【仕事しろ】ここはパイロット養成所No.5【断る】
2ならスカーレット教官が脱ぐ
果て無き荒野に埋もれていたのは、誰かが見つけた夢の欠片か。
それとも道半ばで倒れた旅人の骸だろうか。
見上げた夜空に瞬く星は、今宵誰かが流す涙の雫だ。
明日を目指す若人にとって、けれどそれは眩い希望にも見えるだろう。
宇宙(そら)の果て、青く輝く地球を仰ぐ、この星は赤きフロンティア。
鋼鉄の巨人(モビルスーツ)が闊歩し、未知なる怪物の徘徊する砂塵の世界。
法と無法、秩序と混沌、相入り乱れる荒れ果てた星では、力こそが唯一のルールとなる。
今まさにこの大地へと降り立つ君よ。
力の為に学び舎の門を叩く君よ。
火星と呼ばれるこの星で、君のその手は一体どんな未来を描き出すのだろうか――
誤爆orz
「――まぁ、金が無い以上は働くか勉強しないと、な。」
(一方、この青年の姿は養成所の図書室で見る事が出来た。
言葉通りに最近金欠な彼、ひたすら勉強するか働くかしか出来る事が無い。
ここの所負けが込んでいるというのも理由だ。
彼の手には予約して借りた一冊のハードカバー書籍、
その表紙は綺麗な物だ、余り借り手がいなかったのだろう。)
「ヴァシリ・ザイツェフにカルロス・ハスコック…マティアス・ヘッツナー。
…そして、シモ・ヘイヘか。
全く、何時だって先人には頭が上がらんね。」
(そして、図書館の通路のソファに腰掛け軽く目を通す。
20分程そうしていただろう、口から漏れたのはそんな呟き。
いくつかの人名の後に漏れたその呟きは、幾分かぼやきの成分も含んでいた。)
「データ取りも楽じゃない…」
見る感じでは“脱走してきた”様子では無いらしい青年である
>>9 「…?リヒャルト先輩こんにちわ(…歴史本か哲学思想史か?)」
顔見知りの先輩に挨拶、―ただしTPOな感じは欠かさない感じで
一方この青年が持ってるのはハンドコンピュータと資料らしい
>10
「よう、金持ち。
噂になってるぜ、報酬の使い道は決まったかい?」
(挨拶に答え、冗談交じりにそんな言葉を返して来る青年。
因みに彼の服装は私服、何処と無くスタイリッシュ。
時間的に――今は夕方だ――これからバイトか何かなのだろう。)
「ん……これか?
全員がかつて"西暦"と呼ばれた時代、そこで名を馳せたスナイパーだよ。
特にシモ・ヘイヘは20世紀最高のスナイパーと言っても過言では無いな、
確かフィンランド出身で、500人の敵兵を狙撃している。」
(その疑問を表情から感じ取ったか。
リュート自身が狙撃兵では無い為専門的な説明は省いているが。
聞けば、さぞかし詳しく教えてくれる事だろう。
なんと言ってもこの男、戦史の成績は素晴らしい物がある。)
>>11 「…冗談ですけど大火力ミサイルとか…正式にまだ決まってません
…しかし(たぶん“彼女ら”はともかく)俺まで噂になるとなると俺はしばらく身を隠さねばなりませんね
(…前にも指名手配犯ドサクサにまぎれてとっ捕まえたときもこんな感じだったな…)」
冗談交じりで答える青年。
噂になったかはともかく、「(…ただしアレはもはや都市伝説の物の怪の域だったっていうw…それから)」
―と昔の事を昔のことを思い出しつつ
「…(―狙撃兵か)」
“エース様”以外にも厄介な方々がいる
狙撃兵もその一つ、―最も、よく訓練された乗り手、良い機体にで編成された部隊に素人さんは太刀打ちできない
とされているが
「単刀直入に聞きますけど狙撃兵対策って存在しますか?狙撃兵の歴史も交えてご教示してくれると幸いです
戦術、戦略を問わない感じでね?」
そんなことを聞く青年
>12
「そうか、何にせよ資金繰りは大事にな。
結構な額になるって聞いたから、機体の買い替えなんかも良いと思うぜ。」
「ん、狙撃兵への対策…?
そうだな、状況によるけど…相手の大体の位置を特定するのが専決だ。
発砲音か着弾方法から狙撃兵の居る大体の方向と距離を割り出せるから、
その後は狙撃兵の居そうな障害物に面砲撃を加えるのがセオリーだな。
…まぁ無論、狙撃兵の方でも対処法を必死になって考えるわけだが。
後は味方に狙撃兵が居るなら、そいつに対処させても良い。
カウンタースナイパー(狙撃兵に狙撃兵で対抗するという考え方)に基づいた
狙撃戦はスナイパーには必須の技能だからな、適度に判断を下してくれるだろう。
あぁ、後効率を度外視するなら…
隠れられそうな物や場所を見つけ次第、即座に破壊ってのもあるな。
実際過去の戦争でも、行軍途中に教会を見つけるやいなや
鐘楼を戦車砲で吹き飛ばす部隊が居たって話もある。」
(と、長い台詞を喋り終える。)
>>13 「機体の買い替えか…ちゃんと動かせるのが欲しいですね…おっと失礼
まあ、これからが肝要ですね」
(★まとめ
まず一撃死は避ける、彼らはコレに命をかけてくる
で次に着弾位置の観測のことはは彼が話してくれた通りだ
“味方にも居る”これも一つの方法だ
効率を度外視するなら大量破壊兵器使ったりしてもいいわけである
ただし人道法とかも考える必要性もあるのだが)
相槌を取りつつメモを取りまとめる青年。
―内容は不明だが
(★“ ”は少し賢くなった!)
>14
「まぁ要するに……
狙撃兵が持つ最大のアドバンテージを失効させてやれば良いんだ。
そうすれば結局は一人の人間だからな、
それこそ超一流の相手でなければそれだけで有利になる。
結局の所、相手の嫌がる攻撃を行うのが最も有効な攻撃って事だな。」
(そう言って本を閉じる。
話の合間に、読み終わった様だ。)
>>15 「ふむふむ…なるほどなるほど…
どこから何が来るかわからないって実に怖いですね」
苦笑しつつ答える青年
「おっと、時間か、 …先輩、おれはここらでおいとまします
それではまた ('(゚∀゚∩」
そういって図書館を後にする青年だった
>16
「けどその分、狙撃兵は最も嫌われる兵種でもあるから。
見えない場所から一方的に攻撃してくる敵、相手は生かしてはくれないから。
その辺はおあいこだろう、とね。
ん、あぁ…お疲れ、またな。」
(そうして数分後、彼もまた図書館を後にする。
向かうのは最近始めたバイト先。)
何なんだこのスレは、たまげたなぁ
>>1を見てもどういうスレかわかんね?
保守
(この火星という星には、日常生活を送るだけでも危険が付き纏う。
クレイドル――人工の防壁に護られた都市の中ならまだしも、
点在しているそれの間を移動するにはそれなりの危険性を覚悟しなければならない。
そんな危険性を少しでも減らす方法の一つに、集団行動による危険性の低減という物がある。
ある程度の自衛能力を持った物が複数集まって一緒に移動する事で、
固体ごとの危険性を低下させるという行動だ。
丁度サバンナで、ライオンから身を護る水牛の群れを想像するのが近いだろう。
そういう訳で、養成所でも時折それを狙った予定が組まれる事がある。
近隣のクレイドルに用事がある者を募って、合同で移動する様に声をかけるという物だ。
参加者は予め予定された滞在期間を移動先のクレイドルで過ごし、帰りもまた一緒に帰って来る。
早い話が個人的な買出しと団体行動の実習を兼ねた、一種の遠足の様な物だ。
そんなわけで今日、養成所の面々は観光都市でもあるヴェネツィア・クレイドルを訪れていた。)
「っつーかダリーなぁ、地元じゃん、俺にとっちゃ」
やる気無い奴一名、非常にダルそうにため息などつきながらエスプレッソなど飲んでおります。
サン・マルコ広場(勿論地球のそれを模したモノ)のテラスで、頬杖を突きながら。
23 :
弦楽の女学生:2007/09/21(金) 23:08:11 ID:???
さて、彼女もそうしてヴェネツィア・クレイドルを訪れている一人である。
彼女の今回の目的は買い物、大好きな妹にたまには気の利いた贈り物でも――
そんな思い付きと、実習による単位の取得を狙って参加していたのだが。
「…むー………凄いですねぇ…。」
どうした訳か、彼女はとあるガラス細工店の軒先で唸っていた。
視線の先にはその店のショーウィンドウ、その更に中には美しい装飾を施されたグラスが並んでいた。
それがつい30分ほど前の事になるだろう。
>>22 そうして今、彼女は彼の居るサン・マルコ広場へと現れる。
遠くからでも目立つ純白の髪、右腕には小さな紙袋――。
>>23 ピキーン!
その時ファビオに電流走る!
作り物の空にため息をつき、何気なく広場へ視線を戻したその瞬間。
視界に飛び込んできたのは彼の心を盗んで離さない麗しの姫君。
普通のイタリア男ならば即座にウィットに富んだ言葉で呼びかけるのだが――
「エ、エレナさんッ」
――彼にそれを期待するのは、どうやら無理があったようだ。
無難過ぎるどころか何のアピール性も無い呼びかけであった。
25 :
弦楽の女学生:2007/09/21(金) 23:27:15 ID:???
「こんにちは、ファビオさん。
やはり貴方もこちらへ来てらしたんですね。」
(一体彼女にその様な呼びかけをしたらどうなるのか――とは思うのだが、
その普通の呼びかけに物凄い普通に素敵な笑顔で答えてくれるエレナさんだ。
そんな答えを返しながら、彼の方へと歩いて来る)
「今回は他に知り合いも来てない様だったので、少し暇を持て余している所なんです。
…ご一緒しても宜しいかしら?」
>>25 「ももも勿論ですともエレナさんッッッ!」
何たる僥倖!
目の前に花開くスノーホワイトの可憐な姿が、
怠惰な午後をあっという間に彩り豊かで芳醇な時間へと変化せしめたのだ。
微妙に上ずる声を自覚し、飛び跳ねんばかりの鼓動を驚異的な精神力で宥めながら彼はさり気なく立ち上がり、椅子を勧めた。
「どーぞどーぞ、遠慮なく座っちまって下さい!」
さり気ない仕草で椅子の上にハンカチを敷いたりする辺り、最低限のロメオっぷりは持ち合わせているようだ。
27 :
弦楽の女学生:2007/09/21(金) 23:40:40 ID:???
「ありがとう。」
薦められた椅子に、座る。
見事な身のこなしで現れたウェイターにカフェ・オレを注文した所で、
やっと一息といった様子だ。
「…ふぅ。
ファビオさんは確か、こちらで親族の方にお世話になっているのでしたね。
今回はそちらへのご挨拶か何かですか?」
>>27 「ま、そんなトコかな。
ピザ屋やってる叔父さんがいてさ。
色々と世話になってるし、こんな感じで時々来ちゃ泊り込んで店手伝ったりしてるんだ」
結構美味いんだぜ、と叔父のピザを誇らしげに自慢する。
「エレナさんは何で来ようと思ったんだ?
所謂観光ってやつか?」
29 :
弦楽の女学生:2007/09/22(土) 00:00:33 ID:???
>28
「へぇ…それはご立派ですね。
ファビオさんの焼いた物も美味しかったですから、叔父様のも何時か頂きに行こうかしら。」
(割とファビオの焼いたピザがお気に入りだったりするエレナ。
最近は体系に気を遣ったりとかしないといけなくなったけれども、
好きな物は好きだからしょうがない。)
「ええ、私は今日はちょっと買い物に。
普段は余り嗜好品とかは買わないので、たまにはとは思ったんですけど…
いざ買おうと思ってみると、中々良いのが見つからなくて。貧乏性…かしら?」
>>29 「安物掴むよりはそっちの方がよっぽどマシだと思うぜ。
貧乏性っつーよりは堅実なんだろ、エレナさんはさ」
エスプレッソの2杯目をオーダー。
運ばれてきた小さなカップを一気にあおると、一息ついてそう言った。
OK、だいぶ自然に話せるようになってきた。
内心で自分を褒めつつ改めて目の前の女性を見つめ直すファビオ。
(美しい……嗚呼、エレナさんの唇に触れるあのカップが羨ましいとか思ってる自分が情けないぜ)
知らず漏れるため息、もう一つ。
31 :
弦楽の女学生:2007/09/22(土) 00:50:55 ID:???
>30
「そう…でしょうか。
私、楽器と消耗品以外に関しては全然目利きが効かないというか…。
全てが高く見えちゃうんですよね、実は服とかも殆ど買い足してませんし。
…これはこれで、女としては結構思う所があったりします。」
(そう言って、彼の視線に気付きながらもカップを口へ。
結構プライベートな話題を曝け出しているのに、どうやら気付いていない)
>>31 「ああ、ソイツは分かるな。
ある程度知識がないと、相場ってモンも見当つかねぇし」
何となく目が合った気がして、慌てて視線を逸らす。
見透かされたような感じに少しだけ気まずさを覚えた。
「『女としては』って、そんな気にすんなって。
洋服なら古着で買えば良いじゃん。
ヴェネツィアクレイドルにだって、通り沿いに古着屋の一つや二つすぐに見付かるぜ?
何だかんだで掘り出し物だってあるし、
エレナさんに似合う服だってその気になりゃ幾らでも――っつーか。
大事なモノにさえ目が肥えてりゃ、後はフツーで良いんじゃねーの?
アンタなら何だって似合うと思うし」
エレナの発言の趣旨から少しだけ外れた台詞。
口にしたあとで微妙な齟齬に気付き、
「――とにかく、そこまで卑下したもんじゃ無いってコト」
強引に結論。
33 :
弦楽の女学生:2007/09/22(土) 01:31:05 ID:???
「…そう――なら良いんですけど。
いけませんね、どうにも時々自分に自信が持てなくなるっていうのは。」
(そうして蒼い瞳を静かに閉じる。
カップに残った最後の一口を口へと運んで)
「けど。ありがとう、ファビオさん。
そういう事なら、選ぶお手伝いも御願い出来るかしら…なんてね。」
(そしてこちらも、ちょっと唐突な感謝。
最後はちょっと冗談めかしてはいたが、感謝の言葉は誠実その物だった。)
「…さて、それでは私はそろそろ行きます。
今日はこれ以上のお買い物は出来ませんし…宿の方でお手伝いをしないとね。
ファビオさんへのお礼はいずれまた、それじゃ。」
(そうして笑顔で席を立ち、会計を済ませて行く。
何処と無く弾んだ様子だったのは、少しだけ――彼女の主観によれば――褒められたから。
彼の言葉に含まれた何かは、確実に彼女を元気付けた様だ。)
養成所西館C棟1F休憩所。
16:22PM――露出度の高い野戦服の隙間から褐色の肌を覗かせて、
ちんまい体躯、釣りあがった目、不思議な角飾りと長い耳という特徴を持った養成所の名物不良生徒、トシミア・ノンルージュがやってきた。
複数名の訓練生たちが各々疲れた羽根を休ませている空間で、この場合まず見知った顔を探すのがトシミア式。
「よォ、クレ公ー。
最近あんまし集会に顔出さねーじゃねーか。一人で走ってんのか?」
トシミアにとってはあまり縁の無いエリアであったが、
運良くそこでソファーに腰掛けなにやら息を吐いている舎弟の一人を見つけたので当然のように声を掛ける。
クレハ・ナラノハ。小悪魔風の女生徒トシミア・ノンルージュの取り巻きA。
因みに集会と言うのは、同じく愛好しているエレバイク同盟のメンバーの寄り合いである。
そこへこの舎弟1はここのところあまり参加していなかった。
「ちーッス、トシ姐さん。やや、そーいうんじゃないんスけどね。
まぁちょっち個人的な所用がちらほらと山のように……」
どこか疲れた様子で姐御に応え、それから足許に置いた50センチ四方のケースを見遣ってふぅ、と息を吐く。
「…はァ?」
【YES.
カナデ・ノースウィンドをはじめとした上位ランカーの訓練成績に追いつく為のプログラムを実行中。
元々の腕は悪く無いのですが、サボタージュしていた分が響いています。】
「そうは言うがなマイ・スレイヴ。
別に単位習得やら資格試験だってふつーにやってたし、
支給機とかコースとか高望みしたってしょうがなかったし、で文句は無いと思うんだけどなぁ。」
【それで、今更というタイミングで上位を目指す理由が不純であると来ましたか。
正直呆れます。】
突然スーツケースが光ったかと思うと、そこから漏れ出す電子音声と漫才を始める舎弟を見て、
何となく状況を理解したトシミアはすかさず意地の悪い笑みを浮べる。
「おーなんだ、メカ子も居たのかよ。
はは、こりゃ中々に辛辣じゃねえの?機械にまで言われてちゃ世話ねぇーゾ、なァクレ公?
……つかつーか、てめぇが上を目指すタマかよwww?女の尻追いかけるくらいしかスキルのねーヤツがwwww」
「ぐく…とりあえずその芝は刈らせてください姐さん、ボクすげー不愉快です!」
【相変わらずですねトシミア・ノンルージュ。ところでそのニックネームはどうにかなりませんか。】
けらけらと笑う悪魔っ子。
そんなちんまいのを姐御と称して抗議する男。
あくまで冷静なマイペースで役目を果そうとする独立型AIシステム。
知る人ぞ知る。彼らはそんな養成所の名物漫才ユニットとなりつつあった。
「ラスト……」
知らず呟き、トリガー。生まれる火球、四散する機体、消失する熱源反応。
爆発の照り返しまでもリアリティ溢れるバーチャルとして再現するシミュレーター、
そのコックピット構造を模したポッドの中で金髪の少女は漸く緊張を解いた。
チームトータルスコア20、内訳はMS8機、MS母艦1隻、その他浮遊砲台11基。
友軍機、2機共に中破。
自機の機体状況――小破。損傷率17パーセント、機能低下の一歩手前といったところだ。
流石に疲れた――ベルトを外し、大きく息をついて背もたれに肢体を預ける。
宇宙空間での戦闘は、当たり前だが地上でのソレと大きく勝手が異なってくる。
三次元のベクトル全てを用いた機動、三次元の三つの軸全てを認識しなければならない状況、
擬似的に再現された無重力の浮遊感、広大な空間が招く距離感の喪失。
過去に数回しか宇宙に出た事の無いカナデにとって、それら全てが未だ慣れない脅威になる。
『さっすがコーディネーターだな。
宇宙生まれの新人類様にとっちゃシミュレーターなんてお遊びみたいなもんじゃねーの?』
『逆差別的な発言は控えろ。
種族的優位性を妬む前に、俺たちにはやるべき事があるだろう』
シミュレーション開始に当たり、珍しく彼女は他人と組む事を選択した。
ほんの気まぐれ。
元々複数人用のミッションであったし、CPUの機械的な動きよりはムラのある人間を相手にした方が得るものもあるだろうという判断。
そうしてランダムに選ばれた二人の同期生らのミッション終了後のチャットに、カナデは僅かにその美しい眉根を顰めた。
『そうは言うけどよ。俺だってコーディネーターとして生まれてりゃ、今頃優等生になってたと思――』
強制停止。
次回利用者の為にブースのOSが再起動される。
チャットはまだ続いているだろう、けれどカナデにそれへの興味は無し。
ただ不愉快そうに汗に濡れた前髪を払い、ハンドタオルで顔を拭うだけだった。
声を掛ける者はいない。
氷の薔薇の冷たさと棘は、手折る者、愛でる者の双方を拒み続ける故に。
36 :
弦楽の女学生:2007/09/25(火) 23:04:21 ID:???
「…キッツィなぁ。」
養成所のシミュレータルーム。といってもここは生身の人間用の物だ。
ジムのトレーニングルームに併設されたこの部屋で、丁度訓練を終えた人物が一人。
ナイフ等の簡単な軽装備を用いた白兵戦の訓練プログラム。
成績を見てみれば並の上、平凡その物といった所だろう。
「駄目ですねぇ私は。
…努力しても努力しても、身体が言う事を聞いてくれないなんて…。」
(ラフなジャージ姿といういでたち。
次は外のグラウンドで走り込みだ、自主練習である以上、
それは身体を酷使しなければ何の意味も無い。)
>>36 「お、お疲れさん。
どーしたんだい、浮かない顔して」
不意に後ろから声がかかった。
彼女にとってはある程度聞き慣れた声。
振り返ればそこには、顎のラインで揃えた真っ赤な髪、ブラウンの瞳、白い肌。
教官用の制服を改造したジャケットとパンツ姿の、スカーレット・E・マーヴェリックが丁度部屋に入ってくるところだった。
38 :
弦楽の女学生:2007/09/25(火) 23:27:29 ID:???
>37
「あぁ…教官。」
(振り返る細くて白過ぎる身体、蒼い瞳が相手を探して純白の髪が軽く流れる。)
「今日は予定が空いたので、トレーニングをしようと思って。
その、本当は……毎日続けないといけないんですけど、
昨日は出来なかったので。」
(ふふふ、と力なく笑う。
因みに彼女の言う事は嘘ではない、仮に調べれば分かる事だが彼女は養成所に入ってから、
ほぼ毎日のトレーニングを欠かした事は無い、ちゃんと利用者リストにも履歴がある。
しかしマーヴェリック教官なら気付くだろうか。
彼女の体付きはそうとは思えないほどに、パイロットとしては細過ぎる。)
>>38 「へえ、そいつは感心だねぇ。
アタシの時はどうやってサボるかばかり考えてたもんだよ」
室内の壁に埋め込まれるように設置された自販機、
そのリーダーにカードを触れさせ、電子マネーで250mlのスポーツドリンクを購入。
取り出し口に手を突っ込んで掴んだソレを、
「ほいよ」
軽い掛け声と共にエレナの方へ放り投げた。
「……ま、体質って奴はあるからね。
プロテイン摂取とバランスの良い食事、充分な休養。
その辺しっかりやってんのかい?」
40 :
弦楽の女学生:2007/09/25(火) 23:41:38 ID:???
>39
「あ、ありがとうございます。
ははは…良いんですか教官?そんな事言っちゃって。
他の教官さん達に聞かれたら大変ですよ、きっと。」
感謝の言葉と多少の冗談、それらを発しつつドリンクを受け取る。
「ええ、好き嫌いもありませんしその辺りは問題ありません。
ただまぁ…確かに体質には違いないんですけどね。
私の場合、身体を鍛えると言うより…身体を衰えさせない為の運動なんですよ。
…本当に、厄介な身体です。」
(少々、冷笑にも似た響きがある。)
>>40 「なーに、いざって時に文句の出ない結果さえ出しときゃ、
後はどうとでもなるってもんさね」
実際、彼女は訓練生時代にそうしている。
要はサシで教官の機体をぶちのめし、成績の底上げを認めさせたのである。
元から才能に恵まれていた故にできた芸当。
しかし、目の前の少女は――
「……随分、深刻みたいだねぇ」
42 :
弦楽の女学生:2007/09/26(水) 00:06:20 ID:???
>41
「んー、それは確かに。
…二条教官(白髭の老教官)から聞きましたよ、
そういう訓練中の動きには凄まじい物があったって。」
「はい、こればかりはどうにも。
…本当はマズイんですけどね、これは遺伝子的な疾患なんです。
大体10代の頃から発現するんですけどね、母方の祖父からずっと受け継いでしまった物で……
普通の人と比べて、カロリーの消費と筋肉の衰えがかなり早いんです。
栄養分の吸収量は変わらないんですけど、唯一の利点は太らない事…かな?」
(余り、深刻そうな様子ではない。
しかしその内容は相当に問題だ、人間の生命活動に於いて、筋肉は車のシャフトに等しい。
それが衰え動かなくなった時、その車は車としての生命を終えるのだから、)
>>42 「……」
言葉が見付からなかった。
何かを語りかけようとして、けれど「恵まれた」自分の身に照らし合わせても何も出てこない。
「ソイツは、どうにか治らないもんなのかい?
アタシゃ医学なんてのには疎い方なんだけどさ。
そんでもホラ、遺伝子治療なんてのがあるんだろ……」
どすっとやや乱暴にソファへ体を預け、
参ったねとばかりに手のひらで顔を覆う。
ある特定のウィルスを媒介にして、遺伝子の欠損や異常を補い正し、機能を正常化させる技術は確かに存在している。
コーディネーターなども元を糺せばそうした遺伝子操作技術から生まれ出た代物なのだ。
44 :
弦楽の女学生:2007/09/26(水) 00:30:36 ID:???
>43
「不可能では無いそうですけど…難しい、みたいです。
生まれてくる前ならともかく、一度生まれてしまった体の遺伝子を調整するのは。
例えるなら、走っている途中でF1マシンのタイヤを交換する様な物ですから。
それに、技術が確立されても難しいでしょうね。
一度生まれた人間の体を作り変えるっていうだけで、世の中が許してくれないかも知れません。 ……臓器移植や美容外科整形みたいに、必要であっても容認してくれないんですよ、中々ね。
特に、私の様な"自然に反して生まれて来た人間"を毛嫌いする人達は。
後はもっと現実的に、お金も足りません。」
(そう。技術があっても、それを施してくれる世界では無い。
例え公然とそれを受けられるとしても、先立つ物すら彼女の手元には無い。)
「…大丈夫ですよ、教官。そんな顔をしないで下さい。
別に不幸自慢をしたかった訳じゃ無いですし、そもそも不幸とは思ってないんです。
体を動かす事自体は楽しいし、それは決して苦痛じゃありませんから、ね?」
>>42-
>>43 「(珍しい組み合わせ…)こんにちwa…
(空気嫁と言われてもおかしくないタイミングで挨拶する青年)
通りがかりで申し訳ないですがすこーし立ち聞きしてしまいました」
(若干困惑しつつも素行の悪さを謝罪する青年)
46 :
弦楽の女学生:2007/09/26(水) 00:37:52 ID:???
>45
「構いませんよ、ここは公共の場所なんですから怒れる理由はありません。
どの辺りから聞いていたのかは知りませんけど、ね。
…だけど、余り他の人には言わないで下さいね。
特に耳に入れたくない子が、一人居るんです。」
(怒ったりする様子は、本当に無い。
しかし吹聴されて愉快な話題では無いだろう。
今しがたの話題だって、相手が養成所の教官だからこそ話した様な物だ。)
>>46 「OK!不用意に言いません、
必要な部署に知らせているなら問題無いのですが…
(まあ、こういうの、じつはしらせておいたほうがよいばあいもあるけど、
いまはまだ、ことをおおきくしないほうがいいね)
(★秘密はいつか漏れるもの、どこから流れるかわからないが、わざわざ流す必要は無い。
余談であるが、返事はある意味伝統的なもの。!がついてても音量は最適に、これもマナーである)
ところでその特に一人が気になったんですが、身内の方ですか?」
―聞かなくてもよさそうな余計な事を青年は尋ねてしまった
>>44-45 「……シェイクスピアに曰く、『俺たちは欠けている時が一番美しいんだ』だっけな」
顔を覆っていた手の平が、ひらりひらりと宙で踊る。
そのまま腕をぱたんとソファの上に下ろし、
天を仰ぐのをやめてスカーレットはため息をついた。
「アンタが今の自分を誇れるってんなら、
教官としてのアタシにできるお節介はもう無いね。
あるがままを受け入れられるぐらいに強いんなら、
せめてその強さを失わないでおくれよ――人間、失くす時はあっという間だからさ」
そして、話は終わりだとばかりに立ち上がる。
「勿論、無闇に口外はしないさ……アタシゃ口の堅い方だからね。
けど。
必要だと判断したら、伝えるべき相手にはすぐに伝えるよ。
たとえそうする事でアンタが傷つく羽目になったとしても、だ。
もしそんな時が来たら、そん時ゃ存分にアタシを恨みな」
ジャケットの裾の乱れを軽く直し、肩越しにエレナと、そして入室してきたもう一人の生徒を一瞥する。
たとえ『今』に耐え難い傷を残そうと、『可能性』だけは絶対に守る。それが教官の務めだ。
あの人はそう言って、アタシを救い出してくれた。
込められた強い意志が瞳の中に一瞬だけ覗く。
スカーレットは何も言わずに視線を前へと戻し、青年と入れ違うように廊下へと姿を消したのだった。
49 :
弦楽の女学生:2007/09/26(水) 01:07:41 ID:???
>48
「はい。…大丈夫、私は諦めませんから。
その時まで、どうか宜しく御願いします。」
(深く頭を下げて、その背中への一礼とする。
教官の言った事は人間として至極最も、且つ彼女にとって最高の気遣いだ。
故に彼女に出来るのは、その恩に報いる事。
その方法は――――――)
>47
「御願いします。
…一応知らせてはいますよ、一応ね。」
(そして、頷く。
彼女の身内といえば、この宇宙には最早一人しか居ない―――)
>>48 彼女を見送るだけの青年
引っかかった言葉、
ここにくる前の話…
「…(今の俺には強さなんざ持ち合わせちゃいない…
―彼ら彼女らもまた、『可能性』を残すために…だったのか?)」
問うべき相手は既に遠く―
>>49 「分かりました。それなら問題ありませんね
…万が一緊急時など必要に迫られた場合、俺は言うかもしれません。そのときはご容赦を
妹さんについては誰だか分からないし、会って無いかも知れませんから今のところ特に問題ないでしょう
(姉妹で就学しているケースも存在するから特定するのは早計だしな)」
(★最後の方でおもいっきり問題発言。
実はこいつ妹に会っている。でもって『彼女』は姉がいると言っていたのだが…
面識ないかもしれないからというのはいかかがなものかと)
51 :
弦楽の女学生:2007/09/26(水) 01:49:50 ID:???
>50
「ははは…おかしいな。
面識、ありませんでしたっけ。
…まぁ、機会があればご紹介する事もあるでしょう。
それでは私はコレで、選択肢を頂いた以上――最善の選択をしなければ。
それが出来ない人間には、なりたくないですしね。」
(最後の言葉は自分に向けた物か。
彼に挨拶して教官から受け取ったスポーツドリンクを飲み干すと、一路建物の外へ。)
「(そう、私は与えられた物を無為に享受する時間は無い。
何故なら。)
…それ以上に、私には与えられた物が重過ぎるのだから。」
>>51 「ごもっとも―
俺のようなろくでなしになられても困りますなぁ」
(最後は冗談ではすまされないようなことを言ったが
その最善の選択ができなかった人間もまた多くいるのである)
………
翼無きあほーむしの明日はどうなるのやら
はたまた明日は無いのか
それはそれとしてどこかへ行く青年である、まる
古来より、武器の手入れという物には多大な労力を必要とする物だ。
例えばかつての地球、実包が実用化される以前の鉄砲は一発の発砲ごとに清掃を必要とした。
これは銃身内に火薬による煤がこびり付き発砲不能になる為で、
一般的な兵士であれば清掃と装填に、およそ30秒ほどかかってしまう。
その後兵器の機械化が進んでも、それは同様。
小まめな手入れを行わなければ機械という物は劣化する。
ましてや武器や兵器という類の道具は、ほぼ例外無く酷使されるモノ。
放っておくだけでも劣化してしまう、それ故有事に備えての保守整備は欠かせない。
そういう訳で、パイロットである彼もそうした作業を行わなければならない。
例えば整備兵の手伝いなどもその一環だがそれとは別に、整備の負担を軽減する事も必要だ。
…その日は養成所のあるクレイドルから西へ三日ほど移動した地点にあるクレイドルで、
一種の兵器見本市が開かれる事になっていた。
彼はそこで、自らの愛機が装備する特別な銃器の特別な弾丸を入手するつもりだった。
安く買い付ける事が出来れば予算は浮くし、調達する手間も省けるという物。
彼の様な特別優秀ではない――そして何より金が無い訓練生には、こうした手間も必要だ。
『待ってろよイェナ、もう直ぐ満足いくまで食わしてやるからな。
それに新しい姉妹も出来るかも知れない。』
そうして彼の駆る黒い猟兵は一路、西の空へ。
54 :
弦楽の女学生:2007/09/30(日) 11:57:42 ID:???
かぽーん
(火星のパイロット養成所には、風呂がある。
男女に分かれた大浴場で、生徒職員を問わずに多くの人間が利用している物だ。
高性能な循環システムを用いる事で、貴重な水資源の浪費を抑える工夫も凝らされている。)
「…ふぅ、やはり体を動かした後はこれが一番ですね。
最初は余り良い物とは思いませんでしたけど。」
(で、そんな浴場内の浴槽。
純白の長髪をタオルで纏めて、その白い肌を暖かな湯に浸している少女が一人。
大方何時もの様に運動をこなした後、こうして入浴に訪れているのだろう。)
ガラガラガラッ
浴場の入り口は、いまどき何故か手で開ける引き戸だ。
温度の低い空気が流れ込み、揺れる湯気の向こうに映る人影一つ。
レンタルのバスタオルを体に巻いた姿で、コルク張りの床にしなやかに引き締まった足が進められる。
浴用椅子に腰を下ろせば、適度な肉付きのヒップが重みに撓んで少しだけ形を変える。
巻いたタオルをはらりと解き、桶に汲んだお湯を静かに肩から掛け流す。
「ふう……んっ」
露わになった美麗な曲線の上を滑り落ちていく透明な雫と温もりの感触に、知らず熱の篭った吐息が漏れた。
56 :
弦楽の女学生:2007/09/30(日) 12:21:51 ID:???
>55
(見渡してみれば、二人の他には人は居ない。
ガラガラという引き戸の音に視線を誘われてみれば、知っている顔があった。)
「こんばんは、カナデさん。
こちらでお会いするのは初めてですね。」
(正確には、殆ど声を交わした事は無い。
だが流石に声をかけないというのも、彼女にしてみれば気まずい物があるのだろう。
基本的には社交的なのをよしとする気質を、キッチリ先祖から受け継いでいるらしい。
因みに浴槽の中のエレナは、勿論タオルは巻いていない。
胸元までを湯に浸し、洗い場に近い位置で座っているだけだ。)
>>56 「そうね」
実に簡潔な受け答えである。
手はお湯の満たされた桶に伸ばされ、先ほどとは逆の向きから2杯目を健康的な白さの肢体に浴びせかける。
シャンプーのボトルに手を伸ばそうと少し前かがみになれば、豊麗な膨らみが二つ、重力に抗えず下向きにフルフルと揺れた。
その先端の桜色からぽたり、ぽたりとと落ちる水滴。
少しだけ恥ずかしそうに、右腕がその様を覆い隠した。
重心の移動により臀部にかかっていた体重が少し前へとその力点を移し、引き締まった太ももを僅かに変形させる。
手の平に、濁り湯のような白さの液体を適量取り、カナデは早速濡らした髪にそれを馴染ませていく。
丁寧に、丁寧に、たっぷりと時間を掛けて。
その動きに合わせて揺れる上体、応じてその都度椅子の上の尻肉が形を変える。
ふにゅんという擬音が相応しそうな柔らかさを薄く纏った奥に、確かな筋肉の力強さすら覗かせる無駄の無い体つき。
容姿すらデザインの対象となるコーディネーター、斯くあるべしという美が其処にはあった。
58 :
弦楽の女学生:2007/09/30(日) 12:49:58 ID:???
>56
「と言っても、普段からお話しする機会は余り無いですけど…
何回か訓練で一緒になってるんですよ?参考にさせて貰っています。」
(簡潔な受け答えに特に気分を害した様子は無い。
照明の光を反射して鈍く煌く水面に、その艶やかな肌を浸しているだけだ。
やはり私などとは違うな、とそう思う。
生まれが如何こうという以前に――第一、自分の出自自体が面倒な物だ。
単純にその姿が)
「それにしても……綺麗、ですよね。」
(自分の容姿にも一定の自覚は、ある。しかしそれ自体は些細な事だ。
何か目の前の女性とは決定的に違う何かがあるなと、エレナにはそう思えた。
美しい物を妬む者は居ても、嫌いな者は多分、居ないだろう。)
>>58 「コーディネーターだから」
言って、チラリと横目で声のほうを見遣る。
視線の先で湯船に浸かる少女とて、カナデの目から見ても美醜の区分で言えば前者に分類できる。
それも、かなり高位の、だ。
元よりそういった方面での評価に大した興味を持っていない故に、今まで他人の容姿を気にしたことなど無かったが。
「男が抱きたがるカラダにでも作られたんでしょう」
客観的な事実のみ、余計な装飾の無い響き。
女性の美とは平たく言ってしまえば、ある意味で其処に収束されてしまうのもまた事実だ。
勿論カナデはそのカラダを誰かに抱かせるつもりなどない。
豊かな胸の膨らみも、疎ましく感じることのほうが多い。
特に、兄の傍に再び『彼女』が侍るようになってからは。
60 :
弦楽の女学生:2007/09/30(日) 13:18:42 ID:???
>59
「――そういう言い方は、良くないと思います。」
(帰って来たのは、凛とした声だ。)
「貴女のご両親の事は知りませんけど、それは冷た過ぎるんじゃ無いですか?
綺麗じゃ無い方が良かった、という意味ならまぁ、分かりますけど。」
(エレナにしてみれば、自分の子供に美しくあって欲しいと願うのは当然だと思う。
それが我侭且つ傲慢だと言う事もよく理解しているが、
かといって"そう"生まれて来た後で、それを肉欲や性情に関する欲望と結びつけるのはどうだろう、とも思う。
まぁ無論、エレナはカナデを"そう"生み出した人間の事を知らない。
故にその語調は凛としながらも、決して強い物では無かったが。)
>>60 「噛み付くほどの事?」
髪についた泡をシャワーで洗い流しながら、カナデは不敵に笑った。
空虚さと冷たさを孕んだ、夜空を思い起こさせる笑み。
「親の願いで子を歪める、それが遺伝子操作という技術でしょう」
丁寧に、丁寧に。
指で梳く様に、毛の一本一本までしっかりと湯で漱いでいく作業。
白い泡の下から濡れた金髪が姿を現し、浴場内の照明に照らされて淡い光を帯びたように見えた。
62 :
弦楽の女学生:2007/09/30(日) 13:42:35 ID:???
>60
「それはまぁ…私の生まれにも無関係って訳じゃありませんし。
私はクォーターですからね。」
(そう、彼女の普通では有り得ない容姿の所以だ。
人種や血統を無視しても、彼女ほどの純白の髪などは健康な人間には有り得ない。
瞳の蒼さはエレナが白変種やアルビノと呼ばれる生物である事を力強く否定しているし、
ましてや彼女はそれ以外の見た目に関しては普通に健常者だ。)
「確かに、歪められた方の気持ちは理解できているつもりですけど。それでも。
その願い自体、貴女にはそんなに忌まわしい事なんですか?」
(何故なら、公言できないながらも彼女自身、そうして歪められた結果でもある。)
>>62 「そうよ。
身勝手な願いほど鬱陶しいものは無いじゃない」
そんなものには付き合いきれない、と言わんばかりに目を伏せかぶりを振る。
ボディソープで泡立ったスポンジが肌の上を滑るたび、
血の通った白さの肉が柔らかく押し返す感触を手に伝えてくる。
少し強めに擦れば、疲労の溜まった筋肉に心地良かった。
「醜く生まれたかった、なんて言うつもりはないわ。
ただ、彼らの願いが鬱陶しいだけ」
64 :
弦楽の女学生:2007/09/30(日) 14:05:12 ID:???
>63
「身勝手、ですか。
……分かりません、鬱陶しいのはともかく。
身勝手と感じるのがどうしても今の私には分かりません。」
(そうして漸く、肩まで湯に浸かる。
それっきり押し黙ったかと思ってみれば、何やら必死に考えている様子。
怜悧そのものの美貌に苦慮の表情が浮かんでいるのは、湯煙越しでも容易に想像出来る。
――そう、確かに身勝手な願いは鬱陶しい、それはエレナとて経験はある。
しかし親や親類の願いを身勝手だと感じた事は一度も無い、
自分はとてつもない幸せ者か、或いは底抜けの愚か者なのだろうか?
それが、どうしても理解できない。)
>>64 「分からないならそれで良いわ。
貴女に教える理由は無いし、私の主観を押し付けるつもりもない」
シャワーのバルブを捻り、出てきた湯の温度を指先で確かめてから体中の泡を洗い流す。
右手にノズルを持ち、左手はシャワーヘッドから出る湯を馴染ませるように肌の上を撫でる。
湯の温度に目を細めながら、彼女は感情の篭らない声で続けた。
「おしゃべりが過ぎたぐらいね。
まともに話すのは初めての相手だというのに」
66 :
弦楽の女学生:2007/09/30(日) 14:18:07 ID:???
>65
「いえ…私も何だか押し付けがましくて。
いきなりですみませんでした、総合戦技のエレナ・イグレシアです。」
(思考は止めず、体は動く。
そろそろのぼせて来そうな頭が必死に思考を続けているが、
一方で答えが出そうに無いのも既に分かっている。
その為か、気を取り直してカナデの方へと向き直る事にした。)
>>66 「カナデ・ノースウィンド。
最近じゃ改めて名乗る必要も無いようだけれど」
妥当な悪評と身勝手な風評と、それらが蔓延しきった現状の全てを鼻で笑うような顔。
言いたい奴には言わせておけば良い。
虚構で遊ぶ輩を尻目に、自分は事実と実績を積み重ねて示すのみ。
噂で遊ぶ連中の余裕が羨ましいぐらいだ――そんな皮肉を纏った、いつもの表情がそこにあった。
68 :
弦楽の女学生:2007/09/30(日) 14:40:12 ID:???
>67
「……そうかも知れませんね、残念ですが。
とにかく、名乗った以上はこれからも宜しくです。」
(と、ここに来て漸く微笑んだ。
先程までの――何時もの彼女であれば考えられない顔つきとはうって変わって、
出自に関する様な暗い話は一時終了、とばかりの表情の変わり様だ。)
「…さて、確かに少々話し過ぎたかも知れません。
少し、のぼせてしまったみたいです。」
(そうして、頭のタオルを外しつつ浴槽から立ち上がる。
きめ細かい艶やかな肢体のラインは、平時の彼女からは想像出来ない美しさだ。
彼女自身が体型の隠れる服を愛用している事もあり、その細さはより強調されている。
雪の様な白い肌に、拘束を解かれてはらりと落ちてくる更に白い長髪。
彼女の身体的な疾患を知っているならともかく、やはり魅力的な容姿には違いなかった。)
>>68 「細いのね。折れてしまいそうなくらい……」
まるでガラス細工のようだ――そんな印象。
どうでも良いけれど、と目を逸らして彼女もまた立ち上がった。
そのまま湯船の方へ歩き出し、同時に陽光の色をした髪を手早く纏め上げる。
同性相手だからか最早隠すつもりなど一切無く、惜しげも無くその裸身を晒している。
気付くだろうか。
その上気した白い肌のところどころに、ほんの少しだけ色の違うところが見える事に。
僅かに青みを帯びた薄紅のソレは、消えかけた痣の痕だ。彼女が積み重ねた訓練の跡だ。
ちゃぷっ
つま先から湯に触れ、そっとその身を湯の中に沈めていく。
心地良さそうな吐息を唇から漏らし、話は終わりだとばかりにカナデは静かに目を閉じた――
70 :
弦楽の女学生:2007/09/30(日) 15:00:23 ID:???
>69
「――そう、かも知れませんね。」
(そう、事実としてエレナの身体は細く。
また同時に普通のそれとはやや異なる意味で、脆い。)
「それじゃ、私はこれで。
…後はごゆっくり、十分にお休み下さいな。」
(そう、言わずもがなな事をわざわざ告げて、脱衣所へと消えて行く。
何故なら、痣の痕が残っていると言う事はそれだけ身体がダメージを受けていると言う事。
それに気付きながら何も声をかけずにはいられない、エレナはそういう類の人間だった。)
「さーて、今日の整備はこれで終わり。
後は武装の整備で終わりですけど、火器の整備スペースはまだ空いてませんね。」
(ふぅ、と一息つきながら眼前の巨人を見上げる。
15メートルを優に超える鋼の巨人、その保守整備と修理、そして改造が彼女の仕事。
そしてこの格納庫が、彼女の戦場である。)
「そろそろ良い時間です、食事が届いてますからどうぞー!?」
(声をかけるのは、その巨人のパイロット。)
* + 巛 ヽ
〒 ! + 。 + 。 * 。
+ 。 | |
* + / / イヤッッホォォォオオォオウ!
∧_∧ / /
(´∀` / / + 。 + 。 * 。
,- f
/ ュヘ | * + 。 + 。 +
〈_} ) |
/ ! + 。 + + *
./ ,ヘ |
ガタン ||| j / | | |||
――――――――――――
テンションの高さに定評のあるキモい人が飛び出してくる。
そんなにおなかがすいていたのだろうか。
どうでもいいけどキモいです。
>72
(で、コクピットから飛び出してきたのはある意味巨人な彼。
第一身長にした所で、自分とは二倍近い差があった。)
「ハハハ…そんなにお腹が空いてたんですか、肝井さん?
それじゃあ早速食べるとしましょうか、今日は格納庫の空気も良いですし。」
(確かに。
珍しく格納庫内の空気が綺麗だ、恐らく空調機が頑張ってるとか、偶然が重なった故だろう。
で、何か物凄くデカイランチボックスを抱えてやって来る見た目幼女。
中身は殆ど肝井さんの弁当だ。)
>73
「無論食うさ、今の俺ならお腹空き過ぎてダンボールとかでさえ食べてしまいそうなほどだからな。
もう何でもいいからお口の中に入れてすぐゴックンしたいくらいだぜ!」
そう言うと肝井はコクピットから飛び立つ。
そして、空中でくるくると回転したかと思うと地面に着陸。
――なんたる無駄な身体能力!
「さぁ食おう、今食おう、すぐ食おう」
>74
「あぁ…地球では居ましたね、ダンボール食べてた人。
陸軍の知り合いなんですけど、砂糖漬けで食べるらしいです。
…わっ、凄い。」
(のん気にパチパチと拍手しつつ、ツッコまないのはどうなんだろう。
まぁとにかくバスケットを空けて大量の食事を用意、肝井さんに手渡すデスよ。)
「しかし沢山食べますねー、やっぱり身体が大きいからですか?」
>>72-73 「おやまぁ、愛妻弁当かい?」
そう言ってニターッと笑うのは、真っ赤な髪の元・不良生徒だ。
キャミソールにジーンズの上からフライトジャケットを羽織った姿は、
童顔気味の顔つきと相まって教官というよりは生徒のように見える。
ましてやその顔に悪戯っぽい笑みを浮かべているとなれば、生徒を教え導く立場には到底思えまい。
そんな彼女は、丁度今、格納庫に隣接されたシャワールームから出てきたところであった。
>75
「体が大きいからもそうだが、しばらくロクなもん食べてないからな。
路上の葉っぱとか、眉毛とかしか食ってなかったから」
言いながら、食料にパクつく。
その速度、正に風の如し!
「それにしても美味いな。
空腹ってのはやっぱ最高の調味料だ、うん」
そりゃ葉っぱや眉毛に比べれば何でも美味しいでしょうよ。
>76
「愛妻とかうら若き男子の憧れですよね〜」
言いながら、パクつく。
そして目の前の女性をしばらくじろじろと舐めるように見た後、
頬が朱に染まる。キモいです。
「お風呂上りの女の子とかうら若き男子の超憧れですよね〜。
いやもうホント、半裸でおk」
ですよね〜。
>76
「ははは、残念ながら私の手作りじゃ無いですよ、教官。」
(返す言葉は慣れた物。
職業柄こういった発言は多い。)
「教官も上がった所ですか、少しつまんで行きます?」
>77
「…あの、肝井さん。
一 体 何 が あ り まし た か 、貴 方 に 。」
「百歩譲って葉っぱはともかく、眉毛って尋常じゃ無いですよ!?」
>79
「これが聞くも涙、語るも涙の悲しき出来事でな……」
д←こんな口から語られるのは先日起こった出来事。
「この前歩いてたらさ、浮浪者らしき小さな兄弟がいたんだよ。
まだ4,5歳だったかな……俺もさ、その時はパチンコで勝った帰りだったし、
気分もよくなって景品の食べ物とかをあげたのさ……。
で、その兄弟も喜んでくれてな。
俺も気分をよくして家路についたんだよ……。
その時さ……」
「財布を失くした事に気づいたのは」
兄弟のくだり関係ねぇ!?
>>78 「ハハハッ、アンタが髭と皺の似合うトシなら考えたけどね」
この女、40代からが射程圏内である。
>>79 「良いネェ、そんじゃお言葉に甘えちまおうかね」
言うや否や、ひょいと手を伸ばして卵焼きを口の中に放り込む。
あまりお上品とは言えないが、彼女の容姿にはそういう食べ方も似合っているように見えた。
>81
「今からちょっとメイク技術とか学んでくる」
特殊メイク決め込んで老人に化ける気だこの人ー!!
「とまあ、冗談はさておいて、俺としてももっと若い子の方がいい。
そのボインは確かに魅力的だが、俺のストライクゾーンは小四の夏休みから中三のあの夏の日まで」
犯罪の上に高望みのしすぎである。
>81
「はいはい、沢山頂いてますから遠慮せずにどうぞ。
飲み物もね。
それじゃ私も、ひょいっと。」
(オイルで汚れた手を丹念に吹いて、こちらも玉子焼きを一つ。
ついでにウィンナーも一つ)
「ウン、美味しい。」
>80
「ちょ、貯蓄とか無いんですかーーーー!?
そんな苦学生って訳でも無いでしょう肝井さん!?」
(只今のクリスさんの表情、ガビーン。)
>83
「何をおっしゃる、俺といえば苦学生。苦学生といえば俺。
下に兄弟が山ほどいるから、親の仕送りとかも期待出来ないし、
むしろ俺がバイトして実家に送らなきゃなんねーから大変なのさー。
だから金なんて全くねーんだぜ」
実際、大家族の長兄である彼は月に一度実家に仕送りをしている。
爪に火を灯すというほどではないものの、あまりいい生活はしていないし貯蓄なんかはまるでない。
>>82 「……」
流石に反応に困ったようだ。
形の良い顎に指先で触れながら思案顔になる。
「犯罪、だよな。
とりあえずアタシの知ってる国じゃ何処でも……ま、趣味にとやかく言う気は無いさね」
ぽんぽんと肩を叩き(身長差が結構あるので、上を見上げるような形で肩に手を置くことになる)、
「逮捕されるような真似しない限りはね」
そのままギリギリとアイアンクローで肩を締め上げる。笑顔で。スチール缶を縦に潰せる握力で。
>>83 「気前が良いネェ♪」
アイアンクロー継続しながらもう片方の手で、今度はおにぎりを掴み、口に運ぶ。
>85
「あああ、痛い……でも、それがまた実に……!」
何故かハァハァと悩ましげな声を出しながら身をくねらせる。
今にも『踏んで下さい!閣下!』とか言い出しそうである。
なんという愚民。
「ああでも、流石に手は出さない!大丈夫!
ただ妄想の中とかカメラ越しに見える彼女達で一人自家発電に耽るだけだから!!」
それはそれで、問題あります。
>84
「う、うーん…そういう事なら仕方ないかも知れませんけど…。
けど、半月文の食費くらいは確保しておくべきだと思います!
貴方が倒れたらその仕送りすら出来なくなるんですから。」
>85
「あ、お茶いれますねー」
(と、ポットから取り出した熱いお茶を断熱性プラスチックのカップで渡しつつ)
「って教官、それ大丈夫なんですよね!?ね!?」
(教官の握力の強さは、知っている。
噂にも聞こえているし、整備班はパイロットの身体能力に合わせて
コクピット内の仕様を変更したりする事もある為だ。)
>87
「んー、まあ別に仕送りの催促とか無いし別にいいかなとも思っていたりな心境。
正直、家族も心配だけどそれより俺の健康状況が心配だし。
とりあえず個人的にはさっさと給料日にならんかなー、という事で。
……まだ当分眉毛と葉っぱとトイレットペーパーの生活が続きそうだ、うん。
街金には手出したくねーしなー」
色々とリアルだ。
>>86 ミシリ
骨が軋む音がした辺りで、漸く力を緩めて手を離した。
「ま、オカズにしてマスかく程度ならアタシも気にしやしないよ。
その辺まで立ち入る気は更々無いからね……但し」
指の形にキモイさんの肩が凹んでいるように見えるのは、多分目の錯覚だ。
「実際にやろうってんなら、今度は股座にぶら下がってるのを握り潰してやるトコさね」
何かを握り、そして潰すようなジェスチャー。
普段と変わらぬ表情です。
>>87 「あ、大丈夫さね。
真っ当な筋肉がありゃ耐えられるぐらいの力しか使って無いから」
ひらひらと、さっきまでアイアンクローかましてた方の手を振ってみせる。
>88
「そういう事なら尚更ですよ。
幾ら身体が強いといったって、食べる物を食べなきゃ衰える所が衰えます。
…あー…何でしたら都合、付けましょうか…?」
(先程からの発言から気付くかもしれないが、このクリスという女性。
実は趣味は貯蓄である。
そんな彼女にこんな申し出をさせる男、肝井さん。 貴方は凄い。)
>89
「あ、そういう事なら安心です。」
(さらり、先程までの慌てぶりはどうしたって位の平常っぷり。
まぁ多分、教官の事を心底信用しているが故だろう。)
「そういえば握力と言えば…
昨日班長と一緒にレバーの固さも再調整したんですけど、問題はありませんか?」
(もぐもぐとサンドイッチなど頬張りながら)
>89
「……ニヤリ」
何故笑う肝井さん。
「侮ってもらっては困る、この俺の大鑑巨砲主義(仮)を握りつぶす?
ふぅん、確かに平常時の湿ったフランスパン状態なら出来るかもしれない。
だが、リミッターを解除した暴走モード、安いステーキ肉状態を簡単に握りつぶせるものか!」
どうやら男児の威厳とか誇りとかがその発言に反応してしまったらしい。
しかし、本当に心の底からどうでもいい。
「まあ、される機会は無いと思うが、もしされるとしたならば望むところだ。
初めてで緊張して中では駄目なんで手でやってください的な意味で」
もう本当駄目だこいつ。
>90
「いや、ありがたい申し出だが情けは無用なり。
飯くらいなら、まぁ、そこら辺探せばなんとかなろうもんだし、
友達んちにでも行って強引に食わしてもらえばいい話だから、うん」
友人間での金の貸し借りはしたくない人。
何故かそこだけは頑な。
>>91 「……アンタ、犯罪以前の問題さね……」
ため息漏らし、かぶりを振る。
僅かに湿り気の残った髪が頬に掛かったのを指で払い除け、諦め切ったような顔で目線を逸らした。
>>90 「ああ、特に問題は無いね。
整備班はいっつも良い仕事してくれるから、感謝してるよ」
手近なパイプ椅子を展開し、どかっと腰を下ろして足を組む。
「それとは別件だけど、ちょいと左ヒザを痛がってるみたいだからさ。
後で診とくよう、班長に伝えといてくれないかね?」
稼動停止後のOSによる自己診断では、特に何の問題も無かった筈。
異常があれば数値面ですぐに反映されているのだ。
それが無いというのに、彼女はまるで機体自体に聞いたかのようにそう話した。
>91
「ん、そういう事ならこれ以上は言いませんけど。
じゃあせめてコレくらいはどうぞ。後でご賞味下さいな。」
(と、ボックスの中から仕出し弁当を一つ取り出して。
因みにこの一連の食事、出所はとある整備の教官の財布から。
臨時に収入があったらしく、普段の恩返しとして大量に用意された物だ。)
「(しかしこの会話の流れ、このセクハラな流れは……
…そうか、この感覚は…音速丸さんをまともに相手にした時に似ている!?)」
(しかしそれがわかっても、彼女にはどうする事も出来ない。
肝井さんにも申し訳ないが、クリスでは肝井さんを抱え込むことは物理的に無理だ)
>92
「そうですか?
分かりました、班長さんもじきに戻ってきますから伝えておきますよ。
マーヴェリック教官がそう言うって事は…
データに出ない所ですかね、金属疲労か…フレーム内の噛み合わせか…。
本当、養成所は機種が多いから機種ごとの破損の傾向を把握するのが大変ですよ、楽しいけど。」
>92
「いかん、悪乗りが過ぎた!」
>93
「おお、サンクス。
ありがたやありがたや、もうありがたすぎて神棚に飾っとくわ」
いや、食べようよ。
「さて、それじゃあ俺はそろそろバイト先へレッツらGOなんだぜ。
今日も眉毛と葉っぱを食べて頑張れ俺!」
それだけを言い残し、青年は去る。
混沌と混乱とあとなんか色々と負の状況を生み出しといて、全てホッポリ投げて。
去る。
>>93 「早期発見早期治療♪
今なら安上がりで済むと思うし、よろしく頼んだよっ」
などと言いつつ好物のおにぎりをもう一個確保。
かぶりつき、中身の梅干の酸っぱさに「くーっ」と満足そうに唸り、
ペットボトル入りの日本茶をぐいっとあおった。
>95
「りょーかい、任せておいて下さい。
班長以下、何時もどおり完璧な仕上がりにしてみせますとも!」
(そうして、こちらも本格的に食べ始めた。
基本的に体力勝負の整備員、運動で体力を作れない分は、
多少多めにでも食べてカバーしなければいけない。
…尤も彼女の場合、やる気が先行するケがある様だが。)
>94
「いや、喜んで貰えるのは嬉しいですけど食べて下さい。
食べ物は食べる物です、飾る物じゃ無くて。
って言ってるそばから眉毛と葉っぱーーーーーーー!?」
(割と翻弄されまくり、そんな今日のクリスさんであった。)
hosyu
養成所の敷地内も、夜になれば静かな物だ。
時折夜間訓練に向かう機体の出入りがある他は喧騒も無い。
帰宅を急ぐ人々が街路を埋め尽くす夕暮れ時を過ぎてみれば、人通りも殆ど無い。
で、時刻にして我々の尺度で大体午後の九時ぐらい。
養成所の格納庫を出た所、直ぐ近くに長大な滑走路があるそこで。
「……………。」
如何なる理由による物か。
パイロットスーツに身を包み、構内移動用のエレカの上で三点倒立している青年の姿がある。
格納庫から出れば直ぐに見れるその姿、傍から見たら唯の変な人だ。
>98
静謐な空気に満たされる中、
青年はただその姿勢を維持し、無音はどこまでも途切れる事無く……
「――それは効率的なトレーニングですか?
それとも教官に科せられた処罰の一環……
またはそういった類の趣味の実践中ですか?」
、とそこに微かな靴音が聞こえ、
終にはヘルメット越し耳元で、淡々とした幼い誰かの声が聞こえた。
(よっ、と。
という声と共に、青年が頭をエレカの天井に押し付けたままで回転する。
振り返って見れば、そこには訓練生らしい少女の姿が。)
「いや、な?星が下に見えるって気持ち良いだろ?
