて無いでありますよ。その火に首ったけでありますからね。」
それを聞き「ぬう…不覚。」フレイムトーチの火は虹色に輝き他の者の目を奪い去っていた。
その力も奇妙なもので葉緑素を引き寄せそれを焼いていく。夏に良く店先に或るだろう虫よけの白熱灯のように輝いている。「これは楽ちんでありますね〜。」「当然だ!魔術やら機械科魔学は便利である事に意味が有る!」
したり顔のベルウッド。「…それでは何で始めに使わなかったのでありましょうねぇ?」「黙れ!」足元に軽い衝撃波が走る。文句無く脅しだった。要するに黙って居ろと言う事らしい。「はいはい…それでは。」何やら服を弄り非常食を貪るファイン。
「むぐむぐ…。」それ以降一言も喋らなくなる。「くっ口に何かを突っ込まんと静かにできんのかっ!?」ベルウッドの目は点に成る。
ベルウッドの気配察知を頼りにどんどん下に降りて行く。しかし途中で壁の様な木の内部が動いた跡が有り道を塞いでいる。「ほう?主に逆らうか…面白い!やってしまえぃ!」「結局それでありますか…。」それ以上は何も言わず槍杖を構え壁に斬り掛かる。
勿論一発で切れる筈も無い肉厚の樹木の壁。鋭い斧でも木を一撃で切り倒す事は無理だ。それと同じであり一心不乱に槍杖を振り壁に穴を開けていく。「1っ2っ3っ4っ5っ…124っ126!良し!」少し穴が開いた所で一度手を休める。「おっお主またやるのかっ!?」
「勿論でありますよ!我流超必殺!舜幻乱れノック!90連砲!」きっちり90発を散らせて壁に叩き付け巨大な穴を穿つ。「まっ…マイブラザー?君は多分練習の時嫌われてなかったかい!?」その問いに「勿論!休む暇など与えません!」洒落で済むとは思えない言動だ。
しかし鬼コーチには最適の人物である事は確かだ。無駄な技術をいかん無く披露し無駄に上機嫌になるファインだった。
その内に壁も既に十数枚となれば当然へばる。「ういぃ〜〜…ちかれたちかれた。」それを見て「それじゃあ今度は僕の番だね!」
妙に乗り気なベルフ。当然あの形態になりガリガリと壁を抉る。無茶苦茶な秘技とは違い時間こそ多少掛かるが安定した威力で道を切り開く。
「汗を拭け。しかし何だあの不快な連激は!如何見ても1人で集団〇〇〇をする様な勢い…何がそこまでお主を狩り立てる?」ベルウッドの差し出したタオルで汗を拭う。
そして「サンド〜バックに〜ぐはっ。」「もう良い!もう喋るな。ネタの為にそこまでせんでも良いではないか…。」今は必要無いと言わんばかりに鳩尾に衝撃波。
「ぜぇっぜぇっ…。」疲れ果て肩で息をする様な格好で必死に空気を肺に送るファインを後目にベルウッドは「お〜良し良し…。」アサガオライガーとじゃれ合っていた。
随分と下に降りてきた筈だが或る一定の距離から目的地に中々近付けない。「ふん!奴目動き居ったな!仕方がない。アレをもう一度やるぞ!このままでは埒があかん!」
再度降臨するシャドーマスターテリオン。「お主等!下がっておれ!巻き込まれると狭いこの中では一溜まりも無いぞ!」今度は呼び出す時に方向性を持たせたのか溶解液と炎のみで壁や床を攻撃する。
その時に確かに見た光景。穴や壁が即座に回復を始めているのだ。「やはりな!それならばあれだけ苦労しても到達できん訳よ!」更に攻撃のスピードを上げる。それで一気に破壊の方が再生と成長を上回る。
「はああああぁ!!!」その四本の足が遂に中枢への入り口を蹴り破る「今だ!飛び込めいぃ!!!」一斉にその穴に飛び込むのを確認した後ベルウッドはベルゼンラーヴェのコクピットに戻って行った。
「良し!それだ!その丸い奴を全て破壊するのだ!」如何見ても木の中とは思えない有機的な内包物。これこそ命の坩堝。森の消滅と共に一緒に消えた生き物達の命の結晶。産み出す力の象徴。
これがこの巨木を産み大地を吸い暗き森を故無きデルポイに出現させようとしている。「これはな…足止めだ!彼奴が事を起こす為に必要な時を稼ぐ仕掛けでしかない!急いでこれを破壊するぞ!」
怒りを抑えられないのか握る拳が振るえているベルウッド。「滅びた者は闇に伏さねばならない!幾ら妾が望んでいてもそれは許されん!失われた物は戻ってはならんのだっ!!!世界は今を生きる者の為の物だ!!!」
マリンとルナリスが寝た(気絶とも言う)事を確認すると、ハガネはそのまま静かに布団に潜り込んで
眠りについた。と、そんなこんなの間でも、チョコだけは普通に眠っていたりする。
そうして、4人は明日に備えてグッスリと眠るのであるが、研究所の方からカンカンと何かを叩くような音がかすかに響いていた。
翌日、5人はテーブルを囲んで朝食をとっていた。ちなみにその料理はマリンが作った物で、メニューはご飯とみそ汁、豆腐に焼き魚である。
「いやいや!本当にマリンちゃんの料理は本当に美味い!やはり持つべきものは親戚だね!」
「おだてたって何も出ないよ。ミライロさん!」
ミライロはマリンの料理に感激している様子であり、マリンも笑みを浮かべながら返答していた。
「でもまあ本当にマリンちゃんの作る料理は美味しいよ!そこだけは伊達にマオちゃんの血を引いてないと言えるね!」
「そこだけは…ってのに引っかかるんですが…。」
みそ汁をすすりながら言うハガネにマリンは思わず目を細めた。と、その際マリンの視界にルナリスの
姿が映り込んだ時、やはりルナリスはミライロを横目でチラチラと見つめている事に気付いた。
「(ルナリスちゃん…やっぱり…。)」
マリンはやはり眉を細めたままルナリスをにらみ付けていたが、彼女は全然気付いていない様子であった。
朝食が終わった後、ミライロはMBユニットの調整の続きを行う為に研究所に移動し、マリンは台所で
食器を洗い始めた。と、その時ルナリスがミライロの後を付いていこうとしていたのが見えたのだ。
「ルナリスちゃん!何処に行くの?」
「うるさい!!そんなの私の勝手だろうが!!というかちゃん付けするな!!」
もはや二人のこういう会話はいつもの事なのであるが、ルナリスだけは妙に過剰反応をしており、
その声はいつにも増して大きく、マリンも思わずビクッと一瞬震えた。が、それに耐えつつも彼女はルナリスに言った。
「でもさ!せめて食器洗うの手伝うくらいしてくれない?」
「何で私がそんな事しなきゃならん!」
マリンを睨み付けるルナリスに、マリンは思わず左手で両目を覆い隠した。
「ったくも〜…やっぱり貴女は金持ち令嬢の気が抜けてないみたいね〜…。少しはチョコちゃんを見習ってよね〜。」
「何だとぉ!!?」
ルナリスはさらに怒った顔でマリンを睨み付け、一歩二歩前に出た。一触即発の事態とも言える状態に
なっているが、チョコはそんな事も何処吹く風と言った様子で無表情のまま食器を洗っていた。
そしてついに二人は目と鼻の先にまで接近し、たちまちガンの付け合いになる。
「さっき言った事をもう一度言ってみろよ!!マリン!!」
「そんなんじゃ嫁のもらい手なんて無いって言いたいのよ私は!!」
「何だとぉ!!」
心の中の何かが切れたルナリスが右腕を振り上げた。そのままマリンの顔面に指拳突きを突き刺そうとするつもりである…。と、その時だった。
「もう一度言って見ろやわれぇ!!!!」
「!!?」
突然外から響き渡った罵声にルナリスの右手が止まった。そして二人は喧嘩そっちのけで声の来た方を向いた。
「何だ…?ケンカでもやってんのか?」
「行ってみましょう?」
二人は喧嘩をしようとしていた事をすっかり忘れてしまったように、共に声の来た方向へと移動し始めた。
「ん〜?何か面白い事でもあったのかな〜?私も行こうっと!」
それにはハガネも興味が沸いたのか、彼女も二人の後を追い始めた。しかし、チョコだけはなおも無表情のまま食器洗いを続けている。
「ええ!!?こらてめぇ!!?」
「だから何度来ても同じですよ。僕は君らに協力する気は少しもありませんから。」
ミライロの家の玄関前では、極道っぽいコワモテな男達に囲まれながらも少しも臆せずに彼等と何か
言い合っているミライロの姿があった。極道っぽいコワモテ達はミライロを威嚇する為にもの凄い
形相で睨み付けているが、肝心のミライロは全くこたえていない様子である。
「いい加減にせいよてめぇ!!俺等に協力せんとぶっ殺すぞぉ!!」
「いいですよ?やれる物なら…?」
「もう怒ったぁぁぁ!!」
極道っぽい奴の一人がミライロに殴りかかった。と、丁度その時にマリン達が現場に到着していた。
「危ない!!」
そう叫んだのはルナリスだった。直ぐさま指拳突きの体勢をとって極道っぽい男達に跳びかかろうと
した。その時だ。なんとミライロが極道っぽい男を簡単に倒していたのだ。
「へ?」
その光景にはルナリスの目が思わず点になった。ミライロは想像を絶する強さで次々に極道っぽい男達
を倒していったのだ。なおも唖然とするルナリスだが、彼女の肩を後ろから近寄ったマリンがポンと叩いた。
「ああ、言い忘れていたけどさ!ミライロさんは私より強いよ。何でかわかんないけどね…。」
「つ…強いの?」
ルナリスは開いた口が塞がらなかった。ただの科学者ではなく、格闘技においても優れていると言う
マリンとは別の意味での“人は見かけによらない”の道を進むミライロには驚かない方がおかしいと言えるのかも知れない。
「ち…畜生!!」
残った3人のコワモテはうろたえおり、思わず後ずさりしていた。そんな彼等にミライロは倒した男の一人を抱えたまま声をかけた。
「ちょっとちょっと!帰るならきちんとこの人達を持って帰ってくれないかな〜?」
「ううう…畜生畜生…ん!!?」
その時、男達の目に一人の少女の姿が見えたのだ。それは食器洗いを終えて様子を見に来たチョコであった。
「これだぁぁ!!」
3人は一斉にチョコに跳びかかり、彼女を羽交い締めにし、さらにその頭に拳銃を突きつけたのだ。
これは小悪党がよくやる人質戦法であるが、心理的な意味は抜群であった様子で、先程とは一転してミライロ、マリン、ルナリスがうろたえた。
「ああ!!チョコちゃん!!」
「ミライロォ!!このガキの命が惜しかったら俺達に協力しろぉ!!」
男達は先程とは打って代わって笑い顔になり、チョコの頭に銃口をグイグイと押しつけながらそう叫んでいた。しかし、チョコはそれでも表情一つ変えない。
「ほほ〜…中々面白い事やってくれんじゃないの〜!」
「!!?」
他の者と違って、ハガネだけは特にうろたえてはいなかった。それどころか彼女は軽く笑みを浮かべたまま臆する事無く男達に近寄っていたのだ。
>>恐怖の亀裂作者さん
ついに木の内部(?)に突入ですか?
しかし、この木ですら、何者かが事を起こすための足止めでしかないとありましたから、
さらに凄い事がこの後待っていると言う事ですよね?
放たれた荷電粒子砲は、一瞬ゾーハルすら飲み込んだかに見えた。
しかし、ゆっくりと荷電粒子の奔流が割れ、閃光を無傷で弾きながらゾーハルが輝く剣を掲げた。
「伊達に熾天使を名乗っている訳では無いぞ、コイツはな!!」
「五月蝿い男だ…自分が操縦している訳でも無いだろうに」
巨大クラスにはあり得ないほどの凄まじい機動で、ゾーハルがデス・メテオに迫る。セディールは
醜悪な爪で輝く剣を受け止めようとしたが、次の瞬間にはデス・メテオの右腕が叩き落されていた。
「カマエルの剣、“エロヒム=ギボール”だ。この剣は電子や陽子以前の物質『エーテル』を斬る…
つまりは、この剣に斬れない物は存在しないと言う事だ」
偉そうに薀蓄を披露したマクドガルの目の前で、デス・メテオの切り落とされた腕が再生していく。
正確を期するならば――落ちた腕との繋ぎ目をナノマシンで補っただけなのだが、元と寸分違わぬ腕がそこに在った。
「確かに普通のゾイドなら、掠っただけでサヨウナラだけど…」
元通りになった右腕が姿を変え、長い棒の様な形を形成した。その先から、緑色の光刃が飛び出す。
「僕も、伊達に“ルシファー”を名乗ってる訳じゃないんでね」
巨大なビームの鎌を振り被り、デス・メテオが消えた。空間の歪みを介してゾーハルの背後に瞬間移動し、
同時に巨大な死神の鎌がゾーハルを襲う。
ゾーハルはそれをかわしたが、直後にあった“ギルド”本社ビルは斜めに切り裂かれた。
「おっと失礼――社長」
ビルが崩れ始めた。数々の陰謀と栄光が築き上げたマクドガルの居城が、自重に滑り落ちて崩壊して行く。
マクドガルは崩れ落ちる床を見ながら愕然とした。
――何故だ。私の人生を掛けて…二度と国家間戦争など起きない世界を作ろうとした。
実現間近だった夢の結果が、これか?
彼は笑った。ビルと共に崩れ落ちる自分自身の負けを、認めたくなかったのだ。
セディールが崩れかけたビルに機首を向けた。デス・メテオの口腔内には白い光が満ちている。
「生んでくれてアリガトウ、育ててくれてアリガトウ。僕からの手向けだ、社長…受け取れ」
荷電粒子砲が放たれた。マクドガルの哄笑は、渦巻く光の中に消えていった。
この話…世界を作ろうとした者達の話か?
補足
・「エーテル」についての自説的な考えですが、「物体→元素→電子→」と単位を小さくしていった時に
人間には図ることのできない全ての元となる単位の物質=エーテルと解釈しております
>>恐怖の亀裂作者氏
禁ゴジュやギルは実際キングオブ(ryの名を持つに相応しい機体ですし。
「死〜ね死ね死ね死ね死ね死ぃぃぃ(ry」には爆笑させていただきましたw
あなたの作品はゾイド史上空前の大長編なのであらすじは無理かと。
それはそうと、巨木ネタは自分も考えていただけにウマー(゚Д゚)でした。
>>鉄獣28号氏
あらすじ解り易くて良かったです。
やっぱりスタンティレルの家系&親族は凄いのか…
インフレ防止もかねて、いざ主人公より強い人再び!と言う事ですか?
鉄獣28号さんへ
はい。そう成ります。一応時間稼ぎはお惚けコアの方が主動でやってますが他にも狙う者が1人2人程居ます。
ミライロさん強〜!!!こう言う人に限って特に武術とかを本腰入れてやっていない事が有ったりして…。
Inocent Worldの作者さんへ
社長墜つ。何か〇ジラVS〇ン〇〇ドラ(平成版)の一幕を思い出してしまいました。「〇ジラァァァ〜〜〜!!!」と言って死んでしまう方とそっくり。
あれは更に戦時中ゴ〇ラに助けてもらったから攻撃しなかった所為ですが…。
心臓の様に脈動する命の球体を攻撃する。迎撃できる者は居ない。ここが終着であり彼等の始まりの場所。
しかし思い掛けない存在がそこに居る。「よう!また会ったな。」その声はガリス=ヴェントス中尉の物。「おや?ガリス中尉はまだこんな所に?」
ファインはそう話し掛ける。「ここを打ち壊すのだろう?だったらテストがてらにアンフィスバエナの完全体と勝負してくれないか?丁度見も知らぬ相手との遭遇戦を経験させようと思った所だ!」
「問答無用でありますかっ!?」「その通りだ!何時か白黒付ける時が来ると思っていたがわりと早かったようだ!」
坩堝の1つを突き破りアンフィスバエナの真の姿が現れる。2日前の面影は既に無く前後対称だった本体も別の姿になっている。しかも形容し難い姿だ。
まあ無理矢理型にはめ込むと上半身の上にそれより小さい上半身が有る姿。全高も頭頂の冠みたいな物を除き既に70m強或る。下半身は無くスカートの様に見えるそれは重ね合わされて畳まれた蝙蝠の羽。
巨大上半身の腕は肘より下が全て火器の塊に成って居る巨大上半身の付け根には短い尾。小型上半身には前後に感情の読めないヤモリの顔。それに咬み付く様に被さる恐竜の顔。「一段と気持ち悪くなった様で…。」
小型上半身の肩から下は類人猿科つまり人の腕が付いている。その上境界線が無い強固な装甲が内側から突き破ったかの様に生えている。「ず…随分と独創的なお姿の様でありますね?」
「ほう?無謀の仮面ときたか。お主かなりその筋に通じて居る様だな?」その少女の声にガリスは答える。「いやいやいや!其方こそどうだい?帝国軍随一の術者を手に入れた感想は?暗き森の主よ?」「ちぃ!お主魔術師かっ!?」
ベルウッドの声に「その通り!俺は昔からそうだったよ。持て余したこの力を試せる日を待っていてね…今やっとそれが叶うわけだ!行くぞ!アンフィストホテップ!」アンフィストホテップが羽を広げ長大な腕の火器を構える。
「気を付けろ!奴は…魔導士(ソーサラー)だ!あのレベルとも成れば邪神程度は容易に招喚できる…そしてあの機体は元の機体に邪神の欠片を降ろしたものだ!」「3階位の違いでそこまでの差があるのでありますか!?」
その間にガリスは無造作にこう宣言する。「機術選択。カノンレイ。」長大な腕の火器が展開その誘導砲身を閃光が駆け抜け幹に大穴を開ける。
「ベルフ少佐。人払いをお願いできませんか?」ガリスは穴を差しそう言う。「ん?君ともあろう者が心配事かい?」
「そう…無駄な戦力消費は其方には痛手な筈。機体のテストがしたいだけなので。」事務的に言う。「了解…出よう。」
ベルフはそれ以上何も言わずに幹の外にテールディザスター等を連れて出る。
「邪魔者は居なく成った。そろそろ始めよう!機術選択!ミサイルレイ!」今度はレンズ上の砲口から丸い光の球が多数排出されベルゼンラーヴェに殺到する。
「間に合わない!ESBストライク!」強引に光球を蹴り跳ばしそれを消滅させる。光球がお互いに反応しなかった事が救いと成り全ての光球は一撃の下に排除された。
それが迫る。槍杖で受け流して事無きを得るがそれの通った跡は空間毎切断されたかの様に一斉に斜めにずれ落ちる。「ソードレイ。気を付ける事だ。」砲身から伸びた光の剣がこれをやったらしい。
ベルウッドはファインに声を掛けない。無駄な声は集中を乱す元だ。相手の関係上勝つ事は有り得ない。しかも奇跡的に勝ったとしても唯では済まない損傷になっている事だろう。
「攻撃はしないのか?なら絶対攻撃したく成る様にしようか…。」空間が激震。周囲に立方体の光が現れる。「キューブスペル…ミーティアライト!」光の立方体が不規則に動き出し無差別攻撃が始まる。
それの対称は全て。ベルゼンラーヴェもアンフィストホテップも命の坩堝もお構い無しだ。しかし当たり前だがアンフィストホテップに衝突してもダメージは無く明後日の方向に跳び去って行くだけだ。
「当たると吹き飛ばされるみたいでありうわぁっ!?」尾が引っ張られる感覚と共にバランスを失いふらふらと移動するベルゼンラーヴェ。そこにソードレイが迫る。
「なっ…何ぃ!?」驚きの声を上げたのは攻撃を仕掛けたガリス。それもその筈でソードレイの光の剣をベルゼンラーヴェの口が咥えた状態でぶら下がっているのだ。「ミラーファング!」「こっこら!放せ!」
ブンブンと腕を振り回すがベルゼンラーヴェは離れない。それ処か手でもソードレイを掴んでいる。「しまった…こいつは在るまじき非常識の塊。迂闊だったか!」
少し戦況が落ち着いてきたのでベルウッドはファインに話し掛ける。「落ち着け。今のままで良い。相手の裏をかけ!お主の行動に困惑しておる今が好機だ。そのまま煙に巻いてしまえ!」
光の立方体が飛び交う中まるで汚れを必死に振り落とそうとする様に腕を振り続けるアンフィストホテップ。
「くそっ!離れろっ!離れろっ!」「それじゃあ御言葉に甘えて…せいっ!」その瞬間長大な肘より下がアンフィストホテップから脱落する。
「関節の強度が不十分だった様だな!だが!機術選択!リペアスペル!」肘から下が蠢くとそこから粘液に塗れた腕が生えてくる。
「こっちの腕は如何するでありますかっ!?勿体ない!勿体ないお化けが呪いに来るでありますよっ!」その言葉を聞き「貴様は馬鹿か!?そんな物が来る訳…。」
ガリスはコクピットシートの後ろに異常な気配を感じ振り向くと…「おい!狭いぞ!お主は少し空間認識に甘いと見えるなぁ?」それは少女の声。
「でえぇぇぇっ!?馬鹿な!この数十の対呪術結界を突破してくるだと!?」ベルウッドは嗤う。「うつけめ!妾をこの程度の結界で阻めると思ったか!?罰ゲームはこれだ!」
突然後ろからベルウッドに脇の下を擽られるガリス。「く…耐えろ…今気が散れば…。」「散れば如何成るというのだ?お主?」その手の動きが速くなる。
そしてガリスの集中が途切れる。「妾を舐め居ってからに。スプリット状態で自由に行動できるのが精霊憑きの特典だ!そこに気付かんとは…お主?実は馬鹿であろう?」
「なっ何を突然!?」混乱。勝負有だ。「目の前には回避不能の状態で切り取られた腕を掴み振り上げて叩き込もうとした状態で動きを止めているベルゼンラーヴェの姿。
そしてベルウッドの止めの一言「頭でっかちでは折角の機体も宝の持ち腐れよのう?ガリスとやら?勝てる勝負をみすみすドブに捨て居ってからに。まあ此方も少々てこずったからな引き分けにしておいてやろう!」
「まあ戦利品としてこれは頂いておくでありますから…丁度良い!如何しても火力に不安が在りましてね。」素の千切れた腕を見てガリスは苦々しげに言う。「麻雀の時もそうだったな。裏道街道が好きらしい。」
「まっまだ根に持っていたのでありますか!?」「当たり前だ!月給の3/4も持って行かれれば誰でも根に持つわ!」そんな事を何時までも放していた事で思わぬ相手から奇襲を受ける事に成ったのである。
坩堝が割れその中より何かが飛び出して来る。何時の間に追い付き追い越したのかサイザレードの姿が有ったのである。「「出た〜っ!?」」余りのしつこさに頭が下がる。
「な!!何だお前は!!コイツの命が惜しくないのか!!?」
「やってみればいいじゃん!できるもんなら…。まあ、どうせアンタ等みたいな小悪党には無理な話だろうけどね…。」
ハガネは男達を挑発していた。無論その事は男達を怒らせるだけで無く、マリン達を戸惑わせる事にもなった。
「ちょっとハガネさん!!チョコちゃんが死んでもいいの!!?」
「そうだぞ!!アイツはハガネさんが面倒見ている娘じゃないか!!」
マリンとルナリスはハガネに対してそう叫ぶが、ハガネは何の反応もしなかった。それどころか男達に
対して人を見下すような目つきと笑みを浮かべていたのだ。無論それには男達の我を忘れて切れた。
「畜生!!こうなったら本当にやってやらぁ!!」
男が後先考えずに拳銃の引き金を引こうとした。と、その時だった。先程まで男達に羽交い締めに
されていたチョコの身体がスッポリと男の腕から抜けるように離れ、そのまま目にも留まらぬ速度で
男の顔面まで飛び上がったと思うと、右足が三つに増えた様に錯覚させる程の俊速の蹴りを男達の顔面に叩き込んで3人同時に倒していたのだ。
「え…?」
それにはハガネ以外の皆は唖然とし、開いた口が塞がらなかった。
「言い忘れてたけどさ!チョコちゃんはこう見えて滅茶苦茶な使い手だよ!」
ハガネは一人笑いながらそう自慢げに言っていた。
コワモテ軍団を撃退した後、5人はそろって研究所に移動していたが、ハガネがミライロに先程についての事を尋ねた。
「それにしても…さっきの連中って何者?」
「ああ、さっきの人達?あの人達は…、まあ強いて言うなら私に協力しろと言ってくる組織の人ですね。」
「組織?」
「そうだよ。自分で言うのも何だけど、自分の頭脳を欲してる人が多いって事だよ。」
「まあ、あんた色々凄いの作ってるみたいだからね〜。そう来てもおかしい話では無いな。」
「じゃあ、何で断っていたの?」
そう口を挟んできたのはマリンだった。ミライロはマリンの方を向き、その問いに答えた。
「確かにその協力しろって言う要請も、何か世の中の役に立つ事ならば喜んで協力するさ!けど、
世の中甘くないね!来るのは何かヤバそうな犯罪組織とかマフィアとかギャングとか極道とか…。いやはやまいっちゃうよね〜…。」
「そ…そうなの…。」
結構重大な事なのに関わらず、大して危機感を持っていない様に軽い口調で言っているミライロの
言葉に皆唖然とするばかりだった。しかし、それにも尻目にミライロはさらに続けた。
「それにしてもチョコちゃん!君は以外と強いんだね〜…。僕驚いちゃったよ!」
ミライロはチョコの頭に手を置いて、優しくなでた。無論チョコは何の反応も示さない。それには流石のミライロも困った顔をした。
「おや?結構無愛想な娘だね〜…。」
「ミライロさん…。チョコちゃんはそう言う娘だからあまり気にしないで?」
「そう?」
マリンの言葉にミライロは表情を戻し、再びチョコの頭をなで回し始めたのだった。
「アイツ……………。」
5人はそのまま研究所に向かうが、ルナリスは一人チョコを睨み付けていた。
そうして格納庫も兼ねた大研究所に到着した5人は、ミライロを先頭としてそこに止められたカンウの
足下まで来ており、ミライロはカンウの装甲表面を軽く叩きながら言った。
「実はさ、先日MBユニットの調整ついでに少し君達のゾイドに付いて調べさせてもらったよ。」
「アンタ勝手に何やってんのよ!」
ミライロの言葉に、ハガネは眉を細めていたが、ミライロは特に表情一つ変える事も無くさらに続けた。
「マリンちゃんのゴジュラスギガなんか、かなりの改造が施されてる見たいじゃないか!」
「まあ…確かに以前もとあるパーツショップの人から普通のギガとは違うって言われた事あったし…。」
感激しながら問い掛けるミライロにマリンは半ば戸惑っていた。しかしミライロは構わず続ける。
「追加装備した集光パネルとか高性能レーダーとか色々あるけど、特に内部構造なんかはほとんど
別物と言って良いよこれは!!出力もレスポンスも何もかもが通常のギガと比べて強化されてるし!
口から火を吐く上にブロックスとのリンクで出力が跳ね上がるようなシステムなんが付いている…。」
「そ…そうですか…。」
やはり感激しながら力説するミライロに、マリンは口をあんぐりと開けて唖然とするばかりだった。
「確か君のギガは100年前の機体そのままなんだよね!?にしても当時の技術でこれだけの代物を作った人は凄いと思うよ僕は!」
「そりゃそーだ!何しろカンウを強化したのは18歳の頃のアンタの婆ちゃんだからね!」
「え!?」
突然口を挟んだのはハガネだった。彼女の口から放たれた言葉にミライロは思わずハガネの方を向く。
「マリンちゃんのギガを改造したのはミオお婆ちゃんなのかい!?」
「そうだよ!あんただって知ってるだろ?アンタの婆ちゃんとマリンちゃんの曾婆ちゃんが双子の姉妹だって事を…。」
「ええ!!?そうなの!!!?」
次に口を挟んできたのはルナリスだった。彼女はいつにも増して驚いた表情で目と口を開いていた。
「確かにそうだけどさ…。そこまで驚く程の事?」
「そ…そうだな!実際親戚なんだし!驚く事じゃないか!」
やはり過剰に戸惑っているルナリスにマリン、ハガネ、ミライロは驚いた顔をしていた。
「(やっぱり最近のルナリスちゃん少しおかしい…。)」
平静を装いつつも、やはり内心戸惑っているルナリスに違和感を感じたマリンはそのように内心思っていた。
「それはそうとハガネさん!本当にマリンちゃんのギガを改造したのはミオお婆ちゃんなのかい?」
「ああ!そうだよ。我が宿命のライバルであったマオちゃんが実際にそう言っていたからね!」
「宿命…ねえ…。」
ミライロの問いに対するハガネの言葉にマリンは軽く吹かしていたが、その時ハガネがマリンを睨み付けた。それにはマリンも思わず硬直する。
「な…何?」
「確かに私とマオちゃんは結局あの時の最終決戦においても決着が付く事は無かった。そして、私は
ロボットだから年齢を気にする事無く戦えるが、マオちゃんは人間だ。いかに強くとも“老い”という
自然の摂理からは逃れられない。だから私はマオちゃんに勝てなくとも、その子供に勝とう、その子供に勝てなければ孫に勝とう…。そう考えていたんだ…。」
「まさか…私を倒そうというの?」
マリンは思わず息を呑んだ。ハガネの言葉はマリンに対する挑戦の意志の現れであったからだ。しかし、先程まで険しい表情をしていたハガネが急に表情をゆるめたのだった。
>>恐怖の亀裂作者さん
木内部にいた奴もこれまた気持ち悪いですね。しかもそれも邪神関係らしいですし・・・。
あと、何か懐かしい人が出てきました?
それと、ミライロに関してですが、彼は生粋の頭脳労働系で
格闘技など全くと言って良い程やってません。
なのに何故強いのだろう?とかそう言う謎的なキャラとして考えたのが彼です。
本編にもその理由(?)が断片的に描かれてますが、前作登場したあのキャラの現代版です。
ただ、イヤミな性格だったあのキャラと違い、彼は結構親切で良い人なんですが。
>>Inocent World作者さん
マクドナルドォォォォォ!!!!・・・じゃなかった・・・マクドガルゥゥゥ!!!
ゾーハル凄い奴なんだからもう少し頑張ってくれても・・・とか思ってしまいました。
デスメテオも凄い再生能力持ってますし・・・。これはコア潰さない限り不死身ですか?
>インフレ防止もかねて、いざ主人公より強い人再び!と言う事ですか?
もうインフレ防止どころではありません。むしろこのままでは
ふたりはヤ○チャ化orz
してしまいかねません。主人公なのにヤ○チャ化って凄く斬新でしょw
「さあ、阿呆が居なくなったところでお前も始末しなくちゃね」
デス・メテオが口を開いた。その先には、中空から間合いを計るように旋回するゾーハルが居る。
口腔内に、今度はゆっくりと色を持たぬ小さな光が現れた。それは薄い膜で空気と隔てられ、
一見する限りでは拳銃の弾ほどの大きさも無い。
しかし、セディールはその光がもたらす効果を思うと笑いを禁じ得ない。ナノマシンの便利さといったら、
彼の野望を満たすに充分で有り余る。
「よく見ておけ…時間こそ掛かるが、これでも充分な威力を発揮する兵器だ」
巨大な口から、あまりにも小さな光が放たれた。尾を引いて飛ぶ光弾は飛び退いたゾーハルの脇を通過し、
市街の隔壁から遥か向こうへと飛んでいった。
そして――地平線が爆発した。数十倍規模の日の出を早送りで見ているような閃光に、思わずルガールの呼吸が止まる。
「何だ…何をした?」
答えを期待していた訳ではない。だが、セディールは答えた。
「陽電子さ。水素でも何でもいいから原子核をナノマシンでバラして、中の陽電子を取り出した。
それをマシンの膜で覆って対消滅を留め、口内で加速して撃ち出す。…学校で習ったか?」
ルガールとアレックス以外の全員が口を半開きにした。意味不明、といった顔だ。
しかし、例外の2人は別種の戦慄に身を凍らせた。二人が同時にセディールを問い詰める。
「陽電子だと…!? そんな物を使えば、多量のγ線が放出されるのは自明の事だろう!!」
「あなたは本当に…この星がどうなっても構わないと言うんですか!?」
セディールは少し驚いたような顔をしたが、即答した。
「いいよ。どうせこんな世界――壊れるべき物だろ?」
ルガールは今更になって思い出した。セディールの目的は既に「世界滅亡」へとシフトしていたのだ。
「まあ、放射線なんてのはナノマシンでどうにでもできる代物だしね。光だって曲げられるんだから…」
「なら、全部曲げてみたらどうですかッ!?」
唐突に、エメットのガンブラスターが黄金砲(ゴールデン・ローリングカノン)を斉射した。不意の出来事に
セディールはナノマシンの幕を張ったが、数発の弾がデス・メテオの装甲を射抜いた。
「どうですか、デッドボーダー10機を蜂の巣にしたと言う黄金砲の威力は?」
エメットは挑発のつもりで言った。だが、セディールは傷を瞬時に修復すると笑って答えた。
「中々良いけど、デッドボーダー10機なんて自慢になるのかい? …まあ、ゾーハルの相手だけじゃあ退屈だ。
能力でも何でも使うんだね――全員、まとめて掛かって来い」
今しもデス・メテオの首を飛ばす筈だったゾーハルの剣は、虚しく空を斬った。直後、鎖付きの鉄球に
トランスフォームした腕の一撃でゾーハルはビルの残骸に突っ込む。
そして、能力者たちの機体が一斉に輝いた。発動の光がオーロラのように並ぶ光景は、壮観ではあったが
本来なら楽しめるはずの無い状況である。これだけの数の能力者を相手にして勝てるゾイド乗りなどいない。
「…わざわざ挑発するとは、トチ狂った影響か、それとも…?」
能力者たちはそれぞれ強力な攻撃をデス・メテオに加えている。ナノマシンの霧を通過できる砲撃は
皆無に等しかったが、シールドを張っての格闘攻撃まで止めることは出来ない。
だが――
「さてさて、僕の妹にも出番をあげないとね」
セディールの一言に、ルガールの疑念は確信へと変わった。
「ルガール…だったかな? …見ろ。アンタが連れ回したリニアの、本当の力を」
デス・メテオの角から光が弾けた。途端に能力者たちはコックピットに引き戻され、
形容しがたい脱力感と頭痛に襲われる。生命に危険は無かったものの、彼らはもう戦える状態ではなかった。
「反能力…この町の中で、今能力が使えるのは僕だけだ。…これで、こいつらは戦力として当てにできない。違うかな、ルガール?」
ルガールは歯噛みした。始めから、能力者を封じる為の挑発だったのだ。だが、彼が最も気にしたことはそれではなかった。
「そんな事は百も承知だ。それより……リニアは、何処に居る?」
「良い質問だな。リニアは能力者を封じる為に、デス・メテオと一体になってもらった」
ほんの一瞬、ルガールの思考の全てが停止した。出会ってから長くは無いが、幾度と無く彼の
命を救ってくれた少女の顔が脳裏をよぎる。
「彼女は今デス・メテオのコアの中で、生体ユニットとして眠っている。僕と同じ細胞から作られた…
僕の、唯一の肉親…僕が乗るデス・メテオと一体になる者として、彼女以外に誰が居る?」
ルガールの心の奥底で、冷たい炎が燃え始めた。
最上位の天使すら軽くあしらい、能力者を封じ、再生、変形、陽電子砲…
補足?
・陽電子砲については、前作よりはマシになっていると思いますがまだ矛盾点があるかもしれません。
あくまでもポジトロンスナイパーライフルみたいなものと…
>>恐怖の亀裂作者氏
あちゃー…ゴジラシリーズは結構好きですよ(ミレニアム以前)
特にビオランテ戦。植物が敵とかバイオがやたら関わってくる辺りも当時幼児だった自分には
衝撃以外の何者でもなく。
>>鉄獣28号氏
だ が し か し ! コ ア も 潰 せ な い ッ !!w
社長の最後はあなたの予言通りでした。まあ予定通りですんで…
ヤ○チャはマズいって…嫌いなキャラじゃなかったけど中盤以降印象薄&やられキャラ路線だったし。
いや、第一! そのヤバイ血統でヤ○チャはありえない!!
鉄獣28号さんへ
チョコちゃん強い…ポカーンそしてルナリスさんの暴走近し!?アワワワワ…。
そして…無敵塾化再び!?ヤムチャ化は無茶な人が列席しないと出来ないのではっ!?
この作品の2日前となると…何スレ前の事やら!?過去スレからの復讐者に成ってしまいました。
しかもいまいち君化とヘタレ化が激しくなって如何でも良い繋ぎ役に成ってしまわれました。多分これ以降は出番無しの人に確定です。
Inocent Worldの作者さんへ
グニャッと曲ってチュド〜ンのあれですか!?かなり曲りやすいと評判ですが。
あれって無印のGF編のゴルドス電磁槍でぐにゃぐにゃに曲って何度も攻撃してくる!?ガクガクブルブル…。
「貴様等!?何を恐れている!?機体の後ろに隠れるな!」坩堝から出てきたサイザレードは言うなれば半生二首ギルベイダーっぽい姿に成って居る。
多分コアが追加された事だろう。「ちっしょうがない!少しはましな所も見せるのもたまにはいいだろう。」
アンフィストホテップが前に出てサイザレードの前に立ち塞がる。「機術選択バインドレイ!」光のワイヤーが多数発生しサイザレードを巻き取る。しかし…。
二つの首が咆哮ししゃむに暴れると共に光のワイヤーが断ち切られていく。「奴は…魔導複製体!先に言え!」バインドレイは抗術能力の有る対称には余り効果が無い。
しかし無駄に暴れているのも好機。そこを突き一気に仕留めようとガリスはカノンレイを発射する。これもまた咆哮に遮られる。「馬鹿な!?アンチボイス!何処までの力を持つのだ!?奴は!」
後ろでガクガクブルブル震える機体の中の2人の行動がようやく理解できる。「おい!その腕部からソードレイの発生機を取り出せ!その機体で使えるのはサイズ的にそれだけだ!」
「へっへい!親ビン!」そう言ってソードレイの発生機を取り出すファイン。「この馬鹿っ面ぁ!?って乗せるな!残りをよこせ!」残りを受け取ったガリスはそれを容赦無くサイザレードに打つける。
今度は術式攻撃ではないので無効化は出来ない。二つの頭部にそれは辺り口を閉じさせた。それを見計らって「機術選択!ボンバーレイ!」それが爆発する。辺りは閃光に包まれた。
閃光が納まり視界が良好になる。「やったか!?」目の前には2つの頭部が消滅しそれでもまだもがいているサイザレードの姿が有る。尾の顔がまだ残って全体を制御しているらしい。「しぶとい!」
カノンレイが数発放たれる。直撃してサイザレードは随分数が減ったとは言えまだまだ一杯有る坩堝の一つに突き刺さる。しかもその中に入っているのは見間違いなのだろうか?
「「「はっ入ってる〜!?」」」如何やらあの要領でガリスは機体を今の姿にしたらしいと思っていたが実はそうで無い事が今の声で明らかになる。
「ガッガリス中尉!?あ〜やって機体を強化したのではっ!?」それに「知るか!突然あれに巻き込まれただけだ!」ガリスは答える。「うつけが2人も揃うと壮観よな?お主も言ってやれ!」アサガオライガーに命令するベルウッド。
「にゃ〜お〜〜ん!」嬉しそうに鳴くアサガオライガー。
「「馬場かにされている!?」」真逆ペット兼使い魔風情に馬鹿にされるとは思いもしなかった2人。
「おい!ボンクラーマン1号2号!さっさと如何にかせんか!」そのベルウッドの声に「「あんたにだけは言われたくないっ!!!」」脊髄反射で答えが返る。
「ほほう?特に主よ?側に居る妾にそう言ったら如何成るかのうなぁ〜?」「ぐげらぼはぁあっ!?」何か嫌な音を聞いたガリス。
「お…おい?無事か?」その声に反応しカメラの前に出て来たファインの顔は…口の横から血が滴り額も割れて血だらけの蒼白な顔。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!?しっ死体!?」その声に「い…嫌ですね…これでもまだ生きているでありますよ…ふへへへへ…。」
「ぬう…やり過ぎたか。」ベルウッドはそう言うと空間に干渉しメディカルキットを宙に浮かせ治療をさせている。しかし血を出させ過ぎたのは痛い。
貧血症状が出ると抵抗力が落ちる。そんな最中ファインは何やらしている。「おっお主何をやっておる!?」口をモゴモゴ動かし何かを喋っている。
それは低い音の様にしか聞き取れない。しかし機体の状況を見れば何をしているかが直に解る。しかも周囲から無理矢理力を集めているのも感じ取れる。
ベルゼンラーヴェの前には黒山羊の槍杖と2挺の銃カラミティシャドウとウェイブレイダーそれにアスピトルテの外套が有る。それに機体から外れてホロテックルーン装甲も加わる。
本体は最低限の装甲しかない状態。殆どの部位はフレーム等が剥き出しになっている。ベルウッドはアンフィストホテップとサイザレードの戦闘に目を向けていた為この行動を見逃していたのだろう。
蒼白な顔の原因もこれに有る。槍杖等を包む呪印。これを作る為にずっと集中していたのだろう。ファインの腕を見ると肘近くまでの毛細血管が破裂している。
それを見てメリクリウスシャードを使用しようとするベルウッドを静止するファイン。「も…もう少し待って貰えないでありますか?」
装甲に刻まれたルーンの模様はそれ自体が機術の発動を補佐する役目が有る。それをも利用してこれだけ時間が掛かるとなれば何が起こるかは想像も付かない。
「錬金の方面かこればかりは妾にも予想が付かん!錬金の結果は術者にも解らん場合が或る。」変化が始まり装甲は役目を果たし元の場所に戻ってくる。その代わり槍杖等が光の糸になり上空に舞い出す。
新たな姿が形を得る。
「なっ…一度全てを力に還元。その後力に反発反応を起こさせ別の存在を産む為の力を産み出すだとっ!?」ベルウッドをも驚愕させる。
槍杖、2挺の銃、外套が有るべき場所に帰る。しかし生まれた力は新たな光の糸となり形を織り始める。ベルゼンラーヴェの両手に十文字が一斉に現れる。
其れ等をベルゼンラーヴェが掴むと更に両手を合せ刃が十文字の八方刀を創り出す。「一丁上がり!十字封剣…八封輪!」
奇妙で大きな八方手裏剣と言うイメージだろうか?それこそ組んだ本人にしか使い方が解らない様ななぞの物体を創り出したファイン。それを躊躇いも無く投擲する。
投擲方向とは無縁の起動を飛び坩堝を切り落としながらサイザレードの入っている坩堝に刃を向け迫る。しかし失速する刃。「気力でやっておったな?これ以上は待っていられん!」
メリクリウスシャードを使用し止血と精神力の回復が行われる。それと同時に刃に再び力が戻りその場を一度離れてもう一度襲い掛かる。
それよりも先にサイザレードは出て来るが丁度その位置に達する軌道には八封輪が有る。それにアンチボイスを放射するサイザレードだが今度はそれでは防げない。
アンチボイスを受けて更に回転が速まる八封輪。「何だ?あれは?」ベルウッドが聞くと「あれは…見た通り力を受けるとそれを回転力に還元する物でありますよ。あんな風に…。」
八封輪に切り裂かれるサイザレード。回転鋸に切断される様な切り口を残して八封輪が飛び去る。致命傷ではないがこれは利いている筈だ。
それを逃さずアンフィストホテップからカノンレイが大量にサイザレードに降り注ぐ。アンチボイスで迎撃するが物量に押されて遂にカノンレイがサイザレードに到達する。それで終わりである。
カノンレイの閃光に焼かれ形を失って行くサイザレード。そして閃光が納まるとサイザレードもそれと同じ様に消滅していた。「やっと終わったか!?ん?猛烈に嫌な予感がするのだが気の所為か?」
ガリスは複数の坩堝を見る…そこには坩堝を割り外に出ようとしているサイザレードと同型異種の機体が複数存在する。
「なる程…時間など必要無いとはこう言う事かっ!さっさと破壊するぞ!」「了解であります!」この場の底にはペイルバイターの本体が居るのが見える。
それ等は全てペイルバイターの本体を元に劣化複製されているのだ。ペイルバイターの目が光る…。
「あんたに挑戦?ハッ!バカバカしい!誰があんたごとき…。」
「へ?」
手のひらを返すようなハガネの返答に、思わずチョコ以外の3人は拍子抜けした。
「ハガネさん…。それは一体どういう事…?」
「あんたごときザコは私が挑戦するまでも無いという事さ!アンタの爺ちゃんも父ちゃんも、結局はマオちゃんを超えるには到らなかったからね〜…。ハッハッハッ!」
「ま…マリンが…ザコ…?」
「な…なんか腹立つなその言われ方…。」
大笑いしているハガネに対してルナリスは驚きの声を上げ、マリンは両手を額に青筋立てながら手を
振るわせていたが、その時ハガネが急にマリンを指差したのだった。
「悔しいか!?ならば強くなれ!!私が挑戦するに値するくらいにな!!?」
「それはともかく、いい加減話を戻してもらえませんか?」
「あ…そうだったね…。」
すっかり話題が変な方向に進んでいた事をミライロに突っ込まれたハガネは急遽本題に戻った。
「ええと…。さっきは何の話してたんだっけ?」
ずげげげげっ
その時ハガネとチョコを除く全員がすっ転んだ。それにはハガネもビックリしていた。
「ゴメンゴメン!とにかく!カンウを改造したのはミライロの婆ちゃんだよ。マオちゃんがそう言っていたんだから間違いない!」
「しかし何で…。」
汗を拭きながら言うミライロの言葉にハガネは腕を組んで考え込むようなポーズをとった。
「う〜ん…。確かヒマ潰しとか言っていたような…。」
ずげげげっ
またもやハガネとチョコ以外の全員がすっ転んだ。
「ひ…暇つぶしって…曾お婆ちゃんのカンウは暇つぶしで強化されたの!?」
「確かにマオちゃんはそう言っていたよ。けど、暇つぶしで強化されたと言ってもその完成度は
高かったよ。実際何度か戦った私が言うんだから間違いない。それに、カンウがその時強化された
からこそマオちゃんは生き残ることが出来たと言えるかも知れない…。」
「え…?」
マリンは一瞬だまり込んだ。そしてハガネはさらに言った。
「そもそもカンウが強化された原因は、パイロットのマオちゃんの操縦がカンウの性能を超えて
しまったからという事なんだよ。なにしろシュトゥルムフューラーが止まって見えたと言わしめた程の
戦いを見せていたからね〜…。でも、その一方でそれだけの戦いを可能にするマオちゃんの操縦に
カンウが追いつけなくなったという問題が生じていたんだよ。カンウがオーバーホールされた時には内部回路や関節がズタズタになっていたって話だからね。」
「そ…それほどまでに…。」
ルナリスも思わず息を呑んだ。だがそれでもハガネは続ける。
「そこで、技術将校出身で、ゾイド改造の天才でもあったマオちゃんのお姉さんのミオさんがカンウの
強化改造を引き受けたんだよ。いや、カンウをあれ程にまで強化出来たのはミオさんしかいなかったと
言うべきかもしれない。その結果、カンウはどうにかマオちゃんの操縦に追随出来るようになり、あの戦いを戦い抜くことが出来たんだよ。」
「…………。」
マリンは黙ったままだった。自分が何気なく使っていたカンウに秘められた数々のドラマを実感していたのだ。と思ったとき突然ハガネがマリンに顔を近づけて来た。
「しかぁし!!そんな強化されたカンウもマリンちゃんの操縦じゃあその性能の4分の1も引き出せて無いから宝の持ち腐れだ〜ね〜!!」
「(う…やっぱり腹立つ…。けど…。)」
マリンは自らを見下すハガネの態度に対して少々腹を立てていたが、そんな彼女自身も曾祖母と比較した上での自らの非力さは充分自覚していたので、何も言い返せなかった。
「それにしても…お婆ちゃんはやっぱり凄い人だったんだね…。しかも18歳であれだけの技術を
持っていたなんて…。お婆ちゃんに比べれば僕もまだまだだ。今後も精進しないと…。」
ミライロは腕を組み、やや落ち込んだ顔をしていた。と、その時彼の前にルナリスが立ったのだった。
「そ!そんな事は無いと思います!ミライロさんだって頭良いですし、強くて優しいですし…。」
「(る…ルナリスちゃんが敬語使ってるぅ!!?)」
顔を真っ赤にさせながらミライロを励まそうとするルナリスの姿はやはり普通では無く、マリンは驚いていた。一方ミライロはニッコリと微笑み、ルナリスの肩をポンと叩いた。
「ありがとうルナリスちゃん。けどね、僕だって決して完璧な人間じゃないんだ。いや、完璧な
人間などこの世にいないと言った方が良い。現にこの僕だって苦手な事の一つや二つはあるからね。」
「苦手な事…ですか?」
肩に手を置かれたルナリスはさらに赤くなり、さらにミライロは笑顔のまま人差し指を立てた。
「例えば料理だけは昔から全然ダメだね!」
「りょ…料理!?」
拍子抜けしたルナリスに対しミライロはゆっくりと頷いた。
「そう!僕は料理が苦手なんだよね。なぜかどう作っても不味い物しか出来ないんだよ。だからマリンちゃん見たいに料理の上手い人は尊敬しちゃうね!」
ミライロが笑顔のままそう言った後、ルナリスはやや下を向き、ごにょごにょと口ごもった。
「じゃあ…。私も料理を練習した方が良いかな…?」
「何か言ったかな?ルナリスちゃん?」
「い!いや!何でも無いです!」
独り言をミライロに聞かれたルナリスはさらに顔を赤くして動揺していた。
「(やっぱりルナリスちゃんおかしい…。)」
その光景を客観的に見ていたマリンは腕を組み、疑問に感じていた。
それから、ミライロはMBユニットの調整の続きを再開し、一人黙々と作業をしていた。
「…………。」
そして、そんなミライロを壁に手を掛けた状態でただただ見つめるルナリスの姿があった。
「あ!な〜るほど!貴女年上が好みなんだね!」
「わわわわわわわわ!!!!」
突然ルナリスの背後に現れたマリンの言葉に、ルナリスは顔を真っ赤にさせると同時に手足をバタバタさせながら戸惑い、そのまま思い切りマリンの口を強引にふさいだのだった。
「!!!!!!!!」
いきなり口をふさがれて息が出来ずにバタ付くマリン。一方ルナリスは恐る恐るミライロの方を向いた。ミライロは何事もなかったかのように作業を続けている。
「は〜…。よかった…聞かれてない…。」
「プハァァ!!!苦しいじゃないのっぉ!!」
ようやく息が出来るようになり、息苦しそうに怒るマリンを尻目に、ルナリスはほっと胸をなで下ろした。
「とにかく、貴女は年上が好みなのね!」
「な!!何のことだ!?」
再び問いつめてきたマリンに対しルナリスは知らないフリをしていた様だが、マリンには通用しなかった様子であった。
>>恐怖の亀裂作者さん
ついに錬金術(?)みたいなのも登場ですか?
ネコなアサガオライガーやボンクラーマンには笑いました。
ちなみにチョコの強さの秘密については、これからストーリーの中で徐々に答えていくと言う事で。
>>Inocent World作者さん
陽電子砲って何かビーム版核兵器みたいですね。
爆発範囲の広さもさることながら放射線も放射する点で・・・ってそれは他の粒子ビームも同じですか?
ってゾーハルまだ生きてる!?
あと、ヤムチャ化の件は言い過ぎたのかも知れません。しかし、それでも
ふたりは格下扱いorz
されたりする予定です。どう格下扱いされるかは今後のストーリーを読んでいけば徐々にわかるかと。
鉄獣28号さんへ
一応錬金術と言うのは科学と魔術の中間点に当たる物と良く言われます。科学的に塩基配列を操作してAと言う物からBを創り出す技術。
一般的にゲーム等で系統分けされた場合魔法は使用できない状態でも錬金術は使用出来たりします。
と言う事で!?
【人名】
レイカー=バルドンク:フューチャーズリベリオン所属の自称”切り裂きレイカー”相当頭が沸いているらしく奇異極まる言動や行動原理でベルゼンラーヴェを狙う
その言葉に”烈災の魔竜”と言うのが有るが彼の居た時代はベルゼンラーヴェ等の呪装ゾイドの所為で酷い事になっている設定
【技術及びネタ】
錬金術:この話では機械科魔学と言うのが器秘学(魔術)と置換学(錬金術)に系統分けが有りそれぞれを単体及び複合で望む結果を出す事が同じく魔術と呼ばれる
器秘学の力のみで出来ない事の多くは大抵が置換学のお世話になっている、錬金自体はそれ単体でも行える
例
空気中に火を起す場合
@魔導機で力を発生→A力を可燃性に置換して可燃性物質の合成→B空気と化学反応→C発火
と成るので物理的な事象変化は全てにおいて錬金の手順が必要になります
更にAの手順でBに行けない時に更なる力の発生を必要とするので本文中の様な無駄を起して更に力を生産する必要が出ます
大掛かりな術の使用に時間が掛かると言う理由の勝手な解釈の形で後述の様な物には使用する必要が在りません
陰極呼百目き:その先に起こり得る事象を認識範囲で視覚化すると同時にそれを絞り込む術
正確にはラプラスの悪魔と言う全ての事象の結果を知る存在を呼び出し更なる絞り込みを行う事で予測の的中率を上げる
使用者がヘタレなので絞り込みに時間が掛かったりするがそれを極めれば理論上予測出来ない事象は無い
問題は…予測出来てもね〜?と言う様にその後の行動が執れないと意味が全く無いと言う事
例
賭け事の結果が分かっても賭けていないと勝ちが無いのでそれ自体に意味が無い
となってしまう
「如何だね?これで解ったかな。幾ら此方を撃滅しようと物量の絶対性は揺るが無い。それが答えだ!」ベンハルトはそう言うとペイルバイターを起動させる。
ペイルバイターが動き一気にベルゼンラーヴェとアンフィストホテップに迫る。尾のドリル棍棒が唸りを上げて振り抜かれると辺りに壮絶な雑音を発生させ襲い来る。
「「どぉうわっ!?」」一斉にその場を離れ躱すが当然の様に腕部アンカーと荷電粒子砲の無差別放射が2機を捕らえようとする。
「八封輪展開!」どうやら同じ事を考えていたらしいがベルウッドの方が行動を起こすのが早く八封輪が展開し荷電粒子を受けて回転を始めそれを受け流す。
「ぬうっ!?荷電粒子砲を受け流すだけでは無く攻撃に転用したかっ!」ベンハルトの買い被りで実際にはそんな事は微塵にも思っていない。螺旋状に拡散された荷電粒子砲は辺りの坩堝を攻撃し被害を広げる。
産まれたてやら生まれる寸前の魔導複製体を掻き消して行く。「ふん!見たか八封輪ミラーコーティングよ!」確かに刃が鏡面に成っている。
アンカーが迫るが引っ掛かるのは巨大なアンフィストホテップの方でその体躯とパワーではペイルバイターを上回る。悠々とペイルバイターを振り回しながらカノンレイとミサイルレイを同時発射する。
カノンレイは魔導複製体と坩堝に向けて放たれミサイルレイはペイルバイターに向かい飛ぶ。「それを貰うわけにはいかんなっ!」尾を振るいそれを削り潰す。ドリル棍棒や本体自体が魔導機と魔術師であるペイルバイター。
その一撃には解呪の効果が有るのだろう。「ディスペルアーム…ならば!ソードレイ!」それは別の方法で防がれる。
「ずっと見ていたよ?君達の戦闘は。」光の剣をペイルバイターの手が握り潰す。砕け散った刃は空気に融ける様に掻き消える。しかしそれが即興の連携の合図とは仕掛けたガリスと受けたベンハルトにも解らなかったらしい。
8つの十字封剣が横回転で迫る。「何!?」光の糸に繋がれ分銅の様に迫るそれを避ける事は出来ずペイルバイターの装甲に激しい引っ掻き傷を残し十字封剣は去る。「お主!今度は何をっ!?」ベルウッドの声にこう答えるファイン。
「これを作る際に肩の装甲の内部のクローを使ったのをご存じ無いのでありますか?あれは一応無線誘導と誘導糸を使用したブーメラン兼アンカーだった筈でありますが?」
誘導糸を手で掴みもう一度攻撃を仕掛ける。今度は起動をより複雑な物にする為にファインが左肩のそれを操作する。
逆に右肩の方はベルウッドが操作し全くちぐはぐな攻撃を展開する。アンフィストホテップに絡み付けたアンカーを外しやっとの事でそれを避けるペイルバイター。
「左右で全く違う動き!?それもそれぞれが全く意思を別とする!2人掛かりか!」起動が読めない以上大きく回避運動を執るしか無く弦状空間跳躍機構で逃げる。
逃げた先ではミサイルレイが機能が麻痺した装甲に接触し爆発を起す。
爆発の後を確認する2機だがそこに反応は無い。「おかしい!ミサイルレイはカノンレイ程の威力は持たん!何処に消えた!?」用途に寄り威力やらが確り違うようでガリスも索敵を行っている。
「ソーサルバッフルズ…力が濃過ぎて特定が利かん!気を付けろっ!…って主?何をやっておる?」「ダウジング…。」ファインはベルゼンラーヴェの十字封剣の一振りを誘導糸で釣り下げて揺れるのを待っている。
素敵な程にシュールな格好をしていた。しかも反応は無くファインは目に涙を浮かべている。「おっお主?それが出来る程の実力は無かろうに…妾がやる!貸せぃ!」コントロールを奪われる。その途端に一つの坩堝に十字封剣が向く。
「そこか!」カノンレイが坩堝を消滅させる。だがその時点でもう別の場所に移動した後だった様だ。
「2機になったか…全く世話の焼ける奴等だ。」ペイルバイターは存在を特定されない様に細心の注意を払って行動している。巨大な機体の方は火力が高く正面から挑むのは危険だ。
かと言ってベルゼンラーヴェの方にも今しがた追加された十字封剣が予想以上の遠距離攻撃が出来る為相性的に勝ちに持って行き難くなっている。「問答無用の遠距離格闘攻撃…しかも2人掛かりか。」
鎖分銅やらジェノザウラーのワイヤークローならともかく相手のそれはペイルバイターの対衝撃及び対接触防衛用の武装装甲を一方的に傷付ける物。受け損なえば危険なものだ。
「仕方在るまい…切り札の一つに取って置いたものだが使うか。」頭部のカバーが開きそこからカタツムリの目を思わせる角が2本とそれの付け根らしい大型の砲口現れる。
「力場発生!?避けろ!強力な物が来る!」ベルゼンラーヴェとアンフィストホテップを襲う強大な荷電粒子の閃光。アンフィストホテップの半身を消し飛ばす。
「ふん!そこか!」消滅した巨大上半身の半分を気にする事無く残る腕より攻撃を行うアンフィストホテップ。「機術選択!アーティラリィレイ!」
枷を外された様に無駄な程の光が発生して飛び交う。その目標は付近の一体範囲以内に居る者以外全てに及び破壊の渦が周囲に撒き散らされる。
そこでペイルバイターを発見する。頭部を割りそこから出した大型の砲門からの荷電粒子砲。そしてその傍に在るカタツムリの目付きの角はEシールドの働きをして居る。
ペイルバイターがまた先の荷電粒子砲を発射しようとチャージを開始している。装甲裏の機構が赤熱し周囲からの力を吸収し始める。それは荷電粒子だけでは無く術式等を称する際に使う物までも集める。
「外法荷電粒子砲!発射!」今度こそその彩りの閃光の訳を目にする。外法…外道の法術と言うに相応しく死霊や生霊の類を周回させ怨念を閃光に添加する。第一及び第ニ種力場障壁であるEシールドでは防げない閃光。
到達までに回避及び防御もまま成らない速度に達するそれに対しガリスは不敵な笑みを湛えこう宣言する「機術選択。バインドアーティラリィ!」束縛の閃光。締め上げる光の鎖を持つ蛇。
それが外法荷電粒子砲を押さえ込む。その間にファインとベルウッドは第三種力場障壁を発生させる。「「封じの封剣!八の門を降り虹を架けよ!渦旋結界っ!!!」」虹の糸を封剣に通し結界を擁するベルゼンラーヴェ。
束縛を破った邪な閃光は外道共を護る結界に阻まれる。飛び散る命を狩る閃光は坩堝を軒並み腐らせ爛れ落させる。
「これは引いた方が良かろう。」腐れ落ちる坩堝や木の内壁を見て戦闘続行は困難と答えを出したベンハルト。またしても鮮やかと言わざるおえない引き際で索敵範囲から消える。多少早いがこれでヴィゾールの剣に対して義理は果たした。
後は好き勝手に暴れさせてもらうのみと成る。「頭数は揃えられた様だな…奴等は知るまい。既に数中隊分の頭数を揃え切っている事を。」サイザレードはそれの試作タイプであり実践に投入するのはそれを元に複数の系統に分かれた複製体。
特にレイカーの操縦技術と旺盛な攻撃性を併せたそれ等の戦力は誰を乗せる事無く凶悪な戦闘兵器として既に完成されている。問題は彼に何時も口が酸っぱくなる程言っていたが直らなかった性癖から来る遊び癖だろう。
だがそれも性能の前には如何でも良い事だった…。
「フン!私の目は誤魔化せないよ!昨日からどうも貴女の様子がおかしいと思ったら…。やっぱりミライロさんに…。」
「うおわわわわわわ!!!!!」
「キャア!!」
ルナリスは顔を真っ赤にさせながら奇声を上げ、再びマリンの口を強引にふさいだ。そして再びミライロの方向を向く。
「ホ…。今度も聞こえてない…。」
「ったく!やっぱり図星みたいね!」
「そんな事はない!!私はいつも通りだ!!」
ルナリスはマリンに対し、必死に反論、否定をするがマリンの表情は少しも崩れない。
「何でそんなに必死になってるのかな〜…。顔を真っ赤にさせてまで…。やっぱり図星じゃない…。」
「……………。」
ルナリスは赤面したまま黙り込んだ。一方マリンはニヤニヤと笑みを浮かべている。
「やっぱり…ね!」
「そうだよ!悪いかよ!!!」
「うわ!開き直りやがった!」
今度は開き直ったルナリスが怒り顔でマリンを睨み付けていた。それにはマリンも流石に戸惑う。
「でもさ!私もルナリスちゃんの気持ち…。わからないでも無いよ!」
「何?つかちゃん付けするな。」
例によってお約束のセリフで怒るルナリス。しかし、マリンはそれを無視してなおも続けた。
「ミライロさんは確かに頭良いし、スポーツ万能だし、強いし、優しいし…。ミライロさんの事好きになってもおかしくないと思うのよね。けど…。」
と、その時だった。外から爆発音が響き渡ったのだ。
「な!!今度は何!?」
「このパターンからすると…。」
二人はとっさに爆発音があった方向を向き、ハガネとチョコの二人も駆けつけてきた。
「何だ何だ!?何がどーした!?」
『ミライロォォォ!!今度こそ俺達に手を貸せぇぇ!!さもなくば実力行使も考えているぞぉ!!』
マイクで増幅されたと思われる大音量の叫び声に思わず皆が耳をふさいだ。とにかく、このセリフから
すると、先程の爆発音はミライロをスカウトしようとしている悪党連中が仕掛けた物と思われる。
「あ〜あ〜…。また来たんだね〜あの人達が〜…。ったくしつこいね〜…。」
こんな状況になってもミライロだけは全く危機感を持たずにおり、さらにマリン達の方を向いた。
「僕はMBユニットの調整作業で忙しいから、ハガネさん達にお相手を頼めないかな?」
「ええ!?」
マリンは目を丸くして思わず叫んでしまった。さらに彼女は困った顔をしながら言う。
「そんなそんな!!ミライロさん!!何で私達が…。」
「分かりました!!私に任せて下さい!!」
「え!?」
突然ミライロの前に出たのはルナリスだった。彼女は嫌がっているマリンとは対照的にやる気であった。それを見たミライロはそのままルナリスの両手を持ち、言った。
「ルナリスちゃんやってくれるんだね。頑張るんだよ。」
「は!ハイ!!」
それにはルナリスの顔はさらに赤くなり、そのまま上機嫌のままハーデスへ走っていった。
「いつになくあの娘やる気ね〜…。まあいいや!じゃあ私達も行くから!チョコちゃん行こう?」
ハガネの言葉にチョコはゆっくりと頷き、二人もそれぞれゼノンとドラグネスに乗り込んでいった。
「あ………。」
一人残されたマリンは一時唖然としていた。ミライロの方を向くと何事もなかったかのように作業を再開している。
「…………。」
マリンが唖然としている間も、ハーデス等はエンジンを起動させ、外へ通じるシャッターが開くのを待っていた。
「もう!!分かったよ!!私も行くよぉ!!」
結局仕方無しにマリンはカンウへと走っていくのだった。
そうして、4機が外に出た時、街の外に4体の馬型ゾイドが立っているのが見えた。
「馬型か…。かと言ってオルディオスとは違う…。初めて見る型だな。」
と、考えても仕方がないので早速マリンは彼等に通信を送ることにした。
「ミライロさんに用があるのはアンタ等かい!?」
「何だお前らは!?お前らなど話にならん!!ミライロを出せぇ!!」
「あらら〜…。説得の余地無し?」
どこぞの犯罪組織か何かの差し金と思われるゾイドからの返答には彼女も困った顔をするしか無かった。
「結局戦うしかないか〜…。あーめんどい!」
マリンはやる気なさそうに頭をポリポリと掻いていたが、対照的にルナリスはやる気満々でハーデスを一歩前進させ、さらにハーデスが敵を指差した。
「死にたくなかったらさっさと帰れ!!ミライロさんには指一本触れさせんぞ!!」
格好良く決めるルナリスとハーデス。並大抵の相手ならばデスザウラーを見ただけでも悲鳴を上げて
逃げ帰るはずであるが、目の前の犯罪組織の差し金の男達はうろたえるどころか全く余裕を見せていた。
「おうおう!デスザウラーなんてなかなか良い物持ってるじゃないの!だが、俺達のムスタングァーの敵じゃぁ無いなぁ…。」
「ムスタンガー!?そのゾイドはムスタンガーと言うのか!?」
「ムスタングァーだムスタングァー!!」
その時だった。"ムスタングァー"と呼ばれた4体の馬型ゾイドが後ろ足で立ち上がって前足を
ブンブンと振ると共に一斉に咆哮したのであった。馬独特の高い鳴き声が周囲に響き渡った。
「お前らが邪魔をすると言うのならばお前らを倒すまでだ!行くぜぇ!!」
4機のムスタングァーは一斉にカンウ等に向かって突撃した。馬型なだけにそのスピードは猛烈だった。
それに対してハーデスもマニューバスラスターを全開にして跳んだ。
「お前らなど返り討ちにしてくれる!!!ってデカ!!!」
ルナリスは先程までのやる気がウソのように目を丸くして驚いた。なんとムスタングァーはハーデス
より巨大だったのだ。ハーデスとムスタングァーのサイズ差は人間と馬という程にまでの差があった。
ヒヒ――――ン!!!!
