アムールヒョウ最後の生息地にパイプライン計画
ロシア沿海州のPine Valley自然保護区に残された40頭足らずの最後の野生アムール
ヒョウに危機が迫っている。それは世界最長のパイプラインを通す計画だ。 このパイプラ
インを独占する国営企業のTransneftはまもなくこの数十億ドルの大計画の最終計画書を
提出する。パイプラインは東シベリアの未開発の油田で拡大する中国や日本のエネルギー
需要を賄うものとなる予定だ。
5人いる保護区のレンジャーのひとり、Alexander Zayevの主な敵は密猟者と山火事だ。
彼は谷を天然の植物公園と呼び、ソ連時代より人々の手から守られてきたが、パイプライン
計画が取り返しのつかないダメージを与えるのではないかと恐れている。「保護区のすぐ
そばに工業地域ができれば、人口が増え密猟者の侵入も多くなる。そうなれば我々には
監視しきれない」
保護活動家のSergei Bereznyakはアムールヒョウへの致命的な打撃となりかねないこの
計画を中止するよう裁判所に訴えた。 「ヒョウの生息地にパイプラインを通すのはあまりに
ばかげている。我々は沿海州の住民にとってもヒョウにとってもよりよいルートを提案した」
Perezovnayaに石油の積出港を建設する計画も彼にとって憂慮すべきものだ。水深が浅く
風が強いこの湾ではタンカーからの石油の流失が大きなリスクとなる。しかもロシア唯一の
海洋保護区は目と鼻の先なのだ。
パイプライン計画はまだ政府の承認を受けてはいないし、Transneftも公式にはまだ最終
計画ではないとする。しかしTransneft副社長のSergei Grigorievは自信満々だ。「急成長
している中国は大量の石油を必要としている。だからこの計画は莫大な利益が見込めるの
です」
国際的な批判により計画は今のところ裁判所命令で止められている。しかし計画には地元
極東ロシアにもモスクワにも強力な支持者がいる。 中国に近く、以前の前哨基地だった沿海
州の行政官たちは民間経済が立ち後れている地域の起爆剤となることを期待し、根回しに
余念がない。
沿海州知事の報道官、Viktor Gorashkovはこう語る。「もちろんパイプライン計画には関心
を持っている。Perevoznayaは今は半ば空白だが、我々は地域全体を発展させたいと思って
いる。この地域を工業の中心地にし、地域経済を躍進させたい」
地元行政官はすでにロシア第二の石油会社TNK-BPに接触し、精製所の建設計画について
交渉した。BPが半数を出資するTNK-BPは、まだごく初期の段階であって決定事項は何もなく、
計画に際しては国際基準を厳密に満たすものでなければならないとする議論は認識している
とコメントする。
国際基準には環境への配慮も含まれるが、アムールヒョウの絶滅を心配する人々にとって
満足のいくものではないだろう。彼らにとってこれはロシア国家の優先事項を問うテストケース
なのだ。
記事オリジナル、写真、関連ニュース等はこちらです。
Pipeline risk to Siberia wildlife
By Sarah Rainsford
BBC News, eastern Siberia, Russia
http://news.bbc.co.uk/2/hi/europe/4685753.stm 翻訳:
http://news18.2ch.net/test/read.cgi/scienceplus/1118578184/161さん 関連スレ:
【総合】絶滅危惧生物関連ニュース
http://news16.2ch.net/test/read.cgi/scienceplus/1088827641/ (04/07/03)
>>2あたりに続く