…ってのは冗談で。
いや、こらから夜間飛行の訓練なんだけど、その前にちょっと自主練をね。
平衡感覚の訓練さ、ヒマさえあればやる様にしてる。
所で、そういう君はどちら様かな…?」
(目の前の見知らぬ少女に、少々困惑している風ではある。)
>100 リヒャ
なるほど、と下あごに折り曲げた右手の人差し指をやりながら頷き、納得・了承のポーズ。
それから厳かに腰を傾けて、丁寧すぎるくらいのお辞儀をして礼を述べる見知らぬ少女。
「はて。私はまだ貴方からの自己紹介、
名乗り、それに伴う前口上をして頂いていませんが。」
あくまで淡々と、こういった場合に当てはまる礼儀を問うてくる。
エレカを見上げる少女の背丈は140センチほどの小柄。
エリボア付きのベストの内側にハイネックの黒いインナーが覗き、
動き易そうなハーフパンツの裾からはスパッツのような運動着も見える。
服装は私服のようだが、敷地内に居る以上は訓練生と思うのは妥当。
髪色は丁度、リヒャルトも親しい整備課の華、クリス女史のような美しい蒼銀の髪。
彼女よりも少し深みのあるそれを、肩口までで切り揃え、よく言えばきりっと、そのままで言えばむっつりした顔の造形に見事調和している。
しかし何より目立つのは無機質な瞳である。口調も終始淡々としていて、まるで感情を感じさせないのは何故か。
なんにせよ、やはりリヒャルトの脳内ライブラリには目の前の少女に該当するデータは無い。
「ですが。
それでも、こちらから名乗るべきであるのならそうしますが。」
そう言って、少女は僅かに首を横に傾けてくる。
表情は一切変化無いが、青年に対する特別な悪意も敵意も同じく無いようだ。
「む。」
(天地が逆さまになった視界の中で、確かにと納得してしまう自分が居る。
失礼だが、まるで機械の様だな――と思ってしまった為だろうか、
そのつっけんどんな物言いに言い様の無い説得力を覚えてしまった。)
「…あぁ、これは確かに失礼をしたなフロイライン。
俺はリヒャルト・ユルゲンス……パイロット養成所総合戦技科で、
戦闘偵察兵の訓練過程を履修している訓練生だ。
…これで充分かな?もっと気の利いた事を言えと言われても困るけど。」
(どうでも良いが、いい加減倒立止めないで大丈夫なのだろうか。)
>102 リヒャ
「いえ、結構です。存じていますから。」
真っ直ぐに倒立し続ける青年の瞳を見詰めながら、
少女はしれっと気になる事を言うのだが、
すぐにもう一度、今度はドレスの裾を持ち上げて優雅に会釈するように頭を下げて、
「本日より火星養成所の訓練生として登録されました、“楢葉 紅葉”と申します。
以後、“兄”ともども宜しくお願いします。」
少女はそう名乗ると、徐に人差し指を口許に当て、
右頬をくにーと伸ばすようにして笑みのようなものを作った。
>103
(ほっ、という軽い掛け声。
頭を屋根から離し、身体を支えるのは右腕一本。
そのまま体勢を入れ替えて頭とつま先を入れ替える、足が着くのは舗装された路面だ。
見事なバランス感覚、といって好いレベルだろう。)
「はい、宜しく。
…しかしアレかな、ナラノハって言うと…俺は君の兄さんを知っているっぽいな。
それも割と親密というか気安い付き合いの出来る程に。」
(その笑みにやや引き攣った微笑。
少女の姿は彼の記憶には無かったが、ナラノハという名前にはそれなりに思い当たるフシ。
そして何より、スルーしたとはいえ少女は自分の事を知っている様ではあったし…
というより、自分にはクレハ・ナラノハという知り合いが、思いっきり居る。)
>104 リヒャ
相変わらずのむっつり無表情で身体能力は評価するに価しますね、
と言って拍手をする蒼銀の髪の少女。
「ですから――クレハ・ナラノハは私、モミジ・ナラノハの血縁上の兄であり、戸籍も既に改z
(こほん)
つまり、端的に述べればそうなるわけですので、悪しからず。」
何が悪しからずなのかはわからないが、終始むっつりとしたままに、
衝撃の事実を淡々と伝えるモミジさんだ。
ていうか全ッ然似てねえ。
>105
(そりゃまぁ、一応は男ですから。
等と軽く返しつつ、礼を失するだけのヘルメットはさっさと外す。)
「なるほど、まさかとは思ったけど…やはり。
……アレだな、随分と…似ていない。」
(物凄いぶっちゃけちまったリヒャルトさんだ!)
>106 リヒャ
ふむ、それが男性の持つ矜持というものですね、とか一人頷き。
兄も日ごろからその矜持のために努力をするのだと言っていました。
と、添える。
「……兄妹であるにも関わらず似ていない?
よく言われます。因みに髪色は母譲りです。」
しれっと。
要因はそれだけでないハズなのに、有無を言わさぬ雰囲気で言い切るモミジさんだ。
>107
「OK、とりあえずそういう事にしておこう。
見た目以外にも色々とツッコミを入れたい所はあるんだがそれは我慢する、全力で。
…しかしアレだな、俺は君の兄さんからそんな話は聞いていないから驚いた。
そして、君はこんな時間にこんな場所で一体何を?
まさか俺を探していたって訳じゃあ無いだろう。」
(と、ここで漸く破顔。
さっきまでの引き攣った笑顔とは打って変わって軽ーいゆるーんな微笑み。
リヒャルトさんの優男分、酒飲んだ時の一歩手前くらいのテンションだ、何故か!)
>108 リヒャ
「賢明ですね、リヒャルト・ユルゲンス。」
と言った後で思い出したように“先輩”と付け加え、再び頬を指で伸ばして笑むモミジ。
「敷地内に点在する関連諸施設の所在確認、及び……いえ、単なる散策です。
本日付の登録で、三時間ほど前に到着したばかりですので。
私の代わりに事後手続きに追われている兄に丁度良いから見てきなよ、と言われました。
ついでに兄がお世話になっている方々に逢ったら挨拶をするように、と。
初日にして、初遭遇は貴方でしたね、ユルゲンス先輩。」
そういえば握手をしてませんね、とかどうでも良いことを気にしだすモミジ。
しかし、ふと気付けば先程の表情から一変しているリヒャルトに気が付き、怪訝を含んだイントネーションで問う。
「……何か?」
>109
「残念だ、君ならきっとノってくれると思っていたんだが……!
ふむ、そういう事なら納得だ。
しかしな、人気が少ないとはいえ時間も遅い……
特に君のような目立つ容姿だと危ないな、気をつけなさい。」
(何かよく分からんテンション、妙に元気。
多分頭に血が上って脳内がよく分からん事になってるに違いない、脳内麻薬とか。)
「ん、あぁ握手?
…スーツの上からで失礼?」
(と、すげぇ素直に右手を差し出す。
どうでも良いがテンションは高いのに物腰は紳士的って凄いと思う。)
>110 リヒャ
「???」
無表情ながら目を瞬かせて、困惑している風な様子を見せるモミジ。
とりあえず出された手を取って、握手を交わし。
「…脈拍は正常、
だとすれば倒立による頭部への血量過多を原因とする一時的な軽度意識障害…?」
手に触れた時から何か考えるように訥々と独り言を呟くモミジさんだ。
「……ええと、このパターンは……、、、、
……でしたら先輩が私を宿舎まで送り届けてくだされば問題無いと思われますが。
しかし、それではこれから飛行訓練を控える先輩の予定に差し支えてしましますね。」
と、当たり障りの無いコトを言って速やかに自分が踵を返せば、
これ以上おかしなコトにはならないだろうと考えたのか、立ち去ろうとする少女。
>111
「大丈夫だ、どうせ自主的な訓練だしな。
正直言うと余りコンディションも良くないからどうしようか迷っていた所だ。」
(言いながら、スーツの前を開けていって。)
「そういう訳だ、是非とも送って行こうじゃないか。
君の兄さんについても、思えば聞きたい事が沢山ある。
何より大事な友人の家族の危機を放置してはおけないな。」
(と、さぁ行こうじゃないかモミジさん。とでも言い出しそうな動作でニコリ。
危機とか言い切っちゃう辺り絶対コイツ酒入ってるだろう、
と中の人も思うんですが残念且つ不可思議な事に一滴たりとも入ってません、
眼差しや歯が光っている辺り、今のコイツはある意味で無敵に違いない、そんなテンション。)
>112 リヒャ
「……、
……わかりました、お願いします。」
気圧されてどもるでも、溜息を吐いて諦めるでもなく、
ただ少しの間を置いて、こくりと頷くモミジ。
その内心は窺い知れない。顔にも出ないし。
「しかし兄に聞きたい事、ですか。
あの兄に聞く事など果たしてあるものでしょうか。
失礼ですが、多少の如何わしさを感じます。」
リヒャルトの横をてくてく歩きながら、
割かしヒドイセリフをさも当然の事のように言う妹様だ。
>113
「OK、素直なのは大変素晴らしい事だ。」
(幾分かは落ち着いたテンション――それでも台詞は変だが。)
「いや何、実を言うと俺は彼の事を余り良くは知らない。
何時も軽く振舞っている所しか見えないけれどもね、人間は感情の生き物だから。
そういう人間が見せる意外な面から、何かを学び取れる事もあるだろう。
そういえば君、トシは幾つさ?」
(良かった、一時はどうなる事かと思ったがマトモに戻りつつある。
というか普段見せない面を今正に暴露していたのはコイツなのだが気にしてはいけないぞ☆)
>114 リヒャ
そうですか?特に断る理由も思い浮かばなかったので首を縦に振ったまでです。
とか言いつつ。
「意外な面……そうですね、時折私の情報提示など必要としない場合が、彼にもあります。
その点は評価すべきなのかもしれませんね。」
無感情な瞳を前方のアスファルトに投げながら、呟くように。
「――設定年齢12歳、獅子座のAB。美少女型です。
……気にしないで下さい。変わってる娘だとでも認識して頂いて構いません。
兄が兄ですからそのほうが都合がよいのです。」
言葉の端々に含まれる特殊なニュアンスが少女の会話の特徴であるらしいことがそろそろ解かる頃合いだ。
>115
「まぁ、ある意味では彼は非常に人間らしいって事だ。
俺も今まで色んな人間に会って来たけど、君とは又違う方向性で変わった人間さ。
12歳……随分離れてるんだな、珍しいって程じゃ無いけど。
まぁそういう事ならお言葉に甘えて、面白い娘だと認識させて貰おう。」
(くくく、と声に出してとても面白そうに笑う。
どちらかと言えば悪戯っぽい響きの笑い方だ。
彼の方でも少女の会話の特徴は理解したらしく、故にそういう表現に落ち着いたらしい。
さて、そういうしている内に格納庫の区画からは離れた。
少しづつ人の気配が感じられる区画へと踏み入りつつある。)
>116 リヒャ
「言わせて頂けば、
貴方も兄から聞かされた印象よりも多少の差異が見受けられるように想います。
端的に言えば、十分に変わっているという尺度に当てはまるものかと。」
ズビシ、という物言いは終始変わりなく。
ドックエリアを抜け、訓練棟エリアに入れば、
夜間部訓練生が受講しているのだろう、
そこから漏れた光が照明もまばらな裏通りを歩く二人の足許を明るく照らす。
「流石に一日でこれだけの広大な面積に収まった施設を回り切るのはこの身体では無理ですね。」
そう漏らし、どこか感慨深そうに自分の手を、身体をマジマジ見詰める少女の姿が、
リヒャルトにははたしてどう映っているのか。
「……」
『あの、お嬢様』
「……」
『お気持ちは分かりますが、せめて言葉だけでも』
「そう、分かるの?
なら黙って。いいえ、今夜は私の前から消えなさい」
『……っ』
「聞こえなかった?
侍女の分際で当主の長女に逆らう気かしら」
『……失礼致します』
そんなやりとりが、道の向こうから微かに風に乗って聞こえてきた。
>116
「まぁね、変わってるってのはよく言われる。
……お、やってるな。」
(ズビシ、な物言いをさらりと回避、修練棟から漏れる光を見てふと呟く。)
「養成所は広いからな、全部見るならそれこそ時間が必要だ。
…言ってくれれば次からは車(エレカ)を回すぞ?いや遠慮しても出すけど。
どうやら何か事情があるみたいだしな。」
(そこには、触れない。
何か明らかに事情があるらしい事は彼にも分かっているが、まだ何も言わない。)
>118
「ん、この声は―――」
(進行方向から、聞き覚えのある声だ。
そう、この物言いと声色は、自分にも向けられた事がある。)
>119 リヒャ
「ではお互い様ということで。」
指笑いで応えても相手は嬉しくないと思うのだがお構いなく、と頬笑む(誤字に非ず)
リヒャルトの申し出にそれは助かりますね。兄のエレバイクは乱暴ですので。
といってコクリと頷き。
>118 カナデ
「――ランキングの上位者、カナデ・ノースウィンドのものですね。」
リヒャルトについで、呟く。
>>119-120 彼らが察したとおりの人物が、やがて目の前へと歩いてきた。
最初は二人に気付かぬ様子で、しかし二人の目に瞳の青までが認識できる程の距離になると、
ようやく彼女も自分の前に立つ人影に意識を向けたようだった。
いつもの格好。
男装とも言っていい装いの中にあって尚、カナデは薔薇の美しさを孕む。
「リヒャルト・ユルゲンス、そちらの子は?」
冷たさを孕むほどに澄んだブルーの双眸が、青年の傍らに立つ少女へと向けられる。
本来なら通り過ぎるつもりだった彼女の足は、少女に視線を投げかけると同時にピタリと止まった。
>120
「了解だ、そういう事なら話が早くて良い。
…良く知ってるな?」
>121
「君も知っている、クレハ・ナラノハの妹さんだそうだ。
今日入学手続きを済ませたばかりらしい。」
(返す言葉ははっきりと、明瞭な声で簡潔に、分かり易く。)
「…どうかしたのかい?」
(無理も無い。
彼にしてみれば、目の前の人物が他人に自分から興味を示したのを見るのは初めてだ。)
>122 リヒャ
「ええ、まぁ。」
カナデの方を見詰めたままで頷く。
>121 カナデ
その視線に怯むでも、受け流すでも、ましてや拮抗するでもなく、
ただ無機質な、あくまで無感情なその瞳で受け止め、静かに口を開く。
「モミジ・ナラノハです。
今晩は、そして初めまして。
話は常々兄から。
宜しくお願いします、ノースウィンド先輩。」
歳不相応とも思える作法訓練の行き届いた優雅な、無駄の無い会釈を一つ。
>>122 「別に。貴方に語らねばならない理由じゃないわ」
にべもなく、リヒャルトの問いをいつものように切り捨てて。
「……花の咲き方がいつも同じだとは限らない、ということだと思う」
それでも、他者の気遣いに少しだけ心が動かされる日もある。
きっとそれは罪滅ぼし。
誰かを突き放してしまったことへの、ただの代償行為に過ぎないのだろう。
>>123 「しっかりしているのね」
この子も「妹」か。
少しだけ、本当に少しだけモミジを見つめる目を細めた。
クレハの事は多少知っている。
その彼とあまり似ていない、目の前の少女。
>124
「…あー…いや。
そういう事なら済まない、俺も余計な事を聞いた。」
(そう、誰にだって聞かれて嫌な事はある――他ならぬこの自分にも。
それに、この様な返し方をされるのならば、さしたる敵愾心も生まれない。
唯単に自分の無神経さを詫びる事だって、出来ると言う物だ。
故に、二人の様子をとりあえずは見守る事とする。)
>124 カナデ
「両親が厳格な方ですので。
叔母に育てられた兄はその点少し大らか過ぎるくらいに育ってしまったようですね。」
そう説明しながら、目の前の女性の表情の微細な変移を少しも見逃さない。
しかしその表情の意味が理解出来るかどうかは別問題。
「…。」
それっきり口を開けない。
話題を作るのが対人会話の基本。
先程の事を持ち出せば話は出来るだろうが、無用な詮索は控えるべきだと論理が言う。
彼女が常に冷静であり、時に苛烈な女性であると知っている以上、兄の話も意味はない。
よってこの場合、自分から掛けられる言葉と繋げるべき会話への選択肢は今の少女には無かった。
>>125 「構わないわ。それ以上踏み込まないのなら」
冷たい北風のように聞く者の体温を下げる声。
けれど今日に限っては、その冷たさは身を切るほどのものではなく――
>>126 「……お兄さんのこと、好き?」
そう言って、カナデは少女の前に屈み込む。
いつも見下ろすような視線が、この時だけは違って見えたのは、単純な視点の違いだからだろうか。
「クレハは愉快な人だと思うけれど、
家族から見たらどうなのかしら」
>127
『そこまで野暮じゃ無いっての。』
(と、思いこそすれ口には出さず、やれやれとかぶりを振るだけ。
言ってしまってはそれこそ野暮、愚の骨頂でしかない。
だから今日くらいは身を立てて、黙って一歩退く。)
>127 カナデ
「…、」
一瞬、自分が何を問われたのか解からなかった。
思考を巡らせている間に、カナデの顔は自分の目線の位置にあって、少し戸惑う。
しかしすぐにその意味を理解して、自分の根幹に関わるその問いに迷う事無く口を開く。
「…兄が嫌いな妹はいません。」
そうして少女は、違いますか?という風に首を傾けてみせた。
>>129 躊躇い無く言い切った少女の言葉に、カナデの瞳が僅かに揺れた。
「そうね……」
心の中をざっくりと切り込まれたような感覚。
吹き出す血の暖かさすら感じそうな程に、鮮烈だった。
「私も、兄さんのことが好きよ」
その傷を押さえ込もうとするように、右の手の平が胸元に添えられる。
篭る力に、服の上から柔らかく沈み込む手。
兄さん。
古傷がうずくような痛みに耐え、カナデは穏やかに微笑んで見せた。
「大好き」
>130 カナデ
「そうですか。
……。」
カナデの微笑に隠れた揺れる瞳を、
胸元に添えられた手を見て、モミジは再び口を噤む。
きっと。
たぶん。
確信はないが。
そんな気がするだけだったけど。
彼女と自分の言葉の意味はどこか同質で、しかし確かな差異があるような気がした。
>>131 返ってきた視線に、ふっと小さく息をつく。
そのまま徐に立ち上がると、胸元の手を一度ぐっと握ってから下ろした。
まるでその仕草が、感情のレバーを下げたかのように。
カナデの顔から微笑は消え、凍りついたように感情を窺わせない尊大さを纏った。
「それじゃ、行くわ。
クレハに宜しくね――」
吹き荒ぶ朔風の、乾き切った冷たさを後に残してカナデは去っていく。
モミジが見た彼女の表情が、まるで冬の海に浮かぶ季節外れの蜃気楼の如く。
揺らめいて消えた微笑の奥、秘めた想いを知る者はまだ、いない。
>132 カナデ
「…こちらこそ。
兄共々宜しくお願いします――」
ぺこりと頭を下げて、カナデの背中を見送る。
彼女の内に渦巻いた感情を理解出来るようになるのは、きっともっとずっと後だ。
>リヒャルト
「…それでは行きましょうか。」
と、傍に寄って、その手を引くように。
>133
「仰せのままに、とね。
後は責任を持って御送りしよう、フロイライン。」
(見れば、彼の口元には無煙煙草――化学反応を利用した副流煙の出ない煙草。
未だ半分ほど残るそれを折って消すと、素直にモミジに手を引かれていく。
尤も、二人から離れて視線を外していた彼の行動と同様、
そんな気遣いは些細な物なのかも知れないが――。)
135 :
戦う狼:2007/10/06(土) 22:06:03 ID:???
砂塵舞う赤い荒野を進む影がある。
長大な車列、武装と装甲を施されたそれはクロウラーでは無い。
車列の中央を固めるのは大型の装甲車――規模としては小型のビッグ・トレーだ。
その車体側面には『パイロット養成所』所属を示すマーキング、
CIP=敵味方識別パネルの符丁も同様、あらゆる情報がこの車列が養成所の物である事を物語っている。
しかし、此処火星に存在する養成所の物ではない。
その証拠に車列を護衛する機体群の殆ども、火星の養成所では見られない機種だ。
強いて"それらしい"機体を上げるとするならば先頭を行く巨大な鋼鉄のボディ、
MT-05 S=Sitte "モビルタンク ヒルドルヴ改"程度の物だろう。
しかしそれにした所で細かい回収が加えられている事が分かる、それも潤沢な予算でだ。
『輸送船に乗り込んで一週間、思ったより快適な旅だったわね。』
「まぁな、だがここまでは観光旅行の範疇だぜ。
先行したフィリップの野郎が準備してるっつても俺達は所詮客人、
用心して無いと、火星人に食われちまうぞ。」
『その時は古いウェスタンソングでも流しましょ、私達のディエルデにスピーカーは無いけど。』
「そいつは良い、とりあえずはご対面の時にハトが飛んで来ない事を祈ろうぜ?」
『そうね。……けど、その心配は無さそうよ。
見なさいな、どうやら飛んで来たのはハトじゃなくてワタリガラス、道案内の誘導機ね。』
そして、そのコクピット内で交わされるそんな会話。
地球のパイロット養成所から派遣された訓練生の第二陣に、
その後の追加要員を含めた計31人、彼・彼女らはその内の二人だ。
そうして前方から接近してくる黒いボディの飛行型MSは、一行の中核であるミニ・トレーに着艦する。
彼らが向かうべき場所から差し向けられた、出迎えと誘導、そして挨拶の為の機体だ。
そして火星の養成所までは、ここからおよそ三日間の工程である。
「しっかしまぁ、何度見ても凄いのを作ったモンだ。
地球人にゃあ真似出来んね、これは。」
(数日後。
養成所の正門をくぐって少し、正面エントランスの前。
敷地の芝生に立ち、クレイドルの作り物の空を眺めている男の姿がある。
年齢にして二十台の後半という所だろう、
火星養成所では見かけない顔、それもその筈。
彼の右腕には『地球からの来賓である』事を示す小さな腕章が付いていた。)
エントランスに通じるドアが、ごく僅かな駆動音と共に開く。
強化ガラスの扉の向こうから姿を現した人影は、まっすぐに青年のほうへと近づいてきた。
乱れの無いツービート。
ホログラムの青空に乾いた音を響かせるブーツの動きが、手前2メートルでピタリと止まる。
結った金色の髪がその拍子に小さく揺れた。
「お待ちしていました、ヘル・メッサーシュミット。
本日、貴方の案内役を勤めさせていただく、カナデ・ノースウィンドです」
まるで男装。
ブレザータイプの制服にスラックス、翼をあしらったカメオのループタイにワイシャツという出で立ちは、
しかしそれらを装う者の麗しき容姿を却って引き立たせている。
一部の隙も無い所作、青い瞳が青年をじっと見据えていた。
>137
「あぁ…宜しく、ノースウィンドさん。
悪いねわざわざ、こちらの都合に合わせて貰ってさ。」
(対照的に、無邪気な笑み。
一見すると印象は良く言えばワイルド、悪く言えば粗暴。
邪気の無い粗暴さではあるが、それは彼が優秀な戦車兵である故の事。)
「さて、今日は俺の相棒は搬入作業だしな。
まずはどこに案内してくれるのかな?」
(軽薄そうな笑み、事実この状況を楽しんでいるのか。)
新しく来るとかそんな話を聞いていたのだが
式典に関しては聞いてない
そこであちこち回る事にしたのだがすべて空振りに終わってしまった
そのうち遭遇するだろう…そう思っていた
>>136 知らない顔、どうやら地球からの来訪者の一人のようである
ただ青年は正規の案内役でないただの暇人さんである
正規の案内役の仕事を取る気にもならないので様子見
>>137 「…」
どうやら正規の案内役は彼女らしい
まあ彼女ならそつなくこなすでしょう。常考(ry
ここで問題点。青年は気付かれるぐらい近くを通り抜けてしまった事だ
>139
「よう旦那、アンタもここの訓練生だな。
俺はミハエル・メッサーシュミット、何処か見所あったら教えてくれヨ?」
(物凄い気さくに声をかけて来る。
割と親しみ易そうな感じではあるがその分、軽い。)
>>138 「貴方のご希望次第です、ヘル・メッサーシュミット。
ご覧になりたいところを教えていただければ、問題ない限りはお連れしましょう」
感情というものの感じられない瞳が男の笑みに向けられている。
さながら凍りついた薔薇の如く、美しくも冷たい眼差し。
>>139 「……」
無論、与えられた仕事の最中に他へと気を向けるような真似などしない。
視界の隅に映ったその姿を目線で追いかけることすらせず、カナデは与えられた職責を果たし続けていた。
>141
「そうだな…俺の希望か。
君の部屋とか。ってのは冗談だけど。
うん、こう言っちゃ悪いけどさ、火星の生活はどんな雰囲気か興味がある。
生活施設の方を案内してくれると嬉しいね。」^
「それに何だ、訓練施設なんかはまぁ予想付くし。
先に派遣された人間が良い仕事してくれちったし。」
(苦笑交じりのぼやきの様な物や、冗談めかした事を言ってみて、
目の前の人物が少し位は笑ってくれても良いんじゃねーかと。
そんな事を考えてみたミハエルさんだ。)
>>140 「はじめまして、遠いところからご苦労様です
俺の名はリュートと言います
(挨拶を始める青年。紹介は名前にとどめておく)
面白いところですか…?
ミフネ教官のラボとかあたりが個人的に面白いかな…と
それと此処の最大のポイントは教職員陣生徒陣共に個性が強いという話ですね」
ニヤリと笑ったのは多分気のせいだが、笑顔で応対する青年
>>141 この人の反応は想定内
仕事の強奪をしてもいいかもしれないとか思う青年だ
手袋を投げられるかどうかは別のお話。
>143
「おう、宜しくな。
…あぁ、個性がやたら強いってのは聞いてるぜ。
だがそれはウチ(地球)も同じ、俺の相棒も結構凄いぞ?」
(何か妙に意味ありげな微笑み。)
「ふむ、ミフネ教官って…"あの"?」
("あの"。
…どうやら地球の養成所でも噂になってる様ですよミフネ教官。
それも何だか尾ビレとか背ビレとか付いてそうな雰囲気で。)
>>142 「……食堂でも構わないかしら?」
少し考え込んだ後、彼女はそう問うた。
先ほどとはまるで違う口調だ。
形式ばったよそよそしさよりも、今は乾いた北風のような冷たさの方が主成分。
「分かりました、ご案内しましょう――こちらです」
その冷たさを優等生の仮面で薄く覆い、カナデはミハエルに先立って食堂に通じる道を歩き出した。
>>144 「…そちらもですか
そこまで言われると一度拝見したいものです。個人的に
…どうでしょう。話の主が同一人物であっても
"あの"ミフネ教官の話と俺の知っていることに差はあるかと」
そう答えた
>146
「ルフィーナ、ってんだけどな。
俺と同じで大仰な苗字の女だ、直ぐに分かると思うぜ。
凄いって意味も、多分すぐ分かると思う。
…いやー、けど養成所の教官ってそういうモノって話だしなー…
とにかく行けたら行ってみるぜ、サンキュ。」
>145
「あぁ悪い、気悪くしたなら謝るぜ、ノースウィンドさん。
そうだな、それで頼むよ。」
(苦笑しながらも素直に、その後ろについていく。
後ろ手にリュートに別れの挨拶を済ませて。)
>>147 「謝罪は不要です。
本来訓練に充てる筈だった時間を使うのだから、
せめてくだらない言葉は耳にいれないようにと思っていただけですから」
感情が込められていないが故の辛辣さを以って返答とする。
そのまま後続を一瞥もせず、しかしお互いの距離を一定以上に開かせない絶妙の歩幅で彼女は歩き続けた。
「しっかし…ウチのバカは何処に行ってるのかしら…!?
こちらに余裕なんて無いって言うのに…!」
(クレイドルの空は快晴その物だ。
青く澄み渡った空には、穏やかに高く流れる白い雲が映し出されている。
そんな陽気の下にはとても不釣合いな巨大な機動兵器。
全長30mにはなろうかというその戦闘車両の脇で、
何やら物凄く不機嫌そうな女性が見かけられたのは、
>>147-148の数時間後の事。
彼女の右腕にもまた、ミハエルと同じ腕章が付いていた。
彼女こそ彼の言う所の凄い相棒こと、リディア・シュトルモビクであった。)
「♪しゅーしゅーしゅー♪かーきんかきーん♪」
謎の歌を口ずさみつつ(このスレでは久々の)SD機体を駆り飛ぶ人一人
暇人此処にきわまれり、課題とか終わったから…の典型である
>>149 ようやくそんな異変に気付いたらしい
…よく見ると彼女の腕の腕章に気付いた青年。
「はじめまして、地球からの方ですね
失礼ですが…迷子?」
はじめましての次に迷子は無いだろう
>>149 「おや、見慣れない顔だと思ったら、お客さんかい。
眉間の皺で美人さんも台無しさね」
初対面である。
顎のラインで切り揃えたボブカットの色は赤、さながら鮮血を思わせる情熱の色。
人懐っこそうなブラウンの瞳、健康的な白い肌。
幼さの残る顔に微笑を乗せて、いつの間にか近づいてきた少女はそう話しかけてきた。
薄いサンドブラウンのキャミソールにタイトなジーンズ、ブルゾンを羽織ったラフな格好。
見たところは火星支部の訓練生のようだが……
>>150 「っと、アタシが声かけるまでも無かったかねぇ」
風圧で乱れる髪を手で軽く押さえながら、近づいてくる機影を眩しそうに見上げた。
「リュート、調子はどうだい?」
大きな声での問い。集音センサーが拾うには充分な音量だ。
リディアの主観からすれば、少女の容姿を鑑みて友人同士の会話に思えるかもしれない。
>150
「おわっ!?
…あーゴメンゴメン、一体何が来たのかと思っちゃって。
その通り、この子の砲手やってんの。
迷子って訳じゃ無いけど、待ちぼうけには違いないわね。」
(そう言って後ろでに装甲版を叩く。
叩かれた機体は空欄生徒の乗るSDF91の数倍はあるだろう巨大な戦車だ。)
「相方のミハエルっての待ってるんだけどね。
というのもこの子――ディエルデって名前なんだけど、格納庫に移動しないといけないから。
彼しか動かせないのよ、物が物だから、牽引なんかしたら敷地キズ付けちゃうし。
ねぇ貴方、もしかしたらと思うけど…私の相棒を見ていないかしら?」
(質問の形式を取ってはいるが。
直接問われたリュートには感じ取れるだろう、
その問いは問い掛けにして問い掛けにあらず、何処か確認めいた響き。
まるで初めから、そうと答えるのを確信して離れた様な問いである事が。)
>151
「あら…これはお見苦しいところをお見せしたかな。
御免ね、早くこの子を退かさないと見た目もアレだし迷惑でしょうに。
えぇと…失礼、貴方は?
どうやらパイロットか…搭乗員の方の方だとは思うんですが。
どうも何処かで見かけた覚えが……。」
(名前ならば知っていたかも知れない。
しかし彼女は火星支部の訓練生では無い、教職員の顔全てを覚えるのは無理だ。
ましてやマーヴェリック教官の纏う雰囲気は、確かにこの場合学生の様だ。)
>>151 「まずまず…といったところですね、教官
今は戦闘より街乗りとかに俺はよく使うんで消耗は少なめなんですけど
整備サボると飛ぶ危険物と化しますから」
でも彼の機体が“SDガンダム”であることを知る物は少ないし
見た目から分かるものは少ない、そのためのダンボール(風)装甲である
>>152 『…機種照合…データ不明機体 ヒルドルブタイプと推測されます』
COMのサポート機能が彼女らの機体について告げる、コクピットのCPU周りに何か欠品(オプションらしい)があるが
それでも高性能でMS険の基準はパスしている、
「そうだったのか…」
問われた事に何か引っかかるものがあるので・・・
「相方の名がミハエル…ん〜
もしかして貴女の名はリディアさんですか?」
切り込む青年だ
>>153 「おや?」とでも言いたげな表情が童顔に一瞬だけ浮かぶ。
すぐさま不敵な笑みがそれを塗り潰し、ネコ科を思わせるような双眸がスッと細められた。
「ま、名乗るほどの者じゃないよ。
アンタの言うとおり、ま、しがないMS乗りってトコさね」
悪戯好きそうな顔で傍らの機体を見上げる彼女。
無造作に組んだ腕が、身体的な発育の良さを偶発的に強調してみせていた。
>>154 モビルタンクを見上げていた彼女の顔が、途端に「あちゃー」といった具合に変化する。
組んでいた腕を解き、髪をかき上げてくしゃくしゃとやると、
「ここみたいに階層少なくて天井高いトコならまだ良いけど、そんでも別の階層に行くときゃ気ぃつけるんだよ」
当たり障りの無い忠告を送り、少しバツの悪そうな顔で改めてリディアの方へと向き直った。
>>153 「……いや、ちょいとびっくりさせてやろうかとね。
気ぃ悪くさせちまったんなら……済まないねぇ」
たはは、と笑いながら様子を窺っている。
確かにバツが悪そうではあるが、「悪びれた」というのはどうにも薄いようだ。
>154
「ん、やっぱり。
何となく予感がしたのよね、あのバカと会ってそうだなって。
そ、私の名前はリディア・シュトルモビク、
どうせミハエルは大仰な名前だとか、自分の事棚に上げて話題にしてたでしょ?」
(くくく、と声を抑える様に苦笑して。
見た目は結構清楚な感じで声色も優しいのだが、話してみると結構フランク。
後表情が物凄く変わるが
まだまだ、彼女の相方が言うほど『変』では無い。)
>155
「? あぁやっぱり…見覚えがあると思ったら教官さんでしたか。
…あぁそうだ!今思い出しました!
火星支部に機体の声を聞く教官が居るっ…有名なんですよ?
えぇと…私はリディア、こっちのヒルドルブはディエルデ、宜しく御願いしますね!」
(とても嬉しそうに一通りの挨拶を述べると、グローブを外して右手を差し出して来る。
因みにリディアが身に着けているのは戦車兵用のパイロットスーツの一種だ、
要所要所にアレンジが入っており、通常のMSパイロットのスーツとは趣が異なる。)
>>155 「気をつけます。物壊すの戦闘だけで十分やばいですから」
慣れているからこそ、の忠告と取ったようである
>>156 「そういえばそんな事言ってましたね」
思い出しつつケケケと苦笑する青年
「案内役の人…口説いて…いたのかな?
案内されてどっかへ行ったみたいですけど格納庫がどうとか食堂がどうとかって言っていたけど
アレからだいぶ時間経ってるからどこに居るかわからないですね」
と分かる分だけ言う青年
>>156 「アタシゃそこまで有名かね」
参ったねと照れ笑いしつつ、差し出された右手を見て
「ハハッ、よしとくれよ。
アタシゃしがない見習いの身だよ、そんな風に言われるとこそばゆいったらありゃしない」
戸惑いを隠しきれない様子で握手に応じた。
ほっそりとした美しい手、だが意識を集中すれば手の平一面に、
肉刺の潰れた痕が持つ独特の固さがごく僅かながら感じられるだろう。
「そんじゃ改めて。
養成所火星支部教導研修生、スカーレット・エスター・マーヴェリックさね。
遠路はるばる火星へようこそ……ま、地球に比べりゃ不便なトコだけど、楽しんでっておくれよ」
ブルゾンの襟元をそれぞれ掴んで軽く直し、背筋を伸ばしての挨拶。
それでも全体的な印象は変わらず、幾許かの初々しさと気さくさを纏ったままの笑顔もまた変わらない。
>>157 「分かってるみたいだね、そんなら問題なしだ」
技術面での評価相応の信頼故に、返ってきた答えに満足そうに頷いてみせる。
「案内役はカナデ・ノースウィンドだったっけねぇ。
まあ、あの子ならソツなくこなしてくれてるだろうさ」
彼女が周到に被った優等生の仮面、それが持つ力をスカーレットは充分に理解していた。
>>156 「そんじゃ、アタシゃ次の実技訓練の準備があるから、この辺でお暇させてもらうよ♪」
2本指だけのフランクな敬礼をピッと送り、凡そ教官らしくない赤い髪の少女は小走りに正面ゲートのほうへと向かっていったのだった。
>157
「口説いてた?
あぁ大丈夫、あのバカは何時でもあぁだから。
しかしそれは困ったなぁ…案愛されてるってのは聞いてたけど戻って来ない。
…何処で道草食ってんだろ。」
(ハァ、とため息一つ。
因みにその頃、彼女の相方は本当にどこぞやで道草食ってたりするんだから救いようが無い。)
>158
「はい、ありがとうございます。
ご期待に沿える様、しっかりとやらせて貰います、お疲れ様でした!」
(握手した右手をそのまま返礼の右手とする。
極めて上機嫌でその後姿を見送った。)
>>158 「お付き合い感謝します、教官。」
彼もまた見送る
>>159 「…打つ手は無いって訳でもありませんよ」
この青年にはなにやら考えがあるらしいが…かえって不気味に見えなくも無い
>160
「御願いします(プリーズ)。」
(即答。)
(ニヤリ)
「ディエルデはどう頑張っても牽引不可、
そしてドライバー不在…となれば詳細を端折ると方法は3つです
まず、一つ目、俺が頑張ってディエルデを動かす
但しこれトラブル発生率高めなど難があります
2つ目にF91…この機体で最終的にドライバーさんを運んでくるという方法
細かく分けると更にいくらかやり方がありますけど
3つ目に2つ目の派生系でドライバーさんを迷子宜しく呼び出すって方法です
素人にはお勧めできませんが」
方法を通達する青年。―現実的なものとそうでないものが混じっているが
>162
「んー……そうね、どれも魅力的ではあるけれど。
流石にそこまでお世話になるのはマズイかな、親切はありがたいけど。
それじゃこうしましょ、2番の修正案。
偶然ミハエルを見つけた時にでも、私が探していたって伝えてくれるかしら?
無理に探す必要も無いから貴方にも都合が良いだろうし。
…あぁそうだ、コレ私の携帯端末の番号ね。
ついさっき支給されたばかりだからアイツは持ってないのよね。」
(そうしてリュートの携帯へと番号を転送する。
少々無用心かも知れないが、それを気にした様子は無さそうだ。)
「ごめんなさいね、私はここを離れられないから…
もし見つけたら宜しくね。」
(そう言って、軽ーく微笑んだ。)
>>163 「ですよねー…」
苦笑しつつ答える青年
(★リュートはリディアの番号を登録した)
わかりました
もし見つけたら連絡します
俺はこれで失礼します」
そういってSD機体を駆り養成所に戻る青年
―その後どうなったかは別のお話
hosyu
保守
168 :
名無し生徒:2007/10/26(金) 22:04:52 ID:???
保守でありますわ♪
「…何かこう最近、ロクに遊んでない気がする。
具体的には案内ばっかしてる気がするのは何でだ。」
(そんな事を呟きながら、養成所の食堂で天ぷらソバ食ってる男が一人。
着ているのは養成所の制服では無く、一般的なスーツ。
最近彼がよく着ている物だが、別段彼の趣味という訳ではない。)
「……ていうかアレだ、ここの所講義出てないな。」
(要するに。
来賓の案内やらに奔走していた結果、こうした礼服しか着ていないのである。
勿論出席日数に響く様な事こそ無いが、彼にしてみれば苦痛だろう。
そういう理由で、今彼の表情は素晴らしい位に不景気である。)
>169 リヒャルト
「んー最近はもっぱら自主練ばっかッスか?リヒャ兄。
講義はともかくデートも男子にとっては必要不可欠、謂わば酸素みたいなもんですから定期的に取るように。」
「そーですよ、リヒャルトさん?デートはともかくとしまして講義には出ましょう。
・・・あの、もし私でよければ同じフライト座学の講義、今度一緒に受けませんか?
リヒャルトさんが居てくれたら良く解からない所で注釈などをして頂けそうなのですが・・・てへ」
気付けばその隣。
黒髪にカチューシャ、着崩した制服姿の東洋系の青年と、
茶髪の長髪を二房に纏める、青年とは対照的にきちんと指定の制服を着こなすマーシャンの少女の二人が、
それぞれの好物をトレーに乗せて、覇気の無いリヒャルトのなんともなしに呟いたセリフに対して総ツッコミしてきた。
中々に珍しい、組み合わせであった。
「…」
特にこれといった大きなことは無い
情熱を持って取り組むものも特になし
ただ今自粛という名のサボリ中
…
……
結論から言うと
たいした腕とかも持ち合わせていないし
あまりマークされたりすると困るからである
そんなわけであまり出張らないようにしつつこっそりと事を行うのが得策なのである
…そんな背景もあって寝てんだか起きているんだかな状態の青年
魂のありかはいずこ…な感じである
ゆえに彼(
>>169)にも気付いていないのである、まる
>170
「だな、訓練は殆ど公欠。
夜の自主練位しかやれないってのは辛い、正しく酸欠だよクレハ。
故に今の俺にはヘリオンが天使に見える訳だ、うん。
最近は肩の張る様な会話ばっかだったからなぁ……」
(深い、ため息。
もう見た目からして、この男の普段の外見からは想像できないぐだぐだ感である。)
「思ってたより、地球にも気の良い連中が多いのが救いだよ。」
>171
(で、そんな彼が何気なく視線を動かした先)
「ん」
(目が、合った。)
>171 空欄
「よう、新人。
久しぶりだな、ココの空気にはもう慣れたかよ?」
ふと、脱力し切っているリュートの背後で聞こえる、どこかで聴いたことのあるような幼い声音。
「・・・・。」
更にその隣から聞こえてくるのはふしゅるる、という空気の流動音と、何か威圧的な存在感。
「・・・・・・・・トシマ・・・知リ合イ・・・・カ?」
「うっせえトシマ言うなこのデカマスク。」
「・・・・イタイ・・・・。」
なにやら後方で叩くような効果音が聞こえてくる。
振り返るのも余計に面倒になるようなドツキ漫才が何者かの手によって始まっていた。
>>171 >>173 (で、そんなアイアンマスクの肩に乗って肩車状態にある一人の女性。
リュートにもお馴染み、整備科のクリスティである)
「ははは…お二人はいつも通りで。
それにしてもリュートさんはまたずいぶんとお疲れですね?」
>172 リヒャルト
「ふぇ!?
て、天使だなんてそんなっ・・・(かぁっ」
「口説き文句は相変わらずお上手なようで。
ところでヘリオンちゃん、おぼん落ちたよ?」
「!?
はぅー……私のC定食さんが…」
めくるめくアクションを移ろわせながら半泣きで掃除道具を取りに行くヘリオン。
目を細めて見送るクレハは、自分のトレーに乗っかったA定食のメインディッシュ、バラフ炒めを少しつまんでリヒャルトに向き直る。
「ん、良い塩加減。
そいや地球の皆さんが来たんでしたね、まだ顔見てないや。
可愛い娘、居ました?」
にぃーと笑いながらリヒャルトの向かい側の席に腰掛けるクレハ。
>175
「……しまった、悪い事しちまったな。」
(これは真摯に謝るのが誠意だよな、と思いつつ)
「いや、思わず口が滑ったんだよ、クレハ。
しかし地球から…ね、まぁそれなりには居たと思う、
例えばあの……超重戦車に乗った二人組みの片割れなんかは中々。
しかし可愛いと言えば、先日お前の妹さんに会ったよ。」
>>172 ………(五秒経過)
「……ども」
時差のある挨拶をする青年。それにしてもだれすぎである
(―戦う理由をなくしてからその前後にこっちに流れ付いたとはいえ遅効性の5月病か何かか)
>>173 「ええ、まあ慣れすぎてしまったかは
さておき大体こんな感じですよトシミア先輩」
湯飲みを傾けてから気付く
「…空っぽだった…」
(―病状は進行しているようである、最もいつ発症してもおかしくなかったのかもしれない)
見たことの無い人にやっと気付く
「…ところでどちら様?」
こんな感じである
>>174 「クリスさんこんにちわ
確かにMS実習終了直後に力尽きて
機体ごと格納庫に運び込まれたなんてことは前からあったんですけど
…やる事は無いってわけでもないのですが」
>>175 【審議中】
(('(゚∀゚∩「だれだっけ?」)
((´∀` )「記憶に無いがこの状態なので仕方ないな( ´∀`)」)
(=■○_ 「んじゃ聞いてみるってことで」)
「どちら様・・・でしょうか?
―美人さんなら見たことはあります」
とだけ言う青年
>176 リヒャルト
「二人組みッスかぁ…
ん、待てよ、前に格納庫で見知らぬ双子を見た覚えがあるな。
近くに戦車は無かったけど、代わりにこれまた見慣れないのっぺりしててでかいバレル持ちのMSが搬入されてたような。
まぁ、近々顔合わせるコトもあるかなぁ。
実は教官から手合わせしてみないかって誘われてもいますしね。こっちも忙しいのになぁ、まったく。
へ?」
とつらつらとよく動く口に箸でつまんだバラフを入れようとした瞬間、クレハの動きが少し止まる。
「ああ、そういえばそうらしいっすね、語って聞かされましたよ、リヒャ兄のこと。
イメージとちょっと違ってたけど概ね常識人で性格も問題なさそうで、あとは実力を直に拝見するだけだとか。
―――ちょっと…大分変わってるけど、補うように可愛いからその辺考慮して見逃してあげて下さいね?」
こいつは兄としてと。
などと言って野菜炒めを頬張る。
>177
「ははは…気にしないで下さい。
割とそういうのは日常茶飯事ですから、あちらの彼みたいに。」
(そう言って視線で示すのは、少し離れた場所にいるリヒャルトだ。
彼は彼のほうで、またやれやれとかぶりを振っている。)
「しかし随分とお疲れですね、物凄く遅めの五月病ですか?
それともマリッジブルーとか?」
(後者は絶対に有り得ないだろう、とかいうツッコミでも狙っているのだろうか)
>179
「へぇ…そっちの双子には俺は会ってないな。
多分他の連中の担当だろうな、例えばあのお嬢さんとか。」
(ソバをずいっ、と口に運びながら)
「しかしそれは随分と忌憚の無い評価で。
まぁ少し案内させて貰ったけど、あの娘も悪い娘じゃ無さそうだしな。
彼女とも約束したからな、余り気にしない事にするさ。
むしろ気になるのはお前との似て無さだけどな、これも気にしないって約束したし。」
(苦笑交じりに。)
>>180 「(おそらく)前者ですね、後者はまず無いでしょう」
―旗が(建てられ、or立ててない)故に
それは遠く
このままでは眠り出しそうなほど重症だがお茶飲んでがんばる(何をだ
>174 クリス女史
「・・・。」
ふしゅるる。不満か。
高圧的で根拠のない自信に溢れた視線をリュート青年に投げ続けるトシミアを見詰め、
何か言いたげに頭上のクリスの顔を窺う鉄面巨人。
>177 空欄
「俺よりダルそうな新人はじめて見た。
あのなぁ、もう少しくれえ新進気鋭なトコとか見せられないのかよてめぇは…」
溜息を吐く小悪魔のような女生徒の後ろで、
じっと彼を見詰め続ける大男へと不意に話題が移行する。
「ああ、コイツか?俺の舎弟その10だ。
オラ!デカマスク、自己紹介!」
「・・・・・・・・。」
低いうなり声。思考音。
「・・・・・・・俺゛、アイアンマスク・・・・舎弟、違ウ・・・・
トシマハ・・・友達・・・・ダ。」
数秒遅れて、その3メートルはあろうかというあまりにも巨大な男の、
格子の様な口部の奥底から、戦慄を伴って低い電子音声が発される。
「・・・・クリスモ、友達・・・・・・・・―――オ前、誰ダ?」
不意にぬぅ、と。
リュート青年の眼前まで迫る、アイアンマスクの巨大な顔。
双眸と思しき窪みの奥に、深紅のともし火が煌く。
傍から見たらその恐怖たるや威圧感だけで人を殺せるレベルだ。
「おいバカデカマスク。
あんまり積極的にコミュニケーションしようとするな。俺やクリスと違って常人にはキツいだろその・・・なぁ?」
>182
「むしろ後者になる位頑張ったら良いと思います。
そう、あちらの彼みたいに!
恋をするつもりなんてこれっぽっちも無い時に限って、恋はやって来るって言いますしね。」
(そう言いつつ視線で示すのは少(中略)リヒャルト。
見れば本人は偉く心外だという表情をしているが、
そんな表情はクリスにしてみれば痛くも痒くも無いらしい。)
「とまぁ冗談はさておいて。
…リュートさんってこう、好きな物とかって無いんですか?
こう…スポーツとか食べ物とか、気分が楽しくなる様な事。」
>183
(こう、ぎゅーっと。
割としっかり肩に乗っかっているクリスは、
これは仕方ないですよとアイアンマスクの頭を撫でた。)
「それにしてもトシミアさんは何時でも元気ですね。
リュートさんと話してるの見てるのは面白いかも。」
>>183 「…情熱不足とよく言われますがね、これが
まあ、俺のような奴も探せば居ないって話ではないでしょう?」
さらりと言う青年
「アイアンマスク…
(聞いた名を反芻する青年
おそらくコールネームか何かだろう…ということで気にしないで置く、
瑣末なことっぽそうなので、という感じの青年)
リュートと言います
所属は長いのでパイロットコース履修兼整備班…ということでお願いします。どもよろしく」
割と丁寧に応対する青年である
>181 リヒャルト
「このまま大した問題起こらなければ良いッスねぇ。」
などと日和ながらもそもそよお浸しをつまみながら、
また思い出したように箸の先端をリヒャルトにビシっと向けながら。
「つーか、だしょー?
あれで俺の妹ってんだから無理があるってーのに。」
とか眉間を顰めて野菜炒めをガツガツと。
「・・・まぁ、実際に若い頃のお袋に似てるらしいけどさ。
つまり親父因子を受け継ぎすぎた俺と、
お袋因子を受け継ぎすぎたマイシスターってワケっすね。
まぁ、うん、よくある話っすよ、気にしない気にしない。
可愛ければ万事OK……は良いんだけど妹にスケジュール管理される兄ってのはしょーじきどーおもいます?」
同じく苦笑混じりに。
「……むー、お二人とも楽しそうにズルいですよ?」
と、そこへ掃除し終え新たにリヒャルトと同じメニューをトレーに乗せて戻ってきたヘリオンが、
ツインテールをにゅにゅっと感情的に跳ねさせながらジト目で男二人を見下ろす。
ただいまです、おとなり失礼しますね。そう言ってリヒャルトの隣に腰掛けると、首を傾げながら何を話しているのか問うてくる。
>187
「全くだ、ただでさえ面倒な差があるんだから。
これ以上面倒になったら間に立ってる俺は潰れるぞ?
そりゃあもうアイランド・イフィッシュが落ちたオーストラリアみたいに。
んでまぁ何だ、そういう妹が居ても良いとは思う。
確かに兄としては情けないだろうけどさ、害は無いから良いんじゃ無いか?
もし何か問題があれば、その時こそ兄らしく―――――」
(と、そこで戻って来たヘリオンそ姿と声が知覚に入り)
「あー…さっきは悪かったなヘリオン、驚かせてしまった。
いや何、養成所に新しく入ったっていうクレハの妹さんの話をね。
少し前に偶然会う機会があったから、ヘリオンも直ぐに会うんじゃないのかな。」
(椅子を引いて腰掛けるのをさり気なく手伝いながら)
>>184 「そうですか
まあ実際無いわけでもないって話ですが
んーなんかこう気力が下がりすぎていると言うかんじですね
―これを渡された意味も結局わからなかったし」
以前渡されたデータカードをくるくる回していじくる
ラベルには『特別課題機体:C』と書かれている
>189
「?それは…シミュレータ用のデータカードですか。
どういった物かは知りませんけど…使ってみたんですか?
何かいかにも変わった機体のデータとか入ってそうですけど。」
>186 空欄
「整備班・・・シェル…ト、クリス、一緒カ・・・・」
それから数秒間を置いて。
「宜シク・・・頼ム・・・・」
掌の上でダンスでも踊れるんじゃないかと思うくらい巨大な手が握手を求めて青年に向けられる。
「…とりあえず親指握ってやるだけでコイツは満足すんぜ。」
投げやりに注釈するトシミアさんだ。
>184 クリス女史
「いやいや、お前とデカマスクの母子っぷりに比べれば全然つまんねーよ、ああ。
あんまり俺の舎弟を甘やかしてくれるなよ?調教が無意味になるしな。」
微笑ましすぎる光景に、
聖なるモノを翳された悪霊みたく複雑な顔をしてそっぽを向く。
「つーかコイツ見てたら更にマジだりぃなぁ、
アースノイドにタイムサービスのケンカでも売りに行くかァー」
「・・・トシマ、物騒・・・良クナイ。」
制するアイアンマスクの頭にうっせえ!
とジャンプしてヘッドバットを決めるが硬度の違いから弾かれ昏倒するトシミアさんだ。
間抜けだ。
>191
「ははは…よく言われます。
…そんなに親子っぽく見えます?まだ旦那さんもまだなんですけど…」
(気にする所が少々ズレてる気もするが。
というかそれ以外にも色々ずれてる気がする、子供に肩車される母親は余り居ない。)
「って、大丈夫ですかトシミアさん?脳震盪とか起こしてませんか?」
(起こしてたらただじゃ済みません)
>188 リヒャルト
お気になさらず、と微笑んで割り箸を裂いて。
「あ、モミジちゃんのお話でしたかぁ。
可愛いですよねー、私も妹が欲しいなーって思わず思っちゃいましたよ〜」
ソバをお行儀よく啜りながらにっこり笑う。
どうやら既にふれあい済みの様子。
「恋人より前に?」
などというクレハの意地悪い攻撃をはわわりながらもスルーして。
「実はクレハさんとお話するようになったキッカケが彼女でして。」
「そう。あんまりにも可愛いからってテイクアウトされそうになったマイシスターのヘルプに俺が駆けつけたのが出会いなんだけど。」
「てへ…」
「前から気にはなってたけどヘリオンちゃんがこんな性格だったとは、予めリヒャ兄から対処法を聞いておくべきだったなぁ。」
恥ずかしそうに顔を隠すツインテールと目を細めた微妙な顔でむー、と唸るクレハ。
交互に見遣ると面白い光景ではある。
>>190 「ええ、ある人から渡されたんです
変わった仕様の機体なんですけど操作系統がまったく違うからよく転倒したり起き上がらせなかったりしてましたが
特筆すべきは主武装ですね、わからない人にはお勧めできない…なものですけど
―実は俺の機体強化計画の武装強化案の一つに同系統武装があるんですけど
それにプラスされたものと言うと少し違う気もしますが」
何か出てきそうで出て来ないふいんきである
>>191 「こちらこそよろしく」
彼の指にあたる部分を握る青年
…とても握手とはいえない握手をする青年だ
>193
「お…何だ、もう会ってたのか。
確かに言われてみれば、二人が一緒に居るの見るのは珍しいもんな。」
「それにしても対処法とは人聞きが悪い。
しかしヘリオンは…うんそうだ、可愛い物が好きだったな。
前にヴェネツィア・クレイドル行った時も凄かったしなぁ……」
(そんな様子を交互に見やりながら、思わず笑いが零れた。
苦笑ではなく、楽しくてたまらないといった様子の笑い声だ)
>192 クリス
「・・・・。
・・・・オカーサン、・・・オカアサン。。。。・・・。」
風鳴り。呼吸音。
何か繰り返し呟きながらビュワンっと灯った瞳の丸い発光パターンが、「- -」と、丁度常人でいう細目を現すような特殊な形になる。
何を考えているのかはもちろん解からない。
>トシミア
「・・・・!?」
おろろん、自分は悪くないのに。
咄嗟に抱き起こすが、
頭の上に漫画的タンコブとバッテン湿布を付けて白目を向いているトシミアから当然レスポンスは返って来ない。
>194
「んー。
その機体を完全に使いこなせる様になった時、新しい扉が開かれる!
…とか、そういうのだったりして。
割と養成所の人の中でデータ作る人って、そういう仕掛け作る人が多いんですよ。
何でしたらお手伝いしますよ、特に機体の強化案なんかは力になれると思います。
あなたの今のザクにしたって、元々の強化プランを出したのは私ですしね。」
(要するに。
『私も手伝うからやる気出しましょう』発言。)
>196
「ってアイアンマスクさんまで!?」
(うわぁ!?といった感じで頭の上に驚きのエクスクラメーションマーク、クリス。
しかし割とトシミアさんがピンチなのに気付いてない、
マズイぞアイアンマスク!)
>195 リヒャルト
「なんスか兄さん、おノロケなら勘弁して下さいよ?」
そう笑って丁度食べ終えた食器を纏め、トレーを持って席を立つ。
「なんとなく想像は付きますけどね、可愛いものを見ると暴走しちゃう子。嫌いじゃないな。
…それじゃ、もうちょっとゆっくりしたいトコロっすけど妹様から呼び出しが。」
ポケットから携帯端末の子機を取り出し、
コール振動して、インフォメーションに「もみじ」と表示されているそれを二人に見せながら苦笑。
「またね、ヘリオンちゃん。モミジもあれでいてそんなに嫌がってないからさ。」
しゅっと別れ際の指ポーズをキメ、終始飄々とした態度のままクレハは去っていく。
>>197 「…(SDガンダムF91にしか乗れなかったときに教えてもらった二刀流と同じようなもなのか)」
(―青年が教えてもらった特殊な技、才能がないと使いこなせないとのことだが…)
「成る程…
俺の考えてた武装案の一つ…計画当初は色々足りないからデータのみのものだったんですけど…
技術的なことでお願いする事があるかもしれません
まあ、使いこなせるときが来るのに時間がかかるかもしれませんが」
でもその機体データを渡された時に課された機体数はちゃっかりこなしているのである
「大丈夫だ、そんな趣味は無い。
…ただ、想像すると割と幸せな気分になれるかも、ってな。
あぁ、妹さんに宜しく。
次はしがない偵察兵の実力をお見せしようってな。」
(ひらひらと手を振って、その背中を見送った。)
>197 クリス
「・・・・。」
風鳴り。呼吸音。
「・・・・・トシマ、寝タ・・・。
起キルマデ、肩、乗セテオク・・・」
とりあえず、とまだまだ余裕のある広い肩の上にダウンしたトシミアの身体をひょいっと無造作に乗せて、呟く。
自分は悪くないよ?と頭上のクリスに視線を移してみるがクリスおかあさんは状況に気付いていないらしい。
どうしよう、内心そう思ってるアイアンマスクだ。
「・・・・・。」
ふしゅるるる。打つ手無し。
仕方ないのでリュートとクリスの話が終わるまではじっとしてようと思い至る。
>199
「了解了解。
むしろその方が良いですよ、余り簡単に使いこなされても私はつまらないですし。
何より、初めからやりもしないのに比べれば天地ほどの差がありますしね。
だからリュートさん、そんな無駄にアレな五月病なんか、
さっさとふっ飛ばしちゃって下さいな。」
>201
「ん、大丈夫ですよアイアンマスクさん。
ちょっと打ち所が悪かったみたいですけど、見た感じ気絶してるだけです。
コブだけでアザもありませんし、大丈夫。」
(と、どうやら何時の間にか状況は認識してくれたらしい。
片方の肩に寄りながら、トシミアの介抱開始。
どうでも良いけど、肩から降りるってのはナシらしい。)
>>201 そんな彼の異変?に気付いた模様
「彼女がどういう人かは俺は知らん
だがもし“やられ慣れている”なら、そう簡単に死ぬ確率は低い
勿論非性的な意味でな」
とだけ
>>202 「…?うーん…
ああそうそう、もしかしたら意味不明なものが混ざるかもしれませんが
そのときでも宜しくお願いします」
どういうことかはわからないかもしれないことを言う青年だ
>200 リヒャルト
はーいと手を大きめに振ってクレハを見送った後で、
隣のリヒャルトの顔をウラめしそうに覗きこむ。
「はぅー…いきなりベネツィアでのコトを持ち出しちゃうなんてヒドいですよぉ、リヒャルトさん」
さっきまでわたわたと必死で弁解しようとしていた自分を思い出し、更に恥ずかしくなる。
幸いクレハは詮索しなかったが、話されていたら良い笑い者だ。
「あ、あの時はですね、
その、ハジメテの異性の方とのデ・・・いえ、お出掛けでしたので
自分でも覚えていないくらい頭の中が最初から最後まで真っ白だったんです、
だから、あのなんでもないぬいぐるみ一つをとってもあんなになっちゃっただけですよ?…なんですよ?」
あの日以来ずっと枕元に座っているあのぬいぐるみはなんでもないものだとでもいうのだろうか。
声を引きつらせてイイワケするヘリオンの頬は、
丁度口に入れようとしている(何故かソバ付け合せに乗せて貰った野菜サラダの)トマトのように真っ赤になっていた。
>202 クリス
「・・・・。」
コクリと頷くも、やはり心配そうに息を吐く。
どう考えても間抜けに気絶している横暴な小悪魔が悪いのだがいつも気を病むのはアイアンマスクさんだ。
>203 リュート
「・・・・・。」
低い唸り声。思考音。
顎に当たるジョイントに指を当てて思案するような仕草をして。
「・・・・・28・・・回目ダ・・・・・。」
通算なのか。トシミアがアイアンマスクにヘッドバッドして返り討ちになった回数を呟く。
学習能力というものが存在しないのだろうかと疑いたくなるような数字であった。
>204
「ははは…いや、ゴメンゴメン。
話の流れで思わずね、確かに俺がちと無神経過ぎたかな。
しかしそれ言ったら俺だってああいうのは初めてだったからなぁ、
地球では基本的にそういうのが全く無い環境で育ったし。」
(そこで一旦言葉を切って)
「まぁアレだよ…大切にしてくれてるなら嬉しい、うん。」
(何やら一人で納得顔。
ぶっちゃけ内心、心臓が水揚げされた深海魚並みに
バックンバックンだったりするリヒャルトなのだが……
その辺は出さない、だって彼にも見栄や体面がありますから、男の意地とか。)
>>205 「・・・ならば問題ないな
心配なら医務室へ連れて行けばいいだけのことだろ?
