デモンベイン>>>>>>>種シリーズループ13週目

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1通常の名無しさんの3倍
このスレはデモンベインのエキスを種シリーズにブチ込んだ混沌の箱庭です。
このスレに参加する諸兄には、旧神に連なる者として恥ずかしくない言動を望む。

以下は注意事項

・荒し、煽り、騙り、は原則で禁止。
・上記を破った者はインスマスの海にて『深きものども』と一生戯れて貰う。
・爆破作業はシュリュズベリィ教授に許可を得てから。
・ドリルは西博士と無数の漢達の夢であり浪漫だからして、これを止める事は無理であり不可能かつインポッシブルなのであ〜る。
・九郎ちゃんの パイルバンカーの露骨な使用は禁止。エロスは程々に。ネタとしては全然OK。
・ニャルさまが見てる。
・議長は根暗なオタ・・・・・・オカルト趣味
・SAN値に注意しながらまったりやりましょう。
・■■■■■■■■■■■■■■■
・90日ルールはド・マリニーの時計でも無効化できません

大十字九朗とシン・アスカの事件簿
2通常の名無しさんの3倍:2009/01/11(日) 11:55:54 ID:???
前スレ
デモンベイン>>>>>>>種シリーズループ12週目
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/shar/1216587689/
デモンベイン>>>>>>>種シリーズループ11週目
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/shar/1208767253/
デモンベイン>>>>>>>種シリーズループ10週目
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/shar/1202564245/
デモンベイン>>>>>>>種シリーズループ9週目
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/shar/1195926370/
デモンベイン>>>>>>>種シリーズループ8週目
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/shar/1195305278/
デモンベイン>>>>>>>種シリーズループ7週目
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/shar/1189555998/
デモンベイン>>>>>>>種シリーズループ6週目
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/shar/1183219896/
デモンベイン>>>>>>>種シリーズループ5週目
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/shar/1173516725/
デモンベイン>>>>>>>種シリーズループ4週目
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/shar/1165308646/
デモンベイン>>>>>>>種シリーズループ3週目
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/shar/1160223218/
デモンベイン>>>>>>>種シリーズループ2週目
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/shar/1155649090/
デモンベイン>>>>>>>>>>種シリーズ
ttp://anime.2ch.net/test/read.cgi/shar/1146806109/

まとめサイト(ガンダムクロスオーバーSS倉庫)
http://arte.wikiwiki.jp/

旧まとめサイト(ガンダムクロスオーバーSS倉庫)
http://wiki.livedoor.jp/arte5/d/FrontPage
3通常の名無しさんの3倍:2009/01/11(日) 21:29:18 ID:???
いあ、いあ、>>1
4通常の名無しさんの3倍:2009/01/11(日) 22:43:02 ID:???
>1乙、あい、あい
5通常の名無しさんの3倍:2009/01/12(月) 11:13:37 ID:???
うちの妖蛆の秘密娘も首吊りながら>>1乙してるよ
6通常の名無しさんの3倍:2009/01/13(火) 10:45:09 ID:???
おお、ほんとちょうどいいタイミングで前スレ落ちたなw
>>1
7通常の名無しさんの3倍:2009/01/14(水) 15:46:15 ID:???
旧神が顕れる事を願い

―憎悪の空より来たりて―
8通常の名無しさんの3倍:2009/01/14(水) 16:19:43 ID:???
―正しき怒りを胸に
9通常の名無しさんの3倍:2009/01/14(水) 18:14:57 ID:???
我らは魔を撃つドリルを執る!


ぶぅわーはーはー!
ざまーみろ!大十字九郎!今まで破壊ロボを破壊して邪魔をしまくってやるであーる!
そしてそこから生まれる淡い恋。ああ、我輩はいや!そこがよわいのぉ!らめぇ!
我輩の肉体美に惚れた鬼畜探偵は我輩を襲うのであった。監督・大導師
10通常の名無しさんの3倍:2009/01/14(水) 20:19:18 ID:???
ついに新作スパロボでゾイドジェネシスとガンソード、ガイキングLODが参戦したもよう。
はやくデモベも入らんかねぇ。
11通常の名無しさんの3倍:2009/01/14(水) 20:22:16 ID:???
ゾイド参戦とか10年前なら天地がひっくり返るスクープだったわ
12通常の名無しさんの3倍:2009/01/14(水) 21:55:55 ID:???
ジェネシスじゃなぁ…無印マダー
13通常の名無しさんの3倍:2009/01/15(木) 00:41:47 ID:???
シリーズ化考えたらゼロと共通の世界観持つ無印から始めたほうが使いやすいと思うんだけどなぁ
14通常の名無しさんの3倍:2009/01/15(木) 01:06:41 ID:???
版権の都合上らしいよ、ジェネシスなのは
15通常の名無しさんの3倍:2009/01/15(木) 07:19:23 ID:???
デモンベインが出せないからDのオリキャラが出たと聞いた
16通常の名無しさんの3倍:2009/01/15(木) 11:41:11 ID:???
あー、ルイーナってブラックロッジだったのか
17通常の名無しさんの3倍:2009/01/15(木) 12:11:08 ID:???
バサラとトレーズ閣下は旧神と言うわけか
18通常の名無しさんの3倍:2009/01/15(木) 12:52:17 ID:???
ルイーナの目的は「殺戮により世界を人間の不の感情で満たしそれをエネルギーに創造主を解き放つ」

つまり、グラキエースは乙女なニャル様だったんだ!!
19通常の名無しさんの3倍:2009/01/15(木) 13:46:39 ID:???
Dのストーリーで言うならプロトデビルン辺りもアウトサイダーな方々って事になる?
20通常の名無しさんの3倍:2009/01/15(木) 17:32:47 ID:???
>>19
クトゥルフ的にプロトカルチャーを語ると
古きものがショゴスの反乱を制圧するためにショゴス以上の存在を作ったら精神エネルギー体の外なる神に取り憑かれて暴れ出し更に被害拡大
戦いの末に不思議な歌の力でそれを封じたが既にボロボロであっという間にショゴスに絶滅させられた
21通常の名無しさんの3倍:2009/01/15(木) 18:33:44 ID:???
>>15
まるでダンバインだな
もし仮にそうだとしたら、そろそろ参戦しそうじゃないか
22通常の名無しさんの3倍:2009/01/15(木) 19:41:28 ID:???
>>15
デモベ(2003年4月25日)とD(2003年8月8日)の発売日をよく見るべきだろう。
開発期間的にそれはねーよ。シナリオ発想的に被ったぐらいだろう。
23通常の名無しさんの3倍:2009/01/15(木) 19:47:22 ID:???
クトゥルフネタが被っただけだろ
24通常の名無しさんの3倍:2009/01/15(木) 20:01:53 ID:???
クトゥルフネタの二次創作なんざダーレスまで遡るしな
25通常の名無しさんの3倍:2009/01/15(木) 20:09:51 ID:???
HPL三神官を忘れるとはいい度胸だな
26通常の名無しさんの3倍:2009/01/15(木) 23:50:19 ID:???
三神官だと?
それもゴルゴムの仕業だな!?
27通常の名無しさんの3倍:2009/01/16(金) 01:10:39 ID:???
ガンダムでも小説版ガンダム戦記でクトゥルフネタはやっている。
28通常の名無しさんの3倍:2009/01/16(金) 03:07:05 ID:???
∀ガンダムも外伝っぽい漫画で名状し難きモノが登場してなかったっけ?
29通常の名無しさんの3倍:2009/01/16(金) 09:41:51 ID:???
チャンピオンで連載してる変身美少女エロギャグ漫画が、実はぐれーとおーるどわんの骨から削り出した鉱石で変身していたという超設定が明らかに
30通常の名無しさんの3倍:2009/01/16(金) 10:06:21 ID:???
kwsk
31通常の名無しさんの3倍:2009/01/16(金) 12:57:24 ID:???
マイティ・ハートという漫画のこと
骨だけになったグレートオールドワンから削り出した「神骸石」という鉱石で変身していたらしい
しかもこれタイムパラドックスのループ物
32通常の名無しさんの3倍:2009/01/16(金) 21:30:29 ID:???
つまりパクリと言いたいのか?
それとも伝えたかったのか?
33通常の名無しさんの3倍:2009/01/16(金) 21:32:44 ID:???
違うな! ニャルさまの人類イアイア計画は着実に進んでいるって事を伝えたかったんだよ!
34通常の名無しさんの3倍:2009/01/16(金) 23:10:22 ID:???
もしデモンベインが参戦するとしてどういうイベントがあると思う?

前スレの魔導娘にも出て欲しいなーとか思ったりするが……。
35通常の名無しさんの3倍:2009/01/16(金) 23:13:31 ID:???
魔導娘はまだあくまで設定上の事だからな。デモベ2(仮)を待たねば。
イベントについてはページモンスターは電童のデータウェポンみたいな扱いになるんだろうなぁ。。。
36通常の名無しさんの3倍:2009/01/16(金) 23:19:23 ID:???
据え置きなら召喚ボイスのイベントは必須だろ
あとアンチクロスのデモンベインフルボッコタイムもありそうだ
37通常の名無しさんの3倍:2009/01/17(土) 02:08:17 ID:???
魔導書娘の前スレでの盛り上がりがすごかったからつい、ね

あの長・早セリフをどう使うかが問題だ。西博士的な意味で。

とにかくデモンベインの敵は理不尽なまでに強い方がいい。
αシリーズは改造すれば、たいていの奴はなんてことないし。
Zは結構キツイとかって聞いたけどね。

陛下が最強ならそれでいいや。
38通常の名無しさんの3倍:2009/01/17(土) 02:38:01 ID:???
地を埋め尽くすドラム缶
全機体がMAP兵器を使いまくって勝手にボロボロに!
39通常の名無しさんの3倍:2009/01/17(土) 12:22:22 ID:???
>>38
早く倒さないと勝手に自滅して資金や経験値が入らないってわけか
それは厄介だな
40通常の名無しさんの3倍:2009/01/17(土) 12:26:17 ID:???
ワカメ再来wwww
41通常の名無しさんの3倍:2009/01/18(日) 11:46:03 ID:???
ニコニコかyoutubeで見た動画だと九郎ちゃんのスキル「貧乏」で獲得資金減額もしくはゼロなんてあったが
無敵の代償にそれくらいあっても面白いかも
後は邪神関連の敵と戦う場合、低レベルもしくはNTなどの精神感応系能力者は
一回戦闘ごとに気力ダウン、その場合ダウン値はNTレベルなどに比例
全滅プレイによる経験値や資金にボーナスが掛かるが、同時にボスキャラも比例してレベルアップ
強化パーツは魔道書、もしくはその紙片
覇道鋼造がサンジェルマン伯爵と交流を持ち、波乱財閥への投資も計画に織り込んでいたとか

原作再現ならこんなとこか、どれかは採用されるんじゃないかなぁ、なんて・・・

あとは小ネタでふと受信したが
イージスと相打ちになったキラがラクスによって玩具修理者に持ち込まれた結果
戦闘力を増した操り人形になった
でもラクスは異のままに操れるようにはしたけど
「無用の情けや他の女への未練を断ち切る」ようにお願いするのを忘れていたから
再度持ち込んで種死キラが完成した・・・

なーんて考えたりしたけれど、ベタ過ぎて既出じゃないかと思ったり・・・
42通常の名無しさんの3倍:2009/01/18(日) 15:57:30 ID:???
苦労ちゃんスキル貧乏はありそうだよなぁw
あーでもアニメ版だと車を載るブルジョアになってるんだよな

覇道と機関とり協力はありそうだなぁ
40年近く根回しで活動していた過程でサンドマンやスーパーロボットの学者との出会いがあっただろうし
43通常の名無しさんの3倍:2009/01/18(日) 22:27:40 ID:???
考えてみれば波乱財閥に限らず
研究所への資金提供とかはするな

弊害として各研究所の特産品が生まれないってことにもなりかねないが
光子力煎餅とかげったぁ饅頭とか
ついでに覇道もデモンベインとかにちなんだ名物品売りましょう
ネクロノミコンメモ帳とか電子手帳L/Aとか
44通常の名無しさんの3倍:2009/01/18(日) 22:59:56 ID:???
イブン・ガズイの粉薬辺りやアムリタ辺りでいいんでねーの?

……アムリタ飲んだらエロイ事になりそうだが。
45通常の名無しさんの3倍:2009/01/18(日) 23:26:12 ID:???
あれか。検閲削除済み英語版ネクロノミコンとかか。
それともマギウスマントとか。

いやいや、どっちにしても危ねえ。
イブン・カズイの材料に猛毒があるぞw
46通常の名無しさんの3倍:2009/01/19(月) 00:35:59 ID:???
ミスカトニック大ならエルダーサインが土産として売られてるな
47通常の名無しさんの3倍:2009/01/19(月) 00:52:56 ID:yOy9AVCG
ミスカトニック・ユニバーシティのマグカップとか、卒業記念用の指輪とかは、リアルに売ってるよ。
マグカップは、エルダーサインから一輪の薔薇の花が生えていると言う柄(反対側は大きくMU)で、真面目に欲しかった。
なんでもアメリカの大学の売店には、卒業生が記念に買っていく指輪とか、マグカップとか、大学ブランドの小物が結構売ってるんだと……。
48通常の名無しさんの3倍:2009/01/19(月) 09:16:36 ID:???
杖として使えるバルザイの偃月木刀とか鋏やペーパーナイフの発売予定はありませんか?
49通常の名無しさんの3倍:2009/01/19(月) 09:55:18 ID:???
スパロボに出た暁には、強化アイテムで「ロードアイランド病院から持ち出した脳みそ」を出してもらいたい。
効果は特殊ステータスのSAN値が減少。
50通常の名無しさんの3倍:2009/01/19(月) 21:49:26 ID:???
黄金の蜂蜜酒…は常人が飲んだら怪人になっちまったっけ?
51通常の名無しさんの3倍:2009/01/19(月) 21:50:54 ID:???
何故かカテ公を倒すと手に入る輝くトラペゾヘドロン
52通常の名無しさんの3倍:2009/01/19(月) 22:17:41 ID:???
>>50
感覚が凄いことになって軽く超音速の領域を知覚できちゃうよ
運がよければドーピング(但し効果が高すぎて廃人コース)
運が悪ければ異形コース
53通常の名無しさんの3倍:2009/01/19(月) 22:28:45 ID:???
>>50
ビヤーキータクシーに乗り放題になったりセラエノの図書館へ精神だけダイブ出来たら嬉しい
54通常の名無しさんの3倍:2009/01/19(月) 22:43:00 ID:???
今風に言うとトランザム状態になるって事だな
55通常の名無しさんの3倍:2009/01/19(月) 23:04:56 ID:???
霊的な感覚が鋭くなりすぎて見えちゃいけないものまで見えるようになるからな
まあ、教授クラスになると大丈夫なんだろうけど
56通常の名無しさんの3倍:2009/01/19(月) 23:26:54 ID:???
>>52
マジかよw 小ネタでシンとステラ飲んじまってたぞwww
57通常の名無しさんの3倍:2009/01/19(月) 23:29:21 ID:???
古橋の短編で教授がみんなに飲ませてたから、改良したんだろ
58通常の名無しさんの3倍:2009/01/19(月) 23:34:05 ID:???
アンブロシウスの霊的な姿って見ちゃまずそうだったけど
西は素直に関心していたなぁ。そこまで深い場所に立ち入ってないだけかもしれないが。
59通常の名無しさんの3倍:2009/01/20(火) 00:00:41 ID:???
>>54
ゴールドエクスペリエンスに殴られたブチャとかブリーチのマッドが最近やらかしたあれの方がまだ近いと思うぞ
60通常の名無しさんの3倍:2009/01/20(火) 02:09:41 ID:???
じゃあ俺はデモンベインコクピットにあるアルたんの黄金の放尿水を貰って逝きますね
61通常の名無しさんの3倍:2009/01/20(火) 02:17:15 ID:???
探偵が漏らしたいろいろなものと混ざっていてもよければ
62通常の名無しさんの3倍:2009/01/20(火) 02:20:45 ID:???
デモンベイン「なにイ?今度はウンコォ?お前、俺をバキュームカーとまちがえてんじゃねえのか!?」
63通常の名無しさんの3倍:2009/01/20(火) 09:20:09 ID:???
>>62
おまえデモンベインって名乗ってる肉色のガンダムだろ
64通常の名無しさんの3倍:2009/01/20(火) 15:41:56 ID:???
>>56
原典ではバイトに来た一般人の青年にこっそり飲ませて色々と覚醒されるくらいだから
まあけっこうお手軽に使えるんじゃね?
65通常の名無しさんの3倍:2009/01/20(火) 18:15:34 ID:???
お手軽ではあるが安易に飲ませるべきじゃないと思う
66通常の名無しさんの3倍:2009/01/20(火) 18:16:57 ID:???
想像力が致命的に欠如してる人間じゃないとヤバイはず
67通常の名無しさんの3倍:2009/01/21(水) 00:18:04 ID:???
となると、想像力が際立って飛躍的に高すぎるラクスとかが飲んだらどーなるんだろう
68通常の名無しさんの3倍:2009/01/21(水) 00:35:05 ID:???
>>67
西博士化だな
69通常の名無しさんの3倍:2009/01/21(水) 01:31:55 ID:???
「地ぃべたをはいずる虫けらのみなっすわぁ〜〜〜ん、わたくしがラクス!クラァイィィィィィンでぇぇぇす!!!」
70通常の名無しさんの3倍:2009/01/21(水) 12:55:26 ID:???
「黄金に輝く蜂蜜」だったら、ビヤーキーに変化してしまうらしい
でもって、邪神の眷属の餌に・・・
71通常の名無しさんの3倍:2009/01/21(水) 14:21:35 ID:???
>>70
麻倉式美肌術ですね、わかります
72通常の名無しさんの3倍:2009/01/21(水) 15:46:48 ID:???
>>70
アレはあくまで摂取しすぎたらビヤーキーになるだけで少量なら大丈夫だった気が。
73種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/01/21(水) 23:00:48 ID:???
「いやはや危なかった、危なかったな。腐ってもかつてはアンチクロスの一席に名を連ねた身。油断大敵だったか」
 海底に潜りながら岐路につくリジェネレイト・サイクラノーシュのコクピットで、撤退の憂き目をみた
ウェスパシアヌスが自省と考察を繰り返していた。
「しかし真に恐るべきはやはり、やはりキラ・ヤマトか。圧倒的多数の敵と相対しながらほぼ被弾することなく
 戦い抜き、しかもその攻撃は一切コクピットに当たっていない! 正にスーパーコーディネーター、
 体力技量ともになんと申し分ない能力よ! 人殺しを好まぬというのは少々心許ないが、それもまた
 貫き通せば強さといったところかな……それがいかな偽善であろうとも」
 興奮を押さえながら、ウェスパシアヌスは夢想する。スーパーコーディネーター、その完成体の理論を
手に入れられれば、彼の夢はまた一歩現実へと近づく。
 狂気の科学者、ユーレン・ヒビキの忘れ形見にして最高傑作。人としての能力を最大限に高めるとともに、
更に人を遥かに凌駕する可能性をその身に宿した、人を超えたヒト。
 それはウェスパシアヌスが求める芸術に、限りなく近いものだった。
「……む?」
 夢想するウェスパシアヌスの意識を、軽い電子音が引き戻す。
 一通のメールが、不正規に開かれた回線からR・サイクラノーシュへと送られてきていた。
差出人不明のメールに、ウェスパシアヌスはかすかな驚きと懐疑を抱く。
 R・サイクラノーシュにはウィルスや魔術汚染を防ぐ為、物理的、魔術的なプロテクトが
幾重にもかけられている。通信システムも同様でハッキングなどは論外、通信も正規のラインでなければ
ならない。
 そのプロテクトの網を潜り抜け、このメールは届いた事になる。怪訝に思いながらも、ウェスパシアヌスは
ウィルスなどが仕掛けられていないか一通りチェックを行なって後、メールを開く。
 危惧に反してウィルスの類は仕掛けられておらず、メールの内容も短い一文が綴られただけの簡素なもの。
 だが、その一文の内容こそウェスパシアヌスを驚かさせるものだった。
「……ふは、ふはははははは! そうかそうか! やはり、やはりか! そうだな、君がこちらに来ていない
 筈がなかったな!」
 笑い声を上げながら、ウェスパシアヌスはその進路を変更した


『親愛なるウェスパシアヌスへ アル・ダ・フラガの屋敷跡で待つ 逆十字の兄弟より』

74種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/01/21(水) 23:01:40 ID:???
「むむ……ふーむ……?」
「どうかしましたかぁ、ドクタァ〜?」
 オーガアストレイの前で唸り声を上げるウェストに、他のMSの整備をしていたユンが訊ねる。
 普段なら多くのメカニックが忙しなく動き回り、機械の音とそれより大きな人の声が飛び交っている
筈のハンガーは、今日はやけに静かだった。ウェストとユンのほかにメカニックは両手で数えられる程度。
騒音も普段の喧騒と比べれば犬の鳴き声ほども響かない。
 しかめっ面をしたウェストの左頬は、かすかにあかく腫れている。オーガアストレイのシステムエラーで
海に叩き落されたティトゥスの怒りを、右ストレートという形で叩きつけられたためである。殴られた直後は
大きく腫れ上がっていた筈だが、数時間でここまで再生が進んでいるのはさすが■■■■と言わざるを得ない。
 ちなみに海に落ちたオーガアストレイを引き上げたのはドリルが戻ってきて浮上途中だった
スーパーウェスト無敵ロボ$奴隷だったのだが、それが余計にティトゥスの怒りに油を注いだのではというのが
大方の予想である。
 閑話休題。
「……そういうことであるか。しかし何ゆえこのようなことに……」
「エラーの原因、分かったんですかぁ?」
 調整用のコンソールには、オーガアストレイの各種データが表示されている。ウェストは先日の戦闘記録と
機体データを検分し、なぜシステムエラーが起きてしまったのかを調べていた。
「うむ、どうやらエラー発生までの数分の間、魔力回路に供給されていた魔力量が増大していたようであるな。
 そのせいで負荷が限界を超え回路が断線、魔導書と機体の接続が切れてしまったのである」
「なるほど〜。でも、なんでそんなことになっちゃったんですかぁ?」
「機体中枢である魔導書の保有する魔力量がわずかに上昇しているのが確認できたのである。上昇した分の
 魔力がティトゥス本人から伝達される魔力に上乗せされてしまったのであろう」
 憮然とした顔のウェスト。その言葉にユンははてと首を傾げた
「う〜ん、わたしまだ魔術関係は弱いんでよくわかんないんですけど、魔導書ってあくまで魔術を使うための
 道具なんですよねぇ? 魔力とかって自分で持ってるものなんですか?」
「長い時を経て意思を持ち、人型形態を取るような魔導書も存在するのである。魔力を保有しているなんぞ
 珍しくもなんともない。ただ通常その保有量は術者に依存するはずなので、契約していない
 現状で数値が上昇している原因がまだ分からんのである。おそらく回路を使い流れていたティトゥスの
 微細な魔力が、少しずつ蓄積されたのではというのが私見であるが……ハッキリせんのである」
 ウェストが不満そうな顔でオーガアストレイを見上げた。割り切れない事柄というのは、彼にとって
好ましくないシロモノだ。
「ともかくその調査と平行しつつ、魔力回路にリミッターをかけるなり、回路の質を高めるなり何らかの
 対策を立てねばなるまい……いや待て、いっそここは思い切ったリニューアルを!
 形状を破壊ロボタイプのシンプル設計にし、回路数を増設、並列化すれば従来のもので問題あるまい!
 流石は我輩、図らずも地球資源に対する気遣いが出来ているのである! 自然と健康を科学する
 ドクター・ウェスト、ドクター・ウェストで御座います!」
 変な方向に話が進んでいるウェストに、ユンは引くでもなく感心したように拍手を送る。■■■■に
ツッコむことのないボケしか居ないこの現状は、危険であった(主にティトゥスにとって)。
「そーいえば、ドクターは興味ないんですかぁ? あのコのこと」
「フン! あのような小娘が本物だろうと偽者だろうと我輩には興味はないのである。お主こそ、
 整備などせず見物にいけば良いではないか」
「えへへ、実はわたしもあんまり興味なくて。こうやって機械を弄ってるほうが楽しいですし。
 それに……」
 ユンはソバカスの浮いた顔に、にぱぁ〜と緩んだ笑顔を作った。
「ホンモノでもニセモノでも、あのコがいいコなのは間違いないですよぉ。わたしにだって、
 それくらいは分かります」
75種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/01/21(水) 23:05:02 ID:???
 ウェストとユンがツッコミのいない会話を繰り広げていたのとほぼ同時刻。ミネルバの中央甲板に、
ミネルバクルーの過半数が集まっていた。この時間に合わせ艦内全ての部署に休憩時間が与えられ、
一部の人員を除いて現在ミネルバは半停止状態だ。
「……っ」
 人、人、人。甲板上に立ち並ぶ人の群。その圧倒的な数と熱気に、急ごしらえで作られた
小さなステージ台の後ろに立つミーアは息を呑んだ。
「……大丈夫か?」
 左に立つアスランが、心配そうにこちらを見ている。笑顔を作って頷いてみせるが、上手く出来たか
どうかは自信がない。
「君が違うという証拠はないんだ、わざわざ公表する必要はないんだぞ」
 アスランが小声で囁く。確かに彼の言うとおり、アークエンジェルの【ラクス】がなにを言おうと
自分がラクスでないという証拠はない。しかし──
「ううん、もう決めたことだし……この船の人達は、みんなわたしを疑問に思ってる。ならわたしは、
 その疑問に答えなきゃいけないと思うの」
 艦内の通信ラインでここでの会話は聞けるようにしている。それでもここに集まったクルーたちは、
つまるところ彼女の口から直接真実を聞くことを望んでいるということになる。
 そして直接伝えたかったのは、ミーアも同様だ。
「本当に、いいのね?」
 右に立つタリアが最後の確認を取る。厳しい顔つき、睨むような険しい目。それに怯えず頷き返すと、
表情だけはそのままに目つきが少しだけ険しさを弱めた。
 艦長には本当に感謝している。自分の正体を察しても口にせず、逆に励ましてさえくれた。
この人がいなければ、自分は取り返しの付かない醜態を晒していただろう。
「……行きます」
 足を踏み出し、ステージ台へと上がる。たった数歩分の移動。その数歩で後ろの二人との距離が一気に離れ、
人垣への距離が一気に狭まったように錯覚する。
 自分の眼前に居並ぶ数多くの人。自分を見つめる無数の目。
 【ラクス】になってから、ライブや握手会などでこの数倍の人数と対面したことは何度もある。しかし
初めてのライブでさえ、今ほどの緊張感も、恐怖感もなかった。
 ファンは皆【ラクス】を見ていた。【ラクス】を見て喜び、笑い、歓声を上げていた。
 今は違う。目の前に笑顔なんて一つもない。今自分に向けられているのは不審、懐疑。こいつは本当に
ラクス様なのかという、疑いの眼差し──ミーアにはそう思えた。
 声を出せない、口が開けない。吐き気がする。気分が悪い。気を抜いてしまえば、今にも倒れてしまいそう。
(ダメ──!)
 この程度で倒れてどうするというのだ。こんなザマでは彼に──ハイネに笑われてしまう。
 撃墜、墜落の衝撃とコクピット内の爆発によって、深い傷を負ったハイネ。詳しい容態は分からないが
予断を許さぬ状況らしく、顔を見ることすら出来なかった。
(ハイネ……)
 心の中で彼の名を呼ぶ。【ラクス】を演じていた自分を、ずっと支えてくれた人。ずっと【ラクス】ではなく、
自分を見てくれた人。
 彼に誓う──わたしはもう、自分を【ラクス・クラインの偽者】として誤魔化さない。そのために──
「ミネルバの皆さん。わたしは皆さんに謝らないといけません……」
 そのために私は、告白しなければならない。謝罪しなければならない──伝えなければならない。
 口を開き、声を出す。意識して動作させると、意外にあっさり声は出た。
 ラクスに似た声。けどこれはわたしの、【ミーア・キャンベル】の声。
「もう、皆さんも分かっていると思います……わたしは、ラクス・クラインじゃありません」
76種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/01/21(水) 23:06:44 ID:???
 生い茂った雑草を、革靴の底が踏み潰す。人里からは少々離れた深い緑に覆われた地へ、ウェスパシアヌスは
足を踏み入れていた。
「資料で風景だけは見たことがあるが、いやはや穏やかでのどかな場所じゃないか。しかし、しかし
 私のような後ろめたい魔術師には似合わんなあ」
 そう嘯いて、ウェスパシアヌスは辺りを見渡した。彼の立つ一角とその周辺は、少々周囲とは
趣を異にしていた。
 ここまでの道程にはまばらにあった木々が、ウェスパシアヌスを中心に十数メートルほどには一本も
生えていない。雑草も少なく、土色の地肌が露出している部分が目立つ。
 木々の代わりに存在するのは、黒く変色し崩れている木材や鉄骨の焼け残りだ。周囲に転がっているそれらは
相当に劣化、腐食が進んでいる。未だ形を残しているのは、原型を留めていた時の手入れが行き届いていた
ためだろうか。
「……む?」
 地に押し付けたステッキから感じたかすかな違和感に、焼け残りに近づこうとしたウェスパシアヌスは足を止めた。
知覚を鋭敏化する簡単な術式を行使し、探るように何度か地面をステッキで叩く。
 土の下に感じる硬い感触。どうやら地下に、埋まっている【何か】があるようだ。それもかなり大きい。
「地下室の存在に気づいたか。流石だな、兄弟」
 背後からかかった深みある声に、ウェスパシアヌスが振り向く。鋭敏化した知覚は維持したままだったのに、
そこに人がいると気づけなかった。
「ここにはかつて、フラガという一族が暮らす屋敷があった。十年近く前に火災で倒壊した際、当時の当主
 アル・ダ・フラガとその妻は焼死。その一人息子ムウ・ラ・フラガは後に地球軍に入隊。『エンデュミオンの鷹』
 の異名を持つエースとして活躍するも、軍上層部との軋轢により新造艦『アークエンジェル』とともに脱走。
 三隻同盟として連合とザフトの争いに介入するも、ヤキン・ドゥーエで戦死。それによりフラガの血は
 完全に途絶えた……と、これが表の記録だ」
 木々の間を抜け、歩いてくる男。漆黒の肌に黒衣を纏い、口元に上げた指には紫煙を燻らせた
葉巻が挟まれている。
 その姿にウェスパシアヌスは目を見開き、次の瞬間にはその顔に笑顔を作っている。
「やあ、やあやあやあ! 久しぶりじゃあないか、兄弟!」
 手を広げて近づくウェスパシアヌスに、アウグストゥスは葉巻を離した口に薄い笑みを浮かべた。
地に投げ捨てた葉巻を、靴の底が強く踏み潰す。
「ああ、本当に久しい……壮健でなによりだ、ウェスパシアヌス」
77種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/01/21(水) 23:12:25 ID:???
「──これがわたし、【ミーア・キャンベル】の、全てです」
 ラクスになるまでの自分、そしてラクスに顔を変え、自分がやってきたこと──全てを告白して、
ミーアは俯いた。今まで真っ直ぐ見据えていたクルーたちから、初めて目を背ける。
 パイロットやメカニック、ブリッジ要員に至るまで、ミーアの告白に唯々驚いて固まっている。
全てを語り終えた後、彼らがどんな顔を自分に向けるのか。ミーアはそれを見るのが怖かった。
 それでも、言わなければいけないことがある。
「わたしは、皆さんを騙していました……本当に、今まで嘘をついていて、ごめんなさい……!」
 俯きから更に深く、ミーアは頭を下げて謝罪の言葉を口にした。
 ラクスの行動によりミネルバは被害を受け、クルーに犠牲者が出てしまっている。ミーアはこれを、自分の
責任であると考えていた。偽者の自分がいなければ、ラクスはあんな行動をとってしまったのではないか、と。
 なら、自分は謝罪しなければならないとミーアは思った。皆を騙した上攻撃の理由を作り、クルーを死なせた。
その責を自分が問われるのは当然なのだから。
 アスランが言ったように、誤魔化すこともできた。自分はラクスであり、あのラクスこそ偽者であると。
だがラクスのように答えを誤魔化して逃げ出すということを、ミーアは許容できなかった。
たとえデュランダル議長に迷惑をかけるとしても、自分がどうなるにしても──自分の決意を、実行することすら
出来なくなるかもしれないとしても。
 集まったクルーたちが静まる中、黙して頭を下げたままミーアは動かない。遠目には分かり辛いが、その
全身はかすかに震えている。
 顔を上げ、皆の表情をみるのが怖い。最初に誰から、何を言われるのかが怖い──覚悟が決まっていても、
怖いものは怖いのだ。
 そしてしばしの沈黙の後、ついに声が投げ掛けられた。
「あんたに謝られたって、何も戻ってきやしねえんだよ」
 低いトーンの、厳しい声。ミーアが顔を上げると同時に、その場に集まった全員の視線が声の主へ集中する。
「ラクス様とフリーダムのお陰で、うちの連中が死んだ。若いのもいたし、ベテランもいたし、
 どうにも気にいらないヤツもいた……どいつもこいつも、もう死んじまったんだ。あんたが謝りゃ
 帰ってくるわけでもない。あんたの自己満足のために、わざわざ俺らを集めたのかよ?」
 憮然とした表情で、マッド・エイブスは言った。睨むような視線にミーアは後ろに下がりかけ、その衝動を
押さえ込んだ。今にも泣きそうな顔を、無理矢理押さえ込む。
「……でも、今のわたしにはそれしかできませんから」
「今の、ね……じゃああんたはそのうち、死んだ連中になにかしてくれるってわけか。金か?
 それともあいつらの為にレクイエムでも歌ってくれるってのか」
「はい。歌います……歌い続けます、わたしは」
 エイブスは勿論、全員がその言葉の意味が分からないとばかりに呆気に取られた。
78種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/01/21(水) 23:19:18 ID:???
「あの時、わたしがアークエンジェルのラクス・クラインに言ったこと。あれはわたしの本心です。
 嘘をつき続けてきたわたしですけど、あれだけは嘘じゃない……いえ、嘘にはしません」
 アークエンジェルのラクス・クライン。理想のためなら他人を斬り捨てることを是としながら、それを自身では
決して認めない。それを問い詰めてもはぐらかし、誤魔化し、言葉で答えをくれはしない。
 決める、そして遣り通す。それは決して悪いことではない……だが、それを言葉にせず、どうして
人が分かり合える?
 ──あんなラクス・クラインを、ミーア・キャンベルは認めない。わたしは、あんな人の代わりを
するためにラクス様になったんじゃない!
「だからわたしは、『本当のラクス・クライン』になります。わたしの中にある、平和の歌を皆のために歌う、
 ラクス・クラインに。もう、嘘で終わるつもりはありません」
 それこそがミーアの決意。ただ命じられ、流されるままにラクスでいるだけではない。
 理想では終わらせない。理想にたどり着く──わたしは、理想のラクスになる。なってみせる!
「わたしは皆さんを騙した、恨まれて当然の人間です。そんなわたしがラクスを続けるなんて、
 勝手だと思われても仕方ありません……それでも、わたしはラクス・クラインをやめません。皆さんに
 集まってもらったのは、わたしの行く道を皆さんには知っておいてもらいたかったから……もう、
 皆さんを騙したくなかったからです」
「……本当に勝手だな。単に、あんたがラクス・クラインとしてチヤホヤされたいだけじゃないのか?」
「そうお思いなら、いくらでも今わたしが喋った事を公表してください。録音して証拠を作られても、構わない。
 どんなスキャンダルにさらされても、わたしはラクスであることをやめませんから」
 ミーアはエイブスを真正面から見返した。目に浮かぶのは涙ではなく、進む事を決めた決意の光だ。
 その目をじっと見ていたエイブスが、ミーアへと歩き出した。厳つい男の身体が、人垣を引き裂いてゆっくりと
ミーアへと近づいていく。
「エイブス班長!」
 制止しようとしたタリアとアスランを、ミーアの広げた細い腕が遮った。背中が任せてほしいと意思を示し、
ステージ台の前へと降りる。
 そして無理矢理人垣を抜けたエイブスが、ミーアの目の前に立つ。肩幅も身長も圧倒的な違いを持つ偉丈夫を
前にしては、ミーアも流石に表情が引き攣るのを防げなかった。
「わ、わたしを恨まれるのは構いません。言いたいことがあったり、殴りたいんだったら好きにしてください。
 でも、わたしはさっきの言葉を取り消したりは、絶対に」
「フン」
 言葉を遮って、エイブスの腕が斜め前に突き出された。ミーアは思わず目を瞑る。
79種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/01/21(水) 23:30:39 ID:???
 だが、殴られる衝撃は一向に襲ってこない。恐る恐る目を開けると、そこには使い古した
メモ帳を突き出したエイブスの姿があった。
「適当なことをメモするだけの粗末なもんだが、字を書いてもらえそうなものがそれしかなくてな」
「は?」
「……サインしてくれって言ってんだよ」
 ポカンと、ミーアは頭二つほど上にあるエイブスの顔を見上げた。彼は顔を真っ赤にして、視線を
あちこちに泳がせていた。
「俺は正直音楽とかアイドルとかには興味がねえ。ラクス様に関してもそうだったし、歌の良し悪しも分からん
 ……けど、ここ最近艦内で耳にしてたあんたの歌は嫌いじゃない。あんたのその考え方もな……あんたの
 ファンになら、なるのも悪くない」
「わ、わたしのこと、憎んでるんじゃないんですか? さっき、謝られても仕方ないって……」
「いや、あんたのせいじゃないから謝られても仕方ないって言ったんだが。同僚が死んで昨日の今日だし、
 見当違いのことしてんなって少しイラついてはいたけどよ。あんたの話を聞いてそんな気持ちも
 吹っ飛んじまった」
 だからよ、と前置きしてエイブスは続けた。
「あんたの名前で、サインを書いてくれねえか? 偽物のラクス・クラインのサインじゃなくてあんたの、
 ミーア・キャンベルのサインをよ」
 照れくさそうに笑うエイブスを前に、ミーアは頭が真っ白になっていた。エイブスの言葉は聞こえているが、
頭の中にまで入ってこない。
「お、俺達もっ!」
 エイブスの背後から声が上がる。人垣から飛び出し、床にずっこける二つの影。
 メカニック陣の名物コンビ、ヨウランとヴィーノだ。
「俺達にもサイン、ミーア・キャンベルって書き直してくれ! いや、ください!
 手元にあるのラクス・クラインになってるんだ! 俺、あなたの歌のファンなんですっ!」
「オレもオレも! ラクス様じゃなかったのはちょっとショックだけど、それでもミーアちゃんの歌は最高だよ!」
 どこから取り出したか、白紙のサイン色紙を突き出す凸凹コンビ。ミーアは半ば無意識に、常備しているペンで
メモ帳の表紙と色紙に名前を書いた。
 単に名前を書いただけ。しかも震える手で書いた、少し歪んだ文字。それが初めて書いた、
ミーア・キャンベル名義のサイン。
 しかしそんなものにヨウランとヴィーノは飛び上がらんばかりに喜び、エイブスは相変わらず真っ赤なまま
素っ気無く礼を述べ──
「あまり気負うんじゃねえぞ。この船の連中はみんな、あんたのせいなんて思っちゃいねえよ」
 ──それだけいって、ヨウランとヴィーノの首根っこを掴んで人垣へと戻っていた。
 生まれたのは小さな熱。しかしそれは人へと伝わり、相乗効果でより熱くなっていく。
「……別にあの娘が悪いわけじゃないんだよな」
「そうだぜ、ミーアちゃんはラクス様の代わりを今まで頑張ってくれてたんだろ。それを責めちゃ可哀想すぎる」
「本物のラクス様は、俺達の仲間を……いや、まだあれが本物なのかは分かんないけど……」
「少なくとも、あんなのよりずっとミーアちゃんはいいラクス様だったわ! 私、あのコのこと応援する!」
「オレも!」
「俺もだ! ミーアさん俺にもサイン書いて!」
 何処からともなく生まれた歓声。最初は小さかったそれは、いまやクルー全体へと広がっている。
 自分を好意的に呼ぶ声に、ミーアの意識が現実へと戻ってくる。
80種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/01/21(水) 23:33:29 ID:???
「み、みんな……わたしのこと許してくれるの? わたしは、みんなを騙して……」
「いいっていいって! そりゃビックリしたけど、ミーアちゃんの事情だって分かるしさ!」
「あの時ラクス様にミーア嬢が言い放った言葉、ありゃ俺達ミネルバクルー全員の代弁だったぜ。ありがとよ!」
「あんなのにプラントに戻られるより、ミーアがラクス様になってくれたほうがいいさ、絶対!」
「そうよ! 頑張ってミーアさん! ミネルバクルーはみんな貴女の味方よ!」
「立派なラクス様になれよ! けどミネルバにいる時はミーアでいいんだぜ! 今更秘密が一つ二つ
 増えても変わらないしさ!」
「ミーアちゃんオレだー! 結婚してくれーっ!」
『ミーアッ! ミーアッ! ミーアッ!』
 割れんばかりのミーアコール。それを耳にしたミーアの目から、我慢し続けていた涙がポロポロと流れ出した。
 みんなが、許してくれる。受け入れてくれる。嘘をついてばかりで、ラクス様を演じなければ何も出来なかった、
こんなわたしを──
「やったじゃねえかミーア! 一気に大量ファン獲得だ! クソッ、少し羨ましいぞコノヤロウ!」
 大歓声の中でも良く通る、聞きなれた高音の声。その声に、信じられないという表情で振り返るミーア。
それは他の人間も同様で、歓声が止み大きなどよめきが上がった。
「は、ハイネ!?」
「いよう、待たせたな」
 人垣が割れ、全身に包帯を巻いて車輪付きの簡易ベッドに乗せられたハイネが現れた。
感情を高ぶらせたまま、ミーアがそちらへと歩み寄る。
「ハイネ! 大丈夫なの!?」
「ああ、ピンピンして……ってちょっと待てよ抱きつくのはノーサンキューな! 今はヤベェ!」
「お約束シチュのフラグを先に潰すとは、根性なしロボね」
「まあまあ。仮にも絶対安静ですから〜」
 エルザとセトナが、ハイネのベッドを押して部屋へと入る。何故か二人の衣服はナース服になっており、
クルーから男女問わぬ黄色い声が上がった。
「先ほど目を覚まされて、ミーアさんの言葉を艦内通信で聞かれてたんです。そしたらいきなり連れてけって
 仰られて。先生に無理を言って、こちらにベッドごと運んできたんです」
 セトナの説明も耳に入らぬままベッドに縋るミーアに、包帯まみれの手を差し出してハイネは笑った。
「まったく、俺や議長に相談も無しでどえらいことやりやがって……けど、悪くない。
 俺も応援させてもらうよ、お前を」
「ハイネ……うっ、うう──っっ!」
 その言葉に、ミーアは感極まってしまう。言い表せない感情に涙が溢れ、勝手に声が口から漏れる。
 その様子に苦笑しながらミーアの頭に、ハイネのもう一方の手が乗せられた。
「泣くんじゃねえよ。お前にはもう泣いてる暇だってねえんだ……歌ってやれよ。受け入れてくれた
 この艦のやつらに。そして死んじまったやつらのために……お前の歌を」
「えっ……」
 ハイネの言葉に、再び歓声とミーアコールが湧き上がる。ハイネが優しく笑い、ミーアから手を放す。
まるで後押しするように。
「……っ!」
 涙を拭い、ミーアがハイネに背を向けて再びステージ台へと歩き出す。
 バックミュージックも派手な演出もなく、ステージは小さな台しかない。舞台としては最悪、しかし目の前には
自分を認めてくれるみんながいる。それだけで、構わない。
「この艦のみんなへの感謝を込めて、そしてもういなくなってしまった人達への思いと、魂の安らぎを願って……
 わたし、歌わせてもらってもいいですか!?」
 返答はこれまでで最大級、艦内全てに響き渡らんかぎりの大歓声。その大歓声を一心に受けながら、
ミーアは自分の歌を歌うために口を開いた。
「みんな、本当にありがとう……それじゃあ、聴いてください! わたしの、ミーア・キャンベルの、
 ファーストライブ!」
81種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/01/21(水) 23:44:02 ID:???
 ミーアのライブは盛り上がりの絶頂を迎えていた。
 いつの間にかエルザの持ち込んだ旧式のラジカセから音楽がかかり、セトナなどは飛び入りでミーアと
一緒に歌っている始末である。だが、それが更なる熱狂を呼んでいた。
「やれやれ。雨降って地固まるってやつかねこれは」
「そうだな……」
 ミーアを少し離れた位置で眺めながら、ベッドの上でハイネは息を吐く。それに付き添っていた
アスランもまた、安堵しながら相槌を打った。
 しかし、その内心は複雑だ。今の状況が様々な偶然が絡まった結果であることを、アスランは理解していた。
 ミーアが受け入れられたのはここがミネルバであり、襲ってきたのがラクスだったからだ。
 ミネルバはクルーの信頼関係が強い傾向がある。それは同じ艦に所属しているからだけでなく、
ミネルバが多くの機密を抱えているという点があるからだ。単に戦友というだけでなく、同じ秘密を共有する
仲間であるということ──それはクルーの間に強い絆を作り出すには十分な要素だった。
 その仲間が殺されたとあって、黙っていられるミネルバクルーではない。しかもそれがプラントで半ば神聖視
されているラクスによってもたらされた悲劇だと知った時、彼等の受けたであろうショックは
とてつもないものだったろう。アスラン自身、同じ思いを抱いているから良く分かる。
 何故、どうして──裏切られたという悲嘆は、そのまま彼女への反発へと変わる。行動を否定しつつも
未だラクスを信じていたり、あのラクスもまた偽者でははないかという意見もちらほらある。だが概ね、
ミネルバクルーがラクスへ向ける感情は【憤怒】で統一されていた。
 ミネルバ以外の艦では、こうはならなかっただろう。ラクスを語った不埒者と非難され、言葉では
言い表せぬほどの責め苦を受けさせられた可能性すらある。
 結果としてそうはならずミーアは好意的に受け入れられ、ミーア自身も成長と【ラクスになる】という強い決意を
持つことに繋がった。連合やオーブの方面から多少話が漏れるのは仕方ないが、これまでならまだしも
今のミーアなら多少の困難に挫けはしないだろう。
 結局のところ、全てが丸く収まりすぎている。あまりに都合がいい展開に、アスランはなにか作為的な
意図を感じてしまう。
(デュランダル議長……まさか、この結果を予想していたのか?)
 アスランの脳裏に浮かぶのは、最初にこの話を自分に持ち込んだ喰えない男の笑みだ。彼の意向が
大なり小なり、この件に関わっているのは間違いない。
 ミネルバのクルーにラクスへの敵意を持たせるため? それともミーアにラクスの正体を知らせ、彼女に
ラクスとしての自覚を芽生えさせるためか?
 だがそうなると、議長はラクスが現れることを知っていた──?
(いや待て、議長を疑うのは早計過ぎる)
 アスランは頭を振った。どうも最近物事を勘繰ってしまうのがクセになってしまっている気がする。
確かに油断は出来ないが、現状議長を疑うような証拠も確信もないのだし──
82種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/01/21(水) 23:46:27 ID:???
「くっ……」
 アスランを思考の海から引き戻したのは、小さな苦悶の声だった。ハイネの身体が一瞬硬直したかと
思うと、身体を細かく痙攣させながらベッドに突っ伏す。
「クソッタレが……」
「ハイネ!?」
 慌てて慌ててより縋るアスランを、油汗を顔に浮かべたハイネは右手を上げて制した。
「声出すなよ、ライブに水差したくねえからな……しかし、やっぱ医者の先生の言うとおり
 無茶するもんじゃねえな。ベッド運んで貰っただけでこのザマじゃよ」
「……容態はどうなんだ?」
「破片が突き刺さった腹もメチャクチャ痛えんだが、そっちはまだいい。問題なのは海に叩きつけられた時、
 衝撃で頚椎に損傷を受けちまったことでな。まったく動かねえわけじゃないが、足の感覚がおかしいんだ。
 あと、かなりキツイ鞭打ち症ってとこかな……パイロットとしては、絶望的だな」
「そんな!」
 青ざめるアスランを、ハイネはまあ落ち着けと宥める。
「頚椎損傷っつっても、俺のはまだ大分軽いほうらしい。一昔前ならまだしも、今なら治療法もあるそうだ。
 ザフト脅威の技術力に感謝だな……ま、プラント本国の医療施設じゃねえと無理らしいから、
 しばらくは戻って療養生活だ」
「そ、そうなのか……良かった、というのは不謹慎かな?」
「いいさ。たしかに助かったのはラッキーだしよ……けどな」
 その言葉に心なしか安堵するアスランだったが、忌々しげに顔を歪めたハイネに顔を凍らせた。
「フリーダムの野郎、絶対許さねえ。直るからってはいそれまで、で終わらせるつもりはねえぜ、俺はよ。
 確かに死ななかったのはラッキーだが、ようは下手すりゃ死んでたってことだぜ? そのくせ殺さずを
 気取って、しかも仕方ないとか抜かしてたんだろ? ラクス様はよ! ……冗談じゃねえぜ!」
 吐き捨てるハイネ。アスランはその言葉に自分も責められるような気持ちと、友人たちへの憤りを抱く。
(キラ、ラクス……これだけのことをやって、君達は……)
 デュランダルへの疑心を一度心の片隅にのける。考えるべきことは、そんなことじゃない。
「復帰したら、絶対にあのヤロウに思い知らせて……」
「悪いが、それはさせられない」
 ハイネがその顔を見て言葉を失う様を、アスランは認識していなかった。熱唱しているミーアの視線が
アスランに向けられれば、その瞬間彼女の歌声は止まっていたかもしれない。
 凄絶な決意を表す、修羅の顔。射殺すような視線の向けられる先は、記憶の中の戦友達。
 言葉は、アスラン自身があっけないと思うほどに容易く口を出た。
「フリーダム……キラ・ヤマトとは、俺がこの手で決着をつける。オーブのアレックス・ディノとして……
 そして、奴の親友であるアスラン・ザラとして」
83種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/01/21(水) 23:53:09 ID:???
「なんと、なんとまあ……」
 手袋を取った皺の浮かぶ手が、ノートのページをめくり続ける。隠し切れぬ興奮を瞳に宿し、
ウェスパシアヌスは一心にノートの内容を記憶へと刻んでいく。
 薄暗い書斎を宙に浮かぶ光球の淡い輝きが照らし、立ち並ぶ無数の本棚が影を作る。フラガ家跡に
残された秘密の地下室にウェスパシアヌスを導いたアウグストゥスが口を開く。
「私はここで目覚め、図らずも隠された真実の一端を知った……アル・ダ・フラガが書き記したその日記、
 その内容に偽りがないのは、君になら良く分かるだろう、兄弟?」
「ああそうとも、間違いないだろうて……しかしなんと、なんたる、なんたる傲慢よ。アル・ダ・フラガ、
 かの人物の表立った所業は聞き及んでいたが、まさかここまで愚かなる男だったとは。
 しかし故に、おかげで、彼の存在なくしてスーパーコーディネーターは生まれなかったとは、皮肉なものだ」
 ウェスパシアヌスは答える。目はノートに向けられたままだが、目と耳二つの機関から入力される情報を
同時処理する程度、容易い事だ。
「まったくだ。そしてそのおかげで、我々は以前の世界で成し得なかった悲願を果たすことが出来る……
 私の計画に協力してくれるか、ウェスパシアヌス?」
「なにを言う兄弟、何を水臭い事を! マーベラス、君の計画は私の考えたベターなやり方より
 実にマーベラスだ! 不肖このウェスパシアヌス、喜んで君に協力しようじゃあないか!」
 ノートを閉じ、好々爺じみた笑みを浮かべたウェスパシアヌスがアウグストゥスの手を取った。
硬く手を結ぶ、二人の魔術師。
「となるとやるべきはまず、まず先立って魔力炉の製作か。原型の方は【ファクトリー】で作られているのだな」
「ああ、詳細なデータはあとで送る。一つはかなり大きい物を作ってもらわねばならないが」
「まあ蓄積されたノウハウがある分時間はそうかからんだろう。大きい分出力は取れるだろうし。
 さておき、あとはサイクラノーシュの仕様を少し変えねばならんか……それと魔導書。まあそちらは
 当てがあるので問題あるまいて」
「ギルバート・デュランダルか」
「ははは、さすがに調べがついているか。しかし……あの書を使うとは中々、中々皮肉な話だ」
「しかしかの書こそ彼には相応しい。それにあれに書かれた記述は我々の目的を助けるだろう」
 親しげに今後のことを二人は語らう──その笑顔の仮面の下で、ウェスパシアヌスはアウグストゥスの
腹の内を探ろうと目を光らせていた。
 アウグストゥスが語った【計画】。それに対しての賛同は偽りないものだ。自分の描いた計画も堅実だったと
自負しているが、こちらはより大きく、派手で、面白い。最終的に完成させる芸術[アート]の完成度も
高まることだろう。
 しかし、それとアウグストゥスへの信用は別物だ。元々アンチクロスに仲間意識などないに等しい。
 それに、自分はかつて『アウグストゥスを殺している』。まさかそんな相手と心底仲良くしようとは
向こうも思ってはいまい。
 だがそれはこちらとて同じこと。お互いに利用し、利用されることを承知で手を結ぶ──下手に
上辺を塗り固めた関係より、こちらのほうが気楽とさえ取れる。
84種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/01/21(水) 23:56:44 ID:???
「とりあえず、先立って『アレ】はそちらに預けておこう」
 ウェスパシアヌスの考えを知ってか知らずか、アウグストゥスが右手をかざす。部屋を照らしていた
光球がすっと動き、書斎の奥へと向かっていく。その光を追う二人。
 数十歩歩いたところで二人は足を止める。書斎の最奥の、少し奥に窪んだ壁には一面に幾何学的な紋様が
刻まれ、その中央に装飾を施された箱のようなものが存在していた。魔術を知る者なら封印結界、それも
強力なものが何十にも張り巡らされていること事が分かる。
「受け取ってくれ。アル・ダ・フラガの所有していた中で最も位階が高く、そのフラガすら力を恐れ
 封印していた、この魔導書を」
 アウグストゥスが淡い光を纏った左腕を箱へかざし、何事か呪文らしきものを唱えた。たったそれだけの行動で、
箱に施された封印の全てが一瞬で解呪される。
 箱が開き、その中から一冊の書物がひとりでに宙へと浮かび上がった。今度はウェスパシアヌスが
手をかざす。すると本は吸い寄せられるようにウェスパシアヌスの手に収まる。
 古ぼけた一冊の本。表紙は正体不明の皮で装丁され、わずかに滑り気を帯びていた。懐かしい手触りを
感じながらウェスパシアヌスが呪文を紡ぐと、ぎらついた緑の光が本を包み込む。光は徐々に大きくなり、
やがて人間のシルエットを作り出す。
「あ……ら、ら……る・らー……」
 明確な【少女】の姿をなしたそれは、異常にか細い声で第一声を発した。



 マーチン・ダコスタはヘルメットの下で唇を噛みながら、ザクのスラスターを全開にしてその場を
離れようとしていた。
 仲間達が稼いでくれた時間で、自分は逃げられたようなものだ。かつて【砂漠の虎】の副官を
務めてた腕は健在だと思っていたが、生半可な自信は粉々に打ち壊されてしまった。
 後方には、既に小さくなった一基のコロニー──かつて自分達も身を寄せていた、既に放棄された廃墟。
「くそっ!」
 簡単な任務だった。デュランダル議長がかつてメンデルの研究に参加していたという情報を元に、
彼の考えについて何らかの手がかりが掴めるではないかという曖昧な理由での探索任務。しかしいざ来てみれば、
正体不明の集団による攻撃を受けこちらはほぼ壊滅状態だ。
「なぜメンデルに、あんな連中が……」
 連合製MSウィンダム、そして赤い法衣を纏い下卑た笑みを浮かべる異形のMS。奴等によって仲間は
甚振られるように殺されていった。
 連中は何者だ? 何故メンデルにいる? 一体あそこで、何をしようとしているのか。
 答えは分からない。しかしこの事実を、ラクス様へ伝えなければ──その一心で、ダコスタは迎えの船との
合流ポイントへと急いだ。



to be continued──
85種死逆十字書き ◆oN23gQHrEc :2009/01/21(水) 23:59:19 ID:???
新年あけましておめでとうございますこんばんわ。
相変わらずペースの安定しなさ加減だけはMAXでごめんなさいorz

ミーア覚醒編完結の巻。ちゃっかりハイネも重症だけど結構無事。
実はミーア覚醒最大の功労者はハイネとラクスだったり。、ハイネが落とされてなかったら、更に
それにラクスが関わってなければミーアは多分あそこまでブチキレなかったので、ある意味全てハイネのおかげ(笑)
そのご褒美でハイネを生き延びさせた──わけではなく、後々ちょっとやってほしいことがあったので続投。
ガンダムだったら非難ゴーゴーとかデモベなら良しとか、そういうこと全然考えてなかったんでちと反省(−−;)

ちなみに今回登場したムウの生家跡、国とかムウの出身とか分からなかったんで結構適当に書いてます。
アニメ見る限り周りに自然の多い屋敷に住んでたみたいだけど……フラガ家どんだけ金持ちだったんだろう。

次回はエクステ施設調査とガイア強襲。カガリも久しぶりにちょっと出ますよ。
86通常の名無しさんの3倍:2009/01/22(木) 00:01:48 ID:???
GJ!

ミーアの成長、C計画スタート、ダコスタ腐れゾンビにフルボッコか
87通常の名無しさんの3倍:2009/01/22(木) 00:03:14 ID:???
乙!

そしてルルイエ異本登場ですかーーーっ!?
88通常の名無しさんの3倍:2009/01/22(木) 00:27:34 ID:???
こりずにC計画を始めるかw
凸もかっこいいなぁ
セイバーでフリーダムを貫けるか?そしてシンの行き先は?
ハイネも生存して満足。治療をして後半に参戦ですね
ルルイエ異本はギル側に?果たして議長は敵か味方になるか
ミーアも覚醒し、ミネルバクルーの仲がよくなったようで
そういえばラクスの声ってプラント産コーディネイターを言う事聞かせる洗脳効果があるんですよね
力ある支配者のラクスの声を取るか、平和の歌を歌うミーアを取るか、見物ですな
89通常の名無しさんの3倍:2009/01/22(木) 02:54:51 ID:???
GJです。
ミーアの正統な歌姫としての第一歩。
やっぱ、歌ってこそ歌姫でしょう。

原作も他の二次創作も、この設定を効果的に使ってるのを見た事がないので、
これからのミーアに期待大です。
ラクス(電波のほう)の洗脳声って、ポエム演説でもOKだから歌わないのかね。
マクロスの歌姫は、ちゃんと歌ってるのにねぇ。
90通常の名無しさんの3倍:2009/01/22(木) 03:16:27 ID:???
マクロスは歌もテーマだけど、ラクスの歌はファッション(笑)だからな、明らかに……。
91通常の名無しさんの3倍:2009/01/22(木) 07:35:47 ID:???
単純にムウが大西洋連邦の軍人って事からフラガ家は大西洋連邦領内だと思ってた
92通常の名無しさんの3倍:2009/01/22(木) 08:29:33 ID:???
お前ら最近のガンダム00のヒロイン歌ってるぞ
あっちは三十路姫で貧乏(泣)だけどな
93通常の名無しさんの3倍:2009/01/22(木) 09:15:27 ID:???
しかも、姫にならなければ、そのまま音楽の道へ進んでたぐらい結構勉強してたらしいよ。

どういう事かと言うと、子供達(戦争孤児)に自分達の願いを聞き、それを歌詞にして歌に出来るぐらい。

歌詞を聞いてると、一部ネタになるような詞も出てくるんだけど、歌詞が悪いからと言って修正したりせず、なるべく原案を尊重して、
結果的に誰が聞いても神曲って評価する曲にはならなくても、
素朴で純粋で、何より生きた歌詞が伝わる暖かい曲を作った。

後、単純にすぐ作った訳じゃなく、様々な積み重ねを重ねてるから、上辺だけじゃない言葉と行動の重さがある。

新たなガンダムヒロインの力は、小さな力で精一杯なんだけど大きな効果があるのです。

だからあえて言わせてもらおう!
歌を奏でるデモンベインがいたと!
94通常の名無しさんの3倍:2009/01/22(木) 10:13:51 ID:???
ラーゼフォンですねわかります
ムゥパパは自分のクローン作成やそれがスパコディのベースになってるほどだから
相当な金持ちなんだろうなぁ
回想だと豪邸に住んでたみたいだし
95通常の名無しさんの3倍:2009/01/22(木) 14:28:02 ID:???
今回全く出てこなかったシンだが、まあ奴はラクスそのものに毛ほどの関心も持ってないから仕方ないか
何か皆がワイワイとミーアライブで盛り上がってても、一人だけ黙々とティトゥス相手に特訓してそう
96通常の名無しさんの3倍:2009/01/22(木) 18:30:15 ID:???
ひたすらにGJ!
旧神の来迎にひたすら歓喜するばかりであります!!
ルルイエ異本登場というか、在り処にちょっと驚く
この分だと案の定スパコディ作成に魔術要素が加えられていたとかかな?
屍食経典儀の擬人化も着々進行中のようでワクワクが止まらない!
ミーアの自立とハイネの生存が嬉しいが
アスランが覚悟を決めたようで何処か危うげ、議長もどうなるか不安要素も見えてきました

これから果たしてナニがどう転ぶか、予測不能展開に期待して待ち続けます
お疲れ様でした!!
97通常の名無しさんの3倍:2009/01/23(金) 17:37:57 ID:???
いあいあ、種死逆十字〜(挨拶)。前スレで魔導書娘のネタをあげた私が通りますよ。

素晴らしい。実に素晴らしい。アンチではなく、根拠のあるラクス批判作品を久しく読んでいなかったのでこれはもうこの世の春かとばかりに喜んでおります。
ミーアがかっこいいなー。ハイネも。……ハッ! まさか次回からシンに代わってミーアが主人k(ぎゃー!

ルルイエ異本がフラガにあったってことはまさかムウさん、ディープワンズ? でもいいっか。私としてはデストロイのとこで死んでもらえればきれいにまとまったと思ってるから。ほら、ステラも救えるじゃん(死ぬという救いも含めて)。

あー、この議長は敵になってほしくないな〜。
議長の魔導書ってなんだろ? まさかマグスやレメゲトンクラスじゃないだろうし。可能性としてはネクロノミコンあたりか?
■■■■■■■■・■■■■■召び出すんじゃねえだろうな……。

最後にミーアに求婚した彼。
あとでMSドッグに来るように。
98通常の名無しさんの3倍:2009/01/24(土) 21:57:38 ID:???
>>魔導書の保有する魔力量がわずかに上昇している
結構前から言われてたが、コレはついに屍食教典儀の擬人化フラグですね。
わかります。
しかし、したらしたでティトスが豪い慌てそうだw
99通常の名無しさんの3倍:2009/01/25(日) 19:52:40 ID:???
ウェストと飲み屋で娘とどう付き合うのかを相談するフラグですね、わかります
100通常の名無しさんの3倍:2009/01/25(日) 20:32:58 ID:???
教典儀娘はハヅキくらいはまともそうだから、意外と大丈夫かもしれん
101通常の名無しさんの3倍:2009/01/25(日) 20:38:35 ID:???
果たして僕らのティトゥスさんはロリコン疑惑に耐えられるでしょうか!!
102通常の名無しさんの3倍:2009/01/25(日) 22:28:44 ID:???
外道だった頃から真面目で一本気な人だからなぁ…
九郎とは別のベクトルで魔導書とは良い関係を築けそうではあるけど、
相当悩むだろうね、今まで一方的に利用してた物から慕われるわけだし。
その思いに素直に答えた瞬間彼はロリコン侍の称号を得るわけだ。
103通常の名無しさんの3倍:2009/01/25(日) 23:24:07 ID:???
いや待て、パパ侍かもしれん

「屍喰教典儀!」
「ちゃーん!」
104通常の名無しさんの3倍:2009/01/25(日) 23:39:48 ID:???
このティトゥスさんなら邪神の思惑すら超えて第二の宇宙の中心でロリを叫ぶ変態になってくれるはずだ
105通常の名無しさんの3倍:2009/01/25(日) 23:54:39 ID:???
いや、もしかしたら師と弟子になるやもしれんぞ。

着流しをかっこよく着崩したティトゥスの隣で帯刀した屍食教典儀娘が

「御師様(マスター)!」

とか萌えんか?