「うわぁ!!」
咆哮をあげながらもの凄い速度で突っ込んできたムスタングァーに対し、ハーデスはとっさに
ブースターで上に飛び上がり、ムスタングァーの上を飛び越える形で事無きを得た。と、思った
その時だった。飛び越えたと思ったのもつかの間、ムスタングァーの後ろ足の蹴りがハーデスに炸裂し、ハーデスは思い切り吹っ飛ばされたのだ。
「うわぁ!!なんっつーパワー…。しかもあの大きさはザビエルのマーライガーと良い勝負だな。」
ムスタングァーの蹄は固く、その蹴りの力も想像を絶する物があり、ハーデスの超重装甲に蹄の後がくっきりと残っていたのだった。
「ハッハッハ――!!ムスタングァーは並のゾイドじゃねーぜ嬢ちゃん!!」
今度は別のムスタングァーがハーデスに襲いかかった。とっさにハーデスは回避行動に移るもムスタングァーの速度の方が速く、逃げられない。
「ルナリスちゃん危ない!!」
「ちゃん付けするなぁ!!」
ハーデスに襲いかかっていたムスタングァーに向けてカンウが跳びかかった。そしてカンウは
ムスタングァーの背中に乗りかかり、そのまま両手でムスタングァーの首をガッチリとロックし、プロレスで言うスリーパーホールドを仕掛けたのだった。
>>恐怖の亀裂作者さん
なるほど・・・錬金術も色々と奥が深いのですね。
現実では決して金が作られる事は無かったですがそれが化学の発展に一役買ったとか・・・。
それと、精神エネルギーで荷電粒子砲を放つと言う発想はすばらしい物があると思います。
それを防ぐのも同じく精神的なシールドっぽいですし。
「私は善人ではない…」
ルガールが突然呟いた。何を、と怪訝そうな顔をするセディールに、彼は続ける。
「…だから、そんな私に善を名乗る資格などあろう筈も無い――だが!」
マッドサンダーが飛んだ。500t級の巨体が、高速ゾイドのようにデス・メテオに迫る。
「貴様を斃す為ならば、私は喜んで『悪』となる覚悟がある!」
マグネーザーの回転が生む磁場で、ナノマシンの分解機能が働いていない。マッドサンダーはそのまま、
凄まじい速度でデス・メテオに突撃した。
「何を今更――既にアンタは悪さ! 僕を敵に回した時点でね!!」
デス・メテオの両腕がマグネーザーに変化し、マッドサンダーの突進を真っ向から弾き飛ばした。
「戦いの歴史は…常に! 勝者こそが正義であり、敗者は単なる――」
再びデス・メテオの腕が変形した。巨大なフレイルと化した腕の一撃が、ルガールを襲う。
「――悪だ!!!」
鉄球の衝撃は凄まじく、マッドサンダーの巨体は再び宙を舞った。
邪魔者が消えたと見るや、セディールはゾーハルの姿を探した。が、居ない。
「奴め…いくら攻撃を加えても、まったく堪えていないとは!」
セディールが一人ごちている間に、デス・メテオの尾が叩き斬られた。
反射的に振り返ろうとするデス・メテオ。だが、その瞬間ゾーハルの剣が喉元を刺し貫いていた。
「あ…やったんでしょうか?」
アレックスの言葉に、ルガールはかぶりを振った。コア以外を潰しても、奴が死ぬとは思い難い。
だが――コアを潰させる訳にも行かない。
ルガールは機体を起こし、今しもデス・メテオのコアに剣を突き刺そうとしているゾーハルを撃った。
「…! やっぱアンタ、馬鹿だね」
ゾーハルの注意が逸れた一瞬の隙に、再生した加重力テイルが叩き付けられた。
吹っ飛ぶゾーハルを見もせず、セディールの視線はマッドサンダーの方に向く。
「どうして助けたのか、理解に苦しむなァ…ま、どーせ脱出できたけど…」
ルガールの決意は既に固まっていた。――リニアを救出し、その上でセディールを斃す。
「苦しむ必要も無いぞ。貴様には一生かかっても、理解できまいからな」
えー…「そこら辺のネット上にあるレベルのオリバト」との評を頂きまして。
そのラインに並んでれば自分としては結構ですが、もしかしてこのスレはもっとハイレベルな方が
常駐するべき場所なのでしょうか…
「本当に上手い文章」って一体何の事だろう…などと思いつつ単発投下。
>>鉄獣28号氏
YEEEEEES、ゾーハルはまだ死んでないです。
ムスタングァー…普通の馬型とは言え、量産型オルディに匹敵する戦力の予感も。
ミライロ氏はゾイドに乗れるのでしょうか?
>>恐怖の亀裂作者氏
ソードレイって名前が解り易くてイイ(・∀・)!
アーティラリィといえば…コマンドウルフASの「AS」は
「アーティラリースペシャル」の略だと言う説を聞きました。どういう意味だろう?
鉄獣28号さんへ
あ〜ば〜れ〜う〜ま〜!!!馬型はやっぱり鞍付きなのでしょうか?
生身で勝てなきゃゾイドで勝負!解り易い方々に乾杯!
Inocent Worldの作者さんへ
Artilleryは大砲等に付く単語でArtillery cannon等と表記されます。つまり大きい砲門の大砲。
何か意味が被りまくっていますが…。その説が正しいとする場合背に在るアタックユニットの球の種類は実弾か実体添加系光学兵器(逆!?)に成る筈です。
レーザー等の光オンリーの火器だとその説自体が危なかったりして?
>「そこら辺のネット上にあるレベルのオリバト」
良いんじゃ無いですか?もしかしたらこっちはZ級娯楽以下かもしれませんし…。
話の大筋が1本なのにそこへの過程が〇〇〇ー〇・〇ー〇〇(当然入る文字は一つのみ)の様に突然読むと「何じゃこりゃ〜!?」な自分の物に比べれば…。
>>66 文章の上手さに関しては、貴方はじゅうぶん
「そこら辺のネット上にあるレベルのオリバト」レベル(笑)ですよ。
作品が貯まったら、HPでも開設してみたら?
70 :
68:04/09/14 00:50:47 ID:???
Σ(゚д゚lll)
「彼奴等ならば大丈夫だろう。」この声は最下層で忌々しい巨木の発生時にザクサルが放った言葉だ。
この時ディアボロスウイングを整備をしていたザクサルやローキス、グラハム他多数は無事で済んだが…。
イド、ブラッド、マグナ、グレイ、ボルクの5人は木の出現に巻き込まれて此処には居ない。巻き込まれたらしい。
だが心配をしている者は余り居ない。こう言ったザクサルはかなり気に掛けているらしく言葉と表情が見事に食い違っていた。
「ふふふ…ベイナード君。気に掛けてくれるとは光栄だよ。」グラハムの言葉に「いえ…擬似的に親の気分に浸っているだけでしょう。新・鮮・な・の・で・ね。」
「そいつ等が欲しいかね?」ベンハルトは少年4人と少女1人に話し掛ける。この5人は木の中を何とか抜け出しベンハルトが準備中だった魔導複製体の格納庫に侵入していたのだ。
「…良し!そいつ等の中から気に入った奴を持って行くが良い。世界の流れは儂の知る物から外れたらしい。喜ばしい事じゃないか。」勝手に自己完結しているベンハルト達。
「君等は知らないで良い事だ。知ると損をする事に成るからな…。」訝しげな表情の5人にそう言うベンハルト。「如何言う意味だ?」マグナがそれが何かを聞き出そうと言葉を切り出す。
それを見て誰かが答える。「ここに居る者は全員先の世界から来た者だ。これで解るだろう?」それを聞きマグナはそれ以上聞く事を止める。
「如何言う意味?」イドがマグナに聞くと「ああ…彼処に居る人は全員今より先つまり未来から来たと言っている。」「ええ〜っ!?」イドは素っ頓狂な声を上げる。
「驚いたか?お嬢さん?だがそう言う事だ。何故かするべき事が突然無くなってしまったがね。」そう言う髭面の男の表情は明るい。「似た者が多いが一体づつ違う。良く選ぶんだ。」
これ以上何か聞こうにも相手は重要な事を答える事は無いだろう…。しかも目的が達成されたという事は聞くだけ無駄な事が頭に残るだけだ。
機体を選んで飛び回る5人を見て乾いた笑いを浮かべるベンハルト。「残る存在意義は一つ。奴を打ち倒す事だけだ。記述上はこの後の出来事で(中略)と言う事しか解らんからな。」
上手く幹から掠め取った坩堝の一つを見上げて言う。「もう一仕事だ…ペイルバイター。最後の華を盛大に開き盛り上げるとしよう。それが我々がここに居る意味だ!!!」
見れば見る程に一応一つの系統として成立はして居るが脈絡の無い機体達。先に見た大本の機体より流石に小さいが問題は無いだろう。
こうなれば選ぶのは自身の嗜好の問題になる。
先ずはボルクが機体を決めたらしい。
何故頭部が三つ在るのか理解に苦しむ一品。それぞれの首等ちゃんと分蘖までして在るのに頭部後方寄り伸びる庇型装甲で一括りにされている。
首より下は蛇の様な長い姿。かなりシンプルな機体だ。何故常時浮遊しているかも理解し難い。背中の浮遊リングは宗教等にある法輪の姿をし武器らしい板を複数従えている。
ブラッドも決めたらしい。
サイを思わせる角を持つが胴体は何方かと言うと熊だ。細々した火器を持ち対空及び砲撃を行うタイプと予測される機体だ。
グレイの機体は実に彼らしい好戦的なタイプだ。
ジェノ系列を思わせるティラノサウルス等に代表される暴君竜型。完全に近接戦闘を意識した者で腕部に小口径の火器が付いている以外は特に特徴は無い。
マグナの選んだ機体はグレイと対照的に成る。
アロサウルス系統の機体(見た目で解るかは不明)で何でもそつ無く熟すタイプの装備をしている大きさも丁度グレイの機体と同じぐらいだ。
ここまで来ればお約束?イドの選んだ機体。
飛ぶのにきつそうにしか見えない巨大な翼を3対持った鷲。その後頭部には何に使うか解らない物が有る。
これを見てベンハルト達は大笑いをする。「まっ真逆この中から掛けたピースを全て揃えるとは!?笑いが止まらん!はっはっはっはっはっはっは。」そう言いながらベンハルトはあるスイッチを押す。
数分後にそこに有る姿は合成魔獣と呼ぶに相応しい雄々しき姿。「大当たりだ!超合魔獣とでも言うべき姿。君達は気づいていたのか!?」その言葉に5人の方が唖然としていたと言う…。
5人はもめにもめ名前を”デミウルゴス”と付ける事にしたのは後の話となる。それを持ち帰った彼等を待っていたのは誰1人として声を出さずその勇姿を見上げるだけだった。
やがてザクサルが笑い出す。「くっくっくっく半人前とは思っていたが真逆ここまで来るとは思いもしなかったぞ!傑作だ!これが笑わずに居られるかっ!」塵も積もればこうなるのであろうか?
かなり勘違いな気がするがそれは紛れもなく凶悪な姿でそして通常では有り得ないシステムの元統括された機体である。
「このまま眠らせれば…。」
カンウはそのままムスタングァーの首を締め上げようとした。が、そうしようとしたのもつかの間、ムスタングァーがカンウを振り落とそうと大暴れを始めたのだ。
「きゃぁぁぁ!!!」
ロデオ状態となったムスタングァーの背中でカンウは上下左右に揺さぶられた。
「うぁあぅうあぁぁ!!!」
ついにはカンウの両腕がムスタングァーから離れ、さらにムスタングァーの後ろ足の蹴りを真っ向から受け、思い切り地面に叩きつけられてしまった。
「な…なんてパワーなの…。」
ムスタングァーの圧倒的なパワーにマリンは驚くしかなかった。
「ハッハッハ――!!ムスタングァーはただの馬型ゾイドじゃねーぜ!!ムスタングァーなだけにムスタング…。つまり野生馬をベースにしてるんだからなぁ!!」
「それであれだけの超パワーが…。」
ムスタングァーの強さの秘密にマリンとルナリスは恐怖し、唖然としていた。しかし、その動揺が
スキを生み、ムスタングァーはカンウとハーデスへ向けて突撃を掛けてきたのだ。
「お前らなどまとめて踏みつぶしてやるぜぇ!!」
「キャア!!」
「ダメだぁ!!避けられない!!」
二人が回避行動に移ろうとした時には既にムスタングァーの巨大な前足が二機に襲いかかろうとしていた。それだけムスタングァーのスピードは並では無かったのである。
「ハッハッハ――!!死ねぇぇぇ!!!」
ムスタングァーのパイロットは大笑いしながら操縦桿をさらに前に倒そうとした。しかし…。
「お前あんま調子に乗るなよ。」
それは一瞬の出来事だった。ムスタングァーがカンウとハーデスを踏み潰そうとしたその直前に
ゼノンの爪がムスタングァーの首に叩きつけられ、ムスタングァーの巨体が吹っ飛んだのだった。
「な!!何だアイツは!!」
レイズタイガー=ゼノンのパワーにムスタングァーパイロット達は驚きの声を上げていた。一方ハガネはカンウとハーデスの方を向く。
「は…ハガネさん…。」
「あ…ありがとう…。」
二人はハガネに対し、申し訳なさそうに礼を言った。しかし、ハガネは言った。
「だからお前はまだまだだって言ったんだ。マオちゃんやルーちゃんならあの程度のザコなど瞬殺してるよ。」
「しゅ…瞬殺…。」
ハガネの言葉に二人はやはり唖然とするしかなかった。が、しかしその唖然も一瞬の事であり、二機はすっくと立ち上がった。
「ならば私達だって、連中を瞬殺とは行かなくとも…勝ってみせる!!」
「ほう…。ならばやって見せなさいよ!」
マリンとルナリスの意気を感じ取ったハガネは笑みを浮かべながらゼノンを後退させた。そして再び
ムスタングァーの前に立つカンウとハーデス。一方ムスタングァーパイロット達は困った顔をしていた。
「まだやる気かお前ら…。あの虎はかなり強い様子だが、お前ら程度のザコがムスタングァーに勝てると思うのか?」
「なら…そのザコの底力を見せようじゃないの…。」
と、その時だった。マリンの返答を聞いた彼等は突然笑い出したのだった。
「アッハッハッハッハッハッハッ!!お嬢ちゃん達!冗談はよしてくれよ!さっきまでの戦いで
わかっただろう?お前らの機体じゃあムスタングァーの足下にも及ばないってな!」
「…………。」
自らを思い切り見下されたマリンとルナリスはカンウ、ハーデス同様にカチンと来ていたが、
ここで怒るのは相手の思うツボである事は充分承知していた為、心の起伏を押さえ、沈黙を持って対処していた。
「さあ…。この状況をどうくつがえすのかな?」
最前線から一歩後方にいたゼノンの中でハガネは腕を組み、かすかな笑みを浮かべながら傍観を決め込んでいた。一方チョコとドラグネスもその隣で無言のまま待機している。
一方その間もムスタングァーパイロット達のマリンとルナリスを見下したセリフは続いていた。
「ところでお前ら何でそう勝ち目の無い戦いをしようとするんだ?お前らごときザコがムスタングァーに勝てるワケ無いだろう?」
「私は勝ち目が無いとは思ってないけどね!」
「アッハッハッハッハ!!お前本当にバカだな!さっきの俺達の攻撃を見ただろう?スピードでも、パワーでもムスタングァーの方が遥かに上なんだぜ!!」
「その位のピンチは今までにもあったさ…。」
笑うムスタングァーパイロット達に対し、二人は平静を装いながらもどうにか対応していたが、その顔からは汗がダラダラと流れていた。
「それによ!お前ら何でそこまでして俺達に立ち向かおうとするんだ?俺達だってただミライロに用があるだけなのによ…。」
「それがいけないんだよ!!ミライロさんには指一本触れさせん!!」
ムスタングァーパイロット達は再び困った顔をし、ヤレヤレのポーズをするのだった。
「そうか…。困ったな〜…。いや〜本当に困った。」
その直後、ムスタングァーパイロット達の表情が変わり、思い切り二人を睨み付けた。
「ならばお前らは馬に蹴られて地獄に逝けぇ!!」
再びムスタングァーの突撃が開始された。二機のムスタングァーがカンウとハーデスを踏み潰さんと超高速で迫る。
「来るぞ!!」
「分かってるぅ!!!」
マリンとルナリスはとっさに身構え、カンウとハーデスは咆哮した。双方ともにその場を動かず、正面から迎え撃つ気であった。
「ヒャッハッハー!!お前ら頭でも狂ったかぁぁ!!」
ムスタングァーはそのままカンウとハーデスを前足で踏みつぶそうとした。と、その時だった。
「今だぁぁ!!」
双方とも、ムスタングァーの前足が直撃する寸前に横っ飛びでその攻撃をかわした。さらにそのまま横滑りしてムスタングァーの背後に回り込んだのだった。それには彼等も驚いた。
「何!?」
「今だぁ!!」
「フィニィィィッシュ!!」
二人のかけ声に合わせ、カンウのバスターキャノン、ハーデスの大口径荷電粒子砲がそれぞれの
ムスタングァーに向けて発射しようとした。が、その時、二機の側面から強烈な衝撃がのし掛かり、
二機は大きく横に吹っ飛んでしまった。しかもその際の衝撃でカンウの背中に装備された
バスターキャノンの砲塔、そしてハーデスの背中に装備されたマニューバスラスターが大きく砕けてしまったのだ。
「きゃああ!!」
「何だぁ!?」
地面に叩きつけられた衝撃に苦しみながらもとっさに二人が横を向いた時、二機の側面にはもう二機のムスタングァーの姿があった。
主役なのにふたりはヤム○ャ化とまでは行かなくとも、ふたりは格下扱いとなっておりますw
>>恐怖の亀裂作者さん
未来から来た5人組と彼等の乗る不思議ゾイド登場ですか?
彼等はどんな活躍を見せるのでしょうね。
それと、馬型と言う事で、その背中には何かの二足歩行ゾイドが騎手として乗っているとか
そう言うことも考えていたのですが、やはり馬だけと言う形にしました。
>>Inocent World作者さん
正義か?悪か?と言う話でしたね。実際の戦いにはそう言う物は存在しないのでしょうが・・・。
ルガールさんはデスメテオとゾーハルの両方を倒すおつもりでしょうか?
2機の怪物ゾイドをどうやって倒すのか気になります。リニアの運命やいかに?
あと、ムスタングァーに関してですが、当初はサラブレット型で考えていました。
もちろん名前も全然違います。しかし、戦う上なら野生馬型の方が都合が良いのでは?と言う事になり、
今の形となっております。次にミライロはゾイドに乗るか?と言う件ですが、今のところ、
その予定はありません。しかし、ひとたびゾイドに乗れば最強キャラとなるのは間違い無いでしょう。
>「そこら辺のネット上にあるレベルのオリバト」
まあ確かにそう言う事になるのでは?自分の話が硬派バトストを求める人に好まれる物では無い事は
ある程度自覚してましたし・・・。そもそも自分がこうして書く様になったのは
こういうバトストスレでは、硬派で渋いバトストばかりが書かれているのだろうと言う
先入観があり、ならば自分一人くらいギャグバトルストーリーを書いても良いのじゃね?
と言う感じで書き始めたのが始まりですね。今じゃやめられなくなりましたが・・・。
とにかく、余所で言われている事もあまり気にする程の事では無いかと。
ちょっと気になったんだが、三人とも今投稿してる作品は既に完成してるの?
>>77さんへ
ここが初です。なので完成なんてしてません。頑張って完成目指して書き続ける状態です。
鉄獣28号さんへ
あのゾイド自体はもう洒落のレベルなんです。ブロックス発売当時適当に組んでたら出来たあの頃の…と言う感じで。
それに…あの5人組は前から居たりしますちょい役か狂言回しの主軸でしたが_| ̄|○ずうっと4+1状態だったので戦隊物のように一括りにしてみました。
今馬さんは4体でしょうか?野生の馬って群を組んだりもするのでもしかして実は群毎投入しているとか!?近くに隠れていたりして…。
5つのブーイングがザクサルに向けれれる。しかしザクサルはそれ以降知らん振りで取り付くしまが無い。
しかしこれに本当に肝を冷やしたのは瓦礫に埋もれ外装(拘束具)を取り付けられている最中のコアの中の人?
ヴィゾールの剣である。「…思い切った姿だ。しかも…歪みの極み!バロックの中のバロック!美しい…っといかんいかん!!!」
何処に有るか解らない首を振りヴィゾールの剣は可能なら排除。そうで無くても品定めをする為に12の邪神の亡骸を使う事にする。
突然空間に声が走る。「面白い物を持って来たものだ。ならば此奴で実力を試してみては如何だ?」そのヴィゾールの剣の声と共に邪神の亡骸が動きだす。
12の亡骸は一つに成り球体となる。「餓鬼結晶呪!出でい!告発の天使の殻よ!サタンドレイク!」球体の邪神の肉を核に表面を鱗に包まれた猛禽の翼を持つ者が現れる。
それは瞬く間に形を完成させその手に大鎌を構え迫る。
鈍い金属音。サタンドレイクの切り付けた鎌は魔獣大帝に歯が立たずそれを振るった腕が折れている始末だ。自動操縦なのだろうか?それは謎の三つ首を使いサタンドレイクに咬み付く。
とても嫌な音がする。唯その一撃で半身を食い千切られ体液を噴水の様に吹き上げるサタンドレイク。「「「「「…。」」」」」自動操縦でこれなのだから上手く使えば更に凄い事になるのだろう。
サタンドレイクの方はそれでもダメージとしてそれを受け取っていない。それもその筈で脱皮行動を行うと体は元に戻り更にいかつい姿になっている。
「あいつ…強くなるのか?」マグナはコクピットの中で呟く。しかし騒がしい。どうしてかと言うと…誰が操縦するかでもめている真っ最中だったのだ。
相手を全く見ていないパイロットを無視して魔獣大帝は一歩また一歩とサタンドレイクに歩いて行く。
ティラノ型とアロ型の組み合わせの脚部。胴体は熊サイ。背に鷲と謎蛇。その頭部には謎蛇以外の頭部の合体状態。腕には鷲に付属していた追加パーツっぽい物にその他の機体の余剰パーツ。
他の余剰パーツも装甲や飾りの様に胴体に付いている…。その姿は獣で出来た動く半人宮殿と言うのだろうか?言及に困る複雑怪奇な姿。その頭部が一斉に咆哮する。
その声は「お前では物足りない…もっと強い者を出せ!」と言っている様にも見える。乗っている5人の事等頭の中にもない様だった。
しかし頭の中で喧嘩すら始めている彼等に遂に切れる魔獣大帝。「くおぅらぁ!!!糞餓鬼共!静かにせんかいっ!!!」
コクピット内に木霊する合成音声の怒りの声。「「「「うひゃあ〜っ!?」」」」マグナを除く4人は奇襲を受けビックリしてそのポーズのままで固まる。
「確かに儂を呼び出した事は褒めちゃる。が!しかぁ〜し!それとこれでは話は別じゃぁあああ〜〜〜っ!!!」その雄叫びは止まらない。
「誰が動かすとかもめるんじゃない!何も知らずに儂を動かして見ろ?死ぬぞおるあぁぁぁぁ!!!」語尾は何か彼等にほんの少し気遣いをしている様だ。
その間にも迫るサタンドレイクに鉄拳制裁をかましている。今度は見事な潰れたトマト状に成っている。物凄い腕力だ。「がははははは!儂に楯突こう等100万光年早いわ!」
「それは…速度の単位だよ!」思わずマグナが突っ込んでしまう「がははは!よう言うた小僧!良く聞け餓鬼共!シートに座ってベルトを締めて衝撃に備えろぉ!これからこの体の使い方っちゅ〜物を見せたる!」
全員がシートに座りベルトを締めると機体が一気に加速する。
再生強化を終えて構えるサタンドレイクに突撃する。しかし目前で急停止後に距離を置く。距離を置き着地した時と同時に背の法輪から離れた板状の物がサタンドレイクに突き刺さっている。
「どぅぉおおおらぁあ!来店御礼ぃぃぃぃ!屋台崩しっ!!!」板より強力な重力反応が発生しサタンドレイクを突き刺さった板の各々に引き裂き押し付ける。それをそのまま火炎放射で焼く。「焼き魔王!一丁上がりぃぃぃ!!!ってきたねえなぁこいつぁ!?」
こんがり焼けたそれを板から振り払う。板から外れるとまた再生を始めるサタンドレイク。「おうおう!もっと来いやぁぁぁぁ〜!!!この程度じゃ中の餓鬼っ子共に使える装備を見せれんやろうがぁぁぁぁ!!!」
「なっ…意思を持つだと?しかも中身は…親分!?何処の組のだっ!?」世間の毒(ファインとベルフのやり取り)にすっかり犯されたヴィゾールの剣は思わずそう呟いてしまう。
そう呟いている間もサタンドレイクは消されたり潰されたり焼かれたりと死んだ方がまし的な目に遇っている。
「これで最後じゃぁぁぁ!!!インベイジョンキャッスルゥゥゥゥ!!!」突然外装が剥げるとそれがサタンドレイクを包み外装裏からの攻撃の前に穴だらけになる。そして最後に機体が追い付き踏み躙る。
「俺達の事も忘れるなよ…。嬢ちゃん達?」
「そうだ…。全部で四機いたのをすっかり忘れてた…。」
一機相手でも大変だと言うのに、同じ強さの機体が四機という状況に二人はうろたえざる得なかった。
しかし、先程自分達の力で倒してみせると言った以上、ハガネの力を借りるワケにも行かなかった。
「ば…万事休す…なの…。」
絶望的とも言える状況にマリンの目が涙で潤み始めてきた。と、そんな時にそれは起きた。
『マリンちゃーん!!ちょっと来てくれるかなー!?』
「ええ!!?」
突然カンウに向けてミライロが通信を送ってきたのだ。場の空気が全くと言って良いほど読めていない陽気な声にマリンは拍子抜けしてしまった。
「ミライロさん!!いきなりどうしたのよ!!と言うより!場の空気を少しは読んでよ!今すっごく大変な事になってるんだから!!」
「ミライロさんだとぉ!!?」
マリンの口から出た“ミライロ”という単語に対してルナリスも顔を真っ赤にさせながら過剰反応していた。
『ゴメンゴメン!でも!一応MBユニットの調整が完了から、すぐに戻ってきてよ!』
「戻ってきてって…。敵はすぐそこまで来てるのよ!!そんな事出来るワケ無いじゃない!!」
やはり空気を読めていないミライロをマリンは睨み付けていたが、ミライロは表情一つ変えていなかった。
『まあまあここは押さえて!マリンちゃんが怒るのは十分承知してるよ僕は。』
「ウソ付き…。」
思い切り笑顔のまま、陽気な口調で言うミライロにマリンは眉を細めた。しかし、彼はなおも続けた。
『戦いの様子を少し見せてもらったけど、かなりピンチみたいじゃないか。なら僕が作った
MBユニットを使ってみてよ!これを使えば少しは活路が見いだせるんじゃないかな?』
「本当?」
マリンは眉を細目ながら疑いの目を向けていた。それでもミライロは顔色一つ変えない。
『マリンちゃんも疑い深いね〜!性能は僕が保証するよ!だから戻ってきてよ!』
「どうしよう…。戻ろうとしても連中が逃がしてくれるとは思えないし…。」
確かにカンウの前には四機のムスタングァーが健在としており、逃げられる自身は無かった。
と、その時カンウの前にゼノンとドラグネスが出たのだった。
その足に重力異常が発生しサタンドレイクを最少構成単位まで圧縮その後数μmの光の筋を残す爆発と共に消滅させる。
「がはははは…これが儂の力よ!この獣魔宮殿…。」ここで声が止まる。少し経ち「…子等よ?儂の名前は何ぞや?」
折角盛り上げた空気も一気に冷める気不味い沈黙。「いやすまんのう。寝ている時間が長すぎて名前を忘れてしまっておる!困ったわい!」
そう言う台詞を言っている割には妙に楽しそうだ。「くくくく…呪法兵装か。面白い拾い物をした様だな。」ザクサルは嗤う。隣りでは指を咥えて獣魔宮殿を見上げる人影。
グラハムとローキスの2人。「教授…もしかして?」「君もそうだろう?」それを聞き「御2人さん?真逆名前を付けたい!何て思っていないだろうな?」嫌味にしか聞こえないザクサルの声。
恥も外聞も無く頷く2人にカウンターの天然ボケを貰いさしものザクサルも後に続く言葉失ってしまった様だ。
「如何やら神の移植は成功したみたいですね。」その映像を見てベンハルトに言う男。「その様だな。儂に神は要らん。摂理や禁を破った儂等には悪魔すら似合わんだろうよ…。」
自嘲的に嗤うベンハルト。少なくともこれで後為べき事はベルゼンラーヴェの破壊かそのパイロットのファインの殺害の何方かで良い。この場合なら両方一辺に片付けるか機体のみが有力な線だろう。
未来から来た者にし見れば今それを成しても自分達の世界が変わるという事は無い。この世界は起こった事象で多岐に渡る未来を産み出す未来の卵の一つに過ぎないのだから。しかも恐ろしい速度で次の卵を産み落とすのだ。
「ども他の答えが有るのかもしれませんよ?」その声に「解っているさ。しかし軍人たる者任務を果たさずに帰る事はできん。成功か失敗化の白黒が無ければ成らん!」そろそろペイルバイターの強化が終わる時間だ。
神の枷が無くなりよりその本能に忠実な姿を取ったペイルバイター。その姿はゴジュラギガとデスザウラーの良い所取りは言うまでも無く貪欲に勝ちを狙う姿勢からかこの時代では実現できなかった短ゼネ砲を装備している。
それは略称であり本来は短距離限定超収束荷電粒子砲と呼ばれる。短距離専用のゼネバス砲であるから略して短ゼネ砲となる。一定距離を過ぎると消滅する荷電粒子砲で多数の機体が一斉にチャージすると威力が激減する。その防止策の兵器だ。
「わーったわーった!少しの間だけ私等が連中を押さえといてやるよ!早くミライロさんからMBユニットもらって来な!!」
「ハガネさんにチョコちゃん!!」
ハガネはマリンに対して軽くウィンクを送った。と、その時ミライロはルナリスにも通信を送ってきた。
『ルナリスちゃんもこっち来てよ!マリンちゃんだけじゃなんだから、ルナリスちゃんの分も用意しておいたよ!』
「ほ!本当ですかぁ!!!?」
ルナリスは顔を真っ赤にさせ、子供のように喜んだ。そして通信が切れるなり、彼女は意気揚々とミライロの研究所へ向けてハーデスを走らせたのだった。
「マリン!!先言ってるぞぉ!!」
「ああ!!待ってよぉ!!」
ハーデスの後を追うようにカンウもミライロの研究所へ向けて走り出した。
「待てい!!逃がすかよ!!」
ムスタングァーはカンウとハーデスへ向けて追撃し、時速300キロを遥かに超える速度でたちまち差を詰める…。と、思われた時だった。
「そうはさせんよ!!」
彼等の前に立ちふさがったゼノンの爪がムスタングァーの一機を襲い、自分より遥かに巨大なムスタングァーをいとも簡単に叩き伏せてしまった。
「や!!やはりこの虎が強いぞ!!」
ハガネとゼノンの強さにムスタングァーのパイロットはうろたえた。
ハガネとチョコがムスタングァーを妨害してくれたおかげで、カンウとハーデスは何事も無く
ミライロの研究所に到着しており、その開いたシャッターから研究所の格納庫に入り込んだ。
「待っていたよ二人とも!それではMBユニットの取り付けに入ろう!」
「早くして下さいよ!!」
マリンは焦り口調であったが、ミライロは相変わらずマイペースであり、格納庫の隅に設置された
コンピューターを操作していた。そして彼の操作に従って研究所内に備え付けられた巨大なマジック
ハンドがMBユニットを掴み上げ、さらに別のマジックハンドがカンウの背中から、砲塔が大きく
砕けたバスターキャノンを外し、さらにそのバスターキャノンの側面部分に取り付けられていた追加
ジェネレーターと飛燕の翼をMBユニットに付け替えていた。しかし、その間にもマリンは焦り続けており、手を振りながらミライロに催促し続けていた。
「早く早く!!早くして下さい!!」
「せかさないせかさない。あ!そうそうマリンちゃん。少し言い忘れた事があったんだけど…。」
「言い忘れた事!!?」
「そうだよ!君のカンウの肩等に装着されてる凱竜輝の装甲があるよね。昨日の夜、それを僕が少し強化してあげておいたよ。」
「強化って…どのように?」
マリンが疑問深そうに問い掛けた時、ミライロは目を瞑りながら腕を組み、その思わせぶりな行動に反応してマリンも思わず息を呑んだ。
「昨日、君のカンウに装着された凱龍輝の装甲やマグネッサーウィングを見た時に僕は思ったんだ。
せっかくカンウはメタリックグリーンのカラーリングなのに、青い色ってのはどうかと…。ってね!
だから僕はカンウとお揃いのメタリックグリーンに塗り替えたのさ!」
その話を聞いたマリンは正面ディスプレーに頭をぶつけた。とはいえ、確かにカンウの肩に装着された
月甲の装甲や、飛燕の翼、腕に装着された凱龍輝の尾部装甲など、それまで青い色だった部分が
カンウとお揃いのメタリックグリーンに塗り替えられていたのは事実であった。
「それは強化じゃなく!塗装って言うのよ!!」
マリンは怒るが、やはりミライロはうろたえる様子も無く、逆に笑っていた。
「ハッハッハ!それが素人の浅はかさって奴だよ。塗装はついでに過ぎないよ。本命はここからさ!
実は、その時の塗装に使った塗料はただの塗料じゃないんだ!強いて言うなら"古代チタニウムパウダーコーティング"って奴だね!」
「古代チタニウムパウダー?」
「そう!古代チタニウムパウダー。つまり粉末状にした古代チタニウム合金を装甲表面にコーティング
したのさ!それだけでもコーティング前に比べてかなりの装甲強化になってると思うけどね!」
ミライロは相変わらず陽気であったが、マリンは目を瞑って元気無さそうにしていた。
「あー…。もう何でもいいや〜…。所でMBユニットはどうしたの?」
「それなら既に装着されてるよ。いつでも使える!あ!ちなみに脚部側面に集光パネルを一個ずつサービスしておいたから!」
「それなら早く言ってよ!!ったくミライロさんの話で無駄な時間食っちゃったじゃない!」
>>77さん
自分も全然完成してはいません。多少作り置きはしてますが・・・。
>>恐怖の亀裂作者さん
魔獣大帝良いキャラしてます・・・。
サタンドレイクは結構タフで頑張っているように見えますが、
中途半端に不死身だとかえって苦しんでしまうと言う良い例にもなりえますね。
ムスタングァーに関しては最初から4機のみと言う事にしています。
鉄獣28号さんへ
4機でしたか…ちょっと安心していたりして。ルナリスさんの反応がとても可愛いのですが!?
ハーデスに用意された物とは!?改造コンテストの出展機体から何か外れて入れ替わるのでしょうか?
荷電粒子砲自体に球切れが無いと言うのは事実上嘘になる。これはベンハルト達が実際に体験した事で内容はこうなる。
その時呪装ゾイドの暴走事故が発生しそれを鎮圧すべく2つの帝国と共和国の三ヶ国掛かりで戦力を集中投入した事で起きた。
デスザウラー系列、ジェノザウラー系列、デススティンガー系列、フューラー系列、凱龍輝系列と揃いに揃った機体が一斉に荷電粒子砲を発射したのだ。
そして…第2射を撃とうとして突然全機体の吸入器に異常が起こる。周辺に有る大気中の静電気を取り尽くしてしまったのだ。
これにより戦線は瓦解。投入された戦力の1/20を残しその後1機の暴走呪装ゾイドに嬲り殺しにされた。取り尽くしたからと言って根本的に空気中の電子がゼロに成る訳では無い。
がそこに居る全てのゾイドに単位時間の吸入速度で等分に分けられた電子は荷電粒子砲の発射に使えるほどの量ではなかったのだ。
その事件の後に開発された短ゼネ砲。素早く短い距離で拡散する事で集中投入できる機体の数を増やすのに貢献した兵器だ。
実際の威力はゼネバス砲と同じなので火力も充分だろう。放熱グリルヒートブレードやアンチマジッククレイモア(抗術弾頭指向性地雷)も追加装備し準備は完了する。
「ん?ハイドアーム…こんな物まで付けおったか。相当奴を敵対視していると見える。」ベンハルトはペイルバイターを見上げてそう言った。
「ぜえ…ぜえ…。」一方その頃必死になって巨木の腐れ落ちる中枢部から逃げ果せたベルゼンラーヴェ。何時の間にかガリスは姿を眩ましファインとベルウッドしか居ない。
「良く外に逃げ果せた!褒めてやるぞ主!よちよち…。」ベルウッドはファインの頭を撫でている。幹の外の下に居る状態で倒れてきた場合はどの位置に居ようとアウトと言う状態だ。
通信が入る。「大丈夫かい?マイブラザー?そいつかなりグラグラ揺れてるよ!急いで逃げないと危なくないかい?」それに「これを残して置くわけにはいかん!何とかせねば…。」
そう言いながらも手が思いつかないベルウッド。「え〜っと…またやりますか?大魔術を?」「主よ?妾に持ち掛けるという事は…確実なのであろうな?」「成功すれば確実でありますよ?ふふふふ…。」
明らかに何かをやらかそうとしている悪戯小僧な目付きをしている。「おもしろい!受けて立とうではないかっ!!!」
「ふむふむ…ほうほう…うむうむ…良し!その手があったか!?」ベルウッドは手を叩く。「ならば先ずはこいつを使う他有るまいな!」
ベルウッドが採取したメリクリウスシャードを先ず使用する。その間に残る使用限度をフルに使いニュークリアインフェルノの使用準備をする。
更に先の置換武器の要領と同じく全ての武装と装甲を目の前の空中に停止させる。最後に半ば強引に奪い取ったソードレイの発生機をその中に放り込む。
「準備は良いぞ!」「了解であります!」
それを中心にメリクリウスシャードの発生させた光が呪印を産み出す。武器や装甲はその役目を果たす為に激しく光り輝く。それに応じて呪印は円陣を産みやがて法陣となる。
その法陣は巨木の幹を包む大きさに成長しそこで安定する。安定を産み出した事で武器や装甲はベルゼンラーヴェに戻り収まる。
「「其は貪欲なる胃袋!その飢えを生け贄で充たせ!貪欲なる大黒蚯蚓!ドールッ!!!」」
その声と共に大地に敷かれた招喚陣が起動する。直ぐ隣に有る施設のエレベーターホールに名付けられた名前の大本がその場違いな姿を現す…。
出現と同時に既に食事を開始している黒い超巨大蚯蚓。その言葉でも足りないと思う程の体。それはあっと言う間に天に届く勢いで伸びていた巨木を喰らい尽くし長大な体を見せびらかし天に昇る。
その後元来た招喚陣へ飛び込んで去って行く。たった数秒の出来事。だがそれだけで略全てが終わる。ドールの去った後に残る暗き森の存在を示す最少構成単位のコア。
それに向かいベルゼンラーヴェは突撃しそれを上空に蹴り上げるとその大きな物体に2発分のニュークリアインフェルノを撃ち込む。
朝焼けの空と歪んで残った夕焼けの空が混じり合う不吉な空に巨大な光球が発生する。それは頂点が割れそこから超高熱の火柱を生やし輝きながら消える。そこから零れ落ちる何か。
地上でこぼれ落ちたそれを掴むベルゼンラーヴェ。「はあ…はあ…。如何で有りますか?」ベルウッドにそれの出来具合を聞くファイン。それに「上適だ!真逆ここでこれを手に入れることが出来ようとは!?」
驚くのも無理は無い。ベルウッドが見詰めるベルゼンラーヴェの手の中にはその殆どを紛失し最早完全回収不能と成っていたそれが有るのだ。「ありがたく受け取ってやろう!妾の力が多少なりでも戻れば楽には成る。」
それは虹の糸。偽物ではあるがそれなりの力を持ち何より今まで使用すれば飛び散ってしまうそれを繋ぎ止める輪を作るのに充分な量。
「うむ!これで良し!一応6割り程までの術式の行使が可能だ!確かに受け取ったぞ!それに月が一つ無くなってしまって久しいが月の光にでも当てて置けば良い。」
何か話とは違い偉く作るが簡単らしい虹の糸。まあそれは置いておき施設内に緊急で増設した整備スペースに戻る事にした。
「話は聞いている。だがそれは逆にチャンスだな。」ファインからの更に正確な報告により敵戦力に明確な違いと指揮系統が有る事が立証される。
一つはヴィゾールの剣の率いる異形と邪神の複合戦力。もう一つはベンハルト率いるフューチャーズリベリオン。最後に如何でるか解らないザクサル達。
「少なくともベンハルトさんの方は自分達が狙いの様でありますね。そっちは自分達が囮をすれば引き付けられる筈であります。」そう言うファイン。
だがアービンの主張は違う「それは駄目だ。囮を放り込むなら?もう解るな?」「了解でありますっ!!!」相変わらず大胆な作戦を立案する人だとファイン達は思う。
囮なら一番敵が来て欲しい所で且つもう一つの敵には困る場所に放り込んだ方が一段と効果が有ると言う事だ。
「各自休憩を入れておけ!その後最深部の中枢制圧作戦を開始するっ!」その号令と共に警戒要員を残して各自解散する。
ファインとベルウッドそれとベルフやミズホ達6人は医療区画へ行ってみることにする。
相変わらず凄い種類のこの星に居たともしくは居たのではないかと言われる種族の人が居る。「これはまた凄い事になっているね〜。」ベルフは関心の声を上げる。
幾つかの種族の者は各々の現存する種族の伝承やら昔噺に出る者ばかりだ。そこでファインはベルウッドと手分けしてヴィゾールの剣の情報を聞き込みに入る。
「ほう?これはとんだ患者さん達だ。」アービンが遅れて入って来る。彼も何かを漁りに来た様だ。求める情報は違う訳であるが。「大佐?この方達は一体この後如何なるのですか?」
その言葉を出したのは第1層に戻って来ていたカリーナからだった。「如何もしないさ。我々が要求したのは議会の解散と武装解除の二つのみだ。」
にっこり笑ってアービンは言う。帝国主義の普及には行政に対する信頼が最も重要になる。人こそ国の基礎であると言う事だ。
マリンはMBユニットが背中に装着されていた事を確認すると、機体を反転させた。カンウ自身に
とっても、MBユニット自信がバスターキャノンを母体としており、かつカンウも昔の大戦時代にそれ
と同種の武装を使用した経験があり、突然の武装変更においても特に何の違和感もなくなじんでいた。
そうして、カンウが開いたシャッターをくぐって外に出ようとした時、ミライロが呼び止めたのだった。
「ちょっと待ってマリンちゃん!!」
「まだ何かあるの!?」
「ルナリスちゃんの分があるから少し待って!」
ずげげげげっ
ミライロの言葉にマリンはカンウごとすっ転んでしまった。それにはミライロも驚いた顔をしていた。
「あれあれ?どうしたのかな?いきなりすっ転んで…。」
「何って…。私も分はもう終わったのなら行かせてくれても良いじゃない。
「ダメだよ!」
「何で!!」
マリンはミライロを睨み付けるが、やはりミライロはマイペース。そしてさらにミライロは言った。
「ここは二人一緒にババーンって登場した方がカッコイイでしょ?」
ずげげげげっ
またもやマリンはカンウごとすっ転んでしまうのだった。しかし、そんな見事な大前転にも、一度見た
ネタは二度目は通用しないと言った感じでミライロは顔色一つ変える事無くコンピューターを操作して
おり、その操作に従ってマジックハンドがハーデスの方に何かのパーツの取り付けを行っていた。
ちなみにルナリスはやはりミライロの方を赤面しながらうっとりした表情で見つめている。
「ルナリスちゃんへのプレゼントはブースターの強化だよ。強いて言うならダブルルウィングスラスターという感じだね!」
「あ!ありがとうございます!!」
ルナリスはさらに顔を赤くし、子供のように喜びながらミライロにおじぎを送った。そうしているウチ
にもマジックハンドはハーデスの背中の砕けたマニューバスラスターを外した後で、ミライロが
“ダブルウィングスラスター”と呼んだパーツを取り付けていた。それは、マニューバスラスターの
両側面に同じくマニューバスラスターを2つに分割した様な物が連結されれるという形を取っていた。
ちなみにテラッティックレールライフルは一度外され、ダブルウィングスラスターに再装着されると
言う形を取っている。そうして“ダブルウィングスラスター”と呼ばれたスラスターは文字通り
マニューバスラスター二つ分であり、大型のスラスターが4つ、ウィングに装備された小型スラスター
が8つという威容を誇っていた。しかも、背中に直接装着する分のウィングは通常のマニューバ
スラスター同様縦向きになっているのであるが、両側面部に装着されている分は横向きに装備されており、これこそがウィングスラスターと呼ばれる所以となっていた。
「作業は終了したよ!両方とも今までと同じ感覚で使用できると思うから、二人とも安心してね!」
「ハイ!!それでは行ってきます!!」
「まあ負けないように頑張るわ…。」
ミライロの言葉にルナリスは、やはり赤面しながらも拳に力を入れて意気揚々とした返事を送って
いたが、対照的にマリンはあんまり元気無さそうな感じをしていた。とはいえ、武装が強化された二機は再び外へ出撃していくのだった。
一方街の外の広野ではゼノン・ドラグネスとムスタングァー4機の戦いは続けられていた。
ムスタングァー隊はどうにかゼノンとドラグネスをかわしてミライロの研究所へ向かおうとするが
ゼノンとドラグネスがそれを阻止し続けている。特にゼノンは何度もムスタングァーを叩き伏せており、
見事にムスタングァーを圧倒していた。しかし、ムスタングァーは一体も破壊されてはいなかった。
ムスタングァー自身、高いパワーや機動力に加え、強固な重装甲も誇っていたという点などが
あげられるが、実際の所はハガネがあえてそうしていなかったという事であった。彼女はあくまで
マリンとルナリスに倒させようと考えていたのだ。故に、ミライロの研究所に向かおうとする
ムスタングァーの前に立ちふさがり、叩き伏せる事はあってもそれ以上の事はしていなかった。
「畜生…。このままじゃ…。」
ハガネとゼノンの圧倒的な強さにムスタングァーパイロット達はうろたえていた。と、その時ゼノンと
ドラグネスが突然後退し始めたのだった。それには彼等も戸惑った。
「な!どうしたんだいきなり!!」
「まあ、そろそろだなと思ってね…。」
ハガネは笑いながらそう言い、ゼノンとドラグネスはミライロの研究所の正面まで後退させていた。
が、その不可解な行為はムスタングァーパイロット達を戸惑わせていたが、逆に彼等にとって都合の良い展開である事は目に見えていた。
「これはチャンスだ!!少なくともミライロの所に接近できるんだから!!少しは勝機が出てきたって物だぜ!!」
一人のムスタングァーパイロットのその言葉にムスタングァーは一気に突撃を仕掛けようとする。しかし、それを別のムスタングァーパイロットが呼び止めた。
「しかし!奴等の罠と言う可能性も考えられないか!?優勢であるにも関わらずあっさり後退するからには…。」
「しかしもあるかよ!!このチャンスを逃したら勝利はないぞ!!」
「行くぞ行くぞぉぉ!!」
ムスタングァーは咆哮をあげ、突撃を開始した。4機はみるみるウチに研究所へ接近していく。
「行け行け行けぇぇぇ!!」
「このままあの虎型も踏みつぶしてしまえぇぇぇ!!!」
彼等は意気揚々とした口調で奇声をあげ、ムスタングァーは砂埃を巻き上ながら大爆音で広野を
走り抜けて行き、そのまま何者をも踏み潰さんとした勢いで突撃を掛けていた。と、その時だった。
「待った待った待ったぁぁぁ!!!!」
その様な叫び声が響き渡ると同時に研究所のシャッターからカンウとハーデスが飛びだしてきたのだった。
「何だぁ!!お前ら逃げたんじゃなかったのかぁ!?」
「確かにそうかも知れないけど!!だからこうして戻ってきたんじゃないの!!」
カンウとハーデスはムスタングァーへ向けて駆けた。しかしムスタングァーパイロット達に動揺は無かった。
「ならばもう一度ぶったおしてやるぜぇ!!」
ムスタングァーも自身へ駆けていくカンウとハーデスに対して突撃を掛ける。その時、カンウが
ムスタングァーの一機に向けて背中のMBユニットの砲口を向けたのだった。
「そんな豆鉄砲が通じると思うかよ!!」
彼等にやはり動揺は無かった。ムスタングァーの装甲ならば耐えられる。それだけ装甲に自信を持って
いたのだ。しかし、それが彼等の誤算であった。カンウの新装備であるMBユニットは、それまで
カンウが装備していたバスターキャノンとは比較にならない強力な武装である事を彼等は気付かなかったのだ。
>>恐怖の亀裂作者さん
荷電粒子砲の撃ちすぎで静電気無くなる・・・。
そう言う事は自分は考えたこともありませんでした。
まだまだ色々出てきている様子ですし?
>改造コンテストの出展機体から何か外れて入れ替わるのでしょうか?
これはむしろ逆ですね。ただマニューバスラスターを背負っただけの物から
コンテストに出展したあの形態となるのです。
鉄獣28号さんへ
あの姿に進化!凄いですね〜。空を自由に飛びたいな〜(以下自主規制)な事も出来るのでしょうか?
静電気切れは一応300機以上のそれらが一斉に攻撃したからと言う事に脳内では成って居ます。
幾ら何でも相手の所に飛んでいってしまうのでそれをもう一度はファンやらインテークの設置状況からして取り戻すのは無理。
近付けばそれだけ機体を動員しないと成らない化け物ゾイドに潰されるのは確実の状況ですから…。
「しかしファイン中尉は遇う度に何か怪我が増えていたりしますね?今度は何が?」カリーナが怪我の治療をしながら言う。
特に傷口が完全に塞がらない肘下周辺の毛細血管破裂の後は未だに血で染まっている。「このうつけは身分不相応の事ばかりするからこうなる。」
憮然とした顔でベルウッドが答える。「貴方!?…可愛い服装ね?」その時カリーナの目が確かに怪しい光を放った。「ひぃっ!?妾が!?妾が押されているだとっ!?」
妙な悪寒を感じ震えるベルウッド。「中尉は一応肘下を消毒して置きました。後は暫く肘下を心臓より下に向けないでおいて下さいね。」「えっ?」
万歳状態で十数分をすごす事になったファイン。とても間抜けな姿だった…。
「ちっ!やはり情報は手に入らんか…。まあ呼奴等の所為では無いから仕方ないということか。」ベルウッドは顔に正直に”この役立たず共が!!!”な表情をしている。
やっと出血が止まり腕を下ろしていたファインは気不味そうな雰囲気に水を刺す為にベルウッドの装束の襟を掴むと子猫を持つ様な要領で持ち上げる。「にゃ!?」
何故ベルウッドはそれに併せて背を丸め手足も猫っぽいポーズをとる。「どうもすいませんであります〜これにて失礼するであります。無礼をお許しくださいませ〜…。」
「なっ何だと!?妾が何故猫っぽい状態にっ!?」ベルウッドの負け惜しみな台詞を残しファイン達は病室を出た。
その後彼等の行動パターンを知っている者には馴染みに成りつつある小爆発の音が廊下から聞こえてきたと言う。
「おのれ!その様な絡繰りが有ったか!?だがこれは面白い!緊急時の手の一つに使えそうだな。」
服等に力を通して操り人形の様に相手を動かす。今回は特に魔導機たるベルゼンラーヴェの精霊たるベルウッドならファインの方でこう言う悪戯が出来たという訳だ。
この方法なら抵抗力の無い相手の行動を封じる事が出来る。良く言う金縛りの状態を創り出せるのだ。「問題はやはり対称が大きければ無理という事に尽きるな。」
所詮人やら生き物の範囲での事限定であり辺り構わず動きを縛る重力結界よりは遙に劣る物である。
機体のオーバーホールが行われている場所では「何だぁ?この機体色々な所が取れるぞ?フレームやら何やら全部共通企画か?」
ベルゼンラーヴェを調べていて整備班長は驚く。「規格外の癖してブロックス共通企画ってか!?」
フレームの繋ぎ方が独特でその為のパーツも特注品であるがその甲斐も有り戦闘記録からは理解できないぐらいのダメージの低さだ。
唯硬いにも程が有ると言うものだ。幾ら胡散臭い機械科魔学の物と言えどパイロットの気力やらで機体の損傷を如何にか出来る方に問題が有る。
材質検査をしてみれば明らかに無駄な物が存在する。それがそのインチキを産み出す為の物だろう。
「おいおいおい…これから俺たちゃこんな物を調べ上げなきゃ成らんのか!?冗談じゃねぇ!!!」整備半の面々は頭を抱えて右往左往していた。
「漠達お留守番だってよ。つまんねぇの〜。」余り派手に動かれても困ると言う事らしい。
「オイ?ソレヲ言ウナラ僕達デハナイカ?ラスキドール?」飽きもせず”泥”と顔に書かれたままのベレディケンはラスキドールに言う。
「だってだってだってだって!!!つまんねぇ〜〜っ!!!」丸まってグルグル床を転がり回りながらラスキドールは言う。それは次第に勢いを増し遂に壁に激突する。
「っつあぁ〜!?いってえぇ〜…。」側頭部に柱が激突し瘤が出来たらしい。「ったく何か面白そうな事は無いのかよぉ〜…。」
「慌テルナ。直ニ嫌デモ付キ合ウ羽目ニナル。」落ち着かないラスキドールとは違いベレディケンの方は何か予測しているようだ。
確実に何かの気配を感じ取っていたのだろうそれは確実に迫って来ている。警戒網に敵戦力が引っ掛かる。
「敵襲です!タイプは…異形系多数!!!その中に別の者も存在します…しかし?」その曖昧な言葉に「良いから言え!それが鍵かもしれん!」
アービンはそう言う。「了解!それは別のタイプの様です!しかし次々に消えたかと思うと別の場所出現しています!」
「ふふふ…この黒蓮の動き見切れるかな?」自らをそう言う男がその黒塗りの機体を駆る。一度動けば既に別の場にいる素早いと言う言葉では当て嵌まらない動き。
そのサイズはイグアン等と同じサイズ。それよりほんの少し大きい位の機体で背に法輪とそれにはめられた黄金色の輪が6つ。それが怪しく輝くとまた別の場所にそれは居る。
手には剣の様に長い指が4本。そこにその機体が何者であるかを示す者が握られている。錫杖…魔術師の類の者のみが操れる呪装ゾイド。その名を黒蓮(こくれん)と言う。
唯一未来よりの持ち込み機体の中で術師専用の者。ベルゼンラーヴェ系列の後継機である。
「さあ何処まで食い下がれるものか?人工培養の人造魔術師の私が。」男の口から自虐的な言葉が漏れる。
彼に名は無い。NOIR17と言う形式番号が有るだけだ。味方からはノワールと呼ばれている。黒の17と言うのが彼の名前の意味だ。
彼は知らない…既に自身の力が、機体の力が既に相手と拮抗するに留まらない物で有る事に。
異形の行進を感傷も無く見ながらノワールはそれでも自嘲的な言葉を無意識に漏らす。「此奴等も私と同じだ。唯の消耗品に過ぎない。」
その言葉が示す通りに先頭の異形は既にミンチに変わり果てていた。セントゲイルらしいが乗り手と異形との力の差が明らかでその様相は屠殺場だった。
「先ずは奴からか。」黒蓮は音も無く姿を消しセントゲイルの眼前に出現する。
「有人機かっ!」ハリソンは見慣れぬ黒塗りの機体から言い知れぬ感覚を覚え雑魚を味方に任せ交戦状態に突入する。
クロスキャバリアーの十字剣クロスランサーが黒蓮の錫杖と激しく打つかり火花を散らす。難解も打ち合うがハリソンには明らかに相手が手を抜いているのが解る。
「ちぃ!こっちだって必死こいてここまで来たんだぜ!でも此奴にとっては遊び相手程度にしか成らないのかっ!!!」黒蓮とクロスキャバリアーの戦闘高度は徐々に上昇する。
クロスランサーが輝きそれと共に周囲に磁気嵐が発生する。「知ってるか?ロードゲイルはな…こう言う事が出来るんだぜっ!」
黒蓮に稲妻が直撃する。「今だ!バイドラッシング!!!」荒天状態限定の連携。ロードゲイルに宛てがわられたキメラコアの中には荒天時に落雷を誘発できる固体が存在する。
その為にこの名を冠されたと言われる噂が有るが実際にこの落雷を戦術的に使用する者は中々居ない。先ず使えるか如何か?が真っ先に問題に成るからだ。
バイドラッシングの直撃を受け腰辺りから真っ二つになる黒蓮。「おいおい!?本気かよっ!?」在り来たりの言葉がハリソンの口から漏れる。
黒蓮は何事も無かったかの様に錫杖でクロスキャバリアーの頭部を破壊。その後ハリソンの目の前で分かれた胴体が一つに繋がり元通りに成る。「今貴公に付き合っている暇は無い…これにて御免!」
ノワールはマイクでハリソンにその旨を伝えるとこの戦場から姿を消す。「全く何なんだ!?あの機体は…。」錫杖の輪からビームカッターを撃ったりやたら器用な機体に毒吐くハリソン。
「MBユニット射撃モード!どの位の威力かな?」
ロックオンを完了させたマリンは引き金を引き、MBユニットの砲口から高出力ビームが発射された。
高出力かつ高密度のエネルギーがムスタングァー目がけて突き進んでいく。それはただのビームでは
無かった。これはハンデンシティービーム。俗に言う高密度ビームであった。
「前方から高エネルギー反応…ってうぉわ!!」
高密度ビームの第一射はテストも無しの初使用という事もあり、残念ながら外れてしまった。
しかし、外れたにも関わらず、各ムスタングァーに余波という形で衝撃を与え、大きく怯ませてしまったのだ。
「今だぁ!!」
怯みで動きが一瞬鈍ったスキを突き、二機はさらにスピードを上げた。
「ようし!!ここでミライロさんの思いの詰まったダブルウィングスラスターの威力を見せてやる!!」
ルナリスがダブルウィングスラスターのスイッチをONにし、ハーデスの背中のダブルウィング
スラスターが火を噴いた。ダブルウィングスラスターの推力は圧倒的であった。驚くべき事に、
ハーデスの巨体が高く舞い上がったのだ。しかも、その速度はそれまでの倍以上に上がっていたのだ。
もはや"跳ぶ"では無く"飛ぶ"と表現しても良いと思われる程である。そう、ダブルウィング
スラスターはただのマニューバスラスター2つ分というワケでは無かった。これは初めから
デスザウラーに装備される事を前提としており、重量級のデスザウラーを飛ばす事を目的に、
通常のマニューバスラスターのそれを遥かに凌駕する推力となっていたのだ。なのにエネルギー消費量
や負担などはそれまでとなんら変わりがあるワケでは無く、この事実はそれだけミライロの持つ技術が凄いという事を意味していた。
「こ!!これは凄い!!ミライロさんありがとうございます!!」
ダブルウィングスラスターの威力に驚いていたルナリスは顔を真っ赤にさせながら子供のように喜んでいた。が、驚いていたのは彼女だけでは無かった。
「何だあのスピードは!!」
「ええい!!落とせ!!落とすんだ!!」
先程のMBユニットの高密度ビームの威力に驚愕した上にハーデスがそれまでの倍以上の速度になった
という事実は彼等を十分に浮き足立たせる程の物だった。と、その時だった。浮き足立つ彼等のそれを
チャンスとばかりにハーデスが高速飛行のままムスタングァーの一機へ接近し、急降下したと思うと、
そのままムスタングァーの背中を両腕でガッチリと掴んで持ち上げたまま再び飛び上がったのだ。
「うわ!!放せ!!放せ!!」
「そんな事言うなよ…。今まで散々コケにしてくれたお返しをさせてくれたって良いだろう?」
「うわぁぁぁ!!!」
ムスタングァーは身体全体をバタ付かせながら抵抗するがハーデスの爪はムスタングァーの背中に
深く食い込み、かつガッチリと掴まれており、全く離れることは出来なかった。そしてハーデスはなおも高く高く飛んでいく。
「うわ〜…。一体何処まで飛んでいくのかな〜…?」
天高く飛んでいくハーデスの姿を見上げながら誰もが唖然としていた。
「ようし!そろそろこの辺りで良いだろう!」
地上から見て、ハーデスとムスタングァーの両機が点にほどにまで小さく見える程高く上昇した時、ハーデスは上昇を止めてその場でホバリングした。
「うわぁぁ!!助けてくれぇ!!さっきの事は謝るから…。許してくれぇぇ!!」
ムスタングァーはなおも抵抗し、体中をバタつかせている。さらにパイロットは涙をボロボロと流しながらルナリスを拝むように哀願していた。
「お願いします!!お願いしますぅぅ!!」
「ダメ!」
「え…。」
その時、ハーデスの両手からムスタングァーは放され、ムスタングァーは落下し始めたのだった。
「うわわわわわ!!!」
落下しながらもムスタングァーはなおも体中をバタつかせていたが、飛行能力を持たぬムスタングァー
が何をやっても無意味でしか無かった。一方ハーデスはその場にホバリングしながらダブルスラスター
に装着していたテラティックレールライフルを外し、右腕に再装着していた。
「これ使うのも久しぶりだな…。」
ルナリスは片目を瞑りながらスコープからの映像を直視し、照準を合わせた。それに合わせてハーデスが真下のムスタングァーへ、テラティックレールライフルを向ける。
「ファイア!!」
ルナリスのかけ声と共にテラティックレールライフルから一発の銃弾が撃ち込まれた。
小口径であるも、固く先端が鋭く研ぎ澄まされた砲弾を持ち、かつ射出速度も高いレベルの物を
持っているテラティックレールライフルの貫通力は想像を絶する物があり、ムスタングァーの重装甲を
その身体ごと貫き、さらに地面に着弾した後も深く突き刺さっていた。
「あ…。」
高空から落下し、地面に叩きつけられたムスタングァーはたちまち大爆発を起こし、他のムスタングァーパイロット3人は唖然とするしかなかった。
「ち!!畜生!!こうなったら奴だけでも…。」
超高空から地面に叩きつけられて破壊されたムスタングァーを見てうろたえた他のムスタングァーパイロットはヤケクソになってカンウに襲いかかった。
「うおおおおおおおお!!!!」
「ヒヒィィィン!!」
ムスタングァーはパイロット同様は雄叫びを上げながらカンウへ向けて猛烈な速度で突っ込んで行く。しかし、それとは対照的にマリンとカンウは不思議な事に冷静であった。
「MBユニット格闘モード。どの位強いのかな〜?」
カンウの背中に装着されていたMBユニットが外され、今度は両腕の側面部分、手首と肘に
装備されているサーボモーターに接続される形で装着された。そしてMBユニットのマグネーザーになっている砲塔が甲高い音を上げながら回転を始めたのだった。
「うおぉぉぉぉりゃぁぁぁ!!!」
ムスタングァーの巨大な前足が、固い蹄がカンウを襲った。と、そう思われた時だった。
左腕に装備されたMBユニットのマグネーザーによってムスタングァーの両前足が粉砕されたのだ。
「ええ!!う!うわぁぁぁ!!」
ムスタングァーの強固な前足が、まるで発泡スチロールの様に力も無く砕けた事実にムスタングァー
とそのパイロットは驚愕した。が、しかし、マリンとカンウはそのスキを見逃さなかった。
両前足が粉砕され、大きく怯むと同時に後ろにのけぞり、腹を見せたムスタングァーのその腹部に
右腕に装備されたMBユニットのマグネーザーが突き立てられたのだ。無論その一撃で2機目のムスタングァーは完全に機能を停止した。
>>恐怖の亀裂作者さん
機械科魔学の機体はパイロットの気力での再生も可能と言う点について
ゴー○リアンやレイ○ボーセ○ンを思い出しましたよ。
それと、何か人造人間っぽいのが登場してますね。
「理解できない…か。なら、アンタが間違っているんだ」
デス・メテオの背中に、巨大なガトリング砲が2門形成された。
「!? ちぃっ、武器の追加も自由自在か!!」
雨の様に降り注ぐ弾丸。マッドサンダーの強固な装甲すら削られる威力。
ルガールの神経が回避に集中した一瞬の隙に、デス・メテオが背後に瞬間移動していた。
「僕が理解した物が正しいのさ! 勝者である僕が理解できる物こそがね!!」
セディールにとって、正義とは勝者以外の何者でもない。戦いに勝つこと以外の正義が存在する事など、
彼の想像が及ぶ筈も無く――また、そんな認識が訪れる余地も残されては居なかった。
「…さーて…貴様が正義であるなら…どうしてこれ程までに、貴様は嫌われているのかな?」
デス・メテオの爪に捕らえられながら、ルガールはその笑みを消さない。
「自分以外のものは認めず…幼稚なガキの理論を振り回し、手にした力に溺れる。いい加減に認めることだ、貴様は」
「 う る さ ぁ ぁ ぁ ぁ い ぃ ィ ィ ィ !!!!」
マッドサンダーの巨体が三度宙を舞う。地響きを立てて地面に激突したマッドサンダーに、セディールは
巨大な砲塔を作り出し、突きつけた。
「弱者が…何を言った所で…負け犬の遠吠えでしかない!! …僕はもう王になろうなどとは望まない…僕は!」
デス・メテオの背後に突然ゾーハルが現れた。だが、剣を振りかぶった瞬間にもうデス・メテオの姿は消えている。
ゾーハルの更に背後を取ったセディールは、頭上に幾本もの鉄柱を作り出した。
「――僕は、『神』になる!! 全てを滅ぼし、僕の世界へと作り変える…破壊と創造の神に!!!」
セディールの叫びと共に落ちてくる鉄柱。それらは鋭い杭のように、ゾーハルの身体を大地に打ち付けた。
「ふう……星を守る天使とは言っても、僕の力を前にしては所詮無力だったな」
デス・メテオの腕が形を変え、ハンマーの姿を取った。
「終わりだ。これで、万に一つも僕を止められる者は居ない」
巨大な鉄槌が振り下ろされる。ゾーハルは避けようともしなかった。
――避ける必要が無かったからだ。
「…ッ!!?」
ゾーハルの左腕にあった剣が姿を変え、中心に目の紋章を持つ盾がそこにあった。
「たかが一撃防いだ程度でッ!!」
デス・メテオの腕が槍となった。今度こそは、とセディールが槍を突き立てるが、ゾーハルは既に中空へと舞い上がっていた。
彼が敵の姿を探し出す前に、輝く剣がデス・メテオの首を断ち切った。
「…待て、ゾーハル! そいつのコアを潰すな!!」
勿論、ゾーハルに聞く耳などあるはずも無い。セディールは急所こそ外し続けたものの、この戦いで初めて
はっきりとした危機感を覚えていた。
「…ナノマシンが誤作動している!? 奴が発する強力な磁場で…そうか、ラツィエルの能力…!」
守護天使ラツィエルの能力は、“計画”だった。“計画”を組むまでに時間は掛かるが、一度完成してしまえば
誰しもその“計画”から逃げる事はできない。
おそらく、先程セディールが勝利を確信して一言喋った時に“計画”を練ったのだろう。「磁場が発生する」という計画を。
セディールの目の前で、モニターに小さな文字が現れ始める。それはレーザー通信の文章だったが、発信源はゾーハルだ。
<お前 を 抹殺 する>
「クソッ、ふざけた真似を…」
しかし、間もなくしてセディールはその文章の意味を悟った。――最後通告だ。
ゾーハルの右肩に付いた箱の様な物から、4枚の翼と長大な砲身が現れた。
「! あれは――サンダルフォンの巨砲、“アドナイ・マラク”か…!」
方舟を一撃の下に粉砕した兵器を前にして、デス・メテオは再生も終わっていない状況だ。
“エロヒム=ギボール”で全身を切り裂かれ、回避すらできないデス・メテオに“アドナイ・マラク”が向けられる。
そして、白銀の光が市街を覆った。人工のビームとは比べ物にならない圧倒的なエネルギーの波動が
デス・メテオを包み込み、市街の建物、隔壁、外の荒野まで全てを貫いて空へと伸びた。
「…今度こそ、アレを倒したんですか!?」
アレックスの問いは無意味だった。次の瞬間に、聞こえるはずの無い声が通信機から流れてきたからだ。
「いやぁ、正直今のは危なかったよ。…相手が僕でなければ、お前の勝ちだった」
今日になって復活…
>>68 HP開設するほどの腕ではないんです、残念ながら。
しかし、「そのライン」には達していたようで何より。
このスレは、敢えて言うなら所構わず小説を書く者が出ない様にする為の
隔離スレ的な役割も果たしているのでは?と思うのですが。
>>69 釣り…なのでしょうか?