素人診断は危険と聞くしな」
…何を根拠に言った?そして口調変わりすぎだぞ。空欄生徒
>203
「はいな、了解です。
…って言うかリュートさん、誰に向かって話してますか?
火星支部に限らず、養成所の格納庫には意味不明な装備が沢山混じってるじゃ無いですか!」
(力説。
実際、使われてない格納庫とか見てみれば割と変な物も転がっているのだ。)
>205
(たはは…と、優しく微笑みながら頭を撫で撫で。
一体何処のドイツだ、この人をこんな見た目or年齢にしたのは。
そんな暴言が飛び出しても仕方ない位にハマっているのは、彼女の母性故だろうか。)
>206 リヒャルト
「以前にもそう言ってましたよね、ですけどエスコートは素人目に見ても全然完璧でしたよ?
ホントはハジメテなんてウソーなんて言われても私は怒らないですからね?」
もしくはそういった天性の才能かもしれませんね、
と、冗談めかして言って。
「も、もちろん、そ、相応には大事にさせてもらってます!
その、ハジメテのプレゼント・・・・でしたから。」
就寝前には必ずそのぬいぐるみにキスしてるとか言えるはずもない乙女、ヘリオン。
>209
「いやね、人をエスコートするのは慣れてるのさ?
元々家業は客商売だったし、軍隊でも……そういう仕事は多かったし。
ただ…あの場合はそういう経験も生きないね、
やっぱり意味合いが違うと、同じ様な事でも気持ちからして全然違う。」
(今にして思えば、水面下では物凄く必死に足掻いてたと思うよ、付け加えて。)
「あぁ、それは良かった。
俺としても始めてのプレゼントだしね、うん…嬉しい。」
(基本的に。
小さい頃から学校にも行かず、他人と親密にならずに過ごして来たこの男。
誰かに個人的に物を贈るという事自体、ぶっちゃけ始めてだったらしい。)
>207 リュート
「・・・・。」
風鳴り。呼吸音。
「・・・・・ヒビキ、
連レテクルノ・・・アンマリ意味無イ、・・・言ウゾ・・・・
トシマハ、頑丈・・・ラシイ・・・。」
ただ、と付け加え。
「・・・・俺゛ニ頭ブツケタラ・・・前後ノ記憶ガスッ飛ンデイル・・・ラシイ・・・。」
どうやら医務室行くのも毎回恒例で、ヒビキ先生にも呆れられているようだ。
そして、頭をぶつけたことによる極軽度の記憶障害が生じる為に、
当のトシミアの中では未だ一度もヘッドバットを仕掛けたことなどないというコトになっているらしい。
勿論そんな事実はアイアンマスクからトシミアに伝えられることもなく、
いつしか二人の間ではオヤクソクとも言えるようなおかしなパターンが出来上がってしまっていた。
つまり、
アイアンマスクが何か言う
↓
何が気に入らないのか突然キレたトシミアがヘッドバットをかます
↓
気絶
↓
直前直後の記憶がすっぽり抜けた状態で目を覚ます
↓
あれ?俺なにしてたんだ?
↓
オイ、トシマ大丈夫カ。
↓
トシマ言うな!(ヘッドバット)
↓
気絶→以下ループ
>208 クリス
「・・・・・。」
頭上に「〜♪」とか浮べるようなイメージで目を細め、なでなでされる鉄巨人。
一部のこの二人をよく知る訓練生達は、
「あの二人がセットでいないととても不安になります。アイアンマスクさんが一人で居ると母親とはぐれたんじゃないかって心配になるんです…」
と、口を揃えて言う。
>210 リヒャルト
「…そうですか。」
すっと息を吸い込み、胸に溢れた感慨深い思いを確かめるように目を瞑って。
「誰かのハジメテになれたりするのって……
なんだかとても幸せなコト・・・ですね。」
そう呟き、瞳を開けて、
日向に、控えめながらも目にする者の心を奪うように咲く花を思わせる、可憐な笑顔をリヒャルトに見せた。
>>212 「あ、あぁ……そうだな。
誰にとっても、ハジメテっていうのは大切な物だろうし。」
(言葉に、詰まった。
ヘリオンのその表情は彼にしてみれば不意打ちにも等しかったのだろう。
後一歩、心を奪われそうになる後一歩で何とか踏みとどまる物の、
彼の心はこの時、まるで一つの爆弾だ。)
「…まぁ、何かな。
出来る限り、そういう幸せは大事にしていきたい。俺もね。」
(必死に平静を保ちつつ、何とか声色を抑えて出したのはそんな言葉。
そう、彼にとってその不意打ちは、致命的なダメージを与えるのに十分過ぎた。)
>213 リヒャルト
心から賛同するように頷き。
「そう、ハジメテ……そしてこれからも同じくらい大事なんです!
ということで、またご一緒出来たらなって思ってます♪
それで、今度リヒャルトさんのお時間が空いたときにでもスケジュールの打ち合わせしましょう?
えへへ、実は私雑誌を読んでしまって、行ってみたい所も幾つかあるんですよ〜」
ダメでしょうか?と弾みっぱなしの口調のまま、二房のアイデンティティをぴょこぴょこと揺らせて問うてくる。
あれから既に二度、ピクニック気分のデートもどきを体験して、
これまでやりたいと思ってきながらも出来なかったコトを一つずつ叶える度にどんどん積極的になって来ているヘリオーネだった。
>214
「………うん、その通りだ。
始まりがあるなら、それから続く過程や未来も大事にしないとな。
OK、そういう事ならもう少し頑張ってみるよ、駄目だなんてとんでもない。
今の仕事が一段落着けば休みも貰えるだろうから、一緒に行こう。」
(彼女が積極的でも、とりあえずリヒャルトの様子はそう変わらない。
相対的に受動的になっているのは間違い無いが、それでも基本的には彼のままだ。
むしろ先ほどまでの彼の方が遥かに彼らしくない。
ある意味でヘリオンは、彼をかなり元気にさせたという事だろう。
実際今の彼の表情には、不景気な成分など皆無と言って良いのだから。)
>>208 「ああ、そういうことか」
(―前にいた養成所でのこと
とある格納庫に無断で侵入したのを整備班のサボり仲間に見つかって注意された事がある
「いくらF91に足りないパーツがあるからってこんなとこにまで来るなよ
ここにはよくわからないパーツとかあるんだしさ、やばいんだよ。
だからさ、戻ろうぜ。」
…
…
―そんなことを思い出す、記憶はあいまいだが)
「…(機会があったら行ってみるか)ここにもあったんですね」
そういう青年だ
>>211 「なら問題ないな」
この場合もはや匙を投げられていると言う形式かは知らないが
お約束という名のループは続くだろう
―誰かが事実を彼女に知らせない限り
>216
「ええ、先輩方が試作したよく分からないパーツとか、
スクラップに出来ない特殊過ぎて使えないパーツとか……
まるで中世期の紛争地帯、中古兵器の見本市みたいになってますよ。
まぁとにかく、そういう事ですからお任せくださいな。」
(えっへん。
小さい所か完全に洗濯板な小さな胸を張って。
しかしバランスが悪いのか片腕は
>>211アイアンマスクの頭に回したまま。
なんとも滑稽なクリスさんであったとさ。)
>216 空欄
「・・・・。」
風鳴り。呼吸音。
ゆっくりと頷いてみせる。
だがこの後やっぱり医務室には運んでいくアイアンマスクである。
>217 クリス女史
「・・・・・、」
ふしゅるる。おっとっと。
頭上の乗員のバランスを常に意識して、その体勢が崩れそうになるとみるや、
咄嗟に巨大な手を支えに回すという、大きなアイアンマスクの細やかな気配りがクリスの見ていないところで常時行われている。
因みに普通サイズのドアを潜る時は一時的に両手の上に座ってもらうのがデフォ。
「・・・・?
・・・・・。(えっへん)」
ふとクリスが取っているイバリポーズが気になったのか、真似てみるアイアンマスクさんだ。
無論そのせいで上体が著しい傾斜を描いてクリスさんが仰角、
慌てて丁度投げ出してるその両脚を指で軽く支持して元の体勢に戻るうっかり屋なアイアンマスクさんだ。
>215 リヒャルト
とうに食べ終えたリヒャルトに待って貰う形で自身もソバを完食し、手を合わせて丁寧にご馳走様の挨拶。
美味しかったですね、C定食さんは今度また改めて食べてみようと思います、などと笑顔で言いながら、
トレーを手に立ち上がってリヒャルトを見詰める。
「お仕事頑張って下さいね、でもそれも程ほどに。
いつも最初みたいな絶賛お疲れ中ですってお顔をされてしまったら、
私も気安く何処かに行きましょう、なんてとてもじゃないですけど言えません…。」
でもクレハさんのあの雰囲気のお陰でしょうか、
もういつものリヒャルトさんに戻ってるみたいです。
と言って笑い、
「私も、今日からまたアルバイトの日々!
言いだしっぺですから、程々を実践しつつ頑張ってきますよ〜
目標が出来るとやっぱり気力が充実してきますね。…えへへ、現金だなぁ私。」
軽く自分の頭を小突いて舌をちろりと出す仕草。古風だ。
>219
「いや何、俺だって結構現金な人間だから。
こうなったら頑張るさ、勿論其れが周りに分からない様にね。」
(さて、と付け加えて席を立ち)
「ん、俺もバイトは頑張らないとな。
先日新しいバイトが決まったからんだけど、中々良い稼ぎの仕事でね。
俺としても使う目的がハッキリした以上、やる気は上々って感じか。
…それじゃ、詳しい日時とかはまた後日、改めて連絡するよ。」
(その仕草と自分の言葉に苦笑を漏らし。
ややぎこちない感じを漂わせながら、食器を持って去っていく。
確かに少々現金な気もするが、彼の後姿はヘリオンから見ても……
十分に元気そうに見えるだろう、だって本当に元気になっているのだもの。)
一応保守でありますわ♪
>>217 「それではお願いします…まあ俺も整備班なんですけどね」
それでもテンションは低めの青年だ
>>218 「…遅くなったが以降宜しく頼む」
速さは足りない無いがそんなことを言う
「俺はもう時間が近いなのでここらでおいとまする」
そんな事を言ってどこかへ行ってしまう
何の時間なのだ青年よ
>222
「お、やる気出て来ましたね?
それじゃ、もう一歩テンション上げて下さいな。
きっとその方が良い結果も出ますし、きっと楽しいです。
そう、例えば私を口説いてみるとか!」
(ビシィィッ!って感じで人差し指突きつけながら、そのまま見送る。
困惑してるアイアンマスクさんの上で妙にテンションが高いクリスさんであったとさ。)
『ギャーーース。ギャーーース。』
(鳥の鳴き声が聞こえる。
空を見上げれば赤い空、光の加減で茶色がかって見える雲を突き抜けて、
真昼の日差しが降り注ぐ。
この周辺は気候が安定し易い地域なのだろう、砂嵐が巻き起こる様な様子も無い。
ここは火星のオリンポス山外周にある小規模のクレイドル。
そしてそこを"アルバイト"として訪れた養成所の生徒達の前に広がっているのは。)
『ギャース。ギャーーーース!』
(極めて緩やかに傾斜した山肌に営巣する、とっても元気な鳥さんたちの姿。
尤もその鳥は、金属質のボディを持った1m程の鳥なのだが…。)
「さて、働きましょう!」
(で、そんな鳥さんたちの集団を前にして妙に元気なエレナさん。
因みに服装は探検服みたいな全身ツナギに硬質ゴム製軍手、そして片手にバケツ。
ついでに腰には彼らのエサ代わりになる合成オイルのパックが下がっている。
――要するに、彼女たちの今回の仕事は荒事では無い。
この山に営巣している鳥形の原生機械生物――通称ヘリオスの巣の清掃。
周囲数十メートルに点在するヘリオスの巣を、掃除するのが仕事だ。)
「機体選択間違えたorz」
MSでの通勤、通学者によくある間違いのひとつとして
荒事でないのにMSでやってくる事である
でもってTPOをわきまえた機体でないのである。(予算の都合でと言う例もあるが)
SDF91ならまだ良かったのだが時既に遅し、ここらへんは地域の差かも知れない
でも超簡素だがお掃除のための道具はちゃんともってきているあたり
整備班所属であることのアドバンテージを生かしている…といってもいいかも知れない
>>227 「ハハハ…大丈夫ですかリュートさん。
ヘリオスが驚いちゃいますから、早く降りて来て下さーい?」
(苦笑交じりに、大きな声でGLの足元から呼びかけて来る。
見れば何人かの生徒が清掃作業を始めている中、
好奇心旺盛な何羽かのヘリオスが、Type GLの方へとよって来てしまっていた。)
>>228 「そうします…その前に」
仕方ないのでC.BOXアーマーをコンテナモードにする、
ヘリオスは変形音で驚いてしまったようで一目散にどこかへ飛んでってしまう
その間にザクTをその中に入れるようにして屈ませる
こうすることによってヘリオスには大きな箱があるようにしか見えなくなる
C.BOXアーマーはそれなりの重さがあるので大丈夫だとは思うがセキュリティモードを入れておく青年
そんなかんじで少し時間がかかって降りてきた青年だ
>229
「はい、オーケーです。
さて…それでは始めましょうか。
私達はこの一帯にあるヘリオスの巣から、古い巣の材料を取り除きます。
ホラ、見て下さい。」
(手近にあるヘリオスの巣を指差すエレナ。
見てみれば、そこには半径20cm程に敷き詰められた小さな金属片と、
その中央に据えられた一個の金属製のコアの様な物が見えた。)
「この金属片の一枚一枚は、ヘリオスの体表を覆っている鱗なんです。
小さな窪みを掘ってコレを敷き詰める事で、この"卵"に熱を与えている訳ですね。
そして、この巣は毎年作り直すので…鱗を随時取り除いてやらないと、
この周辺一帯がウロコで埋もれてしまうという訳なんです。
ヘリオスの群れは同じ場所でしか営巣しない習性があるそうですから。」
>>230 「つまりヘリオスの鱗が散らかってしまうから掃除する必要がある。ということですか
鱗で埋まるってことは金属の鱗は分解とかされないのですか?」
彼女に尋ねてみる青年だ
>231
「ええ、これが中々に頑丈で。
それにお気づきですか?ここ、殆ど風が無いんですよ。」
(言われてみれば、この一帯は風が弱い。
たまにそよ風が吹く程度で、強風など来る様子も無い。)
「余り風化を助ける様な物もありませんし、
金属が分解されても結構な量の廃物が残りますからね。
あぁそれと、絶縁手袋を使わずに鱗に触れると大変な事になります。
かなり高性能な太陽蓄電池なんですよ、この鱗。
触ったら痛いですよ、かなり。」
(そう言って、絶縁手袋をはめた手で鱗を何枚か摘み上げる。
美しいメタルブルーの輝き。
続いてエレナは、このクレイドルではこれを売却して収入を得ている事を教えてくれた。)
>>232 「・・・そうですか」
相槌を打ちつつ絶縁手袋をつける青年
原生生物が居るのにも理由はあるのである、まる
「…」
さっそく鱗を手にとって見る青年、
「…資源…か」
その鱗は確かにいい色をしていた…
>233
「今のこの期間、繁殖期はこうして地上で巣作りをするんですけど。」
(よいしょ、という掛け声とともに腰を落とす。
そうして余計なウロコを片手のバケツの中に放り込みながら。)
「普段は幼体も含めて、ヘリオスは雲の上をずっと飛び続けるんです。
地磁気の反発を利用して飛び続けて、太陽からの光で充電しながらね。
たまに密漁団が現れるそうで私達以外にも何人か、警備の仕事に参加してる人も居ますよ。
確かリュートさんは、こういう種類の仕事は始めてでしたね。
どうです?ご感想は。」
>>234 「電磁波すげえな」
(―おいおい、どんな意味で言っているんだ)
「密漁団か…居ても不思議でもないかもな
散乱した鱗をまとめたりそれ以外のゴミとかを掃除しつつ答える
「考えさせられる事はありますね
ま、俺自身生物の世話はあんまりしてこなかったからな…」
敵対と言う関係だけでもないと言う事も知る青年だ
>235
「旧世紀のSFの世界ですよね、正しく。」
(苦笑しながら。
実際彼女も最初に見た時は凄いと思ったのだろう、奇想天外という意味で。)
「私も、最初は原生生物って言ったら有害な物ばかりだと思ってました。
けど何年か前からここの仕事を始めて…同じ様な事を考えてます。
したたかですよねぇ…人間って。」
>>236 「思ったんだがここで働いてると電磁波による影響とかもすごくないか?」
ふとした疑問をぶつけてみる青年
「…逆のこともありうるが、まあそれはそれ、ですね
人間思ったより物事を正確に捉えられていないって話かもしれません」
>237
「ふふふ、お忘れですかリュートさん。
地磁気なんて…地球に居た時からずっと受けてるじゃないですか?」
(優しく微笑みながら、そう答える。
地球や火星の様な惑星は、極端に言えば巨大な磁石である。
我々の住んでいる地球の北端の磁性はS極であるし、南端はN極だ。
そして我々人間は生まれた時から死ぬ時まで、その巨大な磁界の中で生活している。)
「ですねぇ…自分もそうありたいって思う反面、周りもそうなって欲しいと思います。」
>>238 「ああそうだっけ?」
(精神)汚染が深刻なレベルだと子いったことも見落としがち…かはさておき
「…(それは戯言かもしれないな)」
だが青年はそれを否定する気も起きなかった
余談だがこの前見ていたドラマで(窓?)ガラスを壊して全員正座させたくなったことを思い出した青年である
この前はじまったらしいドラマらしいが何故ガラスを…なのは謎である
>>239 「まぁ…普段は意識しませんからね。
忘れてしまっても無理は無いですよ、リュ−トさん。
私は覚えてないとまずい、っていうのもありますし。
それにね、皆が皆物事をありのままに正確に捉えてくれれば…
これ以上、私の様な目に会う人は減りますから。」
(最後だけ、僅かに冷たい物言い。
直ぐに表情が整えられ、エレナは清掃作業を再開した。
因みに、このアルバイトは日当でかなりの額になる事は追記しておいて良いだろう。)
hosyu
青年は屋上に踏み込もうとしていた
なぜかは今の青年にとってはどうでも良かった
鍵は開いているらしいので開けて屋上に出てみる
…養成所の屋上に出た。少し寒いかもしれない
―12月になればしっと団も出てくるのが恒例だがどうなることやら…
―さておき屋上には様々な生き物がいるとかいないとか
いろんな事件が起こるとか起こらないかと言う風の噂だ
そいつは都市伝説の可能性もある・・・誰かがそっと教えてくれた
>>242 (彼が足を踏み入れた屋上。
一般的な学校の屋上と大差は無い。
階段のほうを振り返ればそこには給水塔の様な何かが立てられているし、
周囲を見渡せば、転落防止用のフェンスが立てられている。)
唯一つ変わった事といえば。
「―――――」
(彼のまん前。
一人の男が仰向けになって大の字で倒れている程度の事だろうか。)
>>243 「・・・・」
人が居た・・・と言う事はほとんど使われていないということでないのか?
青年のようにサボリを決め込むような者や電波を受信しに…というのなら居てもおかしくない
しかし・・・何故この人が?・・・はさておき
【審議中】
(('(゚∀゚∩ 「このひとしんでるのかな?」)
((´∀` ) 「この寒さじゃあ、仕方ないな( ´∀`)」)
(=■○_ 「まず起こす、話はそれからだ」)
「もしもし」
とりあえず呼びかけてみる青年
>>244 「―――ん。」
(目が、パチリと開いて)
「………うぉおおお!??!!?」
(物凄く驚く。
↓
仰向けの状態から逆立ち状態で立ち上がる。
↓
逆立ち状態から3メートル位後ずさる。
以上、4秒ジャスト。)
「お、脅かすなよ旦那ァー!?」
>>245 「おおっ!(少し安心)」
どうやら生きていた模様
「此処で何をしているんですか?
見たところだと・・・うたた寝ですか?それとも休憩ですか?はたまた死体ごっこですか?」
そんな事を聞いてみる青年
>246
「あー…いやその、何だ。
ここんところ訓練続きでな、ちょいと休憩しようと思ったらリディアが五月蝿くて。
それでまぁ人の居ない所を探していたら、こう…な?」
(…早い話が、サボり。
というかこの人も結構優等生な筈なんですが。)
「で…旦那はリュート、だったっけ?
そっちこそどうしたんだよ、こんな所で?」
「んー、(屋上のいきもの調査は流石にねーな)俺は特にやる事も無くさてどうしたものかと…
かといって何もしないのもどうかと思って」
(つまり何かに詰まったらしい、こんな状態がデフォと化しているが
動いてはいるのか…はさておき、えらいスロースターター且つ速さが足りないのである、まる)
「…(生半可なサボリはかえって危険だが・・・私だったら存在感を認識させずにサボるがね)」
>248
「…どうにもハッキリしないなぁ。
見た所俺より幾らか若そうだけど、そんなんじゃ老けるぜ?
ただでさえこんな辺境くんだりだ、
居るだけでオッサンになっちまいそうだってのによ。」
(苦笑交じりに。)
「しかしアレな、俺達はそちらとはそもそも予定が違うから良いとして。
火星の連中ってのは…皆こう、お前さんみたいなのばっかりなのかい?」
>>249 「アースノイドに喧嘩を売ろうとしてる人も居ますよ、ここには。
俺は流されて此処に来た人間なのですので。
火星には…というより探せばどこにでも居るんじゃありませんか?俺のようなのは」
敵も女も落とせない奴のさだめ…かもしれない
何かに気付いた青年
「そうだ、先輩は花に詳しいとお聞きしました」
そういって小さな薔薇を見せる青年
「これの使い道と保存方法がわからないのでご教示下さい」
(おにぎりは壺に入れておくと腐りにくい、とかならわからなくもないが、ものがものであるのだ)
そんなわけで聞いてみる青年だ
>>250 「だろうね、何処にもはねっ返りは居るし。
ただまぁ何だ、火星ってのはフロンティアだろ?
別に詮索するつもりは無いけど、やたらポジティブな奴かネガティブな奴か…
そういう連中が多い、っていうイメージがどうしてもある訳さ。」
(と、そこで彼が見せた花を見る。)
「…大体誰が言ったかは予想付くけどな、まぁ良いさ。貸してみ。」
「――へぇ…中々良い物だな。
産地は分からないけど――余計な粒子やゴミも付いてない、傷もだ。
これは装飾用に間違い無い、多分相当手の込んだ栽培をされてるな。
保存方法に関しては…プリザーブドフラワーとかな。
保存用の薬液に漬けて色合いを保存して、尚且つ強度を高める事が出来る。
保存液なら持ってるけど、何だったら俺の方で加工してやろうか?
これの元の持ち主自身、かなり気遣ってるみたいだから必要無いかも知れないけど。」
(受け取ったバラを丹念に観察して。
軽く見ただけだと本人は言うが。)
>>251 「でしょうね、ここにはいろんな事情があってここに来ているひともいますから
プリザーブドフラワー?何ですかそれは?
コーティングされてるって言う話は聞きましたけど…
先輩が言うことが確かならこれは丁寧に扱えば腐る事は無さそうですね」
どうやらよいものを手に入れたようである、
「…(加工すれば腐らない…ならば…アレに使えるかもしれない)
お願いがあります、実はこれ以外に加工して欲しい花があるんです
今すぐにとは言いませんし」
何か思いついたらしい青年、何に使うんだ
>252
「要するにね、薬液で固めるんだよ。
薬剤を浸透させて強度を増して、形と色を保たせる。
昔は大分違ったらしいけど、宇宙まで出れる人類の英知の結果だな。」
(何やら、得意げ。)
「ん…?あぁ、別に構わないぜ。
これは俺の趣味みたいなモンだからね、遠慮すんなよ?」
(そして口調とは裏腹に、気さくだ。)
>>253 「花を強くする真空パックみたいなものですか
成る程成る程…」
「実はいろんな色の花を加工して試したい事があるんです
俺の趣味ですが花を粗末にする事はしないつもりです」
何のことに使うかは不明である
>254
「あぁ…そうそう、分かりやすい例えはそれだな。
昔は化学変化させてたけど、今じゃ名前は同じでも大分変わった。」
「…ふぅん、何か意外だな。
まぁ良いぜ、人様の迷惑になったり日の目見れなくなる様な事じゃ無ければね。
じゃあアレだ、今晩にでも俺の部屋に持って来いよ。
多分リディアも歓迎してくれるだろうからさ。」
>>255 「お手数かけますが、お願いします。
そういえば…俺先輩のとこ行き方知らないんで教えてくれると助かるんですけど」
まずは花の調達からだが…
>>256 「あぁ、俺とリディアが住んでるのは来賓用寄宿棟A-4の三階だ。
部屋番号は××△□、場所は分かるだろう?
何だったらリディアに連絡すれば良いさ、その時は迎えに行ってやるよ。
そうだな…選定と作業に三日って所か、量にもよるけど其れ位待ってくれれば何とかなる。」
>>257 「・・・来賓用寄宿棟A-4の三階の××△□ですね、わかりました」
必要事項をまとめ、メモする
「お願いします
俺は花を見繕って調達しに行くんでこれで失礼します、それではまた」
そう言って青年は調達しに行ってしまった
それから一機のSD機体が養成所を出て行くのである…
>>258 「あぁ、待ってるぜ。
まぁ何だ、気をつけてな。」
(さしたる面識がある訳でも無ければ、何か強い理由があった訳でもない。
そう、そんな面倒な作業を引き受けるのは気紛れ以外の何物でも無い。
ただ強いて理由を挙げるならば、興味を惹かれたというより他には無いだろう。
何せ、花だ。
元よりこの星ではさして係わり合いになる事も無いだろうと思っていた、
まだ出会って数回しか会ったことの無い青年がそんな物の加工を頼んで来る。
何とも、変ではないか。
それが、面白い。
そして何より、それと同時にもう一つ理由を挙げるとするならば――。)
保守しとくぜ、一応な
所変わって街中のショッピングモール
「…さて花屋はあそこだったな」
機体から降りているので移動手段は歩きのみである
「…(さてこれからどうなるかだが…一応用心はしておくか)」
いったい何のだという突っ込みはさておき
早速コーティングしてもらうための花を買いに向かう青年
「…おや、そこに見えるは。」
『リュートさん、ですね。』
(と、そんな彼が歩き出して暫く。
丁度花屋の前という所で、背後から声がかかった。
彼もよく知っている声だ。)
>>262 「リヒャルト先輩にクリスさん…(…OK、対応可能な範囲内か)
こんにちわ、…もしかしてデートでしたか、失礼。
用件を済ましたらとっとと消えますのでお気になさらず」
先を読みすぎだ、しかもあさっての方向
なにをおっしゃい、リュート・アビューク。そう言われてもおかしくないことをのたまう
>263
『こんにちは、リュートさん。
ハハハ…それは素敵ですけど、残念ながら違いますねぇー』
「うん、違うね。
俺はバイトの帰りの買い物、クリスさんも。
さっき偶然そこで一緒になったから、ちょっとした雑談をね。
そこで、お前さんの姿を見た訳だ。」
(なるほど、言われて見ればその様だ。
リヒャルトは何時にも増して服装に気合が入っているが、
クリスの方はと言えば、夕飯の買出しでも相応しい非常にラフな装い。
しかし何故だろう、リヒャルトの左手には鮮やかな花束が握られている。)
『所でリュートさんも、今日はこちらでお買い物ですか?』
>>264 言っておくが彼はれっきとしたOTである
そんなわけでこんな勘違いもあるわけだが精神汚染がひどいとこんなものである(何
更に風の息づかいを感じるコトとは別のお話だ
「そういうことでしたか、失礼しました。」
非礼をわびる青年だ
「ええ、俺も物入り用でここに」
超簡素に答える青年だ
>265
「…いやまぁ何と言うか、そういうのは慣れてるから大丈夫。
致命的な噂さえ立たなければ全然平気だからさ。」
『ふむ、わざわざこちらに足を運んでいるという事は…
簡単なお買い物、って感じじゃ無さそうですね。
一体何をお求めに?』
>>266 「そうですか
ええ、花を買いに。火星ではそれほど…という話もありますが」
火星では地球ほど種類は無いという話である
―最も比べる対象がおかしいが
そんな事を誰かが教えてくれた
>267
『花……ですか?』
(また随分と珍しい物をお求めになるんですね、と続けるクリス。
そう、確かに火星では花は貴重な物だ。
需要が少ない為に高級品というレベルには達していないが、珍しい物に違いは無い。)
「確かに珍しいな、見た感じ俺みたいに仕事で使う…って訳でも無さそうだ。
しかしそうだな、ここのモールの中には良い店が一軒あるが……
なるほど、リュートのお目当てはそこか。」
(そう言って、先程の花束をちょっと掲げてみせる。
偶然ながら、彼もまたリュートの目指す店で其れを購入して来たらしい。)
>>268 「ええ、急なもので」
今回は多くを持って行く事は難しい、なぜなら歩きだからだ
ショッピングモールの構造上、駐機場から距離が離れているのである程度厳選し
『もちものがいっぱいでもてない!』基準ぎりぎり且つ
移動に支障が無い量しか持っていけないことを付け加えておく
「俺は趣味と実験を兼ねての為の(為の)ものですけどそれはさておいて
見た感じよさそうな感じのものですね。
お仕事で、ですか。」
詳しく聞かない方がよいかもしれない
「そうですね、そこです。俺が花屋を利用する事になるとは思わなかったのですがね」
>269
『随分と沢山買うのですね?
でしたら――そう、店員さんに相談するのも良いんじゃないかしら。』
(実際に世の中の花屋には、物凄く沢山買ったときの為に
わざわざ大型資材用のカート等貸してくれたりする店があったりする。)
「実験…? ん……あぁ。
いやさ、バイト先の付き合いで結構使うのさ。
……よくそういうのに借り出されてるしな、接待業って凄いぞ。
店が注文してるから、俺には良い物かどうかってのは良く分からないけど。」
>>270 「正確に言うと選定してもらうという事を見越していたので
量も必要だって話らしいですし
聞いてみる事にしています
接待業で、ですか(…いったいどこの業界の話だ。)
…おっと本来の目的を忘れそうになった
それでは俺はここらで」
そう言って花屋に向かう青年だ
>271
「何と言うのかな、他の店との関わりが強い仕事。
色々と事情があって言えないけど、まぁ察してくれると助かる。
あぁ、気をつけてな。
何かあったら連絡しろよ、後少しなら俺も居るから。」
『私もね。
それじゃ、リュートさん。』
(そう言って、その姿を見送る二人。
このまま暫く雑談を続け、数十分もすれば
気を利かせたリヒャルトがクリスをエレカで送って帰る――そんな所だろう。)
「いらっしゃいませ」
営業スマイルで出迎えてくれる店員
「すみません、すこしいいですか」
青年は店員に事情を話し何種類かの花を見繕ってもらう
店員はその用途に困惑したが、花に学のない青年にとっては仕方ない話である
いい物を選んでもらい、ちゃんと運んでも若干の余裕があるぐらいの量を購入
それからカートを貸してもらいSDF91に積み込み、それから返却
そして約束したところへ向かうのである…
hosyu
『補給完了、出れます!』
オペレータの声が、通信機越しに響く。
コクピットのモニタから見えているのはムサイ級の格納庫の中だ。
サブカメラで見渡してみれば、開け放たれた格納庫ハッチの向こうには宇宙――
絶え間無く煌いては消えていく星が見える、そこは即ち戦場だ。
真空の宇宙に音は聞こえずとも、砲火が確かにそこにある。
宇宙世紀0079 12月31日 ジオン公国軍宇宙要塞ア・バオア・クー。
その四つに分けられた防空区画の一つ『Eフィールド』――そこが、この戦いの舞台である。
「了解、発進する。」
愛機であるS4――この時代に存在しない機体は既に準備が出来ている。
現在このフィールドには数え切れないほどのジオン軍と連邦軍が殺到している、
前者は生き延びる為、そして後者はそれを狩り立てる為に。
ア・バオア・クーが陥落した事により、地球連邦とジオン公国の最終決戦は終結した。
戦いの構図は双方の総力戦から、一方の撤退戦と一方の追撃戦へと移行している。
――双方に戦闘中止命令が出ているにも関わらず、だ。
―――頭の中で状況再認の途中、カタパルトから放り出される感覚。
咄嗟に制動をかけて直進コースから外れる、その瞬間に天頂から降り注ぐビームの束。
それと同時に、母艦であった筈のムサイ級軽巡洋艦『ノルトハウゼン』が被弾。
ノルトハウゼンは船体中心部に被弾、宙域からの離脱に入った後に損傷臨界点を突破、轟沈した。
同時に上方から接近するのは連邦軍のジム改、対艦攻撃装備とその護衛機が七機。
これに対して周囲に展開していたザクU及びオッゴ部隊が迎撃に向かう、
俺からやや離れた宙域には巨大な赤いモビルアーマー、ビグ・ラングの姿も見えた。
――周囲の宙域よりも爆炎が派手だ、アレではさぞや良い囮になるのだろう。
一方で自分に与えられた役割は、アレを援護しつつ空域からの脱出を果たす事。
脱出する艦艇の最後の一隻まで見捨てる事無く生き残る、ここはそういうステージだ。
『Eフィールド、艦隊脱出まで凡そ4分!』
『601試験大隊は、友軍の回収を続行中!』
『残存艦艇は隊列を維持しつつ後退。
右翼に火力を集中しつつ撤退を支援しろ!』
全く持って忙しい。
スロットルを押し込み、バックパックのスラスターを吠えさせる。
ぐんと加速するのが分かる、FCSを自動照準にセットしつつ――攻撃を開始する。
目標はビグ・ラング周辺の友軍機へと襲い掛かる連邦軍の機体群。
狙撃用ペリスコープをシート脇から引き出す、照準補正に続いて引き金を引き続ける。
音の無い宇宙空間を重金属の弾丸が貫き、何機かのジム改を鉄クズへと変えて行く。
―――そう、これらは所詮作り物。
混線から二十年近い時代に生きている自分と愛機が、ここに居る道理など無い。
所詮これは仮想の世界、高性能なシミュレータに搭載されたコンピュータが再現する、
過去の戦場を模倣するだけの戦闘訓練プログラムだ。
自分――リヒャルト・ユルゲンスにとっては、最も嫌いな類の訓練では、あった。
保守
所変わって…
町を見れば光の装飾が町を彩る
此処に着てのクリスマスも近い
そろそろクリスマスが近づくので対策を打たねばならないのである
MSで通行する者以外でも警戒する必要な事はあるのだが…
まあ、MSで通行可能なクレイドルとかは警備とか警察機構が整っているのが通説だ
ただし暴走MS騒ぎとかなぞのかいでんぱ(みたいなもの←そしてなぜか変換できない)で
警備隊とか軍(のMS)が機能しなかったりすると言う例外もあるが
そんな事件みたいなのは多分起こらないししっと団との抗争にも巻き込まれないだろう
なぜなら自粛期だし血の気は皆無だし、そして何より依頼も受注していないし、あの時みたいにいかれた指名手配班もいない
カップル狙いのしっと団は今は警戒するまでもないだろう。正式にはマークされていないし
―そんなこんなで養成所にとんぼ返りしてくる青年。所定の場所に駐機し花をを持って
寄宿舎に向かう、裸で持って行けない量なので箱で持っていくことになるが
>>278 寄宿舎の管理人にIDを照会し、建物内に入る。
荷物を持って通路を進めば、物の数分で目的の部屋の前に着いた。
[Michael Messerschmitt]
[Lydia Shturmovik]
部屋の前のネームプレートには、そんな名前が刻まれている。
>>279 「ここは…」
しかし にはよむことができなかった!
…なんて遊びはさておき、ネームプレートを確認して
チャイムをならす青年だ
>>280 「はいよー。」
(ドアを開けつつ、チャイムに応える若い男の声。
開かれたドアから現れたのは、最近彼と良く合う一人の男だ。)
「よう、リュートの旦那。待ってたぜ。
寒い所荷物を抱えてご苦労だったな、早速中入れよ、リディアも待ってる。」
(指で示すのは、リビング――二人用の部屋だ、生徒一人の個室よりやや広いらしい。
リビングに据え付けのテーブルの方では、
彼の相棒であるリディア・シュトルモビクが食後の珈琲を楽しんでいた。)
「…で、それが保存が効くようにして欲しいっていう問題のブツだな?
少し調べさせて貰うから、少し珈琲でも飲んで寛いでてくれ。」
>>281 「ども、先輩。」
見れば段ボール箱を携えた青年が立っていた
「外はもうクリスマスにお誂えな感じになってますよ
リディア先輩も居るのですか。それではお邪魔します。」
【会議中】
「(…ここけっこうひろいね。)」
「(…ルームシェアって奴だろ。2人用の奴)」
「(…アレって確か結構揉め事が起こる話っていうwww)」
…こらこら、ここでも会議するな。NTが居るからって匿名でやってもバレバレだ
あくまでも思考がぶれているぐらいと見られるぐらいの噂ではあるがあまりやるのはよくない
「そうです、お願いします。
先輩、コーヒー、頂ますね」
費用とかかかるのも見越して必要と見られる分の金は持ってきている
花に関しても痛んでないものを選んでもらっている…問題は別なところにある…が、それは結果次第だ
「はいはい、いらっしゃいなリュート君。
ミルクは多めかしら?それともブラック?」
(椅子を引きながら、リュートを招き入れるリディア。
一方彼女の相棒であるミハエル・メッサーシュミットは、
リュートが持って来たダンボールを抱え上げると隣室―自分の部屋へと入って行った。)
「それにしても驚いたわ。
確かにアイツが花に詳しいって教えたのは私だけど、
まさかいきなり、部屋に上げるって話になるなんてねぇ…」
(何だか嬉しそうな様子ではある。)
>>283 「お邪魔してます、先輩
今回はブラックでお願いします」
余談ではあるがコーヒーの楽しみ方はいくらかあるが…今はネット検索すれば色々でてくる時代である
「そうですね、珍しい事なんですか?随分嬉しそうですけど」
論点がおかしいぞリュート=アビューク
>284
「それは勿論、だって私達はこちらに来て日が浅いし。
どうにも敬遠する人が居るみたいで、勿論君みたいに違う人も多いけどね。」
(手早く淹れた珈琲のカップを差し出しながら。
リビングの液晶モニタでは、ありふれたニュース番組が放映されていた。)
「それにね、ミハエルが何だか妙に張り切ってるから。
男で、それも戦車兵なのに花が好きなんて似合わないでしょう?
だからアイツ自身は余り主張しないのよね、
久しぶりに腕が振るえて喜んでるのよ、アイツ。そして私も。
それで、貴方は。
随分と沢山持って来てくれたみたいだけれど、一体あれだけのお花を何に使うのかしら?」
(と、ここで突然まなざしが変わる。
優しいながらもそう、何か――鋭く洞察されている様な眼差し。)
>>285 「敬遠ですか…ここの気風上、それも仕方ないでしょうね( ´∀`)
アースのイドにけしかけてくるなんて人も居ますし
…俺がですか?…俺も一人の…その他大勢と実質大差ないですよ」
―ただ道がおかしいだけでということも無かった
「そうでしょうね、趣味が趣味だと自分の趣味をいうことが無粋な事もありますから…」
ここで一旦区切る青年。彼女と彼の関係に思いをはせる暇は無かった
「そう来ましたか…そうですね、俺の趣味に関わることですよ」
ここでコーヒーを一口飲む青年だ
青年は知っていた――時に趣味の世界でも派閥抗争が起こる事を
>286
「まぁ、もっと深刻な事が世の中には沢山あるから我慢するしか無いわね。
"転校先で友達が出来ない"なんてのは良くある話よ。」
(珈琲を口に運びつつ、独白。
さしたる問題では無いと彼女は言う、実際に何か害を与えられている訳でもない。
もっと深刻な、害を伴う問題が世界には満ちていると言うように。)
「趣味、ね。
…ミハエルが聞いたら泣いて喜ぶかも、アイツ――実家は花屋なのよ?
本人は恥ずかしくて言えたモンじゃ無いって言ってるけどね。
しかしまぁ、言いたくない趣味なら構わないわ。聞いてもロクな事にならないだろうし。」
(と、そこで眼差しが元に戻る。
正式な書類にも記載されているが彼女はニュータイプ――本当に心を見通す眼差しの持ち主。
しかしリュートの思惑を掴み取る事は出来なかった様で、
そんな戯れには意味は無いと、漸く止めるに至った様だ。)
>>287 「でしょうね…いまだに因習が残っている地もありますし
俺も似たようなもの…かもしれません」
何の定めかはさておき
「そうだったんですか、失礼しました
ご理解いただけると助かります、実験にも使うつもりですが花を粗末に扱うつもりはありませんよ」
そう一言だけ言う青年である
―‐一方、会議室は大騒ぎだった(何のだ)
「(…アブねー助かったー)」
「(…お前『こーひーのんで おちついたら なおるよ!』とかいって変なタイミングで区切るなっていう)」
「(…ほわーんとしか言いようが無かったがNT相手じゃあ慌てるのも仕方ないな( ;´∀`)」
「(…彼女の器が大きかった事が命拾いしたのかもな、まだ第一段階だがな)」
「(…つぎのかべは、みはえるせんぱいのことだね、はなのこともあるけど)」
「(…とりあえずすこしお前は自重しろ、嘘は付いてはいないがあまり隠し事をしていると隠蔽体質と思われても仕方ない
最も…手遅れかも知れんが、区切るタイミングは悪くは無かった
…問題としては実家が花屋である彼の方だな。―当初の予定通りとも言えるが)」
でもSDガンダムとばれないようにアーマー被せているから隠蔽体質はバレバレである、お粗末
>288
「そうね、花を粗末に扱ったらミハエル、怒るわよ。
……決して言わないから、後で私が困るのよねぇ。」
(と、苦笑しながら。
――実の所、リディアの思考の読み方は一般のニュータイプとはやや異なる。
相手の思考に共感するのでも、それを理解するのでも無く、
ただ単にそれを"知る"事が出来るだけ。丁度本のページの様にだ。
対象の思考を記述として読み取る事は出来るが、直感的に感じ取る訳ではない。
簡単な思念――例えば殺気などは即座に理解できても、
細かい概念を理解するには、その記述を"読み取ってやる"必要がある。
故にリュートの様な思考をしている相手には、その能力を上手く発揮する事が難しくなる。
有体に言ってしまえば、彼女はニュータイプとしては微妙な力の持ち主なのだ。
と、その時)
『…旦那、終わったぜー。
ちょっとこっち来てくれー?』
(隣の部屋から、花屋の男が呼ぶ声がした。)
「…あら、調べるのは終わったみたいね。」
>>289 「でしょうね…ましてや実家が花屋ともなればなおさらの事ですね
(…さて、許されるかどうかは知らないし、彼にとっての粗末の定義が
わからんゆえになんともいえないがこれも蝶を追う者の定め、最も…虫に食わせるつもりなど、モトヨリナイガナ[゚д゚])」
ありていに言うと虫に触れさせてしまう事も示唆している。そして青年がハチに刺される危険性もある
愚かと言えばそれまであろうがてふてふを追うものは時に仕事をサボる事もあるのである。
そんなこんなで少し疲れた感じの青年である
「…おっと、今行きますよ、ミハエル先輩。
俺はお呼ばれがかかったので一旦失礼します。」
そう言って彼の部屋へ向かう青年だ
>>290 「さて、結論から言えば、だ。」
(部屋に入ると、椅子を勧められた。
リュートが腰掛けるのを見てから、ベッドサイドの作業机に腰掛けたミハエルは言う。)
「随分と良い物を選んで来たな、全て品質には問題無しだ。
香りも色も、殆ど劣化無しで明後日には仕上がるぜ。
何も無ければ今から作業を始めるが、どうするね?
何か注文があるなら言ってくれよ、一度始めると修正効かないからな。」
(作業用のエプロンを着けたまま、花屋の男はそう結ぶ。
どう見ても戦車兵の顔じゃないのは、ツッコムべきなのだろうか。)
>>291 「お店の方にも協力してもらったかいがありました。」
事情を話したことが功を奏したようである
知らないことに触れるとき等、時に恥をかくことも必要だな―‐と心から改めてそう思う青年である
代償をどれぐらい払うかはともかく
「コーティングすると劣化する…?
そうですね…アブラムシとか虫等に花をかじられたり、食われないようにしたいのですができますか?
できるのならお願いします。(戯言かも知れんが…な)」
そんなに見ているという訳でもないが彼がいつも見せる雰囲気とは違って見えた
彼はいい花屋の兄ちゃんという感じで青年がかすむ位である、―当然かもしれないが。
同時に皮肉だなとも青年は思う。時に戦いがあれば命を奪うことだってある。
もし軍人でなくてもMSに乗る者は人の命を奪うこともあるということも知っている
歴史の流れでロボットに武器を持たせるのは当然の流れだったのかもしれない
誰かが言った事…「あたりまえにロボットに花を持たせる」世界、それを理想とするのは戯言かもしれない
あるがままであるゆえに―と青年は思うのである
>292
「どうやら良い花屋に会ったみたいだな。
管理状態も良い。 ……思ったより良い腕してるじゃないか、ここの花屋は。」
(手近な茎を手繰り寄せ)
「虫に対する備えだな?分かった。やっておこう。
……何、どうせリディアに聞いただろうが俺はそっちのプロだ。
それじゃ、早速作業にかからせて貰う。
こちらの仕事は久しぶりだからな、仕上がったら連絡するよ。
今日はもう遅い、風邪とかこじらす前に早く帰ったほうが良いぜ。」
(当然、ミハエルには彼の考えている事は分からない。
隣室で食器を片付けているリディアならともかく、彼は普通のナチュラルだ。)
「あぁそれと、帰る前にコレ持っていけよ。
この前の薔薇、やっぱり相当に良い物だった。
トゲも無いし花弁のバランスも綺麗なモン…俺も見た事が無い最高の一級品だ、大事にしろよ。」
(先日の薔薇をふいと渡しながら、彼は椅子から立ち上がった。)
>>293 「そういう面で運がよかったのかもしれませんね」
微笑を含みつつそういう青年
「わかりました、それでは宜しくお願いします。
―この時期は風邪とかが流行りますから注意しないと」
(以前彼に見せた薔薇を受け取る青年)
「はい、勿論
―この地以外でもいい仕事をしている花処はあるということですね」
有効に使えるかどうかはさておき、それの価値以上に使うのが重要なのだが…それは別のお話
「それではまた」
そう言って彼に別れを告げる青年である、まる
養成所内で端末を使用している者がいる、しかしそれは割と日常的な光景だったりする
―‐ある程度の資金はある
SD機体用のショットランサーもひきょーなギミックのほかにパイルバンカーを組み入れられるか?
…バリエント武装もヘビーウエポンはビームガトリングを通常ガトリングにできそうである
ツインヴェズバーも再流通がかかるとはいえ特注品扱いになる見込みが高い…
…欠品パーツの詳細はいまだに不明、メインシステムに関わると踏むべきかは
未だ不明だ(手持ちの関連データにブロックがかかっている)…が、無くても動く。何でだ。
一回格納庫にも行ってさがしてみたがいかんせんどんなものかもわからないので
パーツ管理データベースにアクセスするのも手かもしれない、
彼女が言うにはきちんと管理されているかはどうかという状態だし、一回行った見た目上もそうだった
さておきプランについては提出してしまおうか
端末を操作し続ける青年である
―‐ここに来てから特に変わったことは無きに等しい
もし何か事件があったとしても警察機構がしっかりしているのかはたまたここの風土か
騒ぎになるような事って…実はそんなにないようだ
12月あたりになると嫉妬団が動き出すのは恒例だが
アレは悲しみしか生まないし、勧誘を蹴った理由もそこにある、―‐嘗て居た地での話だが
かといってどうしようもないのである、最近ではマズイ機体を持ち出してる奴もいるとか。
エンブレムがあるらしいのでその点も考えて探してみるといいかもしれない
珍走団に関しては今のとこ情報不足…夜は出歩くなということぐらいか
―‐まあいい、事を起こす必要性が無いのなら他の事をすればいい話だ。力を蓄えるのもいいだろう
今はひとりなのだから
保守ですよ、ね?
hosyu
「っていうか割に合わねぇ―――ッ!?」
(そして
>>299の数日後の格納庫。
何やら憤慨してるんだか嘆いてるんだか良く分からない青年の姿。
最近は特に熱心にアルバイトをこなしていた矢先の中破に苛立っているのだろうか。
いや、違う。)
「報酬が現物支給ってどういう事だよ……!?」
(修理工房へと搬送されていく彼の機体。
それを運ぶトレーラーベッドの脇には彼が今回貰い受けた報酬、
即ち"ジムスナイパーUの『頭』"が載せられていた。
大破状態で。)
>>300 「んじゃ、受取書にサインを…」
そんな青年の様子など意に介さずにサインを求める整備班員。
>>301 「チッ、輸送費ケチって持って来させたクセに…
こういう所はしっかりしてるか、あのタヌキ親父め…。」
(まぁ、手順である。
目の前の整備班員にぼやいても仕方ないので素直にサインするリヒャルトさんだ。)
「"Richard Jurgens"……ん、これで良いよな?
…そういやリュートの奴は…」
>>302 「はい、確かに
俺は知りませんがその人がいそうなところに行けば会えるのでは?
では、そういうことで」
そう言って彼はどこかへ行ってしまった
>>303 「………。
泣きそうだ、俺。」
(はぁ、と大きく溜め息。
自分はこんなにネガティヴな性根だっただろうか、前向きにネガティヴ。)
「…飯でも食うか、覆水盆に帰らず、ってな。」
(そう言って食堂へ。
毀れ出た砂は戻らず、財布から出て行った金が戻る事も無い。
――こういう時、頼れる人間がマジに欲しいと願うリヒャルトさんだ。)
所変わって食堂
時間帯的にはそろそろ人が少なくなる頃である
「やっと落ち着いたか…」
座る席を確保しこれから注文をすることになる…
(誰か来てもなんら不自然ではない、というのが普通だ)
>>305 (そして彼が注文を終え、食事を取って席に座る頃。
それよりやや遅れてやって来るのがリヒャルトさんだ。)
「…で、お前は結局何貰ったのさね?
マゼラトップ砲貰ってたのは知ってるけど、さ。」
(食堂で最も安いメニューの一つ、素うどんを持って現れて。
何だか何時もより物凄く不景気そうな顔、平たく言えばブラックな雰囲気だ、目つき悪い。)
>>306 「…(すんごく不味いな)」
【審議中】
(これ流石に不味くね?)
(言わずともだがこの前のミスが尾を引いているんじゃ仕方ないな( ´∀`))
…
「この前先走ってフライングした件については
先輩に大変ご迷惑をおかけした事を深くお詫び申し上げます」
これじゃ不祥事を起こした役員だろう
>307
「今日は無事に帰って来れたが……下手したら二人とも死んでたぞ。
それならまだ良い、足りないとはいえ自分の命で責任取ってるからな。
けど、もし俺だけ死んでたらお前、どうしたよ。
……まぁ、幸い俺もお前も生きてるし、分かってるなら良いけどな。」
(ずずー、っとうどんを口に運びつつ)
「全く、お前のせいって訳じゃ無いけど今回は大赤字だ。
俺たちの評判は上がったらしいが、俺の財力は大幅低下だこの野郎。
おかげで今度のデート資金が大幅減少だぞ…?」
(ヤバイ。
愚痴り始めたぞ、リュート君!)
>>308 「…(これは厄介な)」
…だからと言ってこのまま手を打たないのも何である
「…(はっきり言って金の問題でもあるな、入りのいいバイト情報でも流せれば良いが…生憎そんな…ん?)」
青年は何かに気付く
「先輩、今日はおごります、お代は俺もちで」
そういう青年だ
>309
「おう、事情が事情だから有り難く奢られておく。
俺の方はバイトの給料日が半月先でな、これだから人付き合いのバイトって厭なんだよ。」
(ずずーっ。)
「しかしアレだ、ついでに一つ教えてくれると俺がちょっとだけ幸せな気分になるんだが。
…お前さ、実は自分の腕前隠してないか?
というのもさ、憂さ晴らしがてら戦闘中の映像、モニタしてたんだが…
最後の動き、ザクを扱ってる時とはまるで別物じゃないか。
ここ(養成所)に居る連中の中では別に珍しい事じゃ無いけど、ちと気になってな。」
(別段深刻、という様子では無い。
まぁ尤も、軽薄な口調の中にそれとなく威圧する感。
好奇心が先行すると何時もこう、この青年の悪い癖だ。)
>>310 「んー、使っている機体の特性の差と使いこなせているかどうか、じゃないでしょうか?
因みに俺はここに来る前はSD機体しか乗れませんでしたし
ここまでの段階に来るのに時間がかかっていますよ」
(★青年が言うには機体についての錬度の差のことだ
アーマー偽装をしていても機種をわからなくしていてもSD機体に乗っている事は変わらない
ましてや彼はSD機体を生活の足として使っている
そのためSD機体>ザクという構図が出来上がっているのである)
「最後の動き…ですか?
アレについては…たまたま向こうが動きを止めていたからではないのでしょうか?」
普通に答える青年である
>311
「んー…まぁ、慣れには違いないんだろうが…。
まぁ、そういう事なら、そういう事にしておくか。」
(彼が言う最後の動きとは、正確に言えば攻撃の動作では無い。
確かに対象であるギラ・ドーガが動きを鈍らせたからこそ出来た攻撃だろう。
ならばそれを"凄い"と言わしめるのは、ドーガの動きを鈍らせた行動にこそある。
如何に運動性に優れるSD機体とはいえ、
それをあの様に扱えるという事は―――――。)
「まぁ把握した、それで良いさ。
あぁそうだ、それともう一つ。
もしかしたら変に聞こえるかも知れないけど、リュートって、個人所有の銃って持ってるか?」
>>312 「積んでいるCOMも違いますから…
そこのところでも差が出てるのではないかと」
つまり機体の差異も錬度と合わせてこの構図が生まれているのである、まる
「???」
どうやら質問の意図をつかめていないため、反応が遅れているようである
>313
「…俺もナチュラル用の純正OSに入れ替えるかね。
ん、あぁ…別に深い意味は無いんだ。
ちょっと、可愛い後輩に少し遅れた誕生日プレゼントを考えてるんだが…
そういえばお前は持っているのかな、とね。」
>>314 「持っていますよ、ハンドガン。
でも規格が合わないらしくて…
どっちかって言うと(少し)早いけどここに来たの一周年記念
…でしょうか」
―どんだけ早いんだよ
>315
「そっか、やっぱり持ってるよな。
……因みに俺はコレを、余り使わないけどな。」
(そう言って上着を捲って見せる、そこには確かにホルスター。
その中に納まっているのはM71A1、かつて地球連邦軍で正式採用されていたハンドガンだ。)
「俺は専ら長物ばかりだから。
しかしお前ももう一年か、早いな……餞別は少し待て、俺には金が無い。
それじゃ、こんな話した後で何だが後は頼む。俺はこれから整備に頭下げて来る!」
(何か妙に迫力のある声色でそう告げると、伝票(日本円にして230円位)を差し出して。
声と共に気合を入れ直すと、リヒャルトは一路格納庫へと向かって行ったのである。
整備班長に泣きそうになるまで怒られたのはまた別の話、壊し過ぎだってね。)
>>316 「でしょうね・・・」
かく言うこいつは滅多につかったことがない
必要な状況が無かったためだ
「時がたつのは早いものです、意外と」
伝票を受け取る青年
「…わかりました…おっと
それではまた」
彼の去り際に
「ああ、そうでした。
せんぱ〜い!今度MSでの射撃訓練に付き合ってくれますか?」
―と伝える青年である
>>317 (食堂の入り口から颯爽と消えていった青年。
次の瞬間)
ヒョッコリ
(彼の片腕が壁の向こうからヒョイと現れ、手を振り返して承諾の意を伝えて来た。
…やはり妙なテンションだったらしい、リヒャルト。)
hosyu
ここはクーロンクレイドル。
混線世界の火星に於ける華僑ネットワークの一大拠点にして背徳と活力の坩堝たる混沌の都だ。
ブラックマーケット。
黒社会。
そして、売春宿。
凡そあらゆる背徳が否定されず、しかし道を外れるにはやや明るい活気に満ちたこの街。
「魔都」という言葉に最も相応しい場所を火星で探すなら、おそらく此処以上のところは無いだろう。
「この猥雑な空気……やっぱアタシにゃココが性に合ってるみたいだねぇ」
ゲートから続く大通りを抜け、入り組んだ路地を迷わず進んだ先の建物を見上げながらしみじみ呟く女性が一人。
真っ赤な髪は炎の如く艶めき、砂時計のようにメリハリの利いたボディラインは纏った衣服でも隠し切れない。
そんな女が日の光の届かない場所を歩けば、たちどころに飢えた狼の餌食となりそうなものだが――
『今の言葉、場所が場所だけに誤解を招きますわよ。
それとも漸くあたくしの説得に応じて頂ける気になったのかしら』
――慌てて振り向けば、ゆったりとしたローブに身を包んだ黒髪の美女が其処に立っていた。
まるで後宮の妾妃の如くたおやかにして官能的な装いと物腰、ローブの胸元からは深く刻まれた肉の谷間が垣間見えている。
「よしとくれよ、レンファ姐さん。
アタシみたいな傷物のカラダじゃ、客のイチモツだって立ちゃしないよ」
『あら残念。
あたくし、これでも女の魅力を見る目には自信がありますのに。
スカーレットちゃんなら半年で一晩数百万は稼げる娼婦になれますわ。
あたくしが男なら、その白い肌に一晩中でもむしゃぶりついて離しませんわよ』
苦笑しながら首を横に振る赤髪の女性。
黒髪の女性は口元を袖で隠すようにしてくつくつと笑い、彼女を連れ立って建物の中へと入っていく。
クーロン・クレイドルに知らぬ者の無い高級娼館「朱天楼」。
その門をくぐる二人の女性、スカーレット・エスター・マーヴェリックと蓮花・リンゼイ・ラブクラフトにとって、
一連の遣り取りはその結末に至るまで、最早一つの日常的な行事となっていた。
hoshu
「や、やっと出来た…」
昼下がり。
ここは養成所の敷地内に設けられた、
観賞及び酸素供給補助を目的とした広大な植物園の一角にある第三展望台。
展望台と言っても簡易昇降機で上り下りをして、内装もシンプルで一般的な公園の休憩所程度の広さのものである。
植物園にはこうした小さなスペースの展望台が幾つかあり、
そのどれからも遠くに在るクレイドルの外郭や、
環境調整プラントの幾つもの歪に張り出した巨大なパイプがある天蓋など、
火星に確かに人類の手が加わったという感動的な光景を一望する事が出来る。
学生待望のランチタイムも終わりを迎え、
絶好のお弁当開きポイントとして賑わっていたこの植物園にも再び穏やかで緩やかな静寂が戻り始めていた。
そして展望台の一つを半ば貸切状態で占拠していたその生徒は、
溜息と共にそんな言葉を吐き出すと、食い入るように注視していたノート端末から目を離し、
キーを叩くややか細い指を止めて、ふと腕時計を確認し、漸くそんな状況を理解するに至る。
「あちゃー……
今から食堂へ行っても出てくるのはパンと残りのスープくらいかなぁ」
ぽりぽりと頭を掻き一人ごちる。
まるで少女のような幼く、柔らかな横顔に、しかし男子生徒用の制服を着崩している少年。
ジャケットのロゴは養成所の、しかし若干デザインが異なっていた。
やや垂れ目気味の目元には隈。
端末機のモニターに映っているのは、何かの難解たる機械言語によるプログラムだろうか。
「ああそれより…火星(こちら)に来てからこっち、
ずっとココに居っ放しだったなぁ…
そろそろちゃんと挨拶回りと施設巡りをしないと、ラビに怒られる…」
眠そうに目蓋を擦りつつ、
目的のものが完成を見たことで、それまで蔑ろにして来たものを一気に思い出したらしい少年は、
げんなりとした顔でノート端末を畳むと、その上にぐだり、と突っ伏す。
「…そういえばラビは何をしてるんだろう…」
連絡用の小型端末をポケットから取り出すも、
開口一番に怒声が響いて来そうで、なんだか掛ける気がしない少年だった。
>>322 (と、彼の聴覚へと飛び込んでくる音がある。
コツコツと規則正しく、それでいて段々大きくなるその音は、
誰かが彼の居る展望台へと上って来る靴音だ。)
「…ほっ、よっ、たぁ…っと。
やっと着いたぁ……」
(ややあって階段を上って現れたのは、養成所では整備科に所属する一人の女性。
一段飛ばしで登りでもしたのか、ふぅと一息ついて次の瞬間。)
「………あら…?」
(誰も居ないだろうと思ったからこそ、年甲斐も無くちょっとした茶目っ気を出してみたのに。
彼女はそこに、先客が居たという事実にここでようやく気付くのだ。)
>323 見た目幼い
「…やっぱ、いいや。
寮に帰ればイヤでも小言聞くことになるんだし…
きっとラビの事だからもう何人か友達も作れてる頃かな…僕も明日から頑張ろう…
ふぁ…。。。でも…でもまずは、十分な睡眠と食事かな。」
空調の音以外は実に自然そのものと思える静かな音が展望台の内部を満たしている。
一部は人工的なエフェクトにより再現されたものであるが、植物園内には火星環境で生み出された新種の鳥類も放されており、
その清らかな囀りが心を癒し、また今の少年にとってはこの上ない睡眠導入剤となる。
そんな、弱々しい目蓋が今にもと、完全に落ち掛けていたその時、
不意に、それらとは別の音が耳に入ってきた。
「…ん?