106通常の名無しさんの3倍:2009/01/25(日) 23:56:23 ID:???
最初九朗ちゃんがアルを邪険にしてたときに「ご主人様〜」とか言って
悪い意味での既成事実を作ろうとしてたが、そんな状況になりそうに思えてならない
107通常の名無しさんの3倍:2009/01/26(月) 00:02:23 ID:???
取り敢えずティトゥスがどう転ぼうが、周りからペドだのロリだのと
囃し立てられると断言出来るね。
108通常の名無しさんの3倍:2009/01/26(月) 01:01:56 ID:???
いやティトゥスは真面目だから魔導書に合わせて自分も幼女化するだろ
吸血鬼ですら幼女化するんだからそのくらい出来て当然だろ
109通常の名無しさんの3倍:2009/01/26(月) 01:18:56 ID:???
するわけねえだろ馬鹿
そんなのが面白いとでも思ってんのか
空気嫁
110通常の名無しさんの3倍:2009/01/26(月) 01:19:52 ID:???
>>109が一番空気読めてない件
111通常の名無しさんの3倍:2009/01/26(月) 01:21:57 ID:???
>吸血鬼ですら幼女化するんだからそのくらい出来て当然だろ

東方ネタ?
112通常の名無しさんの3倍:2009/01/26(月) 01:25:56 ID:???
面白くねーかな?
幼女で侍で魔導士だぞ?想像してみろよ
ヘルシングのアーカード、中の人繋がり
113通常の名無しさんの3倍:2009/01/26(月) 01:27:46 ID:???
ネタとしちゃ面白いわな。

>>107
ミネルバの皆から変な目で見られるティトゥスが
はっきりと思い浮かぶ件。
114通常の名無しさんの3倍:2009/01/26(月) 01:27:59 ID:???
アーカードだろう常考
115通常の名無しさんの3倍:2009/01/26(月) 01:43:45 ID:???
でも精霊化するための魔力ってどっから持ってくるんだろうな、人外だった頃のティトゥスですら精霊化してなかったのに
まぁする必要性がなかったからしなかったのかもしれんけど
116通常の名無しさんの3倍:2009/01/26(月) 01:55:31 ID:???
>>111
死ねといわれたくないならヘルシングでググレ
117通常の名無しさんの3倍:2009/01/26(月) 04:01:37 ID:???
単純に隠し子扱いされてミネルバクルーから認知汁!とかじゃね?
118通常の名無しさんの3倍:2009/01/26(月) 05:32:33 ID:???
そして始まる母親探し
119通常の名無しさんの3倍:2009/01/26(月) 05:38:16 ID:???
または母の座争奪戦
120通常の名無しさんの3倍:2009/01/26(月) 06:47:05 ID:???
その中でなぜか参加してる西博士
121通常の名無しさんの3倍:2009/01/26(月) 15:45:19 ID:???
そしてボコられる西博士。誰にとは言わないが
122通常の名無しさんの3倍:2009/01/26(月) 16:18:31 ID:???
最終的に魔導書の化身だと判ってハァハァしだすギル
123通常の名無しさんの3倍:2009/01/26(月) 16:47:51 ID:???
そしてミネルバ艦長に殴られるギル
124通常の名無しさんの3倍:2009/01/26(月) 18:58:54 ID:???
このスレの議長がアルとかエセルとかハヅキとかと会ったらいろいろと不味い事をやりそうだな
125通常の名無しさんの3倍:2009/01/26(月) 23:23:48 ID:???
やるんじゃなくてやってもらうんじゃないのか
126通常の名無しさんの3倍:2009/01/26(月) 23:32:21 ID:???
殺してでも奪い取るってか?
127通常の名無しさんの3倍:2009/01/26(月) 23:52:01 ID:???
アレだろ、魔導書の内容を見たいとかいって屍食教典儀娘のスカートを掴み……
どうでもいいが名前ってどうするんだろう、ずっと屍食教典儀娘って名称もアレだし。
128通常の名無しさんの3倍:2009/01/26(月) 23:58:12 ID:???
そこはあの旧神次第だろうさ。
センスのいいネーミングをきっとしてくれる。
129通常の名無しさんの3倍:2009/01/27(火) 00:52:18 ID:???
作中ではティトさんが付けるんだろうなぁ。
人前なければ普通に「屍喰教典儀」って呼びそうなティトさんだ、さぞ困ってくれそうだ。
130通常の名無しさんの3倍:2009/01/27(火) 01:15:20 ID:???
マスラオでいいじゃん
131通常の名無しさんの3倍:2009/01/27(火) 03:10:37 ID:???
どこの変態のアレだ
132通常の名無しさんの3倍:2009/01/27(火) 03:27:48 ID:???
え?彼の正体はグラ・・・

あぁ、窓に窓に。
133通常の名無しさんの3倍:2009/01/27(火) 10:26:25 ID:???
著者はダレット伯爵だから貴族っぽい性格ってNIθは言ってたな

原典のCultes des Coulesから名前をとるとか・・・?
134通常の名無しさんの3倍:2009/01/27(火) 12:42:53 ID:???
>>133
頭文字をとってC2とかですね
(とってもギアスぽいものを見ながら)
135通常の名無しさんの3倍:2009/01/27(火) 12:48:42 ID:???
実はユウナがCE版屍喰教典儀(原典)を所持していると言う超展開
136通常の名無しさんの3倍:2009/01/27(火) 12:55:44 ID:???
ミス・ブシドーでいいじゃん
137通常の名無しさんの3倍:2009/01/27(火) 14:00:29 ID:???
メリフィリアはどうだ?(屍喰姫的に)
138通常の名無しさんの3倍:2009/01/27(火) 14:11:12 ID:???
>>134
色反転状態で乳首見せるわ、騎乗位なモーションするわやりたい放題ですね
139通常の名無しさんの3倍:2009/01/27(火) 14:40:17 ID:???
嘘設定画を見る限りだと、あの衣装ほんのちょっと透けてるぞ?
股下のライン見えてたし。穿いてないわけじゃないと思うけど

画像の上げ方がわかんないからどうにもあげられん・・・
140通常の名無しさんの3倍:2009/01/27(火) 18:44:53 ID:???
>>130
デカマラでいいじゃんに見えた
141通常の名無しさんの3倍:2009/01/27(火) 19:01:59 ID:???
つまり名前は九朗or大導師にしろと
142通常の名無しさんの3倍:2009/01/27(火) 19:09:50 ID:???
シン「名前が無い? それならマユって名前に(ry」
143通常の名無しさんの3倍:2009/01/27(火) 19:16:09 ID:???
>>139
でもあの中では一番普通な服装をしていると言わざるを得ない。
144通常の名無しさんの3倍:2009/01/27(火) 19:36:30 ID:???
>>139
つガンダムクロスオーバーSS倉庫うpロダ
ttp://www.uploader.jp/home/arte/
もしくは
つ斧
ttp://www1.axfc.net/uploader/He/#filepost
の「参照」を押すとマイドキュメントが開くから、うpしたい画像ファイルを選択すると「参照」の前の欄に文字列が記入される。
斧の場合はファイルの説明の入力が必須です。クロス支援のはファイル名だけでいいはずです。
パスとかを設定したければ説明があるのでそれを参照してください。



145通常の名無しさんの3倍:2009/01/27(火) 20:03:57 ID:???
>>139
139だ。うpろだに貼ってきた。
パスワードは「hujisawa」だ。特に意味はない。
これで前スレの話やこれからのイメージの助けになれば幸いだ。
146通常の名無しさんの3倍:2009/01/27(火) 23:26:45 ID:???
たしかに透けてるなw
しかしティトゥスさんと並ぶと…隠し子にしか見えんな
147通常の名無しさんの3倍:2009/01/27(火) 23:46:07 ID:???
毎回みてて思うけど、全長50Mのフランケンシュタインの傀儡相手に大暴れって
まるで種死逆十字のためにあるよーな設定ですよね、対MS的に考えて
148通常の名無しさんの3倍:2009/01/28(水) 00:30:02 ID:???
「アイヤーお兄さん、今だけこの魔術書を特別に一冊10万$で売るアル ( `ハ´)」
議長「買った!!」
↑このような流れで議長宅には偽物の魔術書が溢れていると思われる。
149通常の名無しさんの3倍:2009/01/28(水) 00:35:44 ID:???
>>148
あの国なら本物の人皮を使って海賊版を量産とかやりかねないから止めろ
150通常の名無しさんの3倍:2009/01/28(水) 00:36:06 ID:???
でも中にはモノホンが……というのは良くある事。
まぁモノホンをそのまま放置しておくと碌な事になりそうにないがな。
151通常の名無しさんの3倍:2009/01/28(水) 01:18:43 ID:???
>>149
かの国では標本が量産体制です
人皮ぐらい幾等でも手に入ります
152通常の名無しさんの3倍:2009/01/28(水) 01:28:17 ID:???
日本だと白い液体が付いた本がいくらでも手に入ります、後模型も
153通常の名無しさんの3倍:2009/01/28(水) 04:55:59 ID:???
議長の書庫にニセモノが溢れているとすると。
人の皮でできているノーマノミコンとかもありそうだな。
表紙にそばかすがうかんでいるやつ。
154通常の名無しさんの3倍:2009/01/28(水) 07:53:56 ID:???
不気味なのには変わりないからこのスレの艦長が別れた流用もオカルト趣味が原因の一つだと言うのも分かる気がする。

どこかの贋作の壷を大切にする大佐より救いが無い
155通常の名無しさんの3倍:2009/01/28(水) 08:01:08 ID:???
>>154
マ・クベのことかー!!

言っとくがマ・クベは魔王を封じた壷を所持しているんだぜ?(チベと共に藻屑になったが…)
しかし、二人ともなんでも鑑定団に出て来る自信満々の骨董収集家(会社社長)に似た空気を持っているのには同意せざるをえない
(゚д゚≡゚д゚)ミギヨシヒダリヨシ


゚д゚)<アルミ缶の上にあるみかん


≡3
157通常の名無しさんの3倍:2009/01/29(木) 22:51:27 ID:???
   ノノノノ  -___
  (゚∈゚ )  ─_____ ______ ̄
  丿\ノ⌒\  ____ ___
 彡/\ /ヽミ __ ___
    ./∨\ノ\  =_
   .//.\/ヽミ ≡=-
  ミ丿 -__ ̄___________
158通常の名無しさんの3倍:2009/01/30(金) 12:24:30 ID:???
>>156のせいかこっちは雪が降ってる
159通常の名無しさんの3倍:2009/01/30(金) 17:16:25 ID:???
エターナルジョークブリザード 寒いギャグを聞いた全裸待機の紳士は風邪をひく
160通常の名無しさんの3倍:2009/01/30(金) 21:08:24 ID:???
┳┻|
┻┳|
┳┻|,,_
┻┳|Д`)ナニコノナガレ ……
┳┻|⊂ノ
┻┳|J
161通常の名無しさんの3倍:2009/01/30(金) 23:35:52 ID:???
     /  / |_|iイ「「´ /ハ   }|  }| |   | |   | \
          | // ! | || l |∧ /   '孑于テァx,/|   | |   |
          |i| l l ヽi|斗f_テ¨ }     ̄ ̄` ノ  | | l| 、
.        j ∧ | |  { ´   ノ       /   | | | ト、 } |
           ヽ| .  \   、        /  '    l | '|}ハ |
           ∧ ヽ   ヽ          /// /// / ハ  | |
           ノ| \ \トN  ‐ ニ¨´ / /'´ イ /'   ∧{   | |
.             | / l\{\          /| ′/ /| `  j/
            j.イ /| l ヽ|\         /  / / ∧{
               | l| | ├ ‐\___,. ´   / / ∧ ',
.             | || | ├…‐- 、 \  , -/ / / | i
.              | || | |     ヽ ∨ ′ ' { | |
.    __ .. . -┴┴| |  |、      i| | i | i|  | |
 ̄ ̄            | |  ト、` ‐- ..._|_| | l | iト、| |
                | |  | \      `| l | i|  \|


これが無限の螺旋。永遠の絶望
変わりなき世界に余は飽きたぞ
博士、パン買って来い
162通常の名無しさんの3倍:2009/01/30(金) 23:48:07 ID:L2ls692N
イベント行ったかラジオ聞いてないと分からんネタ出してどうするよ
163通常の名無しさんの3倍:2009/01/30(金) 23:55:24 ID:???
蟲パンですね分かります
164通常の名無しさんの3倍:2009/01/31(土) 00:04:13 ID:???
>>163
蟲のおかげで栄養強化食になります
165通常の名無しさんの3倍:2009/01/31(土) 02:25:05 ID:???
カブトムシうめぇ…
166通常の名無しさんの3倍:2009/01/31(土) 02:25:52 ID:???
>>161
なつかしいネタだな
167通常の名無しさんの3倍:2009/02/01(日) 21:34:30 ID:???
お前らのせいで今食べてた豆パンの豆がティベリウス的なモノに見えてきてしまったじゃないか。
168通常の名無しさんの3倍:2009/02/01(日) 21:58:49 ID:???
イナゴ食ってる奴はおらんか
169通常の名無しさんの3倍:2009/02/02(月) 21:41:26 ID:???
クワガタうめぇー
170通常の名無しさんの3倍:2009/02/02(月) 22:19:30 ID:???
こんなところにムシパンの材料が…
171通常の名無しさんの3倍:2009/02/02(月) 22:26:19 ID:???
外車はデモンベイン、被害者は余
余はデモンベイン!?
172通常の名無しさんの3倍:2009/02/03(火) 01:15:39 ID:???
俺がガンダムだ。
173通常の名無しさんの3倍:2009/02/03(火) 21:39:24 ID:???
最近思ったんだがなんでデモベ以外のデウスマキナは旧支配者の力を持った武装無いんだ?
劇中見るに高位の魔導具(魔銃・無限心母)を器にして再構成したらできるっぽいが。
別に九朗みたいに戦闘中じゃなくてクトゥルーみたいに儀式等の準備すれば安全でいいし。
アンチクロスでクラス不足だとすれば教授なら鎌にハスターぶち込むとかやれると思う。
まあ何が言いたいかってハスターの神獣形態見たかったな〜ってw
174通常の名無しさんの3倍:2009/02/03(火) 22:52:04 ID:???
>ハスターの神獣形態
軟体なんだよな?
教授が使って違和感ないような、ヒーローっぽくかっこいい技は想像できない;
ああ、でも記述だから、デモベ式に巨乳のねぇちゃん→神獣形態に変換すればイケるか?
175通常の名無しさんの3倍:2009/02/03(火) 22:59:52 ID:???
黄衣の王の姿で顕現すればあるいは
176通常の名無しさんの3倍:2009/02/03(火) 23:20:06 ID:???
軟体でも機械的なフォルムでかっこよくできるぞ
デモベ世界ならできるさ
177通常の名無しさんの3倍:2009/02/04(水) 10:11:01 ID:???
>>173
ハスターの爪とハスターの翼と戯曲・黄衣の王は無視か
クラーケンの九頭竜投げは技だから除外するにしても、スター・ヴァンパイヤや無形の落とし子みたいなクリーチャーもいるじゃないか
サイクラノーシュの外見はフジウルクォイグムンズハー似だし、ファラオの仮面がモチーフのレガシーも実に意味深だ。

>>174
外見が単なる炎の神を記したページが炎の獣になって、
外見が漫画的手抜きな黒い巨人を記したページが氷の竜になるんだぜ。
なんぞ軟体ごとき。悪魔将軍みたいになるよ
178通常の名無しさんの3倍:2009/02/04(水) 20:04:47 ID:???
その辺はアルは原本、逆十字は鬼戒神出せても写本だから記述が〜でいいんでね?
179通常の名無しさんの3倍:2009/02/04(水) 20:31:20 ID:???
糞餓鬼のは一応原本だぞ……まぁあれの場合原本もある意味写本なんだけど。
あと脳筋とお侍さんのは原本か写本か語られてなかったよな。あ、地球皇帝や腐乱死体のもか。

……そう考えるとやっぱり持つものが持たないと駄目なんだなと思わざるを得ない。
180通常の名無しさんの3倍:2009/02/04(水) 20:45:34 ID:???
>>179
あそこまでの不死性を誇るんだから腐乱死体のは原本か、欠損の少ない写本かだと思うんだが……
欠損の多い写本であそこまで出来たんだったらティベリウスどんだけ位階高いんだよと。
181通常の名無しさんの3倍:2009/02/04(水) 20:47:21 ID:???
オカマですから
182通常の名無しさんの3倍:2009/02/04(水) 21:00:39 ID:???
ティベリウスも旧神だったとかあるかもしれないだろ
183通常の名無しさんの3倍:2009/02/04(水) 21:10:28 ID:???
原本とか原本に近い写本でも有名所の旧支配者についての記述があるとは限らないな

っていうか逆十字の持ってる魔導書ってネクロノミコンとかナコト写本と比べると若い本ばっかだな
184通常の名無しさんの3倍:2009/02/04(水) 22:31:48 ID:???
セラエノ断章は一番若いがハスターの記述確実にもってるな。
あとは水神クタアトがクトゥルー(本来はツァトゥグァ?)、エイボンの書と無銘祭祀書がアウターゴッド系
妖蛆の秘密が蛇神? お侍と地球皇帝はわからん、つか無い?
でもこいつらが旧支配者の直接召喚やらかしたことねぇな。
185通常の名無しさんの3倍:2009/02/04(水) 23:17:41 ID:???
>>180
腐乱死体は欠損や虫食いが沢山あるもんだよ
186通常の名無しさんの3倍:2009/02/05(木) 00:44:44 ID:???
屍喰経典儀は、メインが喰屍鬼だからドリームランド系だな。
喰屍鬼以外への変化があるのも、夢の中で変化しちまう事例があるからだろ。
神性で言えば、ニャルとかヨグ、ノーデンスもそうだから、外なる神系と、それから地球の神々だな。
ドリームランドでは、ニャルちゃんが保護した地球の神々が生きてるから。
特にヒュプノスは水が合うらしくて、旧支配者バリに大暴れしてる。
187通常の名無しさんの3倍:2009/02/05(木) 16:12:15 ID:???
地球皇帝のは元が魔導書でもなんでもない代物だからなぁ……
あの世界では何を記載してるんだか。どうも共感呪法が得意らしいがよく分からんな。
188通常の名無しさんの3倍:2009/02/05(木) 17:08:16 ID:???
wikiより金枝篇の中身……未開社会=辺境の奉仕種族と仮定すると何でもありそーだw

未開社会の神話・呪術・信仰に関する集成的研究書である。金枝とはヤドリギのことで、
この書を書いた発端が、イタリアのネミにおける宿り木信仰、「祭司殺し」の謎に発していることから採られた。

本書にはヨーロッパのみならずアジア、アフリカ、アメリカなど世界各地で見られる様々な魔術・呪術、
タブー、慣習など、フレイザーが史料や古典記録、あるいは口伝から収集した夥しい例が示されている。
未開社会における精霊信仰、宗教的権威を持つ王が弱体化すればそれを殺し
新たな王を戴く「王殺し」の風習や類感呪術、感染呪術などの信仰の神話的背景を探った
民俗学・神話学・宗教学の基本書として高く評価される。
189通常の名無しさんの3倍:2009/02/05(木) 17:15:49 ID:???
クトゥルフ世界だと金枝篇の著者のフレイザーさん謎の失踪遂げてそうだなw
190通常の名無しさんの3倍:2009/02/05(木) 18:11:06 ID:???
逆に教授並にパワイルな方にパワーアップしてたり?
次はあの民族の研究に行くぞ! 的に
191通常の名無しさんの3倍:2009/02/06(金) 11:05:32 ID:???
>>187
デモベつながりで古橋もブラックロッドで共感効果(フレイザーエフェクト)なんてだしてたな
192通常の名無しさんの3倍:2009/02/06(金) 12:35:57 ID:???
……ああ、何でルピがフレイザーエフェクトなのかと思ったら
フレイザーさんの名前だったのか気がつかなんだ
193通常の名無しさんの3倍:2009/02/06(金) 13:37:14 ID:???
金枝篇は現実に存在する本だし、
本当にアレな影響を受けた未開部族はコミュニケーション不能な状態がデフォだから、
神話関係の記述は少ない、或いは、全く無いけれど、呪文に関する記述は多い、
単体で活用するのは難しいテクストなんじゃないかな?

アウグストゥスのアレは私家版で、不足する神話知識を他書から引いて補っている、とか。
因みに、ゲームのクトゥルフだと、オカルト+5%、呪文なし。

久しぶりにデータ見直して気付いた事。
1)無名祭祀書とネクロノミコンはやはり群を抜いている。
2)クタアト・アクアディンゲンは、ジャンル限定だがそれに匹敵する。
3)現存する版のナコト写本は内容が酷すぎる(テリオンのは大いなる種族だかが書いたオリジナル……石版?)

それから、屍喰経典儀は屍喰鬼以外はドリームランドと関わり無いっぽい。
神性だとシュブ・ニグラドに関する記述が多いようだ。
194通常の名無しさんの3倍:2009/02/07(土) 18:17:58 ID:???
今は処分してしまづたが昔は昔、セラムンの同人と間違えて買ったダークキングダムの幹部みたいな美形揃いの旧支配者らしき存在が女子高生に力を与えてヴァリアブル・ジオ風の代理戦争をさせるエロ同人があった。


因みにハスターらしき空の王はどこのサガフロから出て来た妖魔の君かと問いたい存在だった。
195通常の名無しさんの3倍:2009/02/07(土) 19:24:15 ID:???
>>193
逆に考えるんだ
ただの民俗学の本である金枝篇もクトゥルフ世界では魔導書になってしまうと考えるんだ
森の王とかシュブニグラ臭いし

大導師のは夢の国の旧神の神殿に収められてる巻物じゃないかね
妖蛆の秘密は記述内容は本編でオカマが使った以上に呪文のデパートだし
原本ならニャル様やヨグ相手ならアル=アジフよりエイボンの書の方が良い気が
196通常の名無しさんの3倍:2009/02/07(土) 20:50:01 ID:???
たとえそうでも一般素人には知名度的にネクロノミコンくらいじゃね?
主人公に持たせてユーザーついてこれるのはさ、
ニトロのブランド買いするのもいるし
197通常の名無しさんの3倍:2009/02/07(土) 21:22:22 ID:???
知名度低くても名前負けはしてない本もあると思うけどなぁ、
ほら『屍食教典儀』とか『無銘祭祀書』とか如何にも厨二受けしそうなネーミングだし。

まぁ、どの名前の本でも悪役っぽい印象が拭えんがな。
198通常の名無しさんの3倍:2009/02/07(土) 23:07:09 ID:???
まあ、『金枝篇』が魔道書扱いなのは、CofC以来の伝統だぬ
きちんとSAN値の減少まで設定されていたしw
199通常の名無しさんの3倍:2009/02/07(土) 23:28:18 ID:???
>>197
 クタアト・アクアディンゲン(水神クタァト)は、
地味に正義の味方な主人公達御用達の凄い魔道書なんだぜ!

 なにせ、術で召喚したものならば、どんな神性でもジュッと溶かしちまう究極魔術とかが記載されているぐらいだしな(をい)


>>198
オカルト+5%、呪文なし。
呪文も神話知識も加算なしだから、ゲーム的には魔道書ではないんだぜ?
因みに正気度減少は0/1d2、だな。
マレウス・マレフィカルムとかに正気度減少が無いのに金枝篇にはあるのがどうにも理解できん。
つ−か、俺も昔文庫版読んだけどさ、あれって、正気度が減る様な本か?
200通常の名無しさんの3倍:2009/02/08(日) 05:06:38 ID:???
>>199
それに加えて人の皮膚で装丁されてるしね、凄いよ水神クタアト。

作中で地球皇帝は金枝篇で光魔法みたいなのつかってなかった?
他にもアポートなり使ってたし、実際の本とえらく関係ない能力持ってね?
201通常の名無しさんの3倍:2009/02/08(日) 06:28:36 ID:???
マレウス・マレフィカルムと聞いてスティングの中の人がラスボスやってるゲーム思い出した。
202通常の名無しさんの3倍:2009/02/08(日) 09:00:36 ID:???
きっと地球皇帝の魔道書はブースター程度でほとんどの魔術が地球皇帝自身で使ってるんだよ!
203通常の名無しさんの3倍:2009/02/08(日) 22:50:10 ID:???
金枝編ならイザークも持ってそうな予感
204通常の名無しさんの3倍:2009/02/09(月) 00:42:35 ID:???
地球皇帝「ぶぅるあぁぁぁぁぁぁ!!」
イザーク「ぶぅるあぁぁぁぁぁぁ!!!」


地球皇帝の能力はアレだよ。
スパイロボットで色んな魔術師の能力を盗み取って
培養中の地球皇帝に組み込んだんだよ。
205通常の名無しさんの3倍:2009/02/09(月) 12:24:25 ID:???
>>203
そう言えば過去スレでイザークがキラに渡した精霊化する魔術書は何だったたんだ?
206通常の名無しさんの3倍:2009/02/09(月) 12:28:19 ID:???
赤い翼ならルルイエ異本だったキガス
207通常の名無しさんの3倍:2009/02/09(月) 20:29:03 ID:???
フレイに奪われたけどな
208通常の名無しさんの3倍:2009/02/10(火) 01:21:25 ID:???
人の皮で出来たカバーの本とか受け取る神経がワカラン
209通常の名無しさんの3倍:2009/02/10(火) 11:57:48 ID:???
さすがに汗はかかんが、世界的には人の皮で表装をするとか意外と少なくなかったらしいぞ。
「人の皮 本」でググるといくらか情報が出てくる。
210通常の名無しさんの3倍:2009/02/10(火) 23:58:35 ID:???
エド・ゲインとか別に目面しくなかったのか……
人類の文化オソロシス
211通常の名無しさんの3倍:2009/02/11(水) 04:47:30 ID:???
>>208
そもそも古本に欲情する神経がワカラン
212通常の名無しさんの3倍:2009/02/12(木) 05:49:31 ID:???
>>211はン・カイの闇に沈みました
213通常の名無しさんの3倍:2009/02/12(木) 12:49:19 ID:???
>>211
世の中には、風景や建物や武器に欲情するやつも
ふつーにいるぞw
ちなみに俺は日本銀行券に欲情する。

214通常の名無しさんの3倍:2009/02/12(木) 14:45:47 ID:???
>>213
見つけたぞ、刹那・・・日本の歪みを
215通常の名無しさんの3倍:2009/02/12(木) 21:05:28 ID:???
>>213
樋口一葉タンに欲情してるのと違うのかw
216通常の名無しさんの3倍:2009/02/13(金) 00:46:21 ID:???
あの樋口一葉に欲情できるのは相当なマニアとしか…
217通常の名無しさんの3倍:2009/02/13(金) 00:50:12 ID:???
樋口一葉の生涯と性格を知ればそんな事は言えなくなるんだな、これが
218通常の名無しさんの3倍:2009/02/13(金) 08:20:03 ID:???
誰もいない?
今の内に、アスリンちゃんを貰って行く!
219通常の名無しさんの3倍:2009/02/13(金) 09:15:57 ID:???
>>218
無垢なる刃入りまーす!
220218:2009/02/13(金) 09:28:54 ID:???
ちょっ、ヤメテ、そんなに多くなの(破壊ロバのドリル)入れ……

アーーーー!!
221通常の名無しさんの3倍:2009/02/13(金) 10:07:37 ID:???
お前のせいで某トロンベにドリルが生えてユニコーン化したのが浮かんだ
222通常の名無しさんの3倍:2009/02/13(金) 10:18:42 ID:???
昔VOW!って雑誌にジャイアントロバ参戦って書かれた広告が載ってたな…
それはともかく30分誰もいなかったらダンセイニ
223通常の名無しさんの3倍:2009/02/13(金) 10:21:42 ID:???
そもそもアリスンな件
224通常の名無しさんの3倍:2009/02/14(土) 20:22:28 ID:???
抱きしめたいなぁアリスン!
225通常の名無しさんの3倍:2009/02/14(土) 20:25:31 ID:???
オッドアイですから
226通常の名無しさんの3倍:2009/02/16(月) 08:51:28 ID:???
誰もいない?

なれば今こそ!

祈りの空より来たりて!
227通常の名無しさんの3倍:2009/02/16(月) 14:55:25 ID:???
切なる叫びを胸に!
228通常の名無しさんの3倍:2009/02/16(月) 15:59:07 ID:???
我等は明日への路を拓く!
229通常の名無しさんの3倍:2009/02/16(月) 16:54:51 ID:???
汝、無垢なる翼――
230通常の名無しさんの3倍:2009/02/16(月) 17:00:28 ID:???
デモ■■ベ■■oqjupo32rn:u21

おっとこの流れは無しだ
キリリ
231通常の名無しさんの3倍:2009/02/17(火) 19:02:16 ID:???
刻が未来に進むと誰が決めたんだ
232通常の名無しさんの3倍:2009/02/17(火) 19:06:03 ID:???
最近わかった事
デモンベインガトリング>>>>>>>Gガンダムガトリング
これはガチ
233通常の名無しさんの3倍:2009/02/17(火) 20:01:49 ID:???
Gガンにガトリングなんてねーよ
234通常の名無しさんの3倍:2009/02/17(火) 20:15:44 ID:???
胴体に2つ付いてるだろ。
マシンキャノンだったかもしれんが。
235通常の名無しさんの3倍:2009/02/17(火) 20:25:44 ID:???
両肩だよ

確かに使ったシーン思い出せないぐらい存在意義が判らん武装だが
236通常の名無しさんの3倍:2009/02/17(火) 20:44:46 ID:???
デモンベインのバルカン砲は鬼械神への牽制や量産型破壊ロボを打ち落とす時に
十分役に立ってたからなぁ。

最近あれにハッチが開いたり前に飛び出したりしてから発砲するというギミックがあると言う事を知った今日この頃。
237通常の名無しさんの3倍:2009/02/17(火) 21:07:23 ID:???
一応、魔術を込めて撃てば機械神の障壁を崩せるからな
デモンベインのバルカンは十分に優秀

Gガンはあれだ
「バァァルカンッッッッ!」と言うのに意味があって、大事なのは拳なんだよ
ガンダム=バルカンなんだよ
俺は何を言ってるのかわからくなってきた…
238通常の名無しさんの3倍:2009/02/18(水) 01:10:14 ID:???
バルカン砲もすごく厨二的ネーミングな兵装なのに、何故こうもアテにならない印象をもたれてるんだろう…
239通常の名無しさんの3倍:2009/02/18(水) 01:32:54 ID:???
実在兵器<<<(安易に実現出来ない技術の壁)<<<架空兵器
だからだろうな。
240通常の名無しさんの3倍:2009/02/18(水) 19:32:15 ID:???
核兵器はとてもアテになる武装じゃないか!
大導師に原子分解されたり謎電波で抑制・暴発させられたりしてるけどねw
241通常の名無しさんの3倍:2009/02/18(水) 21:54:19 ID:???
お嬢さんのお召し物にも一ついかがですか?
只今こちらにありますピースメイカー隊よりの払い下げ核ミサイルが
非情にお安くなっております

お子様のご入学・卒業・就職祝いなどにどうぞ
242通常の名無しさんの3倍:2009/02/18(水) 22:04:16 ID:???
今ならL5宙域から回収してきた盟主王の脳味噌も付きます
243通常の名無しさんの3倍:2009/02/18(水) 22:09:36 ID:???
Gガンのバルカンはガンダムファイト一回戦のゼウスガンダムに使って
ダメージ0でそれ以降一回も使わなかった気がする
244通常の名無しさんの3倍:2009/02/18(水) 23:03:24 ID:???
>>240
なぁに、ニャル様も鬼械神になれば使ったりするんだからまだまだ捨てたものじゃない。

……まぁあれは核と言いつつもっとおぞましい何かかもしれないけどな。煮えたぎる混沌のかぁくよ!
245通常の名無しさんの3倍:2009/02/19(木) 02:35:39 ID:???
というかアレは核ミサイルな自分を撃ちだしてるんじゃなかろうか?
つまり中身は……あぁ!窓に!窓にっ!?
246通常の名無しさんの3倍:2009/02/19(木) 04:19:10 ID:???
核じゃなくてカクミサイルかもしれない

「角ばってるからあたるといたい」
247通常の名無しさんの3倍:2009/02/19(木) 08:44:05 ID:2RguQa7X
>>245
「煮えたぎる混沌の核」なんだからアザトースの力に決まってんだろうが
248通常の名無しさんの3倍:2009/02/19(木) 16:51:29 ID:???
つまり寝ているアザトースをミサイルに詰め込んで…
249通常の名無しさんの3倍:2009/02/19(木) 19:00:59 ID:???
妖蛆の秘密だかにアザトースは放射能の擬人化であるっていう記述があったから、
それをパロったんじゃね?
250種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/02/19(木) 20:01:45 ID:???
 剣閃が、漆黒の闇夜に一筋の線を描く。
 夜の甲板で刀を抜き払ったティトゥスは、数回無造作に振り払うとすぐに鞘へと戻してしまう。
「…………」
 ティトゥスは無言でその場に立つ。瞑想するかのように平静を保つ表情……しかし目のある者ならば、
そこにかすかな感情の乱れを見出すだろう。
(その程度の力で、お主は満足できるかね? いいや無理だろうさ。力を追い求め人を止めたお主が、
 その程度で満足できるはずがない)
 ティトゥスの頭を占めるのは、ウェスパシアヌスの言葉。その言葉を思い出すたび、彼の中で
苛立ちが溶岩のように煮え立つ。
 笑い声が頭の中で響き渡り、ティトゥスの目がカッと見開かれた。
(ハハハハハ! 無様だな、脆弱だな、物足りないなあティトゥス! 愚かだ、愚かだ、
 愚かさここに極まれりだな! フハハハハ!)
 ──思い出される嘲笑。そして無様にもフリーダムに叩き落される己の姿。
「────ッッ!」
 声にもならぬ獣の雄叫びと共に、両腕から繰り出された斬撃が空気を引き裂いた。
 刀を振り抜いた態勢のまま、ティトゥスは身を震わせた。
「……くっ」
 忌々しげに歪んだ口元から漏れる声。たった一言、腹の奥底からひねり出したような昏い声色は、
ウェスパシアヌスの言を否定出来ぬ己への嘲笑であり、無力極まる己への侮蔑だった。



『──こちらもミナから聞いている。とうとう、キラとラクスが動いたか』
 通信室のモニターに浮かぶカガリの顔を、アスランは真っ直ぐ見据えていた。
『……アレックス・ディノ。オーブ首長国連邦代表首長として命ずる』
「はっ……」
 二人きりのときはしない形式的な態度にうろたえることなく、アスランは短くそう答える。
 オーブの代表首長として、カガリは決断しなければならない──カガリにとって、残酷極まる決断を。
代表首長としての仮面を被らねば、その決断を優しいカガリに告げることは出来ないだろう。
 それでもなおいいよどむカガリを前に、告げられるだろう言葉が何かアスランはもう分かっている。
男としてはカガリに何も言わせず、全て独断で処理してしまいたい。そうすればカガリは何も背負わないで済む。
 だが、当のカガリ自身がそれを望まないだろう。国を背負う者として、切り捨てねばならない者達の
仲間として──そして、罪を犯した者の姉として。
 ならばこそ、自分のやるべきことは決まっている。彼女と覚悟を共にし、それに応えるだけだ。
「……アークエンジェルは、もはやオーブにとって害悪以外の何者でもない。彼等には、
 オーブに剣を向けた報いを受けてもらう」
「はい」
 カガリの声が、掠れる。毅然とした表情は崩さぬまま、見開いた目から大粒の涙が流れた。
「アークエンジェルクルー……及び、同乗している【ラクス・クライン】を名乗る者……そして……
 そしてフリーダムのパイロットであるキラ・ヤマトを……抹殺せよ……!」
 言い切って、カガリは身を震わせながら顔を伏せた。かつての仲間と、唯一の肉親への死刑宣告。
この言葉を口にするために、彼女が耐えた痛みと苦しみ、悲しみはどれほどのものか。
 ──こんな苦しみをカガリに与えた者達を、アスランは許さない。
「……委細、承知いたしました。アスハ代表」
 燃え盛る、しかし何処までも冷たい炎を瞳に宿し、アスランはカガリに答えた。
251種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/02/19(木) 20:04:29 ID:???
「……一度、私も宇宙に上がらなければなりませんね」
 海中に身を潜めるアークエンジェルのブリッジで、【ターミナル】から情報を受け取ったラクスは言った。
「でも、ラクスがいなければオーブの説得は……」
「ダーダネルスであれだけ真正面から言い返されたんだ。もうラクスの威光でもオーブは動かせるとは
 思えないな。そっちはもう諦めた方がいいかもしれんぞ」
「バルトフェルドさん!」
 無責任なバルトフェルドの言葉にキラが非難の声を上げた。バルトフェルドは肩をすくめつつ、
表情に真剣さを取り戻す。
「冗談はさておき、あの偽者が意外な強敵だったのは厄介だな。操り人形かと思ったが、存外しっかり
 自分の考えを持ってるようだ。オマケにあの場での言い分を聞く限り、基本的に悪い人間でもなさそうなのが
 なおやりにくい。ともかくあれと真正面からやりあうくらいなら、ラクスに宇宙での活動に専念して
 もらったほうがいいと僕は思うんだが?」
「そんな、バルトフェルドさんは偽者を認めるんですか!?」
「認めるとは言わないが、言ってること全て間違いだとも思えないな。キラは偽者の言ったことが全て間違ってると
 思うかい? それとも、ラクスの偽者というだけで信じない理由には十分かな?」
 バルトフェルドにそう問われ、キラは黙り込んでしまう。しかしその目を見れば、納得していないのが
よく分かる。
「バルトフェルド隊長、あまりキラ君をいじめないで下さい」
「おっとこりゃすまないね。僕の悪い癖だ」
「──確かにあの方も、己の信念に従って行動しているのでしょう」
 マリューにたしなめられるバルトフェルドを尻目に、ラクスが口を開いた。美しさの中に未来を憂う儚さと、
決して惑わぬ信念を持つ表情。それが多くの人を引き付ける要素の一つでもある。
「しかし、私達にも譲れないもの、守りたいものがあります。そのために私達は戦わなくてはなりません──
 たとえ、辛く厳しい道のりでも」
 ラクスの言葉にキラは力強く頷く。次いでマリューやブリッジクルーが続き、最後に少し間を置いて
バルトフェルドが頷いた。
「ダコスタ君にも逢っておきたいし、宇宙には僕が送ろう。ストライクルージュとファクトリーが試作した
 MS用シャトルブースターを使う。僕が帰るときは降下カプセルを使えばいい。ラクスもそれでいいな」
「ええ。よろしくお願いします、バルトフェルド隊長」
 ぺこりと頭を下げるラクスの顔は、歳相応の雰囲気を取り戻していた。



第十六話 絆


252種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/02/19(木) 20:06:49 ID:???
「なんで俺達が調査なんてしなきゃならないんだ?」
「先行調査だ。艦長も言っていただろう」
 不満そうな声を漏らすシンに、レイが諭すように言った。
 MSから降りた彼等の目の前には、かなりの大きさを持つ施設がそびえ立っている。
「けど、たまたまいた俺達にこんなことさせるか、普通?」
 先のダーダネルス戦で被害を受けたミネルバはルートを変更し、マルマラ海の港に停泊していた。あれだけの
連合艦隊と出くわした以上他に戦力がないとは言い切れず、また損害を受けた艦一隻で【ラクス】を
ジブラルタルまで送るのは危険と、上層部が判断したからだ。
 そのラクス──ミーア・キャンベルはハイネと共に、ジブラルタル基地から迎えに寄こされた輸送機で
発っていった。基地に到着した後はラクスはまた慰問ライブの日々に戻り、ハイネはシャトルで
プラントに戻る手筈である。
「わたし、頑張るね。ミネルバの皆を裏切らないように、一日も早く戦争が終わるように……わたしも戦うよ、
 【ラクス・クライン】として」
 ミネルバを去る前に告げた彼女の笑顔を、シンは思い出す。彼にとってもフリーダムと行動を共にするラクスは
本物であれ偽者であれ気に入らぬ存在で、ミーアは応援に値する存在だと認識されていた。
 かくしてラクスをジブラルタルまで送るという任務を途中で取り消され、港で修理を受けつつ次の司令を
待っていたミネルバだったが、そんな折に港の駐留部隊から奇妙な要請を受けた。程近いロドニアにある、
連合のものと思わしき施設を調査してくれというのだ。
 数日前に現地住民から報告があり、この施設の存在は明らかになった。ただ人や物資の出入りは見られず
戦力が配備された様子もないこともあり、大した戦力を持たぬ駐留部隊は上層部に報告だけして、この施設を
放置していた。
 が、昨日この施設から何度か爆発音が聞こえたという報告が上がってきた。ここに至って駐留部隊も
事を放置しておけなくなったのだが、少ない戦力を正体不明の施設に送って損耗するのは避けたいところ。
どうするべきかと迷いに迷って、出た結論は丁度停泊していたミネルバに御鉢を回すというものであった。
『まあ、艦長も何度も頭を下げられて渋々といったところだったしな。それに機体の修理に駆け回ってた
 メカニックはともかく、俺達パイロットは比較的暇だったんだ。こういうこともいい経験と割り切っておこう』
 セイバーから響くアスランの声には、かすかに苦笑の響きがある。それに同意しつつ、シンは心配そうに
セイバーを見上げた。
 前の戦いの後から、アスランは少し変だ。誰かと話したり一緒にいる時はいつも通りなのだが、一人でいる時に
思いつめたような表情を見かける機会が増えた。訓練時間を過ぎたあと、一人でシミュレータに篭っている
事も多い。
253種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/02/19(木) 20:09:53 ID:???
 そして、変なのはアスランだけではなかった。
「……手早く済ませたい。行くぞ」
 黒衣をなびかせ、オーガアストレイを降りたティトゥスが一人施設の奥へと歩いていく。シンとレイが
止めようとするが、まあ彼なら大丈夫だろうというアスランの言葉を信じ、まず自分達の装備の最終確認をする。
 ティトゥスもまた前回の戦いから、これまで以上に口数が少なくなった。訓練や個人稽古はつけてくれるし、
その厳しさにも変わりはない。だが刀や、最近使い出したナイフで攻撃を受けるたび、シンには奇妙な違和感を
感じるのだ
「準備はいいか、シン?」
「あ、ああ」
 使い慣れたナイフをパイロットスーツの腰に止め、拳銃の動作と弾数を再確認する。
 余計な思考を頭の隅によける。今は目の前の任務を優先しなければ。
「準備完了……行こう、レイ」
「ああ」
『気をつけてな』
『頑張ってこーい』
 MSで警戒に当たるアスランとルナの言葉を背に、シンとレイはティトゥスを追って施設へと足を踏み入れた。



 三人が施設に踏み込んで数分。彼らを出迎えたのは、死体の山だった。
 研究者じみた恰好の人間が老若男女問わず、そこら中に血を流して転がっている。警備兵のような恰好の者も
少なからずいるが、死体になっていることは変わらなかった。
 刀も抜かず歩いていくティトゥスを戦闘に、周囲を警戒しながらシンとレイが続く。
「なんなんだよここは……何でこんなに、人が死んで……」
「状況から見るに、どうやら施設内の人間同士で諍いが起きたようだ」
「そんなこと分かるのか?」
「死体の配置や傷の位置で、な。そう見えるように偽装したという可能性もあるが、
 これだけの死体の数だとその線は薄いだろう」
 冷静極まるレイに、吐き気すら感じているシンは感嘆の視線を向ける。どんな時も、この旧友には
頼りっぱなしだ。
 不意に、先を行くティトゥスの足が止まった。電源の落ちた金属製のドアが彼等の行く手を阻んでいる。
「どこかで電源を操作して……」
「不要だ」
 迂回しようとするレイに、振り向きもせずティトゥスが言った。
 直後、彼等の目の前で閃光が走る。凄まじい速さで振られた二刀に、扉はバラバラに寸断されて床に転がった。
何ら感慨を見せず扉のあった場所を通り過ぎていくティトゥスの規格外さに、改めて驚嘆しつつシンとレイも
奥へと飛び込む。
254種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/02/19(木) 20:12:39 ID:???
 直後、シンがティトゥスの背中にぶつかった。なんで止まってるんですかとティトゥスの顔を見上げて、
シンは息を呑んだ。
 ティトゥスがその顔に、ありありと嫌悪の感情を見せていた。何を見たのかとその視線を追ったシンは、
すぐにティトゥスの心情を理解した。
 薄暗い部屋の中に無数に存在する、ほのかな光を放っている水槽。液体を満たされたガラスの中に
浮いているものは、人の生理的嫌悪を掻き立てるものだった。
 死体、といっても外に転がっているようなものとは違う。水槽の中の死体は全て子供か赤ん坊、
もしくは【それ以前】──本来母親の中にいるはずの、人間の形すら保っていない状態だったのである。
 しかもただ死んでいるだけではなく、手足や腹の中を解剖した状態のものや干からびたものなど、
明らかに正常とは思えないものが多数ある。そのおぞましさは、先ほどの死体の山の非ではない。
 とうとう耐え切るのが困難になり、シンが嘔吐しかけた、その刹那。
「あ、あああ……あああぁぁぁぁぁぁ……っ!」
 突然レイが呻き声を上げ、その場に這い蹲って苦しみだした。突然の異常にシンは勿論、ティトゥスも
何事かとレイに近づく。
「レイ、おいレイ!」
「いったい何事だ?」
 二人の問いかけに答える余裕もないのか、レイは荒い息を立てながら頭を押さえる。一旦レイを連れて出ようと
シンが判断した時、シンが携帯していた通信機から呼び出しがかかった。
『三人とも聞こえるか!? ミネルバから、こちらにガイアが接近中という連絡が届いた!』
「ガイアが!? 単機でですか!?」
『そうだ! すまないがすぐに戻ってきてくれ! 意図が読めない現状では、俺とルナだけで対応できるか
 分からない!』
 通信機越しにアスランから伝えられる情報を聞き、シンはレイとティトゥスを交互に見やる。
アスランたちを助けなければならないのは当然だが、このままレイを放置しておくわけにもいかない。
「……拙者がレイを見ておこう。シン、お主は急ぎアスランとルナマリアの元へ」
「は、はい!」
 戸惑っている暇はない。アスランへ簡単に事情を説明して、シンは出口に向かおうと駆け出そうとし、
「し、シン……ガイアを落としては駄目だ……!」
 レイに呼び止められ、怪訝な顔でシンは足を止める。
「パイロットは、殺すな……生きたまま捕獲するんだ、シン……」
「い、いきなり何言い出すんだよレイ……?」
「いいから俺の言うことを聞け!」
 これまで見たこともないほど、激しい感情を露にするレイ。圧倒されたシンは、ただ頷くしか出来ない。
「……どうしたというのだ? お主らしくもない」
 シンが走り去った後、ティトゥスがレイに訊ねる。彼もまたレイの態度に不穏なものを感じていた。
「この施設は……そしてガイアが単機で……やはり、ここは……奴等は……」
 ティトゥスの問いかけに答えず、レイは突っ伏したまま、嘆くように呟いた。
「あいつらは、あいつらは……俺と、同じ……!」
255種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/02/19(木) 20:13:44 ID:???
「は、速過ぎ! これじゃ追いきれない!」
 ガトリングニ門と二連装砲の弾幕、そのかすかな隙間をMA形態のガイアが全速力で駆け抜け、一気に
間合いを詰める。その背から伸びるビームブレイドが目前に迫り、慌ててルナは左肩のシールドをかざした。
厚いシールドにビーム刃が食い込むものの、切り裂かれはしない。
 ほぼゼロ距離の状態で、バラージカスタムがスレンダーライフル──通常のライフルと区別する為に
付けられた呼称だ──を撃ち込まんと銃口を向ける。だがその刹那ガイアがザクに頭突きを食らわし、
同時にジャンプしてザクを跳び越えた。正に獣のような軽快かつ野生的な動き。頭突きの衝撃にルナは
目を閉じ、その瞬間動体認識も途絶えガイアを見失ってしまう。
 後ろを取られたと気づいたときには、既に遅い。
「しまっ……」
 振り向く途中でビームサーベルの切っ先が眼前に迫る。だがその時上空からビームが降り注ぎ、MS形態に
変形したガイアが後退した事で難を逃れた。
 上空から降下して来たセイバーが、ガイアと向かい合う。
『ルナマリア!』
 ほっと息をつくルナの耳に、アスランからの通信が届く。
『ガイアが単機で来たことが気にかかる。もしかしたら施設を破壊しに来たのかもしれない……となると、
 傍目には分からないが強力な爆装を施している可能性もある! このまま撃破するのは危険だ』
「ええ!? それじゃどうするんですか!?」
『少し手間だが、戦闘力を奪って捕獲する。上手くすればこの施設の詳細も聞き出せるかもしれない。
 ガイア単機ならやれるはずだ……君は援護を頼む! ただ今回ばかりは、間違っても当てないでくれ!』
「ちょ、ちょっとアスランさん!」
 返事を待たず、セイバーがガイアへと向かっていく。ルナはヘルメットの上から頭を抱えた。
「そんなこと言われたって……当てるなって言われる方がよっぽどやり辛いんですけど!?」
 そう愚痴りつつも、ルナは眼で動きを読みながらガトリングとビーム砲で弾幕を張り、ガイアの動きを制限する。
連装砲ならPS装甲を気にせずばら撒けるのではとも思ったが、万一本当に爆装していて引火でもしたらたまらない。
 ガイアもさるもので、二対一でもまったく引けを取らない動きで渡り合ってくる。捕獲を考え
こちらの動きが消極的なのもあるが、今のガイアの戦いぶりにはどこか鬼気迫るものがあった。
 しかし拮抗状態もそう長くは続かなかった。シンの乗るフォースインパルスがやっと戦闘に合流したのだ。
「シン、ガイアは落としちゃダメよ! もしかしたら爆装してるかもしれないって、アスランさんが!」
 簡単に状況を告げると、通信モニターの向こうでシンは驚いた顔をし、そしてすぐ納得の表情を浮かべた。
『レイも言ってたよ、落とすなって……やっぱり凄いな。あいつはそういうことも分かってたんだ』
 それを聞いたルナもまた、さすがレイだと感心する……それが勘違いだとは知らぬままに。
256種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/02/19(木) 20:14:58 ID:???
『とにかくそれなら……アスランさん、そいつは俺が!』
 フォースインパルスがガイアへと疾駆した。ライフルを腰にマウントし、腰から二本の対装甲ナイフを引き抜く。
 セイバーと切り合いを演じていたガイアが、インパルスの接近に気づいた。セイバーをシールドで押しのけ、
振り回されるインパルスのナイフを素早い身のこなしでかわす。振動する刃がかすめる度装甲表面で火花が
散るが、実体攻撃ではPS装甲にダメージはない。
 それに気づいたガイアがナイフを恐れず、右手でサーベルを振りかぶって一気に踏み込んできた。
インパルスが左手を突き出したのも無視して、サーベルを振り下ろさんとした、その時。
「え!?」
 見ていたルナが驚きに声を上げる。インパルスが突き出したナイフが、ガイアに突き刺さっていた。
 ナイフが刺さったのは腕の付け根──PS装甲に覆われていない関節部だ。そこから激しい火花を噴き上げ、
ガイアの右腕がだらりと垂れ下がる。
 ナイフを抜き抜くと共に今度は右腕を突き出そうとするインパルスから、慌ててガイアはスラスターを噴かせて
宙へ跳ぶ。
「っ! させるもんですか!」
 咄嗟にルナがスレンダーライフルの引き金を引いた。頭上をかすめたビームにガイアが動きを鈍らせた瞬間、
ガイアを追ってインパルスが飛翔する。
『うおおおおおお!』
 シンの気合と共に、インパルスが右腕をガイアの胴体部、そのコクピットハッチの隙間へと突き立てた。
火花の噴出る胸からナイフを引き抜き、仰け反ったガイアにインパルスは身体を捻って回し蹴りを叩き込む。
 宙から地面に叩きつけられ、ガイアはその動きを停止した。破損したとき異常を起こしたのか、
コクピットハッチが力なく開いて内部を露にする。そのガイアの前に、インパルスがゆっくりと着地した。
『ふう、上手くいった……サンキュな、ルナ』
「シンこそ凄いじゃない! PS装甲の間を狙うなんて、よくあんな器用なこと出来たわね!」
『これもティトゥスさんとの特訓の成果、かな』
『よくやったな、シン。しかしパイロットは生きているのか?』
 インパルスに続いて降下して来るセイバー。アスランは褒めつつも、思い切りコクピットに攻撃を
仕掛けたシンに少しだけ語気を強めて訊ねた。
『た、多分……一応加減して、あんまり深く突き刺したつもりは……っ!?』
 息を呑む音が、通信機越しにも分かった。突然インパルスが屈んだかと思うと、コクピットから飛び出した
シンが倒れたガイアへと駆けていく。わけが分からぬままガイアに眼を向けたルナは、そのコクピットを見て
表情を凍らせた。
「……ウソ、でしょ?」
 気絶したガイアのパイロットをシンが抱き起こす。パイロットスーツを着けず、ピンク色の連合制服を纏った
その姿は──
「なんで、ステラなのよ……?」
 ディオキアの街で出会った、いつもボケっとした金髪の少女その人だった。
257種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/02/19(木) 20:16:01 ID:???
「お姉ちゃん!」
 妹の今にも泣き出しそうな声に、医務室の前で座っていたルナは顔を上げた。
 息を切らしたメイリンが、ルナに近づいてその肩を掴んだ。
「ウソでしょ!? ガイアのパイロットがステラだなんて! ねえ、ウソだって言ってよお姉ちゃん!」
 揺さぶってくるメイリンに、ルナは黙ったまま首を横に振った。涙が溜まっていく妹の視線を直視できず、
顔を背ける。
「ウソ……ウソだよ! そんなの信じられない!」
「ダメ!」
 医務室に入ろうとするメイリンの手を掴むルナ。向けられた非難の目を、今度は真っ直ぐ見つめる。このまま
行かせては、メイリンが余計に傷付くのが分かっているから。
「今は眠ってるわ……それに今のステラは、あたし達のことを覚えてないの」
 メイリンを掴む手、そこに巻かれた包帯と手の甲に刻まれた痛みが、ルナに悲痛な現実を再認識させた。
医務室のベッドで目覚め半狂乱で暴れ出したステラに、鎮静剤を打とうと押さえつけた際ひっかかれて出来た傷だ。
しかし傷の痛みなど大したことはない。
 誰だお前らは。お前らなんか知らない──ステラにそう言われたことのほうが、よっぽど堪えた。
 力の抜けかけたメイリンを支える。自分のショックも相当だが、妹はもっと辛いだろう。
 だが、誰よりもショックなのは──
(シン……)
 座り込んだシンに、ルナは眼を向ける。壁を背にしつつも背中は曲がり、俯いた顔の表情は伺えない。
だがまとう雰囲気が、その消沈具合を窺わせた。
「……レイ」
 不意にシンが立ち上がり、一人離れた位置で壁を背もたれに立っていたレイに近寄っていく。施設内で
突然苦しみだしたと聞いたが今は特にそんな様子はなく、診察も必要ないと断ったという。
 そのレイにシンが腕を伸ばしたかと思うと、突然胸倉を掴んで壁に押し付けた。苦しげな声が
レイの口から漏れる。
「知ってたのか! ステラが、ステラがガイアに乗っていたのを! だから落とすななんて言ったのか!」
 怒りと困惑を綯い交ぜにした顔を上げ、シンはレイに詰め寄った。
 こんな時も冷静なレイにルナも多少苛ついてはいたが、流石にこのシンの行動は許容できなかった。
偶然関連するような発言をしたレイにシンが八つ当たりしているだけ──ルナはそう思っていた。
「やめなさいよシン! ガイアにステラが乗ってるなんて、レイがそんなこと分かるわけ──」
「……確証は、なかった」
 発せられたかすれ声に、ルナだけでなく掴みかかったシンをも目を見開いた。シン自身、これが八つ当たり
でしかないと分かっていた──いや、思っていたのだろう。
「ダーダネルスで戦ったカオス……ヤツの戦い方は、ゲームで戦ったスティングにそっくりだった……
 まさかと思っていたが……ガイアにステラが乗っていたことで、ほぼ確定だろう」
 レイの告白に、シンが震える手を放した。
「……なんで、黙ってたんだよ」
「……所詮ゲームだと、本気にはしなかった。単なる既視感だと、割り切ってしまいたかった……
 何よりも、信じたくなかった。あのスティングが敵だったなどと……」
 歪んだ表情は、シンに締め上げられていたからだけではないだろう。それを証明するような
悔しげな声色に、シンは再び俯いてしまう。
258種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/02/19(木) 20:16:50 ID:???
「……そんな」
 呟いたのは、メイリンだ。
「カオスにスティングが乗ってて、ガイアにステラ……? それじゃ、それじゃ……」
 アーモリーワンから奪われた三機のセカンドシリース。その内二機に、三人組の友人の内二人が乗っていると
なれば、誰がアビスのパイロットなのか考えるまでもない。
「アウル、くん……!」
 ついに感情が決壊し、メイリンはその場にへたり込んで泣き崩れた。痛ましい姿に、
その場の誰も声をかけられない──その姿こそ、全員の心情を代弁しているのだから。
「……重症ね」
 その声に、メイリンを除く全員が振り返る。いつの間にかその場にいたタリアが沈み込んだ彼等を睥睨し、
その口から重たいため息を漏らした。
「施設の調査に戻ったアスランとティトゥス、それに合流させたアーサー達からデータと報告が届いたわ。
 叩けばまだまだ色々と出てくるでしょうけど……とりあえずその情報を見ながら、あなた達には
 あの捕虜について話を聞こうかしら」



「くそったれ!」
 エクステンデッドの調整カプセルで眠らされたアウルを見届けて、J.P.ジョーンズの通路に出た
スティングが壁を蹴りつけた。
 事の発端はロドニアのラボで起きた反乱の鎮圧に失敗し、さらにミネルバが近づいているというネオへの報告を、
ステラが立ち聞きしたことだ。
 ラボというのはエクステンデッドのような対コーディネーター兵士の育成や、より強い強化方法を
確立するための実験が行なわれている施設の呼称だ。そしてロドニアのラボは、スティングら三人が
育った場所でもある。
 反乱の話をステラから聞いたアウルは激昂した。あそこにはアウルが母と慕う研究者がいたからだ。
「このままじゃ母さんが、母さんが死んじゃうじゃないか!」
 だがその際アウルは【母さん】という自身のブロックワードと、【死】というステラのブロックワードを
口走ってしまった。恐慌を引きこしたアウルをスティングが宥めている間に、信じられない事態が起こった。
 なんと同じく恐慌を起こしているはずのステラが、一人で無断出撃してしまったのである。
 向かう先はロドニアで間違いない。だが勝手をしたステラを、ネオは切り捨てると明言した。
「ただでさえ大きな作戦の前だ、戦力を割く余地はない! アウルからはステラの記憶を消す、
 お前も記憶を消されたくないなら従え!」
 そういわれてはもうスティングに反論は出来ない。ネオが苦渋の決断をしたことも、十分理解している。
 最悪なのは、よりによってステラの向う先にミネルバがいることだ。ステラがシン達を殺すのもシン達が
ステラを殺すのも、スティングが避けたかった最悪の結末でしかない。
 背負い込むのは、自分だけでよかったのだ。だがこうなっては、もうどうしようもない。
(せめて、お互い正体を知らないまま終わってくれ……)
 スティングはただそう願う。既に最悪の結末が避けられ、代わりにその願いが叶わなかったことなど、
知る由もなかった。
259種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/02/19(木) 20:17:44 ID:???
「……エクステンデッド、ね。酷い話だわ」
 艦長室でデータを読み終えたタリアは、苦虫を噛み潰したような顔だった。
 施設に残ったデータにより、あの施設がラボと呼ばれる対コーディネーター兵士育成施設であること、
そこで行なわれた非人道的な実験の数々と、多くの子供たちが実験に供された事実が明らかになった。
 同時に、施設内で起きた反乱の詳細も判明した。嫌気が差した研究者達がまだ洗脳されていない
エクステンデッドを扇動し、予想外の苦戦を強いられた施設側が自爆を試みたものの失敗。そのまま泥沼の
肉弾戦に突入し、結果誰一人生き残らなかったというのが、事の顛末だった。
 反乱を起こした研究者達はどのような思いだったのか分からないし、今このときに考えることではない。
重要なのはエクステンデッド、しかも生きた個体をミネルバが確保している点だ。
「しかしそのエクステンデッドが、あなた達の友人だったなんて……皮肉なものね」
 デスクの前に並んだ四人は皆、居た堪れない表情だ。メイリンに至っては、まだ嗚咽を止められないでいる。
 スティング・オークレー、アウル・ニーダ、そしてステラ・ルーシェ──これら三名の名前は、ラボに残された
実験体の名簿の中にも確認されていた。
「艦長、ステラは……ステラはどうなるんですか!」
 堪り兼ねたように、シンは声を荒げてタリアへと詰め寄った。歩みを阻むデスクの向こうで、
タリアは冷淡に告げる。
「……コーディネーターと互角以上に戦える強化人間。そんなものを生きたまま捕らえたと聞けば、
 上や本国の研究所はすぐさま引渡しを求めてくるでしょうね。存在だけでも連合を糾弾する
 証拠になるでしょうし、彼女をサンプルとして解析すれば、他のエクステンデットへの対抗策や弱点も
 見出せるかもしれない」
「そんな! 証拠とか、サンプルとか……ステラは生きた人間なんですよ! それを物みたいに!」
 非難するようなルナの言葉にも、タリアは動じた様子を見せず返した。
「人間である前にエクステンデッド……プラントとザフトにとって脅威、敵となる存在よ。
 その敵を排除するに、手段を選んではいられないわ」
「そんな……おかしいですよ!」
 シンが叫んだ。シンの熱の篭った視線を、タリアの冷たい視線が見つめ返す。
「そんなの、ラボのやってたことと同じじゃないですか! コーディネーターは間違いだって言いながら、
 わけわかんないクスリや実験で人を弄って、戦わせて! そんなの、そんなの許されるはずがない!
 でも、ザフトも同じなんですか!? 敵を倒すためなら、何をやってもいいって言うんですか!?
 ステラだって、ステラだってラボの犠牲者じゃないですか! それなのに!」
「よせシン! 口が過ぎるぞ!」
260通常の名無しさんの3倍:2009/02/19(木) 20:54:18 ID:???
おーい
261通常の名無しさんの3倍:2009/02/19(木) 20:55:59 ID:+YdJ0oM8
お侍さんやーい
262種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/02/19(木) 21:02:15 ID:???
 激昂するシンを、レイが押し留めた。興奮冷めやらぬシンに対しても、タリアは動揺一つ見せない。
「あなたの気持ちも分からないでもないわ、シン。でもね、あの子もまたザフトの兵を何人も殺しているの」
 その言葉にシンは熱を霧散させた。タリアの言うとおり、ガイアによってザフトにもたらされた被害は
少ないものではない。無論、人の命も──
「犠牲となって、後に犠牲になる筈の兵士の命を救うこと。それがあの子にとっての償いではなくて?」
 苦悩を浮かべて俯くシン。タリアはため息をついて、この話を締めくくろうとした。
「もうこれ以上いうことはないようね。引渡しについてはまた後日……」 
「……お願いします……」
 その時、シンが突然デスクに手を置き、頭をこすり付けるように下げた。タリアの言葉を遮り、
その口から泣き声にも似た声が発せられる。
「俺は、ステラを失いたくない……ステラを、助けてください……お願いします……!」
 それはもはや理屈も何もない、単なる我がままでしかなかった。駄々をこねる子供の、
見苦しい足掻きでしかなかった。
 しかし全て承知の上で、シンはタリアへと懇願する。
 確かにタリアが言うように、ステラは罪人だ。償う為に犠牲になるというのは、間違っていないのかもしれない。
 それでも、それでもステラは俺の、俺達の──
「あたしからもお願いします、艦長!」
「ヒック……わ、私からも、お願いします……!」
 その言葉にシンが振り向く。ルナとメイリンが、頭を床にぶつけんばかりに下げていた。
「ステラは友達なんです! 後生ですからどうか、どうか!」
「ステラが、友達が死ぬなんてイヤです……お願いします艦長……お願いですから……!」
 ルナは声を張り上げ、メイリンは泣き声になるのを必死に堪えて懇願する。唖然とするシンの横で、
ついに最後の一人も姿勢を正して優雅に頭を下げた。
「自分からもお願いします。軍人としては甚だ勝手だと理解していますが、友人が死地に送られるのを
 黙ってみていることは、どうやら自分にはできないようです」
「みんな……」
 シンは忘れていた。皆、気持ちは一緒なのだ。友達を、ステラを助けたい気持ちは。
シンはその気持ちをとても嬉しく、そして頼もしく思った。
「ステラを助けてください……お願いします、艦長!」
「「「お願いします!」」」
 改めて頭を下げ、タリアに懇願するシン。続けて他の三人も声を上げる。
 長い沈黙が艦長室を支配する。頭を下げた状態ではタリアの顔は見えない。
263種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/02/19(木) 21:03:21 ID:???
「……本当に、どうしようもないコばかりね」
 呆れたような、しかしどこか温かみを持った声。その声にシン達は一斉に顔を上げる。
 そこには冷たい目を持った軍人の顔はなく、どこか困ったように目を緩ませる優しげな顔があった。
「分かりました。ステラ・ルーシェの身柄はしばらく本艦で預かります。なおこの件は極秘扱いとし、
 艦の外へは一切漏らさないように。これはFAITHとしての決定です……で、いいかしら?」
 タリアの言葉に全員が呆気に取られている。思わず、ルナが声を漏らした。
「えっと……本当にいいんですか?」
「あら、取り消して欲しい?」
 とんでもないと、一同は慌てて何度も首を横に振った。
「正直いうとね、さっきの話は私個人としてはあまり気分のいいものじゃないの。どんなに言い繕っても、
 非人道的というのは変わらないのだから……それでも軍人として責務を果たすべきと思っていたけれど、
 まさか馬鹿正直に頭を下げて陳情するなんて手段に出るなんてね。呆れてすっかり毒気を抜かれちゃったわ」
 苦笑するタリアに、先ほどまでの冷たさはない。普段の厳しいが、必要な時には優しさを見せるタリア──
その優しさが、今この瞬間全面に現れていた。
「これ以上ゴリ押しして、部下の反感を買って艦の運用に支障をきたすのは艦長として失格、
 ということにしておくわ。せっかくのFAITHの権限、最大限に活用させてもらいましょう」
「ですが、FAITHの権限にも限界があります。この件が露見すれば、艦長の立場は……」
 まだ納得いかない様子のレイに、タリアは苦笑で返した。
「この艦に配属されたころはそうでもなかったけど、もう出世なんて諦めてるわ。こんな問題児ばかりの艦、
 全員の面倒を見るだけで精一杯だもの……それにあまり頼りたくないけれど、本当に危なくなってクルーに
 迷惑をかけそうなときは……分かるでしょう、レイ。無論、それは最後の手段だけど」
「……そこまで仰るのでしたら」
「じゃあこの件はこれで終わりよ。いいわね?」
 終わりを宣言されて、シンはなんとかなったことを認識する。
 ステラは、犠牲にされたりしない。それを完全に理解したところで、シンはもう一度タリアに頭を下げた。
「ありがとう……ありがとうございます、艦長!」
 シンに続くように他の三人も頭を下げる。それを押し留めながら、タリアは告げた。
「もういいわよ、そんなにペコペコしなくても……あなた達には、まだまだ頑張ってもらわなきゃならないしね」
 タリアの表情が普段どおりの、艦長としての厳しい面に切り替わった。
「アスランたちが戻ってから、また詳しい話をすることになるでしょうけど……次の作戦が決まったわ。
 おそらくは、大きな戦いになるわよ」
264種死逆十字書き ◆oN23gQHrEc :2009/02/19(木) 21:04:21 ID:???
久しぶりにすっげー間が空いたよこんばんわ。
最近ちょっと立て込んでて、暫くこんなペースが続くかもしれません。ご容赦を。
そして今日も今日とてサルの支援感謝です。

ステラ捕獲&説得にタリア折れるの巻。逆十字ではタリアさんはミネルバクルー全員のおっかさんです。
それでもステラのミネルバ残留理由が無理矢理だけど。軍人としては間違いなく失格。でもこういうノリが好きです。
しかし未だに分からないのが、原作でラクスがやらかしたミーアのシャトル強奪事件。ストライクで
大気圏離脱できるならすなおにそっちで行けばいいとおもうのだが。

さておき、次回からは黒海での大海戦。開始するところまでは行けるかな? 色々消化する内容が多くなりそう。
265通常の名無しさんの3倍:2009/02/19(木) 21:11:10 ID:???
激烈GJ!
軍人としては失格だけど情を通しちゃう、でもそれで一人の少女を救うというのは実にいい。
さあ最凶のキ○○イの出番だ! 奴ならステラを治せる…ハズだ、うんw
266通常の名無しさんの3倍:2009/02/19(木) 21:53:22 ID:???
でもそっちの専門は西博士つーよりも偽紳士な罠
267通常の名無しさんの3倍:2009/02/19(木) 21:54:11 ID:???
考えてみればミネルバクルーってガンダム作品じゃ年齢の低い部類なんだよな
だからこそ、情に左右されやすく、軍人として失格な行動が目立つけどそれでも女の子と友人を救えるのならばそれは一つの人の生き方だぜ
そしてラクシズは抹殺命令が実行され、アスランは何を思うのか?本編のような瞬殺ではなく、互角の戦いを見せるか?
空戦に限ればセイバーは自由に劣らない性能ですし
お侍さんもイライラしてるなぁ
達人の域で早すぎる反応速度で機体がついていけない状態で魔術師であった頃の強さと雲泥の差に敵であるアンチクロス相手に焦りが
これは早く魔道書擬人化が必要に
ステラは西博士に任せておけば大丈夫だな
しかし治療と平行してドリルの改造をしてしまうかが問題だ
268通常の名無しさんの3倍:2009/02/19(木) 21:58:57 ID:???
西も真面目(?)にやればペ量産型破壊ロボやぺインやハンティングホラーを作れるから大丈夫。

……でもやっぱりそっちの専門は偽紳士なんよなぁ。
269通常の名無しさんの3倍:2009/02/19(木) 22:17:11 ID:???
機械関係は西で人体関係は紳士って意外と上手い設定だよね
270通常の名無しさんの3倍:2009/02/19(木) 22:34:02 ID:???
一応、失敗作とはいえ蘇生薬作れるから医学というか医薬に関しての知識はありそうだが>>西
まぁ人体実験をしてメタトロンやサンダルフォンを作れるから髭紳士にはその方面に及ばないか?
エンネアはニャルの手が入ってそうだから除外かな
271通常の名無しさんの3倍:2009/02/20(金) 01:51:57 ID:???
>>249
それ擬神化じゃね?

逆十字の人乙。
やっぱり種の二次創作の中でトップレベルの説得力だなー。
原作は「なんで?」しか印象にないし。あぁ、もちろん種ね。
デモンベインの「なんで?」は同時に喝采を挙げてるから。通夜のよう(ryとかも含めて。

西博士はたしか医大生だった希ガス。気のせいか?
ムーンチャイルドとか屍食教典儀的“魔”改造されてなければ、
エクステンデット程度、西博士の敵ではないだろう。ネオはどんな改造されてるかしらんが。

……ハッ!? まさかティトゥスの旦那が何らかのイベントで死にそうになったステラを助けるために心の臓を刀で一突…あれ?
272通常の名無しさんの3倍:2009/02/20(金) 01:56:22 ID:???
あのキ印がどうやって助けるかと考えて、破壊ロボ型医療ポッドとか浮かんでしまったw
一種のパワードスーツで中にいる限りにおいて肉体の維持ができるとかでw
273通常の名無しさんの3倍:2009/02/20(金) 20:58:04 ID:???
アルアジプみたいだなw
274通常の名無しさんの3倍:2009/02/21(土) 03:12:55 ID:???
>>272
それなら間違いなく助かるだろうけど、
シン達はいつふと目を離した隙にステラがウェストに改造されないか
気が気でならないだろうなぁ。
275通常の名無しさんの3倍:2009/02/21(土) 07:45:33 ID:???
タリアさん・・・原作では育児放棄のジョナサンに説教喰らってください的な人でしかなかったけど
気付けば俺もモニター前で頭下げてたよ
GJ!!