>>恐怖の亀裂作者氏
実弾とビームを同時に発射するって実際にはどうなんでしょうか…
互いに干渉しないように射線をうまくずらさないとイカン気もします。
>>鉄獣28号氏
そうですか、ミライロはゾイド乗りでは無い訳ですね?
という事は、前作のミオ的な立場(=身近に居る主人公より強い人)
にいるのはハガネあたりかと思うのですが。
鉄獣28号さんへ
〇イコアーマーゴー〇リアンとかですね。再生って。あの作品は其れ処か何も無い所からあれらを作っていたのでもっと凄い気が!?
依然誰かが使っていた悪鬼呪法機関がそれに当たります。
それよりも…飛んだ〜飛んだよ〜。落ちてきたらどんな威力になるか?自分が潰れる程?とか思いましたが…。
実はデスザウラーって尻尾が重力制御できましたよね?加重力衝撃テイルで。
Inocent Worldの作者さんへ
実際それ等を同時に撃ったっ場合は…ビームの強さに寄りますが基本的に軌道が重ならない限り大丈夫な気が?
実弾に電荷が有りビームが俗に言う金属粒子ビーム砲の場合は磁力線にそってビームが回る素敵な光景が見れる可能性が有るのでしょうか?
ビームというのは電子やら何やらが空間を飛ぶ形態の一つですからビーム砲はビーム化現象を起こす威力の粒子を発射する兵器みたいですし?
実際にはそんな近くで撃つなら先に実弾を発射しその後それより速度が速いビームで後押しするのが実用的かも?
更には同時に同じ砲身から工夫して撃つのが理想!?何の気遣い無しに撃てる事間違い無し!暴発は即死ですが…。
一応ネタ保管を
【人名】
NOIR17:ノワール17の形式番号で呼ばれる人造魔術師、秘密裏に産み出されたノワールシリーズの17人目でフューチャーズリベリオンに志願し過去に渡る
成体ユニットとしても優秀で乗機の黒蓮を駆れば時間制限こそ有れ通常ゾイドに負ける事は無い
調整体である他教育に不備が有り戦闘以外の事には興味が無い上に戦闘技術以外は非常に不器用
【技術】
呪装ゾイド:乗り手が術師であるゾイドに機械的に術式を付加もしくは呪法兵装を装備したゾイドの事でその殆どがブロックス使用機である
例外的にゾイドコア自体が魔術師の場合はその体に合った呪法装備を装備されるワンオフタイプになる、双方共悪鬼呪法機関や弦状空間跳躍機構が簡単に装備できるのが強み
しかし後者は暴走率が非常に高くそうなればゾイドハザードは免れない
悪鬼呪法機関:オーガスペルシステムリペアと言われる呪装機関、専用の装備を介して術者の気合いやら精神力やら何やらを機体の修復に転用できる
この名称はたんに強力なオーガノイドシステム仕様機の様に凄まじい回復力を示す為である
「こちらハリソン!敵を1体逃したっ!!!化け物何かよりそいつの方が100倍以上危険だ!」
最後の最後まで一定時間毎に現れる異形を倒してきたハリソンの部隊だがハリソンのクロスキャバリアー撃墜で指揮系統に混乱が生じている。
この為最終防衛ラインから遂に味方部隊が撤退した事になる。
結局あしらえ直しになった24強化服に袖を通すファイン。「今度こそけりが付くやもしれん。気を付けろ!」「りょ〜かいであります!」
それを着込み手に尖角刀を構え軽く振り抜く。それは濁った空気を裂く音になって部屋に響く。「良し!体は良好。気分はお先真っ暗!でも大丈夫でありましょう!」
「さらりとお先真っ暗と言いきり居った!?だがこの波動…このコアの波動は妾の物だ。なる程…相手に妾のコアが有るか。難儀なものよ…。」
一方黒蓮を駆るノワールもそれを感じ取る。「母上様?お元気ですか?」居場所を特定すると素早くその方向に飛ぶ。小型のこの機体にこのコアを載せるのには相当の苦労があったらしい。
しかも悪鬼呪法機関付きとなれば装甲は同クラスの機体に比べて薄紙の様に頼りない物となった。だがその薄皮の如き装甲が黒蓮に圧倒的な機動性を与えている。装甲とは攻撃を躱すために有る。
だが単に硬いだけが装甲では無いと言う事だ。本質的な意味からは逸脱するがその薄く風になびく装甲は帯となり刃となり風を切りもしくは逆らわず靡く。
そのため空力性能が同クラスの機体と比べて3割以上向上している。風を巻いて黒蓮は誰も乗っていないベルゼンラーヴェに到達する。
整備兵達が迎撃するが流石に人が持てる銃器程度の攻撃は防ぐ事は出来る。錫杖を軽く振り大けがをしない程度にその場から退ける。目の前のベルゼンラーヴェに対して黒蓮はピィと小さく鳴く。
それに答える様にベルゼンラーヴェの目が光る。「残念だが…感傷に浸るのはここまでだ。」何方かと言うと黒蓮にと言うよりノワール自身に自分自身に言い聞かせる様にそう呟く。
「感傷そこまで!ホールドアップでありますよ?」何時の間に現れたのか?黒蓮のコクピットハッチにはフレキシブルウェポンドライバーをグレネードランチャーに変えた状態でそこに向けるファインの姿が有る。
「貴公が…ファイン=アセンブレイス!面白い!」機体を横に一回転させ振り落とそうとする。しかし振り落とされない。
更に一回転させ直に逆回転してみるがやはり振り落とせない。「残念賞であります!その機体も同じコアを使っているらしいのでね?」
「そう言う事か。」ノワールはそのままコクピットハッチを開き強引に蹴りを喰らわせる。そのまま足を載せ床に自分自身を乗せて落す。
床に落下し仕留めた筈だった。が実際は床に激突せずそのまま素早く手を突いて下半身を起こしノワールを振り解くと更に追い打ちとしてそのままで蹴りを放つファイン。
「くっ!」ノワールは蹴りを両腕でクロスガードして防ぐとその場から飛び退き手に弾道ナイフを構え刃を撃つ。巻き取り用のテグスと小型電動リール付きと至れり尽くせりのタイプだ。
4つの刃を躱し立ち上がるファイン。如何やら相手は機体に戻るつもりが無いらしい。冷たい空気が流れる。隠し様の無い殺気が空気を冷たく感じさせるのだ。
同じタイミングで床を蹴る。ノワールの手には更に片手に1本づつ弾道ナイフが増え3本2対の6本を使用している。ファインの方は逆手に構えた1対の黒の尖角刀。
お互いに相手を押し倒そうと武器を前に構えて激突する…。
地に降り立ち互いの獲物で相手を押し合う。少しでも相手が勝るとわざと力を抜き相手のバランスを崩して自分が押す。拮抗その後何方かが引き押し返す。
そんな事の繰り返しが十数分にも及び続く。端から見る限り子供の意地の張り合いにも似た風景だ。しかしこの手の人間の戦闘は一歩間違えばこう成るのである。
相手を必要以上に意識しそして行動パターンが似ていると判断すれば自分の方が強い筈と引く事を良しとしない。殺気で冷えたと思われた空気は今度は逆に熱く感じる。
意地の張り合いがヒートアップし引くに引けなくなった両者はそのまま力比べと勝負が移行して居た。「此奴等!?ホームラン級の馬鹿だっ!!!」ベルウッドは呆れ返り整備班長等と談笑を始めている。
その後ろでは…「ウリィィィィィィィィイイイイイ!!!」「鬼殺ャャャャャャアアアア!!!」遂に気合いと共に漏れる声が異次元の様相を見せていた。体には湯気が周りは暑苦しい程に乗機が上っていたりしている。
「えええええ〜い!!!黙れぃ!!!うざいわぁああ〜っ!!!暑苦しいわぁぁぁあああ〜っ!!!」遂に我慢の限界と相成りベルウッドから水入りの衝撃波が2人に放たれる。「「!?」」一斉に飛び退くノワールとファイン。
「な…なんだと…?」
「何故だ!!何故こんな短時間で奴等がここまで強くなるものか!!」
カンウとハーデスの先程までとは打って代わった強さに残った2機のムスタングァーと、その
パイロット達は驚愕していた。しかし、その一方でマリンとルナリスも驚きを隠せない様子であった。
「す…凄い…。」
「ミライロさんの思いの詰まった強化パーツ…。まさに無敵…。」
ミライロの作ったパーツの性能に二人は手に汗握る思いで興奮していた。と、その時ミライロから二人へ向けて通信が来たのだった。
『どうだい?僕の作った武器の性能は!』
「凄いです!!凄いですよ本当に!!ありがとうございます!!」
相変わらずマイペースで陽気な口調のミライロに対し、ルナリスは顔を真っ赤にさせながら興奮して
いたが、マリンはやや納得できない…けど納得するしかないという顔をしていた。
『マリンちゃんどうしたんだい?』
「う…うん…。何だか連中がミライロさんを味方に引き込もうとするの…分かった気がするよ。」
『確かに自分で言うのも何だけど、僕の技術は連中にとって凄い物に映ってるみたいだからね!
けど、僕は連中の仲間になんかならないよ!僕の頭脳はもっと世界の為になる事に使いたいからね!』
「確かにそれに越したことは無いからね…。」
やはりマイペースで陽気な口調のミライロにマリンは押されガチであったが、ミライロはさらに言った。
『そうそう!言い忘れたけど、MBユニットのマグネーザーにはただドリルみたいに使うだけじゃなく、もう一つ別の使い方があるんだよ!』
「別の使い方?」
『そう!別の使い方さ!それは…。』
ミライロの説明をマリンは聞き始めた。が、そこにスキが出来た。残った2機のムスタングァーは動きを止めたカンウ目がけて突撃を開始したのだ。
「何をゴチャゴチャ言っていやがる!!」
「今は戦闘中だぜヒャッハァァァ!!」
倒すのは今だと言わんばかりにムスタングァーは猛烈な速度でカンウへ突撃していった。そして
両者の距離が数百メートルまで接近した時、カンウとマリンがムスタングァーに向き、さらに両腕のMBユニットの砲口も彼等の方へ向けたのだった。
「またあの強力なビーム砲を使うつもりか!!?」
「なめるなよ!!そのビームが発射される前にお前を叩きつぶせる機動力は持ってるんだよ!!」
彼等はうろたえる事無く真っ正面に突撃を続けた。が、これが彼等の過ちとなった。
「マグネイズサイクロォォン!!」
MBユニットのマグネーザーがさらに高速回転をを始め、なんとマグネーザーを中心として二つの巨大な竜巻が発生したのだ。
「え!?えええええ!!!?」
ムスタングァーパイロット達は、思わず目が飛び出る程にまで驚いた。が、それもつかの間、
ムスタングァーの巨体がその二つの竜巻に巻き込まれ、高速回転しながら天高く飛ばされていったのだ。
「う…うあぁぁ…。こりゃキッツゥ〜…。」
重量的に500トン以上は軽く言っていると思われるムスタングァーを二機丸ごと吹き飛ばした
マグネイズサイクロンの威力にマリンは驚きの声を隠せ無いでいたが、同時にその威力があまりにも高い為、下手をすれば自らが逆に飛ばされる事にも気付き、マグネイズサイクロンを停止させた後で次使う時は気を付けなければと考えていた。
「うっひょぉぉぉぉぉ!!!」
マリンがマグネイズサイクロンを止めた後もムスタングァー二機はなおも高速回転を続けながら宙を舞っていた。無論それは大きなスキとなり、ゆっくりと降下していたハーデスの良いカモとなった。
「丁度良いタイミングじゃないか…。それじゃあ30式荷電粒子光弾砲言ってみようかぁ!!」
ハーデスの口腔がかすかに閃光を放つと同時に、普通にデスザウラーに無く、ハーデスのみが持って
いる武装、荷電粒子光弾砲が発射された。荷電粒子を"線"では無く、"弾"として発射するそれは
威力は落ちる物の、エネルギーの消費量が押さえられ、かつ連射性に優れているのだ。
その荷電粒子弾がハーデスの口から機関銃のように高速で撃ち出され、宙を舞うムスタングァーの重装甲を消し、砕き、やすやすと破壊していったのだった。
「本当にありがとうございます!!本当に!!」
戦いが終わり、研究所内に戻った後、4人はミライロの前に集まって勝利を祝していた。
特にルナリスは顔を真っ赤にさせながら喜び、ミライロの手を握ってブンブンと振りながら礼を何度も言っていた。
「でも…まあ…ミライロさんの作ったMBユニットが無かったら勝てなかったのは確かよね…。」
マリンは両腕を組みながらカンウの背中に装備されたMBユニットを見つめながらそう言った。
「何なら!あげるよ!これ!」
「え?あげって…。」
ミライロの突然の言葉にマリンは拍子抜けした。しかし、ミライロはなおもマイペースのまま、さらに言う。
「だからこのMBユニットは君にあげるって言ってるんだよ!ルナリスちゃんのダブルスラスターも同様さ!これらは今日から君らの物だよ!」
「あ!ありがとうございます!!!」
やはりルナリスは顔を真っ赤にさせて興奮しながら礼を言っており、マリンはやや唖然としていた。
「ま…まあ…丁度バスターキャノンも壊れちゃったしね…ありがたく戴いておくよ。」
「でも、連中また来ると思うよ私は。」
「は!!」
ハガネの何気ない一言に、マリンとルナリスは共に黙り込んだ。
「そ…そうだ…。確かに奴等を倒す事は出来たけど、かと言って連中が全滅したワケじゃ無いんだ…。」
マリンとルナリス、ハガネの顔は深刻な物となった。が、ミライロはやはりマイペースかつ笑顔のまま陽気に振る舞っていた。
「大丈夫大丈夫!あの程度の事なんかいつもの事さ!気にしない気にしない!」
「え…。いつもの事って…。」
なおも陽気に笑っているミライロであったが、対照的に三人は唖然としていた。
「まあとりあえず疲れただろう?僕がお茶を持ってくるからその辺で休んでいてよ。」
「は…はあ…。」
そうして、ミライロがその場を離れようとしたその時だった。
「ただいまー!」
突然外からその様な声が聞こえてきたのだ。
「ああ!ここ数日出かけてたんだけど、帰ってきたみたいだね?」
「え?誰?」
ミライロは笑顔のまま玄関の方へ歩いて行ったが、ルナリスは状況が理解できずにいた。と、その時、
ミライロが一人の女性を連れて出て来たのだった。その女性はミライロに負けず劣らずの笑顔をふりまく美人であった。
「アラアラ〜!ハガネさんやマリンちゃんも来てたのね〜!特にマリンちゃんは大きくなって〜!」
「こちらこそ久しぶりですラミカさん!」
「え?え?あれ?」
結構自然に会話しているラミカと呼ばれた女性の存在に、ルナリスは戸惑いながらオロオロしていた。と、そんな彼女の存在にラミカが気付いたのだった。
次回、彼女は壮絶な事実と厳しい現実を目の当たりにする事になるのです・・・
>>恐怖の亀裂作者さん
呪装ゾイド等の設定を見ていると、あちらの世界では物質文明と精神文明の融合が
なされていたと言う事でしょうか?
水入りとなるほどの凄い戦いもかなり面白かったです。
ホントの事言うと、ハーデスがムスタングァー持ち上げて飛び上がって落とした後、
今川版鉄○○号で鉄○がバッ○スをやった時みたいな、落下していくバッ○スを
鉄○がさらに上から突っ込んで丸ごとぶち抜くと言うのをやろうとかんがえていたのですが
やっぱりやめました。
ちなみにデスザウラーの加重力衝撃テイルに重力制御機能と言うのは旧バトストを確認してもありませんでした。
>>Inocent World作者さん
聞きに陥っても笑みを浮かべるルガールさん。凄い度胸ですね。
デスメテオも様々な武器を無尽蔵に持ち合わせている様子ですし、さらに倒したと思っても
まだ生きている不死身・・・。ゾーハルも頑張っていますし。
しかし、後にさらに恐ろしい存在が待っている予感がするのは自分だけでしょうか?
>そうですか、ミライロはゾイド乗りでは無い訳ですね?
彼は科学者なので基本的にはそうなります。ただし、ひとたびゾイドに乗れば最強キャラになるのは前にも書いた通りです。
「馬鹿な――コアさえ潰してしまえば、再生能力も働かない筈なのに!?」
殆ど絶叫に近いアレックスの声に、セディールは悠然と答えた。
「それは、僕に当たっていればの話だ」
ゾーハルの背後、発射の反動で上がった土煙の中から6本の爪が飛び出した。瞬く間にその爪はゾーハルを捕らえ、
続いて本体が――デス・メテオが現れる。
「お前の弱点…それは、セフィロトの特殊能力は一つずつしか使えないと言う事だ」
煙が晴れるにつれ、ルガール達にもデス・メテオの姿が見え始めた。
「“アドナイ・マラク”を撃つために、ラツィエルの“計画”を停止させる必要があった…ナノマシンさえ使えれば、
僕がお前に敗れることは万に一つも無い…とはいえ、まさか『この姿』を使う羽目になるとは思わなかった」
「あれは…… ――何だ?」
デス・メテオの姿が変わっていた。爪の長さが大型ゾイドほどもあり、頭部は完全に4つに割れている。
だが、この姿も長くは続かなかった。デス・メテオがゾーハルに襲い掛かり、開いた頭部から丸ごと呑み込んだのだ。
「少し考えれば簡単な事だ…これほどの力なら、取り込んでしまったほうがより神に近づける…」
数秒の静寂。聞こえるのは、市街のあちこちで燃える炎の音とデス・メテオから聞こえる「鼓動」の様な音だけ――
デス・メテオが再び変形を始めた。
後頭部が大きく張り出し、四肢の爪は醜悪に研ぎ澄まされた鉤爪となっている。全身の装甲が
尖った鱗に覆われた様な形状を取り、最も異質であったのは――背中に生えた12枚の翼だった。
「神話によると、ルシファーは12枚の翼を持っていたそうだ…どうだい? 神々しいとは思わないか?」
輝く翼を羽ばたかせ、“それ”は空へと舞い上がる。
誰もが、心を満たしていく絶望を感じていた。これほどの圧倒的な力を前にして、自分達に何ができるだろう?
その絶望の中、人々は一人の男の声を聞いた。
「フン…ガキの玩具にしては、危なすぎる代物だな」
沈黙を切り裂いて、マッドサンダーのマグネーザーが回転を始める。
「さて、さて…人間がどう足掻いた所で、神にはなれないと言う事を教えてやる」
※ゾーハルはデスの爪で雁字搦めにされて動けない状態で飲み込まれました
>>恐怖の亀裂作者氏
某青枠セカンドLのガトリング砲はビームと実弾を交互に撃ちまくるモノでした。
あれなら斜線が重なる事も無いかと。
しかし装甲材にオリハ○コンとかアダマン○イト合金とか出てきそうな空気ですね…
>>鉄獣28号氏
「更に恐ろしいの」が出てしまいました。NTの方ですか?w
>壮絶な事実と厳しい現実
(・∀・)ワクワク どんな戦闘よりダメージ大きそうな予感。
鉄獣28号さんへ
…そうだったあれはアニメゾイドだった_| ̄|○閣下の指示でしっぽを振ったら尻尾から重力衝撃波発射!でしたね。
>凄い戦い
は端から見るととても間抜けな戦いです。誰に見られる事も無く見ていても全く面白みが無い地味な戦いを脂汗を流しながら続ける光景。
実は必死なのに必死に見えない悲しい見た目がイメージです。
あの鉄人…〇島ンスキー博士の「戦う場所を選ばない!」がかなり頭に残っている言葉だったり…でもあの作品ってシリーズ随一弱い鉄人の話ですよね?
最近偶々狩ったグリコの黒牛が結構格好良くて良いな〜とか思っている状況です。
ラミカさん…真逆!?落ちの予感!?
Inosent Worldの作者さんへ
そこら辺はこれを元に話を続けていけば自然と出て来る可能性が高いものですね…そこら辺の伝説金属。
あれはその内御腰に付けたローエングリンを撃つ程ですからね…王道でない者の青い方。
ああ…遂に食してしまわれたのですね。天使を…。
しかし待たしてもクロスファイトが開幕しそうな雰囲気を既に察知していたベルウッドはノワールに対して有る物を撃つ。
「爆水波!」突然ノワールの目の前に激流が現れ彼を飲み込む。流れが去った後そこに居たノワールの姿はそれこそ言葉では言えない姿だった。
「そこっ!そこっ!見えてるよっ!」それに気付くがごく普通に空間を掴むと素秒も経たない内にずぶ濡れの装束を身に付けている彼が居る。
「そう言えば忘れていたな…”母上様”の事を。」「お主に母親呼ばわりされる筋合いは無いわ!!!居ねいっ!」今度は更に衝撃波の連弾を放つ。
しかし今度はノワールの翳した手に触る前に波紋の様な歪みを産んで消滅する。「ちぃ!障壁を使い熟すか!何っ!?」
ノワールは既に床を蹴りもう一度ファインに斬り掛かっている。その一撃が迫るが既にその場には誰も居なかった。
ノワールの体がくの字に曲る。「なっ…にっ…!?」そこで確認したのはファインの左拳が自身の腹部にクリーンヒットしている映像。
そのまま腕を振り抜きノワールを床に叩き付ける。しかし表情こそ苦しそうだが動きに痛みに寄る揺らぎ等は無い。「殴った方が疲れるとは…。」
24部隊用の強化服を着ているのにこの差が有る。「+ブーステッド!?」ようやく彼が何故そこまで出来るのかを確認しファインは素早くベルウッドの服を掴みその場を離れる。
相変わらず不意を突いたので「にゃにゃっ!?」猫の用に背を丸め成すがままのベルウッドが居たという。
ベルゼンラーヴェのコクピットに逃げ込み機体を起動させる。「お主?奴の行動を読んでいたか!?」「勿論。でも彼は相当のやり手と言う事ぐらいしか解らなかったでありますね。」
緊急時という事で衝撃波は飛んで来なかったが何か憮然とした表情でベルウッドはファインを睨む。「全くあのままで仕留めて居れば丁度良い腹部の穴を塞ぐパーツが出来た物を…。」
実はこの機体の胸部から腹部の一部は中身が空っぽの状態になっている。外側をフレームやら偽装塗装で中身が有る様に見せているだけで中身は結構なスペースが開いている。
実は穴埋めパーツ熱烈募集中の機体だった。
一方ノワールも黒蓮に飛び乗り機体を起動させる。「それでは…参る!」先に動いたのは黒蓮。無いとも知らずに胴体に錫杖を突き刺す。
「何!?」そのまま錫杖を突き出した状態で壁に突き刺さった。
当然その間に無理矢理黒蓮の足を掴み壁とベルゼンラーヴェを縛り付ける黒蓮を無理矢理引き抜き外に放り出す。
「何と!?胴体が空洞とは恐れ入る!」余り感情を外に出さない彼だがこの事実は非常に彼に取って不利な状況となるのだ。
大体機体をガンクロスでロックしても球を打つと擦り抜けてしまう状況なのである。「ロック解除。」格闘戦なら振り抜きで当たる為彼は射撃を諦めた。
一方…ベルゼンラーヴェの方も同じく不利な状況に有る。「ああも小さいと攻撃が当たる気がしないでありますね…。」そう言う事だ。
黒蓮はイグアン等より多少大きい程度の機体。その上高い機動力で低空や高空を亜音速で駆け抜ける。当てれば一撃だろうがその一撃が当てれる自身はファインには無い。
「しかし当てねば死ぬぞ?」忌々しい黒い点を見据えてベルウッドがそう言う。「多分相手も攻めあぐねると思うであります…そしてっ!」
突然手に呼び出した尖角刀で機体の後ろを切り上げる。何かを打つ感覚と同時に響く鍛えられた金属同士の激突音。「十八番で攻めて来る筈でありますねっ!!!」
レーダーに映る機影の移動やハリソンの証言で解る事。ごく短距離を一瞬で推進力を使わず移動する方法…瞬きの術(ブリンクムーブ)を予測している。
「ほう?此奴が瞬きの術を使うと読んだか。当たりは重要な要素。慢心せぬ程度の自信が出来れば戦闘も楽になる物よ!」
しかしこれは読みにくい行動だ。瞬きの術の範囲は最長で目に見える場所且つその位置感覚を明確にできる距離の最果て。その気になり位置関係を正確に把握できるとすると?
…その移動距離は恒星間跳躍すら可能なのである。実質そんな存在は居ないので精々地平線や水平線ぐらいだと言われる。しかもそんなに移動する必要も無い。
空中である為予想しうる範囲は全方位で距離もまちまちなので予測は困難に見えたが実際の所十数回の攻撃場所を先読みしている状況である。「これはまた…何と単調な!?」
ベルウッドにもその位置は予測し得る範囲の場所だった。これはひとえに乗り手の”経験不足”と言う物と相成る。戦闘が日常でありその大半が負け戦のしんがりであるファインにとっては楽な行為。
何処に打ち込まれると嫌か?その場所に忠実な攻撃を繰り返すノワールはエリート新人クラスの戦闘経験しか無いのであろう。どれだけ威力が有ってもこれでは無駄でしかない。
「あら?貴女、もしかしてマリンちゃんのお友達?」
「え?あ…ハイ…ル…ルナリスと言い…ます!」
ルナリスはなおも戸惑っており、そのせいでついつい素直に答えてしまった。そして彼女は全身をプルプルと振るわせながらラミカを指差す。
「あ…あの…貴女は…。」
ルナリスがぎこちない口調でそのように言った時、ミライロが後ろからラミカの左肩をポンと叩いた。
「ああ!ルナリスちゃんは今日初めて会うんだったね!紹介するよ!彼女は僕の助手であり、妻のラミカさ!」
「ルナリスちゃんよろしく!」
「…………。」
ミライロが既に結婚していたと言う事実にルナリスは固まりながら口をあんぐりと開けた状態で白目をむき、さらには全身そのものも真っ白になってしまった。
「あ〜あ〜…。思ったよりショックがデカかったかな〜?まああれだけ喜んでた後だからショックも大きかろうに…。」
「ショックってどういう事?」
腕を組みながら言うマリンであったが、他の皆はルナリスが突然硬直した理由が理解できずにいた。
「お〜い!どうした〜?生きてるか〜?」
ハガネがルナリスの顔の前に向けて手を上下させる。と、その時突然ルナリスが我に帰ったのだった。
「ルナリスちゃん大丈夫?突然何か起こったみたいだけど…。」
ミライロとラミカは心配そうにルナリスの方を見つめていた。それに対してルナリスも微笑んだ。
「二人とも…お幸せに…。」
そう一言言い残すと、彼女はゆっくりとハーデスへ乗り込んで行くのだった。
「あれ…?思ったよりショックが無かった?」
予想外にあっさりしたルナリスの行動にマリンは拍子抜けした。が、その直後にある事に気付いた。
「(ああ!!ルナリスちゃんのこ…拳が泣いている!!!!)」
マリンは内心そう叫んでいた。なんとルナリスの力一杯握られた両拳から、赤々とした血がダラダラと流れ落ちていたのだ。
「あ!待って!では、私達もこれで…。」
一人去ろうとしているルナリスに対し、マリンも慌てて二人に別れの挨拶をすると、彼女を追い掛けた。さらにハガネもその後で二人に挨拶をする。
「それではまたいつか会いましょう!」
「うん!ハガネさん達もお元気で!」
ミライロとラミカが手を振って見送る中、一人いそいそと去ろうとするルナリスを追い掛ける形でマリン達は去っていった。
「本当に面白い人達ね!」
「ああ…。本当に…。」
それから一時後、ミライロの研究所から大分離れた場所にある空き地で一人ルナリスは夕日を見つめ
ながら立っていた。そしてそんな彼女の背後の3〜4メートル離れた場所にマリンが悲しげな顔で立っている。
「ルナリス…ちゃん…。」
「ちゃん付けするな!!」
ルナリスのいつにも増した怒りのこもった怒鳴られ方をしたマリンは思わずビクッとした。そして、ルナリスはさらに言った。
「なぜ…私に言わなかった?ミライロさんが結婚していた事を…。」
「それは…。そう言おうとした時に何か変な敵みたいな奴等が来たから…。」
「……………。」
ルナリスは再び黙り込んだ。その姿をマリンは心配そうに見つめる。
「分かってる…分かってるよ…。」
「え?」
「確かに私は札付きのワルだが…。あの二人の仲を裂こう何て考える程腐ってはいないし、
落ちぶれてもいない。むしろあの二人は本当にお似合いだと思った。私なんかより遥かに…。だが…だが…。」
その時、ルナリスは両手を力一杯握り、全身をプルプルと痙攣させていた。
「やっぱり納得出来ない!!私には出来ないんだよぉぉぉぉ!!!!!」
「キャア!!」
突然泣き出したルナリスがマリンに思い切り泣きついて来たのだった。それには彼女は戸惑った。
「うわぁぁぁぁぁぁぁん!!!!」
「(ルナリスちゃん…。)」
自らに力一杯抱きついて泣きじゃくるルナリスに、マリンは戸惑いを隠せないでいたが、彼女はゆっくりとルナリスを抱擁した。
「ママー!あのお姉ちゃん達何か抱き合ってるよー!」
「こら!見ちゃいけません!!」
夕日を背にして抱き合っている二人の構図は感動的な物だったのであるが、たまたまその近辺を
通りかかった親子連れのせいでその雰囲気はぶち壊されてしまった。しかし、それでも二人は抱き合い、ルナリスはマリンの胸の中で泣き続けていた。
「ルナリスちゃん…。お姉さんの胸の中で心ゆくまで泣きなさい…。」
「ちゃん付けすんなぁぁ!!!つか誰がお姉さんじゃボケ!!しかもお前私より胸大きいから余計に腹立つぅぅ!!」
感動のシーンから一転、ルナリスの怒りを込めたアッパーカーットがマリンの下顎に叩き込まれ、そのまま吹っ飛ばしたのだった。
「な!!いきなり何するのよ!!」
「うるさい!!文句があるなら拳で来い拳でぇ!!」
ルナリスはもの凄い形相で固く握られた右拳をマリンに向けて翳していた。その姿を見たマリンも笑みを浮かべながらゆっくりと立ち上がった。
「何か良くわからないけど…うれしい事言ってくれるじゃないの…。生きて帰れると思うなぁぁぁ!!!!」
「それはこっちのセリフだぁぁぁ!!!」
こうして、二人は何故か殴り合いを始めてしまった。
「ママー!あのお姉ちゃん達急に殴り合いを始めちゃってるよー!」
「こら!見ちゃいけません!」
先程の親子連れの子供の方が、殴り合うマリンとルナリスの二人を指差すが、母親の方は子供の前に
立ちふさがる形でそそくさと帰っていった。一方、なおも殴り合いを続ける二人の姿をハガネと
チョコが見つめており、眉を細めるハガネの服をやはり無表情なチョコが無言のまま軽く引っ張った。
「勝手にやらせときなよ…。」
ハガネはチョコの頭を軽くなでながらそう言っていたが、二人の殴り合いは日が暮れるまで続いた。
キリも良く話が一段落したワケで、次回から新章となります。
それと、「拳が泣く」の意味が理解できてもらえると嬉しいのですが・・・。
>>恐怖の亀裂作者さん
ノワールは意外と生身でも強かったと言う事でしょうか?
中身空っぽな機体って言うのも想像してみると結構面白かったり・・・。
ああ自分もグ○コの黒牛欲しい・・・(鉄と怪物といくつかのジオラマくらいしか持ってない。)
>>Inosent World作者さん
異形の変形キタァァァー!!
デスメテオの後にさらに恐ろしい何かが待っていると思っていたら、
デスメテオ自身がさらに恐ろしい変形をみせるとは・・・。
はたしてどうすれば勝てる?
ぬおっ!?何時の間にか去年の仮〇〇〇〇ーな数字に到達。
鉄獣28号さんへ
「あんた…背中がすすけてるぜ?」等と同じタイプの表現ですね。〇〇んでいる状態ですね。師匠〇細〇とかと同じく。
酷いよ〇ンディ〜…_| ̄|○折角の感動を打ち壊すなんて〜…。新たな旅は何処へ現れるか?
希望が詰まっていると良いですね〜…。
「しかし…否!ならばこんな者等付けていられん!」右胸に有る制御装置を剥ぎ取るノワール。
つい先頃に”それ”と言われた物だ。一種のリミッターであるこれを外せば真の姿とこの体の持てる力全てを使用出来る。
ただし使用後は急激な身体変異が起こる為不要部位の細胞自死治療を受けないとそのままで機体に乗る事すらままならない。
始めはともかく次は無いと言う事だ。それ以外は上に被っていた装束以外は上半身は服を着ておらずそれを見ていた彼等の反応は面白かった…。
「遂に本省を現し居った!更に反応速度が早くなるぞ?気を付けろ!!!」ベルウッドの言葉通り単調であるがその攻撃は速度を増す。
金属音の響く間隔が短くなる。黒蓮のコクピット内では異状に伸びた髪と肌の色が赤くなり黒で呪印を化粧したノワールが居る。
その胸には解明不能の高圧縮ディオハリコンの天河の滴が輝いている。黒い機体から漏れる猛烈なディオハリコンの輝きを纏い緑光の天雷が空中を跳ね回る。
それを以てしても高レベルの攻撃予測から逃れる事の叶わない黒蓮の攻撃は虚しく尖角刀に阻まれる。
「っ!?」ノワールは強力な気配を感じその場を瞬きの術で逃走する。ベルゼンラーヴェの後方でそれを確認するとその場をベルゼンラーヴェの十字封剣の群が交差している所だった。
「離れれば攻撃は当たらない。近付けばあれらで引き裂かれる!?くっあれを出す!」黒蓮の背負う法輪から6つの輪”金環呼”を射出する。
「無限の輪を刻むウロボロス!金の輪を潜り無量の螺旋を描け!メビウスクライン!」一つの金環呼から輝く何かが現れそれは次の輪を潜り更に別の輪から出現する。
それを繰り返し3つの激光の鑢を作り出しそれがベルゼンラーヴェを襲う。「どわぁぁぁああああ!?」高速で迫る巨大鑢の攻撃を必死で躱す。良く見れば金の輪に似合わない巨大さだ。
「うぬ〜!?ウロボロスの大鑢かっ!当たったら存在すら削り取られてしまうぞ!」3つの鑢はベルゼンラーヴェの周囲を回り断続的に襲ってくる。その上黒蓮自体も逃げ道を塞がんとちょっかいを出してくる。
「だああああ!このっ!」ファインは無謀にも鑢に尖角刀で切り付け尖角刀を削られながらも強引に軌道を変えさせる。今度はそれに襲われて黒蓮の方が慌てふためく。「なっ!?」
突然迫る大鑢に驚きノワールは行動が遅れ黒蓮の左足を自らの攻撃で失う。
黒蓮の左足を失った事で攻撃に対する集中が途切れウロボロスの大鑢は姿を消す。金環呼はそれの終了と共に力を失い落下する。
左足の修復を進めながら黒蓮はそれ等を回収しベルゼンラーヴェと距離を取り対峙する。「やはり決着はこれしかないのかっ!?」黒蓮は両手を合せる。
「ニュークリアインフェルノッ!?不味い!!!」慌ててベルゼンラーヴェもそれの使用体制に入る。「おのれっ!核熱爆砕呪まで使い居るかっ!」
しかし威力は明らかに黒蓮の方が上だろう。ディオハリコンの力とパイロットの使用出来る力の差。昨夜それを使えるようになった者とそれの為に存在する者。
明らかな実力差が有る。
「不覚!構成式を間違えた様だな…上乗せ等考えるべきではなかったか!」ファインはそう言うベルウッドを見る。彼女は自然と目を逸らす。「あ〜〜〜っ!?もしかして!?」
今の行動は決定打だ。ベルゼンラーヴェの制作にアーヴェラーやノーブルアーシーズだけでなくベルウッドが関わっていたのが極身近な者の前で明確になる。
「ねぇ!?ベ・ル・ちゃ・ん?もしかして…?始めから狙って制作に協力していたのではっ!?」黒蓮とノワールを無視してファインはベルウッドを問い詰める。「おっお主!?前!前!前ぇ〜〜〜っ!!!」
ベルウッドは真面目に悲鳴を上げている。「?ああ…。」目前に迫った黒蓮のリバースEシールド。
ノワールは勝利を確信していた。ベルゼンラーヴェはそれに包まれ後は核熱反応の嵐の中に消滅を待つだけになったと思ったからだ。しかしそれはあっさりと覆される。
「当てるだけなら誰にでも出来る…ご存じ無いのでありますか?」そのリバースEシールドは内側から発生したリバースEシールドに飲み込まれる。「ちっちっちっ!先撃ちは損なだけでありますよ。」
両手を使って二つに分割したリバースEシールドを挟み込む様にしてそれを包み返す。そしてそれを上空に蹴り飛ばす。焼く物の無いそれは閃光を放ちながら消えて行く。
何時の間にか黒山羊の槍杖を創り出していたベルゼンラーヴェはその閃光を槍杖に付加する。
呆然と空を見上げるノワールはまたしても奇襲を許す。付加された閃光は槍杖の先端に予め付けて置いたソードレイ発生機に本来と色の違う閃光の刃を生み出している。
それを振りかざし構えを取ると物理学や力学上有り得ない軌道で乱数加速して黒蓮にベルゼンラーヴェが迫る…。
その推進音でそれに気付き回避行動を取る黒蓮。しかしまちまちな加速と軌道に何処に移動すれば良いのか判断しかねる様だ。
「1人1殺!チェストォォォォオオオオ!!!」隙を完全に突き一撃必殺の刃が黒蓮に迫る。
その時ベルゼンラーヴェの背に強力な一撃が加えられベルゼンラーヴェの攻撃は失敗する。その上黒蓮までもそれに巻き込み団子状態で山肌に激突する2機。
「ここまでの様だな?ノワール。」その声は両者とも聞き覚えのある声「「「ベンハルトッ!?」」」3人の声が同時にその名を呼ぶ。
またしてもその姿は凶悪無比に成り最早恐竜型と呼ぶのも止めてしまう程の状態だった。背に付いた傷を見る限りこの攻撃はドリル棍棒の尾の一撃。
「それを倒す力が無いのなら貴様も必要は無い!同じ穴のムジナ同士仲良く消え失せるが良い!」外法荷電粒子砲が放たれる…。
「さて…キングが動いたか。ビショップとクィーンは如何動く?実に興味深い…。」透明な構造材のチェス板で駒を動かして遊んで居る男が居る。「マスター。御茶が入りました。」
男と同じ装束の女性がそれを持って男の傍らに立ちカップを渡す。「ありがとう…マリエス。だがここは少々風情が無い。そろそろ余達の出番が近いという事か?」
紅茶を啜り一服した後その男は言う。「いえ…直接マスターが御姿を晒すには早いと存じ上げます。」マリエスの言葉に「そうか…だがこれでは余にも彼等にも不利な状況。成らば少しばかり手を貸すとしようか。」
チェス板を蹴り倒し男が立ち上がる。
直撃は免れないその一撃は突然辺りを包んだ黒い霧に掻き消される。「ベンハルトとやら…少々無粋だな?これでは余が愉しめないではないか…。」空間が歪むのが目にも解る程に誇張されその驚異的な気配が一帯を覆う。
その声に更に一同は凍り付く思いでその気配の元を振り向く。「馬鹿な…マスターテリオンだと?」掠れる様な声でベルウッドは言う。影だけで強力な戦闘力を持つ存在が突然目の前に現れる。それ自体がこの星の危機である。
「ふっ…これは借り物だ。貴公等が言う程の力は無い。安心するが良い。」その姿を隠しマスターテリオンの形で現れた存在。
それはこう言う。「ベンハルト。それにノワール…本来貴公等はこのゲームに参加する資格は無い。だが余の言う事を聞けば参加を認めないでもないぞ?」その声は王者の愉悦に浸っていた…。
「それに…ベルウッド。貴公には感謝の意を示したい。」その声が聞こえると突然ベルウッドの装束の虹の糸が輝き出す。
「何っ!?」それに更に驚くベルウッド。「この世より消え失せた分の糸だ。余が探しておいたぞ。」絶対的な優位を持ってのみ許される行為。
敵に塩を送る処の話では無い。普通の存在なら虹の糸を戻す事がどれだけ自分にとって不利か量り知れない事である。
この行為でマスターテリオンの姿をしている者がどれだけの力を持っているのかが容易に量り知れる程の物なのだ。
「今は引け。それだけで良い…。」声はそう伝えると闇に消えて行く。それと共に周囲を押し潰す程の気配と黒い霧が晴れる。
それが去った後そこには戦意が完全に消滅したノワールとファイン達。そして怒りに震えるベンハルトが残される。
「ば…馬鹿な…奴がここに居るだとっ!?」ベンハルトにはあの存在が何者であるか?それを知っているらしい。
「お主!答えよ!彼奴は何者ぞっ!?」ベルウッドの問いには一切答えずベンハルトはそのままペイルバイターを撤退させる。
味方のノワールを見捨てる等と徹底した行為だった。
黒蓮は完全に動かない。機体が大破しているのだ。機体の外周では無くコクピットの方がだ。ノワールの変異は体全体の体積を増やす結果と成る。
硬く鋭くなった髪はコクピットの計器を破壊し腕等に発生した刺等は骨格の変異以外の強化が成された為本質的にコクピットのスペースに収まらず内側からコクピットを破壊するに到ったと言う事になる。
「時間切れか…無念っ!!!」胸に埋め込まれた天河の滴の輝きも収まり髪や体の色と呪印も消える。しかし肥大した体自体はそのままで無茶に付いた筋肉が彼自身の姿を著しく変えている。
刺やら何やらは完全には消えず跡が残っている。
「見捨てられたみたいでありますね?」破損したコクピットから這い出したノワールに手持ちサイズのカラミティシャドウとウェイブレイダーを構えてファインは言う。「撃つが良い。」覚悟は決めていたらしい。
「ふん!お主の命を取った所で何になる?命等本人以外には安い価値よ。命は星より重いと抜かす奴も居るが足付く星が無ければ詭弁だ!そして…この言葉も一度吐く者が変わればこれもまた詭弁となる!」
ベルウッドはこう言っているのだ。価値とは決める者次第と言う大前提。今は彼の命より重い物が有ると言う事を。
第12章:虎神の巫女
「やったな…。」
「ああ…。ついにやった…。」
「これならば…。」
伝説の古代虎の研究においてゾイテックに後れを取り、その遅れを取り戻す為に裏で様々な陰謀を
渦巻かせていたズィーアームズ社もついに古代虎型ゾイドを開発することに成功した。それは
“紅のコア”を持つ“ブラストルタイガー”であり、その戦闘力は既存のゾイドを遥かに凌ぐという
伝説の古代虎の名に恥じる事の無い程の怪物だった。これならばゾイテックに一泡吹かせる事が
出来る。そうズィーアームズ社員達は喜び、意気込んだ。が、決して問題が無い分けでは無かった。
「うわぁぁぁぁ!!!!」
ブラストルタイガーが格納されていたズィーアームズ本社のゾイド格納庫に置いて一人の男の悲鳴が
こだました。ブラストルタイガーに搭乗しようとしたテストパイロットをブラストルタイガー自身が拒絶し、コックピットから弾きだしたのだ。
「くそ!これで30人目だぞ!」
「一体どうなってるんだ!!?」
機体は完成していると言うにも関わらず、パイロットを全く受け付けないブラストルタイガーにズィーアームズの技術者達は愚痴を零していた。
「ったく…。何てわがままなゾイドだ!これじゃあ俺でもダメかもな…。」
「ブロイさん!」
ブロイと呼ばれた一人のゴツイ体型にヒゲの濃い中年の男が、先程ブラストルタイガーに弾き
出されたテストパイロットに近付いていた。彼の名は“ブロイ=エベレス”数々の死線をくぐり
抜けてきたと言う雰囲気を感じさせるベテランパイロットであり、彼もブラストルタイガーのテスト
パイロットの一人として選ばれていた。しかし、何人たりとも受け付ける事のないブラストルタイガーには困っていた様子で頭をボリボリと掻いていた。
「は〜…。これじゃあ流石に俺でも無理かもしんねえぜ!」
「ブロイさんでもダメだとすると一体どうすれば…。」
「確かにそうだ…。俺達の中で一番ゾイドの操縦が上手いのはブロイさんだからな!」
ブロイの言葉に他のテストパイロットもうろたえていた。それだけブロイの実力が周囲から認め
られていた事になるのだが、その時一人の白衣を着た老人がブロイに近付いてきたのだった。
「フェッフェッフェ!お困りの様じゃのう…。」
「ドクター・ドボルク!」
ブロイから“ドクター・ドボルク”と呼ばれた老人は100歳は有に超えていると思われる程の
老人であり、その口も歯がほとんど無く、右手に掴まれた杖でどうにか立っていたが、今にも
倒れそうな程プルプルと全身が震えていた。しかし、そんな彼も“ドクター”と呼ばれていた事実や
白衣を着ていたという事から、ズィーアームズ社の科学者である事は容易に想像が出来た。
「ブラストルタイガーがパイロットを受け付けないのは…、ブラストルタイガーの自意識が強すぎる事が原因なのじゃ…。」
「そ…それは確かに分かりますが…。」
「そのブラストルタイガーを制御可能にするには…これを使うんじゃ!」
その時、ドクター・ドボルクは白衣の中から一枚のフロッピーディスクを取り出したのだった。
「そのフロッピーディスクは…?」
「せくでない!このフロッピーディスクには、ワシが作ったゾイド制御プログラムが保存されている。
これをブラストルタイガーのコンピューターに差し込み、プログラムを起動させればブラストル
タイガーの強すぎる自意識は押さえられ、パイロットの自由に動かす事が出来るようになるんじゃ!」
「本当に大丈夫なのか?」
「フェッフェッフェ!このワシを信用せい!お前らの倍は生きておるこのワシの作ったゾイド制御プログラムをな!」
ドクター・ドボルクは笑い続け、ブロイは半信半疑であったが、一応そのフロッピーを受け取り、直ぐさまブラストルタイガーに乗り込んでいった。
「ったく…。本当に上手く行くんだろうな〜…。」
ブロイはやはり半信半疑であったが、フロッピーをブラストルタイガーのコンピューターに差し込み、
ゾイド制御プログラムを起動させた。
「さ〜て…。上手く言う事聞いてくれよ〜…。」
プログラムが完全に起動した事を確認するとブロイは慎重に操縦桿を握りしめ、ゆっくりと前に
倒した。と、その時ブラストルタイガーはブロイの操縦に忠実に従ってゆっくりと前進したのだ。
「おお!!」
「やったぁ!!!」
ようやくブラストルタイガーの制御が可能になった事実に技術者やテストパイロット達は狂喜乱舞した。
「ドクター・ドボルク!貴方のおかげです!」
技術者達はドボルクに礼を送ったが、彼は笑顔で返した。
「よいよい!そんな事よりも今後のブラストルタイガーの運用の方が大切なんじゃないのかね?」
「ハイ!確かにそうですね!」
「しかし、このブラストルタイガーならば、"WT"と"RT"をまとめて押さえる事が出来ますよ!」
マリンとルナリス、そして何故か二人に付いてきているハガネとチョコの4人は"ダイガタウン"と
言う田舎町に来ていた。そこは割と昔ながらの古い建物が数多く並び、文字通り田舎町という感じで
あったのだが、不思議と観光客と思われる大勢の人達であふれていた。そんなタイガタウンのとある飲食店で、4人はゴーヤチャンプルを食べていたりするのである。
「やっぱ夏はゴーヤ料理だよね〜。」
「肉汁のしみこんだこれが中々…。」
「…………。」
色々な感想を言いながらゴーヤチャンプルを口に運んでいたが、チョコだけはやはり無口無表情であった。と、その時、マリンがハガネに問い掛けたのだった。
「そう言えばハガネさん!」
「何だい?マリンちゃん。」
「ハガネさんがチョコちゃんを面倒見るようになった理由って何なんですか?」
「そう言えばそうだな…。」
その後、3人はチョコの方を見た。無論彼女は無口無表情でゴーヤチャンプルを口に運んでいた。
そして、ハガネは悲しげな表情になりながらチョコの頭に軽く手を置き、優しく撫でながら口を開いた。
「チョコちゃんはね…。知り合いの娘なんだよ…。」
「知り合い?」
その時、マリンとルナリスの言葉がハモった。そしてさらにハガネは言う。
「そう…知り合い…。ちょっとした学者でね、超常現象研究とかでもかなりお世話になった人だったのよ…。」
「で、その知り合いは今何を?」
「死んだよ…。数年前に…。」
「え…。」
マリンとルナリスの二人は一瞬黙り込んだ。
「その知り合いは何者かに殺されたんだよ…。その殺した奴が誰なのかは私は分からない…。
けど、知り合いは死ぬ間際に言ったんだ。チョコを頼むと…。だから、私はチョコちゃんを引き取って、こうして面倒見ることにしたんだよ…。」
ハガネはなおも優しくチョコの頭を撫でており、その顔は悲しげな表情であった。
「そ…そんな事が…。」
「しかし、肝心のコイツがこれじゃあ…。」
ゴーヤ料理って激しく季節外れになってますけど、これ書いてた当時夏だったんでご勘弁を。
>>恐怖の亀裂作者さん
ノワールはリミッターの様な物を外すと凄い力を発揮できるようですが、
本人がその力に耐えられないってのは何か悲しい事ですね。
何かバイオ○ンス○ャックのス○ムキ○グを思い出してみたり・・・。
その一方で新たな敵の影(?)がいたり、ドリル棍棒なる懐かしい武器が登場してたりしてますし。
鉄獣28号さんへ
遂にブラストルがキターーーーーーーーー!!!
しかもチョコさんはだいぶ酷い目に遭っているようで…。
ゴーヤは体に良いですね〜…。
ハガネさんはゴーヤチャンプルーを食べているので食道器官に当たる物は某サイボーグ戦士並みに高性能!?
「貴様は…撃たないのか?」2挺の銃を構えているファインにノワールは言う。「う〜ん…個人的には嫌でありますね。」
そう言うと銃を納める。「何故だ?この命はそこまで安い物なのかっ!?」かなり深刻に考え込んでいる様だ。
「そんなに深く考える必要は無いのでは?自由とか正義とかそんな事を言って平気で相手を踏み躙るのは気の触れた共和国人だけでありますよ。」
あくまで”気の触れた”者だ。普通に物事を捉えれる人間なら戦場というスパイスでもそこに行き着く事は早々無い。相手が怪我人で言葉が通じるなら尚の事だ。
止めと言えば聞えが悪いがここに居る部隊の半数がその共和国の政治の元暮らしていた人々である事もそれに起因する。
安っぽい青臭い正義を大切にしようと努力している者が多いのだ。自分達が相手より安全なこの状況でノワールに止めを刺す者は居ない。
「さてと…。」其れ処か整備の邪魔と除け者にされたファインは事も在ろうかそのノワールを背負い医療区画にお使いに出される始末。
「所で…貴方の命よりも2〜3聞いておきたい事が有るのでありますが…?宜しいでありますか?」それに「…それはこの命よりも重いのか?」とノワールは聞き返す。
「さあ?貴方がそれを話さずここで舌でも噛んで逝ってしまわれればその命よりも重い物に成ってしまうかもしれませんね…。」
そう言いながらノワールを背負い通路を歩くファイン。その会話以降ノワールは自問に御執心で話し掛けても何の反応も示さない。それならと周囲を警戒しながら別の事を考えて見る。
あの存在の事だ。マスターテリオンの姿で現れ自分達を助けた。しかしその言動は遠く高みから見下ろす様な態度とこの現実を”ゲーム”と言い放つその言動。
如何考えても自分達とは完全に異質な存在だ。これならヴィゾールの剣の方がまだ幾らかましである。更にはその存在をベンハルトが知っているという事実も見逃せない。
そんな事を考えながら通路を無言で歩くファイン。補助器具としてフレキシブルウェポンドライバーは自走モードに成りノワールの足元を支えている。
「…そろそろ出て来ては如何でありますか?鬱陶しいでありますよ?」誰も居ない筈の通路に苛立ちが混じったファインの声が響く。今この状態の空間では本来出来ない事が出来る。
特に魔術師としての力を持つ者には圧倒的に有利に働くのだ。
その声に答えて十数人の潜入工作員の訓練を受けていたらしい者達が現れる。「それを返して貰おうか?」
高圧的な声で脅しを掛ける指揮官らしき男。「はぁ?何を言っているので?良く聞こえませんが?もう一度大きな声で言って貰えないでありますか?」
それに対して恐れる様子無く挑発してみせるファイン。「何を…!?”それを返せ”と言っている!」更にドスの利いた声で凄む男。
「あ〜〜〜〜〜〜ん?人を”物”呼ばわりでありますか?何処で教育を受ければそんな馬鹿げた言葉を吐けるので?僕ちゃん信じられな〜〜〜い。」
「おっおのれ!もう良い!撃てっ!」言葉の意味を知って更に惚けてみせるファインに業を煮やしたか遂に小脇に抱えた銃に手を伸ばす彼等。
「そうでありますか?…それでは仕方無いでありますねぇ?」
ファインは通常支給品の拳銃2挺を素早く引き抜きノワールに言う。「人によって価値はそれぞれ。それを今教えて上げるでありますよ。」
瞳を閉じそして見開いたファインの目は虹の光彩を持つ瞳に変わる。「な…。」それを見たノワールはそれ以上声が出ない。その瞳には”光”が無かった。
他の者の幾人かもそれを…虹色の闇を見て怯んでしまう。しかし誰かの発砲音を皮切りに1対15の銃撃戦が始まる。
数分で決着は付くがその光景はノワールにとって悪夢でしかなかった。彼等はノワール自身も敵わない程の対魔術師戦闘訓練を受けた精鋭の暗殺者。
しかし彼等のマシンガンの銃弾は掠る事さえなかったのである。引き金を引いた時には既に位置を確認した場所にファインは居らず全く予想だにしない所から銃撃を受ける。
それで終わりだった。その銃弾は躊躇無く後頭部を貫き一撃でその命を奪う。「何とも手応えが無い…この程度で何がしたいのでありますか?」
彼等にとって”それ”以下のファインとノワールの命。しかしファインにとってはノワールと”それ”よりも彼等15人の方が価値の無い存在だったと言う事だ。
使用した弾丸はきっかり人数分の15発。「ふぅむ…この程度なら全員殴り倒した方が良かったのかもしれないでありますねぇ?全く無駄玉を撃ってしまった様であります。」
力だけが戦力を決定する物では無いと良く言われるがここまで酷い戦力差は早々見れる物では無い。「これでコマンド部隊とは一体?弾避け程度の役にも立ちそうも有りませんね…。」
倒れている遺体を無視してノワールを背負うとまた歩き出すファイン。その目は既に元に戻って居る。
しかしノワールの目と記憶には”虹の闇”が焼き付けられた。「ん?何を此方の顔を見るので?」ファインは怪訝そうな顔で言う。
「いや…あの目は何だったのか?と。」随分と素直に答えたノワールにこう答える「ああ…あれは”物理的契約”の効果でありますよ。」
本来魔導機無しでは力を行使できない魔術師達。しかし例外が幾つか有りその一つが”魔導機との物理的契約”である。
これは条件が結構シビアでファインとベルウッドの様な組み合わせ限定の物である。
魔導機がゾイドで有る事とそれに対して良好なコミュニケーションが取れる事の二つが条件と成っているらしいとベルウッドからファインは聞いている。
「あれは…一体何者だ?」ヴィゾールの剣はあの存在に付いて何も知らない。記憶の底を探ってみると霞が掛かった様に繋ぎ合わせれない記憶の断片を伺えるだけだ。
「あれは…G■■■■■■■■■■■…やはり無理か。」それで考えるのを止める。それを覗いてその男は嗤う。「無駄だよ…貴公は■■■■■■だからな。」
「マスターこれをどうぞ。」マリエスがそれを持ってくる。「ほう?焼きイカか。久しく食べて居なかったな…ありがとう。」それを一口食べてから彼はこう言う。
「やはりデルダロス海のイカは今が旬だな。」満足そうにそう言うとそれを食べる事のみに集中する男だった。
医務室に到着するファイン。「またですか?いい加減に怪我人を増やすのは勘弁してくださいね?」ちょっと口が引きつっているカリーナの言葉だった。「ノーノー!!!自分ではないでありますよ!」
「本当にですか中尉?」カリーナの疑いの眼差しがとても痛い。「そこまでにしましょう?カリーナ。」見るに見かねたエキドナから助け船が出される。
「おお〜エキドナさん。貴方は命の恩人であります。」その大袈裟なファインの行動に「実質そうだったわね?」余裕の突っ込みでこれもこれ以上続けさせない。
そんなやりとりの中ノワールは隣に続く病室の状況に息を飲む。見た事も無い人々がベットで談笑したり情報のやりとりを盛んに行っている。
目に見える物は敵でしかなかった彼には新鮮なものだった。「…ふっあの世界が牢獄の様に思える。」命の彩りのある光景。一番死に近い場所でさえそれが有る。
ルナリスはチョコの顔を見ながら眉を細めていた。確かに、こんな状況でもチョコの表情は相変わらず無表情のままだったのだ。
「まあまあ!チョコちゃんが無表情なのは昔からなんだから気にしない気にしない!」
「そうなのか?」
ハガネは笑いながらチョコをフォローしていたが、ルナリスはやはり眉を細めていた。
そうして4人は食事を終え、会計を済ませていた。その後で店を出ようとした時、店の主人が4人を引き留めたのだった。
「嬢ちゃん達!三虎神社には行ったかい?」
「三虎神社?」
初めて聞く言葉にマリン等は疑問深そうな顔をしていたが、人の良い親父という感じの店の主人は笑顔のままさらに言った。
「そう!三虎神社さ!三人の虎神様を祭った神社でね!この町の観光名所なんだよ!ほら!
最近何か三体の古代虎型ゾイドってのが世間で話題になってるでしょ?三虎神社はその三体の
古代虎の伝説発祥の地でね、その三体の古代虎を神様として祭ってあるんだよ!」
「なるほど…この町が田舎町の割に人が多いのはそれが理由だったか…。」
「そうさ!やっぱこの町に来たのなら、一度言ってみると良いよ!」
「なら…行ってみようか…。別に急ぐ旅でも無いしね…。」
店の主人の紹介により、4人はタイガタウンの観光名所と言う“三虎神社”へ行く事にした。
多数の人混みに紛れて三虎神社へ4人は向かう。その時、同じく人混みに紛れる形で4人の後を追う黒服の男達の姿があった。
「あのメイド服着て、変なヘルメットみたいなの被った女は特にマークしろ。奴がRTのパイロットだ。」
「了解!しかし…一つ思うのですが…。奴と一緒にいる金髪の女と黒髪の女…。どこかで見たことが…。」
「それにしても本当に人がいっぱいいるね〜…。」
「観光名所の名は伊達ではないって事だね!」
タイガタウンは田舎町であるにも関わらず、三虎神社は入り口ですら数多くの観光客や参拝者で
あふれており、さらにそのどさくさに一稼ぎしようと出店を出している者も数多くいた。
「ええと?この三虎神社は三人の虎神を祭った神社で…うんたらこーたら?」
皆が周囲を見渡す中、ハガネは無料配布されていた三虎神社に関する事柄が書かれたパンフレット
を読んでいた。確かに、三虎神社は虎神と呼ばれる虎の神を祭った神社であるだけに、各所に
虎の石像や木造などが作られており、虎面の地蔵っぽいのなども存在した。
「180度何処を向いても虎!トラ!とら!TORA!まさに虎のオンパレードだねここは。」
「トラトラトラと言えば、その昔の地球の日本と言う国で、ある奇襲攻撃の際に使われた暗号だな。」
「へ〜ルナリスちゃんやっぱり博学だね〜。」
「だからちゃん付けするなって!」
マリンはやはりルナリスに頭を殴られた。
「いったぁ〜…。」
マリンは目から一粒の涙を流しながら頭を痛そうに抱えていた。と、その時だった。
「ああ!マリンさんじゃなーい!!」
「何だ…。お前らもここに来てたのか。」
突然遠くからその様な声と共に現れたのはタイガスとラッキーだった。ラッキーはマリンとルナリス
の二人と再会した事を心から喜んでいた様子であるが、タイガスはどうでも良いという感じだった。
「いや〜久しぶりですね!」
「こっち事久しぶり!」
ラッキーはマリンとルナリスの二人と嬉しそうに握手し合っていた。と、今度はハガネとチョコの方を向いたのだった。
「あの…貴女方は?」
「それは私も思った!」
ラッキーが疑問に思うのは無理もなかった。無論彼女は今日初めてハガネとチョコの二人と出会ったからである。と、その時マリンがラッキーの前に出てきた。
「しょ!紹介するよ!こちらはハガネさんとチョコちゃん!ハガネさんはこう見えても実はロボットで…。」
「ロボット?そっちの無愛想なガキの方がよっぽどロボットなんじゃねーのか?無表情だし、何もしゃべらないし…。」
「何だと?」
タイガスの何気ない一言に、ハガネはタイガスを思い切り睨み付けた。無論それにはタイガスも思わずうろたえた。
「ガキが偉そうな口と叩いてるんじゃないよ!!ウチのチョコちゃん馬鹿にすると私が許さないよ!!」
「ガキって…。どう見てもアンタの方が俺より年下に見えるんだが…。というかあんた本当にロボットかよ…。しかもメイド服なんか着てるし…。」
やはりうろたえながら言うタイガスの言葉に対し、ハガネは一歩乗り出した。
「私はこう見えても100年前の大戦時代から生きてるんだよ!!」
「って…老婆じゃん…。」
「人間ならそうなるだろうね!!けど、私はロボットだから老化なんて関係ない!!」
ハガネはなおもタイガスを睨み付けており、タイガスは妙にうろたえていた。一方それを見て唖然としていたラッキーはゆっくりとマリンに問い掛けた。
「あの人…。本当にロボットなんですか?」
「そだよ!」
「本当に…?」
人間以上に人間的だったハガネに、ラッキーはまだ半信半疑であった。一方ハガネはまだタイガスを睨み付けていたのだが、そんな彼女にマリンが話しかけた。
「まあ、それはともかく、せっかく三虎神社に来たんだから、中に入ろうよ。」
「それはそうだな!」
ハガネは手のひらを返すように向きを変え、三虎神社の奥へと歩き始めたのだった。無論マリン達もその後を追う。
「…………。」
ハガネの切り替えの速さにタイガスは開いた口が塞がらなかった。が、その時ハガネがタイガスの方を向いた。
「おい!置いてくぞ!!」
「ああ!!ゴメンゴメン!!」
タイガスはやや戸惑いながら皆の後を追い、皆の後ろについて歩き始めた。その後で、ハガネが再びタイガスの方を向いた。
「あ!そう言えばアンタ等の名前聞いてなかったね?アンタ等名前は何て言うの?」
「私はラッキー=トルワートと言います。」
「俺はタイガス=ハンシーンだよ…。」
ハガネの質問に、ラッキーは普通に、タイガスは渋々答えていた。そうして、6人は改めて三虎神社の中へ向けて歩き始めたのであったが、タイガスは内心考えていた。
「(あれ?所で何で俺がコイツ等に付いて行かなきゃならんのだ?)」
改めて思ってみたら・・・神社仏閣の出てくるバトルストーリーを書いているのは
世界広しといえど自分だけの様な気がする・・・。他の作品だと大抵宗教的な
建物と言ったら教会だったりしますし。
他に神社仏閣書いてる人がいたら済みませんけど。
>>恐怖の亀裂作者さん
安易な正義の批判は考えさせる物でした。共和国派としては胸が痛くなりましたが・・・。
それはそうと、ノワールより強いとされる人達が何かあっさり逝ってしまいましたね。
よそではまた何か変な陰謀企んでる人がいますし。
――誰かが、私を呼んでいる気がする…でも、誰?