…足音?」
今、というかこれからこの植物園内にやって来る者は午後の講義の関係上、
そしてここ以外にもしっかりとしたリラクゼーションルームがある為に珍しい。
少なくとも、ここずっとこの時間利用させて頂いて来た少年の経験には、
これから夜間ライトアップまでの間は誰かが入ってくるような事は無かった。
半分ぼやけた意識でそんな事を思いながら、そのまま突っ伏した姿勢で直に開け放たれるであろうドアの方をただ、眺める。
シュイン。
圧縮空気の抜けるような音と共に開かれる自動ドア。
「……女の子?」
少年の傾いた視界の中に映り込んだのは、
美しい蒼銀の髪を二房に纏めた可憐な少女だった。
>>324 「…………」
(どうしよう、とても恥ずかしい。
どうやら目の前の彼は自分の事を女の子と認識したらしいけれど、
それを実年齢を理由に訂正してしまっては先程までの自分の行動が恥ずかしい。
どうする、どうする私。)
「ハ、ハイ。
女の子と言えるかどうかはちょっと分かりませんが女の子でありたいなと思います。
エート、その反応から察するに初対面、ですよね。
何だか御恥ずかしいところをお見せした気もしますが………」
(見た目相応、されど年甲斐も無く。
そんな風に表すのが丁度いいだろう、彼の事を見返して来る。
それにしても、表情がよく変わる女性だ。)
「………」
(広く、高い植物園。
その中では身長120cm台の少女は更に小さく見える。
周りに聳え立つ樹木との対比でその小ささはなお際立ち。)
「………」
(しかし少女は気にしない。
ただただ、眼を瞑り瞑想に耽る。
空気も良く、昼を過ぎ喧騒が離れていったこの中では次第に眠気も出てこよう――)
>>324,325
「……?」
(不意に聞こえる、話し声。
確かに他に人がいないわけではないが、その声に聞き覚えがあった。
何となく、興味がわき、少女は聞こえた方向へ歩いてみる。)
――因みにその頃、彼・彼女らの居る展望台からやや離れた位置。
植物園の一角に当たる位置では
『…タルシス・モックスにマリネリスリリー、こっちはタルシスオーキッドか。
あぁ全く、楽しくてテンション上がって来たぜリディア!』
「……まぁ、それは結構な事だけど。(ダメだこれ…早く何とかしないと…)」
植物園で栽培されている火星原産の植物を入念に鑑賞しながら、
何だか良く分からない方向へ情熱を加速させている戦車兵の姿。
更にはその横、それに付き合わされてる妙齢の戦車兵その2(女性)の姿。
まぁ尤も彼・彼女らにその姿は見えず、余り関係の無い話ではある。
>325 見た目幼い
「………」
暫く静止した空間で見詰め合う少年と女の子(少年視点)。
頬を紅潮させ、何やら考えているらしい様子が夢うつつな視界の中で歳相応の可愛らしさのように映った。
「ん…可愛かったよ?」
そう、何も真相を理解しないまま、
柔和な、こちらも女の子のような顔で言って、緩慢な動作で状態を起こす。
「ふぁ…ぁ、うく。(あくびを飲み込む音)
はじめまして…かな、だよね。うん、はじめまして。
ココにはキミみたいな女の子も居るんだね。
ボクらくらいがボーダーかなって思ってたケド。
それじゃ自己紹介からしようか。
ボクはルビ・タイトハーツ。よろしくね?」
寝ぼけ眼を擦りながらだが、
きちんと女の子(あくまで少年視点)に向き直り、微笑みながらぺこりと頭を下げる。
>>328 「――――ッ!」
(撃沈、「はぅぁ…っ」とでも言いたそうな表情がその顔に。
流石に崩れ落ちたりはしないけれども、とてもアレな気分になったのは真実。
だって、その一言を言われるのはある意味死刑宣告だったから。)
「そ、それは良かったです………。
え、ええ…始めまして、ご丁寧にどうも。
私は整備科のクリスティネ・クラウスと申します。
まぁ確かに私みたいなのは珍しい…かなぁ。」
(頭を下げる少年にやや困惑しつつ、何とか挨拶は返せました。
さて、微妙に誤解を受けているらしいこの状況、どうやったら誤解を解けるだろう――)
>>326 (そして少女が声の向く方へ歩いてみれば。)
「―――」
(何やら助けを求める視線でこちらを見渡している、見知った女性の姿が!)
>329 見た目幼い
「あは、名前まで可愛いや…クリスちゃんかぁ……良い名前だね」
ニコリと、
イラッと来兼ねない白磁の柔和。
しかしそこに悪意は皆無。
立ち上がってその手を取ると、
改めまして、と握手をする。
「それで、クリスちゃん…しかし整備部門ならお世話になるかもしれないなぁ
じゃなくて、クリスちゃんはここに休憩でもしに来たの?」
自分も背はそう高くない―というよりも152cmは十五歳男子としては低め―くせに、
少し膝を曲げてそんな事を尋ねてくる。
そしてまだ、新たな訪問者の影には気付かない。
気付かないことだらけな余所者だった。
(がさがさがさがさ)
>>329 (がさっ、と垣根を分け進み展望台のふもとに出る。
周りを見渡しても人はいない・・・となれば、ここより先か上に行くか。
しかし建物に阻まれた声なら多少聞こえる声にも変化が出てくる・・・)
「……?」
(視線を感じ、見上げるとやはり知った顔。
こちらの方を困り顔で見つめ……いや、見渡している。)
「……ふむ」
(顔を視認したことで興味は薄れたが、知らない声も混ざっていた。
そのことを確認しに、展望台を登る少女。)
>330
「……どうも。
ええ、と言ってもまだまだ修行中の身ですけど…
……しかし、流石に"ちゃん"はちょっと…恥ずかしいですね。」
(握手した手をやんわりと解きながら)
「そうですね、余り来ないんですけどたまには良いかと思って。
貴方こそ他では見かけない顔ですけど、パイロット候補生の方ですよね?」
>331
(時折視線をそちらに向けて、SOS発信中。
といっても別段何か鬼気迫る物がある訳でも無いのだが。)
>332 見た目幼い
「え?…そっか、じゃあなんて呼べば良いかなー。
でもボクの事も貴方だなんて…
あ…ひょっとして歳の割してしっかり者だから、堅苦しめなのが好きなのかな?
例えば“クリスティネ訓練生!”とか教官風に呼んでみたりして…あ、いやごめん。なんでもないんだ。」
あはは、と笑って頬を掻く。
(少年視点での)女の子にしては妙に落ち着いているからかどうすべきかと接しあぐねているようだ。
「ああ、それもそのはずだよ。
ボクは地球の養成所から来た代表団の一人だからね。
うん、パイロットは合ってるよ。…ホラ。」
ジャケットの裾を持って、
少女のような女性に後ろを見せながらそこに描かれたロゴと、
襟元に付けられたコース認証バッジを確認する。
「修行中なのはボクもだから、おんなじだね♪
実は、仲間内だとボクらが一番下位ランカーなんだ。
それと、この展望台はホントに良い場所だね。
一人になるには最適な場所だったから、ずっと居座っちゃって迷惑掛けちゃってたかも。」
てへ、と。
少年も大概な仕草をする。
>>332,333
(談笑が聞こえてくる。
もう数秒もすれば自動ドアにたどり着くが、ふと足が止まる。
入ったところで何をするのか・・・全く考えて居なかった。)
「………」
(少々唸り、思考をめぐらせる。止まったままに。)
>>333 「成る程、地球からいらした方でしたか。
と言うことはフィリップさんやミハエルさんのお仲間ですね。
下位ランカーと言っても火星に来る位ですから、お若いのに強いんでしょうね。」
(と、そこで漸く気付く女性。
思い出した様に自らの携帯端末を取り出し、簡単な個人情報を表示させながら)
「…えーと、呼び方の参考になれば幸いです。
私はルビさん、とお呼びすれば良いかしら?」
(そして、その画面を少年へと見せる。
…一見した限りでは特に変わった点は見当たらない。
姓名[Name]に顔写真、性別[Sex]に血液型[Blood Type]、身体情報は隠してある。
彼は気付くだろうか?
年齢[Age]の項目と、履歴欄に掲載された『軍歴あり』との記述の存在に。)
>>334 「何…やってんだ?」
(唐突に背後からかかる声。)
>>336 「む」
(思索にふけりすぎて接近に気づかなかったようだ。
内心少々驚きながら振り向く。)
「……少々気になることが、な。
そっちは?」
>335 見た目幼い
「ミハエルさんとリディアさん、フィリップさんに…うん、みんなボクの憧れの人たちだよ。」
感慨深げに目を瞑る。
それでいて「強いんですね」という言葉には、
「努力はしているつもりだよ」と照れ臭そうに笑うルビ。
「あ、うんボクの事は呼び易いように…って、これはどうも…
…ふむふむ……――」
ずいっと眼前に突きつけられたそれのディスプレーを、
ルビは言われたとおりに上から順に読んでいく。
「姓名…Christine Claus.
性別…女性。
所属…整備部門。
TACネーム…[Katze]…猫かぁ…へぇー
年齢…27 ふーん
従軍歴…有り え?軍歴って…
年齢…27 ふー…ん?」
漸く異常な点に気付いたようだ。
最初は少女のような女性が手に持ったままのものを見せて貰っていたが、
今はしっかりと両手で掴み、瞳孔を細めて、それをゆらゆらと揺らしている。
噴出す汗。
零れ落ちる汗。
滴る汗。
汗。
汗。
汗。
冷汗。
「…………クリスティネ………“さん”…?」
三白眼で、首を傾げるように、静かにそう尋ねる。
>>337 「俺はコイツをな、養成所の方からデータの収集を頼まれた。」
(ほい、と掲げて見せたのは大きな箱。
デジタル式の、高性能な天体望遠鏡だ。
見れば、階段脇にそれっぽい機材が置かれているのが分かる。)
「……しかし俺が思うに、この楽しそうな空気は確かに入り難いなぁ。」
(コクリ。
物凄い沈痛な面持ちで頷いてみせるクリス"さん"である。)
「…あぁっ、逃げないで荷でないで、っていうかヒかないでっ!?」
(もう、遅い。)
>>339 「……む、少々雰囲気が不穏なものに?」
(なんだこのギャラリー勢)
>340 見た目幼い
「も、もう遅いであります!!
ビックリ、じゃなくて失礼致しました!!
ごめんなさぁーいッ!!!!」
咄嗟にノート端末を小脇に抱えて、
謝罪ダッシュ(ピンポンダッシュみたいな)をしようとしたルビだったが、
開いた自動ドアの先で“何か”に躓き…
「え――――?
…うわあああああああああああっ」
螺旋階段を最下段の昇降機まで一気に、それはもうスピーディーに転落して逝った――
>341
「あぁ、これはちょっと面白くなって来たな。
どう転ぶか、見物だ。
さぁ、どうなると思う?」
(ここら辺は流石に偵察兵志望、見るぜ!)
>>342 「ちょ……っ、ルビさん危なーーーッ!?」
(そう、もう遅い。
何ともアレな空気をかもし出しながら、彼女もまたその後を追いかけて一気に駆け下りていくのである。
コレでケガでもされていた日には夢見が悪い、というかそれどころでは無いのだ。)
>>344 「…いや、凄い物を見た。
しかし上からいなくなってくれたお陰でこっちは仕事が出来る、ってな。」
(そう言って、周囲の機材を抱え上げると)
「しかし、お前さんはどうするね?
流石に今から下に行く勇気、俺には無いけど。」
>>347 「…何だったら、適当に時間でも潰してくか?
手伝ってくれるんなら俺としても助かるしな、茶くらいなら持って来てる。
…勿論気が向けばだけど、どうせ俺は今日一日ここにカンヅメだ。
それじゃ、後でな。」
(抱え上げた機材を纏め上げて、自動ドアの向こうへと消えて行く。)
>>348 「……」
(下にいける雰囲気でもないし、興も削がれた。わざわざ行く気分でもない。)
「まぁ、そのくらいしか無さそうだな…」
(シュン、と自動ドアが開く音を立て後に続く少女。)
>345 見た目幼い
「――ごほっ…がはっ!!」
頭部を両手でしっかり押さえ込み、
見事に破砕したノート端末で腰骨をガードしながら、
天地逆転の状態で昇降機の扉のところに蹲っているルビ。
血も出たし節々が痛むが、脱臼、骨折、酷い裂傷なども無く、奇跡的に打撲傷だけで済んだらしい。
しかし背中を何度も打ち付けたせいで一時的な呼吸困難に陥り、今もまともに息が出来ない。
そして、その上に向けられた両足は不意に開いた扉の向こうに投げ出される。
「――アンタ……何しとるん?」
と尋ねる声に苦しさに瞑っていた目を僅かに開ける。
そこには鏡が有った。
……と言っては真実ではない。
「……ら、ラビ…?」
見下ろす先、見上げる先に存在するのは背格好、姿形が全く同じ者。
辛うじて整った一息で少年が吐き出したのは、自分の名と対となるその少女の名前だった。
――――。
「…"兄"が大変迷惑お掛けしましたぁ。
こんなのゼンゼン大したコト無いので、どうかお気になさらずにぃ。
えーと、クリスティネさん27歳さんでしたっけ?」
場面は変わって展望台の入り口付近。
ぐったりと糸の切れた操り人形のようにしている兄…ルビのジャケットの襟を掴み、
一緒に「ごめんなさい」させながら、ルビの妹だというその少女は、
にっこりと愛想良く笑ってから、深々と頭を下げた。
>350
「いえ、そんな。
何だか私の方も随分と驚かせてしまったみたいですし、こちらこそごめんなさい。」
(大分落ち着いた様ではあるが、申し訳無さそうにペコペコと頭を下げるクリス。
外見だけならば少々滑稽な態度ではあるが、
実年齢を知ってしまえば歳相応、それなりにしっかりしている女性の態度ではあった。)
「…それにしても驚きました、追いかけて来たらまさか妹さんが居るなんて。
貴女の事は何とお呼びすれば?」
>351 見た目幼い
「どうせ寝惚けてて目が覚めて、自分のした事にうわーってなっただけです。
そんなんしょっちゅうですから、ホントに気にしないで下さい(o^-')b」
独特なイントネーションの喋り方ではきはきと喋り、ペコペコと頭を下げ返す。
兄のゴミキレのようなクズダメのような悲惨な状況にも意を介さず、
ただその頭を無理やり下げさせているのは多少ギャップがあって怖い。
「へ?ウチですか?
ウチの事は気軽にラビって呼んで下さい。
以降は気兼ねなく。クリスさんはウチらよりゼンゼンお姉さんなんですからヽ( ´∀`)ノ」
そう言って最後にもう一度だけ頭を下げる。
「それじゃウチらはこの辺で。
また明日くらいに格納庫にも顔出すと思うんで、またその時にはお世話してあげてくださいね、クリス姐♪」
などと早速好き勝手に呼びながら、終始やや一方的に喋り通して少女は踵を返す。
――その後、辺りに響き渡るくらいの大声で以下のようなやり取りが植物園に木霊した。
「ルービぃっ!!ほぉらさっさと歩くー!
やだ、アンタ探してたらもうこんな時間……今日はアンタが当番でしょーが!!
早く買い物済ませちゃってよね!
てゆーかアンタ、端末機まで壊して……
はぁ…、ウチはこんなに出来る子なのにどうして愚兄は出来ない子なん…?
――……返事ぐらいする!!!」(むきーっと癇癪を起こし、ぐったりとしたルビの胸倉を掴んでガクガク揺すりながら)
「…やめ…
………せめ、て……医…務室に…逝かせ……っ(がくっ)」
「はぁー!?冗談は笑わせて何ぼやっちゅーねん!!
ゼンゼン笑えんわそんなん!」
「(へんじがない むしのいきのようだ)」
こうして凸凹ツインズコンビの火星デビューが始まった。
…何しに来たんだ地球養成所下位ランカー!!!
――しかし今更だけれど、火星の冬は長いと思う。
考えてみれば当然の事とはいえ、普段は気候の整えられたクレイドルで生活していれば尚更だ。
だけども、今から私が行く場所へは世界で最も寒い場所を通らなければならない。
しかしある意味ではもっと寒い場所へと、私は向かおうとしている。
「余り行きたくは無いんだけどね。
…地球は嫌いだわ。」
そう、確か出発前に妹に対して私はそう言った。
行かねばならない理由が無ければ、あの家には帰りたくない。
良い思い出も確かに沢山あったけれど、それ以上に厭な一つの思い出が、
私にとっては重過ぎた。
「全く、財産管理の不手際なんて…今頃呼び戻される事でも無いでしょうに。」
hosyu
時と場変わって養成所内の某所…
じゃなくて格納庫周辺
ここに一皮ひっぺがしたら何か出てきそうな見た目が変な小型MSがやってきた
ホバーで流れるように減速しつつ停止する
…といってもそれは比較的いつもの事である
どう見てもSDガンダムに見えない夏休みの工作で作ったようなロボットのような外見をしているMS
それがSDガンダムF91のいつもの姿だ
>355
(格納庫の誘導要員が機体を所定のハンガーへと誘導する。
養成所の格納庫に備えられたハンガーは対応するMSの機種も多い、
それこそSDクラスの機体からジェガンクラスの大型MSまで、
単に係留するだけなら十分に耐える――というより、そうでないと困るのだが。
そうして彼がSDF91から格納庫へと降り立つと、近寄って来る人影が一つ。)
「初めて見た時から思っておったが、お主は中々面白いモンに乗っておるの。
しかしザクの方の調子はどうじゃ、少しは上達の手応えが出て来る頃じゃと思うが。」
>>356 「SDガンダムは頑張れば手に入れることはできますよ
それと見た目は偽装です
ザクの方は…操作感覚の問題のみならず使いこなせないというのが問題です
ある程度距離があれば経験上当たるんですけど相変わらず『たたかいはへたよ』ってところですね」
前半部分は瞳が無いタイプやデコレート機体なら入手可能であるのだ
後半部分は乗り手の資質以外にこれまでの経験も合わさってくるわけである…ということだ
>>357 「入手の容易さ、というよりかは実際に出回っている頻度の話じゃな。
それを言うたらお主、ワシの得物なぞ珍しくも無いという事になってしまうぞい。」
(苦笑しつつ、軽く両腕を構えて見せる。
確かにこの老人の得物は、殆どの人間が生まれつき持っている四肢である。)
「……しかし、入学してから随分長いのにそれでは困るの。
そろそろ単位も溜まって来ている頃じゃろう、
もっと自分にあった、使い易い機体を探してみたらどうかの?
ザクTは確かに基本的に扱い易い機体じゃが、中には少し上等な機体が丁度良いモンもおるしの。」
>>358 「いやはや、入手してもそれを使いこなせなくては…得物も然りですよ
それとよく鍛えられた物は何物にも変えがたいと誰かが言っていました」
苦笑しつつそう答える青年
「そうですね、実際問題
複合的なものなんですけどね、適性とか戦術とかも…
乗り換えにしたって操作系統の問題とか武装とか機体特性の問題もありますけど」
>>359 「だから、それをそれなりに扱っているお主は珍しいと言っているんじゃよ。
それにワシの得物は、まぁ他に鍛える物が無かったからの。」
(構えを解きつつ、やれやれとかぶりを振って。
続いて、懐から何枚かの書類を取り出して)
「そういう訳で、じゃ。
再来週、養成所が他所から購入した中古機体の搬入がある。
その中から一機くらいは手に馴染む物があるじゃろ、良かったら来るとええ。」
(その書類を、手渡す。
書類には、それら中古機体のテスト運転に参加出来る権利書であるとの記載がなされていた。)
「…まぁ、ワシらからのちょっとした正月の祝いじゃな。
もしかしたらお主も、ワシの士魂の様な愛機を見つけられるかも知れんぞ。」
(そういう教官の傍らには何時の間にか、彼の愛機である『士魂』が立っていた。)
>>360 「そうですか・・・
かくいう俺は…もともと適性検査はギリギリで通ったもんで色々かさむ事は知ってますが
下手するとまた見学主体かな…とも言えたりするんですが」
何かいまひとつな感じで答える青年…というか最後は何だ
「?!…テスト運転参加書類ですか
俺の持ち物にサポートユニットが必要かも知れません
事故防止の観点も含めて」
書類を受け取り苦笑しつつ答える
「さて、正月祝いと言えば…お年玉や福袋ですが
どういったものが来るかですね・・・
(アクトザク改『士魂』…か、アレってマグネットコーティング機体だったな
それをMF用に改修とあるが基本的にファイターは相手にするのは厄介とも言えるな)」
彼の愛機を見つつ青年はそう思ったが黙っておくことにした
>361
「身体で覚えろ、とはよく言った物じゃよ。
精神論など流行らんじゃろうが、お主の様なのには身体に覚えさせた方が早い。
まぁ、参加するもしないもお主の自由じゃよ。
それに生憎、訓練生に金を渡す訳にもいかんのでな、
せめて自分に合った新しい機体で、少しでも稼ぐのに役立てて貰えれば良いじゃろ?
……まぁ、精進する事じゃ。
お主がさっき言ったとおり、どんな得物も使いこなせなければ意味は無い。
それに人間と言うのは鍛えれば幾らでも育つ生き物じゃからの、
限界など取り払ってしまうがええ。」
(そう言って、飛び上がる。
次の瞬間には彼の姿は頭上のコクピットハッチ。
そこで一度リュートに向かって敬礼すると彼は『士魂』のコウピットへと入り込み、
ややあってその巨体は、格納庫からの移動を開始した。)
(養成所の格納庫には、様々な関係者が出入りしている。
ここを主な活動場所とする整備班などの人間は勿論、機体の整備を手伝うパイロット、
それらを指導・激励する教官や単なる野次馬などなど。
当然、出入りする人間が多くなればそこで行われる活動も様々だ。
整備作業・改修作業・実技実習などはその中でもポピュラーな物だが、専門知識が無ければ内容は理解できない。
しかし中には比較的ライトな、とっつき易い作業をしている者も居る。)
「大体こんなモンかね、っと。
…しかし他の連中みたいには上手く描けんね、かなり頑張っている方だけれど。」
(格納庫の中ほどにあるはんがーに駐機している、ディンの改造機S4。
作業用リフトを使ってその肩の近くに立ち、その装甲版に塗装剤を吹き付けている青年が一人。
つい先日、この機体を思いっきりぶっ壊したばかりのリヒャルト・ユルゲンスである。)
>>363 「♪ブロック叩かれ生まれ出る♪…」
謎の歌を口ずさみ、なにやら箱を運んできた青年。彼に頼まれた物だろうか
「エンブレムって奴は別の意味で要求される物が違ってきますし難しいものです」
とのたまう青年ここにあり、先輩を手伝う事になったリュート・アビュークである
>364
「ん、サンキュ。」
(リフトを下ろし、運ばれてきた箱の中から何やら半透明の薄い紙の様な物を取り出す。
彼が今しがたまで描いていたエンブレム。
それを描く為に吹き付けた塗装剤の上に貼り付ける、一種の保護フィルムの様な物だ。)
「本当はもっとこう、絵とか描いてやりたいんだけどな。
こういうのは自分で書かないと意味が無いって、軍の頃の先輩に言われたし。
俺にはこれが精一杯だ。」
(そう言う彼のエンブレムは、絵では無く図形の組み合わせだ。
ひどく刺々しい四角形の内側に、まるで対角線となる様に引かれた黒く太い交差線。
そしてそれらの上には彼の国の言葉が刻まれている。
更にそのエンブレムの下にも、細かい文字で何かが刻み込んであった。)
「それに、こういうのは願掛けとかも大事だからな。」
>>365 頼まれたもの入りの箱を確かに渡した青年
「そうだったんですか…
中には機体自体をキャンパスに見立ててペイントしていた人もいましたけど
(…どいつご、でかかれているようだ…そのためによめない!)」
―因みに彼の機体エンブレムはいわゆる「若葉マーク」とある意味玄人好みのものになっている
ただし、SDガンダムF91にしても現在使っているザクにしてもアーマーにより隠れて見えないのである。
「そういったペイントをしてくれるというところもありますけど、人によって意味合いが違いますから」
>>366 「――ルフトイェーガー、空の狩人って言ってな。
俺が地球で所属してた部隊の名前だよ、ルフトヴァッフェって言えば知ってるかな。
まぁ当時は結構活躍してたからその願掛けって所だ。
下の文は……『夜の狩人は、黒い鳥にして星を見つめる観測者』とか、そんな意味だよ。
流石にこんなこっぱずかしい物を描いて貰おうとは思わないし、
全身に派手な装飾をするのも俺の趣味じゃないしな。」
(苦笑交じり、続いて受け取ったフィルムを持ってリフトを上げると、丁寧にそれを貼っていく。)
「そういえば整備の方から聞いたけど、リュートのエンブレムは若葉マークだって?
随分珍しい図案を選んでるけど、何か意味とか込めてるのか?」
(続いて、リフトを再び下ろしながら。)
>>367 「そういう意味なんですか
…あらゆる方法で願掛けをする人がいますしね
夜を見るために空を行く…って感じですね」
時々出て来る言葉の壁。それがそこにあることもある
火星ならなおさらだろう
「でしょうね。そんな人はいる所にはいるでしょう。
まあ機体の色変えもペイントの一つなんですけど」
中にはアレなのもあるがそういったものについてはまた別のお話になる
「そうですよ。両方とも外見がそれと判別出来ないほどなんですけどね」
そのため知っている人はそんなにいないとか
「意味…は当初は厄介ごとが嫌だったんで…という苦肉の策でしたけど
その上で俺でも出来るものがこれだった…というものです
実際は余計面倒な事になるって言われた事ありましたけど
警察の方に諸用で行ったときに、MSもいいけどあまり腕を過信したりせず気をつけて運転するよう言われましたね
…過信するほどの腕はお持ちではないのですがね」
と話す青年
「…っと、俺はこれで失礼します、それではまた。」
…先輩に別れを告げどこかへ行ってしまう青年である。
>>368 「…それはまた……随分と消極的な意味付けだなオイ。
しかしまぁ、元々エンブレムってのは自己主張の道具だからなぁ…そういうのもアリか。
だけどさ、将来腕が上がった後にも若葉マークだったらサギだぞ?」
(最後の方は苦笑交じり。
おうさと応えて彼の姿を見送って、リフト等の機材を片付けつつ一人呟く。)
「――尤も俺の場合。
そういう過去の物に縋っていないと自分を自分で保てないだけなんだが、な。
…急がないとなぁ。」
保守さね
「…しかしまぁ、思い立ってから随分と遅くなっちまったモンだ。
我ながら年明けと誕生日のプレゼントが一緒ってのもどうかと思うけど。」
(その日、養成所のあるクレイドルの市街地を一台の自転車が走っている。
ハンドルを握り、軽快にペダルを踏み込んでいるのは養成所の生徒の一人。
その様子に特に変わった点は見られない、強いて言えば乗っている青年が背負っている大きな鞄くらいの物だろう。
それは中型の楽器ケースほどの大きさで色は黒い、重さも見た限りでは程々か。)
「(これで準備は整った、と。
漸く金も溜まった事だし、そろそろ俺も次のステップに進まないとマズイわな。)
……ま、とりあえずはさっさとコレを、サリクスに届けてやらんとな――!」
(そうして、自転車は加速する。
丁度同じ頃、そのクレイドルの北北西230kmではちょっとした事件が起こっていた。)
hoshu
hosh
或いは、ちょっとした事件と言うのは誤りなのかもしれない。
未だ開発途上にあるこの火星という星では、宇宙との連絡手段は重要な価値を持っている。
地球や月面、スペースコロニーから輸送されて来る入植者用の物資や資金、
逆に火星から外へと向かう人員や物資の輸送にはそれなりの意味があり、
それは当然、それに投じられる予算や技術もそれ相応となる事を意味している。
そしてその場所――養成所の北北西230kmの地点には"ソレ"がある。
ソレは軌道エレベーターの建設地点、完成すれば正しく天を穿つ塔になる。
しかし建設が始まったばかりでは只の高層建築物に過ぎない、
建設機械の立てる騒音が空気を震わせ、周囲には建設用の資材が積み重ねられている。
見る物が見ればそれらは宝の山、何せ貴重な精密機械のユニットや燃料、
そうした物がそこには、これでもかとばかりに集積されているのだ。
そして先日、この集積された物資が狙われた。
集積地点にはドム・トローペンを中枢とした十分な警備隊が配備されていたにもかかわらず、
襲撃を行った部隊は電撃的な奇襲による混乱の隙を突いて物資を強奪。
警備隊は作業員の三か月分の食料及びMSの融合炉用のヘリウム3やエネルギーパック、
それらの維持を行うためのシステム・ユニットが奪われるという失態を犯した。
これを受け近隣のクレイドルはこの襲撃部隊の捜索を開始。
何と言っても火星開発の要である――
――言い換えれば多額の資金を提供させられて来た軌道エレベータへの襲撃犯である。
その資金を払って来た人間にしてみれば、それは許し難い蛮行に他ならない。
しかし幾ら意気込んでも、広大な火星の荒野で神出鬼没の盗賊を捜索するのは困難を極める。
故に目撃情報――偽情報も多い――が寄せられたとしてもそれが遠隔地であった場合、
その付近で活動する適当な治安組織や傭兵、
例えばバルチャー等のMS乗りにその情報確認を行って貰う事になる。
それは資金を更に消費する行為ではあったが、至極当然な選択ではあった。
尤も、依頼を受ける側からすればそれは余り関係が無い。
情報の真偽を確認さえすれば報酬は出るのだ、楽な仕事かも知れない。
今回は依頼主の身元や背景の事情がハッキリしている事もあって、
養成所の生徒の中にも、その依頼を受けて荒野へと足を踏み出した者達が居た――。
「…せやかてうちらはお話聞いてくるだけなんだし、楽なお仕事やん?」
養成所第七格納庫中央フロア、AM10:30
依頼参加生徒の事前ミーティングも終わり、
準備が完了次第いざ出発と言うタイミングで不安を口にした頼りの無い兄への、妹の返答はラフなものである。
「それはそうだけどね……
っていうか“お土産の買い過ぎでお小遣いが早速底をついた”だなんて理由で参加するのは僕らくらいじゃないかな。
それで地球組だし、なんか浮いてるし……立場的な不安が一杯だよラビ。」
溜息。
後部座席で計器のチェックを行っていたラビ・タイトハーツは、
そんな兄の“しょうもない”理由に釣られて溜息を吐き、
シートから身を乗り出したかと思うと突然メインシートの兄、ルビ・タイトハーツを羽交い絞めにする。
「背に腹!
今の状況をよ〜く考えてみ!
現地アルバイトも出来ないうちらがいっちゃんスマートに訓練と実益を兼ねて出来るお仕事、それがこれ!
機体の損耗も無く、危険も少ないと予想される理想のアルバイト、それがこれ!」
耳元の怒声よりも切実に酸素が欲しくなってきたルビがラビの腕を叩いてギブアップを伝える。
程なくして解放され、ルビは荒い息を繰り返す。
どうも妹のラビは肉体言語が最良の根性注入手段だと思っているフシがあるようで、兄としては勘弁して貰いたい限りのルビである。
「わかった、わかったから…
でも幾ら予想楽とはいってもイレギュラー要素に溢れる場所へ行くんだ、
"ツイン”の調整は完璧に頼むよ……大丈夫、行くから、直前で止めたりしないから、背に腹だから…」
「解かればよろし。
ていうか好い加減低テンションから脱しなさいよルビ。」
妹の「もう…」という声と重なるようにして、実弾の帯行許可を知らせるアナウンスが流れ始める。
眼下では整備班員が忙しなく駆け回っており、準備もいよいよ最終段階という様相か。
火星での初任務、そして久方ぶりの実機の出動にやはり一抹の不安はある。
もう少し責任感とかが感じられればやる気も起きるのに、などとレイカーを握り、一人思うルビだった。
377 :
怪道:2008/01/27(日) 22:33:14 ID:???
情報の確認、といってもそう難しい事ではない。
情報提供者――物資を輸送するクロウラーの乗員や乗客、そうした情報を集める事を専門とする情報屋。
そうした人間から情報が寄せられた地域に出向いて、周辺の状況を確認すれば良い。
大抵の場合は何らかの痕跡、例えば撃破されたMSの残骸や遺棄された物資などがそれにあたるが、
火星の荒野特有の激しい砂嵐などによりそれらの確認が困難な場合もある。
多くの場合、探索者にとって幸運なのは後者の場合だ。
MSを使って調査に赴いたという事実は機体に備えられた記憶端末に記録されるし、
何かを発見する事も無ければ何かに巻き込まれる様な事も無い。
言わば"行って帰ってくるだけ"というお使いの様な仕事。
(故に信憑性の低い情報の確認ばかりを請け負うMS乗りは、
これを受けて『お使いのサム』等という嫌味とも冗談ともつかない仇名で呼ばれる事もある)
>>376 そうして彼・彼女らが進出して来たのは、養成所から北へおよそ60kmの地点。
余り交通量は多くないが、近隣のクレイドルを結ぶれっきとした"街道"である。
(尤も、舗装された道路などがある訳でも無い、便宜上そう呼ばれているだけだ。)
二人が確認を依頼された情報を信ずる限り、
数時間前にこの街道付近で一機の見慣れないMSが目撃されている、との事なのだが………。
>377
「目的地到着っとぉ。
ここが例の"街道"やね。うん、座標は合ってるわ。」
「ヨーソロ。これより一帯の探索と周辺警戒を開始する…っと。」
見渡す限りの荒野に佇むGTトレーナー。
ここからでは通常センサーの最大望遠でクレイドルの外郭を確認する事も出来ない。
僅かに吹き込んできた砂嵐に、センサーモードの切り替えを行い、ゆっくりを移動を開始する。
「情報によれば未確認MSが目撃されたらしいけど、熱源は愚か、それらしい痕跡も無いわね」
「戦闘が行われたわけじゃないんだ、痕跡は無いかもしれないけど…なんだか厭な予感がする。」
「ま、ちゃんとセンサーチェックはしてるからちゃっちゃと調べつくしてはよ帰ろ?」
緩さを残したままの妹とは対照的に、ルビの顔には僅かな緊張感が浮かんで居る。
簡単な仕事、『お使いのサム』のままであるならば喜ばしい限りだが…。
379 :
怪道:2008/01/27(日) 23:05:12 ID:???
>>378 見渡す限りの荒野には、所々に身を潜められそうな障害がある。
主要なクレイドルの間を結ぶ街道であればその様な障害は事前に排除できるが、
全てのクレイドルにその様な予算がある訳ではない。
故に一個一個を、砂嵐が吹き荒れる中で二人は確認して行くのだが――
不意に、二人の耳へと飛び込んで来る通信がある。
『……――ッ、…こち……第七MS小 ――いのオー……マン少尉…―。
位置座…確認不能につ……我…行動…不…能! ――ッ、回収を乞う…!』
――砂嵐とミノフスキー粒子により阻害されているため正確には聞き取れないが、
どうやらそれは救難信号の類らしい。
しかしどうにも不自然、一般で使用されている救難用のビーコンの信号は感知されていない。
しかもその通信は暗号通信――聞き取れたのは、暗号化コードが極めて古い形式の為、
機体の通信機に接続されたコンピュータが自動で暗号の解読を行った為だ。
救難信号を暗号通信――限られた味方にしか分からない筈の通信で発する人間が、果たして居るのだろうか…?
>379暗号通信
「…なに?これ。
なんだかミノ粉濃度も高くなって来てるし、…絶対何かありそうなんだけど…」
厭な予感…暗号通信が途切れた後のコクピットにその雰囲気が満ちる。
これで情報の内容がどうあれ、この場所に何かがあるというのは確定的となった。
そして、その方向へと機体を向けようとするメインシートの兄に向けて、ラビは控えめな声音で確認を取る。
「ねぇ、ルビ。うちにはとっても引っかかるものがある。
危険度は一気に跳ね上がってるんだけど…やっぱ確認しに行かなきゃダメ?」
「人命が掛かっているとしたら、今の僕らに選択の余地は無いよ。それに仕事でもあるからね。」
冷静な声に諭される。
どうやら頼りない低テンションの兄のスイッチが切り替わってしまったらしい。
地球での任務の際もそうであったように、こうなれば後はどうなろうと遣り遂げるしかない。
二人で一つのシステムを制御するこの機体に乗っている以上は、自分も気を引き締めねばならない。
それに自分にも少しくらいの人道意識とか、正義感もある。
そう割り切って、ラビは得意の損得勘定を抑え込む。
「少尉さんを迎えに行くよ、ラビ!」
「…どうか回収だけの任務で無事終わりますようにぃ!!」
脚部に備わったグランドローラーを起動させ、GTトレーナーは疾駆を開始した。
381 :
怪道:2008/01/28(月) 22:19:55 ID:???
『…クッ、敵の姿が見えない…!』
通信の送り主、エリス・オークスマン少尉は焦っていた。
乗機である砂漠使用のリーオーのコクピットに入ってから既に六時間が経過した。
片腕と駆動系、更には頭部までも破損した機体の動きはぎこちない、
今は障害物と砂嵐のお陰で何とか命を繋げているが、自分の命が後どれほど続くのかは分からない。
まず彼女は、ここから最も近い"オラージュ・クレイドル"の防衛隊に所属している。
各クレイドルの防衛隊は当然ながらクレイドルの防衛を至上任務としているが、その活動の幅は広い。
彼女の率いる小隊の任務はその内の一つ、物流ルートの安全確保と保全という物だ。
今回の場合は軌道エレベータの襲撃を受けて警戒を強化していた、その矢先の事になる。
『クソ…。
味方は全機撃墜、増援も呼べない…どうする、どうする私…!』
愛機のリーオーの指先に追加装備した振動センサを障害物である岩へと押し付ける。
周囲が断続的に砂嵐に見舞われている以上、音だけが彼女の索的手段である。
―――尤も、それだけでは何の役にも立たないのが事実だが。
>>380 ―――しかし彼女はこの時、ひとますは幸運を手にしたと言える。
振動センサが接近するグランドローラーの走行音を捉え、
つい先刻まで戦っていた相手とは違う機体の接近を、彼女の耳へと伝えてくれた。
<通信>
「接近する…体、聞こえ…か…!?
こちらはオラー…ュの防衛隊だ、現在敵性MSと…戦中、我継戦能力…し、至急援護を乞う!」
相手の所属など知った事では無い、味方をしてくれるなら死神でも今は構わない。
正しく藁をも掴む気持ちで、エリスはレーザー通信を振動音の方向へと発信する。
今度は暗号化されていない明瞭な声、多少の雑音こそ入りはしたが。
今度は、状況がハッキリと伝わる。
ルビとラビの位置からおよそ500m、直ぐそこで―――発砲音が聞こえた―!
>>381 砂塵を巻き上げながら、入力した座標へと直進する最中、
熱源センサーに僅かな反応、そして音響センサーにはっきりとした感が表示される。
巨大な岩石に視界を遮られ、まだ状況は確認出来ないが…。
「!
ルビ、前方500メートル先!」
「聞こえた!
戦闘が起こっていないなんて間違いだった、現在進行形じゃないか!
ラビ、暗号通信返せる?少尉さんへの救援要請の受諾と…後続の皆はどう?」
「ダメやね。ファーストエンゲージはうちらで決まり。
通信は、今の音で"終い"になってなければ伝わると思う…はぁ、なんて貧乏くじ!」
「そんなコト言ってられない!
D-FCS起動、コンバットモード、オンライン!
出たトコをマシンガンで牽制する、ラビはそのまま正確な位置確認を……行くよ!!」
腰溜めにグレネードマシンガンを構え、
時速150Kmを超える速度のままGTトレーナーが交戦ポイントへと進入する!
交戦ポイントへと進入すると、砂嵐の切れ目から状況が視認で出来た。
二機のMSが、岩とも金属とも見える障害物へと砲弾を打ち込んでいる。
恐らくその障害物の向こうに通信主――助けを求める人物が居るのは間違い無い。
攻撃を行っている機体は…余り見慣れない機体。
ルビ・ラビの両名は知っているだろうか、それはかつて宇宙世紀120年代に活動していた
火星独立ジオン軍の主力機体の一つ、RF(リファイン)ゲルググだ。
武装は実体弾バズーカにアサルトライフル、どうやら強奪品を装備しているらしい。
ビームを用いた射撃用装備は蛍光していない様だ。
ルビとラビの存在には未だ気付かず、二機は障害物周辺への攻撃を続行している。
――チャンスだ。
>383
良い位置に出られたと、後部座席にてモニターやセンサーを注視して状況を分析する役割を担ったラビ・タイトハーツは思う。
そしてトントンと、メインシートの背凭れを足で軽く叩くのがラビによる"ちょっと待った"の合図である。
その慣れたやり取りのルールに則して、ルビはマシンガンによる牽制射撃を控えるよう機体を動かす。
「照合結果、出たわ。
オールズ・モビル製のRFシリーズ…」
「ゲルググだね、カタログでも見た事がある。
そしてあの二機の射線上に……少尉さんの機体か。」
「上手く隠れてるみたいだけど、流石にこれ以上は危険やね。
こっちも上手い具合に横っ腹を取れた。ルビ、"アーム"使うわ。アプローチはうちに任せて。」
「この距離ならボクが撃っても大丈夫だけど……ラビがやってくれるんなら。
うん、了解。キツいの一発頼むよ。」
コクピット上部より降りてくるヘッドセットと専用トリガーと連動し、GTトレーナーに組み込まれた機構が起動する。
背部左にマウントされていた巨大なシリンダーが脇を通して前方へと展開、左腕部はそのシリンダーと連結し、固定される。
更に右の肩部装甲内に内蔵された高精度センサーユニットが迫り出し、このセンサージャミングが酷い中、正確な照準を可能とさせる。
「初弾目標、奥のゲルググ。次弾目標手前。
弾種選定:通常徹甲弾、レール加圧正常……インナーアームリニアキャノン、発射ァ!!」
機体が脚部ピックアイゼンを地面に打ち込み、
シリンダーバレルを片腕で抑える体勢を取ると、
ヘッドバイバー内のロックオンカーソルがセンターに位置し次第、ラビはトリガーを続けて二回引いた。
攻撃目標>回収対象を攻撃中の「RFゲルググ」×2
攻撃方法>「IAリニアキャノン」による連続狙撃(弾種:通常徹甲弾)
>>384 まず、奥を進んでいた一機のゲルググが文字通りに"吹っ飛ぶ"。
続いて撃破される爆音、やや遅れて聞こえる砲声。
目の前の異変に咄嗟に反応したもう一機のゲルググは只ならぬ勢いで急制動。
パイロットが加速度に顔を歪めるのが想像出来そうな程の勢いで
機体を動かし、接近するであろう次弾を何とかかわす――凄まじい強運だ。
「!?
何だ、ゲルググをあれ程吹き飛ばすなど…どんな砲を使ったというのだ!
……ええい、ここで落とされる訳にもいかん。」
続いてRFゲルググは味方への着弾から未だ見ぬ敵機の位置を予測。
急制動をかけた余波をそのまま移動に使う様な巧みな機動で、
砲撃が行われた方向へと向かいつつバズーカによる制圧砲撃を加えて来た。
敵攻撃結果:RFゲルググ二機のうち一機を撃破、一機は攻撃を回避。
攻撃目標 :GTT/D
攻撃方法 :空中を飛翔しながら、砲撃から逆探知した発射地点へと連続射撃。
使用兵器はバズーカ(炸裂弾頭を装填中)
>>385 所属不明部隊
ヘッドバイザーを払い除け、着弾確認を行う。
盛大に炸裂したリニアガンの威力は確かなもので、不意打ちには十分すぎた。
「初弾命中、敵機撃破!やっりぃ!」
「でも次弾は躱されたね。あれは出来る人だ。
撃ち漏らしで位置はばれたし、反撃が怖い。
後はボクに任せて照準補正、頼むよラビ。」
「言われなくてもわかってるわよ!
…とと、敵機上方!着弾予測、爆発に足取られないでよね!」
すぐさまピックを抜いてグランドローラーを起動させ、
マシンガンを手に構えつつ、敵機の目を掻い潜るようにして少尉機とは逆方向に迂回する。
奇襲で混乱した敵機を目標より遠ざけつつ、障害物を利用して被弾を回避、乃至は抑えながら撃破する算段か。
敵攻撃結果:発射後、即時ポイントからの撤退により距離を取って回避
行動選択:グランドローラーにて障害物の間を高速移動をしつつ予測位置にある敵機を背後より攻撃する為、移動開始
>>386 「コイツは…無駄弾を撃たせる気か。
…こちらの増援も呼んでいるのだ、時間を貰えればこちらの物よ。
……しかし見慣れない機体だ、やはりこの星の機体は何処か可笑しい。」
(グランドローラーにより巻き上がる砂塵をトレースしつつ、
飛翔中の機体のコンピュータに、周辺の地形を走査させる。
それにより周辺の障害物の状況を再認識、着地後は速やかに行動する事が出来る。
そうして空中からアサルトライフルによるけん制射撃を加えつつ地面に着地。
砂塵を盛大に巻き上げつつ、高速移動する敵機を低空飛行で追いかける。
既にバズーカは収納、取り回しの良いアサルトライフルへと持ち替えた。)
行動結果:周辺の地形情報(鳥瞰)を入手。
行動選択:障害物の間を高速移動するGTT/Dを追跡、射角に入り次第アサrトライフルの射撃を開始。
>>387 RFゲルググ
「乗って来た乗って来た♪
これだけ派手に惹きつけて置けばうちらのお仲間が…エリス少尉さんだっけ?拾ってくれるっしょ。」
「うん。けど増援が無いわけじゃない。長引かせても得になる事なんて無い。
だから、もう少し行ったら攻勢に転じるよ。覚悟は?」
「もーしてます。」
「OK……この状況、
ボクらの腕で、凌いでみせる!!」
敵機のよる攻撃を高い機体速度を利用した巧みな射角誘導によりある程度思いのまま御して回避を続け、
北へ数キロ程進出した所で、脚部ピックを利用した、急激なターンを行う。
そしてその勢いのまま、対応する為に咄嗟の制動中であろうゲルググに向けて手にしたマシンガンをフルオートでバラ撒く。
更にピックを抜いて後ずさるように跳躍、すぐさま岩塊の影に身を隠そうと動く。
敵攻撃結果:互いに地形走査を完了しており同条件。そしてGTトレーナー側が回避に専念している為掠めはするものの直撃には至らず
行動選択:敵機誘導後、攻撃の間隙を縫って急速ターン、正面に据えた敵機に狙いを定める→攻撃後退避予定
攻撃方法:90mmグレネードマシンガン(フルオート約5秒)
>>388 「疾い…まるで飛燕の様だな、コイツは…!」
(無論、セオリー通りに咄嗟の制動がかけられる。
セオリー通りであるならば回避行動、直撃は避けられるが敵機を取りこぼす事となる。
しかし)
「だが、我らとて遅くは無いぞ!
シャルル様が来るまで、我らは倒れる訳にはいかんのだ!」
(咄嗟の制動、それはほぼ全てのスラスターを用いての正面への急加速。
RFゲルググの装甲は頑強だ、五秒間のフルオート射撃でもその勢いは止まらない。
かなりの量の銃弾が装甲を傷つけるが、パイロットはその動きを鈍らせない!
そしてその勢いのままに銃撃、更に左腕で抜き放ったビームセイバーを敵機へと振り下ろす。)
敵攻撃結果:重装甲に身を任せ、突撃。 装甲に大きな損傷を負うも、耐え切る。
行動選択:突撃しつつアサルトライフルの応射、続いてビームセイバーによる斬撃。
攻撃方法:アサルトライフル&ビームセイバー
>389 RFゲルググ
「ルビ、あかん!」
弾倉まるまる一つ消費してラビの精密な照準補正から放たれたマシンガンも、
しかし敵パイロットの熟練と堅牢な機体装甲によってこちらの思惑通りには効果を示さず。
更に、迅速な行動選択によりこちらが岩陰に身を隠すよりも早く反撃に転じられてしまう。
「――そう、来るっ!」
それでも少年にとっては誤算の内。
何千回と二人で繰り返してきたシミュレーションの中にも同じ状況は幾度も存在した。
加え、自らに実戦経験が無い訳ではない。
ツインシートのその後ろに自分以外の誰かを乗せているという重責がルビに冷静さを保たせ、
その冷静さが敵機のその手に対する"半歩の身の引き"を可能とする。
マガジンを一挙動で交換したその後でディフェンスプレートを展開したGTトレーナーは、マシンガンを下げ、
強固なプレート表面にアサルトライフルの弾痕を描かせ、同時に伸ばした右から鞘を引き抜き、
ドライブさせたビームソードを袈裟に揮ってビームセイバーの軌跡に応じる。
「でも"CQC"なら、ボクの十八番(レンジ)……」
そして、防御行動を終えた左のディフェンスプレートを溜める様に引き、
ビーム同士の干渉力場が拮抗する最中、ルビは更なる手に踏み切った。
「貴方に対応出来ないワケじゃないっ!!」
シールドエッジによる、敵兵装への重打突!
敵攻撃結果:アサルトライフルによる攻撃を盾で対応。同時に咄嗟に身を引くことで十分な予備動作を確保、取り出したビームソードによりビームセイバーを受け止める
行動選択:ビームセイバーをソードで受け止めたまま左腕のシールドで敵兵装への格闘攻撃を敢行
攻撃方法:シールドエッジ打突
>>390 「切り結んだ…いや、防がれたか!?」
(なまじ突撃と言う動作を取ってしまったため、機体を引く事が出来ない。
熟練のパイロットといえど、物質の運動法則を己の意思どおりに捻じ曲げられる訳ではない。
シールドエッジの打突がRFゲルググの右腕に持たれたアサルトライフルを貫き、
大した価値も持たない唯のスクラップへと変えてしまう。
バズーカを放棄してしまった以上、射撃兵装は腕部のアームミサイルのみとなった。
その衝撃のおかげか、咄嗟に距離を取り直すRFゲルググ。)
「おのれ――何故今ので止めを刺さん。
…我らを捕縛するつもりだとすれば、そうさせる訳にはいかん…!」
(その時、予備であるもう一つのセイバーを抜刀するRFゲルググの後方から、
遠雷の様な砲撃音が聞こえた。)
敵攻撃結果:アサルトライフルを破壊され、アームミサイル以外の射撃兵装を失う。
行動選択:距離を取り、アサルトライフルの代わりに二振り目のビームセイバーを新たに抜刀。
注意事項:ゲルググ後方より砲撃音、GTT/Dへと向けて飛来中。
>391 RFゲルググ
「何?さっきのあれは。あわよくばなんて甘いコト考えてへんやろな?」
「あわよくば、か。ボクの腕で出来れば良いけどね。」
グランドローラーの逆回転と全部推進器を噴かして距離を取り、
ディフェンスプレートを畳んでインナーアームを再び連結する。
「二振りも出されたら難しくなる。距離を取るから頼むよラビ。」
「はいはい、まったく……――レーダーに感!」
「アラート!?回避を…ッ」
遠雷の砲撃音が観測された頃には、
GTトレーナーのほんの数十メートル先に有った岩塊が炸裂し粉みじんに粉砕されていた。
それは精確な腕を持った砲撃手の増援の到着を知らせる、二人にとっての蒼天の霹靂に他ならない。
「タイムオーバー。増援のご到着。
やり難くなったわ、三割…ううん五割り増しくらいに。こっちの後続は何してん?」
砲身の延伸を終えた「インナーリニアガン」の照準内にRFゲルググを収めながら、溜息混じりのラビ。
それに、グランドローラーの機動チェックを行いながらルビが呟く。
「……まずいね。けど燃えても来た。」
もう一つ吐き出される溜息と重なるように、再びラビの頭にインナーアームと連動したヘッドセットが降りてくる。
「今からこれを撃つのはうちやのに。
ま、ええけどね、好い加減慣れっこや。
それじゃま、ゲルググさん……うちらも本腰入れていくからね?」
トリガーに指を掛け、続けて二度それを引く。
吐き出されるのは加速レールに沿って射出された、超初速の豪弾。
初撃は直撃を狙い、続く次弾はその回避コース……延いては射線上の新たな敵機――!
※補足
行動選択:距離を取った後、インナーアームによる連続砲撃。
攻撃対象:RFゲルググ+α(ゲルググの次弾の回避コース上に増援の敵機の位置を予測)
攻撃方法:インナーアーム・リニアガン
>>393-394 「来たか!
この手際は…クルトのドムだな。」
『遅れて済まない、どうやら食いつかれているらしいな。
隊長も他の連中を回収したら来るそうだ、その前に奴の首を取るか逃げるかだ。』
「そうだな、しかしどうやら手を抜ける相手ではない。
装備も練度も、そこらの雑魚とは比べ物にならん…!」
(レーザー通信で手短に確認を済ませながら、攻撃に備える。
相手の機体を見るのは初めてだったが、熟練の経験がその動作を危険な物だと警告する。
【危ない】と仲間に、何より自分自身を奮い立たせる為に声を上げ、
フットペダルを踏み込みスロットルを押し込み、思い機体を強引に跳躍させる。
後ろに下がれば捉えられる、周囲には障害物も多い以上――こうするしか無い気が、した。
しかし綿密な照準で放たれた砲弾はゲルググを捉える、咄嗟の制動で直撃こそ避けた物の、
超高速で放たれた砲弾はRFゲルググの左腕を付け根から吹き飛ばし、四肢の一部を奪い取る。)
『そういう事ならこちらにも考えがある。
……引かないのならば、さっさと死んで頂くより他には無い様だな!』
(当然、ゲルググが跳躍した方向に新たな敵機の姿は無い。
続いてGTT/Dの正面方向約500m強から砲撃音、周囲の障害物ごとなぎ倒す勢いで、
10発弱の炸裂弾頭が撃ち込まれて来る――ラケーテン・バズの砲弾だ。
ラビとルビの両名からはまだ見えないが、その砂塵の向こうには一機のRFドム。
その両腕にラケーテン・バズを一門づつ構えてRFゲルググへの支援砲撃を行っている。
恐らくはRFゲルググのパイロットがレーザー通信で間接砲撃指示を出しているのだろう。
遠距離視界の確保できない状況下でこの様な支援砲撃を行うには、それより他に手段が無い。
更に周囲にはゲルググが追加で放ったアームミサイルまで着弾している、足を止めようと言う算段か。)
行動選択:ゲルググはスラスターで跳躍して回避を試みるも失敗、左腕が付け根から脱落。僚機には被害なし。
攻撃対象:GTT/D(周辺の地形を含む)
攻撃方法:ラケーテン・バズ二門による面制圧砲撃+ゲルググのアームミサイルによる空爆
>394 RFゲルググ+RFドム
GTトレーナーの手前、左右、後方と、土煙を盛大に巻き上げてバズーカ砲が着弾する。
照準補正を加えながら行われる、圧倒的なまでの火力面制圧……。
その猛攻の前に煽られ、蛇行しながらホイールを回して下がり続ける機体は、正しく回避だけで精一杯という様相を呈する。
「この火線、密度が半端じゃない…!」
「本腰入れて来てるのはあっちも同じってわけやね……ほらルビ、もっときびきび回避する!!」
無茶を!!と吐き捨てるようにルビが叫び、額に冷汗を浮かばせながらレイカーとフットを弾き続ける。
寸分の動作ミスが直撃に繋がりかねない状況で、この火力に対する障害物の多さは反って命取りになりつつある。
それというのも、敵増援が帯行していると思われるバズーカの威力の前に、岩塊はまるで役に立たない。
それどころか巨大な岩石を盾にすれば崩落の恐れがあり、それにより蒙るダメージは言わずもがなというもの。
威力支援に加え、打ち込まれたアームミサイルはこちらの足を止めようと炸裂する。
GTトレーナーにとって、脚部グランドローラーは機動力そのもの。
これが失われれば本システムをメインとした機動パターンを確立し、他の推進器の搭載を最低限としている本機は即ち棺桶となる。
「あんな、
このGTトレーナーはな、稚拙な操縦技術しか持ち合わせてへん訓練生が、
どない扱ってもええよう、他の機体に比べて遥かに頑丈に設計されてん。」
「そしてそれはこの走破システムも然り。
仮令、貴方方の砲撃により穿たれた悪路でも……僕らはまだまだ止まらない!止められません!!」
だが、一介の訓練生にとって絶望的でしかないこの状況に在っても、
その双子の覇気は一片たりとも失われず、挫けるものではない。
このラインで敵機を抑える事は、友軍機の回収を行う時間稼ぎになる。
そして自分たちの奮闘が被害を最小限度に留められるのなら……最早機体の損耗などは考えていられない。
"これ以上"は無理と解かっていても、"これまで"ならと退かないのである。
機体性能を口にして愛機への信頼をより強くし、二人の集中力をより高めてゆく。
「砲撃の間隙、見逃さない!!これなら!!」
「次は貰うで、ゲルググさん!――インナアーム、ファイアッ!!」
果敢にも距離を詰めてマシンガンの射程にゲルググを収めるルビ。
そして、空気の積層を貫く劈音と共にラビの手により三度目の豪弾は放たれた。
敵攻撃結果:回避に専念した結果、幾つかの炸裂片が装甲板にめり込むものの、損傷は未だ軽微
行動選択:面制圧をやり過ごすと同時に、滞空中のRFゲルググに照準、即時砲撃
攻撃方法:90mmグレネードマシンガン(フルオート牽制射+榴弾射出) + インナーアーム・リニアガン(一発)
>>395 「退く気は無い、という事か。
…この動き、まるで何かが憑いている様だな……ッ!」
(原型となった機体とは別次元とも言える運動性能を誇るRFゲルググ。
しかし攻撃動作を取った以上は、そのモーションを補完する動作――
――即ちスキが生まれる、それが不安定な空中とあれば当然の事だ。
無論そのスキは小さい、だからこそRFゲルググは高性能な機体と言われるのだ。
だがしかし、どれ程の能力を持っていようとも
"結果がそうなるべき"行動を取れば、"結果はそうなるべく"訪れる。
RFゲルググの設計者がそうで無かった様に、設計された機体も全能では無い。
ましてや如何にパイロットが熟練の戦士であろうと全能でない以上、
その障害――スキを消す事など不可能だ。)
(マシンガンが着弾する、残っていた片腕に何発もの銃弾が叩き込まれ、
二の腕から先は、保持していたセイバーごと脱落した。
そうして体勢を崩した途端に榴弾が至近距離で炸裂、破片は頭部を叩き壊す。
続いて放たれたリニアガンの砲弾がゲルググの股間部分を突き抜けてバックパックを貫通し、
RFゲルググは推進力を失い、火星の大地へと墜落する。)
「…クソ…ッ。
我々の戦いをここで終わらせる訳にはいかん、隊長はまだなのか…!?」
敵攻撃結果:
全武装と頭部、バックパックを破壊され行動不能。
パイロットは生存するも戦闘能力を損失する。
>>395 『デュランを落とすとは…どういう連中だ…!?