>>272
ふと前に実写版キャシャーンとのクロスモドキ考えたの思い出した
あとパンシザの火炎放射部隊
博士ーステラにドリルは付けないで、せめてアウルに付けて満足してくれぃ
そういえばPS2の付録OVAでリリブリッジを改造するとか言ってたような
276通常の名無しさんの3倍:2009/02/22(日) 01:02:29 ID:???
議長「私のコレクションの中でも選りすぐりの力ある魔術書を持って来たので鑑定をよろしく」

つ「フィッシングゴッド文書(著者釣神様)」
つ「ヒナミザワテキスト(著者タカノ)」
277通常の名無しさんの3倍:2009/02/23(月) 04:09:07 ID:???
つ「メモ帳(著者 黒トミノ)」
278通常の名無しさんの3倍:2009/02/23(月) 05:53:35 ID:???
>>276
つまり精霊化したらこうなる訳ですね

  n
  ミ ̄ ̄|ノノノノノ
  /|  (○○ )
 ((|  ////‖ ̄\_
 ||    ‖/| `
 ノ○)  | ̄ /ハ
     /ハ

 く\
  \ミミ_
  /\_>\
  | ノノノノノ
  \( ○○)
   ‖||||
   ‖
  |\‖/| (二二)
 /ハ  ̄ /ハ 〉〈
        ̄ ̄
279通常の名無しさんの3倍:2009/02/23(月) 18:31:52 ID:???
「ぼうけんのしょ」(破損個所あり)とか
280通常の名無しさんの3倍:2009/02/23(月) 22:08:16 ID:???
ざんねんですが、えいごうのるーぷは(ry
ニャル「うわああぁぁぁぁぁぁぁぁ!」時計キリリ

ざんねんですが、えいごうのる(ry
281通常の名無しさんの3倍:2009/02/23(月) 22:16:15 ID:???
>>277
無限の力を持つジム顔の鬼械神を召喚出来そうですね。
282通常の名無しさんの3倍:2009/02/23(月) 23:04:55 ID:???
>>281
アオシマ製の写本なので変形合体します。強引に。
283通常の名無しさんの3倍:2009/02/23(月) 23:21:29 ID:???
釣神様AAとは懐かしいものをw
284通常の名無しさんの3倍:2009/02/24(火) 10:45:48 ID:???
>>281
あいつはダメだ、人間という生物を滅ぼしちまう
285通常の名無しさんの3倍:2009/02/26(木) 12:42:13 ID:???
ほす
286通常の名無しさんの3倍:2009/02/27(金) 04:07:29 ID:???
では某軽小説屋のネタ帳で

色々ヤバいのしか出てこなそうだが……
287通常の名無しさんの3倍:2009/02/27(金) 08:19:46 ID:???
>>281
「月光蝶」召喚の記述とかはどうよ。
288通常の名無しさんの3倍:2009/02/27(金) 11:22:37 ID:???
いあ いあ ゆにばーす!
289通常の名無しさんの3倍:2009/02/27(金) 17:34:45 ID:???
>>287
それが記述されてるのは白のほうだ
黒は人間爆弾の記述なんかが有名
290通常の名無しさんの3倍:2009/02/27(金) 21:10:09 ID:???
ボールでもいいんじゃね?サンダル兄貴が乗ればそれなりの活躍出来るぜ?
291通常の名無しさんの3倍:2009/02/27(金) 22:19:48 ID:???
ザクレロをわすれるなーーー!
あれの基本デザインは御大だぜ
292通常の名無しさんの3倍:2009/02/27(金) 22:28:20 ID:???
>>291
新でザクレロと言ったら旧支配者デミトリーのモビルマキナ・ザクレロになるがよろしいか?
293通常の名無しさんの3倍:2009/02/28(土) 01:04:02 ID:???
>>286
月と螺旋だらけのネタ帳?
294通常の名無しさんの3倍:2009/03/03(火) 12:30:26 ID:???
保守
295通常の名無しさんの3倍:2009/03/05(木) 12:31:38 ID:???
保守
296通常の名無しさんの3倍:2009/03/06(金) 12:22:52 ID:???
――永劫<アイオーン>!
297通常の名無しさんの3倍:2009/03/07(土) 12:04:13 ID:???
時の歯車 断罪の刃 久遠の果てより来る虚無!
298通常の名無しさんの3倍:2009/03/07(土) 13:15:18 ID:???
――永劫<アイオーン>!
299通常の名無しさんの3倍:2009/03/07(土) 13:46:47 ID:???
汝より逃れ得る者は無く
300通常の名無しさんの3倍:2009/03/07(土) 13:56:29 ID:???
汝が触れるものは死すらも死せん!
301通常の名無しさんの3倍:2009/03/07(土) 15:47:13 ID:???
お〜っと、ここでスーパーウェスト無敵ロボ28号Force〜25歳で子持ちでも少女〜の登場なのであ〜る!!!
302通常の名無しさんの3倍:2009/03/07(土) 16:19:37 ID:???
ま・た・お・ま・え・か!
303通常の名無しさんの3倍:2009/03/07(土) 16:39:59 ID:???
キチ○イは本当に色んな所で出現するな
304通常の名無しさんの3倍:2009/03/07(土) 20:21:25 ID:???
ひろゆき…通夜の様な沈痛なタラコ唇
305通常の名無しさんの3倍:2009/03/08(日) 14:37:57 ID:???
>301
博士、もうタイトルから少女外れたロボよ?
306通常の名無しさんの3倍:2009/03/09(月) 14:58:22 ID:???
リリカルはすでに少女を超えて戦記になりますた
307通常の名無しさんの3倍:2009/03/09(月) 15:07:13 ID:???
下がりすぎだ。少し上げるぞ
308通常の名無しさんの3倍:2009/03/09(月) 16:24:52 ID:???
デモンベインってトロくさいし、高機動のフリーダム相手には無力じゃないか?
それこそ飛びながらビームライフルで上空から狙い撃ちすれば余裕で勝てそうだが。
309通常の名無しさんの3倍:2009/03/09(月) 16:28:33 ID:???
アフォ、トラペゾで発狂してからそんな事言え
310通常の名無しさんの3倍:2009/03/09(月) 16:43:36 ID:???
動かない的を撃ち抜くだけの自由がなんだってwwwwww
311通常の名無しさんの3倍:2009/03/09(月) 16:48:02 ID:???
※魔女戦記マジカルなのは
始まります
312通常の名無しさんの3倍:2009/03/09(月) 16:49:28 ID:???
少し・・・頭冷やそうか・・・?
313通常の名無しさんの3倍:2009/03/09(月) 16:53:26 ID:???
やぶ蛇?!落ち着いてなのは!!
さすがに19で魔法少女は無理があ───
(暫くお待ち下さい)
314通常の名無しさんの3倍:2009/03/09(月) 18:23:57 ID:???
ああ、金色の脱げ女と定評のあるフェイトさんが酷い姿に!誰がこんなことを!?

>>308
とりあえず自由は大気圏内で音速超えてからこい
315通常の名無しさんの3倍:2009/03/09(月) 19:04:35 ID:???
>>308
本編やった?


破壊ロボのフルバースト、ドリル喰らっても無傷の装甲
断鎖術式解放後なら発動の瞬間時空間すら歪ませての超加速
序盤ですら↑なバケモノ相手にたかが一MSでどう勝てと
316通常の名無しさんの3倍:2009/03/09(月) 19:09:52 ID:???
>>315
ビームだから物理的な防御は無意味だろw
物理攻撃に対して無敵の装甲を持つPS装甲でもビームには弱いんだぜ?
317通常の名無しさんの3倍:2009/03/09(月) 19:20:23 ID:???
ニトクリスの鏡で種ビームよりもヤヴァイ地球皇帝ビームを跳ね返しますがなにか?
318通常の名無しさんの3倍:2009/03/09(月) 19:59:09 ID:???
そもそも破壊ロボのフルバーストにビームが含まれててそれすら傷一つ付いてない件について
それにPS装甲は物理に無敵じゃねーぞ
ハンマーで凹んだり、M1の素手で内部機関ごとぶち抜かれてるから衝撃に弱い特性がある
そもそもあれは硬いだけで柔軟性も糞もない装甲だから一点集中の攻撃を食らうとヤバイ
319通常の名無しさんの3倍:2009/03/09(月) 20:31:26 ID:???
>>316
おまいさんビームを何か勘違いしてないか?
320通常の名無しさんの3倍:2009/03/09(月) 21:06:13 ID:???
フリーダムなどこの破壊ロボの前では鉄のカンオケなのであ〜る!!
321通常の名無しさんの3倍:2009/03/09(月) 21:40:43 ID:???
キラがウェストとやりあったらVSステラデストロイ戦の焼き直し。

というか精神的に追い詰められてより酷い事になるの間違いなし
322通常の名無しさんの3倍:2009/03/09(月) 21:56:16 ID:???
巨大なドリルドラム缶がデストロイの二倍以上のでかさを持っているんだぜ…
その威圧感は凄まじいはず
323通常の名無しさんの3倍:2009/03/09(月) 22:02:31 ID:???
そもそもキラきゅんが活躍したらどうせお前ら怒りまくるから誰もそんなチート書くわけねー
324通常の名無しさんの3倍:2009/03/09(月) 22:10:32 ID:???
キラきゅんは本編でも情けない状態じゃないか
それで活躍しても「はぁ?」になるわけで
その情けなさ全開で二次創作で無双されても困ります><
325通常の名無しさんの3倍:2009/03/09(月) 22:15:06 ID:???
本編通りのキラを描写すると
「本編通りに書くのはヘイトだ!!!美化しろ!!!!!11111!!!11!」と発狂するくせによく言うよw
326通常の名無しさんの3倍:2009/03/09(月) 22:27:57 ID:iQex82Ww
よしならばいっそ種死世界でブラスレイターをだね....
ブレイクザワールドでそこら中死体有るしMSが世界中にばら撒かれてるから人間同士争ってる場合じゃ無くなるな
327通常の名無しさんの3倍:2009/03/10(火) 12:47:45 ID:???
>>325
本編通りに書くとアンチになる作品
その名はガンダムSEED
328通常の名無しさんの3倍:2009/03/10(火) 15:13:42 ID:???
ストライクに乗ってる時代のキラなら、割と逞しくいきてけそーな気はするけどね
理不尽な絶望にあるいみで慣れてるしw
329通常の名無しさんの3倍:2009/03/10(火) 16:00:52 ID:???
ラクスにたっぷり洗脳されてから大分おかしくなったけどねw
330通常の名無しさんの3倍:2009/03/10(火) 17:35:47 ID:???
マリューさん達にもかなりストックホルム的に洗脳されてたからねー
機密を見たな、死にたくなければMS動かせ、この船落として友人や自分が死にたくなければMSで戦えとかマジ外道

圧倒的な力を手に入れて蹂躙できるよーなったら、そりゃー自分のやりたいように動くよね
331通常の名無しさんの3倍:2009/03/10(火) 18:36:57 ID:???
そのやりたいようになってるように見えてラクスに洗脳済みっていう
332通常の名無しさんの3倍:2009/03/10(火) 21:47:44 ID:???
ラクスが幼女だったらカズマみたいな熱い男になっていたかもしれない
333通常の名無しさんの3倍:2009/03/10(火) 21:54:11 ID:???
ラクスが洗脳能力ならある意味かなみと似ていなくもないな
334通常の名無しさんの3倍:2009/03/10(火) 22:05:35 ID:???
あとついでにフレイにも(ry
335通常の名無しさんの3倍:2009/03/10(火) 23:27:21 ID:???
種死で鬼哭街を…って色んな意味でやば過ぎるか

最後幼女アンドロイドに取り込まれて"永遠にヒトツ"になるシンとかは....
336通常の名無しさんの3倍:2009/03/11(水) 15:01:13 ID:???
>>335
愛した祖国に裏切られ、妹の記憶の一部をDLしたMSによるシンの復讐劇ですね、わかります
337通常の名無しさんの3倍:2009/03/11(水) 17:18:53 ID:???
何故かマユデバイスという単語が思い浮かんだ
338通常の名無しさんの3倍:2009/03/11(水) 18:32:44 ID:???
>>335
そういやあれの主人公って何気にここのお侍さんみたいに生身でMS壊しかねないやつだっけ。
生身でEMP使えたはずだが。
339通常の名無しさんの3倍:2009/03/11(水) 20:32:37 ID:???
流石にMSを丸ごと機能停止させるほどの紫電掌を放つのは無理だろ
重サイボーグをただの刀で両断できるが、蘊奥みたいにMSの装甲まで断てるかは微妙だな
回避に関しては280km/s以上の速度の連打を軽々捌くから相当なもんだが
340通常の名無しさんの3倍:2009/03/11(水) 20:58:33 ID:???
別にコックピット辺りの機器だけ潰せばいいだろ。
あと頭部カメラとか。
341通常の名無しさんの3倍:2009/03/11(水) 21:54:38 ID:???
じゃあ俺はハローワールドをすいs

イエイエ、ナンデモアリマセンヨ
342通常の名無しさんの3倍:2009/03/12(木) 00:08:29 ID:???
>>339
以前タオロー兄さんの斬撃の威力を真面目に考察してたら、あほらしくなってやめた覚えがある。
だってさ、タオローの一撃は戦車の正面装甲も斬るって本編にあったんだけど、
今の戦車の正面装甲って

ttp://ja.wikipedia.org/wiki/APFSDS

こいつに耐えちまうんだぜ。
それをぶった切る一撃なんざ想像もできねえw
343通常の名無しさんの3倍:2009/03/12(木) 00:34:23 ID:???
種死のメイン脚本が虚淵だったら……
色んな意味で危険すぎる
344通常の名無しさんの3倍:2009/03/12(木) 00:45:34 ID:???
死ぬぜ〜? 超死ぬぜ〜??
345通常の名無しさんの3倍:2009/03/12(木) 01:13:53 ID:???
>>342
何この化け物砲弾……
要するに、相手の装甲を溶かして突っ込むのか?
単純な堅さや厚さじゃ防げそうに無いんだが。
346通常の名無しさんの3倍:2009/03/12(木) 12:35:02 ID:???
>>343
シンがミネルバを捨て駒にして、クルーもろとも特攻させて
アークエンジェルを堕とすんですね、わかります。
347通常の名無しさんの3倍:2009/03/12(木) 15:18:35 ID:ApItwhZW
>>343
最終回あたりで脚本を下されるオチ
もしくはメイン脚本じゃない
348通常の名無しさんの3倍:2009/03/12(木) 20:57:45 ID:???
黒トミノと虚淵と永井豪によるシナリオ
間違いなくグロでバッドな鬱エンド
349通常の名無しさんの3倍:2009/03/12(木) 21:23:34 ID:???
鋼屋が仲間になりたそうな目でこちらを見ている
350通常の名無しさんの3倍:2009/03/12(木) 23:25:11 ID:???
ガンダム00の黒田みたく特定キャラのみの脚本とかでやってもらえばいいんじゃねーの?
351通常の名無しさんの3倍:2009/03/12(木) 23:33:37 ID:???
虚淵が種死の脚本書いたら?
1話でルナマリアが開口一番「あー、童貞食べたい」とか言い出すよ
352通常の名無しさんの3倍:2009/03/13(金) 13:16:15 ID:???
とりあえずミーア死亡の回は虚淵にやらせても良いと思う。
353通常の名無しさんの3倍:2009/03/13(金) 14:36:50 ID:???
>>351
凸が朝起きたらミーアが横で寝てたシーンが、虚淵の場合は夜中に凸が目覚ましたら既にミーアが騎乗位で腰振ってるシーンに変わるな
354通常の名無しさんの3倍:2009/03/13(金) 20:12:30 ID:???
永井豪の演出が入ると
シンのオーブ脱出回想シーンがとんでもないことになる、キューティーハニー(漫画版)的な意味で
355通常の名無しさんの3倍:2009/03/14(土) 13:22:43 ID:???
禿だと…シンが家族の首を持って「これ…家族なんです…」と言う
356通常の名無しさんの3倍:2009/03/15(日) 02:16:09 ID:???
お禿様だと凸脱走後のミネルヴァに乗り込んできて"一人のラクス"に成る為にシンを体で篭絡とか
シンが和田とか永遠落として復讐遂げた瞬間オーブ兵に後から撃たれて撃墜されるとかな
357通常の名無しさんの3倍:2009/03/15(日) 14:02:50 ID:???
OU
358通常の名無しさんの3倍:2009/03/17(火) 19:16:59 ID:???
さて、あと三日でKが発売だな。
ボチボチフラゲした奴が出てきてるそうだがシンの扱いは大丈夫かな…
359通常の名無しさんの3倍:2009/03/17(火) 20:58:37 ID:???
敵だっけ?
360通常の名無しさんの3倍:2009/03/17(火) 21:47:03 ID:???
某逆襲スレでフラゲ組の書き込み有ったけど種・種死は三話位しかステージ無くて
スタゲ最終話=種系最終話らしい

ストインパ暁換装無しでセイバー抹消とか
361通常の名無しさんの3倍:2009/03/17(火) 22:16:16 ID:???
今回は種しかガンダム無くてしかも冷遇か
まぁ種が冷遇=空気なのはいつものことだが
362通常の名無しさんの3倍:2009/03/17(火) 22:18:57 ID:???
え?いやマジで?Zより扱い酷くなっとるやんけ
痔悪化とハイネはもちろん使えるよな?
遺作と痔悪化はプルデュエルとヴェルデバスターに乗せ変えれるよな?
363通常の名無しさんの3倍:2009/03/17(火) 22:24:02 ID:???
某所で色々話し聞いたが種系の機体は結構出てるらしい
むしろ各ベースの機体とオペレタイガーとか出てこない新婚合体、
ライキング、バルキングがスポットの大空魔竜、
ギルドラゴンやフォックス、可哀想なゾウが省かれたジェネシスが悲しい事になってるらしい
364通常の名無しさんの3倍:2009/03/17(火) 22:26:39 ID:???
流石にネタ・・・だと信じたいが
スト暁の換装はいいとして、インパの換装が無いなんて信じられん
365通常の名無しさんの3倍:2009/03/17(火) 22:27:55 ID:???
戦闘中の換装で全部使える(一応)らしい
PVで換装場面あったからそんな気はしていたが
366通常の名無しさんの3倍:2009/03/17(火) 22:33:19 ID:???
ライ・バルキングがスポットだと…リーさんは永遠にサーペントだというのか?!
367通常の名無しさんの3倍:2009/03/17(火) 22:37:41 ID:???
愛と魂以外総て使えるエルドラが単機最強クラスだとか
流石エンドレスフロンティア中のヨロイの殆どを破壊して回った人達は色々飛びぬけてる

あと作品の扱いは別にしてゴーダンナーで精神使ってから分離すると両方に精神残るから
ゴーダンナー、ネオオクサー、ゴーオクサーの三体一緒に出すと凄い事になるってさ
368通常の名無しさんの3倍:2009/03/17(火) 22:43:24 ID:???
何か違和感あると思ったら気付いたんだけどさ
スパロボWだとサルファやJで削られたユニットやイベントもしっかり補完されてたのに
なんでKはそんなに削ってんだろうな?いや発売前だから隠しで仲間になるユニットもいるんだろうけど
不思議だ
369通常の名無しさんの3倍:2009/03/17(火) 22:50:41 ID:???
とりあえずあらすじ一回やって、深い話はそれから続投や再登板があれば、だっけ
370通常の名無しさんの3倍:2009/03/17(火) 23:01:07 ID:???
おいおいスパロボK38話とかマジかよ
…と思ったらDみたいな前後編多めらしいな
371通常の名無しさんの3倍:2009/03/17(火) 23:06:39 ID:???
更に分岐が幾つも有って最終話直前も分岐で分岐ルート終了後最終血戦らしい
372通常の名無しさんの3倍:2009/03/17(火) 23:10:02 ID:???
前後編に分かれてるのがたくさんあって、それらが殆ど1話扱いされてるんじゃなかったっけ
373通常の名無しさんの3倍:2009/03/18(水) 00:21:26 ID:???
>>367
なんで無限のフロンティアにエルドラが出てくんだよと思ったわ
374通常の名無しさんの3倍:2009/03/18(水) 02:17:30 ID:???
ハゥア!?
そういやエンドレスイリュージョンだった……
明日ガンソ最初から見直そう
375通常の名無しさんの3倍:2009/03/18(水) 04:58:26 ID:???
>>308
デモンベインは本気で飛べばほぼ光速で飛べるんだぞ?
通常機動でも音速は余裕で超えてる。
しかもビル密集地帯で放たれたビーム砲の嵐を全弾回避し、
一瞬で数kmの距離を詰める攻撃を四方八方から打ち込まれても全部迎撃、全弾回避可能。(しかも全速で突撃しながら)
デモンベインの機動性舐めるなよ。
376通常の名無しさんの3倍:2009/03/18(水) 10:12:49 ID:???
時計があればクロックアップも可能
相手も時計持ちだと意味はないが、逆に言えば時計が無ければ対抗手段のない
その性能は西博士の破壊ロボがデモンベインスクラップ手前までいったことのあるからまさしくチート魔術
377通常の名無しさんの3倍:2009/03/18(水) 15:43:41 ID:???
駄目な大人が仕事で考えたリアルロボットと
駄目な大人が本気で考えたスーパーロボットを比べたら駄目だろ。
378通常の名無しさんの3倍:2009/03/18(水) 17:55:02 ID:???
個人的にはもうちょいはっちゃけてもいいと思うんだ。
昔のスーパーロボットは超光速で飛んでたたかうくらい珍しいことではなかったし。

まぁ、軍神ではそれをはるかに超えたはっちゃけぶりを見せたけど。
旧神と外なる神の戦いってあれ以上なんだろうな・・・。
379通常の名無しさんの3倍:2009/03/18(水) 18:14:49 ID:???
それこそ知覚不能な領域だろうな
380通常の名無しさんの3倍:2009/03/18(水) 18:19:35 ID:???
軍神でも存在によらず戦うとかしてたから、もっと変態な領域な気がする。
381通常の名無しさんの3倍:2009/03/18(水) 18:26:23 ID:???
そんなデモベでも外なる神には勝てないとか凶悪すぎるだろ
382通常の名無しさんの3倍:2009/03/18(水) 20:54:03 ID:???
そしてデモンベインは数ある機械神で最弱だからな
それで対抗できるだけでも凄いと思う。旧神九朗ちゃんだとニャル4億ぐらい封印してるみたいだし
383通常の名無しさんの3倍:2009/03/18(水) 21:18:19 ID:???
デモベは本来対外なる神等の人外用らしいからな

他の鬼械神みたいに魔力で織りあげた存在じゃないから
ディスペルされないっていう強みが有る
384通常の名無しさんの3倍:2009/03/18(水) 21:50:38 ID:???
ニャル様にアイオーンが軽く分解されたしな
385通常の名無しさんの3倍:2009/03/18(水) 23:05:14 ID:???
ディスペルならまだしもハリセンとかもあるしな。
386通常の名無しさんの3倍:2009/03/19(木) 01:27:55 ID:???
攻撃はレムリアインパクトやアトランティスストライクなどの基本兵装なら
機械的動作で作動するから解呪されにくいしな
387通常の名無しさんの3倍:2009/03/19(木) 19:59:50 ID:???
4億ってニャル様にとっては髪の毛一本になるかならないか程度だといふ
流石ノーデンスからも逃げ切っただけのことはあるな
388通常の名無しさんの3倍:2009/03/19(木) 20:12:29 ID:???
ニャル様の化身は並行世界に無限に存在するらしいから痛くも痒くもないだろうな
でもデモベ世界じゃダーレス設定では全能らしいノーデンスなんて存在すんのかね
389通常の名無しさんの3倍:2009/03/19(木) 20:17:25 ID:???
てか仮にすべてのニャル様を消滅又は完全封印したとしたら人類の歴史が大きく変わるぞ。
たまーに良いこと(人にとって)もするからねぇ。
390通常の名無しさんの3倍:2009/03/19(木) 20:42:15 ID:???
そういや核爆弾もニャル様の仕業だっけ
発案者は発電の為に造ったけど
爆弾にされたせいで首括って死んじゃったんだよなぁ
391通常の名無しさんの3倍:2009/03/19(木) 22:39:34 ID:???
幼女とラブラブなニャル様とか、新宿で息子と暮らすニャル様とか、デモンベインのニャル様とかいるしな
全てを消したらそれこそ人類が終わる可能性もある
392通常の名無しさんの3倍:2009/03/20(金) 00:56:47 ID:???
高校の図書館でエイボンの書をさがしていた神智科の女子生徒に、原本を快く渡したこともあるぞ。
393通常の名無しさんの3倍:2009/03/20(金) 09:49:37 ID:???
パンクスタイルで彼氏居ない歴〇年の疲れた女教師とフラグ立てた喋くる混沌も居るしな
394通常の名無しさんの3倍:2009/03/20(金) 09:56:45 ID:???
>>389
ニャルなら
「悪事を働いていた俺を封印したのはいいけど、実はこの事によって人類は滅びずにすんでたんだよね。
 自爆してやんのバーカwwwwwwwwwwwww」
みたいなこともするはずだ。人間が人間自身の手で自滅するのが大好きだからな。
395通常の名無しさんの3倍:2009/03/20(金) 11:41:19 ID:???
>>392
kwsk
396通常の名無しさんの3倍:2009/03/20(金) 14:32:31 ID:???
397通常の名無しさんの3倍:2009/03/20(金) 18:37:04 ID:???
>>394
でもご都合主義だからどっちにしろ
九郎「そんなの知るか!」で全部丸く収まるんだろ
398通常の名無しさんの3倍:2009/03/20(金) 19:08:30 ID:???
それもニャル様の仕業だ

つーかニャル様の仕事は現世を面白おかしく引っ掻き回して
アザトースにオネンネしててもらう事だからなぁw
399通常の名無しさんの3倍:2009/03/20(金) 19:37:43 ID:???
別に寝させてるのも起きさせるのもどっちでもいいんだろ
それなりに仕事してますよって上に思わせておけば
ただ自分の思い通りにならない九郎がいるってだけで
400通常の名無しさんの3倍:2009/03/20(金) 19:49:44 ID:???
>>399
お前がクトゥルフ神話を知らないことは分かった
大人しくク・リトル・リトル神話でも買ってこい
401通常の名無しさんの3倍:2009/03/20(金) 20:09:34 ID:???
起きたら何もかもがアボンなのに
起きさせるわけねーだろJK
402通常の名無しさんの3倍:2009/03/20(金) 20:44:49 ID:???
起こす=ヘドロン破壊だからなくもない
403通常の名無しさんの3倍:2009/03/20(金) 20:49:10 ID:???
トラペゾ破壊するか?確かにありえないなんてことはありえないが
まぁ一回人類全部全滅してもニャルがまた気まぐれでたまごっちみたく人類を育成したりしそうだな
404通常の名無しさんの3倍:2009/03/21(土) 02:18:47 ID:???
>>401

 あー、ダンセイニのぺガーナの神々とクトゥルフ神話を取り違えていないか?
 アザトースは、知性を奪われただけで別に眠ってなんかいないぞ?
405通常の名無しさんの3倍:2009/03/21(土) 02:46:53 ID:???
デモンベインではちゃんと眠ってる言われてるけどね。
世界はアザトースの泡沫の夢ってのも言われてるし。
406通常の名無しさんの3倍:2009/03/21(土) 11:25:08 ID:???
>>404
デモンベイン未プレイのやつは書き込むなとは言わん
ただせめて作中の設定や台詞はちゃんと把握してから書き込まないと、恥をかく危険があるぞ
407通常の名無しさんの3倍:2009/03/21(土) 12:39:56 ID:???
>>404

 ん、デモベ小説版は兎も角、ゲームはシリーズ全作やってるよ?
 アレって、元の神話体系を踏まえて、

 知性を失っている=意識に志向性がない=まどろみの中

 って表現じゃないの、アレ?
 トラペゾの中に世界そのものごと封じられていると言う話はあったけど、
眠らされていると言う直接的な表現はなかったと思うんだが?
408通常の名無しさんの3倍:2009/03/21(土) 12:40:43 ID:???
あ、すまん俺が>>404で、>>407>>406宛ね。
409通常の名無しさんの3倍:2009/03/21(土) 14:14:59 ID:???
>>407
よし、もう一回プレイしなおして、ついでにクトゥルー神話の設定を全作品分見直そうか。
410通常の名無しさんの3倍:2009/03/21(土) 14:49:17 ID:???
以下ネタバレ






宇宙の究極の中心で煮え立つ盲目で白痴の神だよな、アザトース。
周りで下級の邪神たちが踊り踊って楽を奏でていて、ソレを貪り食ったりしている。
んで、ダーレス系の旧神を導入した話だと、白痴なのは知性を封印されているからだと言われている。
外なる神=宇宙の法則神系の解釈だと、
混沌そのものと言うか、宇宙の全ての全ての擬神化みたいな解釈がなされている事が多い。
宇宙の全ての全ての一側面、と言うか、だから矛盾していて知性がないと……。


ニャルは、外なる神の使者にしと総意、唯一、十全に自己を保ち、あらゆる世界に姿を現す事が可能な神で、
神の封印を解くべく動いている事になっているが、その目的より自らの嗜好を満たす事を主眼において行動しているように見える。


デモベだと、旧神によって外なる神と旧支配者の世界そのものが、トラペゾに封じられていると言う事になっている。
トラペゾは外なる神や旧支配者では扱えないから、ニャルがソレを扱える人間を作り出して壊そうとした。
ところが、そうやって産まれた存在こそが旧神だった、と……。


……何かおかしいか?
少なくとも、俺の知る限りアザトースは常に活動中で、少なくとも活動休止的な意味での眠りにはついていないよ。
ただ、白痴なので、その活動に意味が無い。
何かしようという志向性を持たない。
こちらから干渉すれば潰滅的な結果をもたらすけれど、そのままなら宇宙の究極の中心でひたすらくちゃくちゃやっている。
元々、ダンセイニのペガーナの神々とアザトースの描写の共通性見たいのはよく指摘されることだし、
アザトースが眠っていると言うような描写も結構あるけれど、あれは『眠っている』『眠らされている』と言うより、
白痴と言う状態を示す比喩と取るべきではないかと思うんだがね。
411通常の名無しさんの3倍:2009/03/21(土) 15:24:27 ID:???
つまり全ては盲目にして零知の神様が見る泡沫の夢ってことか
目覚めれば消えるだけだ
412通常の名無しさんの3倍:2009/03/21(土) 16:07:33 ID:???
ところが、アザトースが干渉されて身じろぎしたとして、全てが消えるとも限らないんだよね、これが……。
なんと言うか、アレはそう言った人間の認知しうる範囲を超えた存在だから。

特に法則の疑神化系の解釈だとソレは顕著で、
アザトースが身じろぎした事によって起きるあらゆる結果の可能性を、既に内包している存在
――故に、混沌の究極の中心にある。
既に全ての結果を内包するが故に何もせず、何も起こさず、その有り方は盲目にして白痴と言った
『真なる全能』をネガティブに書いたものと言う解釈もある。
413通常の名無しさんの3倍:2009/03/21(土) 16:56:06 ID:???
>>412
つまり「よくわからんけどスゲー存在で、起きれば全ては消える」ってことか
414通常の名無しさんの3倍:2009/03/21(土) 19:42:24 ID:???
ちなみにアステロイドベルト(小惑星帯)
アザトースを召喚してみたら
その余波で惑星が木っ端微塵になったもの
というのもあってな
415通常の名無しさんの3倍:2009/03/21(土) 20:41:37 ID:???
ゲッペラー並か、もしくはそれ以上だなw
416通常の名無しさんの3倍:2009/03/21(土) 20:55:07 ID:???
ベモベ作中の字祷寿(アザトース)が云々
ってのも「アザトースの名を知れば力が与えられる、真の名を知れば更に凄い事に」の事なんだよな
あとダーレス的にはクトゥルフは水属性だけど
本家HPLだと奉仕種族は水系だけど
クトゥルフ自体は海によってその力が軽減されてる
と、なってる
現にクトゥルフの影響が顕著なのはルルイエが浮上した時と海辺に住む奴ら
417通常の名無しさんの3倍:2009/03/22(日) 01:17:27 ID:???
>>413

 よくわかんねーけどすげー存在で、起きたら全てが消えるんじゃないかと言われているんだけれど、
 誰にも理解できないほど凄すぎる存在なんで、実際には何が起こるか全くわからない。

 だと思う。
418通常の名無しさんの3倍:2009/03/22(日) 07:18:49 ID:???
>>417
でも「消える」とはっきり書かれてるが。デモベだと
419通常の名無しさんの3倍:2009/03/22(日) 07:47:10 ID:???
【結論】
ニャル様の化身以外の外なる神には勝てない
というか人間の尺度では理解できない
420通常の名無しさんの3倍:2009/03/22(日) 16:59:54 ID:???
デモベ世界だとトラペゾ使って一応勝ってる事になってるけどな
421通常の名無しさんの3倍:2009/03/23(月) 13:14:47 ID:???
勝ったというか封印しただけという取り方もできるけどな。
ニャル様以外は眷属や模造の機械神や
寄り代を使って顕現させたものとしか戦っていないし。
テリオンだって落し子だし。
旧神になった後は解らんけど。
422通常の名無しさんの3倍:2009/03/23(月) 13:29:17 ID:???
化身のズアウィアの状態だとミニサイズの旧支配者みたいな感じはするけどな>照夫
423通常の名無しさんの3倍:2009/03/23(月) 18:12:03 ID:???
>>418
旧神エンドで言われているね。
目覚めたらすべてが終わる。宇宙の中心で眠っている。
この世はすべてうたかたの夢ってあるし。
424通常の名無しさんの3倍:2009/03/23(月) 20:04:17 ID:???
>>420
勝ったというかあの世界からは追い出したって感じじゃね?
だから再び介入するために紅朔使ったって感じ
425通常の名無しさんの3倍:2009/03/23(月) 20:23:40 ID:???
でも一応ニャル様の口から負けを認めてなかったか?
確かエンネアとの会話でそんな事を言ってた気がする
426通常の名無しさんの3倍:2009/03/24(火) 00:56:39 ID:???
まぁ勝っても負けてもいくらでも次があるからどうでもいいんだろうけどね。
ニャルにとって楽しめれば。

九郎らの力は認めてるだろうけど結局はそんな感じだからなぁ……
427通常の名無しさんの3倍:2009/03/24(火) 00:59:18 ID:???
まあナイアは沢山居るから敗北しても問題ないしな
428通常の名無しさんの3倍:2009/03/24(火) 01:04:37 ID:???
自己レス>>426

あ、勝ったら全てが終わるのか。
負け放題でも全然問題ないってのもニャルの余裕を支える大きな理由だろうな。
429通常の名無しさんの3倍:2009/03/24(火) 23:35:32 ID:???
ニャル様にとっては負けも最終的に相手が自爆して破滅させる為の布石に見えないから困る
クトゥグアに森焼かれたのはどうか知らんがw
430通常の名無しさんの3倍:2009/03/25(水) 08:04:21 ID:???
>>429
アズラッド「ニャルの弱点はクトゥグアだな…クトゥグアアアアアアア!」
ニャル「温wwwwwうwwwww御wwwww座wwwwwいwwwwwまwwwwwすwwwwwよwwwwww」

をやるためさ
431通常の名無しさんの3倍:2009/03/25(水) 19:46:24 ID:???
そりゃ神の本体と分霊とじゃパワーに開きがあるし
本物のクトゥグアはまだフォマルハウトで寝てんじゃないの?
432通常の名無しさんの3倍:2009/03/25(水) 19:50:28 ID:???
前にも言った覚えがあるが本物なんて呼んだらあんなのの比じゃないだろうな。
433通常の名無しさんの3倍:2009/03/25(水) 20:04:41 ID:???
クトゥグアの本物を呼ぶとか、ザ・ヒーローかアレフか人修羅か葛葉ライドウでも連れてくるしかないな
434通常の名無しさんの3倍:2009/03/25(水) 20:10:41 ID:???
やっぱツァトグァ様が一番だな
平和に怠惰だし
侵攻と貢物を送れば加護もらえるし
435通常の名無しさんの3倍:2009/03/25(水) 20:51:26 ID:???
侵攻しちゃ駄目だろうw
436通常の名無しさんの3倍:2009/03/25(水) 21:44:09 ID:???
新香?

ツァトグァは漬物が好きなのか?
437通常の名無しさんの3倍:2009/03/26(木) 11:00:14 ID:???
ただし漬物の入った桶ごと食う

で、恩恵は一週間寝込む代わりに(エロスで検閲されました、見たい方はわっふるわっふるとry)
438通常の名無しさんの3倍:2009/03/26(木) 13:03:03 ID:???
わっふるわっふる
439通常の名無しさんの3倍:2009/03/26(木) 18:42:20 ID:???
>エロスで検閲
某エイボンSSを思い出した
440通常の名無しさんの3倍:2009/03/27(金) 16:34:49 ID:???
エロボンの書だと?
441通常の名無しさんの3倍:2009/03/27(金) 21:35:03 ID:???
>>440
エイボンでエロっつったら「ひでぼんの書」に決まってんだろうがこの異常性欲変態落とし仔がぁ!
442通常の名無しさんの3倍:2009/03/28(土) 00:02:20 ID:???
つぁとぅぐぁさん!俺だ!食ってくれ!
443通常の名無しさんの3倍:2009/03/30(月) 12:26:14 ID:???
だが断る
444通常の名無しさんの3倍:2009/03/30(月) 12:28:24 ID:???
クトゥグアを暴走させてクトゥルフの本体を滅ぼした余波で太陽になり太陽系を呑み込むブラックホールになり宇宙オワタになりクトゥグア女が世界を創世する18禁SSなら知ってる。
445通常の名無しさんの3倍:2009/03/30(月) 13:28:47 ID:???
ナイアさんはトラペゾ吸収時の動揺っぷりや、旧神エンドでの苦々しそうな発言を見ると、
九郎達を決して侮ってる訳じゃないと思うがな。
実際ナイアさんの思惑もかなり潰されてるだろうし。

>433
本物読んだら地球がふっとばねえか?
446通常の名無しさんの3倍:2009/03/30(月) 13:48:43 ID:???
>>433
マイナーだが、偽典の主人公はアザトースすら普通に従えてるんだぜ
447通常の名無しさんの3倍:2009/03/30(月) 14:04:03 ID:???
苦労ちゃんと照男を長年の愛着からか愛してたっぽいしね
それを裏切られた女?の心境は如何に
448通常の名無しさんの3倍:2009/03/30(月) 16:30:05 ID:???
君たちを殺してボクも死ぬぅぅぅぅぅぅぅぅうぅ、わけないじゃんwww
449通常の名無しさんの3倍:2009/03/30(月) 19:03:35 ID:???
と、ここでネタバラシ
実はエキストラに到るまで全員ニャル様の化身で
壮大な自作自演でしたとさ
450通常の名無しさんの3倍:2009/03/31(火) 11:35:40 ID:???
大十字九郎 ニャルラトホテプ
アルアジフ ニャルラトホテプ
デモンベイン ニャルラトホテプ
増田照男 ニャルラトホテプ
エセルドレーダ ニャルラトホテプ
ネロ ニャルラトホテプ
エンネア ニャルラトホテプ
ナイア ニャルラトホテプ
製作者 ニャルラトホテプ
ディレクター ニャルラトホテプ
プレイヤー ニャルラトホテプ

俺が、俺達が、ニャルラトホテプだ!
451通常の名無しさんの3倍:2009/03/31(火) 11:41:39 ID:???
あれか、00みたいな無自覚のニャル様って訳か
452通常の名無しさんの3倍:2009/03/31(火) 11:49:06 ID:???
ニャル「ナイアルラトホテップキャノンで倒す」


ニャル「ださいガンダムキター」
ニャル「だせーwww」
ニャル「このダサさは異常」
ニャル「なにやってるんですかニャルさん」
ニャル「ちょwwwネーミングセンスwww」
453通常の名無しさんの3倍:2009/03/31(火) 12:59:40 ID:???
一方で西博士はニャルではなく、ただのキ○ガイであった
454通常の名無しさんの3倍:2009/03/31(火) 19:29:38 ID:???
リボンズドリルと名乗ったデモンベインがあったーー
ダブルドリルライザーと名乗ったデモンベインがあったーー
455通常の名無しさんの3倍:2009/03/31(火) 21:33:26 ID:???
我輩が、我輩達が!ドォーリルであーる!
456通常の名無しさんの3倍:2009/03/31(火) 22:11:47 ID:???
ニャランズ「ニャルラキャノン、行く!!」
457通常の名無しさんの3倍:2009/03/31(火) 23:36:35 ID:???
ニャルナ「ダブルニャルライザー、戦闘に介入する」
458通常の名無しさんの3倍:2009/03/31(火) 23:39:38 ID:???
もう西博士=ノーデンスでも驚かない
459通常の名無しさんの3倍:2009/04/01(水) 01:24:31 ID:???
這い寄れ!ニャル子さん
460通常の名無しさんの3倍:2009/04/01(水) 01:43:48 ID:???
うおおおおおおおおおおおい
種劇場版の公開日決定だとよ
461通常の名無しさんの3倍:2009/04/01(水) 02:09:29 ID:???
>>460
エイプリルフールか?
462通常の名無しさんの3倍:2009/04/01(水) 02:21:14 ID:???
「やる男で学ぶ」がNHKの教育番組としてアニメ化
463通常の名無しさんの3倍:2009/04/01(水) 19:04:30 ID:???
ふと、
デスティニーとアイオーンを融合させて
・バーニア=シャンタク
・アロンダイト=バルザイ
・長距離砲=呪文螺旋
なんつぅ変な電波が来た。邪神様の仕業に違いない。
464通常の名無しさんの3倍:2009/04/01(水) 19:30:39 ID:???
>機神無農薬 オーガニック・デモンベイン
吹いたwwwwww
465通常の名無しさんの3倍:2009/04/01(水) 19:33:53 ID:???
>>463
パルマがないのが何とも
アイオーンには掌から出る技なんてないしなぁ。
466通常の名無しさんの3倍:2009/04/01(水) 20:05:30 ID:???
>>465
サイドストーリーで沙耶もどきにアイオーンが『必滅』の術式を拳で叩き込んでた
467通常の名無しさんの3倍:2009/04/01(水) 20:08:19 ID:???
>>466
勿論それは知ってるが所詮もどきだしな。
技としての名前も無いし、どうかなぁと思った次第……でも他にあるわけでもないし
やっぱりそれが一番かな。
468通常の名無しさんの3倍:2009/04/01(水) 21:42:51 ID:???
あとエドガーのアイオーンはトゲトゲ付きのナックルガードっぽいもんあったな。
術者の気質や力量でその辺変化するんだしシンのアイオーンにはそういうのがあると考えようぜ。
469通常の名無しさんの3倍:2009/04/01(水) 22:12:03 ID:???
バルザイが対艦刀になるのは確実だな
あと頭に血に上りやすいからなぁ、アイオーンだとあっさり自滅しそうでならない
さすがにエドガーみたいに召喚→即ヘリオスはしないと思うが
470通常の名無しさんの3倍:2009/04/02(木) 03:04:23 ID:???
OOの来るべき対話の相手は実はニャル様という電波送って来たの誰ー!?
471通常の名無しさんの3倍:2009/04/02(木) 07:15:17 ID:???
Oガンをニャル様が送り込んでて発見したイオリアがやべーって思ったんですね
472通常の名無しさんの3倍:2009/04/02(木) 10:36:52 ID:???
イオリアが、アルハザードポジション・・・・

いいね!
473通常の名無しさんの3倍:2009/04/02(木) 10:49:34 ID:???
ニャル様の介入に対抗するためにガンダムを残すのか
ハマリ役だな
474通常の名無しさんの3倍:2009/04/02(木) 11:18:27 ID:???
ガンダムになった刹那がニャル様に対抗するんだよ
475通常の名無しさんの3倍:2009/04/02(木) 19:17:26 ID:???
しかしガンダムもニャル様
476通常の名無しさんの3倍:2009/04/02(木) 20:17:23 ID:???
更にOガンがブービートラップの場合を想定して
Oガンに対抗出来る模造品も建造して・・・


第二世代以降のガンダムである
477通常の名無しさんの3倍:2009/04/04(土) 12:57:12 ID:???
>>475
逆にガンダムもニャル様だからこそ、ガンダムでニャル様に対抗できるという。
自作自演どころか、マッチポンプや自分殺しも大好きな変態ですから
ニャル様は。
478通常の名無しさんの3倍:2009/04/04(土) 13:08:41 ID:???
自分自身に裏切られて笑うド変態だからな
479通常の名無しさんの3倍:2009/04/04(土) 17:55:58 ID:???
それは人間のためのガンダムだ…
00では空気のようなキャラを演じた人が言ってました
480通常の名無しさんの3倍:2009/04/04(土) 19:35:40 ID:???
>>479
脳内で録音の「刹那、お前は変われ〜」の台詞がそれに変換された
481通常の名無しさんの3倍:2009/04/07(火) 12:27:41 ID:???
保守
482通常の名無しさんの3倍:2009/04/07(火) 19:21:39 ID:???
ふと飛翔のときにデモンベイン・トゥーソードがこっち側に戻ったときの展開が
一瞬
「あ、悪いけど俺ニャル止めてデモンベインに転職するわ。 後よろしく」
とかやってそうな気がしてならない。

この間夢でさぁ外殻しか召還できない(むしろそっちの方しかできないのはおかしいが)
シンがムリクリインパルスに貼り付けてのアイオーンインパルスなんつぅモノが見えた俺のSAN値は
すでに-修正なんだろう。

一方キラはムラサメに乗っていた。     
483通常の名無しさんの3倍:2009/04/07(火) 20:01:55 ID:???
フリーダムを失った准将は、カガリが裏工作でせっかくムラサメを用意したのに
「ムラサメなんか乗りたくない」と出撃拒否します。そのくせストフリが納入されて
戦線復帰を果たしたら、普通にムラサメにも乗り換え可能という謎仕様です。
484通常の名無しさんの3倍:2009/04/07(火) 21:24:52 ID:???
Kのシナリオはかんべんな!!
485通常の名無しさんの3倍:2009/04/07(火) 22:17:05 ID:???
Kガリさんがアップを始めたようです
486通常の名無しさんの3倍:2009/04/08(水) 00:11:18 ID:???
クラナドは人生
fateは文学
デモンベインは?
487通常の名無しさんの3倍:2009/04/08(水) 00:14:38 ID:???
キチガイ
488通常の名無しさんの3倍:2009/04/08(水) 15:21:50 ID:???
西博士はキチガイ
アウグストゥスは地球皇帝
ティベリウスは腐乱死体
アヌスは肛門
489通常の名無しさんの3倍:2009/04/08(水) 18:49:36 ID:???
そしてティトゥスは"俺より強い奴に会いに征く"
490通常の名無しさんの3倍:2009/04/08(水) 22:00:37 ID:???
>>489の末尾が「イぐ―――!!」に見えた
491通常の名無しさんの3倍:2009/04/08(水) 22:40:46 ID:???
???「(外なる神が世界を侵略しようとしているのに人間はいつまでも人間同士の争いをやめようとしない……)」
???「(こんな星に守る価値があるのだろうか……)」
492通常の名無しさんの3倍:2009/04/08(水) 23:38:40 ID:???
>>491
■■■■■■■■「だからこそ、守る価値があるのだよ」
493通常の名無しさんの3倍:2009/04/09(木) 06:40:57 ID:???
>>491
キ○ガイ「凡人は凡人らしくとっとと最前線で戦って来いであーる。所詮凡人は愚痴る事しか出来ないから困り者である」
494通常の名無しさんの3倍:2009/04/09(木) 09:53:31 ID:???
>>491
なにやってるんだミスト、さぁ出撃だ!!

もういっそアスランや電池の脱かませ犬用にセイバーやアリオスに西博士に来ていただいて
ドリル(GNドリル)をつけるってのはどうだろうか。

495通常の名無しさんの3倍:2009/04/09(木) 12:32:32 ID:???
■■■■■■■■「おっとその流れはなしだ」
????「だが断る」
496通常の名無しさんの3倍:2009/04/09(木) 18:13:52 ID:???
此処まで西博士以外全部ニャル様の自演
497通常の名無しさんの3倍:2009/04/09(木) 22:48:31 ID:???
000ガンダムという電波を受信したのだが。
498通常の名無しさんの3倍:2009/04/09(木) 22:54:58 ID:???
アイン・ソフ・オウルガンダムとな! 無限に存在するガンダム達…
せっちゃんが大喜びだなw
499通常の名無しさんの3倍:2009/04/10(金) 00:26:47 ID:???
??????
500通常の名無しさんの3倍:2009/04/10(金) 01:30:35 ID:???
>>498
「イオリアの理念を実践すれば、人類は革新すると考えたが、敢えなく頓挫してしまった」
「だが、今度は、違う!今度こそ完璧だ!」

こうですか?よくわかります
501通常の名無しさんの3倍:2009/04/10(金) 02:32:17 ID:???
>>494
ハレルヤなら西博士のドリルをこれでもかというぐらい有効に使ってくれそうだ
502通常の名無しさんの3倍:2009/04/10(金) 07:01:23 ID:???
その代わり、アレルヤが心の底から西博士の悪意を感じるんですね?わかります。
503通常の名無しさんの3倍:2009/04/10(金) 08:29:15 ID:???
>>501
ハレルヤ「ハッハッハッハァァ!調子いいじゃねえかこのドリルッ!オラァァ!」
アレルヤ(…ハレルヤ…僕はこれまでにないほど憂鬱だよ…)

こうですね、分かりますん
504通常の名無しさんの3倍:2009/04/10(金) 15:14:30 ID:???
つか、OOガンダムにOライザーでOOOだったはず、公式に。
505通常の名無しさんの3倍:2009/04/10(金) 15:54:54 ID:???
イオリアの正体は刹那だったんだよ!!
506通常の名無しさんの3倍:2009/04/10(金) 21:39:18 ID:???
旧神の再来を願って
祈りを込めて
支援する
507通常の名無しさんの3倍:2009/04/10(金) 22:31:51 ID:???
>>498
俺がガンダムだ
いや俺がガンダムだ
いやいや俺がガンダムだ
いやいやいや俺がガンダムだ
いやいやいやいや俺がガンダムだ
じゃあ俺がガンダムだ

どうぞどうぞ
508通常の名無しさんの3倍:2009/04/10(金) 23:39:29 ID:???
>>505
刹那が九郎ポジションか。
それで最終決戦で破れた刹那が過去の世界に飛ばされ、今度こそ負けないように色々計画を練ったんだな。
そしてその世界ではイオリアの名前を。
509通常の名無しさんの3倍:2009/04/10(金) 23:44:39 ID:???
アルは誰よ、それw
せっさん炉利っ気どころか女っ気も無いから”世界を変える剣”の三位一体が……
510通常の名無しさんの3倍:2009/04/10(金) 23:47:15 ID:???
一目惚れのOガンダム、恋人のエクシア、伴侶のOOガンダム

好きなのを選ぶんだ
511通常の名無しさんの3倍:2009/04/10(金) 23:48:55 ID:???
無難に赤ハロで
512通常の名無しさんの3倍:2009/04/10(金) 23:49:59 ID:???
>509
Oガンダム、エクシア、OOガンダムのどれかを擬人幼女化すれば大丈夫…かな?
513通常の名無しさんの3倍:2009/04/10(金) 23:52:52 ID:???
>>512
エクシアさんはすでに擬人化されてるぞ公式に。
514通常の名無しさんの3倍:2009/04/10(金) 23:59:52 ID:???
おい、お前らがあんまりにも無視するから
貧乏姫がニャル様と取引しちまったじゃねーか
515通常の名無しさんの3倍:2009/04/11(土) 01:42:30 ID:???
>>509

GNドライブの正体は魔道書です。

前世OOに残されていた方のGNドライブが死霊秘本で、これがOガンダムに受け継がれます。

リボンズが奪ったのがナコト写本。

まあ、サジで代役でもいい気が>アル
一応三位一体だし。

516通常の名無しさんの3倍:2009/04/11(土) 01:47:41 ID:???
でもさぁ魔道書がトランザムしたら周り全員発狂して確実にSAN値なくなるぜw
517通常の名無しさんの3倍:2009/04/11(土) 08:41:47 ID:???
発狂じゃなくて裸になります
518通常の名無しさんの3倍:2009/04/11(土) 08:43:01 ID:???
裸になりながら発狂するでFA
519通常の名無しさんの3倍:2009/04/11(土) 09:12:59 ID:???
それどこのSS待機中
520通常の名無しさんの3倍:2009/04/11(土) 19:09:51 ID:???
大丈夫です、これは狂気ではありません。
紳士なだけです。
521通常の名無しさんの3倍:2009/04/11(土) 23:59:14 ID:???
狂気じゃないよ紳士だよ! 狂気だったとしても紳士という名の狂気だよ! ですね、分かります
522通常の名無しさんの3倍:2009/04/12(日) 00:20:37 ID:???
狂気という名の紳士だよ!

だろ
523通常の名無しさんの3倍:2009/04/12(日) 10:19:10 ID:???
板違いであるが

ttp://ga.sbcr.jp/novel/nyaruko/index.html

ニャル様もロリじゃないと駄目だと気づいたようで
524通常の名無しさんの3倍:2009/04/12(日) 11:48:39 ID:???
星の智慧教団の工作だな
525通常の名無しさんの3倍:2009/04/12(日) 14:29:25 ID:???
ロリは日本人の嗜みです
擬人化も日本人の(ry
526通常の名無しさんの3倍:2009/04/12(日) 17:04:39 ID:???
>>523
それはもうボークスのドールが通過した道だ
ttp://www.volks.co.jp/jp/la/charactors/nyarlathotep/nyarlathotep.html
527通常の名無しさんの3倍:2009/04/12(日) 18:33:50 ID:???
……( ・ω・)
……( ・ω・)
……(・ω・)
……(゜∀。)
528通常の名無しさんの3倍:2009/04/12(日) 18:44:43 ID:???
ナンマイダー
529通常の名無しさんの3倍:2009/04/12(日) 19:02:21 ID:???
まぁニャル様だからしょうがないよな。

きっとマユが死んだときに泣き叫ぶシンの所にも目が三つあるようなネズミが現れてる世界もあるさ。
530通常の名無しさんの3倍:2009/04/12(日) 19:17:58 ID:???
>>529
なにそのエドガーフラグ
531通常の名無しさんの3倍:2009/04/12(日) 19:37:27 ID:???
「なんで、なんでこんな……」
「……憎いかい?」
「……え?」
泣きじゃくっていた少年が顔を上げる。
その目に入った物は。
「三つ目の……ネズミ?」
「なんだい、そんなに驚いて……憎いかい? その子を殺した奴が。君の家族を死なせた国が。何よりも、無力な自分が」
「……にくい。にくいよ……」
「そうかい。……欲しいかい? 力が。憎い物を全部殺せる力が欲しいかい?」
「……欲しい。持ってるの……?」
「持ってるとも……欲しいなら、あ げ る よ 」

こんな感じか
532通常の名無しさんの3倍:2009/04/12(日) 19:44:35 ID:???
だけどニャル様介入中にデモベ本編が起きてしまい、シン・エドガー化フラグは折られてしまい、結局また主役を奪われる。

というものが見えた。
533通常の名無しさんの3倍:2009/04/12(日) 20:10:09 ID:???
それはそれで悲惨すぐる
534通常の名無しさんの3倍:2009/04/12(日) 20:14:22 ID:???
エドガーになっても悲惨なことには変わらないけどな。
535通常の名無しさんの3倍:2009/04/12(日) 21:39:00 ID:???
シンにはマギウス適性がなかったが
マユには大導師級の適正があり
シンに無理矢理外道の業を使わせるために
腕を?いで、マユの腕をくっつけるニャル様

ここまですればシンがよりいっそう狂ってくれるに違いない
特に自分の死=マユ(の腕)消失だと刷り込んでやれば……
536通常の名無しさんの3倍:2009/04/12(日) 21:57:39 ID:???
なにそのどこぞのHFルートの正義の味方w
それにニャル様はある程度のレベルなら魔術適正を後付けできんじゃないの?
537通常の名無しさんの3倍:2009/04/12(日) 22:15:23 ID:9ZGsXrbI
538通常の名無しさんの3倍:2009/04/12(日) 22:27:09 ID:???
>>536
いくら瘴気に耐性があるって言ってもただの子供だったエドガーに大人化+照男相手に無限の戦いを繰り広げられる天賦の才を付けられるからな
邪神って基本的に規定外だしニャルは更に規定外だからシンに才能が無くてもシンを作り直して才能付加とかやっちゃうんじゃないだろうか
539通常の名無しさんの3倍:2009/04/12(日) 22:44:54 ID:???
どっかの平成ライダーにもそんなのが居たなw
540通常の名無しさんの3倍:2009/04/12(日) 23:40:36 ID:???
>>523
クイーンズゲイトを買ってしまった俺は、きっと、ニトロ+というニャル様に踊らされているのだろう・・・

おのれ、ニトロプラス!
541通常の名無しさんの3倍:2009/04/13(月) 01:01:26 ID:???
最近、カオスフレアのセッションで、シンモデルのキャラ作成して邪神群と戦い抜く話やったわ
542通常の名無しさんの3倍:2009/04/13(月) 09:51:57 ID:???
スフレの住人が此処にも
543通常の名無しさんの3倍:2009/04/13(月) 20:07:22 ID:???
ニャル様かわいいよニャル様
544通常の名無しさんの3倍:2009/04/14(火) 01:13:02 ID:???
スフレは旧版だとミリティア/協力者でピンクの携帯がマーキュリーの聖戦士はデフォだったなぁ。
星詠み這い寄る混沌でフラグ建てに頑張ったぜ!
545通常の名無しさんの3倍:2009/04/15(水) 11:51:01 ID:???
>スフレ
種割れもあるよ
546通常の名無しさんの3倍:2009/04/15(水) 15:10:03 ID:???
スフレで運命完全再現しようたら、いつの間にかMSじゃなくてMHになっていた…
アニメ春姫同乗させて大型斬艦刀を片手でブン回せる仕様にしたぜ
547通常の名無しさんの3倍:2009/04/15(水) 15:51:59 ID:???
SCだとトランザムやツインドライブもあるぞw
548通常の名無しさんの3倍:2009/04/16(木) 00:03:37 ID:???
>>523
ラノベルールだとネタばれ解禁なんで


まさか最後は大十字夫妻に対抗しての宣言ですか
549通常の名無しさんの3倍:2009/04/16(木) 06:39:53 ID:???
何気にマクロスネタがある件
今回のニャル様は実にネタが豊富ですね
550通常の名無しさんの3倍:2009/04/16(木) 13:07:08 ID:???
とりあえずシンちゃんにですもどぅす支給してくる。
551通常の名無しさんの3倍:2009/04/16(木) 16:58:17 ID:???
PC1:シン・アスカ
PC2:キラ・ヤマト
PC3:大十字九郎
PC4:西博士
PC5:にゃる様
ダスクフレア:蘇ったラウ・ル・クルーゼ

うむ、何ら問題無し


PC6:友情出演ボン太くん
552通常の名無しさんの3倍:2009/04/17(金) 19:17:30 ID:???
     ____
   /__.))ノヽ
   .|ミ.l _ ・._ i.)
  (^'ミ/.´・ .〈・ リ
  .しi   r、_) |  魔導書はわしが育てた
    |  `ニニ' /
   ノ `ー―i´
553通常の名無しさんの3倍:2009/04/17(金) 19:22:11 ID:???
OOガンダムのGNソードUがロイガー・ツァールに見えてくる。
デモベ:ブーメラン
OO:ランサー
なのに

少し寝る
554通常の名無しさんの3倍:2009/04/18(土) 07:54:40 ID:???
>>551
とりあえずPC5に宿命表7番は必須ですよね
555通常の名無しさんの3倍:2009/04/19(日) 17:28:01 ID:???
ふと思ったけど、このスレには職人様が少ないのは何故だろう?
556通常の名無しさんの3倍:2009/04/19(日) 17:43:44 ID:???
一時期は沢山いたけどな
なんか衰退した
557通常の名無しさんの3倍:2009/04/19(日) 17:45:02 ID:???
お侍さんまだかなぁ
558通常の名無しさんの3倍:2009/04/19(日) 17:48:24 ID:???
デモベは飛翔以降進展はないし
種は00で命脈は絶たれたし

00の劇場版が終わったらネタ的にデモベと相性が良いし
デモンベインを混ぜるスレでも立ちそうであるが
559通常の名無しさんの3倍:2009/04/19(日) 17:58:16 ID:???
つーか次スレから00も含めるスレにすりゃいいじゃん
タイトルも少し変えて
560通常の名無しさんの3倍:2009/04/19(日) 19:16:18 ID:???
もっと裾野を広げて、ガンダム&デモベにしたほうがネタが増えるかもな
561通常の名無しさんの3倍:2009/04/19(日) 19:28:25 ID:???
でもUCとXはNTいるからな…彼らには邪神の神気は致死量をぶっちぎった毒薬だし。
Gだと「邪神?そんなもん知ったことかぁぁぁ!!!」で終わりそうだがwww
562通常の名無しさんの3倍:2009/04/19(日) 19:37:34 ID:???
OOの超兵開発にエセ紳士関わってそうだな
563通常の名無しさんの3倍:2009/04/19(日) 19:57:50 ID:???
ソーマとハレルヤがメタトロン&サンダルフォンになるのか

デビルガンダムが対邪神用戦闘兵器になりそうで困る
564通常の名無しさんの3倍:2009/04/19(日) 20:13:01 ID:???
>>Gガン
シャッフル同盟の本来の役目が邪神退治なんですね。わかります
565通常の名無しさんの3倍:2009/04/19(日) 20:14:09 ID:???
歴史の影から世界を支えてきたのだから間違いないなw
566通常の名無しさんの3倍:2009/04/19(日) 20:40:03 ID:???
教授とタッグを組む師匠
ドモン(ゴッドガンダム)と九朗(デモンベイン)の爆熱ゴッド・インパクト
567通常の名無しさんの3倍:2009/04/19(日) 20:56:44 ID:???
真マジンガーもループ説あるし主人公ロボが生身にブッ飛ばされるし

今川版デモンベインが何か見えてk
568通常の名無しさんの3倍:2009/04/19(日) 20:57:32 ID:???
完結目前で予算が尽きるわけですね、分かります
569通常の名無しさんの3倍:2009/04/19(日) 21:16:11 ID:???
やべぇすごい見てみたいwww
570通常の名無しさんの3倍:2009/04/19(日) 21:27:23 ID:???
シャッフル同盟に『カラバ神拳』の使い手とかいそうだなwww
571通常の名無しさんの3倍:2009/04/19(日) 21:41:57 ID:???
>>560
いっそガンダムvsニトロとか
572通常の名無しさんの3倍:2009/04/19(日) 22:35:18 ID:???
>>550
シンにですぅを支給してくるに見えた
573通常の名無しさんの3倍:2009/04/19(日) 22:36:40 ID:???
ニトロ側は対人戦力は豊富(ファントム等)だがデカブツ専門が少ないな。
デモベとブラスレイターくらいか?
574通常の名無しさんの3倍:2009/04/19(日) 22:37:46 ID:???
>>571
そこに秘神黙示ネクロノームも追加してみる
575通常の名無しさんの3倍:2009/04/19(日) 22:44:07 ID:???
たしかにニトロ側はデカブツは少ないがデモンベインは一機とは限らず更に西博士が居るし


へたするとガンダム側のほうが監督のよしみで伝説巨人を持ちださないとバランスが取れなかったり
576通常の名無しさんの3倍:2009/04/19(日) 22:44:28 ID:???
>>572
その組み合わせは大変魅力的だな、スレ違いなのが惜しいw
577通常の名無しさんの3倍:2009/04/19(日) 22:45:59 ID:???
>>575
つまり逆襲のギガンティス参戦ですね分かります
578通常の名無しさんの3倍:2009/04/19(日) 22:46:09 ID:???
伝説巨神だった・・・
579通常の名無しさんの3倍:2009/04/19(日) 22:50:34 ID:???
ちょっと待って欲しい、この場合の「VS」は東映まんが祭り的な意味だぞ勿論
580通常の名無しさんの3倍:2009/04/20(月) 17:08:43 ID:???
バックで握手を組むクロックネームファントムとデビルコロニーガンダムですねわかります!
581通常の名無しさんの3倍:2009/04/20(月) 19:48:58 ID:???
クロックネームってなんだ。

もういっそ、種世界に大十時九郎とタイタス・クロウを呼べば邪神勢力と
バランスを取れると思うんだ。
582通常の名無しさんの3倍:2009/04/20(月) 19:59:55 ID:???
無理無理
イスの偉大なる先行種族とか絶対勝てねぇw
そうじゃなくても外なる神を倒したり封印したりとか実質不可能なんだぞ
アザトース起きたら全部消える\(^o^)/
583通常の名無しさんの3倍:2009/04/20(月) 20:08:32 ID:???
>>582
イスの偉大なる種族はそんなに強くなくね?
安全に暮らせる所探して精神投影ばっかりやってるし
584通常の名無しさんの3倍:2009/04/20(月) 20:46:47 ID:???
基本は戦争をしたりとかしない種族だしな
手を出さなければ安全
585通常の名無しさんの3倍:2009/04/21(火) 00:37:43 ID:???
>>582
なに、邪聖剣ネクロマンサーがあれば楽勝さ
586通常の名無しさんの3倍:2009/04/21(火) 00:55:18 ID:???
>>583
ありとあらゆる知識を持ってるから、他の種族が強ければ強いほど凄い事になるぞ。
全ての魔導書の知識持ってても不思議じゃない。ガンダムとクロスオーバーさせればMSの知識もある。

でもイスの大いなる種族ってどっちかっつーと人間側、というか彼らもまた人間だよな。
普通に味方になりそうだ。
587通常の名無しさんの3倍:2009/04/21(火) 01:43:45 ID:???
でも正体知られるのを非常に嫌ってる所があるからな
自分たちについて調べられた資料を
相手の人間の身体を乗っ取って焼却処分したりとか
588通常の名無しさんの3倍:2009/04/21(火) 01:50:05 ID:???
>>586
確かにかなりの知識は持ってるだろうけど、全ての魔導書とかMSの知識はありえんだろw
そんなに力があるのなら他の種族なんて蹴散らせるはずだしね
イスはあんまり自分たち以外のことには関わりたがらないからよっぽどのことがない限り
味方ってのは難しいんじゃない?
589通常の名無しさんの3倍:2009/04/21(火) 02:06:41 ID:???
イスの種族=タクしゃん
590通常の名無しさんの3倍:2009/04/21(火) 02:14:39 ID:???
>>589
まてまてw
それじゃぁ、イスの種族ってのは「フヒヒッw」とか「○○は俺の嫁!異論は認めない」
とか呟いてるってのか?
591通常の名無しさんの3倍:2009/04/21(火) 02:18:02 ID:???
「ちょwwっをまwwwwアルたんは俺の嫁だしwwwww」
「ふひひwwwwサーセンwwwww瑠璃たんのボインは俺のですからwwwwww」


とか語り合ってるイスの種族か・・・・・・・あれ、意外とよくねwww?
592通常の名無しさんの3倍:2009/04/21(火) 02:20:42 ID:???
タクの妄想力は伊達じゃない!
593通常の名無しさんの3倍:2009/04/21(火) 06:49:57 ID:???
宇宙が2chとオタで埋め尽くされるのも近いな
594通常の名無しさんの3倍:2009/04/21(火) 07:42:20 ID:???
>>588
全ての魔導書の知識持ってた程度で他の種族に勝てるわけ無いだろjk

そういえば味方といえば、「アーカムそして星の世界へ」だと南極海百合とピンクキノコはミスカトニックと同盟組んでたな。
デモベ世界だとやっぱウミユリ型人型ロボとキノコ型人型ロボに乗ってデモンベインやアンブロシウスと共闘とかするんだろうか。
595通常の名無しさんの3倍:2009/04/21(火) 11:43:11 ID:???
デモンベイン的に、ウミユリは劣化ネクロノーム辺りを繰り出すんじゃね?
魔術・ホラー方面への多大な功績を持つ、元国書刊行会の編集者への敬意で……。
596通常の名無しさんの3倍:2009/04/21(火) 13:16:47 ID:???
>>594
> 全ての魔導書の知識持ってた程度で他の種族に勝てるわけ無いだろjk