絶え間無く小さな体に流れ込んでくる破壊衝動。リニアの意識は精神の隅に追いやられ、うずくまっている事しかできない。
自分の意思とは無関係に能力が発動しているのが解る。だが、彼女にそれを止める術は無い。
――私を呼ぶ声がする。私はこの声を知っている…
先程から微かに聞こえていた声は、彼女の奥底にある何かを起こそうとしていた。だが、その声の主が思い出せない。
ただ何と無く、その声を聞くと安らぎを――そして、小さな憧れを感じた。
「もう良いだろう…リニアを放せ! それほどの力があれば、反能力も必要ではないはずだ!!」
それは戦いではなく、一方的な虐殺だった。輝く剣が幾度と無く閃き、マッドサンダーの全身が切り刻まれる。
デス・メテオのスピードはもはや目で追う事ができない。ルガールは反撃の機会さえ見出せなかった。
「必要〜?僕の妹だよ? 僕の身内まで奪っていこうなんて、アンタは真性のロリコンなのかい?」
ミサイルとショットガンを連射し、高速移動を繰り返すデス・メテオに当てようとするがそれらは発射された直後に
ナノマシンに分解され、炸裂する事も無く塵と消える。
反撃の機会は皆無だった。そして、セディールは止めを刺そうと思えばいつでもそうできる。
これはあくまでも、セディールの――デス・メテオの憂さ晴らしに過ぎなかった。
「何だありゃあ…なぶり殺しだぜ…」
戦いに参加する事もできず、戦況を見守る事しかできない能力者達。戦いには参加できるが、セディールの圧倒的な力を
恐れて手を出そうとしない非能力者。誰が見ても、火を見るより明らかだ――ルガールに勝ち目は、無い。
エメットはレーダーパネルに拳を叩き付けた。彼が動けないのは頭痛のせいではない――恐怖の為だ。
そして、そんな自分がみっともなく、惨めで仕方ない。ルガールを助けたいのに、この両手が動かない。
〔私ならあの程度のスピードは障害にならないが…〕
そうだ、とエメットは思い出す。敵の機動力が高い時どうすべきかを。
だが、自分にできるだろうか?この方法に何より必要とされるのは、度胸だ。
「僕は…」
――そうだ。できるかできないかの問題ではなく…やらねば、ルガールは死ぬだろう。
「僕は、あの人を…助けたい…!」
エメットは覚悟を決めた。この身がどうなろうと構わない。
エメットの身体がシートを突き抜け、愛機のコアと一つになった。頭が割れるような激痛を感じたが、気にならない。
「う…ああぁぁぁァァ!!!」
ガンブラスターが「発動の光」を放った。目を向けたセディールの視界は降り注ぐ光のシャワーに覆われ、
何が起きたのかを理解する前にデス・メテオは翼を撃ち抜かれて地に落ちた。
「…やっぱ…頭痛を我慢しながらじゃ限界があるね」
ゴールデンローリングカノンの射線は、全てナノマシンの隙間を縫ってデス・メテオに着弾していた。通常ならば
絶対に不可能な精密射撃。それを可能としたのは、エメットの能力だ。
――「絶対知覚(アルバ・センシティブ)」。それが、エメット・ノーブルの能力だった。
それは視覚、聴覚などの五感が極限まで強化される力。今の彼には空気中を舞うナノマシンの一つ一つを見分け、
逃げ惑う人々の関節が軋む音を聞き分け、戦場に漂う硝煙や血の匂いそれぞれを嗅ぎ分ける事ができる。
そして、強化された動体視力はいとも容易くデス・メテオの姿を捉え、ナノマシンに阻まれない弾道を
瞬時に計算し、撃った。
デス・メテオの翼が再生する。セディールの注意はルガールから逸れたようだ。
「まーさか…リニアの反能力を跳ね返してまで僕と戦おうなんてアホが居るとは思わなかったよ。
まったく、この街はビックリ人間の集まりなのかい?」
デス・メテオが消えた。セディールはいつもの様に、背後に瞬間移動しての必殺の奇襲を掛けようとしていたのだ。
だが、セディールが現れる前にエメットは背後の空間が歪むのに気付いた。今や彼の視界は360°に広がり、
背後からの攻撃さえ無意味に等しかったのだ。
姿を現したセディールは、至近距離からまともに黄金砲の連射を受けて吹っ飛ばされた。
社会主義から解放され…ゲフンゲフン 今日は久々に時間の余裕があった訳ですが。
>>恐怖の亀裂作者氏
あ〜お枠さん♪ 青枠さん♪
お腰につけた〜陽電子破城砲〜♪(ドカァァァァァン)_| ̄|○
「あなたがそれを話さず〜」の台詞がめっちゃカコイイ!
>>鉄獣28号氏
ブラストル降臨、新展開では白と青の虎が合流と。
主人公サイドの出番は大丈夫なのでしょうか…デスとギガでも役不足な希ガス。
神社仏閣?気にしない気にしない、漢字名前のゾイドやら神話系列ネタやら出まくりなのですから!
むしろ独特の世界観の形成に一役買っている様にも思えます。「滅界」みたいな技が合いそうなウワチケツナニヲスr(ry
鉄獣28号さんへ
神社仏閣!東方大陸には有りそうな気がしますね…。三虎神社。
”寅年には是非この神社へ。虎の伝統を祀る三虎神社”とか宣伝をやって居そうな雰囲気ですね。
>安易な正義の批判
に付いては正義を振りかざす者が自身を逆の立場から見ようとしないと言う事を強調する物で実際の所共和国軍がそう言う事をやったと言う記述はまず在りません。
でもスリーパーは相当両帝国軍に嫌われていたらしいですね。サラマンダーのゼネバス首都の無差別爆撃ぐらいしか記憶に在りません。
しかもそれが何処の出の情報かも?
それにあのあっさりはジャンケンの相性みたいな物です。彼にとってああ言う人達は一番楽に相手ができる…と言う感じで。
更にはその先の世界は平和に浸りきった軍人の怠惰の時代。それが合されば実戦経験の差やらも加わり酷い事になったと言う…言い訳。
Inocent Worldの作者さんへ
大活躍ですね!?今まで音沙汰無かったのに突然の大活躍。逆転の一手に繋がるか!?それとも?
その光景を楽しむ様に見ていたノワールに声を掛け辛い3人…。「どうします?」カリーナは残る2人に聞く。
「さあ?如何成ることやら…。」エキドナの声。「く〜くっくっくっく…ここはお任せあれ。」その言葉を放ったファインの顔は悪戯小僧のそれだった。
「「それは禁止!」」突然2人掛かりで取り押さえられまたしても逆さ簀巻きにされ天井に吊るされる。ナイスな判断だった。
「プフーッ。」何が起こったのか?それを確認する為に後ろを振り向いたノワールの目の前にはハングドマンが居る。「それは…何かのまじないか?」
いまいち状況が理解できない。それに「気にしなくても良いのよ?それより…体を見せてもらいますね?」カリーナは取り付くしまを見付けその後を有無を言わさず診察を開始する。
「上手いわね…あれが”若さ”って物なのかしら?」エキドナがそれを見て笑っていると「何だ?主?それは何かのまじないか?それとも精神修行の一環か?何方にしろそれでは無意味だ!」
用事が済んだらしくベルウッドが来て居る。しかも…「そう言う事なら妾に任せい!」そう言うとそれを楽しそうに回し始める。「また…でありますか…。」
せめて吐く前に飽きる事を祈るしかないファインだった。
結果は…「あ〜あ…何も食べて居ないのですか?胃液だけですね。」駄目駄目だったらしい。
「喉が酸っぱい…何か飲み物を〜〜…。」助けを求める様に手を伸ばすファイン。「ふん!その位でへばり居って!修行が足りんぞ。これが終わったらたっぷりとしごいてやる!覚悟しておけ!うわっはっはっはっは…。」
自分の責任を見事にファインの所為にしその場を何喰わぬ顔で去って行くベルウッド。「いっ…一体何の為にここに来たので?」残念ながらその答えは永遠に解ける事は無いだろう。
何故なら「やはり暇潰しにはあやつをいたぶるのが良い!しかし今回はつまらんかった…秒間1000回転は流石に不味かったか!?」当たり前だと言う突っ込みは誰も居ない周囲からは発せられる事は無かった。
「何の為に…?私は…生きている?」奇天烈な事が周囲で続発する中ノワールはそんな事を呟いていた。「おや?そこで御悩みなのは何故でありますか?」
「なっ生きる意味は誰でもっむごふごっ!?」その口を押さえて指を振り舌打ちするファイン。「そんな事で悩んでいると…ああ成るでありますよ?」
そう言って指差す先には魂の抜けた様な顔で体育座りをしている人影一つ。ベルフだった。
折角遊びに来たのに誰も相手にしてくれず遂には1人ジャンケンを始める始末。近寄り難い空気すら在る。
「まあちょっと見ていて下さい。」そう言うとヘロヘロな足取りで右にゆらゆら左にゆらゆらしながらベルフの元に歩いて行くファイン。
「こっ今度こそ決着を…。」この手の事に関しては相当不器用らしく簡単に決着が付く筈の1人ジャンケンの勝負が決まらない。
「何故だ!?良く見ると…手が三つ在る気が…?」実はその一つの手はファインの物である。何を必死に出そうとも3竦みのあいこに成る。
その光景に次第に人集りが出来てくる。上手い物だ。如何ベルフが両手を出しても必ずあいこに成る。確立統計上有り得ない結果。
ファインが何かしている事が明白だった。
「…そんな馬鹿な事が出来るとは。」ノワールはそれが何か知る事が出来たらしい。そんな中勝負が付かないジャンケンは白熱しベルフは立ち上がっている。
「ジャ〜ンケ〜ン…ポンッ!!!」またしてもあいこだ。「くそっ!?思考さえ読めれば…。」ベルフがそんな事を言っている。しかしそれでは最後まで決着は付かないだろう。
その手法とは…本質的に”後出し”と言う事に有る。方法は簡単で始めにグーを握って相手の手を見る。その後相手の手の動きでそれが何かと判断し手を替える。
言葉では簡単だが実際には早々出来ない事を易々とやっていたりするのだ。しかも相手は両手でジャンケンしてくる。
「しかもこれは完全なペテンだ…。」これが重要である。ノワールは気付いたらしい。これも確立統計の問題となる。あくまでファインが出す手は一つ。
そして対するベルフは二つの手を使う…つまりはジャンケンの手は三つ。それをする手も三つ。そう言う事なのだ。
ベルフが同じ手を両手で出す確立は1/2で違う手の組み合わせは6つでも事実上1/3の確立。
こう言う理屈になる。何方か片方の手を見てそれと同じ手を出す準備をしもう片方の手が違うならそれとも違う手を同じならそのまま出すと言う2択なのだ。
3つ目は考える必要が無いので状況確認さえ確かでその上で手の動きが追い付くなら容易にできる芸当と言う訳である。
「くっくだらん…。」考えるだけ無駄な事に労力を費やしている彼等。だからこそ生を彩りを感じる…。
「こ・ら・っ。病室で遊ぶな。」そのファインとベルフの頭にグーが振り下ろされる。アービンの一撃だった。
「しかもファイン?貴様後出しの上に姑息な手を使い居ってからに…。」「あ…。」ここでベルフも気付いた様だ。
やられたと言う顔でファインを睨む「借りは返すよ?マイブラザー。」そう言って病室を出て行くベルフ。
そんなやりとりでノワールの前に戻ってくるファイン。「見事なペテンだったな。」「そう言う事!こう言うくだらない事が人生の大半を占めると言う事でありますよ。」
更に「それを楽しむ事が出来るからこそ生きている価値が有ると言う物でありましょう?」
診察の結果は余り悪くなっている所は無い様で実質健康状態らしい。単に胸に輝く〇ラー〇イ〇ー成らぬ天河の滴のエネルギー切れだったらしい。
身体の変異の方は時間が経てば戻るらしいがかなりの期間が必要だと言う事だ。「その程度で済むとは思わなかったみたいでありますね?」
ファインはノワールの表情から簡単にそれを確認する。彼は兵器として教育されただけなのであろう。しかも捕まる事とか尋問や質問される状況に追い込まれる事が無いと践んでいた様だ。
それが先の襲撃の原因だろう。その割には弱い上にマニュアルどうりの動きしかしなかったが…。
「これから私を如何する気だ?」そのノワールの言葉に「如何もしませんよ。それとも…?そっちの方がご趣味で?」如何とでも取れる言葉で質問を返すファイン。
「なっ!?何を言っている!?貴様っ!?」ノワールの頭の中では秀道が思い浮んだらしい。「随分と偏った知識でっ!?」今度はファインの方が驚く。普通は嫌な方に考えないのがそう言う時の対応なのだがと。
彼等の居た時代…そこはそれ程迄に娯楽が無い世界だったのであろうか?そんな所では生きて行けないなと深く思うファイン。
「ほう?面白い事をやっておるな…妾の時は直ぐへばり居った癖に…。許せん!」ベルウッドは何かを企んでいる様子だ。
通路の影に身を忍ばせ更に気配を殺し術式で光学迷彩を自身に掛ける。「くくくくく…妾を除け者にしたら如何成るか?思い知らせてやるぞ!」変な方向に話が進んでいるらしい。
緊急時だと言うのに彼等の頭の中は本当に和だった様である。それを突きまたしても彼等を狙う者が居るが…今度は更に運が悪い事にベルウッドを践んでしまったのだ。
「ほほう?主等…この妾を足蹴にするとはな。命が惜しくなかったと見える…よくも妾を践み居ったな〜〜〜っ!!!許さん!許さんぞぉぉぉぉおおお!!!」
通路の先の方でやたらと聞き覚えの有る声が怒り狂って何かを叫んでいる。「…こっちに行きましょうか?」一つ前の角を曲り極力何も無かったと言い聞かせる。
その先に何が有っても今の自分には平穏な今の状況が最も大切なのだと言い聞かせるファイン達だった。
ベルウッドの手が肘辺りから空間より消える。その周辺には波紋に似た歪みが空気中に現れている。無造作に腕を動かすベルウッド。
そこからは襟首を掴まれたファインの首が出て来る。「お主も逃げられるとは思わない事だ。」しかも現実離れしたこの光景は一撃で戦意を砕き恐怖のどん底に彼等を叩き落としたらしい。
「死にたくなければ…のう?主よ?」「イイイイッ…イエッサァァァアアアア〜ッ!?」声が裏返り投げやりな返事をするファイン。
そう言って相手に向かい振り返ると申し訳なさそうに「あの〜…まだ死にたく有りませんのでちょっと貴方達…心臓を止めて貰えないでありますか?」
そこで彼等全員は悲鳴を上げ腰が抜け恐怖の余りお漏らしすらする始末だったそうだ…。
此方は首が突然消えたファインの体が有る場所。こっちはこっちでノワールが本当か!?と言う顔で凍り付いていた。
暫くすると波紋状の歪みからファインの頭が戻ってくる。それだけでは無くベルウッドが空間から横向きににょきっと生えてくるおまけ付きだ。
「…。」何も言う気には成れなかった。自分自身が非常識の塊である事は重々承知している。しかしこのコンビはそれを一つ斜め上に逝っている。
「いやぁ〜怖かった怖かった…死ぬかと思ったでありますよ〜。」そんな事を言っている割には先程までの危機感は微塵にも粉砕されていますが何か?と言う状態。
「ふっふっふっふっふ…妾に逆らうと如何言う目に遭うか奴等も身を以て知ったであろう!うわっはっはっはっはっは…。」こっちの方も鬼気迫る気配と怒りは何処に行ったのか?と言う状況。
ノワールは思った。「此奴等に勝てる見込み等端から無かったと言う事か…。」1人は化け物小娘もう1人は後に語られる伝説の魔術師。それのセット販売。
お釣りの方が払った代金より戻って来そうな2人組。ノワールには煮ても焼いても喰えそうもない謎の物体に見えた。
大勢の人混みをかき分け、6人は三虎神社の門をくぐり、その内部へと入って行った。
「うわデッカ!!」
三虎神社の門をくぐった直後、マリンは思わず驚愕の声を上げてしまった。その門をくぐって中に
入った直後、頭部が虎になっている仁王像の様な巨大な木像が三体、彼女等の目に飛び込んできたのだ。
「これがこの神社のご神体って奴か?」
「それにしても大きいね〜!」
三体の虎面の仁王像の様な像を見上げながら、皆は本当に驚いていた様子だった。確かにその像の
大きさはゴジュラスに匹敵できる程の巨体だったのだ。ちなみに、他の観光客なども、その像を見上げていたり、写真を取っていたりした。
「この三体の像は我が三虎神社のご神体であり、三体の虎神伝説に纏わる三虎神の像であります!」
「?」
像に感心しながら見ていた6人の耳に飛び込んできたのは、三虎神社の神主と思しき人物の言葉で
あり、彼は他の観光客に三体の像に関しての事柄を説明している所であった。無論6人も神主の
近くに寄ってその話を聞くことにした。その時、神主は三体の像を指差していた。
「この三体の像をご覧下さい。白・蒼・紅と、それぞれ色が違うでしょう?これは三体の虎神様をそれぞれ現しているんですよ!」
確かに神主の言う通り、改めて三体の虎神像を見ると、それぞれ、白・蒼・紅と、色が違っていた。
「まず白い像をご覧下さい!この白い像は三体の虎神様の一人である“白の神”の像なのです!」
「白の神ぃ!!?」
神主の言葉に対し、突然そう叫んだのはタイガスだった。神主を含め、周囲にいた皆は一斉にタイガスを注目した。その事に、タイガスも驚き、思わず縮こまった。
「スンマセン…。何でも無いです…。」
「タイガス君一体どうしたの?いきなり…。」
「いや、ただ…。」
ラッキーに問いつめられ、タイガスは黙り込んだ。
「(白の神…。あの時ワイツタイガーも自身を白の神と呼んでいた…。という事はこの神社は本当に…。)」
タイガスが内心そう考えていた時、神主は再び本題に戻る意味を込めて軽く咳きをした。
「ゴホン!それでは、こちらの蒼い像の方に移ります。これは先程の白の神と同じく、虎神様の一人の“蒼の神”をの像なんですよ!」
「蒼の神ぃぃ!!!?」
今度はハガネが思わず叫んでいた。今度はハガネに視線が集中する。
「しゅ…しゅんましぇん…。」
皆の視線を浴び、ハガネも戸惑いながら縮こまった。
「ハガネさんもいきなりどうした?」
「いや…ただ…。」
マリンに問いつめられてもハガネは適当に切り返した後で黙り込むだけだった。
「(蒼の神…。それが本当にゼノンの中に封じ込めらえている神と名乗る存在と同一なら…。)」
ハガネが内心そう考えていた時、さらに神主は二度目の咳をした。
「ゴホン!それでは三体目の紅い像に関してです。こちらはやはり同じく虎神様の一人である"紅の神"の像なのです!」
「紅の神…。」
「チョコちゃん?」
チョコはまるで紅の神の像に惹かれるようにじっと見つめており、そのいつもと違うチョコの行動にハガネは違和感を感じていた。
その後、6人は三虎神社を出て行っていたが、その様子を遠くから双眼鏡で監視する黒服の男達の姿があった。
「あのメイド服の女がRTのパイロット。それと、隣にいるあの男がWTのパイロットです。」
「なるほどな…。」
黒服の男達の中に一人、カーキ色の軍服を来た大柄な男がいた。それはブラストルタイガーの
テストパイロットの中から、正式パイロットへと選ばれたブロイ=エベレスである。そして彼は双眼鏡を軍服の中に閉まった。
「奴等を俺が押さえれば良いワケだろう?」
「そうです。あと言っておきますが、連中は二人とも見かけ以上に手強いですよ。」
「そりゃRTとWTのパイロットになるくらいの奴だから強い事は確実だろう。俺程では無いがな!」
その後、ブロイは大笑いした。そして、大笑いしながらさらに黒服に大して言った。
「それはそうと、邪魔者が入らない様な工夫は凝らしてあるよな?警察や治安維持部隊の連中が介入してきたら流石にマズいだろうぜ!」
「それなら心配無く!ブロイさんのブラストルタイガーとは別に、量産が完了したデカルトドラゴン
に加え、"あのゾイド"も用意していますから、貴方はRTとWTとの戦いに集中して下さい!
あのRTの取り巻きにも何体かゾイドがいるみたいですが、所詮はゴジュラスギガとデスザウラーにイグアンなどザコばかり!ハッキリ言って我々の敵ではありませんよ!」
「おう!そっちも頼むぜ!!」
ブロイは笑いながら黒服の肩をボンと力一杯叩いた。
それから、マリン達四人とタイガス、ラッキーの二人はせっかく会った縁という事で同じ宿を取っており、六人は色々と旅の話しが弾んでいた。
「ほー…ってーとハガネは獣王教の刺客を簡単に倒す程強かったって事か?」
「お前呼び捨てするなよ…。」
タイガスの言葉に対し、ハガネは眉を細めながら彼を睨み付けていた。
「まあとにかくハガネさんは強いよ!何せ曾お婆ちゃんのライバルだった人だから…。」
マリンがそう言った時、タイガスはマリンの方を細目で睨み付けた。
「お前の曾婆ちゃんって確か昔の大戦で大暴れしたとか言うなんとかの悪魔とか言う奴だろ?
の割には曾孫のお前が全然強くないからな〜…そのなんとかの悪魔とか言う奴の実力も噂だけが一人歩きしたってだけで、本当は大した事無いんじゃねーのか?」
その時だった、突然マリンとハガネの二人がガタッと音を立てて立ち上がったのだった。
「曾お婆ちゃんは弱くなんか無い!!」
「そうだ!!マリンはお前の言う通りザコだが、マオちゃんを馬鹿にする奴は私が許さないぞ!!」
「ザコって…。」
「オイオイ…何もそんなに怒る事はねーだろ…。」
マリンとハガネの妙な気迫にタイガスはうろたえていた。と、そんな時、ルナリスがある事に気付いたのだった。
「そういえばチョコはどうした?」
「トイレじゃないの?」
確かに部屋にはチョコの姿は無かった。が、ハガネは皆に言った。
「ああ!チョコちゃんなら先に寝るって言っていたよ。」
「なるほど…。やっぱり子供だから寝るのは早いよね…。」
ハガネの言葉に皆は納得していたが、その時タイガスが酒の入った一升瓶を取りだしてちゃぶ台の上にドンと置いたのだった。
「んじゃあここからは大人の時間だ!お前らも一緒に飲め!」
と、その時、ラッキーがもの凄い勢いでタイガスから一升瓶を取り上げたのだった。
「ラッキー!!お前いきなり何するんだ!!」
「タイガス君!!お酒はダメでしょ!!」
「何だとぉ!!?俺は二十歳だぞぉ!!酒飲めんだぞぉ!!」
「タイガス君は飲めても!!他のみんなは未成年なのよ!!だから絶対ダメ!!」
>>恐怖の亀裂作者さん
逆さ吊りキタァァァァ!!!
と、それだけでなく1人ジャンケンとか色々小ネタがありましたね。
その1人ジャンケンも何やら科学的な考察(?)みたいな物入ってますし。
あっちの世界はどうやら娯楽のない空しい世界みたいですね?
>>Inocent World作者さん
意外な人が意外な強さを発揮したぁぁぁ!!!!
でも頭痛と言う名のリスクもかなり大きそうですが・・・。
>主人公サイドの出番は大丈夫なのでしょうか…デスとギガでも役不足な希ガス。
確かに貴方の予想した物に近い事に近々なります。まあその一方で色々フォローはかけるつもりですが・・・
鉄獣28号さんへ
3虎結集予定まであとすこし!?デカルトドラゴンも大量投入。そして…酒を飲めず暴れるタイガスさん。
実際に酒を飲ませてみたらうげ〜うげ〜言いながらも強そうな方が1人2人居る予感!?
1人ジャンケンの話は題材が自分だったりします。中々違う手同士を出せなくて…。
そんな時に或るジャンケンに効率よく勝つ方法を被せて妄想したらこんな事に成りました。
どうやっても片手でやる方は2つしか選択肢が無いんです。あいこにする時は…。
「ところで…サーラさんは何処に?」ファインは突然ベルウッドに切り出す「ぬおおっ!?突然何を言い居るかっ!何か気に掛かるのか?」
その言葉に「確か…彼女の首飾りの中に天河の滴を使用した物が有った筈でありますが?ベルフちゃんから聞いて有るでありまりすよ?」
その言葉を聞いてベルウッドは焦る。「何だとぉ〜っ!?少し待て!」ベルウッドはダウジング用の振り子を取り出し垂らす。すると一方をきっちりと指し示す。
「あっちの方角だ!距離は200m!」
その頃…「「「…。」」」息を潜めて寝室に割り当てられた部屋のクローゼット裏の隠し部屋げラミューズ、サーラ、レビオスは息を潜めていた。
年齢の関係上眠気に勝てる程成長していない彼女達は準備が整うまで休む事になっていたのだ。しかしおかしいと緊急時にとベルフに教えられていたここに逃げ込んだのである。
「…居ないぞ?」「間違い無い。探せ!」「もたもたしていると他の2部隊と同じ目に遭うぞ!」男達の声が忙しなくそれでいて静かにやりとりをしている少しでも物音を立てたら見付かるだろう。
他の2部隊…言葉の様子では全滅したのだろうか?この短期間の内に2つも部隊を壊滅させる戦力は…有る。今一緒に居る人達の特に自分の近くに居る数人はその程度簡単そうだ。
ラミューズはサーラを抱き抱え少しづつ部屋の隅に有る武器に近寄って行く。
しかし焦りからか銃を倒してしまう。
「今のは?」外の男達が周りを見回している様だ。まだ正確な位置は悟られて居ないと急いで倒れた銃を取り出入り口に構えサーラを後ろに行かせるラミューズ。
緊張で汗が滲み何度も銃を落としそうに成る。無駄な鉄砲数撃ちゃ当たるの意味で4口径バスターマシンガンを置いていたらしいが最軽量のそれであっても200発を超える弾倉の所為で見た目より遙に重い。
ついでに言えば護身用の貫通力重視でダメージ自体は期待が出来ない代物。急所への直撃以外では命を奪う事は出来ない威力だ。
「見付けたぞ…隠し部屋に居やがる。入り口が何処か探せ!」見付かった!?こう成ると入り口探しは簡単だろう。ラミューズは膝を立て銃身に有る固定用の足を立てて構え直す。
徹底抗戦の覚悟を決めたらしい。しかし相当手子摺っているのか中々その入り口を開く者は居なかった。わざわざここまでして置いて来ないとはおかしいと思い始めた時にそれは起こる。
壁を破壊する音と一緒にその一団が隠し部屋に踏み込んで来る。「甘かったな?お嬢さん方。」
後ろより銃口を向けられ2人は動けない。ついでにレビオスの方は壁の破壊に巻き込まれ瓦礫の下で目を回している。
「「…役立たず。」」2人はあちゃーと言う感じでレビオスを見て言う。頑丈なのだからこう言う時に頑張らないと存在意義その物に疑問が持たれる。
「さあ!その天河の滴を渡して貰おうか?」そう言ってサーラに手を伸ばす男。その時後方から別の男の悲鳴が聞こえて来る。
「何!?さむら…。」「如何した!?返事をしろ!」男は焦って外に出る。
そこで彼の見た者は血に染まった髪と装束の侍。「遊び心は偶然と結び付きこの様な結果を生む。何処の手の者かは知らんが拙者に遇った不幸を呪え。」
その両手に野太刀を構える男の姿。「何だそれは?野太刀を二刀流?笑わせるな!その重み奇襲ならいざ知らずマシンガンの前に立つ等愚の骨頂!」
それを聞き侍は笑う。「ふふふふ…ははははは…はぁ〜はっはっはっは!!!笑止!そこに横たわる者共もそう言う顔をしていたぞ?殺れると言うなら掛かって来るか?」
引き金に伸びる男の指は震えている。周囲の味方は全て一刀の元に切断されている。元から致命傷の者。失血性のショック症状。中には心因性のショック症状の者も居たかもしれない。
彼の味方は既に息絶えていた…。
その引き金が引かれようとする…しかしそれは最後まで引かれる事は無かった。空間が歪むとそこから明らかに何者かに投げられる形でそれが歪みの中から飛んで来る。
「ダッダイナミックゥゥゥゥゥ〜ドライバァァァァァァ〜〜〜ッ!?」疑問系なのは放って置こう。それを見て侍は額に手を当てこれは堪らないと吹き出してしまう。それは歪みの元から投げ飛ばされたファインだった。
後付け悲鳴っぽさ付きの必殺技でその男に背中から落ちる。当たり所が悪くその上他の味方の遺体のマシンガンの先端に付いている銃剣に一突きにされてしまう。
「ふっこの場のジョークのつまらなさは株式の下の限界をも超えるか?逆に笑いがこぼれるぞ…。」その声に耳が敏感に動くファイン。遇っては成らない相手と生身で遭遇してしまったのだ。「あ”っ」「また会ったな。」
その血塗れのルックスに似合わない”よっ久しぶり!”なポーズで出迎えてくれるソウエン。「血の海の中でそれをやられても…。」
「ほう?これはまた面白い取り合わせになった物よのう…。」そう言うベルウッドとノワールの2人は直接サーラ達の所に来て居る。
「あの男…相当できる奴の様だ。漂う気配が異常すぎる。」ソウエンの血の海から這い上がったかの様な姿に最大級の警戒心を持つノワール。
「慌てんでも良い。今の奴等は相手に夢中だ!手が放せんであろう…。」仕向けたのは貴様だと言う様な目を感づかれない様にベルウッドに向けるファイン。
「ほほう?妾と其奴の両者を相手に為ようとは命知らずも良い所よ!来るかっ!人間(ヒューマン)!!!」ソウエンは野太刀を納める。流石に我慢の限界になったらしいファイン。
「殺らいでかっ!!!魔導機(アーティフィカルクリーチャー)ァァァァァ!!!」ノワールは呆然とする。敵の眼前で同士討ちを始める輩。それを見て余裕で嗤ってそれを楽しんでいる敵。
極限の緊張感を知ってか知らずか楽しんでいる様にすら取れるこの行動。「何時か何かの資料で観たな…遊び心は余裕となり余裕は安定に繋がると。」
ソウエンは一頻りそれを鑑賞してから何時の間にか姿を消したという。「ふっ…あれならば心配する必要も無い。ベルゲン…今度こそあるいは…な?」
その言葉を聞いて居たらしく「そうだね。その為にも今は引く事にしよう。介入の必要は無さそうだ。」日も昇り周りが明るくなる中未だに夕日が染み付いた空で待機していたベルゲンが動く。
空間から差し伸べられたテレマ・スクラフトスの手はソウエンを乗せると虚空に消え失せた。
勝負の結果は…突如乱入してきたアサガオライガーの1匹勝ちで幕を閉じる。「おっおのれ…そのサイズは卑怯だぞ…。」「え〜っと…楽しそうに襟首を咥えて振り回すのは止めて欲しいのでありますが…?」
24ゾイドサイズに体を大きくしていたアサガオライガーに敵う者は使役者の彼等では無かったらしい。「良し良し…良い子だねぇ?」サーラに顎下を撫でられ嬉しそうに目を細めるアサガオライガー。
血の海や遺体もアサガオライガーが食べずに掃除していたらしい。残った物は破壊された壁の瓦礫とそれの下敷きになりで目を回しているレビオス。更にほっとした表情で銃を床に置いているラミューズ。
安全は護られたらしい?本質的には大間違いなのだが。その後何度か襲撃が起こるが憂さ晴らしの名目でファインとベルウッドに壊滅させられたという…。
一升瓶を取り返そうとするタイガスと、それを阻止しようとするラッキーの二人はまさに一触即発の
状態にまでなっていた。と、その時ハガネが二人の間に割って入ったのだった。
「私は飲めるぞ。年齢的にも20どころか100以上平気で行ってるし!」
「でも貴女ロボットでしょ?」
その時、ハガネはラッキーに大して親指を立てた。
「私を舐めるなよ!私は立派に酒も飲めるぞ!」
「た…確かにロボットって言ってる割に人間と同じ物食ってたしな…酒が飲めても不思議では無いが…。」
そうして、ハガネはラッキーに対して手を差し出した。
「つーワケでその酒をもらおうか?」
「分かりました…。けど、私とマリンさんとルナリスさんは未成年なんですから、無理に飲ませないで下さいよ。」
「ああ…分かったよ!」
ハガネはラッキーの言葉に了解すると一升瓶を受け取った。一方、タイガスはグラスを用意していた。
「相手がロボットってのがちょっとアレだが…。飲むかなぁ!!」
「アレって何だよアレって…。」
ハガネはやはり眉を細目ながらタイガスを睨み付けていたが、なんだかんだ言ってタイガスが用意したグラスを手に取り、酒を注いでいた。
「いや〜そう言えばこうして酒を飲むのも久しぶりだな〜…。昔マオちゃんと飲み比べした事を思い出すよ…。」
「マオって確かアイツの曾婆ちゃんの事だよなぁ?一体どんな奴だったんだ?」
「そんなに知りたいか?」
早速ハガネとタイガスの会話が弾んでしまっていたが、そんな二人を尻目にラッキー、マリン、ルナリスの三人は部屋を出て行こうとしていた。
「私等もういい加減寝るわ…。」
「そうだな…。もう夜も遅いし…。」
「それじゃあ…。お休みなさい…。」
こうして、三人はそれぞれの部屋へ戻っていったが、酒で勢い付いたハガネとタイガスの騒ぎは夜遅くまで続く事になる。
「うわっはっはっはー!!ゴーレムに後頭部ぶん殴られても死ななかったなんてうっそでー!!」
「本当だぞぉ!!マオちゃんをなめるなよぉ!!」
酒で勢いづいたタイガスとハガネの叫び声は他の部屋にまで響き渡り、多くの人が迷惑していた。
「う…うるさい…。」
「眠れないよ〜。」
その頃、チョコは電気を消して暗くなった部屋で一人布団にくるまっていた。しかし、その目は
パッチリと開かれており、寝ている様子では無かった。かと言ってタイガスとハガネのどんちゃん
騒ぎで眠れないと言う様子でも無かった。チョコの視線は窓から辛うじて見える外の月明かりに向け
られており、彼女の顔は相変わらず無表情であったが、何か物思いに耽っている様子であった。
「白の神と蒼の神はそろった…。けど紅の神…は一体何処に…。」
彼女はそう一言言い残すと、再び黙り込んでしまった。そしてゆっくりと目を閉じる。月はなおも輝いていた。
『この世に迫りつつある災いに対抗するには三虎神が一同にそろわなくてはならない。白の神と蒼の
神の二虎神はそろった。されど第三の虎神である紅の神は別の所にある。紅の神を呼び起こし、
白の神と蒼の神の二虎神と合流し、彼等と共に災いに立ち向かうには虎神の巫女であるお前の力が何としても必要だ。』
翌日、チョコ一人を除いて、苦しそうな表情で宿から出てくるマリン達の姿があった。
「うあ〜…頭いて〜…。」
「電子頭脳が割れそうだ〜…。」
「ったく遅くまで飲むからですよ〜…。というよりハガネさんも二日酔いになるの?ロボットなのに?」
タイガスとハガネの二人は飲み過ぎで二日酔いになり、本当に苦しそうな表情をしていたが、それを
注意するラッキーの表情も目の下に熊が出来ていたりとかなり苦しそうだった。何しろチョコ一人を
除き、夜遅くまで続いたタイガスとハガネのどんちゃん騒ぎのせいで彼女等は全くと言って良い程
眠れなかったのだ。それを象徴する様にマリンとルナリスの二人も本当に苦しそうな顔をしており、互いに力も無く寄りかかり合っていた。
「うあ〜…。本当にあんたら騒ぎすぎだよ〜…。」
「全く眠れんかった〜…。」
「すまん…。それについては素直に謝るよ…。」
「私も激しく後悔している…。」
タイガスとハガネは苦しそうな彼女等に謝っていたが、謝った所でどうにかなる事では無いのは二人も承知していた。
「しゃ〜ね〜…。この眠気はコーヒーとか市販の栄養ドリンク剤とか飲んで何とかしよう…。」
「気休めにしかならないと思うけどね…。」
結局5人は自動販売機でコーヒーとか栄養ドリンクとか買って飲んでいたが、それらを飲んだ所で5人が楽になるワケでは決して無かった。
「連中が動き出したな。よし!こちらも行動開始だ!」
二日酔いや寝不足で苦しんでいる6人を余所に、遠くから黒服の男達が彼女等の行動を二十四時間
体勢で監視していた。無論彼女等が泊まった宿にも一般客に扮する形で何人か泊まり込んでいたりする。
「よっしゃぁ!!ついに俺の出番ってぇワケだ!!」
タイガタウンの近辺にあった山の中に作られた黒服達の仮設キャンプの出入り口から、ブロイが意気揚々と出て来ており、ウォーミングアップを始めていた。
「おおい!!ブラストルタイガーはいつでも出せるように準備しとけよ!!」
「了解ですブロイさん!!」
仮設キャンプの近辺にはブラストルタイガーやデカルトドラゴンなど、様々なゾイドが並べられて
おり、作業服に着替えていてもサングラスと黒帽子は忘れない黒服の男達がゾイドの整備などを行っていた。
一方その頃、黒服達とブロイの陰謀など知る由もない6人は駐機獣場へとやってきていた。と、その時だった。ゼノンの姿を見るや否や、タイガスは先程とは打って代わって元気になり、もの凄い勢いでゼノンの方へと走り寄ったのだった。
「うわぁぁぁ!!何だぁ!!?初めて見る虎型ゾイドだぜぇ!?うっひょーすげぇすげぇ!!」
「タイガス君もう元気になってる…。」
相変わらず苦しそうにしていた彼女等はタイガスの変わり様に眉を細めていた。そして、一人お祭り
騒ぎ状態になり、ゼノンの周囲を走り回ってはあらゆる角度から見つめていたタイガスに、なおも苦しそうにしていたハガネがゆっくりと彼に歩み寄ったのだった。
「それは私のゾイドだよ…。機種名はレイズタイガー。私はゼノンと呼んでいるけどね…。」
「レイズタイガーかー!!良い名前だねー!!」
タイガスはやはり元気良さそうにゼノンを見上げた。そして笑顔で何気なくこう言った。
「まさかコイツが三体存在するって言う伝説の古代虎の一体だったりしてなぁ。」
「ギクッ!!!」
>>恐怖の亀裂作者さん
マシンガンに刀で立ち向かう人キタァァァァ!!!
丁度先日のト○ビアでもそれやってましたよね。
久しぶりの登場となるアサガオライガーも活躍していましたし。
鉄獣28号さんへ
あれは凄かった…あんな弾を数発砕いたり切り裂いたり。
前に敗北したガンショップのマスターが感動していましたし。あの人球が重くて貫通性があるから1発だったと思っていたみたいです!?
良く読むと…どんなときでもグラサンと黒い帽子を忘れない人達が…グルービー!!!その徹底ぶりが。
この御話の世界ならタイガスさんの言葉から推測するにセイバータイガーも頑張って居そうなので意外と虎型の現存数は多いのかもしれませんね。
だとすると…見た目3虎でコアはセイバータイガー等のデッドクローン機体が出て来るのでしょうか?将来的に…?
「弱い〜弱い弱い弱い弱いよ〜わ〜い〜っ!!!暇潰しにも成んない〜〜っ!!!」ロードサーベリオンを止めてラスキドールが不満の声を漏らす。
ここは施設出入り口付近本来は決して弱い筈は無い邪神を踏み付けて止めを刺しながら空を見上げる。「五月蠅イゾ。次ガ来ル。」
ベレディケンはパラスパラサウロンで空間の歪みを撃ち抜く。如何言う構造をしているかは不明だが間違い無く無線誘導の限界距離毎に中継器を置いた誘導機構。
それを持って砲撃よりも長い距離を撃ち抜く巨大な腕。背に在る砲はそれを掻い潜った勇者に捧げられる鎮魂歌の様に相手を葬る。
腕の所為で避ける隙がない空間に誘い込む雑魚を効率よく始末する装備だった。
「!?来タゾ。デカイ奴ガ。」そう言って特大級の空間の歪みが発生する。しかしここに今現れている異形や邪神はヴィゾールの剣が呼び寄せた者では無い。
空間汚染とは他の世界と一部を共有した為に起こる現象でお互いの世界の領域を穢す事象。それによって呼び出されるのは新たな命の臭いに引き付けられる捕食者。
そして空間の穢れを取り除く為に行動を開始する守護者達。稀に迷い人の様に別の世界に渡ってしまう者等。今回は寄りにもよって最後者である。
「…ぬう?また世界を間違えたか!?」丸々太り長い舌をちろちろさせながらカエルとも蛇とも蜥蜴とも違う存在が出て来る。ついでに言えば毛が生えていてもうどの分類にも属さない存在だった。
それは眼下に居る2機のゾイドに気付き後ずさる。「おうおう…すまんのう危うく践み潰す所じゃったわい。」それを見て「おじいちゃん?ここは戦場だぜ。危ないから別の所に行ってくれない?」
ラスキドールはそう巨大な存在に言う。「おお…ここでは猫が喋り居るかファンキーじゃの。」「あんたが言うな!そっちこそファンキーの塊じゃん!?」空気を打ち壊す会話。
「まあまあ落ち着きなさい。儂はファブニールと呼ばれて居る。こう見えても2000年は生きて居るぞよ?その所為でこの様じゃ!ほっほっほっほ…。」要するに竜の眷属らしい。
「ファブニールのじっちゃん?そこは危ないから退いてくんない?敵が見えなくて困ってるんだけど…。」ラスキドールは引きも為ず食らい付く。「?おう…この決のチクチクしているのは敵の攻撃か?」
そう言うと次の瞬間に前後逆になったファブニールにそれ等は団体毎食べられてしまった。
「はやっ。」瞬時に向きを変え相手を丸呑みにする。その動作が無かったと言う事は…瞬間移動の一種。
唯向きを変えるだけだが見も知らぬ場所でそれをやるにはかなり無理が有る。伊達に2000年は生きて居ないと言う事だろう。
「結局…暇になった…。」その後ファブニールは一言謝ると歪みを抜け別の世界へ行ってしまう。結局残るのは彼等だけ。
少しでも繋がっている空間からは来客万来状態の筈だがいまいち出て来る数が少ない。
「何か裏が或る…。」ラスキドールは嗅ぎつけたが確証が持てない裏に何が有るのか?そればかりが気になり始めた。
歪みが発生する。今度も巨大な存在が出現する予兆だ。裂け目が歪みより発生するこの状況はかなり強力な邪神が出現する予兆だ。
「考える暇は無しって事かよっ!?」やっと退屈凌ぎの難題が出来たと思うと直ぐこれだ。現れたのは尖兵のセルキス。3色揃っての御出陣と来る。
放って置くとアスピトルテの骸烏の様な更に強力な存在を呼び寄せる。その上この3体はそれの成体兵器武装端末として機能する存在。
「この八方ヒトデが!調子に乗るなよ!」血の様な赤と不快感を呼ぶ紫そして殺戮の象徴に映る白銀3つのヒトデに向かうロードサーベリオン。
「!!!」3体3様の動きで的が定まらない。しかし相手に味方が居るように彼にも味方は居る。セルキスの周囲に突然巨大な腕が現れる。その手の爪がセルキスの赤い者を掴み取る。
赤のセルキスは暴れるが摘み所の関係でその鋭利な刃はパラスパラサウロンの他の部位に届かない。しかしその関係でセルキスを握り潰す事も同時に出来ない。
紫と白銀のセルキスを相手にするロードサーベリオン。動きが曲線と直線の二つの軌道。交わる位置を避けて巧みに上と下から攻める。しかし頼りの牙が上手く刺さらず苦戦する。
「時間ガナイ!急ゲ。」「解ってるけど此奴等しぶとい!三角を作らせない様にしないと…。」セルキス達に急激な力の流れが発生している。急がないと成らない。
「だぁあああ!!!このやろ!」ラスキドールは暴風を纏ったロードサーベリオンを加速させ背の翼に二つの竜巻を発生させる。「こいつで吹き飛べ!大暴風!」
一閃。その後暴風に切り刻まれながら空高く舞う紫と白銀のセルキス。しかし…「あっ…。」そこで大失敗を犯した事にラスキドールは気付く。左右に吹き飛ばしてしまったのだ。
かなり無茶な三角形が完成しそこに囲まれた空間が爆発する。「羊の次は牛かよっ!?」偶蹄目繋がりらしい。
「ミノケンタウロスカッ!?」ケンタウロスと言っても固有名詞ではなくその姿の形を表す形容詞を含む名詞だ。
意味は半人半獣。つまり半々の存在と言う事になる。因みに良く言われるケンタウロスは半人半獣の意味で呼ぶとヒッポ(馬)ケンタウロスとなる。
だがここに出てきた姿は全身が出て来るに従いケンタウロスの言葉自体が危なくなる姿だった。
ベレディケンは上半身の状態でそう断定したのだから間違いは無い。だがその姿は複数のケンタウロスのとても微妙な合いの子なのである。
下半身はドラコケンタウロス。尾はイクティオケンタウロスとそれだけなら良い。下半身の竜の鱗が鎧の様にイクティオ(魚)の尻尾と上半身のミノ(牛)に被さる。
端から真面な奴が出て来るとは思っては居ないがそれはやり過ぎでしょうと言いたくなるぐらい状況判断に優れている頭脳。ついでにそれにある程度付いて行ける体。
切り刻まれ破壊された2体のセルキスを両手に握ると後頭部に突き刺す。
地上に音も無く素早く飛び降りたトリケンタウロスはベレディケンから赤のセルキスを奪還する。最後のそれは甲羅の槍になる。「あちゃ〜…御免!ベレディケン!」
謝るラスキドールだが今更何を言うかという問題だ。相手が相手だけに迂闊な行動は命取りだ。後頭部のセルキスは新しい角として機能しているらしい。ついでに竜鎧で窒息すると思われたがそれも無い。
首筋には鰓まで有る。こう言うごちゃ混ぜ生物の例に漏れず空気中なら肺に空気を遅れる事請け合いの至れり尽くせりタイプに違いない。その目が光り攻撃を仕掛けて来る。
攻撃は外れた…と言うより明後日の歪みの中に炸裂している。元から眼中無しだったのであろうか?この存在は何処かの守護者だったらしい。この世界を軸に往来自由になった幾つかの世界。
そこの何処かからあの存在の居る世界に対して攻撃でも有ったのだろう。「無駄骨…か?」しかしそのトリケンタウロスを貫く物が有る。不気味な程に太い角?爪だろうか?胸部を貫かれ珍しく赤い血を流している。
地に膝を折り必死に立ち上がろうとするが膝が嗤って立つに立てない。裂け目から現れた者はそれ一つがデスザウラー級の大きさの手のみ。別の裂け目から頭部ともう一つの手が出て来る。
トリケンタウロスが2人の機体の方を見る。その目には「すまなかった。」と謝る様に見える。
何とかふらふらの状態で立ち上がり槍を別の形に変える。大弓だ。それに凄まじい数の光の矢を番えると連続して巨大な者に撃ち出す。
光の矢は確かにそれに突き刺さっている。だがそれを意に介する事無くその存在はデスザウラー級の拳でトリケンタウロスを殴った。
宙を舞うトリケンタウロス。更に追い撃ちの攻撃が行われる。見開いた巨大な目からの光線。
それはトリケンタウロスに衝突する寸前に横から放たれた2条の閃光に掻き消される。「目標は奴だ!奴の認証はバロールとでもしておけ!」
アービンの指示でツヴァイザーシュライエントが助けに入る。今は贅沢を言っていられない。借りれる手は何でも借りてこの状態を打破しなければ為らない。
バロールと勝手に命名されたそれはその名に恥じる事無く”邪眼”を開く。
「出撃するでありますよ!」素早く機体に乗り込み機体を起動させる。「おい!弾の方は何とかした!思いっ切りぶっ放してこい!」「了解であります!」その言葉に答えるファイン。
「出撃準備良し!出れるぞ!主よ!」その言葉の意味が解っていなさそうなベルウッドの声を聞き機体を外に出す。
「おう!忘れていたけどな。あの杖がレールガンを使えるって言うからこっちにはあれを装備して有る。残りのユニットがまだ出来てねえから出来たらそっちに遣す!覚えとけよ!」
整備班長が親指を立ててそう言う。「出撃であります!」ベルゼンラーヴェの親指を立てて見せると出撃する。
「こいつ!幾つ手を持ってんだよ!?」ラスキドールは19個目の手を潰して毒吐く。幾ら手を潰しても後から後からどんどん後続が発生する。ベレディケンとトリケンタウロス。
ツヴァイザーシュライエントの落した数を足すと…3桁まで後少しという無茶振りだ。その手がツヴァイザーシュライエントの回避不能な距離に迫る。「ESBストライクッ!」
空間を歪ませながらの蹴りがその手を星空に打ち上げる。新しい手が空間から現れた所から推測するに大気圏で燃え尽きたのだろう。その状態から上半身を撚り2挺の銃を一気に撃ち尽くす。
12発の弾丸は各々邪眼と両手を狙い飛ぶ。しかしカラミティシャドウの弾は邪眼を守る為に両手を頭部に被せた為4発が外れる。地面に炸裂し火の玉と消える弾丸。
タイガスの言葉に反応したハガネは一瞬ビクッと体を痙攣させた。が、タイガスは笑顔のまま頭をポリポリと掻きながらさらに言った。
「そんなワケ無いよな!そんな簡単に伝説の古代虎が手に入っていたら苦労は無いよ!」
「ほ…。」
レイズタイガーが古代虎の一体である事を見抜かれたと思ったハガネは正直焦っていたが、単なる冗談である事が分かるや否やほっと胸をなで下ろした。
「本当にタイガス君は伝説虎ってのが好きね〜…。まあ、旅の目的の一つがそれなんだからしょうがないけど…。」
「そりゃぁそうだろ!何てったって未知のゾイドを手に入れる事は男のロマンだからな!!」
「男のロマン…ね…。女の私にはイマイチわからん…。」
ラッキーの言葉に対するタイガスの自身あふれる解答に、マリンは理解出来ないと言わんばかりの
表情で眉を細めていた。と、そんな時、ルナリスが苦しそうな表情で一歩前に出たのだった。
「なあ、所で何時までこうしているつもりだ?もういい加減出発しないか?見ろ、チョコなんかもうドラグネスに乗り込んでるぞ…。」
ルナリスはドラグネスを指差しており、その方向を皆が見た時、確かにチョコは一人いつでも出発出来ると言わんばかりにドラグネスにちゃっかり乗り込んでいた。
「それじゃあ…私達も行くか…。」
「じゃあな…。また何処かで会えるといいな…。」
「また何処かで会いましょう…。」
こうして、皆はそれぞれのゾイドに乗り込み、ややタイガタウンから離れた後でタイガスとラッキー
の二人はマリン等と別れの挨拶をして、それぞれの道を歩んでいく…はずであった…。
なんと、突然彼女等目がけて空中から何かが降り注いで来たのだ。その事を誰が想像出来ただろうか。
「きゃぁ!!」
「うあぁ!!何だぁ!!?」
突然の出来事に6人は一斉に空を見上げた。その時、何と彼女等目がけて黒い爆弾の様な物が雨のように降り注いで来ていたのだ。
「うあああ!!」
「何じゃこりゃぁぁ!!」
カンウ等は一斉にそれぞれ散って、落下してきた爆弾を回避したのであるが、やはり何でいきなり爆弾が降ってきたのか、彼女等には全く意味が分からなかった。
「おいマリン!!お前のレーダーで事前にキャッチ出来なかったのか!!?」
「そんな事言われたって…カンウのレーダーには何の反応も無かったんだよ!!?」
「何の反応も無い?」
単純なレーダー性能で言えば、マグネッサー3Dレーダーを装備しているカンウが6機中最強なので
あるが、確かにマリンの言う通りレーダーには何の反応も示していなかった。彼女は慌てて
キーボードを叩き、レーダーについて様々な操作を行っていたが、やはり結果は同じだった。
「レーダーに反応しない…まさかステルス機か!!?」
ハガネは上を見上げ、自らの両目であるメインカメラを可能な限りズームした。ズームの倍率を
上げて行くにしたがって、それまで遠くて見えなかった物がメインカメラに映り込んできた。
ただ青い空が見えるだけだった物から、徐々に幾つもの黒い点々の様な物が見える様になり、
彼女がさらにズームの倍率を上げた時、彼女は爆撃の犯人を知り、かつレーダーに反応しなかった根拠を見つけたであった。
「ザバットだ!!ここから約数万メートルの高高度にザバットの群がいる!!」
「何ぃぃぃ!!!?」
ハガネの言葉に皆は一斉に叫んだ。確かにザバットであるならば、高いステルス性を持っている故に
レーダーにキャッチされる事も無く行動可能である。が、そのザバットが何故彼女等を爆撃したのかは全く分からないままである。
「一体何故…というか何処の団体が…んん!!?」
その時、カンウのレーダーが新たな機影をキャッチした。それは陸上を時速300キロの速度で
こちら目がけて疾走する1機と、その機体に高度100メートル位の低空飛行で追随している五機であった。
「また何か変なのがこっちに来るよ!!」
「何!!?」
マリンの声に反応し、皆がカンウが顔を向けていた方向を向いた。その時だった。地平線の彼方から、
陽炎によってゆらいで見える物の、確かに何かが接近してきているのが確認できたのだった。
「あ…あれは…。」
目視で相手を確認した皆は思わず声を上げていた。マリン達に向けて接近してくる何者かは地を疾走
する1機は陽炎によるゆらぎが強く、良く確認出来はしなかったが、空を飛行していた5機の確認は
可能であった。そして、空を飛ぶ5機は彼女等にとって見覚えのある機体だったのだ。
「ああ!!あれはいつぞやゾイテック本社を襲撃してたドラゴン型!!」
「デカルトドラゴン!!量産されたの!!?」
「え!?デカルトドラゴンって言うの!!?」
ハガネは“デカルトドラゴン”と言う名を聞くのは初めての事であり、一斉に名前を叫んでいたマリン達の方向を思わず向いていた。
「デカルトドラゴンが5機もいる…。これは手強いぜ…。いつぞやのマーライガー戦でドラゴスとか言う奴が乗ってた奴はかなり強かったからな…。」
「そうかな〜?」
タイガスの言葉通り、デカルトドラゴンに対して、強いと言うイメージを持っていたマリン達は
それが5機もいるという事実にうろたえていたが、ハガネとチョコにはこれと言った変化は見られ
なかった。この2人は既にゾイテック本社でデカルトドラゴンと戦い、結構楽勝的な勝利を飾って
いたのでそう強いと言うイメージは無かったのである。と、デカルトドラゴンに対してそう危機感を
持っていない様子のハガネであったが、残るもう1機に対しては目を細めながら疑問深そうな顔をしていた。
「しっかし…残るもう1機は何者だ?正直言ってあれは私の持ってるデータにも無い初めて見る機体だ…。」
「確かに…あのゾイドは初めて見るわね…。」
デカルトドラゴンよりやや先行する形で地を疾走していた1機。それは全身が黒く、分厚そうな装甲で身を包み、所々に地味に紅い所も見える虎型のゾイドだった。
「黒い虎型ゾイドと言う事は分かるが…。見た感じグレートセイバーってワケでも無いよな〜…。」
「ああ…確かにアレは違う…。と言うより、シルエットその物がセイバータイガーとは別物だよ…。」
皆は謎の黒い虎型ゾイドを疑問に思っていたが、一人チョコだけはその反応は違った。
>>恐怖の亀裂作者さん
邪神ってまだいたんですね・・・。
その一方でまた何か新たな別世界からの刺客(?)っぽい人が出て来ていますし。
>見た目3虎でコアはセイバータイガー等のデッドクローン機体が出て来るのでしょうか?将来的に…?
しかしセイバータイガーコアではあまり強くないでしょう・・・w
それに近い事は考えていましたが、やはりコピーコアを使用する事になりますね。
ただし、コア出力など、性能そのものはコピーできても、その深層に存在する本質までは
コピーする事はできないという事で考えていますが・・・。
「あー…エメット、援護は感謝するが…一つ頼みがある」
デス・メテオの連撃を受けて、ルガールは脇腹に裂傷を負って血が噴き出していた。だが、彼はそんな事を意にも介さず
平然とエメットに指示を出す。
「奴を倒すにはコアを潰すしかない…が、奴のコアの中には『人質』がいる。私が『人質』を救出するまで、
奴の動きを止めておいてくれ…お前ならできる。ただ、能力を使うのは危険だ」
リニアの能力の凄まじさは、共に戦ったルガールが一番良く知っている。無理矢理能力を使おうとすれば、
普通の人間なら発狂するかもしれない。
それでも正気を保っていられるエメットには感服するほか無いが、長くは続かないだろう。
ガンブラスターの全砲門が再び火を噴く。デス・メテオの四肢が撃ち抜かれるが、翼の浮力が倒れかけた巨体を支えた。
「ふん…まあいい、見せしめとしてやろう…能力が使えても、僕の前では――」
絶え間なく連射されるビームの嵐。だが、無数の穴を空けられながらデス・メテオはエメットに迫っていく。
「そんな! …被弾のダメージよりも、再生の方が速い!?」
デス・メテオが爪を振り上げた。
「――無力に過ぎないと言う事を」
次の瞬間、背後から突進したルガールのマグネーザーが、デス・メテオの背中を貫いて前へ伸びた。そのまま
高速回転するドリルを捩じ上げ、デス・メテオの上半身が真っ二つに割れた。
そしてルガールは叫ぶ。届くかは解らない――それでも、こうする以外に道は無い。
「目を覚ませ!『そいつ』の意思に打ち勝て! ――リニアッ!!」
デス・メテオのむき出しになったコアが、一際大きく鳴動した。
――まただ…また、私を呼ぶ声がする。
リニアは耳を澄ませた。低い男の人の声…でも、何だか暖かい気持ちがこみ上げてくる。
〔目を覚ませ!『そいつ』の意思に打ち勝て!〕
「そいつ」――誰だろう。そうだ、デス・メテオだ。
彼女の中を駆け巡る破壊への願望。だが、その奥に秘められた意思は決して曲がらない。
――私は、私以外の誰でもない――。
デス・メテオが絶叫した。威圧の為の咆哮ではなく、耳を劈くような戦慄に満ちた叫びだ。
そして同時に、蒼く輝くデス・メテオのコアから小さな光が飛び出した。――リニアだ。
「私の事、呼んでくれたよね」
「ああ。多少寝起きが悪かったが、よく眠るのは良い事だ」
二人の間は数百mの空間と、デス・メテオの身体が隔てている。だが彼らは互いの声が聞こえた。
通信機すら使っていない。精神レベルでの会話だ。
ルガールはまた笑った。すでにボロボロでありながら、冗談を織りまぜる事も忘れない。
「疲れただろう。大丈夫だったか? …アレックスの所に居てくれ。私はこれから少し――無茶をやる」
リニアは宙を滑る様に飛んで、アレックスの機体の上で静止した。
「…ねえ、約束して」
「何を?」
彼女の声から、哀願する様な響きが聞き取れた。
「絶対帰ってくるって――また、私をシートの後ろに乗せてくれる、って」
ルガールは帽子の縁を持ち上げ、親指を立ててみせた。
「ああ。きっと戻ってくる」
ルガールとの繋がりが切れると、リニアは能力者の力を解放した。宙に浮く彼女を中心としてオレンジ色の光輪が
広がって行き、能力者たちを縛っていた呪縛が――そして、エメットの頭痛も消えて行った。
「帰ってきてね、私のところに…」
再生するデス・メテオを見やりながら、リニアは呟いて地上へと降りた。
――必ず…必ず、帰ってきて……
「クソッ! よくも…僕の全てを奪いやがって!!」
マッドサンダーの周囲に、無数の何かが現れた。
「例の『ファン○ルもどき』かっ!」
「もう手加減は無用だ――死ね、ルガール!!」
星の数ほどもあるビーム砲から、一斉に放たれた火線がマッドサンダーに集中する。
だが、蚊ほどの隙間も無いビームの網は全て灰色の装甲に弾かれ、セディールは愕然とする。
「どうだ…これが、我が親友自慢の『レイディバイダー』だ…もっとも、今から死ぬお前には無用の知識だが…」
こんな時間にw
>>鉄獣28号氏
ブラストルの強さをどのように表現してくれるか楽しみでなりません。
デカルトは通常ワイツを追い詰めるほどの強さだったと言うのにもはや雑魚扱いw
>>恐怖の亀裂作者氏
「トリケンタウロス」が脳内変換で「鳥ケンタウロス」になってしまった…orz
足は鶏ですし上だけゴジュラスw
鉄獣28号さんへ
ハガネさんが戦ったデカルトとドラゴスさん搭乗のデカルト…かなり差が有るとしたら?
