【手を取り】ライダー共闘SSスレその5【戦え】

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1名無しより愛をこめて
仮面ライダー作品の世界観のアナザーストーリーはもちろん、
時代も世代も違う作品群の夢の競演からオリジナルライダーまで
自由度の高いSSを職人さんに発表してもらうスレです
age,sage自由、批評は良いが煽りをしてはいけないよ

読者の方も感想、激励等どんどんカキコして行きましょう

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前スレ(PART 4)
【手を取り】ライダー共闘SSスレその4【戦え】
http://tv3.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1053443915/l50
ログ庫 
http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Studio/9133/rider/index.html
避難所 
http://jbbs.shitaraba.com/movie/3028/saidestory.html
2名無しより愛をこめて:03/08/04 16:58 ID:QgEkBaf4
うっさいはげ
3名無しより愛をこめて:03/08/04 17:54 ID:AOaWYvyd
>>1早すぎ
4Heat&バイオレンス作者:03/08/04 18:27 ID:SSVzFx+0
確かに少し早いかもしれないが、
後どれくらいの文章量が書けるのか明確ではないというのも事実。
前スレは以前のように実験的な作品を出して埋めるってことでいいんじゃないかな。

祝新スレってことで新作短編出すのでよろ。
誘導につきage
5Heat&バイオレンス作者:03/08/04 18:32 ID:SSVzFx+0
言い忘れたが、1乙
6名無しより愛をこめて:03/08/04 18:32 ID:RFWVnqsZ
>>3
現在前スレの使用量489KB。
512KBを超えると書けなくなるんよ。
早すぎでもなく、むしろ遅いくらいだ。
7こちらライダー探偵事務所:03/08/04 22:53 ID:n6SHahLq

「プルプルプルプルプル プルプルプルプルプル プルプルプルプルプル・・・」
何処か遠くで電話が鳴っているような気がする。いや気のせいだ、気のせいに違いない。
酷い二日酔いだ、頭がガンガンする。
ソファで寝たから背中も痛い、最悪の朝だな、いやもう昼か?
昨夜のことはよく覚えていないが、俺が二日酔いなのだけは間違いない。
こういう時は酒が抜けるまで寝るに限る。もう一回おやすみ・・・

「プルプルプルプルプル プルプルプルプルプル プルプルプルプルプル・・・」
うるさい電話の音だ、イライラするっ
「ガッ!!」俺は思わず電話の置いてあるテーブルを蹴飛ばす。
「ガタッ!!」電話がテーブルから落ちる音が聞こえる。これで俺の安眠は約束された。今度こそおやすみ・・・
「ガバッ!!」やばいっ!!あの電話はなけなしの金でこの事務所に引いたもんだっ!
電話、電話、電話は無事か?こういう時はつくづく自分の貧乏性が嫌になる。
あった、あった、良かったとりあえず壊れてはいないみたいだっ。
一体誰だ?着信履歴は?、、一条、、ちっ、またあのおっさんか。
依頼人(クライアント)だからっていつも気安く人のこと呼びつけやがって。
まぁ確かにうちの事務所のお得意様には違いないんだが。
だが今日という今日は絶対行かねぇ。俺はこれからまた寝るんだっ。今度こそ本当におやすみ・・・

あぁーっ、寝付けねぇ。頭がガンガンして気持ちが悪い、吐きそうだ、、
とりあえず目つぶって横になってりゃ、そのうち寝れるだろ。
「ガチャッ」誰だ?こんな時に限って客か?いや、そりゃ有り得ないな。どうせまたいつもの奴らだろ。
「あのぉ、何でも引き受けてくれる探偵さんがいるって聞いたんですけど」
本当に客かっ、しかも若い女の声?だが今はそれどころじゃねぇ。
今は俺はとにかく寝るんだっ、何がなんでも寝るんだっ
「悪いが、今日はおやすみだよ」そうそうおやすみ、今はとにかく俺を寝かせてくれ。
8こちらライダー探偵事務所:03/08/04 22:53 ID:n6SHahLq

「お父さんが、、お父さんがっ、、襲われて怪我しちゃって、、お父さんの仇を取って欲しいんですっ!」
おいおい泣いてるのか?寝たふりしながら様子でも見るか、一応な。
バレないように薄目を開けて、、っておいおい子供かよっ!?
いくらんなんでも子供が仇討ちなんて穏やかじゃねえな。
「今日の所は帰んなっ、俺寝てるからさっ」「明日お母さんとでも一緒に来るんだな」
「、、私、お母さん死んじゃって、、いないんですっ、、」
あっちゃー、地雷踏んだよ。おもいっきりっ。マズイこと言ったなぁっ
「でも、でもっ、お金ならありますっ!!」
ちょっ、ちょっと待て、いくら子供でも今時貯金箱ってのはあまりにもベタだろ?
しかも豚さん貯金箱って、おいっ
「ガッシャーン!!」あーあっ、やっちまったよ。何もそこまでしなくても。
「私が貯めたお金ですっ!!これで依頼料になりますかっ!?」
ここまでストレートで来られると俺の負けだよっ、負け負け
「あーあっ!!もうっ!!しょうがねぇなぁっ」
「とりあえず話しだけは聞いてやるよっ」
起き上がったはいいが、まだ頭がガンガンする、、大丈夫か?俺

街ではグロンギ怪人が容赦なく人を襲っていやがる。へぇっ、珍しく薔薇のタトゥーの女も一緒か。
「待ちなよっ」どうやらあいつら俺の存在に気づいたようだな。
「何かと思えば、またグロンギのDQNどもかっ」
「まぁ、お前達のおかげでこっちも商売繁盛だけどなっ」
「クウガかっ」「我らを倒して報酬を得るとは、貴様もとんだクウガだなっ」
まぁ今日はほとんどただ働きみたいなもんだがなっ、依頼人(クライアント)があの女の子じゃ。

「けどなっ、人はパンのみに生きるにあらずってこと、らしいぜっ」「変身っ!!」
光に包まれて俺の体が変わっていくっ!この感覚っ!!俺の体の中に力が満ち溢れてくるっ!!
よっしゃぁっ!!台詞も決まったことだし、いっちょっ行くかっ!!
9こちらライダー探偵事務所:03/08/04 22:54 ID:n6SHahLq

クウガは手首を振り指の力を抜く。殴りかかるグロンギ怪人の拳を身をかがめてかわし、
上体を起こしてグロンギ怪人の顔面に蹴りを喰らわす。後方によろけるグロンギ怪人。
身を低く構えるクウガ。足の上に肘を乗せ、手をブラブラさせ、そこから一気にダッシュする。
クウガは飛び上がり、空中回転し、飛び蹴りを放つ。
マイティキックがグロンギ怪人のベルトに炸裂し、ベルトを打ち砕く。
訳のわからぬ言葉を発しながら、爆発炎上するグロンギ怪人。
10こちらライダー探偵事務所:03/08/04 22:55 ID:n6SHahLq

まぁざっとこんなもんでしょ。薔薇のタトゥーの女にはどうやら逃げられたみたいだな。
まぁ、あいつが直接人に危害を加えることはないしな。よしっ、人間の姿にも戻れたなっ。
「お兄ちゃんっ!ありがとうっ!!」「ああっ」やっぱ笑顔の方が可愛いぞっ。
「でもいつか必ず料金は払ってくれよなっ」まぁ回収は無理だろうけどな。
「たっくんっ!!子供にそんなこと言うなんて酷いじゃないのさっ!可哀想だよっ!」
「巧っ!!あんた本気で子供からお金とるつもりなのっ!?信じらんないっ!!最低っ!!」
げげっ!こいつらいつの間にっ!!
「だいたいなぁっ!!圭太郎が火事なんか出して、俺達の住む所がなくなって、
クリーニング屋出来なくなったから、俺がこんなことする羽目になったんじゃないかっ!!」
「しょうがないでしょっ!!アマダムがあんたを選んだんだからっ!!」
「そうだよっ、たっくんっ!!」
「クスクス」お前らほら見ろこんな子供にまで笑われてるじゃねぇかっ。
「お兄ちゃん、格好良かったよっ!!」ちょっと照れるな
「まあなっ」まぁたまには俺もサムズアップでもしておくか。

「プルプルプルプルプル プルプルプルプルプル プルプルプルプルプル・・・」
・・・嫌な予感。相手は、、一条、、おいおいまたかよっ、勘弁してくれよっ
「はいはいっ、巧、次のお仕事よっ!」「頑張ろうねっ、たっくんっ!!」
「お前らなっぁ、少しは戦う俺の身にもなれっつうのっ!!」

俺の名前は乾巧、この街で探偵事務所を開いている。
何か困ったことがあったら寄ってくれ。
でも、寝ている時だけは出直してくれっ。
11:03/08/04 23:05 ID:n6SHahLq
とりあえずファイズネタいってみた
最後迄、主役を海堂にしようか巧にしようか迷った
海堂の方がもっと面白かったかも

次は海老姐さんでタックルとか(藁
12名無しより愛をこめて:03/08/05 00:42 ID:lD2aX0eb

村上君、新スレが立ったらしいわよ

職人さんには上の上の作品を目指して頑張って欲しいものです。
活躍次第ではラッキークローバーに入ることも夢ではありませんよ。
13名無しより愛をこめて:03/08/05 00:43 ID:lD2aX0eb
誘導age
14007ライダー:03/08/05 11:37 ID:XXhsgiIP

「ふふっ、あなたのような男の人は嫌いじゃないわよ」
女はそう言いながらその男の体を撫でまわすように密着する。
「とっても、素敵だわ、ふふっ」その男の胸の辺りを指で撫でまわす女。
こんな雰囲気たっぷりの女に撫でられて嫌がる男はまずいない。
「シュッ」女の手が素早く男の胸の内ポケットに入り、フロッピーを抜き取る。
「貴様っ!!フロッピーをっ!!」男から飛び退いて離れる女。
「ごめんなさいね、騙すつもりはなかったのよ」
「でも私としてもこれが任務なのよ」女の脚線美がドレスのスリットかスラッと伸びる。
「カシャッ!!」太腿のホルダーから銃を抜き取り、銃を正面に身構える女。「貴様っ!!」
「動かないでもらえるかしら? 私も出来れば撃ちたくはないですもの、ふふっ」
女はいつものように妖艶に微笑む。

靴音が響き、女の背後からもうひとりの男が現れる。
「村上君、フロッピーの奪還には成功したわよ」
「さすがは影山さん、見事なお手並み、上の上ですね」
「クッ!!」女に騙された男は奇械人の姿を現す。
「やはりあなたが奇械人でしたか」
「奇械人でも、男の子なのね、可愛いわ、そういうところ、うふふ」
15007ライダー:03/08/05 11:38 ID:XXhsgiIP

「影山さんっ、それではそろそろ我々も参りましょうか」
「そうね、これ以上依頼人(クライアント)をお待たせしては申し訳ないわ」
「・・・変身」「変身っ」妖艶な女とスーツの男は異形の戦士へとその姿を変える。
「ではとりあえず、言わせていただきましょう」
「天が呼ぶ、地が呼ぶ、人が呼ぶ、悪を倒せと俺を呼ぶ
私は正義の戦士 仮面ライダーストロンガー」
「ふふっ、村上君も、案外可愛いのね、照れちゃって」
「からかわないでください、これも決まりですから」

「では、早い所用件を済ませてしまいましょう」
「私もアフター5は大切にしたいわね、お店の方もあるし」
「影山さんには上の上の闘いをお見せいたしましょう」
「期待しているわ、村上君」

人気のない林間、そこにひっそりと建つ廃墟と化した教会。
教会の奥、十字架の前に椅子を置き、座る一人の男。
美しいブロンドの髪、整った顔立ち、マントを羽織るその男、
その傍らには全裸で首輪に繋がれた美女十数人が侍っている。
「伯爵様、伯爵様、どうか、どうか、私にご寵愛をっ、、」
「いいえっ、私にこそご寵愛をっ、、」
女達は潤んだ瞳で体を火照らせ、伯爵と呼ばれる男に懇願する。
「私の寵愛が欲しくば、私に尽くすのだ、精神誠意心を込めてな」
美女達のご奉仕を受ける伯爵と呼ばれる男。
「私は美しい女しか愛さない、お前達は私に選ばれし美しい女達なのだ」
「はいっ、、伯爵様のお傍にいれて嬉しゅうございます、、」
「ならばその気持ちを私に伝えるのだ、言葉ではなくその美しい体でな」
「はいっ」全裸の美女達のご奉仕はますます熱くなっていく。
興奮し昂ぶって来た伯爵は、一人の女を乱暴に自らの膝の上に乗せ、後ろから羽交い絞めにする。
「あぁっ!」伯爵はその口元に牙を光らせ、女の首元に噛み付く。
「あぁぁぁっ!!」女の柔肌に深く食い込む伯爵の鋭利な牙。女は喘ぎ声と共に昇天する。
「どうか、私にも、私にも、ご寵愛をっ」
女達はそう口走りながら次々と伯爵と呼ばれる男を求める。
そう、彼の名前はヴァンパイア伯爵。
「組織には感謝せねばなるまいな。この美しい姿を私に与え、力を与えてくれたのだからな」
伯爵はそう呟くと、女達との酒池肉林、悦楽の宴を楽しむのであった。

バイクを飛ばすタケシ、だがある家の前でバイクを止める。
そこはタケシが幼少の頃過ごした養護施設であった。
別に感傷に浸っている訳ではない、もともと彼は決してそんなタイプではなかった。
その養護施設を見て忌々しい過去の記憶を思い出し、イライラしはじめるタケシ。
バイクのエンジンを吹かし立ち去ろうとした時
「タケシッ!!タケシじゃないかっ!!」タケシの名を叫ぶ年輩の男性が近寄って来る。
その男の名は立花藤兵衛、近所で立花モータースを営み、
そのかたわら養護施設の子供達の面倒を見てくれている、みなに「おやっさん」と呼ばれる人物であった。
「お前、、ニュースで見たぞ、、随分酷いことしているって言うじゃないか」
幼少の頃から捻くれ者だったタケシに、おやっさんはその心を開こうといつも必死になっていた。
「あんたまだ生きてたのか? こんなこといつまでもしてないで、
そろそろ楽隠居でもした方がいいんじゃないか?」
タケシはそんなおやっさんを疎ましく思っていたが、おやっさんを殴ったことだけは一度もなかった。
「タケシ、俺と一緒に自首しようっ、今迄の罪をすべて償うんだ」
「ふっ、冗談はよせっ」「俺にはまだやらなければならないことがある」「タケシッ!」
「だが心配するな、俺の相手は最早人間ではなくなってしまった」「何を言っているんだっ?タケシ」
タケシはバイクのエンジンを吹かし、再び走りはじめる。
「タケシッ!!タケシッ!!」タケシの名を大声で呼び続けるおやっさん。
改造人間にされてしまったタケシ、彼にとっては人間などもうどうでもいい存在になってしまっていた。
タケシが目指すのはただ改造人間のみ。自分を醜い改造人間にした組織を憎み、
自分と同じ醜い改造人間、その存在を決して許さないタケシは、
すべての改造人間を処刑する為、バイクで放浪の旅に出るのだった。

父をタケシに殺された緑川ルリ子。敬愛する父を失い悲しみに暮れるルリ子だが、
タケシの言葉が心の何処かに引っかかり、気になっていた。
まさか父がそんなことをしていたハズがない、ルリ子はそう信じたかったが、
父に不審な行動が多く、父の行動に疑問を抱いていたのもまた事実であった。
ルリ子は思い立って再び父の研究所を訪れることにする。
父が殺されたあの忌まわしい研究所を出来れば再び訪れたくはなかったが、
父の潔白を証明したいという衝動にはルリ子自身勝てなかった。
父の研究所で山のような研究資料を引っくり返して調べるルリ子。
時が立つのを忘れ、夢中に研究資料に目を通す。

どれぐらいの時間が経ったであろうか、外はすっかり夜の深い闇に覆われてしまっていた。
だが父の研究資料の中にそれらしいものは一切見当たらなかった。ホッと胸を撫で下ろすルリ子。
ルリ子は部屋を出ようとして立ち上がるが、目眩がして傍らの本棚に寄りかかる。
すると本棚が動き、奥へと通じる通路が現れる。
ルリ子は自分が全く知らなかった研究所の構造に驚きながらも、その通路へと入って行く。
その先は父の秘密の研究室が隠されていた。秘密の部屋の研究資料に目を通すルリ子。
そこには緑川博士が研究していた改造人間の資料が無数に存った。
「そんなっ!!」ルリ子はその研究資料を見て愕然とする。
タケシの言っていたことは本当だったのか?
父が改造人間を生み出し、タケシを改造人間にしたというのか?
ルリ子は茫然としてその場に座り込む。

放心状態で元の部屋に戻って来るルリ子。
その時、深く暗い闇の中から現れる一人の男の姿。
それは組織に命を受け、緑川博士の研究資料を探しに来たヴァンパイア伯爵であった。
最早驚くだけの気力すら失っているルリ子。「ほう、これはまた美しい女だな」
「任務の途中でいい拾いものをしたものだな」
ヴァンパイア伯爵は、自失茫然とするルリ子を連れ去って行く。ルリ子を自分の性の奴隷とする為に。
ヴァンパイア伯爵ルリ子を抱きかかえ、無限に闇が広がる夜の空へと消えて行く。

ルリ子はヴァンパイア伯爵の隠れ家である廃墟と化した教会に連れて行かれる。
そこにはヴァンアパイア伯爵の淫催術により性の奴隷と化した十数人の美女達が、全裸に首輪で繋がれていた。
裸の女達はルリ子を睨みつける、自分のライバルが増えると思っているのだ。
父の驚愕の秘密を知り、自失茫然、放心状態となっているルリ子。
ルリ子の心の隙をついて、伯爵の淫催術がルリ子の心を魅了する。
伯爵はルリ子の背後に立ち、ルリ子を後ろから抱きしめる。伯爵の腕の中に抱かれるルリ子。
その白く細い指でルリ子の体を撫で回す伯爵。ルリ子はその意思に関わらず、瞳を潤ませ微かな吐息を漏らす。
伯爵はルリ子の服を力づくで引き千切り、ルリ子の美しい裸体が露にされる。
伯爵はルリ子の体を弄びながら、耳元で甘く囁く。
「、、どうだ、俺の性の奴隷にはなりたいか?」「、、、はいっ」
自らの意思に反して、淫催術の前に抗うことすら出来ず従順になってしまったルリ子。
「、、では、自ら哀願するのだ、私をあなたの性の奴隷にしてくださいとな」
伯爵の淫催術の前に明らかに自らの意思を失い、性的に昂揚しているルリ子。微かな声で伯爵の言葉を繰り返す。
「、、私を、、あなたの、、性の、、奴隷に、、してくだ、、さいっ、、」
そう言いきった時、ルリ子のつぶらな瞳から流れる一縷の涙。それがルリ子の意思の精一杯の抵抗でもあった。
ヴァンパイア伯爵の鋭利な牙がルリ子の首元に近づく。それは奴隷契約の証そのものでもあった。
ヴァンパイアに血を吸われた者は一生その淫催術からは逃れることは出来なかった。

ガシャァァァァァン!!教会の窓ガラスを突き破ってバイクで中に突っ込んで来る男。
そう、そこへ現れたのはタケシであった。タケシはバイクを回転させながら止める。ルリ子の姿を見せて驚くタケシ。
「緑川の娘がこんなところで何をしている?」「まぁ俺にはどうでもいいことだが」
父の仇・タケシの姿を見て、我に帰るルリ子。ルリ子の強烈な憎しみが淫催術すらを打ち破った。
伯爵を突き放し、腕の中から逃げ出すルリ子。
「お前が例の裏切り者か?」伯爵はタケシを睨みつける。
「裏切り者か、ふんっ」「俺は、俺と同じ醜い改造人間を狩る者」タケシも伯爵を睨みつける。
「私は醜くなどはないっ、見よこの美しい私の姿を」
「組織は私に美しい姿を与えてくれたのだよっ、そして私に力を与えてくれたのだのよ」
「私は組織に感謝しているっ、この姿をと力を与えてくれた組織にな」伯爵は誇らしげに高笑いを上げる。
「お前も随分と愚かな奴だ、このまま組織に居れば、何不自由無く面白可笑しく暮らせたものを」
「ふんっ生憎だな、俺はお前達を狩るだけで充分満足だ」

タケシはヴァンパイア伯爵に殴りかかる。
タケシの拳は伯爵の顔面を狙う、これを腕で受け止めるヴァンパイア伯爵。
そこへタケシの強烈な蹴りが伯爵の腹部を蹴り上げる。
「お前みたいな奴は顔は必死で庇うだろうかな、ボディががら空きなんだよ」
タケシの蹴りが2度3度と伯爵の腹部を蹴り上げる。
腹部を抑えて前のめりになる伯爵、そこへタケシの蹴りが今度は顔面に炸裂する。
後方へ吹き飛ぶヴァンパイア伯爵。「クッ、よくもよくも、私の美しい顔をっ!!」
怒りに振るえるヴァンパイア伯爵、その姿は醜い蝙蝠男の姿へと変わって行く。
「お前のような奴の本性がそんなに醜い改造人間だとは、とんだ笑い話だな」
「黙れっ!!黙れっ!!黙れっ!!」「俺が人間だった頃のその姿は醜かった」
「誰もが俺の姿を見て心の中で笑い蔑んでいたんだっ」
「もちろん女にだって相手にされることはなかった」
「だが組織は俺に美しい人間の姿を与えてくれたのだっ」
「そして俺を馬鹿にした女共を性の奴隷にする力を与えてくれたのだっ」
「お前にこの俺の気持ちがわかるかっ!?」

「ふんっ、知ったことか」タケシは蝙蝠男の熱弁を一蹴する。
「俺はただお前達を狩るだけだ」
「蝙蝠男、お前を処刑するっ」「変身っ!!」その低く力強い声に反応して、
腹部にはベルトが現れ、ベルトの風車が回転をはじめる。
ベルトから発せられる光にタケシの体が包まれ、仮面ライダーの姿へと変わって行く。
変身したライダーに蝙蝠男は超音波を発し、これを狙う。
ライダーはジャンプして教会の屋根を突き破り、外へ飛び出し、超音波の射程外へと逃げる。
蝙蝠男もまた羽を広げ、ライダーの飛び出した屋根の穴から空へ飛び立つ。
空を高速飛行しながらライダーに襲いかかる蝙蝠男。
空を飛びライダーの右側からその翼を鋭利な刃物に変えて切りかかる。これをかわすライダー。
その直後今度はライダーの左側から切りかかる蝙蝠男。
ライダーはこれもかわすが、蝙蝠男は今度は高空より超音波でライダー狙う。
ライダーがこの超音波を避けかわす、超音波はその威力で地面を切り裂いて行く。
空からの攻撃を嫌ったライダーは、ジャンプして宙を舞い、空を飛ぶ蝙蝠男の羽をキックで蹴破る。
翼を破られ墜落する蝙蝠男。地面に激突の衝撃音が響く。

立ち上がった蝙蝠男、だがその背後にはライダーの姿があった。蝙蝠男を背後から抑えこむライダー。
蝙蝠男の右の翼の付け根を握り掴み、力を込めて引き千切る。
「うおぉぉぉぉぉっ!!」激痛に悶絶する蝙蝠男。
引き千切られた箇所からは血飛沫が勢い良く溢れ出し、ライダーのボディを深紅に染める。
さらにライダーは蝙蝠男の左の翼をわしづかみにする。
「ライダーよっ、元から醜い人間はどうしたらいいのだっ!?」
「俺は改造人間になって、美しい人間の姿を手に入れたのだっ」
「それでもお前は改造人間を否定するというのかっ!?」
「ふんっ、知ったことか」
ライダーはそう言うと蝙蝠男のもう一枚の翼を引き千切る。蝙蝠男の悲鳴と飛び出す鮮血。
「だがお前は改造人間になった為に、俺に処刑される、それだけだ」
ライダーは蝙蝠男の顔をわしづかみにし、渾身の力を込めて握り潰す。
グシャッという音と共に、血飛沫が噴き上がり、肉片が飛び散る。
「処刑 完了」

戦いを終えたライダーの前に立つ裸のルリ子。
「あなたの、、あなたの言っていたことは本当だったのね、、お父様はっ、、お父様はっ、、」
「あなたは、、あなたは私を助けてくれたのっ?お父様を怨んでいるあなたがっ!?」
「ふざけるなっ、誰が緑川の娘なんぞ助けるかっ」「なんならお前も死ぬかっ?」
ライダーはそう言うとルリ子に背を向け、バイクに跨り走り去る。
ただ一人残されたルリ子、深い夜の闇の中でその美しい白い裸体だけが浮かび上がっていた。


数日後の夜、ルリ子はビルの屋上から飛び降り自殺を図る。
道路に倒れ頭から血を流して絶命しているルリ子。
そのルリ子の亡骸を前に、バイクのエンジン音が響き渡り、ライトがルリ子の骸を照らし出す。
バイクに跨りながらルリ子の亡骸を見つめるタケシ。
「せっかく命拾いしたのに、馬鹿な女だっ」
タケシはそう言い残すと、エンジンを吹かし走り出し、
夜の深い深い闇の中へと再び消えて行くのであった。
23:03/08/05 16:30 ID:v/1dtOZO
新スレ早々一番エロ度が高いのがあたってしまった(汗
本人的には意味のあるエロだと思って書いているんだが。
旧1号編はいろいろやったのでこれぐらいで終わると思う。
2号とか新1号vs死神博士とかはまだやる可能性がある。


24名無しより愛をこめて:03/08/05 16:43 ID:C+OgQvDL
>バイオレンスさん
エロは大歓迎ですがw
投稿がコンスタントに20分程度間が空くのは
どうしてですか?
25:03/08/05 16:56 ID:R0rgt1M7
それは書きながらUPしているからです
1レス分書けたらUPして、また続きを書きはじめるってやってたんです
なのでだいたい1レス書くのに20分ぐらいかかるということですね
26名無しより愛をこめて:03/08/05 23:02 ID:B6iZe3Gf
この調子だとXは佐野か?
でも彼だとバイオレンスにならなそう…
27ライダーズエンジェル:03/08/05 23:28 ID:wCiyGy6K

渋谷の街に突如として現れるブッラクサタン戦闘員とシアゴーストの群れ。
逃げ惑う人々に容赦なく襲い掛かる戦闘員とモンスター。
そこに颯爽と現れる3人の女達のシルエット。
そのシルエットこそ岬ユリ子、霧島美穂、影山冴子の3人であった。
「ちょっとぉ、渋谷で暴れないでくれる?私のテリトリーなんだから」ハネッ返り娘、美穂が文句を言う。
「私の店がある六本木じゃなくて、良かったわ」いつもの妖艶な笑みを浮かべる影山冴子。
「あなた達、そういう問題じゃないでしょう」3人の中の唯一の良識派、岬ユリ子。

「美穂さん、今回はちゃんと真面目に決めて頂戴ね」冴子は言う。
「わかってるって」「うるさいなぁ、おばさんはっ」
「ちょっとっ!あなたっ!おばさんは失礼じゃなくって?
少なくともあなたとそう年は変わらなくってっよ」
「エーッ!それは有り得ないでしょっ」
「そういうのが失礼だって言ってるのよっ!!」
「ちょっとあなた達っ!!いつまでそんなことでもめてるつもりっ!?」
言い合っている美穂と冴子にユリ子の雷が落ちる。
「はーいっ」「わかってますわ」
「明らかに一番上の人には嫌な話題よね」「ねぇ」小声の美穂と冴子。
「あんた達っ、今何か言った!?」
「いいえ、別に」顔を見合わせる美穂と冴子は首をかしげる「ねぇっ」
28ライダーズエンジェル:03/08/05 23:29 ID:wCiyGy6K

「じゃぁそろそろ行くわよっ!」「オッケェッー!」
ユリ子、美穂、冴子の3人は戦闘員とシアゴーストに向かって行く。
襲い掛かるブラックサタン戦闘員をユリ子が蹴り上げる。
さらに戦闘員の手首を掴んで捻り、投げ飛ばす。
シアゴーストが殴りかかってくるのを腕で受け止め、ボディにパンチを入れる冴子。
そのままシアゴーストの横っ面を蹴り飛ばす。
美穂もまた戦闘員に回し蹴りを決める「美脚キックッ!!・・なんつって」

ジャンプしながら戦闘員を次々と蹴り倒す冴子。
「わぉっ!香港映画みたいっ」「ほんじゃ私もっ!」
「旋風脚っ!!・・なんつって」宙を舞い回転しながら戦闘員を蹴り飛ばす美穂。
「だんだん、頭痛くなってきたわ」そう言いつつも自分も爆宙しながら、戦闘員を蹴り倒すユリ子。

戦闘員とシアゴーストを次々となぎ倒して行く3人。だがその数はまだまだ大勢残っている。
「そろそろ変身しちゃってもいいんじゃないですか?」
「時間をかけるのはエレガントじゃないものね、ふふっ」
「そうね、じゃぁ変身するからフォローを頼むわっ」岬ユリ子は2人に援護を頼む。
29ライダーズエンジェル:03/08/05 23:29 ID:wCiyGy6K

「トォーッ」岬ユリ子の掛け声と共にその姿は電波人間タックルに変わる。
「あの変身はいつ見てもどうかと思うわ」「そうよねぇ」再び小声の美穂と冴子。

続いてカードデッキを取り出す美穂。腰にVバックルが現れ、
両腕を胸の前にクロスした状態から腕を白鳥のイメージで広げる。
「変身っ!!」カードデッキをVバックルにセット、美穂の体はファムへと変身する。
「どお?エレガンスって感じでしょ」

カイザのベルトを腰に巻く冴子。
続いてカイザフォンを取り出し顔の横にカイザフォンを構える「変身っ!!」
手首を返してカイザフォンをベルトに装着する冴子。
冴子の体に光のラインが走り、冴子はカイザへと変身する。
「どう?クールって感じでしょ?」

「いや変身ポーズはあたしの方が上でしょ、ぶっちゃけた話。
冴子さんベルト自分で腰に巻いてたし」
「仕方ないじゃない、そういうつくりなんだから
それにね、あたしぐらいになるともうベルト自分で巻いても決まっちゃうのよね」
「エーッ!それは有り得ないでしょっ」
「ちょっとあなた達っ!!またなのっ!?」
「はーいっ」「わかってますわ」
「明らかに問題外の人はいいわよね」「ねぇ」小声のファムと冴子カイザ。
「あんた達っ、今何か言った!?」
「何のことかしら」顔を見合わせるファムと冴子カイザは首をかしげる「ねぇっ」
30ライダーズエンジェル:03/08/05 23:30 ID:wCiyGy6K

「まぁいいわっ(ワナワナ)」
「とりあえず気を取り直して、ライダーズ・エンジェル!!参上っ!!」
タックル、ファム、冴子カイザ、3人並んで名乗りを上げる。
「やっぱ真ん中は若さを押し出して私じゃないっすか?」
「何言ってるのここはエレガントなセクシーさで私でしょ?」
「いいえ、ここは絶対大人の女の魅力ですっ!!」
3人顔を合わせて言い合うガールズトリオ。

「でも冴子さんがライダーって無理なくないっすか?
1回変身したことがあるってだけじゃないですか」
「なによっそれは、あなたなんて所詮はパラレルワールドじゃないの」
「その点、私は準主役ですからね、あなた達より扱いは上ね」勝ち誇るタックル。
「がっくし」「しょぼーん」うなだれるファムと冴子カイザ。
「でもユリ子さんてドクターケイトと相打ちで亡くなったんじゃ・・・」
「ギロッ!」「こわいようっ、、」「それを言ったらあなた達だってっ」
「まぁ(汗 細かいことは気にしないでっ、何でもありの共闘スレなんだし」
「んじゃハリキッって行きますかっ」とりあえず誤魔化すファム。
「頼むから真面目にやってよっ」リーダー格のタックル。

タックルの電波投げがブラックサタン戦闘員を次から次へと投げ飛ばす。
プランバイザーでシアゴーストの群れを切り裂くファム。
ファムの背後から襲い掛かろうとするシアゴースト。
これを冴子カイザのカイザブレイガン・ブレイドモードが切り裂く。
「サンキュッ!助けられちゃったっ」
「あなた達は馴染みの敵キャラがいていいわね」
「どっちかって言うと私が敵役だしっ」ひとりブツブツ言う冴子カイザ。
「だから冴子さんがライダーってのが無理があるんですって、デルタと代わった方がいいかもしれないですよ」
「あなたまた言ったわねっ!!」
既に怒る気力すらないユリ子タックル。
31ライダーズエンジェル:03/08/05 23:31 ID:wCiyGy6K

ブッラクサタン戦闘員のパンチを受け流し、そのまま反撃、戦闘員を蹴り飛ばすタックル。
ブラックサタン戦闘員のパンチを受け止め、ボディに2度3度と、カイザショットを入れる冴子カイザ。
「エレガンスとかにこだわる割には、エゲツない攻撃ね(汗」
シアゴーストを殴り飛ばし、蹴りを入れるファム「美脚キックッ!!・・なんつって」

戦闘員とシアゴーストをあらかた片付けたライダーガールズの前に現れる、
オルフェノクを奇怪人に改造し、ミラーモンスターと融合させた合成怪人。
「いよいよ本命のご登場ね」
「早く片付けちゃいましょうよ、私この後真司とデートの予定があるんで」
「あら私だって茂と約束があるのよっ」
「私のようないい女は決まった彼氏なんかつくらないのよ、ボーイフレンドなら大勢いるけどね、ふふっ」
勝ち誇ったように言う冴子カイザ。
「なんか冴子さんって遊び人みたいですよっ」「仕方ないわよっ、夜のお仕事だしっ」
小声で話すファムとタックル。
「何か、おっしゃいました?」「いえ何でも、ねぇ?」「うんうん(汗」

「じゃ、みなさん、行きますわよっ」
フォンブラスターとカイザブレイガン・ガンモードの二丁拳銃で合成怪人を牽制する冴子カイザ。
「よっしゃぁっ!!・・なんちゃって」
その間にソードベント・ウイングスラッシャーで切り込むファム。
薙刀を振り回して合成怪人に斬撃の連打を浴びせる。
合成怪人はその手の巨大鞭を振り回して反撃する。
「あんたみたいな奴に鞭打たれるのはゴメンだわっ」
「後が残ったらどうしてくれるのっ?真司に怒られちゃうっ(はあと)」
合成怪人の巨大鞭を身を翻してかわすファム。
攻撃に夢中になる合成怪人の隙を突いて、電波投げで合成怪人を投げ飛ばすタックル。
「ユリ子さん、サンキュッ!」「美穂ちゃん、油断は禁物よっ」
32ライダーズエンジェル:03/08/05 23:32 ID:wCiyGy6K

「みんな、そろそろフィニッシュよっ!」「OK!」タックルの言葉に合図するファムと冴子カイザ。
タックルが電波投げの連発で合成怪人を投げ続ける「美穂ちゃんっ!!」
「OK!」『ファイナルベント』カードを装填するファム。
電波投げで投げられた合成怪人を、今度はファムの契約モンスター・ブランウイングが
翼で起こす突風で合成怪人を吹き飛ばす。空高く迄吹き飛ばされる合成怪人。
「はぁっ!!」ファムはジャンプして宙を舞う。
ファムは空に吹き飛ばされた合成怪人にウイングスラッシャーの斬撃の乱打を浴びせる。
「斬撃・白鳥の乱舞っ!!・・・なんちゃって」
「冴子さんっ!!行くよっ!!」「OK!いつでもよくってよ、ふふっ」
ファムは空中から思いっきり合成怪人を地面に向かって叩き落とす。
カイザポインターを右足に装着する冴子カイザ『エクシードチャージ』「はぁっ!!」
冴子カイザはジャンプして急速な勢いで落下してくる合成怪人に向かって、
キックの標的を捕捉する円錐状のエネルギー光を発する。
冴子カイザはその光と一体となり、両足で飛び蹴りを放ち、ドリルのように相手のボディを貫く。
合成怪人のボディにカイザのマークが現れ、合成怪人は空中で巨大な爆発を起こし炎上、飛散する。
その爆発をバックに地上に華麗に着地する。
「決まったかしらっ」冴子カイザは得意げに決めポーズを取ってみせる。
33ライダーズエンジェル:03/08/05 23:32 ID:wCiyGy6K

「やったね!ユリ子さんっ!冴子さんっ!」
「みんな良くやったわっ」「みなさん、お疲れ様」
合成怪人を倒し、集合するタックル、ファム、冴子カイザ。
「でもさぁ、最後の決めのポーズが冴子さんってのは納得いかないよねぇ」
「ふふっ実力の差って奴よね」
「いや、だからそのベルト冴子さんのじゃないし、、」
「しょうがないじゃないの、私だってライダーやりたいんだから」
「次回はデルタと交替かなぁ、、」
「あなたまた言ったわねぇ!!」
二人の言い合いを汗かきながら黙って見ているタックル。
最後の最後迄これかいっ!そう心の中で突っ込まずにはいられなかった。


その頃、カイザフォンを奪われた草加は、
パンツ一丁で縛り上げられ、猿轡されてモゴモゴ言いながら助けを求めていた。
34:03/08/05 23:36 ID:wCiyGy6K
とりあえず誰かにやられる前にやっておいた(藁
男でもこういう軽いノリの話があってもいいかとも思うが
それだとシャンゼリオンになってしまうという罠

>>26
俺は手塚Xあたりを考えていた。
どっちにしろバイオレンスじゃないんだが。
35名無しより愛をこめて:03/08/06 00:32 ID:xM8bOqrL
 前スレ使い切ったら?
36名無しより愛をこめて:03/08/06 22:12 ID:UfBhGug/
前スレ埋め立て完了
後は職人さん達のすみやかな移行を待つばかり
37前スレ1:03/08/06 23:44 ID:qsTF8EKu
前スレ埋め立て用に書いたSSでいろいろボケ倒してましった
気にしないでください
敢えて新スレで突っ込んだりしないでね(汗
38名無しより愛をこめて:03/08/07 09:30 ID:itI7DMvv
※ログ庫更新完了しますた※
39新しいの:03/08/07 19:10 ID:5f9RB4M7
バイオレンスシリーズが盛り上がってるところに水をさすようですが、新しいのを一つ




 ・・・6ヶ月前、浅間山中腹
 雨だった。
「ッハァッ、ハアッ、ハアッ・・・!」
 この山の中に似つかわしくない一人の男が草の中を必死にかけていく。
 もうそろそろ秋になろうかと言う季節に迷彩柄のロングコート。
 必死に何かから身を隠すように、見を低くして走る。
「これさえあれば・・・」
 男は小さなリュックサックを抱えていた。中からはガチャガチャと言う音がする。
 雨に濡れないようにコートで隠し、そして必死に走る。
 その男の顔に浮かんでいるのは、決意。
「これさえあれば、ユイを助けることが出来る・・・」
 男は走った。
 あの忌まわしい場所から逃げるように。
「待っていろ、ユイ・・・待っていろ・・・必ず倒してやる・・・!」
 男は立ち止まった。
 体力の限界は考えなかった。
 目の前には道路があり、カーブミラーがあった。
       「待っていろ・・・・・・ショッカーーーーーーーァァァァァ!!」
 男の姿は無かった。
 その日の深夜、浅間山の中腹で爆発が起こった。
 公式発表は軽飛行機の墜落だった。死者2人。
 よくある事故として、人々の記憶に残ることは無かった。


 ある男たちの手により秘密結社ショッカーが滅びたのは、それより3ヵ月後のことである。
40新しいの:03/08/07 19:11 ID:5f9RB4M7
 現在。東京都内では謎の殺人事件が相次いでいた。
 OREジャーナルに勤めるジャーナリスト見習、城戸真司は上司大久保の命を受け、その事件の取材をはじめる。
 事件は連続して起こっていた。被害者の死因はどれも心臓麻痺。
 だがおかしなことに、警察の見解では被害者は死後数時間にわたって行動していた痕跡があると言う。
 つまり、死んでも動いていたと。
「そんなわけないはずなのになァ・・・」
 不思議に思いながらも真司は被害者の遺族などから取材を続けた。
 元気だったのに急に倒れた、帰ってきた後は目が死んでいた、ずぶ濡れだった、などなど。
 どの証言にも一貫性が無かった。
 やがて夜になった。
 真司は社には戻らずに公園の街灯の下で証言を整理していた。
 ふと気がついた。
 虫が一切鳴いていない。鳥もいない。人の気配も無い。
 けど、何かいる。虫ではない、動物ではない、人ではない、何かの気配がする。
「シュフフフフウ」
 振り返ると・・・そこにいたのは異形。ジャガー?トラ?ライオン?その頭が乗っかっている人間。
 甲冑のようなものを着込んだぬいぐるみにも見えた。 
 でも違う、こいつには気配がある。生きている。そして・・・狙っている。
「うわあァァっ!! 助けてぇぇっ!」
 逃げた。真司は逃げた。ジャーナリストなら写真の一枚でもとるところだが、真司にそんな根性は無かった。
 必死に逃げた。だが、この広い公園の中には逃げ場が無かった。
 あっという間にジャガー男に首をつかまれて吊り上げられてしまう。
41新しいの:03/08/07 19:12 ID:5f9RB4M7
『君は・・・僕たちの仲間になれるのかな?』
 だれだ。だれがそんなことをいってるんだ?
 意識が遠くなりかけた。ジャガー男の手にはいつのまにか手に槍のようなものを持っていた。
 そしてその切っ先は真司の胸に。 やられる
「変身っ!」『ソードベント』
 声は真司の背後から聞こえ、そしてジャガー男に攻撃を加えた。
「逃げろ! 早くっ!」
 真司を助けたのは赤い体をした仮面の戦士だった。
 竜の形を模した剣を手にジャガー男と互角の戦いをする。
『なんだよ、またお前らかよっ!』
「お前がしつこいんだ! 何度も何度も人間を襲って!」
 会話しているのか? 真司は腰が抜けて動けなくなっていた。
 赤い戦士は後ろの真司が逃げないため、どうしても動きが中途半端になってしまう。
 だんだんと追い詰められていく。ついには剣が飛ばされてしまった。
 ジャガー男が倒れた戦士に槍の切っ先を向ける。
『死ねよ、仮面ライダー!』
 その時、公園の入り口から気配がした。ジャガー男も、戦士も、真司も感じ取った。
 人間か? コツコツ足音を響かせながらこちらへ歩いてくる。
 街灯の電気が消えているため、その姿をここから確認することは出来ない。
「・・・へ・・・ん・・・しん・・・」
 腰から、光が!
 その男の腰から、黄金の光が全身を包み込む。
『くウウ、お前も仮面ライダーか!』
 まだその光が収まらないうちに、ジャガー男が疾った!
 槍を上段に構え一気に振り下ろす。だがその一撃は、その光の右腕に防がれた。
 光の中から現れたのは、黄金に輝く戦士だった。ぶん、と腕を降って槍を払うと
 圧倒的な力でジャガー男を殴り倒す。
 『ストライクベント』更に赤い戦士が追い討ちをかける。
 2人相手では分が悪い。
『お、お前、ただのライダーじゃないな・・・くそっ!』
 ジャガー男が逃走する。2人の戦士は追うことはせず、その場でみつめあった。
 真司は言葉を発することなくそれを見つめていた。
42新しいの:03/08/07 19:17 ID:5f9RB4M7
「・・・ありがとう。おかげで助かった」
 赤い戦士が握手を求めて右手を出す、すると金の戦士は苦しそうにうなりを上げた。
 「ウガァァ」がくがくと震え出す。そして!
「ガガアアッッ!」
 狂ったように赤い戦士に襲い掛かった。突然のことに赤い戦士は対応できない。
 まともに一発食らったあとは金の戦士がやりたい放題だった。
 殴る、蹴る、投げる。反撃のすきも与えないほどの攻撃。
「くそっ、戦うしかないのかよ!」
 赤い戦士が距離をとった。『ファイナルベント』
 赤い戦士が腰を落として飛び上がる体制を整える。
 どこからともなく現れた赤い竜が戦士の体を護るように飛び回る。
 一方、金色の戦士も体からエネルギーがあふれ、地面に紋章を描く。    跳
「うおおおお!」
「ガアアアア!」
 正面からぶつかり合う、赤と金。今までのダメージに耐えかねたか、一瞬赤い戦士がバランスを崩した。
 そして、その隙に金の戦士のキックが赤の戦士に決まった!
 地面に落ちると同時に変身がとけて人間に戻る。
 金の戦士はそのまま闇へと消えていった。いつのまにか竜もいない。
43新しいの:03/08/07 19:19 ID:5f9RB4M7
「お、おい、あんた大丈夫か?」
 真司がさっきの戦士に近づく。素人目にも、ひどい傷が多数あった。その男はゆっくりと、目をあける
「・・・なんだ、まだいたのか」
「生きてるな、よし、救急車呼ぶからちょっと待って!」
「待て・・・俺はもう助からん」
「あんた、何言ってんだよ! まだ生きてるだろ!」
 男は自分の腰に手をやると、何か四角い箱のようなものを真司に渡した。
「これを・・・花鶏と言う喫茶店に持っていって、神崎士郎という男に渡してくれ。お前にしか頼めない」
「バカ言うなよ! まだ死んでないうちからそんな話するんじゃないよ!」
「・・・頼んだ」
 男の手が、ゆっくりと力が抜けて、落ちた。  ザァッ!
「!!」
 真司の目の前で、さっきまで生きていた男が、灰になって崩れ落ちた。
 さっきまで確かにあった感触、ぬくもり、重さ。
 しかしそれはいまや残像でしかない。
 確かなのは、まだ手に残った灰と、四角い箱だけだった。
「・・・・・・なんだよ・・・・・・これ・・・・・・」


仮面ライダー -struggle-
44Heat&バイオレンス作者:03/08/07 20:13 ID:I8Q3ufyT
>>41
あなたは仕事が早い(藁
いや長編かかえている私にはマジでメチャメチャありがたいです
前が読めなくて途中からではご新規さんに馴染みがなくなりますからね
お世話かけますが今後もよろしくお願いいたします

>>新しいのさん
新作大歓迎です、いろんな角度からのいろんなパターンの話があった方が面白いですよね
ファイズっぽいベルト設定の龍騎という印象ですが、果たしてどうなるんでしょうか、楽しみです
ショッカーと神崎の関係なんか気になります、続き頑張ってくださいね
45前スレ1:03/08/07 20:18 ID:I8Q3ufyT
前スレ埋め立て用に書いた話が発展して、
新作短編の構想がいくつか出ましたので、出来次第あげさせていただきます。
その中のひとつは「バイオレンスアギト」です(藁
<他の方、ネタ被ってもOKですので、書いてたら出してくださいね
実験的試みもたまには必要だなと思いつつ
46バイオレンスアギト:03/08/07 23:53 ID:mbSgMbr9

「新種・アギトの出現を確認しましたっ!」オペレータの女性の声で室内は一気に緊迫する。
「コンディションレベルレッド!総員第一戦闘配備!」指揮官の声が力強く響く。
建物内にエマージェンシーコールが流れる
「・・総員、速やかに出動してください。繰り返します、都内○○○にアギトが出現しました・・・」
数十人にも及ぶ隊員達は、プロテクターを装着し、次々と手に銃を取り、車両へと乗り込んで行く。
隊員達を乗せた車両が次々と急発進して行く。

「尾室君、私達にも出動命令が出たわっ!Gトレーラー出動よっ!」「はいっ!」
サイレンを響かせ、公道を走る巨大なトレーラー。
「いくらアギト達が私達と対立しているからと言って、
人間の進化した種であるとされている彼らと戦うのは偲びないわね」
アギト対策班所属でG3ユニットのリーダー的存在、管理官の小沢澄子の発言である。
「そうですね、彼らも元々人間ですし。普段は人間の姿をしていると言うじゃないですか」
オペレーターの尾室は小沢の発言に同意する。
「そうですかね?北條さんのおっしゃる通りアギトは人類の脅威となったのです。
人類の敵である奴らに同情するというのはおかしいでしょ?
これはアギトと人類の、この星の盟主を賭けた争いなのですよ。」別室で出動準備をしていた男が口を挟む。
「あら、須藤君、もう準備は出来たのかしら?」
「ええ、私ならいつでもいけますよ」須藤は不敵な笑みを浮かべて答える。
「あなた随分アギトと戦うのが楽しそうね?」
「癖になるんですよ、アギトと闘うのは」
「わかったわ、これから後部ハッチを開くから発進してちょうだい」
小沢澄子はそう言った後に小声でボソッと呟く「可愛げがないのよね」

G3ユニットを装着する須藤。装甲強化服に続き自ら仮面を装着する。
右側のハンドルにガードアクセラーをセットさせてガードチェイサーを起動させると、ガードチェイサーに跨る。
走るGトレーラーの後部ドアが開かれると、須藤G3を乗せたガードチェイサーは滑るようにGトレーラーから降りて行く。
道に降りたガードチェイサーは速度を上げ、Gトレーラーを抜き去って現場へと急行する。
47バイオレンスアギト:03/08/07 23:54 ID:mbSgMbr9

人類は一体どうなってしまったのか?その変化はあまりにも突然訪れた。
ある時突然、人間の中に一部、不思議な能力を持った人々が出現しはじめた。
その人数はやがて徐々に増えはじめ、世間は大騒ぎだったが、そこまでならまだ問題ではなかった。
不思議な能力を持った人々はアギトと呼ばれる者へと変身するようになっていった。
そして様々な調査、研究の結果、アギトは人類の進化した姿だということが判明した。
やがて人類が進化した種であるアギトと、アギトに進化しなかった人類の間には深い確執が生まれはじめていた。
アギトがいつの日か人類の脅威となることを畏れた人類は、まだ数の少ないアギト達を狩るようになっていた。
少数であるうちにアギトという種を絶滅させようとしたのだ。
人間達に追われる日々を過ごしていたアギト。
だがある人物が彼らアギトをまとめ上げ、人類に叛旗を翻し、反撃をはじめた。
その人物こそが、はじめてアギトと認定された第一号・沢木雪菜であった。
こうしてこの星の盟主を賭けたアギトとアギトならさる者・人類の戦いが繰り広げられることになったのだった。

ロングコートを纏い街を彷徨うひとりの男。
彼は海難事故に遭い、奇跡的に助かったもののその記憶を失ってしまっていた。
記憶を失った男の脳裏に、時折現れては消える笑顔の女のヴィジョン。
彼にはそれが誰なのかすらも思い出せなかったが、
自分にとってとても大切な人であることだけは直感的にわかっていた。
記憶を無くした男は、自分が何を求めているのかもわからないまま、何かを探し彷徨っていた。
彼を突き動かしているもの、それは一種の本能とその笑顔の女のヴィジョンだけであった。
その記憶を失った彼が突然何かを感知する「こっ、これはっ、一体何だっ!?」
彼にはそれが何を告げるものなのかわからなかったが、彼はまるでそれに導かれるかのように走り出す。
48バイオレンスアギト:03/08/08 02:37 ID:KcTCXvUF

夜の闇の中に赤い目を光らせる影、それこそがアギトであった。
現場へと到着したアギト対策班の隊員達は、次々と車両から飛び降り銃を手に走る。
隊員達は遠巻きからアギトを包囲し、銃を構える。
「構えっ!!」指揮官の合図で数十人の隊員が一斉に構え、銃口をアギトに向ける。
アギトはただ闇の中に立ち尽すのみ。
その場を支配する緊迫した空気、一瞬が永遠のようにも思われる静寂の中、
指揮官は次の言葉を叫ぶ「撃てぇっ!!」
その声と同時に無数の銃声が夜の暗い闇の中に響き渡る。
数十人の隊員による一斉射撃、他の生命体であればまず逃れることは不可能、絶命して倒れているのは間違いなかった。
だがアギトの姿は何処にもなかった。
困惑し周囲を確認する隊員達、その頭上からアギトは再び姿を現し、彼らに襲いかかる。

宙を舞うアギトが振り下ろす手刀のより、頭を勝ち割られ真っ二つに切り裂かれる隊員。
悲鳴を上げる間もなく地飛沫を吹き上げる。
「うわっぁ!!」その光景に恐怖して、手に持つ銃を発砲する隊員達。
高速の動きで移動するアギトにこれが当るはずもなく、隊員達は味方が放った弾により同士討ちとなる。
駆け抜けながら次々と隊員達を切り裂いて行くアギト。周囲は瞬く間に血の海と化していた。
アギトは返りを血を浴びて血塗れになっていた。
それはまさしく闇に潜む悪魔の所業のようでもあった。
そこへさらに数体のアギトが現れる。
そもそもこれはアギト対策班を全滅させる為に誘き出す、アギト側の作戦であったのだ。
49バイオレンスアギト:03/08/08 02:38 ID:KcTCXvUF

時を同じくしてそこへ駆けつけるG3。
ガードチェイサーから降りると、手に持つハンドマシンガン・スコーピオンをアギトに向け乱射する。
「あなた達を絶滅させて、私達が再び頂点を極めるのですっ!」激しい銃声の中でそう叫ぶ須藤G3。
その様子をモニターで見ていた小沢澄子「彼のこういう所がどうもダメなのよねぇ」
苦笑しながら小沢の言葉に頷く尾室。
G3の銃撃をかわし、その懐に飛び込むアギト、アギトの鉄拳がG3に襲いかかる。
これを左腕で防御するG3、そのまま右腕に装着した超高周波振動ソード・デストロイヤーでアギトを斬りつける。
G3に斬られ血飛沫を上げるアギト。その痛みに転げ回るアギトに、
須藤G3は容赦なく至近距離からグレネードランチャー・サラマンダーを撃ち込む。
一撃必殺の威力を持つ弾丸はアギトの体を貫き、アギト1体が絶命する。
「これこそが私の求めているものなんですよ」須藤は興奮して熱くなっていた。

仲間を殺され激怒した数体のアギトはG3に攻撃の狙いを定める。
1体のアギトがストームフォームとなってそのジャンプ力とスピードでG3を翻弄する。
駆け、跳び、薙刀・ストームハルバードでG3を乱打する。
完全に動きが止まったG3にもう一体がフレイムフォームで襲い掛かる。
そのパワー、腕力でフレイムセイバーをG3目がけ上から振り下ろす。
これを転げ回りながら何とかかわすG3。
「G3の損傷拡大、ダメです損傷率が50%を越えてますっ!!」尾室が現状を報告する。
「こうなったら出るわね、彼の得意のアレがっ」小沢が頷きながら言う。「アレっですか?」
「三十六計逃げるに如かず、彼の十八番よっ」
事実、須藤G3は転がり回りながら、隊員達が援護していた場所まで後退していた。
隊員の中に逃げ込み、とりあえずの身の安全の確保をして、後方よりの長距離射撃に戦法を切り替える須藤。
「私はこんな所ではまだ死ねないんですよ」前衛で盾変わりにされてしまった隊員達。
数体のアギトは容赦なく隊員達を殺害して行く。
50バイオレンスアギト:03/08/08 02:42 ID:dyoxuwPI

人間とアギトとの壮絶な闘いが繰り広げられる中、ロングコートの男がここへ辿り着く。
記憶を失っているハズのその男は、アギトの姿を見て目の色が変わる。
数体のアギトに向かって歩を進めるロングコートの男。風が砂煙を舞わせ、ロングコートがなびく。
彼の腰に現れるベルト、ベルトのバックルから青白い光が放たれ、
ロングコートの男もアギトの姿へと変わって行く。

その男のアギトは身構え、体色を一瞬の内に青に変え、一気に一体のアギトへと詰め寄る。
狙われたアギトはその男のアギトのスピードについていけない。
その男のアギトは狙ったアギトの首を鷲づかみにすると、
今度は一瞬の内に体色を赤に変え、その腕力で力まかせにその首を握り潰す。
首を折られ、首を直角に曲げたまま地飛沫を上げて倒れるアギト。
その血を浴びてその男のアギトの体も血塗られていく。

もう一体のフレイムフォームのアギトがフレイムセイバーで男のアギトに襲い掛かる。
男のアギトは体色を再び青に変えて、薙刀・ストームハルバードでこれを受け流す。
力押しのフレイムフォームのアギト、流れる動きで相手の力を受け流す男のストームフォーム・アギト。
男のストームフォーム・アギトはそのスピードでフレイムフォームのアギトを撹乱し、その背後を取る。
男のアギトは瞬時に体色を再び赤に変え、
相手のフレイムフォームのアギトを背後からフレイムセイバーで渾身の力で袈裟切りにする。
体を真っ二つに切られ、地飛沫を上げながら崩れ落ちいくもう一体のアギト。
51バイオレンスアギト:03/08/08 02:42 ID:dyoxuwPI

そして今迄極力戦闘に参加しなかった、最後のもう一体のアギトが男のアギトに近寄って来る。
腰を低く身構え、クロスホーンを開放させてエネルギーを充填する男のアギト、地面に大きなアギトの紋章が現れる。
アギトのライダーキックが今放たれようとしていた。
その時、最後の一体のアギトは人間の姿へと戻る。それは女の姿であった。
その人間の姿を見た、男のアギトは動作を止め、自らもまた人間の姿へと戻る。
対峙するロングコートの男とアギトだった女。

その女は人々に沢木雪菜と呼ばれていた。それははじめてアギトになったとされる女の名だった。
だがロングコートの男はその女をこう呼んだ。
「、、優衣っ、、」ロングコートの男はその女の姿を見て徐々に記憶を取り戻しつつあった。
「お兄ちゃん、、」女もまたロングコートの男に向かってそう応えた。
その女は虐げられたアギト達を統制し、人間に反撃する為に、
はじめてアギトになった女・沢木雪菜の名を騙っていたに過ぎなかった。
本当の沢木雪菜は、アギトになったことに苦悩し、
自分がアギトならざる者に憎まれるのを恐れ、飛び降り自殺をして既にこの世には存在していなかった。
沢木雪菜の名を名乗っていた、今ロングコートの男の目の前にいる、その女の本当の名前は神崎優衣。

「何故、同じアギトであるお兄ちゃんが、アギトの仲間を襲うの?」
「優衣、お前はアギトになって変わってしまった。
虐げられているアギトを救う為、神崎優衣という名を捨て、沢木雪菜になった。
そしてお前は俺からどんどん離れて行ってしまった。
人間が新たに進化した種、アギトの仲間と共に生きることを選んだ。」
「俺はお前を取り戻す為、アギトを殲滅すること誓ったのだ。
俺はアギトをひとり残らず抹殺して、お前を取り戻す。
お前が再び神崎優衣に戻れるように、、お前が神崎優衣の名を取り戻すように、、、」
「お兄ちゃん、、」

その男の名前は神崎士郎。妹を想い、その執念に生きる男。
52:03/08/08 02:48 ID:dyoxuwPI
ロングコートって書いたけで神崎ってバレちゃう辺りが神崎はすごいな(藁
アギトのお話自体も相当いじってます
つうかアギト本編の後半ってこういう話になるかと思ってたよ

このパターンが出来たということは逆もまたありですね
沢木雪菜と沢木和也のミラーワールドの話
ゲームマスター自身が悩みこんじゃうってのも面白くてもいいかもね
<私はやりませんけど(汗

須藤はシザースじゃないとG3って、つくづく不憫な奴(涙
53名無しより愛をこめて:03/08/08 06:56 ID:jc4iBJ1i
結局主役は、神崎かよ!
まあ、卑怯かつ残忍な戦いっぷりの須藤さん萌えだが・・・
どうせなら主役にして欲しい・・・東條でさえスーパー1なのに・・
G3だなんて・・・(泣)
54バイオレンスクウガ(1):03/08/08 19:22 ID:u/n5+4mf

「・・5、4、3、2、1」「ゼロッ!」
「ブッブッー!!タイムアウト」
「ゲームオーバー」
「あなたは制限時間内に目標の数の人間を殺せませんでした」
「よって、ルールに従いあなたには罰ゲームが課せられます、その罰ゲームとは、、」
「あなたは俺の手によって処刑されます」

「こしゃくなぁっ!!クウガッ!!」
「こうなれば、お前を倒してくれるっ!!」
黒いボディに赤いアーマーを纏った、赤い目と金の角を持った戦士を、ヒョウ種怪人ズ・メビオ・ダはそう呼んだ。
クウガに向かって突っ込んで行くズ・メビオ・ダ、これを迎撃すべく身構えるクウガ。
「ゲームに負けたからって悪あがきはみっともないなぁ」
「でも、そうじゃないと俺も面白くないんだけどさぁ」
ズ・メビオ・ダは短い距離を瞬時にトップスピード迄加速し、高速でクウガに突っ込んで来る。
わざとこれをギリギリまで待って、ぶつかる瞬間、紙一重で身をかわすクウガ。
ズ・メビオ・ダはそこで体勢を大きく崩し、前のめりになり転倒、転げ回る。
クウガがすれ違い様に出した脚につまずいたのだった。
猛スピードで突っ込んだ所から一気に転倒したズ・メビオ・ダ。
自らのスピードが災いして多少の傷を負う。

「グロンギって結構ベタな手に引っかかってくれるよね」
「まぁ昔の人だからしょうがないか」
ズ・メビオ・ダに歩み寄るクウガ。
クウガのその体色は瞬時に紫に変わり、手に持つ警棒を剣に変える。
クウガは立ち上がろうとするズ・メビオ・ダの脚を問答無用とばかりに剣で突き刺す。
ズ・メビオ・ダの脚を貫いた剣はそのまま地面に突き刺さる。苦痛の喘ぎ声を上げるズ・メビオ・ダ。
「これで自慢の脚は使えなくなったね」
55バイオレンスクウガ(1):03/08/08 19:23 ID:u/n5+4mf

クウガは剣の柄を握り、抜くのではなくワザと深く地面に突き刺す。
ズ・メビオ・ダの苦痛の喘ぎ声が再び上がる。剣によって脚を地面に固定され身動きが出来なくないズ・メビオ・ダ。
「あんた達さ、ベルトを壊せば終わりなんだろ?」
「でも悪いけど、俺はそう簡単にはこのゲーム終わりにする気はないから」
身動きの取れないズ・メビオ・ダの顔面に鉄拳を打ち込むクウガ。
殴られ体勢を崩しそうになるズ・メビオ・ダにクウガは容赦なく次々にその拳を放つ。
クウガはズ・メビオ・ダに倒れる間も与えず、倒れることも許さず、ひたすら殴打し続ける。

身動き取れない所をクウガに殴られ続け、すでに虫の息のズ・メビオ・ダ。
クウガは突然殴るのを止める。同時に後ろに倒れこむズ・メビオ・ダ。
「あぁ〜っ、なんだかそろそろ飽きて来たねっ」
ズ・メビオ・ダの脚を貫き地面に刺さっていた剣を手にするクウガ・タイタンフォーム。
その剣でズ・メビオ・ダの右足の太腿を突き刺す「まだ生きてるのかな?」
痛みにビクッと反応するズ・メビオ・ダ。「へぇまだ生きてるんだ」
クウガはそう言うと、今度は左足の太腿を突き刺す。再びビクッと反応するズ・メビオ・ダ。
「案外、面白いね」クウガはわざと急所を外してズ・メビオ・ダの体を剣でめた刺しにする。
刺された随所から血を流し、血塗れのズ・メビオ・ダ。血飛沫の返り血を上げて血塗れになるクウガ。
「これも飽きたかな」クウガはそう言うと剣を手に大きく振りかぶる。
勢い良く剣を振り下ろすクウガ。剣はズ・メビオ・ダの顔面に突き刺さる。
ズ・メビオ・ダを突き刺したままクウガは剣を動かし、ズ・メビオ・ダを真っ二つに切り裂く。
「これでホンとに、ゲームオーバー」
クウガはズ・メビオ・ダに剣を突き刺したままその場を後にする。
56:03/08/08 19:52 ID:m/eEmhn3
中途半端な所で悪いが所用の為続きは遅くなりそう
テーマはグロンギのDQNぶりを遥かに越えるDQNクウガってことで(藁

バイオレンス龍騎とかあったら、1時間ぐらいで最後のひとり決まってそう
もしくは人間の時から既に殺し合いがはじまっているとか
バトルロワイヤルみたいな龍騎になってそう、面白そうではあるが
57名無しより愛をこめて:03/08/08 21:52 ID:Gi/ClDc+
 平成勢で昭和ライダーの世界観やるから面白いんだろうな。
逆だとちょっとアクが足りないかな?(まあ単に自分が面白いネタを作れない
だけだとは思うが)
 
 ところで、誰かライダー(龍騎系以外)が死んだりするようなSSは
このスレ的にOK?