全員ロリコンだったら勝てるだろjk
597通常の名無しさんの3倍:2009/04/21(火) 17:37:10 ID:???
ニャル様がヒロインなラノベが出ているらしい件について
598通常の名無しさんの3倍:2009/04/21(火) 17:41:16 ID:???
599通常の名無しさんの3倍:2009/04/21(火) 18:38:40 ID:???
>>581
デモベ世界ならタイタスも鬼械神持ってるんだろうなぁ
本は水神クタアトが似合いそうだがゲッター3は召喚せんだろうな……
600通常の名無しさんの3倍:2009/04/21(火) 18:47:27 ID:???
タイタスは九郎ちゃんのモデルだと(ry
601通常の名無しさんの3倍:2009/04/21(火) 18:49:19 ID:???
知ってるがなそんなこと(´・ω・`)
ただまぁ想像したら面白いじゃないか
602通常の名無しさんの3倍:2009/04/21(火) 18:51:10 ID:???
タイタスって見た目は30代だけど実際は50代だよな?
鋼造のような感じかもな、デモベ版タイタス(九郎ちゃんは別として)

つまり魔導書はリトル・エイダ、嫁は女神、機械神は獅子&無限の心臓装備デモンベイン…なんというチート
603通常の名無しさんの3倍:2009/04/21(火) 19:15:40 ID:???
大十字九郎VSタイタス・クロウ(東映漫画祭風味)なSSどっかで読んだんだがあれはどこだったか…
604通常の名無しさんの3倍:2009/04/21(火) 20:14:01 ID:???
そういえばタイタスってド・マリニー装備してたよな?
605通常の名無しさんの3倍:2009/04/21(火) 20:16:37 ID:???
そもそも相棒の名前から来てるしな。>ド・マリニーの時計
まぁタイタスの用いるそれは時間制御というよりかは次元航行の為のアーティファクトなんだが
606通常の名無しさんの3倍:2009/04/22(水) 01:03:30 ID:???
>>602
一度、死にかけてと言うか、死んで、異世界のロボットに再生してもらったという
オマケに嫁まで作っちゃってさ・・・相棒のアンリ涙目・・・・
607通常の名無しさんの3倍:2009/04/22(水) 22:14:53 ID:???
ところでこのスレ的に装甲悪鬼村正はどうよ?
608通常の名無しさんの3倍:2009/04/22(水) 22:52:21 ID:???
まだ発売もしてないのに…
ネタ的には十分いけると思うけどなぁ
侍繋がりでティトゥスとか爺とかブシドーとか
609通常の名無しさんの3倍:2009/04/24(金) 12:36:01 ID:???
干し湯
610通常の名無しさんの3倍:2009/04/24(金) 21:16:24 ID:???
>>603
kwsk
611通常の名無しさんの3倍:2009/04/25(土) 12:44:43 ID:???
>>603
arcadiaにあったやつ?
THE VIKINGS STONEとかいう名前だった気がするけど。
612種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/04/26(日) 01:55:10 ID:???
「ステラ……」
 ミネルバの医務室でベッドに眠るステラを、シンは痛ましげな顔で見つめていた。
 少女の手足はしばらくは拘束されていたが、今はもうそれらは取り払われている。だがそれは
敵対心がなくなったというわけではなく、エクステンデッドとしての調整を受けられなくなったステラが
衰弱しているためだ。
 ステラの身体は少しずつではあるが細胞の崩壊が始まっている。最初の頃は目を覚ますたびに暴れていたが
肉体を蝕む苦痛と疲労にその気力は徐々に失われ、数日たった今ではそんな余力もない。
 点滴や医療器具のチューブを体中につながれ、口元にマスクを付けられた姿は、重病人以外の何者でもない。
医師達が出来うる限りの処置を施すも焼け石に水。心なしか眠っているこの時ですら、その表情は苦しみに
歪んでいるように見える。
 そして彼女に、もはや自分や友人たちの記憶はない。
「ステラ……」
 シンは赤服の懐から取り出したものを、静かにステラの枕元に置いた。
 小瓶の中に収められた、小さな貝殻──ディオキアでステラがシンに送ったものだ。
「ごめんな……俺、君を守るって約束したのに」
 守ると誓った相手と、今まで自分は戦っていた。挙句彼女をその手にかけそうになり、今もまた
危険な状況に巻き込んでいる。
「しかも俺、スティングやアウルとも戦わなきゃいけない……」
 現在ミネルバは増援艦隊と合流し、クレタ沖へと進路を取っている。その目的は、再度進軍してきた
連合及びオーブ艦隊の撃破。前回の用にエスコート途中の遭遇戦ではなく、双方準備万端、真正面からの艦隊戦だ。
 その中にはおそらく、カオスとアビス──彼女の兄弟同然の存在であり、自分達の友人である
スティングとアウルもいるだろうことに、シンは暗鬱とした苦悩を感じずにはいられない。
 戦わずにすむなどという選択肢はない。自分はザフトの兵士で、そして彼らは連合の兵士なのだから。
 互いに、敵なのだから。スティングもアウルも──そしてもちろん、ステラも。
「くっ……!」
 目覚めないステラの寝顔から目を逸らし、シンは医務室から退出した。
613種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/04/26(日) 01:57:38 ID:???
「なあスティング、ここって前に何かいなかったっけ?」
 アビスとカオスが格納されたドック。そこに不自然に空いた一機分ほどの余剰スペースに目を向け、
機体に乗り込もうとしたアウルはスティングに問いかけた。
「……なんでいきなりんなこと訊くんだ?」
「いや、なんかあそこにあったような気がして……それでまたいつもの落ち着かないっていうか、
 頭ん中がザラザラするみたいな感じがしてさ……イライラすんだよ」
 前回の調整から目覚めてから、アウルは頭の中でノイズが走るような感覚を頻繁に感じていた。鬱陶しい上に
不快感があり、原因がわからないのもあり苛立ちばかりが募る。
「科学者連中、なにか調整しくじってんじゃねえかな?」
「気のせいだろ。俺も調整受けてるが、なんともないぜ」
 言葉どおり平然としているスティングに、アウルは憮然とした顔を向ける。
「なんなんだろ、ヤな感じだな……まあいいや。思いっきり暴れて気晴らししてやる」
「はしゃぐのはいいが、言ったとおり……」
「分かってるよ、ミネルバに手を出さなきゃいいんだろ? ちゃんと守るよ」
 時と場合によるけど──と内心でぼやきつつ、アウルはアビスに乗り込んだ。
「あの艦には散々な目に合わされてるんだ。このまま泣き寝入りなんでゴメン──!」
 再び走ったノイズ。今回はやけに強く感じた。不快感にアウルの表情が歪む。
「ウッゼェなぁ……! なんなんだよ、チクショウ……ッ!」
 吐き捨てながら、アビスを起動させて出撃するアウル。
 アウルは気づかない。記憶を描くキャンパスに塗り固められた白い絵具の下に、友と呼べる者達と遊ぶ
自身の絵があることを。
 ──そして苛立ちによる心の揺れが、そのキャンパスにも伝わっていることに。
614種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/04/26(日) 02:01:52 ID:???
「来たか、シン」
 パイロット控え室に入ってきたシンへ、彼を待っていったアスランは声をかけた。
「アスランさんだけですか?」
「他の皆はもうMSで待機している。あとは俺とお前だけだ……少し、お前と話しておきたいことがあってな」
 少しだけ表情を引き締め、アスランはシンに告げる。
「あのエクステンデッド──お前の友人と、フリーダムについてだ」
 シンの顔が強張る。予想通りの反応。
「今回の戦いもオーブ艦隊がいる以上、またフリーダム達が介入してくる可能性は大きいだろう。
 そして連合からは、ほぼ確実にカオスとアビスが出てくる……その時、お前はどうするつもりだ?」
「どうする、って……」
「倒せるのか? 今のお前に彼らとフリーダムを」
 遠慮のない言葉で、率直に告げる。シンは顔を強張らせ、次いで睨みつけるような目をこちらに向ける。
しかしそこから口を開こうとして、言葉を発することが出来ずそのまま押し黙ってしまう。
 アスランには確信があった──今の今のシンではフリーダム相手に仇を討つことも、
そしてエクステンデッドを討つ事もできないだろう、と。
 今のシンではフリーダム相手に全力を出せないだろう。戦いによって生まれる奪う者と奪われる者の確執。
それが更なる戦いを生み出し、人の心を憎悪に染めていく争いと憎しみの連鎖、その末路──
それを知ってしまったシンは仇討ち、そして戦いという行動そのものに対し悩み、迷っている。
 そこに追い討ちをかけるかのように、友人との戦場での再開。ただでさえ迷っているというのに、
知らぬとはいえ友人と殺しあっていた──これからも殺し合わねばならないという事実は、重すぎる。
 今のシンはメンタル的に全力を発揮できないどころか、能力を大きく低下させるほど不安定になっている。
この迷いを乗り越えられさえすれば、人間としても兵士としても成長が期待できるが──
(一朝一夕で乗り越えられるものじゃない)
 自身もまたそうだった──故にアスランは、シンの苦悩を理解できる。
 だが、だからこそ──
「……シン、お前に教えておくことがある。フリーダムのパイロット──キラ・ヤマトは、俺の親友だ」
「なっ!?」
 驚愕するシンに、アスランは当然だろうなと思う。
 事情を知らない者にキラのことや自分との関係を明かすのは、これが初めてだ。主な理由は戦いから
離れたがっていた当時のキラを、もう戦いと関わらせないためだった。
 しかしそれだけではなく、シンのようなフリーダムを憎む人間から親友である自分も恨まれるのではないかという
恐怖もあったのではないか──自覚はなかったが、アスランは当時の自分を思い返して思う。
 だがそれでも、だからこそ自分は今シンに伝えなければ鳴らない──シンは知っておくべきだと、
アスランは確信していた。
「月の幼年学校の頃からの友人だった。だが俺達は奇しくも前大戦の戦場で敵味方に分かれて再開し、
 殺しあった。最終的には同じ側について肩を並べることが出来たが……もしかしたら、どちらかがどちらかを
 殺していたかもしれない」
 実際一度は殺したと思ったんだがなと、自嘲気味に笑う。シンは困惑の表情で、言いたいことがあるのに
言えないといった様子だ。
615種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/04/26(日) 02:06:32 ID:???
「どうして今になってそんなことを……っていう顔だな」
 表情から言いたいことを読み取り、アスランはその顔から感情を消した。
「シン。キラは、俺が倒す」
「っ!?」
「オーブに剣を向けたアークエンジェル、そしてキラ・ヤマトが駆るフリーダムの抹殺。それが俺に……
 アレックス・ディノに与えられた任務だ」
 シンは驚愕に次ぐ驚愕に目を見開き、震える口元からなんとか言葉を紡ぐ。
「どうして……どうして、あなたは……」
「どうして親友に迷わず剣を向けられるのか、か?」
 シンの視線を、アスランは真っ向から受け止める。
 友に剣を向ける──それは今シンの最も重い苦悩の一つだ。だから今それを成そうとするアスランを、
シンは理解できないのだろう。
「簡単なことだ。俺には、それ以上に大事なものが──守るべき人がいる」
「守るべき人……カガリ・ユラ・アスハ……?」
「そうだ。俺は、彼女のために戦うと決めた。彼女と同じ道を歩み、彼女が道に迷うなら導き……そして
 彼女の道を阻もうとする存在があるなら、全て叩き潰す。たとえそれが、かつての親友であろうともだ」
 全てはカガリのために──それが根本にあるからこそ、自分は戦える。どんなことがあろうとも、
他人には身勝手なエゴと見られようとも、それだけは絶対に変わらない。譲らない。
 まったく迷わないとは言えない。だがたった一つの信じるものために、迷いを振り払う事は出来る。
「……シン。お前にとって一番大切なものはなんだ?」
「え……」
「今のお前が何よりも、一番成し遂げたいと思うことだ。フリーダムを倒して仇を討つ事か? それとも。
 あのステラという娘や、連合にいる友人たちを助ける事か? ──今のお前に、絶対に譲れない何かはあるか?」
 アスランの問いに、シンは答えない。答えようとして、何も口から出てこない。それがもどかしいのか、
握った拳や身体をかすかに震わせている。
 答えられないだろうな──と、アスランは苦笑した。
「……やっぱり、お前はよく似ている」
「え?」
 顔を上げるシンを、懐かしさと悲しみが入り混じったような笑みでアスランは見た。
「キラと戦っていた頃……友と戦うことや、何のために戦うのか迷っていた俺に」
 いつからだろう。シンの姿に、かつての自分を重ねるようになったのは。
 容姿はもちろん、生まれも性格も考え方もまるで違うのに、何故かその一挙一動が気がかりだった。
 今なら分かる──シンの姿は、本当に自分によく似ている。見た目や性格ではなく、その境遇や気持ちが。
 家族を失い、憎しみに駆られ、戦いを選び──生まれるのは後悔と迷いばかり。
自分が何を望み、何のために戦うのかを見失い、その思いが更に自身を追いつめていく。
 そしてその果てに、かけがえのないものを失ってしまう──
「だからシン、お前は──」
『間もなく連合及びオーブ艦隊と接触する! 総員第一種戦闘配備に移行、パイロットはいつでも出られるように!』
 警報と艦長の声に言葉を遮られ、仕方ないとヘルメットを手に取るアスラン。
「話はあとだな……行くぞ!」
 シンの返事を待たず、アスランは控え室から出てセイバーへと走った。
616種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/04/26(日) 02:10:05 ID:???
 クレタ沖に展開した艦隊から、次々とMSが発信していく。
 連合の艦からはダガーLとウィンダム、オーブの艦からはM1アストレイ、ムラサメが飛び立つ。
また一部の連合艦からは水中戦用のディープフォビドゥンや、改良型のフォビドゥンヴォーテクスが
海中へと跳び込んで行く。
 対してザフトは海中の潜水艦からグーンやゾノ、アッシュが出撃、また浮上した艦からはザクやグゥル、
新型空戦MSバビが空へと射出、展開していく。また海上艦の開発をほとんど行なっていないザフトは
親ザフト国家から艦を買い付けており、それらを編成した艦隊からMSを出撃させていく。
「壮観という言葉が相応しい戦場よな……」
 この戦争が始まってから一、二を争う規模となるだろう海戦。空と海に展開する無数のMSを睥睨し、
激しい戦の気配を感じながらティトゥスはコクピットで呟く。
 ティトゥスが駆るのは言わずもがな、オーガアストレイ。しかしその機体は今空を飛んでおらず、
同時に海の中に潜水もしていない。
 オーガアストレイは海面に機体を【立たせ】、スラスターの推力で海上を前方へ疾駆していた。
 装備しているのはフォビドゥンストライカー。だがゲシュマイディッヒ・パンツァーを支えるアームは
機体の左右ではなく下、脚部の方向へと伸びていた。装甲も曲面ではなく平面──ディープフォビドンの
原型機であるフォビドゥンのものに近い形状に変わっている。裏面を足底にピッタリと密着させた状態は、
あたかも靴か下駄を履いているように見える。
 ウォーターストライダーモード──ゲシュマイディッヒ・パンツァーの出力を浮力へと転化し、形状に改良を
加えて海上移動を可能にしたフォビドゥンストライカーの新システムだ。これによりオーガアストレイは
海上でも地上戦に近い感覚で戦うことが出来、海中の敵にもストライカーを通常モードにすれば対応できる。
空の敵相手は少々やりづらいが、空と海でストライカーを付け替える手間を考えれば些細な事だ。
「ウェストとユンに感謝せねばな……しかし」
 呟くティトゥス。有効な装備を獲ながら、その胸中にわだかまっているのは、不満。
 装備が変わり機体の力を引き出せるようになろうとも、自身の力そのものは何ら変わるわけではない。結局は
己の腕が全てを左右するのだ。
「──雑念は捨てねばな」
 小さな、しかしどこか重苦しさがある、昏い呟き。
 両軍どちらからともつかぬ砲撃の音に、戦端が開かれた。大きく前進を始めたMS郡に呼応するように、
ティトゥスは操縦桿を大きく前に倒す。
 オーガアストレイは全てのスラスターを噴かせ、海面に波を立てながら敵陣へと切り込んだ。
617種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/04/26(日) 02:11:55 ID:???
『ねえレイ、もしカオスやアビス……スティングやアウルが来たら──』
「ルナマリア、今はその話をするな。……前方に敵MSの編隊を確認した。援護してくれ」
 不安げなルナの声を遮るように、レイはエールカスタムのスラスターを噴かして多数のウィンダムへ接近する。
 その他のザクがグゥルに乗って飛行する中、単体で飛びかつ高い機動性を持つエールカスタムを見て戸惑いを
見せるウィンダム。その隙を見逃すレイではない。
「戦場で動きを止めるなど、命取り以外の何者でもない!」
 ライフルの三連射が二機のウィンダムを撃ち抜いた。爆発に態勢を崩した一機が、バラージカスタムの
スマートライフルに貫かれて撃墜される。別方向から迫る敵達へ、ブレイズウィザードからミサイルの弾幕が
放たれる。編隊は散開するも数機が直撃を受け海上に堕ち、そうでなくとも四肢や武装を破壊され大きな
ダメージを受ける。
 追撃をかけようとしたところで、幾条ものビームが残った敵機を次々と貫いた。自機の後方から放たれたそれらに
レイが振り向くと、そこにはグゥルに乗ったザクやバビ数機が陣形を組んで展開している。
「他の艦の部隊か……」
 単に援護しようとしたのか、手柄を掠め取ったのか。どちらにせよレイは気にしないが、少々気勢を
削がれた感は否めない。彼らはMSの身振りで軽い礼を示し、そのままエールカスタムを追い抜いて
向かってきた新たな敵隊と交戦に入ろうとする。
 だがその刹那、敵部隊の隙間を縫うように放たれたビームが部隊とエールカスタムを襲った。
「なっ……!?」
 レイは咄嗟に回避するものの、数機のザクやバビが撃墜、または飛行ユニットを破壊されて墜落していく。
 攻撃を仕掛けた張本人は、敵編隊の奥から飛び出した深緑の魔鳥。背中に積んだ二基のポッドから炎を噴き、
高速で駆け抜ける機体が瞬く間に陣形を切り崩す。
「スティング……!」
 魔鳥──カオスはMS形態に姿を変え、スピードを落とさぬままサーベルを構えてエールカスタムに迫る。
 エールカスタムにビームトマホークを抜かせて、レイは迫り来る友の機体を迎え撃った。
618種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/04/26(日) 02:14:12 ID:???
「レイ! ……スティング!」
 エールカスタムとカオスの戦闘が始まったのを、ミネルバの甲板からルナも確認した。
 反射的に彼女はスマートライフルの銃口を掲げ、
(落とすの? あたしが、スティングを?)
 一瞬ルナが躊躇した直後、振動がミネルバを襲いバラージカスタムがよろめく。
『至近距離での魚雷の爆発を確認! 損害は軽微!』
『か、艦長! 敵機接近、浮上してきます!』
『ルナマリア、迎撃を!』
 タリアの言葉が早いか海面が大きく盛り上がり、水飛沫が甲板に飛び散る。その中から跳び出した水色の
MSに、ルナは一瞬アビスの姿を幻視する。
「アウル!? ……違う!」
 現れたのはアビスではなく、連合のフォビドゥンヴォーテクス。水色の機体色と曲面構造の
ゲシュマイディッヒ・パンツァーはアビスに似ているが、バックパックを被った頭部はアビスと似ても似つかない。
「紛らわしいのよ、こいつ!」
 トライデントを構えて迫る敵機へ、ビームガトリング二門を向けるバラージカスタム。高速連射されるビームの
飛礫は、前面に向けたゲシュマイディッヒ・パンツァーによって明後日の方向へと逸れていく。
 トライデントを左肩のシールドで受け止めながら、咄嗟にルナはスマートライフルを大きく前へと突き出した。
フォビドゥンヴォーテクスが前方に展開した二枚の偏向装甲の隙間へ、銃口が入り込み、
「これだけ近ければー!」
 ルナがトリガーを引くと同時に、偏向フィールドの内側で放たれたビームがフォビドゥンヴォーテクスを貫いた。
勢いを失った敵機はそのまま海へと落下、沈んでいく。
 直後新たな水柱が、バラージカスタムの後ろで上がった。また敵かとルナは身構えるが、水柱は壊れた機械や
装甲の破片が混じる、MSが爆発して起きたものだった。それに気づくと同時に、グレーに塗られた
球形のボディを持つMSが浮上してきた。海中の潜水艦から出撃したであろうアッシュだ。
「手伝ってもらっちゃったみたいね」
 バラージカスタムが軽く左手を振ると、答えるようにアッシュが長い爪を持つ腕を掲げ……その機体が、
高速で飛来した実体弾によって貫かれた。一瞬頭を真っ白にしたルナを尻目に、連続する砲撃がミネルバの
装甲を撃つ。
 すぐさま己を取り戻して砲撃が飛んでくる方向を振り向いたルナの眼が、海から覗く二門のレール砲を捉える。
そして海面の向こう側にレール砲を背から生やす、水色の鯨に似たシルエットを視た。
 味方を屠ったその機体──アビスを見たルナは、様々な感情を綯い交ぜにした状態で叫んだ。
「ア、アウル……あんたぁ!」
 アビスと同じ左肩シールドの連装砲を連射するバラージカスタム。炸裂弾の爆発の中、海から跳び出した
アビスはMS形態に変形し、武装をバラージカスタムとミネルバへ向けた。
619種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/04/26(日) 02:18:33 ID:???
 襲い掛かるムラサメに、ライフルを向けるフォースインパルス。しかしビームは旋回するムラサメの側面を
通り過ぎ、逆に放たれたミサイルが直撃しインパルスを揺らす。
 空中で素早く変形、サーベルを抜くムラサメにインパルスも剣を抜く。互いに刃を盾にぶつけ合った最中、
後ろに回りこんだ別のムラサメのミサイルが背中に直撃する。
 衝撃に揺れるシンの視界の先でムラサメが再度変形し急上昇、その直後降下を始めたと思えば頭上から
何発ものビームが降り注ぐ。咄嗟にシールドを掲げるが、フォースシルエットの翼一枚をかすめ
揚力が僅かに低下する。更に後方から迫るもう一機。
「くそ……っ!」
 シンは歯噛みした。何とかしようにも思考が空回り、どう動くか考えるばかりで当の身体はまったく動かない。
こんなに自分は弱かったのかと、自身の不甲斐なさを罵倒する。
 今のシンは敵に対して強く戦意を意識することが出来ない。戦わなければならないとは分かっている。
争いを起こす者達への憤りも、決して消えたわけではない。
 しかしオーブに対しての煮え切らぬ思いと、今も仲間と戦っている二機のガンダムの姿が、シンに一歩を
踏み出すことを躊躇させる。
 オーブのように信念を抱えて戦っている人達、そしてまた己の欲望のみを考えて争いを起こす愚かな人間に
利用され、身体を改造された友人達。
 ──仕方ないから。敵だから。それだけの理由で、俺は彼らを殺さなければいけないのか。
そして残された人間から──ステラから、ガルナハンの人達と同じ憎しみを受けるのか。
 そんな事のために、俺は戦ってきたわけじゃない。
「でも、じゃあ……!」
 ──じゃあ、俺はなんのために戦ってきた──?
 苦悩するその間にも、二機のムラサメはインパルスへと向かってくる。
 万事休すかと思われた中、どこからともなく放たれたビームがムラサメ二機の翼を撃ちぬいた。
 唖然とするシンの目の前を、青い翼を持ったMSが横切る。
「……っ! あ、あいつ……!」
 思考の内に、憎悪という名の劇薬が投じられる。
 自由の名を持つ暴威が再び翼を広げ、大天使を引き連れて戦場へと現れたのだ。
620種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/04/26(日) 02:19:46 ID:???
『キラくん戻って! ラクスさんもバルトフェルド隊長もいない今、迂闊な行動は──』
 機体へ迫る苛烈な攻撃の中、わずかな集中の乱れも命取りとキラはアークエンジェルとの通信を切った。
 ライフルを連射しグゥルを二機連続で破壊。レール砲がウィンダムの四肢を砕く。ビーム砲が
バビの翼を抉り取る。
 ハイマット・フルバーストによる攻撃が、次々に陣営を問わずMSを無力化していく。
「オーブは、こんな戦いを続けてちゃいけない……!」
 悲痛な表情を浮かべながら、キラは敵機を撃ち落すためトリガーを引き続ける。
 先の戦いで連合と合流したオーブ艦隊が、戦力を整えてザフト領域に再侵攻を開始したことを知ったキラは、
ラクスがいない今下手に動くべきでないというマリューたちの意見を退け、フリーダムで出撃した。
 強引に出て来た自分に、なし崩し的について来てくれたマリュー達には悪いと思う。
だが、それでも自分はこの戦いを止めねばならない。
「僕達は、誰にも死んで欲しくないだけなんだ!」
 無駄な戦いで人が死ぬ。オーブが望まれぬ戦いに巻き込まれれば、カガリが悲しむ。
 ──ラクスはそんなこと望まない。だから、僕が止めてみせる。
 攻撃を続けながら、ラクスを思うキラ。その時視界の隅に、フルバーストを必死に回避し続ける機体を
見つける。
 見覚えがある機体。前の戦闘やオーブで自分に迫ったザフトのガンダム──たしか、インパルス。
「おかしいな……?」
 そちらに意識を傾けたキラは、インパルスの動きに首を傾げた。
 これまでと違って、インパルスにはあまりにも覇気がない。無茶とも取れる迷いのない動きはまるで見られず、
ただこちらの攻撃を必死で回避するだけ。それだけでも大した力量だが、危機感すら覚えたあの獣じみた印象は
感じられない。
「けど、戦うっていうなら!」
 翼から展開したビーム砲を発射。大きく回避行動を取ったインパルスに、狙い済ませてレール砲を撃ち込む。
 手元を掠めた高速弾に弾かれ、インパルスがシールドを落とす。防御を失ったインパルスにフリーダムが
ライフルを向ける。
 連射して四肢を破壊しようとしたその時、不意に感じた悪寒にキラが視線を上げた。上方から迫る
高出力ビームを、急速で回避。フリーダムの後方にいたウィンダムが、奔流に巻き込まれて爆発する。
 攻撃してきたのは長いニ門の砲身を掲げた、流線型の赤い機体──ザフトのセイバー。
「あれは……アスランなのか!?」
 砲身を背に戻して向かってくるセイバーを前に、キラは悲痛な叫びを上げた。
621種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/04/26(日) 02:23:44 ID:???
 ライフルを連射しながら、セイバーがフリーダムに肉薄する。ビームを素早く避け、
ビームサーベルを引き抜くフリーダム。
「今のキラはコクピットは狙わない……攻撃手段を奪いにくる!」
 そう確信していたアスランはライフルを突き出すような形で、更にフリーダムへと迫る。フリーダムの
振るったサーベルがライフルの銃身を切り裂いた刹那、セイバーは素早くフリーダムの懐に入り正面から
掴みかかった。
「キラ、もう止めろ!」
 通信が接触回線でフリーダムと繋がった直後、アスランは激情のままに叫びを上げた。セイバーのスラスターが
火を噴き、二機は態勢を崩しながら落下を始める。
『やっぱりアスラン! どうして君がザフトに戻って、こんなところに!』
「それはこちらの台詞だ! お前は、自分が何をしているのか分かっているのか!?」
 フリーダムがセイバーを無理矢理引き離し、態勢を立て直して上昇する。セイバーもまたフリーダムを追いかける。
 先ほど接触した間になんとか解析した通信コードをあわせ、アスランはキラへ叫ぶ。
「何故お前たちだけで勝手なことをした!? 何故カガリに手を貸してやらない! でなければ、ザフトにだって!」
『だってカガリは、オーブは連合と手を結んでしまったじゃないか! ザフトだって偽者のラクスを使って
 皆を騙して……今のカガリに協力は出来ないし、あのデュランダル議長って人は信用できない!』
「だからといってラクスを担ぎ出して、戦場に乱入していい理由にはならない! お前達の行動でどれだけの
 被害が出ていると思っている!? 俺の乗っている船……ミネルバだって、お前の攻撃で何人もの
 犠牲が出た!」
 セイバーが両手でサーベルを抜き放ち、フリーダムへと駆ける。フリーダムも二本のサーベルを連結し、
二機のMSが空中で剣戟を交わす。
『僕達だって撃ちたいわけじゃじゃない! けどオーブは連合と組んで戦いに出て、それをザフトは
 討とうとしてる! 僕達は、オーブを討たせたくなんかない!』
「そのためなら、邪魔するものは全て討っても構わないとでもいうつもりか!」
 片や双剣を、片や両剣を振るう二機のMS。鋭い斬撃の応酬と、盾による防御をまじえたギリギリの回避を
幾度となく繰り返す。その様はまるで、非常に高い完成度を誇る複雑な殺陣のようだ。
「今すべき事は、一刻も早くこの戦争そのものを終わらせることだ! 確かにそこに至るまでの戦いで
 犠牲は避けられない! だが戦争自体が終わらなければ戦場の数も、戦いの犠牲になる人間の数も減りはしない!
 仮にこの場での犠牲を少なく出来たとしても、戦争が終わらない限りオーブは戦いを止められない……
 お前達の行動が戦争を長引かせ、結局はオーブに害をなすことだとどうして分からない!?」
 全身全霊で叫ぶアスラン。だが、そのアスランの叫びに、
『……分かるけど……君の言うことも分かるけど……!』
 キラはまるで懇願するような、泣きそうな声色で叫び返した。

『それでも、それでもラクスはそれじゃダメなんだって……それでも僕達は、オーブを討たせたくないんだ!
 君だって、きっとカガリだって、本当はそう思ってるだろう!
 なのになんで、君もカガリも分かってくれないんだ!』

 アスランの思考はその時、一瞬だけ完全に止まった。
「……お前が、それを言うのか」
 失望の空虚さが、アスランの心の内を支配し──直後、憤怒の炎が一瞬にして大きく燃え上がる。
「お前が……今のお前が、カガリのことを分かった風に語るなぁぁぁ!」
 ──アスランの中にあった翠玉色の『種』が、轟々と燃える炎に炙られて弾けた。
622種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/04/26(日) 02:26:01 ID:???
 振り上げられた両剣の柄を、高速で振るわれたセイバーの横一線が捉えた。連結した柄の片方が爆発を起こし、
フリーダムがよろめく。
『えっ!?』
 キラの驚愕の声が通信機から聞こえる最中も、アスランの動きと思考は止まらない。虚ろな目で捉えた
フリーダムへとサーベルを薙ぎ払う。
 均衡を破られたフリーダムは後退してサーベルを回避、ライフルを抜いて連射する。ビームを
ジグザグの軌道でかわしながら、セイバーは凄まじい速さで再びフリーダムとの間合いを詰めた。
「カガリが何をしているか、お前がどれだけ知っている! お前に……好き勝手しているお前に、
 オーブを守るために連合やザフト相手に苦心する彼女の苦しみが、少しでも分かるというのか!」
 連合と同盟を組みながら、ザフトとのパイプを保つ為がどれほどのプレッシャーか。自国の戦力を侵略や
弾圧に使われないため、連日の会議や厳しい交渉をどれだけ重ねているか。連合の内部でそのやり方を批判し、
同志を募る事がどれだけ危険か──カガリのつらさや苦しみを、アスランは理解している。
 ──そのアスランにとってキラの発言は、決して許せるものではなかった。
 放った斬撃を、フリーダムがシールドで受け止めた。咄嗟にこちらに向けてきたライフルを、返す刀で破壊する。
「分かってくれないだと!? それはこっちの台詞だ! お前の行動が、カガリにとってどれだけ負担に
 なっているか考えたことがあるのか!?」
 アークエンジェルとフリーダム──オーブから出現した彼等の行動は、少なからずオーブへと影響を
与えている。
 何故オーブにあんなものがある。どうして存在に気づかなかった。好き勝手されてオーブはただ指を
くわえているだけか。実際はオーブが秘匿していたのではないか──真偽はともかく、そんな誹謗中傷の類は
少なからず各国からオーブに、引いては代表であるカガリへと送られていた。悪意は悪評となり、各国や
ロゴスメンバーとの交渉にも影を落とす結果へと繋がる。
 その風当たりはダーダネルスでの戦いの後更に強くなったと、アスランは聞いていた。
「お前の行動がカガリを、お前の姉を苦しめている! なのにお前は、その責任すら全て彼女に
 押し付けるのか!  それが弟のやることか! どこまで……どこまで傲慢なんだ、お前は!」
『違う! 僕は、僕達は……!』
 あとずさるフリーダムに剣を振るうセイバー。右翼の一つを切り裂かれ態勢を崩しつつ、フリーダムは、
セイバーへ残ったサーベルを抜いて切りかかる。
 向かってくるビーム刃にまったく引かぬまま、セイバーが凄まじい速さで剣を振りぬいた。フリーダムの手首が、
サーベルごと眼下の海へと落下する。
「カガリを追いつめているのはお前だ! お前が……お前が今彼女に涙を流させているんだ! なのにお前は、
 それを知りもしないでっ!」
『……っ! アスラン僕は、僕はそんな……!』
「黙れっっ!」
 双剣を同時に振り下ろす。二本の光刃はフリーダムのシールドで受け止められ──限界を超えたシールドごと、
左腕部を叩き切った。
「カガリを苦しめ続けるというなら……キラ! お前は、俺が──っっ!」
 両腕を失ったフリーダムのコクピット。そこを目掛け、セイバーは双剣の先端を突き出し──
623種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/04/26(日) 02:28:12 ID:???



「それはいけない、いけないなあ。今死んでもらっては困る、非常に困るのだよ」



「──っ!?」
 背に走った悪寒に、アスランは咄嗟に機体を後退させた。
 その直後セイバーとフリーダムの合間に、四方八方から放たれた何本ものビームの軌跡が通り過ぎる。
 アスランが周りを見渡し、そこにあったものに虚ろな目を見開く。
「こいつらは……!?」
 フリーダムとセイバーを囲むように、ダーダネルスで暴れまわった三基のドラグーンが宙を旋回していた。
 ドラグーンが一点へ集ま。何もない宙、その景色が歪んだかと思うと、
「あの機体は……例の魔術師の!」
 四本の足と逆さの上半身を持つ異形の機体──リジェネレイト・サイクラノーシュが、
風景から浮かび上がるようにその姿を表した。





 空に滞空したウィンダムを、海面からフルブーストで跳んだオーガアストレイが一刀両断する。他の敵機が
照準をこちらに向ける間に着水。海面を滑るようにビームの雨をかわしつつ、鎌居太刀・空を放って
有象無象を斬り堕とす。
 オーガアストレイの周囲で海面が弾け、機体が浮き上がる。続けて立ち上った水柱から、オーガアストレイへ
魚雷を放ったフォビドゥンヴォーテクスが跳び出した。
 トライデントを構えるフォビドゥンヴォーテクスへ、オーガアストレイは両手を刀ごと前に出し、
「──斬」
 オーガアストレイと擦れ違うフォビドゥンヴォーテクス──その全身に仄かに赤い無数の切れ目が
走り、エンジンの爆発と同時に細切れとなって藻屑と消える。
 ウェスパシアヌスとの戦いで繰り出した魔剣紅桜。しかしあれから同等の威力を片腕で引き出すことは叶わず、
両腕での連撃を繰り出す事で威力を近づけた不完全な魔剣、紅桜・重による攻撃だ。しかし両手で放ってなお、
その威力はまだ完全な紅桜に及ばない。
「足りぬ……まだ、拙者は──!?」
 不意に感じる、かすかな魔術の臭い。それが急速に大きくなり、戦場へと蔓延していく。
 ザフト軍の方向で、落雷のような轟音が響き渡った。
 海中に潜行していた潜水艦が突然海面から飛び出す。直後その船体が真っ二つに裂け、二度と浮上できぬ
海の底へと再び沈んでいく。
 潜水艦を貫いたのは、海中から生えた巨大な氷の山だった。登頂や表面に鋭く尖った棘を幾つも生やした氷山、
その中腹に生えた一際大きな棘の上に立つ、重装甲の黒い機体。 
 怪異はザフトだけでなく、連合側にも起こっていた。艦隊からやや突出していた駆逐艦の両側面に
二つの巨大竜巻が突然発生。合流し更に大きくなった竜巻の中心に巻きこまれた艦は艦首を九十度上へ持ち上げ、
高速回転しながら風圧と真空波に蹂躙され、引き裂かれていく。
 艦の完全崩壊と同時に竜巻は消え、代わりに装甲を極限まで削ぎ落とした緑色の機体が浮遊していた。
 カラミティ・クラーケンとレイダー・ビヤーキー──現れた二機のMMは、魔術の輝きを
発する両腕を大きく開く。
 水と風を司る外法が、この場に存在する全ての勢力へと無差別にその牙を向けた。
624種死逆十字書き ◆oN23gQHrEc :2009/04/26(日) 03:06:28 ID:???
めっちゃくちゃお待たせしましたこんばんわ。
いろいろ片付けてようやく時間が取れた……と思ったら仕事のシフトが変わったり人が増えたり。
まあ余裕自体は十分あるので、しばらくはそれなりの更新ペースが取れる……といいな‐‐;
実際暫く放置した状態で書こうとしたら筆が遅い遅い……内容も少し忘れてたしorz

アスランブチ切れで覚醒、かと思ったらいらん人達登場の巻。とりあえず戦場はカオス確定。
ティトゥスさんの影の薄さを何とかしようとちょこちょこ強化。されど未だ影薄し。
ザフトの艦戦調べようとしたら、調べたかぎりまともな海上艦の資料ほとんどなくてビックリ。
劇中で何隻か出てたような気がしたんだけど、ありゃ反ロゴス派の船なんだろうか?
とりあえず潜水艦だけじゃ艦隊戦にならないので、ザフト派から買った設定で捏造。
……けど既に艦隊戦どころじゃない惨状だったり(汗)


次回、ウェスパシアヌスキラと接触、良くも悪くも、絆が状況を変える。
決着までいければいいけど、さすがに無理かな。

あとがきだけさるったorz まあ本編を全部載せれただけよしか;
625通常の名無しさんの3倍:2009/04/26(日) 09:14:08 ID:???
凸がマジ覚醒
さすが迷いが無ければ強いな
本編のへたれとは格が違うぜ
しかしここで自由撃墜一歩手前まで行きましたけどシンはどうなるのだろうか?
ステラもステラで危ないし
西博士なら…西博士ならなんとかしてくれる!
626通常の名無しさんの3倍:2009/04/26(日) 13:21:13 ID:???
西博士に出来ないことなんて死者蘇生以外何もない!
627通常の名無しさんの3倍:2009/04/26(日) 18:45:23 ID:???
セイバー大活躍じゃないの。本編で最も不遇だったガンダム故に熱いな。
凸さんどうしたんだよホントwwwww
628通常の名無しさんの3倍:2009/04/27(月) 00:08:30 ID:???
こんなカッコいいアスランはアスランじゃないやいw

それはともかく脱字っぽいもの
>>622
連合と同盟を組みながら、ザフトとのパイプを保つ為が
→連合と同盟を組みながら、ザフトとのパイプを保つ行為が
かな?

629通常の名無しさんの3倍:2009/04/27(月) 12:41:26 ID:???
キラがウェスパシアヌスと邂逅……
いかん、何をどうしようとオモチャにされる運命しか見えねえ。
630通常の名無しさんの3倍:2009/04/27(月) 16:09:24 ID:???
一瞬ニャル様が降臨したのかと思えば似非紳士ご一行かw
しかしここの凸はいい意味で完全に別人すぎるwww

>>627
ある意味正しい構図なんだけどねこれは
核動力とはいえ旧型、基本砲撃特化機の自由と
バッテリーでも最新鋭機、空戦戦闘能力は自由以上のセイバー
同レベルのパイロットが乗って重力下の空戦ならセイバーに分があるハズなんだよ本来は
631通常の名無しさんの3倍:2009/04/27(月) 16:35:41 ID:???
セイバーああ見えてスペックはやたら高いからな。
本編の凸でも全力出し切ればこれぐらいは出来たんだろうさ。
赤いロリコンもそうだが迷いを振り切った奴って強いね。

しかしまぁGJとしかいいようのないクオリティ。
更新が遅くともいつまでも待ってるよー
632通常の名無しさんの3倍:2009/04/27(月) 16:55:51 ID:???
武装もバランス取れてるしいい機体なんだよな
セイバー好きの俺としては活躍してうれしい
633通常の名無しさんの3倍:2009/04/27(月) 20:43:14 ID:???
お久しぶり乙!!
ひょっとしてもう続き見れないのかと絶望しかけていたけれど
祈り続けて待っていた甲斐がありました!!

最近はZやKで散々もう・・・な気分だったしで
本来のアスランと逆十字アスランの差にビックリするやらで
つくづく原作もこうだったらなぁと思わずにおれません
今はただ、ステラがんばれ、アスランがんばれ、シン本当に頑張れ
ティトゥスはマジに頑張って
博士は応援無用でしょうw
続き楽しみに待っています!!
634通常の名無しさんの3倍:2009/04/30(木) 10:23:06 ID:???
お久しぶり&GJです!
こ、こんなにかっこいいアスランを見たのは初めてかもしれん…。すごいかっこいい。
しかし出撃前にシンに何か言いかけた時に言い切れないとは…。死亡フラグじゃない事を心から願うばかりです。
頼むから生き延びてくれ!

ではこれからも更新遅くても楽しみに待っています。
635通常の名無しさんの3倍:2009/05/02(土) 12:54:24 ID:???
保守
636通常の名無しさんの3倍:2009/05/05(火) 20:07:56 ID:???
保守
637通常の名無しさんの3倍:2009/05/07(木) 12:47:59 ID:???
保守
638通常の名無しさんの3倍:2009/05/08(金) 10:58:17 ID:???
保守
639種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/05/08(金) 19:34:03 ID:???
「う……あ……」
 振動に揺さぶられ、ステラはゆっくりと目を開けた。
 目覚めたばかりの瞳には、弱められた照明の光も少し痛い。
「先生、機関室から緊急の呼び出しが! 壁が崩れて多数の怪我人が出たと!」
「ええい仕方ない、こちらから治療に向かう! セトナくんはストレッチャーを!
 重体者がいればこちらに運ぶ必要もある!」
「分かりましたぁ!」
「緊急に対応できるよう携帯端末は忘れるな! 各部署にも伝達を──」
 慌しい医療スタッフの声と足音が遠のき、医療器具と船の揺れる音だけが耳に届く。
ステラは無造作に身体を動かそうとして、
「──!?」
 駆け巡った激痛に、声なき悲鳴を上げた。痛みに力が逃げ、身体がベッドに沈み込む。
 まただ。動こうとすると全身を走る痛み。後を引く痛みは身体を動かさずとも不定期に走り、
倦怠感と共に身体を蝕んでいる。
 動く気を完全に削がれ、ステラは再び目を閉じて眠ろうとし──
「……?」
 コツンと肩に当たった硬く小さな感触に、ステラは再び目を開けた。
 肩に何があるのか気になり、最小限の動きで痛みを抑えながら首を傾ける。
「……これ……?」
 目に入ったのは、小さな小瓶。その中にあるのは──

 ──ありがと、■■……じゃあ、これはステラのお返し──
640種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/05/08(金) 19:36:05 ID:???
「あう!」
 小瓶の中にあるものを見たステラの頭の中を、凄まじいノイズが駆け巡った。
 頭痛すら覚えるノイズに紛れ、自分の声や聞き覚えのない声が聞こえ──自分の知らない
顔が、脳裏のイメージに浮かび上がる。
 短い赤髪の少女が発する元気のいい声。同じ赤い髪を二つにまとめた少女のおとなしく優しい声。
金髪を流した少年の冷静で落ち着いた声。
 そして──

 ──大丈夫だ! 君は死なない! 俺が、俺が護るから! 君を絶対に死なせたりしないから──

 こいつらは誰だ。私を知っている……私が知っていたはずのこの人達は、誰だ?
 黒髪に赤い目の、私を守ってくれると言ってくれたこの人は、誰だった!?
「う、っく……!」
 ステラは小瓶を掴もうと手を伸ばした。痛みやノイズに苛まれ、口から呻き声が漏れる。
 それでも小瓶を、そしてその中に収められたモノを掴もうと、必死でステラは手を伸ばす。
 ほんの数秒──しかしステラには何時間にも感じられた痛みとの戦いの末、ようやく手は小瓶へと辿り着いた。
 力の入らない指五本で、なんとか小瓶を持ち上げた、その時。
「……くぁっ、あ!?」
 不意に走った痛みに力加減を間違え、指先から小瓶が滑り落ちた。
 小瓶は転がり、そのままベッドの端へと向かっていく。
「ダメ……ダメ! ダメッ!」
 ステラの叫びも空しく、小瓶はベッドから宙へと跳び出す。
 小瓶の中に収められたモノ──鮮やかな紫に染まった貝殻が、照明の光を弾いて輝く。
 落下していく小瓶が、 ステラの視界から消え──
「あ、あ、ああぁぁぁぁぁぁ──ッ!」
 間もなく耳に届いたガラスの砕け散る音を、頭の中から響くノイズがかき消す。
 ──そのノイズの嵐に抉り取られるように、ステラの記憶の表面が音を立てて剥がれ落ちた。
641種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/05/08(金) 19:38:51 ID:???
 海に足を沈めたカラミティ・クラーケンが、伸縮自在のアナコンダアームを伸ばした。海中に消えた
前腕部は機体の前方数十メートル先の海面から、それぞれの手に胸を貫かれたディープフォビドゥンとともに
姿を現す。
 ディープフォビドゥンが爆発した直後、C・クラーケンの傍に水柱が上がり衝撃と飛沫が装甲を打つ。
海中に展開するアッシュやゾノ、グーンからの魚雷攻撃だ。だが堅牢なC・クラーケンは立て続けに飛来する
魚雷をものともせず、
「雑魚共メ……ヌオオアアァァァァ!」
 カリグラの咆吼と共に、元の長さに戻った両腕が海へ叩きつけられた。腕の触れた海面が凄まじい早さで
凍り付いたかと思うと、そこからMS達へと氷の道が伸びていく。
「ガアアアアア! 串刺しダああああああ!」
 氷の道がMSに達した直後、氷の先端が鋭い氷の棘となって海中に弾けた。棘に貫かれたMSが
爆発し、砕け散る氷が水飛沫と共に吹き上がって光を弾いた。



「ヒャッハア! 久しぶりの大暴れだ! どいつもこいつも細切れにしてやんよぉ!」
 レイダー・ビヤーキーが手を振ると、そこから発生した真空波がグゥルごとザクを真っ二つにする。
 次々とMSを両断していくR・ビヤーキーにバビ部隊が迫った。搭載した無数の火器が火を噴くが、
R・ビヤーキーは踊るように避ける。
「ハッ、ヌルいんだよオニギリ頭ども!」
 ライフルを構えながら、R・ビヤーキーがバビへと駆ける。
「いっちょフリーダムのマネでもしてみっか!」
 一直線に駆けながらR・ビヤーキーは回転を始め、そのままライフルを乱射した。
一見デタラメに見えるビームが次々と、MSの手足や頭を貫いていく。
「……けど、甘ちゃんと一緒じゃオモシロくないよなぁ!」
 急停止したR・ビヤーキーの中で、クラウディウスが舌なめずりする。
「ヒャッハハハハハハ! タマもしっかり取ってボーナスポイントフルゲットだぜ!」
 戦闘能力のなくなったMSのコクピットを撃ち抜くR・ビヤーキーから、クラウディウスの哄笑が響き渡った。
642種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/05/08(金) 19:45:07 ID:???
 R・ビヤーキー、そしてその後方に見えるC・クラーケンを目にしたシンが唇を噛み締める。
「あいつらは……!」
 忘れもしない、オーブをメチャクチャにした機体。邪悪なる魔術師のMM。
 まごうことなき『敵』の存在に一時的ながらも、シンの中でぶれ続けていた戦意が方向性を取り戻した。 
「うおおおおお!」
 ライフルを連射するインパルス。だが凄まじい運動性を持つR・ビヤーキーは軽やかな動きでビームを避ける。
全弾避け切られた時、振り向いたR・ビヤーキーのライフルが既にインパルスへと向けられていた。
「まずっ……!」
『モロバレなんだよ、単純ザコ──がぁ!?』
 ビームが放たれる寸前ライフルの先端に何かが当たる。直後、R・ビヤーキーごとライフルが
下へ引っ張られるように高度を落とした。ぶれた銃口から放たれたビームは明後日の方向へと飛んで行く。
『詰めの甘さは変わらぬな、クラウディウス』
「ティトゥスさん!」
 ライフルに突き立ったアーマーシュナイダー、その柄から伸びたワイヤーを引きながら海面を駆ける
オーガアストレイ。全身のスラスターをフルに使った牽引に、R・ビヤーキーはグイグイと
引っ張られ続ける。
『ナメやがってこのチョンマゲ──っ!?』
 ワイヤーから逃れようとR・ビヤーキーが脚部一体型のスラスターを噴かせた瞬間、オーガアストレイが
急停止をかけた。遠心力と自身の推力に流される形で、R・ビヤーキーがオーガアストレイの頭上を
一瞬で抜けていく。
 すぐさま態勢を立て直そうとブレーキをかけるR・ビヤーキー。だがその眼前に、禍禍しき翼を持つ
黒と金の戦女神が姿を表した。
 ゴールドフレーム天──ロンド・ミナ・サハクの駆るオーブ最強の機体が、右手の攻盾に内蔵された
長い杭状のロケット弾を連射した。
『調子のんなやヌケサクどもがぁ!』
 R・ビヤーキーから突如暴風が吹き上がり、呑み込まれたロケットは推力を失い命中前に爆発する。
 ゴールドフレームが立て続けに攻盾内蔵のライフルをR・ビヤーキーに向けるが、
『ガァァァァァァァァ!』
 ゴールドフレーム直下の海面から、C・クラーケンがその身を表した。胸から放たれた高出力の
ビームを、ギリギリで回避するゴールドフレーム。
643種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/05/08(金) 19:48:26 ID:???
『油断が過ギるぞクラウディウス! ウェスパシアヌスの仕事ガ終わるマで、邪魔されるワけには
 いかなイのを忘れルな!』
『ウッセーデブ! テメェに言われなくても……カリグラァ!』
 海面から身体を出したC・クラーケンへと、オーガアストレイが一直線に迫る。
『斬る!』
『ヌウゥ!』
 肩口の関節を狙い振り下ろされる斬鬼刀。真っ向から迫る刃を、C・クラーケンは掲げた両手の爪で受け止めた。
その状態のままアナコンダアームが打ち出される。伸び続け機体を押し続ける両腕から、オーガアストレイは
もう一方の刀で腕を弾き飛ばして逃れた。
『バーカ、油断してるのはどっちだタコが!』
『う、うるサい!』
 言い争いながらも、クラウディウスとカリグラの攻勢は止まない。多数の戦力を
同時に相手取りながら、乱射されるライフルと振り回されるアームに連合やザフト、オーブの機体は次々と
落とされていく。ティトゥスとミナは善戦しているが、その勢いを止めるには至らない。
 正義も大儀もない、ただの破壊と殺戮を目の前にシンのボルテージが上がっていく。
「あんた等もフリーダムも……ふざけるなぁぁぁぁぁっっ!」
 暴れまわる二機のMMへとインパルスが駆ける。彼らとその後方上空に見えるもう一機のMM、
そしてそれと相対するフリーダムへと、シンは心底からの叫びを上げた。



「あの人達まで……!」
 かつて辛酸を舐めさせられ、今また戦場に死と破壊を撒き散らすMMの姿を見たキラは操縦幹を握りしめる。
 両手を無くしても、フリーダムには四門の火器が残っている。キラは暴虐を止めようと飛び出す。
『おっと待った、ここは待った、ちょっと待ってはくれんかね!』
 ドラグーンが展開し、三門ずつの砲からビームを放った。ビームで網を縫い上げたかのような火線に阻まれ、
フリーダムが動きを止める。
 歯噛みしながら、キラはまずドラグーンへと砲口を向けた。
『短気は損気だぞ、キラ・ヤマト君!』
 キラは声のした後方を振り返る。いつの間に移動したのか、MAがフリーダムの背後を取っていた。
 二本のクローがフリーダムを後ろから羽交い絞めにする。ドラグーンは一旦フリーダムから離れ、
セイバーへ攻撃を集中しこちらへの接近を妨げていた。
『少し落ち着きたまえ。少々、少々お時間を私に取らせてもらえんかね?』
 モニターに老年に達しているあろう男の顔が映る。髭を生やした老紳士──しかしその顔に張り付いた
笑みが妙にうさんくさいと、キラは思った。
『自己紹介しておこう。私はウェスパシアヌス。この世界ではフラウィウス・ウェスパシアヌスとも名乗っている。
 アンチクロスに名を連ねし魔術師だ』
「アンチクロス……じゃあ貴方も、僕やラクスのSEEDを狙っているんですか!?」
『その通り、我々は【SEED】を求めている。正確に言えば現在確認されているSEEDを持つ者──
 君にラクス・クライン嬢、それにアスラン・ザラ君とカガリ・ユラ・アスハ嬢の四人を、だな』
「どうして……貴方達は一体なんなんですか!? SEEDを使って何を!」
『フハハハ! キラ君は分からない、いや知らないか。無理もない、無理もないことだとも!』
 どこか人を小馬鹿した笑い声に、キラはモニターの向こうのウェスパシアヌスを睨みつけた。
644種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/05/08(金) 19:51:56 ID:???
『おっとこれは失礼。まあまず、まずだ……君はSEEDのことを、どこまで知っているかね?』
「それは……」
 キラは答えに詰まる。実際発表された論文以上のことは分からず、マルキオからも重要なことは
何一つ教えてもらっていないのだ。
 その様子を見たウェスパシアヌスが、キラへと告げる。
『知りたいとは思わないかね?』
「え?」
『我々なら君にその答えを、全てを教えてあげることが出来る。例えば──君は実父ユーレン・ヒビキ博士によって
 造られたスーパーコーディネーターだが、君はスーパーコーディネイターになった原因にSEEDがある、
 ということなどをね』
 ユーレン・ヒビキ──キラの本来の父親の名や、スーパーコーディネーターであることを指摘されたこと
以上に驚愕すべき内容をウェスパシアヌスの言の中に見出し、キラはその顔から表情を失った。
 今、この人はなんて言った? SEEDが、僕がスーパーコーディネイターになった原因?
『フハハハハハ! 興味深いかね、そうだろうそうだろうとも! 君はスーパーコーディネイターであることが
 自分の能力の全てだと思っていたかもしれないが、いやいやそれは大きな、大きな間違いなのだ! 
 SEEDの存在あればこそ、ヒビキ博士は君を究極のコーディネイターに調整する事を決意した!
 君こそSEEDの為に造られた、正に運命の子! その全貌、正体、力の全て!
 知りたいかね? 知りたいだろう? そう、知っておくべきだとも!』
「ぼ、僕は……僕は……!」
『私と共に来たまえ! 私の元に来れば君は全てを知る事が出来る! 全て、全てだ! その力を満足に扱えぬまま
 闇雲に、無造作に振り回すのは余りにも、余りにも惜しい! 君は力を知り、その力の全てを得るべきなのだよ!』
 熱っぽい扇動。欲望に塗れた瞳。ウェスパシアヌスのあからさまに邪な感情にキラは気づかず、困惑と動揺に
身体を震わせる。
「僕は──!」
『──巫山戯るなっっ!』
 追いつめられたキラの精神を、通信機から響いた憤怒の声が叩いた。
645種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/05/08(金) 19:59:21 ID:???
 背中の砲身を展開し、プラズマ収束ビーム砲ニ門を放つセイバー。そのまま機体ごと砲身を動かし、
高出力で放たれ続けるビームを横薙ぎに払う。ビームの奔流から逃げようとドラグーンが包囲を崩した瞬間、
アスランはR・サイクラノーシュとそのアームに捕らえられたフリーダムへと機体を走らせた。
「SEEDだと……そんなものの為に……」
 フリーダムの通信機越しにウェスパシアヌスの声を聞いていたアスランは、その内容に驚くよりも憤慨していた。
 アスランもマルキオからSEEDについて多少聞いてはいたが、アスランにとってのSEEDとは【不可解な力】、
それだけの認識しかないものだった。
 戦いの時にだけ発現する、殺し合いにしか役立たない力。マルキオの言うように人類の希望となるようなものとは
思えない。むしろアスランはその力を嫌悪すらしていた。
 だからだろうか。MSに乗ることが少なかったこともあり、前大戦からこれまで、あの力が再度発動するような
ことはなかった──今この時までは。
「そんなもののために俺達を狙い、オーブを焼き……カガリやユウナを傷つけたのか、貴様らは!」
 セイバーのサーベルがR・サイクラノーシュに迫る。しかし斬りつける寸前、展開した魔術防御陣が
刃を阻んだ。
『おお! 私の使い魔と同化したドラグーンを抜けてくるか! さすが、さすがはアスラン・ザラ君!
 一応はSEEDを持つ者だけのことはあるか! いやはや、君がスーパーコーディネイターであれば
 是が非でも確実に確保したいところなのだが』
「……? その口振りでは今はもう俺は……というより、キラ以外は眼中にないというのか?」
 ウェスパシアヌスから事を探ろうと、アスランは身と心を焼く激情を噛み殺しながら問う。
『いやいやそんな事はないとも。ただ少し内輪でいろいろとあってね。これまで取り組んでいたプランの路線を
 変更することになったのだが、その都合でキラ君以外の優先順位が少し下がったのだよ。とはいえ、
 現在確認されているSEEDの持ち主は君等四人だけ。確保できるなら確保したいとも。
 プラン変更前は私も色々と動いていたんだが上手くいかなんだ……身に覚えがあるだろう?』
『アーモリーワンで俺やカガリを襲った魔導兵器……』
『そう、その通り、ご明察だ。ロゴスのネットワークを通じ、ウナト・エマ・セイラン殿から君等の動向を
 聞いていたのでね。彼は君等が邪魔だったようだから、私が引き取って差し上げようと申し出たのだが……』
「ウナト殿から、だと!?」
『おお、そういえば彼は先のオーブ襲撃事件でお亡くなりになったのだったな。お悔やみ申し上げる……
 まあ情報漏洩を避けられて、こちらとしては助かったが』
「貴様……!」
 アスランの口から歯軋りが漏れる。ため息混じりにウェスパシアヌスは言った。
『とはいえ、プラン変更でそれらの行動は全て骨折り損となったわけだが。いやあ流石に残念だった、
 少々ショックだったとも……まあ過去に拘っても仕方がなし。お互い痛み分けといったところかな』
「──っっ!」
 ──骨折り損だと? 拘っても仕方がないだと!?
 アーモリーワンやアメノミハシラ、オーブへの攻撃で出た犠牲。ウナトの死。ユウナやカガリに苦しみを与え、
傷つけた──その全てを、この男はたったそれだけで言い捨てた。
 アスランの中で、何かが切れた。
646種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/05/08(金) 20:04:25 ID:???
「……殺すっ!」
 砲身の先端を魔術陣へ押し付け、アスランはトリガーを引いた。暴発し弾けた砲身からビームの光が溢れ、
その余波にセイバーとR・サイクラノーシュが仰け反る。
『む!?』
「キラ、いつまでじっとしているつもりだ! そのまま俺に討たれたいのかっ!?」
『あ、アスラン……っ!』
 R・サイクラノーシュのアームの中で、フリーダムが翼の内に格納したままでビーム砲を撃ち放った。
ビームは翼の先端とアームの内側を焦がし、力が弱まった瞬間に拘束から逃れるフリーダム。
 砲身の片方を中ほどから失ったセイバーと、翼を焦がし両手を失ったフリーダムがR・サイクラノーシュを挟む。
 大仰でうそ臭さ漂うため息を、ウェスパシアヌスが漏らした。
『やれやれ、穏便に済ませたかったのだが……やはり、やはりそう都合よくはいかぬものだなあ。
 仕方ない、ではでは紳士の時間は終わり、狩りの時間と洒落込もうかね!』
 ドラグーンを周辺に呼び戻し、R・サイクラノーシュ前部のビーム砲が火を噴いた。



 また一基、時間差で放っていたミサイルがポッドのビーム砲に撃ち落される。舌打ちしながら、レイは
突っ込んで来るカオスへとトマホークを振るった。お互いの武装の切っ先をシールドで受け止めあいながら、
レイが叫ぶ。
「スティング、聞こえているな!」
『レイ、やっぱりてめぇかぁ!』
 接触回線から聞こえるスティングの声。カオスはサーベルを力任せに払うと、ビームクローを展開した
右足で蹴りかかってきた。機体を屈め、レイは蹴りを避ける。わずかに間合いを開けながら、互いに構えた
ライフルと視線が交差する。
 エールカスタムの後方からバビ、カオスの後方からウィンダムが援護しようと迫っていた。直後、戦闘中の
二機が放ったビームがバビとウィンダムを貫く。
「スティング、状況を見ろ! 今は俺達が戦っている場合じゃない!」
 カオスと戦いながら、レイは周囲を見渡した。混乱に見舞われ指揮系統を乱れさせた各勢力の部隊が、
戦場の各所で小規模なぶつかり合いを起こしている。
 MMの乱入により全ての勢力はその足並みを崩し、分断された部隊単位での独自判断で行動せざるを
得なくなっていた。そうやって小規模戦を繰り返しかろうじて勝ち残った戦力、もしくはぶつかり合う最中の
両戦力にMMが攻撃を加え、片っ端から潰していく。シンやティトゥス、ロンド・ミナや一部戦力がMMを
抑えようとしているが、空と海でその能力を最大限発揮する二機を食い止められずにいる。
 戦闘は統制された総力戦から、粗雑で無秩序な潰し合いへとその姿を変貌させていた。
「今はあのMMを何とかするのが先決だ! このままではザフトも連合も無駄に戦力を消耗させるだけだぞ!」
『うるせえ! ザフトがこっちのやり方に口出しするな! ステラを殺しておいてよくも!』
「待て、ステラは……!?」
 再び迫ったカオスのサーベルを受け止める中、レイの思考を驚きと疑惑が襲った。
 よく考えれば、スティングから反応が帰ってくるはずがないのだ──ステラのように記憶を操作されているなら。
「スティング……お前は、記憶を消されていないのか?」
647種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/05/08(金) 20:09:18 ID:???
『ああそうさ! ネオ──上官に俺だけは記憶を消さないよう、頼み込んでなあ!』
「何故だ、何故……」
『あいつらにやらせちゃならねえんだ……お前等を殺すのは、俺じゃなきゃいけねえんだよぉっ!』
 カオスが一瞬身を引いたかと思うと、背中のポッドを含む全推力でサーベルを構えたまま突進をかける。
レイは回避しようと機体を逸らせるが、カオスがすれ違う最中にトマホークと右足の増設スラスターを
切り払われてしまった。。
『俺達はお前等みたいなコーディネイターとも、普通の人間とも違う! 俺達はエクステンデッド、
 連合に造られた兵器だ! 連合に従わなきゃ……調整を受けなきゃ生きてくこともできねぇ!
 コーディネイターを倒す為に存在する道具、それが俺達なんだよ!』
「っ! スティング、それは……!」
 違うと言いかけて、レイの口が止まる。
 スティングの言葉を否定したい──だが否定していいのか、この俺が?
『だがなぁ!』
 MA形態となったカオスが振り返る。魔鳥の頭部が開き、そこから覗く砲口から高出力のビームが放たれた。
 受け止めたエールカスタムのシールドが、限界を超えて熔解する。態勢を崩したエールカスタムへ、
MS形態に戻ったカオスが再び迫る。
『いくら覚えてなくても……あいつらに! 俺の仲間に! ダチを殺させるなんて真似させるわけにゃ、
 いかねえんだよっっ!』
「……スティング……!」
 レイはエールカスタムの腕を背中に伸ばす。ブレイズウィザードに増設されたスラスターユニット、そこから
飛び出した柄を引き抜き、形成されたビーム刃を構える。
「……俺にも譲れないものはある……ギルの為、世界の為に」
 カオスへビームサーベルの切っ先を向けて、レイは叫んだ。
「たとえ俺と同じ、人間のエゴの被害者であっても……障害は、取り除くだけだ……!」



「クソッ! クソッ! クソッ!」
 海に現れたC・クラーケンの猛威を目にし、海底に逃れて距離を取ったアビス。アウルはコクピットの壁に、
幾度も拳を叩きつけていた。
「ざっけんなよあのバケモノ! どいつもこいつもジャマばかりしやがって!」
 苛立ちが最高潮に達しているアウル。その苛立ちは状況だけでなく、時間が経つたびに酷くなる頭の中の
ノイズにも起因していた。
 そのノイズに紛れ、声や人の顔のイメージが浮かび──だがそれらは実像を持たぬまま、ノイズの波に
紛れて消えていく。それがさらに、アウルの神経を逆撫でした。
「なんなんだよ、なんなんだよこれは……っ! イライラする! イライラする! 気持ち悪いんだよぉぉっ!」
 髪を掻き毟り身悶えるアウル。カッと見開らいた目が、はるか海上に浮かぶ影を捉える。
 その影──ミネルバを目に留めた瞬間、ノイズが一層酷くなった。
 痛みに身悶えながら、アウルの口元に引き攣った笑みが形作られる。
「あいつらのせいかぁ……!」
 もはや上手くまとまりもしない思考の中で、アウルはそう結論づけた。
 あいつらのせいだ。あいつらに関わってからロクなことがない。あいつらのせいで、■■■も──
「あああああああ!」
 アウルが吼える。浮上を始めちゃアビスのシールドから、残っていた全ての魚雷が発射された。
「あいつら全部消し飛ばして、因縁も頭痛いのも、全部終わらせてやる!」
648種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/05/08(金) 20:13:05 ID:???
『海中下方より魚雷の接近を確認! お、多い!』
『回避行動! 直撃だけでも避けなさい!』
 大きく回頭するミネルバの周囲で、連続して海面が爆発する。水飛沫を機体に浴びながらルナは直撃弾が
なかったことに一瞬安堵し──直後、疑問とそこからいたる結論に背筋を凍らせた。
(あの状況で全弾はずれるなんて、前のあたしだって在り得ない……じゃあ、これは!)
 目暗まし。ルナの想像を肯定するように、爆発に合わせて海から影が飛び出した。
 間違いようがない──アウルの駆るアビスだ。
「させない──!?」
 ライフルを構えるバラージカスタムへ、アビスがシールド裏側のビーム砲六門を一斉に撃ち放った。
六条のビームがミネルバへ突き刺さり、内三条が火線上にいたバラージカスタムの右腕と右肩、そして胴体部の
右隅を貫通した。
 エネルギー供給を断たれた右腕が力を失ってライフルごとだらりと垂れ、背面のスラッシュウィザードも
機能不全を引き起こす。
「キャアアアアア!」
 胴体部へのダメージはコクピット内にも影響し、発生した小爆発に悲鳴を上げるルナ。
アビスはそのままバラージカスタムの眼前を抜け、ミネルバのブリッジ前方でホバリングする。
 大の字に作る機体の胸部で、複相ビーム砲の砲口に淡い光が集まる。



「回避ぃ!」
「間に合いません! も、もうダメだぁぁぁっ!」
 モニターに大写しになるアビス。もはや回避不能な距離で向けられた砲口に、
ブリッジを恐慌と絶望が包む。
「ヒィィィィィィッ!?」
「くっ……!」
 アーサー副長が悲鳴を上げ、タリアが後悔に唇を噛みしめる中、
「……アウル君っ!」
 ギュッと目を閉じたメイリンが、悲痛な声で自分を殺そうとする友達へと叫んだ。



「消し飛べ消し飛べ消し飛べ消し飛べ……!」
 ブリッジをロックオンし、狂気的に歪んだ笑顔でアウルがミネルバを見据える。
 苛立ちの全てを眼前のミネルバに向けんとばかりに叫ぶ。
「消し飛んじゃえよぉぉぉぉぉぉっっっ!」
 スタンバイ状態の複相ビーム砲、その威力を解放するトリガーにアウルの指がかかり──
649種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/05/08(金) 20:18:06 ID:???