デカルトドラゴンはドラゴンタイプの類には稀に見る安定性のある機体かも!?必要スキルとかは無視しても…。
邪神系は唯一神教でない限り大抵主となる神々に使える神様が数多の様に居ます。名前も語られない方すら居る始末_| ̄|○
つまりはお前神かよっ!?と言うくらいの方が一杯居るそうです。
この状況なので色々と出て来たりしますが…今度の奴で妄想ストップです。
Inocent Worldの作者さんへ
言葉遊びも含まれるのでそう言うのが結構好きだったりします。
遂にラストバトルも佳境に!?遂にあの塗り薬な添加塗料?も本領発揮していますし。
そろそろ塗り塗りネタを考えて見ようかな〜とか思っていたり。
頭部邪眼に向かった弾丸はカラミティシャドウ2発とウェイブレイダーの6発。そこに2連ゼネバス砲が迫る。
二つの手は障壁を張りそれを防ごうとするがそこにパラスパラサウロンの砲撃とトリケンタウロスの光の矢が先に着弾し障壁を破る。
カラミティシャドウの弾丸2発が片手を焼却し残りの手も高機動誘導弾のウェイブレイダーの前には意味が無い。
更には頭部を移動させてない為2本のゼネバス砲が手毎邪眼を貫通。それを追って6発の弾丸がバロールの頭部内を暴れ回る。
しかしそれでもバロールは倒れない。「この頭部も…。」手がこれだけ有るなら頭部が無くなればと思い始めて警戒する。
バロールの口が開きそこに裂け目が現れるとそこには黒い影が立っている。唯判別できるのは邪眼と鹿顔。「モノペリュトーンだと!?」
何処まで知識が有るかは不明だがそう叫ぶベルウッドに機体を立ち上がらせたファインとアービンが同時に「「何か知っている事はっ!?」」と叫ぶ。
「そこ!耳元は五月蠅いぞ!しかも邪眼付きと成れば当然…お主等!直ぐ今居る場を離れよっ!」ほんの少し避けるだけで済んだ事だが元居た場所に穴が開いている。
そこから実体のない手が必死で何かを握ろうと齷齪している。その隙にモノペリュトーンは空へ舞い上がりこの戦場を周回し始める。「飛び居った!追うぞ!」「了解であります…ってうひゃあ!?」
他の機体は手を逃れていた理由が理解できる。フェイントだったらしくベルゼンラーヴェは全ての手に握られ身動きが執れなくなっていた。「なっ!?十字封剣っ!」方からそれが飛び立とうとする8本の十字封剣。
しかし見破られたらしく先にそれの射出を封じられる。「不覚!封剣を封じられるとは本末転倒も良い所よ。」実質は洒落で済む問題ではない。ひそひそ…ベルウッドはファインに耳打ちされる。悪巧みは直に思い付くらしい。
「良し…それで行こうか主よ!」
握り締めた実像の無い手は一斉に機体を締め上げ始める。更に空中からは邪眼より放たれる第3種閃光がそこに居る機体に降り注ぐ。回避する機敏さと第3種兵装を防ぐ手立ての無いツヴァイザーシュライエント。
内部機関に侵入した力でシステムの半分が落ちる。「呪い…科学万能の世界にそれを喰らうとはな。」アービンは状況が悪化しない内にシステムを全てカットする。ツヴァイザーシュライエントは動きを止めた。
思わぬ所で獲物が1つ動けなくなった事に気を良くしてモノペリュトーンは更なる攻撃を仕掛けようとする。
その為に高度を下げた時異変に気づいた。上空に巨大な虹色の網が張られその8つの先端に十字封剣が有る。
驚いても遅い。邪眼の閃光や実像の無い手の攻撃は相手が何もしていない時にのみ行っている。
先の集中攻撃の時それを避けられなかった事から推測するに周囲の攻撃行動を感知して防御と攻撃の行動を繰り返しているだけだったのだ。
避けれなかったのは攻撃のタイミングがバラバラだった為で一斉に打ち込んだ時にはそれを回避したりしていた。
トリケンタウロスが光の矢を番え連射し始めるとそれに従い回避運動を取り始める。上空の網は少しづつ下がって来るので逃げ場が少なくなる。
そして…ベルゼンラーヴェを握る手の拘束が弱まった。回避に気を取られて手を動かすのが疎かになったのだ。一気に機体を左右に振りその後上空に飛ぶ。
光の矢と虹の網に気を取られていたモノペリュトーンの力はベルゼンラーヴェを押さえ付ける程の力を維持出来なくなっていた。
同様にツヴァイザーシュライエントに対する呪いの効果も維持不全に成り絶ち消える。
「…こっちを無視して生きて居れると思ってるの?」竜巻がモノペリュトーンを捕らえる。ロードサーベリオンの攻撃。鎌鼬の混じった竜巻に切り刻まれ翼をもがれ角を切られる。
墜落したモノペリュトーンに対して一速く仕掛けられた攻撃はツヴァイザーシュライエントを覗く戦力全てからの一斉の踏み付け。一気に重要器官を践み抜かれそのまま動きを止める。
そこには恨めしそうにその機体達とトリケンタウロスを見上げる単眼の鹿の頭部のみが残る。「そいつは…頂き!」とベルゼンラーヴェが動くがそれよりも速くトリケンタウロスがそれを制する。
首を振るトリケンタウロス。喋りこそしないがかなりの知性が有るらしくその邪眼が危険だと指摘している様だ。「うむ…それなら仕方なかろう!無駄に仕入れた物が役に立つとは早々思えん。静止されるなら尚更だ!」
頭部のバルカン砲で邪眼を砕く。もっともらしい事を言っては居るが実は彼女も欲しがっていたりしたのは明白であろう。
トリケンタウロスは彼の世界とこの場の繋がりを砕いたらしくその瞬間に砂の像が崩れる様に崩壊する。それは端からここにそれは居なかったと主張するかの様だった…。
「ようようよう!其処な大妖怪ばばあ!この状態如何思う?」ラスキドールはベルウッドに物を聞いているらしい。
「ほう?猫っ子風情が妾に何用だ?猫耳のヘアバンドでもくれるのか?」挑発的な言葉でそれに答えようとしない。
「んん〜?そんな物が欲しいってか?ほらよっ!」持って居たらしい…。
「魅力的な餌が多いのだろう。この場より他の場の方がな。」断定的な結論だがそれ以外の可能性でしかこの場に腹異形や邪神が出て来る確立が少ない事を説明できない。
「舐められたものでありまがぁ!?」「五月蠅い!少し黙っておれ!」余りダメージが多いと困るからか契約時の元のサイズのアサガオライガーを頭上に落とすに留める。
「にゃ?」アサガオライガーはご主人様の顔を必死に舐める。遊んで貰いたいらしい。「あんな化け物共は放って置けでありますよ…良し良し。」
…現実逃避者1人発生。
「シカシ…ソウデアルナラ今マデノ戦力ハ説明ガツカンナ。」ベレディケンは空を見上げながら言う。この場程侵入が容易な空間は無いと考えているのだ。
「そうなると…やはりあの者の差し金かと言う事か?」名も知らぬ存在。マスターテリオンの姿で現れた正体不明の存在だ。しかしそれはそれで気に掛かる。
無駄な程の知識を持つベルウッド自身が影すら踏めぬ存在となると数その物が限られて来る。それなのにその名とその知識に靄が掛かった様になり知覚する事を阻止されている。
「…思い出せ!!!何か致命的な事を忘れておるのだ!妾は!」この数十年とその前の数千年で知り得た知識が警鐘を鳴らしている。ここまで不快な胸騒ぎは彼女も体験した事が無い。
突然頭の中に語り掛ける者。思い出そうとしている存在からだ。
「焦る事は無い…時が来れば巡り会う。それも直にだよ。その時まで悩むが良い。君等は閲覧禁止事項に触れているだけなのだよ。」声が消える。「閲覧…禁止事項!?如何言う意味だ!?」
募る不安は隠し様が無い。それに気付いてアサガオライガーを抱いたままファインは言う。「あれでありますね?あの■■■■■■?」聞こえない。今ファインは確かにその存在に関しての事を言った。
これがそれの言う”閲覧禁止事項”と言う事なのか?それを知ろうとすると耳にはノイズしか聞えずそれをもう一度聞こうとしても口が動かない。其れ処か目すら開けない。
一杯喰わされた事は確実だった…。
「あれは…。」
謎の黒い虎型ゾイドの姿を見た時、そう一言言うと同時にチョコの目は一瞬やや大きく見開いていた。
が、すぐに元の無表情に戻り、再び黙り込んでいた。と、その直後、5機のデカルトドラゴンが速度を上げ、こちらの方目がけて突っ込んできたのだ。
「来るぞ!!」
「ってやっぱり標的は俺等かよ!!」
「一体何が目的なのぉ!!?」
デカルトドラゴン隊の接近に対し、皆は一斉にそれぞれ前後左右に散った。が、デカルトドラゴンの
速度は既に音速に達しており、瞬く間に目と鼻の先にまで接近されたと思うと、その途端に5機が一斉にエレクトリックディスチャージャーを発射したのだ。
「うわったったぁ!!!?」
その落雷にも似た空中からの高電圧ビームの雨にマリン達は思わず悲鳴を上げながら慌てて逃げ出し
ていた。が、不思議な事にデカルトドラゴンのエレクトリックディスチャージャーの照準はカンウ、ハーデス、ドラグネスの3機にのみ向けられた物であり、ゼノン・トランサー・ティニィの3機に
対しては全くと言って良い程放置されたと言わんばかりの状況だった。と、そのように説明している
間にも、デカルトドラゴン隊のエレクトリックディスチャージャーはカンウ、ハーデス、ドラグネスの3機に対して落雷のごとく降り注ぎ、3機は慌てて逃げ回っていたが、やはりゼノン、トランサー、
ティニィの3機に対しては全く攻撃が行われておらず、無視されていると言う様な雰囲気ですらあった。
「何で私達には攻撃が来ないの?」
「何かこれはこれで無視されてるみたいで腹立つよな〜…。俺達は眼中に無しかよ…。」
「そんな事言ってる場合じゃないってきゃぁぁぁ!!!」
ハガネ達3人は、全く自分達を攻撃しないデカルトドラゴンに唖然としていたが、対照的に攻撃を受けているマリン達にとってはたまった物では無かった。
「と!とにかくアイツ等助けんと!!」
「ああ!!」
ハガネ等は慌てて操縦桿を前に倒し、空中からのデカルトドラゴンの攻撃に対して逃げ回るカンウ等を助けに入ろうとした。が、それを謎の黒い虎型ゾイドが妨害したのだった。
「お前等の相手はこの俺がやってやるよ!!ブラストルタイガーの力を見せてやるぜ!!」
謎の黒い虎型ゾイド=ブラストルタイガーに乗っていたのは紛れもなくブロイ=エベレスだった。
「ブラストルタイガーって言うのかそれは!!」
「ったく何か強そうだぜ畜生!!」
ブラストルタイガーとブロイから発せられる殺気にハガネとタイガス、ラッキーはうろたえていたが
すかさず攻撃態勢に移ろうとしていた。と、その時だった。トランサーとティニィの2機が突然白い閃光を放って光り出したのだ。
「おお!!これは…来た来たぁぁ!!!」
「何だ?」
突如として白く光り出したトランサーとティニィに対し、その光景を初めて見るハガネやブロイは
驚きを隠せない様子であったが、タイガスとラッキーはその後何が起こるか既に分かっていた。
その直後、ティニィの全身がバラバラになり、その各部がトランサーに装着される形で合体していき、
白き虎、ワイツタイガーとなったのである。無論ティニィに乗っていたラッキーはワイツタイガーの後部座席に移っている。
「コイツがWTが…。」
トランサーがワイツタイガーとなると同時に白い閃光は薄れ、目視で充分確認可能になった後でトランサーの姿を見たブロイは眉を細めていた。
「狼型のゾイドが虎型ゾイドになった…。」
トランサーの変わり様に驚いていたのはハガネも同様だった。特に彼女は今日初めてワイツタイガー
の姿を目の当たりにしたのである。と、その時トランサーがゼノンの方を向いたのだった。
『久方ぶりだな蒼の神よ…。』
『そうだな白の神よ…。』
「ええ!!?」
「あれぇ!!?」
「何何!!?」
突然2機のコアから響き渡った低い声にハガネ、タイガス、ラッキーは驚いていた。なんと、ゼノン
の中に秘められた“蒼の神”と名乗る謎の存在と、トランサーの中に秘められた“白の神”と名乗る謎の存在とが会話していたのだ。
『それにしても驚いたぞ白の神よ。まさかお前が狼型とモモンガ型の2体に別れていたとはな…。』
『あまり気にするな蒼の神よ…。これは人間どもが勝手にやった事だ。それはそうとして、お前も変わったな。そのような人形をパートナーに選ぶとは…。』
『パートナーについてはお前も人の事は言えまい。お前とてそのような青二才を選んでいるではないか…。』
『ハッハッハ!確かにそれはそうだな!』
蒼の神と白の神は会話の後、共に笑い出していたが、その場の空気を読めていない様な態度に皆は唖然としていた。
「何か妙になじんでるんだが…。と言うかトランサーとハガネのゾイドって知り合いだったのか?」
「と言うか青二才とか言われちゃった…。」
「私なんか人形だぞ…。いや、別に間違っちゃいないし、今までにも何度も人形と呼ばれたが…。」
と、このようにゼノンとトランサーの内に秘められた二人の神の会話に対し、ハガネ等は眉を細めて
いた。が、その直後、すぐさまゼノンとトランサーの2機はブラストルタイガーの方へ向いたのだった。
『しかし、ここで紅の神とも出会えるとは思わなかったな…。久しぶりだな紅の神よ…。』
『数千年ぶりに三虎神が一同にそろったという事か…。』
二人の虎神はブラストルタイガーに対して呼び掛けている様子であったが、ブラストルタイガーは全くの無反応であった。
『ん?どうした?何故返事しないのだ?紅の神よ…。』
『一体どうしたと言うのだ?』
相も変わらず無反応のブラストルタイガーに白と蒼の神は戸惑いを隠せない様子であった。と、その時ハガネが蒼の神に問い掛けてきたのだった。
「紅の神って!?まさかあのブラストルなんとかも伝説虎なの!!?」
『ウム!確かにその通りだ。確かにコアから放たれる波動で奴が紅の神であると分かるのだが…。』
と、その時だった。今度はタイガスが叫んだのだ。
「伝説虎ぁ!!?って事は何か!!?まさかトランサーも…。」
『お前…。まさか今まで気付いていなかったのか?』
「え…。」
白の神にツッコミを入れられたタイガスは思わず黙り込んでしまった。と、思ったのもつかの間、彼は再び叫びだしたのだ。
「いやったぁぁぁぁ!!!!じゃあ俺はついに念願の伝説虎を手に入れたんだぁぁぁぁ!!!」
『オイオイ…。』
子供の様に喜ぶタイガスの余りの喜び様に、流石の白の神も眉を細目ながら唖然としていた。
と、その時だった。ブラストルタイガーの漆黒の装甲が展開し、その内部に備え付けられた各部の
砲口からレーザーや衝撃砲がゼノンとトランサー目がけて発射されたのだった。
「お前達何をゴチャゴチャ抜かしているんだぁ!!?」
「そうだった!!今は戦闘中だったんだ…。」
>>恐怖の亀裂作者さん
呪いと言うのが来ましたね。
トリケンタウルスはこちらとあちらの繋がりを壊した様ですが、
これで異界からの侵略は一時的にでも無くなるのでしょうか?
ネコミミヘアバンドとかのくだりは面白かったのですが・・。
>ハガネさんが戦ったデカルトとドラゴスさん搭乗のデカルト…かなり差が有るとしたら?
一応双方に性能の差は特にありません。ほぼ同等と言う感じです。ハガネの戦ったデカルトが
弱く感じたのはそれだけレイズタイガーやハガネが強すぎたのだから強く感じられなかった。
と、そう言う事です。まあ、パイロットの実力と精神リンクによる+αの性能に関しては
ドラゴス>>他のパイロットと言う事にしていますが・・・。
>>Inocent World作者さん
リニアさん救出でデスメテオ大幅戦力ダウンかー!?と言うよりも
エメットさん強すぎ!ルガールさんの精神的な強さも感服する物です。
現実の方では再逮捕されたとある人がモデルになっている人からもらった
物が久々に役に立っている様子ですし。
>デカルトは通常ワイツを追い詰めるほどの強さだったと言うのにもはや雑魚扱いw
デカルトは古代虎と違って特殊な機体では無いので、(三虎よりかは)容易に量産が出来ると思うのですよ。
そうなれば流石に・・・ですね。ただし、今後ある程度のフォローはなされる予定です。
あと、本作ではさり気なくデカルト対ワイツって行われていなかったりします。
「ほざくな…僕の能力を忘れたか?」
デス・メテオの前に小さな空間の裂け目ができた。アレックスの目が大きく見開かれる。
「あれは…コックピット内にワープする攻撃!? ルガールさんっ!!」
「大丈夫、私がやらせない」
アレックスが振り返ると、リニアの突き上げた腕から蒼い閃光が迸る所だった。同時に、デス・メテオが開けた
空間の裂け目が閉じていき、消滅していく。
「リニア!! ――本気で僕の邪魔をするのか!!?」
能力を封じられ、怒りを露にするセディールの視線をリニアは感じた。が、臆する事無く明瞭に答える。
「…力に狂ったあなたを、もう兄とは思わない。あなたは私達の――敵よ」
決定的な断絶が、この時二人の間に流れた。呆然と固まるセディールであったが、次の瞬間襲ってきた衝撃に振り返った。
本来の力を解き放たれた能力者たち、恐怖を振り切った非能力者達がデス・メテオを取り囲んで砲撃を始めたのだ。
「今なら…! みんな、コアを狙うんだ!!」
エメットの精密射撃を筆頭に、数知れぬ砲撃の雨がセディールの頭上に降り注ぐ。その殆どはナノマシンに分解されて
デス・メテオに届かないが、そちらに気を取られた隙に背後からルガールが迫っていた。
「――ッ!?」
マグネーザーの重い一撃。モーフィングする間もなくデス・メテオの左腕が飛び、反撃しようと振り上げた右腕も
ビームキャノンの連撃に風穴を開けられる。
一秒と掛からず再生する両腕。しかし、セディールの精神は確実に消耗していた。
「全て僕の思い通りに行かない…何故だ? これほどの力を手にして、実現できない事なんて無い筈なのに…」
デス・メテオの周囲にある建物やゾイドの残骸が、細かな塵となって消え始めた。
「うわッ! アイツ…何しやがった!?」
「――月○蝶か!?」
エメット達は急ぎ、徐々に広がっていく破壊の輪から離れる。その渦中に残されたルガールも、
マッドサンダーの装甲が削られて行くのを感じた。
「…ナノマシンで手当たり次第に分解を始めたか。で、どうする? 『木星圏まで埋葬』するか?」
デス・メテオが翼を広げた。
「随分余裕だねぇ…このままじゃ、アンタの大切なお友達が粉になっちゃうんだけど?」
ルガールは身じろぎもせず答えた。その視線はセディールよりも遠くを見ている。
「どうやら、その心配は無いようだ」
「何だと――あの機体は何だ?」
デス・メテオの後方、Eシールドを張ってナノマシンに耐えているのは一機のゴジュラスギガだった。
特徴的なカラーリングは見間違えるはずも無い。
「偉そうな説教してくれた割には、苦戦してるみたいだな」
「フン、放っとけ」
オレーグ・カーティスは一通り笑った後、ギガの口を大きく開いた。すぐに白い光が集束し始める。
「馬鹿が! 荷電粒子砲なんかで、ナノマシンの壁を通過できるとでも――」
「いや〜? 俺はただ、さっきそこのオッサンから届いたレーザー通信の通りにやってるだけさ。
『荷電粒子砲を最大出力で拡散放射しろ』――って、な」
そしてその言葉どおり、拡散した荷電粒子砲は瞬く間に見えなくなった。だが、暫くするとオレーグも
エメットも、あることに気が付いた。
「これ、何か降ってるな…雪? いや、埃かな?」
空気中から、煌く粉のようなものが降ってきていた。さらに、ナノマシンによる分解が止まっている。
「マグネーザーの磁場でナノマシンを機能不全に追い込めるのならば――」
デス・メテオの翼が、刃物のように尖った装甲が、銀色の砂となって崩れ落ちていく。
「――荷電粒子砲の拡散放射により発生する強力な磁場で、機能を完全に止める事が出来る」
「こ…の…!!」
ルガールは勝ち誇った顔もせず、あくまで無表情に事実を突きつけた。
「これで、その機体を守る力の全てが消えたわけだな? 貴様とゾーハルの能力はリニアが封じ、
ナノマシンもたった今停止した…」
「チャンスだ! みんな、デス・メテオに集中砲火を――」
叫びかけたエメットを、ルガールが手振りで制した。
「ここでエメットが蜂の巣にしてやっても良いのだろうが、それでは私の任務が果たせん…
――さあ、付加能力なしでの殴り合いだ…来い、セディール!」
もうすぐ感動?の最終決戦。この話は書いてて楽しかったなァ…
>>鉄獣28号氏
白の神的には「『手に入れた』? 自惚れるな青二才がァ!」な
心境なのかもしれませんが>176の下から7行目
3虎の中では個人的にブラストルが一番好きです。装甲の中にカラ○ティもビックリの重武装が詰まっている所とかw
>>恐怖の亀裂作者氏
…>現実逃避者一人発生。
の一行でまたしてもツボにヒット!w
「邪眼」を某奪還屋のアレと間違える辺り自分も末期症状か(||゚ー゚)ザー
鉄獣28号さんへ
>いやったぁぁぁぁ!!!!じゃあ俺はついに念願の伝説虎を手に入れたんだぁぁぁぁ!!!
これは真逆…CV〇山さん!?この後白のコアを使って宇宙を震撼させる大戦争のの幕を開いたりとか…。
この台詞が如何見ても〇〇〇エル代表っぽくて_| ̄|●
トリさんと戦っていた者と彼本人?の世界の繋がりが無くなったので二つの場所から何かが来るのが止まります。
他の所は…最近ちょっかいを出してる”あの存在”の思うがままです。ちょっかいを出したくなったら…と言う事で。
Inocent Worldの作者さんへ
遂にど付き合いに収束!何方が強いか?格闘戦はセンスが無いと出来ないのでもしかして?
>某奪還屋
雷帝とセットですか?俺に見せられない物は無い!と。邪眼と言っても色々種類がありますしね。
動物を信用させたり幻を見せたり呪ったり光を発射したり相手を石化させたりと色々。お好みはどれ?w
更にベルウッドは不審な点に気付く。今ファインは閲覧禁止事項である筈の”あの■■■■■■?”と言った事だ。
自分に隠さなければ為らない事ならファインの方にもそれが適応されていてもおかしくは無い。と言うよりその方が面倒が掛からずに済む。
しかしその事も深く考える余裕がベルウッドには無い。今はそれの言う閲覧禁止の理由を考える事で精一杯だった。
一時的な措置で格納庫として扱っている通路の端。ノワールは唯じっと内部が破損した黒蓮を見詰めている。安易な力に頼った結果がこれとは寂しすぎる。
「気にしてるのかい?それは如何しようもねえな。奴に真っ向から力業でいったんだろ?」整備班長はノワールを見付けてそう話し掛ける。「ああ…。」そう頷く。
「馬鹿正直な奴だ。お前さんの戦闘スタイルはデュエリスト(決闘者)って奴だな。それじゃああいつに勝てないのも無理は無いって事よ!」整備班長は言う。
それに興味を持った様で顔を上げるノワールにこう言う。「奴は生まれ持ってのヒーロースタイルってタイプだ。得の無い戦闘に秀でているんだよ。」
整備班長が言うには一対多での足止めやらを良くしていた事から長期戦に秀で少ない消費と被害で相手を撃破する事を続けた結果そう言うタイプになったと言う。
それに元からそう言う行動が何方かと言うと得意だったそうだ。
「まあ気にするな。そう言うのは極稀な一種の才能って奴だ。天然には勝てんかもしれんが気を付ければ天才やら秀才に対しては抗える様になる。気楽に行くんだな。修理は任せておけよ!」
ノワールは気を取り直して周囲を見回す。すると長大な火器が目に入る。始めはそれが長過ぎて火器だとは気付かなかった程だ。「此奴か?これは外付けの収束荷電粒子砲だ。」
それはベルゼンラーヴェ用のフレキシブルウェポンドライバーに中折れ式でしまわれている。「試運転は上々だったぜ?本体のエネルギーバイパスに繋げばかなりの距離を飛ぶしな。」
それの他にも丁度腹部に収まるぐらいの物も有る。これは飛距離を重視した拡散荷電粒子砲で雑魚の掃除用と言う事らしかった。「あんだけエネルギーが余ってるんだからこれ位積んでも大丈夫だろうなって?」
確証は持てないらしいが「実戦は最大のテスト場。家等の機体は殆ど打っ付け本番だ。と言うよりそれで無いとこの規模の部隊でこんな事為てないだろうよ!」
「本当か?そんな危ない事を当然の様に為ていたのか…なら説明もつく。」ノワールは実戦経験の差を理解する。
テスト機で実戦にほいほい投入されて居れば嫌でも不測の事態に陥りそれを繰り返していく事でそう言う時の対応を無理矢理覚えていく。
この方法なら1回の戦闘で得られる戦闘経験は普通に訓練しそのままその機体に乗るのと比べて遙に価値の有る物と為るのは当たり前だろう。
「まあ…偶々機体自体動かなくて機体を乗り捨てて逃げる何て事も有ったみたいだけどな…。」有り得ない。彼の生まれた時代ではそんな事は聞いた事も無かった。
「…これで良し。後は機を見計らってここを爆破するだけだ。」作業の時間が他の者に比べてかなり有ったグウェインは地下水脈のとある場所に爆薬を適度にセットし終わった。
長大なルナルティアマットの腹部のエアロックから潜水服を脱いで機体内へ入りコクピットに戻る。「迷惑を掛けたな。ご苦労さん。」そう言ってコクピットのパネルを撫でると小さな声で嬉しそうに鳴く。
機体サイズに対しての声なので結構大きいが周りが水なので緩い振動程度にしか成らない。水圧が高い為空気が粘つく感じがするのは錯覚だろうか?
そうでは無い。自分の後方に何者かが近付いて来て居る。振り返らずに銃を向けると…「よせって!冗談だってばっ!」機体が長いので監視システムが行き届かなかったのだろうか?
湖上で出逢ったジャンク屋の男が乗っていたのだ。
「やっぱり最新型は違うねぇ〜。この降ろしたての機械おオイルの臭い。っとと!?苦情なら機体の方に言ってくれよ?此奴が入れてくれたんだから…さ?」ジャンク屋の男は言う。「そうか。」それっきりこの話題は打ち切られる。
グウェインは彼を気にする余裕が余り無い。彼が無事という事を踏まえれば無視しても問題無いと判断したのだ。ジャンク屋と言う事から修理等も手伝ってくれると言い出しているので居ても無駄にはならないだろう。
「そうだ!あんたには名乗ってなかったな。俺はロバート。ロバート=ウェインだ。」それに「私はグウェイン=ガストガル。宜しく頼む。」ジャンク屋とエースパイロット。おかしなコンビがここにもまた生まれる。「何か来たぜ…。」
ロバートはそう言う。実際にレーダーには何も映らなかったが直に光点が大量に発生する。「嫌な空気がするんだよ。」ロバートはそう言い放った。
ブロイは会話が終わるまで大人しく待っていてくれるような甘い男では無かった。彼は、昔から
幾多の戦闘をこなして来ていた。それ故に彼は戦闘の厳しさをと問答無用さを骨身に染みる程理解していたのだ。
『一体どうしたというのだ?紅の神よ…。なぜ我々に攻撃を仕掛ける…。』
「んな事はわかんねーよ!!ただ言える事はここで戦わないと俺達はまとめてあの世行きって事だ!!」
タイガスはブラストルタイガーの砲撃をかわしながらもエレクトロンハイパーキャノンの引き金を
引き、エレクトロンハイパーキャノンを発射した。機関銃のように高速連射された高圧電流弾がブラストルタイガー目がけて空を斬るのであるが…。
「甘いぜ青二才…。」
なんとブロイは顔色一つ変えずにその砲撃を巧みにかわしていたのだ。しかも、ただかわすだけでは
無く、かわしながらも砲撃を返すという芸当まで行っていたのだ。その砲撃も回避行動を行いながら発射したのにも関わらず、正確にトランサーを狙っていた。
「うわぁ!!こりゃ強ええぞ!!」
『当然だ。奴は我と同じ虎神なのだ。だが、その攻撃に紅の神の意志が感じられないのはなぜだろうか…。』
「でも、あれに乗ってるパイロットの腕も相当な物だと思わない!!?」
トランサーはどうにかかわしていたが、ワイツタイガーとなり、機体ポテンシャルが格段に
跳ね上がったトランサーですら“どうにか”かわすのが精一杯だったと言う事実に、タイガスと
ラッキーは驚きを隠せない様子だった。白の神の方は彼が紅の神と呼ぶブラストルタイガーが何故こちらへ攻撃を仕掛けるのであるのか不可解に思っていた様子であるが…。
「伝説虎のパイロットとなっているのであるから、相当な猛者であろうと思っていたが…やはり若いなお前達は…。俺の見立てが間違っていたのか…。」
ブラストルタイガーで攻撃を続けながらもブロイは困った顔をしていた。相手が同じ伝説虎である
ならば、一進一退かつゾクゾクするような戦いが楽しめるはずであると彼は考えていたのだ。
が、トランサーにせよゼノンにせよ、戦うのを楽しみにしていた相手は彼の想像を遥かに下回る強さであったのだ。
「特にあのRTがダメだ!!まるで素人同然じゃねーか!!」
確かに彼の言う通りだった。ゼノンはまるで動きがぎくしゃくしており、ブラストルタイガーの
砲撃の直撃を受けまくっていたのだ。もっとも、集光パネルがレーザーを吸収していたおかげでダメージはほとんど受けてはいなかったが…。
「ったくあんな素人にRTを任すとは…ゾイテックの連中は何を考えているのだ?」
「う…うるへ〜…。二日酔いさえ無ければお前ごとき…。うっぷ!!」
『お前本当に人形か?』
ゼノンの動きがぎくしゃくしていた原因はハガネにあった。彼女は今だに二日酔いに苦しみ、
激しい動きを行おうとする度に吐き気をもよおしていたのだ。彼女の余りの苦しみ様は、浮き世に
興味は無いと常々言っている蒼の神ですら思わずツッコミを入れてしまう程であった。それにしても、
本当にコイツはロボットなのだろうか…。話は変わって、二日酔いと言えば、タイガスもそうなって
いたのであるが、彼に関して言えば、念願の伝説虎とまみえる事が出来たと言う興奮により、すっかり治っていたりする。
「ほらほらぁ!!どうしたRT!!悔しかったら攻撃し返して見ろよ!!」
「うっぷ!ぢくじょ〜…。こんな事なら酔い止めの薬を買っておくんだったぁ〜…。」
『しっかりしろ人形よ!!敵は容赦はしてくれはしないぞ!!』
二日酔いによる苦痛のせいでハガネのコンピューターの思考速度は格段に低下し、身体の各部駆動に
関しても障害が起こっていた。そのせいで彼女は本来の実力が発揮できず、ブラストルタイガーの
攻撃の前に手も足も出ない状況であったのだ。ただ、彼女の名誉の為に言ってみれば、彼女がいつも
通りの実力を発揮する事が出来るのであるならばブロイなど敵ではないと言える。なぜなら、
ブロイも確かに年期を重ねた戦いのベテランであろうが、そう言う意味ならばハガネの方が遥かに
上であると言えるし、その昔の大戦時代にも、ブロイ以上のパイロットは腐る程見て来たのである。
「ちくじょう!!お前ごとき…。」
二日酔いに苦しみ、朦朧とする意識の中でもハガネは必死に操縦桿を握りしめた。ゼノンはその操縦
にしたがってブラストルタイガーへ向けて突撃を掛けるがその動きはやはり鈍く、そしてぎくしゃく
していた。ハガネのコンピューターとゼノンのコアのリンクが上手く行っていないのである。
無論そのような動きではブラストルタイガーの動きをとられる事など出来ずはずもなく、ゼノンは逆に爪を叩きつけられて吹っ飛ばされてしまった。
「ったく二日酔いだと?もっと上手い言い訳の理由は思い付かんのか?」
「言い訳じゃないぞ〜…。本当だぞ〜…。万全の状態ならお前ごとき…。うっぷ!」
「は!口だけなら何とでも言えるぜ!!」
その直後、ブラストルタイガーの右前足が倒れ込んでいたゼノンの腹部を蹴り上げ、そのまま100メートルくらい吹っ飛ばしたのだった。
「ぐっはぁぁ!!何っつーパワーじゃ…。」
助走も何もない。ただ右前足で蹴り上げたというだけの攻撃でゼノンを大きく吹っ飛ばすと言う
ブラストルタイガーのパワーにハガネは驚愕していた。が、ブラストルタイガーは攻撃の手を
ゆるめる事もなく、倒れ込んだゼノンの横っ腹を左前足で思い切り踏み付け、さらにそのままグイッと押しつけたのだ。
「なあに…コアだけは壊さないようにするから安心しろ…フッフッフ…。」
「ちくじょう…二日酔いにさえなっていなければこんな奴…うっぷ!!」
ゼノンの中でハガネはまたもや吐きそうになっていた。一方ブラストルタイガーは左前足でゼノンを押さえつけながらも、同時に右前足を軽く上げ、点にかざしていた。
「さあて…何処からバラしてやろうかな?フッフッフ…。」
ハガネをあざ笑うブロイの操縦に従い、ブラストルタイガーのサーミックストライククローがゼノン目がけて叩きつけようとした。が、その時だった。
「俺の事忘れんなよぉ!!」
トランサーが猛烈な速度でブラストルタイガー目がけて突っ込みを掛けてきたのだ。
さらにブラストルタイガーの側面を横滑りする事によってブラストルタイガーの背後を取ると、そのまま一気に爪を叩きつけようとしたのだ。
「これで一撃必殺だぁ!!」
『紅の神よ…本来の目的を思い出せ!』
トランサーの爪はブラストルタイガーの眼前にまで迫ってきていた。が、それであるにも関わらず、ブロイには戸惑いの表情は無かった。
>>恐怖の亀裂作者さん
ジャンク屋キタァァァァ!!!
デュエリストって単語は噴きました。
それと、いやったぁぁぁ(以下略)のセリフが妙に坪に入った様子ですね。
何か結構予想外の反応・・・
>>Inocent World作者さん
月○蝶もどきとか色々ありましたけど、紫ギガの人が助っ人する所は燃えました。
今のセディールを見ていると、何か力はあっても人々の信望を得られなかった故に・・・
と言う事が感じられ、少し哀れに思えてきました。
こんな奴でも本当は1人が寂しいのでは無いかと思ったりとか
鉄獣28号さんへ
いやったぁぁぁ(以下略)はこれから続編をやるここでは人気が無いと言うか比べると荒れるG種に出演した方です。
その喜びようがAAで一時期到る所に張られていたアズラ〇〇氏の台詞を略一緒だったので過剰反応してしまいました。
二日酔いするとは流石高性能!作った方の趣味が伺えそうで良いですねぇ。
某カードゲームでその言葉が一般的に為りましたね。
でもネタとしてはもっとぶっ飛んだ方のそれです。胸のバラが散ると負けな奴等です。
「ついでに中にもいるぜ!そいつは任せなって。外の方を頼むぜ!」ロバートはそう言ってコクピットを出て行く。
「機体の中にまで!?そうなら余り動くのは得策では無いな…。」相手の出現パターンから考えるとその内ここにも出て来る筈と時代の掛かった獲物を取り出す。
通路内では既に戦闘が始まっている。「何だぁ?此奴半分サイボーグじゃないか?それなら!」ロバートが相手の目の前を走り抜ける。
その後少し経つと機械の部分が崩壊。その場に倒れる。「何方かというと解体屋なんでね〜その程度なら朝飯前だぜ!お前等に恨みは無いが生きてない奴に手加減は出来ないよ?」
「ったく!機械入りのゾンビ何て気味の悪い物を…一体誰がこんな趣味の悪い物を作れるんだ?」ロバートはそう言ってはいるが大体見当が付く。
パーツと体の寿命の差と言う奴だ。体の方はそれ専用に作られたパーツと比べると流石に勝て無い。老化や病気等に敵わない。
ついでに拒否反応抑制と免疫低下を同時にクリアしなければ為らないとなればそうそう出来得る物では無い。それを付けているのだろうから機械のパーツだけが勝手に動いている様に見えた。
「残念賞〜。そいつは間違いだ!これは俺が其奴等の死体に付けたもんだぜ〜。」
奥に人為らざる影。ロバートは大体見当が付く。議長と同じタイプの存在だ。しかし違いは明白で此奴は下衆だ。比べるのも失礼なレベルの存在だとロバートは思う。
「何だぁ?その汚物でも見る目は〜!まあ良いどうだい?君はここに要る奴等みたいに為りたいかね?それとも後ろに居る者様に為りたいかね?」その影がそこを退くと通路に大きな影が出て来る。
それを見てロバートは「御免だね!それよりも…如何潰されたい?さっきの奴等みたいに解体されるかい?それとも…潰されるかい?」似た言葉で逆にリクエストを聞く。
「やれいっ!レッサーデーモン!」大きな影は4つの腕を振り回しロバートに襲いかかる。「っ!?本当かよっ!?何か最近この辺で化け物とか悪魔とかを見たって言う奴が多いけど本当だったのか!?」
しかし解体道具をしまい腰を落とし身構える。「はぁ!」近付いてくるレッサーデーモンに首切り投げを決めるとそのまま目の前のサイボーグマッドサイエンティストに蹴りを喰らわす。「先ずはてめぇからだ!」
首を打ちつけレッサーデーモンは気を失っている今がチャンスだ。
「ぬおっ!?この距離は!?」そのまま蹴りが連続してサイボーグマッドサイエンティストに決まる。
「こう見えても鉄魂道(当て字)にはまっててな!蹴りには少しばかりうるさいんだよ!」蹴り蹴り蹴り蹴り…終わる事無く繋がる蹴り。
回し蹴りから後ろ回し蹴りと無茶な物もあるがそれも流れる様に装甲板で包まれたボディにヒットする。
普通なら装甲板に包まれた相手に蹴りをくれる者は居ない。しかしロバートはジャンク屋の目でその姿を見て一早く数少ない欠陥。設計ミスを見付けているのだ。
「何とぉぉぉぉ〜〜っ!?」蹴りの連舞が終了すると同時に上半身と下半身が軋みを上げて腰の部分が砕ける。「悪ぃな?そんなスカスカな腰じゃ蹴ってくれって言わんばかりでな。」
目を覚まし動き出そうとするレッサーデーモンに蹴りを入れもう一度気絶させる。如何見てもここらに住んでいる筈のない生き物。悪魔と言っても誰も文句は言わないだろう。
「此奴を連れてとっとと帰りやがれ!殺しは好きでないんでな。」レッサーデーモンを蹴り飛ばしサイボーグマッドサイエンティストに打つける。
「お主〜!儂の上半身と下半身を分断しといて無茶な事を言うなぁぁぁぁ〜っ!」「おっと…忘れてた忘れてた。」ロバートは七つ道具を取り出すと腰の下に如何にもな多足脚部をつける。
「儂は〇ェイムズン教授か〜〜っ!!!」風化して久しい昔の映画のネタを堂々と言うサイボーグマッドサイエンティストにロバートは言う。「ついでにこっちの自動操縦だから無理すると死んじまうぞ〜?」
「お〜の〜れ〜…。」声が遠のく。「もう来るなよ〜!!!」ロバートは彼等が侵入してきたらしい場所まで付いて行きそこに有る潜航艇にガラクタを含めて全てを押し込んで叩き出す。
「こっちは掃除が済んだぜ…。」そこまで言うともう一つの可能性を思い出してロバートはコクピットに向かい駈け出した…。
「ちぃ!」それが放つ攻撃を”物干し竿”で払う。刀剣の一種で余りにも長い刀身からそう呼ばれる物である。普通と違うのは刀剣の一種ではあるがそれが鍛え上げられた複数のパーツを機械的に組み上げて有る物。
特注品の刀剣を使用した複合連結型の刀であると言う事だ。コクピットは元々艦船型として建造された為広いスペースと複数の座席が有る。
それ等を駆使して歪む空間から突然襲ってくる物を捌くのが今の所精一杯のグウェインだった。
歪みが複数現れ攻撃が行われる。今回は今までの物とは違いそこより人影が切り付けて来てそのまま別の歪みに逃げ込む。
それを繰り返してくる。「相手は…2人以上か!?」だんだん攻撃のペースが速くなり背中に致命的な隙が生まれる。
当然の様にそこ目掛けて歪みより飛び出て襲う者がまた1人。その目には勝利への確信に充ちた愉悦が垣間見られる。
「ちょ〜っとまったぁああ〜っ!!!」そのロバートの声と共にスパナがその者の側頭部に正確に命中していた…。
その勝利への確信を表情に浮べたまま倒れる者。覆面が剥げ見える顔は普通の男の顔。…と言っても軍人の者だが。
「情けない…数人掛かりでまだ終わらんのか?」黒装束に髭面な男が歪みから出て来る。「グウェイン=ガストガル。故は貴公に無いだろうが消えてもらう。」
その男は斬馬刀を振りかざしグウェインを襲う。この時この場にノワール等の一部の者が居たとすれば彼がベンハルトである事に気付いた事だろう。
有り得ない速度で迫る斬馬刀の一撃を物干し竿で弾くグウェイン。残りの雑魚はロバートを取り囲む。
斬馬刀には刀身に膨らみが多数有り振り抜くそれを避けた時にグウェインは驚異の速度の秘密を知る。膨らみに有る穴より空気の流れる音。
刀身内部に細工が有りそれで速度を上げている様だ。爆発的な加速はロケットブースターの様でもありそれを握っている本人も見る限りかなりの使い手だろう。
グウェインがこう分析して斬撃を放っている間ベンハルトもグウェインの余りにも鋭い剣撃に戸惑う。腕力と斬撃の鋭さそれに刀身に内蔵されたファントムスラスター。
それで加速された重い一撃を多少の難有れそれを捌いている。「これは長引くかもしれん…。」お互い長期戦を意識した戦法に代わる。
「へぇ〜…その他多数の皆さんは俺の相手をしてくれるって?嬉しいのは山々なんだけどね…面倒なのは嫌いなのよ。」そう言うロバートに「吐かせっ!一斉に掛かれっ!」
覆面達が一斉に手に取った武器でロバートを襲う。それ等を躱したりスパナや七つ道具で打ち払う。「おいおい…冗談だろ?ジャンク屋相手にプロがその程度で良いのか?」
実際にそうなのである。親玉らしき男はともかくここに居る残り多数は彼から見ても雑魚である。一斉に来いよ?おらぁ!!!なポーズで挑発する。
誘いに乗ってしまう者達。「来た来た来たぁ〜!!!喰らえ!」
「やはり若いな…。」
その時、真に信じがたい事が起こった。回避不可能と思われた超高速のトランサーのクローアタック
をブラストルタイガーがかわしたのだ。しかも、身体をやや横に傾けるだけの動作で…。
「な!!そんな馬鹿な…。」
「は〜…WTに乗る奴は青二才な若造…。RTに乗るのは自分の無力さを二日酔いのせいにする素人…ったくもっと俺を楽しませてくれよ…。」
ブロイは本当に空しいと言う感じの困った表情をしながら首を左右に振っていた。
「畜生…ああしている間にも奴にはスキが感じられない…。万事休すか…?」
ブラストルタイガーに押さえつけられて身動きがとれないハガネとゼノン、そしてブロイから
発せられる殺気に気圧されていたタイガスは思い切りうろたえていた。と、その時ブロイはハガネとタイガスの両方へ向けて通信を送ったのだった。
「WTとRTのパイロットよ!聞こえるか?」
「な?何?」
「死にたくなければ今すぐ脱出するのだな。俺達の目標はあくまでRTとWTの持つコアであって
お前等には用は無い。まあ、このまま殺してしまっても良いのだがね?かと言って本当に殺したら
色々な事後処理とかでスポンサーに迷惑がかかりそうだしな…。とにかくお前達はまだ若い。
死にたくなければ今すぐにRTとWTを放棄して脱出するんだな…。」
それはブロイの最後通告だった。あくまでブロイの目的はRTとWTの持つ伝説虎のコアであって、
相手の命を奪う事では無い。さらに先の戦いでも圧倒的な力を見せ付ける事で相手の戦意を喪失させ、
これによってタイガスとラッキー、ハガネはWTとRTを明け渡すだろうと言う事を狙っていたのだ。
「畜生…こうするしかないのか?」
「タイガス君…そんな事したら…。」
「つーか私は明らかにアイツより年上なんですけど…。」
うろたえていたが、なおも機体を明け渡そうとしない3人に、ブロイは再び通信を送った。
「早く脱出しろ!!お前達の命は保証する…というかお前ら弱すぎて殺す気にもならん!!それともゾイドごとバラされたいか!!?」
その直後、3人を威嚇する意味を込めてブラストルタイガーの右前足のサーミックストライククローが地面を深々とえぐり取っていた。
「畜生…。やっぱりそうするしか無いのか…。」
「でも…仮に明け渡したとしても本当に命の保証がなされるかどうか分からないよ?」
「そうだな…安心させておいてズドンという事も大いにありうる。まあ、私はその位じゃ死なないけどね…うっぷ!!」
この状態になってもハガネの二日酔いは収まる様子はなく、またも吐きそうになっていた。というか、
ロボットであるハガネは一体どのような嘔吐物を吐くのであろうか?案外機械オイルに混じる形で
ボルトとかビスとか歯車とかが吐き出されたりして、本当にロボットらしい嘔吐物なのかもしれない。
「そうか…お前達は死にたいようだな…。」
何時まで経ってもRTとWTから降りようとしない3人に対し、痺れを切らしたブロイは無情にもブラストルタイガーに装備された火器の照準を向けた。
「無抵抗の相手を撃つのは趣味ではないが…。」
ブロイが目を瞑り、ゆっくりと引き金を引こうとした。と、その時だった。突然ブラストルタイガー
の側面部に向けて横向きに強い衝撃が加わり、ブラストルタイガーがその場から吹っ飛ばされたのだ。
無論その事には誰もが驚いた。
「な!!一体何が起こったんだ!!?全く気配を感じなかったぞ…。」
ブロイはブラストルタイガーを立て直しながらうろたえていた。そして衝撃が来た方向を向いた時、そこにはなんとドラグネスが立っていたのだ。そう、先程ブラストルタイガーが受けた衝撃はドラグネスの蹴りによる物だったのである。
「い…イグアンだとぉ!!?」
「チョコちゃん!!」
トランサーとゼノンの2大伝説古代虎を終始圧倒していたブロイとブラストルタイガーがたった
1機のイグアンの攻撃の直撃を受けたと言う事実はブロイ自身にとってショックであった。そして彼は慌ててデカルトドラゴン隊へ通信を送った。
「おい!!お前達何をしていた!!イグアンを逃がしやがって…。」
『そ…それが翼付きイグアンは何故か妙に強いんですよ!!既にデカルトドラゴンも2機落とされてしまって…。』
「ぶわっかやろう!!!」
ブロイは通信機に向かって大声で怒鳴りつけ、直後に通信機のスイッチを切った。
「ったく役立たず共め…もう良い…ここにいる奴等全員俺だけで皆殺しにしてやる!!」
そうしてブラストルタイガーがドラグネスの方向を向いた。が、そこにはドラグネスの姿は無かった。
「な!!何処に行った!!?」
ブロイはうろたえながら左右を見回した。その直後に今度は背後から強い衝撃が彼を襲った。ドラグネスはブラストルタイガーの背後に回り込んでいたのだ。
「な…またもや気配を感じさせなかった…。一体どうなっているんだ?」
何者においても、そこに存在する限り気配と言う物は存在する。ましてや攻撃する際には殺気なども
発生するのである。そして、戦いという中において手練れになると、その気配や殺気を感じる事で
相手の位置を見抜いてしまうなどと言う事も出来る。が、ドラグネスとチョコの攻撃には殺気はおろか気配すらも微塵にも感じられなかったのである。
「な…何故だ…なぜ気配を感じさせない…。」
全く気配を感じさせないチョコとドラグネスにブロイはなおもうろたえを隠せない様子であったが、なぜチョコが気配を感じさせずに攻撃できるかどうか分かっている様子だった。
「(チョコちゃんは感情の起伏と言う物が…と言うより感情が余り無い。それが気配を持たせないと言う事にも繋がっているのよ…。)」
その直後、全く気配が感じられないドラグネスに対し、気味が悪くなったブロイは思わずブラストルタイガーを突っ込ませていた。
「畜生!!」
が、どんな高速ゾイドでも回避は難しいと思われる程のスピードであったにも関わらず、ブラストル
タイガーの突撃をドラグネスは軽々にかわしていた。ドラグネスの運動性、そして反応速度はもはやイグアンの限界を遥かに超えていた。
「何故だ…なぜイグアンのクセにブラストルタイガーをこうもコケに出来る…。」
ブロイがドラグネスに恐怖すら感じていた時、そのドラグネスから通信が送られてきたのだった。
「な!!!」
その通信と共に送信されてきたパイロットの映像を見たブロイは愕然とした。なぜならその映像には
10歳位の無表情な少女の姿が映し出されていたのだ。自分を圧倒していた相手がこのような子供で
あったと言う事実の前には愕然とするのも無理は無いと言わざる得ないと言うしかなかった。
「そ…そんな馬鹿な…こんな…こんなガキに俺は…。」
>>194の
>なぜチョコが気配を感じさせずに攻撃できるかどうか分かっている様子だった。
の前に、「ハガネは」を付け忘れていましたぁぁぁぁぁ!!!!
我ながら何というミスをおぉぉぉぉぉorz
>>恐怖の亀裂作者さん
機械をあっという間にバラす凄い人キタァァァ!!
しかも議長と言う思ってみれば随分と懐かしい言葉が出ていますし。
サイボーグゾンビと言う奴に関して石○賢の漫画を思い出しました。
いやったーの件に関しては・・・確かに色々AAありましたよね〜・・・
あと、二日酔いと言う件にはまあ細かい突っ込みは不要です。
酒に含まれる成分が機械に何か悪影響を及ぼして人間で言う二日酔いの様な現象を
起こしたとそう言う事で考えて下さい。それと、この二日酔いもインフレ防止手段です。
強いキャラもその日の体調で・・・と言う事を表現したかったのです。
「クソッ…! 何故だ、何故だ!何故なんだ!? どうして僕が…こんな奴にィッ!!」
疾風のように、デス・メテオがルガールに襲い掛かる。大型ゾイドとは思えないスピードだ。
ルガールはマグネーザーを低い位置から突き上げ、サンダーホーンに引っ掛けてデス・メテオを後方へ投げ飛ばした。
「お前には解るまい…共に歩んでくれる者の居なかったお前にはな」
セディールが受け身を取って着地する。だが、その時には既に第二撃が目の前に迫っていた。爪を振り上げるが、
ルガールの方が速い。薙ぎ払うように振られたマグネーザーがデス・メテオの側面を直撃し、その巨体を100m近く吹っ飛ばす。
「…セディール、『パンドラの箱』という古い神話を知っているか?」
彼は答えなかったが、その目つきが「知るか」と言っている。
「戦いながらでいい、聞け。…その昔、地球に――」
「あ? あのオッサン、昔話を始めやがった!?」
「け、けどよ…話しながらでも、ボロボロのマッドサンダーが圧倒してんのはどういうことだよ…?」
アレックスやリニアには解っていた。
機体の性能では、比べるまでも無くデス・メテオが上。
単純な操縦技術は互角か、若干セディールが上回っているだろう。
ゾイドとパイロットの状態は、ルガールとマッドサンダーが満身創痍であるのに対し、
セディールは本人も機体も無傷に近い。
「それでも、ルガールさんが圧している理由は…」
彼はきっと、最も大切な何かを持っているのだ。
「…この勝負、結果は見えましたね」
眼鏡を拭きながらアレックスが呟くと、リニアがからかう様に腕をつついた。
「それもあなたの『能力』で見たのかしら、人事部長さん?」
リニアがどうしてアレックスの能力を知っているか気にはなったが、どうでも良かった。彼はにこやかに答える。
「いいえ、違います。しかし未来を覗き見なくとも、彼が勝つという確信があるんですよ」
「その昔、地球には神々の支配する時代があったという――待て、私は神を信じては居ない――。
地上に栄えた人間達の傲慢さに怒った主神ゼウスが、パンドラという女にある箱を預けた。
――それは『決して開けてはならない箱』であったが、怖い物見たさにパンドラはそれを開いた…」
淡々と語る間にも、2体のゾイドは互いに激しい格闘戦を繰り広げている。
「…その箱の中身は、世に存在するありとあらゆる災厄だった。世界の人々はそれらに襲われ、絶望を覚えた」
デス・メテオの牙がマグネーザーの一本を捉え、噛み砕いた。捻じ曲がった金属片がバラバラと地表に落ちる。
しかし、ルガールは一辺の動揺も見せず、モニター越しにセディールの顔を指差した。
「今この場において、パンドラの箱とはデス・メテオの事。それを開けたのは貴様だ。
貴様はその圧倒的な力で、人々に絶望を与えた」
「ならば、勝つのは僕――」
セディールの振り上げた右腕は一本残ったマグネーザーに吹き飛ばされ、その言葉が遮られる。
「…知らない奴も多いが、この話には続きがあってな。
世界のありとあらゆる災厄が解き放たれ、人々が絶望に沈んでいた時…パンドラは箱の中に、
何かが残っているのを見つけた。何だか解るか?」
マグネーザーの回転が早まる。根元が火花を飛ばし悲鳴を上げるが、あと少しだけ耐えてくれればいい。
――こんな奴でも…最後に教えてやりたい。
「僕が知っていると思うのか、答えは『NO』だ! …さあ、与太話はこれくらいにして、そろそろお前を殺す!!」
デス・メテオが凶悪な牙をむき出し、マッドサンダーに飛び掛った。ルガールはその口にマグネーザーを捻じ込もうと
突進したが、それは寸前で牙に止められる。超硬度の金属が激しくぶつかり合い、甲高い音を立てた。
「では、教えてやる。パンドラの箱に、たった一つ残った物…それは――」
牙で押えられていたマグネーザーがミサイルの様に射出され、デス・メテオの頭部を丸ごと吹き飛ばした。
長大な鎖がすぐにマグネーザーを引き戻し、頭部を失ったデス・メテオのコア目掛けて2撃目が放たれる。
「――“希望”だ!」
厚い装甲を貫き、マグネーザーは悪魔のコアを粉砕した。
その瞬間――。
デス・メテオの巨体が閃光を放つと同時に、轟音と振動が市街を覆いつくした。
眩い光の中から衝撃波を伴った爆発が起き、ナノマシンで既に廃墟と化していた市街中心部が
巨大な溶鉱炉へと変わっていく。
ルガールとマッドサンダー、そしてセディールは破壊の渦中に取り残されていた。
デスザウラーとは桁違いのエネルギーを秘めるコアが至近距離で爆発したのだ。流石のマッドサンダーも
装甲の表面から溶け出し、コックピット内の温度も上昇していく。
「僕が…僕が正義だ!! 神の力を手に入れた僕がぁーッ!!!」
セディールはもはや完全に意味を成さないことを喚き散らし、ルガールは憐れむように呟いた。
「…馬鹿め。自分に理解できない物は排除するなど――それは、弱者の理論だ」
そして、静かに宣言した。
「ミッションコンプリートだ、マサシ…」
そういった後、「戻ってきて」と言ったリニアの顔が脳裏をよぎった。
彼女には本当に済まないと思う。だが、いずれにせよ奴を自らの手で葬るにはこれ以外の道など無かった。
「今からお前の所へ行く羽目になりそうだ、マサシ。だが、若い連中も常識を捨てちゃあいなかった…
…次の世代も、中々捨てた物ではないな。私はもう退場する事としよう――」
最後まで叫んでいたセディールが閃光の中に消え、マッドサンダーのコックピットにも亀裂が入る。
やがて愛機の頭部が融け去り、爆風がルガールの身体を吹き上げた。
熱くはなかった。渦巻く光が彼の身体を焼き尽くそうとも、その目にはビデオカメラを弄る親友の姿が見えている。
ただ、最後にほんの一瞬だけ――生まれて初めてこの世界が、美しく思えた。
――誰もが生きる事に必死な、「Inocent World(純粋なる世界)」。
別れを告げるように、彼の帽子が空高く飛んでいった。
「あ…あぁ…」
リニアは知っていた。ルガールが最初から、刺し違えるつもりで格闘戦を選んだのだと。
それでも、身を焦がす悲しみは隠しようが無い。彼女は小さな両手に顔を埋め、声を放って泣いた。
――必ず…必ず帰ってくるって約束したのに…!
「…ルガール―――ッ!!!」
その叫びに答える者は、もう居なかった。
クソ、ドウシテオレハカキナガラナイテイルンダ(ノД;`)
鉄獣28号氏
「いィやったァァァァ!!」
蒼いコスモスの盟主…あの人と被るってのは危険レベル10ですよw
>一人が寂しいのでは
まさしく。それを紛らわす口実が「僕は神になるwwwうはwwkおwww」ですので。
>>恐怖の亀裂作者氏
「ジャスト3分だ、悪夢(ユメ)は見れたかよ?」
あ、そんな能力者が居ても良かったなぁ。
○ェイムズン教授…w
>>200ゲト!?
鉄獣28号さんへ
それにしてもチョコさん強いですね〜。DBの対人造人間編を思い出すような強さ。
相手に手の内を読まれないのはやばい戦力差に繋がる物。無印のセイバーの時のレイヴン然り。
ハーマンが居なきゃ死んでた状態な圧倒的差が発生していたようで…デカルト撃墜。
Inocent Worldの作者さんへ
真逆これに引っ掛かる方が!?実は内容を忘れてしまい彼の名前だけが頭に残ってしまったため個人的には聞かれるとやばい質問です_| ̄|●
遂に決着!デスメテオ倒れる。このまま格好良く逝ってしまうのか!?
その瞬間ロバートの回し蹴りが炸裂したらしい。断定系なのはグウェインにもベンハルトにもその蹴り足が見えなかったからである。
それ処か見えない上に空気が爆発した様な音と共に群がっていた者達が蹴りを喰らって吹き飛ぶ時と同じ状態に成って居たからなのだ。
「貴様等如きの攻撃…この俺に傷一つ付ける事もできんわっ!!!な〜んつって。密技!剛波舞鶴。」着地し右足を上げた状態でロバートは大見得を決めた。
切り結んだまま白けた表情でロバートを見るグウェインとベンハルト。隣りで弱いと思って居た者が数分も経たずに彼の取り巻きを一掃したと成ればベンハルトの方のショックは大きい。
一早く勝機に戻ったグウェインは物干し竿を振り下ろす。「勝負有だ!」その言葉通りベンハルトの斬馬刀は内部構造の精密さから丁度刀身の半分ぐらいの所で砕ける。
隙さえ突ければ幾ら相手の武器が強かろうと如何と言う事は無い。ついでにその為に脆弱な部分が有るとなれば尚更と言う事になる。「ふっ一筋縄では如何相手とは言えこうも簡単にあしらわれるとはな。」
懐から時代遅れ甚だしい物を取り出し投げる。
「「けっ!?煙玉っ!?」」突然破裂した煙玉が発生させた煙が消えるとそこにはグウェインとロバートだけが残されている。数秒程度で撤退するとは引き際が鮮やか過ぎだ。
まあ種明かしは必要無い。彼等の出現方法を逆に行えば良いだけの事だからだ。相手の技術云々は良くは知らないが重要なのは相手がそれを使って何時何時でもこの場に来れるという事だ。
「とにかくレーダーの敵影が戦闘距離に到達する前に済んだ事が幸いだ。」何回目だろうか?飽きもせず徒党を組んで来る正体不明のゾイドとそれを率いる化け物。
適当なシートに座りロバートがOKのサインを出すとグウェインはルナルティアマットに攻撃を開始させた。遠くに煌めく残光。当然負ける筈は無い。
「うぬぬぬぬ…。」戦場の真っただ中で唸りを上げて考え事をしているベルウッド。それを後目にアサガオライガーとじゃれているファインはレーダーの警報にちらりとそれを見る。
予想戦力:SSS+、機数:43、サイズ:L〜LL、装備兵装に因る戦闘距離毎の危険度。格:B、近:SS+、中:S、長:SS、超長:SSと無茶な予測を立てている。
「…余り正確ではありませんが予想戦力の方は間違っていない気がするでありますよ。」
到る所に設置された監視カメラの映像で映し出された者はペイルバイターの適当な量産型と言った所だ。
サイザレード等がその部類に入る為戦力だけは間違い無いと言う根拠になる。しかし見るからに統制の執れていないその種類。
もう見た目がそれっぽい状態で1機なりと同じ姿の機体は無い。「死造品もここまで来れば天晴れよの。」ベルウッドがそう言ってサブシートに収まる。
その最後方に色違いなだけのペイルバイターが居る。「あれが親玉?それにしては覇気が無い…。罠かもな。」
「おい!できたぜ!残りの物が!そっちに遣すから上手く捕まえろよ!」整備班長から通信が届く「了解であります!」
それと共に何かが飛来する音が聞こえて来る。それを確認してファインとベルウッドはその冗談臭さに失笑を禁じ得ない。
それはベルゼンラーヴェが乗ってもそのまま飛びそうなエアバイク型のビークル。「「もしかして…あれに乗れと!?」」その声に「当たり前だろ!」と答えが返って来る。
しかも進路はそのまま真っ直ぐにペイルバイターもどきの中に突っ込むルートだ。
「主よ逝くぞ!」文字が間違っているかもしれないが気分的には合っている。ずっと前から思ってはいたファインだがこれは決定打だ。「こう言う物は全部自分に回される運命でありますか。」
その所為で日の目を見る事が無かった兵器やゾイドの強化プランが随分有るという。まあ壊すのが仕事の一部だったので当たり前の様にしてきた事だ。
しかし今回は壊すと猛烈に苦情が殺到しそうな物だ。送られて来たデータがそれを雄弁に物語る。
オケアノスユニットと言うのが名前らしい。内容は外付け荷電粒子砲とその他諸々の兵器。それに陸上海上海中を自由に移動できる機能を付け足した推進器及び発電機付き追加装甲。
早速もどきの歓迎を受けて荷電粒子砲を喰らうがその接触点には傷一つ無い。不味い事に電磁誘導シールド装備でその上それ単体でも戦闘できる機体らしい。
誰かが乗っているらしく素早い動きでもどきを牽制している。「え〜っと此方ベルゼンラーヴェ。乗ってる人?こっちに来てくれると多謝なのでありますが?」と通信を入れる。
その声に「了解しました。これを受け渡したら中身で帰還します。」その声の主はディオスだった。「大尉何時こっちに?」それに「遂先ですよ。機体を受け取りに来たのですがお使いが先だそうで。」
「それでは!」タイミングをベルゼンラーヴェ側から合せてオケアノスユニットと合流する。「ディオス大尉お疲れさまであります!」
そう言ってユニットを接続する。するとそのオケアノスユニットがチェンジマイズを開始する。
更にそこから尾をセイスモサウルスの物にしたバーサークフューラーが離脱する。「それは…アークテイルでは!?」
それに「いえ。正確にはアークテイルシュトゥルムヤクトですよ中尉?」ディオスに訂正される。
シュトゥルムユニットにヤクトユニットの重火器を内蔵したアホ機体。荷電粒子砲の威力アップに尾をセイスモの物と交換したと言う部隊でも一二を争う迷作だ。
今の所ファインやらルディアやらシュミットの様な変な方向に玄人のパイロットにのみ有用性が見られた奇珍な一品を手足の様に動かすディオスに思わず見蕩れてしまう。
「お主!前を見よ!」それで我に帰ったファインの目の前に拡がる光景は荷電粒子砲の光の渦。直撃コースだった。
流石にホロテックルーン装甲が無効化してくれるが装甲の温度が急激に上昇する。その時に下半身に装着されたオケアノスユニットの電磁誘導シールドが荷電粒子砲の流れを無理矢理変更する。
「良しいくぞ主よ!天を駈けるぞ!矢の如く!」ベルウッドが勝手に通称を決めたアーバレスト(弦状空間跳躍機構)を起動させる。機体が今までと違い地表でホバリング出来るので直に矢の様に空中に跳び出す。
視界から敵が点に成る程の高さまで跳び急停止。見上げて居るもどき達に早速外付けの荷電粒子砲を撃つ。先ずは中〜長距離対応拡散荷電粒子砲を発射する。拡散と言っても唯の拡散放出ともう一つが概念として有る。
そのもう一つ粒子の拡散率を計算して威力と飛距離の限々の線で効果を生む太い荷電粒子のシャワーを浴びせる物とが有る。今回は近距離でないので後者になる。
流石に相手が相手だけにダメージは少ないがその威力は効果範囲内の者を足止めできる程の物だった。そのままフレキシブルウェポンドライバー内蔵の収束荷電粒子砲を1体に撃つ。
その光はベルゼンラーヴェを更に上空に反作用で打ち上げる。オケアノスユニットの関係で遂に400tに迫る重量の機体を押し上げるだけ有りそれは狙った1体を貫通し一撃でそれを沈める。
他に荷電粒子吸入ファンが更に外付けと一応この手のゾイドの共通の弱点を排除している珍しい物だった。
ブロイの受けたショックは絶大な物だった。が、そんな事はお構い無しにチョコは無表情のまま、抑揚の全く感じられない声で言ったのだった。
「かわいそうに…。」
「かわいそう?」
チョコの口ずさんだ言葉にブロイは疑問深そうに眉を細めた。
「かわいそう…。本当にかわいそう…。おねがいだから紅の神を解き放って…。」
「キャーキャー!!イヤー!!」
「つーかチョコの奴は何処に行ったんだ!!?」
一方、マリン達の方はデカルトドラゴン隊の猛攻に苦戦を強いられていた。ドラグネスによって
既に2機破壊され、最初の5機から3機に減っていたとは言え、空を自在に飛び回り、胸部から落雷
にも似た高電圧ビーム砲のエレクトリックディスチャージャーを矢継ぎ早に発射するデカルトドラゴンの攻撃は驚異としか言いようが無かった。
「この2機はあのイグアンに比べて余り強く無いな!!」
「もっとも、伝説虎以外にデカルトドラゴンを上回る性能を持つゾイドなんて物は存在せんがね…。」
ドラグネスに対しては妙に弱気になっていたのにも関わらず、カンウとハーデスが相手になると、
彼等は途端に強気になっていた。が、そこがルナリスにとって気にくわなかった。
「いつまでもいい気になるなよこの野郎!!」
ルナリスはハーデスのダブルウィングスラスターを噴射させた。大型のスラスターが4つ、
小型のスラスターが8つという計12個のスラスターが一斉に火を噴き、その圧倒的な推力により、
400トン以上と言う超重量を誇るハーデスの巨体が宙に舞い上がったのだった。
「な!!何!!?」
「デスザウラーが空を飛んだ!!」
彼等にとって予想外の出来事であるハーデスの飛行にデカルトドラゴンのパイロット達は半ば浮き足
立った。が、その間にもハーデスは見る見る内に速度を上げてデカルトドラゴンを追撃して来たのだ。
「空中戦がお前等だけの専売特許だと思うなよ!!」
「う!うわぁ!!」
空を飛び回るデカルトドラゴンによる一方的な攻撃から一転、今度は飛行を開始したハーデスを入り混ぜた一大空中戦が始まっていた。3機のデカルトドラゴンと、それを追撃するハーデス。計4機の飛行ゾイドの空中戦は見ている者にとっては優雅ですらあった。
「何故だ!!何故デスザウラーがここまでの速度を出せる…と言うか何で飛べるんだぁ!!?」
「ハーデスが飛んだ位で何を驚いてるんだ?お前等は“デスバード”も知らんのか?」
困惑していたデカルトパイロットとは対照的に今度はルナリスが冷静さを取り戻していた。
ちなみに彼女が言った“デスバード”とはその昔の大戦に登場した飛行型の改造デスザウラーである。
そのデスバード以外にも、その昔の大戦には数多くの飛行型改造ゾイドが登場しており、ウルトラ
ザウルスやマッドサンダーを飛ばす事ももはや当たり前であったと言う。
「何だってんだよぉ!!この速度はぁ!!」
みるみる内にデカルトドラゴンとの差を詰めるハーデスの飛行速度に彼等は驚愕していた。
これだけの推力を持つとはまさに流石はダブルウィングスラスター。そして流石はミライロと
言わんばかりであった。しかも、ハーデスの飛行速度はただの直線的な飛行だけでは無く、旋回性能も高いレベルで持ち合わせていた。
「うわ〜…流石に私の出番は無いかも…。」
空中を飛び回り、さながらアクロバッティングですらあった4機のゾイドの空中戦はやはり優雅の
一言であり、マグネッサーウィングや背中の2つの2連コアブロックスに連結したブースターを
併用した上での、長距離のジャンピングは出来ても飛行と言うレベルにまでは行かないカンウに乗っているマリンは高みならぬ低みの見物を決め込んでいた。
「なんて奴だ!!振り切れねえ!!」
プラズマの光を輝かせ、長く尾を引いて飛ぶデカルトドラゴン3機と、スラスターの炎と煙を引き
ながら追撃するハーデスの空中戦は壮絶な物であり、超重量級でありながらデカルトドラゴンに
付いていける程の飛行性能を手に入れていたハーデスの空戦能力にデカルトパイロットは愕然としていた。
「そろそろ勝負を付けるぞ!!」
その時ハーデスがさらに速度を上げた。瞬く間にデカルトドラゴンを追い抜き、さらに猛烈な速度で
旋回、デカルトドラゴンの側面から体当たりをかけるかのような突撃を掛けたのだった。
「そらさ!!」
「うあああ!!」
その直後、すれ違い様にハーデスの指拳突きがデカルトドラゴンの装甲を一瞬にして貫き、大きく
えぐり取っていったのだった。無論デカルトドラゴンは墜落し、パイロットは脱出し、パラシュートを開いていた。
「次ぃ!!」
「ヒィ!!助けてぇ!!」
ルナリスははさらにもう1機のデカルトドラゴンを狙いに定めた。ハーデスはそのデカルトドラゴン
目がけて空を斬りながら追撃するのであるが、デカルトドラゴンはとっさにプラズマウィングを
羽ばたかせ、スレスレでハーデスの突撃をかわしていた。が、デカルトドラゴンパイロットが安心
したのもつかの間、ハーデスが急上昇し、さらにデカルトドラゴンの上空で半回転したかと思うと、
そのまま上から下に落下するようにデカルト目がけて突撃を掛けてきたのであった。
「今まで散々コケにしてくれたツケだぁぁ!!!」
「うわぁぁぁ!!お前は死ぬのが怖くないのかぁぁ!!?」
デカルトドラゴンパイロットの悲鳴にも似た叫び声が響き渡っていた時には既にデカルトドラゴンの
重装甲がハーデスの爪によって引き裂かれていた。が、破壊されたのはボディーの方であり、頭部は無傷であった為、パイロットは普通に脱出出来ていた。
「この場合、私等には正当防衛が適用されるから別にお前等殺してしまったとしても無罪で済むのだが…やっぱ可能な限り殺しはしたくないね…。」
落下していくデカルトドラゴンと、パラシュートでゆっくりと降りていくパイロットの姿を見ながらルナリスは元不良には似つかわしくない(?)言葉を吐いていた。
「あ〜らら〜…それにしても何時の間にあれ程の飛行技術を会得してたのかしら?」
瞬く間に2機のデカルトドラゴンを空中戦で落としたハーデスの姿を見ていたマリンは驚いている様子だった。
「うわぁぁ!!助けてくれぇ!!」
「おっと逃がすかよ!」
味方を全て落とされ、孤立してしまった最後の1機は慌てて逃げ出していた。無論その機体に気付いた
ルナリスはハーデスで追撃した。と、その時だった。突然下から高速で回転していた何かが飛んで
来てデカルトドラゴンの身体を真っ二つにしていたのだ。いきなりの事にルナリスも驚いた。
>>恐怖の亀裂作者さん
ホロテックルーン装甲ってかなりご無沙汰ですよね〜・・・。
何かいろいろ面白い兵器とか出てるみたいですし。
それと、チョコの強さの秘密については今後徐々に物語の中で明かしていくと言う事で。
>>Inocent World作者さん
泣くって!これは泣くでしょ!
かなりいい話読ませてもらいましたよ。
クラシック音楽か何か聴きながら読むとさらに効果は絶大でしょう。
次は生き残った人達がその後どうなったか?と言う後日談をやるのでしょうか?