 
58名無しより愛をこめて:03/08/08 22:21 ID:T+sqE4HD
○○がその程度の攻撃で死ぬるかーッ!と主張する熱狂的ファンはいるかも
しれないけど、ネタ的に死んだほうが面白くなるのなら当然にありかと(笑
59バイオレンスクウガ(2):03/08/09 18:40 ID:tuSVwhs/

クウガは人間の姿に戻る。そこへ駆け寄って来る一条刑事。
「何故、もっと早く未確認を止めなかったんだっ!」
一条は激情しながらクウガであった男に詰め寄る。
「何の事かなっ?」「またわざと未確認を止めなかったんじゃないのかっ?」
「変ないいがかりはやめてよ」
「俺は、善良なる市民が恐れる未確認生命体を倒してあげてるんだよっ
感謝されこそすれ、責められる覚えはないね」
「君は、君はただ単に未確認とのゲームを楽しんでいるだけじゃないのか?」
「はははっ、もし仮にそうだとして、だったらどうだって言うのっ?俺を捕まえるっ?
俺は別に人を攻撃したわけじゃないからね、ただ未確認を倒しただけ。
さっきも言ったけど、感謝されこそすれ、責められる覚えはないね」
「君は大勢の人間が未確認に殺されて何とも思わないのかっ?」
「あららら、そう言うヒューマニズムの方向に行っちゃうんだっ」
「あんたもかなりつまんない奴だね」
「そもそもさぁ、何で俺が奴らと戦わないといけない訳?」
「俺にはそんな義務も責務もないんだけどな。むしろ戦わなくちゃいけないのはあんた達の方でしょ?
俺は単に善良なる協力者に過ぎないんだからさ、その辺勘違いして欲しくないなぁ。
あんた達こそ国民の税金で給料もらってて、戦うのも人任せじゃ給料泥棒って呼ばれちゃうよ?」
「我々だって最大限の努力はしているっ」
「だったら俺に頼らないで未確認を倒してみせてよっ」
「それが出来るのなら我々も君の力を宛てになどしない」
「要は、無力な無能の集まりってことでしょ?はじめから素直にそう言えばいいじゃん。
僕達は無力な無能者の集まりですから力を貸してくださいって」
「お願いしているって立場を忘れないで欲しいねぇ。
人にものを頼む態度ってのを良く考えた方がいいよ、あんたもいい大人なんだからさ」
一条はその男の暴言、挑発をじっと堪えて聞いていた。
60バイオレンスクウガ(2):03/08/09 18:41 ID:tuSVwhs/

「ところでさぁ、桜子の様子、最近変だと思わないっ?」
一条には思い当る節があった。一条が電話をしても出ず、一条と会う事を彼女は避けていた。
「お前っ!桜子さんに何かしたのかっ!?」一条は思わず言葉を荒げる。
「別にぃ」その男は不敵な笑みを口元に浮かべる。
「なんかさぁ、彼女最近クスリに嵌っているらしいんだよね。
悪い男達と付き合って、悪い遊びを覚えちゃったみたいね」
「!!」絶句する一条。「お前がっ仕組んだんじゃないのかっ!?」勢いあまってその男の胸ぐらを掴む一条。
「そう思うんなら自分で調べてみたらっ?まぁ未確認の相手が忙しくてそれどころじゃないとは思うけどさ」
その男は一条の手を振り払いながら言う。

「もし、仮に万一俺のせいだとしてさ。だったらなんで自分からこんな話をしたんだと思う?」
「俺さぁ、あんたみたいな善人ヅラした奴って大嫌いなんだよねっ。
善人の塊で、いかにもいい人ですみたいな所、見てて虫唾が走るんだよ。
あんただって人間なんだから本当は欲望があったり、心の闇があったりするはずなんだよ
なのにそういう所は見せないで、頑張っていい人でいようとする、そういうの許せないんだよなぁ。」
「あんただってさぁ、本当は心の奥底で桜子を抱きたいとか思ってたんじゃないのぉ?」
「でも頑張っていい人ぶっているあんたにはそれが出来ない」
「だからさ、俺が変わりに桜子を姦っといたって訳、この頭と力を使ってね」
「貴様っ!!」一条は拳を握り、その男を殴ろうとする。
「俺を殴るのっ?殴りたいんなら殴られてやってもいいけど。俺を殴れば、ますます俺の術中だね。」
「簡単に挑発にのって、激情して見境が無くなる、冷静な判断力を失う、
そんなんじゃ全然ダメだね。あんたには俺のゲームに参加する資格すらないね。」
その男は完全に一条のことを見下し、いいように弄んでいた。
61バイオレンスクウガ(2):03/08/09 18:42 ID:tuSVwhs/

その男はクウガの研究を自分だけのものとする為、その第一人者である沢渡桜子を仲間を使って襲わせ、
弱みを握って脅迫し、挙句の果てにはクスリ漬けにして自分の奴隷としていた。
「まぁもし万一仮にこの話が本当だとして、あんたが俺を逮捕したいならすればいいさ。
この力があればあんた達にそう簡単に捕まるとは思えないし、仮に捕まっても脱獄も訳けないしね。」
「ただ、そうなったら当然俺はもう2度とあんた達には協力しないけどね。
そうなったらそれこそあんた達だけで未確認と戦ってよ。無力な無能の集まりに奴らを倒せるとは思えないけどね」
その男はそう言うと声を上げて笑う。
「この先も大勢の人間が未確認に襲われ続けるだろうね。
一人の女を助けるか、大勢の人間を助けるか、それはあんたが決めればいいさ。
所詮、あんたにはどっちも選べないだろうけどね」
「俺さぁ、あんたみたいないい人は大嫌いだからさっ」
「まぁ、せいぜい死ぬ程悩み苦しんでよっ」
「まぁ、それよりも何よりも、あんた達に尻尾つかまれる程ドジじゃないけどね。
もし万一仮にこの話が本当だとしてもね」その男はそう言い残し笑いながら去って行く。
その場に崩れ落ち膝を着く一条。
「クッソッ!!なんであんな奴に力が与えられたんだっ!!」
一条は叫びながら地面を激しく叩きつけるのだった。
62名無しより愛をこめて:03/08/09 19:12 ID:d060a6D7
バイオレンスクウガ面白すぎる・・・こういうのを待っていた。
よりによって芝浦とは・・・一番なったら面白いなと思った奴がきましたね
それにしても一条と桜子・・・哀れすぎw

続編期待してます
63名無しより愛をこめて:03/08/09 19:25 ID:oQBHX5rJ
おまいらどうでもいいが、ageると荒らされますですよ。
64バイオレンスクウガ(3):03/08/09 23:32 ID:17pg7Pba

クウガである男の前に現れる薔薇のタトゥーの女。
「未確認生命体の女ボスか」薔薇のタトゥーの女を見てつぶやく男。
「我々の邪魔をしないでもらいたいものだな、クウガよ」平坦なアクセントの日本語が女の不気味さを感じさせる。
「俺はただあんた達のゲームを面白くしてやっているだけだよ」
「それにあんた達だって使えない奴をいつまでも仲間に置いときたくはないでしょ?」
「お前のような奴がクウガとはな。リントも随分変わったものだな」
「昔の人のことなんか知らないね」
「お前はどうやら我らと同じようだな」
「おいおい、あんた達なんかと一緒にしないで欲しいね。
あんた達は圧倒的な力の差で人間をいたぶっているにだけだからね。
優れた圧倒的な力、いわゆる暴力に溺れ過ぎてるんだよ。あんた達は頭を使うことがほとんどない。
だからクウガのように自分と対等の力を持つ者、もしくは自分より上の力を持つ者に対して成す術がない。
戦略も戦術もない、要は頭の悪い奴らの集まりってことだね」
「だけど俺は違う、俺は暴力にのみ溺れることはない、頭を使っているからね」
「まぁ、あんた達は所詮は大昔に一度滅んだ種族ってことだね。
今尚、繁栄を続ける種族、その中でも優秀な俺には決して勝てないよ」
65バイオレンスクウガ(3):03/08/09 23:33 ID:17pg7Pba

「お前は一体何を望んでいるというのだ?この時代のクウガよ」
「へぇ、あんた鋭いとこ突いて来たね。あの間抜けな刑事よりはよっぽどましな様だ」
「俺の求めるものは究極の闇の力、かな」
「究極の闇の力、もうそこまで知っているのだな、お前は」
「クウガのことは俺の奴隷(桜子)に調べさせているからね」
「究極の闇の力でこの世界を支配するとでも言うのか?お前は」
「絶対的な力で世界を支配するというのは俺のやり方じゃないんだけどね。
だが絶対的な力という裏付けはあるにこしたことはない。」
「人心を操って絶対的な力をカリスマとする、その為にはあんた達はいい相手だ。
俺があんた達と遊んでいるのはただゲームを楽しんでいるだけじゃない。
あんた達を倒す事でクウガをこの世界のカリスマに仕立て上げる為さ。」
「あんた達をすぐに倒さないのも、あんた達の存在を恐怖として人々に刷り込ませる為さ。
人間が絶対的な脅威としてあんた達グロンギを認識してこそ、
あんた達を倒すクウガのカリスマ性も上がるっていうことだね」
「まぁあんた達とのゲームが単に面白いからってのもあるけどね」
66バイオレンスクウガ(3):03/08/09 23:34 ID:17pg7Pba

「究極の闇の力、あれはお前が考えているようなものではないぞ、すべてに破滅をもたらすものだ」
「破滅ね、それはそれで悪くはないね。破滅の後に新しい世界を構築すればいいのさ、この俺がね。」
「あんた達と戦う理由はもうひとつある。
俺はあんた達との戦いの中で究極の闇の力を引き出そうとしているんだよ。
残念ながらまだ俺は究極の闇の力を引き出す術を知らない。
おそらくあんた達との戦いの行末にそれがあるだろうとは思っていけどね。
まぁどっちにしろあんた達の存在は俺にとって都合がいい。
あんた達もまた俺に利用されているということさ。」
「今度のクウガは随分と性質(タチ)が悪いということだな」
「俺はあんたに俺の手の内の一部を教えてやった。
あんたがホンとに切れる女なら、何かしら手段を講じてくるだろうな」
「我らは闘争本能に従うまでだ」
「救いようのない馬鹿ってことかい?それは」
「クウガよ、我らの力を甘くみなことだな。今お前が戦っている者など、最下級クラスの者にしか過ぎない」
「あんた、今迄の俺の話聞いてた?俺は力だけを宛てにすることはないからね。
どんなに力が上の相手でも、頭を使って戦う俺には勝てないよ」
「まぁ頭の悪い集まりのあんた達にはわかんないかもしれないけどさ」
67バイオレンスクウガ(4):03/08/09 23:35 ID:17pg7Pba

街で人々を襲うサイ種怪人ズ・ザイン・ダ。その前に現れるクウガに変身する男。
「さて、ゲームの時間だね」その男はズ・ザイン・ダに向かってそう言う。
「クウガッ!俺と闘えっ」「ゲームが終わったらいくらでも闘ってやるって」
「あんたなら、そうだな、30分以内に20人の人間を殺したら、あんたの勝ち、殺せなかったら俺の勝ち。
あんたが勝ったら、何でも言う事を聞いてやるよっ、
その代わりあんたが負けたらあんたには罰ゲームを受けてもらうよ。」
「くだらんっ!いいから今すぐ俺と闘えっ!」
「なんだよ、あんた、もしかして自信ないのっ?」
「まぁそうだろうね、この間の豹みたいな奴も
威勢が良かった割にはゲームに負けて、罰ゲームで俺にやられちまったからね。」
「それがまた全然弱くてね、最後なんか俺に助けてくれって泣いて懇願してたよっ」
「グロンギなんてみんな腰抜けの、見かけ倒しだもんなぁ」
「あんたもどうせまた見かけ倒しなんだろっ?」
「もっと強いグロンギってのはいないものなのかねぇ?」
「グッ!!そこまで言うのなら、俺の力見せてやろうっ!!」

「じゃぁゲーム開始ってことで、制限時間は30分、目標人数は20人、まぁせいぜい頑張って」
「じゃ、よーいスタートッ!!」
その男の掛け声と共にグロンギは街の人間を襲いはじめる。逃げ惑う人々。
その男はその様子をビルの上から見つめている。
「あぁ単細胞だねぇ、あんな挑発に簡単にのっちゃうなんてさ」男は笑いながら呟く。
街で人を襲うグロンギの前に現れる警官隊、機動隊。その中には一条刑事の姿もあった。
「刑事さん達も来たね、まぁせいぜい頑張ってもらわないとね」
その男は目の前に繰り広げられる人間対グロンギ怪人の戦いを見て楽しんでいるかのようであった。
一条はビルの上から眺めているその男の存在に気づく。
「あいつ、また見物かっ!!一体何を考えているんだっ!!」
68バイオレンスクウガ(4):03/08/09 23:35 ID:17pg7Pba

サイ種怪人ズ・ザイン・ダに発砲する警官隊、機動隊員。
だが銃による攻撃はズ・ザイン・ダには全く効かない、その装甲で弾が全て跳ね返されてしまう。
嵐のように飛び交う弾丸の中を、ズ・ザイン・ダは突き進み、
警官隊をその鋼力溢れる腕でなぎ倒す。吹き飛ぶ警官隊員達。
肋骨を折り、骨が心臓に突き刺さり、血を吐いて即死する者、壁に激突した衝撃で頭を打って倒れる者、
警官隊、機動隊の被害は拡大するばかりであった。
ズ・ザイン・ダのパンチを顔面に受け、頭を吹き飛ばれる者、
周囲には血飛沫が吹き上がり、肉片と脳漿がぶちまけられる。血飛沫を浴びて血塗れになるズ・ザイン・ダ。
ズ・ザイン・ダのパンチが腹を突き破り、内臓を辺りにぶちまける者。
周囲は血の海、阿鼻叫喚の地獄絵図と化して行く。

その様子を見て、時計を見るビルの上の男。
「へぇっ、こりゃ目標を達成しちゃうかもね」その男はの目は嬉しそうに輝いている。
街中で警官を相手に暴れるズ・ザイン・ダ。
残り時間はわずかとなり、ビルの上の男はカウント・ダウンをはじめる。
「・・5、4、3、2、1」「ゼロッ!」
「ブッブッー!!タイムアウト」
「ゲームオーバー」「いやぁ惜しいなぁ、後1人で目標達成だったんだけどなぁ」
「まぁルールはルールだし、仕方がないね」

警官を相手に暴れるズ・ザイン・ダの前に現れるその男。
「お前っ!!今更っ!!」一条刑事はその男に向かって叫ぶ。
その男はズ・ザイン・ダに向かって言う。
「残念ながらあなたはゲームに負けました。
よって、ルールに従いあなたには罰ゲームが課せられます、その罰ゲームとは、、」
「あなたは俺の手によって処刑されます」
「超変身っ!!」その低く力強い声に反応して、腹部にはベルトが現れる。
ベルトから発せられる光に男の体が包まれ、仮面ライダークウガの姿へと変わって行く。
69バイオレンスクウガ(4):03/08/10 00:23 ID:SQYEPA/3

現れたクウガに向かって突進して行くサイ種怪人ズ・ザイン・ダ。
クウガはこれをかわしながらズ・ザイン・ダを街外れの工場跡地へと誘い出す。
パワー攻撃を得意とし、その分スピードが劣るサイ種怪人ズ・ザイン・ダ。
クウガはその特性を知っており、パワーに対して真っ向からパワーで勝負をかけずに、
体色を青にチェンジし、その跳躍力・瞬発力、スピードを活かしズ・ザイン・ダを撹乱する。
ズ・ザイン・ダの周りを駆け巡り、飛び跳ね周り、手にするドラゴンロッドでこづきまわす。
破壊力こそないが、その四方八方からの連打に苛立つズ・ザイン・ダ、
クウガが壁を背に動きが止まった所で、その鬱憤を晴らさんとばかりに、猛突進でぶちかます。
これを軽く横にかわすクウガ、壁に物凄い勢いで激突するズ・ザイン・ダ。
さらにぶつかった衝撃で上空から数本の鉄柱がズ・ザイン・ダ目がけて落っこちて来る。
数本の鉄柱に激突するズ・ザイン・ダ、だがダメージは思った程なく、
自身の体の上に乗っている鉄柱をそのパワーで払いのける。

「別にダメージが狙いじゃない、動きを止めるのが狙いだからね」
クウガはそう言うと、体色を緑に変化させ、鉄柱を払いのけるズ・ザイン・ダの脚を目がけて、
特殊空気銃・ペガサスボウガンを射る。ペガサスボウガンの矢は、ズ・ザイン・ダの膝を射抜く。
すべてはクウガが仕掛けたトラップだった。この廃工場へ誘い込んだのも、
壁に激突して上空から鉄柱が落ちて来たのもすべてクウガの計算通りであった。
クウガは再び体色を青に変え、ズ・ザイン・ダの周囲を駆け回り、ロッドの連打でこづきまわす、
クウガに脚の関節を破壊されたズ・ザイン・ダは、元々早くはないスピードがさらに遅くなり、
完全に青いクウガのスピードに対応出来なくなっていた。
そしてクウガは再び隙を見て、緑の体色にチェンジしてボウガンの矢でズ・ザイン・ダを射抜く。
ドラゴンフォームのスピードで撹乱し、連打でダメージを蓄積させながら、
ペガサスフォームのボウガンで体の急所を確実に射抜く、それがクウガの戦法であった。
70バイオレンスクウガ(4):03/08/10 00:23 ID:SQYEPA/3

得意の接近戦をさせてもらえず、中遠距離からちくりちくりと攻撃され続けるズ・ザイン・ダ。
いつしかその全身に矢が刺さり、慢心創痍となり、動きもすっかり鈍くなってしまっていた。
「そろそろかな」クウガはそう言うと、赤いマイティフォームにチェンジし、
ズ・ザイン・ダの背後より跳び蹴りを放つ。転がるズ・ザイン・ダ。
ズ・ザイン・ダが傷ついた体で立ち上がった時、
目の前には既に銀に紫のラインのクウガ・タイタンフォームが立っていた。
クウガは手に持つ剣でズ・ザイン・ダの右手を壁に突き刺す。
さらにもう一本の剣を取り出し、今度は左手を壁に突き刺す。
そん上ズ・ザイン・ダの両足にも剣を突き刺すという念の入れよう。
壁に磔の状態で身動きが取れなくなったズ・ザイン・ダ。
「やっぱりお宅も、見かけ倒しだったみたいね」クウガはそう言うと、
壁に磔られたズ・ザイン・ダの額目がけて剣を思いっきり突き刺す。
そしてそのまま剣を下に降ろして行き、ズ・ザイン・ダの体を真っ二つに切り裂く。
壁に磔となったまま、真っ二つとなり、血飛沫を上げるズ・ザイン・ダ。
その返り血を浴びて血塗れとなるクウガ。
「ゲームオーバー、お疲れさんっ」
「究極の闇の力を引き出すにはまだまだか・・・」クウガはそう呟きながら去って行く。


アマダムの力でクウガとなり、さらに自らの野望の為、究極の闇の力を求め続ける男。その男の名は芝浦淳。
彼が究極の闇の力に目覚め、黒い目のアルティメットフォームが
世界を蹂躙する日が来るのもそう遠くはなかった。
71:03/08/10 00:28 ID:SQYEPA/3
思ったより長くなって後半ちとだれた、すまぬ
クウガのレギュラー陣はみんないい人ばかりなのだが、
それをぶち壊して芝浦がみんなを不幸にしていくという構図にしたかった。
他の人との絡みもあれば良かったのだろうが、今回は入りきんなかった。
後は武器を使ってのいやらしい攻撃というのに気を使ったつもり(藁
72クウガ原理主義者:03/08/10 08:47 ID:gJv+TaNC
バイオレンスクウガ作者

貴様は我々にとって神にも等しき存在、仮面ライダークウガを芝浦淳などの低俗な輩によって汚した。
この罪は重い。
警告する。バイオレンスクウガの連載を直ちに中止し、謝罪文を掲載せよ。
従わない場合は、相応の手段をとる。

貴様の良心と誠意ある行動に期待する
73名無しより愛をこめて:03/08/10 08:54 ID:pY55FVsm
久々の煽りキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!! (w
74クウガ原理主義者:03/08/10 09:23 ID:gJv+TaNC
これは煽りではない。警告である。

もう一度言う。

バイオレンスクウガの連載を直ちに中止し、謝罪文を掲載せよ。
従わない場合は、相応の手段をとる。

貴様の良心と誠意ある行動に期待する
75名無しより愛をこめて:03/08/10 09:23 ID:stugi6+W
恐喝罪適用できるんだよね?こういうのって。
76バイオレンス肯定派:03/08/10 10:46 ID:/tsccUdm
>>75
あんた、芝浦?
77名無しより愛をこめて:03/08/10 17:19 ID:YwC6vB8P
言ってることは馬鹿すぎるけど、
一寸わかるところはあるな。
浅倉一号みたいに己の欲求のみに生きるけど、
人を救ってたり、不幸にしてたり。
みたいなのは楽しんで見れてたけど、
桜子シャブ漬けは流石に引いた。
もう少しなんて言うか、健康的な暴力というか・・・
描写力だけに頼ったグロ描写とかにして貰いたい。
結構真面目に書いてるので、
『煽りは放置』みたいな対応は止めて欲しい。
78名無しより愛をこめて:03/08/10 18:38 ID:qhT+7820
>>77におおむね同意。
でもまあこういう作品もいいんでない?
正直面白かったし。

ただグロンギ達の表現に納得がいかないかなあ。
>「それがまた全然弱くてね、最後なんか俺に助けてくれって泣いて懇願してたよっ」
これは無いだろ。
79新しいの=仮面ライダー -struggle- :03/08/10 18:45 ID:RhitUV9x
 翌日。真司は大久保に取材で一日出るとだけ伝えておいた。
 そのまま電話帳で調べた住所を頼りに花鶏という喫茶店へ向かう。
 カラン・・・
「貴様、何度言えば気が済むんだ!」
 真司を迎えたのは、いらっしゃいませとかいうお出迎えの言葉ではなかった。
 店の中には4人、エプロンをつけた男が1人と、客らしき男が3人いた。
 エプロンの男が、スーツの男の胸倉をつかみあげている。
「あ、あの・・・おじゃまでしたか?」
 真司が控えめにそう訪ねるとエプロン男は諦めたようにその手を放してカウンターに戻った。
 どうやら彼がここの店主らしい。
「ご注文は?」
 謝罪の言葉もないんかい。
「あ、ブレンドで」
「・・・うちは紅茶しか置いてないので」
 まるでお決まりの言葉のようにすらすらと言うところを見ると、よく言われているのだろう。
 真司はミルクティーを注文する。
「秋山、俺にもダージリンのティピー・クローナル。ゴローちゃんはいつものでね」
「・・・わかった。手塚は?」
「アイスティー。アールグレーで」
 秋山と言うエプロン男がてきぱきと注文をこなしていく。
 どうもこの店の空気が重い。入ってきたときに何か喧嘩してたのが原因だろうか。
 早いとこ用を済ませて帰ってしまったほうがいいかもしれない。
 いい匂いのするミルクティーが運ばれてきた。「どうぞ」一口。
 美味い。
「ふーん、けっこう美味いじゃない。まだゴローちゃんには勝てないけどね」
 ゴローちゃんと言うのは向かいに座ってる男だろうか? ホットミルクを少しずつ飲んでいる。
80新しいの=仮面ライダー -struggle- :03/08/10 18:45 ID:RhitUV9x
「あのー、ちょっといいですか?」
「・・・なにか?」
「この店に神崎さんて人いません?」
 ぴく。店の雰囲気がちょっとだけ変わった。秋山の顔も、客も。
「神崎優衣なら今日は店を休んでおりますが、なにか?」
「あ、いや、優衣さんじゃなくて、神崎士郎って人」
 今度こそ雰囲気が変わった。
「・・・神崎に何か用か?」
 口調が違う。雰囲気が違う。目つきが違う。真司は何か触れてはいけないものに触れたような気がした。
 やっぱり、早く用を済ませて帰ろう。それでもう二度と来ないでおこう。
 真司はポケットからあの男から預かった箱を取り出した。
「これを届けてくれって頼まれたんだけど」
「これは」
「『龍騎』のカードデッキ!」
 秋山がカウンターから出てきてそれを奪い取ろうとする。真司はわけがわからなかったが、それだけは阻止した。
 それでもなお秋山は手首をつかみ真司をにらむ。
「これはどういうことだ? 榊原はどうした?」
「さ、さかきばら?」
「このデッキを持っていた男だ。お前が届けたということ何かあったんだろう」
 あくまで冷静に、淡々と秋山が問い詰めた。
 真司は言っていいものかどうか迷った。灰になって消えたなんて信じてもらえるわけが無かったから。
 言いよどんだ真司を見てか、秋山は自分のポケットから同じような黒い箱を取り出す。
「俺も関係者だ。なんでもいいから言ってみろ」
「・・・・・・死んだ。俺の目の前で、灰になって死んだ」
81新しいの=仮面ライダー -struggle- :03/08/10 18:46 ID:RhitUV9x
「そうか」
 意外なほどあっさりと、秋山は納得した。
 真司には、それが気に入らなかった。
「なんだよ、榊原って人、知り合いなんだろ。その人が死んだって言ってるのになんでそんなに落ち着いてるんだよ」
「ああ、知り合いだった。それ以上でもそれ以下でもない」
「・・・それは」
「あいつとは仲間でもなければ友達でもないというわけだ。もともと意見も違ってたしな」
「おおかたどっかのモンスターと戦って負けたんでしょ。だから甘ちゃんって言ってたのに」
 なんでだろう。なんで、ここにいるやつらはみんなこんなに落ち着いてるんだ。
「君もあの戦いを見たんだろう? まともな人間が首を突っ込むことじゃないんだよ。ここはおとなしく、わたしといたほうがいいと思うけどなァ」
「あんたッ・・・!」
「お前、戦いを見たのなら教えろ。榊原が戦っていたのはどんな奴だった?」
「・・・顔が豹みたいで、だけど体は人間で鎧着ててなんか槍で攻撃してて」
「言葉は? 口は動いていたか?」
「なんか話してたけど、口は動いてなかったと思う・・・」
「ジャガーの奴か」
 死んだ榊原を弔う意思も無く、ただ情報を集めるだけに聞く。真司にはそう思えた。
 それともう一つ。
「あと、金色の鎧を着た奴・・・榊原さんはそいつに蹴られて・・・」
「ちょっと待て。金色の鎧だと?」
「あ、ああ。そのジャガーじゃなくて、感じはどっちかというと榊原さんのほうに似てたけど」
 店内が沈黙に包まれる。
 秋山は考え込むような表情を、スーツ男は話を聞きながら紅茶を、手塚は手でコインをいじっている。
「・・・新しい、ライダーか?」
「可能性は高い。それも、敵の」
 手塚がはじめて口を開いた。
82新しいの=仮面ライダー -struggle- :03/08/10 18:46 ID:RhitUV9x
「わかった。もうお前に聞くことは無い。デッキを置いて帰れ」
 秋山が真司の手からデッキを奪い取ろうとする。だが真司は抵抗した。
 とにかく、こいつらにだけは渡しちゃいけない。
 そう思った。
「嫌だ! あんた達にこれは渡せない。渡しちゃいけない。なにがなんでもだ!」
 そういって真司が店を飛び出していった。
「待て!」
「ほおっとけばいいんじゃないの? あいつがデッキ持ってて狙われるのは勝手だけどさ。そのへんは神崎が何とかするでしょ」
「いや、俺はだな」
「それに、彼はデッキを渡すべき人間じゃない」
 手塚が口を開いた。手の中のコインをピィンと弾く。
「彼は、有資格者だ」
 パシッ。左手の甲の上でコインを受け止め、右手をかぶせる。
 ゆっくり外す。表。
「俺の占いは当たる」
「・・・・・・なるほど、彼がねえ。せいぜい足を引っ張らないようにして欲しいね」
「・・・俺が追おうとしたのはそういうことじゃない」
「なんだ、秋山?」
「・・・・・・ミルクティー、550円・・・・・・」
「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」
「・・・・・・立て替えておこう」
「すまん、北岡」

83新しいの=仮面ライダー -struggle- :03/08/10 18:58 ID:RhitUV9x
どもです。今回はほぼ龍騎でいってみました。
といっても若干しか弄ってないのでおおむね変わりないですけど。
あと、この作品ではミラーワールドは存在しますが、その中に入って戦うとかはありません。

次回は昭和ライダーの登場です。


>バイオレンスクウガ

んー、イイデスヨイイデスヨ
思いっきり意表をついてて面白いですね。
ただまあ自分もシャブに関してはちょっと、ってところです。
グロンギをコケにしまくる芝浦クウガ。
果たしてこの先ゴが出てきた時に苦戦したりしたらどうすんだろう
反応が気になるw

ところでこのノリでいくとバイオレンススカイライダーとバイオレンスブラックは誰になるんだろ?
佐野スカイと蓮ブラック?あと手塚シャドームーン?
84バイオレンスクウガ作者:03/08/10 19:12 ID:8jL5Ykvk
不快に感じた方々大変申し訳ない。
これは短編でこれ以上の連載はないので安心してください。
削除依頼を望まれるならそれも申請いたします。
<削除してくれるものなのかどうかはわかりませんが。

意図としては、浅倉と芝浦のキャラを比べた場合、
いい例えかどうかはわからないが、武闘派○○○と企業○○○のように
暴力の質が根本的に違う訳で、その辺を表現したかっただけです。
浅倉が素手で首締めるタイプなら、芝浦は真綿で首締めるタイプとでも言いましょうか。
<で実際には芝浦みたいなタイプの方がよっぽど嫌だったりするんですが
悪気は全く無く、暴力の質の違いを表現したかっただけです。

後、緑川ルリ子が苦情がこなかったので、今回もみんな「まぁ与太話だし」
とスルーしてくれるかと思っていたというのもあります。

>>78
>「それがまた全然弱くてね、最後なんか俺に助けてくれって泣いて懇願してたよっ」
これは無いだろ。
それは芝浦がサイ種怪人を挑発し冷静さを失わせる為に、
ありもしない嘘をついてヒョウ種怪人を愚弄したってことです。
最初のシーンの相手がヒョウ種怪人で、泣いて懇願するシーンはないので、
芝浦がついた真っ赤な嘘ってことです。

あんまりにも不快だということであれば、このスレへの出入りを自粛させていただきますので、
その場合はどうぞおしゃってください。
85バイオレンス作者:03/08/10 19:28 ID:8jL5Ykvk
>>83
実は「いやぁ尊敬しちゃうなぁ〜」とか言いながら、
怪人をバラバラにしていく佐野っていうのを考えてました
<これはこれで違った意味でかなりコワイ
俺は佐野ZXあたりを考えてましたがスカイの方がよさげですかね?
86名無しより愛をこめて:03/08/10 19:47 ID:ecjY/qWF
>>85
>佐野スカイ
客演ライダーにおべっかを使いまくるスカイですか?
87【楽園の崩壊】:03/08/10 20:29 ID:2cv22ggi

ファイズ映画公開を祝い、こんな短編を考えてました。
何故、オルフェノクが世界を支配するようになったかという経緯ですね。
もちろん妄想要素たっぷりでアギトまで出てきますが(汗
お騒がせの後なので様子見ながら出せたら出したいと思います。

【楽園の崩壊】

悠久の時を経て進化を続けて来た人類。そして発展を続けて来た人類に訪れる行き詰まり。
すべてに閉塞し切っていた人類にやがてターニングポイントが訪れる。
それは種としての限界を迎えた生命が、その危機から逃れる為に自ら望んだことだったのかもしれない。
何の前触れも無く突如として訪れる人類の進化。
その進化の可能性はひとつではなく、ふたつ、人間達の前に提示された。
ひとつは人類の光の進化であるアギト。
もうひとつは人類の闇の進化であるオルフェノク。
そして進化することの出来なかった人間達。
この3つの種はそれぞれに対立し、種の存続と、この青き星の覇権を賭けて争うこととなる。
そして、その種の闘争の果てにパラダイスロストを迎えることとなる。
これはその3つの種の闘争の歴史と、歴史の狭間に埋もれた仮面ライダーの物語である。
88名無しより愛をこめて:03/08/10 23:08 ID:UA9RcWpI
>バイオレンスクウガ作者さんへ
様々な反響を巻き起こした作品でしたが、オイラは良かったと思いますYO!
なんと言うかレクター博士みたいで、完璧な知性を持った殺人鬼=悪魔的な印象を強く受けました!
只、作中では舌足らずな印象も受けたので、次回は知性と舌戦でまず相手をブチのめす
ダーティ芝浦の活躍が読みたいですね!
89蟹派:03/08/11 00:40 ID:FWIPbJNr
でも次は、蟹様の扱いを良くして欲しい・・・・
90バイオレンス作者:03/08/11 18:36 ID:goMnZ3FD
>>88
騒ぎにもなりましたし(はじめから単発のつもりだったし)芝浦はまた違ったカタチで。
完璧な知性と口撃で、敵が戦う前に完全に戦意を喪失してしまうような、
むしろ敵が死にたくなっちゃうような、そういう戦い振りの芝浦を描いてみたいですね。
そうなると本編での芝浦の面影がほとんどなくなりそうですが。

>>89
俺もボルキャンサの玩具を思わずゲトしてしまうくらい蟹好きなんで、
そのうちシザースとボルたんが主役の話をやると思います
91:03/08/11 21:31 ID:hRpG/Rbi
以前にやったような出だしですが、
元々同じ所からアイデアが来ているので勘弁してください
92【楽園の崩壊】:03/08/11 21:32 ID:hRpG/Rbi

「新種の出現を確認しましたっ!現在パターン照合中」
「・・・パターン、青っ!オルフェノクですっ!」オペレータの女性の声で室内は一気に緊迫する。
「クッ、またオルフェノクかっ」司令官は舌打ちをしながら命令を出す。
「新種迎撃部隊、ただちに出動せよっ!」司令官の号令を合図にオペレーターは各部隊に指示を出す。
エマージェンシーコールが流れる中、百人近くにも及ぶ隊員達は、
プロテクターを装着し、次々と手に銃を取り、戦闘車両へと乗り込んで行く。隊員達を乗せた戦闘車両が次々と急発進する。

「私達にも出動命令が出たわっ!Gトレーラー出動よっ!」「はいっ!」
サイレンを響かせ、公道を走る巨大なトレーラー。
G3ユニットを装着する氷川「やはり彼らとは戦わなければならにのでしょうか?」
「アギトもオルフェノクも元々は私達と同じ人間ではないですか」
「氷川君、あなたには辛い闘いになるでしょうけど、今は人々を守ることだけ考えなさい」
小沢の手により氷川に仮面が装着される。
G3-Xを装着した氷川はガードチェイサーを起動させ、ガードチェイサーに跨る。
走るGトレーラーの後部ドアが開かれると、G3-Xを乗せたガードチェイサーは滑るようにGトレーラーから降りて行く。
道に降りたガードチェイサーは速度を上げ、Gトレーラーを抜き去って現場へと急行する。
93【楽園の崩壊】:03/08/11 21:33 ID:hRpG/Rbi

その灰色のボディを夜の闇と同化させるかの如く暗闇に潜むオルフェノク。
現場に到着した新種迎撃部隊は、数台の戦闘車両のスポットライトでオルフェノクを照らし出す。
眩いばかりの光にその姿を曝け出すオルフェノク。
手に鎌を持つ蟷螂のような容姿、それはマンティスオルフェノクであった。
新種迎撃部隊はマンティスオルフェノクを遠巻きに包囲する。
静寂が余計に緊張感を高め、隊員達にプレッシャーとなってのしかかる。
息を呑む隊員達、緊張から汗をかき、唾を呑み込み、喉元をゴクリと動かす。
隊長の合図に従い、数十人の隊員達が一斉に銃を構える。
「撃てェェェッ!!」隊長の号令で数十人が一斉に発砲する。
だがマンティスオルフェノクは、両手の鎌を巨大化させ、その鎌を盾代わりとして、銃弾をすべて跳ね返す。
攻撃態へ変身したマンティスオルフェノクは走り出し、一気に加速して人間との間合いを詰め、その巨大な鎌を振り回し空を切り裂く。
マンティスオルフェノクの巨大化した鎌で一瞬の内に体を真っ二つにされる隊員達。
悲鳴を上げる間もなく、砂となり崩れ落ちる隊員達。

「お前っ、切り刻んだら、仲間が増えないだえろうがっ!」
声と共に闇の中から現れるもう一体のオルフェノク。その容姿は人間が良く知る象に似ていた。
エレファントオルフェノクは巨大化し四足の突進態となり迎撃部隊へと突撃して行く。
向かって来るエレファントオルフェノクに銃を向け発砲する隊員達。
エレファントオルフェノクはそれをものともせずに、隊員達を軽々と蹴散らし、
迎撃部隊の戦闘車両にぶちかまして横転させ、車両を踏み潰す。
車両の中から這い出しながら逃げる隊員達。
94【楽園の崩壊】:03/08/11 21:33 ID:hRpG/Rbi

オルフェノクが暴れている現場へと到着するG3-X。
ガードチェイサーから降りると、手に持つハンドマシンガンをエレファントオルフェノクに向け乱射する。
G3-Xの銃弾を全身に浴びて痛みを感じたエレファントオルフェノクは、
その巨躯を揺さぶり、銃を連射するG3-Xへと突進する。
地響きを起こしながら猛進するエレファントオルフェノク、
その巨躯の一歩一歩がまるで地震でも起ったかのように周囲を揺るがす。
これを横にかわすG3-X、エレファントオルフェノクは止まることが出来ず、
そのまま壁に激突、衝撃で壁はひび割れ、砕け落ち、大きな穴が空く。
その間にG3-Xはエレファントオルフェノクの背後へと回る。
巨体で小回りの効かないエレファントオルフェノク、G3-Xはその死角へと逃げ込む作戦に出た。
G3-Xはエレファントオルフェノクの脚を狙い、背後から右腕に装着したワイヤー付きのアンカーを射出する。
GA-04 アンタレス がエレファントオルフェノクの脚に絡みつき、その体勢を崩そうとする。
これを踏ん張り堪えるエレファントオルフェノク。

この人間とオルフェノクの戦局をビルの上から見つめる影が3つ。
「人間達も頑張るわね」妖艶な笑みを浮かべる影山冴子。
「ですが、あの2人に手こずっているようではまだまだです、下の下ですね。」
「村上君は相変わらず厳しいわね」影山冴子は村上の肩に手を乗せ微笑む。
「やはり我々にとって危険な存在は、アギトということになりますね。」眼鏡を指先で上げる琢磨。
「あのアギトもどきはどうなのかしら?村上君」
「人間が開発した装甲型強化スーツですか、可能性は感じますが。
我々の強化スーツと比べると見劣りはしますね、中の中ということにしておきましょうか」
オルフェノクの中心的人物・ラッキークローバーの3人は静観を続ける。
95【楽園の崩壊】:03/08/11 22:10 ID:PfehzlbV

マンティスオルフェノクは巨大な鎌を振りかざし、迎撃部隊をなぎ倒し、戦闘車両の厚い装甲すらをも軽々と切り裂く。
エレファントオルフェノクに向かって、グレネードランチャー・GG-02 サラマンダーを撃ち込むG3-X。
サラマンダーの爆撃をかい潜り、巨躯を駆り、手に大砲を持ち光弾を撃ち出すエレファントオルフェノク。
光弾が迎撃部隊の一群を爆撃し、多くの迎撃部隊の人間達が吹き飛ぶ。

その時、人間達にとっての悲劇が起きる。
「味方からオルフェノクが出たぞっ!!」生死を賭け必死になって闘う男達の間から飛び出した叫び、
それは怒声のようでもあり、悲鳴のようでもあった。
オルフェノクと交戦して命を落とした人間の兵士が、オルフェノクとして覚醒したのだ。
味方からオルフェノクが出た、その事実に兵士達の間には戦慄が走る。
だがそれは当然の事でもあった。今目の前にいる味方がいつオルフェノクとなって自分に襲い掛かって来るかもしれないのだ、
それは平静でいろと言う方が無理というものであった。

人間の兵士が命を落とし覚醒オルフェノクはスティングフィッシュオルフェノクとなっていた。
彼には最早人間の時の理性はないらしく、光の触手で傍にいた兵士に襲いかかる。
スティングフィッシュオルフェノクの手に携えた三叉の槍が、触手で捉えた兵士の体を貫く。
噴き上がる血飛沫、無惨に宙を浮く兵士の骸。
この事実が人間達の冷静さを失わせ、狂気を生み出した。
「瀕死の味方は迷わず撃てっ!オルフェノクに覚醒する間を与えるなっ!」
「火を放つか、体を真っ二つにしろっ!いくらオルフェノクでも真っ二つでは再生出来ないからなっ!」
これが戦場の狂気なのか、信じられないような言葉が兵士達の口から次々と飛び出して来る。
96【楽園の崩壊】:03/08/11 22:11 ID:PfehzlbV

前線の様子をモニターしていた小沢澄子
「マズイわっ!味方がオルフェノクに覚醒したことで、みんなが疑心暗鬼になりはじめているわっ!」
疑心暗鬼に駆られる兵士達の心理は、味方同士の醜い殺し合いという悲惨な結果を導きつつあった。

「この状況で私達の仲間が増えるとはね」妖艶な笑みを浮かべ、その様子を楽しそうに見つめる影山冴子。
「これは勝負ありましたね、私達が行く迄もありません。人間達の自滅でしょう。」琢磨の眼鏡の奥の鋭い眼光。
「これが人間であることの限界ですね。影山さん、琢磨さん、この光景を見て私は確信しました。
人間はみな潜在的にオルフェノクになる素質があるのですよ。
人間の闇の進化、それがオルフェノクなのですからね。」村上は冷静にその光景を見つめていた。
「人間と我々オルフェノクがまともにぶつかれば、
人間は数を減らし、我々オルフェノクが増えるのは当然のことです。
オルフェノクは人間の死後の覚醒なのですから。」

怪我を負い重症の味方に灯油をかけ焼き払おうとする兵士達。
「何をするんですかっ!?あなた達、正気ですかっ!?」
それを止めさせようとする氷川のG3-X。
「これ以上オルフェノクを増やす訳にはいかないんだっ!」
「オルフェノクに後ろから撃たれるのはごめんだぜっ!」
兵士達の狂気は氷川G3−Xの説得にも耳を傾けようとはしなかった。
97【楽園の崩壊】:03/08/12 00:22 ID:J8zGB4FK

狂気に駆られ味方同士で殺し合う人間達。そんな人間を嘲笑うかのように襲い掛かるオルフェノク。
そのオルフェノクに乱射される銃、空に浮遊する人型のマシン。
ホイール型の盾に装備されているガトリング砲・バスターホイールを連射するオートバジン。

「小沢さんっ!新たに熱反応がっ!」Gトレーラー内の尾室が叫ぶ。
「パターン照合・・・照合パターンありませんっ!」モニターに映し出されるオートバジン。
「何っ、あれは!?」「ロ、ロボット!?」オートバジンを見て呆気に取られる小沢。

さらに闇の中より現れるひとつの人影。その影は携帯電話を手に持ちボタンを押し、その携帯を空に掲げる「変身っ!!」
その声と同時に腰に巻かれていたベルトに携帯電話が装填される。
その人影に赤いラインが走り、闇の中に黄色い目と赤いラインを燦然と輝かせた異形の戦士が現れる。

「小沢さんっ!また新たに反応がっ!」小沢に報告する尾室。
「パターン照合・・・やはりありませんっ! 、、いや、このパターンは、、人?」
「強化スーツだと言うのっ!?」「私達の勢力にはGシリーズ以外の強化スーツは有り得ないわよっ!?」
モニターで外部の様子を見つめる小沢。
「やはり、強化スーツのようね、でも外見はアギトに近いわ」「一体どういうことかしら?」
ファイズの出現に戸惑う小沢「とりあえず氷川君に知らせてっ!敵か味方か不明ということもねっ!」
98【楽園の崩壊】:03/08/12 00:23 ID:J8zGB4FK

手首を振って、スティングフィッシュオルフェノクをその拳で殴り飛ばすファイズ。
そのファイズ目がけマンティスオルフェノク攻撃態の巨大な鎌が空を裂いて振り下ろされる。
これを横にとびかわすファイズ、さらにそこへエレファントオルフェノクが突進態の巨躯で突っ込んで来る。
オルフェノク3体の波状攻撃、これをかわすファイズ。
そこにオートバジンがバスターホイールで援護、マンティスとエレファントを牽制する。
「俺には当てんなよっ!」ファイズはそう言いながら、スティングフィッシュに対する。
スティングフィッシュの光の触手がファイズの右腕に絡みつき、
動きを制限されたファイズに三叉の槍が繰り出される。
これを左腕で掴み取るファイズ、両腕の塞がっているファイズは片脚蹴りをスティングフィッシュに放つ。
後ろによろけるスティングフィッシュ、ファイズは光の触手を振りほどき、
スティングフィッシュのボディにその拳を2発、3発と叩き込む。
空からバスターホイールを連射してオルフェノクを牽制するオートバジン。
マンティスの巨大鎌がオートバジンを叩き落とそうとした時、G3−Xのハンドガンがマンティスの背後から連射される。
前と後ろから弾丸の雨を浴びて唸り声を上げて、体を揺らすマンティスオルフェノク。
「君は人間の味方なのかっ!?」戦いの最中、氷川G3−Xはファイズに問う。
「人間の味方?そういうことになるの、かもな」
99【楽園の崩壊】:03/08/12 00:24 ID:J8zGB4FK

ビルの上に立ちその様子を見ていたラッキークローバーの3人。
「またファイズが邪魔しに現れたという訳ね」いつもの笑みではなく眉間に皺を寄せる影山冴子。
「やはり、あのベルトの奪還は我々の急務ということですね」下がった眼鏡を指先で上げる琢磨。
「・・・」しばらく黙っていた村上。
「いや、まだまだ一波乱ありそうですね。その様子を見てからでも遅くはないかもしれません。」
「あら、村上君、何か感じるの?」「ええっ」
「いいわね、私もそう言うの感じてみたいものだわ、ねぇ琢磨君」
「ふんっ」怪訝そうな顔をする琢磨。

「小沢さんっ!また新たな反応が3つですっ!」
「またなのっ?また正体不明って言うんじゃないでしょうねっ!?」
「いえっ、今度は大丈夫ですっ!」
「パターン照合、赤っ!!今度はアギトですっ!!」
「アギトが3体っ!全然大丈夫じゃないじゃないっ!!」
100名無しより愛をこめて:03/08/12 00:29 ID:VFwgvAly
これは他の作者産のSSにもいえる事ですが、【楽園の崩壊】さんの作品は
違和感なく世界観をつないでいますね。
アイディアの源泉は何処なのでしょう?
これからも頑張って下さい!
101名無しより愛をこめて:03/08/12 00:40 ID:ofsr8eQ6
応援するならsageてくれよ
102仮面ライダー -struggle- :03/08/12 02:51 ID:LttNJ5As
 真司が花鶏にいっていたその頃。黒いバイクで街中を走る男がいた。
 その男はここのところ連続して起こっている殺人事件について個人で捜査していた。
 とは言っても探偵ではない。
 今は喫茶店で働くただのアルバイターである。
「手がかりなし、か」
 捜査をはじめて今日で1週間。確たる情報網があるわけでもなく、文字通り足で捜査するしかない彼に詳しい情報が入ってくるわけは無かった。
 頼る人脈も無ければ仲間もいない。
 それでも男は一人で事件を調べていった。

 埋立地にある倉庫街である。先週もここで一人が死んだ。
 男はここも調べていたが、人影は無い。もともと働いている人は少ないということだった。
 事件の後警察が調べていったからろくな証拠は無い。
 聞き込みをするべき人間もいない。
 男は諦めて帰ろうとした。その時!
『キヒャァーーーッ!!』
「何ッ!」
 横手から異形の怪物が飛び出してきた!
 バイクを発進させかけていた男はそのままバランスを崩しごろごろと転がって距離をとる。
 バイクをはさんで怪物と対峙する。
「キサマッ・・・!」
「クククッ・・探したぞ、仮面ライダー!」
103仮面ライダー -struggle- :03/08/12 02:52 ID:LttNJ5As
 男はその怪物にどこか見覚えがあった。以前,似たような敵と戦ったことがある。
 そう、敵だ。
 こいつらは人の道を踏み外した改造人間であり。
 自分は、それと戦う戦士。
 そして自分もまた改造人間なのだ。
「貴様・・・何者だ!」
「ククク・・・俺様はショッカーの新たなる戦士」
「何ッ!」
「と、言いたいところだが違う。何せショッカーは貴様らの手で滅ぼされたのだからな」
「また・・・復活したのか!」
「ああ、ただし、ショッカーではない。われらが組織の名はデストロン! 新たなる力を得て誕生した!」
「貴様らァ・・・」
 怪物の手から先は鋼鉄の鋭い金属の刃になっていた。
 もはや人間の面影すらないケダモノの顔からは下衆な笑いが響く。
「俺はデストロン怪人の一人、ハサミジャガー様だ!」
「ハサミジャガー・・・貴様ら、また性懲りもなく人間を支配するつもりか」
 男はゆっくり腰を落として戦闘体勢をとった。
 白いジャンパー、白いオープンフィンガーグローブ。
 端整な顔立ちにははっきりと怒りの色。
「ふっ、貴様に言う必要はない。何しろ貴様は、今ここで死ぬのだからな」
「やはり、そうか」
「おっと、貴様を殺す前に聞いておくことがある」
 ハサミジャガーは飄々とした態度で男との距離をとる。はっきりと間合いを外した。
104仮面ライダー -struggle- :03/08/12 02:53 ID:LttNJ5As
「俺は今、二つの指令を受けている。一つ、われらが前身、ショッカーを壊滅させた3人の戦士を抹殺すること。
 すなわち、仮面ライダー1号、本郷猛!
 仮面ライダー2号、一文字隼人!
 そして・・・仮面ライダーBLACK、南光太郎、貴様だ!」
 ギュウッ、男の、南光太郎の拳に力が入る!
 そして
「変っ・身っ!」
 腰のキングストーンから力が、光太郎の全身へと行き渡る。
 これこそ世紀王の証、世界の王たる正統後継者の証明。
 その力が光太郎の全身を変質させ、黒い装甲で体を覆っていく。
 体にみなぎる力、溢れんばかりに湧き上がるエネルギー、その熱に耐えかねた関節から白い煙が上がる。
「仮面ライダー! ブラック!」
 王の力を持つ黒い戦士、彼こそが仮面ライダーBLACKである!
 だがハサミジャガーは慌てる風もなく、冷静に話を続けた。
「落ち着け、南光太郎、いやさ仮面ライダーブラック。まだ話には続きがある」
「なんだと?」
「もう一つの指令だ。我がデストロンは力を求めている。世界を支配するにふさわしい強力な力をな。そこでだ、仮面ライダーよ。我らと手を組め」
「何・・・貴様、正気か」
「もちろんだとも。貴様がデストロンに加入した際には幹部クラスの席を用意しよう。条件は1号と2号の居場所を教えることだ。簡単なことだろう?」
「俺がそんな誘いに乗るとでも思っているのか!」
「乗らんだろうな。だが考えても見ろ。今起こっている多くの事件、貴様一人ではなにも情報を得られまい。
 なに、デストロンに加入したところで貴様を拘束するつもりは一切ない。
 貴様が望む情報をいくらでも与えてやろう。われらデストロンの邪魔をしないという条件付でな。
 貴様にとって、悪い条件ではあるまい?」
 そうだ、悪い条件では、ない。
105仮面ライダー -struggle- :03/08/12 02:53 ID:LttNJ5As
 条件だけ聞くならば、だ。
「たとえどんな条件でも、ショッカーの後継であるお前達と組むつもりはない。もう一度、壊滅させてやる」
「やはりな。ならばかかって来い、仮面ライダー! その力、俺が見極めてくれるわ!」
 激突する仮面ライダーBLACKとハサミジャガー。
 パンチとチョップを中心に戦うBLACK、腕の刃物を効果的に使うハサミジャガー。
「ライダーパァンチ!」
 以前の2度にわたる戦いの末に成長したBLACKとほぼ互角の戦いをするハサミジャガー。
 BLACKはそれに驚いていた。
 ショッカーの怪人とは、強さの格が違う!
「どうした仮面ライダー、ショッカーを倒した力とはその程度か!」
「くっ!」
 お互いを蹴り飛ばして距離をとる。BLACKもハサミジャガーも肌で感じていた。
 こいつは、予想以上に強い。
 ショッカー怪人のつもりで戦ったBLACKも。
 データによるシミュレーションにあわせて戦ったハサミジャガーも。
 その時だった。
 ドォォン!
 大きな音を立てて一つの倉庫の壁が崩れた。瓦礫の中から這い出してくるのは、ハサミジャガーと同じ異形の怪人。
 何かに脅えるように這いつくばりながらこちらへと。
「か、カメバズーカ! なんだそのざまは!」
「は、ハサミジャガー、助けてく
 ドシュ。
れ」
 満身創痍。腕はちぎれ足は折れ、カメであるはずなのに甲羅を割られ。そしてその怪人は後方、倉庫の中から飛んできた剣に腹を貫かれて死んだ。
 その剣に、見覚えがあった。
 まがまがしい黄金の柄、紅に染まった毒々しい刃。
「サタンサーベル・・・!」
「久しいな、ブラックサン」
106仮面ライダー -struggle- :03/08/12 02:54 ID:LttNJ5As
 カシャッ、カシャッ、カシャッ、カシャッ、カシャッ
 異様に静かになったあたりに響く異様な足音。聞き覚えがあった。
「以前あったのは半年以上も前か。すっかり姿を消しやがって。探したぞ」
「シャドー・・・ムーン・・・」
 銀色の光を吸い込むような体、世界を見すめる緑の眼。間違いない。かつての宿敵だ。
 BLACKと同じく、世紀王として誕生した改造人間、シャドームーン。
 カシャッ、カシャッ、カシャッ、カシャッ、カシャッ
 シャドームーンの足元には絶命したカメバズーカの死体がある。間の前で立ち止まり、サタンサーベルを引き抜く。
 同時にカメバズーカの体が泡になって、完璧に溶けた。
「ふん、デストロンとやらの最強怪人というからどの程度かと思えば・・・」
 そのまま血振り、そして黒い鞘に納刀する。
「たかがこの程度の強さでこの俺に、『デストロンに入れ』だと? 笑わせるなよ」
「見くびってもらっては困るな。そいつは所詮下っ端に過ぎん。だが幹部クラスとなれば、貴様などたやすく打ちのめすことが出来るわ」
「言ったな。その実力、試してやろう。ブラックサン! 貴様との戦いは一時預ける!」
 シャドームーン対ハサミジャガー。
 シャドームーンはサタンサーベルは使わずにあえて素手で相対する。
 パンチ、キック、チョップの連打、相手の刃をかわして腹に膝蹴り「げふぅ」そのまま脇の下から抱えるように腕をまわし、跳ぶ!
 空中一回転、そのまま後方へ、投げる!
「ぐはぁぅう」「ハァッ!」
 シャドームーンの手のひらからエネルギー波が打たれ、ハサミジャガーを襲う。
 キングストーンエネルギーを手のひらから打ち出す「シャドービーム」。衰えていない・・・どころか、以前よりパワーアップさえしている。
「なんだ、やはりこの程度か」
 失望、言葉からはそれがはっきりと感じられる。
 ハサミジャガーは息も絶え絶えに立ち上がる。「おのれ、おのれぇっ」だがその足元はおぼつかない。
「くだらん。これで終わりだ」
 ゆっくりとキックの体勢、その時だった。
107【楽園の崩壊】:03/08/12 21:50 ID:fem1IlR4

闇の中に真っ赤な光が燦然と輝く、闇の中に息づき蠢く生命体。
闇の中を俊敏に駆け、闇の中を跳び周り、戦場へと近づいて来る3つの影。
マンティス、エレファント、スティングフィッシュ、3体のオルフェノクと交戦する、
ファイズとオートバジン、そして氷川のG3−X。
闇より静かに忍び寄る3つの影は、突然彼らの背後から襲い掛かる。
3つの影、その主は人間の光の進化とされる種、その名はアギト。

金色のアーマーを輝かせ、ファイズとスティングフィッシュの闘いに乱入する1体のアギト。
スティングフィッシュの背後の飛び蹴りを食らわせ、身構える。
「こいつらがアギトかっ?」ファイズは手首を振るとアギトに殴りかかる。
これを上体を低くしてかわすアギト、その低い姿勢からカウンターのパンチを放つ。
ファイズのボディにアギトが振り上げた拳が打ち込まれる。
その衝撃に前のめりになるファイズ、アギトは再度低い姿勢からパンチを打ち上げる。
これを掌で受け止めるファイズ「ちょっとは効いたぜっ」
そこに襲い掛かるスティングフィッシュオルフェノク、
ファイズとアギトは咄嗟に同時に蹴りを繰り出す。
ダブルキックを喰らったスティングフィッシュは吹き飛ばされる。
108【楽園の崩壊】:03/08/12 21:51 ID:fem1IlR4

G3−Xとエレファントオルフェノクの壮絶な銃撃戦に姿を現したのは赤いアーマーのアギトであった。
宙を舞い、手に持つフレイムセイバーでエレファントオルフェノクを背後から切りつけるアギト。
「小沢さんっ!氷川さんがアギトと接触しますっ!」Gトレーラーの尾室が叫ぶ。
小沢はファイズの戦闘データ収集・解析に手を取られていた。
「氷川君には、極力アギトとの交戦は避けるように指示してっ!」
「でもっ、アギトも人間に対立する種族ですよっ!?」
「アギトのすべてが人間に敵対するものとは限らないわ」
「現に人間との交戦を避けているアギトがいるという報告も上がって来ているのよっ」
キーボードを物凄い速さで叩きながら会話する小沢澄子。
「どっちにしろ、氷川君が2体を相手にすることになると圧倒的に不利なのっ」
「氷川君には、出来るだけアギトを刺激せずに、
出来ることならアギトを援護して、アギトと共にオルフェノクに対するようにと伝えてっ!」
「その方がきっと氷川君も喜ぶでしょうしね」

突進態となったエレファントオルフェノクは、赤いアギト目がけ猛突進する。
障害となるものをすべてその巨躯で蹴散らし、突っ込むエレファントオルフェノク。
その正面に位置し、フレイムセイバーを手に身構える赤いアギト。
G3−Xは小沢の指示通り、アギトを援護するべくガトリング砲・GX-05 ケルベロスを連射し、
エレファントオルフェノクを牽制する。
G3−Xの銃弾の中をかい潜り突撃するエレファントオルフェノク。
赤いアギトは身動きせずに、その突進を真正面から迎え撃つ。
アギトとエレファントオルフェノクの距離が瞬く間に詰まり、
エレファントオルフェノクのぶちかましが赤いアギトに決まろうかという瞬間、
アギトは手に持つフレイムセイバーを居合い抜きし、その炎の刃でエレファントオルフェノクを切る。
閃光の如く抜かれた剣に、動きを止め、巨躯を横転させるエレファントオルフェノク。
その衝撃は地響きとなり戦場を激震させる。だが、寸での所で急所を外したエレファントオルフェノク、
致命傷には至らなかったようで、再びその巨躯を揺るがし立ち上がる。
109【楽園の崩壊】:03/08/12 22:10 ID:sUeTaatC

巨大な鎌を両手に備えた攻撃態となったマンティスオルフェノク、これを迎え撃つオートバジン。
ホイール型の盾からガトリング砲・バスターホイールを連射するオートバジン、
その銃弾を巨大な鎌で防御しながら、攻撃の隙を伺うマンティスオルフェノク。
そこへ現れる青いアーマーのアギト、俊敏な動きで戦場を駆け抜ける。
オートバジンはアギトであろうとオルフェノクであろうと相手構わず、ガトリング砲を連射する。
青いアギトはその瞬発力とスピードでこれを安々とかい潜り、マンティスオルフェノクに向かって突進して行く。
マンティスオルフェノクはその手の巨大な鎌を振りかざし、青いアギトを上から叩き切ろうとする。
これをジャンプして宙に舞いかわす青いアギト、巨大な鎌の鋭い刃は大地を砕き、
巨大な土の塊を飛び散らしながら地面に突き刺さる。
回転しながら着地するアギト、そこへ再びマンティスの巨大な鎌が空を切り裂き、襲い掛かる。
青いアギトは今度は手に薙刀・ストームハルバードを持ち、巨大な鎌をこれで受け止める。
鎌と薙刀が激突する衝撃音が響き渡り、
力押しするマンティスオルフェノクに対し、青いアギトはこれを柳の如く受け流す。
110【楽園の崩壊】:03/08/12 22:10 ID:sUeTaatC

「やはりアギトの力は侮れませんね」本を小脇に抱え戦局を見下ろす琢磨。
アギト出現以来、黙って戦局をずっと見つめていた村上が口を開く。
「・・・ここは一旦我々の仲間を引かせましょう」
「それは撤退するということかしら?村上君」影山冴子にとってもそれは意外な発言であった。
「いいえ、そうではありません。
影山さん、私は人間がアギトにどう対応するのか見極めたいのですよ。
そして、ファイズである彼がアギトにどう対応するのか、それが知りたいのです。」
「確かにベルトの奪還は我々にとって非常に重要な問題です。
だが彼があのベルトでアギトと戦ってくれるのなら、
私はしばらく彼にあのベルトを預けておいてもいい、そう考えているのです。」
「あらっ、結構回りくどいことをするのね、村上君も」いつものように妖艶な微笑を浮かべる影山冴子。
「我々オルフェノク、アギト、人間、現段階では3種の中で最も数が多いのが人間です。
そして3種の中で、個々の戦闘能力が最も高いのはアギトなのです。
我々オルフェノクはこの先を上手く立ち回らなければならないのですよ、影山さん」
「でも最後にはこの世界はオルフェノクのものになる、自信があるんでしょ?村上君は」
「もちろんです、その為には現状を見極め、上の上の計画を練らなくてはなりません」
「期待しているわ、村上君」
111:03/08/12 22:17 ID:sUeTaatC
タイトルを「夢のかけら」にすれば良かったと激しく後悔しつつ(泣
もはや短編ではなくなって来ているな、中編ぐらいだろうか(汗
というかこれ、映画が公開開始になる前に終わるんだろうか?(汗
まだこれから木場とスマレディ、雪菜が出てくるんだが
オルフェノクは動かしてて意外に楽しい
112【楽園の崩壊】:03/08/13 00:17 ID:X+pBbFNO

突進態の巨躯を駆り猛攻を続けるエレファントオルフェノク、
これを手にするフレイムセイバーで軽くいなす赤いアーマーのアギト。
エレファントオルフェノクはその状況に業を煮や、辺り構わず破壊をはじめ、狂ったように暴れ回る。
再び突進するエレファントオルフェノク、これをかわす赤いアギト。
エレファントオルフェノクは急に止まることも出来ず、目の前にあるものすべてを蹴散らしながら直進して行く。
だがその先には小沢と尾室が乗るGトレーラーがあった。
Gトレーラーに激突するエレファントオルフェノク、物凄い衝撃と共に横転するGトレーラー。
中にいる小沢と尾室も突然の出来事に成す術もなく、転がり頭を打って気を失う。
エレファントオルフェノクは前脚を高く上げ雄叫びを発し、横転しているGトレーラーに近寄る。
エレファントオルフェノクの脚が高く上げられ、今にもGトレーラーを踏み潰そうかという時であった。
闇の中から聞こえて来る蹄の音。その音は間断なく響き、物凄いスピードで闇の中から現れる四足の影。
その影は疾走し、疾走から跳びはねてジャンプ、高く上げられたエレファントオルフェノクの前脚に体当りをぶちかます。
体当りによろめくエレファントオルフェノク。
そして、その影は前脚を高く上げ、その前脚でエレファントオルフェノクを蹴り飛ばす。
その影こそ、オルフェノクでありながら人間と戦うことを避け、
心だけでも人間でありたいと願う木場勇治ことホースオルフェノク(疾走態)であった。
ホースオルフェノクは向きを変え、Gトレーラーを守るかのようにエレファントオルフェノクに対峙する。
113【楽園の崩壊】:03/08/13 00:19 ID:X+pBbFNO

村上からの一時撤退命令を受け、戦場から姿を消したスティングフィッシュとマンティスオルフェノク。
その場に残されたファイズと金色のアギトが対峙する。
もう一体いたハズの青いアーマーのアギトの姿は周囲には見当たらなかった。
Gトレーラーとオペレーターを失ったG3−Xはもはや正常な機能を保つことが出来ず、
氷川はただこの戦いを見届けることしか出来なかった。
ファイズはオートバジンをビーグルモードに変形させ、
左ハンドルグリップが変形したエナジーハンドルブレード・ファイズエッジを手にする。
身構えるアギトはその体色を変化させ、赤い腕と青い腕を持つトリニティファームへとチェンジする。
ストームハルバードとフレイムセイバーの二刀流で身構えるアギト。
ファイズもまた両手を使い、空いている手でファイズフォンをレーザー銃・フォンブラスターに変形させ、
アギトに向かって連射、ますは遠距離からアギトを牽制する。
アギトはこれをかわすが、ファイズはフォンブラスターを撃ちながら走り、アギトとの間合いを詰める。
アギトとの距離が近接した所で、ファイズはアギトに向かってファイズエッジを振りかざす。
エッジをストームハルバートで受け止めるアギト、
防御から一転してもう一方の手に持つフレイムセイバーでファイズに切りつける。
これを身を捩りかわしたファイズは手にするフォンブラスターを至近距離から放つ。
さすがのアギトもこれはかわしきれず、間合いを再びあけるが離れ際にストームハルバードをファイズのボディに打ち込む。
ファイズとアギトの一進一退の攻防が続く。
114【楽園の崩壊】:03/08/13 00:20 ID:X+pBbFNO

エレファントオルフェノクからGトレーラーを守ったホースオルフェノク(疾走態)。
村上の命令に従い撤退して行くエレファントオルフェノクの姿を最後迄警戒しながら見つめていた。
エレファントオルフェノクと戦っていた赤いアーマーのアギトの姿も既に見当らなかった。
だが木場勇治にとっての不幸はここからがはじまりであった。
ホースオルフェノクに向かって放たれる無数の銃弾。これを全身に受け身をよじらせるホースオルフェノク。
発砲したのは新種迎撃部隊の兵士達、すなわち人間であった。
例え、オルフェノクとなっても人間として生きて行きたい、そう決意した木場ことホースオルフェノクだが、
人間から見れば彼もまた単なるオルフェノクでしかなかった。
人間からすれば他のオルフェノクとなんら変わりはなかったのだ。
味方からオルフェノクが出たことで疑心暗鬼になり、同士討ちをはじめるような人間達にとって、
ホースオルフェノクは例え人間の味方であっても、オルフェノクというだけで排除されなければならない存在であった。
新種迎撃部隊の兵士達は目の色を変え、憎しみと怒りを込めてホースオルフェノクを攻撃し続けた。
この惨劇のすべてはオルフェノクが原因であり、その憎悪と怨念のすべてがホースオルフェノクに向けられていた。
疾走態の姿で駆け抜け人間達の攻撃から逃れようとするホースオルフェノク。

トリニティアギトと一進一退の攻防を続けていたファイズ。
だが人間達に追いまわされるホースオルフェノクの姿が目に入る「木場っ!!」
ファイズは既にホースオルフェノクが木場勇治であることを知っていた。
アギトとの戦いを投げ出して、ホースオルフェノクこと木場を助けようとするファイズ。
だが新種迎撃部隊はそのファイズにまで銃を向け、発砲するのであった。
その間にアギトの最後の一体もまた戦場から姿を消し去る。
115【楽園の崩壊】:03/08/13 00:21 ID:X+pBbFNO

「いや、実に興味深いものを見させていただきました」戦局を見続けた村上は言う。
「今夜の光景を見て私は、私の計画が絶対に成功するという確信を得ることが出来ました」
「それは頼もしいわね、村上君」妖艶な笑みを浮かべる影山冴子。
「その為には、影山さん、琢磨さん、あなた達にも協力をお願いしますよ」
「ええっ、構いませんよ」下がる眼鏡を指で上げる琢磨。
「久しぶりに楽しくなりそうね、ふふっ」
ビルの上から一部始終を見ていた、村上、影山冴子、琢磨の3人もまた闇の中に姿を消して行く。

新種迎撃部隊の兵士達・人間達に執拗なまでに攻撃されるファイズとホースオルフェノク。
「やめろぉぉぉぉぉぉっ!!」ファイズこと乾巧の叫び声が、虚しく夜の闇に響きこだましていく。
116:03/08/13 00:23 ID:X+pBbFNO
ここでやっとワンシーン終了(汗
117アリエス ◆ev9DCO8ZVA :03/08/13 21:25 ID:TYlvMi6e
これは、アメリカへ渡った本郷猛と滝一也の物語である

仮面と力〜米国偏〜第一話「飛蝗と飛蝗」

とある高級ホテルの一室で、一人の男が部屋の窓側に机を挟むように置かれた
二つの椅子の一つに座っている、足元にはジュラルミンのケースが置かれている
背は180cmほど、透き通るような白い肌をしており、髪の毛はセミロング
黒のスーツを着込み、人種は日系で、目や顔つきは鋭く、冷たい美しさを感じる
「遅い・・・」 小さく呟くと、男は部屋に掛けられた時計を見た、針は夜の10時13分を刺している
「待たせたな」 男の呟きに応えるように、別の声が窓の方から聞こえた
「ああ、待ったさ・・・」 苦笑しながら男は窓の方を向いた
普通の神経を持つ人間がこの光景を見たら、恐らく発狂するだろう
その声の持ち主は、白のスーツを着込み、ジュラルミンケースを持っている中年の男だった
やや太り気味で、顔はえびす顔で親しみやすい印象を受ける
一見すれば、普通のサラリーマンにしか見えないこの男
だが、この中年の男は窓の外に立っていたのだ、無論、足場などは無い
中年の男は微笑すると、空中で浮遊しながら水平に、窓に向かって移動してきた
そして窓の前に立つと、窓に左手を付けた
すると、掌が紫色に輝き、魔方陣が浮かび上がり、その部分にぽっかりと穴が開いた
男はその穴から部屋に入ると、黒のスーツの男の向かいの椅子に座り
窓にあいた穴へ右手をかざした、すると、穴は一瞬にして消えてしまった
「いやあ、すまない、最近はウチも忙しくてねぇ」 中年の男が苦笑しながら言った
二人は、それぞれ自分の持っているスーツケースを机の上に上げ、開いた
黒いスーツの男のケースには金塊が
中年の男のケースには、緑色の液体が入った小ビンと何かの設計図のような物が入っている
二人は、お互いのケースの中身を確認すると、それを交換した
「うむ、交渉成立、毎度ありがとう」 中年の男が嬉しそうに笑う
「・・・ところで・・・どうだい?ウチの組織にくる気は無いかい?」
中年の男がニコニコしながら言った
118アリエス ◆ev9DCO8ZVA :03/08/13 21:26 ID:TYlvMi6e
「・・・・・前にも言ったが・・・・俺はショッカーを離れる気は無い」
中年の男とは対照的に、固く、冷たい表情で黒服の男が言い返した
「ふ〜ん・・・・・でも、ショッカーは仮面ライダーのせいで、もはや壊滅寸前と聞いたが?」
仮面ライダーと言う名を聞いて、黒服の男の表情が、一瞬、強張った
そんな男に、中年の男は更に続けて言った
「・・・それに、世界の征服を企むショッカーと、世界の破壊を企む、我々ゴルゴムとでは『志』が違う
我々はいずれ、本格的に世界破壊を行うだろう、そうすれば、君達ショッカーと戦う時がくる。君は優秀だ、失いたくない」
『ショッカー』と『ゴルゴム』 この、世界に君臨する二つの組織は
お互いの存在を確認した時、『戦い』ではなく『交渉』という行為に出た
二つの組織は、お互いの技術を交換したり、金を渡したりして、おたがいの友好関係を保っていた
だが、世界を裏から支配しようと企むショッカーと、世界を破壊し、自分達が成り代わろうとするゴルゴムは
この世界を取り合う敵同士なのだ
そしてゴルゴムは、最近、活動を活発化していた、理由は一つ
ゴルゴムの頂点には、創世王と呼ばれる圧倒的な力と資格を持った者が君臨する
その創世王は、5万年の周期ごとに、世紀王と呼ばれる二人の王を戦わせ、勝った王を次の創世王にする
そして今、前の創世王から次の創世王へと変わる時がきたのだ
しかも、次の創世王は前の創世王を遥かに超える力を持つ
ゴルゴムにとって、世界破壊をするには最高のチャンスであり、次の創世王が決まれば、もはや恐れる物は何も無いのだ
しかし、黒服の男は軽く笑い、静かに言い放った
「フッ・・・・・心配無用だ、ショッカーは今、『融合』と『新生』の二つの道を進んでいる
その道の終点は一つ、ショッカーの完全復活だ」
「・・・・・・ほう」 それを聞き、中年の男が不敵に笑う
「それに、あなた達と戦う時が来たら・・・・・・・その時は、ショッカーの上も何か考えるだろう・・・
貴方達との関係を壊したくは無いからな」
119アリエス ◆ev9DCO8ZVA :03/08/13 21:27 ID:TYlvMi6e
「そうか・・・失言だったな、すまぬ、さっきの言葉は忘れてくれ」
「いや気になさるな・・・・・今夜の貴方との交渉は、ショッカーの意思ではなく、俺の意思だ
・・・俺が勝手に、勝手にショッカーの為にと思って行った行動だ・・・
だからここには、俺以外にショッカーの怪人はいない。さっきの言葉は、俺の胸に閉じておく」
「うむ・・・ありがとう」 そう言うと、中年の男は腕時計を見て、椅子から立った
「それじゃあ、もうそろそろ失敬しよう。しかし残念だな、その組織に対する忠誠心、ますます君が欲しくなったよ」
そう言うと、男は再び窓に穴をあけ、外に出て、空中で停止した
次の瞬間、男の体は炎に包まれた、そして炎の中から、全身を白のローブで包み、不気味な白い肌を持つ魔人が現れた
ゴルゴムの最高幹部である3人の大神官の一人、智の大神官のダロムがそこにいた
ダロムは窓にあいた穴を元に戻すと、夜の闇に解けるように、文字通りその姿を消した
手品などではない、ゴルゴムの持つ技術の一つ、『魔術』によってテレポーテーションしたのだ
「・・・・・・・・・」 ダロムが帰ったのを確認して、男は天井を見つめながら呟いた
「忠誠心・・・・・・・・か」 『忠誠心』 ショッカーのために、個人的に、単独で行ったこのゴルゴムとの交渉を
ダロムは素晴らしい忠誠心だと言った。・・・・・違う、俺はショッカーに忠誠などしていない
ショッカーは、俺を救ってくれたあの人が愛した存在
だから俺はあの人のために、あの人の愛したショッカーを消さないために動くのだ
今は亡き、死神博士ために・・・・・
頭の中で思い出を巡らせているうちに、男は眠ってしまった
だがその時、男を眠りから覚ますように、ドアをノックする音が聞こえた
しかし、男は椅子に座ったまま、小さな寝息をたてながら沈黙している
コンコン 再びノックの音が聞こえる、それでも男は目覚めなかった
「・・・・・・まいったな」 いくらノックしても返事一つ無い
ドアの前に立つホテルの従業員は、苦笑しながら『ホテルの従業員』として、やってはならない事を行った
なんと、懐から鍵を取り出してドアを開け、勝手に部屋の中へ入ってきたのだ
「・・・・・」 男が眠っていたのを見ると、従業員は静かにドアを閉め
足音を立てずに、スーッと男の側まで歩み寄った
120アリエス ◆ev9DCO8ZVA :03/08/13 21:28 ID:TYlvMi6e
そして、腰に挿してあるサイレンサー付きの拳銃を抜き、その銃口を男の頭に向けた
「おおっ!!!」 男がやっと目を覚ます。それと同時に、従業員は拳銃の引き金を引いた
だが、男は椅子から跳ね上がり、弾丸を避けた。
改造人間で無ければできぬ芸当、いや普通の怪人でもこれほどの反応はできないかもしれない
「ッ!!!」 従業員が銃口を男に向けようとする。 が、一瞬早く、男はその拳銃の銃口を握った
すると、銃口は音も立てずに、文字通り『粉々』になった
「フン・・・流石・・・・・だな」 従業員が帽子を脱ぐ
「貴様ッ!!」 男の表情が強張る。なんと、この従業員は、変装した本郷猛だったのだ
「・・・・・・・・」 「・・・・・・・・・」 二人は黙ったまま、お互いに鋭い視線を向ける
「・・・・・ここでは騒ぎになる・・・上だ・・・屋上だ」 本郷が口を開いた
「ああ・・・・・・・いいだろう」 二人は部屋を出ると、エレベーターに乗り込んだ

このホテルは、高い建物が並ぶニューヨークでも、抜群の高さを誇っていた
屋上に出れば、周りにあるビルは全て見下ろせた
人気も無く、風が静かにそよぎ、静寂な雰囲気が漂う
その屋上で、一組のカップルが愛し合っていた
「ねえ・・・本当にこんなトコでやるの?」 心配そうに彼女が彼氏を見る
「大丈夫・・・・・誰も来ないよ」 彼氏は、にやけながら彼女の唇に自分の唇を合わせた
そして彼氏の手が彼女の胸に伸びたその時、静寂を破るように男と本郷猛が入ってきた
「「!!」」 カップルの表情が凍りつく。 次の瞬間、二人は顔を赤くしながら、恥ずかしそうに屋上から出て行った
「・・・・・・ゴホン」 軽く咳払いをしながら、本郷は男との間隔を広げた。その距離は約8メートル
「始めるか・・・」 「ああ・・・・・」
男は、先程ダロムと交換したケースを空け、中の小ビンを一つ手にとった
「・・・・・ライダー・・・変身!!!」  本郷は変身ポーズをとった、一瞬にして体が飛蝗男、否、仮面ライダー1号に変わる
「・・・変身」 男は静かに呟くと、小ビンの中の液体を一気に飲んだ
121アリエス ◆ev9DCO8ZVA :03/08/13 21:29 ID:TYlvMi6e
すると、男の全身の血管が浮き上がり、大量の脂汗が吹き出て屋上の床に流れ落ちる
全身が炎になったような感覚が男を襲い、頭の中が真っ白になった
次の瞬間、男は仮面ライダー1号と同じ、飛蝗男へと変身していた
しかし、男が変身したそれは、1号とは微妙に違っていた
腕と脚の色が漆黒で、掌と足の裏に紫色の古代語文字のようなのが浮かび上がっている
目は藍色で、深く鈍い光を放ち、身体にはラインが無く、なにより首に深紅のマフラーを巻いていない
「・・・・・」 男の変身した飛蝗男は、1号を藍色の目で睨んだ
そして、二人は空中へと跳び、お互いに蹴りを放った

続く
122【楽園の崩壊】 :03/08/13 22:51 ID:NhygMn39

「小沢さんっ!!尾室さんっ!!」
「氷川君、大丈夫よ、精密検査の結果は大したことなかったわ」
「そうですか、それは良かった」オルフェノク、アギトとの激戦から一夜明けた翌日、
G3ユニットの面々には大した被害も無く、みな無事な姿を見せていた。

「昨夜の謎の強化スーツのこと私なりに調べてみたわ」3人は早速昨夜の事件に関してミーティングを行う。
「日本政府の各省庁、各機関の公式データベースをあったてみたけど、あのスーツに該当するものはなかったわ。
念の為、海外のデータもすべて洗い出したけど、手掛かりは全くなかったわ」
「と、いうことは、あれは一体誰がつくったということなんでしょうか?」小沢の報告に首を捻る尾室。
「あれだけのものを個人でつくれるハズはないですよね?」
「公的機関でないとしたら、民間企業という可能性はあるわね」
「仮に民間企業だとして、、あれだけのものが全く人知れずつくられたというのは、かなり訳ありって感じね」
「、、もしそうだとしても一体何の為に?」
「わからないわ、今の所すべては謎ね」溜息を洩らす氷川と尾室。
「でも、その謎が明らかにされるかもしれないわ」「どういうことです?小沢さん」
「今朝、上層部にスマートブレイン社が連絡を取って来たらしいの」
「スマートブレイン!?あの世界各地に拠点を持つ、コングロマリット企業ですか?」
「ええ、そうよ。昨日の今日、このタイミングで連絡を取って来るというのが私には引っかかるのよね」
「まぁ、私の女の勘ってところね」
「いずれにせよ、上層部はスマートブレインの社長と会談するようだから、その時になれば何かわかるかもしれないわ」
G3ユニットのメンバーは昨夜の謎の強化スーツについての話はそこまでとした。
123【楽園の崩壊】:03/08/13 22:52 ID:NhygMn39

「では、次にアギトのことですが、、」氷川が次の議題を切り出した。
「昨夜、私が接触したアギトは、オルフェノクのみを狙っていた節があります」
「小沢さんのおっしゃるように、アギトのすべてが私達に敵対するものではないという可能性を感じました」
「みんなも知っているように、私達人間は最初のアギトが出現して以来、
彼らの驚異的な戦闘能力を畏れ、彼らを人間の脅威として見なして来たわ」
「私達人間はアギト狩りを行い、その数が少ない内に新しい種である彼らを根絶やしにしようとして来た」
「だけど今オルフェノクの出現でその様相が若干変わりつつあるのよ」
「ごく少数の意見だけど、アギトは実はオルフェノクの出現を察知した人類が、
オルフェノクの力に対抗する為に進化を遂げた種ではないのか?という考えもあるの」
「事実、人間には全く危害を加えずに、オルフェノクのみと交戦するアギトというケースも報告されているわ」
「だけどその一方で人間に危害を加えようとするアギトが存在するというのも事実」
「小沢さんはどう思われますか?」氷川は小沢の見解を求める。
「最初、アギトはその数も稀で、個々に存在するだけだった」
「だけど人間達から迫害を受けたアギトは次第に集結し、団結して人間達に逆襲を開始しはじめた」
「その団結もまだ磐石ではないということかしら?新種であるアギトもまだ一枚岩ではないのかもしれないわ」
「武闘派のアギトもいれば、穏健派のアギトもいる、そんな感じを受けるわね」
「人間にも好戦的な人もいれば、反戦を唱える人もいる、それと同じということですか?」
氷川は小沢の言葉を意味深く感じ取り、それをそのまま小沢に返した。
「ええ、アギトもまた人間から進化しきれていないのかもしれないわね」
「もしそうだとしたら、アギトとの交戦は避けたい所ですね、、」
「ええ、でも悲しいことに上層部はやる気満々よ、アギトを完全に目の仇にしてるわ」
「人間を遥かに凌ぐ力を目の前にして、その力を完全に滅しない限り、人間に安泰はないと思い込んでいるのよ」
氷川が新種と戦う時に常に感じていた胸のモヤモヤ、小沢の言葉を聞いた氷川はその感覚に襲われた。
124【楽園の崩壊】:03/08/13 23:43 ID:I+kpEZLi