 ──通信士やってるんだ私。ミネルバって船に、お姉ちゃんやシン、レイと一緒に──

「──っ! あ、ああ、ああああああああ──!」
 一瞬で狂気の笑みが、苦悶へと変わる。
 これまでで最大のノイズが頭の中を通り過ぎた直後、アウルの脳裏に無数のイメージが再生される。
 臨界を越えたストレスによって剥がれ落ちた記憶への上塗り。一気に溢れ出た記憶の奔流に
脳の処理能力が限界に迫る中、アウルは思い出す。
 今自分が撃とうとしている場所にいるのは──今自分が殺そうとしているのは──!
「……メイリン……っぁ!?」
 その名前を呟いた瞬間、アビスを衝撃が襲った。側面からバラージカスタムがアビスへと体当たりを仕掛け、
そのまま二機が絡み合いながら態勢を崩し落下していく。
「こいつはっ……」
『アウルーーーーーッッ!』
 麗らかな女の声に似合わぬ勇ましい叫びが、通信機からアビスのコクピットへと響き渡った。



「アンタ──」
 機能不全を起こしたスラッシュウィザードを排除し、全力で跳び上がりアビスに体当たりしたバラージカスタム。
ルナは前方ゼロ距離のアビスを睨み、歯を食いしばる
「人の妹に──」
 シールドから引き抜いたビームトマホークを左手で構えるバラージカスタム。掲げた刃の振り下ろす先は、
光を溜め込んだ解放寸前の複相ビーム砲。
「オイタしようとしてんじゃないわよぉぉぉぉ!」
 気合と共に、トマホークが振り下ろされる。ビーム砲ごと、アビスのコクピットを破壊する勢いで。
 今ここに至って、ルナはアウルを殺す覚悟を決めた。
 恐らくはステラと同じく、自分達のことを忘れているであろうアウル。説得できる望みは薄く、力ずくで
取り押さえられるような相手でも、状況でもない。
 何より、アウルはミネルバのブリッジを破壊しようと──メイリンを、殺そうとしていた。たった一人の妹の命を
奪おうとしたのだ
 それだけは誰であろうと、絶対に許すことはできない。
 友の命を奪う事に悲嘆も、罪悪感もある。ステラやスティングは勿論、もしかしたら守ろうとしている
メイリンにすら恨まれるかもしれない。それでも。
(ゴメン、アウル──!)
 心の中で呟く。あたしはメイリンを守る──それが、アンタの命を奪うとしても!
『くっ……ルナァァ!』
「えっ──!?」
 ルナの意識が真っ白になる。名前を呼ばれた。ならアウルの記憶はまだ──
 一瞬の躊躇。それが胴体に突き立ったトマホークの力をかすかに鈍らせる。
 完全破壊に至らなかったビーム砲。その砲門に限界まで溜め込まれた力が、トマホークの攻撃による
ショックで暴発した。
 仰け反るアビスの胸から光が溢れ、トマホークごとバラージカスタムの上半身を呑み込んだ。
650種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/05/08(金) 20:23:27 ID:???
『打ち据えろ!』
 R・サイクラノーシュから伸びたコードの触手がフリーダムとセイバーへ伸びる。触手を
フリーダムはビーム砲で焼き切り、セイバーは双剣で切り裂く。
『ふはは流石に、流石にこの程度ではどうにもならんなあ!』
『舐めるな!』
 セイバーが触手を切り裂きながらR・サイクラノーシュへ迫る。だが進路にドラグーン二機が展開し、
計九問のビームがセイバーを襲う。
 フリーダムが合間に入り、ライフル抜きのフルバーストでビーム砲とレールガンを連射する。
ビームを止めたドラグーンの正面に魔術陣が展開し、攻撃を受け止める。
「アスラン下がって!」
『どけキラ! 前に出るんじゃない!』
 二年前とは違いキラとアスランのコンビネーションは噛み合わない。いや、コンビネーションともいえない
お粗末なものだ。
 先ほどまで殺し合いを行なっていた者同士による、共通の敵が現れた故の一時休戦のようなものだから
当然ではある。それが親友との距離の開きを実感させ、キラの心に影を落とす。
『ふふふ。ギクシャクとしているじゃあないか。友情とはかくも脆いものなのか、いや悲しい、悲しいねえ!』
『黙れ!』
「……! アスラン、左!」
 キラの警告にセイバーが振り返る。単独行動していたドラグーンが左側面から迫り、咄嗟にシールドを
掲げた。
 砲門を広げたドラグーン、その基部に埋め込まれた顔がシールドにぶつかった。その直後シールドが、
ドラグーンによって『喰われた』。
『何!?』
『私のかわいい使い魔達は食い意地が張っていてね。ほらほら、そのままだと左腕も食べられてしまうぞ!?』
 食い残しに似たシールドの残骸がボロボロと落下していく中、ドラグーンはそのまま左腕にも喰らい付いていた。
接触面で凄まじい火花が上がっている。
『くっ、だがVPS装甲ならまだ保つ筈!』
 右腕で逆手に持ったサーベルを、ドラグーンに尽き立てようとするセイバー。ウェスパシアヌスが
フフンと鼻で笑った。
『しかし、しかしだ。VPS装甲とて無敵ではない……エネルギーは十分かな?』
 その言葉の直後、セイバーの全身から色が薄れサーベルから光が消えた。灰色になったセイバーの左腕を
一瞬で喰いちぎり、ドラグーンはセイバーの眼前を駆け抜けていく。
「アスランッ!」
『フハハハハ! 少々熱くなり過ぎていたようだなあ! これでも浴びて少し頭を冷やしたまえ──
 形なきモノよ、沸き出でよ!』
 R・サイクラノーシュが描く魔術陣から半透明の黒い塊が飛びだし、セイバーへと襲い掛かった。
ゼリー状の塊はセイバーに接触した直後に弾け、全身にへばりつく。セイバーがスパークを起こしながら
小刻みに震えた。
『ぐああああああっ!』
「ツァトゥグァの汚物。鬼械神の動きをも封じる瘴気の塊だ。後で相手をしてあげるから、
 しばらくその中でジッとしていてくれたまえ」
651種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/05/08(金) 20:27:13 ID:???
 セイバーを尻目に、R・サイクラノーシュがフリーダムへと振り返る。
『さあて、ようやく本命の相手ができるなあ、キラ・ヤマト君』
 どこか熱っぽいウェスパシアヌスの声に、身の毛がよだつような感覚に襲われるキラ。
『君を本気にさせると何をしてくるか分からないのでね。あまり気は進まないが……私も少々、少々
 本気を出させてもらうとしようか!』
 ウェスパシアヌスの声に呼応するように、三機のドラグーンが一斉にフリーダムへと飛び掛った。
『苦渋の糸を紡げ、ガルバ!』
 背後に回り込んだドラグーンが三門のビーム砲を一斉に放つ。連射されるビームを避けつつ、
キラはどんな攻撃が来ても対応できるよう他のドラグーンへの警戒も怠らない。
『苦悩の歌を綴れ、オトー!』
 左に陣取ったドラグーンが顔を露にし、その口から魔力弾を吐き出した。ビームと連携して
放たれる魔力弾の合間を縫うように駆け抜けながら、フリーダムは二基のドラグーンへビーム砲を放った。
ビームはドラグーンに命中し、攻撃が途絶える。
『苦痛の檻を築け、ウィテリウス!』
 フリーダムの左から、もう一基のドラグーンが突撃してきた。キラは冷静にドラグーンを照準に
捉え、展開したビーム砲を連射した。堪らないとばかりにドラグーンは勢いを弱め、フリーダムから
数メートルの距離で停止する。
 そのまま畳みかけようと、キラはフルバーストを展開しようとし、
『──かかった!』
 フリーダムを覆った影とウェスパシアヌスの声に、ハッと顔を上へと向ける。フリーダムの頭上数メートルの
位置に、R・サイクラノーシュが浮遊していた。
 R・サイクラノーシュ下部に生えた上半身、そしてフリーダムを囲ったドラグーンの砲身から光が伸びる。
『清らかに謳え、嗜虐の聖歌隊!』
 ドラグーンとR・サイクラノーシュが光で繋がれ、その光を辺として形成されたピラミッドがフリーダムを
包み込んだ。フリーダムは脱出しようとビーム砲を撃つが、光の壁の前にビームは空しく拡散する。
『私の芸術に酔いしれろ! デストピア・クワイア!』
 ドラグーンとR・サイクラノーシュが、醜悪でおぞましい呪いの合唱を声高に上げた。
「うわあああああああああああっっ!? あ、が、ギャアアアアアアアアアアアアアアッッッ!」
 邪悪なる賛美歌はピラミッドの中で反響、増幅され、キラを発狂させんとばかりに意識と脳髄を揺さぶる。
凍えるような寒気と不快感に身体は硬直し、目や鼻から毛細血管が弾け血が流れる。ヘルメットの中に、
血混じりの嘔吐物がぶちまけられた。
 魔力を帯びた歌はキラだけでなくフリーダムにも影響を与え、負荷に耐え切れなくなった内部機構や回路が
機能不全を起こし損傷。機体各所が次々と爆発を起こす。フェイズシフトは落ち、内部からの爆発で外装が次々と
吹き飛んでいく。
 キラが発狂する寸前に歌は途絶え、ピラミッドが消える。R・サイクラノーシュらが一旦距離を取る中、
フリーダムはボロボロの状態でかろうじて宙に浮いていた。
「っか……はぁ……っ!」
 息も絶え絶えの状態で、朦朧とした意識をかろうじて保っているキラ。その耳にウェスパシアヌスの興奮した
叫びが遠く聞こえる。
『ここまで弱ってしまえば、もはやSEEDあるとてどうにもなるまいて……では、頂くとしよう!』
 半開きで光を失いかけたキラの目が、ひび割れたモニターの向こうからこちらに一直線に迫る
ドラグーンを捉える。だがその光景が見えるというだけで、考える事も動く事も今のキラには出来ない。
 ドラグーンが迫る様を、キラは呆然と見つめ──横殴りの衝撃がその身を貫いた。
652種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/05/08(金) 20:29:11 ID:???
「っ!?」
 その光景にティトゥスが目を見開き、
「なんだと……!?」
 ミナが顔を強張らせ、
「な、何ぃ!? 馬鹿なっ!?」
 ウェスパシアヌスが驚愕を浮かべ、
「……え……?」
 シンが愕然とし、

「……なんで……?」
 ──キラが、呆然と呟いた。



 黒い粘液質を体中にへばりつかせたセイバーがフリーダムを突き飛ばし、その胴体にドラグーンを
食いつかせていた。



「がはっ……はは……」
 砕けたヘルメットの奥にある口元から荒い息と血を零し、アスランは自嘲気味に笑った。
 正面から少しずれた角度から激突したドラグーンに、フェイズシフトダウンしていた装甲は何の役にも
経たなかった。砲身の一本がコクピットに突き刺さり、アスランのすぐ左側を貫いている。飛び散った破片が
身体のあちこちに突き刺さり、左腕に至ってはもはや感覚がない。
 血に染まった目ではよく見えないが──おそらく、完全に持っていかれたのだろう。
『──スランさん! アスランさんっ!』
「シンか……」
 ノイズ交じりに響く声に息も絶え絶えのアスランが答えると、通信機の向こうでシンが息を呑むのが分かった。
「シン、すまないな……最後の最後でお前を、皆を……カガリを、裏切ってしまった」
 砕け散ったモニターと閉じたセーフティシャッターのせいで外は見えないが、アスランはフリーダムが
いるであろう方向に顔を向けた。
 無意識の行動だった。かつてティベリウスのバッド・トリップ・ワインを受けたときと同じ要領で
プログラムのリカバーを試みていたアスラン、その目にボロボロのフリーダムへドラグーンが迫るのが見えた。
 キラが殺される──そう認識した直後、アスランは凄まじい早さで簡易プログラムを組み立て、
スラスターを点火した。推進剤の燃費やスラスターの限界を無視した限界以上の出力を噴き上げて、セイバーは
フリーダムを突き飛ばし──フリーダムの身代わりとして、ドラグーンに喰らい付かれた。
 ──アスラン・ザラは、親友キラ・ヤマトが殺されるのを黙ってみていられなかったのだ。
 馬鹿なことをした、と自分でも思う。どうやらヘタレ根性が芯まで刻み込まれていたらしい。
イザークが見たら、おそらく顔を真っ赤にして憤慨した事だろう。
 だが馬鹿なことと思っている割に、それでも親友を、恋人の妹を守った自分を誇る気持ちが
ほんの少しだけある。それに気づいて、もう一度アスランは自嘲した。
653種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/05/08(金) 20:29:56 ID:???
『そんなこといいですから、脱出してください!』
「無理だ。脱出装置が動かないどころか、コクピットを覆われているんだ……それに、俺はもう助からない」
『何言ってるんですかっ! こんなことで……貴方に死なれたら、俺はアスハの奴になんて言えばいいんです!?』
「そうだな……馬鹿が謝っていたと伝えてくれ。悪いな、こんな事を頼んで」
『アス……さんっ……!』
 通信機から聞こえる悲痛な叫びを、酷くなっていくノイズが遮る。同時に正面モニターの向こう側から、
ガリガリと削るような音が響いてくる。
 あのドラグーンなら、ダウンした装甲を喰いちぎるなど容易いはずだ。つまりこれは、恐怖を与えて
なぶり殺しにしようとでもしているのだろう。
 だがその僅かな時間が、アスランにとってはありがたかった。
「シン、聞いてくれ……出撃の前に、お前に言えなかったことだ……」
 せめて、これだけはシンに伝えておかなければ。耳に届くシンの声が徐々に遠くなる中、アスランは言った。
「……お前は、俺みたいにはなるな……これ以上失う前に、本当に大事なものに気づいて……
 それを、絶対に守るんだ……」
 失ったものは戻らない。そして失った後、それが大事なものだということに気づいてももう遅い──アスランは
シンに、これ以上そんな思いをして欲しくはなかった。
「そして、これは……俺の、個人的な頼みだ……」
 もう耳には何も聞こえない。閉じかけた赤い視界の先で、セーフティシャッターが抉り取られ、
「お前のやり方でいい……キラを……俺の親友を、止めてくれ」
 能面に似た顔が大きく口を開く光景を最後に、アスランの意識は断絶した。



 キラは見た──ドラグーンが背面から火を噴き上げた直後、喰らい突いていたセイバーの胴体が、消失したのを。
 シンは見た──胴体を失いバラバラになったセイバーのパーツが、海へと落下し、沈んでいくのを。
「あ、アスラン──」
「ああ、あ、あ──」
 二人の身体が奮え、二つの顔が歪み、二対の目から涙が零れ──

「「──うわあああああああああああああああああああああああああああ──っっっ!」」

 二つの口から絶叫が上がると共に、二粒の【種】が弾けとんだ。
654種死逆十字書き ◆oN23gQHrEc :2009/05/08(金) 20:31:02 ID:???
二週間以内キープこんばんわ。
重要なシーンは頭の中で妄想……もとい何度もシミュレートしてるから、それなりに書き上げるのも早い感じ。
思ったとおりに書けなくてイライラするときもありますがw

残る命散る命(ただしオーブ勢蚊帳の外)の巻。実質散った人はモブばかりだが。
決意したアスラン、でもやっぱり殺せはしても、殺されるのは見ていられないだろうなとこんな結果に。
変態紳士の挑発に乗せられなければこうはならなかったかも。アツクナラナイデマ(ry
ウェスパシアヌスの魔術は基本飛翔から。多少改変あったり、台詞聞き違えてる可能性はあり。
ルナとアウルは相打ち。書いてから思い出したけど、本編でもこの回、二人とも酷い目にあってるのね(‐‐;)

次回でこの話も終わり。ひたすら大暴れと、議長少し出して終わりかな。
655通常の名無しさんの3倍:2009/05/08(金) 20:37:11 ID:???
アスラァァァァァァァァァァァァァァァァァーン!
ルナアァァァァァァァ!アウルゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!
アスランが死亡フラグを立ててそのまままじで死んでしまいやがった
ルナとアウルは…セーフティシャッター(笑)があれば生きてそうだけど…アスランはさすがに死んだな
変態紳士に回収されて改造凸になりそうだけど

そしてついにシンが覚醒
種が割れたシンはどうMM相手に立ち向かうか?自由?もうボロボロで戦力外通知じゃないか
656通常の名無しさんの3倍:2009/05/09(土) 02:13:26 ID:???
>それでも親友を、恋人の妹を守った自分を誇る気持ちが
とりあえず突っ込んでおく。
種死逆十字はアスランだから大丈夫だけど、
本編の凸なら、確実に乗り換えてるな。
・・・ホモ疑惑が解消されてよいかもしれんが。
657通常の名無しさんの3倍:2009/05/09(土) 02:49:17 ID:???
アスラァァァァァァンッッッッ!!!

ついにメインパーティーから戦死者が…。
ああ、でもなんだか「らしい」と思ってしまったです(アスラン的にもガンダム的にも)

今迄アスラン&ティトゥスの指導者2人で、エーストリオを上手く支えていたわけですが、
その双璧が欠けてしまったのは、精神的大ダメージを受けたシンたちにとって、
これから先あまりに痛いですね。しかもティトさんも少々余裕のない状態…。
というか、カガリが、カガリが…。たれが訃報を知らせるんだよ…。

キラが種割れましたが、こいつはラスクへの狂信から抜け出し更正できるのか。
これで尚アスランの犠牲を無碍にしたらもう、Cへの生贄でいいよな?
658通常の名無しさんの3倍:2009/05/09(土) 13:19:33 ID:???
ああフラグ全開だったが
やっぱこうなっか。
しかしアンチクロスは
最終的にいったいどういう立場をとるんだろうか。
たとえ世界征服を企む地球皇帝でも
飾りでも頭がいないと立場が不安定だが。
659通常の名無しさんの3倍:2009/05/10(日) 02:16:24 ID:???
アスラン、似非紳士による記憶改竄を受けサンダルフォン化して再登場、かな?
660通常の名無しさんの3倍:2009/05/10(日) 02:33:50 ID:???
隠者は出るだろうし、元々ウェスパシアヌスも
キラを捕らえるつもりで使い魔を放ったんだろうからそんな感じになりそうだな。

しかし本編ではあっと言う間に達磨にされて落とされたセイバーが
こうも活躍するとはなぁ。。。落とされる運命は変えられなかったけどさ。
661通常の名無しさんの3倍:2009/05/10(日) 08:43:22 ID:???
乙す!
いやぁ・・・予想外というか何か・・・
>>660さんおっしゃる通り、恐らくは捕獲されてるんでしょう
サンダルフォンかネロかは分かりませんが、どの道こりゃタダじゃすみますまいなぁ
セイバーは恐らくこのままフェードアウトでしょうかね、もしくは大規模改造というか組み込みでMMネームレスに・・・
今はとりあえずのルナやアウルともども生存を信じて、頑張れたセイバーに哀悼の意を表すこととします

お疲れさまでした
662通常の名無しさんの3倍:2009/05/12(火) 12:45:28 ID:???
干し湯
663通常の名無しさんの3倍:2009/05/15(金) 12:42:51 ID:???
保守
664通常の名無しさんの3倍:2009/05/18(月) 00:56:29 ID:???
保守保守
665通常の名無しさんの3倍:2009/05/20(水) 12:42:53 ID:???
保守保守保守
666通常の名無しさんの3倍:2009/05/20(水) 19:34:09 ID:???
http://www.nicovideo.jp/watch/sm7064826?length=0&from=0

デモンベインが参戦したらこうなるらしい
667通常の名無しさんの3倍:2009/05/20(水) 20:29:58 ID:???
>>666
ちょwwwwwwよりにもよってなところですげえもんをwwww
つか、デモベにすげえ偏ってるなwww
こいつ、出来るぞww
668通常の名無しさんの3倍:2009/05/20(水) 20:33:28 ID:???
ほう、デモベ以外にもPCゲーでロボ物こんなにあったのか、
なんかオススメある?
669通常の名無しさんの3倍:2009/05/20(水) 20:57:06 ID:???
ロボ物は古典から新作まで色々あるんだぜ
エロもロボも男の浪漫だからな
まぁオススメとかは18歳以下も居る健全な板なので遠慮しておくww
670通常の名無しさんの3倍:2009/05/21(木) 00:52:20 ID:???
>>666
こいつは素晴らしいwww マジで出て欲しいw
ところであんたは666=聖書の獣=マスターテリオン=デモベ宣伝に現れたグリリバだな!
671通常の名無しさんの3倍:2009/05/21(木) 19:47:36 ID:???
>>668
まぁ定石だけど、デモベ以外のPCロボゲといえばマヴラブだな
主題歌もJAMproが歌ってるし
672通常の名無しさんの3倍:2009/05/21(木) 22:05:22 ID:???
唯アレは主人公が覚醒するまで色々とうざい感じがあるからな…
好みの差が分かれる。ガンパレに似た感じで後半になるとメインキャラがどんどん死んでいくし
673通常の名無しさんの3倍:2009/05/21(木) 23:03:00 ID:???
マブラヴはデモベと違ってある面から見ると不完全燃焼な部分があるからな。
それはそれで味があるが、デモベみたいな「お伽噺」とはベクトルが真逆だな。
674通常の名無しさんの3倍:2009/05/22(金) 12:47:15 ID:???
デモベはクトゥルフがモチーフだから
どんなハッヒーエンドやご都合主義で勝利しても
全ては泡沫の夢とオチがつけられるからな。
逆にマブラヴは異星人だから
下手に希望を持てるのがまずいのかもしれん。
メタ的にいえば、物語的なオチのあり方とか。
……まあ、主人公のあり方としても
典型的なヒーローと他を捨てて使命を果たす軍人だど、どうしてもヒーローの方が有利だわな。
どちらが正しいとかで無く。
675通常の名無しさんの3倍:2009/05/23(土) 22:20:25 ID:???
マブラヴのラスボスがニャルとか言われてもすげー萎えるしな
676通常の名無しさんの3倍:2009/05/23(土) 22:25:18 ID:???
BETAは全部ニャル様
677通常の名無しさんの3倍:2009/05/23(土) 22:30:29 ID:???
ニャル様「この世に存在する名悪役の殆どは僕が育てた」
678通常の名無しさんの3倍:2009/05/24(日) 09:48:11 ID:???
ニャルさま「ちなみに、殺しても死なないような小悪党は僕の加護持ちだ」
679通常の名無しさんの3倍:2009/05/24(日) 10:48:46 ID:???
西博士「つまり我輩は己の力で生き延びたから超人なのであるな?さすが大・天・才ドクタァァァァァァァァァウェストォォォォォォォォォ!」
エルザ「博士は小悪党でも超人でも天才でもなくてキ○○イだからこそロボ」
西博士「エルザアァァァァァァァァ!?」
680通常の名無しさんの3倍:2009/05/24(日) 11:04:47 ID:???
ニャルさまですらキ○○イを排除するのは無理だったと
681通常の名無しさんの3倍:2009/05/24(日) 13:48:21 ID:???
数多くの化身をもつニャル様でもドクターを演じるのは不可能に違いないw
682種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/05/24(日) 15:09:00 ID:???
 歪んでうまく開閉しないコクピットハッチに何度も蹴りを入れて、ようやくこじ開けたルナは
機体から身を乗り出した。
 右手に拳銃を握りながら振り返る。頭部から左肩、腕までごっそりと抉り取られた上全身が焼け焦げた
バラージカスタムが、ミネルバの甲板右寄りに身を横たえている。
 頑張ってくれた愛機への感謝を胸の中で呟くと、すぐさま張り詰めた表情で振り返る。
 バラージカスタムに添うように、アビスが横たわっていた。色を失った機体各所は焦げ付き、
特にトマホークを受けた胴体の損傷が酷い。胸の左上から砲口まで届いている切り傷を中心に、
胴体全体が融解して歪んでいる。
 トマホークの一撃で損傷したビーム砲から放たれた高出力ビームは、半ば制御を失って全方位へ拡散した。
その際トマホークの傷が噴射口となってエネルギーの大半が集中し、その余波をもろに受けた
バラージカスタムは大破、アビスは深刻なダメージを受けてしまった。
 だが結果としてそれが功をそうした。もしあのままビーム砲が発射されていたらバラージカスタムはルナごと
上半身を吹き飛ばされていただろうし、ビームが一方に集中せず全方位に拡散していた場合も二機が
無事だったかどうか分からない。
 ルナは装甲の熱くなっている部分を避けてアビスの胴体に登り、コクピットへ近づく。
 なんとか無事だった外部スイッチを押し込むと、金属の擦れる嫌な音と共にコクピットが開いていく。
こちらも大分歪んでいるようだが、動くなら問題ない。
 開いたコクピットの奥に拳銃を向けながら、パイロットシートに座る人影を確認する。
 パイロットスーツを来た小柄な体。内部爆発でも起きたのか内部は荒れ放題でスーツもボロボロ、
ヘルメットを脱いだ頭から伸びる水色の髪の奥に、うっすら見える赤い色。
「……よう、久しぶり」
「ええ、お久しぶり。しばらく見ない間に随分ボロボロになったわね、アウル」
「テメェが言うか……」
 血が流れる頭を気だるげに傾けながら、アウルはルナを見つめて言った。
「そっちも似たようなもんじゃんかよ……ワリィ」
「お互い様よ、気にしないでいいわ。でも、メイリンにはちゃんと謝りなさいよね」
 泣き笑いのような表情を浮かべるアウルに、血が溢れ出る脇腹を左手で抑えながらルナは笑った。

 メカニックたちに発見された二人は、すぐさまミネルバの医療質へと運ばれた。
 その時ルナはようやくセイバーの撃墜を知り──この船のクルーで初めて、ステラが医療室から
消えていることに気づいた。
683種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/05/24(日) 15:14:14 ID:???
 ギリッ……と、歯を食いしばり憤怒の貌を作ったシンは、飛び回るR・ビヤーキーを
虚ろな瞳で睨み付けた。
「メイリン! 今から座標を指定するから、その位置に予備のチェストとレッグ、ブラストシルエットを
 射出してくれ!」
『えぐっ、ひっぐ……り゛ょ、了解!』
 インパルスをR・ビヤーキーに向かわせながら叫ぶシンに、酷い嗚咽が混じったメイリンの返事が返って来る。
ルナとアウルが揃って死んだと思ったものの二人の生存が分かり、かと思えば直後にアスランの悲報。
悲しみ、喜びと来て更に叩き落すかのような悲しみに、ただ滝のように涙を流すことしか出来ないのだ。
それでもしっかり仕事が出来る辺り、彼女も一端のブリッジクルーとして成長している証だろう。
 だがメイリンの異変の理由などシンは知るよしもなく、また今のシンにメイリンへ気を向けるような心の余裕も
存在しなかった。
「許さない……!」
 シンの顔は憤怒から更に歪んでいく。その脳裏ではアスランの最後の言葉と、これまで過ごしてきた
アスランとの記憶が再生されていた。
 憎きアスハの護衛──それだけの理由で、最初は少し気に入らなかった。自分と関わる事はない、
関わりたくないと思っていた。
 だが彼の強さを知るうちに、そんな気持ちはすぐ消えていった。ユニウスセブン破壊に尽力し、
オーブとプラントの折衝に駆け回り、二つの名を使って二国を繋いだ。そしてその力をザフトに貸し、
ティトゥスと共に自分達を鍛え上げ、支えてくれた。
 ──ああそうだ。自分はティトゥスだけでなく、アスランにも憧れていたのだ。
 ティトゥスとは違う強さ、優しさ。大樹のような揺るがなさと安心感を抱かせてくれる人。
 そして共にティトゥスに鍛えられる中で、常に一歩先の位置に立って見守ってくれた、兄弟子のような人だった。
 それを、それを、それを──!
「絶対に許さない……殺してやる!」
『ハッ、何マジになってんだよ! 敵を庇うようなマヌケが一人おっ死んだだけだろうが!』
 せせら笑うクラウディウスの声が油となって怒りの炎に注がれる。だが悪鬼と見紛うばかりの憤怒を
撒き散らしながらも、シンの内面はその熱に浮かされることなく、クリアな思考の中で冷静に状況判断と
戦闘理論を組み上げていく。
 まるで怒りがそのまま力へと変わっていく様な錯覚を、シンは感じていた。
684種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/05/24(日) 15:18:31 ID:???
 インパルスは真正面からR・ビヤーキーへと突き進みながら、ライフルを連射する。
『カミカゼのつもりかよ、タコが!』
 撃ち返されるライフルに、回避の素振りを見せず突き進むインパルスが見る見るうちに
ボロボロになっていく。インパルスもライフルを撃ち続けるが、まったく当たらない。
 二機の距離がかなり縮まっても、一方的な状況は変わらなかった。インパルスはなおもライフルを
R・ビヤーキーに向け──数発の連射の後、銃口から何も発射されなくなった。同時にインパルスから、
色の全てが消える。
『ヒャハハハハ! ガス欠かよマヌケ!』
 R・ビヤーキーが前方に加速、間合いを詰めたかと思うとインパルスの頭部がごっそりと消失した。
風を帯びたR・ビヤーキーの左腕が突きこまれ、吹きすさぶ風が頭を抉り取ったのだ。立て続けに
腕を上げ、胴体へ振り下ろそうとする。
「──今あぁ!」
『……んだとぉ!?』
 その時、ライフルから放たれたビームがR・ビヤーキーを掠めた。流石の反応速度でクラウディウスは
ビームを避けたが機体がわずかにバランスを崩す。その隙を逃さず、インパルスがR・ビヤーキーに腕を絡めて
羽交い絞めにした。
『ガス欠はブラフ!? 舐めやがっ……ギャアァァァァッ!?』
 インパルス胸部のCIWSが火を噴き、ゼロ距離でR・ビヤーキーに叩き込まれた。火花を散らしながら、
密着した二機が落下していく。
『クラウディウス! キサマァァァァァ! 離レろぉぉぉぉぉぉぉ!』
 C・クラーケンの両腕が伸び、インパルスの両足に爪を立てた。股から真っ二つに裂いてしまおうと、
伸び続ける腕に力が篭る。
『ナニィィィィィィ!?』
 だがC・クラーケンが引き裂く前に、インパルスの機体が割れた。上半身はR・ビヤーキーを
羽交い絞めしたまま、下半身はC・クラーケンの腕に捕まれたままで、中心のコアスプレンダーのみが
その場から素早く飛び立つ。
 コアスプレンダーの進路の先には、ミネルバから射出された新たなチェストとレッグ、
そしてブラストシルエットを積んだフライヤーが向かってきているところだった。
 シンは素早く三機の戦闘機に命令を送り、これまでで最も早いであろう速度で合体シークエンスを
完了させる。再び身体を取り戻したインパルスは、背負った二門の大砲を即座に下方へと向ける。
 狙うのは当然、先ほどまで合体していた身体の残骸を掴み唖然とする二機のMM。
「消し飛べぇぇぇぇぇぇっっ!」
 砲口から放たれた二条の激しい光が、MMへと迸った。
685種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/05/24(日) 15:22:02 ID:???
「これは、これは何という誤算か! まさかアスラン・ザラが捨て身で割り込んでこようとは!」
 言葉で驚愕を露にしつつも、ウェスパシアヌスの思考はしっかりと回転を続けていた。
 邪魔をされたとはいえ、肝心のフリーダムは既に動ける状態ではない。結局のところ、アスランの
行動による結果は単に順番が入れ替わっただけの──
『──システム再設定──』
 ウェスパシアヌスの思考を、フリーダムとの通信コードから聞こえたかすかな声が遮った。
 フリーダムの状態のせいだろうノイズが混じった通信に、ウェスパシアヌスは耳をすませ──
その内容に目を見開いた。
『エンジンリミッター強制解除欠損部位へのエネルギー供給カット余剰分再分配火器最優先
 FCSアクセス誤差補正途切れたネットワーク最短ルートで再構築スラスター出力再設定
 ビーム制御デバイス出力設定+40──』
 機械が発する音声のように無感情で、早回しのテープのように早口なキラの呟き。その異様な言葉がしめす
内容は──機体のOSを、凄まじい早さで書換えている?
 ウェスパシアヌスの予想を裏付けるように、もはや満足に動く事も出来ないはずのフリーダムが、
ガクガクと全身を震わせ始めた。
「こ、これは……ウィテリウス!」
 ウェスパシアヌスの命に、ファミリア・ドラグーンの一基がフリーダムへと突撃した。基部の顔を露にした
ドラグーンが食いつく寸前、フリーダムは左腰のレール砲を展開する。
 レール砲は展開こそ出来たものの砲身が歪んでおり、まともに発射できる状態ではなかった。だがフリーダムは
ドラグーンへレール砲を突き出し、ドラグーンが食いつくと同時に引き金を引いた。
 レール砲が、ドラグーンの口内で暴発した。融合していた使い魔が異形の絶叫を上げ、
デタラメな軌道でR・サイクラノーシュへと戻っていく。
「遅かったか……」
 フリーダムがひび割れた翼を広げ、R・サイクラノーシュへカメラアイを向けた。小さな挙動ではあったが、
その動きは大破寸前のMSとは思えないほど自然だ。
 酷く傷付いている、故に危うさと鬼気迫るものを漂わせるフリーダムに、ウェスパシアヌスが頬を引き攣らせた。
「……いやはや、これは厄介だ、しくじったなあ」
 フリーダムの中にいるキラは答えない。R・サイクラノーシュに向けたビーム砲から、
目が眩まんばかりの輝きが放たれた。
686種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/05/24(日) 15:23:01 ID:???
「ええい何ゆえ我輩の新たなスーパーウェ(中略)ロボが最終調整中のときに限って戦闘なのであるか!」
「ガタガタ言ってねえで手伝いやがれこんの狂人が! バラージとアビスをどけなきゃなんねえんだよ!
 エルザだって手伝ってんだろが!」
「えっさ、ほいさロボ」
 騒音と怒号と、何故かスパナで頭を殴りつける音が響くミネルバのドッグ。終わらぬ仕事と目まぐるしく変わる
状況に翻弄され続けるメカニック達に、ふらふらと漂う線の細い少女を目に留めるのは難しかった。
「アスランさんが落ちたなんて、ウソだろ!?」
「シンは……インパルスはどうなってんだよ!?」
「フライヤーとシルエットの射出準備が何度もあるってことは生きてんだろ! んなことよりそっちは!?」
「問題ない! ようし行けい!」
 メカニックの叫びと共にインパルスの各フライヤーやシルエットが専用のカタパルトに移動し、
次々と射出されていく。
 それらに一切目を向けていなかった少女だが、メカニックの言葉を耳にして一瞬その身体を硬直させた。
「シンが……インパルスに……!」
 少女はメカニック達の死角を無意識に通り抜けながら、ある機体に近づいていく。頭にコブの出来た
白衣を来た男がスパナと一緒に機体の足下に転がっていたが、気にしないことにした。
 馴染み深い機体は多少外観や装備が変わっているようだが、問題はなさそうだ。意を決して、少女はまだ
痛みに苛まれる身体を奮い立たせて機体のコクピットへと向かう。
「ん、あの子ってまさか……おい!?」
 浅黒い肌の少年が気づくが、もう襲い。階段と通路を一気に駆け抜け、コクピットに滑り込むと同時に
ハッチを閉じる。
 OS起動。今までとは少し違う起動画面の後、機体システムが正常に稼働する。
「……シン……私は……!」
 少女──ステラは呟くと、モニターに映った視界の先へ機体を一歩前進させた。
687種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/05/24(日) 15:27:52 ID:???
「……なんと」
 ティトゥスは、海面にホバー浮遊するインパルスが先ほど見せた動きに驚嘆していた。
 捨て身の特攻から、損傷した上半身と下半身を即座に切り捨て。それを囮に予備パーツと素早く
再合体、強烈な一撃を叩き込む──それらの動作をよどみなく、凄まじい早さでインパルスは実行した。
 シンが時折見せる、驚異的な戦闘能力。ここ最近はシンの不調もあり鳴りを潜めていたようだったが──
「アスランの死が、力の呼び水となったか……」
 ティトゥスもまたアスランの死に様を見ている。ミネルバで短くない時を共にし、若手への付き合いや指導に
協力してくれた彼の死は、ティトゥスにも少なからぬ衝撃を与えていた。
「……仇は取る」
 剣呑さを帯びたティトゥスの鋭い視線が、インパルスと対峙する二機のMMへと向けられた。
 ビーム砲の直撃を受けながらも平然としているC・クラーケンとは違い、魔術陣を展開しながらゆっくりと
高度を下げるR・ビヤーキーには大きなダメージが見て取れた。ビームに左足をもがれ、それ以外の部分にも
CIWSによる傷痕が目立つ。MMとはいえ機動性に長けた機体は、装甲は決して厚くはなかったようだ。
『……ざけんな』
 邪悪さに塗れた暗い呟きと共に、R・ビヤーキーから激しい風と殺意が吹き上がった。
『ざけてんじゃねえぞコラァッ! テメェマジバラすっ! 肉片すら残らないくらいブッバラして
 海にバラ撒いてやる、このクソザルがぁぁぁぁぁ!』
『ガアァァァァァァァアッッッ! 壊すコワス壊あァァァァァす!』
 C・クラーケンからも同様の殺意と、戦場全てを震わせんばかりの咆吼が響き渡る。先ほどの攻撃は、
感情丸出しな魔術師二人のプライドを甚く傷つけたようだ。
 インパルスは怯むことなく、ミサイルとレールガンを撃ち放つ。痒いとばかりに全てを受け止める
C・クラーケンを盾にしながら、R・ビヤーキーがライフルを連射する。回避するインパルスだが、
砲撃戦仕様に換装したためかその動きは少しおぼつかない。
 弾幕が途切れた直後、C・クラーケンが両腕をインパルスへ向けた。オーガアストレイがすぐさま、
双剣を構えて駆ける。
 飛び出そうとした両腕を、横合いから切り込んだ刃が打ち据えた。
『ティトゥゥゥゥゥゥゥス! 邪魔ダァァァァァァァァ!』
 突き出される鉄拳を刀身で受けながら、軌道を逸らして受け流す。まともに喰らえば刀ごとオーガアストレイを
粉砕しかねない強撃を受け切りながら、もう一方の刀を振り下ろす。
 だが浅い。関節を逸れ肩口に打ち下ろされた刃は、装甲一枚に食い込んでその動きを止めてしまう。
C・クラーケンの腕が横薙ぎに振るわれ、オーガアストレイはすぐさま一歩間合いを空けた。
「……厄介な」
 ただ力があり、ただ硬い──圧倒的なまでに。単純であるが故に恐ろしいカリグラとC・クラーケンの特性に
舌打ちするティトゥス。
 海上で剣と拳を打ち合う二機を素通りし、R・ビヤーキーがインパルスへ迫る。肩越しにそちらを向いた
オーガアストレイの視界に、砲身からビームジャベリンを引き抜くインパルスの姿──そして、その後方の
空から迫る機影を捉えた。
 真逆──ティトゥスの脳裏に、嫌な予感がよぎる。
「よせシン! 彼奴等に同じ手は……!」
 言いかけたティトゥスの背に走る悪寒。すぐさま振り向くと、先ほどまで打ち合っていた筈のC・クラーケンが
影も形も残さず消えている。
 直後、足元の海面から二本の豪腕が飛びだしてオーガアストレイの両腕を掴んだ。
688種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/05/24(日) 15:31:36 ID:???
 高速で向かってくるR・ビヤーキーを虚ろな赤い目に捉えながら、シンは連結したジャベリンをインパルスに
構えさせて身構えた。
 敵のスピードは完全にこちらを上回っている。不意を突かない限り、ブラストシルエットの武装を命中させるのは
難しいだろう。
「なら……回避できない状態でぶち込んでやる!」
 R・ビヤーキーの機動性に機体はついてこれない。だがその動きを目で追うことは今のシンにとって
不可能ではなかった。
 スピードは凄まじいが、動き自体は直線的で単純。動きの先を読むことは容易い。先読みの攻撃すら避けられる
ほどの機動性は恐ろしいが、充分に詰めた距離とわずかな隙があれば当てる事は不可能ではない筈だ──
 R・ビヤーキーがライフルを撃ちながら左手に風を纏わせる。ライフルを回避した直後、突き出される
左腕。暴風を巻き付けた一撃が、シルエットの右砲身を破壊した。
 即座にビームジャベリンを突き出す。見え見えの手だと言わんばかりに身をかわすR・ビヤーキー。突き出した
右腕を撃ち抜くビームを無視し、残った左砲身から全エネルギーをつぎ込んだビームを発射する。
 急上昇したR・ビヤーキーにビームは掠めるだけに終わる。しかし回避の際R・ビヤーキーに生まれた
一瞬の隙を突き、再び分離したコアスプレンダーが空へと飛ぶ。
「当て切れなかった……でもまだ!」
 既に要請しておいたチェストとレッグ、そしてシルエットフライヤーがこちらに向かってくる。
すぐさま合体フォーメーションを取るシン。
 捨て身の攻撃でダメージを蓄積させ、こちらは負ったダメージを換装で帳消しにすればいい。
先ほど成功したこともあり、シンはこの方法に自信を持っていた。
 だが、奇策が通用するのは最初の一回だけだということをシンは思い知る事になる。
『──モロバレなんだよ、単純バカが』
 あざ笑うかのような声と共に、レッグフライヤーを閃光が貫いた。爆発に揺さぶられ、
合体フォーメーションが崩れる。
 揺れる視界の先で、ライフルを構えたR・ビヤーキーが呆れたような仕草をした。
『同じパターンが二度も通じると思ったのかよ、マヌケ! ドジの代価は、テメェのタマで償えやっ!』
「くっ……!」
 迂闊だった。一度上手くいったからと調子に乗って、こちらが動きを読まれている可能性を
完全に失念してしまっていた。
 ライフルがコアスプレンダーに向けられる。爆風に煽られた機体は一時的に安定を失い、もはや回避行動を
取る事も出来ない。
『くたば……っ!?』
 ライフルが放たれようとした瞬間、R・ビヤーキーが脚部スラスターを噴かせ半回転する。そのすぐ傍をビームの
光が通り過ぎ……たかと思うとそのビームは大きく軌道を変え、再びR・ビヤーキーへと向かっていった。
『んだとぉ!?』
 再び回避行動を取るR・ビヤーキー。しかしビームはしつこく、何度回避しても目標を追いかけ続ける。
「あれは……【我、埋葬にあたわず】!?」
 シンばビームの飛んで来た方向に目を向ける。予想通り、自身の母艦であるミネルバが存在していた……が、
「エルザ……じゃない!?」
 その甲板に立ち、先ほどのビームを撃った存在は、シンの予想を大きく裏切っていた。
 四本の足で立つ、犬に似た姿を持つその機体は──
「ガイア!?」
689種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/05/24(日) 15:35:13 ID:???
「ハァ……ハァ……!」
 ドクターウェストに(無断で)改修されていたガイアのコクピットで、荒い息を吐きながらステラはトリガーを
引いた。MA形態のガイア下部に取り付けられたシールド、その内側に追加搭載された砲からホーミング機能付きの
ビームが放たれる。ビームはしばらくは敵を追いかけ続けたが、突然現れた複雑な模様の壁に阻まれて消えてしまう。
 MSの操縦は思った以上の負担だった。狙いを付けトリガーを引くだけで疲労が襲い、今更のように痛みが
ステラの全身を駆け巡る。あまりの疲労と痛みに、今すぐにでも意識を放り出したい衝動に駆られる。
 ──だめだ、それじゃあ。
 ふらふらと宙に浮くコアスプレンダー──先ほどまでインパルスの姿をしていたそれに目を向ける。
「シン……」
 守るといってくれた人。守ってくれると約束してくれた人──ステラの、大事な友達。
 ──そのシンを、いじめるやつがいる。
 ステラの表情が苛烈なものへと変わる。インパルスに銃を向けていた敵──R・ビヤーキーを、
ステラは睨み付けた。
「お前ぇ……シンをいじめるなーーーー!」
 ガイアの前腕部両肩に装着された装備──巨大な一対のドリルが、急速回転を始める。
 ドリル後部に装備されたブースターから炎を噴き上げ、ガイアは海上を疾駆して一気にR・ビヤーキーへと迫った。



『どいつもこいつも単純バカすぎんだろぉが!』
 決死の特攻を仕掛けたガイア。だがその動きを見切ったR・ビヤーキーはガイアの下方向に滑り込むように
回避し、真下からライフルを連射する。
 ウェスト謹製のドリルはビームを受けてもビクともしないが、それ以外の部位はそうもいかなかった。
基部を打ち抜かれたドリルの一基は海に落ち、脚部の爆発に吹き飛ばされた一基は回転を止めぬまま宙に舞う。
そのまま全ての足を破壊され、胴体だけになったガイアをライフルがポイントする。
「やめろ……」
 震えるシンの言葉を無視し、ライフルが放たれる。ビームの光が、MA形態のガイアの頭部を消し飛ばす。
「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
 絶叫と共に、シンはインパルスの合体シークエンスを強制的に起動した。
 コアスプレンダーが勢いを殺さぬまま変形し、前方のチェストフライヤーに激突するように
合体。なけなしのエネルギーにVPS装甲が起動、トリコロールカラーが機体を彩る。
 スラスターを噴射し落下軌道を調整、加速をつけてR・ビヤーキーへと一直線に落ちる──その最中に
ライフルとシールドを捨て、宙を舞っていた【あるもの】を両手で掴む。
 R・ビヤーキーが振り向くが、もう遅い。
「抉れろぉぉぉぉぉぉぉ!」
『んだとぉぉぉぉぉぉぉ!?』
 掴んだガイアのドリルを構えて、インパルスがR・ビヤーキーに突っ込む。
 ドリルに抉られ、ライフルごとR・ビヤーキーの右腕と右足が消失した。だがそれでもなお、
R・ビヤーキーは動いている。
「浅い!?」
『こんのクソがぁぁぁぁぁぁぁぁ!』
 R・ビヤーキーの左腕が叩き込まれる。突き飛ばされたインパルスはガイアにぶつかり、
揃って海へと落下していった。
690種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/05/24(日) 15:40:09 ID:???
「うおおおおおお!」
 両腕を掴まれた状態で、アナコンダアームに振り回されるオーガアストレイ。アームの本体である
C・クラーケンは海中に隠れたまま、一方的にオーガアストレイを蹂躙する。
 急な軌道で振り回されながら海面へと叩きつけられ、コクピットのティトゥスを幾度となく強い振動が襲った。
抵抗しようにも刀を持った腕は凄まじい力で抑えられ、まったく操作を受け付けない。
「このままでは……!」
 不意に、振り回されていたオーガアストレイが急停止した。空高く持ち上げられたオーガアストレイの真下に、
水を滴らせながらC・クラーケンが姿を現す。
『ガハハハハハハハ! 無様だナ、ティトゥス!』
 ミシリ、と嫌な音が耳に入る。アナコンダアームがその爪を腕部に突きたて、同時に腕を左右へと引っ張った。
宙で大の字に広げられたオーガアストレイの腕が、アナコンダアームからかけられる二つの力に異音を上げる。
『潰れルか引き千切レるか、それトもォォォォォォッ!』
 C・クラーケン胸部のビーム砲に光が灯る。ティトゥスが舌打ちするも、オーガアストレイは動く事が出来ない。
「チィッ……!」
 万事休す。腕は半ばほど潰れ、更に肘関節が内装から千切れかけている。肩からアーマーシュナイダーを
射出したところで、C・クラーケンの装甲には傷一つ付かないだろう。
「このようなところで……!」
 歯を食いしばるティトゥス。C・クラーケンから放たれたビームの奔流が、オーガアストレイに迫り──
「……っ!?」
 ティトゥスが諦めかけたその時、視界を影が覆った。
 フォビドゥンストライカーのアームが展開し、ゲシュマイディッヒ・パンツァーを機体前面に展開していた。
力場に屈折されたビームが、オーガアストレイの頭上を通りすぎる。
 ディスプレイに表示されたメッセージと情報に、ティトゥスが目を見開く。

【──Sub arm control shifted to manual. And sub arm atack mode standby──】
691種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/05/24(日) 15:42:41 ID:???
「これは……!」
 一瞬の躊躇の後、ティトゥスは表示された情報どおりにコンソールを操作し、操縦桿を握り込んだ。
 フォビドゥン・ストライカーのアームが、半自動制御から通常の腕部と同様の手動操作に切り替わる。
同時に偏向装甲が力場の展開を停止、代わりに装甲とアームの付け根からビームの光が伸び、刃を形作った。
 二本のビームソードが、アナコンダアームに振り下ろされた。火花を散らしながらビームが装甲を熔かし、
じわじわと内部へと食い込んでいく。
『ナニィィィィ!?』
 カリグラの絶叫と共にアナコンダアームの力が弱まる。すぐさま拘束を振り払い、全推力を噴き上げて
オーガストレイが突撃した。腕部の操作系を通常に戻し、まだ動く両腕で双剣を構える。
「──刺っ!」
 刀の切っ先が、C・クラーケンの両肩に突き立った。装甲の隙間を見事に突いた一撃。そのまま刀を
一気に振り上げる。
『アギャアアアアアアアアアア!』
 両腕の力が失われ、海面に落下したアナコンダアームが激しく海面を打った。ゲシュマイディッヒ・パンツァーを
足裏に戻し着水、ティトゥスは再度C・クラーケンに切りかかろうとするが、
『こんのクソがぁぁぁぁぁぁぁぁ!』
 クラウディウスの叫びにティトゥスが振り返ると、上半身だけのインパルスが半壊状態のR・ビヤーキー
に弾き飛ばされ、ボロボロにガイアと一緒に海に落ちる光景が映った。
「シン……!」
 ティトゥスが一瞬迷う。あのままではシン達が海の底に沈みかねないが、かといって
目の前のカリグラやクラウディウスがそんな暇を与えてくれるとも思えない。
 その時、ティトゥスの目にR・ビヤーキーとC・クラーケンの輪郭が一瞬ぶれたように見えた。
「錯覚か……?」
 目を凝らして再度確認しようとするが、突然R・ビヤーキーは踵を返すとティトゥスを追い抜いて空の彼方へと
飛び立ち、C・クラーケンも海に潜ったかと思うとそのまま姿を現さない。
「……退いたというのか?」
 見れば、R・サイクラノーシュも姿を消している。訝しみながらも、ティトゥスはシン達を救助する為に
機体を海中へと沈めた。
692通常の名無しさんの3倍:2009/05/24(日) 15:56:04 ID:???
支援
693種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/05/24(日) 16:00:46 ID:???
 四方八方から迫るファミリア・ドラグーンを、すべて見切ったとばかりにギリギリの間合いでかわし続ける
フリーダム。ビームも突撃も、ありとあらゆる攻撃が当たらない。
 ウェスパシアヌスの焦りが、包囲網にわずかな隙を生んだ。その隙をキラは見逃さず、通常の限界を超えた
推力でドラグーンを振り切りR・サイクラノーシュに接近、ビーム砲を向ける。
 慌てて防御壁を張るがフリーダムは急機動で展開面から機体をずらし、がら空きの側面からビーム砲を
叩き込んだ。四本足の一つが装甲を抉られ、大きく歪む。
「くおおっ!?」
 すぐさま全方位型の魔術陣を張ってフリーダムを弾き飛ばそうとするウェスパシアヌス。しかし
その時には既にフリーダムは充分な距離を取り再度の隙をうかがっている。
 ダメージ自体はそう深刻ではない。だが半壊状態でありながらあそこまでの動きを行なうフリーダムに、
ウェスパシアヌスは冷汗をかいて驚愕していた。
「その力が完全でないとはいえ、やはり恐るべきスーパーコーディネイター、恐るべきSEEDと
 いったところか……」
 どうするべきか、ウェスパシアヌスは思案する。フリーダムの挙動は完全なオーバースペック、
おそらくエンジンやビーム兵器、スラスターの出力リミッターを無理矢理はずして引き出している状態だ。
ある程度粘れば機能停止するだろう。しかしこちらも長々戦闘を継続できず、また時間を掛けすぎると
質は落ちるとはいえせっかく手に入れた素材を駄目にしてしまう可能性も──
「おっと!」
 真横の何もない空間から突然現れたゴールドフレームの黒翼を、R・サイクラノーシュは一気に上昇して回避した。ミラージュコロイドで姿を隠しても、簡単な感知魔術を常時展開していれば接近を気取るのは造作もない。
「ふむ、どうやらクラウディウスやカリグラに抑えてもらうのも限界か。私はまだしも、加減を知らぬ
 あの二人の機体稼働時間もほとんど残っていまい」
 鬼械神の記述を組み込んだMMは持ち主の魔力とそれを増幅する魔力炉にその能力を大きく依存している。
過度の魔術行使や魔力消費によっては増幅が追いつかず、また魔術師の魔力枯渇が機体の魔力枯渇にも
直結してしまうのだ。魔力が尽きれば機能停止どころか、組み込んだ記述が剥離し機体が崩壊する可能性もある。
「もったいない、非常にもったいないが……ここは引くとしよう。あまりのめりこんで全てを
 不意にするのは避けたいからなぁ」
 クラウディウスとカリグラに撤退を告げ、ウェスパシアヌスはR・サイクラノーシュの姿を隠す
隠蔽魔術を行使する。
「次こそは確実に、一切の逃れる隙を与えず、絶対のタイミングを見計らって君を頂くとしよう、キラ君!」
 周囲の風景に溶け込んでいくR・サイクラノーシュの中で、ウェスパシアヌスは笑いながらフリーダムを
見つめる。
 その熱を帯びた目が見るのはキラではなく、キラを手に入れた先にある己の芸術【アート】の幻想だった。
694種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/05/24(日) 16:04:48 ID:???
「……逃げたか」
 R・サイクラノーシュが消えていくのを、ロンド・ミナ・サハクは滅多に見せぬ悔しさと苛立たしさに
歪んだ顔で睨みつけていた。
 邪悪なる魔術師が駆るMM──あの機体が、結果としてアスランを殺した。
「愚か者が……貴様は、フリーダムを倒せとカガリに命じられただろうが」
 そう吐き捨てて、ミナはゴールドフレームを振り返らせる。そこにいるのはボロボロになりながら、
異様な雰囲気を纏ったフリーダム。両腕は失われ、残った武装も破損した状態で無理矢理出力を引き出したため
もうほとんど使い物にならないだろう──にもかかわらず、ミナはフリーダムに危険なものを感じていた。
「……何を恐れるというのだ。今我が成すべきは一つ」
 アスランに代わり、カガリの願いを遂行する。それがオーブ軍司令として自身が成すべき事であり、
アスランへの最大の供養──同時にカガリの願いに背いた罰であると、ミナは決断した。
「年貢の納め時だ……覚悟せよ、英雄狂【ドンキホーテ】」
 黒翼を広げ、ゴールドフレームがフリーダムに飛び掛かろうとする。しかし突然、下方から放たれた実弾と
ビーム入り混じった弾幕にゴールドフレームは動きを止めた。
「アークエンジェルだと? 現れてすぐ海中に身を隠したかとおもえば……仲間の危機には出てくるか」
 急浮上したアークエンジェルがフリーダムを守るように弾幕を張り続ける。そのままフリーダムを収容すると、
再び海中へとその姿を沈めていった。
「おのれ……またも逃したか」
 追撃したい衝動に駆られるが、そうも言っていられない。MMとフリーダムが去り、この場に残っているのは
元々争っていた連合オーブ混成軍とザフト軍となる。しかし両軍とも先の混乱で大きく消耗しており、
戦闘を続行するにしても中止するにしても大きな建て直しが必要となる。司令官であるミナが優先すべきはそちらだ。
 ──だが。
「胸騒ぎがする……今日仕損じた事が、後々大きな禍根とならねば良いが」
 嫌な予感に後を引かれながらも、ミナは指揮を取るため旗艦タケミカズチへと帰路を取った。



『スティング、撤退するぞ! これ以上戦闘を続けてももうロクでもない潰しあいにしかならん!』
「ふざけるなよテメェ! 今までロクな指揮もせず逃げばっか打って、いざ邪魔者が消えたら撤退かよ!」
 ネオからの命令に、スティングは苛立ちを隠そうともせず叫んだ。MMが現れて以降、何故か消極的な
命令しか出さなかったネオへの不信感が、ここに来て爆発していた。
『仕方ないだろう、あんな連中まともに相手していられるか! 実際その逃げ優先でもこれだけボロボロになって、
 撤退せざるを得ないほどの被害を出してるんだぞ!』
「クッ!」
『とにかく戻れ! ……アウルは落ちた。俺に、これ以上部下を捨てるような選択をさせるんじゃない!』
「っ……クソッ! クソッ! クソォォォっ!」
 怒号を上げて、スティングはカオスの機首をJ.P.ジョーンズへと向けた。その背からレイの声が飛んでくる。
『待てスティング! ステラは、アウルは……!』
「黙れよ!」
 一度だけ振り返り、スティングはエールカスタムへと吐き捨てた。
「忘れるな……ステラとアウルの仇は、この俺が絶対に討つ!」
 すぐさま振り向くと、カオスは全速力でその場を飛び去る。
 コクピットの中でヘルメットを脱ぎ捨て、スティングは頭を抑えながら怒りと悲嘆が綯い交ぜになった
雄叫びを上げた。
695通常の名無しさんの3倍:2009/05/24(日) 16:04:52 ID:???
しぇいん
696種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/05/24(日) 16:06:01 ID:???
 オーガアストレイに支えられたインパルスとガイアが、ミネルバのドッグに下ろされる。
 シンは開いたコクピットから飛び出すと、一目散にガイアへと走り出した。近づいてきたヨウランや
ヴィーノが何か言っているが、耳に入ってはいなかった。
 海水に濡れた外装に足を取られかけながら登る。コクピットは開いているが、そこからステラが
出てくる気配はない。
「ステラ! 大丈夫か!?」
「あ……シン」
 ステラは力なく、コクピットシートに身体を横たえていた。駆け寄るシンにステラは儚い笑みを浮かべるが、
直後身体を痙攣させて苦痛の貌を浮かべる。
 痛みに震えるステラを、シンが抱き寄せる。
「ステラ、何でこんな無茶を……」
「……ごめんなさい……」
「え……」
「シンに……ううん、ルナにも、レイにも、メイリンにも……知らないなんていって、ごめんなさい……」
 涙を浮かべながら訴えるステラの姿に、シンはステラの記憶が戻っている事を確信した。
「でも、シンもみんなもザフトで……私たちの敵で。でも、守ってくれるって言って……逃げようと
 したけど、シンがインパルスに乗ってるって聞いて……シンが落とされそうになってて、それで……」
「ステラ……」
 泣き笑いの表情で言葉を紡ぐステラ。シンはただ、その言葉に耳を傾けるしか出来ない。
「でも、シンは約束を守ってくれた。わたしは敵なのに……わたしのこと、守ってくれた……うぅっ!」
「ステラっ!」
「あ……ありがとう……シン……」
 ステラの瞳が閉じられる。力の抜けた身体を抱きとめながら、シンはただ己の無力さを痛感する。
「……守れてなんか、いないよ」
 アスランを守れず、敵を倒す事も出来ず──目の前で苦しむ友達に、何一つしてやることができない。
 俺は──大切なものを何一つ、守れてなんかいない。
「アスランさん、俺は……俺は、どうすれば……!」
 ステラを抱きしめながら、もういない先輩に答えを求め、シンは涙を流した。
697種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/05/24(日) 16:10:40 ID:???
「双方撤退で戦闘は中止、か……なんとも煮え切らない結末だ」
 プラント首都アプリリウス、最高評議会議事堂。自身の執務室で、ギルバート・デュランダルは
ディスプレイに表示された、クレタ沖海戦の最新情報を見つめていた。
 今回の戦いは此度の戦争で最も大規模な戦いだった。ここで勝利を収めれば戦況はザフト有利に大きく傾き、
連合同盟国やロゴスの多くをこちらになびかせることができたろう。
 それが第三者の介入により痛み分けというだけに終わった──多くの犠牲を出しながら、それに見合うだけの
成果を上げることが出来なかったのだ。この結果にデュランダルも憤りを禁じえない。
「キラ・ヤマト、ラクス・クライン……彼らは純粋だ。そして力がある。だが純粋であるが故に世界を知らず、
 力がある故に己が絶対だと過信する。そんな人間に世界をまとめるなどできるはずがないでしょう……」
 ここにいない何者かに語りかけるように、デュランダルは一人ごちる。
 自分は『あの方』とは違う。自分の分相応は理解しているし、やろうとしている計画の問題点も把握している。
 ──その上で、私はSEEDを否定した。万一の為の『保険』こそ確保しているがね。
 偶然発見し確保したその保険は今、目覚しい活躍をしている。彼を計画の中心に置く事で計画はより
確実性を増し、同時にあの方の考えの否定にも繋がるだろう。
 偶然というなら、カガリ・ユラ・アスハという頼もしい同志を得たことも大きい。彼女の存在のおかげで
連合やロゴスを内側から打ち崩し、吸収する算段がついた。これならば予想よりも戦争は長期化せず、失われる命や
戦力は最小限で済む。
 無論、自身の計画を明かせば味方でなくなる可能性もある。だがそれでもこの計画は避けて通れぬし、
計画の発表の仕方や細部の調整によっては味方のままでいてくれる可能性も残っているだろう。
 何よりも重要なのは、来るべき危機に備えて人類が一つになること──出来るだけ早急に、人類同士の戦いで
無為に力をすり減らす前に、だ。
「そのために、私は……む?」
 デュランダルの眼前で情報を表示していたディスプレイ。そこに表示されていた映像が、不意に乱れた。
『……やあやあ、久しぶりですな。ギルバート・デュランダル最高評議会議長殿』
 ディスプレイの乱れが徐々に人の顔を形作り、ノイズ混じりの声が聞こえる。デュランダルは一瞬浮かべた
驚愕を、すぐさま貼り付けた余裕ある笑みの奥に押し隠した。
「……フラウィウス・ウェスパシアヌス。いや、アンチクロスが一、ウェスパシアヌスと言ったほうがいいかな?」
『ふははは、やはりご存知でしたか。いや、隠すつもりはまったく、毛頭、これっぽっちもなかったのですが。
 あの時言っても仕方のないことだったもので』
 ディスプレイの向こうで笑うウェスパシアヌス。デュランダルは笑い返しながら、その顔で唯一笑っていない
目でウェスパシアヌスを見据えた。
698通常の名無しさんの3倍:2009/05/24(日) 16:14:34 ID:???
しえん
699種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/05/24(日) 16:18:21 ID:???
「見え透いた世辞や誠意のない敬語は結構……で、不正な通信をかけてまで私に何の用かね?
 評議会議長として、君のような邪悪なる魔術師と歓談出来る立場でもなければ、時間もないのだが」
『はっはっは、これは手厳しい……随分と邪険じゃあないか。私達は友人じゃなかったかな、わが友よ』
「君の正体を知るまでは、私も数少ない同好の志として君を買っていたのだがね……正体を知った以上、
 私と君は友人にはなれんよ……いや、ユニウスセブンで初めて出会った時、君を生かしていたのは
 間違いだったのだろう。今になって酷く後悔している」
『フハハハハハ! ……殺せぬよ。悪いが、残念ながら、いくらあの頃の私が力を失っていたとはいえ、
 君程度の位階では私は殺せぬとも、そう殺せなかったろうさ!』
 互いに友人と口にしたとは思えぬ剣呑な会話が、笑顔を向け合って繰り広げられる。
『おっと、そんな話をしようと声をかけたのではないのだよ。いやいかんな、ついつい熱中して本題を
 忘れてしまった……今日は、君と取引をしたいと思ってね』
「取引だと? そんなものに私が応じるとでも思っているのかね」
『君が持つ魔導書……その中でも最も位階の高いあの魔導書を、我々に譲って欲しいのだよ』
「……っ!?」
 取り付く島も見せないデュランダルを無視し告げられる言葉。デュランダルの表情から笑みが消え、
両手をデスクに叩きつけながら立ち上がる。
「馬鹿なっ! あれを世に放てばどんな災厄を招く事になるか、が分からぬとでも思っているのか!」
『そうだろう、そうだろうともさ! あれの危険度は君が一番よく分かっている、それは承知しているとも』
「ならば私の答えも分かっているだろう……断じて、貴様らのような邪悪な魔術師にあれを渡すものか!」
『話は最後まで聞きたまえ』
 普段の冷静さをかなぐり捨て激昂するデュランダルを前に、ウェスパシアヌスは笑みを崩さずまあまあと
宥める仕草をする。その目が醜悪に、嘲るように歪められた。
『もし、君が魔導書を提供してくれるなら……君が何より一番欲していた情報を提供しよう。
 それが私が提示する取引の交換条件だ』
「……! ま、まさか……」
 デュランダルの顔から怒りが一瞬で消え去った。その顔に浮かぶのは戸惑いと……ほんのわずかな希望の色だ。
『そう、君が魔術を追い求めた最大の目的……それを果たす為の方法を私は持っている。ちなみに、
 魔術要素はほとんど関係しない。膨大な人体実験データから得られた、れっきとした人の叡智、
 科学の一環だ。多少、現行の技術不足を魔術で補う必要はあるだろうが。遺伝子工学に解を見出せず、
 魔術にそれを求めた君にとっては皮肉な話かもしれんがね』
 ウェスパシアヌスの言葉を聞いているのかいないのか、デュランダルはデスクに手を付いたままワナワナと
震えていた。その顔には苦悩と迷い、そして後悔の念が形を持って浮かんでいる。
『さて、答えをもらいたいのだがね。考える時間が欲しいというならば、また後日連絡を入れるが』
「……取引を受けよう。受け渡しの手順は?」
 デュランダルが短く告げた。震えこそ止まっているが、手はデスクに付いたままその顔は俯きディスプレイを
見ていない。下卑た嘲笑を、ウェスパシアヌスはこちらを見ていないデュランダルへと向けた。
700種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/05/24(日) 16:24:07 ID:???
『隠し場所を教えていただければこちらで出向こう。データはお望みなら今すぐにでも
 そちらにお送り出来るが──無論、下手なブラフや誤魔化しは無しでお願いするよ』
「分かっている。あの魔導書は廃棄コロニーの一つ、その奥深くに幾重もの封印をかけて隔離してある。
 本来コロニーなどないとされている座標だ。正確な位置は──」
 受け渡しの手順を確認し、ウェスパシアヌスは満足げに頷く。
『──さて、それではこれで失敬させてもらおう。貴殿の協力に感謝いたしますぞ』
 ウェスパシアヌスの顔がノイズの波に崩れ、ディスプレイから消えた。画面の隅に、送信元不明の
データが送られてきた事を示すメッセージが表示される。
 デュランダルは顔を俯かせたまま、力なく椅子に腰を落とす。数分前の凛とした議長の姿はなく、
身にまとう雰囲気は疲れ果てた老人を錯覚させた。
「……こんな様では、あなたの否定など出来ませんな、師よ……そして友よ。君は私を笑うかね?」
 許しを請うような呟きを漏らし、デュランダルは再び身を震わせ……ガバリとその身を起こすと、
顔の前で手を合わせて強く握りしめる。
「……いや、まだだ。あれを手に入れたところですぐどうにかなるわけでもあるまい。
 利用される前に、アンチクロス共々抹消すればいいのだ……」
 自身を納得させるように、デュランダルは呟き続ける。取り急ぎ今は送られたデータの吟味と、
本当に有効なのか実践データを取らなければならない。
 ──幸いにも、被験体になりそうな人材の目星はある。
 一度目を伏せ覚悟を決めるかのように表情を正すと、デュランダルは内線を取った。
「私だ。最高評議会議長の名で、地球の軍本部へ通達して欲しい──」



「……さて、聞いていたかねティベリウス?」
『オッケーよ〜ん、すぐに回収に向かうわ〜ん☆ それじゃ♪』
 通信の中継地点の一つとして繋がったユニウスセブンにいるティベリウスが、仮面を揺らしながら通信を
切った。
 コロッセオに戻っていたウェスパシアヌスは、軽く肩から力を抜くと背後を振り返る。
「さて、キラ君に関しての下準備はしっかりしておくとして……こちらにもある程度手を加えておかねば。
 全体に手を加える前に、まず無くなった部分をゼロから作ってみるとするかな?」
 幾つもの操作盤やモニターが周囲に埋め込まれた一室。中央にある円筒状の水槽を見て、
ウェスパシアヌスはにやりと笑う。
 口にマスクをはめられたアスランが、水槽の中に浮かんでいた。露になった裸身は何本もの
コードに繋がれ──その左腕は、存在していなかった。
 


to be continued──
701種死逆十字書き ◆oN23gQHrEc :2009/05/24(日) 16:25:02 ID:???
もはやサルがデフォルトこんにちわ。いつも支援ありです。
二週間ちょっと過ぎた。風邪っぽくなって寝てたら時間がどんどん過ぎるorz もう完治したっぽいので大丈夫だけど。

海戦終了&デュランダルと変態紳士接触の巻。ガイア改造は勢いです、だが私は謝らな(ry
OS早書換はキラさんのお家芸。台詞は適当っつうか専門用語が分かりません(‐‐;)
レイとスティング掘り下げられなかったのが残念。ばっさり切ったネオよりはマシだが(汗)
そして少し早めにインパルス七変化、んでもって破られる。原作のフリーダムへの切り札使っちゃったけど、
正直この話だと使う暇ないので今使っておこうと。そしてアスランはやっぱりこんなオチ。
フォビドゥンストライカーは機能詰め込み過ぎ感があるけど、これにもまあ理由があります。

さておき、前回といい前々回といいいつも誤字脱字多くてほんとすいません。妹とかもうorz
捜せばいくらでも出てくるからなあ……とりあえず前指摘された二つはまとめサイトのほうで修整しました。
指摘してくれた人サンクス。気をつけますが今後もあると思うので出来れば生暖かい目でよろしくお願いします。

次回はカガリに報告と、脱走事件の前振りかな。
702通常の名無しさんの3倍:2009/05/24(日) 16:28:02 ID:???
ああああ、やっぱりアスラン捕らえられてるがな
こりゃ間違いなく改造フラグだ
そしてルナとアウルは見事に生還!
議長は議長で魔術について知るものか…
この世界でのSEEDはどんな意味を持っているんだろう?変態紳士が驚愕して求めるぐらいだから
Cの巫女ぐらいは重要度は高そうだが
てかそれを作ったヒビキは何者だよ。もしかしてニャルなんじゃ…
703通常の名無しさんの3倍:2009/05/24(日) 16:38:16 ID:???
待ってましたぜお侍さん!
ってアスラーン(涙)やっぱこうなるか…ん?
最後のヤバい魔導書=逆十字が欲しがり議長がビビるレベル=ナコト写本・ルルイエ異本・流血祈祷書級?
                  +
死にかけアスラン=改造計画絶賛考案中=サンダルフォン化?
                =
         黒ヤギさんが食べちゃったフラグ?
704種死逆十字書き ◆oN23gQHrEc :2009/05/24(日) 17:26:38 ID:???
気をつけるって書いておきながらまたミスってるよ自分、
しかもかなり致命的orz

後半の議長&髭の会話、ユニウスセブンって書いてるところ全部メンデルです
完全にド忘れ&勘違いしてた……ごめんなさいorz
705通常の名無しさんの3倍:2009/05/24(日) 19:03:39 ID:???
ルルイエテキストは既に手に入れてるからネクロノミコンやナコト写本じゃね
706通常の名無しさんの3倍:2009/05/24(日) 23:42:15 ID:???
900get
707通常の名無しさんの3倍:2009/05/24(日) 23:44:02 ID:???
シンはドリルを使えど天元突破にはまだ遠いか……。
708通常の名無しさんの3倍:2009/05/25(月) 20:50:54 ID:???