「そんな……ど…して…!」
爆発で吹き飛ばされた空気が、猛烈な勢いで爆心地に戻っていく。リニアは後ろからの風に吹かれながら、
上昇気流で発生したキノコ雲を見つめた。
――どんな時も冷静に、かつ飄々とした動作で接してくれたルガール。その不敵な笑みを見ることは、もう叶わない。
やがて煙は晴れ、クレーターの中心には融けて捻じくれた金属片が僅かに残るばかり。マッドサンダーは勿論、
デス・メテオも跡形すら無かった。
アレックスが彼女の肩に手を掛けようとする。が、直前でその手が止まり、するすると引っ込んだ。
――自分には、彼女を慰める資格なんてないのだ。“ギルド”の一員として、事ここに至るまで間違いに気付けなかった自分に。
だが、そんな彼にリニアの方から話を切り出した。
「…彼は、どうして…自分でとどめを刺そうと思ったんですか?」
不意を突かれ、アレックスはいつもの爽やかな笑みを捻り出す事もできず答える。
「あの男、セディールが…ルガールさんの親友を殺したのだそうです。そして、その親友がこと切れる寸前に彼に託した依頼が、
『セディールを斃せ』という物だった…彼は最期まで、任務完遂率100%『伝説の便利屋』であり続けたのでしょう」
「でも…! そんな、命よりも大切な名誉って何? そんな称号の為に、彼は自ら死を選んだって言うんですか!?」
つい声を荒げ、顔を赤らめるリニアを見て、アレックスはやっと寂しげな笑みが浮かぶのを感じた。
「…大体の場合、男にしか解らない事です。時として、命よりも大切な約束や名誉があるということは。
ただ、ルガールさんは決して己の名声の為に死んだ訳ではないと言う事を、覚えて置いてください」
リニアにはやはりその理屈が理解できなかったが、最後の言葉だけは素直に信じられた。
――そして同時に、友との約束に命を懸けるという行動が、彼らしいとも思った。
「…逝っちまったか。あーあ、奴の勝ち逃げで俺のリベンジマッチはチャラだぜ」
オレーグが呟き、ギガを転進させた。そのコックピットにはイフリートとシヴァが、横には
黄色いジェノブレイカーを駆るラムゥが続く。
「よーく見とけよオッサン、俺はいつか必ず…アンタよりも強くなって見せる」
暗雲が晴れていく。地表を照らす幾筋もの光に紛れ、彼らは姿を消した。
また同じ頃、エメット達能力者やその他の非能力者はみな愕然として動けずに居た。
「非能力者が、これ程までに戦えるのか…」
「我々と同類の男が、世界を救ったのか?」
口々に溜め息を漏らす人々。その最中エメットは帽子を取り、敬礼の姿勢をとった。
「…ご教授…ありがとうございました……師匠…!!」
スピーカーから、次第に爆発する歓喜の声が聞こえる。エメットはその中で一人、腕を挙げたまま涙を流した。
二人並んで同じ人物を悼むリニアとアレックスの頭上に、何かが舞い落ちてきた。
「あ…ルガールの、帽子…」
それは導かれるようにゆっくりと落下し、リニアがさし伸ばした腕の中にふわりと納まった。
リニアはその煤だらけの帽子を抱きしめ、目を閉じた。
涙は出ない。もう枯れ果てるまで泣いたのだから。
「兄さんは、最後まで…誰かを信じる事も知らずに…!」
かつて彼女の頭を撫でてくれた、幼き日のセディールが目に浮かぶ。
――どうして、彼は…そして世界は、こうなるまで戦いを止めなかったのだろうか。
崩れ去ったビル、大地に穿たれたクレーター。あちこちから上がる煙が、雲間からの光に照らされて
灰色の竜のように見える。
「あなたは、これからどうしますか? 身寄りが無いのでしたら、暫定政府の保護機関に…」
「いいえ、私は大丈夫ですから」
アレックスに背を向け、歩き出したリニア。破壊の傷跡を縫って、彼女はただ歩く。
たった一つ残った、“彼”の形見を抱いて――。
市街の復興には、長い年月が掛かるだろう。犠牲者の数も4桁に上る。
それでも彼らは誓う。一人の男が、命を賭して示してくれた事を。
――決して忘れずに居よう。世の全ての厄災が解き放たれた後、パンドラの箱に残ったたった一つのものを…
Inocent World <完>
これにて完結! つってもまだまだこれから色々大変なのですが本編は終結!
長かった…読んでくれた方々、3スレもの間ありがとうございました。
>>恐怖の亀裂作者氏
胴 体 切 れ て ま す よ !
…格好良く逝ってしまいました。マトリクスの裂け目の向こう側h(ry
>>鉄獣28号氏
そのコメントを頂き、再び泣けてきてしまった…(ノД`)
クラシックというかむしろ、FF7サントラに入ってるエアリsうぁなにをするやめrあwせdrftg
…エピローグやるかどうかは…正直未定。
それは置いといて、イグアンとデカルトの戦力差跳ね返すって超最強パイロットじゃないですか?
鉄獣28号さんへ
自由に空を飛んでしまうとは…遠巻きで戦闘を見ている人が居たら(;゚Д゚)な顔をしているんでしょうね。
デスバードとか忘れ去られ居そうな時代ですから…。
最近避けて(失敗も有りますが)ばっかりだったので受けてみました。荷電粒子砲を…。折角の素敵装甲をもう少し利用しましょうという事で。
Inocent Worldの作者さんへ
ああ〜そう言う奴でしたか!!!どうもです。期せずしてネタの内容も近かったと…。
それより…お疲れさまでした。漢逝く…熱い生き様を残して伝説の漢は伝説に。
格好良いです。無垢な涙に洗われ新しく踏み出す世界…。
最後にネタとして残ってしまった〇〇魂疑惑…。全てを語ること無く逝ってしまわれた漢に…(ノД`)
「上で始まったようじゃのう!」取り敢えず呼称をデミウルゴスとした魔獣大帝は獣魔宮殿の頭部を上に向け呟く。
「何が始まったの?」イドの声に「儂の分身共を使って戦争ゲームを始め居ったのよ。気にするこたぁ無い!儂を2度3度どつき居った小娘が居るからの。」
収束荷電粒子砲の照射後に敵陣の真ん中に降り立つベルゼンラーヴェ。両手には2挺の邪神が握られている。
そして相手を確認せずに適当に銃を発砲する。轟く轟音と輝くマズルフラッシュ。続いて空を切る金切り声と咆哮を上げ燃える火球。
そして爆音と爆発と爆風。狙う必要等無い。ウェイブレイダーの弾丸は自己誘導弾。カラミティシャドウの弾丸はベルゼンラーヴェの半身程も有る巨大な火球。
敵陣のど真ん中で撃てば外れる訳が無い。見た通りの素人の操縦。切り裂きレイカーの戦闘プログラムをサポートに回しているのか凶暴であるが物足りない。
足並みが揃わないのであろう。
「おかしいな…先程のスペックと比べて30%以上全ての数値が上っている様に見えるが…?」アービンはベルゼンラーヴェの動きを見てそう言う。
確かに術士と魔導機の関係もあるがそれでも予想スペックよりはかなり上にいっているのだ。「これは相手の影響じゃないかと推測されますが?」機体受け取りを終え戻って来たディオスが言う。
「如何言う事だ?」それに「多分あの機体はそう言う輩と戦闘する際に本来の力を使用するのでは無いかと予測出来ます。」憶測かもしれないがそれが一番状況に合う理由だ。
「なる程…それならここ数回の戦闘記録の散つきが説明できる。しかし科学万能まで後少しと言う時期に”邪を狩る機獣”とは時代遅れ処か時代が逆転している様だ。」
アービンそう言うのも無理は無い。科学の力を突き詰めてきた所で突然魔法の様な事柄を知らなければならない状況に突き落とされたと成れば誰しもそう思うだろう…。
迫るもどきをオケアノスユニットで蹴り飛ばす。これのお陰でボルカニックストライクやESBストライクの際に脚部装甲を集合させる必要が無くなっているのはありがたい。
膝下辺りから強化ユニットが脚部シールドカバーに更に装着されている為で威力自体も上昇している。「しかし下半身だけに集中させるとは思い切った事を擦るものでありますね。」
何体目かになる相手を蹴り飛ばしてファインは言う。まだ装備に余裕が有る。
「おうっ!上の準備はまだだ!もう少し待ってくれよ!」考えるべきではなかった。既に”上”が準備中だそうだ。
「何処でそんな部品をかき集めてくるのかのう?」「にゃあ〜?」言っている事が解っていなさそうだが相槌を打つアサガオライガー。
銃を腰に戻すと肩から十字封剣を取り出して八法輪を作り投擲する。運悪く首に当たった者が居る様でもどきの首が宙に跳んでいる。
技量の不足を性能でカバーしようとした結果だろう。性能の方が上過ぎて乗っている者が追い付いていないのが手に取るように解る。
ちらりと横を見れば親指で首を切る仕草とその後の殺ってしまえのサインを出すベルウッドが居る。
「それでは!」オケアノスユニットの接続で無駄なぐらいに伸びた尾が相手の首を絡め取るとその背にするりとベルゼンラーヴェが登る。
そしてその尾の先端に追加されたAZエクスシザースが首を撥ねる。その首を尾が振り回し別の相手に投げる。手加減の必要は無い。
相手はどうせ自爆してしまうからだ。証拠隠滅を図るのが当たり前らしくノワールから聞いた恐怖の未来はゾイド等と人の価値が完全に逆転しているらしい。
1体のゾイドの為なら虐殺が起こるのもざらだと言うのだ。それだけ有りゾイドと共に死ぬのは誇りとまで言われるらしい。だからこそ完膚無きにまで叩く必要が有る。
そう成らない限り戦う事を止めないだろうから。
戻って来た八法輪を取りそのまま周りの相手に振り下ろす。実力の差は有るが機体性能は何処までも相手が上なので気に掛けもしない。それの上半身が縦に裂ける。
周囲から同士討ちお構い無しで荷電粒子砲が放たれるがそれは誰にも当たらない。味方同士の荷電粒子砲が交差地点で鍔迫り合いを続けるだけだ。上空ではなく後方に一気に後退したベルゼンラーヴェ。
そこから狙い澄ました収束荷電粒子砲と両腕ショックガンランチャー。頭部と胸部のバルカンが一斉に放たれる。それらは複数の相手を一斉に攻撃し直線上の敵機を撃破。周囲の敵機を行動不能に追い込む。
密集陣形ではないのでこれだけの攻撃でも4〜5機程の相手にしか効果が無いがそれとは別に機体の再起動が終わったツヴァイザーシュライエントの支援砲撃が届く。
彼等はネオゼネバス帝国軍だった事が災いし本来なら味方の兵器であるゼネバス砲の驚異を初めて身を以て知る事に成ったのである。
歪みに歪んだ命を持って一撃では落ちないにしてもそれが断続して正確に狙われる事。それ自体が強力な抑止力となって彼等の行動を制限する。
元々張り子の虎に近い存在である彼等は統率を乱し混乱状態になる。大勢は決すると思われた。しかし第2射が無い。「しまった!?此奴等は囮であります!」
その時ツヴァイザーシュライエントは擱座して行動不能になっていた。その隣りには最終進化?をしたベンハルトのペイルバイターが居る。「済まぬな。奴を仕留めるのが目的。貴様等に用は無い。」
そう吐き捨てるとベンハルトはペイルバイターをベルゼンラーヴェの居る戦場へ急がせる。囮となって散った味方に報いる為にも今回こそは勝たなければならない。その速度は直に迅雷の如き速さに達する。
両手を広げアンチマジッククレイモアを展開2本に増えた尾とその先端のドリル棍棒が唸りを上げて戦闘体制を完了させる。「これが最終ラウンドだ!決めさせてもらうぞ!」ベンハルトは叫ぶ。
それに合せてペイルバイターも凶悪で勇壮な咆哮を上げた。
「来たぞ!姿こそ違うが奴だ!気合いを入れろ!」「了解であります!今度こそ…けりを付けるっ!!!」周囲の敵機をまとめてESBストライクで沈めて迫るペイルバイターを迎え撃つ。
アンチマジッククレイモアが高速射出され周囲の力の流れが消滅する。「抗術地雷かっ!あれが有る限り大掛かりな術式は使えん!相手も条件は一緒だが何か仕掛けて来るやもしれん…警戒はしておけ。」
ベルゼンラーヴェは腹部追加ユニットの複列拡散荷電粒子砲を発射する。抗術地雷の1/3を消滅させる。「何をしている?相手は儂等だぞ!」更に大型化した手でベルゼンラーヴェを切り付ける。
既に爪が刀剣の如き鋭さで風を切り迫る。「黒の尖角刀!」その声と共に黒い炎と共に尖角刀が両手に掴まれる。「なる程!その為か!」その爪と尖角刀が打つかり火花を上げる。
直にペイルバイターの頭部の温度上昇に気付きベルゼンラーヴェを上空に引かせるファイン。すると頭部の装甲に有る口腔からゼネバス砲が発射される。それを見て頭部を良く見ると巨大な装甲の裏に粒子加速機関が有る。
エリマキトカゲの襟の様に後頭部の殆どをそれとしている為ゼネバス砲が撃てたのだろう。しかも発射後の拡散率を調整されているのか少し飛んだ所で素早く絶ち消える。更に連射。バルカン並の危なさだ。
「これは?」
デカルトドラゴンを真っ二つにした後も、なおも高速で回転していた何かをルナリスは目で追って
いた。と、その“何か”は高速で回転しながら空中で旋回し、地上の方目がけて飛んでいったかと思うと、それをカンウが片手でキャッチしていたのだった。
「どうよ!久々のマグネッサーブーメラン!!」
主役なのに敵に対してトドメを刺す機会が意外にも少なかったりするマリンがようやく最後に良いところを持って行く事が出来た。
「何とか撃退出来たな。」
先程マグネッサーブーメランの攻撃で真っ二つになったデカルトドラゴンのパイロットが脱出して
いた事を確認し、ルナリスはその様な事を言いながらスラスターで減速させながらハーデスをゆっくりと地上へ降下させていた。
「そう言えばさ!ドラゴスとか言う奴はいなかったよね。」
「まあ確かにそうだな。アイツがいたら相当に手を焼いていたに違いない。」
2人はデカルトドラゴンとの戦いを振り返るにあたってドラゴスの事を思い出していた。何分彼は
2人を恨みに思っている為、デカルトドラゴン隊がマリン等を攻撃する事を目的に来たのである
ならばドラゴスは我先に攻撃隊に志願するはずでは?と考え、不可解に思っていたのだった。
「とにかくだ。デカルトドラゴンは全部倒したんだ。ハガネさん達を援護しに行こう。」
「いやルナリスちゃん、まだだよ…。また新たな機影が現れたみたい…。」
「何!!?つかちゃん付けすんなよ!!」
マリンの言う通り、カンウのレーダーは新たな機影をキャッチしていた。しかもその機体がゆっくりとカンウとハーデスのいる地点目がけて進行して来ていたのだ。
「マリン!機種は何だ!?」
「分からない…ただ…反応は恐ろしく大きい…。」
と、その時だった。向かい合って立っていたカンウとハーデスの2機の間にあった地点の空間を
突如として細くも高出力のエネルギー粒子線が切り裂いていったのだった。しかも、その粒子線が飛んでいった先で大爆発音が響き渡った。
「な…何だ?」
「あれは…。」
二人は青ざめながら粒子線が飛んできた方向を向いた。そして2人の視線の先には一体のセイスモ
サウルスがいたのだった。しかし、そのセイスモサウルスはノーマルと言うワケでは無く、首の
後ろにスティルアーマーの頭部装甲を装着し、背部両側面に砲身を長くのばしたストームガトリング
砲。さらに腹部側面にはそれぞれクレセントレーザー砲とチェーンシザーを装備させていたのだった。
「なんだ…ただのセイスモサウルスか…。」
「ったく驚かせないでよね…。」
確かに目の前のセイスモサウルスの武装は凄いと言えるが、マリンとルナリスは恐怖するどころか
逆に安心してほっと胸をなで下ろしていた。まあ二人が安心するのも無理は無い話である。
なぜなら二人のセイスモサウルス対策は万全であるし、現にかつて二人は多数のセイスモサウルスを
撃破した事があった。少なくとも二人の考え方では、デカルトドラゴンよりも楽な相手であると言えた。
「こりゃ楽にカタが付きそうだな。」
「じゃあいっそこっちから仕掛けて見ようよ!」
カンウとハーデスは一斉に眼前のセイスモサウルス目がけて走り出した。一方セイスモサウルスの
方もゆっくりゆっくりと機体を前進させている。そして、意気揚々と疾走するカンウとハーデスは瞬く間にセイスモサウルスとの距離を詰めて行った。
「ん?何か少しおかしくないか?」
その時、ルナリスが何かに気付き、不可解に感じていた。が、その間も2機はセイスモへの距離を詰める。
「ってあれ!!?やっぱおかしいぞおい!!」
「うっそぉぉぉ!!!」
突然悲鳴にも似た叫び声をあげた2人はとっさにそれぞれのゾイドを停止させた。カンウとハーデス
は夥しい程の砂埃を立てながら止まる。そして足を止めた後で改めてセイスモの方を見た時、2人は驚愕の事実を目の当たりにしたのだった。
「きゃぁぁぁぁぁ!!!でっかぁぁぁぁ!!!!」
思わず2人は悲鳴を上げていた。目の前のセイスモはただのセイスモサウルスでは無かった。
武装がどうとかそう言う問題では無い。なんとそのセイスモサウルスは恐ろしいまでに
“巨大”だったのだ。どの位巨大かと言うと、そのセイスモは前足1本がハーデスそのものと同じ位
の大きさがあったのである。無論その巨大さに驚いた2人は思わずカンウとハーデスを飛び退かせていた。
「何だよ何だよこの大きさは…。マーライガーやムスタングァーが可愛く見えらあ…。」
「冗談はよしてよね本当に…。」
目の前の巨大なセイスモサウルスを見上げながらマリンとルナリスは本当に焦っていた。
「どうかねゾイキュア?この“メガセイスモサウルス”は…。君等が以前戦ったコロンズ団のセイスモとはワケが違うだろう?」
「!!!?」
「つかどういう意味じゃ!」
メガセイスモサウルスと呼ばれた巨大セイスモから送られてきた通信を聞いた2人は思わず反応した。
先程のセリフから察するに、少なくともメガセイスモに乗っていると思われるパイロットは2人の事
を知っている様子であった。そして、マリンはメガセイスモのパイロットに対して通信を返した。
「何であんたは私達がコロンズ団のセイスモと戦った事を知っているの!!?」
「それは決まってるじゃないか。彼等が所有していたセイスモサウルスは我々ズィーアームズ社が供給したゾイドなのだよ。」
「な!!」
「ズィーアームズって…。」
メガセイスモのパイロットの口から出た、“ズィーアームズ社”と言う言葉に2人は驚愕の声を
上げていた。そして彼女達はここで初めてこれらの攻撃がズィーアームズ社の差し金である事に気付いたのだ。が、メガセイスモのパイロットはさらに言った。
「フフフ…。我々の情報網を甘く見ないでもらおうか?お嬢さん方。コロンズ団の件だけじゃない。
ゾイテックの支援を受けて遺跡調査を行っていた学者の調査したデータを狙ったのも、君等が
ジャンク屋と一時的に行動を共にしていた時に襲ってきた盗賊にゾイドを供給したのも我々さ!
あと、君等がこの間戦ったムスタングァーも元々は我が社が供給した機体だったね〜確か。」
「な…じゃあ…あのドラゴスとか言う奴も…。」
「そう言えばそう言う名前の男がいたねぇ我が社に…。」
「………………。」
メガセイスモパイロットの口から聞かされた事実にマリンとルナリスは唖然としていた。
無理もない。彼女等は今初めてズィーアームズの手のひらで踊らされていた事に気付いたのだ。
>>恐怖の亀裂作者さん
敵の種類(と言うより魔力?)によってスペックの変わる(?)ベルゼンラーヴェ。
やはり何か分からない部分にそう言ったシステムが積まれているのでしょうか?
邪を狩る機獣とか、そう言った事柄に関して、確かに故人が言った
発展しすぎた科学は魔法と変わりない(と言う感じでしたっけ?)を思い起こさせます。
それと、こちらの行った空中戦に関してはPS2版鉄○○号のオープニングデモに
影響受けた部分があります。そこであった鉄○とバッ○スの空中戦シーンがかなり
格好良くて、しかも鉄○がバッ○スに体当たりするシーンのガツンガツンと言う
金属音とかも良かった〜とか思ったりしまして・・・。
>>Inocent Worldの作者へ
感動のラストシーン・・・。泣かせてもらいましたよ。やはりクラシック音楽が似合う所だと思います。
敬礼を送るエメットやルガールの帽子を拾うリニアのシーンなどですね。
思ってみればこの戦いも随分犠牲が多かったようですし、復興にも時間が掛かるとの事ですね。
そう言う意味ではめでたしめでたしとは言い難いかもしれませんし・・・
ルガールの死に関しても惜しい人を亡くしまったと思わざる得ません。
最後旅立つリニアの先には一体何が待っているのか・・・。
鉄獣28号さんへ
ドデカセイスモ来た〜!!!足だけでデスザウラー1機。ムスタングァーもZiアームズ製だったとは…。
妙に納得できる性能。陸は馬さん空は竜。ボスはドデカセイスモとブラストル。
隙が無い…。海戦に難がある程度ですね。
そろそろ…。
【人名】
ロバート=ウェイン:共和国に協力していたジャンク屋で今は普通の生活?をしていた
手は商売道具と言う事でジャンク屋達に広まっていた亜流蹴術”鉄魂道”を趣味で体得している
腰に下げた7つ道具と鉄魂道で相手を蹴散らすお調子者、議長の依頼でガラクタ処理中にグウェインと出逢う
サイボーグマッドサイエンティスト:本名はデリック=ジェイムズン、レッサーデーモン等を引き連れている事からそっち方面にも詳しい模様
最登場時には有力魔術師候補で俺と儂を無駄に使い分ける(言い訳です)
レッサーデーモン:運悪くデリックに使役される下級悪魔(名前通り)このレベルの物は実体を持つ
良く言う”願いを3つ叶える代わりに魂プリーズ!”な方で唯一つしか願い事をしなかったデリックに扱き使われる羽目になる
その願いも”召使になって”と言う事でそれ以降召使兼実働戦力に成るがデロックの実験の失敗で4本の腕の3本を失いメカメカっぽい義手を付けている
マリエス:御主人様に使えるアークデーモンの女性、これ以降の階級は実体を待てない為趣味でこの位に居るらしい
悪魔と言うと残虐非道等が連想されるものだが彼女自身やこの位になるとそう言う野蛮な事には興味を示さなくなる
御主人様に仕えるまでは世界の裂け目から色々な世界を覗きそこで起こった事柄を嗤って見ていた
御主人様(あの存在):この話の黒幕、その力は”閲覧禁止事項”等を世界に作り上げる程でベルゲンやヴィゾールの剣同様今の状態を創り出すのに手を下していた
実質は彼1人の遊びの為にこの状況が作られたらしくフューチャーズリベリオンを無粋な輩と呼ぶ
本名が無い理由は本編で…
「始まったようですね…。」マリエスは食べ滓を片付けながら言う。「その様だ。今度は何方も引く気無し。さて勝てるかな?」
その男の目には結果が見えている様だった。「また何か有ったら手を貸す気ですか?それでは偶然を楽しむ事には成りませんが?」
その言葉に少し尖った口調で言う。「良いじゃないか?肩入れしたって…。何せ余は…。」「そうですか。それでは御愉しみください。」
途中で言葉を入れてマリエスは闇に消える。「嫉妬…か?別にそう言う意味では無かったのだが。」その男はまた観戦を始める。
「「全く!次々と厄介な武器を積んで来るっ!」」ベンハルトとファインの毒吐きが重なる。ペイルバイターが先に仕掛ける。「スプラッシュフォール!」
珍しくベンハルトが叫ぶ。気合いの問題のみが勝負を決すると判断したのだろう。ヘペイルバイターのアンチマジッククレイモアが上空に放たれそれが意志を持った様に動く。
そしてそれはベルゼンラーヴェに雨の様に降り注ぐ。「アーバレスト起動!」ベルウッドの先読みが功を奏したかその攻撃を何とか躱す。しかしそれで距離が開いてしまう。
今度はペイルバイター自慢の短ゼネ砲が釣瓶打ちで放たれる。2発目で電磁誘導シールドを貫き予備に張ったEシールドに直撃。難発か撃たれたそれの3発目がシールドを貫く。
やっと貫いたと言う威力の為ホロテックルーン装甲で無効化出来るがそうそう貰うわけにはいかない。温度の上昇率が何故か速い。冷却に電力の半分以上を持って行かれると言うのは解せない。
「あの機雷かっ!」冷却を諦め空中に漂う機雷にバルカンを浴びせる。それで大半を落すがその間にも数発1セットでゼネバス砲が飛んで来る。「ったく忙しい人だ!」2挺の銃を引き抜き正確に撃つ。抗術地雷の影響で力が無い可能性が有るからだ。
実際には能力半減程度なのだがそれでも正確さが売りのウェイブレイダーには致命的な状況である。誘導しようとしているが動きに無駄が多く明後日の方向の地面に突き刺さる。カラミティシャドウの弾は当然当たらない。
元居た場所の地面を激しく燃やし熱に引火した地雷を爆破する程度に収まる。しかし地道に地雷と機雷を処理しない事にはベンハルトとペイルバイターの組み合わせに勝てる可能性は無い。
そう言う彼等も射軸合せを巧みに撹乱しゼネバス砲の直撃を上手く避けている。
「くそっ!離れたら決め手に欠ける。なら!」機体内部で発生した異質な力がファインに流れ込む。
目を閉じ陰極呼百目きを使用する。如何やらアンチマジッククレイモアの効果は機体の外から力を取り入れるのを阻害する物らしい。
喰らった場合は機体の力の循環も阻害するだろう。目蓋の裏で事象が厳選されて答えが一つに成る。「ちょっときついが行けっ!」
ベルゼンラーヴェが突撃する。その答えは一撃貰うと言う事だろう。
そう成ると解っているかの様にベルゼンラーヴェは短ゼネ砲を回避してペイルバイターに迫る。
「はあっ!」此方も気合いの篭もった尖角刀の一撃をペイルバイターに叩き込む。「そりゃああ!」ベンハルトも黙って見ている訳で無く反撃する。
金属を切り裂く音と鈍い衝撃音が同時に起こる。切り裂かれたペイルバイターの左肩装甲。ドリル棍棒の一撃に歪むベルゼンラーヴェの右腕フレーム。
ダメージ自体はベルゼンラーヴェ側が深刻だがそれを覚悟で狙ったペイルバイター左肩にはアンチマジッククレイモアの射出機が有る。
そのまま右肩のそれにバルカンを打ち込み破壊。これ以上の力の制限を生む枷を排除する。
「うぬっ始めからそれが狙いか!」悪鬼呪法機関は機体の回復を促す機構だがあくまで機体のみで有り失われた弾薬は元には戻せない。ペイルバイターはもう一つの棍棒で打ち払おうとする。
しかしそれは左手の尖角刀で防がれる。「2発目は喰らわない!」その状態のままペイルバイターの腹に「ESBストライクッ!!!」と蹴りを入れて強引に距離を開け直す。
そのまま追撃に脚部の追加パーツから小口径収束荷電粒子砲を連射して装甲に傷を付ける。「あらっ?この程度しか成らないのね〜。」トリガーを引いても撃てなく成った状態でファインは言う。
チャージされていた荷電粒子の残量は既にゼロになっていた。
まだ悪鬼呪法機関を使える程力が使用出来ないらしい。これはペイルバイターにとってピンチであるが同時に相手も修復出来ないチャンスでもある。しかしベンハルトは動かない。
「落ち着け…今までと違い隙が無い?如何言う事だ?」ベンハルトは2〜3時間程で豹変したと言う位のファインの操縦に動揺を隠せない。逆にファインの方は弱く感じるベンハルトに警戒する。
そんな様子を横目に見るベルウッドだがその目を見て驚く。「これはっ!?」この目を忘れる訳が無い。
「この目は…。」ベルウッドが見たファインの目。虹色の闇と言うべき光の無い七色の瞳。
これでファインが閲覧禁止事項を平気で口に出来た事が説明できる。「近かりし者だと言う事か…。」ファインに聞えない様に呟く。
その目はあの存在が持って居た目その物だ。流石に知識やら何やらを口に出したり考える事は無理だが近かりし過去の記憶の映像までを抑止出来なかったらしい。
ならばと有る考えが浮ぶ。戦闘中というのに膠着状態を利用しそこまで思いを巡らせる事が出来る。ベルウッドとファインはある種の似た者同士だったらしい。
突然ファインに飛び付くベルウッド。「少し肩を借りるぞ!」肩車状態になりそれを試してみる。「やはり!」それを確認すると直にサブシートに戻る。
しかし今度は「にゃあ!!!」アサガオライガーに飛び付かれ頭の上に定位置!と言うばかりにぶら下がる。「…なんだかなぁ?とそれより!」目をペイルバイターに戻すファイン。
ペイルバイターは爪を閃かせ2本のドリル棍棒を攻撃体制にして迫ってくる。「黒山羊の槍杖!」上手く動かない右腕に代わり左手でそれを掴み構える。
十字封剣が使用出来れば良いのだが周囲の力に多大に頼る十字封剣は今の状況では使用出来ない。と言うより元に戻った世界で使えるか如何かすら不明だ。
槍杖でドリル棍棒を弾きその場から逃げるベルゼンラーヴェ。片腕が使えないので手数が3つも違う為逃げる以外に手は無い。
尾や足からの攻撃では手とドリル棍棒の攻撃に間に合わない。普通の機体相手なら間に合うレベルだが相手と機体の組み合わせは最悪。
名誉やら誇りやらに執着しない限り逃げる事請け合いだ。逃げれば逃げるで当然ゼネバス砲の驚異が迫る。「うわたぁっ!?」逃げる速度は最大戦速。
アーバレストも使用して一気に最高速度で離脱。上昇や軸ずらしも忘れない。そうやっている間に再チャージが終了し荷電粒子砲が使用可能になる。
もう一度上昇しゼネバス砲の掃射を避けもしくは防ぎ上空に到達する。もう戦場を確認するまでも無い。最大拡散率で拡散荷電粒子砲を準備し降下しながら発射する。
始めは地上に届かないが直にそれが地上に届く様になる。そのまま残った地雷を破壊し始める荷電粒子。数秒後焼け野原に再度為った地表に降り立つと力の流れが元?に戻って居る。
お互いに悪鬼呪法機関を発動。仕切り直しになる。
「あの時も…この時も…、みんなズィーアームズが絡んでいたなんて…。」
「しかし…ゾイテックにも肩を並べられる程の天下の大企業であるズィーアームズ社が犯罪組織や盗賊にゾイドを供給するとはどういう事だ?」
メガセイスモパイロットは一瞬鼻で笑った。
「それは決まっているだろう?我々はビジネスを行っているんだよ。しっかりと商売が成立しさえ
すれば、相手が犯罪組織だろうがテロリストだろうが悪の秘密結社だろうが何だろうが、我々は
しっかりと客のオーダーにお答えする。これこそが純粋なビジネスという物だよ。」
「なんと…。」
ズィーアームズの実態を知った2人はやはり唖然とするしか無かった。
「そ…それじゃあ獣王教のバックにも…?」
「ジュウオウキョウ?何だそれは?」
どうやら流石のズィーアームズも獣王教とは何の関係も無いようである。が、マリンは直ぐさま彼に問い掛けた。
「じゃあ何で私達を狙うの!!?と言うより何でそんな事をバカ正直に私達に教えるの!!?」
メガセイスモパイロットはまたも一瞬鼻で笑った。
「何で教える?それは決まっているだろう。どうせ死ぬなら謎は明らかにした後で死んだ方が楽に死ねるだろう?」
「死ぬって…私等がここで死ぬ事前提に言っているな?」
「さあね。君達がここで死ぬか生き残るかは君達次第だよ。ここでメガセイスモに勝てば生き残れるし、負ければ即死亡さ。」
「やっぱやるしかないの〜?」
マリンは涙目になりながら頭を抱えていた。が、メガセイスモパイロットはさらに言った。
「あ、そうそう!先程の質問で何故我々が君達を襲うか?って言うのにもお答えしないといけないな。
まあこれについてに関してはやはり君等の出生が大きく関わっていると言えるね。」
「私達の…出生?」
メガセイスモパイロットの言葉に、ルナリスは眉を細めた。
「そうだ…。君等2人は直接知りはしないだろうが、そちらのギガの方…確かマリンとか言ったかね?
ハッキリ言って君は相当恨まれてるよ。何しろあの緑の悪魔の血を引いているんだからね。」
「だからそれってタダの逆恨みじゃん!!」
ドラゴスが言っていた事と同じ事を言われたマリンは半ば戸惑っていたが、彼はなおも続けた。
「まあ君が戸惑うのも仕方が無い。が、君の曾お婆さんである緑の悪魔は君が思っている以上の事を
その昔の大戦中にしてきたのだよ。ましてや君の乗っているギガは、かつて緑の悪魔が搭乗していた
機体そのものであるそうじゃないか。それが本当であるならばなおさら君には死んでもらわなくてはなら無い。」
「ちょっと待ってよ!!確かに曾お婆ちゃんは昔兵士として戦ってた事は分かるけど、他の人達
だって兵士として戦ってたんでしょ!?じゃあ何で曾お婆ちゃんだけが恨まれなくちゃならないの!?」
その時、メガセイスモパイロットはまたも鼻で笑ったのだった。
「何故だと…?フフフ…。それは決まっているだろう。緑の悪魔はあまりにも強すぎたのだよ。
あまりにも強すぎたからこそ、たった一人で大部隊を蹴散らすだけで無く、そこに存在するだけで
敵をすくみ上がらせ、浮き足立たせた。それだけの影響力を持つ緑の悪魔は共和国では英雄だった
かもしれんが、相手国であった帝国の人間にとっては悪魔のその物なのだよ!!現に当時セイスモ
サウルスのパイロットとして帝国の兵士をしていた私の祖父も緑の悪魔によって命を落としたと言う…。」
何かメガセイスモパイロットが恨み深そうにしていた時、ルナリスがマリンに話しかけていた。
「本当にお前の曾婆ちゃんって恨み買ってたんだな〜…。」
「ルナリスちゃん人事見たいに言わないでよ。」
「人事見たいって…人事なんだから仕方がないだろ。あとちゃん付けもするなよ。」
そうして、またもカンウの頭部をハーデスのゲンコツが襲うのであった。さらにその後でハーデスが一歩前に踏み出した。
「とにかくよ。アンタの爺ちゃんが昔緑の悪魔に殺されたっつーても、それが戦争だから仕方が無い
だろう?その緑の悪魔に殺されたアンタの爺ちゃんだって、それまでにも多くの共和国兵士の命を
奪ってきたかもしれんしな。第一、そんな事だって結局は100年も昔の話じゃないか。
何今更になってそんな事言ってくるんだ?犯罪を犯したって15年逃げ切れば時効になるんだぜ。」
「うわ〜!ルナリスちゃん良い事言ったよ〜!」
「だからちゃん付けするな。」
ルナリスの言葉に感激したマリンが感激の涙を流しながらカンウともども拍手を送っていたが、結局ハーデスのゲンコツを食らっていた。
「ふざけるな…。」
「う!」
その時、カンウとハーデスの足下にメガセイスモの巨大ゼネバス砲が撃ち込まれ、その際に発生した大爆発によって地面と一緒に2機が大きく吹っ飛ばされたのだった。
「きゃぁぁぁ!!」
「デカイだけにゼネバス砲の威力も上がっているのか!!?」
2機はどうにか体勢を立て直した上でキレイに着地していたが、コロンズ団が所有していたセイスモ
のゼネバス砲とは段違いの破壊力を持つメガセイスモの巨大ゼネバス砲の威力には驚かないワケには行かなかった。
「ふざけるなよ貴様等…。我らの…ゼネバス人の恨みがたった100年たらずで晴れると思ったら大間違いだぞ!!」
メガセイスモのパイロットは先程までの礼儀正しい言葉使いとは打って代わって乱暴になっていた。この事実はつまり、それだけ彼が怒っていると言う事を意味していた。
「ったくドラゴスみたいな事言ってるよコイツ!!」
「それは当然の事だ。ズィーアームズはゼネバス人によってネオゼネバス帝国の支援を受けて作ら
れた企業。無論立ち上げ当初は元ネオゼネバスの研究者や技術者だったと言う人間も数多くいたし、
現在の社員だって私やドラゴスを含め、数多くのゼネバス人出身者で占められているのだ!!
現に我がズィーアームズの社員には大戦時代に緑の悪魔によって殺された兵士の家族やその子孫なども数多くいるのだぞ!!」
「で?それが何か?」
その時、メガセイスモのパイロットはさらにもの凄い形相となった。
ごめん展開に無理があるとは言わないで・・・
>>恐怖の亀裂作者さん
久々の人物紹介来ましたね。ジャンク屋やサイボーグの人とか懐かしいのが
出てますが、こき使われるレッサーデーモンが何か悲惨。
機雷がたくさんある場所(?)で戦うというのは本当に大変そうです。
その上ゼネバス砲の心配もしなくてはならない・・・。
鉄獣28号さんへ
過去の遺恨は中々消えないんじゃないですか…?あの方ですし。悪魔な伝説が先走るので忘れるのは難しいかと。
1人で戦局を引っ繰り返す人間はまず居ません。それが1人の兵士なら尚更。
憤怒の表情なのでしょうねそのメガセイスモのパイロットの方の顔は…。
人物紹介はあの人が名無しだったので名前付いた記念的な意味合いが大きいです。
ついでに良く見るとマッドな方の名前がレッサーデーモンさんの所で名前を間違えています_| ̄|●
今度の戦闘は2転3転4転と言うのを目指しています。少しづつ羽目を外してきてやっとここまで漕ぎ着けたのでラストに向けて暴走有るのみ!?です。
多少の無理はしょうがないと言う事で。無理のつじつま合せも楽しいかもしれませんよ?
本当に元?の状態に戻ったのかとファインは試しに十字封剣を回転させてみる。
回転させると言うより力が有ればそれを起動させると勝手に回る構造だ。何処かの話で聞いた力を吸い取り回転し続ける円盤を思い出す。
それは最終的に止まる術を持たず世界の全てに有る力を奪ってしまったと言う。まあそんな事は如何でも良い。十字封剣の回転は初使用時に比べると速い。
「取り敢えずは使えそうでありますね。だが!」感覚が拡がる様な感じがして潰し残しの地雷の大まかな位置が勘取れる。
「どんどん現実離れが甚だしくなってきた気が…。」自分の感覚の無駄な鋭さを気味悪がるファイン。「そう言うものだ!少し離れた位置より現実を見下ろすのが妾や今のお主の居場所!惑わされるなよ。」
ベルウッドがそう言う。そう言う物らしい…だからこそ目の前に居るベンハルト等が排除に躍起になるのだろう。相手からしてみれば喉元にナイフでも突き付けられる感覚なのだろうか?偏見である。
特にこっちは無理矢理それを持たされた身だそんな奴を執拗に狙うとなると状況が酷く限られている。「何か自分がしでかしたみたいでありますね…それもメガトン級の事を。」酷く嫌な気分になる。
装甲している内にペイルバイターが目の前に居るが自然に攻撃を受け止めて反撃している。条件反射で行動しているが機体のお陰でペイルバイターを投げ飛ばしている。
「ちぃっ!トレースフィードバックか!どうりで見事な肘投げを決められる訳だ。」ベンハルトは機体を起き上がらせて構え直す。右の尾が地雷に接触し千切れているが気にしない。如何やら相手に真意を悟られ始めている。
個人を執拗に狙えば理由を考え始めるが逆に形勢を引っ繰り返す事も可能だ。「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!」この言葉はファインとベルウッドには聞えない。耳障りなノイズが聞こえて来るだけだ。
「閲覧禁止事項!!!」ファインが言った事で完全なルールを理解するベルウッド。少し前にしきりに気にしているファインにその事を漏らしていた事でそれにファインの方も引っ掛かる様になったらしい。
感染。その言葉自体がそれを聞いた者に感染しあの存在の事を認知し難くしてしまう様だ。ベルウッドの様に酷い症状は無いらしいがこれからは厳しい事になるだろう。
しかし排除される内容は人によりけりと随分な念の入れ様だ。
槍杖とドリル棍棒が打つかり鍔迫り合い状態になる。「しまった!?」がら空きになった胴体にペイルバイターの両手が迫る。
両手にベルゼンラーヴェの胴体を掴まれギリギリと締め上げられる。「がはっ!?何で?体を締め上げられている様な感覚がっ!?」
口から血を流すファイン。「不味い!こんな所で同調が起こるだと!?」思わぬ事態にベルウッドも慌てる。「何時から〇〇システムに!?」
訳の解らない事を口走りながら必死に堪えているファイン。槍杖を落してしまえばそれでおしまいだ。
「何処まで耐えられる?このオーバードースペインに?」それはペイルバイターの爪に仕込まれた呪殺系統術式でゾイドと対称に乗ったパイロットを強引に同調状態に陥れる。
その同調率も物理学上や医学上有り得ない同調率を発生させる。つまりゾイドは多かれ少なかれ機械の体を自らの物と認識して動く戦闘機械獣である事から逃れられない。
その為ダメージを受けると痛がるがその反面機械技術単体では成し遂げられないパーツ単位までの自己修復能力を持つ。この術式はゾイドと無理矢理同調させる事で脳内に擬似的な痛みを産み出す。
それ所かその痛みを数倍の物として誤認知させ相手を気絶もしくはショック死させる為の呪法兵装。それよりも呪殺兵装と言った方が理解しやすいかもしれない。
痛みがどんどん激しくなる中何とかその爪を引き剥がし締め付けから脱するベルゼンラーヴェ。「はぁはぁはぁ…酷い目にばかり遭う日だ。」かなり意識して兵隊口調で喋っているが流石にもう言葉一つ喋るのも惜しまないと為らない状況になっている。
相手に何かを仕掛けられた事だけは確かだが口伝や記述では大掛かりな物ばかりが取り上げられて実際の知識の数百倍以上に多い下級術式の事はさっぱりなファイン。「痛覚同調を掛けられたか。良く耐えたものぞ…。」
ベルウッドがそう言う。「痛覚同調?道理で。」物の正体を知れば大体対策を執る事は出来る。最善という訳にはいかないが何もしないよりはましだ。
「要するにダメージを喰らうなと!」とっても敷居が高い条件だがやらないと多分死ぬ。こう言う物は低級な物でも軽視する事は出来ない。その存在自体が高度な物で有る事が多い呪いを元とする力。
術式以外の物を代償に簡単に使用ができその上効果は目を見張る物が有る。丑の刻参りとかで術式を労力で代用できる厄介なものだ。
その代わり倍化反射等のデメリットも有るがこんな御時世にそんな事を知っている者はまず居ない。
その方法となると更に知る物は少なくなる。とにかく今はその効果が切れるまで攻撃を喰らわない事が重要なのである。
「くそっ!あの爪に焼き付けをしている!あれを破壊せん限り効果は続くぞ!」「了解!」上手い事地雷が足元に有る。
となればやる事は一つ。槍杖に地雷を付加させる。「エクスプローディングウィップッ!!!」槍杖の先に光球の房付きの光の鞭が形成される。
「この状態であんな物を!?」ベンハルトの表情は歪む。喰らえばあの房の光球が爆発する。しかもベルゼンラーヴェ自体には接触しても爆発しないとかなりインチキ臭い。
当然足元等に当たっても爆発しない。つまり敵にのみ接触した時に爆発すると言う無茶な物だ。それでもゼネバス砲を撃ちながら接近する。
ゼネバス砲は十字封剣の八法輪ミラーコートで防がれる。だがそれで良い。片手を封じれば残るは至近距離で炸裂すると困る地雷鞭と蹴りのみ。そう践んだベンハルトだが何かを忘れていた様だ。
突然ペイルバイターの右足に収束荷電粒子砲が直撃する。駆動部を貫き周辺が焼け落ちる。最大戦速に近い状態で派手に転倒し辺りを跳ね回り地雷に接触し左腕脱落。
その状態でやっと動きが止まる。「うぐっ!?何と!?」そこに追撃の地雷鞭。ペイルバイターの正面よりは薄い装甲を爆発で叩き割る。
「このまま!!!」左手の爪をカラミティシャドウで腕毎吹き飛ばす。右手の爪はウェイブレイダーで狙い撃ちにする。右手の爪が砕けた事でオーバードースぺインの効果が薄れる。
今まで激痛だった痛みが見る見る軽くなる。「つ…辛かった。」正直脂汗だらけでやせ我慢で乗り切っていた為に疲労が激しい。特に精神的な部分はかなり厳しい事になっている。
折角周りの制限が取れたというのに今度は発動者がへたって居る。何方に転んでも余り宜しくない状況だ「うぬぬ…世の中は上手くいかんようだ。」
エクスプローディングウィップを何回も打ちつけてペイルバイターを倒そうとするがそう簡単に止めとはいかずペイルバイターの回復の方が一歩速い。その内相打ち上等のドリル棍棒が地雷鞭を爆発しなから弾く。
「しまった!?弾かれた!」素早く鞭を手元に戻し構え直す。今はあがってしまった息を正常に整える事で我慢するファインとベルウッドだった…。
「お前は事の重大さが理解出来ていない様だな!!?緑の悪魔に復讐する事は我がズィーアームズ社、
いや、全てのゼネバス人にとっての100年の悲願だと言う事が何故わからん!!?」
「いや、さっぱりわからんな。」
「!!?」
それはルナリスの言葉だった。無論メガセイスモパイロットは焦り顔でハーデスの方を向き、ハーデスはさらにメガセイスモの方へと一歩前に出るのだった。
「言っておくが私のゼネバス人だぞ。だが私はコイツに“勝負”と言う形で勝とうと思った事は
あれど、殺そう何て事は思った事は一度も無い。第一私もマリンも100年も昔の戦争が
どんな物だったかは記録映像や本に書かれていた程度の事くらいにしか分からないし、それは
貴様だって同様だろう?第一今のご時世に昔の大戦時代から生きてた人間なんてほとんどいないと思うけどね?」
「う…確かに…そうだが…。」
メガセイスモのパイロットは少しうろたえが見えてきていた。そしてルナリスはさらに言う。
「それにな、お前達が緑の悪魔に恨みを持ってたって言うのなら何故今になってその恨みを晴らそう
とするんだ?今まで100年間の長い時間があったんだ。その間に緑の悪魔本人を襲う事も出来たんじゃないのか?」
「それは……。」
やはり痛い所を突かれた様子で、メガセイスモパイロットは黙り込んでいた。そしてそこに大きなスキが出来たのだった。
「お前も本当は怖いんだろう?緑の悪魔本人を狙わず、その本人が死んだ今更になって曾孫を相手に
怨みをはらそうとするんだからな〜…。偉そうな事を言っておいて、一皮むけば結局はただの腰抜け
の言い訳じゃないか。だからよぉ!!今更になってマリンを相手にしようとするってのはお門違いなんだよぉ!!!」
その時、ハーデスのダブルウィングスラスターが火を噴き、猛烈な速度でメガセイスモ目がけて突っ込みを掛けたのだった。
「100年も昔の怨みを今だに引きずる貴様等はこれで突き刺してやる!!」
スラスター全開で突っ込みを掛けながら、ハーデスは右腕を大きく振りかぶって指拳突きの体勢を取った。と、その時だった。
「ゼネバス人の誇りを失った愚か者が偉そうな口を聞くなぁぁぁ!!!!」
体勢を立て直したメガセイスモが首を大きく降り、首の後部にあるスティルアーマーの頭部装甲を
ハーデスに叩きつける事で跳ね飛ばしたのだった。そして数百メートルに渡って飛んだハーデスはそのまま地面にもの凄い勢いで叩きつけられていた。
「うああ!!」
「ルナリスちゃん大丈夫!!?」
「ちゃん付けするなぁ!!」
「なら大丈夫ね…。」
マリンはカンウを慌ててハーデスのもとへ向かわせていたが、例の言葉に対する例のツッコミに
よって大丈夫な事が分かると直ぐさまメガセイスモの方へと向き返ったのだった。
「さっき貴方が言った、ゼネバスの誇りをどーとかってどういう事?」
「ん?そんな事は決まっているだろうが!!そこのデスザウラーに乗ってる女!!コイツが
バッハードコンツェルンの令嬢である事を我々が知らないとでも思ったか!!?」
メガセイスモパイロットはもの凄い勢いでハーデスを指差していたが、ハーデスはゆっくりと起きあがっていた。
「やっぱそれも筒抜けだったか…。」
「当然だ。ましてやバッハードコンツェルンを一代で立ち上げた貴様の祖父、ルーガス=バッハード
は我々と同じゼネバス人でありながら我々ズィーアームズに協力しようとはしなかった。それどころ
か奴は我々に敵対し、あろう事か憎き共和国の財界においても重要な影響力を持つ程の存在にまで成り上がりやがった…。これは我々ゼネバス人に対する裏切り行為だ!!」
「いや、それは実業家として当然の事だと思う。ましてや共和国の財界にもどーたらこーたらに
ついても、両国の戦争が終わって平和な今の時代なら別にどうという事じゃ無い気がする。」
その時、メガセイスモパイロットはコントロールパネルを力任せに殴りつけていた。
「うるさいうるさい!!もう細かい理屈は抜きだ!!緑の悪魔の曾孫はここで死んでもらうし、バッハードコンツェルンの令嬢は生け捕りにさせてもらうぞ!!」
「マテマテ!!何でマリンは殺すとか言ってるのに私は生け捕りなんだぁ!!」
その時、またまたメガセイスモパイロットは鼻で笑った。
「フッ!お前も自分の立場が分かっていないな?バッハードコンツェルンの令嬢である貴様を
生け捕りにし、さらに人質にすればバッハードコンツェルンに対する良い取引材料になるし、上手く
行けばそのままバッハードコンツェルンを我がズィーアームズの傘下として吸収する事も夢では無い!!」
と、自信タップリに力説するメガセイスモパイロットであったが、今度はルナリスが鼻で笑った。
「は!バカだなあんたも…。」
「な!!?バカだとぉ!!?」
「そうだあんたバカだよ!!あのクソ親父が私ごとき不良が一人どうかなった所で取り乱すとでも思ったのかぁ!!?」
ルナリスは大笑いし、メガセイスモのパイロットはうろたえる…と思われたその時だった。なんと彼が突然雄叫びを上げたのだった
「うぐぉわぁぁぁぁぁ!!!!」
「な!!どうしたどうした!!?」
メガセイスモパイロットの雄叫びに2人は思わず戸惑った。と、その直後にメガセイスモの背中に装備された巨大なストームガトリングがカンウとハーデスに向けられたのだった。
「もうこうなったらお前等皆殺しだ…。荷電粒子ガトリング砲発射ぁぁぁ!!!!」
その時、ストームガトリングが高速回転を開始し、さらにそこから高速連射された荷電粒子が矢継ぎ早に撃ち出されたのだった。それには思わず2機は飛び退いた。
「きゃぁぁぁぁ!!!!」
「開き直りやがったよコイツ!!」
メガセイスモは荷電粒子ガトリングを乱射し、2機はその荷電粒子砲の雨から逃げ回った。そして砲撃が止んだ後で2人は一息ついていた。
「ったく怖いぞコイツは…。奴はただデカイだけじゃない。並行して兵器の威力も上がってる…。」
「それは良いけど…何でカンウの後ろに隠れるの?」
「う…。」
ルナリスは真顔で冷静に検証していたが、ハーデスはちゃっかりカンウの影に隠れており、その事実にマリンも思わず眉を細めていた。
「そんな事言われてもよぉ!!Eシールドと集光パネル持ってるそっちと違ってこっちは食らったら即死は必至なんだぞ!!少しはお前を盾にしても良いだろう!!?」
「良くないよ…。こっちだってあんなにデカくて、しかも高速で連射してくる荷電粒子砲は怖いよ。」
「なあ…良いだろう?」
「だからダメだって…。」
コアから注文したゾイドVSVまだ届きません。
だからVSVスレを見るたびに歯がゆい気分になります。
>>恐怖の亀裂作者さん
ええと〜・・・。つまりゾイドのダメージがパイロットにも痛みという形で伝わる術と言う事でしょうか?
それと「感染」が少し気になります。まさか細菌ばら撒かれてるとか?
近頃そういうタイトルのホラー映画とかやるみたいですが・・・
一応自分の考え方は凄い強い人はそこにいるだけで「あの人の後ろ盾があるから大丈夫」とか
味方に思わせて士気を高めたりと、言う形で結構味方に貢献していると言う事になっています。
逆に敵からすれば「ギャー!!○○○がいるー!!」とか言ってビビッテしまって
士気が下がり、本来の力が発揮できない。とかそういう事になります。
ゾイド世界の壮大な戦争も実は個人的な怨みが原因だったりしますから、
特定の人間だけが怨まれる事もあるかな〜とか思ったりします。
家はメモリーカード破損でデータが跳んでいたため1からやり直しの状況_| ̄|○
目の前のVに手が届きませんが何か?_| ̄|●な状態。
腹癒せに偶々立ち寄った行きつけの模型屋の店に合ったブレードライガーブラックインパクトを衝動買い。
昨日レイズを買ったばっかりで何方を組み立てる!?な状況に悪化。
鉄獣28号さんへ
特定の機体や人が恨まれるのはあの世界ですし当然と言えば当然という気がします。
「アンナの敵!」と皇帝陛下が恥じらいも無く言える世界ですから。
>感染
の細菌は言葉その物でその言葉を聞いた相手に対応して”あの存在”に付いてに関する知識への接触を阻害する物。
物理的な病気ではないので余計に厄介と言う位置づけになります。その重さはそれに対して近かりし知識が有る者程症状が酷くなると言う事です。
なので直撃のベルウッドは殆ど特に限られた強力な存在に対する知識に接触できないと言う症状になっています。
その映画は怖そうですね。CM見て背筋が凍る気がしました。ああ言うのは逆に怖くて…。
呪ONを借りても結局最後まで見れませんでしたし(最初の20分程で断念)。
この状況で何かを忘れているのは何もベンハルトだけではない。ファインもここでのルールを忘れている。
「何か気配がするぞ!?お主!何か解らないか?」ベルウッドに聞かれてファインは何かを気付き顔から血の気が失せる。
「なっ何!?何故土気色に成って居る!答えんか!」それに振り向いてファインは答える。「寄生体が居るのを完全にわすれてしまっていた様なんだよ!何もかも遅かったんだ俺達は!」
「なっなっなななななななな〜〜〜〜!!!な・ん・だっ・て〜〜〜〜〜〜!?」ベルウッドはコクピット内外に響く声を上げる。
ファインの頭の定位置?に居たアサガオライガーは余りにショックに頭から落ち気を失ってしまった「にゃにゃ〜〜…。」
ペイルバイターの機体修復の隙に地面より這い出した寄生体の一群が群がる。「此奴等は!?」ベンハルトも何が何だか解らない様で必死に迎撃している。
背に装甲の裏に隠されていたハイドアームで排除をするも数に圧倒的な差が有る。次々と内部に侵入する小型寄生体。しかし相手はギガノトサウルス野生体のコアを持つペイルバイター。
これにはベンハルトすら驚愕する。「コアが…化け物共を喰らっている…。」コアに到達した寄生体をペイルバイターのコアは逆に吸収しているのだ。それにより機体の修復と言うより変異が起こっている。
「お前はそうなりたかったのか!?」その姿が膨れ上がる。今まで頭部を隠し覆っていた装甲が左右に割れ凶悪な素顔を晒し出す。それは帝国系機体に反するカバーキャノピー型の頭部。
「まさかコピー機体とは言っていたがそのまんまだったとは…。」ファインは開いた口が塞がらない。ゴジュラスギガの頭部が出て来る。
機体に基礎を支えるフレームにすら変異が見られる。その姿は巨大な体を更に持ち上げ正面に胸部と腹部を曝け出す様に代わる。胸部のHEシールド発生機には装甲で強化され更に厳つい小口径ガトリング砲を左右に2門2列の計4門。
腹部には絶対に喰らいたくないと思う程の大口径の火器に囲まれてクリスタル状の物体。更に有機的なフォルム。大いなる矛盾を孕んだ姿。計12本のハイドアームはサイドアームに格上げされワシャワシャと爪が蠢いている。
千切れた2本の尾に代わりそれを足したぐらい太い尾が生えもううんざりなアレがよりにもよって3本先端に生えて居る。しかもターレット機構で効果的に殴れそうだ。
「何を黙って指を咥えて見て居る!って本当に指を咥えているなぁ!」愛の無い突っ込みの衝撃波。
しかも収束されて針の如く成ったそれはファインの顳かみに刺さる。「はうっ!?」それを喰らいふらふらと右に左に無駄に歩く。
「ふにゃ〜〜〜〜っ!!!」運悪く尾を践まれてしまうアサガオライガー。しかし災難は終わらない。ファインのブーツは床に躓き当然と言うぐらいにアサガオライガーの上に倒れる。
「にゃああああああっ!?」偽りの断末魔。哀れファインの下敷きになる。「ぬおっ!?思わぬ大惨事に!?」もう見てらんない状態だ。
「あたたたた…あんな所で手を出して余計に強化されて勝てるとでも?」きつい突っ込みがファインからベルウッドに言葉として突き刺さる。「うぬう…そう言うルールがあったか!」
歯痒い変異待ちの2人と1匹。ファインは起き上がりアサガオライガーをもう一つのサブシートに寝かし付けた。
千切れ跳んだ左腕が生える。爪は2本となりそれをカバーの様に覆う装甲はそれ自体が刺付きの盾の様だ。右手にも同じ盾ができ右肩には1本の巨大な竜顔の鋏が手の腕が現れる。
その体に合せ太く長い爪を持つ短めで力強い足。その他見た目で見えるその他の火器複数。推進器らしき物が背部に6対と最早何が何だか解らない姿に成って居る。
良く言う位の高い物は異質な姿をしている事が多くその良さを低位の物には理解できないと。正にそれである。
一気にペイルバイターがベルゼンラーヴェに迫る。エクスプローディングウィップでペイルバイターを打つが余り効果は無いらしい。虚しく爆発が起こるだけだ。
腹部のクリスタルが怪しく煌めく。その瞬間周りの物に一気に3倍以上の加重が掛かり身動きが上手く取れなくなる。「リバースグラビトン3!」コクピット内部の重力を素早く調整するベルウッド。
「アーバレスト!全機起動!」6機全てを起動して重力結界を脱出する。「アジャスト!」忘れずに仕掛けた重力調整を元に戻す。結局重力結界内では残念ながら戦闘経験が少ないファインには出番が無い。
ちょっと情けない感じがするがそれはどうしようも無く一気に2挺の銃を撃ち尽くし素早く次の弾を装填してペイルバイターの動きを見る。
そこに割って入る本能的な警戒反応に目蓋を閉じるファインはとんでもない光景を映し出す。アスピトルテの外套を盾にそれに備えるベルゼンラーヴェ。
と、2人がその様にもめていた時だった。2機の足下に荷電粒子ガトリング砲が撃ち込まれ、その際の地面爆発によって2機は大きく吹っ飛ばされたのだった。
「うっひゃぁぁぁぁぁ!!!!!」
「貴様等何をゴチャゴチャ言っておるかぁぁぁ!!!!!」
先程揉めていた2人の姿はメガセイスモに取っては自分の存在を無視している様に感じられ、思わず
激怒していた。2人は悲鳴を上げながら宙を舞っていたが、カンウは1度宙返りを行った後で綺麗に
着地し、ハーデスはスラスターを噴かした上で上空に舞い上がっていた。
「やっぱり怖いぞコイツは…。」
「さらにパイロットが切れまくってるから余計にタチが悪い。」
まさに動く要塞。タダでさえ強力なセイスモがさらに巨大化+出力アップによってパワーアップしたメガセイスモサウルスの圧倒的な火力に2人はうろたえていた。
「どうだどうだぁ!!?メガセイスモの力に手も足も出まいて!!」
今度はメガセイスモの首や尾、胴体に装備された各種機銃、と言ってもメガセイスモの巨大さから
考えてその大きさは中型ゾイドの主砲並の大きさであったが、とにかくその各種機銃から夥しい数の荷電粒子砲が全包囲に向かって放たれたのだった。
「うおわぁぁぁ!!!」
「きゃぁぁぁぁぁ!!!」
メガセイスモの周囲360度に雨のように降り注ぐ荷電粒子砲に2人は悲鳴を上げながら逃げ回って
いた。メガセイスモの機銃から放たれる荷電粒子砲は、やはりメガセイスモの巨大さに比例して、
その出力、粒子線の太さ、破壊力は通常のセイスモサウルスの物を遥かに凌いできたのだった。
「どうだメガセイスモの力は…お前等ごときザコなど手も足も出まい…。」
「確かに…あのサイズじゃあ装甲もパワーも段違いだろうから格闘戦でも勝てるかどうか…。」
陸のカンウと空のハーデス。マリンとルナリスの2人はやはりメガセイスモの圧倒的な力に
うろたえていた。が、直ぐさまカンウはMBユニットの砲口を、ハーデスはテラティックレールライフルを向けたのだった。
「それでもやらなきゃ助からない!!」
その直後、MBユニットの超高密度ビームが、テラティックレールライフルの超高速超硬砲弾がそれぞれメガセイスモ目がけて撃ち込まれたのだった。
「よっしゃ!!デカイだけに攻撃を当てる上では楽だ!!」
「って効いてないよぉ!!」
メガセイスモはやはり巨大化している分、装甲強度も遥かに高い物となっており、2機の攻撃は
ほとんど効いていなかったのである。それにはマリンも涙目になり、頭を抱えていた。
「無駄無駄無駄っつってんだよぉ!!」
今度はメガセイスモの口が光った。そして巨大超集束荷電粒子砲、すなわち巨大ゼネバス砲が放たれ、
その余りの閃光に2人はとっさに目をふさいだのだった。が、巨大ゼネバス砲の巨大な粒子線は
2機には直接直撃する事も無く、そのまま地平線の彼方まで飛び去っていくだけだった。
「当たってない…。」
「ノーコンか?」
巨大ゼネバス砲の粒子線が過ぎ去った際に起こった衝撃波によってカンウとハーデスはやや怯んで
いたが、ダメージそのものでは大した物では無く、2人はほっと胸をなで下ろしていた。が、それは
つかの間の安心でしか無かった。なんと、巨大ゼネバス砲が飛んでいった地平線の彼方で大爆発が起こったのだ。
「ええ!!!?」
「うわぁぁぁ!!」
閃光、そして大爆発。2機の遥か後方、地平線の彼方で起こった大爆発は凄まじく、遠く離れた位置
にいるカンウとハーデスに対しても衝撃波がとどいていた。そして、爆発が起こった地点では天まで立ち上る巨大なキノコ雲が上がっていたのだった。
「なんっつー威力…。あんな物の直撃を受けたら…。」
「ってちょっと待ってよ!!あの方角には確かタイガタウンが無かった!?」
「な…。」
2人はキノコ雲を呆然と眺めながら絶句していた。確かにあの大爆発が起こった地点にはタイガ
タウンがある地点であり、その被害は絶大な物である事は確実であった。マリンは慌てて
マグネッサー3Dレーダーをフル稼働させて何処かの放送局の電波を受信しようとしていた。
あれ程の派手な爆発であるならばテレビかラジオのどちらかで扱われるはずであると考えたのだ。
マリンはあらゆる周波数を持ってそれを調べる。と、その中でついに先程の大爆発についてを取り上げたテレビ放送をキャッチしたのだった。
「あった!今の爆発がテレビで早速やってる!!」
「何!!?」
「今ルナリスちゃんの方にも送るよ!!」
「ちゃん付けするな!!」
やはりお約束は忘れずにハーデスがカンウの頭を小突いていたが、マリンは先程の爆発についてを
取り上げたテレビ局の映像をハーデスの方へも送りつつ、コンピューターディスプレーにも表示した。
映像では大爆発の起こった地点の上空をテレビ局のダブルソーダがホバリングしながら地上の映像を映し出していた。
『なんと言う恐ろしい事でしょうか!つい先程起こった大爆発によってタイガタウンのほとんどが
吹き飛んでしまったのです。田舎町ではありましたが、観光名所として数多くの人で賑わっていた
タイガタウンがもはや火の海です!一体だれがこの様な事をやったのでありましょうか!?』
「………本当にタイガタウンが…。」
テレビからの映像と言う形でタイガタウンが吹き飛んだと言う現実を目の当たりにした2人は青ざめ、そして絶句していた。が、メガセイスモパイロットは違った。
「どうだよメガセイスモのゼネバス砲の威力は…すげぇだろう?」
「あんたぁぁ!!アレ見て何も思わないの!!?」
「アレ見てって?そりゃメガセイスモのゼネバス砲の威力ならあれだけの事は平気で出来るさ!」
「な…。」
まるでメガセイスモの力に酔っているかの様に罪の意識と言う物が全くと言って良い程存在しなかったメガセイスモパイロットの態度に2人は絶句、唖然とした。
「あんた…だからアレ見て…。」
カンウはメガセイスモのパイロットに見せるようにキノコ雲の方を指差していたが、メガセイスモの方に何か変化があるワケでも無かった。
「凄いね〜本当に…。流石は我がズィーアームズの兵器。無敵だね!」
「無敵って…お前それのせいでどれほどの被害が出たか分からないのか!!?タイガタウンが吹き
飛んだんだぞ!!多くの人が死んだんだぞ!!建物も何もかも吹き飛んだんだぞ!!それだけじゃない!!その周囲の自然も…。」
「(やっぱり自然は外せないんだね…。)」
なおも楽観的なセイスモパイロットにルナリスは全身を振るわせながら言い聞かせていたが、
やはり人命だけで無く自然もしっかり気にするルナリスにマリンは心の中でツッコミを入れていた。
が、これだけ言ってもセイスモパイロットは反省の色一つ無く、それどころか笑い始めていたのだ。
やっとVSVがとどいたワケですが、何かゼロファルコン入手はミッションをオールSクリアしないと
ダメみたいですね・・・。イージーでもヒーヒー言ってる自分は一体どうしろとorz
ただ、悪い所ばかりじゃなく、自分が良く使うギガの使い心地が良くなったと言う点もありますが。
大砲は若干弱くなったけどその分格闘が強くなったし、ちゃんと噛みついてくれるし、
Uの時の早歩きみたいな走り方じゃなくてきちんと走ると言う感じになってますし。
>>恐怖の亀裂作者さん
久々の寄生体登場!やっぱり貴方の作品に寄生体は無くてはならない存在(?)ですよね!
その寄生体を次々に吸収し、怪物ギガみたいな物を形作るコア・・・。
しかし何か想像してみるとかなり格好良く思えたり。
それと、ホラー映画は自分もダメです。アダ○スファ○リーみたいな
いわゆるホラーコメディーなら平気なんですけどね・・・。
>>恐怖の亀裂作者氏
ホラー物ダメ度は自分も最強クラスかと。
下手に妄想が膨らむ性格のため、風呂に居てもトイレに居ても終始ガクブルな最近ですw
>>鉄獣28号氏
VS3は、発売日に隣町のカルフールまで逝って購入しました。
レイズタイガー強過ぎ…ミッションモードのゲームバランスが最初から崩壊_| ̄|○
ギガのバスターキャノンは前作で無敵武装でしたから、弱体化しても良いのでは?
次スレまでに、ゲームかアニメのキャラで短編投下しようと思ってます。
こう言う落とし穴的な事をやるのに適しているのが寄生体ネタ。人に付いたりゾイドに付いたりと頑張ってます?