「木場、大丈夫かっ?」高級マンションの一室を住処とする木場、海堂、長田の3人。
「ああっ、大丈夫だよ、海堂」昨夜遅く負傷しながら帰宅した木場勇治。
「全く、人間なんかを助けに行くからこんな目に会うだよ」
「ちゅうかっ、ちゅうかだっ、俺達は人間を襲わんが、
人間を必要以上に庇うこともしない、そんでいいんでない?」
「これは僕個人の感情だから、気にしないでよ」横たわっていたベッドから起き上がる木場。
「木場さん、もう少し横になってた方がいいんじゃないですか?」木場を心配する長田結花。
その時であったマンションのドアをけたたましくノックする音が響く。
「なんだっ!なんだってのっ!」「新聞の勧誘はお断りだっつうのっ!!」
威勢良くマンションのドアを開ける海堂。
だが海堂は一瞬で大人しくなり、両手を挙げて再び部屋の中に戻って来る。
「どうしたんだ?海堂」木場が海堂の方を振り返ると、そこには男が2人海堂に銃を突きつけて立っていた。
「お前達、オルフェノクだなっ!?」銃を手にした男の一人が怒鳴る。
「、、オルフェノク狩り、、、」長田結花が思わず呟く。
「そう俺達はオルフェノクハンターだっ」
昨夜新種達と闘っていた新種迎撃部隊は、ホースオルフェノクこと木場勇治の後をずっと追い続けていた。
「すまない、僕が後を尾けられたようだ、、」木場はオルフェノクハンターと聞いてそのことを理解する。
「ここで蜂の巣にされるか、捕獲されて研究材料にされるか、好きな方を選ぶんだなっ」
オルフェノクハンター2人のその言葉に、怒りを覚える長田結花、
目の色が変わり、その美しい顔にオルフェノクの顔がオーバーラップする。
衝動のままにオルフェノクに変身しよかという長田結花、その結花の肩をポンッと叩く木場勇治。
木場に肩を叩かれてハッと我に帰る長田結花。
「衝動に身を委ねてしまってはダメだ、、」
木場はオルフェノクハンターをじっと見ながら、小声で長田結花の耳元に囁く。
ゆっくりと両手を挙げ、抵抗の意がないことを示す木場勇治。
木場に続き長田結花がゆっくりと両手を挙げる。
125【楽園の崩壊】:03/08/14 00:14 ID:pPA9u0oX

オルフェノクハンターに銃を突きつけられ階段を降りる3人。
銃を突きつけられ不快感を露にする海堂、その海堂の顔に銃が向けられる。
「、、、あぁっ、どうもっ〜、なんて、、」ぎこちないつくり笑顔で誤魔化す海堂。
後ろを振り返りながら階段を降りる海堂は、階段で脚を捻る。
その弾みで階段から落ちそうになる海堂、バランスを崩し両手をジタバタさせながら揺れる。
「あぁっ、あぁっ、、っと」落ちそうになる海堂は傍にオルフェノクハンター2人にしがみつく。
オルフェノクハンターを巻き込んで階段から転げ落ちる海堂。
音を立てて階段から落ちる海堂と2人のオルフェノクハンター。
階段の下迄落ちると海堂は2人のオルフェノクハンターの上にのっかて無傷であった。
「いやぁっ、メンゴメンゴ、、ちゅうかっ、逃げろっ!!」
その隙を突いて走り逃げ出す、木場、長田、そして海堂。
走る勢いでそのまま階段を飛び降り、外へと脱出する3人。
立ち上がったオルフェノクハンターは3人を追う。
3人に向けて容赦なく銃を発砲しまくる2人のオルフェノクハンター。
「ちゅうかっ、何でこんな目にあわんといけんのよっ!」
「海堂っ、急げっ!!」ダッシュで逃げ回る木場、長田、そして海堂。
126【楽園の崩壊】:03/08/14 00:15 ID:pPA9u0oX

息を切らせてハァハァ言っている3人組。
「、、もう、この辺、まで逃げれば、大丈夫、、かっ?」
だが3人の目の前に姿を現すオルフェノクハンター達。
3人は逆方向へ逃げようとするが、そこにもオルフェノクハンター達の姿があった。
右にも左にも何処を向いてもオルフェノクハンターの姿が。
完全に包囲されてしまった木場、長田、海堂の3人。
3人は再び両手を挙げるしかなかった。
「ちゅうかっ、ほんのちょっとした遊びだし、うん、そうそう、遊びだなっこれは」
無理矢理笑って誤魔化そうとする海堂。
3人に向けオルフェノクハンター達は銃を構える。
目の光らせ、オルフェノクの顔をオーバーラップさせ、戦闘態勢に入る長田結花。
だが、長田結花がクレインオルフェノクとなる間もなく、
オルフェノクハンター達は次々と砂となって崩れ落ちて行く。
一瞬の内の出来事に何が起ったのかわからない木場、長田、海堂の3人組。
「はあぁ〜いっ!!正義の味方の登場でぇ〜すっ!」
「変身っ!!なんちゃってっ、キャハッ(はあと)」
そう言いながら3人の前に姿を見せるスマートレディー。
そしてその両脇に立つスクィッドオルフェノクとスカラベオルフェノク。
127:03/08/14 00:19 ID:pPA9u0oX
金曜日迄には絶対終わりそうにないねぇ
映画がはじまる前にやり逃げしたかったんだが(汗藁
真司と政三の前に、奇械人ガンガルが現れた。
「城戸真司、一緒に来て貰おう。」
「・・・・・・・いいだろう。」
「真司っ!!」
「父さん、大丈夫だよ・・・」
真司はピースサインを政三に向けた。
「!!!」
「さあ、来て貰おう。」
驚く政三を後にガンガル、手下の戦闘員と共に車へ乗り込む真司、そして・・・
「手術完了いたしました。」
壁に掛けられたエンブレムに科学者の一人が言った。
「よかろう、早速誓いの祭壇へ向かわせろ。」
「その必要は無いぜ。」
科学者達が声のした方を向いてみると、そこには真司の姿が。
「ブラックサタン!俺は今日から戦うぜ!!」
「ほざけ!奇械人ガンガル!」
すると、ガンガルが真司の前に現れた。
「行くぜ!ムン!」
変身ポーズを構える真司。
「変身・・・ストロンガー!!」
その声と共に自動で手袋は脱ぎ捨てられ、真司は機械の手、コイルアームを摩擦した。
「ぬおっ!」
激しい光と共に、真司は仮面ライダーストロンガーへと姿を変えた。
129新作公開予定:03/08/14 17:08 ID:pPm2TNzx
西暦200X年。
アンノウンの脅威が去ってから数年後、日本は文字通り、史上最大の危機を迎えていた。

超古代から蘇った異形の戦闘民族『グロンギ』…数年前、未確認生命体4号によって全て駆逐された筈の怪人達が再び出現し、人々を襲い始めたのだ。
しかも、以前よりも数段上の戦闘力を身につけて…

既存の対策チーム『G5ユニット』だけでは事態の収拾は不可能と判断した政府は、対未確認生命体特別法案を僅か1週間と言う異例の速さで可決。
同日、G5ユニット所属の精鋭7名による特別チーム『G−SWAT』が設立。

人間対グロンギ、互いの生存を賭けた戦いの幕は今、切って落とされた。


MaskedRiderSpirits・OriginalStory

第1話『その名はG−SWAT』


近日公開予定
130名無しより愛をこめて:03/08/14 21:14 ID:2f9eggcM
なんか色々投稿されまくって
その上新作?
うれしい悲鳴だけど見にくくてしょうがねぇw

バイオレンスからこっちどの人がどれ書いてるのか
わかんなくなっちゃったし。
今連載中のものと最近完結したものと
作者とまとめてくれるエロイ人キボンヌ。
いやほんとお願いします。
131倉庫番 ◆3y9133he.M :03/08/15 12:28 ID:uvO94jPO
●現在進行中@5スレ
仮面ライダー -struggle- 39-43 79-82 102-106
【楽園の崩壊】 87 92-99 107-115 122-126
仮面と力〜米国偏〜 117-121
MaskedRiderSpirits・OriginalStory 129

●小ネタとか。
こちらライダー探偵事務所 7-10
007ライダー 14-15
ライダーズエンジェル27-33

●前スレから連載中or連載待機中(順不同)
Heat on!外伝
秋山ロン ◆ICIZO8h8rM
『日本沈没 対 仮面ライダー』 ◆HqKATooXaI
HandcuffsAndMasks ◆mgnDzvZ1fc
仮面ライダー555 ザ・サイドストーリー
仮面ライダー龍騎外伝◆PM5XuKlBcs
【仮面ライダー龍騎】〜ライダーバトルの迷い子〜
仮面ライダー龍騎〜赤龍戦士伝説〜
415 in おやっさんスレ
前スレ461
132倉庫番 ◆3y9133he.M :03/08/15 12:29 ID:uvO94jPO
●バイオレンス(本家作者さん)
バイオレンス仮面ライダー/蟷螂男 (467-472)
バイオレンス仮面ライダー/サボテグロン (477-481)
バイオレンス仮面ライダー/蜘蛛男 (493-494 511-518)
バイオレンス仮面ライダー/蝙蝠男 16-22
バイオレンスV3/ハサミジャガー (532-537 539 549-551)
バイオレンスクウガ 54-55 59-61 64-70
バイオレンスアギト46-51

●バイオレンス(その他の作者さん達/放映順)
バイオレンス仮面ライダーХ/アポロガイスト登場 (575-578)
インテリジェンス仮面ライダーアマゾン/十面鬼死す! (521-524)
バイオレンス仮面ライダーストロンガー/蜘蛛奇械人 (495 498-499)
バイオレンス仮面ライダーストロンガー/奇械人ガンガル (538 548)128
バイオレンス仮面ライダースーパー1/ファイヤーコング (505-506)
バイオレンス真・仮面ライダー (526-528)
バイオレンスライダー全員集合!(パロディ) (561)
133倉庫番 ◆3y9133he.M :03/08/15 12:31 ID:uvO94jPO
多分、現状はこんな感じでつ。
流し読みで拾ったから、勘違いとか抜けがあったら訂正キボンヌ。
134山崎 渉:03/08/15 12:40 ID:7PYp5ChP
    (⌒V⌒)
   │ ^ ^ │<これからも僕を応援して下さいね(^^)。
  ⊂|    |つ
   (_)(_)                      山崎パン
135Heat&バイオレンス&その他作者:03/08/15 15:49 ID:j9zqWLIo
>>倉庫番 ◆3y9133he.M さん
ありがとう!!あなたのような人がいてくれる限り、俺はSS書き続けるっす!
<ただ書くだけじゃなく面白ければ尚いいんだが(汗
136【楽園の崩壊】:03/08/15 15:50 ID:j9zqWLIo

「チッ、お前さん達かぁ、、」オルフェノクにとって裏切り者に近い木場、長田、海堂の3人、
目の前にいる者達は助けてくれたからと言って素直に喜べる相手ではなかった。
「助けてあげたのに、その態度は酷いですねぇ〜、プンプンッ」
「あなた達も、僕達を始末しに来たのかな?」木場はストレートに話を切り出す。
「始末?始末なんてとんでもありませんっ!オーコワッ」
「今日は社長の命令で、あなた達を連れ戻しに来ました、エヘッ」
「社長はあなた達にオルフェノクの仲間の所へ戻って来いと言ってます。
今迄の話もすべて水に流してくれるそうですよ、社長は寛大ですねぇ、私感動しちゃいました、ウルウル」
「前に言ったけど、僕達は人を襲う気はないし、人間と戦うつもりもありません。
あなた達と行動を共にするということは人を襲い、人間と戦えということでしょう?」
「うふふっ!それがですねぇ、状況が変わったんです。
今、オルフェノクは人間を襲ってはいけないことになっっています、良かったですねぇ?ウレシィーッ!?」
「!!」その言葉に驚く木場勇治。
「でも、あなた達は昨夜人間達と戦っていたじゃないですかっ!?」
「だってぇ〜、人間と戦ってはいけないと決まったのは今朝からですからねぇ〜、キャハッ」

スマートレディーと木場の会話に割って入るスクィッドオルフェノク、
スクィッドオルフェノクから戸田英一の人間の姿が投影される。
「木場君、悪いことは言わない、今度こそ君達はオルフェノクの下へ戻るべきだ」
スクィッドオルフェノクこと戸田英一は、木場と長田の2人にオルフェノクが何であるかを教え、
力の使い方を教えた人物でもあった。いわば2人にとってはオルフェノクの師とも言える存在であった。
さらに海堂にとっては、自分を殺しオルフェノクに覚醒させた相手でもあった。
「つっかお前、お前はよく考えたら俺をオルフェノクにした奴だろっ!?」
「あぁ君か、君がオルフェノクに覚醒してくれて私も嬉しいよ。
君はオルフェノクになって良かったと感じるべきだ。」
「何勝手なこと言ってんだよっ!」海堂は戸田にくってかかる。
137【楽園の崩壊】:03/08/15 15:51 ID:j9zqWLIo

「詭弁のようだが、新しい進化の種が出現した以上、人間達にはもう後がない。
私達が戦わずとも人間達はいずれ滅びて行く運命にある。
それはこの星の進化の歴史を見れば明らかだ。
勝手繁栄を極めた恐竜達が絶滅し、哺乳類にとって変わられたように、
繁栄を極めた人間もまた新たなる種にその座を明渡す時が迫っているのだよ。
種の繁栄は、爬虫類、哺乳類、そして人間と移り変わって来た。
その次の種は我々オルフェノクかアギトか、どちらかになるだろう。」
「我々はいずれ滅び行く人間を相手にするより、アギトと次の種の覇権を賭けて戦うべきなのだよ」
戸田の力説に海堂も返す言葉を無くした。
「それが社長の考えなのですか?」木場は戸田の言葉がオルフェノクのリーダーの真意なのかを確かめたかった。
「さすがは木場君だね。いや、社長がどのようにお考えなのかは私にはわからない。
これはあくまで私の考えに過ぎない。だが、人間への襲撃行為、戦闘行為が禁止されたというのは事実だ。」

「そんなこと言ってないで、人間なんてみんなぶち殺してしまえばいいんだよっ!!」そこへスカラベオルフェノクが割って入る。
「君は黙っていなさいっ!」スクィッドオルフェノク戸田がスカラベオルフェノクを叱責する。
「木場君、例え君が人間を襲わず、オルフェノク種でありながら人間の心を持ち続けたとしても、
人間の味方となって、人間を守ったとしても、人間は君のことを受け入れてはくれないだろう。
人間は君のことをわかってはくれないだろう。」
「例え、中身がどうであろうと、君がオルフェノクという種である限り、人間は君の存在を許さない。
オルフェノクだということ、それはただそれだけのことだが、それがすべてでもある。
心や中身がどうであれ、人間にとってオルフェノクという存在自体がは排除すべきものなのだよ。」
木場は昨夜のことを思い出さずにはいられなかった。
ホースオルフェノクである自分に向けられた人間達の怒りと憎悪にみなぎった目を忘れられそうにはなかった。
「木場君、私達と共に戻ろう、オルフェノクの仲間の下へ。それが君達にとって最も幸せなことだ。」
スクィッドオルフェノク戸田の言葉に苦悩する木場。そして長田と海堂。
138【楽園の崩壊】:03/08/15 16:38 ID:Mqu46Zdj

「俺は戻るぜっ」最初に決断を下したのは海堂であった。
「俺達はよぉっ、人間を襲うのが嫌で、スマートブレインと対立してたんだろっ?
人間を襲うことが禁止されたのなら、スマートブレインとのいざこざも終わりってころだろ?
俺達がオルフェノクの仲間の所へ戻っても問題ねぇじゃんか」
「それになぁ木場、俺はこのおっさんの言う事にも一理あると思うぜ。
人間はもうどうやっても俺達を受け入れてはくんねぇよっ、それは昨日お前だって感じたんだろっ?
それにオルフェノクやアギトを狩って楽しんでいる人間、それは守るに値するものなのか?
人間を狩って喜んでいるオルフェノクやアギトとなんら変わんねぇだろうが」
海堂の言葉は木場が薄々気づいていたことでもあった。
「長田さんは、どうするの?」木場は長田結花の決断を求めた。
「私は、、私は海堂さんについて行きますっ」
「私は、人間が好きじゃなかった。人間は身勝手だったり、冷たかったり、残酷だったり、
私そういう所をいっぱい知っているから。でも人間を好きになろうと一生懸命頑張って来たんです。
オルフェノクになっちゃダメだ、人間で居続けようとずっと頑張って来たんです。
でも、でも今の人間達じゃ、人間であり続けてもいいことないじゃないですか?
人間であり続けることが素晴らしいことだとは私には思えないんですっ」
「そうっ」木場は長田結花の言葉も充分に理解出来た。
「木場、そういうお前はどうすんだっ?」木場は一瞬言葉に詰まった。
「僕は、でも僕はまだ人間に失望出来ないんだっ」木場の脳裏に乾巧の姿が浮かんだ。
「僕はそれでもまだ人間として生きていきたい。人間と共に生きていきていきたいんだ。
オルフェノクの仲間と共に生きるのではなく、人間と共に生きていきたいんだよ。
例え、オルフェノクだということを隠し続けて生きていくことになろうとも。
例え、人間がいずれは滅びる運命にある種だとしても」
139【楽園の崩壊】:03/08/15 17:34 ID:19rjuDUc

その頃スマートブレイン社代表取締役村上と、政府各関係省庁上層部との会談が行われたいた。
家電製品から軍需産業までを手がけ、世界各地に拠点を持つグローバル企業スマートブレイン。
当然人々はSB社がオルフェノクの巣窟であるなどとは知る由もなく、
社長の村上がオルフェノクのリーダー的存在であるなどとは、思っていなかった。
会議室に用意された巨大スクリーンには昨夜の戦闘の映像が流される。
スクリーンに映し出されるファイズの姿。
「我がスマートブレイン社が開発した強化スーツ・ファイズの性能は、
昨夜の戦闘でみなさまにも充分おわかりいただけたかと思います」
「実戦投入でのテストのつもりか?そのような事前の報告は受けていないぞ」
「事態が急を要するものでしたので、我々としても緊急措置を取らせていただきました。
トップの方の事後承諾も既に得ております。
むしろファイズの投入がなければ被害は拡大する一方だったのではないすか?」
もちろんファイズは乾巧の意思で戦っただけなのだが、村上はそのことを利用し、
さもスマートブレインがファイズの能力を見せつける為に、戦場に投入したかのように装い、
ファイズという存在を使って、自らの思惑通りに交渉を進めようとしていた。
140【楽園の崩壊】:03/08/15 17:35 ID:19rjuDUc

「我がスマートブレイン社はこの人類の未曾有の危機に心を痛め、人類の行末を案じしております。
そこで我々は本日、お忙しい中わざわざ皆様にお集まりいただいて、ある提案をさせていただきいと思っております。」
「まさかこの期に及んでセールスする気ではないだろうね?」会議室の人々から笑いが起る。
「セールスではありません、すべて無償なのですから」村上の発言に会場内はどよめく。
「我々は、スマートブレインの技術と資金と物資を皆様にご提供したいと考えております。」ざわめきが起る。
「我がスマートブレイン社は、昨夜皆様がご覧になったファイズの量産タイプを開発し、既にその量産化をはじめております」
村上がそう言い合図すると、会議室にライオトルーパー3体が入って来る。
ライオトルーパーの姿を見て思わず声を上げる人々。
「このファイズの量産タイプ・ライオトルーパーは既に数百体が製造されており、現在尚も生産稼動中です。
我がスマートブレイン社は、この強化スーツのすべてを皆様にお貸しするつもりでおります。」
141【楽園の崩壊】:03/08/15 17:36 ID:19rjuDUc

「また、皆様が既に計画されております、警視庁のGシリーズの量産化、
我がスマートブレイン社は、その計画に多額の資金援助を行う準備があります。
資金だけではありません、我がスマートブレイン社の工場、生産ラインをその為にお貸しすることも考えております。」
村上の発言に会議室内は騒然となった。
人間はこのままではオルフェノクやアギトに対抗することは困難と考え、
戦力を拡大させる為、G3の量産タイプ・G3マイルドの開発を終え、量産体制に入ろうとしていた。
だがそれも資金的、技術的に問題があり、その数は本来必要であると想定されている数の半分にも達していなかった。
「だがそれだけのことをするという君達の真意は一体何だ?」
それは人々の当然の疑問でもあった、ただより高いものはない、
その真意が一体何処にあるのかそれがわからずに手放しで喜べる訳がなかった。
「まず、人類が滅亡してしまっては、我々も存在することが出来ません、
その為に我々が出来る限りのご協力をさせていただきたいということ、それは大前提としてご理解ください。」
「その前提があってこその話ですが、日本においてこのライオトルーパーの実績をつくっておけば、
海外市場に売り出す際のいい宣伝になるということ。
そしてライオトルーパーの実戦でのデータを基に改良、改善を図り、次の開発へと繋げていきたいというのがあります。」
「つまり、我々に提供する兵器と資金をそれで充分に回収出来る見込みがあるということか?」
「ええ、そういうことになりますね。それ以上の詳しい事は我々としても民間企業ですので、ご勘弁いただきたいところですが」
実際には村上にとって資金の回収などはどうでもいいことであった。
だが村上は人々を納得させる為に、それらしい理由づけを行ったに過ぎなかった。
「さて、皆様いかがでしょう?我々の提案を気に入っていただけるとよろしいのですが」
142【楽園の崩壊】:03/08/15 19:04 ID:20phwrAk

影山冴子の店に立ち寄る村上。そこに集う琢磨、J、沢田。
「村上君が、人間の偉いさんに会うっていうから、皆殺しにしてくれるかと楽しみにしていたのに」影山冴子が不満そうに言う。
「人間に戦力を与える、敵に塩を送るなんて、どういうつもりなの?村上君」
「我々オルフェノクは人間と和睦します」「!!」そこに集まった一同はその言葉に驚き、不満の声を上げる。
「私の話を最後迄聞いてください」それを制する村上。
「和睦と言っても一時休戦ということです。人間を襲うこと、人間と戦うことを禁止したのもその為です。
我々は人間と和睦してまずアギトを討たなくてはなりません。
いえ、正確には我々の代わりに人間にアギトを討ってもらうのですが。
我々は人間に戦力を与え、アギトと戦わせ、その間戦力を温存します。
幸い人間達には、実際に我々がどれぐらいの数存在しているのか把握出来ていません。
我々は人間と共に戦うという姿勢を見せて、ごく一部の戦力だけを出して、他の戦力を温存させることが出来ます。
人間達がアギトを滅ぼした後、疲弊した人間達を今度は我々が滅ぼします。
アギトとの戦いで人間達の命は多く失われるでしょう。
しかしそれは我々にとっては多くのオルフェノクの仲間が覚醒する可能性が高いということでもあります。」
「つまり一石二鳥というわけね、ふふっ」

「琢磨さんもおしゃっていましたが、アギトは早々に潰さなければ危険です。
アギトは進化し続ける力、長期戦になれば彼らはその進化を続け、その戦闘能力をさらに高めて行くことでしょう。
現に既に、今迄とは異なる姿形のアギトが確認されています。」村上はそこに集う面々に何枚かの写真を見せる。
そこに写っているのはバーニングフォーム、シャイニングフォーム、アナザーアギト、ギルス、エクシードギルスの姿であった。
「ただでさえ、潜在的な戦闘能力が高いアギトが、その力を進化させ続けていけば、我々の勝利は困難なものとなります」
「力を進化させ続けた究極のアギトが誕生する可能性もあります」
「その前に我々はアギトを根絶やしにする必要があるのです、その為に人間という存在そのものを利用させてもらいます」
「そういうことね、私はもっと直接的なやり方の方が好きだけど、ふふっ」
143【楽園の崩壊】:03/08/15 19:05 ID:20phwrAk

そこに入って来る北崎「ねぇ何か面白いことなぁい?」「ねぇ、ねぇ、、」
「北崎さん、お待ちしてましたよ」北崎は村上の横のカウンターに座る。
「なんで人間を襲っちゃいけないことになったの?おかげで面白いことなくなちゃったじゃない」
「ねぇ何か面白いことなぁい?」
「ありますよ、北崎さん、あなたにはアギトを根絶やしにしていただきたい」先程のアギトの写真を北崎に見せる村上。
「いくら戦力を整えたからと言って、人間達だけでアギトを根絶やしに出来るとは思えませんからね」
「かと言ってこちらも戦力を多く裂く訳にはいかない、温存が目的ですからね」
「そこでラッキークローバーのみなさんと次期ラッキークローバー候補の沢田さんには、
オルフェノクの少数精鋭として、アギト撲滅に励んでいただきたいのです。」
「ですがそれ程、頑張る必要はありません。みなさんには遊び程度でやっていただければいいのです。
あくまでアギトと戦うのは人間なのですからね」
「へぇアギトって強そうだね、ちょっとは面白くなるかな?、、、皆殺しにしてやるよ」
北崎はそれまでの雰囲気とは打って変って凄みを増す。

「それと影山さんと琢磨さんにはオルフェノク代表として、人間との和平交渉をお願いしたい」
妖艶な笑みを浮かべる影山冴子と下がる眼鏡を上げる琢磨。
「いいですよ、他の方では和平交渉の席で人間を皆殺しにしかねませんからね」
「私としては皆殺しにしたいところだけどね、ふふっ」
「影山さん、お願いしますよ。今はまだ人間と戦う時ではありません」
「わかってるわ、せっかく村上君が立てた計画ですもの、とりあえずは言う通りにしてあげるわ、ふふっ」
「なんだか久しぶりに面白い事になりそうね」
「じゃぁ、せっかくみんな揃ったのだから、乾杯でもしましょうか」そう言いシャンパンを取り出す影山冴子。
「オルフェノクの勝利を祝って」
144【楽園の崩壊】:03/08/15 21:52 ID:yw8bRFAl

真理と圭太郎と食事をしている乾巧。だが、考え事をしていて箸を持ったまま食事は一向に進まない。
「ちょっとぉ、巧っ!あんた何ボォッとしてんのよ、さっきから全然食べてないじゃないっ」
「そうだよ、たっくんっ!たっくんが猫舌だから今日のお昼は冷やし中華にしたんだからねっ」
「昨夜もひとりでどっか行ったと思ったら怪我して帰って来るし、あんた最近ひとりで何やってんのよっ?」
「そうだよ、たっくん、何かあったら僕達にも言ってくれなくちゃっ!僕達仲間だろっ?」
「で、何?昨日はやっぱりオルフェノクと戦ってたの?」
真理と圭太郎の話もそっちのけで考え続ける巧。
だが突然、箸を置き立ち上がる。
「俺ちょっと木場のとこ行って来るわ」そう言い出掛けようとする巧。
「木場さんのとこっ?あたしも行くっ!」巧についていこうとする真理。
「いいからお前は黙って飯でも食ってろっ!!」
木場がオルフェノクであることを知らない真理を連れて行く訳にはいかなかった。そういう話をしに行くのだから。
真理をよそに巧はバイクに跨り、走り出す。

木場のマンション付近に到着した巧、だがそこにはパトカーが数台止まり、大勢の警察官の姿があった。
それを見て巧は木場の身に何かがあったことを直感する。巧は注意深く警察官の様子を伺う。
警察官が無線で「現在追跡中」と言っていたのを聞き、木場が捕まった訳ではないことを知った巧は、再びバイクに跨り、走り出す。
バイクで木場のことを探し回る巧。
何時間も走り回ってようやく見つけ出した木場は、海の見える公園で海を見つめていた。
「木場っ!」バイクを降り声を掛ける巧、その声に振り返る木場「乾君、、」
木場と共に海を見つめる巧。
「お前、昨日、俺のこと助けに来てくれたのかっ?」巧は木場に尋ねる。
「そういう訳じゃないよ、ただ、、なんとなく、、」
実際に木場はホースオルフェノクとなってファイズこと巧を助けるつもりだった、
だが今となっては巧に余計な責任を感じさせたくない、木場はそう思い曖昧な返事をするだけであった。
「そうか、、」木場の心中を思う巧。
145【楽園の崩壊】:03/08/15 21:53 ID:yw8bRFAl

「お前、これからどうするつもりだ?」
「オルフェノクハンターに狙われているから、もうこの辺にいることは出来ないだろうね」
「この辺から離れるって、、、大丈夫なのか?」
「大丈夫だよ、ちょうどいい機会だから、旅にでも出ようかと思っているんだ」
木場の表情は何か吹っ切れたようでもあった。
「例えこの先、身を隠して、オルフェノクであることを隠し続けて、生きて行くことになったとしても、
それでも僕は人間として生きていきたい、人間と共に生きていきたいんだ」
「そうか、、」木場の心中を思う巧。
「乾君や真理さんや圭太郎君のような人達がいる限り、僕は人間として生きていきたいし、
人間と一緒に泣いたり、笑ったりしながら生きていきたいと思っている」
「どうしてこんなに人間に執着するのか自分でもわからないけど、僕にはまだ人間に失望することが出来ないんだ」
「そうか、、」

木場勇治の言葉を聞いて巧は考えていた。
木場が人間として生きたい、人間を守りたいと思っても、
オルフェノクというだけで人間達から疎外され、目の仇にされてしまう。
それは木場の心など全く関係無く、周囲にいる人間が勝手にそう決めてしまうのだ。
巧は自分が似たような経験をして来たことに気づく。
無愛想で言葉数が少なく、他人に対して無関心で、いつも誤解されてしまう巧は、
変わり者と周囲に勝手に決めつけられ、疎まれ続けて来た。
同じ人間であっても巧は人々から疎外され、社会からはみ出した者としての扱いを受けて来た。
それは今の木場の立場とよく似ていると巧は感じていた。
今でこそ真理や圭太郎という理解ある人々と共に暮らしているが、以前の巧にはそういう経験が多々あったのだ。
巧は人間とは一体何なのかと思わずにいられなかった。
考え込んでいる巧に向かって木場は言う。
「乾君、人間は弱いけど、でもそれだけじゃないよ。君達を見ていると僕もそう思えるんだ。」
「そうか、、」巧にはそう返すことしか出来なかった。
146【楽園の崩壊】:03/08/15 21:54 ID:yw8bRFAl

木場と巧に別れの時が訪れる。
「気をつけてな」「ありがとう、乾君も気をつけて」巧は木場を見送る。
歩いて行く木場の後ろ姿を見て、巧は思わず木場を呼び止める。
「おいっ!!」巧の方を振り返る木場勇治。
「また、いつか会おうぜっ」せれが口ベタ巧の精一杯の表現であった。
「ああ、今度は友達としてね」木場は笑顔でそういうと再び前を向き歩きはじめる。
木場を見送る巧「友達、かっ、、、」
木場の姿が見えなくなると巧はバイクに跨り、走り出す。
オルフェノクの中にも木場のような奴もいるし、人間の中にも酷い奴はいる。
巧の心の中は迷い、大きく揺れ動いていた。
147【楽園の崩壊】:03/08/15 22:20 ID:oaZj7sM8

スマートブレイン社の技術、資金、物資の提供を受けた人間達は、新種と充分に戦えるだけの戦力を整えつつあった。
一方で人間達は、オルフェノク代表の影山冴子、琢磨と和平交渉を進め、
人間とオルフェノク共同でアギトを絶滅させるということで合意していた。
人間としても戦力が大幅にUPした為に、まずはアギトを倒してから、
次にオルフェノクを倒せばいい、と内心では考えていた。
人間とオルフェノクの化かし合いという要素は多分にあった和睦ではあった。
スマートブレイン社から提供された強化スーツ・ライオトルーパー約千体分、
さらにGシリーズユニットを約5千体分を生産し、1万人の強化スーツ部隊をつくり上げようとしていた。
そしてGユニットのメンバーも当然その中に組み込まれることになる。
「氷川君、あなたをG部隊の大隊長に任命するという司令が来たわ」
「氷川さん、凄いじゃないですかっ!」何も考えず喜ぶ尾室。
「私は最早これは警察官としての職務を大きく越えていると反対したのだけれど」
「あなたの今迄の実績から言えば当然の抜擢ではあるわね」
「北條君も念願叶ってG3−Xの装着員に選ばれたようだし」
G部隊は量産型であるG3マイルドが一般兵に、小隊長がG3、大隊長がG3−Xという構成であった。
その他にも自衛隊管轄のG4も数体加えられていた。
「しかし、自分としては気乗りしません、、これはもはや、、」氷川は鎮痛な面持ちで言いかける。
「そう、これはもはや戦争よ」
「犯罪者や外敵を取り締まるなんてもんじゃないわ、これは単なる戦争に過ぎないわ」
氷川と小沢をはじめとするGユニットメンバーにもまた暗い影が忍び寄ろうとしていた。
148【楽園の崩壊】:03/08/15 22:58 ID:rSztCv4Y

人間襲撃禁止令が出ているオルフェノクだが、闇に隠れて人知れず人間を襲う者もいた。
それがオルフェノクの本能とでも言うべきなのであろうか。
人間を襲うとするオックスオルフェノク。巧はファイズに変身してオックスオルフェノクと戦う。
近接戦闘を得意とするオックスオルフェノクに対しフォンブラスターで牽制するファイズ。
だがその戦いの最中姿を現すアギト。
オックスオルフェノクはファイズがアギトに気を取られている隙に逃げ出す。
対峙するアギトとファイズ、静けさがより一層の緊張を生み出していた。
だがファイズこと乾巧はおもむろに変身を解除し、ベルトを外して放り出す。
そして両手を上げて無抵抗の意思をアギトに見せるのだった。
「あんた達のリーダーと会って話しがしたい。あんた達のリーダーの所へ連れて行ってくれ」
アギトの前に立つ乾巧はそう言った。
敵かもしれない存在の目の前でいきなりこのような行動を取ることは命取りにもなり兼ねないこと、
そのことは巧も充分に承知していた。だがそれも覚悟の上での行動だった。
「何ならこのベルトはあんた達が預かってくれていい」
巧の思いも寄らない行動はアギトを動揺させていた。

そのアギトはファイズのベルトを取上げ、巧をリーダーの下へと連れて行くことにした。
そこに居たアギトのリーダーは女であり、彼女は人間の姿で巧を出迎えた。
「ようこそ、乾さん、私もあなたと会ってお話がしたいと思っていました」
沢木雪菜は巧のことを知っているようだった。
「私の名は沢木雪菜。この世にはじめて誕生したアギト、それが私です」
沢木雪菜、この世にはじめて誕生したアギトであり、
人間達に虐げられているアギトを救う為、アギトを集結させ、組織化したとされる伝説のアギトでもあった。
「あなたが私と同じ思いでここに来てくださった、そうだと良いのですが」
沢木雪菜はそう言いながら、巧にファイズのベルトを返した。
「あなたが私達を信頼しようとしてくださったように、私達もあなたを信頼いたします。
だからこのベルトはあなたにお返しします。」巧はベルトを肩に担いだ。
149【楽園の崩壊】:03/08/15 23:18 ID:pgdJve83

「オルフェノクの中に俺の友達がいた。そいつはいい奴だったがオルフェノクだった。
でも俺はオルフェノクだからといってそいつを倒すことは出来なかった。
オルフェノクの中にいい奴もいれば、人間の中にも悪い奴はいる。」
「あんた達は一体どうなのか?それが知りたくなった」
雪菜はそれまでの緊張から安心したような顔をして微笑んだ。
「やはりあなたは私が思っていた通りのお方のようです」
「私達は、いえ少なくとも私は人間達と戦うつもりはありません。
確かに私は人間達に虐げられたアギトを救う為に、アギトを集め、アギトを組織化しました。
ですがそれは私達が人間に虐げられることなく、アギトとして暮らしていけるようにする為です。」
「以前は人間達から仕掛けて来た時だけ防衛の為に戦うだけだったのです」
「人間は自分達を遥かに越えた戦闘能力を持つ私達アギトを必要以上に畏れ、
私達を目の仇にして、捕え処刑しようと必死でしたから、
私達としてもどうしても戦わない訳にはいかなかったのです」

「ですが、いつしか私達の中にも、人間達と戦うことを好み、自ら進んで人間達と戦おうとする者達も出て来たのです。
長年の間虐げられて来た私達アギトの復讐であるとか、積年の恨みであるとか、
憎しみや怒りであるとか、彼らの言い分は大概そうしたものでした。
ですがついには種として優れているアギトが、
人間にとって代わってこの星の覇者となるべきだと主張するものが出て来たのです。」
「私達アギト自身、そのことで何度も論議し、争いになりそうになりました。
だが数の少ない私達が身内で殺しあった所で何もなりません。
そこで好戦派であるアギトと私達反戦派であるアギトは別々に行動することにしたのです。
約半分のアギトが好戦派について行きました。そして半分のアギトが残り私達と共に暮らしています。」
「同じアギトであっても私達は人間と戦うことを望みません。
共存が出来ないのであればせめて私達をそっとしておいて欲しいというのが私達の望みなのです。」
150【楽園の崩壊】:03/08/15 23:59 ID:ExUkfLFH

誰と戦い、誰を守ればいいのか、わからなくなりつつあった巧が、
命を賭けてまでアギトのリーダーに会って確かめたかったことはそれであった。
巧にとってみれば、それは充分に有り得る話だった、木場がオルフェノクだったという事実があったのだから。
「あんた達の言い分はわかった。結局はあんた達の中にも戦いを好む奴と好まない奴がいるってことか。」
巧は今迄の自分の認識が間違っていたことを悔いた。
だが幸いなのはアギトと交戦したことはあっても、アギトを倒したことはないということだった。

「俺は一体どうしたらいいのか、あんた知ってるかい?」
結局、誰と戦い、誰を守ればいいのか、その答えを巧が見つけるのは無理なことでもあった。
「それは乾さんが自分で答えを出さなくてはならないことです」
「この戦いを止めることが出来るなら、それがいいんだろうが
俺ひとりの力でこの戦いを止められるとは到底思えない」
「乾さん、どの種にも戦いを欲する者と戦いを望まない者がいます、
どうかそのことだけは覚えておいてください」

「そう言えばあんたさっき、俺と会って話しがしたかったて言ってたよな、何でだ?俺がファイズだからか?」
「乾さんはこんな都市伝説をご存知ですか?
この世界には仮面ライダーと呼ばれる人達がいるという、噂みたいなものですけど。
目撃者によって、仮面ライダーの姿形はまちまちらしいのです。
ある人は緑の仮面であったと言い、別の人は赤い仮面であったと言い、
銀の仮面や黒の仮面であったという人達もいます。
私達アギトが仮面ライダーに似ているという話もあります。
仮面ライダーは闇に生き、人知れず絶対的な悪とのみ戦っているのだと言います。
私には乾さんが変身するファイズが仮面ライダーのように思えました。
女の勘は鋭いのですよ、私はその直感を信じてみたいと思ったのです。」
「仮面ライダー、仮面ライダーファイズか、、」
151【楽園の崩壊】:03/08/16 01:32 ID:QsaWBnLg

苦悩する巧をよそに、ついにオルフェノク・Gシリーズ&ライオトルーパー(人間)連合軍対アギトの戦争がはじまろうとしていた。
廃墟と化した街に何十台というGトレーラーが集まり、後部ハッチより続々と降りて来るG部隊。その数は何千にも及ぶ。
ガトリング砲・GX-05 ケルベロスを手にし、隊列をつくり行進するG部隊。
続いて何千にもなるライオトルパーの部隊が整列し行進する。
更に地平の彼方より姿を現すオルフェノク軍団。
北崎デルタを筆頭に、影山冴子のロブスターオルフェノク、沢田のスパイダーオルフェノク、
琢磨のセンチビュードオルフェノク、Jのクロコダイルオルフェノクが続く。
さらにその後ろから続々とオルフェノクが姿を現す。
カクタスオルフェノク、オウルオルフェノク、スネイルオルフェノク、
エキセクタムオルフェノク、フライングフィッシュオルフェノク、アルマジロオルフェノク、
トードツールオルフェノク、スコーピオンオルフェノク、ドルフィンオルフェノク、
ワームオルフェノク、シーキュガンバーオルフェノク、ラビットオルフェノク、フロッグオルフェノク。

そして一方廃墟と化したビルの上に姿を見せるアギト達。
シャイニング、バーニング、アナザーアギト、ギルス、エクシードギルスを筆頭に、
トリニティ、フレイム、ストーム、など様々なフォームのアギトが無数に湧き出して来る。
今まさにアギトと人類・オルフェノクの種の存亡を賭けた戦いがはじまろうとしていた。
152【楽園の崩壊】:03/08/16 01:32 ID:QsaWBnLg

その様子をテレビで見ていた巧。自分が何をすべきなのかその答えはまだ見つからないが、
いてもたってもいられなくなり、家を飛び出しバイクに跨る。その後を追う真理。
「巧っ!!待ってよ、巧っ!!」
「いくらファイズの力でも、あれだけの数で戦争しているんから無茶だよっ!!」
「いくらファイズでもあんな所行ったら死んじゃうよっ!!」
真理は必死で巧を止めようとする。
巧はヘルメットを手に真理に言う。
「なぁ真理、俺は何をやっても長続きしなかったが、ファイズは結構続いている方だ」
「どうせだからな、このまま仮面ライダーファイズになろうかと思ってな」
「仮面ライダーファイズ?」
「じゃあな」巧はそう言い、バイクのエンジンを吹かして走り去って行く。
「巧っ!!」真理は巧の名を叫ぶ。
これが巧と真理の最後の別れとなるのであった。

戦場に飛び交う弾丸。轟音と共に立ち登る爆煙、炎の柱。
吹き飛ぶG部隊、砂となるオルフェノク、地飛沫を上げて絶命するアギト。
戦場はまさに地獄絵図と化していた。
その戦場を駆け抜ける可変型バリアブルビークル。
バイクを止めバイクから降りる乾巧。そこへ駆け寄って来る氷川のG3−X。
「君は?いつかの夜、ファイズに変身したっ」氷川のG3−Xは巧にそう呼びかける。
「ああ、あんたか」
「あんたいつか俺に、俺は人間の味方なのか、って聞いたよな?」
「俺は人間だけの味方じゃない」
「この戦いを避けようとするすべての者の味方、仮面ライダーファイズだっ」
巧はファイズフォンのボタンを押す『standing by』
「変身っ!!」ファイズフォンを高く掲げベルトに装填『complete』
巧の体に赤いラインが走り、その姿はファイズへと変わっていく。
153【楽園の崩壊】:03/08/16 01:33 ID:QsaWBnLg

この戦いでファイズこと乾巧は生死不明の行方不明となる。
そしてまた数千単位の多くの人間の命も失われることになる。
だがアギトの好戦派の大多数もまたこの戦いで命を落とし、
オルフェノクもまた村上の意に反してラッキークローバーの多くを失ってしまう結果となった。
好戦派を失ったアギトは、人間達のアギト狩りの前に成す術もなく、根絶やしにされ絶滅することとなる。
そしてアギトとの戦いで戦力のほとんどを失った人間は、
オルフェノクに裏切られ、オルフェノクにいいように狩られていくのであった。
そして人間の大多数がオルフェノクによってその命を奪われ、
人間のパラダイスは崩壊し、オルフェノクのパラダイスが誕生したのであった。

わずかに残された人間達はそれでもオルフェノクに抵抗を続けていた。
絶望の淵に追い込まれた人間達。だが真理はただひとり信じていた。
伝説の救世主、仮面ライダーファイズが、乾巧が現れることを。

そして物語は『パラダイス・ロスト』へと続く。

【楽園の崩壊】完
154:03/08/16 01:36 ID:QsaWBnLg
後半例によってバタバタだが(汗
映画公開前になんとかUPしてみた
短編のつもりだったが結局Heat外伝の2話分ぐらいになってしまった(汗

映画公開にあわせて思い切ってあげてみる
155:03/08/16 01:41 ID:QsaWBnLg
追加、映画と辻褄が合わなくても文句言わないでね(汗
見てから書いているわけじゃないので
156129:03/08/16 02:14 ID:2ZroMbb5
新作書いてみようと頑張ってみたけど、あえなく挫折…。
スペック厨だから、データはすぐ出来たんだけど……。

だれか、俺の設定引き継いで書いてくれないか?

登場するライダーはクウガ、アギト、ギルス、G3−X、ファイズ、カイザ。
あと、オリジナルキャラG5−C1〜5(CはカスタムのC)。
G5−Cは一芸に秀でた機体なんだ。
両腕と両足に計4本のGK−06、両腰に長剣状の超高周波振動ソード『GLS−07』、背中に太刀(佐●木小次郎の物干し竿風)状の超高周波振動ソード『GB−08』を装備した近接戦闘型モデルG5−C1。
他にも色々な機体が出てくる。

書いても良いという人は連絡くれ
157楽園の崩壊 作者:03/08/16 23:55 ID:+EvZ1N4H
とりあえず映画見てきました
アギトの部分を除けば(当り前だが)そんなに大外れでもなく修正可能な範囲内だったので、
修正を施しながら、ネタバレしない程度に【楽園の崩壊】の続けたいんだが、どうだろうか?

映画の中でこのスレ的には非常にありがたいポイントあり
<俺なんかもう妄想まっしぐら
映画555は平成の中で一番昭和に近いんじゃないかな
158楽園の崩壊 作者:03/08/17 01:10 ID:GMXhykjW
>>151-153
あたりが無かったこと、というか物凄く大幅に加筆修正されて、
もう少し後にまわされることになると思う

んでネタバレ解禁になったらパラダイス・ロストの続編を書くと(藁
159名無しより愛をこめて:03/08/17 12:32 ID:zRKu2Rh1
>>156
お子さまはバンダイのソフビでおともだちとあそんでいてね
いっぱいすごいぶきをかんがえてライダーたちにおしえてあげてね

お父さまお母さまがたへ
すぺっく厨ということばはわるぐちです
いいわけにつかうのははずかしいことですので、
おおきなお子さまがあやまって口にしないようごちゅういください
160名無しより愛をこめて:03/08/17 14:40 ID:1je0gl5N
楽園の崩壊様、
正直今は映画の話題(ネタバレ)にナーバスになっていると思われるので、
やめておいた方が良いと思われます。
むしろネタバレ解禁の後、DVD祭りが来ると思われますので、
プロロ−グとしてそれを頂き、本編を映画後の話にしてみてはいかがでしょうか。
161楽園の崩壊 作者:03/08/17 16:18 ID:02MbxbnH
そうかぁ、もう書きはじめていたんだが残念
DVD発売ってスゴイ先っぽいから、その時俺が書く気が失せている可能性が高いしなぁ

去年の龍騎の【勝手に】仮面ライダー龍騎EPSODEFONAL【補完】みたいなスレがあればいいんだが。
避難所使うってのはどうだろうか?

とりあえず本編には全く関係ない挿話だけでもあげさせてくれ。
162名無しより愛をこめて:03/08/17 17:49 ID:yBLXfbmj
>>161
エプソードフォナルスレがまだ残ってるから、そっちに書いてリンク貼ったら?
163楽園の崩壊 作者:03/08/17 18:13 ID:r3wRclb4
>>162
あそこはあそこで現在違った方向で盛上がっているっぽいので、申し訳ない
スレ乱立は心苦しいが新スレ立てさせてもらおうかな
164名無しより愛をこめて:03/08/17 19:03 ID:uW0L4xRR
避難所が一番無難じゃないですかね、やっぱり。
あっちなら落ちる心配もないし。
165名無しより愛をこめて:03/08/17 19:30 ID:keYkOtjr
ごめん、もう立てちゃった(汗

続きはこちらでやらせてもらう予定(但しネタバレの可能性も有り)
【今年も勝手に】劇場版仮面ライダー555【補完】
http://tv3.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1061112265/l50

早くも煽られ気味だが(汗
166名無しより愛をこめて:03/08/18 02:49 ID:kO8Y6KQA
っちゅーかheat君、調子こきすぎて、ちょっとウザっぽ
167名無しより愛をこめて:03/08/18 07:27 ID:oj58Pbxj
まあ、そう言うなって。
実際これだけの馬力ではなかなか書けんのも事実だ。
168名無しより愛をこめて:03/08/18 12:17 ID:G+kMSmZF
>>164
読んでる方は楽だと思うけど、一本の話を書くだけでもカナリ大変ですぜ〜
俺、この前嫌と言うほど味わったし。
でも、出来れば進行中のシリーズも忘れないでホスィ・・・
169heat君:03/08/18 18:29 ID:Qt3KoFrs
そのことは実は俺もかなり気にしていたわけで
いくら思いつくからと言って、スレの半分以上が俺の投稿というのもいかがなものか?と。
<長編だというのもあるが

そこで今後はこのスレの新作、heat外伝の続編はすべて避難所でやろうかと考えてます
<幸い俺が避難所の管理人だし
本当に読みたいと思ってくださる方は避難所来てくださればいいわけですし。
<本当に私個人は避難するわけですが(藁

>>168
進行中のシリーズ忘れてないですよ(汗
最近出している短編は、heat外伝の続き部分の、実験的試みであったりもします
555の短編【楽園の崩壊】とheat外伝の今後の展開は実はよく似ていたりします
いろんな話書いてみないと、作品が閉塞してきちゃうんですよね

ということでみなさんよろしくお願いします
170名無しより愛をこめて:03/08/18 19:29 ID:Yigp4zup
>heatさん
楽園=あなただったとは・・・。
っていうか似たような話やっちゃって
外伝出したとき飽きられると思わなかったの?
171heat君:03/08/18 19:45 ID:4KP7BIfb
heat外伝=バイオレンス=楽園ですね
敢えてハッキリ書かなかったけど、隠してもいないので、わかっている人は多いはず

要素が似ているだけで、話としては別物なので、飽きられるとは思ってないです(多分)
それよりも一度書いてみて、失敗点など修正、その経験を活かして、
次にパワーアップさせて出すっていうのが結構私がよくやるパターンです(いままでも)

<こういう素早くレス返しちゃうところとかがウザっぽなのかも(汗
172名無しより愛をこめて:03/08/18 20:36 ID:Vsffs0BC
>>171
まあ、がんばれや
heat外伝も楽しみにしてるから
173名無しより愛をこめて:03/08/19 20:03 ID:X6x9bnIO
【勝手に】石の森漫画原作【補完】
http://tv3.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1061225223/l50
174氷川くん好き:03/08/20 02:00 ID:ebf/LJ/P
>>169のheat君
(馴れ馴れしくてスマソ)
そんなさみしいこと言うな!
夏の風物詩は気にすんなよぉ(´Д⊂)

煽りもあるさ、批判もあるだろうさ、
でも、実質、このスレ引っ張ってるのも君だよ。


heat君って呼び名って、私がずいぶん前に使ったけど、
ヨソの人が使うの見ると、なんだか失礼ですね…反省m(_ _)m


175名無しより愛をこめて:03/08/20 15:12 ID:yHYp/jK/
☆お前達が考えた龍騎のライダー教えれ☆Part4
http://tv3.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1059205340/l50
の前スレ(Part3)の方で展開していたSSなんですが、
新スレの方でまた別の種類のSSが始まってしまって、前スレの
キャラクターを使ったSSを書き込むのが場違いな感覚なので、
こちらを使ってSSを書き込ませていただきませんでしょうか?
よろしいようなら、Part3(250以降)のキャラクターを使ったSSを
第一話から書き込ませていただきたいのですが・・・レスをお願いします。
176名無しより愛をこめて:03/08/20 22:05 ID:nP+Fai16
このスレ面白いよ・・・ageてやる
177名無しより愛をこめて:03/08/20 23:20 ID:Ez/gsHos
>>175
【手を取り】ライダー共闘SSスレその5【戦え】

というようにちゃんと共闘してて、主人公以外のライダーをないがしろにしてなければいいんじゃない?
178名無しより愛をこめて:03/08/20 23:42 ID:SI0eXDPj
>>氷川くん好きさん
大丈夫よ、完全撤退ってわけじゃないですし、
他の方とのバランス考えるってことですので。
heat外伝新作上がったら告知しますし。
君づけも結構気に入ったんだが(藁
179名無しより愛をこめて:03/08/21 22:16 ID:gOU2reaX
>175
実は、そういうスレがあることを知らず、新しい龍騎ライダーを考えたのですが……

しかも、いきなり適役として出てくるSSをセットで……


先に、そっちで設定出したほうがいいかな?

あ、ゲルニュートと契約した忍者風ライダー、ワイルドボーダー&シールドボーダーと契約した筋肉馬鹿ライダーなんですが。
180175:03/08/21 23:36 ID:AwhK7oIv
一応解説すると、この話は蒲田という街において行われるライダー同士の戦いの話です。
一応全五十話の予定で、過去のSSは、15話、16話、30話と
後は閑話が数個といったところです。
次スレへの誘導が遅かったせいか、下火になっていて、また新スレのライダー達の
SSが始まってしまったので、こちらで話を書かせていただきたい・・・ということです。

>>179
そうですね、新ライダーならそっちで提出したほうがいいと思いますよ。
181氷川くん好き:03/08/22 00:34 ID:OotpPIp2
>>178さん(w
りょーかいっ!
あんまり溜め込まないでねー(*^o^*)
182名無しより愛をこめて:03/08/24 07:25 ID:OKKAR8uL
 
183名無しより愛をこめて:03/08/26 02:25 ID:mPYxlngc
えらく静かになったと思ったら、職人が皆劇場補完スレのほうに移ったのねw
184名無しより愛をこめて:03/08/28 19:06 ID:osR3aILv
じゃあ、終了ということで
185415 in おやっさんスレ:03/08/28 19:21 ID:5ChFXRft
 吹きつける雨につよく打たれ、偽装Gトレーラーが幹線道路を走る。
 薄暗い、カーゴのなか。
「なんかちょっと、イヤな話ですね……」
 ぽつりと呟いたとたん、
「『ちょっと』!?」
 ぎらりと小沢澄子の眼ににらまれた尾室隆弘が、「ひい」と情けない声をあげて壁ぎわまでしりぞいた。
「ちょっとどころか壮絶に嫌な話よ! ていうか今の話を聞いて『いい話だ』なんて思う奴がいたら、わたしがはったおしてやるわ!!」
 すすすすいませんすいませんもうしません許してください、と尾室が平身低頭で謝りたおす。ほとんど条件反射だ。
 いらだたしく頬杖をついて、小沢はサングラスを放りっぱなしにしてあるコンソールデスクの表面を、指先でコツコツと叩いた。
「北條くんあなた、ほんっ、とおおおっに、わたしを不愉快にさせることにかけては天才的ね!」
『褒め言葉とうけとっておきますよ』
 あっさりとそんな応えが返る。ますます不機嫌に唇をつぐんで、小沢が顔をそむけた。
 そのとき、スピーカー越しにつたわる気配が微妙に質を変えた。雑音が混じる。誰かの小さな声を、受話器がひろったようだった。
186415 in おやっさんスレ:03/08/28 19:22 ID:5ChFXRft
『……ああ、すみません、今かわりますから』
「?」
 北條の科白は、こちらにむけられたものではない。小沢が怪訝に顔をあげた。
「誰かいるの?」
『ええ。未確認対策班が、治安部隊の検束をうける可能性のある人物を保護していることはご存知と思いますが……私の個人的な判断で、そのうちの何人かをこちらへ同行させています。彼らが、あなたがたと話がしたいと言っていまして』
「わたしたちと?」
『まあ、話せばわかります』
『涼! そこにいるんだろ!?』
 北條の言葉を待たずに、少年の声がそこへわりこんだ。無遠慮に名前を呼ばれた葦原涼が眉をひそめる。だがすぐに、はっとして口をひらいた。
「――レイか……?」
『よかった、ぼく、もう――あっ、待てこらっ返せよ!』
『お兄ちゃん!』
 レイと呼ばれた少年は、さらにほかの誰かに電話を奪われたようだった。あらたな声もまた、歳若い少年のものだ。
『覚えてる? ぼくだよ!』
 予期せぬその声に、涼が目をみひらいた。おまえ、と口に出し、名前を呼びかけようとして、だが彼の名を聞いていなかったことに気がつく。
『浅野、一輝』
 ぽつりと、少年の声が言った。
『ぼくの名前。まだ言ってなかったよね』
「……ああ」
 涼が苦笑いをして頷く。
『今度逢ったら言おうって思ってた。お兄ちゃんの名前さ、……きかせてくれる?』
「――葦原涼」
 かすかに瞳をほそめて、涼が答えた。
「そういや、まだ言ってなかったな」
 照れくさそうに笑う涼の隣から、片平真由美が意味ありげな笑みを口元にうかべてその横顔をのぞきこむ。
「へーえ。知らなかった。涼って子供にモテるのね」
「おい」
 涼が、がくりと首を落として真由美を見る。笑みを噛み殺した表情で、真由美がしらっと視線を横へ逃がした。
187415 in おやっさんスレ:03/08/28 19:23 ID:5ChFXRft


 苛烈に過ぎさったあの戦いの日々のなかで、いくつかの、出逢いがあった。
 ――真夏。
 ゆらゆらとのぼる陽炎のなか、眩しすぎる陽光の下に、胸を焦がせた熱の記憶。
(現実に耐えきれない人間もいる)
(世界は、美しいだけじゃない)
 烈しい白日に照りつけられて、黒く落ちる影。
『それでも、生きていくしかない?』
『ああ。終わりが来るまではな』
 あざやかな光彩。
『どこか、ずっと遠くへ行ったら、……もしかしたら、今が嘘になるかもしれない』
『どこへ行ったって同じだ。今は、嘘になんかならない』
 まっすぐに自分をみつめる少年の瞳と。
『……みてたら、つらいのがわかった。……痛いのがわかったから……』
 透明な、涙。
『……ありがとう』
188415 in おやっさんスレ:03/08/28 19:23 ID:5ChFXRft


『おい一輝ってば。返せよ、おまえばっか喋んなよ』
 抗議の声と同時に、スピーカー越しにきこえる音声にふたたびノイズが混じった。
『なんだよレイ、なまいきだぞ。年下のくせに』
『カンケーないだろ!』
 どうやら少年ふたりが、電話の主導権を争っているらしかった。涼が苦笑する。
 カーゴの端から数歩足を進めて、コンソールのマイクへ近づいた。
 笑みをうかべた顔のままで、ふたりへ呼びかけた。
「おまえら……喧嘩するんじゃない。友達なんだろ?」


 ――そして、冬のはじめ。
『力をかしてほしいんだ。先生も、友達も、みんなあいつらに殺された。カタキをとってやりたいんだよ』
 黄昏時、さしこむ光にあたりが朱色〔あけいろ〕に染まる、廃墟のなか。
『おい』
 声にふりかえる先には、どこか誇らしげな顔で立つ、少年の姿。
 差しだされたちっぽけなキャラメルの箱に、涼は優しい笑みを返す。
 だが。
『――――ゥヴァアアアアアアアアアアアッ……!!』
 己の奥底から吐きだす、拒絶の咆哮。異形の叫び。
 自身に巣食う『力』へのおそれと、言いようのないかなしみを、コンクリートにかこまれた昏い地の底へ叩きつけた。
 闇にのまれゆく意識のなか、涼は走り去る少年の後ろ姿を視界の隅にとらえる。
 それきりもう、二度と出逢うことはないのだと、知っていたはずだった……。
189415 in おやっさんスレ:03/08/28 19:24 ID:5ChFXRft


『ほら、レイ、一輝くん、だめじゃない北條さんの邪魔しちゃ』
 さらにべつの声が、スピーカーからきこえた。少女の声だ。電話とは距離があるらしく、くぐもったきこえかただった。
 風谷真魚が、え? とつぶやいて、スピーカーを見あげた。
「……紗綾香、ちゃん?」
『真魚さん!』
 真魚の声をききとった少女が、嬉しそうにこたえた。
 なつかしい、澄んだ声音で。


『ありません。家なんて……。お父さんもお母さんも……』
 白と黒の鍵盤のうえにおかれる、指先。……旋律が。
 ゆるやかに、流れだす。
『なんか似てる……あたしと』
 知らず、そう言った。
(寂しいね)
 ふりかえった少女の瞳が、臆病にふるえていたから。
 そっと、その肩に手をおいたのだ。
『……あの……お願いがあるんです』
『なに?』
『ピアノ、弾いてもいいですか』
 穏やかな日差しのなかで。
 少しだけのかなしみをまぎらせ、そして、それゆえに優しく響く。
 きれいな、音。
 ゆっくりとすべりおりてゆく音階から、透明なかがやきの余韻だけをのこして。
 ――そうして少女は、静かに鍵盤の蓋をとじた。
190415 in おやっさんスレ:03/08/28 19:38 ID:5ChFXRft


「……ひさしぶり?」
 真魚が言った。エヘヘと曖昧な笑みで、「なんか、てれるよね」とつけたした。
『そうですね』
 スピーカーが少女の声をひろった。声が笑っている。奥のほうから、不満げな少年たちのつぶやきがきこえていた。いつのまにか彼女に電話をとられたらしい。
「紗綾香ちゃんさ、なんか少し、おとなっぽくなった」
『そうですか? でも、真魚さんだって』
「って、そうかな」
『そうですよ』
 ふたりで笑う。
 その様子を横目にみて表情をなごませていた小沢が、だが同時に、瞳に疑問をやどらせる。足元を見た。
 この状況――今このタイミングでの再会に、どんな意味があるのかと。
(『治安部隊の検束をうける可能性のある人物』)
 浅野一輝。
 本木レイ。
 加原紗綾香。
 彼らの共通点は、ただひとつ。
 すなわち、『〈アギト〉の種』の所有者であること、だ。
 急になにかをひらめいた顔つきになって、小沢がスピーカーへ眼を向けた。
191415 in おやっさんスレ:03/08/28 19:38 ID:5ChFXRft
「北條くん、きこえる?」
 脈絡を無視して、たずねた。
「――あなた今、どこにいるの?」
 フッ、と北條が息を吐く気配が、スピーカー越しにつたわった。やや間があって、それから声が返る。
『あなたの真上ですよ、小沢さん』
「!」
 小沢がさらに首をまげて上をみる。
 上空。
 しだいに激しさを増してゆく雨音にまじって、ごっ、と大気をかきみだす轟音が近づいていた。
 ――ヘリのタービン音。
「尾室くん、後方ハッチのロックを解除して!」
「え。は、はい!」
 まえぶれなしの突然の命令に尾室は一瞬ぽかんとするが、すぐに対応し、コンソールへ向かう。ひとえに、彼女とのつきあいの長さのたまものと言えた。
 無線と接続してあった携帯電話を無造作に掴みとってたちあがり、小沢は二台並ぶガードチェイサーの横をすり抜けて、カーゴの最後方まで足早にすすむ。
 ゴウン、と唸りをあげて、カーゴハッチがゆっくりと上方へもちあげられた。強い風の流れと雨が、カーゴ内へ吹きこむ。それにさからって、小沢が顔をあげる。
「…………」
 携帯電話を耳元へあげようとした腕を、途中でとめた。視線がぶつかっていた。
 白黒ツートンカラーの横腹に大きく『警視庁』と書かれた、中型輸送ヘリコプター。ハッチが引きあけられている。
 小沢とおなじく風雨に晒されながら、痩身の男がそこから身をのりだしていた。
『おひさしぶりです』
 手元の携帯電話越しに声が届いて、小沢がはっとそれを耳にあてる。
 どこか憮然と、答えた。
「……何よ、あらたまっちゃって」
『いえ、誰かさんのおかげで言いそびれていたものですから』
「…………。悪かったわね」
『まったくです』
「……………………。そうねっ。まったくねっ。ひさしぶり北條くん。全ッ然、変わりないようでなによりだわ、ほんとに!」
『それはおたがいさまですよ、小沢さん。だがとりあえず、今ここで熱烈な感動の再会をしている暇はないようだ』
 左手首に填めた腕時計を確認して、北條が言った。「どこが『熱烈な感動の再会』なのよ!」と小沢が唸った。かるく俯いて、北條が苦笑をする。
192415 in おやっさんスレ:03/08/28 19:39 ID:5ChFXRft
『このヘリは、あなたへの手土産です。役立てていただけると幸いですが』
「ちょっと!? そんなものがあるんならもっと早く持って来なさいよ! 今までの苦労はいったい何だったのよ!!」
『残念ながら、『これ』にGシステム三機を搭載することは不可能だ。むしろ『これ』が真価を発揮するのは、これからです』
「……ミサイルやミニガンを装備しているようには見えないけど?」
『戦闘ヘリなみの戦力となるであろうことは、私が保証しますよ。先にデータをそちらへ送ります。どう使うかは、あなた次第だ』
「…………」
 なにかを含んだ北條の言いかたに、小沢が眉をひそめる。直後。
「あああああッ!?」
 ほとんど悲鳴に近い声がカーゴの奥で響きわたった。尾室だ。小沢が背後を振り返り、カーゴ内へひきかえす。
「お、小沢さんこ、こ、これ……!」
 モニターを指さして、尾室が口をぱくぱくとさせていた。駆け戻った小沢がそれをのぞきこむ。けわしく眉間を尖らせた。
 画面上には、北條から送られてきた例のヘリのデータがうつしだされていた。ディスプレイから視線ははずさぬまま、携帯電話を持ちあげる。
「――…どこで拾ったのよ、こんなもの」
『本庁のお偉方に機密漏洩の可能性を示唆したら、あっさりと譲渡してくれましてね』
 小沢が呆れた。手中に握る携帯電話を、おもわず渋い顔でしばし眺めた。
「……脅迫って言わない、それ?」
『正当な取り引きと言ってほしいものですが』
「どこがよ!?」
『こちらにしてみれば、感謝のひとつもして欲しいくらいですよ。わざわざあなたのために、貴重な労力を費やしたんだ』
「あきれてものも言えないわね……」
 深くためいきをついて、小沢がつぶやく。
 それから、ふっと口元に小さく笑みをうかべた。瞳をとじて、だったら、と言葉をつなげた。
「だったら北條くん、あなたに、頼みたいことがふたつあるわ」
『……私に、ですか?』
「そう」
 わたしがあなたに頼みごとをするなんて、これ以上の感謝のしるしがあるかしら? と、小沢は悪戯っぽく言ってみせた。
193415 in おやっさんスレ:03/08/28 19:39 ID:5ChFXRft


 スーツの内側からとりだした携帯電話の液晶表示を、一条薫はきむずかしい顔でじっとみつめる。細かな振動が、持ち主にしつこく着信を知らせていた。
 ビルの屋上。
 多少げんなりとしつつ、雨をしのぐ傘の下、椿秀一がそれを見てたずねた。
 、 、
「またか?」
「…………。ああ……」
 溜め息を吐いて一条が答え、そして重い動作で電話を耳元へひきあげた。こちらからはひとことも発さず、相手の言葉を待った。
「私だ」
 応答は、電話からではなく横ざまから返された。ふたりがぎょっとしてそちらを振り向く。
「…………」
 自分の携帯電話と、目の前に立つ美しい女をいちど交互に見やり、そしていちはやく現状を認識した一条が咳払いをして彼女から顔をそむけた。
「ひとつ言っておく、ラ・バルバ・デ」
 渋面をつくってそむけた顔のまま、言う。電話をかるく掲げてみせた。
「これは、離れた距離にいる者どうしが連絡をとりあうための道具だ。こんな近距離で使う意味はない」
 女がまばたきをして、手元の赤い携帯電話を見た。そうか、とつぶやいた。
「用件は」
 一条が問う。
 濡れる黒いスリップドレスの裾を雨のなかにひるがえして、女が一歩、一条たちに近づいた。
「ガドルはやぶれるだろう」
 まえぶれなく、まるであらかじめ定められたことのように、そう言った。予言者のように。一条が彼女のほうを見た。
「〈アギト〉とは、無限の進化をうながす力なんじゃなかったのか」
「〈アギト〉はしょせん『力』だ。分を過ぎた力は、揮うものの身をさいなむ」
 冷淡な口調のまま、バルバが答えた。
 暗い雲に覆われた空をみる。雫のこぼれおちる長い睫毛を伏せて、瞑目したまま天を仰いだ。そそぎ降る雨に、身をゆだねた。
「自明のことだ。われらは地の涯に立つもの。もはや足下〔そっか〕に進む道はない。……〈神〉の言うことは、正しい」
194415 in おやっさんスレ:03/08/28 19:39 ID:5ChFXRft
「…………」
 一条は、静かに彼女の言葉を聞く。ふと眉間をひそめて、言葉を探りながら、ゆっくりと話しだした。
「……今、おまえは生きてここに居る。ひとの進む先に、涯などあるものか。言ったはずだ。俺たちのゆくすえを定められる『神』など、どこにもいない」
 瞳を凝らし、女が彼を見返る。一条がまっすぐにその眼をみつめかえした。
 やがてバルバが、あでやかな赤の唇に、ややくだけた微笑をうかばせた。そして囁く。
「やはり私は、リントのなかではおまえがいちばん好きだよ」
「…………」
 彼女の言葉の飛躍に、一条がついしかめた顔をバルバへむけた。椿はもっと驚いて一条を見た。
「……ずいぶんと饒舌じゃないか」
 一条が憮然とつぶやく。
「たわいのない、戯れだ」
 唇にやわらかな笑みを刻んだまま、なにかを愉しむ口ぶりで、バルバが言った。
 風が吹く。ふりしく雨の軌跡が、かすかにみだれた。
195415 in おやっさんスレ:03/08/28 19:45 ID:5ChFXRft
たいへん、たい、へんおまたせしました……。
『仮面ライダーSPIRITS オリジナルエピソード 砕星の剣』・第十四話(前編)、お届けにあがりました。
待っていてくださったかた、本当に申し訳ありませんでした!
とりあえず、十四話は一気に上げるはずじゃなかったのか、というつっこみはナシの方向で。……おねがいします……。
週一とはいかないかと思いますが、今後はなるべくまた定期的にアップしていきたいと思っておりますので……
まあ、復帰早々有言不実行三姉妹(?)ぶりを発揮している私ですが、これからもおつきあいいただけると、幸いです。


>前スレでレスくださったかた
……ほ、ほんとうに……ええと、申し訳ありません、アンドありがとうございます。
ちょっと、嬉しくて言葉がみつかりません。
というかですね……お返事まで遅くなってしまって本当にすみません!(汗)
頑張りますので、今後も応援よろしくお願いします。
196名無しより愛をこめて:03/08/28 20:17 ID:DYrPdIlZ
415さん!
俺はあんたを前スレから追っかけてて、
新作をずっと待ってたよ!!うれしいよ!