連邦の腑抜けどもとは比べ物にならん、これはいかん…!』
(味方が落とされた事に動揺している暇は無い、
決して油断していた訳ではないが、これにより自分達の優位が失われたのは間違い無い。
何故なら古今東西、フロント[前衛]を失ったバックス[後衛]が辿る道は只一つ。
――緩やかに殲滅されるか、怒涛の勢いで狩り立てられ、命を落とすか。
過程の違いこそあれ確実に訪れる死、それがRFドムのパイロットが知る限りでの戦場の掟。)
『…クソッ、まだレンジの差はこちらにある。
弾も充分……そちらのその砲弾、一体幾つ残っている……!?
こっちの虎の子だ、全弾持って行きやがれ!!』
(続いて放たれる砲弾は炸裂焼夷榴弾。
ロケット推進する一発の砲弾の中に。数十の小型テルミット焼夷弾が子弾子として装填されている。
目標付近に到達すると同時に炸裂、炸裂地点周辺を、MSの装甲すら溶解させる高熱で包み込むという砲弾だ。
極めて威力が高い故に扱いづらく、故に殆ど流通していない高価な弾薬だ――。)
行動選択:敵機が射撃を実行した直後、やや恐慌気味ながらの一斉砲撃。
攻撃方法:ラケーテン・バズ×二門(弾種:炸裂焼夷榴弾 計6発。)
>396 RFゲルググ
「はぁ…はぁ…良かった、
上手く無力化だけで済んだみたいだ…!」
「ふぅ、僥倖や……でもまだ終わりじゃない。」
リニアガンの反動でバランスを崩した機体を、脚部ピックで支えて停止させる。
撃墜を見て生体反応を確認し終えると、急ぎコンソールの残弾表示を確認、給弾作業を迅速に行う。
「マガジンはこれで最後。
"アーム"もあと2発。"切り札"はどーするルビ?」
「切り札は切り札。最後に切る機会があれば出し惜しみはしないよ。
大抵はそんなヒマ、与えてくれないからね……今がそういう手合いだと思う。」
それより、と呟き機体を走らせる。インナーアームを下げて、
展開するのは、戦いの中ダメージの蓄積されたディフェンスプレート。
防御手段として更に依存するには少々心許無い。
「移動しよう。ここに居て狙われたら、ゲルググの人を巻き込む――」
「――!!ルビ、飛翔体全部で6!!そんなん敵さんお構いなしや …きゃあっ!!!?」
アイゼンピックを抜き、ランドセルのバーニア点火と共にローラーダッシュ、
バズーカの弾道から割り出した"新たな敵機"に向かおうとした矢先、弾速の遅いそれはGTトレーナーの至近に着弾する。
>397 RFドム
咄嗟に前部スラスターを全開にしてバランスを省みず後ろに飛ぶが、四散した焼夷弾の燃料は周囲の荒野諸共を炎に包み込む。
「外部温度急上昇!?焼夷弾!!ダメ、駆動系が…ッ!!」
「流体パルス応答なし……オーバーヒートしてるんだ……! 落ちるよ、舌噛まないでラビ!!」
シールドも構えたものの、焼夷弾の熱量に耐えられず敢え無く融解。
どろどろの飴細工のようになって降り注ぐシールドの構造材を前部装甲に浴びながら、
大地に仰向けに叩き付けられ、燃え盛るGTトレーナーの機体。
敵攻撃結果:至近で炸裂、回避を試みるも十分な動作が出来ずに結果着弾。直撃大破は免れたものの駆動系の一部に重大な損傷
行動選択:オーバーヒートにつき行動不能。
>>398 「ハァ……ハァ……こちらの虎の子、コレ位食らって貰わないと困る。
――危うくデュランを殺す所だった、後で俺が殺されちまうかな。」
(少し冷静さを取り戻したのか、バズの弾倉を交換しながら呟く。
そうしてホバー装甲しながら、RFドムはGTT/Dへと接近して来た。
――高熱でガラス化した周囲の砂がパリパリと割れる音が、
先程の攻撃の凄まじい熱量を表している。)
「身動きの取れない相手を…というのは心苦しいが。
ここまで見られてしまった以上、我々の情報を持ち返られる訳にはいかない――!」
(バズを下ろし、背中から引き抜いたヒートサーベルを作動させる。
両方の手でしっかりとそれを持ち、仰向けに倒れたGTT/Dのコクピットへと付き立てようとしたその時。)
『クルト…!南方より未確認機が接近中、気をつけろ!』
「な…に……っ!?」
>>399 ―確かに接近はしていた
ただそれは妙な軌道を描いていた、奴の通った後はとんでもないことになっていたと言う意味で
しかし到着には若干時間がかかりそうである
「分の悪い賭けをするコトになるが…さて…」
本来彼はこの場にいなくてもよかったのかもしれないが利はあった
ほんの僅かかもしれないが
180mmキャノンを遠距離から砲撃できるようにセットしてある
「射的大会の始まり……違うか」
状況は…あれか
「データ照合確認 GTT/Dです」
拡大画像から見てわかるが味方機が位置的にまずいところにいる
狙える距離、しかし外してしまえばほぼOUTだ
喋らなくてもいいように通信コードを入れて味方機に送る
政治問題に発展しても困るが敵にこちらの意図を読まれては困るのである
読まれたらそのときはそのときである
>>398 <暗号通信>
5秒考える時間をやる
蜘蛛の糸をつかむ気はあるか?落ちれば地獄行きだが
「はい」なら一回「いいえ」なら二回(コール)サインを入れろ
>>400 「MSの反応…しかしあの動きは、敬遠しているのか…?」
(その動きは、幾らかの困惑を以って迎えられた。
遠目に見る限りでは見慣れない機影――尤も、この星では殆どがそうだが。
動きからして、あの忌まわしい原生機械生物でもなさそうだ。
彼が知る限り、自分達の部隊にあのような機体は居ない。
こうなれば、余程"おめでたい奴"でも無ければ直ぐに分かる。
あれは、敵の増援だ。)
「あの妙な動きは気になるが…こちらにも直ぐに増援が来る。
……隊長、早く来てくれませんか…ッ!?」
(ヒートサーベルを背に戻し、ラケーテン・バズを担ぎ上げる。
弾倉は既に交換済み、散弾ならば対空用途にも使用可能だ。)
「その距離ならまだ良い、尻尾を巻いて逃げて帰ってくれればな…!」
(敵機進行方向、着弾までの偏差予測。
二門のバズが火を噴いた、撃墜されるほどの威力は無いにしても、
SFSの速度を鈍らせる程度の威力は期待できる砲撃が、未確認機へと飛んで行く。)
行動選択:GTT/Dへの攻撃を休止、未確認機の飛行進路上に対空散弾を砲撃。
攻撃方法:ラケーテン・バズ(弾種:散弾 計二発。)
>>401 「動いたか」
敵位置関係がずれたの確認しRFドムに180mmキャノンを放つ
「……」
軌道と時間差から読んで左手にバズーカを持たせ一発を迎撃用に放つ
一発は無力化できるが流石に時間差で二発目は敵機直撃に放ったため普通の方法ではまず難しい
すかさずザクバズーカで直接ニ発目を放つ
「……!」
何を思ったかSFSを最高速にして機体を横滑りさせてみたものの、いくらか散弾を被弾させてしまう
そのため被弾しながら接近する方へ移動してしまう
「(この手には慣れている…とは言えんか)」
敵攻撃結果:一発目は無力化二発目はSFSに被弾
行動選択:RFドムに180mmを1発二発目着弾前にザクバズーカを放ち1発目を迎撃二発めをRFドムに直接攻撃
>>402 「ロケット推進の弾体を撃ち落すとは…やるな!
しかしあの機体…ザク系列の改造機体なのか…?
クソ、能力がまるで読めない…」
(熱核ホバーの出力を引き上げて機体を横滑りさせる。
十分に余裕を持ってザクバズーカを回避するが、ここでドム側には問題が一つ。)
「…しかもこっちの弾はもう切れると来た。
仕留めなきゃいかんのに弾は残り少ない、敵は元気と来れば…なぁ。」
(撃ちつくしたラケーテン・バズ一門を投棄する。
これで残されたバズは左腕で抱えた一門んおみ、武装としては腰の増設ラックにマシンガンがあるが。
しかしそれを抜く事はせず、ドムのパイロットは熱核ホバーの出力を再び引き上げる。
向かうのは未確認機、障害物を利用しながら、敵に対して露出する面積は最小限に。
元々地上用のMSとしては驚異的な機動力を誇るドム・シリーズだ。
凄まじい勢いで距離を詰めながら、被弾したSFSに乗る未確認機へと接近する。)
敵攻撃結果:熱核ホバーによる回避運動で、ザクバズーカの砲弾を回避。
行動選択:熱核ホバー起動、周辺に点在する遮蔽物を利用しながら距離を詰めにかかる。
>>403 「意外とセコイ手を使う奴だ(……まあ俺もセコイ手使うの大好きだけどね)」
散弾によるSFSに影響は比較的ないのは機体構造なのかそれとも…
「ドム系は機動力に定評があるんじゃあ仕方ないな( ´∀`)」
あと耐弾性もあるとかなんとからしい
180mmは余り当たらないだろうと踏み右手にバズーカを持ち替え、180mmキャノンはSFSに固定
「……どうやら地形を利用してくる(らしい)な」
ドムの狙いは不明だ
「(……他にも気になる事はあるな)届けばいいんだが……」
予測進路上に足元狙いで一発バズーカを放つそしてクラッカーを一つ放ちもう一発ザクバズーカを放つ
距離を詰められるのもあれだし、こちらも地形を生かし距離をとる
残弾が少なくなれば格闘距離に持ち込もうとするのは道理だ。それに付き合う気にもならないようである
行動選択:武器持ち替え後バズーカとクラッカーで攻撃(バズ→クラッカー→バズ)
その後地形を生かして回りこむようにして距離をとる
大地に叩きつけられ、各部から“スパーク”という形で機体の悲鳴が上がる。
機体のアブソーバーが凄まじい振動からコクピットブロックを防護したお陰で、
構造材に頭をぶつけて首の骨を折ったり、脳漿を撒き散らすといった悲惨極まりない最期を迎えずに済んだが、
打撲くらいはしているらしい。ルビは肩の辺りがズキズキと痛むのを感じていた。
「しらかんらぁ(舌噛んだ)…」
「だから言わんこっちゃない……でもまずいな、本当に不味い。」
頭を振って衝撃の余韻を振り払うと、どう考えても無事らしい妹の事を軽く流し、
解決策の提示の無い機構エラーを延々と表示し続けるOSモニターに舌打ちをして、なんとか状況を確認しようとする。
「ラジエーター稼動停止まで約10分……
内部システムが一部生存するも脱出システムは外部からのエラー…完全無力化を確認っと。蒸し焼きかぁ」
「そんな、ヒトゴトあらへんやん!!……うちらのGTトレーナー、棺桶になってしもーたん!?」
ルビの抱いた諦観に不安感のキャパシティを振り切ったラビはシートから身を乗り出し、
兄の頬を抓りながら「ばかばかあきらめるなどーにかしなさい!」と無理を喚く。
>399 RFドム
スピーカーから掠れた接近アラートが響き、
ノイズ雑じりのレーダーにこちらに向かってくる敵影が表示される。
メインカメラも焼きつき、自慢のサラウンドモニターは継ぎ接ぎで燃え盛る紅蓮荒野を映すばかりで角度の切り替えも出来ない。
「これって念入りに来てんの?もー放っといてんかー!!」
「訂正。このままだと重火器による爆死か、熱量兵器の直接攻撃で消失か……年貢の納め時は不動か。」
「じょーだんやない!うちらなーも悪いコトなんしてへんやん!」
「最初のゲルググのパイロットさんは死んでるかもしれない。」
「…そ、そやけど…、こんな死に方あんまりよ……」
力いっぱい頬を引っ張っていた手も最後には力無く戻され、
コンソールをじっと見つめ続けるルビの後ろで、どさっというシートに身を沈める音が聞こえた。
「…、…、…、…、」
「………?」
束の間の沈黙で満たされるコクピットで、
しかし先ほどから前のシートからぶつぶつと聞こえてくる声にラビは眉を顰める。
壊れたか、兄貴?
「…、…、…い、…こい、来い、来い、来い………――来た!」
モニターの表示が切り替わる。
そこにはヒートサーベルを突き立てようと構えるMSの巨大な影が映し出されていた。
「もうだめぇーーーーーーーーっ!!!!!」
>400 未確認
「――?……?、?」
数瞬後、更に何秒待てども灼熱に焼かれる瞬間が訪れない事に疑問を覚えたラビが、
恐る恐る俯かせていた顔を上げると、そこには在らぬ方向を眺め、何かを警戒しているらしい敵機の姿が映っている。
次いで、レーダーに目を映すと、見知った判別マーカーの影が明滅している事に気付く。
呆気に取られ、目尻に滴を浮かべたまま最後に見やった先の、ルビの微笑。
「来たって、そっち!?」
「うん。コールサインしてってさ。」
「はい……、はい!はい!はいはいはい、はぁーい!!(コールサイン連発)」
「一回で十分だよ…。
良かった、願えば通じるものだね……」
ふはぁ、と溜息を付き、シートに身を沈めようとして、堪える。
ルビが見つめた先。ラジエーター稼動限界までのタイムリミットがカウント表示されている。
「(あと8分……回収されるまで助かったわけじゃない、か。 せめてこの場から移れたら……)」
唇を噛む。
己の油断が招いたに等しいこの状況。
自分だけならまだしも、妹を危険に晒し、仲間にも余計な手間を掛けさせてしまうという後悔は、先に立たず。
敵攻撃結果:友軍機の到着により目標が切り替わり、未遂
行動選択:依然行動不能なものの、友軍機に対しコールサインを送信
備考:内部温度維持限界まで残り約8分
>>405-406 「――――。」
(目標の優先順位を取り違えるほどには、ドムのパイロットも愚かではない。
元よりヒートサーベルを抜いたのは確実を求めただけの事、
あれだけの熱量を伴う攻撃だ、推進剤に引火しなかっただけでも幸運。
しかしラジエータに不具合が発生した事は経験から予測出来た。
放っておけば機体は熱により自壊、運良く脱出できたとしても自分達の情報はそんなには広まらない。)
>>404 「…チッ、時間稼ぎのつもりか。
自分が有利の癖に、姑息な真似をしてくれる。」
(尤も、彼とて戦いにおいて卑怯な事を責める事はしない。
どんな場合でも犯してならないルールというのは確かにあるが、
それ以外の大抵の事なら、生き延びる為には使うべき――彼はそう考える。
そしてこうも思う。
本当に強くなろうと願うのならば、そうした物をも超えていかねばならないと。)
「そんな攻撃――何の為のホバー推進だと思っている!」
(足元を狙った攻撃など意にも介さない、弾速の遅いバズーカの砲弾を避けるのは容易だった。
周囲を障害物に囲まれていようと、地面の状態が悪化しようとも、
走破性能に優れたホバー推進の足を止める事は無い。)
「こちらの増援は間もなく来る…その前に、片腕位は頂いておくぞっ!」
(熱核ホバーの出力を更に引き上げ、スラスターに点火する。
50tを超える巨体が急速に速度を引き上げ飛翔して、
分厚い装甲は炸裂するクラッカーを物ともせず、続いて放たれたバズーカを紙一重で交わしてみせる。
そうして時速100キロを優に超える高速飛行からラケーテン・バズの全弾を発射すると、
速度を殺す事無く、SFSに乗る正体不明機へと猛烈なショルダータックルを繰り出して来た。)
敵攻撃結果:熱核ホバーによる回避運動、及び装甲による攻撃の無力化に成功。
行動選択:熱核ホバー及びスラスター点火による跳躍と高速飛行。
ラケーテン・バズ全弾発射に続き、敵機に対して極めて強烈なショルダータックルを行う。
攻撃手段:ラケーテン・バズ 計3発&ショルダータックル
>>406 『コールサインを受信しました』
機体のサポート音声が告げる
…コールサインの連発からして機体の不具合か?
しかし見るからにもはや不味い状況である…
「ほとんど手遅れか…?俺が来ようと大して変わらんか」
戦闘参加は期待しない方がいいかもしれない
「喋ってる場合でもないけど機体が違うんじゃあ仕方ないな( ´∀`)」
これについては『速さが足りない』と指摘されるぐらいなこの青年よりも
もっと良い人材を募った方が良かったのかもしれない
<通信>
「こっちは交戦中…変なのが沸いて出てもどうしようもないがな、他には?」
>>407 「……」
―ルールも時として破られる。大なり小なり、
時としてそれは『イレギュラー』と呼ばれるものもある―
(青年は思う…危険地帯でもどこでも通行できる事を前提にしてるのに戦闘に勝たねばならぬと言うズレに
どこか理屈がおかしいと)
【審議中】
(バズは弾速的にあたらない様だし…)
(くらっかーでもこうかはいまひとつのようだ)
(問題はホバータイプだから機動性と装甲の両立を成しているんじゃあ仕方ないな( ´∀`))
(逆に言えばホバー殺せば機動性アドバンテージを潰せるっていうw)
(さて……どうした物か…)
バズーカを3発がザクに迫る…
だが青年は何かに気付く
「駆け抜けろ!」
SFSの出力を全開に
1発目はブーストの切り方を変えることにより着弾予測位置から抜け、
2発目は曲がりつつ隠れるようにして地形を遮蔽物として弾を地形に当てさせ
3発目は上昇させる事による角度をずらすことによりかわす事に成功する
「伊達にどこでも通行、危険地帯も込みの前提でやっているわけでもないと言う事でないがな」
しかし高度的に突進は届いてしまうだろう…
「ちぃ!」
持ってかれるわけにも行かんが戦闘機能を落とすわけにもいかん…
「分の悪い賭けをするつもりはなかったがな…これで落ちるかどうか…!?」
ドムのタックルに対しSFSのコントロールを減速し底面をぶつけるようにしてドムのバランスを崩すのを狙う
SFSが強奪されればOUTだし効果はないかもしれないが…
いきなり変な機体から煙が上がる…
バズーカを左手に、180mmキャノンを再び持つ。
―荒ぶる雄牛の突進と同じく、それは隙を生む、ゆえにチャンスである。有効打を返せればの話であるが―
緊急高速移動用ブースターを使い一気に地上へ、なだれ込み、ここでバズーカを投棄
180mmキャノンを両手で構えドムとSFSに対し垂直の位置から狙って防御も考えつつ連続砲撃
敵攻撃結果:バズーカ3発を回避
行動選択:タックルに対してはSFSをぶつけてスモークデスチャージャー、緊急高速移動用ブースターも併用し移動
バズーカをドムから離れたところで投棄、180mmキャノンで砲撃
備考:GM盾、予備用にマシンガンあり
>>408 (もっともな話ではある、ただしそれは真っ当な組織での話だ。
所属不明部隊である以上、自分達の情報が広まるのは出来る限り避けねばならない。
そしてその為に最も手っ取り早く確実な手段が、相手の口を封じる事だ。)
「――チ……いぃっ!?」
(だが、その為の気合が空振りしてしまった。
敵機体が起動したラケーテン・ガルガン(緊急高速移動用ブースター、彼の目にはそう見えた)により
目標はドムの渾身の一撃を交わし、その勢いを逆に利用しSFSをぶつけて見せた。
対するRFドムにはその様な装備は無く、視界すら奪われた状況においては回避もままならない。
胴体部に直撃を受け、更には180mmキャノンの砲撃。
キャノンの砲弾は直撃こそしなかったがSFSに着弾、爆発を引き起こしRFドムへと損傷を与えた。
撃墜こそ出来なかったが、見た所相当のダメージを受けている。)
「……ク…ソ……ッ!?」
(悪態を付きながら、酷く動きの緩慢になった機体を必死に動かすパイロット。
そうして彼は背後を見る――きっと来ると、そう願っていた味方を信じて。)
敵攻撃結果:SFSが胴体へ直撃、更に爆発に巻き込まれた事で機体全体に大きなダメージを負う。
行動選択:地面に落着、動作は可能だが敵機と相対して立ち往生している。
>>409 「しくじった、壊してしまうとはな」
賭けは微妙な結果に落ち行ってしまう、ゆえにしたくはなかったが
「…(機動性を潰す事には成功したっぽいが一瞬で決まりそうだ)」
所属不明部隊と言うことは知っている
しかし通行する者にとってはただの厄介な奴に過ぎない
その特性が口封じを行うようなのであればなおさら、
どんな信念でも血が流れることには変わりない…
このことが青年を戦う理由をなくすことになる要因の一つであった
ドムのパイロットはそれを知ることはないだろう…そして他の誰にも
サボリに理由を語るのはアレであるからだ
左手のGMシールドの裏には近接格闘武器のダガーだかよくわからない刃物が携えておく
ドムに180mmキャノンを狙って放つ、これをかわされればまず戦いが長引く、
あまり長期戦は望ましくないだろう、所属不明部隊と言う変な連中が出てくる地域にいるのだから
行動選択:GM盾で隠れて見えないようにして格闘兵装を隠し持ち、ドムに180mmキャノンで攻撃
備考:CBAは装備中
>408 未確認機
<通信>
「サンキュー神様!」
「どうもすみません、無理はなさらず。
そうですね…
ちょっと今割と危険な状況でして……、出来ればお手数ですが後続の方に状況を送って回収を頼めますか?」
機体がやはり不調なのか、
ノイズ雑じりのサウンドオンリーで聞こえてきたのは若い、それこそ少年と少女の声だ。
「――ばっきゅーん!」
突如として二機の間を裂いて地表を穿った光条は、遥か遠方に位置する何者かの存在を示す。
「やっほー、クルトおにーさん♪
ずいぶんと楽しんでるみたいだね?」
そして、その場に居合わせた全ての機体のコクピットで熱源接近アラートが鳴り響いた次の瞬間には、
既に新たな"招かれざる来訪者"のMSが戦闘空域に侵入を果たしていた。
次いで、クルト機の通信機の向こうから聞こえてきたのは、凡そ場違いとも思える少女の声。
彼にとっては聞き慣れた……そして、更なる頭痛の種ともなる声。
「……って、あれ?
なんでリファドムくんそんなにボロボロなの?
それにデュランのおじーは?確かそっちにはジャンおじさんも居たはずだよね?
あは、まさか二人とも墜ちちゃったの?
フヌケばっかりでつまんないだろうって言ってたクセにさぁ。」
上空。
青白いフレアを放出しながら滞空し、眼下を悠然と眺める機体が在る。
イエローとホワイトのツートンに塗り分けられた機体のフォルムにはしかし、該当するパターンが見つかった。
グリプス戦役時にルナツーにて量産された士官用の優良機「ガルバルディ」。その前身機である「アルファ」と酷似したデザインライン。
だが、その背部には機体面積の実に半分を占めようかという大型の推進器が認められ、
それが手にする中世の"ハルバード"を彷彿とさせる巨大な矛と合わせて、一目で個人のカスタム機である事が解かる。
「ということでぇ、『エメ』が援けに来たよ♪
シャルさm……少佐をがっかりさせないためにも、全員無事に合流しないとね☆」
やがて周囲の状況の走査を終えたその機体は、
構えた得物を優雅な所作で振るい、前傾姿勢を取る。
「ところで、ジャマは“ソレ”だねお兄さん?」
クルトのモニターのサブウィンドウに映っていた少女の顔に僅かな変化が見える。
笑む口元。細める目…緋色の瞳。
それは、無邪気さの中に在る狂気の彩。
それは、獲物を前にした狩人のようにも映った。
「だったらまずは足から斬っちゃえ。
――行こっか『イェーツェル』……“衝動”のままに。」
ハルバードの分厚い刀身はうっすらと白色に熱を帯び始め――次の瞬間、電荷した『ガルバルディ』の背が金色に爆ぜる。
空気を切り裂く劈音を伴って“白黄の猛弾”が、解き放たれた。
行動選択:槍を構え、背部ブースターを点火しての高速突撃
攻撃目標:未確認機(攻撃部位:脚部)
攻撃方法:高熱化した「ロングハルバード」による「薙ぎ払い」
>>411 『無線を傍受しました、通信対話可能です』
<通信>
「神はいない…かもしれんが
わかった…ポンポンポン…っと、はい!支援、回収要請は出しておいた」
いつの間にやったんだが知らないが多分短縮された行程によるものだろう
>>410 「―――ッ!」
(ぎり、と歯を噛み締める。
この自分が、百戦錬磨の自分たちが遂に負けるというのか。
今まで多くの仲間が死んでいった、だがそれでも生き延びて来た自分達。
それが、こんな些細な油断から終わるのか。)
「………Jesus(畜生)」
(そう呪詛を吐いた所で、180mmキャノンが左肩へと着弾した。)
敵攻撃結果:180mmキャノン着弾、左腕に異常発生。。
>>412 (しかし悪態も、意外な形で感謝の言葉へと代わる。
待ち望んだ援軍、最も頼りになる男とは違ったけれども。
この状況下では限りなくその男に近い存在が現れてくれた。
――それが自分よりずっと若い、それも女だと言うのは嫌だったけれど。)
「お生憎様、我ながら獅子奮迅の大活躍で大失態だ。
それに…デュラン"なら"、まだ生きてるぜ。
確かに油断しまくりでカッコ悪い事この上ないけどな…。」
『――その通りだ、勝手に殺すな。』
(そうした嫌な気持ちも全部飲み込んで、その援軍が頼もしい。
そうだやってしまえ、お前は俺たちより強いのだから。
喰ってしまえ斬ってしまえ突いてしまえ、お前の慕うあの人の為に。)
「…そうだエメ、やっちまえ!」
>414 デュラン
「あは、やーっぱりしぶといんだぁデュランおじー♪
でも安心したよ、“パフェ”の約束まだ守ってもらってないもんね☆」
彼のモニターが生きていれば映るはずだ。
本当に楽しそうに、にこーっと笑う少女の顔が。
本当に頭が痛くなるほどに無邪気な笑顔が。
>414 クルト
「ふふ、
強がり言っちゃって、クルトおにーさんってばカーワイイ♪
でも、おにーさんたちがテコずるなんてスゴくない?アタシも楽しめそうかも。」
小さく舌なめずり。
これまでの戦歴において、少女を満足させる手合いは五指に数えるよりも少ない。
それは未だ場数不足を差し引いても際立つ少女の戦闘センスに裏打ちされた現状での確かな"結果"である。
"少佐"程では無いにしても、もしかしたら楽しめるかもしれない。
そんな予感がしていた。
>>412 「ビーム?!」
複数タスクを行っていたために対応が遅れていた
狙撃なら一撃でこちらを仕留めているのが定石だ。
「……(射撃が下手でないとなると、遊んだかアピールだな)」
『敵機体を確認、ガルバルディタイプのカスタム型と思われます。』
COMが告げる、ビーム兵器を装備している以上まずい
「?!(何か聞こえる…)」『無線盗聴に成功』
地味にCOMを良い物にしたので(F91ほどではないが)こんな事もGLでできるようになりました
敵の会話をちゃっかり盗聴する事に成功、録音に成功したのでうまくいけばあとでおいしくいただけそうです
感想を述べたり盗聴がばれると終わりが見えそうです\(^o^)/
後タキシード仮面とかに成敗される諸刃の剣、撮る人を撮れる人じゃない限りお勧めできない。
没個性化を助ける作用を持つエリート兵のヘルメットなのでこちらの表情は非常に読まれにくい
【審議中】
([゚д゚]「重量バランスの悪さはとにかく、ハルバードは使い慣れたものが持つと厄介になる)
(=■●「クロスナイト系統の道の者ならこいつの特性と不味さは既出だが、いかんせん状況が…)
(/ ・ω・ヽ「ミイラ取りがミイラ取りになりかねん、ここは引くか?)
(('(゚∀゚∩「♪2〜た〜い1な〜らふくろのもぐら〜♪」)
((´∀` )「敵も落とせないんじゃあ、(この状況は)仕方ないな( ´∀`)」)
敵が接近する
ハルバードの特性はリーチを生かした転倒狙いを可能にする。
口封時ならおあつらえ向きだ
「…(仕留めるなら確実にか、これだからあまり出張りたくはないな……)」
距離をとってもビーム兵器で焼かれそうである。
「シールド!」
低く身構え、シールドで防御しつつ180mmキャノンを二発砲撃
行動選択:迎撃態勢をとりつつ砲撃
攻撃目標:イェーツェル(仮)(注:盗聴に成功したため)
攻撃方法:180mmキャノンで砲撃
>414‐416
(★盗聴しているのでそのまま聞く事ができます。お茶請けにもならないが脳内ひそひそばなしの一部をお楽しみください)
【審議中】
(('(゚∀゚;∩「ひくタイミングは…あるか?」)
(/ ・ω・ヽ「奴はFW。恐らくランサーと踏んでいい」)
([゚д゚]「しかしこいつの信頼されぶり…俺が対抗できるか?」)
次の分は
>>416の修正版だよー。ごめんね?
>414 デュランおじさん
「あは、やーっぱりしぶといんだぁデュランおじー♪
でも安心したよ、“パフェ”の約束まだ守ってもらってないもんね☆」
彼のモニターが生きていれば映るはずだ。
本当に楽しそうに、にこーっと笑う少女の顔が。
本当に頭が痛くなるほどに無邪気な笑顔が。
>414 クルトお兄さん
「ふふ、
強がり言っちゃって、クルトおにーさんってばカーワイイ♪
――任せてよ、こんなのすぐに片付くと思うから。」
小さく舌なめずり。
これまでの戦歴において、少女を満足させる手合いは五指に数えるよりも少ない。
それは未だ場数不足を差し引いても際立つ少女の戦闘センスに裏打ちされた現状での確かな"結果"である。
「(でも、おにーさんたちがテコずるなんてスゴくない?アタシも楽しめそうかも)」
しかし此度の戦場では、"少佐"程では無いにしても、もしかしたら楽しめるかもしれない。
そんな予感がしていた。
「…あれ?この感じって…」
仲間との会話中に少女が違和感を感じ取って直ぐ、
機体コンソールに表示される“通信傍受”の可能性を示唆するシステム報告の小窓。
高度な情報防御が施されている“こちら”の機体だったが、何らかの方法により通信が筒抜けになっているようだった。
恐らく性能の良い電子戦装備を搭載しているのだろう。ならばと、指向性通信レーザーを敵機に当て、少女は言葉を送り込む。
<通信>
「あーっ、ダメだよ"お兄さん"!
回線の盗み聞きはご遠慮願いたいんだけどなー、えっちだよ?
……じゃないと遊ぶだけじゃなくてホントに壊しちゃうコトになるから、"その子"ごと。」
不意に、サウンドオンリーで開かれた回線ウィンドウから聞こえてきたのは、先の盗聴でも聞き取れた少女の声。
声が告げたのは盗聴と記録に対する警告の言葉であり、恫喝の台詞。
その警告も恫喝も一笑に付せるほど、凡そ場違いな声音ではある、が。
>417 T・GL
突撃の直後繰り出した「薙ぎ払い」は、
少女の目論見に反して脚部を溶断すること無く「未確認機」の強固なシールドによって受け止められる。
兵装衝突時のインパクトを巧みに相殺せしめた相手のパイロットの技量は相当なもの。
受け止めるだけなら運が良いで片付く所だが、このパイロットはそれだけで終わりではない。
バランスを崩すことも無く、即座に射界を確保し、反撃に出て来た。
「あは、イイ反応しってるー♪
アタシの初撃に対応出来るなんて、すっごいね!」
「でも…」と呟きながら、捻じ込まれる180oの砲身の鈍い光を視界の隅に捉えるも、焦る様子も無くただ淡々とペダルを弾く。
続く砲初撃、それに合わせるようにして瞬間的に攻撃中の「ロングハルバード」の"柄"を放した「ガルバルディ」の機体が、
次ぐ二撃目の弾道予測を織り込んで二度、急旋回の機動を描く。
全身各部のバーニアを用い、砲初速に対応するほどの速さで描かれる急速ターンは、とてもではないが"中"のパイロットが無事とは思えないもので。
そして弾道を完全に読んで行われた特殊回避により着弾軸を失った「180oキャノン」の豪弾二発は、
「ガルバルディ」の丸みを帯びた装甲表面に沿う様にしながら"素通り"させられ、残された質量・運動エネルギーをほぼ丸ごと遥か後方の岩塊に叩きつける結果となる。
「――どぉ?
アタシの“反応”のがスゴいよね?……こうやって、さ――」
更に、一度は放した大槍の"柄"を再び取った「ガルバルディ」は、旋回時の遠心力を最大限に利用、
そのままシールドに刀身を食い込ませているであろう「ロングハルバード」を思い切り振り抜き、相乗威力でシールドやその防御の構え“ごと”機体の両断に掛かる。
「あは、飛んでっちゃえ♪」
敵攻撃結果:瞬間弾道予測の結果、機体を回転させ射線をずらす事で砲弾二発、共に回避
行動選択:防がれた攻撃はキャンセルせず、そのまま回避時の運動・質量エネルギーを加えての連続攻撃
攻撃目標:未確認機(攻撃部位:シールド→本体)
攻撃方法:威力と速度を上昇させた「ロングハルバード」による「振り抜き」
>>419 ( /・ω・ ('(゚∀゚∩/( ゚ )( ゚ )ヽ=■●[ ゚д゚]∀`)「「「「「「ばれた\(^o^)/」ぽ」」でっていうwwwww」」んじゃあ、仕方ないな( ´∀`)」)
審議するまでもなく出た結論が、コレだった。
―『撮る人は撮られる人』の法則がある、青年は撮る人も撮ったこともあるが
この場合は『因果応報』や、『情けは人のためならず』の意味合いがある―
どう見ても成敗される前に口封じの方が先のようです。本当にありがとうございました。
一応、回線コード変更を行っておく青年
ハルバードの降り抜きをもろに食らってしまう。わかっていても対応できない場合もあるがこの場合は…
GLとイェーツェル(仮)との距離が、思いっきり吹き飛ばされたので距離が開く
180mmキャノンを手放してしまうがもう既に弾切れである。
GLのスラスターは完全に遅れてついた、その結果一旦叩きつけられる形になってしまうが、何とかうまくダメージを抑えることができたようである。
GMシールドは切られてしまったが、まだ使える。左手にはまだ武器は握られている、マシンガンも無事のようだ。
「うぅぉ…パワーが違い過ぎる!(力の明確な差、コレもまた既出。だってOTですもの( ´∀`))」
『♪テンテレンテレレッテテンテッテ』
「あらあらまあまあしんじゃった」なサウンドが機体から流れる(こう言ったネタサウンドは他にもまだありそうです)
CBAは見た感じボロボロ、流石に機体にもダメージが…即座に青年はスモークディスチャージャーを使用
辺りが煙に包まれるそのため機体の体勢の状況も相手からは見えなくなる…
向こうの方が上手のようだ。こちらの盗聴に対しても即座に察知し、通信までしている。
一旦体勢を立て直す…どこまで通用するかは、不明だ
【審議中】
(/( ゚ )( ゚ )ヽ「伊達に(この手のダメージも含む)フルボッコ慣れしてないっていう」)
([゚д゚]「遊ぶだけ…と言っていたが本気で消しに来るなコレ」)
(('(゚∀゚∩「とうちょうで、じゅうぶんなじょうほうは てにいれたけど、まずいよ!」)
(/・ω・ヽ「支援要請は出したが、時間との戦いって言うより終わりが見えるな」)
((´∀` )「撤退は難しいか…?大抵の射撃は無力化される?」
(=■●「完全に消すつもりだし、死んだ振りも効果ないだろうな」)
敵攻撃結果:結局叩きつけられ機体損傷。CBAはボロボロ
行動選択:スモークディスチャージャーを使用。その間に体勢を立て直す
>420 見た目変な機体
<通信>
「もくもくもくって……あは、今度はかくれんぼ?
そんなに壊されたくない?
あ、今当たり前!とか思ってるでしょ♪
そうだよねー、壊れちゃうとソコでオシマイだもんねー
でもそのかくれんぼはムダだよ。
煙の中でアナタが何してるか、何となく"解かっちゃう"もん。……えへへ☆」
質量攻撃の余威を滑らかな制動で打ち消し、
「ガルバルディ」の機体は構えていた「ロングハルバード」の柄を大地に立てて静止する。
敵機の放ったスモークに視界を遮られながら、
反撃を恐れて闇雲に攻撃に出るでも、
咄嗟に効果範囲外に逃れるでも無く、ただそこに「ガルバルディ」は佇んだまま。
「ねぇ、"お兄さん"こーしない?
その機体とお仲間を捨てて、エメの前から逃げ出すの!
ココであったこととかさ、何もかも忘れて貝のように口を噤めばきっとアナタって幸せになれると思うよ?
名案だと思うんだけど、どうかな?
あ、疑ってるなー?因みに、ワナとかじゃないからね。
ただの気まぐれだよー?気が変わっちゃうかもしれないよー?ふふー★」
晴れない視界の中、ひたすら楽しそうに。
いつ白煙を引き裂いて反撃が来るとも知れない中、ひたすら上からの位置で。
まるで青年の生殺与奪の権利を自分の手中に収めているかのような口ぶりで、流暢に舌を回して少女は一つの提案をしてきたのだ。
敵機の長距離砲が消え、盾は半分に叩き割り、機体にもダメージを負わせたからといって、油断でもしているというのか…?
敵行動結果:「スモーク・ディスチャージャー」の効果範囲内に「イェーツェル」を巻き込む事に成功
行動選択:アプローチへの予備動作も迎撃への構えも無く、「静止」
『隊長、先行したエメが交戦を開始した様です。
スカウトからの報告ではクルト・デュアンの両名の生存を確認しています。
ジャンは…残念ですが。』
通信機越しに我らが"少佐殿"へと報告する。
スロットルを握りこむ手に緊張を感じた、仲間の死を報告したのは久しぶりだ。
「―――そうか。
……敵の規模は、多いのか。」
幸いと言って良いのか、隊長の態度は落ち着き払った物だ。
しかし彼が別段冷酷だとか人間性が薄いとか、そういう訳ではないのを我々は知っている。
『はい、どうやら少数による奇襲だった様です、一機はクルトが仕留めました。
しかし敵の増援一機がクルトのドムを撃破、エメと交戦状態に入っています。
…如何なされますか。』
―――念の為、というよりもこの言葉は府庁の様な物だ。
ほら見るが良い、我らが少佐殿は何も言わずに私のゲルググの前に出る。
そうして一度右手に持ったビームライフルを掲げて見せた、"我に続け"と、そう告げている。
続いて少佐殿はスラスターの出力を引き上げる、やはり昔から変わらないお方だと思う。
それでこそ、我らが命を預けたお方。
それでこそ、我らシャルル戦隊の長たるシャルル・ロウチェスターという男。
そうしてその赤いゲルググに続く様に、我らもまた自らの愛機の出力を引き上げた。
>>421 「……(何となくか、NT系と踏んでいいだろう)」
しかしこの場合、海亀より生存率が芳しくないことになる
奴がいったことを考えるのなら…
と思いつつ青年は10秒チャージなパックを飲みつつ考える
【審議中】
([゚д゚]「あるあ……ねーよwwww」)
(/( ゚ )( ゚ )ヽ「トラップ多すぎっていうwwwwwwwwwwwww」)
(('(゚∀゚∩「ぞうえんがくる。と、ふんでいいけど・・・・」)
(/・ω・ヽ「逃げ方に一工夫必要だな」)
((´∀` )「どっちにしろろくでもない結果になるんじゃあ仕方ないな( ´∀`)」)
「さーてかえるかー(きれて向かってきたらうまく足止めする必要あるんだけどね)」
そう言って撤退を始める
行動選択:撤退開始
>423 見た目変な機体
<通信>
「素直でよろしいね、お兄さん♪それじゃあね!
んー…、ホントはジャンおじさんの事もあったから、そのまま潰してあげても良かったんだけど、
直接やったのはアナタじゃないみたいだしねー?
アナタが仲間を見捨てれば、結果的に“こんがりと”こちらの報復達成ってコトだし…けど納得しないだろうなぁ…(デュランおじ。)」
「でも、そ・れ・よ・り」、と呟きながら下唇に人差し指をあて、どこかそわそわとした様子の少女。
敵機が遠のき、盗聴反応が完全に無くなった事を確認すると同志へと通信を送る。
<通信:クルト&デュラン>
「――ねぇ聞いて!二人とも、喜んで!
この"感じ"、シャル様がこっちに向かってる♪もーすぐお目見えになるよ☆」
モニタ一杯に映し出される、興奮気味に頬を染めた少女、エメティア・レヴ・ナハトの顔。
その表情からは他の隊員とはまた別の感情が垣間見れるようだった。
敵行動結果:特別攻撃も行われず撤退は成功か
行動選択:ある方角へと機体を向ける「ガルバルディ」。センサーにはまだ何の反応も無い
>>424 「マジか?
…情けない、残念な報告もしないといけないぞ、こりゃあ…。」
『…全くだ、しかしエメティアがそう言うのなら間違いは無いのだろうな。
デュラン、ジャンの機体の方で回収できる物を集めてくれ。』
「了解した。
エメ、デュランのゲルググを抱えてやってくれ、俺はジャンの旦那の形見を取ってくる。」
(敵機が撤退を開始した事もあり、撤収の準備を開始する。
しかし彼らは気付いていない、撤退した敵機が発信していた回収要請。)
――あれから戦局はどう移ろった?
僅か10分という時の流れは、まるでそこだけ切り取って延々と引き延ばしたみたいに長く、永く感じられた。
最初の数分でモニタリングシステムが死に絶え、
更にその30秒後には空調も弱くなって、じんわりとした熱気にパイロットスーツを脱ぎだしたい衝動に駆られた。
極限状況。
きっと今がそんな状態であるのだと感じながらも、はじめての経験に不思議と恐怖だけは無い。
この状況下でも唯一"孤独"ではないのが複座型という特殊なコクピット環境だった為か、しかし。
「ふー…ふー…
フー…、…く…」
あれだけ臨死に喚いていた妹の口から、終に呪詛の言葉が途切れた時、
同時にルビ・タイトハーツは自分自身よりも“大切なヒトを死なせてしまう”という後悔に強く苛まれる。
「(状況が…わからない。
彼はどうしたのだろう……まさか、僕らを助けたばかりにやられてしまった?
それとも、今も果敢に戦い続けてくれているのだろうか……後続は、まだ……?)」
明かりが落ち、非常灯の薄いぐらい赤が燻るコクピットの中に居ては、なんの打つ手も有りはしない。
仮令、脱出装置の異常が無かったとしても、イジェクションシステムで無い本機、
扉を開ければパイロットスーツの耐久温度を遥かに超えた灼熱の煉獄が待っている。
愛機が内部の二人を護ろうと必死に冷却装置のフィンを廻し続けるこの“快適な棺桶”の中へ、
響いて伝わっていた僅かな戦音も、今は……聞こえない。
備考:冷却システム稼動停止まで1分30秒
生命維持"完全限界"まで約5分
>425 所属不明部隊
<クルト>
「うん、わかったよクルトお兄さん。
ジャンおじさんがまさか本当にやられちゃうなんてね。…ちょっと残念だな。」
回収を了解すると、少しだけ視線を流し、クルトとの回線を切る。
<デュラン>
「それじゃ、コアだけ抱えるね、デュランおじ。
後は綺麗に壊してくから。
……あんまり気に病まないほうが良いよ、ジャンおじさんのコト。」
二人が長年の戦友であったことを知っている故の、少女の気遣いか。
表情は変えず、抑揚を殺したように呟く。
そして、RFゲルググの頭部に連なるコアブロックを拾い上げた「ガルバルディ」の機体は、
ひらりと上昇し、ゲルググの残骸が見渡せる高度まで来ると、片腕で構えた「ロングハルバード」の穂先を向ける。
「ブレードコネクテッド、レゾナンス・チャージ。
準備完了、“ハルバードライフル”……メガ出力で証拠隠滅!」
ハルバードの刀身がスライドして小変形し、射撃形態を取る。
射出プロセスの全工程を終え、
「ガルバルディ」の機体は砲口に収束させた高エネルギーを、残骸が四散している一帯に向けて一気に放出する。
その範囲近くにはGTトレーナーの機体も……。
「ハルバードふぁいやーっ!」
行動選択:RFゲルググのコアを回収、パイロットを保護した後、機の残骸消去を行う
攻撃対象:RFゲルググの撃墜ポイント一帯
攻撃方法:「ロングハルバード」の射撃モード「ハルバードライフル(メガ)」による高エネルギーの照射
>>427 「それ」は突如として現れた。
紅い空を垂直に切り裂く一筋の銀光、爆発の如く舞い上がる砂煙。
襲い来る高エネルギーの奔流が「それ」によって堰き止められ、巻き起こった砂塵と共に霧散する。
誰が信じられよう、その正体を。
誰もが目を疑うだろう、その光景に。
「それ」は一振りの巨大な刃。
MSの背丈ほどはゆうにあろうかという、規格外の大剣が、砂と熱と光の消えた後に厳かに突き立てられていた。
「諸共たぁ穏やかじゃないネェ。
遠いトコからやって来た教え子に死なれたとあっちゃ、アタシが減俸処分くらっちまうじゃないか。
ソイツは困る。大いに困るね。アタシゃ今月厳しいんだ」
溌剌さと悪辣さ、そして艶かしさの黄金比。
響いた声は年若き女のモノ。
上空を行くSFSからそそり立つ大剣の傍らへと降り立ち、その柄へ無造作に手を伸ばす紅いMS。
声はその外部スピーカーから聞こえてきた。
「だからさ。物騒なのがお好みってんなら――」
ゴゥッ
引き抜いた刃を無造作に振るい、そして構える一連の動作。
流れるような見事な動き、一切の無駄の無い運動力学的合理性の極地が其処に顕現していた。
「――このアタシ、スカーレット・エスター・マーヴェリックがトコトン付き合ってやるよ?」
装甲に走るファイアーパターン、燃えるような赤い鎧を纏う、その機体の名はガンダムアストレイ・ダムドレッド。
そのコックピットの中で、血のように紅い髪を持つ女教官は不敵な笑みを浮かべた。
行動選択:戦場介入 大剣による防御 威嚇
防御対象:GTトレーナー
>428 赤い髪の教官見習い
「……え?」
上空からのビーム兵器による照射は、凄まじい風圧を伴って燃え盛っていた焼夷弾の燃料をも一緒に吹き飛ばす。
消え去った煉獄の中、燃え盛る炎のそれより尚紅い、“ガンダム”は立っていた。
「諸共?
あは、ソコにさっきの子達が居たんだ?
全然気付かなかったよ♪」
指向性の呼び掛けによって開かれる通信。
それに応じるように、少女は今度は機体システムを介してフィルターを掛けた声だけを返す。
ゲルググの残骸を紅蓮の大地ごと完全に消失させ、その光りの濁流がもう直ぐ途切れそうというギリギリの位置にGTトレーナーの機が転がっていた。
無論、意識の隅に認めていなかったわけではない。ついでに消すことが十分可能だった。
しかし、どうだ。「ハルバードライフル」の光りは、予期せぬ何かによって遮られ、予定よりも早くトリガーを離す結果となった。
「でも良かったね、"先生"。火も消えて結果オーライってヤツでしょ?
“その子たち”持ってくんだったら勝手にしたら良いよ♪」
冷却モードに入った「ロングハルバード」をヒュン、と一回転させて戻し、
「ガルバルディ」の機体は攻撃をしてくる様子は無い。
敵行動結果:ビームの照射を阻止、同時に燃え広がっていた炎も収束し、機の回収が可能
行動選択:武装の冷却をはじめ、背部のシステムの起動準備。攻撃の為に動く様子は無い
>>424 うまく撤退には成功
「…」
さてどうしたものか、アレの件に関しては事を慎重に運ばないと
楽に死ねるので、今はどちらにせよ予断を許さない状況である…
と思案する青年だ
彼女が逃しても、他の奴がいるかもしれないのだから
>>428 「…(どうやら間に合ったようだな。)」
外部スピーカーの声は聞きなれた声だ
通常こういうのは単機で来るとは限らない。ただ今回の性質上
彼は『なんでもいいから足の速い方は先行して(意訳)』と言うことで、先に来ていただけに過ぎない
時間稼ぎ用の囮に結果的になってしまったが、短縮工程によって行われた通信で、味方の支援要請を出しておき
こちらに注意を引き付けて、その間に回収してもらって…となればよかったが
結局は結果的に味方を放置して逃げるわ、教官の手を煩わせる事になるわである
コレも青年にとっては既出な状況ではある……
「……(結局何も変わらなかったか。いや、むしろ事態を悪化させたに過ぎんか)」
無能な奴はナントヤラである。
<通信>
『先程伝えた通りです…お願いします』
簡易化された暗号文による通信を行う
「そして、彼らを死なせるのは俺の矜持も許さない。
……せめて教官が思い切り戦える様に、回収役位は、な。」
(続いてダムドレッドの後方から接近する飛行型MSが一機。
出発の遅れを取り戻すべく全力で飛行しているのか、凄まじい速度で接近して来る)
<通信>>ダムドレッド
『教官、友軍機はこちらで回収します。
また周辺の警戒も行いますので、回収完了までそちらの"敵"を御願いします。』
行動選択:遠距離から高速で飛行、接近中。
周辺警戒を行いつつ、GTT/Dの回収に向かう。
>427-428
何かがぶつかり合うような凄まじい音と衝撃の余波に揺れる機体の中で、
ルビ・タイトハーツとラビ・タイトハーツは俯かせていた顔を揃って上げる。
「な、何?さっきの音…?」
「また攻撃が再開されて…?
いや、待って。何か違う……あ、ラビ!外部温度が下がり始めてる!」
「ウソ!?
ってことは、誰か来てくれたの?」
「わからない、けど恐らくは…僕らも終わりじゃないのかもしれない。」
「やったー!」と再び元気を取り戻した妹に羽交い絞めにされる兄貴。
コクピットの中に漂っていた諦観と嫌な熱気を吹き飛ばすに足るほどの、衝撃であった。
>>429 「そうかい、ソイツは有り難いね。
そんじゃお言葉に甘えさせて貰うとしようかネェ――」
一歩踏み出すダムドレッドの足。
牽制というには余りに無造作、布石と呼ぶには余りに無為。
渦巻く炎に照らされて輝く赤の機体は、操縦者の不敵さそのままに泰然と上空の敵影を見つめている。
>>430 <<任せな>>
簡潔に、たった1センテンスのみを返して済ませる。
>>431 『了解さね、そんじゃそっちは任せたよ』
当初より想定していた役割分担通りに、各々がそれぞれの役目に就く。
ジョーカーたるスカーレットの役目は前衛。
空を飛ぶ相手に大剣一本では余りに不利、さながら巨大な風車に挑むドン・キホーテの如く。
「……」
スカーレットは不意に感じ取った。
徐々に近づく、鉄の兵団の存在を。
じり、と砂を踏み締めるダムドレッドの足に、僅かに力が篭った。
>433 赤い髪の教官見習い
「ふぅん、立ち振る舞いは立派みたい。
教え子を持つせんせーならそれくらい出来てとーぜんなのかな?
その子は“ガンダム”みたいだし、
さっきの“変なの”と比べたら、更に出来そう……けど残念。」
眼下のダムドレッドを見下ろしたまま、同じくして不動を維持していたが、
不意にその均衡を破るように、「ガルバルディ」のモノアイがある一方向に向いた。
「――少佐が来てくれたから、もうお仕舞いなの。」
「あとは帰るだけ」と呟き、にっこりと少女は微笑む。
その視線の先より、“彼の者”は来る――
>>433-434 「―――レーダーに感、何だコイツ達は…疾い…ッ!?」
そんな通信がダムドレッドへと飛び込んできたのは、エメの言葉と時をほぼ同じくする。
既に友軍の回収を完了したS4が残りの敵機(RFドム)を牽制していた最中の事だ。
そのS4のパイロットであるリヒャルトから齎された、緊迫した報告。
対峙する巨人のパイロットである彼女達が"そう感じた"様に、"何かが来た"。
続いて、何か大きな音がした。
高出力のビームが空を貫き、回避機動を取るS4を貫く音。
続いて、爆音――バックパックから火を噴いて落ちて行くS4の其れだ。
そうして続いて聞こえて来たその音は、幾重にも重なり合ったホバー推進の音。
轟々とがなり立てる様に近づいて来たその音の源は、対峙する二機の巨人――
――ダムドレッドとCFガルバルディを見下ろすかの様に、やや離れた岩場の上へと整然と出現した。
436 :
少佐:2008/02/11(月) 01:17:12 ID:???
整然と出現したその一団は、一見した限りでは盗賊の様にも見えた。
しかし各々が僅かな隙も無くこちらを見透かしている様な感覚を覚える以上、
それは荒野にのさばる野盗などでは、断じて無い。
その整然とした立ち振る舞い、先頭に立つ壮健たる指揮官機の姿はむしろ、
かつての地球の伝説に登場したと言う、誇り高き騎士団であるかの様な錯覚すら覚えた。
「お前と対峙して生き残っている者が居るとは、な。
……いや、お前だからこそ遊んでいたのか、エメティア。」
そうしてその指揮官機は、ガルバルディへと通信回線を開く。
その右手には今しがたS4を撃墜する為に発砲されたビームライフルが掲げられ、
その銃口は今まさに、ガルバルディと対峙するダムドレッドへと向けられていた。
「ジャンの機体を破壊次第、デュランとクルトを援護しつつ脱出する。
今回の雪辱を晴らすのは次の機会だ、ここは闇雲に力を披露する戦場では無いぞ。」
>436 少佐
「……やぁんシャルさまー♪りょうかいでーす☆」
ハッとして、
こほん、と感極まった感情を落ち着け、
その中央の騎士に対し、傍に降り立って少女は報告を行う。
「……お早いご到着ですね。
エメも機の回収と情報隠匿を終え次第そちらに向かおうとしていたのですが、
思いの外ままならず、定刻通りとはなりませんでした。
加えて斥候の報告通り、デュランのゲルググの大破、クルト機の損傷と、計三機の損害。
そして一名の死亡。力及ばず、申し訳ありません……」
恭しくこうべを垂れ、目を伏せる。
叱責があるかもしれない、と少し不安になる。
>>437 「報告は受けている、お前が来た時には既に手遅れだったという事だ。
エメティアの責任では無い、相手の運がジャン達より良かったと考えろ。
…お前にそう畏まられるのは気持ちが悪い。詳しい話は帰ってから聞くぞ、エメ。」
(ライフルはダムドレッドへと向けたまま。
指揮官機らしき赤いRFゲルググはCFガルバルディの横へと降り立った。
それが合図とばかりに指揮下の各機体が損傷したデュランのゲルググを回収すると、
それらは各々が煙幕弾を広域に展開し、撤退を開始した。)
<通信>>ダムドレッド
「あの手並みは――音に聞こえるパイロット養成所、だな。
此度の事は、決して忘れん。」
(不意に、彼はオープン回線でそんな通信をダムドレッドへと送った。
聞こえて来たのは若い男の声。
そして彼我の距離が近くなった今なら分かる。
その機体の外見は、何ヶ月か以前に火星中の報道機関で取り上げられた、
正体不明の武装集団を率いる"紅いRFゲルググ"その物である事を。)
>438 少佐
「それは…そうかもしれませんが。。。
……えへへ、
そーいうフインキかなって思って、ちょっとやってみたかったんです♪
それに、ジャンおじさんのコトはやっぱりちょっと寂しいですから。」
「わかりました♪、ではお先に帰投してますね」と通信を終えると、最後にもう一度だけダムドレッドの方を振り返り。
「今度があれば遊ぼうねー、"先ー生"☆」
シーケンスを完了した背部のフィールドブースターが、
放電と共に「ガルバルディ」の機体を音速超過のスピードへと押し上げ、エメは一気に戦場から離脱を果たす。
「さてと…これ以上のジャマモノは問答むよーで壊さないとね♪」
これよりエメが行う仕事は撤退をより完全な物とする為の、哨戒機と連携した退路の確保である。
そして、その数分後、進路上に展開していたクライアント側の部隊の信号の一部が忽然と消失する。
完全に破壊しつくされたソレが発見されるのは、所属不明部隊がとうに消え失せ、オラージュ・クレイドルの治安部隊が本件の事後処理を行い始めた頃になる。
hosyu
後日――
『――これらの点から、件のMSはかの<オールズモビル>所属、
シャルル・ロウチェスターが搭乗していたものと同一であると判断できる。
搭乗者がシャルル自身であるか否かは、今後の調査結果を待つべきだろう』
キーボードの上を10本の指が奔る。
『以上が、今回の事件の顛末である』
最後に自らの署名を施す。
椅子の背もたれに体を預け、スカーレットは脱力のため息をついた。
そのまま瞼を閉じれば、あの時の感覚が鮮明に思い出される。
「あのマシン、手強いな……」
スカーレットには分かる。
あの機体は「愛され」ている。
そういう機体は、全幅の信頼に全力で応えられるものだ。
「……やっぱ、アレが……」
シャルル・ロウチェスター。
火星独立ジオン軍、その残党。
この推測が正しいとすれば――
「――厄介なのと関わっちまったネェ」
くたびれた様子で、彼女は半ばずり落ちる様に椅子のクッションへとその身を沈めた。
火星標準時、午前2時。
クーロン・クレイドル第13区画、高級娼館『朱天楼』、そこに住まう女たちは皆眠りではなく男にその身を抱かせる時間だ。
唯一人の例外、スカーレット・エスター・マーヴェリックを除いて――
穏やかな寝息を立てる赤い髪の、少女のようなその寝顔を。
館の女主人は優しい眼差しで見守っていた。
442 :
病室:2008/02/17(日) 00:16:19 ID:???