だかステラまでドリル使ってどーする……
順調にウエストに侵食されている気が
709通常の名無しさんの3倍:2009/05/27(水) 12:29:30 ID:???
保守
710通常の名無しさんの3倍:2009/05/27(水) 19:07:30 ID:???
乙、久々にまとめ見たら更新されててビックリ歓喜!
うーむ、スティングとの溝が深まってしまったのが心配
議長も終盤で相対するのはほぼ確定でしょうか
ヤバい魔道書・・・ひょっとしてオリジナルエイボン?
議長の求める解・・・人の運命なら・・・まさかと思うけど
ひょっとしなくてもパパ上召喚?
でも人体実験がどうのと言ってたっけ、人間で生贄に足りるんかなぁ
なんにせよステラとアウルが狙われるぽい流れですね
711通常の名無しさんの3倍:2009/05/29(金) 12:25:45 ID:???
保守
712通常の名無しさんの3倍:2009/05/30(土) 00:09:09 ID:???
逆十字の人乙です。早い更新に戦々恐々としておりますです。
いい展開だなー。アークエンジェルへのい苛立ちも原作より穏やかなものを感じるし、議長の言ってることが実に正鵠を射ている。
そりゃ「正論」は正しいよ。でもそれが最善とは限らない。折れず、曲がらない刀なんてもんは簡単に砕けるんだから。

さてさてひとつの物語は終息し、また別の物語が加速する。展開とはかくあるべしですな。
議長が求めるものはなにか? ムーンチャイルド計画か、千の子を孕みし森の黒山羊か、一にして全なる門か、いやはや夢が広がりますね。
ちなみに私見としましては「黒の書」ですかね。月の子には必要だし、七頭の一角を担うわけだし。

なにはともかくお体には気をつけてください。
713通常の名無しさんの3倍:2009/06/01(月) 12:38:15 ID:???
保守
714通常の名無しさんの3倍:2009/06/03(水) 12:31:52 ID:???
保守
715通常の名無しさんの3倍:2009/06/03(水) 23:41:00 ID:???
釣りニュースだけどインカの遺跡でMSと思われる残骸を発見ってのをみてクトゥルフを連想した
716通常の名無しさんの3倍:2009/06/05(金) 12:29:33 ID:???
保守
717通常の名無しさんの3倍:2009/06/08(月) 12:39:50 ID:???
ほしゅ
718通常の名無しさんの3倍:2009/06/10(水) 10:32:59 ID:???
こいつらに先越されるとかもうね・・・

【スーパーロボット大戦NEO】
http://imepita.jp/20090610/372850
http://imepita.jp/20090610/373120
719通常の名無しさんの3倍:2009/06/10(水) 12:54:14 ID:???
逆に考えるんだ
PS3でスパロボが出る時に参戦できるフラグが残っていると、そう考えるんだ
720通常の名無しさんの3倍:2009/06/10(水) 14:35:08 ID:???
 マジンガーZ
 グレートマジンガー
☆獣神ライガー
☆新ゲッターロボ
 戦国魔神ゴーショーグン
☆NG騎士ラムネ&40
 銀河旋風ブライガー
 絶対無敵ライジンオー
☆元気爆発ガンバルガー
☆熱血最強ゴウザウラー
☆完全勝利ダイテイオー
☆疾風!アイアンリーガー
 機動武闘伝Gガンダム
☆覇王大系リューナイト

ついにリストラか…(´・ω・`)
721通常の名無しさんの3倍:2009/06/10(水) 15:29:27 ID:???
ガンダムGガンだけかよww すごい冒険だなw
722通常の名無しさんの3倍:2009/06/10(水) 16:21:07 ID:???
スーパー系で固めるのかw
723通常の名無しさんの3倍:2009/06/10(水) 18:15:33 ID:???
新ゲッターって大丈夫なのか?参戦作品の大半が中学生以下じゃないか…
724通常の名無しさんの3倍:2009/06/10(水) 18:37:06 ID:???
寺田内部では、ゲッターは無印とGのみがゲッターなんだそうな
OVAゲッターが任天堂系で一発屋に使われるのは、本流で使いたくないって事だろう
725通常の名無しさんの3倍:2009/06/11(木) 08:58:19 ID:???
Wiiで出るってことはなにかしらWiiリモコン使ったアクションがあるはず
アイアンリーガーとGガンってことは野球と格闘ゲーのミニゲームがあるんだろうと予想
726通常の名無しさんの3倍:2009/06/11(木) 12:38:18 ID:???
>>720
ぱっと見ただけでも、とにかく熱血だな
ストーリー大丈夫か?
727通常の名無しさんの3倍:2009/06/11(木) 17:39:39 ID:???
もしKの奴らが作ったら根本的に解決がならないシナリオになる
728通常の名無しさんの3倍:2009/06/11(木) 18:46:43 ID:???
XOの部位HP
729通常の名無しさんの3倍:2009/06/11(木) 20:04:01 ID:???
>>726
Kの小峰みたいな奴を使わない限りは最低限のクオリティは保障できると思う
730通常の名無しさんの3倍:2009/06/11(木) 22:00:50 ID:???
種死みたいな面倒臭い作品も無いしな
731通常の名無しさんの3倍:2009/06/11(木) 22:51:21 ID:???
一番重要なのは人類の侵略者が殆ど居ない事ですな

エルドラン系の子供達に『戦争』はさせたくない…
732通常の名無しさんの3倍:2009/06/11(木) 23:22:22 ID:???
てか明らかに新ゲ浮いてるだろ、子供達の教育にも悪そうw
733通常の名無しさんの3倍:2009/06/12(金) 00:20:14 ID:???
ライガーとリューナイトが出るスパロボはちょっと見たいが、それだけのためにWii買う気もしない
734通常の名無しさんの3倍:2009/06/14(日) 12:10:25 ID:???
VSじゃなくてNGラムネならちょっとやってみたくなってきた
735種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/06/15(月) 19:35:04 ID:???
「アスラン……なんで……なんで……」
 キラはアークエンジェルの自室に閉じこもり、キラは頭を抱えながらガタガタと身を震わせていた。
 アスランが自分を殺そうとした。だが最後には、自分を庇って殺された。
「どうして……どうしてなんだ……」
 前大戦でもアスランと殺しあったことはある。あの時は状況に流され続けた末、互いに友人を
殺してしまった故の悲しいすれ違いだった。
 だが、今回は違う。アスランは確固たる意志をもってキラの命を奪おうとした。
「僕たちはカガリのために……オーブが争いに巻き込まれるのが、争いばかりの世界が間違ってると思ったから……」
 自分達の行動はカガリの害悪でしかないと、その剣を向けてきたアスラン。ウェスパシアヌスの介入がなければ、
アスランの刃は確実にキラの命を奪っていただろう。
 にもかかわらず最後には、アスランは自分を庇ってその命を散らしてしまった。
 何故、こんなことになった? 何故アスランは僕を殺そうとした? なのになんで僕を助けた?
 分からない、何も分からない──
「……でも」
 たった一つ、キラの胸には確信に近い考えがあった。
 アスランは、僕を庇って死んだ。自分の行動が、自分の弱さが彼を死に至らしめた。
 ──アスランが死んだのは、僕のせいじゃないのか?
「あ、ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ──!」
 嗚咽を漏らすキラ。悲嘆と涙で嫌な考えを押し流そうとしても、既に心に深く刻まれてしまった認識は消えない。
 どうして? なんでこうなる? 僕たちはただ争いを、悲しい現実を止めたいと願っただけなのに!
「助けて……ラクス……」
 今は傍にいない愛しき人へ、キラは救いを求める声を小さく呟いた。
736種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/06/15(月) 19:36:00 ID:???
「被害は総戦力の40%超、結果はうやむや……後味が悪いわね」
 他の指揮官クラスと協議を終えて、タリアは重たくなった身体を艦長席に沈ませた。
 戦闘を終えた艦隊は現在ジブラルタルへの帰路を取っており、ミネルバも艦隊と共に航行していた。
平行して、戦闘で受けた破損の応急修理も行なわれている。
「ミネルバの損害が比較的軽微だったのが不幸中の幸い……とは言えませんね。
 優秀なパイロットと、友好国の特使を失ってしまいました」
 タリアの横でアーサーが陰りのある顔で言った。彼が指すのは当然、アスランのことだ。
 パイロットとして優秀なだけでなく面倒見の良い性格と公正な人格を持ち、秘密裏にオーブの特使という
重圧の伴う仕事を毅然とこなしてきたアスラン。彼はクルーの多くから敬意と人望を集めており、その死は
ミネルバ全体に暗い影を落としていた。タリアにとってもアスランは信頼に足る有能極まる人物であり、
彼を失ったのは艦長として、また一人の人間としても痛恨の出来事であった。
 そして彼がオーブの特使ということも、タリアの心労をより重いものにしていた。預けていた特使を
失った当のオーブからは当然説明を求められ、現在クルーの一人がアスハ代表と通信を行なっている。
 アスハ代表が指定し、また自身もアスハ代表との会見を望んだ人物だ。内容いかんではザフトとオーブの関係に
多くの変化が起こるかもしれないが……彼のこれまでの素行を省みて、タリアは大きな不安を禁じえない。
 深く考えても詮無きことと、タリアは手元に置かれたMSの修理状況が記された報告書に目を落とす。
 インパルスは予備パーツが充実しているので修理は問題なし。オーガアストレイは中破、エールカスタムは
小破ということで修理にさほど時間はかからないらしい。残念ながら大破以上の被害を受けた
バラージカスタムとガイア、そしてセイバーはしばらく修復出来そうにない。
 そして報告書の最後に記された記述に、タリアは眉を寄せざるを得なかった。
「インパルスによる戦闘中の合体・換装シークエンスは機体損傷の早期回復手段としては魅力的ではあるが、
 その際に生じる無防備状態は撃墜のリスクを強く伴う。有効性は疑問視せざるを得ない……」
 エイブスによって書かれた警告とも取れるこの記述は、タリアにもよく理解できていた。先の戦闘で同行動を
行なったインパルスは一度目こそ敵の不意を突いて再合体を成功させたが、二度目は合体時を狙い撃ちされ
レッグを失った。もしかしたらコアスプレンダーが落とされていた可能性も否定できない。
「非常時、もしくは安全が確保された時以外の戦闘中再合体は禁じたほうがいいわね……インパルスはあくまで
 実験要素の強い試作機だっていうことをすっかり忘れてたわ。利点と欠点は紙一重ってところかしら」
 タリアがぼやいたその時、小休止に入っていたメイリンに変わり通信を受け持っていたクルーが、
艦長席へ振り返った。
「艦長、司令本部からの通達がデータで届いています」
「こんな時に何かしら? こっちに回して」
 艦長席のコンソールにデータが転送され、表示された文面をタリアの目が追う。
 文を読み進めていくほどに、タリアの目が徐々に釣りあがっていき……全文を読み終えた直後、コンソールに
両手を叩きつけながら立ち上がった。
「……司令本部と通信を繋ぎなさい。早急によ!」
 怒気を多分に含んだ命令に、通信席のクルーだけでなくブリッジの全員が復唱する。
 多分に緊張を強いられた彼らの耳には、タリアの困惑した呟きは聞きとれなかった。
「どういうことなの、ギル……!」



第十七話 救いの代価


737種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/06/15(月) 19:37:41 ID:???
 ミネルバの通信室は、静寂に包まれていた。
 モニターで腕を組むのはカガリ・ユラ・アスハ。そして彼女と向かい合うのは、シン・アスカだ。
 二人は向かい合いながら、どちらも視線を合わしていない。カガリは俯きがちで、シンはそんな彼女から
目を逸らしている。
 シンはたった今、アスランの死とその詳細をカガリに報告し終えたところだった。
『……謝っておいてくれ、か……本当にバカだ。あいつは昔から……』
 嘲るように口元を歪め、呟くカガリ。だがその言葉はアスランを貶めるものではないと、シンにはすぐ分かった。
 その身は震え、目には今にも涙が零れそうに潤んでいる──あの笑みは、自嘲の笑みだ。
『……シン。お前を呼び出したのは他でもない。アスランのことを聞きたかったのも確かだが……なによりも
 フリーダムのパイロットのこと、お前に教えておくべきだと思ったからだ』
「……キラ・ヤマト」
『知っているのか?』
 驚きを見せるカガリ。シンはアスランからその名を聞いたこと、キラがアスランの親友だったことや、
戦いに関わる事になった経緯などを聞いていることを伝える。
『そうか、アスランから……だが、肝心なことはアスランも言っていなかったか』
「え?」
『キラ・ヤマトは……私の弟だ』
 シンは絶句する。それほどカガリの言葉は想像の範疇の外にある言葉だった。
 またお前に恨まれるな、と複雑な顔をしながら、カガリはシンに語り始めた。
 コーディネイター研究の権威ユーレン・ヒビキの実子。ナチュラルの姉とコーディネイターの弟という特異な双子。

生まれてすぐ互いに別の親御に引き取られ、その事実を知らぬまま成長し前大戦の戦火の中で偶然再開。
やがて自分達の血縁の真実を知った──全てを語り終えたカガリの表情は、疲れきっていた。
 なんとか最後まで聞き取りながら、シンは話の途中から混乱しかけた思考で必死で情報を整理していた。
(アスハとキラ・ヤマトが、兄弟? でもキラはアスハじゃなくて……それじゃカガリ・ユラ・アスハは
 ウズミ・ナラ・アスハの本当の娘じゃ……血縁じゃない? でもアスハ代表はアスハとして責任を果たそうと……)
 脳内の人間関係相関図が音を立てて崩れ、再度組み立て、また崩れ──シンの思考が混乱のどつぼに
はまり込む。彼を現実に引き戻したのは、カガリの一言だった。
『……すまない』
 え、とシンはモニターへ視線を向け、直後目に入った光景に度肝を抜かれた。
 カガリがデスクに両手を付き、頭もデスクに押し付けんばかりに深く下げていたのだ。
『私の血縁が、お前の仲間を傷付け、殺し……結果としてアスランの死を招いてしまった。いやそれだけじゃない、
 ザフトだけでなく連合や世界に刃を向けるテロリストが、私の弟なんだ……! どう詫びても許される話
 ではないのは分かっている、だがそれでも、私に出来るのは謝る事しか出来ない……すまない、シン……!』
738種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/06/15(月) 19:42:38 ID:???
「や……やめてくださいよ!」
 シンは狼狽しながら、反射的にカガリへと叫んでいた。
「謝られたって困りますよ! あんたに……あなたに謝られたって仕方ありません! 悪いのはキラで
 あって、あなたじゃないんだ!」
 驚きと戸惑いに見開かれたカガリの潤んだ瞳が、シンに向けられる。シンは彼女を真っ向から見返し、
頭の中の情報整理に努めながら、浮かんでくる言葉をそのまま口から紡ぎ続ける。
「そりゃ正直、全部が全部納得できてるわけじゃありません! でもあなたが……アスハ代表がキラと違って、
 本当にオーブの為に努力してきたことを、アスランさんを通して俺達を助けてくれたことを俺は、俺達は
 知ってます!」
 言いながら、シンは自分の言葉に驚いていた。あれだけ憎いと、許さないと思っていた女。家族をみすみす
死なせたアスハの後継者。
 だが一昔前なら八つ当たりに近い罵倒をしているであろう自分は今、敬語まで使ってカガリを擁護している。
彼女がオーブを守ろうとする決意を持ち、その決意を行動にうつし続けていることを、シンは知っているからだ。
 認めざるを得ない。目の前にいる人物を自分はもはや憎い仇ではなく、一人の敬意に値する存在として
認識しているという事実を。
『けど、お前はそれでいいのか!? お前の目の前にいるのはお前の家族や、アスランを殺した男の姉だぞ!?
 それにアスランのことだって……こんな言い方はしたくないけど……あいつは結局フリーダムを庇った、
 ザフトを裏切ったも同様なんだぞ! そんな奴を派遣した女を信用できるのか!?』
 シン以上に、カガリはシンの態度に驚いていたのだろう。口調は崩れ、歳相応の幼さと脆さが浮き出ている。
 その慌てぶりを見て逆に冷静さを取り戻したシンは数秒沈黙し……そして、首を横に振った。
 目を伏せたシンの脳裏に、優しさを雄々しさを併せ持ったアスランの姿が蘇る。
「アスランさんを恨むなんてそれこそありませんよ。ショックはショックですけど、最後までアスランさんは俺達の
 ことを思ってくれたことは確かですから……だからこそアスランさんが信じていたアスハ代表を、八つ当たりで
 恨むなんてこと、出来ません」
 嘘のない真摯な表情で、シンはカガリへと頷いて見せた。
 憎しみの全てが消えたとはいえない。でも俺は今、オーブを許すことが出来る。
 自分を支えてくれたアスランの存在と、オーブの代表として相応しい姿を見せてくれたアスハ代表のおかげだ──
シンはそう確信し、感謝した。
 感極まったカガリの瞳から涙が溢れ、表情が歪んでいく。それを隠そうと顔を俯かせ、彼女は
漏れそうになった嗚咽を呑み込んだ。
『……ありがとう』
 顔を挙げ、カガリは涙を流しながらシンへと笑いかけた。泣き笑いに近い引きつった、悲しみの陰りも
消えていない不恰好な笑みだったが……それでもそこには、救われたものが見せるかすかな安堵が見て取れた。
『本当にありがとう、シン……!』
739種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/06/15(月) 19:45:29 ID:???
 通信を終えたカガリは、デスクに両肘をつけて顔を俯かせていた。通信を邪魔しないようデスクの脇に控えていた
ユウナがカガリに近づこうとしたが、一歩進んだところですぐ身を留めた。
「カガリ、まだ仕事は山積みなわけだけど……」
「ああ、分かってる。ロゴスのかなり上位の連中と話す機会が出来たんだろ? やるべきことはしっかり……」
「ちょっと前もって根回ししておきたい事があるんだ。そうだね……一時間ぐらい時間をもらえるかな」
 俯いた顔を上げ、驚きの表情でユウナを見つめるカガリ。ユウナはいつも以上に明るい笑みでカガリに言った。
「終わったら連絡するから、カガリはちょっとゆっくりしてて。ああ、身だしなみとか下準備はちゃんとしてよ」
 言ってすぐさま背を向け、退出しようとするユウナ。その背にカガリの声が掛かる。
「……すまない、ユウナ」
「何のことかな? ま、後でねカガリ♪」
 振り返らずに扉を開け、退出する。扉を閉めた瞬間、貼り付けた笑みを取り払ったユウナの顔に残ったのは、
無表情。
 ──閉じられた扉の向こうから、カガリのすすり泣く声が聞こえる。
 シンに許されて、確かにカガリは救われた。だがそれでも、最も大切なものを失った空白は埋まりはしない。
悲しみは、消えたりはしない。
 その悲しみの原因は──ユウナの顔が、怒りとも悲しみともつかないものに酷く歪んだ。
「アスランの馬鹿野郎……」
 何カガリを泣かせてるのさ。取られそうになったら奪い返すって偉そうに言ってたくせに。フリーダムを
抹殺するんじゃなかったのか。ちゃんと仕事しろよ──浮かんでくるのは悪態ばかり。
 それなのに瞳から流れ出る熱い液体に、ユウナは手を顔に添えた。
「……友よ……!」
 数秒そのまま硬直した後、涙を強く拭って腕を振り払うとユウナは毅然とした顔で歩みを進めた。
顔にはもう涙の後しか残っておらず、表情は政治家のそれに戻っている。
 今自分がやるべきことはカガリを全力でサポートすることだ。アスランの死を悲しむことでも、
傷心のカガリを慰めることでもない。
 今ならカガリに自分を強く刻み付ける事も出来るだろうが、絶対にそんなことはしない。
そんな弱みに付け込むような真似が出来るわけがない──彼女を手に入れるのは、全ての決着がついてからだ。
 それがアスランに対する敬意であるとともに、男としてのユウナの意地だった。
「絶対悔しがらせてやるからね……!」
 もう居ない友にそう宣言し、ユウナは自身の戦いの場へとその身を進めて行った。
740種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/06/15(月) 19:48:54 ID:???
「ほら、ちゃんと食べてよね!」
「うっさいな! なんでお前に世話されないといけないんだよ!」
 医務室にそぐわない騒がしい声に、入室したレイは眉を潜める。見ればメイリンが病人食を手に、
ベッドに拘束された状態のアウルと言い争っていた。
「ほんと仲いいわよねえ。昨日は再開した途端片や大泣き、かたやオロオロするしか出来なかった二人とは
 思えないわ」
「「お姉ちゃん(ルナ)っ!」」
「……つかね、あたしも怪我人なんだけど。少しは静かにしてよね」
 すぐ横のベッドに横たわるルナにジト目を向けられ、メイリンとアウルは揃って身を縮こまらせる。
特にアウルはルナを怪我させた張本人の為、かなり引け目があるのだろう。
「元気そうでなによりだ」
「あら、レイ」
「いよう」
 声をかけられて、ようやく三人はレイに気づいた。苦笑しながら三人に近づく。
「流石に窮屈そうだな。捕虜なのだから当然だが」
「そうなんだよ〜、これじゃゲームもできやしないっての」
「捕虜の立場考えればこれでもマシなほうよ。しばらくは大人しくしてんのね」
「そうそう。だからはい、あーん」
「だから、できるかそんなこと!」
 冗談めかしたやり取りの中に流れる、穏やかな空気。だがそれも、真剣な顔を作ったレイの言葉で霧散した。
「……ステラは、どうだ?」
 和やかな声色は一瞬で消え去り、重苦しい沈黙が医務室に降りる。
 無意識に、誰もが彼女の話題に触れることを恐れていた。
「やはり、芳しくないか」
「うん……先生たちも本国の医療データとかいっぱい調べてくれてるみたいなんだけど、
 どうにもならないって……」
 ステラは医療室の更に奥、簡易ECUに入っている。彼女の容態は非常に深刻な状態に陥っており、未だ意識すら
戻っていない。医者達は掛かりきりになっているが、それでも状況は好転する兆しを見せていなかった。
741種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/06/15(月) 19:51:41 ID:???
「……仕方ないよ」
 苦々しく呟くアウルに、全員の視線が集中する。
「僕たちエクステンデッドは、定期的に調整を受けなきゃ生きてけない。ある程度の期間調整を受けないと
 細胞が崩壊を起こし始めて、そのままポックリってオチだ。脱走防止と、万一敵にとっ捕まった時
 データを解析されることのないようにする保険なんだとさ」
「酷い……」
「ホント、ヒドイ話だよ……僕も、いつまでマトモに動いてられるんだか」
 自嘲気に笑うアウルだが、その身体がかすかに震えているのが分かる。
「……どうせ死ぬんなら、戦ってるときに何も考えず死んでたほうが……」
「やめてっ!」
 アウルの言葉を叫び声が遮る。
「死んでたほうがいいなんて言わないで……もう、知ってる人が死んじゃうのは、イヤ……!」
 顔を俯かせふるふると身を震わせながら、泣きそうな声で呟くメイリンからアウルは罰が悪そうに視線をはずす。
「……メイリンの言うとおりだ。死んではなにもならない。大事なのは死ぬときまで、最後まで諦めずに
 生きることだと、俺は思う」
 レイは自身が感じた事を、正直に口にした。ルナは驚いた表情を見せたが、やがて頷くとアウルへ笑いかける。
「そうよ、まだ直らないって決まった訳じゃないんだから! ザフト脅威の技術力ならきっと何とかなるわよ!」
「……だといいけどね。ま、期待はしないけど。どうせ捕虜は大人しくしてるしかできないんだしさ……
 いつまでも泣いてるなよ、恥ずかしいな」
「なっ、何よ! 泣いてない、泣いてないもん!」
 おちょくるようなアウルの口調に涙目でメイリンが反論する。その様子をルナと見つめながら、レイは自身が
口にした言葉を心の内で反復していた。
(そう、大事なのはどう生きるか……生きている間に何を、それだけ出来るかどうかだ。それが分かれば人は……)
 己の意志を再確認しながら、レイは今この場に流れる仲間との心地よい空気に身を任せていた。
 ……数分後、横で騒がれて我慢の限界に達したECUの医療スタッフから、四人は強く釘を刺されることになった。
742種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/06/15(月) 19:54:01 ID:???
「どういうことか説明してもらおうか、ウェスト」
 ティトゥスの静かな声に、オーガアストレイと繋がったコンソールを見ていたウェストが振り返る。
「ふん、そろそろ来る頃だろうとは思っていたのである」
 どこか不機嫌な顔でボリボリ頭を掻きながら、ウェストは射殺すような目を向けてくるティトゥスを見返した。
「ストライカーにあのような機構を施したなど、拙者は聞いておらん。何のつもりだ、あのような……」
 ティトゥスが言っているのは、緊急時に起動したフォビドゥンストライカーのアタックモードについてだ。
 本来自動制御のアームの手動切り替えと、偏向フィールドが停止している場合に使用可能な基部ビームサーベルの
存在。ティトゥスはこれらの存在を全く知らされていなかった。
「別段たいした問題でもあるまい? 貴様が使いこなせぬようだったから言わなかった、ただそれだけの話である」
「何?」
「少し前にドリルストライカーのデータを取った際、言っていたであるな。『両手を使っているときにドリルの
 操作まで手が回るか』と」
 指摘されティトゥスは当時を回想する。思い返してみれば、確かに言は違えど似たようなことは口にした。
「本来アタックモードは腕部と連動して駆動するのが本来予定した構図だったのである。しかし貴様が文字通り
 手が回らぬと言うから、一応通常腕部との切り替え式と言う形で残すだけ残していたのである。どうせ
 教えたところで、貴様は使わなかったであろう?」
 ティトゥスは言葉に詰まる。確かに腕部が使える状態ならば、自分はわざわざ副腕を使いはしないだろう。
「ただ我輩にも不可解な点がある。オーガアストレイのプログラムに自動でアタックモードを起動するような
 システムを組み込んだ覚えはないのである。何故あの緊急時にシステムが起動したのか調べているのであるが……
 ええい我輩の作品について分からんことがあるなど我慢できぬのであーる!」
 ティトゥスのことを忘れたように背を向け、コンソールをやたらめっちゃら操作するウェスト。
納得こそ出来ぬが一応筋の通った説明を聞き、苦虫を噛み潰したような顔でティトゥスはその場を去ろうとし、
「ティトゥスよ。貴様少々過去に拘り過ぎているのではないか?」
 背中から投げられた言葉に、足が止まる。互いに振り返った剣士と科学者の視線が交差する。
「貴様が何を考えているか我輩が分からぬと思っているのではあるまいな? 貴様が気に入らぬのは
 システム云々ではなく、アタックモードがかつての貴様を思い起こすからであろう?」
 数秒の沈黙の後、ティトゥスが振り向く。その顔は様々な感情が交じり合い、不快とも哀愁とも取れぬ複雑な
貌を作っていた。
 ウェストの指摘は的を獲ていた。ティトゥスがここまで感情を波立たせているのは、アームを操る
オーガアストレイがかつての自分と愛馬──四本腕の剣鬼であった己と皇餓を思い出させたためだ。
 己の未熟を限界と履き違え、至らなさを人のみの限界と誤魔化し、弱さを捨てると偽って人から逃げた無様な過去。
かつての自分を忌避しているにもかかわらず、人として未だ道を見出せぬ苛立ちに自分は同じ愚を
繰り返している──そんな感覚に苛まれ、苛立ちを吐き出さずにはいられなくなったのだ。
「まったくくだらんであるな。貴様が忌避するのは人を止め、安易な道に走ったかつての己の無様さであろうに。
 オーガアストレイがどのような姿になろうがどのような武器を持とうが、それを操るのは貴様でありその貴様は
 人間であることは変わるまい。むしろ特性の選り好みはまだしも、機体に文句を言って性能を引き出せぬまま
 放置する事こそ貴様の言う『人間としての強さ』を否定しているのではないか?」
 言い返すことすら出来ぬまま、ティトゥスは愕然とする。
 自分の苛立ちは己の弱さに対するものだった筈。にもかかわらず今の自分は鬱憤をオーガアストレイに
向けている──自身の弱さを棚上げし、感情のままに機体に苛立ちをぶつける──なんと無様な!
 フンと鼻を鳴らしてウェストは再びオーガアストレイへ向き直る。つられる様に、ティトゥスは己の軍馬を
見上げた。
 黒鉄の侍は向けられた感情に反応することなく、悠然とその場に佇んでいた。仮面の顔に埋め込まれた
瞳がただ前を見つめる様に、進むべき道を見失っている盲目な自身をティトゥスに連想させた。
743種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/06/15(月) 20:03:35 ID:???
「どういうことですか、これは?」
 タリアにカガリとの通信を報告しようとブリッジに入ったシンは、絶対零度の響きを持つ声に
トラウマを刺激され硬直した。
 見ればモニターの向こうに立つ司令本部所属の白服を前に、タリアが無表情を向けていた。
『その台詞、そっくりそのままそちらに返させてもらいましょう。そちらの行動にはかなり問題があると
 お分かりではないのですかな?』
 タリアの冷気を感じないのかそれとも意に介していないのか、モニターに映る司令本部勤めの白服は
正しく慇懃無礼といった口調で告げた。
『アビスを鹵獲したのは先の戦闘ですので、十歩譲って報告されていないのはまだ分かります。
 ですがそれより以前にガイアを捕らえておいて、何故報告しなかったのですか?』
「ガイアを捉えたのも作戦の直前です。無為な混乱を呼ぶだけと考え、報告を控えていただけです」
『ふん、ならばしっかりと管理しておいて欲しいものですな。ガイアが戦場に出たのは確認できているのですよ?』
「捕虜として捉えたパイロットはしっかりと拘束しています。ガイアに乗っていたのはあくまでわが艦のクルーです。
 非常時とはいえ無断でガイアを使用したことについてはお咎めを受けても仕方ありませんが」
 このような事態は想定していたのだろう、タリアはのらりくらりと追及の手をかわす。だがそれでも、
圧倒的に不利な状況は変わらなかった。
『……ともかく、ジブラルタルに着き次第捕虜の身柄は引き渡していただきます。貴重なエクステンデッドの
 サンプル、せいぜい死なないように管理していてください』
 シンは自身の顔が強張るのが分かった。これまでの話の経緯から言っても、捕虜の身柄という言葉が指すのは
当然、ステラとアウルしかいない。
「くっ……」
『当然ですが、拒否することは出来ませんよ。FAITHとはいえあなたにそこまでの権限はありませんし、何より──』
 歯噛みするタリアに、勝ち誇ったように白服は告げる。その言葉に、シンは崖から突き落とされたかのような
錯覚を感じた。
『通達の最後に示してあった通り、これはデュランダル議長直接の命令なのですから』
744種死逆十字書き ◆oN23gQHrEc :2009/06/15(月) 20:05:46 ID:???
ぶっ壊れたウェスト分が足りないこんばんわ。二週間オーバーの割に分量は比較的少なめかな。
ティトゥスと絡ませようとすると、かなりウェストがまともになる比率が高い気がする今日この頃。

シンとカガリほぼ完全に和解、ティトゥス機体に当たる、そしてステアウピンチの巻。
少し和解が早いっぽいけど、うちのシンとカガリはこんなかんじで。逆にこれから暫く、
キラのほうは色々酷い展開になるかもしれない(汗)
しかしティトゥス主役だったはずなんだけど……なんか扱いが本編のシンに近(ry。まあ冗談はさておき、
もうしばらく経てば侍ナイトフィーバーする予定なのでしばしお待ちを……シンとどっちが早いか(^^;)

次回は本編と同じ展開が少し大所帯になる感じ。引き渡して戻るまで書けるかな
745通常の名無しさんの3倍:2009/06/15(月) 20:22:57 ID:???
西博士がまとも…だと?馬鹿な!
侍さんは壁にぶち当たってますねぇ…なーに、隠し腕を使いこなすパイロットがガンダムワールドには腐る程いるからいずれ使いこなせるさ
そして隠し腕を使ったのは魔導書か…侍さん覚醒と共に魔導書も覚醒するか?
そしてキラは精神的にダウン。ラクスに依存し切ってるなぁ…さすがに自分のせいだと少しは理解してもラクスに会ってまた洗脳状態にされそうだ
746通常の名無しさんの3倍:2009/06/15(月) 20:42:49 ID:???
>>744
乙。
ウエストは量産型破壊ロボ投入時のエルザとの掛け合いとか、自分なりに行動規準を持ってるみたいだから個人的には全然OKでした。
さてこの後キラはどうなるか、侍さんはどうするか、議長の下した命令の意味とは……などなど、次の投下までwktkさせていただきます。
747通常の名無しさんの3倍:2009/06/15(月) 20:55:10 ID:???
GJ!
相変わらず続きが早く読みたくなる様な引きです
つーか相変わらずラクスさんの洗脳マジこえぇ
748通常の名無しさんの3倍:2009/06/16(火) 12:46:44 ID:???
GJ!

議長はやっぱり、そっちへいくか……
749通常の名無しさんの3倍:2009/06/18(木) 12:29:02 ID:???
保守
750通常の名無しさんの3倍:2009/06/18(木) 17:53:42 ID:???
保守
751通常の名無しさんの3倍:2009/06/20(土) 12:29:48 ID:???
保守
752通常の名無しさんの3倍:2009/06/22(月) 12:39:23 ID:???
保守
753通常の名無しさんの3倍:2009/06/24(水) 12:34:10 ID:???
保守
754通常の名無しさんの3倍:2009/06/25(木) 13:49:46 ID:j9kJflVN
カタ落ちしそうなんで保守アゲ
755通常の名無しさんの3倍:2009/06/27(土) 12:31:23 ID:???
保守
756通常の名無しさんの3倍:2009/06/27(土) 14:47:51 ID:???
過疎りすぎだろ。保守
757通常の名無しさんの3倍:2009/06/27(土) 15:55:55 ID:???
ね、ネタを……
誰かネタを………


って事で凸撃墜直後のシンと紅朔契約とか妄想してみたけど
凄い事になったんで断念....
壊れた状態で絡ませると危険だぁね
758通常の名無しさんの3倍:2009/06/27(土) 17:50:51 ID:???
シンと紅朔契約とかすげえツボだわ。
どんな感じになったのかおおよそでいいから教えてプリーズ。
759通常の名無しさんの3倍:2009/06/28(日) 00:02:07 ID:???
>>757
ネタだけなら

原作キラの性格変化の原因を全部クトルフ系の恐怖が原因なことにしてみるのはどうだろう?
幼い頃から時々悪夢を見て来たキラ。
友人との戦闘、シャトル撃墜を経て精神が弱ったころから表面上の性格も変化していく。
フレイやラクスのおかげで夜は何とか眠れていたが、フレイ撃墜のショックで眠れない日々が続く。
種運命時代開始。

ここまで考えたがこの先はボス出さないと話し進まない・・・
760通常の名無しさんの3倍:2009/06/28(日) 01:13:41 ID:???
>>758
昔、ここに投下されてたんだけどなぁ……>シンと紅朔契約
続きまーだー?(遠い目)
761通常の名無しさんの3倍:2009/06/28(日) 01:14:31 ID:???
>>758
凸撃墜直後に叫んだシーンで時間停止→携帯から湧き出た血煙がく紅朔になって契約、そのまま姿を消してMIA
紅朔の存在力が足りないからシンに魔術仕込んだり存在を刻みあったりしながら図書館とか襲って魔導書狩り新婚旅行

最終決戦に血煙に塗れたデスティニー(大破したら部品が溢れてデモベに変貌)で乱入、ラクシズ一党とその背後の邪神に戦いを挑むって感じ
762通常の名無しさんの3倍:2009/06/28(日) 01:56:49 ID:???
>>760
初代旧神の最後の投下からもう2年・・・いや三年かな?
旧神END後の九郎とアルが種死世界にやってくるって話だったんだが、
どこに行ったんだ・・・
763通常の名無しさんの3倍:2009/06/28(日) 02:55:40 ID:???
初代スレから居たけど、昔の勢いはすごかったな。
俺も数本投下したけど、旧神なんて名乗るなんておこがましい程度のモノしか書けかなったしな。
>>757
ネタなら連合VSルリムさん
神(F負債)の放り出した世界で一人ループし続けるシンが魔導書を得て成長していく物の2本があるよ。
764通常の名無しさんの3倍:2009/06/30(火) 12:42:17 ID:???
>>759
ボスなら、とことん便利なニャル様か
それともキラ自身の内部に存在して
最後にキラを食い破って出てきて終わると言うのが王道
765通常の名無しさんの3倍:2009/07/01(水) 22:33:54 ID:???
新たな職人様が降臨する事はありえるのだろうか……
昔の勢いが懐かしい。
766通常の名無しさんの3倍:2009/07/01(水) 22:55:09 ID:???
種からOO、さらにユニコーンに意識が流れちゃっているから
デモベガンダム総合クロススレにするしか新規の旧神呼び込む手は無いかも……
767通常の名無しさんの3倍:2009/07/02(木) 07:48:44 ID:???
やはりニトロvsガンダムにするしかないな(東映まんが祭り的な意味で)
768通常の名無しさんの3倍:2009/07/02(木) 10:46:40 ID:???
>>767
うんこマンの如くリベンジしまくるとか
有様はマユか?
769通常の名無しさんの3倍:2009/07/02(木) 16:37:34 ID:???
ユニコーンといえば、デモベとクロスさせるまでもなく本当に最終話で
神様になっちゃった初のガンダムだったな
770種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/07/02(木) 18:04:01 ID:???
 艦隊のジブラルタル到着まで後一両日の予定となった夜。
 タリアは艦長室で一人、今回送られてきた命令について思考を巡らせていた。
 捕虜の存在が上に明らかとなってしまった以上、引渡しはもう決定事項だ。そして引き渡した後、捕虜達が
どんな運命を辿ることになるかは、想像が付く。
 エクステンデッドのサンプルとして徹底的に調べられ、時に人道に反した実験すら受けることとなるだろう。
その果てに彼等の命が残っている保証はどこにもない。
「無力ね……あれだけ大口を叩いておいて」
 彼らの安全をタリアに懇願してきた、シンたち四人の顔が頭によぎる。彼等の信頼を裏切る
結果になってしまったことに、罪悪感を抱かずにはいられない。
「けど、どうしてギルが……」
 今回の件、最も腑に落ちないのはそこだ。本国の研究施設や上層部からの命令というなら分かるが、
よりによってデュランダル直々の命令というのが引っかかる。デュランダルがわざわざ捕虜の引渡しを命じる
理由が分からない。
 別の誰かがデュランダルの名を使っているのでは、とも考えたが、わざわざデュランダルの名前を使う
必要性もないように思える。
「考えるだけじゃ答えはでないわね……まったく」
 不機嫌も露にチェアに深く身を沈めるタリア。疲弊した肉体と精神が深い眠気に誘われるが、まだ眠るには早いと
誘惑を振り払う。
 残っている仕事に手をつけようとした矢先、突然鳴り響いた艦内警報にタリアは身を強張らせた。
『グラディス艦長!』
「何事なの、これは!?」
『そ、それが──』
 モニターに現れた保安部員に問う。事の詳細を聞き終えたタリアは顔に驚愕を貼り付けながら、
頭の中では「なるほど、確かにそうするでしょうね」と納得していた。
『ど、どうするべきでしょうか!?』
「決まっているわ、阻止しなさい!」
 とはいえ情に流されて見逃すわけにも、捨て置くわけにもいかない。艦長として、タリアは
厳格に保安部員へと命じた。
「多少強引でもいいから、絶対に逃がさないように! ただし、大きな怪我を負わせるのは避けなさい!
 逃げ出した捕虜にも手引きしたクルーにも、どちらにもよ!」
771種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/07/02(木) 18:07:03 ID:???
「引渡しか……まあ、仕方ないよな」
 ベッドに横たわるアウルの呟きに、周囲の人間は気づかない。ルナは眠りに付き、夜半過ぎの医務室には
スタッフも当直が一人二人残っているだけ、しかもうたた寝状態なのだから無理もない。アウルは一人、
眠れずにいた。
 引渡しの件は、艦長から直々に申し渡された。敵である自分にどこか申し訳なさげに告げる女性の艦長の姿が
アウルには印象深かったが、それよりも告げられた内容に頭を叩かれたような衝撃を受けた。
 捕虜の運命だと分かり切っていた、割り切っていたはずだった。だが現実がいざ目の前に迫れば、
恐怖が生まれるのを抑えずにはいられなかった。
 引き渡されたら、自分はどんな目にあうのだろうか? 決まっている。薬品を投与され、解剖され──
それ以外にも筆舌に尽くし難い様々な実験を受け、調べ尽されるのだ。そこには当然遠慮も慈悲もないだろう。
 当たり前だ。自分はコーディネイターにとっては憎むべき兵器、敵なのだ。敵に優しくするバカがどこにいる。
 ──ああ、そんなバカたちのお陰で今生きてるんだっけ、とアウルは苦笑した。
「けど結局こうなるんなら、やっぱ死んでたほうが楽だったかなあ」
 自分を誤魔化すようにおちゃらけた口調で呟いて、アウルは目を閉じて無理矢理眠ろうとする。
 その時、医務室の扉をノックする音がアウルの耳に入った。
「誰かしら、こんな時間に」
 女性スタッフがそそくさとドアに向かい、ロックを解除する。
「あら、シン君じゃない。どうしたの?」
 シンの名を聞いたアウルは、何をしにきたのか怪訝に思って顔をそちらに向けた。
 瞬間、鈍い音とくぐもった呻きが聞こえ、女性スタッフの身体が床に倒れ伏した。
「んなっ……」
 絶句するアウルの視界の中で、何事かと駆け寄ってきたもう一人のスタッフがシンに近づく。ごめんなさい、
とシンは小さく呟き、直後近づいてきたスタッフの鳩尾に拳を叩き込んだ。こちらは比較的身体の大きな
男性のスタッフだったが、ティトゥス相手に鍛錬を重ねてきたシンの前には無力も同然だった。
 スタッフ二人を素早くのしたシンは、アウルのベッドに近づくと腰からナイフを抜いて拘束具を
裂きにかかった。
「お、おいおい! シンお前、何やってんだよ!?」
「静かにしてろ! あんまり騒ぐと周りにバレる!」
 声を抑えながらも強い口調で言ってくるシンに、アウルは黙り込む。四苦八苦しながらなんとか全ての
拘束具を外し終えたシンは、数日振りに身体を起こして背筋を伸ばすアウルを尻目に奥のドアへと走る。
 数分も立たぬうちに、意識のないステラを抱えたシンが出て来た。
772種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/07/02(木) 18:09:56 ID:???
「……おいシン。お前ホント何考えてんだよ。こんなことしちゃったら、タダじゃすまないんじゃないの?」
 今度はこちらから強い口調で問い詰めるアウル。シンは一瞬暗い影を表情に落としたが、すぐに
意を決した顔でアウルを見返した。
「……分かってるさ。最悪、銃殺クラスの規定違反だ」
「んじゃなんでんなことしてんだよ!? 死にたいのかよお前!」
「そんなわけないだろ! けど俺は約束したんだ、ステラが危ない時は守るって! 俺だって、
 ステラに死んで欲しくない! 勿論お前にも! ……だから、お前たちを連合に返す。そう、決めたんだ」
「……バカじゃないの、お前」
「そうよ、バカなのよシンは」
 横からかかった言葉に、二人揃ってギョッとする。振り向くとそこには、ベッドから身体を起こす
ルナの姿があった。
「ルナ、起きてたのか?」
「横であれだけドタバタされたら起きるわよ……しかしまあ本当にバカなことしたわね、シン」
 睨むような視線でシンを見つめていたルナだったが、すぐに眼を伏せてため息を付くと、
ベッドから降りて身体を軽く捻った。
「何ボーっとしてるの、いくらシンでも逃走経路くらい考えてるでしょ? さっさと行くわよ」
 シンとアウルが揃って目を丸くする中、こともなげにルナは言った。
「ルナ、手伝ってくれるのか?」
「つかお前、怪我人じゃなかったのかよ?」
「舐めないでよね。この程度の傷でヒーヒーいうほどヤワな体してないわ。それに」
 アウルと眠るステラを見やり、ルナは満面の笑顔で言った。
「上の命令だからって理由だけで友達の命を諦めるくらいなら、あたしもバカになってあげるわよ」
「……本当に、お前もバカだよ。冗談抜きでどいつもこいつも大バカだよ、ホントさあ!」
 アウルは吐き捨てた。本気でバカだと思いながら、それがとても嬉しくて、泣きそうになった。
773種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/07/02(木) 18:16:54 ID:???
 ステラを両手に抱えたシンが先頭を走り、ルナとアウルが後に続く。ドッグまでの道を行く四人を、
通路の隅に隠れるように立っていた人影が呼び止めた。
「シン! アウル君! ……って、なんでお姉ちゃんまでいるの!?」
「あたしがいちゃ何か問題でもある? ……けどシン、あんたレイやあたしには相談しなかったくせに、
 メイリンは巻き込んだわけ?」
 ビックリしているメイリンに呆れながら、ルナからジト目でシンを睨みつける。シンはその視線に、
唯々身を縮こまらせた。
「いや、その、仕方なかったっていうか……すみません」
「し、シンが悪いわけじゃないよ! 私からシンに協力するって言ったの!」
 慌てて弁護しながら、メイリンはシンに一枚のディスクを差し出す。
「はいこれ、ガイアとアビスのログに残ってた通信コード。これで連合側にメッセージを送れるはずだよ」
「なるほど、考えたわね」
 ガイアとアビス、連合に運用されていた二機の通信コードなら連合と渡りが取れる。シンは
通信士であり通信関係を調べても違和感なく、更にコンピュータの扱いに秀でたメイリンにコードの入手を
頼んでおいたのだ。
「サンキュ、メイリン。それじゃ早く戻るんだ、俺たちといちゃ共犯にされる」
「そうね。もしバレて追い掛け回されるハメにでもなった時、メイリンじゃ足手まといだし……」
「お、お姉ちゃんヒドイ〜!」
「あのさあ、んなこと言ってる場合じゃ……!」
 不意にアウルの声を遮って、艦内に警報が響き渡った。どうやら事が発覚したのだろう。
「やばい、急がないと……メイリンはどうする!?」
「こうなったらもう付き合ってもらうしかないでしょ! 遅れないでよ、メイリン!」
「う、うん!」
「ほら急げよ、早く早く早く!」
 走り出す一行。だが追手の対応は素早く、すぐに後方から二名の保安部員が現れた。その手に黒光りする
警棒を構え、一行に迫る。
「止まれ! 止まらなければ、少々手荒い処置を取らざるを得ない!」
「悪いけど、断る!」
 ステラをルナに預け、シンは踵を返して保安部員へと駆け出した。勢いを殺さぬまま跳躍、飛び蹴りを仕掛ける。
しかし素人ならまだしも、相手は対人戦の訓練を積んだ保安部員。シンの重い蹴りを左腕でブロックし、
右腕の警棒で殴り返してきた。何とかなると高をくくっていたシンは、驚きながらもなんとか警棒をかわす。
 しかしシンが手こずっている間に、もう一人が後方のルナたちに迫っていた。日頃ロクに訓練をしていない
メイリンは言わずもがな、ルナも怪我を負っている上にステラを抱えているため満足に迎え撃つ事が出来ない。
「チックショウがぁ!」
 声を上げて、彼女達を守ろうとアウルが前に飛び出した。真っ向から放ったハイキックを保安部員は簡単に
受け止め、足を掴んだまま警棒を振り上げる。警棒が振り下ろされる中、ホーク姉妹の悲鳴が上がる。
 だが警棒は虚しく空を切っただけに終わった。愕然とする保安部員の頭上に、アウルは掴まれた足を軸にして
凄まじい膂力で身体を持ち上げていた。
 もう片方の足を側頭部に叩き込まれ、保安部員の意識は刈り取られた。空中で一回転しながら、
アウルが床に着地する。
774種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/07/02(木) 18:20:58 ID:???
「へへ、ナメてんじゃねえって、の……」
 立ち上がろうとしたアウルの身体が揺れ、倒れかけたところを慌ててメイリンが支えた。
「アウル君!」
「アウル、どうした!? 傷が開いたのか!?」
 なんとか保安部員を気絶させて駆け寄るシンを、アウルは片手を上げて制した。だがガクガクと震える
その様子は尋常ではない。
「やべぇ……僕にもガタがきちゃったかな……」
 アウルの言葉に全員がハッとする。エクステンデッドの、調整を受けないことによる細胞の崩壊。
これまでは保っていたアウルにも、とうとうその影響が出始めたらしい。
「カンベンして欲しいよ、よりによってんな時にさ……!」
 忌々しげに言うものの力は入らず、支えてくれるメイリンから離れることも出来ない。
警報は鳴り続け、見れば通路の向こうから、新たな保安部員が多数迫って来ている。
「クソッ、どうする……」
 シンは歯噛みする。まともに動けるのは実質自分だけ、戦うにしても逃げるにしても厳しい。
 進退窮まる状況、そんな時アウルが予想外の行動を起こした。
「……近寄るな! それ以上近づいたら、こいつをぶっ殺すぞ!」
「っ!?」
 アウルがシンの腰からナイフを抜き取り、支えてくれていたメイリンを背中から羽交い絞めにして
首筋に刃を添えた。突然の行動にシンやルナは勿論、保安部員達も動きを止める。
「あ、アウル君……?」
「黙ってろ! おい、お前等!」
 捕まえたメイリンに怒声を上げ、さらに乱暴な口調でシンとルナへと叫ぶアウル。
「とっととステラを連れてけ! さっさとしないとマジでこの女ぶっ殺すぞ!」
「っ! アウル、お前!」
 シンたちは理解した。アウルは動けない自身を犠牲にすることで、ステラを救おうとしている。もはや
足手まといのアウルが囮になれば、確かにステラを連れて逃げられる確率は上がるだろう。
 アウルを見捨てて、ステラだけを助ける──その非情な選択肢を、アウル本人が実行したのである。
「行けよ! 行けって言ってんだろ! 何ボーっとしてんだ、コラァ!」
「……っ!」
 唇を噛みながらも、シンとルナはその場を駆け出す。
 追いかけようとする保安部員を、アウルはメイリンを殺そうとする振りをしながら威嚇する。
「……ゴメンな、こんなことに付き合わせてさ」
「ううんいいの、私だって結局足手まといだったし……役に立てたなら、嬉しいかな」
 保安部員には聞こえない抑えた声で呟くアウルに、メイリンも振り向かぬままで答える。互いに声が、
かすかに震えている。
「でも、これじゃアウル君は……」
「……ま、仕方ないよ。僕は運がなかったって、諦めるさ」
 自嘲気ではあったが、その声には覚悟があった。
 メイリンはうん、とだけ返した。アウルの覚悟と意志を汲み、捕らわれの少女を演じようと
彼女もまた覚悟し、泣いた。
775種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/07/02(木) 18:23:22 ID:???
 幸いにして居残りのメカニックもいなかったドッグに入り込み、シン達はコアスプレンダーへと走る。
 コアスプレンダーの操縦はシンなら問題ない。問題は発進するために、カタパルトゲートを操作して
開かなければならないことだ。
「シン! あたしがカタパルトを操作するから、あんたは行きなさい!」
「いや、けどルナ……」
「グズグズしてる暇なんてないでしょ! 早く!」
「でもお前、ゲートの操作の仕方知ってるのか?」
「うっ……そ、そこは知恵と勇気でなんとやら……」
「待て」
 背後からかかった言葉に、シンとルナが振り返る。
 レイが拳銃を構え、無表情で佇んでいた。
「こうするだろうと思っていれば、案の定か」
「レ、レイ……」
 口を開こうとするシンを、レイは頭部に銃口を向けて黙らせる。
「分かっているのか。お前たちがしようとしていることはデュランダル議長への……ザフト本国への反逆行為だぞ」
「……分かってる」
「例え連合に返せたとしても、ステラが助かる確証はない。お前が無事で戻れるという保証もだ。
 それも分かっているのか」
「それも……分かってる」
「なら、何故そんなことをする」
「決まってんでしょうが!」
 叫んだのはルナだ。憤慨した顔で、真っ向からレイに食いかかる。
「友達助けるのに理由なんかいるもんですか! それに今更止められないわ……頑張ってくれたメイリンの、
 自分を犠牲にして送り出してくれたアウルのためにも!」
「……そうだよ。俺は、俺たちはもう決めたんだ。ステラを助けるって!」
 ルナに触発されるように、シンも声を上げる。
 銃口を向けたまま、レイは淡々と告げる。
「俺は、お前たちとは違う。俺は議長を、ザフトを裏切れない。例え天秤にかけるものが友人であっても……しかし」
 銃口を下ろし、レイは二人の間を抜けていく。その足が向かう先には、カタパルトの制御コンソールがある。
「レイ、あんた……」
「ルナマリア、お前も手伝え。操作は俺が教える。……俺個人としても、今回の命令にはひっかかるものがある。
 何より議長直接の命令というのが気に入らない……あの人は、人間の業によって生まれた犠牲者を
 更に攻め立てるような人じゃないんだ……!」
 レイの表情に、この場で初めて変化が現れた。無表情を装おうとしているが、その端々に苦悩、困惑、懐疑、
そして悲嘆の感情が溢れている。長年生活を共にしたシンやルナだからこそ分かるわずかな変化だが、それだけに
レイの心がどれだけ波立っているかが理解できた。
「行け、シン。だが約束しろ……お前は、必ず戻って来い」
「素直じゃないんだから……けどシン、あたしも同じ気持ちよ。戻ってこなきゃ承知しないから」
「……ああ、分かってる!」
 親友二人に見送られ、ステラを抱えてシンはコアスプレンダーへと走り出した。
776種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/07/02(木) 18:26:43 ID:???
 ミネルバを脱出してから数時間。連合とコンタクトを取ることに成功したシンは、コアスプレンダーを
指定したポイント──ミネルバからも連合の領地からも離れた海岸近くに着地させていた。
 呼び出した相手は第81独立機動群ファントムペインの指揮官、ネオ・ロアノーク。アウルからは
エクステンデッドのお目付け役と聞いており、ステラもうわ言で何度か名前をつぶやいていた人物だ。
 部隊の司令官なら権限もあり、エクステンデッドと親しかったとなれば対応も期待できる。後者は半ば
願望に近いものであったが、シンはその可能性に縋るしかなかった。
「早く来てくれ、早く……!」
 レーダーに反応。ネオが来たのかと思ったがすぐその考えは打ち消され、代わりに焦燥と恐怖がシンを襲った。
 識別コードは味方。表示される機体は、オーガアストレイ。
「ティ、ティトゥス、さん……」
『シン。拙者はグラディス艦長から、お主を連れ戻すよう依頼を受けている』
 コアスプレンダーを上空から見下ろすオーガアストレイは、既に抜刀している。通信モニターに映った
ティトゥスが紡ぐ冷厳な声に、シンは背筋が凍るような悪寒を感じた。
 自分はザフトを裏切り、ティトゥスはそのザフトに雇われている身。彼の剣が浅はかな情で鈍るような事は
あり得ない。
 勝てるわけがない──確信に似た強迫観念に、シンの心が折れかける。
「うう……シン……」
 萎縮していたシンだったが、胸の中にいるステラのうわ言に我に返った。
 俺は約束したんだ、ステラを守るって──その約束は、絶対に果たさなきゃいけない!
「ティトゥスさん……お願いです! 少しだけ、あと少しだけ待ってください! お願いします!」
『待てば何か変わるというものでもあるまい』
「ステラを助けられます! ステラを連合に引き渡したあと、俺はどうなっても構いません! だから!」
 機体を降りていれば、土下座でもなんでもして懇願していただろう。必死なシンの言葉を受けた
ティトゥスは数秒の間の後、変わらない口調で告げた。
『……拙者はお主を連れて帰れと言われたのみ。時間や状況について細かい注文は受けていない』
「っ! それじゃあ!」
『しばし待つ。しかし連合がお主に危害を加えようとした場合、拙者はその者を斬る……
 例えそこの娘の運命がどのようなものになろうとも知らぬ。それは分かっておけ』
「……はい」
 納刀したオーガアストレイが着陸し、コクピットから降りたティトゥスは目を伏せて腕を組む。
シンはキャノピーを開け、ティトゥスへと頭を下げた。
 そして数分後、レーダーに新たな反応が映ると共にティトゥスが目を開く。近づいてくる
エンジン音に、シンはステラを連れてコアスプレンダーを降りた。
777種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/07/02(木) 18:28:28 ID:???
 紫色のウィンダムがゆっくりと降下、コアスプレンダーとオーガアストレイのやや前方に着陸する。
コクピットから現れた男は、顔に奇妙な仮面を被っていた。アウルが言ってたとおりだ。
 仮面の男はこちらに近づいてこようとはしない。そちらから来い、ということだろう。
 シンは一度ティトゥスを振り返る。ティトゥスはシンを見返すだけで何の素振りも見せようとしない。
自分で考え、自分で行動しろ──そう言われているように思ったシンは頷くと、再度ネオへ向き直って
足を進め始めた。
 5メートル程度の距離まで近づいて、シンは足を止める。
「あんたが、ネオ・ロアノークだな」
「そうだ。で、俺を名指しで呼び出した君は何者かな、坊主?」
「シン・アスカ。ステラとアウル……それにスティングの、友達だ」
「友達だって? ……なるほど、ディオキアで……そういうことか」
 合点がいったとネオは呟き、仮面の上から顔を押さえた。
「俺の要求は通信で伝えたとおりだ。あんたにステラを返す……ステラに、助かって欲しいから」
「……分かった」
 シンとネオがお互いに足を進め始める。二人の距離が3メートル、2メートルと縮まっていき……
あと1メートルもない位置まで近づいたところで、不意にシンの足が止まった。
 仮面に隠れたネオの顔を、シンは真っ直ぐに見据える。開いた口から溢れたシンの声は、今にも泣きそうなほど
震えていた。
「約束してくれ……」
「ん?」
「約束してくれ! ステラをもう戦場に出さないって! 決して戦争とか、モビルスーツとか、
 そんな死ぬようなこととは絶対遠い、優しくて暖かい世界へ彼女を返すって!」
 突然大声で叫んだシンに眼前のネオは硬直し、後方のティトゥスは表情を硬くした。奇妙な雰囲気が
場を支配する。
 シン自身、何故こんな台詞を自分が言ったのか分からなかった。ただ胸の奥から湧き上がる感情を、
そのまま吐き出さずにはいられなかった。
 それはシンがステラに望む、シンの願望だった。
「……ははっ……ははは、ははははははは! は、はっはははは!」
 硬直から解けたネオの口から漏れる、小さな苦笑。そのまま哄笑へと変わった声が、沈黙を吹き飛ばす。
 底抜けに明るい、子供のような馬鹿笑い。その笑みを了承と取り、シンの顔にも笑みが浮かびかけたその時、
778種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/07/02(木) 18:33:31 ID:???
「ははははははは……出来るわきゃねえだろぉぉっっ!」
 一瞬で間合いを詰めたネオの正拳が、笑おうとしたシンの顔を大きく歪めた。
 鼻や口元から血を流し、きりもみしながらシンの身体が飛ぶ。朦朧とした視界に、自分の腕の中から離れた
ステラを左手で抱き止めてるネオの姿が映る。
「甘いんだよ、坊主……!」
 仮面に隠れた顔の上半分は見えないが、口元は見える。食いしばった歯と共に露になっているのは、憤怒だ。
 その右手が腰のホルスターに伸び、拳銃が引き抜かれる。
「優しくて暖かい世界? こいつらに、エクステンデッドにそんなものはない! あるとするならば、それは
 敵であるお前達コーディネイターが滅んだ世界か……そうでなければ死後の世界だけだ!
 そんなものを望むなら、お前はステラを返すべきではなかった!」
 引き金が引かれる。拳銃から放たれた銃弾がシンに迫り……割り込んだティトゥスの刀が、弾丸を弾き飛ばす。
 二刀を構えたティトゥスが、ネオへと踏み込む。そこでようやくシンの身体が地面に落ちた。
鈍い痛みが、飛びかけていたシンの意識を引き戻す。
 ティトゥスの刀がネオと、その腕の中のステラへと迫る。間違いなく、ステラごとネオを両断する太刀筋。
シンは止めようとするが、痙攣した口からは呻き声しか出てこない。
 剣線が、光となって線を引く。
 両断されたのはネオの手にあった拳銃のみ。ネオはステラを抱いたまま、数メートル後方へと退いていた。
 並の人間に避けられるほど手を抜いたわけでもなければ、油断してもいない。それでも自身の斬撃を避けられた
という事実に、ティトゥスは目を見開く。
 波立つ感情を抑えながら、ティトゥスは再度斬撃を仕掛けようし、
『ネオーーッッ!』
 横切った衝撃波に、ティトゥスが態勢を崩した。上空を駆け抜けたカオスはすぐさま踵を返し、
スラスターから風を地上に吹きつけながら高度を下げていく。
 強風に吹かれながらシンが立ち上がる。その姿を捉えたカオスのカメラアイに宿る、凶暴な光。
『シン……てめぇは!』
 カオスが武装をシンとティトゥスに向けた。生身に向けられた巨大な破壊力の顕現に、シンの身体が硬直する。
ティトゥスがシンを庇うように、刀を交差して前に出た。
「やめろスティング、お前は殺すな!」
『何言ってやがんだネオ! こいつらは、こいつらは敵だろ!』
「やめろと言った! 命令だ!」
 強い口調で告げるネオに、スティングは苦々しげに了承の意を示すが、銃口は外さない。
ティトゥスもまた油断なく、いつでもシンを連れて逃げれるようカオスとネオ双方に意識を傾けている。
「……覚えていろ、坊主! ステラは殺すぞ! 敵を、コーディネイターを、民衆を! 連合に逆らう全てが、
 目の前に立つ全てのモノが、ステラによって殺される! 敵を全て消し去ったあとにしか、
 ステラに幸せが訪れる事はない!」
 素早くウィンダムに乗り込んだネオが、シンに向かって叫んだ。含まれているのは多分に怒りではあるが、
その響きにはどこか、シンを諭そうとするような印象が感じられる。
 だが次に発せられたネオの言葉が、シンの胸に深々と突き刺さった。
779種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/07/02(木) 18:36:35 ID:???
『ネオ! ステラは無事なのか!』
「ああ、大丈夫だ。かなり危険ではあるが、連れ帰って調整を受ければ助かる。お前の友達には感謝せんとな」
『……友達なんかじゃねえよ。あいつらは、敵だ!』
「そうだな……それでいい」
 回線を切り、ネオは深くため息をついた。
 脳裏に浮かぶのは、あのシン・アスカとかいう坊主の姿。
「人に言えた義理でもないだろうがな……」
 自分が彼に投げつけた言葉を思い出し、ネオは苦笑する。自分や連合の責任を棚上げした
言葉ではあったが、同時に間違ってもいないとネオは思っていた。
 一方的にステラを返すと言い出し、それだけでなく都合のいい奇麗事までほざいた、世界を知らぬ愚かな小僧。
軍人の風上にも置けないその甘さ、軽率さ、身勝手さ加減に呆れ、憤慨し、その行動の結果起こる悲劇を
叩きつけてやった。あの時の戦慄した顔を見ていくらか溜飲が下がる思いだ。
 ただ、その際やや冷静になった思考の隅でネオは同時にこう思いもした。
 ──何故、自分はここまであの坊主に激昂しているのだろうか?
 その考えが浮かんでから、ずっとネオは自問自答していた。頭の中では理解しているように思えて、
言葉にしようとすると何故か出てこない。
「うう……ん……」
 ふと、腕に抱いたステラから吐息が漏れる。症状も末期に差し掛かりもはや意識不明の状態だが、
痛みすら感じなくなったのかその顔は逆に安らかですらあった。
「シン……シン……」
 ステラが漏らす名前に、苦笑するとともに少し残念に思う。少し前まではネオ、ネオと、自分にばかり
甘えていたというのに。
「……そうか、そういうことか。はははっ、なんてこった。こりゃホントにあの坊主へ文句を言える筋じゃないな」
 ふと、気づいた。あそこまでシンに反感を持った理由──それは、嫉妬だ。
 ステラを助ける為に全てを犠牲にする。どこまでもステラの身を案じ、その願いを愚直なまでに正直に口にする。
滑稽ではあるが、全てはステラのことを本気で思っているからこそ出来ることだ。
 自分には、出来ない。どれだけステラを──エクステンデッドたちを大事に思っても、彼等を道具として
使うことしか出来ない。軍という組織の規律と体面に逆らえぬまま、命令に従って彼等を死地に送り、
人殺しをさせる。
 そんな自分にシン・アスカは、眩しすぎたのだ。
「どこで道を踏み外したのかねえ、俺って奴は……」
 思い返してもそれは分からない。すっかり見に染み込んだ己の業に、ネオは自嘲気に哂った。

 ──そしてネオは何故か、気づかない。思い返せる過去なんて、『何処にもないこと』を。
780通常の名無しさんの3倍:2009/07/02(木) 18:54:56 ID:???
支援
781種死逆十字書き ◆oN23gQHrEc :2009/07/02(木) 19:09:41 ID:???
雨が酷いなあこんばんわ。
やはり二週間ちょいオーバー……でも書き続けるよ!
しかしあとがきだけサルになるとなんだか微妙な気分(汗) ともかくいつも支援ありです。

ステラ返還の巻。アウルはまあ生き残らせた段階でこうなる予定でした。
それ以外は大抵原作どおりだけど、ネオはちょっと熱血漢?じみた感じに。
ムウだったら多少はこんな感じだったんだろうけど、ネオになってやけにズル賢い人になったから……
あれ、ムウの頃からズルい人だったっけ?(^^;)
そしてどれだけ騒いでも、投げられても起きないステラ。ごつご(ry……まさに眠り姫だ! ということで(爆)

次回、帰還したシンにかけられる査問。無罪放免とはいかないよ。
んでもってついにデカブツ登場の前フリかな。
782通常の名無しさんの3倍:2009/07/02(木) 19:15:09 ID:???
まだ現実を知らない青くて真っ直ぐなガキを殴り叱る事の出来る人って種世界じゃ貴重だよね
キラの時からこんな人であれば…
783種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/07/02(木) 19:25:03 ID:???
「そしてシン・アスカ! それはお前のせいだ!」
「……っ!」
「ステラの手にかかって、多くの人が死ぬ! だがその責任はステラではなく、お前にある!
 お前がステラ一人を助けたために、ステラによってそれ以上の人間が殺されるんだ!
 忘れるな! お前の行動のせいだ! お前が助けたステラの手で無関係な命が失われるのを、後悔するがいい!」
 言い放ったネオとその腕の中で眠るステラが、コクピットの奥に消える。ウィンダムが飛び立ち、その背を追って
カオスも去っていく。
「去ったか……シン?」
 ティトゥスの声は、シンには届いていない。
 夜の明け始めた海岸で、シンはただ呆然と立ち竦んでいだ。今まで身体を身体を突き動かした熱は冷め切り、
冷たく重くのしかかる無力感に、ガクリと膝を付いた。



『ネオ! ステラは無事なのか!』
「ああ、大丈夫だ。かなり危険ではあるが、連れ帰って調整を受ければ助かる。お前の友達には感謝せんとな」
『……友達なんかじゃねえよ。あいつらは、敵だ!』
「そうだな……それでいい」
 回線を切り、ネオは深くため息をついた。
 脳裏に浮かぶのは、あのシン・アスカとかいう坊主の姿。
「人に言えた義理でもないだろうがな……」
 自分が彼に投げつけた言葉を思い出し、ネオは苦笑する。自分や連合の責任を棚上げした
言葉ではあったが、同時に間違ってもいないとネオは思っていた。
 一方的にステラを返すと言い出し、それだけでなく都合のいい奇麗事までほざいた、世界を知らぬ愚かな小僧。
軍人の風上にも置けないその甘さ、軽率さ、身勝手さ加減に呆れ、憤慨し、その行動の結果起こる悲劇を
叩きつけてやった。あの時の戦慄した顔を見ていくらか溜飲が下がる思いだ。
 ただ、その際やや冷静になった思考の隅でネオは同時にこう思いもした。
 ──何故、自分はここまであの坊主に激昂しているのだろうか?
 その考えが浮かんでから、ずっとネオは自問自答していた。頭の中では理解しているように思えて、
言葉にしようとすると何故か出てこない。
「うう……ん……」
 ふと、腕に抱いたステラから吐息が漏れる。症状も末期に差し掛かりもはや意識不明の状態だが、
痛みすら感じなくなったのかその顔は逆に安らかですらあった。
「シン……シン……」
 ステラが漏らす名前に、苦笑するとともに少し残念に思う。少し前まではネオ、ネオと、自分にばかり
甘えていたというのに。
「……そうか、そういうことか。はははっ、なんてこった。こりゃホントにあの坊主へ文句を言える筋じゃないな」
 ふと、気づいた。あそこまでシンに反感を持った理由──それは、嫉妬だ。
 ステラを助ける為に全てを犠牲にする。どこまでもステラの身を案じ、その願いを愚直なまでに正直に口にする。
滑稽ではあるが、全てはステラのことを本気で思っているからこそ出来ることだ。
 自分には、出来ない。どれだけステラを──エクステンデッドたちを大事に思っても、彼等を道具として
使うことしか出来ない。軍という組織の規律と体面に逆らえぬまま、命令に従って彼等を死地に送り、
人殺しをさせる。
 そんな自分にシン・アスカは、眩しすぎたのだ。
「どこで道を踏み外したのかねえ、俺って奴は……」
 思い返してもそれは分からない。すっかり見に染み込んだ己の業に、ネオは自嘲気に哂った。

 ──そしてネオは何故か、気づかない。思い返せる過去なんて、『何処にもないこと』を。
784種死逆十字書き ◆oN23gQHrEc :2009/07/02(木) 19:26:22 ID:???
すいません、最後の投稿、上数行抜けてたので再投稿しましたorz
785通常の名無しさんの3倍:2009/07/02(木) 20:01:56 ID:???
乙でーす
道化でしかない罠、今はまだ誰も

>>769
木星の赤ジムの幼虫というべきか
786通常の名無しさんの3倍:2009/07/02(木) 21:52:06 ID:???
GJです。
本編のネオは、素知らぬ顔でステラを受け取り、ベルリン地獄を演出した後、
電波テロリストに拉致洗脳され、無反省に正義の味方ごっこをしてくれたので、
「ましな大人(良い意味、悪い意味でも)」になって良かったかなと。
787通常の名無しさんの3倍:2009/07/04(土) 12:43:59 ID:???
788通常の名無しさんの3倍:2009/07/05(日) 00:52:12 ID:???
>>766
総合か……
もし可能なら西博士とコーラの組み合わせを見てみたい。
何か相性が良さそう。
789通常の名無しさんの3倍:2009/07/06(月) 16:04:37 ID:???
ふと、デモベ世界って多元世界だから

時間軸がずれてるシンとかもいていいのだろうか、とふと思ったり。
種死本編開始時間がZと同じ七年後だったり、とかマユが半人半書だったり、とか。
790通常の名無しさんの3倍:2009/07/06(月) 16:07:37 ID:???
無限のデモンベインの中にはデモンベイン(という名を持つMS)に乗るキラやシンがいるんじゃないか?
それと同じできっと西博士にこき使われる虎やシンもいる
つまり旧神の描く世界次第というわけだな
791通常の名無しさんの3倍:2009/07/06(月) 20:47:06 ID:???
>>789
デモベ後の世界でデモンベインMkーUを駆るホラーハンターシンと、
魔導天使サンダルフォン二世なマユとな?