北條と小沢の再会がドラマチックでいいっすね
携帯を至近距離で使うバラ姐にも萌え。
子供たちの登場もうれしかったなあ
これからの展開にも期待してます!
197名無しより愛をこめて:03/08/28 21:27 ID:Xc5rCmS3
とうとうおやっさんが帰ってきてくれたか
198名無しより愛をこめて:03/08/28 22:54 ID:b5XhLHim
おやっさんキターーー!
あとはHandcuffsAndMasksと日本沈没の続きがくると、
5スレも出揃った感じになりますな。
199175:03/08/28 23:16 ID:SskUeAiu
反対意見がなかったので、龍騎のオリジナルライダーのSSを載せさせていただきます。
無駄に長いいですが、目汚したら本当にごめんなさい。

喫茶店『秋桜〜COSMOS〜』
蒲田の街外れにある喫茶店。
常連客は口をそろえて言う「隠れた名店」と。
そして今、朝の薄い太陽光が降り注ぐ店内は、香ばしいコーヒーの香りが薄く漂っている。
「いらっしゃい」
その店に男と女の二人組が入店する。
二人ともスーツを着ている。男のほうは長身で、190センチ近い身長を持っている。
カウンターには男が一人。白いエプロンを着けたその男はカップを磨いている。
「貴方がマスター?」
入店した二人組の女の方がカウンターの男に尋ねる。
店には他に客は無く、またウェイターらしき人間も見えない。
今店にいるのはカウンターの男と入店した二人組だけだ。
「ええ、そうですけど・・・ほら」
全てのカップを磨き終わった男は自分のエプロンの胸に縫ってある文字を指差した。
そこには確かに【MASTER】と縫ってあった。
「秋桜COSMOSのマスター、日下部恭介です、注文をどうぞ」
日下部と名乗った男は柔和な笑みを浮かべた。
200175:03/08/28 23:17 ID:SskUeAiu
「トーストセットで」
メニューと格闘すること数分、男は自身の朝食にするべきメニューを選択した。
「では、私も同じものを」
そして同じものを選ぶ女
男のほうの歳は二十台半ば、女のほうは男より二つか三つ低いくらいだろう。
男は新聞を読みながら、女は手帳で何かを確認しながらトーストセットを待っている。
「どうぞ」
そして数分後、彼等の前にトーストセットが運ばれる。
『いただきます』
その歳の人間には珍しく、二人はそろって手を合わせ、食事に手をつける。
「ごゆっくりどうぞ」
日下部は凄い速さでトーストセットを平らげる二人が、それを半分くらい食べたところで
思い出したように言った。

「弁護士・・・ですか」
食事も終わり、食後のコーヒータイム。他に客も無く、日下部もカウンターで一緒にコーヒーを飲んでいる。
「ああ、ちょっと仕事でな、大阪から来たんだ」
隣に座っている女が日下部に名詞を渡す。
「どうぞ」
「あ、ありがとうございます・・・長瀬さん、ですか」
名詞には、男の事務所の住所などが書いてある。確かに大阪府と書いてある。
「私は結城理恵、長瀬の秘書をしています」
「仕事はどうでしたか?」
長瀬は胸を張って答える
「弁護士の仕事は完璧だったな」
「収入はやばい位少なかったですけどね」
長瀬の今回の仕事は、大阪に住んでいる男で東京から引っ越して来た際のトラブルからの事件の弁護だった。
201175:03/08/28 23:18 ID:SskUeAiu
「いや、どこかの北岡とかいう弁護士みたいに、あんなにお金取るようじゃ本当に困ってる人が救えない。
それに、俺は自分の腕を過小評価はしない。俺ができるなら俺がやるべきなんだよ」
「まぁ、わかってますし、不満もありませんよ・・・唯斗。これからのことも」
「で、これから帰るところですか?」
空になったコーヒーカップを片付ける日下部。
「いや、家を探すところだ」
「家を・・探す?」
普通、出張に来た弁護士が家を探すなどといわない。
というか、家を探すというのは出張に来たではなくて移住に来たになる。
「ああ、弁護士の仕事じゃない厄介な仕事が入ってきた。完全に無償だし、はっきり言って危ないが、
やっぱりこの仕事も俺じゃなきゃ出来ない。ということで、不動産屋を知らないか?」
「そうですね・・・」
少し考え込む顔をする日下部
「狩巣というアパートが、確か家賃も安くて空き部屋もあったと思いますよ」
「センスのないネーミングですね」
メモに書かれたその名前に、結城が突っ込みを入れた。彼女は関西人ではないらしく、『なんでやねん』とかは
突っ込まなかった。

COSOMOS店内
時計は午前11時を過ぎたあたりだ。
「さて、そろそろ来るはずなんだが」
日下部は長瀬と結城が去った後の店内で一人くつろいでいた。
休日の午前中・・・意外と客が少ない。
「日下部〜、買出し行ってたぞ」
そこに、大きい袋を二つ抱えた男が入ってくる。
「ああ、ご苦労様です浜村先輩」
「いや、いいって。朝から疲れただろ、少し休めよ」
「悪い、午前中二組しか来てないから全然疲れてないんだ」
浜村と呼ばれた男もエプロンを着ける。
「それと、だから『先輩』は止めてくれ。お前のほうがしっかりしてるし、大体俺なんかみたいな男に・・・・・・」
202175:03/08/28 23:19 ID:SskUeAiu
浜村は日下部の中学時代からの先輩だった。そして今は自称ミュージシャンである。
・・・当然売れているわけがない。そんな浜村がこうして人並みの生活をしているのも、再会した日下部が
「それなら俺が持った店を手伝ってもらえませんか?」と申し出てたからだ。
「頼むから呼び捨てにしてくれ、そうじゃなきゃ俺が悲しすぎる」
「いいけど、、それは言いっこなし・・・・・・・!!」
と、そこで突然日下部が立ち上がる。
「浜村せんぱ・・・もとい、浜村、ちょっと出てくる」
明らかに顔つきが違う日下部。
「・・・行くのか」
「・・・・・・ああ」
日下部は走って店から出て行く。
「がんばれよ、日下部」
一人になった店内で、浜村は呟いた。
銃数分後、COSOMOS店内、
「帰った」
「おかえり、速く手伝ってくれ」
外から帰ってきた日下部を迎えたのは、昼飯時の客のラッシュだった・・・

アパート『狩巣』前
異常な人だかりが出来ていた。
「なんだ・・・?」
結城と一緒にそれを見る長瀬。
「何だお前等は!?」
と、突然横からコートを着た男に肩を叩かれた。
「あっ、私達こういう者です」
すかさず長瀬の名刺を渡す結城。
「弁護士ぃ・・・」
だが、名詞の名前を見たところで男の顔が変わった。
「まさか、あんた西の・・・西の長瀬か!」
長瀬は驚くコートの男に逆に驚いた。
203175:03/08/28 23:20 ID:SskUeAiu
「・・・俺も有名になったのかな、結城君」
「少なくとも、悪名ではないと信じたいですね」
と、そこで落ち着いたコートの男がコートの下のスーツの内ポケットから手帳を取り出した。
「悪かった、俺は渡辺って・・・まぁ刑事だ。悪いな、あんたには一度会いたいと思ってたんだよ」
「それはまた、どうして?」
「この前、北岡ってのにあってな・・・弁護士はみんなあんなんなのか確かめたくなってな」
「ああ、あれは特別だろうな、白を黒にする・・・あの能力」
「唯斗、逆、正しくは黒を城にする能力」
「おっと、けど、あれだと本当に出来そうで嫌だな・・・で、このアパートで何があったんだ?」
渡辺から事情を聞く長瀬。秘密にしてもしょうがない内容なのでということだった
確かに秘密にしてもしょうがない内容だ。『人が消えてしまった』なんて
「どうして完全に消えたと?」
「入り口は一つ、窓は2階で、そこから降りた形跡もない。中から鍵が掛かってた」
「それって、単に出て行っただけじゃないの?」
結城の普通の突っ込みがはいる。
「いや、中に入って3日、出た所を見た奴はいなかった」
「それって、偶然見てないだけじゃないのか?」
「3日間張り込んでた奴がいたんだよ・・・」
「って何者だよ!」
と、そこで長瀬は少し離れた場所で、バイクにまたがってこのアパートの様子を観察している女に気がついた。
「彼女か?」
女を指差す長瀬。
「いや、さっき通報者だよ、ストーカーなんだが。消えた被害者から被害届け出てたから、捕まえといたけどな」
渡辺もバイクの女の方を見る。
「あいつは探偵だよ。この手の事件がおきるたびに、事件現場に現れる。確か名は瀬良とか言ったかな」
204175:03/08/28 23:24 ID:SskUeAiu
市街路上
青年が歩いている。
「ちっ、ろくに金持ってねぇな・・・って、カツ上げ仕掛ける奴等が金持ってるわけないか」
青年の後ろにはうめき声を上げる男が数人倒れている。
「・・・ん?」
と、突然青年の横のガラスがゆがんだと思うと、そこから突然爪を持った怪物が現れた。
そして怪物・・・モンスターはは、青年に向けてその爪を振り下ろした。

市内ファミリーレストラン
「!!!」
ハンバーグ定職を食べていた長瀬が突然立つ。
「・・・いたの?」
結城が長瀬が立ったことでこぼれた水を拭く。
「じゃあ、とりあえず朝の喫茶店で落ち合いましょうか。ここは私が払っておくから」
「ああ、頼む」
長瀬は定職の残りを口に掻きこむと、走ってレストランを出て行った。
そして、その脇の小道に止めてある黒い車に向けて、ポケットから取り出した四角いものをかざす。
牛の角が刻まれた四角いもの・・・カードデッキ
そして、ベルトが長瀬のスーツに装着される。
「変身!」
ベルトにデッキを入れる。そして次の瞬間、長瀬の体が変わる。仮面ライダーデュエルという姿に。
205175:03/08/28 23:24 ID:SskUeAiu
MW(ミラーワールド)
デュエルの前に立っているのは巨大なクモの形をしたモンスターだ。
『シュートベント』
一歩下がり、そして呼び出したバルカン砲を装備するデュエル。
そしてモンスターに向けてそれを乱射する。
「グワォォォォォ!!!!!」
だがモンスターも、銃弾の中を突っ切って、デュエルに向けて突進してくる。
「こいつ!」
バルカン砲で防御する。そしてそのままバルカン砲をモンスターにぶつける。
『シュートベント』
第二のシュートベント、ミサイルランチャーを両肩に担ぎ、発射する。
だが、爆炎の中から出てきたモンスターはその形状を変えていた。人方の上半身が増えていた。
そして、その口から糸を吐く。
「なっ・・・」
その糸に絡まれ、自由に動けなくなるデュエル。
「まだだ!」
もう一度ミサイルを発射する。だが、そのミサイルはことごとく糸で絡め取られ、空中で爆発する。
両手を押さえれれ、カードを引くことも出来ないデュエル。
そのデュエルに、モンスターの長く鋭い足が迫る。
だが、その足はデュエルに命中する前にデュエルに絡まった糸ごと切断され、地面に落ちた。
「あ・・・」
デュエルの前に立った影、それは剣を両手に持った白いライダーだった。
『トランスベント』
そして白いライダーは2本の剣を合体させ、長い剣にする。
「グワォォォォォォ!!!!!」
モンスターがすさまじい量の糸を吐く。
『トリックベント』
しかし、白いライダーは分身して、その糸をことごとく切り裂く。
「強い・・が、このままではジリ貧だ!」
デュエルもただ見ているだけではない。助けられた借りはかえさなくてはいけないと長瀬が思っている。
『シュートベント』
第三のシュートベント。長い砲身のライフルを構える。狙いはモンスターの頭だ。
206175:03/08/28 23:25 ID:SskUeAiu
「そこだ!」
そして発射された弾が、モンスターの顔に命中する。口から吐く糸の流れが止まる。
そして、白いライダーはここぞとばかりにカードをバイザーに入れる。
『ファイナルベント』
空中で、分身が集まり、同時にエネルギーが集まる。白いライダーの剣が光り輝く。
そして輝く剣が斜めにモンスターを一閃する。
次の瞬間、モンスターが突然凄い速さで足を動かす。だが、さらに次の瞬間、モンスターの足という足が、
どんどん崩れていき、そして胴体も崩壊する。
「やるな・・・あいつ」
そして向き合うデュエルと白いライダー・・・・

同時刻、ミラーワールド
爪を持ったモンスターが倒れていた。
「なめんじゃねぇって」
倒れたモンスターに向けて、鳥の頭を形を模した手甲を打ち付ける。
そして爆発四散するもスター
「ったく、襲うなら相手を選べっての」
その声は、先程爪を持つモンスターに襲われた青年の声に違いなかった・・・

仮面ライダー龍騎〜カマタサイド〜 第1話 END
207175:03/08/28 23:28 ID:SskUeAiu
本当に長すぎ・・・ごめんなさい。
キャラクターの紹介とか、要望があればやりますけど多分ないですよね。
いや、本当に目汚したらすいません。
208名無しより愛をこめて:03/08/28 23:33 ID:98/i6Zgc
乙〜。これから拝読させてもらうけど、とりあえず一言。
作者コメントは、あまり弱気に出ないほうがいいよ(笑
209名無しより愛をこめて:03/08/29 15:14 ID:cxY6OKSM
オリキャラの場合は、何のモンスターと契約してどんな姿をしたライダーなのか
(設定表ではなく)文中の描写で伝えてくれないと、正直イメージがついてこない。
性格設定自体は良さげなんで、がんばって下さい。

あと…誤字脱字はなるべく校正しような。
210名無しより愛をこめて:03/08/29 17:21 ID:yDt99Twc
>>207
そうでもないよ
俺は続き見たい


4、京都のオーロラ

 天城山噴火の夜から一週間ほどがすぎた。東京では、うだるような猛暑が続いている。
夏期休業にはいった城北大学のキャンパスは日頃の喧騒から解放され、降りしきる蝉時雨だ
けが人影もまばらな構内に響きわたっていた。
閑散とした駐車場の片隅では、一人の学生が石段に腰掛けている。眉根を寄せて読み耽って
いる洋書の背には、薄れかけた独逸語の金文字で『心理学概論』と刻んであった。
「相変わらずだな、美杉」
「やあ、筑波か――遠藤から聞いたよ、いろいろ大変だったそうじゃないか」
友人の姿をみとめ、美杉義彦は本を閉じた。その言葉に、軽く肩をすくめて頷く筑波洋。
秘密結社による拉致、密林の野生児、屍体を操る邪鬼。そして、奇怪な術を駆使する謎の軍
人と、天城山で展開される魑魅魍魎の戦争――彼等の体験はあまりにも荒唐無稽すぎた。
結局、地元の警察をはじめ、誰一人まともに信じてくれる者はいなかった。
「なあ…どう思う?」
洋は、義彦に意見を求めた。この友人が世間のオカルトブームに背を向けた懐疑主義者であ
ることはよく承知している。だからこそ、彼の分析に興味があった。
「…そうだな。アマゾンから来た野生児だったか?あれは実在すると思うよ」
意外な返答に驚く洋。義彦は、悪戯っぽい笑みを浮かべた。
「なにしろ、俺も見たことがあるからな。そうさ、まさしくこの場所で」
血まみれになりながら、全身に針をまとった異形の獣人へと立ち向かっていく野生の男。
古代インカの縄文字をめぐってアマゾンとゲドンが繰りひろげた激闘は、噂好きな学生達の
間では、すでに“城北大学七不思議”のひとつとして語り草となっていた。
しかし、と義彦が続ける。
アマゾンの野生児が実在したとしても、妖怪大戦争めいた話まですべて現実だと認めるため
の証拠になるわけではない。しばらく悩んだすえ、彼は大真面目な口調で言った。
「薬物濫用の可能性は、とりあえず除いていいんだな?」
洋は一瞬あっけにとられ、そして思わず吹き出した。
どこまで冗談のつもりなのか、義彦の言動は時として真意を測りかねる。
それでも不思議と腹立たしさが湧いてこないのは、どこか憎めない性格の賜物だろうか。
「LSDが流行ってるからな、警察でもみっちりと調べられたさ」
「勿論、シロだったわけだ…そうなると『極度の疲労と緊張状態におかれたために、一種の
 集団幻覚に陥りました』とでもいうのが、もっとも簡単で無難な説明なんだろうな」
だが、と義彦が言葉を区切る。
実際のところ、集団幻覚などという陳腐な説を採用する気など毛頭ない様子だった。
「集団幻覚では、説明がつかないことが多すぎる。そもそも、どうやって噴火する火山から
 逃げ延びてこられたのか、まるで見当がつかないじゃないか」
「あの男――加藤保憲は“奇門遁甲”の秘術だと言った」
洋がその名を口にした瞬間、満天を覆っていた蝉の鳴声がぴたりと止んだ。

 ――加藤保憲。そう名乗った軍服の男はおもむろに夜闇へと駆け出した。
溶岩と黒煙の渦巻く悪路であるにも関わらず、彼の歩調は驚くほどに軽やかだった。
「天の九星、地の八卦を知ればあらゆる危険より身を隠し、あるいは敵を窮地へと誘いこむ
 ことが自在となる。これこそがすなわち、奇門遁甲の極意なのだ」
加藤がそう言葉を結んだ頃には、すでに山麓の街灯りが視界でまたたきはじめていた。
「あんたは…いったい、何者なんだ?」
狐につままれたような表情で遠藤が問う。加藤は、にやりと唇を歪めた。
「貴様達が知る必要はない。そう…俺は日本の最期を見届けにきた鬼…それだけのことだ」
軍人は漆黒の外套を翻すと、若者達に背を向けた。
「せいぜい、用心でもすることだ。この噴火などは、はじまりを告げる狼煙にすぎない。
 やがて、磐長姫の呪詛が天を焦がし、この国を灼きはらうだろう。
 …そうだ、俺が待ち望んだ破滅が訪れるのだ!」
暗闇に、不敵な哄笑が響きわたった――
 義彦は、洋の話を反芻するように二度、三度と頷いた。
この話は初耳だった。いくら荒唐無稽とはいえ、日本壊滅の予言となれば流石に穏やかでは
ない。おそらく、遠藤もそんな理由で語ることを躊躇したのだろう。
それよりも気になるのは、加藤が残した予言の内容である。
「磐長姫…というのは、たしか古事記あたりに出てくる女神の名前だったかな?そんな古め
かしい神様の呪いが今頃になって突然降りかかってくると言われてもなあ…非常識な話だ」
美杉義彦の常識は、どこで線引きされるというのだろう。
「しかし、筑波達が“目撃した”という大蛇。あれを、あくまで一種の比喩と捉えてみよう。
 長年抑圧されてきた伊豆の火山帯が、ついに頭上の枷を吹っ飛ばして大暴れをした。
 現実の事件、そのままだ。磐長姫というのも、何かの天変地異を示す言葉かもしれないな」
「俺も、そう思う。あの男は、伊豆地震が起こる事をあらかじめ知っていた。いや、ことに
 よると地下の大蛇を煽りたてて地震そのものを――そんな気がしてならないんだ」
まさか、と義彦は笑った。それはもはや、人間のなせる業ではない。
「俺は、あの男を捜してみようと思うんだ」
洋は、構わずに続けた。
彼の脳裏には、溶岩と津波の濁流に襲われる人々の姿がくっきりと焼きついていた。
「あの男がもっとでかい天変地異を予知しているのなら、被害を最小限に食い止めることが
 できるかもしれない。あるいは、災害自体を未然に防ぐことだって」
危険だ、と義彦は直感した。もちろん、天災を自在に操るなどという話をたやすく信じたわ
けではない。しかし、洋達の話には一笑に付してしまうことのできない“何か”があった。
常人が深入りしてはならない暗黒の領域が、ぽっかりと口をひろげて待ち構えていた。
「停めても聞かない奴だとは思うが――いいか、独りで無茶はするなよ。
 とはいっても、俺の専門分野じゃたいしたフォローはできそうにないが…」
義彦は一枚のメモをしたためると、洋に押しつけた。
「この場所を訪ねてくれ。きっと、力になってくれるはずだ」
「喫茶…ブランカ?」
不思議そうに呟いた洋の声を、蝉時雨がかき消した。
盛夏をことのほか生き急ぐように、蝉達はいつまでも鳴き続けていた。
――8月16日、盂蘭盆会。
京都を囲む山々に、紅の文字が浮かびあがる。鳥居、左大文字、船型、妙法、そして東山の
山肌をひときわ鮮やかに彩る大文字。死者の霊を導く五山の送り火である。
(この光景は、大学にいた頃とまったく変わらないな)
四条通りから加茂川にかけてぎっしりと詰めかけた見物客達を眺めながら、小野寺は思った。
いや、大学の頃どころではない。数十年、数百年と繰り返されてきた光景なのだろう。
時代は移りかわっても、文化は滅びない。
ちょうど、亡くなった祖先が盂蘭盆会になれば地上へと還ってくるのと同じように、日頃は
姿を隠している過去の世界も、定められた時がくれば必ず戻ってくる。
何事も滅びず、何物も死なず――それが、この国の奥底に流れている精神文化なのだ。
(だが、本当にそうなのだろうか?)
小野寺の脳裏を、かすかな不安がよぎった。
本当に、なにも滅びることはないのだろうか?
戻ってくるべき場所、還ってくるべき現在があるからこそ、隠れ去った者も滅びはしない。

――では、還るべき世界そのものが失われてしまったとしたら?

そんな想像に、小野寺は身震いした。烏丸通りを渡った彼は煙草に火をともすと、人混みを
避けるように細い路地へと踏み込んだ。板塀に囲まれた路地を進むにつれて、祭の喧騒はゆ
っくりと夜闇に溶け込んでいく。途切れることのない人波に揺られるよりも、彼方に浮かぶ
船型の送り火にほんのりと照らされながら心地よい古都の夜を味わうほうが小野寺には性に
あっていた。
(それに、今年の祭はどこか真剣すぎる)
皆、変わることなく巡ってくる大文字の山焼きを楽しんでいる。しかし、彼等の表情からは
なぜか不安と焦りが伝わってきた。まるで――今年の夏を逃してしまったら、二度と大文字
を拝めないとでもいうかのように。不安を覆い隠すようにひときわ激しく熱気をほとばしら
せる群集の姿はどこか、ひと夏限りの短い生命を謳歌する蝉の姿を連想させた。
(やはり…誰もが漠然とした不安を抱えている…しかし、それは何故だ?)
 煙草を燻らせながら散策していた小野寺が、不意に足をとめた。
閑静な住宅街のただなかに、格調を感じさせる山門がそびえている。勿論、そのこと自体は
この京都にあってはなんら珍しいものではない。だが、山門の奥には鎮座しているべき寺院
が欠けていた。境内には荒れ果てた草叢だけがひろがり、無惨に焼け落ちたとおぼしき本堂
の残骸だけが中央にぽつりと佇んでいる。
「関係者以外立入禁止」の看板に刻まれた寺号には、なぜか聞き覚えがあった。
数年前、洛中の寺に連続殺人犯が立て籠もり、本堂を道連れに焼身自殺を遂げるという事件
が世間を騒がせたことがある。この廃寺こそは、事件の現場だったのだ。
(…たしか、宗門内の地位継承問題が絡んで再建が滞っている…という話だったが)
なにげなく境内を覗きこんでいた小野寺は、そこに奇妙なものを見た。夏草が生い茂る闇の
なかを、幾つもの人影が駆けている。暗闇に塗りつぶされて顔や服装はよく判らないが、ど
うやら数人の男達が一人を囲み、何事か争っているらしい。
(殺人犯の亡霊…というわけじゃなさそうだな)
小野寺は山門に張り巡らされた荒縄を乗り越えると、鐘楼の残骸らしき建物の陰から様子を
窺った。酔っ払い同士の喧嘩か、それとも学生連中のリンチか。まずは状況を見極めようと
眼を凝らしていた小野寺は、思わずあっと小さな叫びをあげた。
 暗闇で容貌が判らなかったのではない。そもそも彼等には容貌というものがなかったのだ。
腰につけたベルトを除けば、男達の五体は全てが漆黒の色に覆われていた。
黒装束の男達が次々と標的へ襲いかかる。だが、彼等に囲まれた男は微塵もひるまなかった。
あざやかな紅のマフラーを闇にひるがえし、紅い拳が敵を撃ち砕いていく。
(あれは…あの姿はまさか…)
すべての敵を倒したその男が振り返ったとき、小野寺の想像は確信へと変わった。
暗闇に浮かびあがる二つの輝き――真紅の双眸。
「…カイゾーグ!きみは…きみもカイゾーグなのか!?」
小野寺が飛び出した。眼前にいる異形の戦士がたったいま殺伐とした闘いを繰り広げた男で
あることすら、忘れていた。怖れている余裕などなかった。
濃紺の仮面をつけた戦士は、ときならぬ闖入者の姿に一瞬だけ驚いた様子をみせた。
「…本郷…いや、そんなはずはないか」
そう呟くと、戦士は軽く地面を蹴ってふわりと跳びあがった。

「お願いだ、待ってくれ!」
小野寺が叫ぶ。土塀に降りたった戦士が、ゆっくりと振り返る。
彼方に燃えさかる送り火が、飛蝗に似た仮面を照らす。
「カイゾーグ…そうか、敬介に逢ったんだな。残念だが、俺はカイゾーグじゃない」
夏草を掻きわけて歩み寄ろうとする小野寺を、紅の腕がそっと制した。
「来てはいけない。俺達は、闇のなかで闘い続ける戦士だ。関わるべきじゃない」
「しかし…カイゾーグの、彼の能力を必要としている人がいるんだ!」
ようやく巡りあった手掛かりを、逃すわけにはいかない。小野寺は、懸命に語った。
日本海溝で目撃した異変、田所博士が抱く憂慮、そして博士の孤独すぎる戦い――
沈黙したまま耳を傾けていた戦士は、たった一度だけ力強く頷いた。
「判った。伝えておこう。それに――この日本は、俺達が必ず守りぬいてみせる」
真紅の脚が土塀を蹴りあげた。異形の姿が宙に舞う。
「待ってくれ!君達は…何者なんだ!?」
蒸し暑い夜風にのって、薄闇の彼方から言葉が返ってきた。
「俺達は――仮面ライダー」
 小野寺俊夫と仮面ライダー2号が邂逅を果たしていた、その頃。
左大文字を背後に望んだ鹿苑寺金閣の傍では、ふたつの奇妙な人影が交錯していた。
「奇遇だな、加藤」
独逸式の軍服を纏った隻眼の男が、右手を差し出す。
握手を交わした長身の男もまた、旧陸軍の軍服を身につけていた。
「ハウスホーファーの紹介で貴様に京都の案内をしたのは、大正の末だったな」
数十年も昔の、話である。
しかし軍服を纏ったふたりの魔人は、当時と変わらぬ若さを保っていた。
かたや、屍解仙の秘術によって不滅にひとしい肉体を獲た男、加藤保憲。
かたや、ショッカーの改造手術で悪魔の生命を獲たナチス軍人、ゾル大佐である。
「人間のようにモータルなものは根絶することができないのだ。
 そして金閣のように不滅なものは消滅させることができるのだ――か」
ゾル大佐が『金閣寺』の一節を呟いた。
 定命の身を棄てた二人の眼前にそびえている金閣寺だけが、かつての趣を喪失している。
皮肉な逆転を、加藤は嗤った。昭和25年、彼等の知る金閣寺は放火によって全焼したのだ。
金閣の美と永遠性に魅せられ、そして憎悪した青年僧侶による兇行――それは、破壊という
妄念の世界に生きる魔人達の心にもなんらかの感銘を与えたのだろうか?
『私はこの行為によって、金閣の存在する世界を、金閣の存在しない世界へ押しめぐらすこ
 とになるだろう。世界の意味は確実に変るだろう』
危険な悦楽を抱いた青年僧侶は、もはやこの世界に存在しない。
そして、彼の心情を小説に綴った男もまた、既に自刃して冥府へとくだっていた。
三島由紀夫。本名、平岡公威。自衛隊へ紛れ込んでいた加藤の、長年にわたる部下だった。
加藤保憲は、死地へと赴く三島にひとつの命題を与えていた。
帝都東京の地下に鎮座する冥界の大怨霊を討ち果たし、隠されたその正体を見極めよ。
日本を誰よりも激しく呪い、かつ守護する冥府の王。その名を突きとめることは三島自身の
考える霊的防衛のために必要な儀式でもあり、また加藤が求める日本の真なる破壊のために
も欠かせない要素だった。しかし、三島の亡骸が怨霊の名を告げることは遂になかった――
(だが、事態は俺の望む方向に動いている…平岡、冥府で眺めているがよい)
加藤は、昏い微笑を浮かべた。
そんな彼の内心を悟ったのか、ゾル大佐が興味深そうに訊ねる。
「貴様がわざわざ足を運んできたということは…やはり、この京都は終焉を迎えるのか?」
「さあ、な。自分は今のところ、ただの傍観者にすぎん。それより、貴様達こそ何を目論ん
 でいる?洛中の至るところに黒蟻どもが群れなしていたぞ」
「…ふふふ。我々は買いにきたのさ、京都の街をな。ただ、それだけだ」
まさにそのとき。
軍服の襟に仕込まれた通信機が赤く点滅した。
言葉を交わしていたゾル大佐の表情が、驚愕とも歓喜ともつかない興奮に染まっていく。
「どうやら、その前にもてなさねばならない賓客が現れたようだ」
ぴしり、と鞭を鳴らすゾル大佐。
「仮面ライダー、とやらか――それでは、自分は失礼するとしよう」
今はまだ、彼等と兵刃を交えるべき刻ではない。
そう言い残して、加藤保憲は祭見物の雑踏へと消えていった。
 燃え盛っていた送り火も、次第に揺らぎはじめた。現世へと迎えられた死者達の時間は、
まもなく終わりを告げようとしている。家路へ、宿へ、あるいは風雅な夜遊びへと動きはじ
めた群衆のうねりに逆らうように、ゾル大佐だけがその場に留まっている。
やがてそこに、ジャケット姿の青年が現れた。無言のまま、しばし対峙する二人。
「…驚いたな、今度は人違いというわけじゃなさそうだ」
呟いた青年は、肩に提げていたカメラを構えた。フラッシュに偽装された通信機のスイッチ
を入れると、冗談めかした口調でゾル大佐に呼びかける。
「記念撮影でも、いかがかな?」
「…団体写真はお願いできるのかね、カメラマンくん」
軍人が右手の鞭を振りあげると、周囲で雑談に興じていた見物客達がぴたりと静止した。
二人をゆっくりと囲んでいく群衆の瞳には、およそ生気というものが欠けている。
「いいだろう。場所を移そうか」

 鬱蒼と樹々が茂った鹿苑寺の裏山を、奇妙な一団が登っていく。浴衣姿の娘がいる、老人
がいる、ヒッピー風の若者がいる。誰もが沈黙をまもったまま、かがり火すら焚くことなく
暗闇を歩んでいく。先頭に立っているのは、隻眼の軍人とカメラマンの青年だった。
「この辺りで、よかろう」
ゾル大佐の鞭が、再び一団を制止する。
「貴様…なぜ、甦ってきた?」
「ふふふ、おかしな事を言う。今日は盂蘭盆会だ。俺が地獄から舞い戻ってきたとしても、
 何の不思議もあるまい。違うかな、一文字隼人」
「ならば…消えゆく送り火とともに、俺が彼岸まで送り返してやる!」
構えをとった隼人を取り囲む群衆達。その姿が一瞬にして漆黒に染まる。
「行け、アリコマンドども!」
隊列をなして襲いくる戦闘員。さらに、地中からは異形の影が這い出してきた。
豪腕に鋭い爪をそなえた武骨な怪人、そして岩石を思わせる強靭な装甲をもった怪人。
「出たな、ショッカー怪人モグラング、アルマジロング!」
「少し違うな。我々は新たなるショッカー…“ネオショッカー”だ」
ゾル大佐が高らかに宣言する。怪人達の腰には、NSを意匠した紋章が輝いていた。
 開扉法要を済ませたばかりの鹿苑寺不動堂を背にして、戦闘員達が展開する。
襲いかかってきた戦闘員の一人を右肘で制して勢いよく蹴りあげた隼人は、同時に背後から
迫ってきた戦闘員の腕を掴んで放り投げ、石畳に叩きつけた。
戦闘員達の包囲網を切り崩した隼人が不動堂へと駆けあがり、両腕を水平に構える。
「…変身!」
ゆっくりと両腕を廻転させながら練りあげた闘志を、左中段の構えで身体へ溜めていく。
みなぎる気合をうけて変身ベルトの紋章が開き、真紅の風車が現れた。
「トゥッ!」
跳躍した一文字の身体は風のエネルギーを受け、仮面ライダー2号の姿へと変わる。
長剣を構えた戦闘員の一団が、不動堂から舞い降りたライダーを狙う。鋭い手刀を振るって
戦闘員の手からはたき落とした長剣を構え、縦横無尽に斬り結んでいく2号ライダー。
「勝負だ、ライダー!」
アルマジロングが割って入る。そのあまりにも頑強な装甲の前に、ライダーが振りおろした
長剣はいとも簡単にへし折られてしまった。剣を投げ捨てたライダーは、アルマジロングの
腹部――唯一、装甲の薄い部分めがけて拳を繰り出した。しかし、その狙いを察知していた
アルマジロングは両腕でガードして打撃を受け流すと、ライダーに組みついて狭い石段を駆
け降りはじめた。
低い竹垣に左右を囲われた石段をくだるにつれて、アルマジロングの身体が次第に球状へと
変型していく。アルマジロング必殺の弾丸スクリューボールが、ライダーを轢き潰さんばか
りの勢いで石段を転がり落ちる。
ライダーは、巴投げの要領でアルマジロングを宙高く蹴りあげた。
竹垣を越え、緩やかな放物線を描いて落下しはじめたアルマジロングは、着地点を見定める
ために化身を解き、首を出した。眼下に竜門滝と呼ばれる小さな滝があることをアルマジロ
ングが確認した、まさにその瞬間。装甲に覆われた背に、鈍い衝撃が走った。
自らも跳躍したライダーが、膝をたてた体勢でアルマジロングの背に着地したのだ。
慌てて変型を試みるアルマジロング。だが、その頭部を紅の腕がしっかりと絞めあげる。
背と頸とに荷重をかけられ海老反り状態にされた怪人は、変型能力を封じられていた。
「ライダァァァ…ブランディング!」
滝壺に配された鋭利な庭石が、柔らかなアルマジロングの腹部を貫いた。
 金閣の姿を水面に揺らめかせた鏡湖池のほとり。
庭園へと踏み込んだライダーの眼前には、不気味なほどの沈黙がひろがっていた。
周囲を警戒するライダーの足元で、不意に大地が揺らいだ。地面からのびる無数の腕。
地下からライダーを急襲したのは、アリコマンド隊を率いたモグラングだった。硬い岩盤を
も掘りぬく強靭な槍が、ライダーの脚を狙う。同時に、漆黒の腕が次々とライダーに絡みつ
き、身体の自由を奪おうと試みる。
モグラングの槍を受けたライダーの膝に、激痛が疾る。いかな衝撃吸収にすぐれた人工骨格
といえども、この打撃を何発も受けては危うい。ライダーは拳を構え、闘気を高めた。
そして――渾身のライダーパンチが、大地も砕けよとばかりに振りおろされる。
大気を振るわせ、湖面に波紋を蹴立てるほどの衝撃波。地中に潜んでいた怪人と戦闘員達は
一瞬すべての感覚を遮断された。その隙をつき、鏡湖池めがけて跳躍する仮面ライダー。
「なるほど…水中に逃げ込まれては、戦術を変えざるを得まい」
声は、黄金の伽藍から響いてきた。
金閣の最上層、究竟頂の欄干に姿を現した、異形の影――ゾル大佐の化身、狼男である。
鍛えぬかれた肉体を覆う、黄金の毛皮。その姿は、あたかも寺院を護るガーゴイルの魔像で
あるかのように金閣と調和して奇妙な美を誇っていた。
狼男が五指からロケット弾を発射する。暗闇に閃光の軌跡を描いていく必殺の魔弾。
機銃掃射をうけて、湖面に次々と水柱があがる。紙一重で直撃を避け続けるライダーだが、
今度はモグラングの号令一下、アリコマンド隊が迫りくる。流れ弾すらまったく怖れること
のないアリコマンドの特攻は、確実にライダーの行動範囲を狭めていく。
群がる敵を水中へ叩きこみ、拳で粉砕し、獅子奮迅の闘いを繰りひろげる仮面ライダー。
そのさなか、ライダーは視界にわずかな違和感をおぼえた。
暗視機能を備えた人工複眼に、原因不明のノイズが走る。
「…しまった、罠か!?」
 だが次の瞬間、ライダーは自分の直感が誤っていたことを悟った。
何事だ、これは――狼男が忌々しげに叫ぶ。自律機能に支障をきたしたのか、水中へと没し
ていくアリコマンドの群れ。異変は敵味方を問わず、すべての改造人間を蝕んでいた。
変身を解き、がっくりと片膝をつくゾル大佐。その隻眼が、驚愕に見開かれる。
彼の眼前には、蠱惑的な光景がひろがっていた。それは――

 同じ頃、小野寺は群衆を掻きわけるようにして先斗町の旅館を目指していた。
仮面ライダーとの積極を、一刻もはやく東京の田所博士に報告しておきたかった。
小野寺の心には、焦燥とも罪悪感ともつかない思いが渦巻いていた。
(仮面ライダー…彼等は、人知れず闘い続けている。田所博士もまた、苦闘している。
 俺は…俺はこんな処でいったい何をしているんだ?俺にできることは…)
不意に群衆がざわめきはじめたのを感じて、小野寺は足をとめた。
まあ綺麗、と歓声をあげる娘達。しまいかけていたカメラを構える若者。
彼等は一様に、西の空を眺めていた。そこには――

 比叡山の麓には、危険な薄笑いを浮かべながら京都の姿を眺める加藤保憲の姿があった。
樹々の合間では彼の下僕たる橙色の小鬼達が、きぃきぃと喚きながら踊り狂っている。
月は、まだ東山の稜線を越えていない。漆黒の夜空がひろがっている。
「さあ――時間だ」
比叡の山裾に、生暖かい風が巻きあがる。どう、と唸りをあげて都大路に吹き荒んだ兇風は
左大文字の山肌を掠め、嵯峨嵐山の方角へと駆けぬけていった。と、同時に――
 西の夜空を、翡翠色にきらめく光の帷が覆う。山々の姿が、飴細工のように歪んでいく。
忽然と現れたオーロラの荘厳な姿に、祭見物の群衆は沸いた。あるいは、平安朝の人々なら
ばこの怪異を凶兆と判断し、神仏に祈ったかもしれない。だが、現代に暮らす彼等には畏怖
の心が欠如していた。誰もが、自然のスペクタクルを純粋に楽しんでいた。
そこに、破滅が忍び寄ろうとしていた。

 オーロラの光明をうけて、金閣寺が極彩色の輝きを放つ。ゾル大佐は欄干にすがるように
してどうにか立ちあがると、それでもなお軍人らしい毅然とした姿勢で三層の楼閣を降りて
いった。仮面ライダーが待ちうける鏡湖池は、湖面全体がネオンのように発光して見えた。
地上へ降りたったゾル大佐のもとに、モグラングが躍り出る。
鋼鉄の豪腕と槍をもつ怪人は、あろうことか己の指揮官へと襲いかかってきた。
「…愚か者め!」
ゾル大佐の構えた鞭が、宙に唸りをあげる。
オーロラが放つ魔性の光――尋常ならざる地磁気の歪みによって、地底怪人モグラングは完
全に錯乱していた。視覚をもたず、聴覚と磁気のみを頼りに地中を掘り進むその特性からす
れば無理からぬことかもしれなかった。
怪人が、出鱈目に槍を繰りだす。ゾル大佐は、無軌道な攻撃を鞭一本で軽くあしらった。
「貴様の相手などしている暇はない!」
電磁鞭の一撃が、的確に怪人の駆動回路を灼く。
ゆっくりと頽れるモグラングの巨体に一瞥をくれると、ゾル大佐は叫んだ。
「…待たせたな、ライダー」
 鏡湖池のほとりで対峙する両雄に、翡翠色の光が降り注ぐ。
唸る電磁鞭。ライダーの手刀が鞭を払いのけ、高圧電流の火花が散る。跳躍したライダーの
蹴撃を、ゾル大佐が正面から受けとめる。衝撃波が大気を揺らす。
拳を中段に構えたライダーと、電磁鞭をかざすゾル大佐。互いに挙動を見据えながら、必殺
の一瞬を求めてじりじりと間合いを詰めていく。やがて、ふたつの制空圏が触れあおうとし
た、まさにその瞬間――小刻みな震動が大地の底から湧きあがってきた。
踏みしめた両脚をすくわれて、二人の体勢が崩れる。
一拍の猶予すらなく、激しい横揺れがはじまった。金閣の屋根が音をたてて軋む。
(初期微動がほとんどない…震源は近いな)
京都の街に、どれほどの被害が出ることだろう――戦慄が、ライダーの集中を崩した。
刹那の隙をついて、ゾル大佐が跳躍する。一瞬のうちに黄金の魔狼へと転じたゾル大佐は、
ライダーの喉笛に噛みかかった。世界のすべてが水平に攪拌され続けるなかで、二人の戦士
は縺れあったまま鏡湖池へと転落した。

 水面は、妖しい輝きを増していく。磁力の渦がうねり、雷のような火花が、大気に散る。
方丈からようやくの事で避難してきた僧侶達が、どよめきの声をあげた。
湖畔の緩やかな地盤が、金閣寺の重量を支えかねて脆くも崩れはじめている。
大きく傾いた三層の楼閣が、今、翡翠色の水面へと滑り落ちていく。
「ライダァァァァァァッ!」
狼男の絶叫は、金閣寺が倒壊する轟音に掻き消された。

――そして、静寂が訪れた。
                                       (つづく)
225情報:03/08/29 20:56 ID:OKadVLxr
「仮面ライダーファイズ ザ・サイドストーリー」
「仮面ライダー龍騎〜赤龍戦士伝説〜」
は、不人気の為打ち切りにします。
ですが、特別総集編を放送予定なので、しばらくお待ち下さい。
226 ◆HqKATooXaI :03/08/29 21:10 ID:OHE5wukN
そんなわけで、こんばんわ。

キリのよい場面まで一気に進めたら、通常の倍になってしまいました。
おまけに「本文長すぎエラー」を途中2回ほど喰らったおかげで、区切りを
あちこち修正するはめに。行数制限はともかく、文字数はチェック忘れが
多くて冷や汗ものです。あと、連投規制の噂とかもあるし。
進行上、しばらくはいろいろライダー以外の要素が増える傾向にあるので
少し毛色の違ったサイドストーリーでバランスを取ろうと考えてます。

それでは、いずれまた。
227前スレでレスした奴(汗:03/08/29 22:20 ID:z3TuZANV
>>195
まずは415さん、おかえりなさい。
前スレで継続発言されてから幾歳月(w
待った甲斐があったというものですYO!
ぶっちゃけおやっさんスレで最初にレスさせてもらったのも私でして、
あの描写に痺れてから最後まで読み遂げる気持ちを固めてしまいましたので。 
多少の遅延は気にせず是非、このクオリティでラストまで突っ走ってください。楽しみにしてます。

しかしバラ姐さんと一条さんの先行きが気になるのゥ・・・(そこかよ)
228名無しより愛をこめて:03/08/30 07:50 ID:kjxrwOS5
>>226
相変わらず凄まじい、の一言
やはり日本沈没を読んでおいた方がいいのだろうか…
229名無しより愛をこめて:03/08/31 10:37 ID:uvIeR5Vz
>>226
久しぶりに「金閣寺」「午後の曳航」「鏡子の家」を読み直しているところです。
「帝都物語」は読んだこと無いんだけど、読もうかな。
230名無しより愛をこめて:03/08/31 14:06 ID:CpAPKnM2
日本沈没面白いよ
231415 in おやっさんスレ:03/08/31 22:35 ID:58dpoFrX
>>196-198
ありがとうございます……
お待たせしてしまって、本当に申し訳ありませんでした。

>北條と小沢の再会
北條さんは、全体的にちょっとかっこよくしすぎたかなーと思ってたところです。(笑)
今の555での活躍(?)ぶりを見るとよけいに。(笑)

>携帯を至近距離で使う薔薇姐さん
薔薇姐さん、書いてて楽しいです。
いえ、ああいうギャグシーン(?)だけでなく、描写のひとつひとつに力が入るというか。
一条さんもそうですね。……単にひいき?

>子供たち
実は、ほとんどいきあたりばったりだったり。
特に一輝くんなんて、ギリギリもいいとこで登場が決まりましたから。
余裕があれば、紗綾香ちゃんは出番を少し増やしてあげたい気がします。つまり私が書きたいだけですが。(笑)

>>227
た、ただいま戻りました……。(汗)

>おやっさんスレでのレス
うわ……
もう、なんていうか、あのレスがあったから今の本編があるわけでして。
……ありがとうございます。
プロローグは今読むと、緊張のあまり肩に力入りすぎててアレなんですが(苦笑)、
でもそう言ってもらえるとほんとに嬉しいです。

>薔薇姐さんと一条さん
私も気になります。(笑)
次のシーンが、ふたりにとってのちょっとした山場になる、かな?
そんなところです。
232名無しより愛をこめて:03/09/01 09:57 ID:NwDSVFGm
わし、沈没さんや415さんの方が、評判の某二次創作小説より好きだよ
(この辺は趣味の問題だから、ファンの人許してな)
次を楽しみにしています
233名無しより愛をこめて:03/09/01 20:27 ID:6asfkT1a
書かれてあるけど、キャラの描写が薄いと思う。>175の作品
234175=カマタサイド:03/09/01 21:34 ID:OacvmapG
第二話投下します。長いけど許してください〜

ミラーワールドに二人のライダーが立っている。
片方は長瀬唯斗が変身した仮面ライダー、仮面ライダーデュエル
グレーのボディに紺色のアーマー、右手に持ったバイザーはショットガンのような形状をしている。
そして、デュエルの前に立つライダー、先程ファイナルベントでモンスターを撃破したライダー
仮面ライダーヴァイス・・・白いボディと、鮮やかな色のアーマーが近くのガラスに反射していた

仮面ライダー龍騎〜カマタサイド〜 第2話 目覚める街〜後編〜

向き合ったままの二人のライダー。
ヴァイスもデュエルもカードを引こうともせず、立ち尽くしている。
だが、ヴァイスが動く。ゆっくりとデュエルに近づいてきた。
その動きに対して、ゆっくりとバイザーを構えるデュエル。
「何故、ライダーになった?」
そこで、ヴァイスがデュエルに問いた。その質問にデュエルは驚いた。
長瀬が神崎から聞いた話によれば、「ライダーは敵」のはずだった。
敵の事情を知って、それで戦えるのか?
それがライダーの戦い方かもしれない。だが、デュエル・・・長瀬は目の前のライダーの質問に答えた。
「俺は、モンスターを倒す・・・ライダーと戦う理由はない、引いてくれ」
デュエルは目の前のライダーから一撃を受ける覚悟をしていた。だが、目の前のライダーは止まった。
「本当・・・ですか?」
無言で頷くデュエル。
「俺も、ライダーと戦う気は無い・・・ミラーワールドはあってはならない。当然、モンスターも・・・そう思っている」
と、そこまで言ってヴァイスはデュエルを見る。敵であるはずのライダーを前に、最低限の警戒しかしていない。
「まさかな・・・」
と、二人のライダーの上空から何かが降ってきた。
「モンスター!まだいたのか!」
235175=カマタサイド:03/09/01 21:34 ID:OacvmapG
すかさず身を翻すデュエルとヴァイス。モンスターは攻撃に失敗するや否や、ジャンプでビルの屋上まで逃げる。
「逃がすものか!」
すかさずカードを引き、ガントレット状のバイザーにセットすヴァイス。
『アドベント』
ヴァイスの契約モンスター、ヴァイスホーンが何処からともなく駆けてくる。
「上に跳ぶんだ!」
すかさずヴァイスホーンに飛び乗る。そしてヴァイスホーンがそのまま跳躍する。
「・・・これは困った」
一人取り残されたデュエル。

ビルの屋上には数体のガゼルのモンスターが動き回っていた。
「ビルの中の人達を襲うつもりだったのか・・・やらせるか!」
ガゼルの群れに飛び込むヴァイス。だが、武器のベントカードは先程使ってしまった。
だが、武器を使わない素手の戦いでも、ヴァイスはモンスターを圧倒する。
「キィーーーー!!!」
奇声を上げながら、モンスターが群れでヴァイスに襲い掛かってくる。
『アクセルベント』
だが、突然の高速移動にモンスター達は着いていけず、さらに後ろからの一撃を空中で受けることで
次々とビルから落下する。
236175=カマタサイド:03/09/01 21:35 ID:OacvmapG
「・・・ん?」
そろそろ帰ろうかどうか迷っていたデュエル。
そんなデュエルの上からモンスターが次々のモンスターが降ってくる。
「あいつ・・・本当にやるな!」
次々と落ちてくるモンスターをバイザーで狙撃する。
銃弾を受けたモンスターは着地に失敗し墜落する。
「さて、とっとと決めるか!」
もうモンスターが落ちてこないことを確認したデュエルは、ダメージで上手く動けないモンスター達から距離を取る。
『ファイナルベント』
空の一点が輝いたと思うと、そこから何かが降ってくる。
牛の頭を持つ鋼の巨人・・・ダイナギガが空中から飛来した。
地響きを上げ、アスファルトに小さなクレーターを作り、煙が舞い上がる。
「っと、これを使うのは二回目だな・・・しっかりと全部に当たれよ」
そしてダイナギガの背中にバイザーをセット、引き金を引く。
ダイナギガが咆哮し、下半身からはミサイル、左手のガトリングガン、右手のライフル・・・次々と火を吹く。
そして、モンスターの爆発が連鎖し、大爆発を起こす。
「ふう・・やったな」
爆煙の後にモンスターがいないことを確認し、ダイナギガにモンスター達の魂を与える。
そして、そのデュエルの横にヴァイスが降り立つ。
「すまない、倒させてしまって」
ダイナギガを撤収させるデュエル。
「さて・・・」
と、デュエルが切り出した所だった。
「む・・・」
「くっ・・・」
二人のライダーの体は粒子化を始めていた。走り出すヴァイス。
「行ったか・・・俺も戻ろう」
デェエルも鏡から出る。
237175=カマタサイド:03/09/01 21:35 ID:OacvmapG
路地
「10分も経ってないんだよな・・・」
長い時間のように感じられる。
「辛い仕事だ・・・な」
ゆっくりと、結城と待ち合わせた場所に向かう・・・COSMOSへ・・・

COSMOS
「やけに遅かったけど、何かトラブルでもあったの、唯斗?」
結城は三時間以上待った。
「いや、すまん」
長瀬は道に迷っていた。
「相変わらず方向音痴と・・・」
表情から察された。
「ここはそんなに迷うような街じゃないと思うんけど・・・どうぞ」
店の中には朝と同じく、長瀬達と日下部しかいない。
日下部は長瀬が"とりあえず"注文したアイスティーをコースターに置く。
「ふぅ・・」
だいぶ走り回ったのか、長瀬のスーツは汗だくだ。
「やれやれ、クリーニング屋も探さないと」
238175=カマタサイド:03/09/01 21:36 ID:OacvmapG
路上
「どうしてこうなるかなァ・・・!」
青年が一人立ち尽くしている。
昼時、チンピラを打ちのめし、モンスターに襲われ・・・それを粉砕した青年だ。
ラフな服装で、破れたジーパンや、つぎはぎのあるジャケットを着ている。
ラフというか、貧乏と言った方が正しいかもしれない。
「財布・・・またかよ」
4桁も金額が入っているわけでもなく、カードが入っているわけでもないが、それでも大切な財布だ。
「ジャケットのポケットの底が抜けるとはなぁ・・・これが落ちた音で気付いた時には遅かった・・と」
青年の手には薄い赤紫色のカードデッキが握られている。
と、後ろからバイクのエンジン音が聞こえてくる。すかさずズボンのポケットにデッキをねじ込む。
真っ黒なバイク、それに乗っているのは女だ。数時間前、渡辺という刑事が『瀬良』と呼んだ探偵。
「あんたの?」
瀬良は青年の目の前に透明のビニール袋に入った紺色の財布を提示した。
「あっ・・・俺の!」
すかさず手をだし取ろうとするが、その手は空振りする。
瀬良がすっと財布を持ち上げたからだ。
「んだよ!俺のだって」
更に手を伸ばすが、瀬良はひょいひょいとそれを避ける。
「じゃ、確認。あんたの名前は?」
「瀬川・・・瀬川章吾だよ」
それを聞くと、瀬良はビニール袋から財布を取り出し、それを開けて中に入っていた紙を1枚見る。
「名前違うけど?」
「なわけねぇだろ!」
と、その紙を無理やり奪い取る。
「俺だろ!」
と、その紙には確かに『領収書(内容は省略)瀬川章吾様』と書かれていた。
「字が汚くて見えなかった」
別に汚い字ではない。
「おちょくってんのかよ!」
239175=カマタサイド:03/09/01 21:37 ID:OacvmapG
瀬川が睨みを利かせる。
「別に?」
財布を瀬川に投げる瀬良。
「ただ、三百円も入ってない財布、しかもビデオとかの会員証も無し、札入れはレシートばっかの財布を
必死になって探してる人間がいたから、ちょっと興味があっただけだけど?」
すごい言われようである。瀬川の血管がピクピクしている。
「この女・・・!」
だが、瀬良はそんな瀬川を無視して、バイクで走り去る。
「ちっ・・・」
瀬川は舌打ちすると、取り返した財布をポケットに入れる。
ポトッ
「は・・?」
思わずポケットに手を突っ込む。
「ああ?」
その手に春のそよ風を感じる。足元を見ると、二つのものが落ちている。
財布と、カードデッキだ。
「おいおい・・・マジかよ」
財布を拾おうとしたとき、いきなり横から誰かがぶつかってきた。
「おっと、悪いな兄ちゃん」
中年の男だ。
「なんだよ、次から次へと」
そして再び財布とデッキを拾おうとすると・・・無い。
三秒沈黙・・・
「あのオヤジ!!!」
すぐさま走り出す瀬川
240175=カマタサイド:03/09/01 21:37 ID:OacvmapG
COSMOS
「店長〜、学校終わりましたよ〜」
長瀬と結城が日下部から「蒲田の美味い店ベスト10」の5位を聞いているとき、景気よくドアが開いた。
そして、ドアから出てきたのは女子高生だ。
「サヤカちゃん、今日は5時からだけど」
日下部は入店した女子高生に言った。
「いやいや、いいですよ別に。暇ですし」
サヤカと呼ばれた女子高生は、カウンターの置くにカバンを置くと、そこに掛けてあった『片桐』という
名札のついたエプロンを着た。
「そっか、じゃあ悪いけどそこのテーブル拭いておいてくれるかな」
「彼女は?」
長瀬が聞いてくる。
「ああ、バイトの・・・」
「片桐サヤカです、よろしく!」
テーブルを拭いてるサヤカから元気のよい挨拶が聞こえてくる。
「今度こっちに引っ越すところの長瀬だ、よろしく」

路上
中年の男を追って走り続ける長瀬。
「見つけたぜ!財布返せ!!」
そして路地裏でついに中年の男を発見する。
だが、中年の男は怯えたような声で言い返す。
「な・・・なんだよ、落ちてたんだよ!君のってわけじゃないだろ!」
「寝言言ってんじゃねえよ!」
と、近くにあった空き缶を蹴りつけ、それと同時に走りこむ。
「わわっ!!」
驚いた中年の男の右手にチョップを食らわせ、右手に持っていたものを取り返す。
「んで、これはもっと大事なものだからなァ」
男が右手に持っていたのはカードデッキ。そして財布は左手だ。
241175=カマタサイド:03/09/01 21:38 ID:OacvmapG
「乱暴だぞ、警官を呼ぶぞ!」
怯えた声で逆上する男。
「ハァ?あんた、これからサツ呼べたとして、来る前に俺があんたをボコって逃げるまでにサツが
間に合うと思ってんのか?」
「なんだよ・・・呼んでやる、呼んでやるぞ!!」
と、男が叫ぼうとした時だった。
キィィィィィィィィィン!!!!!
「!!!」
瀬川がその音に反応した次の瞬間だった。
「助け・・・どわっ!!」
目の前の中年の男の姿が消える。
「モンスターかよ・・・って、俺の財布まで一緒に食いやがった!!」
瀬川はカードデッキを握り締め、男が吸い込まれたガラスの前に立つ。
そして、『両目が正面を向いている鳥』が刻まれたカードデッキを掲げる。
「変身!」
瀬川が変わる。赤紫の装甲と、限りなく黒に近い茶色のボディーの姿に。
そしてミラーワールドに飛び込む。

COSMOS
店内に長瀬たちは既にいない。かわりに数人の客がいる。
「!!」
日下部が突然カウンター席を立つ。
「どうしたんですか店長?」
突然のことに不思議に思ったサヤカが聞く。
「悪い、浜村がもうすぐ帰って来るから、それまで店を頼む!」
と、エプロンを外し、店の外に駆け出した。
「えっ、店長、お客さんいるのに!」
そのまま店を出て近くの人のいない路地にはいる。
そして、おもむろに胸ポケットから四角いものを取り出す。
白い・・・白い角が刻まれたカードデッキ。
「変身!!」
日下部の姿が変わる。白いライダー・・・ヴァイスに
242175=カマタサイド:03/09/01 21:40 ID:OacvmapG
ミラーワールド
「さてと・・・二百六十一円の借りは高いぜ!!」
イェーガが目の前のカバのモンスターに向かってジャンプする。
「オラァ!!」
そして飛び蹴り、踵落とし、掴んで膝蹴りとアクロバットに攻撃する。
だが、モンスターは倒れない。
「カードを使うか・・・めんどくせぇな!!」
しかし、カードを引く前に目の前のモンスターが口を開けた。
「ヲオォォォォォォーーーン!!!」
欠伸のような声。だが、近くの木箱などが音を立てて凹む。
「うっせぇ・・・よ!!」
近くの看板に身を隠し、ボウガン型のバイザーにカードをカードを装填する。
『ナスティベント』
イェーガの斜め上に巨大な猛禽類が飛来する。
「へっ、やっちまえ!!」
「!!!!!」
表記不能な音波が猛禽類・・・イェーガの契約モンスターのヤクトホルスから放たれる。
カバのモンスターは地面に倒れるが、すぐにまたち、イェーガに突撃してくる。
「ちっ、地面にはいつくばってろよ!!」
看板を盾に、攻撃をかわすイェーガ、そしてカードを引く。
『シュートベント』
再びヤクトホルスが飛来し、その背中が光る。
そして、イェーガの背中に光った部分と同じ翼が装着される。
「来れるもんなら来いってんだ!!」
そして飛翔する。モンスターは上空を見上げる。
「俺の財布の恨みを背負って地獄に行きやがれ!!」
翼から次々と『薄い何か』が放物線を描いてモンスターに迫り、命中する。
「グオワァァ!!」
命中した『薄い何か』が爆発し、モンスターの叫びが聞こえる。
「ほらほら、じゃあ・・・な!!」
さらに4枚放たれた薄いミサイルがモンスターを粉砕する。
243175=カマタサイド:03/09/01 21:42 ID:OacvmapG
同時刻、ヴァイスも戦っていた。
「こいつ・・・」
戦っているのは、数時間前に倒した蜘蛛のモンスターの、下半身まで人型になった姿だ。
モンスターは糸をロープウェイのように使い、アクロバットな動きでヴァイスを翻弄する。
『ソードベント』
双剣を装備し、モンスターに斬りかかる。だが、モンスターは紙一重で避ける。
そして、近くの建物に垂直に登る。
「ならば・・・」
ヴァイスはカードを1枚引き、モンスターに向かってジャンプする。
「ハッ!!」
そして、空中でカードを持っている手の剣をモンスターに投げつける。
「!!!!」
しかし、その剣は相変わらず紙一重で避けられる。しかし・・・
「これで・・!」『トリックベント』
その避けられた剣を手に取り、さらにモンスターに投げつけるライダーがいた。
ヴァイスだ。そのヴァイスは更にモンスターに剣を投げる。
だが、それも避けられる。避けられた剣は向かいの建物の屋根に向かう。
しかし、またその剣をヴァイスがキャッチし、投げる。
モンスターが辺りを見回す・・・モンスターは8人のヴァイスに囲まれていた。
そして、八人のヴァイスは一斉に剣を投げる。
「ギャァァァ!!」
八つの方向からの攻撃は流石に避けられず、その半分がモンスターに命中する。
『ファイナルベント』
地面に落下したモンスターの前に、いつの間にか一人になったヴァイスが立っていた。
そして、立ち上がる前のモンスターを輝く双剣で十字に切り裂く。
「ギャァァァァ!!」
叫び声を上げながらモンスターは激しく動き回る。しかし、その動きが止まる。
直後、モンスターの体から白い光が放たれ、爆散する。
244175=カマタサイド:03/09/01 21:42 ID:OacvmapG
その爆煙をミラーワールド内のビルの頂上から見つめる影があった。
コートを着た男・・・神崎士郎
『この街で・・・いろいろ試させてもらおう・・・』
そして、数枚の紙を握る。だが、突然の風にその紙の束は空中に舞う
明らかに20枚以上の紙が舞う・・・その全てに、別の色のカードデッキの写真が添えられていた。
245175=カマタサイド:03/09/01 21:51 ID:OacvmapG
というわけで第二話・・、最初にも書いた。長すぎ・・・
とりあえず195氏や211氏の作品のハイレベルさに脱帽中也
>>208〜210
感想有難うございます。
>>233
今回はまずライダーの描写を出来る限り細かくしてみました。
キャラ描写のほうは・・・主人公(のはず)の人がうまく描けてない
区切りも悪いし・・・これからがんばります。もう少し付き合ってください
それでは
246名無しより愛をこめて:03/09/04 18:26 ID:TOex0Vet
どうでもいいですよ♪
247名無しより愛をこめて:03/09/04 20:01 ID:SALKjGS0
ダイナギガは結構クルものがあるね。
248名無しより愛をこめて:03/09/04 20:32 ID:uQj+Gupi
まあSS書きの皆さんはがんがれと。
自分もなにか書きたくなってきたが。
249名無しより愛をこめて:03/09/04 21:26 ID:7cpMCdTT
>沈没 様
小野寺が本郷にそっくりという趣向なら、「エスパイ」の田村も出してくれませんか
250名無しより愛をこめて:03/09/05 21:22 ID:LxPffcFw
age
251沈没 ◆HqKATooXaI :03/09/05 22:59 ID:Q/gT+f2z
こんばんわ、沈没作者です。
御感想下さった方、ありがとうございます。
「日本沈没」をはじめとする関連映画・小説にも興味を持っていただけて
嬉しいですね。お暇の際にでも、ぜひ一度ご覧下さい。
かくいう自分も、十年ぶりに「帝都物語」を全巻集めてみたり、
「金閣寺」が欲しかったはずなのに、そのままずるずると三島由紀夫に
ハマりつつあったり。
でも、昨日借りてきた資料ビデオが「女教師 生徒の眼の前で」なのは微妙。

「エスパイ」を絡めるのも面白そうですね。同じ顔が3人並ぶとさすがに
暑苦しい、もとい不自然なので設定を借りるような方向で使えないか
考えてみます。(藤岡弘ネタは他に1、2作品キープ中。お楽しみに)
252有紀:03/09/05 23:17 ID:IJViFeRQ
253名無しより愛をこめて:03/09/05 23:24 ID:tzVrpXEc
>>251
「エスパイ」だとマリア原田(由美かおる)を出すとかね。

日本沈没映画版の小野寺俊夫とテレビ版の阿部玲子、夢の共演!!

・・・スマン、忘れてくれ(w
254HandcuffsAndMasks(6) ◆mgnDzvZ1fc :03/09/06 22:43 ID:YGvK0189
一条:real world
コートの男は言った。あの男を助けたいか、と。
再び混乱が俺を襲う。一般市民の避難は完了したのでは?
いや、そうじゃない。
俺は作った睨み顔を何とか維持しながら耳鳴りと痛みの収まらない
頭で考える。

「・・・何か知っているのか。」
我ながら馬鹿な質問だ。彼の話を考えれば、
彼があの怪物の情報を得ているのは明らかなのだから。
「あの男・・・未確認生命体4号を死なせずにすむ方法が一つだけある」
「方法・・・?」
オウム返ししかできない。男の持つ違和感と頭痛が相まって、
俺の思考はほぼ無くなっていた。

「これを見ろ。」
男が投げてきた四角く、薄い箱のような物をキャッチする。
その衝撃で俺の足が限界を迎え、背中を地面に付けたとき
視界に入ったガラスに、不思議な空間が広がっていた。
そこには俺の倒れた倉庫街が写っている。だがそれは風景が反射
した物ではないことは一目で分かった。

なぜならその異様な雰囲気、そしてそこは俺が映っていなかった。
その代わりに存在していたのは、赤いクウガの五代、そして・・・
255HandcuffsAndMasks(6) ◆mgnDzvZ1fc :03/09/06 22:43 ID:YGvK0189
須藤:mirror world
ため息が出る。仮面の上からでは彼らには分からないだろうが、
不快だということは変わらない。
結果に関係無く、誤算という物は嫌悪感を煽る。
今このミラーワールドにいるのは私の計画していた人数より一人多い。
仮面ライダーシザースとなった私の他に2人。そして、予想外の人物
未確認生命体4号だ。

「おいあれ4号だよ!ホントにいたんだな4号って。」
「何を言ってる。」
「いやさぁ、もう6年前だろ?あっという間だったしさ。」
私を呼びだしてきた二人が、会話している。
あの男は6年前から成長していないのではないだろうかとふと思う。

だが私も驚いている。まさか4号がこんな場所にまで入ってくるとは。
だが何故?・・・まぁ先ほどまで行動を共にしていた人物を考えれば
答えは明白なのだが。
「人間・・・なのか。」
4号が声を発した。やはり彼だった。
「そうですよ。他に何があるというんです?五代さん。」
私も己の正体を知らせてやる。
256HandcuffsAndMasks(6) ◆mgnDzvZ1fc :03/09/06 22:45 ID:YGvK0189
「その声・・・須藤さんなんですか!?」
「そうですよ。」
「よかった、無事だったんですね。でも・・・その格好は一体何なんですか?」
訝しげに尋ねてくる。どうやら今の私の姿は相当怪しいらしい。
私からすれば彼も同じようなモノに他ならないのだが。

さて、4号の疑問に答える前に一つ行動のをとる。
私は金色のプロテクターで覆われた拳を、彼の顔に思い切りたたきつけた。
「ぐっ!な、何するんですか!」
「今からそれを説明しようというんですよ、五代さん。私が何をしてきたかを含めてね。」
私は、このゲームの参加者である彼ら二人に注意をしつつ、
4号に言葉を投げつける。
まずはこのゲームの概要からか・・・。
時間切れになる前に済ませなければならないな。
257HandcuffsAndMasks(6) ◆mgnDzvZ1fc :03/09/06 22:47 ID:YGvK0189
一条:real world
「そんな馬鹿げたゲームがあってたまるか!」
俺は胸元から銃を出し、神崎士郎と名乗ったその男に向けた。
立てない自分がもどかしい。
「とりあえず、署まで来て貰おうか。」
神崎はそれに答えなず、沈黙が訪れる。
その状態に耐えられるほど今の俺は冷静を保っていなかった。
神崎の動きを封じるため、足に狙いを定め引き金を絞る。

渇いた音と共に飛び出した鉛の玉は
神崎の太股を目掛け、迷いもせずに進んでいく。
だが、銃弾は神崎に当たらず、彼の後ろのガラスを砕いただけだった。
明らかに神崎をすり抜けた。そしてその直後、彼は俺の背後に移動していた。

「俺はお前の願いを叶える方法を教えただけだ。お前の、友である五代雄介を
正常な肉体に戻したいという強い願いを感じてな。」
神崎の移動に気づかなかった俺は、自分の意志とは関係なく、
今の体の状態では考えられない速度で振り向いていた。
「俺はそんな物に参加する気はない!」
「お前の感情は関係ない。ゲームには参加して貰う。お前が選択出来る道は次の二つだ。
他のライダーと戦い、願いを叶えるか、戦わずモンスターに喰われるか。」
258HandcuffsAndMasks(6) ◆mgnDzvZ1fc :03/09/06 22:48 ID:YGvK0189
須藤:mirror world
私の計画はこうだった。
設置からこの方、生殺しの状態だった未確認事件対応対策班に
ミラーモンスターに繋がるような報告書を提出し、行方不明者の中に
私が殺した加賀友之の名前を入れておく。
ボルキャンサーに適当に人を襲わせ、目撃者を作り、通報させる。
あとは私が数人の前でボルキャンサーに襲われ、ミラーワールドに入ったところで
ライダーに変身し、姿を眩ます。今まで襲った人間の様子からある程度は
ミラーワールド内でも行動出来ることは分かっていた。

これで私は、加賀殺害の罪を問われることなく社会からも解放され
自由に行動することが出来る。金は加賀から奪った取り分を含めかなりの量がある。
このゲームが終わるまでなら悠々と暮らしていけるだろう。
どうせ警察はこのゲームに踏み込むことは出来ないし、少しくらい情報が漏れたところで
捜査は進まない。影響といえば私が人間を襲ったことが、
ミラーモンスターの行動だとみなされるぐらいだろう。
このついでに、わざわざ私を呼び出してきた彼ら
・・・仮面ライダー龍騎に騎士も、
経験の少ない内に始末しておけば、私はより頂点に近くなる。
259HandcuffsAndMasks(6) ◆mgnDzvZ1fc :03/09/06 22:50 ID:YGvK0189
だが、第4号がこの場に現れたことで、私の仮定は根底から覆る。
4号がミラーワールドに入ることが出来るということは、
すなわち警察の、このゲームへの介入を意味している。
龍騎などは機会があればこのゲームを喜んで警察に話すだろうし、
それによって参加者が常に警察にマークされるというのも芳しくない。

「だから、貴方を今殺さなければならないんですよ。五代さん。
旧未確認生命体関連事件合同捜査本部もそうだったんでしょう?
貴方が実働隊、警察はそのフォロー。
その方法でこのゲームに土足で入られては困るんですよ。」
わざわざ手間が増えたのは面倒だが、
私の話を聞いた4号の狼狽が、あまりにも酷かったことで
見返りは十分だ。
自分の顔を隠しているのが役に立っていない事を理解しているのだろうか。
それに・・・楽しみもいくつか増えた。

   【ストライクベント】
右手に装着された大鋏で、未だ新たな動きを見せない4号の腹を突き刺す。
「はぁっ!」
4号の口から息がしとどに漏れる。咄嗟に腕でガードしたようだが、鋏の先端は
堅い上皮に覆われた肉まで入りこんだのは間違いない。
この感触だ。これがあるからライダーは止められないのだ。
そして、4号の魂を我がボルキャンサーに喰らわせたとき、
私はどれほどの力を得ることが出来るのだろう。
それを考えれば、私の計画が狂ったことなど、何の意味も無いに等しい。

(つづく)
260HandcuffsAndMasks(6) ◆mgnDzvZ1fc :03/09/06 22:52 ID:YGvK0189
ようやく続きが出来ましたが、どうも不本意・・・。
文章って難しいなぁと改めて実感しますた。実感だらけですが(´・ω・`)
あと、設定よりTV画面から受ける印象で話を進めてますので、
設定との矛盾は十分分かっているつもりですが、ノーツッコミでおねがいします。
では、次回まで待っていてくれる人がいますように

あ、蟹は次回であぼーんです。やはり早々に散るが蟹でしょう( ̄ー ̄)ニヤリッ!!
261名無しより愛をこめて:03/09/06 23:13 ID:1td3gvLj
そういえばHeat君ってどうしたんだろ?