鉄獣28号さんへ
力に溺れてさあ大変!?逃避はいかんよ逃避は!なパイロットにガクガクブルブル。
メガセイスモを倒す事が出来るか!?あそこまで巨体だと片足1本じゃ転倒しないのかもしれませんね。
Inocent Worldの作者さんへ
下手に見るとガクガクブルブル…。怖い者は多いですよ。因みに内の周辺でゲッゲッゲッゲッゲと鳴いている存在が居て怖いです。
何故かとても近くで声がして「ひぃ!?」と後ろを向くと…不法侵入のヤモリでした。奴等は何時の間に侵入してくるのか解らないのでとても怖かったりします。
その癖逃げ足が速く捕まえて悪戯が出来る訳でもないので捕獲用の罠を設営中。だから如何したと言われると…ぐうのねも出ません_| ̄|●
新しい作品頑張ってください。
突然ベルゼンラーヴェ周辺の空間が歪みそこから高速機動をするペイルバイターの姿が現れる。
そして右肩より伸びる竜頭の巨大挟みでベルゼンラーヴェを掴み口腔内のプラズマトーチで攻撃しながら更にEシールドアタックを掛ける。
「ぐううぅぅぅぅぅ〜〜〜っ!!!」必死に防御体制を崩さず耐えるベルゼンラーヴェと内部のファイン。効力が薄くなっているとは言えオーバードースぺインの効果は続いている。
アスピトルテの外套を破り内側に展開したEシールドを貫通。胸部及びコクピット周辺にプラズマトーチが焼き切り跡を残す。
その衝撃でコクピット内の一部が破損。飛び散る火花や砕けた部品の破片がファインを直接襲う。
ペイルバイターは攻撃を終えて大地に降り立つが空中のベルゼンラーヴェの中は主にファインの怪我の出血による周辺機器に飛沫が跳び内部が赤黒く汚れている。
中にはそれによりショートした機器も有る。「…っ。」痛覚共有の痛みと実際の怪我の痛みで緊張の糸が切れそうなファイン。直にベルウッドは傷口の治療に当たるが所詮は応急処置。
メリクリウスシャードを使用しても怪我による痛みや痛覚共有の疑似神経ダメージは軽減されない。体の治療の為に無理矢理修復された細胞は当然悲鳴を上げている。
「!そうか機体自体も修理せんと痛み自体は消えん。悪鬼呪法機関起動!」ベルウッドは素早く状況を理解し機体のダメージを修復させる。何時の間にか膝を突き肩で息をしていたファインの苦悶の表情は緩む。
しかし根本的な問題は解決していない処か更に悪化している。外法荷電粒子砲が放たれそれを何とか回避するがメインのパイロットが身動きが取れない状況は最悪だ。
幻聴だろうか?ファインの耳にはベルウッドの声の他に別の大勢の声が聞える気がする。それは彼と同じく苦痛を訴えもがき苦しむ声。丁度その時の状況は外法荷電粒子砲をベルウッドの操作で回避した時だ。
幾重の声の中或る声が何故か鮮明に耳に残る。「ママ…パパ…何処に行ったの?痛いよ…怖いよ…苦しいよ…。」始めは何か理解できなかった。当り前であろう。これこそが呪殺兵装である外法荷電粒子砲の中核なのである。
外法というだけ有りこれは賊に言う死霊封印術(ネクロシール)を中枢に据え周囲の故無き死者の死の直前のイメージやそれから生まれる恨み邪念を荷電粒子砲の威力と貫通力に付加する物だ。
その拘束力は強大で生きながらにそれに囚われる者を生み更にそれの威力を増してゆく。この闘争の時代にこれが有れば幾らでも威力の強い物を打てるだろう。
ペイルバイターの胸部の4連ガトリング砲と腹部クリスタルより抽出した重力エネルギーを使用したハイパープレスパルスレーザーの雨が空に放たれる。それがベルゼンラーヴェに当たり爆発を起す。
しかしファインはその痛みを感じている様な素振りが無かった。外法荷電粒子砲の声に精神を揺さ振られそれ所では無い様だ。
「…許せない…許せない…許せない許せない許せない!許せない!許せない!!!絶対に許せないっ!!!」正義やらそう言った物に余り興味が無いファインの価値観。しかしそれが激しく叫ぶ。それを許すなと。
「こっこれはっ!?」ベルゼンラーヴェの機体が急速にエネルギーを生産し始める。ベルウッドは大体の機構についての知識が有るがこう言う反応は初めてだ。これまで幾つものコアとして機体として生きて来た。
それでもこんな反応を自身が起すとは知りもしなかった。機体の装甲板の隙間から一層強い光度の光が緑に輝きそれは機体その物を包み込む。そして急速冷却機構が最大展開。後頭部の巨大フードカバーが立ち上がる。
そこから数万もの光の鬣が燃える様に揺らめいている。コクピット内で立ち上がるファイン。その動きに合せて空中で丸まって居たベルゼンラーヴェは無理矢理目の前の両開きの扉を開け放つように体を広げる。
「虚仮威しで如何にか成ると思っているのかっ!?」ベンハルトはそう言いウェポンバインダーからミサイルを発射する。マイクロポイズンミサイルポッドから発射されるポイズンミサイル。ゾイドが生物であった特性を利用した兵器だ。
それを喰らうと本来は機械に影響の無いガスと実際に腐食効果が有るガスを同時に発生させ爆発。影響のないガスの成分で実際以上のダメージを検知してしまう特殊な弾頭だ。全てが直撃の起動だがベルゼンラーヴェは身動き一つしない。
物理法則に逆らい思い思いの方向に靡く鬣を残し直撃の爆発に消える機体。「血迷ったか!?」このレベルの機体なら実質のダメージは皆無だがその効果による弊害からは逃れられない。しかし爆風と対ゾイド用の毒霧から現れたそれは何一つ変化が無い。
「有り得ん!そんな馬鹿な事が…。」いかし直に冷静になる。良く考えればベンハルト自身知っている事だ。
「ハハハ…素晴らしい…素晴らしいじゃ無いか…。これがメガセイスモの力なんだぞ…。これなら我等ズィーアームズが世界を支配する事だって夢では無いじゃないか…。」
「く…狂ってる…。」
不気味な笑みを浮かべるセイスモパイロットの様相に2人は青ざめ、2機は思わず後ずさりしていた。
「ひゃぁぁっはっはっはぁぁぁ!!!!素晴らしい!!素晴らしいぞメガセイスモサウルス!!
これならばその気になれば世界を焦土と化す事だって出来る!!メガセイスモの量産の暁には世界
だって支配出来る!!素晴らしい!!素晴らしい!!本当に素晴らしい!!我が社の技術は世界一ぃぃぃぃ!!!!」
狂った様に笑い続けるメガセイスモパイロットはそのままゆっくりとメガセイスモの口をカンウへと向けた。
「さぁて…早速君にも緑の悪魔と同じ所に逝ってもらうとしよう…。地獄へね!!」
「ふざけるな…あんたふざけるなよ…。」
「ん?」
その時だった。なんとメガセイスモがパイロットの意思に反して一歩仰け反り、さらに怯え始めたのだ。
「どうした!?メガセイスモ!!あんなザコ相手に何を怯えている!!お前は強いんだ!!強いんだぞ!!お前は町も一撃で焦土に出来る力を持って…うう!!!?」
再びカンウの方向を見たメガセイスモパイロットは愕然とした。カンウが先程までとは別物と言える
程の気迫を放っており、さらにな何かのオーラの様な物すら見えていたのだ。
「一体何が起こったんだ…?」
突然のカンウの変化にルナリスも驚きを隠せない様子であった。
「な…何だ…これは一体何だぁぁ!!」
「あんた…本当にふざけるなよ…。あんたのさっきの一撃…それで何の関係も無いタイガタウンの人達を…どれだけ死に至らしめたか分かっているの?」
「な…何偉そうな口を叩いていやがる!!緑の悪魔の血を引く魔女が何を…。」
マリンの静かに、激しい怒りを込めた言葉にメガセイスイモパイロットはなおも笑いながら答えて
いたが、その表情には焦りが見えていた。そしてそのメガセイスモパイロットの言葉の後にカンウの
MBユニットから放たれた高密度ビームがメガセイスモの足下に着弾したのだ。たちまち巻き起こる地面爆発にメガセイスモパイロットはうろたえた。
「うう!!」
「確かに曾お婆ちゃんはその昔の大戦中に多くの帝国兵士の命を奪って来た事は事実だと思うよ。
けど、それはあくまでも戦場での話。戦場で両軍の兵士が殺し合いをするのは当然だと思うし、
その様な状況じゃ殺したって殺されたって仕方が無いじゃない…。けど、あんたのやった事は違う。
今は昔とちがって戦争中じゃ無いし、ここだって戦場じゃ無い。ましてやあんたが吹っ飛ばした
タイガタウンだって戦場じゃ無いし、あそこに住んでいた人達だって戦闘員じゃない。普通の民間人何だよ…。それを殺したんだ…あんたが…。本当の悪魔はどっちだぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
マリンは心底怒っていた。彼女の丸々とした目がタカの様に、いや、それ以上に鋭くなっていた事
からそれを伺い知る事が出来る。そしてその怒りに共鳴する様にカンウの出力が上昇し、さらに
マリンとカンウからそれぞれ凄まじい程の殺気が放たれていたのだ。それにはメガセイスモだけでは無く、味方であるルナリスとハーデスすらもうろたえていた。
「(こ…こんなに起こったマリンは初めて見る…。しかし…カンウから放たれるこの恐ろしいまでの気迫は何だ…。ま…まさかこれが緑の悪魔の本当の力?)」
思わず一歩一歩後ずさりするハーデスの中でルナリスは額に汗を浮かばせていたが、カンウは一歩一歩前に踏み出していた。
「戦場で多くの敵兵士を殺した者より、何の関係も無い多くの民間人を虐殺した者の方がよっぽど悪魔だと思うよ私は…。ええ!!!?」
「ふ…ふざけるなぁぁ!!!この魔女がぁぁぁぁ!!!!!」
一歩一歩メガセイスモに接近するカンウの気迫に押されてうろたえていたメガセイスモであったが、
パイロットは焦りながらもカンウをロックオンし、巨大ゼネバス砲の発射準備に入っていたのだった。
無論それに合わせてメガセイスモもその巨大な口を開き、その口腔内からかすかな光が放たれる。
「こ!!こらぁ!!まさかまたさっきの凄いゼネバス砲をぶっ放すつもりか!!やめろ!!そんな事をしたらお前だって…。」
ルナリスが慌てて踏みとどまるよう説得しようとした時には既に遅かった。既に巨大ゼネバス砲はカンウ目がけて撃ち出されていたのだから…。
「やめ…。」
周囲にまばゆいばかりの閃光が走り、何も見えなくなっていた。
今日は2回分しか書かないけど勘弁して頂戴orz
>>恐怖の亀裂作者さん
人の念、しかも苦しんでる奴とか色々使ってる外部荷電粒子砲。
想像してみるとなんか「あ〜。」だの「う〜。」だのの声が聞こえてきそうで何か気味悪いですね。
その内幻影か何かでさながらゾンビみたいになってる人の姿まで見えてきたりして・・・。
ベルゼンラーヴェがパイロットの怒りで出力増加(?)って丁度偶然にも
同じ事がこっちでも起こっちゃったワケですがこれは本当に偶然と呼べる物なのでしょうか
>>Inocent World作者さん
ゲームやアニメのキャラを使った新作ですか。楽しみにしています。
自分も、一応自分なりの三虎完結編みたいな感じで今やってる話が完結したら
フューザーズのキャラが出てくるだの色々やろうと考えていたのですが、
肝心の今やってる話がかなり長くなってるので、何時になるか分かりませんです。
一応書き置きしてる分はクライマックスへ向かいつつあるのですが・・・。
世界規模での被害を出した、デスザウラー戦――通称、「ヒルツの反乱」から半年。
西方大陸南西の町ウインドコロニーに、その男はいた。
「バン、仕事に遅れるわよー?」
「わかってるよ姉ちゃん! じゃ、行ってくる!」
陽気な声と共に、家の玄関を開け放ったのはバン=フライハイト。西方大陸戦争、ヒルツの反乱と
どちらも彼の功績によって終結したと言っても過言ではない、いわゆる「英雄」である。
いつものように、ポストから新聞を出そうとしたバンは一通の手紙に気付いた。
「ん、俺あての手紙か…誰からだ?」
玄関からフィーネが出てくる。彼女もまた、バンと共に二つの戦争を生き延びた古代ゾイド人である。
「どうしたの? …手紙?」
「ああ、そうらしい… ――これは…!」
差出人の名を見た彼は愕然とした。
そこに記された名はレイヴン――西方大陸戦争時にはガイロス帝国最強のゾイド乗りと呼ばれ、
ヒルツの反乱の後姿を消した、ライバルの名だった。
「…本気で、決闘なんてやるのかい?」
青い髪の少女と、黒いマントを纏った少年(あるいは青年か)が暗い部屋の中で話し込んでいる。
「ああ、本気さ。…俺が誰よりも倒したいと願い、そして――目標としたのがあいつだから」
黒のマントに黒髪、全身を黒一色に覆った少年はレイヴン。誰あろう、バンに「果たし状」を送った本人だ。
そして、テーブルを挟んで向かいに座った、青髪と青い瞳が印象的な少女はリーゼ――かつて反乱を起こした
ヒルツと共謀し、テロ活動を行っていた事もある古代ゾイド人。
二人は反乱の後、身を隠しながら暮らしていた。彼らの名はすでに治安維持組織「ガーディアンフォース」の
A級ブラックリストに載っており、人目に触れる事は致命的だったからだ。
「でも、アイツはガーディアンフォースだ。罠を張るかもしれない」
「罠、ね…」
レイヴンは不意に、不敵な笑みを見せた。
「――それは無いな。羨ましいくらい、単純な奴だから」
「危険よ! 一時は共闘したといっても、彼はバンを憎んで…」
「違うよ。アイツが俺に決闘を挑んできたのはきっと、まだ――決着が付いてないからだ」
ガーディアンフォースの本部で、バンとフィーネは人目を憚るように話していた。
バンとしては、レイヴンとの決着を付けることは一も二も無く賛成だった。が、フィーネは「危険だ」と言い張る。
勿論それは、バンの身を案じての事なのだが。何しろ、レイヴンとの戦いでバンは死に掛けた事すらある。
しかし、バンの決意は固かった。
「それでも、俺は行く。アイツに負けっぱなしだったしな…それに」
彼は窓越しに空を見上げ、独り言のように呟いた。
「これは憎しみとかじゃなくて、俺とアイツの――『プライドを掛けた闘い』さ」
――3日後。
夜の11時55分、レイヴンはエレミア砂漠にいた。
約束の時間は12時。残り5分だが、バンが来る気配は無い。
「フン…俺も、愛想を尽かされたかな…」
傍らに、黒いオーガノイド・シャドーが丸くなっている。レイヴンは冷え切った砂漠から、澄んだ星空を見上げた。
「…しかし、ここは星が良く見える…空気が澄んでいるんだな」
そういえば、自分の生家も星が良く見えるところだった――と、遠い昔を思い起こしていたレイヴンの耳に、
頭上のコックピットからの電子音が聞こえた。
急いでコックピットに飛び込み、通信回線を開く。
<悪ィな! 遅刻しちまってよ!>
「――バンか?」
<当たり前だ! 他に誰か呼んだなら話は別だけどな>
レイヴンは苦笑した。どうしてなのか――記憶を取り戻した日から、この声を聞くたびに背中を駆け抜けるものがある。
それは、宿敵と戦える歓喜。少なくともレイヴンには、それが感じられた。
「…俺たちが戦った戦績、覚えているか?」
<んなモンは、忘れた!>
「覚えているだけでも、始めて会った日、クロノス砦、共和国領、ジェノザウラーで戦った時、帝都への道、
記憶を取り戻した日、もう一度ジェノザウラーに乗った時、ジェノブレイカーで初めて戦った時、俺の包囲作戦の時…
覚えているだけでも、これだけあるな」
数え上げる彼の顔には、過去の戦いへの憎しみなど一片もない。
奴らの決着物語…でもKB足りないっぽい?次スレまで持ち越すのか。
アニメの記憶がdでますから、多少キャラが変わっててもご愛嬌orz
>>恐怖の亀裂作者氏
また胴体切れてますよ!
…一瞬脳内変換で、ファインの台詞が
「俺は…正義やらそう言った物には興味がねぇ…雑魚がうろうろしてれば気合を入れてやるし、
パーツショップで金を払わねぇなんてのはしょっちゅうよ…
――だが! そんな俺にも吐き気のするような『悪』は解るぜ!
ベンハルトーーッ!! テメェがやったのはまさにそれだーーーッ!!!」
>>鉄獣28号氏
自分も実は…密かにInocent World2なんか企画していたり。
しかし、でかいセイスモに…キティなパイロット…そしてぶち切れの主人公…
「クリ○ンのことかーーーッ!!」かもしくはセルの時にぶち切れた悟飯?
そろそろこのスレも400Kb突入完了
鉄獣28号さんへ
偶然です!思い切り!狙ってできる事ではないですし。
しかし遂に目覚める!?カンウの力。でかいのが怯える程のもの。
過去の本家も巨大魚とかとやりあってますし今回も大活劇に発展!?
Inocent World改め白と黒のプライドの作者さんへ
もっとくだらない事も含めて怒ってます。一応新兵器開発テストなんて事をやっているので。
その辺も突っ込み処が或るものですから。
バンとレイヴン。決着は如何に?
それを見てベンハルトはサイドアーム内蔵のショックブラスターを連射する。それも全て直撃するがベルゼンラーヴェには傷一つ付かない。
その頭部の装甲は今まで素顔を隠す様に覆われていたがその遮光シールドが砕け本来の顔が現れる。三角形の底辺から小さい三角形を切り取った様な甲殻類の兜。
それを被った様な狼の顔。ガイロスの口伝に残る狼頭の竜の顔。耳の付け根上からに羊の角と山羊の角を付けた様な角を生やしている。万を辞してと言う様に狼の咆哮を上げる。
極端にイメージ付けをするならエナジーライガーに対してエナジーウルフと言った所だ。
「真逆この様な顔をしていたとは…妾も罪作りよの。」何故か機体の顔を見て妙に照れながら言うベルウッド。何処にでも有る様な顔をしていると思ったらしい。何故照れるのかと思いながらもファインは眼下のペルバイターを睨む。
正確には中に乗っているベンハルトをだ。それだけの力を持ちながら情けない事この上無い。外法荷電粒子砲は確かに際限なく力を発揮するものだろう。当たり前の様に彼もそこら辺の知識についてはある程度の物が有る。
しかし目の前に実現されたそれは…弱すぎるのだ。人の命やそれで倒したゾイドの恨み等を力に還元する物としては掛かる費用(手間)に対する効果が最低なのである。
そんな物を平気でゾイドに搭載する彼の考えは色々な意味で間違っている。
「その程度の威力?嗤わせるな!戦闘を市街地や村落で行う事を可能な限り避けて戦争をしているのに貴方は何処でそれだけの命を奪ったので?」核心を突くファインの言葉に返って来るベンハルトの答え。
「それこそ嗤わせる!この外法荷電粒子砲に込められた邪念や命は貴様等が今まで積み上げた罪の総決算だと言うのに。それを以てしてもまだ吼えるか!」外法荷電粒子砲が最大出力で発射される。
その異様は既に音量の塊が荷電粒子に変換されているかの様に痛みや恨みの顔を作り壊しを続けながら纏わり付くようにベルゼンラーヴェを巻き込む起動を執りながら直撃する。
汚染とも言うべき痛みの園が空中に出来上がる。その中に有る物体は等しく腐れ落ちその痛みの新たな糧になる。当たってしまえば絶対に汚染を回避できる術の無い一撃…の筈だった。
しかし痛みの園に罅が入る。「何っ!?」ベンハルトはそれを見て驚きを隠せない。汚染値が急速に下がっているのだ。
その原因は目標にした物に有る。更に低下する汚染値。罅からは何かが抜け出す姿が有る。
それは外法荷電粒子砲の核たる邪念。空を飛び暴れ回るそれが分離された事でその効果その物に破綻が生じたのだ。
遂に痛みの園は崩壊しそこに何事も無かったかの様にベルゼンラーヴェが居る。両手に光を抱えてペイルバイターを無視しそれを見詰めている。
やがてそれは存在その物が失われて消えて行く。それは邪念の発生機として形を無理矢理与えられた死した命。その本質をようやく得る事ができ消えているのだ。
消え行く光を見るファインの表情は明るく優しかった。ベルウッドはそれを見て満足そうな顔をする。声には出さないが「やはりな…此奴相当偏った考えを持って居る。だがその方向は悪くない。」
しかしその表情を変えベンハルトと悪鬼というに相応しい姿になったペイルバイターを睨む。「これでそれはもう使い物にならない。勝負!」素早く地上に戻るベルゼンラーヴェはそのままアーバレストで地を蹴る。
そして今度はアーバレストで空を蹴りペイルバイターに一気に迫る。
「ふん!この物量差を埋める手でもあるのと言うのかっ!?」12本のサイドアームと肩のパワーブレイカー。両腕とそれだけでも3倍は差が有る。それに足と尾と口。特に尾は何度もベルゼンラーヴェを叩き付けた実績のある物。
単純計算では負ける筈が無い。しかしその計算は脆くも崩れ去る。サイドアームを潜り抜け尾を打ち払いパワーブレイカーを地面に叩き付けその胴体に一撃拳を叩き込むベルゼンラーヴェ。スロー再生された様な感覚で空中に浮くペイルバイター。
遅れてくる衝撃に吹き飛ばされ弾かれる様に反対方向に跳ぶベルゼンラーヴェ。着地と同時に挑発する様に格闘戦の構えを取る。
宙に浮くのも少しの間直に状況を理解し地面にペイルバイターを着地させるベンハルト。6対12機のアーバレストを使用し上空高くに吹き飛ばされるの避けた様だ。今までの唯性能差で攻めるの止め同じく格闘戦の構えを取る。ベルゼンラーヴェの人間的生物的構え。
対照的に醜く歪んだ禍花を思わせるペイルバイターの構え。そこから双方地を蹴り相手を狙う。今の状態のベルゼンラーヴェは絶望的だった期待の性能差を充分埋めそれだけでは収まらず機動性と防御力はペイルバイターを超えるに到った。
ベンハルトにとっても手加減の必要が無く好都合だ。
「ならば逆に好都合!逝くぞ!」ここまで来るともう意図的に間違えているレベルだ。禍花が自慢の雌しべで獲物を狙う。
第3ラウンドの開幕の時間だ。
驚異的な手数で効果的な攻撃を阻むペイルバイター。それを避け受け流し攻撃を仕掛けるベルゼンラーヴェ。両者の姿は正確な輪郭を映さない状況が続く。
格闘戦の間合いで問答無用にお互い重火器までも総動員で戦闘が再開されるとその場は傍迷惑な高機動火薬庫状態になる。
ゼネバス砲がカラミティシャドウの炎の弾丸が舞い踊り明後日の方向にポイズンミサイルやらショックガンランチャー、バルカンにハイパープレスパルスレーザーが飛び交う。
その間にも蹴りの応酬や殴り合いが続く。パワーブレイカーとESBストライクが衝突しお互いに距離が開く。
「次が来るぞ!」「おう!」ベルウッドの目がペイルバイターの次の手を捉える。飛び退き様に2挺の銃の弾の交換を始めていた為その作業はもう終わる。それと同時に銃を空中に放り投げ1回転した所で掴み直す。
緩急定まらない加速でペイルバイターの不規則な動きを観察し一発づつウェイブレイダーを使用する。その高機動誘導弾でペイルバイターの動きに制限ができる。一発一発でその効果が増しカラミティシャドウでも充分捉えれる軌道に成っていく。
カラミティシャドウの弾丸はサイドアーム数本とパワーブレイカーを巻き込み破壊しながら跳び去る。更に機体本体に突き刺さるウェイブレイダーの弾丸だがそのままペイルバイターはベルゼンラーヴェに接近しその巨大な顎で左肩を食い千切り通り過ぎる。
「つううううぅぅうぅぅっ!!!」左肩から下の感覚が消失するファイン。そのまま掴んだウェイブレイダー毎地面に打ち捨てられる。実際に食い千切られたかの様に出血の感覚までファインには有るらしく擬似的な失血症状を起している。
しかしベルゼンラーヴェは吼える。それに呼び戻されるかの様に砕けた左肩装甲と一緒に左腕が動き始める。そこにペイルバイターの攻撃を躱しながらベルゼンラーヴェは到着して素早く左腕を拾い上げる。略自動的に悪鬼呪法機関が起動し再連結が開始される。
それにより左腕の感覚が戻ってくるがそれもまた痛みとして認知される。「ぐう…。」声を殺し痛みに耐えるファイン。「妾は何故この様な時に限って役に立たんのだ!」突然そう言うベルウッドにビックリして彼女を見る。
ファインが横目でベルウッドを見ると苦虫を噛み潰した様な顔をしている悔しさが更にその表情を歪め噛み締めた唇から血が滲む程だ。
何かを思い付いたファインはちょっと前にベルウッドが執った行動を真似てサブシートにもたれ掛かり序でにベルウッドにももたれ掛かる。
「!?何をやって居る…?」明らかに不満爆発な顔でファインを睨むベルウッド。「いや…役にたって貰おうと…あたたたたたた!?」「面白い事をし居るな?そんなに死にたいか?」
痛みの感覚が残る左腕に軽くチョップをかますベルウッド。「急げ!奴は何かして居る!それに奴の痛覚共有の効果を打ち消さないと本当に死ぬぞ?」
ペイルバイターの周辺の金属片を依代として外法荷電粒子砲の内部の呪装機関を解放。そこから残る死霊を解放し金属片が屍人形(ネクロライズマリオネット)に成る。
「来るぞ!屍人形共だ!奴はカースドライブを放棄した!あれを全部破壊すれば良い!」その言葉を聞き機体をチェックするファイン。左腕の機能はウェイブレイダーの弾薬損失とホロテックルーン装甲の破損以外問題無い。
十字封剣の紛失が無いので戦力低下は最小限で食い止められた様だ。
思い思いのゾイドの姿となって屍人形が迫ってくる。ざっと数は200以上。でも直に数える必要は無くなる。「産まれたてのゾンビさん?世の中の厳しさを教えてやるよ。」ファインはベルゼンラーヴェの両手に4本づつ十字封剣を構える。
「ガンホー!!!」腹部の拡散荷電粒子砲で正面の者を消し飛ばす。十字封剣が閃きその線が一閃する毎に屍人形は1機づつ消えて行く。何も考えずに生への妄執と恨みだけで動く彼等に戦略や戦術は存在しない。
闇雲に突撃する彼等に無造作に振り下ろされる終末の閃き。鎧袖一触とはこの事だ。ただ相手の数だけ攻撃すれば良いと言う疲労は有るが懸念材料が相手に無いのは非常に助かる。
物の数分で片が付き体に付いたオーバードースぺインの効果が消滅する。
「力が欲しいか?だが無駄だ。」ベンハルトは力への執着に吼えるペイルバイターを窘める。
「これだけの差が有りながらお前は奴に勝て無かった。奴に勝つ為に必要な物が解るか?」
戦況は一変しペイルバイターは押される一方だ。今までの優勢は何処にも無く嵐の様な攻撃を捌くので手一杯の状況。
枷の外れた野生の獣の様な抜け目の無い攻撃に逆に嬲られるペイルバイター。
この戦闘では強化が行われた後にベンハルトが動いたのは火器を使用する時のみ。その他の行動はペイルバイター本体が行っている。
手に入れた力に任せて殴っていただけだったのだ。当然そんな甘い攻撃は正常な状態に体が戻ったファインとベルゼンラーヴェに敵う筈は無い。
「何を為べきか?解るか?」ベンハルトは操縦桿を握り尾の3連ドリル棍棒で素早くベルゼンラーヴェを地面に叩き落とす。
「なっ!?」突然の切れの有る攻撃に不意打ちを貰い派手に俯せに地面に激突。その余波と衝撃で地面が崩れ大地に開いた闇に消えて行く。
「もっと力が欲しいのなら覚悟をするのだな。全てを捨てる覚悟を…。」ベンハルトはペイルバイターに語り掛ける。今までの全てを捨てる覚悟。ある程度までの知能を持つに到ったゾイドみはその意味する事が解る。
ベンハルトの言葉に咆哮を持って答えるペイルバイター。ここに常識を覆す新たな戦闘ゾイドの産まれる準備が整う。サイドアーム、パワーブレイカー、6対のアーバレストを自ら取り外しその堅牢な装甲すら破棄する。
甘いセキュリティの帝国軍の情報ネットから寄生体に関する情報を調べ上げそれで知る寄生体の持つ強化再生の力。それはマッドサンダーから更なる狂える雷神を作り上げファインの乗っていたロードゲイルをラビットホーンに進化させた力。
「成らば始めよう…。」地下に落ちてベルゼンラーヴェが居ない今がチャンスだ。彼等の技術なら意図的にそれを起す事すら可能だ。
素体から寄生体特有の触手が体内を貫いて大量に跳び出す。苦痛の叫びを上げながらも耐えるペイルバイター。残る武装も外れコクピット周辺の装甲も外れる。キャノピーが外れなかったのは幸運だったのだろうか…。「無理をする必要等無い。」
そう言ってベンハルトはキャノピーを内側から取り外す。「言っただろう・全てを捨てる覚悟は有るかと?これは技術者連中が可能性の話と言ったラーニングフュージョンと言う奴だ。」可能性の話。何らかの状況さえ創り出せば敵機やパイロットの技術を吸収できると言う仮定。
それをベンハルトは今行おうとしている。触手の洪水がペイルバイターとベンハルトを飲み込む。その変異は光を放ち一瞬で完了する。触手の洪水を打ち破り現時点での最強のペイルバイターが姿を現す。
「ふん…無理をし居って。儂の事等放って置けば良かろうに…。」そう呟く…。
「う…。」
目が開けられなくなる程の閃光が晴れた時、ルナリスは自身がまだ生きている事に気付いた。
「私は生きている…なぜだ…?あれだけの爆発なら…ハーデスごと蒸発してしまっても不思議では無いのに…。」
なぜ自分が無事なのか…ルナリスは不思議でならなかった。しかもハーデス自身にも衝撃波でやや飛ばされたと言う事はあれど、大したダメージは受けていなかったのだ。
「一体何故…。ああ!!!」
彼女の視線の先には全身の集光パネルからまばゆい光を輝かせながらドッシリと立っているカンウの
姿があった。真に信じがたい事であるが、あれだけのエネルギーをカンウが全部吸収していたのである。
「そ…そんな…バカな…。」
メガセイスモの力に酔っていたパイロットはそれまでとは打って代わって恐怖に打ち震えた顔となっていた。そして、メガセイスモもその機体を一歩一歩と後退させていたのだ。
「あ…あれだけのゼネバス砲のエネルギーを全部吸収するなんて…ま…まさに悪魔…、いや…悪魔そのものだ…。」
「アンタが人の事言えるの?あれだけの大虐殺を行っておいてぇぇぇぇ!!!!!」
カンウが右腕を振り上げ、天へ向けて振りかざした時だった。なんと先程カンウが集光パネルから
吸収した巨大ゼネバス砲のエネルギーがカンウの右腕の爪に集中し、巨大な光の剣の様な物を形作ったのだ。
「そ…そんなバカなぁぁぁぁ!!!お前本当に悪魔だぁぁぁぁぁ!!!!」
「あんたもなぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
カンウがもの凄い勢いで右腕を正面のメガセイスモ目がけて振り下ろしたと同時に、爪に集中して
形作られた巨大な光の剣がメガセイスモを襲った。たちまち巻き起こる閃光、そして、先程メガ
セイスモがタイガタウンを吹き飛ばした時の様な大量破壊程では無いにしろ、直径2〜300メートルくらいにはある大爆発が巻き起こったのだった。
「うあああ!!一体何が起こったんだ!!?」
ハーデスが大爆発によって発生した爆煙をかき分けながらルナリスは事の次第を把握しようとして
いた。と、その時に爆煙の中からカンウが飛び出し、ハーデスの前に着地したのだった。
「い…一体何が起こったのだ?」
「さあ…私にもさっぱり…。」
「さっぱりって…お前がやったんだろうが!!」
「本当にわからないんだって…。」
ルナリスは先程カンウが見せた凄い力に付いて何度もマリンを問いつめたが、その事はマリン自身にも良くわからないと言うのが現状であった。
「(ルナリスちゃんも言っていたけど…さっきの力って一体…。これがカンウの本当の力だと言うの?)」
マリン自身もカンウの持つ力に心底驚きを隠せない様子であった。彼女は気付いていない事であるが、
先程見せた力こそが、カンウの本当の力の断片的な物であり、また、彼女の曾祖母である先代
パイロットはその力を当たり前のように引き出す事が出来ていたのだ。さらに言うと、御先代は
自身が得意としていた気功術を応用し、その気功の力によって雷や炎と言った自然現象の力を
爪先に集め、そこに雷や炎の剣と言った物を作り出し、敵を切り裂くという技を使っていた。
先程カンウがゼネバス砲から吸収した荷電粒子を爪先に集中させたと言う芸当は、マリンが無意識のウチにその技に似た事を行っていたと言う事を意味していた。
「と…とにかく奴はこれでお終いだな…。」
2人は改めて爆煙の方を見つめていた。あれ程の一撃を食らえばいかにメガセイスモと言えども助からないと考えていたのだ。が…。
「な!!」
爆煙が晴れた後、2人は絶句した。なんとあれだけの攻撃を受けてもなお、メガセイスモの右前足を破壊する事しか出来なかったのだ。
「そ…そんな馬鹿な…。」
「バケモノ…。」
メガセイスモの驚くべきタフネスさに2人は唖然としていた。が、メガセイスモはこちらに対して反撃しようとはせず、ゆっくりと機体を反転させてそのまま去って行ったのだ。
「え?」
何する事も無く去っていくメガセイスモに2人は開いた口が塞がらない想いで見送るだけだったが、
2人は知らなかった。メガセイスモのダメージは右前足が破壊されただけに止まっていた物の、
パイロット自身にかかったダメージは大きく、肝心のパイロットは気絶していたのだ。
「何かまたアイツ来そうな気がするぞ…。」
「私嫌だよアイツとまた戦うの…。」
どうにか勝利をもぎ取る事が出来たと言えるかもしれない状況であったが、2人は何時になく弱気に
なっていた。それだけメガセイスモサウルスと言うゾイドの存在を驚異に感じていたのである。
「にしても…アイツ酷い事やりやがったな…。」
「そうだよね…。」
2人は改めてテレビから映し出される破壊されたタイガタウンの惨状を見ながら怒りに感じていた。
確かにタイガタウンそのものがどうなった所で2人に何か関係がある分けでは無いが、その全く関係
無いタイガタウンがいきなり吹き飛ばされたと言う事実が2人の良心が許せない状態にあったのだ。
「あ!そう言えばハガネさん達は!?」
「そう言われて見ればそうだ!」
ハガネ等の事を思い出した2人は早速ハガネ等のもとへと急ぐのだった。
「一体どうなっているんだ!!?何で俺が…あんな奴に…。」
あれからブラストルタイガーとドラグネスの戦いは続いていた。真に信じがたい事ではあるが、
ブラストルタイガーの攻撃は全くと言って良い程ドラグネスにかすりもしていなかったのだ。
無論いつの間にかにギャラリーと化していたタイガス等もドラグネスの強さに驚きを隠せない様子であった。
「アイツ…イグアンであれだけやるなんて凄いぞ…。」
「あんな子供なのに…。」
「そりゃあチョコちゃんだから!うぷ!」
タイガスとラッキーは本当に唖然としていたが、チョコの実力を充分に理解しているハガネは別に
驚く事も無く、当然と言った表情をしていた。まあ、やっぱりハガネは吐きそうにしていたが…。
一方トランサーとゼノンの中に存在する白と蒼の2大虎神もドラグネスの様子を興味深く観察していた。
『あの紅の神を圧倒している娘…まさか…。』
『お前も思ったか白の神よ…確かにあの娘はあやつに似ている…。』
『しかし…あやつは遥か数千年も昔に死んだはずだ…。それがなぜ…。』
虎神達は何か知っている様子であったが、その間もブラストルタイガーとドラグネスの戦いは
続いており、クローアタックを叩き込もうと跳びかかったブラストルタイガーを軽々かわした
ドラグネスがそのブラストルタイガーの後頭部を蹴りつけるなど、やはりドラグネスはブラストルタイガーを圧倒していた。
確かに400KB超えてますね〜・・・。
>>恐怖の亀裂作者さん
ベルゼンラーヴェとペイルバイターの激戦は続く。
その途中で寄生体の力でさらなる進化を行おうとするペイルバイター
さあいったいどんな風な進化を見せるのでしょうか?
>過去の本家も巨大魚とかとやりあってますし今回も大活劇に発展!?
ありましたねそういうの・・・。
今思ってみれば当時がインフレの極みだった様な気がします。
活劇に関しては、まだ少し先ですが一応そういうシーンがあるとだけ言っておきます。
>>Inocent World改め白と黒のプライド作者さん
バンとレイヴンの決闘ですか?さあこの後どうなるのでしょうか?
思えばアニメ無印の壮絶な戦いが終わっても全てが終わったワケでは無いですからね。
人はまだ生き続けるワケですし、破壊の後の復興も必要ですからね。
そういう意味での後日談的内容。どんな展開になるのか楽しみにしています。
<勝ちの数では、圧倒的にお前の方が多いな>
「ああ。だが…たった3度の敗北が、僕の中の何かを焦がすんだ…お前と全力で戦って、勝つことで消えるような気がする」
戦績で勝るレイヴンが満たされないのは、彼のプライドの高さと戦闘に関しての完璧主義的な執着のせいでもある。
だが理性で感じるところよりももっと深く、好敵手との戦いを待ち望む意思があった。
「…始めようか」
互いのゾイドに、光の珠のような物――オーガノイドが融合する。
眩い光。それが合図となった。
レイヴンは予兆も見せず、ビームとミサイルを同時に放った。不意打ちではない。バンならば、充分に
「見て避けられる」距離だ。
しかしレイヴンとてそれは計算済みだ。弾速の違いがタイミングのズレを生み、初弾のビームをかわした
ブレードライガーにミサイルが迫る。
バンは機体を無理矢理180°ターンさせると、背中のレーザー砲でミサイルを撃ち落とした。と、そこに
荷電粒子砲が飛んできたのを見て取り、慌てて跳んだ。
「おいおい、いきなり荷電粒子砲か!? …やっぱ、本気の本気みたいだな」
彼も覚悟を決めた。ブレードを展開し、今度は空中から放たれた粒子砲を切り裂いて飛ぶ。射線が追ってくるが、
レイヴンはジークによって強化されたブレードの瞬発力を追い切れない。
と、着地しようとするブレードの、アタックブースターがレイヴンの方を向いた。
「…ハァっ!」
間一髪、放たれたビームをEシールドで防いだレイヴンだったが、その額には汗が伝っている。
――やっぱり、コイツとの戦いは面白い。
戦争中ならば許されない台詞だ。だが、戦争は終結した。
今は心置きなく、バンと戦う事ができる。
「今ガラにもなく…熱くなっているよ、俺は」
「熱くならない戦いなんてあったか?」
――ない。いつもそうだ、俺とアイツの戦いは――命がけだった。
ただ今419KB、節約。
>>恐怖の亀裂作者氏
新兵器開発がくだらない事なんて! 武器開発局の人たちが聞いたら泣きますよ?w
以前寄生体で変化したケンタウロスが印象強かったりで…
>>鉄獣28号氏
荷電粒子ブレードキタ――(゚∀゚)――!!
VS3でも凱龍輝が似たような技を使ってますので容易に想像可能。「そしてとても強い」
鉄獣28号さんへ
遂に必殺技発動!今度は敵の荷電粒子砲を使用。こいつは凄く格安。
実は…ライガーゼロフェニックスが近隣から青も赤も消えて大ショック。
赤い奴は欲しかったのに…。再販待ち決定ショボ〜ン。
白と黒のプライドの作者さんへ
武器開発局の人もあんな効率の悪い武器を使われると困る気も?自分達の実力が疑われそうな武器だし…。
あれを気に入ってくれて光栄です。結構機体の表現頑張った者なので。
やっとVS3スタート。レイズツエエエ!?始めに有んな強い機体を使えるとは…。
「落ちたな…。」「そうでありますね…。」ベルウッドとファインは上を見上げながら溜め息を吐く。
「何か光って居るぞ?」「あれは強化再生の光でありますね。」「何だ?それは?」「最近の流行りでありますよ。」「そうか。」
納得されてしまった。
ペイルバイターは今まで築き上げて来た物を捨てた。それは鈍重で巨大な姿を創り出す武装の接続部品の数々である。
今の姿は巨大だが非常にスリムアンドビューティーと言う冗談がそのまま通じる姿。そしてその体の周辺を一定距離で周回する幾つもの物体。
その物体は薄い扇形の半透明のプレート。しかもそれには変異前に排除した武装が引き寄せられそれに接続される。8つのサイドアーム。変異前に再生させたパワーブレイカー。
6対のアーバレスト。各々が小分けされて接続一定の距離に停滞している。その内アーバレストに付いては変異後にできた機構防御用のカバー装甲が取り付けられる。
特に威容を見せるのはその本体。すっきりと言うより…初期のゾイド宜しく骨だ。その装甲の輝きは強固である事は確かだがフレームが全て装甲とモノコックの姿。
その上更にそれを推進器付きの装甲が覆う。これはベルゼンラーヴェの機体構造に近い。何方かと言うと一歩先んじた物に成っている。
穴からそーっと相手を覗くファイン達。「何か格好良くなっていますね?」「ぬう…その上推定百数十tは重さを軽減しておるぞ!?」その上武装は据置。「これは反則かな?」ベンハルトの声。
「「げげっ!?ばれてるっ!」」そう言って穴に隠れるベルゼンラーヴェを素早くサイドアームで掴み引っ張り上げる。その姿は娯楽史に残る何たらキャッチャーに掴まれた人形の様だった。
「簡単にゲットされてたまるかっ!!!」目茶苦茶に暴れるベルゼンラーヴェ。何をむきになっているか解らないがサイドアームの拘束を破り穴に落ちる。
「…構って居られんのだがしょうがない。」それを行う。突然落下地点にパワーブレイカーが出現し無理矢理空中に放り出される。「なんと!?その様な事までやると言うのか!」
空中に投げ出されてベルゼンラーヴェはジタバタしながら上下を入れ替え姿勢を修する。そこにショックブラスターが直撃する。今の状態なら傷が付く意味でのダメージは無い。
だがコクピット内では「ゆ”れ”る”〜…。」ガタガタ機体が小刻みに震え思考の邪魔をされる。
その間にペイルバイターの周辺を周回しているサイドアームからショックブラスターを連射される。「う”わ”っ!?」
咄嗟にアーバレストで回避して機体の振動の連続を何とか止める。「うう…威力が強くなった様だ。」一応エネルギー使用量が多い程威力が上がる。
それが連発されるのだから喰らい続けると墜ちるのは確実だ。他の武装もペイルバイターの周囲の一定範囲を周回する不思議なウェポンバインダーに付いているので油断はできない。
御丁寧にサイドアームは密集陣形でショックブラスターを発射してくる。拡散荷電粒子砲を目晦ましに素早く後ろに回り込んだと思えばパワーブレイカーに衝突。
「あたたた…この程度は読んでいると。」ファインは飛んで来る砲撃をアーバレストの起動だけで回避しながら手を考える。
「余り暇は無いぞ!ミサイルは品切れらしいがあのショックブラスターとやら多少曲って来おる!」そうなのだ。普通衝撃波を発生させる類の兵器は直進軌道で余波で周りを攻撃できても曲る事等無い。
如何りで良く当たると思ったと感心するファイン。「それなら!」黒山羊の槍杖を取り出しアーバレストで音速を突破産まれたソニックウェイブを槍杖に付加させる。「喰らえ!ソニックミサイル!」
ソニックウェイブが意志を持ったかの様にペイルバイターに思い思いの軌道で迫る。間違ってベルゼンラーヴェやペイルバイター以外の物に当たらない様に速度を押えて追尾性能を重視した攻撃。
ソニックウェイブを閉じ込めた空気の壁が破裂した時強烈な衝撃波が相手を襲う。
その内一つは早速ショックブラスターに接触してショックブラスターの衝撃波を相殺している。衝突の余波が双方の機体を揺らしそれでも尚その余波が大地を削る。十数発放たれ槍杖の周辺からはソニックウェイブの総量が減る。
しかしそこはとんでも技術であるそれを放った後既にソニックウェイブを停滞させている周囲にすぐ余波を介してその総量が増えて行く。連射には向いていないが遠近両用の衝撃波は使い勝手が良さそうだ。「それは無い!不用意に格闘を仕掛けると…砕けるぞ?」
お前馬鹿だろ?な顔でベルウッドが言う。「兎に角それは距離を開けた戦闘に適している。上手く立ち回り奴等を困らせてやれ…?ん?お主その目は?」
ベルウッドはここで気付く。今まで瞳の光彩が虹色の時は光を失っていた目。今はそれに輝きが有る。
「何故だ!!何故最新型で、かつ古代虎がベースのブラストルタイガーがたった1機のイグアンに圧倒されねばならんのだ!!」
「それは貴方が“紅の神”を使う事は出来ないから…。」
「紅の神!!?何だそれは!!」
珍しく喋ったチョコの言葉にブロイは全く理解出来無いという様子だった。そしてブラストル
タイガーはまたもや爪をドラグネス目がけて叩き込もうとするも、やはりかわされていた。
「可哀想に…心を押さえつけられてイヤイヤ従わされてる…。少しだけ待っていてね…私が解放してあげるから…。」
「何ワケのわからん事言ってやがる!!!!食らえぇ!!サーミックバーストォォ!!!」
ブラストルタイガーの全身を覆う装甲が展開され、その全身から夥しい数のビームが放たれたの
だった。その余りの高熱には周囲の地面が溶解し、岩は溶岩と化す程であった。
「うわぁぁ!!何だぁぁ!!?」
「きゃぁぁぁぁ!!!」
ブラストルタイガーを中心として全方位に降り注ぐビームの雨にトランサーとゼノンは逃げ回って
いたが、そのビームの雨にすらドラグネスはアクロバッティングな動きでやすやすと回避していたのだ。
「なぁ!!そ…そんなバカなぁぁ!!!」
「貴方は私には勝てない。なぜなら貴方に紅の神を使う事は出来ないから…。」
「ふざけるなぁぁぁぁ!!!」
無表情のまま自分を散々コケするチョコに対し、ブロイの顔は怒りに歪み、彼が再び操縦桿を前に
倒そうとした時、ブロイは今まで感じた事の無い不思議な感覚を覚え、さらにブラストルタイガーの動きが止まったのだ。
『虎……巫……。』
「ん!!?何だ今の声は!!」
突然ブラストルタイガーの奥底から響き渡っていた謎の低い声にブロイは思わず耳をふさいでいた。
と、その時だった。上空からデカルトドラゴンの編隊がブラストルタイガー目がけて飛んできたのだ。
「帰還命令です!!これよりブラストルタイガーを回収します!」
「な!何だと!!?まだ勝負は決まって無いぞ!!」
ブロイは慌てて操縦桿を前に倒すがブラストルタイガーは固まった様に動かなくなってしまっており、そのままデカルトドラゴンから発射されたワイヤーで固定されて回収された後で、デカルトの編隊によって運ばれて行ったのだった。
「こらぁ!!くそぉ!!一体どうなってるんだぁ!!?」
ブロイは慌ててあらゆるボタンを押していたがブラストルタイガーは機能を停止したままであり、そのままブラストルタイガーはデカルトに運ばれたまま虚空へと消えて行った。
「行っちゃった…。」
「何だったんだ?」
ブラストルタイガーを運んだまま飛び去っていくデカルトの編隊にハガネ等は開いた口が塞がらない
と行った感じであったが、突然ドラグネスが飛び上がり、デカルト編隊の追跡を始めていたのだ。
「紅の神…助けなきゃ…。」
「チョコちゃん!!何処に行くの!!?」
ハガネはチョコを呼び止めようとするも、ドラグネスはデカルト編隊を追い続け、そして虚空へと消えていった。
「チョコちゃん…一体どうしたの?あの虎を見てから何かが変わったように…。」
ドラグネスが飛び去った方向見つめながら、ハガネは一人呆然と立ちすくむしか無かった。
追おうとした所で、ゼノンの足では音速で飛ぶドラグネスに追いつく事は出来ないのだから…。
そうしてハガネ達がデカルト編隊とドラグネスが飛び去った方向を見つめながら呆然とした時、木々をかき分けてカンウとハーデスが駆け付けて来たのだ。
「みんなー!大丈夫―?」
「ああ…何とかな…。そっちはどうだよ…。」
「こっちも何とか撃退出来た!それより大変!タイガタウンが…。」
「何!!?」
それから、マリンとルナリスから、メガセイスモサウルスの巨大ゼネバス砲によってタイガタウンが
吹き飛んだと言う話を聞いたハガネ等は愕然としていた。そして確認の為にもう一度テレビ局からの
電波を受信してタイガタウン中継の映像を見せるが、やはり辺り一面焼け野原と化していたタイガタウンの実状に皆は唖然とせざる得ない状態にあった。
「さっき凄い爆発と閃光があったと思ったら…そんな事があったのか…畜生!」
「ズィーアームズ…本当に酷い事をする…。」
タイガタウンの惨状に皆は怒り心頭だった。確かにタイガタウンがどうなろうと皆に何か直接的な
影響があるワケでは無いが、やはりあれだけの惨状を目の当たりにすると怒らざる得ない物があった
のだ。と、その時マリンがチョコとドラグネスの姿が無い事に気付き、ハガネに問い掛けた。
「あ!あれ?所でチョコちゃんは?」
「分からない…。連中の後を追って何処かに…。」
「ええ!!?それじゃあ今すぐ追わなきゃ!!」
力無く答えるハガネの言葉にマリンは驚き、彼女はハガネに組みつくが、やはりハガネは力無く首をガクガクと上下させていた。
「私だってチョコちゃんを今すぐに追いたい…。けど…私達の機体でドラグネスに追い付けると思う?」
「私のハーデスなら追い付ける!ミライロさんにもらったダブルウィングスラスターの推力があれば…。」
「ダメだよ…やっぱり…。」
ハガネは力無く首を左右に振った。
「第一チョコちゃんが何処に向かって飛んでいったのかが良くわからないから…。」
「それならカンウのレーダーを使えば大丈夫!」
マリンは大急ぎでカンウのマグネッサー3Dレーダーを起動させ、ドラグネスを探索するが、
ドラグネスの反応は既にロスト。ドラグネスはレーダー範囲外にまで飛んでいってしまっていたのだ。
「そ…そんな…。」
皆はなす術無く肩を落とすしか無かった。
それから、皆はついさっきまでタイガタウンが存在した地点近くまで来ていた。
「本当に…吹き飛んだんだ…。」
「焦土だ…何もかも無くなっちまった…。三虎神社も…俺達が泊まった宿も…何もかも…。」
辺り一面に広がる焦土を見つめながらマリン等は愕然としていた。タイガタウンには多くの人が
暮らしていた。また、田舎町であるが三虎神社と言う観光名所がある為に観光旅行者が多く訪れ、
また、観光旅行者を相手とした商売や産業等にも賑わいを見せていたのだ。しかし、それが
いきなり吹き飛ばされた。何者をも残らず吹き飛ばされた。あるのはただの焦土、焼け野原。
タイガタウンに住んでいた物は皆死んでしまったのだ。自らが死ぬと言う事に気付く間も無く…。
そして、その事実が皆にズィーアームズに対しての怒りを込み上げさせたのだ。
「畜生…何だってこの町を吹っ飛ばしたんだ…。この町は何の関係も無いじゃないか…。」
「でも…私達に何が出来るの?」
「……………。」
現在429KB。書きどころを誤ると大変な事になりそう・・・
>>恐怖の亀裂作者さん
スリムになって大幅に軽量化してかっこよくなった(?)ペイルバンター
これはこれで新しい力を得ているようですがこの後どうなるでしょうか?
>遂に必殺技発動!今度は敵の荷電粒子砲を使用。こいつは凄く格安。
これについては、作中の説明であった通り無意識のウチに出た物なので
次同じ事やれといわれても無理と言う事になっています。
ライガーゼロフェニックスに関して・・・。自分は青い方が好きなんで
赤いのは買っていません。キラースパイナーは買いましたが・・・。
>>白と黒のプライド作者さん
バンとレイヴンの戦いについてレイヴンの方が勝率高いのにレイヴン本人は
勝った気がしないと言う所。さしずめ戦いに勝って勝負に負けると言う奴でしょうか?
(これもちょっと違うかな?)
あとブレードライガーもさりげなくアニメ本編では使い捨てに終わったアタックブースターを
装備していますし。
何かこの戦いは憎しみとかが感じられず、むしろ互いの友情を深め合っている様にも見えますね。
鉄獣28号さんへ
完全消滅でしたか…地図から町一つ消してまでやったれ!なZiアームズ者の方々。
良く今まで表向き健全な会社経営していられたな〜と。裏はドロドログチョグチョ…ひいいい〜!?
実は戦闘中にやろうとしたネタが時事ネタになってしまい断念_| ̄|○
使おうとしたネタをこぞって前々からもしくは急に使った物が大杉。前々ならアニメ化さえなければと血の涙。
ソニックミサイルがペイルバイターに迫る。しかしサイドアームとそれを繋ぐ永久浮遊器ウェポンバインダーが陣形を組む。
そこに空間の穴が出現しソニックミサイルを外の世界へ排除する。以前説明の通り一般的にその世界の物はその世界の物しか感知しない。
何かの出現の余波等なら周りの状況で感知できるが単純な構成しか持たないソニックミサイルの様な術式では目の前に開いた別の空間は感知できない。
結果は迂回コースを執らずそのまま直進して外の世界へ旅立ってしまう。
「!」突然何かを感じてファインはベルゼンラーヴェを上昇させる。直ぐ後に外へ旅立ったソニックミサイルが戻って来て居る。そのまままたペイルバイターに向かい飛ぶ。
突然背後にペイルバイターが開けた空間にもう一つ別の出口をベルゼンラーヴェの背後に創り出したのだ。見た目画面の端から端に移動する様に見えるが実際にはソニックミサイルは直進しかしていない。
この世界に置かれた入り口と出口があべこべな位置に成っていたに過ぎない。「如何やって気付いた!?妾より速いとは…。」驚くベルウッドにこう答える。
「”臭い”を付けて置いただけでありますよ。」
「ふむ…マーキングか。考え居ったな。それなら感知がし易い。」何処までいっても人は人。超人と呼ばれる様には成れても人と言う存在から本質は変えられない。物理的になら体を機械に置き換えたりもできるが全部を取り替える事もできない。
それでは本人で無くなるからだ。突然脳内に危険信号が流れる訳でもなければ相手の動きを全て読める訳でもない。ここで理論に破綻ができる陰極呼百目き。
これは厳密に言うとその後に自身がその絵の通り行動する事によって相手に予想道理の動きをさせる技術までを含めてそう呼ぶのである。つまりその後は解らない。
その上相手の行動が予測し得る内容でない限り使用もできない。なので追い詰められ始めない事には使用できないという困った状況になる。
と言っても戦況は相変わらず芳しくない。ペイルバイターは定位置でサイドアームやら独立行動する様になった4連ガトリング砲と相変わらず腹部に有るクリスタルから今度はレーザーが目一杯詰まったEボールを連射してくる。
先の回避行動で後ろからと言うのが使えないと知ったからであろう。Eボールがソニックミサイルと激突し衝撃波とレーザーの光が辺りに飛び散る。
しかしそれに紛れてファイン達はあざとい行動に出る。創り出すのは先に1回で来た他の空間への穴。
その出口は目の前に有るペイルバイターの発生させている穴である。「せい。」その穴に槍杖を気付かれない様に投げ込む。
「ぬおっ!?」ベンハルトは突然穴から出て来た槍杖に驚く。「解呪(ディスエンチャント)!」ファインの掛け声と共にソニックウェイブは拘束を解かれ周辺で衝撃波を発生させる。
ペイルバイターをその場から吹き飛ばす衝撃波。しかし当のファインの方もそれに必死でEボールの直撃を貰っていたりする。「うつけ〜〜っ!!!それを喰らったら意味が無いであろうが〜〜〜!!!」
ベルウッドが叫ぶのも無理は無い。略全ての光学兵器を無効化するホロテックルーン装甲。しかし純粋な光の粒子であるレーザーが相手ではその力を発揮する事が出来ない。
弾けたエネルギー波は無効化するがそれが仇となりレーザーの直撃が襲う。無茶な製法に因る屈折機構がレーザーを装甲内に走らせ膨大な熱量に変わる。結果装甲のシステムがダウンし透明な装甲内が黒ずみに染まる。
「如何やら相打ちらしいな!」Eボールが更に放たれる。それをサイドアームが掴み投げ付け軌道を変えると手の込んだ攻撃だ。機体の周囲を包囲されて逃げ道が無くなる。しかしEボールの一団が接触する寸前ベルゼンラーヴェが消える。
レーダーにも反応しない。「何処へ行った!?」ベンハルトは周囲を警戒する。だが突然のその一撃は回避不能だ。確かに背後から「ESBストライク!」と声が聞こえて来る。次の瞬間空間湾曲に当てられそれの清浄化の反動で地面に叩き落とされる。
それの放たれた場所に揺らぎが生じそれはベルゼンラーヴェの姿になる。「超魔術バックスタッブな〜んちゃって。」つまらない上に冗談ではない駆動だった。
「何か悪者じみた攻撃だな。もっと正々堂々とできる事は無いのか?主よ?」ベルウッドの言葉は冷たい。しかし気にする訳にはいかない。生きて帰ってなんぼの戦争の世界に騎士道や武士道は既に死んでいる。
極稀に成るべくしてその状況になる事も或るが余りそう言う事例は聞いた事が無い。それは成るべくして成るのであり成らない時には幾ら求めてもそうは成らない。
地面に墜落したペイルバイターに追撃のカラミティシャドウの射撃が行われる。この距離と相手の状態なら上手くすれば直撃するのだが?
皆は黙り込んでいた。確かにマリン等は何の関係も無いタイガタウンを吹き飛ばしたズィーアームズ
に対して怒りを抱いていた。が、相手は天下の大企業である。ましてやタイガタウンを吹き飛ばした
程の超兵器を保有し、それ以外にも数々のゾイドを持つと言う軍隊並の大組織なのである。
もはや連中はそんじょそこらの犯罪組織や極道、マフィアなどとはワケが違う事を、皆は痛い程実感していた。
「もう泣き寝入りするしか無いっての…?」
「畜生!!」
タイガスは思わず地面を殴りつけていた。それだけ彼は悔しかったのだ。と、その時だった。
『タリスサン、ハガネサンタチハココニイマシタ。』
「んん!!?この声は…。」
背後から聞き覚えのある声が耳に入り、ハガネが思わず後ろを向いた時、そこにはあの時ゾイテック
本社で会ったZ−12がいたのだ。もちろんハガネ以外の皆は初めて見る物である為、疑問深そうな顔で見つめていた。
「何だ?この古くさそうなロボっぽいのは…。」
「古くさそうなロボっぽいので悪かったですね…。」
その声と共に、Z−12の背後からさらに一人の人物が現れたのだ。それはゾイテックの技術者で
ある“タリス=クライム”であった。しかも自信作(?)のZ−12をバカにされた為、さりげなく額に青筋を立てていた。
「タリスさん!!」
「ああ!!俺にトランサーをくれた人ぉ!!」
「ええ!!?」
タイガスのタリスに対する反応にハガネは驚いていた。何故ならハガネもレイズタイガー=ゼノンを
タリスより戴いたのである。と、ハガネが唖然としている間にも、タイガスはタリスの方へ問いつめてきていた。
「ったくあんたも水くさいぜ!!トランサーが古代伝説虎なんて最初くれた時に教えてくれれば良かったのに…。」
「それはあの時貴方が興奮して私の話を聞いていなかったからでしょ?」
「そ…そう言えばそうかも…。」
タリスにあっという間に言いくるめられたタイガスはそそくさと下がっていたが、今度はマリンとルナリスがタリスの前に立った。
「あの〜…貴女…誰です?ハガネさん達とは知り合いの様ですが…。」
と、その時タリスがマリンへ名刺を差し出したのだった。
「私はゾイテック技術部のタリス=クライムと申します。そして、こちらが私が作った最新型ロボットのZ−12です。」
タリスはにこやかな笑顔でZ−12の頭に優しく手を添えていたが、ドラムカン状のボディーに車輪、
さらにマニュピレーターは2本指と言う最新型とはとても思えぬ風貌にマリンとルナリスは眉を細めていた。
「最新型…ねえ…。」
さらに2人はZ−12とハガネとをそれぞれ見比べていた。やはりZ−12はハガネと見比べれば
見比べる程、とても最新型ロボットとは思え無くなり、2人も思わず笑いが込み上げてきていたのだ。
無論2人のその様子を見たタリスは笑顔のまま額の青筋をピクピクさせていた。
「確かにZ−12が最新型に見えないと言うのは仕方が無いかもしれません…。しかし、それでも
Z−12はゾイテック社の最新型AIを搭載した最新型なのであって、何処かの誰かさんが異常なだけなのですよ!」
「さり気無く私への悪口言うなよ…。」
ハガネは眉を細めながらタリスを睨み付けていたが、タリスはそれを尻目に再びマリンとルナリスに話しかけていた。
「それはそうと、貴女方2人はマリンさんとルナリスさんですよね?」
「え?何でそれを?」
2人は今日初めてタリスと会ったと言うのに、タリスは2人を知っていた。その事実に2人は一瞬戸惑った。
「キレヌさんから貴女方の話は聞き及んでいますよ。何でもキレヌさんを暴漢から守ったそうじゃないですか…。」
「キレヌさん?」
と、その時2人は腕組みを始め、そのまま黙り込んで考え込み始めたのだ。
「……………。」
「あの…2人とも?」
『フタリトモタブンキレヌサンノコトワスレテイルノデハ?』
何かを思い出そうとしていると言う素振りを見せる2人の姿にタリスは唖然としていたが、その直後に腕組みを解いたのだった。
「あぁぁぁぁぁ!!!!キレヌさんって随分前に古代虎の調査してたって言う学者さん!!!!」
「そう!そうです!その人ですよ!そのキレヌさんを貴女方が暴漢から守ったと言うじゃ無い
ですか…。しかもかなり強かったとか…。あと、キレヌさんも言っていましたが、レ○はやめた方が良いですよ。人間として…。」
「そ!!それは違うぅぅ!!」
間違った理解のされ方をしていたタリスに2人は怒っていたが、今度はハガネがタリスに近寄ってきていた。
「ところでタリスさん。突然貴女が私達の前に現れた理由を聞かせて?」
と、その時だった。突然タリスが涙目になり、もの凄い勢いでハガネの両手を掴んだのだ。
「実は!!ウチの社長がズィーアームズの連中に拉致られたのですぅ!!!!その上我が社のプラントも幾つか破壊されて…。」
「な…なんだってぇぇぇぇ!!!!?」
何の脈絡も無く発生した大事件に皆は思わず叫んでいた。
「なんてこった!ズィーアームズの野郎…無差別虐殺じゃ飽きたらず…誘拐までやりやがったか…。」
「もはやここまでくると立派な犯罪集団だな…。」
「けどタリスさん、そんな事したら警察が黙ってないはずだけど…。」
ハガネがタリスに問い掛けた時、なおも涙目のタリスはハンカチで涙を拭きながら答えた。
「そ…それが…その警察も…。」
「まさか警察もズィーアームズの攻撃を受けて…?」
「いえ、警察はズィーアームズの買収されてしまい、見て見ぬ振りをしているのです。
ずげげげげっ!!
タリスに言葉に皆は思わずすっ転んでしまっていた。
「何やってるのよ警察ぅ!!大丈夫なの国家権力ぅ!!」
「ったく…政治家や官僚やらが汚職とか天下りとかするから警察も腐っちまうんだよ!!」
起きあがりながらマリンとルナリスが政治風刺っぽい事を叫んでいたが、やはりタリスは涙を流しながら叫んだ。
「だからこそ貴女方に社長の奪還を依頼したいのです!!警察に関してはこちらゾイテックも
色々対処中ですが、ワイツタイガーとレイズタイガー。2体の伝説のゾイドがそろえばズィーアームズにも負けないはずです!!」
タリスは涙を拭きながらもハガネとタイガスに何かを期待する様な顔で見つめていたが、マリンとルナリスの2人は眉を細めていた。
現在440KBを突破。
とりあえず450KB以降は本編を次スレ持ち込みと言う事で切り上げます。
ただし、本編を書かない変わりに少し小ネタ的な短いお話を書こうと考えています。
>>恐怖の亀裂作者さん
ソニックミサイル。これは久々の別空間ネタの兵器ですね。
いかにサイボーグ化(?)していても人の限界からは逃れられないと言う説明も何か考えさせられましたし。
荷電粒子砲に強いホロテックルーン装甲もレーザーに対してはダメと言う点は、
やはり透明であるが故の事でしょうか?例えばいかに強力なEシールドだって、
透明であるから太陽光線は遮断できない。むしろ出来なかったら何も見えなくなる。
とかそんな感じでしょうか?