教授に師事してLAとかと契約出来ればなんとかなりそうな……
792通常の名無しさんの3倍:2009/07/07(火) 22:24:28 ID:CKaDQVoY
>>789
多元世界っつーかクラインの壺の中のループ世界だし。
小ネタの議長にすり替わったシンみたいのはできそうだな。
793通常の名無しさんの3倍:2009/07/08(水) 14:53:23 ID:???
>>792
でも、飛翔見る限り、多元世界化しちゃってるような気もするんだが。
卵が先か鶏が先なのかは分からんが。

永劫の衝動(アイオーン・インパルス)に乗って戦うシンや、
全身是ドリル状態のフリーダムが出てきても構わない……自由とはそういうものだ。
794通常の名無しさんの3倍:2009/07/08(水) 15:31:39 ID:???
スーパーフリーダムロボ28号DX 「ああ、自由とは何と罪深き事か」イグニッションですねわかります
795通常の名無しさんの3倍:2009/07/08(水) 21:28:49 ID:???
ムーンチャイルド計画によって改造され、水中戦を得意とする白銀の騎士となって戦うシンがあった
796通常の名無しさんの3倍:2009/07/09(木) 12:28:37 ID:???
>>795
おなじように改造されて異形の左腕を持つ漆黒の戦士に変身するシンもいるんですね、わかります。
シン「ガルム・ストライク!!」
797通常の名無しさんの3倍:2009/07/09(木) 13:05:45 ID:???
キラさんは…改造されても高慢度がupされて廃棄コースしかないけど
極稀の世界ではカズマ化してるかもしれない…
798通常の名無しさんの3倍:2009/07/09(木) 13:16:32 ID:???
>>797
そして別の極稀な世界では口先の魔術師となっている訳だな
799通常の名無しさんの3倍:2009/07/09(木) 17:25:32 ID:???
>>795って何のネタ?
800通常の名無しさんの3倍:2009/07/09(木) 17:33:03 ID:???
>>799
サイボーグ009の008かな
801通常の名無しさんの3倍:2009/07/09(木) 20:30:56 ID:???
>>799
Xライダー
今度のディケイド劇場版で中の人を鈴村がやることになった
声がかかるのをひたすら待ち続けていた速水氏マジ涙目
802通常の名無しさんの3倍:2009/07/10(金) 12:07:30 ID:???
三体の人造の鬼械神を僕とし、砂嵐で守られた城に住まうシン・アスカとかも有りそうだ

つかハヅキ、ルルイエ異本、エセルドレータとの契約で似たようなこと出来るな
803通常の名無しさんの3倍:2009/07/10(金) 23:43:43 ID:???
ハヅキでもキツいのに残り2書で完全にシンが終わってる気がするのは俺だけか?w
804通常の名無しさんの3倍:2009/07/10(金) 23:50:51 ID:???
>>797
幼女がいないので無理だろ
805通常の名無しさんの3倍:2009/07/11(土) 00:29:23 ID:???
>>797
白い悪魔(幼女)ヴォイスの魔導書と契約すれば…
806通常の名無しさんの3倍:2009/07/11(土) 15:10:29 ID:???
SEEDの世界は児ポ禁止が法律化したのでもう永遠にカズマ化はありえないってじっちゃんが言ってた
807通常の名無しさんの3倍:2009/07/11(土) 17:30:41 ID:???
なーに、妹の携帯+妹の待ちうけを持ち歩いてるシスコンがいるんだ…
なんとでもなる
808通常の名無しさんの3倍:2009/07/11(土) 23:53:43 ID:???
無限しんぼ

……なんだか逆十字が揃って童顔になりそうな気が
809通常の名無しさんの3倍:2009/07/12(日) 14:53:37 ID:???
シン「このクトゥルーを喚び出したのは誰だい?」
シン「このクトゥルーからは知性も暴虐的な攻撃性も感じられない、それに触腕の動きも悪い……まるで養殖モノだ」
地球皇帝「ほう…言い寄るわ」
シン「三日、三日後だ、、本物のクトゥルーのをお見せしましょう」
というのが脳内再生されて困った

まあ元々鈴村は美味しんぼで料理人目指してたから……
810通常の名無しさんの3倍:2009/07/12(日) 21:41:03 ID:???
何の気無しに新シャア覗いたら、デモンベインの名前が見えたので来訪
オーガアストレイ自作したくなった
イメージとしてはM1ベースでストライカー用コネクタがある感じでおk?
811通常の名無しさんの3倍:2009/07/13(月) 21:20:00 ID:???
前言ってたけどそんな感じだったかな。
完成したらうpしてくれよーwktk
812通常の名無しさんの3倍:2009/07/14(火) 00:28:31 ID:???
よし、組み立てもせず5年くらい放置してた赤枠使って作るぜ
だがフォビストライカーの形がいまいち想像つかない・・・
代わりにセラフィムでも背負わせるか
813通常の名無しさんの3倍:2009/07/14(火) 10:22:44 ID:???
刀は赤枠のガーベラ&タイガーを使うんですねわかります
814通常の名無しさんの3倍:2009/07/16(木) 03:56:05 ID:???
ちょっと、シンと刹那の二人に魔を断つ剣・二刀流をやらせてくる
815通常の名無しさんの3倍:2009/07/16(木) 12:20:45 ID:???
シン「我ら!」
刹那「魔を断つ!」
シン・刹那「「二刀りゅ……あれ、俺達二人とも二刀軽く越えてる……」」

ハヅキ「減点だね、ダディ」
教授「そうだなレディ、これでは単位はやれそうに無いな」
816通常の名無しさんの3倍:2009/07/18(土) 12:28:37 ID:???
817通常の名無しさんの3倍:2009/07/19(日) 03:58:27 ID:???
保守
818種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/07/19(日) 14:08:59 ID:???
「シン、出なさい」
 タリアの声に、独房でうずくまっていたシンは顔を上る。
 ミネルバに戻った直後に拘束されたシンは、ジブラルタルに入ってからもミネルバの営倉に
監禁された状態で数日を過ごしていた。
「貴方の処分についてだけれど……これから行なう査問の結果如何で、最終的な結論を下すことになったわ」
 独房の扉が開けられ、保安部員が入ってくる。シンは促されるままに立ち上がり、
保安部員に前後を固められた。表情のない、無気力さがありありと見て取れる顔にタリアは眉を潜めたが、
すぐに踵を返して営倉を出ようとする。
「……アウルは、どうなりました?」
 シンのものとは思えないほど弱々しい声。タリアは振り返らぬまま、問いに応えた。
「昨日本国に移送されたわ。滞りなく……とはいえなかったかしら。あの子自体は大人しかったけれど、
 ルナマリアとメイリンがかなりごねてね。レイの視線も痛かったわ」
「そう、ですか……」
 それきり、シンは再び黙り込んだ。タリアが歩き出し、それを追って保安部員に囲まれたシンも歩き出す。
(……あれだけの事をした以上、タダで済ますわけにはいかないのは確かなのだけど)
 憔悴したシンの様子に同情しながら、タリアは今回の件に関して疑問を抱かずにはいられなかった。
 エクステンデッド脱走に関して、発覚当初ザフト上層部は重大な問題として責任を追及していた。
だが数日もせぬうちに、この件は一切他言無用の極秘事項とするという通達が届いたのである。
 しかもシン以外の関係者には一切罪を問わないというオマケつきで、だ。
 それだけでも異例の事態だというのに、シンにだけ行なわれることとなった査問、その担当者の名を聞いたとき
タリアは耳を疑った。
(一体、何がどうなっているの……何を考えているというの、貴方は?)
 深く知っていたはずの男の考えが、今はまったく理解できない。困惑と一抹の寂しさを振り払うように、
タリアは目的の場所へと足を進め続けた。
819種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/07/19(日) 14:10:58 ID:???
 拘束されてミネルバの通路を歩くシン。通りかかるクルーから様々な感情の視線が投げ掛けられるが、
シンは俯いたまま一切反応しなかった。
 しかしある程度歩いたところで、ふと気づいて顔を上げる。歩いている道順は艦の外に出るものではなく、
むしろ内側に向かうものだ。てっきり基地の中でお偉方の前に突き出されるのだろうと考えていたシンは首を傾げる。
 そしてその疑問は、辿り着いた先が通信室であったことでより深まった。
「入りなさい、シン」
 保安部員が離れ、背後に移動したタリアが促す。怪訝に思いながらも、シンは自動ドアをくぐり室内へ入る。
『──待っていたよ。シン・アスカ君』
 掛けられた言葉に、シンを動揺が襲った。
 聞き覚えのある声。だがそんな筈がない、なんでこの人が──
 後方で部屋に入ったタリアの声と、自動ドアが閉まる音。
「お待たせしました、デュランダル議長」
 その言葉と目の前の光景が、シンに現実を認識させた。
 プラント最高評議会議長、ギルバート・デュランダルが、モニターの向こう側にいた。
『驚いているようだね。今回の査問は私に任せるよう、議会に働きかけたのだよ』
 何故、という質問すら出来ないほどシンは緊張していた。緊張を解そうと気を揉んでいるのだろうか、
デュランダルは朗らかな笑みをシンに向ける。
 シンも反射的に作り笑いを返そうとし……デュランダルと目があった瞬間、表情が硬直した。
『さて、手早くともいかないが、なるべく時間は省いていこう。私も多忙な身だし、仲介に通信施設を
 使わせてもらっているオーブに長々迷惑をかけるわけにもいかないのでね』
 笑った顔のままのデュランダルの目は、まったく笑っていない。背筋に、氷のような冷たさが走る。
『これより、軍務規定に背く行為を行なったシン・アスカへの査問を行なう。この内容如何により君への
 処罰は決定することとなる。こちらからの質問には偽りなく、正直に答えてくれたまえ……
 よろしく頼むよ、シン君』
 穏やかな口調、だが決して気を抜くことを許さない雰囲気に、シンはただ頷いた。
820種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/07/19(日) 14:11:54 ID:???
 最初に感じた緊張感に反して、査問は穏便に続いていた。
 デュランダルは決して詰問するような物言いではなく、穏やかにシンへ質問を行なう。
シンの答えを聞き、その言葉の意味を噛み締める様に何度か頷き、次の質問に移る。
 それが十数回繰り返されたところで、デュランダルはふむ、と一息ついた。
『では一度、ここまでで分かった君の行動とその理由をまとめてみようか。シン君、君はステラ・ルーシェを
 始めとするエクステンデッド達と友人という関係にあった。そして衰弱していく彼等を見ていられず、
 また本国に移送されて実験サンプルとして扱われることも許せなかった。だから君は、
 エクステンデッドの逃亡を助け、連合に引き渡そうとした……これで間違いはないかな?』
「……はい」
 シンの返答はしっかりしていたが、その声にも表情にも、感情はほとんど現れていない。半分心ここにあらず、
という状態だ。
 デュランダルの登場にこそ驚いたが、シンは今回の査問にも、そしてその結果自分がどうなるのか
まったく考えていなかった──正確には、考える余裕がなかった。
 今、シンが考えている事は──
『……正直な感想を言わせてもらうと、君の行動は軽率すぎる、と言わざるを得ないな』
 冷たさを伴ったデュランダルの指摘に、半分現実から離れていたシンの意識を引き戻した。
『ステラ・ルーシェを含むエクステンデッドたちの境遇には、私も同情を禁じえない……が、だとしても
 彼女が連合の兵士として戦い、少なからぬ被害をもたらしたのは否定できない事実だ』
「それは、でも、ステラたちは連合に無理矢理……」
『分かっている。しかしだからといって、何もかもが許されるわけではないだろう。例えば彼女達が
 アーモリーワンで機体を強奪した際、不幸にも亡くなった軍人や民間人の家族、友人、知人……
 彼らが事情を全て知ったとして、彼女たちを許せると思うかね?』
 議長の言葉に、反論しようとしたシンは押し黙る。
『彼女を連合に返したところで、本当に彼女が救われるのかどうかも疑問だ。敵に捕らわれるような兵器を、
 果たして彼女に手を加えた人間や運用する指揮官が大事にするだろうか?』
 シンは黙ったまま議長の言葉を肯定するが、けど他に方法もなかったと、当時の自分を振り返った。
 あの時はステラたちを助けることに躍起になって他に考えが浮かばなかったし、アウルから聞いたネオという
男の人物像にわずかな期待を抱いていた。ステラやアウルに少なからず信頼を得ているネオなら、彼等を無下には
扱わないだろうと。
 だがそのシンの行動と思いは、他ならぬネオその人によって断ぜられた。
821種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/07/19(日) 14:17:01 ID:???
『仮に連合が、ステラの命を助けたとしてもだ』
 デュランダルが一度間を置き、僅かに声のトーンを落とす。
『助かったステラは再び記憶を消され、連合の走狗として戦場に出るだろう。その手にかけられる人々は、
 ステラが助かったことによって生まれる、本来はありえなかっただろう犠牲だ。君はそこまで考え、
 承知した上で行動を起こしたのかな?』
 シンの身体がびくりと奮える。無表情だった顔が歪み、泣きそうな声で呟いた。
「俺は……俺はステラをただ、助けたかっただけで……」
『人を助けたい、そう願うのは尊いことだ。だがそのための行動で、別の誰かが被る事になる理不尽を
 分からなかった、知らなかったというだけで済ますのは傲慢だ。信念と言えば美しいが、言い方を変えれば
 それは我侭でしかない』
 議長の言うとおりだとシンは思った……ネオに指摘された時から、それに気づいたずっとシンは悩み、
苦しみ、答えの出ない自問自答を繰り返していた。
 約束どおりステラを助ける、ただそれだけを考えていた。その為になんでもする決意をし、ザフトにも逆らう
選択をした。ステラを連合に返す──そうすれば全部なんとかなると、根拠もなく考えていた。
 いや、違う。ステラを返せばどうなるかなんて、分かりきっていた。それでも気づかない振りをして、
目を背けて……ネオの指摘にそれも出来なくなって、始めてシンは恐怖した。
 自分の行動の結果、ステラは人を殺す。大勢の人が死ぬ──分かっていながら、自分はその責任から
逃げようとしていた。
 選んだのは、責任があるのは、自分。自分の行動で人の命を脅かしておきながら、自分の行動は正しかったと
妄信し、気づかない振りをしようとした。
 それはオーブを救おうと戦い、結果として自分の家族を殺したフリーダム──キラ・ヤマトと一緒じゃないか!
「……けど、じゃあ俺はどうすればよかったんだ……俺にできることなんて、何もなかったのか……?」
『あるとも。というよりやってもらわなければ、できないようでは困る』
 自問の声に、デュランダルが答えた。デュランダルの目は相変わらず、シンを見据えている。
『──回りくどい言い方は止めにしようか。個人的にはさておき、プラント最高評議会議長としては、
 正直君の思想や動機などはどうでもいいのだ』
「え……」
『私が、いや、プラントとザフトが君に求めるのはただ一つ──今後君は、《何があろうともプラントのため、
 ザフトとして戦えるか》ということだ。この査問は、結局のところそれを確かめるためのものでしかないのだよ』
 心の奥底まで全てを見透かされているようなデュランダルの視線。
 デュランダルの言葉はすなわち、今後プラントやザフトに逆らうことなく忠実に従うか──全ての敵を、
たとえステラが敵として現れようとも殺せるのか、と暗に問うている。それは軍人としては最低限の、
当然の心構えであることは理解出来る。
 だがシンは問いに答えることも、首を振ることも出来ぬまま、無為に時が過ぎていく。
822種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/07/19(日) 14:20:02 ID:???
『……シン・アスカ。プラント最高評議会議長として、君に命じる』
 無言のままでいるシンに深いため息を付いて、デュランダルは告げた。
『暫定的にではあるが、本日を以って君からインパルス、及びセカンドステージシリーズの操縦権を剥奪する』
「……っ!」
「議長、それは……!」
『意義は認めない。グラディス艦長も黙りたまえ』
 シンは驚愕し、タリアも目を剥いて食い下がろうとするが、デュランダルは一言で切って捨てた。
『本来なら更に重い処分を下すところだが、有能なパイロットである君を燻らせている余裕も無い。
 だが、いつ機能しなくなるやも知れぬ不安定で危険な人物に、ザフトの最新鋭機を預けることも出来ない……
 己がどうすべきかもわからない今の君に、ザフトの力を行使する資格はない』
 冷徹極まる言葉が、シンの胸に次々と突き刺さる。デュランダルは目を伏せ、諭すように言った。
『あくまで暫定的なものだ、正式な処分は日を改め、折って通達する。だがこれだけでもパイロットとしては
 十分に重い処分だろう。今回の件を深く受け止め、君がザフトの兵としての認識を改め反省することを
 切に願う……以上だ、シン・アスカ。速やかに退出したまえ』
 それだけ言って、興味が失せたかのようにデュランダルはシンから視線を外した。力の抜けた身体でなんとか
敬礼し、通信室の出口へと向かう。同情するようなタリアの視線が逆に痛く、また申し訳なかった。
 通信室を出るともう保安部員はいなかった。既にロックの掛かったドアを振り返りもせず、
シンはすぐ通信室を離れようとする。
「シン!」
 かけられた声に俯いていた顔を上げる。レイとルナが、心配げな顔をシンに向けていた。
「査問を受けたって聞いたけど、大丈夫!? なんであたしたちは無罪放免で、アンタだけ……」
 肩を掴んで揺さぶってくるルナ。反応らしい反応を返さないシンに、ルナを抑えながらレイも訝しげに訊ねる。
「落ち着けルナマリア……何があった、シン」
 解放されたシンは一度二人に目を向けるが、なんでもないと呟いて目を背ける。
 自分なんかに心配げな視線を向けられるのが、シンにはたまらなかった。
「大したことは言われなかったよ……ただデュランダル議長に、インパルスを降りろって言われただけだ」
 絶句する二人。それを尻目にシンはその場を去ろうとする。
「ちょ……どこが大したことじゃないのよ! 大事じゃない!」
「議長が、だと? どういうことだ!?」
 慌ててシンに追いすがる二人。ルナの手が背中に伸びる。
 シンはその手払いのけ、苛立たしげに歪んだ顔で振り返った。
「俺なんかが……俺なんかがインパルスに乗ってても、何一つ守れるものなんてないってことだろ!」
 怒鳴りつけられて呆然とする二人。その顔を見て、シンはすぐさま後悔の表情を浮かべた。
「……ごめん。しばらく放っておいてくれ」
 振り返り、通路を歩いていくシン。今度はもう、二人とも声をかけてこない。
 暫く歩き、周囲に誰の気配も感じられなくなる。シンは足を止めると、壁に両手と頭を押し付けて身を震わせた。
 俺は戦争で苦しむ人々を守りたかった──その一人として、ステラを助けたかった。
 でも実際は安らかに眠ろうとする彼女を叩き起こして、辛い世界に引き戻しただけ。それだけじゃない、
ステラを救うと言う自己満足のために、ステラだけでなく、守りたかった筈の多くの人を苦しめる選択を
してしまった。
 俺は、裏切ってしまった──ステラも、人々も、俺自身の願いすらも!

「俺は、俺は今までなにを、なんのために……父さん、母さん……マユ……ステラ……!」

 濁流のように溢れ出る感情は涙に変わり、俯いたシンの瞳から零れ落ちていった。
823種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/07/19(日) 14:22:14 ID:???
「……ぇああああっっ!」
 怒号と鉄を裂く重低音が、格納庫に響いた。轟音にメカニックたちはビクリと震えながらそちらを振り向く。
 右手で刀を振りぬいた姿勢のティトゥス、その眼前には廃材となった、MSのフレームに使われていた鉄骨が
縦一文字に両断されていた。
「ハアアアッッ!」
 二本に分かれた鉄骨が倒れぬ間に、左手でも刀を抜いてティトゥスはなお斬り付ける。二本まとめて輪切りに
された鉄骨が次々と不揃いの鉄塊と化し、重い音と共に転がっていく。
 比較的見慣れた、ティトゥスの自主鍛錬の光景。だが普段とは違う鬼気迫る様子のティトゥスに、
メカニックたちは恐怖と不安を感じずにはいられなかった。
 当のティトゥスはそんな周囲の視線にも気づかず、苛立ちを発散しようと刀を振るい続けた。
 思い出すのは連合の仮面の男。確実に捉えた筈の一太刀は、いとも容易く避けられた。
 男の技量や状況──そもそも、相手が誰であったのかも関係ない。ただ『避けられた』という事実そのものが、
ティトゥスを酷く苛立たせていた。
 ──拙者の剣は、人一人斬れぬ程度なのか。
 変わっていないではないか。高みを目指すと嘯きながら、実際の力はこの程度。
 人の道、人としての高みと謳いながら、一歩たりとも進んでいないではないか!

 ──それとも、所詮はこれが拙者の限界なのか?
 
 不意にティトゥスの体から、力が抜けた。
 構えを解き、剣呑さを潜めるティトゥス。その様子に周囲のメカニックはホッと息をつく。
 メカニックたちは気づかない。ティトゥスの苛立ちは消えたのではなく、別の感情に変化した事を。
 ティトゥス自身も気づいていない。己の中に燻りだした感情は、自分がもっとも唾棄するものであることに。
 ──それはティトゥスをかつて蝕んだ、『怠惰』の感情そのものだった。



「念入りに消してくれ。特にアウルに関してと、ここ暫くの記憶は」
「しかし、一度に大量の記憶を消すと精神の不安定さが増しますが……」
「仕方がない。暴れるだけでも動かないよりはマシだ」
 吐き捨てるように告げ、ネオは科学者達に背を向けた。一度だけ《ゆりかご》の中で眠るステラとスティングを
振り返るが、すぐに踵を返して退室した。
「そうだ、動かなければ……戦わなければ何も変わらんのだ……」
 ブツブツと呟きながら基地の通路を歩くネオに、将兵たちは怪訝な顔をしながらも敬礼する。だが
ネオの視界には入っておらず、敬礼を返すこともない。
 やがてその足は、大きく広がった格納庫へと辿り着いた。
「戦って、敵を倒して……全てが終わった後なら、お前たちも幸せになれるはずだ」
 仮面で覆われた顔が持ち上がり、自嘲気な笑みが口元に浮かんだ。
「だからその為に戦え……なんて、所詮は身勝手な大人のいうことか」
 見上げた視線の先にあるのは、通常のMSよりも遥かに巨大な黒い影。
 四肢から胴体、頭部に至るまで全身に重火器を埋めこんだ、漆黒の巨人だった。
824種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/07/19(日) 14:24:25 ID:???
「──ああ、インパルスや他のセカンドシリーズに、誰を乗せるかは任せる……苦労をかけるが、
 頑張ってくれたまえ、タリア」
 用件を話し終え、デュランダルはミネルバとの通信を切った。何か言いたげだが言えないといった風な
タリアの表情が心苦しくはあったが、仕方がない。
 タリアのことは一度頭の隅によせ、デュランダルはシンに付いて思考する。
 実に甘い、それがまず思った印象。直情的に過ぎ、ただ突き進めば物事が好転すると
思っているのではなかろうか。およそ兵士としての資質には欠けているとしかいいようがない。
 ──にも関わらず、デュランダルはシンに対して少なからず好感を感じていた。命を尊く思う純粋さを
持ち、現実の辛さを知りながらそれを捨てない。故に悩み苦しむ姿は滑稽で無様ではあるが、
実に人間らしいと思える。
 プラントの議長として、またデュランダルの思い描く未来の構想においては、シンのような人間は
はっきり言って不安要素でしかないというのに。
「自身の事ながら、随分と矛盾した話だな……」
『なんのことですかな、議長?』
「いいえ、なんでもありませんよ」
 苦笑しながら、デュランダルは繋がっていたもう一つの通信モニターに顔を向けた。そこに映っている人物は、
濡れ烏の髪を流した麗人──オーブのロンド・ミナ・サハクだった。
「サハク司令、アメノミハシラの通信施設の貸し出しを含めた多数のご協力、感謝いたします」
『構いませぬ、興味深い話も聞けた……しかしあの小僧、敵の女にうつつを抜かすだけでなく
 あのように煮えきらぬ態度を……あれでオーブに生まれた男子というから情けない』
「私も少々呆れています……しかしあの甘さを、私は何故か好ましくも思うのです」
『ほう。随分とあの小僧を立てられる。何か特別な理由でも?』
「ははは、どうでしょうかな」
 勘繰るような言葉にデュランダルは嘯くが、ミナの言はあながち間違ってはいない。
 シンは、特別だ。今それに気づいているのはデュランダルを含め僅かだろう。おそらくは師も、
シンの存在には未だ気づいてはいないはずだ。
『……しかし、実際に贔屓はされているようだ。あの機体の件がそれを物語っている』
 薄い笑みを浮かべていたミナの唇、それが真横に引き結ばれた。
「あれはそちらに届きましたか」
『滞りなく。しかし本当によろしかったのか? 最新鋭機を預けるだけでなく、最終調整やその機体を原型とした
 新型の開発などと……最新技術を丸ごと他国に渡しているのと変わらぬというのに』
「構いません。最新鋭機といっても製造の為の技術レベルはオーブとそう変わりありませんし、仮にコピーや
 量産に成功したとしても、簡単に運用できるものでもない。それに新型の開発については、正直そちらでしか
 出来ないのですよ。あまりに構想が突飛過ぎて、技術的にも体面的にも、ザフトの工廠で作れるものではない。
 独立した工廠を持ち、かつ魔術について多少なりとも造詣のあるアメノミハシラでなければ」
825種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/07/19(日) 14:27:10 ID:???
『送られてきた希望スペックと初期草案を見た時は、確かに我も目と議長の正気を疑ったが……
 しかし魔術については我々も素人に毛が生えた程度。最悪の場合ウェストに協力を願わねばならぬかも
 しれませぬ』
「分かりました、その場合はこちらからもドクターに連絡いたしましょう」
『……しかし、議長もお人の悪いこと』
 引き結んだミナの唇が微笑を取り戻したかと思うと、そのまま悪戯っぽい笑みに変わった。
『楽しみは後に取っておく意図で、小僧から機体を取り上げられたのか?』
「いえ、そのようなことは。あくまでザフトの兵として自覚を促すための処置ですよ。そこは個人のえり好みとは
 切り離して考えなければいけませんからね」
『ではそういうことにしておくとして……調整の終了とともに、共に来たパイロット共々直接
 ミネルバに送り出せばよろしいか?』
「お願いします。彼も地球に待ち人がいる身なのでね」
『承知しました……ではこの辺りで失礼を。デュランダル議長、いずれまた』
「ええ。ありがとうございました、サハク司令」
 通信モニターが消え、デュランダルは軽く目を伏せる。
 夢想するのは己が望む未来。その道を切り開く『剣』を、デュランダルは見出した。
「SEEDを持つもの……その強大な力は人の上に立ち導くためのではなく、人の前に立ち道を切り開くために
 あるべきなのだ……しかし考えてみれば、私のやっていることはキラ・ヤマトを戦わせているラクス・クラインと
 そう変わらないのかもしれないな」
 自嘲気な笑みが零れる。少し前なら自分とラクスを比較はしても、同一視など絶対にしなかっただろう。
 だがウェスパシアヌスとの取引──あの時冒した選択で、自分もまたエゴに縛られた愚かな人間であったことを
思い知らされた。少なくともあの瞬間は、自分はラクスに勝るとも劣らぬ愚者だったと断言できる。
 だが後悔する暇はない。失敗は取り戻せる──二度と戻らないものを失うまでは。
 打てる手は全て打つ。どれほどの代価を払おうとも、どれだけの人間を利用しようとも。
「そのためにも、君には戦い続けてもらわなければならないのだよ。シン・アスカ……」



to be continued──


826種死逆十字書き ◆oN23gQHrEc :2009/07/19(日) 14:29:45 ID:???
仕事は減ったが給料も減ったぜこんにちわ。
時間が出来た分ペース上げれたらいいなーとは思うが、本当に上がるのかどうか(マテ)

シン、インパルスを取り上げられるの巻。こんな査問ねーよという意見にはゴメンナサイというしか(--;)
自分の書くシンは本当にロクな目にあってないなあと思い始める……え、今更?(爆)
いや、シンは好きですよ? 無論ティトゥスも大好きですw ぼちぼち二人とも元気になってもらいます。

次回はとうとうデカブツ登場。んでもってキラにも出てもらうけど……ってところで。

そしていつに間にかオーガアストレイ立体化計画が!? めっちゃくちゃ嬉しいです。
フォビドゥンストライカーは平面のゲシュマイディッヒ・パンツァー二つが、ストライカーパックに
長めのアーム(足の裏までは届くくらいの長さ、普段は折り畳んである)で繋がっていて、
アームとパンツァーの接続部にビームサーベルが内蔵されてるイメージです。
……分かりにくい説明になってるかな? なにせ自分の脳内妄想なもので(汗)
ともかく、完成を楽しみに待っております。
827通常の名無しさんの3倍:2009/07/19(日) 16:01:54 ID:???
そういえば原作だとなんとか賞みたいなのを取り消し、トイレ掃除一ヶ月だったか
まー機密にかかわるかもしりない上に、自軍の被害をだすようなパイロットを敵に返すのは愚の骨頂だからなぁ
下手したら射殺されかねないことだし

インパルスから落とされ、次に来るのはシンの後継機
運命なのか、それともまったく別のモビルマキナなのか、楽しみだ
そういえば自由vsインパルスはどうするんだろうか
828通常の名無しさんの3倍:2009/07/19(日) 21:30:28 ID:???
乙!
やっぱ面白いな。

>>827
魔術理論を用いるみたいだから運命でも多少変わるんだろうな。
長距離ビーム砲がディグミーノーグレイブになったりして。
829通常の名無しさんの3倍:2009/07/20(月) 12:02:57 ID:???
アロンダイト→バルザイ
長距離砲→我埋葬
フラッシュエッジ→双子手裏剣
似非VL(翼)→ニトクリス

これだけでもかなり変わるな
問題はアンチクロス達魔術師の反応速度の高さをどうするかだな
種を発動させても機体が追いつかなきゃ意味が無いし
830通常の名無しさんの3倍:2009/07/20(月) 12:51:09 ID:???
まじでGJ!
個人的に沈んだ感情がすごくいい。ついに待ち望んだ機体がッ・・・いやインパルスも大好きですよ。
読んでみてやはりシンには感情的な姿がよく似合うと思った。
怠惰が顔を出したティトゥスに沈み切ったシン、こっからどうなるのか楽しみ過ぎる。頑張ってください!
831通常の名無しさんの3倍:2009/07/20(月) 15:22:18 ID:???
>>829
シンをなんらかの魔導書と契約して組み込めば良い
楽しい事大好きなナイアさんなら適当に魔導書見繕って持ってくるか
自身の魔導書の聖霊な一柱を連れてきてくれるさ

もしかしたら紅朔と言うシンと運命に相性が良い(紅、血の涙的な意味で)の連れてきてくれるかも知れないが
夜の性活でシンが搾り尽くされそうだ
832通常の名無しさんの3倍:2009/07/20(月) 23:09:59 ID:???
露骨にシンを18禁ルートに行かそうとする…いやらしい…

そういえば議長が魔導書(ルルイエ)を持っているからそれを託すかもしれないなぁ
まぁ今の段階だと黒幕の駒でしか見えないが…
833通常の名無しさんの3倍:2009/07/20(月) 23:32:29 ID:???
デモベ原作でも未登場の魔導書が出たりしないかな
イオドの書とかグハーン断章とかエルトダウンシャーズとか
834通常の名無しさんの3倍:2009/07/21(火) 13:24:18 ID:???


本来悪いことなんだろーが
ティトゥスは
怠惰と不遜なほうがらしいと考えている俺がいるw
835通常の名無しさんの3倍:2009/07/21(火) 19:13:02 ID:???
ホントに怠惰になるときついぜ・・・俺は飯も食いたくないくらいになったことがある
いつ死んでもいいやくらいな感じ。まじ怖い。怠惰には抗う必要があると考えている。

それはともかく一気読みしたんですが、インパルスかっこええ!
パーツを使っての拘束、最高でした。こういうギミックの使い方大好きです。
836通常の名無しさんの3倍:2009/07/21(火) 20:23:21 ID:???
普通に屍食教典儀の劣化コピでいいんじゃね?
エルザ通せば別に契約してなくても操れるんだし
837通常の名無しさんの3倍:2009/07/21(火) 20:26:45 ID:???
しかし最悪の場合か。
西博士がどう見られてるのか良く分かるw

下手に任せるとSAN値ゴリゴリ削られる物しか作らんしな。
838通常の名無しさんの3倍:2009/07/21(火) 21:08:07 ID:???
運命をウエストに任せたら
・ドリル
・簡単入力自爆装置
・ドラム缶
のどれかは間違いなく含まれるだろうな
839通常の名無しさんの3倍:2009/07/22(水) 01:46:34 ID:???
だが一方でハンティングホラーのようなシブいメカも作るのが西博士だ
シリアス時ならマトモな改造を施してくれるさ
840通常の名無しさんの3倍:2009/07/22(水) 06:48:38 ID:???
赤と青のイメージのある運命が真っ黒なカラーになりそうだな
841通常の名無しさんの3倍:2009/07/22(水) 15:35:53 ID:???
ミイラ男「黒い運命と聴いて……ちょっとカガリ消してくる」
842通常の名無しさんの3倍:2009/07/22(水) 19:46:12 ID:???
お前はサテキャで消されてこいよ
843通常の名無しさんの3倍:2009/07/22(水) 19:57:28 ID:???
CEは錬金術が未発達っぽいしリトルエイダが一番じゃね?
戦闘用とは思えんゴリアテであの性能だし。
844通常の名無しさんの3倍:2009/07/22(水) 23:41:02 ID:???
ただのエンジンを鬼械神に匹敵するエンジンにするからな
MSと同化すれば普通にそこらの鬼械神と渡り合えそうだ
845通常の名無しさんの3倍:2009/07/23(木) 21:01:26 ID:???
運命と永劫がならんでヴーアの結印刻んでバルザイ多重召還とか
パルマ・クトゥグアなんか見てみたいな
846通常の名無しさんの3倍:2009/07/23(木) 22:57:34 ID:???
>>パルマ・クトゥグア
相当腕の部分を強化(機械的にも魔術的にも)しないと腕ごと吹き飛びそうだなw
847通常の名無しさんの3倍:2009/07/24(金) 19:04:59 ID:???
エドガーがやったみたいにクトゥグアを神槍形態にすれば
エヴァのサキエルみたいなパイルバンカーぽいかんじで使えるんじゃない?
848通常の名無しさんの3倍:2009/07/24(金) 23:47:40 ID:???
あれって螺旋杖の形態変化だからクトゥグアとはまた違うと思うが
神槍形態とかの形態変化って術者のイメージで何でもなるのかね?
それなら螺旋杖一本で運命の武装をほぼ全て作れそうだが
849通常の名無しさんの3倍:2009/07/25(土) 00:13:13 ID:???
術者が有能ならどうとでもなるんだろ
苦労なんてクトゥグアとイタクァ合体させてるし
850通常の名無しさんの3倍:2009/07/25(土) 00:28:16 ID:???
しかしスペルヘリクスって便利だな。
やろうと思えばクトゥグアじゃなくてイタクァ装填したり出来るだろうし、近接攻撃にも応用できると

本編じゃやっぱりアイオーンごと潰されたんだろうな。。。
851通常の名無しさんの3倍:2009/07/25(土) 01:27:19 ID:???
と言うか錬鉄呪法だけで総て賄えるだろ
永劫の銃だってあれで作ってるんだし
852通常の名無しさんの3倍:2009/07/25(土) 01:29:27 ID:???
あれはアズラッドの生まれ持ったセンスも合わさっての物だけどな。
同じ事九郎にやらせても出来ないんじゃないだろうか。
853通常の名無しさんの3倍:2009/07/25(土) 01:30:10 ID:???
九郎ちゃん、猪突猛進なトコあるし・・・
854通常の名無しさんの3倍:2009/07/25(土) 04:15:14 ID:???
ふと思ったがシンがLAと契約して
コア・スプレンダーに獅子の心臓と銀鍵守護神機関組み込んだらやばくね?

錬鉄呪法極めたら各フライヤーとシルエット作れるだろうし
シルエット変更やり放題
強いけど命を削る死霊秘宝だけど獅子の心臓と銀鍵守護神機関から供給される魔力で使い放題だ
855通常の名無しさんの3倍:2009/07/25(土) 06:42:54 ID:???
まずそれを組み込めるほどの技術力があるかどうかだけどな
下手したら50mサイズのインパルスになりかねん
そもそも獅子の心臓を軽く組み込めるように言ってるけどヤバさで言ったらリベルの無限の心臓と同等だぜ
856通常の名無しさんの3倍:2009/07/25(土) 10:59:03 ID:???
>>854
ちょっと違うぞ
獅子の心臓は異界と現世を繋ぐヨグ=ソトースの門の一種で莫大な熱量(魔力?)を秘めている
で、銀鍵守護神機関はそれを制御・抑制し、デモンベインの動力に変換する機関
レムリアインパクトは獅子の心臓からの無限熱量を相手にぶち込む技
まあ小説設定だから一部当てにならんけど

>>855
リベルレギスは魔術機関エンジンだぜ? 小説だと無限の心臓って出てるけど
857通常の名無しさんの3倍:2009/07/25(土) 11:40:01 ID:???
>>856
ゲーム発売された当時はエンジンの名前とかの細かい設定はっきり決まってなかったんじゃね?
858通常の名無しさんの3倍:2009/07/25(土) 12:08:01 ID:???
獅子の心臓ってデモンベインに積んである銀鍵守護神機関の名称みたいなもんだと思ってたわ
859通常の名無しさんの3倍:2009/07/25(土) 13:12:41 ID:???
銀鍵守護神機関の中に無限の心臓(獅子の心臓)があるんじゃないのかい。
小説ではデモンベインに詰まれる前の旧式の銀鍵守護神機関はでかい部屋一個丸々使ってたりしたなぁ
860通常の名無しさんの3倍:2009/07/25(土) 18:59:35 ID:???
それだけ無限(獅子)の心臓が危険ってことだろうな
一般人が検視したら発狂して死んだし
それを運用しようとする鋼造(九郎)も無茶だよなぁ。ベースのデモベはともかく技術と設備は毎回一からスタートなわけだし
861通常の名無しさんの3倍:2009/07/25(土) 19:41:49 ID:???
00の世界なら擬似獅子の心臓なら作れそうだな
862通常の名無しさんの3倍:2009/07/25(土) 20:57:39 ID:???
>>861
それが太陽炉じゃね?
粒子で人間陵辱するし人外に堕すわけだしさ
863通常の名無しさんの3倍:2009/07/25(土) 21:49:00 ID:???
太陽炉:無限の心臓の模造品、アザトース粒子を撒き散らす。00で二乗化した粒子はパイロットを人外にさせる

ガンダム≠〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇:総てはこのガンダムの意のままに

刹那・F・セイエイ:最初にガンダムという邪神に魅いられた男
864通常の名無しさんの3倍:2009/07/25(土) 22:16:26 ID:???
旧神になってしまう刹那と、あくまで人間であり続けるシンか
865通常の名無しさんの3倍:2009/07/25(土) 23:22:01 ID:???
>>860
最終決戦時のパーフェクトデモベ→ループで過去へ→ボロベイン→修復→蒸気機関デモベ(技術レベルのせいで)
→ズァウィア戦で解体・エイダの科学の騎士技術で修復→軍神デモベ(まだ一部未完成?)
→鋼造死亡までの数十年での微調整→一話のデモベ って感じかな?

しかしエイダさんいないとガシャコンガシャコン煙吐きながら動くデモベになっちまうとこだったから
マジで西博士並の何でも博士だな
866通常の名無しさんの3倍:2009/07/26(日) 00:45:46 ID:???
エイダって何気に独学で色々と開発してるしな
科学に関しては間違いなく天才といっていいLv
作るものに関しては頓珍漢なものが多いけど
867通常の名無しさんの3倍:2009/07/26(日) 10:58:48 ID:???
>>856
飛翔で無限の心臓になってたよ。リベルレギスのエンジン部。

>>857
平行世界から無限のエネルギー吸収は元からあったはず。
868通常の名無しさんの3倍:2009/07/26(日) 13:34:46 ID:???
>>867
ああ、俺が言ったのはリベルレギスのほう。>エンジンの設定決まってなかったんじゃって疑問は。
リベルのエンジンがデモベと同質のものって描写が出たのは古橋版が初出じゃなかったっけ?
869通常の名無しさんの3倍:2009/07/26(日) 20:20:41 ID:???
リベルレギスの魔導機関エンジンはデモンベインでいう銀鍵守護神機関に当たる装置なんじゃないのか?
デモンベインとリベルレギスの動力が同じものだと考えるとそうなのが妥当……と自分は考えてたんだが
870通常の名無しさんの3倍:2009/07/27(月) 02:12:04 ID:???
>>869
軍神強襲で鋼造の駆ったデモベはリベルの心臓も搭載してたから
中枢部分は同じと見てよいかと
871通常の名無しさんの3倍:2009/07/27(月) 22:47:24 ID:???
思ったんだ
デスティニーじゃなくてトゥーソードにシン乗せればいいんじゃね?
あくまでも新型MSと言い張って
872通常の名無しさんの3倍:2009/07/27(月) 23:03:01 ID:???
デストロイみたいなのがMSなんだ
ザムザザーが普通に量産されてるんだ
デモンベインがMSだっていいさ

しかしなんでシンばっかなんだろ
たまにはキラさんのことも思い出してあげてください
彼だって無印の頃は主人公なんです
873通常の名無しさんの3倍:2009/07/27(月) 23:11:44 ID:???
西やエルザと幸せに馬鹿やってればいいよ。

……(´・ω・`)
874通常の名無しさんの3倍:2009/07/28(火) 02:59:28 ID:???
キラか…実は、ヒビキ博士が作り出した「獣」、で本来は外なる神々から人類を護る為の剣の一つ。しかし、ナイアによってその役目は捩曲がる……な妄想。

そして、カズマなキラのデモベはきっと右腕が大きいはず
875通常の名無しさんの3倍:2009/07/28(火) 11:04:57 ID:???
衝撃のファースト・インパクト
追撃のセカンド・インパクト
抹殺のラスト・インパクト
反逆のレムリア・インパクト
876通常の名無しさんの3倍:2009/07/28(火) 13:43:23 ID:???
とりあえずオーガアストレイ本体の原型できたぜ


正面から観たら赤枠まんまだが
877通常の名無しさんの3倍:2009/07/28(火) 21:19:00 ID:???
>>876
あと1,2回ぐらいループ(次スレ)したら完成するかな?
878通常の名無しさんの3倍:2009/07/28(火) 23:22:14 ID:???
僕たちにとってはその程度泡沫の夢さ
879通常の名無しさんの3倍:2009/07/28(火) 23:42:29 ID:???
さびしい奴だね…君も
880通常の名無しさんの3倍:2009/07/29(水) 12:50:10 ID:???
アドハンスドヘイズルと運命使ってデモベとトゥーソードの中間みたいなの作ろうとした事有ったな……

イメージを形に仕切れなくて断念したけど
881通常の名無しさんの3倍:2009/07/30(木) 22:40:27 ID:???
今だったらデモベのプラモを使って
MS的な意匠を施すという手もありますね
882通常の名無しさんの3倍:2009/08/01(土) 12:27:55 ID:???
883種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/08/02(日) 16:37:31 ID:???
 闊歩する巨人の足が、逃げ惑う人々を悲鳴ごと踏み潰す。
 全身に施された火器から無数のビームとミサイルが放たれ、美しき街並みを火の海へと変える。
 街も、人も、MSも、戦艦すらも。巨人の行く先全てが焼き尽くされ、夜の闇を炎で染め上げる。
 巨人の名はデストロイ──その名の通りの、破壊者。
「ユーラシアもバカなことを。下手に反抗してジブリール卿の怒りに触れなきゃ、
 こんなことにはならなかったろうに」
 巨大MSデストロイの後方上空で、ウィンダムに乗ったネオが独語した。
 せっかくの初陣の相手がザフトでも反連合国でもなく、連合内の内輪揉めの報復とはなんとも情けなくなる。
だが命令は命令、忠実に実行するしかない。
 それにこれまでの失敗が、かなりジブリールの顰蹙を買っている。そろそろ挽回しておかなければ、
自分もあいつらも、未来はない。
『ケッ、派手にやりやがって……おいネオ、なんであんなのがデストロイに乗れて俺は乗れないんだよ!』
「適正らしいから仕方がないだろう。お前はカオスなだけマシだと思え」
 スティングの舌打ちにネオは苦笑しつつ、一抹の哀しみを胸の奥で押し殺した。
 強制的に記憶を消したスティングは、もう何も覚えていない。アウルのことも、友人たちのことも。
その代償として、大量の記憶を消されたスティングの精神はかなり不安定になっていた。
 いや、スティングだけではない。
『ネオ! 敵が、敵がっ! 怖い、怖い、怖い!』
「大丈夫、大丈夫だステラ。お前は強い、お前の乗ってるのはとても強いんだよ。それに乗ってさえいれば
 敵なんて怖くない」
『ホント? ホントに?』
「ああ、ホントさ。だからそれで、敵を倒してくれ。怖いモノは全部消さなきゃな」
『うん、ステラ、頑張る……消えろ! 敵はっ! 敵は全部消えろぉぉー!』
 半泣きだったステラは突如豹変し、搭乗したデストロイの全火力を再び解放する。半ば常に恐慌状態でいる
今の彼女には、味方以外の全てが敵に見えてしまう。
「それでいい。全部消してしまえ。それがファントムペインの……お前達が今生きている理由なんだからな」
 後のことは、終わって考えればいい──そう結論付け、ネオは戦闘以外の一切の思考を止めた。



 連合による西ユーラシア、ベルリンへの攻撃。これはザフトだけでなく地球の諸国にも強い衝撃を与えた。
 ブレイク・ザ・ワールドの被害が大きいという理由で、地球連合の一部でありながら対ザフトに消極的な
姿勢だったユーラシア。元々連合内部で大西洋連邦と折り合いが悪い歴史があったが、近日において
欧州へのザフト駐留を許したことがついにジブリールの逆鱗に触れた。
 ジブリールは子飼いのファントムペインにユーラシアへの攻撃を支持。最新の大型可変MSまで投入し、
主要都市の殲滅を図ったのである。
 この行動が同盟諸国だけでなく連合の内部、そしてロゴス内でもジブリールへの恐怖と不信を
喚起し、カガリらオーブの反戦交渉に皮肉にも有利に働くことになる。
 そしてザフトは友軍及び非戦闘員への虐殺行為を阻止するという名目で、ベルリンへの戦力追加投入を決定。
 その中には当然のように、ジブラルタルに駐留していたミネルバも含まれていた……



第十八話 beyond the vestige


884種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/08/02(日) 16:41:38 ID:???
「……まさかシンをインパルスから降ろしておいて、あたしにこれに乗れなんてね」
「おいおい、気持ちは分かるが俺たちに当たるのはカンベンしてくれよ」
 ぎこちない笑顔をするヨウランに嫌味っぽい口調になったことを謝り、ルナは先ほどまで
調整していた機体に目を向ける。
 右腕にスレンダーライフルを持って佇む、修復されたアビス。その姿にルナはため息を付きたくなった。
「でもカートリッジマウントしないといけないとはいえ、本当にランス省いてよかったのか?」
「大丈夫よ、近づかれないよう弾幕張って、それでも接近してくる奴にライフルってのがあたしの
 やり方なんだから。欲を言えば背中はレール砲じゃなくてガトリングが良かったけど」
「まあ連射は利くし、砲門の数も火力も上がってるから大丈夫なんじゃないの?」
 曖昧に同意しながら、アビスから目を背けて格納庫を出ようとする。ふと振り返り、横目でアビスの向かいに
鎮座するエールカスタムとインパルスに目を向けた。
 エールカスタムのコクピットシートに座るシンに、外から身を乗り出したレイが何かを喋っている。だが話を
聞いている筈のシンは、遠目にも無気力で生気が感じられないのが分かった。
 居た堪れない気持ちでルナは目を背けると、早足で格納庫から出て行った。
 インパルスを降ろされたシンは、レイと交代でエールカスタムに乗ることになった。この配置換えに
ルナはもちろん、インパルスに乗ることとなったレイも抗議したが、デュランダル議長の決定と聞けば
文句を言えるわけがない。一切文句を言わないシンと何か言いたげで言えないレイの顔が、ひどく印象に残っている。
「何考えてんのよ、あのオタ議長は……」
 つい言葉にして、聞かれなかったかと慌てて周りを見る。幸い通路に人影はなく、誰の耳にも
入らなかったようだ。
 今のルナには、デュランダル議長が今一つ信用できなかった。
 魔術に精通していると知って多少の胡散臭さこそ感じていたが、ディオキアでの会食で気に入らない点こそあるが
議長としては流石の人物だと認識を改めていた。
 だがここ最近の行動は、ルナにとって許せるものではなかった。議長として、プラントを統べる者としては
当然なのだろう。だが友人たちを──アウルやステラを躊躇なく実験台にしようとしたことに、
相手がプラントの長とはいえ憤怒の念を禁じえない。
885種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/08/02(日) 16:42:56 ID:???
 そして何よりも、ルナの腹に据えかねるのは──
「あ、お姉ちゃんおかえり……」
 自室に戻ったルナに、ベッドの上に座ったメイリンが微笑みかける。だがその笑みの空虚さに、
ルナは笑い返しながら泣きたくなった。この時間帯は普通にブリッジ勤務だったはずだが、
艦長あたりが心配して休みを命じてくれたのだろうか。
 アウルが連れて行かれてから、メイリンはずっとこの調子だ。活発さは鳴りをひそめ、口数も少ない。
友人を何も出来ず、結局見殺しにしたも同然なことがショックで仕方ないのだろう。
 こんな酷い状態のメイリンやシンを目にして、デュランダルを責めたくなる感情をルナは
抑えられない。
「ねえ、お姉ちゃん……アウル君、どうしてるかな? ステラも、ちゃんと元気になったかな?」
 ここしばらく何度もされた質問。いつもルナは黙ったまま、メイリンも追及しない。
 だが、今日は少し違った。
「……なんで、こんなことになっちゃうんだろうね? 友達同士で殺しあって……戦争なんかして」
 ベッドの隅に腰掛けたルナがメイリンを見る。メイリンは布団を抱きしめ、虚空を見つめる瞳に涙を浮かべていた。
「戦争だからってなんでもしていいの? 人の身体や命を好き勝手して、相手を殺して、殺されて……
 ナチュラルもコーディネイターも、どっちも最低だよ。どっちも戦争ばっかり……誰だって幸せに、
 平和に生きていたいだけのはずなのに」
 居た堪れなくなって、ルナはメイリンから視線を外す。
「……嫌い……戦争なんて、大っ嫌い……!」
 背中越しに聞こえる啜り泣き混じりの声に、ルナは顔を抑えて天井を仰いだ。
「……ホント、そうだよね」
 自分でも意識せぬまま、ルナは呟いた。
 戦争はいけないこと、あってはならないこと、悪いこと──そんなのは幼年学校の子供だって知っている常識。
 だがこの時ルナは初めて、そして心から戦争が嫌いだと、憎いと思った。
886種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/08/02(日) 16:45:42 ID:???
「まったく、人がいない間にとんでもないことをしてくれたもんだ」
 バルトフェルドは顔こそ笑っているが、その目も口調も周囲を咎めるものだった。
 アークエンジェルのブリッジクルー、とりわけ艦長のマリューが申し訳なさ気に項垂れる。
「ラクスという旗印とターミナル、ファクトリーがあるからこそ、僕達の行動は正当性こそないが一つの
 組織的行動として成立してた……端から見ればテロリストなんだろうけどな。だが今回の行動は
 なんの意味もないどころか最悪だ。勝手に戦場に出て行って主張一つせず、無差別に攻撃を仕掛けておいて
 返り討ちときた。それだけならただの馬鹿だが、アークエンジェルは一度ラクスの名前を使ってるんだ。
 もう一挙一動がラクスの評価に繋がるってのに、キラの先走りのおかげでその評判も右肩下がりだ」
「バルトフェルドさん、何そこまで言わなくても……」
 ミリアリアが擁護しようとするが、バルトフェルドはとうとう上辺の笑みすら消して言った。
「僕だってこんなこと言いたくもないが、事実は事実だ。その張本人のキラは部屋に引き篭もってだんまりと
 いうんだから当たり散らしたくもなる……大体君らも、なんでキラを止められなかった?」
 ブリッジを見渡すバルトフェルドから、クルーの誰もが視線を逸らした。バルトフェルドは厳しい顔のまま
だったが、やがて深いため息をつく。
「……ま、僕も人のことを言えるかどうか微妙だがね。キラもそうだが、ラクスに対してもこのところ
 頼りっぱなしでいるからなあ」
「そんな、バルトフェルド隊長はキラくんやラクスさんにもちゃんと意見していましたよ。
 ……けど、私たちはそうじゃなかった。最近の私たちは、キラ君やラクスさんに何もかも
 任せすぎていたのかもしれません。大人びているように見えるけど、あの子たちはまだ若いのに」
「そうだな、大人としちゃ情けない限りだ。ラクスを担ぎ上げて、キラの力に頼らなきゃ何一つ
 出来ないんだからな。けど勘違いしちゃいけない。重い物を引き受けてくれているあの二人には
 頭の下がる思いだが、だからって何もかも二人に任せたり、好き放題させるのが許されるわけじゃない……
 間違えるのは僕等も、あの子達も同じなんだ。それを互いに補い、助け合っていかないとな」
 はい、とマリュー含め、ブリッジクルーが頷く。満足げな笑みを浮かべるバルトフェルドだったが、
ブリッジのモニターを見上げてすぐに表情を引き締めた。
「さて、とりあえずこの話はそこまでとして……ます、これをどうするかだな」
 モニターに映る、焼き払われたベルリンの街。死と破壊を撒き散らすのは連合のMS部隊と、
その中心に立つ巨大なMSだ。
887種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/08/02(日) 16:49:31 ID:???
「連合がユーラシアを攻撃なんて、まさかと思いましたけど……こうやって目の前に現実を突きつけられると、
 否定の使用がないですね……ここまでの暴挙に出るなんて」
「しかしタイミングが悪いな。正直今の僕らじゃどうしようもない」
「そんな、こんな酷いことを放っておくんですか!?」
 ミリアリアの非難じみた声に、バルトフェルドは難しい顔で頭を振った。
「何とか出来るならしたいさ。だが如何せん相手も状況も悪すぎる。今までの介入はフリーダムの一対多数における
 アドバンテージやキラの能力の高さでなんとかなった。けど忘れちゃいけないのは、フリーダムも所詮旧式の
 機体だってことだ。核動力で誤魔化しちゃいるが、機動性も攻撃力も最新MSに劣ってる。あのデカブツ
 相手の場合、攻撃力不足がおそらく致命的だろう。逃げ回れば負けやしないだろうが、勝てもしない。
 アークエンジェルやムラサメで支援しても、それは変わらないだろう」
 悔しげに顔を歪めるバルトフェルドに、反論できぬままミリアリアは押し黙った。
「正直惜しいよ。これはどう考えたって連合に非がある。こういう状況にこそ介入して少しでも世界に
 アピールしたいところなんだが、戦場にいらん介入をして昨日の今日だ、下手な手出しは更にこっちの評価を
 下げる……無論それだけじゃなく、人道的にもこんな虐殺は許せないさ。だが、今は耐え忍ぶべき時──」
 最後までバルトフェルドは言い切れなかった。轟音とともに激しく艦が揺れ、立っていた
バルトフェルドがたたらを踏む。
「なっ、何事!?」
『おいブリッジ! 誰でもいいから何とかしてくれ!』
 格納庫との艦内通信が繋がり、モニターに整備士のまとめ役であるコジロー・マードックの厳つい顔が映った。
「マードック曹長、いったいどうしたの!?」
『坊主が修理の終わったフリーダムに乗り込んだかと思ったら、出撃するとか言い出してカタパルトに
 乗り出したんだ! 出せ出せ言うからまずブリッジに許可を取れって言ったんだが、そしたらあいつ、
 カタパルトゲートをぶん殴り始めやがった!』
「なんですって!? ミリアリアさん!」
「は、はい! キラ、キラ返事して! ……ダメです、応答しません!」
 誰もが耳を疑う中、凄まじい鐘切り音が艦内に響き渡る。不快感に歪む一同の耳に、更に信じがたい
マードックの叫びが響いた。
『あ、あの大バカヤロウ! よりによってゲートをサーベルでぶった切りやがった!』
 言い切るのが早いか、海中を映すミネルバの窓の隅に、ゲートから飛び出していくフリーダムが映った。
海面へ上昇していくフリーダムに誰もが目を奪われる中、我に返ったマリューがマードックに叫ぶ。
「曹長、浸水は大丈夫!? すぐに格納庫から避難を……」
『心配するな、カタパルトはとっくに閉鎖してるよ! しかし坊主のやつどうしたってんだ!?
 なにやら思いつめた顔で、ラクスの譲ちゃんがなにやらベルリンがどうやらブツブツ言ってたけどよ』
 怒りと疑問の混じった表情をしたマードックの言葉に、全員が返すべき声を失っていた。
888種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/08/02(日) 16:52:46 ID:???
 アークエンジェルからフリーダムが飛び立ったのとほぼ同時刻。ミネルバのブリッジクルーもまた
声を失っていた。
 眼前に広がる焼け野原。あらゆる建物は瓦礫に、あらゆる人間が死体となって、転がり、積み重なっている。
なお燻り続ける炎がそれらを焼き、炙り、焦がしていく。
 ──現世に顕現せし煉獄の光景が、彼らの前に広がっていた。映像で見るものと現実で見るものでは、
その悲惨さと惨たらしさには天と地ほどの差があった。
「こ、ここまでやるのか……」
 アーサーの声は震えていたが、これまでのように情けないものではなかった。食いしばった口から漏れる声を
震わせるのは、怒りだ。
「酷い……酷すぎる!」
 メイリンも目を潤ませながら、身を震わせている。気落ちしていても、この光景を前に黙ってはいられないようだ。
「こんなことを、許すわけにはいかないわ……なんとしてもあの暴虐を止める! 総員、奮起せよ!」
 タリアの号令にクルーが力強く答える。これ以上の惨劇を阻止しなければと思う気持ちは、タリアとて同様だった。
 全員の視線が怒りを燃やし、煉獄の鬼共──巨大MSデストロイを中心に展開する、連合のMS部隊へ
向けられた。
 ミネルバからMSが飛び出す中、既に展開していた他のザフト部隊が攻撃を開始する。
 地上からはバクゥハウンド、空からはバビが攻撃を仕掛け、更に後方に布陣した地上戦艦からの
援護砲撃が上乗せされる。無数のビームとミサイルと砲弾が、デストロイに迫る。
 砲火が迫る中、デストロイはゆっくりと両腕を眼前に掲げた。両手の甲に装備された盾のような形状のビーム砲、
その中心に備わった結晶体が光ったかと思うと、その結晶体を中心に光の壁が広がった。
 広範囲をカバーする光の壁──陽電子リフレクターの前に、あらゆる攻撃が受け止められ、無力化されていく。
いくらかは隙間を縫ってデストロイに命中するが、その巨体が誇示する硬い装甲はたかが数発が当たったところでは
ビクともしない。
 あれだけの攻撃を受けて平然としているデストロイに、ザフト全軍は一瞬時を止め……
直後、その身に災厄は降り注いだ。
 頭、口、胸、背、腕、指──デストロイの全身からビームの光が迸った。バクゥハウンドが
次々と閃光に貫かれ、バビの編隊が奔流に呑まれ消滅する。大小合わせ二十門近いビームが、周辺の
ありとあらゆるモノを破壊し尽くしていく。
 その中でも、背中の円盤状ユニット上部からせり出した超巨大ビーム砲の威力は凄まじかった。
二連装砲が一対、計四門の砲口から放たれた高エネルギービームは進行方向にある全てを焼き払い、
命中した地上戦艦とその周辺を一瞬で蒸発させる。
 展開していたザフト軍の半数以上の戦力が、瞬く間に消失した。あまりの出来事に、先ほどまで
高ぶっていたミネルバクルーたちの心が一瞬で凍りつく。
 だが、連合は待ってはくれない。もはや茫然自失で立ち尽くすしかない残存戦力に、デストロイの後方に
控えていた通常MSたちがトドメの一撃を加えていく。半ば戦意を失い逃げ惑うザフトの機体が、大した抵抗も
出来ぬまま次々と落とされる。
「あ、ああ! そんな……!」
 次々と味方を狩り尽くしていく連合のMS達、その中にカオスの姿を見たメイリンが、認めたくない現実に
何度も首を横に振った。
889種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/08/02(日) 16:54:59 ID:???
「……そんな……」
 巨大MSの周辺で飛ぶカオスと紫のウィンダム。その姿を認めた瞬間、シンの脳裏にネオの言葉が思い出された。
(ステラは殺すぞ! 敵を、コーディネイターを、民衆を! 連合に逆らう全てが、目の前に立つ全てのモノが、
 ステラによって殺される! 敵を全て消し去ったあとにしか、ステラに幸せが訪れる事はない!)
 あの時の言葉、それが示すのは──
(ステラの手にかかって、多くの人が死ぬ! だがその責任はステラではなく、お前にある! 
 お前がステラ一人を助けたために、ステラによってそれ以上の人間が殺されるんだ!)
 今あの言葉が、現実に行なわれているとすれば──
「あれに乗っているのは……ステラ、なのか……?」
 見開いた目が、街と人々を焼き払った悪魔のMSを凝視する。嘘だ、そんなはずはないと呟きながらも、
確信が揺るぎないものとして存在する。
 デストロイを見つめるその視線の間にネオのウィンダムが割り込んできた瞬間、シンの心を激情が支配した。
「……うわあああああっっ!」
 エールカスタムがビームサーベルを抜いてウィンダムへと突撃した。気づいたウィンダムが、シールドで
サーベルを受け止める。そのまま機体をぶつけたシンは、繋がった直通回線に怒号をぶちまけた。
「ネオ・ロアノーク! お前、お前はあぁ!」
『白い坊主っ、だがいつもとパイロットが違う……!? その声、シン・アスカか!』
「あんたは! よりにもよって、あんなものにステラを!」
『ほう、察したか。さすがとでも言っておこうか……だが貴様に怒鳴られる筋合いはないな!』
「なんだと!?」
『言ったはずだ! ステラは全ての敵を殺すと! そしてそれはステラを助けた貴様のせいだとな!
 貴様がステラを助けなければこんなことにはならなかった! この惨状を呼んだのは、他ならぬ貴様だよ、
 シン・アスカ!』
「お前がっ! ステラにあんなことをさせてるお前が、よくもそんな口を!」
『だったらどうするね? 俺を殺して、スティングを殺して、ステラも殺すか!? そうだ!
 ザフトとして、軍人として、それが正しい行動だろう! さあ殺してみろ! ザフトのため、世界のために、
 友達を殺して勝利と栄光を掴んでみせろ!』
「……! お、俺は……俺は……!」
『……だから甘いんだ、貴様は……命を奪う覚悟一つ持たないで、戦場に出てくるんじゃあねえよ!』
890種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/08/02(日) 16:57:41 ID:???
 ウィンダムがエールカスタムを突き飛ばし、ライフルを構える。態勢を崩したエールカスタムに、
コクピットを正確に狙ったビームが放たれた。
『シン、突出しすぎだ! 何をやっている!』
 命中の寸前、割り込んだインパルスのシールドがビームを受け止めた。ウィンダムが追撃を仕掛けようとするが、
地上から放たれたレール砲の連射に阻まれ、後方へと離脱する。
 都市の瓦礫に身を隠しながら戦っている、ルナが乗るアビスからの援護だ。
『二人とも下がって! デカブツがこっち狙ってるみたい!』
 ルナの言葉通り、デストロイがシンたちがいる方向を見据えていた。凶悪な面構えの中でカメラアイが輝き、
こちらへと一歩歩みを進める。
 その時、デストロイに変化が起きた。頭部が胴体の中に引っ込んだかと思うと、背中の円盤状ユニットが
胴体の上に被さるよう移動する。腕部が持ち上がって円盤とドッキングすると、円盤四方に備わった
ホバースラスターがうなりを上げて機体を持ち上げる。下半身が百八十度回転、脚部が逆関節型の形状に変化する。
円盤の正面で、単眼のカメラアイと陽電子リフレクターの結晶体が光る。
 デストロイMA形態。可変すると噂には聞いていたが、あの巨体がスムーズに、かつ大きな変化を遂げたことに
多くの者が驚きと恐怖を抑えられない。
 敵対者の心理を知るよしもなく、デストロイが巨体を宙に滑らせながら迫る。そのスピードはMS形態の
比ではない。
『くっ、ミネルバに近づかれる前に迎撃するぞ! ルナマリアとティトゥスは残骸に隠れながら牽制および
 周辺MSの排除を! 俺とシンはスピードで撹乱しながら攻める!』
『オッケー!』
 そう指示して飛び出そうとするレイと、答えるルナ。だが反応のないシンとまったく動かない
エールカスタムに気づき、揃って困惑した声を上げる。
『ちょっとシン、どうしちゃったわけ!? 落ち込んでる場合じゃないの分かってるでしょ!』
『シン、しっかりしろ! あの機体を落とさなければ……』
「だめだ……ダメなんだ……」
 シンが叫ぶ。無理矢理搾り出したようなか細い声の告げる内容は、二人の声を失わせるに十分だった……。
「あれには……あれにはステラが乗ってるんだ……!」
891種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/08/02(日) 17:00:43 ID:???
「なん……だと!?」
 その言葉に一瞬凍りついたレイだったが、接近してきた気配にすぐさま意識を集中させた。
 振り向き様にビームサーベルを振りながら、敵のサーベルをシールドで受ける。果たして敵も、同じ動作で
レイの攻撃を受け止めた。
『ハッ、やるじゃねえかよコイツ!』
「……スティング!」
 インパルスに襲い掛かった相手──それは、スティングのカオスだった。
『ああ? だれだてめぇは? 俺はザフトになんざ知り合いはいねえぞ!』
「……! スティングお前、記憶が……」
 レイの顔に驚愕と悲嘆が走った。なんということだ。どうやらとうとうスティングも記憶を消され、
自分たちの事を忘れてしまったらしい。
『気安く俺の名前を呼んでんじゃねえ、コーディネイターが!』
 激昂の叫びとともに、カオスがインパルスを弾き飛ばした。一瞬だが完全に放心していたレイは、
タックルをモロに受け機体の飛行バランスを損ねる。
 必死の建て直しを図る中、カオスが足にビームエッジを展開しながら蹴りを仕掛けた。エッジが機体前面を
かすめ、装甲に亀裂が入る。
『なんだか知らないが、あのミネルバとかいう艦やお前等を見てると気分が悪くてしょうがねえ!
 ……速攻で潰させてもらうぜ!」
『それは……許容できない相談だ!』
 フォースシルエットを全開にし、無理矢理態勢を戻しながらカオスに切り付けるインパルス。それを避けた
カオスは、両足のエッジとビームサーベルを展開してインパルスを攻め立てる。
『はっはぁ! やるじゃねえか……死ぬほどウゼェ!』
「こんな……こんなことが許される世界は変わらなければならないんだっ……だから!」
 空を駆けながら、二人は互いに命を奪わんとその刃を友人へと振るい続ける。