262蟹派:03/09/07 09:03 ID:ZzMGyLCQ
>>260
いやー面白い!・・・と断言しておいて・・・
次回であぼんだとう!
蟹派としては気に食わない
つーか原作で早く死んだからって必ずそうしなければならないってのはどうかと
どうせならしぶとく生き延びて龍騎もナイトもぶちのめして悪の頂点を極める蟹様がはっきり言って見たい!
いや、マジで・・・。
263HandcuffsAndMasks ◆mgnDzvZ1fc :03/09/07 12:17 ID:T57tZfQf
>>262
とりあえず蟹はクウガ世界と龍騎世界を繋ぐノリ
として使いやすかったんです。
一応龍騎はTV版を基準にする予定なので、
まずはアレンジせずにおいて、少しずつ俺色を付けていくのが
最良かな、と思いました。

せめて次回は活躍させますので、飼い犬に盛大に噛まれる蟹を
よろしく応援下さい。強い蟹は、最近いらっしゃいませんが
heatさんの方でお楽しみ下さいませ。

あと257と259の間にコピぺミスしました。
以下の文が入ります。無くても良いっちゃあ良いんですが、
結構重要なファクターだったり。今更すいません。
264HandcuffsAndMasks ◆mgnDzvZ1fc :03/09/07 12:17 ID:T57tZfQf
俺は黙っていた。神崎の言うことが全て正確だとしたら、
もし何の嘘もなく話しているとしたら、俺はどう行動すればいいのだろうか。
そもそも彼は何のためにこんな事を?・・・。押し寄せる
疑問に苛まれながら、俺は神崎の次の行動を伺っていた。

「すでにお前の答えは決まっているはずだ。」

心臓が高鳴る。いくら考えてもこの状況で、
俺を目標に神崎が嘘を付く理由は考えつかない。
さらに俺はガラスの中に入り込む蟹の化け物と、それを追っていった五代を見ている。
『ミラーワールド』とやらで行われる殺し合いが実際に行われているのは、
まず間違い無いだろう。さらに神崎の話では、ミラーモンスターは定期的に
人間を襲うということだ。
それを倒す事で自らのモンスターをを強化し、契約を維持する。

・・・動機はともあれ、このゲームに参加する人間と
グロンギの違いはどこにあるのだろう。
異種族を狩ることで自らを強化し、お互い潰し合う。
そんなゲームを人に強要しようと言うのか、
今、俺の目の前にいるこの男は。
・・・そして市民を守るためとはいえ、俺はこんなゲームに
参加するのだろうか・・・。
混沌とした思考の中で、カードデッキの中身を説明する神崎の声を
もはや俺の耳は聞こうとしなかった。
265名無しより愛をこめて:03/09/08 10:42 ID:BIJdKuA6
HandcuffsAndMasks、面白くなってきたなぁ。
アメコミで仮面ライダーやったら、きっとこんな雰囲気。
266名無しより愛をこめて:03/09/11 11:56 ID:91lQZVXk
 
267Heat君:03/09/11 23:37 ID:sFMRCc7P
>>261
とりあえず劇場版555補完スレに潜伏中
268Heat君:03/09/15 01:25 ID:DXzcreLN
↓ヒートのイメージ画(未だ検討中)を描いてみたので良かったら見てね
www.geocities.co.jp/Hollywood-Screen/1311/heat_a.gif
269仮面ライダー Heat on!:03/09/16 02:26 ID:lVpfhWek
↓B案(多分こっちになると思う)
http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Screen/1311/heat_b.gif
270名無しより愛をこめて:03/09/16 18:53 ID:x5HZVtkQ
>>269
もう少し赤っぽいほうがそれっぽい・・・かも
でも、緑が綺麗でイイ!!
271名無しより愛をこめて:03/09/16 22:33 ID:vGASED09
>268-269
顔はB、身体はAがいいと思います。
272仮面ライダー Heat on!:03/09/17 00:55 ID:QydFR+1K
↓C案 (ほぼ俺のイメージ通り、やっとここまで辿り着いた)
http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Screen/1311/heat_c.gif
273仮面ライダー Heat on! :03/09/18 18:55 ID:n9h32WYx
274415 in おやっさんスレ:03/09/18 20:22 ID:AlQG9p3B
「ッと……」
 ふらついた身体を、纏わる強化装甲服ごと、後ろから誰かに支えられた。
 斜めに顔をうわむけて、「本橋さん」と宮瀬雪がつぶやいた。
「大丈夫か」
 彼女の、堅牢な装甲に覆われていてもなお細いその肩に両手をおいて、本橋義衛が気遣いの言葉をかける。
 それから、わずかに笑みを含んだ声で、言いたした。
「水を得た魚だな、まるで」
「わたしが?」
 雪が、肩越しにマスクをさらに持ちあげて、訊きかえす。同時に遠くで、水の撥ねる音がした。雪が蹴りとばしたG4-Aが、いまになってやっと地に背をぶつけたらしかった。
『的を射た表現ではありますけど、本橋隊長。単におもちゃを与えられた子供なんですよ、今のこの子』
 すかさずそんな声がふたりの耳元へとどいた。水野詩織だ。
「なるほど」
 雪のほうをきにしながらも、本橋はいちおう納得の意を表明しておく。雪がおもわず唇をゆるめた。
「ひどい言われよう」
『事実でしょ』
 にべもない。雪がまだ苦笑いをつくりながら、肩をすくめる。
「この『テストタイプ』も、きみにとっては玩具というわけか。さすがだな」
「……サスガって何ですか」
 ぐいと喉を反らせて、雪が長身の本橋の顔を真上にみあげる。少し低めた声で、たずねた。
「いや」
 マスクの内側に笑みをこらえつつ、本橋が微妙に視線をはずして口ごもる。
275415 in おやっさんスレ:03/09/18 20:25 ID:AlQG9p3B
『本庁で極秘に開発中の次世代対未確認生命体兵器、〈G-6〉。そこで採用予定の新技術を、G5システムをベースとして試験的に反映させた特殊強化装甲服。いわばG6の『テストタイプ』。
 開発にたずさわっていた小沢澄子女史の協力によって、現在は私たち特機の管理下におかれている――。もちろん、そのために経た手続きは非公式もいいところなものだけれど。……つまり』
 無線ごしに、詩織が無感情な声音で話しだす。
 淡々としすぎたその説明に、ふたりが顔をみあわせた。
『私たちの、ほとんど切り札なの。G5-Xは。だからね、もうすこし大事にあつかって、雪。いい子だから』
「…………。おい……」
 さすがに雪が絶句した。力がぬけたようにその場にしゃがみこんだ。本橋が顔をそらせ、装甲服の肩を震わせている。雪が咳払いをする。
『波状攻撃がおさまったわ。むこうも警戒してきてるわね。プランB開始まで、今の距離を保っていて』
 冷静な語調をくずさずに、詩織が次の指示を告げた。
「了解……」
「了解」
 あきらめ半分の苦笑いをまじらせた声と、懸命に笑いをおしころした声が、ふたりぶん、揃って返った。


「われわれの扱う機械は、その性質上どうしてもクローズドのスタンドアローンというわけにはいかない。お上の都合というものがありますからね」
 黒い装甲を纏う両腕を胸元に組み合わせ、佐和賢治が言う。
「そこをつかれた。外部との接続〔リンケージ〕をうまく利用されたんです。ここでの障害は表層のものにすぎないでしょう。
 おそらく敵は、いずこかのプロキシ・サーバから、外部のコンピュータ・ネットワークを介して在日米軍基地経由で陸自の中枢〔メイン〕に潜り込み、そこからICSに細工をかましてわれわれの目をあざむいてみせている。手品のタネはそんなところですか」
 あまりに恬淡としたそのものいいに、松村信一郎が顔をしかめた。
276415 in おやっさんスレ:03/09/18 20:26 ID:AlQG9p3B
「しかし佐和、簡単に言うがな……」
「おっしゃりたいことはよくわかります。腐っても陸自の誇る最新鋭のシステムだ。こうもあっさりクラックされるなんて話がそうそうあってはたまらない。
 だが不運なことに、われわれの武器はGシステムであり、そして今われわれの眼前にはだかる『敵』は、その生みの親である小沢澄子なんですよ」
 松村を見返り、佐和は怜悧な声音で言う。険しい顔をいっそう渋めて、無言のまま松村はそれを聞いた。
「システムが完全な使用不能に陥っていないのが不思議なくらいだ。むしろ陸自の技術力に自信を持てましたよ。――さて」
 ディスプレイに視線をもどし、佐和が続ける。
「ルートはある程度絞り込めそうですが……ま、あらゆるレベルにおいて無数のダミーが介されているだろうし、仮にこれを遡行して『逆探知』に成功しうるとしても、今からそれを実行に移している暇はない」
 親指で乾いた唇をなぞる。ひとりごちた。
「とすると……」


 雑然とならぶ大型ビルにみおろされる、広すぎない道路の端。雨をしのぐアーケードの下に、オレンジイエローの小さなバイクが停まっている。
 ホンダモトラ。頑丈なパイプフレームと、荷台〔キャリア〕が前後にせり出したフォルムは小型ながらどこか武骨で、積載された二台のコンピュータの重量も苦にはしていない。
 サイドパネルには、『Yasu SP』のペイント文字。
「さてさて」
 シートへ横向きに腰掛ける小柄な体躯の女性が、唇の端をあげてひとりごちた。
 上下つなぎのうすよごれた白い作業着は、上半身を羽織らずに袖を腰に巻きつけてくくってある。黒のタンクトップから、焼けた肌を露出させていた。
277415 in おやっさんスレ:03/09/18 20:28 ID:AlQG9p3B
 その様相から、一目〔いちもく〕では彼女が『少女』であるのか『少年』であるのか――実際にはそのどちらでもなく、れっきとした成人女性であるのだが――判別はつきにくい。
 ごく短く切られたぼさぼさの髪や体型、そして全体的なしぐさのせいもあるが、その素顔を、ねずみいろの大きなゴーグルが覆っているからでもある。本来彼女の視覚を補う役目を担っているはずの眼鏡は、今は頭髪のうえに追いやられていた。
 ヘッドマウント型のシースルーディスプレイ。
 後方キャリアに積んである二台のタワーコンピュータを中枢拠点〔メイン・サーバ〕として、腰のうしろに提げたウェアラブル・コンピュータと、前方のキャリアにくくりつけられた薄型のノートパソコンにつながっていた。
 そのライトグリーンのレンズには、今も膨大な量のデータが映しこまれている。
 すべて、彼女自身がまったくの趣味で『開発』した代物である。
 この大仰なシステムの現在の役割は、ビルの屋上に展開されているGDCS-FSの統合情報処理〔プロセッシング〕。そして、G5一〇三号機装着員のバイタル・サインの管理である。
 接続は有線でおこなわれ、その各種センサーが感知するあらゆる情報が、デバイス・ドライバを介してG5-S.S.Cへと伝達されている。
「『お祭り』開始から十六分。そろそろ警戒も強まって、連中も次の手を探しだすころあいだね」
 システムのマニピュレイティング・デバイスである厚手の手袋をはめた左手に視線を移し、G5ユニット整備班員・大野保香が言う。手首に巻かれたクロノシュポルトの機械式腕時計は一見非合理ではあるが、それもまた、彼女の趣味性のあらわれといえた。
「きこえるかなマサ?」
 胸元の小型マイクへたずねる。返事はない。必要以上の言葉は決して口にしないのが、流孝正という人物の個性だった。
 慣れきった様子で頓着はせずに、保香は舌をだして上唇を舐める。
「んじゃ、プランB、はじめようか」
278415 in おやっさんスレ:03/09/18 20:29 ID:AlQG9p3B


「隊長、Gシステムと思われる反応をアーマーワンのMDSSが検知しました。方位〇二〇、距離四一〇〇」
 モニターを確認し、キーボード・コンソールを操作しながら、隊員のひとりがそう告げた。
 さらに、
「ホークスリーより入電」
『ホークスリーより指揮車。Gシステムらしき熱源反応。方位一〇〇、距離三八一〇』
 つづけて別の隊員からも報告がある。唐突な展開に、松村があぜんと口をあけた。佐和を見る。
「……どういうことだ?」
「ふむ」
 短い息を吐いて、佐和はかすかに眉をもちあげた。


 ゴーグルの視界に表示される幾重もの画像情報を素早く読みとり、保香が瞳を左右に揺らせた。
「三小だって、無駄にぐるぐる走り回ってたわけじゃないんだよね」
 つぶやく。
 網膜に、ふたつの光る点が映りこんでいた。
 シースルーディスプレイが示すのは、この周囲一体の詳細な地図。光点は、『ニセG5』の所在だ。
 小沢澄子が陸自の中枢システムへ仕掛けた『細工』に便乗して、さらに相手を撹乱する目的で用意した、保香のプランだった。
 彼女のコンピュータをホストとし、任意の場所に中継点を設置することで、虚偽のデータを相手の統合管制システムへ送りこむ。中継に使用するコンピュータとダミーバルーンの各地への設置は、先行した第三小隊がおこなった。
 このタイミングでGシステムの反応があれば、相手にはデリケートな判断が求められる。敵の足もとをぐらつかせ、さらに時間を稼ぐ、一石二鳥の策略だ。
 おおきく背を反らせ、黒い手袋に覆われた左手を中空へ躍らせて、保香はこまかく指先をうごかしはじめた。
279415 in おやっさんスレ:03/09/18 20:36 ID:AlQG9p3B
おまたせしました。第十四話(中編)をおとどけします。
G5ユニット奮闘篇がつづいているため、オリキャラばかりですみません。
すぐに、なじみのあるキャラたちの活躍篇になると思いますので。


えー、以下、ひとりごとです。

『水野詩織』って、よく考えるとなかなか凄い名前かもしれない……
「水野」がちょうど水に関係する(というかそのままですが)
漢字を使った名字だったので、とある少女小説のキャラからいただいたのですが……
……わかる人だけこっそり笑ってやってください……。
280名無しより愛をこめて:03/09/19 08:00 ID:MUdy1zNu
乙です>415の姉御
とある少女小説の伽羅、わかったのでコソーリ笑っておきますw
281heat:03/09/20 16:30 ID:MWVFyC9n
282名無しより愛をこめて:03/09/23 18:27 ID:ApvSHfz2
>>281
で、これで昭和ライダーを貶す訳ですか。
ああ、そうですか。




絵書くの止めれば? 絵がなくても小説書く事ぐらい出来るでしょ?
まさか絵が無ければ小説書けな〜い!(泣
なんて事あるまいし。
283名無しより愛をこめて:03/09/24 15:30 ID:b3x5obNP
>>282
昭和ライダー貶してるか?
284名無しより愛をこめて:03/09/24 23:26 ID:tZ/YP6oh
>282
貴方、昭和ライダーに、と言うか、石の森先生に何か恨みでもあるんですか?
>283
なんなんでしょうね?

まぁ、こういうのはおいておいて、SS作家の皆様、頑張って下さい。
285名無しより愛をこめて:03/09/25 17:47 ID:o10Y3FND
保守。
286The power of ΑGITΩ:03/09/27 05:34 ID:guidFKg9

アンノウンによる虐殺事件が収束して一年、G5部隊は実質テロ等の鎮圧部隊として機能していた。
尾室が指揮を取るこの部隊は目を見張る成果をあげていた。
しかしこれは対テロリストに対するもので新たな脅威が迫ってきていた。アギトの力に目覚めた
者達が選民意識により結成したテロ組織POG(パワーオブギルティ)の台頭である。
そして津上、芦原、氷川、彼等もこの事件に嫌が否にも巻き込まれていった。

葦原涼、彼は旅先の飲食店で衝撃的な映像を目の当たりにしていた。
「木野・・・?それとあれは・・・津上か?」
テロ事件を放送するブラウン管には確かに見覚えのある姿が映し出されていた。そして彼等は自衛隊
駐屯地を襲撃していたのである。
「いや、津上であるはずが無い!そして木野は確かにあの時確かに・・・」
動揺する彼の目にはアギトとアナザーアギトが人々を襲う姿がブラウン管から流れ込んでいた・・・
287The power of ΑGITΩ作者:03/09/27 05:36 ID:guidFKg9
とりあえずちょっとずつ書いて行こうと思います。
新参者ですがご容赦願います。
288名無しより愛をこめて:03/09/28 00:24 ID:EIbfsnOb
 1988年、「人類最大の悲劇」と言われた「魔王とその瓜二つ
の魔物との戦い」から、7年後、世界では戦争、飢餓が相次いでいた。

 その中で唯一、「最後のエデン」と呼ばれた場所があった。

 「ジーザスタウン」、かつて日本で東京と呼ばれていた
場所にそこは存在していた。


 仮面ライダーBlack−LAST EDEN(ラストエデン)−
289名無しより愛をこめて:03/09/28 00:36 ID:tylvCoeq
おおアギトー
最終回に残された問題を描くのですな
期待しとります。
290288:03/09/28 00:38 ID:EIbfsnOb
舞台設定は1995年(ハカイダー公開年)で。
291名無しより愛をこめて:03/09/28 00:54 ID:1jYfcQh2
>>288
いつぞやの冒頭だけ書かれたBlackとハカイダーSSの続きですか!期待大!
292The power of ΑGITΩ:03/09/28 03:18 ID:cahbCTHC
テレビのスピーカーからは彼等の演説が流れている。
「我々はなぜアギトという力を持ったのか?それは選ばれた民だからである!今までの人類の力の
範疇を超え、我々は新たなる存在となった!アギトといわれる者達がなぜ人々から蔑視されるのか?
人類の力を超えた我々が新たに人類を導くことこそ正しきことでは無いだろうか?我々は此処に宣言
する!人類を新たに統率する組織POG発足を!」
その宣言が終るのを待たずに、警視庁G5部隊が鎮圧に乗り出した。
「全部隊!あの二体のアギトを確保せよ!」
尾室の声が各部隊に伝令される。そして5人、三部隊から成るG5部隊が一斉にアギトに向かい突撃する。
しかしその直後、尾室と警察の上層部は信じられない光景を目の当たりにする。一瞬の内に部隊がアギト
二人を中心に爆ぜたのだ。
「し、信じられない・・・!」
尾室はその一言を口に出すのが精一杯だった・・・そしてG5の装甲には紋章の形の傷がそれぞれ全てに入っていた。

葦原はその様子を全て見ることなくある場所に向かっていた。レストランアギトである・・・

それとほぼ同じ時刻、鏡の前でおびえる青年がいた。
「ぼくは・・・この姿は・・・」
知らずにアギトの種子を持つドナーから心臓の移植手術をうけていた真野佑宇。執刀医もドナーがアギトの種子
保持者だど気付かないまま処置していた。その執刀医こそ天才外科医「木野薫」であった・・・
293名無しより愛をこめて:03/09/28 23:44 ID:ENguj6jW
保守
294Overtime 仮面ライダー:03/09/29 22:20 ID:qmjYiE51

折からの激しい雨が、時の経過と共により一層激しさを増していた。
体を打ちつけるような痛みすら感じる大粒の雨、
雨煙が視界を遮り、雨音がすべての音を掻き消していた。
その圧迫感は呼吸することすら困難であるかのように感じられてならかった。

山深い獣道、その傍らを流れる川は普段は清流であるにも関わらず、
この大雨の影響で、砂泥に塗れた濁流と化していた。
その薄汚れた色をした水が、勢い良く音を立てて渦を巻く様は、
まるでそこから何か妖しげなもののけでも現れるのではないか、そんなことを考えさせた。

この激しい豪雨の中、ずぶ濡れになりながらその獣道を進む一人の男の姿。
男は笠を被り旅装束に身を包んでいたが、この雨の前では笠も装束も無いに等しかった。
男は街の商家に仕える奉公人で、主よりお使いを頼まれて、
山を三つばかり越えた旅籠まで赴き、商家に戻るその帰り道であった。
男は今晩雨露を凌げる所を探していた。
只でさえこの大雨の中、歩くことすら困難だというのに、次第に辺りは暗くなりつつある。
このまま夜になれば、歩き続けることも危険であるし、
かと言ってこの雨では野宿することすら出来ない。
何処かに雨露を凌げるような場所はないものか、男はそう思案していた。
295Overtime 仮面ライダー:03/09/29 22:28 ID:qmjYiE51

只でさえこの辺りは近頃、妖しげなるもののけの噂が絶えない。
男が主の命でお使いに行った旅籠でもその噂で持ちきりであった。
何でも2間(けん)はあろうかという大きな化け蜘蛛が夜な夜な現れて、
ここいら辺りを通る旅人を襲っているというではないか。
口から吐く白い絹のような糸で旅人を絡め取り、身動きが取れなくなった所を、
その鋭い牙で頭からぱっくりと喰らうらしい。
本来であればそのような噂信じるに足る物ではないが、
現に、頭を食い千切られた旅人の屍骸がもう何人も発見されているというではないか。

男は普段は迷信、信心の類は信じる方ではないが、
流石にここまで大騒ぎとなっては、気にかけずにはいられなかった。
激しい雨と迫り来る闇に男は背筋が寒くなるのを感じながら、足の運びを早くせずにはいられなかった。

旅の男が先を急いでいると、獣道の脇の林の中にぼうっと白いものが浮かび上がって見える。
男はもののかが出てかと思い、驚いて腰を抜かし、その場にへなへなと座り込む。
「もっ、もっ、もののけだぁっ!!」冷静な判断を失った男は、目を白黒させ、震えながらそう叫ぶ。
浮かび上がった白い影は、雨に打たれながら旅の男の方に向かって歩んで来る。
「お前さん、もののけとは随分じゃないか」
雨によって良く見えなかった白い影の正体は、白い装束の修験者であった。
296Overtime 仮面ライダー:03/09/29 23:00 ID:qmjYiE51

「いやいや、全くもってかたじけない、お恥ずかしい限りです」
旅の男と白装束の修験者は、ようやく見つけた廃屋で一晩を共に明かすこととなった。
その廃屋には2人の他にも、夜の雨露を凌ごうとする旅の者が数名程既に集まっていた。
「ここいらじゃ、近頃、もののけが世を騒がしておりましてね。
この大雨の中、辺りは段々暗くなって来るでしょう、あっしもついつい不安になっちまいましてね、
雨で良く見えなかったってのもあって、御坊をもののけだと思っちまったんです」
旅の男は照れ笑いを浮かべ濡れた頭を掻きながらそう言った。

「某の名は滝一(たきいち)と申す。まぁ見ての通りの修験者でな。
諸国を旅しながら、修行している身だ。まぁこれも何かの縁だ、今晩一晩お付合いの程よろしく頼む」
滝一と申す修験者は手短にそう挨拶すると、早々に先程の話を旅の男から聞き出す。
「ところで、もののけの話だが、そんなに大騒ぎになってんのかい?」
「あんた、そりゃもう大騒ぎなんてもんじゃないですぜ、
なんてたって奉行所迄出て来たっていうぐらいの話ですからね」
旅の男がそう言うと、その場に居合わせた他の者達も相槌を打った。
「俺は、化け蜘蛛に食われたという亡骸を見たがね、
あんたありゃ、どう考えても人間の仕業じゃあないね。
首から上だけ綺麗に無くなっているんだから。
しかもその首の辺りが、どう見ても刀の切り口じゃない、
巨大な牙か何かで食い千切られたような跡だったね、あれは」
「狼か何かじゃないのかい?」滝一はその男に確かめるように尋ねる。
「あんた馬鹿も休み休み言いなよ、人の頭を丸呑み出来るような大きな口を持った狼がいると思うかい?」
「まぁ確かに、違げえねぇ」滝一はその男の反論に頷いて見せた。
こうして廃屋に集った人々はもののけの話で大いに盛り上がっていった。
297Overtime 仮面ライダー:03/09/29 23:13 ID:qmjYiE51

そして化け蜘蛛の話も一段落着いた頃、ひとりの男が別のもののけの話をはじめた。
「あっしも聞いた話ですけどね。もののけじゃぁないんですが、
近頃噂になっている幽霊ってのがいるらしいんでさぁ」
「ほうっ、そいつはどんなもののけなんだい?」滝一は再び興味深そうにその男の話に食いついた。
「いや、なんでもね、そいつは西洋の甲冑のような姿をしていて、
とんでもなく大きな赤い目玉をしているそうなんですよ。
それでまるで雷のような音のする不思議な馬に乗っているとか。
いやでもその馬の形があまりにも奇妙なんで、
そいつが乗っているのは雷なんじゃないかっていう奴もいるんですけどね。
それがとにかくとんでもなく速いらしいんですよ、
馬なんかあっという間に追い抜かれちまうぐらい早いんだそうです。」
「まぁそいつは人を襲う訳ではないらしいですがね」
「西洋の甲冑のようにも見えるその姿からして、
この辺で行き倒れた異国の人の亡霊なんじゃないかとか、
西洋の甲冑を着ていた落武者の亡霊なんじゃないかとか、いろいろ噂になっているんですよ」
腕を組みながらその話を聞いていた滝一は、
「もののけと幽霊か・・・」とぽつりと呟いた。
ほぼ時を同じくして噂されはじめたこの両者には何か関係があるのだろうか?
滝一はそう考えずにはいられなかった。
298Overtime 仮面ライダー:03/09/29 23:57 ID:qmjYiE51

翌朝は昨日の大雨が嘘のようにからりと晴れた空模様であった。
滝一は一夜を共にした旅の者達との別れを惜しみ、廃屋を後にした。
だが、滝一は旅を続ける訳にはいかなかった。
この近辺で噂になっている「もののけ」と「幽霊」
それこそが滝一の旅の目的そのものであったからである。
それは滝一興味本位などではなく、それが滝一の使命そのものであったからでもある。

滝一はこの近辺に留まり、「もののけ」と「幽霊」、
その目撃者とされる人々を尋ね、話を聞いて廻った。
中には尾ひれ派ひれが着いたとんでもない嘘までもが混じっていたが、
それでも滝一はその話を事細かに帳面に書き留めていった。
そして「もののけ」に襲われたという亡骸が見つかった場所へ幾度となく足を運び、
周囲をつぶさに調べ尽くすのであった。

滝一はそれらの資料を改めて眺め、話をまとめようとしていた。
確かに「もののけ」については、亡骸が幾つも見つかっており、
その痕跡からしても、得体の知れない化け物と思わざるを得なかった。
ただ滝一は得体の知れない化け物を「もののけ」だとは思ってはいなかった。
人里に降りて来た野性の巨大な熊かもしれない、程度に考えていたのだ。
だが、不思議な馬に乗る幽霊については、幻術や妖術の類という事も有り得た。
もしそうだとすれば、一体誰が何の為にそのようなあやかしを行うのか、
その点は全く糸口すら掴めていないというのが現状でもあった。
299Overtime 仮面ライダー:03/09/30 00:48 ID:dFiRTDy5

滝一は修験者の成りこそしているが、信心深くはなかったし、
「もののけ」や「幽霊」の類を信じるような性質では決してなかった。
今回の使命に関しても本当に「もののけ」や「幽霊」が相手だという気持ちは毛頭無く、
「もののけ」や「幽霊」の正体を突き止めるぐらいの心づもりであたっていた。

滝一は人々の話を書き留めた帳面をとりまとめていると、ふとある事に気づいた。
滝一はおもむろに懐にしたためてあった、この近辺の地図を取り出すと、
帳面と照らして、地図の上に×印をつけはじめる。
「そうかっ!」地図の上に着けられた×印、
それは人々の話から推測される「もののけ」が出現したとされる場所、
そして「もののけ」に襲われたとされる亡骸が発見された場所であった。
その滝一が地図に着けた×印、それを見ればそれの意味する所は一目瞭然であった。

「川だっ!」滝一は両手をパンっと強く叩く。
そう「もののけ」が出現したとされる場所、
そして「もののけ」に襲われたとされる亡骸が発見された場所、
それらはすべてこの近辺を流れる川沿いであったのだ。
滝一は川が「もののけ」の出現に関係していることを確信するのだった。
300Overtime 仮面ライダー:03/09/30 22:17 ID:qo9H7I8H

滝一はこの近辺の山間を流れる川沿いを歩き廻る。
来る日来る日も、幾日もかけて上流から下流へ、そしてまた上流へ、
何度となく川沿いを往復して廻るのであった。自分が導き出した答えを信じて。

そしてとうとう異変は起った。
それは夏の日差しが眩しいばかりに暑い日の昼時のことであった。
滝一がいつものように川沿いを歩いていると、
それまで五月蝿いぐらいに鳴いていた蝉の声が突如として止み、
風が木々を揺らす音も止み、辺り一面急に水を打ったかのように静まり返った。
先程迄絶える事無のなかった淀みなく澄んだ川のせせらぎの音すらも聞こえない、
音を無くした静寂の世界、それはまるで魔が差し込んだようでもあった。

山深くの木々の中、どんより淀んだ空気だけが流れる。
滝一はその異様な雰囲気を感じ取って、身動きすら取れず、その場に硬直し、
只額から脂汗を流すばかりであった。
来る、滝一はそう直感していた、それは彼の六感であったのやもしれぬ。

とそこへ突然、遠くから男の悲鳴が聞こえて来る。
滝一はその声に驚き、一瞬体をピクリと反応させる。
そして滝一は険しい面持ちで悲鳴が聞こえた方角へと走り出す。
301Overtime 仮面ライダー:03/09/30 22:17 ID:qo9H7I8H

滝一が悲鳴が聞こえた辺りに辿り着いた時、
もうそこには既に人の姿も、もののけの気配もなかった。
ただそこには辺り一面に飛び散る血飛沫と、
人間のものと思われる肉の欠片が落ちているだけであった。
どうやらそれはもののけが人を喰い散らかした後のようだった。
「こんなお天と様が高いうちからもののけとは…」
滝一は額に噴出す脂汗をその手の甲で拭う。
悲鳴が聞こえてから滝一がここへ駆けつける迄、それ程の時は経っていない、
まだその辺にもののけがいるやもしれぬ、その思いが滝一を緊張させた。

滝一は警戒しながら辺りを見回す。周囲にはそれらしき影はなかった。
周囲を見回し身構えながらゆっくりと歩き出す滝一は、木々の合間などを用心深く見て廻る。
影はおろかもののけの気配などはまるで感じられなかった。
どうやらもののけは早々に立ち去ったようである。

滝一はやや安堵し、酷く汗をかいた為、それを拭おうと川の浅瀬に足を踏み入れる。
そして腰を屈め、川の水を手で掬い自らの顔を洗い流す。
水に濡れた顔を手拭で拭取り、滝一が再び目を開けた瞬間であった。
川面に揺れる己の顔、そのすぐ横に禍々しき異形なる者の姿が映り込んでいるではないか。
滝一は驚き咄嗟に背後を振り返る。だがそこにはそれらしきものは何もなかった。
何も無い周囲を再び見渡す滝一。
川面の映り込みに再び姿を現す禍々しき異形なる者。
だが滝一はその存在に全く気づく気配はない。
そうその異形なる者は川面の映り込みの中にのみ存在していたのである。
302Overtime 仮面ライダー:03/09/30 22:37 ID:qo9H7I8H

禍々しき異形なる者は、川面の映り込みの中から突如としてその姿を現し、滝一に襲い掛かる。
白い絹のような糸が吐き出され、滝一の背後より絡みつく。
不意の襲撃に何が起きたかすらわからず、その場に倒れ込む滝一であったが、
目の前に現れた禍々しき異形なる者の姿を見て、これが噂のもののけである事を理解する。
それは2間(けん)にもなろうかという程の大きさで、
風体は奇天烈ではあったが、それは確かに蜘蛛に間違いなかった。
足を何本も持つ巨躯、さらにその上には人の上半身のようなものがのっていた。
色は橙のような色をしており、滝一にはその鮮やかな色がかえって禍々しいものであるかのように見えた。
巨大な化け蜘蛛は、川の浅瀬に倒れ込む滝一をその蜘蛛の糸で引きずり、
その鋭い牙を持つ口と思しき所迄運び込もうとしていた。
このままでは滝一もまた他の者同様に頭から喰われてしまう、
滝一は必死の抵抗を試みるが、人外なるもののけに力が敵う筈もなく、
成す術もなく引きずられるままであった。

最早これまでか、滝一がそう観念した時、
彼方より雷の如き音が響き渡って聞こえて来るではないか。
その雷の如き音は段々大きくなて来る。
滝一がその音のする方角を振り返り見ると、そこには川の浅瀬を水飛沫を上げながら、
この世のものとは思えぬ程の速さで、近づいて来るひとつの影があった。
滝一は固唾を飲んでその影を見つめる。
化け蜘蛛もまたその雷の如き音に反応し、滝一を引きずる動きを止めていた。
303Overtime 仮面ライダー:03/09/30 22:54 ID:qo9H7I8H

影が近づき滝一にもその風体がハッキリとわかるようになった。
それは確かに馬と呼ぶにはあまりにも風変わりの姿をしている、
寧ろ雷に乗っていると言った方がわかりやすかもしれない、
兎に角その不思議な馬に乗った、人のような者。
それは確かに西洋の甲冑のようにも見えたし、
滝一にはそれが赤い大きな目をした髑髏のようにも思えた。
これが噂の幽霊か、滝一はその異形の者の姿を見て迷わずそう思った。

赤い目をした髑髏のような異形の者は、その不思議な馬に乗ったまま、
跳ね上がり、宙を飛び、不思議な馬もろとも化け蜘蛛へとぶつかって行った。
化け蜘蛛を不思議な馬が踏みつけると、髑髏のような異形の者は、
そのまま体勢を崩すでもなく器用に再び地ベタへと舞い降りた。

滝一はまるで夢でも見ているかのような心持ちであった。
修験者の姿こそしているが『もののけ』も『幽霊』も全く信じない性質の滝一であるが、
今目の前にいるのは紛れもなく『もののけ』と『幽霊』。
いやそれが『もののけ』と『幽霊』でなかったとしても、
それが人外の者であるということは間違いがなかった。
自分はもしかしたら狸にでも化かされているのであろうか?
もしくは何者かが幻術や妖術を使い自分を欺いているのではないか?
そう思わずにはいられない程に滝一には信じ難い有様であった。
304Overtime 仮面ライダー:03/09/30 23:18 ID:qo9H7I8H

滝一の困惑を他所に目の前で『もののけ』と『幽霊』、いや『化け蜘蛛』と『髑髏の鎧』。
雷の如き音で走る不思議な馬を飛び降りた髑髏の鎧は、
化け蜘蛛への懐へと入り、その拳で何度となく化け蜘蛛を殴りつける。
化け蜘蛛はこれに対し、白い絹のような糸を吐き出して、
髑髏の鎧を絡め取り身動きを封じようとするが、
髑髏の鎧は身体にまとわりついた糸を雑作も無く引き千切り、
再び化け蜘蛛を拳で何度も殴りつける。
苦痛に身悶える化け蜘蛛に、髑髏の鎧は容赦することなく、その攻めの手を休めようとはしなかった。
そして髑髏の鎧は助走して跳ね上がり、空高く舞い、落下の勢いをつけて化け蜘蛛に蹴りを放つ。

その髑髏の鎧が放った蹴りは、化け蜘蛛の巨躯の上に乗る、人の上半身の姿をした箇所に当り、
そのまま化け蜘蛛の体を突き破り、化け蜘蛛の体に大きな穴を開けた。
化け蜘蛛はうめき声を上げながら、息絶えて、やがてその2間(けん)もあろうかという巨躯は、
すべて泡となり果て、川の水に流され跡形も無く消えてしまうのであった。

その有様を一部始終見ていた滝一は呆気に取られ、
川の浅瀬に座り込んだまま、ただただ驚いているばかりであった。
髑髏の鎧は滝一を気にかける風でもなく、再び不思議な馬に跨った。
「おっ、お前さん、何者なんでぇ?」
滝一はようやく我に返って髑髏の鎧にそう尋ねるのがやっとであった。

「… 仮面ライダー」髑髏の鎧はただ一言そう言い残して、
雷の如き音をさせる不思議な馬に乗ってその場を去って行く。
「… 仮面… 雷駄 ??」戸惑う滝一を他所に、雷の如き音はあっという間に遠くへと遠ざかって行くのであった。
305Overtime 仮面ライダー:03/09/30 23:50 ID:qo9H7I8H

その後、滝一は仮面雷駄と名乗った異形の者を探し、
この近辺をくまなく廻ったが、その行方を知ることは出来なかった。
滝一は化け蜘蛛を倒した仮面雷駄はもう既にこの近辺にはいないであろう事を薄々と感じ取っていた。
仮面雷駄の行方を追う事を諦めた滝一は急遽江戸へと向かった。

城の渡り廊下から庭を眺める老人、その老人は相当に身分の高い者であった。
庭を眺めていた老人はふとある気配を察して言う。
「滝一か?」「はっ」庭の木の陰より姿を現す、白装束を着た修験者姿の滝一。
「ほっほっほっ、滝一よ、お前が修験者とはとんだ笑い話じゃの」
滝一の姿を見た老人は声を上げて笑った。「しかし、お前にはその格好は似合わぬなぁ」
「大御所様、拙者はこれでも中々に似合っておると、気に入っていたので御座います」
「似合っていると思っているのは、お前だけじゃよ」
「それでは折角の隠密行動が台無しじゃろうて」そう言いながら老人は再び声を上げて笑う。
「で、滝一よ、世を騒がす『もののけ』と『幽霊』の方はどうであった?」
「はっ、本日はその事を大御所様にご報告に参りました」
滝一はそう言うと、大御所なる老人に自らの体験した事のすべてを包み隠さず報告するのであった。
306Overtime 仮面ライダー:03/09/30 23:50 ID:qo9H7I8H

「滝一よ、今の話真であろうな?」滝一の話を聞いた老人は今一度滝一に問い質す。
「はっ、拙者自身も今だ信じられませぬが、すべて嘘偽りの無い、真実で御座いまする」
「滝一よ、その『仮面雷駄』とは何を意味するものであろうか?」
「はっ、拙者が思いまするに『仮面を被った雷の如き韋駄天』という意味合いではないかと」

「滝一よ、その『仮面雷駄』なる者、捨ておけぬな」
「はっ、拙者もそう思い、仲間の者に『仮面雷駄』なる者を探すように命を下しておりまする」
「よいか、やっとの思いで築き上げたこの平穏な時代を、また再び乱す訳にはいかぬのだ」
「その為には、どんな些細な不穏も取り除かねばならぬ」
「はっ、重々心得ておりまする」

滝一は大御所と呼ばれる老人と話をした後、再び旅に出る。
それは滝一の『仮面雷駄』と名乗る異形なる者を追いかける旅のはじまりでもあった。

(とりあえず、おしまい)
307名無しより愛をこめて:03/10/02 23:35 ID:oo/DCFRK
>>306
「水蜘蛛」とディスパイダーが見事に融合したようなあやかし・・・
しかも、それを退治したのは・・・?
なんだか、これからもいろいろな仕掛けが出てきそうでドキドキします。
文も時代劇に合わせてあるのがいいですね。旅の続きがぜひ見たいです。
308名無しより愛をこめて:03/10/03 00:59 ID:PGRWu7IY
でも「仮面」って言葉がイマイチ時代劇っぽくないな。こっちも「ライダー」を「雷駄」と
したように当て字にしたほうが。
でも、それ以外はグッジョブですた。久々に楽しめるSSを読ませていただきますた。
309名無しより愛をこめて:03/10/03 09:46 ID:f1HFO5YC
これまたすごい作品が出てきたな
310名無しより愛をこめて:03/10/03 20:15 ID:pSQZd/bg
これってもしかして沈没さん?
311294-306:03/10/04 00:56 ID:yYj4w1Xj
反応も悪くないようですので、時代劇編其の二を近いうちにやらせていただければと思います
>2度目もミラーモンスターだと何ですので、今度は怪人になるかと思いますが
革命編、古代記編、世界大戦編、海賊編などもいつか出せればと

沈没さんではございませぬので
312310:03/10/04 15:45 ID:CJf4tkTQ
>>311
失礼しましたm(_ _)m
一風変わった切り口で楽しく拝読しました。続編お待ちしております。
313名無しより愛をこめて:03/10/05 08:37 ID:9E2VCa/x
>>311
ちゃんと謎解きっていうか、種明かしはしてくれよ!
投げっぱなしジャーマンイクナイ

でも他人にそう言わせるくらい引きつける文章だっていう
自信をもって頑張って下さい。応援します。
314カマタサイド:03/10/07 17:54 ID:aBXIsztr
仮面ライダー龍騎〜カマタサイド〜 第三話 メインキャスト

喫茶店COSMOS
今日の日付は4月16日、長瀬が最初に来店してから既に一週間がたった。
「なあ、藤はどうした?」
現在時刻は午後4時20分、午後のお茶の客も帰り、店は休まっていた。
今いるのは日下部と浜村と、そして片桐サヤカだ。
「えっと、今日は運動部に助っ人を頼まれたからバイトは休むって」
藤、サヤカの親友で二人いるCOSMOSのバイトのもう一人でもある。
テーブルもあらかた拭き終わり、皿なども洗い終わった。つまり暇である。
「今回はどんな部活に?」
「えっと・・・ラクロス部だったかな?」
「ラクロス?」
「知らないのか日下部?虫取り網みたいな道具でやるサッカーみたいなスポーツ」
自身もあまり詳しくないが、それでも知っている浜村が説明する。
だが、日下部は首を傾げるばかりだ。
「みたいな・・・ばっかりじゃ全然判らん」
「最近は結構メジャーになってきたんだけど・・・」
「ああ、俺もまだまだだな。で、サッカーみたいなスポーツってコトは今日は練習試合か?」
浜村とサヤカはカウンター席でくつろいでいる。
「はい、女子ラクロス部、ギリギリしか部員がいなかったのに、一人怪我しちゃって・・・」
「で、運動神経は抜群の藤が助っ人に行ったわけか・・・と、もうこんな時間か」
浜村が腕時計を見る。
「そういえば、今日はバーでライブだったな」
日下部が思い出したようにいる。
浜村は確かにミュージシャンとしては売れないが、その個性的な演奏のファンはいるらしい。
「ああ、悪いけどそろそろ生かせて貰うぜ」
「じゃ、がんばれよ」
浜村が外したエプロンを後ろに置く。流暢なタメ口は練習の賜物だ。
「行って来る」
一度自宅に戻り、それから向かうのでそろそろ出る必要があるのだ。
315カマタサイド:03/10/07 17:55 ID:aBXIsztr
店を出る浜村、そして入れ替わりに一人の男が入店する。
「ちぃっす」
中途半端に長い茶髪の男だ。
「いらっしゃい、いつものでいいかな?」
「もちろん!」
日下部はそれだけの会話でコーヒーを作りはじめる。
そして男はサヤカの横に座った
「サヤカちゃん!元気してる〜?」
男はすっとサヤカの肩に手を回す。
「えっと、花月さん、セクハラはやめてもらえませんか」
サヤカは自分の肩に手が乗る前に立ち上がった。
男の名は花月那智、このCOSMOSが開店した当初からの常連客だ。
「ちぇ、つれないなぁ」
316カマタサイド:03/10/07 17:59 ID:aBXIsztr
夕暮れ時 、アパート『者見荘』
『長瀬』という真新しい名札がついたその一室で、一組の男女が机を囲んでいた。
「いただきます」
男と女・・・長瀬唯斗と結城理恵は、机に並んだ食事を黙々と食べている。
「近場に結構安いスーパーがあってよかったわ」
並んだ食事には惣菜が多い。
「こっちでの生活手段はどうするの?」
結城が聞いてきた。だが長瀬はひたすら食べることに集中している。
「長瀬」
そして、味噌汁をすすり、食事を終わる。
「もっとよく噛んで食べないと消化に悪いわよ・・・って、そうじゃなくて」
「どうするか、だろ」
食べながらも話は聞いていたらしい。
「そうだな、君には悪いが何か適当なバイトでも探してくれると嬉しい」
ちなみに結城はまだ半分も食べていない。
「それは別に構わないけど、長瀬はどうするの?」
「俺か・・・時間にかかわらない仕事があればいいんだが・・・」
長瀬唯斗、彼には『突然いなくなる』理由がある。
彼の本職は弁護士、結城はその秘書なのだが、上記の理由で休業中だ。
そして、『突然いなくなること』が許される仕事はなかなかないだろう。
「内職でもあるだろう。それがベターだな・・・日下部君にでも相談してみるか」
317カマタサイド:03/10/07 18:07 ID:aBXIsztr
同時刻、市街の外れに古びた建物が見える。
その扉には『相良探偵事務所』と書かれている。
そしてその中の粗末なソファーに座っている女、瀬良香は手に持ったファイルを見て溜息をついた。
部屋はほとんど掃除されていないらしく、埃を被っている。
「(行方不明者・・・どれくらいなものか調べてみようと思えば・・・)」
ファイルのページを次々とめくる。ファイルに書かれているのは住所と名前
それが、この街で消えた人間のデータである。
「二月ごろから急増化・・・って、これ多すぎるわよ!」
それにはかなりの量の人間が明記されている。
だが、性別・・・年齢・・・職業などの共通点は全くない。
「(てゆうか、もう私犯人わかってるし・・・犯人じゃないけど)」
そして瀬良はファイルを後ろの壁に投げつけた
「(絶対、死んでるし・・・亨も・・・)」
と、棚においてある写真立てを一瞥する。
その写真には、瀬良と一人の男性が写っていた。
「って、・・・何考えてんだか・・・」
そして、写真の脇には青みがかった深緑色のデッキが置いてあった。
318カマタサイド:03/10/07 18:08 ID:aBXIsztr
COSMOSは午後九時まで営業と、このタイプの喫茶店にしては珍しいかもしれない。
時計の針は既に八時を回った。花月はまだ店にいる。ちなみにこの男は暇人だ。
「え〜、俺がちょっと体調悪い間に新しい常連客が!?」
だらだらと話を聞いている花月。その後ろの扉が開く音がする。
「ああ、っと、噂をすれば・・・」
来店したのは長瀬と結城・・・そして、1人の男が覚醒する。
「なっ!!」
結城の姿を確認するや否や、結城の前に走りこむ。ちなみに結城はの美人の部類に入るだろう
「こんばんわ、俺花月那智っていいます、よろしく!今夜暇ですか!?」
「いいえ、暇じゃないわ・・・というか、私彼と同棲中なんだけど」
と、長瀬を指差す結城。
「そ・・そんなぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
倒れる花月
「誤解を招く言い方だな、同棲って。結城君、同居中だろう。それで・・・彼は?」
怪訝に思った長瀬が日下部に聞く
「一応常連客です。仲良くしてやってください。」


そのころ、事務所を出た瀬良は再びバイクで走っていた。
「しかし、あの男・・・」
瀬良は思い出す。
自分の相棒だった男、相良亨が目の前で突然消失した日のことを。
ある日、「同僚が突然消えた」という依頼を受けた。
そして、その調査中に、相良も消えた。
そしてその晩、「あの男」が瀬良の前に現れた。
319カマタサイド:03/10/07 18:08 ID:aBXIsztr
「あんた・・・何よ」
突然現れた男に驚きながらも、なんとか平静を保つ瀬良。
「知りたいか・・・?」
「は?」
男は突然現れた上に、突然話を始める。
「知りたいか・・・今起きている消失事件の真相・・・お前が今まで共にいた男がどうなったか」
「なっ・・・」
突然現れた男にそんな話をされて、平然としていられるわけがない。
「知りたいか・・・・」
気が付けば、瀬良は頷いていた。
「ならば決まりだな」
男は、瀬良に向けて四角い物を投げた。
「これは・・・?」
それは数枚のカードが入った名刺入れのようなものだった。だが硬い。
「これをもっていれば、いずれ真実は見える・・・」
男はそう言い、去っていく・・・いや、いなくなった。
三月の、末のことだった。
そして瀬良は、数日後にその真実を知ることになる。
鏡の中の生物・・・それと戦うライダー
自分もライダーだということ
戦いに勝てば、願いが叶うこと。
そして、瀬良は相良を取り戻すために戦うことを決意する。
だが、他のライダーに勝つためにはモンスターを育てなければいけない。
そして今、先程感じたモンスターの気配を追っていた。
街中を走りまわすこと数分、バイクのサイドミラーにモンスターが写ったことを確認する。
「いた・・・!」
バイクを止め、カードデッキを近くの車のドアに掲げる。ベルトが装着される。
「変身!」
瀬良の姿が変わる。
暗い青と緑のボディ、肩や胸には針のような突起がある姿。
その姿・・・スライという名の姿に変わった瀬良はMWに突入する。
320カマタサイド:03/10/07 18:11 ID:aBXIsztr
ディメンションホールをスライを乗せたライドシューターが走る。
そしてミラーワールドに出現、同時にモンスターを突き飛ばす。
「ギギ・・・ギ!!」
相手は犬の頭を持ったモンスター・・・いわばジャッカルのモンスターだ。
ライドシューターに弾き飛ばされたものの、すぐに体制を建て直しライドシューターから出たスライと対峙する。
「さて、戦いましょうか」
モンスターは逃げようとしない。すばやい動きはスライを倒すための動きだ。
「意外と素早い・・・わね」
戦っている場所は広い道路だが、その道路を縦横無尽に駆け回るモンスター。
そして、その攻撃はスライと交差する瞬間に仕掛けられる。
だが、スライは冷静にその攻撃をかわすと、カードを1枚引く。
『ライジエイトベント』
左腕に装着されたバイザーにカードを入れると、右腕に小さな盾のようなものが装着される。
だが、それは盾ではなかった。その表面には細かい針が裁縫の針刺しのように何十本も刺さっている。
「そこ!」
再攻撃を仕掛けようとするモンスターの姿を捉え、表面の針から十数本が扇状にモンスターのいる方向へ発射される。
「!!!」
モンスターは慌てて飛びのくも、数本の針がその体に刺さる。
だが、ダメージは微弱のようだ、すぐに高速移動は再開される。
「相変わらず威力無いわねぇ・・・」
威力が無いことはスライにもわかっていた。その武器を構えたまま、再びモンスターの動きを探る
「良く当たるから・・・だろうけど!」
再び十数本発射。その数本が再び命中。
「ギギ・・・ギ!!」
足に当たったらしく、モンスターが転倒する。
「急所ヒット・・・っと!」
装備を投げ捨て、新たにカードを引く。
321カマタサイド:03/10/07 18:12 ID:aBXIsztr
『ファイナルベント』
「さっさと片付けるに限る・・・!」
モンスターの下の地面が隆起する。そして、隆起した地面から「何か」が出てきた。
それは、黒い体毛のようなものを持ったモンスター・・・スライの契約モンスターだ。
『ヘイトジホッグ』という名を持つヤマアラシ型のモンスター。
地面から出てきたヘイトジホッグはその背中でモンスターを空中に跳ね上げた。
「一・・・二・・三っと!」
そしてスライが跳ぶ。その両手には鋭い蒼のレイピアが握られている。
跳躍したスライはモンスターの背中に乗ると、その体に2本のレイピアを突き刺す。
「ギィィィィ!!」
空中でもがくモンスター。だがスライがその上に乗ったことで、落下を逃れることは出来ない。
そして、それは同時にモンスターは消滅という運命を逃れられないということになる。
モンスターの落ちる先、そこにはそのモンスター自身を跳ね上げたヘイトジホッグが待っていた。
その背中の「針」を全て、空に向けた状態で
「ギィィィィィィ!!」
動いて軌道を変えようとする。だが、体に刺さったレイピアがそれを許さない。
「終わり」
スライはそう呟きモンスターの背中から飛び降りる。
そして、着地の瞬間が、モンスターが針で串刺しになり、爆散する瞬間だった。
「さて・・・帰りましょうか」
モンスターを倒したことを確認したスライが振り向いた瞬間だった。
「ハァッ!!」
その体を後ろから突き飛ばす影が現れたのは。
「何よっ!」
322カマタサイド:03/10/07 18:13 ID:aBXIsztr
現れたのは仮面ライダーイェーガ。瀬川章吾が変身する猛禽類が刻まれたデッキのライダーだ。
「ライダーだから、戦いに来たに決まってんだろ!!」
既にイェーガは鳥の頭を模した武器を右手に装着している。
「セコイ事するわね・・・」
イェーガの二撃目をバックステップで避けると、スライも武器を装備しようとカードを引く。
『ソードベント』
選んだのはモンスターを倒す時にも使った2本のレイピアだ。
「来いよっ!!」
イェーガは空の左手を振り、スライを挑発する。そしてスライもそれに乗ったのかどうかは分からないが
その切っ先をイェーガに向け、攻撃を開始する。
手甲とレイピアが火花を散らし、道路のアスファルトを削る。
「なかなかやるじゃねぇか!!」
「残念な事にね!」
二分以上の時間が流れたが、まだ有効打は最初のイェーガの不意打ちだけだ。
「このままじゃ勝負がつかねぇ!決めさせてもらうぜ!」
『フライベント』
イェーガのモンスター、ヤクトホルスが飛来し、イェーガと合体する。
そして翼の付いたイェーガはそのまま飛行する。
「これで一気に・・・終わらせる!」
カードを引く。『シュートベント』のカード。先日モンスターを葬ったカードだ。
「そらよっと!!」
多数の羽を模したミサイルがイェーガの翼から放たれ、スライに迫る。
「まずっ・・・やられた!?」
だが、ミサイルは全て空中で爆発した。
「何でだ・・・・・・っとうおぉぉうわぁぁぁっ!!」
そして次の瞬間、その様子を見ていた空中のイェーガが地上に墜落する。
323カマタサイド:03/10/07 18:14 ID:aBXIsztr
そして次の瞬間、その様子を見ていた空中のイェーガが地上に墜落する。
「な・・・何!?」
さらに、スライの両手のレイピアが空中を舞う。
「(何か・・・いる!?)」
両手に鈍い痛みを覚えながらも、スライは周囲を探ろうとする。
だが、その前にその『何か』は姿を現した。
「痛っつぅ・・・んだテメェは!!」
それはイェーガも気付いているらしい。
自分が戦っていたスライとの間に立つ『何か』を指差した。
それは、白いライダー
「戦いを止めろ」
体の色と同じく純白の剣を持ったライダー・・・ヴァイスは戦っていた二人のライダーにそう告げた
324カマタサイド作者:03/10/07 18:18 ID:aBXIsztr
まず、オリジナルうざーの方、勘弁してください。
カマタサイド第三話です。元スレの方もPart5ができていて。
自分は劇場版ファイズ補完スレに入り浸ってて。
続きも書いてるんで、もう少し見てやってください。

>>294-306
ヤヴァイです。むっちゃ面白いです。続き期待してます。
325これはどうかな:03/10/09 18:28 ID:63gRzOzS
巧と本郷猛の絡みの想像がつかん・・・・。

 本郷「君は、自分が他人を傷つけて、そういう事を
してまた自分が傷つくのが怖いんだな。だから、自分から
あえて木場君達に殺されようというのか?」
 巧 「ああ、そうだよ!あんた達だって、もしショッカー
 とかいう連中に頭ん中までいじくりまわされてたらどう
 思うんだよ!あんたは、暴走した自分を見て正気で
 いれるのかよ!」
326名無しより愛をこめて:03/10/12 05:38 ID:uA7Fky3l
今の平成ライダー劇場版のノリで、昭和ライダーの
劇場用小説がみてみたい!
327名無しより愛をこめて:03/10/12 09:08 ID:a7S3PmuJ
>>326
スピリッツに飲まれちゃうから、
正直誰も書きたくないと思う。
328名無しより愛をこめて:03/10/18 20:25 ID:K4izVvIx
>>324=カマダサイド氏
 よろしければ、『カマタサイド』スレッドでも
作ってみましょうか?明日辺りにでも。
 ちなみにボクは、『零樹作者』、と言えば
お解り戴けますか?
329名無しより愛をこめて:03/10/18 20:31 ID:Vli3cySR
>>328
それは、君が作ってくれるって解釈で・・・いいのかな?

しかし、反対多そうだな。
Par5の方にも行ってみてくれ。
提案サンクス、『425』さん。
330名無しより愛をこめて:03/10/18 20:33 ID:Vli3cySR
>>328
追記
sage方を忘れてしまったのかな?ageないように。
あと、カマタサイドスレよりも、教えれスレのSS所の方がよさげだ。
331329=『425』:03/10/18 21:28 ID:K4izVvIx
>>329さん
 はい、正にその『425』にございます。
>それは、君が作ってくれるって解釈で・・・いいのかな?
 −ていうか、もう作ってしまいました。(爆)
>しかし、反対多そうだな。
>Par5の方にも行ってみてくれ。
 無論、教えれスレにも告知は完了しております。

…あ、それと。
>追記
>sage方を忘れてしまったのかな?ageないように。
…はい、すっかり忘れておりました。(TД⊂)
これからは気を付けます。

 それでは、今回はこの辺で。
332彼面雷駄:03/10/19 02:10 ID:VoHOCoe/
スレも静かなようですので、ちょっとずつ投下させてもらってもいいですかね
ホンとに驚くぐらいにちょっとずつなんですけど …
333名無しより愛をこめて:03/10/19 11:15 ID:58KbtYmd
>>332
雷駄さん、よろしくです。小出しでも楽しみにしております。
334名無しより愛をこめて:03/10/27 23:35 ID:f0yQq9aw
そろそろメンテ・・・雷駄氏の新作マダー?チンチン(AA略
335名無しより愛をこめて:03/10/27 23:47 ID:Odtwtspj
保管庫あるの、このスレ?
336名無しより愛をこめて:03/10/28 00:39 ID:FnkiyIhk
私は・・・沈没さんの・・・マダー?チンチン(AA略
337名無しより愛をこめて:03/11/01 12:13 ID:MP2t/6Xn
新作がなくてちょっと一休みしているみたいなんで、ちょいとリクエスト。
なんかかなり文学を読んでおられる方がいらっしゃるようですが、
「蝿の王」ネタのライダーをどなたか書いていただけませんか。

以前、誰かが言っていたようなライダーたちの仲間割れが見たいわけじゃないっす。
あーゆうラスボスもまたいいような気がして。
「カラマゾフの兄弟」のイワンみたいなラスボスもいいな。
厨房のとき、イワンとアリョーシャをブラックゴーストと009の論争として
脳内変換しながら読んだものでつ。
338Overtime 仮面ライダー:03/11/01 21:53 ID:Bkc61PvD

と或る山間の小さな村。
その村は決して豊かとは言えなかったが、食うに困るという程貧しくもなかった。
その部落の人々は毎日休む事も無く野良仕事に精を出し、過ぎたる贅を求めるでもなく、
日々何事も無く平穏に暮らせることこそが一番であると、その日の糧に感謝していた。
それはささやかな慎ましい暮らしではあったが、
村の人々はそれを良しとして、その暮らしに小さな幸せを感じていた。

と或る夜、その山間の小さな村に住む、年頃の娘が突然発熱して倒れた。
それがこの小さな村の悲劇のはじまりでもあった。
熱を出した娘は顔を真っ赤にし、滝のような大汗を掻き、苦しみ悶えていたと謂う。
医者などがいる筈もないその山間の小さな村、村の人々は薬草などを飲ませるなどして、
必死の看病を試みたが、娘の熱は一向に下がらず、間もなくして娘はそのまま息を引き取った。

その娘の亡くなり方が、あまりに突然で奇異であることから、
村の人々は、娘が流行り病にかかっていたのではないかと畏れた。
もしそうであれば、村中の人々に病が伝染(うつ)るやもしれぬ、
村の人々はそのことを畏れ、娘を早々に葬ることにする。

葬儀旗を掲げ、娘の亡骸を戸板の上に乗せて担ぎ、
村の人々による葬儀行列が村の外れへと向かって行く。
娘の亡骸を一刻も早く土に埋め、土葬を済ませてしまおうというのが村の人々の考えであった。
339Overtime 仮面ライダー:03/11/01 21:54 ID:Bkc61PvD

だが時は既に遅かった。
娘の葬儀行列の最中、村の者達は次々とその場で倒れて行く。
娘の時と同様に、真っ赤な顔で、大汗を掻き、悶え苦しみながら、
あっという間に次々と息を引き取って逝く村の人々。
その流行病はわずか半日の間に村中に広まり、
村の人間のほとんどがその病にかかり倒れ、亡き者となっていた。

その事を知った近隣の村々は、流行病がそれ以上広がることを畏れ、
庄屋や役人達と相談した挙句、その山間の村を山ごと焼き払うことにした。
人々の手によって、山には火が放たれ、瞬く間に炎は山中に燃え広がって行った。

炎に包まれた山間の小さな村、中にはまだ息がある者もわずかに残っていたが、
そうした生残りの人々は、山から逃げ出せずに一緒に焼かれてしまったか、
山から逃げ出そうとしても、流行病が広がることを畏れた近隣の村の人々に鍬で撲殺される、
役人によって切り殺されるなどして、その亡骸を山と一緒に焼かれてしまっていた。

山は激しい炎の中、幾日幾晩にも渡り燃え続けたと謂う。
炎が山のすべてを焼き尽くし、そしてもう燃やす物が無くなった時、やっとその火はおさまったと謂う。
それから暫くして、近隣の村の人々と役人達は、その燃え尽きた山へと入り、
山間に在った筈の小さな村へ様子を見に行ったが、
そこには不思議な事に、本来ならばある筈の村の人々の亡骸がひとつも無かったっと謂う。
いくら激しい炎で焼かれたとはいえ、骨すらも残さずに、跡形も無いというのはいくら何でも奇妙な話である。
そこに居合わせた近隣の村の人々と役人達は、その気味の悪さに震え上がり、急いで逃げ帰ったと謂う。

これが、山間の小さな村の悲劇として、今人々に噂されている話である。


Overtime 仮面ライダー
第一章「彼面雷駄」(彼の地の面を被りし、雷の如き韋駄天)
其の弐「????」
340Overtime 仮面ライダー:03/11/01 23:35 ID:Bkc61PvD

街道沿いにある峠のお茶屋、旅姿をした人々がその前を行き交う。
歩いて長旅をしなくてはならない人々にとって、そこは格好の休憩場に違いない。
その茶屋の外に出ている椅子に腰を掛け、どっかと座り込み、
団子を口一杯にほうばり、茶を啜る白装束の修験者の姿があった。
その男は身の丈6尺を軽く越えようかと謂う大男であり、
その風体は修験者ではあるが、何処か只ならぬ雰囲気を醸し出していた。
その男こそが『彼面雷駄』なる者を追って旅を続ける『滝一』であった。

滝一が峠の茶屋で休んでいると、街道に派手な江戸紫の着物を着た色の白い女が姿を現す。
その女の色の白さを着物の紫の色が引き立て、一際映えさせる。
その女はいかにも垢抜けた様子で、この辺りの地元の人間でないことは一目瞭然であった。
その艶かしい枝垂れ柳のような身のこなしと、きびきびとした所作からして、
おそらくは江戸辺りからやって来た旅の女であろうことは想像に難くなかった。
341Overtime 仮面ライダー:03/11/01 23:36 ID:Bkc61PvD

その女は街道をそそくさと歩き、峠の茶屋の前をさしかかると、足を止め茶屋に入って来た。
そして滝一の顔を一瞥すると、何食わぬ顔で滝一の横に座った。
滝一もまた何食わぬ顔で団子を大口で喰らい続けていた。
滝一の横に座った女が店の女中に団子と茶を頼むと、
滝一は茶を啜り、ようやく小声で一声呟いた「お瑠璃、久しぶりじゃねぇか」
「ほんとだねぇ、滝一さん、あんたそんな格好しているから、あたしゃ自分の目を疑っちまったよ」
女もまた小声で呟くように滝一に返した。
「おめぇが来たってことは、頼んでた事が解ったのかい?」
滝一は決して目線を女に合わせようとはせずに話を続ける。
「あぁ、彦三から、滝一さんからの伝言は聞いたよ」
「滝一さんが探している男の行方がわかったのさ」女もまた目線を前に向けたまま動かさなかった。

「この先の林の奥に人も来ねぇような寂れた寺がある。
俺は今そこを根城にしているから、後でそこの境内に来てくんな。
話はそこでゆっくり聞こうじゃねぇか」滝一はお瑠璃と呼んだ女に向かってそう呟いた。
「あいよ」女は滝一の言葉に相槌をうつ。
「この修験者の成りで、おめぇみてえな派手な女と一緒に歩いてちゃぁ、どうにも目立っていけねぇや」
滝一はそう言うと立ち上がり、団子と茶の代金を椅子の上に置く
「勘定、ここおくぜっ」滝一は茶屋を後にして歩き出す。
342Overtime 仮面ライダー:03/11/02 00:29 ID:FpVy6EWl

一刻程して後、寺の境内で待っていた滝一の前に、
先程のお瑠璃なる女と、見るからに人柄の良さそうな好々爺が姿を現す。
「滝一、久しぶりだなっ」好々爺は滝一の姿を見るとその顔に満面の笑みを浮かべて話掛けた。
「おおっ、立花屋のおやじさんじゃねぇか、こいつは有難てぇ」
その好々爺は立花屋の藤兵衛と謂い、大棚の主で、今は隠居の身で全国を行脚して廻っていた。
だがそれもまた表向きの事で、実は滝一やお瑠璃と同じく隠密であり、古くからの滝一の知合いでもあった。
普段は人柄の良さそうな好々爺ではあるが、その腕の方は、
鈍ら刀を腰にぶら下げた役人などが何人束になっても敵わぬと謂う豪の者でもある。

林の奥に位置する古びて寂れた寺の境内、辺りには人影も全くなく、
そこは人に聞かれては困るという話をするにはもってこいの場所であった。
そこで滝一、お瑠璃、立花屋の藤兵衛は事の本題に入った話をはじめた。

「滝一さんが探している男は、このすぐ近くの宿場町にいるよ」
「慣れない土地で不自由しているようでね、
日雇い人足なんかの仕事をしてその日暮らしの暮らしを送っているようだよ」
お瑠璃は滝一が探しているという男の事について話はじめる。
「あたしも近づいてみたんだけどね、どうやら名前も生まれも偽っているようでね」
「まぁ、自分の素性が知れたんじゃ、何されるかわかったもんじゃないからね、仕方がないことだろうけね」
お瑠璃はその艶かしい唇から、澄んだ声を出して話続けた。
「あの男から本当の事を聞きだそうってのは、ちょっとした骨折だろうね」
「自分の身の危険がかかっているからね、そう簡単には口を割らないだろうね」
滝一は黙ってお瑠璃の話を聞いていた。
343Overtime 仮面ライダー:03/11/02 00:29 ID:FpVy6EWl

「それにしても今度の滝一さんの話はねぇ、、、あたしゃ今だに信じられないよ」
「まぁまぁ、今はその話は後だ」そう言いかけたお瑠璃を立花屋の藤兵衛が制した。
「で、どうするんだい、滝一よ」立花屋のおやじさんの言葉に滝一は頷いた。
「お瑠璃よ、おめぇその男には既に近づいているんだったな?」
「あぁ、そうだよ。あの男が良く顔を出す飲み屋で偶然を装ってね、話を聞き出したんだよ」
滝一は両手をパンっと強く叩く「こいつはちょっとばかり仕掛けてみるか」

「『あやかしの滝一』の本領発揮ってとこだな」立花屋の好々爺は嬉しそうに笑う。
「へぇ、久しぶりに滝一さんのあやかしが見れるんだねぇ」お瑠璃も何処か嬉しそうな顔をしてみせる。
344:03/11/02 00:31 ID:FpVy6EWl
今回結構長くなりそう
345名無しより愛をこめて:03/11/02 00:49 ID:oK89aQpv
おお、待ってましたぁ、「Overtime 仮面ライダー」の続き!
掴みはOK!この後どうなるのか、期待は膨らみむぅぅぅ!

>今回結構長くなりそう
長くなって下さい。是非とも。面白ければ、それでイイ!
346名無しより愛をこめて:03/11/03 12:49 ID:H0K4cIi6
   | \
   |Д`) ダレモイナイ・・SSハルナラ イマノウチ
   |⊂
   |
347仮面ライダー龍我another:03/11/03 12:52 ID:H0K4cIi6
「・・・・・俺は戦う、蓮の代わりに!」
目の前に居る蒼い騎士の姿をした男が叫ぶ。
俺はその言葉を尻目に、腰に付けたカードデッキからカードを抜いた。
ファイナルベント――
そしてそのカードを足に付いたバイザーへと持っていく。
・・・・・・入れにくい。
毎回カードを入れる時にこう思う。
何時か改善されないのだろうか?
俺はそう漠然と考えながら、蒼い騎士・・・仮面ライダーナイトに攻撃を仕掛けた。
他のライダーに向かうその蒼騎士に多数のゼール種モンスターが襲い掛かる。
そして、怯んだ所に俺は突撃をした。
俺のFVによって貫かれた蒼騎士はそのまま倒れ、「ライダー」から「人間」の姿に戻る。
かつて騎士だった男は呟く「れ・・・・・ん・・」
俺はそのまま他のライダーに攻撃を始める。
・・・次はあの緑色のライダーだ・・・・・・・・・・・
348仮面ライダー龍我another:03/11/03 12:53 ID:H0K4cIi6
・・・・・・ジリリリリリ
・・・・五月蝿い。
・・ジリリリリ・・ガチャ
目覚まし時計を止める。
そのまま寝ていたかったが、とりあえずそろそろ依頼人が来る頃だろうから起きておこう。
・・・・・・俺の名は椰子敏行。
この街で探偵をしている。
本日の依頼はいたってシンプル。
いなくなった犬のゲラちゃんを探してくれ、だとさ。
俺は何でも屋じゃねえ!・・・とはっきり言いたいが仕事が無くなるから言えない。
惨めだよな、俺。
・・・・・町外れの洋館。
このあたりで逃げたと言っていたが・・・・・・
「・・・・・で、何故私までこんな所に居るのですか?」
無理やりつれて来られた事に少し怒っているこの男、名は須藤雅史。
俺とこいつはガキの頃からの腐れ縁って奴だ。
まあ、んな事はどうでも良いが。
「だから何故私が・・・・」
「今日は休みだってお前言ってたろ?人手は多い方が良いってね。」
「フゥ・・・・・・」
須藤は溜息をつくと俺と一緒に洋館の中へ入っていった。
349仮面ライダー龍我another:03/11/03 12:54 ID:H0K4cIi6
誰も居ない屋敷の中、
俺と須藤は手分けしてその「ゲラちゃん」を探すことにした。
捜索は順調に進んで行き、あとはこの部屋を残すのみとなった。
しかし、何かおかしい。
俺の第六感がこれはヤバイと言っている。
須藤も「それ」を感じたようで身構えている。
俺は意を決し、ドアを蹴り破った。
・・・・これは・・・・
そこに有った鏡の中には、夢の中で見た「モンスター」が存在していた。
・・・・一瞬意識が混乱する。
アレハユメデハナカッタノカ?
・・・その刹那、「モンスター」は鏡から現れ俺たちに襲い掛かる。
須藤は咄嗟にモンスターの腹を蹴り飛ばし、俺をかかえ他の部屋へ逃げ込む。
「あれは夢ではなかったのですか!」
須藤が少し息を切らしながらそう言う。
・・・・・こいつも「ライダー」だったのか?
・・・俺は夢の中でのモンスターの特性を思い出した。
ふと、部屋を見渡す。
この部屋は・・・・・・窓際。
須藤も気づいた様で、俺たちはもう一度逃げるためにドアに向かい走った。
が、時すでに遅く俺と須藤は窓ガラスの中に引きずり込まれた・・・・・
350仮面ライダー龍我another:03/11/03 12:55 ID:H0K4cIi6
鏡の向こうの世界・・・ミラーワールド。
生物が存在できない死の世界。
唯一存在しているのは人の命を食らうモンスター・・・・
どうやらかなり危険な状況だ・・・・
俺も須藤も夢の様に「ライダー」になれない。
もう駄目か・・
その時であった。古びたコートを着た男が現れたのは。
俺はこいつを知っている。
かつて、俺に力を与えた男。
かつて、俺を戦わせた男
かつて、俺に叶わない夢を持たせた男・・・
「神崎・・・・・」
神崎、と呼ばれた男が振り返る。
「・・お前達に頼みがある。」
「何?」
「・・・・・ミラーワールドの暴走によってモンスターが蘇った。」
「・・・・これ以上優衣に悲しい思いをさせたくはない。」
すべては妹の為ってか?このking of シスコンめ・・・・
そう言うと神崎はコートのポケットからデッキを取り出した。
金色の蟹の紋章の入ったデッキと、レイヨウの紋章が入ったデッキ・・・・
シザースとインペラー。
「もう一度・・・・・・戦え!」
須藤は迷わずそれを手にすると構えをとる。
「変ッ身!」
金の装甲が須藤を包み、あいつを戦士・・・ライダーへと変えていく。
「お前は如何する。」
俺は躊躇いも無く、インペラーのデッキを取ろうとした・・・が、
その刹那、デッキに須藤が戦っているのとは別のモンスターの牙が突き刺さった。
351仮面ライダー龍我another:03/11/03 12:57 ID:H0K4cIi6
・・・一瞬の間、神崎はポケットの中からもう一つ、デッキを出した。
黒い・・・漆黒の龍の紋章・・・
俺はそれを受け取ると、モンスターに向かい、ポーズを取る。
「変身。」
俺を黒い装甲が包む。
「そのデッキはリュウガの物だ。」
「リュウガ・・・・・」
俺はそう呟くと、牙を撃ってきた別のモンスターに突撃して行く。
こんな時に通信学習で覚えた空手が役立つとは・・・・
俺はモンスターを蹴り飛ばし、カードを引き抜く。
ファイナルベント――
俺は無意識のうちに脚に手を伸ばしていた。
・・・・癖になってんのか?
今度こそベントイン成功。
・・・入れやすい・・・・
このモンスター様様といったところか。
俺はユラリと浮き上がると、そのまま黒龍の炎と共に蹴りを決めた。
爆発。
352仮面ライダー龍我another:03/11/03 12:59 ID:H0K4cIi6
さて、須藤はと言うと、あの腕につけた使い勝手悪そうな蟹爪フライで上手く敵にダメージを与えている。
まるで戦いそのものを楽むように・・・・
ファイナルベント――
奴の後ろから金色の蟹が現れた。
奴はそいつに打ち出されると、上空で回転しながら突っ込んで行った。
こちらも爆発。

全てが終わった後、俺達は元の世界に戻っていった。
「全てのモンスターをもう一度倒せ。戦え・・・・」
神崎はそう言うと鏡の中へ消えていった。
「貴方に関わると毎回ろくな事が起きませんねぇ・・・・・」
須藤がそうぼやきながら言う。顔が笑っているぞ。
「・・・俺だってそう思ってるよ。ったく、ここまでトラブルに巻き込まれるとは・・・ある意味流石だな、俺。」
俺はそう呟くと、須藤と共に事務所まで帰っていった・・・・


・・・・ああ、あの犬?
俺の所へ依頼に行っている間に依頼人の家に帰っていた、とさ。
結局、骨折り損のくたびれ儲け、
ホント、運が無いよな、俺って。
353予告だけですが:03/11/05 11:14 ID:GBZBzA9h
最新情報!!

仮面ライダー
ガンダムSEED
そして、パンプレストオリジナルキャラクターが夢の共演!!

平和な世界に今、新たな戦乱が巻き起こる。
地を駆けろ!
仮面ライダー!!
「敵は多いな、滝‥‥いや‥‥‥大したことはないか‥‥‥‥今夜はお前と俺でダブルライダーだからな」
「これ以上こんな奴らの為に、誰かの涙は見たくない!だから見ていてください!俺の!変身ッ!!」

鋼の拳で敵を討て!
パーソナルトルーパー!!
「これだけのベアリング弾…かわせるかっ!」
「我はゼンガー=ゾンボルト!悪を断つ剣なり!!」

空を駆け抜けろ!ガンダム!!
「キラ=ヤマト、ストライク、行きます!!」
「俺達にだってわかっているさ…戦わなくちゃ護れない物がある事くらいな!!」


新番組、ヒーロー戦記・新章
今冬、放送開始予定
354名無しより愛をこめて:03/11/05 14:29 ID:wXGxRoZB
だれか、このスレのSSをまとめたHP作ってくれませんか?
355名無しより愛をこめて:03/11/05 16:30 ID:PW7V1ujj
日本沈没さんはどうしたんだろ
356名無しより愛をこめて:03/11/05 17:43 ID:RU8OmLYX
>>353
種ガンダムとバンプレオリキャラ イラネ。

つーか、完全にスレ違いだろ。ゲーム板逝け。
357名無しより愛をこめて:03/11/05 18:21 ID:hjj7rciI
 このスレの人たちは、

「漫画版Black」と「仮面ライダーBLACK」と「仮面ライダーBLACK
RX」、
「漫画版仮面ライダー」と「テレビ版仮面ライダー」

らをどうリンクさせようかとか考えたことはないか?

358名無しより愛をこめて:03/11/06 00:15 ID:PfHpfojL
>>356
ゲーム板に逝ってもらうのは、完成品を見てからでもいいんじゃないかな?

>>353
ちゅーわけで、完成品を見せてみろ。
ヒーロー戦記はハマったゲームだから期待してるよ
359名無しより愛をこめて:03/11/06 00:35 ID:TuenL3ni
アニメとゲーキャラはマジで要らん。
360名無しより愛をこめて:03/11/06 00:35 ID:PfHpfojL
>>356
ゲーム板に逝ってもらうのは、完成品を見てからでもいいんじゃないかな?

>>353
ちゅーわけで、完成品を見せてみろ。
ヒーロー戦記はハマったゲームだから期待してるよ
361名無しより愛をこめて:03/11/06 00:53 ID:mcZ463vP
漏れは龍牙アナザーの方に期待!

