米裁判所、『YouTube』ユーザーの全視聴データ提出を命じる
2008年7月 4日
ニューヨーク南地区連邦地方裁判所は2日(米国時間)、米Google社に対し、
『YouTube』のユーザーが視聴したすべての動画の情報を、ユーザーの名前やIPアドレスも含めて、米Viacom社に引き渡すよう命じた。
Viacom社は、同社が著作権を持つ動画が『YouTube』に投稿されるのをGoogle社が容認しているとして、Google社を提訴していた。
Viacom社は、著作権を侵害しているコンテンツのほうが、ユーザーが作成したコンテンツより人気が高いことを証明するデータを求めている。
こうしたデータは、Google社が寄与侵害[他者が著作権を侵害するのに寄与した場合に認められる間接的な侵害]で有罪とされた場合、
Google社により大きな法的責任を問うために利用される可能性がある。
Viacom社が、Google社を相手に訴訟を起こしたのは2007年3月。
Viacom社が著作権を持つコンテンツ動画をユーザーがアップロードするのを容認したとして、10億ドルを超える損害賠償を求めている。
一方Google社は、著作権のある動画の削除要求に従っている限り、
こうしたオンライン・サービスが違法ではないことは法律によって保障されていると反論している。
ユーザーの視聴記録を引き渡せばユーザーのプライバシーを侵害することになる、とGoogle社は主張していたが、
裁判官は判決文(PDFファイル)の中で、そのような主張を「根拠がない」ものと一蹴した。
裁判官はGoogle社に対し、ログは4テラバイトのハードディスク数台にコピー可能だと述べている。
裁判官はまた、Google社のデータ保持ポリシーに対する主張についても、
「コンピューターのIPアドレスはそれ自体で個人情報を表すものではない」とGoogle社自体が述べているとして却下し、
Viacom社が要求するログの一括提出には問題がないとしている。
電子フロンティア財団(EFF)は早速声明を発表し、今回の命令はいわゆるビデオ・プライバシー保護法に違反しており、
「非常に個人的な情報が公開される恐れ」があるとしている。
さらに今回の判決は、Google社に対し、理由のいかんにかかわらず、
Google社が削除したすべての動画のコピーをViacom社に引き渡すことも命じている。
Viacom社はこれ以外にも、YouTubeのソースコード、繰り返し著作権を侵害するアップロードを識別するためのコード、
プライベート設定されているすべての動画のコピー、およびGoogle社の広告データベース・スキーマについても
引き渡しを要求していたが、これらの要求は却下された。
ただし、プライベート設定されているすべての動画の視聴回数と視聴者数のデータについては、Google社に引き渡しを命じている。
WIRED VISION
http://wiredvision.jp/news/200807/2008070422.html