「結果として…お仕事に関しては大成功、なんですけどねぇ。」
所属不明部隊と交戦してから一週間、電卓を叩きながらクリスティネ・クラウスは呟いた。
彼女の目の前にはベッドに身を起こして見舞いのリンゴを齧っている青年、
リヒャルト・ユルゲンスの姿がある。
『まぁ、そうなるでしょうね。
単なる情報確認だったのがそのものズバリ敵と接触、しかも撃墜までしてみせた。
加えて損害が大きかったとはいえ救難信号を出した他の部隊まで救って見せて、
これで大失敗言われたらこちらの立場も無くなってしまう。
…そりゃ勿論、それ以上に問題点がある事は自覚していますが。』
掌ほどの大きなのリンゴを齧りつくしてダストシュートへと放り込むリヒャルト。
その言葉と共に彼の脳裏に浮かぶのは、撃墜されながらも垣間見た光景。
明らかな意思統一の元に整然と部隊行動をしてみせたあの一団の"異様な"姿。
―――軍隊。
地球やその均衡ならともかく、この火星の荒野上では不釣合いなその名詞。
しかしあの時見たあの一団の姿にはそれを思い起こさせるモノがあり、
また幾つかの状況が、彼のその思いをより強固な物へと変質させていた。
「ええ、これも報告はされていると思いますけど。
……貴方やルビさん達の機体を回収する時に私も見ました、あの特殊砲弾やビーム兵器は…
そこらの盗賊や野盗が維持管理出来る物じゃない。
それに搭乗員も正規の訓練を受けて、尚且つ経験も豊富な様な動きだった。
それだけなら良いかも知れない、
戦功を立てた何処かの軍人崩れが仲間と一緒に暴れているだけなのかも知れない。
…けど、それにしたって。」
『…あの場に居ただけで、彼らのモビルスーツは9機も居た。
ならセオリーに従えば最低でも後4〜5機は控えてるって事になるでしょう。
奇策とかを好む指揮官じゃ無ければね。
そしてそれだけの機体を維持管理するには金が要る、ましてや武装の事も考えれば。
稼働率も高く保とうと考えれば、盗賊行為だけではアレだけのモノを養うのは無理だ。
となれば、何らかの形で彼らを物質的に支援している連中が居るって事になる。』
――この時、クリスの考えもまたリヒャルトの物とほぼ同じ結論に至っている。
彼の言うとおり、まるで軍隊の様なあの部隊が活動を行う為には、
軍隊を養えるだけの組織――それこそまるで国家の様な組織が支援していると考えるべきだ。
「そういう組織があっても可笑しくない、とは思います。
古来より利権が絡む土地には、そういった人達を雇う事で利権を確保する人が必ず居ますから。
ただ、個人的にそれ以上に気になるのは………。」
『―――――やはりあの指揮官機、ですか―。』
それっきり、口を閉ざす。
…無論、声に出して言うまでも無い事だ。彼・彼女にも分かっている。
状況から見てあの機体は、かつてオールズモビル戦役で活躍したエースパイロットの一人。
オールズモビル・シャルル空戦隊を率いたトップエース、シャルル・ロウチェスター少佐。
その彼が駆っていた、紅のリファイン・ゲルググの改造機に間違い無かったのだから。
AM8:00 養成所格納庫地下「第七特別ドック」。
通称「スクラップガーデン」と呼ばれるこの施設では、ミッションでの交戦や演習中の事故など、
何らかの理由で損傷過多、乃至は大破し、通常修理では対応出来なくなってしまった機体を一時的に収容して、その修復あるいは廃棄が行われている。
“事件”から一夜が明けた朝。
その場所には湿布やガーゼ、包帯に巻かれた格好の双子の姿があった。
「さすがうちらのGTトレーナーや。耐火性能はばっちりやったな♪」
このような格好こそしているが、二人の怪我はそれほど大したものではなかった。
しかし、見つめる先。
MS用メンテナンスベッドに掛けられた工業シートの下に横たわっている彼らの愛機はそうは行かなかった。
敵機が放った強力な特殊焼夷弾によって、駆動系は焼き切られ、電装系も全損。
装甲板は溶けて内部フレームに張り付き、辛うじて原型を留めているという具合に甚大なダメージを被っていた。
「うん、そのお陰で僕らは“あの時間”を生き抜く事が出来たんだ。」
整備班員の話によれば、通常の機体なら瞬時に融解しかねない程の熱量だったらしい。
それを、あれだけの時間保つ事が出来たのは、GTトレーナーの耐熱装甲と冷却システムであればこそ。
もちろん、友軍機がタイミング良く救出してくれたのが直接的な生還理由だが、
その間膨大な熱量から搭乗者を守り抜いたのは他ならない。
「ほんまに、ごくろーさん、GTトレーナー……」
「無理をさせたね、修復が終わるまでは暫くお別れだ。」
長らくの愛機の変わり果てた姿に、意気が沈む。
しかし今は何より、自分たちの命を護ってくれた“彼”に感謝を伝えたかった。
「報告書、提出せな。」
「そうだね、…行こうか。」
実際のところ、火星ではまだ配備されていないGTトレーナーである。
修復の目処は立っていないのが現状だった。
「……」
指揮官はおそらく火星のジオン残党、構成員もオールズモビル関係と推測されるだろう
軍隊崩れの連中と言えばそれまでだが、ただの軍隊崩れでない人間がいることは明らかだ。
火星でも紛争自体はあるし、政府に強い不満を持つ物もいる
「……(姿を隠さねばならないな、消されないために。)」
正規の訓練を受けている者とは一戦交えない方が得策ということは、たらい回しの成れの果ての青年でもわかる
問題はSFSの喪失、彼女との交戦
いくらチューンしているとはいえ盗聴がばれる、機体、乗り手ともに明らかな性能差。
旧式だからと言えばそれまでだが…
「……(不可避とはいえ出来れば避けたかった事態だが…事態が対応不可かつ不可避…限界が来るのが早い)」
普通の奴はただの的以下になる場合もあるため、そういった対策も必要になってくる。
―が、実際はそういった対策を打つ前に終わることが多く、どうしても対処なしのケースも出てきてしまう。
NTやGF、よく訓練されたベテランやエースと呼ばれるような者達だ。
乗り手の技量差を考慮する必要があるが、これらとはワンサイドゲームになる場合が多く、
性能差や物量差で押せるのならばともかく、そうでない場合はほぼ絶望的だろう
故にそうなってしまった場合、ほぼ終了のため、それを避ける必要があったのである。
機体本体自体にもダメージを与えていたあの乗り手は、腕がいいってレベルじゃない
現時点ではほぼ対処不可。外装が予想以上に持ってくれたことと、追加装備の使用によるかく乱ができたこと。
何より彼女が遊んでくれたことにより、うまく時間稼ぎ出来たに他ならないし教官の介入が無ければ失敗していたのである。
次に来るならほぼアウトだ。
借りを二人の女に作ってしまってはいるが、場合によっては返さなくてもいい場合がある…
今回の結果は流石に無傷とまで行かず、逆に機体、乗り手ともにダメージが大きいため病院行き。
実際青年はフラフラながらも格納庫到着→機体から出て倒れる→病院へ
……と言う流れだ
まずは完治、それから身を隠しつつ対策を講じる事になるだろう。
麗しき乙女を脅かす不埒な輩に…と言うように成敗される危険性は、青年にとってここに来る前から既出だが。
最も病院襲撃をする輩はいないと考えるのが普通だが、それも当てにならない実例があることを青年は知っていた。
アレは戦時中で状況もコレとは違う物だが
「……(今は手札も有効なものが少ないし、対策を練る必要がある。病院からリスタート…手を間違えれば終了だ…これが。)」
踏み込みが足りんことも既出だが報告書も提出する必要がある。
コツッコツッコツッコツッ
雪のように白く細い指に弄ばれ、
黒色に鈍く輝く万年筆のキャップが一定のリズムでテーブルを叩く。
グレーのスカートに黒のタイツ、紺のブレザーに白いブラウス。
チェックのタイをアクセントに据えた装いの彼女――カナデ・ノースウィンドは見るからに不機嫌であった。
>445 お嬢
麗しの白雪姫の瞳は今、果たして何を映しているのだろうか?
ふと気まぐれにその視線を流せば、いつの間にかその隣で難しい顔をしながら腕を組み、こちらを見ている青年の姿が映るのだが。
そしてその青年の傍。控えるように、そして控えめに彼の服の袖口を引っ張るいつか、どこかで見た少女の姿。
「………。」
「マs…クレハ兄さん、これは明らかに迷惑行為に該当するものですが。」
「……。」
不機嫌そうな白雪姫の横顔をじっと見続ける複雑な男…クレハの顔。
眉を顰め、兄の袖口をくいくいと引っ張り続ける少女…モミジの、そんな不可思議な光景があった。
>>446 コツッコツッ
指の動きが一旦止まり、内に篭った熱を吐き出すように溜息一つを挟んで、再び動き出す。
その上でペン軸がクルリと一回転、さらにもう一回転しかけたところで、勢い余ってあらぬ方向へ転がっていく。
「あ……」
途端に現実へ引き戻された意識。
転がっていく万年筆を目で追った先、自らの右隣にいつの間にか人影一つ、いや二つ。
何れも見知った顔。
一体いつの間に――怜悧な眼差しを無遠慮な同席者に向け、カナデは素早く万年筆を胸のポケットへ仕舞い込んだ。
「クレハ、とモミジ……で良かったかしら。
そこで一体何をしているの?」
>447 お嬢
むぅ、と顎をしゃくり上げるような動作をした後、ゆっくりと口を開き。
「あ――、
いやねー。
なんだか久しぶりに愛しのカエデちゃんを見つけたからさ、俺も喜び勇んで話しかけようと近づいたわけさ。
けど近寄ってみると何やら考え事をしているご様子で……。
おまけにご機嫌も麗しくないようで、ジャマするのもなぁとか考えながらちょっとタイミングを推し量っていたら……こんな結果に。」
「……私も止めたのですが。
不躾な兄で本当に申し訳ありません、ノースウィンド先輩。」
むぅ、とうなり続ける兄に代わって丁寧に、
一切無駄のない歳不相応のお辞儀を非礼に対して返すモミジだが、これも以前と変わらぬポーカーフェイス。
あまり感情は感じられない。
>>448 「そう、物好きね――」
感情の欠片も匂わせない物言いは普段の彼女のまま。
「――確かに私は今、とても不機嫌よ。
たとえば物思いに耽る自分の隣に、何の承諾も得ずに座り込む無遠慮な男の存在なんかのせいでね」
冷たい棘持つ薔薇の佇まい。
相も変わらず取り付く島のない、そんなカナデだ。
「気にしてないわ、モミジ。
兄に苦労させられるのは妹の宿命のようなものだから。
それと、クレハ。
……愛しいなんて軽々しく言うものじゃないわ。
その重さを、アナタがどれだけ理解しているのかは知らないけれど」
らしくない。
いつものカナデなら絶対に言わない一言を、今の彼女は口にしていた。
>449 お嬢
「うッ…それは」
「ですからそっとしておくべきだと提案しました。
どれほどに神経が図太ければこのような事が平然と出来ますかね?」
視線に射抜かれ、さも当然のように隣に居たクレハはささっと椅子を引いて立ち上がり、距離を置く。
冷ややかなカナデの瞳。咎める様なモミジの言葉。
だが今更イメージが低下したところで男への好感度がマイナスなのは変わらないのであるが。
と、自覚はあるらしくばつが悪そうに目をそらしため息を吐きかけたところでふと、カナデの以外な言葉に思わず声が漏れる。
「え?
…あ、うん。それも含めて悪かったよ。ごめん。」
どこかいつもの雰囲気とは異なった言葉の空気に押され、茶化すことなく素直に詫びるクレハ。
それが疑問だったのか、モミジはそんな兄の顔を不思議そうに見つめた後、そうさせたのであろうカナデの顔を注視した。
>>450 よく考えれば、そもそも彼女の格好からしておかしい。
普段はマニッシュな装いを好むカナデだが、今日は見るからに女の子然とした服装ではないか。
「……」
クレハの謝罪の言葉に、少しだけ気まずそうに目を伏せた。
「ごめんなさい。少しだけ、八つ当たりしていたわ」
当たり前の口説き文句に噛み付くなんて、らしくないわね――
そう自嘲気味に呟いてから、カナデはモミジの視線に気付いて彼女へ微笑んで見せた。
>451 お嬢
「…。」
伺うように覗き見たこちらに対して、
たおやかな微笑みが贈られ、反射的に自分も返そうとしたものの、上手く頬が動いてくれない。
礼儀作法は完璧にマスターしているのに、何故感情表現には乏しいのか。
まだまだ学習が足りないな、と感じながら、
指先で頬を引いて作ろうとしていたモミジ流の「微笑み」を止め、優雅な所作での会釈を返礼とした。
「いや、なんていうか、悪いのはこっちだしね……」
あはは、と弱く笑ってみせ、頬を掻く。
それから視線をさ迷わせ、ふと思い出したように男は口を開く。
「そういえば、今日は本当にカワイイ…っていうか、いつもとはまた違ったカッコだよねカナデちゃん。お出かけだった?」
と。
カナデの今日のファッションからそんな事を推測する。
更にそこから察するに……と勘繰る事も出来たが、今日のクレハは敢えて口にするような事は無かった。
>>452 「かわ……いい?」
確かめるように呟き、苦笑。
それも口説き文句の一つよね、とかぶりを振ってから、彼女は向けられた質問に答えた。
曰く、
「たまには気分を変えたかった、それだけよ」
本来会う筈だった相手、即ち彼女の兄であるヒビキ・ノースウィンド。
たとえ妹としか見てくれない相手であっても、
自分だけの思い込みであっても――年頃の女の子がデートをするような気分を味わってみたかった。
その願望を叶える為に漸く下した一大決心、即ち新しいファッション。
いざお披露目、と思った矢先に兄から電話が入った。
曰く、婚約者であるブリジットが突然倒れたので、病院へ付き添うとの事。
一大決心は見事に空振り、カナデは自分の道化っぷりに苛立ちを隠せずにいたという次第だったのだ。
無論そんな事情はおくびにも出さないが。
出るのは溜息と、少しの間だけ。
「……ねえ?」
いつもの仕草も装いが異なれば、殊更女の子らしく見えてくる。
「どうしてアナタは、いつも私に話しかけてくるの?」
>453お嬢
先に行っています、と言い残してその場を立ち去る妹の背を見ながら、
クレハはカナデの言葉を聞いた。
振り向くと、そこには不思議そうにこちらを見つめる瞳がある。
「さぁ、何でだろう?」
少しだけ考える素振りをしてから、首を横に振って呟かれるセリフは、
カナデの望むような答えを伴ってはおらず。
「……話しかける度に君には不快な思いをさせちゃってるかもしれないけど、どうしてかな。
一番最初に遇った時とかもそうだったけど、俺が話しかける時……なんだか困ってる風の君で居る事が多くてさ。
余計なお世話かもしれないけど、多分俺にはそんなカナデちゃんを放っておく事が出来ないのかもしれない。」
だから、と言って笑い。
「ごめん、多分これからもそうすると思う。」
頬を掻く。
多分また突き放されるとは思いつつも、クレハは思っている事を口にした。
>>454 「!!」
不意打ちに近い言葉に、慌てて彼女はクレハから顔を背ける。
モミジが先にいなくなっていて良かった、と思う。
顔が熱い。
幼い頃に兄から聞かされた台詞を、まさかこの男の口から再び聞かされることになるなんて――
「そ、そう。
勝手にしなさいっ――余計だと言ったって、アナタたちみたいな人は止めないんでしょうから」
自分の兄がそうであったように、似ても似つかない、けれど同じ言葉を持つこの男も、また。
顔をまともに見れないまま、少しだけ早口になったのが自分でも分かった。
ああ、駄目だ。
こういう時、私はどんな顔をしたらいいのかを知らないのだ。
だって、どんなマニュアルにもそんなコトは書いていなかったから。
どうしよう。
どうしたら――
逡巡の後、思考は一つの答えを出す。
「この後の時間がね。予定外に空いてしまったの」
唐突な台詞。
「困っている私を放って置けないんでしょう?」
ああ、これなら多分私らしい。
そう確信し、自分を取り戻したカナデは振り返る。
「私、空いてしまった時間を埋められずに困っているんだけど――お節介なアナタはどうするのかしら?」
傲岸不遜なアイスブルーの双眸が、クレハの瞳を射抜くように見つめていた。
>455 お嬢
―――、
瞬間、言葉に詰まる。
自身の胸がこんなにも高鳴っているのはきっと、
その透き通るような瞳に射抜かれ、気圧されているだけでは多分、ない。
思わず半開きになっていたクレハの口から、少しの間をおいて言葉が出る。
「それは……うん、放ってなんか置けないな。置ける筈が無い。」
一人頷きながら髪留めのカチューシャをくい、と上げ直し、
佇まいをきっちりと正してからカナデ・ノースウィンドに向き直ったクレハは。
「……俺たち…いや、俺でよければ。
空白の時間を埋める為にご助力させて欲しいな。」
そう言って微笑み、右手をそっと差し出した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
パイロット養成所の居住区画は、広い。
格納庫や滑走路等といった機動兵器用のスペースとは比べるべくも無いが、
在籍している教職員や生徒、その大半が居を構えているのだから当然の事だ。
「――ここ、か。
クリスさんも回りくどい方法を取ってくれるモンだ――」
そしてその居住区の一角には、現在地球からやって来た訓練生達が暮らしている建物がある。
何軒かに分かれた内の一軒に足を踏み入れていくのは一人の青年、
この建物の住人では無い彼は、一つの部屋――住人は二人――の前で立ち止まり、インターフォンを押した。
>457 リヒャ兄
プ――、という短い電子音を、
それぞれの方法でフリータイムを過ごしていた二人は同時に聞く。
まだ聞き慣れないインターフォンの音に、先に身体を起こすのは
寝転びながら衛星ヴィジョンをただぼぅ、と眺めていた双子の兄、ルビ・タイトハーツ。
「ん、お客さんかな。」
「こんな時間に誰やろ?
今の時間だと他のメンバーは出払ってるハズやし……ルビ応対頼むわぁ」
少しだけ目配せをして兄にそう頼む妹、ラビ・タイトハーツは
ファッション雑誌のページを捲る指をそのままに、面倒くさそうな息を吐く。
そんな妹に苦笑しながら、インターフォンの応対ウィンドウ越しに来訪者の姿を確認するラビ。
「――はい、何方様でしょうか…あぁ!」
ボタンを押して、すぐに声を送り、その人物の顔を認識するや否や。
「はいはい、はーい!」
リヒャルト側。
ウィンドウ越しの驚いたような声と共に音声は途絶え、
ドアの向こうからパタパタと慌しく駆けて来るような足音が聞こえてきた。
「こんばんは、リヒャルトさん……えっと、お身体はもう?」
カチャン、という施錠機構の外れる音と共に、シュインと開くスライド・ドア。
その向こう、視線の下には、丁度背の高いリヒャルトを上目遣いで覗き込み、
ぺこりとお辞儀をする少女のような顔のルビ・タイトハーツが立っていた。
>>458 ドアを開けてみると、微笑みながら挨拶をするリヒャルトの頭には包帯が見えた。
服のボア付きのジャケットから僅かに見える首筋にも白い何か、
決して完治したという訳では無さそうではある。
「やぁ…お二人ともこんばんは、こんな時間にいきなり済まないね。
お陰さまで怪我のほうは問題無いよ、生傷なら慣れてるから。
――それで早速なんだけれども、今から二人とも時間は取れるかな?
整備のクリスティナさんから○×格納庫に来てくれと頼まれたのだけど、
君たちが来れる様なら連れて来てくれないかと頼まれてね。」
と、唐突な申し出。
因みにここから彼の言う格納庫までは、エレカに乗れば十分とかからない。
>459 リヒャ兄
あ、と言い掛け頭を下げる。
「…本当に、先日は有難う御座いました。
僕らが先行したせいでリヒャルトさんも、S4も、そしてリュートさんとGLにも迷惑だけじゃなくて…」
伏せ目がちに呟くように、
申し訳なくて居た堪れないという様子でルビは訥々と数日前に病院に見舞いに訪れた時とほぼ同じ事を繰り返す。
「それで、えっと……え?クリスちゃ…さんがですか?」
「――ちょっとルビ、誰が来たん!?
ニュースペーパーの勧誘やないんやから、さっさと上がって貰うなり帰って頂くなりして――あれ、リヒャ先輩?」
ヤケに応対に手間取ってるらしい兄が気になりだし、
さばさばとした展開でないとイラっと来てしまう性分のラビは溜息と共に立ち上がり、ツカツカと玄関口にまでやってきて、
一頻り言いたい事をルビに向けて言い放った直後、少しだけ驚いたような顔のリヒャルトと目が合う。
ボンっと紅くなる頬。(やば、恥ずいわぁ…)などと思いながらかぶりを振って気を取り直し、こんばんわーと先程のルビのように頭を下げた。
「クリスさんが僕らに何か用事があるみたい。」
「クリス姐が?それで何でリヒャ先輩?
……あ、先輩って“断れない系”の“イイヒト”なんや?確かになーそない顔してはるもん♪」
「失礼だよ。(コツン)
僕らは大丈夫です。行きましょう、お願いします。」
目の前で繰り出されるまったく同じ顔による漫才はいつ見てもなんとも言えない気持ちになることだろうが、
それはおいておいて、二つ返事で首を縦に頷く二人だった。
>>460 「いや、好きでやった事だから気にしなくて良いさ。
元より理由も無くやった事だし、俺は自分のやりたい様にしただけでしね。
……ビームを撃たれるってのも、滅多に無い経験だった。」
(そう言ってのけて、続いて玄関口に現れたラビにも苦笑しつつ、軽く挨拶をしてみせる。
確かに少々吹き出してしまう様な状況ではあったけれど、それが少々羨ましくもある。)
「分かった、では外で待ってるよ。
今晩は冷えるからね、暖かくして来るのが良い。」
(そうして、建物の外に停めてあるエレカへと向かう。
乗り込んで向かうのは格納庫――先日の戦闘で破損した機体も修繕を受けている、○×格納庫へだ。
――因みにラビの『失礼な発言』には突っ込まないもとい突っ込めない。
何故なら、基本的には図星だからである。)
一方ロシア…じゃなくて○×格納庫……
見ると比較的新しい落書きもあるようである
「…あーだるっ、いてー」
見た感じぐだぐだなふいんきである青年だ。
…しょっぱなからこんなんである。と言うのも怪我もまだ完全に治っていないからだ…
こいつの気力の低さは仕様みたいなものである。…多分
今日は機体の様子を見に来たのとあわよくば…であるが
いまだにマークされていないとは言い切れなかった。
どうやら機体ハンガーを見ると“蔵出しされた”機体もあるようである
>461 リヒャ兄
「――お待たせしました!
もう、ラビ…なんでそんなにめかし込んで…」
「厚着にもファッションセンスが問われんの!
…わからへんかな?わっからんやろなー…」
カン、カン、カン、という剥き出しのチタンスロープを走って降りてくる双子は、
五分は待たせたであろうリヒャルトにひとまず頭を下げ、
彼が乗って来たエレカの後部座席にルビ、助手席にラビがお邪魔する。
「それじゃリヒャ先輩、早速頼みますー」
「これ以上待たせてはいけないでしょうからね、急ぎましょう。お願いします。」
車中では先程のビームに撃たれる経験云々など、
絶えない生傷の話をそれこそ傷口に塩を塗りこむようなアプローチ法で助手席ラビが延々としゃべり続けた事はご愛嬌。
終始頭を下げっぱなしだったルビのキワドイ胃痛が治まる日は来るのか。
>>463 (車中でのリヒャルトは忙しい。
それこそ、塩を塗りたくりたくなる様な見事なキズを負ったという自覚はあるし、
ましてやそれを指摘されたからといって年下の子供相手にその程度で怒鳴りつける訳にもいかない。
持ち前の変態的とも言える忍耐力でそれを何とか凌いで見せた辺りで。)
「よし着いた、何だか凄い時間がかかった様な気もするが……
クリスさーん!ご要望どおりお連れしましたよー!!」
(エレカを降りて、そう叫びつつ明かりの灯った格納庫へと入って行く。)
「あら、早かったですねー!
ルビさんもラビさんも、こんな遅くに御免なさいねー!」
(そしてリヒャルトの言葉に答える声。
声の主を探してみれば、彼女は頭上の人だ。
格納庫入り口から20メートル程の位置に佇む黒いMSのコクピットに立ち、こちらへと手を振っている。
そしてそのMS――S4の姿は、ルビとラビが知っている物とは少々仕様が異なる様に見える。
そして何より目を引いたのが、その背後に位置している――異様なフォルムの機動兵器だ。
そう、格納庫の中には……ルビとラビが見慣れないモビルスーツの姿があった。)
>464 リヒャ兄
「でも助けてくれた事はほんまに感謝してるんですよ、ありがとう」、
とエレカを降りる際にリヒャルトへ純粋な笑顔と稚拙ながらもやけに蟲惑的なウィンクを向けたラビは、
そのまま兄を追って格納庫の方へスタスタと歩いてゆく。
遠くでもう一度振り返り、エレカをドアロックしているリヒャルトに向けて、兄の方も再び頭を下げていた。
そして、格納庫に入ったリヒャルトの大きな声に少しだけビックリしながら二人は、視線を一点へと注ぐ。
>465 クリス姐
「姐さんそないなトコに…なにしとるーん?!」
「しかしこの場所は……む、あれは?
……ディンの改造機、色とパーソナルはS4の…でも少し形が…」
クリスの姿を確認すると、ラビはそのまま遠くの彼女へ、
ルビは格納庫を見渡して、ハンガーに掛けられた見慣れぬ機体群へと意識を向ける。
ルビの目に留まったのは先ず先日撃墜されたばかりのS4…それ“らしき”機体。
既に修復を終えたモノなのか、外装や装備の一部を換えてそれはソコに佇んでいた。
そして、更にその奥、何かしらの存在に気付いたルビは怪訝な顔を浮かべる。
一言で表せばそれは「奇異」。
「四つ脚の……MA?」
どこか見慣れたラインはかつて自分たちの愛機としていた「GTトレーナー」に系譜するAWの時代特有の。
ここからではやや薄暗い、その灯りの下で確認できる……あれは確か「ワラビー」の。
次に両肩の部分に視線を走らせる。
巨大な砲筒、巨大な、コンデンサーのような機構。そしてあれはミサイルシステム?
一目見ただけでは判断しづらいが、あの異様は恐らく純粋な「砲撃戦用」の機体だ。
そう、思った。
それと同時に、何故か強く惹かれるモノを感じた。
真っ直ぐに「彼」の双眸と対峙する。
呼ばれている…そんな気がした。
>>466 「レールガンと四連装ミサイルポッドを搭載、大推力スラスター…
こいつのようだな、蔵出しされた機体は。」
どこから沸いてきたのかはさておき
この青年が言っている事はこの4脚MAのことだろう
無意識の内に自らの足元へとやって来た少年を、その鋼鉄の巨人は無感動に見つめている。
昆虫を思わせる三つのカメラアイは何かを訴えている訳ではない。
だがしかし。
彼を惹き付けてやまない"モノ"は、確かにそこから感じられる様な気がする。
そしてそれは錯覚だろうか、その巨人もまた、彼・彼女を熱望している様な気がした。
『――その子はね、ウチの班長達が実験的に組み上げた試製機体の一つなんです。
四脚による高い走破性にMSの運動性能、高い機動力に攻撃力。
見た目よりも遥かに低い運用コスト――けどね、この機体には乗り手が居なかったんですよ。
何でだか分かりますか?』
(背後からかけられた声に振り向けば、そこにはS4の改修機から降り立ったクリスの姿。)
>>467 「そうだよ、俺が養成所に入った頃に作られていたのを見た事がある。
もう少しでモスボール期限が切れて解体される所だった、
一度も牙を向かないアナイアレイターとして、な。」
(アナイアレイター。
虚無と化さしめる者、即ち殲滅者の名を持つその機体。
どうやらリヒャルトはその機体を知っているのか、
何時の間にか現れたリュートの背後で、そんな言葉を返して来た。)
>>468 「……(乗り手に必要とされるスキルが特殊すぎること、乗り手を二人も要する事
後は一人乗り機体との運用性も含めた性能差…?!)」
そんな事を思いつつ
>>469 「冴えてますね、先輩。全く、俺は引退したほうがいいかも知れませんな」
半ば冗談で答える青年。
「しかし先輩はなぜこいつの事を…?(あーそういえば…)」
聞いてみる青年。しかしこいつ感づいているようなそうでないような感じである。
「なんやろアレ…ほら、S4の後ろの!
あは、ウケるわー…ものごっつケッタイな子やなー♪」
「うん、僕も気になってたトコロ。」
「上半分はうちらにも思い入れのあるデザインやし、結構愛嬌のあるカタチだと思わへん?ルビ。」
「うん……」
ラビもその「奇異」の存在に気付いたのか、
嬉々として機体の方を指差して面白おかしそうにラビの背をバンバン叩いている。
ソレに対して、ルビはただじっと、惹き付けられたまま……。
>467 空欄
その声に振り返り、誰であるかを認識すると反射的に頭を下げていた。
「これは…リュートさん、こんばんは。
先日は本当にお世話になりまして……貴方もここへ呼ばれたのですか?」
辺りを見回しても少女のような整備班員と、
そのずっと奥…管理室の窓の向こうに映っている口数の少なさに定評のあるシェル・ライオネットらしき人物以外、
現在この格納庫には人が居ないようであった。
ともなれば、同じようにクリスかあるいはシェルに呼ばれたのだろうと判断するのは自然といえる。
「蔵出しですか…という事は今現在、あの機体にはパイロットが居ない、と?」
モスボール処置が施されているらしいのは装甲の一部に掛けられたシートを見れば解かる。
確かにクセの強そうな機体だと思う。機体左右の兵装ハンガーを見れば、これまた重火器が揃っていた。
>468 クリス姐
一旦リュートとの会話を中断し、クリスの方に向き直る。
「んー……結構うち好みな仕様っぽいけど、やっぱりちょっとキショいから?」
「そんな理由でこれだけの機体を遊ばせておくような養成所ではないよ。
……それは、何故ですか?」
ごくり、と唾を嚥下するように。
自分よりも更に背の低い、その少女のような女性を見つめる。
番いの青色と赤色のオッドアイという変わった瞳からの視線が、クリスに注がれた。
>470
「そりゃまぁお前、予習と復習は学生生活の基本だろう。」
(苦笑交じりに応えてみせる。)
「それに今言っただろう、入学したときに見たって。
それっきり忘れてたけど、先日クリスさんに言われて漸く思い出したのさ。
…ぶっちゃけリュート、分かってて聞いてないか?」
>471
確かに少々特異な外観ではありますけど、と前置きして。
「乗り手が……というより、乗れる人が居なかったそうです。
より正確に言えば乗れる人"達"ですね。
あの機体の操作感覚は、その実戦車によく似ているそうです。
四本の独立した駆動装置に、360°の旋回角を持つ旋砲塔の様な上半身。
ですから当然、戦車の様に複数の乗員で操縦を分担する様に作られました。
ですからコクピットの中には座席が二つ、貴方達の使っていた機体と同じですね。」
見れば、開け放たれたコクピットハッチの中。
やや小ぶりなパイロットシートが、前後に二つ並んでいるのが見て取れた。
「けどね、速過ぎたんです。
元々高い運動性を目的として作られたのに、その速さに対応しつつ連携を取れるパイロットが居ない。
操縦手は機体を操るのに必死で砲手との連携が取れず、
砲手は目まぐるしく動き回る自機のせいで上手く照準をつけられない。
そういう理由でこの機体は乗り手が無いまま、かれこれ一年近く放置されています。
維持するだけでもお金はかかりますから、このままだと三ヶ月もせずに解体されてしまうでしょう。」
立て続けにそう告げて、一旦クリスは言葉を切る。
ルビとラビ、二つの赤と蒼の瞳が自分を見つめるのを待って次の言葉へ。
「そこで私達整備班は思うんです。
どうせバラしてしまうのならば、それを役立ててくれそうな人に賭けてみないか、ってね。」
>>471 ……
【選択肢】
→1.リハビリも兼ねて格納庫の様子見
2.そうです、呼ばれて来ました
3.俺が整備班だ
「んー、俺は格納庫の様子見、リハビリも兼ねてな。えーと確か…」
つっかえているのはもはや仕様…かもしれない
>>472 「ははは…ここまで来るとボケの始まりのようで…」
どこまでですか、アビュークさん。
「いいえ、確証が持てないものでしたので」
そう答える青年。ぐだぐだである。
>474 空欄
「そうでしたか、僕らの“ツインズシート”程では無いにしても、
GLも大分傷ついてしまいましたからね…本当にすみません。」
「あー、リュートさんやん!
またどーしたん?怪我はへーき?
なわけないわな…うちらのでせいでもあるから、きっちり養生してくださいね?」
ベッドで寝てるんなら今度本でも読みにいきますわーなどと、
明るくバンバンならずともポンポンと背中叩く妹の方。マジちょい迷惑。
>473 クリス姐
「――ねぇ、ルビ、それってつまり…」
「待って。
……これは、つまり?」
その瞳が全てを語るところを理解したラビをひとまず制し、
ルビ・タイトハーツは敢えてクリスにそう、尋ねた。
我が身の内に燻っていた何かに今一度灯が点る…そんな沸々とした予兆を感じ、また期待を抱きながら…。
「ハハハ、ボケの予防には頭の体操が有効って話だけどな。
その点俺たちみたいな人間ってのは、そう簡単にボケさせては貰えんさ。」
(同じくははは、と。
まぁ彼にしたところで、この機体の存在を思い出したのはつい先日の事だ。)
「…それで、そういうそちらの機体はどうさね。
俺のS4…いや、S4+(プラス)はご覧の通りだけど。」
(そう言う彼の背後には、武装強化を受けたS4の姿がある。
頭部と胸部への機関砲の追加、電子機器の増設など。
更に整備班にも所属しているリュートなら分かるだろう、どうやら一部の装甲材も変更されている様だ。)
>475
「ご推察の通りですよ、きっとね。」
そう応えて、その問いかけをすっぱりと肯定して見せた。
そうしてクリスは彼・彼女の後ろに見える巨人へと視線を移すと、ヘッドセットのインカムへと声をかけた。
「『挽歌を謡え、殲滅者』、貴方の歌を、この人達へと聞かせてあげて。」
そして、その言葉――安全装置を兼ねた音声コードにより、
封印されていた四脚のAnnihilatorの瞳に灯が灯り、ルビとラビとを見下ろした。
今度は冷たいカメラアイの其れではない。
鈍く、尚且つ強く輝く灯をともした真っ直ぐな、"視線"。
>>475 「お礼参りじゃねーようだな…
まあ命はあるようだなルビラビ。
(二人乗りである以上重い者ではあるが)」
>>476 「そうですか…(まあサボっちゃうせいかもな)」
「機体はまだ修理中のようです
先輩の機体近接時対応の固定装備の火器を2種も搭載してきてきましたか
電子機器の増設も合わせて強化してるようで…フレームの強化も行いました?」
なんとなーくS4の骨格(みたいの)に違和感があったのかそんな事を聞いてくる青年
センセーこいつきっとカンニングしてます。(確証はなし)
>478
ご明察、と。
少し感心したような感じで驚いている。
「あぁ、ミサイルの迎撃とか、格闘戦に入ったときの対応なんかに有効だから。
……俺はサーベルとかナイフとか振り回すのは苦手だからな、撃つ方が得意だ。
それに俺は元々偵察兵だから、生残性も高めないと話にならないしな。」
「そういえば、そっちも何か改造したりするのか?」
>477 クリス姐/“殲滅者”
「アニヒレイト……はぁ、殲滅者?
あのキモかわいい見てくれにしてはハンパなく物騒やん?」
「けれど、彼は僕らを望んでる。彼は僕らを選んでる。」
「せやね。むっちゃ物騒……けど、ジョートーってヤツや」
その鈍い光に気圧されたか、二人共に頬を冷汗が伝うのを感じていた。
しかし、二人は決して視線を逸らそうなどとは考えず、
ただ真っ直ぐに受け止め、見つめ返すだけの意思を持っていた。
「(二分化されたシステムはそれぞれに特化した者が運用して初めて成立する…
機体特性が射撃主体であるなら本来僕には不向きだけど…補うようにラビが居る。)」
「(武器はうちの十八番のたぐいが揃ってる…
けど、これだけの砲を繰るにはどうしても機体操作が疎かになるんは必定や……
合図も出来て、思うように動いてくれる。ふつーの人らみたく信頼出来るんは自分だけとはちゃう……うちにはルビが居る。)」
「(僕は機の操作を。)」
「(うちがトリガーを。)」
「(要は“ツインズシート”…!)」
「(伊達に双子で、しかも複座を何年乗り回してないんや。
うちらなら…)」
「(僕らなら…)」
「 「 (――出来る……!!) 」 」
二人が持つ意思。
大破した相棒に代わって、この機体を受け入れるという――覚悟。
再びクリスに視線を移してゆっくりと、ルビとラビは無言で同時に頷いた。
>>479 「うーん…それなんですけど、今のところ俺が出来るのは『レシピの作成』と『材料の調達』ぐらいしか…
まあ土壌作りですね、これ。
…どうも俺一人ではどうしようもなさげですし
他の科の方からも色々助けがあればいいのですが…」
『夏休みのげきは法』と書かれたデータディスクをそっと見せる
「協力してくれるとありがたいのですが、戦術、戦略的なアドバイスを含めてね。」
>>480 「――良かった。
もう他に乗れそうな人も居なかったから、実を言うと明後日にも解体の予定だったんです。
そんな機体ですから、存分に活用してあげて下さいね。
開発コードはFA、ファナティック・アナイアレイターです。」
(そうして、ポケットから取り出したメモリースティックを二人へと手渡す。
シミュレータ等で使用する、MSのデータを入れる為の物だ。)
「それでは、近日中には各種の封印を解いてお引渡しします。
それと必要な単位等については心配ご無用ですからね?
少なくともトレーナーを修理するよりは安価ですし、地球の養成所にも話がついてる筈ですから。」
(……何と言う手回しの良さか。
整備と事務の手際の良さと言うより、コレは最早何らかの確信を持って行われたと考えるべきだろう。)
>481
「良いよ。」
(――即答。)
「口だけなら幾らでも出すし、俺に手伝える事なら幾らでも手伝うよ。」
(続いて、こんな言葉。
まるで"理由などいらない"とでも言わんばかりに、リヒャルトは言い切った。)
「…で、それは一体?」
>>483 「ありがとうございます。今度おいしいうどん屋か蕎麦屋に行きましょう」
「こいつですか?近々来ると踏んでいいものの準備ですけど
工兵科とかの技術も必要のようでね…整備班の方にも協力を仰ぐつもりですよ
正直コレが一人で片付けられるとは思いませんが」
調子は変えずに言う青年である
>>482 「おや、とうとう決まったのかい?」
パイロットスーツ姿のスカーレット。
紅色の髪が幾らか額に張り付いているところを見ると、出撃から戻ってきたところなのだろう。
小脇に抱えたヘルメットは、だとすれば脱いだばかりか。
メリハリの利いた体躯、シャンと伸ばした背筋は微塵も疲れを感じさせないでいた。
「随分と喜んでるようじゃないか、その子」
双子を見ながらニヤリと笑う。
唇の端を吊り上げるその笑み、濡れたように瑞々しい。
>482 クリス姐
「「ファナティック、アナイアレイター…」」
その名を反芻するように呟き、もう一度コクリと二人は頷く。
「――あは、クリス姐ってばうちらが絶対クビ縦に振る事確信してたやろ?
それにしたって手回し良過ぎるゾ☆
…思い通りになるんはちょっと悔しいけど、ほんまにビビビっと来たわ、この子には。」
よろしく、などとファナティック・アナイアレイターに向けてサムズアップするラビ。
打って変わって静かにクリスに頭を下げてから、ゆっくりと機を見上げるルビ。
「これで、また“彼ら”に出遭ってしまった時にも相応の対応が取れるかな。」
「何甘いコト言ってんねん、今度会ったらリヴェンジ果たすに決まってるやんか!
うちらの相棒のお礼参りに名前通り“殲滅”してやるんだから!!」
「物騒なのはイヤじゃなかったの?」
「イヤとは誰も言ってへんもん」
クスりと笑い、やけに意気込んでいる妹を見て小さく溜息を吐く。
口にこそ出さなかったが、結構負けず嫌いのラビのこと。相当悔しかったに違いない。
そして、これまで兄の支援に努めてきた自分が今度はメインポジションとなる機体だから、否応無く昂ぶって来ているのだろう。
そんな妹の気持ちがわかるようで、自身も気持ちを切り替え、これまで以上に連携パターンを強化するべきだと考え始める。
「ありがとうございます、クリスさん。
有り難く使わせていただきます、この“ファナティック-A”を。」
「“アナイアレイター”、気に入ったわ、クリス姐。ありがとー
明日からでも早速試運転したいんやけど、トライアルポートの申請とか頼める?あとデータ取りとかもやんなきゃあかんよね。」
気がつけば話はどんどん進んでいた。
>484
「分かった、どちらかと言えば蕎麦が好みだ。」
(コクリ、と頷いて見せる。)
「工兵科……?
爆発物系のトラップでも使うのか?
…それだったら食らうのには慣れてるが。
…俺よりもS4が嫌がりそうだな、まぁ無理してでも付き合って貰うが。」
>>487 「―了解。そのために金の流れを安定化させないと…ね
ええ、それもレシピの中の一つですよ
後はクリスさんを初めとした方々に当たってみます。
―俺の人脈では限界がありそうですがね」
ディスクをしまう青年
>485 スカーレット教官
「あ、教官殿…!」
「こんばんはー
出撃でしたか?ご苦労さまですー」
佇まいをシャンと正して敬礼するルビと、
それよりもややラフな感じでニッコリと敬礼するラビ。
事件の後、双子がリヒャルトとリュートの病院をめぐり終え、三番目に頭を下げに行った相手…
それが、目の前の鮮烈な紅色のイメージを湛えた女性教官「スカーレット・エスター・マーヴェリック」だった。
「ええ、そうだと思うと我々としても期待に応えたいと。」
「一度無様を晒してるワケですから、二度目はカッコよく行きたいなーって思ってます。」
>>486 「ええ、失礼とは思いましたけど何だか確信めいた物があって。
班長さんにもお二人の戦闘データを見せたら
『こりゃあ、コイツらならきっと乗りこなしてくれるぜ、絶対。』なんて言われて。
もし駄目だったらどうしようとも思いましたけど、やっぱり正解で良かったです。」
(その様子がほほえましい。
自分が与えたのはつまる所兵器だけど、それでも大事にされるのは嬉しい物だ。
それはきっと、全ての生物がそうだと思う。)
「ええ、トライアルレポートは封印解除と一緒に用意できます。
シミュレーション用のデータは先程のメモリから起動出来ますけど、
やはり実機を動かしてみないと運用データは取れませんから――」
(さて、忙しくなって来たクリスである。
しかしこれは彼女にとって嬉しい状況だ、自分が携わった機体の話をするとき、
彼女はそれを至福の瞬間だと感じる事が出来るのだから。
――例え其れが、どんな機体であってもだ。)
>>485 「ハイ教官、やっと良いヒトに巡り合う事が出来ました。
今なら何となく、私にも喜んでるのが分かる気がします!」
(というよりその実、クリスの方が喜んでいるのではないかというはしゃぎ様だ。
年甲斐の無い、それでいて外見相応の喜び方はそんな感慨すら抱かせる。
何時もなら帰還直後の教官に労いの言葉の一つでもかけていただろうに、
今に限ってそれが無いのが、ちょっとした証明と言えるかも知れない。)
>>489 「そうかい、頑張りなよ」
歩み寄り、双子の肩を両手でポンっと叩いた。
ついでニッと笑い、その手でそれぞれの頭をくしゃくしゃと撫でる。
僅かばかりの前屈み姿勢。ラフに開いた襟から、胸元の肌が少しだけ覗いた。
>>490 「整備兵の卵からお墨付きも貰っちゃ、
その子もこの子達も、益々気合が入るってもんだろねぇ」
双子の髪を無遠慮に撫で回していた手がスッと離れ、
こげ茶色の瞳が格納庫のライトに浮かび上がる異形の機体を見上げた。
「そうかい、アンタにも分かるかい」
機械を見つめる彼女の瞳は、どこまでも優しい。
>490 クリス姐
「せやったらアサイチやね、姐さん!」
「は、早起きかぁ…出来るかなぁ…」
「うちが叩き起こしたるさかい安心しーや?」
「う゛……大丈夫です、目覚ましさんにお願いするから……」
低血圧なルビだった。
>491 スカーレットのお姉さん
「はーい、教官に護ってもらった分は腕を上げて、
期待に応えることで返したいと思いまーす♪」
「あ…は、ハイ!きっと扱いこなして見せm………ひゃあっ!?」
「…ルビ?」
教官に頭を撫でられてから数秒後、不意にドカンっと頭上に湯気が上がったかと思うと、
小刻みにプルプル震え、耳まで顔を赤くして、はわわっているルビが居た。
すぐに兄の視線を追って、その先に実るたわわな果実の存在に気が付き。
「なーに見とんねん。
おにーちゃんのドすけべ。」
ややニヤついたジト目から、妹謹製のバンカ・エルボーが兄に炸裂した。
>488
「分かった、そういう事なら手伝おう。
…これでも、それなりに養成所内なら顔はきく。
詳しい話はまた後日な、あの二人をそろそろ送ってやらないといかん。」
(そう言って、彼は格納庫の出口の方へと歩いていく。)
>ルビ・ラビ
「話が済んだら教えてくれ、終わったらまた送って行くから。」
(単刀直入にそれだけ告げて、格納庫の外へ。
歩くと結構疲れる距離ではある以上、それはある意味では当然と言えた。
少しして格納庫の外を見ると、星を見上げながら無煙煙草をふかす青年の姿が見えた。)
>491
「はい、今だけかも知れませんけど――
――今だけなら、とても良く分かります。
誰からも見向きもされなかった『彼』の、この瞬間の悦びが。」
(ふと、彼女もその巨人を見上げる。
不恰好な四本足の『彼』は、彼女には今にも喜んで踊りだしそうに見えた。)
>492
「あらあら…それは大変。
…今ので血が抜けてしまったら、余計に起きるのが遅くなってしまうかしら?
私じゃあそうはいかないわね。」
(クスクスと笑いつつ、諸々の準備については了解の旨を伝えて来る。)
>>492 そんな二人のやり取りに、F.Aを見上げていたスカーレットはチラリと目を遣った。
(そういや、アタシの弟もあんなくらいの時期があったんだよなー)
ネコ科を思わせる二つの瞳が、昔を懐かしむように細められた。
ククッと思い出し笑いしつつ、さり気ない感じでファスナーを少し上げる。
元より余り見せ付けないように注意はしていたつもりだったが、
免疫の無い相手にとってはそれでも充分刺激的な格好だったようだ――
(ご老体もあれくらいの反応してくれたらなー。
……。
……。
いや、アタシ程度の色仕掛けであんな反応をご老体がしたら、ちょいとキモいか)
愚にもつかない事を考えている自分に呆れ、やれやれと小さくかぶりを振った。
>>493 「その感覚、きっと貴重なもんだろうからね。
忘れんじゃないよ、絶対に」
彼女の言葉に満足そうに頷き、
思い出したように額に張り付いた髪を指で払った。
>>493 「ではお願いしますよ」
そう言う青年は彼を見送る
―仕込みは始まったばかりだ
「俺もあまり顔は効かんがやってみるか」
ホントは一人でやれれば理想的ではあるが、現段階ではそうも生きそうもないのである、まる
>494 クリス姐&スカーレット教官
「まぁこの愚兄のコトはうちがなんとかしますんで気にしないで下さい♪
それじゃリヒャ先輩待たせてるんで今日のところはこれで。
また明日ね、アナイアレイターも!」
そう言ってラビは二人に頭を下げ、
ぐったりとした兄を引き摺りながら格納庫を後にする。
去り際にリュートにももう一度頭を下げて手を振るという愛想のいい八方美人っぷりは中々のものである。
>493 リヒャ兄
「お待たせしました、リヒャ先輩。」
ズンっと兄の身体をエレカの後部座席に無造作に放り込み、
手をパンパンと払ってから助手席に乗り込む。
すごい笑顔で。
「さっきタバコ吸ってましたよね、煙が出ないやつ。
美味しいんですか?」
などと早速話し始めるラビ。
行きはよいよい帰りは……フォロー役が、居ない。
>495
「ええ、覚えていられる限り…
というより、この感覚は忘れられそうにありませんね。
正直に言うと今始めて、火星に来て良かったと思ってるところです。
こうあっさり言ったんじゃ、説得力なんて無いでしょうけどね。」
(最後は、気恥ずかしさを隠すようにやや苦笑交じりで。)
>497
「分かりました、それじゃあ明後日。
お兄さんを宜しくね、ラビさん。」
(その後姿を、見送る。
そうして彼女達の姿が見えなくなると)
「……ヨシ、頑張ろう!」
(マーヴェリック教官に丁寧に一礼して、作業を行うべくF.Aの機体へとよじ登っていった。)
>>497 どうやら気付いたらしく腕を挙げる
「…(まあいいさ)」
そして青年は久しぶりに、『いつもの機体』に乗り込み、帰るのである、まる
てすと
.
【――あんな、
あの街にはものごっつ強いゲームチャンプがおるんやって!!】
嬉々としてそう話していた妹の言葉を思い出しながら、
暮れ始めの街並みを背に、ルビはとぼとぼと歩いていた。
あれから随分と歩いたけれど、あの場末の寂れたゲームセンターには戻れない。
もう何度繰り返したのか解からないが、もう一度ゆっくりと首を上下左右に向けて、通り過ぎてゆく景観を見遣る。
見上げる先。頭上を埋め尽くすように歪な形の雑居ビル群が覆い、陰鬱な影を通りへ万遍無く落としている。
その通りには、丸いフレームのサングラスを掛けた小男や、袖の隙間からグロテスクなタトゥーが見え隠れする怪しい人たちが番をする露店が延々と続く。
壊れかけのネオンが重なり合い、犇めき合って活気付くこの街は、しかしどこか退廃的に蠢いている。
「クーロン・クレイドル……」
元々は香港華僑系の企業の出資により建造された、
龍の宝珠をモチーフにした純白のドーム型クレイドルであったが、
今や無計画な都市整備事業・移民受入政策の結果、深く広がり過ぎてしまった「アンダー・グラウンド」を抱える魔都として存在している。
最初はそれこそ目に映る全てが物珍しく、散策気分ではしゃいでいた少年も、
ジャケットのポケットに入れて来たと思っていた携帯端末が無かった事に気付くと、言い知れぬ不安に苛まれ、慌てて踵を返したが……少し遅かったらしい。
「どう、しようかな……」
逢魔ヶ刻。
不意に漂ってきた饐えた臭いに少し顔を顰め、その先にある路地裏を覗き込む。
気付けば、そこかしこに在る路地裏から徐々に、カタチを為した「闇」が伸び始めていた。
惹かれるように、じっとその深淵を覗き続けていた少年は、
その中に漆黒の根源のようなモノを見てしまった気がして、はっと注視を切り上げる。
背筋に寒いものが登り詰めてくるのを感じながら、それから逃れたいが為、
しかし意思とは逆方向……街の更なる深部へと駆けて行った。
こんこんと湧き出るような闇。
人工照明と入り組んだ路地が作り出す薄暗がりを進む少年の後ろを、それは絶えず追いかけてくるようだった。
まるで影法師。逃げようとも逃げようとも、決して振り切れない影法師。
クヒヒヒッ
フフフッ
ヒッヒッヒッ
幻聴か。或いはそうではないのか。
薄汚れた壁に反響する、誰かの笑い声がルビをせきたてる。
ほら、急がないと悪い魔法使いに捕まっちゃうよ。
ほら、さっさとおしよ、グレーテル。
けばけばしい色彩の上に薄暮のヴェールを幾重にも折り重ねた街並み。
見上げても、あるのは無機質の壁と天井のみ。
張り出したダクトやパイプの陰から、何者かが見下ろしているような錯覚すら覚えそうだ。
カツーン
カツーン
ならば、先ほどから聞こえてくるこの足音も、彼の錯覚なのだろうか――
>502
「――はぁ、はぁ…」
路地を惑い、駆け抜ける。
螺旋階段を上に下に駆け上がり、水路の欄干を踏み越える。
浮浪者のような人々の、奇異に満ちた視線を掻い潜り、ルビはただ只管駆け抜けた。
“幻聴”はまだ聞こえる。まだ追って来る。
これは自分の中に湧いた恐怖心が作り出すまやかしだ。
連弾するように響く足音は、剥き出しのチタンフレームの床に反響する音でしかなく、笑い声はきっと喧騒の残滓だ。
「はぁ…はぁ……くっ」
不意に立ち止まる。胸を押さえて荒い息を繰り返す。
目の前には巨大な壁が立ち塞がるようにして聳えていた。
そう、足は止めた。
壁を背にしてひんやりとした感触が指先から伝わっている。
しかし、何故。
「………ぁ、」
“足音”は止まらない?
喧騒から離れ、日の光も気味が悪いネオンの蛍光さえ届かぬこの闇に、何故“笑い声”が木霊する?
必死にかぶりを振るって、耳を塞ぎ、目を背ける。
「あ、あぁ……」
予想出来ない事ではなかった。
クーロン・クレイドルの闇。
それは遍く全てを引きずり込み、飲み込む無辺の混沌。
少年もこの街に足を踏み入れたその瞬間から、這い寄る混沌に絡め取られていたのだ。
それには例外など無く、無慈悲に少年の現実を侵食する。
“鉄の揺り篭”の中では感じられなかった確かな臨死にも似た恐怖が、孤独と共に絶望的なまでに無力なルビの総身を支配する。
「ら、ラビ……僕は……」
目を瞑り、震える唇から言葉を漏らしながら、自身の肩を抱き寄せる。
逃れられない闇の糸に巻かれた哀れな子羊。あるいは、最高級の“鴨”か。
いずれにせよ、後悔は先に立つコトなど無く――
>>503 足音の主は…
なぜか着ぐるみだった、それも遊園地に出てきそうな。
あまりにも場違いにも程がある
どうやらこいつは彼らに気付いていないようだが…
>>503 不意に。
風が、吹いた――蟠る闇を散らす、一陣の旋風が。
足音が止まる。
笑い声が止む。
辺りを一瞬の静寂と、そしてその後に来るエンジン音とが包んだ。
見上げれば飛び込んでくる、無骨さと流麗さの溶け合った金属のフォルム。
それはルビを庇うように彼の前へと降り立ち、追いかけて来た暗がりの方へとライトの光を投げつける。
『紅娘々』
『蠍弁天』
ざわめくような空気の動きの中、掠れた声が口々にそう呟いた。
その声を受け、疎ましそうに真っ赤な髪をかき上げるチャイナドレスのシルエット。
ルビの位置からは丁度逆光になる為、その容姿までは仔細には分からないが――それでも、どこかで見たことの在る気がするだろう。
「乗りな」
人影は振り返らずにそういった。女性の声だ。
見れば、彼女の跨るエアロバイクのシートには、後ろ側に少しばかり余裕があるようだ。
大人ならばともかく、ルビの体格ならば充分に乗れるだろう。
無論、それはその女性に体を密着させれば、の話であるが――
>504 着ぐるみ?
それでもすぐに諦観がやって来たわけではない。
少年は歯を食いしばり、僅かばかりの勇気を手繰り寄せ、目の前の“現実”と対峙しようと細くゆっくりと片目を開ける。
うっすらとおぼろげに映った視界の先には……着ぐるみが立っていた。
「……!」
余りにも場違い、確かにそうだ。
しかしその場違いが、恐慌寸前の少年の心を掻き乱す現実と非現実の“ギャップ”となってしまった。
こんな場所に着ぐるみだなんて、おかしい。覆面をした殺人鬼が居てくれた方がまだマシだと思えた。
「〜〜〜ッッ!!」
SAN値の振り切れてしまったルビは、しかし、その場にへたり込むではなく、その着ぐるみの横をすり抜けるようにして再び“浅い闇”の方へと駆け出して――
>505 スカーレット教官
瞬間、闇の中に一条の光……否、それよりも鮮烈な紅い色彩が注した。
「………スカーレット教官……殿?」
震える足。震える手。震える唇。雫にぼやける視界で認めた人物は、先日にも少年を救った紅色の――
「…ッ」
返事も返す間もなく、少年は恐怖から逃れるために“紅”に縋った。
ただ我武者羅に、これを逃したらもう次は無いのだと本能的に理解して。
“紅い女性”の肢体にしがみ付いたのだった。
>>506 途端、少年の鼻腔に仄かな甘い香りが刺激した。
薔薇の香りだと、果たして彼は気付けるか。
抱きつく腕が、しがみつく体が、くっつけた頬が、それら全てで布越しの温もりを感じ取る。
あやふやで恐ろしい、悪夢のような時間の中に突如として現れた、その温もりは紛れも無い現実の証だ。
「んっ……」
少しだけ身を捩る女性。
男性には無い柔らかさが、ルビの腕をほんの少しだけ押し返した。
「悪いね。
この子はアタシの客人でさ、
どうしてもってんならアタシをどうにかしてから連れてくんだね」
聞き覚えのある声。
つい先日聞いたばかりの、年上の女性の声だ。
応ずるように小さな舌打ち。
尚も殺気立つ薄闇の住人たち。
「ま、捕まえられたら、の話だけどね!」
ひときわ大きなエンジン音。
しっかり捉まってな、と囁く声が聞こえたかと思うと、ルビの体は縦方向のGをまともに受けながら大きく上昇していた。
>507 赤い髪の女性
ルビがその鼻を擽る薔薇の香りや、
近しくはあれど自分には持ち得ない本当の柔らかさを感じ取るよりも早く、バイクは加速をはじめる。
ゆっくりと加重で流され落ちていくように、少年を支配していた闇への恐怖が芯から抜けて行くまでには今少しの時間を要した。
「…………、」
風を受け棚引く赤髪が頬に触れるのを感じ、
意識がようやく均衡を保てるまでに回復した少年は、
数十秒ほどの惚けを乗り越えて、改めて目の前の女性を認識した。
突如として差した逆光の中、姿ははっきりとは見えなかったけれど、
その凛とした声音、僅かに見えた紅い髪はきっと……そう思い、彼女の名を口にした。
「…スカーレット教官……」
瞼がじんわりとしてくるのが解かる。
情けないなぁ、と思う反面、絶対的な安心感の方がそれを上回ってしまったがため出てきたものだろう。
再び自分の前に現れ、颯爽と救い出してくれた女性。
その“現実”を確かめるようにして、もう一度だけぎゅっと腰に回した腕を抱く。
今の少年には遠慮や羞恥といった思いは無く、純粋な思いだけがそこにあった。
>>507 何かこいつは言おうとしているがノイズか反響か何かがひどく、うまく伝えられてない。
この着ぐるみ自身もこのことに気づいたようで
横に首を振り
『通行していただけ』
とどこからスケッチブックと思わしき紙を見せ意思表示を行い…
感づいたらしく煙にまぎれてどこかへ消えてしまった
…オマエは忍者か
>>508 「……」
女性は何も答えず、ただ腰に回された手にそっと手を重ねただけだ。
そのまま軽く手の甲を叩き、また重ねてから離す。
エアロバイクは路地を抜け、大通りの上空へと飛び出す。
無遠慮に突き出す看板の横をすり抜け、張り出したパイプを潜り、車幅すれすれの壁と壁の間を縫うように抜けていく。
闇は既に遠く後ろへと置き去りにされた。
やがて、電飾の煌く一際華やかな区画が目の前に拡がると、エアロバイクの高度がゆっくりと下がり始めた。
段々と近づいてくる地面。
風圧で巻き上がった埃と共に、チャイナドレスの裾もバタバタと捲れ上がっている。
其処からすらりと伸びるストッキングに包まれた脚のライン。
ボディに跨るその脚に込められた力がスッと抜けたと同時、バイクは地面に接地していた。
「着いたよ。アタシの下宿先だ――」
ちょいとだけ休んでいきな。
そう告げて振り返った女性は間違いなく、スカーレット・エスター・マーヴェリック教官で。
しかし、下宿先と告げられた瀟洒な建物はどうみても、その――
「――別にアタシゃここで副業とかやっちゃいないからね」
高級な娼館であった。
>510 赤髪の女性
風と共に駆け抜けていく視界から眺め見る街並みは、また違った煌きを伴ってルビに映る。
思わず「わぁ…」という声が漏れる。この景色を純粋に受け止められるのも、“絶対的な安心”を得たからこそだ。
そんな柔らかさに包まれたひと時も終わりを告げ、
バイクから降りたルビの眼前に聳え立ったのは、
これもクレイドルの街並みの特徴に則した豪奢な造りの館であり、少年の目には楼閣の様にも映った。
「――これは…スゴい建物ですね。
とっても綺麗だ…ひょっとして教官はお金持ちなのですか?」
スカーレットが誤解を招く事を回避する為に添えた言葉も意味を為さないまま。
首を傾げて笑顔でそんな拍子抜けなコトをのたまうルビ・タイトハーツは、あろう事か「娼館」というモノをまったく知らないと見える。
聊か純朴過ぎる瞳がそこにあった。
>>511 「は?」
予想外の台詞に、思わず間の抜けた声が出る。
次いで横に首を振り、目線の高さを合わせるように前屈みになって彼の顔を覗きこむ。
「……アタシゃ別に金持ちじゃないよ。
っていうか、本当に分からないのかい?」
育ってきた環境が違えばこうもなるのかという思い。
あまりに純朴な目の前の少年の様子に、少しだけ困らせてやろうかというような気持ちすら沸いてきた。
動機は嫉妬だ。
裏通りを一切知らず、表ばかりを歩いてきた人間に対する――それを自覚しているからこそ、そのような真似はしなかったが。
「そいつはマズった……」
ちょいと刺激が強過ぎるか。
どこか他の場所で休ませよう――指で顎をつまむようにして思案するスカーレット。
装いが変われば雰囲気も変わる。
胸元の布を窮屈そうに押し上げる柔らかな果実の陰影。
無駄な肉の無い括れと程よく張り出したヒップライン。
タイトなチャイナドレスはボディラインをくっきりと浮かび上がらせ、
先ほどまで自分がどんな僥倖を味わっていたのかをまざまざと見せ付けていた。
>512 赤髪の女性
「???」
どうして女性が「マズい」などと口にするのか、どんなに考えても理解出来ない。
下宿先なのだから、こんなに豪奢であっても賃貸なのだろう。
お金持ちでないとすれば破格の家賃なのだろうか?そう言った話なら少し興味がある。
そんなコトを漠然と巡らせながら、建物の外観を、その周囲を、通り過ぎる人を、と見遣って来て、最終的にスカーレットの悩ましげなその姿に逢着する。
「……あ」
あ。と意識がそこで停止する。
そうであった。
妹によるバンカーエルボーで沈んで今の今まで記憶が欠落していたが、
あのたわわな膨らみには見覚えがあった。
パイロットスーツの隙間から覗いたそれ、汗と合わさってより官能的に漂う薔薇の香り……
思い出した途端に、急に意識してしまう。
なんとか理性が働いて顔が即爆発、とまでは行っていないがこのままでは。
「!、!!!…」
と、逃した視線があらぬ方向であれば良かったのにと後悔する。
視線の先、肌に密着したチャイナドレスと、少し足を動かした時に見え隠れする太腿の彩。
それを認識したら最後、記憶の逆流は加速する。
バイクにまたがり、タンデムをして、今まで自分が縋っていた、しがみ付いていたのはどこだ?何だ?誰だ?