>完全消滅でしたか…地図から町一つ消してまでやったれ!なZiアームズ者の方々。
一応本編の描写を見ればわかりますが、彼等は街を吹き飛ばす気はありませんでした。
強いて言うなら戦いの流れ弾がたまたま街を吹き飛ばした。そう言う事故だったと
言う事になっています。もちろん事故では済まされない大惨事になっているのですが、
肝心のズィーアームズは・・・
「まあいっか!むしろ街をまとめて吹っ飛ばすオレ等の兵器スゲー!!」
って言う感じで考えていると言う事にしています。
まあ、これはこれで酷いですが・・・。
あ!ちなみに都合の良い事だとは思いますが、放射能の心配はありませんから。
「アーバインやトーマが一緒にいても、俺は勝てなかった…でも」
ブレードライガーのブースターが全開になり、凄まじい加速でレイヴンに迫った。地上で音速を超すそのスピードを、
ジェノブレイカーは避けられない。――いや、「避けようとしない」。
「今は、あんまり負ける気がしないな!」
衝撃波と共に突っ込んできたブレード。ジェノブレイカーは遥か後方まで吹き飛ばされたように見えた。
だが、バンは手応えがないのを感じてすぐさまブースターを逆噴射した。
「それは、こっちも同じ事ッ!!」
直後、バンのいた地面が荷電粒子砲に抉られ、巨大な溶鉱炉と化す。バンは内心冷や汗をかきながら
撃ち掛けられるミサイルを避けて跳んだ。
「ちっ…あいつめ、自分から後ろにぶっ飛んで衝撃を制御しやがった」
お互いに、見ただけでも相手のした事が解る。彼らはそれほどのレベルで戦っていた。
その戦いを、フィーネは遠くから見守っていた。
結局バンを引き止めることは出来なかった。もしもこれで、彼が死ぬような事があったら…
「きっと私、レイヴンの事許せないだろうなぁ…」
そんな自分が嫌になる。
「ホッホッホッ。そう言わんといてやれ。あやつらは、お互い楽しんで戦ってるようじゃぞ?」
「そうなんだろうけど、でも……って、Dr.ディ!?」
いつの間にか、Dr.ディがフィーネの横から二人の戦いを観戦していた。が、それだけではない。
ハーマンやシュバルツ、アーバイン、トーマ、その他見覚えのある顔が列を成して彼女の後ろにいた。
皆、手に手に暗視スコープや双眼鏡を持っている。
「まさか、レイヴンを逮捕しに…?」
「いや、いや、わしらがそんな無粋な事をすると思ったのか? 皆ただ単に、世界最強のゾイド乗り2人が行う決闘を
見に来ただけじゃよ…しかし、あの二人…どう思うね、シュバルツ准将?」
先の戦いで昇進したシュバルツは、いつも無表情の顔に驚嘆を浮かべて暗視スコープを手にしている。
「神業、としか言いようのない戦いです…とても私には、真似できない」
彼らしからぬ台詞にフィーネは首を傾げたが、観戦に熱中していた者達にはその意味が良く解った。
――こんな戦いが出来るのは、この世界に彼らだけだろう…
「おお、そうじゃ。先のヒルツ戦での協力を感謝して、レイヴンに免罪の交換条件を提示してやろうと思っとる」
今度こそシュバルツはスコープを取り落とした。そのままディに非難するような目を向ける。
「…お言葉ですが、彼はあまりに多くの人を殺してきました。遺族の方々が許されますまい」
「じゃが、あやつの力で億単位の命が助かった事も事実じゃ」
そう言われてシュバルツはハッとする。確かに――レイヴンがバンに協力しなければ、今自分たちがこうして
意見を戦わせることもできていたか怪しい。
渋い顔をする者もいた。だが、そんな者達に突然フィーネが頭を下げた。
「お願いします! 彼の…レイヴンの免罪を、許可してください!」
まだあどけなさの残る顔に懇願され、彼らの意思は固まった。
「結構、結構。で、その『交換条件』じゃが――」
バンは降り注ぐミサイルの爆発で、ほんの一瞬視界を失った。そして、それがまずかった。
「どうした、隙だらけだ!」
その隙、僅か1秒足らず。その刹那で右側のレーザーブレードが根元から叩き折られていた。
「くぅッ!!」
飛び退りながらアタックブースターで牽制するバン。しかし、レイヴンはEシールドを張ったまま動じない。
――正直に言えば、バンが直前で機体を捻らなければ今の一撃は致命傷だった。
「流石だ…と、言いたい所だが。お前はまだ、俺を倒す器ではないのか?」
「んなわけあるかよ…戦闘中のアクシデントはつき物だぜ、レイヴン」
ジェノブレイカーのシールドが消え、エクスブレイカーが輝きを帯びた。
「ならば見せてみろ! もっと強く…お前の本気を!!」
あー…なんか解りにくくなったので補足。
>279、19行目の「今の一撃は致命傷だった」は、レイヴンの「右側のレーザーブレードを叩き折った一撃」
の方です。間違ってもアタックブースターでは致命傷になりません…
>>恐怖の亀裂作者氏
ソニックミサイル…空間ショートカットミサイル?
「ゔわ゙っ!?」の表現は久し振りに見ました。
>>鉄獣28号氏
とてもクリーンな兵器?残留汚染の心配は無いがそもそも後に誰も残らないのなら無問題。
マリンが「貴様ぁぁッ…! 命はなぁ、命は宇宙を(以下検閲により削除)」とか叫ばなくてよかった。ホントに。
あと、「拉致られたのですぅ」で地味に笑ってしまったり。
あっ…解呪後の槍杖の処分忘れてる!?
鉄獣28号さんへ
相変わらずレ〇と勘違いされているんですねwしかもタイガーにばっかり目が行って次の再開には切れる!?
白と黒のプライドの作者さんへ
Drディキターーーーー。あのエロ科学者さんはかなり好きだったりします。登場したときから。
それ程でないのに準レギュラー。扱いが明らかにシュバルツやハーマンより上。美味しい爺さんだったw
勝負はまだまだこれから。如何成るのでしょう?
その時パワーブレイカーが閃く。「貴様にできる事が儂にできんと思ったかっ!?無本足打法!」馬鹿げてる。がこれも現実だ。
「んなのありか〜〜っ!?跳ね返ってきた灼熱の火球コーティングの弾丸。轟音が空中に轟く。しかしその負け犬の遠吠えじみた台詞を吐ける立場ではないファイン。
無理無茶無謀な事を平然とやっていたのだから…。結果は途中で爆発するも爆風で良くあるポーズでベルゼンラーヴェは遠くに跳んで行く。
「おのれ!これが世に聞く”〇〇〇じ”と言う奴か〜〜〜っ!!!」勝利の女神はベンハルト、ペイルバイター組に微笑んだ様だ。決まり手は場外。しかし目的を達成していないので任務失敗だ。
「しまった!?真逆取り逃がすとはっ!」ベンハルトは焦り急いで埋まったペイルバイターを地面から出させると彼等が跳んでいった場所へ急ぐ。任務失敗の為のエクストラステージ。
その舞台は邪神や異形、寄生体の遺体と戦闘ゾイドの残骸が横たわる死臭漂う森の中。死の臭いはともかくここは相手に有利な森の中。惑星Ziの土着の木々は地球から来た者と違い非常に巨大だ。
地球原産の木の巨木レベルの物がごろごろ群生している地域も多々有る。大異変の影響でその数は半分以下に成ったと言うがそれでも現存している森の大半はこう言った場所が多い。
そこに地球産の木々が生えて居ると言うのが現状だ。
「ほう?罠にわざわざ掛かりに来居ったか。」ベルウッドがほくそ笑む。実際にここに到るのに約十分程。その間に全身黒ずんだ装甲を修復して置いた。だが装甲自体の高温は直っておらずビーム等の無力化はできない。
サーモグラフィにも引っ掛かるので術式迷彩でベルゼンラーヴェの機体温度を気温と同じ状態に偽装する。これで少しは見付かり難いだろう。しかし油断はできない。相手の素体がギガノトサウルスの野生体。
これまた冗談の様な話だがヘルキャット並みの隠蔽能力で後方からデスザウラーで接近を試みた者が至近距離でゴジュラスギガの尾の懇親の一撃を受けて真っ二つに成った光景をファインは見ている。「慎重に行かないと…。」
ゆっくりと音を立てずに膝を地に付けて収束荷電粒子砲を準備する。使用する粒子量は最低レベルの物。待ち構える必要が有るので最高レベルで準備する事はできない。爆発したら意味が全く無いからである。
「まだ動くのは止めた方が良さそうでありますね…。」
「ふん…延長戦とは心憎い演出よ。」ベンハルトは森の中を慎重に進む。今執れる手は二つ。
相手の攻撃を待って速攻でカウンターを決めるか周囲を問答無用に焼き払うか二つに一つ。しかし何方も有利では無い。
圧倒的に不利な状況。相手は元が元だけに森林戦は手慣れたものだろう。その上平気な顔で卑怯な事をあっさりとやってのけるパイロット付き。
資料では結構えげつない事を平気ですると言うがこの場合は確実にあれをしてくるだろう…狙撃である。
相手は動かない。元々相手はこう言うのが得意だと言う。その上獲物が収束荷電粒子砲となれば回避の遅れが致命的な結果を産む。
頼みの綱はペイルバイターの索敵能力に成る。ゾイド自体が術士であるペイルバイターならその力の臭いで隠れ場所を見つけ出せるかもしれない。
しかし一向に相手が動く気配も無ければヘペイルバイターもそれらしき臭いや力の揺らぎを感知できないで居る。
「さて…先ずは!」軽く一発適当な場所に向かって発砲するファイン。その後素早くその場を離れる。「木々よ!話が命に従いざわめけ!」移動の音を掻き消す為に木々に力を通す。
着弾音にペイルバイターは気付くがその途端木々の葉が一斉にざわめきだし音の壁を創り出す。ただでさえ移動の速度に対して騒音が非常に少ないベルゼンラーヴェ。その足取りも宙に浮いていれば元居た場所の足跡程度しか残らない。
「木を隠すには森と言う事か…。」ベンハルトは呟く。これでカウンターは封じられた。木々の葉のざわめきは全く鳴り止まない。後に聞こえる駆動音等判断の材料にできない。
それもその筈でペイルバイターにも搭載されているアーバレストはその音一つで数km先に移動できる。音による移動距離の算出は当てにならないのである。
その演算結果は「100mから3kmか。随分と差が有るな…。」誤差が大きすぎる。ペイルバイターすら悠々隠れられる森の中でハンターが彷徨う。
狩る者と狩られる者。だが状況は一瞬で入れ替わる危険な狩り。忘れる無かれ相手もまた一流のハンターである事を。
「第一段階は状況終了これからが本番。状況開始!」「軍は相変わらず変な言葉の使い方をするのう?妾は頭がおかしく成りそうだな…。普通に喋れ!」「はいはい。」「はいは1回!」
冗談の様な会話だがこうでもしてないと神経が擦り切れる様な腹の探り合いは熟せないだろう。
「つかウチ等は無視ですかい?」
「とは言え私等のゾイドがあの2体の虎より戦力的に劣るのは事実だしな〜…。」
そんな2人の愚痴も、興奮しているタリスには全く耳に入っていない様子であったが、ハガネがタリスに問い掛けた。
「しかしタリスさん?相手のズィーアームズにも伝説古代虎ベースのゾイドがいましたよ。」
「そうだな!確かにアレは滅茶苦茶強かった!」
ハガネの言葉にタイガスも腕を組んで同感と言う表情をしていたが、その言葉を聞いたタリスの表情はもの凄く深刻な物となっていた。
「ズィーアームズにも伝説の古代虎が…?まさか社長を拉致した理由って…我が社を脅す為じゃ無くその古代虎型ゾイドを作る為だったの?」
「そんな〜…。タリスさん考えすぎだよ!古代虎型ゾイドを作る為に社長を拉致しないといけない
の?そう言う場合は技術者の誰かを買収すればいいんだし…。」
ハガネが拍子抜けした表情でその様に言っていたが、タリスはなおも深刻な表情で言い返してきた。
「実は我が社の社長は技術者上がりの人で、経営は重役に任せで、自身はゾイドの開発などに関して
直接陣頭指揮を執ったりしてるんですよ!!社長ならば伝説古代虎のコアの解析ノウハウなども
しっかり頭に入れているでしょうし…、きっとそのズィーアームズ製の伝説古代虎型ゾイドは
社長から聞き出したデータを元に作り出されたはずです!!ああ…なんと言う事に…。」
タリスは頭を抱えながらしゃがみ込んでしまい、ハガネ、タイガス、ラッキーの3人はやや戸惑いを
隠せない様子だった。一方その存在自体が無視されていたマリンとルナリスが呆然とハガネ等を見つめていた。
「ゾイテックの社長が技術者あがりで、経営は重役任せって…まるで“本田宗一郎”だな…。
ちなみに本田宗一郎と言う人はその昔の地球で自動車会社を興して一代ででっかくなった凄い人で…て誰も聞いてないな…。」
「私は聞いてるよ。それにしてもルナリスちゃんは本当に博学だね!やっぱりあちらは聞いてないけど…。」
「ちゃん付けするな!と言ってもやっぱりあっちは聞いてないな…。」
ルナリスは例によってマリンの頭を小突いていたが、やはり2人の存在は完全に無視されていた。
「とにかく社長を助けて下さい!!もう貴女方しか頼れる者がいないんです!!」
タリスはハガネに泣きつき、ハガネはやや戸惑いを隠せない様子だった。
「ま…まあ…タリスさん落ち着いて…ペロペロキャンディーあげるから泣きやんでよ。」
「私は子供ですかい?」
タリスはそう言いながらもさり気なくハガネからもらったペロペロキャンディーを舐め始めていた。
そして、タリスが落ち着いた事を確認するとハガネは空を見上げて言ったのだった。
「とにかく…。私はタリスさんの依頼…受けるよ。多分そこにはチョコちゃんもいると思うから…。」
「ならば俺も行くぜ!!ズィーアームズの悪行には本当に腹が立ってるしな!!」
「タイガス君!!」
と、ハガネに続いてタイガスが名乗り出た時、ラッキーが慌ててタイガスに問いつめていた。
「タイガス君!!相手はズィーアームズだよ!!いくら何でも無茶だよ!!」
「しかしラッキー!もう俺達はトランサーに乗ってる時点でズィーアームズに目を付けられてるも
同然なんだぞ!恐らく今後もトランサーに乗ってる限り一生連中に付きまとわれるかもしれねぇ…。
ならばこっちから乗り込んで一気に白黒つけた方が楽になるってもんじゃねーか!」
「……………。」
タイガスの自分勝手(?)な理由付けにラッキーは目も当てられないと言う顔をしていたが、すぐにガクリと肩を下ろし、下を俯いた。
「もう良いよタイガス君…勝手にして…。ただし…ちゃんと生きて帰ろうね…。」
「よっしゃ!それじゃあ行こうかい!!」
ラッキーの了解も得たタイガスは意気揚々としていたが、肝心のラッキーは死亡必至と言った感じで涙をボロボロ流していた。
「私…多分もう死ぬと思う…お父さん…お母さん…先立つ不幸をお許し下さい…。」
一人エイエイオーと腕を上下させていたタイガスの背後で、ラッキーは涙を流し、天を拝みながらそのように呟いていた。
「ってやっぱり私達無視されてるね…。」
「私等の存在って何だろうな…。さっきはキレヌさん助けた事について色々言われたがアレは何だったんだろうな?」
やはり存在その物が無視されているマリンとルナリスの2人は眉を細めながら事の次第を見守るしか無かった。
「まあそれはそうとして!タリスさん?その社長さんは何処に捕らわれているとか分かるの?」
「そういう事に付いては既に調べが付いています。Z−12、あれの投影お願いね!」
『ハイタリスサン!』
と、その時Z−12から立体映像が映し出され、一つの宙に浮く巨大な鯨型要塞ゾイドと思しき物が映し出されていたのだ。
「これは…何?初めて見る型…。」
「ってこれってかなり大きく無い?まさかとは思うけどこの鯨型の周囲を飛んでる小さいのって…ホエールキング!!?」
皆は立体映像に映し出された巨大な鯨型ゾイドの巨大さに皆は驚いていた。何故なら200メートル
以上の巨体を誇るホエールキングが本当に豆粒のようにすら見える程巨大であったのだ。
「これはズィーアームズ社が建造した超巨大移動空中要塞“ハイGホエール”です。全長はもはや
10キロを超え、ズィーアームズのゾイド生産プラントとしての機能も持っています。
名目上は超大型輸送機兼移動工場と言う事になっていますが、それにしては物々しい警備網です。
ハイGホエールの周囲を見て下さい。コンピューター制御されたもの凄い数のホエールキングと無人機部隊が24時間常にハイGホエールを防衛しているのです。」
「なんっつーこった…奴等こんなバケモノ要塞まで…。」
「その気になれば連中世界を征服できるわね…。」
ハイGホエールと、その周囲を飛び回る夥しい数のホエールキングに皆は唖然としていた。
「こちらの情報部の情報に寄りますと、我が社の社長はこのハイGホエールに捕らわれているらしいのです!皆さん…なんとか社長を奪還していただけないでしょうか!!?」
と、その時ハガネが立ち上がり、タリスの方を見つめたのだった。
「確かに連中は私の想像以上の物みたい…けど…私は行くよ。チョコちゃんも心配だし…。それに、二日酔いももう治まったしね!」
「ハガネさん…。」
「と、言いたい所だけど!流石に相手が空を飛んでるんじゃな〜…。」
ハガネは先程とは打って代わって顔をゆるませ、腕組みをしながら悩みこんでしまった。
450KB突破したんで今日の書き込みついでに新スレ立てに挑戦しましたが見事に失敗しましたorz
とりあえずここまででこのスレに書く分の本編は切る事にします。
その代わりといっては何ですが、先日申した様に小ネタ的なお話を書く予定です。
>>恐怖の亀裂作者さん
今度は森林戦ですか。しかしその森林もかなり大きいようで、
想像してみるとかなり幻想的な雰囲気になりました。そこで科学の結晶的な
ゾイドが戦うと言うギャップによりさらに幻想的度は上がります。
無本足打法はワロタ
>>白と黒のプライド作者さん
互角の勝負(?)を見つめるフィーネ達。
ディの言った免罪の為の交換条件とは一体何なのでしょうか?
>マリンが「貴様ぁぁッ…! 命はなぁ、命は宇宙を(以下検閲により削除)」とか叫ばなくてよかった。ホントに。
元ネタが何なのかはわかりませんが、一応彼女はそこまで哲学的な(?)頭は持ち合わせていません。
あと、放射能が無い事については・・・、まああまり気にしないでください。
あの1200ミリウルトラキャノンも非核兵器と言う可能性が高いですから
それのビーム版と思ってください。と言っても、ぶっちゃけ蛍光灯の光とかも
(無害な量とは言え)放射線を出しているんで、放射能が全く無いと言うわけでも無いでしょう。
まあ、浴びても大して問題無い量と言う事で勘弁してください。
今日もスレ立てに挑戦しましたがやはり立てる事が出来ませんでした。
誰か代わりに立ててくれると嬉しいのですが・・・。
と言う事で少しだけ続けさせて下さい。
「確かに相手が空にいるってのはキツイね〜…。私のカンウは飛べないし…ハガネさん。」
「まあハーデスなら何機か抱えて飛ぶって事が出来るが…。」
ようやく話しに入って来る事が出来たマリンとルナリスは口々にそう言っていたが、そんな2人に対しハガネは笑顔で答えた。
「まあいざとなればバスターイーグルの翼でも買ってきて…。」
「その心配には及びませんよハガネさん!」
「え?タリスさん?」
と、その時タリスがある方向を指差しており、皆がその方向を一斉に見つめるとそこには1台の
グスタフの姿があったのだ。さらにその後ろの荷台には、幌で覆い隠されていたが何かが積まれている様子であった。
「あれは…?」
「フフフ!見て驚かないで下さいね!Z−12!」
『ハイタリスサン!』
タリスの言われる通り、Z−12がグスタフの荷台に積まれていた何かを覆い隠していた幌を外した。
そしてその幌が外された中身には皆にとって初めて見る1機のブロックスゾイドの姿があったのだ。
「これは…。」
「初めて見る型だね…。」
皆はそのブロックスゾイドを興味深く見つめていたが、そんな皆の前にタリスが立った。
「これは我が社が新開発した最新ブロックスゾイド“プテロレイズ”です。」
『プテロレイズ!』
そしてタリスは人差し指を立て、さらに自らの眼前に持って来た。
「そして聞いて驚かないで下さいね?このプテロレイズはレイズタイガーと合体し、レイズタイガー
をジェットレイズタイガーとしてを飛行可能にさせてしまうと言う機能が備わっているんですよ!」
「何だ!要はライガーゼロフェニックスとかみたいな物ね。」
と、あっさり言ってのけたハガネに思わずタリスは肩をガックリと落とした。
「反応はそれだけですか?もっと驚くとかは…?」
「タリスさん…貴女何か期待でもしてたの?」
ハガネは眉を細めながらタリスを見ていたが、すぐに元に戻ってプテロレイズを見つめた。
「まあそれはともかくとして!このプテロレイズとゼノンを合体させればハイGホエールまでひとっ飛びってワケね!」
「そ…そうですよハガネさん…。」
と、その後で今度はタイガスがタリスの前に立ったのだった。
「もしかして…俺のトランサーにも何かあったり?」
「いえ、ワイツタイガーには何もありませんよ。第一ウィングスラッシャーを横向きに展開すれば単体で飛べるじゃないですか。」
「そ…そりゃそうだった…。」
期待を裏切られたタイガスはガックリと肩を落とすしか無かった。と、その後タリスは久々にマリンとルナリスの方を向き、話しかけたのだった。
「あと、ついでに貴女方2人にもお願いしたいのですが…。」
「私等はついでかい…。」
その扱いの差には2人もやはり眉を細めるしか無かった。
「ですがお二人とも!貴女方もそこそこ強いと言うじゃないですか!枯れ木も山の賑わいと言いますか、とにかくそこそこの働きは期待出来ると思うんですよ。」
「おだててるのかバカにしてるのかどっちなのかわからんな…。」
やはり2人は眉を細めていた。
「とにかく!貴女方の機体は結構目立ちますからね。貴女方に敵の陽動を行ってもらえばハガネさん達も楽にハイGホエールに潜入出来ると思うんですよ!」
「やっぱり本音はそれかい…。」
「つまり私等に死ねって言いたいのだな?」
自分達をおまけとかついでとか捨てゴマとか、その辺のザコキャラみたいな扱いをするタリスに
やはり2人は眉を細めるしか無かったが、ズィーアームズには怨みがある2人にとっては何とかして
連中を痛い目に合わせてみたいと言う考えもあり、結局その依頼はハガネ達同様に受けていた。
そして、ゼノンの背中にプテロレイズを合体させるという作業を済ませた後、作戦決行は明日と言う事でその日は皆休む事にしたのであった。
話的にもキリの良い所まで来たので本当にここで切ります。
続きは今だ立つ目処の無い新スレに書くと言う事で、
現在461KBなんですが、その残りにはおまけ的な小話でも書こうと考えております。
>>恐怖の亀裂作者氏
乙です。自分の小話、どうやら今スレ中に終わらない気配が…
>>鉄獣28号氏
デカイ空中要塞…いつぞやの懐かしいネタを思い出して_| ̄|○
取り付くのも大変そうだけど、虎とか居るし大丈夫か…
自分のバトスト世界に2ちゃんねるがあったら
戦争時代編
1: 緑の悪魔氏ね part115 (546) 2: 【戦没者】緑の悪魔に殺された兵士の遺族の数→【追悼】
(371) 3: ネオゼネバス帝国>>>>ヘリック共和国 (621) 4: 普通のギガとカンウの
見分け方(25) 5: 帝国将官応援スレその15 (98) 6: 【スーパー】SBHI−03ハガネタンに
ハアハア【ロボット】 (302) 7: 戦場の様子をうpするスレpart15 (775)
8: 帝国の新兵器キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!! (689) 9: ジャイアントトータス
(444) 10: マオ=スタンティレルって超カワイイじゃんその2 (124) 11: 【阿修羅流】
ギフ=シンライを語るスレ【暗黒拳】 (632) 12: ★最強のキメラ欲しい人いる?★
(24) 13: IDにMaoとかKanUとか出したヤシは神24 (975) 14: ルーガス少将って
超イケメンやね (10) 15: オサンゾとエーマってゾイテックの社員やったん? (301)
16: ドクターZiって一体どこに行ったの? (128) 17: 緑の悪魔のヌッコロス方法を考える
スレ (766) 18: 竜王流って (456) 19: 緑の悪魔が気功使えるとか言うけど本当?(78)
20:俺今から戦場行って緑の悪魔ヌッコロシテくる!(35) 21:【悪魔の】ライン=バイスを語れ
【配下】パート34(910) 22:【最強】ミオ=スタンティレルを語れ【眼鏡っ娘】(341) 23:
ヴォルフ皇帝陛下がお怒りです!(560) 24:【怪奇】無敵塾って一体【スポット】(12)
25:古参兵が若者を切るスレパート123(324) 26:【夢の】○○対○○総合スレ45【対決】(875)
27:ゾイテックの社員ですが何か?(51) 28:【天才】クライト=クロウズパート20【少年】(689)
29:この時代の超常現象をまとめるスレ4(13) 30:マオタンを抱きたい(45) 31:もうすぐ戦い
も終わりますね(98) 32:戦場の弁当売り(648) 33:僕のパパを返して(349) 34:ガイア山
の怪現象(41) 35:ポルトのウェンディーヌを量産して電力供給したい(95) 36:鋼獣書房の
本は素晴らしい(25)
スレ内の一部↓
654 :帝国古参兵:ZAC2109/10/04 13:02:42 ID:???
緑の悪魔ウゼェマジ死んでほしい。アイツ1人のせいで一体何人の仲間がやられた事か…
655 :名無し兵士:ZAC2109/10/04 13:51:19 ID:???
フッ…俺の目の黒い内はそんな事させんよ。
656 :帝国エース:ZAC2109/10/04 14:20:31 ID:???
ライン=バイス必死だなw
657 :名無し兵士:ZAC2109/10/04 17:17:34 ID:???
帝国首都で士気高揚の為か、緑の悪魔が悪役になってる漫画見つけた。
これ買って読んだら激しくワロタよ。でも本人には絶対見せたくない。
もう凄いのなんのって、緑の悪魔が女子プロレスラーとかみたいな
筋肉女みたいに描かれてるし、仲間すらも平気で殺す極悪人みたいに脚色されてるし。
658 :名無し兵士:ZAC2109/10/05 10:12:23 ID:???
激しくワロタ。でも少し思ったんだが、緑の悪魔って、悪魔みたいに極悪と言うワケじゃ無く、
悪魔みたいに強いから付いたあだ名なんじゃないかな?って最近思うようになった。
オレこの間緑の悪魔と戦場で遭遇したのだが、オレがヘルキャットに乗っていた為か、
完全に無視して行きやがった。奴はその戦場にいたデスザウラーとかセイスモとか
エナジーライガーとかデススティンガーは片っ端からぶっ壊して行きやがったが、
小型機に乗っていた連中はオレ同様に完全に無視されていた。まあ、たまたま進路上に
いたとか、戦いのとばっちりでやられた奴とかもいたが、やはり奴は自分から小型機を
攻撃する様な事はしてなかった様に思える。まあ、オレ達ごとき小者は他の仲間に
任せますと言う事なのだろうが、ただ一つ言える事がある。奴は悪魔と言っても殺戮凶で
は無いと言う事だ。なんかデスザウラー破壊する時とかも、パイロットだけは助かるような壊し方してたらしいし。
659 :帝国古参兵:ZAC2109/10/05 10:13:17 ID:???
奴の肩を持つと言うのか?この○国民が!!
良いか!!?奴はな!!完全な悪魔なんじゃ魔女なんじゃ!!
怪しげな術を使って我らゼネバスに仇なす正真正銘の悪魔じゃ!!
奴は殺さねばならんのじゃ!!
ワシのせいで一体何人の仲間が殺された事か…。あろう事かワシの息子まで…。
これがいわゆるおまけと言う奴です。
旧時代に2ちゃんねるがあったらのスレで、イラクに2ちゃんねるがあったら?
と言うコピペがあり、かなり面白かったので自分のバトスト世界に2ちゃんねるがあったら?
ってのを作ってみました。でもここまで来るともはや自虐ネタの領域ですねorz
とはいえ、やはり作ってて楽しかったと言うのも事実です。
余裕があればこういうのをまた作ってみようかな〜とか考えてみたり・・・。
>>恐怖の亀裂作者さん
新スレ立てお疲れさまです。次スレでもお互い頑張りましょう。
>>白と黒のプライド作者さん
>自分の小話、どうやら今スレ中に終わらない気配が…
そう言う時はやはり次スレに持ち込むしか無いでしょうね。
貴方の言う小話がどれほど続くのかは分かりませんが、お互い頑張りましょう。
ちなみに番外編はまだまだ続きます。次書く時はいわゆる現代編です。
新スレを立てた時間が速かった為に楽しい事に。
鉄獣28号さんへ
まさか…そんな…2chなんて…w
しかも現代編になると…: 【ムテキノ】ハガネタンに ハァハァPart10923【メイド】 (143)
とかなってたりして…。
白と黒のプライドの作者さんへ
そのまま次のスレにダイブしても良いのでは?気にしても始まりません。
ーーーーーーーー
何か久々に本編外の物書きたくなってきた…。
次の瞬間、ジェノブレイカーが消えた。
周囲を見回すバン。その機体に、横殴りの衝撃が襲い掛かる。
「デスザウラーとの戦い…思い出せ、あの時のことを!!」
視界を横切るのはただ紅い閃光だけ。ブレードライガーの攻撃がそれを捉える事は無く、ダメージだけが蓄積していく。
「なんて強さだ……いや、俺が――弱くなったのか?」
〔あの時と今、俺にある違いは何だろう…〕
バンは目の前に迫る光刃を見た。そして――
「――命懸けで! 『全てを出し切る戦い』をすることだッ!!」
ジェノブレイカーのフリーラウンドシールドが一基、根元から斬り飛ばされた。
レイヴンが相手を見やると、敵の様子がさっきまでとはまるで違う。追い詰められた獣ではなく、
その堂々たる立ち姿は獲物を追うハンターの風格を感じさせた。
「…やっと、本気の本気か」
だが、こちらも黙って狩られてやるつもりは無い。
「俺は今本当の意味で! お前を越える為に…勝つ!」
再び、地上で超音速を叩き出す赤と青の閃光が激突した。出遅れた轟音が後ろから聞こえてくるが、
その波動もぶつかり合う刃の剣圧に阻まれて二人の耳に届かない。
無音の領域――飛び回る2機の速さに、音すらも追いつく事を諦めてしまう。
「最高の気分だ…こんな台詞を吐けることが『平和』であるのなら! 俺は喜んで『破壊』を止めよう!!」
「嬉しいね、改心してくれて!!」
コックピットに掛かるGは、既に飛行ゾイドをはるかに超えている。通常の人間なら耐えられるはずも無い。
しかし彼らは戦っていた。そこに戦うべき相手が――「好敵手(ライバル)」がいるから。
「バァ―――ンッ!!!」
「レイヴン―――ッ!!!」
叫びに呼応するかのごとく、二つのコアが鳴動を始めた。
「駄目、あんなスピードで戦ってたら…バンが死んじゃう!」
「落ち着け嬢ちゃん。連中とて、自分の限界くらいは弁えておる」
Dr.ディはやけに冷静だ。それがかえって、フィーネの不安を煽る。
「でも! …彼、熱中すると止めない性格だから…」
彼女の言葉はそこまでだった。二人の「決闘」が行われている場所で、空高く一条の光が見えたからだ。
「Dr! 2機が――あの光の中に!」
「始まりおったか、“Z”の領域が!」
ハーマンを始めとする、歴戦のゾイド乗りは皆その単語に呼吸を止めた。
“Z”の領域――ゾイドに乗って戦う人間の力量と、機体の能力が限界を突破した時その領域が「始まる」。
それは古参の者ならば誰もが聞いたことのある神話。これまでその領域に踏み込んだ者はただ一人。
懐かしむように、クルーガーが呟いた。
「…見ているか、ダン…君の息子はどうやら、君を越えそうだ…」
突然訪れた不可思議な感覚に、二人は戸惑っていた。
周囲の全てが白く輝き、上下の感覚も距離感も働かない。
「ここは…一体?」
二人はモニター越しに顔を見合わせる。そして、同時に笑った。
――環境が変わろうと、俺たちがやるべき事はただ一つ。
白い光の中、2色の閃光が幾度と無くぶつかり合い、撃ち合った。自在に飛び回る2機の周りには
重力の法則すら存在しない。
「見たことの無い感じだな」
「ああ。ただ、何となく『全力で戦える』気がするな」
「…俺もだ」
“Z”の領域――それは、“限界”が存在しない世界だった。
またも不思議空間。ここに入った二人は禁ゴジュだろうとター○Xだろうと
ゲッ○ーエンペラーであろうと止められないw(最後のは無理?)
ただ今470KB。
>>恐怖の亀裂作者氏
本編が激しく長いので短編など入れても良いかと。
次スレまでに終わらせたいこの作品。後の予定が控えてますのでキリが悪いorz
>>鉄獣28号氏
えー、何と言うか、とても… 斬 新 な ネタに感じます。
「帝国古参兵」の子孫にメガセイスモのパイロットがいやしないかと恐怖w
自分のバトスト世界に2ちゃんねるがあったら その2
三虎&フューザーズ時代編
1:【二代目?】マリン=バイスを語れ【緑の悪魔?】パート45(125) 2:【ブルジョア不良】
ルナリスタンに罵られたい38【スケ番令嬢】(578) 3:ゾイドバトル観戦記録122(672)
4:【治安局】ガミータソは渋カッコいい【マンセー】(430) 5:三匹の古代虎ってどうなった?55(673)
6:ズィーアームズ社の陰謀(96) 7:タイガタウン謎の大爆発について12(103) 8:カンウは
なぜ健在?その4(398) 9:【集え】獣王教団を語るスレ【ライガー厨】(482) 10:ヘル
レーサーズ解散の理由(54) 11:結局覆面Xって何者だったん?(98) 12:【ゾイテック】
2大企業戦争【ズィーアームズ】ソノ56(65) 13:マリンタンの手料理食いたい(382) 14:まだ見ぬ
強豪ゾイドを探せ(473) 15:ジャンク屋が蒸気機関で動くすごいゾイド持ってた(12)
16:【ギガ白】ふたりはゾイキュアってそんなに強いですか?【デス黒】(135) 17:黒い
三銃士について(23) 18:俺も今日からZiファイターになりますた(57) 19:【メイド服】
ハガネタソハアハアスレその3456521【スーパーロボット】(235) 20:プロイツェンは生きている(8)
21:【牛丼復活】康野屋を語るスレ256【マダー?】(431) 22:ぶっちゃけまだ緑の悪魔に粘着
してるゼネバス人の数→その456(910) 23:【過去の】カンウってもう完全に旧式機じゃん
【遺物】(42) 24:マリンタソに関節技かけられたい(65) 25:【マリンの】和尚ラブリー!【師匠】
(12) 26:何でも屋のマッハストームです!お仕事募集中です!(852) 27:今のトレンドは
Ziユニゾン以外にありえない!(328) 28:緑の悪魔は本当に悪魔だったのか?(96)
29:マスクマンの素顔が気になりまつ(932) 30:ギガとかデスザウラーとか野放しにして
いいのかよ(6) 31:マオ>>>>(超えられない壁)>>マリン(31) 32:【ゾイテック】Z−12を語るスレ【驚異のメカニズム】(35)
スレ内の一部↓
303 :名無しZiファイター :ZAC2230/10/05 10:42:54 ID:???
つかマジでカンウって明らかに反則だろ?集光パネルとマグネイズキャノン
あろう事か超強力レーダーやフェニックスシステムみたいなのまで
付いてるんだぞ!!何とかならねーのかよ!!
304 :名無し治安局員 :ZAC2230/10/05 11:19:27 ID:???
俺に言わせれば、装備に頼ってる時点でまだまだだな。俺もギガに乗ってるが、
やはり男ならば武器には頼らず素手で勝負よ!!!!
305 :名無しZiファイター :ZAC2230/10/05 11:26:59 ID:???
ガミー必死だなw それに男なら・・・と言う事も、カンウに乗ってるのは女だからあ んたの言い訳は通用しない。
306 :名無し小市民 :ZAC2230/10/05 11:39:26 ID:???
つーかゴジュラスギガとか個人に所有させて良いのかよ。
その辺どうなんだよ治安局!!
307 :名無し第三者 :ZAC2230/10/05 12:23:07 ID:???
法的には問題無い。カンウとやらの所有者も普通にゾイドバトルとかに使用
しているわけだからな。それにゴジュラスギガは凶暴かつ自意識の強いゾイドだ。
もちろんカンウも同様なのだが、その一方で己の認めたパイロットに対しては
恐ろしい程素直で従順であり、とことん忠義を尽くすと言う一面を持っている。
実際暴走したカンウを止めたのはマリン自身だったからな。強いて言うなら
パイロットであるマリン自身がカンウの安全装置となってるわけだ。
これを無理に引き離そうとしたら逆に大変なことになるぞ。
308 :名無しZiファイター :ZAC2230/10/05 12:28:14 ID:???
もういっその事治安局にスカウトしちまえよ。正直あんな奴とは試合したく無いorz
これがいわゆる現代編と言う奴です。
少し見やすくしようと努力しましたがまだまだですかな?
>>白と黒のプライド作者さん
Zの領域・・・。この不思議な空間で一体どんな戦いが繰り広げられるのでしょうか?
さらなる波乱の幕開けでしょうか?
荷電粒子砲が放たれた。
速い。
だがバンはそれを軽々とかわし、レイヴンに迫る。
「凄え…操縦桿の動きというより、俺の思考に反応してゾイドが動く!」
直後、ブレードの後方に抜けた荷電粒子砲が拡散した。避けたはずの光条が嵐のように降り注ぎ、蒼い機体に襲い掛かる。
「そいつはこっちも同じだ」
バンの注意が一瞬、ビームを避ける事に逸れた。レイヴンは軽くレバーを捻り、スロットルを押し込み、すぐに戻す。
エクスブレイカーが閃いた。バンがそれを知覚すると同時に、その一撃はブレードライガーの右前足を薙いでいた。
「かはッ…」
そのまま、ジェノブレイカーが叩きつけるような蹴りを繰り出し、損傷した機体は遥か後方へと飛ばされる。
凄まじい衝撃に呻くバン。だが、彼の危機はまだ終わっていない。
「掴めて来たよ…この世界での強さを左右するものが」
レイヴンが息を吸い込み、吐き出すと同時に荷電粒子砲が放たれる。バンはかろうじてシールドを張ったが、幾重もの
光がその機体を貫き、火花を噴き出した。
「…俺は間違いなく…本気だったはずだ。俺とお前に、これほどまでの差があったってのか!?」
ブレードライガーは機能を停止したのか、動かない。操縦桿を折れんばかりに握り締めるバンに、レイヴンは告げた。
「違う。お前に足りなかったのは気負い――『精神力』だ」
この“Z”の領域において、本当に強さを分けるのは精神の強さだった。もし実力に差があったのなら、もともと
二人がこの領域に入る事も無かったのだから。
レイヴンには「勝つ」ことへの執着心があった。しかし、バンにはそれが足りなかった。
「…俺は…」
静かな声。ブレードライガーが立ち上がる。
「俺はお前に…勝ちたい…!!」
「それで、いい」
傷ついた獣王が吼える。その機体から滲み出るオーラを、レイヴンは確かに見ることができた。
激突を繰り返す二機。
互いに傷つきながら、気迫はなおも増していく。
〔楽しんでいる…のか? ゾイドがあれほど嫌いだった、この俺が〕
そう思ってから、レイヴンは自らを笑った。
――ゾイドを嫌いになど、なっていなかった。そうしようとして出来なかったのが自分だ。
ゾイドの痛みが自分のもののように感じられる。だが、愛機がその痛みを心地よく受け止めているのも良く解る。
「あの日」に凍り付いたレイヴンの時間。それは宿敵との戦いで、ようやく動き出そうとしていた。
「フン、宿敵か…」
戦って、どちらかが死ぬ事を運命付けられた「宿敵」ではない。
戦い続ける事を“絆”として運命付けられた「宿敵」だ。
元々真っ白に近かった視界が、だんだんとフェードアウトしていく。
――決着を、つけよう。
俺達の世界で。
砂漠に現れた光の柱が消えていく。それを確認する前に、フィーネは走り出していた。
「バン…バンは…?」
「待ちたまえ。見るのだ――あれを」
彼女を引き止めたのはシュバルツだった。促されるままに指差す先を見ると、砂に埋もれていた2機が立ち上がるところだった。
「彼らは今まさに、最後の決着を付けるときだ。水を差すことは許されない」
駆け寄ってきた後続の者達も、息を飲んでその光景を見つめた。
厳粛な沈黙。小高い砂丘の上に、数十人の人が並んでただ一瞬を待っている。
そして――二機のスラスターが同時に光った。
巻き上がる砂。瞬く間に間合いを詰める二つのシルエットが、突風のなか重なった。
バンとレイヴンは互いに、その一瞬がどんな時間よりも長く感じた。
飛び散る砂、スラスターから吐き出される推進剤、鈍く輝く装甲の傷。全てが拡大写真のように鮮明で、かつ同時に見える。
「今度こそ…勝つ!!」
ブレードライガーが、一本残ったレーザーブレードにほぼ全てのエネルギーを注ぎ込んだ。残ったのは目標まで走る為の
分と、ブースターの推進剤に点火する分。
そしてまたジェノブレイカーも、残った一方のエクスブレイカーに持てるエネルギーを集める。残したエネルギーはやはり
移動の為と、ブースターの加速用だけだ。
「ここでお前を倒して…俺は『完全な勝利』を手に入れる!!」
二人の手は同時に、スロットルを限界まで叩き込んだ。推進剤が爆発し、限界を超えた加速に機体が軋む。
――今だけだ。
今だけ、持ってくれればいい。
巻き上がる砂の壁を貫いて、二機は激突した。
「ぬぅっ! くうぅぅぅぅッ…!!」
金色に輝くブレードと、青白く光るエクスブレイカー。切り結ぶ刃が火花を散らし、やがて――
ピシっ
レーザーブレードにひびが入った。一瞬にしてひびは拡大し、砕け散っていく刃。
「この一瞬を…どれだけ待った事か…!」
バンにはもう、身を守る武器が無い。返す刀のニ撃目、下方よりの斬撃でブレードライガーは空高く放り上げられた。
――勝った…。
「いやぁっ!! ――バン!」
走り出すフィーネ。今度はもう、誰も止めようとしない。
誰もが、この「決闘」の決着に呆然としていたからだ。
「…勝負、あったのう」
派手に砂煙を立て、砂漠に墜落するブレードライガー。その光景が何よりも物語る。
――勝ったのは、レイヴンである事を。
フィーネは倒れたまま動かないブレードライガーに駆け寄った。
「バン!? バン、返事をしてぇっ!」
そのとき突然ハッチが開き、フィーネはしたたかに頭を打ってしまった。だがそんな事はどうでもいい。
コックピットを覗き込み、彼女は見た。
「…よう。生きてるぜ」
額から血を流し、左腕は妙な方向に曲がっているが――確かにバンだった。フィーネの胸に、どっと安堵が溢れる。
「バカ…心配掛けて、もう…」
切れていなかった通信機から、聞き覚えのある声がした。
<心配してくれる相手がいるってのは、いい事だな>
「お前にはいないのかよ、そーゆー相手が?」
今しがた戦いを終えた者とは思えぬ――旧友が話すかのような口ぶりにフィーネは困惑する。が、
砂丘の向こうに現れた蒼い機体に気が付いた。
<俺にはいな…おっと、いたな。リーゼが>
ジェノブレイカーのコックピットが開き、レイヴンが降りて来た。同じく、新たに現れた青いジェノザウラーからも
リーゼが降りてくる。バンはフィーネの助けを借りながら、砂の上に降り立った。
歩み寄る両雄。その間に憎しみは無いが、二人揃って表情は硬い。
「俺はまた、お前に勝てなかったな…これで何敗目だ?」
「さあな。ただ、完璧に勝ったはずだったのに…やっぱり、何かが足りない」
レイヴンは苦々しく言ったが、すぐに口の端に薄い笑いが浮かんだ。
彼の求める物を得る方法が見つかったからだ。
「でもお前と戦ってる間だけ――充実感があった。多分、戦ってる間しか満たされないな、俺は」
「それじゃあ、生きてる間ずっと戦わないといけないじゃねえか!」
バンが笑って言う。そこに、Dr.ディが歩いてきた。
「素晴らしいモンを見せてもらったわい。まさか、ワシの生きとるうちにこれほどの戦いが見られるとはの…
ところで、レイヴンに少しばかり話がある」
底の読めない老人の目が、真っ直ぐにレイヴンを見据えた。
4連発で燃え尽きるぜ俺… __○」_ζプシュー
>>鉄獣28号氏
>>301-302激しくGJ。ワラタw
次スレでは早くも二虎が旅立ってますね…
鉄獣28号さんへ
何と…激しいスレ数のハガネタンスレ…。内容も凄い事にw
白と黒のプライドの作者さんへ
バンがまた負けた…。やっぱり負けが先行なのでしょうか?主人公は辛い?
話も大詰め。一体如何成ることやら?
>>白と黒のプライド作者さん
結局バンは勝てませんでしたか・・・。とはいえ戦っている間でしか充実感を
感じられないとは・・・。これからも戦う事になりそうですね。
あげくのは手にはゾイド戦だけでなく、他の様々な事柄でも勝負する事になったり?
それと、ディ爺さんの話とは一体何なのでしょうか?
>>恐怖の亀裂作者さん
>何と…激しいスレ数のハガネタンスレ…。内容も凄い事にw
これについては100年間と言う時の積み重ねがありますからね。
そう言う点を考慮するとこれでも少ないかな?と思ってしまう程です。
むしろ100年間の間ずっと飽きられずに済んでるのが凄い?
「いつぞやの科学者か…何の用だ?」
「おぬしに免罪の話を持ちかけようかと思っての」
リーゼが明らかに疑いの目つきでディを見た。それを気にせず、老人は続ける。
「交換条件つきで、じゃが。その内容を発表しよう――」
レイヴンは何も言わず、黙って聞いていた。突然の事に戸惑うバンに、フィーネが事情を説明する。
「彼は確かに、酷い事をたくさんやってきた…でも、一生誰かに追われて生きるのはきっと…辛いよ」
「そう、だな…で、条件って?」
「それを今から博士が言うの!」
ディは一枚の紙を取り出した。
「――ガーディアンフォース入隊推薦状、じゃ。お前さんがもし、過去にやった事を償いたいと思うのなら…
ガーディアンフォースの一員として、平和の為の戦いをして欲しい。それが条件じゃ」
バンの口が半開きのまま止まった。リーゼの目は「どうするんだ?」とレイヴンに問い掛けている。
つかの間の静寂。それを破ったのは、レイヴン自身だった。
「免罪ね…確かに、ずっと追われる身でいるのも楽じゃない。平和ってのも、そう悪くない…」
かつての敵が口にした思いがけない言葉に、軍人達はみな一様に答えを予想した。「申し出を受ける」と。
「―― だ が 断 る !」
今度こそ全員が愕然とした。免罪を断る犯罪者など――しかもこれほどの好条件で――聞いた事が無い。
しかし、彼の語った理由は彼らしいものだった。
「ガーディアンフォースに入るってのは、バンの『同僚』になるって事だ。それじゃあ多分、本気で戦えなくなる。
…俺はあくまでも、『敵』としてバンに戦いを挑む。いつの日か、またな」
「…交渉決裂と、言う訳じゃな?」
ディが推薦状を懐に収めると、後ろに控えていた隊員達が一斉に銃を構えた。
「どうする? 俺を逮捕するか?」
険しい表情で睨みあう二人。だが、やがてディがニッと笑った。
「んなことをするために来たのではないぞ。ワシらはあくまでも、二人のゾイド乗りの私闘を観戦しに
来たまでじゃ――“非公式に”な」
レイヴンは何も言わずラダーに手を掛け、ジェノブレイカーのコックピットに登った。リーゼも後を追うように
サイコジェノザウラーに乗り込み、足のスラスターが炎を吹き出す。
巻き上がる砂の中、バンは無線を取った。
「もう、テロなんかやらかすなよ! それから――絶対捕まるな!」
レイヴンは微笑ましい思いで返事をした。
「当たり前だ! お前こそ、任務中に死んだりするなよ…どんな事があっても生き延びて見せろ!
いつかまた、俺と戦う日まで!」
遠ざかっていく二機のゾイド。後に残されたバンは、その姿が見えなくなるまで見送っていた。
「…帰ろうか、フィーネ」
「うん!」
後ろでは、なじみのある面々が口々に「決闘」のことを話している。バンはジークの力でブレードライガーを修復し、
観客達に手を振りながら故郷の町を目指した。
――死なないさ、決して。
いつかまたアイツと、全力で戦う日まで。
幾度と無く出会い、戦う事を運命付けられた宿敵。
「また戦おう」――その約束こそが、二人にとってかけがえの無い大切な物だ。
好敵手。
戦いが、俺とアイツを繋ぐ絆だ。
白と黒のプライド <完>
「あ〜…何故にこんな目に遭うのでありましょうか?もしかして…厄日!?」
ジェノホークのコクピットの中で消え行く意識の中ファイン=アセンブレイス少尉は後悔と運命の残酷さに嘆いていた。
ここはニクシー基地より30km程北に離れた海の上だ。やがて疲れ果てて救助要請ビーコンを付けたままにして意識を失う。
事の顛末は以下の通りとなる。
「本当でありますかっ!?この2機のテストパイロットに選ばれたというのは!?」素っ頓狂で歓喜に充ちた声でファインは機体を見上げて言う。
「本来は不本意なのだが…OS搭載機に乗れる者は少ない。特に強力な影響を受けた機体程使える兵は限られて来る。」ニクシー基地の格納庫で総指揮者らしき将官が言う。
「そこで貴公の出番と言う訳だ!貴公はゼネバス、ガイロス、地球人の3つも血の混ざった産まれで苦労している様だがOSの影響を全く受けない奇妙な男だ。もしかしたらと思ってね。」
肩の階級証から少将である事が伺える。「腕はそこそこ。突っ込み癖在りと難儀だが強力な機体を使う者としては合格だ!今回はこの2機を模擬戦闘させその後能力の高い機体を自動操縦で再試験する。」
一息付いて「その際は貴公がもう一つの機体に乗ってもらう。結果次第では我がガイロスの勝利も近付く事になろう!頑張ってくれたまえ!」「了解しました!!!」敬礼をしてファインはスペックノートを覗きながら2機を見比べる。
「こっちはジェノホーク…大型飛行ゾイドで空中戦での格闘能力を重視した機体でありますか。火力の不安は口腔の収束荷電粒子砲で補っているみたいだ…。」
試験機だからか開発者の趣味だかは解らないが純白のボディに銀の翼。ジェノザウラーと同じ大きさで鳥型らしく逆関節の足。腹部には2連装パルスレーザーガンらしき物が在る。
「それで…って大きいですね。こっちはデスマンティス。デスバードでは実現できなかった空陸両用の決戦用ゾイドでありますか…。ジェノホークで勝てるのでしょうか?」
そう言うのも無理は無く体格で既に二回り以上の差が有り蟷螂特有の長大なハイパーシザーサイズは恐らく当たれば一撃で真っ二つだろう。その上此方には大口径荷電粒子砲すら装備されている。
唯一劣っているのは空中戦での最高速ぐらいだろうか?後は乗って確かめるしかないと諦め明日のテスト初日に備える事にした…。
テスト初日。
ファインはジェノホークに乗り込み上昇速度の計測やら火器の耐熱限界やらをテストする。
同じく1時間の休憩後デスマンティスも同じくテストをする。面白い事に飛行中の操作感覚が全く一緒という事も判明し期待が高まる。
デスマンティスを着地させ今度は陸上でのターゲットドローンを使用した模擬戦闘を行う。この時の反応の素早さに全ての者が驚いた。
「信じられません!ハイパーシザーサイズの最高速度が音速手前を記録しています。もしかすると飛行中にも使用できるかもしれません!」
測定器を覗いていた技術者が狂喜して叫ぶ。無理も無い事で嘗ては兎も角今の技術で空中戦で機体バランスを大きく崩す格闘攻撃はご法度の中それが出来るというのだから無理も無いだろう。
「なあ?しかし奴は何で影響を全く受けてないんだ?」技術者の1人が言う。それに「ああ…未だに理由は解らん。ただ普通は水と油な関係が水と空気みたいな関係にでもなってるんだろうだとさ。」
「はあ?お互いが干渉しないって事か!?それだとゾイドに乗れんぞ?」そう返す他の技術者。結局その理由は最後まで彼等には解らず終いだったそうだ。
2日目。
デスマンティスの大口径荷電粒子砲の試射を行う。威力は上々でデスザウラーの記録を超える事は無かったがそれが逆に良い結果らしい。
ジェノホークの収束荷電粒子砲もテストする。此方は飛行中にしか使用できない。だが羽の付け根の連装ファン2機の吸入速度は異常で連続発射を1分以上続けて砲身が融解した。
今日はこれでお終いらしい。機体を降りて周囲を見回すファイン。その眼前を1人の整備班らしき男が通り抜ける。「どうもお疲れさまです。」
ファインのその言葉に「ご苦労さん!明日も頑張ってくれよ!」と深く帽子を被った男は答えた。
その夜…とある部屋。
「もう直ぐテストが終わるぞ!如何言う事だ!?限界まで引き伸ばすんじゃなかったのかっ!?」在る男の声。「こっちが聞きたいぐらいですよ!奴はOSの影響を全く受けて無いんです!あんな隠し玉知りませんよ…。」
それを聞き「違うな…其奴は影響を受けている。だが普通の奴と違ってマイナス面に影響が出てないだけだ。そっちばかり目立ってプラスの影響を見逃しているんだよ。」その言葉を聞き沈黙が流れる。
「明日だ!計画を実行するぞ!」「解りました。」話が付いたらしい。
運命の日を迎える。
やはり当初の目算通りデスマンティスを最終選考に据えジェノホークとの模擬戦闘が行われる事になる。
急ピッチでテストが行われた様に見えるがそれ以前から自動操縦や部品単位でのテストは行われて在り有人機のテストだけが残っていたのだ。
ジェノホークに乗り込むファイン。「一応実弾を装填して在ります。何か有った時の為に。」整備兵の言葉に「使用する事に成らないと良いですね。」
笑って答えるファイン。しかしOS搭載機はしばしば暴走を起こすので警戒の為だろう。最もジェノホークが暴走したらお手上げなのだが…。
その時突然デスマンティスが起動する。周囲のメンテナンス用のアーム等を破壊しながら格納庫を飛び出すデスマンティス。
「ふはははは…デスマンティスは頂いた!こいつでヴァルハラを焼け野原にしてやるぜ!…っとその前にニクシーを消さないとな!」
誰かが乗って居る。「…この声は昨日の整備兵!?工作員だったのか!」良くある話だがここまでお約束通りだと開いた口が白けて塞がらない気分だ。
デスマンティスの発進で周りには誰も居ない。「出撃します!相手は大口径荷電粒子砲以外豆鉄砲しか無いので上空から押さえ込みます!」
ジェノホークも素早く格納庫を発進しデスマンティスを追う。
「なっ!?豆鉄砲ばかりじゃないか!?暴走を恐れて装備を取り替えやがったな!帝国のブタ共め!!!」本気でヴァルハラに侵攻しようとしたのだろう…かなりのアホだ。
強奪まではスムーズにいったがその後が駄目なら作戦自体が失敗である。勇み足の結果らしくアホらしくバカらしく荒唐無稽で後先考えない一大強奪劇を演じてしまった男。
「それなら!ニクシーだけでも…何!?操縦が効かん!暴走しただと!?」更にお約束の暴走まで起きるから始末に終えない。男は何とかコクピットを剥いだし小型グライダーでその場を逃げ出した。
「だあっ!?本当に暴走していますよ!デスマンティス!」上昇中なのにも関わらず器用に両手で頭を抱えるファイン。無賃乗機に乗り捨てまでと有る意味鮮やかな工作員に頭が下がる気分だ。
せめてもの仕返しとジェノホークのマイクで思い切り叫ぶ。「キセルは料金3倍でありますよ〜!!!」近距離でそれを聞いてしまい工作員は気を失っている。
放って置いてもグライダーの向かう先はレッドラスト。余程運が悪くない限り生き残れるだろう。
後はデスマンティスだ。元気一杯に暴走し基地に攻撃を仕掛けている。豆鉄砲と言っても使う機体が機体。
その威力は凄まじい。格納庫が焼け骨組みまで融け堕ちる。更に研究棟に大口径荷電粒子砲を喰らわせている。
研究棟が一瞬で消滅した。後にはクレーターが残るのみである。
デスマンティスはジェノホークの接近を察知して向きを変えて攻撃してくる。小型空対空ミサイルを散蒔くデスマンティス。
「そこだ!」在る点を狙い収束荷電粒子砲を発射。ミサイルを爆破し誘爆で空対空ミサイルを根絶やしにする。その後素早く旋回して下降するジェノホーク。
ほんの一瞬前に居た場所にはハイパーシザーサイズのレーザーの刃が通り抜けていた。周囲を焼き通り抜けたその鎌は優に音速を超えている。
「…死ぬ。絶対に死ぬ!あれを喰らったら確実に死ぬっ!」やばい光景を見てしまい戦意があっと言う間に萎む。萎える。息絶える。しかしそれを勇気付ける声を聞いた気がした。
「蟷螂如きに恐れるな!我は空の王者!鷹だぞ!」そう言う風に脳内で訳される。ジェノホークの感情だ。OS搭載機は凶暴なだけで特に物事を考えていないといった奴は前に出ろ!と言いたい。
その強い意志はOSを跳ね返し優しく諭し勇気付ける様に雄弁に語り掛けてくる。恐慌状態を脱しファインは操縦桿を力強く握り締めた。
パルスレーザーガンがデスマンティスの張ったEシールドを擦り抜ける。こう言う状態だと豆鉄砲でもかなりのダメージになる。結果は運良くシールドジェネレーターを破壊した。
「何をやっている!無傷で捕獲はできんのか!?」通信機から怒鳴る声。「無茶を言わないで下さい!止める為には当てるしか無いですよ!!!」こう言う無茶な注文を付けるのはエレベーター式に昇進した将官の言葉だ。
この声の主は最近中将に成ったオーキス中将の物だろう。「さっさとレドラーを上げんか!ゼネバス混じりにいい顔をさせるな!」酷い物言いだ。好きでそう産まれた訳ではない。
しかし増援は助かる。如何やら捕獲は諦めてくれた様だ。後は落すだけ…と思いきやデスマンティスは上昇中のレドラーに襲い掛かったのだ。
闇を閉じ込めた黒と蛍光グリーンのコントラストの影は2振りの死神の鎌でレドラー部隊を引き裂いて行く。どれも図ったかのように乗って居るパイロットの胴体辺りから真っ二つに成る位置だ。
「させるか!」残りのレドラーを援護する為ジェノホークがロケットブースター使用状態に変形。
格闘形態を取り強引な加速でデスマンティスに突っ込む。こちらに気付き鎌を振るおうとするデスマンティス。
しかしジェノホークの鍵爪の方が速く目標に届きデスマンティスの振りかざした右腕を肩から毟り取る。
バランスを崩し両者とも落下を始めるがジェノホークはその鎌を掴んだまま強引に上昇。両足でそれを握り込み再度デスマンティスに突撃する。
体勢を立て直しジェノホークに向かって大口径荷電粒子砲を放つデスマンティス。「そこだ!」それに合せて掴んだ右腕を荷電粒子に投げ付ける。
それが当たる瞬間ジェノホークはパルスレーザーガンを打ち込む。大爆発が起こり爆炎が周囲を苛む。ジェノホークもダメージを負いOSで急速回復を行っている状況だ。
デスマンティスは煙の中に静止しホバリングを行っているらしい。そこに生き残ったレドラーが捕獲用電磁ネットを持って飛来する。
呆れた話だ。まだ捕獲できると思っているらしい。今の状態は静かに獲物を待ち構える蟷螂得意のカウンターの構えを執っている筈なのに…。
案の定煙の中で更なる爆発が連鎖する。何とか生き残った機体も在るがパイロットの方が恐怖で逝かれて居る様で辺り構わず火器を乱射し味方を傷付ける一方だ。
しかしそれもデスマンティスの鎌の前に爆散する。煙の中から出てきたデスマンティスの姿を見て唖然とする一同。
その姿は胸部に4本もの新たな腕を産み出し残った左腕は大型化している。それに伴ってか速度の低下を押さえる為に同じく巨大化した羽。後にデススティンガーにも見られた自己進化だった。
突然進路を北にかえたデスマンティスはその場を飛び去ろうとする。流石にこうなったらミサイルをレドラーは発射するがそのミサイルはデスマンティスの羽の羽ばたきから発生した衝撃波であっさり撃ち落とされる。
ジェノホークに近付く2機のレドラー「少尉!ネット弾です。ジェノホークのペイロードなら装備できる筈。何としても本国への到達を阻んでください!」更に空にクラフトレドラーが上がって来る。
2分程で装備が完了しジェノホークは全速力でデスマンティスを追撃する。捕獲用のネットを付けて貰っても困ると思いきや何とミサイルなので感心する。ネットの先に炸薬が仕込まれて居るタイプだった。
最高速度…デスマンティスがM2,5ジェノホークがM3,13何とか間に合いそうだ。丁度ニクシーから30km地点でデスマンティスに追い付く。
「喰らえ!」羽ばたきでミサイルを無効化した事から収束荷電粒子砲で攻撃を仕掛ける。「でぇっ!?」何と荷電粒子が曲った。
それを確認すると羽ばたきにより摩擦熱が発生し陽炎入りの気流を作っている。荷電粒子砲はその性質上周りの影響をダイレクトに受ける。
この場合は上昇する気流に乗って上に曲ってしまったのだ。
デスマンティスが回頭する。しめたと思いジェノホークにもう一度収束荷電粒子砲を発射させるファイン。今度は鎌の刃で受け流す。忌々しい相手だ。
昨日までテスト機体として乗って居たから余計に恨めしい。「ああ…あんな事教えなければ良かった。」激しい後悔に苛まれるファイン。しかしそれも直に吹き飛ぶ。
デスマンティスの5本の鎌が襲って来たからだ。上手く小さい4本を躱し狙い澄ませた収束荷電粒子砲で左腕の大きい鎌を腕毎切り離す。そのまま上昇し脚部のポッドを下向きにする。
「これで如何だ!」ネットミサイルが発射される。
自由落下と下方向への推進力。それは避ける間も無くデスマンティスに絡み付き先端の炸薬が爆裂する。超重装甲の体とてこの速度と炸薬の爆発でダメージを受けない筈は無い。
近くに居ると危ないので少し距離を置きパルスレーザーガンを連射する。羽を狙い何回も超重装甲に阻まれる。しかしその内の一発が左の羽の付け根を直撃し羽を切り飛ばす。
しかしデスマンティスも黙って攻撃を受ける訳では無くビームバルカンを連射してジェノホークの翼に幾つもの小さな穴を穿つ。「くぅ!翼が!?」マグネッサーの輝きが薄れる。
だがここで引く訳にはいかない。既にデスマンティスは再生を始めており折角切り落とした両腕が生え始めている。物凄い適応能力だ。
「全弾発射!」ネットミサイルを全弾発射し残る片側の羽も破壊する。これでデスマンティスを空中で支える物は無い。しかしデスマンティスもだまっている訳では無く苦し紛れの大口径荷電粒子砲が放たれる。
全速力で回避運動を執るが翼のマグネッサーの出力不足でデスマンティス同様に片方の翼を丁度半分の所から失う。同時に右足も付け根付近深くから消滅している。
「この!この!このぉ〜!!!」パルスレーザーガンと収束荷電粒子砲で反撃する。
それは的確にデスマンティスのコアを貫き止めを刺す。しかしそこでジェノホークの機能も殆ど停止しグライダーの様に滑空するのみだ。
「此方ジェノホーク。デスマンティスを撃墜しました。やはり回収は無理です。こちらの被害も甚大。回収を要請します。」
そう言って通信を切る。口五月蠅い中将の小言はまっぴら御免だ。誘ってくれたリオン少将殿には悪いがどうもオーキス中将の態度は好きに成れない。
運の良い?事に通信機を切った瞬間通信機が壊れる。何とか海面に着水させるもジェノホークは既に虫の息だ。
突然ジェノホークはコクピットと自身を切り離す。その時に周りの危機が一斉にショート小爆発を起しファインは体中に小さな傷を負う。
「すいませんねぇ…命を救って貰ったのにこっちは何も出来ないのでありますよ…。」ジェノホークはコクピットの計器にエネルギーが逆流するのを知り切り離しをしたのだ。
そして激しいショートを起こしながら海に沈むジェノホークにファインは敬礼を送る。
こうして2機の機体は歴史の闇に消えて行く事になったのである。しかし新型機の開発は常に行われる。その機体に込められる願い。
それは技術者の血と汗と苦闘から産まれその機体が平和を産む事を切に祈っている筈だ…。
ーー終わりーー
埋め立てつつネタテスト。
>>1さんが出会ったスレ住人は、歪んだ愛に目覚めてしまったのかも知れない。
気をつけろ、
>>1さん! そのスレ住人は、粘着する!
次回、「
>>1さん 対 粘着厨」
>>1さん、覚悟!
周囲には死の臭いしかしない…。今自分が何処に居るのか?解らない…。
今目の前に見える物は暗黒。何も見えない…。最後に自分は誰か?それすらも解らない。
何か明かりが見える。眩しい…止めろ!彼は手を振る仕草をする。すると巨大な音と共に光源が破壊される。
「何が起こった!?」研究者が叫ぶ。「ファンタズマが暴走しました!」「馬鹿な!?まだコアと被験体とのリンクはしていない筈だぞ!」
被験体…それが今の彼の名前。新しい鋼鉄の体の名がファンタズマと言う事が解った。彼は何かの実験に使用されたのだ。
そして…朧気ながら記憶が戻ってくる。靄に包まれている為断片的な物でしかない。著しい身体の損傷。有る男からの提案。見上げた1機のゾイド。
視覚とモニターが繋がりその手を見る…やはりあの機体だ!記憶が鮮明に成る。確かジェノハイドラとか言っていた機体だ。手と思われた顔。
「逃げるぞ。」その時後ろから声がする。「誰だ?真逆?ジェノハイドラか!?」
「そうだ。こんな所には居たくない。このままではお前と俺は完全にくっつけられてしまう!しかも聞いた!奴等は事故を装ってお前を怪我させた!」
「何だって!?…くそっ!口封じか!」ファンタズマに力が宿る。「今ならお前の体を引き離す事も出来る!逃げるぞ!」「解った!」ファンタズマは拘束を完全に破り上を見上げる。
そこには六つ首の高機動ユニット付きのバックパックウェポンが有る。「ハイドラ!あれを持って行こう!」「出来るのか?」「大丈夫だ!何とかあの端末に接続させれれば出来る!」
「その程度ならお安い御用だ。お前以外の人間共がその機能を付けている。」半分取り込まれていた彼はクラッカーだったのだ。
直に端末に繋がるとコントロールシステムをジャック。六つ首ユニットを背に搭載。その後即興で作ったウィルスを施設のマップデータをとる際に流し込む。
普通なら打ち込んで造らなければ成らないウィルスワームを考えただけで制作できる。機体の搭載のコンピューターが高性能な事が伺える。「いいぞ!脱出だ!」
「任せておけ!」その日Zi-ARMSのとある研究施設が消滅した。ファンタズマと呼ばれた機体の暴走と公言されたがその実は人間とゾイドの融合実験の失敗による人災のゾイドハザードだった。
その後ファンタズマのは各地で現れた。機体には半分機械の男が乗って居るそうだ。