 デストロイとその周辺のウィンダムに、アビスがレール砲と連装砲を乱射する。ウィンダムにはある程度の
ダメージを与えられるものの、硬い装甲とリフレクターに守られたデストロイには今のところ
傷一つ付けられていない。
「牽制にもなりゃしない……どうしろってのよこんなバケモノ! なんでよりによって、
 こんなのにステラが乗ってるのよ! ふざけるなぁ!」
 悲鳴に近い叫びを上げつつ弾幕を張るルナ。その視界の正面から、弾幕を抜けたウィンダムが迫る。
「あんたたちがぁぁぁぁぁ!」
 スレンダーライフルを向け、胴体を寸分の狂いなく貫く。爆風を超えてデストロイまで達したビーム弾は、
リフレクターに弾かれて虚しく消えた。
「ああもう……! しまっ、マズッた!」
 瞬間、ウィンダム二機がアビスの頭上から飛来し、挟み撃ちにするように左右を取った。右か左か、一瞬の
迷いに視線を彷徨わせてしまったせいで、敵の動きを読み取るのが遅れる。
 片方にライフルを向けると決めた時には、両方の敵が既にライフルの発射態勢に入っていた。
片方を撃ち抜けても、双方の攻撃を防ぐ手立てがない。
(やられるっ!?)
 そんな悲観思考に捕らわれながらも、ルナは最速の動きでライフルを構え、撃ち放った。
 二つの発射音と一つの【切断音】が、ルナの耳に響いた。
892種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/08/02(日) 17:04:18 ID:???
(くだらぬ……)
 飛来したウィンダムを、オーガアストレイが一刀両断する。次いで二機が背後から迫るが、
「……真、くだらぬ」
 振り向きもせず突き出した刃が、ウィンダムの頭部を貫いた。瓦礫の中を歩くオーガアストレイの背後で、
二つの爆発音が響く。
 戦いながらも、ティトゥスの心はその戦いになんの感慨も持ち得なかった。心は震えず、得るものなど
何一つない。
(あの巨人に剣を向けるか……いや、無駄だな)
 あれに勝負を挑んでも、何にもならないだろう。あの鈍重さだ、攻撃を避けるのは容易い。しかし
こちらが奴を倒すとなれば容易ではない。幾度となく斬り裂き、斬り裂き、斬り裂き──
途方もない斬撃を与えなければ屠ることはできないだろう。
 命を危うくすることもなく、ただ無為な時間を掛けて斬るだけの泥仕合──そんなものになんの価値があろうか。
 少し前なら、ティトゥスはこのように考えることはなかっただろう。だが今のティトゥスには全ての行動が
無意味に思え、無気力が心と身体を動かすことを億劫に思わせていた。
 かつて忌み嫌った【怠惰】がゆっくりと、確実に、再びティトゥスを侵しつつあった。
 そんな時ティトゥスの視界に、両翼をウィンダムに挟まれたアビスの姿が映った。アビスは片方のウィンダムに
銃を構えるが、もう片方にがら空きの背中を向けてしまう。。
 ティトゥスはすぐさまオーガアストレイを走らせ、アビスが背を向けた側のウィンダムへと斬りつけた。
ビームを撃つことなく、ウィンダムは沈黙する。
 いくら怠惰に蝕まれていようと、仮にも仲間である者を【やる気がない】などという理由で
放置するティトゥスではなかった。
「ティトゥスさん、ありがとうございます!」
「……気づいていたか」
 ルナが礼を述べながら、アビスをオーガアストレイに振り返らせる。先ほどのウィンダムと同時に撃ち合う
形となったようだが、幸いアビスは相手のビームを肩のシールドで受け止め難を逃れたらしい。
『けどこのままじゃジリ貧……ティトゥスさん、なんとかあのデカブツ止める方法とかありません!?』
『……さてな』
 ない、とそのまま答えるのは憚られ、ティトゥスはそれだけ答えた。
「……? ティトゥスさん、なんか変じゃありません? そりゃ普段から静かな人だとは思ってましたけど、
 なんだか今もの凄くやる気がないっていうか、緊張感を感じないっていうか……」
 わずかな一言でそこまで感づかれ、ティトゥスは舌打ちを抑えた。変なところで感のきく娘だとは
思っていたが、今気付かれるのは煩わしいだけだ。
『ティトゥスさ……?』
 なおも問おうとしてきたルナマリアの言葉が、不意に止まった。怪訝に思ったティトゥスが見ると、
アビスの視線が大地に向いて彷徨っている。
 その視線を追ったティトゥスは、ルナマリアが何を見ているのかに気づいた。
 建物の残骸や瓦礫の隅に潜む、いくつかの影。あれは──
『……どれだけ……どれだけ人を不幸にすりゃ気が済むのよ! 戦争ってやつは!』
 ルナの憎悪に塗れた叫びを聞きながら、ティトゥスはその光景に見入っていた。
 怠惰によって揺れ動かなくなりはじめた感情に、ほんの僅かな小波が起こっていた。
893種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/08/02(日) 17:06:36 ID:???
 円盤に備わった無数のビームとミサイルが全包囲に降り注ぐ。都市の残骸ごと、味方機が次々消えていく。
 エールカスタムのバーニアをフルに使い、シンは降り注ぐ雨のような攻撃の隙間を掻い潜る。
 デストロイの左に回りこむように飛び、ライフルを構える。シンはトリガーに指をかけ──
「……くっ!」
 撃てない。ステラを撃つなんて、できない。
 ──何をやってるんだ、撃てよ。撃つんだよシン・アスカ。撃ってステラを止めろよ。あの巨体だ、
何発か当たったところで簡単に死ぬもんか。それよりもあのデカブツを止めてステラを助けろよ。そうしなきゃ
ステラは今以上に人々を殺し、人々は殺されるんだぞ。お前のせいでステラが苦しみ、罪のない人々が
死んでいくんだぞ! ──頭の中でシンの意識自体がシンを叱咤し、動けと促す。
 だが、出来ない。指が硬直し、トリガーを引けない。
「俺は……」
『シン! レイ! みんな! デカブツを、ステラを止めて! 止めなきゃ……止めないと!』
 唇を噛み締めるシンの耳に、ルナの半狂乱じみた叫びが響いた。
『ルナマリア、どうした!?』
『ステラですって……? いえそれより、どうしたのルナマリア!?』
 通信機からレイだけでなく、タリアの声も響く。
 返されたルナの涙声の叫びに、シンの背中に凄まじき悪寒が降りた。
『まだ……まだ街には生きている人がいるの! 逃げ遅れた人や、瓦礫に閉じ込められて逃げられない
 人たちがいっぱい! このままじゃ……このままじゃみんな死んじゃう!』
 誰もが声を失う中、一際大きい戦慄と絶望がシンを襲った。
「……同じ……同じだ、何もかも……」
 理不尽な侵略。理不尽な恐怖。そして、理不尽な死──
(あ、ああ……父さん……母さん……マユ……)
 ここは、あの時のオーブだ。両親が、妹が死んだあのオーブの再来じゃないか!
894種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/08/02(日) 17:09:12 ID:???
『くっ……MS隊! 敵機を極力、生存者がいないと思われる地点まで誘導させるよう戦いなさい!
 どこまで人死にを抑えられるか分からないけど、それしかないわ!』
『他にないとはいえ、だがこの状況で……!? シン、どうした!?』
『え、ちょっと……シン!? シンッ!』
 完全に動きの止まったエールカスタムに、誰もが狼狽した声を上げる。
 シンは、もう動けなかった。全身を苛む悪寒に身体が震え、力が入らない。歯がガチガチと鳴り、吐き気がする。
とても寒いのに、頭だけは高熱を発したように熱を持って考えが何一つ定まらない。
 デストロイがMS形態に変わり、ただ立ち尽くしゆっくり下降していくエールカスタムに凶相を向けた。
口部に備わった砲門に光が集まるのを見ながらも、シンは身じろぎ一つできない。
(ステラに殺される……報いかな。これで、楽になれる──)
 光の奔流が放たれる。死が形を持って迫る中、歪んだ思考でシンはそんなことを思った。
 だがその思いは機体を揺らす衝撃と、視界に飛び込んだ影によって吹き飛んだ。
「え……」
 頭が一気に冷え、目の前で起きた現実をゆっくり理解していく。
 ビームが届いた。機体にダメージはない。射線から押し出されたからだ。なんで? 別の機体が前に出て
 ぶつかってきたから。そしたら俺は助かって、その機体が貫かれて──その、機体は──アビス!
「あ、あ……ル、ルナァッ!」
『こ、このお馬鹿……何ボケッとしてんのよ……!』
 フルブーストで宙に跳んだアビスが、体当たりの形でぶつかってシンをビームから救っていた。だがその代償に、
左肩から先が完全に消失している。
 腕の付け根からスパークを発しながら、アビスが重力に引かれる。その機体を抱くようにエールカスタムが
受け止めるが、今度こそ仕損じまいとデストロイが胸部の三連砲口を二機に向ける。
「ダメだ、ステラ……くそぅ!」
 ルナを巻き込むわけには──そう思っても、未だにシンの体が動かない。
 このままルナまで犠牲にするしかないのかと思われたその時、空から降り注いだビームと砲弾の雨が
デストロイの左半身に降り注いだ。リフレクターを展開する間もなかった奇襲に、デストロイが一瞬うろたえる。
「あ、あれは……」
 顔を上げたシンは、攻撃した存在を捉え目を見開く。
 フリーダムが翼を広げ、全武装をデストロイに向けていた。
 先の戦いで受けた損傷は修復され、これまでと同じ姿を完全に取り戻したフリーダム──
だがシンはその姿に、これまでとは何か違う危うい雰囲気があるように感じた。
895種死逆十字書き ◆oN23gQHrEc :2009/08/02(日) 17:10:41 ID:???
ゲームしすぎで指が痛いこんにちは。
いえ、ゲームだけじゃなく執筆にも手はつけてますよ? ただ積みゲーを消化してたら時間が……ごめんなさい。

さてデストロイ登場の巻。ステラ大暴れ、シントラウマレベルMAX、キラさんやば気とかなり混沌。
シンが盛り上がってる分、ティトゥスの怠惰さがあまり書き込めない……ちょっと反省。

次回、シンとキラがいろんな意味で変化。そしてあれが降臨。
盛り上がりだから早く書きたいところだけど、ちょっと遠出する予定が近いのでいつも通りのペースになりそう。
896通常の名無しさんの3倍:2009/08/02(日) 17:37:42 ID:???
乙! 乙だと言った!
インパルスは降ろされたとはいえ、銃殺モンの罪を犯した直後のシンまで
MSで出さなきゃいけないのは基本的に戦力不足なザフトのサガか。
897通常の名無しさんの3倍:2009/08/02(日) 19:13:01 ID:???
前大戦で地上部隊の8割が減ってるからな
それに加えてボアズ戦でベテランも死んでるし、エース級ならとにかく働けなのが種死のザフト

自由は復活したけどキラさんがヤバイ状態に
シンはシンで覚悟を付けられず、ティトゥスは怠惰になってやる気が0
この先どうなるのやら…
898通常の名無しさんの3倍:2009/08/03(月) 11:47:05 ID:???
保守
899通常の名無しさんの3倍:2009/08/03(月) 13:45:46 ID:???


いい具合に全員ドロドロだな
つーか、シンやキラをフォローする人達の
胃が心配だw
900通常の名無しさんの3倍:2009/08/04(火) 20:29:12 ID:???
キラの方はラクスがなにか吹き込んだぽいな。
もしくは化けたニャル様が介入したのかもしれんがw

そいや今度キラにぴったりのロボがニトロ+から出るな
tp://www.fmd-muramasa.com/
こいつの善悪相殺の呪いの特性上きちんと不殺しないとキラのカテゴリーでは
善人なラクシズメンツからどんどん死んでいくだろうなwww
901通常の名無しさんの3倍:2009/08/06(木) 12:55:41 ID:???
つーか、一人でドツボにはまった様な気もするがw
良かれ悪かれ導く人が必要な感じだ
902通常の名無しさんの3倍:2009/08/06(木) 13:55:16 ID:???
九○式&九四式がどうみても、グレンラガンっぽいような
903通常の名無しさんの3倍:2009/08/08(土) 23:28:26 ID:???
904通常の名無しさんの3倍:2009/08/09(日) 02:17:23 ID:???
キラがどうなってるか楽しみだなあ
905通常の名無しさんの3倍:2009/08/11(火) 04:13:15 ID:???
保守
906通常の名無しさんの3倍:2009/08/13(木) 12:49:02 ID:???
907通常の名無しさんの3倍:2009/08/13(木) 19:42:27 ID:???
誰もいないのか……

祈りの空より来たりて!
908通常の名無しさんの3倍:2009/08/13(木) 22:38:32 ID:???
笛を吹く
909通常の名無しさんの3倍:2009/08/14(金) 13:10:55 ID:???
サッカリンをよこせ
910通常の名無しさんの3倍:2009/08/14(金) 21:28:21 ID:???
永劫<アイオーン>――!
911通常の名無しさんの3倍:2009/08/16(日) 00:23:27 ID:???
時の歯車!
912通常の名無しさんの3倍:2009/08/16(日) 01:00:11 ID:???
裁きの刃!
913通常の名無しさんの3倍:2009/08/16(日) 01:05:37 ID:???
久遠の果てより来たる虚無!
914通常の名無しさんの3倍:2009/08/16(日) 01:36:20 ID:???
永劫<アイオーン>――!
915通常の名無しさんの3倍:2009/08/16(日) 09:42:37 ID:???
汝より逃れ得るものはなく!
916通常の名無しさんの3倍:2009/08/16(日) 11:05:19 ID:???
ふはははははは!
我輩のしぶとさとしつこさとウザったさとマッタリさ加減を甘く見るなよ衆愚!
そんなに甘いものがお好みならばサッカリン等を大量に摂取するが良いさ!
存分に貪りつくせ、夜明けまで!
917通常の名無しさんの3倍:2009/08/16(日) 13:44:07 ID:???
>>917
    ピーーーッ
こんの○○○○がぁぁぁぁぁぁっ!

往けぇ!ハンティングホラー改、デスモドゥスッ!!
918通常の名無しさんの3倍:2009/08/16(日) 19:08:21 ID:???
おいおい、○○○○が自分で○○○○と言ってるよ
919通常の名無しさんの3倍:2009/08/18(火) 12:29:12 ID:???
920通常の名無しさんの3倍:2009/08/18(火) 20:08:34 ID:???
そういや夏コミのニトロブースの最後尾旗、真トゥーソードだったから何か動き有るのかと楽しみにしてたのに見事に何も無かったな……
921通常の名無しさんの3倍:2009/08/20(木) 12:26:47 ID:???
夏コミも終わった……
922通常の名無しさんの3倍:2009/08/20(木) 21:33:37 ID:???
さすがにもうデモベは動きないのかなぁ…
鋼屋のブログのネタをもっとゲーム化してくれれば喜ぶんだが
923通常の名無しさんの3倍:2009/08/20(木) 21:47:24 ID:???
コンプの鋼屋コラムに大導師が出演して沙耶と競演してたよ。
沙耶はモテモテ王国のファーザーみたいだったが。
924通常の名無しさんの3倍:2009/08/21(金) 13:08:44 ID:???
今テリオンを照男スキーと呼ぶサヤっぽい格好した肉塊的な何かが頭をよぎった
925通常の名無しさんの3倍:2009/08/21(金) 13:29:56 ID:???
グリリバスキーとかガンダムスキーとか呼ばれてた。
926通常の名無しさんの3倍:2009/08/21(金) 20:14:34 ID:???
あそこまで読んで
やっと今回の連載が「スーパーニトロプラス大戦」的な何かだという事に気が付いた
927通常の名無しさんの3倍:2009/08/23(日) 02:01:33 ID:???
風は虚ろな空を征く!
928通常の名無しさんの3倍:2009/08/23(日) 02:06:24 ID:???
声は絶えよ!歌は消えよ!
929通常の名無しさんの3倍:2009/08/23(日) 20:04:34 ID:???
ドリルは!回転するまま飛んでいけ!
930通常の名無しさんの3倍:2009/08/24(月) 13:38:47 ID:???
ぇえい!また××××か!!
誰かアーカムの歌うシスターとギター警部補喚んでこい!
931通常の名無しさんの3倍:2009/08/24(月) 19:16:29 ID:???
スパロボNEOのオリ主の中の人が九郎ちゃん
932通常の名無しさんの3倍:2009/08/24(月) 19:22:21 ID:???
兄?弟?ヒロイン?
933通常の名無しさんの3倍:2009/08/24(月) 23:41:16 ID:???
>>931
なん…だと?
934通常の名無しさんの3倍:2009/08/24(月) 23:51:32 ID:???
伊藤健太郎がついにスパロボに・・・だと・・・
これはデモンベイン参戦も夢じゃなくなるかも
935通常の名無しさんの3倍:2009/08/24(月) 23:54:05 ID:???
>>931
オリライバル(子分)ぢゃんか
主人公違うやんかもー
936通常の名無しさんの3倍:2009/08/25(火) 01:00:42 ID:???
>>934
でもそれって根本的な解決になりませんよね? by霧

そもそもオリキャラに出演して特権参戦っていくつあったけ
937通常の名無しさんの3倍:2009/08/25(火) 01:56:07 ID:???
少なくとも銀魂とハルヒは参戦していない、これはガチ
938通常の名無しさんの3倍:2009/08/25(火) 08:07:42 ID:???
杉田(笑)平野(笑)
939通常の名無しさんの3倍:2009/08/25(火) 11:02:53 ID:???
>>934
インパクトに出演したアオイ・ジュンの事、時々でいいから思い出してあげてください
940通常の名無しさんの3倍:2009/08/25(火) 19:04:23 ID:???
>>939
・3・
素で忘れてた そういえばインパクトでジュン君声あったな
>>937
死んどけ
941通常の名無しさんの3倍:2009/08/27(木) 12:47:59 ID:???
どけどけ
942通常の名無しさんの3倍:2009/08/27(木) 16:19:23 ID:???
>>941
黒魔茶高校のOPかと思った。
943通常の名無しさんの3倍:2009/08/28(金) 20:03:14 ID:???
投下ないねぇ…
村正も十月の末だしそれまでは過疎るのか
944通常の名無しさんの3倍:2009/08/28(金) 21:46:19 ID:???
お侍さんマダー?
945通常の名無しさんの3倍:2009/08/28(金) 22:35:08 ID:???
ブシドー「呼んだか?」
946通常の名無しさんの3倍:2009/08/30(日) 00:36:40 ID:???
あんたじゃないwww
947通常の名無しさんの3倍:2009/08/31(月) 20:52:18 ID:???
俺たちに出来ることは
旧神の立つ場所を守ること

信じて待つさ
948通常の名無しさんの3倍:2009/09/01(火) 14:50:03 ID:???
…憎悪の空より来りて
949通常の名無しさんの3倍:2009/09/01(火) 15:41:17 ID:???
正しき怒りを胸に
950通常の名無しさんの3倍:2009/09/01(火) 17:17:36 ID:???
我等は魔を断つ剣を執る!
951通常の名無しさんの3倍:2009/09/01(火) 17:41:27 ID:???
その名は、デモンペイン!
952通常の名無しさんの3倍:2009/09/01(火) 23:05:11 ID:???
>>951
九郎&シン『バチモンに用はねえぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!!』
953通常の名無しさんの3倍:2009/09/01(火) 23:19:32 ID:???
我は勝利を誓う刃金
954種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/09/02(水) 04:02:50 ID:???
 フリーダムのコクピットで、キラは【SEED】の発動した虚ろな目で、虚空を見つめていた。
「……守らなきゃいけないんだ……」
 閉じこもっていた部屋から出てブリッジに向かった時、扉の向こうの会話をキラは聞いていた。
 ベルリンで行なわれている暴虐を黙って傍観する──その選択は、キラにとって認められるものではなかった。
「放っておくなんてダメだ……だって、僕達は……」
 理不尽ばかりの世界が嫌だから、そんな世界を少しでも変えていくために戦うことを選んだ。
 それなのにその理不尽を放置するなんて、自分たちの決意に反する行動だ。
 そんなことは許されない。何故なら──何故、なら──
「そんなこと……そんなこと、望んでない……!」
 ──望んでいないのは、誰?
 キラの中で声が聞こえる。その声をキラは無視し、言葉を紡ぎ続ける。
「僕は決めたんだ……だから、やり通さなきゃいけない……!」
 ──何を決めたっていうんだ? 何をやり通すっていうんだ?
 決まっている、罪のない人々が犠牲となる世界をかえるためだ──心の中でだけ返す。
 ──そのために誰かが犠牲になるのも構わない?
「違う……やめろ……!」
 初めて口を開いて反論するが、もう遅かった。

 ──違うもんか。その犠牲の中に、アスランだって入っていたんだろう?

「──っ!」
 瞬間迫ったビームの雨を掻い潜り、フリーダムは敵を見据えた。砲門を向けてくるデストロイに、連合のMS達。
 その全てをキラは睨みつけ、苛烈な攻撃を放つ。流石にデストロイには大きなダメージを与えられないが、
ガンダムタイプや紫の専用機を除いた通常のMSは、当然のように回避できず武器や四肢を奪われて墜落していく。
 ただ、これまでとは決定的に違う点があった。キラはこれまで戦意のない相手に攻撃することは
ほとんどなかったが、今は一度攻撃を仕掛けてきた機体なら戦意を失おうが背中を向けようが逃走を図ろうが、
確実に全てを撃ち落していく。
「僕は……僕は、戦いたくなんか……それでも、僕が戦うのは……!」
 落ちていく敵機から目を逸らし、新たに向かってくる敵や再度武装を向けるデストロイを見つめ──
キラは虚ろな瞳に、明らかな苛立ちを浮かべた。
「……やめてよね……」
 デストロイが、ウィンダムが、次々とフリーダムへ仕掛けてくる。
「本気で戦ったら……」
 フリーダムの翼を広げ攻撃を避けながら、全武装を敵へと向けてキラは忌々しげに呟く。
「……誰も、僕に適うわけないだろ!」
 ハイマット・フルバーストを展開し、力で全てを屈服させんとフリーダムが戦場を駆け抜ける──
955種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/09/02(水) 04:07:01 ID:???
 フリーダムの乱入による戦場の混乱は、今のシンに取って幸運だった。
 エールカスタムは腕を失ったアビスを抱え、まだ多少原型を留めているビル群の影に隠れる。
「ルナ! ルナ! ……くそっ!」
 声をかけるシンだが、返事は返ってこない。焦る気持ちに押され、シンはコクピットから飛び出し、
横たえたアビスによじ登って外部コクピット開閉装置を押し込む。
「まただ……また、俺のせいで……!」
 またしても、自分の行動のせいで大事なものを危険に晒してしまった──顔を悲痛に歪め嘆くシンの前で、
コクピットが開く。
 コクピットの奥に、操縦席で力なく頭を垂れたルナの姿があった。どうやら気絶しているらしい。
慌ててシンはコクピットに身を乗り出しシートベルトを外そうとするが、焦る手はベルトを上手く外すどころか
ルナの身体そこかしこに触れてしまう始末だ。
「くそ、こんな時に何やってんだ俺は! ……よし、外れた! ルナ、しっかりしろ!」
 何とかベルトを外し、身体を抱き上げてヘルメットのバイザーを上げる。少し血の気の失せた顔で気絶していた
ルナが、シンの呼びかけにゆっくりと目を開け、
「よかった、無事で……っ!?」
 突如カッと目を見開いたルナが、シンの襟首を掴んでコクピットの中に引きずり倒した。
「あんた、一体何やってんのよ!?」
 混乱するシンを、ルナの苛立ちに染まった瞳が睨みつける。明らかにルナは、シンに対し怒っていた。
「何ボケッと突っ立ってんのよ! そりゃ今までのこともあるし、ステラが敵になって出てきてショックなのは
 分かるわよ! けどだからって、何もしないでいるつもりじゃないでしょうね!? ステラを助ける気が
 ないの!? ベルリンの人達を助けようって思わないの!?」
 シンはルナの怒声を聞いて目を見開くが、すぐさま顔を悲痛げに歪めてルナから目を逸らした。
それを見たルナは歯噛みし、更にシンへと食ってかかる……その声には怒り以上に、悲しみがこもっていた。
「どうしちゃったのよシン! 力のない人達が争いに巻き込まれるのは許せないんじゃなかったの!? 
 平和に暮らしてる人を守ってやるって言ったじゃない! ステラが怖い目に合いそうな時は護るって、
 あの子と約束したんでしょ!? なのに、なのに今、あんたは何もしないでいるつもりなの!?
 しっかりしてよ……いつものあんたに戻ってよ! シンッ!」
 目に涙さえ浮かべた必死の叫びが、シンの心に突き刺さる。ルナが自分を奮い立たせようとしてくれているのも、
痛いほど分かる。
956種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/09/02(水) 04:13:42 ID:???
 だが、シンは動かない──動けない。
「ごめん、ルナ……でも、俺はもう何も出来ないんだ……」
「はぁ!? なんでよ!?」
「……怖いんだ」
 震え始めた身体を抑えながら漏らした言葉に、ルナが息を呑むのが気配で分かる。
 ずっと溜め込んできた負の感情──それが少しでも漏れてしまえば、もうシンの口は止まらなかった。
「怖いんだ……怖いんだよ! 何をしたって無駄なんじゃないかって……いや、何も変わらないならまだいい。
 俺が良かれと思ってやったことで、誰かが不幸になるんじゃないか……俺が何かをしたせいで、命を失う人が
 いるんじゃないかって……!」
 それは心の奥底に堆積し続けた末に爆発し、今やシンの頭を埋め尽くして消えなくなった昏い思いだった。
 ルナの言う通り、力のない人達が争いに巻き込まれるのが許せなかった。平和に暮らしてる人を
守りたかった──かつての自分が味わった不幸と同じ目に、誰も合わせたくはなかった。
 ──だが、実際自分がやってきたことはどうだ?
 現地住民を救うためと命令を無視し、基地にいた者を誰彼構わず虐殺した。
 ガルナハンを救おうと奮闘し、結果住民たちの暴虐を引き起こした末、自分は黙ってみているしかできなかった。
 戦いでは迷うばかりで何も出来ず、仇であるフリーダムに手も足も出せず、ハイネが傷つき、
アスランが死ぬのを黙ってみているしかできなかった。
 敵同士だった友人と戦場では殺し合い、捕虜となれば実験台として連れて行かれるのを見ているだけ──
挙句の果てにステラを助けたいという自分勝手な理由で彼女を戦いに引き戻した上、それが沢山の罪なき人々を
不幸にする原因となった。
 自分のやることは、何一つ報われない──それどころか、人々を不幸に巻き込んでいるのは自分じゃないか!
「俺が助けようとしたって、結局誰も助けられないんじゃないかって……戦ったら俺のせいで誰かが死ぬんじゃ
 ないかって。俺が誰かを殺してしまうんじゃんじゃないかって……それが、怖いんだ……!」
 自分がステラを殺してしまうのが、怖い。自分のミスで街の人々が死ぬのが怖い。自分のせいで命を失う者が
出ることが──かつての自分が味わった不幸を、自分が誰かに味わわせることが、怖くて仕方がない。
「そんなことなら、いっそのこと動かなければいい……俺には何も出来ないんだから、何もしなければいい……
 何もしなければ、俺は何一つ悪くないんだって……そんな言い訳ばっかりが頭の中に浮かんでくるんだよ!」
 情けない。こんな身勝手な人間がアスハ代表は勿論のこと、どの面下げて連合やロゴス、キラ・ヤマトを
批判できるというのだ。
「散々偉そうなこと言ってて、いざとなったらこのザマだ……何が守ってみせるだ! 何が守れるほど
 強くなるだ! ビビって何もできやしない、ただの弱虫の、臆病者のくせに! 俺みたいなやつが、
 誰かを守れるはずなかったんだ! 俺一人に出来ることなんて……何一つ、なかったんだ……!」
 全てを吐き出し、項垂れるシン。体から一切の気力が抜け、動くことも億劫だ。無様で滑稽極まる自分に、
もはや涙すら流れない。
 もう疲れた。楽になりたい。何も考えたくない──家族が死んだ直後の自分もこんな感じだったな
などという場違いな思いに、小さな自嘲の笑みが唇の端に浮かぶ。
957種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/09/02(水) 04:17:36 ID:???
「……シン」
 ルナに名を呼ばれ、反射的に顔を向ける。思考を手放しかけていたシンには、ヘルメットを外したルナが
向けてくる瞳から意図を読み取ることはできなかった。呆れているのかもしれないし、哀れんで
くれているのかもしれない。もしくはもう怒る価値もないと見限られたか。
 だがその思考は自分のヘルメットを無理矢理外された上、両手で顔を掴まれたせいですぐさま困惑に
埋め尽くされた。
 シンの顔を掴んだまま、ルナの顔がどんどん近づいてくる。化粧無しでも十分引き立ったピンクの唇が
あと三センチ、二センチと近づくほどに、シンの心臓が大きく波打つ。
 唇と共に近づいてくる一対の瞳が閉じられた──直後、開いた瞳から射抜くような怒気がシンに向けられた。
「へ?」

「この──ヴァッカチンがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ──っっっ!」

 顔を固定された手が離された直後左耳を引っ張られ、穴をかっぽじる必要もない大音量がほぼゼロ距離から
叩きつけられた。爆音はシンの頭の中で反響し頭痛と化す。鼓膜が破れなかったのは、コーディネーターで
あることを考慮しても奇跡だ。
 だがシンが落ち着く間もなく、ルナは再び怒りの声をシンへ矢継ぎ早に投げつけた。
「アンタバカじゃないの!? いや聞くまでもないわ大バカよ! バカの若バカの頭バカの王様バカキング!
 一辺どころか百回転生しようが地獄に落ちようが、何があろうとこのバカから逃れることは出来ないって
 くらいの超弩級ヴァカだわ!」
 シンは痛みに引きつった顔を、徐々に怒りの引きつりへ変えていった。震え過ぎた鼓膜に激しい頭痛、
そこに来てバカバカ連呼されて、どん底まで落ち込んでいた感情が生来の沸点の低さと相まって、
大噴火を引き起こす。
「ふ、ふ……ふざけるなぁ! バカバカバカバカ、それしか言えないのかお前はぁ!」
「はっ! アンタにバカ以外言う必要はないわ!」
 鬼の形相を浮かべたシンに、ルナは羅刹の表情のまま嘲笑を投げつけた。
「自分一人じゃ何も出来ない!? 何をやったって裏目に出る!? ハッ、何を当たり前のこと言ってんのよ!
 当然じゃない!」
「何だと!?」
「アンタ一人で出来ることなんてタカが知れてるのよ! なのに何を勘違いしたか知らないけど、お調子に乗って
 何でも思い通り出来ると思い込んじゃってさ! それで勝手にミスって勝手に落ち込んで、終いにゃ
 自己完結して現実逃避!? これをバカじゃなくてなんて言えって言うのよ!」
958種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/09/02(水) 04:23:20 ID:???
「お、お前ぇ……!」
 溜まらずシンはルナに掴みかかろうとする。だがギリギリで自制心が働き、手を上げる寸前で身体が止まった。
だが怒りは収まらず、震える声でルナへと吐き捨てる。
「だったら……だったら俺にどうしろっていうんだ!? もう俺に出来ることなんて何もないじゃないか!
 何かしたところで、誰かを不幸にするだけなんだよ! もう俺のことなんて、放っておいてくれ!」
「……いい加減気づきなさいよ、バカッ!」
 今度はルナがシンに掴みかかり、その襟首を掴んで締め上げた。首が絞まって呼吸が上手く出来なくなる。
息苦しさに喘ぎながら、睨みつけてくるルナを睨み返し──

「──あんた一人で無理なら、あたしを頼りなさいよ!」

 シンは、吐き捨てようとした言葉も表情も失った。
「一人で出来ることなんて何もない? 誰かを不幸にする? ……分かってるんだったら、一人で
 なんとかしようとしないでよ! アンタ一人の頭で考えて、一人で全部やろうとするから、何したって
 上手くいかないのよ! 一人で抱え込まないでよ! 一人で苦しまないでよ! 一人で何もかも
 背負おうとしないでよ! 手伝ってくれって、力を貸してくれって、言いなさいよ……ちゃんと、
 もっとあたしを、信じてよ」
 最後の方は、既に声から怒りは消えていた。シンの襟首を力は抜きつつ掴んだまま、ルナは何も言えずにいる
シンの胸元に顔を沈める。軽い華奢な身体を、シンにはやけに重く感じた。
「あたし達仲間でしょ? 友達でしょ? あんたが困ってるならいくらでも、手でも足でも頭でも
 何でも貸してあげるわよ。命張って助けてあげる。全力全開で協力してあげる。成功しようが失敗しようが、
 最後まで付き合ってあげるわよ……たとえ失敗して、誰かの命を奪ったとしても、それを
 あんた一人のせいになんかさせるもんですか。誰かに恨まれるのも責められるのも石投げられるのも、
 半分は私が引き受ける。死んであの世に行ったら、巻き込んだ人達に土下座でもなんでも一緒にやってやるわ。
 ……だから、だから……!」
 顔を上げたルナは、真剣な顔に涙を浮かべ、シンに告げた。
「あんたは、あたしを助けてよ……! 悔しいけど、あたし一人じゃステラを助けてあげられない……
 あたし一人の力なんかじゃステラもベルリンの人達も、誰一人救えないの! だから、あんたの力を貸してよ!
 一人で諦めないで! 希望を捨てないで! お願いだから、一緒に頑張ってよ……ステラやベルリンの人達を
 助けてあげようよ、シン!  あんたに諦められたら……あたしまで、諦めそうになっちゃうじゃない……!」
 強さと弱さの入り混じった瞳でシンを見つめるルナ。彼女に圧倒されたシンは呆然とし、何一つ
言葉にすることが出来ない。
 シンの胸に何かが宿る……いや、違う。いつの間にか忘れていた、とても大切で強い思いだ。
959種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/09/02(水) 04:26:09 ID:???
『──ルナマリアの言う通りだ、シン』
 不意に通信機から声が漏れ、密着していた二人は慌てて離れる。
「れ、レイ!?」
『いい雰囲気のところをすまないが、このまま俺を忘れられては困るのでな』
「ばっ、バカ言わないで! そんなんじゃないわよ!」
 顔を真っ赤にしながらそっぽを向き、ヘルメットを被り直すルナ。通信機の向こうで、レイがフッと笑うのが
分かった。
『……シン。俺もルナマリアと同じ気持ちだ。お前が望むなら、俺は喜んで力を貸そう。お前が苦しいなら、
 俺も一緒に責を負おう。俺とルナマリア、そしてお前で三等分……それなら、ずっと楽になる。
 そして……俺達が力をあわせれば出来ないことはない。使い古された台詞だが、だからこそ真理だと俺は思う』
「レイ……」
『シン、俺はこの命続く限り、お前と一緒に戦おう……だからお前は、俺の命尽きるまで共に戦ってくれないか?』
 レイの言葉に、シンの中に蘇った思いが強くなっていく。とても激しく、強い思い。
 その気持ちに触発されるように、シンの身体がゆっくりと震え出す。恐怖への怯えでも、先ほどルナに抱いていた
理不尽な怒りでもない──これは、自分への憤りだ。
「俺は、なにをやっていたんだ……!」
 自分一人で高望みをして、それが出来ないからと勝手に意気消沈して、諦めて。決して、自分から助けを
求めようとはしなかった──自分以外を、信じようとしていないも同様だった。
 まるでハツカネズミだ。一人で無意味にグルグルと回り続けて──終いにはそれに疲れて、
何もかも放棄して逃げようとした。
 そんなちっぽけな自分を見捨てず、信じ続けてくれる仲間達がいたのに……その全てを、捨てようとした。
 ──失うことを恐れるあまり、【何よりも大事なもの】を見失うところだった。
「二人とも……俺を許してくれるか?」
「ほんとバカね、許すも許さないもないわよ……ま、気にしないでよね、殊勝な態度のあんたなんて、
 正直気味が悪いわ」
『全くだ。まあ気にするな、俺は気にしない』
 ──シンは、笑った。とても小さな笑みだがこの数週間、いや数ヶ月振りかもしれない、本物の笑顔だった。
「……ルナ、レイ、頼みがある」
「何?」
『何だ?』
 笑みを消し、真剣な顔で問いかけるシン。問い返すルナとレイ。
 三人とも、何を言うか分かりきっている──それでも、あえて言おう。
「力を、貸してくれ……ステラと、ベルリンの人達を助ける!」
「オッケー! 任せなさい!」
『了解だ』
 シンはアビスのコクピットから飛びだし、エールカスタムへと走った。
960種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/09/02(水) 04:30:46 ID:???
「……拙者は、何をやっている?」
 自問自答しながら、ティトゥスはオーガアストレイをデストロイの眼前に滑り込ませた。こちらを向いた
デストロイが右手を掲げ、ビーム砲でもある指をこちらに向ける。
 だが敵が標的を合わせるより早く──しかし追いつける程度に速度を落としながら、大きく背後側へ回りこむ。
デストロイは素直に、オーガアストレイを追いかけて反転。標準が合うと同時にビームを発射した。
 五本の指から放たれたビームをかわし、オーガアストレイはデストロイに飛び掛る。だがその進路を
敵の部隊に阻まれ、すぐさま後退し地に足をつける。
 背後はデストロイが既に破壊し尽くし、生き残りが残っているとは思えない。こちらを向いている限りは、
デストロイの砲撃による犠牲は少ないだろう。
 あくまで、多少ではある。敵はデストロイだけではなく、そのデストロイもフリーダムを狙ったり無差別に
そこらを攻撃したりと半分デタラメな動きをする。正直意味があるのかとすら思えるほどだ。
 だが、ティトゥスはわずかでも犠牲を少なく出来るだろう選択肢を選んだ。
 何故だ、とティトゥスは自問自答する──答えは単純明快。
「後味が悪いから、か……」
 ルナマリアと共に、瓦礫に隠れた住民たちの姿を見た時──ティトゥスが抱いたのは、憤り。
弱者を哀れむというより、弱者を虐げることを是とする強者への非難と嫌悪感が強いが、ともかく憤りは憤りだ。
「かつてならこのような些事、黙って見過ごしていたであろうに……」
 ブラックロッジにいた頃なら、ティベリウスなりクラウディウスの虐殺に無意味さこそ感じつつ、諌める言葉
一つなく見過ごしていただろう──今の自分には、出来ぬ。
 まして今の自分は人の道、剣の道へ至る前に迷いて霧中に居る。そのように余裕のない自分が、
今このように手間を割いてまで戦っているのは、何故か?
 それは弱くなったのか、それとも──そう思いながら、向かってくるウィンダム部隊に剣を構える。
「何故、だろうな……む?」
 その時、瓦礫の影から飛び出した機影がビームを放ち、それがウィンダムの一機を捉えた。
961種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/09/02(水) 04:43:57 ID:???
 ウィンダムを落としたのを確認し、シンは機体をオーガアストレイに近づけながらライフルを連射する。
「ティトゥスさん、大丈夫ですか」
『シンか』
 空に飛び出したエールカスタムが、オーガアストレイの頭上でライフルを連射する。
狙い済まされたビームは敵機を何体か撃ち抜き、編隊を打ち崩した。
『ティトゥスさん、援護をお願いします……これから俺は、ステラを助けに行きます』
『無謀……と先ほどの腑抜けたお主になら言っていただろうが、随分と張りのある声だ。……何があった?』
「……思いっきり、ルナに怒鳴られました」
『ほう』
「そのあと、レイと一緒に言ってくれたんです……一人で出来ないなら、頼ってくれって」
 エールカスタムの前に飛び出したオーガアストレイが、残ったウィンダムに剣を振るう。
 逃げようとする機体にライフルを向けながら、シンは続ける。
「俺は今まで、何でも自分の力でなんとかしなきゃいけないって思ってました。俺が強くなれば、なんでも
 出来るんだって。力があれば守れたんだって。だから強い力を求めて軍に入って、新型のパイロットになって、
 ティトゥスさんに剣を教えてもらって──でも、それだけじゃ駄目だった」
 自分が味わった不幸を誰にも味わわせたくない──その気持ちは本物だ。
 だが、気持ちだけで何が守れるというのか。力を得て、それでどうやって守る?
 今また、ウィンダムを一機撃ち抜いた。だがこの力をどのように使えば、人を守ることが出来る?
「俺は力ばっかり求めて、その力で何とどう戦えばいいのか分かってなかったんです……一人で空回りして、
 失敗して、段々俺はその失敗が、戦うのが怖くなった……けど、あいつらが気づせてくれたんです」
『何とどう戦うべきかを、か?』
「いえ。それは正直言って、まだ分かりません。だけど、それを一緒に探してくれる奴らがいることを……
 仲間がいてくれたことを、俺は今更になって気づかされたんですよ」
 共に戦ってくれると言ってくれた。力を貸すと言ってくれた。命を賭けて助けると言ってくれた。
共に責を背負うと言ってくれた。
 一緒に同じ道を進み、互いに導き合える仲間がいる──それはシンにとって、心底嬉しいことだった。
「そしてその時、もう一つ気づいたんです……今の俺にとって仲間は、人を守りたいって思う気持ちと同じくらい、
 大切なものだったんだって」
 ──シン。お前にとって一番大切なものはなんだ?
 シンは思い出していた。自分にかけられた言葉の数々を。
962種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/09/02(水) 04:48:07 ID:???
「俺のために戦ってくれる仲間がいてくれる。あいつらと一緒に……ただ助けてもらうだけじゃなく、
 俺もあいつらを助けるためなら、俺は戦える! 一緒に戦ってくれる仲間を、俺と一緒に仲間が
 守りたいと思った全てのものを、守るために! ステラも、街の人達も、これ以上苦しませない!
 それが俺の、そして仲間の願いだから! そのために戦うのは間違っていない、俺にとっての
 『真実』だと思えるから!」
 ──よく考えてみてくれ。自分が戦う理由を、自分が求める『真実』がなんなのかを──
 新たに迫るMS部隊に銃口を向けながら、シンは言った。
「戦うことで、誰かを不幸にするんじゃないかって恐怖はまだ消えません。でもだからって逃げられない、
 逃げるわけにはいかない……仲間が戦ってる、守ろうとしてくれているのに、俺だけ逃げるなんて
 出来るわけがない! たとえどんな結果が待っていようと……俺は仲間を守るために、そして仲間と一緒に、
 守りたいもののために戦う! 一人で戦うんじゃなく、仲間と共に戦うことで強くなれると、
 大切なものを守ることへ繋がっていくと信じて!」
 ──お前は、俺みたいにはなるな……これ以上失う前に、本当に大事なものに気づいて……
それを、絶対に守るんだ──
 守ってみせる。ルナ、レイ、ミネルバの皆、ティトゥス──そして、ステラやスティング。自分と仲間と、
その守りたいもの全て。これ以上失わせたりしない──守れなかったアウルや、アスランの分まで。
 争いの中での、しばしの沈黙。ダークダガーLを一機斬り捨てて、ティトゥスは静かに、厳かに問うた。
『強欲だな、お主は。仲間のために、全てを守るか……困難な道だぞ。屍を踏み越えねばならぬ時もあろう。
 恨みを買うこともあろう。苦しみ、嘆き、絶望を味わうこともあろう……それでもお主は、その道を進めるか?」
『……たとえどれだけ困難な道であっても、それでも俺はその道を行きます! 仲間の存在がある限り、
 俺は諦めず進むことが出来るから……その先にいつか、求める答えが見つかると信じられるから!』
 シンは、迷うことなく答えを告げた。再びの沈黙の後、ティトゥスが答える。
『……ならば、行け』
963種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/09/02(水) 04:53:24 ID:???
「……ならば、行け。ここは任せよ……すぐに追う」
『あ……は、はい! お願いします!』
 戦いながらの簡単なやりとりを追え、それぞれが動き出す。
 追いかけようとする敵機にアーマーシュナイダーを投げつけながら、ティトゥスはシンの言葉を反芻していた。
「仲間がいるから守るべきものを守れる、戦うことが出来る……強くなれると信じる、か」
 そうなのやも知れぬと、ティトゥスは素直にそう思えた。
 思えば、自身が知る強き者達も一人ではなかった。かの強敵達は多くの仲間と、そして常に共にある、
守るべき唯一の何かを持つ者ばかりであった。
 忠義の拳闘士の背には忠義を捧げし姫君が。不屈の魔導探偵の隣には比翼の魔導書が。そして
聖書の獣の傍には、犬のように主から離れぬ最古の魔導書が。
 ──前者はともかく、後者二つは守るべき相手が人間ではないなと苦笑い。また最後の一人は常に傍らに
置いていたとはいえ、あの魔導書を【守るべき】と思っていたのかどうか怪しいところである。
 さておき、自分には唯一のヒトなどおらぬが……だが、一人ではない。
 今の自分にも、仲間と呼べる者達がいる。
「シン・アスカ……お主にはまた教えられたな」
 ユニウスセブンの時も、ティトゥスはシンのお陰で気づくことが出来た──守りたいという気持ちを。
忘れていた人としての感情を。
 そして今また、ティトゥスはシンに教わったのだ──それも、二つも。
「困難な道であっても諦めず進めば、必ず求めるものがあると信じる、か……」
 まだ、道が見つかっているのかどうかも分からない。その道に辿り着けるかどうかも分かりはしない。だが──
「童が己の道を選び、歩み始めたというのに、拙者が道に辿り着けもせぬまま諦めるなど、言語道断……!」
 笑いながらティトゥスは言った。操縦桿を動かし、オーガアストレイに剣を構えさせる。
 一度生まれた怠惰は完全には払拭されはしないが──身をも焦がすような苛立ちは、消えている。
「拙者も今日は、仲間のために剣を振るうとしよう……参る!」
 静かなる気合と共に、オーガアストレイが敵機へ駆ける。静かなる剣士の気迫の元、ティトゥスは剣を振るった。
964通常の名無しさんの3倍:2009/09/02(水) 07:15:15 ID:???
他に誰もいない時間だっただけにサルさんくらいましたか?
965種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/09/02(水) 07:48:01 ID:???
 エールカスタムがフルブーストをかけ、デストロイの背後から突撃する。進路上のMS達が気づき、
落とそうと銃を構えた。
『させないわよ!』
 ビームと砲弾の弾幕、敵MSの群れを襲った。レール砲と連装砲が連射され、大出力ビームの奔流が敵を呑みこみ、
スレンダーライフルの閃光が急所を狙い打つ。
 左腕を失いつつも戦うアビスが、エールカスタムに早く行けと首を振る。
 アビスの援護を受けながら、エールカスタムは飛ぶ。デストロイが振り向き、無数のビームが放たれる。
隙間すら見いだせないビームの雨あられを、横っ飛びで回避。機体に掛かるGにシンは歯を食いしばる。
「とにかく近づかないと……!」
 デストロイは圧倒的な攻撃力と防御力を併せ持っている。だがその攻撃力は砲撃に特化し、
接近された際の対応能力が低いのではないか──というのが、レイの分析だった。密着すればデストロイに
撃破される恐れはないはずだ、と。
 デストロイに取り付き、ステラを説得する。もし説得出来ない場合は、シンがステラの注意を
引いている間に仲間がデストロイの戦闘能力を奪うというのが、シン達の作戦だった。
 とはいえ、デストロイの攻撃力と防御力は欠点を補って余りある、どれだけの数の敵機も寄せ付けぬまま
迎撃できるほどに高い。また敵はデストロイだけではなく、MS部隊も迎撃機として配備されている
 とはいえ悠長にことを構えている暇もない。時間が経てば経つほど被害は広がるばかり。ステラの罪は
増し、人々は更に死んでいく。またザフトも体制を建て直し、デストロイへ何らかの有効な対策を確立する
可能性もある。今のシン達にそれは望まざる展開だ。
 最悪でもザフトがまともに動き出す前にデストロイを止め、ステラも助ける──非常に厳しい条件。
 だが、もうシンは恐れない、止まらない。やれるかどうかじゃない、やるだけだ。
 ビームが一旦止むと共に、再び前進。だがビームの代わりに、新たなMS部隊が迎撃を仕掛けてくる。
 その中には、ネオのウィンダムも混じっていた。
「ネオ……あんたも、ステラたちのことを思ってくれているのかもしれない……」
 シンはネオの言葉を思い返し、そう思った。冷静になった頭でよく考えてみれば、ネオの言葉はステラたちを
救いたいと言っていたようにも取れる。
 彼は彼なりに、エクステンデッドを救おうとしているのかもしれない……いや、間違いないだろう。
「でも……ステラは、渡してもらう!」
 シンにも、彼女を救いたいと思う気持ちがある。彼女にこれ以上、罪を背負わせるわけにはいかない。
 自分の身勝手かもしれない。ここで救い出したところで彼女をどうやって延命させるのか、
その手段すら想像もつかない。
 ──だが、一つだけ確信できることがある。
「ステラは優しいんだ……いつまでも人殺しをさせていい子じゃないんだよ! 
 あんただって分かっているはずだ、ネオ!」
 相手は敵、触れ合わぬ限り声は届かない。ウィンダムは周囲の機体と共にライフルを向けてくる。
 だが敵より早く、撃ち払われたビームの乱射がカオス達を阻んだ。直撃を受けたウィンダムが爆発し、
編隊が乱れる。
『シン、こいつらは任せろ。手筈どおり、行け』
「レイ……頼む!」
 ライフルを構えたインパルスが、ネオたちの行く手を阻む。シンは機体を再びデストロイへと向かわせる。
背後でビームの撃ち合う音が聞こえるが振り返らない。
 レイを助けるために、自分はすべき事は──
「俺の、為すべき事を為すだけだ!」
966種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/09/02(水) 07:49:47 ID:???
 デストロイに肉薄しようとする中、それを阻む影が一つ──カオスだ。
 手足にビームの刃を携え、エールカスタムに肉薄する。足のエッジを裂け、サーベルを受け止めながら
シンは外部音声で叫んだ。
「スティング……今は、どいてくれ!」
『どいつもこいつも……俺はテメェらなんか知らねえっつってんだろがぁぁ!』
 スティングもまた外部音声で叫び返す。その声は苛立ちに塗れ、過剰なほどの敵意をシンに投げつけてくる。
『お前ら、イライラするんだよ……死ねよ! お前らがいるから俺は、俺はぁ!』
「スティング……ぐはっ!」
 カオスの脚がエールカスタムを蹴り飛ばす。エッジが腹部をかすめ火花を散らすが、大した被害ではない。
だが態勢を崩したエールカスタムに、カオスがサーベルを振り上げて追撃の構えを取る。
 シンはその光景に歯を食いしばり、吼えた。

「俺は、俺はまだ死ねない……こんなところで止まるわけにはいかないんだぁぁぁ!」

 ──シンの頭の中で、紅い色の種が弾ける。
 右手がライフルを投げ捨て、ビームアックスを振るう。カオスの右腕が、根元から切り裂かれる。
 更に左腕でサーベルを抜き、カオスの兵装ポッドを切裂こうと振り上げる。だが流石はスティング、
上昇したシンの反応速度に対応し、シールドを構えてサーベルを受け止めた。
『うおらあああああああああああ!』
 シンが虚ろな目を驚愕に見開く中、カオスは上半身をMA形態に可変させ、頭部のビーム砲を開いた。
『──ぐああ!?』
 だがその時ビームがカオスの兵装ポッドを貫き、エールカスタムの頭部をかすめた。空戦の要であるポッドの
片方を破壊され、カオスが大きくバランスを崩す。
 ビームが飛んで来た方向にモノアイを向けると、そこにはデストロイに攻撃を仕掛けるフリーダムの姿があった。
どうやらデストロイと戦いながら、視界に入ったカオスにも攻撃を仕掛けたらしい。
「だが今は……助かる!」
 シンはアックスを振り払い、カオスの残ったポッドを破壊するエールカスタム。推力の大半を失ったカオスが、
あっという間に地表へと落下していく。
967種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/09/02(水) 07:53:33 ID:???
『ふざけるな! こんなことで落ちるわけにはいかねえんだよ、テメェ! テメェは、俺の……』
 最後まで言葉を言い切る前に、カオスの姿が廃墟に消える。シンは後を引かれつつも、
意識をスティングからデストロイに切り替える。
 未だフリーダムと戦っているデストロイへと駆けるエールカスタム。フリーダムが一瞬こちらを向いたが、
自分に攻撃する気がないと分かるとすぐデストロイに向き直った。
 エールカスタムとフリーダムへ、全身から無数のビームとミサイルを放つデストロイ。だが目標が二機に
分散しただけ、弾幕は少し薄くなっている……それでも薙ぎ払われる高出力ビームが一瞬でもかすめれば、
大ダメージは必死だ。
 だが、それでも──
「俺は、引くわけにはいかないんだ……!」
 今の自分は、一人で戦っているんじゃない。ルナの思い、レイの思い──それら全てを背負って戦っている。
だから──!
「怖さもある、恐れもある……でも、必ず成し遂げてみせる! 俺のためでもあるけど、それだけじゃない!
 仲間のために……そしてステラ、君のためにも!」
 叫ぶシンの目の前で、デストロイが両腕をエールカスタムに向ける──瞬間、右翼から飛びだし斬りかかった
オーガアストレイに、デストロイは右腕の陽電子リフレクターを起動した。
 右腕は塞がった。後は、左腕。五本の指とビーム砲の先端がエールカスタムに向けられている。
「うおおおお!」
 指から放たれた五本のビームの軌跡を読み、ローリングしながら回避。その瞬間エールカスタムの
移動方向を先読みしてビーム砲が放たれた。回避直後の機体にビームが迫る。
「このおおおお!」
 クリアーになった思考で素早く対抗策を組み立てる。シンは一旦出力を全カットしてエールカスタムを停止。
そのままビームが眼前で減衰するのを待ってやり過ごす。
「ステラーーーーッ!」
 ビームが完全に途切れる。この一瞬にシンはすぐさま出力を限界まで引き上げ、落下しかけた機体を
持ち直しつつデストロイに肉薄しようとするが──
「……え?」
 視界が真っ暗になると同時に、凄まじい衝撃がエールカスタムを吹き飛ばした。
968種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/09/02(水) 07:55:27 ID:???
「何?」
 ティトゥスはある種呆れにも似た驚きを感じた。
 刀がリフレクターを貫きかけたところで、デストロイの腕が突然肘の辺りから外れ、独立して
飛行し始めたのである。なんと奇天烈な機功、ウェストが見れば喜ぶかもしれない。
 リフレクターを作動させたまま、デストロイの腕は指や砲門からビームをオーガアストレイへ撒き散らす。
それなりの飛行能力はあるらしく、デストロイ本体と比べれば相当すばしっこい。
 どうやら腕を分離させ自由に動かすことで鈍重な本体を防御しつつ、広範囲の攻撃を行なうための機構と見える。
「見た目は珍妙でも、効果は十分に……!?」
 考察は、視界の端に映った光景を見て戦慄と共に途切れた。
 敵の攻撃を抜けて一気に距離を詰めようとしたエールカスタム。その側面から分離した左腕が飛来し、
エールカスタムを叩き落としたのだ。大質量の直撃にエールカスタムのフレームが歪み、手足がへし折れ、
破片が飛び散る。
 かろうじて原型を留めていた機体は、そのまま推力を失って地表へと落下した。デストロイがズンと
一歩を踏み出し、瓦礫の上に落ちたエールカスタムに頭部を向ける。その口部ビーム砲に光が集まっていく。
『シン!』
『まずい、あのままでは!』
 ルナとレイが叫ぶが、アビスもインパルスも敵を引き付け過ぎて動きが取れない。ティトゥスもすぐさま
助けに向かおうとするが、
「ええい、邪魔だ!」
 ティトゥスを阻むように、デストロイの右腕がリフレクターを展開しながらオーガアストレイを押し込んだ。
しつこく追ってくる右腕を抜けようとするティトゥスの目の前で、デストロイの口からビームの奔流が放たれ──



 ──掲げたそれぞれの灯を 命と咲かせて──


969種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/09/02(水) 07:56:55 ID:???
 青く輝く地球、その衛星軌道上に浮かぶアメノミハシラ。
 その地球の大地で繰り広げられる血で血を争いを、アメノミハシラから見ることは出来ない。
 だが争いが今そこで起きていることを、開いたハッチの向こうに地球を見つめる巨体は知っている。
 システムオールグリーン。武装チェック完了……掌部ビームジェネレーター、問題なし。

 ──握った拳の強さで砕けた 願いに血を流さす掌──

 開いた両の掌が、一瞬淡い輝きを発する。輝きが消えると同時に、再び拳が握られる。
 ハッチの先のライトが点灯する──発進のサイン。

 ──果てない翼と鎖は よく似て重さで何処にも行けずに──

 足が地面から離れると同時に背中に背負った翼が開き、そこから激しい推力が光と共に吹き上がる。
 無重力に浮かぶ機体が、一気に加速力を伴ってアメノミハシラから飛び出す。
 向かう先は地球──仲間達が戦っている、戦場へ。
 
 ──失くすばかりの幼い眸で 人は還らぬ星を偲う──

 紅い痕を目元に刻むグリーンの瞳が、青き星を映し出す。
 そこに戦場がある──そしてそこで戦かっている者こそが、真の主。
 両手の甲から光を迸らせながら、その機体は一直線に大気圏へと飛び込んだ。



 やっぱり駄目なのかと、シンは悔しさに顔を歪める。
 痛みを訴える身体は動かない。機体は損壊し反応しない。
 デストロイの口元には、既にビームが放たれる寸前まで収束している。
 もはや、術は無いのか……やはり自分には、何も出来ることなんてなかったのか。
「……ふざけるな!」
 ギリッ、と歯を食いしばり、シンは痛みの残る身体を動かす。もう動かないと分かっている操縦桿へ、手を伸ばす。
「認められるもんか……こんなところで、死んでたまるか……!」
 少し前まで、死んで楽になりたいなどと思っていたとは思えない生への渇望に、自分でも驚く。
 だがその理由は分かっている──自分は、死ねない。死ぬなんてことは、許されない。
 死ぬということはルナやレイに全てを任せて、俺だけ逃げるということだ。仲間を裏切るということだ。
それが、それこそがどんな恐怖よりも怖い。そんなことは絶対に許されない。それだけは、死んでも御免だ!
「俺は、誓ったんだ……ルナと、レイと……仲間と一緒に、ステラを助けるって! だから、俺はぁぁぁーっっ!」
 シンの叫びと共に、デストロイの口からビームが迸る。光の奔流は、真っ直ぐにエールカスタムに向かい── 
970種死逆十字 ◆oN23gQHrEc :2009/09/02(水) 08:00:44 ID:???


 ──掲げたそれぞれの灯を 命と咲かせて──


「……!?」
 誰もが、その光景をすぐに理解することが出来なかった。
 上空から現れた機体が、デストロイとエールカスタムの間に飛び込んでビームを受け止めた。高出力の
ビームが、機体の両手の甲に輝く光の盾に遮られて霧散していく。
 ビームが消えた直後、盾を消した機体は背中の左側にあるユニットを展開、長大な砲身を構える。
 トリガーと共に、砲口からデストロイの口部ビーム砲に勝るとも劣らぬ光が迸った。デストロイの左腕が
リフレクターを展開し受け止めるが、勢いに負けた腕部が徐々に押し返されていく。
 ビームが消えた時には、押し戻された左腕はデストロイの体に戻っていた。
「あ、あれは……」

 ──運んで往くことが運命──

 シンは、その機体を呆然と見つめていた。
 トリコロールカラーで染められた機体色。兵器的な無骨さと、刃のような鋭さを全身に持つフォルム。
 幾つも翼を広げたように見える、真紅の推進器とそこから放たれる光。鈍い鉄色の輝きを発する関節部。
 機体が、ゆっくりと振り向く。グリーンに輝く目の下に紅い傷のような痕を刻んだマスクは道化か、
さもなければ悪魔のような形相だ。
 だがシンは、自分に向けられたその顔と痕を見て──

 
 ──輝き刻む 誰もが優しい刻の傷痕──


 まるで、血の涙を流してるみたいだ──そう思った。
971種死逆十字書き ◆oN23gQHrEc :2009/09/02(水) 08:03:40 ID:???
メチャクチャ遅くなってごめんなさいこおはようございます。
八月中に上げたかったんだけどあれよあれよという間に時が……orz
おかげで焦ってえらい時間に投稿をしてしまった(汗)。朝まで待つのも良かったんですが、
この量は確実にサルに引っかかるだろうと思って案の定。その後一度寝て、朝に続きを再度投稿しましたが、
混乱した人がいたらごめんなさい。

シン覚醒&運命降臨の巻。ヴェステージはキラのテーマらしいけど、歌詞見る限り一番がシン、
二番がキラっぽい感じだと思ってみたり。
とりあえずシンの不遇期は一旦ここまで。ここからは大体上がっていく感じ、
とはいえもう一度くらい叩き落されてもらうかもだけど(^^;)
シンのおかげでティトゥスさんもやや持ち直し。覚醒はもう少し先になります。

次回、決着。そしてキラが……という感じ。
次もちょっと遅くなるかもですが、お待ちいただければ幸いです。
972通常の名無しさんの3倍:2009/09/02(水) 08:54:10 ID:???
>>971
ktkr!
運命かっけー
973通常の名無しさんの3倍:2009/09/02(水) 11:37:11 ID:???
うおおお乙です!
背中を追っかけてた奴がその背中を越えんとする、なんと燃える展開
俺そういうの大好きよ!チームプレイも!
いやこんなカタルシス感じる展開、ついぞ見ねーですよ
次回、楽しみに待ってます
974通常の名無しさんの3倍:2009/09/02(水) 12:38:11 ID:???
GJ!

しかしキラには今現在
救いの手を差し伸べる人がいないような
975通常の名無しさんの3倍:2009/09/02(水) 18:59:21 ID:???
祝☆テーマソング奪還w
囚われの女の子と仲間を助けるために舞い降りた運命、初陣に相応しい展開だ!
976通常の名無しさんの3倍:2009/09/02(水) 20:30:19 ID:???
この運命、魔術的なシステムが積まれてるんだっけ
モビルマキナに対抗できるぐらいのスペック持ってるのかな
977通常の名無しさんの3倍:2009/09/02(水) 21:42:17 ID:???
>>974
ストフリ「デスティニーなにそれおいしいの?きらゅん」
978通常の名無しさんの3倍:2009/09/03(木) 16:47:34 ID:???
>>976
>最新鋭機を預けるだけでなく、最終調整やその機体を原型とした
>新型の開発などと……最新技術を丸ごと他国に渡しているのと変わらぬというのに』
>「構いません。最新鋭機といっても製造の為の技術レベルはオーブとそう変わりありませんし、仮にコピーや
>量産に成功したとしても、簡単に運用できるものでもない。

この記述から考えるに、最新鋭機=運命だと思われるので、こっちは原作通りの運命っぽい
超性能になりそうなのは、運命を原型とした新型の方だと思う
979通常の名無しさんの3倍:2009/09/03(木) 16:49:31 ID:???
>>978
つまりお侍さん専用のモビルマキナか
980通常の名無しさんの3倍:2009/09/03(木) 18:00:39 ID:???
スパロボスレの飛鳥インパルス(斬艦刀装備、単騎でユニウス7破壊可)みたいな
ぶっ飛んだ機体が出てきそうだwww
981通常の名無しさんの3倍:2009/09/03(木) 18:59:41 ID:???
あれでもまだトップクラスじゃないんだぜ……スパロボスレのシン
どんだけパワーインフレやってるんだよとw




さて、こう書いたからにはこのスレでもパワーインフレを凄いレベルでやってくれるだろう
982通常の名無しさんの3倍:2009/09/03(木) 20:54:01 ID:???
いくらインフレしてもトラペゾに至らないとエドガーと同じだけどな
983通常の名無しさんの3倍:2009/09/04(金) 16:38:02 ID:???
いつどんなタイミングでキリキリ巻かれちゃうBADENDがくるのかwktk
落ちを思いつかなかったデモベss書き最強のご都合主義な訳だが
落ちにたどり着ければあとは完全無欠のハッピーエンドだw
984通常の名無しさんの3倍:2009/09/04(金) 20:37:42 ID:???
案外、お侍様とシンの、


吾等は魔を断つ二刀流!


で終わったりしてな……。
985通常の名無しさんの3倍:2009/09/05(土) 00:22:25 ID:???
>>984
屍食教典儀『……(ガタッ』
986通常の名無しさんの3倍
>>990は次スレを