まだ手に残っている、それはやわらかい女性の腰だ。チャイナドレス腰のお腹だ。
誰の?それは当然目の前の――
「ぁぅ…」
ぼんっ
という小気味良い音と共にルビはその場にへたり込んだ。
>>513 思案に耽っていたスカーレットは、
少年の身に生じた異変への反応が少しばかり遅れてしまった。
「あ……ちょいと、大丈夫かい!?」
慌てて駆け寄り抱き起こす。
「疲れか……怪我は無いようだけど、念のため、すぐに休ませるか……」
僅かばかりの逡巡の後、ルビの体をひょいと抱き上げた。
汗のニオイが彼女の鼻腔に届く。
走り通しだったのだろう、と察し、額を軽く拭ってやった。
ぎいっ
ドアの開く音がする。
新たに現れた気配に向かい『姐さん』と呼び掛けたスカーレットは、
そのまま何やら交渉している様子だ。
幸か不幸か彼女の柔らかさを絶賛堪能中のルビに、果たしてその内容が聞き取れたかは定かではないが――
「ってなワケで、ちょいと部屋を使わせて欲しいのさ」
『分かりましたわ。
他ならぬスカーレットちゃんの頼みですもの、聞き届けて差し上げない筈がありませんでしょう?
ルーシーさんは今の時間、お客もいらっしゃいませんし。
小さなお客さんでも喜んで面倒を見てくださいますわ、きっと』
色々と、ね。
小声で付け加えられたその言葉、果たしてスカーレットにも気付けたかどうか。
>514 赤髪の女性
「きゅぅ……」
身体が、顔が熱い。
どうしてだか悶々とした熱気が身体の中から出てゆかず、
たゆたう意識の深層と表層を行ったり来たりしている間に、どこかの部屋に運ばれていた。
途中、誰かの話し声のようなものも聞こえた気がしたが、その内容を理解しようにも頭は働いてくれなかった。
「……う、…うーん……」
いまだはっきりと知覚出来ないが、何やら背中にふわりとした感触がある。
仰向けに横たわっているらしい身体。
呻く様に言葉を漏らし、寝返りを打とうとして……失敗する。
半開きの瞳から覗く視界をはっきりとさせるために、他の感覚を呼び起こそうと無意識の内に見知らぬ天井へと手を伸ばす。
そしてそれは何もつかめないまま虚しく胸の上へと落ちてきた。
「………。」
>>515 『あらあら、本当に可愛らしい寝顔。
ついイケナイ悪戯をしたくなりますわ』
「勘弁しとくれよ、アタシの教え子なんだからさ」
『冗談ですわよ、冗談』
* * * * *
その後、建物の一室で、豪奢なつくりの天蓋つきベッドに寝かせられたルビ。
「お仕事」用の服装のまま、甲斐甲斐しくお世話をしてくれる「ルーシー」さんは、
果たして少年の目にどのように映ったのだろうか――
「ルーシーさん、それはやり過ぎだっての!!」
――慌てて飛び込んできたスカーレットが、
彼を自分の間借りしている部屋へ緊急避難させた辺りから推測できるかもしれない。
>516 赤髪の女性
ルビが最後に見た記憶。
それは教官の代わりに自分を撫でてくれる見知らぬ、綺麗な女性の慈しみにも似た瞳。
何故だか目を逸らせず、暫くその女性を見つめていたのだが、不意に視界が移ろった。
女性が汗を拭くために丁度ルビの頭の上の方に置かれた水桶に手を伸ばした為だ。
それ自体はなんら不自然な行為ではない。
しかし、再び声にならない悲鳴を上げて、失礼にも少年は気を失う。
何故か。
「ルーシー」さんのそのキワドイ格好が致命傷となったのだ。
耳まで完全に朱色に染め、眉をハの字に歪ませた困りきった顔で、少女の様な少年は今度こそ完全に意識が途絶えていた。
* * * * *
「――あんのアホルビ、どこほっつき歩いてんだか!!」
「へへへお嬢ちゃん、今一人かい?お兄さんたちとあそばnぐぎゃ!?」
「アホか!それどころやないんやスカタン!
こちとらゲームチャンプは名ばかりで弱いし、アホは気付いたらおらんでイラっとしてんねん!!
……ああ、せや。おにーさんたち、ウチとよー似た男の子見掛けんかった?
情報提供してくれるんゆーなら“男性不能”だけでカンベンしたるわ。」
「なんだこのガキ……ひぎぃ!!」
一方その頃、か弱い少女の様な兄とは打って代わって、
クーロン・クレイドルの浅い闇に果敢に立ち向かうラビ・タイトハーツの姿があった。
その後小一時間ほど探したが、それにも飽きて一人で帰路についたのは言うまでもない。
518 :
病室:2008/02/29(金) 00:15:56 ID:???
一方、養成所付属の病院では一人の青年が入院生活を送っている。
言うまでも無く、飛行中のMSが墜落した際のエネルギーとは凄まじいものだ、
数十トンもの物体がその重量のままに重力に引かれ、大地へと叩きつけられる。
そうして負った傷は治せても、その影響はどうしても残る―――
――ましてやそのパイロットが、頭を強打などしていれば尚更の事だ。
そういう理由から、検査入院を受けている青年。
検査結果が出るまでは病院に居なければならないし、出動など持ってのほかだ。
無論彼は即座に死に至るような怪我を負っている訳では無いが、
パイロットとしては脳に後遺症が残る事、そしてそれが周知の物となる事も。
……そのどちらも、彼の志すパイロットとしての死を意味している。
「……かくして彼らは新しい剣を手に入れ、俺はS4という翼を飛ばせない。
心を込めて使ってやっても、人間の都合でその決意すら曲げられる。
……全く、不安にはならないが…不快になるには十分だっての……。」
そうして、病室の中で呟かれた独白が一つ。
519 :
通常の名無しさんの3倍:2008/02/29(金) 14:28:32 ID:SXhcIyqA
71 :名無しんぼ@お腹いっぱい:2008/02/29(金) 02:12:20 ID:gvofEIOt0
大人ってのは色々いうけど口ばっかりで、
結局何もしないで、
何も変えられないで、
どうしようもない世界を温存させながら」、
子供にはいつもえらそうな事を言う。
子供の頃、僕もそう思っていた。
自分の足で立ってさえいないクソ餓鬼のたわ言だな。
自分は何もしていない癖に「子供だから」と逃げ。
大人が必死に何かをしていても理解も出来ずに「何もしていない」と決め付け。
先人が必死に苦労して作り上げた「世界」を何もしていないガキが「どうしようもない世界」だと?
世界には、学校に行きたくても行けない「世界」や、餓死と隣り合わせの「世界」で苦しんでいる子供達も大勢いるのに。
甘ったれるのもいい加減にしろ。
養成所構内に点在する医療病棟の一室。
個室を宛がわれ、退屈な入院生活を送っている男の下に一人の少女が毎日のように訪れていた。
「はぁい、あーんですよー……」
そう言って、思わず自分も一緒に口を開けながら、
フォークに突き刺したリンゴを何故か神妙な面持ちで相手の口へと運び、
ウサギの形に切られたソレが頬張られ、咀嚼されるのを確認すると、ヘリオーネ・B・ベルネリアは満面の笑みを浮かべて小さくガッツポーズをする。
何が一体そんなに嬉しいのか、ベッドの上で上体を起こして少し困ったような表情を浮かべている男は不思議に思うだろう。
和風の簪で二房に纏められた長く美しい黒髪をピョコピョコと感情的に動かして、ヘリオーネは一連の動作をかれこれリンゴ二つ分繰り返していた。
>>520 「……ありがとう。」
(そして一方、ベッドの上で上体を起こして少し困ったような表情を浮かべている男。
一体何なんだろうなーこの状況、とか。
これは一体どういうドッキリだよオイ、とか。
困惑を通り越して割と混乱気味の頭の中、やはり参っているのだろうか自分、とか。
そういう考えが頭の中を疾風怒濤という感じで駆け巡る。
何とか落ち着け自分、と。かれこれ136回程は自らへと言い聞かせただろうか。)
「いやしかし……何だかこう毎日来て貰っては申し訳無いな。
勿論嬉しいのだけれど…そう、何だかくすぐったい。」
>>521 そんなやり取りの空気なんざ読まないノック音が病室に響く
誰かが来たようである
>521 リヒャ兄
「どういたしましてー…」
「(サクッ)」 →リンゴをフォークに突き刺す音
「(ひょい)」 →フォークを意気揚々と運ぶ音
「あーん」 →自分も口を開けながら相手に開口を促す声
「(スッ)」 →急に神妙な面持ちに変わって老練のような手捌きでリンゴを口元に運ぶ音
「(パクり)」 →リンゴが口腔内に落ちる音
「(もっちもっち…)」 →うさリンゴが咀嚼される音
「(ぱぁっ)」 =笑顔が咲く音
先程から自分の手元と男の口元しか見てなくて、
男の困った顔になどまったく気付いちゃいねえ様子のヘリオーネ。
一喜一憂でコロコロと変わる表情は見ていて楽しくはあれど、そのなんだ、困る。
そしてそのまままだまだ続くかと思われた奇妙な時間は、更に盛られたリンゴのストック切れと共に唐突に終わりを告げる。
そこでようやく困った顔のリヒャルト・ユルゲンスの顔に気がついたヘリオーネは。
「ふぇ?
あ……えと、
……ごめんなさい、やっぱり毎日はご迷惑でしたか…?」
はっとしたような表情を浮かべた後で、
カチャリとフォークを皿の上に置いて、何かを誤魔化すように、どこか寂しそうに笑う。
ヘリオンとて空気が読めないわけではない。
連日の訪問でリヒャルトの対応もどこか困っていた風だったし、
それでも笑ってくれる彼のために、とか勝手に思って彼の笑顔に甘えてた所があったかもしれない。
心の中で反省し、一瞬前まで浮かれっぱなしだった自分に自己嫌悪する。
「でも、私心配で、えっと……」
それは本当。
以前の大事故の時、すぐに駆けつけられなかった自分を悔やみ、
以降はリヒャルトが入院したりケガをしたら、自分でも極端に思うくらいこうして押しかけていた。
流石に、タダのトモダチでこれは異常なのかな、と思ってしまい、うつむく。
>522
「――あ、私出ますね!
ついでに着替えをお持ちします。」
不意に聞こえたノックの音に、
俯かせていた顔をはた、と上げ、
取り繕うように笑い、わたわたと立ち上がって入り口を目指す。
「……はーい、どなたですか?」
こちらからドアを開けてその先を覗き込む。
来訪者に応対して室内に導いたら、
あとは空気から逃げるように飛び出すだけ…。
>523-4
「いや、迷惑っていう訳じゃないんだ。断じて。」
(やや慌てつつそれに答える。むしろ割り込むといった方が正しいだろう。
リヒャルトとて空気が読めない人間では無いし、通常の1.7倍位の善意は持ち合わせている。)
「確かにそう…"困っていた"というのは正しいけれど。
それはヘリオンの所為とかそういうのじゃ無くて、単に俺がこういうのに慣れてないだけだよ。
みっともない話だけど、其れを言うのも恥ずかしい気がしてさ、ごめん。
それに…まぁ何だ、俺こそ心配をかけてしまって申し訳無いと思う。
これはヘリオンだけじゃ無くて、他の人にもだけど……。
…どうにも俺は、自分の身体ってのを大事に出来ない人間らしい。」
(最後はやや自嘲気味。
しかし不意に叩かれた病室のドアに意識は移って、
ドアを開ける少女へ礼を述べる言葉の調子は、また何時ものそれと大差無いモノへと戻っていた。
停めるような事はしない。
だが尤も)
「…けど何だろうね、大事な事を伝えるのを忘れてたよ。
俺はね、こういう事をされるのは初めてだから凄く嬉しかった。
多分、俺の感じてた気恥ずかしさっていうのはとても素晴らしい物なんだと思う。
だから大事な事を一つ言うよ、ありがとう。」
(だが尤も、ある意味ではその言葉こそ。
その言葉こそが、彼が一番伝えたかった事ではあるのだが。)
>>524 聞いていた様子だと先客がようである
「…(…先客がいるのはわかってます<●><●>)」
「失礼、入りますよっと…」
まあ、斜め移動とかを駆使すれば当たるもんでもないが場合によっては死亡フラグなのである
―社会的な意味で
まあこれを回避しつつやっていかねばならないのがさだめ…と能書きはここで十分なので
さっさとお見舞いをしましょう
>526
「あぁ、リュートか…済まんね、わざわざ。
しかし格好悪いよなぁ、あの双子と見事に正反対の状況だ。」
(苦笑交じり。
――その実、相手がリュートであれ見舞いに来てくれたのは嬉しいのか。
その苦笑には不器用な嬉しさが篭っていたのだが。
尤もヘリオンの手前、それすらもやや控えめだった事は問題と言えるだろう。)
>526 空欄
「あ、リュートさんでしたか、こんにちは〜♪
リュートさんもお見舞い…ですよね、あはは」
何当たり前のコトを言っているのでしょうと、ちろりと舌を出してセルフ突っ込み。
そのまま男を招き入れ、先程まで自分が座っていた椅子を出して腰掛けるように促すと、踵を返す。
>525 リヒャ兄
「………。」
すぐに出て行こうとしたヘリオンは、
目を丸くして少し立ち止まり、背中でリヒャルトの声を聞く。
なんだか、いつも同じパターンだな、と思う。
私がはっきりしない態度をして、毎回リヒャルトさんがフォローしてくれて……。
私にとってのリヒャルトさんは何だろう?
リヒャルトさんにとっての私は…?
はっきりしないし、解からないけど、彼の言葉は嬉しくて、恥ずかしい。
「………また、お邪魔して……
…ううん、今度は火星イチゴで良いですよね……?」
見る見る赤くなっていく頬を押さえながら、か細い声で呟くように。
最後に困ったように、だが照れた様な笑顔で振り返り、頭をペコりと下げたヘリオンは走って病室を後にした。
女生徒?と思われる人物に目が移る
「・・・(・・・声の主は彼女のようだな、これは…)」
>>527 「あまり気に病まれても…
正直俺のほうが何かが傾く(ほどのひどさな)もんで」
>>528 「(!!)んー俺はお見舞い…って言ってもジャマしたようですしこれを置いていきますね」
そういってお見舞いの品を置き
「では俺はこれで失礼しました」
どこかへ行ってしまった
病室にドドドドド、とまるで猛牛が暴れまわっているかのような騒音が聞こえ、
それに混じって何やら少女のものと思しき叫び声も聞こえ出す。
その声がどんどんと病室に近づき……そして、その声の正体がわかろうとした瞬間。
「すぇんぷあああああああああああああああああああああああああああいあ!!!」
青いジャージに白い鉢巻をした一人の少女がドアを蹴破り、病室に転がり込んできた。
その手には果物がてんこ盛りになった籠を持ち、恐らくは見舞いに来たのであろう事がわかる。
わかる……が。
少女は、あまりに勢いをつけて病室に転がり込んできすぎていた。
「どぅわああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」
当然、止まろうと思ってもそんなに急には止まれない。
彼女は超前向きな少女、前にしか進めず、超がついているからしてその前へ進むスピードは尋常ではないのだ。
故に、その勢いが止まる間もなく少女は籠を放り投げて病室の向かい側へすってんころりんと転がってゆく。
ガッシャーン、バリバリーン!!
盛大な音を立ててガラス窓が割れ、少女が外に放り出される。
まるで一陣の風、疾風迅雷。
一瞬の出来事だった。誰も反応できなかっただろう。
後に残ったのはガラス片と床に散らかった見舞いの果実だけである。
>528
「―――勿論。」
(返す言葉は小さく、だが確かに。
ヘリオンが去った後。)
>529
「いや…今回はそちらが気に病むような事は何も。
誰のミスという訳でも無いし、そもそも俺の所為なんだから――
とにかく、気を遣わせてしまってすまないな。ありがとう。」
(素直に、礼を言って。
リュートの持って来た見舞いの品と、彼に自分の部屋から取って来て貰った
ひまつぶしの用具――青年の私物である電子ヴァイオリンを受け取り、
その去って行く姿を見送って。)
「…しっかし、俺もどうかしてるよな…。」
(先程までの、まるで純朴な少年の様な自分に思い至る。
一体どうしたと言うのか、それがどうにも分からなかった。)
>529 空欄
「おせーぞ新人。
で、中はどうなってたんだ?修羅場か?」
リヒャルトの病室から退室した直後、青年の背中に掛かる声。
先程病棟の前で会って、リヒャルトに見舞いしに行くという旨を話すと「じゃあ俺も」と付いて来ておいて、
中から女と男の話し声がするのを聞き取るなりニヤニヤしながら「俺は待ってるぜ」と病室の前で突っ立っていた不良生徒、トシミア・ノンルージュの声だった。
「トシマ…リュート、遅クナイゾ……
タッタ、二分……モウ、良イノカ……?」
風鳴り。呼吸音。
そしてその隣、三メートル級の超絶巨人、アイアンマスクの姿も在る。
どうやら今日はトシミアの付き人をやらされているらしい。
>>530 「な、なにをするきさまらーーーっていうかサリクスーッ!?」
(その時、リヒャルトの顔の周囲に浮かんだ『ガビーン』という文字は飾りではない。
ここが病院の四階だとか、落ちても大丈夫かとか。
そもそもあの娘が怪我する姿など想像できないよなぁとか。
とにかくそういう事を考えながら、彼は渋々とナースコールを押し、
窓ガラスの音を聞きつけてやって来た看護士へと状況を説明、
サリクスの方を見てやってくれと頼み込んだのである。
そしてその時、彼の脳裏には「すごいよ!サリクスさん」の文字列が幾重にも並んでいたという。
因みに見舞いの果物(主にバナナ中心)はその後リヒャルトが美味しく頂きました。)
>530 超前向き&リヒャルト
「……なんつーか、
ヘリオンのヤツが走り去ったと思ったら今度はハチマキのヤツがぶっこみやがったぜ?
どうなってんだリヒャルトのやろーの部屋は……?」
目を丸くしながらドアが破られ、窓ガラスが砕け散った室内を覗き込み、
惨状と化したその中、ベッドの上で呆けているリヒャルトと目が合い、「お、おっす…」と挙手してみるトシミアさんだ。
けど決して片付けてやろうとは思わず、ポケットに入っていた缶コーヒーを手渡して、サムズアップを残し退室を果たす。
アイアンマスクはおろおろとして、とりあえず看護婦を呼び、
屋上に洗濯物を取り込みに行っていたヘリオンも騒ぎに気がついて、急ぎ病室へと戻り、大掃除が始まった。
リヒャルトさんマジ苦労人。
退室してからの直後に
何かものすごい勢いで突撃した奴がいたのだが
問題なくかわす青年
「・・・(闘牛の牛?)」
違います
(そして
>>730へ)
>>532 「…(…はいはいノロマノロマ)
中でしたら初々しい何かでした。さっきまではね。」
「闘牛の真似事をさっきしてきた。サリクスさんだったが…」
アイアンマスクに(
>>533)病室の方を示す青年
修羅場は今始まったのだ
図らずも、うまーく回避した青年である
ふいんき的に心なしか悪い意味でスケている青年だ、クリヤーバージョン、バージョンダウーンな意味で
>534
その時、トシミアが見たリヒャルトの表情は極めて表現しづらい。
何せ状況の変化が劇的に過ぎた。
>>521からの一連の流れを見てみれば、彼の心境が少しはお察し頂けるだろう。
そうして皆で大掃除、検査結果待ちとは言ってもリヒャルトとて身体は普通に動くのだから。
アイアンマスクにも後で礼をしなければなと思いつつ、
先程までの事を考えるとヘリオンと上手く視線が合わせられない自分に気付くリヒャルトさんだ。
因みに後日、彼はきっちりと窓ガラスの代金を病院へと支払った。
>535 空欄
「…………、」
おろろん、どうしよう。
弱弱しく空気を吐き、心配そうに掃除の始まる病室を見やるアイアンマスクさんだった。
「そっか、初々しかったか。
冷やかしてやりたいところだが……掃除の邪魔になるしな、さっさと外に出ようぜ。」
そう言ってクイっと首を振って合図すると、
アイアンマスクに自分を肩の上に乗せさせる。
「まぁ今度はネタを変えてお前をチクチクしてやんよ。
そだなー、まずはおめーのGLのある格納庫にでも行くか。」
尊大な口調のまま勝手に話を進め、
アイアンマスクも彼女には頭が上がらないらしく、のっしのっしと歩き始める。
>>537 「…こんな話をしよう
こういうときは男が入るとかえって話がこじれることがある…って誰かが教えてくれた
…ここは当事者に任せよう」
アイアンマスクにそういってみる青年
「…(修羅場か…)……」
通行人的には流れ弾が怖いのである。後は・・・・・・
「他の方が良いですよ」
謹んで遠慮しておきます。な意味でさらっと言う青年
ここから立ち去ることにして続いて格納庫に向かう事にした青年
>538 空欄
場所は移ろい某格納庫。
修繕作業が続く機体の中に、リュート・アビュークの愛機「タイプGL」が見える。
「大分直ってるみてーじゃねえか?
さすがにザクじゃシンドい相手だったんだろ?
その、お前をボコったってヤツはよ。」
アイアンマスクの肩の上から青年を見下ろしながら、
先日の戦闘のウワサを耳にしていたトシミアがそんなコトを聞いてくる。
>>539 「ええ、旧ザクって時点でアレなんですけどね
次会ったら終了ですね、俺が」
『普通じゃない相手』自体との戦闘は初めてじゃないが
勝てるかどうかと言うのとは別問題なのである
一定水準以上の腕なども必要なのだ
スカキャラな青年はそれを持ち合わせていないのである
>540 空欄
「次ねぇ……今があるってコトは情け貰っちまったワケだよな。
かぁーっカッコわりいでやんの!」
ぎゃははとお下品に笑う小悪魔を制するのはフランケンシュタインの怪物のような大男。
一頻り笑うと、目尻に雫を残したまま、表情を割りと真面目なものに変えてトシミアが続ける。
「ま、そうは言ってるが、てめぇーもハラにイチモツ抱えてるって顔してんじゃねえか。
次があれば、ヤるつもりなんだろ?やっぱりよ。」
俺もボコされたらお礼参りしなきゃ気がすまないからなぁ、解かるぜ?
と、うんうん肯きながら言って。
>>541 「・・・・・・(はいはいわかったわかった)」
ふいんきがクリア且つバージョンダウンしている理由がやる気の無さであることに
彼女は気付いてはいないようである…
「…(まあ、アレは遊んでいたわけだが、組織自体も相手するに面倒だし
現時点の俺では手に余るだろう。事件も深刻なってるようだしそれなりの人材も動くだろう
―俺よりも優秀な奴がな)」
2人を尻目にノってない青年である。
>542 空欄
「………。
オイ、トシマ……リュート、聞イテナイゾ……」
アイアンマスクのそんな呟きに、は?と青年に向き直ると、
そこには無気力人間特有の「早く終わらねーかな」といった感じのダルそうな横顔がある。
「……ま、まぁ、おめえがこんなコトくらいでやる気出すわけねぇよなー
とは薄々思ってたけどよ、なんつーか矜持?プライドとかもカケラもねーのな。」
盛大に溜息。
負けてケガまで負わされて、
少しは心境の変化があるのかと先輩的に後輩への心配りなどをしていた自分が急にアホらしく思えてくる。
「ったく、たまには甲斐甲斐しく俺らで相談にでも乗ってやろうかと思ったけどダメだなこりゃ。
行こうぜデカマスク。もうコイツにはかんけーねーコトらしい。」
青年からすれば勝手に絡んできて、
勝手に失望して、勝手に帰ろうとしているトシミアの姿は迷惑でしかないかもしれないが。
その今日はいつもと何か違った小悪魔のような不良生徒の、心底がっかりしたような顔が、妙に印象に残る。
>>543 「…(仕方ないといえば仕方ないか…計画も頓挫しつつある)」
結局一人になってしまうのであるわけで…
そもそも戦略的には見極める段階であり
準備がどうしても必要になってくる
「足りない物が多すぎて追いつかないんですよ。いろんな意味で」
と言う青年。
>544 空欄
暫くして、格納庫に一人戻ってくるアイアンマスク。
肩にはトシミアの姿は無い。
まだ格納庫の、愛機の傍に佇んでいる青年の前までやってくると、ゆっくりといつもの調子で息を吐き、
鉄格子のような口の奥から底冷えするような電子音声を発する。
「………足リナイ…ナラ、手伝ウ……、
トシマ、ソウ言ッテタゾ……
俺゛モ……ソイツ、倒スノ、手伝ウ……
一人、違ウ……ヤレバ、次……勝テル……次、駄目ナラ…ソノ次、繋ゲル……」
片言でつむがれる、ぎこちないアイアンマスクの言葉。
深淵のような眼窩に紅い光を浮かべて、精一杯思いを伝えようとしているのが解かる。
「………。」
ふしゅるる。同意待ちか。
「……マズハ身体、鍛エル……
俺゛ト、“組ミ手”……ヤル……」
――無茶振りだった。
>>545 「聞いていた・・・か
あの先輩らしい(考えてきているね)」
ぐだぐだっぷりも本来のクオリティ(のひとつ)に過ぎない
「報告書にもあったが例の奴はNTか、強化系と踏んでいい
NT系とコーディの合わせかも知れん。そうなってくると分が悪すぎる
(…都市伝説の類に近い奴を確保してるけどそれとはまた違うし)
あと組織の規模が大きい以上、1年次の実力レベルが低い生徒は避けた方が得策でしょう。
生残性的にも、そして特に俺のようなものは。
旗が足りない、後は材料と組み立て図もな、
それと…俺は繋げる事すらも出来なかった」
ふいんきもバージョンダウンはしてるがクリアでなくなっている
「わかりました。」
一言そう言い『夏休みのげきは法VOL.3.2』と書かれたデータディスクを取り出す
「組み手か…俺も無茶な動きを通学中によくやるけど
それとはまた違った物で?…俺のほうで準備が必要なのですがお時間などよろしいですか?
(昔の戦法は…接近戦はどうしてもアレだが準備はしておこう)」
バージョンダウンが続くかどうかはまだ、わからない
>546 空欄
「・・・・。」
風鳴り。呼吸音。
青年の話をコクコク肯きながら聞いた後データディスクを受け取り、
親指と人差し指の間にちょこんと掴んでしげしげとそれを眺めている。
「・・・・ヤッパリ・・・・組ミ手ハ、危ナイ。
・・・・・普通ノ、トレーニング・・・・シヨウ・・・・。」
そう言って、「トシマト待ツ。」と格納庫の外へと出て行く。
この後、リュートはトシミアとアイアンマスクによるガンダムファイターもビックリの、
“人外大運動会”を眼にする事になるのは言うまでもない。
「……(俺も未熟だよ、本当。)」
結局、病室の大掃除は特に問題も無く進行した。
病室も移されて、割れた窓から夜風が吹き付ける中で眠る様な心配も無い。
…病院の関係者からは凍てつく様な視線を向けられたが、それは自分の所為ではない。
そう、左程苦になる様な事でも無かったのに妙に居心地が悪かったのは―――
――多分、今しがたまで目の前に居た少女の所為だと思う。
そして何よりその理由は、自分自身に問題がある為だと思う。
掃除を終えて俺の洗濯物を取って来てくれた彼女は今、
ついでとばかりに病室に置いてあった花瓶の水を交換してくれている所。
そろそろ時刻は夕方に指しかかろうと言うのに、甲斐甲斐しく世話を焼いてくれるのは嬉しい。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
自分に母親とか恋人とか、そういう存在が居たらこんな感じなのだろうか?
しかしその想像が無為な事であると直ぐに気付く、何故なら彼女は"そうではない"。
自分がどれだけ意識しようと、彼女は彼女を大事にするべきだ。
俺自身の事はどうでも良い―――彼女は俺なんかに縛られているべきではないし、
何より俺の様などうしようも無い人間、伴侶を幸せに出来る訳の無い人間が縛ってはいけない。
こんな考え自体、独り善がりな妄想だと言う事はよく分かっている。
第一、その過程にした所で性急過ぎると言わざるを得ない。
だがしかし万が一、彼女ヘリオーネ・B・ベルネリアに限らず自分にその様な立場の人間が出来る事。
それは相手の為にも自分の為にも、絶対に避けなければならないと思う。
友人として親しいのは構わない、傍から見てて親密に過ぎるのも構わないだろう。
だが自分、リヒャルト・ユルゲンスは絶対に、『誰かにとっての只一人』になるべきでは無い。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「――『その世界に、空は無かった』、か。
本当に……俺は未熟ですよ、フェリクス中佐――。」
窓の外に視線を移せば、西の空に夕焼けの赤い光が投影されている。
クレイドルの外壁を抜ければ、夕焼けの青い光が大地を照らしているのだろうが。
その時ふと、自分の顔に浮かんでいる不機嫌な表情に気付く。
意識してその表情を打ち消して、俺は少女の訪れを待ち構える事にした―――。
>548
「――お花の元気が無いようなので、お水を換えて来ますね♪」
そう言い残してリヒャルト・ユルゲンスの病室を出てから、
20メートル程進んだ渡り廊下の突き当たりに目的の手洗い場はある。
手馴れた様子の少女はテキパキと花瓶の水を換え、
茎や花弁を傷めぬように一つ一つ丁寧に、花を戻して活けてゆく。
花は見舞いに丁度良いマーズ・ガーベラを選んできた。
元のガーベラよりも少し花弁が大きいのが特徴の、この花の花言葉はなんだったか。
赤は『神秘』。
ピンクは『崇高な美しさ』。
黄色なら『究極の美しさ』。
オレンジならば『我慢強さ』……そこで思わずクスりと笑ってしまう。
リヒャルト・ユルゲンスは“また”ケガをしてしまった。
努力家という性分が祟り、頑張り過ぎてしまってケガをするという事の多い少女からしても、
リヒャルトの頻度と度合いは聊か異常ではないかと思う。
普段は飄々としながらも隙の無い雰囲気をチラつかせる事のある彼なのに、
どうしてこうもある種の予定調和が訪れてしまうのだろう。
運が無いと言えばそうかもしれないが、彼の場合は悪運の類だと思う。
そんな彼に対してこれは少し皮肉だろうか。
同時にその対比が可愛いものに感じられてしまう。
「……あ。」
ふと下げていた視線を戻して見遣れば、
窓の向こう、西の空から飛び込んでくる夕焼けの赤い光に気がついた。
もうこんな時間だったのか、と少女は少し驚く。
誰かのお世話を焼いている時の時間は本当に流れが早い。
今日は色々な事があったから特にそう思うのかも知れないけど、相手にとっては違う事だってある。
やっぱり余り長居してはいけなかったかな、と。リヒャルトの困り顔を思い出して少し後悔する。
また彼の言葉に甘えて、早速明日の予定の事を考えてしまっている自分。
「あはは……ギコチなかったなぁ、さっきの私たち。」
けれど、心配だから。
心配でついつい通ってしまうのは……わがままな事だとも思う。
親しくなった大事なトモダチ……トモダチが大きなケガをした時に見舞いにも行けなかったあの時。
その事について彼は気にしてない様子だったけど、それに納得出来ない自分が今こうしてある意味での自己満足に浸っているのか。
自己満足は多分事実。でも心配だからと言って、今までの自分が本当に相手の迷惑を考えずにこんな事をしただろうか。
きっとこれは、心配だからという理由だけじゃない。
だったら、なんだろう……私はリヒャルトさんと一緒に居たい?
だから、彼に対してあんな鎌を掛けるような事を言ってまで気を惹こうとしたのだろうか。
「だとしたらすごく嫌な女の子です、私……」
自嘲めいたものが少女の顔に浮かぶ。
そして、少女は解決しそうにもない考えを振り払うように、
早く病室に戻らねばと頭を切り替え、ガーベラの最後の一本を手に取る。
それは白く美しい花びらだった。
「………希望。」
白いガーベラの花言葉は『前進』と……『希望』。
不意に手に持った花が、とても遠いモノになるような感覚を覚える。
「……今のリヒャルトさんにぴったりですね。」
これは少女にとっても『希望』だった。
どうかこれ以上、大きな怪我をなさらぬよう……運悪く、なんて最悪の事が起きませんように。
「ホント、ぴったり……。」
そして、白くて美しい花は自分には似つかわしくない。
もしも、コサージュではない真っ黒なガーベラが世界に存在するとしたら、きっとその花言葉は。
「“失望”……かな。」
私に丁度良い、戒めの為の花だ。
“彼”にだけは失望されない為に……せめていつものような笑顔で部屋に戻ろうと、ヘリオーネはそう思った。
シュミュレーターの設定項目の入力を行う青年
今回はどんなものかを見るために、青年は機体の設定は大きな変更は行わない。
たまたま人が居ない時間帯を狙い、もぐりこむ事に成功。
んでもって設定を手早く済ませてはじめることにした青年
電子の世界の仮想空間にGLは立つ…
火星ではよくあるとされる火星の荒野に
>>551 (彼が訓練を始めて五分ほど経過した頃か。
コクピット内に、仮想空間に侵入した存在がある事を知らせる電子音が木霊する。
対象の機種は分からない。
だがしかし、姿の見えぬ乱入者の登録コードは送信されて来た。
所属・・・・地球・第二養成所
氏名・・・・ミハエル・メッサーシュミット。
・・・・リディア・シュトルモビク。
彼の知る名前。
そしてその二人が乗る機体とあれば、彼も知る一つの機体より他には無い。)
>>551 「けぷ……」
しかしながら、青年は気付いていなかった。
たまたま人がいない時間帯を狙ったにも関わらず、そこに一人の少女がいた事に。
といっても、それも仕方の無い事。
何故なら少女はシミュレータの影になる位置に鎮座し、寝転がっていたのだから。
「……シミュかー、私も乱入させてもらうかなー」
痛む頭を抑えながら、片手に持ったビンの中身を呷って少女はシミュレータの中に入り込むとよろよろと入力していく。
すると、すぐに少女の操るMSが仮想空間に降り立った。
>>552 「…まずいな、予定より早かったか」
青年はそう言いつつ機体を駆る
【審議中】
([ ゚д゚]「この時間帯を狙ってか…」)
(/ -ω-ヽ「ほとんど来ないだろうと踏んでよかったんだがミスったかー)
(/( ゚ )( ゚ )ヽ「アワワワワ…」)
(( ´∀`)「NTが居るんじゃあ、(読まれても)仕方ないな( ´∀`)」)
(('(゚∀゚∩「うつてなしのそくしぱたーん?」)
(=■●「勝てるかどうかはなんとやら」)
索敵性能アドバンテージは向こうにある(っぽい)と踏んでいいだろう
かなり厄介な事になったと青年は思うのである
>>553 「新しい相手……俺の知らない相手だ。
リディア、そちらは知っているか。」
『残念ながら知らないわね。
戦い方が少々複雑になるわよ。』
「分かっている、頭を切り替えよう。」
>>554 「…リディア、彼の思考は読めるか?」
『無理よミハエル、私の力はそう強い訳でも便利な訳でも無い。
索敵開始、タンク形態で前進しつつ全方位警戒。』
「ヴォルフ了解。」
(荒野の砂塵を巻き上げ、ディエルデが疾走する。
実の所かつてリディアが語ったとおり、彼女のNT能力のレベルは低い。
遠く離れた存在と交感出来る事も滅多に無いし、ファンネルの運用すら難しいレベルだ。
故に索敵は相変わらず砲手のリディアと機関手のミハエル、この二人の眼にかかっている。
そしてその疾走が巻き上げる粉塵は、
>>553-554の両名から良く見えた。
距離にして数百メートル、モビルスーツならあっという間の距離だ。)
少女の乗るMS――ドワッジ改が火星の荒野を駆け巡る。
「ぅぇー、どこいっても似たような景色ぶぁーっかだやなー」
言いながら、ビンを呷る。
こくこくと美味そうな音をたてて液体が少女の喉を通り抜ける。
「へへへ、おいしー。 っとと」
にかっ、と笑った瞬間、ドワッジが体勢を崩す。
飲むのに集中し過ぎて操作が疎かになっていたらしい。
揺れる振動に合わせて、ビンから液体が何滴か落ちる。
密室に充満するアルコールの匂い。
「もったいないもったいない、もっと大事に呑まないとー」
再びビンの中身を呷り、頭をふらふらと上下に揺らしながら少女は進む。
>>555 「ぉー、敵機発見でありますー。
さっさと倒して祝勝会だー!」
一升瓶の中身を全て飲み干し、それを乱雑に放り投げて少女は見つけた機影を追う。
ジャイアントバズを肩に構え、照準を合わせようとするが……。
「照準が二重三重四重に見えるぅ〜、まぁいいや、それ〜」
禄に狙いもつけないまま、景気よくバズーカを撃つ、撃つ。
>>555 『敵機 ディエルデ、確認 重装甲、可変タンク機体です』
機体音声がそう告げる
どうやら向こうの出している『音』の方向がわかったのでGLの方向を慎重に変える
180mmでも有効打を与えられるには間合いがまだ遠いのかもしれない
砲撃戦は向こうに分があるので挑むのはあまり得策ではない…のかもしれない
>>557 「…(変なのが入り込んでる…これで3人目
ドム系らしいな…当てにくいんだよなー経験上。かといって対策なしではじめてしまったし…)」
でもよく動きを見ると、あの乗り手は何かぶれまくってる…青年はそんな気がした
>>557 『後方より砲撃。
バズーカの連続砲撃、映像回すわ』
「――任せろ、狙いが甘いから避け辛いがな……!」
(自然と操縦桿を握る手に力が入るミハエル。
優秀な戦車兵である自分の腕に自信はあるが、砲撃を行われて緊張しない訳が無い。
着弾までの時間を計算し、ディエルデのキャタピラを緻密に駆動させる。
結果として数発の至近弾や砲弾の破片による装甲破損を許すが直撃弾は無し、無事に凌いだ。)
「凌いだぞ!」
『良いわ、砲撃位置断定。
今回は30サンチ砲は使えないわ、逆進の後戦闘速力。
敵MSに向けて全力進撃!』
「ヴォルフ了解、行くぞ!
恐らくだがリュートの奴も其処に来るってな!」
■敵攻撃結果:回避成功。しかし装甲に軽微な破損アリ
■行動選択:砲撃を行った目標に対し、全速力で『突撃』
>>559 「避けられたー、まぁいいやー、それより次だよ次ぃー」
背負ったリュックから取り出したるは先ほどとは違う種類の一升瓶。
きゅぽん、といい音を立てて蓋を開けると中身を一気に喉に流し込む。
「うまー。 って、おわおわー、こっちに体当たりするつもりぃ?」
モニターに映るはこちらに向けて突進をする敵機。
少女はその様子を見、笑みを浮かべて大きく笑い出す。
「いいよぉー、そっちの方が面白いってもんさぁー。
相撲なら負けないぞー」
言うが早く、こちらも敵機に向けて突進をする。
――が、すぐさま吹き飛ばされる。
それも仕方が無いといえば仕方が無い、何せ重量が違いすぎる。
「はれ? って、おわーお」
大きな音を立てて吹き飛ぶドワッジ改と、大きく揺れる中の人。
勿論、その手に持っていた酒瓶もその揺れに呼応するように揺れに揺れ。
少女の長い金の髪や服を濡らしていく。
「どぅえー、揺れる揺れる〜みーんな揺れるぅ〜、まぁいいや、呑め呑めェ〜」
ころころと地べたを転がるドワッジ改。
しかし、それに関わらずも少女はケタケタと笑いながら酒を飲む。呑む。
隙だらけである。
■敵攻撃結果:突進により大きく吹き飛ばされる。隙だらけ
■行動選択:とりあえず呑んどけ。
>560
「………避けない?
――馬鹿にしてるのか、コイツ――ッ!」
『………割とハズレでは無いかもね。とにかくモビル形態に。』
(機体正面のヒート・ドーザーブレードによりディエルデ本体へのダメージは無い。
ディエルデをモビル形態に変形させると、
砲手であるリディアは右腕のザクマシンガンをドワッジ改のコクピットへと照準し、
迷う事無く引き金を引いた。)
■行動選択:モビル形態に変形。ドワッジ改のコクピットへマシンガンの射撃開始。
>>561 「おぉ〜う、迫ってきてるぅ〜、しかも格好まで変わってるぅ〜、こりゃ参ったねぇ〜、ケヒャッ」
妙なしゃっくりを起こしながら、少女はハンドルを握った。
ドワッジの左腕をコクピット前に移動させ、その手でマシンガンをガード。
すぐさま左腕はボロボロになるものの、右腕に持ったバズーカは既に敵機の姿を捉えていた。
「つってもぉ〜、まぁた二重三重四重五重になってるけどねぇ〜。
ほりゃ、ポチッとな」
呟いた瞬間、ジャイアントバズが火を噴いた。
無論、ロクに狙いはついていない。
■敵攻撃結果:左腕でマシンガンを防御。左腕破損
■行動選択:ジャイアントバズで攻撃。照準にブレあり
>>559 「(向こうの敵機に突撃をかけてきたようなので
移動しつつ攻撃も装甲的に大して有効打にはならない?)」
>>600 180mmの有効射程に入った
のはいいのだが明らかにおかしい
【審議中】
(/ -ω-ヽ「狙いとかもぶれているし動きがおかしくないか?」)
([ ゚д゚]「まさかとは思うが…」)
(/( ゚ )( ゚ )ヽ「いや、そのまさかっていうwww)
(('(゚∀゚∩「いるよねー、つうこうしてみるとわかるけど、たぶんよっぱらいうんてん」)
(=■●「風の息遣いないからなーここ。だからと言ってどうするかになるんだが」)
とりあえず酔っ払いの格闘性能は高めなのでほっとくと不味い
なので180mmを3点で放ってみる。
不意打ちにも対応できるようにシールドも構えておく
■行動選択:ドム系機体に180mmを3点射
>>562 『マズイ――至近弾!』
「………!!!」
(咄嗟にリディアの感覚が、その危険を知覚する。
ろくに狙いも付けずに放たれたとはいえ、この至近距離でのバズーカは十分に痛い。
それどころか咄嗟の回避が間に合わなければ、十分に致命傷足りえる。
反応したミハエルが、フットペダルを蹴って強引過ぎる後退をかける。
次いでリディアが上半身を捻る事で脆弱なコクピット正面への被弾は避けたが、
何と左肩が丸々吹き飛ばされてしまった。)
『ク…ッ!これだから酔っ払いは読み辛い!』
「マジか、飲酒運転かよ!?」
>563
『そうよ、しかもリュートのボウヤも撃って来た!』
「ちぃぃっ!この状況はマズイ!」
■敵攻撃結果:左腕脱落、重心バランス性能低下
■行動選択:後退しつつマシンガンと近接防御機関砲による射撃を開始。
■行動目標:ドワッジ改
>>564 「ん〜、当たった当たった。 こりゃいい、このままいくぞぅ!」
ケタケタと笑いながらドワッジ改は起き上がる。
マシンガンと機関砲がドワッジ改を襲うが、幸いにも何れも致命傷にはならないようだ。
幾分か機能は低下しているものの、機能停止にするにはまだ足りない。
「やっぱ一撃必殺のドでかいのがいいよなぁ〜!」
再び目の前の機体にジャイアントバズをぶちかまそうとしたその時。
>>563 横から大きな熱源、三つ確認。
しかも、かなりのスピード。
既にジャイアントバズは発射体勢で、反応無理。
つまり、このまま当たるのを待つのみです←結論。
「負けた〜!!」
少女が叫ぶと同時に180mmがドワッジ改に全て着弾して四散する。
しかしながら、中の人はあまり負けた事に関しては気にしてないらしい。
よろよろとシミュレータから出て、すぐさま地べたに座り込み一升瓶を取り出す。
「残念会だ! 呑むぞー!!」
酔っ払いの叫び声が養成所内に木霊した。
>>565 審議したのはいいが予想以上に早くカタズイテシマイマシタ
「…(悪い事ではないけど)」
でも十分かき乱してくれたともいえる
後はディエルデだ
有効レンジにはあるし残弾数もある方
(
>>564で)ダメージを受けている
「分の悪い賭けをするつもりなど無い、ここは確実に仕留めるので。」
変形するにもタイムラグは存在する。そこで今のうちに攻勢に出る
180mmキャノンとおまけのザククラッカーで攻撃
振りかれたりしたら不味いので緊急時の対応は出来るようにしておく
■行動選択:キャノンの有効範囲に入らないようにしつつ180mm2発→クラッカー→180mmで攻撃
■行動目標:ディエルデ
>565
「ドワッジが落ちた…って事は…」
『ご明察、ボウヤの砲撃が来るわよ!回避ィィィ!!!』
>566
(敵機に対して晒す面積を最小の物にするべく、後退しつつ旋回を行おうとするディエルデ。
しかしその最中、『ギガガガ…!』という耳障りな音と共にその旋回が止まってしまう。)
「駄目だリディア、さっきので破片をキャタピラに巻き込んだ!
ドワッジの残骸が近過ぎたんだ…!」
『…格好悪い終わり方ね……ッ!!』
そうなれば、最早ディエルデに成す術は無い。
残骸をキャタピラから外す時間的な余裕は無く、180mmキャノンの砲弾は至近。
其れが装甲を貫き、続いてクラッカーが装甲の弱い部分に強い衝撃を齎す。
一連の攻撃の中、身動きの取れないディエルデは攻撃を受け続け、当然の如く爆砕した。
■敵攻撃結果:ディエルデ、撃墜。
「あー全く、上手い具合にやられたモンだ。
まるでデメジエール・ソンネンのやられっぷりにそっくりだなオイ」
『笑ってる場合じゃないわよ…ッ!』
(そうしてシミュレータールーム。
参ったという表情で苦笑いするミハエルと、それをヘルメットで小突くリディアの姿があった。)
>>567 「…?」
有効打をもらい撃墜判定が出るディエルデを確認する
いささか予想外ですが確実に仕留めました。
キャタピラの音からして機体トラブルが発生したのに気付いた青年。
「模擬戦といえばそれまでだが、今回は確実に仕留める事は出来たという事…だ…な…
(距離のとり方も不用意に寄りすぎれば危険なのも道理……と言うことだな)」
シュミュレーションを終わらせ、データを取って今わかることのまとめ作業もまとめ終わらせる。
…そこまでは良かった
がしかし
「よーしでるか。…だめだつかれた、ねむい。うごけn」
それを最後に眠り込んでしまう青年である。
「……しかし、もう一人はともかく旦那、出て来ないな。」
そして、中々出てこない彼の様子に違和感を覚える二人。
何かあったのかとリディアがシミュレータの端末を覗き込んで苦笑を漏らす
『時間が時間だものね、ちょっと疲れてしまったみたい。
……仕方ないから、連れて行きましょうか。ここじゃ風邪を引くわ。』
「うわ何だその目線、俺に運べと言わんばかりの」
『あらミハエル、貴方も何時の間にニュータイプに(ニコリ』
そして、彼女の屈託の無い笑みがミハエルの顔へとグサリ。
こうなっては延々と悪態を付き続けながらも、その意向に従うより他には無い。
「…な。(騙されたーーーーーッ!?)」
そういう訳で、無事リュート君は二人の部屋へとお持ち帰りされたのであった。
hosyu
そして日時は移り、ここは白馬の店内だ。
昼食時も過ぎて店内の人影はまばら、
そんな中、店内のテーブル席の一つで電子端末と格闘している女性が一人。
「…これじゃあ重過ぎるし。
そもそも出力が足りないから根本的な解決が必要になるかなぁ…」
今日は客として。
砂糖をたんと入れたコーニーを口に運びつつ、やや機嫌が悪そうに彼女はそう呟いた。
>>571 そんな時間帯に入ってくるものが一人やって来る
先に注文をする青年は見知った顔に気付く
(選択肢は出て来た)
1、届かないっぽい?
2、手助けしてみる?
【審議中】
(/-ω-ヽ「なんかこう、そういえばあったね的な気もするが…」)
(=■●「さておき、独り言からして困っているようだな」)
([゚д゚]「別にほっといてよくね?範囲外かも知れんし届かないこともあるだろ」)
(('(゚∀゚∩「んー、そうだね・・・っていいたいけど、こっちも る ー ぷ ぎ みじゃん」)
(/( ゚ )( ゚ )ヽ「機体構成で困っているようでっていう。話を聞いてみるのも一つの手っていう
うまくすればギブアンドテイクでカリカリキャプー♪」)
(( ´∀`)「勇気を出してみる価値があるなら仕方ないな( ´∀`)」)
―ってなわけで見知った顔に話しかけてみる
「こんにちは、クリスティネさん。……お困りのようですね。
良かったら俺に詳しい話をお聞かせ下さい」
『話は聞かせてもらった。』と言う感じでふすまを開けて入ってきた感じ…とも言える
>>572 「………む。」
(なにやら珍しくしかめっ面。
そう、彼女にしては珍しく機嫌が悪い。
いや、先程までも確かに機嫌は悪かったのだが。
名にやらリュートの発言で余計にむすっとした感じが強くなった様で、)
「こういう事です。」
(そう言って、何か言うまでも無く手元の電子端末――早い話がノートPCを見せる。
そのディスプレイ上にはMSの設計図が表示されており
そのMSの名前は、Type GLと表示されていた。)
>>573 「…!」
つばも飲めなくなった、そして恐るべき最悪の事態の到来の予感がする青年
「…なんとなく、わかりました(ヤブヘビか、この件の爆死率は高そうだ)」
機体の重量過多と出力不足
…この機体でも実弾で挑むから大丈夫かと思えば
基本装備+αだの、CBAだの緊急用ブースターだの、スモークディスチャージャだので
重量問題が発生するかもしれない
最も乗り手にも問題はあるわけなのだが
>574
「何か勘違いされてそうですけど…
パイロットが良い戦果を残せる様な機体案を考えるのも、私達の課題ですから。
…リヒャルトさんとかエレナさんは得意不得意がはっきりと分かれてるから良いんです。
ですがリュートさんは特別偏っている訳でも無いみたいですし。」
(一旦言葉を切って、コーヒーに再び口を付ける。
因みに店員さんはリュートの注文した分もクリスのテーブルに置いていきました。
つまり、リュート君は逃げられないんだ☆ZE!)
「詰まる所、オールラウンダーな人に用意するべきなのは全般的に高性能な機体になる訳で。
……これは所謂、"魔改造"が必要ですかねぇ…」
(そして不穏な呟き。)
>>575 「そうでしたか」
今回は余計な事を口にしない青年
代わりにコーヒーを飲む青年
(オールラウンダーと響きはいいのだが、
実際はぐだぐだなものである。はっきりとした得意分野がないのである
特化型はその得意分野もはっきりしており、運用の仕方に注意すれば問題が無い。
しかしコイツの場合はそうもいかない。
勇者は育て方を間違えるとアイテム係に成り下がる…と言う話はさておき
事実コイツを担当するものは匙を投げざるを得ないような事態もあり
最大の死活問題にあるといって良い)
「……ふむ(とうとう来たというべきか?)」
真剣に聞く青年である
>576
「本当なら、性能の良い機体に乗り換えてしまえば話は早いのですけれどね。」
(苦笑しつつ、端末を用いて説明を開始する。
まず表示されたのはザクTの内部構造、機体装甲版の内側だ。)
「ちょっと長くなりますけど聞いて下さいね。
以前にも説明した事があると思いますが…
宇宙世紀の初期のジオン公国製モビルスーツはモノコック構造を採用しています。
リュートさんもご存知かも知れませんが、
これは機体の外部装甲が機体その物の自重を支えるっていう構造です。
タマゴの殻なんかがイメージとしては近いかも知れませんね。
で、この構造を採用すると当然、装甲内部にはスペースが出来ます。
リュートさんのザクTはパーツ類を現在の物に交換していますから、
この余剰スペースは更に大きくなる、っていうのは分かりますね。
大体設計が古い機体を改修する際は古今東西、こうした所を利用してやるんです。
モビルスーツが登場するよりずっと以前、地球の中東の国がそうしてたみたいにね。
ですから今回も、リュートさんのタイプGLをそれを使って強化しようと思うんですが……
ここで問題が一つ。」
(ここで長い台詞を喋り終わり、呼吸を一つ。)
「貴方の好みが分からないんです。
まさか私の趣味を押し付ける訳にもいきませんし、 機体のクセも知っていないとね。
次の機体への繋ぎになっちゃうとしても、適当な改修をする訳にはいきません。」
(そして、物凄く大事な一言をさらりと言ってのけた。)
>>577 「でしょうね。全く持ってその通りです」
(乗り換えの方が手っ取り早いのだが…ピーキー過ぎると詰んだりするのだ
全く動かせない…ってなケースも存在するので安易な乗り換えは避けておきたいのだが
そうもいかなくなってきつつある。
最も、小細工の道具の見繕いレベルで手を打つしかできない青年なのだが)
「わかりました。どうぞ。」
彼女にOKの意思表示を示す
「もんだい?」
機体の改修、これは自然な流れに近いだろう。しかし…
「この重要性はわかりました。
好み、と言いますとどういうもので、ですか?」
青年は更に引き出してみる
(この場合どちらかだ。
機体タイプ的な面で言えば
適正さえ考えなければ、つまり動かせる物ならほぼ雑食。
それも性質の悪い意味でもだ
それ以外の場合もあるだろうが)
>578
「機体自体の性能をどういう風に調整するか、っていう事ですよ。
一口にオールラウンダーと言ってもその幅は広い。
ある程度の汎用性は残すにしても、運動性・機動性・格闘性能・砲戦能力etc....
全部を平均化する何ていう事は相当の代価を積まないと不可能な以上、
何処かを重視……ぶっちゃけてしまえば何処かを犠牲にしないといけません。
ですから火力を上げたいとか機動性を上げたいとか、
今の機体で不自由している所でも良いので好きな所を申告していただければな、と。
……そうですね、この質問は…
母親が子供に、夕飯のおかずが何が良いのか聞く様な物だと考えてくれれば良いと思います。
私は今日はもう行かないと行けませんが、何か考え付いた時にでも良かったら連絡を下さい。
何でしたら、この前のあの敵機に勝つ為の機体でも構いませんからね。」
(そう言って花のように微笑むと、会計を済ませて白馬の入り口へと向かっていく。
そして最後に思い出した様に)
「あぁそれと。
真面目に考えないと、割とリアルに死ねるので注意して下さいね☆」
(…花の様な笑顔のままで、クリスさんは冗談とはいえ凄い台詞を残していってくれやがりました。)
>>579 「なるほど、そういうことか
わかりました。」
(ぶっちゃけ、オールラウンダー的改造と言っても基本能力を上げる他に
どの部分を挙げるかによってくる…どうしても犠牲にしなければならない面もあるだろう
この点は特化型と変わりは無い。これはプランが固まり次第連絡すれば良いのだ)
「…そうですね(やはり…な)」
彼女を見送る青年
(これもある意味青年の予想通り、まあどちらにせよロクに動けないし
彼女もまた注意しなければならない存在である事には変わりない、どんな意味であれ。
修羅場真っ只中である。)
「…(重くて遠くて届かんか)」
そう思いつつも取り残された青年。改修プランの組んでた方の
データ的詳細について忘れたのに気付くのは会計を済ませて出てからのお話
「はぁ………」
頬杖を突いたままもう何十回と知れずただ溜息を吐き出し続ける傍らの少女のような少年に対し、
眉を顰めてショートケーキを口に運ぶ作業を中断するのは少年の双子の妹、ラビ・タイトハーツ。
「ふぅ……」
少年――ルビ・タイトハーツの目の前に置かれたハムサンドは、
彼の好物にも関わらず、今日に限ってはまったく手付かずの状態を既に小一時間保っている。
加えるならば、今日に限ってこの喫茶店「白馬」に寄ったのも、オーダーをしたのも全てラビだった。
普段ならばこの昼下がり、「小腹が空いたね、白馬に行こう」と言えば、それはルビの台詞だったのであるが。
ラビとしてはこの"溜息製造機"にこれ以上雰囲気を悪くされては適わない。
この喫茶店に入り、兄の好物を注文したのも、
実はここ数日鬱病かと疑いたくなるようなこの兄……ルビの無気力症をどうにか解消出来ないものかと打ち出された手段の一つだった。
スポンジを運ぶフォークがカチャりと皿の上に置かれる。
「――ルビ、ええ加減にせーへんとほんまにおこるで?」
「……はぁ……」
精一杯の凄みとかドスを効かせたのに、帰ってくるのは流し目。
普通なら愚兄を一発でシャンとさせる事の出来る三白眼睨みも、いよいよ効果がなくなって来たらしい。
そういえば同じセリフを既に五度は兄に対して言った筈だ。
これはもうどうしたものか。
肉体言語も粗方使い果たしたし……元々無気力症になり易かったルビだが、今回のは本当に根が深い。
「(何コイツ
…何コイツ!