まさか、椰子が主役とは・・・しかも蟹様とのダブルライダーってのもイイ!
二人の掛け合いもよかったし、ライダーになって速攻でクセになっちゃてる
蟹様萌え・・。
でも椰子はインぺラーのままでよかったかも・・・。
362名無しより愛をこめて:03/11/06 06:57 ID:241pSuAA
>>359
やっぱり、アニメや漫画、ゲームとのクロスオーバーはNGですかね?
個人的には面白ければOK何ですけど(苦藁
363353です:03/11/07 00:27 ID:7s8aqqi+
 私達が暮らす地球とは異なる次元に存在するもう1つの地球『エルピス』。
 私達の地球同様、このエルピスも高度な文明が栄えていた。
 
 だが、平和な日々は脆くも崩れ去ろうとしている。  

世界征服を企む悪の秘密結社『グランショッカー』の暗躍。
 遺伝子操作によって生まれた新人類『コーディネーター』と自然なままで生まれてきた人類『ナチュラル』との対立。
 そして、相次ぐ未確認飛行物体の目撃報告と謎の大量失踪事件。 

 事態を重く見た国際連合は、平和維持を目的とした特務部隊『HOPE』を設立。
 数々の悪の秘密結社を壊滅に追い込んだ歴代の『仮面ライダー』、国連軍最強のパーソナルトルーパー部隊『ATXチーム』などをメンバーとして召集。


 今ここにエルピス全土を巻き込んだ戦いが始まろうとしていた。



 ヒーロー戦記・新章 第1話『血のバレンタイン』近日公開



今月中に第1話を公開できるように頑張りますので、よろしくお願いします。 
364名無しより愛をこめて:03/11/07 00:50 ID:jF0dRxTh
グランショッカーってSDライダーの敵じゃん。
365名無しより愛をこめて:03/11/07 06:55 ID:KqJxRlVW
>>363
ウルトラ兄弟はでないの?
366353:03/11/07 11:01 ID:7s8aqqi+
>>364さん
グランショッカーは既出の組織なんですか。
知りませんでした。
教えてくれてありがとうございます


>>365さん
ウルトラマンは自分があんまり詳しくないので登場は未定です
367名無しより愛をこめて:03/11/07 23:20 ID:DAl8udUg
キラも改造人間みたいなもんだし、
同族を裏切って人間の為に闘うというあたり、
キラもまた仮面ライダーと言えないことはない。
そう考えるとやり方次第では案外面白そうとも思える。

ただ舞台設定見る限り、いかにもゲームのまんまっぽいのが気にかかる。
368359:03/11/08 00:12 ID:xLjhTkrs
>>362
いくら仮面ライダーが登場してるとはいえ、ライダー共闘スレで
「テレビゲームの続編を謳い文句にしたSS」やウルトラマンはないでしょ。

…あと気になるのは、以前「ゲームのように」登場するキャラクターの
スペックを書き連ねる香具師のおかげでこのスレが荒れたことがあって、
今回もまたそういうことにならないとも限らない、と思うのよ。
こういう創作スレを「気持ち悪い」と思って、ことあるごとに叩こう
という輩もいるからね。
ある程度の線引きは必要だよ。

違ってたらスマソだが、>>353はsageも知らない2ch初心者さんのようでもあるし。
369367:03/11/08 23:07 ID:ErdzAFuc

俺だったらこんな感じにするが・・・

暗躍する悪の秘密組織。そしてそれと闘う仮面ライダー達。
組織はその正体を隠し、現代の医学では到底到達出来ない領域の技術を人間達に提供する。
そして生まれた『コーディネーター』と呼ばれる新たな人の種。
やがて『コーディネーター』は旧来の人の種である『ナチュラル』と対立するようになる。
組織は『コーディネーター』と『ナチュラル』の間での全面戦争を画策。
仮面ライダー達はこの組織の目論見を食い止めようとするが、
健闘むなしく互いにの憎しみは頂点に達し、
『コーディネーター』と『ナチュラル』の全面戦争がはじまる。

その戦火に巻き込まれる少年キラ・ヤマト。
崩壊しはじめたヘリオポリスで、彼を助けたのは仮面ライダーと呼ばれる者であった。
仮面ライダーはキラを助け、ガンダムと呼ばれるナチュラルの人型機動兵器に乗せ、脱出させる。
その後もキラが危機に直面する度に現れる仮面ライダーなる者。
370367:03/11/08 23:08 ID:ErdzAFuc

キラが自分が創られた存在である事を知り、ショックを受けた時には、
仮面ライダーは自らの出自を語り、ライダーはキラと同じく創られた存在であり、
同族を裏切って人間の為に闘っているという事実を語って聞かせる。

そして、仮面ライダーは『コーディネーター』と『ナチュラル』の間で戦争を起こし、
人類を滅亡させようとする組織と戦い、これを止めることを誓い、
キラはガンダムで人間同士の戦いを止める為に戦うことを誓う。

組織は人類を新たなる混沌へと導こうとNジャマ−キャンセラーの技術を『コーディネーター』に提供、
それを知った仮面ライダーはキラと共に、その技術を活かして開発された『フリーダムガンダム』を奪取する。
そして、ライダーとキラの戦いはクライマックスを迎えて行く・・・

<要はクルーゼの役割を悪の秘密結社にしてしまえばいいのではないか、という案
371367:03/11/08 23:31 ID:ErdzAFuc
要はライダーメインで+αでガンダムなら俺的には許容範囲

個人的にはライダーキックでMSを貫いて一撃で爆発炎上させるとか
そういうシーンも見てみたいが、
ライダーキックでMSの装甲貫けるのか?とか
結局はスペック的な話になって荒れそうな気はするな。
なので否定派の意見も充分に理解出来る。
372名無しより愛をこめて:03/11/09 00:19 ID:62JTkijh
仮面ライダー+スクライドってのはどうだ?
サイズはほぼ一緒だし
というかSRCとかではかなりやられてるんだが
373Overtime 仮面ライダー:03/11/09 00:49 ID:MZCmN89g

その男、名を佐吉と謂った。いやそれもまた偽りの名であり、本当の名ではないのだが。
男の本当の名は助六。男は故あって自分の本来の名を隠さねばならなかった。
佐吉は本来の助六と謂う名も、その素性も全て捨て、全くの別人として生きて行かねばならなかったのだ。
もし自分の素性が誰かに知られる事にでもなろうものなら、
人々に忌み嫌われ、行く先々でその場を追われる羽目になるであろう、
いや、それどころか自分の命すら危ういであろう。
佐吉はお世辞にも決して頭の良い男とは謂えなかったが、その事だけは充分に心得ていた。
そしてそれはまた佐吉の素性にはそれだけの重大な秘密が隠されているということでもあった。

佐吉がこの町にやって来たのは一月程前のことだった。
今迄見た事も聞いた事もないような町で、右も左もわからぬ慣れない土地で、
心機一転一からやり直すということは決して生半可な事ではなかった。
この土地に縁も縁もない佐吉にとっては、この町で頼るような人も宛ても無く、
仕事にありつくことすらままならない事であった。
旅人も多く、人の行き来の多い、開けた町ではあったが、
全くの他所者を手放しで喜んで受け入れるという事はあろう筈もなかった。
やっと仕事を見つけても、その土地の風土、習慣などの違いが佐吉の前に容赦無く立ちはだかり、
仕事仲間との折り合いも悪く、三日と持たずに止めてしまうのが関の山であった。
それ故に何日も飯も食わずにひもじい思いをすることも少なくはなかった。
374Overtime 仮面ライダー:03/11/09 00:50 ID:MZCmN89g

そんな時、佐吉は思わずにはいられなかった『あんな事さえなかったら・・・』
決して口に出して愚痴をこぼす訳にはいかぬが、佐吉は内心常に思っていた。
今自分がこうしたひもじい生活を送っているのも、すべてはあの件のせいであると。
自分の行いを省みて、正す事もせずに、都合が悪い事はすべてそのせいにしてしまう、
自分が悪いのではない、悪いのはすべて誰かのせいであり、そう思う事で自分を正当化しようとする、
佐吉の性根は元々がそういうものであったのだ。
そんな佐吉ではあるが、日雇い人足などの仕事をして、その日暮らしではあるが、
何とか飢え死ぬことも無く、一月の間この見ず知らずの土地で過ごしていたのである。

そしてこの佐吉、酒も好きだが、何よりも大の女好きであった。
佐吉本人はちょっとした遊び人を気取っているらしく、昔は故郷で多くの女を泣かせては、
それで男としての箔が着いたぐらいに思っていたようだ。
そんな大の女好きの佐吉ではあるが、この江戸にも割かし近い開けた町で、
田舎の風情丸出しの佐吉が女人に相手にされる筈も無く、
色気のない悶々とした虚しい日々を送っていたのだった。
375Overtime 仮面ライダー:03/11/09 00:51 ID:MZCmN89g

だが、ここへ来て一月ようやく佐吉にも運が向いて来た、少なくとも佐吉本人はそう思っていた。
それは佐吉が仕事も上手くいかず、半ば自棄気味に呑み屋で一人酒を飲んでいる時のことであった。
狭く小汚い小さな呑み屋に、どう考えてもその場には似つかわしくないような、
華のある、小洒落て、艶のある若い女が一人で酒を飲んでいたのだ。
その白く美しい肌と謂い、整った美しい顔と謂い、女好きの佐吉の欲望はえらく掻き立てられた。
佐吉はその女を横目で盗み見しながら、邪なことを思っては酒を啜っていた。
佐吉ははじめどうせ連れでも待っているんだろうぐらいに思っていたが、いつまで経っても連れらしき人物は現れない。
やがて佐吉はもしその女が一人で飲んでいるのなら何かきっかけをつくって近寄ってみようなどと考えはじめた。

そんな折、女はかなり酔っていたのか立ち上がった際によろけて、
佐吉の前に置いてあった、徳利をひっくり返して零した。零れた酒は佐吉に引っ掛かった。
女は慌てて佐吉に謝り、机の上にあった手拭で佐吉に引っ掛かった酒を拭いた。
「兄さん、すまないねぇ、あたしちょっと酔っちまってね」
女の酒で赤くなった色っぽい顔が、佐吉の顔のすぐ傍らに密着する。
胸に込み上げて来る熱いもの、それを顔には出すまいと必死になる佐吉。
「あらあら、こんな所まで」女は佐吉の太腿の辺りに掛かった酒を手拭で拭いた。
その時、佐吉の悶々とした気分は頂点に達し、爆発寸前であった。
佐吉の鼻息はすっかり荒くなっていた。
今にも目の前の女を押し倒したい衝動に駆られる佐吉、
だがこんな呑み屋では、人の目があるからとそれを必死に理性で抑えようとする。
酒と色気とで佐吉はすっかり他の事を考えられなくなっていた。
376Overtime 仮面ライダー:03/11/09 01:52 ID:MZCmN89g

「娘さん、どうだい、良かったら一緒に飲まねぇかい?」鼻息の荒い佐吉はその女を誘った。
どうやらその女は佐吉に興味を持った風で、佐吉の誘いに応じ、一緒に席に着いて飲みはじめる。
佐吉にとってそれは願ってもない、またとない千載一遇の好機であった。
佐吉はその女と一緒に飲みはじめると、遊び人を気取っているというだけあって、軽口を叩いては女を笑わせた。
女もまた佐吉の話を面白おかしく聞き、嬉しそうに良く笑った。
佐吉はその女の反応を見てこれは脈ありだと、そう思い込んだ。

「兄さんを見てるとね、あたしの本当の兄(あに)さんを思い出しちまってね」
「あたしがまだ年端もいかないうちに家を飛び出しちまったんだけどね」
「見ず知らずの土地に一人で暮らしていると風の便りに聞いてさ」
「今頃どうしているのか、なんて思ってみたりしてね・・・」
馬鹿話の折に、女はふと憂いを含んだ表情を浮かべそんなしんみりした話をし出した。
「兄さんだって、この町の人間じゃないんだろ?」
「私にはわかるよ、兄さんはどう見たってこの辺の人って感じじゃないもの」
「生まれはどの辺なんんだい?」女の問い掛けに返答を濁す佐吉。
かなり酔ってはいるが、自分の素性だけは誰にも語ってはならない、それだけは忘れてはいなかった。
佐吉は適当な事を謂っておいて、直に話を変えようと努めた。
それでも女は話の節々で佐吉自身の事について問い掛けて来た。
普段であれば佐吉もこれはおかしいと思ったのかもしれないが、
酒でご機嫌になった上に、色に目が眩んでしまっている佐吉は、その事に気がつかなかった。
377Overtime 仮面ライダー:03/11/09 01:53 ID:MZCmN89g

佐吉はその後、女をそれとなく何度も口説いたが、その都度女に上手く断られた。
それでも女と次もまたこの店で会う約束を取り付けることに成功した。
佐吉は内心、まぁ出会ってすぐは無理でも、近い内にこの女をものにしてやるぐらいの心づもりだった。
その女の名前はお瑠璃と謂った。

数日後、佐吉がお瑠璃と再び会うと、お瑠璃はちょっと相談したい事があると謂って来た。
何でもお瑠璃の知合いに坊主がいて、その坊主の寺がかなり古くなって来たので、
寺を修理しようと思っている、そこで人手を探していると謂うのだ。
お瑠璃は佐吉に、もし暇があるなら、その寺の修理を手伝ってやってもらえないかという頼み事であった。
もちろん、三食飯も出るし、もし何だったら寺に泊まってもらってもいいし、
謝礼も充分に出るからという、お瑠璃の話であった。
食うに困っていて、決まった寝床もない佐吉には願ってもない話であった。
ここでお瑠璃に恩を売っておくのも悪くない、そういう邪な考えも佐吉にはあった。
人気の無い所にある様な寺であれば、夜、お瑠璃を呼び出して、
そのまま手篭めにするということも出来るかもしれない、そんな算段迄佐吉の頭の中にはあった。

佐吉は、それでもすぐに返事はせずに、お瑠璃の頼みじゃしょうがないぐらいの事を謂って、
恩着せがましくお瑠璃の頼みを承知したのであった。
見知らぬ土地に来てから一月ちょっと、ようやく自分にも運が向いて来た、佐吉はそう思っていた。
少なくとも佐吉本人はそう思い込んでいた。
378Overtime 仮面ライダー:03/11/09 02:35 ID:MZCmN89g

「拙者、この寺の職衆(しきしゅう)の滝一と申す」
佐吉がお瑠璃に紹介された寺に行くと、身の丈六尺を軽く越えようかという大男が佐吉を出迎えた。
装束などから坊主である事は間違いないのであろうが、
装束が無ければどう見ても坊主には見えないような大男であった。
「今、住職も副住職も、本山に行かれていてな、拙者が留守を任されているのだ」
滝一なる大男は、外見からは想像もつかないような、人なつっこい笑顔を見せてそう言った。
佐吉ははじめ滝一を怖い人かと畏れていたので、滝一のその笑顔を見て胸を撫で下ろして安堵した。
「拙者も訳ありで坊主になった身でな、本来は生臭坊主なんだ」
「まぁ住職も副住職もおらんので、羽でも伸ばそうかと思っておるんだ」
「寺の修理の方ものんびりやってもらえればいい」
滝一はそう言うと再び人なつっこい笑顔を佐吉に向けた。
『これは楽な仕事になりそうだ』佐吉は滝一の言葉からそう判断した。

佐吉の思惑通り、いやそれ以上に、ここは佐吉にとって居心地のいい場所、まるで極楽のようであった。
仕事はそれ程大した事もせずに、雑用を幾つかこなすだけで、
朝飯、昼飯と旨い物は食えるは、夜は夜で豪勢な料理と酒で、滝一と二人で毎晩飲み明かした。
これで謝礼も充分に出ると謂うのだからこんなに美味しい仕事はない、佐吉はそう思い内心大喜びをしていた。
むしろ話が上手過ぎておかしいぐらいではあったが、だが滝一が佐吉に見せる人柄からして、
佐吉にはとても裏があるとも思えなかったし、寺に一人で留守番している間、
滝一もまた呑み仲間が欲しかったのではないか、ぐらいに佐吉は思って過ごしていた。
毎晩、旨い物を食って、旨い酒を飲んで、佐吉は充分に満足していたが、
こうなると後はどうしても女が欲しくなる。
そろそろお瑠璃でも呼び出して、手篭めにしてしまおうか、佐吉はそんなことを思いはじめていた。
379仮面ライダーさん:03/11/09 04:47 ID:LmaAxsCX
>>363
かなり苦労しますよ、それ。
380Overtime 仮面ライダー:03/11/09 16:01 ID:MZCmN89g

佐吉の寺での生活も数日が過ぎた或る日の晩、佐吉と滝一は例によってお堂で大酒を喰らっていた。
と滝一は所用を思い出したと謂い、直に戻って来るからと謂って席を外す。

広いお堂に一人取り残された佐吉。
夜の暗い闇が辺りを包み込み、佐吉の居るお堂には蝋燭がひとつ灯されているだけ。
お堂の隙間から吹く風に蝋燭の火が揺れ続ける。
その明るさは決して充分な明るさではなく、佐吉の傍の狭い範囲のみが照らし出されるだけであった。
お堂の中を吹く隙間風はやがて生暖かい風に変わり、
お堂に一人取り残された佐吉は、何やら謂い得ぬような不気味さを感じはじめていた。
佐吉はその不気味さを振り払うかのようにひたすら酒を煽り続けた。

目の前にあった酒をすべて飲み干した佐吉は、滝一の戻りが遅いことを気にかけながらも、
まだ飲み足りないような様子で、徳利の中を覗き込んでいた。
するとその時、何処か遠くからお経を詠む声が聞こえて来る。
佐吉は一瞬びくっと体を反応させる。
ちょうどお堂の脇は墓場になっており、声はそこから聞こえて来るようであった。
ここがお寺である以上経が聞こえても全くおかしな事はなかったが、
それでも佐吉にとっては心地いいものではなかった。
そしてそれに続くように線香と焼香の匂いがお堂の中に漂いはじめて来るのであった。
381Overtime 仮面ライダー:03/11/09 16:04 ID:MZCmN89g

薄暗いお堂に一人取り残された佐吉、
生暖かい風、風に揺れる蝋燭の火、かすかな灯り、経の声と線香とお香の匂い。
そこはいつもとは違う、まるでこの世のものではない空間、のように佐吉には思えた。
佐吉はこの雰囲気に耐えがたくなり慌ててこの場を後にしようとしたが、
酒を飲み過ぎたのであろうか、手足が痺れたようになって、体が思うように動かない。
佐吉の背中には冷汗が流れ、額には脂汗が流れはじめる。

異様な雰囲気の中に一人取り残された佐吉。
動く事も出来ずにまんじりと時が過ぎるのを待っていると佐吉にはこの場所が、
この世とあの世の境でもあるかのように思えて来てならなかった。

そして隙間風により蝋燭の火が消え、お堂は真っ暗になる。
「ひぃっ!」佐吉は唸り声のような短い悲鳴を上げる。
お堂には微かな月明かりだけが差し込むばかりであった。
その月明かりに照らされて、お堂の廊下側の障子にすっとひとつの影が現れる。
「ひぃっ!」佐吉は再び唸り声のような短い悲鳴を上げる。
障子越しに映ったその影は、どうやら女の影のようであった。身動きも取れずに震え上がる佐吉。
その女から声が発せられると、佐吉の心の臓が止まるのではないかというぐらいに、佐吉は震え上がった。
それは泣き入るようなかすかな声で
「…熱い …熱いよ …」と繰言のように発せられた。
「…熱い …熱いよ …からだが燃えるよ …」
「…熱い …熱いよ …助六さん …」
382Overtime 仮面ライダー:03/11/09 16:44 ID:MZCmN89g

佐吉は真っ青な顔をし、額に滝のような汗を掻き、体を諤々と震わせる。
「おっ、おっ、お冴っ!」佐吉の口から思わず女の名前が突いて出た。
「…熱い …熱いよ …助六さん …」女の泣き入るようなかすかな声は繰り返される。
「いっ、いっ、生きていたのかっぁ!?」
「いっ、いっ、いやっ、そんな筈はねぇ、おめえは確かにあの時」
体を震わせ怯えながらも佐吉は必死に言葉を発する。
「…熱い …熱いよ …助六さん …恨めしいよぉ …」
「おっ、おっ、俺が悪いんじゃねぇっ」
「おっ、おっ、おめえがあの時、あんなことになるから、、」
「おっ、おっ、おめえぇ、もしかしてまた、また、、」
佐吉は混乱し訳のわからない事を口走っていた。

やがて女の影が映った障子がすすっと開く。そこには月明かりに照らされた女の姿があった。
暗がりでよくは見えなかったが、その女、田舎娘のような風情で、
ほどかれた長い髪が顔を覆い隠し、顔を見ることは出来なかった。
だが、佐吉は間違いなく、その女が自分の良く知る『お冴』であると思っていた。
「…熱い …熱いよ …助六さん …」女は繰言を続けながら、佐吉、いや助六の方へと歩み寄る。
「やっ、やっ、やめろっ、やめてくれぇっ」
佐吉、いや助六の前に立ちはだかる女。
顔を覆い隠す、ほどかれた長い髪。女はその長い髪をわずかに掻き揚げる。
するとその掻き揚げられた髪の合間から、無惨に焼け爛れた顔が現れる。
「ひぃっ!」佐吉は唸り声のような短い悲鳴を上げる。
元の形すら留めていない、目や鼻や口があったと思しき箇所。
女はその焼け爛れた顔を佐吉の顔へと近づける。
佐吉は恐怖のあまりにとうとう耐え切れずに意識を失う。
383かいぞーぐ:03/11/09 22:29 ID:X+hb/ASa
ふと某アメコミに触発<っていうかパクリ?>されてこういうのを考えてみた・・・

「仮面ライダーAOS<エイジオブショッカー>」
あらすじ・・・歴史にIFはあり得ないがもしもありえたらと言う話

1972年、人類は二人の英雄を失った。死ぬべきではなかった戦士達
否、絶対に死んではならなかった人類の最後の希望・・・その名を仮面ライダー!!
改造人間による世界支配をたくらむ悪の秘密組織ショッカーに改造され、平凡に
過ぎ去るハズであった人生の全てを狂わされた二人の若者・・・
本郷猛、一文字隼人はその呪われた身体を剣に変え人類を守るべく懸命にに戦い抜いた
・・・そう、命の灯火が消え去る寸前まで・・・皮肉にも時は1972年12月24日
のクリスマスイヴ、サンタクロースならぬ時の女神は人類に絶望<パンドラ>をプレゼ
ントしたのだった。時は流れ十年後の1984年。旧人類に取って代わり地上を我が者
顔で征服する新人類、改造人間のもと人類は人権を剥奪され、改造人間の思うがままに
蹂躙されて生きていた・・・畜生以下の扱いを受けて、死んだ方がマシと思えるような
地獄を見せられて生きていた。しかしこの暗黒の時代においてもショッカーに反旗を翻す
勇者達がいた、「アンチショッカー同盟」、十年前にショッカーの脅威に対抗するべく
結成されたこの組織の構成員は、その九割以上が人間で残りの一割はショッカーから脱走
してきた改造人間で構成されている。そしてこのレジスタンスを指揮する「人間」
この「人間」の名、そしてそのコードネームを我々人類は二度と忘れてはならない・・・
亡き友「本郷猛」「一文字隼人」の意志を引き継ぎ、濃緑の強化服と仮面を身にまとい
常に作戦の前線に立ちレジスタンスを指揮するその人間を・・・その名は滝和也!!
またの名を・・・「仮面ライダー」!!


「仮面ライダー滝和也は「人間」である!
 彼は亡き友「本郷猛」「一文字隼人」の 意志を引きつぎ
 ショッカーの魔の手から人間の自由と尊厳を奪い返すために闘うのだ!!」
384名無しより愛をこめて:03/11/09 22:46 ID:MZCmN89g
このスレ共闘というよりは、
仮面ライダーをベースにいろんな話を考えるスレになってるよな
いやだからこそそれなりにここ迄続いているんだけどさ
385Overtime 仮面ライダー:03/11/09 23:23 ID:MZCmN89g

「おいっ!佐吉さんっ!どうしたんだっ!」佐吉は滝一の呼び掛けにより目を醒ます。
佐吉が目を醒ましたのを確かめると滝一は安堵の顔をしてみせる。
「しかし驚いたぜ、俺がこの部屋に戻って来たら、佐吉さんが口から泡吹いて倒れているじゃねぇか」
「一体何があったんだい?」滝一は佐吉にそう問い掛ける。
佐吉は滝一のその言葉で先程迄の出来事を思い出したのか、蒼ざめた顔で再び震え怯えはじめる。
「ゆっ、ゆっ、幽霊が、出たんでさぁ」佐吉はそう口にするのが精一杯であった。
「おいおい馬鹿を謂っちゃいけねぜ」
「いくらここが寺で墓場もあるからって、幽霊が出るなんて事ある訳ねぇじゃねぇか。
いやここが寺なら尚更幽霊なんぞ出てもらっちゃ困るってもんだ。
こちとら毎日供養してやってるってのにその甲斐がまったくねぇじゃねぇか」
「大方、佐吉さんが寝惚けて夢でも見たんだろうぜ」
滝一は佐吉の言葉にそう笑って答えるだけであった。

だが佐吉にはそれは夢だとは到底思えなかった。佐吉には心当たりがあったのだ。
自分の事を恨めしく思う女が祟って出て来た、佐吉にはそう思えてならなかった。
夢ではないと頑固な迄に言い張る佐吉。
滝一はしばし腕を組んで考えていたが、思い悩んだ末に、佐吉にある事を告げる。
「佐吉さんよ、実は今迄俺も言えずにここ迄来ちまったんだが、、」
「俺ははじめてあんたに会った時から、ある事が気になって仕方がなかったんだ」
「これは脅かしでも何でもねぇから、驚かないで聞いてくれよ」
386Overtime 仮面ライダー:03/11/09 23:25 ID:MZCmN89g

「俺は坊主になる以前は、占いなんかを生業としていたんだ」
「それで他人様の先があまりによく見えちまうものだから、自分でも怖くなってな。
まぁ大抵そういう占いってのは良いことよりも、悪いことの方がよく見えるもんだからね。
悪い占いの結果が当っちまうってのはどうにも後味が悪いもんでね。
何だか自分が占ったからそうなっちまったんじゃねぇかって気になって来ちまう。
そうした後ろめたさもあって坊主なんかになったんだがね。」

「それでだ、どうも佐吉さんの顔には死相が出ているみてえなんだな」
滝一の話を聞いていた佐吉は怖くなったのか再びぶるぶると震えはじめる。
「それにだ、女難の相も出ているから、何か女絡みでよくねぇことがあるのかと、気になってはいたんだ」
「俺も佐吉さんに謂った方がいいのか、ずっと悩んでいたんだがね
せっかく飲み仲間が出来たっていうのに、そんな話をして佐吉さんの気分を悪くしたくはなかったんでね
ずっと今迄黙っていたんだよ」滝一は頷きながら佐吉にそう語った。

「だがね佐吉さん、これも何かの縁だよ」
「こう見えても俺も坊主だ、佐吉さんが本当に亡霊にとりつかれているっていうのなら、
俺がお祓いして除霊することだって出来る」滝一は佐吉の肩にそっと手を乗せる。
「だがお祓いする為には、佐吉さんに以前何があったのかを知らなくちゃならい」
「どうだい?何か事情があるのなら良かったら語って聞かせてはくれないか?」
滝一は穏やかな声で佐吉を悟すかのようにそう謂った。
387かいぞーぐ:03/11/09 23:38 ID:X+hb/ASa
>>384 風見もアンチショッカー同盟に加わっていて滝と共闘しますが
    本郷が死んでいるため人間のままです・・・結城はショッカー首領に
    絶対なる中世を誓っていて改造人間キングオブジェネシスとなり滝たちと
    死闘を繰り広げています・・・
388384:03/11/10 00:04 ID:IehO9KCm
>>387
特にかいぞーぐさんをさしての発言ではなかったんですよ
自分も時代劇仮面ライダーとか書いてますし(w
ガンダムって話もあったりしましたので

個人的にはAOS面白いと思いますよ
アメコミ詳しくないので北斗の拳をイメージしてしまいましたけど(汗
ああ、北斗の拳風仮面ライダーもいいかも、今度書こうかな(w
389Overtime 仮面ライダー:03/11/10 00:23 ID:IehO9KCm

佐吉は、滝一にすがりたいという気持ちと、
自分の素性を誰にも謂ってはならぬという気持ちとが心の中で葛藤していた。
「安心しなよ、佐吉さん。ここで聞いた事は決して誰にも謂いはしないよ。
俺一人の胸の中にきっちりしまっておくからよ」
滝一は自らの胸に手をあてながらそう佐吉に語りかける。

お堂の中で隙間風に吹かれてゆらめく蝋燭の炎。真っ直ぐに佐吉を見つめる滝一の眼差し。
滝一は穏やかでありながら、力強い言葉で佐吉に語り掛け続けた。
その言葉を聞いていると、佐吉は次第に滝一にはすべてを話さなくてはいけないかのように思えて来るのであった。
それはまるで滝一の言葉によって何か暗示にでも掛けられているかのようでもあった。
佐吉の頭の中は次第に真っ白になって行き、何も考えられなくなって行く。
それはまだ酒が残っていたからかもしれないし、他に理由があるのかもしれなかった。
「大丈夫だよ、俺を信用してくれよ、佐吉さん」
滝一がそう謂うと、暗示に掛けられたように佐吉は自分の素性を話しはじめた。

「わかったよ、滝一さん、、」佐吉はまるで生気を失ったかのような目で朴訥と喋りはじめる。
「滝一さん、あんた今人々の間で噂になっている、山間の村の悲劇の話を知ってるかい?」
「ああ、何でも、山間の小さな村に流行(はやり)病が広がって、村の人がみんな死んじまったって話だろ」
「山には火が放たれて、跡形も無く燃え尽きちまったっていうじゃねぇか」
「ああ、そうだよ」
「滝一さん、俺はね、その山間の小さな村の、ただ一人の生残りなんだよ、、」
「…なんだって!」滝一は佐吉の話を聞いて驚いた風にしてみせた。
390:03/11/10 00:26 ID:IehO9KCm
やっとここからが本題
でもそれは明日以降
長くてゴメソ
391:03/11/11 13:16 ID:LGo8lMQd
今話題になっているものとネタが被っていることに、今日はじめて気づいた
ゴメソパクッった訳じゃないんだよ
392Overtime 仮面ライダー:03/11/12 01:48 ID:GhL5FX2W

「じゃぁ、佐吉さん、あんたも流行り病にかかっているかもしれねぇのかい?」
滝一はわざと佐吉にそう聞いてみせた。
「いや、あれは流行り病なんかじゃねぇ、あれはそんなもんじゃねぇんだ …」
佐吉はとつとつと村で起った悲劇、その真相を喋りはじめる。

「俺が生まれた村は山間の小さな村でよ、
決して豊かな村とは謂えなかったが、貧しくもなく、食うに困るわけでもなく、
平穏に暮らすにはいい村だったんだよ、あんなことさえ無ければ …」

「その村に『お冴』という年頃の娘がいてね、
いやあっしはお冴が小さい頃からよく知っていたんだが、それはそれは綺麗な娘に成ってね。
色気なんかも出てきやがって、いつしかあっしは『お冴』を見ると悶々とするようになってんだよ。
いつかこの女を自分のものしてやる、ぐらいに思ってたんだ …」

「それでさ、あっしはついつい辛抱し切れなくなって、
夜分、お冴を村の外れに呼び出してね、無理矢理押し倒しちまったんでさぁ。
お冴も小さい時分からあっしのことをお兄ちゃんって呼んでたからね、
おそらく用心なんてしてなかったんでしょうね、
自分で呼び出しておいてこう謂うのもなんですがね、
夜分に男に呼び出されてのこのこやって来るなんてまったく馬鹿な女です …」
393Overtime 仮面ライダー:03/11/12 01:49 ID:GhL5FX2W

「お冴を草叢に押したおしてね、泣き叫ぶお冴の服を無理矢理剥いで、お冴の白い肌が …
いやいや、そんなことはこの際関係ないんですが …」
「でね事が済んだ後に、お冴がこう謂ったんですよ
『もうお嫁に行けないから責任を取ってくれ』ってね
あっしは驚きましたよ、お冴がそんなこと言い出すとは思ってもいませんでしたから。
やっちまたら向こうもその気になっちまったんでしょうかねぇ …」
「あっしとしては責任取る気なんかこれっぽっちもなかったんですがね、
口先だけで上手いこと謂っておいて、この先もお冴で楽しんでやろうなんて思いましてね、
随分と調子がいいこと謂っておいたんですよ」
「まぁこうしてお冴と夜な夜な逢瀬を重ねていたんですよ …」

「その日もお冴との睦言の後だったんですよ …」
394Overtime 仮面ライダー:03/11/12 02:14 ID:GhL5FX2W

「村の外れの草叢で、いつものようにお冴の体を楽しんだ後でした …
あんまり遅くなって家の者に感づかれたらやっかいだってことで、
急いで身支度を整えて直して、家に帰ろうとした時でさぁ …」

「草叢の中でごそごそと音がしたんです、
はじめは、あっしら以外にもここでお楽しみの奴がいるのか、ぐらいに思ってたんですけど
その音が段々あっしらの方に近づいて来るじゃぁありませんか、
あっしらは怖くなりましてね、道迄走っていったんですよ」

「そしたらでさぁ、草叢の中からとんでもなく大きな影が飛び出して来たんでさぁ
そいつの姿は暗くて良くは見えませんでしたけどね、
この世の者じゃないってのはあっしにもすぐにわかりましたよ
あれは、あれは『もののけ』に違いねぇ、
七尺はゆうにあるような大きな体で、鎧みたいなもんを着込んでましたよ
その『もののけ』が、お冴に向かって飛びかかって行ったんですよ …」

「あっしはね、その『もののけ』を見てあんまりにも驚いたんで、
我を忘れて、無我夢中で逃げ出しましたよ …」
「いや、決してお冴を見捨てて逃げ出したんじゃぁねぇんですよ …
『もののけ』を見て頭の中が真っ白になっちまって、
そう、その間のことは何ひとつ覚えてないんですから。」
「気がついたら、あっし一人だけで自分ちの前に立ってたんですよ。
どうやら村の外れから家迄、無我夢中でずっと走りどおして来たみたいで。
あっしはまだ『もののけ』が追って来てるんじゃないかって、怖くて怖くて、
そのまま家に籠もって布団を被ってぶるぶる震えていたんですよ、夜が明けて朝になる迄 …」
395Overtime 仮面ライダー:03/11/12 23:49 ID:GhL5FX2W

そこで佐吉の話は止まった。
滝一はそのお冴なる娘を襲った『もののけ』が『彼面雷駄』ではないということを知っていた。
佐吉の話がそれで終わりではないということも。
そうでなければ滝一が知っている事とどうにも辻褄が合わない。
滝一は佐吉に話の続きを促した。

「佐吉、いや助六さん、早く話の続きを聞かせてくれよ。
お冴さんともののけがどうなったのか気になるじゃねぇか」
「すまないね、どうにも頭がぼうっとしちまってね」
そう言うと、佐吉、いや助六は、まるで暗示にでもかかっているかのように、
滝一に促されるままに、再びとつとつと続きを話はじめるのだった。

助六の語る話の続きはこのようなものであった…
396Overtime 仮面ライダー:03/11/13 00:34 ID:zjdW31wP

家で布団を被って震えながら朝を迎えた助六。
お天道様が高く昇った頃、助六もようやく落ち着きを取り戻したのだと謂う。
だがもちろん昨夜の事が頭から離れない、この世にあんな『もののけ』がいるだなんて、
自分は夢でも見たのだろうか、それとも狐か狸に化かされでもしたのではないだろうか、
自分のその目で『もののけ』を見ておきながら、どうにもそれが信じられなかったのだと謂う。
そして流石の助六も、後ろめたさもあってか、
お冴がどうなったのかが気になって仕方がなかったのだそうだ。
いや助六にしてみれば、お冴が自分と一緒に居て、そのまま行方がわからなかくなった、
その事が村の連中に知れたら、何を謂われるかわからない、その事が心配で仕方なかったのだが。
助六はさんざ悩んだ末、外に出てお冴の家に様子を見に行くことを心に決める。
助六は外では「お冴がいなくなった」とか「もののけが出た」とか、
大騒ぎになっているのではないかと、胸をどきどきさせながらおそるおそる家の外に出て行った。
だが、村はいつもと変わらず平穏そのものであったと謂う。

助六は少しばかり拍子抜けした気分で、お冴の家へと向かった。
お冴の家の様子を遠くから見ていた助六。お冴の家では何らいつもと変わった様子は見られない。
そして助六がしばらく遠くからお冴の家の様子を眺めていると、
なんとお冴本人が家の中から外に出て来るではないか。
その様子はいつもと何ら変わらず、元気そうであった。
流石に昨夜の事があっては、本人に話かけるにもばつが悪く、
助六はそのまま遠くから様子を見ているだけであったが、
何はともあれお冴が何事も無く家に帰っていた、その事に助六は安堵するのであった。
やはり昨夜の事は夢でも見ていたか、狐か狸に化かされていたに違いない、
助六はそう思い、自分の家に帰って安心して休んだと謂う。
397Overtime 仮面ライダー:03/11/13 22:16 ID:zjdW31wP

助六が再び目を醒ました時には、すでに夕刻になっていたと謂う。
眠りから醒めた助六には、昨夜の事がまるで遠い事のように思われ、
やはりあれは寝ている間に見た悪夢であったに違いない、そう思ったそうな。

だが、助六が眠っている間に、村ではちょっとした騒ぎが起っていた。
朝方は元気そうだったお冴が、とんでもなく高い熱を出して倒れたのだ。
高い熱を出し、顔を真っ赤にし、滝のような大汗を掻き、うめき悶え苦しむお冴。
医者などろくに居ないこの村で、村の人々はお冴を何とか救おうと限りを尽くした。
病に効くとされる薬草を煎じて飲ませたりなどもしたが、
お冴の容態は一向に良くなる気配を見せなかった。

助六が呑気に腹をすかせて起きてくると、助六のおっかさんは、
村中がお冴の病の噂で持ちきりになっていることを話はじめた。
その話を助六は真っ青な顔をして聞いていた。
お冴が突如として高い熱を出して病に侵されているのは、
昨夜お冴が『もののけ』に襲われたからに違いない、助六はすぐさまそう思った。
そこに理屈はなかったが、助六はそう信じて疑わなかった。
助六は昨夜自分がお冴と一緒に居た事が村の人々にばれない様にと、
只々その事ばかりを祈るのみであった。
398Overtime 仮面ライダー:03/11/13 22:48 ID:zjdW31wP

村に再び夜が訪れた。
お冴は相変わらずで、熱が下がる気配も無く、大汗を掻き、うめき悶え苦しむ続けていた。
村の人々はお冴の事を心配し一晩中看病したが、それでも一向に具合は良くはならなかった。
そんな様子に業を煮やしたのか村の人々は、ついには、
お冴が助かるようにと、神頼みをはじめるような有様であった。

そんな村の人々の願いも虚しく、お冴は次の日、とうとう息を引取った。
やっと熱の苦しみから解き放たれたお冴は、床に伏したまま青白い顔で冷たくなり動かなくなっていた。
それはただ寝ているだけのようにも見えて、今にもまた起き出すのではないか、そんな事を人々に感じさせた。
だがお冴の心の蔵の音は止まり、息も止まっていて、脈もない、確かにお冴は死んだのだ。
まだまだこれから先がある若いお冴の死を、村の人々は我が事のように嘆き悲しんだ。

だが、村の人々もそう悲しんでばかりはられなかった。
とんでもなく高い熱が出て、うめき悶え苦しむ続けていたお冴の様が、あまりにも奇異であった為、
村人の一人が、お冴が流行り病に侵されていたのではないかと謂い出したのだ。
そう謂われれば確かに見た事も無い様な奇妙な有様であった、
お冴は何処かから流行り病を拾って来たのかもしれぬ、と皆もまた思いはじめる。
「お冴には申し訳ないが、これは早い所、土に埋めちまった方がいいかもしれねぇ」
村の男衆は集まってそう相談をはじめる。
このような村落にあって最も怖いのが流行り病などの伝染(うつる)病である。
あっという間に村に広がって、村中の人々皆が病にかかることになりかねない、
ましてや医者などもろくにいなような村であるのだから、
下手をしたら村中の人々皆が、お冴と同じに、命を落とすかもしれないのだ。
村の人々はそのことを畏れ、お冴を早々に村外れにある墓所に埋葬することに決める。
399Overtime 仮面ライダー:03/11/13 23:22 ID:zjdW31wP

お冴が亡き者となってから、まだ数刻しか経たぬというのに、お冴の葬儀は早々と行われた。
青白い顔で目を閉じ冷たく動かなくなったお冴、白い旅装束に着替えさせられたその亡骸が、
戸板の上に乗せられて、村の男集によって担がれる。
村の人々が葬儀旗、のぼりを掲げ、多くの人々が集まり並んでつくられた行列は、
葬儀行列となって村の外れへと向かって行く。

お冴の両親(りょうおや)、おっとうもおっかあも、そしてまだ幼い妹・弟も、
お冴が死んだことを事実として受け入れられず、只々泣くばかりであった。
とりわけようやく娘が年頃になる迄育てて来た両親にとって、
お冴の死は深い悲しみと言い切れないような刹那さとなって重くのしかかっていた。
村の人々は今にも崩れ落ちそうになるお冴の両親の肩を抱いて、お冴の葬儀行列へと並ばせた。

誰も何も謂わず無言のまま、重苦しい雰囲気で、葬儀行列は目的地を目指す。
村の人々はお冴を不憫に思いながらも、お冴の亡骸を一刻も早く土に埋め、
早く葬ってしまいたいと誰もが思っていた。
それは村の人々の命を守る為にも致し方の無い事であった。

その葬儀行列を遠く離れた所から眺めている助六。
流石にお冴に対して後ろめたさを感じ、せめて最後だけも見送ってやろうと思ったのであろうか、
助六は木々に隠れるようにしてお冴の葬儀行列をじっと見つめていた。

葬儀行列は村の外れの草叢へと差し掛かる。
そこは皮肉にもお冴が助六に手篭めにされた場所でもあり、
夜分『もののけ』に襲われた場所でもあった。
そのお冴に曰くのある草叢へと葬儀行列が差し掛かると、驚くべき異変が起った。
葬儀行列を見守っていた助六もそに異変に自分の目を疑った。
400Overtime 仮面ライダー:03/11/14 00:20 ID:738h/DFK

戸板に乗せられ担がれたお冴の冷たく動かなくなった筈の体、その右手が微かに動いたのだ。
遠くから葬儀行列を眺めていた助六は誰よりも一早くその事に気づいたと謂う。
助六はこれは何かの間違いだ、そう思いながらも、恐怖して体の芯からがたがたと震え出す。
次の瞬間、お冴の右手は再び動き、
永久に目を瞑っていなければならない筈のお冴がゆっくりと再び目を開ける。
だがその再び開かれた目は生きた人間の目ではなかった。
白目を剥いたお冴が雄叫びを上げ、身を起こし、獣のような素早さで、戸板の上から飛び降りる。

突然起ったその異変に気づき、お冴の姿を見て驚き腰を抜かす村の人々。
恐怖に打ち震え、口を聞く事さえも出来よう筈もなかった。
お冴は白目を剥いて、口を大きく開くとその口には獣のような牙が生えていたと謂う。
大きく開けた口で獣のように咆哮すると、お冴はその場の村の人間を次々と襲いはじめるのだった。
401Overtime 仮面ライダー:03/11/14 00:21 ID:738h/DFK

「お、お冴の奴ぁ、黄泉返ったんでさぁ …」
滝一の前で助六は、その時の光景を思い出し、蒼ざめた顔で震えながらそう呟いた。
「馬鹿な、死んだ人間が黄泉返ったと謂うのかい?」
「そもそも死んでなかったんじゃないのかい?」滝一は助六に詰め寄る。
「お、お冴が死んでたのは村の者みんなで確かめたんだ …」
「それに変わり果てたお冴の姿は … あ、ありゃぁ、この世の者じゃねぇ …
あの世から黄泉返った者に間違いはねぇ … 」

「黄泉返ったお冴は、村の奴らを襲ったんだ …
まるでいたぶるみてぇに … わざと急所を外して、すぐには死なねぇように …
その時の有様といやぁ … まるで地獄でさぁ … 」
助六はそこまで謂うと頭を抱えて振るえ上がった。
402Overtime 仮面ライダー:03/11/14 00:57 ID:738h/DFK

獣のような素早さで、村人に襲いかかるお冴。
その鋭い牙で村人の腕に噛み付くと、そのまま腕を引き千切ってみせた。
村人の腕から血飛沫が噴出し、辺りにその飛沫が飛び散る。
とその隙に、お冴はまた別の村人へと襲いかかり、今度は足を食い千切る。
村の外れの草叢には、村人達の悲鳴が次々と響き渡り、
あっという間に辺り一面は血の海と化していった。
それは助六が謂うようにまさに地獄絵図のような有様であった。
地の海の中に、手や足を食い千切られて、もんどりうってうめき声を上げる村人達。

お冴の母親は、変わり果てた姿へと成り果てた娘をそれでも諦め切れないのか、
お冴に向かって涙ながらに呼びかけ続ける「お冴っ、やめておくれっ、お冴っ」
母の決死の問いかけにもお冴は応えず、その母までをもお冴はその手にかける。
母の首筋に獣のような牙が突き立てられ、そのまま肉を引き千切られる。
涙するお冴の母の首筋から雨のような血飛沫が勢い良く吹き上がる。
お冴はそのまま今度は自らの父をその獣のような爪で切り裂いた。
そしてその場に泣いて立ち尽くす幼き自らの妹・弟までをもその手にかけた。
もはやお冴は人ではなかった …

その地獄のような有様を遠くから見ていた助六、
あまりの恐ろしさに腰を抜かして、今度ばかりは逃げ出す事さら出来なかった。
その時、助六は目の当たりにする、お冴の姿がさらに異形の者へと変わり果てて行く様を。
お冴の体はやがて灰色の鎧を着込んだ『もののけ』のような姿へと変わっていった。
それは先だっての夜分に、お冴に襲いかかった『もののけ』に良く似た姿でもあったと謂う。

お冴が灰色の鎧を着込んだ『もののけ』へと成った時、さらに奇怪なる事が起った。
お冴に襲われ悶え苦しんでいた村人達、すぐにも死ねずにその痛みにもんどり返っていたのだが、
とうとう息を引取ると、村人達はそのまま灰と化し、跡形も無く崩れ去ってしまった。
その場に居合わせた村人達は、皆同じくして灰と成って、崩れ落ち、風に舞って逝った。
403:03/11/14 01:01 ID:738h/DFK
やっと半分ぐらいではなかろうか
今回の敵は … そういうことで
もともとがいろんなものを真似ていたりするのですが
SCIRENなるゲームとネタが被っているそうで
5、D計画の始動(前編)

『京都大震災―死者・行方不明者四千超―』
『無惨!金閣寺倒壊す』
輪転機がけたたましい悲鳴をあげながら、センセーショナルな文字を刻んでいく。
航空写真に映しだされた千年の古都は、一夜にして見るも無惨な姿に変貌していた。
大文字見物の群衆にあふれていた加茂川周辺では、多くの見物客が橋梁や木造家屋の倒壊
に巻き込まれて圧死し、河原には無数の屍体が折り重なった。
死者・行方不明者4200名、重軽傷者13000名――
あまりにも多大な人的被害に、日本中の人々が震撼した。
そして人々の心をさらに暗澹たらしめたのは、京都の文化財が蒙った壊滅的な打撃だった。
文化庁の調査団がまとめあげた被害報告リストには、鏡湖池へと沈んだ金閣寺をはじめ、
市内のおもだった社寺仏閣が軒並み名を連ねるありさまだった。
名刹は瓦礫の山となり、仏像は紅蓮の炎に消えた。
千年にわたって脈々と継承されてきた文化の結晶は、永遠に失われたのである。
まるで、見えざる悪魔の手によって狙い撃たれでもしたかのように。
事実、震災の直後から不気味な噂が囁かれはじめていたという。
幾つかの寺院から、明らかな不審火の痕跡が認められたらしい――
大地震の夜、大路を駆けていく黒装束の集団が目撃されたらしい――
しかし、それらの情報が検証されることはなかった。
噂はあくまで噂のまま、いたずらに人々の不安を煽りたてていった。
――不安。
群発地震に神経を擦り減らされていた人々の心に、どす黒い影が染みだしていく。
千年の都ですら、跡形もなく崩壊したのだ。
悠久の過去から類推した永遠なる未来など、錯覚にすぎない。
では、我々が身を委ねているこの大地は――はたして、不滅といえるのだろうか?
漠然とした胸騒ぎで、眠れぬ夜が続く。

そして、悪夢にうなされる日本列島の裏側では、さまざまな策謀が蠢きはじめていた。
 世界各国からの乗降客でごった返す、夕暮れの大阪国際空港。その其処彼処に、異様な
緊張感を漂わせた男達の姿があった。彼等は互いに無線機で連絡をとりあいながら、手に
した双眼鏡をせわしなく覗き込んでいる。一瞬たりとも見逃すまい、と彼等が凝視してい
る“獲物”は、先程ファーストクラスから降りたった恰幅のよい外国人男性であった。
ベルギーの美術商、D=マルタン。
裏の世界では国際的美術品窃盗、密輸、贋作、盗品故買等々を扱うシンジケートの黒幕と
して知られる大物である。ICPO日本支部経由で彼の来訪を伝えられた空港警察は、
多数の私服捜査官を配備して張込みにあたっていた。

『ただいま、入管を通過しました。指示通り、このまま泳がせます』
「了解、接触者には十分な注意を払え。車輌班は空港前にて待機、俺もすぐ合流する」
捜査係長は部下達に告げると、眉根に皺を寄せてエントランス周辺を俯瞰した。
まもなく、此処にマルタンが姿を現す。
ICPOの情報によれば、彼自身が取引に赴くというのはごく異例の事態らしい。それは、
当事国の美術界にとってはまさに“国難”と言うべきレベルの重要な商談を意味する。
緊張のあまり、係長はごくりと喉をならして唾を飲み込んだ。
(…おや、あれは?)
双眼鏡を構えた手が停まる。
ロータリーの傍らに、周囲を窺う不審な男の姿。
目深に被った革の帽子、サングラス、革ジャケット――彼のいでたちは、その悉くが漆黒
一色に染めあげられていた。そして、夕陽を浴びて立つその姿には、柔剣道の有段者であ
る係長をして思わず唸らせしめるほどに、一分の隙もなかった。
(まさか、依頼人のエージェントか?)
脂汗をかいた手を無線機にのばしたその時、黒づくめの男がこちらを振り仰いだ。
彼は口元にニヒルな微笑を浮かべると、軽く片手をあげて挨拶とおぼしき仕草を見せた。
勘付かれたか――思わず視線を逸らす。
「いや…此処は、展望フロアだぞ?」
一瞬遅れて、愕然とする係長。
双眼鏡を外せば、地上を行き交う人々の姿など芥子粒ほどにしか見えなかった。
 エントランス周辺に張込んでいた捜査員達の動きが、俄かに慌しくなった。待ち構えて
いた“接触者”が姿を現したのだ。マルタンを出迎えたのは、屈強なボディーガードを従
えた秘書風の美女であった。認証らしきものを示し、にこやかに挨拶を交わすと、彼等は
ロータリーで待機していた高級外車へと乗り込んだ。
「先日頂いた芳崖と広重、当方で鑑定させていただきました。見事な真作です」
「畏れいります。お近づきのしるしにお納めください」
秘書が、流暢な英語で答える。一方のマルタンは、しきりに背後を見遣っていた。
「どうやら、尾行されているようですね」
御心配には及びません――秘書が艶然と微笑んだ次の瞬間、派手な衝突音が響いた。

「何事だ、これは!」
後部座席の捜査係長が怒鳴る。
彼等の眼前では、貨物置場から急発進してきたフォークリフトが横転し、路上に積荷をぶ
ちまけていた。我に返った捜査官の一人が車を降り、黒煙をあげている事故車輌へと駆け
寄る。しかし、その運転席はもぬけの殻だった。
「しまった、やられましたっ!」
マルタンを乗せた外車は、既に悠然と走り去っていた。
為す術もなく立往生する捜査車輌。その鼻先を、一陣の疾風が掠める。
爆音を蹴立てながら、障害物の合間を華麗に擦りぬけていく荒馬のごときバイク。
すれ違いざま、係長が今にも噛みつきそうな表情で叫んだ。
バイクを駆っていたのは、あの“黒づくめの男”だったのだ――

どうやら、撒いたようですね――マルタンが満足そうに笑う。
彼等を乗せた車はすでに空港を遠く離れ、中国自動車道を西進していた。
スモークガラス越しの景色が、飛ぶように流れていく。
「日本は渋滞が多いと聞いていましたが、なかなか快適ですね」
マルタンは葉巻に火をつけ、ゆったりと座りなおした。
「さて、そろそろ商談に移りましょうか――
 日本の美術品を大量に紹介していただけるという話でしたが。
 目的地へ到着する前に、とりあえず概要についてお伺いできますか?」
「その必要はありません、ミスター・マルタン」
にこやかな微笑を浮かべたまま、冷酷に言い放つ美貌の秘書。
その双眸には、この上なく残忍な輝きが宿っていた。
「貴方が目的地に到着することは、ないのですから」
端整なその貌を裂くようにして、奇怪な紋様が浮かびあがっていく。
マルタンが、上擦った声で尋ねた。
「き、君はいったい何者だ?」
「お察しのとおり、贋物ですわ――貴方のお得意な」

 停車しろ、と英語で喚きながらマルタンが運転手の肩を掴む。反応は、皆無だった。
運転手の首が弛緩しきった様子でぐらりと傾く。バックミラーに映ったその顔には、生気
と呼ぶべきものが全くと言ってよいほど欠けていた。そして、虚ろな瞳があらぬ方向を眺
めたままであるにも関わらず、彼の両腕は淡々とハンドルを捌き続けていた。
(――化物ッ)
ここに至って、マルタンは自分が常識の範疇をこえた怪異のただなかに居る事を理解した。
“大物”と呼ばれた男はそのプライドをかなぐり捨てて母国語で絶叫すると、運転手の腕
からハンドルを奪いとり、車を中央分離帯めがけて突進させた。
鈍い衝撃とともにマルタンの身体が宙に浮き、後部座席へと揺り戻される。
幸いにも、ボディーガードの巨躯が彼を受けとめるクッションの役割を果たした。
背中に、ぐにゃりとした薄気味悪い感触が伝わる。
この男もまた、運転手と同様に生ける屍のごとき様相を呈しているのだ。
マルタンは激しい嘔吐感に抗いながら、ドアを蹴破るようにして車外へ飛び出した。
「いけませんわ、ミスター・マルタン。このような無茶をなさっては」
ぞっとするような嗤いを浮かべ、秘書のスーツを纏った妖女が迫ってくる。
 転がり出た路上は、薄紫色の暗闇と異様な静寂に覆われていた。アスファルトの硬い感
触を踏みしめながら、画商はせわしなく周囲を見廻した。幸いなことに、後続車はない。
いや――対向車線も含めて、ただひとつの車影すら見出すことができなかった。
幾何学的な渦巻模様を描く重苦しい曇天のもと、灰白色の直線だけが遥か地平線の彼方ま
で続いている。言い知れぬ不安に教われ、逃げ惑うマルタン。
妖女がゆったりと宙に舞いあがり、背後から追いたてる。
運転手は、いまだにハンドルを握り続けているらしい。中央分離帯に乗りあげたタイヤが、
虚しく空廻りしている。そして、無惨にひしゃげたドアから生気の失せたボディーガード
がゆっくりと這い出してきた。
鈍重な動きの巨漢から逃れ、マルタンが必死で駆ける。
妖女の双眸が、きらめく。
瞳から放たれた光の結晶が、標的の足元を掠めてアスファルトを焦がした。
外したのではない。いつでも仕留められる獲物を、弄んでいるのだ。画商は、直感した。
光弾の狙いが、徐々に絞りこまれていく。
そして、妖女の照準が遂にマルタンの背を捉えたその時――彼は、鋼鉄の咆哮を聴いた。
爆音とともに躍り出たバイクの前輪が、死の魔弾を撃ち払う。

 予期せぬ闖入者を、宙空の妖女が険しい表情で睨みつける。
「おぉっと…そんなに怖い顔をするもんじゃないぜ?」
黒づくめの男は不敵に笑うと、サングラスを外した。鋭い眼光が、妖女を射返す。
その時、マルタンが悲鳴をあげて藻掻いた。無言のまま彷徨い続けていたボディーガード
が、ようやく獲物に辿りついたのだ。黒づくめの男は華麗に車体を翻すと、鞍上から鋭い
上段蹴りを放った。頚部が砕けんばかりの衝撃を受けて、巨躯が吹き飛ぶ。
だが、ボディーガードは呻き声ひとつあげることなく立ちあがった。
「アマゾンの手紙にあった妖術か…いや、少し違うな」
蹴りを受けた頚部から、紫色の泡がゴボゴボと沸きたっている。獲物を求め徘徊する動作
が、徐々にぎこちなくなっていく。やがて膝から崩れ落ちたその巨体は、腐臭を放つ粘液
の塊となってアスファルトの大地へ溶け出していった。
 怒りをあらわにした妖女がカッと双眸を見開き、灼熱の飛沫が次々と放たれる。
新たな標的となった黒づくめの男は愛車を華麗に操り、襲いくる光弾を躱していった。
爆音を轟かせ、華麗に驀進していく鋼鉄のマシン。
その騎上で、男は俄かに立ちあがった。
両腕をゆっくりと構え、吹き荒ぶ疾風に身を委ねる。そして――
「ふんッ…変身、ブイスリャァッ!」
ベルトに刻まれた力と技の風車が、唸りをあげる。
まばゆい閃光が彼の全身を包み、その姿を変えていく。
高性能マシン“ハリケーン”を駆る、赤き仮面の戦士――その名は、仮面ライダーV3!

「なるほど。仮面ライダー…とやらですね」
妖女の姿が、蒼白い怪光に覆われる。
黒髪が意志をもった怪物のようにざわめき、白銅色に染まっていく。
その姿を上空に見据えたV3は、軽やかに跳躍すると鋼鉄の腕を振りあげた。
真剣のごとく研ぎすまされたV3チョップが、宙に閃く。
しかし、その一撃が妖女へと届くことはなかった。歪んだ大気の渦が、真綿のように戦士
の全身へと絡みつく。不可視の障壁によって、地上へと弾き返されるV3。
「やるな…貴様、ネオショッカーの一味か?」
「否、我が名はビシュム。暗黒結社ゴルゴムの大神官…」
賛美歌でも奏でるかのように、妖女が言葉を紡ぐ。
その旋律にのせて、身に纏っていたスーツが純白の神官衣へと変化していく。
優雅に宙を舞うビシュム。やがてその姿は霧のように薄れ、不気味に渦巻く曇天へと同化
していった。薄紫色の空に、哄笑をあげる巨大な妖女の貌が浮かぶ。
「な、なんだ…あれは…」
マルタンが、放心したように呟いた。
眼前で繰りひろげられる異様な光景の連続に、彼はもはや限界を迎えようとしていた。
天空で嗤い続ける妖女の唇を眺めながら、彼の精神はゆっくりと平衡を失っていった。
 悪魔を罵るスラングを並べたてながら、マルタンは何処へともなく彷徨いはじめた。
天蓋からそれを傍観していたビシュムの双眸が、妖しい輝きを放つ。これに呼応して巻き
おこった兇風がマルタンの脚を掬い、V3をも一瞬たじろがせる。地表に這いつくばって
じたばたと足掻く画商の背を目掛けて、灼熱の光弾が容赦なく叩きこまれる。
V3が跳ぶ。喚き散らすマルタンを庇い、光弾の威力をその身体で受けとめる仮面の戦士。
「おっと…国際的美術品窃盗団の黒幕、アントワープのマルタン。
 遥々、アレキサンドリアから追ってきたんだ。そう簡単には、やらせないぜ?」
余裕めいた笑顔を浮かべて振り返るV3。
――勿論、鋼鉄の仮面に表情が現れるはずはない。しかし、極限に追い込まれたマルタン
の眼は、異形の貌に朗笑を見ていた。彼はその笑顔に、微かな“救い”を求めた――。
「…来るぞ!」
仮面の戦士が叫ぶ。兇風が止み、ビシュムの瞳から無数の灼熱弾が降りそそぐ。
マルタンを庇ったまま、仁王立ちでこれを受けきるV3。
特殊繊維を灼く火花が大気を焦がし、おびただしい黒煙が周囲を覆う。
「仕留めたか?」
天蓋に浮かぶ大神官が、獲物の行方に瞳を凝らす。
しかし、黒煙の彼方からゆっくりと現れた戦士の姿は、いまだ闘う意思に満ちていた。
“V3バリヤー”――両腕で構えをとり、身体に内蔵されたエネルギーを解放する。闘気
とエネルギーの炎を全身に巡らせたV3の肉体は、百万ボルトの電撃すら凌駕するのだ。
呆然と座り込んでいるマルタンの姿を一瞥すると、ライダーは低く構えた。
無惨に抉れたアスファルトの大地を蹴り、その姿が再び天空高く舞いあがる。

「V3、キィィック!」

真紅に燃えたぎる右脚に、渾身の威力が宿る。
数えきれぬほどの怪人達を葬り去ってきた、V3必殺の蹴撃――しかし、そのV3キック
をもってしても、宙空の女怪が纏っている障壁を砕くことは叶わなかった。
 天に活路を拓かんとする全身の躍動と、それを阻む透明な障壁。
互いの威力が拮抗し、その均衡に支えられてV3の肉体が空中に静止する。
鍛え抜かれたその体躯は、さながらギリシア彫像のごとき美を放っていた。
「哀れな…蜘蛛の巣に捕えられた、虫けらの姿」
ビシュムがせせら笑い、怪光を放つ。力場の均衡が崩れ、V3が障壁に跳ね返される。
だが――翠緑に輝く戦士の瞳は、まだ闘志を失ってはいなかった。
V3の身体が、宙を舞う。
障壁に与えられた斥力が、しなやかな全身のバネへと伝わる。
後方廻転をくわえて身を翻すたびに、人工筋肉の旋動が両脚へと蓄積されていく。
そして、練りあげられた破壊力のすべてを――叩きつける!

「V3、ダブル反転…キィック!」

轟音が大気を震わせ、路傍の照明灯を次々と粉砕した。
障壁が砕けると同時に、宙空に浮かんでいたビシュムの貌も消えた。
白い装束を纏った神官の実体が、アスファルトの大地へと突き落とされる。
天蓋を覆っていた薄紫の呪縛が解け、紅の夕陽がV3の仮面を照らす。
自動車の騒音と、排気ガス雑じりの風と、肌寒さと――
静寂の空間で失われていた五感が、マルタンの精神に染みわたっていく。
ビシュムは、怒りと屈辱に表情を歪めながらゆっくりとよろめき立った。
まさに、その時――
彼方から、喧しいサイレンの音が鳴り響いてきた。
「…おのれ、仮面ライダー…この借りは、必ずや返してくれようぞ」
悔しまぎれの台詞を残して、ビシュムの姿が虚空へと消える。
「やれやれ。どうやら、暢気に話を訊いてる暇はなさそうだな」
サングラスを掛けなおし、バイクに跨る風見志郎。
そして空港警察のパトカーがようやく駆けつけたとき、現場にはただ独り茫然自失のまま
立ち竦むマルタンの姿だけが取り残されていたのだった。

――東京、海底開発KK。
苦虫を潰したような表情の常務に突然呼びだされ、運営部長の吉村は狼狽していた。
「小野寺俊夫…彼は、休暇で帰省中に例の震災に出くわしたんだったね」
「はい、一時弔慰金を先日実家に送りました」
快活だった部下の姿を想いながら、沈鬱な表情で頷く吉村。
「…これは一体、どういう事だね?」
困惑の表情を浮かべ、常務が差し出した一通の便箋。
そこには紛れもない小野寺の筆跡で、『辞表』としたためられていた。
「今朝方、欧州から航空便で送られてきた…なんだって彼は、海外なんかにいるんだ?」
壁際に置かれた“わだつみ”の模型を眺めながら、眉をしかめて煙草をふかす常務。
しかし、当然のことながら直属の上司たる吉村といえども、小野寺の行動にいかなる真意
があるかは測りがたかった。私にも見当がつきません――そう言いかけて、吉村は常務の
持っている国際郵便の封筒に目を留めた。
「…消印は、ナポリですか」
それがどうかしたかね、と常務が問う。しばらく逡巡したすえに、吉村は鞄から分厚い書
類を取りだした。潜水艇や船舶施設のスケジュールを管理する吉村のもとには、世界各国
のあらゆる海洋団体の趨勢に関する資料が送られてくる。彼が示したのは、その片隅に記
されていた小さな報告だった。
「神戸のとあるサルベージ会社が、仏海軍から深海潜水艇“ケルマデック”を譲り受けた
 という情報です。ところがこの会社、業務はほとんど休止中の幽霊企業だとか」
「そんな会社が1万m級の潜水艇をわざわざ買い込んで、どうするんだ」
「判りません。資金を何処から捻出したのかも、現在調査中です。
 しかし、なにより問題なのは――艇を買ったところで、性能検査や操縦をこなせる技師
 がいなければ何の役にも立たない、という事ですよ」
常務が、唸り声をあげる。
“ケルマデック”級の潜水艇を安心して任せられる技師など、ざらに居るものではない。
吉村が言わんとしている事は、明白だった。
「小野寺は、その会社に引き抜かれたとでもいうのかね?」
「確証はありませんが…“ケルマデック”の係留港は、ナポリなんです」
失踪した潜水艇操縦士と、不可解な潜水艇購入――ナポリの地で結びつけられたこの符合
は、単なる偶然とは思えなかった。常務はしばらく不機嫌そうな顔で黙りこんでいたが、
やがてほとんど灰になった煙草を揉み消すとゆっくり口を開いた。
「しかし…あの純朴そうな男が会社を欺き、あの震災以来ずっと行方を心配している田舎
 の母親にも報せずに単身渡欧するなんて、ありうるだろうか?」
吉村も、言葉に詰まった。もとより、海底開発KKはそれほど巨大な企業という訳ではな
い。二人とも部下である小野寺の性格を直接に熟知していればこそ、彼の裏切りを認めた
くない気持ちが何処かに働いているのかもしれなかった。
二本目の煙草に火をともし、常務は天井を仰いだ。
「あるいは、断ろうにも断れない事情があったのかもしれんな」
まさか、犯罪絡みということですか?――吉村の表情が曇る。
「そうとばかりは限らんよ。ほら、海洋開発研究所の“あかつき”が長期航行に出たそう
 じゃないか。しかも、半年分の予定を急遽キャンセルしての出発ときている」
「ええ、おかげで我が社にも各方面から代行依頼が殺到しましたよ」
苦笑しながら、吉村が手元の資料を捲る。海洋開発研の不可解な運営については調査部も
かなり重点を置いたのだが、何故かクライアントの実体すらいまだに掴めていなかった。
「これは噂だが、海洋開発研には防衛庁の資金がかなり流れているらしい。
 ほら、何年か前に起きたタンカー連続沈没事件のときも、民間で真っ先に狩り出された
 艇は“あかつき”だったじゃないか」
「防衛庁御用達、という訳ですね。それじゃ、背後で動いているのは…」
日頃の資金提供を背景にして海洋開発研の“あかつき”を借りあげ、さらにダミー会社を
通じて“ケルマデック”を入手する。かなり大掛かりなプロジェクトが、文字通り水面下
で動きはじめている。小野寺は、その計画に巻き込まれたのではないか――
常務は、紫煙混じりの溜息をついた。
おそらく、これ以上調査の糸を手繰ることはできないだろう。
「防衛機密」という名の厚い壁が、彼等の前にそびえ立っていた。    (つづく)
414沈没 ◆HqKATooXaI :03/11/14 13:00 ID:ii1saR2N

間隔が随分あいてしまって、申し訳ありませんでした。
(おもに、番外編を途中まで書いてから一時保留したのが痛かったです)
いろいろ面白そうな新作や企画もUPされているようなので、
これから楽しみに拝読させていただきます。

それでは、またなるべく近いうちに…。
415名無しより愛をこめて:03/11/14 22:56 ID:QhlfDyzO
>>414
乙!
凄ぇー! 戦闘シーンの描写とか、メチャ上手い。
えらく壮大な話になりそうだけど、是非とも最後まで書き上げて欲しいな〜!
416名無しより愛をこめて:03/11/15 11:35 ID:kLoUr5uY
Over&沈没age!
417名無しより愛をこめて:03/11/15 12:40 ID:a48L0dO6
沈没さんが帰ってきた!
418名無しより愛をこめて:03/11/15 15:31 ID:x+gDVtB/
>383
嬉々として外道な実験を続けている結城丈二の
姿が真っ先に浮かんでしまったw
419名無しより愛をこめて:03/11/15 21:40 ID:u2gcggZW
>>418
それも面白そうだね。知性と気品を兼ね備えた悪役になりそうだ(w
420Overtime 仮面ライダー:03/11/17 00:13 ID:IrO4rjbN

灰色の『もののけ』と化したお冴は、
その場の人々だけではまるで飽き足らないとでも謂うかのように、
人々の生血を求めるかの如く、つい先程葬儀行列が辿って来た道を走り戻って行く。
そうその先には村の家々があり、そこには村の大勢の人々が暮らしていた。
血に飢えた獣の如く村人達を次々と襲って行く灰色の『もののけ』と成ったお冴。
村人達は突然の化け物の襲来に恐れおののき、恐怖し、悲鳴を上げ、逃げ惑う。
以前お冴であった灰色の『もののけ』は容赦無く村人達を切り裂いて行く。
老若男女、例え幼子であろうと、生まれて間もない赤子であろうと、
灰色の『もののけ』は目の前にいる人間すべてに襲い掛かった。
平和で穏やかであった村は一瞬の内に地獄のような有様と化して行く。
そしてお冴であった『もののけ』に襲われた村人達は、
みな一様に息を引取ると、その体は灰と化して崩れ落ち、吹く風に舞い逝くのであった。

遠くからお冴が灰色の『もののけ』と成り、人々を襲う様を見ていた助六は、
恐怖のあまり腰を抜かし身動きすら取れなくなっていたが、
『もののけ』が村へと走っていた後、しばらくして幾分か正気を取り戻し、
このままに村に残っていては危険だと思い、慌てて逃げ出す。
無我夢中で山の中を駆け回る助六。
『もののけ』と成ったお冴に人間の心が残っているとは思えぬが、
だが人間だったお冴には随分と仕打ちをして来たのだから、
『もののけ』と成ったお冴が自分を追い掛けて来ても何ら不思議はない、
助六はそう思うと気が気ではなかった。
助六はただ一心不乱にひたすら走り、逃げ続けた。
村に自分のおっかあが残っていることすら忘れて。
421Overtime 仮面ライダー:03/11/17 00:45 ID:IrO4rjbN

助六が我を忘れて山中を駆け回っていると、
慣れ親しんだ山道、普段であれば絶対避けて通るような急斜面に出てしまった。
助六はお冴であった化け物が自分を追って来るのではないかと謂う恐れから、
再び正気逸していたのであろうか、無謀にもその急な斜面を駆け下りようと試みる。
案の定、助六はそこで足を取られて転び、斜面を転げ回り落ち、
斜面にあった石に頭を打ち、意識を失うのであった。

どれぐらい気を失っていたのだろうか。
助六が再び目を醒ました時、日は沈みかけており、辺りはすかっり暗くなりはじめていた。
助六は頭に軽い痛みを覚えたが、幸い大した怪我では無そうだ、
それよりも何よりも早くこの村から逃げ出さねばと、灰色の『もののけ』の恐怖を思い出し、
再び無我夢中でひたすら走りはじめた。

後もう少しだ、助六が村から出る通り道に近づく。
だがそこには何やら大勢の人影が見える。
その様相からして、それは明らかに村の者達ではなかった。
その装束や腰に刀を差している所から見ておそらくはこの近辺に詰めている役人ではないか、
助六はそう思って、足を止め、物陰に潜んで様子を窺った。
それは助六の本能が何かを感じ取ったのかもしれぬ。
この助六という男、ろくでもない人間ではあるが、
自分の身に振りかかる危険に対しての嗅覚は人並みならぬものがあった。
その危ない臭いを感じ取って助六は反射的に身を隠したのであろう。
422Overtime 仮面ライダー:03/11/17 00:46 ID:IrO4rjbN

助六が様子を窺っていると、一人の男が役人達が待ち構えている方へと走って向って行く。
その男、村で助六の友人でもあった又左なる者であった。
又左よ生きて逃げ出して来おったか、助六は自分以外にも村の生残りが居た事に驚いた。
だが、又左は待ち構えていた役人達に通行止めされてしまった。
「お役人様っ、どうしてっ、どうしてですかっ、何でここを通してくださらねぇんでっ?」
「聞けば、この村から流行り病による死人が出たというではないか。
もしお前に流行り病が伝染(うつ)っていたらどうする?
流行り病が村の外へと一気に広がってしまうではないか。
よってだ、この村の者をここから一歩も外へ出す事は出来ん」
「違うんですっ、あっ、あれは、流行り病なんかじゃねぇんですっ」
「化け物がっ、化け物が、村を襲ったんですっ」
「化け物となっ?お主正気かっ?」
「本当なんですっ、本当なんですってばっ」又左は必死に役人に訴えかけた。
「いずれにしてもだっ、もし本当に化け物であっても、
これ以上騒ぎが大きくなってはお上が困るのだっ、大人しく村へ帰れっ」
「もし村に戻らぬというのならお前をこの場で斬るっ!」
腰の物に手を掛け凄んでみせる役人達。
「そっ、そんなっ」又左の顔は絶望へと変わっていた。

がっくりと肩を落としてとぼとぼ引き返す又左、役人達も刀に掛けた手を降ろす。
だが、又左はその隙を突いて、役人達を振り払い、村の外へ逃げようと試みる。
村に戻っても『もののけ』に殺されるのは目に見えている、
ならばここで何とか逃げ出そうとするのもわからぬ話ではない。
又左の試みは功を奏したかのように見えたが、
追って来た役人によって後ろから袈裟切りにされ、血飛沫を噴き上げ、
断末魔とともに儚くその命を散らして逝った。
423Overtime 仮面ライダー:03/11/17 00:47 ID:IrO4rjbN