昇級試験で挫折した時やってこない凹まへんかったクセに!)」
だがしかし、
少年とは双子という限り無く近しい間柄でありながら、少女は気付いていなかった。
挫折や怠惰による無気力とは全く別のベクトルに、もう一つの無気力の可能性がある事を――。
「………スカーレットさん………かぁ」
相変わらず上の空で、ぼうっとしながらも、
その名前だけが小さくルビの口から漏れていた。
>>581 「ふむ……」
美しくないな、と呟き席を立つブロンドの青年。
見るからに高級品と分かるスーツを華麗に着こなす彼の名はフィリップ、双子たちと同じく地球からの研修生である。
「さながら悪魔にでも魅了されたかのようだ。
見るに耐えないその姿、一体どうしたというのだ?」
了承も取らずに二人のテーブルへ加わると、
尊大な口調でルビに向かい尋ねた。
>581
(おそらく少年の目には映っていないだろうその球体は、ハロと言えるのだろうが奇妙な造型をしていた。
目がピコピコ光るのもハロであるからなのだろうがそれはともかくして)
青春真っ盛りの溜め息……か。
(何故こんなにチープでしかし手先足先だけリアルなのか、というかハロ特有の蓋が見当たらない。
そして体に似合わない渋い声で呟いたそれは、どうしようもなく黄色かった。)
>582
(美しくなさすぎて目には入れたくない浮遊する球体のようなヒトガタのような)
>582 貴公子
「あれ?誰かと思ったらフィリップさまやん。
奇遇ですねー、こんにちわー♪」
不意に同席してきた青年に驚くものの、彼は同じ地球組の。
親しみを込めて普段から「さま」付けをしているのだろうか、少女は割りと普通に挨拶を返す。
一方でルビは。
「ぁ……ああ、
フィリップさん……どうも」
に、にこぉ…っと、なんか弱い笑顔と会釈を返してまた溜息を吐く始末。
「……ここ一週間くらいずっとこの調子なんです。
お陰でアナイアレイターの調整もままならなくて、困ってるんですわー」
貰い溜息というものがあるならば、たった今ラビから吐き出された重々しいそれはきっとそうなのだろう。
>583 マッハボーイ
「……なんなん?この激シブ声のイエローボールは。」
「…………はぁ……」
双子の反応はそれぞれだ。
方やしげしげと眺めた後で四肢を引っ張ってその反応にケラケラと笑い、
方やどうでもよさ気に窓の向こうに視線を投げている。
後者が正気であれば一番面白い反応をしてくれたはずなのだが……
「おもろいなー自分。モチ名前あるんやろ?
なんていうん?なぁなぁ?」
キャッキャッと戯れるのはラビ・タイトハーツ。
そろそろ兄貴のコトはどうでも良くなってきていた。
>584
俺か!?よくぞ聞いてくれた、そう我が正体こそ黄色い声製造工場、その名もっ!
(仰々しくポーズをとった後、頭の上で文字が構成される。)
音速丸っ!!
(無意味に体が点滅している)
>>584 「ふむ、思いのほか深刻のようだな。
美しくない……と斬って捨てるには些か忍びない。
何か思い煩うことがあるのなら、この私に話してみると良い」
歌劇の振り付けのような芝居がかった仕草で店員を呼び、紅茶をオーダーする。
「君を煩わせているのが私の美しさでは無いのなら、な。
もしそうなら諦めたまえ、究極の美をこの私に与えた神を呪うぐらいしか君に術は無いのだから」
>>583 「……」
極力視界に入れないように目線を動かす。
しかしながらラビがソレに構うため、否応無しに目に留まってしまう。
観念したのか溜息をつき、運ばれてきた紅茶に輪切りのレモンを浮かべてルビの言葉を待った。
>586 貴公子
「いえ、違います」
そこは即座に斬って捨て。
「…………、」
交わる視線。フィリップは決して逸らそうとしない。
尊大な態度のままだが、そこには真摯に似た意思が確かに存在し、
何より彼の超然とした、ある種ミステリアスな雰囲気がルビに目を伏せさせる事をさせなかった。
「……魅入られる……っていう表現はどうなんでしょうね。
僕がただ見ているだけですから……
でも、見せ付けられた……というのもあるんですけどね……何もかもが鮮烈過ぎて……」
ちらりと妹を見やる。
黄色の何かと戯れている。
これなら話の腰を折られずに済みそうだと判断した少年は、意を決するように口を開く。
「忘れられないんです、僕は……何故か、……スカーレット教官の姿を。」
言って、自嘲するように小さく苦笑し。
「あは、憧れとも何か違うんですよね…
教官殿が同性でなく、異性だからなのか……お陰で何にも手が付けられない。」
本当、困りましたよ。
と、肩を竦めて見せる。
>585 マッハボーイ
「いよっ!千両役者ーっ!」
白と赤の集中線を背景にした黄色い物体の名乗りに大興奮し、
(>ワ<)キャー!!とかテンションあがりまくりの妹様。
「んで音速丸、その点滅以外にネタの一つは出来るんやろ?
まさか出オチなんて、ウチの目が狂ってるわけないし。」
笑顔でずいっと迫るラビ。
口調が似非関西弁してるとどうも笑いに生きたくるなるとでもいうのか。
もちろんイントネーションが訛ってるだけなのであるが。
>586
………ふっ
(男の方を向きなにかとてつもなく失礼な感じの鼻息(?)の吹き方をする黄色)
>587
おいおい喧嘩売ってくれーんの?
美少女だから今なら高価買い取り中!
(そう言うと一瞬でマッスルに巨大化。2メートルはある大柄な体である……まるで手品か宴会芸だが)
>>587 想像していた通りだったのか、
或いは全くの予想外だったのか。
そんなことすら窺わせないほどに落ち着き払った態度で紅茶を一口啜り、フィリップはカップを置く。
「なるほど、俗に言うならば恋の病というものか」
かちゃり、と小さな音を立てるソーサー。
「君ほどの年齢ならば、年上の女性にそうした感情を抱くのは当然だろう。
少々下卑た言い方をすれば、彼女は実に性的な魅力に満ちている……失礼、この言い方は余りに美しくないな」
咳払いをして詫びる。
「きっかけを聞いても良いかね?」
>>588 「……」
無視。だって美しくないし。
>588 マッハボーイ
「やぁん!美少女なんてほんまにほんまのコト言わんといてー♪
もうじゅーっぶんわかっとるさかいなー☆
……って、えー……引くわー……」
あれだけ盛り上がっておいて急にΛ字テンションダウンを見せる妹様。
一体何が御気に召さなかったのか?予測の範疇だったのか?単純にマッチョが嫌いなのか?
正解(セリフの意訳):「もっと他のもみせてーな☆」
恐ろしい審査員に引っかかってしまった音速丸だった。
>589 貴公子
横での馬鹿騒ぎを完全にスルーして、
こちらは落ち着いた雰囲気のまま会話が続く。
「恋……なんて、低俗過ぎませんか?
助けて頂いた方に、それはなんか……失礼ですよ。」
伏せ目がちに呟く言葉は、負い目から来るらしいもので。
「キッカケは……二度も助けられてしまった事でしょうか。
一度目は先日の遭遇戦で僕とラビの命を救ってもらって……
それから二度目はクーロン・クレイドル……フィリップさんもご存知かも知れませんが、
あそこは本当に底知れない闇で満ちていました。
そして僕はその闇に足元を掬われ、引きずり込まれそうになった――その時差した光は紅かった。
――ええ、どうしようもなく紅かったんです。彼女の名の示す通りに。」
優雅な所作で紅茶を嗜むフィリップとは対照的に、
ルビは終始膝の上に拳を二つちょこんと乗せた定姿勢。
それでも少女のようにあどけない顔が描き出す表情だけは、
段々暗くなったり、急に明るくなったり、かと思えば頬を染めてみたりと目まぐるしい。
「三度目があったとしたら……その時は、僕の情けなさが勝ってくれると思うんですけどね。」
自嘲。最後は少し寂しそうに笑う。
>590
なんと好みのうるさい小娘っ?!
しかし誠に残念ながら特別な条件なしにできる持ち合わせネタはこれだけだ!続きが見たければまた次回、これすなわちバラエティー番組の鉄板法則!!
(うまくネタ要求をかわそうとする黄色。あるいは、それは新ネタ作りのための場繋ぎなのかもしれない。)
>>590 くるくると変わるルビの表情を涼しげに見遣りながら、
鼻腔に届く紅茶の香りを楽しむフィリップ。
少年の顔に浮かんだ寂しげな笑みに小さく首を振ると、
「……重症だな」
呟き、改めて口を開く。
「低俗かね、恋とは。
私という至高の美を前にしては、己が感情すら卑下したくなるのも道理だが……」
さらさらの前髪をふわりとかきあげ、じっとルビを見つめる。
「傍から見れば間違いなく、君は彼女に恋心を抱いているとしか思えない。
その感情は素晴らしく尊いものだと私は思うよ」
>591 マッハボーイ
ブーブーと上がる非難の声。( ・3・)えー
「でもええわ、
その一発芸ならまぁ半年はおまんま食い繋げると思うで?
質量保存の法則とかを筆頭に突っ込み所満載やからな!
けどなー音速丸が初見ならウチだって素直におどろいたんやで?」
指を差して漫画的吹き出しの中にアイアンマスクさんの姿を描き、苦笑い。
「……素直にキモカワイイ系目指さへんの?
足ジュポーンとかー、羽ロポーンとか。」
元に戻った音速丸のほっぺに相当する部分をチョンチョンと突っつきながら尋ねる。
>592 貴公子
告げられた“重症”という診断に頬を掻く。
はたして、本当にそうなのか。疑念は消えない。
「僕は本当の恋なんてものを知りません……それこそドラマとか、漫画とか、
そういう媒体では素晴らしいものだって謳われ、表現されていますけど……実際を知らないんです。」
そう、何かに弁解するように言った後で。
「でも……でも。
それでも、僕は。
誰かに……そう、誰かに。
この“気持ち”と向き合っていく“許し”を貰いたい……のかも、知れません。」
本心だろうか。フィリップの眼前に、少年の真摯な瞳が開かれていた。
>593
ふふふ……男には浪漫が一つや二つ、あるものさ。
なあそうだろうそこの青春真っ盛り?
(そう言い、双子の片割れの肩に腕を回しくだをまくように絡んでくる。果てしなく邪魔であり)
>592
(嫌でも視界に入ってくる)
>>593 「許す人はいないだろう。
許さない人もまたいない。
覚えておきたまえ、心とは常に自由なのだから」
それでも、と続ける。
「誰かの許しが欲しいのならば、『誰か』とは一人しかいないのではないかな?」
面白半分で炊きつけるような人間ではない。
背中を押したワケでもない。
ただ、淡々と告げるだけ。
「焦ることはない。
まずは普段どおりの君として、今この瞬間より過ごせるよう努力することだ。
秘め置くか明かすかは別としても、これ以上肉親に心配をかけてはならない」
レモンティーの最後の一口を飲み干し、
「その感情を君がどう思おうと、それは間違いなく君という存在をより美しくしてくれるものなのだからね」
>595 貴公子
「心は自由……誰も許さず、誰もが止めはしない……」
胸に手をあて、青年の言葉を意識的に繰り返す。
「……焦ることなんて、無い。」
言い聞かせるように。
思い込むように。
「そっか、まずは、何より、僕が向き合うべきなんだな……」
そうすることで、この先にまた“紅い光”が差してくれる……そんな気がしたから。
「ありがとうございます、フィリップさん。
少しだけスッとした気がします。意外と聞き上手なんですね。」
そういって、今日初めての、“いつもの笑顔”を見せる。
>594 マッハボーイ
フィリップの言葉を噛み締めたその後で。
「…………、」
じっと、交差する黄色とルビの視線。
緩慢に流れる時間。どろりとした雰囲気。
「―――うん、ドリルとかロマンだよね!」
吹っ切れたような顔がそこにあった。
その後は兄妹で延々突っつきモード。後悔するがいいイエローボール!
>>596 「何、高貴なる者としての務めを果たしただけだよ――む?」
元の笑顔を取り戻した少年が、すぐさまマッハボーイを弄り始めるのを見て。
「フッ……」
肩を小さくすくめ、目を閉じて薄く笑みを浮かべる。
何だかんだで年上なのですよ、彼も。
そうして『三人分』の会計を済ませると、
フィリップは変な黄色い生物と双子とのほほえましい光景をもう一度だけ見遣り、白馬を後にしたのだった。
>596
ナマ言いやがって小僧っ子ぉ!世の中にはドリルに留まらず様々な……
ってなにしやがやめ
(ひたすらテンションの高い双子にもみくちゃにされ奇声を発する黄色であった)
アキェーーーーイ!!
(夕暮れの帰路を歩く。
少し先には何か叫びながら手を振る双子の妹の姿。
多分、遅い!って言ってるのだろう。いつもの事だ。
あの後、すっかり表面がパサついてしまったハムサンドを平らげて、
颯爽と取り出したのは新調したばかりのノート端末で。
「アナイアレイター」の運用パターンを、あの日以来初めてラビと話した。
突っ込み合って思いっきり話すなんて、
僕たちにとって当たり前だったことが、本当に久しぶりに感じて、新鮮にさえ思えた。
思えば、僕に対する手段はどうあれ心配してくれていたラビを蔑ろにしてまで、
一週間も一人思い悩んでいた自分がウソのようで、フィリップさんには感謝の言葉が尽きない。
フィリップさんは決して茶化したり、囃し立てたりせず、ただ僕の断片的でしかない思いに、含蓄のある言葉を返してくれた。
まだ少し認め切れていない所もあるけど、多分、きっと、彼の言った事は正しいんだと思う。
そうやって自分で自分を受け止めただけでこんなにも気持ちが軽くなるなんて。
なんだかフィリップさんの魔法に掛けられたような気分だった。
彼が日頃から口にしている“高貴なる者としての務め”という言葉の本質を、ちょっとだけ垣間見れた気がする。
結果的にお会計もして貰っちゃったし、改めて御礼をしなきゃ。
お陰で気付けたこと。
僕はスカーレット教官を、純粋…不純、どちらであれ、強く慕っているということ。
僕の中で芽生えてしまったこのもやもやははっきりとした“何か”を得なければずっと離れてくれないだろう。
それは、なんとなく分かった。
だから、まずは生徒として彼女を慕い、お傍に付いて……自分の気持ちを確かめよう。
そう、まずはそれからなんだ。
目標ばかりが出来てしまう、この火星という星。
不思議と充実している自分が居る。
いよいよ本当に怒り出した妹のもとへ、僕は駆け出した。)
さて、それから数時間後。
夕飯時の白馬は昼間とはまた違った喧騒に包まれている。
何せ値段も手ごろで質も量も上等、且つメニューは喫茶店とは思えない豊富さと来ている。
客足が途絶える道理は無い。
「なるほどね…実の所期待してなかったが……コイツは失礼だったな。
…スンゲェ美味い。」
そしてそのテーブル席の一つで舌鼓を打つ男が一人。
ちょっとした冒険で頼んだ料理が、ことのほか彼の舌にマッチしたらしい。
因みに彼が注文し、今まさに美味い美味いと食べている料理。
それは一般的にはジャパニーズ・スシと呼ばれている物だ。
(もくもく)
(そんな擬音を感じさせながら本当に黙々と食事をしている青年が店内にいた。
いや、それだけなら普通なのだが……)
>600
(突如照明の一つから光が届かなくなる。
見上げればホットドッグを頬張りながらトレイを持つ『サンバイザーを被った』青年がいるだろう。)
この席空いてますかね?
(口一杯に頬張りながら不思議なくらいはっきりと問いかけてきた)
>601
「ん、あぁ…混んでるしな、どぞ。」
(やや無愛想だが、特に断る理由も無い。
そのサンバイザーにやや無遠慮な視線が注がれているが。
それよりも青年には気になるかも知れない、彼の食べているスシ。
それは普通のスシでは無かった。)
「…ただまぁ、この匂いが大丈夫ならな。」
(彼の食べているスシ。それは我々が言う所の"フナ寿司"にあたる物だ。)
>602
ああ、それなら大丈夫でしょう
(そういうと口からはみ出ていた部分を上を向いてがばっと口の中に納め、おもむろにトレイを置いてみせる。)
今日は私的イチ押しのしょうが定食ですから。
(しょうが焼きにご飯、それだけなら普通だが焼かれているのが肉ではなく魚でしかも一尾まるごと。
さらにしょうがの香り漂うミソスープに冷たい物としてジンジャーエール……)
「あ゛〜」
面倒なのでまとめると
ランナー交代してふりーだむ→ご飯ですよ
さて、ここコンjな訳なのであるが
>>602>>603 ふむ、なにやら起こりそうで起こらなく…
すこーし様子を見ていたが面識は特になさそう
もう少し様子を見ても良かったが
知人も居るので声をかけることに
「お食事中失礼、もう一人ぐらい大丈夫ですか?」
>603
「OK、確かにそれなら気にならんってか。(ぱくり」
「っていうかおま、その食い合わせは素人目に見てもかなりアウトだと思うんだがどうか!」
(あ、ツッコミ入りました。)
>604
「ん、見ての通り席は開いてるが。」
(確かに、彼らのテーブルは四人掛けだ。
逆に言うと、店内には空いているテーブルが他に無い。)
「ただし、このテーブル一体の強烈な匂いに耐えられる覚悟はあるか、旦那。」
(何だろう、この麻雀卓を囲んでる雀士みたいなミハエルの目つきは。)
>604
さて、それは席主に聞いて見なければ……
(肩を竦める)
>605
あはは、まあまあ細かい事は気にせずー
(ちなみにさっき食べていたのはしょうがマスタードドッグなる白馬独自の開発メニュー、しょうがのフルコースとでも言えばいいのだろうか……恐ろしい)
>>606 「……モノが寿司ゆえ、ということですか
俺は大丈夫ですよ」
>>607 「そうでしょうね」
まあ、様子を見てたからこんな事がいえるわけである、まる
>607
「そうは言うがな兄さん。
その風袋に奇怪な食い合わせ、君も養成所の生徒だろ?」
(何か間違ったイメージをお持ちのようですミハエルさん。)
「偏った食事はパイロット生命を縮めるぜ、俺は戦車乗りだから良いけどな。」
(何たる理屈か、とかいうツッコミは不許可らしい。
ちなみに彼の食べているフナずしも試作メニュー、もとい裏メニューだ。
頼めば出て来るけれど、正規のメニューに乗る様な代物ではない。)
>608
「いや、コイツは特別だって言うけどな」
(苦笑しつつ、席を引いて勧める。)
>609
誤解があるようで……今日は偏る食事ですが、月に一回のこれは嗜み。
まあ癖のある味に魅了はされてますが、そんなに毎日食べれるわけでも。
(癖のありすぎる味は確かに頭に残るが、いつでも食べていたいかと聞かれるとNOと言いたくなる物が多い。
ようはそういうことなのだr)
魚一尾丸ごと使ってますから、結構高いんですよこれ
(金銭的理由だった)
>>609 「そうですか」
ニヤリと笑ったのは気のせいです…きっと
注文したメニューがくる。
注文したのはどうみても普通の定食です、本当にありがとうございました
>610
「………そうか。
しかしアレかな、こっち(火星)の訓練生は随分と差があるんだなぁ。
それとも、お前さんが何か金のかかる趣味とか持ってるのかね?
例えばそのサンバイザーとか。」
>611
「お前には失望した。
…なんてな、ノリが悪いのは何時もの事だしな。」
(何か物凄い不当な言い様を受けているぞ、リュート君。)
>612
まあ……それは……
(自分の口に人差し指を当て)
秘密ということで。
(……どうでもいいが、そのポーズを男がやると気色が悪い。
そしてもうひとつ。
下から見上げても何故か目が見えなかった……物理的に不可解である。)
まあ帽子は言うなれば趣味でしてね?気分によって――
(ごそごそ)
こんなのだったりします
(ベレー帽とシルクハットを鞄から取り出す……のはいいのだが。
かさばり具合からしてサンバイザーまで入らないように見受けられる……)
>>612 「匙を投げられるのも定め…
とはいえ確かにこれは手厳しい。」
>>613 そんな彼の様子を見て
「種類が豊富のようで」
と言う青年だ
>613
「……一つ気になるんだけどさ、聞いて良いかな。
お前さん、モビルスーツに乗る時とかどうしてんのさ?」
(ぱくりぱくりとスシを口へと放り込みながら。
あ、黒ビール飲み始めました。
相棒を差し置いて酒を飲んでいますこの男。)
「それにだ、秘密とあらば暴くぞ、何時か。」
(そして目がマジだ!?)
>614
「ん、気に障ったなら謝るぜ。
しかし本当、旦那は淡白に過ぎると思う。
もっと酒でも飲んで騒げば良いんだ、全く。」
(終いには絡み始める。
駄目な大人の見本の様な気がして来るが、
それでもリュート君にムリヤリ酒を飲ませようとするのは問題だと思う。
ちなみに飲ませようとしてるのは地球さんの黒ビール、濃いぜ。)
>614
ええ、確か家にある分を数えれば100に届いたかと
(平然と答えるが異常である。)
>615
それは普通にノーマルスーツにヘルメットですよ、ええ。
(少々心外そうな『口元』。
目が隠れていてはっきりとした表情が読み取れない……)
ふふ、さてできますかね……?
(事実上の挑戦状と受け取って差し支えないほど不敵な笑みと台詞を返す青年。
気がつけばトレイの上の魚は骨だけになっていた)
>>616 「産廃なのは事実ですから、お気になさらず
騒ぎですか、そういうのはいいですねぇ
(まあ、祭りが発生してドサクサに美味しいとこ…を)ペンギンゲットしたいものです」
最後の何だ
中央公安局が調べなくても
ロクに動かなくなる確率が他生徒に比べ高いのも事実なのである
>>617 「それはそれは興味深い話です」
―不意に携帯が何かを伝える
「おっと、残念。どうやら時間のようです。お先に失礼します。ごゆっくりどうぞ」
会計を済ませどこかへ消えるように去ってゆく青年
>618
「そこまでは言ってないっての。
って飲まずに逃げるかオイ!?」
>617
「……ちっ。」
(今確かに舌打ちしました、この人。)
「ん、最初は冗談だったが仕方無ぇ。
その反応をされた以上、俺としては乗らざるを得ない。
何故なら俺は、投げられた手袋は必ず受け取る主義だからな!
――必ず、必ず暴いて見せるぜこの野郎。」
(投げられた手袋は必ず受け取る主義、即ち売られた喧嘩は必ず買うぜ。
何か変なスイッチ入っちゃった様子です、酒の所為で。)
>618
はい、また縁がありましたらー
(笑う口元、大振りの手。
どんな時でも目だけが見えなかった)
>619
ふふふ……絶望にうちひしがれる姿を見るのが楽しみいえ冗談ですよ?
(間髪入れずフォローはしたがますます怪しく見えてくる)
さて…今日はこれからどうしましょうか…
(ブツブツブツと呟き始める)
>620
「あぁ、何と言ったか―――そう。
おはようからおやすみまで暮らしを見つめる覚悟で頑張ろうと思う。
いや冗談だけど。」
(怪しさ爆発な二人の会話である。)
「…さて、それじゃ俺も行くかね。
これ以上酔うとリディアに締め出されちまうからな。
んじゃお先に、帽子を脱ぐ時には暗がりに注意だ。」
(そうして最後まで本気なんだかよくわからない台詞を吐いて、
清算を済ませると彼もまた帰って行った。)
>621
ええ、十二分に気をつけさせていただきましょう……アデュー。
(手をひらひらと振り、ジンジャーエールに口をつける。
まだ夜はこれからであるが、どう過ごすのかは未定のままのようであった。)
623 :
赤髪の男:2008/03/22(土) 21:37:03 ID:???
火星養成所のあるクレイドル。
そのメインストリートはクレイドルで最も賑やかな場所だと言って差し支えない。
そこは多くの商店が軒先を連ね、生活必需品や嗜好品を求める人々のうねりのお陰で、
その街路の喧騒が絶える事など無いかのような錯覚すら覚えてしまう。
しかしそれは結局の所錯覚だ。
人並みが皆無とは言わないまでも、喧騒が途絶えて比較的穏やかな空間が生まれる時もある。
そしてこの時、人通りもまばらになったメインストリートの中央。
「……しまったな。
やはりこれだから、子供の扱いには困るのだ…。」
逞しい長身に大きな荷物を抱えた紅い髪の男性が、
生真面目な仏頂面の中にも何処か困惑した様な面持ちで立ち尽くしていた。
夕暮れ間近の大通り、人影もまばらな商店街の真ん中を足早に歩く少女が一人。
結い上げた金髪は歩調に合わせて静かに揺れ、
身に纏った濃紺のブレザーとの鮮やかなコントラストを描いている。
「……」
何か急ぎの用事でもあるのだろうか。
時折腕時計をちらと見ては、小走りに人と人との間を縫って進んでいく。
だがそんな動作を数度繰り返した後、彼女は小さく首を振ると足の運びの速度を落とした。
途端――
>>623 「!」
ドンッ
華奢な体が目の前の背中にぶつかり、思わぬ衝撃にカナデは驚いて顔を上げた。
目線を上げれば飛び込んでくるのは紅い髪。
一瞬、かの教官見習いの姿が思い浮かぶが、目の前にいるのはどう見ても男だ。
「……失礼」
二歩ほど下がり、無機質な響きの言葉でカナデはその背中に謝罪した。
625 :
赤髪の男:2008/03/22(土) 22:05:23 ID:???
>>624 「お……っと…!」
(荷物から落ちた林檎、転がる林檎が二つ。
落ちたそれに視線を落としつつ、ゆっくりと振り返る男。)
「…いや、こちらこそ道の中ほどで失礼した。
お急ぎだったかな?」
(返された言葉はごくごく普通、物腰はぶっきらぼうだが紳士的な物だった。
だがカナデは気付いたかも知れない。
男が振り返るその刹那だけ、その瞳に確かに宿っていた身も凍る様な冷徹さ。
その冷徹さは―――またの名を殺意という感情。)
>>625 「あ……」
瞳の奥に垣間見えた冷たいソレに中てられたかのように、アイスブルーの双眸が小さく揺らいだ。
掛け値なしの情動、戦場に立った経験の在る者だけが身に着けられる筈のソレ。
まさかそんなものが、目の前の温和そうな青年から――
「いえ、どうやらもう間に合わないようですから」
かぶりを振って答えるカナデ。
よく考えればココは火星、其処に住まう人々の過去に何が在ろうと不思議ではない。
こうして振り返った男にかつて戦場を駆けた経験があっても、つまり不思議ではないのだ。
そうやって、感じ取った違和感に自分なりの結論を導くと、
彼女は再度小さく一礼をしてから男の横を通り過ぎようとした。
627 :
赤髪の男:2008/03/22(土) 22:23:34 ID:???
>626
(しかし今、男の目にそういった感情は無い。
そう、確かに物腰温和その物。
"絵に描いた様な温和さ"が、そこには全面に押し出されている。)
「そうか。
…あぁ、そんな時に済まないが一つ良いかな。
君が来た方向で人を見なかったかい、日傘を差した黒い髪の女の子なんだが。」
(そして物腰に従って、人の良さそうな声色。
先を急ぐと言っていた人間に尋ねるにしては突飛な内容とは不釣合いなその声色が、
酷く違和感を伴う物に感じられる。
違和感といえばカナデは気付いているだろうか。
目の前の男は、自らの荷物から落ちた林檎を拾う事すらしていない。)
>>627 かけられた声に振り返る。
元来他人という存在に殆ど係わり合いを持たないのがカナデだ。
まして往来ですれ違っただけの相手ならば。
だから、今回も必要最低限の応酬だけで済ませたつもりだったのに――
「女の子、ですか?」
――だというのに、呼び止める声に振り返ってしまったのは何故か。
他人など路傍の石だ。
だが、その石が余りに奇異であったならば、通り過ぎる前に立ち止まってしまうかもしれない。
或いは……触れてはならないモノのように、避けて通ろうとするかもしれない。
「……いえ、そういった容姿の女の子は見ていませんが。
お役に立てず、すみません」
あくまで冷めた他者への口調、そこにいつもの彼女と何ら変わりは無く。
「……落ちましたよ」
無造作に、優美さを纏った指先が地面に転がった果実を指し示す。
何ら変わらない口調のまま、言葉だけが「彼」の態度を訝しむように唇から零れ出た。
629 :
赤髪の男:2008/03/22(土) 22:51:08 ID:???
>>628 「そうか――」
(何故だろうか、男の目は何処か見透かしている様な物を感じる。
有体に言えば嫌な視線だ、無遠慮に他人を見定めている。
容姿や嗜好とかそういう物を品評するのではない、もっと深い目線だった。
が、それも時間にして一秒にも満たない事だ。)
「――うん、分かった。ありがとうお嬢さん。
親戚から預かっている大事な女の子なんだがね、何時の間にやら逸れてしまった。
…何となく見ていそうだと思ったから聞いたのだけど、唐突な質問で済まなかったね。」
(そして男は、指し示された果実を拾おうとする事でその視線を外す。
広い上げる、一つ、二つ。
それで話は終わりとばかりに、拾い上げる。
それでも尚、顔に付いた二つの目とは異なる視線で診られている様な感覚。
それこそ相手が何であれ、戦場に立った経験の在る者だけが知っている感覚は残ったが。)
>>629 「いえ、謝られるほどの事ではありません――」
奔り続ける冷たい感覚。
ループタイのカメオを無意識に掴みかけ、気付いたようにその手を再び下ろす。
ほんの僅かな違和感を覚えながら、カナデはそう答えた。
彼女は戦場を知らない。
実戦の経験はあるのだが、その戦場は「彼」の経験したものから比べれば余りに生易しい。
言葉を変えよう。
カナデ・ノースウィンドは「戦争」を知らないのだ。
そして、「彼」はソレを知っている――違和感が、ただの違和感以上へ昇華されないのはその差ゆえ。
だが一方で。
「私には関係の無いことですから……まあ、早く見付かることを祈っておきます」
違和感が違和感として消えずに留まり続けるのは、彼女の持つ何がしかに拠るものかもしれない。
631 :
赤髪の男:2008/03/22(土) 23:21:11 ID:???
>630
「あぁ、ありがとう。
僕もこれから探してみるつもりだけどね。」
(落ちた果実を腕に抱える紙袋へと放り込み顔を上げる。
礼を述べつつ向けられた笑顔は人並みには爽やかな物。
カナデの知る所で言えばクレハ・ナラノハやリヒャルト・ユルゲンスの微笑みに違いかも知れない。
だがしかし、彼らの笑みに比べて男の其れは"いささか完璧過ぎた"。
まるで心にも無い虚構のような――いや、それは虚構に間違い無い。
それも何か、自らの危険を感じるタイプ、其れはそういう類の危険な物だ。)
「…それじゃ。
祈って貰える内に行くとするよ、ありがとうね。」
(そして、その笑みのままに歩を進めて遠ざかる。
終始、張り付いた仮面の様なそれが崩れる事は無かったが。
言い様の無い不安や危険、それらを彼女一人だけに残した様に、その赤い髪の男は去って行った。)
>>631 道すがら反芻される記憶。
一筋の罅も無い、あの男の笑みはまるで――
「道化師のメイクみたいね」
塗りたくったどうらんの下、本当の素顔までも笑っているとは限らない。
そんな道化師の化粧についての話を、この時カナデは思い出していた。
幼い頃に見た、西暦時代のアーカイブ。
修道院の見習いシスターが、こっそり見せてくれた古い映像。
それはB級と評価されるようなホラー映画で、ピエロの姿をした人外の存在に少年が追い詰められていくという筋書きだった。
趣味が悪い、と酷評したカナデの言葉に、取り繕うように彼女はピエロの化粧についてもっともらしい話をした。
今思えばそれは、そのシスターの密かな趣味だったに違いない。
古く貴重な娯楽の映像を、手の届く範囲で集めて鑑賞する――そんな趣味。決して珍しい趣味ではない。
その収集品の中の一つ、ピエロメイクの怪人の話――
「……っ」
冷たいものが背筋を伝っていった。
何か、得体の知れないものに触れてしまったような気味の悪さを覚えたカナデは、足早にその通りを後にした。
633 :
格納庫:2008/03/23(日) 22:09:22 ID:???
カタカタカタと、キーボードを叩く機械的な音が格納庫に響く。
音の発生源があるのは整備中の一機のモビルスーツの足元だ。
エスクード・ドゥテナス。
火星仕様に改修された陸戦用ジムをベースとする砲撃戦用の改造機だ。
「〜〜〜♪」
そしてそのキーボードを鼻歌交じりに叩いている張本人。
この砲撃戦用の機体には似つかわしくない容姿を持ったそのパイロットの名は、
エレナ・イグレシアという。
傍らでは整備班の華こと、クリスティネ・クラウスが楽しそうにそのモニターを覗き込んでいた。
>633 お姉ちゃん&クリス女史
「……お姉ちゃん。
【テナス】の調子は――って、鼻歌聞こえてるし。問題なさそう。」
そんな二人の背後から掛けられた、ややぶっきら棒な幼い声。
整備班に借りたツナギを着用し、頬に調整オイルと煤をべったり付けながら、手にした大きなスパナを肩に当て、
当人はこれと言って不機嫌なワケでもないのだがどう見ても不機嫌そうな顔を浮かべた少女、
ニムルート・G・ラスフォルテが、振り向けばそこに立っていた。
「クリス。言われた通りに【ストライカー】弄ったけど、細かい所は任せるから。
はぁ……めんど。」
そう伝え終えると、溜息と共に彼女の“口癖”が思わず漏れる。
普段ならば整備班に投げっぱなしの愛機の調整作業も、
周期的にやってくるパーソナルデータの更新時にはこうして否応無く立ち会わねばならない。
今日はそのついでに(姉と慕うエレナと一緒だと言う事もあり)ニムルートは自ら愛機の点検を行うという殊勝な行動に出ていた。
>634
「うん、良い感じよ。
テナス(堅固)なんて名前だけど、この子は中々に素直だから。」
答える"姉"ことエレナは成る程、上機嫌だ。
純白の長髪は制帽の中にしまい込まれている分、その嬉しそうな表情がよく分かる。
彼女を知らない者からは奇異な視線を向けられる事も時折あるが、
実の所、彼女は自らの乗るモビルスーツの整備にはこうして精力的に顔を出しているのだ。
「って…ニム、クリスさんに呼び捨てなんて失礼でしょう。」
『ははは、良いんですよエレナさん。
呼び易い様に呼んでくれた方が親しみが沸きますし、私も嬉しいですから。
それとはいはい、細かい所は任されましたよー。』
一方、その傍らのクリスは格納庫に居る時は常に嬉しそうと言っても過言ではない。
自ら公言して憚らないが彼女は生粋の機械好き、見るのも触るのも大好きとあらば、
機動兵器の整備などそれこそ三度の飯より好きという事になる。
『けど本当の所、信頼して頂けるのは嬉しいんですが面倒くさがっちゃ駄目ですよー。
ましてや貴方の機体は格闘タイプ、整備ミスで動けないなんてシャレにならないですからー。』
…まぁ尤も、それ故に言うべき事は言いたいらしい。
しかしそれすらも何処と無く楽しそうでは、ある。
響き渡る轟音。音速で迫る何かが格納庫の真上を通り過ぎた。
鳴り響く警報音。何事かと慌てふためく少数の生徒と、対照的に呆れたような顔をして開かれたハッチの方を眺める整備員たち。
残響が高音へと移ろってから十数秒後、四角く切り取られた空に小さな鉄のシルエットが現れた。
『やっぱりアイツか……』
溜息をつくベテラン整備員。
未だ事態を把握していない新米整備員の問いかけるような視線に、彼は黙ってそのシルエットを指差した。
* * * * *
「あー、マジで疲れた」
コックピットから降り立ち開口一番こう吐き出したのは、ブラウンの髪を後ろで三つ編みにした少年だ。
名前をファビオ・ビアンキ。
MA科の訓練生にして、十指に入る問題児である。
物言いたげな顔で駆け寄ってくる整備兵を適当にあしらいながら、彼は飛行訓練後の水分補給に勤しみ始めた。
>>636 『…あら、また盛大にやってくれてますねぇ。
先輩方の顔が目に浮かぶ様だわ。』
「あの機体は…あぁ、ファビオさんですね。
ファビオさーん!」
(苦笑しながらその機体を見つめたクリスに相槌を打ちつつ、
エレナは水分補給に入る少年へ大きく手を振ってみた。
彼我の距離は20メートル程、はたして彼にその姿と声は届くだろうか。)
>635 お姉ちゃん&クリス女史
「むー、でも…本人が良いって言ってるしー。」
オイル除去剤の染みたタオルで頬を拭い、
少し蒸れて来ていたツナギを上半身だけ縫いで腰で留めながら姉の忠告に反抗気味の妹。
姉のいう事に盲目に従うだけの姉妹関係ではなく、姉の通したい道理が自身の道理が一致した時には素直に従い、
こういった素行関連では度々反抗もする、エレナにとってはやはりいろんな意味で手の焼ける妹がニムルートだった。
「それは……そうだけど。
でも前の“オーバーヒート”は改善されてるし、磨耗だって意識して少なくしてるし。
クリスだって憶えてるでしょ?ニムがいつかヘタに弄っちゃって、【カナール】が動作不良起こしたコト。
あの時みたいに長々シェルの説教を聞くくらいなら、はじめから全部任せた方が効率的だと思うけど?」
などとしれっと言って、ベンチに腰を下ろすとスポーツドリンクを一口含み、くっと身体で伸びをする。
>636 ファビー
と、伸びきった瞬間轟音と警報に目を丸くするニムルート。
「――な、なに!?」
キョロキョロと辺りを見回し、新米整備員同様の反応だ。
やがて状況が飲み込めたのか、
着地したMAから出てくる見覚えのある顔と、それに対して手を振っている姉の姿を認識して少しイラっとする。
「……ファビオ、うるさい。」
今度は本当にむすっとした表情になるニムルートだ。
>638
「ぅー…まぁ、クリスさんが良いというのならこの場合は良いけれど…。」
(一方でエレナにしてみれば、躾は自分自身に課せられた大切な責任である。
勿論自分だけが如何こうできる問題では無いと分かってはいるが、
自分がこれを言わなくなってしまったら、それこそ駄目だ。
故にエレナにとって手の焼ける妹には変わりないが、それでも注意はしなければならない。)
『まぁそうなんですけどねー。
けどね、言い方が悪いけれど私達だって全ての事に責任を負える訳じゃ無いから。
それに実際に整備に立ち会ってくれると、
エレナさんみたいにデータの調整やらが手早く済むのよね。』
(やや苦笑混じり。
実の所、クリスとしては自分の様に、パイロットであるニムにも機体に愛情を注いで欲しいのだ。
今の発言もそれを裏返しにしただけの物に過ぎない。
勿論ニムが機体を特にぞんざいに扱っている訳でない事はクリスとてよく分かっているから、
それ以上を強く言う事もしないのだ。)
『……お、何だか妙な空気に?』
「――楽しまないで下さいよ、クリスさん…」
(そしてファビオのニムに対する態度に何処か期待の眼差しクリスさんだ。)
>>637 「分かった分かった、次からは気ぃ付けるさ――」
ボトルに差したストローを咥えながら器用に喋るファビオの耳に、飛び込んできたのは
「――ええエレナさんッ!?」
目下絶賛片思い中、麗しき白磁の美女の声。
振り返り、視界の真ん中にその姿を認めると、不機嫌そうな顔が途端に明るくなる。
突然の態度の豹変振りに呆気に取られる整備員に、飲みかけのボトルをぐいと押し付けると、小走りで彼女のほうへと駆けていった。
実技訓練を終えたばかりだというのに、全く疲れを感じさせない足取り。
恋とは麻薬のようなものなのだろうか……。
「こんなところで遇えるとは思いも……」
>>638 と、そこまで言いかけて傍に目が行く。
「……あ、お前もいたのか」
抱き合わせ販売で微妙な付録を押し付けられたかのような反応。
そっかー、エレナさんがいるならコイツがいるのも不思議じゃないんだよなー、などと考えつつ、
仏頂面で自分を睨んでくる少女の様子を窺っていた。
「何つーか、結構久し振りだな。あん時以来だっけか?」
>640
『トバしてますねー、ブースターの音が良い感じですー。』
「フフフ、確かにこちら(格納庫)でお会いするのは珍しいですね。
随分と頑張ったみたいですけど、機体の調子はどうですか?」
(機体の方に視線を移すクリスを他所に優しく微笑みかける、無論意識せずの事だ。
そして今しがたまでキーボードを叩いていた端末の横に置いていたバスケットの中から、
塩分補給用のサプリメント――塩分を科学的に加工した塩キャンディを手渡した。)
「…というより、私自信もお久しぶりな気がしますね。
ファビオさんもお元気そうで何よりです。」
("妹"と彼の間の微妙な空気にやや緊張しながら。)
>639 お姉ちゃんとクリス女史
「大丈夫だよお姉ちゃん。
そういうのがキライって人にはちゃんと丁寧語で話してるし。ね?」
そう言って一先ずの安心をして貰い、もう一口ドリンクを含んで立ち上がる。
「……クリスがそうしろって言うなら合間合間にそうするけど。」
これからは。と小さく呟いて少し遠くのメンテナンスベッドに横たわる【ジム・ストライカー】の機体を眺める。
自分が多くの希望者の中から勝ち得た新型機。それの有り難味を理解出来ないわけがなかった。
コクピットに入る時や、戦い終わった後、傷つけてしまった時にも思わず声を掛けてしまう程度にはニムルートも愛機を大切に思っていた。
>640 ファビー
ふん、と鼻を一つ鳴らして睨むのを止めると姉の傍らにやって来る。
「そうかも。でも何回かはファビオが意図的に無視してたと思うんだけど。」
あれからこれまでにも、彼が姉を口説いているシーンも何回か目撃していたし、
本人を見かける事はあまり見かけなかったが、彼のおじさんの店にはアレ以来姉と何度か訪れていた。
「それで、これからまたお姉ちゃんを口説くつもり?懲りないやつ。」
姉が拒否しているわけではないので懲りない奴というセリフには語弊があるかもしれない。
とりあえず今はあからさまに自分を毛嫌いしているであろうファビオの、姉を見つめる熱っぽい視界に自分をそれとなく入れることで微妙な気持ちにしてやろうとか考えているニムルートだった。
>>641 「調子? 調子っすか、そりゃもう絶好調っすよ。
欲を言えばもうちょい推力上げたいってトコだけど、そうすっと今度は機体の強度に不安が出るってんで」
ま、欲張らなけりゃ充分満足できてますよ、と。
ともすれば緩みきってしまいそうな顔を、それでも適度に引き締まったままでキープできるのは、
>>642 「……別に俺は避けてたワケじゃ無いぜ。
つーかお前こそ俺を避けてたんじゃねーのか――」
その傍らに毛を逆立てた猫の如き少女が侍っていたからである。
「――ってオイ!」
思いもかけない言葉に、咄嗟にニムルートの腕を掴んで引き寄せる。
「べ、別に俺は口説いてたとかそんなんじゃねーぞ。
そんな、人を邪まなナンパ野郎みたいに言うんじゃねえよ、つーかエレナさんの前で言うなよ」
想い人に聞こえないよう、ニムルートの耳元で小声でそう言う。
相当に焦った顔だ。
秘めた(当人はそのつもりである)想いが相手にばれてしまわないかと、そんな焦りの生んだ表情である。
>642
『そうしてやって下さい。
Ich hatt' einen Kameraden,私には一人の戦友がいた。って訳じゃ無いですけど。
其れくらいの愛情を注いでやれば、応えてくれるのは本当だと思いますから。
伊達に人型をしてる訳じゃ無いですからね、モビルスーツ。
…まぁ勿論、今のところ貴方の其れは合格点ですけどね?』
(そうして悪戯っぽく笑ってみせる。
生憎現在ジム・ストライカーの整備担当は彼女ではないが、それでも思い入れの良し悪しは分かるのだろう。)
>643
「そう、それは良かった。
…それにしても、ファビオさんの機体は私のテナスとは正反対の機体ですけど――
――って…ニムったら。私は別にそんな事はされていないわよ、ねぇ…?」
(そしてニムの言葉はエレナにしてみれば、語弊はある。
何故なら彼女自身、口説かれたという意識は無いのだから。
熱っぽい視線には勿論気付いているが、それ自身を余り意識していない。
ある意味では非常に残酷な事に。)
>643 ファビー
「イタっ…ちょっと、なに!?」
不意の出来事に呆然としながら引き寄せられ、耳打ちされた内容に眉を顰めた直後。
蟲惑な表情を浮かべてファビオに笑う。
弱みを握った事で自身の優位を確信した、そんな顔だった。
いつかの恩を仇で返す気マンマンなご様子で。
「ふーん…ニム的にはクレハみたいなナンパやろーとなんら変わらないと思うけど、
……そこまで情けない顔で必死に頼まれたら、
“ナポリピッツァの二〜三枚でカンベンしないといけない”って思う。ニムも。」
そう小声で言った後に今度は自分からファビオの耳元で囁く。
「どーせまたプレゼント作戦するつもりなんでしょ?その時にでも。
ん、あくまでついでで良いよ?ニムは。」
お姉ちゃんと待ってるから。と付け加えてにっこりと笑うニムルートだ。
>644 クリス女史
「やっぱりクリスには敵わないかも…」
うなだれるように。パイロットとしての心持にこれほどの正論を通されてはひねくれ続ける事は困難だった。
つくづく目の前の女性にとってはメカニックという仕事は天職なのだな、と感心してしまう。
>644 おねーちゃん
「うん、そんなコトされてないよねー。」
ちらりとファビオの方を見やって白々しく。
「まぁもし誰かにそうされたとしたら、それはニムの屍を超えて貰わないと実現しないけど。」
そう言って少しだけ姉に寄り添いながら、その顔を仰ぎ見る。
>>645 「うっ」
しまった、と表情に出てしまう辺りが彼の未熟さか。
晒してはいけないカードを見られてしまったとの思いに、耳元で囁かれた悪魔の言葉にもただ頷くしかない。
渋々と。あくまで渋々といった体ではあるが。
「わーったよ。
ついでだからな。あくまでお前はエレナさんのついで、オマケだからな」
やたら強調するのは負け惜しみというか、そんな感じの心理ゆえ。
ニムルートの為じゃなく、あくまでエレナの為にしかピッツァは焼かないと言外に含ませつつ、ささやかな反撃を試みたのだろう。
「あと俺をあんなナンパ男と一緒にすんじゃねえ。
……ってか、アイツさ。
この前スゴイ相手とデートしてたんだってな……ま、どうせただの噂だろうけど」
>>644>>645 「……」
「え?」とばかりに振り向くファビオ。
「……そ、そうッスよ、ねえ。
俺みたいな野郎が、エレナさんを口説こうなんざ100年早いってもんですよ、ねえ」
口説く口説かないは別にしても、出来る範囲でのアピールはしてきたつもりだったのだが。
今の口調からすると全くの脈なしか、そもそも気付いて貰えていないようだと悟る。
とほほー。
とりあえずニムルートにささやかなガンを飛ばしておきつつ。
内心の落胆振りをどうにか隠しながら、薄っぺらな愛想笑いでその場を誤魔化した。
>>645 『ふふふ、そう言って貰えると偉そうな事を言った甲斐がありますねー。』
(そうして、胸を張りつつ屈託の無い笑み。
実年齢には不釣合いながら、溢れ出る自信は外見には大よそ不釣合い。
何せクリスの身体は、ニムのそれと傍目にはそう変わった物には見えないのだから。)
>646
「いえいえ、本当だったらとても嬉しいですよ?
けど、百年経ったら私はもう御婆ちゃんになっちゃってますしねー…。
その時には残念ですけど、きっと他に素敵な人を探してくださいね。」
(実の所、一連の会話に決して嫌な感情は抱いていないエレナだ。
しかし何だろうか、百年経ったらとの言葉に何処と無く寂しそうな表情を見せたのは。)
>646 ファビー
「はいはい、それでも構わないから。本当に好きだねファビオも。」
やれやれと肩を竦めながら大したビッチっぷりを発揮するニムルートだ。
その言動からは彼の気持ちを認めているのか全力で潰すつもりなのかはっきりとはわからない。
ただ、慌てるファビオを見て遊んでいるらしいのは確かだった。
「……あ、それ知ってる。
カナデ先輩とっていうアレ。
この前、有頂天な本人に聞いたし。」
ポンと手を叩き、それだ!と言わんばかりに指をさして。
「それは妄想だって一蹴したけど。」
はん、と嘲笑めいたものを浮かべながら言うニムルートだった。
>647 クリス女史
「……。」
そんなクリスの様子を見詰めながら、ふと自分の身体を見てみる。
……漏れる溜息。
よくてもスレンダーか、などとこの歳で諦観を抱き始めていた。
>647
「……えっと、お姉ちゃん…えっと…ね?」
うわー、とか、あちゃー、とか、そんな表情を浮かべてエレナとファビオの顔を交互する。
お姉ちゃんはたまに凄く残酷なことを邪気無く言うんだよなぁ…とか思いながらファビオに少し同情する。
「(……あれ?)」
でも、その後で見せた寂寞とした表情。
あれは一体なんだったのだろう。ただの喩え……そのはずなのに。
>>647 「ハハッ、エレナさんより素敵な人なんざ見付かりますかねぇ」
軽い口調で応じるファビオ。勿論内心は凹みまくりだ。
けれど、打ちのめされそうになる一歩手前で踏みとどまる。
男女の機微に鈍い彼であっても、その時のエレナに生じた仄かな翳りの色を見逃すことは無かったからだ。
だが何も言えない。
決して踏み込んではいけない領域だと、感じ取ったがゆえに、何も。
同時に思い知る。
自らの内に秘めた想いは未だ届かず、そして彼女が内に抱いた翳りの理由もまた、彼には詳らかにしてもらえないのだと。
>>648 「人間、ああなったらおしまいだよな。
幾ら惚れてるからって幻覚見ちゃあなぁ……」
無論彼も信じちゃいない。
氷の薔薇とまで称される才女が、傍らに誰かを連れ立って歩く姿など想像もつかなかった。
ましてや、その相手があのナンパで有名な青年だと誰が信じようか。
まことしやかに囁く者も、確かに見たんだと言う者も、いるにはいるのだが――
「ありえねえ」
その結論を覆すには至らない。
>648-649
「ありがとう。
けど本当、私より素敵な人はきっと宇宙には溢れていますよ。」
(最後はやや冗談めかして、それでも確かに嬉しそうに。
先程までの一瞬の翳りは最早無い、まるで陽炎の様に消えてしまった。)
「ははは、それにしても二人とも…
そんなに言ってはクレハさんがかわいそう、確かに易々とは想像出来ないけれど…
……彼の見る幻覚だったら、もっと凄まじい事になってるでしょうし。」
(そしてこれも冗談めかして。少々キツイ表現ではあったが。
因みにクリスは一行の傍らで必死に笑いを堪えていた。
彼女は、見たのだ。)
>649 ファビー
「まったくだし。」
珍しく意見が合う。
深く頷きながら脳裏に浮かんだハッピージャンキーの顔を払い除け、何とはなしに溜息をついた。
「でもそれはファビオも気をつけないと。」
肘で少年のわき腹を小突きながら、口元に手を合えてて小さく笑う。
…ものの、平静を保とうとしている彼の瞳の中に何かを感じた少女は、
「……。
張り合いが無いから、簡単に引かれても困るし……」
そっぽを向きながら、ばつが悪そうに。
そう、ぼそりと呟く。
>650 お姉ちゃん
陽炎のように消えた一瞬の表情も気にはなったが、
この時の少女はそれ以上何をするコトも出来ず……。
「あは…うん、ニムもそう思う。」
やっぱり我が姉はナチュラルボーンハートブレイカーだと思う。でもそこが好き。
それからふと流した視線の先でついにクスクスという堪え切れない分の笑いを零すクリスに気が付き、どうしたの?と尋ねる。
>>650 「宇宙の星を追うよりも、ひっそりと咲く花一輪を愛でたいッスよ、俺は」
ファビオは呟く。
こんな台詞を、こんな風にしか言えない不器用さ。
凡そイタリア人の気風からは掛け離れた、その有様。
>>651 「退かねえよ……サンキュ、良い奴だな、お前」
親指の腹で鼻の頭を弾くように擦り、少年はニッと笑って見せた。
>>650 と、そこでクリスが忍び笑いを漏らしているのに気付く。
大方自分たちと同じ理由でクレハを笑っているのだろうと思ったが……。
「……どうしたんスか?」
ちょっとだけ気になったので聞いてみた。
>651
(そうよねぇ…。等とごく自然に頷いているエレナ。
ニムも分かっている通り悪意など一ミクロンも存在していないのだからタチが悪い、
まぁ尤も彼女自身、言って良い事と悪い事の区別はこれでも付いているのだが。)
>652
「…そう、だとしたら貴方は優しい人。
星の輝きは過去の物だけどそう簡単には消えはしない、花の命は短いわ。
……何だかこう言うと、どちらも物悲しく思えてしまうけどね。」
「ありがとう。」
(さらりと、控えめに。
やや淡々とした語り口、最大限に自制された何かが其処にあった。)
>652
:クリス:
『い、いや……アハハ…エレナさんは凄いなぁ…って…。
私もその幻覚の話は見ましたけど…アハハ。
何だか今の聞いたら、クレハさんに幻覚でも見せられたんじゃ無いかって思っちゃって…
あぁ駄目、ツボに入った…!』
(そしてエレナとは全然様子の違うクリス。
ニムとファビオに対し、笑いを堪えきれない様子ながら説明を試みる。
早い話が"エレナの凄ェ一言"でユーモア精神を刺激された訳だが……
ツボに入ったとはいえ少々、笑い過ぎである。ましてやこの場で一番の年長者とあらば。)
>652 ファビー
そんな彼の笑顔にまた別方向にそっぽ向いて。
「別に。ただファビオがらしくないと思っただけだし。
ナンパしないクレハとかがなんか気持ち悪いのと一緒。」
気紛れな子猫のように、一瞬にしてしおらしさを消し去ってそう応える少女だった。
>653 クリス女史
「え…聞いたじゃなくて、…見たの?クリスも?」
愕然とする。
クレハが集団催眠とか幻覚の能力者なんてのは初耳だし、
ウソを言うにしても一番似つかわしくない人間がそう言っているのだ。
つまるところ…
「……えっと、
ニム……本当だったらクレハの頬にキスしないといけないんだけど…」
蒼褪める少女の顔。
どうやら当時、ウソだと確信したニムルートはとんでもない約束を軽い気持ちで受けてしまったらしい。
>>654 「プッ……」
その様子が余りに愉快で、ファビオは漏れ出そうな笑いをかみ殺すのに必死だった。
唐突に思う。
可愛いな、と。
慌てて首を振り、自身ですら誤解しかねないその感想を振り払うと改めて結論づけた。
即ち、
『案外可愛いところもあるんだな』
である。
>>653クリス
「……は?」
今、この人は何と言った?
見た。確かにそう言ったような。
いやいやまさか。
けど、ここまで証人がいるとなると――ファビオの思考は巡る。
「つまり……マジだったって事か?」
その結論は、想像を超えていた。
>654-655
『いやいや、信じたくなければ信じなくて良いと思いますよ?
何か私も今の話聞いてたら幻覚か何か見せられたんじゃないかって思えて来ましたし。
ただまぁ、仮に私の目と記憶を信じるなら――』
(と、そこで何とか笑いを堪えて真面目な顔に。
本来こういう話はしない方が良いんでしょうけどね、と前置きしてから)
『私なんかが言うのはアレだと思うんですけど。
程度はともかく割と事実に近い、って事かと………。』
>655 ファビー
「…なに?」
吹き出しそうになっているファビオを見て、
彼の内心など知る由も無い故に不満メーターが跳ね上がるニムだ。
しかし今はそれ以上に。
「はぁ……どうしよう……」
頭を抱えて思い悩むに足る大問題がニムルートの前に立ちはだかっていた。
>656 クリス女史
「で、でもまだデートだったとは限らないし!
たまたま道で一緒になったのを理由に尾け回して、既成事実を作ろうとしたのかも…!」
加速する理論がクレハ・ナラノハの人間性をどんどん瓦解させてゆく。
しかし少女にはそうするしかなかった。
何故ならば。
「やだ、ニムが……あんな奴にき、キ…sうう、、…なんて…」
絶望にも似た表情で姉、エレナの腕を掴む。
細い指は、その全身は、震え切っていた……。
659 :
幕間:2008/03/24(月) 02:24:39 ID:???
一方その頃、クレイドル外周。
今まさに搬出ゲートから出発しようと体勢を整える一機の大型トランスポーターがある。
サムソン・トレーラーを大型化して指揮塔を取り付けたようなその操舵室の中へ、
今まさに歩みを進めた赤い髪の男が居た。
『お待ちしていました、隊長。エメとは合流出来ましたか?』
「問題無い。
やはり演技という物は疲れるが…とんだ敵情視察になった、しかし収穫はあったぞ。
…クルト、こちらの状況はどうか?」
『こちらも問題ありません、クレイドルからは全員帰還していますし、
物資の確認も完了しています、今のところマークされている様子も無い。
そちらに収穫があったのなら御の字でしょう、外に居る奴らの状況も問題ありません。』
「…分かった。
ではクレイドルの出入管理局に連絡、許可が取れ次第出発しろ。
次の仕事場は遠いぞ、マリネリスだ。」
『了解。深い深い闇の底へ、という所ですかな。』
(そして数十分後。
養成所のあるクレイドルの正面ゲートから民間籍の大型輸送トレーラー
"イルルヤンカシュー"が発進する、特に怪しい点も無い極普通の個人所有輸送車両。
そしてその更に数日後。
火星養成所から遠く離れたマリネリス渓谷にある資源採掘基地を、
正体不明の武装勢力が襲撃するという事件が起こるが、それを知る者はそう多くは無い。)
「なるほど、の。
情報から見ても、どうやら奴らに間違い無さそうじゃな。」
そしてその数日後の事。
パイロット養成所はまず第一に教育機関である。
モビルスーツが労働力としての需要が高いという事実もあるし、
訓練生に施されている教育内容も一般の学校のそれと決して見劣りはしない。
実際、養成所を卒業した生徒の中には作業用モビルスーツの搭乗員として、
宇宙空間のスペースコロニーや火星地表のクレイドルの補修作業に従事する者も多い。
だが一方、火星の養成所が一種の傭兵派遣機構の様な役割を持つ事は否定出来ない。
訓練生が実習と称して実戦に出る事は決して珍しい事ではないし、
事実として"実習を兼ねたアルバイト"として、
輸送車両クロウラー等の護衛が斡旋されているのはそれを証明するには十分に過ぎる。
そういった事情から、養成所にはこうした情報が比較的寄せられ易い。
そして教官などの養成所職員にはこういった事件の情報は可能な限り伝えられる。
尤も其れは、訓練に使用するフィールドを決定したりする際の判断材料になるというのが、
表向き且つ最大の理由ではあるのだが……
そしてある意味では当然の事ながら、一部の噂好きな訓練生の間にもこうした話は噂として流される。
それらの大半は一般に報道されるような情報を好き勝手に脚色した物ばかりだが、
中には自然と事件の核心を付いていたり、或いはそれ自体が都市伝説のように一人歩きを始めてしまう物もある。
例えば今回の事件の首謀者はかつて滅んだ大国の亡霊だとか、
それは養成所にも縁の人物だとか。
素手でモビルスーツを破砕できる達人であるだとか、そういう噂である。
(―火星への移住が加速してから10年は経ち、初期のような大規模な混線こそ無くなっていた。
しかしそれでも、個人単位で混線してくる例は未だにある。―)
「くあ〜〜……たりぃ。」
(―この火星養成所傭兵教育科『臨時』教官こと俺様、アスもその一人だった。
火星への移住がブーム的になり始めた頃に混線し、賊として火星に渡った…まではいいのだが。
何をどう間違えたか教職について早4年。いい加減板についてきて怖え。
ああ、昔の気楽な生活はどーこ行っちまったかねえ……―)