その一部始終を物陰に潜んで見ていた助六
『畜生、あいつら、村のもんを閉じ込める気だ』
それは『もののけ』の餌食となれと謂っているのと同じ事であった。
助六は役人達に気づかれぬ様にその場を離れ、再び山中を駆け巡る。
村から抜ける他の道へと向かう為に。
424Overtime 仮面ライダー:03/11/17 19:21 ID:IrO4rjbN

助六は暗い山道をふたすら走り続け、別の村から抜ける道に辿り着いたが、
そこももう既に大勢の役人達により通行止めをされていた。
山の木々の合間に隠れ様子を窺う助六、
そこでもやはり村から逃げようとする村人達が次々と無惨に切り殺されて行った。
助六はその時、役人達によってすべての逃げ道が塞がれてしまっている事を悟る。
助六は思案する、こうなれば人気の無い様な山の奥深くへと潜み、
お冴の灰色の『もののけ』と役人達をやり過ごすしかないのかもしれん。

(それにしても、役人達も酷い事しやがるぜ
村の騒動が流行り病によるものではない事は、早い内にわかっていたはずだ。
となると、それを知っていながら、口封じの為に逃げて来る村人達を殺めたということか …)
滝一は助六の話を聞き胸の内でそう思っていた。
だが、自分もまたそうした役人達と同じ側にいる人間であるということが、
滝一の胸の内を複雑な心持ちにさせた。

村からの逃げ道を失い、暗い闇に包まれた夜の山を登って行く助六。
山の中腹辺り迄さしかかり、助六が高見より下を覗き込んだ時、
山の麓で大きな火柱と成って真っ赤に燃え盛る炎を目にする。
その大きな火柱はもの凄い勢いで広がって行き、山の周り一面をあっという間に包み込む。
真っ赤な業火が、この村のすべてを焼き払うかのように、次々と燃え広がって行く。
425Overtime 仮面ライダー:03/11/17 19:39 ID:IrO4rjbN

『しまったっ、山に火をかけられちまったっ、奴ら村をこの山ごと焼き払う気だっ!』
助六はその事を悟り、慌てて今来た道を戻り山を下りはじめる。
だが時すでに遅く、助六の目の前にはただ燃え盛る炎が立ちはだかるのみ。
その煙にむせび、煙を多く吸い過ぎたのであろうか、
炎に囲まれた助六の意識も次第に遠のいて行く。
『もうだめだ、ここで焼け死ぬのか …』
助六が倒れ込み、朦朧とする中でそう思った時であった。

辺り一面が炎により焼き尽くされるその音とはまったく異なる音が助六の耳には聞こえて来る。
その音ははじめ微かであったが、次第に大きく成って、助六の方へと近づいて来る。
助六ははじめ、『もののけ』と成ったお冴の仕業によるものか、そう思っていた。
だが、その音はまるで雷の如き音であったと謂う。
地にうつ伏している助六、その音の振るえが大地から伝わるぐらいに近づいて来た時、
助六が顔を上げると、そこにはこの世の者とは思えぬような、
雷の如き音を出す馬に跨った、洒落頭のようにも見える面を着けた、鎧武者のような者が居た。
その面には大きな赤い目ん玉が薄気味悪く光り輝いていたと謂う。

はじめ助六は、お冴を襲った灰色の『もののけ』、そして灰色の『もののけ』と化したお冴、
と同じ『もののけ』であるかと思っていたようだが、
その雷の如き音を出す馬に跨った、髑髏のような面を着けた鎧武者は、
村が炎によって焼き尽くされる様を見ながらこう謂ったと謂う
「…遅かったか」
助六はその言を聞いて、もしかしてこいつは人間なのかもしれぬ、そう思ったと謂う。
426Overtime 仮面ライダー:03/11/17 20:56 ID:IrO4rjbN

(『遅かったか』だとっ!?)
助六の話を聞いた滝一は胸の内でそう叫んだ。
助六の話からそれが彼面雷駄であることは明らかであった。
滝一もまた今度の話に彼面雷駄が絡んでいる事はある程度わかっていたから、
それに関しては驚く事は無かったが、彼面雷駄のその言には滝一も驚いた。
滝一もまた薄々感じていた事ではあったが、
彼面雷駄はもしかしたら『もののけ』を追う者なのかもしれぬ、
滝一は彼面雷駄のその言を聞いて、その考えを強くした。
彼面雷駄と『もののけ』達との関わりはわからぬが、
彼面雷駄と『もののけ』達とには何かしら関わりがあり、
彼面雷駄は『もののけ』達を追っているのではないか、
もしかしたら彼面雷駄は『もののけ』達を退治する者なのかもしれぬ、
滝一はそう考えはじめていたのであった。

燃え盛る炎の中で倒れる助六、その目の前に現れた彼面雷駄。
彼面雷駄は雷の如き音を発する馬から降りると、助六の方に近づいて来たと謂う。
助六は得たいの知れない髑髏のような面を着けた鎧武者に恐怖を感じていたが、
幸か不幸か最早助六は朦朧としており、何も考える事も出来ずに居たと謂う。
すると彼面雷駄は助六の体を造作も無く担ぎ上げ、
再び雷の如き音のする奇妙な馬に跨って、走り出したそうだ。
そして燃え盛る炎の中を物凄い早さで走り抜けて行ったのだと。
彼面雷駄に担がれた助六はそこで気を失い後の事はまったく覚えていないと謂った。

次に助六が目を醒ました時には、もうお天と様も高く登った昼時であったそうだ。
そこは助六の村から山を2つばかり越えた村の外れであった。
助六はあの不気味な髑髏のような面を着けた鎧武者が、
自分をここ迄運んで来てくれたのであろうかと不思議がったが、
よくよく思えばここ数日はどうにも解せぬ不思議な事ばかりであった、
今更あれこれ考えてもしょうがないと、それ以上の詮索は止めにしたと謂う。
427Overtime 仮面ライダー:03/11/17 20:57 ID:IrO4rjbN

いずれにしても助六はもう村に帰る事が出来なかった。
いやもう助六が生まれ育った村はきっと跡形も無く焼き尽くされているであったろうが。
帰る場所を無くした助六は、そのまま流れ歩き、そしてこの町に流れ着いたのだった。

これが今人々の間で噂になっている『山間の小さな村の悲劇と奇怪』の真相であった …
428Overtime 仮面ライダー:03/11/17 21:44 ID:IrO4rjbN


すべてを語った佐吉に、滝一は酒を飲ませ、
「話はわかった、今日はもう疲れていただろうから、早く休んだ方がいい」と謂い、
佐吉を休ませると、滝一は寺のお堂の裏へと向かった。
そこにはお瑠璃と立花屋の藤兵衛が滝一のことを待っていた。

「見事な役者っぷりだったじゃねぇか、お瑠璃」滝一は笑いながらそう謂った。
「なに、立花屋のおやじさんが用意してくれた面が良かったのさ、
まるで本物かと思うようないい出来だったからね、
あたしゃはじめて見た時気持ち悪くて仕方がなかったよ」お瑠璃は滝一のそう返した。
「おおっ、あれは南蛮渡来の滅多にない素材でつくった面だからな、
暗がりじゃ、ついつい本物だと思って騙されちまうってもんよ」
立花屋のおやじさんは、持って来た面の出来の良さに得意気だった。

「いや、今回はお瑠璃と立花屋のおやじさんが居てくれて助かったぜ」
「お瑠璃には『お冴さんの幽霊』を演じてもらったしな」
「立花屋のおやじさんには、他にも痺れ薬だの、眠り薬だの、
頭がぼうっと真っ白になっちまう薬だの、いろいろと準備をしてもらったからな、
仕掛けも楽だったってもんよ」滝一はそう謂って二人に軽く礼をした。
「なに、こちとら、表向きは大棚の主なんてことになっちゃいるが、
裏じゃ、揃えられない物はねぇ、何でも扱う行商人としてちったぁ名を知られているんだ。
これぐらいは朝飯前のお安い御用よ。
要り用な物があったらいつでも声を掛けてくんな。何でも揃えてみせるぜ」
立花屋のおやじさんはそう謂うと人なつっこい笑顔をみせた。
429Overtime 仮面ライダー:03/11/17 22:03 ID:IrO4rjbN

そう、佐吉が見た『お冴の亡霊』も、
すべては『山間の小さな村』の真相を聞き出す為に、滝一が仕組んだあやかしであった。
まず滝一はお瑠璃に佐吉と馴染みになってもらった。
大の女好きで、女に不自由していた佐吉はお瑠璃にすぐに喰らいついて来た。
そこでお瑠璃に佐吉をこの寺に連れ込んで来てもらった。
滝一は人のいい坊主を演じ、佐吉の警戒心を解いて、
毎晩上手い物と上手い酒を与え、佐吉の上機嫌にさせていた。
そこで今晩いよいよ仕掛けが行われたという訳だ。
滝一は事前に佐吉の酒に痺れ薬やら、頭の中が真っ白になっちまう薬やらを混ぜておいた。
そして頃合を見計らって所用があると言って部屋を後にし、
経を詠んだり、香の匂いを漂わせたりと、雰囲気をつくっていった。
滝一に謂わせるとそうした小細工も相手を暗示にかけるのには必要なのだそうで、
あやかしを得意とする滝一は実に蝋燭の火ひとつで相手を術中に嵌めることも出来るそうなのだが。
そこでお瑠璃が扮した『お冴の亡霊』が登場し、佐吉を激しく動揺させた上で、
その後、滝一が言で佐吉を暗示にかけて上手いこと事の真相を聞き出したのであった。
430Overtime 仮面ライダー:03/11/17 22:43 ID:IrO4rjbN

「しかしさ、滝一さん、女を手篭めにするわ、『もののけ』に襲われて女置いて逃げ出すわ、
あんなろくでもない野郎から話を聞き出すのに、随分まわりくどいんじゃないかい?」
「あんな野郎は拷問にでもかけて無理矢理吐かしまえばいいんだよ」
お瑠璃は佐吉いや助六への怒りを露にそう謂う。
女のお瑠璃からすれば、助六のような男は女の敵以外の何者でもないようである。
「まぁ、お瑠璃よ、そう言うなよ。
今回の件、これ以上大事にはしねぇようにと大御所様からも謂われているんだからよ。
外にはもちろんだが内にもなるべく知られたくねぇって事なんだからしょうがあるめぇ。
あいつを無理矢理連れてって吐かせようもんなら、それこそ大騒ぎになっちまう。
『もののけ』も『彼面雷駄』も他の人間には知られちゃならねぇんだよ。」
「それにだ、助六だってあの村の生残りだってことが明るみに出ちまったら、
それこそ本当にその場で切り捨てられちまうだろうよ。
何せ、口封じの為に村から逃げ出そうとする村人達をみんな切り殺しちまうぐらいなんだぜ。
今更助六一人葬っちまうのにためらいはねぇだろうよ」滝一はお瑠璃にそう謂って聞かせる。

「でも滝一さん、あの野郎このままにして置いていいのかい?
もしかしたら、あいつの話が出鱈目で、流行り病の方が本当だなんてこともあるかもしれないよ。
そしたら流行り病がそちこちに広がっちまうんじゃないのかい?」
お瑠璃にはまだ佐吉の話が俄かには信じらないようでもあった。
「それはおそらく大丈夫だろ。もしこれが流行り病だとしたら、
直前迄お冴って女と睦言していた助六が真っ先に死んでいる筈だからな。
つまりあいつが生きているって事自体が流行り病の仕業じゃねぇってことの証ってこったな。」
「それにだ、俺が事前に役人から聞いた話と大体の辻褄は合っているんだよ、あいつの話は」
431Overtime 仮面ライダー:03/11/17 22:44 ID:IrO4rjbN

そこで今度は立花屋のおやじさんが滝一に問う。
「滝一よ、お前さん何処迄知ってたんだい?」
「村が灰色の『もののけ』に襲われて、手に負えなかった役人達が山に火を放って、
山ごと灰色の『もののけ』を焼き払おうとした、って所迄は俺も聞いてたんだ。
まぁここ迄詳しい話は俺も知らなかったんだがよ。」
「その時、雷のような音がして、燃え盛る山の中から、
助六って男を抱きかかえた『彼面雷駄』らしき者が走り去って行くのを見たっていう話を
役人がしてたんでな、一緒に居た彦三に使いを頼んで、
お瑠璃に助六って男を探してもらったって訳なんだよ。」
滝一は自分がこの件に関わるようになった経緯を手短に話した。

「まぁ俺は『彼面雷駄』を追う様に大御所様から謂われてはいるが、
どっちにしたって灰色の『もののけ』の件もあるじゃねぇか、
もし灰色の『もののけ』がまだ生きていたらこれは放ってはおけねぇだろ」
滝一は少し神妙な面持ちでそう述べた。
「灰色の『もののけ』は山ごと焼き払われたんじゃねぇのかい?」
立花屋のおやじさんは驚いた顔で問う。
「まぁ、そうは聞いちゃいるが、本当の所どうなのかわからねぇ」
「俺もこの目でその灰色の『もののけ』を見た訳じゃねぇから何とも謂えねぇんだが、
その灰色の『もののけ』ってのが『彼面雷駄』みたいなもんだったら、
山と一緒に焼き払われちまうような代物じゃねぇわな …」
「そう謂うのもあってな、『彼面雷駄』の手掛かりと灰色の『もののけ』の手掛かりが
何かあるんじゃねぇかと思って、助六に真相を聞き出す事にしたんだが、
正直まさかここ迄詳しい話が聞けるとは思ってなかったんだよ、俺も …」
「灰色の『もののけ』も二匹いるようなだしな、こいつはかなり拙いな …」
そう謂うと滝一は腕を組みながら唸る。
432Overtime 仮面ライダー:03/11/17 23:13 ID:IrO4rjbN

「滝一さんさ、そもそも『彼面雷駄』ってのは何者なんだい?
あたしゃ滝一さんから『彼面雷駄』と『もののけ』の話をはじめて聞いた時、
滝一さんの頭がどうかしちまったんじゃないかって思った程だよ」
「こうしてあの野郎の話を聞いても未だに信じられないよ。
まぁ見た事もないんだからね、信じろって方が無理な話だよ。」
お瑠璃は今迄ずっと抱いていた疑問を滝一に投げかけるのだった。

「『彼面雷駄』…『彼の地(死後の世界)の面を被りし、雷の如き韋駄天』」
「また随分とご大層な名前がついているじゃないか」
「まぁ奴の事は俺にもまったくわかっちゃいねぇが …その外見は助六の話にもあったように、
髑髏のように見える面を被って、大きな赤い目玉を不気味に光らせて、鎧武者のように見えなくも無い。
それでいつも雷のような音のする奇妙奇天烈な馬に乗って、
まるで風のような早さで韋駄天の如く走って来ては、走り去って行く。」
「『もののけ』とは違うのかい?『彼面雷駄』は」
「まぁ『もののけ』と謂えなくもないが、人の形をしているし、
奇妙な馬だが馬にも跨る、何よりも人の言葉を話すみてえだからな、
『もののけ』というよりは『鎧武者の亡霊』って方が近いかもしれねぇな」
「で、なんだって滝一さんも大御所様もその『彼面雷駄』に御執心なんだい?」
「ああ、お前さんの問いはもっともなんだがね …
『彼面雷駄』が大御所様の敵になったとしたら …またもう一回天下が引っ繰り返るぜ …」
「!!」滝一の言にお瑠璃も立花屋のおやじさんも、ただただ驚くばかりであった。
「『彼面雷駄』一人でか?そんなに凄い奴なのか?」今度は立花屋のおやじさんが問う。
「ああ、おそらくだが、俺の見たところ、
奴には刀も槍も通じないんじゃねぇかな、鉄砲も効くかどうかあやしいもんだ …」
そう謂うと滝一は前回の『彼面雷駄』と『化け蜘蛛』の話を語って聞かせるのだった。
433:03/11/17 23:19 ID:IrO4rjbN
しかし書いても書いても終わりの見えて来ない話だな(鬱
434名無しより愛をこめて:03/11/17 23:24 ID:TEP01wN9
↑ まぁ、ライダー本編のように、週一掲載で一年ぐらいかけてラストへ……
435Overtime 仮面ライダー:03/11/18 00:54 ID:pg80pOhp

目を白黒させて滝一の話に聞き入るお瑠璃と立花屋のおやじさん。
滝一の語りが終わった所で二人は深い溜息をつく。
「そんな奴を相手に一体どうしろって謂うのさ」お瑠璃は嘆くように謂った。
「まずは『彼面雷駄』の正体を見極めなくちゃならねぇ…」
「一体奴は何者で、何処から来て、何をしようとしているのか…」
「大御所様の敵なのか、はたまた味方なのか…」
「もし敵となるようであれば、奴を、『彼面雷駄』を葬らねばならん…」
滝一の言に一同は固唾を飲む。
「だけど、刀や槍はおろか、鉄砲だって通じるかどうかわからないんだろ?
そんな奴を相手に一体どうやって仕留めるって謂うのさ?」
「なんなら南蛮の大筒でも用意するか?」
お瑠璃の言に立花屋のおやじさんは合いの手を入れる。
「どうすればいいのかは、俺にもわからん…」
「今は只『彼面雷駄』が敵ではない事を祈るばかりだ」
滝一は神妙な顔でそう謂うばかりであった。

重苦るしい雰囲気が三人の間に流れる。
「滝一さん、ところでこれからどうするつもりなんだい?」
それに耐えかねたのかお瑠璃は灰色の『もののけ』に話を戻す。

「おやじさん、あの村の近辺は調べてくれたかい?」
「ああ、あの辺付近の村じゃ、未だに行方知れずになっている人が大勢いるってことだった
まるで神隠しにでもあったみてぇに、みんな出て行ったきり帰って来ねぇってことだったな」
おやじさんの返事に滝一は頷く。
「するってぇと、やっぱり灰色の『もののけ』がまだあの辺に居るってことだな」
「そうだとすると、やはり一度あの村に行ってみなくてはならねぇだろうな」
滝一の言に立花屋のおやじさんは頷く。
436Overtime 仮面ライダー:03/11/18 00:54 ID:pg80pOhp

「だったら、助六の野郎も連れて行こうよ」お瑠璃はいきなりそう謂い出した。
「お冴って人が、灰色の『もののけ』に成ってまだあの辺にいるのなら、
助六の前にその姿を現すかもしれないよ」
「お冴さんにまだ人の心が残っているかどうかはわからないけどね、
例え『もののけ』になっても、その恨みつらみはそう容易く忘れられるもんじゃない筈だよ」
「きっと助六の野郎に謂ってやりたい一言でもあるんじゃないかい?
助六の姿を見るなりいきなり襲い掛かって来るかもしれないけどね」
「まぁこれはあたしの女の勘って奴さね、助六は連れて行った方がいいよ」

黙ってお瑠璃の言い分を聞いていた滝一だが
「まぁお瑠璃の謂う事にも一理ある…
助六が居れば、灰色の『もののけ』が現れるかもしれねぇ、
灰色の『もののけ』が現れれば『彼面雷駄』も姿を見せるかもしれねぇ。
助六をあぶねぇ目にあわせるのは本意じゃねぇが、
ここは仕方無ねぇ、助六を上手い事言い包めて、村に連れて行くしかねぇだろうな」
滝一はお瑠璃の言い分を聞き入れることにする。

こうして滝一と助六、お瑠璃と立花屋のおやじさんの一行は、
灰色の『もののけ』に襲われ、焼き払われた『山間の小さな村』に向かうこととなる …
437:03/11/18 00:57 ID:pg80pOhp
やっと明日より「黄泉返り編」の結末編に突入
438名無しより愛をこめて:03/11/18 15:29 ID:Yslj9LNJ
>Overtime 仮面ライダー作者様
読み応えがあって良いと思いますぜ。
ところで今の所舞台は山村ばかりですが、いずれ江戸市中へ出て行くんでしょうか?
あるいは他の石森時代劇とのクロスオーバーとか。
例えば嵐と共闘…なんてのはありきたりですが、仮にこの雷駄が原作版風本郷だと
仮定して、戦いで傷んだ強化服を「化粧師」の式亭小三馬が一世一代の化粧として
修繕、新1号風に作り変える…とか何とか。
439Overtime 仮面ライダー:03/11/18 19:18 ID:pg80pOhp

翌朝、滝一は助六に『山間の小さな村』へ行く事を勧め、説き伏せようとする。
もちろん助六はこの上無く嫌そうであったが、
灰色の『もののけ』と成り果てたお冴が亡くなった場所で供養をしなければ、
このままお冴の亡霊に祟られ、呪い殺される事になる、ぐらいの事を謂って助六を脅かし続けた。
滝一の迫力に助六も押され、また滝一お得意の暗示の効果もあってか、
助六は渋々滝一達と故郷である『山間の小さな村』に行く事を承知するのだった。

それにはお瑠璃の色仕掛けによる援護もあった。
大の女好きの助六の事、性懲りも無くお瑠璃の甘い誘惑には勝てなかったのであろう。
「お前さんに好意を寄せてはいるけど、前の女(ひと)の亡霊に祟られているなら、
あたしもお前さんと深い仲になる訳にはいかないじゃないか。
前の女(ひと)に成仏してもらえれば、あたしだって何も問題は無いと思っているんだよ。」
お瑠璃のその言葉を聞いて助六も滝一の言に耳を貸すようになりはじめたようであった。
お瑠璃はこれも仕事の内と割り切って、艶っぽく甘く囁き、しなをつくっては助六に密着していたが、
助六がその度に鼻の下を伸ばして、でれでれしているのを見るにつけ、
おそらくその胸の内では腸が煮え繰り返っていた事であろう。

兎にも角にも、こうして滝一と助六、お瑠璃、そして立花屋の藤兵衛の一行は
助六の故郷である『山間の小さな村』へと向かって出立する。
道すがら助六は終始浮かない顔をしていた。
それもそうであろう、自分が深い仲であった女が死に、黄泉返り『もののけ』へと変わり果て、
役人には殺されかけ、挙句の果てには山と一緒に焼き殺されかけたのだから、
そんな所おめおめと戻って行くのはさぞや気が乗らない事であったろう。
道中、行きたくないと言い出す助六をなだめすかすのもお瑠璃の役目であった。
お瑠璃は猫撫で声で助六の機嫌を取っていたが、やはり内心では腸が煮え繰り返っていた事であろう。
440仮面雷駄:03/11/18 20:21 ID:pg80pOhp
>>438
そっちの路線では考えていませんでしたが、それも面白そうですな
むしろ佐助とか服部半蔵とか柳生十兵衛とか出てくることになるかもしれませぬ

江戸市中に行く頃はかなりクライマックスではないでしょうか
こんな感じかな…

江戸市中に次々と現れるもののけ達
もののけは楽しみかのように大量殺戮を繰り返す
そのもののけ達の背後には、髪を結い着物を着流す薔薇の彫り物を持つ女の姿があった
これに対する滝一をはじめとする服部半蔵、柳生十兵衛と謂った豪の者達
だが人外の者達を前につわもの達も傷つき倒れていく
だが彼面雷駄は姿を見せない
彼面雷駄が再び滝一の前に姿を見せる時、
それは彼面雷駄が人々の敵と成る事を意味するからだ
彼面雷駄をひたすら信じて待つ滝一、果たして彼面雷駄は現れるのか …

ああ、でもこれじゃファイズだ(汗
江戸市中編構想を練って置きます
441仮面雷駄:03/11/18 21:00 ID:pg80pOhp
>>383 かいぞーぐ様
ショッカーに支配された時代、という部分のみ
Overtime 仮面ライダーの第二章『未来編』で使わせてはいただけませぬか?
次は北斗の拳風仮面ライダーを実際にやってみようかと思いまして(w
442仮面雷駄:03/11/18 21:01 ID:pg80pOhp

Overtime 仮面ライダー今後の予定
時代劇編は一旦お休み致します(また後で再会するかもしれませぬ)

第三章『黒騎士編』
中世ヨーロッパで起こる革命。
富と権力に執着する王妃は黒魔術により冥界の魔王との契約を果たす。
破竹の勢いの革命軍の前に次々と現れる冥界のモンスター達。
モンスターによる殺戮が繰り返される中、現れる黒い鎧の騎士。
黒騎士はリボルケインと呼ぶ剣を持ってモンスター達を切り裂く。
モンスター達の脅威が去ったと思われた時、そこに光り輝く白騎士が現れる…

第四章『宇宙世紀編』(ガンダムじゃないよ)
人類は宇宙に出て尚、醜い争いを続けていた。
大型パワードスーツによる宇宙での戦争。
その最中現れるノーマルスーツにも見える銀色の仮面の戦士。
銀色の戦士は宇宙に叫ぶ
「人間同士の戦いには干渉しないという、仮面ライダーの禁を俺は敢えて破ろうっ!
この宇宙に人間同士の醜い争いを持ち込ませない為にっ!!」

第五章『スケルトンゴースト』
時は大航海時代、人々は海その見果てぬ夢を追い求めていた。
だが突如として現れる海神ポセイドンとその下僕達。
そのすざましさには海賊達でさえも恐れおののき逃げ出すと言う。
そして時を同じくして現れる海の亡霊『スケルトンゴースト』

第六章『赤鬼編』
古代日本に現れるクウガ。
そこには薔薇の紋様をその身に刻んだ天照大神と呼ばれる女の姿があった…

この辺迄構想はあるのだが、企画倒れで終わるかも…(涙
443Overtime 仮面ライダー:03/11/18 22:06 ID:pg80pOhp

生まれ育った故郷へと戻った助六、
だが助六はそのあまりに変わり果てた故郷の有様を見て茫然とするのであった。
灰色の『もののけ』を山ごと焼き払う為に火をかけられた『山間の小さな村』
その業火は七日七晩消える事も無く燃え続けたと謂うから、
その変わり様は当然の事であったのやもしれぬ。
何ひとつ残さず、焼き尽くされ、地平と化した村の跡。
黒く焼け焦げ炭と化した木々が所々に倒れているのみで、その他には何ひとつ残ってはいない。
そこで人々が平穏に幸せに暮らしていたなどとは、とても思えぬような様であった。

流石の助六も生まれ育った村の変わり果てたその様を見て胸に熱いものが込み上げて来る。
「… 美しい、いい村だったんだ…」
「… 俺が生まれた村はよ …決して豊かな村とは謂えなかったが、
貧しくもなく、食うに困るわけでもなく、平穏に暮らすにはいい村だったんだよ…」
「… あんなことさえ無ければ …」助六の目には涙が込み上げて来ていた。
助六のような女をたぶらかしては弄び、自分の事しか考えていないような男であっても、
故郷を想い、慈しみ、愛しむ気持ちは他の者となんら変わりはなかった。
いや、助六のようなろくでもないような男であろうからこそ、郷愁は人一倍強かったのかもしれぬ。
幼い穢れを知らぬ頃の自分が、ずっと愛して来た村であり、土地である、
その思い出は美しいものとして助六の胸の中にずっと在ったことであろう。
人を信じず、ともすると陥れる事ばかりを考え、まともに女を愛する事も出来ぬ助六が、
ずっと愛し続けたただひとつのものが、この土地であり、故郷であったのだから。

滝一は焼き尽くされた村の跡を見てただ佇むばかりの助六の姿を見て、
何と悲しくも哀れな事であろうかと思う。
故郷を失い、帰る場所を無くし、
この先慣れない見知らぬ土地で、見知らぬ人々の中で生きて行かねばならぬ助六、
何事が起ろうとも、助六にはもう帰る所は無いのだ。
滝一はそんな助六に同情したのか、その肩をぽんっとひとつ叩くのであった。
内心助六を嫌っていたお瑠璃も助六のその神妙な様を見てしまっては心中は複雑であった。
444Overtime 仮面ライダー:03/11/18 22:28 ID:pg80pOhp

滝一は、何も無い地平と化した村の跡地に正座し経を詠みはじめる。
それは当然本来の目的では無く、助六の目を欺く為のものでもあったが、
ただこの時ばかりは、滝一は心の底からここで亡くなった村人達の供養の為に経を詠むのであった。
『俺も本当の坊主ではないが、この経で勘弁してもらって、成仏してもらいたい』
滝一はそう胸の内で念じながら経を上げる。
隠密行動を取る為に、ひととおりの事には精通するようにと鍛錬されて来た滝一にとっては、
経を詠む真似事をするのは訳も無い事でもあったのだ。

ただいつまでも感傷に浸っているという訳にもいかなかった。
滝一達がこの地を訪れたのは本来の目的があるからこそである。
それから数日の間、滝一は毎日経を読み続けた。
それは助六の目を欺き、この地にしばし留まらせる為である。
灰色の『もののけ』と成り果てたお冴が、助六を追って再びこの地に現れるのを待って。
早々にこの地を立ち去りたいと謂う助六をなだめるのはお瑠璃の役目であった。

立花屋の藤兵衛は、山を越えた所に在る近隣の村を訪れその様子を窺うというのがその役割であった。
「やはり、この近辺じゃ、未だに行方知れずになっている人が後を立たないらしいな」
「山ひとつ越えた隣村じゃ、何でも昨日もまた一人行方がわからなくなったそうだ。
その村だけでもうこれで十人目だそうだよ、居なくなっちまった人の数が」
この地を訪れてから三日経った日の晩、立花屋の藤兵衛は滝一に耳打ちした。
「そうか … ここにいつまでも居るという訳にもいかないだろうな。
助六をここに釘付けにして置くにしても限りがある。
いざという場合は、そっちの村の方に寄って様子を窺うことも考えなくてはならねぇな」
滝一の言に立花屋の藤兵衛もまた頷くのであった。
445Overtime 仮面ライダー:03/11/18 22:54 ID:pg80pOhp

はじめは恐怖の為かこの地でひとりで決して行動しようとしなかった助六も、
日が経つに連れて段々とこの状況に慣れて来たのであろうか、
滝一が経を上げている間、ひとりで歩き廻ることも多くなって来ていた。
そして大の女好きで、まったくと謂っていい程に懲りない性根の助六は、
夜な夜なお瑠璃の所へ夜這いをかけては、深い仲になろうと言い寄っても居た。
お瑠璃は「前の女(ひと)が無事に成仏してくれたらって約束じゃないかい」
と上手い具合に助六をかわしてはいたが、やはり内心その腸は煮え繰り返っていた。

そんな数日が過ぎた或る日の昼日中、助六が用を足しに滝一の傍を離れた時の事。
助六はその背後に何やら人の気配を感じた。
だがその時助六は、滝一もまた小便に来たのか、
はたまたお瑠璃がなにを覗きに来たのかなどと下衆な事を考え、そんな程度にしか思っていなかった。
しかし背後から掛けられた声を聞き、助六の背筋には寒気が走り大きく身震いして、
用もまだ途中だと謂うのに、蒼ざめた顔をして振り返る。
背後に立つ者の姿を見た助六は、腰を抜かしてその場に座り込み、ただただ震えるばかりであった。
助六は声を出そうとするが、恐怖のあまりに声を上げる事すら出来なかった。

そう助六の目の前には、人の姿をしたお冴が立って居たのだった。
だがその顔には火傷の跡などはまったく無く、死人のような血の通わぬような蒼い顔もしていなかった。
確かに透き通るような白い肌ではあったが、お冴は生前から色の白い美しい娘であった。
それは生きている頃と何ら変わらぬお冴の姿であり、
まるでお冴が一度死んで黄泉返ったというのが嘘のようでもあった。

助六は恐怖に震えながら、必死になって声を上げようともがき、
やっとの事で微かな唸り声のような声を上げた。
その助六の声を聞きつけた滝一とお瑠璃は、声がした方へと向かって走り出す。
446Overtime 仮面ライダー:03/11/18 23:19 ID:pg80pOhp

助六の目の前に立ち尽くす人の姿をしたお冴。
お冴を前に腰を抜かして座り込み怯え震える助六。
助六を見つめるお冴の唇が微かに動く

「…どうして? …どうしてあたしを置いて逃げたの?」
「…あたしと …あたしと一緒になるって謂ってくれたじゃない」

お冴は助六を見つめながらそう呟く。

「…なのにどうして? …どうしてあたしを置いて逃げたの?」

その声はやがて大きくなって行く。

「…どうして? …どうしてあたしを置いて逃げたの?」
「…あたしの …お腹の中には …助六さんのやや子が居たのに… 」
447Overtime 仮面ライダー:03/11/18 23:19 ID:pg80pOhp

「…うっ、うっ、うっ、嘘だっ …」
「…おっ、おっ、おっ、おれの子であるわけがねぇっ …」
「…そっ、そっ、そっ、そうだっ、きっとそうだっ …」
「…そっ、そっ、そっ、そりゃっ、きっと又佐の子だっ …」
「…又佐もお前をものにしようとしてたし
…しょっちゅうおめぇに色目を使ってやがった…
…おめえだって満更でもなさそうじだったじゃねぇか…」

助六は抜き差しならないこの場で、その本性を曝け出した。
人を信じる事も出来ず、人をまともに愛する事も出来ない、悲しくも哀れな助六の本性を。

「…酷いっ …うぅっ …酷いっ …うぅっ …」助六のその言に涙するお冴。
「…どうして? …どうしてあたしばかりこんな目に会わなければいけないのっ?」
「…どうして? …ねぇ、どうしてっ」
「…ねぇ、どうしてっ!!!!!」
448Overtime 仮面ライダー:03/11/18 23:43 ID:pg80pOhp

助六の言に激情し、正気を失ってしまったお冴の体に異変が起る。
その長い黒髪は逆立ち、目は白目を剥き、口からは鋭い牙が生え伸びる。
そしてお冴は獣の如き雄叫びを上げる、それはまるで助六にいいように弄ばれ、
酷い目ばかりを見続けてきた己の定めを呪うかの如き叫びでもあった。
そのお冴の姿は紛れも無く、葬儀行列の最中に黄泉返り、
村人達を惨たらしく襲い、殺したお冴の姿であった。
助六はそのお冴の姿を前に、口から泡を吹き、今にも気を失いそうな有様であった。

助六とお冴の下に駆けつけた滝一とお瑠璃はその様子を窺っていたが、
滝一はお冴の様子が豹変すると、これは拙いと助六を助けに踊り出た。
はじめてこのような『もののけ』を目の当たりにするお瑠璃は、
血の気を失った蒼ざめた顔で立ち尽くすのみであった。

我を忘れて激情するお冴の異変はそれだけに留まらなかった。
お冴の白目を剥いた目が光り輝き、その華奢な体に不思議な紋様が浮かび上がり、
徐々にお冴の体は灰色に成りはじめる。
手から足元から、灰色がお冴の体をまるで蝕むかのように侵蝕して行く。
そしてお冴の全身がまるで灰色に呑み込まれたかのように覆い尽くされた時、
その体中が白く輝く光りに包まれる。
そのあまりの眩しさに、滝一は目を細め、咄嗟に腕で目の前を遮った。
滝一が再びその腕を下ろして、お冴を真っ直ぐに見据えた時、
そこに立って居たのは、お冴では無く灰色の『もののけ』であった。
449Overtime 仮面ライダー:03/11/19 00:42 ID:WlkOhhsV

お冴が灰色の『もののけ』へと変わり果てた姿、
確かにそれは灰色の鎧、甲冑を着込んだ姿のようにも見えた。
だがそれは『彼面雷駄』とは全く異なる者であると謂うのも一目瞭然であった。
その外見は滝一の知る限りでは、そうまるで海で取れる海老のように見えなくもなかった。
我が身を呪うかの如く雄叫びを上げる灰色の『もののけ』と化したお冴。

滝一は今にも気を失いそうな助六を抱きかかえるようにして、
灰色の『もののけ』の前から逃げる。
それを見たお冴であった『もののけ』は、激情のままに二人に襲い掛かろうとする。
助六を抱えこれをかわす滝一「おやじさんっ、頼むぜっ」滝一はそう叫ぶ。

その時、辺り一帯にまるで何かが弾けるかのような凄い音が響き渡る。
お冴であった灰色の『もののけ』はそれに合わせるかのように、よろめき動きを止める。
「やったのかっ!?」その様を見ていた滝一は思わず声を上げる。
心の臓の辺りを手で押さえている灰色の『もののけ』と化したお冴、
その正面、やや離れた所には鉄砲を構えている立花屋の藤兵衛の姿があった。
立花屋のおやじさんは、この時の為にわざわざ鉄砲を用意して、この旅に同行して居た。
この鉄砲こそが滝一達の最後の切り札でもあった。
立花屋のおやじさんが構えている鉄砲、その銃身からはまだ煙が上がっている。
おやじさんは再び弾を込める、鉄砲は続け様に打てないのが難点ではあるが、
その威力は昨今の戦の有様を大きく変えてしまう程の物であった。
弾を込め終わるとおやじさんは、灰色の『もののけ』に向かって再び鉄砲を放つ。
鉄砲の音と共に、灰色の『もののけ』お冴は再びよろめく。
このまま行けるのではないか、滝一もおやじさんもそう思っていた。
だが実際はそんなに甘いものではなかった、
それはただ鉄砲なる物を知らない灰色の『もののけ』お冴が、それに驚いただけに過ぎなかった。
灰色の『もののけ』・お冴は再び雄叫びを上げる。
「畜生っ、やっぱり南蛮渡来の大筒にしとけば良かったぜ」
立花屋のおやじさんはそう吐き捨てるように謂った。
450Overtime 仮面ライダー:03/11/19 00:57 ID:WlkOhhsV

「やはり、鉄砲も効かぬかっ」
滝一はある程度それを覚悟していたかのようでもあった。
『彼面雷駄』には鉄砲も効かぬのではないかと推察した滝一だけに、
このような事もある程度わかっていたのかもしれぬ。

だが灰色の『もののけ』・お冴の様子は先程迄とは少し違っていた。
それが鉄砲が効いたのではない事だけは確かであったが、
何か頭を抱えもがき苦しんでいるようでもあった。
それ迄血の引いたような蒼ざめた顔をして立ち尽くすばかりのお瑠璃であったが、
灰色の『もののけ』・お冴の様子を見てふと正気を取り戻す。
お瑠璃には微かにではあるが聞こえたのだ、
灰色の『もののけ』の姿へと変わり果ててしまったお冴、そのお冴の人としての心の声を。

「…す …す …すけ …ろくさん」
お瑠璃には確かにそう聞こえた。
そのお冴の人としての声を聞いたお瑠璃は居ても立っても居られなくなったのだ。
「お冴さんっ!あんたまだ人としての心が残っているんだろっ!?」
「あんたの声があたしには聞こえたんだよっ」
お瑠璃は灰色の『もののけ』の姿をしたお冴に必死で語り掛ける。
「…だっ …だめっ」
「…あっ …あたしはっ」
「…こっ …殺してしまったっ」
「…村の人達をっ …おっとうをっ …おっかあをっ」
「…妹をっ …弟をっ」
「…こっ …この手でっ」
「…もう …人には …戻れないっ」
そう謂い頭を抱えてもがき苦しむ灰色の『もののけ』の姿をしたお冴。
451Overtime 仮面ライダー:03/11/19 01:23 ID:WlkOhhsV

それは鉄砲が当った衝撃で、
灰色の『もののけ』の姿と化したお冴が正気を取り戻したのかもしれなかった。
そしてお瑠璃の呼び掛けに、灰色の『もののけ』と化したお冴は、人として応えたのであろう。
だが、お冴は自ら人に戻る事を拒否した。
大勢の村の人達のみならず、肉親である父親、母親、
そしてまだ年端も行かぬ幼い妹と弟達迄、その手にかけてしまったのだ。
お冴の人としての心がその事を受け入れる事など出来よう筈もなかった。
人としての心は今のお冴にとってはただの苦しみでしかなかった。
人としての心を無くした灰色の『もののけ』として、悲しみも苦しみもすべてを忘れ、
獣のように生きる事こそ、今のお冴にとっては唯一の救いであるのだ。
灰色の『もののけ』の姿をしたお冴は、頭を抱えてもがき苦しむ。

だがそれは滝一達にとってはまたとない好機でもあった。
最後の切り札である鉄砲が効かぬとわかった今、
滝一達に灰色の『もののけ』に対する何ら有効な手立ては無かった。
幾ら滝一達が勇敢なる豪の者であろうとも、このまま『もののけ』を相手にする事は無理であったし、
滝一はその辺りを冷静に見極め、引き際を誤るような男でも無かった。
滝一はせめて助六だけでも無事に逃してやらなければと思い、
お瑠璃が灰色の『もののけ』の姿をしたお冴に話掛けている隙に、
助六を抱きかかえ安全な場所迄連れて行こうと試みるのだった。
452Overtime 仮面ライダー:03/11/19 01:24 ID:WlkOhhsV

だが、その滝一の前に立ちはだかる影がひとつ …
「こりゃ参ったぜ、そう謂えば『もののけ』はもう一匹居るんだったけかな …」
滝一の前に姿を現したもうひとつの灰色の『もののけ』
それこそが村の外れで、逢瀬を重ねていたお冴と助六を襲った『もののけ』であり、
お冴を『もののけ』へと変えてしまった者であった。
この村の悲劇はこの灰色『もののけ』によって引き起こされ、
すべての元凶はこの灰色の『もののけ』にあった。

滝一の目の前に立つそのもうひとつの灰色『もののけ』
その頭にはとてつもなく大きな二本の角があり、
その有様はまるで鬼が地獄からこの世に現れたかのようでもあった。
そして滝一にはそれが伝承の中に語り継がれる竜の化身のようにも見えたと謂う。
453名無しより愛をこめて:03/11/19 02:49 ID:60XYLT9L
熱血不器用同心がG3システムならぬ「とノ参型からくり雷駄」を着込んで
捕物をする話は…

なんでもありません、ごめんなさい。
454Overtime 仮面ライダー:03/11/20 20:54 ID:oiwFIvsT
>453
そのアイデア(も?)頂いた!

Overtime 仮面ライダー
第八章『対魔迎撃用武装強化服・地参式』
帝都を魔物が狙う時、右腕を欠いた一人の男が現れる。
魔と戦う海軍諜報部員・犬神(仮名)は、
この男と出会い、対魔迎撃用武装強化服・地参式を開発し、
魔を迎撃しようとする …
455彼面雷駄:03/11/20 21:27 ID:oiwFIvsT
↑上のタイトルミスった(汗

Overtime 仮面ライダー

第二章『呪われた鎧』
2XXX年、この世界に仮面ライダーはいない、あるのはショッカーによる支配のみ。
人間達はショッカーに狩られ、男は食糧に、女は怪人製造マシーンにされてしまっていた。
人間達はささやかな抵抗を試みるが、ショッカーの力の前に成す術もなかった。
だが人間達は廃墟の中より、それは『呪われた鎧』と呼ばれる、過去の遺産を見つけ出す。
滝和也の息子・滝和人はショッカーに一矢報いる為、
自らの命を賭けて『呪われた鎧』を装着する事を決意する。

第七章『南の島の少女』
いつの頃からであろうか、少女は南の島で暮らしていた。
だがその島には人間は少女ただひとりきり、
少女以外はみな獣人と呼ばれる異形の者達ばかりであった。
少女は獣人達と共に日々を暮らしながらも、
いつか誰かが自分をここから連れ出してくれる、そう想い続けていた。
そんな少女を見守り続けるモグラ獣人。
そしてついに少女の前に腕輪をした青年が現れるが…
<ファンタジー(メルヘン?)路線の変わった話
456彼面雷駄:03/11/20 21:39 ID:oiwFIvsT

第九章『空から降って来た男』
インデアンの部族の中に一人の東洋人の姿があった。
その東洋人の男はある日突然空から降って来たのだと謂う。
酋長はその男に『空から降って来た男』と謂う名をつけた。
騎兵隊との戦いが激しさを増す中、
突如としてモンスター達が現れ、騎兵隊を全滅させる。
これをインデアンの呪術の仕業だとした騎兵隊は、インデアンに総攻撃を仕掛ける。
そして再び現れるモンスターの大群。
酋長は東洋人の男に向かって謂う
「精霊達がお前を呼んでいる。精霊達がお前に力を与えると。」
東洋人の男は立ち上がり、精霊達の力を借りて変身する

第十章『彷徨えるベルト』
これは遥か太古の昔より、ただひたすら自らの主を探し続けて来たベルトの物語である。
人々は古より自らの強さを競い、その力を誇示するかのように
ベルトを腰に巻いて来た、古代ギリシアの時代より。
古の人々は知っていたのだ、ベルトに選ばれた者のみが装着出来る、
人に究極の力をもたらすベルトが存在する事を。
古の人々はそのベルトに焦がれて、力ある者の象徴としてベルトを巻くようになったと謂う。
そのベルトは遥か太古の昔より、その時代に合わせて姿形を変え、
自らの真の主を探し、悠久の時を渡り続ける。
果たしてそのベルトの真の主は現れるのか?
これは時を越えて存在し続けるベルト、それに関わった様々な時代の人々の挿話であり、
ベルトこそがこの物語の真の主人公である…
457:03/11/20 21:42 ID:oiwFIvsT
妄想している時は楽しいんだが、書きはじめると結構辛くなって来るんだよな(汗
458Overtime 仮面ライダー:03/11/20 23:50 ID:0d6H3Qgu

滝一達の前に現れた二体の灰色の『もののけ』
お冴が化した灰色の『もののけ』だけであれば、
お冴が人としての心と葛藤しもがき苦しんでいるという事もあり、まだ逃げる隙もあったであろう。
だがもう一体、滝一の目の前に立ちはだかる
二本角の灰色の『もののけ』までもが現れた今となっては逃げる事すら容易ではない。
人外の力を持つ灰色の『もののけ』に、何ら有効な術を持たない滝一達は、窮地に追い込まれていた。

今にも気を失いそうな助六を担ぎ、二本角の灰色の『もののけ』に対峙する滝一。
滝一の目の前に壁のように立ちはだかる巨躯、頭にあるとてつもなく大きな二本の角、
竜頭を模したようなその両の腕、滝一はその人外の力にただただ圧倒されるばかりであった。

それでも滝一は身構える。脂汗を掻き、後ずさりしながらも。
この人外の力に対し、滝一が手にするのは錫杖に仕掛けられた仕込刀ただひとつだけ。
勝負になどならないのは、はじめからわかり切っている。
だが何とかして隙をつくってみなを逃さなければならない、
いざとなれば、懐に飛び込んで身を呈してでも、滝一は決死の覚悟を抱き身構えたのであった。

二本角の灰色の『もののけ』はそんな必死の滝一の決意をまるで嘲笑うかのように、
竜頭のようなその腕で軽く滝一を薙ぎ払う。
二本角にしてみればそれは本当にじゃれる程度であったのであろうが、
滝一はそれだけで遥か後方へと吹き飛ばされ、地面を転げ廻る。
地面に倒れ悶絶する滝一はその二本角の凄ましい力に愕然とする。
だが驚いたのはそればかりではなかった、
二本角に触れられた滝一の装束の一部が灰になって舞い散るではないか、
さすがの滝一もこれには面喰らい驚きを隠せない。
いやその驚きもすぐに絶望へと変わり果てた。
459Overtime 仮面ライダー:03/11/21 00:09 ID:7Be/47MX

そんな滝一の心中にはまったくお構いなしに、二本角はゆっくりと滝一の方へと向かって歩き出す。
顔を険しくしかめ、立ち上がる事も出来ず、後ずさる滝一。
その時、鉄砲の乾いた音が、焼け野原と化した地平に響き渡る。
居ても立ってもいられなくなった立花屋のおやじさんが、滝一を救おうと再び鉄砲を放ったのだ。
だがそれも二本角にはまったく効き目はなかった、
二本角はまるで弾が当ったことにすら気づかぬかのように滝一へとゆっくり歩み寄った。

最早これ迄か、滝一がそう観念した時であった。
何処からともなく雷のような音が響き渡ってくる。
『彼面雷駄かっ!?』その音を聞いた滝一はすぐにそう思った。
この絶体絶命の窮地に『彼面雷駄』が現れるというのはあまりにも出来過ぎた話である、
これは偶然などでは無く、『彼面雷駄』自身の意思によるものなのではないか、
おそらく今の時点で『彼面雷駄』は自分達の敵ではない、滝一はその念を強くした。
雷の如きけたたましき音は次第に大きくなり、
奇妙な姿をした馬に跨りし『彼面雷駄』がその姿を見せる。
彼の地(死後の世界)の面とはよく謂ったもの、
その面は髑髏に良く似ており、大きく赤い目が一際輝きを放つ。
二本角の『もののけ』は微動だにせず、その『彼面雷駄』の姿をじっと見つめていた。
460名無しより愛をこめて:03/11/21 00:51 ID:ZG9DBOqt
よっしゃー! 盛り上がってきた!
いよいよ彼面雷駄登場かっ!
461名無しより愛をこめて:03/11/22 00:20 ID:dNQWlMGG

その場に居たお瑠璃も立花屋の藤兵衛も驚きの色を隠せない、これが『彼面雷駄』なのかと。

雷の如き音を出す馬に乗った『彼面雷駄』、疾風の如く地平を駆け抜け、二本角の『もののけ』へと突き進んで行く。
二本角の『もののけ』はこれに正面からぶつかるつもりなのであろうか、自らの体を低くして身構える。
『彼面雷駄』の乗る馬が一段と凄ましい雷の如き音を放ったかと思うと、
その馬は宙を舞い、二本角の『もののけ』と体当りをぶちかます。
二本角の『もののけ』の巨躯と『彼面雷駄』の馬が正面からぶつかり、
鈍い大きな音が轟かせ、激しい火花を散らす。
二本角の『もののけ』は馬の勢いに当り負けしたのか、体勢を崩しよろける。
体当りの後、地に降りる馬、『彼面雷駄』は再び馬を反転させて二本角の『もののけ』に突っ込む。

その時であった、『もののけ』の頭のとてつもなく大きな二本の角が輝き、けたたましい雷音と共に雷の閃光を放つ。
『もののけ』が二本の角より放った雷は、『彼面雷駄』の馬の脇をかすめ、地に当り大きな爆発を起こす。
大地が吹き飛び、辺り一面に白い煙が立ち込め、視界を遮る。『彼面雷駄』の姿もその煙によって見失われてしまう。
だが立ち込める煙の中より、『彼面雷駄』の馬が発する雷の如き音が轟き、
煙を突き抜けて『彼面雷駄』がその姿を再び見せるのであった。

『彼面雷駄』、今度は右に左に馬を巧に操りながら、二本角の『もののけ』を目指す。
二本角の『もののけ』も再び、その大きな角を光らせて、轟音と共に雷を放つ。
馬に乗る『彼面雷駄』を狙い矢継ぎ早に放たれる雷。
『彼面雷駄』は馬を巧に操りこれをかわし続ける。
雷が『彼面雷駄』を外れ地に落ちる度に、地が吹き飛び、煙の柱が立ち昇る。

その様をじっと見つめる滝一、滝一はこう思わざるを得なかった。
『これは最早、人の介する事の出来ぬ戦いなのだ』と
462名無しより愛をこめて:03/11/22 00:55 ID:dNQWlMGG

攻めを避け、二本角の『もののけ』へと近づいた『彼面雷駄』、
その馬は雷の如き雄叫びを上げると、再び勢いをつけて飛び上がり宙を舞う。
再度、二本角の『もののけ』へと体当りを試みる馬上の『彼面雷駄』。
だがそこで驚くべき事が起った。
二本角の『もののけ』もまたその巨躯に似合わぬ敏捷な動きで飛び上がり、宙を舞い、
竜頭を模した腕の強力(ごうりき)で、馬上の『彼面雷駄』を叩き落したのだ。
叩き落とされた『彼面雷駄』ではあるが、まるで猫のように宙で一回転し、地に降り立った。
いやしかし本当に驚いたのはその後であった。
二本角の『もののけ』は宙を舞った後、その後もなお天空を自在に飛び回り続けたのだ。
空を舞う二本角の『もののけ』は、その大きな二本の角より雷を発し、空から『彼面雷駄』を攻める。
次から次へと放たれる雷、これを飛び回りながらかわす『彼面雷駄』

『彼面雷駄』はわずかな隙を突いて、倒れていた馬に再び跨り、馬を走らせる。
空より『彼面雷駄』を追い、その角より雷を放つ『もののけ』
轟音と共に舞上がる煙の柱、大地は吹き飛び削れ、大きな穴がそこかしこに出来上がっている。
『彼面雷駄』は馬を反転させ、再度空を舞う『もののけ』と向かって行く。
『もののけ』が放つ雷をかわし、『彼面雷駄』はまたしても勢いをつけて馬を飛び上がらせ、宙を舞う。
それを待ち受けていた『もののけ』の腕力が『彼面雷駄』に向かって振り下ろされる。
『彼面雷駄』は空を舞う馬の上に立ち上がり、そこからさらに自ら飛び上がり、
『もののけ』の攻めをかわし、『もののけ』に飛び蹴りを放つ。
今度は『もののけ』が地へと落ちる番であった。
463名無しより愛をこめて:03/11/22 01:20 ID:dNQWlMGG

二本角の『もののけ』と『彼面雷駄』の一進一退の攻防は続く。
二本角の『もののけ』は『もののけ』の中でもとりわけ強く、
『彼面雷駄』と謂えどもそう容易く倒せる相手ではなかった。
だが『彼面雷駄』もまた二本角の『もののけ』相手に遅れを取る事はなかった。
その一進一退の攻防、せめぎ合いに業を煮やしたのであろうか、
二本角の様子が先程からどうもおかしい。
それは二本角が苛立っているようにも見えた。
いやもっとも二本角に人らしい感情などが残っているかどうかは定かではなかったが。

二本角の『もののけ』がその巨躯を震わせ、雄叫びを上げた時、
またしても信じられないような事が起る。
二本角の『もののけ』はまるで鎧を脱ぎ捨てるかのように、
自らの外殻を脱ぎ捨て、細身の体へと変身を遂げるのであった。
その姿形は、先程迄の見る者を圧倒するような巨躯ではなかったが、
見る者に禍々しさと不気味さを感じさせ、恐怖を与えるには充分過ぎる程であった。

これ迄ずっとこの人外の力による滝一、この二本角の変化を見て、今迄以上の嫌な胸騒ぎを覚えていた。
わざわざ防御に優れた鎧を捨てたという事は、それを差し引いても余りある切り札があるという事である。
滝一は二本角がここで何かを仕掛けてくるであろうと推察していた。
『彼面雷駄』にもまたそれは充分にわかっていた、いやわかっていた筈ではあった。
464名無しより愛をこめて:03/11/22 01:44 ID:dNQWlMGG

滝一はその一部始終を、一瞬足りとて見逃すまいと、瞬きもせずにつぶさに見ていた。
だが次の瞬間、今何が起ったのであろうか、それが滝一にはまったくわからなかった。
それ迄すぐそこに立って居た筈の『彼面雷駄』、だが次の瞬間、
遥か遠くで息も絶え絶えに成り倒れているではないか。
二本角が立っている所迄も先程迄とはまったく違う方向である。
これは二本角のまやかしか何かであろうか、滝一はそう思った。
そしてまた次の瞬間、『彼面雷駄』はまた別の方角に傷つき倒れ悶え苦しんでいる。
二本角もまたまったく違う所に居る。
滝一には二本角の『もののけ』と『彼面雷駄』に何が起ったのかまったくわからなかった。

しばらくしてようやく二本角が自分の目にも止まらぬ早さで動いているのだという事に気づく。
それに気づいた滝一はまたしても絶望せざるを得なかった。
これは最早、神の領域と謂ってもいいだろう、あれだけの人外の力を持つ者が、
人の目に認識出来ない程の早さで動き回れるのである。
二本角がその気になれば人などは、まったく気づかぬうちに殺されていたという事になりかねないのだ。
そして滝一の絶望の本当の理由は別にあった。
先程から『彼面雷駄』ばかりがずっと倒れているという事は、
『彼面雷駄』には二本角の『もののけ』の早さに対応出来ていないという事を意味するからであった。
ここは『彼面雷駄』のみが頼りであったが、さしもの『彼面雷駄』も
この神に近いとも思えるような二本角の『もののけ』相手ではどうにもならないのであろうか、
滝一はそれ故に絶望せざるを得なかったのである。
465名無しより愛をこめて:03/11/22 02:16 ID:dNQWlMGG

次の瞬間、滝一と助六の目の前に『彼面雷駄』
そして二本角の『もののけ』は、『彼面雷駄』が最早動けぬ事を知ってか、
ゆっくりと歩ながら滝一と助六、そして『彼面雷駄』がいる方へと向かって来るのであった。
このままでは滝一も助六も、そして『彼面雷駄』も、
二本角に留めを刺される事は誰の目にも明らかであった。

その時、灰色の『もののけ』と化したお冴が、二本角の『もののけ』に背後から体当りを喰らわせる。
不意を突かれた二本角は体勢を崩しよろけるが、足を踏ん張ってその場に踏みとどまり、
『もののけ』と化したお冴をその腕で殴り飛ばす。
地に倒れ伏す『もののけ』と化したお冴。だがそれでもなお『もののけ』と化したお冴は、
這いつくばりながら二本角の足にまとわりつき、しがみつき、その歩を止めようとする。
二本角の『もののけ』は動きを止められ、足にしがみつく『もののけ』と化したお冴を、
自らの足元から引き剥がそうと必死になる。
『もののけ』と化したお冴の体に、二本角の手がしっかりと触れ、
その二本角の触れた箇所が除々に灰へと変わって行く。
『もののけ』と化したお冴はそれでもなお二本角の足を離そうとはしなかった。
『もののけ』と化したお冴、その右肩が灰となり崩れ落ちはじめる。
そしてその右手もまた灰と成ろうとしていた。
466名無しより愛をこめて:03/11/22 02:17 ID:dNQWlMGG

そのお冴が隙をつくってくれた間に
『彼面雷駄』は最後の力を振り絞って立ち上がり、雷の如き音を発する馬に跨る。
『彼面雷駄』は身動きの取れぬ二本角の『もののけ』に馬で体当りを仕掛ける。
これをその腕力で払いのけようとする二本角の『もののけ』
足元にはしっかりと『もののけ』のお冴がしがみついている。
二本角は体当りする馬を払い飛ばすが、既に『彼面雷駄』の姿はそこにはなかった。
天高く飛び上がった『彼面雷駄』は、
そのまま落ちる勢いを借りて、二本角に飛び蹴りを浴びせるのであった。
二本角はそのとてつもなく大きな角の一本を折られ悶え苦しむ。
『彼面雷駄』は地に足を着くと、そのまま再び飛び上がり宙を舞う。
『彼面雷駄』の飛び蹴りが再度、二本角に決まり、二本角の残った角を真っ二つに折る。
地に舞い降りた『彼面雷駄』は、留めとばかりに助走をつけ、
勢いをつけて走り、飛び上がり三度宙を舞う。
そして宙で捻りを加え、きりもみ回転しながら二本角の『もののけ』目がけ飛び蹴りを放つ。
二本角の心の臓辺りに『彼面雷駄』の渾身の飛び蹴りが決まり、
轟音と共に二本角の『もののけ』の断末魔が響き渡る。
二本角の『もののけ』はそのまま青白い炎を上げ、灰となり崩れ落ちて行く。
その灰は風に吹かれ四方八方へと飛び散って行くのだった。
467名無しより愛をこめて:03/11/22 03:15 ID:dNQWlMGG

二本角の『もののけ』は青い白い炎と共に灰と成り散って行った。
『もののけ』と化したお冴は、最後の力を振り絞って立ち上がる、その身を震わせながら。
お冴は『もののけ』から本来の美しい女の姿へと戻る。
だがお冴の半身は既に灰と化していた。
右肩は灰と成って崩れかけ、その右腕は既に崩れ落ち無くなっていた。
お冴は身を震わせながらそれでも左腕をゆっくりと上げ、手を差し出す。

そう、お冴が差し出した手の先には助六の姿があった。
今迄の『もののけ』騒動で気を失いかけていた助六であったが、
お冴の姿を見て、再び蒼ざめた顔で震え出す
その時、助六はお冴がまだ自分を襲うともりでいるとでも思ったのであろうか
「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ」助六は叫びながら逃げ出して行った。
その後、助六はそのまま戻っては来なかった。

逃げて行く助六の背を見つめるお冴。
お冴は差し出した左手を震わせながら伸ばす。
そのお冴が差し出した手は助六に届く事は無かった。
いや、はじめから、お冴が『もののけ』となる以前から、
お冴が差し出した手は助六には届いてはいなかったのだ。

「…す …すけ …ろくさん」
お冴はその瞳に涙を潤ませそう謂うと、青白い炎を上げて、灰と成って崩れ落ちて逝った。
つい今しがた迄お冴であった、その灰は風に吹かれて舞い上がり、周囲に散って逝った。
以前お冴の故郷があった場所、今は焼け野原となってしまった地平に。
468名無しより愛をこめて:03/11/22 03:28 ID:dNQWlMGG

灰と成って舞い散って逝くお冴の姿をやるせない切ない顔で見つめていたお瑠璃。
「…お冴さん …あんた馬鹿だよ …あんなろくでもない男にたぶらかされて …」
確かに助六と謂う男が居なければ、お冴には別の人生が、もっと幸せな生き方があったやもしれぬ、
お瑠璃はそう思うとお冴の事が不憫でならなかった。
同じ女であるからこそお冴の事を思うと、やるせなく切なく遣り切れなくなるというもの。

ただ唯一の救いは、お冴が灰と成ってこの地の土に還ったこと、それだけがせめてもの救いであった。
お冴が生まれ育った平穏でな村、誰よりも愛してやまなかった生まれ故郷。
今は焼き尽くされた地平となってしまったが、それでもお冴の故郷の地である事には変わりない。
お冴はこの地で土に還り、その土がいつかやがてこの地を再生させるだろう。
例え、何十年、何百年かかろうとも。
お瑠璃は立花屋のおやじさんと共に、灰と成って舞い散って逝ったお冴の冥福を祈り合掌するのだった。
469名無しより愛をこめて:03/11/22 03:44 ID:dNQWlMGG

傷ついた『彼面雷駄』は馬に跨りこの場を去ろうとしていた。
「おいっ、ちょっと待ってくれよっ!」
「あんたには聞きたい事がたくさんあるんだっ」滝一は『彼面雷駄』を必死で呼び止めた。
「『彼面雷駄』、あんた一体何者なんだっ!?」
『彼面雷駄』は滝一の呼びかけにただ一言こう謂った。
「… この時にあってはならぬ者達を滅する者」
『この時にあってはならぬ者達を滅する者?』滝一はその意味を考えていると、
『彼面雷駄』を乗せた馬は一際大きな雷の如き音を出し、疾風のように去って行った。

「ちっ、随分とせっかちな野郎だぜっ」
『彼面雷駄』が乗った馬はあっという間にその姿が見えなくなっていた。
「たったそれだけじゃ、また大御所様に怒られちまうじゃねぇか」
滝一は冗談混じりにそう謂った。

こうして『山間の小さな村』の悲劇の話は終わりを迎えた。
だが、その真相を知るのは滝一達をはじめとするわずかな人達だけで、
ほとんどの人々はそれを知る事はなかった。
470名無しより愛をこめて:03/11/22 04:00 ID:dNQWlMGG

数ヵ月後、滝一が諸国を旅している時のことであった。
滝一が通りがかった川沿いに大勢の人が群がっていた。
何かあったのかと思い滝一が様子を窺うと、
河原に一人の男の亡骸が打ち上げられていた。
滝一はその男の顔を見てあまりの偶然に驚いた。
その男の亡骸というのが助六であったからだ。
何でも助六はその後、宿場の賭場に入浸るようになって、
つい数日前、賭場でいかさまをしたのがばれて袋叩きにされたのだと謂う。
おそらくはそのまま簀巻きにされて川に放り込まれたのだろうと謂う事だった。
滝一は冷たくなった助六を見て哀れに思う。

助六もまたつくづく可哀想な男であった。
人を信じる事も出来ず、女をまともに愛する事も出来なかった男が、
唯一愛していたのが自分が生まれ育った故郷であった。
だが、その故郷を奪われ、帰る場所を無くして、
心の拠り所も無く、慣れない見知らぬ土地で生きて行く事を強いられた。
その挙句がこの死に様では、いくら何でも不憫と謂うもの。

滝一はそう思いながら、助六の亡骸に合掌するのであった …


Overtime 仮面ライダー
第一章「彼面雷駄」
其の弐「黄泉返り」

終幕
471:03/11/22 04:05 ID:dNQWlMGG
みなさまお疲れ様でした
読んでくださった方々もきっとお疲れの事でしょう(汗
いろいろ詰め過ぎて長くなり過ぎちゃいましたね
472彼面雷駄:03/11/22 05:05 ID:dNQWlMGG
「彼面雷駄」はしばらくお休みしようかと思ってますが、
こんな構想中のネタありますので、またいずれやれればと思ってます


『辻斬り』
街道で次々と起る辻斬り事件。その亡骸の切り口を見るに、
下手人は余程の手練れの者が余程の名刀を使っているに違いとのことであった。
手練れの者と名刀という話を聞いて興味を持ったのが、
幕府の剣術指南役・柳生一族の柳生十兵衛であった。
だが街の人々はこの辻斬り事件を鎌鼬の仕業ではないかと噂し、
それを耳にした滝一はこれもまた『もののけ』が関わっているのか?とこの事件を調べはじめる。
その最中も相次ぐ辻斬り。滝一は柳生十兵衛と共にその真相へと迫って行くのだが…


『屍人の村(仮)』
諸国を旅をして廻る滝一は不思議な話を耳にする。
行ったが最後、二度と戻って来られない村があると謂う。
その村へ行った者は未だ誰ひとりとして戻って来ないと謂うのだ。
これを不審に思った滝一は自らその村へと赴くのだが …
そこは屍人と化した村人達の姿があった。
生きた人間の血肉を求めて滝一に次々と襲い掛かる屍人達。
果たしてこの村はいつから、何が原因で屍人の村と化したのか?
473彼面雷駄:03/11/22 05:06 ID:dNQWlMGG

『信長の亡霊』
信長の亡霊が現れ人心を惑わしていると聞き、尾張へと向かう滝一。
そして時を同じくして、夜になると動く山があると謂う噂が広まる。
この二つに何か関係があるのではないかと睨む滝一。
とそこへ現れる真田十勇士の一人・猿飛佐助。
佐助もまた信長の亡霊の事を調べていたのだ。
そして「彼面雷駄」の存在を知った佐助は、
「彼面雷駄」を自分達の味方につけようと画策するのだが …


『顎人(仮)』
大御所様お抱えの占い師、祈祷師、術者などが次々と何者かによって殺されるという事件が起る。
しかもその死に方が常識では考えられないような死に方だと謂う。
滝一は急遽江戸へと呼び戻される。
滝一の元師でもある服部半蔵はこれが「彼面雷駄」の仕業ではないかと勘繰るが、「彼面雷駄」を信じる滝一。
その滝一達の前に現れる『もののけ』と黒い衣装に身を纏し『青年』。
彼らは特殊な力を持ち、『顎人』として覚醒する可能性がある人間達を襲っているのだと謂う。
そこへ現れた「彼面雷駄」に向かって青年は謂う。
「この時に顎人が現れる事がどういう事かわかっている筈だ、仮面ライダー」
「君がこの時にあってはならぬ者達を滅するように、
我々もまたこの時にあってはならぬ『顎人』達を滅しているのだよ」
そしてついにこの時代にも『顎人』となる者が現れる。
「彼面雷駄」はこの時代にあってはならぬ『顎人』を倒す事は出来なかったが、
『もののけ』と青年を倒す事もまた出来なかった。
『顎人』達は『もののけと青年』によってみな倒される。
その「彼面雷駄」の態度を見た大御所様は「彼面雷駄」を敵として見なす。
やがて幕府の軍勢により「彼面雷駄狩り」が開始される …
474彼面雷駄:03/11/22 05:07 ID:dNQWlMGG

『彫り物の女(仮)』
「彼面雷駄狩り」に執拗な迄に追われる「彼面雷駄」
その頃、江戸市中には『もののけ』の群れが大量殺戮を開始する。
人を殺す事をまるで楽しむかのような『もののけ』の群れ。
そしてその背後に居る、髪を結い、着物を小粋に着流し、薔薇の彫り物を背負った謎の女。
これに対する滝一をはじめとする服部半蔵、柳生十兵衛と謂った豪の者達。
だが人外の者達を前につわもの達も傷つき倒れていく。
彼面雷駄をひたすら信じて待つ滝一、果たして彼面雷駄は現れるのか …
475名無しより愛をこめて:03/11/22 22:11 ID:dNQWlMGG
age
476名無しより愛をこめて:03/11/23 00:05 ID:SdXZj+80
新ライダーの画像に影響されてこんなライダー考えてみました


『 仮面ライダー×Hunter 』

すべての呑み込むかのような夜の闇、月明かりに照らされて空に浮かび上がる古城。
古城の上を無数の蝙蝠が奇怪な音を立てて羽ばたき飛び回る。
夜の闇の静寂を破るかのようにバイクの排気音が響き渡る。
銀の輝きを放つバイクが闇を突き抜け現れ古城の前に止まる、そのバイクに跨り佇む一人の男。

そして古城の前の森の中、深き闇の中から人影が現れる。
黒きマントを羽織い、美しい金色の髪と青き目のその男、彼もまた闇の眷属である。
銀のバイクに乗る男はその闇の住人を見て不敵な笑みを浮かべる
「へぇっ、面白そうじゃん」その男は自分の敵の姿を見て嬉しそうであった。

「これもまた宿命と謂うものか」
闇の住人はマントを翻すと、腰からサーベルを抜き、空に向かいて魔法陣を描きはじめる。
光りを放ちながら宙に浮かび上が魔法陣、その光りが一際輝きを増す。
その光り輝く魔法陣より現れる屍人、屍人はその数を増やして行き、
やがて群れとなりて銀のバイクの乗る男の方へと向って行く。

銀のバイクに跨る男もまた戦いの準備をはじめる。
バイクのハンドル部のすぐ下に装填されているベルトの如き物のボタンを押すと
「get ready ?」バイクから音声が発せられる。
男は自らの首よりぶら下げたペンダントをその手で引き千切ると、
ペンダントのヘッドと成っていたクリスタルを、
バイクに装填されていたベルトの如き物の中央部に嵌め込む
「変身っ!!」
その瞬間、銀のバイクは輝く光りの柱に包まれ、
バイクに跨って居た男は銀の鎧と仮面を装着した戦士へと変身する。
477名無しより愛をこめて:03/11/23 00:06 ID:SdXZj+80

光り輝く光の柱が消え去り、その姿を見せる銀の仮面ライダー。
黒い皮のアンダースーツは拘束具のようでもあり、至る所にベルトが巻かれ、
その黒皮のスーツの上には、闇を照らし出すかの如く輝く銀の鎧が、胸、肩、手足、に装着されている。
先程のバイクにあったベルトの如き物は、仮面ライダーの腰にベルトとして装着されている。
そして銀の仮面には赤く大きな目が闇の中で光り輝いていた。
彼の名は『仮面ライダー/ダークハンター』、人間の敵である、忌まわしき闇の眷属を狩る者。

銀のマシンに跨りし、銀の仮面と鎧の戦士。向かって来る屍人の群れ。
銀の仮面の戦士は臨戦態勢に入る「リボルバー・マグナムッ!」
ライダーの声に銀のバイクが反応、音声認識が成され、
バイクより銀の銃リボルバー・マグナムが射出される。
これを片手で掴み取る仮面ライダー。
バイクに乗せてあったケースより弾丸を取り出す。
ライダーが手にしたのは『聖職者の祈り』が装填された弾であった。
その弾をリボルバーに込め、銃を握ったその手を屍人の群れに向かって突き出す。
屍人の群れに狙いを定めたライダーは親指で檄鉄を外し、引き金を引く。
銃声と共に放たれた弾丸は一体の屍人を貫く。血飛沫が上げ、倒れ込む屍人。
ライダーは続け様に次々と銃を撃つ。血飛沫を上げ、続々と倒れて逝く屍人の群れ。
屍人は通常の攻撃であれば、倒れてもまたすぐに復活を遂げてしまうが、
『聖職者の祈り』が込められた弾丸は彼らを二度と起き上がらせる事はなかった。
478名無しより愛をこめて:03/11/23 00:36 ID:SdXZj+80

だが屍人は空に描かれた魔法陣より次々と、この現し世に姿を現して来る。
銀のマシンに跨る銀のライダーは、バイクのエンジンを吹かして叫ぶ。
「破邪・ブレードッ!」音声認識によりバイクから日本刀型のブレードが射出される。
その柄の部分をその手に握るライダー。
エンジンを吹かしバイクを走らせ、バイクで走りながらライダーはブレードを振り回す。
ブレードを片手に屍人の群れに突っ込んで行くライダー、
その手に持つブレードで屍人を次々と一刀両断に切り下ろす。
真っ二つになり血飛沫を上げ、崩れ落ちる屍人達。
ライダーの鏡の如く写り込む銀の仮面と鎧が、その返り血を浴びて赤く染まって行く。

屍人の次に魔法陣からその姿を現したのは地獄の番犬ケルベロス。
3つ首の頭と、蛇の尾をもつ巨大なる獰猛の獣が、
その巨大な鋭い牙を剥き出しにして、狂ったような雄叫びを上げ、
ライダーの銀のバイクへと突進する。
「ショットガンッ!」ライダーの声によりバイクから射出されるショットガン。
ライダーは右手でそれを取上げると、その右腕を前に差し出して狙いを定める。
裂けた巨大な口を開け牙を光らせ、突っ込んで来る地獄の番犬・ケルベロス、
ライダーは右腕に持ったショットガンの引き金を引く。
轟音と共に放たれたショットガン、その弾丸はケルベロスの眉間を貫く。
さらにライダーは残る2つの頭にその銃口を向け、引き金を引く。
衝撃と共に次々と放たれた弾丸は、ケルベロスの残る2つの頭の眉間を貫いた。
その動きが止まり、大きな振動を起こして地に崩れ落ちるケルベロス。

空に描かれた魔法陣から現れる者はもういない。
ライダーはショットガンの銃口を、闇の眷属の者に向けて言う
「次はお前の番だな」
479名無しより愛をこめて:03/11/23 01:15 ID:SdXZj+80

闇の眷属もまたその本性であるヴァンパイアの姿に変身する。
上級クラスの闇の眷属に、通常武器による攻撃は一切通用しない。
彼らに留めを刺せるのは、ライダーのそのベルトにある『聖なるクリスタル』の力のみ。
銀の仮面と鎧のライダーはバイクから降りてヴァンパイアに対峙する。
ヴァンパイアはそのサーベルで宙に無数の矢を描くと、それが実体と成ってライダーに襲い掛かる。
これを飛びかわす銀のライダー。

ライダーはベルトのクリスタルを外し、自らの右足に装填する。
『聖なるクリスタル』が光り輝き、ライダーの右足にそのクリスタルの力が浸透する。
だがこれも、自らもまた闇の眷属であるライダーにとっては諸刃の剣でもある。
ライダーは闇の眷属でありながら、『聖なるクリスタル』の力を借りて闇の眷属を狩る者となったのだから。
『聖なるクリスタル』の力にライダーが負ければ自らが消滅してしまう事となる。
ライダーはその苦しみに耐え、助走をつけて飛び上がり宙を舞い、
『聖なるクリスタル』の力を借りて必殺のライダーを放つ。
ライダーキックを受けたヴァンパイアは、『聖なるクリスタル』の力をその身体に注入され、
聖なる紋様を身体に浮かび上がらせながら、消滅して逝く。

こうして闇の眷属をまた一人滅した銀の仮面ライダー、
その愛機である銀のマシンに再び跨り、深い夜の闇の中へと走り去って行くのであった …
480:03/11/23 01:25 ID:SdXZj+80

この他の武器にジャックナイフなど

クラスチェンジで(フォームチェンジではない)
ダークガンナー:アサルトライフル等の射撃武器が使用可能に
ダークナイト:サーベル、青龍刀等の武器が使用可能に(状況に応じ使い分け
ダークパーサカー:ハンマー、鉄球、斧等の武器が使用可能に
ダークウィザード:魔法系、属性攻撃が使用可能に
ダークアーチャ−:アロー、ボーガン等の武器が使用可能に
(ガンナーがいるからほとんど使われなさそうだが

パワーアップ後にダークサモナーのクラス追加、モンスター召還が可能に

んで♀の回復系ライダーが後々仲間に(?
ライバルライダーはもちろんダークセイバーってことで
481名無しより愛をこめて:03/11/23 03:25 ID:6bhS3V6M
彼面雷駄さん

乙です。「Overtime 仮面ライダー」すんごく楽しませていただきました!
ボリュームの多さにかかわらず、面白い時代劇の特番を見る感覚で
一気に読んでしまいました。
(二本角がお冴さんを襲ったのは、やはり退屈してたからなのでしょうか…)
次回作もいろいろあるようで、今後とも楽しみです。

>>474
滝一さんが江戸から信濃の九郎ヶ岳に旅立ったりしないかな、
などと考えてしまいますた。
482名無しより愛をこめて:03/11/23 09:30 ID:4Rs4vMLR
Overtime 仮面ライダー 第一章「彼面雷駄」其の弐「黄泉返り」
乙です。
長いけど、読ませる展開だったので苦にならず最後まで読めました。
ラストも哀愁があって良かったです。
次回も楽しみにしてます。

でも、>>465辺りで『もののけ』と化したお冴、というフレーズを繰り返しすぎかと。
最初に一回そう書けば、あとは単なる「お冴」で十分伝わると思いますよ。
483彼面雷駄:03/11/23 22:30 ID:SdXZj+80
レスを頂きありがとうございます

>>481
>滝一さんが江戸から信濃の九郎ヶ岳に旅立ったりしないかな
それいいですね、こんな感じでしょうか

『白鬼』
江戸に現れた大量殺戮を繰り返す『もののけ』達は倒れた。
その背後で糸を引くと思しき『薔薇の彫り物を背負った女』は逃走する。
その女の後を追う滝一は、信濃の九郎ヶ岳へと辿り着く。
だがそこでもまた奇異なる出来事が起っていた。
近辺の人達の話では、夜な夜な『もののけ』達が争い合い殺し合っていると謂うのだ。
ここ最近、山の獣道には毎日のように異形の『もののけ』の屍骸が転がっていると謂う。
そしてその『もののけ』達の果たし合いを見た者の話では、
『もののけ』達の中でもとりわけ強いのが4本の角を持つ白い『もののけ』であると謂う。
その話を聞いた人々は4本の角を持つ白い『もののけ』を『白鬼』と呼び畏れていた…
(中略)
滝一は背後より『薔薇の彫り物を背負った女』の心の臓を一突きする。
「すまねぇな、女を手にかけるのは流儀じゃないんだが、致し方あるまい」
滝一の言葉に『薔薇の彫り物を背負った女』は笑みを浮かべる。
「まぁこれもよい、ここは本来我らがいるべき所ではない」
女はそう謂うと自ら断崖絶壁へとその身を投げ出した。
滝一は崖を降り、辺りをくまなく調べたが、
『薔薇の彫り物を背負った女』の骸は見つからなかったと謂う。
その頃『彼面雷駄』は吹き荒ぶ雪の中『白鬼』と対峙していた…

おそらくこの辺が『彼面雷駄』の完結編でしょうか?
いやでもこれだとまんまクウガだし(汗
484彼面雷駄:03/11/23 22:35 ID:SdXZj+80

>>482
誤解をされたくないと謂う一心が、くどくなってしまいましたね(汗
以後気をつけたいと…他にも気をつける所だらけなんですが(再汗

ところで、ここに載っているラインナップでみなさんが読んでみたいものってあります?
<とりあえず、彼面雷駄以外で(練るのが大変なんだ彼面雷駄は
リクエストがあればそれからやってみようかとは思うんですが
485476:03/11/25 23:12 ID:0G+o7Tv6

476-479の『仮面ライダー×Hunter(仮題)』にラフ画をつけました
http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Screen/1311/d_hunter.gif

黒い拘束具に銀の仮面と鎧(モノクロなので色はわかないでしょうが)
<あえて頭はぴちょんくん風、銃は適当
486ギルノイズ ◆olKbglHkuQ :03/11/25 23:47 ID:HHP5a+jg
>483
やはり、時代はぐっと下って、
滝一の役はヤング遠山の金さん(葛山さんがNHKの時代劇で演じていました)を。
487476:03/11/26 22:38 ID:eMnjGIZ+

『仮面ライダー/D-Hunter(仮題)』4Cヴァージョン
http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Screen/1311/d_hunter_4C.jpg
488名無しより愛をこめて:03/11/27 17:42 ID:e3b7LQuk
>476
まぁなんにせよだ、何故基盤が龍騎ライダーかと、
そして何故ベルトが555風味なのかと、問いつめたい、小市じk(r
489487:03/11/27 22:59 ID:nHI+7Wa1
>>488
マジレスすると
デザインコンセプトは『サイバー+ボンテージ』
黒皮のアンダースーツ(拘束具=ボンテージ)+銀の鎧・仮面(サイバー?)
俺の中では基盤は『ハカイダー(シルバー?)+来年のライダー』となっている
<前々からボンテージ風仮面ライダーはやってみたいとは思っていた

唯一龍騎のテイストを意識したのは肩、肘のジョイントのみ
これはジョイント部分にパーツなりチューブなりを繋ぐ事になるかもしれないから
<バイクとライダーをチューブでつなぎ、ライダーとキャノンをチューブでつなぎ、
ライダーコンバーターの完成、キャノン発射、みたいな感じで

ベルトが555風味なのは認める
これは、回わる必要がないから …
いやいや、このライダーのイメージに一番合いそうということで
490名無しより愛をこめて:03/11/29 11:44 ID:ridFkgD/
 このスレの人たちは、原作版仮面ライダーの続編に
平成ライダーを参戦させることを思いついたことはないかな?
491名無しより愛をこめて:03/11/29 13:07 ID:Tep9B+nM
>>489
 貴方、上手いっすね。少々雑かなって感じましたが、めっちゃっかっけいい
492名無しより愛をこめて:03/11/29 13:46 ID:fOMcuFaC
>>489
しかし顔はモロ角なしアギトだなあ。
既存のマテリアルを組み合わせただけのパクリの集大成って感じ。
493名無しより愛をこめて:03/11/29 17:05 ID:qK4ZbVpY
まぁ、SSのつなぎになら絵もまたやむなし
494487:03/11/29 22:17 ID:rQJracJB
挿絵付きSSを展開したかったんだが、需要は低そうだな
<ウルトラマンジオみたいなの
オリジナルライダーで絵付きじゃこのスレの趣旨に反するし、やむなしか

ライバルライダーD-saverはもっとパクリだと言われそうだし(汗

また避難所でこの話は展開ということにしまつ
<多いなぁ避難所行き(w
495ギルノイズ ◆olKbglHkuQ :03/11/30 15:13 ID:oRuO73b8
>490
結構いると思いますよ。
何といっても、クウガが城南大学でアギトが城北大学(共に本郷猛の母校)ですからね。
496名無しより愛をこめて:03/11/30 15:15 ID:PCKEUeE9
>495
粘着にまともに相手すんな。このスレの過去ログ読んでみろ。
497名無しより愛をこめて:03/11/30 15:20 ID:lzCFza/O
俺も何か書いてみたくなったな。
設定をあれこれ妄想するのは楽しいけど
それを文章にしようとすると結構大変。
職人さんはすごいね。
498HandcuffsAndMasks ◆mgnDzvZ1fc :03/11/30 19:10 ID:l352VepA
大鋏と4号の甲皮が触れる度、小さな火花が舞い上がる。
初撃のダメージが抜けていないのか、4号は体を丸め、
私の攻撃を受け流す事のみに専念している。
「どうしたんですか、五代さん。このまま大人しく殺されてくれますか?」
無抵抗な獲物をいたぶるのも良いが、
やはりある程度は抗って貰わなければ面白味に欠ける。
4号の反撃を誘うように、所々に隙を見せつつ大鋏を振り付ける。
・・・が、4号はそのガードを崩さない。
私が小さく舌打ちした時、背中に大きな衝撃が走った。

「おい、よせよ!」
振り返ると、龍の装飾の付いた剣を持った龍騎が立っていた。
私の行動を怯んだと見たのか、私を挟んで立つ4号の所まで回り込み、立ちふさがる。
「なんだか良く分かんないけど、この人がホントに4号なら・・・
黙って見てるわけにはいかない!」
龍騎の言葉に対し、私は間も置かずに言い放つ。
「なら、どうなさるんです?私を殺してみますか?」
この一言だけで龍騎の体がこわばる。
4号といいこの男といい・・・分かり易すぎる。
まぁ、このゲーム序盤で狩られる兎としては相応しいかも知れないが。
499HandcuffsAndMasks(7) ◆mgnDzvZ1fc :03/11/30 19:11 ID:l352VepA
そう思った瞬間、私の脇腹目掛けて長剣型のバイザーが突き出された。
私は限界まで体を捻り、鋏を象ったバイザーで長剣を受け流す。
「・・・あなたもですか。秋山さん。」
「城戸も自分を守る事くらいは出来るだろう。・・・心配するな、お前は俺が殺してやる。」
そうだ。少なくともライダーという物を理解はしている男だったか。
確かに龍騎、4号を警戒しつつ騎士と戦うのは少し苦しい。
だが、龍騎は先ほどの私の言葉が私の想像以上に堪えたようで、
私が攻めていかない限り、動くことはないだろう。
・・・充分だ。元々の計画でも龍騎と騎士は一度に潰すつもりだった。
龍騎が4号に変わっただけ・・・それだけだ。

「では・・・いきますよ。」
言うが速いか、私は右手の大鋏を騎士に叩きつける。
長剣で受ける騎士。それを力任せに押しのけ、左手のバイザーで頭部を狙う。
鋭く空気を裂いた鋏型の武具は、きれいに騎士の側頭部をとらえ、バランスを崩した騎士は
2メートルほどふらつきながら後退した。
【ソードベント】
無理な体勢のままでバイザーにカードを入れると、大槍との二刀流となった騎士。
ダメージは残っているだろうが、思いの外すばやく突進してくる。
500HandcuffsAndMasks(7) ◆mgnDzvZ1fc :03/11/30 19:12 ID:l352VepA
走る勢いをそのまま乗せて、迫ってくる大槍。
バックステップでいなそうとしたが、大槍の切っ先は手元で大きくのび、
私の胸元を抉っていく。
黄金色のプロテクターは大きな火花をあげ、体制の整わないステップの直後に
騎士の攻撃を受けた私は、当然無事に着地できるはずもなく、
痛みと失念と共に仰向けに倒れ込む。
「はぁぁぁぁぁ!!」
咆哮と共に、騎士が二刀を交差して走ってくる。追い打ちをかけるつもりだ。
・・・ガードベントは!?間に合わない!
咄嗟にそう判断した私は、右手のストライクベント、大鋏を突き出す。
カウンターで騎士に当たれば私の勝ちだ。

一瞬の後
私にも、騎士にも、ダメージは加わっていなかった。
そのダメージを、一人で受けた男がいたからだ。
「な・・・?」
騎士が困惑で埋め尽くされた声を出す。
恐らく私と同じく、男の行動が理解できないに違いない。
501HandcuffsAndMasks(7) ◆mgnDzvZ1fc :03/11/30 19:13 ID:l352VepA
二人の仮面ライダーの間には、見間違えもしない、未確認生命体第4号が立っていた。
右肩の甲殻に騎士の長剣が食い込み、左の腕当てに私の大鋏が突き刺さっている。
しかし巧みな防御技術を持っているのか、
私が始めに刺した腹部からは『人』と変わらぬ赤い血が大量に滴っているが、
二点にはそれは見当たらない。

ついさっきまでは体を丸め、防御することしか出来なかったはずなのに・・・。
いつ二人の間に入ったのか見えなかった。・・・やはりこの男は予想外だ。
呆然とした二人に対し、4号が口を開く。
「駄目だ・・・そんな・・・。俺は!あなたを変えて見せます!須藤雅史!
こんな戦いも!・・・人は、そんなものじゃないんだ!」
「ははは・・・ははっはははははは!」
笑った。大声で笑った。それも驚くほど自然に。
「五代さん、そんなことをおっしゃる方だとは思いませんでしたよ。
いくつも死線を越えてこられたはずなのに・・・。」
まだ笑みが絶えない。言葉も勝手に飛び出してくる。
「私はこのバトルロワイヤルが楽しくて仕方がないのですよ。
モンスターと遭遇すれば戦い。合間には人を襲い、力を蓄える。
そして今日初めてライダーと戦い、分かりました。
このスリル、もだえる敵、たまらないんですよ。今まで倒したモンスター、襲った人、
どれからも感じられなかった快感です。
そしてライダーが絶命していく瞬間、どうしようもなくそれを感じてみたいんですよ!」
502HandcuffsAndMasks(7) ◆mgnDzvZ1fc :03/11/30 19:14 ID:l352VepA
「そう言うことだ・・・。あそこまで狂っているかは分からんが・・・
ライダーは皆、自ら望んで戦っている・・・。」
「違うよ、蓮!えっと、4号・・・さん?の言うとうりだ!
人間って、そんなもんじゃない!」
4号を押しのけた騎士に、活気を取り戻した龍騎が騒いでいる。
ここで初めて、4号の言葉の重みを知った。
二人の言動から感じられる物がかけ離れている。
腐っても、少なからず死に面した者の言葉ということか。
・・・それでも私は言った。
「これが、『人』ですよ。」

仮面ライダーシザースと騎士、同時にバックルからカードを抜き取る

   【ファイナルベント】




・・・・・・
503HandcuffsAndMasks(7) ◆mgnDzvZ1fc :03/11/30 19:15 ID:l352VepA
・・・どうなっているんだ!全身を襲う酷い嫌悪感、不快感。
あたりを見渡す。
前、屈み込んだ騎士、・・・そうか、私の攻撃もダメージを与えていたのか。
呆然とする龍騎、・・・こいつはいつでもこんなものだろう。きっといつまでも。
下、粉々になった黒いデッキ・・・では今の私は?この不快感は生身でミラーワールドに居るからなのか。
背後、金色に輝く蟹の怪物・・・ボルキャンサー、私の僕。

視界が金色で染まっていく。
「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぅああああああ!!!!」
食われている。私はこの化け物に食われている。
私の腕が蟹そのものの口にあてがわれたかと思うと何の抵抗もなくその中に入っていく。
そして押しつぶされる感覚。激痛と共に無くなるはずの感覚。
しかし、存在しなくなったはずの場所がまだ痛む。
そしてせり上がってくる激痛の発信源。
絶叫をあげながら首を振ると、揺れる視界に映ったものに驚愕する。

そこには鬼気を纏って足を進める4号の姿があった。
この世界で存在しながらライダーではない。生物的な筋肉の躍動が見て取れる。
私がそれを見たのは瞬きほどの間であっただろうが、
その4号が駆ける姿、跳躍し、光る足をこちらに向ける様子は、
かなりの長時間に感じた。
504HandcuffsAndMasks(7) ◆mgnDzvZ1fc :03/11/30 19:16 ID:l352VepA
吹き飛ぶボルキャンサー、千切れる腕、着地する4号、
コマ送りに脳裏に焼き付く映像。
「須藤さん!大丈夫ですか!」
大きな爆発を背に、向かってくる4号。
強烈な熱を帯びた風と共に近づいてくる赤い上皮に纏われた異形。
私はそれをただ呆然と見つめていた。

また一瞬の間をおいて、思い出したかの用に襲ってくる不快感。
自分の手を覗き込むと、片方しか存在しないことに改めて驚く。
肩口から先が、ささくれたような皮膚の切れ端を残して消滅している。
が、何故か出血はない。生々しく裂かれた痕だけが空気にさらされている光景が
なお不気味だった。

「須藤さん!」
4号の怒鳴り声が頭に響く。
「・・・平気ですよ。」
その場にあった電柱を支えに立ち上がり、
私に触るべきかどうか決めかねているのか、私の肩の上で彷徨う手を払いながらうそぶいた。
自分の意志とは関係なく、声に怒気がこもっていた。
それは恐らく、怒りの感情から来た物ではない。
未確認生命体4号という男が、理解できない。その困惑がそうさせるのだろう。
505HandcuffsAndMasks(7) ◆mgnDzvZ1fc :03/11/30 19:17 ID:l352VepA
その時、私の体が激しく泡だったかと思うと。世界との境界線が曖昧になり始める。
意外に遅かったな──解りきった事であったが、それでも冷静に判断する自分に少し驚く。
「ぐぅっ・・・んんん!」
一縷の望みを抱えて建物のガラスに向かって歩みを進めると、うめき声が漏れた。
神経を集中し、必死で『ここ』に在ろうとする。
一歩進む度に痛みが頭を突き、バランスも取れないがようやく目標に辿り着く。

半ば寄りかかるようにガラスに触れると、やはりというか
そこには苦痛に歪む私の顔が写るだけで、現実世界に戻れる様子は無い。
終わった。
思った瞬間に、悔恨が込み上げてくる。
こんなはずでは無かった。本当なら今頃は、龍騎と騎士を生け贄に、
さらにライダーとしての力を高め、現実社会で暗躍できる地盤も手に入れているはずだったのに。

何がいけなかったんだ?
私と『世界』の境目は、ますます無くなっていく。
何かがあったはずだ!
体は今すぐにでも消えて無くなろうというのに、視界も意識もはっきりしている。完全に消えたらどうなるのだろうか。
何か・・・予想外の人物!
506HandcuffsAndMasks(7) ◆mgnDzvZ1fc :03/11/30 19:18 ID:l352VepA
思考がそこに至った途端に、4号の存在に気づいた。
今度は迷いもない。私の方を、まるで私が消えることを恐れるかのように抱こうとしていた。
「よせ!」
火が付いたように体を動かし、もはや当たるかどうかも疑わしい手で
私は再び4号の手を払おうとした。
私の計画はこの男の為に全てが泡と消えたというのに、さも優しげな態度で接される事に
腹が立った。それは卑屈な男の理屈であることは解っているが、
それでもなお、この、人から変わったとは到底思えない、異形の生き物に触れられるのが嫌だった。

私の手が、粒子をあたりに広げながら4号の腕に近づいていく。
そうして、その二点が接触するかしないかの瞬間。
私が視認できたのはそこまでだった。

体が後ろに引っ張られ、吸い込まれていく感覚。
気が付くと私は、どことも知らない場所に座り込んでいた。
507HandcuffsAndMasks(7) ◆mgnDzvZ1fc :03/11/30 19:18 ID:l352VepA
誰もいない路地裏に座り込む自分。
あたりはもう暗くなっている。
体の輪郭は堂々と自己主張を再開し、
自分はここにいるのだ、ということが実感できた。
どうやら無意識の内にずいぶんと歩いたらしい
足は痺れが激しく、棒になるという言葉が身にしみた。
肩口からは、少しずつ血が流れ出している。

ミラーワールドに干渉できる者と接触したことによって、もたれていたガラスから
現実に戻ることが出来たのか、私には確かなことは解らない。
もしそれが正しいならば、
結果として4号に救われるという、何とも不本意なものになったが、
それも気にしないことにしよう。
それよりも今、痛切に思うことは・・・
「くそっ!・・・」自然と気持ちが口火を切る
「私は・・・もう一度・・・ライダァにぃ・・・!」
もう一度ライダーになりたい!
もう二度とあの快感を得ることが出来ない。そのことを思うと、
この世の快楽の全てが無くなったような気がした。実際そうなのかも知れない。

その時、誰もいないはずの暗闇から不気味な音が響いた。
508HandcuffsAndMasks(7) ◆mgnDzvZ1fc :03/11/30 19:19 ID:l352VepA
「貴様、今ライダーといったな!?」
その、少し掠れた野太い声は、私の体を硬直させるのに充分なものだった。
声のした方向に顔を向けると、そこにはやはり誰の居る気配もない。
「ライダーを知っているのか!」
先ほどよりも大きな声が私の鼓膜を叩いた。
暗闇に目を凝らす・・・すると、何かが蠢いているのがかすかに見て取れた。
その動きに視線を集中すると、その正体が少しずつ明確になっていく。

人間だ。いつからそこにいたのか、
黒服に身を包んだ大勢の男が、暗闇に同化していた。
そしてその中から、周りの男達とは正反対のケバケバしい配色の・・・
なんと言って良いのか解らない、未確認生命体にも見えるが
奴らよりも毒々しい、さらに奴らが『仮面ライダー』を知っているとは思えない。
アンノウンは人間と共に行動するはずは無いし、ミラーモンスターは問題外だ。
「ライダーを知っているのだな?」
私の沈黙を肯定と取ったのか、確かめるような声がする。
視界には口を動かす怪物の姿。この人外が人の言葉を喋っているらしい。
そのアンバランスさに、一気に恐怖が沸き上がってきた。
当惑に震える私。その首筋に、唐突に衝撃が走る。
脳への酸素供給が一瞬止まり、一気に意識が遠のいていく。
「連れて行け!」
あの、野太い声が頭の中に叩きつけられたとき、私の視界は完全にブラックアウトした。
509HandcuffsAndMasks ◆mgnDzvZ1fc :03/11/30 19:20 ID:l352VepA
お久しぶりです。ハンドカフスアンドマスクスです。254-259以来ですか。

蟹・・・生き残っちゃった。
しぶといんです。私の妄想とは別の形に動くんです。
妄想から文章へ変換することの難しさを感じました。
でもその分、自分なりに蟹を作れたと思うのですが・・・どうでしょうか。

あと、ようやく初戦闘。で、一話終了です。長い!戦いが短い!そして稚拙!
でも楽しいですね。止められません。
あと引きで出てくる香具師が必ずバレバレなのは仕様なのか!?自分でも謎です。
で、ようやくアギト=クウガ=龍騎=昭和というつながりが出来てきたということで、
次は555とアギトの接着です。だがノープラン!ノーアイディア!
だからクウガが今後何でもありのRX化しそうだということにも、目をつぶり耳を閉ざす!
見切り発車、牛歩がすぎる男ですが。巧くなったと言ってもらえるよう頑張りますので
これからもどうぞよろしくおねがいします。
510蟹派:03/11/30 20:15 ID:qB52Qcwx
おお!待ちに待った続編が!・・しかも蟹様生き残ってる!
素晴らしい・・今回に限れば実質主役だし。

蟹様視点の展開は良かったと思います(五代を理解出来ないとことか) こういうしぶとい蟹様が見たかった。
・・なんか蟹様の事ばっかですが・・好きなんだからしょうがない
続き期待してます。


511名無しより愛をこめて:03/12/01 00:55 ID:xQGUkaEt
自分も今こんな感じで書いてます。

タイトル:
仮面ライダーG

時代設定:
クウガ終了〜アギトに至るまでの2年の間に起きた話

登場予定ライダー:
G1、G2(確定、主役だし)
クウガ(多分出る)
アギト(微妙)

この設定はひょっとして既出かもしれないけど
それでも自分なりの展開でクウガとアギトを繋げたいと思ってます。
客演ライダーが少ないので地味になりそうですが(w

>>498-508
HandcuffsAndMasks読まさせてもらいました。
表現や描写が上手いので、状況が目に浮かんできます。
それに比べて自分の文章は何て拙いんだろう・・・
今後の参考にさせてもらいます。
512Overtime 仮面ライダー:03/12/04 00:47 ID:WKllgNRQ

2XXX年、この世界に仮面ライダーはいない、あるのはショッカーによる支配のみ。

「人間狩りだっぁ!!」廃墟と化した街並みに人間達の絶叫がこだまする「逃げろっ!!」
かってこの地上の頂点を極めし人間達の隆盛も既に過去の出来事にしか過ぎない。
今や人間達は薄汚れた姿で、廃墟にひっそりと身を隠しながら暮らす弱者でしかない。
現在のこの地上の支配者ショッカーからその身を守る為に…

ビルが倒れ朽ち果てる廃墟と化した街並みに、無数のバイクのエンジン音が響き渡る。
バイクに搭乗している黒い人影、目、鼻、口に白い縁取り、
ボディには骨と思しき模様が描かれている。
その人影こそが人間達を恐怖のどん底へと叩き落とす、ショッカー戦闘員に他ならない。
ショッカー戦闘員達は、バイクを縦横無尽に走らせ、
逃げ惑う人間達をまるで嬲るかの如く追い詰めて行く。
513Overtime 仮面ライダー:03/12/04 00:48 ID:WKllgNRQ

バイクを駆り、手に持つボウガンを射続ける戦闘員、
逃げる人間の女の後頭部に矢が突き刺さり、その矢先は頭蓋骨を貫通し、目から突き出す。
片目を落とし、血を流しながらもんどり返る人間の女、
矢継ぎ早に射られた矢はその人間の女の全身に容赦なく突き刺さる。
全身に矢を浴びた人間の女はその場に崩れ落ちる。

バイクを駆り、鎖を投げ人間の男の首に巻きつける戦闘員。
鎖を手にする戦闘員はそのまま人間の男を地面に引きずりながらバイクで疾走して行く。
首に巻きつけられた鎖を手で振りほどこうとする人間の男、
だが泡を吹いて白目を剥き、すぐに微動だにしなくなる。

バイクに乗る戦闘員が手に持つ銃を指で回し、面白半分に逃げる人間の男の脚を撃ち抜く。
転倒し悶絶する逃げていた人間の男。バイクの戦闘員は容赦なくその男を轢殺す。

バイクのショッカー戦闘員の集団は、奇声を上げながら人間達を次々に襲って行く。
バイクに乗りながら鉄パイプで逃げ惑う人々を殴り倒し喜ぶ者、逃げ惑う人々を拳銃で撃ちまくる者、
泣き叫ぶ人間の若い女を脇に抱きかかえ捕獲する者、
ショッカー戦闘員達による『人間狩り』でその場は瞬のうちに地獄へと変わり果てていた。


Overtime 仮面ライダー
第二章『救世主』Act.1『呪われた鎧』
514Overtime 仮面ライダー:03/12/04 01:08 ID:WKllgNRQ

ショッカー戦闘員・バイク部隊の人間達への圧倒的な暴力を前に
人間達は成す術も無く、ただひたすら逃げ惑うのみであった。
地獄絵図と化した廃墟の街には人間達の悲鳴と絶叫、そして断末魔が、止む事も無く響き渡る。
その地獄へと現れるひとつの巨大な影。
凶暴なモンスターと化した2頭の馬に牽かれる巨大な馬車、その馬車に乗る大きな男。
筋肉質の体ではあるが、若干細身でもあり、
その面長の顔にはまるで女のような化粧をしたその男、拳にはハートの紋様が刻まれいる。
そしてショッカーのエンブレムのベルトを腰に巻いている。

「おーほっほっほっほっほっほっ」男はまるで女のような甲高い笑い声を上げた。
「お前達、今や野性の人間は貴重なのよ、もっと優しく丁寧に捕獲しなくちゃダメじゃない」
男はまるで女のような言葉遣いに甲高い声でショッカー戦闘員達にそう命じる。
「人間の男は私達の貴重な食料に、人間の女は私達の仲間を増やす生殖・出産マシーンになるのだから」
「お前達、天然の人間はね、この上なく美味なのよ、男も女もね」
「でも男と女じゃ、食べ方が違うのだけれどね」
「あら嫌だ、あたしったらお下品だったかしらっ?」
「おーほっほっほっほっほっほっ」
ハートの紋様の男は、口に手を添え、女のような言葉遣いで甲高い笑い声を上げる。
515:03/12/04 01:22 ID:WKllgNRQ
こいつがもし仮に『地獄大使』と言う名前だったら、やはりみんな怒るかな?
そ、そうだよな、その案はマズイかな(どきどき)
516ギルノイズ ◆olKbglHkuQ :03/12/04 01:53 ID:JWleeSVm
>515
てっきり、ハート様かと。
517:03/12/04 02:14 ID:WKllgNRQ
いや俺もハート様のつもりで書いたんだけどさぁw
ハート>ガラガラヘビ
クローバー>イカ
ダイヤ>狼
キング>ヒル+カメレオン
なども面白いかと思いつつ
518名無しより愛をこめて:03/12/04 16:24 ID:+A2vRZxO
     
     ◆仮面ライダージュウガ◆
いにしえから存在する獣人種VS特殊な遺伝子操作で生み出された新・獣人=
テラティゼルを利用し、世界を牛耳ろうと画策するイリジアン・コーポレーシ
ョンの戦いに板挟みになる主人公:御門獅朗(みかどしろう)=仮面ライダージ
ュウガは、どちらに付くのか??
そして彼らの存在に気付いた時・・人間たちはどう出る??
三つ巴・・四つ巴の戦いが今始まる!!!

どうでしょうか?!登場する人数が多くなりそうなので、ちょっと話にするに
は大変かも知れないですが・・。
519Overtime 仮面ライダー:03/12/04 22:10 ID:WKllgNRQ

「もっと優しく、優しく、可愛がるのよぉっ」
「おーほっほっほっほっほっほっ」
ハートの紋様の男の掛け声に、ショッカー戦闘員・バイク部隊は奇声を上げて応える。

その時であった。空を切り裂く音と共に鋭利なる刃が、ハートの紋様の男の額に突き刺さる。
その矢を射ったのは一人の人間の青年、その手にボウガンを構え、ハートの紋様の男を睨みつている。
「これ以上、お前達の好き勝手やらせてたまるかよっ!」

「あらぁ、これは何かしらぁっ?」ハートの紋様の男は、その額に突き刺さった矢を手で引き抜き、傷口に触れる。
その手には血の如き液体が付いていた。それを見てハートの紋様の男の顔色が変わる。
気色ばみ、額に青筋を立ててワナワナと身震いするハートの紋様の男。
ハートの男はぶち切れる「われぇっ!!何さらしとんじゃいっ!!」
今迄の女言葉が嘘であるかのような迫力のある怒号。
「お前らっ!!人間なんぞっぶち殺さんかいっ!!」
ぶち切れたハートの男はバイクの戦闘員達に檄を飛ばす。
その檄に奇声を上げるショッカー戦闘員達。

ショッカー戦闘員はバイクで、矢を射った人間の青年に迫る。
青年は向かって来るバイク上の戦闘員達に次々とボウガンを放つ。
矢を身体に突き刺して走るバイクから転げ落ちる戦闘員。
人間の青年はその隙に瓦礫と化したビル街へと逃げ込む。
「追いなさいっ!!逃がすんじゃないわよっ!!」激怒するハートの紋様の男。
「もうっ頭にくるわっ、ここに居る人間は一人残らずみな殺しよっ!!」
先程迄の言葉と打って変って戦闘員達に人間のみな殺しを命じる。
520Overtime 仮面ライダー:03/12/04 22:35 ID:WKllgNRQ

「はっはっはっ」「人間如きに傷を負わされるとは、随分と堕ちたものだなぁ、ハートの大使よ」
「くっ、その声は」ハートの大使はその声に振り返る。
そこには何十人という全裸の人間の男女が犬のように這いつくばり車を引いている姿があった。
人間達には拘束具がはめられており、目は見えぬように目隠しをされ、口には一様に猿轡をされている。
その全裸の人間達が牽く車に乗ったには、軍服を着、アイパッチで片目を隠した、
拳にダイヤの紋様を持つ男の姿があった。
ダイヤの男はその手に鞭を持ち、車を牽く全裸の人間達を鞭打っては嬉々とした表情を浮かべる。
車を牽く全裸の人間達の全身には鞭打たれた後が無数に赤く腫れ上がっている。

「ダイヤの大佐、、こんなのはかすり傷程度よっ!!」
ハートの大使は口惜しそうにダイヤの大佐に言い返す。
「人間共にかすり傷を負わされるなど前代未聞、我らショッカーの恥と謂うものぞ」
ダイヤの大佐はそう謂ってハートの大使を嘲笑する。
「うるさいわねっ!この変態、サディスト大佐がっ!!」ハートの大使の罵声
「無礼な、オカマ如きに変態呼ばわりされる筋合いはないわっ」
「キィィィーーーッ、オカマですってっ!?」
ハートの大使の怒りはますます激しくなり、その怒りの矛先は人間達に向けられることとなる。
「なら勝負よっ、どっちが多く人間を狩れるかっ」
「望む所よっ、もちろんその生死は問わぬであろうな?」
「当たり前じゃないっ!人間どもをみな殺しにしなくちゃ、あたしの気はおさまらないわよっ!!」

ハートの大使とダイヤの大佐は競うようにして、逃げ惑う人間達を狩る。
それはまるで、憂さ晴らしのゲームを楽しむかのようでもあった…
人間達の絶叫と断末魔が止む事無く響き渡り、
人間達の真っ赤な鮮血が血飛沫となり、辺り一面を血の海に染め、
人間達の肉片が飛び散り、ただの肉の塊と化した人間の亡骸が無数に転がる。
中にはまだ息のある人間をその場で喰らう者もいた。
その血の海と亡骸の山の中で、女達は戦闘員に陵辱の限りを尽くされ、拉致されて行く。

この世界に仮面ライダーはいない、あるのはショッカーによる支配と暴力のみ …
521:03/12/04 22:49 ID:WKllgNRQ
今回ある意味、変態幹部四人衆が主役かもしれんな
522Overtime 仮面ライダー:03/12/04 23:36 ID:WKllgNRQ

「バキッ!」人を殴る鈍い音がその空間に響く。
「滝っ!!お前何て事してくれたんだっ!!」
「お前、自分が何をしでかしたのか、わかってるのかっ!?」
ここは生き残った人間達が、ショッカーの目から逃れ、ひっそりと暮らす秘密の隠れ家。
瓦礫と化した廃墟のビル、その地下室、そこにショッカーの人間狩りから逃げおおせた人間達が集まっていた。
ショッカーが支配するようになったこの時代、人間達はその数を確実に減らしていた。
世界全体を見てもその数は人間達の最盛期の人工の10分の1程度でしかなかった。

「ショッカーにとっては人間狩りなんてのは遊びのようなもんだ」
「昔、人間がレジャーで狩りを楽しんでいた、それに似たようなもんなんだよ」
「だが滝よ、お前がショッカーの幹部、ハートの大使に弓引いた事で奴らは本気になるかもしれない」
「奴らが本気で人間狩りをはじめたら、俺達はあっという間にみな殺されてしまう」
「それがお前にはわかっているのかっ!?」
滝と呼ばれる青年はその場に集まった生残りの人達に責められる。
「現にお前のしでかした事のお陰で、ハートは向きになって人間を狩りはじめたじゃないか。
死ななくても済んだ筈の人間が大勢死んだんだっ!滝よ、すべてはお前のせいなんだぞっ!」
その場にいた多くの人間のほとんどが声を荒げ、滝と呼ばれる青年を批難する。

「ちょっと待てよ、お前らっ!」
「こんな生活で本当にいいと思っているのか?」
「ショッカーの目から逃げ延び、怯え震えながら隠れて、その日その日をやり過ごす、
そんな生活で本当にいいと思っているのかよっ!」
「そんなんで俺達は、人間は本当に生きていると言えるのかっ!?」
「奴らに捕まった人間は、奴らの餌にされ、女は奴らの仲間を生む為の道具にされちまうんだぜっ」
「自分達が安全だからいいとか、そういう問題じゃないだろっ!?」
「もっと根本的にこの世界を変えないとダメだろうがよっ!?」
滝と呼ばれる青年は自分を責める人々に向かって反論する。
523Overtime 仮面ライダー:03/12/05 00:03 ID:f7WAvaEq

「滝よ、お前の親父さんはアンチショッカー同盟のリーダーとして勇敢に戦ったんだろうが、
そのお前の親父さん、滝和也だって、ショッカーに敗れて死んだんだっ」
「人間は既にショッカーに敗れたんだよ、敗者は大人しく暮らして行くしかないんだよ」
そう滝と呼ばれる青年は、滝和也の息子・滝和人。
滝和也は最後迄ショッカーと戦い続けた、人間達の存続を賭け、アンチショッカー同盟を結成して。
だが、人間達はその戦いに敗れ、滝和也もまた戦いの最中死んで逝ったのだった。
その時、滝和也には二人の子供が居た。
一人はこの青年、和也であり、もうひとりは和美と謂う女の子である。
妹の和美(現在17歳)は兄・和人の影に隠れるようにして、黙ってこのやり取りを聞いていた。

「親父はなっ、親父は言っていたんだっ。
人間の真の敗北は、人間が戦う心を無くした時だって、今のあんた達みたいにな」
「だから俺は決して諦めない」
「今みたいな暮らしなら、戦って死んだ方がマシってもんだぜっ!」
激情する和人は人々にそう叫ぶ、その熱い血は父親譲りなのであろうか。

「それが俺達にとっちゃ迷惑だって言ってんだよ」
「お前がショッカーと戦って野垂れ死ぬのは勝手だが、
俺達全員がお前と一緒に見られて、的にそれちゃかなわねぇんだよ」
その言葉に和人の頭には益々血が上る。
「なんだとっ!!」和人は拳を振り上げる。
524Overtime 仮面ライダー:03/12/05 00:04 ID:f7WAvaEq

「もうよせよっ、和人」熱くなった和人を、眼鏡をかけたクールな青年が止める。
その青年は和人の幼馴染の真澄であった。
「人間は誰しもお前のようには強くはない」
「お前のように、ショッカーの家畜として生きるくらいなら、戦って死んだ方がマシだ、
そう考える人間ばかりではないという事だよ。」
冷静沈着で理論家の真澄に、熱血漢の和人はいつもなだめられいた、幼い頃からずっと。
「ちっ、納得いかねぇ」和人はそう謂うと、その秘密の部屋を後にする。
その後を追う、妹の和美と幼馴染の真澄。

ショッカーが人間達を支配する時代、
人間達は恐怖と不安に怯えて暮らし、その暮らしは人間達の心をも荒ませていた。
人間達の心は挫け、ショッカーに立ち向かって行く気力を無くし、
人間の尊厳をも放棄し、ショッカーの支配に甘んじる者がそのほとんどであった。
525Overtime 仮面ライダー:03/12/05 00:34 ID:f7WAvaEq

瓦礫の隙間から夜空の月を見上げる和人。その傍らに一緒に居る和美と真澄。
「なぁ真澄よ、俺の言っている事は間違っているのか?」
和人は真澄には素直に何でも言える、二人の友としての絆はそれ程のものであった。
「間違っているとは思わん。俺もショッカーには一矢報いてやりたいというのが本心だ。」
「だがな、和人、俺は最近ふと思うんだ。
人間は魚を獲って食べるよなぁ、だからと言って魚が人間を憎んだり、人間に怒ったり、
人間に復讐を誓ったりはしないだろう?」
「何が言いたいんだよ?」和人は真澄を一瞥する。
「つまりだ、俺は最近思うんだよ。もしこうなる事が大自然の摂理として定められていたのだとしたら、
それはもう仕方がない事なのかもしれない、とな。
人間が魚を獲って食うように、ショッカーは人間を獲って食う。
それが食物連鎖として自然のシステムに組み込まれるべきものだと、
はじめからプログラムされていたとしたら、それはもうどうしようもない事なのかもしれない、とな。」
「本気でそんな事考えているのか?」和人は真澄をじっと見つめる。
「俺も弱気になって来たのかもしれん」和人の視線に耐えかねた真澄は俯きながらそう言った。
「そのプログラムをつくろうとしているのがショッカーで、
組み込もうとしているのもショッカーじゃねぇか、それじゃ話にならねぇよ」
「だがショッカーの背後には、神にも等しい力を持った大首領がいると言うし…」
その場にしばしの沈黙が流れる。
「それでも俺はやるぜ、それが神の意思だったとしてもだっ」和人は誓う。
その和人の言葉を聞いた真澄
「俺のかあさんがよく言っていたけな、お前の無茶は親父さんそっくりだって…」
「澄子おばさんも相当無茶だったって、俺の親父も言ってたけどな」
526Overtime 仮面ライダー:03/12/05 00:35 ID:f7WAvaEq

その時、今迄ずっと口をつぐんでいた和人の妹和美が口を開いた。
「仮面ライダーが、いればいいのにね…」
「和美っ!!その名前は口にするなといつも言っているだろっ!!」和人は再び激昂する。
「でも、お兄ちゃん…」大人しい和美は口ごもる。
「ライダーは、あいつらは俺達を裏切ったんだっ!!
今世界こうなっちまったのももとはと言えばあいつらのせいなんだっ!!
俺達の親父が死んだのも、あいつら仮面ライダーのせいなんだよっ!!」
和人は仮面ライダーの名前を憎悪しているようであった。
「でも、お兄ちゃん…父さんは…」和美はそこまで言い掛けて再び口をつぐんだ。
再びその場にしばしの沈黙が流れる。

「それよりも真澄、お前に見て欲しいものがあるんだ」和人は再び口を開く。
「お前にも関係がないものじゃないぜ」
「お前のおふくろ、澄子おばさんに関係があるものだからな」
「俺のかあさんに…?」不思議そうな顔をする真澄。
「あぁ、明日の朝、見に行こうぜ」和人は目を輝かせてそう言った。
527名無しより愛をこめて:03/12/06 02:01 ID:vtRZdTQA
そろそろ次スレを視野にいれにゃならん時期だね。
528名無しより愛をこめて:03/12/06 02:31 ID:Wmq1Ragq
すまん。最近忙しくて感想レスしてないがSSライターさんたちがんがれ!!
マジ楽しみにしてるんで。
529Overtime 仮面ライダー:03/12/06 23:34 ID:jzFbtnJv

「このっ、馬鹿者どもめがっ!!」ショッカーの秘密のアジトに老人の怒鳴り声が響く。
白い正装に黒いマントを纏った白髪の老人、その拳にはクローバーの紋様。
巨大なエンブレムを掲げたショッカーの秘密のアジト。今やこの世界の覇者となったショッカーにとって、
その基地は秘密のアジトである必要は何処にも無かったが、
昔からの倣いであろうか、ショッカー基地は秘密のアジトとして人間達に知られる事はなかった。
「野性の人間はその数を減らして来ているのだっ、むやみやたらに殺すなと何度言ったらわかるのだっ!!」
老人は血相を変えて目の前に居る、ハートの大使とダイヤの大佐を叱責していた。

「だってぇ、たまには天然の活きの良い人間を生で喰らいたいじゃない。
人工授精の養殖ものじゃ、味も今一物足りないのよねぇ〜」
さらにハートの大使は老人に向かってこう続けた。
「それにあたし達が人間を食べるようになったのも、人間の味を教えてくれたのも、みんな博士じゃないっ」
そう、ショッカーは元々人間を喰らうような事はしなかった。
この老人、クラブの博士こそが人間をショッカーの餌にと考案したと言って良かった。

昔、まだ人間の方が遥かに数も多く、ショッカーの構成員が少なかった頃、
ショッカーがこの世界の覇者となる為には、構成員の数を増やす事が急務であった。
ショッカー達は人間達を拉致しては改造人間などに仕立て上げていたが、それも大量生産するには限界があった。
そして、その一方で急激に増加して行くその構成員のエネルギー源の確保も切実な問題でもあった。
530Overtime 仮面ライダー:03/12/07 00:04 ID:DYtKwQ2g

そこでクラブの博士はショッカーの種としてのある生命システムを考案し実践した。
それは人間の種としての生命システムを模倣したものであったが、
ただひとつ大きく異なっていたのは、ショッカーが餌とする者こそが人間であるという点であった。
ショッカーはまず人間の若い女に狙いを定め、次々と拉致し、博士の改造手術により、
ショッカーの改造人間並びに戦闘員を出産する為のマシーンにつくり上げていった。
人間の場合、妊娠期間は10ヶ月程度とされているが、ショッカーの改造人間並びに戦闘員の場合、
培養液により驚異的な速度で成育が促進され、約1週間程度で出産が可能となった。
出産マシーンと化した人間の若い女達は約1週間毎に、次々とショッカーの怪人や戦闘員達を生み続けていったのであった。
出産後人間の女達は再び、怪人や戦闘員の種を仕込まれ妊娠期間に入るのである。

今でもこのショッカーの秘密アジトの地下では、何千、何万という人間の若い女達が、
全裸で手足を壁に埋め込まれ、目隠しと猿轡をされ、ショッカーの怪人や戦闘員達を生み続けている。
中には自分の親や兄弟をショッカーに殺され、自分はここに拉致されて来て、
無理矢理ショッカーの子を産まされ続けているという不幸な境遇の人間の若い女も少なくは無い。
身動きが取れないよう壁に埋め込まれた状態で猿轡をされているというのも、
そうした女達が自殺行為に走らないようにと配慮されているという側面もある。
だがそれが出産マシーンとして余計な行動をせずに
出産のみに専念するには最も効率的であるというのが本当の大きな理由であったが。
531Overtime 仮面ライダー:03/12/07 00:15 ID:DYtKwQ2g

こうして急激にその数を増やして行ったショッカーの構成員、
次に問題となったエネルギー源は人間を食糧とする事により解決された。
ショッカーは人間狩りにより拉致して来た人間、その中の男や子供、老人達を食糧として割り振った。
元来は人間達を溶解して、その肉体を構成している物質を抽出し、
再構成した加工食品として、人間を喰らっていたのであるが、
それに飽き足らなく為った怪人や戦闘員の中には、人間を生でそのまま喰らう者達も多かった。
もちろん生で喰らう場合は若い方が美味とされ、子供などは肉が柔らかい最高級品の扱いであった。

ショッカーによる野性の人間の乱獲は、人間の数を急激に減らしはじめた。
このままでは食糧としての人間の供給に支障が出る、つまり食糧危機に陥る事を危惧したショッカーは、
人工授精により人為的に人間を増やし、養殖を行い、家畜として飼育しはじめた。
現在、このショッカーの秘密アジトの地下をはじめ、世界各地の至る所に巨大な人間の養殖場が置かれている。
ショッカーにより作為的に生み出され、養殖されている人間には、一切の感情が与えられておらず、
それは最早人間であって人間では非ず、まさしくショッカーの家畜以外の何者でもなかった。
人間としての感情を持ち合わせているのはショッカー謂う所の「野性の人間」だけであった。
532Overtime 仮面ライダー:03/12/07 00:39 ID:DYtKwQ2g

「だが、人工授精の養殖人間の味の低下は由々しき問題ではあるな。
我などは最近は加工品の匂いを嗅いだだけでも食欲を無くしてしまう程だ」
ダイヤの大佐は自らのグルメぶりをそれとなく誇らしげに語る。
「ねぇっ、いっそのこと人間達を自然交配させてみたらどうかしらっ?
ちょっとは人間達の味も良くなるかもしれないわよっ」
このハートの大使の発言に、クラブの博士は血相を変えて怒鳴る。
「ならんっ、ならんっ!! 人間達の自然交配などはもっての他じゃわいっ!!
今我らが家畜として飼育している人間共には、感情と謂うものが無いっ
じゃが自然交配などをさせれば、人間の感情を取り戻す危険性も考えられるっ
人間どもが謂う所の、人間特有の情や愛などという感情が再び芽生えるかもしれんのじゃっ
それは我らにとってこの上無い危険分子と為りかねんっ
人間どもの自然交配など決して行ってはならんのじゃっ!!」
クラブの博士は頭の血管が切れるのではないかという程に顔を真っ赤にしていた。
「その意見には我も賛成であるな。人間どもに快楽などを与えてはいかん。
奴らに与えるのは絶望と苦痛のみ … ふはははっ」
ダイヤの大佐はサディスティックな発言に笑い声を上げる。
「なんだぁっ、じゃぁやっぱり、野性の人間を捕まえて喰らうしかないのね」
「お前らが野性の人間の味を求めるのはわかるが、無闇に必要以上に野性の人間を殺すなと謂う事じゃ。
これからは野性の人間を保護して行かなくてはならなくなるかもしれんのじゃぞ」
クラブの博士は二人に自慢気に説きはじめる。

だが二人には全くそれを聞いている素振りはなかった。
「ところでスペードの将軍はどうしたのかしらっ?さっきから全然姿が見えないようだけど」
「奴の事だっ、大方鏡の前で自分の肉体にでも見惚れているのであろう」
「スペードの将軍はナルシストだからねぇっ
いつもあたし達の事を見下して、美しい私はお前達のような変態などとは違う、なんて言っているんだから。
自分の裸を見ながら、マスターベーションするような奴の方がよっぽど変態ってものよねっ」
533Overtime 仮面ライダー:03/12/07 01:01 ID:DYtKwQ2g

「うむっ、それでは我はこの辺で、さらって来た人間どもをいたぶるとでもしよう…
今日の人間は野性だからな、嬲り甲斐がありそうだ、この鞭も唸るのを楽しみにしておるわい」
ダイヤの大佐は鞭を持つ手を期待に震わせながら、サディストの目つきで薄ら笑いを浮かべる。

大佐の発言に博士もふと我に返る。
「おおそうであった、こんな事をしている場合ではなかった」
「今日お前達が連れて来た人間で、早速新しい研究の人体実験をせねば …」
「まだ生きて意識のある人間の身体を切り開いて、
その美しいピンクの色をした内臓を触診する …これに優る快感はないわっ」
「内臓がヒクヒク、プルプルする様がまた何ともそそること …」
「わしはその愛らしい人間の臓物を見ると、いてもたっても居られなくなって、
思わず鷲づかみにして引き千切り握り潰したくなるんじゃ …」
「だがそこは我慢じゃ …そこで果ててはまだまだじゃ …その先にある快感こそが …」
クラブの博士は自分の世界に入って一人で何やらブツブツ言っていた。

「要は博士ってエネマフェチなのよねっ、結局は博士も変態だってことね」
ハートの大使がそう言うのを博士は聞き逃さなかった。
「黙れっ、お前ら変態なぞと一緒にするなっ!わしのは立派な研究じゃ
オカマとサディストなどと一緒にされとうないわいっ!」
「キィィィーーーッ、オカマですってっ!?」
「無礼なっ!エネマフェチの老人に変態呼ばわりされる筋合いはないわっ!」
ショッカーの幹部クラスによるいがみあいはいつもの事であり、
ショッカー秘密のアジト内では良く見られる光景で決して珍しいものではなかった。
534:03/12/07 01:03 ID:DYtKwQ2g
中途半端な所で次スレ持込になりそうな悪寒
535Overtime 仮面ライダー:03/12/07 20:14 ID:DYtKwQ2g

翌朝、滝和人とその妹・和美、真澄の3人は、和人が謂う『見せたいモノ』がある場所へと向かった。
ショッカーの目を逃れる為、生活圏である居住エリアからかなり離れた所で待ち合わせをした滝兄妹と真澄。
滝兄妹が地平と化した荒野で真澄を待っていると、彼方より乾いたエンジン音が響いて来る。
それは今となってはほとんど人間が乗る機会も無くなった車のエンジン音であった。
砂煙を上げて灼熱の大地を疾走するジープのような車。
車は滝兄妹の前で止まった。その車に乗っていたのは真澄であった。
「へぇっ、今時よくこんな物が手に入ったな」和人は車を見て懐かしそうに言う。
「あぁ、そこいらに落ちていたガラクタパーツを寄せ集めて組んだんだ」真澄は少し誇らしげにそう言った。
「流石、真澄だ。これだけのモノを一から組めるなんて真澄ぐらいのものだろうな」和人は素直に感心していた。
この時代、人間達は文明利器のほとんどすべてをショッカーにより取り上げられていた。
その為、今となってはこうしたメカをいじれる人間は数少なくなっており、貴重な人材でもあった。
和人がショッカーに抗う為の武器もすべて真澄がその辺からガラクタを拾って来てはつくり上げていたのであった。
「真澄ならやれる…」和人は真澄がつくったと言う車を見ながら小声で一人呟いた。

「まぁここなら車を使ってもショッカーに見つかる事は無いだろう。
そう思って待ち合わせ場所をわざわざこんな僻地にしたのさ。
お前が見せたいモノがあるって所はここからまだまだあるんだろう?」
「あぁそうだな、一日がかりで歩く覚悟をしていたんだがな、こいつがあればかなり早く着きそうだな」
「だが、如何せんこいつも燃料だけはどうにもならなくてね、燃料が切れたらそこ迄だ。
後は歩く事になるだろうから、そいつは覚悟しておいてくれよ」
真澄の言葉に頷き、和人と和美は車に乗り込む。
「何、燃料も行きさえもてば、帰りは何とかなるさ」
車に乗り込んだ和人はそう意味有り気な発言をする。
その和人の言葉の真意は真澄にも和美にもわからなかった。
536Overtime 仮面ライダー:03/12/07 20:42 ID:DYtKwQ2g

地平と化した荒野を3人を乗せた車が駆けて行く。
幸いな事に行きは燃料切れにならずに済んだようだ。
「確か、この辺だったんだがな」「真澄、止めてくれっ」和人がそう言うと真澄はそれに従い車を止めた。
荒野の中に、崩れ落ち瓦礫と化した廃墟のビル跡。
だがそこは3人にとっては見覚えのある場所であった。
真澄は眼鏡の奥の鋭い視線を和人に投げかけた。
「もしかして、ここは …」
「そうっ、アンチショッカー同盟の研究室があった場所だ」和人は真澄に頷いてみせた。
「こんな所に一体何があるって言うんだ?
中はとっくにショッカーの手ですべて破壊されているだろう …」
「まぁいいから黙って俺について来てくれっ」
和人はそう言うと一人で瓦礫の山を潜り抜けて行く。
その和人の後を慌てて追う、真澄と和美。

和人は用意して来た松明に火をつけると、暗い闇が広がる穴の中へと降りはじめる。
そこには地下へと通じる階段があり、今では壁も剥がれ落ち崩れかかってはいたが、
無理をすれば人が通れない事はなかった。その階段を明かりを手に降りて行く和人。
真澄は和美を気遣い、時には手を差し伸べながら和人の後を追う。
松明の灯火だけを頼りに3人はその地下へと続く階段をひたすら降りて行く。
降りても降りても行き着く先は一向に見えて来ない。
次第に暑さを感じるようになり、息も荒くなって来る、心なしか息苦しいような気にさえなって来る。
どれぐらいの時間歩いたであろうか、ここは一体何なのか、何処へ向かっているのか、
そんな思いがぐるぐると頭の中を駆け巡る。
それはわずか数分の事であったのかもしれないし、数時間であったのかもしれない。
そんな事さえ真澄と和美には良くわからなくなってしまっていた。
537Overtime 仮面ライダー:03/12/07 22:43 ID:DYtKwQ2g

行先もわからず、良く見えない暗闇の中で、ひたすら歩き続け疲労し、
真澄と和美がそんな感覚に捉われていると、その長い階段の終わりは突然にやって来た。
ここが和人の言っていた見せたいモノがあるという場所なのであろうか?
当の和人はそこで何かを探しているようであった。
「確か、この辺りだったんだがなぁ」「おっ、これだこれだ」
その時、確かにスイッチのような音がした。
すると岩肌の壁、その側面が横にスライドし、その奥に回廊が現れたのである。
回廊は遥か彼方まで続いており、その先は闇と一体化していた。
「これは、一体どういう事なんだっ?」驚く真澄と和美を他所に、和人は回廊の中へと消えて行く。
慌てて和人の後を追う、真澄と和美。

薄暗い回廊を歩き続け、3人が辿り着いた先には大きな鉄の扉があった。
和人は再びスイッチのようなものを探し出し、鉄の扉を開く。
その鉄の扉の先に一体何が待ち受けているのか、真澄にも和美にも皆目見当がつかなかった。
鉄の扉が開かれるとそこには大きな空間が広がっていた。
暗がりの中ではそこが果たして何なのかはっきりとはわからない。
その時であった、辺りに眩しいばかりの光りが溢れたのである。
暗がりに目が慣れてしまった真澄と和美にとっては、それは目も開けていられない程であった。
「い、生きているのかっ?」
「そうだ、ここはまだ生きている」
真澄は顔を被った腕をどけ、目を細めながら辺りを見回すと、
そこは研究室の一室のようでもあり、格納庫のようでもあった。
正確にはその2つの機能を併せ持った部屋であるのだが。
538Overtime 仮面ライダー:03/12/07 23:00 ID:DYtKwQ2g

「ここはどうやらアンチショッカー同盟が、来るべき時に、
レジスタンス活動の拠点に使うつもりだった秘密のアジトらしいぜ」
和人は先程からただただ驚くばかりの真澄にそう告げた。
「そんなものが未だに残っていたって言うのかっ!?」
「あぁ、そうだ」
「俺達の親父やお前のおふくろさんをはじめとするアンチショッカー同盟は、
人間がショッカーに支配される日が来る事を感じていたのかもしれない」
「だからこうしたシェルターをつくって、その日の為に、戦う準備を整えていた …」

戸惑う真澄に向かって和人は言葉を続ける。
「真澄、俺は思うんだ… これは親父達が俺達に送った遺産じゃないかってな」
「ショッカーが支配する時代にあって、そのショッカーに立ち向かう為の力を
俺の親父やお前のおふくろさんは残して行ってくれたんだよ」
「ショッカーに立ち向かう為の力 …」
真澄には和人の言う事がわからないでもなかったが、今ひとつピンと来なかった。
確かにここは今の人間の環境からすれば雲泥の差ではある。
だがだからと言ってショッカーに立ち向かう為の力と呼ぶに程遠いように真澄には思えていたからだ。

和人はシェルター内を歩き別の扉の前に立つと、ゆっくりとその扉を開けた。
「真澄、こっちに来てこれを見て見ろ」和人は真澄を誘う。
「お前もこれを見れば俺の言っている事の意味がわかる筈だ」
和人に導かれた真澄は信じられないモノを目の当たりにするのであった。
「こ、これはっ!!」
「こんなモノがまだ残っていたのかっ!?」真澄はただただ驚きの声を上げるばかりであった。
539Overtime 仮面ライダー:03/12/07 23:22 ID:DYtKwQ2g

「『呪われた鎧』!!」
「あぁ確かに人々はそう呼んでいたようだな」
「お前のおふくろさん、澄子おばさん、
いやロボット工学の権威である小沢澄子が開発した最強の強化スーツ、それがこの『呪われた鎧』だっ」
和人と真澄の目の前にある『呪われた鎧』、
その闇の如き黒いボディに、澄んだスカイブルーの大きな目、そして長く突き出た銀の角。
真澄は自分の母が生み出したこの強化スーツの存在を知ってはいたが、実物を目にするのははじめてであった。

「しかし『呪われた鎧』はショッカーとの決戦に破れ、大破した筈 …」
真澄はデータでのみ知る史実に基づいた発言をした。
「あぁ、確かに『呪われた鎧』はショッカーとの決戦で、
俺の親父・滝和也が装着し戦闘に望み、ショッカーに敗れて大破した …その時、俺の親父も死んだ …」
滝和也はこの『呪われた鎧』を装着し、ライダーのいない世界でショッカーと戦い続けていたのだった。

「だから、これは親父が装着していたのとは、違うモノが他にもあったという事になる」
「そんな、『呪われた鎧』が複数つくられていたというのか …
いやだが複数同時に開発が行われていたという可能性もあるか …」
普段はクールな真澄だがこの予想だにしなかった展開にかなり混乱していた。
真澄は自分に冷静になれと言い聞かせながら思考を巡らす。
540Overtime 仮面ライダー:03/12/07 23:53 ID:DYtKwQ2g

「今度は俺がこいつを装着してショッカーと戦う …俺の親父がそうしたようにっ!!」
和人はここではじめて自らの決意を明らかにした。
「馬鹿なっ!!お前だってこれが何故『呪われた鎧』と呼ばれているか知っているだろうっ!?」
真澄は和人の決意を知り、それだけは何としてでも止めなくてはと必死になる。
「あぁ、『呪われた鎧』は高性能であるが故に、装着者にかける負担が激しい。
普通の人間ではその負担に耐え切れずに、死んでしまう。
開発当初、これを装着した多くの人間がその命を失った、
それで人々はこの強化スーツを『呪われた鎧』と呼ぶようになった …」
「それがわかっていてお前は『呪われた鎧』を着ると言うのかっ!?」
「そうだ、『呪われた鎧』も最終的には調整を行い、その性能を落とす代わりに、
人間に与える負担を抑える事によって、強化スーツとして運用する事に成功したんだっ」
「そして調整された『呪われた鎧』を使いこなしたのが俺の親父・滝和也だっ…俺にだって出来ない筈はない」

「だが、今ここにある『呪われた鎧』はおそらく調整なんかされていないんだぞっ!
そんなモノをお前が着るのは、自殺するのと同じ事だぞっ!」
「だから、真澄、お前の力が必要なんだ …」
「お前ならこの『呪われた鎧』調整する事が出来る筈だっ」
「…!!」真澄は和人の発言に絶句する。
「馬鹿なっ!俺はこいつを見るのは今日はじめてなんだぞっ!
そんなものが調整出来るわけはないだろっ!」
「俺は、お前がずっとおふくろさんの開発した強化スーツを研究していた事を知っている、
こんな時代だからな、実物などは無いが、お前は残されたわずかな資料を基に強化スーツの研究をしていた…」
「…!!」確かに真澄は、いつか母がつくった強化スーツを
越えるようなモノをつくって見せると心密かに思っていた。
その為にも母の残した研究資料を何度も読み返し、独自の考察を加えて研究を行っていた。
真澄にとって母は偉大な目標であったが、母と同じ研究をする事は真澄にとって母への思慕からだったのかもしれない。
幼い時に母を亡くした真澄には、その研究だけが唯一母との繋がりでもあったのだから。
541Overtime 仮面ライダー:03/12/08 00:50 ID:K8GYqJqR

「真澄、俺はお前を信じている」
「大丈夫だ、お前なら出来る」
「真澄、お前の力を俺に貸してくれ、頼む」
和人は力強い言葉で真澄に語りかけた、その力強さは和人の決意の現れであったのだろう。
真澄も母のつくった最強の強化スーツに挑みたいという気持ちは抑えられなかったが、
だからと言ってかけがえのない友に命を賭けさせる事は出来なかった。
揺れ動く気持ちの中で苦悩する真澄。

そんな真澄に今度は笑顔を投げ掛ける和人。
「もし万一仮に調整が失敗したとしてもだ、俺はお前を怨みはしない」
「このまま生きていてもいずれショッカーに捕まって嬲りものにされるだけだ、
だったら俺はせめて奴らに一矢報いたい、一矢でもいいから報いてから死にたい」
和人の顔に悲壮さは無かった、むしろその顔は爽やかですらあった。

真澄にも和人の気持ちは痛い程にわかっていた。
和人は大昔存在していたというサムライなのだ。
生き恥を晒すよりは、名誉ある死を選ぶ、そういう男なのだ。
「そう言えば、俺のかあさんがまだ小さかった俺によく言っていたけな、
お前の無茶は親父さんそっくりだって…」真澄はそう言って苦笑して見せた。
自分はもしかしたら友を殺す事になるかもしれない、
だが自分は友の為にやらなくてはならない、真澄も覚悟を決めなくてはならなかった。
542Overtime 仮面ライダー:03/12/08 01:12 ID:K8GYqJqR

その時だった、今迄ずっと黙っていた和美が突然口を開いた。
「あたしは嫌だよっ …」
「あたしはあの『呪われた鎧』好きじゃないもの …」
「お父さんはあの『呪われた鎧』を着て死んじゃったんだよ …
お兄ちゃんがあの鎧を着たら、お兄ちゃん迄どっか遠くに逝っちゃうじゃない …
そうしたらあたし一人ぼっちになっちゃうじゃないっ!」
涙ぐむ和美、その姿に押し黙る和人と真澄。
「ねぇ、お兄ちゃん、そんな事しないで今はとにかく生き延びる事だけを考えようよ …」
「お父さんは、お父さんは、いつか必ず仮面ライダーが来てくれるって言ってたよっ!」
「だからお兄ちゃんがそんな命を賭けて無茶な事する必要なんてないんだよっ!」

「和美っ!!その名前は口にするなと言っただろっ!」
和人は仮面ライダーという言葉に過剰な反応を示す。
「いやっ!言うよっ!!」
「お父さんは仮面ライダーは戦友だって言ってたよっ!」
「最後の最後迄、仮面ライダーは必ず来るって信じてたんだよっ!」
「お父さんが信じてた仮面ライダーをどうしてお兄ちゃんは信じてあげないのっ!?」

「あぁ、そうさ、親父はずっと仮面ライダーが来ると信じてた」
「仮面ライダーは親父の戦友だったらしいからな」
「最後の最後迄、仮面ライダーは来ると信じてたんだ」
「だが、仮面ライダーは来なかった」
「親父は最後の最後迄、仮面ライダーが来ると信じて、
たったひとりぼっちでショッカーと戦い続けて、たったひとりぼっちで死んでったんだっ」
「仮面ライダーが来ると信じながらな」
「仮面ライダーは親父を裏切ったんだっ」
「親父は仮面ライダーを友だと思っていた、だけど仮面ライダーは親父を裏切ったんだっ」
「だから俺は仮面ライダーが許せねぇ、どうしても許せねぇんだよっ!!」
和人は両の拳を力強く握り締め怒りにその身を震わせていた。
和人の仮面ライダーに対する怒りと憎しみは非常に深く激しいものであった…
543:03/12/08 01:14 ID:K8GYqJqR
過酷な時代に生きる若者のひたむきな姿と友情を描きたかったんだが、
こいつらなんか熱苦し過ぎ(汗

容量もそろそろだし、この続きは次スレですかね?
544名無しより愛をこめて:03/12/08 22:44 ID:M+7LxMaj
しかし残りの容量、雑談で埋めるには多くてSS貼るには少ないなw
545氷川君好き:03/12/09 02:23 ID:sysSFqH8
>>543さん(というか彼面さん)
いや、全然暑苦しくなんてないですよ。
素直にアツクていい物語だと思います。
いつも一風変わった切り口に「ほぉー!」とか「うーん成る程!」と思いつつ
読ませてもらっております。

ぼちぼち次スレですね。
546名無しより愛をこめて:03/12/09 03:03 ID:K/JNlbOl
次スレよろ
547名無しより愛をこめて:03/12/09 03:13 ID:EOv/FF+Q
>546
もう立ってるんだけど、次スレのURLが「ロックは人生だ。」規制に
引っ掛かってるから誘導カキコできないんだわ。各自、適宜検索して下さい。
548氷川君好き:03/12/09 03:19 ID:sysSFqH8
困ってます、マジで
ロック規制って何なの?
すいませんが皆様検索お願いします。
549名無しより愛をこめて:03/12/09 04:04 ID:j8NKtAtk
ロック規制は、指定した文字列を含むカキコを弾く広告コピペ対策の
規制だそうっすよ(どうやら〇9〇が今指定されてるらしい)

とりあえずログ庫の現行スレ表示だけ更新しておいたので、
そちらからでも辿れます。
ちょっと今多忙なので残りの更新は後日に…。
550彼面雷駄:03/12/09 21:35 ID:Md3mqAE7
誘導がちゃんと終わる迄は下手に埋めない方がいいのかな?
誘導が無事済んだら責任持ってちゃんと埋めときますんで
<スペードの将軍のどうでもいいシーンとか、まだあるんで
551氷川君好き:03/12/10 01:27 ID:ZaGA4Oiv
>>:彼面さん
新スレへのカキコありがとうございます。
最近の事情が分からずとまどいましたが、安心しました。

他の職人様方も誘導もできない状態ですが、次スレをよろしくお願い致します。

552彼面雷駄:03/12/10 01:51 ID:dv2LssLt
>>氷川君好きさん
いえいえこちらこそありがとうございました
私が立てれば良かったんでしょうが、
様子見てからにしようと思い、昨日は早々に寝てました(汗
朝起きたら新スレ立ってたんだ嬉しかったです
こちらこそよろしくお願い致します
553名無しより愛をこめて:03/12/11 02:28 ID:Db7+QBRL
もう消えちゃうよ読んでない人は早く!age
554名無しより愛をこめて:03/12/11 23:53 ID:MVBiWb50
 2043年、科学の文明を急上昇させた人類は宇宙、
すなわち地球人とは異なる者達と接触しようとしていた。
 そして、人類は新たな生命体と接蝕することに、
皮肉にも最悪のケースで成功した。すなわち、異星人と
と地球人、双方の誤解が原因で戦争が始まったのである。
 地球と同レベルの文明を持つその異星人と地球人との
戦争は泥沼状態と化し、双方の星の誰もが絶望するのが
当然となっていた。

 そうこうしている中、異星人は地球人のシャトルと
その操縦士を捕獲することに成功する。だが、操縦士と
その監視を任されたある一人の女性異星人は、その操縦士
を監視し、観察していく中で「地球人と異星人はどこが
違うのだ?」という感情が発生する・・・。
555名無しより愛をこめて:03/12/12 00:06 ID:Ax0q+Ozr
愛し合うその操縦士とその女性の異星人。その2人の間には
「新しい命」が芽生えていた。
 その2人は「今から過去に行けば、この悲惨な歴史を
修正できるのではないか?」という希望という名の誘惑に
すがる事にした。

 2人は異星人たちが開発した「時間移動装置」を
使い、過去の世界に行こうとする。だが、襲撃にあい
その女性異星人とその子だけタイムスリップしてしまう。
(父親行方不明)

 2003年、教会に捨てられていたその子は18歳の青年
として成長していた(母親行方不明)。そして、その子が
捨てられていた日から18年目に送られてきた「謎のベルト」。
そしてその日から始まった、「人類」という名の種への襲撃。

 ベルトを使い変身するその少年は、異星人と地球人との
架け橋になれるのか?それとも、双方の星の両刃になるのか?


 新番組「仮面ライダーPSY刃ER(サイバー)」


556氷川君好き:03/12/16 05:06 ID:7JvYboTt

今更ながらφげとおめ

漏れはCRC
557名無しより愛をこめて:03/12/17 23:55 ID:/FpPT3pf
558名無しより愛をこめて:03/12/17 23:58 ID:/FpPT3pf

【手を取り】ライダー共闘SSスレその6【戦え】
http://tv3.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1070905196/l50

試しにやったら貼れたので再度ちゃんと誘導
という訳でこのスレはもう埋めても大丈夫?
559テスト:03/12/18 17:51 ID:UhnvSPQR
ヒーロー戦記やってる人がいるから自分も一応予告出して反応次第で書くかも
(原作版仮面ライダー+原作版仮面ライダーBlack+その他のアニメ)
「THE仮面ライダー」
予告
「教えてくれ〜っ!おれはだれだ!」
あれから何年経っただろうか・・・・・
「あんたは救世主だ・・・・」
奴と出会ったその日から
「おれは・・・・救世主?」
おれは決心した
「君も仮面ライダーなのか?」
いつかこの世界を真の平和に導くと
THE仮面ライダー
近日公開
560名無しより愛をこめて:03/12/19 11:42 ID:sjL8+tqH
>>554
結構いいんじゃないかな
星座と555と龍騎のエッセンスを感じるが、
オリジナル的に構築出来ればあんたの勝ちだ

>>559
個人的には他のアニメ等との共闘も、
ライダーがメインという線を外さなければいいと思う
俺は最近のアニメに詳しくないので、
ネタがわからないとどうにもならん、という作品は読み飛ばすが、きっと
561名無しより愛をこめて
そろそろこのスレ埋めてもOKかな?